衆議院

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第14号 令和4年5月20日(金曜日)

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令和四年五月二十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中根 一幸君

   理事 柿沢 未途君 理事 小島 敏文君

   理事 塚田 一郎君 理事 土井  亨君

   理事 城井  崇君 理事 小宮山泰子君

   理事 市村浩一郎君 理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    井原  巧君

      伊藤 忠彦君    石井  拓君

      石橋林太郎君    石原 宏高君

      泉田 裕彦君    小里 泰弘君

      尾崎 正直君    大西 英男君

      加藤 鮎子君    金子 俊平君

      神田 潤一君    菅家 一郎君

      小林 茂樹君    櫻田 義孝君

      笹川 博義君    田中 良生君

      高木  啓君    谷川 とむ君

      中川 郁子君    根本 幸典君

      藤丸  敏君    堀井  学君

      三ッ林裕巳君    宮内 秀樹君

      宮崎 政久君    山本 左近君

      和田 義明君    稲富 修二君

      枝野 幸男君    神津たけし君

      堤 かなめ君    福田 昭夫君

      藤岡 隆雄君    谷田川 元君

      渡辺  周君    池下  卓君

      高橋 英明君    山本 剛正君

      河西 宏一君    北側 一雄君

      古川 元久君    高橋千鶴子君

      福島 伸享君    櫛渕 万里君

      たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      中山 展宏君

   経済産業大臣政務官    岩田 和親君

   国土交通大臣政務官    加藤 鮎子君

   国土交通大臣政務官    泉田 裕彦君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    片桐 一幸君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     齋藤 秀生君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    森  重樹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房首席エネルギー・地域政策統括調整官)         小澤 典明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           苗村 公嗣君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 山下 隆一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        下野 浩史君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  淡野 博久君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  高橋 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  久保田雅晴君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 白石 隆夫君

   国土交通委員会専門員   武藤 裕良君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     藤丸  敏君

  大西 英男君     三ッ林裕巳君

  木村 次郎君     石井  拓君

  谷川 とむ君     石橋林太郎君

  中川 郁子君     堀井  学君

  宮内 秀樹君     尾崎 正直君

  和田 義明君     高木  啓君

  福田 昭夫君     堤 かなめ君

  たがや 亮君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     井原  巧君

  石橋林太郎君     山本 左近君

  尾崎 正直君     宮内 秀樹君

  高木  啓君     和田 義明君

  藤丸  敏君     石原 宏高君

  堀井  学君     中川 郁子君

  三ッ林裕巳君     大西 英男君

  堤 かなめ君     福田 昭夫君

  櫛渕 万里君     たがや 亮君

同日

 辞任         補欠選任

  井原  巧君     神田 潤一君

  山本 左近君     谷川 とむ君

同日

 辞任         補欠選任

  神田 潤一君     木村 次郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)


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     ――――◇―――――

中根委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房官庁営繕部長下野浩史君、不動産・建設経済局長長橋和久君、住宅局長淡野博久君、海事局長高橋一郎君、航空局長久保田雅晴君、消費者庁審議官片桐一幸君、消防庁審議官齋藤秀生君、林野庁林政部長森重樹君、経済産業省大臣官房首席エネルギー・地域政策統括調整官小澤典明君、大臣官房審議官苗村公嗣君、資源エネルギー庁次長山下隆一君、省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君及び環境省大臣官房審議官白石隆夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中根委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中根委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。

 大変重要な法案でありますけれども、時間がありませんので、早速質問に入ります。斉藤大臣始め答弁者は簡潔にお答えください。

 まず、建築物のエネルギー消費性能の向上についてであります。

 一つ目は、断熱等級の等級を、ZEH基準から等級六又は七への引上げについてであります。

 資料の一を御覧いただきたいと思っていますが、これは鳥取県の健康省エネ住宅の性能基準と補助制度です。等級六にならないとエネルギーが減らない、等級六プラス太陽光発電五キロワットでゼロエネルギーになると言われておりますが、等級五のZEH基準を引き上げるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の住宅性能表示制度に基づく断熱等性能等級に関しましては、本年四月にZEH水準に相当いたします等級五を追加いたしました。さらに、本年十月には、これを上回る水準の断熱性能として、等級六及び七を施行することとしております。

 国といたしましては、ZEH水準を上回る高度な断熱性能が確保された住宅も含めて支援を行っているところでございますが、御指摘のように、一部の公共団体におきましては、等級六、七の水準を満たす住宅の整備を対象とする独自の支援を行っているということを踏まえまして、地域の取組と連携した住宅金融支援機構による低利融資を活用していただくということも進めてまいりたいと考えてございます。

 将来、省エネ水準がZEH水準の等級五に引き上げられた際には、その際の新たな誘導基準として、等級六以上の上位等級を位置づけるということに関しましては、その普及状況等も踏まえまして検討してまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 自治体が頑張っているんだから、国がもうちょっと頑張ってほしいなと思います。

 それから、二つ目ですけれども、外皮基準、トップランナー制度の拡充及び引上げについてであります。

 第一点は、断熱材、繊維系、発泡スチロール系と遮熱材の併用についてであります。

 これは資料の二を御覧ください。

 これは、国交省の省エネ基準とZEH基準、及び社団法人環境マテリアル推進機構の、JAXAの「はやぶさ」にも使われている遮熱シートです。省エネ基準の断熱材は厚さ八十五ミリから、ZEH基準は厚さ百五ミリと二十ミリも厚くなっておりますが、これでは、断熱等級をZEH基準以上に、あるいは六とか七に上げるのには、更に厚くなるのではないかと心配しております。

 そこで、遮熱シートなどを使うことを早急に検討するべきじゃないでしょうか。いかがですか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の遮熱シートなどの遮熱材は、放射による熱の出入りを低減する効果があり、特に冷房時におけるエネルギー消費量の抑制効果があるとされております。このため、断熱材と遮熱材を併用することにより、暖冷房エネルギーの削減に一定程度の効果が期待できるということは承知してございます。

 省エネ基準の評価におきましては、遮熱シートや遮熱塗料などの、日射熱を遮蔽する手法等についての評価技術が十分に現在は確立されておりませんので、この評価技術の確立に向けて技術開発、研究に努めてまいりたいと存じます。

福田(昭)委員 それでは次に、窓、サッシ、複層ガラスの、三重ガラス化の普及についてということであります。

 ドイツでは三重ガラスを使っているそうでありますが、しかし、昨日、鳥取県の健康省エネ住宅の話を聞きましたところ、気密性能もやはり高めなくちゃ駄目だということで、気密性能を一・〇とするために遮熱シールというのを使っているそうであります。

 窓につきましても、やはり三重ガラスのお金が高いということであれば、遮熱シールなどを使う、あるいは遮熱材などを使って、更に気密性を高める材料の検討も必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘がございました三重ガラスでございますが、二重ガラスと比べても、大体、値段としては倍ぐらいかかっているということでございます。したがいまして、今委員から御指摘がございましたような様々な手法で気密性を高めていくということも重要でございますし、加えて、やはり三重ガラスのコストをしっかり下げていくということが非常に大事だというふうに考えています。

 経産省としても、規制措置がございまして、建材トップランナー制度というのがございますので、こうした措置で基準を引き上げながら市場を拡大していくということと同時に、これはZEHの支援ですとか高性能な窓に対する支援措置もございますので、こうした措置を併せながら、普及をしながら価格の低減というのを図ってまいりたいというふうに考えています。

福田(昭)委員 先ほども申し上げましたけれども、ZEHとかZEBの基準がどうも低いんじゃないか、この基準ではなかなかカーボンゼロに到達するのが容易じゃないということで提案をしているわけであります。しかも、断熱等級の引上げと、それから気密性を高める、この二つからしっかりエネルギーの消費性能の向上を図っていくということが大切だということを申し上げているわけであります。

 そこで、三つ目でありますけれども、建築物再生可能エネルギー利用の促進についてであります。

 第一点は、技術開発によるパネルと蓄電池の低価格化についてであります。

 太陽光パネルは相当低価格になっていると聞いておりますけれども、今後、断熱等級を引き上げていくためには、太陽光パネルと家庭用の蓄電池などは合わせて百万円を切る、そういう値段にしていくことによって一気に進むと思いますが、いかがでしょうか。

茂木政府参考人 まず、太陽光パネルでございますが、大体、今、現状ですと一キロワット当たり二十万円ぐらいかかりますので、五キロワット乗せますと大体百万円を超えてくるということになります。

 それから、蓄電池におきましても、家庭用の蓄電池ですと、キロワットアワー当たりで、大体、現状ですと十七万円から十九万円ぐらいのコストですから、例えば五キロワットアワーの蓄電池を置くと、これで百万円ぐらい。

 合わせてやはり二百万円ぐらいかかっているということですので、今委員から御指摘ございましたとおり、これをしっかりコストを下げて、太陽光と蓄電池を組み合わせることで自家消費を促していくことができるというふうに考えています。

 太陽光については、FITで既に価格目標を定めまして、入札などでコストを下げてきていますので、こういう取組でしっかりと価格低減を図っていきたいというふうに考えています。

 それから、蓄電池についても、量産規模をしっかり上げていって、国内での生産も増やしていくと同時に、蓄電池を使った様々な事業で、今、蓄電池支援も行っています。

 こういうことで普及を進めていきながら、価格低減を促してまいりたいというふうに考えております。

福田(昭)委員 経産省では、今回、法律も改正しているようでありますが、蓄電池の開発に力を入れると言っておりますから、是非、小規模の蓄電池も含めて、大規模の蓄電池はもちろんでありますが、更に促進することを要請したいと思っております。

 次に、第二点は、再生可能エネルギー電気料金への三段階の累進制の導入による電気料金の引下げについてであります。

 資料の三を御覧ください。

 これは、東京電力管内の料金を参考にして福田事務所でまとめた、電気料金の三段階料金制度であります。

 第一段階から第三段階まで、電気の使用量に応じて料金が決まっているわけでありますが、再エネ料金は、広く皆さんに負担していただくということで、一律三十五円四十五銭となっております。

 しかし、これは、元々、電気料金を決めるときに、少ししか使わない人、中程度の人、たくさん使う人、それらにそれぞれ電気料金を定めて、少なく使う人には安くという設定がしてあるわけであります。しかしながら、再エネの賦課料金はみんな均一、同一となっております。

 これについてもやはり、もしかすると、第一段階、百二十キロワットしか使わない人には例えばゼロでもいいんじゃないか。それぐらいの累進性をつけて、この再生可能エネルギーの利用が高まるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

茂木政府参考人 今御指摘いただきました、まず電気料金でございますが、この累進的な負担の仕組みについては、これは昭和四十九年ですが、ナショナルミニマムという考え方に立ちまして、先ほど御指摘がありました第一段階は生活必需品的な必要量のための低廉な水準、第二段階は平均的な電気使用の観点からの平均的な料金水準、そして第三段階、一番右側にありますが、第三段階は省エネの観点も込めた割高な料金設定という形でありまして、こうした料金体系下において、既に現行の料金の中で需要家は、節電、省エネのインセンティブを持つという形になっております。

 電気料金に上乗せする形で、現在、FITによる再生可能エネルギーの導入を支えるための費用を再エネ賦課金として御負担をお願いしているところでありますが、この再エネ賦課金の在り方については、法律制定時に、国会におきまして、負担の公平性ですとか、あるいは産業も含めた国際競争力の維持強化にどのような影響があるか、こうした視点の様々な観点から議論が行われまして、現在のような、一般家庭や中小企業の方々を含めて、広く電気利用者の皆様に公平に御負担をいただくという形になっております。

 御指摘のような、自家消費の推進のために、手法として、こうした再エネ賦課金において累進的な負担を求めるという考え方もあるかとは思いますが、法律制定時の議論も踏まえますと、やはり、国民負担の公平性ですとか、あるいは国際競争力の維持強化、そういった観点から慎重に検討する必要があるものというふうに考えております。

福田(昭)委員 慎重に検討するのはいいんですけれども、これから私が申し上げるのは、太陽光発電は自分で電気をつくって自分で使う時代をつくるべきだ、そういう観点からの指摘であります。

 それでは、大きな二番、次に、二〇二二年四月五日に発表されたIPCC報告書を受けての対応についてであります。

 まず一つ目は、温室効果ガスの削減の目標の前倒しについてであります。

 今回のIPCC報告書では、世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて一・五度Cに抑えるためには、二〇二五年度までに対応する必要があると報告されております。昨年、地球温暖化対策計画で定めた目標、住宅、建築物の二〇三〇年度のエネルギー消費量を石油換算で約八百八十九万キロリットル削減するという目標を前倒しする必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のIPCCにおきまして、現在、昨年八月から累次、作業部会で報告書が出されております。このIPCCの報告書、要は、最近、国際場裏でいろいろ議論されているテーマあるいは知見なども集めて、科学的知見を取りまとめたものだというふうに考えてございまして、こういった科学的知見が公表されるに並行して、国際的にも、パリ協定の下で、各国がカーボンニュートラル等の促進に向けて取組を加速しているというふうに認識してございます。(福田(昭)委員「短くしてください。済みません、答弁は短く」と呼ぶ)はい。

 我が国もそういった思いで、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年の目標を掲げている。この削減目標に向けて、昨年の十月に温対計画を改定いたしまして、家庭部門で六六%、業務で五一%削減など、非常に高い目標を設定しておりますので、まずはこの実現に向けて、きちっと、住宅、建築物の再エネあるいは省エネの推進、こういったものを図っていくということが大事だというふうに考えてございます。

福田(昭)委員 前倒しをする考えがあるのかないのかと聞いているので、それだけ答えれば十分ですから。

 それでは、二つ目は、建築物のエネルギー消費量削減の総合的な対応についてであります。時間の関係で、第一点と第三点、同時に伺います。

 電力会社の最近の電力需給の逼迫状況を考えると、電力会社が、どうしても大量に二酸化炭素を排出する石炭火力や、あるいは危険極まりない原子力発電を使って電力供給量を確保していくと。確保しなくても済むように、家庭や業務用の電気は、自家消費型太陽光発電と蓄電池で、自分で電気をつくって自分で電気を使う、そういう時代をつくるべきだと思っています。電力会社の負担をそういう意味で軽減をしていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、再生可能エネルギー、これの最大限の導入を図っていくことが政府の方針でございます。

 この中で、自家消費型太陽光発電につきましては、FIT制度に加えまして、補助金等による導入支援を行ってございます。積極的に進めたいと考えてございます。

 それから、調整力として重要となる蓄電池、これも非常に大事でございまして、研究開発、技術実証、補助等の導入支援を行っておりまして、これもしっかりと進めてまいりたいと思います。

 こうしたことに伴いまして、自家消費、蓄電池の普及拡大によって電力会社の供給量というものは引き下がる可能性はございますけれども、そういった中でも、将来的には電化が相当進んでいくこと、あるいは技術革新の不確実性などを踏まえれば、エネルギーの多様化、これが大事だというふうに考えてございます。そのため、再生可能のみならず、原子力、火力、水素、CCUSなど、あらゆる可能性を追求していきたいと思います。

 なお、石炭火力につきましては……(福田(昭)委員「もういいです。もういい」と呼ぶ)はい。

福田(昭)委員 原子力発電所なんて、原子爆弾を抱えているようなものじゃないですか。こんなものは駄目ですよ、いつまでも使う気になっては。

 それでは、時間がなくなってきましたので、第二点の問題は、国交省、環境省、経産省に加えて、林野庁には申し訳ないけれども、答弁の機会が、時間がなくなっちゃいましたけれども、林野庁でも、やはり、CO2削減の、吸収源の森としての森林の管理や木造住宅の推進もしておりますので、国交省、環境省、経産省に農水省も加えて、建築物等のエネルギーの消費量を削減することに取り組むべきだということを提言をしておきたいと思います。

 それから、第四点は、新築建築物及び既存建築物の改修に対する国による補助金、融資制度を鳥取県のようにしっかりと充実をさせて、ここでしっかりエネルギー消費量の削減を促進することを要請をしておきます。

 いよいよ時間がなくなってきましたので、三番目の、JALの解雇問題の解決についてお伺いをいたします。

 一つ目は、二〇一〇年十二月三十一日、何と大みそかの日にパイロット八十一名、客室乗務員八十四名の公的整理解雇から、十二年目に入ったJALの争議解決に向けて、国交省も対応してきた責任上、国交省が責任を持って対応すべきだと思いますけれども、斉藤大臣のお考えをお伺いいたします。

斉藤国務大臣 日本航空の整理解雇につきましては、個別企業における雇用関係に係る問題であることから、日本航空において適切に対処すべきものであると考えております。

 このため、行政として関与することは適切ではないと考えております。

福田(昭)委員 大臣、それでは今までの大臣の答弁と一緒です。これでは大臣の資格はありませんよ、正直。だって、総理大臣が経団連に賃金を上げてくれと要請する時代ですよ。だから、国交大臣がJALにこの問題を解決してよと言って、何が悪いんですか。思いませんか。

斉藤国務大臣 繰り返しになって申し訳ございませんけれども、個別企業における雇用関係に係る問題につきまして、日本航空で適切に対処すべきもの、このように考えております。

福田(昭)委員 ちょっと、大臣、情けないですね。

 それでは、二つ目、聞きますけれども、JALは、再建以降、この十一年間に、パイロット三百九十七名、客室乗務員六千二百五名を新規採用しております。これは、国際労働基準のILO百六十六号勧告、再雇用に関わる優先権を無視していることになります。斉藤大臣は、これらのことを御存じかどうか。

 また、我が国は、一九八二年六月二十二日、ILO、国際労働機関総会で、政労使共に賛成票を投じました。そのILOからJALは四回も勧告を受けているのに、一向に解決しようとしません。社長だけは解決したいと言っているんですが、どうもその下の労務担当が動かない。これはとんでもない話でありますが、こうした長引く争議は、人権、人道上に加えて、空の安全にも影響する問題であります。

 斉藤大臣、こんなことを聞いても考えは変わりませんか。お伺いします。

斉藤国務大臣 まず、最初の御質問でございますが、十一年間にパイロットまた客室乗務員を新規採用していること、またILO百六十六号勧告が出ていること等については、存じ上げております。

 その上で、二番目の質問でございますが、御指摘のILO百六十六号勧告に関し、最高裁判例によれば、各企業がどのような基準で採用を行うかについては、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由に決定することができるもの、このように聞いております。

 また、二〇一二年から二〇一八年にかける過去四回のILO勧告においては、整理解雇に係る訴訟の結果等に関する情報提供など、厚生労働省とも連携しながら、政府として対応すべき部分について適切に対応してきたところでございます。

 なお、二〇一〇年末に日本航空から整理解雇された客室乗務員及び運航乗務員が解雇の撤回を求めた訴訟について、最高裁判所は、それぞれの上告を二〇一五年二月に棄却し、整理解雇は有効であるという判決内容は確定したものと承知しております。

 いずれにせよ、日本航空の整理解雇については、個別企業における雇用関係に係る問題であることから、日本航空において適切に対処すべきものであると考えております。

福田(昭)委員 大臣、JALは、二〇一九年にJALグループの人権方針というのを定めています。「自らの事業活動が人権に対する負の影響を引き起こした、または負の影響を助長したことが明らかになった場合には、適切な是正措置および救済措置を講じます。」と明記しています。JALが立てたこの人権方針にも反しているんじゃないですか。

 しかも、大みそかに解雇された人の気持ちを考えてみてください。大みそかですよ。あしたからの正月、どう暮らそうかと思うんじゃないですか。全く、斉藤大臣には、人間としての良心とか血とか流れていないんですか。

 これはとんでもない話で、実は、太平洋戦争のときに、日系米国人が捕虜収容所に入れられちゃったそうです。戦争が終わってから、その方たちがアメリカの最高裁判所に訴えたら、最高裁判所は憲法違反でないと判決を下したそうです。しかし、それを聞いた当時の米国の政府は、確かに最高裁判所が違憲ではないのでは、違憲ではないんだろう、しかしながら、これはジャスティスじゃない、正義ではないということで、日系米国人に補償したそうです。これぐらいの判断ができなくて、何で政治なんですか。

 最高裁判所の判決なんというのは、これは本当にころころころころよく変わるものです。栃木県の知事が返さなくていい国庫補助金を返したときに、返さなくていいという判決を最高裁判所が二回出しました。しかし、三回目の裁判で、いや、返すべきだと判決を下しました。最高裁、つい最近ですよ。一、二回は国が返すべきだと。三回目は返す必要はないという判決ですよ。でたらめなんですよ、こんな最高裁判所は。

 ですから、それよりも、人間の気持ちを考えて、政治家としての判断を是非期待をして、質問を終わります。

中根委員長 次に、神津たけし君。

神津委員 立憲民主党の神津たけしです。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日の質疑では、この法案を進めれば建築物における脱炭素が進められるのか、そんな観点から質問いたします。

 私は、大人は、現代だけではなく、次世代の国民の生活を守る責任と義務があると考えております。

 当時十六歳であった環境活動家のグレタ・トゥンベリさんが国連でスピーチをした際には、温暖化対策のための具体的な対策を取らないのであれば、結果とともに生きなければならない若い世代はあなたたちを許さないと発言されました。我々の世代よりも更なる影響を受けるこうした子供たちが、地球温暖化に危機感を抱き、声を上げています。

 今回の法改正の目的と、そして、子供たちや将来生まれてくる世代に対する大臣の脱炭素への意気込みを聞かせてください。

斉藤国務大臣 この地球気候変動問題は、ある意味では、文明的な大きな課題、人類が直面している課題だと思います。その問題に向けて、各国が協力をして解決に向けていかなくてはならない非常に重大な局面です。そのために、二〇五〇年カーボンニュートラルという国家目標もございます。二〇三〇年目標もございます。

 その中で、住宅及びいわゆる建築物関係からのCO2排出量は約三割を占めているという問題、また、それに資する木材利用がなかなか進んでいないという点、これらを今回この法案に込めたわけですけれども、これらのことを着実に実行していくことによって、この文明史的な課題に努力をしていくということは、非常に我々世代が次の世代に負っている大きな責任だ、このように感じております。

神津委員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいた脱炭素に向けた意気込み、そして、この改正の目的なんですが、第一条、今回の法律の改正の第一条に、ここに、この目的に反映されないといけないと思っています。今、第一条に何と書かれているかと申し上げますと、「この法律は、社会経済情勢の変化に伴い建築物におけるエネルギーの消費量が著しく増加していることに鑑み、」と書いてあります。

 本法案は、建築分野でも脱炭素を推進するために改正するのでしょうか。それとも、改正案にあるとおり、エネルギーの消費量が著しく増加していることに鑑み、この法案を改正するのでしょうか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 建築物省エネ法は、二〇一五年に、東日本大震災以降、我が国のエネルギー需給構造の状況を踏まえ、業務・家庭部門のエネルギー消費量が一九九〇年時点に比べ著しく増加していることにも鑑み、建築物分野における省エネルギー対策の強化を図るべく制定がなされました。

 その後、更なる省エネがエネルギー政策上求められたことに鑑み、二〇一九年に同法を改正し、更なる対策の強化を図りました。

 昨年十月に改定されましたエネルギー基本計画等におきまして、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度温室効果ガス削減目標の実現に向け、二〇二五年度までに住宅等を含め省エネ基準への適合を全面的に義務化するなど、省エネ対策を強化するとされたことを踏まえまして、今回、改めて建築物省エネ法を改正することとしたものでございます。

 このように、建築物省エネ法は、制定時と同様に、省エネ対策を強化するということを目的としてございますので、今回の改正におきましても、同様の目的のため、各種措置を講じることといたしてございます。

神津委員 省エネを推進するという意味は分かるんですが、今、状況は変わっていると思っております。

 本日、配付資料、資料一を御覧ください。

 一九九〇年代からは、もしかしたらば中長期的に考えると著しく増加していたのかもしれないんですが、近年十年間のデータを見ていただきますと、そうすると、下がっているというところが見受けられると思います。そして、家庭部門においてもマイナス六・六%、二〇一〇年から二〇二二年にかけて減っているという状況が見受けられると思います。

 これを「著しく増加していることに鑑み、」という文言で捉えていくのは非常に難しいのではないかと私は思っております。ここのところを突き詰めていくと、恐らく法案改正が必要になってくる、もう一度この法案の審議というものが必要になってくると思っております。

 ただ、私、今のこの脱炭素化に向けた政府の取組、大きく見ていくと、脱炭素化に向けて動いているというふうに理解しております。というところでは、一日も早く脱炭素化を進めなければならないという危機意識の下、今回の法改正では条文の改正を求めることはいたしませんが、次回の改正時には、しっかりと、地球温暖化対策のために法案を改正するということを、この一条、法案改正の目的に盛り込んでいただきたいと思います。

 続きまして、本法案が通過すれば、住宅分野における温室効果ガス削減目標が達成されるのか、確認いたします。

 二〇二一年十月、第六次エネルギー基本計画が策定されました。家庭部門とその他業務部門を合わせた地球温暖化ガスを四億四千六百万トンから一億八千六百万トンに削減することとされていますが、その達成のために、建築物分野においてはどのような計画を立てているのか、教えてください。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のとおり、昨年十月に改定されました地球温暖化対策計画等におきましては、二〇三〇年度の温室効果ガスの削減目標として二〇一三年度比で四六%削減することとされ、建築物において活動が展開される家庭部門及び業務その他部門について示された排出量を合計いたしますと、二〇一三年度時点で四億四千六百万トンであったものを、二〇三〇年度に一億八千六百万トンにするという内訳が示されてございます。

 この目標の実現に向けましては、建築物の新築における省エネ性能の向上や既存ストックの省エネ改修により、二〇三〇年度において八百八十九万キロリットルの省エネルギーを実現するということが同計画において目標とされてございます。

 新築につきましては、省エネ性能の底上げ及びより高度な対応の誘導を図っていくため、本法案により、二〇二五年度の省エネ基準への適合を義務づけ、省エネ性能の底上げを図るほか、二〇三〇年以降新築されます建築物につきまして、ZEH、ZEB水準の省エネ性能の確保を目指し、支援措置の強化を図ってまいります。

 また、既存ストックにつきましては、省エネ性能の向上を図るための改修を増加させる必要があり、本法案により、住宅金融支援機構における住宅の省エネ改修に対する低利融資制度の創設を含め、補助、税制、融資など、あらゆる施策を総動員して取り組んでまいりたいと存じます。

