衆議院

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第4号 令和5年3月17日(金曜日)

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令和五年三月十七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 木原  稔君

   理事 加藤 鮎子君 理事 津島  淳君

   理事 中根 一幸君 理事 長坂 康正君

   理事 伴野  豊君 理事 谷田川 元君

   理事 赤木 正幸君 理事 伊藤  渉君

      石井  拓君    泉田 裕彦君

      小里 泰弘君    加藤 竜祥君

      柿沢 未途君    菅家 一郎君

      工藤 彰三君    小林 史明君

      櫻田 義孝君    塩崎 彰久君

      田中 英之君    田中 良生君

      冨樫 博之君    土井  亨君

      中川 郁子君    中村 裕之君

      西田 昭二君    根本 幸典君

      深澤 陽一君    古川  康君

      宮崎 政久君    武藤 容治君

      小熊 慎司君    城井  崇君

      小宮山泰子君    神津たけし君

      近藤 和也君    下条 みつ君

      堤 かなめ君    野間  健君

      一谷勇一郎君    前川 清成君

      北側 一雄君    中川 康洋君

      古川 元久君    高橋千鶴子君

      福島 伸享君    たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   参考人

   (福島大学経済経営学類准教授)          吉田  樹君

   参考人

   (一橋大学名誉教授)

   (武蔵野大学経営学部特任教授)          山内 弘隆君

   参考人

   (関西大学経済学部教授) 宇都宮浄人君

   参考人

   (北海道教育大学教育学部札幌校准教授)      武田  泉君

   国土交通委員会専門員   鈴木 鉄夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十七日

 辞任         補欠選任

  谷川 とむ君     加藤 竜祥君

  根本 幸典君     塩崎 彰久君

  枝野 幸男君     近藤 和也君

  末次 精一君     野間  健君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     石井  拓君

  塩崎 彰久君     根本 幸典君

  近藤 和也君     枝野 幸男君

  野間  健君     堤 かなめ君

同日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     谷川 とむ君

  堤 かなめ君     末次 精一君

    ―――――――――――――

三月十六日

 安全・安心で快適な公営住宅制度に関する請願(小宮山泰子君紹介)(第四八七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、福島大学経済経営学類准教授吉田樹君、一橋大学名誉教授、武蔵野大学経営学部特任教授山内弘隆君、関西大学経済学部教授宇都宮浄人君及び北海道教育大学教育学部札幌校准教授武田泉君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。本案につきましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、吉田参考人、山内参考人、宇都宮参考人、武田参考人の順で、それぞれ十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず吉田参考人、お願いいたします。

吉田参考人 皆様、おはようございます。福島大学から参りました吉田でございます。

 本日は、こういった場にお招きくださいまして、ありがとうございます。

 私の方から、資料に沿いましてお話しさせていただければというふうに思ってございます。

 まず、今回の地域公共交通活性化再生法、地活化法と略されることもありますが、私は公共交通法と最近呼ぶようにしておりますけれども、これの一部改正案に向けてということで資料を作成してございます。大きくは四点ほどお伝えできればというふうに思っております。

 まず一点目でありますけれども、この地域公共交通に対する公的関与というものは不可欠であるということでございます。

 私も今、福島という地方大学に籍を置いておりますけれども、地方都市あるいは農山村地域を中心として、車の保有、これが前提となっている町の構造、町のつくりになっているという課題があります。そうなりますと、やはり車を運転をできるかできないかということによって活動機会、つまりお出かけの機会ですね、これにやはり大きな差というものが生まれてくるわけです。

 一方で、皆様に図の一というグラフをつけておりますけれども、これは、二〇〇〇年と比較をいたしました、総務省の家計調査から得ました公共交通の運賃に対する支払い額と、それから車の維持、これは購入に関するものは入ってございませんが、それに関わる価格の推移ということになります。支出の推移でございます。そうしますと、車は二十年間で支出三割ほど増えておりますけれども、コロナ禍もあり、公共交通は四割減、コロナ禍がなくても二割減ということになるわけです。

 したがって、もはや、地域公共交通、独自、独立採算、自立採算ということで、いわゆる内部補助を前提としたサービスの維持は限界を迎えておりますし、やはり家計に重くのしかかっているということが、やはり車保有を前提とした生活の中の一つの大きな問題であるというふうに思っております。

 そこで、次に、二番目でございますけれども、地域公共交通、この政策を地域戦略として位置づける、こういうメッセージというものも発していく必要があるだろうというふうに思っております。

 表の一を御覧いただければと思いますけれども、こちらは二〇一九年、コロナの直前の家計調査で得た、同じように公共交通の運賃、それから自家用車の保有や利用、ここに関わる家計支出の比較でございます。

 特別区ですとか政令市ですと、やはり公共交通の運賃、相対的に大きいわけですが、一方で、車の維持、保有に関わるコストが少ないですので、交通分野に関する家計支出というものは少なく済んでいる。ところが、人口五万を割ってくるような小規模自治体ですと、政令市、特別区と比べますと、年六万円大きい。それだけ家計にかかる負担の割合が大きいという構造があります。

 一方で、こうしたことが高齢者の免許の返納というところにも大きく関わってまいります。

 図の二がございますけれども、これは七十五歳から八十四歳、こちらの年齢層を対象にした、縦軸が免許返納の割合であります。これは二〇一九年でございます。横が家計支出比とありますが、これは表の一にございます公共交通の運賃の支払いを自家用車の維持、利用で割ったものということになりますので、横軸、パーセンテージが高くなるほど公共交通の支出が大きい土地柄ということになってまいります。そうすると、公共交通が選ばれる、選ばれやすい地域ほど、やはり車を手放しやすいという構造というものがあるわけであります。

 一方で、東北のような農業が盛んな地域ですと、実は、これとはまた別に、農業の従事者が多いと免許が手放せないという構造があるわけです。

 そういたしますと、一台はあったとしても、二台目、三台目という車の保有から移行できる手段を用意できるかどうかということが住民のウェルビーイングにもつながっていきますし、やはりそうした環境というものを若い世代も求めます。

 私も、福島大学、就職支援の担当もしておりますけれども、やはり学生中心に地元になかなか残りません。それは働き口があってもです。それは、車を中心とした生活で、自分自身が今度は親御さんのように送り迎えをしなければいけない生活というのが非常に負担がかかります。そうしますと、少なくても仙台、あるいは首都圏という形で、交通の利便性が高いところ、ここが就職の糸口になってしまっていますので、実は、地域戦略として、地域公共交通、捉え直していただきたいというところがございます。

 続いて、二ページ目でございます。

 三番目ですけれども、では、その中で、今回改正案として提出されている制度をどう生かしていくのかというところの点でございます。

 私自身、この三番に書いてございます楽しさと信頼性、これが地域公共交通に求められる大切な役割だというふうに思ってございます。

 信頼性という言葉ですけれども、これは市民の皆様、利用者の皆様に信頼されるサービスであるかどうかということになります。私自身、よく、品質、それから性能、これを保証するという言葉を使う場面が実はございます。

 品質保証と書いてありますが、例えば、地方都市のバスであったとしても、運行間隔が平準化され、つまり、最大の待ち時間が短縮され、高い頻度で運行されている区間というものは利用を増やすことができている、そうした成功例というのもあります。私が関わっている中でも、青森の八戸、こちらは二〇〇八年に取り組みましたが、六%乗客を伸ばしておりますし、前橋は昨年の四月から同じような形で実施をしておりますが、こちらは一〇%増ということで伺っています。

 これらは、実は、協議運賃制度であったり、あるいは共同経営であったり、これまでの地域公共交通の関連法に関わるような制度をフル活用して実現できたものということになりますので、こうした取組というものをやはり制度上も後押しをしていく、あるいは予算面でも後押しをしていくということを是非ともお願いしたいというふうに思っております。

 一方で、性能保証という点ですけれども、やはり農山村など密度が低いような地域、そこではやはり自宅から通院できる、通学できる、そういうところを重視していくということが必要になってきますし、そのための財源の確保ということも必要かと思っております。

 一方で、ローカル鉄道の議論というのも今回出ておりますけれども、やはり課題としては、運行頻度が低い、あるいはどんどん整備されていく並行道路と比べるとローカル鉄道の方が遅い、こういうところがあります。今回、社会資本整備総合交付金の基幹事業化等のところがあるわけでありますけれども、それで打ち手が増えていくということを期待したいというふうに思っております。

 例えば、鉄道かバスかというところで、いわゆるバス転換ということがよく表明されるわけでありますけれども、鉄道自体を高度化するという選択肢があってもいいと思いますし、バスに転換をするといっても、やはり遅いバスだと勝負できませんので、できれば高速化というところも、例えば道路側の制度の改正というところも含めて期待したいところです。

 一方で、これは既に行われていることでもありますが、鉄道とバスの共創で事実上増便させている、例えば徳島のような事例というのもあります。こちらも、いわゆる共同経営のような、こちらの活性化再生法の制度などをうまく使いながらやっているということになりますから、こうした取組というものを後押ししていくということも必要かと思っております。

 最後、大きな四番でありますけれども、地域公共交通のリデザインに向けたガバナンス、ファイナンス、コミュニティーと片仮名が三つ並んでございますけれども、この三つというものがやはりこれから実務上でのキーワードになってくるだろうというふうに思っております。

 今回、法改正が仮にかなうといたしましても、やはり現実の私たちの地域交通というものが改善される、活性化される、そして地域のウェルビーイングに結びつく、そこに持っていかなければいけません。

 そのためには、やはりガバナンス、これは法定協議会における意思決定というものが基本になってくるかというふうにも思っておりますけれども、これは何も地方圏に限った話ではなく、大都市圏でも今路線バス等の廃止、減便が進んでございます。全国共通の課題かというふうに思っております。

 一方で、今回の改正案の中にデジタルトランスフォーメーション、DXというキーワードも出てまいります。どちらかといいますと、従来の地域交通の取組というのは勘と経験と度胸という、こういう従来型のKKDに基づくようなものが多かったわけですけれども、それの精度を高める、やはり仮説、検証、データ分析、そういうものが結びついて、そういう人材育成というものも是非ともお願いしたいというふうに思っております。

 それから、ファイナンス、これは運賃負担と公的負担の組合せというものが前提となりますが、そもそも、地域交通、利用者以外にも便益が及びますし、運行内容で決定される費用と利用者の支払い意思額との間に差というものが生じてくるわけです。従来、総括原価方式に基づく価格設定が基本だったわけですが、不採算の地域交通においては、そこを続けていくということが限界。ですから、今回、協議運賃というものが創設されようというふうにしているわけですけれども、どういうふうに運賃、値づけを決めていけばいいかどうか、そういうガイドラインを作っていくということも重要かというふうに思ってございます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

木原委員長 ありがとうございました。

 次に、山内参考人、お願いいたします。

山内参考人 山内でございます。

 このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 また、私は、今回の法改正に当たって、法改正に賛成の立場から表明をさせていただこうというふうに思っております。

 お手元の資料、地域公共交通の活性化と再生という一枚の紙がございまして、これに従ってお話を進めてまいります。

 まず、この改正にある考え方、背景にあるもの、これを申し上げたいと思うんですけれども、岸田首相が首相に就任されまして、新しい資本主義という言葉を言われました。そこにありますように、私も言うまでもないですけれども、成長と分配の好循環という形で、労働分配分をふやすこと、まずこれによって成長のエンジンを、こういうことだったと思います。

 私は、この考え方は、こういった地域交通政策、あるいは地域全体の政策、あるいはミクロの産業政策、こういったものにも非常に重要であるというふうに考えておりまして、私なりにそれを翻訳をして今回の法改正の賛成の根拠とさせていただいております。

 私自身も、二〇〇〇年前後に交通関係の事業法の改正が行われまして、その中で競争政策というのが強く打ち出された、そのときにお手伝いをさせていただきました。私はこの方向性は間違っていないというふうに思っておりますが、それが時代の変化とともに、そして、今回コロナという大きなショックを受けて大変環境が変わった、こういうことだと思っております。そういったところで岸田首相も新しい資本主義ということだったと思います。

 基本的には、この考え方に即して言えば、地域とか産業、そういったところで、基本的なインフラとか生活の基盤、これを拡充した上で、しかも、民間活力、マーケットの力、こういうものを発揮していく、こういうことの必要性を感じている次第でありまして、これが、私が申し上げた、新しい資本主義の地域版あるいは産業版、こういうことになろうかというふうに思っております。

 それで、マーケットというのはいつも完全ではございませんで、それによっていろいろな弊害が出る、マーケットのパフォーマンスには限界がある、その補正が必要であるということと、それから、マーケットが一番苦手としているのは分配問題ということでありますので、その必要性ということであります。

 そういった視点から、今回の法改正、地活化法の改正について、幾つかの特徴があるというふうに思っております。

 地域公共交通が惨たんたる状況であるというのは今もお話があったとおりで、これはもう御説明の必要がないというふうに思いますけれども、今回の法案でリデザインという言葉を使われた、これは非常に重要なことだと思っておりますけれども、要するに、交通というのは外部効果を発揮する、それを自ら取り込み、また、その外部効果によって地域がよくなる、こういう性格のものでございまして、そういったものをちゃんと見ていくというためには、今のある状況よりももっと効率化しなければいけない。そのためには、リデザインという形で統合とか、あるいは外部の効果を内部に取り込むということであります。

 これは私は非常に気に入っているので使わせていただきますけれども、参考図表の右下に一というのがございますけれども、これはお役所が作られた資料でございますけれども、ここに交通、他分野の共創という言葉が使われている。考えてみれば、今申し上げた外部効果とかそういったものというのはこの共創というものの上に成り立っているわけですね。ですから、それを取り込むことによって、交通自体のポジションを上げるということ、それからもう一つは、それによって効率化を図るということであります。

 例えば、今、地域に行くと、いろいろな交通手段が実は走っている。バスだけではないですね。スクールバスも走っているし、それから患者の輸送も走っているし、場合によっては、民間が買物のためにバスを走らせるなんというのもありますけれども、そういったところで公共交通がなかなか成り立たないというのであれば、一番簡単な例は、そういうものを統合して効率化する、こんなようなことがあろうかと思います。今のは一例ですけれども、そういった形のリデザイン、統合というものの必要性があると思っております。

 特に、最近非常に重要な政策でありますGX、脱炭素化という大きな流れがあるわけでありますけれども、脱炭素の中で交通をどう位置づけるかというのは実は非常に大きなポイントであります。これを共創という形でつくり出していく、それによって公共交通自体も維持、そして更に発展していくというようなこともあり得るというふうに思っております。

 それから、今もありましたローカル鉄道の再構築というのがもう一つの大きな柱であると思いますけれども、ローカル鉄道をどうするのかということで、今回の法律は国の関与を一定程度入れるということだったというふうに思います。

 それで、これも資料の方の右下の二というところにありますけれども、再構築の協議会をつくるということであります。

 これは今までも、地域の協議会という形で、再構築といいますか、どちらかというと、これは円満に廃止するかという、そういうことだったわけですけれども、ここでも再構築ということが非常に重要になる。要するに、新しいものをつくり出していくことによって地域の全体のモビリティーを確保していく、こういうことだというふうに思っております。

 よく、内部補助の問題というのがありますけれども、実は、私は若いときに内部補助の研究というのをやっておりまして、内部補助は、なかなか内部補助自体を定義するのも難しいし、それから、経済学的に言うと、これは配分上の効率とそれから所得再分配の問題なんですね。基本的には、今、再分配の問題になっていて、どこまでどういうふうに内部補助が許されるかということだと思います。

 そういった意味でいうと、社会的な合意の下に内部補助が許されるのでありますが、それを超えたところについては、今申し上げたように、リデザインというような形で新しいサービスをつくり出していく、これが必要であるというふうに思っております。

 それから、今回の法改正の一つの特徴、エリア一括というのがございますけれども、これはエリアを決めてそれを民間に任せる、それも一括ですから一者に任せる、こういうことでありますけれども、ある意味ではこれは公共的なサービス調達ということになるわけでして、そういった意味でいうとPPPという考え方があります。PFI法というのは九九年にできましたけれども、それから十年以上たって、こういった民間でもそういう考え方、これを適用できるんじゃないかというふうに思っております。

 競争性については、そこへ書きましたけれども、フォー・ザ・マーケットとイン・ザ・マーケットという言い方をします。マーケットの中で競争するということ。これは恐らく需要の小さいところでは無理でありますので、一括してやらせる。その中のフォー・ザ・マーケット、マーケットに対する競争というのを取り込んでくるという考え方であるというふうに思っております。

 それで、時間がなくなりましたが、最後のところでありますけれども、申し上げたいことは、効率的でサステーナブルな移動サービスを確保していく、こういうことだと思います。そのためにリデザインで再構築をするということでありますが、それは地域によって非常に大きな違いがある。それに対して地域がこれを意思決定するということではありますが、その中で、国の関与というものも恒常的にこれはやらなければならないことだというふうに思っております。

 予算の問題もありますし、それから、地域に応じてどういうふうにしたらいいのかということですね。これはなかなか、地域独自で判断というのは難しいところがある。それを、例えば運輸局なのか何なのか分かりませんけれども、いろいろな形でアドバイスを出すとかコンサルティングするとか、そんなようなことも必要になってくるかと思います。今、観光の基本計画を作っているんですが、観光の基本計画の中では、完全に国がアドバイザリー的な役目を果たしていくことがありました。ただ、やるのは地域、こういうことであります。

 それから、民間活力の話は、最初に申し上げたように、これは新しい資本主義ということでありますので、何か公共が全部やるという話ではない。民間がまた活力を用いることによって、リデザインで新しいサービスをつくり出していく、この体制が必要であります。

