衆議院

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第2号 令和4年10月28日(金曜日)

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令和四年十月二十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 木原  稔君

   理事 加藤 鮎子君 理事 津島  淳君

   理事 中根 一幸君 理事 長坂 康正君

   理事 伴野  豊君 理事 谷田川 元君

   理事 赤木 正幸君 理事 伊藤  渉君

      青山 周平君    東  国幹君

      石橋林太郎君    泉田 裕彦君

      小里 泰弘君    柿沢 未途君

      菅家 一郎君    工藤 彰三君

      小林 史明君    佐々木 紀君

      櫻田 義孝君    田中 英之君

      田中 良生君    谷川 とむ君

      冨樫 博之君    土井  亨君

      中村 裕之君    西田 昭二君

      西野 太亮君    深澤 陽一君

      古川  康君    三谷 英弘君

      宮崎 政久君    武藤 容治君

      務台 俊介君    渡辺 孝一君

      枝野 幸男君    小熊 慎司君

      城井  崇君    小宮山泰子君

      神津たけし君    下条 みつ君

      末次 精一君    吉田はるみ君

      一谷勇一郎君    小野 泰輔君

      山本 剛正君    北側 一雄君

      中川 康洋君    古川 元久君

      高橋千鶴子君    福島 伸享君

      たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      豊田 俊郎君

   国土交通副大臣      石井 浩郎君

   農林水産大臣政務官    角田 秀穂君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   国土交通大臣政務官    清水 真人君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 上村  昇君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 阿久澤 孝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           青山 桂子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       安岡 澄人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 宇野 善昌君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房政策立案総括審議官)     大澤 一夫君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房土地政策審議官)       井上  誠君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官)            宮澤 康一君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            木村  実君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        岡村 次郎君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 堀内丈太郎君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  高橋 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  堀田  治君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  久保田雅晴君

   政府参考人

   (国土交通省国際統括官) 平岡 成哲君

   政府参考人

   (観光庁長官)      和田 浩一君

   政府参考人

   (観光庁次長)      秡川 直也君

   政府参考人

   (気象庁長官)      長谷川直之君

   国土交通委員会専門員   鈴木 鉄夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十八日

 辞任         補欠選任

  中川 郁子君     渡辺 孝一君

  中村 裕之君     東  国幹君

  根本 幸典君     西野 太亮君

  武藤 容治君     務台 俊介君

  末次 精一君     吉田はるみ君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     石橋林太郎君

  西野 太亮君     三谷 英弘君

  務台 俊介君     武藤 容治君

  渡辺 孝一君     中川 郁子君

  吉田はるみ君     末次 精一君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     中村 裕之君

  三谷 英弘君     佐々木 紀君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     青山 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     根本 幸典君

    ―――――――――――――

十月二十七日

 港湾法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 港湾法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長宇野善昌君、大臣官房政策立案総括審議官大澤一夫君、大臣官房公共交通・物流政策審議官鶴田浩久君、大臣官房土地政策審議官井上誠君、大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官宮澤康一君、国土政策局長木村実君、不動産・建設経済局長長橋和久君、水管理・国土保全局長岡村次郎君、道路局長丹羽克彦君、住宅局長塩見英之君、鉄道局長上原淳君、自動車局長堀内丈太郎君、海事局長高橋一郎君、港湾局長堀田治君、航空局長久保田雅晴君、国際統括官平岡成哲君、観光庁長官和田浩一君、観光庁次長秡川直也君、気象庁長官長谷川直之君、内閣府大臣官房審議官上村昇君、財務省大臣官房審議官阿久澤孝君、厚生労働省大臣官房審議官青山桂子君、大臣官房審議官日原知己君及び農林水産省大臣官房生産振興審議官安岡澄人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。津島淳君。

津島委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の津島淳でございます。

 平成二十九年以来、五年ぶりの国土交通委員会でございます。その大事な所信質疑の場に立たせていただきました。本当にありがとうございます。(発言する者あり)ありがとうございます。

 これから質問を進めていくわけでありますが、地元の事例を引きまして、それを基に全国規模の課題として質問していく、そのようにまず全体を捉えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 では、早速質問に入ってまいります。

 まずは、国土形成計画についてでございます。大臣所信では十六ページ、分散型国づくりというところで掲げられているものであります。

 まずは日本の課題認識について私から申し上げるんですが、物理学者で随筆家であった寺田寅彦先生の名言に、天災は忘れた頃にやってくる、今や忘れる前にやってくる、そういう状態でもあると思うんです。つまり、もうそもそも、地震、津波、それから豪雨災害など、元来日本は災害大国であったということを寺田先生の言葉は示唆しています。

 しかし、気候変動ということによって、その災害が頻発化、激甚化している。他方、日本の国全体を見たときに、人口減少ということによって人口密度が薄くなっている。そこで分散型国づくりというコンセプトが出てくるわけでありますけれども、こういった状況を考えてみるときに、災害リスクに対しては事前防災などで国土強靱化が重要。しかし、大きな目で見て、そして長い時間で見た場合に、より災害リスクの低いところに緩やかに、住民の皆さんの御理解を得つつ、災害リスクの低いところに居住誘導していくという、そういった考え方も私は必要だと思っています。

 さらに、今まで、高度経済成長の日本、基本的に密な状態で活力を生み出し、それを経済につなぐという考え方であったと思うんです。

 そうだとするなら、これからの日本というのは、密に相対する概念として、言葉として過疎の疎の字があるとすれば、その状態でも活力を維持し、そして機能する日本をつくらなきゃいけない。それが機能するためのツールがデジタルであり、ネットワーク化をし、対流を維持しながら、促進しながら、観光立国やデジタルトランスフォーメーションでこの日本というものを維持しながら更に発展させていく、そういったコンセプトというのが大事なんだろうと思います。

 こうした課題認識、そして、それを解決し、安全、安心とそして効率的な国土利用の両立を目指す国土形成計画というものを新たな計画にする必要があると思いますが、その認識はいかがでしょうか。これは大事なお話なので、是非大臣にお答えをいただきたいと思っております。

斉藤国務大臣 十年ごとの国土形成計画、今議論をしております。

 今、津島委員おっしゃったような問題意識、諸課題、これを乗り越えるため、また、人々が安心して暮らし続けていけるような持続可能な国土づくりを進めていく必要がある、そのビジョンを出すのが国土形成計画だと思います。二〇五〇年より先を見据えてこの十年間の計画を作るということだと思います。

 特に人口減少が進む地方において、デジタルの活用を含め、交通や医療、買物等の生活利便性の向上、テレワーク環境の整備など、活力ある地域づくりを進めていく必要がございます。

 その際には、デジタル田園都市国家構想の基本方針にもあるとおり、デジタル技術に慣れていない人も含め、その恩恵をあらゆる人が享受できる環境を整備していくことが重要です。

 こうしたことも含め、安全、安心な国土づくりとデジタルを活用した生活の質の向上が両立できるよう、関係府省と連携し、新たな計画の内容を充実していきたいと考えております。

津島委員 大臣、ありがとうございます。

 デジタルに慣れていない方々に対してというお言葉がございました。ここはすごく大事な視点を大臣はおっしゃられたなと思っております。

 誰も取り残さない、デジタル化においても誰も取り残さない、そういうことは極めて大事で、本当は、地方は、地方にこそデジタル化の恩恵というのはより多く出ると私は思っております。オンライン診療やあるいは行政手続のオンライン化といったことは地方にとって恩恵がある。しかし、その恩恵にあずかれる人が限られていては、御高齢の方などが取り残されていては、これは全く意味がない。全く意味がない、そこまでは言い過ぎかもしれませんが、やはり、誰も取り残さないという視点は大事なところだと私は思っておりますので、是非その観点でも進めていただければと思います。

 次の質問に移ります。

 大臣所信の三ページに、本年八月の豪雨災害及び台風被害の復旧についてお触れがありました。

 私からも、この豪雨災害、そして台風被害で犠牲になられた方にお悔やみ申し上げますとともに、被害に遭われた方に心からお見舞いを申し上げます。

 その被害を受けた被災地、我が青森県にもございます。多くの地域で被災をしたわけであります。そのうちの青森県鰺ケ沢町の被害状況というのを資料でお配りをしております。一枚目、二枚目、三枚目と写真があるわけですけれども、一枚目、二枚目は、鰺ケ沢町の中心部を流れる中村川という県管理の河川、ここがあふれまして、町の中心部が水浸しになりました。

 問題はそこからで、河川の方は先に水位が下がりました。そして、氾濫していた、町中にあった水が河川に逆流をしていくわけですが、そのときに、整備された堤防を壊してしまった。一枚目がそうであります。より二枚目の写真の方がお分かりいただけるのではないかと思います。河川へと戻っていく水が、このように、いわば堤防の陸側、内側から破壊をしていく、そういった現象が見られました。

 そして三枚目、JR五能線の中村川鉄橋でありますが、このように線路がゆがんでしまったのは、流木を含んだ大量の水が橋脚を押してこのようなずれを生じさせたということがあります。

 橋脚が壊されるということは、昨年、青森県のむつ下北地方を襲った豪雨でも、国道二百七十九号線、小赤川橋という橋、その橋脚の土台部分が川の流れによって洗掘されて橋脚が沈み込んだ、そういった現象もございました。こうした現象が自治体が管理しているような河川で起こるようになってきたということが、一つの最近の特徴でないかと思っています。

 そして、その管理する自治体の現状はといえば、十分な災害復旧に対する予算、財政余力が乏しいわけですね。加えて、土木などの技術者が不足をしている、そういう状況がございます。これは青森県に限った話ではないと私は思っております。全国的に地方が抱えている、地方自治体が抱えている普遍的な問題。

 そこで、行政は、基礎自治体が担えない部分、県が権限代行して復旧するので、いろいろ工夫をしております。それでもなお、やはり復旧に対して地方自治体は大変苦労している状況がございます。加えての最近の物価高騰ということでありますので、まず、地方自治体に対し、物価高騰分も含めた財政支援、そして技術的な支援が今まさに必要とされておりますが、その認識はいかがでしょうか。よろしくお願いします。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 被災した地方自治体に対し、地域の早期復旧に向けた財政支援や技術的な支援は大変重要なことであると認識しております。

 災害復旧事業の実施に当たりましては、地方負担の割合が低い公共土木施設災害復旧事業により財政的な支援を行っており、復旧事業の算定については最新の市場価格を基本としております。

 また、技術職員が不足する被災自治体等に対し、全国の地方整備局等からTEC―FORCEを派遣し、被災状況調査などを支援するとともに、災害現場の経験が豊富な本省災害査定官を派遣し、応急措置や復旧方針立案に当たっての助言を行うなど、技術的支援を行っているところでございます。

 被災箇所の早期復旧に向けて、引き続き、被災自治体をしっかりと支援してまいります。

津島委員 ありがとうございます。

 TEC―FORCEの存在は大変地域にとってありがたい存在でございます。そういったTEC―FORCEを含め、国土交通省の地方の出先機関の人員というものもしっかり安定的に確保しておく必要もあるかと私は考えてございますので、そういったことも含めて、今後、我が党でも議論していく、そういう心積もりでおります。ありがとうございます。

 次の質問に行きます。

 防災・減災、国土強靱化についてでございます。大臣所信の五ページ目に記載がございます。

 ということで、全国で災害が相次いでいるところ、復旧事業が最優先であります。しかし一方で、地方ではその担い手たる建設業の人手不足ということが常態化しております。

 そういった中で、復旧事業最優先、では、それまでみんな暇であったかというと、そうじゃない、国土強靱化事業などに既に取り組んでいるところです。限られたマンパワーの中で取り組んでいる。ということは、災害復旧を優先する場合、それまで行っていた年度当初からの国土強靱化事業など、これを一時的に止めざるを得ない、そういったことは起こり得るんだと思います。

 そこで大事なことは、この国土強靱化事業など、いわば通常事業というか、これについて工期を柔軟に設定することと、それから、今の物価高騰、コンクリートなど値段が上がっておりますので、その部分、値上がり部分で予算を消化していると、当初予定した事業が完遂できないということも考えられますので、こうした国土強靱化の事業についての物価高騰分というのもきちっと見てあげる、手当てすること、これが必要だと思うんです。是非その点についてのお考えを聞かせてください。

木村政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省におきましては、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策におきまして、自然災害への備えなどの取組を加速化させるため、流域治水、道路ネットワークの機能強化、インフラ老朽化対策等、五十三の対策を重点的かつ集中的に実施するなど、国土強靱化の取組を進めております。

 国土強靱化事業を進めるに当たりまして、資材価格の高騰等の状況を踏まえて、直轄事業におきましては、取引価格を反映した適正な請負代金の設定、あるいは、納期の実態を踏まえた適正な工期の確保に加えまして、スライド条項の適切な運用や必要な契約変更を実施してまいります。

 国土交通省といたしましては、引き続き、こうした取組をしっかりと進めてまいります。

津島委員 ありがとうございます。

 適切な対応を取っていただけるということをしっかりと確認をさせていただきました。

 一方で、この人手不足という問題についても、建設業に携わる方のキャリアアップであるとか、あるいは賃金を上げるということをいかに実現させるのか、こうした点についても、やはり我が党でもしっかりそこは議論していかなきゃいけない、そのような認識でございます。ありがとうございます。

 次の質問に参ります。

 次は、線状降水帯の発生予測精度向上のためにという、これは大臣所信の六ページにございます。

 線状降水帯という言葉がもう本当に日常的に聞かれるというのも本当に困ったものだという思いがいたします。この夏の豪雨災害でも、各地の災害の元になったのが線状降水帯であります。

 この線状降水帯の発生予測、まず、迅速に出すこと、かつ、的確に発するということ、そのことによって、自治体や住民の方が避難や様々な対策を行うためのリードタイムを確保できるようにする。ここは大事なところだと思うんですね。

 では、それをどうするかというのは、やはり的確に観測を行ってデータを蓄積し、それを高い精度の分析機器、スーパーコンピューターで解析をし、予測をしていく、こういったことが基本的な手法になるかと思います。

 また、データを取る上では、日本列島の例えばアメダスデータとか、そういったデータに加えて、上から、宇宙から見た場合、気象衛星ですね、気象衛星についても、次の気象衛星というものを今から考え、開発をしていかなければ、計画的に進めなければいけない、そういう認識がございます。

 今後、この線状降水帯の発生予測については市町村単位で出すということを考えておられると承知しておりますが、この精度向上をどのように進めていくんでしょうか。そして、今ある課題というのはどのように認識しておられますでしょうか。これは気象庁長官にお答えいただけるんですね。お願いします。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 線状降水帯による災害を防止、軽減するためには、今お話ありましたように、その予測精度を向上させて、住民の避難等の防災行動に結びつくような防災気象情報を提供することが重要でございます。

 このためには、水蒸気を始めとする気象の観測の強化や、そのデータを活用した予測技術の高度化を進める必要があり、気象庁では、大学等の研究機関とも連携してこれらを進めているところでございます。

 特に、大気を三次元的に観測することのできる最新技術を次期気象衛星に導入することによりまして、精度向上に大きな効果が見込まれます。このため、気象庁では、そのような次期気象衛星の運用を令和十一年に開始できるよう、計画的で着実な整備に取り組んでまいります。

 そして、こうした観測データをスーパーコンピューターの予測システムに取り込むことによって、線状降水帯の予測精度を向上させ、令和十一年には市町村単位で情報を発表することを目指して全力で取り組んでまいります。

津島委員 ありがとうございます。

 様々な観測機器を整備していく中で、やはり鍵というのは線状降水帯を発生させる元の水蒸気の量だというふうに事前の御説明でお聞きをしました。

 では、それを適切に把握するには、陸上だけでなく海上のデータというのも集めていかなきゃいけない。やはり、海洋国家日本としては、海面の状況というものを適切に把握していく、こうした視点も持つ必要がある、そのような認識も持ってございます。しっかりと進めていただけるようにお願い申し上げます。

 では、次の質問に入るんですが、ちょっと、だんだんと時間が迫ってきていますので、幾つか質問を飛ばすことをお許しいただきたいと思います。

 これは予定した質問、順番どおりです。

 海溝型地震と津波被害の防止について、所信の六ページ、七ページのところです。

 特に、日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震について特出しで書いていただいたことは、これは、私の地元のみならず、北海道、東北の多くの人に希望を与える、そういうものであったと思います。

 この地域の巨大地震の発生確率というのは、いろいろ計算をされ、またいろいろなケースを想定しておりますが、一つの例を挙げるならば、根室沖のプレート間巨大地震。地震規模にしてマグニチュード七・八から八・五前後、この発生確率は七〇%、非常に高い確率なんですね。

 そこで、今年五月の通常国会で、日本海溝・千島海溝の特措法を改正していただいて、その改正法に基づいて今対策を検討、実施されていると思います。

 そのポイントは、やはり多くが積雪寒冷地であるということ、またそういった時期に地震、津波が発生する可能性があるということ、さらには、東日本大震災、その元となった地震、東北地方太平洋沖地震、これは三月十一日にマグニチュード九・〇で起きておりますが、その前、二日前、三月九日に実はマグニチュード七・三の地震が起きているんですね。東北選出の先生方はそれを御記憶かと思いますが。

 これは、実は後発地震に気をつけろと。先に起きた地震で、三月九日のときは津波警報が出たけれども津波が発生しなかった。よって、地域の人は三月十一日の揺れでも、いや、今度も来ないだろうという、そういう認識に至ってしまったのは極めて私は不幸なことだったなと思っておりますが、やはり、今度は大丈夫だ、今度も大丈夫だという考えは通用しないのだという、そういう認識を持ってもらう、そういった部分でも後発地震対策は重要だと思っております。

 こうした対策というのを検討、実施すべきでありますが、認識について、是非大臣にお答えをいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 日本海溝・千島海溝地震特措法につきましては、令和四年五月に改正され、九月三十日に政府全体の基本計画の変更が決定されました。

 国土交通省では、この基本計画の変更を踏まえまして、この特措法に基づく計画の改定を進めているところでございます。

 この計画においては、二つの点、今、津島委員が強調された二つの点、一つが積雪寒冷地特有の課題を考慮した対策、寒いときに地震が起きたときの避難をどうするかということと、それから、お話がございました後発地震、二回目の地震の方がより大きな地震というのが熊本地震も含めまして続いております。後発地震に注意を促す情報発信の観点が重要と認識しております。

 具体的には、寒いところに対しては、例えば防寒機能つき避難タワー等の整備促進や、それから、後発地震に対しては、続けて発生する可能性のある巨大地震への注意喚起、迅速な避難準備の啓発などの対策を位置づけるべく今検討を行っております。

 こうしたことをしっかり盛り込んだ計画にしたいと思っております。

津島委員 ありがとうございます。

 その計画の検討状況については、我が党としてもフォローアップをさせていただいて、より実効ある計画になるように、また力を尽くしていきたいと思っております。ありがとうございます。

 さて、今の千島海溝、日本海溝地震のお話にも積雪寒冷地という言葉が出てきて、では、この積雪寒冷地を含め、いわゆる豪雪対策について、大臣所信の十八ページ、活力ある地方づくりのところで触れられているんですが、もうちょっとボリュームを膨らませていただいてもよかったかなとちょっと思わなくもないですが、この豪雪対策の課題ということですね。

 お手元に資料を配付してございますが、最後の四ページ目のところですね。豪雪地帯と特別豪雪地帯を日本地図にプロットしてみると、このように結構広い範囲が豪雪地帯あるいは特別豪雪地帯であるということであります。

 そういった認識を持っていただいた上で、では、課題として何があるかというと、やはり雪を克服する、克雪体制を確立する、そこに対する支援なんだと私は思っています。

 何たって、除排雪の体制を維持するのに今大変なんですね。やはり、除排雪の担い手というと建設業の方です。私の知り合いの建設業の方も、本当に大雪になると、二十四時間、もう出っ放しなんですよね。除雪車の中で夜寝泊まりをし、翌朝、まだ冬でも工事が進んでいるので、そこの現場に行き、また次の日の夜、車内で仮眠を取るなんて話をよく耳にします。

 そういった建設業の方の苦労があって支えられている。しかし、人手不足。人材確保というのは急務でありますが、それでも足らない部分というのは、市民の皆様、学生さん、あるいはそういった方々のボランティアです。

 そもそも、まちづくりとして、やはりコンパクトにしていくということも重要でありますし、コンパクトにした上で、なるべく除排雪の手間がないように、流雪溝、融雪溝というのを整備していくということが私は大事な観点だと思っています。

 この豪雪対策については、現在、豪雪対策に係る基本計画を検討されていると承知しております。こうした観点、どう反映されていきますでしょうか。是非、秋田の石井副大臣にお答えいただきたいと思います。

石井副大臣 お答えいたします。

 私も秋田出身でございまして、委員と同じ問題意識を持っております。

 豪雪地帯対策基本計画につきましては、豪雪地帯における雪害の防除、産業の振興、そして生活環境の改善といった様々な対策の基本となるものでございます。今年三月に豪雪地帯対策特別措置法が改正されたことを受けまして、現在見直しを行っているところでございます。

 この基本計画の見直しに当たりましては、津島委員御指摘の克雪体制の確立に向けて、例えば、除雪機械の操作を始めとする除排雪作業を担う人材の確保や育成でありますとか、地域コミュニティーの機能強化、除雪ボランティアの活用、雪に強いコンパクトなまちづくりの推進、流雪溝の整備推進といった内容を明記する予定でございます。

 現在、関係する省庁や道府県等との調整を行っておりまして、年内を目途に見直しを進めていく考えでございます。

津島委員 年内を目途に見直しを進めていくということでございまして、今副大臣が答弁された視点というもの、我々もそこをポイントとして、その検討状況というのをウォッチしていきたい、そう考えてございます。ありがとうございます。

 本当に、終了五分前になりましたので、申し訳ございません、答弁を用意していただいたんですが、飛ばさせていただいて、地域公共交通ネットワークの再構築の話をさせていただきたいと思います。大臣所信の十ページ、十一ページ、地域交通のリデザインということで書かれているところです。

 地域の公共交通、とりわけローカル線の問題というのは大変重要な問題であるし、非常に丁寧にやらなければいけない課題だと思っています。

 どう丁寧に進めるかという、私の考えとすれば、やはり地域の関係者の共働、共に働くということが不可欠、さらには、利用者の目線がやはり不可欠だと思うんですね。なぜ乗らなくなったのか、どうしたら乗ってもらえるのか、こうした視点でやはり問題点を洗い出し、それらの解決を、事業者、自治体、利用者、三者が一体となって取り組む。さらには、利用者、市民の皆様がいわばボランティアでその維持に関わるといったこともやはり必要だと思っております。

