衆議院

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第7号 令和5年4月4日(火曜日)

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令和五年四月四日(火曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 木原  稔君

   理事 加藤 鮎子君 理事 津島  淳君

   理事 中根 一幸君 理事 長坂 康正君

   理事 伴野  豊君 理事 谷田川 元君

   理事 赤木 正幸君 理事 伊藤  渉君

      石橋林太郎君    泉田 裕彦君

      小里 泰弘君    柿沢 未途君

      菅家 一郎君    工藤 彰三君

      小林 史明君    佐々木 紀君

      櫻田 義孝君    塩崎 彰久君

      田中 英之君    田中 良生君

      谷川 とむ君    冨樫 博之君

      土井  亨君    中川 郁子君

      中曽根康隆君    中村 裕之君

      西田 昭二君    根本 幸典君

      古川  康君    宮崎 政久君

      武藤 容治君    枝野 幸男君

      小熊 慎司君    城井  崇君

      小宮山泰子君    神津たけし君

      下条 みつ君    末次 精一君

      一谷勇一郎君    前川 清成君

      山本 剛正君    北側 一雄君

      中川 康洋君    古川 元久君

      高橋千鶴子君    福島 伸享君

      たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      石井 浩郎君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   参考人

   (筑波大学名誉教授)   石田 東生君

   参考人

   (東京工業大学名誉教授)

   (神戸大学名誉教授)   朝倉 康夫君

   参考人

   (京都大学名誉教授)   小林 潔司君

   参考人

   (環境経済研究所代表)  上岡 直見君

   国土交通委員会専門員   鈴木 鉄夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月四日

 辞任         補欠選任

  中村 裕之君     佐々木 紀君

  西田 昭二君     石橋林太郎君

  深澤 陽一君     中曽根康隆君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     西田 昭二君

  佐々木 紀君     中村 裕之君

  中曽根康隆君     塩崎 彰久君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     深澤 陽一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより質疑に入ります。

 本日は、本案審査のため、参考人として、筑波大学名誉教授石田東生君、東京工業大学名誉教授、神戸大学名誉教授朝倉康夫君、京都大学名誉教授小林潔司君及び環境経済研究所代表上岡直見君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。本案につきましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、石田参考人、朝倉参考人、小林参考人、上岡参考人の順で、それぞれ十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず石田参考人、お願いいたします。

石田参考人 筑波大学の石田でございます。招致していただきましてありがとうございます。

 私、社会資本整備審議会道路分科会長を仰せつかっておりまして、そういう立場からも、今日、意見陳述をさせていただきます。

 お手元に簡単なメモを準備いただいておりますので、御覧になっていただける方は御覧になっていただければと思います。

 今般の道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案でございますけれども、私は基本的には賛成をしております。

 基本的という意味は、これから日本はいろいろなところですごく大変な時期を迎えると思いますけれども、国のインフラにとって最も重要なものの一つである道路、特に高速道路におきましては、これからかと思いますけれども、もう少し踏み込んだ議論があってもいいのかなというふうにも思っておりまして、基本的に賛成ということでございます。

 その理由でございますけれども、やはり高速道路を十全に活用する、そのためには維持管理、更新というものが必要になっておりますので、そのためのやはり財源措置というのが非常に大事だと思っております。

 さらに、日本が再浮上していくためにも、移動の効率性、モビリティーということをどう考えるかということは極めて大切でございまして、そのための高速道路の進化、機能向上ということも大事だと思っておりまして、そのために必要にして重要な法改正だと考えるからでございます。

 個別の点、幾つか考えを陳述させていただければと思います。

 まず第一点でございますけれども、今の負担方式でございます。高速道路料金をお払いいただいて、それで債務を償還していくというずっと続けておりますスキームは、一定程度国民に理解されているというふうに思います。それだけに、本当に十分な議論や説明なしに、大幅な料金値上げとか永久有料制度というものに直ちに移行するということは、これはなかなか難しいのではないかなというふうに思います。

 その点、今般の改正でございますけれども、現行制度の枠組みの中で償還期間を延長するという考え方は妥当なものではないかなというふうに思います。

 それとともに、いろいろな歯止めもかかっております。まず、最長の料金徴収期間を定めた上で、更新事業等の内容や規模が明らかになった段階で更新事業が追加できる、すべきであるという、そういう判断をするという、ある意味柔軟な、はやりな言葉で言うとアジャイルなものになっておりまして、一定の評価はできるんじゃないかなと思います。ただ、やはり、いかんせん、二一一五年というはるか先について今のままでいいのかということについては、若干の心配もある次第でございます。

 二番目が、維持管理費用でございます。令和三年度には六社合計で約一兆二千億円が維持管理のために使われておりまして、これがしかも増加傾向にございます。

 法定の耐用年数とか減価償却期間できちんと分かるはずだというお考えもあろうかと思いますけれども、やはり実態に即した、本当に必要なものをきちんと点検をしていく。そのために、道路法を改正されまして、法定の五年に一度の目視点検が行われている。二回りが終わったところでございますけれども、それによって、実態というのが思っていた以上になかなか大変なものであるということがあからさまになってございました。

 的確な予防保全をきちんとしていくということを前提にした上で、これを情報公開をきちんとしながらやっていくという態度は、そういうことを整えるということは、維持管理、更新施策の基盤としても有用であろうと思います。

 それと、料金徴収方式も大きく変わりました。これまでは運転手にのみ請求だったのですが、所有者に請求できるようになりました。これは、料金徴収コストをどう下げるかということも非常に大きな課題になってこようかと思いますけれども、そういう観点からも有用であろうと思います。

 高速道路の進化、高度化は、道路サービス上、非常に重要だと思います。特に、二〇二四年問題の物流とか、あるいは高速道路の自動運転など、そういう拠点を整備していくということが非常に大事かと思います。特に、自動車は今本当に日本を支えている大きな産業でございますので、これと軌を一にするような高速道路政策、道路政策というのは重要かと思います。

 参考資料を少し見ていただきたいのでありますが、一番最後に絵がついてございます。これはNEXCO東日本さんが作られたものでございまして、なかなかよくできたものではないかなというふうに考えております。

 ここで御注意いただきたいのは、これから、そういった自動運転とか物流の効率化という観点からすると、高速道路本体ではなくて、周辺に、物流のためのハブとか自動運転のためのいろいろな地上施設が要るということが一つ重要なポイントとしてあろうかと思います。

 それとともに、この絵、左の方が現在、二〇二〇年、先に行くと二〇四〇年という将来像が描かれているわけでございますけれども、二〇二〇年時点では、今の、人中心ですから、車線というのがきちんと描いてございますけれども、二〇四〇年というのは、自動運転で更に効率化が進んでいくと、車線の考え方は要らなくなるんじゃなかろうかと。それぐらい安全なものが実現するし、是非したいという、そういう願いも加えられております。

 そこに関して言うと、今、自動運転をきちんとやるためには専用レーンというのが必ず必要であるということなんですけれども、ここには二十年後の姿として描かれておりますけれども、本当に一〇〇%自動運転になったときには専用レーンというのは必要なくなるだろう、そういう意味での過大投資みたいなものをどう避けるかということも結構大事な議論じゃないかなというふうに思っている次第でございます。

 これからは、私の個人的な考え方を少しだけ述べさせていただきます。

 三の今後の検討の進化、あるいは深化についての意見でございます。

 先ほどから述べておりますように、妥当なものであるというふうに思いたいということでございますけれども、でも、これは仕方ないといえばそれまでなんですけれども、今、諸情勢の許す範囲での最大限のことがこの法律案の中には含まれていると思いますけれども、これから、日本の将来のこと、あるいはそこでのモビリティーのこと、環境のこと、あるいは社会的包摂なんかを考えますと、ここに踏みとどまっているべきではないというふうに考えるものでございます。

 一つは、負担と受益の関係をどう考えるかという昔からの議論でありますけれども、それをどう考えるかということでございます。

 今は償還主義という枠組みの中でやられておりますけれども、やはり高速道路は特別なサービスを提供するものでございますので、そのための特別急行料金みたいなものを考えるということもあるのかなというふうに思いますし、あるいは、そのことは、直ちにではありませんけれども、日本全国を有料道路にする、受益と負担の関係をもう一度お考え直しいただくということです。

 そういう意味では、戦後の、あるいはそれ以前から道路政策の基本中の基本である無料開放の原則ということにまで踏み込んだ議論あるいは研究を続けていくということも、今回の法律改正案とは枠を大きく踏み出るものでございますけれども、そういうことも重要ではないかなというふうに考える次第でございます。

 長くなりまして申し訳ございません。

 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

木原委員長 ありがとうございました。

 次に、朝倉参考人、お願いいたします。

朝倉参考人 皆様、おはようございます。東京工業大学、神戸大学の朝倉でございます。

 私は、国土幹線道路部会の部会長を仰せつかっておりますので、その立場で発言したいと思います。

 発言するポイントは次の三点でございます。まず一点目は、高速道路の費用負担に関する基本的な考え方でございます。二点目は、今回の法案について私が評価している点でございます。三点目は、これは、今後の制度運用であったり、あるいは検討課題について考えていることでございます。

 さて、まず第一点目の、高速道路の費用負担の基本的な考え方について意見を申し上げます。

 まず、言うまでもないことでありますが、また、これは法案の説明の中にも触れられていると思いますけれども、安全で円滑な高速道路サービスを提供する、そのためには、日常的な維持管理と修繕、それから更新、それから進化と改良、これらを確実に実施するということが重要であるということであります。

 我が国の高速道路は、一九六〇年代に供用開始されてから現在に至るまで、人々の生活や産業活動にとって欠くことのできない社会基盤として機能してまいりました。建設当初は、日常的な日々の維持管理と修繕を実施すれば、相当の長い間、良好な道路として機能するというふうに想定されていたものと思っております。

 しかしながら、高速道路は、高度成長期に短期間に建設せざるを得なかったこと、それから、供用当初は想定しなかったような、大量で、かつ非常に重量の重いような交通が増加いたしまして、道路構造の劣化が日常的な修繕の繰り返しではもう何ともならぬというレベルまで進んでしまったため、大規模に道路を造り替える、いわゆる更新事業が始まったところであります。更新事業には新たに道路を建設するのと同程度の費用がかかりますし、関連の交通に大きな影響を与えないような慎重な工事が求められているところであります。

 また、我が国では、高速道路サービスを受けられるエリアをできるだけ拡大するということで、そういう目的でネットワークを整備しましたので、二車線で整備せざるを得ないようなそういう区間、いわゆる暫定二車が発生してしまったわけでございます。安全で円滑な道路交通を実現するためには、暫定二車線の四車化というのは必須であり、これらを含めた道路の進化と改良が求められているというふうに感じます。

 このように、高速道路交通システムを機能させていくためには、日常的な維持管理と修繕、それから更新、そして進化と改良が必要であることは明らかですけれども、それには相当の費用が必要で、それを一体誰が負担するのかということを議論していく必要がございます。もちろん、一般国民が税で負担するという考え方もないわけではないと思いますけれども、私は、最大の受益者である高速道路利用者が料金を支払うことで負担するというその考え方が自然であり、適切だというふうに感じております。

 ただし、この利用者負担というのは原則であって、料金が利用交通に与える影響も考慮して、地域政策的な観点からも検討する必要があるというふうに考えております。

 もう少し具体的に申し上げますと、交通需要の密度が相対的に低く、高速道路の利用が十分に見込めないような地域では、料金を徴収する代わりに、税負担を活用すること等によって高速道路の利用を促し、地域の活性化を図るということ、そういったことを検討していくこともあってもよいと思います。

 続きまして、大きく二点目の、今回の法律案を評価する点について述べたいと思います。

 まず、先ほど述べたことでもありますけれども、更新や進化のための財源確保について、利用者負担を基本とするという方針については賛成でございます。これは、現行の高速道路サービスが料金を支払うことによって成り立っていることから、料金によって更新や進化の財源とするということは自然かつ適切というふうに考えております。

 その料金負担なんですけれども、現行の料金額に更新や進化の分を上乗せするということを、これを利用者に理解していただくということはなかなか難しいのではないかというふうに感じております。そうすると、料金徴収期間を延長して更新や進化、改良のための財源を確保するという、そういう案が出てくるだろうと考えます。

 ただ、この財源というのは、見方を変えると債務ということにもなりますので、その返済期間を必要以上に長くするということは望ましくないというふうに考えております。また、料金を安くしますと、その償還期間、返済期間が長くなりますが、そのことは債務返済に関する不確実性を高めることになりかねません。

 したがいまして、現行の料金水準と債務返済期間などを参照すると、この期間を五十年以内というふうにすることについては適切であろうというふうに考えます。提案されているこの法律案では、債務返済期間の中で債務を確実に返済することを確認する仕組み、これも提示されておりまして、そういった意味で適切なのではないかというふうに思ってございます。

 評価するもう一つの点は、見通しが明らかになった事業を定期的に計画に追加できるという、そういう仕組みです。

 道路のような社会基盤システムの整備と維持管理の事業というのは長期間にわたりますので、様々な不確実性を考慮する必要がございます。例えば、交通需要の将来見通し、あるいは金利の想定等でございます。

 この不確実性を下げる一つの方法は、計画を一定の頻度で見直すということでございます。道路建設の詳細な点検の頻度がおおむね五年に一回程度ということを考えますと、更新や進化が必要となる事業をおおむね十年程度で計画に追加できるという、そういう仕組みが用意されているということは重要であるというふうに感じております。

