衆議院

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第5号 令和5年3月22日(水曜日)

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令和五年三月二十二日(水曜日)

    午前九時五分開議

 出席委員

   委員長 木原  稔君

   理事 加藤 鮎子君 理事 津島  淳君

   理事 中根 一幸君 理事 長坂 康正君

   理事 伴野  豊君 理事 谷田川 元君

   理事 赤木 正幸君 理事 伊藤  渉君

      泉田 裕彦君    小里 泰弘君

      柿沢 未途君    菅家 一郎君

      工藤 彰三君    熊田 裕通君

      小林 史明君    櫻田 義孝君

      杉田 水脈君    瀬戸 隆一君

      田中 英之君    田中 良生君

      谷川 とむ君    冨樫 博之君

      土井  亨君    中川 郁子君

      中村 裕之君    西田 昭二君

      根本 幸典君    平沼正二郎君

      深澤 陽一君    古川  康君

      本田 太郎君    宮崎 政久君

      武藤 容治君    梅谷  守君

      枝野 幸男君   おおつき紅葉君

      小熊 慎司君    城井  崇君

      小宮山泰子君    神津たけし君

      下条 みつ君    末次 精一君

      一谷勇一郎君    前川 清成君

      山本 剛正君    北側 一雄君

      中川 康洋君  斎藤アレックス君

      古川 元久君    高橋千鶴子君

      福島 伸享君    たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      豊田 俊郎君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官)            宮澤 康一君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 堀内丈太郎君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 小杉 裕一君

   国土交通委員会専門員   鈴木 鉄夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     瀬戸 隆一君

  根本 幸典君     平沼正二郎君

  下条 みつ君     梅谷  守君

  末次 精一君     おおつき紅葉君

  古川 元久君     斎藤アレックス君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬戸 隆一君     小林 史明君

  平沼正二郎君     本田 太郎君

  梅谷  守君     下条 みつ君

  おおつき紅葉君    末次 精一君

  斎藤アレックス君   古川 元久君

同日

 辞任         補欠選任

  本田 太郎君     熊田 裕通君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     杉田 水脈君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     根本 幸典君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官鶴田浩久君、大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官宮澤康一君、鉄道局長上原淳君、自動車局長堀内丈太郎君及び防衛省大臣官房審議官小杉裕一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。神津たけし君。

神津委員 皆様、おはようございます。立憲民主党、長野三区の神津たけしです。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今回の地活化法の改正の中で大きく変わる点というのは、過疎化が進む地域における鉄道の在り方というものを問う点だと私は思っております。

 地域公共交通を再構築するに当たって、国が鉄道事業者と地方自治体や地域住民の間に立って協議を進める場が新しい点だと思っております。この再構築協議会の設置基準、人選、どのように進めていくかで、最初から結論が見えかねないとも私は思っております。この点を解消していただけるような答弁をお願いしたいと思っております。

 先進国の中で、公共交通というものは、赤字が出たとしても、公共サービスの一環として維持していくべきだと考え、当然のように赤字を補填しているような国が多くあります。ドイツでは福祉サービスと同じ生存配慮、フランスでは交通権として権利としてみなして、赤字であったとしても、最低限の交通手段、移動手段を残しております。

 そこで、お伺いしたいんですが、国土交通省は、公共交通の公的な責務についてどのように考えているのか。商業ベースでは成り立たないような公共交通も、公共サービスの一環として国が補填し、鉄道の赤字路線を維持していくという考えがあるのか、お聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 我が国においては、多くの場合、民間事業者が地域公共交通の運営を担っております。

 このような現状を踏まえますと、地域公共交通のリデザインに当たっても、民間の活力を生かすという考え方を前提としつつ、公共性の高いインフラとしての性格等を踏まえ、公的主体を含む地域の多様な関係者の連携を強化することが重要であると考えます。

 そのため、今般の改正法案におきましては、自治体を含む地域の関係者間の連携と協働を促進することを明確化するとともに、国が組織する再構築協議会などローカル鉄道の再構築のための仕組みの創設や、自治体と事業者が協定を締結して行うエリア一括協定運行事業の創設などの内容を盛り込んでいるところです。

 また、予算面におきましても、令和四年度補正予算及び令和五年度予算案におきまして、社会資本整備総合交付金や財政投融資等の新たな枠組みを含め、総額約千三百億円を計上しております。

 国土交通省としては、法律、予算など、あらゆる政策ツールを活用して、地域公共交通のリデザインの取組をしっかり支えてまいります。

神津委員 ありがとうございます。

 民間による効率的な運営と、それから補助金で公的な役割をサポートしていく、公共交通をサポートしていくというふうに理解しました。

 ただ、もう少し明確にしておきたいんですが、赤字路線でも残していくという考えがあるのかというところと、あと、それから、再構築協議会が立ち上がった後なんですが、鉄道の廃線というものは地域の合意がなければ行わないということを確約いただきたいと思うんですが、お願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 地域公共交通をどう守っていくかということについて、地方公共団体、そして地域、事業者、そして国、この三者がしっかり話合いをして、そこで得られた結論、こうすればこの地域公共交通、利便性が高くて、かつ永続できるという結論が得られたものに対しては、しっかり国も、いわゆる公も、お金のことも含めて支援をしていくということでございます。

 それから二点目が……(神津委員「地域の合意がなければ廃線しない」と呼ぶ)はい。今回の法案にも、合意を得て初めてその結論について実行していく、こういう仕組みになっております。

神津委員 合意を得てそれを実行していくというところで、もう一回、済みません、鉄道の廃線というものは地域の合意がなければ行わないと理解してよろしいんでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 現在でも、これまで地域の合意なしに鉄道を廃止した路線はございません。

 そして、今回の法案でも、再構築協議会においてしっかり結論を得て、その結論に従って、我々も、国も地方公共団体も支援するということでございます。地域のまた合意なくして廃線があることはありません。

神津委員 ありがとうございます。今の答弁、非常に重要だったと私は思っております。

 今回の改正で鉄道が廃止され、公共交通が地域からなくなってしまうと考えていらっしゃる方々もいらっしゃいます。

 配付資料の一ページにありますように、今回の公共交通の再構築協議会の中で議論する点というのは二点あると思います。鉄道の高度化、それからもう一点が、バスの転換等と書かれております。

 鉄道を残す場合には鉄道の高度化を図る、鉄道を廃止する決断に至った場合には、何らかの公共交通というものは残していくという点は間違いないでしょうか。お願いします。

上原政府参考人 お答えいたします。

 協議会におきましては、委員御指摘のとおり、鉄道として残すか、あるいは、バス等、地域の公共交通を別のモードによって構築をするか、どちらかを選択をしていただいて、その方針に基づいて、私どもの方の、先ほど大臣が述べました支援を、どちらの場合においても行っていこうというふうにしているものでございます。

神津委員 ありがとうございます。

 鉄道が廃止される地域においては、例えばバス転換を図るというような検討をなされているような地域もあるかと思うんですが、ただ、例えば私の地元ですと、なかなかバスを運転するような運転手の方々が見つからないというところで、バス転換は難しいというような事情もあるんですね。

 そういうところで、もう一度、済みません、お願いしたいんですが、鉄道を廃止する場合、何らかの公共交通を残すということで間違いないでしょうか。お願いします。

上原政府参考人 お答えいたします。

 鉄道が廃線になった後、バス等がきちんと受皿として機能できるかということについて、いろいろな御懸念があることは承知いたしております。

 協議会におきましては、どういう形で、鉄道以外にする場合においても、公共交通を維持していくのか、そこについてもしっかり議論していただいて、持続可能な公共交通を維持していくことがしっかり合意ができた場合に次のモードに移っていくという考え方をいたしております。

 したがって、鉄道がなくなって、更にバス等の代替交通機関、公共交通が確保されないという事態は避けていくべきだというふうに考えております。

神津委員 ありがとうございます。

 何らかの公共交通を、学生とかそれから免許を返納した方々とか車を元々運転されない方とか、こうした方々のためにも、必ず何らかの手段は残していただきたいというふうに思います。

 鉄道の廃止なんですが、私は経済的なことだけで決めるべきではないというふうに思っております。今回の再構築協議会の設置対象となり得るような鉄道の路線というものは、農林水産業を主要な産業としている地域が多いというのが私は特徴ではないかというふうに思っております。

 私の地元に小海線という鉄道がありますが、その鉄道の沿線では農林業を営んでいらっしゃる方が多いのが特徴となっております。そして、この地域の子供たちが通学で利用しているこの鉄道というものがなくなってしまうと、そこで子育てができなくなってしまい、その結果、更なる過疎化、公共交通の先細り、地域経済の崩壊、税収減と悪循環が進んでしまうと思っております。安易にこうした鉄道を廃止すると、食料の安全保障も守れなくなってくるのではないかとも私は危惧しております。

 そしてさらに、この小海線なんですが、日本で一番高地にある野辺山駅というものがありまして、その駅の近くにはスケート競技でメダルを取得するような選手を数多く輩出している帝産ロッヂというところがあります。この帝産ロッヂというのが、鉄道が廃止されてしまうと、その帝産ロッヂにも子供たちが通えなくなってしまって、この地域からスケートの文化というものが消えてしまうというふうに思っています。そういう意味では、鉄道の廃線というものは地域の文化にも影響を与えるものだと思っております。

 更につけ加えさせていただくと、この小海線、今、日本海とそれから太平洋を結ぶ鉄道ネットワークの一部となっておりまして、南海トラフ地震が起きたときにも、日本海側から物資を大量に運べるような鉄道として残しておけば災害対応にも利用できると思っています。

 そして、昨日、岸田総理、戦時下におけるウクライナを訪問されましたが、ウクライナの物流とか、それから、今、人の流れを支えているのも鉄道だというふうに伺っております。防衛のための装備品、弾薬、支援物資の輸送、国外へ退避される方を運んでいるのがこの二万三千キロにわたるウクライナの鉄道のネットワークだというふうに聞いております。

 こうした意味においては、鉄道のネットワークというものは、平時のときだけではなくて、安全保障上の意味合いからも残すべきだというふうに思っております。莫大な投資が必要な鉄道を一度失ってしまえば、私は取り戻すのは困難だというふうに思っております。農林水産業、防衛対策、防衛の観点から災害対策、こうしたことからも、是非、再構築協議会の議論の中ではこうしたことも観点に入れて議論していただきたいというふうに思っております。

 この再構築協議会なんですが、設置の目安というものについてなんですが、一日の利用者が千人未満となっているような鉄道の路線、今、配付資料で二ページ、三ページ、四ページ、ここにそのリストが記載されていますが、千人未満を下回った全ての区間、鉄道の特性を生かせていない、持続不可能として、再構築協議会を開いてほしいと事業者の側から依頼があった場合は、国土交通省は全ての区間でこの再構築協議会を立ち上げることを自治体に相談していくのか、伺わせてください。

上原政府参考人 お答えいたします。

 鉄道の特性は、一義的には大量輸送性、定時性、速達性を兼ね備えている点にございますが、一部のローカル鉄道においては、人口減少や少子化、マイカー利用の普及やライフスタイルの変化などにより、輸送人員が大幅に減少し、大量輸送機関としての鉄道特性が十分に発揮できていない状況が見られるところでございます。

 このため、再構築協議会を組織する要件の一つとして、大量輸送機関としての鉄道の特性を生かしたサービスの持続可能な提供が困難な状況にあることを法律上規定いたしているところでございます。

 鉄道の特性の評価を含め、この要件を満たすか否かの判断は、地域や事業者の状況を踏まえて個々に行うべきものと考えておりまして、定量的な基準で一律に定めることは予定しておりません。

 他方で、制度の円滑な運用の観点から一定の考え方を示してほしいという声もあることから、あくまで一つの目安として、地域モビリティの検討会というものを開催いたしまして、そこで示された輸送人員一千人未満というものを、そこから優先的に協議をすべきといった考え方、地域公共交通活性化再生法に基づく基本方針に盛り込むことを検討してまいります。

 なお、この一千人という数字につきましては、国鉄末期に、国鉄再建特別措置法に基づきまして、バスによる輸送が適当とされました特定地方交通線の基準は、原則として輸送密度四千人未満、この四分の一のレベルであるということでございます。

神津委員 今のこの千人未満というのは、経済的な基準というところでこの千人ということがおよそ設定されるのだというふうに思っております。

 国鉄がJRに民営化されるときに、国民がこれまでこの債務というものを負担し続けていると私は理解しております。今もこの国鉄の債務、十三・五兆円残っているというふうに伺っております。国民がこの十三・五兆円の負債を負担し終えるまでは、私は、JRには是非とも内部補助を行っていくべきだ、行ってほしいというふうに思っておりますので、その辺、是非御検討いただければと思います。

 それから次に、再構築協議会を設置するに当たっては、誰が構成員として入ってくるかによって、それによって議論の方向性というものが決まってしまいかねないというふうに思っております。そうした意味においては、偏った人選が行われないように、地元住民、それから公共交通機関、鉄道事業者であればそこで働く方、それから物流事業者とか、ここに関係してくる方々を是非とも含めていただきたいんですが、いかがでしょうか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 再構築協議会におきましては、沿線自治体、鉄道事業者、関係する公共交通事業者のほか、利用者、学識経験者など国土交通大臣が必要と認める者についても構成員として協議会への参加を求めることができることとしております。

 再構築協議会の構成員は国において選任することとなりますが、多様な主体が議論に参画し、幅広い意見を聞いていく必要があると考えておりまして、自治体や鉄道事業者の意見を聞きつつ、地域の実情を踏まえて選任してまいりたいと考えております。

 先ほど御指摘のございました、現場で働く皆さんということにつきましては、現在、全国各地のローカル鉄道の現場におきましては、新型車両や鉄道施設監視システムの導入など、新技術を活用した様々なコスト低減のための取組が講じられているところでございます。

 こうした観点から、現場に精通している方の意見は貴重なものと考えておりまして、再構築協議会にそうした意見を反映させる方策についても、自治体や鉄道事業者の意見を聞きながら、地域の実情を踏まえて検討してまいりたいと考えております。

神津委員 今の御答弁の中で、大臣が指定される方という答弁がありました。

 大臣にお伺いしたいんですが、住民、労働者、物流事業者をこの再構築協議会のメンバーとして加えていただきたいと思いますが、御決断、お願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど局長から答弁申し上げましたとおり、多様な意見を取り入れるべく、しっかり地方公共団体、また事業者の皆さんと協議をしながら決めていきたいと思っております。

神津委員 ありがとうございます。多様な意見を是非とも取り入れていただきたいというふうに思っております。

 それから、この再構築協議会なんですが、今いろいろな沿線で既に協議会が開催されているというふうに伺っております。

 ただ、この協議会、オープンになっていなくて、公開になっていないんですね。それから、議事録が公開されていないという点が、私、透明性を確保する上で、それから地域住民の合意を得ていく中で非常に問題だと思っておりまして、この再構築協議会の議事録、それを公開していただくことと、それから、この再構築協議会の議論自体を公開していただきたいと思いますが、お願いできますか。

斉藤(鉄)国務大臣 再構築協議会の運営に関しましては、自治体や鉄道事業者の意見を十分に聞きつつ、地域の実情に応じて定めてまいりたいと考えております。

 協議に当たりましては、多様な主体が議論に参加し、幅広い意見を聞いていく必要があると考えており、少数意見を含めて、丁寧に合意形成を図ってまいりたいと考えております。

 また、合意形成に当たっては、具体的なファクトとデータに基づき、透明性を確保して議論していくことが重要と考えておりまして、可能な限り透明化が図られるよう適切に運営してまいりたいと思います。

神津委員 今、質問に答えていただけていないかなと思うんですが、この再構築協議会を公開にしてもらって、誰でも参加したい方はオブザーバーとして参加していただけるようにしていただきたいというところ、それから、議事録を少なくとも一か月以内ぐらいには公開してもらうということをお願いしたいと思いますが、お願いできますでしょうか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣の方から御答弁申し上げましたとおり、なるべく透明化を図る必要があるというふうに考えております。

 公開を原則としながら、実際の構成員の皆さんの意見を聞きつつ、結果としては、この回はいろいろ議論を中でやろう、この回はオープンにしていこうということがあり得るかもしれませんが、議事録につきましては、しっかりと構成員の皆さんの協力を得ながら公開をしていきたいというふうに考えております。

神津委員 この再構築協議会の議論なんですが、透明性を確保するというところは私は非常に重要だと思っていて、今の御答弁だとちょっと曖昧なのかなと思った次第です。

 それから、二十九条の八の第五項のところの、意見を反映させるための必要な措置というふうなことが書いてあるんですね、地元の方々の意見を反映させるために必要な措置を取っていくと。私、レクを事前に受けたときには、ヒアリング会を開く、それから、意見公募を一回でも受け付ければ意見を反映したことになるというふうに伺っております。

 このヒアリング会を開くとか意見公募を行っただけでは住民の意見を反映させたことにはならないと思うんですが、どういう対応を取っていくのか、この点、お願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 住民や利用者の方々の御意見を反映するための措置としては、公聴会の開催や再構築協議会におけるヒアリング、アンケート調査やインターネットを活用した意見公募などを想定しております。地域の実情や議論の進展状況に応じて適切に実施してまいりたいと考えております。

 地域にとってあるべき公共交通の姿を協議していく上では、幅広い御意見をお聞きして議論していくことが必要と考えておりまして、御指摘のとおり、形式的な意見聴取に終わることのないよう丁寧に対応してまいりたいと思います。

神津委員 今のままだと恐らく形式的なものにとどまってしまうというふうに思っております。

 大臣にもう一度お願いしたいんですが、どうやってこの意見を反映させていくのか、伺えると幸いです。お願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 協議におきまして、関係者の方々の意見をしっかりと反映するべく、そして、合意を得て、その合意で得られた結論について我々も支援を実行していくということでございますので、合意が得られるように丁寧に進めていきたいと思っております。

神津委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

木原委員長 次に、梅谷守君。

梅谷委員 おはようございます。

 この度、この国土交通委員会で質問させていただく機会を賜りましたこと、まずは感謝申し上げます。

 まず、大臣、チャットGPTを御存じですよね。御存じですよね、チャットGPT。うなずいていただければいいですけれども。(斉藤(鉄)国務大臣「今、ちょっと聞こえなくて」と呼ぶ)チャットGPT、御存じですよね。

 これはもうかなり話題になっていますから。これまでの生成テキストAIと比べ物にならないぐらい精度が高いと言われているものです。だから、難解な数学の理論とか、また、社会問題の解決法とか、さすがにこれは答えられないだろうということまで答えてもらえるということなので、私、早速やってみたんですね。

 ローカル線について問うてみました。それが今日の配付資料の一枚目なんですが、長々とあるので、後で皆さん御覧いただきたいんですけれども、この中で、やはりローカル線の今後の在り方についてと聞いていくと、ちょっとこれは質問するたびに若干答えが異なる部分はあるんですが、おおむねこういう方向であるということを御理解をいただいて、この中で注目すべきは、やはりローカル線の今後の在り方については国の支援の拡充が必要との認識を示してくるんですね。まずはこのことを指摘をさせていただいて、質問に移りたいと思います。

 まず、ちょっと質問の通告の順番を変えていきたいと思います。大臣指針についてまずはお尋ねをしたいと思います。

 大臣指針なんですが、JR会社法の適用からJR本州三社が除外された際、法改正の附則に基づいて策定された大臣指針ではこうありますよね。第一義に、「現に営業する路線の適切な維持に努めるものとする。」とあります。JR各社は今もこの適用を受けていますが、これは、事務方との事前の話によれば、今後も堅持するというふうに伺っております。

 この大臣指針、JR各社が国の監督下から外れ、経営の自由度が与えられることで、ローカル線が切り捨てられるのではないかとの懸念を受けて設けられたものだったはずです。

 配付資料なんですが、二枚目をお願いします。これは何度か、二度ほど衆参予算委員会で提示もされていますが、かつて、国鉄改革当時の政権与党は、ローカル優先のサービスに徹します、ローカル線もなくなりませんと全国で新聞広告を打っていましたし、また、JR会社法を改正し、指針が設けられた際の国会審議でも、当時の大臣は、赤字路線を切り捨てるということがないようにと明言していました。しかし、実際には、JRから切り離された後に廃線になったものも含め、多数の路線が廃線となっています。

 更に言えば、今も政府の一〇〇%出資の持ち株会社であるJR北海道などに対する国の監督は、少なくとも指針にある水準以上に国鉄改革の経緯、趣旨を踏まえた公共的なものでなければならないのではないでしょうか。私はそう考えます。しかし、実際には、JR北海道の路線廃止の状況は突出しています。指針の第一の考え方である路線の維持が図られているとは言い難い。

 もっと言えば、地元との協議、今ほど神津委員の中にも若干触れておりましたが、例えば、三枚目の資料ですけれども、御覧いただきたいと思います。この写真ですが、これは北海道の札沼線の説明会の際の写真です。JR関係者や自治体職員ばかりで、地元の方がほとんど参加できないという実態があったと聞いております。また、専門家からは、JR北海道のやり方が余りに乱暴過ぎて、今回の地活化法のやり方が前に進んでいるように見えてしまうという意見も上がっています。

 国はこれまで、JR各社に対し、路線維持の指針に基づいてどれだけ指導助言、勧告を行ったのか。また、JR北海道に対し、路線を維持する方向での監督を行ったことがあるのか。指導監督が適切に行われたことを具体的に御説明できるものがあればお示しをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 JRの上場四社につきましては、JR会社法に基づく大臣指針に基づき、現に営業する路線を適切に維持するとともに、路線を廃止しようとするときには、地域に対し、事情の変化を十分に説明することとされております。