 そして、事業形態には、例えば上下分離といった事業形態、地元でいえば、第三セクター、青い森鉄道がそうでありますし、あるいは、地域の共働、共に働く、そういった取組の例とすれば、ひたちなか海浜鉄道、あるいは地元の津軽鉄道のサポーターズクラブ、同様のサポーターズクラブは銚子電鉄でもございますが、こうした取組を先進事例としていくこと。

 さらに、地域の共働についていろいろ私も調べてみると、日本は鉄道が今年百五十年で、百五十年前、イギリスから日本に鉄道がもたらされたわけですけれども、そのイギリスでは、コミュニティー・レール・パートナーシップという取組がございます。まさに地域の皆様のボランティアによって支えていく、そういう取組、枠組みというのができている。

 是非ローカル鉄道については、廃止ありき、存続ありきということでなく、まず、フラットな、ゼロベースで、関係者が一堂に会して、あるべき姿、そして、どうしたら乗ってもらえるのか、こうしたことを議論すべきであります。

 こうした考えを私は持っておりますが、是非、鉄道がお好きと承知をしております斉藤大臣に、この地域公共交通ネットワーク、リデザインをどのように進めていくのか、お考えをお聞きしたいと思います。お願いします。

斉藤国務大臣 地域交通のリデザイン、再構築のときに、本当に一番その議論で大事なのは、先ほどおっしゃいました、まさに地域との協働、協力して働く、そして利用者目線での検討が極めて重要だと思っております。

 その中で、ローカル鉄道については、鉄道事業者と沿線自治体が一体となり、先ほどおっしゃいましたように、存続ありき、廃止ありきの前提を置くことなく協議を行いまして、利用者にとって持続可能性と利便性、生産性の高い地域交通が再構築されることが重要と考えております。国としても、その協議に積極的に関与いたしまして、頑張る地域を支援してまいりたいと考えております。

 さらに、国土交通省では、現在、交通政策審議会において議論を深めておりまして、アフターコロナに向けた地域交通のリデザイン、再構築の実現に向けて真剣に検討していきたいと考えております。

津島委員 ありがとうございます。

 是非これは国が積極的に協議の場づくりに関わっていく、まずそこから始めていくことが大事だと思っております。

 そして、今質疑時間終了ということでございますので、いろいろと災害に備えた道路ネットワークが大事だ、しっかり整備し、国土強靱化の次期計画をしっかり作るということ、あるいは観光振興についても、旅行支援、年明けの一月からの閑散期もターゲットに進めるべき、さらには、知床観光船事故を含めた小型観光船の安全対策や観光バスの安全対策、こうした質問も用意しておりましたが、是非またしっかり進めていただくことをお願いをいたしまして、また次の機会に改めさせていただければと思っております。

 今日は充実した質疑をさせていただき、ありがとうございました。

 終わります。

木原委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。

 今日は大臣所信ということで、そこに対しての質疑をさせていただきます。

 私は五年ぶりの国土交通委員会での質問でございまして、斉藤大臣を始め国土交通省の皆様には大変にお世話になります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、早速、質問に移らせていただきます。

 最初は、二〇二三年G7交通大臣会合開催に向けての大臣並びに国交省のその期待についてお尋ねをさせていただきます。

 本年八月三十日に、明年のG7関係閣僚会合の一つとして交通大臣会合を開催をすることが発表されるのとともに、先般九月十七日には、同会合の開催地が私の地元でもあります三重県志摩市に決定をいたしました。

 皆様既に御存じのとおり、この三重県志摩市は二〇一六年伊勢志摩サミットの開催地であり、その開催後も五十五件もの国際会議が開催をされております。

 この会場候補地の志摩市周辺は、そのほとんどが伊勢志摩国立公園内に位置をし、安全かつ静かな環境を有しております。また、三重県、これは街道交通の要衝でありまして、日本の旅行、観光の原点でありますお伊勢参りの旅行客をもてなしてきた地であるとともに、海女や忍者を始め、特色ある自然、文化や、食などの観光資源が世界中の観光客をこれまで魅了してまいりました。さらには、リニア中央新幹線、また自動運転、MaaS、空飛ぶ車など、交通の未来に向けた取組も積極的に行っておる地域でございます。

 一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大により、伊勢神宮を始め全国有数の観光入れ込み客数を擁する三重県の観光産業、これは特に大きな打撃を受けており、県内の経済は非常に厳しい状況が続いております。

 このような中、観光客の回復、またコロナ禍で傷んだ地域の活性化、さらには国際会議の開催地としての更なるブランドの確立につなげていくためにも、今回の決定は大変にうれしいものがございます。

 大臣には、先般、十月十日に志摩市にお越しをいただきまして、会場の候補地を視察をいただくのとともに、志摩の海女小屋で海女さんとの意見交換会にも御参加をいただきました。

 そこで、改めて大臣に伺いますが、明年のG7交通大臣会合開催に向けての国交省としての期待、並びに先日の会場候補地などを御視察いただいたその感想について御答弁いただきたいと思います。よろしくお願いします。

斉藤国務大臣 G7交通大臣会合、今年はドイツが議長国でしたが、交通大臣会合は開かれませんでした。そういう意味で、来年のG7交通大臣会合は久しぶりに開かれる交通大臣会合でございます。その開催地に三重、伊勢志摩が政府において決定されました。

 私も先日視察してまいりましたけれども、美しい自然、そして充実した会議場の施設ということに大変感銘を受けたところでございます。また、三重県及び志摩市とも意見交換を行い、協力関係を深めることができたと考えております。

 G7各国の交通大臣が日本に集まることは、コロナ禍からの復興やその先の新たな経済社会における交通政策の在り方を議論することに加えて、開催地を含む我が国の豊かな観光資源の魅力を世界に発信する絶好の機会であると思っております。交通大臣会合、ある意味では観光大臣会合も兼ねている、そういう性格を持っております。

 今後とも、関係自治体と緊密に連携しつつ、会合の成功に向けて準備に万全を期していきたいと思っております。

中川(康)委員 大臣、ありがとうございました。

 この前、大臣にも御視察をいただきまして、大臣の視察中の振る舞いに、準備をいただいた職員とか、また海女さんたち、本当に感銘を受けて、最大の準備をしていきたいという、こんなお話をいただいたところでございます。さらには、三重県としても推進会議が立ち上がりましたし、先日、志摩市でも市民会議が、市民レベルで盛り上げていこうという、そんな取組も始まったところでございます。地元として最大限準備をしてまいりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 次に、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策とその後の対応についてお伺いをいたします。これは多くの委員も質問をしておるところですが、改めて御質問をさせていただきます。

 近年、雨の降り方が頻発化、激甚化する中、今年も八月に入り、東日本や西日本の日本海側を中心に記録的な大雨が続き、甚大な被害が発生をいたしました。今、津島委員の御指摘のとおりでございます。今後も、地球温暖化に伴う気候変動などの影響による洪水の増加、切迫する南海トラフ地震やそれに伴う大規模津波の発生など、これまでに経験したことがない事象により、人命や生活基盤の喪失、さらには経済活動の停滞などが危惧をされます。

 そのような状況の中、災害に強い強靱な国土をつくり、安全、安心かつ豊かで活力ある社会を実現することは、これは国の最も基本的な責務であり、近年、歴代政権が三か年緊急対策並びに五か年加速化対策を強力に進めてきたことは高く評価できるものでありますし、そのストック効果も、これも随所に表れてきているところであります。

 しかし、現在進められておりますこの五か年加速化対策につきましては、その進捗状況が令和二年度並びに三年度の二か年で既に四八%と、おおよそ半分に達しており、このままの事業規模で進むと、今年度も含めた残り三か年の予算の確保、これが危惧をされるところであります。場合によっては枯渇するかもしれない、こんな話もございます。

 そこで伺いますが、この五か年加速化対策については、今後も重点的また集中的に実施していくことが肝要であり、前倒しも含めた十分な予算の確保を行うことが重要と考えますが、いかがでしょうか。また、この五か年加速化対策後についても、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的また安定的に国土強靱化の取組を進めていく意味において、今の段階からしっかりと検討していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。大臣の御答弁を願います。

斉藤国務大臣 五か年加速化対策、今二年度目でございますけれども、五十三の対策をしっかり進めております。

 一方、今後実施予定の箇所も残っており、気候変動による降雨量の増加等も予測されていることから、更なる取組の強化が必要でございます。

 この五か年内の予算をしっかり確保することという今の御質問、それからもう一つが、その後についてもしっかり今から展望を開くべきではないか、こういう御質問でございましたけれども、この二点につきまして、中長期的かつ明確な見通しの下、計画的に進めることが必要でございまして、引き続き、五か年加速化対策を実施し、そして、それはしっかりと、一旦落ち込むことがないような形で進めていきたいと思っておりますし、その後についても継続的、安定的に取組を進めていく、そのことが重要だと考えております。

 このような認識の下、政府において、新たな国土強靱化基本計画の策定に向けた検討を開始したところでございまして、国土交通省としても、関係府省と連携しつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 私もやはり地元を歩いておりますと、この三か年緊急、さらには五か年加速に対しての首長を始め市民の皆さんの本当に期待というのは、喜びというのは大きかったと思いますね。

 それで、まさしく太田大臣時代に、フローからストックという、考え方をぐっと変えていただきました。このストック効果が随所に表れておりまして、この前も中部の河川の会合に出たんですけれども、そのストック効果の御紹介が、いわゆる例えばこの河床掘削をしなかったら水害に対しては越水をしていた可能性がある、しかし、河床掘削、河道掘削ができたので越水はせずに済んだ、非常にこれで県民の、市民の生活が守られた、こういった話が出ていますので、まず、この五か年加速化対策の予算と、それから事業料ですね、資材高騰等もしておりますので、確保していただくこと、さらには、やはり安心に、また安定的にこれを進めていく意味においても、次の計画、こういったものを今から、私ども公明党といたしましても、一緒に議論をしていきたい、また、計画を作らせていただきたい、こんな思いでございますので、どうぞ、大臣を先頭に、よろしくお願いをしたいと思います。

 次に、三点目、脱炭素化についてお伺いをしたいと思います。特に今日は港湾や航空分野における脱炭素化の推進についてお伺いをいたします。

 我が国は二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指している中、港湾は二酸化炭素の排出源が多く立地し、その削減効果も大きいことから、国土交通省はカーボンニュートラルポートの形成を推進をしており、水素などの次世代エネルギーの利活用の検討や、また、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化、こういった取組を推進をしていただいております。

 今国会に提出されております港湾法の改正案、これにつきましても、港湾におけるその具体的な取組が随所に示されているところであります。

 また、航空分野につきましても、脱炭素社会の実現に向け、さきの国会において航空法が改正をされるのとともに、航空会社におきましては、SAFや新技術導入のための計画的な投資、また、空港におきましては、空港内や空港周辺の未利用地を活用した再生可能エネルギーの導入、こういったものが示されました。

 今後は、港湾や航空分野において、これら法改正の下、例えば、脱炭素化推進計画の策定や、地方自治体及び関係者などから成る脱炭素化推進協議会、こういったものが立ち上がり、まさしくカーボンニュートラルに向けての具体的な取組、これが進むものと考えられますが、大事なことは、その計画に示された内容が着実かつ確実に進められていくことであり、間違っても、それら計画が遅々として進まなかったり途中で頓挫するなど、いわゆる絵に描いた餅になってはいけないと私は思っております。

 確かに、港湾等利害関係者との協議や脱炭素化に向けた具体的な技術革新、これが大変難しい課題であるということは私も承知をしておりますが、ただでさえCO2の排出量の多い港湾及び空港において、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指した脱炭素化の取組、これは私はもう待ったなしであると思っております。

 そこで伺いますが、港湾及び航空分野を所管する国土交通省の脱炭素化に向けての強い決意、これをお示しいただきたいと思いますが、具体的にビジョンについてもお聞かせをいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

堀田政府参考人 お答えいたします。

 世界的にサプライチェーンの脱炭素化に取り組む荷主が増える中、選ばれる港となるためにも、港湾施設の脱炭素化等に取り組み、競争力を強化していくことが必要であります。

 また、委員御指摘のとおり、港湾、臨海部にはCO2を多く排出する産業が立地しており、港湾において、これら産業の脱炭素化を後押しすることも必要となります。

 このため、国土交通省では、二〇五〇年カーボンニュートラル等の政府目標の下、関係省庁とも連携しながら、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化や、水素などの受入れ環境の整備等を図るカーボンニュートラルポートの形成を推進しております。

 今後、各港湾の規模や状況に応じ、短、中、長期と段階的に取り組むことを前提に、多岐にわたる関係者が一丸となって脱炭素化を進める計画を作成し、関係者がそれぞれの取組を進めていくこととしております。

 国土交通省といたしましては、脱炭素化の進展いかんが我が国の産業や港湾の競争力強化に大きく影響するものとの認識から、諸外国に後れを取らぬよう、また、世界の港湾をリードできるよう、関係省庁とも連携しながらしっかりと取り組んでまいります。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、さきの通常国会におきまして航空法等を改正いただき、目的規定に脱炭素化の推進を位置づけるとともに、航空会社、空港が主体的、計画的に脱炭素に係る取組を進めるための制度的枠組み、こういうものを導入いたしました。

 また、今月開催された国連の専門機関であるICAOにおきまして、今日総会が開かれたわけでございますが、国際航空分野における長期目標として、二〇五〇年までのカーボンニュートラルなどが採択されたところでございます。

 こうした国際航空分野の動きも踏まえまして、脱炭素化の意義や目標、政府や関係者が講ずべき措置を盛り込んだ法律に基づく基本方針、それに基づく航空会社等の脱炭素化推進計画を作成することとしておりまして、現在、十二月一日の法律施行に合わせてこの基本方針を定めるべく作業を進めておるところでございます。

 また、昨年来、航空機の運航分野そして空港分野におきまして、学識経験者を含めた関係者で構成する検討会をそれぞれ設け、二〇三〇年時点で本邦航空会社による燃料使用量の一〇%をSAFに置き換えることや、二〇三〇年度までに各空港におきましてCO2排出量を四六%以上削減するといった具体的な目標を定めたところでございます。

 これらの目標の達成に向けまして、例えば、航空機運航分野においてはとても重要なSAFの導入については、資源エネルギー庁とともに官民協議会を立ち上げ、製造、供給や流通といった課題ごとに更にワーキングを設置して、具体的な議論を進めておるところでございます。

 国土交通省といたしましては、航空の国際競争力の維持や強化、そして空港の地域連携、レジリエンス強化などの観点からもこの脱炭素化の推進が重要と考えておりまして、関係者とも密接に連携しながら強力に進めてまいりたいと考えてございます。

 以上です。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 両局長から、本当に決意ある御答弁をいただいたなと思っております。強めの答弁と長めの答弁ということで、大変にありがとうございました。

 来年、G7の議長国が我が国なんですね。やはり、空港とか港湾というのは国際的に人が入ってくるところですので、そこでどういった取組をしているかというのは結構強烈なアピールになるというふうに思うんです。

 しかし、そういいながらも、逆に捉えると、私は三重県の四日市出身ですけれども、四日市港というのは非常に重化学工業地帯ですし、隣の名古屋港でも製鉄会社がある。置かれている状況は大変だと思うんです。また、利害関係者も正直言って多いですよ。

 ですから、恐らく、計画の策定までは行くんだけれども、二〇三〇年四六%削減、二〇五〇年カーボンニュートラル、本当に具体的に進んでいくのかどうか、これはやはり国交省が本気度を見せないと、結果、計画が遅れていく、やはりできなかったみたいなことになると思うので、そういった意味においては、今日は改めて決意という形で伺わせていただきました。

 航空分野におきましても、例えばLED化をしていく、これはできると思うんですけれども、やはりSAFをどれだけ確保するかというのはなかなか大変だと思うんです。これは航空会社との協議も要りますけれども、着実に進めていっていただきたいなと。

 そして、この両分野って脱炭素化における非常にCO2のウェートがそれなりに大きいと思いますので、是非とも、そのお取組、国交省、大臣を先頭によろしくお願いしたいなと思います。ありがとうございます。

 四点目、私も線状降水帯の予測精度の向上についてお伺いをしようと思いましたが、この質問につきましてはもう津島先生から御質問がありましたので、そして、長官の方から、気象衛星については令和十一年運用開始予定、さらには、同じく令和十一年までに市町村単位の情報提供をしていただくという御答弁をいただきましたので、その答弁をもって私の質問に代えたいなと思っています。

 これは本当に期待度が高いんですね、線状降水帯に対する予報というのは。しかし、まだ精度という意味においてはいまだ道半ばという感じもいたしますので、ここは本当に、より精度が高まるように、また、気象衛星が令和十一年に運用されると相当状況は変わるかなと思うんですけれども、そこは期待申し上げますので、これは国民の期待は本当に大きいという意味で、よろしくお願いしたいなと思います。

 それでは、最後の質問に移ります。

 タイムラインの更なる推進についてお伺いをさせていただきます。

 災害時に住民の避難行動を支援する取組にタイムラインというものがございます。これは、豪雨や台風といった風水害を始め、地震や津波、また噴火、雪害などの災害を想定し、行政や防災機関などが、いつ、誰が、何をするか、これを定めた計画のことです。

 このうち、水害に対応したタイムラインにつきましては、国交省がもう八年前に導入をして、推進をしていただいて以来、国が管理する河川の流域市区町村の全てで作成が完了をし、都道府県が管理する河川の流域でも、もう九六%の市町村が作成をしていただきました。

 また、このタイムラインについては具体的な成果も上がっております。

 例えば、二〇一四年に導入をいたしました私の地元であります三重県の紀宝町では、同年の台風十八号で試行運用を行った結果、従来よりも役所の各課の動き出しが早まり、住民への早期避難の呼びかけが円滑に行われたというようにも聞いております。また、この試行運用以来、紀宝町ではタイムラインを何と三十六回活用、その中で住民の意識も向上をし、大規模な地すべりが発生をいたしました二〇年の台風十四号の際には、この早期避難によって人的被害をゼロに抑えることができた、このようにも伺っております。

 政府が今年六月に開催をいたしました中央防災会議において、国の防災基本計画を改定をし、このタイムラインの策定を全ての市区町村に求めました。これは高く評価するものであります。

 そこで伺いますが、今後は、この命を守るタイムラインの作成については、豪雨や台風といった水害に対応したものだけではなく、いまだ対応の遅れております地震や津波、噴火、特に雪害等についてもその取組を加速させるべきだ、このように考えるわけでございますが、御答弁をいただきたいと思います。

上村政府参考人 お答えいたします。

 災害発生時の状況をあらかじめ想定した上で各防災関係機関が取り組む防災行動を時系列で取りまとめましたタイムラインの取組は、地域における防災行動の迅速化などの観点で重要であります。

 水害以外のタイムラインの取組としましては、例えば国土交通省では、雪害について迅速な対応を図るため、本省、地方支分部局、地方公共団体等の行動内容を示しました大雪、暴風雪時を想定したタイムラインを定め、関係機関と連携して早期の体制確保を図っていると承知しております。

 先ほど議員おっしゃいましたとおり、こうした取組の推進のため、内閣府では、本年六月に防災基本計画を見直したところでもございます。

 引き続き、タイムラインに関する取組の普及など、関係省庁と連携しながら、防災・減災対策に万全を期してまいります。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 確かにこのタイムラインは地震とか津波というのはなかなか難しいかもしれないんですが、しかし、各市町村でお取り組みいただくその方向性を国が出していただいた、そこは本当に市区町村が作りやすいように後押しをしていただきたいなと思います。

 平成二十三年に紀宝町で大水害が発生をいたしました。そこから紀宝町はタイムラインを本当に作成をし、多くの人命が救われております。こういった例もありますので、今日はこの御紹介をさせていただきました。

 以上で公明党の質問を終わります。大変ありがとうございました。

木原委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。

 立憲民主党は、久しぶりにというか、結成して三回目となるのかもしれませんが、次の内閣制度というものを復活させていただいております。私もNCのネクストキャビネットの国土交通・復興担当ということで就任いたしましたので、しっかりと未来を共に語らせていただけて、私たちも、独自の、しっかりとした安心して暮らせる日本をつくっていきたいと思っております。

 さて、現在国民の暮らしは、いまだ新型コロナからの完全な収束が見通せない中、家計に大きな打撃を与えている物価の高騰、低いまま上がらない賃金、年金の減少の四重苦により、生活氷河期とも呼べるような深刻な状態が続いております。しかし、このような状況にもかかわらず、政府・与党は今日まで後手後手の対応に終始し、この間、国民生活はますます厳しさに直面をしているのが現実です。

 本日、閣議決定となる総合経済対策は約二十九兆円に、一晩で四兆円も増えたという話もありますが、国交省に関係する防災・減災や、また、観光立国もあるということでもあります。

 まず最初に、委員長、この点に関しまして、額が大きいものでもあります。これまでも、GoToトラベルなど、予算が積み残しになり、補正でできたものというのが使われないでほかに転用されるというようなことも見受けられます。この点に関しましては、やはり本来の国土交通委員会として、しっかりとした議論を重ねるためにも、集中的な質疑を求めさせていただきます。どうぞ理事会でのお諮りをいただければと思います。

 委員長、いかがですか。

木原委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。

小宮山委員 よろしくお願いいたします。

 さて、立憲民主党は、暮らしの安定を、安心を取り戻し、日本経済を活性化させるため、真に必要な人や事業への支援を集中的に実施、人から始まる日本再生を成し遂げていく、その決意であります。

 立憲民主党としては、参議院選挙前から、物価高対策を行うべきと様々な施策を提案してまいりましたが、岸田内閣、政府は、残念ながら反応も薄かった。最近になってこの点に関して動き出したというのが現実でしょう。

 しかし、物価高対策も盛り込まれる補正予算の編成内容の指揮を執るはずの経済再生担当大臣が、今国会開会後、代表質問の後に開かれた予算委員会が終わった段階になって、辞任、更迭に至りました。この間、答弁を求められ、記憶にございません、記録がないなど繰り返す状況が続き、まあ、正直申し上げまして、情けなく、また、大臣としてみっともない姿を国民にさらしたと、同じ国会議員として非常に恥ずかしく残念に思っております。

 立憲民主党は、本年五月に、持続可能な社会像の方向を示したビジョン22を発表し、この中で、「一極集中から分散型社会へ、自然と調和した街と住まい」を掲げました。

 国土交通省関係の施策を考える上で、昨今の激甚化する自然災害などからも、SDGsの理念を取り入れて、グリーンインフラ整備、自然との共生など、新しい価値観を早急に取り入れなければならないと考えております。

 また、十年後の人口減少社会への対策も後手後手に回っていると感じております。今ならば、地域社会が維持、持続可能な公共インフラ整備、施策へと立て直していくことができると考えております。

