衆議院

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第13号 令和4年5月18日(水曜日)

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令和四年五月十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中根 一幸君

   理事 柿沢 未途君 理事 小島 敏文君

   理事 塚田 一郎君 理事 土井  亨君

   理事 城井  崇君 理事 小宮山泰子君

   理事 市村浩一郎君 理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    伊藤 忠彦君

      石原 宏高君    泉田 裕彦君

      小里 泰弘君    大西 英男君

      加藤 鮎子君    金子 俊平君

      菅家 一郎君    小林 茂樹君

      櫻田 義孝君    笹川 博義君

      鈴木 英敬君    田中 良生君

      谷川 とむ君    中川 郁子君

      根本 幸典君    宮内 秀樹君

      宮崎 政久君    和田 義明君

      稲富 修二君    枝野 幸男君

      大串 博志君    神津たけし君

      福田 昭夫君    藤岡 隆雄君

      谷田川 元君    渡辺  周君

      池下  卓君    高橋 英明君

      山本 剛正君    河西 宏一君

      北側 一雄君    古川 元久君

      高橋千鶴子君    福島 伸享君

      櫛渕 万里君    たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   総務大臣政務官      三浦  靖君

   国土交通大臣政務官    加藤 鮎子君

   国土交通大臣政務官    泉田 裕彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澤田 史朗君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   菅原  希君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 明渡  将君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   奥  達雄君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 瓦林 康人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房政策立案総括審議官)     高田 陽介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官)            島田 勘資君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  淡野 博久君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  高橋 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 松本 貴久君

   政府参考人

   (運輸安全委員会事務局長)            城福 健陽君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    奥島 高弘君

   国土交通委員会専門員   武藤 裕良君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  和田 義明君     鈴木 英敬君

  稲富 修二君     大串 博志君

  たがや 亮君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 英敬君     和田 義明君

  大串 博志君     稲富 修二君

  櫛渕 万里君     たがや 亮君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件(統計問題・知床遊覧船事故問題等)


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     ――――◇―――――

中根委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件、特に統計問題・知床遊覧船事故問題等について調査を進めます。

 この際、政府より報告を求めます。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

斉藤国務大臣 建設工事受注動態統計調査の不適切処理問題については、先週十三日に、第四回遡及改定検討会議において報告書が取りまとめられ、推計手法の決定や大まかな影響度試算をいただきました。今後、決定された推計手法により、国土交通省において遡及改定の作業を急ぎ、今年の秋頃までには結果を公表したいと考えております。

 また、同じく十三日に、本件不適切処理問題に係る追加調査の結果と、再発防止のために当面速やかに取り組む事項及び今後の検討の視点を公表しました。今後、これらの結果も踏まえ、再発防止検証タスクフォースの下、統計委員会とも歩調を合わせつつ、再発防止策について更に検討を進めてまいります。

 国土交通省において、今般の事態により失われた国民からの信頼を回復し、再生できるかは、ひとえに、省を挙げた組織風土の刷新を始めとする再発防止策の確実な実施に懸かっており、私自身が先頭に立って、迅速かつ徹底的に進めてまいります。

 次に、北海道知床における遊覧船事故につきまして、お亡くなりになられた方々、その御家族の皆様方に対し、心からお悔やみ申し上げるとともに、今回の事故に遭遇された方々、その御家族の皆様方に対し、お見舞い申し上げます。

 依然として多くの方が行方不明となっており、本日も海上保安庁が、自衛隊や北海道警察、民間船舶と連携し、捜索を実施しております。

 また、御家族の皆様への御説明等についても、誠心誠意、対応しております。

 運航会社についても、徹底的な特別監査を行うとともに、全国の小型旅客船に対する緊急安全対策も実施しております。

 さらに、安全対策を総合的に検討する知床遊覧船事故対策検討委員会を五月十一日より開催しており、七月に予定する中間取りまとめに向け、早急に検討を進めてまいります。

 引き続き、捜索活動等の事故対応に全力で取り組むとともに、安全対策の徹底に万全を期してまいります。

中根委員長 以上で政府の報告は終わりました。

    ―――――――――――――

中根委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長瓦林康人君、大臣官房政策立案総括審議官高田陽介君、大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官島田勘資君、住宅局長淡野博久君、鉄道局長上原淳君、海事局長高橋一郎君、政策統括官松本貴久君、運輸安全委員会事務局長城福健陽君、海上保安庁長官奥島高弘君、内閣官房内閣審議官澤田史朗君、デジタル庁審議官菅原希君、総務省大臣官房審議官明渡将君及び財務省主計局次長奥達雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中根委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中根委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。菅家一郎君。

菅家委員 自民党の菅家一郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、令和四年四月二十三日午後一時十三分頃、北海道知床半島沖で乗客乗員二十六人が乗った観光船カズワンが浸水し、遭難し、十四人の方がお亡くなりになられ、心から御冥福をお祈り申し上げます。また、十二人の方がいまだ行方不明だということで、一日も早く発見されますことを心からお祈りをしているところであります。

 さて、私の地元でも、会津の経済を担う人材で、将来を期待されていた青年が犠牲になりました。未来を奪われたのであります。地元では衝撃が走り、深い悲しみでおります。本人もさぞや無念だと思います。御両親や御遺族の思いはいかばかりか、悲しみのどん底に突き落とされ、悔しくて言葉にならない無念な思いでおられます。

 私も彼とは友人でおつき合いをさせていただいたものですから、本当に、これから会津の経済をと期待をしていた青年を失ったということで、本当に悔しくて、残念で、無念でなりません。

 犠牲になられた方々の御遺族も、同じような思いでおられるかと存じます。その思いを踏まえながら、以下、御質問をさせていただきます。

 この事故は、運航会社知床遊覧船のずさんな安全管理の実態が明らかになっています。

 観光船などの運航事業者は、法律に基づき、安全管理規程を作成し、国に届ける義務があるにもかかわらず、当時、強風、波浪注意報が発令されていたにもかかわらず条件運航した、運航中の船から定点連絡を怠っていた、最後の命をつなぐ通信手段である事務所の無線アンテナが故障していた、船の衛星電話が修理中で使えなかった、携帯電話も使えなかったなど、次々とずさんな安全管理が確認されています。これは知るほど、御遺族の方々の思いはいかばかりかと心が痛いです。

 この事故は天災ではなく人災だ、私はそう思います。絶対あってはならない事故だと思います。十四人の方が犠牲になり、いまだ十二人の方が発見されていない大変な海難事故が起きたことへの、まず斉藤大臣の所見を伺いたいと思います。

斉藤国務大臣 今、依然として十二名の方が行方不明となっており、その捜索に全力を尽くしてまいります。まず、これが一つ。

 それから、今回この事故を起こした会社に対して、昨年、監査や指導等を行ってきたにもかかわらず、こういう事故が発生したことについて、これを真摯に重く受け止めております。

 まず、会社のどこに問題があったのか等を解明すべく、特別監査をしっかりやっていきたい。

 それから、この国土交通省の監査や指導の在り方も含め、あらゆる角度から安全対策を総合的にもう一度見直していかなければならない、このように決意をし、有識者による検討委員会を立ち上げたところでございます。

 今回のこの事故、二度とこういう事故を起こさない、その固い決意の下で、全力を挙げていく決意でございます。

菅家委員 是非ひとつ、そういう思いで頑張っていただきたいと思いますが、本当に遺族の皆さん方はつらい思いでおりますので、受け止めていただきたいと思います。

 私は、運航基準どおりであればこの度の事故は回避できた、当然そう思っています。国に提出している安全管理規程、これに違反している。条件付運航、そしてアンテナの故障、衛星電話の故障、電話が使えない、携帯電話が使えない、定点連絡を怠っている、これは日常的に怠っていたことも実は明らかになっているわけでありますから。新たに、当日、運航管理補助者は船長しかいなかった、事務所は空っぽだった、こんな報道もされているわけでありますから、安全管理上、絶対許されない対応だと考えます。

 御遺族の御心痛を考えれば、運航会社へ、許可の取消しは当然ながら、厳しい法的な措置をすべき、私はそう思います。遺族もそう思っていると思いますよ。その対応について伺います。よろしくお願いいたします。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 有限会社知床遊覧船の安全管理規程における運航基準におきましては、発航前において、航行中に風速八メートル以上又は波高一メートル以上になるおそれがあると認められるときは、発航を中止しなければならないとされてございます。

 当日は、朝から夜遅くまで海上の最大風速十五メートルとの強風注意報が発表されておりましたことから、絶対に出航してはならない状況でございました。

 このような中、同社が条件付運航と称して運航を行ったことはもってのほかでありまして、安全管理規程に従い出航を中止していれば、委員御指摘のとおり、事故は起こらなかったものだと考えてございます。厳正に対処する必要があると考えてございます。

 現在、委員から御指摘をいただきました有限会社知床遊覧船に対して、特別監査を実施中でございます。同社の運航管理体制や安全管理規程の遵守状況などについて、徹底的に調査を行ってございます。

 今後、特別監査の結果を速やかに取りまとめ、同社に対する行政処分についても早急に決定してまいります。

菅家委員 乗客の皆様方は、本当にこの知床クルーズ船を楽しみにしておられた。まさかこういうような会社だとは皆さん分かっていないですよ、安全だと思って乗っているわけですから。なぜ防げなかった。悔やんで、悔やまれてなりません。

 カズワンは、令和三年五月十五日、浮遊物接触事故を起こして、令和三年六月十一日に座礁事故を起こしている。二回も起こしているんですよ、一か月に。国は知床遊覧船へ、六月二十五日ですか、臨時検査をやっている。七月九日には、知床遊覧船から是正報告書が出された。七月二十日に、輸送の安全確保に関する指導を国がやっている。七月三十日には、知床遊覧船から改善報告書が提出されている。しかし、十月十三日には、改善対策、これを国は確認しているわけですよね。

 何でこういうずさんな、途中で、船長から事故後解雇して、スタッフまで全部解雇して、新たに入れて申請までしていて、この申請だって虚偽申請だと言われているぐらいでしょう。

 何で事故が起きるのか。そういった実態を何で確認できなかったか。これはみんな本当につらいですよ。その辺のところをひとつお示しをいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 有限会社知床遊覧船は、委員御指摘のとおり、昨年五月と六月に海上の浮遊物への接触や浅瀬への乗り上げを起こしてございまして、事故後に北海道運輸局が特別監査を実施しております。

 その結果、昨年七月に同社に対して指導を行い、昨年十月には、北海道運輸局職員が、抜き打ちで本船及び事務所を訪問し、改善内容について確認を行ってございます。

 しかしながら、こうした監査などを行ってもなお今回の事故が発生しましたことについて、重く真摯に受け止めてございます。委員御指摘のように、提出された書面の確認にとどまらず、第三者への聞き取りや申請内容の裏づけなど行い、これらに基づき必要な指導を行うなど、私ども自身の監査方法について改善を図る必要があると考えてございます。

 国土交通省といたしましては、二度と今回のような痛ましい事故を起こすことのないよう、徹底的な安全対策の検討が必要であると考えてございます。知床遊覧船事故対策検討委員会におきまして、御指摘の監査の在り方も含めてしっかりと議論をし、必要な措置を講じてまいりたいと思っております。

菅家委員 残念でなりません。確認できなかったということですよね。

 そして、実は、事故三日前、令和四年四月二十日、この日に小型船舶検査機構による中間検査が行われているんですね。三日前ですよ。これで何とかと思いますよね。しかし、事故が起きている。ですから、この実態というか、これを確認、ずさんな安全管理だったという確認が取れていればと思うんですけれども、なぜこれが防げなかったか。これもやはり遺族の皆さんは悔しがっているんですよ。ちょっとお示ししていただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 日本小型船舶検査機構が、委員御指摘のように、本年四月二十日にカズワンを中間検査してございます。機構の規則に従いまして、船体の外観の確認、エンジンの作動確認、救命設備の状態の確認等を行ってございます。

 しかしながら、今回のような痛ましい事故が起きてしまったことを真摯に重く受け止めてございます。真に小型旅客船の安全に資する検査を行いますように、知床遊覧船事故対策検討委員会におきまして、船舶検査の実効性の向上、あるいは監査を行う国と検査を行う機構の情報共有の在り方など、しっかりと議論をし、必要な措置を講じてまいりたいと考えてございます。

菅家委員 そのときに、携帯電話の通話可能の確認、船体だけでなく、運航基準どおりなのかなど、安全確認がなされて改善命令が出されていれば、この度の事故を防げたのではないか。本当に悔やまれます。知床遊覧船から是正報告書が提出されていた、しかし、全く是正されていない、虚偽申請だと言わざるを得ない。ですから、実態を確認すればと、本当に悔やまれてなりません。結果として、この度の転覆事故が起こったのでありますから。ですから、現状の国の監査も中間検査も抑止力にはならなかったと言わざるを得ません。

 まず、幾ら改善報告しても守らず、虚偽申請や日常的に安全規則違反している悪質な事業者に対して、抑止力になるような、そういった業者が改善されない場合、厳しい罰則規定などを検討すべきだ、このように考えますが、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 累次の監査、指導、抜き打ち確認を行ってもなお今回の痛ましい事故、起こってはならない事故が発生しましたことを、重く真摯に受け止めてございます。

 委員御指摘のように、事業者による虚偽申請などを許すことがないよう、提出された書面による確認にとどまらず、第三者への聞き取りや申請内容の裏づけ確認など行いますとともに、法令違反を繰り返すような悪質な事業者に対する行政処分の厳格化などについても、検討委員会の議論も踏まえながら、しっかりと検討をし、必要な措置を講じてまいりたいと思ってございます。

菅家委員 この度の特別監査そして中間検査が結果として事故を防げなかった、これを重く受け止めるべきだと思いますよ。国は観光事業者に対し、監査の在り方や中間検査の在り方、これをしっかりと見直しをして、船体だけでなく、運航基準どおりにしっかりと行って、貴い人命を守るために安全運航をしっかり行っているのか確認をして、抑止力になるよう見直しをすべきだと思いますよ。

 しかし、安全基準にのっとってしっかりやっている業者もある。みんな風評被害も受けているんです。ですから、しっかりと取り組んでいる、安全にやっている事業者はそれなりにやはり評価をしたり、駄目なところは駄目だと。観光船に乗る観光客は分からないんですよ。ここも、全部が悪いわけじゃない、一部の悪質な業者のためにという部分はあるわけだから、そこも踏まえながらしっかりと見直しをすべきだと思いますよ。

 今後の対応について、お示しをいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回のような事故を二度と起こさないためには、国による監査や検査の在り方につきまして、委員御指摘のように、事故の抑止力となるよう、その実効性を高める見直しが必要であると考えてございます。

 虚偽の申請や届出を抑止する、あるいは国と機構との情報共有を進めるなど、監査と検査の実効性を向上させてまいりたいと考えてございます。

 また、委員御指摘のように、利用者の安全、安心の確保の観点から、旅客船の安全情報を広く周知し、利用者による選択や、第三者による監視を通じた事業者の適正な事業運営の確保を図ることも重要ではないかと考えてございます。

 これら監査、検査方法の具体的な見直しや利用者への安全情報の提供などについて、知床遊覧船事故対策検討会での議論も踏まえまして、必要な措置をしっかりと講じてまいりたいと考えてございます。

菅家委員 次は、沈没の原因といいますか、カズワンがなぜ沈没したのか。高波なのか、浸水なのか。ある情報では、前の事故における船体の亀裂があったのではないかというような見方も一方であって、この船体をしっかりここで引き揚げて、何が原因だったのか、ここはやはりしっかりやらないと抑止力にならないと考えるわけなので、これは今後どのようなスケジュール等をもって対応されるのか、お示しをいただきたいと思います。

城福政府参考人 お答えを申し上げます。

 本事故につきましては、運輸安全委員会では、事故発生翌日から事故調査官を現地に派遣するなど、事故の原因究明に向けた調査を進めております。

 現在、これらの調査で収集した資料、情報の精査、整理、分析を行っておりまして、今後、委員会での検討、精査などを踏まえて更に必要な調査、分析を行い、調査報告書をまとめてまいります。

 運輸安全委員会といたしましては、御指摘の点も含め、徹底した原因究明を行ってまいりますとともに、今後の事故防止や被害軽減を図る上で有益な情報は、調査の過程であっても、関係行政機関などに対して速やかに情報提供を行ってまいります。

島田政府参考人 引揚げの点についてお答えを申し上げます。

 四月の二十九日に知床沖の海底にて発見をされたカズワンにつきましては、五月の八日から、サルベージ業者の遠隔操作型の無人潜水機、いわゆるROVでございます、これにより、行方不明者の捜索、それから船体の調査等を現在実施をしているという状況でございます。

 今後は、更に民間の潜水士による、人による行方不明者の捜索を行うとともに、船体の引揚げに向けた検討を行うこととしてございます。

 なお、船体の引揚げにつきましては、これらの調査を行った上で、引揚げが技術的に可能か否かなど、引揚げを決定する前に、引揚げに向けた課題を早急に整理したいというふうに考えてございます。

菅家委員 しっかりとこれは確認しなくてはなりませんから、何が原因だったのか、そこはしっかりと検証していただきたいと思います。

 次に、初動対応についてであります。

 このような事故が起きた場合、国は迅速に人命救助するのは当然であり、これは当たり前なことですよ。しかし、海上保安庁の救助船そしてヘリコプターが現地に到着したのは、事故が発生し、発動した十三時二十二分から、救助ヘリは現場に到着したのが十六時三十分ですよ。救助船は現場到着が十七時五十五分なんですね。三時間から四時間たってから現場に到着しているんですよ。

 これは三、四時間たっている。なぜこのように遅れたのか。その原因ですか、ひとつお示しをいただきたいと思います。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 海上保安庁では、四月二十三日午後一時十三分頃、遊覧船カズワンの海難情報を受け、同日午後一時二十二分頃、巡視船艇、航空機等に対し、発動指示をいたしました。

 まず、航空機について御説明申し上げます。最も近い釧路航空基地所属の回転翼機は、当時、哨戒業務中でありました。このため、当該救助活動を行うため海上保安庁の潜水士を同乗させる必要があったこと、また、現場海域が遠方であり、かつ、つり上げ救助等の活動時間を確保するため燃料を補給する必要があったことから、午後二時三十八分に釧路航空基地へ帰投、給油活動及び海上保安庁潜水士を同乗させた後、午後三時二十分に同基地を出発し、午後四時三十分頃に現場付近海域に到着したというものでございます。

 次に、巡視船艇について御説明を申し上げます。現場海域から距離的に近い根室、羅臼海上保安署所属巡視船艇が現場に向かうに当たり、通常の速力であれば早期に現場付近海域に到着できたと考えられますが、当時、海上が非常に悪天候でありましたことから通常の速力を出すことができず、最初に到着した巡視船であっても午後五十五分頃に現場海域に到着したというところでございます。

菅家委員 遭難事故というのは、悪天候というか条件が悪いときに起きるのは常識じゃないですか。海上保安庁は、日頃から、特に悪天候のときこそ危機意識を持って、いつどのような状況であっても、遭難事故が発生したら迅速に救助するという意識と準備、これを怠らない認識、そして対応を日頃から備えるべきだと思いますよ。海が高いからとか風があった、こういうときに遭難は起きるわけですから。当然、日頃からそういう危機意識を持ってシミュレーション体制をしっかり整えておくのが、私は当たり前だと思っていますよ。

 この点、しっかり反省して、この度の事故、いかなる遭難事故発生から少なくとも一時間以内には救助活動が行えるようにすべきと考えますけれども、今後の対応についてお考えをお示ししていただきたい。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど御説明をいたしましたとおり、海上保安庁の勢力が現場に到着するのに時間を要したというところでございますが、しかしながら、今回のような一刻を争う事案、こういったものにおきましては、海上保安庁のみならず、関係機関が総力を挙げて人命救助に取り組むことが必要であると考えております。

 このため、委員御指摘も踏まえ、初動対応を早め、迅速な人命救助が行えるよう、自衛隊や警察等への協力要請や連携協力について関係省庁とともに検討を行い、改善をしてまいります。

 また、本事案の発生をいたしました北海道東部海域でございますが、これは、海上保安庁が捜索救助を実施する場合、現状において、ヘリコプターからのつり上げ救助を行う機動救難士等がヘリコプターに同乗し出動してから約一時間で到着することができない海域ということになってございます。このような海域は、実は、この海域のほか、北海道の北部と奄美大島北部海域の三海域存在してございます。

 海上保安庁では、迅速な人命救助体制の構築が必要であると考えており、海難救助体制の在り方に関し、航空基地のヘリコプターの配備や、機動救難士が配置されていない航空基地への機動救難士の配置など、救助、救急体制の強化について検討を進めており、捜索救助に万全を期してまいりたいと考えております。

菅家委員 事故が起きたからでは済まないでしょう。日頃何やっているんだということだよ、認識。救助するために準備している、日頃から、そういうことを申し上げているんだ。

 この三、四時間、御遺族の思いを受け止めれば、これは皆殺しだと言っても仕方がないと思いますよ。何とかならなかったのか、私はそう悔やまれてなりません。当時、自衛隊へ救助要請したのは十七時二十五分過ぎだった。なぜもっと早くできなかったか、残念でなりません。

 国民のいかなる遭難に対し、国民の命を守るために、自衛隊など各省庁と連携したり、民間の機関に要請したり、でき得る限りの可能性を追求して、早期救出を目指し、初動体制に万全に対応すべきと思いますが、いかがでしょうか。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 海上保安庁では、海難情報を受けた段階では現場付近海域の具体的な状況が不明でありましたことから、まずは海上保安庁の航空機による現場確認を実施した上で、災害派遣を要請することとしたものでございます。

