衆議院

メインへスキップ



第3号 令和5年3月15日(水曜日)

会議録本文へ
令和五年三月十五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 木原  稔君

   理事 加藤 鮎子君 理事 津島  淳君

   理事 中根 一幸君 理事 長坂 康正君

   理事 伴野  豊君 理事 谷田川 元君

   理事 赤木 正幸君 理事 伊藤  渉君

      泉田 裕彦君    小里 泰弘君

      柿沢 未途君    菅家 一郎君

      工藤 彰三君    小林 史明君

      櫻田 義孝君    田中 英之君

      田中 良生君    谷川 とむ君

      冨樫 博之君    土井  亨君

      中川 郁子君    中村 裕之君

      西田 昭二君    深澤 陽一君

      古川  康君    三反園 訓君

      宮崎 政久君    武藤 容治君

      枝野 幸男君    小熊 慎司君

      城井  崇君    小宮山泰子君

      神津たけし君    下条 みつ君

      末次 精一君    一谷勇一郎君

      前川 清成君    山本 剛正君

      北側 一雄君    中川 康洋君

      古川 元久君    高橋千鶴子君

      たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      豊田 俊郎君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 堀内丈太郎君

   国土交通委員会専門員   鈴木 鉄夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  根本 幸典君     三反園 訓君

同日

 辞任         補欠選任

  三反園 訓君     根本 幸典君

    ―――――――――――――

三月十四日

 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

    ―――――――――――――

 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

斉藤(鉄)国務大臣 皆様、おはようございます。

 ただいま議題となりました地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 地域公共交通は、住民生活や地域の社会経済活動に不可欠な社会基盤ですが、人口減少やモータリゼーション等による長期的な利用者の落ち込みに加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるライフスタイルの変化の影響もあり、大変厳しい状況に置かれています。特に、大規模な設備を要する鉄道については、一部のローカル線区において、利用者の大幅な減少により、こうした設備を生かした大量輸送機関としての特性が十分に発揮できない状況が出てきています。

 こうした状況を踏まえ、地域の関係者が共創、すなわち連携と協働を通じて、利便性、持続可能性、生産性の高い地域公共交通ネットワークへのリデザインを進めるための仕組みを構築することが急務となっています。

 このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、法律の目的に、地域の関係者の連携と協働の推進を規定することとしております。また、国の努力義務として、関係者相互間の連携と協働の促進を追加するとともに、地域公共交通計画への記載に努める事項として、地域の関係者相互間の連携に関する事項を追加することとしております。

 第二に、ローカル鉄道の再構築を図るため、大量輸送機関としての鉄道の特性が十分に発揮できていない区間について、地方公共団体又は鉄道事業者は、国土交通大臣に再構築協議会の組織を要請できることとし、国土交通大臣は、関係地方公共団体から意見を聴取した上で、基準に合致すると認める場合には、再構築協議会を組織し、同協議会が再構築方針を策定することとする等の措置を講ずることとしております。

 第三に、バス、タクシー等の地域公共交通のリデザインを図るため、地方公共団体と交通事業者が、一定の区域、期間について、交通サービス水準と費用負担に関する協定を締結し、交通サービスの提供を行う事業と、交通分野におけるDX、デジタルトランスフォーメーションや、GX、グリーントランスフォーメーションを推進する事業を、それぞれ法律に位置づけることとしております。

 第四に、鉄道とタクシーにおいて、地域の関係者の連携と協働の一層の推進や地域に根差した輸送サービスの充実を図るため、地域の関係者間の協議が調ったときは、国土交通大臣による認可に代えて、届出により運賃設定が可能となる協議運賃制度を創設することとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

木原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

木原委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官鶴田浩久君、鉄道局長上原淳君及び自動車局長堀内丈太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。加藤鮎子君。

加藤(鮎)委員 おはようございます。

 早速、質疑の時間をいただきましたことに、まずもって御礼を申し上げます。

 山形三区の自由民主党、加藤鮎子でございます。

 早速ですが、二月十日に閣議決定をされ、衆議院に提出をされました、地域公共交通活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 今、地域公共交通は、コロナ禍の影響、すなわち、長期間にわたっての利用者の激減から、ローカル鉄道を始めとして非常に厳しい状況にございます。大臣も所信でお触れになられましたとおり、全国的に利便性、持続可能性、生産性の高い公共交通ネットワークへの再構築を進めていく必要があると私も感じてございます。所信におきまして、大臣が地域公共交通再構築元年とするという力強いメッセージを発しておられたことが大変印象に残ってございます。