 立憲民主党は、生活者、働く者の立場を大切にすることが、日本の社会を継続し、個人の幸せな人生を築く礎に政治がなると考えてもおります。よりよい政治を、立案のためにも、まず、以下のような観点から質問したいと思います。

 その冒頭というのは、やはり、質問いたしますのは、政治への不信感を払拭することだと思います。山際前国務大臣の更迭に対して質問させていただきます。

 斉藤大臣に伺います。

 参議院予算委員会で、当時が山際経済再生担当大臣、七月の参議院選応援の際に、政府は野党の話を聞かないと発言したことについて、ネット上で選挙の恫喝との指摘もあり、また、岸田総理も、とんでもない発言と参議院予算委員会でおっしゃったそうです。

 現政権は、例えば国土交通省の事業決定に関しても、特定の政党、議員の話で予算を決定することがあるのでしょうか。野党の意見は排除し、聞かないということがあるのでしょうか。それとも、岸田総理と同様、大臣は、とんでもない発言と、この野党の話は聞かないと言ったことは、思われるのか、同感されると断言されるのか、お伺いいたします。

斉藤国務大臣 私も、岸田総理と同じ認識でございます。

 我々は国民の代表でございます。いろいろな方のいろいろな立場の御意見を聞いて政策決定をしていく、国土交通省もその姿勢に変わりはございませんし、その姿勢をこれからも徹底していきたいと思います。

小宮山委員 ありがとうございます。

 以前、赤羽国交大臣におきましても、私の質問に対して、本会議におきまして、国土交通省は、第三者の意見を聞きながら、事業の各段階で事業評価を実施することにより、透明性を確保し、公平性に努めているということの答弁をいただいております。これからも、国土交通行政というのは、全国の安全や、様々な事業や地域の生活、国民の生活に密着したものでありますので、その姿勢、是非貫いていただければと思います。

 さて、次に、副大臣、政務官全員に伺わせていただきます。

 山際氏が、後出しじゃんけんと言われる、ばれなければしゃべらないとの卑屈で不誠実な対応を繰り返したことが政治不信や政権への信頼を損なったことから、今後、答弁、政策立案に関わる政務の信頼感の確認が重要と考えております。

 そこで、世界平和統一家庭連合、旧統一教会との関係について、関係団体も含めて、まず、会合等への出席と、また、選挙応援の有無、政策協定書、推薦書依頼の類いの有無とサインをしたか否かについて、政務、皆様、御回答をお願いいたします。

石井副大臣 今、小宮山委員から三点の御質問がございました。

 まず一点目でございますが、旧統一教会の関係団体の会合に出席し、挨拶したことがありました。

 二点目でございます。

 旧統一教会又はその関係団体から組織的な選挙協力を受けたことはございません。

 三点目でございます。

 旧統一教会又はその関係団体の推薦確認書にサインはしたことはございません。

 以上でございます。

豊田副大臣 ただいまの御質問にお答えをしたいというふうに思います。

 まず一点目でございますけれども、旧統一教会に関連するイベントに出席し、挨拶したことがございました。

 二つ目でございますけれども、旧統一教会又はその関係団体から組織的な選挙協力を受けたことはございません。

 三番目でございます。

 旧統一教会又はその関係団体の推薦確認書にサインしたこともございません。

 以上です。

古川大臣政務官 お答え申し上げます。

 点検を行いましたところ、旧統一教会の関係団体の会合に出席し、挨拶をしたり、講演をしたことがありました。

 また、旧統一教会又はその関係団体から組織的な選挙協力を受けたことはありません。

 そして、旧統一教会又はその関係団体の推薦確認書にサインをしたこともございません。

 以上でございます。

西田大臣政務官 お答えいたします。

 お伺いの点で点検を行ったところ、一番の、旧統一教会またその関係団体の会合に出席したことはございません。

 二番目の、旧統一教会またその関係団体から組織的な選挙協力を受けたことはございません。

 三点目の、旧統一教会またその関係団体の推薦確認書にサインしたこともございません。

 以上でございます。

清水大臣政務官 お答えいたします。

 点検を行ったところ、旧統一教会又はその関係団体の会合に出席したことはありません。

 旧統一教会又はその関係団体から組織的な選挙協力を受けたことはございません。

 旧統一教会又はその関係団体の推薦確認書にサインをしたことはございません。

 以上でございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 選挙応援の、組織的なという表現でおっしゃられたのは、これは私が提示したものとちょっと違いますので、組織的にしたかどうかというのは旧統一教会側の言い分になると思いますので、今後この経緯は見ることになると思います。

 また、推薦確認書という表現では恐らく向こうも言ってきてはいないのと、なので、私自身の方は、政策協定書、推薦書依頼の類いのという表現をさせていただきました。どの表現で来るかは教会によってどうも違うらしいので、これも、今後もしかすると、出てこないことを願いつつ、今は、皆様が答弁したことは、一旦は信じようかと思っております。よろしいでしょうかね。余りうなずいていただけないですね。

 後出しにならないこと、後から分かるということももしかすると、議員側と旧統一教会側では言い分がどうも違うときもあるようでありますので、この点に関しては注視していきたいと思うのと同時に、なぜこの問題が起きるかといえば、先生方の多く、神道政治連盟関係とか、また、日本会議さんとかにも所属されている方もいらっしゃるようですから、政務の方々の中には。やはりこういった、政策的にどうも似通ったところであり、日本大事といいながらも、信者から巻き上げた、日本人から巻き上げたお金が韓国を通じ北朝鮮、そしていろいろな事件等に使われているのではないかという、ある意味売国的と言われるような、そういったものに加担をする、それにお墨つきをやったかもしれないというところが非常に大きな問題だと思っております。

 この点に関しましては、私ども、既に被害者救済の法律を出させていただいております。やはりこの点をしっかりと、早くに解散ができる、そして被害が拡大をしないために政府としてもしっかりと取り組んでいただくこと、そして、与党の皆様方、いらっしゃいますけれども、野党間、是非しっかりと議論をしていただき、健全な宗教は大切なものでもあります、そして、心のものでもあり、大切ではありますけれども、それを利用し被害を生んだのであれば、早急に政治側が正すということが、ここに今集っている国会議員の役割だと思いますので、その点を政務の方々、特に関係があった方々におきましては、していただきたいと思います。

 さて、大臣所信に対する質疑に移らせていただきます。時間がなくなってきましたので、簡潔にお伺いいたしたいと思います。

 斉藤大臣就任以来、統計問題やいろいろなことで、最も深く、最初の大臣所信の前からテレビの前でお謝りになられ、頭を下げられている姿、非常に心苦しく見ておりました。環境大臣もされ、いろいろな思い、そして国土交通行政に対する思いというのは強いと思います。是非、その点を御自身の言葉で語っていただければと思いますが。

 まず、地域公共交通についてです。我が国は国難とも言える状況に直面していますと冒頭に発言された所信、私も同感であります。十年後、日本でローカル鉄道は持続可能性が更に低下すると推測され、人口減少は毎年約五十万人都市が消滅する勢いでもあります。これは、先生の選挙区よりも大きい人口数ともなります。

 やはり、この点に関しまして、地域交通のリデザインに関して所信で述べられておりますが、その最後のところが、頑張れない地域というもの、頑張れる地域の支援と書かれていますが、頑張ろうにも頑張れないというのがこの世の中の現実でもあります。この頑張れない地域も認めて、頑張ろうと思わせるのが大臣の責務だと考えております。

 この点に関しまして、ローカル鉄道、路線バスなど地域公共交通が失われないようにするためにどのように取り組んでいくのか、大臣の思いを聞かせてください。

斉藤国務大臣 地域公共交通が今大変厳しい状況にある、それはもう小宮山委員も同じ認識でございます。

 どう持続可能なものにしていくか、地方再生で、地域公共交通は一つの大きな柱です。そのことを、事業者や地域の住民の方、地方自治体そして国も一緒になって、情報共有して話し合っていきましょうと。そういう中で、合意が得られたものについてはこれをしっかり推進していく、そういう中で合意を得ようという努力、そのことが頑張る地域という意味でございます。

 確かに財政状況が悪くて頑張れないというところもある、それはよく分かっております。しかし、それであるならば、それをよく情報共有して、一緒に努力していこう、そういう地域を応援したい、こういう意味でございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 現在であれば、公共交通と言われる部分、海そして空に関しては、支援するための法律的な資金を国が出すため、裏づけとなる法律はありますが、陸上を走るところは、そのものが非常に弱い。災害に遭った場合は特別措置法をするなどして何とか対応しているのが現実であります。場合によっては、この陸上の、地方の公共交通に対しての支援ができる、その根拠法となる立法も必要かと考えております。

 さて、先ほども触れましたけれども、十年後、二十年後にも均衡ある国土の発展を目指していく上で、国土交通省が推進する日本の国土の姿、どのように描いているのか、伺いたいと思います。

 都市の機能、維持管理には莫大なお金がかかります。また、SDGsなども言われるようになりましたが、省エネにとどまるのではなく、そもそもエネルギーを使わない、低エネルギー、ゼロエネルギー、自然との共生というものに転換することで、全国いろいろなところで暮らすことができる、そんな、ある意味豊かさの定義というものが変わるかもしれません。でも、それでこそ日本で暮らし続けられる環境がつくられるのではないかと考えます。

 是非、この点に関しまして、斉藤大臣の思い、グランドデザインを聞かせていただければと思います。

斉藤国務大臣 非常に多くの課題がある中で、この地域を、またこの国をどのような国にしていきたいか、地域にしていきたいか、そういうことを構想するということは政治家の大きな役目だと思っております。

 そういう中にあって、日本は豊かな自然、個性ある文化、地域地域の文化がございます。こういうところに誇りを持って、安心して暮らし続けていく国土を次世代に引き継いでいく、そのためには今何をしなければならないか、そのために、今、国土形成計画、長期ビジョンの下で議論をしているところでございます。

 人口減少が進む地方は極めて厳しい状況にございまして、ここでデジタルを活用する、様々な民間の力もいただいて、共に地域をつくっていく、こういう考え方が必要ではないかと思います。

 また、気候変動対策を日常生活や経済活動に当たり前のこととして組み入れる社会、それから、激甚化、頻発化する災害に備え、環境と共生する国土づくりということも重要なテーマでございます。

 こういうことも含めまして、各層の御意見を伺いながら、未来を担う若い世代が夢を持てる国土形成計画、議論をし、来年には提示をさせていただきたいと思っております。

小宮山委員 ありがとうございます。時間の都合でちょっと飛ばさせていただきます。

 大臣には、環境相時代、二〇〇九年ですけれども、日本版グリーンニューディール策定では、家電エコポイント、省エネ住宅、次世代自動車の普及促進など、非常に精力的に、また力強く進めると発言をいただいております。また、担い手不足と言われる建設業などにおいても大臣には期待をするところと、私どもも、これに関してはまだまだ提案もさせていただきます。

 電気自動車のことも聞きたいのですが、時間の関係で、申し訳ございません、また次回に聞かせていただきます。

 そこで、最後になりますけれども、観光政策に対して聞かせていただきたいと思います。

 新型コロナ禍においては、観光は大きなダメージを負ったにもかかわらず、どこか観光庁の存在感が薄かったのではないかという声が聞こえてまいります。この十月から水際対策措置が大幅に緩和されて、全国旅行支援も始まる中、観光は本格的回復局面に入っていくと思うんですが、今こそ観光庁としての存在感が問われるのではないでしょうか。観光庁長官の決意を聞かせてください。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘をいただきましたとおり、いよいよ今月十一日からは、内外の観光需要を本格的に回復させ、観光立国の復活を図っていく局面になりました。

 観光庁といたしましては、三つの戦略、すなわち、第一に、全国旅行支援や第二のふるさとづくりなどによる国内交流拡大戦略、そして第二に、消費額増加や地方誘客の促進等を図るためのインバウンド回復戦略、そして第三に、観光地や宿の高付加価値化の計画的、継続的支援などによります高付加価値で持続可能な観光地域づくり戦略、これらを総合的かつ強力に推進していきたいと考えております。

 まずは、今回の総合経済対策に必要な事項を盛り込み、そしてしっかりと予算を確保し、観光立国の復活に向けて、ギアを切り替えて全力で取り組んでいきたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 やはり、しっかりとした質疑が必要だと思いますとともに、GoToトラベル等の予算が、結果として補正でつけられ、五千七百億、これが、名前が、態様が変わって全国旅行支援になっているというふうに捉えて、GoToトラベルと何か違うのかと言ったら、いや、違いますと言うんですけれども、どう見てもGoToトラベルのなれの果ての状態にしか見えないところがございます。

 ある意味、やはり、しっかりとした観光政策、多くの事業者はこれから返済も始まります。旅館業法が改正で、厚生労働省に行きますが、この周辺に関しても譲渡の関係で問題があります。是非、観光庁長官、観光庁を挙げて観光産業を支えていただく、その存在感を表すことを心から願わせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、末次精一君。

末次委員 立憲民主党、末次精一でございます。

 国土交通委員会で初めての質問でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 まず、九州新幹線西九州ルートについて質問をいたします。

 西九州新幹線ルートにつきましては、長崎―武雄温泉間が開業し、一か月が過ぎました。利用者につきましては、開業一か月で十九万人、平均乗車率三三%ということでございました。これについては、JRも、二〇一八年同時期からして二%上がっているということでありますけれども、ほぼほぼ変わらないと。

 これは、私もそうだろうなというふうに率直に思います。なぜなら、この西九州ルートは、そもそも長崎―福岡間がつながるということであります。しかし、現状では、長崎―佐賀間のみで、まだ肝腎の佐賀―福岡間がつながっていない。時間短縮効果も小さく、日本一短い新幹線とやゆされているような状況であります。

 開業時、大臣も実際に乗車をされ、そのときの会見で、効果を発揮するためには一本につながる必要があるのではないかということも強く感じたところですということで、コメントされております。

 じゃ、どうやって一本につながるかということでありますけれども、国側としては、五つの整備方式による比較検討をされていると。一本につながるということであるならば、その五つの中の対面乗換えは削除されるので、実質四つだと思います。

 四つとは、スーパー特急。これは、まだ実用化されていないということでございます。フリーゲージトレインについては、事実上もう断念しているということであります。ミニ新幹線につきましては、これは、工事をするに当たって、在来線を止めたり、生活者や利用者に大変迷惑をかける。その期間も十年から十四年という長い期間であり、これも現実的ではない。残るはフル規格しかないわけであります。

 このフル規格については、与党PTも、令和一年八月で、フル規格で整備することが適当ということでもあり、たしか、おとといですが、長崎県議会がフルでの整備ということで、佐賀県議会の方と交流を持っているということも報道であります。

 そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、大臣は、また、開業当時の会見で、西九州の未来にとってどのような整備の在り方が望ましいか、議論を積み重ねてまいりたいと考えておりますということで述べられておりますが、具体的な方法としてはそのとき述べられておりません。開業一か月たって、どのような整備の在り方、今申し上げたように、もうフル規格しかない、残っていないと私は受け止めておりますけれども、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 今、西九州新幹線と九州新幹線の間をどのように接続するかということについては、佐賀県を中心に協議が進められている、このように認識をしております。

 地元の皆さんの御意見を伺いながら、私としては、そのときにやはり新幹線として一本につながるということが新幹線の効果が表れる、このように申し上げましたけれども、その具体的なルートとか方策については、今地元で協議が進められていると思いますので、その議論を見守っていきたい、このように思っております。

末次委員 鉄道行政の責任者は大臣ですよね。その大臣が地元で話し合っている、それを見守ると。これは、先ほど申しましたように、PTでも地元でもフル規格ということで話が盛り上がっている、話が進んでいるわけですよ。それについて国もこの整備方針を示されていて、その中で、消去法でいくとフル規格しか残っていないんですね。フル規格しか残っていないんですよ。大臣は大臣で、一方でつながる必要があると。じゃ、フル規格以外で大臣が一本につながる方法があるというお考えがあるんだったらお示しいただきたいと思いますけれども。

上原政府参考人 鉄道局として、今佐賀県と幅広い協議を行っておりますので、その観点から御答弁させていただきます。

 九州新幹線新鳥栖―武雄温泉間につきましては、佐賀県からのフル規格による整備を実現するための協議には応じられないという発言がございまして、整備の在り方について幅広く議論を行う場として、令和二年六月より鉄道局と佐賀県との間で幅広い協議を開始いたしております。

 これまでに計六回実施しておりまして、具体的には、先ほどにもありました五つの整備方式に関する比較、あるいは、フル規格で整備をした場合の佐賀県内の三つのルートが候補としてございまして、この三つのルートの比較、検証、最高速度時速二百キロメートルのフリーゲージトレインの導入の可否、こうしたことについて協議を行ってまいりました。

 国土交通省といたしましては、引き続き、九州地域、西日本地域の未来にとってどのような整備の在り方が望ましいのか、佐賀県との間で粘り強く議論を積み重ねてまいりたいと考えております。

斉藤国務大臣 未着工区間となっております新鳥栖―武雄温泉間の整備の在り方について、先ほど鉄道局長からお話がございましたように、これまでも地元と、佐賀県といわゆる幅広い協議という形でいろいろな可能性について議論をしてきております。その関係者とともに議論を積み重ねていきたい、そして、新幹線ネットワークの更なる充実に努めていきたい、このように思っております。

末次委員 非常に言葉としてはきれいですけれども、私は正直、当事者意識が全くない、そのように今の御答弁を聞いて感じました。なぜならば、先ほど大臣は、佐賀県を中心にとおっしゃいました。これは、この新幹線の経緯はもう御存じと思いますが、そもそもこの長崎ルートというのはフリーゲージトレインで全線開業するはずだったということですね。既にそれを前提として三百四十億円、歳出ベースでもう歳出されているわけです。

 ところが、このフリーゲージトレインが、いわゆる開発が中止した、頓挫したわけですよ。フリーゲージが前提としたときに佐賀県もお金を出した。お金を出して、フリーゲージならば、在来線を佐賀から福岡、正確に言うと武雄温泉から新鳥栖までですけれども、在来線を活用するので、実質上、支出は要らないわけですよね。ということで佐賀県も進めていた。長崎県も一本につながるということを前提でお金を出してやってきたわけです。

 そもそも、こういう状況を生み出したのは国ということの認識は、私は全く先ほどの答弁を聞いて、感じられないわけです。私は、鉄道行政の責任者としてその辺りをどのように認識されているのかと正直驚いております。大臣、いかがでしょうか。

 大臣です。あなたは責任者じゃないですよね。大臣です。

斉藤国務大臣 最初の計画がフリーゲージトレインでございました。そのことが技術的に困難であるという結論に至った。それはある意味で見通しの甘さがあったわけで、それに対しての責任は十分感じております。

 そして、その上で、この西九州新幹線をどのように完成させていくかということにつきましては、我々、国としても強い責任感を持って、リーダーシップを発揮してこれを解決していかなくてはならない、このように思っております。

 そういう中で、今、地元の方と、どういう形であれば地元の御理解も得られてこの西九州新幹線が完成するかということについて、今、我々も真剣に議論をさせていただいているということでございますので、その点、是非御理解を賜りたいと思います。

末次委員 そもそも、このフリーゲージは、佐賀県からすると在来線を利用するということであったということですよね。今大臣も、責任は感じておられると言われた。幅広い協議ということで言われていますけれども、議論を積み重ねていると言われますけれども。

 そもそも、佐賀県側からすると、フリーゲージだったらのったけれども、それが頓挫した以上、必要ないと言われているわけですよ、新幹線は。片や、つなぎたいと。当事者は、ゼロ円だったはずが、例えばフル規格だったら六百六十億かかるわけですよ。相手は、必要ない、困らない。佐賀新聞の佐賀県民の世論調査でも、利用したいと思っておられる佐賀県民の方は一九%。それはそうですよ。佐賀県からしても、そもそも、旅客純流動というのは、福岡に対して、長崎県の四倍あるわけですよね。これではそもそも協議にならない。

 それを、さっき大臣が佐賀県が中心と言われましたけれども、向こうはそもそも要らないと言っているのに、こっちから佐賀県中心と。こっちは一本化したいという希望がありながら、議論すると。議論というのは、議論の土台にのる、そういう要素があってから議論が始まるわけであります。

 先ほど、どういう形であればということでおっしゃいましたけれども、相手が議論にのってくる条件を提示しないと議論なんか始まらないし、幅広い協議なんというのは、ある意味形だけのもの。実際、平行線で何も進んでいないというのは当たり前ですよ。やった感を出しているだけだ、私はそう思います。

 私は、フル規格ということであるならば、残されているのはフル規格しかないわけですよ。ないわけですよ。じゃあ、フリーゲージと比較して、ほかに何か方法があるか。大臣はどういう形であればとおっしゃいますけれども、私は、大臣がリーダーシップも発揮されるんだとおっしゃいましたから、リーダーシップを発揮されるんだったら、全線開通に向けた青写真をまず佐賀県に提示することが、これが議論が始まる大前提ではないかと思いますし、佐賀県知事も九月の定例議会で、フル規格を望むならという前提ですけれども、新たな発想で大きな方向性を見出すことが必要ということで言われているわけですよ。大臣は、九月二十六日の開業時の会見でも、協議を誠意を持って進めたいというふうにもおっしゃっておられます、誠意を持って。

 私は、率直に申し上げますが、費用負担と並行在来線の維持管理について、私は、このフリーゲージの失敗を、責任ということもおっしゃいました、大臣として鉄道行政の失敗を認められたわけですから、その責任ということだったら、この費用負担と並行在来線の問題について、全面的に国が責任を持つということを示した上で議論しましょうということをお話しすべきだと思います。

 大臣の誠意ある御見解をお聞かせいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 今、この西九州新幹線の問題を、佐賀県民の方、そして長崎県民の方、両方にある意味で納得していただく合意に向けて今協議を進めているところでございまして、その協議を誠意を持って進めていきたいと思っております。

 その中で、国が果たすべき役割、これも我々、認識しております。今はいろいろな、先ほども申し上げましたように、幅広い協議を進めているところでございまして、その信頼関係の下、話合いを進めていきたい、このように思っております。

末次委員 ちょっとくどくなるので最後にしますけれども、幅広い協議が平行線になっているから、それを打開するために大臣がリーダーシップを発揮しなきゃいけないと私は申し上げておりますし、大臣もリーダーシップを発揮したいと言っておられるわけです。

 もう一回言わせていただきます。大臣としてリーダーシップを発揮する、誠意を持って進めていきたいとおっしゃるんだったら、費用負担と並行在来線について、国が責任を持って進めていくというお考えはあるかないか、これをはっきりお答えいただければと思います。

