衆議院

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第18号 令和4年6月8日(水曜日)

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令和四年六月八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中根 一幸君

   理事 柿沢 未途君 理事 小島 敏文君

   理事 塚田 一郎君 理事 土井  亨君

   理事 城井  崇君 理事 小宮山泰子君

   理事 市村浩一郎君 理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    伊藤 忠彦君

      石原 宏高君    泉田 裕彦君

      小里 泰弘君    加藤 鮎子君

      金子 俊平君    菅家 一郎君

      木村 次郎君    小林 茂樹君

      佐々木 紀君    櫻田 義孝君

      笹川 博義君    田中 良生君

      谷川 とむ君    中川 郁子君

      根本 幸典君    宮内 秀樹君

      宮崎 政久君    和田 義明君

      稲富 修二君    枝野 幸男君

      神津たけし君    近藤 和也君

      福田 昭夫君    藤岡 隆雄君

      谷田川 元君    渡辺  周君

      池下  卓君    高橋 英明君

      山本 剛正君    河西 宏一君

      北側 一雄君    山崎 正恭君

      吉田 宣弘君    古川 元久君

      高橋千鶴子君    福島 伸享君

      たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   財務副大臣        岡本 三成君

   国土交通副大臣      中山 展宏君

   財務大臣政務官      藤原  崇君

   国土交通大臣政務官    加藤 鮎子君

   国土交通大臣政務官    木村 次郎君

   国土交通大臣政務官    泉田 裕彦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 難波 健太君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 新田 慎二君

   政府参考人

   (総務省大臣官房政策立案総括審議官)       阪本 克彦君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   奥  達雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    田原 克志君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  寺田 吉道君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  宇野 善昌君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 秡川 直也君

   政府参考人

   (観光庁長官)      和田 浩一君

   参考人

   (独立行政法人自動車事故対策機構理事長)     中村晃一郎君

   国土交通委員会専門員   武藤 裕良君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月八日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     佐々木 紀君

  稲富 修二君     近藤 和也君

  河西 宏一君     山崎 正恭君

  北側 一雄君     吉田 宣弘君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     大西 英男君

  近藤 和也君     稲富 修二君

  山崎 正恭君     河西 宏一君

  吉田 宣弘君     北側 一雄君

    ―――――――――――――

六月七日

 交通運輸労働者の賃上げ政策に関する請願(新垣邦男君紹介)(第一九六二号)

 同(井坂信彦君紹介)(第一九六三号)

 同(泉健太君紹介)(第一九六四号)

 同(梅谷守君紹介)(第一九六五号)

 同(枝野幸男君紹介)(第一九六六号)

 同(おおつき紅葉君紹介)(第一九六七号)

 同(大西健介君紹介)(第一九六八号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第一九六九号)

 同(落合貴之君紹介)(第一九七〇号)

 同(金子恵美君紹介)(第一九七一号)

 同(佐藤公治君紹介)(第一九七二号)

 同(鈴木敦君紹介)(第一九七三号)

 同(徳永久志君紹介)(第一九七四号)

 同(長友慎治君紹介)(第一九七五号)

 同(西岡秀子君紹介)(第一九七六号)

 同(野間健君紹介)(第一九七七号)

 同(本庄知史君紹介)(第一九七八号)

 同(牧義夫君紹介)(第一九七九号)

 同(松木けんこう君紹介)(第一九八〇号)

 同(山岡達丸君紹介)(第一九八一号)

 同(吉田はるみ君紹介)(第一九八二号)

 同(早稲田ゆき君紹介)(第一九八三号)

 同(荒井優君紹介)(第二一三一号)

 同(神谷裕君紹介)(第二一三二号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第二一三三号)

 同(神津たけし君紹介)(第二一三四号)

 同(近藤昭一君紹介)(第二一三五号)

 同(末松義規君紹介)(第二一三六号)

 同(伴野豊君紹介)(第二一三七号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第二一三八号)

 同(山井和則君紹介)(第二一三九号)

 国土交通行政を担う組織・体制の拡充と職員の確保に関する請願(青山大人君紹介)(第二〇九六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二〇九七号)

 同(大石あきこ君紹介)(第二〇九八号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第二〇九九号)

 同(金子恵美君紹介)(第二一〇〇号)

 同(神津たけし君紹介)(第二一〇一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二一〇二号)

 同(堤かなめ君紹介)(第二一〇三号)

 同(寺田学君紹介)(第二一〇四号)

 同(中谷一馬君紹介)(第二一〇五号)

 同(長坂康正君紹介)(第二一〇六号)

 同(長友慎治君紹介)(第二一〇七号)

 同(西岡秀子君紹介)(第二一〇八号)

 同(宮本徹君紹介)(第二一〇九号)

 同(森田俊和君紹介)(第二一一〇号)

 同(谷田川元君紹介)(第二一一一号)

 同(笠浩史君紹介)(第二一一二号)

 震災復興、国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願(青山大人君紹介)(第二一一三号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二一一四号)

 同(大石あきこ君紹介)(第二一一五号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第二一一六号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第二一一七号)

 同(金子恵美君紹介)(第二一一八号)

 同(神津たけし君紹介)(第二一一九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二一二〇号)

 同(堤かなめ君紹介)(第二一二一号)

 同(寺田学君紹介)(第二一二二号)

 同(長坂康正君紹介)(第二一二三号)

 同(長友慎治君紹介)(第二一二四号)

 同(西岡秀子君紹介)(第二一二五号)

 同(宮本徹君紹介)(第二一二六号)

 同(森田俊和君紹介)(第二一二七号)

 同(谷田川元君紹介)(第二一二八号)

 同(山岡達丸君紹介)(第二一二九号)

 同(笠浩史君紹介)(第二一三〇号)

同月八日

 国土交通行政を担う組織・体制の拡充と職員の確保に関する請願(落合貴之君紹介)(第二二二四号)

 同(笠井亮君紹介)(第二二二五号)

 同(佐藤公治君紹介)(第二二二六号)

 同(櫻井周君紹介)(第二二二七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二二二八号)

 同(野間健君紹介)(第二二二九号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第二二三〇号)

 同(宮澤博行君紹介)(第二二三一号)

 同(本村伸子君紹介)(第二二三二号)

 同(山田勝彦君紹介)(第二二三三号)

 同(山本有二君紹介)(第二二三四号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第二三九一号)

 同(斎藤洋明君紹介)(第二三九二号)

 同(篠原孝君紹介)(第二三九三号)

 同(福田昭夫君紹介)(第二三九四号)

 同(緑川貴士君紹介)(第二三九五号)

 同(渡辺創君紹介)(第二三九六号)

 震災復興、国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願(枝野幸男君紹介)(第二二三五号)

 同(落合貴之君紹介)(第二二三六号)

 同(笠井亮君紹介)(第二二三七号)

 同(神谷裕君紹介)(第二二三八号)

 同(佐藤公治君紹介)(第二二三九号)

 同(櫻井周君紹介)(第二二四〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二二四一号)

 同(野間健君紹介)(第二二四二号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第二二四三号)

 同(宮澤博行君紹介)(第二二四四号)

 同(本村伸子君紹介)(第二二四五号)

 同(山田勝彦君紹介)(第二二四六号)

 同(山本有二君紹介)(第二二四七号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第二三九七号)

 同(篠原孝君紹介)(第二三九八号)

 同(福田昭夫君紹介)(第二三九九号)

 同(渡辺創君紹介)(第二四〇〇号)

 交通運輸労働者の賃上げ政策に関する請願(櫻井周君紹介)(第二二四八号)

 同(藤岡隆雄君紹介)(第二二四九号)

 同(浅野哲君紹介)(第二四〇一号)

 同(階猛君紹介)(第二四〇二号)

 同(森山浩行君紹介)(第二四〇三号)

 同(渡辺創君紹介)(第二四〇四号)

 てんかんのある人とその家族の生活を支える交通に関する請願(笹川博義君紹介)(第二三八八号)

 同(福島伸享君紹介)(第二三八九号)

 同(谷田川元君紹介)(第二三九〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 自動車損害賠償保障法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

中根委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、自動車損害賠償保障法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人自動車事故対策機構理事長中村晃一郎君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官寺田吉道君、都市局長宇野善昌君、自動車局長秡川直也君、観光庁長官和田浩一君、内閣府大臣官房審議官難波健太君、警察庁長官官房審議官新田慎二君、総務省大臣官房政策立案総括審議官阪本克彦君、財務省主計局次長奥達雄君、厚生労働省大臣官房審議官大坪寛子君及び社会・援護局障害保健福祉部長田原克志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中根委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中根委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。笹川博義君。

笹川委員 自由民主党の笹川博義です。改めて、皆さん、おはようございます。

 それでは、早速、時間もございませんので、質問に入らせていただきたいと思います。

 この自賠責の一部を改正する法律案の質問に入る前に、やはりこれはどうしても、いわゆる一般会計に繰り入れた一兆一千二百億、そのうちの六千億がまだ繰り戻されていないという状況ということについてはやはり触れていかなければならないのかなというふうに思います。

 このことは、自動車の所有者、そしてまた事故の被害者、その家族の皆様方から、この制度そのものに対してのいわゆる不信の念を抱かせることに至った、このことはやはり国交省として、制度を所管するわけでありますから、大いに反省をしなければならないというふうに思います。

 特に、これは自動車所有者の人からお預かりしたお金でありますから、これをやはり制度に基づいて運用していく。運用するに当たって、それ以外のところで使う、これは確かに、財務省も含めて、政府における様々な諸事情があろうかと思います。しかし、そうはいっても、国交省として、それぞれのお預かりしたものをこういうふうに使わせていただくということについては、必ず戻してもらう。このことはやはりきちっと、どういうふうにすべきかという具体的な約束というのは、説明責任が果たせるように取り交わすべきだったのかなというふうに思います。この点だけは、改めて申し上げますが、国交省として大いに反省をしなければならない。

 今後、こういう不信の念を抱く事態に至ったということが起きないようにしていかなければなりませんので、改めて大臣の御所見をお聞かせください。

斉藤国務大臣 自動車安全特別会計から一般会計への繰入金については、法律に基づき、平成六年度に八千百億円、平成七年度には三千百億円、合わせて一兆一千二百億円が一般会計に繰り入れられ、後日、予算で定めるところにより、元本と繰入期間中の利子相当額を自動車安全特別会計に繰り戻されることとされております。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、いまだ全額繰戻しに至っていないことについては、遺憾であると考えております。

 国土交通省としては、被害者支援等の財源に充てるため、まずは一般会計からの繰戻し、これを着実に行っていただくことが大前提であると認識しております。

 こうした状況を踏まえ、私も、財務大臣にこのことを、しっかり国土交通省の意見を申し上げ、昨年十二月の新たな大臣間合意におきましては、令和五年度以降において繰戻しを継続すること、令和五年度以降の毎年度の繰戻し額は令和四年度予算における繰戻し額の水準を目安とすることを盛り込んだところでございます。

 今回の合意において、返済に向けた大枠は示されたものと考えておりますが、今後も、被害者支援に係る事業が安定的、継続的に実施されるよう、一般会計からの繰戻しをしっかり求めていきたいと決意しております。

笹川委員 大臣間で合意をなさったこと、これは一定の評価はできるかもしれませんが、大枠と言われてもというところは、やはり自動車所有者側から見ればそういう話にはなるでしょう。財務省にお話しするのは、最低限の繰戻しの金額はあるにしても、別に、それ以上多く、三倍でも四倍でも払ってもらっても結構なはずですから、それはそれとして、事あるごとに是非お話をしていただいて、一日も早くこういったのを改めていただければと思います。

 さて、制度を維持をしていくことについてでありますが、この制度への理解というものは大切でありますので、やはり国民の皆さん方になお一層、制度の御理解を求めていかなければならないというふうに思います。

 三日の日に委員会が開かれて、参考人の方からの御意見の中でも、広報が大事であるという指摘もありました。

 やはり広報というもの、なお一層力を入れていかなければならないんですが、ちょっとこの間説明をお伺いしたら、広報に使っている予算というのは非常にちょっと心細いというか、やり方も含めて工夫の余地が大いにあるというふうに思いますが、参考人の指摘も踏まえた上で、今後の広報の在り方についてどのような御見解をお持ちですか。

秡川政府参考人 御指摘をいただきましたとおり、被害者支援などの業務について、その認知度が低いという御意見をいただいております。

 被害者支援の事業を知っていただくということは、御負担いただいている自動車ユーザーの方々に理解をしていただくという意味もありますし、自動車事故被害者の方々にいろいろな支援策があるんだということを知っていただくという意味もあると思います。

 国土交通省の検討会におきましても、車検の更新時など直接自動車ユーザーと接点があるようなタイミングを活用する、あと、SNSとか動画などを活用して若い年代の方も考慮した広報をすべきだ、あるいは病院関係者など専門職向けの情報共有を強化すべきだといった御意見をいただいております。こうした意見も御参考にしながら、認知度の向上に取り組んでいきたいというふうに考えております。

笹川委員 交通事故だけは、私も含めて、誰もが加害者になり、被害者になる可能性があるわけですよね。そういったときに、被害者そしてその家族に肩身の狭い思いをさせてはならないんですよ。だからこそ、この制度の活用について、そんな思いをさせてはならない、だからこそ、国民の皆さん方にこの制度というものをよく知ってもらう、そのために広報が必要なんだ、その指摘を参考人の方からされたということは、このこともやはり国交省、しっかりと反省をしてやってもらわなきゃならないというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、被害者支援のことについてであります。

 今回、被害者支援それから事故防止にそれぞれ充実をさせていきたいということで、追加予算も考えておられるようでありますが、被害者支援、これはやはり生活支援ですよね。突然収入が断たれる、大黒柱が大変なことになる。そしてまた、裁判も簡単に済むわけでもない。それから、医療支援ですよね。これも、ある意味、入院というのは一定の期限がある、じゃ、自宅に帰って治療をお願いします、しかし、それだってサポートしていく、これも長い時間がかかります。

 そういったことを考えたときに、ちょっと私もこの資料を見させてもらったときに、事故防止と被害者等の支援の充実の予算の追加についての、この比率の問題ですよね。本来、事故防止というのは、自動車のメーカーも含めて考えていくことだというふうに思うんですね。まず重点を置かなきゃいけないのは、やはり被害者支援だと思うんですよ。そのことについての配分のバランスというのをきちっともう一度考えるべきじゃないのかなと。

 私はこれは確定だと思っていませんが、そういった意味で、被害者の方からも、大変、我々にとっては非常に重く受け止めなければならない言葉が幾つもあったわけですよ。そのことを踏まえた上で、この配分についてどういう見解を持っているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

秡川政府参考人 私ども、国交省の検討会で、交通事故被害者の方も何人も参加していただいて、お話を伺っています。その中で、やはり目の前で現実に困っていらっしゃる方というのがいらっしゃるわけなので、そういう方々にまず支援を届けるというのが一番大事だというふうに思っています。

 検討会の中でそういう被害者の方からよくお話を伺うのは、支援ももちろん充実してほしい、ただ、決して自分たちのような人たちを今後生じないような施策もしっかりやってほしいということは、同時に強く言われております。それで、検討会の中では、被害者支援と事故防止というのは両輪でやってくださいということで提言をいただいております。

 今後、具体的にどういう部分を充実させていくかというのはまた検討会の中で議論をしていきますけれども、今の先生の御指摘も念頭に置きながら、バランスをしっかり考えて取り組んでいきたいというふうに思っております。

笹川委員 検討するに当たって、被害者の代表の方からも被害者の声を聞いた、この姿勢は評価をさせていただきます。ただ、それは、聞いただけじゃなくて、やはりどういうふうに改善していくのかと常に考えてもらいたいんです。こうだからもういいだろう、そういう話じゃないですよ。個々それぞれ、様々なケースがありますから、そこにどう寄り添っていくかが大事だというふうに思います。

 さて、この制度そのものについて、もう一つ大きな影響があるとすれば、恐らく、これは自動車の様々な先端技術の進化だというふうに思います。先端技術の進化、例えば自動運転も含めて、これはせんだっての委員会でも福島議員の方からも指摘もあったわけでありますから、無関係じゃないでしょう。そのことも踏まえて、この制度とそれから先端技術の進化というのは、そんなに長期の話ではない。これをどういうふうに整理していくかというのは、やはり国交省としても大きな責任だというふうに思います。

 今日は、今回この件については、局長、答弁は結構です。よくお考えいただきたいと思います。

 では、先進技術、先端技術の進化というのと自賠責の今後、このことについて最後に大臣にお聞きをします。

 自動車の技術が進歩、進化しようが、その時間軸と、被害者の、そしてその家族の支援をするという時間軸というのは違うんですよ。そうなったときに被害者を、それからその家族を支援していくということについては、決して縮小だ何だの話じゃないんですよ。自賠責の制度がどういうふうに変化しようが、被害者の人たちにとっては、その治療の期間というのは物すごく長いんですよ。だから、時間軸が絶対に違うんだ。そのことについてどういうふうにこれからも支援していくかということは、今言ったように、先進技術の進化とそれから自賠責の制度をどう維持していくか、そしてプラス被害者の支援、この時間軸の違い、これはもう国交省として本当にしっかり受け止めて考えていただかないといけないというふうに私は思いますので、最後に、このことについて大臣の御所見をお聞かせください。

斉藤国務大臣 今、笹川委員おっしゃったように、今、自動車技術そのものは大変な日進月歩で進化をしております。自賠責制度そのものも、その技術の変化に応じて変わっていかなくてはならない部分もあるかと思います。

 しかしながら、この自賠責保険の根幹でございます被害者、その被害者の方に寄り添ってしっかり支援をしていくという点については、いささかも揺らぐところがあってはならない、このように思っております。被害者、そしてその御家族、御遺族の方に寄り添ってしっかり御支援をしていく、この制度の根幹はゆるがせにしてはいけないと決意しております。

笹川委員 大臣、ありがとうございました。

 是非、大臣の今の委員会での発言というものをしっかりと国交省の全体として受け止めていただいて、これからも被害者、そしてその家族にしっかりと寄り添っていく、支援をしていく、このことに変わりはないということでありますから、是非そのことを重く受け止めて、なお一層、支援の充実に向けての改善を進めていただけるようにお願い申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

中根委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 おはようございます。公明党の河西宏一です。

 本日も質問の機会をいただきまして、心から感謝を申し上げます。

 本法改正、自賠法及び特別会計に関する一部を改正する法律案でございますが、その目的は、先般の参考人質疑でも明確になったところでありますけれども、自動車事故対策の財源を恒久化して持続可能な制度とする、そして、介護者なき後に象徴されるような、ただでさえ際限のない不安を抱える被害者や御家族を始め関係者の方々が少しでも御安心をいただくためでございまして、自動車政策、また車社会、これを構築していく上で取り組むべき責任が、当然、我々政治家にも行政にもあるというふうに承知をしております。

 こうした目的をしっかり踏まえまして、公明党といたしましても、これまで、あおり運転の厳罰化や危険な通学路の総点検、推進また後押しをしてまいりましたが、更に取り組んでまいりたい、このように思っております。