神津委員 済みません、今、答弁でちょっと明確でなかったので伺いたいんですが、四億四千六百万トンから一億八千六百万トンに削減すること、ここに対してきちんとした計画が、年度ごとの計画ですね、立てられているのかというところを伺えればと思います。端的にお願いします。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一三年度比で削減していくというものでございますので、二〇一三年度時点の数値と二〇三〇年度の数値の内訳のみが示されているというふうに承知しております。

神津委員 今、まだしっかりとした計画が立てられていないと私は理解しました。

 第五次エネルギー基本計画では、二〇二〇年度までに注文住宅の半数以上でZEHレベルを、レベル五を達成すると目指しましたが、結局二割にとどまりました。新築のZEBでは一%にも達しませんでした。

 二〇三〇年、温室効果ガス排出削減目標に向けた住宅分野での具体的な計画を、遅くともこの十月ぐらいまでには発表していただきたいと思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 今局長から申し上げましたように、目標は明確になっているんですが、それに至る道筋が示されていないということで、ここは、これから作るいろいろな指針等で明確にしていきたい、確実に実行していく計画を立てていきたいと思っております。

神津委員 既に半年が経過していますので、なるべく早期に計画を練っていただければと思っております。そして、発表していただければと思っております。

 次に、この法案の改正によって、断熱性能等級四が義務化されることになります。断熱性能等級四というのは省エネ基準とも別名では言われています。

 この適合義務化の時期、それから、昨年度、当該基準に適合して建てられた住宅の割合、また、現行省エネ基準での義務化によって、建築物分野の二〇三〇年までの温室効果ガス排出削減目標が達成されるのか、教えてください。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、等級四、現行の省エネ基準への適合率でございますけれども、最新のデータでございます二〇一九年度時点におきまして約八割と推計されてございます。

 そして、この二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標の実現に向けましては、義務化等による省エネ性能の底上げと同時に、より高度な省エネ対応への誘導を図っていく必要があると考えてございます。このため、まずは二〇二五年度までに全ての住宅につきまして、断熱等性能等級四の水準である現行の省エネ基準への適合を義務づけるとともに、二〇三〇年度以降新築される住宅につきまして、この省エネ基準を上回るZEH水準の省エネ性能の確保を目指し、より高度な省エネ性能への誘導のための支援措置を強化することにより、ZEH水準の住宅のシェア、これを早期に高めてまいりたいと考えております。

神津委員 今、端的に、ちょっともう一度伺いますが、この今回の法案改正によってレベル四が義務化されると、これによって二〇三〇年までの温室効果ガス排出削減が達成されるのかされないのか、そこだけ明確にお願いします。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどもお答えいたしましたように、底上げとより高度な省エネ対応への誘導、これを同時に図っていく必要がこの目標の達成に向けてはあると考えております。

神津委員 今、達成されないと私は理解しましたが、よろしいでしょうか。

淡野政府参考人 建築物省エネ法に基づきましては、省エネ基準への適合義務という底上げの仕組みと、トップランナーですとか誘導基準のような誘導の仕組みが両方ございますので、その両面で、結果的に住宅ストックの質の底上げとより高度な性能への誘導、これを図っていくことで目標を実現してまいりたいと考えております。

神津委員 次に、ちょっと質問通告の七番に飛ばせていただきたいと思います。

 資料二を御覧ください。

 日本の住宅の外皮平均熱貫流率ですが、各国の基準と比較すると、長野地域や仙台では英国の二倍、それから、東京地域ではカリフォルニアの二倍となっています。日本の断熱は、先進国の中では遅れていると言わざるを得ないというのが特徴です。

 次代を担う世代にツケを残さないためにも、前倒しで、断熱性能等級五から七を達成するような取組を行うべきと考えております。政令や省令によって、等級五から七を前倒しで行うことが可能となる法律のたてつけとなっているのでしょうか。

 また、地方自治体が独自判断で、より高いレベルの断熱等級を義務化していくということは可能でしょうか。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 建築物省エネ法におきましては、住宅の省エネ性能の向上を図るための基準といたしまして、省エネ基準を上回る水準の基準として、誘導基準とトップランナー基準を規定してございます。

 二〇三〇年以降新築される住宅がZEH水準の省エネ性能が確保されますよう、まず、今年の秋に、誘導基準をZEH水準である断熱等性能等級五に相当する水準に引き上げ、さらに、住宅トップランナー事業者が供給する住宅の性能も踏まえつつ、住宅トップランナー基準につきましても同様に引上げを図るなど、制度面や支援策の強化などにより、取り組んでいくこととしてございます。

 また、この省エネ基準につきましては、二〇一九年の法改正により、地方公共団体が、その地方の自然的社会的条件の特殊性により、省エネ基準のみによっては建築物のエネルギー消費性能の確保を図ることが困難であると認める場合には、条例で省エネ基準を強化することができることとされたところでございます。

 本法案により、住宅や小規模な非住宅建築物につきましても省エネ基準への適合が義務づけられることにより、これらの建築物につきましても、条例により省エネ基準を強化することが可能となります。

神津委員 ありがとうございます。

 次に、資料三を御覧ください。

 鳥取県は、独自の方策によって、住宅における省エネの促進を図っています。鳥取の最高レベル、この一番右端の縦の部分ですが、UA値で〇・二三という基準、これは非常に難しい基準であります。この基準、実際に、じゃ、幾ら払うとできるのかというと、断熱工事費、約四百十万円かかっています。そして、コスト回収に三十六年かかるという試算になっております。ここまで来ると、光熱費だけの費用対効果では説明が私は難しいと思っております。

 慶応大学の伊香賀教授らの研究によりますと、高気密、高断熱のもたらす健康維持促進の便益は中所得者層で二・七万円と、光熱費削減の便益と同程度と示されています。

 住宅の高断熱化の導入促進を図り、加速していくには、住宅断熱性能別のイニシャルコスト、ランニングコスト以外の便益についても研究し、周知していく必要があると思います。国交省としては、こうした省エネ性能の副次的効果の研究に予算を充当する予定があるのでしょうか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、住宅の省エネ性能の向上による副次的な効果といたしましては、光熱費の低減による経済的なメリットのほか、住宅の温熱環境の改善によるヒートショックの防止等の健康面への効果があるものと考えてございます。

 特に、住宅の温熱環境の改善等を通じて、ヒートショックの防止を図ることは重要な課題と考えており、昨年三月に閣議決定された住生活基本計画におきましても、基本的な施策といたしまして、ヒートショックの防止を盛り込んでいるところでございます。

 国土交通省におきましては、このような観点から、建築、医療の専門家等と連携をいたしまして、断熱改修を行った住宅の改修前後の室温や居住者の健康状態を分析するプロジェクトを二〇一四年度から実施しており、断熱化による健康面への効果等に係るエビデンスの充実化を進めるとともに、得られた知見について、調査報告会の開催により周知普及を図っているところでございます。

 また、昨年四月に施行されました小規模建築物に関する説明義務制度の運用に当たりましては、建築士から建築主への省エネ性能に関する説明の際に、断熱性能と健康の相関関係に関する情報を併せて提供するよう促しているところでございます。

 今後とも、住宅の省エネ性能向上に向けて、関係省庁と連携し、断熱化に伴う健康面での副次的な効果に関する知見の蓄積と国民に対する周知普及を図るため、先ほどの健康状態を分析するプロジェクトの実施に対する所要の予算の計上も継続してまいりたいと考えております。

神津委員 時間が短くなってきたので、端的にお願いしたいと思います。

 できるだけ高い断熱性能の家を建ててもらうには、裕福な方々には税負担の免除、それから低所得者層には補助金という形が私は望ましいと考えております。

 断熱等級の高い家を建てる場合には、住宅性能証明によって贈与税非課税措置の非課税限度額を上乗せしていると理解しております。ただし、現在の水準については、等級四でこれが認められています。本法案で既に義務化されることが見込まれており、少なくとも等級五以上に変更すべきと考えておりますが、いかがでしょうか。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置につきましては、令和四年度税制改正におきまして、良質な住宅ストックを形成する観点から、断熱等性能等級四を満たす省エネ住宅等に係る非課税限度額が、通常の一般住宅に五百万円上乗せし、最大一千万円となる仕組みに見直されました。

 本税制措置は適用期限が二〇二三年度末となってございますが、今後の本税制措置の在り方につきましては、経済情勢も含めた様々な状況を踏まえて検討してまいりたいと考えております。

神津委員 ありがとうございます。

 私は、この法案を推進するに当たって、幾つか留意点があると思っております。

 本法案で、脱炭素を図ることが可能な断熱等級四から義務化が始まりますが、他方で、日本においては、これまで培われてきた伝統的構法ですとか、それから各地域の風土に合った建築というものがあると思います。今回、この伝統的構法や風土に合った建築が本法案の例外措置として守られるのか、確認させていただきたいと思います。また、それが法律の条文のどこで担保されているのか、端的に、短めにお願いします。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 伝統的構法による住宅につきましては、通風の確保など、地域の気候、風土、文化を踏まえた工夫により、優れた居住環境の確保を図ることが可能であることを踏まえまして、建築物省エネ法第二条第一項第三号の規定に基づき経済産業省令、国土交通省令で規定いたします建築物エネルギー消費性能基準の附則第二条におきまして、気候風土適応住宅につきましては、省エネ基準のうち、一般的な住宅に適用される外壁や窓などの外皮性能に関する基準の適用を除外することとしております。

 また、同附則の規定に基づき、気候風土適応住宅の要件につきましては、国として規定する要件に加えまして、所管行政庁におきまして、各地域の自然的社会的条件を踏まえて、別途要件を定めることを可能としているところでございます。

神津委員 ありがとうございます。

 時間がなくなってしまったんですが、今回、私、知床遊覧船のところについても少し触れさせていただきたいと思っております。知床遊覧船のこの事故、二度とあってはならないと私は考えております。

 今回、百八十五と右下に書かれている配付資料を御覧ください。

 この配付資料なんですが、実は、この百八十五のところには、本店の登記が二〇一八年六月三十日に変更されています。この時期というものは、実はこれは、桂田氏が代表になった日でもあります。実は、百八十六に代表になった登記の記載があるんですが、済みません、添付し忘れてしまいました。

 次のページを見ていただくと、百八十三、変更報告書というのがあります。この変更期日が平成二十八年五月九日となっています。これは実は、登記の期日と全く違う。登記では六月三十日となっているんですが、変更期日が五月九日となっておりまして、これがまず一つの問題点であると思っております。

 そして、何よりも問題なのは、この変更報告書なんですが、提出されたのが平成二十九年四月七日というところで、もう登記から十か月ぐらいたった後でこれが認められ、変更報告書が提出されている、そして、宣誓書についてもこの十か月後に提出されているというところにおいては、これ、一年間、全く許可を得ないで操業していたと私は考えております。

 そして、次のページを見ていただきたいんですが、運航記録簿を見ていただきますと、十四時のところを見てください。そうすると、十四時のところ、右を見ていただくと、視程が三百メーターなんです。これ、運航基準による中止条件として三百メーターとなっております。ただ、下の方の記録も見ていただきますと、三番目のルシャを見ていただきますと、出航しているんですね、濃霧のためワッカ折り返しと。

 結局、本当は安全基準にひっかかっていたにもかかわらず、出航しているんです。これは非常に危ない行為だった。元々、朝から見ていただくと、濃霧でもう欠航しているような状況が続いていたという中において、決行を決断したというところにおいては、安全ではなくて営業を優先したと考えております。

 そして、次のページを見ていただきたいんですが、船舶の検査証書、これは船員が一人なんですね。その船員が何かあったらばどうするのかというところでは、少なくとも、こうした営業を行う場合には、船員は二人以上つけるべきだと私は思っております。

 私、昨日ざっくりとこの書類を見た中で気づいたところなので、恐らく、こうした事例はほかの会社にもたくさんあるのではないかと思っております。

 観光業界、恐らく、各地域、この知床だけではなくて、ほかの遊覧船もこれから運航していくことになると思います。まずは、危ない会社、こうした書類によって特定して、指導していきたいと思いますが、いかがでしょうか。

中根委員長 時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔に願います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、役員の変更につきまして、海上運送法施行規則におきましては、代表権を持つ法人の役員が交代した場合は、遅滞なく所轄の地方運輸局長に変更報告書を提出すべきとしております。

 先ほど委員御指摘の、桂田社長が代表取締役に就任した日でございますが、ちょっと御指摘でない百八十六ページに、五月九日就任、六月三十日登記とございます。いずれにせよ、この届出は遅れたものでございました。改善すべきものと考えてございます。

 御指摘の運航記録簿において、先ほど欠航の要件について御指摘を頂戴しました。仮にこの数値が正しかったとすれば、運航基準に抵触することとなると考えてございます。

 三点目、船員法に基づく船員の最少定員でございます。

 この船は、カズツーは平成二十七年四月に廃船をされておるのでございますが、一般論として申し上げますと、自動操舵装置がありましたり、あるいは操舵位置から全周囲を見渡すことができる構造などである場合には、船員は一名、船長が一名おればいいというふうなルールになってございます。

 ただ、いずれにせよ、全体を通じまして、地方運輸局による確認あるいは指導について、改善すべき点がございました。いろいろ改善すべき点は、しっかりと改善措置を講じてまいります。

神津委員 本日は、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

中根委員長 次に、藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党の栃木県第四区の藤岡隆雄でございます。

 水曜日に続いて、質疑に立たせていただきます。

 まず、地元、栃木県第四区の皆様に感謝を申し上げ、そして、質問の機会を与えてくださった先輩、関係各位に感謝を申し上げて、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、地球温暖化計画における削減目標、削減量の試算で、建築分野では八百八十九万キロリットルという削減目標、削減量の試算をされていると思います。この削減量の試算に当たって、例えば、重要なポイントになるのは既存ストックの改修というところになると思いますけれども、この削減の試算、目標を達成するという前提として、既存の住宅また業務部門の建築物の省エネ化改修は何戸想定しているということなのか、まず、事実関係を教えていただければと思います。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標の実現に向けましては、建築物の省エネ性能向上の取組により、二〇三〇年度におきまして、二〇一三年度比で約八百八十万キロリットルの省エネの実現を目指すことといたしてございます。

 この削減量を実現するためには、一定の仮定に基づく試算として、二〇二二年度以降、既存住宅の断熱改修は、戸数ベースで年間約二十五万戸、既存建築物の省エネ改修は、床面積ベースで年間約三千万平方メートルの実施を目指す必要があると考えております。

藤岡委員 ありがとうございます。

 今、二十五万戸、また三千万という話をいただきました。

 二十五万戸というところですけれども、非常に高い目標といいますか、二十五万戸を達成するということは、目標を立てていただくこと自体は、もちろん、それはすごくいいことだと思うんですけれども、今お配りしている、ちょっと順番が前後しちゃうんですが、資料三というのを見ていただきたいと思うんですけれども、これが、省エネ対策として、直近のデータで、では、どのぐらいのリフォームが行われているかといいますと、十万八千百二十三ということになるわけですね。十万八千百二十三のリフォームが行われていて、二〇二二年度以降、年間二十五万戸、リフォームが進むというふうな今試算になっていると思います。

 非常に高い目標を立てていただいていて、十五万戸、来年度から上がるというふうなことになっているんですが、十五万戸上がっていくために、これは、補助金を含めて、十分足りるんでしょうか。二十五万戸を来年度以降達成する上で、これはどういうふうな対応を想定されているのか、お答えいただければ幸いでございます。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員御指摘の、現在の住宅の省エネ改修の件数でございますけれども、お配りいただきました資料は、建設業許可業者を対象とした建築物リフォーム・リニューアル統計調査でございますけれども、こちらは、主たる工事目的が省エネルギー対策である工事受注件数をお示ししているものでございます。

 一方、住宅にお住まいの世帯を対象とした平成三十年住宅・土地統計調査によりますと、二〇一四年から二〇一八年九月までの間に、持家において窓、壁等の断熱、結露防止の工事を行った件数が七十一・九万件となってございます。

 国土交通省といたしましては、この住宅・土地統計調査の結果等を基に、現在は、年間約十六万戸の省エネ改修が行われていると推計を行ってございます。これを年間約二十五万戸に増やしていくということは、引き続き非常に高い目標でございます。そのためには、まず、公的機関における率先した取組と、民間における誘導策の強化が必要と考えております。

 このため、公営住宅、UR賃貸住宅などの公的賃貸住宅につきまして、まず、年間約五万戸の改修を促進するとともに、民間住宅につきましては、従来からの支援に加えまして、令和四年度税制改正におきましてリフォーム税制の拡充や、令和四年度予算におきまして住宅エコリフォーム推進事業の創設など、支援の充実を図ったところであり、本法案により創設する住宅金融支援機構による低利融資制度と併せまして、あらゆる施策を総動員して、その推進を図ってまいりたいと存じます。

藤岡委員 十六万戸という改めて数値をお示しいただき、十万八千ではなく、十六万戸だと。それを仮に発射台としまして、約十万戸上乗せをしていくということで、今、改めて御見解をいただきました。

 では、さっき、五万戸、UR等の話をされましたけれども、今の補助金で、金融の支援も含めて、五万戸ということを想定されているということでいいんでしょうか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 五万戸は、公営住宅とUR賃貸住宅の合計、ストック全体に対しまして年間約五万戸の改修を、公共団体、URと連携して推進していくという意味でございます。

藤岡委員 残りの五万戸について、補助金で対応ということで、足りているという認識ですか。

淡野政府参考人 公的賃貸住宅以外の部分につきましては、融資ですとか税、補助、また自主的な改修も含めまして達成を図っていきたいと考えてございます。

藤岡委員 達成を図っていきたいということで、なかなかそういうふうにしかお答えできないというのは、そういうことなのかなと。足りているかどうかというとお答えづらいのかなと思うんですが、やはり資材価格が高騰していたり、もちろん、いろいろな事情の影響もあります、なかなかリフォームというところが進むかどうかというところ、微妙なところもあると思います。

 改めて大臣にお願いしたいのは、是非二十五万戸の改修目標を確実に達成していただくように、この後、状況をしっかり見て、機動的にこういう補助金や融資、いろいろなもろもろの制度を拡充していただくように、強くこれはお願いしたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 十六万戸から二十五万戸へ、公営賃貸住宅も含めまして、これは必ず達成しなければいけません。先ほど局長から答弁しましたように、補助金、それから税制等でしっかり、あと低利融資制度、そのほかに、先ほど以来議論になっておりますが、快適な住宅に住むことが健康の増進になる等々、いろいろな魅力も大いにPRしながら、予算もしっかり確保して進めていきたいと決意しております。

藤岡委員 そこは、是非大臣、頑張っていただきたいということを思うんです。

 続きまして、法案の条文のところで私はちょっと気にかかるところについて質疑をさせていただきたいと思います。

 改正法案の三十三条の二と、三十三条の三の規定のことでございます。

 これは、いろいろな角度からこの条文について私は少し疑問を感じておりますので、是非ちょっとこれを分かりやすくお答えいただきたいと思うんです。

 三十三条の二は、消費性能の表示について努力義務というのが課せられていると思います、努力義務。一方で、三十三条の三、一項におきましては、表示していないと認められるときは勧告、勧告に従わないときは公表、さらには、その三項では命令というふうに続くわけでございますが、通常、義務に違反している場合に不利益処分的なものを課すというのは見られるわけでございますが、これは普通に読むと、ちょっと読み方が、どういう読み方をするのかというのがちょっとこれはよく分からない部分があるものですから、努力義務に対して、これに、ある意味、反していたら、これは不利益処分を課すかのように思えてしまうんです。

 一方、何かトップランナー制度でも、こういう制度ということもやっていると。だから、これは、そのトップランナー制度の方の勧告の条文が、一層の向上を相当程度行う必要があると認めるときは、その目標を示して、一層の向上を図る旨の勧告ということですから、ある意味、目標を示して、努力目標ということもあるかもしれない。ある意味、努力義務に対する不利益処分的なものについての考慮がなされているかと思うんです。

 今回の条文は、法制的に、正直、これは努力義務違反に対して不利益処分。いや、努力したのにと。何かそのところというのは非常にこれは混乱すると思いますし、ある意味、行政手続法上の観点でいうと、これは処分基準が非常に明確になっているのかどうかとか、まだほかにもちょっとあるんですけれども、様々なことがあると思うんですけれども、この条文は、法制的によいというふうにお考えなのでしょうか。御見解をお願いします。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の本法案による省エネ性能表示制度でございますけれども、建築物の販売、賃貸を行う事業者に対しまして、御指摘の第三十三条の二第一項の規定により、販売、賃貸時における建築物の省エネ性能を表示することについて努力義務をまず課した上で、第三十三条の三の規定に基づきまして、国が表示のルールを定めて、そのルールに従わない場合に、必要に応じて勧告、命令等を行うことにより、省エネ性能の適切な表示を推進し、建築物の省エネ性能の一層の向上を図るものでございます。

 この仕組みは、より高い省エネ性能の建築物が選好、選ばれる環境を整備するという制度の趣旨を踏まえ、表示のルールに従わない場合にいきなり罰則を適用するのではなく、まずは広く販売、賃貸事業者に努力義務を課しました上で、勧告等の担保措置を効果的に運用することにより、省エネ性能の適切な表示が行われる環境整備を図るという趣旨で設けられたものでございます。

藤岡委員 努力義務に対して不利益処分を課すというところに関して、三十三条の二の一項、この努力義務があります、三十三条の三の一項、これは別物ということですか、今のお話ですと。

 別物だとして、その条を分けて、三十三条の三の一項で別の義務を課しているということというふうになるんですか。告示されたところに従ってエネルギー性能の表示をしていないと認めるときはと、この告示をされたところに従って表示をしていないと認めるときというので、あくまで、表示がされているんだけれども、告示に従っていない人に対してかけるというふうなことなんですか、これは。

 ちょっとその考え方が、改めて、この三十三条の二の一項は、努力義務は努力義務ですよ、三十三条の三の一項は、これは、あくまで、表示をされているんだけれども、それが告示に従って表示をしていない人を勧告するものなんですか。どちらかをちょっとお答えください。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねの三十三条の二、一項の努力義務、こちらは、建築物の販売又は賃貸を行う事業者に対しまして、その販売等を行う建築物について、まず、エネルギー消費性能を表示するよう努めなければいけないという努力義務を課しているものでございます。

 同条の二項におきまして、この表示について、国土交通大臣が表示すべき事項、表示の方法等についてルールを告示として規定をいたしまして、第三十三条の三の規定は、この国土交通大臣が定めたルール、告示に従って表示をしていないと認めるときは勧告をすることができるという仕組みでございますので、この告示に従って表示をしていない、あるいは、表示とは異なる形で表示を行っているという場合に適用されます。

藤岡委員 そうすると、この条文はすごくおかしいことになると思います。じゃ、努力をして表示した人だけがこれは罰せられるということですか。努力義務があって、努力をしていなくて表示していない人は勧告を受けないとなると、これは非常におかしな条文であります。

 これは、本当に明快なお答えがなかったら、法案修正をしていただきたいと思います。御見解はいかがですか。

斉藤国務大臣 本制度は、命令に従わなかった場合に罰則まで適用されることをもって、一種の義務づけと捉えることも可能と考えられますが、本法案に基づく制度の施行状況を踏まえ、必要に応じ、より実効性のある仕組みへの見直しなどを検討してまいりたいと思っております。

藤岡委員 運用、よろしければ、どうぞ。

淡野政府参考人 補足をさせていただきたいと存じます。

 第三十三条の三の、告示されたところに従って表示をしていないと認めるときはというのは、全く表示を行っていない、要するに、その努力義務に対応していない場合も、表示をすべきという努力義務に全く対応していない場合、表示をしていない場合、若しくは、表示を行っているけれども、不適切な表示を行っている、両方について対象となってまいりますので、努力義務を果たしていない方も、当然、この勧告等の対象になってまいります。

藤岡委員 そうすると、まず、処分基準として非常に決して明確ではないということが問題があると思います。

 さらには、これは、じゃ、新たに、三十三条の三の一項で新たな義務を課しているということですか、結局は。そうすると、全く趣旨は変わってきますよ。これはちょっと関係が整理されていないと思うんですね、法制上の視点が。書き方がちょっと、これは本当に条文修正をお願いしたいと思いますし、少なくとも政府統一見解を、この条文に対する考え方を示していただかないと。

 私は、別にこの法案全体の考え方について、決して、反対するとか、そういうつもりはないんですよ。ただ、これについては、あくまでも不利益処分を会社に課すものですよね。新たに三十三条の三で、一項で改めて義務を課しているのか、そして、それが努力義務、努力したかどうかというところで、そこも考慮されてなるのか、あるいは、そもそも、単純に義務違反の場合と勧告の場合とどう違うのか、この辺の考え方が、本来、普通は余りこういう条文はないと思います、はっきり言って。

 したがって、法案のこれは修正、あるいは政府統一見解を示していただきたいと思うんですけれども、書面で是非お願いしたいと思います。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 国が定めたルールに従って適切に表示した場合は勧告等を受けることにはならず、結果的にルールに反した表示を行う場合や、一切表示を行わないなど、努力義務に反した事業者がこの勧告等の対象となってまいりますので、努力義務と勧告、命令との関係は、努力義務に反した場合が勧告等の対象になるというふうに考えております。

藤岡委員 そうすると、いわゆる、通常、義務をかけて、三十三条の二の一項で義務をかけます、その義務違反の場合と、今回の努力義務を課して努力義務に反した場合と、これはその考慮される事情が変わってくるという考え方でいいんですか。それで、どこまで努力をしたかどうかによってこれは変わってくるということなんですか。

 じゃ、努力をした、努力をしたんだからというところを、しっかり事情を考慮して勧告をされる、そういうことなんですか。

淡野政府参考人 国土交通大臣が定めたルールに従って表示を行うよう努力をした場合はルールに適合しているということで、勧告等の対象にはなりませんので、あくまでも、ルールに反した表示を行う場合や、一切表示を行わないなど、努力義務に反した場合のみが勧告等の対象となってまいります。

藤岡委員 今の場合でも十分なお答えをいただけていないと思うんですね。どう違うのか、義務違反の場合と。

 これはちょっと書面で、委員長、これは政府見解を示していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

中根委員長 理事会で協議いたします。

藤岡委員 お願いします。

 では、ちょっとこの話は大変重要なものですから、是非お願いしたいと思います。

 では、続きまして、質疑の方に入らせていただきたいんですが、今日は、消費者庁の参考人の方にもいらっしゃっていただいております。

 リフォーム詐欺、私は、あくまでもしっかりこれは今回の法案でやっていただきたいと思うんですが、リフォーム詐欺ということも考慮していただかなければいけないと思います。