 国土交通省といたしましては、これまでもこの大臣指針の遵守をJR各社に求めておりまして、先ほど大臣からも答弁がありましたとおり、地域の合意なくしてこれまで鉄道路線が見直されたことはないというふうに承知をいたしております。

 また、JR北海道、JR四国につきましては、大臣指針の直接的な適用はございませんが、鉄道・運輸機構が一〇〇%出資する特殊会社として、必要な支援を行いつつ、こうした方針を徹底しているところでございます。

 JR北海道につきまして、これまで様々な協議会で地域で議論されてきておりますが、こちらは、大変輸送密度が小さくなっていて、サービスのレベルも非常に低下している中で、新たな地域公共交通の在り方を地域の協議会が議論していただいて、その結果に基づいて、現在、新しい交通体系に移行していっているということだと承知をいたしております。

梅谷委員 丁寧な御答弁をありがとうございます。これまで、いろいろと御省としても汗をかかれたことは理解をさせていただきました。

 ただ、これも今御答弁にはなかったですが、二〇一八年にJR北海道に監督命令を出したことは私も承知しております。だが、これはむしろ、私、中身を全部読ませていただきました、むしろ、JR北海道にローカル線切捨てを求めた内容であります。指針の趣旨とは全く真逆です。政府が路線維持のために指針を適切に運用するとは、このやり方を見ていく限り、なかなか期待ができないというのが私の率直な印象なんですね。

 今、大量輸送の関係で鉄道の特性について触れておりましたけれども、例えば、私の選挙区の、雪国ですけれども、この再構築協議会設置の要件となる鉄道特性、今回、大量輸送機関だけを取り出していることも私は非常に気になっています。特に冬期の雪国にとって重要な定時性とか速達性などを排除するのは、余りに私は基準としていかがなものかというふうに思います。

 基幹的という文言もありますけれども、基幹的を含め、国及び地域にとって残すべき鉄道として重要な要素は何かから、きちんと議論する必要があるのかなと私は考えております。

 そこで、ちょっとこの答弁を是非大臣からお願いしたいんですが、この法案によって各地で再構築協議会を設けようとするに当たり、これまでどおり大臣指針を堅持するということだけでは、地域の不安は全く解消できないと私は考えています。

 是非、これまでの経緯を踏まえて、この大臣指針がこうだけれども、これからはこうだという安心につながるような、地域が安心して協議に臨めるような、そういう担保となる御答弁をいただけないでしょうか。よろしくお願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、これまで、JR上場四社に対しては、大臣指針をしっかり、それはこれからも生きているんだということをまず徹底したい、このように思います。

 その上で、現に本当にもう鉄道利用者の数が少なくなって、実際に現に鉄道利用者の数が本当に極端に少なくなっているということは、それが地域の公共交通に役立っていないということの表れではないかとも思われます。

 本当にその地域の公共交通はどういう姿が最も地域の方々にとって望ましい姿なのか、それをもう一度みんなで話し合いましょう、その上で出てきた結論については、しっかり国も地方公共団体も支援して、これを応援していく。それは、合意なくしてその結論を出すことはないということでございますので、その再構築協議会でしっかりと合意を得ていくということが、地域の安心につながっていくのではないかと私は思っております。

梅谷委員 ありがとうございます。

 私も、何が何でもこの路線を守れと求めているわけではございません。

 しかし、路線の維持が原則というふうに大臣指針は定めておりますし、やむを得ず他の選択肢を検討するにせよ、今ほど大臣からおっしゃっていただいたとおり、しっかりとした合意が大前提であるということをまずお願いをさせていただきたい。それと、やはり、できる限り幅広い合意形成、関係者からの参画も求めていただくなどして、より具体的にこういったことを示していただくことを要望させていただき、次の質問に移らせていただきます。

 次、内部補助についてお尋ねをします。

 これも御案内のとおり、我が国の鉄道事業は独立採算、これを前提としています。JR各社において、ローカル線を維持するために必要なコストも、生じた損失を内部の他の利益で補填する、いわゆる内部補助によって賄われるという考え方が前提です。

 人口減少などの社会状況の変化、加えて、コロナ禍による将来の事業環境の変化などで、内部補助によるローカル線の維持も限界に達している、これが今回の法案の大前提という事実認識だと思います。

 JR各社が、特にここ数年、大変厳しい経営環境にあることは私も十分理解をさせていただいております。直近では経営も持ち直しつつあるとはいえ、コロナ前には戻らないという各社の危機感も共有していますし、また、内部補助を前提とする鉄道の在り方について、再検討が必要な時期に来ているのではないかなというふうには私は考えているところでもございます。

 その上で、政府として、法改正を伴う交通政策のこれだけの大転換を提案する以上、正確なエビデンスを踏まなければならないのは当然だと思います。そうですね、大臣。

 そこで、問いますが、国は、国交省は、ローカル線、収益路線を問わず、全ての路線の収支状況をきちんと把握してこの法案を提案しているのかをお尋ねをします。大臣、お願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 ローカル鉄道が抱える問題の本質は、どの路線が赤字か黒字かではなく、当該地域において大量輸送機関としての鉄道特性を発揮できているかどうかという点だと考えております。公共交通としての利便性が大きく低下し、更なる利用者の減少を招くという負のスパイラルに陥っている線区について、再構築に向けた協議を実施することとしております。

 その上で、協議に際して、鉄道事業者がどの範囲で線区別収支を国に報告又は一般に公表すべきかについては、地域との対話の過程で、各社において適切に判断していくべき事柄だと考えております。

 いずれにいたしましても、今後、関係者による公共交通再構築に関する協議が円滑に進むよう、国としても適切に関与し、JR各社に対して必要な情報公開を求めてまいりたいと思います。

梅谷委員 必要な情報公開を求めていくということですが、そして個々のローカル線の経営状況も厳しい、状況も厳しいというようなニュアンスのこともおっしゃっていました。

 ローカル線が厳しいことなどは、国鉄改革以前から分かり切った事実だったんじゃないでしょうか。それを前提とした内部補助の現状こそが現在の問題の核心。国鉄も、経営危機が深刻になるまでは丼勘定であったものの、国鉄改革の際、国鉄再建法が成立した後は、路線一つ一つの収支をきちんと出して議論したと聞いています。赤字区間だけを殊更強調し、もうかっている区間はどれぐらい黒字が出ているのか国交省が把握していないことこそが、この法案の最大の問題点だと私は考えています。

 私は、鉄道各社に営業秘密を逐一公表しろと言うつもりもございません。しかし、少なくとも国交省は全ての数字を把握して、エビデンスを押さえた上で法案を提起すべきだと思います。ローカル線が重荷だ、各社経営が厳しいというふわっとした根拠でこのような大転換を議論することは、私はいかがなものかと思います。立法事実がそろっていないと言わざるを得ませんが、大臣の見解をお尋ねします。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど御答弁した内容と同じ答弁になりますけれども、実際に、その路線が現実に多くの住民の方に使われていなくて、いわゆる地域公共交通としての役割を果たしていないということを、しっかりと、どうやったら地域公共交通を再構築できるか、そのときの鉄道路線の状況について、これをできるだけデータとファクトで議論するということでございますので、できるだけその現実のデータを公表させるように我々も努力したいと思いますけれども、しかし、一つ一つの線区について、全てこれを明確にしろということ、これを我々として言う権限はありませんが、それはできるだけオープンにさせるようにしていきたい、このように思います。

梅谷委員 大臣のジレンマといいますか、もどかしさは感じましたのですけれども、でも、やはりこれはきちっとエビデンスを収集した上で、これだけの大転換ですから、やっていただきたい、私はそういうふうに思います。

 この四枚目の配付資料なんですが、平成二十八年の国交省のパンフレットを用意しました。この一番上の右側のところの「地域公共交通が地域を支えています」の下の一行目、「先進国では一部の都市を除いて、公共交通は地域を支えるインフラとして位置付けられ、運行費用の多くを行政で支えています。」とあります。各国の都市鉄道が補助を前提としていることも示されています。

 世界的には、鉄道、特にローカル線は赤字であることが通常で、公費で支えることが当然である。内部補助、独立採算を前提として、赤字を何とかしろというふわっとした議論をすれば、鉄道各社としては赤字路線をどうにかする方向に行かざるを得ないのは当然なんじゃないんですか。そもそも、本心から鉄道を廃止したい鉄道マンがいると思いますか、大臣。どれだけ涙をのんで鉄道各社が自らの存在基盤である路線をばらばらに解体しようと思っているのか。

 今必要な議論は、各路線がどのような状況にあるかを踏まえて、先ほどのお話ですけれども、路線を支える仕組みを再構築すること、そして、海外事例を踏まえれば、その方法は内部補助ではなく、公費で鉄道を支える方向に転換すべきということは私は明らかだと思っています。

 今の国交省は、鉄道の存廃を各社に委ね過ぎているからこそ、各路線の収支にも無関心でいられる。支え方としては、補助だけでなく、上下分離など様々な方法がありましょう。路線ごとの状況を把握し、どの路線をどうやって支えるのかを我が事として考えることから始めるべきだし、金科玉条のごとくされてきた内部補助、そして鉄道に公費を投じない政策を今こそ改めるべきと考えますが、大臣の見解を伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 民間事業者がやっているとはいえ、地域公共交通、また幹線ネットワークも含めて、これは公共物だと私は思っております。

 ただし、これまで、日本の歴史的に民間事業者がこれを担ってきたという歴史がございます。その歴史と、現に民間事業者がそれを担っているという現実を踏まえて、いかに公的な部分について我々が支援をすることができるか、こういう基本的な考え方でございます。そういう意味では、私は今委員の考え方と一緒だと思います。

 今回は、その公的な支援をどのようにやっていったら地域公共交通を守っていくことができるか、それをみんなで考えていきましょうということでございますので、是非、御理解をいただきたいと思います。

梅谷委員 質疑時間もあと五分に来たので、次の質問に移ります。

 雪国への支援、また第三セクター等への支援の必要性についてお尋ねをしたいと思います。

 私の地元は日本一と言っていいほどの豪雪地帯です。雪国にとっての鉄道とは、ほかの交通手段が寸断されている中でも運行していただける、住民の生活を支える極めて重要なインフラです。であるとともに、同時に、鉄道の運行維持に当たり、除雪を始め、他の地域にはないコストがかかるということはもちろん御存じいただいていることと思います。

 にもかかわらず、国鉄分割・民営化当時、会社自体が赤字となるJR北海道に経営安定基金がついたくらいで、雪国という観点からコスト等への配慮は一切なされなかったんですね。

 国鉄時代は全国一社だったため、北海道や北陸で除雪経費が発生しても、それを全国で広く負担していました。しかし、分割・民営化後は、国鉄を引き継いで全国統一の運賃体系を維持するという流れの中で、雪国の負担は雪国だけで賄うこととなり、現在に至っています。

 雪国では、除雪を始め、他の地域にはない膨大なコストがかかることはもう一回言わせていただきます。しかしながら、雪国のローカル線に対し、このコストを支援する仕組みは何もない。雪国特有のコストを、ローカル線の路線単体ないし地域内だけで解決せよという仕組み、これが三十年以上放置されてきたと言わざるを得ないと私は考えていまして、配付資料を御覧いただけますか、最後の配付資料、五枚目。

 これを御覧いただきますと、近年は異常な量の降雪も頻発しています。路線維持の上で余りに不利であり、支援策が不可欠と考えますが、大臣、どうかこの雪国のコストを広く負担していただくような、そういうことを御検討というか、検討するだけじゃなく、実際に仕組みの構築に向けて汗をかいていただけないでしょうか。御答弁を求めます。

斉藤(鉄)国務大臣 鉄道事業者における安全、安定輸送は、鉄道事業者の基本的な責務として着実に確保されるべきものであり、雪国を走行する鉄道事業者の対応についても同様であります。

 ただし、近年は自然災害が激甚化していることから、大雪によって長時間にわたる駅間停車が見込まれるなど、旅客の安全輸送に支障を来すおそれがある場合には、十分に利用者に周知した上で、事前に列車の運転を見合わせる等の措置を講じるよう指導しております。

 その上で、経営状況の厳しい地域鉄道事業者に対しては、鉄道の安全、安定輸送の観点から、除雪車両や融雪施設の整備に対して補助を行っております。

 いずれにいたしましても、国土交通省としては、引き続き、鉄道事業者として基本的責務である雪害対策に適切に対応するよう、しっかり指導してまいりたいと思います。

梅谷委員 ありがとうございます。

 確かに、そういう補助をやっていらっしゃるのは私も知っています。ただ、そういうことではなく、恒久的な、雪国の特性を配慮した、そういう制度、仕組みを、是非、予算配慮とともに行っていただきたいということを私は申し上げていますので、是非このことを強く御要望させていただきたいと思います。

 そしてもう一つ、私の地元では、例えば、えちごトキめき鉄道というすごい頑張っているいい列車があるんですけれども、既に第三セクター化されて頑張っています。

 しかし、これらの路線でも、JRから引き継いだものを中心に設備の老朽化、これが進んで、その補修、更新が深刻な危機として目の前に迫っています。

 今回の法案では、再構築方針に基づく鉄道事業再構築事業には支援が用意はされていますけれども、先行した第三セクターについても同様の支援が受けられるようにしていただきたいと思いますが、どうか力強い前向きな御答弁を大臣からお願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 地域公共交通をどう守っていくかということについて、地域と、そして事業者と、そして国が真剣に話し合ってその地域の公共交通を守っていくというのが今回の法案の趣旨でございます。

 また、これまで、第三セクター等につきましても、必要な補助、支援、これは行ってきております。

 また、全体で黒字の会社でも、赤字路線に対しての補助、これは災害が起きたときですけれども、そういう形で補助できるような仕組み、あらゆる政策手段を使って、しっかり地域公共交通、また鉄道を支援していきたい、このように思っております。

梅谷委員 ありがとうございました。

 時間が来ましたので、これで終わりにしますが、私もローカル線については、現場に、何度もいろいろなところに入らせていただいて、話を聞きました。本当に厳しい大変な状況ですので、是非大臣からも、私の、えちごトキめき鉄道とか北越急行とまでは言いませんけれども、いろいろなところを是非、顔を出していらっしゃるとは思いますが、現場主義で、是非、現場の声に基づいた施策を投じていただくことを心から期待をし、お願い申し上げさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、おおつき紅葉君。

おおつき委員 立憲民主党・無所属のおおつき紅葉でございます。

 私も、北海道出身で、まさに雪国出身です。今、同僚の梅谷委員がおっしゃったように、雪国への対策を私からもお願いさせていただきたいと思います。

 それでは、まず最初に、地域公共交通の政策における鉄道路線維持の必要性について伺います。

 さて、我が国は、直面する人口減少問題、激甚化する災害対応、また、インフラも老朽化してきております。

 このような交通政策分野で政府を挙げて取り組むため、基本理念やその実現に向けた施策、国や自治体等の果たすべき役割などを定めた基本法制である交通政策基本法が、平成二十五年、二〇一三年に施行されました。

 その第二条で、交通とは、国民の自立した日常生活及び社会生活の確保、活発な地域間交流及び国際交流並びに物資の円滑な流通を実現する機能を有するものであるとしております。つまり、鉄道は、国民の生活交通だけではなく、各地域間における交流や物資の円滑な流通など、重要な機能を果たしています。

 特に、私の地元、北海道では、国内農産物の一大産地であって、令和元年度では、道外への農産品の輸送のうち、米、ジャガイモの約四〇%、そしてタマネギの約六〇%を鉄道輸送が占めております。大量輸送のことを考えますと、道路のトラックだけではなく、やはり必然的に鉄路になるんですよね。

 例えば、物資を輸送するには港湾も重要でありまして、海岸線を結べるようなインフラを持つ必要がありまして、北海道は三角なんですけれども、本当に広いので、東北六県と新潟、これを合わせた面積があるんですよ。だからこそ、縦のライン、横のライン、この鉄路というのは、私は維持が必要だと思っております。

 その上で、鉄道には、これまで歴史的に果たしてきた、国を守る国防の機能もあります。それにもかかわらず、北海道、これは北の防衛線になりますよね。この防衛線として、並行在来線の鉄道の廃止が決定されてしまった地域の倶知安町には自衛隊の駐屯地がありまして、これを非常に危惧しております。

 また、これは内閣府の所管になるんですけれども、有人国境離島法というものがあります。これには港湾の整備などが含まれているんですけれども、この法律に、私は、鉄道も加えるときが来たんじゃないのか、これを検討してみてはどうかと思っております。

 さらに、だからこそ、地域振興における半島や離島に資する観点からも、鉄道は、それぞれの半島の沿線地域や離島の対岸地域で重要な機能を果たしているんです。安全保障の観点からも、その地域に人が住んでいることこそが重要なんじゃないんでしょうか。

 なので、まずは、今日は防衛省の方も来ております。

 小杉審議官、国防における鉄道路線維持に関わる重要性及び鉄路の利活用の必要性についてお答えいただけますか。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 有事に際しましては、全国各地に配備されている自衛隊の部隊を必要な地域に迅速に機動展開できるようにしておくことが重要でございます。こうした輸送に当たりましては、自衛隊の輸送力だけではなく、民間輸送力を活用することが想定されます。

 そのうち、鉄道輸送は、北海道から九州まで、多種多様な装備品や補給品等の大量輸送が可能であり、自衛隊にとって重要な輸送手段の一つとなると考えています。

 今般策定されました国家防衛戦略においては、必要な部隊を迅速に機動展開するため、民間輸送力を最大限活用することとされており、鉄道輸送の活用に関しましても、国交省や鉄道会社と連携しながら検討してまいりたいと思っております。

おおつき委員 そういうことなんです。だからこそ、そこで地域公共交通政策に係る鉄道の路線維持について考えなくちゃいけないんです。

 大臣、国交省の所管だけではなく、まさに、閣僚を見てみると、自民党以外の大臣、この国交省の役、国交省で大臣がここにいることこそが重要で、まさに国民の安全を守るため、平和を守るために、今こそ大臣が力を発揮して、地域の生活交通の確保という観点だけではなく、国交省も、横串も入れて、各省が連携をして、鉄道ネットワークの観点を踏まえた上で検討すべきであると考えているんですけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 鉄道は、国民の日常生活のみならず、観光や物流を含め、我が国の経済産業活動を支える公共交通機関として大きな役割を担っております。また、環境にも優しい輸送手段として、カーボンニュートラルの達成にも大きな役割を担っております。

 さらに、先ほど来委員からお話がございますように、大規模自然災害時の緊急輸送手段など、国土強靱化の観点や自衛隊物資の輸送手段など、国防の観点からも欠かせない存在だと考えております。

 昨年、国土交通省において開催した地域モビリティ検討会では、特急列車や貨物列車が現に走行している線区、災害時や有事において貨物列車が運行する蓋然性が高い線区については、我が国の基幹的鉄道ネットワークとして引き続き維持を図っていくことが強く期待される、このように提言されております。

 ローカル鉄道の再構築に関する新たな制度の運用に当たりましては、こうした考え方を地域公共交通活性化再生法に基づく基本方針に盛り込みたい、そして、適切に運用したい、このように考えております。

おおつき委員 大臣、だとしたら、やはり内閣府の有人国境離島法など、とにかく横串で、大臣がどんどん積極的にアピールをしていっていただきたいと思います。

 それでは、そういった観点からも、各地域で話合いを行います再構築協議会の創設について伺います。

 さて、各地域の鉄道の線区について、大臣が組織する再構築協議会において協議が調いまして再構築方針が作成され、駅舎の新設だとか改築や既存の施設の撤去など、地域公共交通再構築事業として実施されることとなった場合、事業費の二分の一、半分が社会資本整備総合交付金によって補助され、その残りの事業費の二分の一については、その四五%が地方交付税措置を受けることができるとされております。

 私の地元、北海道においては、既に六年前からこの存廃の議論が続いておりまして、輸送密度二百人未満の五つの赤線区のうち四線区の廃止が既に確定し、最後に残った根室線、富良野―新得間についても年度内の廃止が見込まれております。

 そこで、今改正案のような財政支援措置があれば、地方公共団体の負担が軽減されることから、鉄道を維持していこうと判断する地方公共団体があったのではないでしょうか。

 廃止が見込まれる根室線、富良野―新得間について、今回の支援措置を前提に、もう一度鉄道の維持について議論をしていただくことはできないのでしょうか。

 また、再構築協議会では、地方公共団体は、鉄道は生活路線や観光路線として必要かという観点から議論をしていくことが考えられますが、国は、物流や災害、最近頻発しております災害、国防、有事などの対応の観点からもその存廃を考えるべきだと考えますが、国交省の見解をお伺いいたします。

上原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のJR根室線の富良野―新得間につきましては、平成二十八年の台風で被災をいたしました。この被災前から、こちらにおきましては特急列車や貨物列車の設定はございませんで、専ら地域内の輸送を担っていたところでございます。これまで、JR北海道と沿線自治体との間で将来の公共交通の在り方についての協議が行われてきておりまして、国も必要な関与を行ってまいりました。

 本年三月六日には、沿線四市町村による関係市町村長会議が開催されまして、JR北海道より正式にバス転換に向けた新しい交通体系の提案がなされ、現在、各自治体にて住民の利便性向上等の観点から提案内容を検討しているものと承知いたしております。

 国土交通省といたしましては、地域としてこうした新しい交通体系についての方針が示されました場合には、その方針の実現に向けまして、鉄道事業者を適切に指導するとともに、また、今回新たに支援措置を検討しております社会資本整備総合交付金による支援も活用しながら、今後、沿線自治体の意向を受けて、しっかり対応していきたいと考えております。