 まず、そこで、本法案で新たに規定をされます被害者保護増進等計画についてお伺いをいたします。

 自賠法改正案第七十七条には、国交大臣は、NASVAへの交付金や出資といった被害者の保護増進を図る計画を策定する際に、あらかじめ、被害者その他関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとございまして、これは、従前の法律では本則にはなかった仕組みでございます。二〇一四年に日本が批准をいたしました障害者権利条約、私たちのことを私たち抜きで決めないで、こういった理念にも通じまして、高く評価をいたしたいと思っております。

 そこで、今回、なぜ法律で政府が当事者のお声を聞く仕組みを規定するに至ったのか、その経緯とともに、具体的にどういったスキームを検討されているのか、国交省にお伺いをいたしたいと思います。

    〔委員長退席、塚田委員長代理着席〕

秡川政府参考人 被害者保護増進等計画なんですけれども、その計画の中には、事故被害者の生活実態、あるいは被害者支援や事故防止対策の目標、また、事業の実施に要する経費を踏まえた賦課金の考え方などについて盛り込むことを予定しています。

 このため、計画の策定に当たっては、被害者や遺族、あるいは自動車ユーザー等それぞれの立場から、計画の内容について過不足がないか、あるいは全体のバランスはどうなんだという点について御意見を伺うことが必要不可欠だというふうに考えて、御意見を反映するための規定を新たに設けることとしたところでございます。

 意見の具体的な反映方法に関しましては、被害者や遺族団体、自動車ユーザー団体等の関係者の皆様の御意見を伺う会議の開催だとか、あるいはパブリックコメントを実施するということを現在は想定しております。

河西委員 一方、政府が策定する計画、これだけではございませんで、交通事故被害者また関係者に関わるものには、犯罪被害者基本計画あるいは交通安全基本計画などがございます。そのうち、交通安全基本計画について、これは内閣府にお伺いをいたしたいと思います。

 この基本計画は、交通安全対策基本法第十四条の定めによりまして、内閣府に設置をされる中央交通安全対策会議が作成をすることになっております。

 まず確認ですが、同会議の専門委員、ここに、被害者や御家族など、いわゆる当事者の方々は含まれているのか、政府の見解をいただきたいと思います。

難波政府参考人 お答えします。

 道路交通の安全を推進するに当たりまして、交通事故被害者等の参加や協働が重要であるということは、現在の第十一次交通安全基本計画の中でも盛り込まれているところでございます。

 この基本計画を策定するに当たりましては、専門委員による会議で審議していただいたところでありますが、被害者支援団体の方に専門委員になっていただいたというところでございます。また、交通事故被害者の会の代表者などにつきましては、公聴会に参加をいただいて貴重な御意見を頂戴しているところでございます。

河西委員 支援団体の方は入っているんですが、専門委員の方にいわゆる当事者の方々は入っていないということでございます。

 そこで、要望させていただきたいと思いますが、次回の第十二次となるこの基本計画の策定に向けまして、是非とも、今回の被害者保護増進等計画とも歩調を合わせていただきまして、この専門委員の中に被害者や御家族の代表を加えていただくなど、いわゆる当事者の意見を反映する体制を整えていただきたいと考えるところでありますけれども、御見解をいただきたいと思います。

難波政府参考人 お答えします。

 次期計画につきましては、令和八年度を初年度としたものとなると見込んでおりまして、計画策定に係る専門委員の選考につきましては、まだちょっと先のことという状況でございます。

 また、交通安全基本計画は、交通の安全に関する総合的な施策を定めるもので、被害者救済対策に特化したものではございませんけれども、先ほど申し上げたとおり、交通事故被害者等の参加や協働は重要であると考えてございますので、委員の御指摘については貴重な御意見とさせていただければと存じます。

河西委員 当事者の方々のやはり声を聞いていただく、また喜怒哀楽が出せる場所、こういった専門会議ではそういった場にはならないかもしれませんけれども、そういった姿勢が非常に大事なんだろうというふうに思っておりますので、是非、前向きに御検討していただきたいというふうに思っております。

 続きまして、先日も参考人質疑にお越しになっていただきました遺族の会の小沢樹里代表理事が御提案をされている、交通事故専用の被害者ノートについてお伺いいたしたいと思います。

 自動車事故によって被害者が亡くなられた、あるいは重度後遺障害などを負った場合には、この御家族の方々、また親族の方々、心の整理もつかないまま、生活が一転をするわけでございます。しかし、事故後の膨大な処理、これはいや応なく迫ってくるということでお話がございました。その中でやるべきことを網羅するのは極めて困難でございまして、先般の質疑でも御紹介いたしましたが、長年NASVAの存在を知らずに、本来の支援が受けられなかったという、あってはならない、こういった事例も伺っているところでございます。

 こうした課題をいち早く解決をするべく、交通事故に遭った際に知るべき情報を集約して、また当事者の方が記録も残せる新たな被害者ノートを現在、国交省内で鋭意作成中と聞いております。

 そこで、お伺いをいたしますが、先日の参考人質疑では、この被害者ノートに求められる点として、膨大な情報が的確かつ厳正に整理をされていることに加えまして、被害者が漏れなくNASVAにアクセスできる仕組み、また、心のケアにもつながる工夫、こういった点を挙げられておりました。これらの点を踏まえまして、国交省ではどのような被害者ノートを作成をされているのか、お伺いをいたしたいと思います。

秡川政府参考人 現在あります被害者ノートなんですけれども、御指摘いただきましたとおり、犯罪被害者の方々を対象とした構成となっておりますので、交通事故の被害者やその家族、御遺族の方々からは、交通事故に特化した被害者ノートを作成してほしいという御要望をいただきまして、現在、国交省で作成に取り組んでいるというところでございます。

 交通事故に特化した被害者ノートにおきましては、犯罪被害者のそのノートを基に、さらに、交通事故の状況の記録だとか、あとは今御指摘をいただきましたNASVAを始めとする各種支援措置の紹介など、事故被害者の方が利用できる支援制度を新たに盛り込んで、交通被害者の使い勝手の向上を図りたいというふうに思っております。

 あわせて、事故直後に、被害に遭われた方々が最も混乱していると考えられる時期に御活用いただくということを念頭に置きまして、平易で分かりやすい表現にするとか、あるいは、被害者やその家族、遺族の方々の精神面、経済面のサポートを速やかに図れるように、適切な支援機関に迅速につなぐといった点も意識をして、作成を進めているというところでございます。

    〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕

河西委員 ありがとうございます。

 事前にも様々伺いましたが、量も含めて、様々、試行錯誤を重ねられながら検討していただいているというふうに伺っています。決して表には出ない御努力かと思いますけれども、そういった御努力は必ず被害者の方々また御家族の皆様に届くものと私信じておりますので、是非、現時点で最大限いいものを作っていっていただきたいと思うわけでございます。

 その中で、被害者の御家族また御親族は、いわゆる最近焦点が当たっておりますヤングケアラーの状態に陥るケースも十分されるわけでございまして、事実、小沢代表理事の御子息もそういった御苦労があったというふうにお伺いをしたところでございます。

 ヤングケアラー対策につきましては、兵庫県選出の公明党の伊藤孝江参議院議員の国会質問、昨年三月の予算委員会で訴えた結果、厚労省と文科省による合同のプロジェクトチームが昨年来発足をしているところでございます。取りまとめの結果には、ヤングケアラーを早期に発見をして、適切な支援につなげると明記をされているところでございます。

 また、先日の参議院の予算委員会でも、公明党の同じく伊藤孝江の質問に対しまして、岸田総理から、今年度から体制を強化をして、必要な支援を当事者の方々にしっかり届けたいと明言があったというところでございます。

 やはり、これだけ社会的関心やまた機運が高まる中で、是非、斉藤大臣にリーダーシップを取っていただきまして、国交省が作成中の被害者ノートにも、ヤングケアラー支援が当事者の方々に行き届くような仕組み、これを関係省庁とも連携をしていただきまして盛り込んでいただきたい、またそうあるべきだというふうに考えますが、是非、斉藤大臣の御所見また御決意をお伺いをいたしたいと思います。

斉藤国務大臣 先日の参考人質疑におきまして、ヤングケアラーへの支援の重要性が述べられました。我々国土交通省としても、正直、認識を新たにしたところでございます。

 今準備しております被害者ノートの作成にそういうヤングケアラーへの支援という観点も盛り込みたい、所管する厚生労働省とよく連携しながら図っていきたい、このように思っております。

河西委員 ありがとうございます。

 当時四歳の息子さんに、本当に様々、本来お願いしにくいこともお願いしたというような小沢さんの本当に赤裸々な御発言もございましたので、是非、今前向きな御答弁をいただきました、よろしくお願いをしたいと思います。

 最後に一問、お伺いをいたします。

 今後、恒久化される財源で、被害者救済とともに、先ほども若干御議論ございましたが、自動車の事故防止対策も拡充をされてまいります。他方、先週の参考人質疑では、検討会の座長を務められた藤田先生からも、財源の使途として、被害者救済は理解が得られやすい、その一方で、事故防止対策は理解が得られにくい面もあるというふうな御指摘があったところでございます。

 そこでお伺いをいたしますが、自動車アセスメントなど安全性能の見える化や、事業者に対するASV、先進安全自動車ですけれども、この購入補助など、事前の事故防止対策、どれほど成果を上げてきたと評価をしているのか。また、それらを踏まえて、今後どのように対策を拡充していくと考えていく方針か、国交省の見解をお伺いいたしたいと思います。

秡川政府参考人 今御指摘をいただきました自動車アセスメントですけれども、新しい試験項目を加えることによって、安全性の見える化が試験項目の分野で進むということで、具体的には、平成十二年に前面衝突試験を導入したら、令和二年までの二十年間で、衝突事故で自動車の中でお亡くなりになる方は八割減少したということがございます。あと、平成二十六年には衝突被害軽減ブレーキの試験というのを導入して評価を始めたところ、そのブレーキが急速に普及をして、令和二年には新しい乗用車の九五・八%に搭載されるようになった、令和二年までの六年間で追突事故の発生が約五割、半分になったというデータが得られています。

 また、過去五年間で事業用自動車の事故件数は約四割も減っているという数字がございますけれども、これはASV補助の施策によって、トラックとかバスとかタクシー、いわゆる事業用自動車の先進的な安全技術の搭載が進んだということも大きな要因だと考えております。

 今後なんですけれども、例えば、自動車アセスメントでは、これまで技術的に困難だと言われていました対自転車の衝突被害軽減ブレーキ、これがもう出始めていますので、これの評価を加えるとか、あとは、事故被害者の早期救命につながります事故を自動的に通報するシステム、こういうものに対する補助というのを追加することを検討しております。

河西委員 ありがとうございました。

 具体的に成果も出てきているということでございます。私自身も、元々カーナビの開発に携わっていた者ですので、民間のそういった健全な競争を促していくその政府の姿勢というのは非常に大事だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。被害者救済とともに、一人でも多くの被害者を減らしていく対策、これも大事である、しっかり公明党も後押しをしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

中根委員長 次に、藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党の栃木県第四区の藤岡隆雄と申します。

 本日も、地元、栃木県第四区の皆様に感謝を申し上げ、そして、質問の機会を与えてくださった先輩、関係各位に感謝を申し上げまして、質疑に入らせていただきたいと思います。

 また、今日、岡本財務副大臣、どうもありがとうございます。先日も決算行政監視委員会の後、少しお話しさせていただいて大変恐縮でございます。折にも、今の異次元金融緩和の長期化ということに関しても、表では言えないでしょうけれども、何か問題意識を持っていらっしゃるのかという雰囲気も感じているところでございまして、是非、今日は政治家としての御答弁というのをお願いしたいなということで思っております。

 さて、この自賠責法案の改正のことでございます。自動車事故の被害者保護の増進を充実させていく、これに関しては、私ももちろん賛意を表したいということを思っております。賛同でございます。

 ただ同時に、先ほど自民党の笹川委員の方からも御質疑がございました。今、新たに自動車ユーザーに実質的に賦課金が課せられてしまうということに関しまして、元々、その前の話として、いわゆる一兆一千二百億円、平成六年度、七年度、自動車ユーザーが積み立てた資金が、元々のこの原資というものが一般会計に繰り入れられてしまっていて、それが法律にのっとって、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、ある意味、簡単に言えば、返済をするというふうに規定をされているというところがございます。しかし、いまだに、三十年近くたっているにもかかわらず、まだ六千十三億円、返済が、六千億円ぐらいですね、返済がなされていない。

 ある意味、これは財務省から国土交通省に返済して返していただかないといけないというふうに私は思うんですけれども、こういう中で新たに賦課金が課せられてしまうということにつきまして、やはりまずは、この繰入金の返済についてしっかり議論をさせていただきたいということを思います。

 その意味で、まず、繰入金の残存額につきまして、新たな大臣間合意というものがなされたと思います。令和五年度から令和九年度までの間に、分割して一般会計から自動車安全特別会計にまず繰り戻すという、これは約束というふうな理解でよろしいでしょうか。

 まず斉藤大臣、そして財務副大臣、順番に御答弁をお願いしたいと思います。

斉藤国務大臣 原則として、令和五年度から令和九年度までの五年間において、分割して一般会計から自動車安全特別会計に全額繰り戻していただくこととしております。

 国土交通省としては、昨年の大臣間合意を踏まえ、一般会計からの繰戻しが着実に行われると認識しております。

 毎年度の具体的な繰戻し額については、毎年度、財務省及び国土交通省が協議の上、決定することとしておりますので、引き続き財務省に対して、全額の繰戻しに向けて、着実に繰戻しを進めるよう求めてまいりたいと思っております。

岡本副大臣 国交省の検討会におきまして、大臣間において合意をした期限までに全額の繰戻しが実施されなかったことは大変遺憾、加えまして、財務省に対しては、大臣間合意に従い、着実に繰入金の残額を繰り戻す措置を講じることを強く求められまして、この意見、真摯に受け止めております。

 昨年十二月の大臣間合意では、一般会計からの繰戻しの残額を繰り戻す期間について、原則として、令和五年度から令和九年度に改めた上で、あわせて、令和五年度以降の毎年度の具体的な繰戻し額につきまして、令和四年度の繰戻し額の水準を踏まえること、繰戻しに継続に取り組むことを明記をいたしまして、国交大臣と財務大臣の間で合意をいたしました。

 財務省といたしましては、この新たな大臣間合意に基づきまして、毎年度の繰戻し額につきまして、一般会計の財政事情が厳しい中においても被害者保護に係る事業が安定的、継続的に実施されるように、引き続き、真摯に国交省との協議の上、繰戻しを着実に進めていきたいと考えています。

藤岡委員 本当に、この合意が空手形にならないようにということで、更に確認をさせていただきたいと思いますが、まず、国土交通省としても財務省に対して、今、斉藤大臣も要望しているという話もありました。改めて、従来から、これはかねてから、以前から大臣間合意が繰延べ、繰延べという形になっておりますけれども、従来から財務省に対して、戻してもらうということの要望を強くされていたということでよろしいでしょうか。

斉藤国務大臣 従来からさせていただいておりましたし、昨年十二月も、私、鈴木財務大臣と直接お会いして、強くこの繰戻し、全額の繰戻しを要望した、強く要望したところでございます。

藤岡委員 その中で、令和四年度の繰戻し額が五十四億円というふうになったということにつきまして、この根拠というのは、どういう根拠でこうなったんでしょうか。財務副大臣に御答弁をお願いできればと思います。

岡本副大臣 お答えいたします。

 各年度の一般会計からの繰戻し額につきましては、財務大臣と国交大臣の間の合意文書に基づきまして、協議の上で決定するということになっておりますけれども、令和四年度予算におきましては、事故被害者を介護される御家族の高齢化への対応の拡充や高次脳機能障害者の社会復帰等を促進する事業の新設など事故被害者対策の充実を行うとともに、事業の原資である積立金の取崩し額を縮減する等の点も総合的に勘案をいたしまして、令和三年十二月二十二日の大臣折衝におきまして、繰戻し額を前年度より七億円増となる五十四億円に増額することで財務大臣と国交大臣の間で合意をしたところであります。

 また、この大臣折衝におきましては、併せて、令和五年度以降の繰戻しに関しまして新たな大臣合意を更新したところでございますが、財務省といたしましては、この新たな大臣合意に基づきまして、一般会計の財政状況が厳しい中においても被害者保護に係る事業が安定的、継続的に実施されますように、一般会計からの繰戻しを着実に進めていく考えでありまして、引き続き、真摯に国交省と協議の上で対応してまいりたいと考えています。

藤岡委員 積立金の額を少しでも減らすというふうなレベルでしか、今この五十四億円というのが定められた根拠としてそういうふうになってしまっているのかなというのは、ちょっと残念な思いがいたします。

 本当に、私の地元の栃木県も非常に車社会でございまして、自動車検査登録情報協会の調べによりますと、一人当たりの自家用車保有台数は全国二位、また一世帯当たりということでいいますと全国五位、ちょっと年度の差はあるんですけれども、そういう中で、非常に地域に賦課金というのは負担がかかってくるものでございますし、車社会の地域に対しての負担も非常にかかってくるということになると思います。

 その意味で、今のこの五十四億円ということでございますと、百年以上かかってしまうということで、そこで、新たな大臣間合意の中で、先ほど来、斉藤大臣からも御答弁がございますが、新たにつけ加わった文言のところ、今日はちょっと資料もお配りさせていただいておりますけれども、既に委員の皆さん御覧だと思いますけれども、いわゆる「令和四年度予算における繰戻額の水準を踏まえ、」というふうに三番に新たな記述が加わりました。これは恐らく、過去何年間も、十五年ぐらい繰戻しがゼロだったということもあって、何としてでも、少しでも、この金額を何とか基準に、またゼロにならないように、そして継続をというふうなことも理解をいたします。

 しかしながら、あくまでも六千十三億円を五年間でという約束だとすれば、この文言が入ることによって五十四億円が、まさに先ほど大臣が御答弁されました、目安というふうにおっしゃったんですね、目安ということになってしまうと、それが結局、百年以上かかってしまう。五年間でかかる約束だとしたら、これが目安という解釈だとすると、私は非常にこれは大きな疑問を感じてしまうわけでございますね。

 これがそういう趣旨でないということであれば、まだ、どうなのかなというふうに疑問を思いながらも、まあ受け止める、どうなのかなってあるんですけれども、これが目安となってしまうと、百年以上かかってしまうということでございますから。

 改めて、さっき大臣、目安とおっしゃいましたけれども、目安だったら百年以上かかっちゃいますから。あくまで目安は千二百億ですよね、目安は千二百億。千二百億、五年間でしたらということを今御答弁いただきたいと思うんですけれども、「令和四年度予算における繰戻額の水準を踏まえ、」と改めて追加して盛り込んだ趣旨につきまして、斉藤大臣と岡本副大臣に御答弁をお願いしたいと思います。

斉藤国務大臣 今、藤岡委員から御指摘のありました、今回の大臣間合意に盛り込んだ「令和四年度予算における繰戻額の水準を踏まえ、」この言葉の意味でございますが、一つは、先ほど藤岡委員おっしゃっていただきました、過去に繰戻しがなされなかった期間があったこと等の経緯に鑑みまして、必ず返してくださいよ、毎年必ず返してくださいよという意味を込めた、これが一つでございます。