 事業の連携というのは先ほど申し上げました。それから外部効果の話もありましたけれども、GX、DXをどう取り込むか。

 MaaSという言葉があって、いろいろな実験をやられていますけれども、あれがうまくいくようにしていく、これも一つのあれですし、それから、GXでいうと、ちょっともう時間がないのでお話ししませんけれども、GXを取り込むことによって、鉄道事業者が新しいサービスを提供しようなんて動きが今非常にたくさん出てきています。こういったことを支援するということであります。

 いずれにしましても、国と自治体の長期的なコミットメント、それによって新しいものを生み出していく、時代にそぐうものを生み出していく、こういうための法律であるというふうに考えております。

 私からの陳述は以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)

木原委員長 ありがとうございました。

 次に、宇都宮参考人、お願いいたします。

宇都宮参考人 関西大学の宇都宮でございます。

 このような場をいただきまして、ありがとうございます。早速ですが、資料に沿って説明したいと思います。

 本日は、私は、地域づくり、まちづくり、あるいは統合的政策という観点から課題を申し上げたい。

 今までお話がありましたとおり、資料の二、三ですけれども、地域交通の衰退、これが、地域の衰退、そして自家用車の過度な依存、こういう悪循環の中で、非常に厳しい。そういう中で、公共交通は公共財であり、かつ外部不経済を削減する、そういう意味がある。だから、国交省の資料でも、公的支援が必要なんだよとこれまで言われてきた。そういう意味で、今回の法改正というのは一つの大きな方向性だと思うのです。

 少し課題を申し上げますと、めくっていただきまして四ページ、五ページですけれども、現在の地域公共交通計画等の手引を見ますと、結局、じゃ、どうしろというかというと、公共交通をいかに効率よくといいますか、とにかく事業の収支率を上げて公的資金を使わないようにやってくれ、これが手引の最重要三ポイントであって、例えば、外部不経済を削減するという、右の五ページの自家用車分担率の縮小というところは、交通施策との関連性の高さすらマークが入ってなく、推奨にもなっていない、こういう形の手引になっている。やはり、これではなかなか地方が動けないんだろうな、この辺の改善は今後も求められる話だろうなと思います。

 次に、めくっていただきましたら、小山市のように、生活支援だけではなくて都市経営のツールだよということで、領域区分をして、しっかり支援をして、その結果、何と、コロナ禍にもかかわらず、四・九倍に定期券保有者が増える。これはやはり、年間定期券を七割引きにしたということですけれども、小山市の考え方は、もう都市経営のツールで公共サービスなんだ、だから、収支率ではなくて、効率性というのは、いかに政策目的を効率的に実現できるか、こういう姿勢を取っている、こういうのが重要なんだと思うんですね。

 もちろん、これはバスですけれども、鉄道になると、そうはいってももう少しお金がかかるとか、議論があると思う。そのときに費用と便益ということを考えることになるわけですが、この右のページを見ていただくと、交通投資の効果のうちの費用便益の範囲というのは非常に狭いわけです。それがまず一つ。

 それで、経済学者なんかは最近、幅広い経済効果、ワイダーベネフィッツというところを注目しているんですが、今日は、オプション価値アンド非利用価値、赤枠をつけたところを御説明します。

 めくっていただきますと、これも国土交通省のマニュアルにしっかり書いてあるわけですね、オプション効果というものがあるんだと。これは何か。いつでも利用できる安心感。つまり、運賃収入だけで賄うというのは、今、利用しているかどうかで決まる。けれども、そうではないと。交通というのは、ひょっとすると将来自分が使うかもしれない、あるいは自分の子供が使うかもしれない、そうやって家を買ったりする。つまり、そこにオプション価値というのがあるんだということですね。

 こういったものが本来あるんだけれども、残念ながら、費用便益分析上の便益では出てこない。したがって、費用の安い何とかになってしまうんですが、便益マニュアルに、国交省のマニュアルに書いてあるんですね。BバイCが一以下とかいう誤った評価をしちゃいけないよ、ちゃんとこれは限定されているんだから総合的に判断しなさいよということが書いてあるんだ、こういうことがまずあるんだということを申し上げておこうと思います。

 次に、政策の統合性ということで、海外の事例を少しお示ししたいと思いますが、これは、見てのとおりですけれども、日本はあしたから値上げとかありますが、オーストリア、ドイツ、こういったところは、燃料費は上がっているんですけれども、一年間住んでいる人には非常に安いチケットを出す。一日三ユーロ。年間十五万円最初に払っちゃうと、北海道の広さのオーストリア全土、新幹線も含んで乗れちゃう、こんな切符を出して、今こそ公共交通にシフトしてグリーン化するんだと。イギリスはグリーン産業革命ということで、鉄道路線の拡大、復活ということも言っているわけですね。

 なぜ、じゃ、ヨーロッパがそういうことができるかというと、これは、先ほどあったように、公共サービスなども、地域公共交通は独立採算のビジネスじゃない、地域公共サービスなんだということで、事業者はパブリック・サービス・オブリゲーションというPSOは課されるわけですが、しっかりそこに資金提供する、こういう仕組みができ上がっています。

 今回のは、法改正のエリア一括というのは、その第一歩だとは思うんですけれども、そこにちゃんと資金をあてがう、あるいは、鉄道については、欧州の場合、上下分離が原則ですから、インフラを支えた上で、サービス部門について、契約をベースにしてしっかり公的資金で支えながら、その上で民間が実力を発揮できるような仕組みになっている、こういうことですね。

 そういうことをやるために、次のページですけれども、モビリティー計画というのを各都市が作っているわけです。グラーツ、小さな地方都市です、オーストリア、二十九万人。交通手段分担率、今でも公共交通がそれでも二割ある。日本の地方都市の公共交通分担率五%と比べると四倍乗っているわけで、非常ににぎわっているんですが、それでもまだこれからもっと自動車の分担率を低くしていくんだよというこの目標が一丁目一番地なんです、世界の交通計画における一丁目一番地。日本と大分違う。

 例えば、ここの州なんかは、そもそも、商業開発、郊外にショッピングセンターはあるんです、開発のためには、三百メーター以内に三十分に一本以上の公共交通がなければ開発許可は下りない、そういう土地利用政策ともリンクしている。もちろん、サブスクのチケットは、市民であれば安く乗れる、こんな仕組みですね。

 この計画というのは、SUMPと呼ばれる、今日のタイトルに、サステーナブル・アーバン・モビリティー・プラン、十二ページですけれども、こういうEUが出した計画にのっとっていますが、実はもうこれ、EUだけではなくて全世界千都市が、今SUMPに基づいて地域公共交通計画を立てています。

 これは何がいいかというと、人に焦点というのはもちろんなんですが、やはりバックキャスティング、要するに、制約条件というのは、予算制約の前に環境や社会制約条件があるカーボンニュートラルだと。そこからバックキャストしていく、SDGsと同じですけれども。何が必要なんですかということになると、今こそ、公共交通、グリーンイノベーションが必要ですよということになってくるから、先ほどのオーストリアやドイツの政策、あるいはグラーツのような政策が取れるんだということです。

 次をめくっていただきますと十三ページ、ちょっとややこしい図ですけれども、これを、何も整合性を取らないと何が起こるか。これは、理論的に、二地点間の移動を道路と公共交通があるということで仮定して、道路は左側の原点から量を、公共交通は右側の原点で、この一定の量をシェアするんですけれども、実を言うと、ここで公共交通を改善せずに道路投資だけ起こって渋滞を解消させようとすると、一見、道路の費用曲線、費用というのは、これは時間コストも含めるんですけれども、下がって、みんな、ああ、道路が便利になったねと乗るんだけれども、その結果、公共交通側の時間コスト、費用、公共交通は平均費用が上がってしまう、人が減ると。

 結果的に、最終的に何が起こるかというと、道路投資をして公共交通は改善しない。むしろ最終的に渋滞が増えて悪化する、社会全体が損する仕組みなんだというのが、これは理論的には分かっているわけです。日本では、こういうことが実際に起きているのではないか。その意味でも、道路政策と公共交通の整合性も必要だろうということです。

 その際のお金ですけれども、公共交通を支える公的支援、次のページ、十四ページを見ていただくと、ヨーロッパはそもそも、インフラのみならず運営費でも、運賃カバー率というのは五割くらいです。とんでもないねと思うかもしれませんけれども、例えば、日本の地方自治体でも、市民プール、市民会館、どうですか。大体、行政、書いていますよね、運営費の五割は料金負担していただきますよ、そういう仕組みなんですね。それと同じだと考えれば、公共サービスだと考えれば、別にとてつもないことをやっているわけではない。

 その財源は何ですか。これは、確かにいろいろなケースがありますが、オーストリアですと、一般会計の再配分とか、あるいは日本と同じ地方交付税措置ですね。やはり地方というのは税収に偏りがありますので、そこを配分していく。そういう形でしっかり公共交通、公共サービスは支えるんだということです。ドイツなんかは、鉄道を五五%増やしましたよというのが、連邦交通省のホームページにばあんと出るわけですね。

 あと、教育との整合性というのも問われる。現在、例えば、事業者は、通学定期割引とか障害者割引とかやっています。この価格政策を事業者負担でやっているということはどういうことかというと、間接的には、それは利用者負担ですから、実を言うと、地方でいえば八割の車を運転している人、俺は関係ねえよ。要するに、地方で通学定期割引を支えている人は誰かというと、公共交通に乗っている老人と高校生が、そのお金で高校生の通学割引を支えている、障害者の割引を支えている。こういう受益と負担が全く一致しない制度が、たまたま明治時代の国鉄の社会政策に基づいた仕組みから残っている。こういうことは、本当にはっきり変えていかなければいけない。バリアフリーも同じです。みんなが社会参加するためにバリアフリー化しているのに、費用負担しているのは公共交通を利用する人だけ、これはおかしい、広く社会負担の仕組みが必要だろう、こういうことです。

 最後、まとめてありますけれども、本当に外部不経済が生じる市場メカニズムではいけないわけですから、しっかり公が関与するんだけれども、その際には、しっかりお金の部分も含めて関与していく、そして、しっかりとしたバックキャスティングのSUMPによる計画を立てて、整合的な政策を取る教育も含めて、本当に教育助成等の社会政策を民間事業がやっているという仕組みは、これは日本だけですから、こういうことは改善が必要であろう。

 あとは、長い目で見る、あるいは、支出という社会的便益の幅広い考え方、分野横断的なクロスセクターの考え方、こういったものに基づいて、今回の法改正に基づいた新しい交通政策というのは課題があるのではないかなというふうに思う次第で、地方交付税の活用とか、あるいは、今後、事業法が、今、独立採算をベースとした事業というのが前提になっていますけれども、その辺りも含めて、公共交通というのは公共サービスなんだという在り方をもう少し検討していく必要があるんじゃないかなということを課題として考えております。

 ということで、私からの陳述は以上にさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

木原委員長 ありがとうございました。

 次に、武田参考人、お願いいたします。

武田参考人 武田でございます。お招きいただきまして、ありがとうございました。

 資料を基に説明していきたいと思います。

 まず一枚目ですけれども、本日御説明する内容ですけれども、今回の法案は、モビリティーについては触れられているんですけれども、インフラについては全く触れられていないということで、特に道路と鉄道の話、国交省内の道路局と鉄道局ということで、縦割りの構造が諸悪の根源である。二番目に、道路と鉄道の予算、財源の在り方、北海道開発予算とかを見るとよく分かるということです。三点目に、北海道内の現状、様々な協議会やバス転換、これが特に道内では反面教師となっているということを御説明します。それから四点目、打開策として、軌道法とか上中下分離とか、こういうものを使うということはいかがなのかということで、私案でございます。五点目、北海道で覚悟と気概を持って取り組めば、逆に全国へと展開できるんではないかということでございます。

 一枚めくっていただきまして、二枚目に行きます。今回の改正論議の率直な印象ですけれども、今回の法案は、母屋に手をつけないで、屋上のプレハブを増築していく、そういうものではないかということです。それで、鉄道事業法とか大臣指針とか、そういったものはほぼ温存されたままで、交通税とか特定協議運賃とか、そういったものばかり出ておりまして、その中で、あとは道路局側の支援施策というのが全く見受けられないということで、国交省全体を挙げた対応とは到底思えない、やれることが非常に限られているんじゃないかということが初年度の予算でも見られます。

 それから、社会資本整備総合交付金についても、今までにない踏み込んだ内容ではあるけれども、実際どこまでできるのか非常に不透明で、運用面が読めない。

 歴代の大臣答弁も、結局、各局の局ごとの局益答弁に終始していて、例えば、JR等の鉄道事業者を指導する、そういう言い方をされていますけれども、では、その鉄道に対してどのような国として予算を出すのかということはほとんど語られないということであります。

 それから、交通分野では、河川とか環境分野と比べて、デモクラシーの導入が著しく遅れているんじゃないかというふうに言えます。

 三ページ目に参ります。

 道路と鉄道の関係でありますけれども、これは昔から、もう戦前からありますけれども、戦前の内務省と鉄道省から、建設省、運輸省。それから、交通か運輸か、公共か民営か、公共事業か公益事業か、国が直接事業をするか規制して民間にやらせるかとか、インフラかモビリティーかということで、似て非なる分野なのに、施策は全く別になっています。

 予算規模の圧倒的な違いということで、道路予算は何兆円の世界ですけれども、港湾、鉄道、空港等は何千億円の世界で、その中の鉄道は数千億円の世界で、その中で整備新幹線がかなりの部分を占めている。初年度五十億円というような数字が示されておりますけれども、これは、地方におきます高規格道路一キロメートル当たりの建設費で、例えば、山間部のトンネル部分の暫定二車線なんというのは大体四、五十億円と言われていますけれども、そういう額でしかないということですね。だから、道路の受皿としてできることということであれば、軌道法ということが考えられるんじゃないかということがあります。

 次のページに行きます。

 例えば、写真が出ていますが、左側の二枚が、広島県と岡山県にまたがる芸備線のところで、上の側の写真は、裏側に高規格道路を造っているところで、直接競合しないとはいえ、造っているところですね。その下側のところは、芸備線の踏切がある先に、これは、重点道の駅ということで、かなり全国的にも有名になっていて、日経新聞にも取り上げられたような、道の駅が線路に背を向けて建っている状況でございます。

 右側に行きますと、これは、山形県の陸羽西線、ここは、高規格道路を造るということで、そのトンネル工事で、かなり支障するということで、二年間にわたって鉄道を止めて、道路の工事の犠牲になっているというところでございますけれども、こういうことも行われております。

 次のページ、お願いします。

 鉄道存廃の協議会ですけれども、私は、四つの協議会や住民説明会があると思います。

 一つ目が任意の協議会でございまして、これが鉄道存廃を自主的に決めているところでございまして、ここは任意なので、非常に密室性が高くて、拙速な議論をしたり、専門知識が欠けたりするところで、報道のぶら下がり取材によって、ようやく、沿線住民は結果のみ後から知らされるというところでございます。

 二番目が、鉄道事業法における廃止手続代替交通確保協議会ですけれども、これは、廃止を半年間繰り上げてもいいかどうかだけやっていまして、事実上、追認の場になっています。

 それ以外に、三と四が今後の、現行と改正の協議会の在り方ですけれども、これも運用次第になっているところでございます。

 次のページをめくっていただきますと、左側が二番目の代替交通確保協議会ですけれども、背広を着た自治体関係者だけで、住民も非常に少数しか傍聴に来ておりませんけれども、右側は、これとは別の、鉄道廃止が決まってからの住民説明会でございまして、これは、要するにバス転換をどうするということしか議論の対象にならない、こういうことが特に道内では行われているところでございます。

 次に行きますと、バス転換の問題点としては、自治体ごとにぶつ切りで運行しているということで、広域運行が非常に消極的なので、鉄道が有していた広域性とかネットワーク性が大きく損なわれるということで、乗り継ぎとか運賃、ダイヤとか、そういったものが非常に困難になっておりまして、数年のうちに溶けて消え去るように、衰退の一途になっているところでございます。

 次のページに行きます。

 それで、これは北海道の日高線の場合でございますけれども、左側の上が、拠点駅の静内駅の廃止後の状況でございまして、高校生とかがわざわざ旧駅のところまで来て、バスターミナルに、乗ろうとしています。それで、右側ですが、苫小牧行きの道南バスで、静内を出て直後の非常に混雑している状況ですけれども、次の町の新冠を過ぎますと、このようにがらんとした状況になってしまいまして、広域的な鉄道輸送だったものが、バスになって非常に短距離しか乗らなくなってしまうという状況でございます。

 それで、突破口としての軌道法の活用でございますけれども、やはり、鉄道局と道路局が別々にやっているということで、軌道法は、道路と鉄道局が共管であるから、これは路面電車の法律でありますけれども、これを持ってきますと、国が上下分離の下を持つということができるようになるんじゃないかということで、かなりの路線を残して、全国的な在来線のネットワークが維持可能になるのではないかということでございます。

 次のページを見ていただきますと、これは、左側の方が鉄道の法制、右側の方が鉄道局と道路局の共管の法制でございまして、共管の方に行きますと、インフラとして下を持つことができるということで、国がもっと積極的に予算を出す根拠になるんじゃないか。

 次に、上中下分離ですけれども、上下分離は盛んに言われていますけれども、私は、道内の事例を見ていますと、中というもので、その次のページを御覧ください、これですね。要するに、上の部分を上と中、つまり、車両運行とか運営と、車両の保有というものにもう少し分けて、下は下で線路の保有ということで、このようにもっと細分化して、地元の自治体がもうちょっと取り組みやすいような、そういうものがもっとできないかということで、鉄道だけが全部一体になっているところでございます。

 次のページを見ていただきますと、これはちょっと恐縮ですけれども、二〇一七年の北海道開発予算のところで、毎年シェア比はほぼ同じでございますけれども、港湾空港鉄道等というのがありまして、うち港湾と空港を足しますと、二七七五〇になりまして、鉄道は毎年ゼロでございまして、それで道路整備はこの額になっているということで、こういう状況が、鉄道はゼロということがずっと続いているということでございます。