 最後に、大きく三点目ですけれども、今後の制度運用や検討課題について述べたいと思います。

 現時点では、ここに提案されている法案が最善であるというふうに感じますけれども、残された課題もあります。例えば、将来の維持管理費の負担の在り方をどうするかということであります。

 基本は利用者負担であるというふうに考えますけれども、料金が利用交通に与える影響を考慮する必要があります。例えば、料金は、高速道路の整備と維持管理に必要な費用を償還するために必要であるということと同時に、社会的に適切な料金という、そういう考え方もあります。例えば、過度に混雑して社会的な損失が大きいようなケースにおいては、適切な料金を課金して混雑を緩和するということが考えられますし、逆に需要が薄いようなケースについては、料金を調整して高速道路の利用を促進するということが必要であるというふうに思います。

 これらを含めまして、対象となるネットワークあるいは料金水準についても、今後継続的に議論していく必要があるというふうに思ってございます。

 今後の制度運用については、社会的影響を最小化するように、更新事業を確実に実施するということが望まれます。

 更新事業は、今実際に使われている道路区間の一部を取り替えるということになりますので、場合によっては、今、NEXCOの中国道であったり、あるいは阪神高速道路のように、一定期間の完全通行止めということを伴う工事が実施されております。また、完全に止めない場合でも、複雑な車線運用や夜間の通行止めが実施される場合もあります。

 このように、更新工事を実施する際には、高速道路利用者だけではなく、一般道にも非常に大きな影響が及びますので、その影響をできるだけ小さくするように、事前の検討を十分に行うと同時に、更新工事の期間中は道路交通のモニタリング、それから利用者への情報提供、これらを十分に行って、不必要な混乱を避けるということに努めていく必要があるというふうに思います。

 最後に、高速道路に求められる機能が高度化する中、継続的な進化が求められています。例えば、レベル4以上の高度な自動運転を可能とするためには、車両の開発だけではなくて、道路と車両が協調したような自動運転システムが機能することが考えられますけれども、そのための道路の進化ということが必要なんじゃないかというふうに思う次第でございます。

 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

木原委員長 ありがとうございました。

 次に、小林参考人、お願いいたします。

小林参考人 皆さん、おはようございます。

 京都大学の小林でございますが、私は、社会資本整備審議会の委員であり、学術団体である土木学会の第百六代の会長を仰せつかっておりました。あわせて、我が国のアセットマネジメント、インフラとかメンテナンスをマネジメントする、それをアセットマネジメントと呼ぶんですが、そのアセットマネジメント協会の会長をしております。

 そういう専門的な立場から、本日は、高速道路の持続的維持、メンテナンスといいますか、その発展のためにというところで、専門的な意見を述べさせていただきたい、こういうふうに思っております。

 今回の法改正、私も基本的にこの法改正は賛成でございます。ようやっと、このメンテナンス、道路資産の維持のための予算額を、財源を確保することが延長できるようになったということで、胸をなで下ろしております。

 お手元にこのポンチ絵を一枚用意しております。これに本日の申し上げたいことは集約しておりますが、この図の左半分が、これまでに我が国がなし得てきたこと、これを集約しております。これが今回の法改正につながっているんだろう、こう思いますが、右半分に、残された課題といいますか、これからの課題を集約しております。

 御承知のように、日本でメンテナンスの重要性、これが認識されたのは、二〇一二年ですかね。笹子トンネルの事故、あれから十年強たちましたけれども、この期間の間に、いわゆるメンテナンスサイクル、点検、補修、更新、このサイクルが我が国にも導入されてきました。

 ここにポンチ絵を描いておりますが、メンテナンスサイクルのあらましを描いております。点検をきちっとし、その点検結果に基づいて、補修とか、あるいは、必要であれば更新の計画を立てて、それを実行して、それをデータに残していく、こういうサイクルが我が国にも導入されました。そのために、いろいろな技術資格とかガイドラインであるとか、いわゆる制度的な仕組みがこの十年の間に発展してきた、そういうふうに評価をしております。

 翻って、海外の状況を見てみますと、御承知のように、一九八〇年代に米国でインフラの老朽化が顕在化しました。クリントン政権の間に、空前のIT景気も背景にありましたのですが、米国のインフラの更新を一気に米国政府は進めました。一九九七年にようやっと、アセットマネジメント、計画的にインフラの老朽化を改善していく、解決していくという機運が生まれました。そんなに古い学問ではありません。非常に新しい、でき上がってまだ四半世紀、そういうところです。

 ただ、アメリカのインフラは日本に比べて二十年、三十年先行して建設されております。それから、非常に古い技術を使っておりますので、日本はその二十年、三十年後を走っている。しかも、最新の技術が入っているので、アメリカの結果はなかなか参考にはならないと思いますけれども、この笹子のトンネルの事故以来、日本でもインフラの老朽化が顕在してきた、こういうことでございます。

 その下の図、描いておりますけれども、この十年間、点検をした結果、いろいろなデータが蓄積してきました。その結果、かなりのことが分かるようになってきたんですが、まだまだデータのストックというのは、この笹子のトンネル以降十年、インフラの劣化が十年で終わるものではありません。もっと時間がかかるものですね。

 ここにいろいろなグラフ、いっぱい描いておりますが、これはアメリカのデータです。アメリカは点検を日本よりは二十年以上たくさんやっていますので、インフラがどういうふうに劣化してきたかという、劣化曲線と我々は言いますが、これを描けるような状況になってきます。

 右下のこの図は、ニューヨーク市の、ニューヨークにある二千十四本の橋梁の、床版というんですけれども、そこの劣化のあらましを表しています。横軸が時間、縦軸、下に行けば行くほど劣化が進展している、こういう状況を表しています。これを見ていただくと、非常に散らばりが大きい、こういうことが分かります。

 一つ一つの橋梁の劣化の不確実性は高いんですが、橋梁によって物すごく劣化のスピードに差がある。それは、造られた年代であるとか、工法であるとか、材質であるとか、いろいろなことが作用して、インフラの劣化を予測するのが極めて難しい状況にあります。これはアメリカの話ですが、日本も同じような状況だ、こういうふうに思います。

 個々のインフラの劣化を予測するのは極めて難しい、まして、いわんや、新しくできたインフラ、更新したばかりのインフラがどれだけもつのかということに関しては極めて不確実性が高いということですが、それを幾つか束ねてくる、大きな地域で束ねてくると、凸凹がかなりならされてきて、それでもまだ幅はありますけれども、ある程度の確率でもって予測はできるんじゃないか、そういう状況に今ある、こういうふうに思っています。

 我々も、当初は、昔は、インフラは永久構造物だ、こういうふうに思っていたんですが、決してそんなことはない、劣化は着実に時間とともに進んでいっている。大規模修繕しても、きちっとよくなるわけではないんですね。ちょっとスピードを遅らせたとか、また再劣化が始まります。そういうものだということが、この十年間の間に理解してきたということですね。

 右半分は、これからなすべきことですけれども、私は、アセットマネジメント協会会長になっています、こういうふうに申し上げましたけれども、国際標準として、アセットマネジメント、インフラの劣化をやはり経営学的な視点できちっと規律づけしていく、そういうための国際標準ができ上がりました。二〇一七年です。まだ歴史が浅い。二〇一七年以前にインフラの経営計画というものが世界的に確立していたかというと、試行はいろいろありましたけれども、ようやっと五、六年前になって、初めてそういう弾みがつき、でき上がったということでございます。

 その中で、今一番問題になっているのは、いわゆる財務会計ですね。やはり会計情報として、いろいろ経営の会計が出てくるんですが、それと非財務的な情報をどうすり合わせていくか。

 例えば、修繕しますと、やはり部分的によくなるんですね。そうすると、使用期間が延びる。それを財務会計にどういうふうに反映していけばいいのか、経営計画にどういうふうに反映していけばいいのかというところが、実はまだ世界的にも議論は確立していない。それに向かって、今、ISOの世界ではどういうふうにすべきか、あるいは、日本がこれからどういうふうに考えていけばいいのか、そこにこれからの課題が残されている、こういうふうに思います。

 高速道路会社、償還期間が延びた、この時間、その中で、長期的、計画的にインフラのマネジメント、これをどういうふうにやっていくべきか、その経営の方法論を確立していくべきだ、こういうふうに思っております。今、世界的にもそれはスタート点に立ったばかりだというふうに申し上げたいと思います。

 それから、最後は、技術の継承と発展でございますが、これは、先ほど、石田委員、それから朝倉先生から、かなり詳細な意見を言っていただきましたので、私が屋上屋を重ねる必要はないと思いますけれども、新しい技術を導入していく、それから、やはり技術者の高齢化が非常に大きな今問題になってきています、その技術の継承、そういう意味でも、高速道路会社の経営計画の中で計画的に進めていっていただきたい。それがひいては日本のインフラの、インフラ輸出というのはずっと課題になっています、なかなかまだ難しくて実現できておりませんけれども、それの大きな支えになる、そういうふうに信じております。

 以上で私の説明を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

木原委員長 ありがとうございました。

 次に、上岡参考人、お願いいたします。

上岡参考人 おはようございます。上岡でございます。

 本日は、発言の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 お配りの要旨に従って、五点ほど口頭で述べさせていただきます。

 一点目は、料金徴収期間延長の時期についてです。

 これは、先ほど御指摘ありましたように、令和九十七年というような長期予想は余りにも不確実要素が多過ぎて、なかなか合理的な説明は困難ではないかと思います。

 今、道路公団民営化から二十年弱経過しておりますけれども、その間だけでも、相当な、いろいろな社会経済的変化が起きているわけであります。

 その前に、なぜこのような繰延べが繰り返されたのか、大きなイベントだけでも三回ほどあったかと思いますけれども、その原因の明確な説明とか是正が伴わなければ、やはり、利用者の方、あるいは国民の方の理解を得られないのではないだろうかということであります。

 二点目は、事業に関する予測の不確実性についてです。

 これは、資金計画、償還計画等に大きく影響するわけでありますが、一つ具体的な事例を取り上げて説明いたします。

 私、横浜市に在住しておりますけれども、現在事業中の横浜環状南線という事業がございます。事業延長九キロ弱のところです。

 この事業、平成七年の都市計画決定で、そのとき、事業費二千億円とされていたところ、つい先日、監視評価委員会で、令和五年一月、七千九百二十億円と約四倍に膨張しています。この間、物価指数はたかだか一〇%程度の変化ですから、インフレというようなことではないわけです。

 最近は資材高騰等も挙げられておりますけれども、以前から、数年ごと、事業監視評価委員会のたびに、変更や追加として一千億、二千億と積み増しが報告されて、結局今、四倍ということになってしまいました。しかも、いろいろな遅延要因が発生しておりまして、供用時期が不明というような状況であります。

 事業延長僅か九キロほどの一つの事例でこのような状態ですから、これではやはり、令和九十七年というような、長期的には余りにも不確定要素が多過ぎて、合理的な説明は難しいのではないかと思います。

 三点目は、需要予測等に関する疑問についてです。

 これも、資金計画、債務償還計画に大きく影響いたします。そもそも、道路公団民営化の発端となったように、過大な需要予測とか楽観的なGDP予測というものが指摘されておりました。

 現在は、当時より更に二十年近く経過して、人口減少等の環境は更に厳しくなっております。また、施工環境も今後はより難しい場所に造るところが多くなってくると思います。例えば、大深度工法で、調布の事故等、問題も発生しているような状況があるわけです。

 横浜環状南線の事例を再度を挙げますと、平成十七年、第一回事業監視評価委員会がありましたが、そのとき、費用便益比、いわゆるBバイC、これが二・二とされておりましたが、それが令和四年、第六回のその委員会では、BバイCが〇・八に低下しています。すなわち、一・〇を割ってしまったわけです。

 現在は、高速道路イコール有料道路ではなくて、いろいろな財源スキームがつくられております。今後、高規格幹線道路を整備する区間というのは、非常に不利な状況が増えていくわけであります。将来的な人口動態は、社会保障・人口問題研究所、社人研等によって予測されておりますけれども、大都市以外では人口の減少が非常に顕著であると予測されているわけであります。

 今延ばしているところ、これは有料道路事業でない枠組みもありますけれども、いずれにしても、数十年のうちに、言い方は悪いですが、道路ができた頃には誰も使う人がいない、無人地帯に向かって高速道路を延ばしているようなものではないかという懸念もあるわけです。

 このような点から考えましても、令和九十七年というような遠い将来の評価ではなく、もう少し現実的な評価というのが必要ではないかと思うわけであります。

 四点目は、事業評価に関する疑問についてです。

 もちろん、事業評価というのは、費用便益比だけではなく、国土強靱化とか防災とか、その他いろいろ経済効果等から総合的に判断すべきであるということはいいんですけれども、元々評価基準に不明瞭な部分が多い、あるいは、恣意的な評価が可能な部分が多いというように思われます。

 例えば、便益を算出する場合、便益を集計する道路ネットワークの範囲をどこまで取るかというようなことによって結果が大きく異なってきます。

 国交省では費用便益マニュアルを提供しておりますけれども、そこには標準的な算出手法が記述されてはいるんですが、抽象的な文言になっておりまして、ある意味では恣意的な運用ができるようになっています。

 事業評価監視委員会、あるいは、それに類するいろいろな評価の場ですね、委員の方々から様々な議論が出ているのですが、それが事業にどのように反映されているのか、前述の事例のように、事業費が四倍にもなって、チェック機能が実質的に機能しているのかということについても疑問があるわけであります。

