衆議院

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第10号 令和4年4月20日(水曜日)

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令和四年四月二十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中根 一幸君

   理事 柿沢 未途君 理事 小島 敏文君

   理事 塚田 一郎君 理事 土井  亨君

   理事 城井  崇君 理事 小宮山泰子君

   理事 市村浩一郎君 理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    伊藤 忠彦君

      石原 宏高君    泉田 裕彦君

      小里 泰弘君    大西 英男君

      加藤 鮎子君    金子 俊平君

      菅家 一郎君    木村 次郎君

      小林 茂樹君    櫻田 義孝君

      笹川 博義君    田中 良生君

      谷川 とむ君    中川 郁子君

      根本 幸典君    宮内 秀樹君

      宮崎 政久君    和田 義明君

      稲富 修二君    枝野 幸男君

      神津たけし君    末次 精一君

      伴野  豊君    福田 昭夫君

      藤岡 隆雄君    谷田川 元君

      渡辺  周君    足立 康史君

      高橋 英明君    山本 剛正君

      河西 宏一君    北側 一雄君

      古川 元久君    高橋千鶴子君

      福島 伸享君    たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      渡辺 猛之君

   国土交通大臣政務官    加藤 鮎子君

   国土交通大臣政務官    木村 次郎君

   国土交通大臣政務官    泉田 裕彦君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局次長)         三原 祥二君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   犬童 周作君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  寺田 吉道君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            青柳 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  村山 一弥君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  淡野 博久君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (観光庁長官)      和田 浩一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 白石 隆夫君

   国土交通委員会専門員   武藤 裕良君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十日

 辞任         補欠選任

  藤岡 隆雄君     伴野  豊君

  池下  卓君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  伴野  豊君     末次 精一君

  足立 康史君     池下  卓君

同日

 辞任         補欠選任

  末次 精一君     藤岡 隆雄君

    ―――――――――――――

四月十九日

 航空法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 宅地造成等規制法の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)

 航空法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

中根委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、宅地造成等規制法の一部を改正する法律案及びこれに対する小宮山泰子君外三名提出の修正案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 ただいま議題となっております小宮山泰子君外三名提出の修正案について、提出者全員から撤回の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中根委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中根委員長 本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中根委員長 この際、本案に対し、小宮山泰子君外五名から、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党、有志の会及びれいわ新選組の六会派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。小宮山泰子君。

    ―――――――――――――

 宅地造成等規制法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小宮山委員 ただいま議題となりました立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党、有志の会及びれいわ新選組による六会派共同提出の修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 昨年七月、静岡県熱海市で発生した土石流災害は、多くの方が亡くなるなど甚大な被害をもたらしました。上流部の不適切な盛土が被害を甚大化させたと言われています。このような被害が二度と起こらないよう、災害を防ぐための実効性を備えた法整備が必要とされています。

 政府提出法律案はこの必要性に応えるものとは考えますが、今後のより効果的な執行に向け、本修正案を提出した次第であります。

 次に、修正案の内容について御説明申し上げます。

 政府は、この法律の施行後五年以内に、宅地造成等工事規制区域及び特定盛土等規制区域以外の土地における盛土等の状況、そのほかこの法律による改正後の規定の施行の状況等を勘案し、盛土等に関する工事、土砂の管理等に係る規制の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする旨の検討条項に修正することとします。

 以上が、本修正案の趣旨であります。

 委員各位の御賛同、よろしくお願いいたします。

中根委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

中根委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。

渡辺(周)委員 私は、会派を代表して、宅地造成等規制法の一部を改正する法律案及び立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党、有志の会及びれいわ新選組による六会派共同提出の修正案に、いずれも賛成の立場から討論いたします。

 本委員会での盛土に関する議論の中で、各委員が地元事案で苦慮されており、法規制が必要であることは共通認識であります。

 私たちは、熱海市土石流災害の現地視察や参考人からの意見聴取等を踏まえ、いかに盛土による災害を防ぎ、国民の生命及び財産を保護するかという観点から、丁寧に論点を整理し、問題点を指摘するとともに、政府答弁等により政府案の内容を確認してまいりました。

 政府案が昨年七月の熱海市土石流災害の発生から短い期間で法律案提出までこぎ着けたことについては、評価するものであります。しかしながら、短期間において立案されたものであるため、政府案には幾つかの課題が残っております。

 一例を挙げますと、宅地造成等工事規制区域及び特定盛土等規制区域以外の土地における盛土等に関する工事の規制、また、発生元となる建設残土の処理の適正化を図るための規制が規定されておりません。

 よって、本法案の審議入り直後から、立憲民主党を始め野党間、与野党間で修正案の協議を重ねてまいりました。六会派の共同提出の修正案は、こうした政府案の課題を補完し得るものであります。

 政府案はまだまだ規定内容や実効性に課題がありますが、これまでの本委員会での審査の中で、私たち立憲民主党・無所属を始め各会派の指摘及び提案を踏まえ、法案成立後の運用において政府が適切に対応することを今後も常に監視していくことを申し上げ、政府案及び修正案に対し賛成することを申し述べまして、私の討論といたします。(拍手)

中根委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会の市村浩一郎です。

 私は、会派を代表して、宅地造成等規制法の一部を改正する法律案及び立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、日本共産党、有志の会、れいわ新選組提出の修正案について、賛成の立場から討論いたします。

 政府提出法案は、昨年七月三日、静岡県熱海市で発生した大規模な土石流災害がきっかけでまとめられました。

 改めまして、お亡くなりになられた方々の御冥福を衷心よりお祈りし、哀悼の誠をささげます。

 日本維新の会は、熱海市の災害が発生する以前、二〇一四年二月二十五日に大阪府豊能町で起きた建設残土に起因する大規模な土砂崩落から、盛土規制の重要性を提起し続けてきました。

 これまでは森林法や廃棄物処理法、条例等で盛土規制が行われてきましたが、不十分だったことは熱海の災害でも明らかです。そういう意味では、政府提出の法案は大きな一歩です。法案整備に尽力された関係省庁また各位の皆様には、敬意を表明し、深く感謝を申し上げます。

 しかし、やはりこれは一歩にすぎません。真に隙間のない規制を実現するためには、規制区域外における盛土等についても実効性ある規制を行い、白地をつくらないようにすること、大規模工事から発生する土砂等へのトレーサビリティー制度の導入が必要です。

 修正案は、これらの施策を施行後五年以内に検討し、必要ならば措置を講ずるというもので、政府提出法案の実効性をより高めるものであります。

 日本維新の会は、政府提出法案に賛成し、また、修正案にも賛成します。実効性ある盛土規制を実現することで、熱海のような悲劇を二度と起こさせないという誓いを強く立て、討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

中根委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました盛土等規制法案及び六会派提出修正案について、賛成の立場から討論を行います。

 法案のきっかけは、昨年の死者・行方不明者二十八名もの犠牲を出した熱海の土石流災害でした。崩落した盛土は、県への届出量の三倍にもなる産廃混じりの残土であり、人災です。長年こうした事案を多数認識しながら、放置してきた国の責任も厳しく問われるものです。

 二十一都道府県を始め、独自に土砂条例等を定めている市町村も多くあります。しかし、規制が弱い、あるいは規制がない自治体に残土が運び込まれる事例等が後を絶たず、全国一律の規制と立法化が待たれていました。

 本法案は、盛土や一時的な土石の堆積及び土捨て行為も含め、知事の許可制などとし、管理者責任の明確化、盛土等工事の中間検査の実施、罰則の強化などを定めており、必要なことです。また、許可盛土等の公表を通じて、周辺住民への周知や住民からの通報を促すなどの規定は重要です。なお実効性を上げるために、国による自治体への人的、財政的支援は不可欠です。

 論点の一つは、規制区域の設定についてです。

 政府案は、人家等に被害を及ぼし得るエリアとして、宅地造成等工事規制区域及び隣接する特定盛土等規制区域を指定するとしています。しかし、区域を限れば、区域外に盛土が集中することは避けられません。さらに、区域指定に当たって、自然環境、生態系への影響は考慮されません。有識者会議や参考人からも意見があったとおり、人目のつかない山林などに投棄されてからでは発見も難しく、原状回復は困難になります。区域は限定せず、許可に当たっては、環境アセスや住民等の意見聴取などを行うべきです。

 論点の二つ目は、盛土に使われる土砂の多くが、トンネル掘削工事等で発生する建設残土であることです。

 建設工事で発生する土砂は、工事現場内や工事間利用により発生を抑制することが原則です。それ以外の建設発生土は年間約六千万立方メートルに上りますが、うち、利用先も最終処分地も決まらずに一時仮置場などに堆積される事例が散見されます。また、リニア中央新幹線のトンネル工事では約五千六百八十万立方メートルの膨大な建設残土が排出され、その約三割は最終受入先が決まっておらず、土砂災害警戒区域内の仮置場に堆積されている地域もあります。

 建設残土については、その発生者が最終処分まで責任を持つことを義務づけるべきです。公共工事で実施している指定処分制度を民間工事も対象にすること、産廃のマニフェストのようなトレーサビリティー制度を具体化すべきです。また、大規模な残土を排出する建設工事は、建設残土の最終処分先を確保することなしに工事に着手できないこととするべきと考えます。

 党としても、このような修正案を準備してきました。この度、四会派共同の修正案提出が実現し、質疑も行われたこと、これを踏まえて更に全野党共同による修正案に実ったことは大いに歓迎するものです。

 以上を述べて、賛成の討論とします。(拍手)

中根委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享です。

 私は、六党会派によって本日提出されました修正案に賛成、修正部分を除く政府案に賛成の立場から討論をいたします。

 この週末も、後援会の集会や花見会、自治会の総会などにお伺いいたしましたが、どの場所でも、具体的な事例を示して、県外から持ち込まれた残土による盛土などへの不安の声が次から次へと寄せられました。改めて本法案に対する期待の大きさを実感いたしました。

 しかしながら、残念ながら、その多くは、居住者その他の者の生命又は身体に危害が生ずるおそれが特に大きいという特定盛土等規制区域に該当しない可能性が高い場所です。首都圏に近接した私の地元は、白地地域になることで、むしろ建設残土などが多く持ち込まれる地域になるおそれもあるのです。

 特に、特定盛土等規制区域に該当したとしても、届け出られた工事計画が果たして悪意を持った虚偽のものがないのかどうか、勧告する前に現地に立入調査をすることができないことも大きな問題です。国土交通省はなぜ立入調査の必要がないかを一生懸命説明してくれますけれども、この国会に提出されている例えば高圧ガス保安法等の改正法案では、小規模な太陽光発電設備の設置を新たに届け出るという規制を導入しておりますが、この法案では、届出後、いつでも立入検査ができる規定を盛り込んでおります。こうしたこととの整合性は取れません。

 これまで本委員会で、委員各位から建設残土に関する適切な規制がないことが指摘されていましたが、政府のこれに対する対応も後ろ向きと言わざるを得ません。熱海市の痛ましい事故を受けて新たな規制を導入するという割には、人の命や地域住民を災害から守るより、誰かに配慮してか、なるべく規制をしたくないという姿勢なのではないかとすら疑ってしまいます。

 私は、斉藤国土交通大臣とともに、一九九九年のジェー・シー・オー事故の後の原子力災害対策特別措置法の立法に携わりました。それまで原発立地に携わっていた私は、万が一の原子力災害の際の法的な枠組みがないことは問題だと思ってはいましたけれども、いざ私の地元でジェー・シー・オー事故が起きたときに、やはり行政は何ら適切な対応ができなかったのです。事故前に法制度をつくらなかったことを悔やみました。二〇一一年に東日本大震災が起きたとき、この原子力災害特別措置法は役に立たないと時の権力者から罵倒されました。法律は作っても、それを動かすための政省令、マニュアルなどの整備が、運用面が不十分だったのです。

 私は、同じ轍を踏みたくはありません。現在、日本各地で盛土等による様々な問題を抱える中で、本法案の早期の施行は必須です。したがって、政府案には基本的に賛成いたしますが、穴が幾つもあるこの原案のままでは、いずれ法の網がかからないところで問題が起きることでありましょう。それを杞憂に終わらせるためにも、本日提出された修正案に基づく規制の在り方の検討を早期に行い、第二弾の規制の枠組みをつくることを求めまして、討論といたします。

 以上です。(拍手)

中根委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組のたがや亮です。

 私は、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、日本共産党、有志の会、そしてれいわ新選組提出の野党六会派共同提案の修正案に賛成、政府原案に賛成の立場から討論をいたします。

 現状を一歩でも改善する政府案にも私たちは賛成いたしますが、二度とあのような熱海市での悲しい事態を引き起こさないため、また、速やかに盛土規制の精度と実効性を高めるためにも、政府の原案と私たち野党共同提案を併せて成立させる必要があると考えております。

 私は、政府の原案、日本維新の会提出の対案、野党四党の修正案、これら全ての案に賛成するつもりでありました。党派を超え、英知を合わせたベストミックスで、この盛土規制法の実効性を高めたかったからです。

 新しく提出された野党共同提出の修正案は、政府案では法律の施行後五年をめどとされていた検討期間を、法律の施行後五年以内とし、盛土等の状況やこの法律の改正後の施行状況を勘案して、盛土等に関する工事や土砂の管理の規制の在り方を検討し、必要がある場合は所要の措置を講ずるとしております。つまりは、五年以内に、実際の制度の運営を見ながら、しっかりと見直しを行うということです。

 例えば、四月十三日の福島伸享委員の質疑では、勧告前の立入検査について、政府との間に見解の相違がありました。この点についても、法案成立後の施行状況をしっかりチェックし、必要とあらば五年以内に見直すべき項目に加える必要があると思います。

 この盛土規制法は、人命に関わる大切な法案です。政府原案はもちろんのこと、与野党の垣根を越えて、その精度と実効性を高めるための修正案に賛成をいただくようお願いを申し上げまして、私の賛成の討論といたします。

 ありがとうございます。(拍手)

中根委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中根委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、宅地造成等規制法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、小宮山泰子君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中根委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中根委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

中根委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、小島敏文君外六名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、有志の会及びれいわ新選組の七会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。城井崇君。

城井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。

    宅地造成等規制法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 宅地造成等工事規制区域及び特定盛土等規制区域の指定を円滑に進められるよう、基本方針、政省令等の案をできるだけ早く都道府県等に示すとともに、具体的な盛土計画がある地域を含め基礎調査の予備的な調査を施行日前に実施するよう促し、また、土砂災害防止対策の推進に関する法律に基づく基礎調査の結果の活用を検討し、基礎調査の早期完了を目指すこと。さらに、これらに必要な財政的支援を検討するとともに、専門的知識を有する職員が不足する地方公共団体への技術的支援のため、地方整備局等に配置する担当職員の増員等、支援に係る体制の整備に努めること。

 二 盛土等に伴う災害から生命及び財産を守るという目的の重要性に鑑み、想定外の災害が発生しないよう、盛土等に伴う災害のリスクがある区域については、関係行政機関の適切な連携により、的確に規制区域の指定がされるようにすること。規制区域の指定の際に、都道府県等が適切に業務を行うことができるよう、きめ細かなガイドラインの策定や地方公共団体に対する必要な助言等の支援に努めること。

 三 本法により、地方公共団体は、規制区域の指定や行政代執行等、難しい判断が求められることから、負担の軽減を図るため、必要に応じ有識者等から意見を聴くよう促すこと。

 四 都道府県は、市町村が有する地形、地質、盛土等に関する情報の共有を図る等市町村との連携を図るよう促すこと。また、工事主が許可の申請を行う際に必要となる説明会等において住民等から出された要望等を踏まえ、周辺環境に十分に配慮した工事が行われるよう取り組むこと。

 五 盛土等による災害防止のため、規制区域内において、都道府県知事等による勧告、改善命令及び行政代執行が適時適切に実施されるよう、既存不適格である特定盛土等を含め、いかなる基準を満たせば対象となるのかをガイドライン等で明確に示すこと。また、行政代執行に係る必要な財政的支援を検討すること。