 このため、海上保安庁の航空機による現場確認の後、自衛隊との災害派遣に係る調整を行ったため、時間を要するということとなりました。

 しかしながら、今回のような一刻を争う事案におきましては、海上保安庁のみならず、関係機関が総力を挙げて人命救助に取り組むことが必要であると考えます。

 委員御指摘も踏まえ、自衛隊との間では災害派遣要請の迅速化について所要の調整を進めているほか、警察や消防等の関係機関との間におきましても、中央及び地方レベルにおいて、情報共有の迅速化と相互の連携等の再確認を行っているところでございます。今後も、総力を挙げて人命救助に取り組んでまいりたいと考えております。

菅家委員 事故対策本部等の設置状況も、海上保安庁の場合は当日十三時十三分に設置されたが、北海道運輸局対策本部あるいは国交省の事故対策本部は三時間後なんですね。現地対策本部は、翌日の十一時二十七分に設置されているんですよ。これ、どうなんでしょうか。問題なかったのか。

 私は、やはり対策本部というのは早急に取り組んで対応すべき、このように考えます。もう時間になりましたけれども、この辺の簡単なお答えと、大臣、しっかりと、二度とないようなことを踏まえながらお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

島田政府参考人 事故対策本部の関係につきましてお答えを申し上げます。

 四月の二十三日の午後一時十三分、情報を受けて、委員御指摘のとおり、海上保安庁、第一管区海上保安部には事故対策本部が設置されてございます。

 その後、海上保安庁の回転翼機が現地に到着して船舶を発見できなかったという連絡を受けた同日の午後四時三十分頃に、国土交通本省と北海道運輸局それぞれに事故対策本部を設置したという経緯でございます。

 加えまして、国交省では、事故の発生した知床ウトロ地区に国土交通省の事務所がございませんでしたので、現地で対策本部として使用可能な事務所の選定に直ちに着手をいたしまして、事故当日の夜に、斜里町の多大な御協力の下、斜里町ウトロ支所にスペースを確保させていただくことができました。このため、翌日早朝から東京の職員を派遣しまして、この職員が現地に入った時点で事故対策本部を設置したという経緯でございます。そして、地元の自治体、警察等、関係機関と緊密な連携の上で、行方不明者の捜索等に全力を挙げているところでございます。

 いただいた御指摘も踏まえ、引き続き、国交省一丸となって、行方不明者の捜索等に全力を尽くしてまいりたいと思ってございます。

斉藤国務大臣 先ほど、ちょっと大臣のコメントを求められました。

 御家族のお気持ち、そして菅家委員のその悔しさ、それを我々の気持ちとして、再発防止に向けて全力を、私自身、国土交通省の先頭に立って全力を挙げていく決意でございます。

菅家委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。

中根委員長 次に、藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党、栃木県第四区の藤岡隆雄でございます。

 まず、何より、この知床遊覧船事故におきましてお亡くなりになられた方に心からの哀悼の誠をささげ、また、今なお行方不明の方につきまして、一日も早い発見を願い、最後の最後まで御無事であるという奇跡を祈りたい、願いたいと思います。

 斉藤大臣におかれましては、すぐに、事故後、現地に入られたという、このすぐに行かれるということに関して、本当にこれは心から敬意を表したいと思います。

 一方で、やはりこの事故、防げる事故だったのではないか、助かる命だったのではないかというところを今日は検証させていただきたいということを思います。

 そして、今日はお手元に資料を配らせていただいております。七月三十日付の改善報告書、先ほど来出ております二回の事故がございました、そういうことを受けました改善報告書における運航記録簿を配付させていただいております。

 これは、城井先輩議員からもヒアリングにおきまして指摘をさせていただいたことでもございます。その際、御担当者の方からは適切ではないというような趣旨の御発言もいただいておりますが、七月の十日から十九日まで、波の高さや風速など、全く同じデータ、記録ということになっております。

 この報告書を一体何人で確認をして、また、どこまでの役所の方で確認をされたんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の書類につきましては、令和三年七月三十日付で有限会社知床遊覧船から北海道運輸局海上安全環境部長宛てに提出されてございます。海上安全環境部長以下十一名がその内容を当時確認をさせていただいてございます。

藤岡委員 十一名で確認をされたということでございますが、その報告書を踏まえ、同じ記録だったことの不自然さにつきまして、知床遊覧船の会社に対して問題を指摘されたのでしょうか。あるいは、誰もこの運航記録の記述の不自然さについて気づかなかったということなんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました七月三十日付で提出されました改善報告書に添付をされました運航記録簿の写しには、御指摘のように、風速及び波高として同じ値が毎日連続して記されてございました。受領した北海道運輸局では、同社に対して特段の問題指摘をしておりませんでした。

 本件は、北海道運輸局において、七月に指導した運航記録簿の記録の有無を重点的に確認する一方、内容について、事業者への更なる確認や指導が十分にできていなかったと認識しておりまして、監査方法等につきまして改善を図る必要があると考えてございます。

藤岡委員 今、海事局長から御答弁がありました。指摘をできていなかった、また、記録の中身については確認をできていなかったという御答弁をいただきました。

 やはり、この問題、船長を始め、運航記録のいわゆる波の高さや風速についてしっかり意識を持って対応していただく、それによって、天気予報などについても、ここをしっかり見て、出航判断を正しくやっていただくということにつながるというものだと思います。

 この記録の内容がやはりこのようになっていることについて、非常に、このような運航記録を当局に出して、物すごく、ある意味、いいかげんさというのがうかがえる資料だということを思います。このような体制で運航されていて、本当に、お亡くなりになられた遺族のことを思うと、私はもう胸が詰まる、詰まり過ぎる思いでいっぱいでございます。

 改めて、この改善報告書の確認、事後フォローは適切であったと言えるでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年七月の当該改善報告書につきましては、運航記録簿に同じ数値が毎日連続して記されるなど不自然な点がありながら、当時の北海道運輸局では、これを認識して、事業者に更なる確認をするということができてございませんでした。

 また、昨年十月の抜き打ち訪問で改善内容を確認した際には、巡視記録簿が確認できませんでしたが、これに先立つ同年七月、同社から提出された改善報告書において、巡視記録簿に記録が行われている旨確認したことを踏まえ、このときには口頭にて確認することにとどまってございました。

 このように、七月に提出された改善報告書に関し、事業者への更なる確認や事後のフォローが十分にできておらなかったと認識してございまして、その点、改善を図る必要があると考えてございます。

藤岡委員 十分できていなかったということで、それをしっかり受け止めて、本当に二度と起こしてはいけないということで臨んでいただきたいと思うんですが、今、一点確認したい。

 無予告における監査において運航記録の中身というのは確認されなかったということで、その後のですね、十月の無予告の監査においては確認されなかったんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨年六月に行いました特別監査の結果、知床遊覧船に対しまして、運航の可否判断、運航中止の措置及び協議内容を運航記録簿に記載することを北海道運輸局より指導したところでございます。

 その後、昨年十月に、改善指示事項が継続的に実施されているかを確認するために同社を十月に抜き打ちで訪問した際、運航記録簿の存在を確認してございますが、運航記録簿の内容の精査を行うことができていなかったと承知してございまして、この点、改善が必要であると考えてございます。

藤岡委員 大臣、この運輸局の特別監査、また改善報告書のフォローアップ、そして無予告の監査の実態が、今回の出航判断を止めることができなかった、こういう事故発生の要因の一つになっているという懸念があると思います。

 大臣、御見解いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 藤岡委員おっしゃるとおり、今回、六月の特別監査、七月の指導、そして十月の抜き打ち検査、これをやってもなおかつ今回の事故を防げなかった、この厳然たる事実。そして、今局長が答えましたように、いろいろ、我々、こちら側にも反省する点はあるということを踏まえまして、今、有識者の検討委員会、開催し、どこが欠けていたのかということも含めて、抜本的に改善していきたいと決意しております。

藤岡委員 まさに国土交通省さんの対応としても、そこをしっかり検証していただき、再発防止を行っていただきたい、そのことは強く申し上げておきたいと思います。

 そして、七月三十日時点の安全管理規程に基づく事故処理基準に係る非常連絡表というのがあると思います。ここにおきまして、運航管理補助者のところに、ある意味、名前というのが入っていないということがございます。名前が入っていない。海上運送法の五人の元々補助者がいらっしゃった、その当時は。その後、雇い止めによって辞められたということでございますが、五人の補助者という方がいたのであれば、当時、事故後の特別監査からその後のフォローアップで、補助者が空欄になっているところ、非常連絡表において、修正の、改善の指導というのはされたんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、有限会社知床遊覧船の安全管理規程に基づく事故処理基準の非常連絡表につきましては、安全統括管理者や運航管理者などの氏名が記載されてございますが、これは、昨年七月に届出された変更により追記されてございます。

 北海道運輸局では、昨年六月の特別監査におきまして、同社に五名の運航管理補助者が存在することを確認する一方、当該運航管理補助者の氏名は記載されていない状態で安全管理規程の変更届出を受理してございます。しかしながら、事業者の運航管理体制を把握し安全管理規程の実効性を確保する観点から、運航管理補助者の氏名を記載させた上で安全管理規程の変更届出をさせるべきであると考えてございます。

藤岡委員 では、その後、補助者が五人から豊田船長だけになったときに、知床遊覧船から届出や連絡、また運輸局など国土交通省にはあったのでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 運航管理者と異なりまして、運航管理補助者の選任あるいは解任の場合には、国土交通大臣への届出を求めることとは現行の規制ではなってございません。実際、有限会社知床遊覧船から北海道運輸局などに対し、連絡は受けてございませんでした。

 しかしながら、今後、運航管理補助者の選任又は解任時の届出を求めることを含め、安全管理規程の実効性を確保する観点から、しっかりと検討し、必要な措置を取ってまいりたいと考えてございます。

藤岡委員 まさに今、海事局長がおっしゃっていただきました。先ほど来、補助者のところが空欄だったということで、私はやはり、いざというとき、まさに本当に災害時、誰に連絡をしたらいいのかというところで、それが明確になっておく、これが一つ必要なことだということを思います。その点、空欄だったということにつきまして、私はやはり、ここにきちっと名前を入れてください、決まっている人がいるのであればということの指導をしていただくべきだったということをまず思います。

 そして、雇い止めになって、五人の補助者からいわゆる豊田船長だけになってしまったという中で、改善の、そこについて把握は、届出の仕組みがなかったということでございますが、やはりそこで指導して、名前を書いておいていただければ、いや、これは国土交通省さんに伝えなくちゃいけないのかなということになったということも考えられるわけでもあると思います。

 その意味で、特に十月十三日の無予告の検査における確認では、桂田氏というのは、ホテル等を複数経営していて、当時別の場所にいて、その監査のときも不在であったということでございますが、やはり、ホテル等を複数経営している桂田氏が船舶の航行中に現場を離れてしまうということは、これは予見できたということに私は考えられると思います。

 ある意味、豊田船長だけが補助者になっていて、豊田船長が船に乗る、桂田氏が事務所にいるかというと、いろいろな、まあホテルなども経営していて、現場を離れるという当然可能性も出てきますので、本来であれば、補助者が豊田船長だけになった段階で、非常時の連絡を確実に行える補助者の選任がなければ、やはりこれは運航を認めるべきではないという考えになると思うんですけれども、これは大臣、御見解いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 この会社の安全管理規程上、運航管理者である桂田社長が船舶の就航中に職場を離れるときは、営業所の運航管理補助者と常時連絡できる体制になければなりませんでした。

 同社に対して昨年六月に実施した特別監査において、運航管理補助者五名が選任されていることを確認していましたが、十月に実施した抜き打ち訪問の際には、運航管理補助者である豊田氏が実際に営業所に在席し、運航管理者である桂田社長が不在の場合も事務所に運航管理補助者がいること等を口頭で確認しております。

 今般の事故時においては、運航管理補助者として船長の豊田氏のみが選任されていたものの、この豊田氏はカズワンに乗船し、営業所には不在であったところ、安全管理規程に照らして、運航管理者である桂田氏が営業所を離れてはならなかったと認識しております。

 国土交通省としては、監査や指導を行ってもなお今回の事故が発生したことを真摯に受け止め、二度とこのような悲惨な事故を起こさないように、安全管理規程の実効性の確保、監査の在り方も含めてしっかりと議論し、この有識者の検討委員会で議論し、必要な措置を講じてまいりたいと思っております。

藤岡委員 是非、斉藤大臣には、監査の内容、また、フォローアップについて適切だったかというところにも真摯に向き合っていただき、そして、今のこの制度の問題にも、例えば、適切な補助者の選任、交代など、こういうところについて、報告の体制を含めて、やはり制度を改正した方がいいと思うんですけれども、大臣、御見解いかがですか。

斉藤国務大臣 今の藤岡委員の御意見も参考にさせていただきながら、この検討委員会で、こういう意見も国土交通委員会で出たということも含めながらしっかり検討をし、確実な改善を図っていきたいと思っております。

藤岡委員 是非、本当に、二度と起こしてはいけないということで改善を図っていただきたいと思います。

 続きまして、出航判断のところを少し触れさせていただきたいと思います。

 運航基準、お配りさせていただいておると思うんですけれども、この中の、いわゆる先ほど話が出ておりました二条の二項ですね、二条のところに、運航基準のいわゆる発航の可否判断というような規定があると思います。

 ここで、一つは、まず一項は、船長は、発航前に運航の可否判断を行って、波の高さや風速、こうしたものを確認する。そして、その次に、二項において、航行中に遭遇する気象、海象に関する情報を確認し、次に掲げる条件の一に達するおそれがあるときと認めるときは、中止しなければならないということがあると思います。

 その中で、四月二十三日は、朝の午前五時の気象条件は、当然厳しいような気象条件も出ておりました。また、九時四十二分には波浪注意報が発令されているというふうなものだったと思います。

 ただ、この規定の中で、通常、当然この規定に沿ってやれば、発航を当然中止をしていくというふうな判断になっていくのが本来であれば自然だと思いますけれども、ただ、ここを、ある意味、抜け駆け的にといいますか脱法的にといいますか、ある意味、条件付運航という、一回出て、戻ってくる。二条の一項の、この時点の波の高さ、〇・五メートル、風速八メートル、出航するそのときは何とかこれを満たしていたと。ただ、その後の、おそれがあるというところにつきまして、例えば波浪注意報は、三時間後から六時間後ということで、状況で、その前に出すということで、九時四十二分に出ていたとすると、例えば、戻ってくる一時ぐらいか、十二時四十二分とか、そのぐらいに何か波が高くなってきてということからすると、何とかして出航しようと考えてしまうと、この規定だけですと、ちょっと、ある意味、無理やりな出航ということが、出てしまう余地が残ってしまうふうな懸念もあると思います。

 この知床沖の状況を考えますと、やはりこのような規定が、容認していたことが妥当だったのか。また、このカズワンのような規模の船は、例えば波浪注意報が発令されていたら、これはもう出航を中止とするような明確な運航基準ということにした方がよいのではないかということも思うんです。

 波浪注意報というのは、そんなに何度も何度も出ているものではないというふうに確認もさせていただいております。したがって、この規定を本当に容認していたことが妥当なのか、また、波浪注意報など発令されていたら出航を中止とするような運航基準にした方がよいのではないかということにつきまして、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

斉藤国務大臣 この知床遊覧船の安全管理規程における運航基準におきましては、発航前において、航行中に風速八メートル毎秒以上又は波高一メートル以上になるおそれがあると認めるときは、発航を中止しなければならないとされております。

 当日は、朝から夜遅くまで海上の最大風速十五メートル毎秒との強風注意報が発表されておりました。このことから、絶対に出航してはならない状況であったことは明白であったと認識しております。

藤岡委員 今大臣がおっしゃった、絶対に、まさにあってはならない、明白だったことを、しっかり運航基準上もより明確にしていただいた方がいいと思うんですけれども、それはいかがですか。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 事業者は、発航前に、気象庁による警報、注意報などをしっかり事前に確認をしなければなりません。

 委員御案内のように、気象庁による警報あるいは注意報の発表におきましては、例えば、朝との表現は午前六時から九時頃を指すと定義されておりますなど、具体的かつ明確な予報値とその時間帯が示されてございますことから、事業者におきましては、こうした警報、注意報を確実に事前に把握をし、そのことの意味を具体的に把握をしなければなりませんので、この運航基準に従って確実に運航可否判断をすることが可能であると考えてございます。

 ただ、委員御指摘のように、事業者がこのような運航基準を確実に遵守するよう、運航管理の実効性の確保について引き続き措置を講じてまいりたいと思います。

藤岡委員 やはり私は、もう少しここははっきりと地域の実情にも照らして明白にして、まさに、予報をしっかり確認して、その基準に照らしていたら発航中止になるというふうにしていただきたいなということを改めて申し上げておきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それから、続きまして、先ほど菅家委員からも出ておりました、改めて初動の救助体制のことでございます。

 自衛隊への災害派遣要請のタイミングは適切だったと言えるでしょうか。七時四十分ということだったと思いますけれども、災害派遣要請のタイミングについて適切だったのかどうか、御見解をお伺いします。

奥島政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁では、遊覧船カズワンの海難情報を受け、直ちに巡視船艇、航空機等に対して発動指示を行うとともに、関係機関や漁業関係者等に対し情報提供などを実施しております。

 初動対応につきましては、ヘリコプターからのつり上げ救助等を行う要員を同乗させる必要があったことに加え、悪天候が重なり、航空機等の現場海域への到着に約三時間を要する結果となりました。

 自衛隊への災害派遣要請につきまして、海上保安庁では、海難情報を受けた段階では現場付近海域の具体的な状況が不明であったことから、まずは海上保安庁の航空機による現場確認を実施した上で、災害派遣を要請することとしたものでございます。

 このため、海上保安庁の航空機による現場確認の後、自衛隊との災害派遣に係る調整を行ったため、時間を要することとなりました。

 しかしながら、今回のような一刻を争う事案におきましては、海上保安庁のみならず、関係機関が総力を挙げて人命救助に取り組むことが必要であると考えております。

 委員御指摘も踏まえ、自衛隊との間では災害派遣要請の迅速化について所要の調整を進めているほか、警察や消防などの関係機関との間におきましても、中央及び地方レベルにおいて、情報共有の迅速化と相互の連携等の再確認を行っているところでございます。今後も、総力を挙げて人命救助に取り組んでまいります。

    〔委員長退席、塚田委員長代理着席〕

藤岡委員 先ほど来、出航の判断のところを含めまして、風速十五メーターなどいろいろなことが出ておりまして、絶対あってはならない予報だったということで、先ほど来おっしゃっていただいております。

 絶対あってはならない予報の際に、当然、一旦、海の状況を確認ということを今おっしゃっておりますけれども、そういう状況の中で、やはり厳しい見立てを持って災害派遣要請というのも当然行っていかなければいけないのかなということを思うんですけれども、これはタイミングとしては実際適切だったのかどうか、その辺りはどうなんでしょうか。

奥島政府参考人 お答えいたします。

 災害派遣要請に時間を要しました理由は、先ほど述べたとおりであります。当時はそのように考えておりましたが、先ほど来繰り返しで恐縮でございますが、一刻を争うこういった海難の場合には、より早く、より総力を挙げて行うべきと考えておりますので、この点については改善をしていきたい、このように考えております。

    〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕

藤岡委員 しっかり検証して、本当に改善をお願いをしたいと思います。

 続きまして、この知床の問題から、統計の問題にちょっと入らせていただきたいと思います。今日は、統計の問題についての集中審議ということでもあると思います。

 やはりまず一点、私が大臣にちょっと確認させていただきたいことでございます。

 本年一月の報告書によれば、いわゆる国土交通省さんの職員の中でも、担当課長補佐が、合算処理をしている実態や、いわゆる合算処理を取りやめるべきだということを訴えておられる職員の方がいらっしゃった。これは非常に、本当に私は正義感があってすばらしいと思います。なかなかこれを、今まで代々続いてきたことを、これはおかしいと、しかも、訴え続けたということまで報告書の方には書かれていると思います。

 こういうふうなやはり正義感ある職員の方、本当に、こういう対応をしている方は再発防止の先頭に立っていただきたいなということを思うんです。これはまさに人事のことでございますから、個人名を明かして、ここで言ってくれとか、そんなことを言うつもりはございません。ただ、やはり斉藤大臣において、こういうことを声を上げた職員のことについて、きちっと、まさにその先頭に、本当にその責任を持ってむしろ対応していただく、一番ふさわしいと思います。そういうところを、やはり国土交通省さんとしても、政治家としても、きちっとそこを酌んで、まず対応していただきたいというのが一点でございます。

 そして、逆に、こういうふうな訴えがあったのにもかかわらず、合算処理や二重計上などを続けることとした幹部の方につきましては、統計法の六十条二項におきましては、基幹統計の作成に従事する者で、そして基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為をした者に該当するかどうか、これをやはり検証していただく。これはもう刑事罰の対象ということになりますので、これをしっかり検証していただき、悪質性が高いなどの行為をした者についてはやはり告発を行う、こういう考えはないのかどうかということを確認させていただきたいと思うんです。

 刑事訴訟法の二百三十九条二項では、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」という規定もございます。

 大臣、その二点につきまして、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

斉藤国務大臣 まず、正義感のある若い人たちの登用というお話がございました。

 私自身もそう思いますし、また、本年一月の検証委員会の報告書において、問題の発見と解決を奨励する風土を形成することが必要だ、このようにも提言されているところでございます。

