第12号 令和4年5月13日(金曜日)
令和四年五月十三日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 中根 一幸君
理事 柿沢 未途君 理事 小島 敏文君
理事 塚田 一郎君 理事 土井 亨君
理事 城井 崇君 理事 小宮山泰子君
理事 市村浩一郎君 理事 伊藤 渉君
秋本 真利君 伊藤 忠彦君
石原 宏高君 泉田 裕彦君
小里 泰弘君 大西 英男君
加藤 鮎子君 金子 俊平君
菅家 一郎君 木村 次郎君
小林 茂樹君 櫻田 義孝君
笹川 博義君 鈴木 憲和君
田中 良生君 谷川 とむ君
中川 郁子君 根本 幸典君
宮内 秀樹君 宮崎 政久君
和田 義明君 稲富 修二君
神津たけし君 福田 昭夫君
藤岡 隆雄君 谷田川 元君
渡辺 周君 池下 卓君
高橋 英明君 山本 剛正君
河西 宏一君 北側 一雄君
吉田 宣弘君 古川 元久君
高橋千鶴子君 福島 伸享君
たがや 亮君
…………………………………
国土交通大臣 斉藤 鉄夫君
経済産業副大臣 細田 健一君
総務大臣政務官 鳩山 二郎君
国土交通大臣政務官 加藤 鮎子君
国土交通大臣政務官 木村 次郎君
国土交通大臣政務官 泉田 裕彦君
政府参考人
(内閣府総合海洋政策推進事務局長) 平岡 成哲君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 池田 達雄君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 茂木 正君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 定光 裕樹君
政府参考人
(国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官) 寺田 吉道君
政府参考人
(国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官) 島田 勘資君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 青柳 一郎君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 村山 一弥君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 淡野 博久君
政府参考人
(国土交通省自動車局長) 秡川 直也君
政府参考人
(国土交通省海事局長) 高橋 一郎君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 浅輪 宇充君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 久保田雅晴君
政府参考人
(国土交通省政策統括官) 松本 貴久君
政府参考人
(観光庁長官) 和田 浩一君
政府参考人
(海上保安庁長官) 奥島 高弘君
国土交通委員会専門員 武藤 裕良君
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委員の異動
五月十三日
辞任 補欠選任
笹川 博義君 鈴木 憲和君
北側 一雄君 吉田 宣弘君
同日
辞任 補欠選任
鈴木 憲和君 笹川 博義君
吉田 宣弘君 北側 一雄君
―――――――――――――
五月十二日
脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)
国土交通行政の基本施策に関する件
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○中根委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官寺田吉道君、大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官島田勘資君、国土政策局長青柳一郎君、道路局長村山一弥君、住宅局長淡野博久君、自動車局長秡川直也君、海事局長高橋一郎君、港湾局長浅輪宇充君、航空局長久保田雅晴君、政策統括官松本貴久君、観光庁長官和田浩一君、海上保安庁長官奥島高弘君、内閣府総合海洋政策推進事務局長平岡成哲君、総務省大臣官房審議官池田達雄君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君及び資源・燃料部長定光裕樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中根委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○中根委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。古川元久君。
○古川(元)委員 おはようございます。国民民主党の古川元久です。
まずは、さきの知床観光船事故でお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみを申し上げますとともに、いまだ行方不明の方々が一日も早く見つかることを心からお祈りいたしております。
今後二度とこのような痛ましい事故を起こさないためには、今回の事故原因の徹底究明と、安全確保のために必要な措置を早急に取ることが必要であります。これまでにも事故原因や現行制度の問題点等が少しずつ明るみになっておりますが、今後のいろいろな調査、沈没した船を引き揚げるとか、そういうこともなされれば、更なる事故原因の究明等が進むと思います。
そういう段階において、今日の質疑やあるいは来週の一般質疑でもこの問題も取り上げられるというふうに承知はいたしておりますけれども、何らかの段階では、やはりこの問題についての集中審議も必要じゃないかと思います。是非委員長においてよろしくお取り計らいいただきたいことをお願いして、質問に入りたいと思います。
まず最初に、新型コロナ関連で幾つかお伺いしたいと思います。
外国人観光客の受入れについてでありますが、多くの国は既に、観光客、外国から受け入れております。これだけ長期化したコロナ禍で、日本の観光産業は極めて著しいダメージを受けて、その疲弊は大変厳しい状況にあります。こうした状況を一日も早く少しでも改善するためにも、やはり日本も早く外国人の観光客受入れを開始すべきじゃないかと思います。
この外国人観光客の受入れについては、六月にもという報道が出たり、あるいは、昨日なんかのある新聞なんかだと五月中にもという報道がされていますが、実際にはいつになったら観光客を受け入れるということ、そのことも発表もなされる予定なのか、現在のところの状況を教えていただきたいと思います。
○和田政府参考人 お答え申し上げます。
水際対策につきましては、感染拡大の防止と社会経済活動のバランスを取りながら、政府全体で段階的な緩和を進めているところでございます。
今月五日の岸田総理の外遊中の会見等でも、連休後の感染状況をしっかり見極めた上で、六月にも、専門家の見解も踏まえつつ、他のG7諸国並みに円滑な入国が可能となるよう、水際対策を更に緩和していくとの御発言があったと承知をしております。
昨日、観光、交通業界から斉藤大臣に対して、国際観光の再開に向けての要望がございましたけれども、観光を含む国際的な人の往来は、我が国の経済活動や地域の活性化にとって極めて重要であると認識をしております。
今後の水際対策の在り方につきましては、御質問をいただきました外国人観光客をいつから受け入れるかも含めまして、国内外の感染状況、主要国の水際対策の状況、検疫体制等も踏まえ、現在、水際省庁を中心に、政府全体で検討しているところでございます。
○古川(元)委員 それだと全然答えになっていないので、じゃ、大体いつ頃その結論とかそういうものは出てくるんですか。五月中には大体そういうもののめどが見えてきて、実際に受入れ開始とか何かは、それこそ本当に五月中にもすぐにも始まるのか、あるいは六月以降になってしまうのか、その辺はどうなんですか。
○和田政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御答弁申し上げたとおり、岸田総理の外遊中の会見等でも、六月にもというふうにおっしゃられていますので、六月のいつの段階でこういう決断がなされるのかは、まさに今、水際省庁を中心に検討しているところでございます。
○古川(元)委員 そういう答弁を聞くと、観光業界の人たちは、何か期待していたら、またがっかりしちゃうんだと思います、大臣。
あと、それはいつからというのはあるかもしれませんが、報道などでは、受け入れるにしても団体客のみだとか、そういう条件がつくというような話もありますが、じゃ、受け入れる場合に、どういう条件かとかそういうことは検討しているのか、あるいは決まっているというか具体的になっているものがあるのか、その点について教えてください。
○和田政府参考人 お答え申し上げます。
外国人観光客の受入れに当たり、団体旅行や個人旅行の扱いにつきましても、現在、政府全体で検討しているところでございます。
○古川(元)委員 ちょっと大臣、今の観光庁長官の答弁を聞いていて、やはりもうちょっと前向きな発言とかがないと観光業界の人たちはがっかりすると思うんですね。しかも、何もよく分からない。検討しているところだったら、ここまではこうしていますとか、やはり少しずつ前に進んでいるという姿を示すということは大事だと思いますけれども。
是非、ここは大臣に聞く予定ではなかったですけれども、ちょっと余りにも、今の観光庁長官の答弁だと、本当に関係の人たちはみんながっかりすると思います。やはり大臣がちょっとリーダーシップを取っていただいて、ちゃんと、いつ頃をめどに目標はこうして目指していくとか、その場合にはこういう形でやっていくとか、やはり少しずつでも前に進んでいって、一日も早く状況が整えば受け入れたい、そういうメッセージを送るということは大事だと思いますが、いかがですか、大臣。感想をお聞かせください。
○斉藤国務大臣 水際対策については、政府全体で進めていることでございます。その上で、いわゆる観光客の受入れについては、先ほど観光庁長官が答弁しましたように、いつ始まってもいいように、しっかり準備を進めているところでございます。
それ以上の具体的なことについては、いつかというのはなかなか今の時点で申し上げることはできませんが、しっかりと準備を進めているということは申し上げさせていただきたいと思います。
○古川(元)委員 是非、大変、観光業に携わっている皆さん方は本当に疲弊しています。やはりそういう人たちに希望を与えるような対応をしていただきたいと思います。
そのつながりでいいますと、外国人観光客の受入れ再開とともに再開が待たれているのが、やはりGoToトラベル事業だと思います。これも、大臣、結構、そろそろというような話もちょっと一時期ありましたけれども、最近何か余りそういうお話がないような気がしますけれども。
元々、このGoToキャンペーン事業は、企画した段階では、コロナが収束した後に、落ち込んだ経済活動を活性化させるために実施すると。それが、一番最初のときはまだまだコロナが、第一波がたまたま終わって次へというところでやっちゃって、そういう混乱も起きたりもしたんですけれども、ただ、現在のコロナの状況を考えますと、確かに感染者数は増えていますが、しかし、どう対応していくのか。
ワクチン接種も増えました、進んできました、コロナも重症化率も下がってきているとか、やはりそういうところがありますから、そういった意味では、感染防止には十分注意をしなきゃいけないですけれども、この長引いてきているコロナ禍の中でいうと、そろそろ本格的に、日本全体、経済活動を再開させていく。そういう意味では、当初このGoToキャンペーンをやろうとした、まさにそういうことをやる時期に入ってきているんじゃないかなというふうに私は思います。
そういった意味では、改めてですけれども、再開、いつ頃に考えているか、あるいはしたいと思っているのか、大臣の思いを教えていただきたいと思います。
○斉藤国務大臣 大臣の思いということですが、できるだけ早く再開したいというのが正直な私の思いでございます。ただ、感染状況が落ち着いて、旅行する方も、また受け入れる方も安心する、安心してGoToキャンペーンを実施していくということが大前提でございます。
現時点における感染状況については、五月十一日の厚生労働省の専門家会議において、新規感染者数は首都圏を中心に大都市圏で減少が続いている一方、それ以外の地域では増加と減少を繰り返しているとされています。なお、ゴールデンウィーク中は診療や検査数が少ないため、感染状況を正確に評価することが難しく、引き続き、今後の動向に注視する必要がある、このように専門家会議が言っております。
このため、全国的な移動を対象とし、全国一律に観光需要の底上げを図るGoToトラベル事業の実施については、引き続き、今後の感染状況等を見極めつつ、関係省庁や専門家の意見も伺って、注意深く検討していく必要があるのではないか、このように思っております。
また、昨年十一月に今後の観光需要喚起策についての考え方を公表した時点での想定よりも、事業の実施が遅れている状況でございます。再開後の制度の詳細については、安全、安心な旅行環境の確保という観点を踏まえた感染拡大防止策の在り方も含めて、関係省庁や専門家の意見も伺って、適切に検討していきたいと思っております。
○古川(元)委員 確かに、足下のところで感染者の数が増えています。ですから、そこは注意をしなきゃいけないところでありますけれども、しかし、同時に、この三年目に入ったコロナとの戦いでいろいろな性格も見えてきたんですから、やはりきちんと対応すれば、それこそ、例えば電車に乗ったりとかそれだけで感染するわけじゃない、危ない場面というところを避けていけば、旅行とか何かをしても問題ないというものも分かってきたわけですし、そういった意味では、いろいろな制約はあるかもしれませんけれども、これまでの知見に基づいて、どうしたら現場を動かしていけるのか、経済活動を再開させていけるのか、やはりそこは随時、常に考えていって、そして、いつでも状況が整えば事業が再開できるように、そうしていただきたいと思います。
そうした視点から見て、再開する場合に前とは制度がちょっと変更になっていると今は何かネットを見ても書いてありますけれども、その中に、例えば旅行後二週間以内に陽性となった際の報告や旅行中の行動履歴の記録、こういった感染対策を取ってくださいみたいなのが今あるんですけれども、この今の状況の中で、ここまでこういうことを求める、旅行後二週間以内に陽性になったときに旅行中の行動履歴まで、そういうところまで出してくれとか、こういうところを、今は、一般の濃厚接触者とかそういう人たち、かかった人の後の対応を見ていても、そこまで厳しくなっていないんじゃないかなと思うんですが。
この辺の制度変更の、今のところネットなんかで出ているところから、やはり、ちゃんと実施するときにはもう少し見直しも必要じゃないかなというふうに思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
○和田政府参考人 お答え申し上げます。
まさに委員御指摘のとおり、昨年十一月に今後の需要喚起策についての考え方を公表させていただきましたが、その中に、安全、安心な旅行環境の確保という中で、ワクチン・検査パッケージの活用でありますとか、二週間以内の行動履歴の把握、また、二週間後の健康状態に関する抽出調査の実施というふうなことが書かれていますけれども、この辺りにつきましては、オミクロン株の感染拡大の状況、それからオミクロン株の特性などを踏まえて、専門家の意見を伺った上で、どのようにするかを決めていきたいと考えております。
○古川(元)委員 これもさっきの外国人観光客と同じなんですけれども、じゃ、いつからスタートするかというのはまだちょっと今は分からないかもしれませんけれども、いつでも環境が整えばスタートできる、じゃ、そのときの条件はどうなのかというものをやはりなるたけ早めに明らかにしていって、関係者の皆さん方に周知徹底、告知しておくということは大事だと思うんです、やはり準備もありますから。
ですから、そういった意味では、この辺のところも、状況が変わっているんですから、そのまま、去年の十一月のままで置いておくんじゃなくて、やはり常に見直して、今の状況だったらこうですということを是非示していただくということをお願いしたいと思います。
さて、もうちょっと先の話にもなってくるんですけれども、今のところは、GoToトラベルは、ある意味で、今までの予算がある間はやるということなんですけれども、ただ、じゃ、予算がなくなったらそれで終わっていいかというと、今の観光業の置かれている状況でありますと、やはりそれじゃとても足りないんじゃないか。
ですから、来年以降も当分の間はこういう事業は、この間の観光業が受けたダメージということを考えますと、というのは、こういうサービス業というのは一度失った需要を倍にして取り戻すというのはやはりできませんから、やはりそういった意味では、相当このダメージから立ち直るには時間もかかると思うんです。
そういった意味では、来年以降も当分の間こういうGoToトラベル事業というものを続けていくべきじゃないかと思いますが、そういうふうに続いていく、続けていこうと考えている、そういうふうに受け止めてよろしいでしょうか。
○斉藤国務大臣 新たなGoToトラベル事業開始後の実施期間につきましては、関係団体や関係者から、できるだけ長期間続けてほしい、これまでのダメージが非常に大きかったので、それを回復するに十分な期間続けてほしいという強い要望をお受けしていることは事実でございます。
そういう御要望を伺いながら、参考にさせていただきながら、この事業再開後の実施期間について、予算との関係もございます、しっかり検討していきたい。そういう御要望を強く胸に受けながら、しっかり検討をさせていただきたいと思います。
○古川(元)委員 繰り返しになりますけれども、観光業に携わっている皆さんというのは、本当に数も多いし、同時に、このダメージ、受けたダメージはやはり大きいです。ですから、GoToトラベル事業に限らず、ほかにも観光業、観光立国を目指すということであるわけですから、そういった意味では、一度やはり人とかが離れてしまったりすると、なかなか、これはまた元に戻ってきたら恒常的な人手不足の状況というのも変わらないわけですから、そういった意味では、せっかく観光客が来たいといっても受け入れられないような状況になってしまっては困ります。是非そこは、GoTo事業にかかわらず、しっかり観光業を支える、そうした支援策を取っていただくことをお願いをして、次の質問に行きたいと思います。
ちょっと、カスタマーズハラスメント、交通運輸とか観光サービス業におけるカスタマーハラスメントについてお伺いしたいと思いますが、コロナ以前からこういうカスタマーハラスメントがあるとよくしばしば指摘されてまいりましたが、このコロナ禍の中で、そうしたハラスメント、大幅に増えた、そういう声をよく聞きます。接客業に従事している人たちはかなりの人が、多かれ少なかれ、顧客から、悪質なクレーム、迷惑行為と言われるようなカスタマーハラスメントを受けている、そういう実態があるんじゃないかと思います。
昨年春から夏にかけて、交通運輸、観光サービス業に従事する人たちが所属している交運労協という組合が組合員の間で行いました悪質クレームアンケート調査によりますと、直近二年間でカスタマーハラスメントの被害に遭った人は四六・六%と半数近く、ハラスメントが増えていると感じる人は五七・一%と半数を超えています。こういう状況にあるんですけれども、にもかかわらず、こうした人たちを雇用している企業の方でちゃんと対策がなされていない。特に対策がされていないと答えた人が三九・五%と四割近くもあるんですね。
これは交通運輸、観光サービス業に限らず、接客業全体にあるカスタマーハラスメントという問題でありますけれども、特に、国交省が所管している交通運輸、観光サービス業におけるカスタマーハラスメントの現状については、国土交通省としてはどのように認識しておられるでしょうか。
○寺田政府参考人 カスタマーハラスメントについてお尋ねをいただきました。
委員から御指摘もございましたけれども、交通運輸、観光サービス分野におけるカスタマーハラスメントにつきましては、現場で働いておられる方々に大きなストレスを与えるケースがございます。また、利用者の安全でありますとか良質なサービスを確保するという観点からも、その防止に取り組んでいくことは大変重要な課題であるというふうに認識をしております。
このため、例えば鉄道におきましては、鉄道事業者との間で、毎年、迷惑行為に関する連絡会議というものを開催してございます。カスタマーハラスメントの実態把握などに努めておりまして、数字で申しますと、鉄道の現場の係員に対する、これは暴力行為の数でございますけれども、最近、六年連続で減少はしているんですが、依然として、令和二年度の統計ですと全国で四百三十九件発生しているという状況となっております。
政府全体でも、昨年、厚生労働省が中心になりまして関係省庁連携会議というのを設置しております。効果的にカスタマーハラスメントを防止する対策の在り方などについて議論を行っておりまして、この二月にはマニュアルを策定、また、従来より行っておりますが、啓発ポスターの配布などを行っているという状況でございます。
これまでこうした対応を行ってきておりますが、御指摘のように、交通運輸、観光サービスにおけるカスタマーハラスメントの防止、これは引き続き取り組んでいくべき大事な課題であると認識をしております。
○古川(元)委員 そういう認識はあられるかと思うんですけれども、しかし、現実に現場がどうかというと、改善しているというよりも、むしろ、何となくやはり、特にコロナ禍もあった、みんなもストレスフルになっているかもしれません、増えている、そういう状況を感じるわけですね。ですから、もう少し対策を強化していく必要があるんじゃないかと思います。