斉藤国務大臣 今、それも含めていろいろ協議をさせていただいているところでございます。合意を目指してしっかり議論していきたいと思っております。

末次委員 全く考えがないというふうに私は感じて、非常に残念に思います。

 次、住宅行政について質問させていただきます。

 住宅行政についての目玉は三つと考えております。一つは空き家、空き地問題、これは所有者不明土地問題も含みますけれども、二つ目は住宅における脱炭素、省エネ対策、三つ目はマンション管理だと思います。このうち、地方活性化、地方創生の観点でいえば、やはり空き家、空き地対策に最も着目しております。

 実際、私の地元長崎県佐世保市では、駅から車を数分を走らせただけで、非常に空き家が目立つ、急斜面に空き家が並び立つような土地でありまして、実際、先月、私も地元を、明らかに危険と思われます空き家を回って、また、トラブルに遭っている近隣の声も聞き、そして行政ともやり取りをして、現場を見てまいりました。

 この空き家、空き地問題について、そのときに、調査の結果感じたことでありますけれども、空き家、空き地について大きな課題となっているのは、やはり自治体のマンパワー不足であるということであります。

 この空き家問題を解決していくに当たって大切なことは、空き家所有者情報の開示、また、特定空き家に限らず、地域全体の空き家解消に向けた民間事業者との協議、協業や専門家との協力というのは避けて通れないと思います。しかし、人員が足りないということです。佐世保でも、四千五百軒の空き家があって、役所には毎日三、四件の相談や苦情の電話があると。台風前になると更に増えて、その対応だけでもてんてこ舞いというお話でありました。

 危険空き家でも、特定空き家指定について、認定したくても、債権としては残るけれども、予算がない。ノウハウも自治体によって様々なようであります。こういったリソース不足によって思うような施策が打てないというのが地方行政の現状であるということが明らかになっております。

 そこで、お伺いします。

 国も、ノウハウの提供や民間事業者との協業を後押しされているというのは私も存じ上げておりますが、この自治体のリソース不足、特にマンパワー、予算でありますけれども、国が自治体に対してどのようなフォローを考えているかということをお聞かせいただきたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、今、空き家問題で一番の問題は、地方自治体が空き家行政を担っている中で、マンパワーとリソース、ノウハウが必ずしも十分でないという点が大きな問題であることは、私どももそう思っております。

 これに対しまして、民間の様々ないい活動をされておられる方がいらっしゃいます。NPOであったり、株式会社だったり、いい活動をされている方がたくさんいらっしゃいまして、そういう方々に御協力をいただくことが非常に有益だと思います。

 地方自治体に対しまして、私どもから予算面での支援をさせていただいて、その中で、そういう民間の方々の御協力をいただくための活動についても御支援をさせていただいておりますので、その活用を通じまして、自治体のリソース不足を補っていきたいと思っております。

末次委員 ありがとうございます。

 それで、自治体サイドの課題があるという一方で、民間サイドの課題もあります。何といってもこの空き家対策は、手間ばかりかかって商売になりづらい、問題意識はあるけれども参画意欲が湧かないという意見を、私は多く事業者の方から聞いております。また、低廉な物件に対する仲介手数料の特例もありますけれども、余り効果がないと。また、クレーム対応も多く、民間もマンパワーが足りないわけで、仕事として成り立たないという現状にあります。

 さらに、これは自治体サイドの課題の裏返しになりますけれども、自治体が機能していなければ、やはり、空き家所有者の情報、空き家に係る開発規制等の情報に容易にアクセスできないことが起きております。こういった、空き家の利用の足かせになっているというお声が非常に多く聞かれるということです。

 そして、自治体と民間事業者を結ぶ現状の線は、空き家バンクであります。民間事業者や業界団体とうまく提携して成果を上げている自治体はほんの一部でありまして、空き家バンクの使い勝手が悪いこともあり、使いこなせている民間事業者はまだまだ少ないというのが状況でございます。

 そこで、お伺いします。

 民間サイドの意欲を図らずも欠いてしまうような手数料、自治体サイドからの情報開示、共有の問題について、現状の施策は全て承知はしておりますけれども、新たな施策、追加支援が取り組む業者にも現状を打開するために必要と思いますけれども、そのお考えはあるかということをお聞かせいただきたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 民間の事業者、業界の方からも、空き家対策の積極的な推進に当たって様々な課題があるというお声はいただいてございます。

 今先生がおっしゃった課題との関連で申しますと、空き家の所有者に関する情報、これを行政から外部の民間の事業者の方々に提供する際のガイドラインなども作っておりますけれども、なかなかその普及が十分ではないために、民間事業者がせっかく活用しようと思ってもなかなか所有者の情報が得られなくて、結果、活用につながらない、ビジネスにつながらないというお声をいただいております。

 例えば、情報提供のガイドラインに基づきまして、自治体が民間との間で情報提供の協定を結んでいるようなケースは幾つかございますけれども、数としてはまだまだでございますので、その更なる普及を図っていくということが大変重要であると思っています。

 この点を含めて、現在、新しく社会資本整備審議会の下に空き家対策の小委員会をつくらせていただきましたので、業界の方々の声をしっかりとお聞きして、今後の対策をしっかりと練り上げていきたいと考えてございます。

末次委員 ありがとうございます。

 是非進めていただきたいと思います。

 それと、次に、そもそも空き家、空き地対策につきましては、問題を解決していく、解消していくということについて考えるとしたら、解体と流通の二つの方法しかないわけであります。

 解体については、平成二十七年に国も特措法を作って取り組んでこられました。これは先ほどおっしゃったとおりであります。今後、法改正も必要でしょう。次に、もう一つの流通を考えていくときに、空き家の譲渡について、様々な課題に関して国がしっかりと取り組んでいくべきというふうに考えます。

 そこで、流通の問題について、私は、この場で二つ取り上げさせていただき、お考えを伺いたいと思います。

 一つ目は、地方の空き家流通で深刻となっているのが、農地つき空き家の流通阻害であります。

 現状は、農地法の規制で農地取得時の最低面積が決まっているために、家庭菜園程度で農地を使いたいようなユーザーには、こうした空き地を手に入れることができないんですね、農地法の規制のせいで。事業者サイドからは、譲渡が難しいという意見をこれもまた多く聞いております。

 その一方、コロナになってから、都市部から地方への移住希望者が増えている、そういう状況にある中で、地方ならではの魅力ある空き家への希望が多いという状況にあります。ですので、この規制で譲渡の機会を逃すのは大変もったいないというふうに思っております。これは一つ目。

 二つ目は、税制関連の課題として、低未利用地の百万円控除がございます。

 この価格要件が低過ぎるという声も多く聞いております。現状五百万円のところを一千万くらいにはならないと、現場の使い勝手に沿わないようでございます。あわせて、短期譲渡にも対応できるよう保有年数制限を撤廃する、あるいは短縮してほしいという声も多く聞きます。いずれも、低未利用地の税制の使い勝手が悪いという課題であります。これが二つ目です。

 そこで、お伺いします。

 この空き家、空き地流通は、まさに、これはほとんど地方の問題ですよと言っても私はそう過言でないと思います。地方の空き家流通で問題になっている、今お示しいたしました農地つき空き家の問題、低未利用地の二つの課題について、どのような改正、対策が必要と考えているか、また、御用意があるかということをお伺いしたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 空き家の活用に当たって様々な規制がネックになっているというお話は、私どもも伺っておりますし、その規制を何らかの形で合理化することによって流通を更に促進できないかという問題意識は、私どもも全く同様のものを持ってございます。

 その中で、農地つき空き家の御指摘がございましたけれども、これは、農地が付随した状態で譲渡をするということは現在でもできるわけでございますけれども、更にその活用が、譲渡が拡大されるようにするにはどうしたらいいかということは、よく自治体のお声をお聞きして、更なる拡充の必要があるかどうかをよく考えていきたいと思っています。

 私どものところにも、もう少し使い勝手がよくできないかというお声をいただいておりますので、どういう形で解決ができるかということは、正面から向かい合って考えていきたいと思います。

 それから、もう一つの税制の関係につきましては、低未利用地の活用の関係で、現在の百万円の控除の制度があり、大変多くの活用をいただいておりまして、大変有益な制度であるというふうに思ってございます。この要件が今必ずしも使い勝手がよくないというお話は業界の方からも伺っておりまして、来年度に向けての税制改正要望の中でも、価額の要件の拡大、拡充についての要望もさせていただいております。

 今後の議論になってまいりますけれども、そういう議論を通じまして、更に低未利用地の活用がより促進されるように、私どもとしても精いっぱい努力してまいりたいと考えてございます。

末次委員 ありがとうございます。大変前向きな御答弁をいただいたと思っております。

 時間になりましたので、これで終わります。ありがとうございました。

木原委員長 次に、伴野豊君。

伴野委員 立憲民主党の伴野豊でございます。本日は質問の機会をいただきまして、委員長を始め理事、同僚委員の皆様方に心から感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 今日は大臣の所信的挨拶に対する質疑ということで、時間的に三十四分だったと思いますが、やらせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。

 七年ぶりに三度目の野党筆頭理事をさせていただきます。ですから、七年ぶりでございますので、お作法の点で若干御迷惑をおかけするかもしれませんが、できるだけしっかり務めていきたいと思いますし、中根筆頭におかれましても、多分寝られない日々が続いているんじゃないかと思いますが、その点は一緒でございまして、これは大臣も御経験あるかと思いますが、やはり真剣勝負の議論をすればするほど、終わってみると、振り返ってみると、ある意味、いい思い出になるんですね。思い出と言うと恐縮ですが。

 ですから、委員会が終わり、そしてまた国会が、次の国会がどうなっているか分かりませんけれども、中根筆頭とは日々ばちばちやらせていただいて、そして、終わったときにはノーゲームでお互い……(発言する者あり)ああ、そうそう、ノーゲームだと終わっちゃう。失礼しました。ノーサイドだと。つい本音が、いや、違う違う。ノーサイドにさせていただければと思いますので、おつき合いのほどよろしくお願いします。

 ただ、是非委員の方にも御協力いただきたいんですが、筆頭理事というのは、与党も野党もそれぞれの背中にいろいろしょって意見を交換します。大抵は身内に戻ったときの方がきついんですね。それは、百点満点の答えなんていうのは、双方が百点取るというのはあり得ないんですが、でも、たまたますこんと百点取れるときがあるんですよ、これが、数学みたいに。そのときは、結構、快感と言うと言い過ぎかもしれませんが、職人的な感覚でうまく落とし込めたなという感じがありますので、どうか、多分先ほどのお作法の点でも多々御迷惑をおかけしていると思いますが、各委員におかれましては、与野党、御理解いただければありがたいかと思います。

 では、早速始めさせていただきたいと思います。

 また、大臣におかれましては、私も一期目のときから非常に、かわいがっていただくと言うと言い方が失礼かもしれませんが、いつも気にかけていただきまして、本当にありがとうございます。

 改めてプロフィールを拝見させていただきました。気にかけていただいていた一つの理由には、理工系の議連とか科学分野の議連で多分よく御一緒したんじゃないかなと。そうした関係で、改めて今回プロフィールを見せていただいたんですが、これはもう一つ私的にはありまして、親しみを考えている一つに、大臣、東工大御出身でございますよね。私どもの学校からすると、東京工業大学というのは憧れの大学でございまして、研究会ではばちばちやるんですよ、これはもう本当に。どっちかというと、東工大の学生さんをつかまえてはやるんですが、これも、やってみると、終わってみると、大体友達になっているんですね、真剣に話をしていると。お互いの立場も分かっている。

 ただ、違ったのは、その研究会が終わってからの打ち上げの会場。東工大の方は、大抵、日本丸が見えるところでワインかシャンパンで乾杯されているんですけれども、こっちは場末の居酒屋でホッピーか何かを片手にやっている、そんな思い出も思い出したところでございます。

 今日はそういう余談はちょっとおいておいて、質問のモチーフから申し上げますけれども、今日は、許認可権はどうあるべきか。最近私がよく考える事柄について、最終的に大臣がどうお考えになっているか。

 とりわけ、私は、国土交通行政における許認可権というのは、科学的、工学的、技術的なアプローチによって、きちっとした物差しによってお示しするのが不可欠である。それによって、何人がそれを見て解釈してきちっとした考え方を持っていれば公平中立であって、やみくもに甘いのは当然困りますけれども、一方で、異常に、余り理由がよく分からずに認可が下りないというのもいかがなものか。そんなことをずっと問題意識を持ってここ一か月ぐらい過ごしていたものですから、最終的にそのモチーフに対してお答えしていただくような投げかけをさせていただきますので、どうか御理解いただければと思います。

 まず、その前に、そういうことに考えが至った、やはり調べてみると、我が国は法治国家ですね。すばらしい。最後は全部憲法に書いてあります、そういうことが。

 そして、まず、その許認可権ということについて着目しますと、まず、ちょっとここで官房長、お使いして恐縮ですが、行政手続法の第二条の第三項、申請ということから、多分、一般の方はこういう許認可にぶち当たるんだと思うんですけれども、ここの第二条第三項の申請という定義のところからちょっと読んでいただけませんか。

宇野政府参考人 御指摘の行政手続法第二条第三号の申請の定義を読ませていただきます。

 「法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。」とされております。

伴野委員 ありがとうございます。

 続いて、それを当然判断する審査基準というのがございますよね。これもちゃんと書いてあるんです。八項のロを読んでいただけませんか。

宇野政府参考人 行政手続法第二条八号ロ、審査基準の定義が書いてございます。

 「申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。」とされております。

伴野委員 そして、その基準がどうあるべきかということもきちっと書いていますよね。先ほど、やはり客観的に、何人が申請しても同じ基準で判断していただけるということが担保されませんと、そこに恣意的なものが働いているとすればとんでもない話です。

 続いて、三項の下のところ、審査基準云々のところを読んでいただけませんか。

宇野政府参考人 審査基準につきましては行政手続法第五条で規定してございます。

 一項は「行政庁は、審査基準を定めるものとする。」

 二項「行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。」

 三項「行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない。」とされております。

伴野委員 我が国の法律はやはりすばらしい。認めることばかり書いているわけじゃなくて、拒否するときにもちゃんとした基準と説明をしなきゃいけないということも書いてありますよね。

 理由の提示、第八条を読んでください。

宇野政府参考人 理由の提示については行政手続法第八条第一項に書いてございますので、読み上げさせていただきます。

 「行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。」とされております。

伴野委員 こういう法律の解釈をしていきますと、先ほど申し上げましたように、とりわけ交通行政、科学技術、工学的なこと、技術的なことがたくさんあるわけでございまして、当然、基準を作るときにはそういう思考を取り入れて基準を作っていかなければいけないだろうと私は解釈しています。

 そうした中で、今回、所信的挨拶の中で、大臣は三本の柱を出されました。一つは国民の安全、安心の確保。コロナ禍からの経済社会活動の確実な回復と、経済好循環の加速と拡大。三つ目、豊かで活力ある地方づくりと分散型の国づくり。

 そうした大臣の御挨拶を読み返してみますと、一部でちょっと斉藤大臣らしからぬ言葉が散見されるなと私は見たんですが、とりわけ、頑張る地域という、これは非常にちょっと曖昧なものを逆に誘発しちゃうんじゃないか。頑張るというのは非常に個人差がありますし、私は頑張っている、だけれどもあなたは頑張っていないのなんと言われちゃうと、いやいや、そんなことない、頑張っていますよという話になると思いますので、この辺りの、頑張るというお言葉をお使いになると、頑張るの定義をやはり計量的に、是非恣意的なものが入らないようにしていただけるとありがたいかと思いますが、この辺り、どうお考えになりますか。

斉藤国務大臣 先ほど小宮山委員の御質問にも出てきたところでございます。

 この頑張る地域というのは、実はこの八月に出てまいりました有識者懇談会、ローカル鉄道を今後どうしていくか、その地域モビリティーの報告会の中に出てきた言葉でございます。

 その中での意味は、地域の公共交通をどう守っていくか、事業者や地域、そして地方自治体、そして国、真剣に情報を共有して話し合いましょう、そして、そこで出てきた結論についてはそれぞれが努力して実現に向けて頑張りましょうと。その合意に向けて頑張る、努力をしている地域、また、合意が得られたら一緒になってその合意を実行していこうとする地域、そういう意味で頑張る地域という意味でございましたので、そこを是非御理解をいただきたいと思います。

伴野委員 ちょっと苦しい御答弁かなと思いつつ、今日はそこだけにこだわると、頑張るという言葉をいかに数学的、物理的に表現するか、おまえ言ってみろというと、ちょっと準備がまだ不足しているところがありますので、またの機会にさせていただきたいと思います。

 ただ、やはり、ここにある、従来とは異なる実効性ある支援等を実施するとここまで言っているんですから、どういうところが頑張っていたら、あるいは頑張る基準を、頑張る基準というのはやはり作らないと。その上で、ちゃんとそれをできるだけ客観的に定量的に捉えて、誰が見てもそうだよねと。

 ただ、やはり、人の営みですから、例外で外れるところはあると思うんですよ。そういうところはちゃんと責任者が説明をもって、ここはこういう理由で例外として認めるとか、そういう形にしないと、先ほど言った許認可権というものに対する信頼がなくなりますので、どうぞ、その辺り、御留意いただきたいと思います。

 その中で、次に行きたいと思います。大体その路線で今日は攻めますと言うとちょっと恐縮ですが、質問をしていきますので、おつき合いをいただければありがたいと思います。

 そうした中で、いろいろ今国交省さんが課題としている分野をちょこちょこ質問していきますが、建設工事受注動態統計調査の件、不適切処理の件ですね。

 これを聞いたときは私は愕然としました。なぜかというと、先ほど研究会と言いましたが、私の専門は統計数学とそして多変量解析です。このデータの基礎になるのは全て霞が関のデータなんですね。そうすると、こういうことが行われていたというと、私の青春は何だったのか、青春を返せと言いたくなるような、今、学生がたくさんいると思いますよ。

 これは仕組み的に考えても、あるいは数学的に考えても、真値がない状態で復元をしていく、つまり、真、正しいという数字があって、そこへ復元するというのは、これは計算もできますし、ちゃんとやればできるんです。それが分からないということは、正直言って、歴史からこの記録を抹殺したということです。だから、こういうことが常態的に行われていたというのは非常に理解できないし、これはもう抜本的に改革をしてほしい。

 昨日もレクでお二人の方が御説明にいらっしゃった。疲れ切っています。疲れ切っている。多分、それはいろいろなところから聞かれるなり対応している。

 これはもう質問しません。是非ちょっと参考にしていただければというふうに、私の方で答えを言っちゃいます。

 是非、これをきっかけに、国土交通省において、記録ということに対してもっと執念を持って、とことん、我々国会議員の、特に野党のきつめの質問の記録がしっかり取られると思いますので、それぐらいの執念を持って各記録を残していただきたい。

 これにはやはり意識改革が必要です、職員さんの。まずは、今もふらふらになって頑張っている昨日来たお二人の職員に対して、やはり、よく頑張っているという空気を国土交通省として出してあげてください。そうじゃないと孤立化しますよ、もう疲れ切っちゃって。自分たちだけ何でこんな先輩たちの後始末ばかりやらされるんだ。

 これはやはり、手伝ってあげるなら、省庁を挙げて手伝ってあげてください。少しでもやはり真値に近づく復元を、これは少し統計数学をかじった方なら分かると思いますので。だけれども、先ほど申し上げたように、正解は出てきません。なくなっちゃった、正解は。その上で、やはりそういうことがちゃんと分かる人材を育成してください。この場限りに絶対終わらず、これは逆に言えば、霞が関、国土交通省の屋台骨を支えている人材だということで、余り人員整理の対象にせず、一定量は必ず確保して、着実にそれをやっていくことが次なるシーズにつながりますので、是非そうしていただきたい。

 やはり、今の時代、デジタル化ですので、徹底的に効率性を上げて、紙と鉛筆、ファクスからどんどんデジタル化していただいて、もっと記録を正確に、余り人の手を介さなくても自動的に出てくるような仕組みづくり、できるはずですから、これを是非やってみてください。

 二つ目、知床遊覧船事故。

 これも、言葉は総合的にやりますと。総合的にやりますと言われちゃうと、ああ、そうというぐらいの話で、と言うと失礼ですけれどもね、一生懸命やっていらっしゃる方に。だけれども、総合的っていい言葉で、全部やっているといいながら、今までの抜本的な見直しができているのか、そう思わざるを得ません。

 今回の事故というのは、私はもっとシンプルに考えていいと思うんですよ。とりわけ安全教育の徹底、これはもう抜本的に見直してください。正直に言って、多分、安全教育のアの字が分からない方々が、ちょっとそういうときに天候の判断を誤りがち、あるいは乗客の命というものに対して重きを置いていない傾向がある。ですから、相互監視システムをやるということらしいですが、この業界全体、上から下まで徹底的にこの際やっていただいて、ちょっとSFチックになっちゃいますけれども、でも、日本の科学技術ならできないことはないと思うんですね。

 これは、運航の個別判断を船主なりあるいはそのときのドライバーにさせているというところの見直しから始めると、この個別判断、個別制御から、技術的な、今リモートの時代ですから、中央判断、中央制御に切り替えていくぐらいの思い切ったこと。つまり、気象データ、これもすごいビッグデータだと思いますが、でも、国交省には気象庁という強い味方がいますから、AIを駆使して、この期間とこの期間は、確率論からいったら、絶対出港するのは、これは正直言って命の保証がない期間というのが出てきたとするならば、ここはもう徹底的に国交省の方で運航を止める。

 もっと言うなら、それをやったところで、情けないけれども、それを破って、その禁を破って出ていっちゃう可能性もある。あるいは、どちらの業者がもうかるかということをやり出すと、そういうことも考えないわけではない。

 だから、無線の周波数を利用して、物理的にエンジンがかけられなくなる仕組み、これは可能だと思います。ある一定のことを満たさない人と、一定の気象条件を満たさない環境になってしまったときにはエンジンがかけられない。特に、そうやって登録制度にしているわけですから、登録された船舶はその航行ができないということぐらいやらないと、多分、命を落とされる方はなくならないと思います。これも参考にしてください。

 三つ目、地域公共交通。

 先ほどもちょっと申し上げましたが、是非、ここでの様々な判断基準を、まさに科学的、工学的、技術的アプローチを究めて、そして客観的に作ってお示しください。絶対に恣意的であってはならない。

 声がでかい人のことが通るとか、はっきり言って選挙が有利だからこういう声を上げた方がいいという方々ではない、きちっとしたビジネスモデルを構築できるかどうか、持続可能なビジネスモデルが構築できるかどうか、この一点について、まずは数字で基準を作っていただいて、そこでまず考える。

 その上で、先ほど申し上げたように、どうしてもそこから抜け落ちちゃうところがあります。例外があります。これは致し方ない。だから、そこは政治家が責任を持って説明責任を果たす。