 国土交通省としては、この報告書の指摘を重く受け止めており、第四回再発防止検証タスクフォースにおいて公表した、再発防止のために当面速やかに取り組む事項及び今後の検討の視点には、組織風土改革に向けた若手職員や現場担当職員等によるグループディスカッションの定期開催や、それから、若手職員や現場担当職員等の意見に基づく現場の風土、環境の改善を盛り込み、検討を進めているところでございます。

 私自身も、そういう若い人たちと懇談をするということを進めてまいりたいと思っておりますし、まさに、風通しのいい、何でも議論できる、そういう職場風土をつくることに全力を挙げていきたいと思っております。

 そして、逆に、二番目の問題で、幹部の対応でございますが、この二重計上問題発覚後の対応については、検証委員会の報告書において、「「隠ぺい工作」とまでいうかどうかはともかく、幹部職員において、責任追及を回避したいといった意識があった」など、大変厳しい御指摘をいただいておりまして、これらを踏まえて、当時の幹部職員に対し、減給等の厳しい処分を行ったところでございます。

藤岡委員 非常に、まず一点目のところ、懇談をするというところだけというよりも、明確にやはり登用をして、きちっと、そういうことを声を上げた方、それがまさに再発防止の先頭に是非立っていただいて、二度と起こらないような体制をつくっていただきたい。

 さらには、二番目のところ、隠蔽工作かはともかくと、いろいろなことがございました。改めて、正義感ある対応した職員がある、これはすばらしい、本当に。一方で、それをまさに、ある意味握り潰すというか、そういうふうなことをされた方、これは本当に、この統計法六十条二項には、刑事罰の対象になっている非常に重要な基幹統計を扱うということで、やはりこれは、改めてもう一回、斉藤大臣、是非検証をしていただきたいということを思います。

 そして、再発防止で、このいわゆる統計法六十条二項の規定のこと、これをきちっと周知をやはりしていただいた方がいいと思います。こういうふうな重大なことですよということを、まず伝えていただく。そして、その前段として、その幹部の方についてしっかり検証していただく。この周知、これを是非行っていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 統計が、いわゆるデータに基づく政策立案という考え方からして大変重要であるという認識をまず役所の中に徹底させること、これが重要だと思っております。そして、その裏づけが、まさに先ほど藤岡委員がおっしゃったいろいろな法律、また法律における罰則規定等だと思います。このことをしっかり役所の中で学習をする。

 そして、先ほど、罰則規定の周知ということもまた必要ではないか、重要ではないかという御指摘がございました。その点も踏まえて、しっかり、統計を重視する組織に、そしてそういう風土にというふうに改革をしていきたいと思っております。

藤岡委員 最後になりますけれども、本当に二度と絶対起こしていただきたくない、このことを強く申し上げたいと思います。

 そして、この受注動態統計における令和二年度の二重計上の影響の算出結果を受けて、建設総合統計については軽微だというふうに今、報告書は出ておりますけれども、そもそもこの受注動態統計自体では非常に大きな影響がある、このことについて大臣の受け止めと、そして今後の再発防止、是非御見解をお願いしたいと思います。

斉藤国務大臣 受注統計自身、基幹統計でございます。その基幹統計において大きな数字の乖離が、真実の値と乖離があったということは大変遺憾なことであり、こういうことを二度と繰り返してはいけない、このように思っております。

藤岡委員 ありがとうございました。

 それでは、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

中根委員長 次に、城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 引き続き、大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 私からも、この度の度重なる統計不正問題について、大臣にお伺いしたいと思います。

 令和四年五月十三日、建設工事受注動態統計調査の不適切処理に係る遡及改定検討会議報告書及び追加調査、特別監察報告書が公表されました。これらに関して、以下、国土交通大臣に質問をいたします。

 結果として、過大計上は最大で年間五兆一千億円、全体の六・六%に及び、国内総生産、GDPに用いるデータは二兆八千億円、五・三%の過大ということで報告がございました。

 今回の是正の手法が示されましたが、是正後の統計もあくまで推計であります。GDPへの影響は軽微との見方を政府が相変わらず示しています。統計は、私たちの社会の姿を映す鏡の役割であります。ゆがんだ鏡の存在を見逃すわけにはいかない。

 そもそも、GDPへの影響が小さければ、その基となる統計が不正なものであっていいということではないということを、まず、国土交通大臣に確認をしたいと思います。

斉藤国務大臣 城井委員おっしゃるとおりでございます。

 建設工事受注動態統計調査における今般の不適切な処理に起因して統計の数値に影響が生じていたことは、それ自体、極めて遺憾で、申し訳なく思っております。

 遡及改定検討会議の報告書においては、不適切処理の影響を除く方法が示されており、報告書の内容を重く受け止め、今年の秋頃までに最終的な遡及改定の数値をお示しできるよう、作業を急いでまいります。

 また、今回同様の事態が生じないよう、有効かつ具体的な再発防止策も取りまとめてまいります。

城井委員 大臣からも、今、再発防止策について言及がありました。

 ここで、私ども立憲民主党から、これまでも提案をしてまいりました統計改革の提案の実行を改めて要請したいと思います。

 人員不足、専門知識不足を改善し、統計行政への信頼を回復し、効果的な再発防止策を講じるため、以下の五つ、それぞれの行政機関に統計の機能を分散させる分散型から、統計を一元的に一つの機関に集中させる集中型へと切り替えること、二つ目に、各省庁に分散して行ってきた統計行政を一元化するために、仮称ですが、国家統計データ局を新設すること、三つ目には、統計への信頼回復のための組織と体制強化、四つ目には、統計の在り方と調査手法の見直し、五つ目に、統計法の罰則強化、この五つの実行が必要であると考えています。

 そこで、以下、伺います。

 今挙げた一つ目、二つ目、五つ目については、国の統計全体に網をかけるような再発防止策が必要であり、国土交通大臣から政府全体へ実行を働きかけるべきだと考えます。大臣、お願いできるでしょうか。

斉藤国務大臣 議員御指摘の、政府全体としての統計行政の在り方については、現在、総務省の統計委員会において行われている公的統計の改善策の検討の中で議論されていると承知しております。その議論に資するよう、国土交通省における統計作成の現状や課題など、しっかりと説明してまいる所存です。

 国土交通省としては、今般の事態により失われた国民からの信頼を回復し、再生するためには、まずは、当省としての再発防止策を取りまとめ、その確実な実施が重要と考えておりまして、私自身が先頭に立ち、迅速かつ徹底的に進めてまいりたいと思っております。

城井委員 国土交通省としての改善、そして再発防止は当然のことかと思いますが、度重なる統計不正を起こした当事者でもあるというのが国土交通省であります。その国土交通省からその反省を踏まえ、そして改善への決意を含めて、ほかの省でも起こらないようにということでの教訓を含めてきちんと働きかけをしていただくということを是非お願いしたいと思います。

 加えてもう一点、先ほど申しました三つ目と四つ目につきましては、国土交通省からも報告のありました、当面速やかに取り組む事項や今後の検討の視点で、我々からの視点がどのように踏まえて行われていくか、特に、人員不足と専門知識不足がどのように改善されるか、この点を具体的に大臣からお示しをいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 今月十三日の再発防止検証タスクフォースにおいて、既に取り組んでいることも含めた当面速やかに取り組む事項と、再発防止策を取りまとめるための今後の検討の視点をまとめました。

 まず、その中で、組織体制の強化につきましては、現時点において、本件の担当室を十五名から二十二名体制に増強しております。

 このほか、専門知識を有する職員育成のため、統計に関する研修の受講を徹底することとしています。

 また、必要となる組織体制の強化や人材育成の充実に向けた検討を進めてまいりたい、このように思っております。

城井委員 直近の国土交通省の統計不正のときにも人員不足の指摘はあったんですが、その後も起きた統計についての担当者は何人ですかと聞きましたら、上司一人、部下一人という状況でした。

 今回、人数が増えたとしても、それぞれの統計についての手分けとなるならば、同じ状況が起こるのではないかということを心配いたします。その点は是非徹底をいただきたいと思いますのと、もう一点、先ほどの既に取り組んでいる事項について、国土交通省に私どもからもお尋ねをしているわけですが、まだ具体的な説明がありません。こうした積極的な情報開示についてもお取組をお願いしたいということを、この場で改めて要請したいと思います。

 さて、統計についてもう一点お聞きします。

 この度の追加調査、特別監査報告書では、検証委員会報告書で指摘を受けた回収率の計算方法の誤りについて、令和二年十月の会計検査院検査で、室長まで誤りを認識、そして、令和三年十二月に、報道を契機にした精査で、政総審まで誤りを認識しながら、検証委員会報告書で指摘を受けるまで公表もせず、過去のミスの影響も放置していたということが明らかになりました。

 担当が問題を認識していたのですから、省内の事なかれ主義と片づけられません。事実上の隠蔽であり、握り潰しです。二重計上などをめぐって事後対応の問題点を指摘された後もなお、対応ルールが徹底されず、責任追及を回避してきた状況は看過できません。

 この点について、大臣はどのように認識し、責任の所在を含め、どのように対応される考えか、お聞かせください。

斉藤国務大臣 回収率の計算方法の誤りに関して、令和二年十月に室長が認識して以降、直ちに修正、公表しなかったことについては、室長が、この回収率の計算方法の誤りが公表するほどの重要なことと認識していなかったと供述しているところでございます。

 一方で、本件誤りについて、令和三年四月分からの新推計に合わせる形で修正を行い、事実を公表していないことは、検証委員会報告書において明らかにされた二重計上問題の発覚後の対応と同様に、隠蔽工作とまで言うかどうかはともかく、責任追及を回避したいといった意識があったものと考えております。

 なお、本件誤りは、令和三年十二月の報道を契機に、政総審まで報告され、その後、統計部門として速やかに検証委員会に報告したと聞いております。

 この本件誤りにつきましては、本来であれば、令和二年十月に室長まで認識して以降、誤りを発見した際のルールにのっとった対応を取るべきでしたが、そのことができなかった背景には、組織としてのマネジメントの在り方に係る課題等があると考えております。

 国土交通省としては、今後、再発防止検証タスクフォースにおいて、誤りを発見した際のルールの徹底に加え、各職員が気兼ねなく意見を言える職場づくりなど、マネジメントの在り方も含めた再発防止策について、顧問有識者の御意見も伺いながら、具体化を進めてまいりたいと思っております。

城井委員 大臣から後半に言及いただいた改善の方向性については、これまでの統計不正後のその改善においても同様のことをやってきていたはずだという前提の部分でございます。これまでに改善が届かなかったという点を十分に踏まえての格段の取組を是非お願いしたいと思います。

 この統計の不正に関する今後の改善、再発防止策の進行について、私どもは、引き続き国会から行政監視の観点で注視をしてまいります。情報開示を含めて、真摯な御対応をお願いしたいと思います。

 続きまして、今日の議題の一つでもございます知床遊覧船事故について私からも伺います。

 一義的には、事業者の責任が大き過ぎる事故でございますが、行政の安全チェックが機能していれば防げたのではないかとの思いを、今日の質疑、答弁を聞きながらも一層その思いを強くいたしております。引き続き、行政監視の観点からも、事実確認や再発防止に私どもも国会から取り組みたいと思います。

 そこで、まず伺います。

 資料一ページから四ページを御覧ください。

 藤岡議員からも質疑がありましたが、昨年の特別監査の内容、また昨年七月二十日の指導につきまして聞きたいと思います。

 この国土交通省が確認したとされる運航記録簿の風速、波高、視程は正確だったとの認識かどうか。特に、連日同じ数値であったことは適切だったか。これは、知床周辺の同業他社の運航記録と比較すれば一目瞭然ではないかというふうに思うわけですが、この点がどうか。

 大臣、この不適切な記録を見逃した国土交通省は、指導を適切に行っていなかったというふうに言えるのではないかと思うんですが、大臣の認識をお願いします。

斉藤国務大臣 知床遊覧船の運航記録簿には、一定期間、毎日運航の可否判断の結果が記載されていますが、可否判断に用いる波高の値として、同じ値が毎日連続して記されるなど、不自然な点があると認識しております。これについては、地方運輸局において、事業者への更なる確認や指導が十分にできていなかったと認識しており、改善を図る必要があると考えております。

 なお、知床周辺の同業他社の運航記録簿について今般確認を行ったところ、風速、波高及び視程について、連日同じ数字とはなっておらず、その意味でも、知床遊覧船の運航記録簿には不自然な点があると認識しております。

 また、運航記録簿はカズスリーのものですが、カズワンについては……。

 以上でございます。

城井委員 同業のものはなっていなかったという点は、大切な答弁だったと思います。

 先ほどの質疑でもございましたが、十一人でチェックをしたということでございましたが、今回のこの風速や波高や視程というのは、単なる書類の一部ではなく、運航できるかどうかという基準に関わる記述でございます。その意味で、十一人で見ていたにもかかわらず、運航基準の部分をチェックできていなかったという点は極めて重大だということを御指摘申し上げたいと思います。

 次に、昨年十月十三日の無通告による確認及び改善確認チェック表について伺います。

 資料六ページから八ページを御覧ください。

 この中の記述にもございますが、一部記録簿を確認できなかったが、求められているものを実施されていることを確認との報告があります。確認できなかったのか、確認したのか、よく分からない日本語であります。

 国土交通大臣は、この報告を適切と考えていますか。

斉藤国務大臣 北海道運輸局が実施した昨年六月の特別監査の結果、有限会社知床遊覧船に対して、運航可否の判断等の運航記録簿への記載、船内の巡視結果の巡視記録簿への記載、陸上施設の点検結果の点検簿への記録を行うよう指導しました。

 昨年十月の抜き打ち訪問で改善内容を確認した際には、このうち、巡視記録簿が確認できませんでしたが、同年七月に同社から提出された改善報告書において巡視記録簿を確認したことを踏まえ、このときには口頭で確認したものと承知しております。

 しかしながら、地方運輸局において、事業者への更なる確認や指導が十分にできていなかったと認識しており、監査の方法等について改善を図る必要があると考えております。

城井委員 この確認のずさんさは、ほかにもあります。

 安全管理規程に係る安全教育計画及び記録の確認について伺います。

 書類によりますと、確認結果は斜線が引かれていました。指摘、指導事項に、事務所内の書類を管理している者が不在であったため確認できずとあります。確認できずであれば、当然、確認できなかった、バツ印がつくべき。正確な記述ではありません。

 大臣、この点はいかがでしょうか。

斉藤国務大臣 昨年十月の抜き打ち訪問において、安全教育計画及び記録の確認に関しては、事業者より教育内容についての説明を受けたものの、安全教育計画及び記録簿については、担当者不在のため確認できなかったものと聞いております。このため、指摘、指導事項に確認できなかった旨を記載するとともに、確認結果を丸としなかったものと承知しております。

 現状の記載は、担当者がいれば確認できる可能性を残すなど、曖昧さを残す表現であったことから、今後は、より正確な表現となるよう、改善を検討してまいりたいと思います。

城井委員 更に伺います。

 この書類にございました指示事項の連絡方法についてであります。

 衛星携帯電話と携帯電話をどのように確認したのか。これまでの国土交通省への聞き取りによりますと、不十分でずさんな確認だったというふうに考えます。

 大臣は、どのように認識をされていますか。

斉藤国務大臣 昨年十月の抜き打ち訪問においては、安全管理規程において船長と運航管理者等との連絡方法として定められている船舶衛星電話が船舶内にあることを現認し、また使用している旨の説明を受けました。

 また、携帯電話については現認していませんが、事業者より、船舶衛星電話に加えて携帯電話を使用している旨の申出があったことから、安全管理規程の改正が必要である旨を指摘し、本年四月に、携帯電話を連絡方法に追加する旨の安全管理規程の改正の届出が行われたところでございます。

城井委員 連絡方法、手段というのは、当然、単なる機械の動作確認だけでは駄目で、常時通信、連絡可能かどうかということを確認するのがこの連絡方法の確認の趣旨ですよね、大臣。その点は確認できたのか、できなかったのか、その点はいかがですか。

斉藤国務大臣 その点まで確認していなかったということで、そこは不十分であったと思っておりますし、今後、改善を考えていきたいと思っております。

城井委員 更にもう一点お伺いします。

 運航基準で定めているポイントで連絡しているか船舶及び運航管理者、補助者に確認、ポイントの位置を把握しているか確認とのチェック項目では、確認結果は丸となっていますが、改めて全コースの連絡ポイントを確認するよう指示と、指摘、指導事項にあります。

 これはポイントを把握できていなかったからこその指導があったのではないか、大臣、いかがですか。

斉藤国務大臣 御指摘の運航基準で定める地点での運航管理者への連絡については、昨年十月に北海道運輸局職員が、事前通告なく抜き打ちで本船及び事務所を訪問した際、連絡地点での連絡を一部怠っていたことを確認したものです。このことから、有限会社知床遊覧船に対して、改めて全コースの連絡地点を確認するよう指示したものでございまして、確認結果を丸としたことは適切ではなかったと認識しております。

 地方運輸局において事業者への更なる確認や指導が十分にできていなかったと認識しておりまして、このことを真摯に受け止め、監査の方法等について改善を図る必要があると考えておりますし、改善を図ってまいります。

城井委員 ここまで不適切のオンパレードであります。

 もう一点伺いたいと思います。

 藤岡議員からも質問のありました、陸上の事務所に社長が不在のときの対応が適切だったかどうか、この点をどのように確認したかという点であります。

 先ほどの質疑の中でも、カズワンが出航時に事務所には運航補助者はいなかった、こういうことでございました。ただ、これは、事故当時だけいなかったのかという点は極めて重要だと思っています。

 大臣、日常的にも運航補助者が十分に確保できていなかったんじゃないか、この点は認識はいかがですか。

斉藤国務大臣 この会社の安全管理規程上、運航管理者である桂田社長が船舶の就航中に職場を離れるときは、営業所の運航管理補助者と常時連絡できる体制になければなりません、このような安全規程になっております。

 同社に対して昨年六月に実施した特別監査において、運航管理補助者五名が選任されていることを確認していましたが、十月に実施した抜き打ち訪問の際には、運航管理補助者である豊田氏が実際に営業所に在席し、運航管理者である桂田社長が不在の場合も事務所に運航管理補助者がいること等を口頭で確認しているところでございます。

 今般の事故時においては、運航管理補助者として船長の豊田氏のみが選任されていたものの、豊田氏はカズワンに乗船し、営業所には不在の中、運航管理者である桂田社長が営業所を離れていたと承知しております。

 少なくとも、事故時の状況においては、十分な運航管理補助者が確保されていなかったと認識しております。

城井委員 仮に連絡手段があったとしても、無線のアンテナは壊れたままでしたし、アマチュア無線は使ってはいけませんし、衛星携帯電話も故障していましたし、携帯電話はつながらなかったわけであります。手段すらも確保できていなかったという点も含めて、今回の事業者側の連絡体制について弁護できる要素はないというふうに考えます。

 続いて、藤岡議員の質問がございましたので、一問通告を飛ばしまして、もう一個、連絡方法の確認について伺います。

 資料九ページを御覧ください。

 検査に当たる日本小型船舶検査機構の検査事務規程細則の一部をお手元にお配りしています。この中で検査の実施内容を見ますと、無線電信等との項目で、無線電信等を備えているものは、設備規程第三百十一条の二十二に定める設備であることを確認するとともに、その現状が良好であることを無線局検査結果通知書又は無線局検査省略通知書により確認する云々とございます。

 この機構、いわゆるJCIは、この細則に定められた方法を取ってカズワンの連絡方法の確認を行っていたというふうに国は認識をするんでしょうか。大臣、見解をお願いします。

斉藤国務大臣 日本小型船舶検査機構、JCIが四月二十日に船舶安全法に基づく中間検査を実施した際、事業者から、無線設備を携帯電話に変更したい旨申出があり、陸上との間で常時通信できるとの申告を受けたこと等から、機構におきまして、船舶設備規程第三百十一条の二十二に定める、常に直接陸上との間で船舶の運航に関する連絡を行うことができるという要件に適合している設備であると判断したとの報告を受けております。

 しかしながら、カズワンの携帯電話では実際には通信できなかったと推測されることから、機構の検査方法は十分ではなかったものと考えております。

 そのため、五月九日に、機構に対し、携帯電話に関する検査方法の改善を指導し、速やかに改善されたところでございます。

 また、五月十日に、小型旅客船の緊急安全対策を実施し、機構において、携帯電話を通信設備とする全事業者について、航路全域が通話可能であることを確認し、通話可能であることが確認できない場合には、常時通信可能な通信設備へ速やかに変更するよう事業者に要請するとともに、変更に応じない場合は、国土交通省から直接変更を求めることとしております。

 この点につきましても、有識者委員会でこの通信の在り方について議論し、改善を図っていきたいと思っております。

城井委員 続きまして、寒冷地での安全対策について大臣に伺います。

 カズワンの乗客は、遭難時に救命胴衣を着けていたと思われます。救命浮器は備えていましたが、救命いかだは見つからずとの報道でした。

 全国一律の安全対策の基準でございますが、水温の低いこの時期の安全対策として十分だったかどうか、大臣からお答えください。

斉藤国務大臣 今回事故を起こしたような小型旅客船は、船舶安全法に基づき、救命設備として救命浮器又は救命いかだのいずれかを備え付ける必要があり、カズワンには救命浮器が備え付けられていました。

 救命浮器は、水中につかった状態で周囲のロープをつかんで救助を待つための設備ですが、海水温が低い場合には、ごく短い時間で体温が下がってしまうとの課題があると承知しております。

 また、救命いかだは、水中につかることなく救助を待つことができる一方で、乗客の避難誘導をしながら、船員がいかだの離脱装置を解除しなければならず、乗客は、動揺する、揺れる船体から揺れるいかだへ、落水することなく乗り移らなければならないなどの難しさもあると承知しております。