カスタマーハラスメントについては、既に我々国民民主党は、法案も作成して、以前一度国会にも法案を提出いたしておりまして、またもう一度この国会でも今提出しようというふうに考えておりますが、こういう法規制も含めたカスタマーハラスメント対策、これをやはり政府としても講ずるべきじゃないかと思います。
交通運輸、観光サービス業を所管する国交大臣として、カスタマーハラスメント対策について、法規制も含めた、そうしたかなりもっと踏み込んだことをやらなきゃいけないんじゃないかと思いますけれども、大臣の御認識はいかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 交通運輸それから観光の分野におけるカスタマーハラスメントについて、先ほど審議官が答弁しましたように、まだまだ多くの課題があるという、また非常にシビアな現実があるということも、私、認識しておりますし、報告も受けております。非常にこれは重要な、働く方々にとって、安心して働くという意味で大変重要な課題だ、そういう認識はしております。
その上で、先ほど審議官が答えましたように、省庁連携会議等を持って厚生労働省を中心に対策を行っているところでございますが、今後、何が必要なのかというようなことも、この連携会議を中心に議論を深めていきたい、このように思っております。
○古川(元)委員 本当に、現場で働く人たち、なかなか厳しい状況の中で、そういうのが原因になって精神的に追い詰められたりとか、あるいは職場を辞めてしまうということも起きているという話も伺います。やはりこの問題に対しては、政府も、ポスターの掲示とかそういうのも大事かもしれませんが、かなり現場のそういうひどい状況なんかを考えると、法規制によって一定程度の抑止力みたいなもの、そういうものをそろそろ考えなきゃいけない段階にあるんじゃないかなというふうに我々は認識をいたしております。
是非、我々も具体的な提案をしていきたいと思っていますので、政府においても積極的に検討して対応していただいて、こうした接客業をする人たち、これはやはりお互いに気分がよくない話ですから、そういった意味では、是非対応していただくことをお願いしたいと思います。
この辺がちょっとコロナと関係のある話でありましたが、次に、カーボンニュートラルの関係の方で、少し話題を変えますけれども、特に燃料電池車ですね、FCVの普及実現に向けた政府の取組についてちょっとお伺いをしたいと思います。
私の地元であります愛知県、自動車産業の集積地であります。昨年から、カーボンニュートラルの実現に向けまして、自動車産業分野における課題解決に向けた具体策を検討する枠組みとして、愛知カーボンニュートラル懇話会というものが設置をされまして、大村愛知県知事を始めとする愛知県の幹部と与野党を超えた超党派の国会議員、今日も、公明党の伊藤渉さんもたしか一緒に出たことがあるんじゃないかなと思うんですけれども、自民党も公明党さんも、そして立憲民主党さんも、そして私も出させていただいて、与野党を超えた国会議員が集まり、そしてまた全トヨタ労連の幹部の皆さんも集まって議論をしております。
先日、またこの懇話会が行われたんですけれども、そこの議論の中で、燃料電池車の普及をどう進めるかという議論がありました。そのときに、大村知事の方から、燃料電池車の普及のためにはやはり水素ステーションの整備というものが急務なんですけれども、愛知県は一位ですと言うので、一位で一体何百か所あるのかと思ったら、全国一位で愛知県でも僅か三十七か所。これでは燃料電池車は広がらないと思うんですね。やはり、ちゃんとステーションがないと。
ですから、全国一位で三十七か所というこうした状況について、レクのときにはこれは経産省ですという話がありましたが、ちょっと国交大臣の所感を、この数字を聞いて、この状況、どんなふうに思われますか。
○斉藤国務大臣 率直に言って、大変遅れているというのが率直な感想でございます。
水素は、燃料電池車、また水素燃料で内燃機関を動かすという研究開発も日本のメーカーでされております。そういう意味で、水素はこれからのカーボンニュートラル社会の一つの主役です。そういう中にあって、この数字は確かにまだまだ少ない、急がなければならないというふうに感じました。
○古川(元)委員 少ないというか、これで本当に普及しようと政府は考えているのかと私なんかは思いました。
やはり二〇五〇年のカーボンニュートラル、今いろいろな、ウクライナ危機とかそういうのでなかなか更に難しくなってきている、そういう状況だからこそなおさら、だからといって、この温暖化問題について対応をやはり緩めるわけにはいかないわけです、これは。
ですから、そういった意味では、燃料電池車や水素社会の実現というのはその一つの大きな選択肢であって、それに向けた、こうした状況を、相当な思い切ったアクセルを踏み出す、その措置を、まあ、県でも頑張っていますと知事も言っていましたけれども、やはりこれは国がもっとちゃんと明確に、いつまでに何か所の水素ステーションを整備するというのを、具体的な期限や数値目標を決めて、それは必ず達成するんだ、そのために必要なことであればお金もちゃんと、税制の優遇とかそういうものも出します、そこまでやはりやらなきゃいけないと思いますが、いかがですか。
○茂木政府参考人 お答えいたします。
まず、水素ステーションの整備につきましては、やはり燃料電池自動車の普及策と両輪で進めていく必要があるというふうに考えています。
こうした前提の下に、政府の目標としては、二〇三〇年に千基程度という水素ステーションの整備目標を掲げまして、現在、民間事業者等による水素ステーションの整備、運営に対して補助を行っています。また、中間目標として、千基というのは二〇三〇年なんですが、二〇二〇年に百六十か所、二〇二五年に三百二十か所という中間目標も設定しておりまして、二〇二〇年の百六十か所については達成済みということになります。
また、燃料電池自動車については、やはり航続距離が長くて充填時間も短いという特性がありますので、乗用車に加えて、今後はやはりバスとか大型トラックとか、新しい需要を開拓していく必要があるというふうに考えています。こうした需要が開拓されてくれば、水素の需要も当然増えてまいりますので、ステーションの運営の事業性も高まってくるということであります。
商用車の採否を決めるのは運輸事業者ということでございますので、この点は国交省としっかりと連携しながら導入拡大を進めていきたいというふうに考えています。
それから、水素ステーションの運営、整備の支援でございます。二〇二一年度の補正予算からは、低価格の小型のステーションというのを新たに補助対象に追加しまして、大型のステーションだけではなくて、非常に機動力のあるそういったステーションの整備についても追加をしまして、未整備地域の整備を加速したいというふうに考えています。
それから、燃料電池トラックなどの新しい水素モビリティーの普及拡大というのを見据えまして、大規模なステーションに対する補助上限額、現状、今、補助上限額が三・五億円なんですけれども、これを五億円まで引き上げまして、補助額も引き上げて支援を手厚くしているというところであります。
引き続き、水素需要に見合った供給能力を持つ水素ステーションを、官民一体で戦略的に整備してまいりたいというふうに考えています。
○古川(元)委員 私もその目標を知らないわけじゃないんですけれども、余りに、千か所とか、少な過ぎるんじゃないかと思うんですよね、これ。やはりもっと、相当、桁が違うぐらいの目標を掲げてそれを造っていかないといけないんじゃないか。
しかも、今の答弁だと、燃料電池車の普及に合わせてと話していましたけれども、これは鶏と卵で、ちゃんとできなきゃやはり普及しないし、じゃ、普及させようといったら、やはり需要をつくらないといけないんですね。放っておいて需要ができるかというと、私はこれはなかなかできないと思うんです。
ですから、今、バスとか大型のトラックの話がちょっとありましたけれども、元々この燃料電池車に適している中距離や大型のバスとか物流トラック、そうしたものから普及を進めるということにして、そうしたものを、例えば、公共交通のバスはみんな燃料電池車にする。東京でも一部ちょっと走っているのを見たことがありますけれども、しかし、本当にたまに見るぐらいですよ。だから、むしろこれは、お金をちゃんと出して政府があれするから、全部公共交通のバスは燃料電池車ですよと。そうやってやれば、そうやってつくり出せば、結局、結果的に、水素ステーションも、ある意味で、例えばそういうものだったら、ある種、水素ステーションを置く場所だって明確にできる、分かるわけですから。
一般に幅広く、一般の普通の乗用車でとなると、それは何キロごととか大変になっちゃうかもしれませんけれども、まず、拠点としていくところを、そういうバスの給油をする場所に置くとか、あるいは物流のトラックであれば何キロごとに置くとか、やはりそういう、かなり政府が計画的に需要をつくり出していく。
そのために、必要なバスや大型トラックとか、そういうものを中心に燃料電池車の導入を、これは民間に任せておくだけじゃ、なかなかやはり今のこの状況の中で、非常に厳しい状況にみんなあるわけですよ。また、公共交通なんかだって、みんなお金もないわけですから、放っておいたらそんなにやはり進まないんだと思います。やはりここは、政府が相当思い切ってそこは進めていくというリーダーシップを取っていくべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
○秡川政府参考人 燃料電池車は、今御指摘いただきましたようなメリットがあります。特に、中長距離を走行するバスとかトラックへ導入するというのは非常に効果的だというふうに考えています。
このため、現在、燃料電池バス・トラックに対して自動車重量税や自動車税を免除するとか減免するということや、あと、燃料電池トラックを導入するような場合に車両価格の三分の二を補助するといったことをやらせていただいています。
引き続き、水素ステーションの整備と両輪で、燃料電池車の包括的な普及というのを進めていきたいと考えております。
○古川(元)委員 進めていきたいというんじゃなくて、これは繰り返しになりますけれども、やはり相当思い切ったことをやっていかないと、遅々としてしか進んでいかないと思います。それでは、これはやはり、目標としていた二〇五〇年のカーボンニュートラルということは実現はできないと思います。
水素の有効性というのはもう相当前から言われていますけれども、なかなか実際にはやはり進んでこなかったというのが現実なんですよね。ちょっと私も先日この話をしたら、燃料電池車なんかは、実は今、普通に買うよりも中古で買うとすごい安く買えちゃうとか、そんなふうになっている。何でかというと、持っていてもなかなか不便だからそういう状況になっちゃっているみたいな話も聞きました。
やはりそういった意味では、燃料電池車の普及には、相当に、これは政府が旗を振ってやるぞ、そのために必要なお金もちゃんとつけるし、あるいは税制の優遇もするぞという、今のやっている措置では、結局、今やっていますよというのをやっていても、ここまでしか普及していないわけです。ですから、これをこのまま続けているだけでは、このスピードでしか進まない。やはりここはもう次元の違う、まさに異次元の対応措置というものを取らなきゃいけない、そういう段階に来ているというふうに思いますけれども。
今のお話を聞いていて、済みません、ここ、大臣、別に通告していないですけれども、どうですか。この燃料電池車、水素社会に向けて、やはりちょっと、もう一段次元の違う、そういうところまで対応していかなきゃいけないと思いますが、そこに向けて是非大臣にはリーダーシップを取っていただいて、それこそ、今の局長からもお話がありましたけれども、バスとか何かのところはとにかく国が金を出すから燃料電池車にしろとか、そういうところまでやっていただいたらいかがかと思いますが、いかがですか。どうですか、大臣。
○斉藤国務大臣 燃料電池車、また水素を使う交通体系というのは、一つはカーボンニュートラルを実現するための柱になると思いますし、もう一つは、日本を支えている産業である自動車産業が未来にわたってリーディング産業であり続けるという意味でも大変重要なことだと思っております。
今日、古川委員のその御提言、非常に重要な視点だと思いますので、その視点をしっかりお聞きいたしまして、今後、カーボンニュートラルが進むように頑張っていきたいと思っております。
○古川(元)委員 ありがとうございました。
大臣が今ちょっと言われた、燃料電池車を進めることは、カーボンニュートラルだけじゃなくて、自動車産業に従事するような人たちの雇用とか仕事を守っていく、やはりそういうことにもつながっていくものだと思いますから、そういった幅広い面でも、これは思い切ってやるということは非常に意味があることだと思いますので、是非リーダーシップを取っていただくことを改めてお願いして、質問を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
○中根委員長 次に、谷田川元君。
○谷田川委員 おはようございます。立憲民主党の谷田川元でございます。
今問題になっています知床遊覧船の事故につきましては後の渡辺委員にお任せいたしまして、私は、洋上風力発電そして東京一極是正について、この二つの柱に関して質問したいと思っております。
まず、洋上風力発電なんですが、一昨年の七月に銚子沖が洋上風力発電の促進地域に指定されました。そして、昨年十二月に三菱商事を始めとする企業連合が落札しまして、二〇二八年九月、ですからまだ六年先なんですけれども、運転開始を目指して今準備を進められております。
実は、四月十八日の日に我が党の泉代表が銚子市を訪れまして、銚子市役所におきまして関係者と意見交換をいたしました。そのときにいろいろ要望が出たんですが、今日はそのうち三つの要望に絞って質問をしたいと思っております。
まず一点目は、港湾整備についてなんです。
銚子市は、何とか地元にある名洗港を洋上風力発電のメンテナンス港にしたい、そういう意向を持っております。
今、港湾整備に関しましては、国が四割、それから地方自治体が六割の費用負担となっております。まず確認したいと思いますが、国の負担が四割ではかなり少ないという感じがしたんですが、こういう場合、地方自治体負担については交付税措置がされるというふうに伺っておりますが、具体的にどういう交付税措置がされるか、お答えいただきたいと思います。
○浅輪政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の名洗港における港湾整備、これは千葉県管理の地方港湾でございますが、ここにおける交付税措置につきましては、地方負担におけます九割に対して公共事業等債が充当でき、地方負担の二割に地方交付税措置が講じられることとされております。
○谷田川委員 分かりました。
地方交付税が、対象になるということなんだけれども、だとしても、実は千葉県の方では、六割の費用負担のうち、もう今から四十年以上前から、県の負担が四三・一五%、市町村が一六・八五%、そう決めているんですよね。二割減ったとしても、銚子市の負担は一三・四八%ですよ。
そうすると、これ、まだ、どういうメンテナンス港にするか、これから設計とかが始まりますので具体的な数字は言えないけれども、大ざっぱに言って五十億ぐらいかかったとした場合、大体、交付税措置されて、銚子市の負担は六億七千万円余りになるんですよ。となると、今、財政状況の大変厳しい銚子市にとってはとても捻出できる金額じゃないんですね。
ですから、この辺、洋上風力発電を本当に促進するのであれば、やはり地元の負担というのを軽減するように検討すべきと思うんですが、いかがでしょうか。
○浅輪政府参考人 お答えいたします。
国土交通省では、経済産業省と連携しつつ、洋上風力発電の導入を推進しているところでございます。
委員御指摘の名洗港でございますが、先ほど申し上げましたとおり、千葉県が管理されておられる地方港湾ということでございます。
千葉県では、銚子市等の地元の御要望を踏まえまして、今年の三月に同港の港湾計画を洋上風力発電設備の保守管理等に対応できるように改訂するとともに、現在、整備手法について検討しているところと伺っております。
この港湾につきましては、前後いたしますが、昨年十二月に委員御指摘の公募で選定された事業者が、洋上風力発電設備の保守管理に使用することを計画しているというところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き、現行の制度を活用しながら、銚子市等での洋上風力発電の導入が適切に行われるよう取り組んでまいりたいと考えております。
○谷田川委員 まだどれぐらいの金額になるかはっきり分かりませんので、今の段階ではそういう答弁しかできないかもしらぬけれども、一つ、地元負担を軽減するということだけは頭の真ん中に置いておいていただきたいなと思っております。
それで、二つ目に聞きたいんですけれども、洋上風力発電の施設ができることで固定資産税が増えます。地方交付税は、固定資産税の増収分の七五%が減額されることになっているんですね、今のシステムでは。そうすると、純増は二五%にしかならない。これでは地方自治体が洋上風力発電を誘致しようとするインセンティブに欠けるんじゃないかと私は思うんですが、もう少し地方自治体に有利になる仕組みにできないか、総務省の見解をいただきたいと思います。
○鳩山大臣政務官 御質問にお答えをさせていただきます。
地方交付税制度においては、自主財源である地方税の税収確保に対する意欲を失わないようにするため、基準財政収入額の算定において、基本的に、標準的な地方税収入の七五%分を算入することとし、税収が増加すれば、手元に残る二五%分が増加する仕組みとしております。
その上で、地方交付税は、団体間の財源の不均衡を調整し、全ての地方団体が一定の行政水準を維持できるよう財源を保障する観点から、国税として国が地方に代わって徴収し、一定の合理的な基準によって再配分するという意味において、地方の固有財源としての性格を有しており、また、使途の制限ができない一般財源であることから、国の特定の施策を奨励するために用いるものではありません。
したがって、委員御質問の、洋上風力発電施設を誘致するインセンティブの観点から当該施設に関わる税収について基準財政収入額への算入率である七五%を引き下げることは、地方交付税の性格から適当でないと考えております。
○谷田川委員 非常に難しいというのはよく分かりました。取りあえず、今、一つ目、二つ目、なかなか難しいような答弁で。
三つ目のお願いなんですけれども、電源立地地域対策交付金について、何とかならないかということなんですね。
資料一を見ていただきたいんですが、今現在は、原子力とか水力、地熱等について対象になっているんですね。昔は火力発電も対象になっていたんですよ。ですから、そのときにやはり、私、政府の政治判断だと思うんですね。いかに電力の安定供給に資するか、そのためにはどの電源を大切にしていくか、時の政府の判断で変えてきたということだと思うので。洋上風力発電については、もう国策としてやっていくんですから、やはりこれは何とか電源立地対策交付金の対象にすべきだ、私はそう思っております。
過去の政府答弁を資料一にずっと載せましたけれども、平沼当時の経済産業大臣は今からもう十数年前の国会答弁で、やはり、地球温暖化防止対策を進める上でも重要なものである、そうはっきりおっしゃっているんですね。ですから、洋上風力発電はまさに地球温暖化を防止する効果的な電源であるのは間違いないんですから、私は、是非、この際、電源立地対策交付金を洋上風力発電も入れてほしいと強く思っております。
枝野大臣、それから梶山大臣も、最近、梶山大臣は去年の二月ですよね、将来は検討し得るものと思っておりますと少し踏み込んだ発言をされましたけれども。あれから一年ぐらいしかたっていませんから、なかなかそれ以上の答弁は難しいかもしれませんが、今日はあえて副大臣にお越しいただきました。細田副大臣、是非、何とかならないか、見解を言っていただきたいと思います。
○細田副大臣 どうもありがとうございます。詳細な過去の答弁資料をいただきまして、本当にありがとうございました。
先生よく御存じだと思いますけれども、電源立地地域対策交付金は、電源開発促進税を財源としておりまして、長期的に安定的な電力の供給を可能とする長期固定電源の設置促進や安全の確保などを図るためのものでございます。現時点では、原子力に加えて、再生可能エネルギーである地熱や水力、それに一部の火力発電施設のみを対象としております。これも先生よく御存じだと思います。法令によってこのような規定がございます。
御指摘の洋上風力については、現在、低コスト化のための技術開発支援などを行っておりますけれども、現時点では、残念ながら、長期的に安定的な電力の供給が可能である長期固定電源には該当しないと考えておりますので、電源立地交付金の対象とはしておりません。
ただし、この答弁資料にもございます、長期固定電源の範囲は技術革新によって変わり得るため、洋上風力発電の取扱いについては将来的には検討し得るものであるというふうに考えております。これは大臣から御答弁を差し上げたとおりでございます。是非、この点について御理解をいただければと思っております。
ありがとうございます。
○谷田川委員 今、技術革新によりできるということをおっしゃっていただいたので、その技術革新を奨励するために、経産省としてもっと積極的にやっていただけませんか。どうですか。
○細田副大臣 ありがとうございます。
カーボンニュートラルの実現については、もう既に二兆円の基金というのを設置いたしまして、今おっしゃったような、いわゆる再生可能エネルギー電源の平準化でありますとか、あるいは蓄電技術の開発、これを積極的に行っているところでございます。
ですから、当然、再生可能エネルギー電源の主力化というものを打ち出しておりますので、それに対応して、各種の技術革新は当然のことながら、当省を挙げて全力で開発してまいりたいというふうに考えております。