 それからもう一つは、目安という言葉ですけれども、ある意味では、目安という言葉は、そういう意味では不適当だったのかなと。今、指摘を、藤岡委員のお話を聞きながらそう感じたところでございまして、毎年必ず一定水準以上の繰戻しを行うため、五十四億円というのは最低水準ですよ、一定水準以上の繰戻しを行っていただいて、先ほど申し上げました令和九年度、この五年間の間に全額返していただく、これが大臣間合意の原則である、このように考えております。

岡本副大臣 昨年十二月の大臣間の合意の締結に先立ちまして、被害者団体や自動車ユーザーの皆様からは、被害者救済事業等の安定かつ持続可能な実施に向けた返済計画を併せて明示をいただきたい、少なくとも合意期間中における繰戻しの継続と毎年度の繰戻し額の目安を示していただきたいとの御要望を頂戴をいたしました。

 こうした中で、新たな大臣間合意では、令和五年度以降の繰戻しについて、令和四年度の繰戻し額の水準を踏まえること、繰戻しに継続的に取り組むことを明記した上で、国交大臣と財務大臣の間で合意をいたしました。

 今回の合意内容は、今後の繰戻し額を国交省と協議する際の一つの目安になると考えておりますが、しかしながら、着実に繰戻しの返済を実現できるように、今後も真摯に国交省と協議を続けてまいりたいと考えています。

藤岡委員 岡本副大臣、今、斉藤大臣から、目安というのは適当でなかったかな、そして最低水準というふうにお話をいただきました。最低水準ということでよろしいですか。まず確認させてください。

岡本副大臣 国交省と協議を進めながら、着実に返済を前に進めるように尽力をしてまいりたいと考えています。

藤岡委員 五十四億円、最低水準。大臣、あくまで目安は、斉藤大臣にお聞きしたいんですが、五年間ということでございますから、目安はやはり千二百億円というのが目安だと思うんですけれども、いかがですか。

斉藤国務大臣 毎年必ず一定水準以上の繰戻しをしていただくよう、これからもしっかりと財務大臣と、また財務省と交渉していきたいと思っております。

藤岡委員 本当に是非、しっかり戻してもらうということは担保していただかないといけないと思うんですね。

 以前、参議院の国土交通委員会、平成十三年におきまして、「自賠責特会から一般会計への繰入金及び自賠責特会の当該勘定において生じていたと見込まれる運用収入は、速やかに自賠責特会に繰り戻すこと。」というふうな附帯決議もされておりました。平成十三年でございます。

 一方で、十六年度から二十九年度まで繰戻しがゼロになっていたと思いますけれども、これはなぜゼロになってしまっていたんでしょうか。附帯決議の精神にこれは反しているということになると思いますけれども、岡本副大臣、いかがでしょうか。

岡本副大臣 附帯決議のその精神を基といたしながら、大変厳しい財政状況でございましたので、そのときの財政状況を鑑み、国土交通省と協議をさせていただきまして、そのような取扱いをさせていただいております。

藤岡委員 厳しい財政情勢ということでございますが、安倍元総理が一千兆円の借金も大丈夫だというふうな話をおっしゃっているというふうにも聞こえてまいります。

 改めて、これは是非、岡本副大臣、自動車ユーザーに新たな負担をかけてしまうというところは非常に大きな今回違いだと思うんですね。その意味で、元々自動車ユーザーの原資のものが、それが一般会計に繰り入れられていて、それが戻されていない。その戻されていない中でやはりこの新たな負担というのは、これはもう少し国会でも踏み込んで、戻すというところをおっしゃっていただきたいと私は思うんですね。

 先ほど、五十四億円、目安。五十四億も絶対に下回ってはもちろんいけない。五十四億円から更に来年は増額をしていただかなければいけない、できれば千二百億円にしていただかなければいけない。

 なぜそういうことを申しますかということを申しますと、資料を今日お配りしておりますけれども、運用益の発生状況というところで、やはりこの低金利下、これは日銀の金融政策の影響ということもございますけれども、更にこの運用益というのも減少してくるというふうなことが見込まれていると思います、これは国土交通省さんの資料でございますけれどもね。まさにこれも、異次元緩和の長期化の一つの負の部分というのもこれは表れている、こういうところにも表れていると思います。

 そういうことからしますと、やはりこの五十四億を、せめて、これは最低、これは下回らない、これははっきりおっしゃっていただかないと、自動車ユーザーは納得しないと思いますね。是非、岡本副大臣、これは政治的、政治家としての御答弁、お願いしたいと思います。

岡本副大臣 毎年度の繰戻し額につきましては、事業の財源の一部である運用益収入が低下している点も考慮をいたしまして、被害者保護に係る事業が安定的、継続的に実施されるように、国交省と協議の上で決定してきたところでありますけれども、令和四年度の繰戻し額につきましては五十四億円に増額することで合意をしております。昨年十二月の大臣間会合では、令和五年度以降の毎年度の具体的な繰戻し額については、令和四年度の繰戻し額の水準を踏まえること、繰戻しに継続的に取り組むことを明記をし、国交大臣、財務大臣の間で合意をしております。

 令和五年度の具体的な繰戻し額につきましては、この合意に基づきまして、一般会計の財政事情を踏まえつつ、何よりも事故被害者とその御家族の皆様が不安なく将来の生活を過ごせるようにするという最も大切な観点から、誠意を持って、しっかりと協議の上、対応していきたいと考えています。

藤岡委員 本当に、なかなかはっきりおっしゃられないというところは非常に残念な思いがいたします。

 斉藤大臣、改めて、自動車ユーザーを始めとした国民の皆様に対して、この繰戻しができていない、そしてされていない、早期の返済が必要なことを、改めて国民の皆様にしっかり、自動車ユーザーに周知をしていただかないといけないと思うんですけれども、大臣、御見解はいかがでしょうか。

斉藤国務大臣 この繰戻しがしっかり行われていくということが、ユーザーの信頼を得る大前提だと思っております。周知の面も含めまして、どのようにこのことを周知していくか検討させていただきますし、今まで申し上げてきた国土交通省の姿勢はいささかも揺るぎませんので、しっかり頑張っていきたいと思います。

藤岡委員 岡本財務副大臣、是非、これは特例公債を発行してでも、早期にやはり繰戻し、一年とは申しません、早期に、できるだけ、五年間という約束がございますので、空手形にならないように返済をしていただきたいと思いますけれども、もう一度お願いします。

岡本副大臣 繰戻しに関しましては、先ほど来御答弁を申し上げておりますとおり、国交省との合意に基づきまして、自動車被害者の方々がしっかりとその後の生活を営む上で十分な手当てができる額を繰り戻し、努力していきたいというふうに考えております。

 今、特例公債のお話をいただきましたけれども、一般論として言えば、こうした一般会計への繰入れにつきまして、特例公債を発行して借換えを行うべきではないというふうに思います。そうすべきだという議論があることももちろん承知をしておりますけれども、特例公債の追加発行につきましては慎重に対応していきたいと思います。

 いずれにいたしましても、何よりも事故被害者の皆様の生活が成り立つように、また、被害を受けた方々の将来に対しての希望がしっかりと担保できるように、この繰戻し額につきましても、真摯な対応、十分な金額、対応してまいりたいと思います。

藤岡委員 はっきりと御答弁いただけませんでしたが、十分な今、対応、金額というところは、これは強くお願いをしたいということを思います。

 ちょっと時間もまた経過をしております。

 次、賦課金の金額の決定の方を先に、ちょっとこちらの方をさせていただきたいということを思います。

 この賦課金の金額の決定でございますが、政令で定めるというふうに規定をされていると思います。この金額の決定に当たりましては、法律上はっきりと第三者の意見聴取というところが読めないというふうに私は思っておりますけれども、先日の参考人質疑で藤田参考人からも、やはりその必要性というのは話が出ていると思います。

 国土交通省としても、第三者の、いわゆる専門家なり、また被害者の方、意見をしっかり聴取をして決定をする、その間のプロセスを経るべきだという考え方でよろしいでしょうか。

斉藤国務大臣 そのとおりでございます。

 賦課金の金額を決めるに当たりましては、被害者団体、遺族の方の団体、それから自動車ユーザー団体、学識経験者等の意見をしっかりお聞きしたいと思いますし、その聞く場というのは、様々な関係者が参画する、今後の自動車事故対策勘定のあり方に関する検討会という場でございますけれども、しっかりと第三者の意見を丁寧に聴取することとしております。

藤岡委員 今大臣御答弁いただきましたが、もう少し詳細に教えていただきたいんですが、賦課金の金額の決定について、どのような法令の考え方、また根拠、プロセスで、第三者の意見を聴取を担保していくのか。もう少し詳細に今お願いできればと思います。

斉藤国務大臣 先ほど申し上げた検討会におきまして、被害者や遺族団体、自動車ユーザー団体、学識経験者の御意見を伺うこととしております。

 また、賦課金は自賠責保険料の一部として徴収するものでございますので、賦課金を改定する場合には、自賠法に基づきまして、金融庁に設置される自動車損害賠償責任保険審議会に諮問することとなります。

 さらに、御審議いただいている法改正においては、賦課金の考え方を含め、被害者保護増進等事業に関して必要な事項を定める被害者保護増進等計画の作成、この作成に当たりまして、被害者等の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずることとされております。

 加えて、賦課金の計算式を規定する政令の改正に当たっては、行政手続法に基づいてパブリックコメントを実施することとなります。

藤岡委員 ありがとうございます。

 さらに、先日の参考人質疑におきまして藤田参考人から、PDCAサイクルを回して、毎年、実績、データに基づく検証、これは賦課金だけじゃなくて、使途の検証を含めてしていきたいというふうな趣旨の御答弁だったと思いますが、国土交通省として、この賦課金の金額は毎年決定するという理解ですか、それとも定期的に見直すということでしょうか。

 いずれにしましても、しっかりとPDCAサイクルを回して、参考人からそういうお話をいただきましたので、この点につきましてのお考えをお伺いしたいと思います。

斉藤国務大臣 定期的に見直すということを考えております。

 検討会の中間とりまとめにおきましても、「施策の「見える化」を行い、その効果検証を定期的に行うことが必須である。」との御提言をいただいているところでございます。

 これをしっかりと受け止めまして、毎年、施策の効果検証を行うとともに、賦課金の考え方を含め、被害者保護増進等事業に関しても必要な事項を定める被害者保護増進等計画についても、定期的な見直しを行うことを考えております。

藤岡委員 定期的というのは、三年ごととか、そういうイメージでしょうか。それとも一年、どうでしょうか。

秡川政府参考人 やはり賦課金自体が、自動車社会の状況の変化に応じてということで見直す必要があると思いますので、一応今のところは五年ぐらいの定期的というイメージを持っていますけれども、状況に応じて適宜ということだと思います。

藤岡委員 参考人は毎年というふうな話をおっしゃっていますので、それが五年というのが、ちょっと参考人との考え方がずれているというふうに私は思うんですけれども、大臣、五年は長くないですか。また、繰戻しのまさに返済の額とか、いろいろなこともあると思います。それによって更に財務省に求めていくということもあると思います。大臣、五年、長くないですか。大臣、お願いします。

秡川政府参考人 効果検証は必ず毎年やります。ただ、いろいろなルールが毎年変わるということが適切かどうかということもありますので、今のところは、イメージとしては、変更というのは五年ぐらいをイメージしているということで申し上げました。

斉藤国務大臣 私も同じことを答弁しようと思っておりましたが、効果検証そのものは毎年、PDCAを回すという意味でも行っていきたいと思っておりますし、それらの知見を集めて、五年というふうに別に決めつける必要はないと思いますけれども、必要に応じてしっかりと対応していきたいと思っております。

藤岡委員 今、五年というふうに決めつけるわけではないというふうにお話をいただきました。やはりこの参考人の答弁も踏まえて、きちっと本当に検証をしっかりやって、行っていただきたいということをしっかり指摘させていただきたいと思います。

 最初の具体的な金額は、百五十円を超えないという範囲で決定するという理解でよろしいですか。

斉藤国務大臣 金額につきましては、この検討会の中間とりまとめにおきまして、百五十円を超えない、できる限りユーザー負担の抑制を考慮した水準を長期にわたって維持する観点から、引き続き検討することとされております。

 国土交通省としては、百五十円を超えない範囲においてという中間とりまとめを踏まえ、検討会において関係者の御意見を丁寧に伺いながら、引き続き検討を進めてまいる所存でございます。

藤岡委員 今、検討とお話がありました。これは負担をかける話でございますから、万が一にもこれを超えるようなときは、やはり、繰入れ、返済、戻してもらうということが、当然それをやっていただかなくてはいけないと思いますので、これは、この今示していただいている範囲はもう必ず超えないように、もちろん被害者保護の増進の方もしっかりやる、それはしっかり戻してもらうということでやはり行っていただきたいということを思います。

 岡本副大臣、ちょっとお待たせしました。あと一点ですね。

 少し、直接の関係というよりも、いわゆる積立金の運用の低迷というのも先ほど申し上げさせていただきました。あくまで運用の低迷という視点で立ったときに、この長きにわたる異次元緩和の負の部分というのはこういうところに出ているというふうに私は思いますけれども、ある意味、共同声明を発出されていると思います。こういう視点から、この運用益などが低迷していてまさに負担をかけてしまう、こういうところにつきまして、副大臣の御見解、お伺いしたいと思います。

岡本副大臣 藤岡委員、その前にもう一つだけ。

 先ほど、必要十分な繰戻し額というふうに申し上げましたけれども、事業の運営上で必要が生じた場合には、補正予算においても繰り上げて必要額を繰り戻すこととしておりまして、令和三年もそのように処置をいたしましたけれども、本予算、補正予算を含めまして、必要な繰戻し額、しっかりと対応してまいりたいと考えています。

 今御質問いただきました、金利低迷で運用が、金額が低迷をしてしまっている、運用益がという問題ですけれども、この金利の水準は、経済、財政の状況や海外の市場の動向など、様々な要因で市場が決めておりますけれども、共同声明の考え方を踏まえました金融政策の下で、現実的にこの十年金利が低迷し、その結果として運用益が少なくなってしまっているということはよく認識をしております。

 この金利が低位安定する中で、事業の運営自体が厳しくなっているのは事実でありますけれども、それがゆえに、この特会の積立金に関しまして、繰戻し額について一定の決意を持ってしっかりと対応することによって、この事業が健全に運用されるように最大限努力をしていきたいというふうに考えています。

藤岡委員 決意を持って是非返済をしていただきたいということを思います。

 時間が押してきましたので、最後の質問にさせていただきます。

 被害者保護増進等事業に関して、いわゆる遷延性意識障害を抱えられた方を専門的に受け入れる療養施設は今、大臣、足りているという認識でしょうか。また、入院期間は三年というのは妥当でしょうか。是非、今後拡充を私はした方がいいと思っておりますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

斉藤国務大臣 現在、自動車事故対策機構では、自動車事故による脳損傷により遷延性意識障害を負われた方を専門に治療、看護する療護施設を全国十一か所に設置、運営しております。

 この療護施設における入院期間については、療護施設の待機患者の状況や入院患者に対する治療改善効果などを踏まえ、平成十九年四月よりおおむね三年間としたところでございます。

 また、令和四年度には、関東地域の待機患者の解消のため、関東地域に小規模委託病床五床を設置する予定であります。

 なお、その後の療護施設の拡充については、空き病床や待機患者の発生状況等の利用状況を注視し、必要に応じて療護施設の拡充について検討していきたいと思っております。

藤岡委員 ありがとうございました。

 最後に、返済、是非強くお願いをしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中根委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 立憲民主党、小宮山泰子でございます。

 今国会では、参議院先議の法案でもございます、最後の法案審議になるかと思いますが、いろいろなことがあり、また分かった今国会ではありました。多くの皆様に感謝を申し上げ、しかし、しっかりと議論は続けていき、提案もさせていただきたいと思います。

 本日議題になっております自動車損害賠償保障法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案、これは、昭和三十年、自賠責法が成立し、その後、自動車による人身事故での損害賠償責任の適正化や被害者のための補償、自動車事故対策事業などの実施を重ねてきたものであります。今国会に出ておりますこの改正法案ですが、今後も一般会計から繰戻しを着実に行うことを前提として、賦課金を導入することにより、恒久的な仕組みの下で実施できる体制に転換する改正であると認識をしております。

 先般、先週の六月三日、参考人質疑において、参考人として出席いただいた自動車損害賠償保障制度を考える会座長の福田さんからは、開口一番、日本で唯一、財務大臣に、お金を返してくださいと言うことができる会の代表であると述べられていました。

 財政事情の悪化で、一九九四年、九五年に合わせて一兆千二百億円が自動車安全特別会計から一般会計に繰入れをされました。その後、九六年、九七年、二〇〇〇年、二〇〇一年、二〇〇三年に一部が繰り戻された後は長期間返済されない状態が続き、二〇一八年、十五年ぶりに約二十三億円ほどが繰り戻されました。

 二二年、令和四年、本年度の繰戻し額は大臣間合意で五十四億円とされていますが、令和三年度末の自動車事故対策勘定及び保障勘定の繰入残高は六千十三億円、元本残高四千八百四十八億円、利息千百六十六億円となっているので、このペースだと、藤岡委員も指摘をされましたけれども、百年かかっても返済が終わらないということになります。

 令和三年十二月、六度目の財務大臣、国交大臣間合意が行われ、令和四年度の繰戻し額は五十四億円とされましたけれども、この金額の算定根拠は何なんでしょうか。余りにも少ないと思うのですが、大臣、説明をお願いいたします。

斉藤国務大臣 令和四年度、今年度における被害者支援、事故防止対策に要する経費の財源につきましては、積立金の運用益、それから積立金の取崩し、そしてこの一般会計からの繰戻しによって賄っているところでございます。

 このうち、一般会計の繰戻しについては、令和三年度における繰戻し額をできる限り上回る繰戻しに向けた交渉を行ってまいりました。一般会計の厳しい財政事情の中、令和四年度予算においては、前年度より七億円増の五十四億円の繰戻しを行うことで財務大臣と合意いたしました。五十四億円の算定根拠といいますと、前年度よりも増やしたいという強いこちらの決意が根拠ということになろうかと思います。

 国土交通省としては、令和五年度以降における繰戻しの継続等を盛り込んだ新たな大臣間合意も踏まえ、一般会計からの繰戻しを着実に進めていただけると認識しておりますが、今後も財務省に対しては、引き続き、全額の繰戻しに向け、着実に繰戻しを進めるよう求めていきたいと決意しております。

小宮山委員 大臣の控えめな性格なのか、前年度より上乗せということですが、七億円ということで、そういえば、コロナ禍において、アベノマスク、突然、五百億円以上ぽんと出していたことを考えると、余りにもささやかな増額だなという思いがしてなりません。どういった大臣交渉をされていたのか。

 全額を求めている、返済を求められているということで、今朝から各委員の答弁で大臣はおっしゃっていらっしゃいます。済みません、通告はしていないのですが、全額を求めるということを、多分、何度もちゃんとおっしゃっていたから、実際はもっとおっしゃっていたと思うんですが、そのとき、財務大臣はどのような反応だったんでしょうか。そこを、よろしければ、ちょっと教えていただけないでしょうか。