 六 工事許可の技術的基準の策定に当たっては、現行の基準にとらわれることなく、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災等で起きた滑動崩落が起きないことを担保できる厳格な基準とすること。また、宅地造成のための盛土等、建設残土の一時保管のための盛土等、開発のための森林の形質の変更等多様な現場実態やリスクに見合った具体的な基準にすること。

 七 都道府県知事等による不適切な盛土等の早期発見に資するため、都道府県知事等が地域住民、関係市町村長等から盛土等に関する情報の提供を得られやすい体制の整備を推進すること。また、警察による違法な盛土等の取締りの実効性を高めるため、体制の整備、関係機関との連携等を強化すること。

 八 近年増加が懸念される所有者不明土地においても不適切な盛土等が発生しないよう、関係行政機関が連携し適切な措置を講じること。

 九 建設残土の搬入及び搬出について、定期的に実態把握を行うとともに、建設発生土の工事間利用に係るマッチングを推進すること。また、公共工事や民間工事を問わず、可能な限り指定利用等を促すこと。さらに、必要な残土処分場の確保のため、行政による施設確保を含め残土処分場の適正な確保のための方策を検討すること。

 十 工事主及び工事施行者が建設工事の施工に当たり、できるだけ建設発生土の発生を抑制するよう、設計・工法の改善や場内利用の促進を図ること。

 十一 本法の今後の施行状況等を踏まえ、盛土等に関する工事に携わる優良な事業者が評価される仕組みについて検討すること。

 十二 本法の今後の施行状況、関連する法令の運用状況等を踏まえ、本法の規制区域外における規制の在り方並びに大規模な工事から発生した土砂等の管理を適正に行うためのトレーサビリティ制度及び自然災害、大規模な工事等により発生した土砂等の置場が確保されるための具体的な方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を検討すること。

 十三 不適切な盛土等による災害を防止するため、本法と砂防法、森林法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等関係法令を所管する関係府省庁との連携や調整を密に行うこと。また、主務大臣である国土交通大臣と農林水産大臣の権限と責任を明確にすること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

中根委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中根委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

斉藤国務大臣 宅地造成等規制法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 誠にありがとうございました。

    ―――――――――――――

中根委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中根委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

中根委員長 次に、国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官寺田吉道君、国土政策局長青柳一郎君、道路局長村山一弥君、住宅局長淡野博久君、鉄道局長上原淳君、観光庁長官和田浩一君、個人情報保護委員会事務局次長三原祥二君、デジタル庁審議官犬童周作君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君及び環境省大臣官房審議官白石隆夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中根委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中根委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。枝野幸男君。

枝野委員 よろしくお願いいたします。

 大きく三つ、今日はお尋ねしたいと思っておりますが、まず一つ目には、脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案、いわゆる建築物省エネ法等改正案についてお尋ねをしたいと思います。

 これについては、国会召集時に国土交通省から御説明いただいた本国会提出法案の中で、検討中という御説明がありましたが、今もう四月の半ばでありますが、まだ提出されていない。どうも、この一週間ほど報道を拝見いたしますと、ようやく取りまとめて、早期に法案を提出して、今国会中の成立を目指すという報道はなされておりますが、これについて、現状、検討状況、準備状況はどうなっているのか、まずは御説明ください。

斉藤国務大臣 建築物省エネ法等を改正する法案につきましては、原油価格等の高騰対策が急務となる中、住宅の省エネ化促進など、経済構造の転換が必要になっていること等も踏まえ、近日中に閣議決定し、今国会に提出するために必要な手続を進めているところでございます。

 法案の速やかな提出に向け、引き続き適切に対応してまいります。

枝野委員 大臣は環境大臣も御経験をされていますので、特に、建築物の省エネ化が二酸化炭素排出を抑制し、またエネルギー政策全体の構造上も大変重要である。実は、発電量を増やさなくたって、蓄電と蓄熱で相当程度エネルギー消費は減らすことができるというふうに思っております。

 今の政府のエネルギー基本計画でも、二〇五〇年にストック平均でZEH、ZEB標準の省エネ性能が確保されていることを目指すとなっていますし、そこに向けて、二〇二五年度までに小規模建築物の省エネ基準への適合を義務化するということになっています。

 特に、小規模住宅に義務化するに当たっては、中小事業者の皆さんに十分な準備等をしていただかなければいけませんし、また、国土交通省としても、中小事業者がこれにきちっと対応できるような支援をしていただかなければいけない。

 そうした意味では、一日も早くこういう法律の中身で進めるんですよということをお示しをいただき、また、国会等でも十分な議論をし、施行までに一定の準備期間を取るということが私は重要であるというふうに思っております。

 この国会も延長は絶対したくなさそうな政府の姿勢が感じ取られますが、これはくぎを刺すまでもございませんが、国会で十分な審議時間を確保して、その上で、野党も含めて各党が納得できる手続の中で成立をさせるというのは、これは政府の責任でございます。

 そうしたことを、トータル、もろもろ含めて、環境大臣経験者でもある斉藤大臣に、この法案の早期成立に向けた意欲、意思を明確にお示しをいただければとお願い申し上げます。

斉藤国務大臣 今、枝野委員から御指摘がありましたように、二酸化炭素排出量の、我が国におきましては、三〇%以上、いわゆる建築物における暖房、冷房等から出ている、このように評価されているところでございまして、ここをしっかり対応していくことがカーボンニュートラル社会に向けての非常に大きなステップになるものと思っております。

 今回の法案は、いわゆるエネルギー基本計画、また政府の地球温暖化対策等で定められた基準に向かって大きな一歩となるものでございまして、これに向けて我々も頑張っていきたいと思っております。

 住宅を含む省エネ基準への適合化義務を市場の混乱を伴うことなく実現するためには、今枝野委員がおっしゃったとおり、中小事業者を含む関連事業者の体制整備に万全を期す必要があります。

 このため、従来より、中小事業者等の省エネ関連技術の向上のための講習や、昨年四月より施行されている建築士から建築主への省エネ性能の説明義務制度などを通じた体制整備を進めているところですが、準備に万全を期す観点からも、二〇二五年度の全面義務化に向けた十分な準備期間を確保するために、今国会に法案を提出するとともに、中小事業者等が義務化に対応できるよう、更なる環境整備に努めてまいります。

 また、御指摘のとおり、しっかりと御審議いただけるよう、速やかに法案を提出すべく努めてまいります。

枝野委員 是非しっかりと進めていただきたいとお願いを申し上げますとともに、通告していませんのでお答えは場合によっては結構ですが、これは省エネということだけにとどまらず、結構大事なのは既存住宅だと思っているんですよ。

 既存住宅の断熱は物すごく悪いですし、そこに住んでいらっしゃる方は高齢者の比率が高くて、高齢者の皆さんはヒートショックなどの健康上の不安もある。高齢者が多いということになると、バリアフリー化のニーズもある。そうすると、既存住宅を強制的に自分の金でやれというのはむちゃだというふうに思います。

 私は、地場の中小の木工所、木工屋さんなどが潤う、地場の中小が潤う公共事業として、小規模な個人の老朽化した住宅の断熱化とバリアフリー化を一体にして、そこを例えば八割、九割国で面倒を見てもいいぐらいじゃないか、公共事業としてそういうことをやるべきではないか。そうしたことによって、今示されている案では今回も既存建築物は一部入りますが、本当は、圧倒的に多い個人の、特に高齢者がお住まいの木造の古い住宅というところをしっかりと支援つきでどう進めていくのかというのが、エネルギー政策の観点からも、地場の中小の建築事業者に対する支援という観点からも、高齢化社会における高齢者の健康という観点からも、いろいろな意味で大事だというふうに思っています。

 通告がないので御感想だけで結構ですので、大臣の見解をお聞かせください。

斉藤国務大臣 今の、既存のいわゆる古い基準による小規模住宅、ここをどう省エネ化を進めていくかというのは非常に大きな課題でございます。改修工事、リフォーム等にどのような形で支援することができるか、ここがポイントになるかと思います。

 今の枝野議員の御提案も踏まえて、今後検討させていただきたいと思います。

枝野委員 これは国土交通省だけでできる話じゃないと思いますが、政府全体として、いわゆる公共事業的な景気対策で、土木建築に金を同じ額を出すのだったら、こういうところに出した方がずっと多くの皆さんの福祉の向上につながるし、そして地場を支えていくことになるというふうに思いますので、是非前向きに政府を挙げた検討をお願いをしたいというふうに思います。

 二つ目の大きなテーマとして、大宮バスタ構想についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 国土交通省は、バスタプロジェクト推進検討会というのをつくって、令和二年九月に設置したそうですが、令和三年、去年の三月五日までに検討会を五回開催して、交通拠点の機能強化に関するガイドラインを取りまとめられました。ここにいわゆるバスタプロジェクトが取り上げられているわけでありまして、これを受けて、国土交通省の関東地方整備局大宮国道事務所に、大宮駅西口交通結節点事業計画検討会というのがつくられました。令和三年四月二十一日に第一回検討会を開催し、駅周辺の交通課題の確認を行った。ここまで承知していますが、それから間もなく一年になりますが、少なくとも表面上は全く動きが見えておりません。

 まずは、この国土交通省関東地方整備局大宮国道事務所における大宮駅西口交通結節点事業計画検討会の状況について、道路局長、御説明ください。

村山政府参考人 お答えします。

 国土交通省では、バスタプロジェクトとしまして、鉄道駅周辺の既存のバス停を集約し、民間のビルと一体的にバスターミナル施設を道路事業として整備する事業を実施しているところでございまして、議員御指摘のとおり、大宮駅周辺におきましても検討が進められております。具体的には、駅周辺に高速バスの乗降場が点在しておりますので、駅の西口に集約化を図る構想となってございます。

 現在、国、埼玉県、さいたま市、鉄道事業者、バス事業者等から成る大宮駅西口交通結節点事業計画検討会を令和三年四月に設置をいたしまして、駅周辺地域の交通課題を確認しております。

 これまで、国土交通省がバスターミナルの位置や機能等について関係機関と調整を図りながら検討を進めてきております。具体的には、関東地方整備局とJRが施設の計画でありますとか、また、さいたま市さんとJRさんの間で再開発事業の土地利用の具体化などを調整しているという状況でございまして、この調整が整い次第、第二回の検討会を開催してまいりたいと考えてございます。

枝野委員 大宮駅は私の選挙区、地元の問題でもありますし、そうした観点からは、長距離バスの乗り場が分散しているというのは、これはこれで地元課題としては、それが改善されるということは歓迎すべきことなんですが、それ以上に、国全体というか、まさに国土交通省が検討している事業なわけで、国全体ということを考えても、大宮バスタというのは非常に合理性があると思っています。

 御承知のとおり、北に向かう新幹線は、東京―大宮間は複線で走ってきますが、そこから複線で東北の方に、そして北陸、上越の方にということになります。つまり、北から大宮に入ってくるのは複々線状態で入ってくるのが、大宮―東京間は複線になる、むしろ、量が多いところの方が線が少なくなるということになります。実際に、私も実は経験したことがあるんですが、東京が大雪で新幹線ダイヤが首都圏が乱れたときなどは、大宮―東京間で新幹線が滞留をするみたいな話があります。

 そして、地理的な動きから考えても、実は、例えば茨城県であるとか千葉県のかなりの部分のところは、東京まで行ってバスに乗り換えるよりも、大宮からバスに乗っていただいた方がずっと交通的には便利である。場合によっては成田空港などについても言えるんじゃないか。東北方面、あるいは上越、北陸方面から例えば千葉、茨城などに来られる方、場合によっては山梨も、最近、圏央道などの整備が進んでいますので、都内を通過せずに大宮でバスに乗っていただくというのが合理的ではないか。逆も言えるわけで、そうした皆さんが東北や北陸、上越地方に向かうときには、大宮まではバスで来ていただいて、そこから新幹線に乗る。

 そして、多分、これはJRの経営判断ですが、場合によっては、北から来た新幹線を大宮が終始発にしてしまうと、そこから先は、極端に言えば、例えば本数を半分に減らしても、そこから北の路線は倍つくれるわけですから、という意味では、資源の有効活用をすることによって、例えば都心を通過する人が減るということについて、それはいろいろな意味で都心に人がたくさん集まるということを減らすという効果もありますので、大宮のバスタというのは東日本全体の交通という観点からも私は非常に合理性がある話だというふうに思っております。

 一方で、さいたま市は大宮グランドセントラルステーションプランというのをつくっておりまして、バスタ構想は国の事業ですけれども、バスタ構想以外の部分、大宮駅自体をもっと利便性をよくして北日本、東日本の玄関口としての機能を高めていこう、これはさいたま市が進めておりますが、西口に予定するバスタの計画も事実上は一体となって進めていくことがいろいろ工事その他も含めて合理的ではないかというふうに思っています。

 先ほどの道路局長のお話を踏まえると、そうしたさいたま市で進めている大宮グランドセントラルステーション構想というものともしっかり連携しながら検討を進めているというふうに理解をいたしますが、だとしたら、国の方のバスタ構想がさいたま市の進めている大宮駅のセントラルステーションプランとしっかりと足並みがそろうような形で迅速に検討などを進めていただきたいというふうに思っているんですが、大臣には、私が申し上げた大宮にバスタというのは合理的ですよねということについての認識と、そして今後の検討についての大臣としての見解をお示しいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 まず、大宮駅に対しての認識でございますけれども、大宮駅は、新幹線六路線、在来線七路線が乗り入れている全国でも有数のターミナル駅でございます。また、幹線道路や高規格道路へのアクセスが容易であり、一日約百七十便の高速バスが発着するなど、首都圏全体で見ても重要な交通拠点、こういう認識、これは国土交通省の認識でございます。

 大宮駅西口においては、国土交通省とさいたま市が関係機関と連携して、令和三年四月に大宮駅西口交通結節点事業計画検討会を設置し、高速バスの集約化の検討を進めております。まさに大宮駅を中心にして、また、東京都心を通らずに全国に広がっていく、その一つの結節点という意味でございます。

 一方、大宮駅東口においては、さいたま市が、平成三十年七月に大宮駅グランドセントラルステーション化構想を策定するとともに、これはGCSと呼ばせていただきますが、これに基づき、令和三年三月には大宮GCSプラン二〇二〇を策定し、路線バスの集約化についての具体的な検討を進めていらっしゃいます。

 委員御指摘の大宮駅西口のバスターミナルを大宮駅グランドセントラルステーション化構想と連携し、一体的に早期に進めるべきという御意見に関しましては、構想の策定主体であるさいたま市等の関係機関と国土交通省がより緊密に連携を図り、一体的に計画を策定し、大宮駅西口と東口の適切な機能分担の下でバスの利便性を向上していきたいと考えております。

 大宮駅西口のバスターミナルは、国土交通省とさいたま市等で構成される大宮駅西口交通結節点事業計画検討会の場で整備方針を検討中ですが、引き続き、各関係機関と連携して、早期の事業計画の策定に向け、検討を進めてまいります。

枝野委員 当事者なのでよく分かっているんですが、東京―大宮間の新幹線というのは、まさに六路線が分岐をする手前のところなわけなので、そこは複線でしかないわけなので、その複線でしかないところを、実は、大宮から東京に来るときに、上野東京ラインが通ったおかげで大変便利になって私も助かっているんですが、在来線の間隔と新幹線の間隔と、時間帯によってはほぼ変わらないというか、新幹線の方が間隔が短いぐらいではないかというぐらい、一種渋滞をしているという状況であります。