 三番目は、これはもう本当に実現できるようにしてほしいんですが、こうしたデータを地域の高校生に示してください。パブリックコメントも大事ですが、とりわけ高校生が自分の十年後、二十年後、三十年後、判断できるデータを渡して、一緒に考えよう。場合によっては、十年、二十年、俺たちはどうなっているか分からないけれども、君たちは絶対にこの地域で頑張ってもらわなきゃいけない、その判断について一緒に考えよう、これだけでも違うと思いますし、随分斬新なアイデアが出てきて地域も活性化していくんじゃないかと思いますので、アイデアとして申し上げました。

 最後に、リニア中央新幹線。

 大臣は所信にも、三つ目の柱として、分散型の国づくりに寄与とおっしゃっています。国会決議もしましたから、まだ生きていると思いますけれども、首都機能の移転という話もありましたよね。そのときなんかでも、やはりこういう高速鉄道、特に東京、名古屋、大阪というメガロポリスをつなぐことは、これは単に駅のある町だけではなく、その全体が帯として、ベルトとして活性化し出しますので、いわゆるオンレールの相乗効果だけではないことが期待されます。

 そうした中で、はっきりここは言い過ぎちゃうと多分またかみつかれるんでしょうけれども、私は炎上商法は好きではありませんので、ただ、言っておかなきゃいけないのは、やはり非科学的なこと、あるいは恣意的な言動がかいま見られる、そうしたときにどうするか。これは非常に悩むところなんですが、場合によっては、最近は何か権限のない県にまでお出かけになっているみたいですから、許認可権の濫用に当たるのではないかというようなところも考えないわけではない。

 それから、前ここで質問させていただいたときに、いわゆる水文学の先生方のお話をさせてもらいましたが、こうした方への、工学者への畏敬の念もなければ、場合によっては冒涜に近いような御発言も見られる。

 これは非常に、私は、一つの地域だけではなく、国としても非常にマイナスでありますので、ここはひとつ、また大臣にお出ましいただきたいと言うと、またそれを逆に、逆ばねに使われる可能性がありますので、そこはうまくやっていただきたいと思いますが、もう思い切った判断をしていただいていいんじゃないかと私は思います。是非このお考えについてはお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

斉藤国務大臣 リニア中央新幹線静岡工区については、大井川の水資源問題に関し、科学的、工学的な観点から議論を行うため、国土交通省が有識者会議を設置し、昨年十二月、中間報告が取りまとめられました。

 この中間報告においては、トンネルの工事期間中、約十か月において想定されるトンネル湧水量が山梨県側に流出した場合であっても、結果として大井川中下流域の河川流量は維持されるとの専門的判断がなされました。

 また、南アルプスの環境保全問題についても、本年六月、国土交通省が有識者会議を立ち上げ、科学的、客観的な観点に基づいて、専門家による議論が行われております。

 これらの課題解決に当たっては、私の基本的なスタンスは、一、科学的根拠に基づいた議論が行われること、二、その上で、地域の御理解と御協力が得られるよう真摯な対応を継続すること、この二点を徹底することだと思っております。

 リニア中央新幹線の建設工事については、国土交通省として、水資源や環境保全等の課題解決に向けたこうした取組を着実に進めることにより、早期整備を促進してまいります。

 さらに、国土交通省としては、リニア中央新幹線への輸送需要の転移に伴う東海道新幹線の静岡県内の停車本数の増加など、静岡県そして東海地方の発展に資する交通利便性の向上や地域活性化についても、関係自治体やJR東海と連携して対応してまいりたいと思っております。

伴野委員 先ほど法文上のお話をいたしましたが、これを読む限り、やはり甘い査定なり甘い審査をしてはならないというか、そこはしっかり読み込めるんですが、やみくもに判断をしないというか、やみくもに、科学的、客観的判断に対して、論点を変えてみたり、違う県へ行ってみたり、ちょっといかがなものかと。

 そういう想定をして法文は作られていなくて、多分とことん科学的、客観的にすれば、ちゃんとした許認可が何人にも下りるという前提で書いてある。だから、ちょっとここは皮肉ですけれども、いわゆる許認可権をマイナスの方に振りかざした場合の対応というのは、私は考えておくべきだと思いますし、それこそケーススタディーとしてあっていいのではないかと思います。

 この辺りのお考えについて、いかがお考えなのか。

斉藤国務大臣 最初にこの許認可等についての議論がなされました。法律に基づいて、しっかりこのリニア新幹線につきましても法律に基づいて進めていきたいと思っております。

伴野委員 大臣も精いっぱいのお答えをしてくださっているんだと思いますし、思いたいですが、こういうことが、やはり理不尽な社会ですから、起こり得るんですね。

 ただ、ある程度、ちょっとマスコミさんも最初は、そうした冒涜に近い、あるいは濫用に近いような御発言に対しても、振り回されていたというか、正直言って、争いになった方がよかれと思うような節がないわけではない。

 だけれども、こうしたマイナスのことが働いたときに、これからどうしていくかということをしないと、とにかく何でもいいから止めるということだけに専念した知事がこれからも誕生してきたとするとどうなるのよということが考えられますから、どうかどうか、この辺りはしっかりとまた一緒に知恵を出させていただければと思いますので、御理解のほどいただきたいと思います。

 あと少し、あと三分いただいていますので、少し余談を述べさせていただければと思います。

 今日は、やはり委員の方にも御理解いただくために、リニア中央新幹線の主な経過というものを、できるだけ分かりやすい言葉で、トピックを中心に整理してきました。

 これはやはり、後で見ていただいても分かるように、政権交代を挟んで上と下になっていますが、政権交代をしたことによって前に進んだいい事例であることはちゃんと読んでいただくと分かると思います。決して政権交代が悪いわけではなくて、どちらかというと、こういう国民的理解をいただかなければならないものに対しては、やはりできるだけ多くの方の理解を求めつつ進めないと進むものでもありませんし、それが政権交代によってどちらにも働いたというこれは証左じゃないかと思います。

 政権交代までは実験線でのところまでは行きました。では、ここから実用線のときにどうなるかというと、これは事実としてお調べいただければ分かりますが、与党さんの中での整備新幹線の順番と予算の使い方を見ていただければ分かりますが、多分、そのとおり続いていたとすると、なかなかこのとおりにはいかなかった。

 我が党も、当時、平成二十年の五月に、ひょっとしたら政権交代が起こるかもしれないということで、鳩山さんを会長にして準備を始めました。つまり、政権が替わったからといって、言っていることが変わるようなことはあってはならない。そうした中で、平成二十二年から二十三、二十四と行きました。このときの約束が、一つには、今も言われますが、民間が自前でやるという前提だったわけですよね。これに対して、我が党の中でもいろいろ議論がありました。確かにそうおっしゃったわけだから。

 だけれども、今、このコロナで、かつ静岡の問題で停滞していることを考えれば、やはり三兆円の財投というのは間違いではなかった。我が党も賛成しました。このとき、たしか委員会の八割が賛成したと思います。我が党の中でも、民間でやるやつだから財投もよくよく考えなければという反対の論陣を張っていた方もいました。だけれども、最後、ではリニア中央新幹線以外のBバイCのある事業をお示しくださいと言ったら、静かになっていただきました。

 やはり、こういうことを経て今がありますので、是非、大臣におかれましては、ちょうど鉄夫さんが大臣をやるときに百五十年になったわけですから、いろいろなことを前へ進めていただければありがたいと思います。

 終わります。

木原委員長 次に、小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。よろしくお願いいたします。

 今臨時国会から国土交通委員ということで、質問させていただきたいと思います。同僚議員の赤木理事、そして皆様に、本当にこの機会をいただいたことを御礼申し上げたいと思いますし、また、各党の理事にもこのような御配慮をいただいたことを御礼申し上げたいと思います。

 そして、木原委員長、熊本時代も本当にお世話になりましたが、木原委員長の下で質問させていただくというのも本当に感慨深いものでございます。

 それでは、早速質問に入りたいと思います。

 今日はインフラを中心に話をさせていただきます。やはり国の礎になるのがインフラということでございますが、ここについて、まず高速道路の料金のことについてお尋ねをいたします。

 この後、国民民主党の古川委員からも同じような質問があるというふうにも先ほどちょっとお伺いをいたしましたが、私も同じ問題意識があります。高速道路の料金の定額化をすべきではないかということです。

 この間、十月二十日の参議院の予算委員会におきまして、同じく国民民主党の浜口誠議員が質問されておりました。そういう中で、様々、総理とのやり取りがあったわけなんですけれども、まず最初に、国交省として、現状の高速道路の距離別の料金制度、これのデメリットって何かないのかということについて、どういう認識をされているかというのをお伺いしたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路料金につきましては、利用者の負担の公平性を確保する観点から、利用度合いに応じて料金をお支払いいただく対距離制を基本としております。

 委員お尋ねのこの対距離制のデメリットといたしましては、定額制と比べると、料金の計算が必要であることから、料金徴収事務の負担が増加することや、現金車の場合は支払いに時間がかかること、また、出口に料金所を設置するスペースが必要となりまして、インターチェンジの構造が大きくなることなどが挙げられております。

 なお、料金制度といたしましては、社会資本整備審議会の部会の中間答申におきまして、受益者負担や原因者負担の考えに立ち、公平性の観点から対距離制を基本とすべきとの御意見をいただいております。

小野委員 御回答いただきましたけれども、そもそも、公平性ということを果たして対距離制の根拠としていいかどうかというのをもうちょっと考える必要があると思います。

 例えば先進国においては、アウトバーンの例を申し上げるまでもなくて、大事な国の交通の背骨である高速道路を無料化しているというものが多いわけですね。アメリカもフリーウェーということもあります。

 皆さんも海外でそういったところをドライブされると気づくと思うんですけれども、日本の高速道路の出口というのはめちゃくちゃ少ないんですよね。つまり、先ほどおっしゃったように、出口を造るのに料金所を建てなきゃいけない。そこに、今はETCが増えていますけれども、料金収受員を置いておかなきゃいけない。あるいはETCの場合にも、それがトラブった場合にはそこに駆けつける人も必要だというようなこともあるでしょうし、そして何より、出口を造るような適地が少ないので、それを見つけるためにどうしても出口の数というものが限られてしまうというようなことがあります。

 皆さんも、例えばゴルフをされる方なんかはよくお感じになっているというふうに思いますけれども、このゴルフ場に行くのに、このインターとこのインター、どっちを降りたらいいんだ、そして、降りてもかなり戻らなきゃいけないというようなこともあると思うんですけれども、アメリカでドライブなんかしていますと、本当に人が住んでいるところ、そこの側道にすぐ接続するような出口が、すぐに出口が接続されるように造ってあるというようなことで、本当に便利にできているんですね。

    〔委員長退席、中根委員長代理着席〕

 そして、先ほどもおっしゃいました、出口で料金を計算しなければいけないので、当然これは煩雑になってしまう。そこで、例えば現金、先ほどもそれは御指摘ありましたけれども、現金で払う方にとっては渋滞が発生する原因にもなってしまうというようなこともあります。

 今、高速道路の料金を定額化しようというふうに主張している方々というのは、こういった利便性というものを、解消できるというふうにも考えていますし、また、利便性も上がっていくと。出口もどんどん造れますし、そして、料金所の出口のところをこうやってぐるぐるぐるぐる回しているという、あれは出口を造るためにそうやって料金所を上下線で合わせるみたいなことをやっているんですけれども、そういった用地の確保とか、複雑なインターチェンジ、出口の仕組みというものも要らなくなるということで、もっともっと高速道路を造るコストも維持するコストも安くなるんじゃないかというメリットもあるわけですね。ですから、入口のところで定額にしてしまえば出口のところが簡略化できて、非常に合理的な、コストが安い道路ができるんじゃないかということです。

 私たちは、よく考えなければいけないのは、このインフラをどうやって安くするのかということについて、もっと国が考えなければいけないと。この対距離制が公平性を確保するためだというふうにおっしゃいますが、私は国土交通省の役割はそうではないと思います。国民に、いかに安い、そして安全で快適なインフラを提供するのか、こういうことについてやはり発想の転換が必要だと思います。

 今、古川康政務官、いらっしゃいます。九州で私も本当にお世話になりました。知事としても御活躍されておりましたが、私も熊本にいたとき同じ悩みがありました。例えば、熊本はスイカとかトマトとかというのは日本一の生産県ですけれども、大阪までしか持っていけないんですね。それ以上、対距離制になると、燃料費がもちろんかかりますし、それにプラスアルファで、道路がそうやって走れば走るほど高くなるので、東京にまでコスト的に持っていけない。段ボールの料金を払うだけで、もう利益も出ないというようなことになってしまっているんですけれども。

 こういったインフラをずっと続けていれば、日本の更なる地方活性化というものはなかなか難しくなると思います。そして、この高速道路料金の定額化の論者の皆さんがおっしゃっているのは、観光の面でも、例えば東京から九州まで行くというのはなかなかこれは決断が要ります。時間がある人であっても、自分が支払う高速道路料金が高くなってしまうということで、どうしても箱根か軽井沢かなというようなことにもなってしまうわけなんですね。

 そういう意味では、全ての道はローマに通ずというような格言もありますけれども、それは単につながっていればいいのではなくて、いかに安く利用できるのかということを、これは国家として責任を持って考えなければいけないというふうに思っております。

 そこで斉藤大臣にお伺いしますけれども、高速道路の料金の定額化というものについて、どのようなデメリットがあってできないのか、そのデメリットをお答えいただきたいと思います。

    〔中根委員長代理退席、委員長着席〕

斉藤国務大臣 定額制のデメリットとしては、高速道路を短距離で利用されている方々に長距離の料金と同じ料金を支払っていただくとした場合、短距離の利用が減少し、一般道路が渋滞する可能性があること、それから、他方、高速道路を長距離利用する場合の料金が低くなることにより、他の交通機関の長距離利用者が減少する可能性があることなどが挙げられます。

 高速道路の料金制度については、これまでも国土幹線道路部会において議論していますが、これらのデメリットも踏まえつつ、引き続き、高速道路の利用がより促進される料金となるよう努めてまいります。

 今、小野委員おっしゃった、高速道路がより促進されるということが非常に重要だと思います。

小野委員 大臣、もういろいろな声が上がっておりますけれども、やはり本当にこれは真剣に考えていただきたい。いろいろ、過去の経緯から、これはアメリカ人の報告があって、それから対距離別だというようなことが起きたとか言っていますけれども、それももう戦後の話ですし、やはり、これは私も、ある世界銀行に勤めている方から聞いたんです。国の発展がどうなっているのかというのは、インフラ整備がちゃんと進んでいるのかどうかにかかっている。これは名前は言いませんが、ある東南アジアの国家は、インフラ整備が非常に遅れているので、いつまでたっても経済が発展していかないんだというようなことをお聞きしたことがあるんですね。

 ですから、やはり、これは国交省として、今の問題認識だと、私は本当にこの国がもっともっと発展するポテンシャルを引き出すようなインフラ政策にはなっていかないというふうに思うんです。そして、是非、岸田総理にももっとレクチャーしていただきたいんですね。

 この間、浜口議員がワンコインということをおっしゃったので、多分正確に伝わっていないというふうに思うんですが、この高速道路の定額化、昔、民主党が無料化というような思い切った政策も出されておりましたけれども、今おっしゃっている方々というのは、今の料金収入は維持した上での定額化というものをやろうということです。ですから、普通車においては例えばワンコインみたいなことになりますけれども、大型車とか特大とか、それなりに道路に負荷をかけるようなものについてはちゃんと千五百円とか二千五百円にしましょうということで、シミュレーションもして、現在の高速道路会社の料金収入がちゃんとイーブンになるような形にしているんですね。

 そういうことで、より長距離を走っても負担が増さないようなインフラづくりというものをしようというふうに言っているので、是非、これを総理にも伝えていただきたいと思います。

 そして、総理が、この間、浜口議員の質問に対して答弁をされて、先ほど斉藤大臣がおっしゃっていたようなこととは違う、できない理由というのをおっしゃっていました。道路の財源返還をしなきゃいけないでしょうと。そして、維持管理もかかります。防災・減災もあるし、そして、ほかの交通機関とのバランスもありますと。これはどんどんどんどんやりたくない理由が出てくるんですね。

 ですけれども、これは後ほど古川委員も恐らくいろいろ御質問されると思いますけれども、私は、その中で、一つこれから御質問をしたいんです。ほかの交通機関とのバランスがあるから高速道路の料金は定額化できないという理由をよく国交省はおっしゃるんですけれども、そもそも、新幹線の料金、これがそのままでいいのかということも私は問いたいと思うんですね。

 新幹線の料金、やはり私は高いと思います。もっともっと使いやすい料金にすべきですし、そして、柔軟な料金制度にもするべきだというふうに思うんですけれども、まず、これは国交省にお伺いしたいのは、そもそも新幹線の料金というのはどういうふうに決まっているんでしょうか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 鉄道事業者が新幹線特急料金の上限を設定しようとする際には、鉄道事業法に基づき、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるかどうかを国土交通大臣が審査して認可することとしております。

 通常の料金は届出制となっておりますが、新幹線特急料金の上限の設定につきましては、公衆の利便に及ぼす影響が大きいと考えられることから、国土交通大臣の認可を受けることとされております。

 その上限の範囲内において割引料金を設定しようとする際には、国土交通省にあらかじめ届出を行うことのみにより設定が可能となっております。

小野委員 その料金制度がいいかどうかというのは私は申し上げません。余りそれが決定的だとは思いませんけれども、つまり、上限は一応認可ということで、そこは抑えるということはあるわけですね。しかし、もう民営化されているわけですので、その努力をどんどんどんどん認めてあげる方向という政策誘導というのは必要なんだろうというふうに思います。

 ちょっと伺いたいことは、新幹線というのはどれぐらい利用されているんだろうかということなんですね。当然、お盆とか年末は乗車率が高いとかよくニュースでもやっています、座れなかったよというような声も聞いたりしますけれども。でも、私も出張するときに、大体、新幹線の駅のホームに立つと、「こだま」とかそういう各駅停車の場合にはもうがらがらですよね。空気を運んでいるんじゃないかというような新幹線運営が私は行われているんじゃないかというふうにも思います。

 もちろん、人気のある路線については、これはかなり利用されている。特に東京と新大阪を結ぶところなんというのはかなり利用されているというふうには思いますけれども、例えばJR九州、くまモンも、これも誕生したのもJR九州のキャンペーンによることなんですけれども、まあ、九州新幹線もなかなかこれはたくさん利用いただいているような感じではない。しかも、九州の方々にとって、やはり乗っている時間は短いのに結構高いなというふうに思える料金でもあります。

 そういう中で、料金を柔軟に引き下げていく、乗車が低いときには、もうちょっとお客さんにも利用していただけるような思い切った利用の仕方というのももっともっとこれはやるべきじゃないかというふうに思いますが、まず、乗車率、新幹線の乗車率というのはこれはデータを取って把握されているのかどうかということをお伺いしたいと思います。

上原政府参考人 お答えいたします。

 基本的には、先ほど出ました乗車率というのは、各社それぞれ、各区間によってそれぞれ変わってくると思います。

 私どもが把握いたしておりますのは鉄道輸送統計調査というものでございまして、こちらによりますと、輸送実績そのものを把握いたしております。

 例えば閑散期と繁忙期を比較した場合、最も少ない六月と最も多い十月で一・四倍の差があるといったような形で、委員御指摘のとおり、新幹線の輸送状況につきましては、そうした例えば閑散期と繁忙期の輸送に差がございます。

小野委員 自由席もあるということで余り把握はできないということかもしれませんが、ただ、新幹線ってほとんどが指定席ですよね。自由席はかなり混んでいるのに指定席はがらがらみたいなことが起こっていて、もっともっと指定席の方を例えば値段を下げるようにして皆さんが乗っていただく。空気を運ぶんじゃなくて、もっと観光促進、そしてビジネス交流が図れるような料金設定をするということも、これは国交省の方でもっともっとJRを、けつをひっぱたくというか、そういう形でやはり促進をさせていただきたいというふうにも思っております。

 そういうことで、新幹線においてダイナミックプライシング、飛行機なんかだともう当然なっているんですけれども、そういったことをもっと大胆に進めるようなお考えがないのかというのをお伺いしたいと思います。

上原政府参考人 お答えいたします。

 新幹線等の指定席の料金につきましては、繁忙期、通常期、閑散期の料金に加えまして、今年の四月からは年末年始等を最繁忙期と新たに区分をいたしまして、利用時期に応じて価格差を設けてきたところでございまして、季節による料金の変動ということを既に行っているところでございます。

 また、鉄道事業者は、運賃・料金の上限の範囲内で割引料金を設定いたしておりまして、新幹線料金につきましても、例えば、オンライン上で予約決済した場合の割引、ポイントの付与、また、隣の駅までの自由席特急料金の割引の設定など、様々な割引が設定されております。

 さらに、本年二月に、国土交通省では、多様化する利用者ニーズに鉄道サービスが適切に対応することを可能とするため、交通政策審議会の下に鉄道運賃・料金制度のあり方に関する小委員会を設置いたしましたが、その中間取りまとめにおきましても、運用の改善や工夫により、新たな運賃・料金の設定を実現させ、サービスの多様化等による利用者利便の向上を図ることが望ましいとされているところでございます。

 国土交通省といたしましては、この中間取りまとめを踏まえて、新幹線料金につきましてもできるだけ柔軟に対応していきたいと考えております。

小野委員 ありがとうございます。

 いろいろ努力されていることは理解をしましたけれども、もっともっと思い切った対策が必要だと思うんです。それはどういうことかというと、今度、新幹線のホームを見たときに、例えば各駅停車の新幹線も結構人が乗っているな、それぐらい利用されているなというような、こういった促進策をしっかりやることだと思います。そういったことをやらずして、ほかの交通機関が影響を受けるからということで高速道路の料金の定額化を全く考えないというのも余り理由にはならないんじゃないのかなと思うんですね。

 ほかの交通機関が迷惑を被るということであれば、新幹線政策によって並行在来線が本当に苦しい思いをしてきた、そういったことももっともっと光を当てるべきだというふうにも思いますし、先ほど申し上げたように、リーズナブルに利用できるようなインフラづくりというものを、是非、これは国交省としてもっともっと進めるんだ、まだまだやることはたくさんあるんだという認識で頑張っていただきたいというふうに思います。

 この問題はもっともっと詰めていかなければいけないと思いますし、党は違いますけれども、この問題を何とか前に進めたいというふうに思っている議員の皆さんもいらっしゃいますので、私も継続して取り組んでいきたいと思います。