斉藤国務大臣 大臣間の間でどのようなやり取りがあったかというのは、これはなかなかお話しするわけにはいきませんけれども、国土交通省としては、国土交通大臣として二人でお会いしたときも、できるだけ早い全額返還を、繰戻しをということを強く申し上げ、財務大臣も、国土交通省のその大臣としての意見はよく承ったというふうに言っていただいたところでございます。

小宮山委員 特別会計から一般会計への繰入れの目的は、厳しい財政状況の中でも特例公債の発行を控えたいといった意味もあったと思います。現在、特例公債が毎年度発行されており、繰入れをする意義は失われているのではないかと考えます。

 財務省は速やかに全額返還すべきものと考えますが、払戻しを行わない理由は何か、しっかり御説明ください。

奥政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、現在、極めて財政事情は厳しゅうございます。そうした財政事情の下で、毎年度、特例公債の発行というものを余儀なくされているということは御承知のことでございますが、この特例公債の発行につきましては、やはり極力抑制をすべき、毎年度、極力抑制すべき努力を果たすべきものという、それが基本的な財政運営の考え方でございます。

 そうした財政状況が非常に現在も厳しい中で、特例公債を追加発行することによりまして様々な政策をするということについては、原則としては非常に慎重に検討すべきことであるというふうに考えております。

 その上で、本件の繰入れにつきましては、平成三十年度以降、大臣間合意に基づきまして、被害者救済事業等に必要な額を確保しつつ、一般会計の財政事情に照らし、毎年度の当初予算において所要額を措置し、また、事業の運営上で必要が生じた場合には、補正予算において繰り上げて必要額を繰り戻すということもしておりまして、令和三年度の補正予算におきましても所要額を計上いたしましたところでございます。

 財務省としては、今後とも、大臣間合意を踏まえまして、財政事情が非常に厳しい中におきましても被害者保護に係る事業が安定的、継続的に実施されるよう、一般会計からの繰戻しを着実に進めていく考えでございまして、引き続き、真摯に国土交通省と協議の上で対応してまいりたいというふうに考えております。

小宮山委員 財務省の方に聞くと、国土交通省と真摯に審議というか、交渉してということです。つまり、国交省がどれだけ言ったかということではあるのですが、借りた側というのは財務省なんだと思います。国交省の方から全額速やかにということで何度も、恐らく何年も交渉されています。

 それでは、返すべき立場である財務省内において、繰戻しを実行に向けての方針や具体的な検討などを行われているのか、議論されているのか、この点に関して御説明ください。

奥政府参考人 お答え申し上げます。

 令和五年度以降の繰戻しについて、昨年十二月の大臣間合意では、令和四年度の繰戻し額の水準を踏まえること、繰戻しに継続的に取り組むことを明記いたしまして、国土交通大臣と財務大臣の間で合意をされたところでございます。

 財務省といたしましては、この新たな大臣間合意を踏まえ、財政事情が非常に厳しい中におきましても被害者保護に係る事業が安定的、継続的に実施されるよう、一般会計からの繰戻しを着実に進めていく考えでございまして、引き続き、国土交通省と真摯に協議を重ねてまいりたいというふうに考えております。

小宮山委員 昨年度末、令和三年度末、新型コロナが収束後に実施するGoToキャンペーンの予算のうち、GoToトラベル事業の未使用額、約七千二百億円について議論に上りました。

 最終的にどのように処理されたか、御説明ください。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年度第一次補正予算及び予備費において、GoToトラベル事業のための予算として措置された金額のうち約七千二百億円については、昨年度、GoToトラベル事業を実施できなかったことから、不用となっております。

小宮山委員 不用となった七千二百億円があったということは、自賠責では六千十三億円が一般会計から繰戻しされていないままとなっております。ということを比べてみると、何らかの方法で、必要とあらば法制化をするなども検討して、この約六千億円の繰戻しに充てられないのかと考えるのが通常かと思います。

 私自身も、戻るよりも地域に回す方がいいということで、三月の大臣所信に対する質疑のときには提案もさせていただきましたが、結果として、これは不用とされて、元の場所にというか、戻ってしまっているということでもあります。

 国交省から一般会計の繰戻し額についての金額を明示しての要求となっていながら、単純計算で百年かかるような少額にとどまっているのではないか。余りにも控えめ過ぎますよ、斉藤大臣。全額返還せよ、やはりしっかりともっと計画を立てろということ、これを立てなければ、本来必要なところに回し切れないんだと思います。

 また、この自賠責の基金としての、低金利が続いています、そのためにも、戻すことを強く要求したいと思っております。

 この点に関して、改めて大臣の決意を聞かせていただければと思います。

斉藤国務大臣 今回、ユーザーの方に御負担を求める大前提として、一般会計からの繰戻しが着実に、そして全額、できるだけ早くしていただくということが大前提だ、このように思っております。

 大臣間合意において返済に向けた大枠は示されたものと考えておりますが、必要なものをしっかり要求する観点から、今後も被害者支援に係る事業が安定的、継続的に実施されるよう、引き続き財務省に対し、全額の繰戻しに向けて、着実に繰り戻されるよう求めていきたいと思っております。

小宮山委員 多分、これからの歴代国土交通大臣はこの問題に直面するんだと思いますが、しっかりと、斉藤大臣だからこそここまでできたと言われるように、更なる御努力を期待をしたいと思います。

 さて、被害者支援の在り方、医療体制について質問をさせていただきます。

 参考人の質疑の中で、被害者遺族、被害者の親族として、一般社団法人関東交通犯罪遺族の会の代表理事、小沢樹里さんにも御出席いただきました。小沢さんの言葉で、遺族になると、心も体も壊れます、障害を持つ家族がいれば、家族の犠牲は当然と思われるかもしれません、ですが、心を病んでいたり障害を持った家族がいれば、その介護を家族だけで担わなくてはならない、社会に頼ることができない、これが今の社会の現状なのですという言葉、政治ではまだまだ足りていないところを指摘されたということ、この切実な声というものにはしっかり応えていかなければならないと感じました。

 今後の自動車事故の被害者救済対策、療護センターの老朽化問題対策やリハビリテーション機会等の確保、脊髄損傷、高次脳機能障害の場合など、医療へのアクセス、対応の向上、当事者団体、遺族への支援も重要であります。

 このお話を聞きながら、ALS、筋萎縮性側索硬化症を発症した私の大学の先輩、藤元健二先輩の書いた著書の「閉じこめられた僕」を思い出しておりました。この中では、先輩は、二十四時間他人介護を強く求めていた。それは、家族には家族の人生があって、介護は完全他者介護を基本とするべきである、そういう制度にしてほしいということで、先輩とのやり取りの中でもあった話でもあります。

 介護者なき後対策等の被害者支援は喫緊の課題であります。参考人でありました東京大学藤田教授の御指摘もありました。被害者支援や事故防止に係る周知、広報について、独立行政法人自動車事故対策機構、NASVAがどのように認識しているのか、どのように取り組んでいこうとしているのか、お伺いいたします。

秡川政府参考人 参考人質疑におきましても、NASVAの知名度が低いという御指摘、これは検討会の中でもしばしばいただいている指摘でございまして、NASVA自身も、自分たちの周知、広報というのが必要だということは強く認識しております。

 やはりNASVAの役割とか、今まで取り組んできた成果を自動車ユーザーとか事故被害者に認識してもらうということが非常に大事だと思っています。

 具体的には、NASVAというのは各都道府県に事務所を有しておりますので、そういう特徴を生かして、地元の自治体との連携とか、地方でも、様々な病院とかマスコミなんかに対してアプローチしていくということがまずあるんじゃないか。あと、事故被害者と直接接点があります保険会社とか病院などに対して、NASVAのいろいろな支援策とか活動なんかをお知らせしていくということが有効なんじゃないかということで、そういうところを中心に取り組んでいきたいというふうに考えております。

小宮山委員 障害者政策に私自身取り組んでおります。障害というのは、先天性、生まれたときからの場合もありますし、後に病気また事故で起こることがある、誰にあってもあり得るという問題でもあります。しっかりとしたセーフティーネットを国がつくるべきであるということで、障害者政策について取り組んでおります。

 この中で、取組を続けていますと、六十五歳問題に関してよく当たります、多くの方たちが問題提起をされております。解決に向けて、長年これは要望が続いている。

 六十五歳まで障害者としての介護支援をもらっていたのに、六十五歳になった途端に、介護保険という、障害というものが変わらないにもかかわらず、それとは違う、高齢による機能低下、このための制度に変わってしまう。予算の問題もあるのでしょうが、これは、六十五歳になったからといって、その障害が変わるわけではありません。引き続き、続けることというのが大変重要であるということで、この制度をしっかりと整えてほしいということが、ずっと障害者団体、当事者から上がっております。今回の参考人からも、同様の不安、将来への不安というものが述べられていたように思います。

 障害者支援、高齢者介護による六十五歳問題の解消に向けた政府の考え、取組について御説明をください。

田原政府参考人 お答えいたします。

 我が国の社会保障全体の体系におきましては、あるサービスが公費負担制度におきましても社会保険制度におきましても提供されているときは、保険料を支払って国民が互いに支え合う社会保険制度によるサービスをまず利用するという保険優先の考え方が原則となっております。

 障害福祉制度と介護保険制度との関係についても、この原則に基づき、同様のサービスを介護保険サービスにより利用できる場合には、まずは介護保険制度を利用していただくこととしております。

 ただし、その運用に当たりましては、一律に介護保険サービスが優先されるものではなく、お一人お一人の個別の状況を丁寧に勘案し、介護保険サービスだけでなく、障害福祉サービスの利用も含めて、その方が必要とされている支援が受けられることが重要であると考えております。

 このため、介護保険サービスの支給限度基準額の制約等により介護保険サービスでは十分なサービスが受けられない場合には、障害福祉サービスも利用できるなどの取扱いを通知等でお示しをしております。

 現在進めている関係審議会での議論におきましても、一律に介護保険サービスが優先されるものではないこと等の運用に当たっての考え方について改めて周知徹底を図ることが必要とされておりまして、このような議論も踏まえて必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 この周知徹底をするということは、何度も、過去の厚生労働大臣からも答弁はありました、決意も述べられました。しかし、残念ながら、予算の関係、様々なことで、これはなかなか実施をされていないのも事実だと思います。これからも厚生労働省におきましては、必要な支援が障害をお持ちの方々が得られるようにする、そのための不断の努力をしていただくことをお願いします。

 さて、小沢参考人は、機能回復のためのリハビリを受けられる病院が、居住地域、また遠距離の病院まで通わなければならなかったということも御指摘いただきました。

 人口当たりの医療機関数、医師の数、病床数については、日本全国で見れば、西日本が多く、東日本は少ないという傾向が見られます。埼玉県は、七百三十万人を超える人口を抱えておりますが、人口当たりの医師数や病床数などが全国最少にとどまっているという課題を抱え続けております。

 二〇一三年から一四年にかけて、基準病床数制度の見直しを、厚生労働省を始め政府に対して要望活動を行っておりました。基準病床数制度では、五年ごとの国勢調査を基に、各都道府県ごとの病院の病床数について、国が地域ごとに一定の算定式で、高齢化率や入院率などを用いて算出して割り当て、各都道府県はこの割当て数を超えて病床を増やすことはできないという制度です。

 元々、人口比で病床数が少ない埼玉県では、将来の高齢化が進むスピードが全国比で急になるなど、医療需要の急増が予測され、それまでの算定式では対応が難しくなってきたものであります。この点に関しましては、埼玉県で、病床数要請の後、病床数千床程度の増加が行えることなどの成果にはつながってはおります。

 そこで、お伺いします。

 医療機関、病床数、医師数、診療科の地域間格差、地域的偏在の解消をいかにして図っていくのか、また、単に数の上だけでの確保にとどまらず、後遺症や機能回復のためのリハビリテーションを受けられるなど、専門分野に対応できる施設、機関、医師についての地域間格差、偏在の問題をどのように捉えているのか、どのように解決しようとしているのか、厚生労働省にお伺いします。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の医師の地域偏在と診療科の偏在、これにつきましては、全国的に是正を図るべき課題だというふうに認識をしております。

 地域における医師の確保につきましては、平成三十年に医療法を改正しておりまして、都道府県において医師確保の方針などを盛り込んだ医師確保計画、これを策定していただき、これに基づいた取組を行っていただいているところです。

 具体的に申し上げますと、医師不足の地域で一定期間勤務することや特定の診療科で勤務すること、こういったことを約束して医学部に入学をしていただくこの地域枠の学生、こういった方に対して、修学支援金、こういったものの貸与を行っております。厚生労働省では、こうした取組に対しまして、都道府県に設置した地域医療介護総合確保基金により、この修学資金などの支援を行っております。

 また、加えまして、医師の養成課程におきましても、卒後二年間の臨床研修において都道府県ごとの定員を定めております。また、三年からの専門研修におきましては、都道府県と診療科ごと、将来必要な医師数に基づく専攻医の採用数上限、いわゆるシーリング、これを定めております。

 こうした医師の偏在対策の取組と、加えまして、将来の人口動態、こういったものも見合わせて、地域の医療ニーズに応じた医療体制を確保するための地域医療構想、こういった取組も進めているところでございます。

 先生御指摘のように、各地域において様々事情が異なるところはございますが、厚生労働省といたしましては、今後とも、地方自治体と十分連携して取組を進めてまいりたいと考えております。

小宮山委員 住んでいるところ、また、事故に遭ったところによって、医療が受けられる、リハビリテーションができる、できない、そういうことが偏在しない、格差が出ないように、これからも取組を進めていただきたいと思います。

 さて、今国会、道路交通法の改正が行われ、特定小型原動機付自転車、いわゆる電動キックボード等が車両区分に追加され、その交通方法などについても法定されました。新たに車両区分に加わった電動キックボードについては、安定性とか、車やトラック、バスなどの近く、車道を通行することで、安全面の懸念についての指摘がされております。

 シェアリングサービスなどにも用いられる電動キックボードでの事故が生じた場合、自賠責保険の対象となるのか。また、法施行後の電動キックボード等について、途切れることなく自賠責保険加入がなされなければなりません。自賠責加入を確実に行うため、国交省として、どのような取組、運転者の責任を確保するのか、伺います。

 あわせて、被害者が泣き寝入りせずに済むよう、補償させる仕組みの広報をどのように行っていくのか、併せてお伺いいたします。

秡川政府参考人 現行の電動キックボードにつきましては、これは原動機付自転車というカテゴリーに入りますので、自賠責保険の対象となっております。

 それから、改正道路交通法における特定小型原動機付自転車につきましても、被害者救済に支障が出ないように、自賠責保険の対象とする方向で検討してまいります。

 普通の自動車は車検のタイミングで自賠責保険に入ってもらうんですけれども、原動機付自転車は車検の制度がないものですから、そういう車検切れにならないように、はがきを送ってお知らせをしたり、ポスターやリーフレットを作ったりということをやったりしております。

 電動キックボードにつきましても、自賠責保険に入ることが必要なんですよというPRをしっかりやっていきたいというふうに考えております。

小宮山委員 時間の都合で一つ質問を飛ばさせていただき、電動キックボードのシェアリングサービス実証実験では、最近、飲酒して運転というものがテレビ等で度々報じられております。特定小型原動機付自転車においても、ごく当然のこととは考えられますが、飲酒運転が違反となることを認識を強めなければなりません。

 あわせて、免許を要しない電動キックボード等の運転について、どのように交通ルールを遵守してもらうのか、何を守らなければいけないのか、知ってもらうべきなのか、いかに対応していくのか、警察庁にお伺いいたします。

新田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、特定小型原動機付自転車の飲酒運転につきましては、現在の原動機付自転車と同様に違反となります。

 特定小型原動機付自転車の交通ルールの周知につきましては、今回の法改正によりまして、特定小型原動機付自転車の販売やシェアリングの事業を行う者に対し、購入者や利用者に対する交通安全教育の実施を努力義務として課すこととしております。

 警察といたしましても、特定小型原動機付自転車の安全な利用を促進する観点からは、交通ルールを周知する機会を設けることが重要であると考えておりまして、教材や動画等を作成し事業者に提供するとともに、より実効的な交通安全教育の在り方につきまして、事業者と関係省庁とで組織するパーソナルモビリティ安全利用官民協議会で検討するなど、事業者と連携して、電動キックボードの購入者や利用者に対する交通安全教育が効果的に行われるように努めてまいります。

小宮山委員 参考人の小沢樹里さんのお話の中に、高齢ドライバーがハンドルを握らなくてもよい生活ができる社会実現というのがございました。電動キックボードなどは、ある意味、自転車と違って、大きくサドルを、踏み込まなくてもいいとか、いろいろな意味で活用が可能になるのではないか、利用の可能性というものは大きくあると考えております。

 最後になりますけれども、国土交通大臣には、公共交通機関が利用できるということ、特に、今、地方の公共交通機関というのが非常に疲弊して、便数が減ったりなどしております。高齢になると、身体機能の衰えを生じたとしても、あるいは疲れや体調不良の場合であっても、安心して移動できるということが地域公共交通の維持に向けて重要でもあります。この点につきまして、大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 地域の公共交通は、御高齢の方のみならず、地域の活性化を図っていくためにも大変重要だと思っております。この公共交通を取り巻く経営環境が、また地域の公共交通サービスの維持、確保が大変困難な状況になっているという認識は我々も持っております。

 こういう公共交通をしっかり維持、確保していくということに対して、これまでも手厚い支援を行ってきましたけれども、これからも、御高齢の方を中心に、安心して日常生活に必要な移動や外出ができるよう、今後とも地域の公共交通をしっかりと支援していきたいと決意しております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 しっかりと地域公共交通を育んでいかなければなりません。立憲民主党においても、地域公共交通のワーキングチームを立ち上げ、しっかりと提言をしていきたいと思います。

 また、時間の関係で質問ができなかったこと、特に、六月十日から外国人観光客の受入れが始まります。この点について御説明を準備していただいたかと思いますが、これにつきましては、また後日、質問もさせていただければと思います。

 ありがとうございました。

中根委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会、市村でございます。

 三十一分いただきまして、質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます、気合を入れていただきました。

 まず、国土交通省の方からこの法案についていただいた資料で、自動車事故対策の必要性というところで、交通事故死者数は大幅に減少しているものの、介護を要する重度後遺障害者数は横ばいということになっておりまして、これにつきまして、先日の参考人質疑の際に、私は藤田参考人の方に、これは与件ですか、与えられた条件ですかというふうにお尋ねしたところ、これは、国土交通省が出した資料を、自分としてはそれを基にして考えたのであって、自分として、これが適切なものなのかどうか、適切な表現なのかどうかについては分からないということをおっしゃっていました。

 また、今回の質問に先立ったいろいろな国交省の皆さんとのお話の中でも、これは国交省もいただいた資料である、国交省としてもいただいた資料で、自分たちで作った資料ではないということであるという話でありました。

 それで、衆議院の調査室がいろいろ作ってくれた資料があって、その中にいろいろグラフがあります。

 ここに書いてあるとおり、交通事故死者数というのは、私も思い出しますが、ちょうど二〇〇三年、私も初当選をさせていただいて、特に飲酒運転の撲滅について、かなり内閣委員会でやらせていただきました。その以前から、一九九〇年代の終わりぐらいから飲酒運転の悲惨な事故があったということもあって、これは飲酒運転撲滅をしなくちゃいけないと。当時は、交通事故死者数が八千人台だったんです。それで、飲酒運転撲滅を進めた結果、今現在は、もちろん、飲酒運転のみの話じゃなくて、その他、シートベルトの普及とかいうこともあって、今や二千人台までになっている。もちろん、ゼロにするのが望ましいんですが、なかなか、これは努力に懸かっていると思いますが。