○谷田川委員 何とか細田副大臣のリーダーシップで技術革新が実現して、そうすることで長期的安定電源になって、この交付金の対象になるということを強く望みたいと思います。
それで、斉藤大臣に、じゃ、最後、質問したいと思うんですけれども、これはもう、洋上風力発電の法律については経産省と国交省が所管して、まさに政府内でのキープレーヤーの一角が国交省なんですよね。ですから、この洋上風力発電を推進する決意というのを是非大臣からお聞かせいただきたいと思います。
○斉藤国務大臣 風力、そして、特にその主流を占める洋上風力については、世界におけるこれまでの実績からして、まさに再生可能エネルギーの切り札になるもの、このように認識しております。
その上で、国土交通省としての役割ですけれども、これまで、港湾区域及び一般海域において発電事業者に海面を長期間占用させる制度を創設し、促進区域の指定や、地域経済への波及効果も踏まえた事業者選定などの手続を着実に進めております。加えて、洋上風力発電設備の建設、維持管理に不可欠となる基地港湾を指定し、整備を進めているところでございます。
洋上風力が、カーボンニュートラルに向けて、再生可能エネルギーの主力になるということでございますので、しっかり国土交通省も経済産業省と連携して頑張っていきたい、このように思っています。
○谷田川委員 今日は大きく三つのお願いをさせていただきましたが、どうも交付税については一番難しいかなという感じがしました。でも、三つのお願いのうち、せめて一つや二つは是非実現していただきたいなということを強く申し上げて、この問題については終わります。
副大臣それから政務官、退室いただいて結構です。ありがとうございました。
それでは、東京一極集中の是正について質問したいと思うんです。
お手元の資料二、三というのを見ていただきたいんですが、実は、今年の二月に、ある超党派の勉強会に私は出席いたしまして、国土交通省の技監をお務めになられた大石久和先生の話を聞くことができました。そのときに私は非常に、目からうろこというか、すごく衝撃を受けました。
まず、資料二を見ていただきたいんですけれども、全人口に占める最大都市圏の人口の推移というこの資料ですね。カラーでグラフがあると思うんですが、これは大石先生から御提供いただいたんですが、東京、パリ、ロンドン、ニューヨーク、ローマ、ベルリンと、六都市の割合がずっとグラフ化されているんですが、パリ、ロンドン、ニューヨーク、ローマ、ベルリンというのはほぼ一定のパーセンテージなんですね。それに対して、日本というのは、ずっと東京圏の割合が増えちゃっているんですよ。
あと、資料三を見ていただきたいんですけれども、地震力の違いと出ていますけれども、フランスとかアメリカとかドイツというのは地震を考慮する地域というのは本当に少ないんですけれども、もう日本は全てなんですね、全国土、地震に対してしっかり考慮しなきゃいかぬという地域なんですよ。
それで、大臣、首都直下型地震等で、今後三十年以内に七〇%の確率で大規模地震が発生する、そういう予測もされております。今、この表を見ていただいたとおり、ますます東京圏の人口はこんな割合で増えていますので、もし関東大震災規模の同じような地震が起きたら、当時よりも被害が深刻じゃないか、そういう危機感を大臣はお持ちじゃないかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○斉藤国務大臣 首都直下地震では、資産等の被害や経済活動への影響が九十五・三兆円に上るなど、甚大な被害が想定されております。
このため、現行の国土形成計画では、首都直下地震や南海トラフ地震等による被害を最小化し、迅速な復旧復興を可能にする観点から、東京圏に集中する人口及び諸機能の分散を図るとともに、首都機能を始めとする中枢管理機能のバックアップ体制の整備等を推進する、こういう基本的な考え方で、今、国土形成計画、議論をしているところでございます。
東京一極集中の是正を進め、大規模災害の発生により危機的な状況が生じないような対策を推進していきたいと思っております。
○谷田川委員 資料四を見ていただきたいんですが、平成四年に国会等の移転に関する法律というのが制定されました。その前文を私読んだんですけれども、皆さん、資料四に、下線のところを、私引きましたので、ここだけでも今、目を通していただきたいと思うんですが、中枢機能が東京圏に過度に集中したことにより、大規模災害時における危険の増大等、問題が深刻化する一方で、阪神・淡路大震災による未曽有の被害の発生により、大規模災害時において災害対策の中枢機能を確保することの重要性について改めて認識した、一極集中を排除し、多極分散型国土の形成に資するとともに、地震等の大規模災害に対する脆弱性を克服するため、国会等の東京圏外への移転の具体化について積極的に検討を進めることは、我が国が新しい社会を建設するための極めて緊要なことであると。
その後、東日本大震災も起きているわけですよね。そうすると、なおさら、こういう気持ちを我々全ての国会議員が持たなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、この法律は私はまだ廃止されたと聞いていないので多分有効だと思うんですが、現状どうなっていますか。
○松本政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、この平成四年に制定されました国会等の移転に関する法律は、現状も有効でございます。
この国会移転の議論につきましては、平成十一年十二月二十日に候補地の答申というものが審議会から行われたところでございまして、その後、この御議論というのは一貫して国会主導で検討が行われてきたというところでございます。平成十六年十二月には、国会等の移転に関する政党間の両院協議会において座長とりまとめというものが行われておりまして、先ほど御指摘ございましたような分散移転や防災、とりわけ危機管理機能の中枢の優先移転などについて考え方を深めていくことが課題、そのような内容を含めまして取りまとめがされた後、国会での具体的な議論というのは止まっている状況にあるというふうに認識をしているところでございます。
○谷田川委員 この法律を所管する省庁は国交省であるけれども、しかし、これは議員立法で、国会主導でやってきたので、国交省の方からイニシアチブを取ってやる意向はない、そういうふうに私は理解したんですが、そういう理解で、大臣、よろしいんでしょうか。大臣に聞きたいと思います。
○斉藤国務大臣 今、政府委員が答弁しましたように、今、国会の議員立法、この議員立法が生きている状況の中で、今、国会で中心に議論が進められている、このように認識しておりまして、我々、その議論に、国土交通省としては、先ほど申し上げた危機感を持って参画していきたいと思っております。
○谷田川委員 はい、分かりました。
これはもう、全ての今日いらっしゃる会派の皆さんに問題意識を持っていただきたいということを提示したいと思いますが。
それで、本当に東京一極集中を考えるのであれば、私は、やはり都市人口の過密を誘発する施策はなくすべきであると思っています。
タワーマンションに補助金が出ているとのことですけれども、二〇一四年から地方創生ということが政府を挙げてうたわれましたよ。あれからもう八年ぐらいたとうとしていますけれども、じゃ、それから今年度予算まで、総額で幾らタワーマンションに補助金が使われているか、教えてください。
○淡野政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省におきましては、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新、さらには防災性の向上を図ることを目的に、老朽化した低層建築物等が密集している地区等につきまして、細分化された敷地をまとめて高度利用し、耐火性の確保された建築物を整備する市街地再開発事業等に対して補助を行ってきてございます。
この補助を受けて整備された建築物には、委員御指摘の超高層住宅、いわゆるタワーマンションも含まれていると承知しております。
市街地再開発事業につきましては、地方公共団体と連携して、主として交付金により支援を行っておりますため、お尋ねの二〇一四年度から今年度まで市街地再開発事業等の補助を受けて整備された超高層住宅に対する補助の総額につきましては、事業ごとの決算額を個別に地方公共団体に確認する必要がございます。
このため、現時点において国としては総額を把握しておりませんけれども、御指摘を踏まえ、市街地再開発事業等による超高層住宅に対する補助の実態把握に努めてまいりたいと存じます。
今後とも、地方都市における……(谷田川委員「分かった、終わり、いいです。長いので。もう分かりました、結構です」と呼ぶ)はい。
○谷田川委員 いや、私は総額を聞いたので、総額が分からないと一言言ってもらって、これから調べますよ、そう言ってくれればいいんですよ。
私がなぜそれを聞くかというと、地方創生と言われても、うまくいっていると思っている方、私、ほとんどいないと思いますよ。なぜできなかったかということを検証する必要があると思うんですよ。このタワーマンションに対して補助金が出ているということ自体も、やはり私は大いに検証すべきことだと思います。
ですから、本当に東京一極是正をこの政権でやるのであったら、是非、人口過密をもたらすような施策というのは全面的に見直す、そういう姿勢が必要だと思います。
そして、こういった東京過密をもたらすような施策に充てる財源があるのであれば、それを私は地方創生に回すべきだと思いますが、斉藤大臣の見解を伺いたいと思います。
○斉藤国務大臣 その補助金云々という話もございますけれども、先ほど申し上げましたように、現在、国土交通省で進めております新しい国土形成計画の議論においては、まさにこの東京一極集中をいかに是正するかということが一番大きなテーマでございます。
私自身、地方で生まれて地方で育って、東京に出てきて、東京と地方の余りの格差に、やはり、地方に生まれ育ったら、一遍東京に出て暮らしてみたいと思うのが自然な感情です。
そういう感情もあることも踏まえながら、しかし、地方の魅力を上げていくことで、いずれまた地方に帰っていくという流れをつくること、地方に生まれた人間は、一遍は東京に出てみたいという気持ちがあるんですよ。だから、そういう気持ちも踏まえながら、どうやって地方の魅力を上げていくかということが重要だと思いますので、その観点でこの国土形成計画を作っていきたいと思っています。
○谷田川委員 大臣のお気持ちは私も共有いたします。私も田舎の人間だと思っていますのでね。
もう時間がないので、私の要望を一つ皆さんにお聞きいただきたいんですが、東京圏というと、神奈川、千葉、埼玉、東京なんですよね。私も千葉県、東京圏になっちゃっているんですが、しかし、千葉県でも過疎地域もあるわけですよ。だから、東京圏といって、全て都会だと思わないでいただきたい。やはり過疎もあるんだ、そこに対する地方創生も大事だということを是非頭に入れていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○中根委員長 次に、渡辺周君。
○渡辺(周)委員 まず冒頭に、航空業界への支援について伺います。
コロナによる需要の大幅減、そしてロシアによるウクライナ侵攻、あわせて燃料高という中で、原油価格・物価高騰等総合緊急対策が策定をされました。
今後、いまだ非常に大きな影響を受けている航空業界に対して、総額でどれぐらいの支援になるのかということについてまず伺いたいと思います。
○久保田政府参考人 お答え申し上げます。
委員がおっしゃったのは、原油高対策ということだと思います。
今般、四月二十六日に、原油価格・物価高騰等総合緊急対策が取りまとめられまして、長引く原油価格の高騰、乱高下が、コロナ禍からの経済回復や国民生活への悪影響を与えることを防ぐ観点から措置されました燃料油価格の激変緩和事業の対象油種として、今般、航空機燃料が追加をされたところでございます。
また、先月、四月二十八日には、予備費を使用しまして、この激変緩和事業の総額としまして二千七百七十四億円が措置をされるということが閣議決定をされてございまして、航空機燃料に係る支援も、この内数で措置をされるということでございます。
○渡辺(周)委員 この問題については以前からずっと言ってきているんですけれども、先般のゴールデンウィークは国内線を中心にやや需要は持ち直したという、今回、初めて、これは三年ぶりに行動制約がないゴールデンウィークということで各地にぎわったんですけれども、しかし、大変、年初からのオミクロン感染拡大によって、非常に決算が厳しいという状況です。
そうした中で、入国者の上限を一日一万人から二万人に緩和する検討に入って、六月にも実施というような報道がございます。
この水際対策の緩和と、インバウンド復活のためにもどのような緩和措置を取っていくのか、そして、国際線の需要回復のために国土交通省はどう取り組んでいくかということについて、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○久保田政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘の水際対策につきましては、感染拡大の防止と社会経済活動のバランスを取りながら、段階的な緩和が進められているところでございまして、直近では、四月十日から、一日当たりおおむね一万人をめどとして……(渡辺(周)委員「そんな知っていることはいいよ、聞いたことに答えて」と呼ぶ)はい。こうした中で、連休後の感染状況をしっかりと見極めた上で、六月にも、G7諸国並みに円滑な入国が可能となるよう、水際措置を見直していくというものと承知をしてございます。
六月以降の水際対策の具体的な在り方につきましては、検疫体制や防疫措置の実施状況等を勘案しまして、新型コロナウイルス感染症の内外の感染状況、主要国の水際対策の状況等を踏まえながら、政府全体で検討していくものというふうに考えてございます。
国土交通省といたしましても、引き続き、厚労省等を始めとする関係省庁と連携をするとともに、この検疫の実施に必要な協力を航空会社や空港会社と連携して適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。
○渡辺(周)委員 ゴールデンウィークにハワイへ行かれる方が回復をされて、相当、大手航空二社がほぼ満席のようなことも報道されていました。少しずつコロナ前に戻っていくのかなという中で、大きな日本の成長戦略でありますインバウンドに対して、今のうちに戦略的に、是非、コロナ前に戻すべく、やはり準備をするべきだと思います。
そのためにも様々な施策が必要なのは言うまでもなくて、例えば、空港における手続の煩雑さでありますとか、あるいは、入国してから、いわゆるキャッシュレスで対応できる、特に地方都市、あるいはWiFiの整備とか、またこれは改めて質問したいと思いますが、今のうちに徹底してやはり準備をしていくことを、そしてまた、航空業界に対して、そのためにも経営が健全に進むように支援されることを要請して、次の質問に移りたいと思います。
一昨日、知床でのカズワン沈没事故を受けまして、第一回目の専門家会議が開催をされました。そこで今後いろいろな点について、専門家によって様々な意見や質問も出されてスタートしたということでございますが、報道によれば、何か夏までに中間報告を取りまとめて、年内にも結論を出すんだということなんですが、率直に言って、このスケジュールは遅過ぎませんでしょうか。これは、七月中に中間取りまとめをして、年内に安全対策を取りまとめるということなんですね。そして、その後に、例えば海上運送法や船舶安全法を改正するということなんでしょうか。
その辺について、大臣、そんな緩いスケジュールで大丈夫なんですか。
○高橋政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘いただきました知床遊覧船事故対策検討委員会は、五月十一日に第一回の会議を開催いたしました。(渡辺(周)委員「そんなことは知っています。そんなことは言わなくていいです」と呼ぶ)はい。
こうした悲惨な事故が二度と起きることがありませんように、事業参入の際の安全確保に関するチェックの強化、安全管理規程の実効性の確保、監査・行政処分の在り方、船員の技量向上、船舶検査の実効性の向上、設備要件の強化、利用者への安全情報の提供など、あらゆる角度から徹底的に事故防止対策を検討し、精力的に議論を重ねて、七月には中間取りまとめを行う予定といたしております。
また、国土交通省といたしましては、この検討委員会で一定の方向性を得た安全対策につきましては、取りまとめを待つことなく、順次速やかに具体化に取り組んでまいることとしてございます。
加えまして、現行規制の確実な遵守を図るため、五月十日よりは、運航基準や通信設備に係る小型旅客船の緊急安全対策を実施してございます。
今後も、現行規制の下で実施可能な安全対策につきましては、検討委員会の取りまとめを待つことなく、別途、その実施を進めてまいる所存でございます。
国土交通省といたしましては、可能な限り早く、小型船舶での旅客輸送における実効性のある安全対策の強化に取り組んでまいります。
○渡辺(周)委員 今、具体化とおっしゃいましたので、それは法改正ということですか。
○高橋政府参考人 お答えを申し上げます。
具体的な対策につきまして、法令の手当てが必要なものにつきましては、それぞれに対応した手当てをさせていただきたく存じております。その内容によります。
よろしくお願いいたします。
○渡辺(周)委員 ですので、そのスケジュールは遅過ぎないか。夏の、これから夏休みになったり、秋の観光シーズンもあれば、そんな悠長なことを言っていられないと思うんですね。
ですから、七月の中間取りまとめをしたら、あるいはその取りまとめを待たなくても、直ちに具体策に、例えば政令の改正でありますとか、何か早急にできることはやるということでよろしいんですか。大臣、いかがですか。
○斉藤国務大臣 私もこの第一回の検討会議に参加させていただき、全員の御意見をお伺いいたしました。
これから、先ほど海事局長が申し上げましたとおり、かなり多岐にわたる議論がございます。しかし、その一つ一つについて、一週間に一遍はこれから会議を開いていきたいという座長のお考えのようでございますので、結論が出たものについてはその中間取りまとめを待たずに、一つ一つ結論を出し、方向性を出し、それに伴って、政令改正が必要なものであれば政令改正、法体系にまで触れるものであれば今後の法体系の変更に向けての準備等を進めていきたい、このように思っております。
今御指摘の点、遅くならないように、しっかりこの検討会議と連携を取りながら作業を進めていきます。
○渡辺(周)委員 この後に同僚委員からも質問があるかもしれませんが、例えば、通信手段についても不備があった、なぜそれを認めてしまったのかという点、あるいは、運航管理者の選任についても要件を満たしていなかったのではないかというようなことについて報道されています。
そうした事業者に伺えば、例えば、船員手帳を持っているかどうか、それを添付して届出をすれば、本当に船に乗ったかどうかというのは分かるはずで、そんなものは申請者の言うことを聞いて、まさに通信手段がそうでした、auの携帯の通話エリアの地図をつけて、見せられて、ここにこう書いてあるから大丈夫です、実地の検査をしなくても通ってしまっていた。あるいは、先ほど言ったような運航管理者の選任、要件を満たしているかどうかということについての客観証明が、何らかの形で客観的に示されなくても、申請がそのまま、届出があれば通ってしまっていたということでございます。
大臣、現地で副大臣が、オンラインで十一日の第一回会合に参加したときに、被害者の家族からは、運航会社の安全管理体制がずさんだった点、そしてまた、国の基準や検査監督が適切であったか、チェック体制の不十分さも指摘されている、御遺族の方からこのように意見をいただいているということを副大臣がその場でも報告されたと思うんですが、大臣、なぜ国のチェック体制が不十分だった、今指摘をされているようなことについてはどうお考えでございますか。
○斉藤国務大臣 今回事故を起こした知床遊覧船は、昨年五月と六月に海上の浮遊物への接触や浅瀬への乗り上げを起こしており、事故後に北海道運輸局が特別監査を実施しております。特別監査の結果、昨年七月、この会社に対して指導を行い、昨年十月には、北海道運輸局職員が、事前の連絡なく抜き打ちで本船及び事務所を訪問し、改善内容について確認をするなどしているところです。
しかし、こうした取組を行っておるのにもかかわらず、なお今回の事故が発生したということを真摯に受け止め、二度とこのような悲惨な事故が起きることがないように、御家族のお気持ちをしっかりと受け止め、救命設備の基準や船舶の検査方法が十分だったのかとの点も含めて、今回の検討委員会で議論をし、必要な措置を講じてまいりたい、このように思っております。
○渡辺(周)委員 現在も厳しい環境の中で救難捜索活動をされている海保や関係する皆様方に、心からの本当に敬意と感謝を申し上げたいと思います。
その反面で、行政側がこうした業者の、正直言って、不十分な点がスルーされていたこと、これについてはやはり大いなる反省をしなきゃいけないし、絶対にこれを繰り返してはいけないと思うんです。
そういう意味では、やはりこれは事故を起こした、第一義的に一番悪いのはこの運航業者であり、出航の判断をした船長だとは思いますが、反面で、このようなずさんな管理をそのまま、運航業者として認めていたという行政に対しても、私は、犯人捜しとは言わないけれども、なぜこういうことが起きていたのか、何か常態化して、なでるような監査や、なでるような検査をして、何となく通してしまったのかどうか、何か甘えだとか忖度みたいなものがなかったのか、そこをちゃんとやはりしっかり調べていただきたいというふうに思うんです。