 なお、付言いたしますと、利用者に対する説明もそうなんですが、やはり、事業実施に際して、住民の方が直接影響を被るわけであります。有料道路事業に限らず、全国で紛争が起きております。制度的には土地収用法なども関連します。本日はその議題ではありませんので言及しませんけれども、やはり、道路事業全体についての評価、情報公開、住民の意見反映というような点からも、これをしっかりしないと、全体的な、合理的な説明というのは難しいのではないかと思います。

 それから五点目は、道路は全体ネットワークとして捉えるべきということであります。

 そもそも、高速道路を利用するには、必ずその前後に一般道路の通行、あるいは、自宅の周辺で街路の通行が必ず介在するわけであります。実は、こうした一般道路、街路の走行環境というのはかなり貧弱なわけであります。歩道もない、子供が車にひかれるとか、そういうこともしばしば起きている状態であります。

 先ほども触れましたが、現在は、高速道路イコール有料道路ではなくて、いろいろな財源スキームがあります。大きく分けると四つぐらいでしょうか。

 日本では有料道路という言い方がありますけれども、そもそも無料道路などというものは存在しないわけでありまして、これは、先ほど参考人の先生方から何回か御指摘がありましたように、費用と財源の負担をどうするかというスキームの違いであるわけです。

 利用者は、今自分が走っている道路がどの財源スキームかなどと意識して走っているわけではありません。日本の道路全体をネットワークとして捉えるべきであって、本日の議題ではないとしましても、有料道路事業の無料化云々だけの議論では済まないのではないかと思います。

 また、付言いたしますと、今後数十年のスパンで少なくとも考えるわけですから、そうすると、化石燃料を使用しない自動車、特に乗用車についてはですが、置き換わっていくわけです。そうしますと、今の燃料課金による道路財源調達というのはできなくなるわけで、早晩、距離課金に移行せざるを得ない、そういうことも出てくると思います。

 このような状況になりますと、単に有料道路事業だけの問題でない、財源スキームを日本の道路ネットワーク全体について大きく組み替えるということが不可避なわけでありますし、また、国土強靱化とか防災等の観点でも、有料道路事業だけの問題では済まないと思います。

 いずれにしましても、有料道路事業をいつ無料化するかという点だけではなく、本日の議題ではありませんけれども、やはり、日本の道路ネットワーク全体をどうするのかということについての全体的な議論を広げていくことが必要であり、また、それをしないと、本件の議題についても国民の方々の了解を得られることは難しいのではないかというふうに思うわけであります。

 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

木原委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中村裕之君。

中村(裕)委員 おはようございます。自由民主党の中村裕之です。

 参考人の皆様には、大変貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございます。法案審議に参考にさせていただくために質疑をさせていただきます。

 平成二十六年から法定化された点検によりまして更新が必要な箇所が明らかになりまして、それらの財源を確保する上で、料金の大幅値上げによらないで確保する上で、債務償還期限を延ばしていくということになるわけでありますけれども、これは点検によって明らかになったものですから、事業箇所や事業の投資額なんかもある程度明確になって、国民の皆様に説明ができるという状況にあると思います。

 ただ、石田先生と小林先生にお伺いしたいんですけれども、点検以外の方法で、将来にわたる更新の需要を推測し、それを国民の皆様に明らかにしていくということが可能であるのかどうかということについて、一点伺いたいと思います。

石田参考人 石田でございます。

 私、必ずしも専門ではございませんので、後で小林先生から補足していただけるかと思います。

 議員おっしゃるように、点検結果を、予防保全も含めて、将来の維持管理費用の推測あるいは予測に持ち込む、非常に精度高く持ち込むということは極めて難しいことだというふうに考えてございます。使用条件が違う、あるいは気象条件が違う、あるいは、あってはならないことではありますけれども、施工の条件も違ってまいります。ようやっと十年間綿密なデータが取られたところでございます。

 二点分かっておりますので、増加傾向にあるということは明らかになってきておりますけれども、これが今後ますます加速度的に必要になるのかどうか、あるいは、予防保全ということを現実に積み重ねた上で、それが定量的にどのような効果を持つかということは、今後にまつところが大きいということは事実だと申し上げざるを得ません。

 いろいろなところで頑張っておりますけれども、もう少し時間がかかるものじゃないかなというふうに思料してございます。

小林参考人 点検以外に方法はあるのかということですが、残念ながら、現在の科学技術の範囲では、やはりどうしても点検をせざるを得ないという状況にあると思います。長期的に見れば、物性工学とかそういうものを活用してということも可能にはなってくると思いますが、まだ半世紀か四半世紀の時間はかかるのではないか、こういうふうに思っています。

 それよりも、点検の精度とか、やはり点検にもいろいろな方法があります、点検の技術の向上といいますか、技術革新、それが今望まれているのではないか。あわせて、最終的には人間が判断するものですから、AIとかいうのを導入も可能ですけれども、点検の精度をどう維持できるか、それが課題になっている、そういうふうに申し上げたいと思います。

 以上です。

中村(裕)委員 まだちょっと時間がかかるようでありますから、点検によってこれをしっかりと国民の皆様に説明していくことが重要だというふうに私も考えております。

 今回の法案で、財源を確保する中で、高速道路の進化についても非常に重要なテーマになってくると思います。

 恐らく、国際的に見ると、日本の高速道路ネットワークというのは脆弱性があるというふうに私は思っていまして、ミッシングリンクもありますし、一車線の、暫定二車線の高速道路もかなりあるわけでありまして、私はこれはしっかり四車線化を進めるべきだというふうに思っています。

 この点について朝倉先生からも御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

朝倉参考人 御質問ありがとうございます。

 私の意見の中でも申し上げましたように、暫定二車線の区間というのは、高速道路のネットワークがカバーする領域を、急いで、できるだけ早く拡大するということを狙いまして導入された考え方でありまして、したがって、あくまで暫定ということであるというふうに認識しております。

 高速道路が安全で快適なサービスを提供するためには、暫定二車は全く十分とは言えません。また、国際的に見ましても、暫定二車線の高速道路区間というのが多く残っているというのはもう本当に我が国ぐらいでございまして、速やかに四車線化を進めるべきというふうに考えてございます。

 ありがとうございます。

中村(裕)委員 大変ありがとうございます。

 全くそのとおりだと思っていまして、例えば災害時、また交通事故のときでも、暫定二車であると完全に通行止めになってしまいますけれども、四車線あることによって交通が確保、又は復旧が早くできるということは非常に重要なことだと思っていまして、私は北海道なんですが、北海道は暫定二車線が非常に多い。トラック協会からは、暫定二車線のところも同じ料金を取るのかと、そういう意見もいただいているところでありまして、これらはしっかり進めていく必要があると思います。

 次に、上岡先生にお伺いしたいんですが、上岡先生はネットワークで道路を考えるべきだというお話をしていただきました。ネットワークということは、有料道路も、有料道路から降りたところの一般道も含めて、しっかりネットワークを確保しなければならないわけですけれども、私、雪国なものですから、非常に気になっているのが、長時間にわたる立ち往生が、高速道路でも、また、その周辺の一般道でも同時に起こるという状況がここ数年多くなっているように思います。

 高速道路の維持管理の上では、除雪というのが非常に重要な要素だというふうに私は考えておりまして、冬期間の交通の確保は非常に重要だと思っているんですが、だんだんに、ドライバー不足もあって、オペレーターさんの人も高齢化をしているし、大変な状況にあるわけです。

 そこで、有料道路の民間の会社であるNEXCOさんの除雪と、国の方の国土交通省の除雪がもっともっと連携をしていくべきではないかと思うんですけれども、何かいい方策がないか、ネットワークの確保の上で何かアドバイスをいただければありがたく思います。

上岡参考人 雪の問題は確かに御指摘のとおりであります。

 一つ言われますのは、道路の格付といいますかランキングといいますか、高速道路が一番ランクが高いものであって、次が一般道路、そして街路という位置づけがされますけれども、これは逆じゃないかという御意見もあるわけです。使う人にとっては、自分の家からも出られなければ高速道路も何もあったものではない。

 そういうことから考えますと、除雪に限りませんが、いろいろな、特に山の中の県道とか、ひどいところがあります。そういうところも併せて、総合的に利用者の方の使いやすいような道路体系というのを考えていく必要があるのだと思います。

中村(裕)委員 ありがとうございます。

 確かに、近隣にお住まいの方も利用者ですし、長距離を移動する方も利用者ですので、そうした全体のネットワークの中でどういう方法がいいのか、それぞれが自分の管理をしているところだけを考えるのではなくて、連携をして全体最適を求めるような仕組みをつくっていくべきでないかなというふうに私も思っていますので、参考にさせていただきたいと思います。

 高度化の中で、もう一つお伺いしたいのは、インターチェンジ間の間隔なんですね。これもなかなか、日本の間隔というのは広いんじゃないかなというふうに、長過ぎるんじゃないかなと思うんですけれども、朝倉先生と小林先生、どのようなお考えか、少しお聞かせいただけますでしょうか。

朝倉参考人 ありがとうございます。

 高速道路のようにアクセスコントロールされた道路ではインターチェンジがどうしても必要なんですけれども、それを多く設けるというのが必ずしもいいかというと、これは分流部とか合流部がネットワーク上にできてしまいますので、必ずしも安全で円滑な道路交通には貢献しない場合もあります。

 かといって、出入りを確保するということは重要なので、一つの考え方は、既存のサービスエリアあるいはパーキングエリア、そういうところを上手に使って高速道路に出入りできる、いわゆるスマートインターチェンジですね、そういったものを運用していくということが重要なのかなというふうに思います。

 また、インターチェンジの中には出入口の方向が限定されたものもございまして、そうすると、そういった場所の改良が有効になるということもありますし、それから、高速道路と高速道路を上手につなぐ、これはいわゆる都市高速道路でいうと渡り線と呼ばれているものですけれども、こういったものを上手に入れていくことによって、その機能を最大限に発揮するということだと思います。

 ただし、こういったことをやりますと、当然、交通流に非常に様々な影響が出てきますので、それがどういうふうに影響が出て、特に安全と円滑にどういう波及がするかということを十分に分析した上で導入していくことが重要であるというふうに考えます。

 ありがとうございます。

小林参考人 今、朝倉参考人が述べられましたように、例えばスマートインターチェンジなんという新しい方向性が出てきて、これを推し進めていく必要があろうかと思います。

 やはり、ネットワーク全体としてシームレスな交通流を維持するようなインターチェンジ設計というのは当然必要ですが、先般のあの大雪のときに高速道路上で非常に車が滞留してしまった、そういう場合、防災用のためのインターチェンジ、そういう新しい仕組みというのもこれから考えていく必要があるのではないかな、そういうふうに思っております。

 以上です。

中村(裕)委員 防災用のインターチェンジというのは、やはりあの立ち往生の状況を見ると、必要になるのかなというふうに思います。非常にいい御助言だというふうに思っています。

 もう時間も大分迫ってまいりましたが、法案と直接というより、私の考えを少し述べますけれども、やはり分散型国土を形成していく必要があると思うんですね。大規模な災害のリスクを減らしていくということもありますし、分散型国土を形成していく。

 私、結構田舎の方に住んでいるものですから、それで、田舎に住んでいて、仕事がない、子供の学力の格差が心配だ、こういったことはリモートで大体不安が解消されますけれども、リモートにできないのは出産と救急医療なんです。これをカバーする、不安を解消していく上では、やはり高速道路の整備というのは非常に有効なわけです。

 もちろん物流もそうですけれども、リモートにできない分野をカバーする意味で高速道路は非常に重要なんですが、費用便益分析ですね、費用便益分析の中で、社会的割引率というのが、こんなに金利が安いのに、まだ相変わらず四%になっているんですよ。これというのは、国が投資機会を失っているのではないかというふうに私は思っているわけです。

 この点について、石田先生からコメントいただいて、皆さんに聞きたいんですけれども、時間の関係で、石田先生からコメントいただきたいと思います。

石田参考人 議員おっしゃるとおりだと考えておりまして、四%というのはいかにも高いというふうに思ってございます。

 これは、将来に対しての投資を妨げているという面が非常に大きいかなというふうに思います。高速道路だけではなくて、地球温暖化問題も全くこのことが言えるかと思います。

 ただ、現下の金融状況等を考えますと、この低金利状況がいつまでも続くということを考えていいほど楽観できないとも思っておりまして、その辺も英知を集めて議論していくということが大事だと思います。

 ありがとうございました。

中村(裕)委員 ありがとうございます。

 国土交通省の方にこの社会的割引率の話をしましたら、そんな要望は地方から上がってきていないというんですよね。それは、みんな、BバイCが一いかないからといって国に上げないから、届かないんですよ。ところが、地方にはBバイCが足りないんだという悩みがいっぱいあるわけです。

 この投資機会を逃さないために、十年国債の金利と連動するような、そんな社会的割引率にしていくべきだと私は思っていまして、これからも後押しをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

木原委員長 次に、末次精一君。

末次委員 おはようございます。立憲民主党の末次精一でございます。どうぞ今日はよろしくお願いいたします。

 私は、まず、道路政策の基本、あるべき姿という原点に立ち返って質問をさせていただきたいと思います。これについては既に参考人の方から御指摘もいただきましたけれども、まず、特措法二十三条を踏まえて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、皆様にお伺いしたいと思います。

 大規模更新等を想定した計画策定の必要性について質問させていただきます。

 構造物の劣化予想を正確に見通すということは困難であり、置かれている状況や使用形態等で耐用年数が変わることは理解しております。これは先ほど小林参考人の方からも、インフラの劣化の予測というのは難しいという御指摘があったとおりでございますけれども、その一方で、構造は劣化するということは当然でありまして、更新や大規模な修繕が必要となるということは想定される。