 リフォーム詐欺を防止する。今日、資料をお配りさせていただいておりますけれども、年間で一万五千八百三十四件の相談。相談でございますから、これはあくまでも、全てこれが駄目だったとかどうかとかというものではございませんけれども、あくまで相談がこれだけあったということで、ただ、一万五千件というのは非常に多いと思います。

 今回、省エネが義務化されました。また、エネルギー消費や健康に与える影響もプラスなので、是非リフォームをといううたい文句で営業が行われて、リフォーム詐欺のおそれというのも出てくると思うんですけれども、これはしっかり対応していただきたいと思うんですけれども、御見解はいかがでしょうか。

片桐政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の点については、個別の事案に即して判断する必要がございますけれども、例えば、訪問販売で住宅リフォームを行う事業者が、勧誘の際に、実際には法律上の義務がないにもかかわらず、省エネについて法令上の義務があるなどと、あたかも法令上の、法律上の義務があるかのように不実のことを告げた場合には、特定商取引法に違反することとなり、行政処分や罰則の対象となるものです。

 また、事業者の不実告知によって誤認をして契約の申込みなどを行った消費者は、特定商取引法上の規定に基づいて、その意思表示を取り消すことも可能です。

 消費者庁といたしましては、特定商取引法の違反事業者については引き続き厳正に対処し、消費者被害の防止を図ってまいりたいと考えております。

藤岡委員 本当にそこの周知をしっかり図っていただきたいと思うんですけれども、是非お願いしたいと思います。

 国土交通省さん、いかがでしょうか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 省エネ基準の適合義務の対象外である工事に関して、義務化の対象であると偽り、省エネ改修を勧めることや、本来必要ないリフォーム工事を勧めるなど、省エネ改修の機運の高まりに乗じた悪質なリフォームが増加しないようにするということは考えてございます。

 リフォーム工事に関するトラブルを未然に防止する観点から、国土交通省におきましては、消費者庁と連携した悪質リフォームに関する注意喚起、専門家とも連携した相談窓口の設置、住宅リフォーム事業者団体登録制度を通じ、消費者が安心してリフォーム事業者を選定し、リフォームを行うことができる環境の整備等の取組を進めております。

 また、トラブルが発生した場合の円滑な解決に向け、消費者庁と連携しての注意喚起に併せまして、クーリングオフにより契約解除ができること等の周知、紛争処理制度の対象となるリフォーム工事瑕疵保険の加入促進などの取組を進めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、住宅所有者が不利益を被ることなく、安心して省エネリフォーム工事を実施することができるよう、改めて悪質リフォームに関する注意喚起を行うとともに、相談窓口等の関連制度に関し、周知徹底を図ってまいりたいと存じます。

藤岡委員 ありがとうございます。

 時間も押してきましたので、最後の質疑の方に入らせていただきたいと思うんです。

 お配りしている資料一を御覧いただきたいと思うんですが、栃木県も冬季の死亡増加率というのが、櫛渕議員の先日の質疑にも関連しますけれども、全国の一位、ワーストワンになってしまっているんですが、更に詳しい資料でいきますと、過去十年間で栃木県、静岡県、茨城県ということになっていて、栃木県は、冬季死亡増加率というのが非常に高いという現状でございます。

 その中で、ヒートショック撲滅大作戦ということで、こういう県の方でもチラシをして、後ろの、両面の裏側ですが、高断熱、高気密な家でヒートショックを防ごうということもございます。

 是非この省エネのリフォームの促進の観点から、効果や、省エネ住宅が健康にもよいというふうなことがございましたら、改めてそういうものを積極的に周知をして、お願いしたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 この委員会でも今いろいろ話題として取り上げられましたけれども、国土交通省において、これまでも断熱化による健康面への効果等の調査結果について普及に取り組んでいるところでございまして、今後、この断熱化が健康にいい、また快適であるということをしっかり周知してまいりたいと思っております。

藤岡委員 ありがとうございました。

 では、私の質疑を終わらせていただきます。

中根委員長 次に、枝野幸男君。

枝野委員 よろしくお願いします。

 本題に入る前に、答えは要らないんですが、今、藤岡さんが指摘した努力義務の話なんですけれども、僕は、法制局が雑になっているなと、今回の件に限らずですね。本来、法制局のところで、もうちょっと分かりやすく整理をした条文にしなさいとやるはずなので。ということを委員会で枝野から指摘されたと担当の内閣法制局に伝えてください。お願いします。

 その上で、これも藤岡さんの話とちょうどうまくつながるんですが、既存建築ストックの問題を私は取り上げたいと思っております。

 藤岡さんから、二十五万軒やるのも大変じゃないかという話が出た一方で、現在、住宅ストックが約五千万軒あるうちに、省エネ基準適合をしているのは一三%しかない、そして、二九%は、昭和五十五年基準にも達していない無断熱住宅だ、こういう実態があるわけでして、ここを省エネ水準を向上させない限りは、やはり効果は非常に小さい。

 二十五万戸は困難なのも確かな一方で、二十五万戸進めたって大したスピードではないという現実だと思っておるのですが、やはりここを何とかしなきゃならないというのが私は大事だと思っているんですけれども、これは後の質問にもつながるので、国土交通大臣と経産省政務官から、短くで結構ですので、大事だよねという趣旨を共有しているかどうか、お答えください。

斉藤国務大臣 まさに既存住宅にこの断熱化をいかに進めていくかというところは、目標達成のために非常に大きな部分を占める、非常に重要な分野だ、このように認識しております。

岩田大臣政務官 住宅、建築物が含まれます家庭・業務部門におきましては、我が国のエネルギー消費量の約三割を占めることから、徹底した省エネルギーを進めることが極めて重要だ、このように考えているところでございます。

 経済産業省としましては、この政府目標に沿いまして、関係省庁とも連携をし、建材トップランナー制度や補助事業等を通じて高性能建材の普及を促すことで、既存住宅、建築物の省エネ化に取り組んでまいりたいと考えております。

枝野委員 その上で、前回、一般質疑のときにも取り上げましたけれども、例えば、いわゆる既存の住宅に住んでいらっしゃる、古い住宅に住んでいらっしゃる方というのは、高齢の方である比率が高いし、比較的経済的にゆとりのない方の比率も高いというのは、統計などを見るまでもなくはっきりしているわけですので、そうした皆さんに、幾ら性能がよくなりますからと言ったって簡単にはできないというのは、これは間違いないと思うんですね。

 かといって、実際に、今回、国土交通省、経産省、環境省、それぞれに、どういう支援をしているのという話をいろいろ聞いて、調べて出してもらったんですが、残念ながら、そういう皆さんが、分かった、これなら、うちはお金が苦しいけれども、高齢で、面倒くさいな、残り、あと俺の人生は何年だろうとか、そこで面倒くさい、今のままでいいじゃないかとかという人を動かすだけのインセンティブを与えられているかというと、僕は、残念ながら、そうにはなっていないと思うんですね。

 ただ、その中でもできることがあって、公的賃貸住宅なんですよ。公的賃貸住宅は別に持ち主の資産になるわけじゃないですから、ここに金をつけても。そういう意味で、今、ここへの事業で、今後、年間五万戸の省エネ改修を公的賃貸住宅については進めるというのを国交省に事前のレクで報告をいただいたんですが、これでどれぐらい進むんですか。

 もちろん、既存のものを壊しちゃって新しいものが建ってと、こういうことによって置き換えられていく部分もあると思うんですが、そうしたものを含めても含まなくてもいいですから、公的賃貸住宅は、例えば十年後には、さすがに公的なやつは全部この断熱基準を満たしていますというぐらいになるような目標じゃないといけないと思うんですが、いかがですか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、公的賃貸住宅でございます公営住宅やUR賃貸住宅につきましては、カーボンニュートラルの実現に向け、率先して取り組む必要があると考えております。

 このため、これらの賃貸住宅を新築する際には、今年度以降は、原則ZEH水準に引き上げ、既存の住宅につきましては、令和四年度予算で改修事業に係る支援を強化して、省エネ改修を推進することといたしてございます。

 これらの措置により、公営住宅とUR賃貸住宅におきましては、現在の新規、建て替えベースで、まず、年間約一・二万戸程度が原則ZEH水準で整備されるとともに、既存の住宅につきましては、年間約五万戸の省エネ改修を想定し、結果的に、ストックの二%強に相当する年間約六・二万戸が省エネ水準の向上が図られるというふうに考えてございます。

枝野委員 いや、だから、五万戸というのは分かっているので、これで何年ぐらいで全部建て替わるの、建て替えや改修が終了するのと聞いているんですよ。

 全く答えていないです。ちゃんと聞かれたことに答えてください。

淡野政府参考人 年間、新築による建て替えと改修で合計約六・二万戸、これはストック全体の約二%強でございますので、置き換わるのには数十年かかると考えております。

枝野委員 そのストックというのは、要するに、公的、同種の賃貸住宅の中の二%余りですよね。ということは、五十年かかるわけですよ、四十何年かかるわけですよ、今のペースでいったら。それはちょっと違うんじゃないですか。

 個人の住宅に税金をくっつけて改修しろというのがやりにくい、やりにくくとも僕はやるべきだと思いますが、やりにくいのは分かります。でも、自治体とかURが持っているようなものについて、お金をつけてでもいいものにして、全体にとっての最大多数の幸福になるようなことなんだから、これは金をつけて全然おかしくないんですから、もっと高い目標を掲げて、金をつけるべきじゃないですか。大臣、いかがですか。

斉藤国務大臣 今、枝野委員がおっしゃるとおりだと思います。

 できるだけスピードアップして、予算を獲得して、既存ストックの省エネ改修を進めていかなければいけない。

 特に、公営住宅については、これは我々が主体性を持って取り組んでいけることができる分野でございます。そこは我々国土交通省として、予算獲得に努力をしていきたいと思っております。

枝野委員 是非これはお願いします。

 特に、高齢者の住んでいらっしゃる方が多い古い公営住宅は、建て替えを一気にやろうとすると、そうした皆さんが一気に家賃が高くなって云々ということで、難しいいろいろな問題があるのもよく分かっています。

 だとすれば、改修を進めることに、これでも家賃が上がる話を、本当は上げずにやって僕はいいと思うんですけれども、そういったところから、まず、特に省エネ効率ということと、住んでいらっしゃる方の健康にもいいわけですから、これは、やはり目標を決めてほしいと思いますね。十年と言いたいんですが、十年とは言いませんが、せめて十五年ぐらいでは、公的な賃貸住宅は全部断熱水準を超えているというようなレベルぐらいを目標にして、高い目標かもしれません、予算獲得という上では。でも、それぐらいの目標を掲げないと全く進まないんじゃないかと思います。二%余りというのはさすがに低過ぎると思いますので、お願いします。

 もう一つ、今度はちょっと逆方向なんですが、実は、改修で、大規模じゃなくても、とにかく今よりはよくなればいいんじゃないかと。

 でかい金をかけてくれ、高齢の年金も少ない方に補助をつけるとかいったって、そうはいったって、何十万もかけてというのはなかなか難しい。だから、できるだけ軽微なもの、いろいろ聞いてみたところ、私がこの質問に先立って経産省、国交省から聞いている話では、やはり住宅そのものの、建築物そのものの断熱性能を高めるものについては様々な施策がある。それから、例えば、二重窓についてとか断熱ボードについてとか、建材についてはいろいろな制度があるというのが分かりましたが、しかし、そこまででも金がかかるとすれば、もっと安くてもいいから、できることをやってもらった方がエネルギー効率という観点からよくありませんか。

 例えば、あえて言います、建物全体を断熱化することが望ましいと非常によく分かっています、本当に金をつけてやってくれるならそうしてもらいたいんですが、例えば、居室、昼間ずっといる、いわゆる昔でいう茶の間、居室とそれから寝室だけでも断熱性能を高めれば、それは恐らくエネルギー消費効率は物すごく高まると思うんですよ。

 古い、しかも比較的広い家なんかもあるわけですよね、古い断熱されていない住宅、地方などに行くと。でも、暮らしているのは、特に高齢者が、ほとんど茶の間と寝室と風呂とトイレだけ。風呂とトイレまで含めればもっといいですが、居室を断熱化するだけでも大分違う、ですよね。だって、ほかの部屋は、ふだんは人は出入りしていませんよ、年に、盆と正月に親戚が寄ってくるときだけですなんて部屋がたくさんあるところは、地方へ行けば山ほどあるわけですよね。そこは断熱されていなくても、エネルギーの消費効率という意味では余り関係ないじゃないですか。

 そうすると、建物の断熱をしなくてもエネルギーの効率が高まることはたくさんあるんですが、実は、そういうところについての支援とか、そこの性能を高めるとか、そういうのはありますか。事前の話では、少なくともそういう話はなかったと私は認識しているんですが、それは、国土交通省と経産省、それぞれお答えいただけますか。政府参考人で結構です。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、住宅全体を断熱化しなくても部分的にそういう断熱化をした場合の支援でございますけれども、リフォーム促進税制の拡充を今年度行いまして、従来は、全ての居室の全ての窓について改修することを要件にしておりましたものを、一部の居室について改修をするという場合もこの促進税制の対象といたしました。

 また、今年度から創設をいたしましたエコリフォーム推進事業、こちらにつきましても、そういう部分的な改修についても支援対象としているところでございます。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 経産省においては、次世代建材実証事業という補助事業がございまして、こちらは、高性能な、高い断熱性能を持っている、例えば、外張り断熱材とかあるいは内張り断熱材、それから内側の窓、内窓の設置、こういったような建材を後からつけるようなリフォームについても支援をしておりまして、今委員から御指摘があったような、例えば居室などの部分的な施工というものもこの次世代建材実証事業の支援の対象としております。

枝野委員 今のように、建材で部分改修までは、一定、若干だけれども、ついた。だけれども、実は、その先が欲しいなと思っているんですよ。

 というのは、先ほどちらっと出ましたが、例えば、断熱性能を高めるペンキとか、それから窓に貼るシールとかですね。つまり、実は、ここでずっと議論されているし、それから、いろいろな、それぞれの、二つ、場合によっては環境省を入れて三つの役所が進めているのは、非常に高性能の断熱性能を持っているものについて支援をします。そうすると、相対的に高いわけですよ。だけれども、例えば、窓にシールみたく貼ると断熱性能が高まる。それは、窓を、後づけでも二重窓にしたりすることと比べれば、断熱性能は低いかもしれない。それから、ペンキを塗るだけでは、断熱性能は、断熱ボードを張るよりは低いかもしれない。でも、効果はゼロではない、一定の効果がある。

 私自身が直接そういった話を聞いていたのは、自分が経産大臣のときとか、辞めた直後だったので、もう五、六年前の情報ですが、それでも結構な断熱効率があるという話は、その四、五年前のレベルでもありました。もっと進むと思いますし、実は、ここは余り支援がされていないので、もっと支援をすればもっと進むんじゃないかと思うんですね。

 繰り返しますが、私は、本当は、既存住宅の改修、いわゆる今一般的に言われている断熱の改修のために、相当な金をつけてでもそれを一気に進めるべきだと思いますが、予算的にもなかなか取れない、あるいは、個人の資産である住宅について資産価値を高めることになるわけだから、そこに金をつけるのは金をつけにくいというならば、窓にシールを貼って断熱効率を高めるとか、ペンキを塗って断熱効率を高めるとか、ほかにもあると思うんですよ、具体的ないろいろな手は。私も、えっ、こんなことで、ペンキでできるのと、初めて見たときはびっくりしました。

 そういったところで、軽微で低額で、ただし、断熱性能という意味では、二重窓とか断熱ボードみたいなものと比べたら、全然今の基準は満たさないですよ、今、支援の対象になっている。こういうところをちょっと別枠ででも何らかの支援をしたり、普及促進をしたり、それこそ、住宅の資産価値そのものを高めるところにはならない、多分、ペンキみたいなものでも、シールみたいなものでも、何年かたったら性能はがたっと落ちるんだろうから。それだけに、金をつけやすいと思うんですよね。額も小さくて済むわけですよね。

 それと、さっき言った、居室などに限定してそういうことをやるということだったらば、かなりの低額で、その代わり、今の既存住宅の三分の一ぐらいを一気に五年ぐらいでやりますみたいな目標を実現しようと思っても、金的には、金額的には僕は可能じゃないかと思うんですけれども、大臣、どう思いますか。

斉藤国務大臣 簡便な省エネ改修手法ということについての御提案でございました。

 既存ストックの省エネ化という観点からすれば、今御提案いただいた方法は非常に一つの有効な方法だと思います。

 こうした簡便な省エネ改修手法について、情報を収集、把握し、普及を図ることは非常に重要であると考えておりまして、例えば、事務所等において断熱フィルムを窓ガラスに貼り付けるなどの省エネ改修であっても、一定以上の省エネ効果が得られることを条件に、先ほど局長が申し上げましたが、支援しているところでございます。

 引き続き、関係省庁とも連携しつつ、新技術等を活用した簡便な省エネ改修手法の開発やその普及に取り組んでまいりたいと思っておりますし、今、枝野議員御提案のそういうことに対しても、公的な支援ということがないのか、また考えるべきではないか、こういう御提案だと思いますので、ちょっと検討させていただきたいと思います。

枝野委員 国土交通大臣から前向きな御答弁をいただいてありがたいと思いますが、これは、済みません、経済産業省にも、政務に来ていただいたし、省エネ部長にも来ていただいているのは、多分、経産省が頑張らないといけないと思うんですよ。

 つまり、国土交通省の所管しているのは住宅、建築物ですから、建築物そのものの価値が変更されるような改築や、改築に至らないにしても、それなりの一定の改修であるけれども、さっき言ったとおり、二、三年で効果は途切れるかもしれない、弱まるかもしれないみたいな、そういったものは、実は、建築物や建材と言えるのかどうかというのは非常に境目みたいな話ですよね。

 もしかすると、もっと簡便な方法で効果を上げるみたいな話の技術というのは、そこがビジネスになる、社会に貢献するとなれば、実は、いろいろな事業者がネタはあり得ると思うんですが、そこは、むしろ、いわゆる素材とかなんとか幅広い分野を担当している経済産業省、そしてエネルギー政策全体を見ている経済産業省がそういう技術を見つけ出して、そういう技術を後押しして、場合によったら国土交通省ともつないで、そこに支援をするみたいな話を経済産業省が相当大胆にやっていくということがあって初めて、なるほど、そういうことを使えば、改修にすら至らないかもしれないけれども、エネルギー効率は一定上がるよね、これなら金が安いから、既存の住宅のところでもかなりの件数をやれるよねみたいな話になっていくと私は思うんですけれども、いきなり政務官は気の毒なので、どうですか、省エネ部長、こういったことはもっともっと力を入れていただけませんか。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘がございましたとおり、例えば、遮熱塗料ですとか断熱塗料ですとか、こういう新しい技術、あるいはそういう製品をお出ししている企業さんはたくさんございまして、私どもとしても、こうした技術を上手に活用できればいいなというふうには考えています。

 やはり、こういった塗料であったり、あるいは新しいフィルムのような場合には、往々にして起きるのは、断熱性能をいかに示すかというのが一つポイントになりまして、施工の仕方ですとか、あるいは施工される条件ですとか、こういうことによって効果が相当違いがあったり、よく効果が出るケースもあれば、全く出ていないケースもあったりしますので、この点をいかに公平な形で基準をつくって測定していくのかというのが一つのポイントだというふうに思っています。

 そういう意味では、そうした性能がきちんとお示しできるようになれば、いろいろな形で支援も可能になるかというふうに思います。

 それからもう一つは、我々としては、そういった製品が出てくれば、これを一つの材料として周知をしていくというのも一つの方法だと思いますので、技術の動向を見ながら、そうした取組を進めてまいりたいというふうに考えています。

枝野委員 大変非常にいい答弁をしていただいたと思っていますが、これもお気づきだと思いますけれども、意外と小規模のメーカーが、一種の隙間産業みたいな感じで、自分の元々持っている技術、こういう応用ができるなみたいなことで、それで面白そうだなというようなネタをつくっているところは、私の知る限りではたくさんあるので、逆に、そこに、いわゆる改築のための建材の基準みたいなことを自力でやれと言われても、なかなかそこのハードルが越えられないので、実は、技術はあるんだけれども広がらないみたいな話が山ほどあると思います。

 したがって、同じような水準を証明しますということをする力がないけれども技術を持っているという小規模事業者をどう支援をするのか。これはまさに経産省が得意な分野なんですから、是非そういうところに力を注いで、繰り返しますが、本当は国が金をつけて、既存住宅もばっと改築すべきだと思いますが、それがいきなりできないのであれば、今みたいなことをやっていただきたいと思うので、今の省エネ部長の答弁を踏まえて、政務としてもしっかりやっていただけるということを御答弁いただければ。お願いします。

岩田大臣政務官 お答えをいたします。

 既存住宅を含めた住宅の省エネ性能の向上、議員の御指摘の課題、私も十分に同じ問題意識を持っているところでございます。

 高い省エネ、また断熱性能を有することが確認をされた建材の普及を図るなど、規制と支援の両面から後押ししていくということが極めて重要だと考えております。

 このため、経済産業省におきましては、建材のトップランナー制度、こちらが規制の面でありますが、そしてまた、紹介がありました次世代建材実証事業、こちらが支援の部分です。こういった施策などを通じまして、先進的で高性能な建材の状況の把握、これに努めて、住宅、建築物の省エネ性能の向上に向けて、高性能建材等の普及を進めてまいりたいと考えます。

枝野委員 是非、国土交通省そして経済産業省、連携も含めてしっかりやっていただくことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

中根委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。

 本日は、脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案を審議させていただきますが、今回、今国会で検討として実質提出を見送られていたのが、四月下旬に一転して、急遽、国会提出となりましたこの法案であります。

 自民党や与党の方々は事前審査でやっているかもしれませんが、野党に関しては、非常に短時間で法案審査をする。本日も、度々、審査の法文内容で不明瞭なところがある、また、現場からも、理解というものが難しい、読み込みが難しいという声が、不安が届いていることを伝えさせていただきます。

 今回の法案に関しては、日本は一九八〇年に初めて断熱基準を導入し、それ以降、長らく任意基準という形で、ずっとこの問題は置き去りにされてきました。二〇二〇年に本来であれば法案も恐らく成立させて、二〇二五年の義務化という方向だったのが、やっと本日、こうやって審議まで至ったこと、これに関しては、これまで様々努力された方々、そして受け入れようとされる方々の御努力には心から敬意と、そして現実に、この義務化をすることによって、環境に優しい、そういった建築物にしていかなければならない責務があると思っております。

 本法案の、エネルギー消費の法案では、消費の大体約三割を占める建築物分野での省エネ対策、そして木材需要の約四割を占めるのも建築物分野であります。だからこそ、この法案で、両面からの制度の義務化、また推進というのがうたわれていることになるんだと思います。

 具体的な目標は、二〇一三年度からの対策としての住宅、建築物に係るエネルギー消費量を、約八百八十九万キロリットル削減を二〇三〇年度までにと掲げた策でもあります。全ての新築住宅、非住宅に省エネ基準適合義務をつけるものでもあります。

 まず最初に、大規模修繕の模様替えに伴う建築確認についてお伺いいたします。

 建築基準法第六条の改正により、二階建て、二百平方メートル超えは、新築及び大規模修繕、模様替えなどに伴い、建築確認が必要となります。

 例えば、鳥取県の事例のように、屋根のふき替えなど大規模修繕には当たらないとされる条例等で示される事例もありますが、その一方で、明示されていない特定行政庁が多いのも事実です。あくまで特定行政庁の判断であるため、国土交通省から、このようにしてくださいと指導したり、ガイドラインで示すということはできない仕組みながらも、建築の現場に携わる実務者には混乱を招きかねません。

 また、仮に屋根ふき替えが大規模修繕に該当するという判断をする地域、特定行政庁があって、その地域で気づかれないままにふき替え工事を行った場合、建築基準法違反建築となるおそれもあります。

 二階建て木造住宅の屋根ふき替えなどが建築確認の対象となる大規模修繕に該当するか否かの判断については、自治体、特定行政庁により地域ごとに判断が異なるため、工務店や施主が混乱、心配の声が上がっております。

 国土交通省としてどのように周知徹底や情報提供など取組を行っていくのか、お伺いいたします。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案に基づきます建築基準法の改正において、建築確認時の審査省略対象物件における構造規定の違反事案の発生を踏まえ、消費者が安心して二階建ての木造建築物を新築、改修できる環境を整備するため、二階建ての木造建築物についても、建築確認、完了検査により、基準への適合性を確保することとしてございます。

 当該改正により、御指摘のとおり、壁、柱、屋根など主要構造部の過半の修繕、模様替え、いわゆる大規模な修繕、模様替えを二階建ての木造建築物について行う場合につきましても、建築確認、検査の対象となってまいります。

 どのような工事がこの大規模な修繕、模様替えに該当するかは特定行政庁が判断することとなりますので、御指摘を踏まえ、特定行政庁に運用状況を確認したところでは、屋根瓦など屋根ぶき材のみを交換する工事については、一般的に主要構造部の修繕、模様替えには該当しないものとして、過半を交換する場合であっても、建築確認手続を求めない取扱いがなされていると承知しております。

 今回の改正に伴い、現場にて混乱が生じないよう、全国の特定行政庁及び指定確認検査機関によって構成される日本建築行政会議などと連携を図りつつ、改正法の施行までに統一的な方針の下で適切な扱いが現場においてなされるよう、調整してまいりたいと存じます。

小宮山委員 局長の決意や、また説明、ありがとうございます。

 これはやはり、先ほどからも質疑の中で、様々な法文の読み込み方、様々課題が出てきています。明確な判断基準というのが特定行政庁に委ねられたために、そこもまた、全国で活躍する工務店であったり、職人の方だったり、そういった方たちは、その県ごと全部調べるというのもなかなか難しいものもあります。やはり国交省として、きちんと、混乱させないための明確な判断基準というものを提示する、そのような万全の準備を行うべきだと思っております。