それで、更に伺いたいのは、このカズワンの引揚げはいつになるんですか。もう既にサルベージ船が今網走港に向かっているというような報道もあります。いわゆる飽和潜水と呼ばれる、水深の深いところで対応できるような調整をしてから様々な調査に入ると聞いていますが、今、その船体は、分かる限りで現状どうなっているのか、ちゃんと原形をとどめているのかどうかですね。
つまり、引き揚げてみないと分からないことがたくさんありますので、この船体を何とか現状のまま引き揚げることができるのかどうかということ、それから、これはいつ大体着手になるのか、その点についてのめどを教えていただきたいと思います。
○島田政府参考人 お答えを申し上げます。
四月二十九日に知床の沖海底にて発見されましたカズワンの調査に関しまして、現在、委員御指摘のとおり、サルベージ業者、専門的な事業者の遠隔操作型の無人潜水機、ROVといってございますが、これにより、まずは行方不明者の捜索といったようなことを行ってございます。
それに続けて、船体引揚げ等にも向けた船体の詳細な調査を現在実施をしているところでございます。
これまでの調査において、カズワンは、水深約百二十メートル付近の海底において、船底が海底についた状態でやや傾いて沈んでいるということが確認をされてございます。
今後は、さらに、今委員御指摘のありました民間の潜水士による行方不明者の捜索を行うとともに、船体の引揚げにも向けた船体調査等を予定をしているところでございます。
なお、船体の引揚げにつきましては、サルベージ業者により、船体調査等をまさに現在実施中でございまして、現時点で、めど等については確たることは申し上げられない状況でございます。どうぞ御理解いただきたいと思います。
○渡辺(周)委員 だから、大まかな、何月何日に引き揚げますとは別に聞いていないんです。そんなお答えできないじゃなくて、そうしたら、いつになるか分からないじゃないですか。その間に、その唯一の証拠品であるこのカズワンが、水深百三十メートルのところで損壊したりすることだってあるわけですよね。そうすると、ますます真実の究明から遠ざかってしまう。
その点についてはどうなんですか。それは無理をしてやれとは言いません。潜水する方の、例えば健康を害してもいけないし、何か二次災害があってもいけないことは百も承知です。ですけれども、大体めどとしてどれぐらいのことを考えているんですか。そこだけお答えいただけますか。
○島田政府参考人 先ほどお答えを申し上げたとおりでございますけれども、今後、民間の潜水士によりますいわゆる飽和潜水という方法も用いまして行方不明者の捜索を行うとともに、船体に関する詳しい調査を現在行ってございます。その中で、引揚げそのものがまず技術的に可能かどうか、どのような手法を使えばよいのか等々も含めて、引揚げを決定する前に、こういった引揚げに向けた課題を整理する必要がございます。
現時点で、なかなかこの引揚げのめどを申し上げることは非常に難しいと考えてございます。何とぞ御理解をいただきたいと思います。
○渡辺(周)委員 それは、引揚げができないこともあり得るということに理解してよろしいんですか。
○島田政府参考人 現在、船体の状況等を詳しく精査をしているところでございます。その結果に基づいて判断をしてまいらなければならないと考えてございます。
○渡辺(周)委員 是非そこは何とか、可能な限りしていただきたいと思います。
例えば、社長は、鯨との衝突の可能性なんかに言及しているんです。私も現地に行きまして現地の方に聞いたら、この時期の鯨なんて聞いたことがないという方もいらっしゃいます。そうすると、一体何が原因だったのか。とにかく、最後、船が三十度ほど前に傾いているというようなことを言う。別の報道では、船体に傷が残っていたというようなこともある。船を揚げなければ全く分からないんですね。
そこで、そういうことがありながらも、この社長は、引揚げ費用は何か捻出できる、船の保険から出るなんということをおっしゃっていて、ちょっとどういう発想で出てきたのか分からないんですが。
このカズワンは、知床遊覧船は、一般社団法人日本旅客船協会に加盟しているのかどうか。そこに加盟すると、特典として船客傷害賠償責任保険に入る、そういう特典が書かれているんですが、そもそも、ちゃんと保険に入っていることは間違いないんですか。そしてまた、こうした団体に所属しているのかどうか、そこの点はどうなんですか。
○高橋政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘の有限会社知床遊覧船は、旅客船事業者の業界団体でございます日本旅客船協会、あるいは北海道地域における地域別の業界団体であります北海道旅客船協会のいずれにも加盟してございません。
ただ、委員御指摘の船客傷害賠償責任保険につきましては、当該会社は保険に加入をいたしてございます。
○渡辺(周)委員 保険に加入をして、何らかの形で支払われるということは間違いないということでよろしいですね。確認しました。
それで、引揚げをするとなった場合に、これは当面、当たり前ですけれども、事故の直接的な原因を特定するためにも、当然、この船体の回収は重要であることには、私どもは異論はありません。
ただ、問題は、この引揚げの費用が、いろいろ見ますと、相当な金額になる。これを公費で負担をするということになった場合、相当な説明責任が必要だし、当然、その分、これは代執行、盛土の議論のときにした代執行ではありませんけれども、やはり事業者に対してその分の当然請求もする、私財を売却してでもその費用を捻出させろ、当たり前だと思うんですけれども、この点について、引揚げの費用に対して、運航事業者に対して当然負担を求めるということでよろしいかどうか、そこだけ確認します。
○島田政府参考人 お答えを申し上げます。
引揚げに要する費用につきましても、どの程度になるのか等々、これも現在まだ確定をしているものではございません。
さらに、引揚げを実際に行うとなった場合の費用の最終的な負担者につきましても、今後、関係機関とも協議をして検討してまいりたいと思ってございます。
○渡辺(周)委員 時間がなくなりました。
それで、今後、引揚げ後の活動においても、この周辺の海図はあるのかということについて伺いました。
といいますのも、第一管区のホームページを見ますと、ウトロから知床半島までの海図がなくて、昨日その指摘をしたら、大きい地図を持ってきてくださいました。ただ、それは国後島及びその付近という、知床半島全体から羅臼側も入っているような大きな海図だったんです。
この海図、詳細に、だって、この船は座礁も前回しているわけなんですよね。この点について、海図の存在についてはいかがですか。詳細なものはあったんですか。
○奥島政府参考人 お答えをいたします。
船舶の航行安全を確保するため、船舶に搭載されるものとして、航海用海図、これと航海用参考図、この二種類がございます。
このうち、航海用海図につきましては、国際基準、これに基づく……(渡辺(周)委員「そんなことはいいから、結論だけ、あったかないかだけでいい」と呼ぶ)ございます。
○渡辺(周)委員 この船は積んでいますか。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
船舶安全法におきまして、海図は、航行する海域の状況をあらかじめ把握するための航海用具でございます。航行する海域が狭い範囲に限定されている場合を除き、その備付けが義務づけられてございます。
一方、カズワンを含みます限定された水域を航行する船舶の船長は、通常、その範囲の海域状況を習熟しており、それを把握した上で航行することが可能であることから、現行法制において海図の搭載は義務づけておらないところでございます。
○渡辺(周)委員 質疑時間が終了しましたので、続けての質問は同僚委員に任せることにして、また改めて、この問題については大臣と質疑をしたいと思います。よろしくお願いします。
以上でございます。
○中根委員長 次に、城井崇君。
○城井委員 立憲民主党の城井崇です。
今回も質疑の機会をいただき、誠にありがとうございます。
大臣、今日もよろしくお願いいたします。
私からも、まず、知床遊覧船事故について国土交通大臣にお伺いいたしたいと思います。
改めて、お亡くなりになられた皆様に哀悼の意を表するとともに、連日捜索活動に当たる関係者の皆様に感謝をし、そして、行方不明の皆様の一日も早い発見、事実の確認、原因究明、再発防止に向けて、国会からも皆様と御一緒に全力を挙げたいと思います。立憲民主党におきましても、事故検証チームをつくり、取り組んでいきます。政府におかれましても、真摯な御対応をお願いできたらというふうに思います。
さて、大臣、通告はしていないんですが、この件で、まず、報道で接した部分について確認をしたいと思います。
被害者のリュックをロシアが確保していて、サハリンにあるという報道がございました。今のところ、日本政府からの対応をいただいているけれども、まだ返却のめどがないということでした。
これは、政府を挙げてきちんと御対応いただけるということでよろしいでしょうか。
〔委員長退席、塚田委員長代理着席〕
○斉藤国務大臣 外交ルートを通じて、きちんと要求をしていきたいと思っております。
○城井委員 中に入っていた銀行のカードでお名前も分かったということでございましたので、一日も早い返還を、是非実現をお願いしたいというふうに思います。
それでは、質問に入ります。
まず、今回の事故に対する初動対応について伺います。
通報後、海上保安庁が現地到着するまでに約三時間かかっています。理由は何でしょうか。給油に戻ったため遅れたとの情報がございますが、警察や消防のヘリを要請する、あるいは民間協力を依頼するなど、他の組織との連携で初動対応を早めることができたのではないかというふうに考えます。
あわせて、お手元の資料を御覧いただきたいと思います。昨日発行、公表となりました最新の海上保安レポート二〇二二から引用をいたしました。
海上保安庁のヘリや機動救難士など、救助体制が手薄な地域がございます。特に、北海道北部及び東部、そして鹿児島県の一部に、一時間以内に対応することが前提になっていない地域が存在をしています。今回も、釧路から海上保安庁のヘリが向かったというふうに聞きましたが、現場で様々なカバーを試みていただいておりますけれども、元々、このように初動対応には懸念があった地域だったというふうには言えると考えます。
これらの初動対応の見直しを、大臣、どのように行っていくでしょうか。お願いします。
○斉藤国務大臣 まず第一点目の、到着に時間を要した理由でございますけれども、ヘリコプターからのつり上げ救助等を行う要員を同乗させる必要があったことに加え、悪天候が重なり、航空機等の現場海域の到着に約三時間を要する結果となりました。
それから、関係機関との連携強化でございますけれども、今回、海上保安庁では、遊覧船カズワンの海難情報を受け、直ちに巡視船艇、航空機等に対して発動指示を行うとともに、関係機関や漁業関係者等に対し情報提供等を実施してございます。
その上で、海上保安庁においては、迅速な人命救助のために、自衛隊や警察等への協力要請や連携協力について、もっと初動対応を早めることができたのではないかという御指摘もございました、この点、点検をして、改善をしてまいりたいと思っております。
それから、迅速な人命救助体制の構築でございますけれども、本事案が発生した北海道東部海域は、海上保安庁が捜索救助を実施する場合に、現状において、ヘリコプターからのつり上げ救助を行う機動救難士等がヘリコプターに同乗し、出動してから約一時間で到達することができない海域であり、このような海域は、同海域のほか、北海道北部及び奄美大島北部海域の計三海域存在しております。
海上保安庁では、迅速な人命救助体制の構築が必要であると考えており、海難救助体制の在り方に関し、航空基地へのヘリコプターの配備や、機動救難士が配置されていない航空基地への機動救難士の配置等を含めた検討を進めており、捜索救助活動に万全を期してまいりたいと思っております。
〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕
○城井委員 やはり初動対応で、元々対応できるめどが立てられていなかったという点は重いというふうに指摘をせざるを得ません。今、検討ということでございましたので、検討を急いでいただいての迅速な対応を改めてお願いしたいと思います。
続いて、今回の事故での捜索活動への協力者に対する支援についてお伺いをいたします。
海難救助活動に出動した救難所やボランティア救助員に支給される日本水難救済会救助出動報奨金は、大変ありがたい民間の制度だと考えています。今回の海難救助活動への協力者にも支給される見込みとの認識でおりますが、ただ、これまでの支給実績などに照らしますと、今回御協力いただいた船に差し上げるには、一日の燃料代にもほど遠い金額だというふうに聞きました。長期化している今回の捜索活動に協力いただく漁船や観光船への燃油等の費用補助を国として行うべきだと考えます。
事前に国土交通省と話したときには、制度がないという一言から入ってしまったものですから、それは違うんじゃないか、どう努力できるか、工夫できるかというところから検討いただくべきだというふうに思います。
大臣、これは是非補助しようということで、御決断をお願いできないでしょうか。
○斉藤国務大臣 まずは、地元の漁船や観光船の方々には、事故発生の翌日から長期間にわたり行方不明者の捜索に御尽力いただき、深く感謝を申し上げたいと思います。
一般的に、海難救助については、古くからシーマンシップに基づく相互扶助の精神にのっとり行われており、本件捜索に当たっている地元の漁船等にあっても、同様の精神にのっとり、御協力いただいているものと認識しております。
議員御説明のとおり、日本水難救済会では、救助員の捜索活動への協力に対し、この趣旨に沿い、出動報奨金の交付事業があるものと承知しております。
一方で、捜索活動への協力者に対する国からの支援については様々な御意見があるものと認識しており、まずは、海上保安庁において、日本水難救済会が行う水難救済事業に対する支援や協力を充実させてまいりたいと思っております。
○城井委員 では、日本水難救済会の事業についての支援は増強する、海上保安庁に指示して増強するという認識でよろしいですか。
○斉藤国務大臣 充実させていきたい、このように思っております。
○城井委員 是非お願いしたいと思います。実態に見合う支援をお届けできるように、努力をお願いしたいと思います。
続きまして、今回の事故における連絡手段の確保について伺います。
知床遊覧船の事務所の無線は、アンテナが折れていて使えませんでした。遊覧船搭載の衛星電話は故障していました。隣接する運航会社と無線でやり取りが可能なので出航を停止しなかったと今回の遊覧船の社長が説明をしていますが、他社に万が一の対応を頼んでもおりませんし、社員を、無線が通じる他社の事務所に詰めさせてもいませんでした。
大臣、事業者自らが、船と陸上事務所との間で常時連絡可能な状況にしていなかった点を国土交通省は把握していたんでしょうか。この状況は、法律に照らしていかがでしょうか。大臣、見解をお願いします。
○斉藤国務大臣 船と陸上事務所との間で常時連絡可能な状態にあったか否かについては、日本小型船舶検査機構が、四月二十日に船舶安全法に基づく中間検査を実施した際に確認していますが、事業者から無線設備を携帯電話に変更したい旨申出があり、陸上との間で常時通信できるとの申告を受けたこと等から、この機構において、法令上の、常に直接陸上との間で船舶の運航に関する連絡を行うことができるという要件に適合していると判断し、変更を認めたとの報告を受けております。
○城井委員 問題の一つはそこなんです。日本小型船舶の機構、いわゆるJCIですが、ここによる携帯電話に係る検査についての部分にやはり不備があったのではないか、この連絡手段の確認として不備があったというふうに考えています。
この陸上との常時通信可能かという点について、船長からの口頭での申告と、海上での電波が入る旨の漁業関係者からの情報を根拠に、裏づけ確認もせずに、航路の一部が通信エリアでカバーされていない携帯電話を通信設備として認めていたということを国土交通省から聞き取りをしています。
大臣、この口頭の申告ですとか、裏取りもない第三者情報を根拠にした形での確認というのが、法律に照らして適切だったんでしょうか。これは違法じゃないでしょうか。大臣、見解をお示しください。
○斉藤国務大臣 カズワンの携帯電話では実際に通信できなかったと推測されることから、日本小型船舶検査機構の検査方法は十分ではなかった、このように考えております。
そのため、五月九日に、機構に対し、携帯電話に関する検査方法の改善を指導し、速やかに改善されたところでございます。
また、五月十日に、小型旅客船の緊急安全対策を実施し、機構において、携帯電話を通信設備とする全事業者について、航路全域が通話可能であるかを確認し、通話可能であることが確認できない場合には、常時通信可能な通信設備へ速やかに変更するよう事業者に要請するとともに、変更に応じない場合は、国土交通省から直接変更を求めることとしております。
今回、検査方法が十分ではなかったというふうに考えておりますので、現在進めております検討委員会で、では、どういうふうに改めていいか、早急に結論を出して、また改正していきたい、このように思っています。
○城井委員 今ほど指摘をしたことに加えて、本当に多くの課題がございます。来週の国土交通委員会の質疑でもただしてまいりたいというふうに思いますし、国会におきましても、各種ヒアリングでまた御協力をいただきたいというふうに思いますので、引き続き、この点はただしてまいりたいと思います。
次に参ります。
トラックの駐車環境を改善する取組について伺いたいと思います。
長距離ドライバーにとって重要な休息、休憩のための施設である高速道路のサービスエリア、パーキングエリアにおける大型トラックやトレーラー、ダブル連結トラック、これは二十五メートルフルトレーラーが想定ですが、こうしたものの駐車スペース不足は、大都市周辺を中心に、依然として全国のサービスエリアやパーキングエリアで生じています。
これは、高速道路の混雑によるものだけではなく、市街地等における駐車場所の確保が難しいことも原因の一つなのではないかとの声があります。
例えば、貨物の配達先である店舗や商業施設において十分な荷さばき駐車場が確保されていないことから、場合によっては、路上駐車に依存せざるを得ない状況があるとのことです。その結果、時間調整や休憩をする場所も確保することが困難であることから、貨物の配達先の近くにあるサービスエリア、パーキングエリアを利用することも多いと聞いています。
現状では、トラックの駐車場所の確保について誰が責任を持って取り組むのかというのが不明瞭な状況です。トラックの駐車環境を改善するためには、高速道路のサービスエリア、パーキングエリアなどの施設の充実はもちろんのこと、市街地等における駐車場所の確保についても併せて取り組んでほしいというのがトラック運輸産業を担う現場の皆さんの声です。
そこで、国土交通大臣に伺います。
サービスエリア、パーキングエリアの施設の充実や大型等の駐車升の増設はNEXCO各社によって徐々に進められていますが、いまだ十分ではありません。国として、高速道路のサービスエリア、パーキングエリアの施設の充実や、大型等の駐車升の増設と十分なスペースの確保、道の駅の施設の充実、トラックステーションの再構築など、トラックの駐車環境を改善するために具体的な後押しをすべきだと考えますが、大臣の見解をお願いします。
○斉藤国務大臣 駐車環境の改善は、トラックドライバーの疲労回復という意味でも大変重要だと思っております。
まず、高速道路についてですが、高速道路の休憩施設については、二〇二一年度末時点で、NEXCO三社が管理する全国八百二十八か所の休憩施設には駐車升が約八万台分ございますけれども、そのうち、大型車用の駐車升は約三万台分となっております。
現在、トラック関係団体から大型車用の駐車升の拡充の要望をいただいていることから、NEXCO三社では大型車用の駐車升の拡充に取り組んでおり、具体的には、二一年度には、四十三か所の休憩施設において約九百台分の駐車升を新たに整備しております。今後、二二年度から二四年度の三か年で約千五百台分の拡充を計画しており、二二年度には、約三十か所の休憩施設で約六百台分の拡充に着手する予定でございます。
次に、道の駅ですけれども、全国千百九十四か所の道の駅には、大型車用の駐車升が約一万二千台分ございます。
現在、トラック事業者の御要望等を踏まえつつ、重要物流道路沿いの道の駅を中心に、各道路管理者が大型車用の駐車升の拡充に取り組んでおります。具体的には、二一年度には、二十か所の道の駅において約五十台分の駐車升を新たに整備しており、二二年度は、約二十か所の道の駅で約七十台分の拡充に着手する予定でございます。
そして、最後におっしゃったトラックステーションですけれども、業界団体が運営するトラックステーション等の休息、福利厚生施設の充実については、業界団体とともに、駐車やドライバーの休息の状況に注視しつつ、ドライバーの労働環境の改善に連携して取り組んでまいります。
今後とも、トラック事業者などの御意見をお聞きして、関係機関と連携しながら、トラックドライバーの駐車環境の改善に取り組んでいきたいと決意しております。
○城井委員 市街地等における駐車場所の確保を促す取組も必要だと考えます。駐車場法に基づく都市部における駐車場附置義務条例については、地域の実情に合わせて、必要に応じて荷さばき駐車施設の条項を盛り込むことが推奨されていますが、二〇一八年度末現在ですと、附置義務条例の制定都市は、百九十七都市のうち八十八都市にとどまっています。
そこで、国として、地方自治体に対して駐車場附置義務条例の制定と荷さばき駐車施設の条項の付加について働きかけをすべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 国土交通省では、貨物用の荷さばき駐車スペースについて、平成六年に標準駐車場条例に追加しました。これを踏まえ、それぞれの地方公共団体において、その地域の実情に応じて、駐車場法に基づく附置義務条例に荷さばき駐車施設の附置に関する条項を設けているところでございます。