 そういう形で、実は、死者数は減っているし、事故件数も減っているわけですね。事故件数も減っているし、死者数も減っているし、いわゆる負傷者の数も減っているというトレンドなんです。ところが、この重度後遺障害者数というのは横ばいなんですね。

 これは素直に考えると、減っているんだったら、当然重度の、要するに、けが人も減っていらっしゃるので、重度後遺障害者数も、多分、減少の傾向になるのが素直に考えられるところでありますが、なぜか横ばいであるということで、これはそういう資料なんだということなんですね。

 これについて、ちょっと大臣、なぜ横ばいなのか。政府参考人でも構いませんが、まず大臣でよろしいですか、お願いいたします。

斉藤国務大臣 今、市村委員からお話があったとおり、まず、交通事故死者数は、警察庁が発表した数値であり、平成十三年の八千七百五十七人から、令和二年には二千八百三十九人へと大幅に減少しております。一方、重度後遺障害者数は、損害保険料率算出機構が発表した件数でございまして、平成十三年の二千二百三十四人から、令和元年には千六百五十五人となっており、横ばい傾向となっております。

 これらの数値は、それぞれ警察庁及び金融庁所管の損害保険料率算出機構が発表しているものでございます。

 なお、交通事故死者数が大幅に減少している一方で、重度後遺障害者数の減少が横ばい傾向である点については、保険会社等に行ったヒアリングなどによれば、救急医療の向上によって救われる命の増加、それから交通事故被害者の高齢化、それから自動車の安全性能の向上等、複合的な要因によるもの、このように認識をしております。

市村委員 恐らくその複合的要因によるもので横ばいという説明もできなくはないと私も思いますが、しかし、この平成十三年、これは二〇〇一年でございますが、これから約七年ぐらい急激に死者数は減っている中で、それが、死者数がもし減っている、本当ならば亡くなられていた方が、医療の発達とかその他の要因によって、幸いなことに死は免れた、ただ、しかし一方で、今、重度後遺症を負うような状況になっているということなのであれば、横ばいじゃなくて、死者数が減った分、反比例する形で、もし亡くなられる方がお亡くなりにならず、しかしながら、残念ながら、重度後遺障害を持ってしまわれたというならば、どちらかというと、増加傾向にこれがなる方が素直な考え方になるんですね。

 しかしながら、多少、二〇〇一年から二年は増加はしているんですが、二〇〇三年になるとまたすぐ減っている、その後、横ばいといいながらも、なだらかに減ってきているというのがこの傾向ということになりますが、これはどう説明したらよろしいんでしょうか。

 二〇〇一年から二〇〇七年ぐらいの間のこの傾向はどう説明したらよろしいんでしょうか。よろしくお願いします。

秡川政府参考人 今御指摘いただいた点は、一言で言ったら、なかなか難しい点だと思っています。

 それで、事故数は減っていますし、それに比例をして亡くなられる方も減っているんですけれども……(市村委員「けが人も減っています」と呼ぶ)そうですね。その分、昔であったらお亡くなりになっていた方が救われているというケースが相当程度あるということは聞きますけれども、そこはなかなか数値的に把握しにくい部分があって、プラス、マイナスでどっちに利いているのかというのはちょっと分からない部分がありますけれども、先ほど大臣が答弁しましたように、それぞれの数値というのは客観的にきちっと取った数字なので、結果的にそうなっているということは間違いないと思うんですけれども、分析はちょっとまだ十分できていないということでございます。

市村委員 なぜこれを今お話ししているかというと、今後の見通しというものがあるんですね。

 つまり、今後、積立金はだんだん減っている、まだ一般会計から戻してもらえない、先ほどから議論があります。だから、将来的に制度をきちっと維持していくためにも、今回、自動車ユーザーの皆様の御理解をいただいて賦課金を入れよう、こうしているわけであります。

 そのときに、国土交通省さんが作った今後の見通し、推計値というものがあって、これが、基本的に重度後遺障害者数というのは減る傾向なものですから、今後の推計値も基本的になだらかに減っていく、ちょうど今の実数のトレンドが続くということを前提にこの見通しが出ているんですね。これは減っていくんです。

 ところが、先ほどから申し上げているように、重度後遺障害者は横ばい状態ですから、この横ばい状態がこれから更に二十六年続くという資料がここであるんです、二十六年横ばい状態が続く。

 つまり、今のトレンドを前提として、そのままのトレンドが続くということが前提なんですね。これを見ると、大体五年ごとに本当に微増という形になっているんです。ほぼ横ばいです。五年ごとに大体二十六名かぐらい増える。五年ごとです、これは。ですから、もうほぼ横ばいということになるんです。

 なぜこれが出ているかというと、今が横ばいだから今後も横ばいだろうというわけでありまして、これは、しかし、本当にそうなんだろうか、横ばいなんだろうかと思うんですね。何のためにこの数字があるのかというのが非常に私は疑問でありまして、うがった見方をさせていただくと、この事業を行う組織を維持するために、ある程度の見通しを立てなくちゃいけないので、維持するためにはそれなりのお金がかかるわけですよね。もちろん、支援事業だけじゃありません。結局、事務所、その機構が、後ほど機構の話をさせていただきますが、その機構の建物も維持しなくちゃいけない、人件費も要るだろうとか等々で、ある程度の額は必要だということがある。そのためには、ある程度の見込みが要るんだ、そういうお金が要るんだと見込みを立てなくちゃいけないので、横ばいでこれまで来たからということで、今後も横ばいで、大体このぐらいの予算が毎年かかりますよということの根拠なんですよね、これが。

 本当にこれは横ばいなのかというのは、事前のいろいろな議論もさせていただきましたが、やはり明確な、これはこれで統計上成り立っているんですというような明確なお答えはいただけていないんですね。統計学上、いわゆる事故数も減り、負傷者数も減り、死者数も減っているけれども、重度後遺障害者だけは横ばいであるということに関する非常に科学的な根拠といいますか、まあ、実態がそうだったんだということなんですけれども、どうもその実態が、何か調和をさせるようなことがあって横ばいになっているんじゃないかというふうにちょっと勘ぐらざるを得ないようなものがこれなんですね。

 大臣、いかがでしょうか。じゃ、まず局長から。

秡川政府参考人 御指摘いただきましたその資料、これは、NASVAの方で脊髄損傷とか脳損傷の患者さんに介護料というのを支給させていただいているんですけれども、その人数のグラフでございまして、これは、国交省の、先ほどから出ています検討会に私たちの方で示させていただいた資料になっています。

 令和元年より前の介護料の受給数というのは、平成二十二年で四千五百九十二人、令和元年で四千六百八十四人ということで、大体十年間ぐらいは横ばいで推移しているということなんですね。

 令和二年以降のグラフについての問題提起をいただいているんだと思うんですけれども、過去のデータを活用して推計を行って、ああいうあのグラフを引いています。

 それで、実際にその科学的根拠ということを言っていただきましたけれども、かなり精密にやるとすると、例えば、今後、交通事故がどういうふうになっていくのかとか、あと、医療技術がどう発展するのか、また、しないのかとか、あと、自動車の安全性能がどうなるのかというところも眺望して分析することは必要なんだろうなということは認識しているんですけれども、なかなか予測困難な要素が多いものですから、現実に、検討会に提示するというその作業タームの中でお示しするのは難しかったというのが実情で、過去の実績値が一定の傾向を示しているものですから、その一定の傾向を平準化させるようなことで推計をさせていただいて、ああいうグラフを作って、議論の土台にしたということでございます。

斉藤国務大臣 今、市村委員が最初にお示しになりました重度後遺障害者数でございますけれども、これは、先ほども申し上げましたが、金融庁所管の損害保険料率算出機構が調査をして、非常に客観的な、きちんとした調査をして発表しているものでございまして、恣意的に操作をするという余地はございません。

 それから、二点目に市村委員が御指摘になったのは、いわゆる介護料受給資格者数ということでございまして、これは、過去、先ほどお示しになりましたように、ここ数年間、横ばい傾向でございました。それを将来にわたって推計したということでございまして、この二点はちょっと違うものというふうに御認識をいただきたいと思います。

市村委員 そういう認識は当然持っていますが、合理的な説明が、今の局長の話だと、やはりどうしてもその審議会に間に合わせるための資料、なかなかそういう分析が難しかったというお話でありました。

 だから、これまでのトレンドは今後も続くということの多分資料ということなんでしょうが、じゃ、これまでのトレンドが、その横ばいが本当に合理的な説明がつくようなものだったのか。

 大臣は、今、それは客観的な、保険料率の機構がちゃんとあって、そこがちゃんと出しているんだから、これは間違いないんだ、こういうことなんですけれども、保険の世界というのは、今日ここで保険の世界の話をすることは、もう時間がないのでできませんけれども、保険の世界は保険の世界で、保険金の払戻し、パーセンテージというのは、ある程度やはり算定されていると思うんですね。

 だから、そういう世界で動いている部分もあるので、予定調和的な話というのはやはりあるのではないかと私は思っています。だから、その予定調和的な話が、ある意味で、この横ばいになっているんじゃないか。

 じゃないと、ちょっとそういうふうに考えた方が、事故数も減り、負傷者数も減り、死者数も減っている、もし、さっきから話があるように、お亡くなりになられるはずだった方が、本当に医療の発達のおかげで命は助かったけれども、重度後遺障害が残るような形になってしまった場合といったら、もしそうだったら、増加傾向になくちゃいけないんですね、これは反比例して。みんな正比例して下がっているのにこれだけ横ばいというのは、なかなかこれは合理的説明ができない。

 しかも、その説明ができないもののトレンドをこの見通しに使って、これからこれだけ要るんですよと。これで不安ですから、積立金もどんどん削られているし、新しく入ってこないし、だから賦課金をという話になるんでしょうけれども、それだったら、自動車ユーザーの納得感はなかなか得られない可能性が高いと思っています。

 今後、やはり統計学というのはすごく私は発展していると思います。いろいろなことを、変数を考えて、かなり将来予測をできるというふうなものだと思います。

 東日本大震災のとき、私は現地対策本部長代行でしたけれども、当時、二日目ぐらいに地震学の専門家の方に、先生、こういう大震災が起きた場合、津波災害が出た場合、大体、先生の中でそういうものを算定できる方は御存じですかとお聞きしたら、いや、私しかいないと。じゃ、先生、どれぐらいの人数だと想定されますかと言ったら、二万人だと。当時、大体、新聞の見出しは十万人以上の死者、被害者というのは出ていたんですね。しかし、もう二日目で大体二万と。今、死者・行方不明者は約二万です。

 ちゃんとしたやはり科学的知見を持っていらっしゃる方は、大体予見できる、予測できるんですね。だから、そういうことをやはり今後やっていく。

 だから、何かこの法律で賦課金を入れるために、どうしてもこれは必要なんですということで横ばいでいくというのは、これはちょっと少し疑問を持つこの横ばい、グラフだということであります。

 ですから、大臣、今後、いわゆる自動車ユーザーの納得を得るためにも、賦課金を入れる以上、ここはしっかりと科学的知見に基づいたデータに基づいて議論をしていただきたいと思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 市村委員の御趣旨はよく分かりました。

 御負担いただく自動車ユーザーの方にしっかり納得いただくために、科学的なそういうデータに基づいて、保険料率、それから賦課金の金額等々、しっかりと科学的根拠に基づいた算出ができるように努めていきたいと思っております。

市村委員 ありがとうございます。

 本日は、自動車事故対策機構の中村理事長にもお越しいただいております。どうもありがとうございます。

 是非とも、この間の参考人質疑の際にも、やはりNASVAのことが余りよく知られていないということでありますが、まず理事長から、NASVAというのはどういう組織ですか。まず、お話しいただければと思います。

中村参考人 NASVA理事長の中村でございます。

 本日は、このような機会を設けていただきまして、ありがとうございます。

 私どもは、とにかく安全、安心な車社会に貢献していくというのを大きなミッションとして、そのために、被害者支援とそれから事故防止、これを二つの両輪として事業に取り組んでおります。

 具体的には三つございまして、一つは今申し上げました被害者援護業務、それから二つ目が安全指導業務、それから三つ目が自動車アセスメント業務ということになってございます。

 それらについて、ちょっと簡単に御説明させていただきます。

 まず、被害者援護業務につきましては、事故によって重度の障害を負われた方を救済するために、療護施設の設置、運営、それから介護料の支給、それから、支給するだけではなくて、実際にお宅に訪問させていただいてケアをさせていただくということを取り組んでおります。

 それから、二つ目の安全指導業務、これにつきましては、事業用の自動車の輸送安全の確保という目的のために、法令で義務づけられている運行管理者の方に対する講習及びドライバーさん、運転者の方に対する適性診断、あるいは指導、フィードバックというものを行っております。

 それから、三つ目、自動車アセスメント業務でございますが、これは、安全性能の見える化、これはファイブスター賞の認定、授与等も含めまして安全性能の見える化を行っておりまして、これを通じて安全な自動車の普及促進を図っているというところでございます。

 冒頭申し上げましたけれども、これらの三つの事業を一体として取り組んでおりまして、安全、安心な車社会の実現に貢献していく、そういう大義を持った組織として認識をして、運営をさせていただいております。

市村委員 ありがとうございます。

 これからこのNASVAさんが、NASVAということなんですが、これからこの事業を行うに当たっては、これをNASVAさんが行うわけですから、このNASVAがやはり皆さんによく知られて、しかも、さっき、ずっと見える化という言葉が出ていますが、やはりしっかりと何をされているのかということがもっと見える、そして、それを皆さんに知っていただいて、それこそ、頼れるNASVA、寄り添うNASVAということで、ホームページにも書かれているわけですから、本当に皆さんが頼れる、そして寄り添える、寄り添っていただくNASVAであってほしいと思います。

 ただ、そこで、頑張ってほしいということで終わりたいんですが、今日は、ちょっと久しぶりなので、独立行政法人そのものについて、どんなになっているのかということをまずちょっと少しお話しさせていただきたいと思います。

 それこそ十数年前に、私も関わっていましたけれども、いわゆる特殊法人や公益法人が天下り先になっているんじゃないかということで、これはしっかり見直していこうということで、行政改革、特殊法人改革、公益法人改革等々のことが行われました。そして、独立行政法人というものが制度ができているというところでございますが、いろいろな言い方が、いろいろな評価がある中で、独立行政法人になってもっと効率化が図れるかと思ったら、実は、独立行政法人の方に行った方の方が何か給料は高いとか、何か焼け太りという表現もありましたが、そういうことがありました。

 中村理事長は、民間からお越しになられている、日立さんというところからお越しになられているということで、今後、理事長職が五年というふうにお聞きしております、まさにこの法律が改正されて、大きな制度改革がこれからなされるところだと思います。この五年間で、中村理事長がどういう志でこのNASVAを、見える化だけではなくて業務改善、独立行政法人のいろいろな効率化、業務の効率化等々、あとは管理業務の簡素化とか効率化等、やはり図られる必要があると思うんです。

 特に、自動車ユーザーのお金が入るわけですから、賦課金が。そこはやはりしっかりと、民間におられた中村理事長ならば当然のことだと思っておられると思いますが、ちょっと意気込みを、志をお聞かせいただきたいと存じます。

中村参考人 重ねて御礼申し上げます。ありがとうございます。

 まず、今議員がおっしゃっていただいたとおり、今度の法改正が成立しますと、NASVAの果たすべき役割、これは更に重くなってくるというふうに認識しております。そういう意味では、未来に向けた転換期に今いるというふうには理解をしております。

 その認識の下で、まずは、我々の使命であります、事故被害者の方、御家族、御遺族にしっかりと寄り添って、そのニーズにできるだけ広く応えていくということをまず基本にしてこれから取り組んでまいりますが、一方、今御指摘がありましたとおり、自動車ユーザーの方の御負担をお願いする形にもなりますので、これまでもNASVAとしては、様々、業務改善ですとか効率化をやってきておりますけれども、更にこれには不断の取組をして、効率化をして、いわゆる誇れるNASVAとして継続してまいりたいというふうに考えております。

 是非よろしくお願いいたします。

市村委員 ありがとうございます。

 理事長の下にしっかりとそういう新しい体制ができ上がることを本当に祈念いたしますが、ただ、これは、行政改革という言葉は余り最近聞かなくなりましたけれども、中村理事長は民間からお越しになられて、あと、理事の方が三人おられる。

 NASVAさんの組織図を見ると、理事長の下に理事がお三名おられて、その下にそのまま本部長、本部がある。本部がずらっとそこに連なっているという形で、この理事というのが、ある意味では事務局長みたいな役割を、事業部制の事務局長みたいな役割を果たしているんだと思いますが、このうちの、理事が三人のうちのお一人は民間からですが、うち二人が国交省そして財務省から行かれているということで、これは、もう十数年前、やはり天下りということについてはいかぬということで話があったところでありますが、その理事の方々の給与というのも、これは、済みません、理事長さんの給与が我々国会議員と同様に公開ですので申し上げますと、理事長さんが大体一千八百万近い給料であり、理事さんが一千五百万近い給料ということになっております、これは全部込みということでありますけれども。

 私は、やはり仕事をしっかりされたら、いいかもしれません。しかし、民間のやはり一般的な意識からすると、これは高いという、ひょっとしたら意見もあるかもしれませんし、また、退職金の額を今日聞こうと思っていたんですが、もう時間がないのであえて聞きませんが、それなりの退職金も得られるんだろうと思います。

 これは、自動車ユーザー、さっきから申し上げておりますし、理事長もおっしゃっていただいているように、やはり自動車ユーザーの御理解を得て賦課金という形でお金が入る以上、こうしたところについてもやはり不断の見直し、たゆまざる見直しというのを進めていく必要もあるかと思っていますが、大臣、いかがでございますでしょうか、これについては。済みません、ちょっと大臣にお考えを。

斉藤国務大臣 自動車ユーザーの保険料、また賦課金から成り立っている事業を行う独立行政法人として、先ほど市村委員からありましたように、業務の効率化、改善化、そして見える化等を、しっかり理解を得られるように努力していくべきだ、このように思っております。

市村委員 ありがとうございます。

 これから、何度も繰り返しになりますが、自動車ユーザーからの負担をいただくということでありますから、やはりユーザーの皆さんが納得し、言えば、いつ私も自動車事故の被害者になるかもしれません。そういうときに、相手がもし何にも保険に入っていないとか、いわゆる補償する能力がないといった場合、やはりこういう制度があって、しかも重度障害をもし負ってしまった場合、それこそ、それを介護していただかないとどうしようもないわけですよね、お金がないとかいった場合。ですから、誰もが被害者になり得るからこそ、これを理解を得られるんだと思います。

 ですので、しっかりと業務改善、理事長、済みません、またいま一度業務改善をしっかり図っていただいて、自らの立場についてもしっかりと含めて見直しというのを進めていただければと思うんですが、いかがでございましょうか。理事長のまた御見解をいただきたいと存じます。