 一つの目安といたしまして、税法上適用される耐用年数などを参考に、更新や大規模修繕が必要となることを前提とした計画を立てておくことは可能である、策定は必然であったと思います。これは先ほど、これも小林参考人の方から、ある程度の確率をもって予測されるというふうな御指摘もあったとおりでございます。

 先月二十九日の本委員会におきまして、大臣から、民営化当時において、将来の更新の必要性は認識していたという発言もありましたけれども、更新等を見込んだ計画を策定していくことが必要なのではないか。これまで更新等を見込んだ計画が策定されてこなかったことにつきまして、参考人の皆さんの御意見を伺いたいと思います。

石田参考人 なかったというふうには私は考えておりませんけれども、弱かったということは言えるかと思います。そのことが明確になりましたのがやはり笹子トンネル事故でございまして、それから今の整備、点検システムが法定化されて、ようやっと、おぼろげながら実態が分かってきた。二回点検を繰り返した段階では、かつてない、かつての予測、予想を上回るような重大な問題であるということがデータとして示されたという、そういう段階であろうかと思います。

 これを更に科学的に正確な予測にするということは、残念ながら、まだしばらく時間がかかるのかなというふうに考えております。

 ありがとうございました。

朝倉参考人 ありがとうございます。

 建設当初から、日々のモニタリングや、あるいは日々の点検、こういったものをきちっとやれば、相当に長い間、その道路はもつだろうというのが当初の想定で、そのお金は当然計画に入っていたかと思うんですけれども、私の意見の中でも申し上げましたように、当初では見込めなかったように、非常に大量でかつ重量が重いような交通が道路を利用するということも一つの理由となって、非常に道路のダメージが大きくなり、それがようやく点検によって明らかになってきたのが、ここ十年ぐらいのオーダーでそれが明らかになってきた。

 したがって、今後は、点検によって明らかになったことを計画の中に反映して、それを進めていくということが極めて適切であるというふうに考えますし、そういった意味で、点検をきちっとやって、それを将来の安全な道路に反映していくということが大切なのではなかろうかというふうに思う次第です。

 ありがとうございます。

小林参考人 道路公団の民営化が行われたのが二〇〇五年、その当時のことを振り返りますと、先ほどクリントン政権で一九九〇年代に一斉に大きな更新がなされたと言いましたが、ちょうどこの民営化の頃にアメリカでミネソタの橋が落橋いたしました。その頃から慌てて、世界的に、やはり計画的な修繕の在り方、そういうことの必要性が認識されました。

 先ほど申しましたように、二〇一七年に国際標準であるISO/TC251ができた、それが私は計画的アセットマネジメントの元年だ、こういうふうに思っております。その後、すぐコロナに入ってしまったんですが、これから計画的な維持補修といいますか、それに向かって努力をする、そういう絶好のタイミングだったのではないか、そういうふうに思っております。

上岡参考人 私も担当者の方々におかれては全く考えていなかったということではないとは思うんですけれども、明治時代の鉄道建設で建主改従という言葉がございましたけれども、やはり全体の流れとしてそういう背景があったということで、改が従になってしまったという傾向はあったかと思います。

 あともう一つは、やはり高速道路とか、先ほども申し上げましたが、一般道路とか、そういういわば縦割りの中で、なかなかトータルな見方ができてこなかったのではないかということであります。

 国交省で道路構造物点検データベースというのを公開しておりますけれども、それを見ますと、一般道路でも、もう至るところ、地図が真っ赤に埋まってしまうくらい構造物の危険性があるわけで、もし一般道路で一か所でも例えば橋が落ちたというようなことになると、もうそもそも高速道路まで出られない、そういうことであります。ただ、財源が、幾ら財源を調達するにしても、財源が無制限にあればいいですけれども、そうではないので、有限でありますから、道路全体のネットワークとして考えて、どういうふうに保全、修繕、更新の予算を配分したらトータルで国民のモビリティーが最大限保障されるかという観点での検討というのが必要ではないかと思います。

末次委員 ありがとうございます。

 これも皆さんにお伺いしたいんですけれども、想定される大規模更新等を全て含めた計画を前提とした料金制度の在り方ということで、料金水準等は、交通需要や金利など様々な予想を立てながら、一定の仮定の下で決定をされております。更新需要についても、構造物の劣化は必然であることから、供用から五十年ぐらい経過すると更新需要が発生してくる可能性は想定できると思います。

 更新が明確になった箇所だけ対象として、その都度水準を検討するのではなく、想定できる更新需要を見込んだ更新計画の下で料金制度の在り方を考える必要があるのではないかと思いますが、簡単に御答弁いただければと思います。

上岡参考人 これは、道路公団民営化はしたわけですけれども、やはり公共財であるということから考えますと、先ほども申し上げましたけれども、トータルな観点で、例えば、私は時々携帯電話の例を挙げるんですけれども、もし本当に地域ごとにそういう費用負担のものを決めるのであれば、人口密度の少ないところほど料金が上がってしまうということになるわけですけれども、そうではないわけで、やはり全体として機能を発揮するためには、その配分というものをどうやって考えるかということをもっと議論すべきではないかと思います。

小林参考人 先ほども申し上げましたように、やはり更新計画も含めてきちっとした経営の計画、これを立てていく、そういうタイミングに来たんだろう、そういうふうに思っております。

朝倉参考人 御指摘の点は、まさに不確実性の下でどうやって意思決定をしていって、それを計画に反映するかということだろうというふうに認識します。

 これについては、点検の結果、明確になったところを新たに計画に入れていく、そして、その計画を一定のピッチで見直していく、今の場合は十年ピッチで見直していく、こういうことによって不確実性に対処するというのが自然な考え方ではなかろうかというふうに思う次第です。

石田参考人 基本的には議員のおっしゃるとおりだと思います。

 ただ、問題は、私は特にこういうことを専門にやっているものですからあれですけれども、バランスの問題だと思います。想定が過度になってもいけないですし、あるいは過小になってもいけない。そのためのデータの蓄積とか解析とか、あるいは技術的展開をどう踏まえて、どうバランスよく考えていくかということが大事だと思っております。

末次委員 ありがとうございます。

 これは冒頭に私は申し上げましたけれども、特措法二十三条というのは、料金徴収の根拠は、償還期間内の料金収入、これが、道路資産の貸付けそして会社が行う維持修繕、これらの費用を足したものでなければならないというふうになっております。しかし、この法令違反を今日まで続けてしまった。その結果が、しわ寄せとして、この長期の償還期間の延長という話が出ているものと私は思います。

 これは石田参考人と上岡参考人にお答えいただければと思いますが、これは、先ほど石田参考人も、令和九十七年はいかにも先であるという印象は否めないとおっしゃったとおりだと思います。上岡参考人も、令和九十七年まで延長するということについての合理的説明は難しいと御指摘もされたことであります。

 そういうことで、この償還主義というのはもう限界になっているのではないかということで、これまでも国土交通省の審議会の答申等で、高速道路の維持更新、大規模更新等の必要性について指摘されていたにもかかわらず、この特措法第二十三条に定められた貸付料の中に、償還期間内に必要となることが想定される更新や大規模修繕を含めない形での費用が算出され、料金水準が決められてきたわけでございます。

 国土交通大臣は、先月二十九日の当委員会で、技術的に難しかったと答弁されておりますけれども、想定される更新等を見込まず料金水準を決めることは法令違反であり、更新事業の追加により料金徴収期間が延長され続ける仕組みは、償還主義が破綻しているということを意味すると私は思っておりますが、この償還主義に対する参考人の御意見をいただきたいと思います。

石田参考人 ありがとうございます。

 償還主義は、本当に個人的な意見ではございますけれども、先ほども申しましたように、受益と負担の関係をいま一度ちゃんと考えますと、やはり高サービスには高負担をしていただくという、そういう償還主義じゃない、特急料金主義みたいなものに切り替えた方がいいのではないかなというふうに思ってございます。

 ただ、今直ちにというと、それはなかなか難しい問題が多々あろうかと思いまして、維持管理、大規模更新というのはその中の筆頭の問題だと思いますけれども、それについていま少し、データも集まりつつありますし、いろいろなところで科学的な研究も進んでおりますことですから、いましばらくきちんとした議論をすべきではないのかな、今直ちにというのはちょっと危険なような気がいたしております。

上岡参考人 有料道路事業という枠の中で考えれば、今御指摘のように、破綻と言っても、現実にそういう状況だと思うんですが、ただ、既に直轄方式とか、そういう有料道路の枠でないものも、やはり利用する側から見れば、同じように高速道路として利用しているところもあるわけであります。

 ですから、枠の中では破綻かもしれませんが、これは一遍全体的に解体して見直すというような議論がやはりどうしても避けられないのではないかと思います。

末次委員 大変参考になりました。ありがとうございました。

木原委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会の一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 私からは、償還期間が終われば無償になるということですけれども、結局、なかなか終わらずに、令和九十七年まで続いていくということになりますと、やはり、なかなか納得がいかない国民の方も多いのではないかなと思っております。

 また、高速道路を無償化にしてしまえば、非常に経済が上向きになって財政再建に結びつくというような意見がシンクタンクから出ているのもちょっと読んだこともあるんですが、この有償か無償かというところに、我々、日本維新の会としても、やはり決断というか、党の方針を決めていかねばならないというふうに思っております。

 そこで、高速道路を無償化したときに本当に財政が上向きになっていくのかというところの御意見がもしありましたら、お聞かせいただきたいと思います。これは、参考人の先生方、全ての先生に、石田先生からお伺いできたらと思います。

石田参考人 無償化ということでございますけれども、現実にはなかなか難しいものではないかなというふうに思ってございます。

 と申しますのは、ミッシングリンクの問題とか、暫定二車線問題とか、あるいは自動運転に向けたいろいろな投資があります。そういう財政需要がこれからも続いていくということと、あとは、維持管理費が相当高額に上っております。

 意見陳述の中でも申し上げましたように、一兆二千億、これをどうするか、それを補って余りある経済発展が見込めるかということは、なかなか難しいんじゃないかなというふうに思ってございまして、そのためにも、長期の、本当に受益と負担の関係をいろいろなところで、百花繚乱の議論が進展することを期待してございます。

朝倉参考人 ありがとうございます。

 高速道路の高度なサービスをこれから先も維持していくということを考えますと、そのためには相当の費用もかかりますので、それを料金で賄うという考え方はそれほど無理な考え方ではないというふうに思います。

 それから、無償化ということですけれども、確かに、料金を課金しないということによって便益が発生するような地域がある、地域というかケースがあるということ、これは十分に認められます。

 しかしながら、大きな需要が、道路を利用しているようなときに料金を課さないと、かえって状況が悪くなるということもありますので、料金額を上手に調整をして、そして、高速道路を含む道路ネットワークシステムを有効に使うということを考えていくということが大事なのかなというふうに感じております。

 以上です。

小林参考人 償還主義といいますか、更新したインフラというのは、新しいインフラができるわけですから、それのサービスは、今の世代だけじゃなしに将来の世代も利用する、負担していただく、そういう一定の理論的なバックグラウンドがきちっとあったからだろう、こういうふうに思うんですね。

 一方、道路というのは、いわゆる地方公共財といいますか、そこに住んでおられる方が主としてやはり利用されている、そういうところがありますので、受益者負担という原則、これもやはり必要だろう、こういうふうに思います。

 それから、有料か無料かという話になってきますと、やはり、規律づけといいますか、経営的センスを持ってきちっとプロフェッショナルがそこをメンテナンスしていく、やはりそういうガバナンスがどうしても必要になってきますので、私は、有料化制度が必要だろう、そういうふうに思っております。

 以上です。

上岡参考人 無償化ということになりますと、じゃ、その財源をどこから調達するかということになるわけで、基本的には税負担ということになるかと思います。

 高速道路無償化によって、より活用して経済効果があるということで、回り回って税に還流してくるという効果があればいいんですけれども、それはちょっと慎重に検討する必要があるのではないかと思います。

 それから、やはり、先ほども御指摘がありましたように、地域ごとの不公平とか、税負担となりますとそういうことが出てくるわけであります。現在のガソリン税等でも、やはり地域ごとの不公平という議論がいろいろ出ているわけであります。

 その辺の議論を慎重に検討いたしませんと、無償化ということについてはいろいろ問題が多いのではないかというふうに思います。

一谷委員 ありがとうございます。大変参考になります。

 ここは、我々は政治家として、やはり国民の皆さんに姿勢を示していく必要もあると思います。私も無償化というのはなかなか難しいなと思うんですが、やはり、償還期間が非常に長いということを考えますと、どこかで無償化は無理なんじゃないかということを決断しなければならないと思うんですが、これを今決断する方がいいのか、先でまだまだ議論してからの方がいいのか、それか、決断せずに、技術の進歩もいろいろあると思うんですが、そういうのを待ちながら議論を更に深めていった方がいいかというところの、大変難しいと思うんですが、何か御意見、我々に、私にいただければ非常にありがたいなと思いますので、石田先生の方からよろしくお願いいたします。全ての先生方にお聞きしたいと思います。

石田参考人 物すごく難しい問題だと思います。学者から言うと、非常に条件をきめ細かく設定して議論をするのに慣れておりますので、我々にそういう決断をするというのはなかなか難しいことでございます。

 先生方の知見を決して疑うものではございませんけれども、むしろ、こういった公の場で、しかも、国会という高い権威の場でそういう議論を活発にやっていただければ、これに勝るものはないというふうに考えてございますので、よろしくお願いをいたします。