 国土交通省といたしましては、特に厳しい気象、海象下にある海域を航行する船舶に備えるべき救命設備の要件についても、この有識者の検討委員会で議論し、必要な措置を講じていきたいと思っております。

城井委員 結びに、本日の質疑、答弁を踏まえて、大臣、通告はしていないんですが、お伺いしたいと思います。

 乗客の安全確保は最優先でなされるべき、ここは間違いないと思います。ただ、一方、旅客船は、この間、新型コロナで乗客が減少しています。今後、先ほどのいかだなども含めて、仮に安全対策の充実ということで船舶の設備の充実などを求めますと、中小規模の事業者は経営問題に直面するというふうに考えます。

 ですので、地域の実情に合った細やかな対策は必要ですし、そうした予算面での支援も必要だと。今日議論になりました海上保安庁の体制の充実にも予算が必要だと思います。

 そこは、政府・与党がまずは後押し、我々も応援したいというふうに思いますが、そうした安全対策強化に向けた予算は必ず必要ですし、補正予算での対応も含めてやるべきではないかと思うんですが、最後に大臣、一言決意をお願いできますか。

斉藤国務大臣 安全対策について、先ほど申し上げましたように、今、有識者の検討委員会で議論を進めております。その結論、これは確実に実行したいと思いますし、そのときいろいろかかる予算については、これをしっかり確保していくということで、頑張りたいと思います。

城井委員 今回議論される補正予算の中では、この船の安全対策についての追加の支援というのは考えられるんですか。これは提起をされるんですか。

斉藤国務大臣 今、検討委員会で議論をしておりまして、その検討委員会の結論がちょっと今回の補正予算に間に合うというタイムスケジュールではないと思いますけれども、いろいろな、あらゆる形でしっかりとした、財政支援が必要であれば、その財政支援を図っていきたいと思っております。

城井委員 先ほど申しましたように、海上保安庁にしても、そして中小の観光船、遊覧船の事業者にしても、自力で何とかできるだけの財力、そして予算の余裕があるわけではありません。

 今回の、一、二歩踏み込んだ対応をするためには予算の後押しは必須であるというふうに思いますので、この点を是非お願いさせていただきまして、時間が参りました、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

中根委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 ありがとうございます。立憲民主党の大串博志です。

 早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 私は、今日は、テーマとしては集中審議でありますけれども、知床遊覧船事故に絞って質疑をさせていただきたいと思います。

 大変悲しい事故でございました。私も、耳を疑う、目を疑う思いで、事故の様子を聞き、見たりしました。亡くなられた方に心から御冥福をお祈りするとともに、まだ見つかっていない皆様の一刻も早い救助を御祈念申し上げながら、御家族の皆様にしっかり私たちも寄り添っていきたいと思います。

 北海道での事故ではありましたが、九州の方でも巻き込まれた方がいらっしゃいまして、私の地元でも、佐賀県から三名の方が巻き込まれていらっしゃいます。二名の方が死亡が確認され、一名の方がまだ発見されていない、こういう状況です。

 亡くなられた方のお一人は、私の姉の職場の先輩でもありました。そういった中で、地域の皆様の中でも悼む声が大変多い。そういう近しい思いで見れば見るほど、何とかしてこの事故は防げなかったのか、あの時点のあのことをやっていればこの事故は防げたのではないか、こういう思いがあるんです。

 そういった意味から、私は、今日は、内容的には、国土交通省の、事故を防げたのではないかという観点からの対応ぶりに関して焦点を当てて質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、第一回の事故対策検討委員会が開催されていらっしゃるんですね。もうすぐまた第二回が開かれようとされていると聞きますけれども、第一回の資料を見せていただきました。資料を見せていただきましたところ、私はちょっと違和感を感じたのは、確かに、今日もいろいろな議論が出ていますけれども、これから将来に向けて改善を図っていくことは重要だと思いますが、将来に向けての改善を図っていくためにも、まずは、今回の事故に向けての行政対応がどうであったか、落ち度はなかったかということをきちっと確認した上で、どこにどう不備があり、うまくいかなかったのかということをきちんと確認した上で次に向けての議論をすべきだと思うんです。

 大臣、いかがでしょうか。大臣の御感想をお伺いしたいと思いますが、この検討委員会では、これまでの行政対応が十分であったかということを、大臣、まずきちんと議論するべきではないですか。

斉藤国務大臣 私も第一回の検討委員会に参加させていただき、全ての委員の方の御意見をお伺いをしたところでございます。いろいろな視点、角度からの御意見が出ました。

 これから二度とこういう事故を起こさないために、いろいろな視点からの検討が必要かと思いますが、そのうちの一つの大きな重要な視点が、今回の行政対応がどうであったのか、問題はなかったのかということも非常に大きな視点だ、角度だと思っておりまして、その点についても、私は最初の、冒頭の挨拶で、行政の対応を含めて御検討いただきたいということをお願いした次第でございますし、私たち自身もそのことを強く認識して対応していきたい。我々自身も、どこに欠点が、もし行き届かないところがあったのならどこだったのだろうか、こういう視点で今検討を進めているところでございます。

大串(博)委員 これまでの行政対応は十分だったかという点についても議論をしたいではなくて、私は、まず、これまでの行政対応はどうだったかという現状認識、事実認識を踏まえて初めて次の改善策が生まれてくると思うものですから、順番を是非間違わないでいただきたいと思うんです。

 今日は資料を配らせていただいておりまして、これまでがどうだったかという観点からすると、やはり、昨年五月、六月に当社が事故を起こした際、六月から七月にかけて特別監査に国土交通省が入っていて、監査をした、このときの対応がどうだったかということは非常に大きいと思います。

 この点に関して今日資料を配らせていただいておりまして、これらの関係の、当時の行政指導書、そして改善報告書、そして抜き打ち検査のチェック表等々を配らせていただいておりますけれども、大臣、まず、出発点はここだと思うんですよ。

 間もなく第二回会合が開かれると聞いております。私は、第二回会合でまずやるべきことは、今日お配りしておりますような当時の行政指導書、そして改善報告書、先ほど城井委員からもありました、改善報告書の中には、波、風、全く同じ数字がずらりと並んだものがあった、そのような改善報告書、そして抜き打ち調査のときの改善確認チェック表、こういったものを全委員の皆さんに配って、これがどうだったのか、適切だったのかという、ここの確認から始めるべきだと思うんです。

 第二回会合、是非これを配って議論していただけませんでしょうか、大臣。

斉藤国務大臣 こういう、まさに、こともではなくて、ことからというふうに、今、大串委員からお話がございましたが、非常に重要な視点だと思っております。今の大串委員の御提言を踏まえて対応したいと思います。

大串(博)委員 それでは、一つ一つ行政対応はどうだったかというのを確認していきたいと思います。事務方の皆さんにも答弁いただきますので、大臣もよく聞いておいていただければと思います。

 先ほど話がありました、藤岡委員からもありましたけれども、改善報告書が、七月二十日付で書かれていて、七月三十日に国土交通省に届いたということです。これをどうチェックしたのかという論点が一つあるんですね。藤岡委員の質疑にありました、部長以下十一名の皆さんでこれを見たと。城井委員の質問にもありましたけれども、この改善報告書の中には、波の高さ、風、ずらりと同じものが毎日毎日書かれている、こういうものであった。

 確認したいんですけれども、この改善報告書、私の資料では六ページからですね、六ページ、七ページ、八ページ、九ページに参考資料をつけておりますけれども、これは、北海道の運輸局では、担当部長以下、見ただけなんですか。見て、あれ、これはどうなのかなというふうな精査、チェック、そして、必要に応じてこの事業者に、これはどうなのと問い合わせるようなことを当時行ったんですか。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま委員から御指摘のございました有限会社知床遊覧船から提出をされました改善報告書につきましては、北海道運輸局海上安全環境部長宛てに提出されたものでございまして、先ほどの御答弁でも申し上げましたように、十一名の職員で確認をしてございます。

 ただいまの委員の御質問でございますが、相手方、すなわち事業者との間でどのようなやり取りを行ったのかということにつきましてお答え申し上げます。

 提出を受けまして後、担当者より、改善報告書につきまして北海道運輸局から指導した事項と、それから事業者の側からの改善事項との対応関係について、電話などで確認をしたと承知してございます。

 また、その際、担当者より同社に対しまして、個々の職員が安全管理規程を理解するだけではなく社内全体で理解すること、また、その理解を維持していくことが大事である旨、電話で伝達をしたと報告を受けてございます。

大串(博)委員 担当者がこの指導項目に対する対応関係を電話で業者に確認して、しっかりやってくださいねということを電話で言った。これは担当者レベルであって、そういったことをやったということも含めて担当部長まで回覧され、報告されたんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど申し上げましたときに、電話などと申し上げましたけれども、担当者より相手方に対しまして電話及びメールで確認をさせていただいたということでございます。

 また、その事実につきまして、部署内で共有を図ったということでございます。

大串(博)委員 局長、済みませんが、もうちょっと大きな声で答弁いただけたらと思います。

 委員長にお願いですけれども、今、担当者の方がこの業者に対して電話及びメールで確認したということだったので、メールに関して、これを提出していただきますようにお願いしたいと思います。

 手が挙がっていますので、もし答えられるんだったら、答えていただければ。

高橋政府参考人 御通告いただきましたので、ゆうべ確認をさせていただいたのですが、メールそのものは保存されていなかったというふうに聞いておりますので、ちょっとそこにつきましても御報告申し上げます。

大串(博)委員 メールは行政文書です。一年以内ですね、まだ。破棄されるべきではないものだと私は思うので、調査いただいて、委員会に提出をいただきたいと思います。

 委員長、よろしいですか。

中根委員長 後日、理事会で協議いたします。

大串(博)委員 この点も、私はちょっとずさんな面がやはりあるんじゃないかと思うんですね。

 次にお尋ねしますが、そのような、私は非常にここの確認が鈍かったと思うんですね。

 なぜかというと、このペーパーを見ていただきますと、改善報告書が六ページにあります。その内容をずらりと見ると、別紙一のとおり、七月五日事務所において、全体会議を行って確認をしたという項目がずらりと並んでいるんです。八ページに、この七月五日の全体会議なるもののペーパーがあります。

 ペーパーがあるんですけれども、ここで、やりました、やりましたということが書かれているだけなんですね。本当にどのくらいのことがやられているかは分からない。なおかつ、時間が、七月五日十五時からと書かれています。十五時から何時間行われた会議で、ここに桂田氏は全て着座して、内容を全部確認していたんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 社内会議の時間が何時間だったかにつきまして北海道運輸局に確認したところ、数字自体、定かで、数字自体、持ち合わせてございませんけれども、会議には、社長の桂田氏を始め全員が参加をいたしまして、全員で安全管理規程を読み直したり、船舶衛星電話などで連絡をすることの確認など、安全管理規程の習熟について確認をされたものと承知してございます。

 なお、北海道運輸局は、七月五日の会議のみをもって指導事項の対応状況を判断したのではございませんで、報告書に記載されてございますように、定期的に勉強会を開くなど安全管理体制の構築を図っていくとの意思が示されていたことから、指摘事項への対応がなされているものと当時判断をしたとの報告を受けてございます。

大串(博)委員 今、この七月五日の報告書だけのみをもって判断したわけではありません、定期的な教育を行い、そういったことをやるということをもって判断しましたとおっしゃいましたけれども、それはどこに書かれていますか。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御提出の八ページでございますが、八ページの二ポツ、安全管理規程の習熟及び変更箇所の確認という項がございまして、指摘事項2についてとございます。パラグラフの二つ目でございますが、「また、安全管理規程で定める体制を全従業員が実施できる体制を維持していくためにも定期的に勉強会を開くなど安全管理体制の構築を図っていくことを確認した。」という記述でございます。

大串(博)委員 ちょっとよく理解くださいね。まさに七月五日の、全体会議を開催したという当社が報告した一枚紙をおっしゃっているじゃないですか。七月五日のみに頼って、七月五日のこの一枚紙の報告書のみによって、これでできているなと判断されているじゃないですか。よく御理解いただきたいと思います。

 そこで、もう一回言います。

 時間が、これは十五時からと書かれているので、私は、どのくらいやったのかなと非常に不思議に思ったんです。私は見てすぐ思いました、真面目にやったんだろうかと。時間は定かでないということを今おっしゃいましたけれども、三十分かもしれない、一時間かもしれない、二時間かもしれない、ひょっとしたら本当に短い会議だったかもしれないですね。そこは確認していない、この点も問題です。

 さらに、桂田氏は、この全ての時間、ここに座っていたんですか。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 社長の桂田氏がこの社内会議の初めから終わりまで全ての時間参加したかについては、確認を、現在、全ての時間いたかどうかについては、恐縮ながら、定かではございませんけれども、先ほど申し上げたような会議内容であったと承知をしております。

大串(博)委員 桂田氏は、この会社の安全統括管理者です、運航管理者です。全責任を負った人です。

 事故が起こった後の特別監査に対して全体会議を行った、しかも、それを改善報告書で報告している。その会議に桂田氏がしっかり座っていたかどうかも確認していない。これが国土交通省のチェックとして十分かどうか、大臣、言わずもがなと御理解されるというふうに思います。極めて私は手ぬるかったというふうに言わざるを得ないと思います。

 といいますのは、やはり桂田氏による今回のリーダーシップのなさ、海の経験のなさ、こういったところが非常に大きな問題だったと思うんです。ここをきちんと指摘できなかったかというところは非常に大きな問題だと私は思います。

 ちなみに、桂田氏が運航管理者及び安全統括管理者になったのは、事故が昨年五月、六月に起こる直前の三月だったという理解でよろしゅうございますね。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 そのとおりだと考えてございます。

大串(博)委員 ちょっと済みません、もうちょっと大きな声で答弁いただけたら助かります。

 桂田氏が安全統括管理者そして運航管理者になった途端に事故が起こっているんですよ。そういう環境下だったんです。だから、桂田氏が本当にしっかりした人か、もう少しきちんと調べるべきだったと思います。

 ちなみに、その前の安全統括管理者、運航管理者は、そのほかの執行役員の方でいらっしゃったというふうに聞いています。その方は、船員、海の経験をお持ちの方だったというふうにお聞きしています。その方が桂田氏に替わった直後に事故が起こっている、そしてこういう状況になっているという状況なので、桂田さん、本当にあなたは大丈夫なんですかという論点は非常に大きな論点だったはずなんです、この特別監査において。

 ちなみに、資料の一枚目、二枚目、三枚目、四枚目に、桂田氏が安全統括管理者及び運航管理者として届出をしたときの文書をつけさせていただいております。これを皆さんお持ちですね。ここに、どういう資格をもってして彼が安全統括管理者及び運航管理者として資格ありと自ら届け出たかというと、二ページと四ページにありますが、どちらも、いわゆる業務の経験及び実務の経験を三年以上持っているということに丸をして届けています。

 ところが、その内容はどうか、内容は何かというと、二ページ、四ページの下の方ですけれども、船舶の運航管理補助、そして小型船舶協議会会長ということが平成二十八年の十月から行われていたということが言われていますが、まず、小型船舶協議会会長というのは、この実務に当たるんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま委員御指摘の小型船舶協議会会長としての業務経験は、海上運送法に基づきます安全統括管理者あるいは運航管理者の要件を満たすとは考えてございません。

大串(博)委員 次に、船舶の運航管理補助とも書かれています。つまり、船舶の運航管理補助者を平成二十八年十月からやっていたということは事実なんでしょうか。この点は国土交通省において確認されたんでしょうか、当時。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の桂田氏につきましては、運航管理に関して三年以上の実務経験に該当する旨届出が出てきてございますが、この要件に適合していたか否かにつきましては、北海道運輸局では、届出書類により確認をしてございます。

 桂田氏が届出どおりの実務経験を有していたか否かにつきましては、現在実施しております特別監査におきましても調査をしておるところでございます。

 仮に、運航管理者や安全統括管理者の選任の届出書類に事実でない申告がなされていたのであれば、大きな問題であると考えてございます。

大串(博)委員 そのチェックは、まさに特別監査のときに、簡単なことですから、行うべきだったんじゃないですか。桂田氏が運航管理者になってたった二か月で事故が多発しているわけですよ。あなた、大丈夫ですかというのを、ちなみに、あなたは資格はあるんですかねということで、この紙を持っていらっしゃるわけだから。船舶の運航管理補助を本当に前にやっていたんですか、この一言すら聞かなかった。

 そこでもし運航管理補助をやったことがなかったと分かっていれば、局長、お答えください、法律上に、安全統括管理者それから運航管理者を解任させられるという法律の条文がありますね。どうですか。

 ごめんなさい、ここは通告していなかったので、私の方から申し上げます。

 海上運送法第十条の三の七項ですね。国土交通大臣はとあって、安全統括管理者、運航管理者がその職務を怠った場合であって、当該安全統括管理者及び運航管理者が引き続きその職務を行うことが輸送の安全の確保に著しく支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、解任すべきことを命じることができる。権能をお持ちなんですよ。権限をお持ちなんですよ。こういうことがあるにもかかわらず、確認すらしなかった。私は、非常にここに手抜かり、落ち度があると思うんです。

 ちなみに、桂田氏からも、六月二十四日、二十五日にヒアリングを、特別監査のときにされていらっしゃいますね、されている。このヒアリングのときに、計四時間のヒアリングだった、二時間、二時間で四時間のヒアリングだったと聞いていますけれども、桂田氏からは、時々答弁に、時々というか、彼が答弁がなかなかできなかったという話を聞いているんです。

 このヒアリングの一番最後に、担当官の方から、安全統括管理者としてもっと自覚を持ってほしいという指摘を受けたというふうに聞いてございますけれども、その事実はそうですか。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨年六月に実施をいたしました特別監査の際には、合計四時間程度ヒアリングを実施しており、桂田氏も出席しておるところでございます。

 この監査は事故に対するためのものでございましたため、事故時の状況を中心に、船長や甲板員へのヒアリングが主なものであったと承知してございます。

 昨年六月に実施した特別監査のヒアリングだけで桂田氏に安全統括管理者の資格がないと断定することは難しかったものと承知はしてございますが、安全統括管理者の資質の確保については、これはしっかりと検討をし、安全統括管理者あるいは運航管理者の資質の確保というのは大変大事なポイントでございますので、検討委員会における議論を踏まえ、必要な措置を講じてまいりたいと考えてございます。

大串(博)委員 今、ちょっと驚きの答弁でしたよ。当時の特別監査のときに桂田氏の資質を疑うことは難しかった、とても私はそう思えないんですよ。運航管理者になってたった二か月で事故を二度起こしているわけですよ。かつ、届出書の中に、小型船舶協議会会長という実務に当たらないものを書いて出してきている、そんな人なんですよ。運航管理補助者に関しても確認をしていない。答弁もできない、答えもできないから、もっと安全統括管理者として自覚を持ってくださいと担当官から言われている。そのような人をその場できちんと確認できなかった責めは、私は重いと思いますよ。この点、大臣、よく認識しておいてくださいね。

 桂田氏のいわゆる資質、能力、ここをきちんと見抜けなかった責任、これは非常に大きいと思います、これが一点。

 もう一つ、安全管理を徹底できなかったのか、安全管理規程の問題です。

 先ほど城井委員も言われましたけれども、この安全管理の在り方に関しては、行政指導でも指摘されています。かつ、改善報告書にも書かれています。

 先ほど城井委員が言われたように、抜き打ち検査のときにもこれは確認されていて、抜き打ち検査のチェック表、十一ページですね、十一ページの中ほどからちょっと下、安全管理規程に係る安全教育計画及び記録。安全管理規程に関しては、安全教育計画を作って、きちんと繰り返し繰り返し社内で教育をしなきゃならないということが安全管理規程に書かれています。これをもってして、このことが行われているかを抜き打ち検査で確認したわけですね。ところが、ここは斜線になっていて、事務所内の書類を管理している者が不在であったために確認できずということです。先ほど、確認できなかったということを言われました。

 その後、改めて確認はしたんですか。私は、その後、改めて確認しているべきだと思いますよ。抜き打ちチェックにまで行って、確認できなかったんだから、その後、ところで、あれはどうなりましたかと確認すべきだったと思いますよ。したんですか。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 事業者が昨年七月の改善報告書で記載しておりました、定期的に勉強会を開くとの点につきましては、十月の抜き打ち訪問まで確認を行ってございませんでした。

 その後、同年十月の抜き打ち確認で本船及び事務所を訪問した際に、勉強会の記録につきましては、事務所内の書類を確認している担当者が不在であったため確認できておらず、その後も確認を行ってございません。

 これにつきましては、事業者への更なる確認や指導が十分にできていなかったと認識しておりまして、これを真摯に受け止めまして、改善を図る必要があると考えてございます。

大串(博)委員 三十分の時間では尽くせないような、確認しなければならないようなことがたくさんあります。まだまだあります。ただ、冒頭、私が今日取り上げたいと思ったことを幾つか挙げただけでも、これだけ国土交通省の落ち度があると私は見て取れます。

 大臣にお尋ねします。

 特別監査がしっかり行われていたら、そして、その後の抜き打ち検査がしっかりフォローアップされていたら、私は今回の事故は防げたと思います。

 大臣にお尋ねしますけれども、国交省としての責任、これはあるというふうにお考えになりませんか。

斉藤国務大臣 昨年六月、七月のそれぞれ特別監査及び指導、そして十月の抜き打ち検査等を行ってまいりました。それでもなお今回の事故を防ぎ得なかったということにつきまして、大変、我々は、これを真摯に、重く受け止めております。

