第15号 令和4年5月24日(火曜日)
令和四年五月二十四日(火曜日)午後一時開議
出席委員
委員長 中根 一幸君
理事 柿沢 未途君 理事 小島 敏文君
理事 塚田 一郎君 理事 土井 亨君
理事 城井 崇君 理事 小宮山泰子君
理事 市村浩一郎君 理事 伊藤 渉君
秋本 真利君 伊藤 忠彦君
石原 宏高君 泉田 裕彦君
小里 泰弘君 尾崎 正直君
大西 英男君 加藤 鮎子君
金子 俊平君 菅家 一郎君
木村 次郎君 櫻田 義孝君
笹川 博義君 田中 良生君
谷川 とむ君 中川 郁子君
根本 幸典君 宮内 秀樹君
宮崎 政久君 和田 義明君
稲富 修二君 枝野 幸男君
神津たけし君 篠原 孝君
藤岡 隆雄君 谷田川 元君
渡辺 周君 池下 卓君
高橋 英明君 山本 剛正君
河西 宏一君 北側 一雄君
古川 元久君 高橋千鶴子君
福島 伸享君 櫛渕 万里君
たがや 亮君
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国土交通大臣 斉藤 鉄夫君
国土交通大臣政務官 加藤 鮎子君
国土交通大臣政務官 木村 次郎君
国土交通大臣政務官 泉田 裕彦君
政府参考人
(林野庁林政部長) 森 重樹君
政府参考人
(国土交通省大臣官房官庁営繕部長) 下野 浩史君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 淡野 博久君
国土交通委員会専門員 武藤 裕良君
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委員の異動
五月二十四日
辞任 補欠選任
小林 茂樹君 尾崎 正直君
福田 昭夫君 篠原 孝君
たがや 亮君 櫛渕 万里君
同日
辞任 補欠選任
尾崎 正直君 小林 茂樹君
篠原 孝君 福田 昭夫君
櫛渕 万里君 たがや 亮君
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五月二十四日
自動車損害賠償保障法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)
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○中根委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房官庁営繕部長下野浩史君、住宅局長淡野博久君及び林野庁林政部長森重樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中根委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○中根委員長 質疑の申出がありますので、これを許します。福島伸享君。
○福島委員 有志の会の福島伸享でございます。
金曜日に続いての、延長戦をさせていただきます。
金曜日の委員会で、本法案におけるエネルギー消費性能の表示制度について、淡野局長は、自主的な努力を促す、自主的と言いながら、表示を一切行わない事業者は当然勧告の対象にして罰則もかかるという、まあ、ちょっと不思議な答弁をされたわけなんですけれども、私は、義務化するなら条文を修正しなければ義務化にならない、そうでないんだったら答弁を修正された方がよろしいんじゃないでしょうかということを申し上げました。
結局、今回の改正法というのは、省エネ性能の表示は義務化なんでしょうか、どうなんでしょうか。御答弁をお願いいたします。
○淡野政府参考人 お答えを申し上げます。
初めに、答弁の訂正について御報告を申し上げます。
先週金曜日の審議の際、福島委員の御質問に対し、私から、事業者が行う性能表示に関し、自主的な努力を促すと、自主的という言葉を用いて答弁いたしました。
これは、法律によって一律に義務づけるものではない旨を説明しようとして用いたものですが、結果的に、表示をするもしないも任意に決めてよいという意味であるとの誤解を招いてしまい、審議を混乱させてしまいました。
大変申し訳なく思っております。
このため、性能表示に関し、自主的なものであるという私の答弁は、誤解を招くものとして、謹んで訂正させていただきたいと存じます。
その上で、御質問にお答え申し上げますと、本法案に基づく表示制度は、建築物の販売、賃貸事業者に省エネ性能の表示を義務づける、いわゆる表示の義務化を行うものではないということを明確にお答えさせていただきます。
本制度は、省エネ性能に着目して、建築物の販売、賃貸が行われる市場環境の整備を目指すものであるため、事業者の規模を問わず、全ての販売、賃貸事業者を対象とするものであります。