 それでは、次の質問に移ります。

 次もインフラの話なんですけれども、今度は住宅の話です。

 私の問題意識として、日本の住宅というのはもう使い捨てだというふうに思います。三十五年もローンを組んで、もう一生の大部分、汗水を垂らして働いてローンを返す。しかし、残った家はほとんど価値がないというようなのがこの日本の住宅政策です。ここは全ての政治家の皆さんで、このことを本当に真摯に、このままでいいのかということを是非考えていただく必要があると思っています。

 私のような世代、それよりも下の世代というのは、例えば諸先輩方のように給料がずっと上がってきた世界ではありません。私も当選したときにお祝い会を開いてもらって、そして、親子で私の席の前に並んでいる方がしみじみおっしゃるわけです。同じ商社に息子も入ったんだけれども初任給が私のときより低かったと、本当に息子のこれからのことを嘆いておられたんです。

 しかし、そういう中で、いまだに、住宅政策、どうなっているのかというと、スクラップ・アンド・ビルド。親の家がもう資産価値がなくなってしまった。そして、先ほど末次委員もおっしゃっていましたが、空き家問題みたいなものも生じて、次の世代には引き継がれない家がどんどん生じていて、それがもう二割ぐらいになっていると。でも、それでもまだ、例えば熊本もそうなんですけれども、田舎の田んぼを潰して、そこに上下水道を引っ張って、そして新しい家を建てている。しかし、それも将来的にはまた価値がなくなってしまうということが繰り返される。こういった住宅政策をもういいかげんやめにしなければいけないと思います。

 そのためには、都市計画、そして税制というものもセットにしなければいけませんが、私の問題意識としては、まず、この日本の住宅が欧米と比較してなぜこれほど寿命が短いのかという、その背景をお伺いしたいということと、それから、先ほど申し上げた状況をもう止めて、次世代にちゃんとストックが積み上がっていくと。日本の場合には、住宅のストックが積み上がっていっても、その価値が数百兆円ぐらいで吹き飛ぶわけですね。そういったことをやはり防ぐべきじゃないのか、良質な住宅ストックを造っていくべきではないのかと思いますが、この点について伺いたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 日本の除却をした住宅の平均築後年数を調べてみますと、諸外国に比べますと短いわけでございますが、近年は少しずつ延びてきております。五年ごとに取っております統計で、プラス四年、プラス六年という形で、徐々に延びてきているという状況にございますけれども、これまで古い住宅のストックの多くが十分に流通されずに短い期間で取り壊されてきた要因といたしましては、戦後の絶対的な住宅不足の中で、質よりも量の住宅供給を優先せざるを得なかったということで、質、性能が必ずしも十分でない住宅が多いということが一つ挙げられます。

 また、耐震基準が一九八一年に改正をされまして、それ以前に建築されました住宅の安全性に対します国民の不安感等があって、それ以前の住宅についての除却が進んでいるということも大きな要因かと思います。

 また、ストックの質の維持とか向上に向けられます投資が欧米よりも少なく、より短い利活用期間で取り壊されているということの一因となってございます。

 良質な住宅ストックを形成し、それを世代を超えて継承していくシステムを構築していくことは、住宅行政の重要な柱だと思ってございます。

 このため、予算、税制、規制、制度などを活用いたしまして、耐震性や省エネ性といった建物の性能が確保されていて、かつ、暮らしやすい良好な居住環境を備えた住宅への更新あるいは改修をしっかり促していかなければいけないと思ってございます。また、その際には、ストックの更新の契機となります流通の機会をより増やしていけるように、既存住宅の流通市場の整備、こういうことにも取り組んでいく必要があると思ってございます。

小野委員 ありがとうございます。

 しっかりと分析をされているというふうに思いますけれども、これまで致し方なかった部分があると思うんですね。答弁にもありましたが、戦後の復興、焼け野原から住む場所をどんどん造らなきゃいけなかった。安普請みたいなものも当然含まれていたということもあると思います。そして、これだけ地震大国、災害大国でありますので、耐震基準がなかなかこれが満たされていなくて、どうしても、そういった家をそのまま住み続けるにしても、これは資産としてはもう評価はできないというような事情もあったと思います。

 ですけれども、やはりそういったことをもう終わらせなければいけないと思います。これから造る家は、百年住宅というのはもちろんあるんですけれども、長く住み続けられて、そして資産価値もちゃんと維持し続けることができるような、そういった家を造らなければいけませんし、また、維持をするための仕組み、各種の補助も必要だと思います。そういったものも併せて、トータルでやっていく必要があると思いますので、これは更なる充実を図っていただきたいと思います。景気対策の方でも、省エネということもあります。やはり、そうやって市場価値がちゃんと確保できるような、投資がちゃんと次に生きていくような、そういった住宅政策というものをきめ細かく進めていただきたいと思います。

 その上で、私は、でも、住宅単体でそういったいい住宅を造るだけでは不十分だと思っています。昔は、やはりみんな若かったので、自分で生活するような力があったりもしました。そして、地域社会が、コミュニティーが生きていましたので、それぞれが助け合えるような環境がありました。子育てのとき、あるいは自分が病気になったり介護が必要になったとき、そういうときに地域社会がちゃんと救ってくれたということがあったと思いますが、今はやはり、それをなかなか、この地域社会がなくなった分、これを制度として担保していかなければいけないというようなこともあります。

 子育て支援ということで保育園の充実とか、あるいは介護施設をつくるというようなことがもちろん大事になってくるんですけれども、ただ、私はやはり国交省に、ここは是非どんどん踏み込んで、サービスの部分にもっともっと力を入れる。今でももちろん、サ高住とかそういった観点での開発というのはありますけれども、もっと根本的に、住まいってどういう形でやるべきなのか、そして、町はどういうふうにつくるべきなのかというところを、大胆に国交省が踏み込んでいくべきだと思います。これを、厚労省ということで、縦割りで分けて進めるということでは、やはりこれからの、ストックをしっかり積み上げていくというような社会の形にはなっていかないんじゃないのかなと思います。

 今お配りしている資料、これは別に解答ではないんですけれども、一つの例だと思っております。サ高住が図の真ん中、右寄りのところに造られていますけれども、それに併設されて、保育園とか様々、高齢者の介護施設なんかも入っているんですけれども、これからの発想というのは、子育てをするというもの、あるいは高齢者の介護もしなきゃいけないというのを、それぞれ外に箱で切り出して、そして用意するのではなくて、自分の住んでいる住宅の中でもかなり対応できるというような、ビルトインされたような住まいというものをあらかじめ造っていくべきだと思いますし、住宅を造っていく際に、厚労省が予算を持っているんでしょうけれども、そういったものをどんどん入れていくような仕組みというのをもっと強烈に進めていく必要があると思っています。

 私は非常に感銘を受けた事例がありまして、東日本大震災の復興のボランティアに行ったときに、それはもうある程度災害公営住宅ができていた段階のときでしたけれども、ある市の市長さんがお医者さん、病院を経営されているというところだったんですけれども、そこでできた災害公営住宅というのが、本当にびっくりしたんですが、普通にグループホームみたいな形になっているんですね。

 熊本地震のときには戸建てで結構災害公営住宅を造ったりもしました。それでもいろいろと、もちろん、機能、お年寄りの皆さんのサポートというところは気を遣っているんですけれども、もっともっとぶっ飛んでいて、要するに、入ると、その災害公営住宅は長屋みたいになっているんですけれども、ずっと入ると、長い廊下が真っすぐに続いていて、そして、各住戸の入口というのは、まさにグループホームの引き戸みたいなのが並んでいる、これが災害公営住宅ですよというんですね。当然、グループホームのように、普通にお年寄りが集える場所があったりということで。

 そういう意味で、それは極端な事例です、それが別にいいとは思いませんけれども、やはり介護やそして子育て、そういったものをセットにして、ちゃんと住宅が対応できるようなものにどんどんお金を使っていくという必要があると思っています。そういったものが満たされないと、ストックとして住宅の価値も認められずに、どんどん、例えば耐震性がありますとか、断熱性がそろっていますといっても、結局はそこに住めなくなってしまって、空き家になってしまうということが繰り返されるんだろうというふうに思います。

 こういうことで、これからの住まいは、居住機能だけではなくて、今申し上げてきたような様々な機能、これは私は自分でタウン・アズ・ア・サービスといって、TaaSとでも言えばいいのかなというふうに思っているんですけれども、そういったサービスをしっかり組み込んだ形での住まいというのを、これは国交省がもっともっと前に出ていって、そして予算も取りに行く。そして、厚労省がそれぞれ箱物をいろいろ造って機能別に提供するのではなしに、国交省がもっともっとそこにイニシアチブを取ってまちづくりそして住まいづくりをしていくということが、これが価値あるストックを後世の世代に残していく。

 そして、私は、三十五年の働いている期間で、これを一世代で造るべきものとも思いません。これを二世代、三世代でちゃんと持って、ストックの価値を維持できるような住宅政策というのにかじを切る必要があるというふうに思いますが、この点、斉藤大臣にお伺いしたいと思います。

斉藤国務大臣 小野委員の、モビリティー、MaaSならぬ、タウン……(小野委員「TaaSです」と呼ぶ)TaaS、そのお考え方、つまり、個々の住宅の価値、もちろんこれも大切ですが、ライフステージに応じて住み続けられる町、その町の中にある住宅、こういうお考えは私も本当に共感をするものでございます。

 昨年三月に閣議決定した住生活基本計画におきましても、子供を産み育てやすい住まいの実現、高齢者等が健康で安心して暮らせるまちづくりといった政策目標を掲げております。

 具体的には、住宅団地や集合住宅等において、子育て支援施設や医療福祉施設、高齢者支援施設やコミュニティースペースなどの整備を通じ、多様な世代がライフステージを通して安心して暮らせる住環境の実現に努めていく必要がある、このように考えております。

 こういうことを通じて、住宅の資産価値、町の全体の価値、それを高めていくという考え方は私も賛同いたします。

小野委員 大臣、ありがとうございます。

 是非リーダーシップを発揮していただいて、これからの豊かなまちづくりをつくっていくためには、やはり考え方を変えてやるんだということで強力に進めていただきたいと思います。

 残りの時間で、最後、インフラということではありますけれども、流水型ダムについてちょっとお伺いしたいと思います。

 熊本でもこの夏に、川辺川ダム、これを流水型ダムということで造るということになっていますけれども、ただ、あそこに、五木村の方々が毎日見ている景色、そこが一旦、これは流水型ということでためないんですね、水はためないんですが、しかし、一遍、試験のために湛水をしなければいけない。一遍つかるんですね。しかし、そこには植生もあります。そして、今、宿泊施設なんかも村が造っていたりもするんですが、それが今度、水が上がったときにはどういう光景になるのかというと、やはり村の方は本当に心を痛められると思うんです。

 そこで、これは河川局にもお伺いしたいんですけれども、そういった湛水試験というのをどういう工夫で乗り越えていくのか、そして、その後どのようにサポートしていくのかということについて、今どのようなことを考えているのか、お伺いしたいと思います。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問のありましたダムの試験湛水は、ダムの運用開始前に試験的に水をためて、ダムの安全性を最終確認するものでございます。

 この試験湛水においても環境への影響をできる限り軽減するということが重要と認識しております。流水型ダムで整備予定の川辺川ダム建設事業においては、例えば、洪水調節池内の平地に整備された、先ほどおっしゃっておりました観光施設、それとか、洪水調節池内ののり面の樹木、あるいは貴重な生物が生息する九折瀬洞という洞窟もございます、こういったところへの影響をできる限り軽減させる方策、これを現在検討を進めているところでございます。

 川辺川ダム建設事業については、環境影響評価法に基づくものと同等の環境影響評価を実施するということとしております。その手続の中で、学識経験者からの助言をいただきながら、方策について決定してまいるところでございます。

 令和二年七月豪雨災害からの復旧と創造的復興に向けて、ダム事業も含めた流域治水の取組を全力で進めてまいるところでございます。

小野委員 ありがとうございました。

 是非、その景観を毎日見ている方々の思いというのを非常に大事なこととして受け止めて、進めていただきたいと思います。

 国交省は本当に私は大事な仕事をされていると思います。国の未来そして発展はやはりインフラづくりにあるというふうに思いますので、是非、引き続き斉藤大臣の下で頑張っていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 今日は、観光に関わる、そうした質問をしたいというふうに思っています。

 まず、コロナ禍で最も影響を受けた産業の一つが観光産業であることは、これはもう皆さん周知のことだと思いますけれども、今、急速な人口減少、少子化、高齢化が進む、そういう中で、今後の日本経済を考えたときに、観光産業というのは、地域経済を含めて、今後日本経済を支え、また、人々の雇用とそして生活を守っていく、そういった意味では、まさにこれからの日本の基幹産業だ、そういう認識を政府はきちんと持った上で、その振興を図っていく必要があるんじゃないかというふうに私は考えておりますけれども、大臣の御認識はいかがでしょうか。

斉藤国務大臣 観光産業を基幹産業にしていかなくてはいけない、このように思っております。

 コロナ前の二〇一九年の観光消費額は二十七・九兆円、GDPの五%、ヨーロッパなどは大体一〇%に近いところもたくさんございますので、そういう意味では、まだまだこの観光産業は伸びていく、そして、多くの、コロナ前で九百万人の雇用を支えておりましたけれども、まだまだ成長をする、また、地域の活性化の切り札として、このように考えております。

 今月十一日に開催された観光立国推進閣僚会議におきまして、岸田総理より、観光立国の復活に向けて、持続可能で高付加価値な観光産業の実現を目指し、宿泊施設のリノベーション支援の取組を加速させること、それから、二〇二五年をターゲットに、新たな観光立国推進基本計画を今年度末までに策定することなどの指示がございました。

 これらを踏まえ、関係省庁とも十分に連携し、施策の具体化を図り、しっかりとした基幹産業となるように頑張りたいと思います。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 どうしてもやはり、もちろん製造業は大事ですけれども、しかし、これからは、やはり観光産業というのが、それともう一つ横並びになるくらいの、本当に観光資源というのは日本全国にありますから、一部の地域に偏っているわけじゃありませんし、そういった意味で裾野は大変広いので、是非そういう基幹産業だという位置づけをしっかりした上でその振興を図っていただきたいと思います。

 今大臣も言われましたけれども、観光産業は伸びる、伸び代は物すごくまだまだ日本の場合はあると思うんですね。既にコロナでどんと落ちた分はコロナ禍から少しずつ回復し、また、インバウンドも解禁され始めて、今後、急速に観光需要、今、回復し始めているなと。町中を見ても、外国人をよく見るようになってまいりました。

 しかし、コロナ禍で、その前まで、とにかく外国人もたくさん来て忙しかったところが突然来なくなって需要が激減した、そうした経験から、需要が回復し始めた今でも、将来への不安、そういったものから離職者というのが若年層を中心に増加して、旅行業や宿泊業などの観光関連の各事業者では、何とか人手を確保しようとして努力をしていますけれども、しかし、やはりこういう波があるということを知ってしまったためかもしれませんが、やはり観光産業、働く産業としてなかなかそれは選んでもらえない、非常に人材、人手不足が解消されない、これはコロナ前からあったんですけれども、更にやはり深刻になっているわけですね。

 総務省の労働力調査によりますと、宿泊業の就業者数は、コロナ前の二〇一九年には六十五万人だったのが、二〇二一年は五十一万人となった。雇用調整助成金の特例措置を活用しても十四万人も減少している、これが現実です。

 こういう深刻な人手不足の状況の中では、今、足下のところで急速に観光需要が回復しつつあって、これからもっと伸びていくと思いますが、そして伸ばしていこうとしているわけなんですから、それに、やはり需要があっても供給ができないという、人手不足で。

 やはり、観光業はサービス業なので、もちろん、機械化できるところがあっても、やはりどうしても人手が要るところですから、そうした増えていく観光需要に対応できない、そういうことが想定されますけれども、こういう状況に対する政府の認識と、それにどう対応していこうとしているのか、その点についてお伺いさせていただきたいと思います。

秡川政府参考人 今御指摘いただきましたとおり、観光関連事業においては、観光需要の回復に伴って人手不足感が現場で非常に高まっているというふうに認識しております。

 これは、官民で連携しながら、観光産業自体の高付加価値化とか生産性向上によって収益力を上げる、従業員の待遇改善につなげて雇用を確保していく、そういう体力を強化するということが重要だと考えております。

 観光庁としては、宿泊施設の改修等の観光地の再生や高付加価値化の事業、あと、観光産業のDX化の支援、あと、企業的経営への転換を促す政策等に取り組んでいるところです。

 また、海外での特定技能試験の実施や宿泊事業者向けの特定技能外国人制度の周知セミナー等の開催によりまして、外国人材の活用促進にも取り組んでまいりたいというふうに考えております。

古川(元)委員 今次長が言われたことは、少し先まで行くならそういうことは対応できるかもしれませんが、もう目の前のところで足らないし、これからどんどん回復してくるのに、ますます深刻になってきつつあるんですね。

 そういった意味では、観光産業とか、あるいは、そこでいったらプラス飲食もそうなんですけれども、やはり、こういうところで働いている人たちの多くはパートとかアルバイト。こういう人たちは、勤務時間の制約になっている、税金がかかったりする、社会保険料がかかる、年収百三万、百六万、百三十万円など、こういういわゆる年収の壁があるというふうに言われています。ネットなんかを見ても、そこに出てくるんですね、百三万円以下だと税金はかかりませんと。税金がかからない範囲で働くとか保険料がかからない範囲で働くというのは、やはりそういう人たちが現実に多いんです。

 ですから、最低賃金が上がっている、これはいいことなんですけれども、結局現場で何が起きているかといったら、その人の収入が増えるわけじゃなくて、結局働く時間が減ってしまう。じゃ、働く時間が減った人の代わりに雇えるかといったら雇えない。そういう現場の今現実に起きている問題に、やはり今次長が言われたようなことは、すぐ対応できないんですね。

 ですから、もちろんこれは、専業主婦と、そしてフルタイムで働いている女性との差というので、昔から言われているところですね。そこは抜本的にこの在り方を見直しをしなきゃいけないんですけれども。

 今、目の前で、本当に人がいなくてサービスが提供できない、そういう状況にあることを考えると、当面は、最低賃金のアップに連動してこの年収の壁の上限を引き上げる、そういう見直しを行って、本当に増えている、そして需要に対応できない人材の確保をやはり図っていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

阿久澤政府参考人 まず、私の方からは、税制に関する問題についてお答えさせていただきます。

 いわゆる百三万円の壁、これは、まずあるのは、一つは配偶者控除が適用されなくなるということを避けるために就業調整を行うといった観点からの壁だと言われているところがまずございます。

 これにつきましては、配偶者の大きさに応じまして控除額を段階的に減少させる配偶者特別控除、これを導入いたしましたので、配偶者の給与収入が百三万円を超えても世帯の手取り収入が逆転をしないという仕組みになっております。税制上はいわゆる百三万円の壁は解消しているというところでございます。

 また、先生の御指摘は、もう一つ、給与収入が百三万円を超えますと所得税額が発生をするということでございますが、こちらにつきましては、これが就業調整の原因になっているのではないかという御指摘かと思いますけれども、この百三万円という課税最低限につきましては、これにより手取り収入の逆転現象を引き起こしているものでもございませんことを踏まえれば、就業調整問題を解消する観点から、この課税最低限の水準の見直しを行うということではないのではないかと考えております。

 むしろ、課税最低限の水準、これはどのような方に対してどの程度の税負担を求めるべきか、そういった観点から検討すべき事項であると考えているところでございます。

日原政府参考人 続きまして、私の方から社会保険の関係について御答弁をさせていただきます。

 社会保険の適用に係りますいわゆる年収の壁につきましては、労働時間や収入によって適用が変わるという問題に対して、働き方に中立的な制度の構築を図る、これが大変重要であるというふうに考えておりまして、このため、政府におきましては、一定の要件を満たす短時間労働者の方への被用者保険の適用拡大、こちらを進めているところでございます。

 被用者保険の適用拡大が図られますと、いわゆる百三十万円の壁を消失させる効果がございます。また、いわゆる百六万円の壁と言われておりますものにつきましても、最低賃金の引上げによりまして解消されていくものと見込まれるものでございます。

 社会保険制度につきまして、働き方に中立的なものにしていくために、引き続き被用者保険の適用拡大に取り組んでまいりたいと考えております。その際は、新たに被用者保険の適用となられることによりますメリット、厚生年金の報酬比例部分が上乗せされる等のメリットがございますので、こうしたメリットをしっかり御理解いただけるように周知に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

古川(元)委員 財務省も厚労省もそういう回答をすると思いましたけれども。

 これは大臣、理屈はそのとおりなんですよ。私も分かるんですよ。でも、多分大臣も、ここにいらっしゃる皆さん誰でもそうだと思うんですけれども、みんな分かっているんだけれども、実際には、税金の話でいえばそれは減らないんだけれども、実は百三万を超えても。でも、やはり制度の詳しいことというのはよく分かっていなくて、とにかく税金のかからない範囲で働くとか、やはりそういう人が多いのが事実なんですよね、現実的に。現実的に起きていることは今何かといったら、最低賃金が上がっているために働く時間が減って、その人がいなくなったものをカバーできないということが起きているんです。

 ですから、我々政治家はもちろん、その理屈といえば、今、財務省、厚労省が言ったとおりで、だから、将来的には抜本改革、見直して、働き方に中立でなきゃいけないけれども、現実、やはりここが壁になって、そして必要な労働力が確保できなくてサービスを提供できないという状況がもう起きつつある。やはり、そこにどう対応するかということは、将来を見据えながらも現実に対応していくというのが政治だと思うんです。

 ですから、これは大臣は所管じゃないかもしれませんけれども、是非これはやはり政府として一度検討していただきたい。先日、うちの玉木代表も代表質問でも問いかけましたけれども、これも是非お願いをしておきたいというふうに思います。

 さて、観光立国復活だというお話、大臣から話しましたけれども、前にも私聞きましたけれども、大臣は、インバウンドと日本人の国内旅行を車の両輪と位置づけるというふうに言われましたが、所信でも大臣は、持続可能な観光を実現すると。そういうことを言うのであれば、やはり、さっき申し上げましたように、今、人が離れちゃった、観光業から。やはりこれはコロナでごおんと減っていって、そういうリスクがあると。そのときには本当にもう仕事がなくなっちゃって、収入もなくなっちゃうというやはり怖さがあるから、なかなか人も確保できないんですよね。

 しかし、これも先ほど大臣言いましたけれども、観光でいうと、ヨーロッパは大体GDPの一〇%。日本はまだ五%。インバウンドだけでこれを一〇にするんじゃなくて、私はむしろ、今だって、インバウンドは増えているけれども、でも、国内の日本人の旅行の方がもっとやはり消費している部分は多いんですから。しかも、ここはまだヨーロッパとかアメリカに比べると非常に少ないので、やはりこの国内旅行をいかに促進するかと。