 今はコロナ禍でありますが、コロナが落ち着いた状況では観光立国というのは我が国として考えていかなきゃならないときに、東北、上越、北陸方面には、あるいは長野方面にはたくさんの観光資源もあります。そうすると、例えば、羽田に着いた外国人観光客は東京駅からそういったところに行っていただくニーズ、それから、場合によっては成田からは大宮から乗っていただくニーズ、ということをやれば、東京―大宮間の渋滞状況があっても本数を場合によっては増やせる、こういうことになるわけでありますので、是非、そうした意義がある、決して地元の課題だけではない、国全体としての戦略ということなんだということで、大臣もしっかりとウォッチをしていただきたいというふうにお願い申し上げます。

 三つ目の課題、公共交通を中心に、コロナ禍における中長期的な支援の必要性ということについてお尋ねをしたいと思っています。

 観光も含めて公共交通は、そもそも、人口減少などによって長期的に少なくとも国内需要は減っていくというのはもう避けられない状況の中、特に地方では過疎化が進むことで、元々経営状況が大変厳しい事業体が多かったわけであります。

 そのことについても実はお尋ねをしたいのでありますが、まず、足下はCOVID―19の影響で大変深刻な打撃を二年以上にわたって受けております。この間、交通事業者を対象とした支援、あるいは観光インバウンドの回復に備えた基盤支援、それから、業界横断的に、臨時交付金、雇用調整助成金の特例、資金繰り支援、様々な対策を取っておられることはもちろん十分承知をしています。これについての使い勝手とか、あるいはもっと増やせとか、これもこれで意見はあるんですが、こういったことは多くの皆さんが指摘をされているので、今日は触れません。

 これはいずれも短期なんですよね。今の足下を何とか乗り切るというための施策です。これはこれで、まず何といっても足下を乗り切らないといけないわけですから、一番最優先なのは分かりますが、もう二年たっています。そして、今後の感染の状況は、それこそどういう変異が起こるか分かりませんけれども、何とかトンネルの先に少し明かりが見えるんじゃないかと多くの皆さんが期待している状況に入っています。

 こうしたときに、先のことを考えざるを得ないし、考えるべき時期なんじゃないかというふうに思います。

 この間、この二年余りの需要の落ち込みは、例えば一番極端なのは、僕は、航空産業の国際線。ほとんどゼロに近い状況が二年続いているわけで、その間のマイナスというものは、二年分ほぼゼロに近かったというものが今すぐ回復したとしても、一年や二年ではとても取り返せませんよね。国際線は、まだ一年とかそれ以上の時間がかかる。下手をすると、本来の従来の水準までに五年ぐらいかかるんじゃないか。そこからまた五年とか十年ぐらい長期にかけて取り戻していかないと、この間のマイナスはとてもじゃないけれども取り返せませんよね。

 それが一番極端なのは国際線だと思いますけれども、元々体力のない地方のローカルな鉄道やバスの路線、あるいはタクシー事業者。タクシーも、夜の遠距離の、飲んだ後みたいな話とかの、ある意味おいしい部分がすっぽりこの二年間抜け落ちているわけですね。そうすると、実際にもう事業を続けられないというようなタクシー事業者が少なからず出ていますね。

 何とか今もっているところも、少し需要が戻ってきたなということで、この間のマイナスを一年、二年で取り戻せるかというと、大臣、まずそのこと自体が無理じゃありませんか。どう思いますか。

斉藤国務大臣 確かに、当初、このコロナ禍が始まった頃、急激に落ち込んだ需要を取り戻して余りある、V字回復させるための施策という意味で、我々もいろいろな施策を打ってまいりましたけれども、ここまで長期化をし、そして事業者の体力も落ちている中で、当初考えていたような、いわゆるV字回復でぐんと失ったものを取り戻すという考え方では対応できなくなっているということは、私も枝野委員と認識を共有しております。

 そういう中で、これらのライフスタイルの変化も踏まえた長期的な対応でどう支援していくかということを考えていかなくてはならない段階に来ている、これは私も同感でございます。

枝野委員 ありがとうございます。

 だとしたら、そろそろ中長期的な見通しを事業者、関係者が一定感じられるような、そういう施策も示し始めなきゃいけないんじゃないかと思うんですね。

 例えば、地方の中小の事業者の場合だと、この状況では、ずっと目の前のことを何とか切り抜けようと頑張ってきたけれども、とても元に戻せないから、じゃ、もう諦めるしかないかなというのが、逆に落ち着いてきたところで出かねないということを心配しています。

 それから、先ほど申し上げた航空とかあるいはJRとかは大手ですから資本的には回るのかもしれませんが、実際には、先の見通しがなかなか立たないということで、特に安全に関わるような技術者の皆さんが退職していってしまったりとか、あるいは新規の採用がなかなか困難であるとか、こういう状態も現場から聞かせていただいています。

 そうすると、大丈夫ですよ、国は、中長期的に見てこうした公共交通機関がちゃんと持続可能なようなことを考えて手を打ち始めているんだ。全体像を完璧なものを示せとは言いません。だって、感染状況だってこれからどうなるか分からないわけですから、それを示すことはできませんが、一定の中長期的な、つまり、五年、十年単位でしっかり支えていくんだということを示すそうした施策をそろそろ示し始めなきゃいけないんじゃないかと私は思っています。

 例えば、資金繰り支援で政府系金融機関が危機対応融資をいろんなものをやっているのは承知しています。これは、危機が解消したら順次返してもらうというところまでなんですよね。

 でも、恐らく、あえて言えば、一定期間塩漬けしますよということを今の段階からお示しをしていただいて、この間これだけきつい状況なんだから、それは五年、十年は塩漬けしますよと。

 どういうやり方がいいのか。私は、議決権のない資本性の資金に転換する。議決権を持たせちゃうと、民間の経営の独立性が失われるので。

 というようなやり方があるかなと思うんですが、いずれにしても、もう返せる状況になったんだから、まだ経営的には厳しいのにちょっとずつでも返せと迫るよりも、何年間は塩漬けしますよ、こういうことを示していくべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 公共交通を取り巻く経営環境は非常に厳しいものとなっているということは、私も同じ認識でございます。

 これまで、公共交通機関の感染症防止対策や運行維持に対する支援、政府系金融機関による資金繰り支援、雇用調整助成金など、従来にない手厚い対応を行ってきております。

 しかしながら、新型コロナの長期化によって、航空や鉄道など、各公共交通事業の経営環境は非常に厳しい状況に陥っており、かつ、それが続いているものと認識しております。

 現時点において、中長期的な支援について、これだというものを申し上げることはできませんが、国土交通省としては、各分野におけるコロナ禍からの需要の回復状況や需要喚起策の効果などを注視しつつ、また、事業者の方々の声もよく伺いながら、今後とも公共交通が適切に維持されるようにしっかり取り組んでいきたいと思っております。

枝野委員 即答いただけないのはよく分かっているんですが、いろいろな業種で同じような問題が生じていると思うんですが、特に公共交通は、なくなったら困るという問題があるのと、観光の打撃が深刻だということ、日本のこれからの成長戦略を考えるときに、これも大事だということを考える。

 そして、これは、多分、国土交通省限りではできない。融資的なところは財務省等が最終決定権を持っているわけですから、今の段階から政府内できちっと議論をして相当進めておかないと、そういう状況になって慌てて政府内で検討を始めても、例えば、政府系金融機関を所管している省庁は、観光や交通だけそういうわけにはいかないよみたいな話が絶対出てきますので、そこは、大臣、しっかりとやっていただきたいというふうに思います。

 今のと少し関連するんですけれども、観光なんですけれども、GoToの名前を変えるとか変えないとか、足下の話は結構です。これはこれで大事なことだと思うんですが。

 私自身の思いも含めて、恐らく多くの皆さんは、今、観光に行けるなら行きたい。観光だけじゃない。飲食もそうです。飲み屋に行けるなら行きたい。カラオケに行けるなら行きたい。みんな行きたい。だけれども、行って、感染のリスクはどれぐらいなんだ。そこが障害になっているので、そこさえ外してあげれば、大丈夫ですよ、行っていいんですよということさえ言ってあげれば、実は、金なんかつけなくたって、行きたくてしようがない人は山ほどいるんですよ。

 だから、今政府が発信すべき、特に観光という国土交通省の立場からすると、観光のためにはどういうメッセージが政府として出せるのか、行って大丈夫なんですということについてのどういうメッセージを出せるのかが一番大事で、今すぐは、実は金をつけなくたってたくさん行きますよ、そのメッセージがあれば。

 むしろ大事なのは、金をつけてもらったから行きましたとか、あるいは行けるようになったから行きました、反動需要増ですね、これが一巡したときの反動減までちゃんと考えないと、観光産業も、コロナ禍は収まった、そこから一年間だけべらぼうに客が来て対応し切れません、だけれども、それが一巡したら今度は反動減でまた大変だという状況になったら、これこそ深刻じゃないですか。

 貴重な財源ですから、どう使うかというのは、実は、足下のすぐのところは、余り金を使わなくたって、メッセージの発信なんですよ。むしろ、需要が一巡したところをどう支えていくのか、こちらの方が大事だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 その点についても、私も非常に重要な点だと思っております。

 観光需要の回復に向けては、旅行者に対し、新しい旅のエチケット等の基本的な感染防止対策の徹底を求める際に、併せて、現状においては県をまたいだ移動や旅行そのものについて特段の制約は設けられていないことを発信していくことが重要と考えております。

 他方、御指摘のとおり、ポストコロナも見据えて、中長期的な観光政策を推進していくことも重要です。

 まず、旅行需要の面においては、感染状況等を踏まえ、県民割等の需要喚起策を実施するほか、ワーケーションや、いわば第二のふるさとをつくり、何度も地域に通う旅、また帰る旅を定着させる取組など、新たな交流市場を開拓してまいります。

 また、地域一体となった宿や観光地の再生、高付加価値化を進め、観光消費の増大を通じた観光産業、観光地の活性化や従業員等の労働環境改善につなげてまいります。

 さらに、インバウンドの回復については、これまでのインバウンド観光の状況やコロナによる旅行者の意識の変化も踏まえ、サステーナブルツーリズム、またアドベンチャーツーリズム等の観光資源の磨き上げや、外国人旅行者の受入れ環境の整備を進めてまいりたい。

 長期的視点に立って行っていきたいと思っております。

枝野委員 是非、今日指摘した三点をしっかりとやっていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

中根委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。

 今日は一般質疑なので、デジタル化とカーボンニュートラルに関わる政府の考え方をお聞きしてまいりますので、大臣始め答弁者は簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず、新たな国土計画の策定に当たってであります。

 一つ目は、政府共通のプラットフォームのクラウドについてであります。

 第一点の、第一期のプラットフォームのクラウドについては、さきに回答をいただきましたけれども、第一期の共通プラットフォームに約二十億円、第二期の共通プラットフォームに約十億円かかっている。それから、第二期のプラットフォームには、各府省が共同で利用する情報システム、各府省で共通する内部事務処理に関わる情報システム、中小規模の情報システム、ホームページ等の国民向け情報提供に関わる情報システム、どんな仕事を頼んでいるかということについては、余りにも抽象的な回答で分かりませんが、例えば人事とか給与とか文書管理だとか、そういうことを頼んでいるということでありますが、残念ながらその回答はありません。

 ガバメントクラウドの契約状況でありますが、契約時期は、令和三年の十月五日に公募による募集を開始して、十月二十六日にアマゾンウェブサービスとグーグル・クラウド・プラットフォームの二件を決定している、十月からスタートでしたので、令和三年度における利用料の合計額は七百二十三万余りだ、こんな事前の質問に対する回答をいただきました。

 そこで、1から3まで、3の特定秘密、極秘情報のプラットフォームは対象外としておりますけれども、どのように対応しているのか。是非その辺について、三点まとめて現状を簡単にお答えください。

犬童政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘がございました政府共通プラットフォームでございますけれども、第一期のプラットフォーム、それから第二期のプラットフォームを今併用して使ってございます。併せて、これからガバメントクラウドというものを整備していこうと思ってございまして、そちらへの移行も今後進めていくということでございます。

 御指摘ありました特定秘密、極秘情報でございますけれども、政府共通プラットフォームの利用対象外というふうにさせていただいてございます。この特定秘密、極秘情報を扱うシステムにつきましては、それを運用する各府省において適切な安全策が講じられているというふうに考えてございますので、デジタル庁としては答弁は控えたいと思います。

福田(昭)委員 報道によりますと、政府は、安全保障に配慮して、日本国内にデータセンターを持つことなどを求めている、データ管理を中国に制限している中国企業は厳しいけれども、米国大手は可能だというような報道がありますが、この点はどうなっておりますか、教えてください。

犬童政府参考人 お答えいたします。

 ガバメントクラウドも含めまして、クラウドの安全性につきましては、不正アクセス防止やデータ暗号化などにおいて最新かつ最高レベルの情報セキュリティーが確保されていること、それから、データセンターの物理的所在地が日本国内であること、それから、一切の紛争は日本の裁判所が管轄するとともに、契約の解釈が日本法に基づくものであることを契約等により担保してございます。

 先ほどございましたアメリカとの関係でございますけれども、日米の協定におきましては、政府調達については除外されてございますので、日米との関係ではそういう扱いになってございます。

福田(昭)委員 日米の関係が除外されている点は、また別の機会にちょっと質問をさせていただきます。

 それでは、二つ目の、地方自治体の基幹業務システムのクラウドについて質問させていただきます。

 第一点は、ガバメントクラウドについて、どのような業者に、年間幾らぐらい、どのような業務を委託しているのか、現状を教えてください。

犬童政府参考人 お答えいたします。

 ガバメントクラウドを昨年の秋に公募しまして、二社、AWSとグーグル・プラットフォームに決定して運用しているところでございます。

 地方自治体の実証事業に使っておりますけれども、運用費用としては、令和三年度でございますけれども、約七百万程度でございます。

福田(昭)委員 さっきのクラウドというのは、七百万というのは、こっちの地方自治体のクラウドのことなんですね。はい、分かりました。

 それでは、この地方自治体のやつに関してですけれども、マイナンバーを利用する事務を委託しているということでありますが、これは、国民の市民権を海外のクラウドに委託しているということになって、何か非常に疑問点を感じているところであります。これも後で詳しく、また別な機会に質問させていただきます。

 そこで、第二点でありますけれども、この資料の二にありますように、地方自治体の基幹業務システムの統一、標準化については、この表にありますように、基幹業務、住民基本台帳、戸籍、戸籍の付票、固定資産から地方税、あるいは国民健康保険や国民年金、そして生活保護や健康管理など二十の業務を、政府が統一の標準システムを作って、それを、それこそ先ほどのようにアマゾンやグーグルにお任せをして、こうした統一の仕組みをつくるということでありますが、この二十の基幹業務は個人の秘密情報だということ、そういう認識がありますか、政府には。

犬童政府参考人 お答えいたします。

 現在、御指摘のとおり、住民記録、地方税、介護、福祉等の自治体の二十の基幹業務システムにつきまして統一、標準化を進めてございますけれども、これらの業務で取り扱う情報は、主として個人情報であるというふうに考えてございます。

福田(昭)委員 多分、国民の皆さんが、自分の秘密の個人情報を海外の業者が請け負っていると聞いたら、びっくりしたり恐ろしくなるのではないでしょうか。スノーデンが言っているように、このデジタル化、ネットの社会では、秘密情報などは簡単に盗まれてしまう。そういう、実は大変なことがあるわけですから、国民の皆さんが納得するでしょうかね。

 そこで、第三点ですけれども、基幹業務システムの統一、標準化は地方自治の本旨あるいは地方分権の理念にも反することについてであります。

 令和三年十月から運用が始まったようですが、現在利用している自治体は幾つかありますか。

犬童政府参考人 お答えいたします。

 今利用しているのは、実証事業として使われている自治体さんはありますけれども、実証事業以外で、本来業務として使っている自治体さんはございません。

福田(昭)委員 じゃ、まだ実証事業以外使っている自治体がないということで、私は少しほっとしております。

 我が国においても、御案内のとおり、二〇〇〇年に、補完性の原理に基づいて地方分権がスタートいたしました。その際、法律上は、国と都道府県、市町村は対等、平等、協力の関係となりました。実質は随分違っておりますけれども、法律上は、国と都道府県と市町村は対等、平等、協力の関係にあります。