このため、中小零細事業者の方々を始め、御心配になっておられる方も多いと存じますが、告示に従って表示をしていない事業者、すなわち表示を行わない事業者や表示が不十分な事業者がいる場合であっても、直ちに罰則の対象となることはありません。
また、こうした事業者は勧告等の対象となる可能性もありますが、告示に従って表示をしていないことをもって勧告等を行うことには、慎重に対応すべきものであると考えております。
このことは、法第三十三条の三第三項の規定に基づき命令を行うことができる対象を、正当な理由がなくてその勧告に係る措置を取らなかった場合であって、建築物のエネルギー消費性能の向上を著しく害すると認めるとき、すなわち、社会全体の省エネ対応に与える影響が大きい場合等に条文上限定していることからも明らかであります。
こうした本制度の趣旨に鑑み、例えば、多数の住宅を供給する事業者が、容易に表示できるにもかかわらず、それらの住宅について一切表示を行わず、結果的に他の事業者の表示意欲を阻害するなど、社会的な影響が大きい場合につきましては、表示を促すために適切な対応を講じてまいりたいと存じます。
○福島委員 ありがとうございます。
本当に、修正、勇気の要ることだったと思いますけれども、ありがとうございます。
前回の答弁を修正して、まず、表示は義務ではないということが明確になりました。また、中小零細事業者など、直ちに罰則の対象にはならない。一方、大手の販売事業者等が表示しないような場合には、それを促していくということが確認されたと思います。
前回の質疑は、多くの方から法律上の問題点が、弁護士の方などからも指摘されましたし、むしろ義務化されるという声が多かったです。私も、本来、義務化されるべきだと思います。この表示制度は消費者のためのものでありますから、本来、義務化すべきでありますけれども、ただ、一方の行政側の都合として、直ちに全てを義務化して直罰をかけるようなことになると、運用上、大変困難になる可能性もあるから、段階を追って厳しくしていって、将来的には義務化を到達していくという方向ではないかと私は推察しております。
大臣、法施行後、やはり運用の状況を見ながら、ほかの先進諸国がやっているように表示の義務化というものを実現するべきだと思うんですけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。
○斉藤国務大臣 建築物の省エネ性能の表示を推進することは、より性能の高い建築物が選好される市場環境を整備する観点で大変重要と考えております。
省エネ性能の表示が普及していると言える状況にはなく、仮に表示の義務づけを行った場合、現段階では、表示を行わないことにやむを得ない事情のある多数の事業者に義務違反が発生するなど、過度な規制となることが懸念されます。
このため、販売、賃貸事業者に表示するよう努めることを求めた上で、社会的な影響が大きい場合等に勧告等を行うこととしております。
今後、本法案に基づく制度の施行状況、特に中小規模の販売、賃貸事業者による対応状況などを踏まえ、議員御指摘の表示の義務化も含め、より実効性のある仕組みへの見直しを検討してまいります。
○福島委員 極めて前向きな答弁、ありがとうございます。ちょっと一日採決が延びてしまいましたけれども、以上のやり取りで、かなりの法的な整理ができたと思います。
やはり国会の役割というのは、立法府の役割は、立法府ですから、法律を作ることであります。とりわけ、国民の自由とか権利を制限したり罰則をかけるといった権力行使に関わるものは、我々、国民の負託を受けた国会議員しか、この場でしか議論できないんですね。
政府の問題は何も問題ないじゃないかとか、細かなテクニカルな議論じゃないかとか、そんな話もありましたけれども、しかし、やはりそれぞれの政党会派でしっかりと法案の事前審査を行い、この法案審査の場を、委員会の審議を通じて法律の解釈等をはっきりすることによって、国民にとってよりよい法律の運用の方向性が私は示せたんじゃないかと思っております。
大臣を始めとする政府関係者の皆様方の真摯なこの間の検討に心から敬意を表しますし、中根委員長を始めとする各党の理事各位、委員各位の御配慮に心から感謝を申し上げ、次の質問に行きたいと思います。
次は、木材利用の促進なんですけれども、私の資料の四というのを御覧ください。
私、思い出すのは、民主党政権になったばかりの二〇一〇年に、公共建築物の木材利用の促進法というものの制定に農林水産委員会の委員として携わりました。これはある意味、画期的な法律なんですね。私、その間二回落選して、国会に戻ってきてみると、この右上の緑のグラフを見ると、国が整備する公共建築物のうち低層の公共建築物は、何と木造化率は九六%まで上がっております。
何でこんな上げることができたのか、その理由について、国土交通省さん、お答えください。