 なので、まず大臣にお伺いさせていただきますけれども、ローカル鉄道再構築につきまして、政府は今後どのように取り組んでいかれますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 一部のローカル鉄道におきましては、人口減少や少子化、それからマイカーの利用の普及やライフスタイルの変化など、鉄道事業者の経営努力のみでは避けられない事情によりまして、輸送人員が大幅に減少し、大量輸送機関としての鉄道特性が十分に発揮できていない状況が見られます。

 こうした状況の中で、地域や利用者にとって最適な形での地域公共交通の維持、確保を鉄道事業者の経営努力のみに委ねることには限界がございます。まちづくりや観光振興に取り組む沿線自治体との官民連携を通じ、鉄道輸送の高度化やバス等への転換といった再構築の取組が急務と考えております。

 こうした官民連携を促進していくため、今般の改正法案において、新たに国が再構築協議会を設置することができることとしたほか、予算面におきまして、再構築に取り組む自治体を支援するための社会資本整備総合交付金の活用など、従来にはない支援の仕組みを整えました。

 本年以降、こうした枠組みをフル活用し、一つでも多くのローカル鉄道において、地域のまちづくりや観光振興と連携した形で再構築の取組が進み、人口減少の中でも、地域に安心と未来への展望を提供できるよう全力で取り組んでいきたいと決意しております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 全力で取り組んでいきたいという大臣の力強いお言葉、意気込みを伺いまして、国として主体的に関わっていく強い意思が伝わってまいりました。ありがとうございます。

 二問目に移りたいと思います。

 ローカル鉄道の在り方は、地域に暮らす住民の方々の生活に大きく影響するとても大切なテーマでありますことから、その地域の方々や自治体があずかり知らぬところで勝手に決めて進めてよいものではありません。

 実は、先日、予算委員会第八分科会でも、私、質疑の時間を頂戴いたしまして、その際に、自治体のあずかり知らぬところで勝手に廃線の話が進むなどということはない、決まるなどということはないと、はっきり政府参考人の方から答弁をいただきました。

 そこのところを改めて確認をさせていただいた上での質問ではありますが、今回、このようにローカル鉄道の再構築を議論するに当たりましては、前提として、ローカル鉄道も含め、国として鉄道のネットワークをどのように維持していくかという、大きなグランドデザインを描いておくことが必要ではないかと考えます。この辺りにつきましての政府の御見解を伺わせてください。

上原政府参考人 お答えいたします。

 今回設けようとしております再構築協議会におきましては、そこでの協議が調わない限り次の方針の策定ができません。したがって、地域があずかり知らぬところで鉄道路線が廃線になるといったようなことは、この法案上はできない形になっております。

 また、御質問がございました鉄道が有する大量輸送性、定時性、速達性等の特性は、特急等の優等列車による都市間輸送や貨物輸送の場面におきまして十分に発揮されるものと認識しておりまして、こうした機能を担う路線は引き続き維持を図っていくべきものと考えております。

 特にJRの上場各社につきましては、JR会社法に基づく大臣指針によりまして、内部補助による路線の適切な維持を求めているところでございます。鉄道特性を十分に発揮すべき路線については、赤字であるという理由のみによって廃止することは容認されません。

 ただし、利用者の大幅な減少等により公共交通としての利便性が大きく低下している場合におきましては、今回の新たな支援の枠組みを活用して沿線自治体と連携、協働して、まちづくりや観光振興の一環として、当該鉄道の維持、活性化に取り組んでいくことが期待されます。

 こうした考え方については、地域公共交通活性化再生法に基づく基本方針に反映させまして、新たな制度の運用を適切に行っていくとともに、本年夏に予定している新たな国土形成計画の策定に向けて、引き続き関係者間での議論を深めてまいりたいと考えております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 できる限り内部補助の考え方を踏襲しながら、それでも、昨日の本会議の大臣の答弁でもございましたように、粘り強く調整をしていただくということで、決して地域を置き去りにして議論を進めるわけではないという話が、今の御答弁、そして昨日の本会議の御答弁でもいただいたというふうに受け止めてございます。ありがとうございます。

 そして、大きなグランドデザインを国として責任を持って描いていくというそのスタンスもとても全体的に考えて重要だと思いますので、そこの調整が本当に大変だと思いますけれども、国として主体的に関わりながら是非とも進めていただきたいというふうに思います。

 今回の地活化法の改正案におきましては、地方公共団体又は鉄道事業者による要請に基づいて、必要と認める場合は国土交通大臣が再構築協議会を組織することができるようになると理解しております、繰り返しになりましたが。