中村参考人 ありがとうございます。

 先ほども申し上げましたとおり、私どもNASVAとして、役職員全員がきっちりとその仕事の使命を果たしていけるようにするということは、きちっと無駄を排して、効率的な業務体制を整えていくということも含まれております。

 かつ、これから我々職員一同が、やはり本当に、私は民間から来ましたけれども、大義ある仕事をしている、大義のある仕事をしている組織だというふうに思っておりますので、その大義ある仕事をしているという誇りを役職員全員が持ちまして、それをパワーに変えて、効率化も含めてしっかりとやってまいりたいというふうに思っております。

 よろしくお願いします。

市村委員 ありがとうございます。

 管理業務については簡素化、効率化、しかし、サービスについては充実ということで、よろしくお願いします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

中根委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 まず、交通事故被害者やその御家族の先行き不安を払拭し、将来にわたって安心して生活できるよう、被害者支援事業及び事故防止事業を拡充、充実することは、これは大変重要なことでありまして、そのために、持続可能な安定財源を確保するために賦課金を導入するという今回の方向性というのは、私どもも理解はできます。

 ただ、その負担をするのは自動車ユーザーでありまして、今や自動車というのは生活必需品であって、特に地方だと、車がないと生活できない、そういう状況にあります。

 しかも、自動車というのは、我々もずっとこの間、本当に自動車関係諸税というのは複雑かつ重課で、何とかこれを簡素化したいということでずっと活動してきましたが、とにかく幾つも負担が、税負担もあって、自動車を所有するコストというのはやはり一般的には非常に高いというふうに考えられているんですね。その上、昨今、ガソリン価格の高騰もあって、更にやはり自動車ユーザーの人たちにとって、自動車を持っていること、そして活用することは負担が、負担感は増しております。

 こうした状況の中で、今回の新たな賦課金の負担をお願いするに当たっては、よほど自動車ユーザーの理解と納得を得る必要があるんじゃないかと思います。

 その際に、今日の質疑でも笹川委員や藤岡委員からもありましたし、この前の参考人からの話もありました。我々国民民主党の中でいろいろ議論しても、どうしてもやはり理解できない、納得できないのが、自動車安全特別会計から一般会計に繰り入れられて、当初は、一番最初の大臣間の覚書では平成十二年までに繰り戻されるはずのお金が、いまだに六千億円余り戻ってきていないという状況、このことであります。

 そもそも、自動車ユーザー保険料とその運用益から成る特会から一般会計に繰り入れること自体、大臣は、朝の笹川委員に対して、これは法律に基づいてと、確かに法律に基づいたかもしれませんけれども、性格からいって、保険料と保険料の運用益のそれをこっちに移すというのは、本来あってはならないものであって、これは先日の参考人の皆さんも同じ考え方でありました。

 だから、本来あってはならないものだから、最初の大臣間合意では、すぐ返します、これは本当にちょっと一時的だから、一般会計の方、特に当時は特例公債発行を少しでも減らそう、そういうためにちょっと貸してくれということで繰り入れたわけなんですけれども、結局その後、何だかんだ理由がつけられて何度も返済期限は遅れて、最初の返済期限は平成十二年だったと思いますが、そこからもう二十年以上たっている今に至っても、まだ六千億円余り戻ってきていない。

 ですから、今回、新たな賦課金の負担を自動車ユーザーにお願いするに当たっては、まず、やはりこの問題について、しっかり最終的に全額返済するまでの道筋をつけて、ちゃんとそれをお示しをするということが私は必要だと思います。

 ちょっとほかの委員と重なる部分もありますけれども、また、大臣が今日御答弁された答弁内容も踏まえて、ちょっと今日はその点をまずお伺いしたいと思います。

 問題になっています昨年の十二月の大臣間合意でありますけれども、これは確認ですけれども、ここで、今回の合意によって、この二番のところで、自賠特会から一般会計への繰入金相当額は、原則として、令和五年度から令和九年度までの間において、分割して一般会計から自賠特会に繰り戻すこととすると。平成六年にあった文言のところの数字が変わったということでありますから、大臣も、これは要するに、令和九年までに全額繰り戻される、そういう確認をしたということでこれは理解してよろしいんですね。

斉藤国務大臣 今回の鈴木大臣との大臣間折衝におきまして、私も相当の決意を持って臨みました。その結果、先ほど紹介いただいたような合意になったわけでございますが、原則として、令和五年度から令和九年度までの五年間において、分割して一般会計から自動車安全特別会計に全額繰り戻していただくこととしております。

 国土交通省としては、昨年の大臣間合意を踏まえ、一般会計からの繰戻しが着実に行われると認識しております。

 毎年度の具体的な繰戻し額については、毎年度、財務省及び国土交通省が協議の上、決定することとしておりますので、引き続き財務省に対して、全額の繰戻しに向けて、着実に繰戻しを進めるよう求めてまいりたいと思っております。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 その次の三番のところで、今回の合意では、これまでなかった「令和四年度予算における繰戻額の水準を踏まえ、」という文言が入りました。これは、さっき話が、ここは令和五年度以降の繰戻し額の目安なのか、そうじゃないのかと。大臣は、さっきの藤岡さんに対する御答弁では、目安と言ったのがまずかったみたいなお話をされましたけれども、ただ、岡本財務副大臣の方は、どうもやはりここは目安になっているというような、そういう答弁に私は聞いていて思いました。

 これは、実際は、だから、あの答弁を見ていると、国交大臣と、国交省とあと財務省の認識がずれているんじゃないかというふうに思うような答弁でしたけれども、ここのところはどちらが正しいのか。

 あるいは、よくある、役所というのはこういう覚書を結ぶときに、こちら側から見るとこういう認識、こちら側から見るとこういう認識と、よくそういうことを私もかつてやっていましたから分かるんですけれども、だから、この合意というのはそういう、実は国交省と財務省との間で違う認識なんじゃないかということを先ほどのお二人の答弁を聞いて思いましたが、その点はいかがですか。

斉藤国務大臣 先ほど藤岡委員にお答えしたのと同じ答弁になりますけれども、今回、令和四年度の水準を踏まえというふうに盛り込んだ趣旨につきましては、過去に繰戻しがなされなかったこと等の経緯にも鑑み、大臣間合意の期間中、毎年必ず継続して一定水準以上の繰戻しを行うため、盛り込んだものでございます。

 先ほど申し上げたとおり、原則としてこの五年の間に全額繰り戻されるというふうに認識しております。

古川(元)委員 それであると、やはりこの二と三というのは、どうもこれは書き方が矛盾している、素直に読むとそう見えるんです。そう大臣思いませんか。なぜ三を入れて、しかもそこに令和四年度の予算における繰戻し額の水準を踏まえという文言を入れたというのは、どうもこの二と三にやはり矛盾が生じている記述というふうにしか思えないんですが、いかがですか。

斉藤国務大臣 この二と三、鈴木大臣とのぎりぎりの交渉の中で妥協した点でございますが、私の認識は先ほど申し上げたとおりでございます。

古川(元)委員 だから私、心配しているんです。大臣の認識と鈴木大臣の認識がずれているんじゃないかと思うんですよね、これ。

 じゃ、ちょっと別の見方で聞きますが、この二と三をあえて整合的に読もうとすれば、二は、原則として全額、令和九年度までに返す、例外がありますよという、実際に今まではずっと例外的にどんどんどんどん先送りされていたんですよね。では、先ほど、今日ずっと大臣がおっしゃっている、とにかく令和九年度までに返してもらうんだという固い決意でいるんだったら、じゃ、この例外的に返されないような、九年までに返されないような場合というのは、どんな場合をイメージしていらっしゃるんですか。

斉藤国務大臣 具体的には今後財務省と協議していくことになろうかと思いますけれども、もう一度同じ答弁になりますが、先ほどの両大臣合意の中で、財務省もしっかり履行していただくものと私は思っております。

古川(元)委員 そこが本当に同床異夢の中で、これでやはり自動車ユーザーに納得してくれと言っても、なかなかこれは納得してもらえないんだと思います。

 この間の対応というのは、高速道路料金、いつか無料にするためにという、そういう理由で、償還主義に基づいて料金設定を行って、その負担を自動車ユーザーに求めながら、結局、償還期間をずるずる延長していって、いつまでたっても無料にならない、でも料金だけ上がっている。これは自動車ユーザーの不信を買っているのと同じような対応であって、私、今回の大臣合意というのはこういう対応と本当に変わらない。これでは、新たな賦課金を求めるに当たって不可欠な自動車ユーザーの理解と納得はなかなか得られないと思いますが、いかがですか、大臣。

斉藤国務大臣 国土交通省が設置した被害者団体やユーザー団体等の関係者が参画した検討会におきまして、被害者の皆様から支援拡充の早期実現や安定的な財源の確保について切実な要望をいただいており、国土交通省としては適切に対応する必要があると考えております。

 また、この検討会におきましては、一般会計からの繰戻しを財務省に強く求めるべき、繰戻しの返済計画、ロードマップを示すべきという御意見をいただく一方、事業を積立金の運用益で賄う現行のスキームは低金利により破綻している、また、まとまった額が繰り戻されることを前提とした施策の充実や持続的な推進は現実的ではないとの御意見もございました。

 このような議論を経て、本年一月の中間とりまとめでは、被害者等が安心して生活できる社会の実現に向け、一般会計からの繰戻しが継続して着実に行われることを前提に、安定的な財源を確保し、持続可能な仕組みへの転換を図ることが適当、このようにお示しをいただいたところでございます。

 国土交通省としては、引き続き財務省に対して、全額の繰戻しに向け、着実に繰戻しを進めるよう求めていくとともに、具体的な賦課金水準の検討に当たっては、検討会に参画しているユーザー団体の皆様の御意見を丁寧に伺いつつ、負担を可能な限り抑制するなど、ユーザーの皆様の御理解が得られるよう努めてまいりたいと決意しております。

古川(元)委員 最初に申し上げたように、我々も、被害者やその御家族の不安に応えるための制度の創設、これを否定しているわけじゃないんです。ただ、やはりその大前提としては、この問題について、継続的、確実と言われても、この文言でどこまでそれが担保されているのか。しかも、確実にこの五十四億円で戻ってきたって、それこそさっき話があったように百年以上かかると。これではやはり、理解しろと言ってもなかなか理解できないんだと思うんですよ。

 ですから、もしそうやって言われるのであれば、最終的にいつになったら全額繰り戻されるのか、足下数年間。だって、要するに令和九年以降、結局、九年までに戻されなかったら、それは後どうなるか分からないわけですよね。最終的に全額返済されるまでの具体的な返済計画、これはやはり作成すべきじゃないですか。

秡川政府参考人 検討会で様々議論がありまして、例えば、去年の秋ぐらい、繰戻しのこの現状では賦課金なんというのはあり得ないんじゃないかという意見も、ユーザー団体とか被害者の団体からいただいていたんです。それで、御意見としては、一般会計からの繰戻しについて、少なくとも合意期間中における繰戻しの継続と毎年度の繰戻しの目安、それがない限りは新しい制度というのはあり得ないんだという意見がありました。

 そういうことを踏まえて十二月の大臣間合意に臨んだということなんですけれども、大臣同士の折衝の結果、五年以降における繰戻しをまず継続する、それから、毎年度の繰戻しの、先ほど最低のイメージという話がありましたけれども、そういうものを提示するということで、これは、今までの合意にはなかったフレーズが新しく入ったということでございます。

 今回の合意を踏まえて、今後とも国交省と財務省でしっかり議論して、着実な繰戻しを実現していくということを来年度から始めるということでやっていきたいと思っております。

古川(元)委員 今までになかったかもしれませんが、今日の質疑を聞いていたら、さっき申し上げたように、どうも私、国交省と財務省との間にやはり認識のそごがあるんじゃないかと思うんですね。

 やはりこれは、自動車ユーザーにちゃんと納得してもらうためには、新たな賦課金を導入する前に、もう一回、大臣、大臣間合意、ちゃんとユーザーが納得できるような、そういうものをやり直すべきじゃないですか。いかがですか、大臣。最後に御質問します。

斉藤国務大臣 今回、私も相当な決意で、昨年十二月ですが、鈴木大臣との大臣間折衝に臨みました。その結果、先ほど局長が述べたように、これまでにない、初めて、令和五年度以降における繰戻しの継続、それから令和五年度以降の毎年度の繰戻しの目安の提示など、これまでにない内容を明記したところでございます。

 自動車ユーザー団体の関係者からも、返済のロードマップ、少なくとも合意期間中における繰戻しの継続と毎年度の繰戻し額の目安を示すよう強い要望があったところでございまして、引き続き、全額の返済に向けて、国土交通省として、財務省、財務大臣に強く求めていきたいと決意しております。

古川(元)委員 時間になりましたので終わりますけれども、自動車ユーザーの人が納得できる、やはりそういう対応を是非していただきたいということを改めて強くお願いして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

中根委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 これまで附則に当分の間の措置として位置づけられていた自動車事故被害者救済対策並びに事故発生防止対策を、ひき逃げ事故等の被害者救済策と一括して、自動車事故対策事業として本則に明記、恒久化されることは必要なことだと考えております。

 まず、基本的なことを伺います。

 自賠責保険が制定されたのは昭和三十年といいますが、自動車の保有者に対して、自動車ごとに自賠責保険及び共済への加入を義務づけている理由について確認させてください。

秡川政府参考人 今御指摘いただきました昭和三十年頃ということなんですけれども、自賠法が制定されたのはその年なんですけれども、自動車が急速に普及するという背景がありまして、それに比例するように自動車事故というのが急増しておりました。

 このため、自動車事故による被害者が保険金によって損害賠償を確実に受けられる、そういうことを目的に自賠責保険制度を設立したという背景がございます。自動車側に常に賠償能力をしっかり確保させるという目的で、自賠責保険と共済への加入を義務づけたということになっております。

高橋(千)委員 保険が急増する事故などに追いついていなかった中で、被害者保護を確実に行うということでスタートしたということだったと思いますが、答弁の中では、社会保障的な色彩を持っているということもかつては答弁があったと思います。その点では、趣旨は変わっていないということでよろしいでしょうか。

秡川政府参考人 御指摘いただいたとおりの性格があるものだと理解しております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 そこで、今、自賠責保険がなぜ強制加入なのかを最初に聞きました。現在、任意保険に入っていない人が少なくない中で、自賠責保険はまさに被害者救済のために、死亡三十万円の支払いからスタートして、現在最大三千万円、その補償内容も拡充されてきたと承知をしております。

 しかし、今日取り上げたいのは、その自賠責すら補償されない被害者がたくさんいるということです。

 脳脊髄液減少症を御存じでしょうか。脳脊髄液漏出症という言い方もありますが、車で追突されたなどのショックで脳脊髄液が漏れ、激しい頭痛やしびれ、目まいなどに襲われ、ひどいときは寝たきりになります。指定難病ではありません。硬膜外自家血注入療法、ブラッドパッチと呼ばれる療法が、患者団体の要望が実って、二〇一六年、保険診療になりました。私は繰り返し厚労委員会などで質問してきましたが、二〇一二年には患者団体とともに省庁交渉を行い、その際、国交省に申し入れたのがこの自賠責問題でありました。

 といいますのは、交通事故に遭っても、病名を見た途端に損保会社から相手にされないなど、こもごも訴えがあったわけです。それに対して、国交省の当時の担当者は、病名だけで切ることがないようにということを約束されましたし、タクシーやトラックやバス会社などの広報誌で周知するとも答えてくれました。

 その後、この問題で国交省として取り組んできたことをお答えください。

 また、脳脊髄液減少症の患者さんも、症状によっては、重度後遺障害者として被害者救済策の対象になり得ると考えてよろしいでしょうか。

秡川政府参考人 脳脊髄液減少症なんですけれども、国土交通省では、これまでの厚生労働省が行っている当該症例に関する研究とか取組の成果を自賠責保険の運用にきちっと反映させるように、保険会社等に対する情報提供をやってまいりました。

 また、脳脊髄液減少症の認知向上のために、脳脊髄液減少症を解説したチラシを医療機関等に配布するとか、医療従事者や一般の方に向けた広報などをやっております。

 自賠責保険では、脳脊髄液減少症に由来するものを含めて、被害者の症状について、画像所見等により自動車事故との因果関係が認められる場合には、保険金支払いの対象になるということなので、脳脊髄液減少症であっても、そういうプロセスを経れば自賠責保険の対象になるということでございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 平成二十四年、画像診断の基準が基にされて通知が出されました。二十八年にはブラッドパッチの社会保険適用を受けて通知が出されました。そして、資料の一枚目、令和元年には、脳脊髄液漏出症診療指針が出されたということを受けて通知を出してくださったと思っております。国交省が私たちや患者団体の要望を受けて対応してくださったということはありがたいと思っております。

 ただし、今回、この自賠責法案について質疑するに当たって、改めて患者さんの声を聞きました。本当に壮絶な闘病生活、また周囲に理解されないつらさ、こもごも寄せられております。本当に時間がないので一言だけなんですが、大臣に聞いていただきたいと思います。

 三十代の男性。十七歳のとき、交通事故で発症しました。寝たきりです。こくみん共済には、そもそも脳脊髄液減少症でお支払いする項目がないと言われました。損保では、途中で示談にしてくださいと切り捨てられました。

 また、五年前に事故に遭って一か月入院した女性は、脳外科と眼科をたらい回しにされて、結局治療されません。脳脊髄液減少症と分かったら、今度は診てもらえる病院が見つからず、ブラッドパッチにたどり着くまで一年以上かかり、ただ、治療しても、その後もまだ回復されたわけではありません。いつ頭の血管が切れて死ぬのかと思った、そういう中で暮らしていると。子育てもそういう中でやっているという訴えであります。

 また、五十代の男性。令和二年、後ろからノーブレーキで追突をされた。昨年、脳脊髄液減少症と診断を受けたけれども、損保ジャパンから治療費、休業補償の強制打切りをされて、自身が任意保険の弁護士特約を持っていたので、それを使って交渉してもらっているんですが、外傷性のけがでは脳脊髄液は漏れないと言われて争っている状態。

 つまり、このように、まだ理解されず、診断もされない、診てもらえない、そういう実態に苦しんで、自賠責からも排除されている方、たくさんいらっしゃるんです。大臣の認識と更なる周知徹底について伺います。

斉藤国務大臣 今のお二人のお話、伺わさせていただきました。

 国土交通省では、厚生労働省で行っている研究それから取組の成果を自賠責保険の運用に適切に反映させるよう、保険会社に対する指導、情報提供を実施してきたところでございますし、これからもしっかりやっていきたいと思っております。

 国土交通省としては、事故により脳脊髄液減少症となることの認知度向上に関して取り組んでおりまして、昨年度に引き続き、今年度も説明用のチラシを医療機関、保険会社等に配布する予定です。しっかりこの点、周知してまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 今、三人の話を紹介しましたので。

 今年度もとおっしゃっていただきましたので、本当に今困っている方たち、そして、これから、残念ながらこうしたことが起こるわけでありますから、徹底した周知を行っていただいて、自賠責を受けられるんだ、支援できるんだということを国から発信していただきたいと重ねて要望しておきたいと思います。