○下野政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省では、自ら整備する公共建築物におきまして率先して木造化、木質化を推進するとともに、各省庁が使用する公共建築木造工事標準仕様書などの技術基準類を整備し、地方公共団体への普及にも努めてまいりました。
また、各省庁が整備した非木造の低層の公共建築物につきましては、必要に応じて林野庁とともにヒアリングを行い、木造化しなかった理由等について検証をし、木造化が徹底されるよう各省庁に対して働きかけを行ってまいりました。
○福島委員 私、感動したのは、大体、国会議員って、法律を作ってそのままほっぽっておくんですけれども、今回、営繕部さんは、検証チームというのをつくって、一つ一つの建築物をなぜ木造化できなかったのかと検証して、できるものはやれるようにしろときめ細かくやって、九六%まで木造化が実現したんですね。これは、国がやったから、あと、官庁営繕部さんが非常に頑張ったからできたんですね。
問題は、民間の方なんです。次の資料を御覧ください。
新築建築物に占める木造建築物の割合ということで、これは、オレンジのところが非木造なんですけれども、特に、低層の非住宅の部分、工場とかいろいろある、事業所とかあると思うんですけれども、そこの部分の木造化が進んでいません。また、高層の部分は、様々な建築基準の規制の関係があるから進んでいないんでしょうが、今回、この法案でかなり規制改革を進めることによって、この部分の木造化を進めていくんだと思いますけれども、問題は、やはりこの民需の部分の、非住宅の部分をどうするかということだと思うんですね。
二〇二一年に先ほどの公共建築物木材利用促進法を改正して、対象を公共建築物から民間も含む建築物一般に広げて、脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材利用に関する法律という、長い名前ですけれども、そういう法律に変えたんですね。これは何かというと、当初の公共建築物木材利用促進法というのは、目的は、どっちかといったら、国産木材を利用促進するという、林業の発展とか木材自給率の向上が理由だったんですよ。ところが、今回の法改正によって、基本的な理念として、脱炭素化の実現、つまり、一つの産業の育成から、脱炭素社会の実現へと大きな目的になっているわけですね。
そのためには、やはり民間のところを進める必要がある。民間のところを進めるには何をすればいいか。今、様々な支援制度があるんですけれども、どれもシャビーです。
例えば、サステーナブル補助金というのがあって、先導的な木造建築物に補助金が出るという制度があります。どこかで聞いたことあるなと思ったら、籠池さんがこれで補助金詐欺を起こして、今有罪判決を受けているという例の補助金なんでありますけれども、ごく数件しか採択されないんですよ。あとは、設計とか、そういうのにかかるものの補助とかですね。
やはり価格差を埋めるのが大事なんですね。先日の議論でもありましたけれども、ほかの既存の建築物に比べて、木造であるとどうしても一五から、一五%高くなると、やはり税制上の措置とかあるいは様々な直接的な補助制度というのが必要だと思うんですけれども、これから、木造建築物の、特に民間における需要の促進に向けて思い切った支援策を講じる、その決意を是非、大臣、お聞かせいただければと思います。
○斉藤国務大臣 民間建築物における木材利用を拡大するためには、現状、木造の割合が極めて少ない四階建て以上の中高層建築物における木材利用を促進することが有効であると考えています。
このため、本法案にも盛り込んでいる建築基準の合理化のほか、これまでも、先導性の高いプロジェクトに対する支援、設計者向けのポータルサイトの整備や講習会の実施に対する支援を行ってまいりました。
更に、令和四年度当初予算において、普及拡大段階の木造化技術を活用したプロジェクトに対する支援を創設し、支援の充実を図ったところです。
今後とも、昨年改正された木材利用促進法に基づき設置された木材利用促進本部の枠組みを活用するなど、関係省庁間で十分に連携を図りながら、民間建築物における木材利用の拡大に向けた方策の充実について検討してまいります。
○福島委員 ありがとうございます。
今、大臣、高層と言いましたけれども、一番大事なのは、まず低層なんですよ。なぜ低層で広まらないかというのは、税制上、財政上の措置がないからなんですね。是非そこにチャレンジいただきますことをお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○中根委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○中根委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。櫛渕万里君。
○櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里でございます。
討論の時間をいただき、ありがとうございます。
れいわ新選組は、本改正案に賛成いたします。
しかし、この法改正をあくまで最初のステップとして、以下のとおり、更なる省エネ、再エネ政策の拡充を求めます。
まず一点目は、二〇三〇年目標の超過達成を目指し、更に高い省エネ基準を義務化することです。
エネルギー起源排出量の約三分の一を占める住宅・建築部門について、地球温暖化対策計画では、二〇三〇年までに住宅は六六%、業務は五一%と定められていますが、更なる削減が必要です。二〇二五年、省エネ基準四等級の義務化にとどまらず、二〇二六年以降、ZEH、ZEB基準を義務づけていく、段階的な基準引上げを求めます。
二点目は、省エネリフォーム支援は、低所得者の住環境改善を最優先にすることです。
本改正案の施策だけでは、多くの国民が断熱性能の低い住宅に住み、ヒートショックなど健康リスクにさらされ、家計に占める光熱費の負担割合の高い現実は変えられません。れいわ新選組は、既存住宅について、低所得者世帯を考慮した断熱改修の目標設定をするよう求めます。
借り手のつかない築年数の古い住宅を政府が買い上げ、省エネ基準を満たす改築を行い、安い家賃で提供すること。また、省エネリフォームの資金を持たない住民の持家を、融資ではなく、政府が財政支援をして改修すること。特に、内窓の設置は、コストパフォーマンスもよく、国民に暖かく安心な暮らしを届けるものです。住まいは権利です。これらの施策の拡充を強く求めます。
三点目は、新築住宅への再エネ設備設置の義務化です。
この改正案で見送られた新築住宅への再エネ設備義務化を早急に導入するよう求めます。
新築住宅着工件数は、ここ数年、八十万戸台で推移をしています。仮に、毎年八十万戸に四・五キロワットの太陽光パネルを設置すれば、年間約三百八十万キロワットの再エネ供給力が追加され、これは、発電容量としては原発約四基分に相当いたします。毎年これだけの規模の太陽光パネル、施工需要が生まれることを予見できれば、この需要を見込んだ設備の国内生産シフト、地域の工務店への発注増なども見込め、これは長期的な雇用創出や地域活性化が期待できます。
先日の私の質疑で、れいわ新選組が主張する脱原発、グリーンニューディールに官民合わせて二百兆円の財政出動を求めました。翌々日の二十日、報道によれば、政府は、今後十年間、官民で百五十兆円を超えるグリーン投資を実現するために二十兆円の新規国債を発行するという同じ方向性を打ち出され、私たちはこれを歓迎いたします。
しかし、残念ながら、その内容は、一部の企業保護を最優先に、石炭火力のCCSやアンモニア混焼など、確立していない技術を当てにした、世界の潮流と真逆に向かうものであり、認められません。むしろ、この財源を元に、既存住宅の省エネ改修や再エネ設置義務化によって、脱炭素そして国民の健康な暮らしのために大胆に投資をすべきであるということを強く訴え、私の賛成討論といたします。
終わります。
○中根委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○中根委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○中根委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○中根委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、小島敏文君外七名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党、有志の会及びれいわ新選組の八会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。小宮山泰子君。
○小宮山委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。
脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。
一 省エネ基準の適合義務制度の対象が住宅を含む原則全ての建築物に拡大されることに伴い、国民に大きな影響が及ぶことを踏まえ、住宅・建築物の省エネ性能の向上の必要性及び本法に盛り込まれた制度等の内容をわかりやすく説明し、本法が円滑に施行される環境を整備すること。
二 省エネ基準の適合義務制度の対象の拡大による市場の混乱が生じないよう、十分な準備期間を置き、中小工務店向けの講習会の実施等による関係事業者等の省エネ基準や省エネ技術に係る習熟度向上に対する支援の充実を図ること。