おおつき委員 では、その次に、地域公共交通に対する地方財政措置の拡充について伺いたいと思います。

 済みません、小杉審議官はもう質問がありませんので、退席していただいて結構でございます。

 さて、今もおっしゃいました、地域の鉄道事業者の施設整備に対して補助を行うための財源として市町村が地方債を充当した場合、地方債の元利償還金の三〇%を普通交付税措置することとされておりますが、運行赤字に対する補助については交付税措置がありません。その一方で、バス事業者に対して市町村が車両購入費や運行赤字に対する補助を行った場合、八〇%の特別交付税措置があるとされております。

 これは同じ公共交通でありながら、地域鉄道事業者に対する支援とバス事業者に対する支援で交付税措置に差がありますよね。バス路線は地域公共交通の最後のとりでだと理解できる反面、現在の鉄道路線維持に関わる要望活動を鑑みますと、地域鉄道事業者に対してもバス事業者と同様の地方交付税措置を講ずるべきだと私は考えております。

 私の地元、北海道では、八つの黄線区については当初から廃止するとは明言してきませんでした。綿貫社長も、黄線区の廃止は全く頭にないとしておりますが、JR北海道単独での維持は大変厳しくて、国や地方公共団体の更なる積極的な支援が必要であると考えます。

 これは、北海道、北海道と言いますけれどもと思う方もいらっしゃると思います、地域が違うと。でも、先ほど私が申し上げさせていただいたように、東北六県と新潟の面積があるんです。

 かつ、もう一つ問題があります。そもそも、国鉄の民営化で、JR北海道が発足したときのことを覚えている方がいらっしゃるかもしれませんが、あえて言わせてください、民営化に当たって営業赤字に陥るのは当初から北海道は想定されていたことなんです。それはそうです、広いですから。

 そのときに、約六千八百億円の経営安定基金が設定されたんですけれども、これは利回りで収支が賄われるように、事実上補償される仕組みだったんです。でも、その後、低金利時代が来て、運用益が半減して、これで今厳しいんですよ。これは国策だったんです。だからこそ、北海道各地域への支援、みんなで考えていきましょうと言っているんです、もちろん、大臣もみんなで考えていきますと言っています。ただ、事情が違うんです、北海道は。

 その観点で伺います。

 今回の改正案、鉄道事業再構築事業を社会資本整備総合交付金で支援しようとするのも、地方が上下分離へ踏み出せるようにということと理解しておりますが、仮に上下分離を導入したとしても、運行赤字への補助に対してバス同様の地方交付税措置が行われなければ、事業者が運行を継続することは困難であると考えます。

 そこで、沿線の地方公共団体だけに地方鉄道への支援を求めることは、例えば、JR北海道の黄線区が、都市間移動、観光、物流の機能、さらには、防災、国土強靱化の機能を持っていることを鑑みれば、やはり偏っているんですよ。

 その点では、事業と地域発展の持続可能性を高めるためにも、公共利益の観点から、国の財政的支援を拡充するとともに、更なる地方財政措置が必要であると考えますが、国交省の見解をお願いいたします。

上原政府参考人 お答えいたします。

 まず、JR北海道に対しましては、全国と違いますのは、JR北海道に対して、こちらの、令和三年三月にこの委員会でも可決、成立させていただきました旧国鉄債務等処理法に基づきまして、令和三年度から五年度までの三年間で約千三百億円の支援を実施しているところでございます。経営安定基金につきましても、今回新たにその支援措置の中に組み込みまして、現在、これまで以上の、JR北海道に対する支援を充実させて行っているところでございます。

 また、これを前提といたしまして、北海道あるいは沿線の市町村と、特に黄色線区につきまして、どういう形で鉄道を維持していくのか、維持方策について様々な議論を行っております。その中で、今回、社会資本整備総合交付金を使いましてこの措置をしていこうというふうに考えているところでございます。

 バスとの比較でおきますと、鉄道とバスの大きな違いは、鉄道は固定費が大きくのしかかってくる。設備投資にかかるお金が非常に大きいので、先ほど申し上げましたJR北海道に対する支援も、この設備投資費を支援することによってしっかりと路線が維持できるように、我々としては環境を整備をしております。

 自治体にとりましても、赤字補助よりもこの設備投資の部分について支援する、先ほど委員が御指摘されました上下分離といったやり方もあると思いますが、これが鉄道事業の特性でございますので、これに対する支援をしっかり充実させていきたいというふうに考えております。

おおつき委員 ですから、役所の努力はよく分かります。ただ、だからこそ、国を守る観点から、先ほど防衛省の審議官もおっしゃいました。そして、内閣府にも有人の離島法もあります。大臣、大臣が横串を刺して、これは国を挙げて考えていかなきゃいけないです。

 あのとき、北海道だけ孤立されてJR北海道をつくったわけじゃないですか、この国で。国のみんな、政治家が、私はまだ子供でしたけれども、国の政治家が決めたことじゃないですか。だから、政治家が責任を持って役所に横串を入れるときだと思います。

 次に、地域の将来と利用者の視点に立ったローカル鉄道の在り方に関する提言について伺います。

 今改正案で創設する再構築協議会に導入することとなった、昨年七月の鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会における地域の将来と利用者の視点に立ったローカル鉄道の在り方に関する提言において、JR各社の誕生の経緯や高い社会的役割を踏まえて、我が国の基幹的な鉄道ネットワークを形成する線区などは、地域の振興のみならず、我が国全体の経済成長や環境問題への対応、災害対応や安全保障などの観点から重要な役割を果たしておりまして、引き続き鉄道の維持を図っていくことが強く期待されるため、当面、再構築協議会の対象としないことが適当であるとされております。

 そこで、今改正案の再構築協議会では、この提言の考え方が議論のベースになるものと考えてよろしいんでしょうか。また、JR北海道の路線区についても同様に考えてよろしいのでしょうか。国交省にお伺いします。

上原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、今回の様々な法律の組立て、あるいは財政的な支援につきましては、JR北海道の路線も同じ扱いでございます。したがいまして、社会資本整備総合交付金の活用を始め、予算面でもこれからしっかり支援していくことといたしております。

 一方で、先ほど申し上げましたとおり、JR北海道につきましては、平成三十年七月に発出されました国の監督命令に基づきまして、経営改善に取り組ませております。これを財政面から支援するため、先ほども申し上げましたが、令和三年三月に可決、成立した旧国鉄債務等処理法に基づきまして、令和三年度から五年度までの三年間で約一千三百億円の支援を実施しているところでございます。

 また、こうした支援と併せまして、個別の線区につきましては、地元の協議会や利用促進会議、これはアクションプラン実行委員会と申しますが、こうした地元での検討が進められている、既に議論が進められているところもございます。

 国土交通省としましては、基幹的ネットワークの考え方を含む新たな制度の運用に際しては、こうした地元におけるこれまでの議論の積み重ねを十分に踏まえながら、関係者とよく相談してまいりたいと考えております。

おおつき委員 続いて、高速道路や地域高規格道路と鉄道の維持困難路線との関係性について伺います。

 さて、高速道路やこの地域の高規格道路の整備計画の立案に当たっては、鉄道の存在は残念ながら考慮されることはないものと理解をしております。そのため、道内では、石北線、留萌線、日高線、根室線といった維持困難路線に並行して高速道路等が計画、整備され、供用されております。

 私の地元、小樽市を走ります函館本線についても、並行するように、小樽と倶知安を結ぶ後志自動車道の整備が進んでおりまして、平成三十年には、小樽―余市間の二十三・三キロが開通をしております。このような例は、道内のみならず、JRのほかの地方路線においても見られると思います。

 そこで、国交省に伺います。

 全国的に、建設中の地域の高規格道路と存廃危機の鉄道地方路線が並行、競合している現状について、どのような認識を持っているのでしょうか。あわせて、全国道路網計画立案の際、並行する鉄道路線への影響をどの程度考慮し、いかなる補償を考慮しようとしているのか、伺います。

上原政府参考人 お答えいたします。

 高速道路や地域高規格道路の整備は、マイカーや高速バス等の利便性を飛躍的に高め、地域住民の利便性の向上、物流ネットワークの形成や地域の活性化に大きく貢献するものと認識いたしております。

 他方で、かつて都市間輸送の一翼を担っていたローカル鉄道におきましては、利用者の大幅な減少の要因の一つとなっていることも否定できないと考えております。

 こうした状況の変化は、人口減少や少子化と同様、鉄道事業者の経営努力のみでは避けられないものであり、それゆえに、自治体が主体的に関わりながら、どのような地域の将来像を実現しようとしていくのか、その中でどのような地域公共交通が必要なのかというビジョンを持った上で、地域公共交通の機能の回復に共に取り組んでいくことが急務となっていると認識いたしております。

おおつき委員 最後に、地元、小樽―長万部間の並行在来線も、沿線九市町村との協議の結果、バス転換で廃止が決定されております。こういった地方の自治体に耳を傾けながらこれからの政策を考えていただきたいと大臣にお願いいたしまして、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、下条みつ君。

下条委員 立憲民主党の下条みつでございます。

 限られた時間の範囲内でございますので、私は、好意的にこの法案を受け取っていますけれども、いろんな角度で御提案をさせていただきたいというふうに思っています。

 まず最初に、お礼を申し上げたい。それは、私どもの地元の松本の御提案によるエリア一括協定運行事業について、採用していただいて、複数年で対応していくということ、ありがたいお話だと思いますし、また、毎年毎年赤字補填でやっていくんじゃなくて、それに対して複数年でやって、企業努力をしたりモチベーションが上がるようにやっていただくことによって、余った部分は収益になるということだと思います。それは大変いいことだというふうに思って、最初は、大臣含めて、行政の方々に感謝を申し上げたいというふうに思います。

 ただ、何でもそうですけれども、我々も、大臣の建設会社にいてずっと目標が来ていて、目標をやったら更に目標、更に目標とやられちゃうと、目標を達成しない人は、逆に言うと、どうでしょう、まあいいんじゃねえのということになりやすいんです、人間の気持ちとしては、また地域としても、また民間としても。

 ですから、例えば、これは提案ですけれども、複数年は、ただ五年で切って、それに対して補填をしてくれた、それはありがたい。それで、例えば、五百万ずつ赤字で、五年に二千五百万を渡された。それで、努力して二千万になった。五百万はもういいじゃねえか、次の五年間は五百万を削ってもっと首を絞めるようにやっていくとなっていくと、どんどん真綿で首が絞まっていっちゃうということになりかねないんじゃないか。そうしたら、横から見ていれば、それだったら、普通にやっておいて、そのまま全部二千五百万やった方がいいんじゃねえかとなっちゃうんですよね、これは民間の気持ちとしては。

 ですから、そこに何かモチベーションを上げるための、達成した人は、それに対して、すぐそこの達成した金額で次の数年間に行くんじゃなくて、具体的に、できればもうちょっと報奨をつけて、よくやった、もっと頑張ってくれやというふうな方向があったらいいなという、私は、感謝とそれから提案でございます。いかがでしょうか、国交省。

斉藤(鉄)国務大臣 委員のその御提案の気持ちは非常によく分かるところでございます。

 エリア一括協定運行事業は、交通事業者が自治体と協定を締結してエリア内の路線を一括して複数年運行する事業です。令和五年度予算案においては、これを法律上の制度とすることを前提として、協定期間中に運行の赤字が減っても補助金の額は減らさないという経営改善のインセンティブを組み込んでおります。

 今回の事業では、一期目で経営が改善された場合、二期目は一期目よりも補助金の総額が減ることになりますが、経営が改善された場合であっても、一期目と同様に補助金の額が維持される仕組みとしていることから、二期目も一期目と同様、インセンティブが働くものと考えております。

 国土交通省としては、この事業を活用して、長期的、継続的に経営改善を促すことを通じまして、地域公共交通のリデザインが進むようしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

下条委員 大変ありがたいお話でございます。

 そして、今、二期目とおっしゃっていたけれども、今度、三期目もあるでしょうし、また、タームが五年の場合もあるし、三年の場合もあるし、いろいろあると思います。

 ただ、私は、努力した人、そうでない人に差をやはりつける必要があることが、民間のそういう事業体のモチベーション、アイデアのことにつながっていくと思いますので、是非、大臣を含めて監督していただきながら、努力した人が報われるような対応をその次の期も含めて御提案したいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、今回の法案の中で、鉄道の部分でございますけれども、私の地元も、一つのその対象になっているところがあります。小谷というところと、南小谷、中土、北小谷、スキー場のすぐそばなんですけれどもね。

 そこで、この問題について、いろいろな先生方が事前にお話ししていたとおりでありますけれども、私も、ちょっと違った角度で御提案したいというふうに思います。一つは環境問題の角度、もう一つは観光問題の角度、この二つでちょっと御提案したいと思っています。

 大臣は、前、環境大臣をやられていたので、環境については非常にお強いと思いますし、御理解が深いというふうに思います。

 私は、これだけ世界中で二酸化炭素の話をされているときに、やはり、鉄道の意味というのは、非常に環境が、大臣も鉄道オタクで、知っていますけれども、私も。

 どれだけ鉄道が環境に優しかったかというのは、ざっくり言うと、例えば、日本の場合は、二酸化炭素排出の八割から九割、車ですよ。僅か四%、五%が鉄道じゃないですか。

 そうしたら、やはり、ただそろばんをはじいて、マイナス、プラス、そして、その地域の要望のみだけじゃなくて、この日本国全体から考えたような環境問題というのが大事だと思うんですよ。それは、大臣も環境大臣をやられていたから、特にそうだと僕は思います。

 そこで、例えば、フランスでは、御存じのとおりで、三〇年までに九〇年対比四〇%以上削減しようと、二酸化炭素を削減しようとしている。鉄道では約二時間半以内の場合の飛行機はもう飛ばせない、そのぐらいまでして二酸化炭素の排出を抑えようとしているわけですよ。大臣、御存じですよね、この話は。

 それからもう一つはヨーロッパ、今いろいろヨーロッパも大変な時期が来ていますけれども、その中でも、やはり、ユーロで、九ユーロにして、国が試験的にやってみて、ほとんど自動車を使わないで。私は、なぜかというと、大臣、この鉄道とかというのは、やはり公共という名前がついている以上は、税金が入っているところじゃないですか、そうですよね。

 例えば、七社あって、国鉄がJRになった、四社は返済した。だけれども、残りの三社は、御存じのとおり、十五兆以上の借金をまだ抱えているわけです。十五兆六千億抱えている。その借金は、じゃ、誰が返しているんだというと、たばこ税とか一般財源から振り分けられているわけじゃないですか。そうすると、何はともあれ、公共ということで、国民の、それはプラスのところもあるし、マイナスのところもある、皆さんが税金を払っているところが公共交通。そこは、原点にもう一回戻ってもらいたいと僕は思うんです。

 そのときに、やはりヨーロッパでは、今言いましたように、二時間半の範囲内はもう飛行機を飛ばすのをやめよう、電車に変えて、CO2排出をやめようじゃないか、環境に優しくなろうと。あと、ヨーロッパも、九ユーロにして、試験的に今年から、九ユーロが一か月四十とかちょっとぐらいになりますけれども、増えて、ただし、それによって、みんなが鉄道をどんどん使うことによってニーズも増えて、コンテンツも増えていく。これはやはり、僕は、日本国も学ぶべきじゃないかと思いますよ。

 大臣、いかがですか、その発想は。

斉藤(鉄)国務大臣 鉄道は、今おっしゃったとおり、大量輸送機関として、地球環境にも優しい特性を有しております。旅客鉄道の輸送量当たりのCO2排出量は、自家用乗用車の約八分の一であります。運輸分野のカーボンニュートラル化にも大きな貢献をしていかなければいけない、このように思っております。

 他方で、一部のローカル鉄道においては、人口減少や少子化、マイカー利用の普及やライフスタイルの変化などで、鉄道事業者の経営努力のみでは避けられない事情によりまして輸送人員が大幅に減少し、大量輸送機関としての鉄道特性が十分に発揮できていない状況が見られるところです。大量輸送機関でない鉄道というのが本当に環境に優しいかというのは、また論点があると思います。

 こうした状況の中で、地域や利用者にとって最適な形での地域公共交通の維持、確保を鉄道事業者の経営努力のみに委ねることは限界があり、まちづくりや観光振興に取り組む沿線自治体との官民連携を通じて、鉄道輸送の高度化やバス等への転換といった再構築の取組が急務と考えております。

 今回、この法案を提出いたしましたのも、新たな枠組みをフル活用し、一つでも多くのローカル鉄道において、地域のまちづくりや観光振興と連携した形で再構築の取組が進み、結果として、環境に優しい交通体系が実現されるよう、全力で取り組んでまいります。

 お客さんの多い大量輸送機関としての鉄道であればこその、環境に有意な鉄道ということが言えると思います。

下条委員 そのとおりだと思いますよ。

 私が言いたいのは、今、ちょっと環境だけに絞って話を進めています。ただ、もう一つ、片っ方で観光という問題があると思うんですね。

 ここを、例えば、去年と今年、二千人以下について発表した。これは、ちょうどまさに観光が落ちてきて、使う人も落ちてきて、それに対して、人が使うのが少ないから、それを地域とそろばんだけで排除しようというのは、私は違うんじゃないかと思います。

 なぜかといえば、潜在的コンテンツというのが必要だと思うんですね。例えば、私どもの地元でいくと、例えば白馬なんというのは、三年前は二百八十万人もスキーヤーが来ているんですね。その先の大糸線の沿線からいけば、そこは約八十万人来ているわけですよ。コロナで落ちたのがちょうどここ数年なわけですね。

 そのときに、今おっしゃった人数だけでやるのか。じゃ、フランスだと、人数だけで全部切っている、違います。多かろうが少なかろうが、それはもうやめましょうと。これだけ言われていて、地球温暖化になってCO2排出を削減していこうというのは、国家事業ですよ、それは。

 だから、私はあえて言っているのは、そろばんだけはじいたって、今言いましたけれども、じゃ、大臣、お地元はあれでしょうけれども、山の上におばあちゃんが一人だけ住んでいる、そこに、じゃ、道路を引くのをやめましょうということになりますよ。なぜか。人の命は、一人だろうが百人だろうが同じです、重さは。だから、僕は、この公共というものは、人数やそろばんだけじゃないんじゃないかということに原点を戻してもらいたい、これが僕の最大の提案です。

 例えば、私の地元は約四割がおじいちゃん、おばあちゃんで、玄関も土の方が多いんですよ。そうすると、上がっていくと、お子さんたちはみんなもう出ていっちゃって、町に。そうすると、町から帰ってこない。それが過疎になっている原因じゃないですか。これにプラスが、郵便局の話は今日はしませんけれども、そうやって、やはり、公共ということは、一人の命でも、一人の例えば学生でも、安心、安全で運べる交通が必要であるという意味は、僕は含んでいると思うんです。

 だから、今言ったように、本当に環境に優しいのは、少ないからじゃなくて、そうしたら、道路を引かなきゃいいんですよ。みんな下に下ろしてきて、町や村の役場のそばにアパートを造って住んでもらえばいいじゃないか、そうじゃないじゃないですか。実際そこにお住まいの方が命をもって代々農業を続けていく、それが政治の持つ責任じゃないですか。大臣、どう思いますか。

斉藤(鉄)国務大臣 まさに、地域公共交通の公的責任ということだと思います。そのとおりだと思います。

 そのために、地域公共交通をいかに維持していくか。そして、維持するだけではなくて、実際に住んでいる人の利便性向上、ああ、便利だな、日常生活でこれを使おうというふうになっていただくこと、そのための、今回、再構築協議会、このように私は考えております。

下条委員 大臣としてはそこまでだと思います。お気持ちは分かっていただけるし、伝わっていると思いますので。

 それで、環境だけでいうと、僕はそこまでとなっちゃうんですよ。次に、やはり観光問題というのが先に必要だと。

 さっき僕が申し上げたように、最低のラインだったコロナと違って、我々もこうやってマスクを取るようになったわけですよ。それから、僕の使う東京駅とか新宿駅では本当に外人が増えてきて、どんどんインバウンドが増えてきていますよね。

 そうすると、そこに、これから含まれて、どういう要素を日本は持っているかというと、大臣が御存じかはあれなんですけれども、前に資料で、日本の潜在的観光というものの話がちょうど行われていました。これは、昨年の五月、大臣、御存じですか、世界経済フォーラムの旅行・観光開発指数レポートというのがあって、恐らくお耳に入っていると思いますけれども、日本では観光競争力レポート、観光魅力度ランキングなどと報道されているが、二〇一九年で四位だったんですね。これが二〇二一で一位になったわけですよ。御存じですよね。これは何かというと、日本の潜在的観光というのは、もう世界ランキングでナンバーワンになっている。

 これは何かというと、それだけ日本はいろいろなものがある。礼節があったり文化があったり、そして、長い歴史があったり、お城があったり、海があったり、いろいろある。それがあるので、その潜在的コンテンツが非常に高くなっている。これが潜在的なものですね。じゃ、今、例えば九位だとか八位だったからやらないというんじゃなくて、潜在的なものを目指して戦略的に観光問題を鉄道にも入れていくのが僕は筋じゃないかと思うんです。