 その再構築協議会では、調査事業や実証事業を通じて実効性を検証しつつ再構築の方針を決定していくということになりまして、その再構築の合意実現までのプロセスに当たっても国としてしっかり支援していただけるものと理解しております。

 さらに、そのプロセスだけでなく、再構築事業あるいは地域公共交通計画の中身の事業そのものに対しましても、先ほど大臣お話しになりましたとおり、社総交の枠組みを活用して国もしっかり支援をいただける、このように改めて理解をしていますが、ここで出てきます支援メニューであります鉄道事業再構築事業につきましてお伺いをいたします。

 鉄道の維持、高度化を狙いとしたこの鉄道事業再構築事業でありますけれども、利用者の利便性を確保することとされていますが、この利用者の利便ということの考え方につきまして、今現在の利用者、ユーザーだけでなく、今後、コロナ禍を乗り越えて戻ってくるであろうインバウンド、ユーザーがまた戻ってくると思うんですが、そういった新たに利用者を獲得するための施策もこの事業の狙いの中に含まれていると考えてよろしいのでしょうか。参考人にお伺いをいたします。

上原政府参考人 お答えいたします。

 ローカル鉄道がインバウンドを含む地域外の観光客を輸送する手段として、あるいは、鉄道そのものが地域の重要な観光資源として地域戦略の中で欠かせない役割を果たしている場合には、沿線自治体と連携して、観光客の鉄道利用を増やすための取組を進めることも有効と考えております。

 これまではインバウンド予算を活用してこうした支援を行ってまいりましたが、今後は、こうした支援に加えまして、本年度の補正予算から始めました実証事業の枠組みを活用いたしまして、鉄道事業者と沿線自治体が連携した観光の企画、商品作りを支援してまいります。

 また、社会資本整備総合交付金を活用した新たな支援制度を活用いたしまして、観光列車の導入など、新規需要を掘り起こすための思い切った取組につきましても支援をしていきたいと考えております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 是非、前向きな事業に対して、厳しい要件をつけ過ぎずに、皆さんが活用しやすく、御支援をいただけると大変ありがたく思います。前向きな支援があれば、議論をしっかり進めていこうという地域の機運も盛り上がるもの、そのように感じております。

 次に、同じく鉄道事業再構築事業により鉄道を維持、高度化していく支援、これについてもう一つお伺いをいたします。

 ローカル線では、交通系ICカードが使えないなど、キャッシュレス化が進んでいない地域も多く、私も地元の方々から、駅の改札がもっと使いやすかったらいいのになというお声をいただきます。

 今後、国内観光の需要も戻って活発化していくに当たりまして、首都圏から地方へ移動した利用者の方々の利便性の向上も含めて、キャッシュレス化に向けた御支援もいただけないか、そのように思いますけれども、政府の御見解をお願いいたします。

上原政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省では、鉄道事業者に対しまして、訪日外国人の受入れ環境整備等の観点から、ローカル線も含め、ICカード等のキャッシュレス決済の導入を支援しております。

 これまでも、JR北海道によるICカードの導入や、JR四国によるスマートフォンで切符が購入できるアプリの導入に対して支援を行ったほか、地域鉄道等につきましても、全国で二十二事業者のICカードの導入支援を行ってまいりました。

 さらに、今般の新たな枠組みにおきましても、まちづくりや観光戦略の中で、鉄道の利便性や持続可能性の向上を図るための施設整備を行う一環として、自治体と連携してキャッシュレス化に取り組む場合には、国としても適切に支援してまいりたいと考えております。

加藤(鮎)委員 大変に前向きな御答弁を誠にありがとうございます。

 次に、五つ目、そして、提出している六つ目の質問、両方併せてお伺いをさせていただきます。

 地方公共団体又は鉄道事業の要請に基づいて立ち上がった再構築協議会において利用促進を議論する際には、前に進める際に、JR各社において把握している利用状況のデータなどの利活用が求められてきます。当然ながら、協議会に鉄道事業者の方々も入られますので、協力的にデータは共有いただけるものと理解はしておりますけれども、これらのデータ、客観的に事実をしっかり把握することのできるこのデータがきちんと開示されることは非常に重要だと考えておりますので、これは是非、国交省からも御指導いただきたいな、このように考えておりますということが一点。