三 二〇三〇年度以降新築される住宅・建築物について、ZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能の確保を図るため、大手住宅事業者が担う住宅トップランナー基準によって省エネ性能の一層の向上を推進するよう国として促すとともに、財政上及び税制上の支援措置について検討すること。
四 建築物の利用者に対して省エネ性能に関する情報提供を行い、省エネ性能の高い建築物が選択される市場環境を整備するため、省エネ性能表示制度の活用を推進しその実施状況を見ながら表示制度義務化の検討を行うとともに、告示に従っていない場合の勧告が適切に行われるよう、勧告を行う基準を明確にすること。
五 既存の住宅・建築物の省エネ改修を更に促進するため、住宅金融支援機構による融資制度等に関する情報の積極的な提供を促すこと。また、低所得世帯の家計に占める光熱費負担割合の高さや断熱性能の低い住宅に住むことによる健康リスクが大きいことに鑑み、既存の賃貸住宅への断熱改修の目標を設定するとともに、既存ストックの更なる性能向上に向け、財政上及び税制上の一層の支援措置を検討すること。
六 既存の住宅・建築物の省エネ改修等を推進するに当たり、悪質な事業者による詐欺的な事件を防止し、消費者が安心して省エネ改修等を行うことができる環境を整備するため、関係法令の適切な執行や相談窓口の消費者への周知等の総合的な対応策を強化し、関係府省庁等が一体となって実施すること。
七 伝統的構法による木造建築物の建築に支障が生じないよう、気候風土適応住宅に係る所管行政庁による地域の自然的社会的条件の特殊性を踏まえた要件設定を促進するとともに、引き続き規制の合理化に向けてその在り方について検討を進めること。
八 市町村による建築物再生可能エネルギー利用促進区域の設定が効果的かつ適切になされるよう、市町村に対し、必要となる情報の提供を行うとともに、助言等支援を行うこと。
九 建築物再生可能エネルギー利用促進区域について、地球温暖化対策推進法に基づく地域脱炭素化促進事業の促進区域等と密接な連携を行い、各府省庁がそれぞれ行う再生可能エネルギー導入促進策を優先的に適用するなど関係府省庁横断的な政策の推進を行うこと。
十 建築確認等における審査省略制度(四号特例)の対象が大幅に縮小されることにより、事務等に混乱が生じることがないよう、デジタル化の推進等の申請側及び審査側双方の負担軽減に資する必要な措置を講ずること。
十一 安全性の確保を前提としつつ、中大規模建築物の木造化や混構造等の部分的な木造化による木材活用の推進に資するよう、建築基準法に係る技術的基準を適切に定めること。また、最近の建築資材の価格高騰等に鑑み、国産材の安定供給に向けた木材供給事業者と工務店等の連携促進の取組を推進すること。
十二 公共建築物に加え、民間建築物の木造化を一層推進するため、建築基準法に基づく適切な技術的基準を制定するとともに、財政上、税制上及び金融上の一層の支援措置を検討すること。
十三 建築物の省エネ性能の向上のため必要な外壁に関する工事等を行う建築物で構造上やむを得ないものとして国土交通省令で定めるものの容積率、建蔽率又は建築物の高さの制限に係る特例許可制度について、恣意的な運用が行われないよう、国土交通省令で定める内容は明確にすること。また、当該特例許可制度が適用されるのは許可された箇所のみとすることを徹底し、その他の箇所には適用されないようにすること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○中根委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○中根委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣斉藤鉄夫君。
○斉藤国務大臣 脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。
今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
ここに、委員長を始め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。
ありがとうございました。
―――――――――――――
○中根委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中根委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○中根委員長 次回は、明二十五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時二十七分散会