 幾ら行政経費が安くなり便利になったとしても、個人の秘密情報が国の管理になり、しかも海外の事業者に管理されたりするということは、地方自治の本旨あるいは地方分権の理念に反して、デジタル中央集権国家になってしまうんじゃないでしょうか。国民を守ることにつながるんですかね。これは非常に大きな疑問があります。

 救いは、この資料にありますように、地方公共団体の意見を丁寧に聞いて進めると努力規定になっている。これはまだ、私は、こうした危険な仕組みを防止することができるかな、こんな希望を抱いております。

 そこで、三つ目でありますが、今度は国土交通大臣にお伺いしますが、デジタルを前提とした国土の再構築についてであります。

 私は、国土交通省の長期展望委員会、二〇五〇年を目指した形で、国土の長期展望の最終取りまとめを見させていただいておりますが、資料の三でありますが、非常によくまとまっていて、実はいいなと感じている一人であります。

 しかしながら、私は、今申し上げましたように、デジタル化が根本的な問題を抱えている、そういう中で、デジタル化によって本当に国民が真の豊かさを実感できる国土ができるのかどうか。もし、住民基本台帳などの個人の一人一人の秘密情報、二十の秘密情報が全部政府に筒抜けだ、しかも、それを請け負っている業者は外国の業者だ、アメリカの業者は実は別対応だった、こうなったときに、本当に政府が進めているデジタル化は信用されるのか、こういう疑問が出てまいります。

 そうなったときに、国土交通省としては、新しい国土計画の策定に入っているかと思いますが、そこのところを、デジタルということについて、どんな考えに基づいて進めようとしているのか、デジタル化に対する国土交通省の認識をお伺いしたいと思います。

斉藤国務大臣 人口減少、高齢化が進行する地方では、医療、福祉や地域交通、教育、産業など様々な分野で厳しい課題に直面しております。

 現在、国土審議会で検討を行っている新たな国土形成計画では、地方で人々が安心して生活していくためには、デジタルを活用して課題を解決していくことが必要であるとして議論を行っているところでございます。委員提出された資料三のとおりでございます。

 具体的には、例えば、医療、福祉、地域交通といった日常生活に必要な機能等について、生活者の目線を最優先で、デジタルも活用し、横断的取組により、利便性が高く安心して暮らし続けることができる地域生活圏の形成、テレワークの拡大やオンライン交流も含む関係人口、二地域居住の深化等による新しい働き方や暮らし方の推進、こういうテーマについて議論をしております。

 今後、デジタル田園都市国家構想の議論も反映させながら、人口減少下でも安心して暮らし続けられる国土を目指して、国土形成計画の策定に取り組んでまいります。

 その上で、今委員御指摘の課題につきましては、個人情報はきちんと保護される、これはもう大前提のことだと思っております。

福田(昭)委員 個人情報は大前提なんですけれども、それが怪しいから申し上げているのであって。

 そういった意味では、今、教育だとか物流とか医療とか、いろいろな話がありましたけれども、実はそうしたシステムにも、もう既に海外のプラットフォーマーがいっぱいサービスをつくって日本国内で展開しちゃっているという認識も、実はデジタル庁に聞いたらちょっとまだ認識していなかったようでありますが、しっかり認識した上で是非対応していただきたいと思っていますし、私自身は、やはり日本国内のデジタル業者を育成するべきだと思っています。その育成する費用は、内閣府始め文科省とか、みんな持っているんですよね。ですから、しっかりと育成をして進めるべきだと思っております。

 先日の報道ですと、欧州の特許庁に日本のデジタル業者がデジタルの特許を申請したのが過去最多になった、車のときよりもデジタルの特許の方が多くなったということを欧州の特許庁が発表しております。そんなことですから、日本国内にもどんどんどんどん頑張ってくれる業者が出てきていると思うので、そこはしっかり国土交通省が、新しい国土計画を作るに当たっては、是非、国内のデジタル業者を育てて、そういう人たちにやってもらうようなことを考えてほしいな、こう思っています。

 次のテーマは、第六次エネルギー基本計画に基づく二〇三〇年に向けた住宅、建築物への対応についてであります。

 一つ目は、カーボンニュートラルに重要な役割を果たす住宅、建築物の省エネルギー対策についてであります。先ほど枝野委員からも質問がありましたけれども、その点について私の方からも、ちょっとかぶるところがあるかもしれませんが、質問させていただきます。

 第一点は、建築物省エネ法の改正をするんだ、こう書いてありますが、何か、いよいよこの法律を提出するということだそうでありますが、これは今国会に提出することになるんですか、お聞きいたします。

斉藤国務大臣 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、我が国のエネルギー消費量の約三割を占める住宅・建築分野における省エネ対策の強化を図ることは極めて重要な課題と考えております。

 このため、昨年十月に閣議決定されたエネルギー基本計画等において、建築物省エネ法を改正し、住宅等の省エネルギー基準への適合を義務化することが政府方針として定められております。

 建築物省エネ法等を改正する法案につきましては、原油価格等の高騰価格が急務となる中、住宅の省エネ化促進など経済構造の転換が必要になっていること等も踏まえ、近日中に閣議決定し、今国会に提出するために必要な手続を進めているところでございます。

 法案の速やかな提出に向け、引き続き適切に対応してまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 ちょっと皮肉を言いますと、もっと早く出さなくちゃいけないんじゃないですか。それこそ、先ほど枝野委員からも指摘がありましたけれども、今国会へ提出しても、ちょっと成立するのは難しいですよね。ですから、出すんだったらもっと早くということなんじゃないでしょうかね。選挙目当てというのでも困る話ですわね。

 次、第二点ですけれども、第二点は、省エネルギー基準の段階的な対策についてであります。これについては、まず、イとして、一次エネルギー消費量の基準について、それから、ロの外皮基準について、併せてどんな基準なのか、簡潔に御説明ください。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 一次エネルギー消費量の基準につきましては、標準的な仕様状態を前提に、標準的な各種の設備のエネルギー消費量を分母といたしまして、分子に実際の住宅、建築物の計画に応じた見込まれる消費量、これを割った数値の結果が一以下となることを求めるものでございます。

 続きまして、外皮基準の方でございますけれども、こちらは、住宅の外皮基準につきましては、外皮を通じて失われる熱損失量を外皮の総面積で割った数値、これが一定基準値以下となることを求めるものでございます。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 済みません、だんだん時間がなくなってきたので簡潔にいきますけれども、トップランナー制度については資料の五、五の一と五の二にあります。これは、建材について、住宅の熱の出入りの六、七割が、壁、天井、床、開口部となっていることから、制度の対象を断熱材、繊維系とか発泡プラスチック系とか、窓、サッシ、複層ガラス、それに加えて硬質ウレタンフォーム断熱材のボード品ということに対象が決められているようでありますが、私は、是非、そういった意味では、カーボンニュートラルに役立つものとしては、今盛んに言われておりますのが遮熱材という、断熱材じゃなくて遮熱材という材料が注目されております。アルミ箔のようなもので、宇宙船に使われている材料です。これだと完全に熱を遮ってしまう、そういう材料だそうでありますから、トップランナー制度の対象にはなっていないようでありますが、カーボンニュートラルには十分役立てることができるんじゃないかと思っていますので、こうしたことも検討したらいかがかなというふうに思っております。回答は要りません。

 それから、第三点、ZEHやZEBの普及拡大に向けた支援、省エネルギーの性能表示の義務化も検討するとなっておりますが、これも今回の建築物省エネ法の改正案で具体化してくるということなんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 二〇三〇年度以降新築される住宅、建築物につきまして、ZEH、ZEB水準の省エネ性能を確保することを目指しまして、今後、省エネ基準を段階的に引き上げていくとともに、各種の支援措置を通じまして、より高い省エネ性能を有する住宅、建築物の供給を促進することとしてございます。

 また、省エネ性能の表示につきましては、昨年十月以降、具体的な施策の方向性につきまして社会資本整備審議会において御検討いただいた結果、「建築物の販売又は賃貸を行う事業者がその販売・賃貸する建築物の省エネ性能に関し表示すべき事項及び表示に際して遵守すべき事項を国が定め、これに従って表示を行っていない事業者に対し、勧告等を行うことができるよう、強化する。」との方向が本年二月の答申において示されておりますので、当該方向に即しまして必要な措置を講じてまいりたいと存じます。

福田(昭)委員 簡潔にお願いします。要するに、法律に組み込むことを検討している、それだけで十分なんです。

 次に、二つ目は、太陽光発電の住宅、建築の更なる導入拡大についてということでありますが、これについても、第一点は、新築戸建て住宅の六割に太陽光発電設備の設置についてということですから、きっとこれも含まれるんだろうと思いますが、既存の戸建て住宅もやはり目標づくりに入れたらいかがというのが提案です。回答は要りません。

 それから、2の、新築の庁舎その他政府の新築する建築物に太陽光発電設備を最大限設置するなど、国も率先して取り組むということなんですが、これについては実行計画みたいなのがあるのかどうか、環境省にお尋ねをいたします。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘の、政府における太陽光発電の設置につきましては、昨年の十月に政府実行計画というものを定めまして、新築のみならず既設も含めまして、設置可能な政府保有の建築物の約五〇%以上に設置をするということを目標にしてございます。

 具体的な進め方といたしまして、各府省が温室効果ガスの排出の削減のために自ら実行する措置を定めた実施計画というものを定めまして、各府省が実施した取組実績を環境省が毎年度把握をいたしまして、中央環境審議会の意見を聞いた上で、地球温暖化対策推進本部の幹事会に報告して、公表するということにしてございます。

 こうした仕組みの下で、着実に、各府省庁の取組をフォローアップしながら、まず隗より始めよの精神で、政府における率先した太陽光発電の導入の推進を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

福田(昭)委員 実際、実行計画だから、どういう新庁舎があるんだとか、そういうこともやはり具体的に答えていただかないと、具体的な実行計画というふうには考えられないんですが。まあ、結構です。

 それでは、次は、ZEHとZEBの定義と三省連携推進の効果についてでありますが、ZEHについては、資料の七にあるように、年間で消費する住宅のエネルギー量が正味でおおむねゼロ以下だと。そのためには、エネルギーを極力必要としない、高断熱化、エネルギーを上手に使う、二〇%削減、エネルギーをつくる、ニアリーZEH、七五%以上、ZEH、正味で一〇〇%以上、地域的制約等がある場合はZEHオリエンテッドということで、正味で二〇%以上省エネ、ということがZEHだそうでありますが、ZEBはこれのビルディング版ということで、これは資料の八にありますけれども、これについては、やはり、ゼロ・エネルギー・ビルディングというんですか、そういう形で、いずれも三省連携でやっているということであります。

 政府の仕事として三省連携というのは非常に珍しいんですけれども、しかし、三省が連携してやっていくというのはやはり大変重要な分野だということでありまして、第三点になりますけれども、三省連携で、資料の八と九でありますけれども、どれぐらいのエネルギーの削減を見込んでいるのか、目標値があったら国土交通省で教えてください。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇三〇年度における我が国全体の最終エネルギー消費に関する省エネ量として、現在、約六千二百四十万キロリットルの目標値がございます。

 このうち、建築物のZEHを含む高度な省エネ性能の確保等によりまして、省エネ量としては約八百八十九万キロリットル、こちらは新築における態様と既存における態様、両方の合計として八百八十万キロリットルを確保することを目標としてございます。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 それでは、そうした三省連携で、ZEHとZEBで八百八十九万キロリットルを削減をするという目標だそうであります。

 そこで、次に、第六次エネルギー基本計画における、二〇三〇年度における省エネの目標でありますが、経産省では、徹底した省エネ対策で六千二百万キロリットル程度の削減をする、こういう目標になっております。二〇一三年度に比べて、家庭用がマイナス〇・二二億キロリットル、それから業務用は〇・一五億キロリットルということで、両方合わせて、家庭用と業務用で〇・三七億キロリットル、三千七百万キロリットルということになるんだと思いますが。

 そうした中で、国連の気候変動に関する政府間パネルが、第六次報告書、第三作業部会の報告書が出ました。

 そうした中で、エネルギー基本計画の二〇三〇年度における省エネ目標を見直す必要があるんじゃないかと思っております。昨年のCOP26のグラスゴー合意で、全ての国が二〇三〇年目標を今年中に強化する必要があると言っております。政府がこれを見直す考えがあるのかどうか、そのことをお伺いいたします。

中根委員長 時間が経過していますので、答弁は簡潔に願います。

茂木政府参考人 はい、承知しました。

 COP26より前に提出された各国の対策では、今回のIPCCの中でも、一・五度を超える可能性が高いという見通しが示されておりますので、気候変動緩和策の一層の加速が必要だという認識は我々も持っております。

 一方で、我が国は、一・五度目標とも整合的な形で四六%削減という野心的な目標を掲げているところでございます。この目標自体、これまでの目標を七割以上引き上げるというものでございますので、その実現は容易なものではありませんが、まず、この実現に全力で取り組んでまいりたいというふうに考えています。

 その上で、エネルギー分野では、安定供給の確保を大前提に、省エネの深掘り、非化石エネルギーの拡大が重要でありまして、こうした観点から、今回のエネルギー基本計画では、徹底した省エネ、再エネの最大限導入、安全最優先の原発の再稼働、非効率石炭のフェードアウト等に取り組むこととしておりまして、関係省庁と連携しながら全力で取り組んでまいります。

福田(昭)委員 そういう意味では、やはり蓄電池を、大規模も小規模も家庭用も、みんなしっかりと開発をして、例えば、太陽光パネルと蓄電池で、家庭用はちゃんと自分で電気をつくって自分で消費する、そういうふうに持っていけばもっともっと削減できると思います。二〇三〇年度までにそうした目標を掲げてやっていくべきだということを提案して、質問を終わります。

 以上です。

中根委員長 次に、伴野豊君。

伴野委員 大臣始め委員会の皆さん、おはようございます。

 八年ぶりにこの委員会で立たせていただきます。ちょうど八年前はJR九州さんの上場の法案だったと思いますけれども、それ以来、立たせていただきますので、多少不作法があったらお許しいただきたいと思いますが、本日は、中根委員長さん始め各党理事の皆さん方、委員の皆さん方、質問の時間を与えていただきまして、本当にありがとうございます。心から感謝を申し上げたいと思います。

 本日は、幾つか大きく分けてお話をさせていただきますと、まずは、このコロナ禍で、先ほども枝野先生の方からいろいろ御質問がありましたが、様々な国土交通省所管の事業あるいは産業が本当に傷んでおります。そうした辺りのところから入らせていただいて、そして、様々、回復していっていただく上で当然必要になるのが、目標なり計画なり、ある程度の時間的余裕ではないかな、そんなふうに思っております。

 そうしたことをお話しさせていただき、これからやはり人口減、そして国土交通省管轄で必要なことは、交流人口が増えてこないと地域の活性化につながらない、こうした問題点等々を、ケーススタディーも踏まえまして、大臣に私の考えを聞いていただいて、大臣のお考えもお聞かせいただければ。

 そしてまた、それとはちょっと若干内容が違いますけれども、やはりここへ来て、子供たちの安全、特に通学路の安全に関して大臣が今どうお考えになっていらっしゃるかも時間の許す限り聞かせていただければ、そんなふうに思っております。

 大臣におかれましては、工業系大学御出身だということもあり、その当時から、その当時は知りませんけれども、経歴を拝見して、以前から親しみを感じておりました。御経歴を見ましても、自称鉄道マニアというふうに書いてあるぐらい心強いところでございまして、民間会社におられたときも、まさに日本の土木建設技術の粋を集めるところにいらっしゃったわけでございますので、そうした点も、少し専門用語が出るかもしれませんが、お話しさせていただきながら議論をさせていただければと思います。どうぞおつき合いのほど、よろしくお願いします。