朝倉参考人 料金体系の在り方については、我が国のこれまでの歴史的な経緯も踏まえて検討する必要があるというふうに感じておりますし、そのことについて、様々な、よりベターな料金体系の在り方について継続的に広く議論をしていくということが重要なのではないかというふうに感じます。

 以上です。

小林参考人 先ほど、更新と償還の関係を、意見を述べさせていただきましたが、その一方で、維持補修というのは、それぞれの利用者が傷めたその時代が負担するというのが一つの原則になっています。そういう原則で動いているということ、料金という形になってしまうと全てがプール化されてしまいますので、そこの中身がどれだけ国民の皆さんにお分かりいただけるか、その見える化、経営情報の中身、計画の中身、それを伝える努力といいますか、そういうことがまず大前提にあるのではないか、そういうふうに思っています。

上岡参考人 この問題、恐らくどちらになっても賛否両論出ることでありまして、これはやはり、何らかの決断を国会の場でしていただくということにせざるを得ないのではないかというふうに思います。

一谷委員 ありがとうございます。

 今先生方からお話しいただいたとおり、やはり、決断をする、採決をする、政策を立てたプロセスをできるだけこういう場で聞いていただいて、判断をするのを国民の皆さんに見ていただくということの回数を多く、密度を多くするということが必要なんだということを一つ学ばせていただきました。

 先ほど、石田先生からも小林先生からも、やはり道路会社の経営センスが問われるというお話をお伺いしているんですが、少し今回の法案とずれるのかも分からないんですが、私は、関西ですので、いつも阪神高速を見上げながら、そこの下にワイヤを張って荷物を移動させられるんじゃないかとかというのを妄想するんですけれども。せっかく民営化したんですから、やはり、高速道路事業だけではなく、これは法律の改定が必要と思うんですが、荷物の運搬や人の輸送ということも手がけていくことによって、料金を高くしないで済む、また、人口減少の日本の社会に非常に有効ではないかと思うんですが、各先生から、また石田先生から、もし御意見がありましたらお伺いできたらと思います。

石田参考人 高速道路だけではないんですけれども、特に都市部において、最大の、国民全てに共有のオープンスペースというのは、実は道路空間でございまして、これをこれから、都市のために、人間のためにどう使っていくかというのは非常に大きな課題だと思います。

 そういう中で高速道路としてできること、あるいは、その中でいろんな商売をしていくことというのは非常に重要だと思います。それに向けての、今、機構法とか高速道路会社法がそうなっているかというと、必ずしもそうでない部分も多数あろうかと思いますので、その辺も重要なポイントとして、今後、議論が進んでいけばいいなというふうに考えました。

 ありがとうございました。

朝倉参考人 高速道路会社が行うビジネスについてということだと思います。

 これまで高速道路会社は、道路をきちっと造って、それをメンテナンスして、それを上手に使ってもらうということが最大の使命であったということです。これからもそのことは変わりないと思いますけれども、これからの道路の進化を考えたときに、新しい物流のシステム、あるいは自動運転、それから、場合によってはエネルギーに関すること、こういったことに高速道路会社がビジネスの範囲を広げるということはこれからもあり得るんじゃないかというふうには感じております。それは各高速道路会社の工夫ということかと思います。

 ありがとうございます。

小林参考人 高速道路会社が新しいビジネスモデルを広げていく、それは大賛成なんですが、もう既に、例えば明石大橋、あれはもちろん高速道路として使われているんですが、同時にあそこは水道管が走っているんですよね。淡路島に上水道を供給している、そういう役割を果たしております。

 ただ、それが会社として、ビジネスとして行われているかどうかというところはまだまだ距離があろうかと思いますが、やはり、高速道路空間というのは、非常に国土面積の、しかも重要な場所を占めておりますので、そういう道路空間の高度活用という新しい道を開けるよう、是非いろんな法改正をお願いいたします。

 お願いは以上です。

上岡参考人 私も高速道路の活用ということを幾つか考えておりまして、先ほど一谷先生はちょっと夢みたいなこととおっしゃったんですが、一つは、今出ましたように、ライフラインへの利用というのはかなり重要だと思います。

 ああいう細長い土地が全国を縦貫しているというのは、道路ともう一つは鉄道がありますけれども、今、再生可能エネルギーの導入が非常に急務とされているときに、その連系送電線の整備というのが重要になっているわけであります。そうすると、今は、例えば住宅地に送電線を張るなどということは大変抵抗が大きいと思いますけれども、道路を送電線に活用するというようなアイデアというのも、ちゃんと専門的に検討していないんですが、アイデアとしてはそういうようなこともあり得るのではないかなというふうに思っております。

一谷委員 ありがとうございます。

 やはり、アイデアを出して、法改定をして、経済力を上げていくということが大事だということを、非常に今勉強になりました。

 時間の関係もあるんですが、今回、新規事業は二車線から四車線のみだというふうに私は認識しているんですが、自動運転のお話が今たくさん出ました。やはり、専用レーンであったりとか、その専用レーンにうまく走ってもらうためのいろんな装置をつけていかないといけないと思うんですが、そのための予算措置を早くして実行していかないと、二〇二五年には自動運転を走らそうという話なんですが、なかなか実際にならないんじゃないかなと思うんですが、時間の関係もありますので、短く一言ずつ、各先生から、石田先生からお伺いできたらと思います。

石田参考人 自動運転あるいはIT化に向けた進化というのは非常に大事な問題だと思っておりまして、それも受益と負担の関係で申し上げますと、受益者から負担してもらう、自動運転サービスを受ける人からのみ負担をしてもらうというと、これは早く広範に普及しないわけでございまして、そういう観点から、国の関与、税投入というのは国策として非常に重要だなというふうに思ってございます。

朝倉参考人 高速道路の進化ということだと思います。これは、車とそれから道路がより協調するような形で、それが進化していくということなんだろうと思います。

 これまで、高速道路があるということがよい車を造るということに貢献したという、そういう面もありますので、むしろ、高速道路がよりよい空間であることによって車の方もより進化するという、こういうメカニズムもあろうかと思いますので、そういう関係性を重要に考えていくべきじゃないかというふうに思います。

 ありがとうございます。

小林参考人 自動運転の政策は、やはりめり張りをつけてやることが極めて重要だ。日本の道路空間全ての自動運転はいつのことになるか、ちょっと先が読めませんけれども、例えば、高速道路上の自動運転、今のドライバー不足であるとか働き方改革、これを考えれば、ある意味で待ったなしになってきている。そういう実効性がすぐにでも望まれるところ、そういうところで戦略的に進めていただければ、そういうふうに思っております。

上岡参考人 自動運転、高速道路では比較的ハードルが低くなっていると思うんですけれども、ただ、自宅から高速道路に出るまでの自動運転、一般道での自動運転というのは非常にまだ厳しいところがあると思います。その辺を考えますと、総合的には、私の意見としては、ちょっと慎重に考えるべきではないかというふうに思っております。

一谷委員 大変勉強になりました。ありがとうございました。

 これで質問を終わらせていただきます。

木原委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 早速、限られた時間ですので、質問に入らせていただきます。

 これまでの質問と重なる部分もありますけれども、今回の法案の本質的なところですので、私からも改めて四人の先生方にお伺いをしたいと思います。

 今回の法案は、あくまでも、利用者負担、高速道路料金によって更新のための財源を確保するということでございます。

 一方で、先ほどの質問にもありましたとおり、高速道路を無料化して、しかし、無料化をしても道路の更新需要というのは必ずございますので、無料化をするということは税金で対応するということだと私は認識をしますけれども、この方法はあり得る、方策としてはあり得ると思います。

 しかし、私は、個人的には、やはり料金を払って時間を買うというのが高速道路だと思いますので、これを無償化をして税で対応するというのは、少し、どうなんだろうという考え方の持ち主でございますけれども、このメリット、デメリットについて、先生方にまず御意見を頂戴したいと思います。無償化をして税で対応するということについてのお考えです。

石田参考人 私は、個人的には反対でございます。受益と負担の関係をやはりもう一度きちんと考えていただくということで、しばしば言っておりますけれども、特急料金的サービス、先生今まさにおっしゃったような、そういう感覚を国民の皆さんに広く持っていただくということが大事だと思います。

朝倉参考人 更新の財源に税金を投入するという考え方が全く駄目というふうには言えないかと思いますけれども、私は、料金収入による方が適切であるというふうに考えます。

 これは、高速道路の建設費や日常的な維持管理費、これは利用者からの料金収入で賄っているというのが現状でありますので、更新に関する費用についても料金で賄うという考え方が適切なのではないかというふうに思います。

 以上です。

小林参考人 私も、基本的には、受益者負担という料金制度、これを維持すべきである、そういうふうに思っております。

 それから、高速道路という高度なサービスを維持するため、そのためには、先ほども申しましたように、やはり、非常に専門的な技術、プロフェッショナルな技術、そういう組織が、あるいは事業体が規律づけを持って進めていく、そういうためにも料金制度は不可欠だ、そういうふうに思っております。

 以上です。

上岡参考人 これは先ほど申し上げましたが、既に、有料道路方式によらない実質高速道路というのもたくさんあるわけであります。そうしますと、非常に不公平ではないかというような意見も聞く機会があるわけであります。そういうことから考えますと、やはり、もう少し全体的にシステムを組み直すということが、その議論から始めないといけないのではないかというふうに思います。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 先生方の御意見、よく参考にさせていただきたいと思います。

 もう一つ、やはり高速道路料金に関係して御質問です。

 今、上岡先生もおっしゃったとおり、その全体のシステム、料金の在り方というのは多種多様で、知恵の出しどころだと思っております。

 それで、特に、地方活性化という観点で、考え方の一つとしてあるのではないかなと思っているのが、今いろいろな世界でかなりよく出てくるサブスクですね、定額制で使い放題という料金の在り方。多分、地方なんかに行くと、うまく使うと活性化につながるのではないか。ただ、具体的に、どういうふうに、どこでサブスクをセットすると非常に効果を発揮するのかというところまで、私も思い至っておりませんけれども。

 これも四人の先生方に、突然の質問で恐縮なんですけれども、何か思うところがあれば、高速道路料金におけるサブスクについて、御意見頂戴できればと思います。

上岡参考人 そうですね、例えば、私、子供の頃なんかを考えますと、高速道路を走るというのは非常に特別なことであったわけであります。しかし、今、皆さん、もう日常の交通手段として使っているわけであります。

 そういうことを考えますと、やはり定額制、ちょっと具体的な制度設計、具体的に思いつきませんけれども、サブスクという考え方も、これはあり得るのかなというふうに思います。

小林参考人 まず、サブスクという考え方を住民の方々にどういうふうに御理解いただくか。そこには多少の時間がかかるんだろう、こういうふうに思っています。

 今、地方公共交通の料金の問題、それも地方にとっては大きな問題で、そこに、今、サブスクを導入するかどうか、まだ研究レベルですけれども、そういうことをやっていることは事実ですが、やはり、地域の住民に道路を資産として認識していただく、そういう方法としては非常に重要な手法の一つだろう、こう思いますが、その導入に当たって、いろいろ検討を積み重ねていくべきタイミングかな、そういうふうには思っております。

朝倉参考人 ちょっと一般的な回答になると思いますけれども、定額制にはメリットもデメリットもあると思いますので、メリットがデメリットを大きく上回るような地域では有効かもしれません。

 例えば、高速道路の容量に大きな余裕があって、地域の活性化に大いに貢献できるというところでは有効な施策になり得るかもしれません。

 ただし、その場合でも、定額制を導入することによって、どういうふうな交通流動に影響が出るのか、これは高速道路だけではなくて、一般の道路であったり、あるいは、鉄道等の公共交通も含めて、どういう影響が出るのかということをきちっと見た上で導入していくということが大事かなと思います。

 また、定額制を導入すると、ほかのケース、ほかの地域等にとっては、ちょっとアンフェアかというふうに言われることがないとは言えないので、そういったことが起こらないかどうかということも、併せて慎重に検討すべきというふうに考えます。

 以上です。

石田参考人 定額制というのはあり得ると思います。ただ、幾つか条件があろうかと思います。

 一つは、やはり、高速道路をより有効に活用するという点が明確であること。あるいは公平性、地域間の問題、あるいは加入者とそうじゃない人の間の問題がないかどうか、あるいは、それが地域経済に更に発展するかということであろうかと思います。

 そのようなことも含めて検討をしていただければと思います。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 それでは、小林先生に、陳述の中でアセットマネジメントのお話に触れていただきましたので、御質問をしたいと思います。

 この使用期間の延長を経営計画にどう反映していくか、こういうところは議論中だというお話だったと記憶をしましたけれども、私は、この二〇一七年に確立をされたアセットマネジメント、このアセットマネジメントも含めまして、いろいろな世の中の動きの中で、これは私の受け止めですけれども、いわゆるプラットフォームを我が国がきちっと関与してつくり上げるということが、いろいろな分野で、少し苦手なのか、あるいは、そういうことに関心がないのか。

 個別の技術は大変高いものがあっても、最終的に、何か、プラットフォームを我が国が関与できない結果、我が国が持っている高い能力、技術を、適正な評価を受けられていないのではないかと思うことが、いろいろな分野で私は感じながら仕事をしておりまして、今まさに議論中であり、これから確立をしていくというお話でしたので、是非とも、アセットマネジメント、インフラのアセットマネジメントは極めて重要ですので、現在、我が国の関与、そして、我が国の世界的なポジションといいましょうか、そんなところを是非御教示いただければと思います。