 この再発防止を徹底して図らなければならない。そのために、有識者による検討委員会を踏まえまして、国土交通省としてしっかり今検討しているところでございます。その再発防止策、私は先頭に立ってつくっていきたいと思っておりますが、そのことで責任を果たしていきたい、このように思っております。

大串(博)委員 ここがスタートポイントなんですよ。ここをしっかり認識されないと、私は、また国土交通省はこの誤りを犯すと思いますよ。

 国土交通省は、今回の特別監査及び事前対応において落ち度があったとお認めになった方がいいんじゃないですか。

斉藤国務大臣 そのことも含めまして、今、しっかり我々の体制について見直しをし、再発防止策をつくっていきたい、このように思っております。

大串(博)委員 大臣、事故が起こってもう三週間たっています。検討委員会じゃないんです。大臣としての姿勢なんです。政権としての姿勢の問題なんです。国土交通省として落ち度があったと認めないんですか。

斉藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、特別監査、指導、抜き打ち検査等を行ってもなおかつ今回事故が起きた、そのことは重く受け止めております。

 我々として、どこが足らなかったのかということは真摯に検討をし、再発防止策に全力を挙げたい、このように思っております。

大串(博)委員 終わりますが、重く受け止めるどころの話じゃない。二十六人の皆さんの命が懸かっているわけですから、重く受け止めるどころの話じゃない。

 私は、危機感が極めて欠如しているということを改めて申し上げなければならない、このことを申し上げて、質疑を終わらせていただきたいと思います。

中根委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会、市村でございます。

 まず、質疑をさせていただきます。

 まず、建設工事受注動態統計に関する議論をさせていただきたいと存じます。

 これは、前にもこの委員会でも御指摘を申し上げたんですが、やはりこの背景には、国交省の報告書にありますように、通常業務で手いっぱいであったとか、マネジメント不足であったとか、また、単純ミスになってしまったとか、そうしたことが背景にあると思います。もちろん、統計についてこういういいかげんなことをやってきたということは、これはもう大きな反省をすべきことだと思うんですけれども、やはり、今後にこれをどうつなげていくか、これをどう教訓にしていくかということが大切だというふうに思います。

 その意味で、私としては、これも前の委員会でも申し上げました、提案させていただいておりますが、これは国交省に限らず、また一部署に限らず、政府として、政府統計に関して、まず一元管理をする。その上で、今、今日はデジタル庁からも担当の方にお越しいただいておりますが、せっかくデジタル庁をつくって、DX、デジタルトランスフォーメーションの流れをつくろうということで、政府も全力を挙げようとされているわけですから、やはりこれはもう統計を、できるだけデジタル処理できることはデジタル処理するというところを目指すべきだというふうに私は思っているところでございます。

 まず、この間、この統計が二重計上されたとか、また、発送が遅れたとかいろいろありましたが、これはやはり私は担当部署の職員の業務過多が原因の背景にあったのではないかと思いますが、いま一度、これにつきまして、政府委員の方からまずお答えいただいて、大臣の方からもちょっとお答えいただければと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 本年一月十四日の検証委員会の報告書では、書換えや二重計上の問題の原因として、本件の統計室は、通常業務をこなすだけで手いっぱいとなっており、集計作業の点検や見直しを行うだけの人的及び物的余裕がなかったことが指摘されております。

 また、システムの不備を労働力、職員の業務量で補填するという発想も業務過多につながっていると考えられるといった御指摘をいただいているところでございます。

市村委員 今、この統計についてお聞きしたところ、結局、建設経済統計調査室というところが御担当であるというところでありまして、ここの業務の方が国土交通省の組織規則に書かれてあるんですけれども、幾つかの、大きく分ければ三つぐらいの業務をされるということになっておりますが、十五人体制でこれまでやられてこられて、しかも、この建設工事受注動態統計につきましては三人ぐらいでやられていたと。

 しかも、これが毎月一万二千者、サンプル調査ですから、一万二千者ということでありまして、回収率が六割というところらしいとお聞きしました。大手五十社に関しては全部、一〇〇%、サンプルではなくてやっておられるということで。もちろん一人親方とかいらっしゃいますから、全部で四十七万者といいますか、四十七万者、人ということで、うちの一万二千者を特に抜き出してサンプル調査をされているというところです。

 今、この統計問題が起きてからは、七人の助っ人といいますか、を得て体制を取っておられるようでありますけれども、確かに今はこの問題が出て、これを何とかしなければならないということがありますから、人数を増やしているというのも、それは受け入れられるとは思いますが、これからはやはり人員も、そんなに手をかけるのが本当にいいのかどうかという議論も一方ではあると思います。

 やはり、ここは先ほどから申し上げておりますように、しっかりとデジタル化をしていくという、人の手をなるべくかけない方向に向かうのが筋だと思いますが、大臣の御見解をいただきたいと存じます。

斉藤国務大臣 まず、人員の増強、今、短中期的にこの統計問題、抱えておりますので、増強しておりますが、長期的にも、統計に対してしっかり組織を挙げて取り組んでいくという意味でも、人員増強を図っていきたいと思っております。

 そして、しかし、それにも限りがございます。やはり今、これからのポイントは、今、市村委員がおっしゃったようなデジタル化を進めていくこと。そのデジタル化の進め方は、国土交通省だけではなくて、政府主導で、政府全体、統計委員会がある意味では司令塔になって、デジタル庁と連携してこれを進めていかなければならない、このように決意をしております。

市村委員 先ほど他の委員からも御提案があったところでありますけれども、やはりこれは政府としても、統計、今は総務省の統計センターでしたか、今日、後で御答弁いただきたいんですが、やっておられると思うんですが、政府として、政府統計に関しては一元化をするということを目指すべきだと思います。

 今現在は総務省の統計センターさんの方が担当だということでありますから、まず、今日、総務省の大臣官房審議官にもお越しいただいていますので、また総務省としての御見解をいただき、そして、やはりそれは何といってもデジタル化をするという意味で、今日はデジタル庁からも審議官に来ていただいていますので、お二人からこれを進めていくんだという強い決意をいただきたいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

明渡政府参考人 国土交通省の建設工事受注動態統計調査における不適切事案を踏まえ、統計委員会に設置された特別検討チームにおいて、再発防止策を含む公的統計の改善施策として、デジタル技術の活用についても議論を進めていただいているところでございます。

 具体的には、例えば、総務省が各府省の様々な調査で共通的に利用することができる集計ツールを汎用パッケージとして提供すること、既存のオンライン調査システムについて、システム上で利用可能な電子調査票の形式を多様化することなどが議論されているところでございます。

 総務省といたしましては、このような同チームの議論をしっかりお支えするとともに、検討結果を真摯に受け止め、取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。

菅原政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省の建設工事受注動態統計における不適切事案を受けまして、現在、総務省の統計委員会において、統計のデジタル化を含めた公的統計の改善施策の検討が進められているというふうに承知をいたしております。

 デジタル庁といたしましては、統計委員会の取りまとめを踏まえまして、統計のデジタル化について、デジタル化を推進する観点から、総務省の求めに応じて必要な協力を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

市村委員 ここで、今日は、三浦総務大臣政務官、お越しいただいております。

 是非とも、政府を挙げて、政府統計について、ここで今いろいろ私も質問させていただき、また御答弁いただいたことを受けて、三浦政務官の方から是非とも、政府を挙げているんだというふうな、また更なる御決意をいただきたいと存じます。

三浦大臣政務官 お答えいたします。

 市村委員御指摘のとおり、公的統計のデジタル化は、業務の効率化はもちろんのことでございますけれども、御協力をいただきます国民の皆様の利便性向上にもつながりまして、重要な課題と認識しておるところでございます。

 このため、これまでも、国勢調査のインターネット回答を始め、例えば、家計調査の対象世帯にレシート読み取り機能を備えたアプリを配付いたしまして、家計簿の記入の手間を省くような、そういった取組であったり、小売物価統計調査では、インターネット上にある膨大な価格データの自動収集による調査業務の効率化など、デジタル技術を活用した取組を進めてまいったところではございます。

 さらに、先ほど事務方の方からも御答弁させていただいたとおり、今般の事案を受けまして、総理の指示を踏まえ、統計委員会において、デジタル化を含む公的統計の改善施策を取りまとめることとしておるところでございます。

 総務省といたしましては、こうした統計委員会における検討を全面的に支援しつつ、デジタル庁の協力も得ながら、公的統計のデジタル化に取り組んでまいるところでございます。

市村委員 ありがとうございます。是非とも。

 取り組むということは、多分、最後、政務官、大体どれぐらいのめどでというぐらいの、年度内にかなりまとめるというのか、それとももう数年かかるというのか、どんな感じでしょうか。ちょっと政務官、もしお答えできるのであれば、いかがでしょうか。

明渡政府参考人 デジタル化を含めまして、統計の再発防止策等につきまして、まさに今、統計委員会で御議論いただいているところでございます。そちらの方、精力的に議論いただきまして、丁寧な議論を行いつつ、取りまとめてまいりたいと思います。

市村委員 これは先ほどから申し上げておりますように、国交省の一部門だけの問題ではないということでありますので、時間はかかるのかもしれません。いろいろな省庁の皆さんの意見をいただかなくてはならないということかもしれませんけれども、やはりできる限り迅速にそういう流れをまた確定させていただきたいという思いでございますので、よろしくお願いを申し上げます。

 政務官、済みません、もうこれでこの議論は終わりますので、どうぞ御退席いただいて構いません。よろしくお願いします。

 総務省、デジタル庁さんも、感謝いたします。ありがとうございます。

 それでは、また、今日の議題の二つ目でございますが、知床観光株式会社ですか、のことについて、これから質疑をさせていただきたいと存じます。

 これは、事故という表現もありますが、私は、事件と言ってもいい、過言ではない、こういうふうな思いでございます。これは起こるべくして起こったという事件だというふうに、聞けば聞くほど思わざるを得ないということになってまいります。

 先ほどからいろいろな議論がありますので、なるべく重複しないように議論を進めさせていただきたいと存じますが、これは今の世の風潮というのもあるのかもしれませんが、何か、法律に書いていなければ、また規則に書いていなければやっていいんだみたいな、そもそもそういう風潮がその基にあるのではないかなと。盛土のときもそうだったんですけれども、結局、法律上、制度上指導しても、遵法精神がないというか、いや、ちゃんとやったからいいよ、一ヘクタール以内に収めたんだから大丈夫だとか、産業廃棄物が混じっていても、ちゃんと取り除いたから大丈夫だとか、書いてあることをまず守らない、指摘されたら守ったふりをするということですね。

 けれども、根本的に考えると、そもそも道徳心というか、法律そのものというものが、そもそも法哲学上、いわゆる道徳の最大公約数だというふうに私は教えられてきているんですね。法律というのはそもそも道徳の最大公約数であって、まあ、ルール化ですよね。みんなが守った方がいいよということをあえてルール化する、そして、特に悪い行いをする者に対しては、しっかりと一罰百戒、罰則を与えるということだと思うんですよね。

 最近の風潮は、法律を一生懸命細かく、網の目を細かく細かくしたとしても、結局漏れている、漏れるところを探し出して、いやいや、これは書いていないじゃないかと。こういう風潮がそもそも全体的に生まれてきているのではないかなというのが問題ではないかと、そもそも思っているところであります。

 結局、今回の社長さんにしても、いろいろな報道もされていますけれども、要するに、検査のときだけごまかせればいいんだというようなことを、そういう対応をされていたということもあるようでありますし、そういうところがまず根本にあるんじゃないかということを思いながら、この質疑に入らせていただきたいと存じ上げます。

 まず、昨年の十月ですか、JCIが検査を行っておりますね、抜き打ち検査。これが適切だったのかということで、先ほどからも議論がありますので、ここは余り深くはやるつもりはありませんが、二回事故を起こした後に、七月にもいろいろ調査結果を出したりとか改善報告書が出てきたりとかしていながら、十月には抜き打ち検査までしたのにかかわらず、済みません、ごめんなさい、三日前でした、JCIは三日前でしたね。事故の三日前にJCIが中間検査を行っているということでありますが、これがまず、せっかく三日前にやっているのに、これが適切だったのかというところをいま一度ちょっと、まず御見解をいただきたいと思います。お願いいたします。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 監査と検査について触れておられましたので、お答え申し上げます。

 今回事故を起こしました有限会社知床遊覧船は、昨年五月と六月に海上の浮遊物への接触あるいは浅瀬への乗り上げを起こしておりまして、事故後に北海道運輸局が特別監査を実施してございます。

 特別監査の結果、昨年七月に同社に対して指導を行い、十月には北海道運輸局職員が、抜き打ちで本船及び事務所を訪問し、改善内容について確認をするなどしているところでございます。

 委員御指摘の中間検査でございますが、日本小型船舶検査機構が本年四月二十日、カズワンに対しまして中間検査を行ってございます。その中間検査におきましては、エンジンの作動確認、外観の現状確認、救命設備の状態の確認等を行ったと承知してございます。

 なお、その際、中間検査におきまして、事業者から、無線設備を携帯電話に変更したい旨の申出がございました。陸上との間で常時通信できるとの申告を受けましたこと等から、機構におきまして、法令上の、常に直接陸上との間で船舶の運航に関する連絡を行うことができるとの要件に適合していると判断し、変更を認めたとの報告を受けてございます。

 しかしながら、カズワンの携帯電話では実際には通信できなかったと推測されますことから、機構の検査方法は十分ではなかったと承知しておりまして、五月九日に、機構に対しまして、携帯電話に関する検査方法の改善を指導し、速やかに改善を図っておるところでございます。

市村委員 これは大分、先ほどからほかの委員の皆さんもやっておられましたので、もうこれ以上は言いません。是非とも、調査委員会等々でこの辺をまたもっと深掘りをしていただきたいと思うところでございます。

 私としては今回の事故は事件だと思いますが、起こってしまいました。これについての原因究明はもちろんこれから進めていただくことになると思うんですが、当日、事故が発生した後のことについての対応について、これから少し討議をさせていただければというところでございます。

 これも指摘は出ているところでありますが、船舶から一一八番通報があったのが四月二十三日の午後一時十三分ということでありまして、そして、海上保安庁のヘリが現場に到着したのが午後四時三十分ということで、三時間半ぐらいかかっています。さらに、自衛隊に災害派遣を要請して受理されたのが当日の午後七時四十分ということであります。

 これは資料もいただいておるんですが、当日の海温は大体五度前後ということであったようでありますが、五度前後の海温の中に人がつかってしまいますと、約二時間半から三時間で残念ながら命はもうないというところでございます。

 海上保安庁は、現場に到着したのが、事故の報告があってから、そのときに恐らくまだ報告できたんですから沈んではいなかったので、まだ皆さんは海の中にはいなかったというふうに信じたいと思いますが、しかしながら、一時十三分から遅くないところで船が沈んでいた可能性があると考えますと、海上保安庁が現場に到着したのが三時間半ですから、非常に微妙なところでございますね。もうほぼ、かなり難しいという状況。

 なぜこんな時間がかかってしまったのかということの原因の一つということで、まずちょっと確認したいんですが、こういう場合、第一義的責任はどこにあるのか。海上保安庁でしょうか、それとも道警でしょうか、それとも国交省の運輸局なんでしょうか。ちょっと、そこをまずお答えいただけますか。まず、第一義的な責任はどこにあるのか。

奥島政府参考人 お答えいたします。

 海難救助に関しましては海上保安庁の所掌事務とされておりますので、一義的な対応の責任は海上保安庁にございます。

市村委員 海上保安庁さんに、この事故、事件、ここはもう事故とします、事故の一報がまずどこに入ったんでしょうか。

奥島政府参考人 お答えいたします。

 この事故の第一報は、この事故を起こした船舶の無線を聞いた船舶から、海上保安庁の、北海道を管轄いたします第一管区海上保安本部、ここに連絡がございました。

市村委員 ちょっと、今、長官、無線とおっしゃいましたけれども、無線は壊れていたんじゃないんでしょうか。どうなんですか、その辺、ちょっと確認させてください。

奥島政府参考人 お答えいたします。

 通報してきた方は同業者でありまして、無線でそれを聞いたというふうに海上保安庁の方に連絡をしてきてございます。恐らくアマチュア無線ではないかというふうに思います。

市村委員 分かりました。

 まず、それで、同業者の方がアマチュア無線で聞かれて、それを聞いて海上保安庁さんの第一管区の海上保安本部の方に連絡されたというところですね。

 当時、土曜日でありましたね、土曜日。そこには、もちろん海上保安庁さんですから二十四時間三百六十五日体制でやっておられると思いますが、当日はどのような体制で、海上保安庁はそこに何名いらっしゃったとかというのは教えていただけますでしょうか。

奥島政府参考人 お答えいたします。

 まず、海上保安庁では、全国を十一のブロックに分けまして、それぞれの管区本部において二十四時間三百六十五日、事件、事故の対応ができる体制を整えております。

 事案当日、一管本部に何名が勤務していたのかというのはちょっと今分かりません。今手元に資料がございませんけれども、一名、二名ということではなく、複数人の職員がオペレーションに詰めていたというふうに、通常の体制はそのようになってございます。

市村委員 本当に、先ほどからおっしゃっているように、これは一刻を争う事態だったんですね。

 今後、それこそ総合的な、道警さんを含めた警察や自衛隊を含めたことをこれから検討、改善していくということなんですが、これ、今まで海難事故を含めいろいろな災害が起こっていまして、これまでもそうやって、その現場で集まって鳩首会談をするんじゃなくて、日頃から連携を取っておくということが、例えば私は東日本大震災の現地対策本部長代行も務めさせていただきましたが、当然やっていたと思うんですが、それは普段からやっていなかったんでしょうか、警察や自衛隊との調整というのは。いかがでしょうか。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 海上保安庁では、四月二十三日の午後一時十三分に遊覧船カズワンの海難情報をまず受けました。その後、直ちに巡視船艇、航空機に対して発動を指示いたしますとともに、最初、情報がなかなか確定いたしませんでしたが、警察等の関係機関や漁業関係者等に対して情報提供などを行っております。

市村委員 もちろん、情報が少ないということがあったのだと思いますし、現場の状況が非常に厳しい状況であったというのもそうなんだと思いますが、先ほどからも御指摘があるように、そのためにこそ、海上保安庁さんとか警察、自衛隊というのは消防も含めて日頃から訓練をしていただいているんだと思うんですね。

 しかも、これは一刻を争う事態。海温五度だと二、三時間で命はないということで、実際に現場に駆けつけたのが三時間半であるとすれば、もうほぼ絶望的状況で行っている。しかも、自衛隊に派遣要請をして受理されたのが午後七時四十分、もう真っ暗になっていますね。幾ら自衛隊が優秀だといっても、真っ暗な中で海の捜索を、しかも荒れている天候でやられるというのはさすがに難しい。実際、同業者の皆さんも本当は助けに出たかったんでしょうけれども、二次災害があるということで出られなかったぐらい。

 風速の十五メートルというのは、私もこの間ここで風力発電の話もさせていただきましたが、すさまじい風です、十五メートルというのは。普通、七メートルでもかなりの風ですね。五メートルでもかなり、多分、皆さん、五メートルの風を浴びたら、なかなか、おおと思うぐらいの状況です。それを十五メートルなんというのは、もうまさに台風並み、台風でもかなり強い台風並みの状況です。だから、そういうところで救難、救助活動をするのはもう至難の業だとは思っています。だからこそ、一刻を争う。午後一時十三分でしたから、まだ日が高いうちで。

 ここで、私、ちょっと例を挙げたいのは、辛坊治郎さんという方がヨットで海難事故を起こされて、海難事故というか、事故を起こされて、助けに行かれたんですね。あれは千百キロ沖なんです。これで助けに行っているんですが、通報から出動まで、辛坊さんの船が危ないですよという通報から大体一時間以内に、あれは自衛隊、海上自衛隊ですかね、が出ているんですね。US2という、東日本大震災のときも、水をすくって、原子力、爆発した原発のところに水をかけていたやつ、あれがUS2というやつです。自衛隊機が行って、救助できているんですね。

 当時、US2はどうも岩国にあったらしいんですが、岩国からウトロ、今回の事故現場までも多分千キロぐらいでしょうかね、千百キロぐらい。一時間ぐらいで駆けつけられるというのであれば、やはり自衛隊の方に派遣要請を、特に辛坊さんの場合はやっておられるんですね、何で今回できなかったのかというのが非常に私は疑問なんです。疑問なんです。

 情報が少なかったとはいえども、海上保安庁の皆さんとかは、そういうのは、どうも直感的に、これはかなり厳しい状況じゃないかと思うという訓練をされていますよね。この水温でこれだったら一刻を争うぞと、もう自分たちで手に負えない。

 例えばさっきの話だと、中標津空港に回転翼がいて、一遍釧路に戻って人員を、レスキュー隊の方を積んでいかれたということなんですけれども、それじゃ、まあ三時間、それぐらいは即座に計算できるはずなんですね。中標津から釧路に行って、人員を積んで現地に行こうとすると、三時間はかかるなと。そうすると、もう間に合わない、一刻も争うときに。

 という状況にあるということを認識すれば、もう自分の手に負えない場合は、やはり道警なり自衛隊なり、先ほどから協力関係をつくるということをおっしゃっているんですけれども、でも、ふだんからできているはずだと私は思うんですが、なぜにこれが、そういう決断というか、迅速な判断にならなかったのかというのが非常に疑問なんです。