 通告はしておりませんけれども、大臣、是非、しっかりとその点、省内もそうですけれども、フォローするというか、対応していく決意をお聞かせください。

斉藤国務大臣 特定行政庁における判断に大きなばらつきができないよう、しっかり、統一的な扱いになるように、国交省としても指導していきたいと思っております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 また、悪質リフォーム、これだけ機能が充実する、ヒートショック等がなくなる方向に行く、非常に有効なものもこの断熱、高断熱、高気密というものにはあります。そうなると、新築は無理でも建て替えをしたい、少しでも安全に健康的に暮らしたいという方は増えるはずです。また、広告もこの法施行で現場はなると考えます。いわゆる悪質リフォームなどの防止というものは、大変この施策を進める中で重要な課題かと思います。

 既存の住宅ストック約五千万戸、このうちの省エネ基準適合住宅は約一三%、令和元年の数字ですが、無断熱の住宅は約二九%と推計されております。この法案が成立し、施行された場合の対象棟数や市場規模をどのぐらい想定をされているのか。

 また、いわゆる悪質リフォーム被害の実態について、年間の相談件数など、国交省の把握に関しまして、対応について、簡潔に御説明ください。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案において、住宅の省エネ改修に係る住宅金融支援機構による低利融資制度の創設や、補助、税制、融資など、あらゆる施策を総動員することにより、省エネ改修については、戸数ベースで年間二十五万戸を推進してまいりたいと考えてございます。

 また、市場規模につきましては、昨年三月に閣議決定された住生活基本計画におきまして、省エネ改修も含めたリフォームや既存住宅流通の市場規模として、二〇一八年時点で十二兆円であったものを、長期的には二十兆円にすることを目指すこととしてございます。

 また、悪質リフォームの年間の相談件数ですとか関連の対策でございますけれども、リフォームの訪問販売や点検商法に関する消費者からの相談件数は、二〇二〇年度の実績で、住宅リフォーム・紛争処理支援センターへのリフォーム訪問販売のトラブルに関する相談が五百九十三件、また、全国の消費生活センター等への点検商法に関する相談が七千二十件と承知しておりますが、御指摘のような悪質リフォームの被害金額までは承知していないところでございます。

 工事業者の選定、工事内容や工事費用についての情報を十分にお持ちでない住宅の所有者がリフォーム工事に関するトラブルに巻き込まれることを防止する観点から、消費者庁と連携した注意喚起でございますとか、住宅リフォーム・紛争処理支援センターによる相談対応、工事費用の見積チェックを推進してきているところでございます。

小宮山委員 これまで様々ヒアリングを消費者庁等もさせていただいて、相談は受けます、裁判を起こしました、でも、結果として、その後、リフォーム詐欺や被害に遭った方々というのがどのように権利を回復したのか、家を回復したのかというのは、なかなか数字が出てきておりません。この点に関しては、しっかりとフォローし、また調査をするということもお願いしたいと思います。

 また、消費者庁から伺っているんですが、今後、過量の契約は事後でも解約できるという仕組みを設けるべきで、国交省と準備を行っているとの説明がありました。具体的に、国交省として、悪質事業者、悪質リフォームなどの防止のために今後どのような取組をされていくのか、少し後の質問ですけれども、お聞かせください。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 過量販売につきましては、訪問販売や電話勧誘販売で行われた場合には、特定商取引法に基づく行政処分の対象となるとともに、契約の締結から一年以内であれば契約の解除を行うことができることとなってございます。

 現在、消費者庁におきまして、訪問販売又は電話勧誘販売による悪質リフォーム対策として、住宅リフォーム工事において過量販売と判断される具体的な考え方を検討しているところであり、国土交通省としても検討に必要な協力を行ってございます。

 また、本法案に基づく取組の結果として、省エネ改修を進めていく必要性が広く認識されることに伴い、住宅所有者が不利益を被ることなく、安心して省エネリフォーム工事を行うことができるよう、改めて、消費者庁と連携して、悪質リフォームに関する注意喚起を行うとともに、相談窓口等の関連制度に関し、周知徹底を図ってまいりたいと存じます。

小宮山委員 今、クーリングオフ、約一週間しかありません。その間に工事を始めて断れない状況をつくり出す悪徳事業者の営業マンの告発みたいなもの、そんなものもありました。是非、この過量の制度ができれば、大体一年ぐらいということがクーリングオフの対象、契約を解除できるということですので、これもかなりの抑止力になると思いますので、しっかりと進めてください。

 さて、時間の関係もありますが、改正法、この省エネルギー法ですが、断熱、密閉を重視したものとなり、魔法瓶のようなと表現できる建築物になっていくのだろうと。これが主流になるんでしょう。ただ、省エネルギーはあくまでエネルギーを使うことが前提です。適度な通気性や湿度、ひさしの活用、周辺の植栽などを用いて、住まう人が自ら心地よいと思える建築物、ゼロエネルギー、低エネルギーで自然とも共生する住まい方など、多様な価値観を包括する建築物省エネになることも期待をしておるところであります。

 そこで、伝統的構法に基づく木造建築、気候風土適応型住宅などの振興、支援について、国土交通大臣のお考えをお聞かせください。

斉藤国務大臣 伝統的構法による木造建築物は、我が国の歴史、気候、風土に根差した木造文化の伝承や地域の観光資源の観点からも、次世代に継承していく必要があると考えております。

 伝統的構法による木造住宅は、通風、日射の制御や活用など、地域の気候、風土、文化を踏まえた工夫により、優れた居住環境の確保を図るものであることから、建築物省エネ法においては、気候風土適応住宅として位置づけ、断熱性能に関する基準の適用を除外するとともに、その要件については、国が定めるものに限らず、地方公共団体が独自要件を定められることとしております。

 こうした独自要件の運用の取組も進められつつありますので、今後は、先行する地域の取組状況を横展開するなど、制度の活用を促進してまいります。

 これらの取組に加えて、伝統的構法を含め、木造住宅の担い手の育成を推進するため、民間事業者団体が各地域で行う建築大工技能者の育成のための実技や座学の研修等に対し、支援を行っているところです。

 このような規制の合理化や担い手の育成などの取組を通じて、伝統的構法の建築物の振興や気候風土適応住宅の普及拡大に努めてまいります。

小宮山委員 今回、大変時間のない中で、東北芸術工科大学の竹内教授や、また東京大学工学部の前准教授、そして、職人がつくる木の家ネットの環境部会に所属もされています綾部工務店の方々や、また全国の関係の皆様、現場の方から様々なお話を聞きました。まだまだ改善するところ、そして進めるべきこと、たくさんあるのがこの建築物省エネ法だと思います。

 これからもしっかりと私たちの提言をさせていただくことを伝えさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

中根委員長 斉藤大臣は御退席いただいて結構でございます。

 次に、小林茂樹君。

小林(茂)委員 ありがとうございます。奈良一区から、奈良一区を地元としております小林茂樹でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。また、政府側の皆様方もよろしくお願いをいたします。

 本日は、法案審議、いわゆる建築物省エネ法に関してであります。このことについて四問、質問をいたします。

 まず、省エネ法、この法案改正の趣旨、一番目。そして、木材活用の推進、どのように進めるのかということ。そして三つ目が、目の前の問題でありますが、いわゆるウッドショック、今どうなっているのかということ。そして、それを抜本的に解決するためには、これは山の問題があるのではないか、流通ルートの問題があるのではないかというところを話題にし、そして、今日皆様方にお配りをしております日経新聞の記事であります、国産材の活用、東北が牽引している、このタイトル以外にも、いろいろな今回の法案に関する内容がこの中に盛り込まれておりますが、この中の一つを、最後、四問目としてお尋ねをしてまいりたいと思います。

 早速質問に入ります。

 二〇五〇年カーボンニュートラル、これを政府が発表しましたのは一昨年の十月でございます。その後、半年後、六か月後、昨年、二〇二一年の四月に温室効果ガス四六%削減を宣言したわけであります。この目標を達成するためには、本日再三発言をされていますが、エネルギー消費の三割を住宅、建築物が占めているということであり、この分野において抜本的な取組を強化しなければならないということであります。

 環境共生をうたいながらも、そういった住宅がなかなか普及しないということで、現場の声なども聞きながら段階を経て改正をしてきたという、今回、この法案、制定に至っているわけでありますが、今回の改正によって省エネ対策をどのように加速をしていくのか、まず、このポイントをお聞きをいたします。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標の実現に向けまして、我が国のエネルギー消費量の約三割を占める建築物分野において、省エネ対策の強化を図ることが急務となっております。

 このため、本法案におきましては、省エネ性能の底上げを図るため、省エネ基準への適合義務の対象を、住宅を含む全ての建築物に拡大、より高い省エネ性能の住宅供給を促すため、住宅トップランナー制度の対象への分譲マンションの追加、省エネ性能に着目した形での取引を促すため、建築物の販売、賃貸時における省エネ性能表示制度の強化、地方公共団体が定める区域内における建築物への再生可能エネルギー利用設備の設置を促進する制度の創設等の措置を講じることといたしてございます。

小林(茂)委員 二問目に参ります。

 木材活用を推進するための規制合理化であります。

 地方の林業、そして木材産業活性化の観点からも、住宅・建築分野での木材の利用を強力に進めていくべきであります。木造建築物を拡大していくためには、炭素貯蔵効果だけではなく、建築主や利用者が直接的に木のよさを感じられることが大事でありますが、そのためには、木造建築物について、可能な限り木をそのままの姿で使用、これは現しというそうでありますが、木をそのままの姿で使用することが重要であります。

 今回、そういった趣旨も法案改正の中に入っているようでありますが、建築物の木質化を更に進めるためには、どのような規制を見直し、どのような効果を期待をしているのか、お尋ねをいたします。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の建築基準法の規定におきましては、建築物の規模、用途、立地に応じまして、柱、はり等の主要構造部に関し一定の耐火性能を求めており、耐火建築物の場合には木材を石こうボードなどの不燃材料で覆う必要があることが、大規模建築物等において木材利用を推進していく上での課題であると指摘を受けてございます。

 こうした課題を踏まえまして、本法案では、関連技術開発の成果等を踏まえ、様々な防火規定の合理化を講じることにより、大規模な建築物全体やその一部に、木材を被覆することなく用いることができる範囲を拡大することとしてございます。

 具体的には、延べ面積三千平方メートル超の大規模木造建築物につきまして、防火的な区画や大断面材の活用により、耐火構造等とすることなく、建築物全体について木材を被覆しない形での木造化を可能とする、メゾネット住戸内など、ほかの部分と防火上区画された部分の木造化を可能とする、通常、建築物全体の規模等に応じて適用される防火規制を、一定の壁等により区画された部分ごとに適用できることとし、低層部分等の木造化をしやすくするなどの合理化措置により、大規模建築物等における被覆しない形での木材利用の促進を図ることとしております。

小林(茂)委員 昨年、公共建築物木質化法ができ上がったわけですが、これを民間にも適用するということであります。先ほどのお話にありましたように、見える化によって差別化をしていく、本物の木を使うということは、これは見る人が見れば分かるわけでありますので、そういった住宅の普及、建築物の普及を期待をしたいと思います。

 質問の三番目、これは大変重要なところでありますが、いわゆるウッドショック、これは現状どうなっているのか。

 目標達成のためには、エネルギー消費の抑制とともに、CO2吸収源の拡大、これは森林整備が必要であります。森林整備とは、計画的に伐採、そして植林を一定程度、一定サイクルで繰り返していくこと。これは、需要がないと、山から木が切り出されないということであります。今は海外の材に押されているということであります。

 また、新型コロナを機に、世界的に木材の入手が困難になったり、価格が急騰しておる、高騰している。いわゆるウッドショック、長期化をし、地域の工務店にも大きな打撃である。今後、海外の状況に左右されずに安定的に木材を確保するには、今、国産材の活用を進めるべきであります。

 川下側の工務店、ゼネコンによる木材利用を拡大するだけではなくて、川上側の林業、川中側の木材加工業による国産材の供給拡大を、川の上中下流を一体的に推進をする取組が必要であると考えております。

 林野庁、環境省、先ほど経済産業省もありましたけれども、関係省庁が連携をして木材利用の促進に取り組んでいく必要があると私考えますが、ウッドショックの現状、国産材の利用拡大、どのように取り組んでいくのか、お聞きをしたいと思います。

中山副大臣 ありがとうございます。

 先生、委員御指摘のとおり、昨年来のいわゆるウッドショックと呼ばれる状況については、木材の入手が困難となっていた状況は足下では徐々に改善されつつあるものの、木材価格は現在も高止まりし、引き続き注視が必要と認識しております。

 このような海外における木材需要や流通の状況の影響を緩和するためには、国産材が中長期にわたって安定的に供給されることが重要と考えております。

 一方、林業や木材加工に関わる事業者とすれば、国産材に対する需要が中長期にわたって安定的に発生することが見込まれない限り、供給拡大のための新たな投資や雇用を行うことは難しいとされております。

 したがって、住宅・建築物分野における木材利用の拡大と併せて、国産材を安定的に供給できる生産体制の整備を進める必要があり、これまでも林野庁と連携して各種施策に取り組んできたところであります。

 また、今般の建築基準の更なる合理化により、住宅、建築物における木材活用可能範囲が広がる結果として、木材需要が中長期的に拡大し、国産材の利用の拡大に寄与することを期待しております。

 今後とも、昨年改正された木材利用促進法に基づき設置された木材利用促進本部の枠組みを活用するなど、関係省庁と十分に連携を図りながら、国産材の利用の拡大に資する取組を進めてまいります。

小林(茂)委員 副大臣、ありがとうございました。

 最後の質問でございます。

 この日経新聞の記事、一番最後の段落のところに、木造率、これは中高層建築は一割以下である、低層だと三割に迫るとこの中の折れ線グラフに書いてあるわけでありますが、ちょっと長期的な視野で必要かもしれません、長期的な取組が必要かもしれません。中高層建築の木造率を高めるためにはどうしたらいいのか。

 例えば、十階建てビルの下半分を鉄筋コンクリート、上半分を木造にする、こういうことは可能でありますか。あるいは、事例はあるでしょうか。お尋ねしたいと思います。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、建築物における木材利用を拡大していくためには、現状、木造の割合が非常に少ない四階建て以上の中高層建築物における木材利用を促進する必要があると考えてございます。

 委員お尋ねの、低層部を鉄筋コンクリート造等とし、上層部を木造とするような取組、こちらも、実際の事例として、北海道札幌のホテルの事例も最近出てくるなど、そういう工夫した形で一部に木造を活用するというようなケースも登場してきてございます。

 このような中高層建築物における木材利用を促進する観点から、令和四年度予算におきまして、国土交通省として、普及拡大段階の木造化技術を活用したプロジェクトに対する特別の補助制度を創設するとともに、本法案において、大規模な建築物全体やその一部に、木材を被覆することなく用いることができる範囲を拡大する基準の合理化を盛り込んでいるところでございます。

小林(茂)委員 お尋ねしておきながら、ちょっと私も同時進行で調べてみたんですけれども、最近発売されたこの雑誌、名前はちょっと宣伝になるから言えませんけれども、この雑誌によれば、木造で十一階建てを造っている、全部木造で。あるいは、五階までを鉄筋コンクリートで造って、六階から上を木造にしてきたということなんですが、これは、建築単価を考えますと、十階建てぐらいのビルの坪単価が今、百万を超えているんですね、鉄筋コンクリートで十階建てぐらいだと、この辺りだと、東京だと。

 じゃ、木造はどうだというと、これは、私は奈良の住宅屋だったわけですが、先ほど元部下に聞いたら、坪七十万近くだと。結局、木造の方がそういう意味では安くついている。

 では、なぜこれは足したら高くなるのかというと、結局、この新聞にも書いているように、技術向上ですね。やはり数をやっていくと下がっていくということが言えるとは思うんですね。まあ、一概には言えないかもしれませんが、そういうことをちょっと話題にしておきたいと思っております。

 質問をした内容は今全て申し上げたわけでありますが、加えて要望的なことを少し申し上げたいんですが、なぜウッドショックが解消しないのかといいますと、理屈では分かるんですよ、ロシアから輸入しなくなった分を丸ごと何かに置き換えたらいいだろうというんですけれども、生産体制が整っていないし、川下の方でどれだけはけるか分からないのに、上の方で、あるいは中間で設備投資なんかできないですよね。その辺を思い切ってやれるかどうか。

 やっているところもありますね。私の記憶だと、福島、山口、熊本、長野あたりも多分やっていると思うんですね。何をやっているかというと、思い切って契約して、年間で例えば百戸やるとかいうことで、ある意味、山を丸ごと買う、こういうことでできているわけなので、一社で丸ごと買えなければ共同で買うとか、共同で乾燥機を造るとか、こういうことはできるわけであります。

 残り一分ほどになりましたので、ちょっと、こんなことをやっているという御報告をしたいんですが、私、健康、省エネを推進する議員連盟の事務局長を務めておりまして、余り知られていないんですが。この後質問に立たれる伊藤渉先生もこの議員連盟の副幹事長を務めておられます。この目的は、健康が入っているというところであります。

 省エネとは何のためかというと、地球規模で環境を守るということもありますけれども、造られた住宅が健康につながっていく、そうでなければやはり普及をしないわけですね。コストを抑えるということも大事ですけれども、より付加価値も上げていく、そういった機運を上げていくことが何より大事になるのかなということで、今日の質問の中にもありましたけれども、普及をさせるためには、宣伝も大事ですし、経産省さんにやっていただく、あるいは、外務省と一緒に、何か海外の方に逆に輸出できないかとか、そういったことも含めて、機運を高めていくことが大事ではないのかなと思っております。

 いろいろ申し上げたいことはありますが、質問時間が終了しましたので、以上で終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

中根委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、私からは、冒頭、さきの質疑でも行われておりましたが、知床遊覧船遭難事故につきまして、改めて、お亡くなりになられた皆様の御冥福を祈り、御家族並びに関係者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。また、現場で引き続き捜索活動に当たってくださっている皆様に、心からお礼と敬意を表したいと存じます。

 本件、観光船運航事業者のずさんな運航管理による、人災と言わざるを得ないような状況が日を追うごとに明らかになっていることは、さきの委員会でも様々御議論があったところでございます。

 また、昨年度の七月及び十月に監査を実施したにもかかわらず実態を見抜けなかったことは、国交省としてもじくじたる思いがあると推察をいたします。

 また、事故の三日前には、これも委員会でも指摘がありましたけれども、日本小型船舶検査機構が中間検査を実施、残念ながら、ここでも通信手段の不備や定点連絡等の徹底不足に気づけてはいないと。真に安全性の確保、向上に資する監査及び検査等の在り方についても検討を進めていることと思います。

 また、法違反の抑止になるような厳しい罰則規定等の対応も必要になってくるでしょう。

 一方で、適正な安全運航に努力している事業者への適正な評価、また、そうした実態が利用者に分かりやすく見える化をされていくこと、こうしたことも重要になってくるのではないかと考えておりますけれども、中山副大臣の現時点のお考えをお伺いしておきたいと思います。

中山副大臣 今次の痛ましい事故を二度と起こさないためには、国による監査や検査の在り方について、事故の抑止力となるよう、その実効性を高める見直しを行っていく必要があると考えております。

 監査においては、書面による確認にとどまらず、第三者への聞き取りや裏づけ事実の確認を行うとともに、改善状況を継続的に確認し、また、検査においては、監査によって得られたネガティブ情報を活用して徹底検査するなどにより、真に事故の抑止力となる制度へ見直してまいります。

 また、安全を最優先に取り組んでいる事業者が利用者から正しい評価を得られるよう、また、利用者が違反者のネガティブ情報に容易にアクセスができるよう、安全情報の見える化を進めてまいります。

 本日午後開催する第二回知床遊覧船事故対策検討委員会においても、まさにこれらの点について国土交通省の考え方を御説明し、有識者に御議論いただくこととしております。こうした検討を踏まえ、必要な措置をしっかりと講じてまいりたいと存じます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 斉藤大臣を中心に、副大臣を始め政務の皆様の引き続きのリーダーシップを是非ともよろしくお願いをしたいと思います。

 続いて、法案審査でございます建築物省エネ法等改正案について質問をしていきたいと思います。

 これまでございましたとおり、二〇三〇年の温室効果ガス、二〇一三年度比四六%を目指し、昨年十月の地球温暖化対策等の削減目標の強化、その結果として、建築分野の省エネ対策の徹底、吸収源対策としての木材利用拡大等を通じて、脱炭素社会の実現に寄与することを目的として本法案が改正をされます。

 それで、まず最初は、林野庁の方にもお越しいただいておりまして、まさに吸収源対策の根っこと私は思っているんですけれども、林業についてお伺いをしておきたいと思います。

 持続的な林業経営を行うためには、再造林のコストダウンを行うことも必要ですし、再造林、要するに、伐採して出た後の山に木を植えるということですけれども、再造林が可能な適正価格での取引が継続的に続くことも必要でありますし、また、これまでありましたとおり、ウッドショックと呼ばれる状況下において、できることであれば国産材を使いたいという声も増えてきております。これはもう御存じのとおりだと思います。また、さらに、木質バイオマス発電所の建設の増加の中で、丸太の需要も高まってきています。

 こうした中、国産材の需要は増えておりますが、その多くが安い価格での木材需要となり、需要の増加が原木価格の上昇につながっていないという指摘、これは長らくございます。

 二〇二一年三月からの外材に端を発したウッドショックで、例えば、国産、ヒノキの原木価格は一立米当たり四万円を超えたこともございますが、杉はそれほど上昇しておりません。山元に戻ってくるお金は世間の印象ほど多くありませんで、今言ったヒノキのような価格帯でやっと再造林が可能になるレベルというふうに山元の方からはお伺いをしております。

 また、それは、山からの収益というものを考えたときに、伐採費用と造林費用が賄える価格であれば黒字という考え方を前提にしておりますが、実際に山を持っている方のお話を聞くと、その切った木は、勝手に自然に育ったものではなくて、多くの先人の皆さんの植林や下刈りなどによる努力の結晶であって、それ以上のコストがかかっている、そこを分かってほしい、こういう声がございます。

 木材は、国際商品であり、外材や安価な代替品との競争関係にあるため、価格を上げづらいとも言われますが、価格が上昇しても利益を享受できず、価格が下がれば真っ先にダメージを負うという状況が続けば、今後、健全な山を管理しようとしている山林所有者の再造林意欲の低下につながりかねないとの指摘がございます。

 その意味で、まさに吸収源対策の根っこだと思っているものですから、質問をさせていただいております。

 この原木価格について、厳しい時代が続く中、需要を増やし、木に付加価値をいかにつけていくかという観点の重要性に加えて、山林所有者、森林組合、素材生産者と連携し、製材業、工務店など川下側に対してウィン・ウィンとなるような関係を構築していくことが重要であることはかねてから議論をされているところでございますけれども、現状認識と政策の方向性について林野庁にお伺いをしたいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 国産材の安定供給のためには、燃料材などと比べまして取引単価の高い建築用木材等の利用促進や木材製品の高付加価値化を図るとともに、素材生産や原木流通コストの縮減を図ることによりまして、森林整備や再造林の促進に必要な山元への還元も含めまして、川上から川中、川下までの相互の利益を拡大していくことが重要と考えてございます。

 このため、林野庁といたしましては、川上から川下までの事業者が連携した木材供給体制の構築が重要と考えておりまして、安定供給協定の締結等を推進しているほか、川上から川下まで幅広く様々な関係者が木材等の需給情報の共有を図ることや、生産、流通における地域ごとの多様な課題を解決するための取組への支援、こういったことの対策を令和四年度当初予算においても措置をいたしているところでございます。

 こうしたことを通じまして、川上から川下までの相互利益の拡大を図りまして、国産材の安定的な供給体制の構築を進めてまいる考えでございます。

伊藤(渉)委員 森林政部長、ありがとうございました。

 まさに様々な取組、進めていただいていることも承知をしておりますし、一方で、それでもなお再造林ができていない山も残念ながら増えているのも実態だというふうに理解をしております。

 引き続き、我々も努力をしてまいりますし、林野庁としても更なる御努力をお願いしておきたいというふうに思います。

 部長、ありがとうございました。林野庁様にはこれ一問で終わりでございます。これで離席していただいて結構でございます。

 続いて、国交省、お伺いをいたします。

 本法案は建築基準法の改正も含まれておりまして、先ほど小林先生からもありましたけれども、既に世の中には木造高層ビル、これが登場しておりまして、設計、建設が進んでおります。

 今回の法改正の中で、大きく我々が紹介されているのは三つありまして、一つは、三千平米超の大規模建築物の全体の木造化の促進、また二つ目は、大規模建築物における部分的な木造化の促進、また三つ目が、低層部分の木造化の促進といったもの。

 今回の法改正によって、これまで以上に様々な形態の木造建築物が増加をしてくる、これが期待をされております。是非、住宅局長には、これまでになかった、こんな木造建築物が登場する可能性がある、そんなイメージが浮かぶような少し御答弁をお願いできればと思います。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、本法案では、関連技術開発成果等を踏まえまして、三千平方メートル超の大規模建築物の全体の木造化の促進、大規模建築物における部分的な木造化の促進、低層部分の木造化の促進に向け、防火関連規定の合理化を講じることといたしてございます。

 これらの措置が活用されることにより、例えば、比較的小規模な単位で防火的に区画される共同住宅や高齢者向け施設、ホテル等の木造化、メゾネット形式のマンション住戸内や商業施設の最上階のホールなどにおける部分的な木造化、高層建築物に附属する低層のホール部分、例えば高層オフィスビルに附属する低層の商業施設部分、こういう部分についての木造化が木を被覆しない形で可能となり、木のよさが実感できる空間として紹介され、同様の取組が広がっていくということを期待してございます。

伊藤(渉)委員 今局長、最後におっしゃっていただいたとおり、これまでは耐火性能等の問題がありますので、木造なんですけれども、そのためにいろいろ被覆が施されていて、いわゆる木造という感じを受けにくい建物があった、そこが変わってくるということを最後にお述べいただきました。

 木材というのは非常にストレス解消にもいいという研究もありますし、そういった建物が今後増えてくるように、引き続きの取組をお願いしたいと思います。

 続いて、木造建築物、いわゆる木造高層ビルとなってくると大工さんというイメージとはちょっと変わってくるとは思うんですけれども、大工さんを含めて、かねてから建設業界の人手不足が問題になっております。二〇二四年からは働き方改革が始まりますけれども、これに向けての準備、これは極めて重要であると思います。