 では、先ほど枝野先生の方からもお話がございましたように、アイデアも出ておりましたが、できるだけ重複しないようにお話しさせていただきたいと思います。

 まず、新型コロナウイルス、正直言いまして、私もここまで長引くとは思っておりませんでした。まあ長くても一年半ぐらいでというような希望的観測があったんですが、先ほどお話にもあったように、そろそろ大手さんも非常に厳しいといいますか、財政的にもいろいろあるところも出てまいりました。中小に関しましてはいわんやだと思います。

 先ほども幾つか御指摘がございましたが、私も把握したいと思いまして、事前に国交省さんにこうしたダメージを統計的に総括的に把握しているのかというお尋ねをしましたら、各局からお集めいただいた資料をホッチキス留めでいただきました。それを見た上で、私なりの今のダメージの指摘をさせていただければと思います。

 観光、航空、鉄道、これはJR、民鉄、特に中距離の移動に起因する、そこのところが正直かなり傷んでいます。もう数字で見ても明らかです。

 それから、バス、タクシー、トラック、船舶等々、この辺は、燃料費がここまで上がってくるという想定はなかったものですから、運賃改定をしなければやっていけないところがもう相当出てきている。

 トリガー条項の凍結解除なんということも、多分政府も視野に入っていろいろ議論されているとは思いますが、ここへ来て先送りというか見送りというのもあるようでございますが、こうしたことも政策を総動員して、ちょっとてこ入れをしていかなければならないのではないかと思います。

 それぞれ、今申し上げましたように、特徴あるダメージを受けております。人間で言えば、各部所によっていろいろダメージを受けて、それぞれ対処していかなければ、全体として健康体になってもらわなきゃいけない。

 先ほど枝野先生からも、単年度じゃなくて五か年計画とか十年計画でこの辺は対応するべきだと思います。だから、私は、基本計画と同じように、五年計画、十年計画を作る、コロナのダメージ対応だけでも議員立法でも作っていいんじゃないか、そんなふうに思うわけでございます。

 ここで重要なのは、やはり諦める方を少なくする。やはり諦めちゃうんですね、どこかで。そうすると、自主廃業の旅館なんかも増えてきております。やはり現状に寄り添って支援をしていく、それが、少し時間的余裕の、先ほどファイナンスのお話も出ていました、まさに分かりやすいやり方だと思います。未来志向の、目標をちゃんと立てて、そして計画を一つ一つこなしていくということが私は今こそ重要じゃないかと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

斉藤国務大臣 私も、先ほどもちょっと枝野委員の答弁のときに申し上げたんですが、当初、こんなに長くなるというふうに考えておりませんでしたので、短期的な損失に対してこれをしっかり補填していく、V字回復になったときにそれを十分カバーしてもらえるような対策を行っていくということを考えていたわけで、今それに対応する対策になっているかと思いますが、今、伴野委員御指摘のように、長期的な視点に立って、体力が本当に衰えた事業者に対して、しっかりその体力を回復し、またそれ以上の頑張りを示していただくために、どのような体制で我々臨んでいけばいいか、そういう観点から考えていかなくてはいけないフェーズに来ている、そういう認識でございます。

伴野委員 そのためにも、やはり現状を定量的に、できるだけ数字で分析していただいて、一つずつ対応を、目標値を決めて、レビューしていただいて、そして、そのときの差異があるとすれば、それを新たな施策でどう埋めていくか、是非頑張ってやっていただければありがたいかと思います。我々もどんどん提案していきたいと思います。

 そうした中で、少し先ほどもGoToのお話が出ましたが、どうもゴールデンウィークは見送られるという、繁忙期ということもありというのもあるんでしょうけれども。

 所管の観光庁さんに、過去のGoToトラベル事業の評価というものを分析した資料があるか、あったらすぐ持ってきてくれという話をしましたら、これもホッチキス留めで持ってきていただけました。

 現状の数字はよく分かりましたが、残念ながら、これは天下の観光庁さんが分析したというにはちょっと、非常に残念な。一人当たりの割引支援額とか一泊当たりの旅行代金をどのぐらい使ったかということは書いてあるんですが、これがどういうタイミングで、どういうふうに行われて、どう効果があったのかというのをやはり示さないと、事業評価ですからね。一泊での利用が最も多いというところが出てきたというのは、これは一つはいい結果だと思いますけれども、これをどうやって二泊、三泊にしていくかというのも一つの目標の立てどころだと思います。

 たしか三月二十二日の日経新聞だったと思いますが、やはり国の事業評価というのは、いまだに、残念ですけれども、十分できていない。三割ぐらいしか、成果、自分たちのやった仕事の成果を発表できていないという、これは日経新聞が書いておりますが、至るところでやはりそういうことが起こっております。

 是非とも、GoTo事業、私は回復していく上ではこういう施策も必要だと思っておりますので、是非その検証をしていただいて、効果分析、まさにタイミングとメッセージ性だと思います。これを間違えると、ちょっと逆の効果というか逆のイメージ、つまり、旅行を誘発して感染拡大をしていっちゃったというような、そんなことになろうものなら旅行が悪者になっちゃいますから。公共交通においてクラスターが発生した例というのは私は報告を受けていないと思いますけれども、是非、そういう点も踏まえて、やはり検証をきっちりやっていただいて、科学的な分析によって、次どう手を打っていくか、是非、大臣のお得意の分野だと思いますので、やっていただけないかと思います。

斉藤国務大臣 前回のGoToトラベル事業の評価、これはもう少し時間がたってから、今、ある意味では中断している事業でございますので、時間がたってから、全体を見ながら評価していかなければならないと思いますが、少なくとも、現時点では、延べ八千七百八十万人泊の利用実績があり、感染症による深刻な影響を受けた我が国の観光関連産業及び幅広い地域経済を支える効果があったものと認識しておりまして、現在でも、観光に関連する様々な方々から再開を期待する声を多くいただいております。

 他方で、前回の事業に対しては様々な指摘があったことを踏まえ、昨年十一月に公表した新たなGoToトラベル事業の基本的な方針においては、割引上限額の引下げ、地域共通クーポンの定額化、平日のクーポン額の上乗せ、交通つき旅行商品の割引上限額の上乗せなどの見直しを行うこととしておりまして、これらを通じて、低価格帯の中小事業者への誘引効果が高まること、それから、平日への需要分散が図られること、それから、交通機関を利用した長距離の旅行が促進されることなど、本事業の課題として御指摘いただいている点について、促進が図られるものと考えております。

 今御指摘の点、よく反省すべきは反省し、できるだけ早くきちんと評価をしていかなければならない、そして次の事業に結びつけていかなければならない、このように考えております。

伴野委員 御指摘ばかりしていてはいけないと思いますので、一つ提案として、国交省さんには国総研というすばらしい研究所があります。そこに、ちょっと調べてみるだけでも企画部というのがあって、評価研究室とか、まさに物差しをつくる、基準値をつくる、基準評価をする部署があります。だから、例えば、霞が関でやる事業を霞が関の方が評価するというのは、やはり日頃のお仕事もありますし、自分のやったことの仕事の第三者的な評価ですから難しいと思いますから、一定期間をお与えになって、こういった国総研で徹底的に計画学に基づいた分析を一度やっていただくというのが、私は大臣ならやっていただけるのではないかと思います。これは一つ御提案させていただきます。

 それから次に、目標値をつくっていく上で、その目標をどう達成していくか、次には計画が重要だということでございます。

 先ほど、理事会の御承認もいただき、何か三か所ちょっと日付が違っていたということで、急遽直しましたので、お許しください。よく見ていただいているなと逆に感心したぐらいでございますけれども。

 裏表、表に、地域公共交通に関する制度、政策の経緯というか歴史みたいなのが書かれております。もう一方は、観光立国推進基本法の成立から今日までの流れがまとめてあります。また是非お目通しいただければと思いますが、これだけすばらしい計画の法律がある中で、正直言って、私は、形はあるけれども、なかなか、魂がどこまでという感じがしてなりません。

 交通基本法についても、たしか令和二年に改正されたと思いますけれども、少子高齢化とか人口減少のことはきちっと書かれております、それから国土強靱化に対する視点も入っていますが、もっとコロナ禍を踏まえた上での検証、反省も入れるべきだと思いますので、これも作ったら作りっ放しにする必要はないので、毎年改定したっていいじゃないかというぐらいの気持ちで、私は、変えていく時期じゃないか、先が見えないときだから、そういうことをどんどんやっていただくべきじゃないかと。

 今度、地域公共交通計画について申し上げれば、これは、法律自体は二〇〇七年にできているんですよね。しかしながら、今、全市町村の、地域公共交通計画の計画案を持っていらっしゃる市町が六百七十二件、これがたしか国交省さんから教えていただいた数字です。これは全市町の四割弱にすぎません。これは非常に心もとない。

 非常に、これからを占う上で、地域交通の在り方というのはどこの市町も真剣に考えていただかなきゃいけない、未来への選択をしていただかなきゃいけない時期にあるにもかかわらず、残念ながら計画自体がない。ということは、設計図がないということですから、どうしたものを地域に作ってやっていけばいいか、なかなか見通せないところが出てまいりますので、ここも促進をしていただきたいと思います。

 次に、観光立国の方ですが、まさにここはちょっと手を入れていかなきゃいけないところだと思います。

 それで、観光庁さんにお聞きしまして、観光庁長官さんも、先が見通せないからちょっと中長期的な計画は困難だということで基本計画の決定を見送られたという、これも報道でも出ていました。

 先が見えないときだから、ある程度幅を持って、ストーリーワン、ツー、スリーでもいいと思います、あるいはそれ以外のストーリーでもいいです。仮説を立てながら目標を立てていくというのは、まさに計画学のイロハです。昔、指導教官から私、こう指導されたことがあります、計画学というのは当たらないから我々みたいな教授が食っていけるんだと。

 だから、ある程度、やはり予測していくというのは難しいから、当たらなくて、まあ、当たらないでいいと私の立場から言うのはおかしいかもしれませんが、それを前提とした上で、常に見直し、修正をしていけばいいんだと思うんですね。だんだんだんだん照準を、角度を収めていって、ここに収めるというような、最低でもここまで完成する、最高になればこれだけだよねというようなことをやっておくべきじゃないかと思います。

 ここも指摘ばかりしていちゃいけないので、早速、多分この方は今大学にいらっしゃる方で、観光学の第一人者だと思いますけれども、その方に電話して聞きました。やはり、今こそそういうちゃんとした光になるものは必要である、今こそ観光で培ってきた人材の、いわゆる資源としての経験を守らなきゃいけない。これはつまり、観光を守る、観光の雇用を守るということになっていくんだと思いますが、それは観光を中心とした日本の食文化を守ることにもつながっていく。

 ですから、そういったことをきちっと計画に、目標値も立てて、雇用を守っていくんだということと、先ほど国内旅行のことも申し上げました。ちょっと今までインバウンドに頼り過ぎていたところがあります。インバウンドが華やかなときにも、国内旅行の方がはるかに数は多かった。そうしたことを考えると、この際、やはりコロナのこの時代を迎えた後は、さっきGoToでおっしゃった、一回のやつをどうこれから二回、三回にしていくか。それが国内旅行の充実になると思いますし、時期が来て、外から遊びに来ていただける方、ビジネスで来ていただける方に質が劣っていない日本の観光を楽しんでいただくためにも、今こそ観光基本法に基づく計画が必要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 まず初めに、これまでの地域公共交通に関する制度と法律とをまとめていただきまして、実は、これは昨日見させていただいたんですが、大変、私自身、頭の整理に役立ちましたし、ありがとうございます。また、観光立国推進基本法、観光政策についても、これまでの流れ、まとめていただきまして、ありがとうございます。

 今、伴野委員から主に三つあったかと思います。

 一点目の、国の交通政策基本計画は不断の見直しを図っていくべきではないかという御指摘でございますが、令和三年五月に閣議決定した交通政策基本計画は、新型コロナの感染拡大の後に定められたものであり、現在、この基本計画に基づき、コロナ禍への対応を含む様々な施策を展開しているところでございます。

 現時点でこの基本計画を直ちに見直すことは考えておりませんが、引き続き、新型コロナの影響を注視しつつ、施策の進捗状況や成果目標の達成状況を適切にフォローアップして、不断に見直していきたいと思っております。

 それから二点目の、国の交通政策基本計画、そしてそれに基づく自治体の地域公共交通計画の作成数が低迷しているという点につきましてですが、地域にとって必要な移動手段を維持、確保していくためには、住民などのニーズにきめ細かく対応できる立場にある自治体が中心となって取り組むことは大変重要であり、基本的に全ての自治体において計画を作成していただきたいと考えております。

 令和二年に地域公共交通活性化再生法を改正する以前、これは前身の地域公共交通網形成計画でございますが、この作成件数は五百八十五件となっていたため、計画作成をより一層推進するべく、法改正により計画の作成を努力義務化したところです。現在の作成数は、先ほど委員御指摘があったように六百七十二件でございます。目標の千二百件に向けて、引き続き取組を進めてまいります。

 そして、三点目に御指摘のありました、いわゆる先行きが見通せる観光立国推進計画、将来に光が見えるものを作るべきではないかという御指摘でございます。

 観光立国推進基本計画の改定については、これまで計五回、交通政策審議会観光分科会を開催し、有識者の皆様の御意見を伺いながら、議論を進めてまいりました。

 計画の改定に当たっては、国内観光の振興に限らず、インバウンドに係る施策も盛り込む必要がありますが、現状においては、観光目的の入国は認められておらず、中長期的なインバウンドの動向を見通すことが極めて難しい状況です。

 このため、国土交通省としては、もう少し感染状況が落ち着き、中長期的な計画を議論できるような状況の下で、具体的な検討を進めていきたいと考えております。

 他方で、新型コロナの影響の長期化により、観光関連事業者の皆様は大変厳しい状況にあります。この先も地域活性化の重要な担い手であり、しっかりと支援をしていく必要がある、このように考えているところでございます。

伴野委員 この辺りも是非、国総研をうまく使っていただいて、分析とか検証は、あるいは物差しをつくるところは、こういうところに少し時間を与えてお任せして、しっかりそれを霞が関で生かしていただくということを是非やっていただければと思います。

 そしてまた、法律自体も少し、ちょっと時代に合ってなくなってきているんじゃないか。先ほど申し上げた交通基本法にしろ、地域公共交通活性化法にしろ、点と点を結ぶ、あるいはその点と線の連続、あるいは継続、あるいはつないでいくというのが主であるならば、観光は少し面的にも考えなきゃいけない。今どきは、やはり三次元、四次元まで考えていかなければいけない。こうした中で人は営んでいるわけでございまして、点と点の線だけで生きているわけじゃないので、この辺りは、様々な分野を包括的にしていく地域総合計画みたいなのが必要なんじゃないか。

 以前、たしか福島委員が全総の話をされてきたと思いますが、時代に合った全総というのは私は作るべきだと思います。ニーズは変わってきていると思います。高度成長時代や、あるいは価値観が変わってくる中で、今必要な全総を、私は魂とエネルギーを込めて政治家も参加して作るべきじゃないかと思います。それがやはり次の未来の子供たちの光になるし、目標になってくるんじゃないかと思いますので、是非、福島委員の質問に対してもお答えになっていましたが、もう少し積極的にリードしていっていただければありがたいかな、そんなふうにも思います。

    〔委員長退席、塚田委員長代理着席〕

 それから、大臣は環境大臣もやっていらっしゃったので、持続可能なという言葉というのはもう耳にたこができるぐらい聞いていらっしゃるし、今、これは一つのキーワードだと思います。国交省においてもそのとおりだと思います。様々な計画が持続可能なものをつくっていく、創造していく、共同していく、共創していく時代だと思います。