 そこで、僕は、このローカル線の存続に対して今思うのは、とても、観光の潜在性を入れてこれをお出しになったのかなという疑問を持っています。

 というのは、さっきちらっと言いましたけれども、私の地元でも、白馬というアルペンのスキー場があって、たくさんの人がいらっしゃっています。でも、インバウンドを含めてがあっと落ち込んじゃった。でも、どうでしょうか、これからインバウンドがどんどん増えてきて、そして、私の地元の白馬は、特に転入者の一割は外人、オーストラリア人の、スキー場が逆になっているんです、気候が逆になっちゃっているから。向こうは夏のときにスキーができるしということで。もうあと五分しかない。それで、そういうことがあって、非常に内容的にこれから先の観光にプラスになる。

 そこで大臣、大臣は鉄道がお好きなのは分かるけれども、地図を広げてみましょう。地図を広げたときに、その地図に、マップにバス路線というのはほとんどないんですよ、でかい地図が。全部鉄道路線なんです。その鉄道路線を見て、外人の人たちがインバウンドに来るわけですよ、バックパックをしょって。だから、私は、この鉄道の意味というのは、潜在性のコンテンツというのは物すごく大きいと思います。

 それと、ちょっと余り時間がないので、連続して言います。

 九〇年代にスキー観光の人口がありました、あのバブルのとき。あの方たちが、実を言うと、もうあと数年で今度は逆に退職します。そうすると、大臣、どうですか。退職した方々は、奥様や家族がいらっしゃる、家族です。一緒にバスで旅行に行きたいと思いますか、それとも、鉄道を使ってゆったりと自分たちの余生を過ごしたいと思うか。

 私は、海外の様子を見ているうちには、やはり鉄道の温かみと優しさ、年を取った方がまた次のマーケットなんですよ。僕はそう思っています。だから、そのマーケットは将来の観光のコンテンツですよ。だから僕は、さっき大臣が図らずもおっしゃった、今だけのそろばんじゃないということを申し上げたい。

 それからもう一つは、ちょっと時間がないので連続して言います、北京オリンピックのときに、中国がウィンターの人口を三億人を目標にしようとやりましたよね、御存じかあれですけれども、やったんです。ということは、日本が、中国と身近な国であって、同じ顔とそれから髪の毛と目の玉を持っている。この方たちが一番先に行きやすいのは、やはり日本への旅行なんですよ。特にウィンタースポーツです。こういうときに、この路線について、そこから降りてまた違うところへ行かなきゃいけないというふうに持っていくのはどうなのかなという感じがしているんです。これが観光に対する僕の気持ちです。

 それと、時間がないのでもう一つ言うと、御省が進めている新幹線ですね、敦賀等々を含めて。これというのは、今度、大阪を含めて、団体を今含めてやっていますけれども、北側の日本海側の方はどんどん進めているじゃないですか。こっち側のラインというのは、唯一切れているのが、電化していないやつで、ディーゼルでやっている我々の足下のところの三駅だけなんです。これをつなぐことによって、御省が今物すごいお金をかけて進めている整備新幹線が、今度は北から回って大阪から京都、奈良から来る方が全部入ってくるんです、こうやって、北から。東京からはこっちから行きますから入りますけれども。

 だから、そういう意味で、長い尺を持ったコンテンツをやらないと、観光というのは僕は芽生えないと思うんですね。

 ですから、さっきおっしゃった、目の前のことだけではなくて、これから先の、それだけの魅力がある国。インバウンドが相当見込める、コロナの問題も非常に、我々もこうやってマスクを取ってやれるようになりました。そして、今言った御省が進めている整備新幹線のいろいろなつながりも含めていくと、私は、一様に地元とそろばんだけでやるべきじゃないんじゃないかなというふうに思っています。いかがでございますか、大臣。

斉藤(鉄)国務大臣 今、下条委員がおっしゃったこと、非常によく理解できます。そのとおりだと思います。

 今回、再構築協議会も、ただ単に今現在の乗降人員とか人数とかそういうことだけではなく、地域のこれからの産業、そして観光、先ほども議論が出ましたそのほかの要素、防衛とか、そういう要素も含めて、どういう役割が鉄道にあるんだろうかということを地域の皆さんと一緒に議論していただくということでございます。観光というのも非常に私はその中で大きな要素になるものと思っております。

下条委員 ありがとうございます。

 精いっぱいお答えしていただいたと思いますので、もう一回原点を言います。

 公共交通は、一人だったら道路を引かないのかというのと僕は匹敵していると思っています。そのぐらい人の命、そして、地方で、これだけ多くの方々が地元に住んで、自分たちで物を作って、都会に行った人たちもさることながら、地域を守ってくれている方々にとっては、やはり道路、鉄道が大事なところだということを申し上げておきたいというふうに思います。

 時間が来ました。最後に、私の考えですけれども、ちょっと話が違うんですけれども、タクシーの場合も、これは話がぽんと飛ぶんですが、伴野筆頭から来た話でございます。済みません。

 タクシーの場合、そこの業者とそれと行政と調整して、国土交通の方でそれで認可するという話がある。そうすると、そこで漏れた人たちについては一体どのように対応していくのか。例えば、運賃に差が出てきます。この整合性はいかがというふうに、最後に御質問させてください。これは政府委員の方で結構でございます。

堀内政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からの御指摘、今般の改正法案におきますタクシーの協議運賃制度のことかと存じます。

 今般の改正法案におきましては、地域公共交通における地域の関係者の連携、協働の一層の促進、そして、地域に根差した輸送サービスの充実のため、タクシーについて柔軟な運賃設定を可能とする観点から、地域の関係者による協議が調ったときは、従来の認可制による運賃によらず、届出で運賃を設定できる制度を導入することとしております。

 この協議におきましては、国として、自治体、交通事業者などにより行われる協議の構成員として、適切な運賃設定がなされるよう参画をいたします。

 また、協議により届出された運賃が、他の事業者との間に不当な競争を引き起こす運賃となった場合には、道路運送法に基づき変更命令を出すことができるとしております。

 これらにより、協議運賃制度について適切な運用を図ってまいります。

下条委員 時間が参りましたが、大臣、公共ということと温かい行政を、是非リーダシップを取っていただきたいと思います。

 今日はありがとうございました。以上です。

木原委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 ありがとうございます。日本維新の会の一谷勇一郎です。

 本会議に引き続いて、大臣、どうぞよろしくお願いをいたします。

 公共交通に対して今回いろいろ勉強させていただき、また先日は有識者の方の質疑もあって、いろいろ自分の考えも変わってきました。本当に今、地域の公共交通についてしっかり手を打っていかなければ、もうぎりぎりのところに来ているのではないかなというふうに思っております。日本維新の会としては、やはり改革政党として、今回の法案改定がびほう策に終わらないようにしていきたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 では、早速、大臣に御質問をさせていただきたいと思います。

 今回の法律案、提案理由に、交通分野におけるDXやGXを推進する事業をそれぞれ法律に位置づけることとしていますが、法律案の条文にGXについての内容が見受けられないのですが、これは一体なぜでしょうか。よろしくお願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、交通分野における脱炭素化、カーボンニュートラルというのは非常に重要です。

 このため、今般の改正法案では、バス事業等の運送サービスの質の向上を図るための道路運送高度化事業を拡充し、EVバスの導入など、交通GXの取組を位置づけた上で、予算、財政投融資、税制特例を活用して促進を図ることとしております。

 国土交通省としては、こうした取組を通じて、地域公共交通のリデザインを進めていく中で、しっかりとGXを推進してまいりたいと思います。

 条文にGXという言葉がないんですが、内容はしっかり入っているということでございます。

一谷委員 それでは、引き続き大臣に質問をさせていただきたいんですが、改正案第二条の第七号のハ、一般乗合旅客自動車運送事業者が車内における静穏を確保し、及び車内に安全性を向上させるために行う事業であって、電気自動車、専ら電気を動力源とする自動車をいう、その他の車内における騒音及び振動の程度が低く、かつ、車内における旅客の転倒を防止する視点から優れた加速度及び減速の性能を有する自動車を用いるものとありますが、ここで質問をさせていただきます。

 地域公共交通を通じてGXを推進するのであれば、カーボンクレジットの考えを取り入れることは検討されなかったのかどうか、お願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど申し上げましたように、道路運送高度化事業によるEVバスの導入などの取組を通じて、交通GXを推進することとしております。

 委員御指摘のカーボンクレジットについてでございますが、今後、経済産業省を中心に排出量取引の制度化に向けて詳細な検討を行っていくこととなっており、そうした中でカーボンクレジットの議論もなされるものと認識しております。

 国土交通省においても、地域の暮らしや経済を支える分野を所管する立場から、政府全体の動きと連携しつつ、地域公共交通分野におけるGXを積極的に推進してまいりたいと思います。

一谷委員 やはり、カーボンクレジットというのも非常に重要になってくると思いますし、今回のこの協議会の中でも、こういったカーボンクレジットのことが分かってファシリテーター役をしていただく方となると、かなり専門性も必要になってくると思いますし、例えば、ローカル線を残すということになった場合、地方のCO2削減分を都心部がカバーするとか、いろいろな考えを持っていけるのではないかなというふうに思っていますので、ここはしっかりと検討する必要もあると思います。

 例えば、ローカル線を廃止してバスにした場合、バスはディーゼルだと思います。そのディーゼルも、型式によってはかなりCO2を削減するものもあれば、CO2を排出してしまうものもあります。ですから、そういったことも考えて、今回のこの法案の改定というのは一歩、二歩先を考えてやっていかなければならないのではないかなというふうに思っております。

 それでは、続きまして、これは政府参考人の方にお伺いしたいんですが、実は神戸は、水素スマートシティー神戸構想ということで、水素バスを四月一日から走らせることになっております。導入に対して非常にコストが高いんですが、将来CO2を排出しないということで、この水素については検討されなかったのかどうか、政府参考人の方にお伺いいたします。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる水素燃料電池車、FCVにつきましては、水素をもとに電気を作り出し、その電気でモーターを回す仕組みでございますため、今般の改正法案に規定する電気自動車の定義、すなわち、専ら電気を動力源とする自動車に該当しております。含まれております。

一谷委員 ありがとうございます。

 私もその説明を聞いて、なるほど、専らなので水素も入っているんだなというふうに分かったんですが、ここは少し文章を入れておいていただいた方が分かりやすいのではないかなというふうに、私はちょっと感じております。

 続きまして、政府参考人の方にお伺いしたいんですが、加速や減速がどのように転倒防止に役立つのかということをお聞きしたいと思いますし、これに対して立法事実のデータがあるのかということを政府参考人の方にお伺いいたします。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 電気自動車におきましては、加減速を電子的に制御し、ギアチェンジが不要となりますことから、発車時や停車時における加減速がスムーズとなり、利用者の転倒防止に役立つものと考えております。

 これは、電気自動車におきます加減速のスピードの変化についてはデータがございますので、そのように考えております。

一谷委員 ということは、何か転倒が非常に今のバスで多くて問題で、EVバスを導入してほしいという一つのインセンティブの文章なのかなというふうに思うんですが、これは素朴に、なぜいきなり条文にこういった転倒のことが入っているのかなというふうに思ってお伺いをさせていただきました。

 そうしたら、続きまして、これも大臣に御質問させていただきたいと思うんですが、附則第六条に、この法律の施行後五年をめどとして、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定について、その施行の状況等を勘案して検討を加え、必要があると認めるときには、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとするとありますが、二〇二五年以降、団塊の世代の方が後期高齢に入って、シニアの方が非常に増えるということと、やはり、六十五歳以上の認知症の方が約七百万人で、高齢者の方の五人に一人ということになります。

 この問題について、五年をめどというのは少し時間が長いのではないかなというふうに考えるんですが、大臣のお考えをお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 今般の改正法案におきましては、改正後の施行状況や社会経済情勢の変化に応じまして必要な見直しが行われるよう、検討条項を盛り込んでおります。

 この検討条項の前提として、ローカル鉄道に関する再構築協議会においては、実証事業を経た上で、三年程度で再構築方針を定めることを想定しております。また、エリア一括協定運行事業においては、交通事業者が自治体と最長五年の協定を締結して経営改善を図ることを想定しております。

 このような二つの理由がございまして、その上で、施策の効果の評価、分析に必要な期間も勘案して、他の法令における見直し期間も参考に、施行後五年を目途として見直すこととしたところでございます。

 国土交通省としては、改正後の施行状況を随時把握しつつ、必要が生じた場合には適時適切に対応してまいりたいと考えております。

一谷委員 これは本当に、二〇二五年以降、社会がかなり変わってくるのではないかなというふうに思いますので、五年をめどにというふうなことは書かれておりますけれども、大臣がお話しいただいたとおり、適時、本当に見直しをかけていっていただくことが大事かなと思いますし、やはり移動に対してはシニアの方が一番負担を受けると思いますので、その辺りを見ていただけたらなというふうに思いますし、認知症の方の移動というのもこれから非常に問題になってくるのではないかなと思います。独居の方も本当に増えてきますし、この辺りを考えていただけたらと思います。

 続きまして、また大臣に御質問させていただきたいんですが、交通手段再構築実証事業の実施等、第二十九条の五の四に「分析及び評価を行い、その結果を公表しなければならない。」とありますが、実証事業がうまくいったからといって、実際に運用してみると結果は違うことが予想されます。その評価や公表はどうされるのか。

 これについてどうするかということも書かれていまして、実は再構築方針の中の、第二十九条の八、二の三及び二の五に定められておりますが、実際どのように運用していくのか。これは方針というふうに書かれているだけですので、具体的にどのようにされるのかというのを大臣からお答えいただけたらと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 交通手段再構築実証事業は対策案の有効性を検証するためのものであり、実施状況に関する分析及び評価を行い、その結果を公表することは非常に重要と考えております。

 その評価に当たっては、その効果が一時的なものではなく持続的なものであるかについても評価してまいります。この評価結果に基づき再構築方針の合意形成が図られることが期待されます。

 その上で、実際の運営の段階で、仮に実証事業の結果とは異なり、問題が発生した場合に、再度実証事業を行い、新たな再構築方針の検討を行うことは可能でございます。

 ローカル鉄道の再構築の取組に当たっては、鉄道事業者、沿線自治体等の関係者の間で、地域にとってあるべき公共交通とは何か、様々な仮説を立てながら検証していくことが重要と考えており、国としても、こうした取組が円滑に進むよう必要な支援を行ってまいりたいと思います。

一谷委員 乗る乗る詐欺ではありませんけれども、この実証のときは、乗ります、乗ります、使いますといいながら、実際、運用してみると、誰も乗られなかったとか使われなかったとか、そういったことも起こる可能性もありますし、そして、それからもう一回この実証事業をやり直すとなると、かなり負担がかかるのではないかなというふうに思いますので、この方針は明確にしていただきたいなというふうに思います。

 それでは、続きまして、質問をさせていただきます。

 今までの質問の中の大変重要なことになるんですが、再構築協議会を運営する場合に、地域住民と事業者、そして自治体担当者の話合いを取り持ち、適切なアドバイスが行える専門家について、一定の専門性を図ることが必要と考えます。また、自治体職員についてもそれなりの経験が必要と考えますが、どのように質と量を担保されるかということと、専門家を育成するためのセミナーを開催するということを本会議でもお答えいただきまして、それにも予算がかなりついているということをお聞きしたんですが、そのセミナーを受ける対象者の人をどのように考えておられるのかということをお聞きをさせていただきたいんです。

 それに加えて、他国の事例も非常に学ばれていると思うんですが、専門家が非常に少ないという状況も考えると、海外から専門家を呼んできて、ファシリテーター役というか提案をしていただくということもいいのではないかと思うんですが、大臣にお考えをお聞きさせていただきます。

斉藤(鉄)国務大臣 本会議でも一谷委員から御質問いただきまして、お答えさせていただきました。

 今の御質問は、その研修を受ける対象をどのようにまた選んでいくのかというお話かと思います。

 自治体におきましては、これまでに地域公共交通計画が全国で七百件余りが作成されておりまして、既にまちづくりとの連携など知見の蓄積が進んでいると認識しております。今般の改正法案による鉄道の再構築について知見を持つ自治体担当者は、しかしながら、不足をしておりまして、その育成は非常に課題でございます。

 このため、令和四年度補正予算において、地域公共交通やまちづくりに関する専門家を育成するためのセミナー開催等の予算を計上したところでございます。

 その対象となる自治体の人材育成、確保を支援するために、国土交通大学校における自治体職員に対する研修、また、地域公共交通計画を作成するためのガイドラインの提供、地方運輸局による助言、有識者の紹介などを行っているところでございます。こういう形で人材を育てていきたいと思います。

 また、海外の人を対象にするのかということでございますけれども、これは今、我々、ある意味では自治体の方々が中心ですので、想定しておりませんが、ケース・バイ・ケースによって、またいろいろ考えていけるのではないかと思います。

一谷委員 この協議会については、専門職の方が本当にキーになると思います。レクを受けた際には、これは悪いとは言いませんが、地域にもこういったファシリテーター役をされる方もいらっしゃるので、コンサル、お願いしますという話もお伺いしたんですが、それであれば、地域で、変な話、利益を誘導してしまったりとか、間違った力学が働いて協議会がゆがんでしまうこともあるのではないかと思いますし、また、いろいろな協議会を私も見てまいりましたし、私の専門は医療、福祉ですけれども、そういった協議会でも、やはり基礎知識をかなり持っていて、セミナーを受けられて、ファシリテーター役、指南役をされるのはいいと思うんですが、ここを担保しないと、せっかくの協議会が足下からぐらついていくのではないかというふうに考えております。

 先日、本会議でもお話しさせていただいたんですが、やはり専門職の方が、大学の教授や研究員が全国で二十名ほどしかいない、今でさえ飛び回っている中で、これ以上協議会が増えて、負担するのは限界が近いという話もよくお聞きしました。ここは思い切って、そういった大学の教授を、一旦大学の仕事をおいておいていただいて、国に出向していただいて、全国に飛び回っていただくというような大胆なことも必要ではないかなというふうに考えて、今の質問をさせていただきました。

 それでは、次の質問をさせていただきます。

 社会資本整備総合交付金ですが、地域公共交通再構築事業が、効果促進事業だけでなく、基幹事業としても位置づけをされたのは一体なぜかという質問なんです。

 この問題意識は、基幹事業は、道路や港湾、これは運輸です、あと川、これも運輸、砂防、都市公園、市街整備など、旧建設省管轄の中に公共交通が入るということは、地域公共交通を税である程度管理しなければならないという意識に変わってきたのではないかというふうに私は考えるんですが、このことについて大臣にお伺いをいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 地域公共交通の置かれた厳しい状況を踏まえますと、民間の事業者任せではなく、官民を始め、地域の多様な関係者の連携を強化して、まちづくり、地域づくりと併せて、地域が一体となって地域公共交通を支えていく必要がある、このように考えます。

 このような認識に基づき、今般、自治体が地域公共交通を地域のインフラとして位置づけて、まちづくり、地域づくりに取り組む場合には、この取組への支援を強化することとしております。

 具体的には、令和五年度予算案において、社会資本整備総合交付金に、新たな基幹事業として地域公共交通再構築事業を追加し、地域公共交通のリデザインのために必要な鉄道、バスの施設整備等を支援することとしております。

 国土交通省としては、このような従来とは異なる実効性ある支援を含めまして、予算、法律など、あらゆる政策ツールを活用して、地域公共交通のリデザインの取組をしっかり支えてまいりたいと思います。

一谷委員 今大臣がおっしゃった、やはり民間任せにしないということが私も重要だなというふうに思いまして、今回のこの法案の改定案に関わらせていただいて、私の考えも変わってきたところであります。

 続きまして、政府参考人の方にお伺いをさせていただきます。

 地域公共交通確保維持改善事業など、補助金があり、売上げを上げると補助金が削られ、結局、手元に残る金額が同じなら積極的に売上げを上げようと思わないのではないか。これを改善するためにエリア一括協定が創設されたと考えております。

 しかし、これはやはり全てに適用できるというふうには思わないんですね。どれぐらいの都市を想定されているのか。人口規模であるとか、もう一つは事業所の存在ということが大事だと思うんですが、この辺りのイメージについて政府参考人の方にお伺いをいたします。

鶴田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問ありましたエリア一括協定運行事業ですが、これは、先ほど大臣からの答弁にもありましたように、経営改善のインセンティブを組み込んだ補助の仕組みでございます。

 この事業で想定しています地域の規模につきましては、一概に申し上げるのは難しいかとは思いますが、今申し上げましたように、経営改善のインセンティブを組み込んでいるということから、現在、現状、重複するネットワーク、これを統合することなどで事業の効率化が可能な地域というのが考えられると思います。

 このため、まずは一定程度の規模を有する都市で実施するということが考えられますけれども、これを横展開して、できるだけ多くの地域でリデザインが進むように取り組んでまいりたいと考えております。

一谷委員 ある一定程度の規模が必要になると思いますし、やはり事業所が残っているかということも今非常に重要となると思うんですが、そういったことができない地域においては、今までのように、インセンティブが働かずに、このエリア一括の仕組みを使わない、赤字補填だけでいいというのが、なかなか変わっていかないのではないかなというふうに思いますので、この辺りは、やはりどのようにそういったところにこの事業を使っていただくかということを、検討を更にしていくことが必要ではないかなというふうに考えております。

 それでは、続きまして、質問をさせていただきます。

 ライドシェアについてなんですが、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があると考えられると、本会議でも大臣から御答弁をいただきました。しかし、運送確保について、あらゆる手段を講じていかなければならないのではないかなというふうに思います。

 私も、タクシーに乗らせていただいたら、なかなか私と同年代、若い方にお会いしたこともありませんし、やはりトラックを運転される、免許を取られる方も非常に少なくなってきているという現状もあります。