 今日は一つだけ、一問だけですけれども、この技能者の確保、育成、並びに二〇二四年からの働き方改革に向けての取組、現状についてお伺いをしておきたいと思います。

長橋政府参考人 先生御指摘のとおり、建設業は他産業を上回る高齢化が進んでおりまして、近い将来、高齢者の大量離職が見込まれることから、担い手の確保というのが喫緊の課題でございます。また、二〇二四年度からの罰則付時間外労働規制の適用を見据え、実効性ある働き方改革の推進が急務と考えております。

 このため、具体的には、処遇改善のためには、賃金水準の引上げあるいは建設キャリアアップのシステムの普及促進といったこと、さらに、週休二日の確保など、働き方改革を進めるための工期の適正化等の推進、加えて、建設プロセス全体におけるICT活用、インフラ分野全体のDXなどを通じた生産性の向上などに取り組んでおります。

 特に、技能者の賃金水準につきましては、国土交通大臣と建設業団体のトップが定期的に直接意見交換を行うなどをしまして、官民一体となって賃金引上げの取組を行い、本年三月から既に適用してございます新たな公共工事設計労務単価については、十年連続の引上げを行いました。

 また、週休二日の確保につきましては、直轄土木工事においては原則週休二日対象工事として発注しておりますが、その際、週休二日の確保に必要な経費の補正を行っております。また、地方公共団体に対しましても、このような取組の周知啓発に努めているところでございます。

 国土交通省としては、関係業界等と連携しながら建設業の働き方改革をしっかり推進し、担い手確保に向けた様々な取組について進めてまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 特に、民間発注の工事に今のような取組を広げていただくことが重要だと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 これで最後にします。

 観光産業の進展に伴って、今大変御苦労いただいているわけですが、古民家の利用ニーズ、これが高まっています。その再生ということがクローズアップされる中で、伝統構法を用いた小規模木造建築物等の構造計算、この適合性を審査する手続の合理化ということが今回実は含まれておりまして、具体的にどのような合理化を考えているのか、他方、合理化した上で構造の安全性はどのように担保されると理解しておけばよいか、最後に御答弁を求めて質問を終わります。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 大規模な建築物や伝統構法など特殊な構法を採用した建築物につきましては、高度な構造計算により構造の安全性を確認する必要がございますので、この構造計算の妥当性に関し、建築確認における審査に加えまして、構造計算適合性判定による複層的な確認を求めているところでございます。

 今回の法案による見直しは、構造や計算内容の妥当性が比較的容易に判定できる小規模な建築物のうち、一定の条件を満たすものにつきまして、構造計算の適合性判定による複層的な確認を要しないこととし、建築確認における審査のみとすることによって、手続負担の軽減を図るものでございます。

 この手続の合理化対象といたしますのは、設計時に構造の専門家、いわゆる構造設計一級建築士が関与し、専門知識を有する者、いわゆる構造計算の適合判定資格者が建築確認において審査を行う場合としており、このように構造の専門的な知識を有する者が申請側、審査側双方で関与することにより、構造安全性を十分に確保できると考えております。

伊藤(渉)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

中根委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中根委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高橋英明君。

高橋(英)委員 日本維新の会の高橋英明でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、建築分野のエネルギー消費に関してですけれども、建築分野が我が国のエネルギー消費量の約三〇%を占めているというんですけれども、この根拠をちょっと教えていただきたいんですが。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 資源エネルギー庁が公表しております二〇二〇年度エネルギー需給統計によりますと、建築物において活動が展開される業務その他部門、家庭部門における最終エネルギー消費量の合計は、二〇一九年度において三千九百二十ペタジュールとなっており、これは、我が国全体の最終エネルギー消費量の一万二千九百五十六ペタジュールの約三割を占めております。

高橋(英)委員 これは、住宅のみならず、オフィスとか非木造とか全部だと思うんですけれども、今回何となくちょっと住宅に注目が集まっているんですけれども、これは、住宅のみでしたら、何%ぐらいになるんですか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 家庭部門は、千八百二十ペタジュールということで、一四%に当たります。

高橋(英)委員 全体の一四%程度ということですけれども、まず、過度に住宅を対象にすると、やはり建築コスト等々も上がってくるのかなというふうに思うんですけれども、建築コストが上がると、当然、エンドユーザーへの価格も上がってくるのかなというふうに思います。

 そうなってくると、なかなか住宅を取得するのが難しくなってくるということも考えられるというふうに思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

斉藤国務大臣 新築住宅の省エネ基準への適合率は、二〇一九年度時点で約八割となっており、基準に適合した住宅が一般化している、新築の場合はもう八割、一般化している状況にございます。

 省エネ基準に適合させるために必要となる追加コストについても、一定の条件の下での試算によりますと、建設費の一%未満となっており、住宅取得者の大きな負担となるものではないと考えております。

高橋(英)委員 本当に一%未満なのかなとちょっと疑問なんですけれども、まあ、分かりました、そんな負担にならないという、現状では試算なのかなというふうに思います。

 でも、これは全体の一四%ということですけれども、やはり全体を考えると、約半分が製鉄所だとか電力会社だとか、そういったものが占めるのかなというふうに思いますけれども、どちらかといえば、そちらの対策の方が本当に急務だというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

山下政府参考人 二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度四六%削減目標は簡単なものではございませんで、御指摘の産業部門あるいは電力部門、これも含めて、日本の総力を挙げての取組が重要だと思ってございます。

 電力は、全ての社会経済活動を支える土台です。すぐに使える資源が乏しくて、自然エネルギーを活用する条件が諸外国と異なる我が国におきまして、SプラススリーE、すなわち、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合の全てを満たす完璧なエネルギー源が存在せず、今後の技術開発などの不確実性があることを踏まえれば、再生エネルギー、原子力、火力、水素、CCUSなど、あらゆる選択肢を追求し、電力分野の脱炭素化を進めていく必要があると思ってございます。

 御指摘の産業部門につきましては、徹底した省エネを推進していくのは当然でございまして、例えば、これまでガスを使っていたプロセスを、脱炭素化された電力に変えていく形で電化することができる分野については、電化を進めていく必要があると思ってございます。

 一方で、電化が困難な熱需要とか製造プロセスにおきましては、水素、アンモニアの利用とか、あるいは革新的技術の実装など、イノベーションを追求し、脱炭素化を進めてまいりたいと思っております。

 そうした中で、御指摘の鉄鋼業につきましては、脱炭素化に向けて、鉄鉱石を還元いたしますのにこれまで石炭を使っておりましたが、これを水素を使ってやるという水素還元製鉄技術というものがございますが、これはまだ実用化していない極めて難しい技術でございます。こういったことにチャレンジをしていく必要があるところでありまして、現在、必死に取り組んでいるところでございます。

 鉄鋼業を含みます産業部門の脱炭素化に向けて、グリーンイノベーション基金を活用するなど、政策ツールを総動員して、早期のイノベーションの実現を図っていきたいと思ってございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 今お聞きしていますと、原発も含めて、やれることは何でもやっていくというお考えでよろしいんでしょうか。

山下政府参考人 総力を挙げて取り組んでいこうと思ってございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。分かりました。

 では、次に、省エネ基準適合についてお伺いをしたいと思います。

 これは現場の声なんですけれども、現在でも、省エネ基準の設計等々を行うと、それに伴う計算手間だとか費用がかかってくるんですけれども、これが反映されていないというのが現場の声が非常に多いんです。

 そこで、これ以上の負担をかけるのであれば、基準として、何か費用基準みたいなのを国で決めた方がいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 建築士法第二十五条の規定に基づきまして、建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準を定めてございます。設計受託契約を締結しようとする者は、この基準に準拠した委託代金とするよう努めることとされております。

 当該基準におきましては、建築物の設計等に係る報酬の算定方式として、個別に費用を積み上げる方式のほか、建築物の用途、規模等に応じた標準的な業務量を規定し、この業務量に各事務所の人件費単価を乗じることにより業務報酬を算定する略算方式を規定しております。

 この略算方式に用いる標準的な業務量については、現場の実態を適切に反映するよう定期的に見直すこととしており、前回の二〇一九年一月の改定から一定期間が経過していることから、現在、中央建築士審査会及び基準検討委員会におきまして改正の検討作業を進めているところでございます。

 改正に当たりましては、設計業務の中で建築物の省エネ性能を評価することを前提に標準業務量を設定することとしてございます。

 基準の改正に向け、近日中に実態調査を開始することとしており、当該調査の結果を踏まえて、省エネ関連の業務の実態が適切に反映されるよう、検討を進めることとしております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 今、改定という話がありましたけれども、じゃ、今回の省エネ基準に関しても、これは上がってくる可能性があるということですか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま申し上げました業務報酬基準におきましては、用途、規模ごとの標準業務量を設定する仕組みになってございまして、その業務量を設定する際の参考となるデータを、今後、実態調査を行って集めることとしております。

 その実態調査の際には、きちんと省エネの対応が設計上なされていることを前提に、その業務量を含んだ形で回答をお願いするという予定にしてございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 是非きちんと実態を把握していただいて、やはり中小企業だと、実際に、仕事量に対してなかなか費用が反映されてこないというのが多々あるので、是非ともこれは実態把握をしっかりとお願いをしたい。そしてまた、でき得る限り費用に反映されるようにお願いをしたいというふうに思います。

 では、次に、トップランナー制度についてお伺いいたします。

 このトップランナー制度、これは対象業者というのはどのような選定になってくるのか、お願いします。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅トップランナー制度は、大手事業者を対象として、新たに供給する住宅について、平均的に省エネ基準を超える一定の水準の基準を定めることにより、省エネ性能の向上を誘導する仕組みでございます。

 現行制度上、分譲の戸建て住宅、注文の戸建て住宅、賃貸共同住宅の三区分が対象となっており、対象事業者につきましては、それぞれ区分ごとに、年間供給戸数の合計が、それぞれの区分の住宅の年間供給総戸数のおおむね半分程度となるよう設定してございます。

 具体的には、分譲戸建て住宅については年間百五十戸以上、注文戸建て住宅については年間三百戸以上、賃貸共同住宅については年間一千戸以上を供給する事業者が対象とされております。

高橋(英)委員 このトップランナー制度に選定された業者というのは、今後、どの程度の省エネを求めていくのでしょうか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 この大手事業者に適用されるトップランナー基準でございますけれども、現在対象となっている分譲の戸建て住宅、こちらにつきましては、二〇二〇年度以降に供給する住宅について、省エネ基準より一五%減、注文戸建て住宅は、二〇二四年度以降に供給する住宅について、省エネ基準より二〇%減、賃貸共同住宅は、二〇二四年度以降に供給する住宅に関し、省エネ基準より一〇%減の水準を平均的に満たすことを求めております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 何となく、こういう法案ができると、ハウスメーカーとかのパッケージ住宅にぴったり合っているような感じが非常にするときが多いんですけれども、こういった五〇%、半数以上ですか、残りの半数が中小になるんだろうというふうに思いますけれども、こういった線引きをすると、中小工務店、企業への影響というか、締めつけみたいなものにはならないんでしょうかね。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅トップランナー制度は、大手の事業者に対して、基準よりも平均的に高い水準の省エネ性能の住宅の供給を求めるという制度でございます。

 結果的に、市場の半分くらいを占める事業者が高い水準の住宅を供給することによって、対応する設備、機器等の高度化、一般化、標準化が図られることで、量産効果によって、その商品の低コスト化が図られる結果として流通品の低コスト化がもたらされて、中小事業者についても、そのような製品を活用して、高性能な住宅の供給がやりやすくなるということを期待しているものでございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 どうもイメージ的に、こういうのができると、やはりメーカーのパッケージ的な部分が非常に有利になるのかなというのが否めなくて、そしてまた、このトップランナー側に選ばれた住宅、そういったものには、例えば住宅ローンに対しての優遇がほかとは違うとか、そういう優遇措置みたいなのもあるんですか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 トップランナー制度は、供給する住宅について平均的に高い水準を求めるというものでございまして、そのトップランナー制度の対象となった事業者について、特別の優遇措置を設けるというものではございません。

 どういう事業者かにかかわらず、例えば住宅ローン減税の場合には、省エネ性能の高い住宅を購入した方については借入限度額を引き上げるなど、購入者側の立場に立って、性能の高い住宅を購入される消費者には、より高い借入限度額を適用するという仕組みになってございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 要は、購入する消費者にとって優遇があるということですね。じゃ、やはり何となく、イコール、ハウスメーカーが有利になってくるのかなという気がしてしようがないんですけれども。まあ、これ以上はやりませんけれども。

 次に、構造規制の合理化、これについてちょっとお聞かせ願いたいと思いますけれども、まず、四号特例に関して、念のため、教えていただけますか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 建築基準法におきましては、基準への適合性を審査、検査するため、工事着手前の建築確認や、工事完了後の完了検査の手続を定めております。

 一九八三年の建築基準法改正におきまして、当時、建築行政職員の体制が限られる中で、建築確認や完了検査に実態上十分に対応することが難しかったこと等を背景に、審査省略制度、いわゆる四号特例が導入されました。

 具体的には、都市計画区域内の二階建ての木造建築物など、現行の建築基準法第六条第一項第四号に規定する小規模な建築物につきまして、建築士が設計、工事監理を行った場合には、建築確認や検査の際に、構造安全性の基準など一部の規定の審査、検査が省略されることとなっております。

 その後、一九九八年の法改正により、建築確認、検査を民間の指定確認検査機関により対応可能として以降、審査側の体制は充実してきているところでございます。

 本法案に基づく建築基準法の改正では、建築確認時の審査省略対象物件における構造規定の違反事案の発生を踏まえ、消費者が安心して二階建ての木造建築物を新築、改修できる環境を整備するため、審査省略制度の対象範囲を縮小し、二階建ての木造建築物につきましても、建築確認、完了検査により、構造基準等への適合性を確保することとしております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 要は、不正だとか偽装だとかというのが出てきちゃったので、きちんと審査をしましょうというものだというふうに思うんですけれども、今回の構造規制の合理化というのは、やはりそういった審査を合理化していくということで、この四号特例と逆行するのではないかと思うんですけれども。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 本改正における構造規制の合理化につきましては、現行制度上、高度な構造計算により構造安全性を確認している高さ十三メートルを超える三階建ての木造建築物等につきまして、高さが十六メートル以下であれば、一定の条件に適合する場合は、簡易な構造計算により安全性を確認できることが技術的に検証されたことを踏まえ、合理化を図るものでございます。

 今回の構造規制の合理化は、元々、四号特例に基づく審査省略の対象とならない構造計算を要する建築物について、構造計算に係る規制を合理化するものでして、必要な安全性の確保が引き続き担保される点におきまして、審査省略制度の対象を見直す趣旨と相反するものではないと考えております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 では、確認ですけれども、四号特例のものとはまた別だということの答弁だと思うんですけれども、それと、十三メーターまでの構造計算をきちんと今まではやっていた、十六メーターになっても、省略するのではなくて、それをきちんとやるということでよろしいですか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 三階建ての建築物の場合には、現在も、高さが十三メートル以下であっても構造計算が必要になってございまして、その構造計算の方法は変わらないんですけれども、少し高さが、十六メートル以下というふうに大きくなってくることで、階層間のバランスを少し確認していただくという一定の付加的な確認をしていただくことで、同じ構造計算方法で安全性が確認できるということが技術的に立証が行われましたので、合理化を図るものでございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 では、午前中の最後にも質問がありましたけれども、私からも、伝統構法の構造計算の適合性の審査手続の合理化、これをちょっと具体的に、再度教えていただけますか。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 大規模な建築物や伝統構法などの特殊な構造方法を採用した建築物は、高度な構造計算により構造安全性を確認する必要がありますので、構造計算の妥当性に関し、建築確認における審査に加え、構造計算適合性判定による複層的な確認を求めております。

 今回の見直しは、構造や計算内容の妥当性が比較的容易に判定できる小規模な建築物のうち、一定の条件を満たすものにつきまして、構造計算の適合性判定による複層的な確認を要しないこととし、建築確認における審査のみとすることによって、手続負担の軽減を図るものでございます。

 合理化の対象といたしますのは、設計時に構造の専門家が関与し、専門知識を有する者が建築確認において審査を行う場合としており、このように構造の専門的知識を有する者が申請側、審査側双方で関与することにより、構造安全性を十分に確保できると考えております。

 本合理化により、一部の仕様が仕様規定に適合しないことにより構造計算適合性判定が必要になっている伝統的構法等による小規模木造建築物等の整備が円滑化され、地域の木造建築文化の継承に資すると期待しております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 構造計算の一級建築士と、審査する側もそれのスペシャリストだったら省くということだと思うんですけれども、普通の一級建築士がやっていた場合でも、結局、多分、構造一級建築士に頼んでいたと思うんですね。結局、何か合理化になるのかなと甚だ疑問なんですけれども。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 現行制度上は、建築確認の手続とは別の手続として、建築確認を行う建築主事あるいは確認検査員とは別の構造判定の資格者が、この構造計算適合性判定を別の者、別の機関が行うという複層的な手続が発生しておりますけれども、それを建築確認手続のみで審査が行えるようにするということで、手続の負担は相当程度軽減が行われると考えております。

高橋(英)委員 分かりました。ありがとうございます。

 次に、炭素貯蓄の効果についてちょっとお聞きしたいんです。

 こちらの資料に、大断面の木材を使うというふうに書いてあるんですけれども、集成材だと思うんです。集成材というのは接着剤で圧縮していくものだと思うんですけれども、これは、無垢材と貯蔵効果というのはどの程度違うのか、お聞かせください。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 木材利用の促進に当たりまして、木材の炭素貯蔵効果を見える化し、対外的に示せるようにするという観点から、林野庁におきましては、昨年十月に、建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の標準的な計算方法や表示方法を示すガイドラインを公表してございます。

 このガイドラインにおきましては、集成材については、木材を製材したラミナを積層した製品であるということから、炭素貯蔵量の計算に当たりましては、製材と同様の密度を用いて差し支えないこととされてございます。

 具体的には、建築物において利用された木材の炭素貯蔵効果について計算する際には樹種や材積に応じて求めることになりますけれども、樹種や材積が同じであれば、集成材と無垢材で炭素貯蔵効果の違いはないということでございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 実は、昨日聞いたので分かるんですけれども、でも、接着剤でべたべたべたべたくっつけた集成材と普通の無垢の木が同じとはどうしても思えなくて、要は、無垢材は呼吸をしているわけじゃないですか。集成材というのは呼吸をしているとはとても思えないので、ちょっと聞いてみたんですけれども、これ以上聞いても恐らく答えられないと思うのでやめますけれども、是非、できれば無垢材を積極的に使用するように言っていただければありがたいなというふうに思います。

 でも、無垢材になると、やはりスパンが飛ぶと、集成材に比べて、非常に大きくなってしまうので、不都合も出てくるのかなとは思いますけれども、でき得る限りその方向でやっていただきたいなというふうに思います。

 そして、国産材の使用について聞きたいんですけれども、今、ウッドショックとかで非常に木材が高騰しているんですけれども、国産材は、現在どの程度使用されているのか、お聞かせください。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の建築用の木材需要につきましては、約半分が国産材、残りの約半分が輸入木材で賄われてございます。

高橋(英)委員 これは意外に多いなと実は思っていまして、五〇%、国産材が使われているということですけれども、これは、年々やはり使用度は上がっているんでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 木材の自給率は、トータルで見ますと、これは建築用木材だけではなくて、その他様々の用途、燃料材なんかも含めてでございますけれども、ここ二十年ぐらい、年々向上しているという傾向にございます。

 ただ、建築用木材に占める国産のシェアというところは余り変わっていないというのが現状でございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 特に、ロシアが今ああいう状況なんですけれども、ロシア材というのは主に何に日本では使われているのか、教えてください。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 ロシアからの木材輸入につきましては、六百億円余り昨年度は輸入してございますけれども、多くが製材品として、住宅等を造る際の下地材と言われている部分に使われていると承知しております。

 また、合板を作る際に、薄い板を接着して作るのでございますけれども、その薄い板である単板と言われるもの、こういったものがロシア産の木材で輸入があるというふうに承知してございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 それは、国産材で今後は賄えるような形になるんでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの点は、今般のロシア・ウクライナ情勢を踏まえまして、本年三月九日から、ロシアが非友好国に対して一部の木材の輸出禁止を実施するということになりまして、我が国におきましてロシアから輸入していた、先ほど申し上げた単板でございますけれども、について輸入ができないという状態になっている、こういったことを背景に御質問かと思いますけれども、こういったことで、ロシアからの材の輸入ができなくなるということに伴いまして、代替材の調達の必要性が生じるなど、特に、合板の需給にも影響が出始めているところと承知してございます。

 現在、国内のメーカーは、これを国産の原料への切替えというようなことを努力をいたしてございまして、これに対して、国といたしましても、先般、この度の総合緊急対策の中で、予備費を活用いたしまして、国産材製品の増産に伴う原木や製品の運搬また一時保管、こういったことに要する経費でございますとか、国産材製材品への転換を図るための設計や施工方法の導入、普及、こういったものに必要な経費への支援を措置いたしているところでございまして、こういったことも活用しながら、早期の国産材への転換と、国産材の安定的、持続的な供給体制の構築に向けて取り組んでまいる考えでございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 こういった法案が出てくると、どうしても大手企業向けに思えてしようがございません。くれぐれも、この法案改正しかり、今後の政策に関しても、中小企業、エンドユーザーに負担がかからないようにお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中根委員長 次に、山本剛正君。

山本(剛)委員 日本維新の会の山本剛正でございます。

 私はちょっと体が大きくて、大体部屋の温度を二度ぐらい上げてしまうので、そういう私が省エネのことを言うのは言語道断と言われそうな気がするんですけれども、やはりこの法案は非常に重要ですし、進めていかなければならないと私も思っています。方向性は非常にいいので、当然賛成をさせていただくんですけれども、先ほど来、例えば、法制局のあれが甘いんじゃないかとかが枝野さんから出たり、条文のたてつけがちょっと悪いんじゃないのかということがありましたけれども、私も同じ思いでございます。

 小宮山先生が、本来これは保留だったのが急に出てきたということで、法案がですね、急にというか、我々は余りこれで審議する時間がなかったんですけれども、中身を見てみますと、急に作って、えいやとやってしまえという部分がちょっと散見されるんですよね。せっかく方向性はいいのに、たてつけが悪い。そもそも論として、これではちょっと立法府ではやはりこれは認められない。

 例外規定とかもあるわけでありますけれども、本来、法律のたてつけでしっかりやればいいにもかかわらず、なぜ例外規定を設けて、その例外規定を立法府の我々にこれを審理してくれと言うのかというのは、僕には余り理解ができないといいますか、ちょっとおかしいのではないかな、もうちょっときちっと作ってくれれば、もっともっと私はいい法律になるんじゃないのかなという思いがしております。

 そういった中で、まず、斉藤大臣にお尋ねをさせていただきたいと思うんですけれども、改めてなんですけれども、法律の意義と、これはどの程度の省エネ効果、環境負荷軽減を見込んでいるのかをちょっとお尋ねをしたいと思います。

斉藤国務大臣 まず、法律の意義でございますけれども、気候変動問題に対応して、国家目標として、二〇五〇年カーボンニュートラル、また二〇三〇年度目標がございます。それを達成するために、建築物分野で最終エネルギー消費量の三〇%が出されている、また、住宅では一六%ということも先ほどの議論で出てきておりました、ここを削減していくということが非常に重要である、また、その中で木材が果たす役割も大きい、こういうことで木材利用の促進を図る、これが今回のこの法律の意義でございます。

 このことによってどういう効果があるのかという二点目の御質問でございますけれども、省エネ効果、環境負荷軽減効果については、本法案における各種措置を講ずることに加え、財政上、税制上の措置を講ずることにより、昨年十月に改定された地球温暖化対策計画において、二〇一三年度からの対策の進捗により、建築物分野における二〇三〇年度の省エネ量として約八百八十九万キロリットルを見込んでおります。全体が六千数百だったと思いますけれども、その中で八百八十九万キロリットルの省エネ量を見込んでおります。

 先ほど、家庭部門で、私は一六%と言いましたけれども、一四%でございました。失礼いたしました。

 そういう効果を見込んでおります。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 この委員会でも、二〇三〇年四六%減、そして二〇五〇年のカーボンニュートラル達成ということはずっと言われているわけで、これはもう本当に全ての分野でやっていかなければならないし、この数字自体がそもそも野心的な目標であるということは変わりないわけでございまして、その中で、全ての政策を総動員するということは当然のことであろうかというふうに思います。

 効果についても、なかなかのボリュームを占めているなという、今、八百八十九万キロリットルという数字が出ましたけれども、それだけのものを見込めるのであれば、やはり更にそれを増やしていけるような施策を進めていかなければならないというふうに私は今考えました。

 元々の筋論みたいなところをちょっとお話をさせていただきますが、高さ制限とか容積率とか建蔽率というのは、そもそも何のために設けられているのかというのをちょっと御説明いただきたいと思います。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 第一種低層住居専用地域等内における建築物の高さの制限は、日照や採光などを確保することにより、低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため、都市計画において建築物の高さの限度を定めているものでございます。

 一方、敷地面積に対する延べ面積の比率を表す容積率は、建築物の密度を規制することにより、建築物から発生する交通量等と道路等の公共施設の処理能力等とのバランスを保つことを目的として、都市計画において上限が定められております。

 そして、敷地面積に対する建築面積の比率を示す建蔽率は、敷地内に一定程度の空地を確保することにより、採光、通風等の市街地の環境を確保すること等を目的として、都市計画において上限が定められているものでございます。

山本(剛)委員 例えば、これで、じゃ、太陽光パネルを置いたら容積率とかなんとかが上がりますよみたいな話をすると、そもそも、例えば通行量とかそういったものに影響が及ぶのではないかなということもありますし、防災の観点からこういったものをやはりきちっと守っていく。例えば、防火対策とか、やはり隣接をしているとそれだけ延焼をしてしまうというようなこともありますので、延焼対策のためになっているとするならば、ここはやはり本当にきっちりと基準を私は守っていかなければならないんだろうなと。

 しかし一方で、この建築基準法はそもそも昭和二十五年にできている法律でございますから、当然、当時よりは、防火対策の、例えば材料とかそういったものもどんどん変わっているわけでございます。