小林参考人 非常に重要な御質問をいただきました。

 日本がプラットフォームを確立するのが非常に苦手な国だというのは、逆に海外でも有名になっておりますね。プラットフォーマーがなかなか育たない。それは、この国の独特の例えば雇用慣行とか、そういうのもあると思います。

 海外は、いわゆる終身雇用制というのがない国ですから、全てトップダウンで、マニュアルで決めていく。プラットフォームもある意味でトップダウン的に、ある技術が支配してつくっていく、そういうところなんですね。

 それに反して、日本はやはり、一方で、現場力は非常に強い。その現場現場に応じた技術のありようというのをつくり上げてきた国、それも一つの生き方だろう、こういうふうに思います。やはり、現場力の強い日本、それにふさわしい日本的なプラットフォームのありようというのか、いろいろなステークホルダーが協力し合えるような、そういうメカニズムの設計をやっていく必要があるんだろう、こういうふうに思います。

 とりわけ、この間、先般の雪の問題ですね。いろいろなところが協力し合えるような、そういうメカニズムがどうしたらつくれるのか。今、いろいろなDX、この国でも、デジタルトランスフォーメーション、DXの進展が声高々に呼ばれていますけれども、そういうDXの進展と、そういう日本型プラットフォームの進展、これを併せて推進していく必要があるんだろう、それは強くそういうふうに思っております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 残り時間僅かですので、もう一問、済みません、連続で小林先生にお伺いしたいと思います。

 アセットマネジメントを行う中で、我が国は、全体としては人口が減少してまいります。当面、いわゆる生産年齢人口はこの二十年で約千五百万人減少し、六十五歳以上人口は三百万人増加をする、これでトータルとして人口が減少していきます。マクロで考えれば、インフラも縮小していく必要があるということになると思いますけれども、これは、我々、逆に、政治的な立場に立ちますと、インフラを縮小していくということは、極めて政治的プロセスが難しいかじ取りになります。

 政治的なかじ取りを先生に御指導いただくのもおかしなことなので、インフラマネジメントの上で、人口減少社会におけるありようについて、残りの時間で御教示いただいて、私の質問を終わりたいと思います。

小林参考人 インフラの縮減という問題、これは、私が会長をしておりました土木学会でも非常に重要な問題として議論を重ねてはきております。

 ただ、現実から見れば、インフラも劣化していきますが、地域の過疎化のスピードの方が速いんですね。だから、インフラが劣化する以前に地域が消滅していっている、そういう問題があると思うんです。

 だから、いち早く、地域が消滅する前にインフラを縮減するという話は、私は、いかがなものか。サービス水準を落としても、ある程度、中長期的にインフラというのは維持できますし、そういう段階的な戦略といいますか、それよりは、過疎化の問題というか、そちらの方の緊急度の方が高いのではないかというのが、私の個人的意見かも分かりませんが、そういうふうに考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 私も、土木工学で修士を修めまして、学生時代は学会にも入っておりましたが、今はちょっと学会に入っていないと思いますので、しっかりそうした知見も生かしながら、今日の御指導をしっかり生かして、これからも取り組んでまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久でございます。

 本日は、参考人の皆様方には大変貴重な御意見を拝聴させていただきまして、誠にありがとうございました。

 まず、私から四人の方に率直な感想をお伺いしたいと思うんですけれども、今回の法案、評価される方、三名の方は今回評価されたという感じで私は受け止めましたけれども、ただ、聞いておりますと、いろいろ問題もあるということです。

 評価の一つとして、これからちゃんと、今後の維持管理に必要な財源がこれで確保できると。そうなりますと、これはメディアなんかでも、この法案が発表されたとき、これは事実上の永久有料化だと。だから、形はまだ、いつかは無料というんですけれども、事実上、これは永久有料化だ、そういう見方をメディアなんかはされているんですけれども、そうした見方については、参考人の皆さん方はどのようにお考えになられるでしょうか。

石田参考人 二一一五年というのは相当先でございますので、誰も生きていないということでございますので、そういった観点からは、事実上の永久有料化であると言われても仕方ないかなというふうに思っておりますけれども、でも、償還主義というのは死守しておりますし、そのことの判断をどうするかというふうな考え方もあり得るかなというふうに思いました。

朝倉参考人 ありがとうございます。

 二一一五年というのは、五十年単位で見直していく償還計画のお尻を二一一五年にしましょうという、こういったことだと思います。

 この償還計画をこれから二一一五年までの間に何度か作り、検討していくということになろうと思いますけれども、その途中のプロセスで、将来、更にその先の将来の料金体系をどうするかということが議論されるということになろうと思います。それが永久有料化ということなのか、あるいはまた、ほかの料金をチャージするということなのか、あるいは料金を取らずに税金でやりましょうということなのか、そういった議論が深まっていくのではないかというふうに感じます。

 以上です。

小林参考人 二一一五年というのはいかにも遠い先の話ではございますけれども、百年前を振り返ってみて、百年先の人が今のことを想定できたかというのはなかなかしんどいか、こう思うんですね。

 二一一五年、更新といっても、同じ道路を同じように造り直すということがいつまでも最適であるという保証はどこにもない。道路空間を使って、また更に高度なインフラになってくる可能性もありますし。

 だから、永久有料化というのは、今ある施設を永久に有料にするという意味であれば、これはやはりちょっと違うのではないかな、そういうふうな印象を持っております。

上岡参考人 有料道路事業という枠で考えれば、永久有料化と言われても仕方がないと思いますけれども、先ほど申し上げましたとおり、そもそも日本中に無料道路というものはないわけで、どこかで誰かが費用を負担しているということでありますから、永久有料化はマスコミ的には面白いキーワードかもしれませんが、道路の費用、便益、負担ということについてもう少し丁寧に説明するということが必要ではないかと思います。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 我が国民民主党は、正直な政治、偏らない政治、現実的な政治、これをモットーにしておりますが、この道路の話は、今お話が参考人の皆さんからありましたけれども、制度上は確かにまだ償還主義で、いつかは無料と言っていますけれども、事実上は、これは誰も、完全な無料というのはない。最後に上岡参考人からもお話があったように、どこかで負担しなきゃいけないですから、そういう無料のものはない。

 そういう意味でいうと、いつまでもこだわるということが、もうそろそろ、そこはちゃんと現実を見据えて、では、現実を見据えた上で、今日の上岡参考人からもお話があったように、どう建設費用、あるいは維持管理の費用、またあるいは道路を活用する費用、それをどういう形でちゃんと負担するのか、そういう議論をしていかないと、いつまでも、なぜそこまで償還主義、そしていつかは無料にする、こだわらなきゃいけないのか。

 この辺、ちょっと私はどうも理解できないんですけれども、参考人の皆さん方、これもちょっと簡単に、感想で結構ですが、どこから無料にするという今までの高速道路のこの考え方に、どうしてここまでこだわる、誰もそんなの信じていないのにこだわらなきゃいけないのか。どんなふうに感想としてお持ちになっていらっしゃいますか。

上岡参考人 ちょっと私も、その辺、舞台裏のことを知っているわけではないので分かりませんけれども、やはり余りにもちょっと、令和九十七年などというのは不確実に過ぎるということで、もう少し短いといいますか、現実的なマイルストーンを置いて考えるということが必要ではないかと思います。

小林参考人 私は、国民の皆様が無料化ということをどういうふうに捉えておられるのか、その辺が、やはり何かデータを集めて調べてみる必要はあろうかと思いますけれども、専門家としては、もうとっくの昔に、無料の道路なんというのはないというのが当然だ、こう思っていますけれども、一つの国民的なコンセンサスとして、それをどういうふうに育成していけばいいのか、この辺は、こういう言い方をしたらよくないかも分かりませんが、興味がありますというふうに申し上げておきたいと思います。

朝倉参考人 今の制度というのは、我が国が非常に貧乏でお金がなくて、したがって、世界銀行からお金を借りて高速道路を造って、そのお金を順次返していったという、そういう歴史的な経緯があって今の制度があるんだろうというふうに思います。

 ですので、当面、その制度を踏襲して継続的にやっていくということは自然かなと思いますけれども、委員の御指摘のように、それ以外の料金体系の議論を全くしないということを、否定しているわけでは必ずしもありません。

 ですので、これは先ほども申し上げましたけれども、よりベターな制度の在り方、料金体系の在り方について今後も引き続き議論していくべきというふうに感じております。

 以上です。

石田参考人 ありがとうございます。

 なかなか難しい問題はいろいろあろうかと思います、とっくに御案内のことだと思いますけれども。例えば、固定資産税問題なんかが結構大事な要素として絡んでおりまして、これは決して道路の中で済む話ではございません。あるいは、税負担をどなたにお願いするかというときは、本当に非常に巨額のお金が必要な分野でもありますので、これは本当に財政面からの幅広い議論が必要かと思います。

 そういう議論が本当に行われているかといいますと、なかなか行われていないという状況は現実のものだと思っておりまして、そういうことに議論の輪をどう広げていくかということが本当に緊急に問われていると思います。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 高速道路は、まさに地域を活性化していくとか、あるいは日本の経済を活性化していく、そういった役割をこの今の時代にどう果たしていくか、果たすように、やはり便益を最大にしていくように、そういう形で活用していくということが、せっかくのインフラですから、大事なことだと思うんですね。

 しかし、やはり償還主義にこだわったことによって何が起きているかというと、先ほど、今日の参考人の皆さん方は、これ以上料金を上げちゃいけないんだ、だからこういう形でよかったと言われましたが、逆に言えば、この償還主義にこだわっているからこそ、ここまでに返さなきゃいけないという、今の料金の体系が、いわば面積が決まっている、それを逆算しますから、分けるので、この料金という、これを永久有料という形にすれば、今の使っている人たちの料金をもっと安くすることができる。

 今の日本のまさにインフラ、先ほど伊藤さんのお話にもありましたけれども、どんどんこれからインフラは減っていくんじゃないかと。その大きな要因の一つが、やはり人口の減少ということですよね。この人口減少、特に地方からどんどん人口が減少している。やはり、その状況を生んでいくのは一極集中とか。

 やはり、この距離の問題。本来は、高速道路というのは、距離が離れていても、それをスピーディーにつなげていくということで距離の問題を解決するという、そういう効果があるべきものが、逆に、かなり日本は世界に比べても非常に料金が高いということで、せっかくの高速道路の、そういう距離の離れているところを高速ネットワークによって距離を縮めるという効果を減殺している部分があるわけであって、そういうふうにいったら、少しでも今の料金を下げるということ、これは無料化を諦めて、無料化するということをやめて永久有料という形にすれば、これは今の料金というのが下げられることにつながって、そのことによって地域の活性化、そうしたものにつながっていくんじゃないか。

 ですから、高速道路を本当にやはり活用していくということを考えたら、今もうフィクションになってしまっている、いつか無料にするということにこだわって、そこから逆算している今の料金体系を見直して、そして、当然、その費用の負担は何らかの形でしていかなきゃいけない。それは、財源論として、今日、上岡参考人からお話があったように、考えていかなきゃいけない。

 しかし、少しでも今のこのネットワークを活用するために、そうした視点から、では、料金を少しでも下げるためにはどうしたらいいかという観点から考えたら、これは永久有料という形を取ると料金の引下げということが可能になってくる、それはこの高速道路を非常に活用していくことにもつながると思いますが、参考人の皆さん方の御意見を伺いたいと思います。

石田参考人 ありがとうございます。

 先ほど、意見陳述の中でも、高速道路だけに限らず、上岡参考人がおっしゃいましたように、道路全体のネットワークとして負担と受益の関係をどう考えていくかというのは極めて大事だと思います。

 今、そういう意味でいきますと、もう随分前なんですけれども、二十世紀の本当に最後の頃に、イギリスで、全国的な道路から走行に対して料金をいただくという検討がなされました、実現しませんでしたけれども。

 そういう中で議論されたのは、当時のガソリン税と違った形でやるんだけれども、国民の総負担は変わりません、ただ、渋滞の問題、CO2の問題、事故の問題で、これだけうまく設定すればうまくいきますよという、そういう試算がなされました。その後、引き続いて、オランダでもそういう試算がなされましたけれども、これも残念ながら実現いたしませんでした。

 いろいろな問題があろうかと思います。それだけ難しいことだと思いますけれども、そういうことに向けての本当にいろいろなところでの議論が今こそ必要だというふうに私は思っておりますので、よろしくお願いいたします。

朝倉参考人 御指摘の点は、今設定されている五十年というその償還期間をもっと長くすれば料金を下げられるのではないかという、そういう御指摘だろうと思います。

 そうしますと、借りたお金を返すための期間を長く取ると、その計画自身の不確実性が大きくなると思います、いろいろなことを見通さないといけないので。そうしますと、その計画自身の、責任ある計画というのを作ることが更に困難になるというふうに思いますので、五十年程度のその償還期間を設けて計画を作るということは悪くないのではないかというふうに感じています。

 以上です。

小林参考人 国民に料金のことを御理解いただく、ここの努力はやはりしていかないといけないと思います。どういう説明の仕方をするのがいいのか、それはいろいろ多方面から検討していく必要があろうかと思います。

 その一方で、料金を下げる、こういうお話を、その側面に絞らせていただければ、これまでも申しましたように、やはり経営計画というのか、道路計画が、会社がきちっとした計画を立案し、とりわけ、インフラによったら予防保全、小まめに直していくということが結果的に長期的な費用を削減するということもよく分かっておりますので、そういうところの計画的なガバナンスというのか、それをまず確立をきちっとしていくということの重要性、それも大いにあるのではないか、そういうふうに思っております。