 ですから、もちろん私はインバウンドを否定するものではありませんが、インバウンドと国内旅行をジェット機に例えれば、二つのメインエンジンだとすると、こっちが止まっちゃったら、片一方では動けないんですよね。そういった意味では、メインエンジンはやはり国内旅行、日本人による国内旅行の促進をメインエンジンとして、インバウンドはサブとして位置づける、やはりそういうことをすべきじゃないかと思うんですけれども、どうして政府は、とにかく車の両輪と、両方同じだよ、そういうことにこだわるんですか。

斉藤国務大臣 インバウンド旅行については、今回の新型コロナの感染拡大の影響など、外的要因による影響を受けやすい面もございます。

 他方で、インバウンド消費額は、コロナ前の二〇一九年には、二〇一二年と比較して約四・四倍の四・八兆円まで飛躍的に成長してきたところでございまして、引き続き、この効果を全国各地に届けることが必要であると考えております。

 御指摘の日本人の国内旅行は、これまでも申し上げてきたとおり、コロナ前ですけれども、旅行消費額全体の約八割は国内でございます。また、コロナ禍においても、国内は需要減は半分程度にとどまっていることなどから、今後も観光政策の重要な柱であることはもう間違いございません。

 そういう意味で、どちらが大事というよりも、国内旅行ももちろん根幹として大事、しかし、インバウンドも育てていかなくてはいけない、こういう意味で両輪というふうに申し上げているところでございますけれども、この観光立国、二つとも大事だと思っております。

古川(元)委員 僕が言っているのは、いや、大事なことは私もそうなんですよ。ただ、やはり、観光産業で働く人が安心できるためにも、ちゃんと、最低限の皆さんのビジネスやあるいは雇用は国内の観光需要だけでも賄えるようにしていきます、そういうことを言えば安心できるんじゃないかと思っているんですよ。じゃ、何でそれが言えないんですかということなんですよ、大臣。

斉藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、今現在でも、八割は国内旅行でございます。まさに観光産業を支えている、雇用を支えているのは国内旅行であるということは、これは間違いないことでございます。その部分をしっかりしていくことが観光産業で働く人たちの安心につながる、これも委員おっしゃるとおりだと思います。その上で、インバウンドについても、これは伸ばしていかなくてはいけないということでございます。

古川(元)委員 禅問答みたいになってきましたが、本当にやはり安心していただくためには、この国内旅行、まだまだ私はポテンシャルはあるんだと思うんです。今でも二十五兆円ぐらい、これを倍にしたら五十兆ですからね。

 しかも、幸か不幸か、この円安で、海外旅行に行くのもなかなか日本人にとっては高ねの花になってきました。そういった意味では、むしろやはり、国内でどっと動いてください、旅行に行ってくださいというのは、いいタイミングではないかと思うんです。

 今、国内旅行、コロナ禍からの回復で、全国旅行支援という時限的なものをやっていますけれども、やはり継続的に国内の旅行需要を喚起する方策を今後講じていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 国内旅行需要の喚起のためには、全国旅行支援等の時限的な措置に加え、継続的な旅行需要の喚起策が重要であると思います。

 そのため、国土交通省では、近年の働き方や住まい方のニーズの多様化等を踏まえ、テレワークを活用したワーケーションの推進や、何度も地域に通う旅、帰る旅を定着させる第二のふるさとづくりといった国内における新たな交流市場の開拓や、平日への旅行需要の平準化を促す、平日にもう一泊キャンペーンなどに取り組んでおります。

 こうした取組を通じて、引き続き、国内の旅行需要を継続的に喚起していきたいと思っております。

古川(元)委員 その一つに、さっき小野さんも言われましたけれども、高速道路料金を定額制にして、そうすれば私は国内旅行の需要喚起策として効果があると考えますけれども、国交省は効果があると考えているのかいないのか、もしいないというんだったら、その理由を教えてください。

斉藤国務大臣 もろもろの宿泊費用や高速道路料金を含む移動費用など、旅行費用全体が低廉化すれば、国内旅行が促進される、このように認識しております。

 一方、休日上限千円を導入した際には、毎週ゴールデンウィーク並みの激しい渋滞が発生したことなどを踏まえれば、定額制により渋滞が増加した場合、定時性が確保されないことにより、旅行をためらう人も出てくる可能性があるのではないかとも考えております。

古川(元)委員 でも、渋滞が出たということは、需要が喚起されたということでしょう。じゃ、効果はあるということですね、大臣。いいですね。

斉藤国務大臣 旅行費用が低減されれば、促進の効果は当然あると思います。

古川(元)委員 じゃ、効果があるんだったら、今言われた休日の千円、それはやり方が悪かったんじゃないかと思うんですよね。だから、これは試行でもいいから、あのときの麻生政権の反省も踏まえて、新たな形の定額制にしてみて、やってみたらどうですか。それで、先ほどから議論があった、距離制と定額制、どちらが国民経済にとって、高速道路料金のところでの公平性じゃなくて、高速道路とインフラを活用するのがどちらが国民経済の観点から効用が大きいか、それを一回比較考量してみてはどうですか。

 もし、その比較考量さえできないというんだったら、なぜそこまで距離制にこだわるのか、その理由を教えていただきたいと思います。

斉藤国務大臣 委員が提案されている定額制については、メリット、デメリット、よく比較考量することが必要であると考えております。

 特に、デメリットとして、高速道路を短距離で利用されている方々に長距離の料金と同じ料金を支払っていただくとした場合、短距離の利用が減少し、一般道路が渋滞する可能性があること、それから、先ほど申し上げました渋滞のこと、それから、他の交通機関においては利用者が減少するといった影響も生じたこと、それから、低い料金での定額制の場合は減収が見込まれ、今後の更新事業や暫定二車線の四車線化などの投資に必要となる追加の債務について、既存の債務と合わせて、安定的に返済していくことが難しいことなどが挙げられ、慎重に検討する必要があると思っております。

 高速道路の料金については、現状の制度に固執することなく、他の交通機関への影響や負担の公平性も考慮しつつ、高速道路の利用がより促進される料金となるよう努めてまいりたいと思います。

古川(元)委員 いや、固執しているのは国交省なんですよ。とにかく一回、デメリットは、それは距離制のデメリットだってあるんですよ。だから、両方やってみて、一回定額制を暫定的にやってみて、その上で本当にメリット、デメリットを比較考量して。ただ単に道路のところだけじゃないです。先ほど申し上げているような、国民経済としてどちらがより効用が大きいか。やはりそれを一回、実験的でもやってみる。どうですか、大臣、一度やってみたら。いかがですか、これは。

斉藤国務大臣 先ほど申し上げましたようなデメリットもございます。慎重に検討する必要はありますけれども、試行だとしても、直ちに実行することは困難である、このように認識しております。

古川(元)委員 時間になったので終わりますけれども、引き続き、党派を超えてこの問題は取り上げていきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

木原委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

木原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、今年八月三日、九日と連続して東北地方を襲った大雨被害、とりわけ青森県のリンゴ園地の冠水被害について質問をします。

 資料の一枚目を見ていただきたいと思います。

 岩木川は、その源を世界遺産、白神山地に発し、津軽平野を貫いて、十三湖、そして日本海に注ぐ流域面積二千五百四十平方キロメートルの一級河川であります。この度の豪雨では、この左側にあるリンゴ園地、赤いところ、それのかなりの部分が被災をいたしました。右側に青森県の作った被災の地図があるわけですけれども、河川敷にあるリンゴ園のほとんどが泥をかぶり、倒木や腐敗果実も目立ちました。

 せめて一回目だけであればまだしも、九日からの大雨が更に被害を広げ、リンゴの木は頭まで水をかぶり、もうここではやれないと、二回目に私が訪ねたときの生産者たちの顔は鬼気迫るものがありました。来年の春に咲くはずのリンゴの花が既に咲いている木も多く、来年もこれでは難しいかもと不安を抱えております。

 岩木川中流部の河川敷の八割を占めるリンゴ園地は、これまでも度々冠水被害に見舞われてきました。国交省は二〇一二年、一三年をかけて管理用通路などを整備してきたことは承知をしておりますが、国交省はリンゴ園地の復旧と今後の被害対策についてどのように取り組んでいくのでしょうか。

斉藤国務大臣 川沿いにリンゴ園が広がっていた岩木川では、住宅等の浸水被害を防止するため、リンゴ園の背後に堤防を整備するとともに、リンゴ園の冠水頻度を低下させるため、周辺よりも少し高い管理用通路を整備してきたところでございます。

 今年八月の豪雨では、岩木川において計画高水位を上回る洪水となりましたが、これまでの堤防整備により、堤防からの氾濫を防ぐことができ、甚大な被害を回避することができました。

 一方で、河川区域内のリンゴ園が水没したほか、管理用通路が被災したことから、九月中旬までに管理用通路の応急復旧を実施したところでございます。

 今後、速やかに管理用通路の本復旧を実施するとともに、リンゴ園の冠水頻度の低下にも資する河道掘削を推進し、地域の安全確保に努めてまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 二枚目の写真を見ていただきたいと思うんですが、今大臣、分かりやすい表現をしてくださいました。背後に堤防ができたということで、堤防によって住宅は守られたんです。今回も住宅の被害はありませんでした。しかし、結局、河川敷になってしまうリンゴ園地、これはS字に川が流れております。そして、黄色い線が今大臣のおっしゃった管理用通路というものです。左下にその図が書いてありますけれども、堤防の中に造るわけですから、堤防ではなくて管理用通路と呼ぶ。ですので、堤防のような高さもなければ強度もない。それが今回崩れて園地に土砂が流入したということでありました。

 まず、ここでちょっと国交省に確認しますけれども、この管理用通路を復旧というお話がありました。それについては、強度、かさ上げも含め、被災者の皆さんとよく協議をしながら進めていくということでよろしいですね。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 管理用通路の復旧に当たりましても、地域の皆様方、リンゴ園の方々としっかり話をしながら進めていくものだというふうに心得ております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 生産者と話をしながら進めていくというお答えがありました。

 本当に、この図を見ていただければ分かるように、ここは非常に低い地域なんですね。ですから、堤防があって、下手をすれば園地がプールのようになってしまう、こういう構造になっています。

 そこで、二〇一九年の台風十九号で、長野県の千曲川が決壊し、リンゴ園なども冠水被害がありました。あのとき現地に行って、灰をかぶったリンゴの木を見て息をのんでしまったわけですが、ここでも同じ状況なんですね。灰をかぶったリンゴというのは同じ状況。三割は岩木川と同じように堤外地、つまり堤防より川の側にリンゴ園があるということです。市や県の単独事業、国の改植支援の活用もされました。しかし、そうした中で、やはり廃業も多いと聞いています。

 台風十九号を契機に廃業に追い込まれたリンゴ生産者がどのくらいいるのか、把握していたら教えていただきたい。また、今年の水害で被害に遭った岩木川のリンゴ生産者が営農を続けられるために、やはり同じことにならないように、支援策を簡潔にお答えください。

角田大臣政務官 まず、三年前の台風十九号の影響についての御質問ですが、果樹農家は、高齢化及び担い手不足等の理由により、年々減少傾向にあり、台風被害に原因を特定して廃業した農家の数をお示しすることは困難でございます。

 なお、長野県庁によると、二〇一九年の千曲川流域の台風被害については、確認している範囲では、被害により廃園、離農した農家は三名で、若い農家に引き継いだケースや別の場所に新植して営農している農家も含め、多くでリンゴ生産が継続をされていると聞いております。

 次に、本年八月の大雨による被害ですが、八月三日からの大雨による青森県の岩木川の氾濫により、六百ヘクタール以上のリンゴ園地が冠水等の被害を受けたところです。

 農林水産省では、来年のリンゴ生産に大きな影響が生じないように、季節外れの出芽の冬季剪定など、リンゴの樹体の回復等に向けた取組への支援、土壌の通気性確保のため、小型管理機等により行う耕うん作業など、堆積土砂の影響防止に向けた取組への支援、さらに、泥水被害を受け改植が必要な園地については、改植等への支援などを行っています。

 農家の方が営農を継続できるよう、青森県等と連携しながらしっかり支援してまいります。

高橋(千)委員 ここは要望にとどめますが、この決壊したところの一番大きかった長沼地域の農業経営体数、二〇一五年から二〇二〇年までで二百五十九件から百二十九件ということで、百件以上減っているんですね。その前の五年間でいうと三十件であるということから見ても、かなりの方が廃業になっているおそれがある。

 昨年の八月も豪雨災害がありました。やはり、私が今日問題にしている堤防の内側、川側のところだけが被害を受けておりますので、こうした問題というのはこれからも各地で起こってくるということで、しっかりと議論していきたい、このように思っております。

 そこで、弘前に戻りますが、弘前市大川地区、藤崎町白子地区などの生産者の声を聞いてきました。今度ばかりは移転が必要だ、買い取ってほしいとの声が多く、板柳町の成田誠町長も、農水大臣の同席する場で移転補償を求めておりました。町長に対しては、生産者から園地の買上げを求める要望書を出したと地元紙が報じています。何年も前から言ってきたけれども、なぜうまくいかないのか、様々に話し合ってもきました。生産者と私がという意味です。

 まず、国交省に確認しますが、そもそも河川敷は、河川法の二十四条、河川管理者による土地の占用許可が必要な公共用地だと思いますが、違うでしょうか。また、本来は、畑、園地などは占用許可の対象外であって、リンゴ園地がそこにあるという理由は、やはり、旧河川法の時代から、青森県管理から引き継ぐ形で経過措置が認められてきた、そういう理解でよろしいでしょうか。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 河川内の、通常、水が流れている土地と堤防との間にございます河川敷は、洪水を安全に流下させるための土地でございます。

 この河川敷を占用する場合、国有地については、先生御指摘のとおり、河川法第二十四条の規定に基づき、河川管理者による土地の占用の許可が必要でございますが、民地については占用許可を受ける必要はないということでございます。

 また、一般的には、個人によるリンゴ園の占用というのは認められておりませんが、先生御指摘のように、岩木川の河川敷の国有地の部分にあるリンゴ園は、昭和三十九年制定の現在の河川法の施行前から占用が認められていたものであることから、経過措置として現在も認められているものでございます。

高橋(千)委員 昭和四十年の、旧河川法から新河川法になるときに青森県から引き継いだということで、今分かっているだけで、当時は、畑、果樹園が千六十四件、土地の占用ということであったんですが、現在、一番新しい数字で、リンゴの土地の占用が四十二件あるということでありました。

 やはり、いろいろな、何かまるで勝手に占用しているみたいな表現を周りから言われたり、生産者の皆さんはすごく傷ついていたんです。だけれども、歴史的経緯があるんだということを今お認めいただいたと思います。ありがとうございます。

 そこで、岩木川の河川敷のリンゴ園は四割が民地であります。千曲川も同様に民地が多いと聞きました。

 古い話で恐縮ですが、昭和四十年、一九六五年三月二十三日の参議院の建設委員会で、田中一参議院議員が、堤外地、堤防から見て川のある側にある民地の問題を取り上げております。田中議員は日本社会党から全国区で出た参議院議員ですが、青森県出身の方であります。

 質疑は、治山治水緊急措置法の改正案で、今のように五か年計画というのがあったわけですね。それで、民地を五年以内に買取りするのかと聞いています。河川局長の答弁は、工事をやる分は購入し、それに関連をする区域については買取りをする。まあ、いずれにしても買うということですよね。でも、東北地方のような広大な部分は五年では無理だ、十五年から二十年の計画を今立てているという答弁でした。

 ということは、この答弁で十五年から二十年の計画と言われた堤外地にある民地の買取りは実際にやられてきたんでしょうか。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 河川整備に伴う用地買収につきましては、財政制約の下で整備に必要な土地を優先して買収することとしております。

 具体的には、堤防を造る築堤、あるいは河道掘削等の河川工事を施工するために必要な土地、あるいは河川管理上必要な土地から買収しております。

 岩木川における用地取得の状況を取り急ぎ過去十年分調べましたところ、河川工事に必要な土地として約二十九ヘクタールの買収を行っておりますが、そのうち、堤外民地の部分につきましては、河川掘削に必要な一部の箇所に限って買収をしているという状況でございます。

高橋(千)委員 今冒頭おっしゃいました、財政制約の下でと、これを、このときの質疑では結構率直にお話をされているんですよね。そうはいってもお金が足りない、堤防を造るか、買取りするか、両方はできないというようなお話があった。それを分かった上で、それだけの年数がたっているんだから、改めて原点に返ってもいいんじゃないかという趣旨で聞いております。

 岩木川中流部のリンゴ園は、この図にあるように、両岸に堤防ができています。一番直近でできた堤防は、三世寺、大川地区、私が通ったところですが、の堤防で、二〇一六年度に完成をしています。

 この整備に当たって開催された住民説明会では、おおむね賛成とあるものの、堤防内の園地は買取り対象にならないのかという意見がやはり出たそうであります。これは二〇一四年三月二十五日の東奥日報。

 堤防が直接かかる用地は、当然、そこに堤防を造るわけですから、説明会でちゃんとあなたのところよと説明されて、買収もされています。だけれども、そうではない、河川敷にあるリンゴ園地の生産者にとっては、堤防が背後にできて、堤防の中にされてしまったということで、後から来たんだよとみんなおっしゃっている。なので、リンゴ園地も本来は買取りすべきだったのではないでしょうか。大臣にこれは伺います。

斉藤国務大臣 岩木川の河川整備に当たっては、地域の意向も伺いながら、財政制約の下で早期に堤防整備を進めるため、整備に必要な土地を優先して買収するという方向で進めてまいりました。

 委員御指摘の、二〇一六年度に堤防が完成した大川、三世寺地区においては、堤防整備に当たって、住民説明会を通じて丁寧な対応に努め、用地買収範囲の御了解をいただいたところでございます。

 その際、地域の意向も踏まえ、リンゴ園の冠水頻度を低下させるため、周辺よりも少し高い管理用通路の整備を行うことといたしました。

 今後も、できる限り早期に事業効果を発揮できるよう、地域の意向を丁寧に伺いながら治水対策を進めてまいります。

高橋(千)委員 当然、園地がある人は、その堤防に一部かかる人もいるわけで、その方がその説明会のときにお話をされたせりふは、あの水を見たら反対するわけにはいかないと。つまり、当時は八百五十戸くらいの住居が床上、床下浸水をしておりまして、それだけの被害を目の当たりにして、自分たちも冠水しているんですよ、だけれども、やはり命を守らなくちゃということで、堤防を造ることに誰も反対はできなかったわけですよ。それをよく酌んでいただきたいと思うのと、そこからまた年数がたって、管理用通路で、これで当分安心だと思っていたら、思っていたら、また今回、頭まで来る水が来たんだ、今度ばかりは買い取ってほしいと言っている、そういう生産者の気持ちを考えていただきたい。命を守るのは当然なんだけれども、そのためにずっと我慢をしなきゃいけないのかということは、やはり違うんじゃないかと思うんですね。

 それで、もし今後、リンゴ生産者が、もう諦めて廃業して、園地が放置されてしまうと、それ自体が洪水の原因となるのではないかと思うんです。平成十九年三月の岩木川水系河川整備計画にはこう書いてあります。河道内の樹木が繁茂すると、洪水時の流水の流下を阻害したり、樹木と堤防の間に高速流を発生させて堤防を浸食し構造物を破壊するおそれがあると明記をしていたわけですね。

 最初にお話ししたように、下流には十三湖があって、シジミなど、日本一だと言っているシジミの漁が行われている、そうした下流への影響も大きいわけですよ。つまり、園地をやめてしまえば廃木がどんどんできてしまうことになるわけですから、そこは、事実としてそういうおそれがあるということはお認めいただけますよね。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的には、河道内で樹木が著しく繁茂いたしますと河川管理の支障となります。このため、定期的な調査に基づき、必要に応じ、樹木の伐採、これを計画的に行っているところでございます。

 また、河道内の民地に繁茂した樹木につきましては、土地所有者に伐採の協力を求めたり、場合によっては、承諾を得た上で河川管理者が伐採するという場合もございます。

 この岩木川においても、リンゴ園を含めた河川敷の樹木の状況、これをしっかりと把握して、適切な河道管理に努めていくというのが基本的な考え方でございます。

高橋(千)委員 まず、一般的にはということでお認めいただいたと思います。あと、民地の場合は土地所有者が伐採するんだよというお話だったんですが、そういう形でリンゴ園を整備してきた民地の生産者が、それが結果として環境を守ってきたということにもなるわけですよね。

 確かに、遊水地として買取りできないかと生産者が要望しています。それに対して、両岸にもう堤防があるんだから、守るべきものがないんだから、答えはノーだと国交省は言うわけです。でも、リンゴ園は、住宅ではないけれども、生産者にとっては生活の糧であり、住居と同じかそれ以上に大事だということを分かっていただきたいんです。

 二〇〇七年に、河川整備計画の策定に当たって、住民説明会で、環境保全の観点から、リンゴというのは農薬を使っているから下流に流れてしまう、そういう意見もあったんです、一部には。それに対して、国交省が、リンゴ園は、地域の産業との関連もあり、単純に川から追い出すことは考えていません、現在の広い河川敷には新しい生態系もつくられており、洪水を遊水する機能も持っていますので、現状の環境を生かした川づくりを行う方針ですと答えているんですね。

 非常に大事な答弁だと思うんです。本来は、リンゴ園そのものが、要するにきちんと管理をされているリンゴ園が、やはり洪水を、国交省の表現をすると、遊水する機能を持っていると考えていたのではないでしょうか。

 今、異常気象がどんどん強まる下で、流域治水の考え方を生かして、生産者が参加できる、そして理解しながら、ハード、ソフト両面での洪水対策を進めていくべきだと思いますが、大臣に伺います。

斉藤国務大臣 岩木川の中流部は、地域との合意形成を図りつつ、元々リンゴ園が存在していたところに堤防を整備してきた地域でございます。広い川幅を生かした河道の遊水機能を維持しながら河道掘削等の治水対策を実施しているところです。

 流域治水の推進に当たっても、河道内でリンゴ園を営む地域の方々を始め、あらゆる関係者の御協力が不可欠であり、引き続きしっかりと連携して水害に強い地域づくりに全力で取り組んでまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 大臣がとても強調してくださった、元々リンゴ園があったところにと、そういうことなんですよね。河川敷の中でリンゴ園をやってきた、その中にその頃は堤防がなかったわけで、様々、冠水被害もあったけれども、河道掘削したりしながら、しかし、河川整備計画の表現をかりますと、白神山地があり、津軽平野があって、岩木川とリンゴがある、その美しい景観そのものが大事なものなんだということでやってきたわけで、背後から堤防が来て、それで、これから先は我慢をしなさいではなくて、これまで協力してきた生産者の皆さんがしっかりと主役になって話を聞いていただいて、必要な支援をやっていただきたい。