 だから、そういった安全を担保されたものであればいいと思うんですけれども、最近は、例えば、容積率も建蔽率も高さ制限もそれは重要なんですけれども、安全性という部分で考えたら、今、壁に太陽光パネルとかを張れるんですよね、そういう技術があるじゃないですか。そうすると、安全面で考えると、例えば、建物の横にだあっと太陽光パネルをもしつけるような方がいて、反射光とかで事故が起こってしまう可能性とかというのもやはりこれから考えていかなきゃいけないと思うんです。

 だから、時代の変遷とともに新たな価値観が生まれている、また新たな技術が生まれている中で、こういった高さ制限、容積率、建蔽率のみならず、様々な考え方をやはり持っていって、まずは国民の皆さん方の生活の安全というものを私は図る必要があると思いますけれども、そういったことをしっかりとこの法律の中で守られているのかどうかということをこれからちょっと話をしてまいりたいなというふうに思っております。

 その前に、もう一点お伺いしますが、形態規制の合理化なんですけれども、先ほど申し上げた建築基準法の改正が、二〇一八年に改正されて、二〇一九年に施行されたんですかね、ここでは、耐火建築物、準耐火建築物は、接道規制の強化を条件に、建蔽率が緩和をされたわけでございます。つまり、道路が、しっかり規制をすることで、少しぐらいはそれを緩めてもいいよ、例えば角地だったらいいよとか、そういったことだというふうに認識をしております。

 この建築基準法のそもそもの理念というものは、国民の生命、健康、財産の保護を目的とした、建築物の敷地、設備、構造、用途などに関して最低限の基準を設けたものなんですね、元々は。ですから、最低限の基準の上にいろいろなものを乗せていって今の考え方がいろいろあると思うんですけれども、先ほども申し上げた、安全が担保されている中での緩和はいいんです。ただ、今回は省エネのために緩和をするということでありますから、これで本当にいいのかということは、ちょっとどう考えられているんですか。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 形態規制の合理化につきましては、委員御指摘のとおり、例えば、二〇一八年の建築基準法の法改正によりまして、密集市街地の不燃化等を推進する観点から、防火地域内の耐火建築物に加えまして、準防火地域内の準耐火建築物や同等以上の性能を有する建築物につきまして、建蔽率を緩和する措置を設けてございます。

 一方、本法案による特例許可制度は、省エネ改修等により、高さ制限や建蔽率、容積率に抵触することが建築物の構造上やむを得ない場合に限定して、市街地環境を害さないことを個別に判断しつつ、特定行政庁が許可を行うことにより、必要最小限の範囲で高さ制限等を超えることを可能とするものであり、高さ制限等が保護する法益は担保されるものと考えております。

 本特例措置の活用を通じまして、市街地環境の確保と両立した形での既存建築ストックの省エネ化を推進してまいりたいと考えております。

山本(剛)委員 僕が聞いていることとちょっと違うんですよ。

 要するに、安全が担保されて、それだったらいいよということで、基準を設けて、建蔽率の緩和をするのはよしとしましょう。しかしながら、それは安全が担保されているから。でも、省エネのために、今、構造上やむを得ないものとかとおっしゃいましたけれども、それは後からやりますが、省エネのためだけに本当に緩和することというのはいいんですか。

 例えば、省エネ設備を置いたら、それが崩れて落下するかもしれないとか、様々な安全上の問題というのは出てくると思います、もちろん、それはきちっとやるんでしょうけれども。例えば、火災になったときにそこが燃えるということもあると思いますし、安全面をおろそかにしているんじゃないの、安全面をおろそかにしてまで建蔽率の緩和とかをやっていいのかということを聞いているんですけれども、いかがですか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案による特例許可制度は、高さ制限につきましては、良好な住居の環境などを害しないこと、建蔽率につきましては、安全上、防火上及び衛生上支障がないことを特定行政庁が計画を個別に確認した上で許可することといたしてございますので、それぞれの規制の保護する法益を担保した上で行われるものと考えてございます。

山本(剛)委員 後でこれはやるんですけれども、僕も条文を読みましたよ。特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したもの、でも、これは主観ですよ、主観。本当にそれが法律上に担保されるかどうかなんということは、実はここにはなくて、そういった文言もないんですよ。だから、それはちょっと後でやりますけれども、そういった答弁ではなくて、やはり省エネのためにだったら何でもいいやみたいな感じ、先ほど冒頭に言ったんですけれども、省エネのためだったら何でもいいよみたいな雰囲気がちょっと僕は嫌だなというふうに思っているんです。

 だから、やはり安全面というものをどういうふうに考えるのかというのは、本当に運用の中でもきちっと考えていただきたいと思いますし、これはまた後から本当に申し上げますけれども、取りあえず、ここは一旦終わりたいと思います。

 条文の中身についてちょっとやっていこうと思うんですが、法第五十二条第十四項第三号や五十三条第五項第四号、また五十五条第三項、構造上やむを得ないものというのはそもそも何ですか、構造上やむを得ないものの定義。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案による特例制度は、省エネ改修を行う際に、特定行政庁が個別に許可することにより、必要最小限の範囲で高さ制限等を超えることを可能とするものであり、その対象は、高さ制限等に抵触することが建築物の構造上やむを得ないもので、かつ、市街地環境を害するおそれがないと認めるものに限定されます。

 この構造上やむを得ないものにつきましては、国土交通省令におきまして対象となる建築物を限定することとしており、具体的な対象工事を明示した上で、当該工事の目的を達成するために必要最小限のものに限る予定でございます。

 また、特例許可に際しては、特定行政庁により、建築物の状況等を考慮して個別に判断されるものと考えておりますが、制度の趣旨を踏まえた的確な判断がなされるよう、周知してまいりたいと存じます。

山本(剛)委員 だから、結局、それは国土交通省令で決めますよと。我々は、その国土交通省令をまだ知らないんですよ。ですよね。なのに、我々に決めてくれというのは、何かちょっとやはり順番としておかしいんじゃないのかなと思いますし、あくまでも、今の答弁で、結局、人の主観みたいなところじゃないですか。客観的な論点というのは全くないわけですよ。だから、じゃ、私は、実は、これは構造上やむを得ないと思いますよという人もいれば、いや、これは構造上いいよという人もいるかもしれない。それは分からないです、本当に今この中では。申し訳ないんですけれども。

 ちょっと具体的な、こういうケースがあるんじゃないのかなということを、素人の私でも考えられるようなことを幾つか考えてきましたので、ちょっと披露したいと思います。

 例えば、じゃ、構造上やむを得ない、いわゆる三角屋根だったら置けないですわな。そうすると、そういったところで、犬走りも狭い中で省エネ設備が置けない。屋根に置けない、犬走りに置けない構造の建物を所有されている方にしたら、これはめちゃめちゃ不公平なんじゃないですか。向こうは構造上やむを得ないから置いているから、向こうは何かちょっと基準を超えてやってもいいんだ、何で俺たちもできないんだ、こういう不公平感が、だったら、うちもいいだろうみたいな考え方にやはりつながるような気がするんですよ。これは、法律でその不公平を助長していることになっているような気がするんです、私は。

 特に、例えば、具体的な商品名みたいなものを申し上げて申し訳ないんですけれども、エネファームだとメンテナンススペースというのが要るんですよ。メンテナンススペースが要るから、結構な広い敷地が要るんです、置くとすると。屋上だったら置けます。だけれども、犬走りの狭い家だったら置けないという家は、結構、東京はいっぱいあるんですよ。うちはエネファームを置こうと思ったんだけれども、置けないと言われちゃったんだよねみたいな人はいましたから、実際。

 そういった不公平感というのはどう考えますか。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 どのような省エネ改修あるいは再エネ設備の導入を行うかは、御指摘のとおり、その住宅の敷地の状況、住宅の状況によるかと思います。

 そのような設備の導入あるいは省エネ改修をする結果として、高さ制限ですとか建蔽率、容積率に構造上やむを得ず抵触せざるを得ないようなケースが今回の特例許可の対象になってくるということでございますので、住宅の敷地、住宅自体の状況に応じて個別に判断が行われると考えております。

山本(剛)委員 全くかみ合っていないんですけれども。ちょっと僕も、そこまでかみ合わないと、どう反応していいのかよく分からないんですが。

 法律が、要するに、不公平を助長しているのじゃないかということを言っているんですよ。分かりますか。法律でその不公平を助長することがいいことなのか悪いことなのかということを聞いているんです。どう考えられているのかということを聞いているんです。もう一回お答えください。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 構造上、抵触することがやむを得ない場合に特例許可を行うという点で、不公平ではないというふうに考えてございます。

山本(剛)委員 だって、今私が例示した家だって、構造上やむを得ないんですよ。だけれども、置けない。構造上やむを得ないけれども、置けないんですよ。

 では、次に行きます、余り時間がないので。ちょっと一つ飛ばしますわ、もう時間がないので。

 ちょっと資料を見ていただきたいんですけれども、これは、高さ制限があって、本来、省エネ設備を置こうと思ったらここに置かなければいけませんよ、でも、この制度を上手に使ってここを埋めてしまおう、これは別に建蔽率は関係ないですからね。だから、埋めてしまって、もう造っておく、新築の状態で。当然、逃げ配管とか、それに必要な配管とかを施しておいて、それを隠しておいて、後からこの高さ制限を超えるものをぽんと置くような、そうすると一部屋増えるわけですよね、一スペース増えるわけです、その分が。そういったことを考える人たちもいるんじゃないのかなと、やはりこれを僕は見ていたら思うんですよ。

 でも、これは上は平らだから、構造上やむを得ないから、上に置くしかないじゃないですか。本来はこういうふうに造らなきゃいけないんでしょう。図一のように造らなきゃいけないのに、これを置くのであればですね、でも、後から置けばいいやということでこういう造り方をした場合というのはどういうふうに考えられますか、どうぞ。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のようなケースは、恐らく、本改正法の施行後に、あえてこのような形でお造りになるというケースを想定されているものと考えますけれども、この特例許可を行う対象である、構造上やむを得ないものに該当するかどうかについては、特定行政庁が建築物の状況等を考慮して個別に判断を行うものでございますけれども、特に、本特例措置の施行後に新築された建築物における特例措置の適用につきましては、恐らく慎重に判断されるものと考えております。

山本(剛)委員 そんな法律を我々に通せというんですか。ちょっとひどいですな、それは。

 でも、分かるんですよ、言っている意味を分かっていないわけではないです。だけれども、やはり我々に、そんな何とも言えないようなものをここに出してきて、それを審議してくれというのは、ちょっと余りにも雑なんじゃないのかな。やはりこれは条文の中で、僕は、条文の中でたてつけをしっかりやればクリアできる問題だと思うんですよ、時間をかけて。

 なぜかというと、一番冒頭に申し上げました、非常に重要だと。斉藤大臣の、この法律の意義を聞いたときに、やはりやらなければいけないと誰もが思いますよ。誰もがやらなきゃいけないと前のめりになっているときに、えっ、ちょっと待ってよみたいな感じのあれなんですよね。

 ちょっと申し上げると、全ての人がとは言いませんよ、だけれども、町を歩いていると、違法建築というのは実際多いじゃないですか。要は、例えば、設備を高さ制限で、隣の家の人がそれを置いた。あっ、高さ制限って、本来日照がどうのこうのと言っているのに、あそこは置いていいんだ、特例だか何だか知らないけれども、置いていいんだったら、うちもやっていいんじゃないかなみたいなことを考える人というのは、やはり出てこないとは限らないんですよ。

 だから、こういったもので違法建築を誘発するおそれというのは、やはり私はあるんじゃないのかなと思いますよ。こんなネガティブなことを言いたくはないんです。言いたくはないけれども、この法律の作り方だったら、それを完全に誘発することに私はなっていると思います。

 先ほど冒頭にも言った、例えば壁面にやるんだったら、新たな規制とかも考えなければいけませんよね。だから、全体でやはり建築基準法を、元々は最低基準を設けているわけですから、いろいろなものを乗せて、枝葉をどんどんどんどん、いろいろな、何でもつけていいというわけじゃないんですよね。私はそうだと思いますよ。だから、やはり慎重にやっていく。だって、これは生活環境、例えば住民の方から苦情が出たら、どうやって対処するんですかということですよ。

 そういったことにも全然何もやはり触れないままにこういったものを通していくということは、僕はちょっと立法府としてはよくないのかなという思いがしておりますし、ちょっと極端な例で、こんなことが本当に行われるかどうかなんというのは分かりませんけれども、私、素人が考えても、この程度のことは考えます。ということは、もっといろいろなことを考えられている人だったら、もっととんでもないことを考える場面も出てくるかもしれないんですよね。

 ですから、局長、もう一度聞きますよ。こういったものにどうやって本来だったら対応するのか、条文の中にないんだったらば、ここの答弁で明らかにしてください。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず一つは、構造上やむを得ない場合ということについて、省令で明確に、どういう工事を行う建築物であるかというものを限定的に規定して、明快に、目的が外れたような改修でそういう特例許可が使われないように、きちんと明確に運用を決めていきたいと考えてございます。

 また、周辺に違法建築を誘発するのではないかという点に関しましては、許可を受けることなく制限を超えるような工事を行った場合には、その法令違反となる工事に係る設計、施工を行った建築士については、建築士法に基づく処分、あるいは建築基準法に基づくような是正命令等の対象になってまいりますし、建設業の許可業者の場合には、建設業法に基づく監督処分の対象となってまいります。

 こういう旨を今回の法律改正に関する説明会ですとか関係団体等を通じまして設計者や施工者等に広く周知をして、関係主体が違法行為に関与しないように注意喚起してまいりたいと考えております。

山本(剛)委員 ちょっと参ったな。

 先ほどから主観主観と、ちょっと読みます。例えば、先ほど言ったように、「特定行政庁が低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めて許可したもの」、これは認める人の主観ですよ。だから、基準がない。私はこの条文の中に入れ込むべきだとは思うんですけれども、そんなこともできないので。

 僕は、これは大臣にちょっとお伺いしますが、これは、対象物じゃなかったらもう認めないよとか、はっきり言ってもらった方がいいと思うんです。じゃないと、運用で、恣意的な運用をされたら本当に困るし、安全という部分では、建蔽率をいじるとか容積率をいじるというのは、安全上の問題というのは、これから災害も多くなっていっている中で、やはり私は重視しなければいけない問題だというふうに考えています。

 ですから、この中にない、具体的な、要するに、当該のその設備以外は認めないということを言っていただきたいんですよ。ここの議事録に残れば、その運用の中で、それしか認めないよということになるわけでございますから、いいことをやろうと思っているときにもう水を差すわけにはいかないので、これは、大臣、是非ちょっと前向きな答弁をお願いしたいと思います。

斉藤国務大臣 山本委員の御指摘は、大変重要な御指摘だと思います。

 新築につきましては、これから義務化してまいります。

 問題は、先ほど来議論になっておりますように、既存住宅にどう省エネを進めていくか、既存住宅の省エネ化の進め方の議論だと思います。

 そういう中で、先ほど来、建築基準法で定められた最低限の基準、これは守るのは当然なんですが、そのことと、そこでそれぞれの法目的があった、高さなり建蔽率なり容積率なり、それぞれ法目的があった、その法目的を崩さない範囲において既存住宅の省エネを進めていく、この二つのバランスのところを今まさに山本委員御指摘をいただいたと思います。

 これから、そういう意味では、この例は、新築でこういうことはもう許されないわけです。ただ、既存住宅の中で省エネを進めていくときに、先ほどそれぞれの項目の目的、法目的を逸脱しない範囲で省エネを進めていくのであれば、許されていい範囲をぎりぎり追求していくということでございますが、先ほどございましたように、厳格にこの法、今回の目的以外のものは認めないということをしっかりと今後作る省令等で明確にしていきたいと思っております。

山本(剛)委員 大臣が今おっしゃいましたが、本来の目的以外はもう認めない、本当にこの言葉は重たいので、是非省令でも厳格に運用していただきたいというふうに思います。

 新築の、これを許さないといっても、結局、分からないわけですよ、後からの申請ですから、一年後、二年後に申請するわけですから。こういったことについてもちょっと住宅局の皆さん方でしっかりともんでいただいて、やはり運用、先ほど言ったように、目的を明確にしてということをやっていただきたいというふうに思います。

 なぜ例外を認めるのかということとか、そういったことというのはやはり重たいと思うんです。今日は、もう本当に私はちょっと僭越ながらなんですけれども、省エネだったら何でもいいとか、あと、例外を認めていこうとかというものには、やはりみんなでクエスチョンをつけるようにした方が私はいいのではないかなというふうに思います。

 やはり我々は法律を作るためにここにいるわけでございますから、法律のたてつけでしっかりと、国民の皆様方に胸を張って、やってくださいと言えるものを作っていくということを是非皆様方にもお願いを申し上げまして、私の質問に代えさせていただきます。

 ありがとうございました。

中根委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 私は、カーボンニュートラルを実現するためには、やはり住宅部門、これはかなりCO2を排出しているわけでありまして、この部門の省エネ化を早急に進めていくことは急務だと思います。そういった意味では、今回の法案には我々国民民主党も賛成であります。

 ただ、この法案、当初、今国会の提出法案には入っていなかったですね、たしか最初。しかし、もう既にこの法改正が行われることを前提に住宅メーカーなどは準備していましたから、そういった意味では、国会の都合で最初絞られた中でここが外されたというのは極めて遺憾だと思うんですけれども、何とかこうやって無事提出されたのは本当によかったと思います。

 ですから、これからどんどんやはりこの法に従って住宅部門の省エネ化を進めていくというのは大事なんですが、ただ、足下のところで、住宅産業を取り巻く環境は、コロナ禍に加えまして、原材料費の高騰や現場の人手不足等々で極めて厳しい状況にあります。また一方で、住宅を注文するお客さんの方も、こちらの方の懐も物価高等で厳しくなってきておりますので、果たして、こうした状況の中で、今回、法改正によって、どんどんと建築物、住宅なんかの省エネを進めていく、それが順調に進むかというと、ちょっと大丈夫だろうかという懸念もあります。

 ですから、今回は、こうした観点を中心に御質問したいと思います。

 まず、住宅建設の中心となります中小工務店の現状について、ちょっとお伺いしたいと思います。

 一人親方など、建設業に携わっている職人を中心に構成されております全国建設労働組合総連合、いわゆる全建総連がさきに行いました、ちょうど今年の三月から四月にかけて行った建設、住宅設備の価格高騰、納期遅延の影響に関する工務店アンケート調査によりますと、ここのところ、建設、住宅設備の価格高騰というのが、見てみますと、あらゆるいろいろな品目に、単に木材だけじゃなくて、金属屋根材だとか、クロスだとか、ユニットバスだとか、ほとんど、住宅に関する原材料が軒並み上がっているという感じがいたします。

 また、納期も相当遅れていて、ちょうどコロナが最初に始まったときに、中国からトイレが届かないというので、トイレがないから住宅が完成せずに引き渡せないなんというのがありましたけれども、やはり納期もいまだに遅れている。

 そうした影響によって、かなりやはり価格が上がったり、あるいはまた、その分が結局もうけが少なくなったりということで、相当な影響が、いろいろな影響が及んでおります。

 受注が悪化していると答えた工務店は四九・八%、ほぼ半分。既に資金繰りが悪化していると答えた工務店が一六・七%、この状況が今年の年末まで続くと資金繰りが心配と答えた工務店が四一・三%。六割近くの工務店が、資金繰りが悪化している、あるいは、このままだと資金繰りが心配だ、そういうかなり深刻な状況になっております。

 やはりこういう住宅建設を進めていくためには、その中心となっております中小工務店、こうしたところを支えていくということは大事だと思うんですが、この皆さんが求めているのは、事業者の税負担の軽減や値上がり分に対する補助金の支給などであります。

 こうした中小工務店の事業継続のために、やはり何らかの支援策を講じていく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、建設資材は、鋼材や木材などの幅広い建設資材におきまして、世界的な需要量の増加や原材料価格の高騰などが要因と見られる価格の上昇や一部納品の遅延等が生じており、市場動向や需給の状況等を注視していく必要があると考えてございます。

 そのような影響を受けております中小の事業者に対する支援でございますけれども、国土交通省におきましては、昨年五月、七月及び十一月に、中小工務店の資金繰りへの懸念に対応するため、活用可能な融資制度の相談窓口等の周知を図ってまいりました。

 また、建設資材価格の上昇によって住宅市場が冷え込み、中小工務店等の事業継続に影響を及ぼすことのないよう、住宅ローン減税や中小工務店等による省エネ住宅の整備に対する補助事業等により、支援を行ってきているところでございます。

古川(元)委員 今までもやってきていることは分かるんですけれども、やはり今の状況を考えると、更なる追加の支援策、そういうものも考えていかなきゃいけないんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

淡野政府参考人 昨年度の補正予算に基づきまして、こどもみらい住宅支援事業として、省エネ住宅等を取得する子育て世帯等に対する補助制度も設けてございますので、それは、そういう世帯向けに住宅を供給する事業者への補助金でございますので、資材価格が高騰する中で、住宅価格に転嫁することなく供給が行えるように支援を行ってまいりたいと考えております。

古川(元)委員 是非こうしたところに、やはり住宅産業というのは、非常に裾野の広い、幅広い、関係する人たちも多いので、是非そこは引き続き更なる支援を考えていただきたいと思います。

 それでは次に、法案の関連で御質問したいと思います。

 まず、今回の法改正によって、新築や増改築した部分については省エネ性能が高まることになるわけでありますが、ただ、今回の規制の対象に含まれない既存住宅、むしろその方が多いわけであります。じゃ、そこをどうやって省エネ性能を高めていくのか。そのためには、やはり今回の規制だけでは足らなくて、また新たな規制を既存住宅にかけてでも建て替えや改築を進めようとするのか、それとも、既存住宅についてはこのままの状況が続いてもやむを得ないというふうに考えているのか、この点についてはどのようにお考えなんでしょうか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 空き家を除いた住宅ストック五千三百六十万戸のうち、省エネ基準を満たしていないストックは約九割あるという現状の中で、二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標の実現に向けましては、新築のみならず、既存の建築物についても省エネ化を強力に進めていく必要があるというのは御指摘のとおりかと存じます。

 既存住宅等の省エネ化につきましては、まず改修自体を促す必要がございますので、主として誘導策によって促進を図る必要があると考えてございます。

 その際の課題といたしましては、構造上の制約等により、新築時の省エネ化よりも費用面で割高となること、改修時に一律に省エネ性能の向上を求める規制を講じた場合に、様々な改修そのものを抑制する結果となりかねないこと、また、省エネ性能を向上させるために設置する設備や断熱材等により建築物の高さや建築面積が増加する場合に、形態規制が制約となって改修が困難となることなどが挙げられます。

 このため、本法案におきましては、住宅金融支援機構が省エネ改修に対して低利融資を行う制度を創設するほか、増改築を行う場合の省エネ基準への適合を義務づける対象を増改築工事を行う部分に限定すること、また、市街地環境を害さない省エネ改修を円滑化する形態規制の特例許可の仕組みを導入すること等の措置を講じることといたしてございます。

 また、税財政面からも、地方公共団体と連携した省エネ改修補助制度の創設、省エネ改修に対する税制上の特例措置の拡充など、あらゆる施策を総動員して、既存住宅等の省エネ化を強力に進めてまいりたいと存じます。

古川(元)委員 その意気はよしといいますか、そう言えると思うんですけれども、ただ、本当にそれで九割に及ぶ既存住宅の改修が進むかどうか。

 ですから、大臣ちょっと、通告していないですけれども、今の時点ではこれでいいかもしれませんが、ここ数年見て、既存住宅の方、進んでいないという状況であれば、ここをどう進めるのか、更なる対応策をやはり考えていく必要があると思いますけれども、どうですか、大臣。

斉藤国務大臣 まずは今回の法改正により対策を進めていきたいと思っておりますが、様子を見ながら、その目標に達しないというようなことであれば、更なる対策、特にいわゆる既存住宅への対策が一番大きな課題になるかと思いますけれども、対策を考えていきたいと思っております。

古川(元)委員 だから、既存住宅について、九割がそうですから、これをどれくらい、いつまでにと、やはりちゃんと具体的な目標を立てた方がいいと思うんです。そこに達していないんだったら、じゃ、何をしなきゃいけないのか、是非それを次に考えていただきたいと思います。

 次に、昨年来のウッドショックに加えまして、ロシア産木材の輸入禁止で、今後更に木材価格が上昇するのではないかというふうに懸念されるわけでありますが、一方で、今回の法改正によって、木材利用の促進を進めようとしているわけです。

 今のこの状況あるいは今後とも木材価格の高騰が想定される状況の中で、本当に木材利用の促進が進むんでしょうか。それを進ませようとするのであれば、何らかのやはり木材高騰対策、そうしたものが必要じゃないかと思いますが、いかがですか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年来のいわゆるウッドショックと呼ばれる状況につきましては、木材の入手が困難となっていた状況は足下では緩和されつつあるものの、木材価格は現在も高止まりし、引き続き注視が必要である状況と認識してございます。

 このような海外における木材需給や流通の状況の影響を受けにくくするという観点からも、国産材が中長期にわたって安定的に供給されることが重要であると考えております。

 一方、林業や木材加工に関わる事業者によれば、国産材に対する需要が中長期にわたって安定的に発生することが見込まれないと、供給拡大のための新たな投資や雇用を行うことが難しいということもお聞きしてございます。

 本法案に基づく建築基準の更なる合理化により、住宅、建築物における木材活用可能範囲が広がる結果として、木材需要が中長期的に拡大し、国産材の利用の拡大に寄与するということを期待してございます。

 さらに、二〇二一年度の補正予算から、工務店と木材関連事業者が連携して木材の安定的な供給、利用確保に先導的に取り組む場合に支援を行ってきており、二〇二二年度予算におきましても引き続き支援を行うこととしております。

 本法案に基づく建築基準の合理化による木材利用の拡大や、予算措置に基づく木材の安定的な供給、利用確保に取り組むことにより、林野庁とも連携して、国産材を安定的に供給できる生産体制の整備を促進し、海外における木材需給や流通の状況を受けにくい環境の整備を図ってまいりたいと存じます。

古川(元)委員 利用が拡大できるような状況は今回つくられると思うんですけれども、私が聞いているのは、結局、価格が高ければ、木材を使っていいですよ、こういう今までできなかった高層建築物ができますよと言っても、木材を使わなきゃ安いんだったら、ただでさえほかのもの、資材も上がっているわけですから、そうしたらやはり進まないんじゃないかと思うんですね。ですから、需要というのはつくり出していく、やはり意図的につくり出さないと、木材使えますよと言っているのに放っておいて、使用が増えるというものじゃないんだと思うんですね。