上岡参考人 今、料金を安くすればいろいろ便益が発生するという御趣旨だと思うんですが、その安くするということを推し進めていくと無料に行き着くわけで、ですから、有料か無料かというのは対立する議論ではなくて、連続線上にあるのかなというふうにも思うわけであります。

 そうすると、究極的に税で負担するということになると、それによって便益を受ける人が広く浅く負担するという形にもなってくるわけでありますから、その辺の、どういうメカニズムでどうなるんだということをもっと丁寧に説明するということが必要ではないかと思います。

古川(元)委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

木原委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、四人の参考人の皆様、御出席いただいて、貴重な御意見をいただきました。ありがとうございます。

 四人の皆様がいずれも、審議会の委員だったり、あるいは二〇一四年の法改正の際に参考人として出席をされたり、この間の法改正の経過をよく御存じと思われます。

 そこで、四人に同じ質問をさせていただきたいんですが、二〇一二年の笹子トンネル事故を受けて、四兆円程度の更新事業が必要ということで、債務返済期間を十五年間延長して、二〇六五年までとしました。元々は、四十五年間、二〇五〇年までで確実に債務返済可能なのかということ自体が議論されたことだと思います。

 当時の審議では、更新費用の必要性については想定していたと答弁がありました。また、そもそも審議会自身が、二〇〇二年以降、適切な投資を行い、修繕を行うべきだ、そうしなければ近い将来大きな負担が生じるということを繰り返し警告をされていたと思います。

 なぜこの警告が無視され、盛り込まれなかったのか。二〇一四年の改正でも十五年延長という、このやり方では、まだ反省が生かされていなかったのではないかというふうに思いますが、御意見を伺います。

上岡参考人 これは、具体的な真の事情というのは私も推定することはできませんけれども、同じ財布の中から新設も更新も修繕もするということになるとすれば、やはりその配分の偏りがあったのかな、どうしても新設優先という背景があったのではないかというふうに思っております。

小林参考人 インフラの劣化とか修繕の必要性というのは、抽象的な議論は随分昔からやっておりました。ところが、それが本格的にきちっとデータに基づいてやられるようになった。それは先進国の米国ですら二十一世紀に入ってから、そういうことを先ほど申し上げました。

 日本も米国の動きというのを横目で見ながらいろいろな検討を続けてきたんですが、笹子の事故がやはり大きな引き金になって、そこから急ピッチでメンテナンスのサイクルというのを導入してきて今の制度的な基盤ができ上がった、こういうふうに思っています。

 二〇一四年の時点でどの程度劣化が予測できたか。その時点で目に見えて悪い箇所、それは日常的な点検を通じて現場は分かっていた、それを積み上げて先般の二〇一四年の更新の需要を算定した、こういうことですが、その後、いろいろデータを蓄積してきまして、やはりインフラ構造物の劣化というのは元に戻らない、どんどんどんどん進んでいくものだろう、そういう認識が出てきて今般の法改正に至ったと。それは私自身としては、学会としても極めてこれは自然の流れだった、そういうふうに理解し、評価しているところです。

 以上です。

朝倉参考人 様々な経験を経て、点検をきちっとやって、それに基づいて更新事業を進めるというこのスキームが採択され、今、その一回目のサイクルが動いているという、そういう状況だろうと思います。ようやくそこまで来たというふうに言えるかもしれません。

 ですので、今後は点検の精度を、クオリティーを更に高め、よりよい更新事業、更新の計画というのを、より今度は精度、アキュラシーの高い計画を作っていって運用するということが重要なんじゃないかなというふうに感じます。

 以上です。

石田参考人 そういう議論が行われたということは事実でございます。私自身もそういう議論の輪の中に参画をさせていただいておりました。当時、正確に覚えているかというと余り自信はないんですけれども、抽象的な必要性とかは議論しておったと思います。

 ところが、やはり国民の皆さんに負担をお願いするというのは、これは非常に大きなことでございまして、そのことに対して、この箇所をどうする、その危険度はどれぐらいのものであるかという、そういう明白なエビデンスがないということもあって、当時、私は関与しておりませんけれども、そういう最終的な意思決定の場でどういう議論がされたか知りませんけれども、やはり、想像だけですけれども、自信がなかったんじゃないかなというふうに思います。

 その自信を持って、どううまく政策決定していくか、そのための基盤条件をどう整えていくかということに関しては、我々もちょっと貢献が少なかったかなという、そういう反省はしておりますけれども、それを今こそやはり逆転させて積極的にやっていく、そういう出発点の一つが今般の法律改正案かなというふうに私自身は考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 二〇一四年のときに更新の費用の見積りというのが四兆円だったと思います。それが諸物価の高騰などで今年一月末では五兆四千億円ということで膨れ上がっているわけですよね。

 それが、トータル百年近く延ばしたにもかかわらず、NEXCO三社、首都高、阪神のそれぞれの高速会社の試算した更新費用の合計は、五百四十四キロ、一・五兆円になるわけです。そうすると、年間の維持管理費が全体で一・三兆円と比べても小さいのではないかと思うんですね。

 先生方が今御答弁いただいたように、抽象的で全部を見積もるのは難しかったと、もし、おっしゃるのであれば、私はそれでもいいと思うんです。つまり、分かった時点できちっと国会に諮るというふうにして、四十五年です、六十年です、百年ですみたいに、そこで区切って、全部終わりますよというふうな説明の仕方がいかがなのかな、このように思うんです。

 ちょっと時間の関係でお二人に、小林参考人と朝倉参考人にこのことを伺います。

小林参考人 前回の二〇一四年の維持更新費が非常に、四兆円になったという、これは高速道路が建設された当時のいろいろないきさつが多分あったんだろう、こう思います。

 やはり、最初の東京オリンピック、それに合わせて非常に急いで造った、そういうところもありますし、いろいろな技術基準、技術標準もなかった時代のインフラですから、やはり更新とか維持補修には相当費用がかかった、こういうことです。

 その後、いろいろな地震とか災害の経験を踏まえて、いろいろな構造物の技術基準も進歩してきましたし、先ほど申しました予防保全というのか、予防的に直すという話を導入すれば、かなりの程度、維持補修、修繕費を低減させることができる。そういう不断の努力を続けていくことによって、先ほどから出ている、やはり料金の負担を下げる努力をしていく、そういうモードに入ってきたんだろう、そういうふうに思います。

朝倉参考人 提案されている枠組みというのは、五十年を一つの期間として、その中で点検をやったもの、それで明確になったもの、それを更新事業の計画に反映して、そしてそれを進めていく。それは、更に十年ぐらいたてば、それを更にまた見直すといいますか、新たに追加するものをその中に加えてやっていくという、そういうスキームで動いているというふうに思います。

 もちろん、点検するものについては、日々のメンテナンスの中で発見される非常に重大な欠陥もあるかもしれないし、また、数年に一回、五年に一回程度と思いますけれども、詳細な点検をして、その計画、場合によってはそこで発見されたものを更新事業に反映していく、それが十年に一回、新たに計画に追加されて運用されていくという、そういうスキームであろうというふうに認識しておりまして、それはおおむね適切な枠組みなのではないかというふうに理解しております。

 以上です。

高橋(千)委員 問題は、その更新事業が五年、十年でその都度見直して、それが適切であるかどうかを判断するのが、国会できちっと議論できればいいんですが、裁量が任されているんじゃないか、そのことが非常に疑問に思うわけなんです。

 そのことを朝倉先生にお答えいただきたいのと、石田先生と上岡先生に、ちょっと一緒に聞いてしまいますけれども、やはり、さっき私が更新の費用が前回よりも少ないけれどもと言いました。それと併せて、今回は更新、進化が入っておりますので、この進化の中で、新規の道路建設も含めて、かなり幅広いものを含んでいるんじゃないか。そうすると、なおさら見えなくなってしまう、それが裁量を任されてしまうんじゃないかというふうに思うから聞いております。これについてどう思うのか。

 上岡先生は先ほども、新設も更新も修繕も一つの財布の中で、やはり新設が優先されてきたと御指摘されたのは、本当に私もそのとおりだと思っています。

 そういう意味で、きちっとそこが分からないままになっているというのが気になるんですけれども、お答えをお願いします。

朝倉参考人 十年に、新たに見つかったといいますか、点検の結果、明らかになった大規模な修繕が必要な箇所を次の計画にどういうふうに反映していくかということについては、これは非常に慎重にそのことを判断して計画に反映していくべきというふうに思うところであります。

 また、それはしかるべき議論を経てそのことがなされるということは、あってもいいことなのではなかろうか。それがどの場で議論すべきかということについては、ちょっと私はそこまで言及する立場ではございません。

 以上です。

石田参考人 石田でございます。

 情報公開とか公の場でどう議論を進めるかということだと思っておりまして、残念ながら、最近、国土交通省だけではないかも分かりませんけれども、そういうのが少し衰えているといいますか、陰ってきているなというふうに思わなくはないです。

 非常に具体的に申し上げますと、道路公団の民営化のときにオープンにされていた情報を道路局にリクエストしますと、いや、これは非公開ですというようなことが私の身にもございましたので、そういうオープンネスということをやはりきちんと、こういう大きな負担を国民の皆さんにお願いするわけですから、そこはきっちりしないといかぬのかな。

 そういう努力がまだまだ足らぬのじゃないかなというふうに思っている次第でございます。

上岡参考人 先ほど、例えば更新費用五・四兆とかいう数字がありましたが、恐らく担当省の方にしてみれば、もっとやればやりたいというところもあるんじゃないかと思いますが、これは更新、修繕にしても、やはり優先度があると思うんですね。

 まず、人命に関わるようなこと、それから、やればその便益が高まるようなこと、それから、これはやればやるにこしたことはないというようなレベルがあると思います。その辺の評価をどうやってオープンに公正にできるかということだと思います。

 個別の箇所ごとに国会で審議するわけにいかないですから、それはちゃんとオープン、公正な機関を整備して、それから、先ほどありましたように、情報公開というような点、それをオープンにした上で公正中立に評価するというような枠組みを設けるということが必要ではないかと思います。

高橋(千)委員 それぞれ貴重な御意見をありがとうございました。

 石田先生の情報公開の問題点や、上岡先生は最後に、評価をどれだけオープンにしていくかということ、まさにそのとおりだなと思って聞きました。国土審議会の部会のホームページなども、最近のものはほとんど議事録も載っておりませんし、そういう意味では初歩的な情報公開がそもそもされていないじゃないかということを非常に思うわけです。

 そういう意味で、やはり長いスキームを取ったら、その間、あと何を入れ込んでいくのかというのが逆にかなり自由度が広がって、かつ我々は分かっていないということはやはり避けるべきだと思いますので、これは次に政府に対しても質疑していきたいと思います。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 無所属五人で有志の会という会派を組んでおりまして、そこの福島伸享でございます。

 今日は、四人の先生方、ありがとうございます。

 この法案を見て、一番違和感を感じるのは、先ほど来議論になっておりますように、二一一五年という、ここにいる人が誰も生きていない期間まで有料を定めるということを我々の世代でやることに果たしていいのかという妥当性の問題と、あと、二〇〇四年、小泉政権のとき、私も内閣官房で別の仕事をしていたんですけれども、隣の部署で道路公団民営化というのをやっていたわけですね。

 道路公団民営化というのは、民間にすれば、民間の経営判断に基づいて道路が造られ、借金も返され、どんどん安くなっていって無料化していくんだという夢の下やったんだけれども、今までの議論を聞いていくと、道路公団民営化なんて忘れ去られたような議論ばかりされていて、果たしてあの道路公団民営化以降の高速道路行政は何だったのかという総括がないこと、この二点がこの法案に対する大きな私は違和感のように思うのであります。

 まず、そうした観点から上岡先生にお聞きしたいんですけれども、先ほど御説明で、るる、例えば、資金計画とか債務返還計画がころころ変わるとか、事業予想とか事業評価が甘いとか、様々な話がありました。私は、民営化するかどうかという違いは、受益者負担とかいろいろな考えもあると思いますけれども、ガバナンスの違いだと思うんですね。

 公がガバナンスをするのか、あるいは、民間が自分でお金を借りるからこそ、マーケットのガバナンスを受けることが効率的なのかという違いが、民であるのか官であるかの違いであると思うんですけれども、そうした、先ほど日本に無料の道路はないとおっしゃったのはおっしゃったとおりでありまして、ガソリンスタンドでガソリンを入れるときに払う税でやってあとは役所に任せるのか、それとも、我々が料金を払った方がガバナンスが利くのかという違いが、民営化されたのか公であるかの違いなんだと思いますけれども、そうした観点から見て、今回のこの制度はうまくいく制度と思われるのか。その点についてちょっとお聞かせください。

上岡参考人 そうですね、こういうインフラに関することでは、道路に限りませんけれども、幾つか大きく分ければスキームがあって、公設公営、それから公設民営、民設民営、いろいろあるわけでありますけれども、道路公団民営化と称しておりますけれども、何か曖昧な形でずっと来ているということではないかと思います。

 そうしますと、建前としては民有民営になったわけでありますけれども、そうすると、やはり、国全体のインフラとして考えた場合、それではできないところが出てきて、結局、直轄方式というようなことも出てまいりまして、まだその辺、整理がよくできていないのではないかなと思うんですね。

 ここで、何か永久有料化というようなキーワードで、ちょっとやゆしたような言い方もされていますけれども、これを機会に、やはり、高速道路に限りませんけれども、社会インフラの在り方というもの、その経営の在り方というもの、これをもう一回見直すという機会にすべきではないかというふうに思います。