 そうした中で、残念ながら、時代にそぐわない状況のもの、あるいは、いろいろなお立場があるから一概には否定しませんが、そうした中で、時代を逆回しするようなお考え、こうしたものに対して一定の理解を示していっていただくにも、やはりこれは国交省さんが、様々な物差しや、場合によっては、地域の中で権利が、あるいは目標が背反するようなときは行司役として御活躍いただく、まさにその時代じゃないかなと思います。

 例えば、先送りされてきた課題ということで、後ほどちょっとお聞きしますけれども、ローカル鉄道のお話、これは国交省さんの中でも数次にわたって勉強会が行われていますので、私は結果を期待したいんですが、残念ながら、そこでもちょっと時代にそぐわない御意見があるやにも聞いています。是非そうならないようにお願いしたいと思いますし、地域の相互理解を進めていただいて、円滑になるために国交省さんに御活躍いただいて、共に未来をつくっていく、そういう空気を全体で、地域もですし、国全体もつくっていただけるとありがたいかと思っています。

 そうした中で、ケーススタディーとして二つ、ちょっと今考えたいと思います。

 一つは、先ほど地方ローカル鉄道のお話をいたしました。これは正直言って、国鉄改革のときにある程度解消できるとよかったんだと思いますが、それはいろいろな事情がありますし、また、この三十年の中でも、いろいろ工夫をして合意形成をしてきていただいたところはたくさんあります。ただ、数字だけで見ますと、当時の、三十五年前に比べて、半分以下の路線が非常に顕著に表れてきているんですね。

 そうした中で、次なる地域への投資として、例えば、これはどこからお金を出すかは別として、言ってみれば、国民みんなのお金と言えばみんなのお金ですから、この一億円をどう未来のために有効に活用するか。そうした視点で、権利者が角突き合わせて競合するのではなくて、共に未来のために、こうしていった方がこの一億円は投資の価値があるんじゃないか、そういう空気をつくっていただければありがたいかと思いますので、ローカル鉄道について、一点お聞かせください。

    〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕

斉藤国務大臣 まず、地域のローカル鉄道、これは、地域と自治体と事業者と、そして国もどういう支援が可能かという立場から、現状を十分認識し、話し合う、そして情報を共有して、どういうふうに協力し合ったら地域公共交通を守っていけるのかという観点から、建設的な話合いをする場が必要であろうと思います。

 そういう意味で、この二月に有識者懇談会をつくらせていただきました。どうこれから地域公共交通を守っていくかということで、この七月には一定の中間報告をいただくことになっておりますが、そういうものを国としても今一生懸命考えているところでございます。事業者任せにするのではなく、地域も、国も、自治体も一緒になって考えていこうという姿勢でございます。

伴野委員 次の質問がしやすくしていただきまして、ありがとうございます。

 まさに何をやるにしても、地域の理解と、そして事業者と、もし背反するような意見があるならば、そこはやはり国交省さんに行司役、物差しの提示というものをしていただく。その一つとして、やはり今関心の高いリニア中央新幹線がございます。

 この必要性というのは累次にいろいろなところで語られておりますので、あえて幾つか申し上げませんが、とりわけ技術系、科学を御理解いただく大臣への質問ですから、このリニア超電導技術のいわゆる技術安全保障面なんかも十分お考えいただいて、これは多分世界にリードしている日本の数少ない技術の一つだと思いますので、こういう観点をしっかり踏まえて、今の静岡がちょっと課題になっているようでございます。

 ただ、これ、私も水文学を学んできた。水文学、まさに静岡で課題になっているところの、科学的分析をする一番基礎の学問でございます。福岡捷二先生や沖大幹先生というのは、もうこのクラスでまさに、こういう言い方をすると、権威を振るってと言われちゃうといけないんですが、誰もがこの方たちの教科書を使って勉強していたはずなんですね。私もその一人です。ですから、この方たちを集められた有識者会議の結果というのは、ある程度、これはもう十分過ぎるぐらい信頼に堪え得るんじゃないかな。

 そうした中で、やはり地域の理解というのを、しっかり合意形成していっていただかなければいけないと思います。そうした中で、是非とも大臣の力強いリーダーシップで、静岡県の未来を共につくるという空気を是非醸成していただければ。

 これは必ず、リニア中央新幹線完成の後は、多分それによって、今の「のぞみ」タイプの旅客はリニアに移るとするならば、ダイヤの有効活用ということを考えれば、静岡さんが受けられる恩恵というのは、これからのコロナ時代に、つまり、二つのところで仕事をされる方とか、あるいはワーケーションされる方々等々、非常に重要になってくるし、恩恵をたくさん受けられるんじゃないかと思いますので、こうしたことも踏まえて、ちょっと大臣の意気込みをお聞かせください。

斉藤国務大臣 リニア中央新幹線静岡工区につきましては、国土交通省の有識者会議において、大井川の水資源への影響について科学的、工学的な観点から議論がなされ、昨年十二月十九日に中間報告が取りまとめられました。

 この中間報告においては、科学的、工学的な観点からの専門的な判断として、工事期間中にトンネル湧水が静岡県外に流出した場合でも、結果として、大井川中下流域の河川流量は維持されることが示されました。加えて、中間報告においては、解析結果には不確実性が伴うことが指摘されており、JR東海は、突発湧水等のリスクを認識した上でリスク対策を適切に実施し、モニタリング結果を地域と共有するべきとされました。

 この中間報告を受けて、昨年十二月二十一日、私からJR東海社長に対し、大井川の水利用をめぐる歴史的な経緯や地域の方々のこれまでの取組を踏まえ、地域の不安や懸念が払拭されるよう、真摯な対応を継続するよう指導いたしました。

 また、中間報告の中でも示されているように、今後は、トンネル掘削に伴う生態系への影響について、国土交通省の有識者会議の場でも議論することを予定しており、こうした議論を踏まえて、JR東海においては、事業主体として必要な環境保全措置について検討、実施していくこととなります。

 リニア中央新幹線は、国民生活や経済活動に大きなインパクトをもたらす重要な事業です。国土交通省としましては、引き続き、JR東海に対し、建設発生土の処理、管理も含め、静岡県や地域の方々と向き合い、地域の御理解と御協力が得られるよう指導してまいります。

伴野委員 是非よろしくお願いします。

 時間が参りましたので、通学安全対策についてはまたの機会にさせていただきたいと思います。

 大臣も御案内のように、日本の土木建設屋というのは結構自然派が多くて、絶対に、自分たちでやったことで、そういった環境を壊すということに対して、物すごくプライドを持っている人たちでもあります。一部、そうじゃない人たちが出て、いろいろあれしていますけれども。多分その辺りのところも御理解いただいていると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

中根委員長 次に、高橋英明君。

高橋(英)委員 日本維新の会の高橋英明でございます。よろしくお願いいたします。

 今日は、空き家問題に関して質問させていただきたいと思います。

 特に今回は、郊外ではなくて、資産価値の高い市街地の空き家に関して、ちょっと絞って質問をさせていただきたいと思いますけれども、まずは確認のために、一都三県のいわゆる特定空き家の現状、件数等々、教えていただきたいというのと、この認定基準、それぞれお伺いしたいと思います。お願いいたします。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 特定空き家につきましては、空き家対策特別措置法におきまして、そのまま放置した場合に、まず、倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、二番目に、著しく衛生上有害となるおそれのある状態、三番目として、適切な管理が行われていないことにより、著しく景観を損なっている状態、四番目といたしまして、周辺の生活環境の保全上、放置することが不適切である状態、このような状態にあると認められる空き家と定義されてございます。

 国土交通省では、このような状態にある特定空き家等に対し適切な対応を確保していくガイドラインを定めた上で、この四つの状態ごとに判断の参考となる基準をお示ししております。

 各市町村におきましては、必要に応じて、当該ガイドラインを参照しつつ、各地域の実情に応じまして特定空き家であるかどうかを判断していただいており、首都圏の一都三県におきまして、特定空き家等と判断している件数は、令和二年度末時点で千七百三十三件となっております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 これは、一都三県、個別には出てこないんですかね。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 千七百三十三件の内訳でございますけれども、東京都で二百七十二件、埼玉県において百五十六件、千葉県におきまして千百十件、神奈川県におきまして百九十五件となってございます。

高橋(英)委員 あと、この特定の基準なんですけれども、これは基本的には国の基準があるんでしょうけれども、最終的には市町村任せという判断でよろしいんですか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたガイドラインにおきまして、例えば、建築物が倒壊等著しく保安上危険又は将来そのような状態になることが予見される状態に関しましては、基礎に不同沈下、均一でない沈下がありましたり、柱が傾斜している、このような具体的な、該当すると考えられる状態について、ガイドラインの方で先ほどの四つの状態ごとにお示しをして、判断の参考として活用していただいているという状況でございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 じゃ、結果的には、最終的に決めるのは市町村だということでよろしいですね。はい、それだけ分かれば結構でございます。

 次に、所有者の把握に関してお聞きいたします。

 これは所有者不明土地のときにも大きなポイントだったと思いますけれども、空き家の所有者の把握、調べ方というか、どのようになっているのか、教えてください。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 空き家等の所有者の特定につきましては、特定空き家等に関し適切な対応を確保するためのガイドラインにおきまして、不動産登記簿情報による登記名義人の確認、住民票情報や戸籍謄本等による登記名義人や相続人の存否及び所在の確認、地域住民等への聞き取り調査、空き家対策特別措置法に基づく固定資産課税台帳等の内部利用、これらの調査手順の例をお示ししてございます。

 市町村におきましては、このような手順を参照しつつ、関連情報を活用して、特定を行っているものと認識してございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 そのような手法で、ほぼほぼ一〇〇%、持ち主は把握できますか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 このような手順を踏みましても、確定できない場合も当然あるというふうに承知してございます。

高橋(英)委員 これは答えられなかったら後ほどでいいんですけれども、恐らくこれは近隣からのクレームとかが来てから動き出すのかなと思いますけれども、それで、把握をして、仮に持ち主が把握ができた、また注意喚起を促していくんだろうというふうに思いますけれども、最終的には、言うことを聞かなきゃ代執行か何かやるんだと思いますけれども、用意ドンでスタートして、代執行までどの程度の期間をかけるのか。これも市町村によって違うのかもしれませんけれども、これはなかなか難しいと思うので、後ほどでも結構でございますので、お願いをいたします。

 次に、空き家対策特別措置法の効果に関して聞きたいんですけれども、空き家対策特別措置法が施行されて、固定資産税の税額免除措置の排除とか、いろいろ、そのほかにもあったかと思いますけれども、これはいかほど、施行以来、空き家問題が効果として解消できたのか。これもできれば一都三県で、それぞれお聞きできればと思います。

斉藤国務大臣 まず初めに、どれだけ効果があったかということを私がお答え申し上げ、一都三県でどうだったかというのはちょっと、局長から答えさせます。

 不良な空き家の除却等を推進するため、空き家対策特別措置法に基づき勧告を受けた特定空き家等の敷地については、固定資産税の住宅用地特例を適用しないこととしております。

 また、空き家の発生の抑制について、相続を契機として発生する空き家が多いことから、税制上、相続により生じた古い空き家について、耐震性を確保した上で譲渡した場合又は除却して譲渡した場合には、その譲渡所得から三千万円を特別控除する特例措置を講じ、空き家の除却、流通を促進しているところです。

 さらに、市町村が空き家の適切な管理、除却、利活用を推進できるよう、空き家の除却や利活用等に対し、市町村が行う支援に対する補助、それから、二地域居住等の新たなニーズに対応した空き家活用などの先進的な取組への支援、そして三番目に、管理の適正化が求められる空き家等の所有者等への助言指導、勧告、代執行等に係るガイドラインの策定などを国として行っております。

 税の問題、そしてこのガイドライン、これらの施策の実施により、空き家対策特別措置法が施行された平成二十七年以降、令和二年度末までの累計で、特定空き家等に関し、全国で約一万五千件、一都三県で約千五百件について除却等が行われており、さらに、特定空き家等に至る前段階での市町村の対応を含めれば、全国で約十一・二万件、一都三県で約二・二万件の管理不全の空き家等の除却等が行われております。

 今後とも、地方公共団体や関係団体等と連携しつつ、空き家対策を総合的に推進してまいりたいと思っております。

淡野政府参考人 補足をいたします。

 特定空き家について、平成二十七年以降、令和二年度末までに首都圏で除却が行われましたのが千五百五件、東京都の内訳は百八十四件、埼玉県が百三十三件、千葉県が一千百十一件、神奈川県が七十七件で、特定空き家に至る前段階の市町村の対応により除却が行われました空き家を含めますと、首都圏全体では二万二千百五十四件、その内訳は、東京都が六千六百十八件、埼玉県が六千七百三十六件、千葉県が六千五百七十八件、神奈川県が二千二百二十二件となってございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 特定空き家だけに関してでいいんですけれども、それだけの数が解消されたということで、現状、では、これはどうなっているのかなというのをもう一回聞きたいんですけれども、解消してもまた当然増えているのかなとも思いますし、その点をちょっとお聞かせください。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 特定空き家について申し上げますと、平成二十七年の法施行以降に市区町村が把握した管理不全の特定空き家は首都圏で三千二百三十八件ございましたけれども、除却等が進んだ結果、令和二年度末時点では千七百三十三件となってございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 じゃ、これは減ってきているという考えでよろしいですね。ありがとうございます。

 では、次に移ります。

 これはやはり、特定空き家があると、近隣の方々、また町会等々が非常に迷惑を被るんだろうというふうに思いますけれども。私の近所にもそういった空き家、たくさんありますので。なかなか処分にまで至らないというのが現状じゃないですか。そのたびにクレームが入るんだと思いますけれども、これは、町会だとか、直接的に被害を被っている方々にはある程度情報を公開した方がいいんじゃないかなというふうに思うんですね。

 それと、やはり首都圏の空き家は資産価値も高いですから、流通に乗せると結構処分も早いのがたくさんありますので、ある程度、宅建士ですとか司法書士ですか、そういった方々にも情報を公開した方がいいのではないかと思いますけれども、その点、お願いいたします。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、空き家の流通、利活用の促進を図っていく上で、取引業者等民間事業者のノウハウ等を活用することは重要と考えております。

 このため、国土交通省は、民間事業者を活用した空き家対策の推進に向け、平成三十年六月に空き家所有者情報の外部提供に関するガイドラインを策定、公表してございます。

 このガイドラインにおきましては、市町村の空き家部局が、所有者本人の同意を得ることにより、所有者に関する情報を外部の事業者等に提供できること及び提供の手順などをお示ししております。

 地域の実情に応じて、地方公共団体が当該ガイドラインを活用しつつ空き家対策に取り組んでいただけるよう、引き続き周知に努めてまいりたいと考えております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 実は私、七年ほど前ですかね、一般社団法人を立ち上げまして、弁護士とか税理士とか司法書士とか、当然宅建士も入れて、空き家問題に取り組んだんですね。当時は土地の、固定資産の台帳等々を見れたんですけれども、今は見れないんですね。固定資産税を払っている方が分かると結構特定できるので、当時はそうやって、結構解消もしたんですね。そうすると、これは実はみんな喜ぶんですね。持ち主も喜ぶし、近隣も喜ぶし、当然町会も行政もみんな喜ぶんですね。

 ですので、そういったことを考えると、やはり特定空き家に関しては、ある程度、特例じゃないですけれども、積極的にこういった情報開示はした方がいいんじゃないかとも思いますし、また、先ほど、持ち主の了解が得られれば情報公開できるようにしたという話ですけれども、実際にそういうケースで情報開示したことはあるんでしょうか。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 令和三年の六月に地方自治体に対しアンケートを行った結果によりますと、所有者情報の外部提供を行っていると回答がございましたのが二三・五%、約四分の一ございました。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 先ほど固定資産税の台帳の話をしましたけれども、当時は川口市と蕨市は見れたんですけれども、ここ二年ぐらいになって急に見れなくなったんですけれどもね。