 ですから、ここはやはり、本当に木材の利用を、活用させようと思うんだったら、今後とも木材価格の高騰する状況は想定、しばらく、かなり長く続くと思わざるを得ないわけでありますから、今のロシアの対応とか見ていれば。ですから、やはりそこは、価格的にも、ほかよりも木材がある種有利だとか、そういうところもないと、なかなか私はこれは進まないんじゃないかと思うんですね。

 ちょっと次の質問に移りますけれども、木材の場合、ほかのコンクリートなんかと違うのは、やはりシロアリなんかにやられるということです。

 先日、党のヒアリングに来ていただいたときに、高層建築物はいいけれども、木材の場合はやはりシロアリにやられる、その対策はどうなんだという話を聞きましたら、いや、ちゃんと今は木造住宅については建築基準法で新築の際にシロアリ対策、防蟻対策をすることが求められていますから大丈夫ですというふうに言われたんですけれども、私がシロアリの駆除をやっている業者の人に聞いたら、新築時に対応すれば、それで永久にシロアリが防げるわけじゃないらしいんですね。しかも、薬も、以前に比べると、やはり余り強い薬は使えないというふうになってきて、むしろ昔よりも、何十年前よりも最近は有効期間が短くなっていて、長いものでも五年ぐらいだと。

 しかし、今のだと、最初に対策をやったら、後でやるとか、そこまでは義務づけられていないんですね。ですから、大規模な建築物に木造も認めていくことはいいんですけれども、やはり、こうした大きな木造建築物が、土台のところをシロアリの被害に遭って、それが原因になって地震とか何かのときに崩れてしまうとか、そういうリスクを考えますと、例えば、こうした大規模な木造建築物には定期的に防蟻対策を行う、それを義務づけるなど、何らかの対応を考えることが必要じゃないかと思いますが、いかがですか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 木造建築物におけるシロアリ対策につきましては、御指摘のとおり、建築基準法に基づきまして、建築時に柱、筋交い及び土台の地面から一メートル以内の部分にシロアリによる被害を防ぐために必要な措置を求めるとともに、当該措置の効果が持続するように適切な維持管理に努めることを求めております。

 さらに、一定の大規模建築物につきましては、定期的に専門の資格者による検査を行い、その結果を行政庁に報告することを所有者等に義務づけており、その木造建築物の土台や躯体等に蟻害が生じていないかの確認を求めることになっております。

 本法案の施行に当たりましては、これらの措置を徹底することにより、大規模木造建築物におけるシロアリ被害の防止を図ってまいりたいと存じます。

古川(元)委員 そういった意味で、そういうコストもかかるわけなんです、これ。

 ですから、やはりそういう意味では、トータルで本当に木造でやることが、コスト的にも、いろいろな意味に見合うというところでないと、なかなかこれ、木造住宅を進めますよって、進まないですよと。そこは考える必要があるんじゃないかと思うんですね。だからこそ、私は、高騰対策、必要じゃないかということを申し上げているわけです。

 ちょっと時間が限られておりますので次に移りたいと思いますが、よく住宅関係でいろいろな措置をやられるんですけれども、なかなか周知されないということが多いんですね。知らないことも多い。

 それから、今回も、やはり法改正する以上は、できるだけ早く、広く国民に周知することが大切だというふうに考えますけれども、この法律が成立した後は、具体的にどのような方法で国民の皆さんにこの内容を周知していくつもりですか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅、建築物の省エネ性能に関する国民の関心を高め、より優れた省エネ性能の物件が選択されるようにするためにも、法案成立の暁には、改正内容を広く国民に周知していくことが重要と考えてございます。

 このため、地方公共団体や関係団体とも連携しつつ、成立させていただいた場合には、速やかに広報誌やリーフレットの作成、配布、ホームページや政府広報による情報発信、毎年十月の住生活月間等のイベントにおける啓発に着手し、国民への周知、広報に取り組んでまいりたいと存じます。

古川(元)委員 今のだと結局従来と余り変わらない周知方法で、結局それだとなかなか周知されていないという。

 この間、住宅関係ので何度もこれも、前の赤羽大臣かもしれませんけれども、やはり、いつもと同じことしかやらないんじゃなくて、もう少し、それは関心がある人とか何かだけじゃなくて、リーチアウト、相手方につながって、ああ、そういうことだったら、じゃ、新たに住宅を造ろうかとか、あるいは増改築しようかと。やはりもっと周知の方法は、今の話では、いつもやっていることです。いつもやっていることだと、結局、こっちは周知したと言っても、国民の方にはちゃんと周知されていない、事実として。

 そういうことが繰り返されているんですから、やはりもうちょっと知恵を出してください。是非そこはお願いしたいと思います。

 もう一点。この法改正が成りますと、中小工務店にとっては、かなり事務の手間暇がかかるんですね。これが過剰にならないように、できるだけ申請事務の簡略化を図るとともに、一方で、多量の審査事務を円滑に処理する体制をちゃんと整える必要があると思いますが、これについて政府はどのように考えて、また、具体的にどのように対応しようとしていらっしゃるのか、教えてください。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 現行制度上、三百平米以上の非住宅建築物に省エネ基準の適合義務づけが行われておりますけれども、その際には、建築確認、検査に加えまして、建築物省エネルギー消費性能適合性判定を受けるという複数の手続を課しているところでございます。

 本法案により、原則全ての建築物に省エネ基準適合を義務づけるに当たっても、現行の仕組みと同様に、建築確認、検査制度と連動させることを基本としておりますけれども、この基準適合対象となる建築物の数が大幅に増えることを踏まえ、御指摘のとおり、申請側及び審査側の負担の軽減を図ることが必要であると考えてございます。

 そのため、具体的には、仕様基準により基準適合の確認が可能な場合には、行政庁による建築物エネルギー消費性能適合性判定を省略するとともに、省エネ計算によらなくとも基準適合を確認できる仕様基準の更なる簡素化、合理化を進めることとしております。

 これらの措置を講じることにより、中小工務店が建設する戸建て住宅につきましては、多くの場合、仕様基準により基準適合の確認が可能となるというふうに考えられますので、申請側の負担の大幅な軽減が図られるものと考えております。

 さらに、提出図書の簡便化、建築確認手続等のオンライン化の推進などを通じまして、申請側、審査側双方の負担を総合的に軽減するとともに、十分な準備期間の確保、申請側、審査側の習熟度アップに向けた支援等を行いまして、申請側、審査側双方の体制整備を万全なものとしてまいりたいと存じます。

古川(元)委員 住宅産業の大宗を占めるのは中小工務店ですから、こうしたところが過度の負担にならないように、やはりきちんと配慮していただきたいと思いますし、また、申請したのにちっとも許可が下りない、そういうことがないように、やはりそこはしっかり体制を取っていただきたいと思います。

 時間が本当になくなってしまいましたから、最後にちょっと大臣に聞きたいと思います。

 今回の法改正によって、住宅を新築しようとしたり、また増改築しようとしたりすると、これまでよりはコストアップの要因ではあると思うんですね、やはり当然。しかも、資材費等の高騰もありますので、足下、要するに、この省エネ基準に適合しないでも、コストが高くなっている上に、またオンするわけですから。

 こういう状況の中でも、やはり住宅の省エネ化は進めていかなきゃいけない。しかも、これを相当なスピードでやっていかなきゃいけない。カーボンニュートラルの実現のためにはそれが必要であります。

 そういうことを考えると、やはり相当、新築や増改築に対する強いインセンティブが必要じゃないかと思います。さもないと、逆に、こういう新たな規制がかかることで、むしろ、住宅産業というのは非常に裾野が広いので、着工件数が減ったりとか、そういうブレーキをかけることにもつながりかねない。

 ですから、そういういわば逆噴射みたいなことにならないように、相当、今こそ住宅を新たな基準で新築する、そして増改築する、これが一番今はいいんですという、今やろうというふうに思わせるような強力なインセンティブ、例えば、住宅建設に係る消費税を後から申告してもらえれば還付しますよとか、それくらい、かつてない思い切ったやはりインセンティブを講ずる必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか、大臣。

斉藤国務大臣 御答弁申し上げる前に、先ほど周知の話がございました。これは本当に大切な点だと思います。

 今回の法改正の一つの大きな、これまでにない法改正の一つの大きなターゲットは、いわゆる既存住宅に住んでいらっしゃる方の省エネ改修、リフォーム、ここを全面的に支援するというところでございます。

 私のちょっと個人的な話になりますが、ある事情があって古いマンションから比較的築年数の新しいマンションに移ったら、同じ広島市内ですけれども、全く違うんですね。本当に快適になりました、幸せを感じました。そういうことを多くの方に知ってもらうということが大事で、これをどう周知していくかということをしっかりやっていきたいと考えております。

 それから、新築住宅につきましては、先ほど、今日答弁申し上げておりますように、ZEH等への財政支援、ローン減税などの税制上の優遇措置。それから、いわゆる既存住宅の省エネリフォームについては、低利融資、補助制度、税制上の特例措置ということを講じておりますけれども、なお一層のインセンティブが必要ではないかということでございますけれども、あらゆる手段、ちょっと考えて、また周知も含めて、大きく住宅市場が新築そしてリフォームも含めて盛り上がっていくように頑張っていきたいと思っております。

古川(元)委員 是非、この住宅、今がやるときだとやはり思うような、そういうちょっと目玉になるような、是非大臣の発案でそういうインセンティブをつくっていただくことを改めてお願いして、時間となりましたので、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

中根委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今回の建築物省エネ法案を提出するかどうか、政府の温暖化対策への本気度が問われていたと思います。二〇五〇カーボンゼロを確実に実現するためには、二〇三〇をどの水準で迎えるかが決定的であり、本法案の成立は最低限の条件だと思います。

 資料の1を見てください。

 地球温暖化対策計画におけるCO2削減目標は、円グラフの真ん中、これは全体の話です。原油換算で六千二百四十万キロリットルです。そのうち、住宅、建築物の削減目標は八百八十九万キロリットルで、一四・二%。同計画は、全体としては二〇一六年五月十三日閣議決定の目標五千三十万キロリットルからは一千二百十万キロリットル上積みされておりますが、構成比で見ると、住宅・建築分野で見ると、一四・五%であった従前の目標と変わらない。むしろ減っているのはなぜでしょうか。

    〔委員長退席、塚田委員長代理着席〕

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標の実現に向けまして、昨年十月に改定されましたエネルギー基本計画におきましては、省エネルギーの徹底が必要とされ、御指摘のとおり、我が国全体で二〇三〇年度に約六千二百万キロリットルの省エネルギーを目指すこととされております。これは、改定前のエネルギー基本計画における省エネ量の約五千万キロリットルに対しまして、二割の深掘りに相当いたします。

 建築物分野におきましても、改定前の計画が約七百三十万キロリットルの省エネを目標としておりましたので、今回の計画において約八百八十万キロリットルというのは、こちらも約二割分、目標を強化することに相当してございますので、我が国全体としての省エネルギー量の増加割合とおおむね同じ割合分、目標を強化するという結果になっているものでございます。

高橋(千)委員 そうおっしゃると思ったんですけれども、住宅、建築物がほぼ全てを占める業務・家庭部門におけるエネルギー消費は、全エネルギーの約三割、先ほど来言われていることです。日本の電力の最終消費の六割以上がこの両部門で消費されていると思います。当然、政府全体の目標を達成するためには、目標の引上げ、前倒しが求められる分野です。

 しかしながら、前回法改正時に適合義務化を見送っただけではなく、今国会は当初は提出を見送る考えでした。政府全体の目標に貢献しないばかりか、足を引っ張っていたのではないでしょうか。

斉藤国務大臣 そうではございません。

 まず第一点目の、前回、適合義務化を見送ったということでございますが、住宅及び小規模な非住宅建築物については、二〇一九年、前回の法改正時でございますけれども、省エネ基準への適合率が、二〇一六年時点で住宅は約六割、それから小規模な非住宅建築物は約七割にとどまっていたこと、それから、中小事業者を始めとする関連事業者の多くが省エネ技術に関し未習熟な状況にあったことを踏まえ、省エネ基準への適合義務づけではなく、省エネ基準への適合を建築主に促す措置として、建築士による建築主への省エネ基準への適合状況の説明義務制度の導入等の措置を講ずることとしたものです。

 意外と、建築士が建築主に説明すると、じゃ、やろうというような例がここ二、三年非常に増えてきたということで、今回、義務化にさせていただくということでございます。

 次に、この法案の国会の提出のタイミングにつきましては、当初は検討中の法案とした上で、原油価格等の高騰対策が急務となる中、住宅の省エネ化など、経済構造の転換が必要になっていること等も踏まえ、政府全体として検討、調整を進め、本年四月二十二日に本法案を閣議決定いたしたところでございます。

 国土交通省としては、地球温暖化対策に関する政府全体の目標の達成に貢献すべく、本法案を通じた建築物分野の省エネ対策について、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

    〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕

高橋(千)委員 そうではございませんと、今日は珍しく、大臣、そこだけははっきりと力強く御答弁をいただいたと思うんですが。

 先ほど来、法案に非常に不備があるんじゃないかという指摘があったと思います。だけれども、それは私もそのとおりだと思うんですが、昨年もずっとあり方検討会は議論をしてきたわけですよね。それで、本当は五回で終わるといったものが、五回で終わらないくらい議論が伯仲した。そういう中で、当然法案を通すんだというつもりで準備をしてきたわけですよ。そのことからいって、それを最初は出さないつもりだった、それも非常に政治的な理由ですよね。やはりそこは真摯に認めるべきではないか、このように思います。

 しかも、市場が未成熟ですとか、六割、七割というお話もありましたけれども、そもそも、今回義務づけようとしている等級の四が、もうかなり世の中的には、世界レベルからいっても遅れているんだ、やっと今そこなのかということが問題になっていると思うんですね。あり方検討会では、二〇三〇年、新築はZEH基準を義務化するべきだという意見も多く出されたと思います。

 資料の2を見てください。

 省エネ性能に係る上位等級の創設ということで、ZEH基準は省エネ等級五に当たるということですが、既に説明があったように、この等級は今年四月の施行で初めて定義づけられて、六と七は十月ということであります。したがって、今回義務づけする断熱等級四は決して高い水準とは言えないわけですよね。今ある戸建てあるいは集合住宅、それぞれでどのくらいあるのか。

 また、これまで届出制だったとはいえ、新築では既に省エネ基準を満たしている住宅が大勢を占めていると思いますが、いかがですか。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 住宅ストックのうち、現行の省エネ基準の水準でございます断熱等級四を満たす住宅の割合は、二〇一九年度時点におきまして、一定の条件の下での試算によりますと、約一三%となっております。戸建て住宅については約一二%、共同住宅においては約一五%と推計してございます。

高橋(千)委員 後ろの方を答えていませんよ。新築も聞きました。

淡野政府参考人 新築につきましては、全体で約八割となっております。

高橋(千)委員 何が言いたいかというと、義務化はしていないけれども、既に新築は八割なんですよ。だから、断熱等級四というのはもう当たり前にできていることなの。だから、できていないところにきちんと手当てをしてやれば義務化というのはできたんです。ZEH基準はまだ二五%、集合では二〇%というレベルでありますけれども、ここを引き上げていくのが求められていると思います。

 そこで、省エネリフォームに低利融資が提案されておりますが、五千三百万戸の既存住宅のうち、省エネ基準を満たす住宅をいつまで、どのくらい達成しようと考えているのか。

 その際、等級四以下で新築して、もう住んじゃっているお宅の省エネ水準を引き上げることも目標にあるか、伺います。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、二〇一九年度における住宅ストック約五千三百六十万戸のうち、省エネ基準を満たす住宅の割合は約一三%と推計してございます。

 本法案に基づきます各種の措置あるいは融資、税制等の措置を講じることによって、補助、税制による支援措置と相まって、二〇三〇年度時点における住宅ストックのうち、現行の省エネ基準を満たす住宅の割合として、一定の仮定の下での試算により約三〇%を目指すとしております。

高橋(千)委員 二〇三〇年で三〇%ですか、かなり低いですよね。

 それで、その際、さっき、また後ろで言った質問、ですから、義務化されていなかったので等級四も十分じゃないよねと、私言いました。三の人も二の人もいるわけですね。そういうところも、新築しちゃったけれども、やはり省エネ水準を引き上げるということもありますか、目標にしますかと聞いています。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの、二〇三〇年度時点の三割という推計値でございますけれども、こちらは新築によって稼ぐというだけではございませんで、現行の省エネ基準を下回るような水準であった住宅の、改修によって性能が引き上げられて満たすようになったものも含めた数値となってございます。

高橋(千)委員 新築だけではございませんでとおっしゃいましたが、逆。聞いたのは、既存住宅の目標を聞いたんです。その中に、建てたばかりだけれども等級が四以下のところも目標にしますかと聞きました。

淡野政府参考人 済みません。質問の趣旨がちょっとよく把握できなかったものですから、ちょっとこのお答えで正しいかどうかは分かりませんけれども、新築で基準を満たすものが建築され、かつ、既存についても、今建てられているもので基準が不適合なものが性能が向上するということも含んでおります。

 一九八〇年基準を下回る、いわゆる無断熱レベルのストックの比率がどの程度まで引き下げられるかという点で参考までにお答えを申し上げますと、足下では、一九八〇年基準を下回るストックの戸数が全体に占める比率は二九%でございますけれども、それを約一割に減らしていくということを目指すこととしてございます。ストックについても、質の低いものの比率を引き下げていくということを同時に進めていきたいと考えております。

高橋(千)委員 そうですよね。

 私が聞いたのは、古い、それこそ無断熱の住宅をまず早く改修しなくちゃいけないよねというお話と、せっかく最近建てたんだけれども、結局、義務化されていなかったがためにまだ四である、あるいはそれ以下であるという住宅もありますよねと、それを分けて聞いたんです。

 今は、無断熱の一九八〇年レベルのやつが二九%のところを、一割に下げるとお答えになりました。ということは、あと、四以下の、既に省エネ基準を満たしているけれども、更にアップするという目標を持っていますかと。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 申し訳ございません、ちょっと理解が悪くて。

 現在、基準が適合義務化されておりませんので、一部、八割以外の、二割の方は基準に適合していない状態でございますので、その方々が今後、二〇三〇年までに改修するということも含めているのかと。

 支援対象として、そういう方々も支援対象にはなってまいりますので、そういう方が性能を引き上げるということも踏まえまして、三〇%にはそういう方々も含むことになります。

高橋(千)委員 ここを結構はっきりさせないと駄目だと思うんですよ。

 八七%が基準を満たしていないというお話がありましたよね。無断熱の話がありました。それを一割に下げたとしても、でも、その間が、義務化されていない時期に断熱をやったつもりでいる、せっかくお金をかけてやった、けれども、それじゃちょっともう今の水準には合わないのよ、ZEH基準をやるべきよとか、そう思った方たちにもう一度応援するということをしなければ、全体の目標が引き上がらないんだよということを言っているんです。そういうつもりでよろしいですよね。

淡野政府参考人 引き続き、今建っているものより高い水準を目指していただくことが必要だという、そのとおりでございます。

高橋(千)委員 これは検討会の中でも言われているわけなんですよ。つまり、義務化が遅れた分だけ、今の水準で、だから、今の水準、これから義務化する四というのは、もうほとんど定着するわけですよ、建てているときには。だけれども、それが義務化じゃない時期が長くなった分だけ、もっと本当は高い水準を望むべきだったのに、そうでないところがいっぱいあるんだ、そこをちゃんと認識しなきゃ駄目だという意味で言わせていただきました。

 それから、アパートの個人経営である大家さん、分譲マンションとかではなくて、普通のアパートの個人経営である大家さんにも支援策、五百万とかの融資ではなく、もう少し大きなものが必要じゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 賃貸共同住宅につきましても、従来からのZEH等への支援に加えまして、令和四年度予算におきまして、住宅エコリフォーム推進事業を創設し、住宅の居室等をZEH水準の省エネ性能に改修する場合について、国が直接支援を行うこと、さらに、住宅金融支援機構におきまして、省エネ性能の高い賃貸住宅の新築等に対しまして融資を実施するなどの取組を行ってまいります。

 国土交通省といたしましては、これらの施策を通じまして、賃貸住宅の省エネ性能の向上に努めてまいりたいと存じます。

高橋(千)委員 ここも周知をお願いします。

 今日、鳥取県の話題で持ち切りだったと思うんですが、あり方検討会のメンバーでもある全国知事会会長の鳥取県知事は、NE―STな家とネーミングをして、ネクストスタンダードということだそうですが、とっとり健康省エネ住宅性能基準を設けて、やはり、UA値〇・三四、国が今回基準として設けるのは〇・八七、要するに、熱を逃がさないということで、低い方が逃がさないわけですよね。国基準は〇・八七、ZEHでも〇・六〇ということですから、更に国よりも二段階以上高いレベルを平均の目標としているわけなんです。検討会でプレゼンも行っておりますが、既に義務化をしている欧米に匹敵する目標だと思います。

 ホームページの中で、冬も暖かく、快適で、コストパフォーマンスがいいという実績を挙げていて、とても分かりやすいコマーシャルをしています。エアコンを切っても室温が下がらず、一階のエアコン一台だけで二階まで暖かい、年中春のように家事ができる、薄手の部屋着で快適なので肩凝りが改善したとか、以前は寒くてなかなか起きられなかったが、すっと起きられる、ばたばたすることなく、いらいらも減ったなど、全部私がいいなと思うやつなんですけれども。

 そういうやはり断熱、省エネ住宅、確かに最初はお金がとてもかかります。でも、それが本当に、いずれ健康という形で返ってくるんだよということを分かりやすくPRする素材を提供する、周知していく工夫が必要だと思いますが、どうでしょうか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 断熱、省エネ性能の向上によるメリットといたしましては、光熱費の低減による経済的な効果ですとか、あとは、住宅の温熱環境の改善によるヒートショックの防止等の健康面への効果があるものと考えております。

 昨年四月に施行されました小規模建築物に関する説明義務制度の運用に当たりましても、建築士から建築主への省エネ性能に関する説明の際に、断熱性能と健康の相関関係に関する情報も併せて紹介されるよう、国の補助事業によりチラシ等を作成し、提供しているところでございます。

 今後とも、住宅の省エネ性能向上に向けて、関係省庁とも連携しつつ、断熱化に伴うこのようなメリットにつきまして、周知普及を図ってまいりたいと存じます。

高橋(千)委員 再エネのところで一つだけ聞きたいと思うんですが、再エネ促進区域のイメージを伺いたい。

 どんなのを、要するに、面積というんでしょうか、範囲というんでしょうか、そういうのをどんな区域に設定しようと考えているのかということと、当然、ゾーニングをする以上は、個々のお宅に再エネをということではあるんだけれども、既存住宅も含めて設置していくということが大いに期待されていくと思うんですが、そのための支援策はどんなことを考えていらっしゃいますか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、市町村は、基本方針に基づきまして、建築物への再生可能エネルギー利用設備の設置の促進を図ることが必要であると認められる区域について、促進計画を作成することができることとしております。

 導入することが効果的な再生可能エネルギーは地域によって異なりますが、例えば、太陽光や太陽熱につきましては年間を通じて日照に恵まれた地域、風力につきましては海岸沿いの地域など一定の風速が得られる地域など、地域の自然的な条件に応じた再生可能エネルギーの利用を促進していくことが考えられます。

 本法案により、促進区域におきましては、建築物の新築や改修に際し、設計段階における建築士から建築主への再生可能エネルギー利用設備の導入効果等の説明義務、再生可能エネルギー利用設備の設置に係る形態規制の特例許可の措置が講じられることにより、建築主による自発的な設備の導入を促進していくこととしておりますが、特に既存住宅につきましては、再生可能エネルギー利用設備の設置につきまして、FIT、固定価格買取り制度による支援に加え、リフォーム税制や本法案により創設する住宅金融支援機構の低利融資などの支援策を講じることにより、再生可能エネルギー利用設備の設置を支援してまいりたいと存じます。

高橋(千)委員 そうですよね。今回のは、むしろ目的としていいことなんだよということで、それ自体の、促進区域自体の支援策があるわけではないけれども、制度を利用してというお話だったと思うんです。

 ただ、今最後にFITの話をされましたけれども、検討会の中で、やはりFITはもうかなり安くなっていて、それはメリットにならないよ、むしろ自家消費なんだという議論があったと思いますが、その点は視野に入っていないんでしょうか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 買取りもそうですけれども、自家消費を推進していくことは、国土強靱化の観点からも非常に重要だというふうに考えております。

高橋(千)委員 それでこそ本当のプラマイ・ゼロのエネルギーになっていくと思いますので、これは是非進めていって、それがメリットになるということを構築していただきたいと思います。

 それで、資料の3なんですけれども、先ほど古川委員からも少し御紹介がありましたけれども、これは全建総連の工務店のアンケートです。建設現場は、昨年来のウッドショックに加え、あらゆる資材の高騰や給湯器やトイレなどの納品遅れといった悲鳴が上がっています。上の段がその納品遅れの状況で、例えば、三月に納品された給湯設備はいつ発注したものかというので、納品までの平均日数が六十六・七日、最大日数が二百四十日ということで、工期を待ってもらっているという方が一番多いんですが、一部にキャンセルも出ているという状況です。それから、建材、住宅設備の価格高騰の影響で、かなり上がったが五三・三%ということで、やはり木材が圧倒的に多いということであるんですけれども。

 それで、伺いたいのは、今回は、トップランナー制度で大手住宅建築業者が大いに役割を果たしてもらいたい、そう思うんです。だけれども、こうして資材が不足しているよ、あるいは高くなっているよというときに、やはり大手のバイイングパワーに拍車がかかって中小工務店を圧迫しないような指導を徹底するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 資材の価格の上昇、それから納入の遅延、これらは本当に注意深く我々としても今注視しているところでございます。

 国土交通省としては、中小工務店を含む住宅事業者に必要な資材、設備等が適切に供給されることが重要と考えております。

 供給側の関係事業者に対しては、これまで取引関係のない事業者からの調達も検討するなど、サプライチェーンの多元化、強靱化を必要に応じて促しておりますけれども、引き続き、関係省庁と連携して対応を検討してまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 やはりここは市場任せというわけにはいかないので、しっかりと連携も取りながらお願いしたいと思います。