 先日も、少し高齢の方がタクシーで暴走してしまって人を傷つけるという事件もあって、本当にあらゆる手段を講じていかなければならないと思うんですが、これ、ライドシェアはやはり危険だというふうな御答弁だったと思うんですが、事故や犯罪がどの程度起きたのか、タクシーの事故と犯罪と比べて、どの程度多いのか、これをデータを出しておられるのかということをまずお聞きをしたいと思います。

 そして、確かに他国でも犯罪問題などに応じて規制を一部強化したケースもありますが、実際にライドシェアの巨大企業が続々と生まれているという現実もあります。加須市等では、市町村が、自家用有償旅客運送、交通空白運送について、バス、タクシー事業者が運行管理、車両整備管理で協力する制度を創設されましたが、運転手がほぼこれはボランティアさんだということをお聞きしております。このボランティアの状況では、何年続けることができるのかということに疑問も持ちます。

 こういったことも考えて、もう一度、このライドシェアに関してのお考えを大臣からお聞かせいただけたらと思います。

堀内政府参考人 まず、犯罪、交通事故についてのデータについてお答えをいたします。

 ライドシェア、日本ではございませんので、アメリカの主要ライドシェア企業との比較をさせていただきます。

 日本のタクシーと米国の主要ライドシェア企業の比較として、輸送回数では、日本のタクシー約五・六億回、米国主要ライドシェア企業が約六・五億回と、おおむね似たような数字となっておりますが、例えば、令和二年における交通事故死者数につきましては、日本のタクシーで十六人、米国の主要ライドシェア企業では四十二人、身体的暴行による死者数につきましては、日本のタクシーにおいてはゼロ、それに対し、米国の主要ライドシェア企業では十一名、性的暴行件数につきましては、日本のタクシーでは十九件、米国ライドシェア企業におきましては九百九十八件となっております。

 以上です。

斉藤(鉄)国務大臣 ライドシェアにつきましては、この間も本会議で答弁させていただきましたけれども、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としており、このような形態の旅客運送を有償で行うことは、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があると考えております。

 交通不便地域における住民、来訪者の移動手段の確保については、これは重要です。まずはタクシーやデマンド交通を活用いただき、それでも公共交通が不十分な地域においては、自家用有償旅客運送も組み合わせて交通サービスを確保していく、こういうことが重要だと考えておりまして、国土交通省では、公共交通が不便な地域における交通サービスの在り方に関する検討会を開始したところでございます。

一谷委員 やはり、ボランティアさんに有償の運送をお願いするというのは、今実際にやっておられる方というのは結構高齢の方ではないかなというふうに思いますし、ボランティアさんですから、これは、急に今日は休みますとか、やはり辞めますとかと言ってしまうことも可能ではないかなというふうに考えます。

 タクシードライバーの方の最賃割れというのが非常に問題になっているともお聞きしていますし、それを企業がやはり負担しなければならない、責任を負うとなっても、なかなか企業も責任を負い切れない現状があれば、例えば、このライドシェアの運行管理や車両の整備がというのであれば、これはタクシー会社さんに任せていただいてもいいと思うんですが、例えば、タクシー運転手さんが、タクシーの運転を副業として、あとまた違う職にも就いていただく。タクシーの非常に必要なところというのは、地域によっては観光のシーズンであったりとか特定の時間帯であったりすると思うので、やはりこういった思い切った改革も必要ではないかなというふうに考えております。

 スタートアップを、これは本会議でもお話しさせていただきましたが、どんどんどんどん出していこうという話の中で、実際は、やはり規制で足かせをつくってしまっているというのがこの日本の現状では多々あるのではないかなというふうに考えますので、このライドシェアの話だけに限らず、これからの人口減少に対して思い切った改革というのをしていただく必要があるのではないかなというふうに考えて質問させていただきました。

 それでは、次も大臣に質問させていただきたいんですが、今までの質疑をお聞きしながら、先日の参考人質疑もお伺いしながら、私は、非常に強く、先ほど六番目に質問させていただいた中でも、大臣がお答えいただきました、やはり民間任せにしないということは非常に重要だなというふうに考えております。

 そこで、国民生活環境の最低基準と言われるナショナルミニマムを達成するために、利用者の方は、地域住民からすれば、これは運賃で支払うか、このままだったら運賃もちょっと上がっていくと思うんですが、運賃で支払うか、又は税で支払うかという、名目の違いだけになるのではないかなというふうに思います。

 また、今回のこの議論を聞いていますと、やはり公共交通を乗られない方についても、その地域が活性化するのであれば非常に重要だというふうに考えも私も変わってきたんですが、地域公共交通を残すというための税というのをやはりこれは明確に位置づけていく必要もあるのではないかなというふうに考えるんですが、大臣のお考えをお聞かせいただけたらと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 非常に根本的な問いだと思います。

 地域公共交通については、日本の場合、先ほど申し上げましたように、過去の、これまでの蓄積、歴史、そして、今現実に民間事業者がこれを担っているということも大前提になると思います。

 民間活力の活用と一定の利用者負担を前提としつつ、公共性の高いインフラとしての性格等を踏まえ、国や地域が民間の取組をしっかり支えることが重要だ、このように思います。

 このため、先ほど来御答弁させていただいておりますけれども、いろいろな形での公的支援を行っている、税金を使っての公的支援を行っているところでございます。

 国土交通省としては、今般の改正法案や新しい予算など、あらゆる政策ツールを活用して、地域の公共交通のリデザインの取組をしっかり支えてまいりたいと思います。

一谷委員 私も、どの税を使われているのかというのはなかなか国民の皆さんには分かりにくいところもあると思いますので、この税が公共交通の維持に使われているということが明確に分かれば、国民の皆さんも、これを大事に残していこう、また、活用しようというふうな考えに変わっていくのではないかなというふうに思いますので、そのこともお願いして、本日の私の質問とさせていただきます。

 どうも皆さん、誠にありがとうございました。

木原委員長 次に、赤木正幸君。

    〔委員長退席、中根委員長代理着席〕

赤木委員 日本維新の会の赤木正幸と申します。本日も質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、改正法案の中でも、特に国の役割と、あと、再構築協議会に焦点を絞った質問をさせていただきます。

 実は、私、大学時代とか大学院時代、もう二十五年ちょっと前ですけれども、地方自治を専攻していまして、まさにその頃というのは、地域のことは地域で決めようという、いわゆる地方分権改革の議論の真っただ中を進んでいっていた時期でした。

 まさに今回のこの地域公共交通の活性化、若しくは再生に関しても、文字どおり地域が主体的に推し進めることが原則となっていると読み取っていますが、今回、改正法においては、国が果たす役割が結構明確に記載されていると受け止めています。

 実は、地元の方たちとお話しする中、不安を感じていたりとか、ある部分、誤解が生じている部分があるなと感じています。具体的に言うと、国が勝手に決めちゃうんじゃないかというふうな懸念を持たれている方が少なからずいらっしゃるというのが現状かなと思っていますので、今日は、質問において、こういった不安とか誤解を解消するとともに、使いやすい仕組みとしての、この改正法が活用されるベースの議論になればと考えております。特に再構築協議会に関しては、いわゆるQアンドAじゃないですけれども、典型的な質問をあえてさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、最初の質問となります。

 法律の目的に、地域の関係者の連携と協働を推進すること等をあえて追記されていますし、国の努力義務においても、必要な関係者相互間の連携と協働の促進に努めなければならないものとするを追加されて、連携と協働という言葉がかなり法案で重視されていると受け止めています。

 これは大臣への質問になるんですが、この連携と協働をあえて重視するに至った経緯とか意図、今後の国の役割についてどういったことを考えられているか、御見解をいただけますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 地域公共交通は、人口減少や少子化、マイカー利用の普及やライフスタイルの変化等による長期的な需要減により、引き続き多くの事業者が厳しい状況にあります。これに加え、新型コロナの影響により、一気に十年以上時間が進んだとの見方もあるほど深刻な状況になっております。

 こうした需要の減少は、交通事業者の経営努力のみでは避けられないものであるため、地域の関係者が連携、協働して地域公共交通のリデザインを進め、利便性、持続可能性、生産性を高めていくことが必要との考えに至りました。

 従来より、交通事業者のみならず、地域の暮らしに関わる様々な関係者との連携を促進してきていますが、今般の改正法案におきましては、これをより一層推進するため、目的及び国の努力義務として連携、協働という言葉を書きまして、明確に位置づけることとした次第でございます。

 国土交通省としては、法律、予算などあらゆる政策ツールを活用し、地域の関係者による連携、協働の取組をしっかりと支援してまいりたいと思います。

赤木委員 まさに主役は地域であって、国は、頑張る地域を後ろから、並走しながら応援するスタンスであること、これは地域の方々にとっても勇気につながりますので、是非この連携と協働の促進を全力で進めていただければと考えております。

 次は、いわゆる再構築協議会に関する質問となります。

 現行法においても、法定協議会若しくは任意の協議会、いろいろあると思うんですが、ここであえてそれ以外の協議の場として再構築協議会を創設する目的、この活用方針、さらに、先ほどの質問の続きにもなりますが、国が果たす役割について、国土交通大臣より御見解をいただけますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 既に複数の地域において、現行法に基づく法定協議会や任意の協議会を活用して、地域のまちづくりや観光等の取組と連携し、上下分離方式の導入などにより鉄道を再生させている例や、地域の輸送ニーズにきめ細かく応じる形で、バスやBRTによる輸送に移行した例が見られるところです。

 しかしながら、他方、鉄道は一般的に広域的な交通ネットワークを形成しており、自治体を超えた調整を始め、多くの関係者にまたがる複雑な調整が必要となることが多くございます。また、特にJR各社については、国鉄から事業を承継し、全国横断的に鉄道事業を営んでいることもあり、こうした自治体主導の協議が立ち上がらない実態も見られるところです。

 そのため、今般の改正法案においては、新たに、自治体や事業者からの要請を受け、国が関係者と協議しながら、地域公共交通の再構築の方針を策定するための協議会を設置できることとしております。

 国としては、廃止ありき、存続ありきという前提を置かず、自治体や利用者を始めとする地域の声をよく聞いて協議を進めます。また、調査事業によるファクトやデータの収集、実証事業による対策案の検証等も図るとともに、積極的な助言などを通じ、関係者の合意形成に向けしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

赤木委員 ありがとうございました。

 まさに、関係者が非常に多い鉄道絡みの協議をする際の、イニシアチブが必要とのことは理解したんですが、まずはこの再構築協議会の設置要件についてもう少し詳しく教えていただきたいことと、例えば、民間路線のように県をまたがないような、小範囲な、小規模な路線への適用を拡大する可能性とか、あとは、そもそも鉄道以外、バスとかそういった乗り合いタクシーを含めたエリアへの再構築協議会の適用範囲の拡大可能性について教えていただけますでしょうか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 鉄道は、一般的に広域的な交通ネットワークを形成するものでありまして、自治体を超えた調整が必要となることから、今般の改正法案においては、二以上の都道府県にわたるなど広域的な路線の再構築について、自治体又は鉄道事業者から要請があった場合に、国土交通大臣は、大量輸送機関としての鉄道の特性を生かした旅客運送サービスの持続可能な提供が困難な状況にあるか、関係者相互間の連携と協働の促進が特に必要か、この二点を確認した上で再構築協議会を組織することといたしております。

 その際、一つの都道府県内で完結する路線であっても、他の路線と接続して広域的な鉄道ネットワークを形成するものとして国土交通大臣が定める路線に該当する場合には再構築協議会の対象となります。また、JRの路線に限らず、いわゆる民鉄路線であっても対象となります。

 他方、バス等の鉄道以外の地域公共交通については、一般的に多くの自治体にまたがる調整が必要になるとは言えないことから、現時点では、自治体が主体的に協議会を設置、運営するスキームを継続したいと考えております。

赤木委員 ありがとうございます。

 まず、鉄道に関連した協議とは思いますが、今回のこの再構築協議会の実際の運営とか、デメリットとかメリットというところを把握した上で、すごくよい仕組みになっていくのであれば、またそれを拡大する可能性についても検証していただければと考えております。

 次に、組織要請に関する話になるんですけれども、これは例えば、単独の地方公共団体だけでも組織要請が可能なのか、あとは、逆に、猛烈な反対者がいるような路線においてもそこの組織要請というのは可能なのかというところについてお答えいただけますでしょうか。

上原政府参考人 今般の改正法案につきましては、自治体又は鉄道事業者からの要請に基づき、国が再構築協議会を組織することとしておりまして、この要請は一つの自治体のみで行うことができます。

 協議会の設置に際しましては、国は他の沿線自治体からも意見を聴取することといたしておりまして、一部の自治体が反対している場合には、協議会の設置及び再構築方針の協議は事実上困難となることがあり得ます。このため、国としては、対策が必要と認めた場合には、協議会の設置に反対している自治体からもその理由を聴取しつつ、広域行政機関でございます都道府県とも連携をいたしまして、粘り強く調整をしてまいります。

赤木委員 そうですね。まさに反対者がいても、要請した上で協議会を進めていく仕組みにはなっていると思うんですが、だからこそ、この協議結果について、なかなか協議が調わない場合とか、そもそも議論が進展しない場合というのも当然あり得るかなと思っているんですが、そういった場合、どういった形で進められるのかということと、あとは、その協議結果について、どれぐらいの尊重義務とか拘束力があるかというところも教えていただきたいという点。

 もう一つは、同じような内容ですけれども、期間ですよね。設置期間が何か永久にだらだらだらだらある世界ではないと思うんですが、何かしらの目安のようなものを設けられているかについて御回答をお願いいたします。

上原政府参考人 お答えいたします。

 国としては、調査事業によるファクトやデータの収集、実証事業による対策案の検証等を行うとともに、積極的な助言などを通じ、関係者の合意形成に向け、しっかり取り組んでまいります。

 また、協議結果については、協議参加者に法的に尊重義務があることに加えまして、できるだけ丁寧に合意形成を図ることにより、協議が調った事項を遵守していただけるように取り計らってまいりたいと考えております。

 なお、協議の期間につきましては、昨年七月の有識者検討会の提言では、協議の対象となる路線は公共交通としての利便性が大きく低下するなど、既に危機的な状況にあるこれらの路線に対して何らかの対策を早急に講じることが必要なことから、協議開始後三年以内を一つの目安として、合理的な期間内に、沿線自治体と鉄道事業者が合意の上、対策を決定すべきとされたところでございます。

 これは、地域公共交通としての利便性と持続可能性を早急に改善する観点から、協議会での議論がいたずらに長引かないように、一定の合理的な期限を設けるべきとの考えに立って示されたものと承知いたしております。

 国土交通省といたしましては、これを一つの目安として円滑な協議の進行を図っていきたいと考えておりますが、仮に三年で結論が出ない場合であっても、協議を打ち切ることなく、合意形成に向けて粘り強く関係者に働きかけを行ってまいります。

赤木委員 そうですね。まさに再構築方針の尊重義務に関しても特段罰則が伴うものではないというところで、なおかつ辛抱強く協議を進められるということなので、相当タフなというか、大変な協議会の運営になるとは思いますが、是非その連携と協働の促進を進めていただければと思います。

 最後に、ちょっと時間が来ましたので、構成員に関して、構成員として確定した、呼出しがかかった方で協議に応じない構成員の場合、どういった取扱いをされるか。あとは、その必要とされる構成員を国土交通大臣がどういうふうに何をもって必要と認めるかについて御回答いただければと思います。

    〔中根委員長代理退席、委員長着席〕

上原政府参考人 協議会の構成員につきましては、法第二十九条の三第五項第六号におきまして、地域公共交通の利用者、学識経験者、その他の国土交通大臣が必要と認める者として構成員に加えていくというスキームになっております。

 例えば、対象となる路線の特性についても考慮をしまして、観光に重点を置いた路線である場合は観光の関係の団体、まちづくりとの連携が特に必要な場合はこの関係の団体、このほか、学校や病院、商業施設等の施設の管理者などの関係者が考えられると思っております。

 また、協議会設置の通知を受けた者は、第二十九条の三第七項の規定に基づきまして、正当な理由がある場合を除き、協議に応じなければならないとされております。

 国としましては、構成員の選任に当たって、自治体や鉄道事業者の意見を聞きつつ、地域の実情を踏まえて検討するとともに、制度の趣旨を関係者に対してしっかりと説明をして協議会の参加を促してまいりたいと考えております。

赤木委員 済みません、私の時間も参りましたので、以上で質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 本日、会派を代表して質問をさせていただきます。大臣、よろしくお願いいたします。

 通告、法案に関する通告と、また、それ以外の部分をさせていただいているんですけれども、ちょっと順番を変えまして、バス路線の維持の部分の一番最後のポツの部分の質問を最初にさせていただきたいと思います。

 今議題になっている法案の可決によって、新しい形で公共交通機関が維持されることになると思いますので、その点に関しては期待をしていますけれども、やはりこれが実際に機能をし始めて具体的な支援メニューにまで落とし込まれるには少なくとも数年間はかかるわけでございますから、今行っている公共交通機関の維持施策に関しては、しっかりと継続をしたり、あるいは充実をしていくということをしていかなければならないと考えております。

 地域公共交通機関の最後のとりでは、やはりバスでございます。路線バスであったりコミュニティーバスであったり様々なものがあると思いますけれども、最後のとりでとも言えるのがこのバス路線だと思いますけれども、このバス路線を維持する上で今行われている代表的な施策として、地域公共交通確保維持改善事業費補助金というものがあります。

 私、この補助金に関して予算委員会の分科会でも取り上げさせていただいて、そのときは政府参考人にお答えいただいたものでございますので、現状の御報告というか現状の御理解だけ御回答いただいたということなんですけれども、これに関しては、政治の、政務の方の意思としてしっかりと充実をしていくというか、不公平感を排除していくということが私は大事だと思っておりますので、まずそのことを大臣に聞かせていただきたいと思うんです。

 まず、私から、先ほど申し上げたように、こういった既存の補助に関してはしっかりと継続をしていくことが必要だと思っております。今審議されている予算案でももちろん盛り込まれていますけれども、再来年度、その次という形でしっかりと維持をしていくつもりがあるのか、この地域公共交通確保維持改善事業費補助金ということをちょっと題材にして申し上げていますけれども、この支援に関してでも構いませんけれども、こういった補助は、再来年度、その次もしっかりと維持をしていくつもりがあるのかということを御意思をお示しいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 地域公共交通のリデザインを進めるための支援に加え、委員御指摘のとおり、地域公共交通の維持、確保に向けた取組についてもしっかりと後押ししていくことが重要だと考えております。

 国土交通省におきましては、地域公共交通確保維持改善事業費補助金により、市町村をまたぐ幹線交通である路線バスやこうした幹線交通を補完する地域内路線について、その欠損の一部について国費による補助を行っており、令和五年度当初予算においても必要な額を計上しているところでございます。

 今後も、引き続き、必要な予算をしっかりと確保してまいります。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 しっかりと事業者に予見性を持っていただくということが路線維持の上で一つの前提条件になると思いますので、しっかりと継続をするということで御発信を続けていただければと思うんですけれども、この地域公共交通確保維持改善事業費補助金に関しては私は大きな問題があると思っておりまして、そちらが経費単価の地域間格差でございます。

 一キロ当たり幾らの経費がかかっているのかということは、これは事業者から出された数字ではなくて、国が指定した経費単価に基づいて計算をして、それで欠損を算定するという方法になっていますので、この経費単価が地域によって大きな格差があるということ、こちらを私、予算委員会で取り上げましたけれども、例えば私の選挙区がある滋賀県は北近畿というブロックに属するんですけれども、そこの経費単価と、隣の京都市、私の選挙区の大津市の隣はもう京都市なんですけれども、そちらのところは京阪神地区というブロックになっていまして、その京阪神地区と北近畿の経費単価の比較をすると三割程度違ってくる。滋賀県の方が三割程度お隣の京都市よりも低いという状況になっています。

 まず、この地域間格差が本当に妥当なものだと国交省は考えているのか教えていただきたいんですけれども、大津市と京都市でバスの運賃が三割違うわけでもありませんし、また、バスの運転手の賃金が三割違うわけでもありません。仮に三割違ったら、大津市のバスの運転手に誰もならないわけでございます。

 バスの代金もガソリン価格もそう変わるわけでもないのに、なぜ三割もこの経費単価に格差があって、それは国交省は本当に妥当だと考えているのか、ちょっとまず教えていただきたいと思います。政府参考人でも大臣でも構わないんですけれども、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 バス事業者の経営に必要な人件費、車両費、燃料費等の費用については地域により違いがございます。

 そのため、地域公共交通確保維持改善事業費補助金においては、事業者の効率的な事業運営を促進するとともに、限られた財源の中、幅広い支援を行うことを目的として、ブロックごとに地域の実情を反映した標準経常費用を基に補助金の額を算出しており、そのことには一定の合理性があるものと考えております。

 なお、本補助金による支援のほか、事業者からの運賃改定の申請に対する速やかな審査、事業者による人材確保に向けた各種取組や二種免許取得に要する費用への支援などを行っておりまして、これらの支援も通じて、地域のバス路線維持や運転手の労働環境の改善に取り組んでまいりたいと思っております。

斎藤(ア)委員 どのような計算でそれぞれの地域の経費単価を計算されているのか、つぶさには理解していませんけれども、私は計算方法が間違っていると思います。

 三割も大津市と京都市、隣ですけれども、その経費単価が違うというのは説明がつかないし、また、一番差が大きい沖縄ブロックは一キロ当たり二百四十二円、そして一番高い京浜ブロックでは一キロ当たり六百二十四円、三倍近い格差があるわけです。同じ日本でバス路線を運転をするのに、そこまで果たして差があると本当に合理的に言えるのでしょうか。計算してそうなっているというのであれば、私は計算方法を見直していただきたいと思います。