 それから、ちょっと時間もありますので、議論が前に進むということについてですけれども、人材の方ですね。これらの再構築協議会に参画する自治体においては、必ずしも公共交通の政策に精通している職員がいるとは限りません。特に、鉄道の利用者が激減しているような線区に位置している自治体は、人口減とか災害対策、医療、介護の機能維持など、課題がもう本当に多くて、職員のマンパワー不足というのは顕著であろうかと思います。

 そんな中でも、協議会において、自治体の立場から議論に深く参画をして、主体的に前向きに提案をしていけるような、そんな人材をいかに確保していくかということは重要だと思います。そのような人材の確保に対する支援についての国交省の考え方、データの考え方と人材確保の考え方についてお伺いをさせていただきます。

上原政府参考人 お答えいたします。

 再構築協議会を組織し、地域にとってあるべき公共交通を検討していく際には、具体的なファクトとデータに基づき議論を進めていくことが重要と認識しております。

 JR各社は利用実態などのデータを把握しており、御指摘のとおり、これらのデータは鉄道の利用促進のための取組を進める上でも有効と考えております。

 国土交通省といたしましては、調査事業によるファクトやデータの収集、実証事業による対策案の検証を始めとするきめ細かい支援を行うとともに、JR各社に対しましても、議論に資するデータの情報共有を働きかけ、関係者の合意形成を図ってまいりたいと考えております。

鶴田政府参考人 御指摘のありました自治体のマンパワー不足でございます。これは大変重要な課題と認識しておりまして、国土交通省では、自治体の人材育成、確保を支援するために、国土交通大学校において自治体職員への研修を行う、それから地域公共交通計画作成のガイドラインを提供する、また地方運輸局も活用して助言や有識者の紹介を行うなど取り組んでおります。さらに、令和四年度補正予算におきまして、地域公共交通やまちづくりの専門家を育成するためのセミナーの開催等の予算を計上したところでございます。

 今後も、地域の声をよくお聞きしながら、しっかりと、人材育成を含めまして、地域の取組を後押ししてまいりたいと考えております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

木原委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 昨日の本会議に続きまして、御質問させていただきます。

 昨日ももちろん若干触れさせていただきましたが、この地域公共交通の活性化再生に関する法律の改正案、これも含めて、根本にある我が国の課題は人口の減少、特筆すべきことは、生産年齢人口が、この二十年、一千五百万人減少しながら、一方で、六十五歳以上人口は約三百万人増加をする、よって、様々な分野で担い手が、これは明らかに統計的に見れば不足をしてくるということは否めないというふうに思います。

 また一方で、今、政府・与党を挙げて、これは与野党を超えて賃金の上昇に努めているわけですけれども、残念ながら、私の認識では、今日現在、我が国の賃金レベルは周辺諸外国と比べて低くなってしまっている、よって、外国の方もこの国に来ていただきにくくなっている。こうした状況の中で、この法案では、公共交通をどういうふうに再生していくか、こういう論点だと思っております。

 まず最初にお伺いをしますけれども、そうした観点から、一つずつなせることをなしていかなければなりません。

 令和四年度の二次補正では、バス、タクシーの二種免許の取得に対する支援、これが予算計上されていると思います。これは何かというと、我々、現場に行くと、今まで、タクシーにしてもバスにしても、新しい方が来てくれて、会社がそこに投資をして、免許を取ってもらっていよいよ働くということになるんですけれども、様々な理由からやはり離職してしまう人がたくさんいる。そうすると会社の方は、せっかく投資して免許を取ってもらったけれども、いなくなってしまうという大変厳しい状況を聞き、何とかサポートできないだろうか、こういう提案をさせていただいて、この予算が計上されています。

 現在、執行に向けた業界等の要望の状況、これはどうなっているか、答弁をお願いします。

堀内政府参考人 お答え申し上げます。

 バス業界及びタクシー業界におきましては、人材の確保が委員御指摘のとおり喫緊の課題となっております。そのことを受けまして、バス事業者、タクシー事業者による人材確保に向けた各種取組や、二種免許取得に要する費用につきまして、令和四年度補正予算により支援制度を創設いたしました。

 本年一月から二月にかけ、本支援制度について、活用の御意向を全国の事業者の皆様に確認をいたしましたところ、合計で三万人を超える採用を行いたいとの御要望をいただいたところであります。