 あわせて、省エネ基準を自ら確認できる建築士は五割から六割程度と言われています。取り残される建築士や工務店が出ないように、技術研修や制度の周知への支援、どのように行うのでしょうか。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年二月から三月末にかけまして建築士事務所に対して行ったアンケートによりますと、計算又は仕様基準との照合により省エネ基準適合を自ら確認できる割合は五割から六割程度となっており、約三割が、今後、業務の委託や習熟のための講座受講等を予定しているというお答えをいただいてございますので、基準適合義務化に向け、建築士の省エネ基準への習熟度の向上を図ることが急務になっているところでございます。

 このため、建築士の定期講習等を通じて法改正の内容について確実に周知を行った上で、中小工務店等が省エネ関連技術に習熟するための十分な準備期間が確保されるよう、全面適合義務化の施行は二〇二五年度にするとともに、昨年四月より施行されている説明義務制度への対応を通じ、設計者としての習熟度を引き続き高めていただき、省エネ計算によらなくても省エネ基準への適合を確認できる仕様基準の更なる簡素化、合理化を進め、さらに、仕様基準の内容につきましても、従来から取り組んでおります中小工務店向けの講習等を通じて周知普及を図ることにより、中小工務店等が省エネ基準への適合義務化に対応可能な環境の整備を推進してまいりたいと存じます。

高橋(千)委員 講習についても、是非、参加しやすい体制を取りながら、結局、だから義務化を遅らせたのよという議論ではなくて、本当は両方同時にやっていかなきゃいけないことだと思いますので、しっかりとお願いしたいと思います。

 それで、建築基準法の問題で質問しようと思っていたんですが、木材のことは先ほど山本委員が熱烈に質問しておりましたので、一問飛ばしまして、4の資料を見ていただきたいと思います。

 昨年十二月に、大阪市北区の雑居ビルで放火殺人事件が起きました。容疑者を除き、二十五名が死亡、二名が負傷という大惨事になりました。脱出口となる非常階段が火の手に阻まれ、逃げ場のないフロアで全員が発見されたということです。

 容疑者自身が亡くなってしまったということで、御遺族のやりきれない思いはいかばかりかと思われます。

 資料の4は、二つ以上の直通階段の設置が求められる建築物にはどんなものがあるのかという一覧表であります。こんなにあるんですね。

 それで、赤字で書いているところ、これは、六階以上の建物は、二つ非常階段は必要なんだと。ただし、これは、改正をしたのは昭和四十九年、一九七四年であって、今回のビルは一九七〇年築のために、地上八階建てではありますが、適用外であったということであります。

 ちなみに、三のロからハのところは、キャバレーだとか風俗関係のお店の名前が、名前というか業態が並んでおりますが、これは、二〇〇一年、平成十三年、四十四名が亡くなった新宿歌舞伎町の火災を受けての改正だと承知をしております。

 こうした火災のたびに、今回の船の、連絡船の問題もそうなんですけれども、改正をいろいろしてきたわけですけれども、問題は、その前の、適用外の建築物についてどういう徹底、その趣旨を徹底させていくかということが問われていると思うんです。

 それで、まず消防庁に伺いますが、この火災事件を受けて、消防庁と国交省による大阪市北区ビル火災を踏まえた今後の防火・避難対策等に関する検討会が立ち上がっています。消防庁に、その趣旨とスケジュールなどの見通し、また、緊急点検も行っていると思いますが、簡潔にお願いします。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨年十二月に発生した大阪市北区ビル火災では、避難のための階段が一つしかないビルにおいて、多くの方々が避難経路を失い、逃げ遅れたものと考えられ、多数の死傷者が発生したことから、消防庁と国土交通省が共同で、学識経験者や関係行政機関等から成る検討会を設置し、階段が一つしかない、一つしか設けられていないビルにおいて、今後取り組むべき防火、避難対策などについて検討しているところであります。

 本検討会においては、本年二月の設置以降、これまで三回にわたって検討会を開催し、議論を行ってきたところであり、六月中を目途に報告書を取りまとめることとしております。

 また、消防庁では、本火災を受け、今回の火災建物と類似している、階段が一つしか設置されていない雑居ビルに対して、各消防本部による緊急立入検査を実施したところであります。

 今回対象となったのが三万一千九百六十七件であり、このうち、二万九千二百二十九件に対して緊急立入検査を実施し、実施率九一・四%でございました。

 なお、未実施の二千七百三十八件は、各消防本部における年次計画や歳末期の立入検査により調査期間の前に実施されたもの、あるいは新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受け実施を延期したものなどであります。

 検査の結果、避難施設や防火戸に係る不備が一定程度ございましたが、そのうち一部は既に改善をされております。

 また、現時点で未改善のものにつきましては、各消防本部において、現在、是正指導が行われているところであります。

 このような不備を是正していくことは、リスクを減らすという観点から非常に重要だと考えております。今回の緊急立入検査の結果については、現在開催している検討会において報告の上、有識者の方々に御議論いただいているところであり、必要な対策についてしっかりと検討を深めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 次に、大臣に伺いますが、国交省も、同じ検討会を消防庁と主催をして、緊急点検も行っています。その結果がどうであったのか。その中に、今言ったように、建築基準法の改正前のものも含めて点検をしたはずだと思いますが、その点をまず確認をしたいと思います。

 それで、先ほど私がお話ししたように、建築基準法を改正しても、それ以前の建物に効力が及ばず事件につながるようなことはなくしたいと思うんですね。国交省として何らかの制度改正あるいは対応を検討しているのか、伺います。

斉藤国務大臣 令和三年十二月十七日に大阪市北区のビルで火災が発生し、これまでに二十六名の方が被害に遭われ、お亡くなりになりました。被害に遭われた方々に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 事件を踏まえ、消防庁と連携を図りつつ、全国の地方公共団体において、今回の火災建物と同様に階段が一つしか設置されていない雑居ビル等を対象として、緊急立入検査を実施しております。

 地方公共団体においては、対象建築物約一万六千件のうち、これまでに約一万件について緊急立入検査を実施し、このうち約二千件において、階段部分の防火、防煙措置等に関する建築基準法令違反や不十分な維持管理状態が確認されたところでございます。

 建築基準法令違反や不十分な維持管理状態が確認された建築物につきましては、地方公共団体に対して是正指導の徹底を要請しております。

 また、今後の対策につきましては、消防庁と共同で、先ほど御説明がございました、本年二月に設置いたしました大阪市北区ビル火災を踏まえた今後の防火・避難対策等に関する検討会において、緊急立入検査の結果等も踏まえつつ、階段が一つしか設置されていない既存建築物等における防火、避難対策等について、現在検討を行っているところでございます。

 今後、本年六月を予定しております検討会の取りまとめを踏まえ、必要な安全確保対策を講じていきたいと思っております。

 済みません。先ほど、対象建築物約、何と申し上げたのか分かりませんが、間違っていたようで、約一万三千件のうち、これまで約一万件において立入検査をやったということでございます。対象建築物約一万三千件でございます。失礼しました。

高橋(千)委員 実は、緊急立入点検をするときの要綱というんでしょうか、何を検査しますかという中に、私が言った基準法改正の前のものも含まれていたんですが、内訳が分からないんです。要するに、まだそこまで詳細なものがなくて、それをきちんと出していただきたいと思うのと、やはり、事件や災害が起きるたびに規制を強化してきました。でも、その逆もあるんですね。

 それで、やはり強化しても、結局、それ以前のものに対してその趣旨を浸透していくという何らかの手だてをしなければ、いやいや、別に違反していないよという話になってしまって、取り返しのつかないことになるわけですよね。

 そのことを是非、今すぐ全国に階段を二つつけろということはさすがに無理だと思うんですよ、だけれども、それに代わる対策をきちんとやっていくということを、やはり知恵を出さなければ絶対いけないと思うし、もちろん、消防庁とも連携をしながらやっていただきたい。

 そのことを重ねて指摘をして、次の機会にまた伺いたいと思いますが、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

中根委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 この法案最後の質疑者として立たせていただきます。ぴりっとした質疑をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 この法案は、四月二十二日に閣議決定をされて、それまでは検討中ということで、国会になかなか提出されることがありませんでした。

 四月十四日の朝日新聞には、今夏に参議院選を控えて会期延長が見込めない中で、参院自民党幹部が法案提出に難色を示すなど党内に慎重論があったほか、昨年十二月に発覚した統計不正問題への対応で十分な審議時間が取れない見通しだったことが背景などと書いていますけれども、これはマスコミの報道ですから、臆測記事なんですね。

 是非私はこの場で大臣にお答えしていただきたいんですけれども、既にこの国土交通委員会には五本の内閣提出の法案が提出されて、残るところ、参議院先議の一本の法案だけです。

 例えば、航空法なんというのは、同じように今回カーボンニュートラル関連の法案でありますし、これから審議されるであろう自賠責法なんというのは、こんなのは今やらなくてもいい、けしからない法案だと思うんですよ。

 それらの五本の法案に比べてこの法案の閣議決定を遅らせるというのは、どういう価値判断に基づいて政府として行ったのか、こうした朝日新聞の臆測記事を書かれないように、ここで明確に御答弁いただけませんでしょうか。

斉藤国務大臣 本法案につきましては、当初、検討中の法案として扱っていたところでございますが、原油価格等の高騰対策が急務となる中、住宅の省エネ化など、経済構造の転換が必要になっていること等も踏まえ、政府全体として検討、調整を進め、本年四月二十二日に本法案を閣議決定いたしました。

福島委員 それは、原油の価格高騰がしなければ、航空法とか自賠責法よりも価値が低い法案だと判断されたということでよろしいですか。

斉藤国務大臣 地球温暖化対策、気候変動問題として非常に重要な法案であるというふうに国土交通省として考えておりました。

 それで、しっかり我々は法案提出に向けて準備をしていたわけでございますが、検討中ということで、当初から法案提出に向けて準備をしていたところでございます。

 そういう中で、また新たな要素として原油価格等の高騰対策が急務となる中、この法案を提出するという政府全体の判断となったものと考えます。

福島委員 これが政治の意思決定なんですよ。価値基準なんですよ。ほかの五本の法案よりも価値として低いと判断されたから遅くしたんですよ。

 私は、そのことは国民の皆様方にしっかり見ていただきたいし、この間、法案の審議入りを求める多くの声が私の元に集まってまいりました。せっかくの法案ですからもっと早く審議して、しかも、これは今回五時間です。これだけ新しい規制を加える法案を五時間で審議するというのは、私はあり得ないと思うんです。技術的な事項も多く含まれますから、本来は参考人質疑もすべきことだったと思うんですね、これは政府の責任じゃないですけれども。

 是非、委員長、そして与野党の理事の皆さん、国民の期待に応えるために、新しい義務を国民にかける法案でありますから、しっかりした審議をこうした法案で今後やっていただくことをお願いを申し上げます。

 資料一なんですけれども、先ほど来議論があって、質問は多少省かせていただきますが、今回、小規模の建築物が入ることによって、規制対象となる戸数は、一万四千戸から四十五万棟と、三十倍以上に増えますね。三倍じゃなくて三十倍です。多くの人がこの規制に対応しなきゃならないんです。だから、しっかりと時間を取れと言っているんです。

 そうすると、これまでは一万四千戸ですから、能力のある建築主の人とか、あるいは建築士の方々がやっていたんでしょうけれども、これから、全てですから、あらゆる建築業者の皆さん、零細も含めて、建築士の皆様方も含めて対応しなければならないんですね。

 先ほど共産党の高橋委員の質問でもありましたけれども、私は、これは一で示していますけれども、五十代以上の建築関係の皆様方で、問題なく対応できるというのは、先ほど四割が対応できないと言っていましたけれども、四割の人しか対応できないんですよ。この下のグラフを見ると、建築士の方は、五十代、六十代が過半数ですから、高齢の建築士の皆さんは、今まで省エネとかの仕事をやってこなかったかもしれないけれども、新たにやるか、あるいはもう辞めるかしかないんですよ、こういう人たちは。

 先ほど来聞いていると、何か定期講習をやるんだとか準備期間を取るんだという話がありますけれども、私はそれだけのことで対応できないんじゃないかなと思うんですね。

 あともう一点の視点は、私の地元、水戸とかですと、結構茨城県は土地が広いですから、一戸建ての住宅が何と今二千万円を切る、一千万円台で売られているんです。我々の親が買った区画を二つに分けて、そこに比較的安価な住宅を一千万円台で出して、三十代の方が買うという例があって、これが省エネ性能がどうかというのは私は知りませんけれども、多くが地元の中小の工務店が建て売りをしているような住宅です。

 先ほど聞いたら、新築の八割は適合しているとか、建設費の一%未満しか負担増にならないという大臣は答弁をおっしゃいましたけれども、これはやはり大手とか全部をひっくるめたところなんですよ。零細の方は、ちょっとでもコストが上がったら、それこそ五万円、十万円の価格を削るために物すごい努力している人が、先ほど古川委員の質問でもありましたけれども、原油価格の高騰とか資材高騰の中で、新たにこの規制が加わることになるんですね。

 ですから、私は、今回、今までのような、一万四千棟の、中小よりもむしろ大手とかを対象とするのから、すべからく全ての人が規制を受けなければならない、四十五万が対象になったことによって、いろいろな人がしわ寄せが来るわけです。

 私は、この規制の導入によって、例えば、高齢の建築士さんの皆さん方が引退する人が増えるとか、あるいは、これまで中小零細、地元の人がやっていた人が大手に置き換わるとか、そういうことも起きかねないと思うんです。

 ですから、大臣にお聞きしたいんですけれども、さっきの答弁では駄目だと思うんですね。具体的にどういう数値、データをもって、この規制を導入することによる経済効果、どのぐらい住宅需要が増えるのか減るのか、住宅価格が上がるのか下がるのか、大手と中小の間の業界の構造が変わるのか、それをどう予測して、それに対してどう対応しようとしているのか、明確な答弁をお願いいたします。

斉藤国務大臣 中小工務店が主に供給する戸建て住宅等の小規模住宅については、省エネ基準への適合率が二〇一九年度時点で約九割となっており、基準に適合する住宅が一般化している状況にある、このように認識しております。

 また、省エネ基準に適合させるために必要となる追加コストについても、一定の条件の下での試算によりますと、建設費の一%未満となっており、本法案により省エネ基準への適合を義務づけることによる住宅価格への影響は限定的と考えております。

 一方で、適合を義務づけることにより、新築住宅全体の省エネ性能の底上げが図られるとともに、トップランナー制度の拡充等により、高性能な建材、設備の開発、普及が進展し、省エネ性能の向上がより図りやすい環境が整備される、中小工務店の皆様にも、価格が下がって、より対応しやすい環境が生ずる、このように考えております。

福島委員 図らずも、今読み上げた答弁に本音が表れている。これは大臣の本意じゃないと思うんですよ、役所が作った答弁だから。トップランナー制度の導入というのは、中小にとって何の慰めにもなりませんよ。価格が下がるというのは、逆に、中小の方が淘汰される可能性があるんです。

 私は、ずっと、この国土交通委員会は今期が初めてなんですけれども、国交省の政策というのはデータが出てこないんですよ。EBPM、エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングといいますけれども、それが実は統計問題の根幹なんですよ。

 統計データは、今回の法案をやるときに、全然、法案を作るときの材料にされていないじゃないですか。大手と中小でどう業界が違うのかというのは数字が出てこなくて、さっきの大臣がおっしゃった、一%ぐらいしか価格に影響がないとかというものなので、それは、私が地元で聞いている皮膚感とちょっと違います。

 ですから、是非、この法案が成立した後でいいですから、しっかりと数字を見るのと現場の声を聞くことで、大手、中小といっても、中小もピンからキリまでありますからね、建築士の皆さんも様々な専門の違いがありますから、そうした方の声を聞きながら、きめ細かな法律の施行に努めていただければと思います。

 次に、法案の方に行きます。

 先ほど、午前中、藤岡委員が質問した規制の在り方、この建築物省エネ法の三十三条の二第一項、私もこの議論を通じてちょっと疑問に感じましたので、多少議論させていただきます。

 まず、この法案第三十三条の二第一項は、努めなければならないという、いわゆる法令用語で言う努力義務ということでありますので、販売事業者は、エネルギー性能表示の表示を行わなかった場合に、この条文に基づく罰則はかからないと考えてよろしいですね。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 エネルギー消費性能の本法案に基づきます表示制度につきましては、我が国の……(福島委員「前段はいいから。罰則がかかるか、かからないか」と呼ぶ)はい。

 本法案におきましては、ルールに反した場合に即違反となるような強い規制措置ではなく、広く販売、賃貸事業者に表示の努力義務を課し、自主的な努力を促した上で、省エネ性能の表示を一切行わない場合や、省エネ基準に適合していない建築物を適合しているものと偽って販売、賃貸した場合など、その行為が極めて悪質であり社会的影響が大きい場合に勧告等を行うことができる規制的な制度としているものでございます。

福島委員 だって、自主的に行うというんだから、自主的だから、自主的に行われないことも許されると考えてよろしいですね。今、言語矛盾ですよ。自主的に行うと言っているんだから、自主的なんだから、行わないといったのを認められると考えてよろしいですね。

淡野政府参考人 努力義務をまず課しているという点では、自主的な努力を促すという点でございます。

 その上で、省エネ性能の表示を一切行わないなど、その行為が極めて悪質で社会的影響が大きい場合に勧告等を行うことができるという仕組みにしております。

福島委員 自分のしゃべっている日本語がお分かりになりますか。自主的というのは、自分で主体的になって判断することなんですよ。だから、表示することも、しないことも自主的な判断でしょう。だから、しなくてもいいわけですね、罰則はかからないわけですね、努力義務なんだから。努力をするんだから。努力して駄目で表示しませんということも認められ得ると考えないと、ここは法案審査の座だから。法律を作るのは皆さんじゃないんですよ、国会議員なんですよ。

 私は、この法律の条文をそのまま読み、なおかつ、有志の会のヒアリングのときもこの議論をしたはずですよ。罰則がかからないと明確に答弁していたにもかかわらず、今日、藤岡委員のときになった途端に、一切表示が行われていないとか、新たな規制をこの国会の法案の審議の場で加えるなんて許されないですよ。

 もう一回答弁してください。自主的なんだから、表示しないことも法的には可能ですね。

淡野政府参考人 表示を行わない場合に即罰則が適用されるという形の規制措置ではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、省エネ性能の表示を一切行わない場合で、その行為が極めて悪質で社会的影響が大きい場合には勧告を行うことが可能であるという仕組みでございます。

福島委員 もうちょっと進めます。

 では、自主的に表示を行わなかった場合は、表示を行っていないんだから、法案第三十三の二の第二項の規定はかからないと考えてよろしいですね、表示しないんだから。自主的に表示しないこともできるわけでしょう。最終的に罰則がかかるかどうかは別として、表示をしなかった場合は、三十三条の二の二項の適用は受けませんよね。確認します、これは事実なので。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 表示を行わないという、自主的な努力が不十分な場合に該当する場合には、告示基準に従った表示が行われていないと考えられますので、勧告の対象となります。

福島委員 それは、法律上、そう読めないんですよ。多分、これはトップランナーの法案をそのまま写したんだと思いますけれども、トップランナーの場合は、第一項の柱書きに、基準に適合するように努めるという、基準に適合なんですよ。もし告示に適用するんだったら、三十三条の二第一項のところに、省エネ消費性能の告示に適合するように努めなければならないんですよ。

 分かりますか。法律、間違えているんですよ。間違えているか、読み方をあえてこの場で変えたか、どっちかなんです。私は、読み方を変えたと思っていますよ。なぜなら、法案審査をうちの会派でやったときと違う答えをしているから。そうされると、国会審議は成り立たないんですよ。だから、今、質問をしているんです。藤岡議員の質問に、一切表示を行われない場合は罰則なんというのは、この法律はそうなっていないんです。

 もしそれをやりたいんだったら条文修正が必要ですけれども、斉藤大臣、条文修正に応じる意思はありますか。

斉藤国務大臣 国が定めたルールに従って適切に表示した場合は勧告等を受けることにはならず、結果的に、社会全体としてルールどおりの適切な表示を行うことが定着している段階にあっても、一切表示を行わない、ルールどおりに表示を行わないなど、明らかに一般に比べて努力義務を果たしていないと認められる事業者が勧告等の対象になるものと考えております。

 この制度により、一般の事業者に比べ明らかに努力義務を果たしていない事業者が指導されることによって、建築物の販売、賃貸を行う事業者による省エネ性能の適切な表示が促進されるものと考えております。

福島委員 大臣、一緒に原子力災害対策特別措置法の厳しい法案審議に戦って臨みましたけれども、役所が書いた答弁を読み上げていますけれども、その答弁は、先ほど言ったように、一項のところに、告示の基準に合うような表示を努めなければならないという条文だったら、その答弁でいいんですよ。成り立たないんですよ、それが。

 私が一番許せないのは、法律で本来義務がかかっていないにもかかわらず、その人が義務がかかったように罰則がかかると答弁しているから、ここはクリアにしなきゃならないと思っているんです。

 今日は弁護士の枝野先生もいらっしゃいますけれども、やはり我々国会の、立法府として、特に罰則がかかる規定ですよ、罰金がかかって、国民の財産権を強制的に制約するわけですよ。それを政府答弁で、一切表示を行わない販売事業者も対象になりますよと、私は解釈することは許されないと思うんです。

 二つに一つだと思います。そういう人も罰則の対象にするなら条文を変える。それができなくて、今の条文を維持したいんだったら、藤岡委員への答弁に対して、一切表示を行わない業者も対象とするという答弁を取り消す。そのどっちかをやらないと、私は、立法府の権威が、この国土交通委員会は保たれないと思いますよ。

 どちらかを選んでください、大臣。

淡野政府参考人 御指摘の三十三条の二の条文でございますけれども、二項におきまして、国土交通大臣は、前項の規定による性能の表示について、表示すべき事項ですとか表示の方法、こういうような事項を定めて、これを告示するというふうにございますので、第一項の努力義務に基づいて表示する際に留意すべき事項としてこの告示を規定するものでございます。

福島委員 まさにそのとおりなんですよ。表示する際に定めるんだから、表示しないときには二項はかからないんですよ。

 勧告は、第三十三条の三は、前条第二項の規定により告示されたところに従ってしないと認めたときだから、初めから私は表示はしませんよという人には第三十三の三はかからないんですよ、法律を読めば。だから、その後の勧告も措置命令もかからないし、罰金もかからないのが当たり前の法律の読み方です。

 私だって、毎年新しい法律を作りましたよ、法制局に行って。この間の盛土法のときだって、何か怪しい条文があったじゃないですか、何かへ理屈をこねて、一生懸命やっていましたけれども。

 今回は、許し難いのは、やはり義務がかかるところだから。ここの国会答弁で新しい罰則を入れるようなことをやってはいけないですよ。もし罰則をかけたいんだったら、条文を修正するしかないんです。

 ここは結構微妙な点でありまして、この表示義務がかかっていないということについては、いろいろな人が問題視しています、私のところにも意見を言ってきています。多くの国は、表示は義務なんですよ。義務にするんだったら義務にするで、そういう条文にしなければ、結局、司法の場では、条文に従って解釈するしかないんですね。

 ですから、私は、ここは二つだと思うんですよ。一切の表示を行わない販売業者は罰則の対象にはならない。午前中の答弁を取り消すか、その人に罰則を加えたいなら、この場でもう一度理事会を開いて条文修正をしましょうよ。

 皆さんはどっちをやりたいんですか、大臣。

淡野政府参考人 今御議論になっております、表示の、一切行わない事業者の扱いでございますけれども、こちらは、告示した表示すべき事項を表示していない者に該当いたしますので、当然に勧告の対象になると考えております。

福島委員 だって、最初、言ったじゃないですか。自主的なんでしょう、表示するかしないかは。表示していない人が告示に従いようがないじゃないですか。表示しない人がどうやって告示に従うんですか。最初、局長は言ったじゃないですか、自主的だって。自主的なんだから、従う必要はないですよ。

 だから、どっちかを選んでください、ここで。選ばないんだったら、一回、今日は採決をやめてください。

 委員長、ちゃんと整理してくださいよ。一回止めて、ちゃんと整理してください。

中根委員長 ちょっと待ってくださいね。

 どうですか、答えられますか。

淡野政府参考人 お尋ねの三十三条の二第二項は、第一項の努力を行う際の表示方法や表示すべき内容を定めるものでございますので、表示すべき事項を表示していない場合には……(発言する者あり)

中根委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

中根委員長 速記を起こしてください。

 淡野住宅局長。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 三十三条の二における販売事業者等による表示でございますけれども、第二項におきましては、第一項の表示の努力として求める努力の水準、レベルを告示で示しているものでございますので、表示を一切行っていない方は、この告示で示しているその努力のレベルを満たしていないということから、勧告等の対象になると考えております。

福島委員 答弁は全く変わっていないですよ。だって、表示しない人は告示の適用を受けないじゃないか。

 だから、それを言いたいんだったら、一項を変えなきゃ駄目なんです。一項を、エネルギー消費性能を次項に定める告示に従って表示するように努めなければならないと変えれば、あなたの言うことは正しいの。

 でも、何度もこの話をしているじゃないですか。もう理解できないので、一度役所に帰って整理してください。(発言する者あり)

中根委員長 速記を止めますよ、どうですか。(発言する者あり)

 じゃ、手を挙げていますから、淡野住宅局長。

淡野政府参考人 二項におきまして、前項の規定による表示について、表示すべき事項ですとか表示の方法を決めるというのは、これは一項の努力義務に関してその努力すべき水準を示しているものでございますので、お尋ねの、表示を一切行っていないという場合には、この告示で示す自主努力の水準を満たしていないということから、当然、勧告の対象になります。

福島委員 これは堂々巡りなので。

 自主と言っているんだから、自主というのは、表示しないことも認める自主なんですよ。法律なんだから、そこは厳密にしないと。国民の権利を縛るんだから。法律をなめちゃいけないですよ。我々は立法府なんだから、法律を作るのはあなたじゃないの、我々なんですよ。勝手に罰則をつけないでください。(発言する者あり)じゃ、理事会にお任せします。

中根委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

中根委員長 速記を起こしてください。

 この際、休憩します。

    午後三時三十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時二十分開議

中根委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 本日の委員会は、散会いたします。

    午後四時二十一分散会


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