これまで、技術的助言の発出や担当者会議での周知等を通じて地方公共団体への働きかけを行ってきたところ、令和三年三月末現在で、先ほど城井委員御指摘のとおり、八十八都市において、荷さばき駐車施設の附置を規定した条例が制定されております。
これはまだまだ少ないということでございますので、引き続き、地方公共団体に働きかけを行い、荷さばき駐車スペースの確保を進めてまいりたいと思っております。
○城井委員 既に条例が制定されている場合でも、附置基準の充実化や、駐車場の確保ができないコンビニを始めとする店頭における物資搬入車両用、これはATM等の装填車両も含みますが、この駐車升の確保など、条例の拡充について地方自治体に働きかけをすべきだと考えますが、大臣、この点はいかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 荷さばき駐車スペースの確保に当たっては、附置義務駐車場条例の制定に加えて、例えば、路肩への貨物車用駐車升の確保や、地区での共同荷さばき駐車施設の整備など、地域の実情に合わせてきめ細やかな対応が必要と認識しております。
国土交通省としては、まちづくりと連携した駐車場施設ガイドラインを始め、技術的助言等により、地域の実情に応じた荷さばき駐車対策の必要性や支援策をお示ししているところでございます。
引き続き、地方公共団体に対し、毎年度開催しております担当者会議の場等において優良事例の周知を図るなど、まちづくりと連携した荷さばき駐車スペースの確保を進めていきたいと思っております。
○城井委員 やはりトラック産業の業務の円滑化、そして何より休息時間の確保など、大変重要な部分につながりますので、引き続きのお取組をお願いしたいと思います。
次に、木造密集市街地についてお伺いします。
実は、この点については、私の事務所に来られました大学生のインターンから、この点は問題ではないかということで御指摘がありましたので、ここでお伺いしたいと思います。
この木造密集市街地とは、木造住宅が密集し、地震のときに火災が延焼したり、また避難が難しくなったりする危険性が高い市街地を指しています。
数週間前、私の地元、北九州市でも、旦過市場という戦前から続く木造密集市街地が大火事に見舞われ、四十三店舗が焼けました。被害に遭われた皆様には、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
政官民挙げての対応に力を尽くしていきますが、民有地であるがゆえに、瓦れき撤去などを含め、行政の対応が限定的になっているのが現状ですね。こうした大火事の危険性のみならず、木造密集市街地が抱える課題はこれまでにも明らかになってきたところです。
そこで、伺います。
国としてのこの木造密集市街地に対する危機認識について、大臣の見解を伺いたいと思います。あわせて、この危険密集の解消は、当初、二〇一一年までに解消する予定でしたが、なぜまだ解消していないのか、この解消を妨げる原因は何か、大臣、見解をお願いします。
○斉藤国務大臣 地震時等に大規模火災が発生する危険性の高い密集市街地の整備改善を進め、安全性を確保することは大変重要な課題でございます。
このため、二〇〇六年に策定した住生活基本計画において、約八千ヘクタールの重点的に改善すべき密集市街地について、二〇一一年度までに最低限の安全性を確保することとしておりました。
その後、二〇一一年三月に住生活基本計画を見直した際に、整備改善が必要な密集市街地の範囲を設定する視点として、従来からの火災危険性に加えて、新たに道路閉塞による避難困難性について考慮することとし、これらの視点に基づき抽出された約六千ヘクタールの、地震時に著しく危険な密集市街地を二〇二〇年度までに解消することを新たな目標として定めました。
この二〇一一年に約六千ヘクタールとされた地震時等に著しく危険な密集市街地は、二〇二二年三月末時点において約二千ヘクタールにまで減少してきているものの、御指摘のとおり、解消には至っておりません。
こういうことが、まだ残っている原因でございます。
○城井委員 最後に、二問一括でお伺いしたいと思います。
では、今ほどの解消していない状況を、二〇三〇年までに解消する目標というふうに聞いていますが、これは実現可能なのかということ、そして、自治体財政の状況によって木造密集地域の解消スピードが異なるんじゃないか、自治体への国の支援の拡充の必要性があると考えますが、この二点、大臣からお答えください。
○斉藤国務大臣 まず初めの、この目標が二〇三〇年までに実現可能なのかという御質問でございますけれども、密集市街地の解消に向けては、地権者の合意形成や建て替え意欲の醸成をいかに図っていくかが課題となっております。
密集市街地の整備改善の必要性などの理解促進に資する防災マップの作成や避難訓練の実施等のソフト対策への支援について、令和四年度予算において充実させたところでございます。
このように、ソフト対策により地権者の合意形成や建て替え意欲を醸成しつつ、避難路等になる道路や公園の整備、老朽建築物の除却や建て替えなどのハード対策を集中的に推進することにより、この二〇三〇年目標を達成したいと思っております。
それから、自治体への国の支援の拡充の御質問でございますけれども、この解消スピードを速めるために、国土交通省においては、密集市街地の整備改善に取り組んでいる自治体についての補助率の引上げ、それから、令和四年度には未接道敷地内の老朽建築物の除却費に対する補助率の引上げなど、密集市街地の状況に応じた支援の拡充を行ってきたところでございます。
引き続き、地域の実情に応じて、地方公共団体による密集市街地の整備改善の取組を支援してまいりたいと思っております。
○城井委員 密集市街地での火災などに遭った方々は、自力での復旧が本当に難しいということに直後から直面をされます。そうしたことにも思いを致しながら、対策の充実を是非お願いしたいと思います。
終わります。ありがとうございました。
○中根委員長 市村浩一郎君。
○市村委員 日本維新の会、市村でございます。
四十五分いただきまして、質疑をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
まず冒頭ですが、知床遊覧船事故について一問質問させていただきたいと存じます。来週、また改めて十八日に、この件に関しても質疑をできる場があるということでございます。また改めてそこでやらせていただきますが、今日は一問。
まず、返す返す、これを考えると、本当に、なぜ防げなかったのかなということを思うわけであります。
といいますのも、この船は昨年の五月、六月に事故を起こしているということがありました。そこで、その後に、六月に特別監査を行い、昨年十月には先ほどから出ていますような抜き打ち検査も行われているというところであります。しかもまた、事故の三日前には定期検査も行われていたということでありまして、こういった何度にもわたる監査や検査がありながら、この事故が起きているということでございまして。
私もここで考えると、どうもこの会社の社長さん一族は地元の何か名士のような話もちょっとお伺いしているんですが、これまでの検査や監査について、これは、例えば六月の特別監査は北海道運輸局と釧路支局が実施されておられるということでありますが、特に、やはり地元の釧路支局との関係性、日頃からの釧路支局とこの知床遊覧会社でしょうかとの関係性について、ちゃんとした指導が行われていたのかどうか、ここに対する疑問が湧いてまいっておりますが、この一問につきまして、大臣の方からいろいろお答え、ありていに言えば、まさか手心とか加えていなかったでしょうねということでございますが、大臣の方から御所見をいただきたいと存じます。
○斉藤国務大臣 今、市村委員の方から、手心という言葉、それから、地元の名士であったから、それに対しての忖度ということでしょうか、そういうことがあったのではないかという御質問でございます。
確認をしましたところ、検査それから監査は厳正に行われており、そういうものは一切なかったということを確認しております。
○市村委員 また改めて来週、これについてはやらせていただきます。
次に、先般、航空法の改正がありましたときに、我が党の山本委員の方から、SAFについての国内生産ということについて、これを強力に進めていくべきだという提案がありました。
本来であれば、できれば附帯決議の方にこうしたことも加えたものを出させていただきたいと思っていたんですが、諸事情によりましてそれがなかなかかなわなかったということもありますが、SAFの国内生産について、これはもう山本委員がこの国土交通委員会の場でもやられておりますが、いま一度、SAFの国内生産について、大臣の決意をまたいただければと思っております。
○斉藤国務大臣 前回の法案審議の際、御党の山本議員から大変熱のこもった質問をいただいたところでございます。
航空分野におけるカーボンニュートラル、まさにSAFが成功するかどうかに懸かっておりますし、また、日本の航空業界が生き残っていけるかどうかということについても、まさにSAFを我が国がリードしていけるかどうかということに懸かっております。
SAFの国内での研究開発と、SAFの日本国における、我が国における生産というのが生死を決める、このような認識の下で、国土交通省としても全力を挙げて支援をしていきたいと思っております。
○市村委員 それで、今、国土交通大臣の今の決意をいただいたわけでありますが、実際にこれを技術的に担当されるのはエネ庁ということでございまして、今日はエネ庁からもこの点でお越しいただいております。
具体的に、この製造、供給体制についてどうされるのか。二〇五〇年までとかいうのがありますけれども、なるべく早く早く、早く早くやるべきだと思っておりますが、その点も含めてまたお答えいただければと思います。
○定光政府参考人 お答え申し上げます。
経済産業省といたしましては、グリーンイノベーション基金を活用し、SAFを大規模に製造するための技術開発や水素と二酸化炭素の合成燃料に関する技術開発を支援するなど、競争力のあるSAFをまさに国内でも生産できるように製造技術開発を進めております。
また、先月、国土交通省と共同で設立しましたSAF官民協議会では、今後のSAFの導入拡大に当たって、SAFの原料確保を含めたサプライチェーンを構築する必要があること、また、SAFの生産拡大のための大規模な設備投資が必要になることなどについて御指摘いただいております。
こうした指摘を踏まえて、今後、協議会の下に設置するワーキンググループにおきまして、SAFの製造、供給に関する具体的な課題や政府による支援の在り方などについて、関係事業者からヒアリングを行う予定でございます。
引き続き、SAFのできるだけ早い導入、実用化及びその市場の拡大に向けて、関係省庁とも連携し、技術開発や実証に取り組む事業者を積極的に後押ししてまいりたいというふうに考えてございます。
○市村委員 ありがとうございます。是非とも、迅速に行動していただければと思います。
続きまして、ゴールデンウィークが明けたわけでありますが、このゴールデンウィーク期間中、いろいろな、皆さん、ようやく二年ぶりに、緊急事態宣言もなく、蔓延防止対策の蔓防もなく、対策もなく、基本的には自由に移動されたということで、私も拝見しておりましたが、各地で本当ににぎわいがあったというふうに存じております。
ただ、ここで、ゴールデンウィーク期間中の後半の終わり頃でしたけれども、ちょうど地元でお話を伺っておりますと、私は高速道路をこのゴールデンウィーク期間中には利用していなかったんですが、いわゆる土日祝日の休日割引というものが三割引きで実施されているところでありましたが、このゴールデンウィーク期間中は休日割引は実施されなかったということがあるということでありまして、非常に憤り、お怒りの言葉をいただいたわけでございます。何ででしょうかと。せっかくみんな、しばらくぶりの休日で、長期休暇なのにかかわらず、そこでこそ本当は休日割引を実施すべきじゃないかというのが、国民のというか、利用者の素直な気持ちだと僕は思うんですが。
そこで、実際乗ってみたら、実は休日割引は適用されていませんということを知ったときの、ある意味で、せっかくの旅行気分を害するというふうなことがどうもあったようでありまして、たまたま私はお一人の方から聞いたんですが、恐らく、その方もおっしゃっていましたけれども、これは多くの人が感じていることじゃないかということであります。
これは、実際に休日割引はやはり適用されなかったんでしょうか。まずお答えいただければと思います、政府参考人の方から。
○村山政府参考人 休日割引については、繁忙期における交通量の削減、激しい渋滞が起きているということもありまして、今年の三月十六日でありますけれども、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始の休日割引適用除外についてということで記者発表をさせていただいておりまして、それ以降、道路交通情報センターでありますとか高速道路のサービスエリア、また、そういった電光掲示板等々の情報板で今年のゴールデンウィークは適用されませんという告知をさせていただいて、実施をさせていただいたところでございます。
○市村委員 いわゆるプライス・キーピング・オペレーションだったかな、とにかく、そういう料金体系、料金によって渋滞解消を目指すという、こういう施策というのがあるのは承知しておりますし、私もそれは有効な手段の一つだというふうに思ってはいるところなんですが、しかしながら、やはり今回のゴールデンウィークは、皆さんも久しぶりだということもありましたし、全期間適用除外をするんじゃなくて、何かもう一工夫あったのではないかというふうにも考えなくもないんです。
何かそのもう一工夫について、今回のゴールデンウィークは適用除外でしたけれども、これからまたお盆だとか、また秋のシルバーウィークとか、こういうところにも長期の連休ということがあるわけでありまして、そこのときもやはり渋滞解消というものがあるから、ゴールデンウィークとかお盆とか、例えば年末年始とか、そういう集中するところじゃなくて、その間に、いわゆる繁忙期じゃなくて、どちらかというとローシーズンといいますか、そういうときにもっとどんと使ってください、ローシーズンの休日に使ってください、もっと皆さん、休日を利用して旅行してくださいということなのかもしれませんけれども、やはりもう一工夫あるのではないかなと思いますが、その点についてはどうお考えでしょうか。
○村山政府参考人 お答えします。
観光需要の関係についてお答えをさせていただきますと、観光の需要を平準化するという観点から、昨年の社会資本整備審議会の中間答申におきましても、観光事業者等と連携をいたしまして、平日の割引の適用が可能な周遊割引の拡充を行うべきであるというような御意見をいただいてございます。
国土交通省としましては、この中間答申を踏まえまして、観光事業者等と連携をいたしまして、平日分散が図られる料金割引について検討を進めて、より利用しやすい高速道路の料金を設定してまいりたい、このように考えてございます。
○市村委員 渋滞解消等を目的とした施策ということもありながら、今、観光事業という、観光という観点から、まだ工夫はできるんだろうということの御答弁をいただいたというふうに理解しておりますが、是非とも、休日割引、連休、よし、高速道路も安い、さあ行こう、乗ってみたらなかったというときのがっかり感というのは、多分、庶民の気持ちに立てば、これはそういうものだろうと思いますし、何か、三月十六日からということではありましたから、遅いというのか早いというのかは分かりませんが、もっと、今局長おっしゃっていただいたような観光という視点から、高速道路の料金の在り方というのはもう一工夫加えていただきたいと思います。
もっと根本的に話をしますと、我が党日本維新の会としては、高速道路料金の定額化を進めるべきじゃないか、そういう主張も今させていただいておりますので、一般的な意味では、高速道路料金はどうあればいいのかということについて、この国土交通委員会を含めてまた議論をさせていただきたいと思っておりますが、大臣、今のこの話について、大臣からもちょっと一言いただければと存じます。よろしくお願いします。
○斉藤国務大臣 いろいろな御意見がございます。今回の休日割引につきましても、審議会では、混雑緩和のために、いわゆるゴールデンウィークとかお正月とかお盆とか、そういう繁忙期では休日割引は必要ないのではないかというような御意見も、答申がございます。そして、観光事業の方からは、平日、平準化するために、平日こそ割引してほしいというような御意見もあるところでございまして、そういう御意見を伺いながら、どういう形が一番いいのか。
また、先ほど定額化の話もございました。定額化につきましても、この委員会でもいろいろ議論されておりますが、メリット、デメリットございます。まあ、メリット、デメリットという言葉より、いろいろな観点がございます。そういうことを議論しながら、高速道路の料金についてこれから議論していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○市村委員 高速道路料金の話につきましては、私はかつて民主党という政党にいましたが、高速道路無料化ということで打ち出しました。三・一一等がありまして、結局、社会実証実験等々を行った結果、高速道路無料化というのは継続できなかったということもありましたが、いわゆる国民の声を素直にお聞きしていますと、特にこの高速道路料金無料化、まあ、子ども手当のこともあったんですが、やはり民主党は言ったことをちゃんとやっていないということで、しかも、高速道路無料化というのは非常に国家国民の期待があったことがあって、非常に失望。それが、結局、今はもう民主党という政党はなくなって、実質なくなっているわけでありまして、非常に私もその中にいた者の一人として、やはり、言ったことはちゃんとやるということでありますし、特にこういう高速道路料金とか庶民の生活に関わることについてはすごく意識を高めておかないと、今政権を持っていらっしゃる方にとっても、これはなかなか、こういう不満というのは、みんな言うところがないわけですね。たまたま私はその不満をお聞きしたわけでありますけれども、言うところがないわけでありますから、その辺の不満が高まるとどういうことになるかということは、私は身をもって体験しておりますので、是非とも庶民の気持ちに立って政策というのは行っていただきたいという思いでございます。よろしくお願いいたします。
それで、次に参ります。
ちょっと順番を入れ替えていますが、大分入れ替えていますけれども、関西三空港の活性化について。
この間も話をさせていただいたところなんですが、先日出さなかった観点で、関西三空港、当然、関西国際空港は、もう国際化というか、国際空港の拠点としての空港なわけでありますが、ほかの二つであります伊丹空港と神戸空港につきましては、国際線は飛んでおりません。
しかしながら、大阪・関西万博に向けまして、関西国際空港のみならず、伊丹空港の正式名称は大阪国際空港なんですね、いまだに。いまだに国際がついているんです。大阪国際空港と神戸空港もやはり国際線を飛ばすという流れをつくるべきではないかというふうに、こう思っておるところでございます。
実際のところ、関西三空港については、まずは関西空港と伊丹空港が経営統合をしました。その三年前だったと思いますが、神戸空港も経営を一体的に運営するということにもなっています。本来であれば、二〇二〇年の東京オリンピックの際に、恐らく、そのところは、もしコロナがなければ、六千万人ぐらいのお客様を多分迎えられるぐらいにはなっていたかなというふうな思いもなきにしもあらずなんですが、そうすると、関西国際空港だけではとてももう国際線をさばき切れないという話になっていたと私は思っていまして、おのずと、大阪国際空港、伊丹空港ですね、それと神戸空港も使おうという話になっていたんだと思うんですけれども、コロナの関係でそれどころじゃなくなったということであります。
しかしながら、これからはコロナも明けて、先ほどから、五月か六月から海外からたくさんまたお客さん、たくさんじゃないですけれども、まずは団体客のお客様を迎えようという流れの中で、大阪・関西万博に向けて、やはりインバウンド、旅客を高めていくというところの中で、関西三空港のうちの、国内線のみになっております伊丹空港それから神戸空港も国際化する必要があると私は考えておりますが、ここは大臣の御所見を賜りたいと存じます。
○斉藤国務大臣 関西三空港につきましては、御地元の経済界や自治体において関西三空港の在り方について議論することを目的として設置された関西三空港懇談会における平成十七年十一月の合意に従いまして、この合意というのは、まず、関西空港は西日本を中心とする国際拠点空港であり、関西圏の国内線の基幹空港、それから、伊丹空港は国内線の基幹空港、神戸空港は神戸及びその周辺の国内航空需要に対応する地方空港として運用しているところでございます。
委員御指摘の神戸空港、伊丹空港の国際化については、過去の経緯や歴史を踏まえた上で、地元関係者の間で十分に議論を重ねた結果、令和元年五月の関西三空港懇談会において、神戸空港については、おおむね二〇二五年頃までをめどに実現を目指す中期の視点に立った取組として、そして、関西空港、伊丹空港を補完する視点から、国際化を含む空港機能の在り方等について検討を行う、国際化を含む空港機能の在り方について検討を行うと。それから、伊丹空港については、短期、中期の視点に立った取組以外の課題として、国際線の就航可能性を含めた今後の在り方について、状況に応じて議論すること。なかなか難しい日本語になっておりますが、との整理がされたものであり、これを踏まえ、御地元において引き続き検討、議論されていると承知しております。
国土交通省としては、御地元での検討、議論を踏まえながら、二〇二五年の大阪・関西万博と、その後の更なる関西の成長を見据えつつ、関西三空港の活性化に向けてしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