 最後のページを見ていただきますと、まずは北海道で仕切り直しをして、新たな再構築モデルをつくって全国展開ということができるんじゃないかということで、北海道はバス転換先進事例の反面教師ではないということで、刷新検討会とか国交省の鉄道局は都合のよい側面しか見ていないということで、並行在来線とか貨物調整金がございますし、無用な議論や赤字の押しつけ合いでは不毛でしかないということで、制度設計とか運用が改善されないと機能しないということで、特に、道内のような、行政だけ、首長だけの議論では、矮小化して、負担割合とか経費の削減だけにしかいかないということで、だから、まだできることはあるのではないかということで、創意工夫とか有意義で柔軟な発想が必要ということで、鉄道とまちづくりの実効的な、施策的な一体化、特に、道内では、北海道開発予算というものをもっと積極活用して、北海道開発局は是非この鉄道の存廃問題に、議論に加わるべきということで、例えば、道の駅とかシーニックバイウェイとか、そういったものを鉄道駅に隣接させるとか、鉄道も含めてシーニックレールウェイにするとか、そういったものもできるんじゃないかということで、そういうことでありますと、やはり、もし法改正が行われるのであれば、国交省の鉄道局と道路局の在り方についての行動計画やロードマップを示すことが条件になるのではないかと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

木原委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。菅家一郎君。

菅家委員 おはようございます。自民党の、そして福島、会津選出の衆議院議員の菅家一郎です。どうぞよろしくお願いいたします。

 参考人の先生方は、大変貴重な御意見を賜りまして、大変参考になりました。

 何点か確認したいといいますか、お考えをお聞きしたいと思っているんですが、私は会津出身なものですから、いわゆる只見線、ちょっとこれを例にしたいと思うんです。

 二〇一一年の三月十一日は東日本大震災だったんですが、実は七月に新潟・福島豪雨災害で只見線が甚大な被害を受けたんですね。当時、JRはバスだと、バス代替。全然乗っていないじゃないか、多額の費用がかかるから、これは復旧は断念でバスだ、こういうふうな方針が出された案件なんです。しかし、地元自治体も県も、是非鉄道としてこれを復活してほしいという強い地元からの要望がありました。

 当時は、鉄道軌道法は、災害復旧における支援策が、赤字事業者のみだ、黒字事業者は自前でやれ、こういうたてつけになっていたものですから、これを解決するには、軌道法改正、黒字事業者においてもしっかり支援するという改正を行って、そして、県も前向きにこれに取り組もうというようなことで、昨年の十月一日ですか、十一年ぐらいたちましたか、開通した事例であります。

 結果として、乗り切れないほど多くの方が只見線に乗って、最初は、山手線の朝のラッシュぐらいだと言われるぐらい、立ち見が出てという、今でも、大変なお客さんが、満杯だという報告があります。こういった事例を考えれば、やはり地元としては、是非鉄道を残してほしいという強い思いを感じた事例の一つになっています。

 地域住民が利活用するのがローカル線の基本なんですが、只見線は、実は観光として多くの方に乗っていただいている一つの事例でもありますので、これは、地元のカメラマンが、三百六十日のうち三百日ほど近く、もう只見線の景色、景観、これを撮りまくって、これを発信した。いやあ、すばらしい景観の、つまり、観光としての地域の魅力をアピールしたことにもつながった事例か、このように私は思っています。

 ですから、鉄道のネットワークというお話も実はありましたが、まさに只見線に行く観光客を事例にすれば、もしかすると、東京から新幹線に乗ったり、磐西線に乗ったり、波及効果があるんじゃないですか。車でも高速道路料金を払いながらですよ。この只見線だけ考えれば採算云々という議論、私はやはり交通ネットワークの中で考えるべきじゃないか、一つでも観光路線になれば、地域住民だけじゃなくて、観光路線としていけば波及効果がある、こういうことを考えれば、私はやはり鉄道を残すべきなんじゃないか、こう基本的に考えながら、今回の法律でも鉄道の維持、高度化、あるいはバス等の転換というふうに考えているわけです。

 この点について、この法律はやはり鉄道ネットワークを守るための基本的な法律として再構築協議会で議論すべきだ、このように私自身は思うんですが、この点について先生方から御意見をいただきたいと思います。

 まずは、福島県の吉田参考人、いかがでしょうか。

吉田参考人 ありがとうございます。福島の吉田でございます。

 今回の活性化再生法の改正の中でのポイントというのは、別に鉄道からバス転換を図るということが一〇〇%前提であるわけではない、鉄道を残すのであれば、それをどのようにこの地域で活用していきたいのかということを明確にしていく、そこが非常に重要なんだというふうに思っております。

 只見線の協議の場面では、いわゆる法定計画というよりも、任意の協議会が開かれて再開を決定したということでありますけれども、たくさんのお客さんが乗っていながらでも、やはり赤字であるということには変わりがない。でも、赤字であることが直ちに問題ではなくて、只見線が残ることによって地元に観光客の方が訪れ、地元が活発になる、そのための道具として自分たちが使っていくんだという合意形成をしているのであれば、線区を残すというところの価値は大きかったのかなというふうに思っています。

 一方で、やはり冬期間、鉄道の方が運休日数が多い、それから運行本数も、タクシー、代替バスよりも実は只見線の現行の本数の方が少ない。実は、生活の面のところでは負のところがあるということも事実です。

 そういうところも、やはり繰り返し繰り返し議論していくというのが協議会の場では求められてくるのではないかというふうに思っております。

 以上です。

菅家委員 ありがとうございます。

 では、もう一人は北海道の武田先生、いかがでしょうか。

武田参考人 私、先ほど申しましたけれども、今回の法案は、例え話で言いましたけれども、上物というか、屋上のプレハブだけやって、下の母屋の方は余り手をつけないということで、そもそもそこが問題であって、要するに、モビリティー法だけではなくて、インフラ法と統合するような形で議論していくようなことにならない限り、余り実効性は期待できない。

 ただし、改正しないよりはましなので、取りあえず何とかやっておいて、別途、何か行動計画、ロードマップみたいなものを国交省に作るように求める必要があるんじゃないか、そういうふうに考えております。

 以上でございます。

菅家委員 ありがとうございます。

 もう一つ、会津若松の事例を申し上げますと、磐西線にSLを導入したときがあります、今でも走っているんですが。SLで来たお客様を町中観光につなげなくちゃならない、地元からコミュニティーバスを導入してほしいなどと要請があって、国交省の補助をいただいて、ボンネットバスを循環、右回りも左回りも観光地をつないでというのを導入してきた経過があって、つまり、鉄道はそのままSL等を使って、駅舎を、無人駅を地元でちょっと景観を変えたり、そしてアンテナショップにしたり、そこにボンネットバスを、ハイカラさんというんですけれども、というのを取り組んだら、観光シーズンには並んで乗り切れなくて、後ろに大型バスをつけて、二台で走っているというときもあったんですね。

 ですから、今回の再構築の考え方で、やはり今のような、いかに鉄道を生かして、地域を活性化するということが私は極めて重要な論点かと、このように思っているわけですが、この点について、山内参考人、いかがでしょうか。

山内参考人 私は先生おっしゃるとおりだというふうに思っておりまして、先ほどの只見線のケースもそうですし、今の観光のケースもそうですけれども、今回、リデザインという形で新しいものをつくり出す、それが、さっき申し上げたように、統合という形で政策を一体化するということだと思っております。

 つらつら考えるに、地域の経済政策とか、交通政策も含めてですけれども、これについて国がこれまで関与するというのは余りなかったわけですけれども、しかし、観光の問題とか地域交通の問題とかというのは、これは地域の政策に対して国が支援をするといいますか、これはいい機会だというふうに思っております。

 先ほどのリデザインの統合という考え方、それから地域の経済という考え方、こういったことからすると、まさに先生おっしゃるようなことが今回の法改正によって可能になる、あるいは可能にしなければいけないというふうに思っております。

菅家委員 軌道法の改正で、災害におけるものには支援ができた。今回は、どのように再構築するかという新たな視点で支援ができる制度ができたということは、私は極めてこれは画期的なことで、対応すべきだと、このように私は非常に歓迎しているわけですが、再構築協議会の在り方ですね。

 地元はやはり鉄道を残そうと、鉄道事業者はもしかするとBRTとかいうふうに換えようじゃないかというのが予想されるんですが、この点について、私は、やはり鉄道を残して、ネットワークを残すための、活性化するための様々な計画を作ってやるべきだと思うんですが、実際の再構築協議会における在り方について、ちょっと大変私も状況がどうなるのか心配なんですが、この点について、せっかくですので、宇都宮参考人、どういうふうにお考えなのか、期待しているのか、よろしくお願いいたします。

宇都宮参考人 御質問ありがとうございます。

 本当に今後の協議会、期待したいところではありますけれども、懸念すべきは、やはりお金がないという議論から始まって、最初にそこに制約条件が入ってしまうと、結局、そういう長い目で見た、観光客が来るとかまちづくりとかいう、そういう視点抜きのまま、目先の安い方になってしまわないか、それを非常に懸念しております。

 そういう意味で、私のまとめにも書きましたけれども、公共交通への支出というのは、先生おっしゃるとおり、まさに地域に対する投資なわけです、長い目で見て。地域づくり、そういう観点から、まず長期的に考えてみる。

 それから、お金を使うときにも、先般、先生方もおっしゃっている、いろいろなものを統合して考えなければいけないわけですね。このバスに使うということが、逆に、それによって、車に依存しているために使っているお金が減るかもしれないとか、そういった資金面でも、クロスセクター効果といいますけれども、そういう横断的なことを考える。

 そして、更にお金がない場合は、是非地方から、例えば地方交付税交付金、これは今バスには出ていますけれども鉄道には出ていないとか、そういった制度面の改正も、是非先生方が声を出していただいて、これは国交省の問題ではなく、国全体の予算の在り方、財務省あるいは総務省の問題、そういった問題提起をしていただくことによって、資金をしっかり取ることによって、先生おっしゃるような、拠点を通じた、鉄道を軸としたまちづくり、地域づくりが私はできていくと思うし、是非協議会にはそういう前向きな議論を期待したいと思っております。

 以上です。

菅家委員 只見線の例を申し上げますと、本当に地域住民の人口が減って、過疎地域なんですが、満杯なんですね。いわゆる観光路線。これは、これからの再構築協議会での議論の中に、今の時点では、確かに乗っている方も少ないし、赤字だというんですが、しかし、只見線周りは山だし、川だし、これに光を当てているわけですね。すばらしい景観であり、春夏秋冬も。こういったところに光を当てることによって大勢の観光客がお見えになっている事例でもあるわけですよ。

 だから、現時点で乗っていない、赤字だからではなくて、その地域の持っている資源を、観光資源を掘り起こして、光を当ててアピールすることによって、観光として使うべきじゃないかというように私は考えるわけですが、今後の赤字ローカル線の在り方の中で、私は、しっかり観光路線として力を入れるべきだ、このように考えておりますが、この点について、最後でしょうか、では、武田参考人、いかがでしょうか。

武田参考人 武田でございます。御質問ありがとうございます。

 観光路線ということでいいますと、道内の路線もほぼ全てに当たるということでございまして、道内の路線では、特に、余りにも本数が少なくなってとか、住民の利便ということでは非常に問題があるところもかなり多いんですけれども、そういったところも、鉄道ならではの景色とか、鉄道ならではの旅情とか、そういうものを楽しむ、ほかに代えられないものがあるんですけれども、そういった場合は観光路線として是非活用すべきである。

 その場合は、もっと観光路線に特化できるような、インバウンドも含めて特化できるような観光施策とか、それから、鉄道事業免許の面でも支援が必要であって、例えば、特定目的鉄道事業免許というのがございますけれども、あれを導入している事例が非常に少なくて、門司港の事例とか、ごく限られていまして、ああいったものをもう少し伸ばすとか。

 あと、万一廃止になってしまっても、廃線跡をトロッコで活用するとか、そういったことをやるとか、もう少しいろいろな政策メニューとして、地元の利活用とか地域振興に資するようなものがあるのであれば、国として、特にインフラの部分からも応援することが施策的にもできるのではないかというふうに考えておりますので、どうか御検討していただきたいと思います。

 以上でございます。

菅家委員 時間になりました。大変参考になりました。ありがとうございます。

 以上で終わります。

木原委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。立憲民主党会派を代表いたしまして質問させていただきます。

 詳しく質問させていただく前に、私の背景からお話をさせていただきたいと思います。この石川県の能登半島というところは、鉄道の歴史の苦しみと悲しみと悲哀の縮図のような地域でございます。

 東京から私の地元まで行こうといたしますと、まず北陸新幹線に乗ります。金沢駅がございます。金沢駅から七尾線に乗るんですけれども、金沢から津幡までは並行在来線に伴って造られたIRいしかわ鉄道というところでございます。

 そして、津幡から七尾、和倉温泉まではJR西日本、いわゆる枝線と言われているものでございます。

 そしてさらに、七尾、和倉温泉から先の穴水、遠藤関の出身地の穴水ですが、こちらはのと鉄道というところでございます。小回りが利いて、むしろ積極的に観光誘致で頑張っている、そういった鉄道会社でございます。

 そしてさらに、穴水から最果ての地の珠洲、こちらは国鉄からJRに変わるときに第三セクター化されて、そして、現在は廃線となりました。

 そしてさらには、穴水から、千枚田ですとか朝市で有名な輪島、こちらも元々はJRだったんですけれども、のと鉄道に吸収をされる、譲渡されるという形で、結果的にこちらも廃線になりました。

 特に、この廃線の地域の大変苦しい駅、廃墟と言ってもいいと思います。ここに駅があったのか、町があったのかという、こういう現状を見ますと、全国各地域での廃線になってしまうかもしれないという現状は、大変苦しい、悲しい、こういうふうな景色はもうつくりたくないなという思いもありますし、並行在来線の問題で切り離されていく部分に関しても、やはり赤字の多いところも多いですし、現在、七尾線の利用者にとってみても、運賃はもう上がっているわけですから、乗り換えなくても会社を乗り換えているという形で、利用料金も上がって、そして、始発も終電もどんどん縮小されてということで、何らかの形で転換を行っていかなくてはいけないんだろうなと。

 ですから、今回の法改正については、私自身もやっていかなくてはいけないと思っています。ただ、その一方で、このままの延長線上でいいのかという不安がございます。

 そして、まずシンプルに伺いたいと思いますが、再構築協議会、こちらについてですけれども、今までも協議会、各地域でつくられた、つくろうと努力していたといったことがございますが、今回の法改正でこの協議会がつくられていくことが進むとお考えでしょうか。若しくは、足りない部分があれば、どういったところが足りないとお考えでしょうか。各先生に伺います。順番に、吉田先生からお願いいたします。

吉田参考人 御質問ありがとうございます。

 再構築協議会が非常に注目をされているわけですけれども、やはり原則としては、沿線の自治体が法定協議会を立ち上げる、それでかなわない場合に、鉄道事業者等からの申出により再構築協議会をつくる、こういうたてつけなんだと思っています。

 そして、やはり基本にあるのは、地元の自治体がしっかりとこの鉄道を生かしていくのかどうしていくのかということを議論できる体制をつくる、そこに尽きるんじゃないかというふうに思っています。

 以上です。

山内参考人 先生おっしゃるように、再構築協議会がこれからどうなるのかというのは非常に重要で、今回の法改正の中で、そこがある意味ではコアなのではないかというふうに思っています。

 私自身の考え方を申し上げると、先ほどから申し上げていますように、交通だけの問題ではないということでありますね。交通だけの問題ではなくて、その地域、経済をどうするのか。特に、地方ですと観光というのが出ていますよね、非常に重要なファクターでありますけれども。例えば、観光ということを視点に入れたときに、鉄道がどういうふうに役割を果たすのか、地域の経済効果を果たすのか、こんなことを議論しなきゃいけないということですね。

 ですから、私の考えは、こういった協議会をやる場合には、そういった広い視点で議論できるような、そういうたてつけにするというのが重要であると思います。

 これから具体的に、その構造であるとかたてつけであるとかが議論になると思います。それから、恐らくは、一回だけやって、これだというのはないと思います。ですので、いい方向、それを改善していくといいますか、そういうプロセスが大事ではないかなというふうに思っています。

 以上でございます。

宇都宮参考人 御質問ありがとうございます。

 まずもって、吉田先生おっしゃったように、法定協議会でしっかり、再構築に行く前に、地域で考えるということが重要。それが第一点。

 その上で、再構築になった場合ですけれども、先ほど申し上げましたとおり、やはりどうしても、人間、お金がないと緊縮的な発想に至ってしまう。むしろ、長い目で見た地域づくりというものを考えていただくということを本当に皆さんに意識してほしい。

 それから、やはり自家用車に地方の場合依存している。これはやむを得ないとはいえ、このままで持続可能かという、こういう視点もしっかり持っていただかなきゃならない。

 そうなった場合には、是非ここにいらっしゃる先生方も含めて、今後の在り方として、やはり公共交通をベースにした地域づくり、山内先生おっしゃったように、地域全体の話になるわけですから、そこについてのしっかりとした、お金も含めたバックアップをしてあげた上で、上下分離なら上下分離ができる、お金がないからできないのではなくて、地域がいいと思うものならできる、そういうことを国も含めてバックアップしていく体制というのが必要なんじゃないかなというふうに思っております。

 以上です。

武田参考人 先生が先ほどお話しになった、のと鉄道の話ですけれども、私、ちょうど、のと鉄道の能登線が廃止になったときの代替交通確保協議会にわざわざ出席しに、飛行機で飛んで、新潟の運輸局まで行ってきました。