 そもそも、これは最低賃金の決め方の話にも通じてくるんですけれども、やはり地域ごとによって、こういった補助の、あるいは様々な規制の単価であったり基準値を設ける際に、地域間格差を設けるということには、極めて私は慎重になっていただかなければならないと思っています。

 地方の方は安くていい、地方の方は賃金が安い、地方の方は経費がかからないという、そういったことを国があたかも後押しするような制度をつくってしまうと、ますます、地方と首都圏とか、あるいは都市部との格差が広がってしまうことにつながってしまいかねないと思いますので、地域間格差を設けてそれは合理的だという考え方は、そういう計算式はあるのかもしれませんけれども、本当にこの計算式は正しいのだろうかという観点で、改めて検討し直していただきたいと思うんですけれども、国土交通大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 基本的には、先ほど申し上げましたように、今回、ブロックに分けて基本的な経費を出すということには一定の合理性がある、このように考えております。

 今、斎藤委員からのその御意見については、しっかり受け止めさせていただきたいと思います。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 実際に、大津市、京都市が隣り合わせというのは、全国でも希有な例かもしれません、格差がここまで、ちょっと移動しただけで、大津駅から京都駅まで電車で十分でございますから。転職しようと思えば、すぐに京都市側のバス会社に転職できる。実際に、大津市側で運転手が確保できないというお声を私は地元の事業者からも聞いておりますし、そういった意味では、地域間格差をなくすということは極めて私は重要だと思っております。

 だから、そういった意味でも、今受け止めていただきましたけれども、是非とも早急に、今にも廃線をしたい、そういった路線が大津市内にもございます。こういった今の、これからの法改正、これから質問させていただきますけれども、それを待たずして、これが実施されるのを待たずして、もう諦めてしまう事業者が出かねない。そういったことにならないためにも、今ある補助の在り方をしっかりと続けていただくと同時に、適正なものにしていただく。是非ともその点を改めてお願いをさせていただきたいと思います。

 それでは、法案の質疑の方に入らせていただきたいと思いますけれども、まず、先ほども質疑にありました、法定協議会を設けて、ローカル鉄道路線においても様々な主体に参画をしていただいて、存続の在り方であったりとか公共交通機関の在り方を協議していく、こういった今回法改正案になっておりまして、そのことに関してはあるべき方向性だと私も思いますけれども、今、既に、バス路線などに関して法定協議会が設置をされていて、こういった協議が様々な自治体で進んでいると思うんですけれども、事業者さんから聞いているのは、やはりこういった協議会を設置することそのものが廃線、廃止につながってしまうのではないかという危惧をされて、地域の方々がそういった協議会の設置自体に懸念を抱く、忌避をするようなお話も聞いております。

 まず、そういった実態があるということを国交省として把握をされているのか。そういうことを把握されているのであれば、今回新たにローカル鉄道路線でもこういった協議会をつくられるということで、さらに、地域によっては、鉄道がなくなってしまうのか、そういったことを懸念されて、協議に応じたくないということが出かねないかなと思うんですけれども、そういった誤解を解いていったりとか、協議に応じていただくような環境を醸成していくためにどのような取組をされるのか、教えていただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 そういう御懸念を持たれている自治体があるというのは我々もよく承知しております。

 既に、複数の地域におきまして、現行法に基づく法定協議会や任意の協議会を活用して、地域のまちづくりや観光等の取組と連携し、上下分離方式の導入等により鉄道を再生させている例が見られるところです。

 他方、鉄道は一般的に広域的な交通ネットワークを形成しており、自治体を超えた調整を始め、多くの関係者にまたがる複雑な調整が必要となることが多くあります。また、一部の自治体の中では、鉄道事業者のペースで協議が進み、廃線ありきとなるのではないかという懸念があることも承知しております。

 そのため、今般の改正法案におきましては、新たに、国が関係者と協議しながら、地域公共交通の再構築の方針を策定するための協議会を設置できることとしております。

 この再構築の方針においては、関係者の協議が調うことが前提とされており、地域の了解なく廃止の方針が決定されることはございません。

 国としては、廃止ありき、存続ありきという前提を置かず、自治体や利用者を始めとする地域の声をよく聞いて協議を進めます。また、調査事業によるファクトやデータの収集、実証事業による対策案の検証等を図るとともに、積極的な助言などを通じて、関係者の合意形成に向け、しっかりと取り組んでまいります。

 また、地域の方にとってどうすれば便利になるか、利便性向上ということも大きな協議のテーマでございますので、そういうことをしっかり訴えて、この協議会の意義を理解していただきたいと思っております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。是非、そういったことで発信をしていただきたい、続けていただきたいと思います。

 今大臣の口からも、複雑な協議であったりとか、なかなか中身がやはり難しい協議になってくるということは間違いないと思います。地域の公共交通機関をそのまま維持するというお話ではなくて、やはりあるべき姿に変えていったりとか、そういった議論をしていくわけですから、都市計画も関わるし、人口動態であったりとか、あるいは学校の状態、福祉の状況、そういったものも勘案しながら全体のデザインを考えていくということになると思いますので、極めて専門性が高い能力がこの取りまとめに必要になってくると思います。

 自治体によって、それができるところ、できないところ、やはりあると思います。政令市のように大きな市役所があって専門家も多いところではそういったこともできるかもしれませんけれども、人口の少ないところ、これは県でも人口が少ないところではやはり県庁、市庁舎のマンパワーというのは限られてくると思いますので、なかなかそういった専門性を発揮できる人がいるのかというのは、私は自治体によっては不安を持たれていると思うんです。

 こういった仕事、取りまとめというか協議会の進行に当たっていくのは誰なのか、そういったことが各自治体で難しい場合、国としてはどういうことをしていくのか、教えていただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 今般の改正法案では、国土交通大臣が再構築協議会を組織することとしておりまして、国において選定した学識経験者に参加を求めてまいります。また、官民連携による鉄道再生の取組や、バスなど他の輸送モードとの相互協力など先進的な取組を紹介しつつ、地域の実情に応じて必要な助言を行うなど、再構築協議会を適切に運営してまいります。

 その上で、自治体の専門家の話でございますが、自治体においては、これまでに地域公共交通計画が全国で七百件余り作成されておりまして、既にまちづくりとの連携など知見の蓄積があると認識しておりますが、今般の改正法案による鉄道の再構築について知見を持つ自治体担当者は不足しており、その育成は重要な課題でございます。

 このため、令和四年度補正予算におきまして、地域公共交通やまちづくりに関する専門家を育成するためのセミナー開催等の予算を計上したところです。

 また、国土交通大学校における自治体職員に対する研修、地域公共交通計画を作成するためのガイドラインの提供、地方運輸局による助言、有識者の紹介などにより、自治体の人材育成、確保を支援してまいりたいと思っております。

斎藤(ア)委員 これは地域によってどういった形にしていくのかというのは、やはり地域事情がありますので、一つのフォーマットがあってそれを当てはめるということは難しいようなテーマだと思いますので、それぞれの地域で取り組める方をしっかりと育てていただくだとか、国から専門家を送っていただいてサポートいただくといった、今おっしゃっていただいた取組がとても大切になると思いますし、こういった取組をしますので安心して法定協議会を設けていきましょうというような呼びかけも必要になってくるかなと思いますので、是非そういったことも併せて発信をしていただきたいというふうに考えております。

 関連してなんですけれども、ちょっと大きな話になるんですけれども、公共交通機関を維持するということは重要であるということは、この委員会の皆様も、また政府の方でも、しっかりと認識をいただいているということは様々な質疑の場で把握をしております。

 地方の方に行きますと、鉄道に乗るのはほとんど例えば高校生だということであるんですけれども、高校生の定期代というのはやはり安くなって設定されているけれども、その安くなっている分を誰が負担しているかといえば、事業者が負担しているということで、文教政策を今事業者が負担をして支援をしているような状況にもなっています。

 また、高齢者の方々にとって公共交通機関が大事だということですので、ある種、福祉政策的な役割もこういった地域公共交通機関が担っていただいているということになると思いますので、文教政策、福祉政策を事業者に負担していただくというのはやはり限界があると思うので、そういった意味でも、社会全体で地域公共交通機関を維持していくことが大切だと、そういったことで今回の法律改正案なども議論になっているんだと思います。

 滋賀県では、三日月知事の下、交通税という新たな取組の検討を始めています。昨年、滋賀県知事選挙があって、三日月知事は交通税の導入を検討するという、新しい税の導入を検討するという、選挙の戦い方としては非常に特殊な、勇気ある行動をされたわけですけれども、それぐらい地域公共交通機関を維持することは社会全体で行っていかなければならないんだという思いというか、危機感の表れでもあったんだと思います。

 政府の方では、こういった地方公共団体において地方税といった新たな取組を検討されていることに対して、どのような感想というか、どういった後押しというか、どういったことを思っているのか、どういうことをされていくのかということをちょっと教えていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 滋賀県が県内の公共交通の在り方を定めた滋賀交通ビジョンの見直しと並行して、地域交通を支える税制の検討を行っていることは承知しております。

 国土交通省として、滋賀県の税制の導入に関する検討について評価する立場にはありませんが、一般論として申し上げますと、地域における公共交通をどのような形で維持、再構築していくかについては、クロスセクター効果も踏まえながら、一義的には地域がしっかりと議論し、その方向性を決定していただくことが基本であると考えております。

 その中で、各地域の状況も踏まえ、公共交通の維持、再構築のための費用をいかに確保していくかについて御検討いただくことは重要であると思います。

 今後とも、滋賀県の検討状況につきましては注視していきたいと考えております。

斎藤(ア)委員 また、この交通税に関連しても、様々、国の方にもお問合せさせていただいたり、お願いすることがあるかと思いますけれども、是非、種々御対応いただければというふうに考えております。

 次に、この法律案の中のローカル鉄道のところの部分に関して少しピックアップして御質問させていただきたいと思います。

 まず、今回の法定協議会の設置の対象となる路線に関しては、輸送密度が一日当たり千人以上の線区であったりだとか、あるいは、特急、貨物列車が走る区間は対象外になってしまうのではないかという懸念が事業者にあるんですけれども、この部分に関して改めて確認をさせていただきたいんですけれども、輸送密度が一日当たり千人以上であっても、あるいは、特急や貨物列車が走っている線区であってもこの法定協議会の対象になり得るんだという理解でよいのか、お答えいただきたいというふうに思います。

斉藤(鉄)国務大臣 昨年七月の地域モビリティ検討会の提言では、再構築協議会の設置の要件の一つとして、利用者の著しい減少等を背景に、利便性、持続可能性が損なわれ、対策の必要性が高いこととの考え方が示され、その目安として、輸送密度一千人未満という基準が示されました。

 また、この提言では、特急列車や貨物列車が現に走行している線区、災害時や有事において貨物列車が走行する蓋然性が高い線区については、我が国の基幹的な鉄道ネットワークを形成する線区として、引き続き、鉄道の維持を図っていくことが強く期待されるため、当面、再構築協議会の対象としないことが適当との考え方が示されました。

 再構築協議会の設置に際し、設置要件に該当するか否かを判断するに当たっては、こうした考え方を踏まえて検討してまいりたいと思います。

斎藤(ア)委員 大臣、今のことだけではやはりちょっと不安があって、例えば、貨物列車は走っているような大変重要な線区なんだけれども、一日当たりの旅客が千人に満たないということで、大変存続が難しいような、そういう特殊な線路もあります。貨物列車が走っているからといって、重要な路線で利益が上がっているわけでは決してないと思いますので、特急列車、貨物列車が走っていても、あるいは、一日当たりの輸送人員が千人以上であっても、再構築協議会での議論を行ってもらって、あるべき姿を検討していただくということは大事だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど申し上げましたように、貨物列車若しくは特急列車が走っているような、いわゆる基幹的な鉄道ネットワークにつきましては、これまでどおり、上場四社はしっかりとこの路線を大臣指針に基づいて維持していく、当然、そのときに、利便性の向上等を考えながら、利用者の利便性向上も考えながら維持していくということが大前提になるわけでございます。

 この再構築協議会の設置につきましては、この提言の考え方に基づいて検討して、こういう考え方を踏まえて検討してまいりたいと思っております。

斎藤(ア)委員 済みません、ちょっと、私、回答が少し予想外でございまして、必ずしも千人を超えているからといって対象外になるというわけではないですよね。そこは、それを基に検討していくけれども、ある程度柔軟に検討され、政府参考人で構いません、いかがなんでしょうか、そこは。

上原政府参考人 お答えいたします。

 再構築協議会を開催するというのは、先ほどから御議論が出ておりますとおり、その路線の維持をこれからも続けていくか、それとも転換していくかという、その判断をしていくということになります。

 先ほどから御答弁させていただいておりますのは、一千人というところを基本的に超えている場合については、路線の維持の方向が、ほぼやっていくんじゃないか、それから、貨物列車や特急列車が走っている場合は維持していくんだ、維持していくべきであるという考え方を示しておりますので、その意味では、鉄道の路線を維持していくということで、再構築協議会に、その対象となるかどうかということについては、逆に、それを対象とするというと、地方自治体の方々も心配をされるのではないかと思います。

 一方で、支援措置につきましては、社会資本整備総合交付金による支援とかそういうことにつきましては、再構築協議会を経たものでなければならないというわけではございません。通常の法定協議会を経たものでも、社会資本整備総合交付金等の支援の対象にはなるものですから、そうした意味で、地域の自治体とよく相談をしてまいりたいというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 支援の対象になるということは非常に重要だと思いますので、お願いしたいんですけれども、これに対象になるか対象にならないかということで、対象にすると不安を招くかもしれないということだったんですけれども、あくまで存続ありきとか廃止ありきではないということが立場だと思いますので、その立場を取っていただきながら、是非柔軟に法定協議会の設置に関しては考えていただけるような方向に、是非検討をまた同時にしていただきながら、この法案の施行を進めていただきたいというふうに考えております。

 ローカル鉄道の維持を行っていく上で、今、滋賀県でも上下分離方式による鉄道の路線が一つあって、来年以降にもう一つ更に上下分離をされるということになるので、上下分離という取組、ヨーロッパでは上下分離が基本的に、普通の鉄道、大規模な輸送を行っている鉄道でも上下分離が一般的だということで、日本においても、上下分離によって経営環境が改善した鉄道会社が滋賀県にもありますので、この上下分離というのは重要な取組だと思うんです。

 この上下分離という取組は、JR路線においても、既に只見線であったりだとか、あるいは西九州鉄道の方ですかね、で行われているんですけれども、これは結構特殊な例になっていると思うんです。やはり、震災復興の兼ね合いとか新幹線の整備の兼ね合いとかで上下分離されているんです。

 これから再構築協議会を実施していく、ローカル路線に関しても検討をしっかりとしていただく、その中にはJRのローカル路線も含まれていくということになると思うんですけれども、その中で、上下分離方式というのは、JRのローカル路線においても選択肢になるというふうな理解でよいのか、お答えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

豊田副大臣 お答え申し上げます。

 自治体等が鉄道事業者に代わって鉄道施設や車両を保有する上下分離方式を導入することで、減価償却費や固定資産税の負担をなくすことができます。

 また、仮に自治体等の判断により施設、車両等の使用料が減免又は無償化されれば、経常収支の改善が進み、事業改善や新規投資のための余力が生まれることから、委員御指摘のとおり、ローカル鉄道の維持、高度化を図る上で、上下分離方式は有効な選択肢になると考えております。

 既に地方の中小、三セク鉄道事業者等では約二十社の導入事例があり、今後も増加する見込みでございます。また、JRにおいても、昨年の秋に只見線と長崎線において導入されました。

 今般の改正法案において、新たに国が再構築協議会を設置できることとしたほか、予算面においても、再構築に取り組む自治体を支援するための社会資本整備総合交付金の活用など、従来にはない支援の仕組みを整えたところであり、上下分離方式の導入を始め、官民連携の取組を推進してまいります。

 以上です。

斎藤(ア)委員 ちょっと回答的には、JR路線も現に含まれているし、これからも含まれていくということだと理解をいたしましたし、そういったことで、是非、この路線だから、JRだからこの協議会はできないんだ、JRだから上下分離はできないんだということではなくて、各会社、各路線に関して柔軟に法定協議会を設置していただいて、あるべき姿の検討をこの法律を使って進めていただきたいというふうに考えております。

 では、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

木原委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 早速質問に入ります。

 今回の法案の目玉は、再構築協議会の組織だと思います。第二条の九項、鉄道再構築事業、並びに二十九条の三の三項の一において、大量輸送機関としての鉄道の特性を生かした地域旅客輸送サービスの持続可能な提供が困難な状況という規定があります。

 再構築事業というのは元々現行法にもあるわけですが、それは今読んだようではなくて、経営状況に鑑みということで、赤字の鉄道事業者を対象としていたものと承知をしています。今回は、JRが黒字であっても、輸送密度が低いから大量輸送機関としては機能していないという趣旨で書かれているのかなと思っております。

 そこで、JR六社における輸送密度二千人未満の路線は既に三八%に上ると言われておりますが、ここで言う大量輸送機関とは、JR東などが発表した輸送密度二千人未満を念頭に置いているのか、あるいは、検討会の提言にある一千人未満を念頭に置いているのか、お答えください。

上原政府参考人 お答えいたします。

 昨年七月の地域モビリティ検討会の提言では、鉄道の大量輸送機関としての特性に着目して、一定の考え方を示してほしいとの意見もあることから、自治体等の関係者による協議会の設置の目安及び国による再構築協議会の設置の目安として、輸送密度の基準が示されております。

 このうち、輸送密度二千人未満につきましては、これは国鉄再建特措法に基づく旧国鉄のバス転換の基準四千人未満の二分の一の水準でございますが、JR各社が、これを下回ると、鉄道事業者の経営努力のみでは利便性と持続可能性の高いサービスを保っていくことが困難である、こういう考え方を示していることを踏まえて、自治体等の関係者による協議会の設置の一つの目安とされております。

 一方で、輸送密度一千人未満につきましては、これは先ほどの国鉄再建特措法の基準四千人未満の四分の一の水準でございますが、これを下回ると、公共交通としての利便性及び持続可能性が損なわれ、対策を講じることが必要とされ、国による再構築協議会の設置の目安とされております。ただし、一時間当たりの最大の旅客輸送人数が、五十人乗り大型バス十台以上の需要に相当する五百人を上回っている場合は対象外とされているところでございます。

 国土交通省といたしましては、ローカル鉄道が各地域で果たしている意義、役割は様々でございまして、再構築協議会の設置の判断に当たっては、こうした考え方を踏まえつつも、自治体や事業者等の関係者の意見をよく聞いて、個別具体に判断してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 様々なので、踏まえつつもとおっしゃいました。千人と二千人の理由はおっしゃっていただいたんですが、それが基準ではないという、再構築協議会を設置するかどうかを決めるときの大量輸送機関というところで、千なのか二千なのか、あるいはそれ以上かそれ未満かも含めて、数字を念頭に置いているわけでは現時点ではない、一言でお願いします。

上原政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの答弁と重複するかもしれませんが、これらの数値はあくまでも目安でございまして、地域の実情に応じて柔軟に対応していきたいと考えております。

高橋(千)委員 そうすると、次に、交通手段再構築実証事業というものがありますけれども、イメージされるのは、デマンドタクシーですとかコミュニティーバスを走らせて、利用状況を見るというのがあると思うんですね。それで、今の鉄道を存続するために、今の鉄道を走らせながら実証事業としてやるというのが含まれるのかというのを確認します。

 それから、それが、どう評価するかということなんですよね。あくまでも目安だから、数字ではないとおっしゃいますけれども、その目標が達成できなければ、二千人にもならない、千人にもならないとなると、やはり廃止、転換という方向になるのでしょうか。実証事業に関わる期間はどのくらいと考えているのか、そのことも含めてお答えください。

上原政府参考人 お答えいたします。

 今般の法改正で盛り込みました交通手段再構築実証事業は、再構築の有効性を検証し、関係者の合意形成に資するために行う事業と認識いたしております。

 再構築の方針につきましては、まちづくりや観光振興に取り組む自治体と連携して、鉄道輸送の高度化により輸送需要を増やしていく、こうした鉄道存続のための実証事業についても当然の選択肢になると考えております。

 例えば、全国各地のローカル鉄道の現場におきましては、公有民営方式の導入等の官民連携の取組、あるいは他の輸送モードとの連携や新技術を活用したコスト削減の取組など、鉄道の維持、高度化に向けた取組も数多く行われておりますので、こうした点も実証事業の一つの要素になるというふうに考えております。

 したがって、実証事業においてそうした検証ができていることを鉄道として維持する場合の要件にするべきとは必ずしも考えておりません。地域にとってあるべき公共交通とは何か、それを関係者の間でどのような役割分担で維持をしていくのか、そうしたことについての合意形成を図るために実証事業を活用していただき、こうした関係者の合意があれば、それを尊重していきたいと考えております。

高橋(千)委員 今、大事な答弁だったと思います。鉄道の存続そのものも選択肢になるということと、それが二千人とか千人を達成できたかどうかで結論を出すべきではないという、合意形成をするべきだという答弁だったと思いますが、それで、実証事業に要する期間はどのくらいというのをもう一つ聞いたんですが、お答えください。