○市村委員 大臣、ありがとうございます。
このコロナの状況で、なかなか、インバウンドのことも、ようやくこの五月か六月から団体の皆様をお迎えできるという状況になる可能性があるというような状況ですので、これはもう、じゃ、来年、再来年ということ、来年という形でもないんですけれども、やはり今大臣からおっしゃっていただいたように、二〇二五年の大阪・関西万博に向けてどんどん高めていく中で、今、国際化も含むという表現もいただきましたので、是非とも国土交通省を挙げて、また後押しをしていただきたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。
それで、今日のこれから残りの時間を使って、洋上エネルギーファームについて議論をさせていただきたいと存じております。
先ほど、谷田川委員の方から、千葉の銚子沖での洋上風力発電の話がありました。この流れは、実は、私が十年ちょっと前に一年、国土交通省の政務官を務めさせていただいたときに、最後の一か月だけ海洋本部の政務官も兼任させていただくということになりました。そのときに、海洋本部の長期的な計画の中に、そういう洋上風力発電というか洋上エネルギー、私は実は洋上エネルギーファームという思いで、たまたまその一つとして風力発電のことを申し上げておりました。それが入れていただいたということなんですね。
その後、三・一一が起きまして、いわゆる復興予算というのが二十六兆円、まず初期は二十六兆円だったと記憶していますけれども、できた中で、その復興予算を使って、福島沖にまず実証機というのが三基できております。七メガと五メガと二メガというやつができておりまして、洋上変電所みたいなのも造って実施をされたということがありました。その流れを受けて、今回、特に港湾局さんが中心となって、この洋上風力発電をお進めになられているということだと思います。
この流れを私は別に否定するわけではありません。ありませんが、私がそもそも申し上げておったのは風力発電だけじゃないんですね、風力発電だけではないんです。洋上となりますと、風力発電以外にも、例えば太陽光パネルも置けるわけですね。そして、かつ、海に関わるものになりますと波力発電ですね、波力。波の高低差を利用した、タービンを回すという波力発電。あとは潮力です、これは風力に近い考え方ですね、密度が濃いわけですね。空気の密度と、海の密度は濃いわけですから、潮力を、海の流れを利用して、それで発電をするというようなこと。あとはまた、海洋温度差発電とかいって、海の方の上部の温度と海の深海部の温度は違いますから、その温度差を利用した発電、これは確かアンモニアを使ったと思いますけれども、そういうのもあります。
ですから、そういう様々な知恵を生かすことができるのは洋上エネルギーファームでありまして、やはり、海洋をとにかく利用していこう、海洋のエネルギー、海のエネルギーをもうとにかく利用し尽くす、海上のエネルギーを利用し尽くす、いわゆる天然エネルギーを利用し尽くすということが大切だろう、こういう思いで洋上エネルギーファームというのを実は提案をさせていただいておったんです。
残念ながら、そうした総合的な洋上エネルギーファームという発想ではなくて、いわゆる洋上風力発電ということに今は話がなっているわけでありまして、これはこれで、せっかく実証実験、あれは六百二十億もかけているんですね、六百二十億もかけて実証実験を福島沖でやられましたから、その知見を今後に生かすというのは、それはもう是非ともやっていただきたいことの一つであります。
ただ、昨日もお伺いしていますと、福島沖の三基は七メガ、五メガ、二メガだったんですけれども、これから造ろうとされているのは恐らく十メガとか十五メガとかいう超巨大。これ、大臣、どれぐらいの高さになるかと御存じかどうか分かりませんが、大体、日本一高いビルと同じぐらいの高さになります。ナセルという発電する装置が入っている場所が大体二百二十何メートルという高さです。これは、日本一高いビルとほぼ同じです。それから、羽根が回りますから、羽根が大体一辺百ぐらいになりますから、ということは、上空に羽根が回りますと、三百メートルを超えるところに羽根のトップは立つぐらいにでっかいものになるんですね、十メガぐらいになってきますと。
これを造るということになってきまして、さっきの御答弁だと三菱電機さんがやられるということなんですが、三菱重工かな、重工さんですね。(発言する者あり)商事さんですか、商事さん。だから、三菱商事がやられるということは、商事さんですから、例えば海外の、ドイツのシーメンスさんとか、アメリカのGEさんとか、あとはヴェスタスさんとか、恐らく、そういうのを造れるのは三つしかありませんので、今のところ。日本は、残念ながら、福島沖で三菱重工さんと日立さんが入っていたんですけれども、もう撤退されました。三菱重工も日立さんも撤退されて、もう日本で造る思いを持っている人はいませんので、結局海外のメーカーのやつを、日本の予算を使うんでしょうか、使ってやるということになると思います。もう私は本当に残念なんですね。
だから、日本はもっと、風力のみならず、日本国産のいろいろな技術があるということでありまして、ちょうどおとといですか、経済安全保障法案ですね、経済安保法案も通っているわけでありまして、やはり国産にしていく。国産の、国の技術、日本の誇るべき技術がまだあると私は思っていますし、これをもっと高める方向にしていただけないかな、せっかくなら。
商事さんが入っておられますから、別に海外のものじゃなくてもいい。ただ、恐らく海外しかないんですね、今のところ。そんなでっかいのを造れる技術を持っているところはもう三つしかないんです、さっき申し上げたような。ないんです。
だから、今、五年ぐらいかかるというふうにさっき谷田川委員の方からありましたし、せっかくなら、まだ間に合うならば、もちろん洋上風力発電はいいんですけれども、風力のみならず、さっきから申し上げているような、もっといろいろな再生可能エネルギーのアイデアを、洋上を生かせるような、洋上エネルギーファームというものにこの話を持っていっていただいて、そして、国産の技術、国の技術をそこに注ぎ込むということを政府がもし音頭を取っていただければ、恐らく、一旦撤退された三菱重工さんにしても、日立さんにしても、もう一度、これを、よし、やってみようかと。せっかくやったわけですから、福島沖で。福島沖でやられているわけでありまして。
二メガの装置は、日立さんのことをお聞きしています。これは非常に実用機だったんですね。実証機じゃなくて実用機でありましたから、いわゆる商用機。だから、二メガぐらいは、日立さんは既にもう商用機を出していたんですよね。でも、今の状況は、もうそれも、そこは撤退されたのかどうか分かりませんが、少なくとも超巨大なやつはもう撤退するということになっています。
あと、超巨大なやつの問題点は、故障すると一気に、いわゆる、そこで生み出された電力をもう供給できないということになっていきまして、実は、世界の潮流というのは、一基でっかいのを造るんじゃなくて、細かいやつをたくさん造った方がいいと。そうしないと、一基壊れたら、もうそこで供給止まりましたということで、その修理は大変なものになるんですね。修理は大変になります。長期間かかるとか、なってきます。
ですから、発想としては、一基だけとか、超巨大なやつを一つ造るという発想は、世界の今の風力発電の潮流からは実はもう外れてしまっているというのが、これが正直なところであります。
そういった意味でも、風力は風力で絶対やっていかなくちゃいけない。再エネで、これから、新しいエネルギーミックスの実現の道のりでいきますと、二〇三〇年の見通しで風力は五%を占めなくちゃいけない。現行は〇・九です。つまり、五倍以上を風力で発電させようというのが政府の目的なんですね。
ちょっと残念ながら、私、浪人期間中、何をやっていたかというと、一つは、風力発電のいろいろな研究をされている九州大学の先生のところに一緒につかせていただいて、いろいろ風力発電については学ばせていただきましたが、私が知っている現実からいきますと、このままいくと、この五%を達成することはほぼ不可能だと私は思っています、このままいきますとですね。
可能だとすると、さっき申し上げた数千億円ぐらい払って、さっき申し上げたような三社にお願いしますねといって巨大なやつを幾つか造ってもらったら、ひょっとしたら、まあ三つぐらいじゃ無理だと思いますけれども、幾つか造ってもらったら、ひょっとしたら達成するかもしれませんが、しかし、そのときは、国の国富が、民間でもう事業に参入する人は多分いないと思います。採算が全然合いませんから、これ。合いません、合いません。合いませんから、結局、国がお金を出して、こういう機械を造ってくださいと海外の方にお願いして、半導体のTSMCじゃないですけれども、海外の企業にまた何千億というお金が流れていくということで、全然、国にお金が回らないということですね。技術の発展もないということになるんだろうと私は予測をいたします。このまま、五%を何とか達成しよう、風力だ、五%だとなると、そうならざるを得ないなというのが私の思いであります。
そうならないように、やはり国の経済が回るように、国の技術がもっと発展するように、この方向に是非とも海洋の、洋上の発電といいますか、エネルギーファームという観点でやっていただきたいというのが、これは私の思いなのでありまして、今日はいろいろまたその議論をさせていただきたいと思っておりますが、ちょっとまず大臣に、私の今の話について大臣がどういう御見解を持たれたか、また一言お聞かせいただけませんでしょうか。済みません、一言でなくても、ずっとお聞かせいただいても。
○斉藤国務大臣 これまで風力発電、また洋上風力、また、いわゆるファームという観点から研究されてこられた市村委員に敬意を表したいと思います。
日本独自の視点として、いわゆる風力発電だけではなく、洋上風力ファームとしていろいろな再生可能エネルギー源を組み合わせていく、そこに日本の独自性を出して、日本独自の再生可能エネルギーもつくっていくという今の市村委員の御提言について、大変、今後の日本のエネルギー政策として重要な視点だ、このように感じた次第です。
○市村委員 今日は、経産副大臣、細田副大臣、済みません、貴重なお時間をいただきましてお越しいただきまして、感謝申し上げます。
今私が申し上げたようなことについて、結局、国土交通省の今回の役割というのが、海洋を有効に使おうというところでのまず観点なんですね。でも、洋上、まあ風力というやつも含めて、実際に技術を出されるのは経済産業省でありまして、しかし、今私が指摘させていただいたように、このままの流れは余り僕はワイズではないというふうに思うんですね。
ですから、国産、国内産業をもっと振興していくという意味でやはり経済産業省は動かれていると信じておりますし、そういった意味で、単に風力発電というだけではなくて、もっとエネルギーミックス、まさに洋上のエネルギーミックスと再生エネルギーミックスという意味で、もう一工夫というか、かなりの工夫をもっとしていただけないかという思いがあるんですが、副大臣、いかがでしょうか。
○細田副大臣 ありがとうございます。
先生から熱のこもったお話をいただきまして、本当にありがとうございました。また、これまでのお取組に改めて敬意を表したいと思っております。
まず、エネルギー政策の大原則といたしまして、よく御存じだと思いますけれども、SプラススリーEというものがございます。これは、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合のバランスを取りながら、安定的で安価なエネルギーの供給を確保するということが最重要の課題でございます。
今御指摘がありました洋上風力を始めとする海洋再生可能エネルギーは、四方を海に囲まれた我が国では、一定の導入可能性が想定される重要なエネルギー源であると認識をしております。特に、洋上風力発電は、欧州で大量導入とコスト低減が実現しておりまして、さらに、経済波及効果も期待されております。また、昨年末の再エネ海域利用法に基づく公募結果によりまして、御指摘がありました、日本においても他の電源と競争可能なコストの大規模電源であることが明らかになったと認識をしております。
他方で、洋上風力以外の海洋再生可能エネルギー、これは様々ございます。波力でありますとかあるいは潮流といった発電がございますけれども、これはやや残念ながら、現状では世界的にもコスト面や安定供給面で技術的な課題が克服されておらず、普及段階に至っていないという現実がございます。
したがって、まずは、低コスト化、稼働率の向上などに向けた技術開発等に取り組む必要があると考えております。実際、私ども、波力発電でありますとかあるいは潮流発電について、国がお金を出しまして実証実験を行っているところでございます。
私どもといたしましては、引き続き、関係省庁と連携しつつ、課題を解決するための技術シーズなどがあれば、未来の利用可能な技術として、技術開発、実証等の取組を支援してまいりたいと考えております。
是非御理解いただきたいのは、カーボンニュートラルの実現に向けて、あらゆる可能性を排除しないというのが私どもの立場でございますので、今先生の御指摘も踏まえた点も含めて、利用可能な技術があれば是非積極的に開発してまいりたい、それを支援してまいりたいと考えております。
○市村委員 本当に、細田副大臣、ありがとうございます。
是非とも、また経産省の皆さん、督励していただいて、あと、特に経産省のNEDOがかなりこれについては大変重要な役割を担っていると思います。ただ、今日はちょっと時間がないのでもうNEDOの話はしませんが、やはり、NEDOの支援の在り方については、もうちょっと柔軟性を持った、というより、かなり柔軟性を持った対応をすべきだというふうに私は思っておりまして、それはまた改めて、それこそ経産委員会等ででもやらせていただければと思いますが、NEDOの皆さんも一生懸命やっているんですけれども、やはりすごくきつきつのところでやっておられるような気がしていますので、もっと柔軟にやろうよと。産業育成をするという観点で、規制というか監視をするのではなくて、一緒になって高めていこう、こういう流れをNEDOの皆さんが一緒にやっていくことがありがたいなと思います。
残りの時間ありますが、風力発電なんですけれども、系統連系というのがあります。FITという全量買取り制度でありましたけれども、この全量買取り制度に行くためには、系統連系、生み出した電力を、電線につながる、簡単に言えば、電線に供給しなくちゃいけないわけですね。そのためには認証というのが必要なんです、認証というのが。
ところが、認証が必要なんですが、その認証というのをやっている機関が日本では日本海事協会というところでありまして、日本海事協会という船舶法に基づくものをやっているところが、なぜか風力発電の認証も一緒にやっているというところであります。
ところが、これも私もちょっと見てきましたが、なかなかまだ、受けて初めてだったので、市場にどういうふうな認証をやればいいのか。特に、いろいろな風力発電のアイデアがあります。単に羽根だけじゃなくて、その周りに輪っかをつけるとか、それから縦に回すとか、いろいろな形態があって、なかなかそれを認証しようにも認証するすべがないという、その知恵がないというのもまだあるんですね。日本の認証機関はそういう状況であって、そうなるとどうなるか。
例えば、FITで小型風力発電というのが一キロワット当たり五十二円で最初出ていたんですね。じゃ、それに向けて、よし、みんな頑張ろうということで、いろいろな人が認証を求めていくような感じだったんです。いろいろな人じゃないですね。まあ、認証を求めて、国産の発電機を造ろう、風力発電システムを造ろうということで頑張っていたんですが、認証するところが認証するすべがないものだから、結局、認証に物すごい時間がかかる。もちろん、それを求めた方にも問題があったと思いますが、やはり、いわゆるNK認証の方にも私は問題があったと思います。
そして、結局、時間がかかった結果、市場、FITの五十二円がだんだんだんだん下がっていって、もうそれこそ採算に合わない。五十二円でも採算に合わないような状況だったのに、とてもとても採算に合わないから、結局、日本は、国内の大変重要な技術が日の目を見ない、そして小型風力発電市場が形成されなかった、こういうことに私はつながったんだというふうに思っているんです。
だから、この認証の在り方、これからまだ風力発電を進めていくのであれば、それを認証する認証の組織の在り方について、私はやはりもう一度きちっと見直していく必要があると思っております。
経産副大臣、今日はこの観点でもお越しいただいていると思いますが、認証について、是非とも、ちょっと待ってください、認証については政府委員の方でしたかね。済みません、じゃ、ちょっと、認証については、最後もう時間ないので、お答えいただいてくださいませ。よろしくお願いします。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
経産省では、FITの認定を行うに当たりまして、工事計画というのを出していただくわけですが、もちろん設備の安全性とかそういったものを評価しなければいけませんので、その際に、日本産業規格、いわゆるJISですが、JISや技術基準への適合性の確認というのが必要になってまいります。小型風車の場合には、この認定に当たりまして、JIS規格のC一四〇〇―二というのがあるんですけれども、これに適合していること又はこれと同等の性能及び品質を有するものであることが確認できるということが規定されています。
現在、この規格の適合性の確認が、今委員から御指摘がございました日本海事協会が型式認証という形でやっております。この型式認証は、日本海事協会に限っているわけではなくて、ほかの事業者でも、当然、製品認証機関として認定を受ければ、この認証というのはできるわけでございます。ただ、残念ながら、これまでマーケットが余り大きくなかったのか、海事協会のみがこうした事業を行ってきたというのが実態であります。
したがいまして、今後、市場が大きくなってまいりまして、製品認証機関が新たに参入してくるということであれば、当該機関による型式認証を取得した小型風車についてもFITの認定を取得することは可能になるというふうに考えております。
○市村委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、是非とも洋上エネルギーファーム、大臣、副大臣、よろしくお願いいたします。
以上で終わります。ありがとうございました。
○中根委員長 次に、高橋千鶴子君。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
知床遊覧船カズワンが、二十六名の乗客を乗せ、事故を起こしてから三週間がたちました。改めて、お亡くなりになった方々に哀悼の意を表するとともに、いまだ十二名は見つかっておりません、捜索に全力を挙げておられる関係者に感謝を申し上げるとともに、一日も早く御家族の元に返してさしあげたいと祈るばかりであります。
漁船さえも運航を中止した荒い海に乗客を伴って出航したこと自体が、会社自ら決めている運航基準違反であること、つながらない海域のある携帯電話を無線代わりに届けていたことなどなど、後から知らされるずさん極まりない会社の実態には怒りを禁じ得ません。私は、最初の会見で、桂田社長は、戻らない船長一人に責任を押しつけようとしているのではないかと強く感じました。それは余りに許せないことです。
そこで、大臣に伺います。
本来のルールを守っていれば、今回の事故は防ぐことができた。仮に起きたとしても、二十六名の乗客全員が死亡、行方不明というような最悪の事態は防ぐことができたと思いますが、いかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 海上運送法に基づき事業者が作成する安全管理規程においては、運航を中止すべき気象や海象の条件を定めた上、これに該当するおそれがある場合には出航を中止しなければなりません。
有限会社知床遊覧船の安全管理規程における運航基準においては、発航、航路に出発する発航前において、航行中に風速八メートル以上又は波高一メートル以上になるおそれがあると認められるときは、発航を中止しなければならないとされています。
当日は、朝から夜遅くまで、海上の最大風速十五メートルとの強風注意報が発表されていたことから、出航してはならない状況だったと認識しております。
しかしながら、同社が条件付運航と称して運航を行ったことはもってのほかであり、同社の安全管理規程に従い出航を中止していれば、事故は発生しなかったものと認識をしております。
○高橋(千)委員 後段の方も言ってほしかったんですがね、最悪の事態は防げたであろうと。様々な助け合う問題だとか、船の在り方だとか、要するに、検査も三日前にやっていることもあったわけですから、最悪の事態は防ぐことができたんじゃなかったかと思いますが、その点もどうでしょうか。
○斉藤国務大臣 ルールを守っていれば、仮に事故が起きたとしても最悪の事態は防げた、ルールを守っていれば防げた、このように思います。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
そこで、十一日に事故対策検討委員会が立ち上がりました。その際、冒頭に、現地からオンライン参加した渡辺副大臣から、被害者家族からは、事業者の運航管理体制がずさんだったのではないか、国の基準や検査監督は適切だったのかと御指摘をいただいていると報告があったといいます。
これまでの会見や参議院でのやり取りを見ていても、この部分については大臣からの言及がないように思うんですね。やはり国交省としての責任もあると思いますが、これはお認めになるでしょうか。
○斉藤国務大臣 有限会社知床遊覧船に対しては、昨年の遊覧船カズワンの二度の事故を受け、北海道運輸局において、昨年六月に特別監査を実施し、七月に安全管理規程の遵守等の指導を行うとともに、その後、十月に、同局職員が、同社の本船及び事務所を事前通告なしで抜き打ちに訪問し、改善内容について確認を行っております。