 これは、事業者の皆様の人材確保に関する大きな危機感、切迫感の表れであると受け止めております。今後、本予算の適切な執行と必要な予算の確保を行ってまいります。

伊藤(渉)委員 要望、三万人ということでございます。今申し上げたバス、タクシー業界だけで、それだけのいわばニーズがある、これは形にしていかなきゃいけない。

 今回、この予算、こうしたものを提案した背景には、今、政府を挙げてリスキリングということが行われております。たしか、予算総額で一兆円をここに投入していく。このリスキリングということも、我々、長年形を変えながら取り組んできたというふうに私は認識をしております。

 難しいのは、リスキリングしている間も、平たく言うと生活していかなきゃいけない、その間の給与が必要だということは、何か給与をもらいながらスキルを身につけてそれが軌道に乗っていく、こういう体制を取っていかなければならないだろうというふうに思っています。

 これは、国交行政だけではありませんので、是非今回、そういう意味では、既に雇用された会社に国が支援して新しい資格を取らせるということですから、これが国交行政のみならず横にも展開していけるように、政府でのいわば情報共有を是非お願いしたいと思います。

 それから、ローカル線について聞きます。私も元々鉄道事業を十一年やっておりましたので、このローカル線の公共交通再構築という言葉を言うと、どうしても、鉄道をやめてバスに転換するんだなと、シンプルにすぐそういうイメージをどうしても持たれがちです。一方で、私も鉄道事業に携わってきて、これは単なる公共交通というだけではなくて、その地域に鉄道が存在するということについての地元の地域の皆さんの思い入れというのは大変強いものがございます。

 よって、そういうことを丁寧に確認していただくためには、当然、公共交通再構築といっても、鉄道の再生も選択肢だと私は認識しています。この点についてはどう考えているのか。また、その際に、どのような事業イメージでこれを実施していくのか、ここについて御質問いたします。

上原政府参考人 お答えいたします。

 今般の改正法案で提案させていただいております再構築につきましては、まちづくりや観光振興に取り組む自治体と連携して、鉄道輸送の高度化により輸送需要を増やしていく、いわゆる鉄道の再生について、委員御指摘のとおり、当然の選択肢となっております。

 具体的な事業イメージという御質問でございましたが、例えば、福島県のJR只見線におきましては、被災区間を上下分離しつつ復旧させ、地域の観光協会等と協力して新たな観光需要を取り込むべく工夫を行い、鉄道の再生と地域の活性化に成果を上げておられます。

 兵庫県のJR姫新線におきましては、新車の導入、軌道の強化、駅及び駅周辺の開発と利用促進を一体的に取り組んだことで、通勤需要等を取り込み、利用者を大きく増加させることに成功されております。

 また、自動運転化や燃料電池車両の導入、新たな信号システムなど、新技術を活用して維持運営コストの低減を図ることも重要と考えられます。

 国としましては、このように、地域戦略と一体で鉄道再生に取り組む地域について、新たに社会資本整備総合交付金も活用しながら、しっかり支援してまいります。

伊藤(渉)委員 上原局長、ありがとうございます。只見線、大変地元で喜ばれていることを私も承知をしております。

 その上で、今、局長がおっしゃっていただいたように、上下分離方式によって再生をした、今後よく見ておいていただきたいんですけれども、上下分離方式、これまでもイギリスなどで取り組まれてきましたけれども、気をつけなければならないのは下ですね。運行はいいんですけれども、いわゆるインフラストラクチャーに対する投資、これが十分行われなくなるリスクがある。そうしますと安全性に関わってきます。

 安全というのは、公共交通にとって、全く皆さんが気づかないぐらい安全であることが当たり前、これが公共交通の使命であります。そのためには、皆さんの目につかないインフラに継続的に投資し続けて初めて安全というのは担保をされますので、この上下分離においては、インフラに対する投資がきちんとなされていくこと、そして安全が担保され続けること、これが極めて重要だと思いますので、是非、国土交通省としても、その点、注視をしていっていただければと思います。

 続きまして、このコロナ禍において利用者が大幅に減少をいたしました。今、コロナを過ぎて、いよいよ五月八日からは類型も二類から五類へという状況になってきましたけれども、現時点では、いろいろな事業者の方と話をすると、コロナ前よりも、いわゆる定量的なところが、通常の輸送量が大体八割ぐらいになってきているという声をよく聞きます。大量輸送機関としての鉄道特性が発揮できなくなってきているローカル線の再生を、民間事業者のみの努力に期待するのは限界がございまして、財政支援の在り方も含め、官民連携による再生の道を探っていくしかないというふうに考えています。

 そこで、昨日から、また先ほどもありましたとおり、社会資本整備総合交付金については、JR上場四社や大手民鉄のローカル線についての積極的な活用を促すとともに、バスしか存在しない地域も含め、全国で活用が進むよう、その制度の趣旨も含めて、国から広く自治体や交通関係者への周知が必要であると考えますが、この点についてはいかがか。