 個人情報の範囲というのはどの程度までなんですかね。謄本は取れるじゃないですか、不動産登記簿謄本。どの程度までのことを言っているのか、ちょっと教えてください。

淡野政府参考人 先ほどの、空き家の特定に活用されている情報としては、固定資産税の課税情報でございますとか、不動産の登記情報、住民票の記載情報等が該当すると考えられます。

高橋(英)委員 いやいや、そうではなくて。不動産の登記簿は誰でも見れるじゃないですか。先ほど言っていた、ちょっと前までは固定資産税の評価も見れたんですね、宅建士は。ところが、今は見れないんですよ。今だと謄本ぐらいしか見れないんですけれども。個人情報の範囲ですよね、ちょっと教えてほしいのは。以前見れて今見れないというのが、何なのかなとも思います。

淡野政府参考人 所管外ということもございますので、個人情報保護制度上の個人情報の扱いについては、確認をいたしました上で御報告いたしたいと思います。

高橋(英)委員 昨日確認したら、個人情報の範囲というか扱いも、結局のところ市町村任せのところが多いと聞いたんですけれども、これは事実でよろしいですか。

三原政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体における個人情報保護制度ということでございますけれども、現状におきましては、各地方公共団体の条例で定められているところでございまして、例えば個人情報の定義ですとかあるいはその提供に関する取扱いといったものにつきましても、各々の条例の規定に基づき運用されているものと承知してございます。

 令和三年に個人情報保護法の改正がなされましたことによりまして、現状、国の行政機関や独立行政法人、あと民間事業者における個人情報等の取扱いは個人情報保護法により一元的に規律されてございますけれども、令和五年四月以降は、地方公共団体における個人情報保護制度につきましても、個人情報保護法において全国的な共通ルールを定め、同法に基づき運用されることとなります。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 では、個人情報に関しても、最終的には市町村任せだということでよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。

 では、空き家問題に関しては、結局のところ、個人情報も含めて市町村の裁量でやれということで、大臣、よろしいでしょうか。

斉藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、特定空き家に関しての法律も設けました。ここでは、国の役割、ガイドライン等を作る、また、いろいろ地方公共団体と情報交換をし、空き家の対応がスムーズにいくように、国の役割も定められております。

 そういう意味では、国と地方公共団体が連携をしながらやっていくもの、法律上も、実際もそのように考えております。

高橋(英)委員 やはり、ある程度基本的な部分は国で決めて、地域事情もあるので市町村の裁量に任せるべきだというふうに私も思いますので、今、ほとんど市町村の裁量だというのが分かったので、それだけでもよかったなというふうに思います。

 では、次に行きますけれども、密集市街地の空き家に関してちょっとお聞きしたいんです。

 私の地元の川口市、もろに芝地区なんですけれども、私の居住しているところなんですけれども、この芝地区、密集市街地の指定を受けているんですけれども、建て替えができないような場所が結構あるんですね、道路がなくて。昔、建て売りで、本当にちっちゃい建て売りをばかばかばかばか建てて、道路が全然ない。当然、消防車も入れない。実は私、市会議員の頃に密集市街地に取り組んだんですけれども。まあ、懐かしいなというふうに思っているんですけれども。

 当然、建て替えができないということは、空き家が必然的に増えていくんですね。そういった場合に、やはり密集市街地の政策が進められないじゃないですか。そういったときにはどのような対応をしているのか、お聞かせください。

斉藤国務大臣 地震時に大規模火災が発生する危険性の高い密集市街地の整備改善を進め、安全性を確保することは重要な課題であると考えております。

 密集市街地の安全性を高めるためには、一つは、延焼を抑制し、避難路となる道路の整備、二つ目に、避難場所となる公園、空き地の整備、三番目に、老朽建築物の除却や防火性能の高い建築物への建て替えなどを推進する必要があり、これまで、防災・安全交付金等を活用して地方公共団体の取組を支援してきたところです。

 議員御指摘の川口市の芝地区につきましては、狭隘道路や行き止まりとなっている道路が多く、それらに沿って戸建て住宅が建ち並ぶ密集市街地が広がっていることから、川口市において、密集市街地の改善に向けた整備を推進していると承知しております。

 密集市街地には道路に接していない敷地も多く、これらの敷地における建て替えを進めることが重要であることから、これまでも、住宅市街地総合整備事業において、共同建て替えなどの場合の建築物の除却費や空き地整備費を補助対象としてきたところです。

 さらに、令和四年度予算において、道路に接していない敷地内の老朽建築物の除却費に対する補助率の引上げを行うなどの措置を新たに講じたところです。それまでは、国と地方で三分の一ずつ、残りの三分の一は個人が負担しなきゃいけなかったんですが、引上げを行いまして、国と地方で二分の一ずつ、つまり、それで一〇〇%、全て公費で除却するということが可能になったところでございます。

 今後とも、老朽建築物の建て替えや除却などの対策を促進する地方公共団体の取組を支援することにより、密集市街地の一層の安全性の確保を図ってまいりたいと思っております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 これも後でいいんですけれども、今、共同建て替えという答弁があったんですけれども、川口の芝地区で共同建て替えをやったようなケースがあるのかどうか、後でいいです、後で教えていただければと思います。

 今、除却の全額負担という話が出たんですけれども、令和元年六月にうちの参議院の室井参議員も質問していましたけれども、国での空き家の除却、全額補助の事業なんですけれども、川口の芝地区では一件も使われていないと思うんですけれども、これは何でなんでしょうか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 狭隘道路に小規模な敷地が多数接している密集市街地におきましては、地震時等に大規模火災が発生する危険性が高いことから、市街地の延焼防止性能を向上させることが特に重要であると考えております。このため、令和五年度末までの時限措置といたしまして、小規模な建物を含め、建て替え後に防火性能の高い建築物とすることが条例により義務づけられている地域に限定いたしまして、民間負担なしで空き家の除却を可能とする制度を設け、対策を集中的に講じることとしてございます。

 現在、例えば大阪府において、本制度を活用した空き家の除却が進められているところでございます。

 御指摘の川口市の芝地区につきましては、現状では、条例による防火規制の強化を講じていないため、本制度の対象とはなっておりませんが、現状では、国と地方で合わせまして、除却費用の五分の四の補助を行うことが可能となっております。

 今後とも、密集市街地の整備改善に当たり、防火性能の高い建築物への建て替え等を進めるということが有効でございますので、公共団体に対しまして、防火規制の強化と民間負担なしでの除却支援を積極的に行っている事例等を周知し、一層の安全性の確保を図ってまいりたいと存じます。

高橋(英)委員 今、防火性能の高い建物に建て替え後という話ですけれども、そもそも建て替えができないんですよね。

 それとまた、防火規定ですか、の基準を満たしていないからという話ですけれども、そもそもここは、地震とかが起きて火災とかが起きたら大変だからこの制度を利用しているのであって、こういった防火規定の基準ですか、これがあったら困るんですよね。こういった基準は逆に撤廃していただきたいと思うんですけれども。じゃないと、この制度を使っている意味がよく分からないんですが、いかがでしょうか。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど大臣よりお答え申し上げましたように、無接道の敷地内の老朽建築物の除却につきましては、今年度予算におきまして補助率の引上げを行っておりますので、そのように建て替えが困難であるような敷地の老朽建築物を壊していただく場合には、民間負担なしで支援するということが今年度予算から制度化されてございますので、是非御活用いただければと存じます。

 一方で、市街地火災を防いでいく上では、エリア内の不燃化率を引き上げていくということが有効であるということが明らかになっておりますので、更新時に、更新できる敷地につきましては、よりしっかりとした防火性能を確保していただくということを規制によって対応することが有効であるということも明らかになっておりますので、そういう規制を課しているエリアでは、接道がなされている敷地、建て替えが可能な敷地において補助率の引上げを行っている、そういう状況にございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 では、この地域では基本的には建て替えられないんですから、今のは壊すのみでの意味合いという理解でよろしいんですよね。

 それと、もう一回言いますけれども、こういった防火規定があったら、やはりこの地域ではなかなか無意味だと思うんですね。だって、そもそも防火規定がないところに市街地密集整備事業をやっているのであって、そういった規定があるというのは非常にやりづらいというふうに思うので、是非その点をちょっと改善できないのかどうか。

淡野政府参考人 補足いたしますと、先ほど申し上げましたように、無接道の敷地については、その敷地内の除却費用を全額国と地方で負担する。

 更新が可能な場合、この地区の場合には上乗せの防火規制は行っておりませんので、五分の四の補助が行えるという仕組みになってございます。仮に、建て替える建物については厳しい規制をかけるということになってまいりますと、それが一〇〇%になるということでございますので。現状でも、五分の四の支援が受けられるという状況にございます。

高橋(英)委員 もう時間ですので終わりにしますけれども、見た目には、多少は進んでいるような状況にしかまだまだ見えないので。もうかれこれどれぐらいたつんだろう、十五年ぐらいになるのかな。ですので、ちょっと積極的に予算をつけていただけるとありがたいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 終わります。

中根委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日も十二分しか持ち時間はありませんので、答弁は簡潔に、かつ、はっきりとお願いしたいと思います。

 今月十四日に、福島・宮城沖地震で脱線した東北新幹線が再開しました。当初の予定よりは一週間も早く、関係者の皆さんが大変な努力をされたと思います。感謝と敬意を表したいと思います。

 また、地震のあった翌日には、例えば羽田便のない仙台空港への臨時便を飛ばしてくださったANAやJALなど、私はどちらにもお世話になっておりまして、大変な御苦労だったと、これも感謝に堪えないと思います。この場をおかりして、改めて感謝と敬意を表したいと思います。

 それで、今回の新幹線の脱線は、たまたま運がよかったのではないのかということです。

 資料の一枚目は今回の被災状況全体ですけれども、電柱被害や架線など約一千か所に及び、昨年よりやや多いです。また、資料の二は六日付の読売新聞ですが、右下にこれまでの新幹線の脱線が表になっております。二〇〇四年の中越地震、二〇一一年東日本大震災、そして一六年の熊本地震、そして今年と。今年は速度が百五十キロとあるのは「やまびこ二二三号」ですが、白石蔵王駅の二キロ手前くらい、停車寸前で減速中だったということがあります。

 「やまびこ」は最高速度が二百七十五キロ、「はやぶさ」は三百二十キロです。もし最高速度であったらこの程度で済んでいたのかと思わざるを得ませんが、大臣の認識をお願いします。

斉藤国務大臣 現在、脱線のタイミングや早期地震検知システムの動作状況を含めて、脱線の原因究明等については、運輸安全委員会等による調査が行われているところでございます。

 いずれにしましても、国土交通省としては、脱線対策や、橋脚を始めとする土木構造物や電化柱の耐震基準、補強計画について、しっかりと検証することとしており、お尋ねの最高速度での走行時における検証につきましても併せて実施していきたいと思っております。

高橋(千)委員 もう少し個人的な思いでもよかったなと思うんですよね。

 この四つの表を見ていただくと、どれもそうなわけです。最高速度ではないし、例えば熊本地震も、回送中ということで誰も乗っていなかったりとか、いろいろな意味で、これまで脱線はしたけれども特別大事には至らなかった、そういうふうに見るべきなんじゃないか、こういうふうに思うんです。

 二〇〇四年の中越地震の教訓から、絵にあるような、車輪の金具がレールにひっかかることで車体が大きく逸脱するのを防ぐ逸脱防止ガイドを整備した。これは一定の効果が上がっているよという識者もおります。

 一方、資料の三なんですが、これは二〇一六年の熊本地震の事故調査報告書です。上には「九州新幹線の主な大規模地震対策について」。この写真が脱線防止ガードなんですよね。下のちっちゃい解説を読みます。「九州新幹線では「新幹線と直交する活断層があり、地震が発生した場合に付近の高架橋で大きな揺れが想定される場合」に脱線防止ガードを設置。」しているということで、まさに直下に活断層があるというところ、まだそこまでなんだけれども、そこだけしかつけていなくて、脱線したところにはついていなかったと。しかし、こうしたことを受けて、下に調査報告書の結論が書いてありますけれども、検証をしていまして、結論が、脱線防止ガードが仮に設置されていれば発生リスクを低下させることができた可能性はあるとなって、それで「脱線・逸脱防止対策を更に推進していく必要がある。」と指摘をしました。

 この認識は共有されていなかったんでしょうか。なぜ東日本ではつけなかったんでしょうか。これは検証は関係ないですから、一般論で聞いていますから、お願いします。

上原政府参考人 お答えいたします。

 新幹線の脱線対策につきましては、過去の地震の状況も踏まえながら、支えている構造物が壊れないようにする耐震補強対策、走行中の列車を早く止める早期地震検知システム、列車の脱線・逸脱防止対策、先ほどの脱線ガイドとかこういうものは列車の脱線・逸脱防止対策でございますが、これら三つの対策を組み合わせて実施することが重要であるとされておりまして、これまでも、JR各社や鉄道総合技術研究所等で設置をいたしました新幹線脱線対策協議会におきまして、こうした議論を重ね、対策を進めてきたところでございます。

 先ほど大臣が答弁いたしましたとおり、今回の脱線の原因究明等につきましては、現在、運輸安全委員会等による調査が行われているところでございます。国土交通省としても、脱線対策につきましては、しっかりと検証し、検証結果を踏まえた対策を進めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 一般論でと聞きました。検証結果は関係なく、既に、熊本の検証を踏まえて、なぜつけなかったのか、その判断はもっと早いタイミングでされていると思うので、それを聞いています。

上原政府参考人 お答えいたします。

 一般論という御質問の趣旨がちょっとよく分からないんですが、これは、科学的、工学的に技術的な指針を作って、そしてその対策を取っていくという趣旨で、先ほど申し上げました耐震補強対策と早期地震検知システム、それから脱線・逸脱防止対策の三つを組み合わせて対策を取っていくというのが全ての新幹線についての考え方だというふうに承知しております。

高橋(千)委員 一般論でというのが意味が分からないとおっしゃいましたけれども、今回の事故の前の話をしているんですよ。それで、なぜつけなかったんだろう。

 つまり、熊本では脱線防止ガードが必要だとされているし、JR東海では、もう七割ですか、つけている。しかし、JR東日本では、ガードよりも逸脱防止ガイドの組合せの方が効果的だと判断したということなんですか。はっきりお答えください。

上原政府参考人 お答えいたします。

 大変技術的な課題でございますので、そうした単純な議論ではないというふうに承知しております。

 例えば、一つ申し上げますと、九州新幹線は整備新幹線として建設されたものでございまして、これまでの耐震基準そのものが建設途中から適用されておりまして、先ほど一番初めに申し上げました構造物が壊れないようにする耐震補強対策につきましては、そうしたほかの古い新幹線に比べまして構造物の強度が耐震化が行われている、そういうものでございます。

 こうしたことを、三つの事項を組み合わせて検討していくことが重要であるというふうに考えております。

高橋(千)委員 単純な議論ではないとおっしゃいました。象徴的なことだから聞いているんです。ガードが必要だと私は新聞記事を見て単純に聞いているんじゃありません。どうしてそういう判断をしてきたのかということがはっきりして、それと今日の事故調査対策というのがあるんじゃないでしょうか。

 九州新幹線がオープンしたのは三・一一の日ですよね。青森市長がそちらのオープンに行っていましたので、私は鮮明に覚えております。だから、一番新しいからこそ耐震が新しいのは当たり前なんです。だけれども、そういう中で熊本地震を経てこうした対策をしてきた。

 だったら、東日本は、更に、東日本大震災があり、内陸地震もあり、今回の地震も続いてということでは、これまでの間にいろいろな見直しがされてきたであろうと思うから、単純に三つの話、三点の角度でやっていますという議論ではない、これまでどういう検討をしてきたのかということを聞きたかったわけであります。それを事前にちゃんとお話をしたということであります。時間がありませんので、指摘して、次に進みます。