 最初の願いはかなえられないかもしれないけれども、だけれども、そうした経過を踏まえた対応をしっかりやっていただきたい、ここを要望にとどめて、終わりたいと思います。ありがとうございました。

木原委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 私は、四月二十日、あと五月二十五日、通常国会で、委員会で、斉藤鉄夫、鉄ちゃん大臣に対しまして、鉄道政策について議論をさせていただきました。今日はその第三弾ということで、続きの議論をさせていただきたいと思いますので、十五分間おつき合いをいただければというふうに思います。

 七月に、鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会の提言が出されました。JR六社の路線別の輸送密度が公表されまして、輸送密度が千人未満等の線区は再構築の必要性がある、広域的調整の必要性がある、そうした線区については、鉄道事業者又は自治体の要請を受けて国が新たな協議の場を設置するというふうにされております。

 地元では、私の地元、鹿島線と水郡線の常陸大宮から先が対象になっているんですけれども、廃線に向けた布石であるという動揺も走っているところでございます。

 そこで、幾つか確認させていただきたいと思うんですけれども、提言では、新たに国の主体的な関与により協議会を設置すると書いております。一方で、国交省の資料を見ると、国が関係自治体や鉄道事業者の意見を聞かずして一方的に協議の場を立ち上げることはないとしておりますけれども、これは、聞かずして一方的に立ち上げることがないんだったら主体的じゃないと思うんですけれども、逆に言えば。

 この主体的な関与というのは、具体的に、国は何をすることを意味しているんでしょうか、御答弁をお願いします。

上原政府参考人 お答えいたします。

 一部のローカル鉄道につきましては、JR線区を含めまして、大幅な利用者の減少により危機的状況に置かれており、どうすれば真に地域の発展に貢献し将来にわたって利便性が感じられる公共交通に再構築できるか、事業者任せにせず、沿線自治体を含む関係者が一丸となって、主体的に、真剣に考えなければならない時期に来ていると考えております。

 御指摘の有識者検討会におきましては、公共交通再構築の必要性が高く、広域的調整が必要な線区につきましては、国が主体的な関与により新たな協議の場を設ける、国が主体的に協議の場を設けていくということを記述しております。一方で、その場合においても、地域の意見をしっかり聞きながら協議の場を設けていきたいという趣旨が、この提言の中に盛り込まれているというものでございます。

福島委員 そうすると、ニュアンスだと、かなり国が前に出て、主体的というのは、やはり、地域の意見を聞かずに一方的にはやらないけれども、むしろ国が先に、おお、あなたたち、協議しようと呼びかけるイメージということで、大臣、よろしいですか。

斉藤国務大臣 私が提言を受けたときに感じましたのは、やはり一義的には、地域、そして地方自治体、事業者だと思います。問題点を共有して、これからその地域に必要な地域公共交通をどうしていくかということを話し合う、そこに国としても積極的に関与する、こういうことだと思います。

福島委員 ちょっとニュアンスが違うと思うんですね。積極的と主体的というのは違って、主体的というのは、まさに主ですから、自分たちがやるということなんです。

 私は、そこはなぜ大事かというと、先ほど来、小宮山委員や伴野委員のときもありましたけれども、頑張る地域を応援するということが非常に気になるんですよ。これは、役人が大体、頑張る地域を応援するというところは、物すごい上から目線で、客が乗っていない線はどうせ頑張っていないから、おまえら廃線だというようなニュアンスに捉えられてしまうんですね。

 だから、今の大臣の答弁と鉄道局長の答弁の違い、ニュアンスの違いというのは、実は私は大きなことだと思っておりまして、大臣の答弁のとおりだったら安心ですけれども、そうじゃないとすれば、やはりきちんと我々立法府の場でもチェックをしていかなければならないと思いますので、そのことをまず申し述べたいと思います。

 提言で、あくまでも、廃止ありき、存続ありきといった前提を置いて開催すべきものではなく、あくまでも利用者の目線に立って、ファクトとデータに基づく、地域の今と将来にとってどのような公共交通の在り方が本来望ましいか、未来志向で真摯に協議といって、合意形成に向けて、国は、ビッグデータの解析とかクロスセクター分析で線区評価をやったりとか、実証事業を行うといったことをやりながら、丁寧に実証しながら、鉄道を維持するのか、あるいは、BRTとかバスに転換するかといってやっていくのは、このプロセス自体が、私は、非常に丁寧な協議、調整のプロセスが用意されているものとして一定限の評価をいたします。

 それで、その結果、国は制度面での支援を行うほか、関係部局の予算を総動員して、再構築に必要な経費を財政面で支援すべき、これも役人的に見ると、関係部局の予算を総動員してというのがひっかかるんですよ。これは、既存の予算のやりくりをしますという意味だと思うんですね。

 私はそうじゃないと思っておりまして、仮に鉄道を維持するために新たな投資を必要とするときに、関係部局じゃなくて、これまでにない斬新な予算措置なんかを用意しなければならないときも必ずあると思うんです。そうした新たな予算措置、斬新な税制、そうした適用も含めてこの支援措置というのは考えているのかどうか、御答弁をお願いします。

上原政府参考人 お答えいたします。

 この支援につきましては、骨太の方針におきましても、従来にない実効性のある仕組みをつくるべきという御指摘をいただいておりまして、今回の予算、概算要求におきましても、事項要求という形で、今、財政当局と調整をしているところでございます。

福島委員 それだけの答弁ですか。事項要求をしていますというのは、これは官僚答弁です。

 大臣、これまでの前例にとらわれない予算措置をやるという決意をお示しいただけませんでしょうか。

斉藤国務大臣 私はそのように思っております。

 今回、いろいろ、これから国も入って、三者協議、四者協議、行われると思います。そこで、こういう例えば社会実験もやってみたいというようなことに対しても、しっかり財政的な支援も考えていかなきゃいけないと思いますし、また、結論が出たときに、それは国も入って協議した結論ですから、国としては、当然これを実行する必要があります。そのときに、お金が必要になったらそのお金も、新たに必要なお金だったら、それは用意しなきゃいけないということだと思います。

福島委員 是非、斉藤鉄夫、鉄ちゃん大臣の政治的なリーダーシップに大いに期待したいと思っております。

 提言では、この検討の対象にならなくても、我が国の基幹的な鉄道ネットワークを形成する線区については、「地域振興のみならず、我が国全体の経済成長や地球環境問題への対応、災害対応や安全保障等の観点から重要な役割を果たしており、引き続き、鉄道の維持を図っていくことが強く期待される」と書いてあるんですね。これも、読んでみると、「強く期待される」という表現が非常に気になるんですよ。

 国として鉄道インフラにどこまで責任を持つのか。国鉄が三十五年前に民営化された後、どうもその鉄道の投資というのは、国が余り関与、一部を除いて、整備新幹線などを除いて、何かもう民間任せで、強く期待されると。何か、他人がやることを期待するような表現になっているように見えるのが私は非常に気になるんですね。鉄道インフラは、整備新幹線以外はあとは何もやらなければいいのかといえば、そうではないと思います。

 資料の一というのがありますけれども、東日本大震災のときに、私の地元の被災地で、ガソリンがなくなって長蛇の列ができましたけれども、東北はもっと大変でした。製油所が全部やられちゃって、ここにも書いてありますけれども、横浜の根岸の製油所からぐるっと郡山とか盛岡に、日本海側を通って、このローリーのやつで、機関車で引っ張って油を持っていったという事例がこの記事であります。

 これは美談のように思えますけれども、例えば、盛岡に行くにしても、新幹線ができたために、青い森鉄道とかIGRいわて銀河鉄道といった第三セクターを通らなきゃならなかったり、磐越西線という新潟、新津から郡山へ行く途中は、地元ですけれども、一部が非電化区間なので、ディーゼル機関車につなげなければならない。その努力をしたと言っているんですけれども、裏返してみれば、磐越西線は電化されていないわけですよ。

 あるいは、これは青森の方を通っていますけれども、これは、検討の途中で、陸羽東線、西線というのがあるんですけれども、これは、勾配がきつかったりして貨物列車は走れないというので、ぐるっと青森まで回っていて、日本海側と太平洋側を結ぶ鉄道というのはきちんと整備されていないんですね。

 防災上の問題とか、あるいは、今、これだけ北東アジアの安全保障の情勢が緊迫化している中で、こうした鉄道がそのまま民間任せの運営になっていていいのか。

 この多くは、今回も検討の対象になっている線路なんですね。でも、国土政策の観点からすれば、これは、廃線の検討を行うんじゃなくて、むしろ、電化をしたり、勾配を直したり、トンネルを改修したりして、国土の幹線として整備するということを、私は国が決定すべきことではないかと思うんです。そう思いますよね。

 今ちょうど国土審議会の計画部会で、来年の決定に向けて国土形成計画というのが作られています。その中で、私は、こうした鉄道インフラ、道路とか港とか飛行場は国が前面に出て公共投資としてやるんですよ、鉄道は、整備新幹線と、ちょっとあります、主に整備新幹線以外は完全に民間任せになって、国土のインフラとしてどのような鉄道網をつくっていくかということは、国鉄の分割・民営化以降はほとんど書かれていないんですね。

 カーボンニュートラルの観点からも、防災の観点からも、先ほど古川さんがやっていたインバウンドの問題からも、どういう鉄道網を、在来線の鉄道網を整備していくかというのは、これは国が大いに関与して行うべきものなのではないかと思いますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。

斉藤国務大臣 大変重要な視点だ、このように私も考えております。

 鉄道は、各地域の移動手段として国民の日常生活や観光等の産業活動を支えるとともに、全国ネットワークとして地域間交流など社会経済を支える重要な公共交通機関です。

 物流面でも、全国ネットワークを生かし、環境に優しく、トラック運転手不足等の諸課題に対応できる効率的な輸送手段として、災害時の物資輸送を含め、重要な役割を担っております。

 先ほど国土形成計画についての言及がございました。来年夏、十年ごとに出しておりますけれども、今、審議会で議論をいただいております。二〇五〇年、先を見据えたここ十年の計画ということでございますけれども、この新たな国土形成計画においても、地域交通の再構築を始めとする地方の生活利便性の向上といった観点も含め、しっかり鉄道を位置づけてまいりたいと考えております。

福島委員 そのときに是非検討いただきたいことがあるんです。

 資料の二がありますけれども、これは主要国の鉄道の運営組織というものを調査室に作っていただいたものなんですけれども、お隣の韓国や中国だけじゃなくて、ヨーロッパ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、みんな線路の部分は国かあるいは政府の会社が持っていて、つまり公で持っていて、運営は、国鉄の場合もあるし、民間が走る場合もあるんですけれども、鉄道の事業の運営形態が違うんですね。

 私は、もう一度、この鉄道、線路というのは一体誰のものなのかということ、そして、その線路をどこに引くと決めるのは誰なのかという、根本的な鉄道の事業の運営の形態から検討しなければならないと思うんですけれども、大臣の御見解はいかがでしょうか。大臣です。大臣の思いを。

上原政府参考人 お答えいたします。

 国鉄改革から三十五年が経過いたしております。国鉄改革は、それまでの国有鉄道といった形態を民営化するという政策を打ったものでございます。

 その間でいきますと、JR各社の生産性は大幅に向上いたしております。また、技術革新と相まって、全体的なサービスレベルは向上して、国鉄改革が目指しました鉄道の再生という観点からは大きな成果を上げていると評価をいたしているところでございます。

 我が国は、この国鉄改革の際もありましたけれども、人口密度が非常に稠密で、民間によっても鉄道ができる素地があるということで、ヨーロッパの各国とそうした環境が違うこと、そうしたことを踏まえて、国鉄改革で民営化が行われております。

 一方で、各社の間では収益力に大きな差が生じるなどの問題も出てきております。今回は、地方部におきまして、特にJR各社任せではなかなか対応できない公共政策課題につきまして、そうした課題の解決に向けて対応していきたいというふうに考えております。

福島委員 時間が過ぎたので手短にしますけれども、そういう答弁をするから、大臣に答弁を求めたんです。どういう鉄道の形態にするかというのは、役所が判断することではありません。我々政治家が決めるものだと私は考えます。

 ですので、この国土形成計画、来年決められますけれども、国土審議会は、国会議員も入る異例の審議会なんですね。それだけ国土の基本を決めるのは政治の関与が必要だということは、法律でも定められていることでありますので、この委員会でも集中的に取り上げていただきますことを委員長にお願いを申し上げまして、質問とさせていただきます。

 以上でございます。ありがとうございます。

木原委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組の不沈空母(仮)、たがや亮です。

 冒頭、大臣、元気ですか。猪木さんとは、もう二十年以上前から親しくさせていただいており、平和を愛した猪木さんに心より御冥福をお祈りしたいと思います。

 さて、時間がないので質問に入らせていただきたいと思います。

 本日は、アマゾンなどの宅配業務を請け負う軽貨物ドライバー、いわゆる末端ドライバーの悲惨な現状について質問したいと思います。

 実は、私も十代の頃に軽貨物ドライバーのアルバイトをしておりましたので、当時と比較して、現状を聞いてびっくりしています。そのことも踏まえて、質問をさせていただきたいと思います。

 近年、インターネット通販の利用拡大に伴い軽貨物ドライバーが急増していることは皆さん御存じのことと思いますが、資料一を御覧ください。

 読売新聞オンラインの記事からですが、棒グラフが黒ナンバー車の台数推移、折れ線グラフが黒ナンバー車の重大事故件数です。主に宅配で使われる黒ナンバー車が原因で死者や重傷者が出た重大事故が、二〇一六年の百九十九件から二〇二一年までに八三%増の三百六十五件と五年間で八割以上も増えています。彼らのほとんどが会社と業務委託契約を交わす、すなわち個人事業主として従事しています。

 自由な働き方と一部ではもてはやされておりますが、実態は違い、個人事業主として働くドライバーたちからは、長時間労働、過酷な運行を強いられた、一方的に契約の不利益変更をされた、突然契約を切られたなどなど、過酷、悲惨な労働環境であるとの声が私の事務所にもたくさん寄せられており、その実態がこのような事故の急増に結びついているということが推測されます。

 先日、労働組合の建交労軽貨物ユニオンさんと、実際に通販大手でアマゾンの配達を請け負っていたドライバーさんにお話を伺いましたが、数年前は一日当たり百四十から百五十個だったのが、今では一日二百二十個以上も配達させられることもあるとのことです。

 国交省から出ている改善基準告示では、労働時間について、二日平均で一日当たり九時間以内、二週間平均で一週間当たり四十四時間以内と定めておりますけれども、どうやっても九時間で二百個を超える荷物はこなしようがなく、一日十二時間を超える業務が常態化しているとのことです。

 このような過酷な状況で、とんでもない数を休憩も取らずに焦って配達をしなければならず、さらに、毎日の長時間労働で疲れも限界に来て注意散漫になり、事故が起こりやすくなるのは当然。さらには、スピード違反や駐車違反などせざるを得ない状況下に置かれ、全てのリスクが、業務委託の形態の下、ドライバーに降りかかっているのが実態です。

 しかも、彼らが受け取る報酬は車建て運賃と言われ、何個配ろうが一日当たりの報酬は変わらないため、コロナ禍において荷物量が一・五倍増えても報酬は変わらないというもので、割に合いません。ガソリン代や車の維持費も全て自分持ち、事故があった場合でも自分持ちです。

 そこで、大臣に質問です。

 斉藤大臣はこのような状況は御存じでしたでしょうか。

斉藤国務大臣 軽貨物運送事業において過重労働に関する報道等があることについては、承知しております。

 軽貨物運送事業者は、輸送の安全確保の観点から、貨物自動車運送事業法に定める運転時間や拘束時間等を遵守する必要がありますが、荷主や元請事業者から、過大な配送依頼など長時間の業務を強いられること等により遵守できないと認められる場合には、国土交通大臣が荷主や元請事業者に対して、働きかけや要請、さらには勧告、公表を行う制度となっております。

 国土交通省としては、この制度を活用するとともに、関係省庁とも連携して、軽貨物運送事業者が長時間の業務等を強いられることがないよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

たがや委員 大臣、同法に基づいて働きかけや要請、勧告、公表をすると言われていますけれども、周知ができていないんですよね。ちゃんと機能していないと思います。

 この件は後ほど触れますが、じゃ、なぜこのような状況が起こっているのか、資料二、三を御覧ください。

 軽貨物の配達の仕組みは、資料にあるとおり、荷主であるアマゾンが、まず元請運送業者に業務委託という形で委託しますが、その下に多数の事業者がぶら下がり、それぞれ利益の一部を切り抜いていく、切り取っていく、いわゆるピンはね構造になっています。膨大な荷物を漏れなくこなすためにこのような構造になることは百歩譲って理解しますけれども、それにしてもピンはね率が高過ぎると思います。これには速やかな規制が必要ではないでしょうか。

 さらに、あなたはこのエリアでこれだけの荷物を運びなさいというドライバーへの指示はID認証で統括管理されており、あたかも下請業者を通して指示を出しているかのようですが、結局のところは、アマゾンからの直接指示と変わらない仕組みとなっております。

 そして、アプリで配達先や労働時間をAIで管理され、一生懸命配達すればするほど、AIがもっとこの人は配達できると判断し、荷物もどんどん増えていくとのことです。実際には一日十二時間以上の労働が当たり前になり、いつしか配達員は体を壊して辞めていくそうです。文句が言いたくても契約を打ち切られるのが怖くて言えない、下請業者に改善を要求しても、アマゾンで決められていることだからと言われ、改善がなされないとのことです。

 業務委託すなわち個人事業主として請け負っているはずの配達員が、アプリで直接、荷物数やエリアの指示を受けて半ば強制されているということは、事実上、配達員の裁量で配達できないということになります。これは完全に、ちまたで話題の偽装業務委託と言えるのではないでしょうか。所管する省庁で結構ですので、お答えをいただければと思います。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事案についてはお答えを差し控えさせていただきますが、労働基準法の労働者に該当するかどうかは、基本的には事業に使用されるものであるか否か、その対象として賃金が支払われるか否かについて、契約の名称にかかわらず、実態を勘案して総合的に判断し、労働者と認められる場合には、同法の保護が及ぶものでございます。

たがや委員 ありがとうございます。

 何でもいいんですよ。労基法でも、貨物自動車運送事業法でも、何でも構わないので、縦割りにならず、しっかりと、過労死や重大事故を防止するという観点でありますから、その辺を強く改善を求めていきたいと思います。よろしくお願いします。

 大臣、ドライバーの労働環境を改善するために、国交省ホームページにある、資料四のような通報窓口があるにもかかわらず、ドライバーが知らないケースが多いです。しっかり機能していないとのことです。それらを改善させるために、元請、下請業者に、業務委託契約書ごとに重要事項説明書として通報窓口告知を附帯させることを義務づけて、ドライバーに周知してもらって、通報窓口の機能を改善させることでドライバーの労働環境を守ることが急務と考えますが、いかがでしょうか、大臣。

斉藤国務大臣 不適正な取引を防止するためには、軽貨物運送事業者を含め関係者に、先ほど申し上げました働きかけ等の制度について認識していただくことが重要であると考えております。

 このため、関係省庁や業界団体とも連携し、トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会やホワイト物流推進運動セミナー等を通じて、制度の周知徹底を図ってまいりました。

 また、適正な運送契約の締結を促進するため、書面化により共有するべき必要最低限の事項等を示したトラック運送業における書面化推進ガイドラインを策定し、関係者に周知を図ってきました。

 さらには、適正な取引の確保のため、運賃や運送について違反事例を示したトラック運送業における下請・荷主適正取引推進ガイドラインを策定し、関係者に周知を図ってきたところでございます。

 国土交通省としては、このような努力を通じて、適正な運送契約、適正な取引が確保されるよう、引き続き、関係省庁や業界団体とも連携し、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 荷主や元請とかに周知していくことというのも、そういう公知をしていくことも大事なんですけれども、同時に、ドライバーの通報窓口、これも知らない方が多いので、しっかりと先ほどのような業務委託契約書に織り込んでいくという形で周知徹底していくということをしていただくことが大事なことだと思います。これらドライバーの労働環境を守ることはもちろんのこと、重大事故を抑止することにつながりますから、しっかりとお願いをいたします。

 今日は十分で、本当は三十分ぐらい問題を作っていたんですけれども、今日は十分しかないので、また次に質疑をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございます。終わります。

     ――――◇―――――

木原委員長 次に、内閣提出、港湾法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

    ―――――――――――――

 港湾法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

斉藤国務大臣 ただいま議題となりました港湾法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 港湾は、輸出入貨物の九九・六%が経由する国際サプライチェーンの拠点であり、その周辺地域を含めれば、我が国の二酸化炭素排出量の約六割を占める産業の多くが立地する地域であります。二〇五〇年カーボンニュートラル及び二〇三〇年度温室効果ガス四六%排出削減の実現に向けた動きが加速する中、我が国の港湾及び臨海部産業の競争力の強化並びに脱炭素社会の実現に貢献するため、官民の関係者が連携して計画的かつ効果的に港湾における脱炭素化に取り組む必要があります。

 また、一昨年の国際クルーズ船内における感染症の感染拡大により、港湾機能に大きな支障が生じました。この教訓を踏まえ、感染症の感染拡大等の新たなリスクが発生した場合においても港湾機能を確実に維持するため、国が港湾管理者を支援する体制を強化する必要があります。

 さらに、地域の交流拠点としての役割を担う港湾の緑地等の老朽化や魅力の低下等に対応するため、民間の活力を最大限生かして、緑地等の再整備と魅力向上とを効果的に推進する必要があります。

 このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、官民の連携による脱炭素化の促進に資する港湾の効果的な利用を推進するため、港湾管理者が港湾脱炭素化推進計画を作成することができることとするとともに、同計画の目標を達成するため、港湾管理者が定める区域内における構築物の用途規制を柔軟に設定することができることとする等の措置を講ずることとしております。

 第二に、非常災害時に、港湾管理者からの要請に基づいて国が港湾施設の管理を行うことができる制度について、その対象となる事象の範囲を、世界的規模の感染症の流行その他の港湾の機能を著しく損なうおそれのある事象に拡大することとしております。

 第三に、港湾の緑地等において、カフェ、レストラン等の収益施設を整備するとともに、当該施設から得られる収益を還元して当該緑地等の再整備を行う民間事業者に対し、港湾管理者が行政財産である緑地等の貸付けを行うことを可能とする認定制度を創設することとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

木原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十一月二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十四分散会


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