 そのときに、一般の方が二人登壇されて、それは宇出津の旅館のおかみさんがお二人、たしか出ていたんですよ。それで、要するに、あそこは新潟管内なので、わざわざ新潟市まで前泊して出かけていって、それで陳述しなきゃならないということで、本当に泣きそうな感じで、能登線をこのまま廃止していいのかということで、特にあのときは、石川県庁自体が、知事も含めて、能登線のというか、のと鉄道ですね、その存続に懐疑的で、高規格道路、高速道路もできたから、それから農道もできたし、空港もできたから致し方ないというような感じでやろうとしていまして、私も脇で聞いていて、非常にこういったことで本当にいいのかということを思いました。それが、二番目に言いました代替交通確保協議会でございます。

 それから、ちょっと今の質問に敷衍してみますと、今後、括弧四の協議会ができてくるわけですけれども、例えば都道府県庁とか自治体とかが、どのような予見というか、どのような方向性で臨むかとか、運用とか、そういったことで全然変わってくる。

 特に道内の場合は、北海道庁というのが、現在、知事以下、なかなか鉄道存続について余り色よい答えをしていない中で、その下の振興局とかもやはり本庁の方の顔色をうかがっている。それから、国であっても、運輸局も本省の方がどういうふうにやるかということで、そればかりを気にして、本当に地域に立って議論をすることができるかどうかというのは極めて疑問でございます。

 そういったことであるならば、やはり今後の協議会の在り方ということで、もう少しいろいろな方向性とかひな形とか、そういったものを示しながら持っていく必要があるんじゃないかというふうに考えております。

 以上でございます。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 内部補助は限界ということについては各先生方全く共通だったのではないかなというふうに思います。

 そして、その中で、協議会の在り方、そしてさらには財源、財源についても各先生方それぞれ違いがあったと思いますけれども、やはり国交省の範囲内だけでは正直厳しいんだろうなというふうに思います。学割のお話もありました。バリアフリーのお話もありました。文科省であったり、また厚労省であったり、総務省であったり、この枠組みを超えていくということも大変重要かなというふうに思います。

 その大前提として、地域における熱量、このままじゃ駄目なんだということの熱量が必要だというふうにも思いますし、更に申し上げれば、過疎地だけの問題ではなくて、都市部の方々にとってみても、田舎から人がいなくなったら、食料であったりCO2の吸収であったり、また国土を守っていくという観点も含めて、地方の公共交通を守ることがいかに都市部の人にとっても大事なんだという、日本列島改造論じゃないですけれども、何らかの社会的な前向きな運動ができればいいなというふうに思うんですが、今回の法律の議論をきっかけにできればいいなというふうに思うんですが、どのようにすればこのような運動を起こせるとお思いか、各先生から、今度は武田先生からお願いいたします。

武田参考人 ただいまのお話についてですけれども、やはり協議会のメンバーというものを、自治体の首長とかそういった人に限らない、もっと幅広く、地元の各団体とか、それから利用者については広範な利用者、そういった者も参画するとか、いろいろな意見を聞くとか、そういうデモクラシーのそういうものがないとなかなか難しいんじゃないか。

 特に公開ですね。密室でやるということで、結果だけ知らされるということが特に道内では多いんですけれども、そういうふうにならないように、計画段階からいろいろな意見をいろいろ募っていく、積極的に募って、それをうまく反映するとか、そういったことが、なかなか難しいかもしれないけれども、是非やっていく必要があるのではないかというふうに思います。

 これは、河川とか環境の分野と比べて、著しく交通、鉄道とか道路の部分が遅れているということを痛感するから申し上げているところでございます。

 以上でございます。

宇都宮参考人 御質問ありがとうございます。

 今の地域公共交通計画というのは各自治体、努力義務になったわけで、そういう意味で一つのベースなんです、地域の。

 ところが、これは結局ミニマムの補助金と今ひもづいてしまって、ミニマムの補助金をもらうための形式的な計画になってはいないだろうか。更に言えば、その計画は、先ほど申し上げたように、国交省的にはお金がないので、収支率とかそういうことだけ占められている。

 そうではない、本来は、先生おっしゃったように、地域が元気になって、地域づくりのツールとして地域公共交通計画があるべきであるとすれば、今日私が御紹介した、世界で今標準となりつつあるSUMP、サステーナブル・アーバン・モビリティー・プランのような形で、大きく最初にみんなのビジョンを決めて、バックキャストで何が必要か、私はSUMP化と呼んでいるんですけれども、要するに、地域公共交通計画をSUMPをベースにしたような形で動かしていく、そんな機運が全国の計画作りに高まってくれば、今までのやり方と変わってきて、なるほど地域も前向きにできるんだ、こういうことにつながるのではないかなということで、今日はSUMPを紹介させていただきました。

 以上でございます。

山内参考人 先ほど、最初の陳述の中で、私、内部補助のことを昔研究していたというふうに申し上げました。

 いろいろな意味での内部補助があるわけですけれども、昔、もう古い話ですが、国鉄がJRに改革するとき、あのときは、やはり内部補助というのが大きな問題になって、もう昔の話ですから差し支えないと思うんですけれども、北海道に白糠線というのがあって、白糠線の廃止問題という、営業係数が二〇〇〇ぐらい、百円稼ぐのに二千円かかるみたいな、そんな感じですけれども。

 路線間の内部補助とか、あるいは地域間の内部補助というのがどこまで許されて、どういう形で反対されるかということを考えたときに、二つある、二つというか幾つかあると思うんですけれども、一つは、それ自体が本当に内部補助なのかという問題ですね。

 先ほども御案内ありましたけれども、ネットワーク効果があって、その路線についてはネットワークとして機能するので、収支上は赤かもしれないけれども、ネットワーク上で見ると黒になるかもしれない、そういう議論もありますし、それから、共通の費用がいろいろ存在していて、その共通の費用をどういうふうに負担するかによってまたこれも違ってくるとか。

 それから、路線間内部補助というのは非常に曖昧な概念でして、例えば、AとBが赤字だといっても、AとBの間にあるC駅までは黒字で、CとBが赤字だとか、定義により、また路線の取り方によって全然違う、こういうことになるわけですよね。

 ただ、おっしゃるように、地方ローカル線について、赤字をどういうふうに定義して、それを維持するかということになると、事業としてやるという意味では内部補助に頼らざるを得ない。ただ、おっしゃるように、内部補助は駄目だと私自身は言うつもりはなくて、今申し上げたような、いろいろな角度から見て、それは内部補助に当たるのかということをまずは検討してみる。私のレジュメでネットワーク効果と書きましたけれども、そういうところでございます。

 それから、それを超えてということで申し上げたのは、先ほど申し上げたように、地域全体で統合してその鉄道が赤なのか黒なのか、こういう話ですね。これは観光だけではなくて、いろいろな付随的な産業がそれによって成り立っているとすれば、それは収支上は赤であっても、地域全体として見れば赤字ではないんだ、こういうことになるわけですね。そういう意味での外部効果的なもの、これを取り込んだときに、どこまでということになります。

 それからもう一つは、地域的なつながりです。今、地域交通計画の話がありましたけれども、例えば、交通計画の中で路線間の内部補助というのは、これは許されるのではないかとか、あるいは、さっきの、東京の人が白糠線の赤字をというと、なかなか国民的なコンセンサス、これは所得の再分配、地域的な再分配という見方からすればそれもできるんですけれども、一般的にはなかなか難しいということだと思うんですよね。ただ、財政システムというのは、元々そういった所得の再分配の機能として成り立っているわけで、その意味では、リーズニングによってはそれはあり得るのかなと思います。

 そんなようなことで、赤字の路線をどう支えるかというのは、いろいろな要素を考えて、その中で議論すべきだというふうに思っています。その意味では、先生おっしゃるように、路線路線によって、どういうふうに位置づけるかというのを考え直すということだと思います。

 それで、地域について統合でと考えるのは、さっきの協議会で、より広い視点をという意味で申し上げたということでございます。

 私の陳述は以上でございます。

吉田参考人 ありがとうございます。

 地域の熱量を高めるためにどうするかという点ですけれども、やはりこの町をどうしたいか、そのために公共交通、どうすればそこに近づけるのかというデッサンをちゃんと共有できるかどうか、そういう場があるかどうかが大事だと思っています。

 それをしっかり描くのが、本来、公共交通計画であるはずなんですけれども、協議会も年数回というオーダーでつくられて、計画も五年に一回作られるということですから、なかなか協議会が実体化しないという事例も全国あります。

 私が関わっている中のところでも、やはり真剣に取り組んでいるところは、結構オープンな勉強会のようなものとかを結構重ねていまして、そういうところでは、やはり交通に関わるあるいは行政に関わる方だけではなく、利用者やそれ以外の、例えば商業、観光の方々とも、どういうことをやっていきたいんだというところが結構共有ができている。やはり、そういうところというのは、公共交通、政策を打っていく上でも、他の自治体と判断が変わってくるなということを実感をしております。

 一方で、大都市圏ですと、やはり地方圏に思いをはせてという話もありましたけれども、いや、大都市も問題です。私も関わっている協議会の中ですと、実は今、東京周辺の方がこの春、バスの減便は多いです。

 ですから、やはりそう考えていくと、大都市圏でも地方と同じような課題というものが出てくるだろうというふうに思っていますから、国民的な関心というものはおのずと高まってくるだろうと思っています。

 以上です。

近藤(和)委員 ありがとうございました。

木原委員長 次に、赤木正幸君。

赤木委員 日本維新の会、赤木正幸と申します。

 本日は、参考人の先生方から非常に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、時間もありますので、早速質問に入らせていただきます。

 一つ目の質問は、本日余り触れられていなかった部分になるんですけれども、新しい技術とかテクノロジーに関して、これは各参考人の先生方に御質問したいと考えております。

 なぜかという部分なんですが、私は元々民間の会社を自分で経営していたりしたので、不動産業界におりました。まさに公共交通もある意味レガシーな世界なんですけれども、不動産業界も非常にレガシーで、まさに吉田先生が言われていたKKDの本当にど真ん中の、勘と経験と度胸で進んでいく世界だと考えております。

 私自身も、そういったかなり泥臭い不動産もやっていたんですが、結構最近になってから、いわゆるテクノロジーを使ってそういったレガシーな業界を切り込んでいくとか、新しいビジネスチャンスを見つけるという、そういったいわゆるITスタートアップを私自身も経営していたことがあります。

 そこで、いわゆるほにゃららテックとか、ほにゃららDXという世界になるんですが、これは、ITというのは、すごい可能性はあるんですけれども、やっていた私自身も、可能性を感じて会社を立ち上げてやっているときに、かなり危うい世界もあって、これは何かというと、新しい技術とかテクノロジーが何か魔法のつえのように扱われて、これが出てくるからもう全てが解決できるんだというふうな、言ってみれば、思考停止になってしまうような現場を結構目にしたことがあります。

 当然、この地域公共交通の課題に対しても、私も地元を歩いていたりとか地方へ行かせていただくと、そういった声があります。具体的に言うと、例えば、自動運転とかMaaSとか、あとはライドシェアなんかが、実際に日本においても実用化されれば、今目の前にある地域公共交通の課題は解消されるんじゃないかという声もやはり聞いてしまう部分があるというのが今の状況かなと思っております。

 これについて、各先生方にお聞きしたいのは、そういった新しいテクノロジーとか技術が課題を解決するんだよ、いや、それは難しいよという部分も当然あるとは思うんですが、いや、逆に新たな課題を生む可能性もあるんだよ、そういうことも、当然、いろいろな現場を見られている中でお気づかれになっていると思いますので、そういったところをお聞きしたいと考えております。

 この裏側の意図としては、ちょっと繰り返しになるんですけれども、やはり、もう目前に迫っている課題を、何か、いつ起こるか分からない、いつ実現するか分からないテクノロジーに任せてしまって止まってしまうということは避けなければいけないですし、思考停止の状態になるということを非常に懸念しているということがあります。

 そこで、長々となりましたが、新しいテクノロジーとか技術が地域公共交通の課題をどういったふうに解決していくかについて、各参考人の先生方から御意見をいただけますでしょうか。

 では、順番に吉田先生からお願いいたします。

吉田参考人 ありがとうございます。

 先生がお見込みのとおりで、やはり、そういう新しいテクノロジーに期待され過ぎて、例えば、自治体なんかでも、○○という大きなベンダーさんと包括協定を結びましたと握手するところまでは報じられるんですけれども、その結果、何を生んで、その地域の何を改善したのかというのが全然報じられない、こういうことがやはり散見されるというのは非常に気がかりなところです。

 一方で、やはり、私先ほど、ちらっと前橋の話もいたしましたけれども、御案内のとおり、前橋もマイナンバーカードとのひもづけで個別最適化されたサービスとか、かなりテクノロジーを生かしたような、そういう分野というのに非常に力を入れています。

 他方で、その中でもやはり足下をちゃんと固めなければいけない。というのは、県庁所在地でありながら、バス会社自体、六社小さな会社が乱立している状況で、元々は大きな東武系、東武さんがあったりとかしたわけですけれども、それが撤退をしてから小さな会社が乱立をして、それぞれがマネジメントも全部ばらばらというところだと、やはり幾らデジタルトランスフォーメーションをしたとしても、やはり、市民の皆さんに、そもそものサービスの基盤が弱いから選んでいただけないんじゃないかというところがあって、六社を束ねた共同経営ですとか、現実の、本当に公共交通のリデザインというアナログなところにかなり力を入れていて成果を上げつつあるんですね。そういうアナログな調整ということと、そこにやはりデジタルがちゃんと融合して助けになるという、そこの融合が図れるかどうかが鍵かというふうに思っています。

 以上です。

山内参考人 ありがとうございます。

 DXがこういったモビリティー問題にどうやって絡んでいくかということなんですけれども、先生、企業経営されていたということで、私よりも全然そういう感覚をお持ちじゃないかと思うんですけれども、これは交通に限らず、DXとか新技術というものが世の中に流布して社会的に貢献するというときには、恐らく、何かこういうふうな方針でやりますとか、あるいは、こういうふうな補助金出しますというようなことを最初に公的な機関がやっても、ほとんど無理だというふうに思っています。

 ちょっと近い例で、これはモビリティーじゃないんですけれども、私は最近エネルギー問題とかやっていまして、それで、脱炭素型のいろいろなエネルギーをやるときに今ちょっと話題になっているのは合成燃料みたいなんですけれども、合成燃料というのが日本でも必要だということで、いろいろ議論する。

 それなんですけれども、それを技術的に開発するにはどうしたらいいか。工程表を作ったりという話になるんだけれども、いや、そうじゃなくて、例えば、ある倉庫業者さんが自分のところの倉庫の中の機械を脱炭素するために合成燃料を使いたいと。そうすると、別に大手の燃料会社じゃなくて中小企業の、まさにスタートアップのようなところが合成燃料を作って持ってくるというようなことを今やろうとしています。ただ、そのときに、例えば、その合成燃料というのが、ちゃんとどういう規格になっているかみたいなことがしっかりしていないと、機械に悪影響を及ぼすとか、そういういろいろな問題がある。

 それで、私が申し上げたいのは、日本でもMaaSの自動運転もいろいろ実証実験をやって、それなりに民間企業も入っていったんだけれども、もうそろそろそれを実装する事態。実装するというときには、恐らく、今、吉田さんが言ったみたいに、ある程度マネタイズするようなことの条件を整えることと、足下とおっしゃっていましたけれども、サービス自体が採算に乗るような、そういう仕組みをつくらなきゃいけないというふうに思っています。

 ただ、日本的なやり方なんだけれども、全国でいろいろなところでやってみて、それでもって手を挙げてというやり方はもう終わりで、これから、民間企業がどうやってマネタイズできて、どういうふうにそれを実装するかというようなことを、条件整備とインセンティブですか、そういうものをつくるのではないかなというふうに思っています。私は、DX自体は、モビリティーの問題にも非常に大きな力になるというふうに思っています。

 以上です。

宇都宮参考人 御質問ありがとうございます。

 本当に、先生がおっしゃることを私は言おうと思っていたので、いや、MaaSも含めていろいろ議論があるわけです。実際あるわけです。なるほど、接続するから、だけれども二時間バス待ち、これじゃ、やはり使えないわけです、幾らDXであったとしても。ヨーロッパにいると、これが接続するから使える。やはり、そういう意味で、基礎サービスがなければ、幾らこちらだけが走っても結局使えないものになってしまう。そういう意味で、まず、本当に思考停止に陥らないことが必要。

 先ほど来、私の説明資料でいうと十二ページにSUMPの話、入っています。こういう冊子、日本でもあるんですけれども、これに非常にいいことが書いてあるんですね。

 肝要な点は、このDXについて、市民が支持する明確なビジョンの下、地方自治体が自ら積極的に役割を果たし、新技術に振り回されるのではなく、必要に応じて新技術を上手に利用することであると書いていますね。これはもう本当に、SUMP、そうなんです。ですので、もうおっしゃること。

 ところが、残念ながら、日本の状況は振り回されていないでしょうかと。入ったけれども、いろいろなこういう会社がやって、多分ベンダーさん、しかも、そこに補助金も出ているわけですけれども、結局、使えないよねといって、吉田先生がおっしゃったように、その後、何かよく分からなくなっているということが現状だ、本当におっしゃるとおりだと思いますので、気をつけたい。

 ただ、さはさりながら、もちろん、DXの意味がないわけではない、あると思うんです。そういう意味で、私、DXを聞かれたらいつも言うのは、やはりデータのオープン化がまだ整っていない。今のこれも、結局、会社のデータのむしろ囲い込みになっている可能性すらある。何とか会社の何とかMaaSみたいな。その結果、結果的に利用者は使い勝手が悪い。そういう意味で、データのオープン化をもっと進めていく必要がある。