 今回、レールが本来の位置より二十センチから三十センチ下がったという変形が見られました。その原因は、真下の高架橋の根元が大きく壊れていたからと聞いております。橋脚については、まさに阪神・淡路大震災の際に大きな問題となって、耐震化を進めてきました。

 昨年の質問の際にも、政府は、土木構造物については、一たび被災をすれば人命や長時間に及ぶ輸送障害につながるものですから、耐震補強の進捗状況についても国も報告を受けておりましたと答弁していますよね。だったら、あの電柱とは違って、高架橋や橋脚についてはちゃんと報告を受けているんです。

 それで、伺いますが、阪神・淡路大震災以来続けてきた耐震強化策がまだ終わっていない高架橋、橋脚はどのくらいあって、進捗がどうなっているのか、お答えください。

上原政府参考人 お答えいたします。

 委員お尋ねの阪神・淡路大震災以降における耐震補強の進捗状況でございますが、高架橋につきましては、約五万五千本のうち約三万六千本の補強が完了しておりまして、進捗状況としては六七%、橋脚につきましては、約七千本のうち約三千本の補強が完了しておりまして、進捗状況としては四二%、これらを合わせますと、約六万二千本のうち約四万本の補強が完了しており、進捗状況としては約六四%であると承知しております。

 また、このうち、阪神・淡路大震災でも被害に遭ったような落橋、倒壊等の構造物の崩壊に直結するおそれのある剪断破壊に対する耐震補強につきましては、既に全て完了いたしております。

高橋(千)委員 二十七年たって六四%という進捗率だということは、正直衝撃を受けました。もちろん、深刻な被害に通じるものは先に対策をしているというお話だったと思いますが、今回の、土木設備ということで表紙のある高架橋の問題は、一定その予測が外れたのではないかという指摘もあったかと思っております。

 大臣に最後にもう一回聞こうと思ったんですが、済みません、時間がなくなりました。私が言いたかったのは、やはり安全対策というのは時間がかかるのは当然なんです。でも、だからこそ、再開を急ぐ、あるいはとにかく走らせなきゃいけないということで、安全対策が後になっては困るということで、そういう決断も必要だということで指摘をしたかったということであります。

 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

中根委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。私も、僅か十三分でありますので、法案質疑じゃないので、なるべく穏やかに大臣の本音を聞きたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 資料を配らせていただいておりますけれども、四月十一日にJR西日本がローカル線の収支を公表しまして、「中国地方二十一区間 赤字」という見出しでありますが、これはまさに大臣のふるさとの話ではないかと思うんですけれども。

 また、先ほど枝野委員の方からも、コロナ禍で多くの鉄道の会社が苦しんでいるという話がありましたが、短期的に見ればそうなのかもしれませんけれども、私は、鉄道というのは決して衰退産業だとは思いません。

 今、世界中で爆発的に、例えば、高速鉄道網を延ばしている中国だけじゃなくて、先進国でも、イギリスで電化、高速化みたいなのが進められておりますし、自動車の国アメリカでも、カリフォルニア、フロリダ、テキサスといったところで高速鉄道の計画が進められておりますし、アジアの様々な国でも鉄道が整備されております。

 安価に大量の人を定時で輸送できる、これはある意味ポストコロナ禍の時代のライフスタイルにマッチした輸送手段だとも思いますし、例えばトラックから貨物へとモーダルシフトを進めれば、当然これはカーボンニュートラルにも大きく貢献することになります。また、そもそも日本は、鉄道の車両を造ったり、運行システムといった産業面でも、世界の中で比較優位にある産業だと思っているんですね。

 ところが、例えば国土形成計画を見ても、リニア中央新幹線によるスーパーメガリージョンの形成とか、あるいは社会資本整備重点計画でも、やはりリニア中央新幹線や整備新幹線の着実な推進とかそういうのがあって、あるいは地球温暖化対策計画でも、鉄道貨物輸送へのモーダルシフトとか幾つかあるんですが、そもそもこの鉄道というのが我が国の国土政策においてどういう地位を占めるのかということは、どこにもないんですよ。

 私、斉藤鉄夫大臣の鉄はもしかしたら鉄道の鉄なのかなとも、ホームページを見ると、「自他ともに認める鉄道マニア」。私も鉄道マニアで、大臣のふるさとの辺りを、いい旅チャレンジ二万キロで、あの辺りのローカル線をかつて軒並み乗ったことがあるんですけれども、そもそも日本にとって、この国にとって、鉄道というのは将来どのような存在なのか、大臣の思いを是非お聞かせください。

斉藤国務大臣 国土交通大臣として国土交通委員会で答弁するので、まさに鉄道についての基本的な認識ということでございますが、基本的には、今もう福島委員おっしゃったような、いろいろな、大量交通輸送機関、またモーダルシフト等々、同じ思いでございます。

 その上で、あえて、質問通告には、個人的な、官僚的答弁を求めないというふうに書いてございますので、思いをお話しさせていただきますと、ちょっと私の場合は特殊なんですけれども、将来へ通ずる道という思いがございます。

 私は、島根県と広島県の県境に生まれました。いわゆる陰陽を結ぶ三江線、私が生まれたときには、まだうちの村まで来ていませんでした。子供の頃、村まで来ました。そのときに、そのレールを見て、ああ、このレールの先に都会がある、こういう思いを、また、自分の将来がある、将来につながる道だというふうな思いを思ったところでございます。

 その線は、私が子供の頃村まで来て、私がその村を学校に行くために去った後、結局、陰陽を連絡いたしまして開通したんですが、しかし、三年前、三江線は廃止になりました。大変寂しい思いをしたという思いでございます。

 これは個人的な思いでございますが、そういう鉄道に対しての、地方に住んでいた人間としての思いはございます。

福島委員 私も三江線に乗ったことがあるんですけれども、実はあれは、ほかの古いローカル線みたいなくねくねしたのじゃなくて、結構立派な、橋とかトンネルを造った、太平洋、瀬戸内側と日本海側をつなぐ、本当は貴重な路線だったと私は思うんですね。それが廃線になったのは残念です。

 資料二でありますけれども、JR西日本のプレスリリースの資料がございます。これを読んでみると、単に廃線すると言っているわけじゃないんですね。

 この一ポツのローカル線に対する課題認識で見ても、鉄道は自動車に比べきめ細かな移動ニーズにお応えできないこともあり、線区によっては地域のお役に立てておらず、厳しい状況になっています、今回お示ししている線区については、大量輸送という観点で鉄道の特性が十分に発揮できていないと考えております、これらの線区はCO2排出の面でも、現状の利用実態では必ずしも鉄道の優位性を発揮できない状況にありますという書き方をしております。

 三ポツで、地域の皆様と課題を共有させていただき、地域のまちづくりや線区の特性、移動ニーズを踏まえて、鉄道の上下分離等を含めた地域旅客運送サービスの確保に関する議論や検討を幅広く行っていきますとなっていて、これは単なる廃線の候補を挙げたということではないというJR西日本の考えというのは、私はそのとおり信じていいと思うんですね。

 だから、恐らくここでJR西日本が提起しようとしているのは、単なるローカル線の存廃の問題ではなくて、国鉄分割・民営化以降、民間企業としてこうした公共的な役割をどこまで果たし得るのか、民間企業との経営と両立をさせながら、あるいは両立ができない場合もあるけれども、しかしその一方で鉄道には公益的な役割がある、それをどうやって果たしていくのかというのを、鉄道会社だけではなくて、地域や、そして当然国も含めて考えてほしいという訴えじゃないかと思うんですけれども、この点について、大臣、どのように御認識いただいておりますでしょうか。

斉藤国務大臣 その点、私は全く同じ考え方でございます。

 今、ローカル線が大変厳しい状況にあります。その厳しい状況を、そこに住んでいる住民、地方自治体、そして国も事業者とともに共有して、では、どうやって地域公共交通を守っていくのか。高齢化が進んで、移動の自由を守るための地域公共交通は非常に重要になってきております。それをどのように、みんなが話し合って、コンセンサスを取って維持していくかということを話し合うということが、今後非常に重要になってくると思っております。

福島委員 ありがとうございます。

 是非そうした観点でこれから取り組んでいただきたいんですが、どうしても鉄道の話は、廃線にしないとか後ろ向きの話ばかりになっちゃうんですね。私は、既存の鉄道でも、ちょっとした、まあ、ちょっとしたじゃないかもしれぬけれども、それなりの投資をすればよみがえる可能性がある線というのは多くあると思うんです。先ほどの三江線にしても、広島から行っている芸備線も含めて、きちんとした真っすぐの電化した線にして、海と海を結ぶ路線にして、そこに特急列車を走らせれば、日本海側に対する振興にも物すごく大きくつながったと思うんですね。

 私の地元にひたちなか海浜鉄道というのがあって、勝田という駅から阿字ケ浦というところまで出ているんですけれども、隣に、そばに、常陸那珂港という港があります。そこの港から貨物線をひたちなか海浜鉄道につないで、コンテナ貨物を、貨物列車を通してその運賃収入が入れば、ひたちなか海浜鉄道の経営というのは物すごく変わるし、そして、あと、コンテナをトラックではなくて鉄道で運ぶというモーダルシフトにもつながるわけです。

 私が住んでいる水戸市も、上野まで大体特急で一時間十分ぐらいかかります。ドア・ツー・ドアだと、東京から家まで二時間かかります。もうちょっとこれが早くなれば、つくばエクスプレスというのがありますけれども、あのように全部ホームにドアがついていて、立体交差化されていて、今の速度より二十キロでも三十キロでも速いスピードで走ることができれば、わざわざ大学に入るために水戸から出て東京で独り暮らしをしたりすることもなくなるし、東京の混雑したところじゃなくて水戸の環境のいいところに住んで仕事をすることもできるようになるというふうに、ちょっと投資をすれば変わることが多くあります。

 しかし、中小の私鉄とかローカル線にそのような大きな投資をするインセンティブというのはなかなか湧きません。また、JRは地域では独占企業ですから、あえて常磐線のような黙っていても人が乗るような路線に投資するよりは、高輪ゲートウェイとか、Suica事業とかもうかる方に投資をして、やれば地域のために大きな効果はあるんだけれども、JRの経営見合い、それの投資に見合うようなことはやらないんですね。

 でも、私は、こうしたことは、国土政策として非常に大事だというふうに思っておりまして、よって、先ほど冒頭、大臣に鉄道に対する思いというのをお伺いしたんですけれども、私はここは、民間だから民間の投資に任せて、それを政府が税制や補助金などでバックアップするというだけじゃ駄目なんだと思うんです。

 その一つのやり方が、上下分離、いわゆる上を走らせる鉄道と、下の線路や駅といった施設を分離するということで、私は、この下の部分、線路や駅の部分には、どんどん公のお金を入れていいと思うんですよ。建設国債を基にした財源を入れてもいいだろうし、ガソリン税の暫定税率の議論をしておりますけれども、この財源なども入れていいと思うんですね。

 ところが、今、上下分離というのは、この三枚目にありますけれども、鉄道事業再構築事業、先ほど伴野先生が質問していた法律に伴うものでありますが、継続が困難又は困難となるおそれのある、廃線にするようなところを中心に上下分離という策を講じて、そこには様々な、補助率のかさ上げとかいろいろな支援措置があるということになっているんです。

 私は、もっとこの上下分離というのを、単に廃線の防止だけじゃなくて、既存の線路を高度化して、全く違うものに生まれ変わらせる、例えば、鉄道貨物のために港と鉄道の間の数キロの間を結ぶ線路は公のお金で、道を造るように公共事業として行って、そこにひたちなか海浜鉄道は鉄道を通すといったような、そうしたお金の使い方をすることも一つの策ではないかと思うんですけれども、大臣、いかがお考えでありましょうか。

斉藤国務大臣 上下分離に対してどう考えるかということに答えることになるかどうかは分かりませんけれども、国鉄改革から三十五年が経過いたしました。その間、利用者の減少や、そしてマイカーが、道路交通の方が大きく増えてきた、それから自然災害の頻発化、激甚化、そして今回のコロナ禍ということで、ライフスタイルの変化ということもございます、鉄道を取り巻く環境は大きく変化してきております。

 そういう状況を踏まえまして、今年二月に、鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会というものを立ち上げまして、まさに今委員御指摘の、地域と事業者とそして国が、どういう形でこの鉄道というものを今後公共交通、そして地域公共交通の中に位置づけていくかという議論をしていただいて、夏頃に一定の中間報告、結論をいただくということになっております。

 ある意味で、国鉄改革から三十五年が過ぎた今、一つの節目のときでございまして、そういう議論をしていきたい。そして、そういう中で、私自身、鉄道というものが日本の社会の形成に果たしてきたこの大きな役割を考えると、しっかりその伝統を生かしていくべきではないか、このように考えております。

福島委員 私もその検討会の資料や議事録を読ませていただきましたけれども、やはり、鉄道は大変だ、それを助けよう的なものが多いんですね。そうじゃなくて、新しい投資をすれば日本の鉄道は根本的に生まれ変わるんだという、まさに、国土計画、全総の話が先ほど伴野先生からありましたけれども、そうした国土計画の話で国が主導に立って、地域だけではなく、国が大きな戦略を立てていただきたいと思いますし、その中には当然、国鉄の分割・民営化以降の新しい鉄道の運営体制をどうするかという課題も含まれるかと思いますので、今後、骨太な議論を期待をいたしまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございます。

     ――――◇―――――

中根委員長 次に、内閣提出、航空法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

    ―――――――――――――

 航空法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

斉藤国務大臣 ただいま議題となりました航空法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 近年の脱炭素化へ向けた世界的な潮流を受け、航空分野における脱炭素化の動きが国際的に加速しております。我が国航空分野においても、国際民間航空機関により設定された二酸化炭素排出削減に関する目標や、昨年の地球温暖化対策計画の改定により設定された目標等に対応するとともに、その国際競争力を維持強化するため、脱炭素化の推進は喫緊の課題となっております。このため、航空会社や空港管理者を始めとする幅広い関係者が連携しつつ、航空分野全体で脱炭素化を推進していく仕組みや体制を整備する必要があります。

 また、新型コロナウイルス感染症の流行により、航空業界においては、これまで過去に例を見ない規模で航空需要の減少が続いてきたところ、本年に入っても、厳しい状況が続いております。こうした状況下においても、航空ネットワークを維持、確保していくため、引き続き、国と航空会社が連携して航空運送事業の基盤強化を図っていく必要があります。

 このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして、御説明申し上げます。

 第一に、航空分野全体における脱炭素化を総合的かつ計画的に推進していくため、国土交通大臣が、政府が実施すべき施策、航空会社及び空港関係者が講ずべき措置等について定めた航空脱炭素化推進基本方針を策定することとしております。

 第二に、本邦航空会社が、低燃費機材の導入、バイオジェット燃料など持続可能な航空燃料の導入等の取組を記載した航空運送事業脱炭素化推進計画を作成し、国土交通大臣の認定を受けられることとし、認定を受けた航空会社は、空港管理者が組織する協議会に対し、計画の円滑かつ確実な実施のために必要な協議を行うことを求めることができる等の特別の措置を講ずることとしております。

 第三に、空港管理者が、空港で使用する電力を供給するための太陽光発電設備の整備、空港施設の改良等の取組について記載した空港脱炭素化推進計画を作成し、国土交通大臣が認定等をした計画に記載された事業を行う者に対し、行政財産の貸付け等に関する特別の措置を講ずることとしております。あわせて、空港管理者は、計画の作成及びその実施に関し必要な事項について協議を行うため、航空会社及び空港関係者から成る空港脱炭素化推進協議会を組織することができることとしております。

 第四に、国土交通大臣による航空運送事業基盤強化方針及び航空会社による航空運送事業基盤強化計画について、令和三年度において、航空会社への支援措置を講ずることを踏まえた特例措置を講じているところ、令和四年度においても、引き続き特例措置を講じることとしております。

 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

中根委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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