 いや、僕は、海上保安庁さん、日頃から、例えば尖閣の問題についても、尖閣についても本当に一生懸命やっておられる。「海猿」というあの映画もできたぐらいに、国民の皆さんは本当に頼っているところでありますから、本当にこれは心苦しいです、こういうことを話をさせていただくのは。でも、こういう状況になってしまったことについて、海上保安庁長官としてどういう思いでいらっしゃるのか、ちょっとお聞かせいただけますでしょうか。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 多々御指摘をいただきました。

 まず、今回、自衛隊への災害派遣要請でございますが、これについては我々どのように考えたかということでございますが、海上保安庁では、海難情報を受けた段階では、現場付近海域の具体的な状況が不明であったということから、まずは海上保安庁の航空機で現場を確認した上で、具体な災害派遣要請を行いたい、このように考えたところでございます。

 一方、先ほど委員御指摘のヨットの事故でございますが、これは平成二十五年六月のエオラスの浸水海難であろうと思いますが、これにつきましては、そもそも、起こった海域がかなりの遠方でありまして、我々の航空機では到底届かない、そういうことでございましたので、即座に自衛隊に災害派遣要請を行ったというものでございます。

 今回、先ほど申し上げましたように、まずは海上保安庁で確認をということで、その結果として時間を要することとなりましたので、今回のような一刻を争う事案においては、海上保安庁のみならず、関係機関が総力を挙げてやはり人命救助に取り組むということが大事であるというふうに考えますので、委員御指摘も踏まえまして、自衛隊との間では、災害派遣要請の迅速化について、現在、所要の調整を進めておりますし、また、警察や消防等の関係機関との間におきましても、中央及び地方レベルにおいて、情報共有の迅速化と相互の連携等の再確認を行っているところでありまして、今後、総力を挙げて人命救助に取り組んでまいりたいと考えてございます。

市村委員 今、今後とおっしゃいましたが、もう既にやっておられるんですよね。お願いします。

奥島政府参考人 まさに現在もやっております。

市村委員 現在というか、事故が起こる前というか、いろいろなところでいろいろな海難事故とかが起こっておるときに、当然、海上保安庁さんは、都道府県警察さんとか消防さんとかそれから自衛隊さんとかとは、もう既にいろいろ連絡調整はしていますよね、ふだんから。

奥島政府参考人 お答えいたします。

 警察、消防、自衛隊等、関係機関とは日頃から連絡調整を行っておりますし、また訓練も行っているところでございます。

市村委員 ですので、今回、それこそプロでいらっしゃる皆さんが、しかも、長官が一刻を争うというふうに表現されている事態だったわけでありまして、その一刻を争う事態で、先ほどから何度も申し上げますが、水温五度で、二、三時間でもう人命はほぼ絶望的であるということは、多分、プロの皆さんなら即座に判断されるはずなんですね。

 そこで、いわゆる回転翼を、まず海上保安庁の飛行機を飛ばすといっても、それはどこから飛んだんでしょうか。固定翼はどこから飛んだんでしょうか。

奥島政府参考人 お答えいたします。

 まず、回転翼航空機、ヘリコプターにつきましては釧路でございます。それと、固定翼、飛行機は千歳の基地から飛びました。

市村委員 ですので、千歳から飛行機、固定翼で現場まではどれぐらいなんでしょうね、一時間はかからないのかもしれません。まあ、ちょっと、ちっちゃい飛行機だと速度もそんなに飛ばせないということかもしれませんが。回転翼が釧路から、これも一時間では行けない場所なんでしょうか。一時間ぐらいやはりかかるんじゃないでしょうか、現場まで。

奥島政府参考人 お答えいたします。

 まず、固定翼、飛行機につきましては、監視ですとか捜索ということはできますが、救助ということについてはできません。

 一番早く着いたのが、釧路航空基地から出ました回転翼航空機、これは潜水士を積んで行った航空機でありましたので、まずは人命救助ということを考えて、ヘリコプターで、救助員を乗せたヘリコプターをつないでいくということを優先をしたということでございます。

市村委員 ですから、そのヘリが現場に到着したのが午後四時三十分ということですよね。ですから、それが通報から三時間半なんですね。だから、これまでも、多分、自衛隊さんや警察さんともちゃんとやっておるという海上保安庁さんが一刻を争う事態だと判断をされたにもかかわらず、しかも、三時間たったらもう多分人命は絶望的だということも恐らくプロだったらすぐ判断をしたにもかかわらず、結局、三時間半もかかるようなオペレーションを取られた。そういう判断になったということが、私は非常に、済みません、疑問なんです。とても疑問なんですね。

 ほかの、前の、さっき御指摘申し上げたヨットの遭難事故のケースでは、朝七時四十六分に海上保安庁にあって、八時四十分、一時間以内にはもう自衛隊に派遣要請しているんですね。派遣要請している。今回も、遠いといっても、結局、それだけ時間をかけることが想定されるわけです。三時間ぐらいかかるということが想定されている中で、それで、海上保安庁さんの判断が、一刻も争うという事態だったにもかかわらず、そういう判断になってしまったということが、非常に申し訳ないですけれども、解せない、分からないんですが、長官、いかがでしょうか。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 まず、先ほどのヨットの海難のときには、届きませんので、もう到底手に負えないということで、即座にお願いをするという行動に出たというものでございます。

 一方、今回の事案、確かに、委員御指摘のとおり、結果において三時間ほど要しているわけでございますが、まずは我々の目で見て何が起こっているのかということを確認した上でということを考え、これまでそういう中でやってきたものですから、まずはその原理に従ってオペレーションしたということでございます。

 しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、そういうことのみではこういった海難に対応できないということで、今後につきましては、初動を早めるという観点から、関係機関への情報提供の迅速化、さらには自衛隊への災害派遣要請、これについても早くするということで、既に動き始めているというところでございます。

市村委員 これからに関しては当然そうお願いしたいんですが、今回の、先ほどから申し上げておりますように、やはり、一刻を争う事態で、しかも、日頃からそういうことに精通したプロの方が何で三時間もかかるようなオペレーションの判断になってしまったのか、ここが本当に私は残念なところなんです。

 それで、この第一管区海上保安本部の当時のトップ、このトップの方が判断をされると思うんですが、トップの方が、ちょうどこの四月、二十三日に事故が起きたんですが、四月一日から赴任されておられるというところなんですね。

 その方の経歴を見ますと、決して、必ずしもそうした災害救助の現場に精通されているとは思えない方でございます。この方が判断を、やはり、海上保安長官、第一次的には第一管区海上保安本部に通報があって責任を持つということなんですが、そのトップの方の判断というのは、やはりこれを待たないといけないということになるんでしょうか。それとも、現場が、特に当時、土曜日ですから、どうされていたかは、ちょっとそこまで聞く気持ちはないんですが、おられなかったとしても、いわゆるオペレーションの判断というのは誰がどうされるんでしょうか。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 まず、事案が起こってすぐに一管本部の中で対策本部を立てました。この対策本部のトップは一管本部長でございますから、委員御指摘の、経歴をお渡ししたと思いますけれども、その者でございます。

 海上保安庁、仕事は一人でするということではなくて、まさに、対策本部を立てたように組織体で行っております。ですから、判断のレベルというのはそれぞれございますが、こういったオペレーションの場合は、一義的にはその下にあります警備救難部長が取り仕切るという中で、より高いレベルの判断を次長なり本部長なりに仰ぐという形の中でオペレーションをしてございます。

市村委員 その警備救難部長さんの御判断が大きかったということですが、当日、土曜日ですので、結局、警備救難部長さん、やはりいらっしゃらなかったですかね、どうでしょうか。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 通常、土曜日、日曜日、祝日につきましては当直だけが勤務をしている、当直班長がトップという形になります。

 しかしながら、海上保安庁、二十四時間三百六十五日、いつどこでどんな事故が起こるか分かりませんので、そういった職員につきましては、近く、すぐ近傍のところに官舎なりを置いて、すぐ駆けつけられる、そんな体制を取ってございます。

 今、ちょっと手元に時間はございませんが、一管本部、それから本庁も含めてですけれども、警備救難部長は、事案後直ちに、それぞれの事務所の方に駆けつけているというところでございます。

市村委員 当然そうだと思います。政府三役を経験した者は皆、そういうふうに三十分以内に駆けつけるようにということになっていますから、そういうことになると思うんですが。

 ただ、やはり、何度も繰り返しになりますが、今回の判断ですね、何で三時間。大体、プロだったらすぐ判断できるはずですね、中標津にいて、固定翼をこっちに持っていって、こっちに持っていこうとしたら三時間はかかるなとか、人員を積んだらと。それを、プロの方がなぜ、一刻を争う事態でそういう判断になってしまったのか。一刻を争うんだったら、それこそ、日頃から訓練もされている自衛隊に、これはもう手に負えぬということで、自衛隊さん、ちょっと力をかしてくれということで、すぐになぜ話がそこに行かなかったのか。そこに意識、考えが及ばなかったのかが、非常に私としては疑問であります。

 もう時間がないので、最後に、大臣、今こういう議論を聞いていただいて、大臣のちょっと御感想をいただければと思います。

斉藤国務大臣 今、大変大切な視点について御議論いただいたと思います、二点。一点目は、三時間を要したこと、海上保安庁が現地に到達するのに時間を要したこと。それと、自衛隊との連絡の関係。

 この二点につきまして、先ほど来、長官が申し上げておりますけれども、しっかり、今回どこに問題があったのか等をしっかりつかんで、自衛隊等との関係はもう既に先ほど申し上げましたように改善を始めておりますけれども、しっかりした体制を組んで、こういう一刻を争う事故にできるだけ早く対応できる、そういう体制をつくり上げていきたいと思っています。

市村委員 また改めてやらせていただきます。

 今日は、これで終わります。ありがとうございました。

中根委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中根委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 まず最初に、統計の問題についてお伺いしたいと思いますが、私は、今回の国交省で起きた統計の問題、前には厚労省でも起きました。実はこれ、国交省に限らず、ある種全ての省庁に共通している問題があるのではないかな、そうした視点を持っております。そうした視点から、この統計の問題について質問させていただきたいと思います。

 今年一月に国交省の検証委員会の方で出された報告書を見ますと、その中には、業務過多であるとか、問題発見時の対応方法や問題の発見と解決を奨励する風土、こうした問題点が指摘されていたんですけれども、こういう問題点は、国交省だけじゃなくて、ほかの省庁も全て同じような問題点を抱えているのではないかというふうに思います。

 この報告書の中でも、同種事案が連続して発覚した各省庁の公的統計実務部門に横断的に存在すると考えられる原因をも明示し、提言を示したというふうに記載をされております。

 こうした報告も受けて、「国交省のみならず、政府全体で、提言に示した省庁横断的かつ抜本的な対策を可及的速やかに立案して実施されることを願っている。」というふうにこの検証委員会の報告書には書かれているんですけれども、政府全体として、このような認識を持って、省庁横断的かつ抜本的な対策に、この統計問題について、取り組んでいるんでしょうか。

明渡政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省の検証委員会の報告書において指摘された問題点は、他の省庁においても生じ得る可能性のある問題であると認識しております。

 今回の建設工事受注動態統計調査における事案を踏まえ、再発防止策や統計作成のデジタル化、統計人材の育成など、公的統計の改善施策を取りまとめていただくため、統計委員会に特別検討チームを設置したところでございます。この特別検討チームでは、国土交通省の検証委員会の報告書で明らかにされた事実関係をリスク要因と捉え、品質優先の組織文化の形成、風通しのよい職場環境の醸成など、公的統計の作成に係る様々な課題の抽出を行い、それらを踏まえ、実効性のある再発防止策の検討を進めていただいております。

 総務省といたしましては、こうした議論をしっかりお支えするとともに、検討結果を真摯に受け止め、取組を進めてまいりたいと考えております。

古川(元)委員 そういう検討を進めていただいているならいいんですが、ただ、私自身もちょっと役所にいた、少しですけれども経験がある中から見ると、様々、今回の中でも指摘されていることをやっても、私は、やはり一番根本的な統計に関する問題が起きてくる背景には、どの省庁においても統計部局というのがそんなに重要視されていない、言ってみれば、統計部局というのは各省庁で花形部局じゃない、言い方は悪いですけれども人気がない部署で、統計部局に配属されて喜ぶ職員は多分ほとんどいないと思います。結局、そういう状況にあるために、やはり、配属された人たちの士気もなかなか上がらない。

 ですから、いろいろなことをやっても、そこに配属されることにプライドとか喜びを感じるような、そういう、いわば省庁における統計部局の位置づけというものが変わらない限り、これを変えない限り、私は、いろいろなことをやっても、また同じようなことが起きてきてしまう、問題解決にはつながらないんじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。

明渡政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおりでございますが、毎月勤労統計の事案を受けて行われた各種提言においては、各府省が統計の重要性と社会的影響を認識し、職員が誇りと高い使命感を持って業務に携わることができるようにするとともに、統計部局におけるリソースの確保、必要性が指摘されているところでございます。

 これらを受けて、これまで、政策部局、統計部局の横断的な統計データ人材の育成や各府省の幹部職員の意識向上、統計部局のリソースの確保に取り組んできたところでございます。例えば、国の統計職員数につきましては、長らく減少傾向にございましたが、政府一体となって各府省の統計職員数を増やす取組を進め、近年においては、僅かではございますが、増加に転じているというような状況でございます。

 公的統計は、国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報でございまして、また、証拠に基づく政策立案を支える基礎となるものであると認識しております。引き続き、このような取組を進めてまいります。

 また、統計委員会におきましては、公的統計の改善施策を検討する中で、統計の品質に関するトップマネジメントの認識の向上、幹部研修の充実や統計人材の確保についても議論されております。

 総務省としては、その検討結果を真摯に受け止め、各府省の支援に努めてまいりたいと考えております。

古川(元)委員 そういっても、重要だという認識を持ってといっても、やはり働くのは人ですから、その人たちが本当にそこに配属されることに誇りを持つ、意欲ややりがいを感じるというのと別だと思うんですよね。

 人数さえ増やせばいいかというと、これもやはり、意欲のあってそういう本当に専門的知識がある人たちが増えればいいんですけれども、そうじゃない人だけ増やしたって、それは仕方がないのであって。そこのところは私ちょっと、かなり認識が、私は、省庁にばらばらに統計部局を置いている限り、なかなかそういう今言われたような、答弁されたような状況は、口で言うのは簡単ですけれども、現実にはそうならないんじゃないかと。

 ですから、やはり根本的な問題解決のためには、各省庁に存在している統計部局を一つにまとめて、統計庁を創設して、であれば、要するに統計庁ですから、統計というのは国の根幹で大事だ、そこにはその専門家の人たちを集める、そういう状況になれば、やはり世の中の見方も変わると思いますし、当然、そこに手を挙げて来る人たちは、統計に命を懸けて頑張ろうというような、そういう人たちであれば、プライドと責任感を持って仕事をしてもらえる、そういうことになるんじゃないかと思います。

 ですから、そういうことをしないままに今言われたようなことでは、口では言うけれども、実際には、そういう環境はいつまでたってもできないんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

明渡政府参考人 お答えいたします。

 統計行政体制に関するものでございますけれども、各府省に統計部局が存在する分散型という、これが今、我が国の仕組みでございますけれども、このような統計行政体制には、各府省がそれぞれの所掌分野に関する知見を十分に活用できるなどのメリットがあるものと承知しております。

 一方で、統計部局を集約した統計庁など、こういったものをつくりまして集中型の統計行政体制を設けるということについては、統計の専門性が発揮されやすいメリットがあるものと承知しております。

 専門性の確保につきましては、現在におきましても、総務省の統計部局及び独立行政法人統計センターが各府省の統計作成を支援するとともに、各府省の職員に対しても、研修の強化、統計データアナリストなどの認定といった取組を行っているところでございます。

 現在、統計委員会において行われている公的統計の改善施策の検討の中で、こうした統計行政体制の在り方や専門性の確保、更には品質優先の組織文化の形成や職員の動機づけ、自発性の奨励などについても議論されているところでございます。

 総務省といたしましては、こうした議論をしっかりお支えするとともに、検討結果を真摯に受け止め、取組を進めてまいりたいと考えております。

古川(元)委員 何か、答弁を聞いていると、変わらないというか。大臣、今聞いていてどう思いますか。

 分かるんですよ、気持ちは。しかし、本当にそれで、じゃ、研修をやりました、専門知識を勉強しました、そうすれば、じゃ、こういうことが起きないのかといったら、やはり、そこで働く人たちがどれだけその仕事にプライドを持って、そしてまたやりがいを感じてと。

 率直に言って、統計の仕事をやりたいという人、そんなに世の中多くないと思うんです。多分、ここにいる議員の皆さんにも、統計をやりたいという人、どのくらいいらっしゃいますかということなんですけれども。福島さんにはずっと、やはりそれだったら、やりたいんだったら二十年、三十年やってもらう。やはりそのプロになってもらうという、そのプロの意識を持ってもらうということが、私は、本当に統計というのは大事ですからね。

 統計というのは、先ほどの答弁の中で、各省庁に関係して使えるからと。ある種それは関係しているかもしれませんが、今回の統計でも、国交省だけじゃなくて、これはやはり経済の成長率や何かにも影響してくるわけで、ほかの役所でも使うわけです。だから、民間も含めて、ある種、統計というのは公的財産ですから、別にどこかの省庁の専有物じゃないわけですね。

 それであれば、やはりこれは、統計は全部まとめて、どこの省庁であっても、あるいは民間の人であっても、誰でも使える、その統計がちゃんと信頼できるものである、そういう集中型の仕組みをつくるのは、メリットは、専門家が集まってという、あったじゃないですか。

 そういう統計庁というぐらいになったら、そこに手を挙げて自分で入っていこうというような人たちが、先ほどの福島さんのように、とにかく統計で名を成したいとか、やりたいという人、そういう人を集めるということが、いろいろな研修をやるとかそういうことよりも、一番、私は、やはりこの仕事が本当に信頼できる仕事になっていく。それで統計の精度も高まれば、逆にまた、そこで働く人たちに対する世の中の尊敬や関心も集まっていく、そういう好循環が生まれるんだと思うんですよね。

 そういった意味では、これはやはり、是非大臣から総理に対して、各省庁の統計部局をまとめて、統計庁をつくりましょうよと。こういうことがあったからこそ、それは大臣が閣内でもそういう声を上げていただきたいと思いますが、いかがですか、大臣。

斉藤国務大臣 統計の重要性と、そのためにプロをしっかり育てていく、そのときに統計庁という形がいいのではないかという、今、古川委員の御指摘、非常によく理解をできるものです。

 と同時に、私自身、今回のこの受注動態統計調査を、不適切処理を調査し勉強してみて、非常に難しい、そして、現場をよく知らなければ、それぞれの統計の意味というのがなかなか分かってこない、何でこんな操作をするのかというようなことも、やはり、その現場、統計、その部署独特の背景があるというようなことも理解いたしました。

 今、先ほど、総務省の方から、専門性と、それからいわゆる現場が分かっていることと、その両方が大事だという話がありましたけれども、その点も含めまして、私も、統計庁がいいという一〇〇%確信をまだ、持てば総理にそういうふうに進言したいと思いますが、ちょっとそこら辺のバランスという問題もございまして、確信はございませんけれども、しっかり、少なくとも統計が大事だということについて、国土交通省でしっかりその文化を築き上げていくということにまず努力をしていきたいと思っています。

古川(元)委員 是非、ほかの閣僚ともちょっと話をして、また官僚の皆さんの意見も聞いて、本当に、そこで働く人たちが誇りと責任を持ってやれる環境をどうしたらいいのか。私は、やはりこれ、まとめた方がいいと思います。是非そういう判断を大臣もしていただいて、閣内でも提言して、そういうことをお願いしたいと思います。

 次に、ちょっと時間がなくなってきてしまいましたけれども、武力攻撃のような有事に万が一日本がさらされた場合のいわゆるシェルター、避難所についてお伺いしたいと思います。

 今、ロシアによってウクライナが攻撃を受けているわけですが、ウクライナでは攻撃から身を守るためにシェルターや地下鉄の駅の構内に人々が避難している、そうした状況がテレビなどでも見受けられております。

 もし万が一、我が国が武力攻撃を受けた場合、現在、国民保護計画において内閣府が指定している避難場所は、防災センターや公民館、小学校など、いわゆる大規模災害の避難場所と同じになっているんですが、果たして本当にそれで攻撃に耐えられるんでしょうか。

 そもそも、こうした武力攻撃なんかを万が一受けた場合に、国民がその攻撃から身を守ることができるような避難所、シェルターというのは、現在、国内にどれぐらいあるんでしょうか。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 爆風等から直接の被害を軽減するため、コンクリート造りの堅牢な建築物や地下街、地下駅舎などの地下施設に避難することは大変有効であるというふうに考えております。

 これらの施設につきまして、都道府県等が緊急一時避難施設として指定しておりまして、その数は令和三年四月現在、五万一千九百九十四か所、これにつきましては自然災害の避難所とも重なるものが多いわけでございますが、このうち地下施設につきましては千二百七十八か所となっておりまして、地下施設につきましては、必ずしも自然災害の避難施設と競合するものではございません。

古川(元)委員 そんなことはあってはいかぬのですけれども、こういう事態を考えると、あってはいけないことに備えるのがやはり私は政府の責任だと思います。その千幾つでは、ほとんどの人は避難できないということですよね、そういう攻撃などミサイルなんかあったら。ちょっと心配ですよね。

 ちょっと時間もないので次に行きますが、ウクライナなんかで地下鉄駅構内を避難所として使われていますけれども、日本の地下鉄駅の構内ですね、同じように避難所として、こういう武力攻撃なんかがあった場合に活用できるような場所はあるんですか。