 それで、データをオープン化した上で、そのデータをどんどんみんなに公開をするという仕組みを役所も含めてやっていただきたい。

 今、私、DXが一番必要なのは、やはり、お役所の方、いらっしゃいますけれども、例えば、役所とのやり取り、これこそ、今回、地域公共交通のような協議会ができて申請する、全部紙ベースなわけですね、そういったところをまずDX化することによって、多分、実は、地域公共交通の事業会社も規制側も生産性が上がってくるんだと思う。まず、そういったところから手がける必要があるんじゃないかなというふうに思っている。

 そういう意味で、DXという場合は、データのオープン化と役所とのやり取り、正直、例えば、鉄道統計年報とか我々は使うんですけれども、本当に古いデータしか出てこないんですね。リアルタイムで出てこない。これは自動車ですと、例えば、ある月末が出ると、次の日の一営業日に全国の自動車の販売台数は分かるわけです。何営業日間かあると、ちゃんと車種別のデータまで出てくるわけ、自動車の。普通そうですよね、販売店が全部入力しているのを集計すれば出るわけですから。鉄道は何か二年前ぐらいのしか出ないみたいな、それではやはりいけないんだろうなと。そういったところを是非DX化で考えてほしいというのが一点。

 あと、最後にですけれども、全然別な技術なんですけれども、今、ローカル線議論で、ディーゼルを電化できないよねとかいう議論があったときに、多分今後、そういう電気とディーゼルを組み合わせたような、あるいは蓄電池の技術とかも徐々に発達しているので、せっかくですので、そういうところにもうちょっと技術開発をして、いわゆるローカル線、電化するほどのインフラ投資はできないけれども、サービス向上できるようなシステム、水素も電車なんかがヨーロッパで走り始めたりして、まだ試行錯誤ですけれども、そういったところを我々、交通関係の技術開発という意味では、もっと重点を当ててもいいんじゃないかな、こんなことも思っている次第です。

 以上でございます。

武田参考人 御質問ありがとうございます。

 北海道内でも自動運転とか幾つかございまして、例えば、私もちょっと乗りに行きましたけれども、上士幌、十勝管内にございますけれども、あそこは、フランス型のもので自動運転で、決められたルートは、コントローラーというかごく簡単なもので、運転士じゃない人がよそのところで監視はしているんですけれども、それで、自動で走って止まって、カチャンとドアが開いて閉めてとか、そういうことで行きました。

 それで、今、ちょうど積雪期の実験をやっていまして、そうすると、例えばどの程度雪山があったりすると走れないかとか、そういうことがありまして、それで、何かLINEに登録すると、今日は走りますとか、今日はちょっと駄目ですとかということで、やはり新技術でいろいろ導入してやろうとすると、なかなか恒常的に走るということが難しいこともあるのかな。ただし、走っている分にはちゃんとうまくいきますし、あと、突然、何か検知した場合に急ブレーキがかかるとか、そういったときに、何か揺り戻しがまずいんじゃないかということはございました。

 もう一つ、今年の一月に、函館の未来大学の関係で、乗り合いタクシーというか、通常型のバスではなくて未来型ということで、そこが何かEZOCAというカードの所持者と、未来大学の学生、それから教職員とか職員を対象に走らせようとして、一か月やって非常に効果はあったという報道は目にしたんですけれども、いろいろと拝見しますと、交通を拠点というか、例えば、五稜郭駅とか、そういったところから微妙に外れているところを対象としていて、やはり何か内輪というか関係者を主として対象としているのかなという感じがいたしまして、自動運転やDXとかそういったものを推進していくには、どのような対象をどのように設定していくかとか、そういったところが課題になるかなということもございました。

 あと、鉄道について申し上げるとするならば、今まで鉄道というものは、別な意味でいろいろ、制度立ってというか組織立ってやってきたものが、いきなりそういう新技術で代替できるかというとなかなか難しいけれども、積極的にやっているところもあるんですけれども、それを見てみると、全て何か、効率化とか、お客の利用サービスを低下させるというか、効率優先で、お客さんはちょっと勘弁してくださいという感じで、我慢してくださいということでやることが多いのかなというふうに思いますので、そうしたところ、いろいろ使い方について、やはり吟味が必要なのかなというふうに考えてございます。

 以上でございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに聞きたかったキーワードが、かなり言っていただけまして、スタートアップをやる上でも、やはり足下の現場が大事で、アナログがあって初めてデータが使えるとか、ツールが使える、そしてマネタイズが必要というところを、非常に参考になりました。

 あと、スタートアップの人間というのは、やはりネタを日々探しているんですね。彼らはやはり、技術は持っていても、現場はなかなか知り得ない部分がありますので、是非何か、こういったサービスがあればこういった課題が解決できるという情報発信も継続的にしていただければなと考えております。

 質問を五つ用意していたんですけれども、かなりつぼに入る質問をしてしまって、一つで終わってしまいましたが、私の時間は参りましたので、今日はこれで終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。

 今日は、参考人の先生方、お時間を頂戴しまして大変にありがとうございます。今回の法案に関しまして、何点か先生方のお話をお伺いさせていただきたいと思います。

 最初に、これまでの地域公共交通活性化再生法の効果と課題、さらには好事例について、山内先生の方に是非お聞かせを願いたいと思っております。

 現行の地活化法は、平成十九年に制定され、その後四度にわたりまして法改正がされております。特に、令和二年の改正では、地域公共交通計画の作成の努力義務化でありますとか、地域旅客運送サービス継続事業などの創設、さらには新モビリティーサービス事業としてのMaaSの創設など、これまでにない豊富な政策手段が実現可能となっております。

 そこで、まず、先生にお伺いしたいと思いますが、これまでの現行法における取組の効果、どのような効果があったのか、さらには、いかなる課題が残されているのか、これは先生の御意見を伺いたいと思いますし、また、先生が認識をされますこれまでの取組における好事例、例えば、利用者の増加でありますとか、収支の改善、さらには観光の振興、こういった好事例などについて御紹介をいただければと思います。

山内参考人 私は、いわゆる地活化法ができて、いろいろな効果があったというふうに思っております。

 それで、まず、効果の方から申し上げると、やはり、さっきから申し上げているように、地域でどういうふうな意思決定をするのか、どういうふうに交通体系を考えていくのか、こういう体制が整ったというところがまず最初だというふうに思います。それで、令和二年の改正で、それに対して一定の補助とかそういったものが加わって、より実質化したというふうに思っております。その意味では、地域が地域実態に合わせてどういうふうに考えていくかということが効果として表れたということだと思います。

 これが、おっしゃるように、地域によっては、利用者の増加とか、あるいは観光と結びついてというようなところで効果を発揮しているというふうに思っております。それで、これに対してどういう課題があるかというのが、ある意味では今回の法改正であるというふうに思っております。

 それは、吉田先生がよくコミットされていますけれども、地域協議会なんかでも、やはり、動かないところとか、動かないといいますか、ちゃんとした意思決定が進まないところとか、あるいは、どういうふうな、方向性について、右往左往してといいますか、ちょっと言い過ぎですけれども、そういったところも見られますし、それから、何よりもやはり手段が限られているというところなのかなというふうに思っております。

 手段が限られているというのは、さっきから申し上げているように、地域の総合政策としてどういうことをしたらいいのかということについて、これは、事業者さんとの間の議論で終始をしているところがあるということだと思います。その意味では、それを打破するために、今後、リデザインとか統合性とか、そういったところが導入されたというふうに思っておりますし、一つの課題を解決する方向だというふうに思っております。

 それで、これからの問題ですけれども、今、MaaSの問題も出ましたけれども、MaaSももちろん政策手段として取り入れられているわけですけれども、先ほど申し上げたように、それがやはり実質化していないといいますか、実装されていないといいますか、そういったところだと思います。

 それを実装するには、やはりイノベーティブな地域の、地域だけじゃないですね、イノベーティブないろいろな民間事業者等の提案とか、そういったものを取り入れていく姿勢、それを、ある意味では、今までのクローズされた交通政策の中だけではなくて、より広い関係者の中でそういったものを取り上げていくのがいいのではないかというふうに思っております。

 先ほどの御質問で一つ言い忘れたんですけれども、協議会というのをよく産業政策でやりますけれども、MaaSは何か本当に、協議会でもって全国的にいろいろなことを出し合って議論している中で収れんしていくのがいいのかなというふうに思っております。

 それから、さっき宇都宮さんがおっしゃったけれども、データ問題というのがありますね。データというのは、これからのDXの一つの大きなドリブンといいますか、ドライバーになっていくわけですけれども、これは、データをどこまで出すかというのは、個人保護の問題だとか企業の所有権の問題だとか、いろいろ難しい。難しいけれども、これこそ、公共的な政策の中でデータを共有して、その中で最適を見つけていく、DXを促進する、非常に大きな課題だというふうに思っています。

 以上でございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。効果と課題を明確に分かりやすくお答えをいただき、大変ありがとうございました。

 それで、今回の改正案というのは、その課題を更にどう乗り越えていくのかという、まさしく今先生がおっしゃったとおりかと思います。

 その部分におきまして、今回の改正案の特徴と期待できる効果、これをちょっと吉田先生の方に是非お聞かせ願いたいと思うんですが、今回の改正案は、例えば、ローカル鉄道の再構築に関する新たな仕組み、再構築協議会、こういった話がありますし、さらには、バスやタクシー等の地域交通の再構築、さらには、鉄道、タクシーにおける協議運賃制度の創設、こういったものが盛り込まれております。

 こういったものを通してどう乗り越えていくかという部分かと思うんですが、今回のこの改正案の特徴と、さらには期待できる効果、この辺り、先生の御認識をお伺いしたいと思います。

吉田参考人 ありがとうございます。

 まず、今、再構築協議会の話も出てまいりましたけれども、先ほども申し上げましたとおりに、やはり、基本はそれぞれの地域が立ち上げるということ。ただ、それぞれの地域がといっても、やはり、自治体間で温度差があったり、スピード感を求められるということがあったりもしますから、そこで、再構築協議会という枠組みをつくって国としてもフォローしようというところは、一つ前進、一つの選択肢が生まれたというところではプラスの側面かなというふうに思っております。

 それから、従来の活性化再生法の中の協議会の中ですと、やはり、乗り合い事業、バスとプラスデマンド交通ですね、こちらがやはり中心だったわけです。ところが、だんだん高齢化が進展して、よりドア・ツー・ドアに近い、個別最適化されたサービスを求められるということになると、タクシーがターゲットに入ってくるわけですが、タクシーについてはなかなか従来の協議会の中では扱えなかった。あるいは、鉄道についても、なかなか、それをどういうふうに生かしていけばいいのかというところが扱いにくかった。

 そこに、今回、やや制約条件があるとはいえ、タクシーについても協議運賃、特定、準特定は除かれるという話も出ておりますけれども、タクシーの協議運賃制度であったり、あるいは、鉄道の値づけについても、もう少し、こういうふうに指定すれば通学生は助かるのになとか、観光客の皆さんからはこういう形でいただいて、もっと町を楽しんでもらおう、それをいわゆる地域内交通、二次交通と合わせ技にした運賃をつくろう。

 実は、従来も、活性化法の中で、特定事業、利便増進事業の方を取ればできないことはなかったんですが、やはり、今回、それが協議会として、しっかり協議運賃制度という形で明確になることによって、もっとネットワークとして機能していける、バスもタクシーも鉄道も含めて、その辺りが期待されてくるかというふうに思っております。

 以上です。

中川(康)委員 ありがとうございました。大変に分かりやすいお話をいただいたかと思います。

 そこで、今、まさしくこの再構築協議会というお話が出てきたわけですが、今回、この再構築協議会を国が組織すること、ここの意義とか効果、これが一つ今回の特徴かなと思っています。

 ここの部分について山内先生の御見解をお伺いしたいと思うんですが、これまでのローカル鉄道の再生に関する協議会というのは、主に地方自治体が組織する法定協議会、これがメインだったと思います。これも、今後もこの法定協議会というのは進んでいくかと思うんですけれども。

 それで、今回の改正案では、今お話がありました再構築に関する仕組みとして、新たに国が再構築協議会を組織する、さらには国が入ることができるという、こういったことが規定されております。私も、この内容は今回の改正案の大きな特徴の一つというふうに考えておりますが、国が再構築協議会を組織することの改めての意義、さらには、これによってどういった効果が出てくるのか、また、前に物事が進んでいくのか、この辺のところ、山内先生の御認識を伺いたいと思います。

山内参考人 今までの協議会というのは、ある意味では、簡単に言ってしまうと、事業者さんと自治体の間の対立構造というような中で進んできた面も多いのかなと、ちょっと余り言い過ぎるとあれですけれども、そういうふうに思料するところでありますが。

 これは、国が出るというのは、さっきから申し上げておりますのは、基本的には自治体が決めることではありますが、ある意味ではそれを取り持つというような意味を持つのが一つだと思います。それは、より広い視点で、それから、ステークホルダーもより広い関係でそこに加わってくることによって、何度も申し上げているように、総合的な、あるいは統合した交通サービス、こういったものが実現できるようなことがあるんだというふうに思っています。

 それから、これから仮に鉄道からバス転換というふうになったときに、単なるバス転換の話だけではなくて、例えば、先ほどありましたDX、ITを使ったバスとか、あるいは新しい形態のバスとか、いろいろな選択肢があって、それを選んでいくというようなことでいえば、国が関与することによってそういった選択肢を増やすという意味でも非常に有効なのではないかなというふうに思っております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 やはり法定協議会で話がまとまっていけば確かにいいかと思うんですが、いわゆる利害が相反する場合もありますし、私の知り得ている話でも、いわゆる市町村にまたがる中で、その市町村によっても意見が違うという場合もある。そこをやはり広い視点から議論、判断ができるような、そういった状況が今回のこの再構築協議会には出てくるのかなというふうに思いますので、そういった状況の中で、これは、物事が今後、全国で具体的に動くような形でこの法律が機能することを願いたいなと思っています。

 続きまして、これは吉田参考人にお伺いしたいんですが、再構築協議会においての住民とか利用者目線に立っての議論、これはやはり私は無視できないというふうに思っていまして、今回の改正案では、その目的の中に、あらゆる交通モードにおける地域の関係者との連携と協働の促進、これが規定されております。

 そこで、私は、この再構築協議会でのリデザインに向けた議論については、効率性とか経済性も確かにさることながら、地域住民や沿線住民が今後持続的に安心して暮らしていけるような、住民及び利用者目線に立っての議論、この視点もやはり大事じゃないか、こんなふうに感じているわけですが、ここにつきましての先生の御認識をお伺いしたいと思います。

吉田参考人 ありがとうございます。

 やはり重要なことは、先ほど私の意見の中でも品質と性能という話をいたしましたけれども、やはり、例えば鉄道を使って、ちゃんと生活の目的というものを達成させることができるのかどうか。残念ながら、今、駅の周辺にいろんな目的地となるような施設あるいは住宅が張りついているとは言えない状況ですので、駅からどうつなぐのかというところの話も含めて、モード横断型で考えていかなければいけないということになるんですけれども。

 例えば、運行本数を鉄道が変えなかったとしても、実はここを五分ずらしていくと、ああ、実は高校に通えたねとか、ちゃんと部活ができたねとか、例えば、ここの病院に通えるねとか、実はそういう性能というものをしっかりとチェックしていくということ、非常に重要だと思います。それを確認していくことによって、ああ、こういう場面で鉄道が使える、あるいは公共交通が使えるねというような議論が起こしやすくなりますので、まず、そういう、実際どこに行けるのかというところのチェック、ここから始めるというところで対話を深めていくということが、一つ、打ち手としてはあるかと思っています。

 以上です。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今回、再構築協議会にどういったメンバーが入っていくかということも非常に大事になってくるわけですが、その中で、国がそれを組織することができる。これは、国といっても実際は各地方の運輸局かなというふうに思うんですけれども。

 そういった状況の中で、担当する方が、やはり住民目線とか利用者目線、こういったところに立って議論を進めていく、さらには、そういったメンバーもしっかりと入れていく。この視点というのは、今日は参考人質疑ですけれども、やはりこれは国交省に対して私は求めていくことが大事なのかなというふうにも感じながら、そういった意味において、今回、こういった点もお伺いさせていただきました。

 そうしたら、続きまして、バス、タクシー等の地域交通の再構築における交通DXとかGXの促進についても触れておりますが、ここについてお伺いしたいと思います。

 特に交通DX、これは、DXの話、更に議論が出ておりまして、進めることは大事なんですが、他方、やはりそういったところでは非常に弱い立場の方、例えば、高齢者とか障害者等への配慮という視点も私は忘れてはいかぬのかなというふうに思っています。

 ここについても吉田先生にお伺いしたいんですけれども、やはり、バス、タクシーでの地域交通分野のDXで、効率性とか利便性、これが求められるわけですけれども、具体的には、スマホとか電話での乗車予約とか、QRコードでのキャッシュレスの決済。これは大変に重要な方向性だと思うんですけれども、しかし、一方で、高齢者とか障害者への配慮という視点もやはり忘れてはいかぬのかなと。特に、地方に行けば行くほど公共交通の高齢者の利用頻度というのは高まってくるんじゃないかと思っています。

 この交通DXが進んでいく中での高齢者とか障害者への配慮という視点、この点について、先生の御見解、お伺いしたいと思います。

吉田参考人 ありがとうございます。

 やはり前提として、なかなか高齢者の皆さんがすぐにスマートフォンを使って何かするということが難しいというところがあるかと思っています。

 ただ一方で、じゃ、その高齢者の方、障害者の方を支える側、つまり、家族であったり、いわゆるケアに関わる方々だと、実はスマートフォンとかを使える方が多い。そうすると、実はそこで、この方に合った、個別最適化された、こういうような移動手段というものがあるというようなところが仮に情報提供ができると、そこにうまく足のコーディネートをして、皆さんにお使いいただける。