 さて、次に行きますけれども、資料の2を見てください。

 自動車事故対策勘定の積立金の推移とあります。平成十三年、国の自賠責再保険制度を廃止して、その運用益約二兆円の一部を積立金にしたところからスタートしています。ところが、昨今の超低金利の下、年々、積立金を取り崩さざるを得なくなり、どんどん減少し、将来の枯渇が心配されておりました。

 資料の3は、再保険特会の運用益が潤沢だった時代に、国の一般会計に一兆一千二百億円を繰り入れ、そしてその繰戻し状況であります。

 先ほど来、ずっとこの問題が議論されているわけですが、いまだに半額しか返済されておらず、残金約六千億円は先ほどの積立金に本当はオンされて九千億円からスタートされているはずなんですが、まだ戻っていないので二千五百億円からスタートしているということなわけですよね。

 平成十五年度、二〇〇三年以降は、繰戻しは毎年でもないこと、かつ利子分しか戻されていないために、元本残高がずっと変わっていない、四千八百四十八億円のままだということも重大だと思っています。

 そこで、原資となった再保険、これを廃止したのは二〇〇一年ですが、その頃は既に運用利益〇・七%でした。日本共産党は、重度後遺症の被害者救済が後退するおそれがある、累積運用益を被害者保護に充当するとしているが、低金利政策の下でいずれ枯渇することは明白、そう指摘をして、反対をしました。

 大臣、再保険制度を廃止した当時の判断が誤っていたとは思いませんか。

斉藤国務大臣 当時は、自動車事故対策事業に充てられると想定していた約九百億円を前提として、当時の金利水準を勘案すると約二%の運用収益が見込まれたため、毎年必要な事業規模は賄えると判断したものでございます。

 当時としては適切に判断したものと考えておりますが、金利が現在の水準まで低下しており、検討会でも、事業を積立金の運用益で賄う現行のスキームは破綻しているなどの御指摘をいただいていることから、被害者等が安心して生活できる社会を実現できるよう、今般、制度を見直したいと考えております。

 ちょっと今、答弁の中に、私、九百億円と申し上げましたが、約九千億円になるので、訂正させていただきます。

高橋(千)委員 そうですよね。

 それもそうだし、私、今、自分で質問の中で言いましたけれども、既に再保険を廃止を決めた頃には金利が下がっているわけですよね、だから枯渇するじゃないかと指摘しているんだということを、きちんと受け止めていただきたい。本当にそのとおりになったじゃないかと、自慢してもしようがないことでありますけれども、指摘をしておきたいと思います。

 それで、資料の4は、先ほど来出ています、昨年末の財務大臣と国交大臣の大臣間合意であります。

 今年度の繰戻し金が五十四億円は増額であるということ、それから、この金額を目安にして継続して繰戻しすることなど、国交省はこの合意を画期的と報告をしていました。本当にそうでしょうか。とんでもないと思います。

 あり方検討会の中では、このペースでは百年かかる、大臣間合意で、この下に書いてある、賦課金に言及しているのは拙速過ぎるという意見がありました。財務省から今後どのように繰戻しするのか明らかになってから賦課金の議論をすべきだという意見もあったはずです。

 そもそも財務省は、賦課金を拡充すれば全額返さなくてもよいと考えているんじゃありませんか。

藤原大臣政務官 お答えいたします。

 国交省の検討会においていただいた御意見、まずはこれをしっかりと受け止めたいと考えております。

 その上で、一般会計から自動車安全特別会計への繰戻しにつきましては、法律において、後日、予算の定めるところにより、一般会計から繰り入れられる旨が定められております。

 また、大臣間合意において、繰り返しになりますが、一般会計からの繰戻しの残額を繰り戻す期間について、原則、令和五年度から令和九年度に改めた上で、令和五年度以降の毎年度の具体的な繰戻し額について、令和四年度の繰戻し額の水準を踏まえること、繰戻しに継続的に取り組むことを明記し、合意したところであります。

 財務省といたしましては、賦課金の導入の有無にかかわらず、法律や新たな大臣間合意に基づいて、被害者保護に係る事業が安定的、継続的に実施されるよう留意しつつ、一般会計の財政事情も踏まえながら、一般会計からの繰戻しについて着実に進めていく考えでございます。

高橋(千)委員 ですから、今言ったことを総合すると、後日繰り入れるということは、百年かかるという意味なんですね。

 私がなぜこういうふうに聞いたのかを、また順々に質問していきたいと思うんですね。

 資料の5を一つ飛ばして、6を見ていただきたいと思うんです。

 国交省に伺います。

 現在の積立金の位置づけなんですね。これに書いてあります。賦課金導入後の一定期間、これは真ん中に書いてある、いわば経過措置みたいなものですよね。経常的な歳出、つまり、さっきの絵に、5にあるんですが、被害者救済や事故防止のための歳出に使うという意味だと思うんですね、一定期間は、賦課金が決まってからも。

 将来的な位置づけというのがあります。自然災害や感染症対策などの臨時的な歳出の財源に充てるものと書いてあります。その規模は五百億円規模とあるんですね。これは中間とりまとめにも明記されております。

 この積立金の位置づけ、積立水準の意味するところについて説明してください。

秡川政府参考人 今日御提示いただいているこの資料6の、これは私どもの資料、このとおりなんですけれども、この趣旨としては、例えば、地震などの自然災害で全国に四か所あります療護センター等が倒壊して、医療の対応ができないというような万が一の事態が発生した場合でも、速やかにその施設の建て替えとか、壊れてしまったような高額医療機器等の復旧ができるための財源というのはしっかりキープしておく必要があるという御指摘がありまして、中間とりまとめに盛り込まれたと。

 国交省としても、その提言を受けて、適切にこの取扱いというのは対応していきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 今、万一の事態に備えると言いましたよね。それは当たり前なんです。だけれども、今はまだ財務省から戻ってきていないけれども、一千四百億円あるわけですよね。でも、返してくれという話をしているわけじゃないですか。それとの関係が曖昧だと言っているんです。

 これは、最終的には臨時的な歳出の財源に充てると書いていますから、恒常的な支払い、つまり被害者救済や事故防止対策とは別だと、別枠だという意味ですよね。

秡川政府参考人 こういうものに充てるというのを、これを大きく見ると、それは被害者支援の手だての一環というふうに考えているんですけれども、現状ある私どもの財源の中をどう使うかということでいきますと、こういうものに対して残しておく必要があるんじゃないかという判断でございます。

高橋(千)委員 そういうことなんです。

 つまり、財務省に伺います。

 積立金が将来の姿になったとき、今お話しした五百億円規模の積立金で、臨時の歳出のための積立金になったときには財務省からの繰戻しがどうなるのかということなんですよね。

 資料の5を見てください。

 これは元々、スキーム、二百億円の事業が必要ですよねと。五百億とは別です。賦課金が百億円というのは、これは百五十円に賦課金をした場合の話ですよね。積立金の取崩しは四十六億円、こういう計算になるというわけなんですよ。

 つまり、今みたいな五十四億円程度の繰戻しを百年続けるのかということ。早期返済がさんざん求められてきたんだけれども、例えば、大臣が参議院で答弁したように、五年間で完済しますと言っちゃうと、毎年、五十億円じゃなくて一千二百億円戻ってくるとなる。そうすると、必要ない剰余金扱いになっちゃうんじゃないでしょうか。なぜなら、さっき言ったように、積立金は五百億円規模で足りる。当面使い道のないお金になってしまうわけなんです。

 財務省はそれが分かっているから、急いで返済する必要がないと考えているんじゃありませんか。

藤原大臣政務官 お答えいたします。

 積立金残高が五百億円となった場合という、これは仮定のお話にお答えすることは困難でありますが、財務省といたしましては、大臣間合意を踏まえ、財政状況が厳しい中においても被害者保護に係る事業が安定的、継続的に実施されるよう、一般会計からの繰戻しを着実に進めていく考えであります。

 毎年度の具体的な繰戻し額につきましては、大臣間合意に基づき、引き続き、国交省と協議の上で決定してまいりたいと思います。

高橋(千)委員 仮定の話とおっしゃいましたけれども、特別会計法からいったらそうなるわけですよね。特別会計法の八条、あるいは六十二条の自動車事故対策勘定からいっても必要な額を積み立てるとなっているわけですから、必要な額じゃなくなってしまう、だからたくさん返す必要はない、そういう理屈なんじゃないですか。

藤原大臣政務官 お答えいたします。

 積立金残高がどういうふうになったかというのはその時々の情勢によると思いますので、いつそういうふうになるかならないか含めて、これは仮定のお話で、一概には答えられないということになってしまいます。

高橋(千)委員 これは中間とりまとめに載っているんですよ。そういう方向で向かうということでしょう。

 ただし、議事概要には、この議論、全くされていないんですよ。五百億円規模という提案は、論点整理、十二月二十七日に初めて国交省が出しました。それ以前は、一切この数字は出ておりません。そして、意見も出たのかどうか、分かりません。

 だけれども、これ、この方向で決めたことになるわけでしょう。どういうふうになりますか。これになると、結局、賦課金が上がることも下がることもあるよね、それで、二百億円の枠でちゃんと収まればいいんだ、そういう理屈になるんですよ。返してもらわなくてもいいんだという理屈になるんですよ。国交省はそれを分かってこの提案を出したんですか。

秡川政府参考人 今こちらの特会にある積立金をどう扱うかということと、財務省との関係で大臣間合意をして繰り入れたものをどう返していただくかというのは、お金としてはリンクしていますが、話としては別の話なので、繰戻しについては、これからもしっかりと議論しながら確保していきたいということに変わりはないということでございます。

高橋(千)委員 では、繰戻しはどのように使っていきますか。今言った資料の5にあるやつは、一般会計からの繰戻し五十四億円、この程度で足りるスキームをつくっているわけですよ。じゃ、その先どうするのか、返してくれと言う必要はないのかというふうになっちゃうわけ。別の基金をつくりますとか、別の事業をやりますというのなら分かりますよ。あるいは百億円、確実に戻してもらうんだと、それでも百年がちょっと縮むくらいの話ですから、全然納得がいきませんけれども。

 その説明がないわけです。それで、最終的には賦課金を上げたり下げたりしてやっていく世界になっていくのかなということが浮き彫りになったんじゃないかと思います。したがって、この問題は残念、賛成できないな、この一点において賛成できないと思っております。

 以上です。

中根委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 最後のバッターで、なるべく止めないようにしたいと思いますので、是非明快な答弁をよろしくお願いします。

 私は、本法案、被害者保護の充実のための安定財源を制度化するのは賛成であります。しかし、政治というのは、負担を負う側の人の思いもきちんと理解した上で、バランスを取って、制度をつくるときに勘案していかなければならないと思っております。政治の場で議論するというのは、お役所のお手盛りになっていないか、冷たい財政の論理だけで議論されていないか、そうした観点から精査する必要があると考えて、今日は議論させていただきます。

 先日の参考人質疑をユーチューブで流したら、いろいろな人から意見をもらいました。強制加入の自賠責保険に賦課金もかけられているなんて今まで知らなかったということをおっしゃる方もいました。徴収された保険料から一般会計に膨大な額が繰り入れられている、これも知らなかったし、許せないという話もありましたし、何よりも、先ほどの藤岡さんもそうですけれども、茨城県も車社会ですから、一人一台、車を持っていて、ちょうど今頃の時期は大変なんですよ、税金で。ガソリンも上がっている。もうこれ以上自動車を持つことの負担を増やさないで、そうした多くの声が寄せられてまいりました。

 大臣、今回の制度改正を行うに当たって、こうした一般の自動車ユーザーの声をどれぐらいお聞きをされていますでしょうか。

斉藤国務大臣 今般の制度改正に当たって、国土交通省では、令和三年八月から、今後の自動車事故対策勘定のあり方検討会を開催して、事故被害者やその御家族、御遺族を始め、自動車ユーザー団体の皆様からも丁寧に御意見を伺ってまいりました。

 特に、ユーザー代表として、一般の自動車ユーザー二千万人が加盟する日本自動車連盟、JAFの副会長にも検討会に御参画いただき、自動車ユーザーの皆様を代表して、御意見を頂戴をいたしました。

 さらに、先日の参考人質疑でも座長が陳述された、自動車損害賠償保障制度を考える会の皆様と昨年十一月二十二日に大臣室で面会し、事故の当事者や自動車ユーザーなど、様々な立場の皆様から意見をお聞きをしてまいったところでございます。

 今後の具体的な制度設計に当たっても、ユーザー目線にも配慮して、丁寧に検討を進めてまいりたいと思っております。

福島委員 でも、大臣、それでは駄目なんですよ。大臣、よろしいでしょうか。それでは駄目だと思うんですよね。

 私も元役人で、よく審議会の運営をやりましたけれども、メンバーを選んでいる段階で、もうそれは国民の声じゃないんですよ。JAFの人が自動車ユーザーの代表だなんて思っている人は私は誰もいないと思うし、これはパブコメをかけていないですよね。うなずくだけでいいんですけれども、自動車局長、かけていないですよね。どうぞ。

秡川政府参考人 今回の取りまとめをということですか。(福島委員「この法制度全体の、改正法案について」と呼ぶ)

 法律制度自体はしていませんけれども、賦課金については、今後、パブコメのプロセスもあると想定しております。

福島委員 この法案を出すに当たって、パブリックコメントもやっていないんですよ。

 やはり今までの、今日のこれまでの議論を聞いていて、到底自動車ユーザーの納得を得られる制度じゃないと思うんですね。それは、検討の過程で、本当に行政が汗を絞るような思いで、ユーザーに負担させないという思いで検討した姿勢が見えないからであります。

 資料一、先ほど来いろいろ話がありましたけれども、上の繰入額、一兆一千億円を一般会計に繰り入れて、これまで七千九十八億円は戻ってきていますが、今、元本が四千八百四十八億円、利子相当が一千百四億円で、令和四年度、これから五年の基準になる額の繰入額は五十四億円で、先ほど高橋委員からもありましたけれども、利子すら返していないんですよ。元本は全く減っていないんですね。今、低金利だからいいけれども、百年間、今の低金利が続くことは予見できません。

 私は、かつて三つぐらいサラ金で借りて、毎月十万円払っても元本が減らなくて、水道料金も何も払えなくなっちゃったときがあるんですよ。元本が減らないというのは、借金が永遠に減らないと同じなんですよ。

 私は、大臣合意、確かに大臣は汗をかいたと思うんですけれども、余りにもこれは納得できない、不誠実なものであると言わざるを得ないと思います。

 そもそも何でこんな繰入れをしたかというと、二ページ目、一ページ目の裏についていますけれども、平成六年にこの制度は入れていますけれども、平成五年は、そもそも特例公債の発行がゼロなんですよ。平成六年は、平成七年の一月に阪神・淡路大震災が、行われましたから、補正で震災特例公債というものをつくった。平成七年になって、若干の赤字公債は発行していますけれども、今の赤字国債の発行に比べて、全く発行していないときだから、赤字国債は発行したくない、そのためにいろいろなところからかき集めてこなければならないというのが今の時点なんですね。今、これだけ国債を発行して、予備費も膨大に積んでいるんだから、六千億円ぐらい、一発で返せばいいんですよ。

 四月十二日の参議院の国交委員会で、浜口委員に対する答弁で、財務副大臣は、国の財政状況が非常に厳しい中で、制度として限定がかかりづらい特例公債を追加発行するということは非常に慎重に検討すべきだと言っていますけれども、このお金は、そもそも財務省のお金ではありません。自動車ユーザーのお金を財務省が借りているんですよ。

 借りているのが財務省にもかかわらず、さっきから何か偉そうに、財政需要を見て検討しますとか、査定をする権限はないんですよ。早くお金を返してください。お金がないから返せないというのは、私はサラ金で借りたときに通用しませんでした。だんだん電話が、怖い電話に変わってくるんですよ。

 返してください。特例公債で返せばいいんですよ、六千億ぐらい。今、これだけ何十兆も国債を発行している中、しかも国債金利の低い段階でありますから、国が借金をするなら、特例公債でやるなどの誠意を見せるべきだと思いますけれども、財務省の見解はいかがでしょうか。

藤原大臣政務官 昨年十二月の大臣間合意におきまして、一般会計からの繰戻しの残額を繰り戻す期間について、御承知のとおり、原則として、令和五年度から令和九年度に改めた上で、令和五年度以降の毎年度の具体的な繰戻し額について、令和四年度の繰戻し額の水準を踏まえること、繰戻しに継続的に取り組むことを明記をいたして、大臣間で合意をいたしました。

 財務省といたしましては、この新たな大臣間合意に基づき、毎年度の繰戻し額について、一般会計の財政事情が厳しい中においても被害者保護に係る事業が安定的、継続的に実施されるよう、引き続き、真摯に国交省と協議の上、繰戻しを着実に進めてまいりたいと考えています。

福島委員 だから、そういう答弁をしないようにという質問をしたつもりなんですよ。財政需要とか、財政事情が困難というのは、金を借りている側は、収入が少ないから返しませんというのは許されませんよね、弁護士をやっている政務官ならお分かりのように。

 しかも、何で財務省が、どういう交通対策に額が必要だからこれだけ返しますとやるんですか。これはユーザーから借りたお金なんです。是非、国債から返していただければと思います。

 もう一つ、そうした中で、今回、賦課金を積み増す、賦課金を上げるという、そうした判断をする政策を取っております。

 これはちょっと一つ聞きたいんですけれども、通告していないので、分からなかったら結構なんですけれども、国に納付する賦課金というのは、ほかに用例はございますか。

藤原大臣政務官 済みません、通告をいただいていないので、ちょっと把握しかねます。

秡川政府参考人 ごめんなさい、ちょっと、国がやっている……(福島委員「政府に納付をしなければならない賦課金というのはありますか」と呼ぶ)賦課金、幾つか把握しておりまして、例えば、再生可能エネルギー、これは負担者が電気の使用者で……(福島委員「納付先、政府じゃないですよね」と呼ぶ)政府のは、独法とかはありますが、政府のはないですね。

福島委員 別にクイズをやりたいわけじゃないので、分からなければ、分からないで結構なんですけれども、賦課金を政府に納付するというのは、私が調べた限り、この自賠責保険だけなんですよ。ほかは、農業保険法とか漁業組合法で、事務費とか必要な経費を取る会費なんですよ。納付先は、漁業組合とか、その加入している組合です。

 FITは若干違って、電力会社に電気の使用者が払うというものでありますし、土地区画整理法とか都市開発法とかでも賦課金はあるんですけれども、あくまでも自治の範囲の中で、組合員の会費負担というのが私は賦課金であるというふうに理解しております。

 それと税金というのは何が違うのか、財務政務官、答弁をお願いします。

藤原大臣政務官 一般論として申し上げますが、租税の基本的な機能は、公的サービスの財源を調達することにあります。

 公的サービスは、基本的には社会の構成員が広く便益を受けるものでありまして、個々人にとっての受益と負担とを直接結びつけることができない性格であることから、直接の反対給付を伴わない租税という形で賄っております。

 一方で、賦課金などにつきましては、特定の者が便益を受け、当該便益を享受する者がその費用を負担する場合に、個々人の受益と負担の特定性や対応関係なども踏まえ、徴収することとしております。