澤田政府参考人 先ほど申し上げました施設の数、千二百七十八は令和三年四月一日現在でございましたが、その後、これを増やしていこうというふうに考えておりまして、令和三年度から集中的な取組期間といたしまして、指定権者である都道府県知事等に積極的に働きかけを行ってまいったところでございます。

 こうした取組によりまして、例えば地下駅舎につきましては、前年度まではゼロでありましたが、現在は三百四の施設が新たに指定されるなど、一定の成果を上げつつあるというふうに承知をしておりますが、このほかにも地下街、それから地下駐車場も指定が進んできております。

 なお、この際、国土交通省には、施設管理者の理解や協力を得るために文書を発出していただくなど、全面的に御協力をいただいたところでございます。

 このほか、武力攻撃を想定しました避難施設の在り方に関しまして、一定期間滞在可能な施設とする場合に必要な機能や課題等につきまして、諸外国の調査も行うなどして検討を進めてきておりますが、いずれにしろ、政府といたしましては、国民の生命財産を守るため、いかなる事態にも対応できるよう、引き続き、不断に検討、訓練等を行い、国民保護措置の実施に関し万全を期してまいりたいと考えております。

古川(元)委員 大臣、やはり万一の事態に備えて、例えば地下鉄を新たに建設するときには、これが、そういう有事の際の、特に大深度なんかの地下鉄駅を造るときには避難所と流用できるように整備するようにいわば義務づけたりとか、また、一定の条件を満たす公共の施設を建設する場合には地下にそういう避難所を造るとか、これは国交省としても、有事に備えた避難所の整備が各地で進むように、そういう誘導というか策を取っていく必要があるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

斉藤国務大臣 これまでは、先ほど内閣府から答弁がありましたように、今ある地下施設を利用できるように都道府県知事等にお願いをするという協力の仕方をしてきたわけですけれども、今の古川委員の御質問は、今後いろいろな地下施設等を造るときに、そういうことも考慮に入れた設計にしたりするべきではないか、積極的に関与していくべきではないかという趣旨の御質問かと思います。

 その点も非常に重要な、今後、国民保護法制上重要な観点かと思いますので、国土交通省としてしっかり発信していきたいと思います。

古川(元)委員 有事において国民の命を守るというのは、やはり政治の本当に最低限の、そして絶対やらなければいけない責務だと思います。その責務を大臣も先頭に立って果たしていただくことを心からお願いしまして、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

中根委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は統計不正問題をやりたいと思いますが、最初に、その前に一問だけ伺います。

 資料の1ですけれども、昨日の読売新聞です。一面に、新幹線の耐震化、前倒し要請とあります。そして、JR、費用、乗客転嫁容認。三段目にあるように、鉄道事業法では、電車代金の上限の設定、変更は、事業者が申請して国が審査する認可制になっております。

 東北新幹線が地震で運休して以来、四月十四日に全線開通は大変うれしいけれども、高架橋などの耐震は、阪神・淡路大震災から二十七年たってなお六四%ということが四月二十日の本委員会の質疑でありました。

 耐震化は急ぐべきであります。しかし、ここにあるように、費用を安易に乗客に負担させるべきではありません。

 大臣に、事実関係も含め、どう耐震化を進めていくのか、また、その経費は乗客負担ではなくと思いますが、大臣のお考えをお伺いします。

斉藤国務大臣 三月十六日に福島県沖で発生した地震による東北新幹線における被害を踏まえ、高架橋を始めとする土木構造物や電化柱の耐震基準の妥当性等について検証を行うため、学識経験者等から成る新幹線の地震対策に関する検証委員会を五月三十一日に開催することとしております。

 検証委員会においては、耐震基準の検証に併せて、鉄道事業者による耐震補強計画についても検証することとしており、耐震補強の前倒しや優先順位のつけ方なども含めて幅広く検討することとしております。

 耐震補強計画の前倒しに必要となる費用負担の在り方については、この検証委員会の検証結果を踏まえて検討されるものですので、現時点において、これらに関し何らかの方針を定めているものではございません。

高橋(千)委員 報道のとおりではないというお話だったと思いますが、耐震補強の前倒しも含めという答弁でありました。ということは、耐震を前に進めようということもまだ決まっていないのかなと。大臣の気持ちをまず伺いたいなと思うんですね。

 確かに、今やろうとしているのは技術的な検討ということでお答えがあったと思うんですが、今年の二月十四日に、第一回、交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会で、鉄道運賃・料金制度のあり方に関する小委員会が始まっております。

 プレスリリースの中で国交省が強調しているのは、昨年相次いで発生した鉄道車内における傷害事件の発生等を踏まえたセキュリティー対策、激甚化、頻発化する災害への対応、鉄道施設の老朽化対策等といった鉄道における安全性の向上のための対策が急務とあるわけですね。

 そういう中で、つまり、やらなきゃいけないことがたくさんある、それとセットで料金というのを考えようという話なのかなと思ったんです。そこにちゃんと書いてあるのは、総括原価方式ですからと。そうすると、あれもこれもこれもあるけれども、しかし、その分が全部乗客に跳ね返ってくるよという議論になっちゃってはどうなのかなと。

 昨年はJR北海道の支援の法案もありましたけれども、やはりJRは、耐震化を真っ先にやってもらいたい。同時に、駅中はどんどん華やかになっていく、一方で、無人化の駅はどんどん増えていくわけですね。そうしたこと全体を見て検討しなければやはりいけないと思うわけですね。

 そういう意味で、国は、見直しを検討していること自体は間違いないと思うんですが、この点、もう一回御意見を伺います。

上原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど委員の方から御指摘がございました運賃・料金のあり方についての検討会、交通政策審議会に小委員会を設けて検討をさせていただいております。

 こちらの方は、先ほどおっしゃられたように、セキュリティー対策や強靱化対策、そのほかにも、例えば、少子高齢化、人口減少が進んでいるということですとか、あるいは、コロナ禍の逆の影響としてリモートの、そうした働き方が変わってきているとか、課題としてその当時挙げましたのは、様々な今状況が変わってきている中で、運賃制度について、今後、ある意味、在り方をどうしていこうかという非常に大きな観点からの御議論を委員の皆様方にしていただいているところでございます。

 したがいまして、運賃・料金の取り巻く環境として、災害面のこととかセキュリティーとか、そういうことがあるのはこれは否定できないと思いますけれども、もっとたくさんいろいろな課題を、どう運賃・料金制度としてあるべきかということを御議論いただいているというふうに認識をいたしております。

高橋(千)委員 可能性の中にあるんだということが確認できたと思います。

 ただ、今日はこれ以上質問はしませんけれども、大臣、是非、いろいろな課題が出てきているんだ、そういう中で在り方を見直しをするんだと言いましたけれども、やはりその中に、先ほど述べたように、地域交通としての役割を本当に問われている部分もあるわけですよ。やはりそれと一体に議論しなくちゃ駄目なんだということを重ねて指摘をして、今日はここまでにしたいと思います。よろしくお願いします。

 本題に入ります。

 国交省から、十三日、遡及改定に関する検討会議の報告書、特別監察報告書、追加の報告書、再発防止策の三つの報告書が出されました。

 年間受注額の過大計上が五兆一千億円に上ると報道もされているわけですが、改めて、この問題の重大性について大臣の認識を伺います。

斉藤国務大臣 五月十三日に取りまとめられた遡及改定検討会議の報告書においては、受注統計や建設総合統計の遡及改定に向けた精度の高い推計手法や、いち早く不適切処理の影響を把握するための影響度試算など、統計の信頼回復に必要な事項をお示しいただきました。

 今般の不適切な処理により統計の数値に影響が生じていたことは、極めて遺憾で、申し訳なく思っております。

 今後、この報告書に基づき、国土交通省において、受注統計や建設総合統計について適正かつ速やかな遡及改定を実施し、秋頃までには結果を公表することにより、統計の信頼回復につなげていきたいと考えております。

高橋(千)委員 極めて遺憾であり、申し訳ないというところまではおっしゃいました。そこからまずスタートして、大臣の認識を次にまた伺っていきたいと思うんです。

 まず、特別監察、追加報告書の第一のところに、令和二年、二〇二〇年一月、都道府県に対し、本件合算処理に係る書き直しをしないよう指示を出したが、一部の都道府県に書換えの可能性が高いものがあったことが確認されたというふうに書かれているんですね。何かこの書き方は、まるで都道府県に責任があるかのように受け取れる記述なんです。非常にどうかなと思いました。

 私は、指示の徹底が不十分なその理由は、実は、概要には一言書いてあるんですね、明確に理由を伝えていないからと。

 そうなんです。そもそも、合算しろというところまでは分かっていても、二重計上が起こっていることは都道府県は知らないわけです。それは国がやっていることであって、国交省の誤りであって、是正が必要なんです、申し訳ないですと都道府県にちゃんと説明しなかったら、一部に残っているというのは当然だったと思う。

 そこを真摯に反省するべきだと思いますが、いかがですか。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、合算書換えの継続というものは、二重計上の発生を通じまして、統計数値の誤りというものにつながるものでございます。

 この本件統計室では、都道府県における合算書換えの中止につきまして、令和二年一月以降、担当者が数度にわたりまして、都道府県へ電子メールや電話による指示を行っておりました。

 しかしながら、今回の調査結果によりますと、これらの対応にもかかわらず、令和元年十二月分から令和三年三月分までの提出された十万六千六百七十件の調査票のうち、七十一件の調査票で合算継続が確認をされたというところでございます。

 このように、一部の都道府県において合算書換えが継続していたことは、結果として、国土交通省の指示が十分でなかったと考えられると今回評価をしておるところでございます。

 また、その原因につきましては、先生御指摘のように、指示の内容が、単に合算しないことのみを伝えるだけでございまして、統計数値に与える影響など、指示の理由を明確に説明することがなかったため、その必要性というものの認識が徹底されずに一部の都道府県において継続した原因となったもの、そのように考えているところでございます。

高橋(千)委員 まず一つ目は、その原因について、ちゃんと理由を伝えなかったということをお認めになったと思うんです。だけれども、その理由が、影響があるよという話じゃなくて、自分たちが間違ってやってきたことだよ、あなたたちのせいじゃないよということを言ってあげないと、それで都道府県が、再三指示してもやってくれなかったと言うのはやはりおかしいと思います。違いますか。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 今ほどの繰り返しとなりますけれども、私どもが監察をした結果といたしましては、やはり御指摘のように、指示の内容が、合算しないことのみを伝えるだけだったということ、これが統計数値に与える影響、こういうことが明確に説明することがなかったために必要性の認識が徹底されなかった、それが原因になったというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 だから駄目なんですよ。自分たちの責任を認めていないから、都道府県が悪いように言うから駄目なんです。なぜ指示を出したのか、遅れてくるやつをどうして処理していいか分からないから、取りあえず合算してねと、わざわざ課長会議で徹底したことじゃないですか。それをちゃんとやっている都道府県に対して、それをやめるんだということで、なぜやめるのかをちゃんと言わない。自分たちが両方で二重計上しちゃっていたからと、そのことを伝えられないということに問題があった、そこはお認めいただきたいと思います。大臣、是非、次のところでお認めいただきたいと思うんですよね。

 私は、一月の予算委員会でこの問題を質問したときに、幾つか論点があったんですけれども、やはり国の責任ということをまずきちっと認めるべきだというのが一つと、次に、もう一つの自動書換えの問題がありました。

 システム改修を行って、受注高の統計なのに、過去に完成しちゃったものが混じっている、システムで、それが過去月ではなく当月にやっていた。それは、システム改修ということは経費がかかるので、当然決裁をしている、課長以下の決裁があるということは組織的ではないかということを指摘しました。

 それも報告書の中には何もないわけですよ、そういう評価は。単に業務で手いっぱいでした、人が足りなかったんです、個人の見解でやっていたんです、それはおかしいですよね。どうでしょうか、大臣。

斉藤国務大臣 五月十三日に公表した特別監察の報告書においては、事業者から完成予定年月が受注月よりも前になる調査票が提出された場合に、完成予定年月を受注月に直す書換えについて、平成十二年度の統計調査開始時点から、事業者から提出された個別工事情報の活用のため、国土交通省で完成予定年月を受注月に直す書換えを行っていたこと、平成十三年度から、担当者の事務負担の軽減のため、都道府県に書換えを指示していたこと、平成十六年度から、業務の効率化のため、エラーチェックシステムを変更し、自動書換えを行っていたことを明らかにしております。

 このような取扱いについては、国民の利用の観点から見て、統計の注記に記載するなど公表なしに行われていた点、調査票の書換えによって有用な情報の活用を阻害した点において不適切であったと評価しております。

 また、その原因については、通常の業務ルーティンにおいて反映させる方法がない以上、ルーティン外で反映させる方法を検討するべきでしたが、通常業務で手いっぱいだったことなどが原因であると検証しております。

 これらについて重く受け止め、引き続き、私自ら先頭に立ち、国土交通行政、公的統計の信頼回復に向けて、組織一丸となって再発防止に取り組んでまいります。

高橋(千)委員 一つ一つの事象を、今は不適切という指摘があったということを大臣はお認めになりました。やはりそれを認めないと。説明もしないで、書き換えてねと言っていることが問題なわけですから、本当に統計の大事さということがそこから感じられないんですよ。だから、指摘をしています。

 ここは次に行きたいと思います。

 それで、遡及改定の問題であります。

 資料の2に、今回の遡及改定のポイントということで資料があるんですが、当初答弁していたのは、二重計上が影響する全期間、二〇一三年の四月分から九年間について遡及改定ができると思うという答弁がされていました。これを見るとそのように書いているんですが、そこを確認をしたいと思います。

 それから、現存するデータは二〇一六年以降だと思いますが、二〇一三年から復元できる、その理由を簡潔にお答えください。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 遡及改定の方法の主要なポイントは、遅れて提出された調査票の合算処理による二重計上の影響を取り除くことです。調査票がない期間だけでなく、調査票がある期間も合算されたデータしかなく、当月分か過月分かを判別できないため、推計手法を用いて、過月分を合算した影響を取り除くことが必要となります。

 遡及改定検討会議では、合算前のデータが残っており、ほぼ完全な復元が可能な令和二年度分のデータを用いて合算集計のモデルを作成し、合算の影響を取り除く複数の推計手法を比較検証いたしました。その結果、いずれの手法も高水準の精度を持つとの結論に至っております。その中で、簡便で安定的な結果をもたらす推計手法である、合算月数で均等割する方法が決定されております。

 今後、この報告書に基づき、国土交通省において、受注統計や建設総合統計について適正かつ速やかな遡及改定を実施し、今年の秋頃までには結果を公表することにより、統計の信頼回復につなげたいと考えております。

高橋(千)委員 今、ない期間もある期間も、実際は合算されているので、正しい数字じゃないという趣旨のことをおっしゃったと思うんですね。

 それで、均等割というのが最も合理的で安定性があると評価されたということで、この報告書にも、真ん中ら辺の右側に載っているわけなんですよね。一体均等割って何と昨日聞いたわけなんですが、合算されている月は、この月は三月分とか合算されているよというのがデータで分かるというので、例えば、八月に六月と七月の分が乗っていたとすれば、その内訳は分からないけれども、例えば合計額が三十億円だとすれば、均等割なので、六月も七月も八月も十億円というように推計するのだと理解をしました。

 復元というときに、皮肉にも、合算だけれども、マスキングテープをして元の数字を隠してあった、それがあったので令和二年のデータは参考になって、これがモデルになったという説明で、非常に皮肉な話だなと思うんですが、あくまでも仮定の仮定に推計を重ねたもので、この先の遡る数字を出すということになると思うんです。

 それで、大臣に伺いますが、大臣は、今年一月二十五日に開催された第一回の遡及改定に関する検討会議の席上、国民の皆様に対して、誤った数値を出すわけにはいきませんとおっしゃいました。復元したからもう適正な数字ですと胸を張れるでしょうか。本来、毎月の変化を示す統計が損なわれたということは否定できないのではありませんか。

斉藤国務大臣 あくまでも、今回、遡及改定とはいえ、推計ではないかという趣旨の御質問かと思います。

 遡及改定の方法の主要なポイントは、遅れて提出された調査票の合算処理による二重計上の影響を取り除くことでございます。調査票がない期間、平成二十五年から二十七年度だけではなく、調査票がある期間も合算されたデータしかなく、当月分か過月分かを判別できないため、推計手法を用いて、過月分を合算した影響を取り除くことが必要となります。

 遡及改定検討会議では、合算前のデータが残っており、ほぼ完全な復元が可能な令和二年度分のデータを用いて合算集計のモデルを作成し、合算の影響を取り除く複数の推計手法を比較検証しました。その結果、先ほど委員御指摘のとおり、いずれの手法も高水準の精度を持つとの結論に至っております。その中で、簡便で安定的な結果をもたらす推計手法である、合算月数で均等割する方法が決定されております。

 今後、この報告書に基づき、国土交通省において、受注統計や建設総合統計について適正かつ速やかな遡及改定を実施し、今年の秋頃までには結果を公表することにより、統計の信頼回復につなげていきたいと考えております。

高橋(千)委員 九年間で完全な復元が可能なのは、令和二年度、たった一年しかないわけですよね。それで、より近い状態だと言う前に、統計が損なわれたということをしっかり認めるべきではないでしょうか。

 それと、特別監察の追加報告書では、公文書管理法第五条から八条までの手続が遵守されていないと指摘もあります。これを併せて責任をどうお認めになるか、伺います。

斉藤国務大臣 今回、不適切処理により統計が損なわれた、これはもう大前提でございます。その点は十分反省した上で、しかし、今回、遡及改定委員会で、統計学の英知を集めて、より真実に近い値を推計していただく、その手法を御提案いただいたところでございまして、この手法を用いて、いわゆる遡及改定をしっかり行っていきたいと思っております。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 公文書管理に関する御質問がございました。

 この公文書管理の関係につきましては、今回公表いたしました追加調査報告書に記載のとおり、今般の追加調査で、調査票を始めとする受注統計の各行政文書につきまして、行政文書ファイル管理簿に記載をしていない、あるいは、保存期間満了により廃棄する際、内閣府への廃棄協議を行っていないなど、この五条から八条までに規定された諸手続が遵守されていない事例が多数認められました。

 申し上げるまでもなく、公文書は国民共有の財産でございまして、このような取扱いを行ったことを大変重く受け止めるとともに、公文書管理法にのっとって直ちに改善しなければならないということで考えてございます。

 この点につきまして、既に是正に着手しておりまして、速やかに対応を進め、再発防止の徹底を図ってまいります。

高橋(千)委員 後でもう一回聞きます。

 総務省は、統計委員会タスクフォース精査結果報告書を提出して以降、公的統計品質向上のための特別検討チームを立ち上げて検討してきました。

 簡潔にそのポイントをお示しください。

明渡政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の特別検討チームにおきましては、これまで、検証委員会報告書及びタスクフォース報告書の精査や、これまでの対策の実施状況の確認のためのヒアリングを実施してきました。また、五月十三日に国土交通省から公表された遡及改定検討会議の報告書などにつきましても、今後、ヒアリングが行われる予定となっております。

 同チームにおきましては、このようなヒアリングなども通じ課題の抽出を行っていただき、また、今般の事案を踏まえ、基幹統計調査の集計プロセスの点検を行うべく、御議論をいただいているところでございます。

高橋(千)委員 タスクフォースの報告書をもらって、国交省の報告では分からなかったこともたくさん明らかになってきたわけなんです。やはり統計委員会と国交省との緊張関係というのは非常に大事なことだと思いますので、今後、ヒアリングをちゃんと国交省から行って、今出た遡及の数字の問題もこれから審査をするということでしたので、しっかりとお願いをしたいと思うんですね。

 それで、国交省に戻りますが、報告書の随所に、人手不足、業務の多忙、経験不足、このことが指摘をされています。今日も何人か指摘をしていたと思いますし、会計検査院の報告書にも出てきたわけなんです。これは事実だと思うし、改善しなければなりません。

 そこで、資料の3を見ていただきたいんですね。

 統計委員会がまとめた令和四年度における統計リソースの確保状況なんです。上の段は、重点分野の項目別予算案、デジタルとか、統計作成プロセスの見直しとか、調査体制の強化と人材の確保、育成、これらの合計を見ると、厚労省は三・八億円、文科省が五・三億円というのに対して、国交省は〇・〇四億円しか要求がありません。下を見てください。定員増を一人も要求していません。今年度の話です。

 要するに、これほど統計改革が言われてきて、しかも、今回の事件、建設工事受注動態統計の問題が起こる前に毎勤統計の問題もあった、それでも、国交省は一人も増員要求さえしていなかったわけです。

 こういうところに、そもそも統計に対する国交省としての認識の軽さが反映しているんじゃありませんか。大臣、お願いします。

斉藤国務大臣 この資料にございます人員要求でございますが、これは、昨年、国交省の不適切事例が指摘される前の要求でございました。

 しかし、その上で、検証委員会からは、先ほど委員から御指摘がありましたように、再発防止策の提言として、業務過多の解消、統計を統合的に理解する職員の配置、職員の専門知識の習得等について指摘されました。

 国土交通省としては、報告書の御指摘を重く受け止めており、第四回再発防止検証タスクフォースにおいて公表した再発防止のために当面速やかに取り組む事項及び今後の検討の視点には、統計部門の人員体制の増強や人材育成の充実を記載し、検討を進めているところでございます。