 ですから、支える側の人がまずはこのスマートフォンなりそういうものを使っていくというような構造というものは、一つ有効かなと思っています。

 一方で、決済に関してですけれども、最近、東北や北関東でもいわゆる交通系のICカードの導入が急速に進みました。私がお手伝いしている八戸は、昨年の二月二十六日にハチカというICカードが入りましたけれども、高齢者パスが実装されているんですね。ですから、実際、二月の時点の速報値で、バスのユーザーの方の八〇%が既にもうICカードをお使いになっています。

 そうすると、どういった方がどのくらいの頻度でどういった場所にお出かけされているかという情報をつかむことができますので、今度はそれに応じたサービス、ネットワークの編成というものをまた地域公共交通計画の中に落とし込むことができる。そういうメリットというのが受けられる、ここもDXに対する期待でございます。

 以上です。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今回の法案が本当に現場で機能することを願いながら今日は質問をさせていただきました。

 以上で質問を終わらせていただきます。大変にありがとうございました。

木原委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久でございます。

 本日は、参考人の皆様方、大変に貴重なお話をお聞かせいただきまして、誠にありがとうございました。

 私は、今回の法案は、今の地域公共交通を何とか維持し、守っていくためには、いろいろ不十分な点はありますけれども、一歩前進かなというふうには考えております。

 ただ、地域公共交通がこういう状況になったということは、今、日本は本格的な人口減少時代に入っておりますが、特に地方からどんどん人口高齢化そして減少が進んでいる、この状況は相当前から予想できたし、されていた話でありますよね。ですから、この状況が進んでいけば、地域公共交通は従来のような内部補助を前提としたようなサービスの維持というのは早晩できなくなるということは、もうそれこそ相当前から分かっていた。

 にもかかわらず、今ぎりぎりというか、ちょっと限界を超えつつあるような、ですから、これは第一歩ですけれども、早くこれはちゃんと何かやらないと、ここでまた議論を続けていて協議がまとまらないということだと、もうどんどん、このままだとこれは維持できなくなってしまうんじゃないかと思います。

 そういった意味でも、この間、こういうことの事態は十分想定できて、想定されていたのにこういう状況になってしまったことの原因というのがどの辺にあるというふうに参考人の皆さん方は考えておられるか、御意見をお聞かせいただけますでしょうか。

吉田参考人 ありがとうございます。

 内部補助の構造自体は、本来、二〇〇二年の規制緩和のときに否定されていたはずなんです。その後、例えばバスですと、路線単位の補助というものに移行しているはずです。

 ところが、実態としては、やはり地元を担っているネットワーク系のバス会社の皆さんですと、やはり従来走らせてきた路線というものはなかなか廃止したくないということで、いい意味でも頑張られちゃったんですよね。そういうところがあって、むしろ自治体、行政としても、やはり事業者に頑張っていただける間は何とか頑張ってもらいたいというような、そういう構造があったわけです。つまり、緊張感がなかったのかなというふうにも思っています。

 ただ、今回、リデザインの報告書の中にも、緊張関係というふうなことも書きました。それは今回のエリア一括補助のところもそうなんですけれども、やはりこういう品質というものを地域の中でつくってもらいたい、そこを能率的にやっていただける、ちゃんと地域のためにやっていただける事業者の皆さんに長く関わってもらいたいという、ようやく今回の法改正で、新たな、交通事業者と、それから地域、行政との関係というものができ上がる、そういうところを期待して、二十年間なかなかうまく進まなかったところが調整できればというふうに期待しているところです。

 以上です。

山内参考人 先生の御質問については、いろいろな要因がもちろん絡んでいるというふうに思っておりますけれども、基本的には、私は、この地方のモビリティーというものの構造改革ができなかったということかというふうに思っております。

 いろいろな要因があって、一つは、今、吉田さんもちょっといろいろおっしゃっていましたけれども、既得権の問題もあれば、新しい参入者に対する、あるいはサービスを切ることに対する抵抗感とか、そういったものがあって構造が変わらなかったということがあろうかと思います。

 もう一つは、やはり国民の意識として、地域の交通に対してどれだけ重きを置くかということについて、余り大きな関心が寄せられなかったということもあるのではないかというふうに思っています。これは、事業者とか地域だけの責任ではなくて、行政だけの責任ではなくて、そういったことが醸成されなかった、議論されなかったということだというふうに思っております。

 その意味で、私、冒頭に申し上げましたように、所得の再分配ということを政策課題として挙げられている政権であれば、そういったことについてもう一度目を向けて、地域の交通をどういうふうに維持するかという、そういう大きな視点、それに対する見解も示し、それが今回の地活化法の改正に表れているというふうに思っています。

 以上でございます。

宇都宮参考人 ありがとうございます。

 私のレジュメでいうと、最後のまとめというところ、十六ページに書いてあるわけですけれども、今、山内先生おっしゃったように、本来、外部不経済が生じる交通市場は、市場の失敗と我々は学ぶわけですけれども、日本の場合は、地理的な条件とか右肩上がりの時代で、何と、世界で唯一うまくいってしまった。海外の学者からすると、日本の鉄道は民間ビジネスで成り立っているというのは、もう摩訶不思議なわけですね、インフラも含めて鉄道事業が民間であるということが。そういうことが成り立ってしまったがゆえに、何か、国民も含めて、それが当然のものだと思ってしまった。

 実を言うと、本当に議員おっしゃるとおり、もう何年も前からそれは行き詰まることは分かっていても、それを変える意識が、国民も含めて、なかなか持てなかったということがやはり大きくある。そして、その中で、鉄道事業者さん、あるいは交通事業者さんが頑張ってしまった。したがって、結果的には、今、低賃金で、厳しい労働条件の下で、本当に乾いた雑巾をまだ絞り切っている、そういう状況の中で衰退している、これが現状かなというふうに思います。

 あと、もう一方は、やはりアメリカも含めて、ヨーロッパもそうですけれども、例えばお金の面で、そういう民間が成り立つという前提ですから、例えば道路という公共事業とは完全に割れていて、そちらのお金が使えない。今回、社会資本整備総合交付金を少し使えるようになりましたけれども、あれもまだまだ、聞いている限りは、そう簡単には使えないと聞いています。あるいは、先ほど言ったような、福祉予算も含めた関連もない。そういう意味で、道路であるとか福祉予算もろもろ、そういう他の政策との整合性を取った統合的な政策が行われてこなかったということも大きな原因かなというふうに思っております。

 是非、そういう意味では、今回の改正を機会に、他の政策との統合性、まちづくりとの一体化、道路政策との一体化、そういうことをやっていかないと全員が不幸になっていく、そういうふうに思っております。

 以上です。

武田参考人 御質問ありがとうございます。

 内部補助の話とかというふうに承りましたけれども、特に北海道の視点からいいますと、JR北海道とかそういった三島、二島会社、そういったものになるわけですけれども、本州三社とか上場した方は長期債務が、その返済を迫られているんですけれども、それが低金利のために返済額が減ってしまった一方、二島、三島会社の方は、経営安定基金が運用益が大幅に減ってしまって、とても賄えるものではなくなってしまったということで、そういったところが積もりに積もって、特にJR北海道、四国とか、貨物もそうですけれども、そういったところにしわ寄せが来ているということです。

 JRについては、分割・民営化されて全ての会社が個々に独立した経営体というふうにみなされていますけれども、そういった中で、JRとかについてはユニバーサル運賃という、そういう発想がなくて、全て自前で賄わなければならない。

 また、債務処理法の範囲内で北海道、四国は多少の、多少というか一定の支援は受けているというようなことはございますけれども、そういった面でいいますと、やはり同じ出自のJRであるということであれば、本州三社と北海道、四国とか、そういったところについては何らかの、内部補助というよりは新たなスキームで、例えば、政府に納められた法人税を、一定額を北海道や四国に投入することを可能にするとか、何らかのそういう方策がもしかしたら考えられるかもしれない。

 そういった意味では、内部補助というのが今まで行われてきたという中で、今後、ほかの面との兼ね合いにもなりますけれども、どういったことが可能なのか。鉄道以外の通信とか電話とか、そういったところではユニバーサルサービスというのが出てきているんですけれども、鉄道についてもそういったものは考えるべきではないかというふうに考えております。

 以上でございます。

古川(元)委員 ありがとうございました。

 参考人の皆様方のお話を伺っていると、やはりどうしても右肩上がりの経済、あるいは人口が増えているというその時代の発想が、だからこそできたことが、もう時代が逆に、それこそ経済の、なかなか低成長になり、デフレになって、そしてまた人口も減っている、そういう新たな今直面している問題に対してやはりしっかり目を向けてこなかった。

 特に人口減少なんかは、人口動態はもう今までも、この十年、二十年先、それぞれ市町村ごとに、この地域がどれくらいの人口になるかということも、高齢化率とかも統計上分かっていて、ほぼこれは確実に起きる未来ですから、そういう不都合を、そう考えたくなくても、やはりちゃんとそこを見た上で、その上で、では、地域交通をどうするのかということをやはり考えないといけないんじゃないかと思いますし、今、武田参考人からのお話にもちょっと絡むところがあると思うんですけれども、ちょうどこの三、四十年前ぐらいから、新自由主義的な発想で、やはりマーケットに任せて、そこでやっていけば一番それがうまくいくという、そういうのが世界的にも潮流があった、そういうことも原因になっているんじゃないかと思います。

 これから、今本当にこういう局面にある以上は、やはり従来の発想やそういうものを根本的に見直していかなきゃいけない。そして、ちゃんと、将来予測し得る、ほぼ確実に来るであろう、不都合であるかもしれないけれども、きちんとそういうデータを基にした協議がなされなきゃいけないなというふうに思いました。

 ちょっと時間が大分なくなってしまったんですが、これは武田参考人にちょっと、さっき鉄道の話もあったので、お伺いしたいと思うんです。

 我が国は観光立国を目指そうということで、インバウンドもそうですし、また、元気な高齢者の皆さん方にどんどん国内の旅行、日本の国内旅行はまだ非常にほかの諸外国に比べると少ないので、旅行していただく。ただ、そうなると、やはり地域公共交通というのは、これはその地域で住んでいる人たちにとってだけじゃなくて、そうした観光に来る人たちにとっても大変大事な足であります。

 また同時に、これは観光資源だと思うんですね。特に鉄道というのは、私は鉄ちゃんじゃないですけれども、やはり旅行に行って、車で回るよりも、鉄道に乗ってみるというのは非常にこれは旅をしていることになりますし、そしてまた、鉄道というのはある種その地域の風景にやはり溶け込んでいて、その風景の中に電車が走っているという、北海道なんかはまさにそうだと思います。やはり、そういった意味では、これは観光資源という、そういう要素もあるんだと思うんですよね。

 そういった意味では、これは地域の人々にとっての移動手段という価値以上の価値が特に鉄道なんかはあって、そういう価値にも着目して、鉄道というのは路線は維持し、そして、これは国家として、国として支援していくべきじゃないかなというふうに思うんですが、武田参考人の御意見を伺いたいと思います。

武田参考人 御質問ありがとうございます。

 ただいま先生おっしゃられたように、特に北海道の場合とか、遠路はるばる北海道の鉄道に乗りに来るということで、特に鉄道についてはいろいろインフラとしての側面がかなり大きいわけですけれども、特に分割・民営化以降の議論では、いわゆるモビリティーの方を中心に考えてきたので、インフラという部分が非常に置き去りになっているということです。

 例えば北海道では、北海道開発局という道路事業とかをやっているところがやりますけれども、そういったところでは余り、ほとんど鉄道のことは、鉄道を除外してという感じでやられているんですけれども、例えば去年あたりですと、後志管内の方、小樽の方でインフラツーリズムという、そういう展示会がございまして、そのときは函館本線の山線の方とか、そういったものも、歴史とかも含めて、北海道開発局としてどういったものがあるかということでいろいろな展示会をやったりとか、地域振興にどのように生かすかということもやっていたんです。

 もしも、北海道として、総合開発の一環として、鉄道が観光施策として重要であるということであれば、今北海道開発局が進めているようなシーニックバイウェイというものをシーニックレールウェイとか、もっと拡充して、それから、道の駅だけではなくて、鉄道駅と連携して周遊観光するとか、インバウンドに対応するとか、要するに、道路と鉄道の枠組みを超えていろいろやることがかなりできるんじゃないかというふうに考えておりますので、是非、北海道開発局は北海道運輸局と連携、協調して施策を展開する必要があるんじゃないかというふうに強く考えておる次第でございます。

 以上でございます。

古川(元)委員 ありがとうございました。

 時間になりました。終わります。

木原委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、四人の先生方、大変お忙しい中、貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。

 私からは、まず宇都宮参考人に伺いたいと思います。

 先生が日経新聞に連載された「暮らしを支える交通政策」、大変共感して読みました。先生は、欧州の鉄道について、基本は、インフラ部分は公的な管理とする上下分離方式になっていることを紹介しております。日本共産党が昨年末に出した提言においても、上下分離方式と政府が言うのは自治体がインフラを持つという意味でありますので、私たちは、やはり公共インフラとして、国がインフラ部分は保有するべきだというふうに提案をしております。

 大臣の答弁は、やはり欧州の話をしても国によって違うとおっしゃいますし、日本は自治体が持つのが一般的だと、こういう答えでとどまっているわけですけれども、ただ一方では、整備新幹線においては、鉄道運輸機構が保有する、いわば上下分離方式になっていると答弁があったわけで、だったら、赤字ローカル線だけを切り出しして転換という必要がないんじゃないのかなと、JR全体のネットワークを維持して、国がインフラ部分を持つということが考えられないのかなと思っているんですが、改めて御意見を伺います。

    〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕

宇都宮参考人 御質問ありがとうございます。とともに、私の記事を読んでいただきましてありがとうございます。

 おっしゃるとおり、欧州、上下分離で、もっと言えば、世界的にも、インフラ部分を公共が支えるというのはほぼほぼグローバルスタンダードであるわけであります。そういう意味において、日本でも今後ということなんですが、それを誰が持つかという話については、議員御指摘のとおり、全国的なネットワークということになりますと、やはり国家的な議論になってまいりますので、国がインフラを持つという考え方は十分あるかと思いますが、欧州でも国によって違いますし、私自身は、いわゆる所有権を全て国が持つ必要があるかというと、そこについては、私は地方が持つべきところは持っていいと思っています。

 といいますのも、やはり公共交通、地域公共交通、交通インフラを、ちゃんと地域のイニシアチブでもって設計していくということを考える、その上では、地域というのが一番その地域をよく知っているわけですので、全国ネットワークに組み込まれたところはともかくとして、そうでない地域の地域公共交通として生かすところは地域が持つという判断はあり得るかなと思います。

 もう一点、ただ、さはさりながら、地域というのは、残念ながら地方は、日本の場合も海外もそうですけれども、収入という意味では偏りがあります。地域が持つといっても、税収は、例えば首都圏に比べれば税収はございません。そういった意味での資金的な配分については、そこは、国は余り口は出さなくても、しっかりお金の面で支えていただく、そういう意味での国の関与というのも必要になってくるのではないかなというふうに思っております。

 以上です。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 三セクで頑張っている自治体もたくさんありますし、私、地元は青森ですので、在来線を持っているんですが、ただ、そういう頑張っているところもある一方、長大な今のJRがもし切り離されたときに大変だなという声をおっしゃったのは実は道庁だったんですね。

 やはり、私がこだわっているのはネットワークであると。全体で見るときには、やはり国が持ったら、本来はそうすべきじゃないかな、自治体にそこまで負担をさせるのではなくて、自治体は独自のこともやっているからという思いでお話しさせていただきました。

 それで、続きまして、武田参考人に伺いたいんですけれども、先生はJR北海道の関係で、函館本線や日高線など、住民の会にも関わってこられたとのことであります。私も先月小樽に行ったものですから、蘭越でも住民の皆さんとお目にかかったり、札沼線や留萌線の沿線自治体の首長さんとも懇談をしてきました。

 今回の法案の先取りというような形になるかなと思うんですが、六年前にもう既にJR北海道は単独では維持困難な路線というのを指定をして協議を重ねてきたことや、国が監督命令という形で指示をしていたこと、これは先週の委員会でやり取りしたことなのでありますけれども。

 先生が紹介されているように、観光やまちづくり、どこの自治体でも私は努力されていると思うんですね。頑張っても、ただ、それで数百人の密度のところが数千人と元に戻るという、単純ではないと思うし、また、正直言って、その必要があるのかな、そこまでいかなきゃいけないのかなというのは率直に思うんですが、いかがでしょうか。

武田参考人 御質問ありがとうございます。

 ちょうど一週間前に、先生の質疑をすぐ横のそこで聞かせていただきました。そのときに、大臣の答弁は何かすごくすり抜けるような感じで、非常にがっかりしたようなところでございますけれども、ちょうど一週間後に私にこのような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 先生おっしゃるとおり、北海道はそういう観光とかまちづくりで是非鉄道を活用していきたいというふうな、いろいろな声が道民のあちこちから上がっているわけでございますけれども、ただし、やはり現在の道庁とか北海道運輸局でございますけれども、鉄道の相談に行っても非常に冷淡でございまして、私と何かほかの団体の方が運輸局の鉄道部長のところに前行きましたら、名刺交換だけで、すぐに何か追い返されるように、立ち話で終わってしまったということもございました。

 何か、北海道の鉄道がいろいろな存続策、どのようにしたらいいかという、その議論について、赤線区と黄色線区ということで分けて、何か、国というか運輸局の方は、運輸局を通じてですけれども、地元の方に何か最後通告のような言い方をして、債務処理法の対象外だとか、そういう話をしたので、富良野―新得間とか留萌線とかが今回断念に至っているということで、それで、私もちょっといろいろ調べてみたんですけれども、国が監督命令の中で、赤線区を対象外にしたという、その根拠は何かということで、それはどこを見てもちょっと不明確なんですよ。それで、たしか鉄道局が作ったパワーポイントの一枚の紙のごく小さいところにちょっと触れてある、それだけが根拠で、何か根拠が曖昧なんですよ。要するに、赤線区を債務処理法の対象外にするという。