国土交通省としては、こうした監査等を行ってもなお今回の事故が発生したことを真摯に受け止めなければならないと考えております。
このため、今回のような痛ましい事故がどうして起きてしまったのか、有限会社知床遊覧船のどこに問題があったのかを解明すべく、四月二十四日より実施している特別監査において、徹底的に調査を進めているところです。
また、あらゆる角度から取るべき安全対策を総合的に検討するため、四月二十八日に知床遊覧船事故対策検討委員会を設置し、五月十一日に、私も参加して第一回の会議を開催したところでございます。
二度とこのような悲惨な事故が起きることのないよう、総合的な安全対策を責任を持って実施してまいります。
○高橋(千)委員 昨年も二度の、特別監査を行ったし、抜き打ち検査も行ったと。これでは、やることはやったけれども、やはり事業者が悪かったから防げなかったんだというふうに聞こえますよね。本当にそれでよろしいんでしょうか。たった今、大臣は全く認めないんだなと思って聞いておりましたけれども、議論を進めますので、その後に、やはりそうじゃないなということをきちっともう一度お答えいただきたいなと思います。
順番に聞いていきます。
有限会社知床遊覧船は、平成十三年七月六日、旅客不定期航路事業として許可を受け、現在は、事故を起こしたカズワン、十九トンで旅客定員六十五名、カズスリー、十八トンで旅客定員五十八名の二つの船舶を使用していました。
昨年四月一日時点において、海上運送法に基づき運送事業を営む許可事業者数は、全国で九百五十三事業、船舶二千二百三十四隻と伺っています。
そこで、今回のような遊覧船の場合、安全確保をどの法律によって規制されているのか、また、その基本的な考え方を伺いたいと思います。一般論でお願いします。
○高橋政府参考人 お答えを申し上げます。
国土交通省では、船舶並びに船舶に搭載する設備の技術要件を定めております船舶安全法、また、事業者が行うべき運航上の安全管理について定めております海上運送法などに基づき、旅客船の安全確保のための施策を講じてございます。
まず、船舶安全法は、通常の航海で遭遇し得る海象などに耐えて運航するために必要な構造、設備を求めることにより、人命の安全を確保することを目的としてございます。
このため、船舶安全法では、船体が容易に転覆、沈没しない構造であることや、必要な救命設備などを設置することなどを義務づけてございまして、事業者は、定期的に船舶検査を受ける必要がございます。
次に、海上運送法は、輸送の安全を確保し、海上運送の利用者の利益を保護するとともに、海上運送事業の健全な発達を図ることを目的としてございます。
具体的には、許可などを受けます事業者は、事業の運営方針や管理体制など、輸送の安全を確保するために遵守すべき内容を定めた安全管理規程を作成いたしまして、国土交通省へ届け出ることになってございます。
この安全管理規程につきまして、国土交通省では、届け出された規程について、海上運送法などの関係法令に適合し、安全確保の観点で適切な内容であるかを確認し、適合していないと認めるときは、当該規程を変更すべきことを命ずることができることとなってございます。
また、事業者への定期的な監査や違反に対する行政処分を実施いたしますとともに、処分内容を公表することにより、輸送の安全を確保してございます。
○高橋(千)委員 そこで、参議院の決算や国土交通委員会では、海上運送法に基づく安全管理規程について、届出制では不十分ではないかとの指摘に対し、大臣は、今紹介されたように、届出された安全管理規程について、海上運送法等の関係法令に適合し、安全確保の観点で適切な内容であるかを確認すること、適合していないと認めるときは、当該規程を変更すべきことを命ずることができるとなっていると答弁しています。
これだと、届出制でも、きちんと確認しているんだし、不備があったら指摘できるんだから、問題はないように聞こえるんですね。本当にそうでしょうか。
運輸分野における事故等の発生状況に鑑み、運輸事業者における輸送の安全を確保するための取組を強化するため、安全管理規程の作成、届出の義務づけと、安全統括管理者の選任、届出の義務づけ、あと、輸送の安全に関わる情報の公表の義務づけなどの改正を行ったのは、二〇〇六年、平成十八年だと承知しています。
実際に、届出書類が適合していないと変更を命じたことがあるでしょうか。また、その後の海難事故はどのくらい起きているでしょうか。
○高橋政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘の安全管理規程につきまして、先ほどお答えを申し上げましたように、海上運送法等の関係法令に適合し、安全確保の観点で適切な内容であるかを確認した上、適合していないと認めるときは、当該規程を変更すべきことを命ずることができることとなってございます。
委員御指摘の、実際に安全管理規程の変更命令を出したことがあるのかということについてお答えを申し上げます。
例えば、点検整備計画、あるいは発航前点検と申しまして、船長は、発航、先ほど大臣が申し上げましたように、出発する前に点検すべき事項がございます。これらに係る改善策について、安全管理規程の改定を行うというようなこと。あるいは、別の事案では、乗組員の、配乗と申しますが、配乗計画、これにつきまして必要な見直しを行うということを命じたようなケースがございます。
○高橋(千)委員 海難事故が、先ほど言った法改正の後、どのくらい起きているかと聞きました。
○高橋政府参考人 誠に恐縮でございます、今委員御指摘の具体的な数字を今持ち合わせてございません。大変申し訳ございません。
○高橋(千)委員 二〇〇五年と二〇〇六年に法改正をしておりますけれども、その前の、斜里町でも、二十人がけがをした、乗り上げた事故があったと思いますが、二〇〇八年五月、石巻市、東松島市、二〇一四年五月、小樽、二〇一五年八月、二〇一八年六月という形でずっと事故が続いてきていたと思うんです。
ですから、届出をして、ちゃんと変更できるんだからいいんだよということで本当によかったのか、何が教訓となっていたのかということが見えてこないわけなんですね。
知床遊覧船は、昨年五月と六月に事故を起こし、特に五月には、乗客三名が軽傷を負っています。今私が読み上げた事故も、二十人とか十人、けがをしていますよね。去年のときも特別監査を行っているわけですよね。船長は同じ人物だというし、知っていたら乗らなかったのではという声もあるわけです。少なくとも、知っていたら、今回の事故は防げたんじゃないでしょうかと思うわけです。
そこで、昨年政府が出した指導の内容を具体的に説明ください。
○高橋政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘の点は、今回事故を起こしました有限会社知床遊覧船が、昨年五月並びに六月に起こした事故のことであると存じます。
昨年五月及び六月に、同社は、海上の浮遊物への接触や浅瀬への乗り上げを起こしてございます。事故後に北海道運輸局が特別監査を実施をいたしました。
北海道運輸局では、特別監査の結果を踏まえまして、同社に対して指導を実施いたしました。七月には、同社からこれらの事項についての改善報告を受けてございます。
委員御指摘の、どのような指導をしたのかということでございます。
具体的には、船員による見張りの確実な実施、あるいは、先ほど申し上げました安全管理規程の中には運航基準というものがございますが、運航基準に規定されております運航の可否判断、運航していいのか、よくないのかといったような判断をしっかり行って、運航記録簿に記載することといった安全管理規程の遵守等を指導しておるところでございます。
○高橋(千)委員 今、可否判断をして、その後に記録をするとおっしゃいましたよね。だとすれば、その場にいなくても、記録がちゃんと残っているかというだけでもかなりのことが分かるわけですよね。無線の連絡だって、空白ばかりだと報道されているじゃないですか。抜き打ちで十月に検査までして、それで何も問題がなかったのか。そんなはずはないわけですよ。
それで、昨年の事故がなぜ公表されないのかという報道もあります。十日の参議院では、整理中であるため、現時点では公表しておりませんと答えています。整理中ということは、整理がついたら公表する予定でしたんでしょうか。
国交省の説明ペーパーには、十月十三日には、改善内容について確認と書いています。改善されたという認識ですか。もしそうなら、何がどう改善されたんでしょうか。
○高橋政府参考人 お答えを申し上げます。
今委員御指摘のありました、大きく申し上げて二点いただいたところでございます。
一点目、公表ということでございます。
海上運送法第十九条の二の二におきまして、毎年度、輸送の安全に関わる情報を整理し、これを公表するものといたしております。
今回、私どもは、昨年五月と六月に行いましたのは、行政処分ではない行政指導でございますが、行政指導を行った事案につきましては、全国で起こりましたものを一度まとめて、同様の事故の再発防止に有益と思われる、輸送の安全に重大な関係を有するものを公表させていただいてございます。
委員御指摘いただきました、整理というのはどういうことかということでございますが、昨年度の事故に関わる情報につきましては、カズワンの事故を含めまして、現在、上がってきたものを整理中でございます。他の事故との比較対照も行いながら、事故の再発防止に有益と思われるか、きちっと判断をして、夏頃に公表させていただく予定でございます。
第二点、昨年の十月に確認ということでございました。
これは、抜き打ちで事前通告なく、昨年五月、六月に指導をしたこと、それから、七月に同社がこれらの事項についてどう改善したのかというようなことを現場で見たということでございます。
この中には、先ほど申し上げましたように、運航の可否判断を運航記録簿に記載しているのかといったようなことを書面にて確認をさせていただいたというところでございます。
○高橋(千)委員 今、最後にちっちゃい声でおっしゃったんだけれども、公表するつもりだったと。だったら、よそより早く出航しちゃったわけですから、待ってもらうか、公表を急ぐか、しなきゃいけなかったんじゃないでしょうか。そのチャンスがありながらなぜできなかったのかというのは、全然納得できないわけなんですね。
それで、更に納得いかないのは、昨年の事故を受けて特別監査まで受けたのに、今年、同じ船が死亡事故を起こしてしまったということなんですよね。業務上過失致死も視野に捜査がされていると思いますが、社長がひどいからと、これはそのとおりなんですけれども、それだけで終わらせてはいけない。チャンスがあったのに見抜けなかった国の責任が問われているんです。
海上運送法に基づき選任することが義務づけられている運航管理者について、三つの要件のいずれかに該当することが施行規則で定められておりますが、参議院では、桂田社長が運航管理に関して三年以上の実務経験に該当する旨の届出があり、北海道運輸局が届出書類により確認したと答えています。しかし、そのときの届出書類は国会には出されておらないのです。たくさんこの間資料をいただきましたが、我が党の武田委員が指摘したことに対して、許可申請時に出している運航管理者の要件は、それは別の人ですと言った。それはそうですよね、当時の話ですから。だったら、今の、今どういう要件で認めたのかを出さなきゃ意味がないじゃないですか。
それで、大事なのは、この許可申請書に書いているのは、運航管理者、当時ですよ、運航管理者は誰々です、そこは黒塗りになっています。平成六年から遊覧船事業を開始し、自ら船長として乗船し、船舶の運航及び運航管理業務に従事してまいりましたので、選任いたしましたとあります。別添として、経歴書、一級小型船舶操縦士海技免状を添えてある。
そこで、船が一隻しかない場合は、運航管理者とは、もしものときは自ら船長として乗り組む免許と経験があることが要件ですよね。だけれども、知床遊覧船は二隻なんですから、一隻じゃないからいいんだという話じゃないんですよ。
本来、こういう人が運航管理者じゃなければいけません。そうじゃありませんか。
○高橋政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘の、運航管理者についての御質問でございました。
有限会社知床遊覧船の場合、運航管理者の資格要件は、海上運送法施行規則におきまして、まず、事業に使用する旅客船と同等以上の総トン数を有する旅客船に船長として三年以上又は甲板部職員として五年以上乗り組んだ経験、あるいは、同等以上の規模の事業における船舶の運航管理に関して三年以上の実務経験を有していること、又は上記と同等以上の能力を有すると地方運輸局が認める場合、済みません、今細かく申し上げましたが、この三つの要件のうち、いずれかを満たしていることが必要になってございます。
委員御指摘の桂田氏につきましては、私は先ほど三つの要件を読み上げましたけれども、二つ目でございます。具体的には、運航管理に関して三年以上の実務経験に該当する、この旨の届出が出てございます。その際、当該事業所は、この要件を備える者であるということを説明しておる書面を出しておるわけですが、その際、運航管理の補助を行っていたという説明をしてございます。
そして、委員御指摘の様々な資料を公開を、あるいは御提供するということにつきましては、私どもも大変そのとおりだと思いますので、もちろん、個人情報など、必要最小限の整理はさせていただかなければなりませんが、そのような作業をさせていただきながら、速やかにお出しをするようなことでしっかりやらせていただきたいと思います。
○高橋(千)委員 そこを、資料の提出については確認させていただきます。船だって、今の船じゃない船の届出書しか私たちのところに、手元に届いていないわけですよ。そこから悩み始めて、あれ、違うなと思って。そういうことをまず整えていただきたい。
それで、そもそも、会見で桂田社長は、運航管理者は自分じゃない、船長だろうと言っていたんですよね。だから、私がさっき言ったように、本来なら船長として乗り組める経験を持った人が、こういう小型船舶の場合は、まして、本当にちっちゃな会社じゃないですか、だったら、当然そういう体制を取るべきなんですよ。だけれども、その自覚もなければ、運航管理者は観光船が出ている間は事務所にいなければならないのに、事故当日、事務所を空けていた。それだけではなくて、そもそも、事務所に来ることはあったけれども、事務所の中までというのはほとんどなかった、事務所のことも余り詳細は分かっていないという元従業員の証言を北海道テレビが取材で明らかにしています。
こうした元船長や従業員が、まさに桂田社長が就任以来、みんな辞めてしまったということなわけですよね。だから、安全管理規程で本来担保されているはずの体制はもうなかった、営業させてはならなかったということだと思うんですね。だから、どんな書類で一体チェックしたのよと。チェックも甘いけれども、基準も甘いと言わなきゃいけないと思うんです。
今回のことは、観光船全体への風評被害につながりました。五月六日付の朝日新聞、「知床の観光船というだけで」というタイトルがついていました。根室海峡を挟んで反対側、羅臼の観光船、知床ネイチャークルーズという方の記事が載っていたんですが、ミンククジラやシャチやイシイルカも見られるということで、人気のクルーズだそうです。コロナ禍でも順調に利用客を増やしていた。ところが、夏季クルーズ開始前の知床遊覧船の事故のために、一日百五十件も問合せがあって、人が亡くなっているのに船を出すつもりなのか、そういうことが会社にも役場にも来るということで、もう大変な目に遭っている。安全管理に万全を尽くしてきた同業他社も、せっかくの連休で、これからというときに、とばっちりを受けたわけですよね。
ということは、やはり考え方としては、昨年の事故、あるいはこれまでの事故も含めてきちんと公表していくことが、利用者も見極めができるし、ひいては安全、安心につながると思いますが、いかがですか。これは大臣に通告しています。
○斉藤国務大臣 情報開示ということかと思います。
先ほど海事局長が答弁を申し上げましたとおり、このカズワンの事故についてのいろいろな情報については、きちんと公表していきたいと思っております。
今、御質問は、いわゆる旅客船事業全体の情報開示ということかと思いますけれども、国土交通省においては、海上運送法第十九条の二の二の規定に基づき、輸送の安全に関わる情報として、旅客船事故の情報を整理し、毎年度公表しております。
具体的には、行政処分を行った事案については、事業者名と事故概要、処分内容を公表するとともに、行政指導を行った事案については、同様の事故の再発防止に有益と思われる、輸送の安全に重大な関係を有するものを一年ごとにまとめて公表しているところでございます。
御指摘のとおり、利用者の安全、安心の確保の観点から、旅客船の安全情報の充実を図ることは大変重要であると考えております。
国土交通省といたしましては、旅客船に係る安全情報の充実を図るべく、具体的にいかなる措置が必要か検討を行い、先日設置いたしました検討委員会での議論を踏まえて、必要な措置を講じていきたいと思っております。
このような取組を通して、観光船への信頼を一日も早く取り戻し、利用者の皆様が安心して観光船に乗っていただけるよう、環境整備を進めてまいりたいと決意しております。
○高橋(千)委員 船が、航空機や鉄道などよりも、行政指導を公表しないという点では弱いのではないかという指摘もされておりますし、今大臣がおっしゃったように、検討委員会でも議論するということですので、やはりそれは、安全を本当に確保するためにはちゃんと公表する。逆に言うと、事故がない、安全な施設なんだということの裏返しにもなるわけですから、そこをしっかりやっていただきたいと思います。
時間の関係で、簡単な質問を二点、参考人に伺います。
知床遊覧船の乗客は全国から乗船していますが、どのようなルートで同社を知り、参加したのでしょうか。
もう一点は、知床遊覧船の同業他社はどれだけいるのか。お願いします。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の第一点目、全国から知床遊覧船にお乗りになった方々がおられます。これらの方々は、知床遊覧船の利用者の約八割の方々が、この事業者のホームページあるいは窓口から直接予約又は購入を行っていると聞いてございます。
また、同業他社ということでございますけれども、知床のウトロ側と申し上げたらよろしゅうございましょうか、小型の旅客船ということで四社ございます。
ありがとうございます。
○高橋(千)委員 八割がホームページで知ったということでありました。
報道されていた中では、たまたま宿泊先のホテルで紹介されて乗ったという方もいらっしゃったわけですが、これはなかなか衝撃ですよね。大臣、いかが思いますか。やはり公表をちゃんとされていたら、判断が誤らなかったんじゃないのかなと思うんですよ。
私は、旅行社を通していれば、逆に、シーズンですよとどこも言っていないところで、ここの会社が早々と、シーズンが来ましたよというのを売りにしちゃったら、それはそれで危険だなと思うんですよ。だけれども、そういうシーズンだということがよく分からずに、とても人気のツアーですよということだけでホームページで接近していたとしたら、やはりそれは避けさせるべきであったと。
やはりそういう意味でも公表というのは大事だったなと思いますが、一言。
○斉藤国務大臣 まさに利用者の選択の観点、それから、社会一般からの監視の観点からも情報公開は必要だ、このように思います。
○高橋(千)委員 やはりコロナ禍が続いて、早く盛り返したいという気持ちがはやるし、国としてもそれを応援したいという気持ちは分かります。だけれども、それでこうした事故が起きたら、取り返しのつかないことになるんだということで、くれぐれもお願いしたいと思っております。
それで、今、同業他社が四社とお答えになりました。プラス一個人というふうなことを聞いておりますけれども、やはり報道でもあるように、この同業他社というのは、それぞれ各社が不測の事態に備えるために、同じ時期に運航するなどして連携してきたと聞いています。天気が悪ければ、今日はやめようと声をかけ合ったり、助けを呼ぶにも、やはり無線も携帯も使えない、近くには誰もいないということではなくて、お互いに一緒に出ていたら、何らかまずいときには、ピンチのときには助け合えるだろうということでせっかくやってきたのに、今回の知床遊覧船の場合は、社長が替わってからその仲間から外れちゃったよということだと思うんですね。
やはり最後のセーフティーネットといいましょうか、今回でも、連休前にちゃんと情報交換会を開いてきたと聞いています。そういう意味でも、やはりそういう地元の協議会のようなものをしっかりとつくっていくということが必要なんじゃないかと思います。それを質問にするつもりだったんですが、時間が来ましたので、そのことを是非具体化していただきたいということを要望して、終わります。
ありがとうございました。
○中根委員長 次に、たがや亮君。
○たがや委員 れいわ新選組で、比較的党内野党のたがや亮と申します。
冒頭、北海道知床沖での遊覧船の事故について、犠牲となられました皆様に心よりお悔やみを申し上げますとともに、行方不明者の方々の一刻も早い発見を心よりお祈りいたします。
二度とこのようなことが起こらないようにしなければなりませんが、本日は、安全性の向上と安全管理の適正、適切な体制を整えるために事業者が定める安全管理規程の実効性を担保するための方法について、まず質問いたします。
遊覧船などについて、その海域の全ての運航事業者で気象や海の状況についての情報交換や運航データを蓄積し、安全管理規程の精度の向上に役立てるような、安全確保の強化につながる組織づくりを進めるべきですが、いかがでしょうか。
○高橋政府参考人 お答えを申し上げます。
ただいま委員御指摘のありました安全管理規程、これは本当に運送の安全の肝でございます。運航基準の遵守ということが本当に大事でございます。その際、何よりもまず、危険なときには絶対に運航しないという大原則を徹底していくことが重要でございます。