 今後、これらを踏まえ、統計委員会と歩調を合わせつつ、また、有識者の御意見も伺いながら、人員増強等の再発防止策を取りまとめてまいります。

高橋(千)委員 私、自分から言いましたよね、今回の建設の統計不正が起きる前の要求ですと、概算要求ですので。だけれども、毎勤統計の問題が起こり、一斉点検が起こり、統計改革が議論されていた、本当はそのときに隠していたわけですよ、統計の不正を既に隠していた。そういうことがあると、結局、元々、統計に対する意識が国交省としては軽かった、それはお認めください。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年度要求時に統計部門の人員増は要求しておりませんが、今般の事案を重く受け止め、建設工事受注動態統計調査を担当する建設経済統計調査室では、本件の担当室を十五名から二十二名体制に増強しているところでございます。今後、再発防止策を取りまとめ、必要となる組織体制強化を検討してまいります。

 また、補足でございますが、先ほど委員から御指摘のありました資料のリソース建議に係る予算の部分でございますけれども、令和四年度予算につきましては、当初、概算要求時には、建議に整理された項目に該当する要求も行っておりましたが、新型コロナウイルス感染症による調査中止により、そうした要求を取り下げたということもありまして、少額となっているものでございます。

高橋(千)委員 取り下げたんですか。もっとあれじゃないですか。

 そうしたことで、やはり認めるところから再発防止策というのは始まると思いますので、このことを指摘して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

中根委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里でございます。

 本日は、たがや亮委員の時間をいただきまして、国交委員会で初めて質疑に立たせていただきます。たがや委員始め、委員長、そして関係者の皆様には、心から感謝を申し上げます。

 また、冒頭、知床遊覧船事故で犠牲になられた全ての方々へ、心より御冥福をお祈り申し上げます。二度とこのような悲劇が起こらないように、厳しい検査と指導を徹底していただくよう、れいわ新選組からも大臣並びに国交省へ強く要請いたします。

 さて、私からは、先週審議入りいたしました建築物省エネ法改正案について御質問いたします。

 まず、今国会にこの法案が提出されたことは、私はよかったと思っております。二〇二〇年に、断熱性能基準適合が義務化されるはずだったものが見送られ、今国会に法案提出を求める国民の署名活動も展開されておりました。我が国の気候変動対策としても、国民の健康に資する住宅政策としても、そして、れいわ新選組が主張する脱原発、グリーンニューディールを通じて格差是正と雇用拡大を図るためにも、これ以上の遅れは許されないと大変心配しておりました。

 本日は、先駆けて、この法案の内容について大臣に質問させていただきます。

 まず、気候変動の観点からお伺いいたします。

 私は、約十年前、初当選した折、最も力を入れておりましたのが地球温暖化対策でありました。

 当時、二〇二〇年までに一九九〇年比で温室効果ガス二五%削減の中期目標と、二〇五〇年までに八〇%削減の長期目標を法案に明記する意欲的なものとして国際的にも評価されたのが地球温暖化対策基本法案でありました。排出権取引市場の創設、地球温暖化対策税、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度の三つの手法を導入するものであり、温暖化対策の基本である省エネルギーの徹底と、そして再生可能エネルギーの普及の拡大、この二つに大きくアクセルを踏む、こうした内容のものでありました。

 しかし、法案は、衆議院を通過したものの、政権与党でありながら、参議院で時間切れ、廃案となり、背景には、業界など関係者からの大きな反対と抵抗があったものと私は受け止めております。

 三・一一原発事故が起こり、辛うじて再生可能エネルギー固定価格買取り制度は法制化されました。最前線にいた私は、脱原発を求める多くの市民の声や、自然エネルギー普及を悲願として活動されてきた専門家の方々から多くの力をいただいての成立でありました。

 その結果、この十年で、再生可能エネルギーの全体の発電量に占める割合は、当時の二〇一一年度に、水力を含めて一〇・四%から、二〇二一年度には二二%まで大きく増えるという状況が生まれたわけであります。

 大臣にお伺いいたします。

 一方の省エネルギーの徹底についてはどうだったでしょうか。この十年間、どれぐらいエネルギー消費量が減ったのか、また、建築物と住宅分野におけるCO2排出量はどれぐらい減少したのでしょうか。お答えください。

斉藤国務大臣 CO2の削減量でお答えさせていただきたいと思います。

 環境省及び国立環境研究所が公表している、住宅、建築物において活動が展開されるいわゆる業務その他部門、いわゆる業務部門と言われているもの、それから家庭部門におけるエネルギー起源CO2の排出量の合計は、二〇一〇年度は三億七千八百万トン、それから、我が国の地球温暖化対策における削減目標の起点となる二〇一三年度は四億四千五百万トン、そして、最新の時点である二〇二〇年度は三億四千九百万トンでございまして、二〇一三年度以降は減少傾向にございます。二〇一三年度に比べ、二〇二〇年度は二二%減少している。

 これが、いわゆる業務部門、家庭部門、いわゆる住宅・建築部門から出るCO2の削減量でございます。

櫛渕委員 ここで、資料一を御覧ください。

 こちらが、この三十年間における日本の温室効果ガス排出量の推移をグラフで示したものであります。

 世界の平均気温上昇を産業革命以前よりも一・五度C以内に抑える。現在の日本の中期目標は、二〇三〇年までに四六%削減、政府は更に五〇%の高みに向けて挑戦を続けるということですから、このグラフは、クライメート・インテグレート代表理事の平田仁子さん作成の表でありますが、二〇三〇年、五〇%削減の数値が置かれています。また、ドイツのNGOによれば、日本は六二%削減可能という分析も、このとおりあるとお聞きしています。

 これを見ると、確かに、大臣がおっしゃった量も含めて、二〇一三年からは七年連続して排出量は減少しており、二〇一九年のトレンドでいけば、五〇%も可能な直線ですね。

 直近はコロナの影響もあるでしょう。しかし、最も大きな理由は、二〇一二年の固定価格買取り制度による再エネ普及拡大、これによる削減効果であると考えられます。

 また、このグラフからもう一つ読み取れるのは、二〇〇〇年代、原発ルネサンスと呼ばれた原発が推進された時期であります、リーマン・ショックのときを除いて、全く排出量は削減していません。この横ばいのところを是非見ていただきたい。むしろ、平均して増えていると言えます。

 現在の原発比率は約六%、つまりは、温暖化対策は原発ではない、再生可能エネルギー普及こそが削減効果が大きいことが分かる、このことを私はまず強調しておきたいと思います。

 そして、省エネルギーの徹底についても、日本が二〇三〇年の削減目標達成に向けて、もっと早く、もっと深く、残りはあと八年しかありません、意欲的に取り組むことが極めて重要であります。

 そこで、大臣にお伺いいたします。

 今回、建築物省エネ法改正案によるCO2削減効果はどれぐらいでしょうか。また、この法案により、二〇二五年に第四等級の断熱基準が義務化されるわけでありますが、これはとても間に合わないと思うんですね。二〇三〇年までの追加の施策として、二六年、二七年、二八年、何を追加していこうとお考えか、お聞かせください。

斉藤国務大臣 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、建築物分野において再生可能エネルギーの導入拡大等を図り、この目標達成に建築分野また業務分野で大いに貢献しなくてはいけない、このように思っております。

 先ほど、今回の法案でどれだけの削減につながるかということでございますけれども、今回の法案でどれだけ削減するかということについての具体的な数字はございませんけれども、エネルギー基本計画で定められた、二〇三〇年において新築戸建て住宅の六割に太陽光発電設備等を設置する、また、FIT制度やZEH等に対しての財政支援など、支援を行っていくということで、この目標を達成したいと考えております。

櫛渕委員 具体的な数字はないという大変残念なお答えでありました。いち早くZEH、ZEB基準を、先ほどおっしゃっていますけれども、すぐにでも、二〇二六年度から義務化するぐらいの積極的な政策と財政措置が必要であると思います。

 そして、もう一つ大切なことを強調していきたいことがございます。

 省エネとは何のために必要なのかという点なんですね。国の削減目標とか気候変動のためという話をしてきましたけれども、もう一方で、大切なこと、それは、省エネが弱者の命と暮らしを守るために大切であるということなんです。

 大臣、こんなデータがございます。資料二を御覧ください。

 冬場の寒さによる命のリスク、これが北海道や東北よりも、特に関東で高いということをこの図は示しております。冬の死亡増加率が最も高いのは栃木県、二一・五%の増加。茨城県は二〇・六五%。対照的に、北海道は一番低く、四十六位で、一〇・三七%にとどまります。

 専門家が指摘するのは、北海道などに比べて、関東では、住宅の断熱化、これが遅れているために、冬の寒暖差によるヒートショックなどのリスクが高くなっているということなんですね。

 国交省の審議会は、空き家を除く住宅ストック約五千万戸のうち、省エネ性能を満たしていないストックが八七%を占めている、このように極めて多くの国民が省エネ性能基準未満の住宅に住んでいることを認めています。五千万戸のうち八七%ですから、おおよそ四千三百五十万世帯が基準を満たさない住宅に住んでいることになるわけです。

 大臣、私は、この改正案で、二〇二五年から新築の建築物に断熱性能基準適合が義務づけられることは肯定的に評価いたします。しかし、今、基準未満の家に住む人々はどうなるのでしょうか。新築の省エネ基準を満たす住宅に入居できるのは、比較的収入の高い層に偏ってしまうのではないかと心配です。

 大多数の国民が省エネ性能基準を満たさない住宅に住み、ヒートショックなど、冬季死亡が増加していることを考えれば、国が率先して既存住宅の省エネリフォームを急ぐべきと考えますが、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 先ほど櫛渕委員がおっしゃったように、空き家を除いた住宅ストックが約五千三百六十万戸ございます。そのうち、省エネ基準を満たしていないストックが二〇一九年度時点で約八七%であると推計されており、二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標の実現に向けては、既存住宅の更新と、それから改修によるストックの質の向上を推進していく必要がある、このように考えております。

 このため、令和四年度予算において、新たに地方公共団体と連携した省エネ改修補助制度を創設し、また、令和四年度税制改正により、省エネ改修に対する税制上の特例措置を拡充するなど、支援の充実を図ったところでございますが、なお一層これを進めていかなくてはいけないと思っております。

櫛渕委員 大臣とも問題意識は共有していることは分かりました。しかし、これは急ぐ話だと思うんですね。

 といいますのも、どれだけの国民が省エネ基準を満たす住環境を保障されるのか、喫緊の課題であると思うんです。

 といいますのは、特に、今、二十五年以上続くデフレで賃金下落と雇用破壊が起きて、そして、そこでコロナが起こり、中間層が減り、低所得者が増えています。

 そもそも、公営住宅、UR、公社の住宅に入居できる人の数は限られていますね。総務省の基本集計によれば、これらの賃貸住宅を利用できているのは全体の僅か五%にしかすぎません。そして、子育て世代や年金生活者、障害者等のセーフティーネットとなる専用住宅については、登録数そのものが何と五千戸にしかならない状況であります。

 このままでは、多くの低所得者は今後も断熱性能の低い住宅で健康リスクにさらされ続けることになりますし、慶応大学の伊香賀教授によれば、世帯所得六百万円以上に比べて、二百万円未満の住まいの室温が十八度を下回る傾向が明らか、健康格差につながる経済格差が室温格差にも表れていると指摘されています。

 是非これから、室温格差による命の危険にさらされるのは、公共住宅に入居できない、築年数の古い賃貸住宅や持家に住み続けるしかない、こうした低所得者世帯にならないような施策が、私は、大胆な財政措置が必要であると思うんですね。

 大臣に改めてお伺いしますが、低所得者世帯やその賃貸住宅の家主に対して、必要な省エネ基準を満たすための住宅改修、これを全額国庫で負担する、積極財政による抜本的な対策が必要であると考えますが、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 住宅の断熱改修の効果については、冬季の室温上昇など温熱環境が改善されることにより、血圧低下等に効果があるなどの研究報告がなされております。こうした良好な温熱環境の確保に必要となる暖房、冷房に係る光熱費の低減が図られるものと承知しております。

 このように、住宅の断熱改修については、特に、低所得者が改修前より低い光熱費負担で良好な温熱環境を享受できるような観点からも推進していく必要があると認識しております。

 このため、公営住宅等の公的賃貸住宅の断熱改修や、民間の賃貸住宅のうち、低所得者等の住宅確保要配慮者向けのセーフティーネット住宅における省エネ改修に対する支援の充実などを通じ、低所得者向け住宅の断熱化を推進してまいりたいと思っております。

櫛渕委員 先ほども申し上げましたように、セーフティーネットの専用住宅は大変戸数も少ない状況ですので、是非そこは改めてお願いをしたいと思います。

 そして、もう一つ資料をお示しいたします。

 これは、国交省自身が行った調査に基づいて厚労省が推計を出されている図であります。断熱改修により高血圧の人の最高血圧が下がることで、年間、脳卒中で亡くなる人が約一万人減少、冠動脈疾患で亡くなる人が約五千人減少するということなんです。

 断熱改修をすればこれだけの人の命が助かるということを国交省自身が認めておられます。断熱改修が年間一万人以上の命を救う効果を認めながら、断熱性の低い既存住宅の改修に力を入れないということは、リスクも改善策も知りながら国民を放置していることになってしまいます。

 大臣、WHOは、二〇一八年、住宅の冬場の最低室温を十八度以上になるよう、各国に勧告されていますよね。住まいの新築、改修時の断熱工事や、そして、夏の室内の熱中症対策などもこれは含まれます。

 日本でも冬季の室温基準を定めるべきだと考えますが、この点はいかがでしょうか。これは、二〇二五年の基準義務化を待たずにでもできることだと思います。既存住宅をその基準に適合させるために、国が省エネリフォームに財源を投じるべきだと考えますが、改めてお答えください。

斉藤国務大臣 先ほどちょっと早まって答弁をしてしまいましたけれども、住宅の断熱改修の効果については、今委員御指摘のとおり、冬季の室温上昇など温熱環境が改善されることにより、血圧低下等に効果があるなどの研究報告がなされております。こうした良好な温熱環境の確保に必要となる暖房、冷房に係る光熱費の低減が図られるものと承知しております。

 いわゆる省エネというだけではなく、住む人の健康という観点からもこの断熱化は図られていくべきだ、このように認識しております。

櫛渕委員 是非よろしくお願いいたします。

 さて、私たちれいわ新選組は、住まいは権利、これを公約の筆頭に掲げています。困っている人が安い家賃で利用できる住宅を増やし、生活の権利の保障をするものであります。

 まず、こちらのパネルを次に御覧いただきたいと思います。

 大臣、見てください。この地平線が広がるように、非常に低いところに延びている恥ずかしい赤い線が日本であります。何と住宅分野の社会支出は、GDP比〇・一%にも届かない、私は驚きました。欧米の先進国と比べて圧倒的に低いことが分かります。

 更に調べてみると、戦後、日本の住宅政策は、中間所得層の持家を量的に増加させることに力を入れた結果、持家比率は、一九四一年の二二・三%から、二〇一八年の六一・二%に増加しています。それに対して、先ほど申し上げた公団そして公社の借家の比率は、一九四一年の七五・九%から、何と二〇一八年は一・四%に減っています。

 政府が公的資金を投入して国民に質のよい住環境を提供するという発想が、日本の住宅政策そのものに欠けているのではないでしょうか。一九九八年には建築基準法が改正され、住宅の質に関する検査も民間任せにしたことから、耐震偽装などの問題が発生しました。民間任せで住宅の新築の量ばかりを重視する政策は、とっくの昔にそのひずみを露呈していると言えます。

 借り手のつかない築年数の古い住宅を政府が買い上げて、省エネ基準を満たす政策を行う、そして低所得者に安い家賃で提供する、これは是非やっていただきたいんですよ。そして、省エネリフォームの資金を持たない住民の持家を政府が財政支援をして改修する、これもやっていただきたい。

 これまで民間任せで、量重視で走ってきた住宅政策は、質重視へと抜本的な方向転換が必要であると考えます。

 住宅の省エネ策は、気候変動対策であるとともに、大臣がおっしゃるように、国民の健康な生活を保障するための福祉政策でなければならないと考えます。住まいは権利です。この福祉政策を、多少の補助金をつけて民間事業者に任すのではなくて、責任ある国家として施策を講じていただきたい、このことを強く要望いたします。

 敷金、礼金、保証人制度はなくして、この国に生きる全ての人々が安心して健康に暮らせる、こうした住環境を保障するために、徹底的な積極財政で、新築、既存を問わない住宅の省エネ性能向上策を実施するよう強く求めます。

 最後に、この改正案では、新築住宅への再エネ設置義務化が見送られた点についてお聞きいたします。

 新築住宅への再エネ設置の義務化を再検討する意向は、大臣、ございますでしょうか。せめて自治体が設置する促進区域には、説明義務だけでなく、再エネ設備の設置を義務づけ、その普及を政府が財政支援をしていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 太陽光発電設備の設置を義務づけることについては、本年二月一日に取りまとめられました社会資本整備審議会答申において、太陽光など再生可能エネルギーによる発電等の効率性は、地域の気候条件や建築物の立地条件に大きく影響されるものであること、それから、再生可能エネルギーは、地域における面的な取組を進めることが重要であること、太陽光発電設備については、地域の景観や反射光による影響への配慮が必要であり、また設置後の維持管理等に対し消費者の理解を深める必要があること等の課題を踏まえて、地方公共団体が、地域の実情を踏まえて再生可能エネルギー利用設備の設置を促すことができる制度を創設するということとされており、当該内容に即した仕組みの創設を提出中の法案に盛り込んでおります。

櫛渕委員 大臣、いつから始められますか。

斉藤国務大臣 この法案をまず成立させることからスタートをし、その施行を待って進めていきたい、このように思っております。

櫛渕委員 本当に私は時間がないと思います。悠長なことは言っていられません。二〇三〇年まであと八年しかないんですね。そして、我が国のエネルギー自給率は僅か一割程度です。ウクライナの戦争の影響もあり、これまで以上にエネルギー安全保障が重要になっています。

 大臣、新築される住宅に再エネ設置義務化をすれば、どれだけのエネルギー供給量が増えて、施工需要や雇用が増えるか、これは試算して、適正に評価されていらっしゃいますか。

 令和三年度の新築住宅着工件数は八十六万五千九百九戸、ここ数年、八十万戸台で推移をしています。仮に、毎年、八十万戸に四・五キロワットの太陽光パネルを設置すればどれだけの供給量になるか。年間約三百八十万キロワットの再エネ供給量が追加され、これは、発電容量としては原発約四基分に相当します。

 なお、これは新規着工住宅に設置する太陽光パネルの分だけです。商業施設や工場等に設置する分を含めれば、更に大規模な太陽光パネル需要、そして施工需要が生まれます。毎年、新築住宅、建物の件数に見合った再エネ需要が見込まれるとなれば、その予見することができることで、需要を見込んだ設備の国内生産へのシフト、地域の工務店への発注増も見込めることになります。

 財務省にお聞きいたします。

 既存の住宅省エネ改修や新築住宅の再エネ義務化は、支出、コストだけではないと考えています。設備、施工需要が生まれ、雇用創出につながり、投資効果が大きいものでありますけれども、積極的に財政出動をして支援していく考えはありますか。お聞かせください。

奥政府参考人 お答え申し上げます。

 政府全体として取り組んでおりますカーボンニュートラルの実現に向けまして、住宅、建築物の省エネ化の推進というのは、これは重要課題であるというふうに私どもも認識してございます。

 このため、令和四年度の当初予算におきまして、省エネ性能の高い住宅、建築物の整備あるいは既存住宅の改修等を総合的に支援する住宅、建築物カーボンニュートラル総合推進事業、これを創設するなど、所要の予算措置を講じているところでございます。

 住宅、建築物の省エネ化への今後の支援の在り方というものにつきましては、これは厳しい財政事情も踏まえつつ、各事業の効果をよく見極めながら、国土交通省ともよく議論してまいりたいと考えております。

櫛渕委員 是非大臣には、今財務省からも話がありましたが、むしろ積極財政で、これは投資効果を重んじて予算要求をしていただきたいと思います。先ほど申し上げたように、適切な試算をしっかりしていただいて、力強くアクセルを踏んでいただきたい。

 そして、大臣に一言ここでお伺いしますが、そうした投資効果を計算して積極的に予算要求をしていけるかどうか、お約束いただけるか、お答えください。

斉藤国務大臣 先ほど、新築住宅への再エネ、太陽光等、義務化はしないと申し上げましたが、それは先ほど申し上げたような理由です。

 しかし、エネルギー基本計画においては、二〇三〇年度において新築戸建て住宅の六割に太陽光発電設備が設置されていることを目指すというふうにされてもおります。

 そういう政策目標に向けて必要な財政出動はしっかりしていかなきゃいけないと思っておりますし、国土交通省としてしっかり取り組んでいきたいと思っております。

櫛渕委員 是非検討をお願いします。

 国際エネルギー機関は、二〇五〇年脱炭素目標を達成するためには、建設分野も含めて二〇三〇年までに年間約五兆ドルまで投資が拡大すると予測しています。日本国内でも、積極財政で大規模な投資を進めれば、住宅向け再エネ設備の市場を創出することができるはずです。それが国内産業の基盤の拡大、雇用の増加にもつながります。財務省、そして国交省を含めて、政府の本気度が問われる局面であると思います。

 れいわ新選組は、エネルギー変革のために、十年間で官民合わせて二百兆円のグリーン投資を行う脱原発、グリーンニューディール政策を提案していますが、昨日、自民党は、脱炭素に向けて、十年間で二十兆円規模の公的支出という提言をまとめられたそうですが、自民党、一桁、桁が違うんじゃありませんか。

 積極財政で省エネ、再エネに大胆に財政出動をし、国民の命と暮らしを守ること、そして気候危機から未来世代を守ることを強く訴え、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

中根委員長 次回は、来る二十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十八分散会


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