 ちょっと時間が切れてきているので、もう一つ、つながりがあるので聞きます。

 一方で、JR上場四社については、元々、大臣指針の下で、ローカル線を含めて鉄道を適切に維持する努力義務がかかっています。バス等への転換については、この努力義務を念頭に置けば、転換後のバス等の運行費用等についても各社の協力が必要になると考えますが、いかがでしょうか。

 また、そうした方向性、これから、この法律が成立すると協議をするわけですから、そうした方向性を示すことで、自治体等の関係者の予見可能性が高まって、前向きな協議につながっていく、そのようになるように、国のリーダーシップを発揮していただきたい。

 両面から質問いたします。よろしくお願いします。

鶴田政府参考人 まず、私から、社会資本整備総合交付金についてお答え申し上げます。

 地域公共交通のリデザインを地域の実情に即して進められるよう、また、先ほど御指摘ありましたインフラへの投資を促進するよう、令和五年度予算案におきまして、社会資本整備総合交付金の中に地域公共交通再構築事業を創設して、地域公共交通のリデザインのために必要な鉄道、バスの施設整備等を支援することができるというふうにしてございます。

 このうち、ローカル鉄道につきましては、今般の改正法案におきまして、黒字事業者を含めて鉄道特性が発揮できていない路線における利便性を確保することができるというふうに改正をすることによりまして、JR上場四社それから大手民鉄の路線も含めて、積極的な活用を促してまいります。

 そもそも、地域公共交通の改善を公共事業として支援する、これは今までにないアプローチですので、国土交通省自身も、意識改革を進めながら、御指摘のように、広く自治体や交通事業者に周知を図って積極的に活用してまいりたいと思います。

上原政府参考人 お答えいたします。

 JR上場四社に対するJR会社法に基づく大臣指針の遵守、こうした制度の趣旨や、あるいは、これまで地域の公共交通を支えてきたという経緯を踏まえまして、JR各社におきましては、これまでも、路線の廃止後の代替交通機関について、自らの運行、グループ会社による運行、地元企業への運行委託、自治体への費用の支出など、地域の実情に応じて必要な負担と地域への貢献を行ってきているものと承知しております。

 また、廃止後におきましても、自治体及び転換後の事業者と連携して、地域の観光振興等に積極的に協力をしてきております。

 今後の本法案の運用におきましても、引き続き、このような姿勢で、地域と丁寧に向き合い、理解と協力を得ていくように求めていきたいと考えております。

伊藤(渉)委員 時間が切れてきましたので、最後に大臣にお伺いします。

 今回の法案では、これからの人口減少社会を踏まえて、それでも、まさに、ますます高齢者の方も増えていきますから、公共交通の使命は大きくなる、この公共交通を活性化、再生させていくための様々なツールを用意して、今回、地域に提供するということだと思います。

 この公共交通の活性化に向けての大臣の御決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 私が生まれ育った島根県の、島根県境の小さな村なんですが、JR三江線という線路が走っておりましたが、平成三十年に廃線となりました。本当に無限の悲しみといいましょうか、寂しさを覚えました。子供の頃は、その線路を見て、ああ、これが都会につながっている、未来につながっているという、地域の希望だったわけです。それがなくなったことによって地域が大きく沈み込んだ、こういう現実を見まして、本当に、地域の公共交通、今までは事業者任せだったという面を否めないところがあったかと思いますが、地域と、そして国が一体となって地域の公共交通を守っていかなきゃいけない、私自身も原体験としてそれを感じております。

 しっかりと、どういう協力、官民連携でこれができていくか、その仕組みを今回つくるものでございます。全力を挙げて、こういう新しい仕組みをつくって地域の公共交通を守っていきたい、このように思っておりますので、御指導よろしくお願いをいたします。

伊藤(渉)委員 大変心のこもった、また、今の大臣の答弁を聞くと、各地域の皆さんも本当に励まされる思いだったと思います。

 私もしっかり、政府と力を合わせて、地域の公共交通活性化に取り組んでいくことをお誓いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

木原委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十七日金曜日午前九時、参考人として福島大学経済経営学類准教授吉田樹君、一橋大学名誉教授、武蔵野大学経営学部特任教授山内弘隆君、関西大学経済学部教授宇都宮浄人君及び北海道教育大学教育学部札幌校准教授武田泉君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十七日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時三十七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.