私どもは、現在行っている緊急安全点検におきましても、海象条件の厳しい航路を皮切りに、全国の小型船舶を利用した事業者さんに対して、特に、出航可否の判断における、御指摘の運航基準の遵守を指導することとしております。
そして、今委員から御指摘いただきました、地域の運航者がまとまって、例えば情報交換の仕組みをつくるなどといった取組につきましては、私どもは、各事業者の安全意識を高め合う効果が期待できますこと、あるいは、各社が有する安全情報あるいは具体的なノウハウを共有することによって、地域全体の運航の安全レベルの向上が期待できると考えておりますことから、大変意義のあるものだと考えてございます。
○たがや委員 ありがとうございます。
今回の事故を見ると、風速十五メートル、波の高さ三メートルの悪天候の中、ほかの船長が警告したにもかかわらず出航してしまったという話もございます。
現場管理として、連絡会、協議会、何でもいいので、国交省が管理の下、安全情報の交換の場となる組織の立ち上げを是非お願いをしたいと思います。また、安全管理規程の事業者同士の共有化により、違反者の速やかな国交省への報告、通告により、抑止も必要かと思います。その辺、よろしくお願いいたします。
次に、行政処分についてお伺いします。
国交省に聞いたところ、処分の度合いの判断は過去の事例により決まるとのことで、かなり曖昧だと感じました。カズワンも複数回事故を起こしていましたが、一番軽い指導止まりでした。
そこで、自ら定めた安全管理規程に違反した事業者は、単なる指導ではなくて事業停止処分以上の厳しい措置を取らないと、安全管理規程の実効性が担保できないと考えますが、いかがでしょうか。
○高橋政府参考人 国土交通省におきましては、例えば、事故が発生した場合に、輸送の安全確保などのために特別監査というのをしてございます。
これら監査の結果を基に、輸送の安全を阻害している事実があると認めますときには、その事業者に対しまして、先ほど委員御指摘の一番大事な安全管理規程の違反の程度などを踏まえて、必要な行政処分あるいは行政指導を行うことになってございます。もちろん、重大な安全管理規程違反がございますれば、事業の停止又は許可の取消しというところまで処分をすることもございます。
私どもは、違反の程度に応じて適切な指導あるいは処分を行うということが大変大事だと思ってございます。必要なときには厳然と処分を行うことが重要と考えてございます。
今回の事案も、私どもは真摯に受け止めてございます。知床の遊覧船の事故対策検討委員会での議論も踏まえながら、安全管理規程の実効性、あるいは、私どもの監査あるいは行政処分の在り方についてもしっかり検討し、必要な措置を講じてまいりたいと思います。
○たがや委員 ありがとうございます。
とにかく、今回の、例えばカズワンが事故が起こらないで戻ってこられたとして、それをどう報告をして、そういう違反、重大な違反ですよね、十五メートル、三メートルということですから。そういうことをしたときは厳しく、事業停止若しくは免許取消しぐらいのことをやっていただきたいと思います。是非お願いします。
次に、行政処分を受けた事業者名を周知、公表し、現在のホームページだけでなく、メールなどで各旅行代理店や事業者へ必要な情報を広く周知し、事業者の不適切な行いの抑止や悪質な業者の淘汰を図る仕組みをつくるべきですが、いかがでしょうか。
○高橋政府参考人 お答えを申し上げます。
まず、少しだけ現行の御説明をさせていただくことをお許しを願えたらと思います。
国土交通省におきましては、海上運送法十九条の二の二の規定に基づきまして、輸送の安全に関わる情報として、事故の情報を整理し、毎年度公表してございます。
具体的には、行政処分を行った事案につきましては、事業者名と事故概要、処分内容を公表しますとともに、行政指導の事案については、同様の事故の再発防止に有益と思われる、輸送の安全に重大な関係を有するものを公表してございます。
こうした安全情報を広く周知することで、大臣が先ほど申し上げましたように、利用者による選択や、あるいは第三者による監視を通じた事業者の適正な事業運営等の確保を図ることが大変重要だと考えてございます。
今後の制度の在り方につきましては、知床遊覧船事故対策検討委員会での議論も踏まえまして、安全情報の適用の在り方について、先ほど御指摘のありました、例えば代理店などの活用も含めまして、しっかりと様々な角度から検討し、必要な措置を講じてまいりたいと思っております。
○たがや委員 ありがとうございます。
要するに、国交省のホームページとかで公表してもなかなか見ないとか気づかないということもあるので、できれば行政側からプッシュ型ということで、通知、周知徹底ということで抑止をしていただきたい、そのように思っておりますが、斉藤大臣、このような旅行代理店への周知、公表は肝だと思いますけれども、このような取組にしっかりと取り組んでいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 船舶それから事業者、これは事海だけに限らないと思いますけれども、事故情報等をしっかり開示することは、利用者が安心してその機関を利用するという観点、それから、第三者の目を光らせるという観点から非常に重要だと思っております。
どういう情報開示の在り方が最もふさわしいかということも含めまして、現在行っております検討委員会でしっかり議論をし、改善をしていきたいと思っております。
○たがや委員 大臣、ありがとうございます。
とにかく関連事業者への周知、公表により、抑止というのも広がると思いますので、是非御検討をよろしくお願いいたします。
一方で、一定の期間に行政からの処分を受けていない優良な事業者については、優良認証マークや証書を交付して、船舶内への掲示やホームページへの掲載をさせる制度を設けさせて、優良事業者に利用者が流れやすい、そんなメリットが生まれる仕組みをつくるべきですが、斉藤大臣、いかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 優良認証マークがいいんじゃないかというたがや委員の御提案、昨日聞きまして、ううんと、私も一つのアイデアだなとうなったところでございますけれども、それも含めまして、今回の事故検討委員会で議論をさせていただきたい、このように思っております。
○たがや委員 大臣、ありがとうございます。
飲食店でも、よく食品衛生責任者、掲示責任とか、いろいろありますけれども、そういった形で、優良企業、優良事業者に対するそういった評価というのも非常に利用者からも分かりやすいということになりますので、是非御検討をお願いいたします。
今私が申し上げた情報共有の組織化、それから罰則の強化、行政処分における周知、公表の徹底、優良認証の交付、これらの四点はマストだと思います。安全のための手続が、手続のための手続にならないように、しっかりとした取組をお願いして、次の質問に参ります。
続いて、観光関連の質問に移ります。
宿泊事業者への支援について、三月二日の国交委員会で、その質疑の際に斉藤大臣から、今後とも、その時々の経済動向等に応じて、事業者の皆様の声も伺いつつ、必要な支援を継続的に実施できるよう適切に対応してまいりたいと思いますとの答弁をいただきました。
コロナ禍で傷んだ国内の観光業界を再生させるためには、もちろん、感染状況を考慮しながらになろうかと思いますが、まずは、見通しが立たないインバウンド需要に先駆けて、国内旅行の需要喚起のために、県民割等の制度を利用しながら、国が後押しをする形で、公共交通事業者と連携を取ってPRキャンペーンを打ってはいかがでしょうか。観光業界にとって明るい希望が芽生えると思いますが、是非やっていただきたいのですが、どうでしょうか。
○和田政府参考人 お答え申し上げます。
新型コロナの感染拡大によりインバウンド需要が蒸発するなど、観光関係事業者は甚大な影響を受けています。観光は成長戦略の柱、そして地方創生の切り札として、この先も重要な役割を果たすことが期待されており、観光関係事業者をしっかりと支援していく必要がございます。
観光庁では、現在、御指摘のとおり、県民割支援により地域の観光需要の喚起に取り組んでおりますけれども、あわせて、新たなGoToトラベル事業の準備も進めているところでございます。
これまでのGoToトラベル事業では、統一ロゴやキャッチフレーズ等を用いるとともに、旅行会社や交通事業者もこれらを活用して、旅行需要の分散化や高齢者の旅行促進などの各種プロモーションを実施するなど、多くの国民の皆様が旅行をしやすい環境整備を図ってまいりました。
新たなGoToトラベル事業を実施する際には、キャンペーンの効果が最大限発揮され、旅行ムードを盛り上げられるよう、観光、交通事業者とも一層連携を強化してまいります。
○たがや委員 ありがとうございます。
県民割からちょっとずれますが、斉藤大臣、一九七〇年に国鉄が主導して、国内旅行、個人客喚起のために、ディスカバー・ジャパンと称して大キャンペーンを行ったのを覚えていますでしょうか。私はまだ二歳で、記憶になかったんですけれども、調べたら、そんなキャンペーンがあったということで、非常に感銘を受けた次第です。
GoToトラベルという名称、これもいいんですけれども、ちょっと少し古臭くなっているような気もするので、名称を一新して、ニュー・ディスカバー・ジャパンとして大キャンペーンを行い、観光需要の喚起を行うのも一つの手だと思いますが、これは通告していないんですけれども、大臣、所感でいいので、感想をお聞かせください。
○斉藤国務大臣 懐かしいディスカバー・ジャパン、山口百恵さんが歌を歌って、今でもそれを見るとあのときのメロディーが頭の中によみがえってきますが、そういう一つの大きな機運を盛り上げるのに、そういうキャンペーンは非常に有効だと思います。
○たがや委員 斉藤大臣、ありがとうございます。
百恵さんの名前まで出てきて、最高ですね。済みません、笑っている場合じゃないです。
ニュー・ディスカバー・ジャパン、これは、大臣、やはり名前が、響きがいいですよね。七〇年代ということで、高度成長というのもありましたけれども、何となくやはり縁起もいいし、ニュー・ディスカバー・ジャパンという名前は非常にいいなと思うので、是非そういった、ニュー・ディスカバー・ジャパンじゃなくてもいいけれども、GoToトラベルというのは、何かちょっと言いづらいというか、余り響きがよくないというような私は感想なので、また一新するということで、是非御検討をよろしくお願いいたします。
次の質問に参ります。
先日、地元の支援者や様々な方から、長距離トラック業界の抱える問題点についての相談を受けました。日本の物流を最前線で支えるトラックドライバーの皆さんの声を基に質問をいたします。
資料一を御覧ください。
大型トラック運転者の年間所得は、全産業平均と比べて約七%、三十三万円低く、年間労働時間は、全産業平均と比べて年四百三十二時間、月に換算すると三十六時間、およそ二割も長くなっております。
資料二を御覧ください。
全国トラック協会の、運送会社の経営分析報告書です。利益は一%しかありません。しかも、経費を削れそうな余地は見当たらず、とても給料を上げることもできません。
資料三を御覧ください。
写真にもあるように、首都圏や近畿圏の主要な高速道路の料金所の手前には、深夜零時を前に、大型トラックが高速道路のサービスエリアなどの駐車場に入り切れずに、時には本線上の路肩まで駐車している状態です。重大な交通事故を起こしかねず、非常に危険です。
長距離トラックドライバーは非常に厳しい環境にあり、若い人のなり手が少なく、ドライバーの高齢化が進行しているとのことです。
資料二に戻ります。
平成三十年度から令和二年度までの営業費用のうち、約一二%から一五%が燃料費と、かなり高い割合となっております。昨今の燃料費を始めとする物価の高騰が、運送業者の経営にも悪い影響を与えております。
現在国が行っている、価格を上げないための燃料事業者への補助金もいいのですが、あわせて、運送事業者が直接恩恵を受けられるように、燃料代の領収書があれば、上限を決めて、一定の割合で運送事業者に真水の支援をすべきと思います。
また、長距離トラックドライバーは、法令で一定の時間に休憩を取らなければなりませんが、四三〇ルールというのもありますけれども、そのためには、大型トラックを安心して駐車できる休憩所の確保が必須となります。
例えば、東名高速の上り方面のサービスエリア等の混雑は、ピーク時には、神奈川県にとどまらず、静岡県内のサービスエリアまで及んでいるということで、大型トラックが休憩できない状態です。また、一般道では大型車が駐車できる場所は更に少なく、最近は、コンビニや道の駅でも、大型車お断り、駐車時間を制限する例が増えております。ドライバーの中には、次の休憩で頭がいっぱいで、考えるだけでいらいらするということもあるそうです。
そこで、大型トラックの休憩所について、高速道路のサービスエリア、パーキングエリアの収容台数の増加を図っているとのことですが、どのように計画し、いつまでに整備を行うのか、お伺いをいたします。
○村山政府参考人 お答えします。
高速道路の休憩施設につきましては、トラックドライバーの過労運転による事故防止の観点から、重要な施設でございます。
整備の状況でございますが、二〇二一年度末時点で、NEXCO三社が管理する全国八百二十八か所の休憩施設におきまして駐車升が約八万台ございますけれども、そのうち、大型車用として約三万台分がございます。
そして、駐車升につきましては、トラック関係団体から拡充の要望をいただいていることから、NEXCO三社では大型車用の駐車升の拡充に取り組んでおりまして、二一年度は、四十三か所の休憩施設におきまして九百台、また、二二年度から二四年度の三か年で約千五百台分の拡充計画を持ってございます。二二年度につきましては、約三十か所の休憩施設で約六百台の拡充に着手します。
今後の計画についてでありますけれども、大型車の高速道路の利用状況につきましては、物流施設の立地等、沿線の交通需要に合わせて変化することから、駐車升の不足を解消させるための具体的な数値の予測が難しいということでございまして、計画の策定は行ってございません。
また、時期につきましてでありますけれども、駐車場の駐車升の整備費用としまして、用地を新たに買収する場合につきましては一台当たり約四千万円、用地買収が伴わない場合につきましては一台当たりおおむね一千万円程度の経費がかかるということでございまして、現在までは、用地買収をしない範囲で大型車用の駐車升の拡充を行っておりますけれども、今後、用地を確保しながら駐車升を整備する必要がございまして、整備に係る財源、用地の確保等々の課題もございますので、整備の終了の時期については設定をしていない、こういう状況でございます。
○たがや委員 ありがとうございます。
先ほど立民さんの城井委員の答弁にも斉藤大臣がお答えをされておりましたけれども、大型トラック駐車スペースの確保のための整備を行っているということなんだけれども、どれぐらいの升が必要かというのもちょっと曖昧だし、なかなかこの判断が難しい。そういったことで、整備に時間もかかると思いますので、ドライバーの労働環境の改善のために、休憩についての四三〇ルールがあるのですから、いつ頃までに何台分の駐車スペースを確保して休憩所不足の問題を解決できるのかも含めてしっかりと把握して、スピード感を持って取り組んでいただけるよう要望いたします。
そして、渋滞の本質の質問に移りたいと思います。
休憩所の不足の原因となっているのが高速道路の深夜割引制度だという指摘があります。
深夜割引は、深夜零時から翌朝四時までの間に一分でも高速道路を利用したETC利用者は料金が三割引きになるという制度です。
昨年七月に行われた第五十一回国土幹線道路部会では、深夜割引の問題点が指摘され、見直しの方向性として、深夜割引の適用時間帯の拡大などが示されました。
また、全国トラック協会は、深夜割引について、二十二時から翌朝五時までの適用時間の拡大を要望しております。
そこで、深夜割引の適用時間帯の拡大について国はどのように考えているのか、私は、料金三割引きを二十四時間行うべきと考えておりますけれども、斉藤大臣、いかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 高速道路の深夜割引は、一般道の沿道環境を改善するため、交通容量に余裕のある高速道路の夜間利用を促進することを目的として、平成十六年に導入されました。
具体的には、深夜時間帯の零時から四時の間にETCを利用してインターチェンジを通過した車両について、高速道路の走行分の全体の料金を三割引きとするものでございます。
一方、委員御指摘のとおり、料金割引を適用するために、零時直後に料金所を通過するための時間調整を目的として、料金所前のスペースやサービスエリア等において大型車両が滞留するといった課題が生じているところです。
このため、トラックの利用者団体からは、ドライバーの労働環境改善のために、深夜割引の適用時間帯の拡大の要望が出されております。
このような状況の中、昨年八月に取りまとめられた社会資本整備審議会の部会の中間答申において、深夜割引について、有識者から、現在、割引の適用時間内にインターチェンジを通過すれば、割引の適用時間外に走行した分も含めた全ての走行分に割引が適用されている現状から、一つは、割引時間帯を定めて、その時間内に走行する分のみを割引の対象とすることや、これに併せて、二番目に、割引時間帯を拡大することの二点について検討すべきとの御意見をいただいております。
国土交通省といたしましては、この意見を踏まえ、割引額に必要となる財源に制約がある中で、全体を一定の範囲内に抑えることも考えながら、現在、深夜割引の見直しに向けた検討を進めております。
終日、二十四時間、割引を行うべきとの御意見をいただきましたが、新たな財源が必要となること、また、フェリーや鉄道などの他の輸送機関に与える影響が大きいことなどの課題があるため、慎重に検討する必要があると考えております。
○たがや委員 大臣、ありがとうございます。
あと、夜間を利用させることで夜間の需要を増やすということとかを言っておりますけれども、やはり本末転倒というか、逆に、混雑がひどくて休憩時間も取れないとか、非常に困難が生じていますので、その辺は、二十四時間、サービスすることによって、渋滞が緩和される、サービスエリア、パーキングエリアも造らなくてもいいかもしれない、予算がそこは浮くかもしれない、また、割引を二十四時間にすることで台数も増えるかもしれないということですので、是非御検討いただければなと思います。
まだまだしゃべりたいことがいっぱいあったんですけれども、結構答弁が長くて、時間が来てしまいましたので、非常に残念ですが、最後、締めさせていただきたいと思います。
このままでは、日本の物流に影響が出てくるのは避けられない。自動運転の技術革新も目覚ましいものがありますけれども、実用化までしばらくの間は、当然ながら、人間が運転することになろうかと思います。新しい人材が入ってこられるよう、トラックドライバーの労働環境の改善のためにも、また、一般道での交通安全や道路周辺の騒音防止のためにも、繰り返しになりますが、高速道路料金の割引の二十四時間化で、物流を担う事業者を救っていただきたいと思います。持続可能な物流体制を確保していただきたいと思います。
斉藤大臣、一緒にいい国をつくりましょう。
ありがとうございました。
――――◇―――――
○中根委員長 次に、内閣提出、脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣斉藤鉄夫君。
―――――――――――――
脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○斉藤国務大臣 ただいま議題となりました脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
二〇五〇年カーボンニュートラル及び二〇三〇年度温室効果ガス四六%排出削減の実現に向け、我が国のエネルギー消費量の約三割を占める建築物分野における取組が急務となっております。
また、温室効果ガスの吸収源対策の強化を図る上でも、我が国の木材需要の約四割を占める建築物分野における取組が求められております。
このため、建築物の省エネ性能の一層の向上を図る対策の抜本的な強化や、建築物分野における木材利用の更なる促進に資する規制の合理化など、あらゆる施策を講じていくことが必要です。
このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、省エネ基準への適合を義務づける建築物の範囲について、住宅を含む全ての建築物に拡大するとともに、省エネ基準への適合性を確認する仕組みの整備等を行うこととしております。
第二に、より高い省エネ性能への誘導を図るため、省エネ性能の向上を促すための勧告制度の対象に大手分譲マンション事業者を追加するとともに、建築物の販売、賃貸時における省エネ性能表示の推進を図ることとしております。
第三に、住宅ストックの省エネ改修を促すための低利融資制度や、市町村が再生可能エネルギー利用設備の導入を促進する区域を定める制度を創設することとしております。
第四に、建築物分野における木材利用の促進に資する観点から、防火、構造に関する規制の合理化を図るとしており、大断面材の活用等による建築物全体の木造化や、防火区画の活用や防火規制上の別棟扱いによる部分的な木造化を可能とするなど、大規模建築物に係る防火規制を見直すとともに、二級建築士でも行える簡易な構造計算で建築可能な木造建築物の範囲を拡大することなどとしております。
そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
○中根委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十八日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時四十分散会