上原政府参考人 お答えいたします。

 実証事業に要する期間につきましては、これは各地域によって相当大きく異なってくると考えられます。

 全体として、モビリティ検討会では三年という目安を示しております。やはり、実証事業に入る前にまず現在の状態を確認をする、これで数か月要するであろう。そして、その間に、実証事業、こういうことをやっていこうということを検討していただいて、そこから実証事業を開始する。長く取れれば、それはそれにこしたことはないんだと思いますけれども。その実証事業を踏まえた上で、実証事業の検証、評価といったことを行う必要があり、さらに、それを、地域の皆さんに情報を開示をして、皆さんにも考えていただく時間も必要になろうかと思います。

 そうしたことを踏まえて、最終的に合意形成を図るまでに、全体として、目安として三年というのがモビリティ検討会では示されているというふうに認識しております。

高橋(千)委員 存続を考えた場合に、走らせながら、実証しながらまた検証していくということにもなるかなと思いますから、一定の期間を要するというのは必要じゃないかなと思って、考えて質問をしました。

 それで、確認なんですが、鉄道の存続について、予算面での支援策は具体的に何があるのか、簡潔にお答えください。

上原政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから答弁させていただいていますとおり、実証事業に加えまして、地域公共交通再構築事業に対して、社会資本整備総合交付金に基幹事業として追加されましたので、この交付金の活用が考えられます。

 具体的には、自治体が、地域のまちづくりや観光振興の取組と連携させつつ、利用者利便の確保の観点から、まちづくりと連携した駅施設の新設、移設、軌道の強化を通じた高速化、あるいは不要設備の撤去、観光列車やGX、DX対応車両の導入等、必要なインフラ整備等に取り組む場合には、JR、大手民鉄の路線も含めて、その費用を支援できることといたしております。

高橋(千)委員 今、JRも含めて、民鉄も含めてとおっしゃっていただきましたので、そこは確認したいなと思うんですが、懸念としては、やはりまちづくりと連携してということでしたので、前にここで質問させていただいたように、スリム化と称してトイレまで撤去をする、そうしたことが進んできた中で、当然、自治体が、交付金は出るからということで、自ら支援をする以外に選択肢はないのかなということが、やはりうかがえるというふうに指摘をしておきたいなと思います。

 そこで、大臣は、十四日の本会議の私の質問で、私が、地方紙のインタビューに対して半分以上は残るのではと答えたその趣旨を尋ねたときに、鉄道として存続する線区が一定数出てくる可能性があるのではないかという趣旨だとお答えになりました。これは、半分以上よりも更に下がったのかな、ほとんど残らないという意味ではないのかなと私は受け止めましたが、違うんでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 違います。

 鉄道の維持、再生については、これまでに上下分離方式の導入により鉄道の維持、高度化に取り組んだ例だけでも、地方の中小、三セク鉄道で二十社以上もあり、今後も増加する見込みです。また、JRにおいても、昨年の秋に只見線と長崎線において導入されました。さらに、令和二年七月の豪雨で被災し、運休中の肥薩線について、鉄道による復旧の可能性について、関係者による会議において検討しているところでございます。

 こうした実績及び各地の鉄道維持、高度化に向けた熱意を踏まえ、再構築協議会の関係者による議論の結果、鉄道として存続する線区が一定数出てくる可能性があるのではないかということを述べたものでございます。

高橋(千)委員 違いますと言ってくださいましたが、一定数は変えなかったので、余り期待ができないのかなと思います。でも、大臣、今首を振っていらっしゃいましたので、期待をしたいなと思うんです。

 ただ、大臣、令和五年度の鉄道局の関係予算概要におきますと、ローカル鉄道をめぐる状況の変化ということで、国鉄改革当時は、JR各社においては、都市部路線等の収益による内部補助を通じて、国鉄改革時の経営環境を前提とすれば、不採算路線を含めた鉄道ネットワークを維持していくことが可能と考えられたという言葉があって、今はそうじゃないということなのね。

 それで、この間のJR各社による廃線は、廃止は、抑制的だというふうに評価しているんですよ。国鉄末期には八十三線、三千百五十七キロを廃止したのに、十八路線、七百八十七キロしか廃線していない、こういう評価をしている、予算の概要でですよ。

 これじゃ、一定数は、それっぽっちしか残らないという趣旨なのかな、思い切って今度は廃線もありだよというふうに受け止められるから、指摘をさせていただきました。そこは、ちょっと具体の話が、やはりそうかなということが起こっていますので、次に進みたいと思います。

 昨年八月の豪雨で被災し、落橋などの大きな被害があっていまだ復旧できていないJR津軽線について、現在、今別・外ケ浜地域交通検討会議が開催されています。今月末に三回目が開かれますが、一枚目の規約を見ていただくと、構成員が今別町と外ケ浜町、青森県とJR東日本盛岡支社、そして東北運輸局はオブザーバー参加なんですね。

 この検討会は、JRが呼びかけて、JRが会長なんです。JRが会長。コンサルを使っての詳細な利用調査、町民アンケートなどもやられているし、住民説明会も開催されています。これは承知しています。もちろん法定協議会ではありません。

 こうした検討会が立ち上がっている場合、今度の法案を当てはめていくのか、それとも、もう今のままでどうぞと見守るんでしょうか。どっちですか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 津軽線の検討会議のように、任意の協議会につきましては、鉄道事業者、自治体などの関係者が話し合い、各地域の実情に応じて協議の枠組みが定められているものが実態と承知いたしております。

 これに対しまして、今般の改正法案で提案させていただいておりますのは、自治体又は鉄道事業者からの要請を受けて、国が関係自治体の意見を聞いた上で、地域公共交通の再構築の方針を策定するための再構築協議会を設置することといたしております。

 国土交通省といたしましては、各地域の関係者が、現状、こうした国の制度の見直しを踏まえて、地域公共交通の再構築に向けた協議の進め方についても今後どのようにお考えになるのか、注視するとともに、必要に応じてよく相談してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 はっきりしたお答えではなかったと思いますが、被災がなければ、再構築協議会、今回の法律のスキームに乗っかってくる可能性が高いところなわけですよね。だけれども、このままで見守ってしまうと、国はオブザーバーですから、結局、JR主導の検討会になってしまうということをどう見るのかということなんですね。

 資料の二枚目、上段がJR津軽線の被災状況です。この復旧には少なくとも六億円程度というのは、既に年末にJR東が明らかにした金額で、第二回の検討会の際に、復旧工事は雪解けを待って、少なくとも着工から四か月程度かかる、応急対応に約二億円は実施済みだというふうな報告がされております。

 ですが、元々JR東は、六億円かけて復旧しても赤字路線であることに変わりがないから、本当に復旧してよいのですか、そういう迫り方を年末にしているんですね。だから、法案の先取りのような再構築のパターン、バス転換もありますよと。わんタクというのを、もう既に今、実証事業のようにやっていますけれども、そういうことを示しながら、検討会を進めてきたわけなんです。

 二月二十七日開催の第二回会合では、復旧の費用とは別に、存続させた場合、毎年七億一千百万ほどの赤字となるんだ、地方自治体の負担分は年間四億二千万円程度との試算が示されました。ちっちゃな町です。大変な負担であります。多様なパターンを示しているようであって、JRのその心は、復旧を諦め、バス転換しかないよと言っているように聞こえます。

 私がいつも言う、自治体にはカードがないじゃないかというのは、まさにここを指すんだと思うんですよね。自治体にしてみれば、手も足も出ない。復旧してほしければ、上下分離で自治体が引き受けろと言われているのに等しいんです。存続してほしいけれども、自治体は財政的に極めて厳しい。これはフェアじゃないと思います。

 大臣に伺います。復旧については、将来の見通し、法案で言うところの再構築方針が決まってから、復旧するかどうかも含め、具体化されるというのがこの検討会なんです。まだ、三回目以降に復旧の是非を検討することになっていますからね。本来は、復旧が先のはずではなかったんでしょうか。災害が廃線の引き金になるようなことはあってはならないと思います。大臣の考えを伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 被災した路線につきましては、御指摘のとおり、まずは復旧の方向で検討するべきもの、このように考えております。

 現に、津軽線の検討会議におきましても、去る一月に、JR東日本から、鉄道による復旧する場合の費用及び工事期間の見込みについて説明があったものと承知しております。

 他方、JR東日本によれば、津軽線の蟹田駅から先の区間については、被災前から、旅客の大幅な減少により、大量輸送機関としての鉄道の特性が十分に発揮できない状況にあり、地域の公共交通の在り方についても、復旧後の鉄道の維持スキームも含めて、地域において協議が行われているものと承知しております。

 国としても、円滑に協議が進むよう、必要に応じて助言などを行ってまいりたいと思います。

高橋(千)委員 まずはと大臣おっしゃいましたけれども、最初に私がお話ししたように、年末に、六億円かかるよ、けれども本当に復旧していいの、その後、赤字になって、結局同じだよ、また同じような災害があったら維持できないよ、そこまで言われているんですよ。それは町長たちにみんな聞いてきましたので、そこまで言われて始まっている。

 だから、鉄道の維持も含めて議論している、形上はそうなるけれども、やはり、再構築の議論をして、その先に廃線、復旧、どうするかという議論が始まる、これはフェアじゃないよね、やはり復旧そのものをしっかりと担保できることがないとまずいんじゃないかと思うんですが、もう一回。

上原政府参考人 お答えいたします。

 まず、現在、国が主導して再構築協議会を設けるということは、今の地域公共交通法の枠組みからすると困難だというふうに考えております。

 今回、地域公共交通法の目的規定も改正をして、そして、この法律に基づいて、国土交通大臣が協議会を設置するという形になっております。そこでは、廃止ありき、存続ありきといった前提を置かずに議論をしていく必要があるというふうに考えております。

 現在検討中の津軽線につきましては、先ほどからいろいろと御指摘をいただいておりますが、我々もそこをよく注視してまいりたいというふうに考えておりますが、資料等を見ますと、復旧の方向の様々な資料も提出をされておりますし、また、復旧の際に、どうしてもこれは、国も補助金を出しますけれども、そうした支援措置も必要になりますので、そうした点についても議論が行われるのは、それは当然のことだというふうに認識いたしております。

高橋(千)委員 なかなかお答えしようがないような答弁だったのかなと思うんですけれどもね。

 やはりそれは、確かに、今スキームがない中で議論が進んでいるわけですから、私は、国はオブザーバーだけれども、津軽線にかかわらず、一般論として、やはり、復旧のスキームを国としてはこれまでつくってきたんだとおっしゃると思うんですけれども、復旧についてはしっかり応援するよというメッセージが必要なんじゃないか。そういう意味で、大臣にも伺ったわけであります。

 そうじゃないと、そこから、復旧の費用も含めて、残りの今後の赤字をどうするかという議論にどうしてもなっちゃいますので、難しくなってしまうのではないかと思うんです。

 それで、資料の最後を見ていただきたいんですが、上段の地図は、災害前の交通状況です。当然、海に囲まれておりますから、フェリーもあります。津軽半島の突端は竜飛崎で、演歌で有名ですけれども、それだけでなく、青函トンネルがあるため、二〇一〇年、トンネルじん肺根絶の碑が建立されました。

 東北新幹線が通っております。今別町から、実は青森市内の高校に通う生徒には、災害前からですが、今別町から運賃補助があって、新幹線通学をしています。

 下の段にある津軽線、蟹田から中小国間には特急列車が、二〇一六年、北海道新幹線開業まではありました。これがなくなったために乗客は激減をしています。一方、新中小国の信号場までは貨物列車が走っています。

 本会議でも指摘しましたが、同じ赤字でも、貨物だけは維持するというのであります。つまり、今お話しした、貨物は維持する、ここまでは来る、そして、本当は特急があった。そうすると、再構築の議論ではなく、維持する議論に本当はなっていたのにな、本当に残念だなと思うわけですよ。だったら、もう少し頑張れないのかと当然思うわけですね。

 この四月から青森県立青森北高校の今別分校がなくなります。この四月です。青森まで通う生徒が増えます。津軽線と新幹線のつなぎが悪いです。つなぎの悪いのは改善ができるはずです。これは、JR東日本が独自に、十年間、延べ三百六十一日臨時列車を出して、つなぎをよくするという努力をして、それは成果を上げているし、イベント列車などもしてきました。だけれども、JR東日本の単独のキャンペーンだったわけ。

 それをもっと、せっかくだから、この協議会を生かして、むしろ、この鉄道の定時性、速達性という優位性を生かす方向で支援を広げ、存続するという道もあるんじゃないか、このように思うんです。いかがでしょうか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣からも申し上げましたとおり、被災した鉄道路線については、まずは鉄道による復旧の方向で検討すべきものであることに変わりはございません。

 現在、JR東日本では、鉄道により復旧する場合の費用や工事期間の見込みを示すとともに、鉄道の利用状況や経営状況についても情報公開の上、利用促進策についても議論をしているところと承知をいたしております。

 国土交通省といたしましては、こうした状況、あるいは、先ほど御指摘のございました貨物鉄道のネットワークの維持の方策も踏まえていきながら、検討会議での今後の議論を注視し、円滑に協議が進むように、必要に応じて助言等を行っていきたいと考えております。

高橋(千)委員 鉄道ジャーナリストなどもいろいろな提言をしていますし、やはり今、局長が最後におっしゃってくださった貨物の途中まで来ている話ですとか、特急がかつては走っていた、そういう優位性を生かして、更にもう一声、頑張っていただきたいなと思います。

 十九日の読売新聞オンラインで、全国自治体首長アンケートが公表されていました。約九割、千六百六の自治体から回答が寄せられ、鉄道の赤字路線を維持するべきと答えた首長は八九%に上ります。通学通勤で必要八三%、廃線にすると地域の衰退が加速する七六%と続きます。そして、八五%が国による財政支援を求めております。

 やっているよっておっしゃるかもしれませんけれども、本当にそれが多くの自治体の皆さんの本音だと思いますので、それに応えていただきたい、このことを訴えて、終わりたいと思います。

木原委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 法案質疑でありますので、条文ベースの議論をするというのが私の信条なんですが、これまで多くの方がしてしまったので、それをより深める形の審議をしたいと思いますので、同じ答弁にならないようにお願いしたいと思います。

 先ほど来議論になっております再構築協議会を定めた法案の第二十九条の三について、第一項では、「二以上の都道府県の区域にわたるもの又は一の都道府県の区域内にのみ存する路線で他の路線と接続して二以上の都道府県の区域にわたる鉄道網を形成するものとして国土交通大臣が定めるもの」と書いてあります。

 この「国土交通大臣が定める」というのは、もうこれは、機械的に二以上の都道府県の区域にわたるものを全部入れたりするのか、それともある程度の裁量性を持って定められるのか、どうなんでしょうか、お答えください。

上原政府参考人 お答えいたします。

 まず、二以上の都道府県の区域にわたる路線については、国土交通大臣の指定がなくとも再構築協議会の対象になるということでございます。

 ただ、それで再構築協議会が全てに設立されるかというと、それは全く違う話で、ここの規定については、二以上の都道府県の区域にわたるものはアプリオリに、国土交通大臣の指定がなくとも対象になり得るということでございます。

 それから、一の都道府県の区域内にのみ存する路線で、ここについては、国土交通大臣は個別に路線の指定を行うことを検討しております。

 例えば、新幹線駅にローカル線が接続している場合などについては、観光客が例えば大都市の方から新幹線で来て、更に接続してローカル線のデスティネーションに行くような、そういう場合もあり得ると思います。そういう場合には、このローカル線は、幹線とつながって広域的な旅客流動が認められるという場合もあり得ると思います。

 そうした、路線ごとに旅客流動の状況などを考慮して、個別具体的に指定の必要性を検討していきたいと考えております。

福島委員 ありがとうございます。

 もう一つの条件がありまして、もう一つは、先ほど来ありますように、鉄道の特性を生かした地域旅客運輸サービスの持続可能な提供が困難にある状況にある区間とあって、これは法案には書いていないんですけれども、地域モビリティ刷新検討会の提言では、これも先ほど来議論がありますけれども、基幹的な鉄道ネットワークは外すとされていて、それは三つ条件があって、特急列車が走っているところ、貨物が走っているところ、災害時や有事において貨物列車が走行する蓋然性が高い区間という三つが挙げられていますが、これは何ら法文上、対応されていないんですね。

 大臣、これは私、非常に大事な論点だと思うんですよ。これは本来、法文上、きちんとこの条件を反映されるべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省において昨年開催した地域モビリティ検討会では、先ほど委員からお話がありましたように、貨物列車が現に走行している線区、災害時や有事において貨物列車が走行する蓋然性が高い線区においては、引き続き、鉄道の維持を図っていくことが強く期待されるため、当面、再構築協議会の対象としないことが適当であると提言されております。

 JRの上場各社に対しては、引き続き、JR会社法に基づく大臣指針により、ただいま述べた線区については適切な維持を求めるとともに、ローカル鉄道の再構築に関する新たな制度の運用に当たっても、こうした考え方を地域公共交通活性化再生法に基づく基本方針に盛り込んでいきたいと考えております。基本方針の中にしっかりと盛り込みます。

福島委員 私は本来法律で規定するべきだと思いますけれども、基本方針に盛り込むのは次善の策であると思います。ただ、問題があるのは、基本方針を作る所管の大臣は、国土交通大臣だけですよね。例えば、安全保障上、有事の際といえば、当然防衛省も絡んでくるわけですし、緊急のエネルギーの油を運ぶということになれば、経済産業大臣が絡まなければ分からないわけです、どういったときか。

 この基本指針を定めるときのプロセスが大事だと考えておりまして、国土交通省だけではない、もっと各省連携によって決める必要があると考えますが、その点についてはいかがでしょうか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 この基本方針は国土交通大臣が定めることになりますけれども、元々、地域公共交通活性化再生法の基本方針そのものが、まちづくりその他、様々な関係省庁と関連する形で作成されております。今回も、ローカル線の見直しについて、各関係の省庁と非常に密接に関係してまいりますので、そうしたところとよく意見をすり合わせをして基本方針を作成していきたいと考えております。

福島委員 是非、国土政策的観点から各省連携、単にファクス一枚で協議するという形ではなくて、戦略的な議論をしていただければと思います。

 次は第四項で、国土交通大臣は、再構築協議会を組織するときは、あらかじめ地方公共団体の意見を聞かなければならないとしていて、この場合に、嫌だと言ったら無理やり協議会を開くことはないという答弁は、先ほど赤木委員の質問に対してありましたし、また、協議会の協議が調わない場合、その場合は、一方的に廃線がなされることなく、粘り強く協議されるということも御答弁いただきました。そして、その協議の期間は三年を目安とするけれども、それで打ち切ったりはしないということも答弁がありました。

 これら答弁があったことについても、先ほどおっしゃった基本方針にしっかりと反映していただけませんでしょうか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 こうした再構築協議会の運営に関しまして、様々な国会での議論をいただいたことを踏まえまして、基本方針に記述することについて検討してまいりたいと思います。

福島委員 ありがとうございます。是非、立法府の意思を踏まえた基本方針を作っていただければと思います。

 その次に、第五項六号の再構築協議会の構成員、これも先ほど来議論がありましたけれども、その他の国土交通大臣が認める者ということで、いろいろな意見がありました。私は、一番大事なのは、国が一方的にその他の者を決めることじゃなくて、それぞれの地域の実情に応じて、地方公共団体の意見を聞くことが一番大事だと思います。国土交通大臣が必要と認めるという上から目線じゃなくて、まず自治体の意見を聞いて、それを反映すべきだと考えます。

 この点も基本方針でしっかりと定めていただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 法第二十九条の三第五項第六号の地域公共交通の利用者、学識経験者その他の国土交通大臣が必要と認める者として構成員に加える方々としては、地域公共交通の利用者、学識経験者のほか、対象となる路線の特性についても考慮し、例えば、観光に重点を置いた路線である場合は観光関係団体、まちづくりとの連携が特に必要な場合は関係の団体、このほか、学校、病院、商業施設の関係者などが考えられます。

 いずれにせよ、構成員の選任に当たっては、可能な限り多様な地域の声が反映されるよう、自治体はもちろんのことでございます、鉄道事業者の意見を聞きつつ、地域の実情を踏まえて国において検討することとなります。(福島委員「基本方針に反映していただけますか」と呼ぶ)はい。このことをちゃんと基本方針に書きたいと思います。

福島委員 ありがとうございます。極めて有益な議論をさせていただきました。

 この問題は、法案とは別に、一番大事な問題は、参考人質疑で武田先生がおっしゃっていましたけれども、母屋に手をつけないで屋上のプレハブを増築するようなものという話がありましたけれども、本質的な鉄道の議論がされていないと思うんですね。

 先ほど言ったように、提言においても、基幹的な鉄道ネットワーク、災害時や有事において貨物列車が走行する蓋然性が高い区間などの基幹的な鉄道ネットワークが大事なんだというふうな話がありますけれども、結局、答弁を聞くと、民営化会社は大臣指針を守れという、その話しかないんですよ。それはまさに屋上のプレハブだと思うんですね。

 もっと本質的な議論をしなければならないというのは、これまで私は、昨年四月二十日の国交委の一般質疑でも、例えば、私が乗っている常磐線は、優良路線ですが、JRは独占事業だからこれをもっと高速化するなんという意思はないんですよ。あるいは、常総線という私鉄があって、取手から下館まで走っているんですけれども、TXと連携しているので、これが仮に電化、複線化されれば、物すごく交通ネットワークとして大きな意味があるんですけれども、関東鉄道という一社ではなかなかそうしたことはできません。日本列島を横断するような極めて貨物上有益な線は、例えば、陸羽東線再生の話をしましたけれども、震災のときは、カーブの勾配が大きいとか傾斜が強いといって、貨物列車を実際走らせることはできなかったんですね。港と線路まで続く僅か数百メートル、一キロぐらいの線路も、JR貨物ではなかなか造れないとかいろいろな問題があって、やはり内部補助だけでは公共鉄道インフラは守れない。あるいは、上下分離という、世界がやっている、先ほど来議論がありますけれども、そうしたものは、私は、根本的な議論をしなきゃならなくて、赤字だから協議会をやるとか、もうかっているから民営化でいいだろうということではないと思うんですね。