 その辺が、確かに二百人以下という、そういう輸送密度で、ほとんど住民が使っていないじゃないかと言われればそのとおりなのかもしれないけれども、そのうちの一部の路線は、並行在来線もありますけれども、ネットワークを形成するとか、歴史的にかつてからつながっていて、圏域をつなぐ役割をしていた、そういう路線があって、今回のこの法案の中でも、北海道は特例として、旧支庁、振興局をまたぐようなものは内地府県の県に相当するものというような言い方をしているんですけれども、それが何か実効性が余り施策の中には出てきていないんじゃないか。

 それで、例えば北海道でいろいろ協議会を立ち上げた場合に、やはり道庁の本庁の意向とか、運輸局であれば本省の意向が余りにも強くて、自由な議論ができず、かつ、どのような仕組みがあるかというか、いわゆる、津軽海峡がありまして、本州の方でいかに工夫しているかという話が、全然北海道の方に届いていないわけでございます。

 そうしたことも踏まえますと、やはり協議会の在り方というか、あと、北海道では今ちょうど改正法案を審議しているんですけれども、審議に先立って、存廃を決めてしまって、廃止、断念というようなことが、ここ数か月でどんどん続いております。

 そういったことで、せっかくこういう新しい制度、法案を準備しているのに、北海道では場違いのような状況になっている。この辺が北海道ではどうなっているということで、やはり道庁、それから鉄道局、そういったものが北海道に果たしてどのような鉄道網の将来ビジョンというか、それを描いているのか、その辺がいまだもって不明確でございますので、是非、そういったものが提示されるべきではないかというふうに考えています。

 以上でございます。

    〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 いろいろ聞きたいことがあるんですが、時間もありますので、次は吉田参考人に伺いたいと思います。

 高齢者が安心してお出かけできる地域社会と題した先生の評論、大変興味深く読みました。

 高齢化率が年々高まって、そのために、高齢者による深刻な運転事故も顕在化しております。これは、高齢者の事故が増えているわけじゃなくて、高齢者が増えているから割合が高く見えるというだけだと思うんですけれども、いずれにしても、公共交通網が行き届いている都市部ほど免許返納率が高く、その逆の地方では低いというのは、なるほどなと思うし、何とも、どうしたらいいものかということがとても悩むわけですよね。

 私は青森市の出身ですので、一家に二台というのはむしろ普通という、そういう生活をみんなしていますので、免許返納をしなきゃいけないのか、どうしようかと悩んでいる方はたくさんお話を聞くわけです。

 財政力も弱く非効率にもなる地方が地域公共交通網で住民の足を守るためには、やはりそのギャップを埋める支援がかなり必要だと思うんですけれども、伺いたいと思います。

吉田参考人 ありがとうございます。

 先ほど私もお話ししましたけれども、やはり公共交通をよく使っていただけているような土地柄であるほど免許返納が進んでいるということは本当に事実かというふうに思っています。

 確かに、地方ですと、やはり財政力が弱い。そこを、例えば、特別交付税なんかも使いながら補っているというような状況に現実はあるわけですけれども、それ以上に、やはり運転できる人の担い手自体が地方の場合には更に足りていなくて、それが原因で路線を減便する、あるいは路線を縮小するということが起きているんですよね。

 一方で、なかなかやはり免許が手放せないというふうにおっしゃる方も、東北の場合、特に多いんです。先生も御案内のとおりに、農業が盛んな土地柄ですから、そのためにやはり運転はしたい。でも、そこで運転をしていると、実は、ふだんの買物に行く、病院に行くというところでも引き続き運転をしてしまう、そういう構造があるんですよね。

 ポイントになるのは、やはり無理に運転しなくてもいい、その辺りのサービスというものをどれだけ提供できるかというところなんだと思います。

 その意味でいえば、残念ながら、では、それを実現するためにはどのくらいのコストというものが、例えば一自治体、青森市であったら青森市でかかってくるのかというところが、十分に公共交通政策を立案する中で検討されているわけではないんですよね。

 一回そういう具体的な理想像というのを見て、そこにどのくらいやはり財源が必要になってくるのかということを見て、そこを、皆さんからいただく運賃と、それから公的負担をどういうバランスを持ってやっていくのか、実はそういう議論というものを各地の協議会でやっていかなければいけないというふうに思っております。

 以上です。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 今の吉田参考人に対する質問とも関連しながら、山内参考人に最後に伺いたいと思うんです。

 政府も、リデザインですとか共創ですとか、様々な多方面の検討会を重ねてまいりましたし、また、鉄道ということでは、貨物との兼ね合いもあって、物流の検討会などもあったと思います。そういう中で方向性を最終的に目指していくというのは非常に難しいなと思いつつ、ただ、自治体でも様々な努力をやはりされていて、バスといっても、町営バスもあれば、路線バスもあれば、民間バスもあり、乗り合いタクシーもあり、それをうまく組み合わせてやっているというのは、実はもう既に始まっていることだと思うんですね。

 私は、その中に、やはりバスがラストワンマイルと言われるように、鉄道も位置づけるべきだと思いますし、やはりその中での国の支援、町の頑張りに対しての国の支援、関与というのは更に必要かなと思っているんですが、最後に一言お願いします。

山内参考人 先生おっしゃるとおりだというふうに思っておりまして、私自身もいろいろ議論で、政策立案で携わらせていただいておりますけれども、今おっしゃるような方向で進めていくための法案といいますか、法改正が今回のものだったというふうに考えております。鉄道のコミットメントもそうですし、それからバスの長期的な維持のためのコミットメントもそうだというふうに思っております。

 一つだけ地域交通について申し上げたいことがあって、私、五十年近く前に群馬県の利根村というところで、利根村というのは当時も過疎地域だったんですけれども、過疎地域でどういう交通手段があるかということを調査したことがあったんですね。

 それで、そのときにバスが廃止になって、全く交通手段がない。そういうところに、高齢者の方はどう移動しているんだといったときに、その集落で長がいて、おばあさんはそこに電話して、あしたどこかに行きたいから何とかできないかと言うと、その長がいろいろ手配をする。それで、誰かの車に便乗して町まで行って、それで用を足して帰ってくる。おばあさんはそのお礼として大根を上げる。大根を上げちゃうと、これは道路運送法違反。だけれども、そういうことだと思うんですよ、やはり最終的には、そういうところをあれするのは。

 この話はちょっと落ちがあって、それを、当時運輸省ですけれども、運輸省が、非常に面白いと言うと変ですけれども、考えられて、一度実証実験をやろうと思ったことがあるんですけれども、実証実験をやろうと思ったら、各方面から反対が入ってこれはできなかったという、そういうことがあります。

 それはどこかというのは、皆さん大体想像つくと思うんですけれども、今やそういう時代ではなくて、それを実現する世の中であって、それが今回の地活化法の改正であり、それから、これからそういったバス、タクシーよりももうちょっと個人単位の交通をうまく使えないかという、そういうような議論も今しておりますので、そういう方向で、先生おっしゃるようなことだというふうに思っています。

 以上でございます。

高橋(千)委員 大変興味深く聞かせていただきました。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 無所属で前回当選した五人で有志の会という会派を組んでおりまして、その五人のうちの一人であります福島伸享でございます。

 今日は非常に有益な話を賜り、ありがとうございました。

 四人の先生方に共通する話というのは、内部補助による限界とか、あるいは、これまで交通事業者の努力に任せ過ぎてきた問題点というのがあるように思います。

 最初に、吉田先生にお伺いしたいんですけれども。

 吉田先生の資料の中でも、幹の交通も含めて、幹だけじゃなくて枝も含めて、有機的な連携、接続が不可欠という話がございます。今回、対象となっているようなところは主に枝のところだと思うんですけれども、これは多分、JR東とか東海とか西日本というのは内部補助で何となくやっていけるわけですね。鉄道事業だけじゃなくて、最近は高輪ゲートウェイの周りの不動産の開発とかカード事業とか、いろいろある中で、どうしてもやはり枝の部分にまでは配慮が行かなかったり、あるいは、そもそもの、上場企業としての民間企業を考えたときに、枝に対する投資はなるべくしないで、幹の部分を太らせた方がいいとか、様々な思惑があって、結局、この問題というのは、行き着くところは、国鉄分割・民営化が進んだ今、公共交通を維持していくのはどうかということになるんじゃないかと思うんですね。

 すなわち、公がどこまで関与するのか、国が鉄道ネットワークなどの維持にどこまで考えているのか。

 今回の法案では、どうも国は一歩引いて、協議会の場はつくるけれども、予算措置で補助はするけれども、じゃ、自分が主体となってやるというのは余り考えていないように思うんですけれども、その点の認識をお伺いしたいと思います。

吉田参考人 ありがとうございます。

 やはり今回論点になってくるのは、先生お見込みのとおりに、枝の交通の部分かと思っています。

 基礎自治体ですと、本当に葉の交通、いわゆるオンデマンドでドア・ツー・ドアに近いところをどうする、コミュニティーバスをどうするか、葉のところはすごく頑張るんですね。一方で、幹の部分というところは、新幹線なり航空なり、そこは存在している。

 ところがやはり、枝というものが一番のウィークポイントということは、私もそういう認識というものを持っています。

 今回、再構築協議会という形で国も臨むということなんですけれども、やはりその中で一番重要になってくるのは、私は、社会資本整備総合交付金、社総交の基幹事業化しているところをどう生かせるかどうかというところで実質が決まってくる気がしております。

 といいますのは、社総交の窓口は、恐らく地方でいくと地方整備局です。ところが、地活化法の場合、地方運輸局です。そこでやはり入口が違うとなったときに、実は、そこで連携が図られるのか。

 枝の交通については、先ほど私も、資料の中でもお話をしましたけれども、そもそもやはり遅い鉄道というものを、ちょっとここを改良すればもう少し利用が上がるんじゃないか、有効に使えるんじゃないか、そういう打ち手だって考えてもいいですし、バス事業に至っても、やはり同様に高度化を図られるチャンスというものがある。そこに社総交が使える可能性というものがあるわけですけれども、そこにうまくつながっていけるかどうかというところ、そこがやはり、国として、役割として本当に求めたいところかというふうに思っております。

 以上です。

福島委員 貴重なお話、ありがとうございます。本当はもっと議論をしたいんですけれども、時間がないので先に進めさせていただきます。

 じゃ、次に山内先生。

 私、昔、通産省のガス事業課というところにいるときに、最初にガスの託送制度をつくったときに大変お世話になりまして、御指導いただきありがとうございました。

 山内先生の資料の中で、ここに書いてある「国関与の強化による再構築への道筋」というところで、「ネットワーク効果」とか「着地型外部効果の考慮の必要性」というのがあって、時間がなかったので説明はさらりとされていたと思うんですけれども、やはりネットワーク効果というのは大事だと思うんですよ。

 先週の一般質疑の場におきましても、今は安全保障の議論がされていますけれども、貨物輸送のネットワークをどう維持していくかというのは非常に大事だと思うんです。太平洋側、日本海側、それを結ぶ横断型のネットワーク。そうしたものは、やはり、今、保有は上下一体で民間が持っていますけれども、どれをネットワークとして維持するかというのは、国が国土デザインとして行わなければならないと思うんですけれども、昔の国土計画の中でも、ほとんど鉄道は整備新幹線ばかり触れられていてそうした観点ではないですし、今回もあくまでも旅客輸送なんですよ。

 旅客輸送の面だけで見ると、そうした貨物輸送としてのネットワークというのも損なわれるんじゃないかと思っておりまして、この法案を作る前に、まず、国がしっかりとした鉄道なり公共輸送の国土デザインを作ることが大前提になるんじゃないかと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

山内参考人 ありがとうございます。

 東北の大震災のときに、ネットワークというのはいかに大事かということがあって、鉄道の場合にはネットワークを使って日本海側からも物資を運べたんですけれども、道路については、太平洋側しかなかったので、道路の復旧が遅れたということがあります。

 それで、そういう意味ではネットワークの重要性というのは、まさに、私は、防衛問題というのはよくあるんですけれども、リダンダンシーをいかにエマージェンシーのために確保するかというのは一つの大きなネットワーク効果かというふうに思っています。

 それで、どういうふうにインフラを維持するかというときの基本的な原則は、私は受益の範囲と程度というふうに考えています。

 それで、例えば、ある地域の鉄道があって、その地域が使っているということになれば、そこに受益が落ちる。それによって誰がどういうふうに負担をするかというと、ある意味では、その地方が、自治体がある程度負担しながら、これは、だけではできないので国もというのがありますけれども、基本的にはその受益の範囲ということでやっていく。それがさっきの受益。

 受益というのは外部効果も含みますから、おっしゃるような形で、収入として上がっている部分だけではなくて、その地域に落ちてくる全ての外部効果、これを含んで受益の程度ということで、それでネットワークを支えるということだと思います。

 その意味でいうと、今委員が御指摘のような、全国レベルでのネットワークをどう維持するかとか、あるいは、さっき北海道の話もありましたけれども、北海道のネットワークをどう維持するかというような、大きな意味でのネットワークの維持の費用負担の問題、あるいはその主体の問題、こういうことについては、まだまだちょっと議論が必要なのではないかなというふうに思っております。

 これは、GXの問題と実は絡んでいて、今貨物のお話がありましたけれども、今、物流の二四年問題とか、あるいは、GXをどう進めるかというときに、相対的に貨物輸送の重要性というのが出てくるわけですね。だから、そういうところを考えると、誰がどういうふうに負担して、どういうふうに維持していくのか、こういうことを再議論する必要があるのかなというふうに思っております。

 以上でございます。

福島委員 ありがとうございました。

 本当はいろいろ議論したいんですが、先に宇都宮先生、私の高校の先輩でありまして、日頃からいろいろ御指導いただいておりまして、この「鉄道復権」という名著が、宣伝しておきますけれども、あるんですけれども、その中で「「黒字」経営の罠」というところがあって、先ほど、世界の中で、民間で黒字でやっているような国は、鉄道は日本だけだという話もありました。

 今回の法案の中で、再構築協議会の組織の条件が、大量輸送機関としての鉄道の特性を生かした旅客サービスの持続可能な提供が困難な状況にあることというのがあるんですよ。これも全部旅客で、要するに、収益性を第一に考えるだけのような気がしているんですね。

 私は、そこで、ヨーロッパの例をこの本の中ではいっぱい出していますけれども、そもそも、鉄道に対する理念とか哲学というのが、多分ヨーロッパは違うんじゃないか、あるいは、アメリカもそうかもしれませんけれども、その上で、鉄道事業は何か。先ほど山内先生がおっしゃった受益と負担も、受益が何かを定義しないと負担の在り方も恐らく出てこなくて、その受益とは何なのかという理念が、恐らく、日本と欧州、欧米では違うんじゃないかと思うんですけれども、その辺りについて先生の御見解をいただけませんでしょうか。

宇都宮参考人 ありがとうございます。

 鉄道の理念ということで、大きな話なんですが、まず、おっしゃるとおり、少なくとも、人々の理念かどうかはともかくとして、政策的な位置づけがまず大きく違っているというのは事実であります。鉄道の場合は、かなり、まさに昨今の関係でいえば、例えば、まさにGXの話がありましたけれども、やはり、戦略的な投資分野なんですね。

 私の資料で、飛ばしたかもしれませんが、例えば、資料の十四枚目というのを見ていただくと、ドイツ連邦交通路計画の絵だけ載せているわけです。要するに、まず、交通計画というのは、日本は道路計画、新幹線だったお話がありましたけれども、向こうは交通路として、鉄道、道路、あと海運、これを計画するのが国の役目なんですね。そういう意味で、日本とはそこの辺がまず違うという問題があります。

 その上で、やはり時代が変わりました。この十四ページのドイツの連邦交通路計画で、ドイツ語が書いてありますけれども、これは、左に書いてある、「鉄道ネットワークを強化します」と書いてあるわけですね。「ウィー ウィル ストレングスン レールウェー ネットワークス」というのが英語版になるんですけれども。つまり、五五%、二〇〇三年に比べて二〇三〇年は増やすと。そういう意味において、まさに鉄道をどう活用して、カーボンニュートラル、あるいは社会的な弱者も含めてやっていくか、そこはかなり強い政策コミットがある。

 もう少し歴史的に言えば、ただ、日本の方が鉄道全般は発達していたわけです、戦後というのは。ヨーロッパの方がむしろ車社会に早くなり、あるいは飛行機もありということがあった。日本は、それを、新幹線を造り、うまくいってしまった、そこからわなに陥っていくということです。

 なので、まさにこれから、先ほど来ありましたとおり、右肩上がりの時代が大きく変わっている中で、私は、ヨーロッパのような形で、鉄道というものが、これからのカーボンニュートラルあるいは社会制約も含めた価値を持つ。

 そして、私のペーパーでいうと八枚目ですかね、オプション価値、非利用価値。これも国土交通省のマニュアルにしっかり書いてあることですけれども、単純に今の乗っている人だけの運賃収入だけが価値ではないんだよ、外部効果ももちろんある、あるいは、将来使うかもしれないオプション価値もある。イメージアップ効果って、何これと思うかもしれませんけれども、やはり人の感性というのは重要なわけです。自動車メーカーは、そのために物すごくお金をかけてコマーシャルを打っているわけです。地域のイメージ、そういった非利用価値ということも含めた価値をしっかり考えた上で、単純な収支ではなく、戦略的に投資をしていく。