 なお、税制や賦課金などを設けるに当たっては、税制については、新たに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とするとの租税法律主義の考え方に基づいており、強制的な性格を有する賦課金などにつきましては、賦課金などを課す根拠を法律で定めた上で、その具体的な金額や上限を法律で定めているものもありますが、政省令に委任しているものもございます。

福島委員 まだ質問していないことを最後に答弁していただきましたけれども、問題は、租税というのは法律で決まっているんですよ、税率とかそういうのが。租税法律主義とさっきおっしゃいましたけれども。一方、賦課金は、自治会の会費的なものですから、そこはそうしたものが設けられておりません。

 なぜこうなったかというのは、私はいろいろ経緯を調べたんですが、若干経緯がありまして、昭和三十年にこの自賠責保険というのができたときに、かなり衆参両院の運輸委員会で様々な議論がなされております。

 このときも、何でこれは賦課金が必要になったかというと、ひき逃げで運転者が分からないときにどうするのかというのと、当時は、国の持っている車などは自賠責保険に入る義務がなかったので、国の車が事故を起こしたときにどうするんですかというときに、それをやるためには賦課金だと。

 ただ、本来、これは国が国庫で、予算から出すべきじゃないかというのが何度も繰り返されます。それに対して政府委員は、車を持っている人たちへの連帯責任というふうな形で、全部が金を出し合って、それに充てていくと。事故を起こして、誰がひいたか分からない、あるいは、国だから保険に入っていないという場合は、まさに連帯責任的なものとして、ある意味、会費的なものですよね、それで取っておくという、賦課金に見合った答弁をしております。

 当時の運輸大臣は三木武夫先生なんですけれども、三木武夫運輸大臣は、最初の予算折衝の場合にも、そういう場合には政府から出すのが好ましいと思いました、そういうことで予算折衝もいたしましたのでございますが、なかなか全体の財政の枠もございまして、思うようにならなかったのでございます、将来においてこの問題は解決をしなければならないと言って、あくまでも、本来は国が一般財源で出すべきものを、臨時のものとして賦課金で入れたというのが昭和三十年のときの経緯なんですね。

 ですから、附帯決議において、多分に強制保険の方法で被害者の保護を図る目的を有するものである点に鑑み、更に国庫負担の増額を考慮すべきというふうなことが書いてあって、この当時は、賦課金というのはかなり例外的なものだといって、大きな議論の中で入れられたものなんですね。

 私は、今回のところで、被害者のためのリハビリの充実とかそうしたものに賦課金、まさに先ほど言った車を持っている人たちへの連帯責任でやるのは、私は自動車ユーザーの理解は得られるんじゃないかと思っています、そこは。いつ誰が加害者になるかも分からないし、被害者になるかもしれない。一回被害を受けたら、その事故を受けた瞬間だけじゃなくて、一生涯にわたって苦労を背負う以上、みんなの連帯責任でそこを賄うというのはあると思うんですが、一番の問題は、今回の法案の中で、もう一つの事業がありますよね、事故防止事業。

 これは、例えば、先進安全自動車の普及のための自動車への補助。補助金ですから、全て、ひとしい人が享受を受けるわけじゃないんですよ。申請をした、しかも、被害者じゃなくて、事業者の方にそれが行くというようなものであって、これは事業の重要性は否定すべきものではありませんよ、しかし、それを会費である賦課金で賄うというのは、私はこれは相当な説明をしなきゃ自動車ユーザーの理解を得られないと思うんですけれども、なぜ今回、事故防止事業を賦課金で賄おうとしたのでしょうか。

秡川政府参考人 今先生から御指摘いただきましたけれども、まず、被害者支援については、自動車ユーザー全体での共助の仕組みということで、ユーザーの皆様に一定の負担をいただいて、やろうということであります。

 事故防止というのも、いろいろあるというか、様々な段階があると思っているんです。例えば、交通安全対策の立案とか運転免許制度とか、あるいは信号機の設置、あとは運送事業者に対する監査、こういった交通安全を実現するための制度とか規制というのは、これは一般会計により今もやらせていただいています。

 今回やろうと思っているのは、交通安全の当事者である自動車ユーザーさんが安全な自動車を選べるようにするとか、運送事業者が高度な運行管理の仕組みを積極的に選択できるようにするということで、事故対策勘定の事故防止事案というのは、自動車ユーザー自身が最も裨益する性質があるんじゃないか、先ほどの信号機とか横断歩道、ああいうものとはちょっと性質が違うという理解をしていまして、これも自動車ユーザー全体の共助の仕組みに当たるということで、賦課金の対象で考えているということでございます。

福島委員 それを本当に理解できると思いますか。

 まず一点言うと、この法律で、法案第七十七条の二第一項第二号で、被害者保護増進等事業なんです。被害者保護増進事業じゃなくて、等が入るというのは、大体役所はいかがわしいことをしている場合が多いんですけれども、その等の中に入るのが、自動車運送業に従事する者に対する運行の安全の確保に関する事項の指導、自動車事故の発生の防止に資する機器及び装置の導入の促進その他のとあるから、その後が重要なんですが、自動車事故の発生の防止を図るために必要な業務。

 何でも入るんですよ。信号は入らないと言ったけれども、信号が入らないという担保は法律上ありませんよね。ないんですよ。だって、何でも読めるんですよ。ここに書いてある自動車事故の発生の防止を図るために必要な業務だったら、何でも賦課金で賄えるんです。

 しかも、こうした個別の予算案、こうした事業をやりますという予算案は、国会審議に付されますか。

秡川政府参考人 事故対策勘定の予算は、自動車安全特別会計の予算という、特会ですけれども、予算の審議の対象になります。

福島委員 ラフに答えないでほしいんですよ。

 多くの予算は、これまで行われてきた交通安全対策の予算は、運営費交付金という形で独立行政法人に出されます。だから、個別の予算とお聞きしたんです。

 こういう予算ですよと、よく予算案のシートがありますよね、説明の。そういう個別の予算案は、国会に審議をされますか。

秡川政府参考人 今の予算、事故対策もいろいろありますが、先ほど理事長が来ていますが、NASVAのやつなんかは、独立行政法人ですから、運営費交付金ということで計上されております。

福島委員 そうなんですよ。運営費交付金になると、運営費交付金ですから、がさっと渡すから、その先の事業が何をやるか分からないんですよ。何をやるか分からないんです。

 しかも、もう一つの問題は、それを賄うための賦課金、これは政令で定めるとなっております。政令で定めるということは、これも決めることができないんです。

 先ほど財務省から答弁がありましたように、租税法律主義の下では、税率は全部法律で定められるんですね。私もかつて電源開発促進税というのを扱ったことがありますけれども、これを一銭上げるのでも物すごく大変なんです、法律を改正して税を上げるというのは。でも、それをやって民主主義を保っているのが租税法律主義なんですよ。

 今回、勝手に、この事業を何をやるか、新しく何をやるか、幾らでやるかというのは、運営費交付金の中に溶け込まれていて、国会が関与することができない。仮にそれが膨らんだとしても、その賦課金の額は、政令で、国会の関与しないところで上げられる可能性があるんですよ。

 百五十円と言っていますけれども、今の法律の条文で、百五十円以上、上がらない根拠はありますか。

秡川政府参考人 百五十円について、今御指摘いただいた、法律上は……(福島委員「法律上、百五十円以上に上がらない根拠はありますか」と呼ぶ)法律上の歯止めはありません。

 ただ、我々は、本件は、検討会の意見を聞きながら、それにのっとってやっていますので、中間とりまとめで、いろいろなパターンを考えても、一番多くとも百五十円だという計算をいただいていますので、それを超えることは事実上ないというふうに考えております。

福島委員 というその口約束を抑えるのが国会であり、私は法律であると思っています。それが民主主義だと思うんです。

 民主主義というのは、国民の皆様方の財産権を、今回、賦課金で、ある意味、制限するわけですね。それを全て行政に丸投げをするのか、それとも、国民の代表である我々がきちんと歯止めをかけるのかということだと、今の仕組みでは私はできないと考えております。

 憲法八十三条には、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」財政民主主義と言われるものです。しかし、今回の賦課金で賄われる事業は、具体的に個別の事業について運営費交付金に潜らされているわけですから、その支出について国会は絡むことができません。その事業が足りなくなったからといって賦課金を上げようとしても、政令で決められますから、国会にかかることはありませんから、国会にかけることはありません。

 そして、この賦課金というものは、自賠責保険が強制加入ですから、これは、入らなかったら五年以下の懲役がかかる、重い罪の強制保険なんですよ。それに賦課金が入っているということは、事実上税金なんです。

 そして、先ほど私が紹介申し上げたように、政府に納める賦課金というのはこの自賠責だけなんです。政府に納める賦課金というのは、普通は税金というんですよ。恐らく、時限的だから、これは賦課金でやっているだけなんですね。

 ですから、私は、大臣、極めてこれは大事に扱わないと、審議会にかけましたとか、JAFに聞きましたというやり方が一番お役所的な言い逃れなんですよ。残念ながら、多くの国民の皆さんはこの仕組みを納得できないと思うと思いますよ、今日の私の議論を聞いても。

 ですから、法律上、対象が限定されない事業に対して賦課金を課して、しかも、賦課金の額すら政令で勝手に政府が決められる。この制度は、財政民主主義とか租税法律主義に照らして極めて問題が多い制度だと思うんですけれども、大臣、いかが御認識されますでしょうか。

斉藤国務大臣 今回、使途の拡大を図る賦課金は、自動車による事故の被害者の救済や、自動車による事故を未然に防ぐための取組に充てる特定の事業のために、自動車の利用による利便性を享受し、かつ、自動車事故の潜在的な原因者である自動車ユーザーに負担をお願いするものでございます。このため、今回の賦課金は、公共サービスを提供するため広く一般国民から徴収する租税とは性質が異なるものであると考えております。

 さらに、予算書の中に賦課金収入額が明示されることに加え、予算、決算に係る審議を通じて国会によるガバナンスが及ぶと考えられることから、賦課金額を政令で定めることとした場合でも、財政民主主義上の問題が生ずるものではないと考えております。

福島委員 お役所の答弁だと思うんです。それは全部論破できるんですけれども、時間がないからやりませんけれどもね。

 政令で、だって、額を定めちゃったら、もう僕らは取られるだけなんだから、予算で否決したって駄目なんですよ、それは。全然、財政民主主義になっていません。

 あと、自動車の事故を未然に防ぐというのは、際限がないんですよ。事故が起きた人は、もうその人の人生ですよ。ひき逃げも、ひき逃げですよ。でも、事故を未然に防ぐ事業なんというのは、閉じていない、ひたすら広がるやつなんですよ。

 だから、この制度は不適切だということを申し上げて、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

中根委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中根委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、自動車損害賠償保障法及び特別会計法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。

 本法案により、当分の間の措置とされてきた自動車事故対策事業を恒久的な事業にすることは当然のことです。さらに、療養施設の待機者の解消やリハビリテーションの機会の提供、介護者なき後の備え等について事業を拡充することは、被害者団体からの強い要求に応えるもので、必要な措置と考えます。

 しかしながら、以下に述べるように、重大な問題があります。

 反対する第一の理由は、安定財源確保の名目で賦課金を見直すことは、政府に貸し付けた繰入金の全額返済という国の責任を棚上げしたまま、自動車ユーザーへの新たな負担を課すことになるからです。

 一九九四年、九五年に自賠責再保険特会から一般会計に繰り入れた一兆一千二百億円がいまだに完済されず、返済期限を定めた大臣間合意が何度もほごにされてきました。昨年度の大臣間合意で確認された二〇二二年度の繰戻し額の水準では、完済までに百年かかります。その原資は自動車ユーザーの保険料であり、被害者救済と交通事故防止という本来の目的のためにこそ使われるべきで、断じて曖昧にすることはできません。

 第二に、二〇〇一年度の再保険制度の廃止による規制緩和の綻びを見直すことなく、自動車ユーザーの自己責任、民間保険会社任せを前提に、国の関与を一層弱めようとしているからです。

 再保険制度は、国が保険料の六割を預かり、支払い能力と適正な支払いを担保するものです。この再保険によって、強制加入である自賠責保険は社会保障的性格を機能させてきました。日本共産党は、当時、再保険制度を廃止すれば、重度後遺障害の被害者救済が後退するおそれがある、積立金について、低金利政策の下でいずれ枯渇することは明白と指摘をして、反対しました。

 終わりに、交通事故被害者の救済対策は維持、拡充してほしいという被害者、家族の切実な思いには何としても応えなければなりません。しかし、そのことが自動車ユーザーの負担に直結することは、被害者、家族にとって心のおもしでもあります。交通事故によって人生を大きく変えられた被害者、家族の思いに正面から応える道は、国交省自身が断固たる決意で国に一刻も早く完済させることです。

 市場主義、自己責任ありきの規制緩和路線を抜本的に見直し、誰もが被害者にも加害者にもなり得る今だからこそ、事故防止と被害者救済策に国がしっかりと責任を果たすべきです。

 以上述べて、討論を終わります。

中根委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享です。

 私は、自動車損害賠償保障法等改正法案に反対の立場から討論をいたします。

 まず、交通事故は、いつ誰が被害者になるかも加害者になるかも分からないものであり、どちらになっても人生が劇的に変わってしまうという不条理なものであります。よって、被害者保護の増進のために安定的な財源措置を講ずることには賛成です。

 しかし、この法案には、看過し難い重大な欠陥があります。それは、法文上、図らずも、被害者保護増進等事業として、等を加えたことに象徴的に表れています。

 本改正案では、被害者保護増進等事業の原資とされる賦課金は、本来は、組合などの自治的な団体における会費的なものや、FIT制度におけるもののように、政府以外が必要な経費を徴収するためのものです。

 一方、本法案における賦課金は、強制加入の自賠責保険に付加されて徴収され、政府に納付されるため、事実上、税金と同じような性格を持つ特殊なものです。よって、その使途については厳格な限定が必要だと考えます。

 賦課金で賄うことになる法案第七十七条の二第一項第二号に定める自動車事故の発生の防止を図るために必要な事業は、そのような厳格な限定とはなり得ず、事業は独立行政法人で行われ、個別事業について、国会における予算案の審査も決算の承認も行えません。仮に事業が拡大して賦課金を増額する場合も、その額は政令で定めるものであるため、国会は関与できません。政府は、最大百五十円などと言っていますが、法律上は、百五十円を超えない担保は何もないのです。

 このような制度では、財政民主主義にも租税法律主義にも反する憲政史上の汚点となるものと言わざるを得ず、自動車ユーザーの理解を到底得ることはできないと考えます。

 これに加えて、自動車安全特別会計からは一般会計に約六千億円が貸し出されており、今般の大臣合意で決められた令和四年度の繰戻し額はたったの五十四億円。貸出額の元本が全く減らない水準にすぎず、令和九年度までに全額繰戻しするなどという合意は、全く信用できません。

 これらの貸出金は、元々、全ては自動車ユーザーの保険料であり、財務省のものでも政府のものでもありません。特例公債を充ててでも全額即時返却するのが社会的常識に照らして当然なのです。賦課金を上げる前に、まずこのことを解決すべきです。

 このように、交通事故被害者保護を名目にした、お役所のお役所によるお役所のためのお手盛りな制度変更をきちんとチェックすることこそ、立法府である国会の役割だと考えます。

 しかるに、本法案の審議時間は僅か三時間。賦課金の増額という国民の財産権を制限する立法措置を、財政民主主義や租税立法主義の侵害、自動車ユーザーの納得感といった本質的な問題の議論を煮詰めることなく、多様な観点からの意見を参考人質疑で聞くこともなく成立させることは立法府の自死の道であると警鐘を鳴らすためにも、私たち有志の会は、本法案に反対を表明するものであります。

 以上です。

中根委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中根委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、自動車損害賠償保障法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中根委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

中根委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、小島敏文君外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。城井崇君。

城井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。

    自動車損害賠償保障法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 財務大臣及び国土交通大臣は、財源の枯渇を招いた原因と現状を含め、自動車ユーザーの納得を得るべく説明責任を果たすとともに、被害者支援対策・事故防止対策の維持に責任を果たすこと。また、繰入金残額の約六千億円全額を被害者支援対策・事故防止対策が安定的・継続的に将来にわたって実施されるよう、令和三年十二月の新たな大臣間合意を最低限遵守し、一般会計から早期かつ着実に繰り戻す措置を講ずること。

 二 新たな賦課金制度の導入に当たっては、被害者支援対策・事故防止対策に係る取組の現状及び課題について積極的に情報を発信し、その必要性について丁寧な説明を行うなど自動車ユーザーの理解が得られるよう努めること。また、その具体的な負担額の水準の決定に当たっては、一般会計からの繰戻し額を踏まえて、「今後の自動車事故対策勘定のあり方に関する検討会」において、中立的な第三者を交えた議論の結果を考慮して、自動車ユーザーの負担を極力抑えるよう努めること。

 三 今後、追加・拡充される被害者支援対策・事故防止対策として実施すべき施策については、新たな賦課金を求めることとする以上、施策決定過程の「見える化」を行い、実施内容を精査すること。特に、各施策の費用対効果等に関する事前及び事後の検証については、使途を明らかにした上で、自動車事故被害者、その家族及び遺族団体その他関係団体などの意見を踏まえ、第三者による客観的な視点で、毎年実施すること。また、未成年者及び高齢者を対象とする事故防止対策を強化すること。

 四 被害者支援対策については、自動車事故被害者、その家族及び遺族等が求める支援のニーズが、事故直後の専門的な治療・リハビリの機会の充実のみならず、介護者なき後の被害者の生活支援、高次脳機能障害への対応、就労支援、遺族の精神的ケアなど長期的なものに関しても高まっていることから、これらの充実を図ること。特に、希望した在宅重度後遺障害者が、グループホーム等障害者支援事業所への入所を含め、必要とする障害福祉サービスを円滑に受けられるよう、十分な体制を整備すること。また、短期入院・入所協力の充実を図ること。

 五 被害者支援対策の実施に支障を来すことのないよう、療護施設等の老朽化対策、防災対策を促進するとともに、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策の充実・強化に努めること。

 六 自動車の検査時期について使用者の認識を向上させるための措置等、無車検車、無保険車の排除のための適切な措置を早急に講ずること。

 七 自動車事故対策勘定の積立金については、一定期間引き続き経常的な歳出の一部に充てることにより、自動車ユーザー負担の抑制を図ることとするが、将来的な自然災害などの非常時等に備えた臨時的な歳出の財源に充てるために必要な規模は常に確保すること。

 八 自動車事故対策勘定における積立金の運用状況が大幅に改善される等の環境変化が生じた場合は、賦課金水準の引下げを図るなど、自動車ユーザーの負担軽減を行うこと。また、自動車安全特別会計の各勘定における剰余金の取扱いについては、今後、他会計への繰入れを行わないこと。

 九 自動車ユーザーの負担による賦課金によって被害者保護増進等事業が行われることを踏まえて、独立行政法人自動車事故対策機構は、事業全般の精査・見直しを行い、機構の運営体制を効率的なものとし、管理業務の簡素化等を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

中根委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中根委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

斉藤国務大臣 自動車損害賠償保障法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 誠にありがとうございました。

    ―――――――――――――

中根委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中根委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

中根委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十分散会


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