 これも、四人の参考人、与党、野党それぞれが出した参考人の先生全員がおっしゃっていたと思うんです。吉田先生は、地域公共交通への公的関与は不可欠、内部補助を前提としたサービス維持は限界であるとおっしゃっていますし、山内先生、大家の方も、内部補助の社会的限界がある、ネットワーク効果とか外部効果といったものは内部補助だけじゃできないと言っていましたし、宇都宮先生も、外部不経済が生じる交通市場において、地域公共交通を民間任せにする従来の制度は限界ということで、鉄道はやはり、金銭で測れない公共的ないわゆる外部効果というものがあって、ただその線路を維持するだけじゃなくて、経済原理じゃなく国家政策としてやったときに更なる外部効果を生む場合があると思うんですよ。私は、この点が、ずっとこれまで、この一年以上議論してまいりましたけれども、国土政策において、国土形成計画の場などにおいて、そもそも国が鉄道をどうするのかという、そこが抜けていると思うんですね。

 私は、こうした法案を作る前に、まさに母屋に手をつけなければならない、国として、交通ネットワークにおいて、鉄道というのはこれからGXが進む中でどういう役割を果たすのか、そのために国自身が鉄道ネットワークの維持にどのような役割を果たすのか、そうした基本的な国の姿勢をまず定めるべきだと思いますけれども、大臣、お考えはいかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 鉄道の特性は、一義的には、大量輸送性、定時性、速達性を兼ね備えている点にあり、これらの特性は、特急等の優等列車による都市間輸送や貨物輸送の場面において十分に発揮されるものと認識しております。

 このため、鉄道ネットワークの基本的な方針としては、全国新幹線鉄道整備法に基づく基本計画を踏まえ、高速鉄道ネットワークの構築を進めるとともに、在来幹線については、JR上場各社に対し、特急列車、貨物列車が走行する我が国の基幹的鉄道ネットワークを含め、JR会社法に基づく大臣指針により適切な維持を図ることを求めているところです。これが今の基本的な構造でございます。

 こうした考え方を踏まえ、新たな制度を適切に運用するとともに、今年の夏に予定している新たな国土形成計画の策定に向けて、引き続き関係者間での議論を深めてまいりたいと思います。

福島委員 いや、本当に大臣、いい人なので、きつく言いたくないんですけれども、私は大臣としての見解を聞いているんです。それは、そういう答弁があると思ったから、質問の前段でそういう答弁が出ないようなことを私は申し上げましたよね。

 例えば、私の常磐線ももうかっているけれども、独占なんですよ、JRというのは。もうかって、投資はしたくないんです。過少投資に私は陥っていると思うんです。でも、これは、国家政策からいえば、水戸から東京まで今まで一時間二十分かかっているのが四十五分になれば、これは整備新幹線じゃないですよ、在来線が高速化するだけで変わるし、現にヨーロッパや中国ですらも在来線に設備投資を行って高速化しているわけですよ。日本は今そうなっていない。

 特にJRの会社の体質を見ると、高輪ゲートウェイみたいな、不動産屋さんは熱心にやるし、Suicaとかのカード事業は一生懸命やるけれども、うちの造る駅にはトイレすらない、それが今の現状ですよ。

 だから、鉄道には外部性があるんです、経済だけじゃなく。それを見たものが私は必要だと思います。

 そのためには、やはりお金も必要なんですね。これも参考人の方から出ていますけれども、もう道路と比べて圧倒的に鉄道に関するお金が少ない。かつては道路、空港、港などは特別会計があって、これを戦略的に、国がインフラをできたけれども、JR分割・民営化以降、それまでは国有鉄道だから国が絡んでいたけれども、この三十年の間は、鉄道に対する投資というのは、お隣の中国とかヨーロッパとかアメリカに比べて圧倒的に整備新幹線以外は行われていないと思います。そもそも、黒字じゃなければならないというのは世界で珍しいという話もありました。

 交通政策審議会の交通体系分科会地域公共交通部会、長い名前ですが、二月八日に中間取りまとめをまとめましたけれども、これも、何か文章がない単なるポンチ絵しか出ていないから、こんなものが中間取りまとめかと思いますけれども、そこにはインフラ整備予算の拡充とありますけれども、具体的なものはありません。

 例えば、この国会にGX推進法というのが出ていて、十年間で、GX経済移行債を発行して二十兆円のGX投資を支援する、このGX債の償還は、化石燃料賦課金や排出量取引制度の負担金で返すんだけれども、これは、GX移行債は十年間だから、いずれ償還が終わるんですよ。その後、こうした賦課金や負担金を何に使うかというのは何ら法律で決められていませんから、こうしたものも財源になる。更に言えば、ガソリンにかかっている税だって、車に使うよりは鉄道に使った方がグリーンな投資になるかもしれない。

 まさにこれは省横断的な、税は政治なりですから、我々政治の出番なんですよ。だから、大臣、官僚の答弁を読み上げている場合じゃ私はないと思います。

 ずっと国土交通大臣は公明党さんから出されていて、それぞれ真面目な立派な大臣が続いていると思いますけれども、でも、やはり与党第一党ではないですから、多少遠慮もされているんじゃないかなと思うんです。

 税に手をつけるというのは、やはり大変な、大きなことです。でも、鉄道ネットワークをどう維持していくのか、税や先ほどの負担金や賦課金といったものも含めた財源の問題も含めて、私は、今こそ大きな議論をやらないと、まさに母屋の議論をやらなきゃならないと思うんです。

 私、ここは大臣の忌憚のない御意見を、答弁を読むんじゃなくて、お聞かせいただきたいと思うし、それは大臣だけの役割じゃなくて、ここにいる我々国会議員にとっての必要な議論でもあると思うんですけれども、その負担面も含めた、国民の負担も含めた、財源論も含めた大きな議論を是非やりませんか。いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 鉄道が非常にいろいろな多面的な外部性を持った価値を持っているということは、おっしゃるとおりだと思いますし、私も同感をいたします。

 そして、公共交通については、日本のこれまでの歴史を考えれば、民間が背負ってきましたそういう歴史的な背景も含めつつ、民間の活力と、利用者の負担と、そして公がしっかりこれを支えていくという考え方が必要だ、このように思います。

 先ほど言ったこの二つの要素をどのように組み合わせてこれからの日本の鉄道ネットワークを考えていくかという議論は、大変重要なことだと思います。

福島委員 ちょっと一分だけ。

 いや、それは、民間でやったのはたったこの三十数年なわけですよ。世界を見た方がいいです。世界がどういうふうにやっていて、我が国は、世界の国々と競争して、しかも、カーボンニュートラルを制限する中で、鉄道はどうあるべきで、そのための負担はどうあるべきかという大きな議論は、是非、我々政治ベースでやることを強く主張いたしまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組の一本足打法、たがや亮です。

 法案の質問の前に、三月十日の当委員会での私の質問に対する答弁について一言申し上げます。

 お手元の資料を御覧ください。

 上の部分ですが、宅建業者や投資家が個人所有の土地建物を購入する際、転売なら特例措置があり、インボイスは発生しません。下ですが、転売ではなく、事業者や投資家が直接、事務所やレストラン、民泊を運営する目的で購入すると、特例措置が適用にならず、インボイスが発生して、消費税を売主か買主か、誰が負担するのかの問題が生じてしまうため、新たな特例措置を設ける必要があるのではないかと質問しました。この私の質問に対して、残念ながら、大臣の答弁の中に回答はありませんでした。

 大臣よりも、むしろ答弁を用意した国交省の皆さんに言いたいのですが、事前レクで、財務省、国交省合わせて十五人の方々に一時間以上もかけてそのことを丁寧に指摘し、問題点を共有し、理解されたはずですが、なぜか大臣答弁に反映されていませんでした。何が何でもインボイス制度を進めたい財務省と組んで問題点に目をつぶったと取られてもおかしくありません。

 大臣、これだけの問題じゃなくて、そのほかにもこの不動産売買に関する問題が起こっていまして、宅建業者が転売目的で物件を買ったとしても、それが売れなかった場合、しばらく、数か月売れなかった場合、そこに消費税が発生したというケースがあるんです。裁判になって、判決は国が勝っているわけですけれども、こういった細かいトラブルが今あるので、その辺は担当省庁として、指摘した問題点、その辺を受け止めていただいて、解決に向けて誠実に取り組んでいただくことを、冒頭、強く要望いたします。

 さて、本題に入ります。

 合意形成に向けた国の支援ということで、新設で地域公共交通再構築調査事業というのがあるんですが、それに関してお伺いをいたします。

 調査事業とありますが、法案には書いていない調査事業とは何でしょうか。具体的に教えてください。

上原政府参考人 お答えいたします。

 関係者の間でデータとファクトに基づく協議と合意形成を促す観点から、令和四年度補正予算において、地域公共交通再構築調査事業を創設をいたしております。

 当該事業では、協議会開催のための経費や、現状分析に必要なファクトやデータ収集のための調査事業、実証事業による対策案の検証といった内容を支援の対象といたしております。令和四年度補正予算では地域公共交通確保維持改善事業費補助金四百十五億円の内数、令和五年度予算案では二百七億円の内数を計上いたしております。

 この予算を活用いたしまして、事業を行おうとする協議会等に対しまして、事業費の二分の一を支援することといたしておりまして、個々の申請に基づき交付決定をしてまいりたいと考えております。

たがや委員 ごめんなさい、これは国が主導するということでよろしいんでしょうかね。国が主導するんでしょうか。どういった方が何を具体的に行うのかということも、ちょっと今聞き取れなかったのですが、もう一回よろしいですか、その辺。

 今、まとめて、多分、質問通告を全部答えちゃったので、一問一問、今聞いているんですけれども。

上原政府参考人 お答えいたします。

 これは、今回の法律で、国が組織する再構築協議会というものを提案させていただいておりますが、この予算につきましては、先ほど申し上げましたとおり、令和四年度の補正予算から既に計上をさせていただいておりまして、申請をいただくことにしております。

 したがいまして、国が組織をいたします再構築協議会のほか、通常の法定協議会、そういうところの調査事業等も含まれるものと考えております。

たがや委員 ありがとうございます。

 二百七億、調査事業も含めて様々で予算があるということですかね。これはもう様々な方がほかに質問されていて、今更なんですけれども、二十九条の三の、先ほど福島委員からも質問があったと思うんですが、二十九条の三第五項六号の再構築協議会の構成について、学識経験者その他当該国土交通大臣が必要と認める者とありますが、ここを質問しようと思ったんですが、もう先ほど答えも出ているので質問しませんけれども、協議会の意義は、調査事業、実証事業というのが肝になり、まさにそこに民間の力をかりて、いかに知恵を絞って地域公共交通の活性化と再生ができるかだと思います。

 そのためには、地域の商工会や様々な団体、民間の地域活性化のコンサルタントや実績のある広告代理店、PR会社など、地域創生などで実績を上げたその道のプロの力をどう取り込むかが大事だと思っております。

 このように、しっかりと国が、自治体が必要とする適切な参加者を協議会に手当てできるようお願いをいたします。

 次の質問に参ります。

 公共交通インフラを本気で維持するためには、国交省のこの法案の枠組みだけでは到底不十分で、他の部局や他の省庁との連携が必要だと思います。

 例えば、地域観光、地域産業、教育関係など、まだまだありますが、こういった他の省庁の予算措置を含めた面的、横断的な取組について、斉藤大臣のお考えをお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 まさにおっしゃるとおりだと思います。

 今日、今回のこの委員会におきましても、クロスセクター効果とか、それから外部効果とか、いろいろな言葉が使われておりましたけれども、例えば、通学に使われている、これでしたら文部科学省、それから福祉等で地域公共交通、送り迎えがございます、これだったら厚生労働省、そのほかにも観光、いろいろあるわけですけれども、そういうそれぞれの省庁、分野としっかり連携しながら、この鉄道の地域公共交通、どう維持していくかということが議論されなければならないと思いますし、その連携をしっかり行ってまいります。

たがや委員 ありがとうございます。しっかりと取り組んでいただけるようお願いをいたします。

 地域公共交通の活性化のための協議会とは、参考人の武田先生がおっしゃっていたように、廃線になる区間を持つ自治体だけを対象にするのではなくて、廃線の影響を受ける周辺の自治体や都道府県の意見も広く聞かないと本質的な協議にはならないと思うので、断片的に考えず、周辺地域の意見もしっかりと吸い上げられる協議会としてください。そして、協議会の基礎的な仕事である調査事業、実証事業にしっかりと予算措置をしていただけるよう要望いたします。

 最後に、政治は生活である、これを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございます。

木原委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木原委員長 この際、本案に対し、高橋千鶴子君から、日本共産党提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。高橋千鶴子君。

    ―――――――――――――

 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高橋(千)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 ローカル鉄道は、沿線住民の生活に必要な移動手段であるとともに、まちづくり、観光や産業振興など地域経済社会再生の基盤です。また、鉄道は、他の輸送機関に比してCO2排出量が少なく、脱炭素社会を目指すために失ってはならない地域の共有財産です。

 ローカル鉄道が今日の危機的状況にあるのは、自然現象ではありません。地方の人口減少を招いた東京一極集中の推進、マイカーへの転換を加速した高速道路整備の促進など、国の政策がもたらした結果にほかなりません。一方で、地方の移動手段としてのローカル鉄道の役割は縮小させられてきました。

 国民の移動の権利などを保障する公共性よりも、利益を優先させる民間事業者では限界があるのは当然です。国鉄分割・民営化の綻びが噴出しているのです。一九八七年当時、採算の取れない八十三の特定地方交通線を廃止、移管対象にして、四十五路線が廃止されました。JRに引き継いだローカル鉄道は内部補助制度で維持存続させるというのが国民との約束です。

 国鉄分割・民営化を反省し、ローカル鉄道を維持、活性化させること、ここに国が取るべき責任があります。

 政府の法案は、大量輸送機関としての特性を発揮できていない路線、区間を対象に、鉄道事業者等の要請に基づき、国土交通大臣が再構築協議会を組織し、協議の結論として、ローカル鉄道の廃線、バス等への転換を選ぶことを認める内容になっています。斉藤鉄夫国土交通大臣は、本会議の答弁で、鉄道として存続する線区が一定数出てくる可能性があると述べているとおり、廃線になる線区があることを明言しています。

 今、国がやるべきは、自ら組織する再構築協議会において、ローカル鉄道を廃線の危機から脱し、維持、活性化させるための協議を行い、方策を打ち出すことです。

 同時に、これまでの鉄道事業者任せ、地方自治体任せを改め、国自身がインフラ部分を保有するなど積極的に乗り出し、関与し、国の責任を果たすことです。このようなことから、修正案を提出することとした次第です。

 次に、修正案の主な内容について説明します。

 第一に、再構築協議会が作成する再構築方針の交通手段再構築は、鉄道輸送の維持、高度化に特化させることとして、国が責任を持って鉄道ネットワークを維持、活性化させるため、ローカル鉄道の利用促進、利用者の利便確保、輸送サービスの向上など、検討、協議を優先することとします。

 第二に、JR会社のローカル鉄道に関する施策については、国が責任を持って維持存続させる義務を有することを明確にすることとします。

 第三に、鉄道事業の廃止に係る手続を国土交通大臣への届出制から許可制に戻すこととします。

 第四に、協議運賃制度に係る規定を削除することとします。

 以上が、本修正案の趣旨及び主な内容であります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

木原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、高橋千鶴子君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、津島淳君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。神津たけし君。

神津委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。

    地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け公共交通をいかした総合的な交通政策を推進する必要があることに鑑み、過度に自家用自動車に依存せず、ポリシーミックスの観点から、まちづくり政策、DX、GX、国土強靱化などの様々な政策との連携を図るとともに、雪国などの地域特性を考慮した施策の充実を図ること。また、モビリティとインフラを一体とした交通ネットワークの再構築について検討し、国土形成計画等に反映させること。

 二 国及び地方公共団体は、地域住民の移動を確実に確保し、地域公共交通を持続可能なものとするため、交通事業者等の取組に対する支援を更に拡充するよう努めること。また、地域公共交通の持続可能な発展を図るため、実証事業などの期間のみならず、それ以降も活用可能な中長期的な支援の取組や、安定的な財源の在り方を検討すること。

 三 JR上場四社は、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律に基づく大臣指針に基づき、現に営業する路線の適切な維持に努めることが大前提であり、特に、特急列車が拠点都市を相互に連絡する線区、貨物列車が現に走行している線区及び災害時や有事において貨物列車が走行する蓋然性が高い線区については、我が国の基幹的な鉄道ネットワークを形成する線区として、各社に対し、内部補助により引き続き維持するよう指導するとともに、国鉄分割民営化以降の社会経済状況の変化を踏まえ、国としても鉄道ネットワークの維持の在り方について今後の国の関与の在り方も含め検討すること。

 四 再構築協議会における地域の鉄道に関する協議の在り方について、廃線ありきではないこと、旅客数や収支だけで判断するのではなく、地域住民の意向や地域に与える影響等を十分に考慮して総合的に判断すべきことなどを基本方針で明確にすること。また、結論が合理的な期限内に出ない場合であっても、協議を打ち切ることなく丁寧な合意形成に努め、合意のない交通手段再構築等は行わないこと。

 五 再構築協議会の協議においては、地域公共交通が失われることによる、新たに生じる医療機関へのアクセスコストの増加、観光業への打撃、商業的な損失、地価の下落、就学機会の制限による人口構成の変化等、広範なクロスセクター効果について十分に検討を行うこと。

 六 再構築協議会の構成員については、地域の実情に応じて住民、労働者、物流事業者等を含めることとし、多様な意見が反映されるようにすること。また、少数意見等の反映されない意見等を継続的にくみ取るための更なる仕組みづくりについて検討すること。

 七 再構築協議会を含む地域公共交通に係る協議会については、会議開催後速やかに議事録を公開するなど最大限透明化を図ること。

 八 上下分離による鉄道の維持やBRTの導入等、再構築協議会で合意された事業に対しては、どのような協議の結果となったかにかかわらず、協議の過程にも配慮した、十分かつ公平な支援を行うこと。

 九 再構築方針で定められる交通手段再構築の目標の達成状況の評価が適時適切に行われるよう促すとともに、地域が評価の結果を踏まえ、検討を行い、交通手段再構築の事業の見直し等を行うときは、的確な支援を行うこと。

 十 地方公共団体や公共交通事業者による連携と協働を推進するため、地方公共団体の交通政策に精通した専任職員の確保と育成は極めて重要であることに鑑み、こうした人材を適切に配置するための地方交付税措置による財政的支援を検討するとともに、コーディネーター等に係る情報提供などを積極的に実施すること。また、地域公共交通の活性化や再生に向けた議論やその実施される事業の実効性を担保するためには様々な専門家やファシリテーターの存在が極めて重要であることから、その確保に取り組む地方公共団体に対し十分な支援を行うこと。

 十一 乗合バス等自動車運送事業の運転者が不足している状況に鑑み、路線維持や鉄道をバスに転換する場合に運転者が確保できない懸念もあることから、その確保のための支援策を講じること。

 十二 地域を支える最後の公共交通機関であるタクシーの維持存続のため、地方公共団体と連携、協働し、経営を支援するための措置を講じること。

 十三 地域公共交通の「リ・デザイン」を図りつつGXを加速させる観点から、カーボンクレジットの導入等EVバスの地域への導入のインセンティブとなる制度について検討すること。

 十四 鉄道事業者が、協議によって鉄道の運賃等を設定する場合においては、現在の運賃水準と比較して値上げとなることも想定されるため、当該鉄道事業者に対し、利便性の向上等地域の利用者の理解を得るための取組も併せて行うことを働きかけるよう努めること。

 十五 運賃を協議するための協議会に先立ち開催される公聴会については、できる限り幅広い意見を反映させるため、地方公共団体に対し、開催の回数や方法にも配慮するよう求めること。

 十六 本法の施行状況について毎年度評価を実施し、施策を適切に見直すとともに、改正後のそれぞれの法律の規定について、その施行の状況等を勘案して検討を加え、必要があると認めるときは、附則で定める検討条項の五年を待つことなく、検討の結果に基づき所要の措置を講ずること。

 十七 公共事業関係予算を、地域公共交通の施設やネットワーク維持に、積極的に活用できる仕組みを検討するとともに、公共交通と他の事業とのバランスの取れた支援を行うこと。また、社会資本整備総合交付金を交付するに当たっては、具体の支援対象や支援額を計画的に分かりやすく地域に示すこと。

 十八 通学定期や障害者割引等の社会政策に係る費用を交通事業者が負担していることを踏まえ、文教や福祉分野においても交通事業者支援のための仕組みづくりについて、検討すること。

 十九 並行在来線等、第三セクターの鉄道事業者において、国鉄及びJRから引き継いだ設備の補修、更新費用が大きな負担となっている現状も踏まえ、先行地域も含めた支援を充実するよう努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

木原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)国務大臣 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 誠にありがとうございました。

    ―――――――――――――

木原委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

木原委員長 次回は、来る二十八日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五十九分散会


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