 こういったところがやはりヨーロッパにおいて一歩進んでいるかなという気がしますので、私は、その辺は、学ぶべきことは学んでいけるんじゃないかなと思っております。

 以上です。

福島委員 ありがとうございます。

 また後ほど議論させていただければと思います。

 最後に武田先生に、本当に率直に国会の場で思いのたけをおっしゃっていただいて、私も、我が意を得たりという思いです。母屋に手をつけないで屋上のプレハブを増築するものだと。そのとおりだと思いますし、鉄道局と道路局と、昔でいえば運輸省と建設省で省が違って、せっかく国土交通省になったにもかかわらず総合的な交通インフラの戦略ができていないというのも、おっしゃるとおりだと思います。

 恐らく、それを解決するには、先ほども言いましたけれども、果たして国鉄の分割・民営化をどう評価するか。それを維持するのかどうかということから始まって、負担をどう求めるか、税でやるのか、運賃収入で求めるのか、かつて道路特定財源というのがありましたけれども、これからGXの世の中になれば、今度はGX債というのも発行する、様々なものがある中で、誰がどう負担していくのかといった本当に重い本質的な問題に手をつけないと、この母屋の話にはならないと思うんですね。

 それは我々の、本当は政治家の役割だと思っておりまして、国土交通省に言っても、なかなか役所ではここはできない。私もかつて役人だったんですけれども、局あって省なし、課あって局なしにどうしてもなっちゃいがちなんですけれども、その辺りのこれからの政治にかける期待とか叱咤激励がありましたら、思う存分おっしゃっていただければと思います。

武田参考人 先生、どうもありがとうございます。

 今回私が申し上げた内容は、この何十年か私の内に秘めたものを何かいろいろ吐き出させていただきまして、特に、国土交通省になってから、もう十年以上たっていますね、二十年近く。それで、全然変わらないところがあるということで、鉄道については本当に、分割・民営化の後、いろいろ、完全民営化ということがあれほど言われて、九州まで民営化して、それで、今九州で何が起こっているかというと、座席を撤去したり、サービスを下げて、ともかくもうかるようにするということで、それから、そうしないと外国人株主からの要求に勝てないということで、もう社長はそういうふうに振れてしまっていて、それで、一般の鉄道利用者というのは、JRについて、株主になって、株主総会でないと意見が言えないような、そういう世の中になってしまったということです。

 それはやはり、国鉄分割・民営化の後、全く、国鉄分割・民営化について総括したり、そういったことが、国家として、それから国会としてやられてこなかったんじゃないか、その辺が全ていろいろなところにつながっているんじゃないか。

 そして、民営化をした後ですけれども、例えば、外国人株主がこれほど増えていいのかとか、西日本とか九州とかはかなりあるというふうに聞いていますし、それで、本来であれば、多少なりとも、国の方で一定額は買い戻してでも、一定の国のコントロールの上で本来やるべきだというところもありますし、特に、JRというのは、戦前の、非常に苦労して、日露戦争の後、鉄道国有化ということで当時の私鉄を買収して形成した。それからあと、鉄道敷設法によって造った鉄道もありまして、それで、在来線のネットワークというものが全国的にある中、今、本州三社の方でも、維持困難とかいって、いろいろな区間をいわゆるぶつ切りにして、どんどん協議対象だというふうに言うようになってきました。

 そうなると、枝もともかく、幹の部分も、貨物が走っていることで、いろいろ、採算が悪いとかそういうところで、特に東日本あたりとか、日本海縦貫線と言われる区間であっても採算が取れないとか、そういったことで、協議とは言っていないですけれども、数字を公開するというようなことで、これはやはり、維持困難ということで、何とかしてほしいということのシグナルじゃないかと思います。

 そういったことに対して、国の方が、ほとんど、インフラをどうするかとか、そういったことについて余り議論が進んでいない。特に、今回の改正法案についても、先ほど来申し上げているように、屋上のプレハブの増築ばかり考えていて、母屋のインフラの政策をどうするか、特に、道路と鉄道の関係をどうするかという話がほとんど見えてこない中、取りあえず屋上だけを改変してしまうということで、そうすると、鉄道だけを自滅にもしかしたら導いてしまうんじゃないかということで、やはりここは運輸局と整備局が一体になっているというか、むしろそれは合体した方がいいんじゃないかと思いますけれども、そういったことでいろいろやる必要がある。

 特に北海道は、かつてから総合行政というふうに言われている中、全く開発局が鉄道については除外して考えている、開発予算もそのとおりでございますけれども、そういったことで本当に果たしていいのかということで、これはやはり海外に向けても、説明責任というのがあるんじゃないかと思います。

 そういった中で、国交省が、大臣が先頭を切って、是非、全国の鉄道網をどのように考え、そして分割・民営化をどのように総括して、それで、この改正法案について、一体何ができて、どういうことができるのかということを国民にしっかりと説明する責任があるんじゃないかというふうに考えています。

 以上でございます。

福島委員 時間になりましたので、終わります。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組のたがや亮です。

 参考人の皆様、本日はお忙しい中、貴重なお話を賜りまして、ありがとうございました。

 私の選挙区千葉十一区は、房総半島の外房に位置しており、首都圏でありながら人口減少が著しい地域であります。統計上、二〇四〇年までに二四%から五〇%以上減少する地域で、自家用車の利用が欠かせず、一家に一台ではなく、大人一人に一台といった地域です。

 私にとって、この法案が抱えるテーマは、鉄道もバスもタクシーもないような地域で、運転免許を持たない住民の足をいかに確保するのか、また、地域公共交通と地域の振興をどうリンクさせるのかだと考えております。

 人口減少地域では、必要最低限の公共交通インフラを再整備するのが極めて困難な状況で、もはや自治体や民間の力をかりても公共交通を支えることが困難な状況で、国の積極的な援助が不可欠なわけですが、この点について、参考人の皆様の専門的な見地を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

 参考人の皆様にお伺いしたいのですが、国の補助があれば何とか公共交通が事業として成り立つ自治体もありますけれども、幾ら補助しても絶対に採算が合わない過疎地の自治体もあると思います。この法は、そのような地域において公共交通の活性化及び再生に果たして機能するのか、しないのか、その分岐点は、人口や地理的条件、それ以外の何か物差しがございましたら御教示をお願いいたします。

吉田参考人 ありがとうございます。

 基本的には、それぞれの自治体が協議会あるいは公共交通計画を使ってどういった交通体系をつくっていくのか、そこがやはりベースになってくると思います。

 ただ一方で、元々その地域で運行されているもの、例えば、タクシー会社がないとか、バス路線がない、駅がない、そういう条件がある地域というのもあると思います。でも、そういった地域でも、実は、蓋を開けてみると、スクールバスは結構走っているとか、民間の送迎車は結構走っているとか、実はそういうことをうまく生かして移動手段の確保を図っている、こういうケースというのは全国に幾つも事例としてはあります。

 その場合には、元々、スクールバスなんかですと、普通交付税措置が遠距離通学の場合には出ている。一方で、そこに誰かが乗るといって、いわゆるコミュニティーバスのような形で一般のお客様は運賃を払う、でも、引き続き児童生徒の皆さんは運賃を払わないというところについても、引き続きスクールバスとしてみなされるというところがあります。

 そうすると、普通交付税で、大体スクールバスですと、一台当たり標準財政需要額として積み増されるのが五百五十万円前後ということになってまいりますので、実は、国土交通省のいわゆる確保維持改善事業の予算枠というところから見ると、まだまだ小さいという印象はあるわけですが、しかし、スクールバスの普通交付税措置であるとか、そもそもの特別交付税措置でやるとか、いろいろなものを組み合わせて、さらに、地域にあるスクールバスなどもうまく使っていくと、実は結構なことができるんじゃないかというふうに思うところがあります。

 そう考えると、この地域のこの人口規模がいないとそもそも厳しいというところからではなくて、まず地域にある資源をしっかり見ていくということが重要かと思っております。

 以上です。

山内参考人 千葉県成田市出身で、同じでございます。

 成田市は、日本で有数の財政力指数を誇る市でありまして、ちょっと先生のところと違うかも分からないですけれども。

 先ほど私、群馬県利根村の話を申し上げましたけれども、基本的にはそういう方向なんだと思います。バスもタクシーもなかなか難しいというところで、足を確保するためには、例えば自家用輸送を広げていくとか、いろいろなやり方があるんだろうというふうに思っていまして、よく、こういう世界でいえば政策を総動員してというような形で、それを許されるような法整備あるいは環境をつくっていくということが大事だと思います。

 もう一つは、さっき言い忘れたので申し上げますけれども、自動運転の話なんかも、使ったらいいというので、最近、グリーンスローモビリティーなんていう形でいろいろ実験とかされていますけれども、外国人が日本に来てゴルフをすると、ゴルフ場のカートというのは勝手に走っていくので自動運転もできるじゃないか、こういう話ですよね。

 ですから、それはローテクかもしれないけれども、今のおっしゃるような過疎地域にはそういった新しい技術なんていうのも取り入れることも可能かというふうに思っている。もちろん、財政制度とか措置とかそういうのは必要です、そういった上での話でありますけれども。

 以上でございます。

宇都宮参考人 ありがとうございます。

 過疎地につきましては、先ほど吉田先生がおっしゃいましたけれども、本当に、それは生活のミニマムを保障する話ですので、私は、別に地活法でなくても、これは以前からそうですけれども、まさに普通交付税、そして特別交付税、そういったところで必需品としてしっかり支えるということをもっときちんと考えなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っているというのがまず一点です。

 一方で、この今回の法もうまく活用しなきゃいけないわけですけれども、議員、確かに過疎地です、私は隣の茨城県で、福島先生と同じなわけですけれども、じゃ、茨城のもうちょっと都市部が採算が合うかというと、やはり全然合わないわけですね。

 しっかり、そういう意味では、ヨーロッパの先ほどの例がありましたけれども、ヨーロッパであれば、そういう地方都市圏、それなりに人がいても全然採算が合わない、逆にそういったところもどんどんサービスが縮小されて、車はまさにやはり一人一台になっている、それによって社会全体が郊外化し、道路だけが増え、お年寄りと高校生は車が怖い、こういうこともあるわけですよね。

 今回の地活法は、もちろん過疎地も重要ですけれども、そういった都市経営のツールというところに私は生きてほしいし、生かすべきである。これは茨城だけではなく、下手をすると政令都市レベルでも、例えば熊本とか浜松とか、ああいったところというのは圧倒的に公共交通の依存度が低い。もっと鉄軌道みたいなものをうまく高度化すれば、私は大きくまちづくりは変わると思うんですね。

 ただ、先ほど社会資本整備総合交付金が今回出ると言いましたけれども、多分、単純なブラッシュアップじゃ交付金は出ないんですよね、今回の、あくまで再構築事業にのせないと。つまり、国交省の認可を受けて、収支が大丈夫だねみたいなことを受けて。でないとすると、これはやはり非常に残念なことなので、私は、本当に今回、こういう社交金が出る制度はつくったわけですが、そういったものが、本当に過疎地も、そして、いわゆる地方都市部も含めて生かせるような仕組みに先生方の御協力も踏まえてやっていただけるといいんじゃないかなと思います。

 以上でございます。

武田参考人 先生、御質問ありがとうございます。

 ちょっと二つ事例を挙げながら御説明したいんんですけれども。

 一つは、先生の選挙区の千葉でございますけれども、千葉は久留里線とか小湊鐵道、いすみ鉄道でございまして、今、久留里線の先の方が何か維持困難で、いろいろ協議をしたりとかいう話があって、先週こちらに伺ったときに、ちょっと久留里にも行ってきたんですけれども、久留里線の先端の上総亀山のすぐ横のところに道路があって、あそこは何か安房鴨川行きの高速バスとかが結構走っているとかそういうのがありまして、それが何か余りうまく連携が取れていないとか、鉄道だけだったら、あれは物すごい山奥なんですけれども、高速バスも何か走っているということで、そういうところがうまく連携が取れていなかったりとか、じゃ、高速バスが走っていれば鉄道はなくてもいいのかということになった場合には、やはり鉄道がある価値があるということですけれども、その辺に、やはりあの辺の鉄道の引き方というか、何か今、歴史的な経緯でうまく引けなくて途中で止まってしまったとか、非常に不幸なことがいろいろあるんですけれども、これをもう少し連携したり一体化して使いやすくすることが、協議会としてもしやるんだったら、まず先にやるべきことじゃないかというのが第一点。

 もう一つは、北海道の話でございますけれども、オホーツク海側に佐呂間町というところがありまして、かつては湧網線の代替バスが走っていましたけれども、それが、地元の補助金がもう出せないということで今から十五年ぐらい前に既に廃止になって、そこで公共交通というと何があるかというと、曜日を決めた主要三都市への病院通院バス、それとあと、札幌から知床に、ウトロに行く都市間バス、それが夜中の三時頃通るんですけれども、それだけしかなくなってしまったということです。あとは全部車で来てくださいという感じになっていまして、そうして、まあ、確かに車で行く人もいますけれども、なかなかそういうことでは、もうよそからの誘客が厳しいということです。

 それで、あともう一つは、稚内と音威子府を結ぶ天北線ですけれども、あれも廃止になって、それで今、JR北海道が特急列車のダイヤを変えたということで、今まで音威子府発のバスが三往復あったのが二往復になって、あと半年すると音威子府にあるバスが全部廃止になって、あとはディマンドタクシーか何かになって、いつでも乗れるようにはならない、そういうことになってございます。

 ということで、北海道ではそういう、廃止になっているところが、代替バスであっても、溶けて消えてなくなるようにどんどんなくなってきていまして、道路は確かに整備されているかもしれないけれども、公共交通というネットワークがどんどん崩壊して、そういうふうな状況にございます。

 それで、果たして道路だけ造って、公共交通はいいのかということで、まさにこの活性再生法の改正案で、いわゆる屋上の上の方の部分をいろいろ改変しようとしているわけですけれども。

 やはり、道路だけ幾らあったとしても、そこを一体誰が運転してどのように運ぶのかという、その辺が、特に開発局のいろいろ道路計画を見ていると非常に危惧されるところでありまして、あと、地域高規格道路は、北海道の場合、盛土でかなり高い所を走っているんですね。そうすると、一般国道の方よりも、冬期間、吹雪のときとか、結構、高規格道路の方が先に通行止めになることがあるとか、そういったことで、道路だけインフラとして造っても、どのように活用するかというところが、これまで、特に道路局の分野では余り考えられてこなかったということです。

 それと、その公共交通がどんどん衰退していくということで、その辺の整合性も取れていないということで、やはり今回の法案は、もし改正案を通すのであれば、やはり道路施策とかインフラ、国土強靱化とかその辺とどのように整合性を取るのか、そういったことをしっかり国土交通省の省全体としてどのように考えているかということを、それを前提に審議すべきじゃないかというふうに考えています。

 以上でございます。

たがや委員 ありがとうございます。

 先ほど山内先生が自動運転に言及されていましたけれども、私、一つは、非常に興味深く自治体を見させていただいているんですけれども、茨城県の境町の無料自動バス、あれがちょっと、我々みたいな、一番大きな市で八万七千人強なので、ああいったものが将来、我々の地域でしっかりと運営が、行政コストがかからずに無料で行政もやっているということなので、非常に期待はしているので、そういった点、ちょっと時間がないのであれなんですけれども、山内先生は、そういう小さな自治体でも何でも、やっていける可能性というのはこれからあるかと思われますでしょうか。

山内参考人 おっしゃるとおりだと思います。

 この運営費、どのぐらいといったって大した額じゃないです。そういったことを考えると、可能性としては大きいと思いますし、それについてはいろいろな環境整備が必要だと思いますので、その辺は細かく議論しながら進めれば、可能性は大きいというふうに思っております。

 以上でございます。

たがや委員 ありがとうございます。

 最後の質問になりますが、この法案では協議会などの共創がうたわれていますが、心配になるのが、協議会の中身が、国、行政と交通事業者などであり、住民が不在となってしまうのではという点です。

 要するに、単なる採算が取れない路線の廃止のための協議会になってしまうんじゃないかということが、やはり地元でも、先ほど武田先生も言われていましたけれども、JRの久留里線の一部区間について、事業者の声が大き過ぎて存続の危機に瀕しているという状況の中で、実際にこの法案でどのように本当に救い上げられるのか。むしろ、活性化とか再生ということに逆行するんじゃないかとみんな思っているわけです。特に我々みたいな小さな自治体が多い地域はそういうふうに思っているので、それで、皆さん、どうやってこれを救い上げられる法案になるのかということを、ちょっと、簡潔で結構ですのでお聞かせください。

武田参考人 ともかく、鉄道とかについてですけれども、広域の鉄道利用者の声をすくい上げる仕組みが今まで全然ないんですよ。それで、いろいろな存廃論議を見ていて、要するに、説明会の対象も、その当該の自治体に住んでいる人しか対象でなくて、例えば、函館線の山線というので、小樽から余市を通って倶知安を通って長万部のラインがありますけれども、あそこも、それぞれ、倶知安だ、ニセコだ、蘭越だと、そこの住民しか説明されていないんですよ。だから、札幌からニセコに行く人は対象外なんですよね。だけれども、乗っている人は、そういう域外から乗っている人がかなり多いんですよ。だから、そういうことが今までの仕組みでは全く顧みられていないんですよね。

 そういうことで、ぶつ切りのそういう自治体とかで、勝手に議論して、勝手に決めてしまって、これは全部廃止ですということで烙印を押してこれで終わりということでやっているんですけれども、これで本当にいいんですかということです。

 この辺は、やはり、在来線の鉄道ネットワークは、国家として損失になるんじゃないかということですよね。その辺を、是非この法案審議の中でも十分に御審議いただきたいと思います。

 以上でございます。

たがや委員 時間が来たので終わります。

 参考人の皆様、ありがとうございました。

木原委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言申し上げます。

 本日は、貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。

 次回は、来る二十二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十二分散会


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