福島委員 ありがとうございます。

 ということは、民営化して、民間がお金を借りることによってガバナンスを利かせるという仕組みが、今回の制度改正によって、より複雑になり、利かなくなっているというような趣旨なのかなというふうに理解をいたしました。

 その上で、次に、アセットマネジメントの専門家の小林先生にお聞きをしたいんですけれども、道路公団民営化というのは、民間会社が、建設を行い、管理を行い、料金徴収を行う。一方、機構という公の機関が道路の保有を行って、債務返済自身はその機構を通じて行うという仕組みが今回の日本の民営化の仕組みなんですが、その結果、その結果というか、その前からですけれども、先ほど古川さんがおっしゃったように、世界一高い高速道路料金、しかも、今回、二一一五年まで世界一高い高速道路を取り続けるという仕組みなわけですね。

 これからインフラ輸出とかを考えたときに、当然、高速道路の建設から料金徴収の仕組み、資金調達の仕組みまでのワンパッケージを本当はインフラ輸出できればいいんだと思うんです。さらに言えば、新たな技術も含めて、それができればいいと思うんですけれども、こうした現在の日本の高速道路料金の仕組みというのは、世界のインフラ輸出に堪え得るような競争力のある仕組みと思えるのかどうか。その点についての認識をお伺いしたいと思います。

小林参考人 非常に難しい御質問をいただいた、こういうふうに思いますけれども。

 国際的に日本の仕組みが競争力があるかどうか。日本の今の高速道路の制度をそのまま採用している外国は、私の知っている範囲の中ではございませんけれども、ただ、高速道路会社に道路公団を分割・民営化して二十年たっております。その間に、プロパーの技術有識者、あるいは、それぞれの会社の中での技術開発というのも、これも非常に進展して、目をみはるものがあると思いますね。その技術の中には、私は、世界にインフラ輸出して持っていける、そういう技術もいろいろあろうかと思います。ただ、そこがなかなか、日本の、まだ高速道路の輸出というのがはかばかしくも進んでいない場面もありますけれども。

 世界が今動いているのは、先ほど、ISO/TC251という話をしましたけれども、やはり、フルセット、道路の建設ということだけじゃなしに、維持補修、アセットも含めた丸ごとの仕組みというのか、そこにも技術があると思うんですよね。それで、それは新しくできたプロパーの、私は技術屋を信じたいと思います。そういう技術を海外に輸出できる場面というのは、これからも大きいんじゃないか。そういう意味で、先ほどから、アセットマネジメントの計画というのか、それをきちっと作るような体制をつくりたい、つくってほしい、こういうふうに申し上げております。

福島委員 私がお聞きした趣旨は、技術的なアセットマネジメントだけじゃなくて、ファンディングも含めたシステムとしてのアセットマネジメントの話だったんですけれども、時間がないので、この先に進めます。

 済みません、あと六分しか。後でゆっくり御教示いただければと。済みません、ありがとうございます。

 朝倉先生にお聞きしますが、国土幹線道路部会長として、この方向を取りまとめられたと承知をしておりますけれども、石田先生が、令和九十七年はいかにも先であるという印象は否めないとか、上岡先生も、令和九十七年などという長期予想は不確実に過ぎ、国民利用者に対する説明は困難ではないかと。まさにそうだと思うんですね。

 我々国会議員も、この法律の審議をやる以上、有権者の皆さんに説明しなきゃならないんですけれども、なぜ二一一五年なんですか、何度も延長したとしても。結局、更新のためのお金を取っていくとなれば、更新はずっと生まれるわけですから、二一一五年などで区切れるはずはないですよね。なぜ二一一五年にしたのか、私たちが国民の皆さんに説明しやすいように、ちょっと教えていただけませんでしょうか。

朝倉参考人 私が説明するのが適任かどうか、若干心もとないところもありますけれども、私の理解している範囲では、五十年を一つの区切りとして、修繕の計画あるいは進化の計画を立てて、それを推し進めていく、それを、そのサイクルを何度か繰り返す、そのエンドが二一一五年、こういう理解なんですね。(福島委員「何で二一一五年なんですか」と呼ぶ)ですので、そのスキーム自身は、今新たに始まった一回目のサイクルが動いていて、それは、何度かそれを繰り返してやっていきましょうということだろうと思います。

福島委員 何でその繰り返すのは二一一五年で終わるんですか。

 だって、我々、法律で決めるわけです、二一一五年で無料にしますと我々は国民の皆さんに自信を持って言わなきゃならないんですよ。でも、今の説明だと、取りあえず一回延ばして、まだ延ばすということですよね、二一一五年に終わりますということを確信を持って言えないとこの仕組みは完結しないのでありまして、まだ二一一五年から延びる可能性があるんだったら、私は、一回こっきり、二〇七三年でまず切った上で、その後で問うのが筋であって、それは立法府の人間としての良心だと思うんですよ。

 二一一五年と法律に書き込む以上は、二一一五年で終わるということを国民の皆さんに説明できなきゃ法律にならないと思うんですけれども、その点を我々はどう説明すればいいんでしょうか。

朝倉参考人 大変難しいところだと思いますけれども、二一一五年、相当先でございますので、その間に高速道路自身が一体どういうふうに使われて、また進化していくかということは、それはこの十年の区切りの計画の中で随時見直しながら、切ってやっていくことになるだろうと思います。

 二一一五年から先、どうかと言われても、今の時点でそれを見通してこれがこうだと言えること、ちょっとないんじゃないかなというふうに思いますので、それは引き続き議論していくことになるんじゃないかと思います。

 以上です。

福島委員 これは、立法府の役割として、こんなおかしな法律はないと思いますので、あした厳しく議論していきたいと思っております。

 最後、石田先生、私が筑波大学で講義させていただいたとき、大変お世話になりました。ありがとうございました。

 先ほどおっしゃった、料金かどうかというのを超えて、例えば、高速道路の進化、高度化に対応した、IT技術を生かした新しい技術、その対応のインフラ整備などに何らかの形で、料金なのかどうかは分からないけれども、利用者に分担を求めるというのは、私はそのとおりだと思うんですね。

 ただ、そのときも、やはり、この高速道路、民営化を考えなきゃならなくて、どうしても新しい技術を導入するというのはリスクがあると思うんですね。民間会社が行うとすれば、リスクのない段階で自らの投資が回収できることをやらなきゃならないと思うんです。

 ただ、今、世界中が新しい技術競争を行っていて、例えば、無人運転になって、ITとつながって、渋滞予測なんかもできて、その瞬間に渋滞しそうだから値段を上げるとかという制度、私は、二一一五年というんだったら、もうすぐそばの二〇四〇年とか五〇年ぐらいには、もう全然早いときにそういう時代がやってくると思うんですよね。

 全く新しい料金への移行をしなければならないときが来ると思うんですけれども、ただ、そうした料金が、じゃ、民間の知恵で、民間が自ら資金調達をその新しい料金制度でできるかといったら、私はそうじゃないというふうに思っておりまして、やはりこの点からも、道路公団民営化以降の、官民の役割を分担した上で、これは民間企業が徴収する通行料金なのか、それとも、ある程度強制的に徴収する税なのか、あるいは、国の信用を基に何らかの公的な金融手法でもって賄うものなのかということあたりを整理する必要があるんじゃないかと思って、そういう意味でも、やはり、この道路公団民営化のときまで遡って、この高速道路料金制度、高速道路制度の再検証を行うべきではないかと思うんですけれども、その点についてお考えはいかがでしょうか。

石田参考人 道路公団の関係の法律の中に、十年後に総点検しなさいということが法定されてございまして、そのレポートを読ませていただいたことがあるんですけれども、そういう中で、例えば、保有機構は、資金調達において、民間ならではの知恵あるいはネットワークを使って、本当に低利の調達に成功されていたりとか、あるいは、高速道路会社は、独自の経営判断に基づいて新設区間を申請する、そういうスキームであったりとか、あるいは、高速道路本体では、国民共有の財産である以上、もうけてはならないということが決まっておるのですけれども、それ以外の、典型的には、サービスエリア、パーキングエリアは、本当に高速道路会社の自由な経営感覚で、非常に国民へのアクセプタンスも高く、利用されているということがあろうかと思います。

 ただ、それだけで十分かといいますと、議員おっしゃるように、これからの新しい高速道路の在り方、あるいは、それと地域の連携の在り方ということを、本当にどういう枠組みの中できちんと議論していくのかということが非常に重要な問題でございまして、今のスキームのままで未来永劫押し通せるというふうには、私は正直申し上げて考えておりません。そういう積極的な議論をどうしていくかということが本当に大事だと思っております。

 そういう観点からも、二一一五年というのはちょっと長過ぎるんじゃないのというふうなメモを記述させていただきました。

 どうもありがとうございました。

福島委員 率直な考え、ありがとうございます。

 我々、立法府でありますので、この法律が、二一一五年までのことを決めるまでに起きる時代の変化を考えたら、本当にもっとやらなきゃならない本質的なことがいっぱいあると思うんですね。そうしたことをあしたの審議でも議論してまいりたいと思っております。

 本日は、参考になる御意見を賜りまして、ありがとうございました。

木原委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組のたがや亮と申します。

 参考人の皆様におかれましては、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

 私は、そもそも、この国の税制の在り方が、自動車関連税に限らず、一度取り始めた税金を何が何でも取り続けるという体質があるのを嫌というほど目の当たりにしています。私たちれいわ新選組は、昔の金本位制の貨幣論にのっとった財源論に終始していては、この国が衰退すると非常に危惧をしております。それを踏まえて、早速ですが質問させていただきます。全ての参考人様にお伺いをいたします。

 まずは、高速道路以外の道路資本整備全体に関してですが、以前は道路特定財源だった自動車関連税、例えば、自動車重量税などは、一般財源化したことにより、当初の税徴収の根拠や負担の公平性を失っていると考えますが、その辺りのお考えをお聞かせください。

石田参考人 おっしゃるように、一般財源化されたわけですね。両論あろうかと思いますけれども、やはり、その辺をどういうふうに考えていくかということを、先ほどから何度も申しておりますけれども、受益と負担の関係をどうお願いするかということだと思っておりまして、そういう観点からすると、技術的には、全国のロードプライシングは十分可能なものになってきておりますので、その辺も視野に入れながら、何度も申しておりますけれども、幅広い議論を真剣にしていくということが大事かなというふうに考えております。

朝倉参考人 ありがとうございます。

 特定財源を一般財源化することによって、より柔軟性が増えたという面と、それから、逆に特定の目的に使えなくなったというデメリットと、両方あると思うんですね。ですので、その制度の改変がどういうふうな影響を生んだのかということについてきちっと再検証するということが重要なんじゃないかなというふうに感じております。

 以上です。

小林参考人 道路特定財源の一般財源化の効果というのは私の専門のところではございませんので、なかなか、個人的な意見としか申し上げることはできませんけれども、しかし、今回のこの法の改正の基礎となっている受益者負担の考え方、これはこれで一つの大きな私は正当性があるのではないか、こういうふうに思っています。

 ただ、委員がおっしゃられるように、地方部の道路整備のありようというのか、今回のこの法改正の中にも、例えば、地方の道路公社のプールの話とか、そういうのも盛り込まれておりますので、そういう地方部、あるいは過疎地域といいますか、そこでの道路整備のありようというのも今回のこの法改正の中で併せて御議論いただければありがたいかなと。直接のお答えにはなっておりませんけれども、そういうふうに思っております。

上岡参考人 特定財源、一般財源については、当時も賛否両論いろいろあったわけでありますけれども、何といっても、国民の皆様に説明するには、やはり公平性ということが重要になってくると思います。

 現在でも、その負担に対して、例えば、道路投資という面で見ると、東京都と地方部では数倍くらい比率で見ると差があるというようなことで、この辺をどうしていくのかというのは更に議論の必要なところだと思います。

 それから、最初の陳述の中でも触れましたけれども、早晩、化石燃料によらない自動車が普及してくると、今のような燃料課税による税収というのができなくなるわけで、早晩、距離課税に移行せざるを得ないという議論が出てくると思います。

 これはもう研究者の間ではいろいろ議論が出ているようですけれども、やはり、実際に法制度として適用するということになると、これは早急に議論を始めなければいけない。ある意味では、距離課税というのは公平性の一つの根拠になり得るということもあろうかと思いますので、その辺の議論は是非お願いしたいというふうに思います。

たがや委員 ありがとうございます。

 次も、全ての参考人様にお伺いをいたします。

 高速道路に関して、建設、更新、維持、補修管理に税を一円も投入せず、全て通行料で賄っているというのが国交省からの説明でしたが、公団から民営化したとはいえ、NEXCO各社は一〇〇%財務大臣が株式保有、子会社もほとんどが一〇〇%NEXCOが株主ということを考えると、形は民営ですが、事実上、国が実質的な株式会社のオーナーであると言えます。

 また、受益者が、一九六〇年代当初の頃とは大きく変化して、運転をしない赤ちゃんからお年寄りまで物流でお世話になり受益者とも言えるので、したがって、自動車重量税を始め様々な自動車関連税の一部を高速道路の建設、維持、更新、補修管理のために投入することに妥当性があるのかないのか、皆様のお考えをお聞かせください。

上岡参考人 今御指摘のとおり、一応名前は民営になりましたけれども、実質は、特殊会社といいますか、民営ではないわけですね。真の意味での民営ではないということであります。JRは完全民営化、本州三社はしましたけれども、それと同じ形にはなっていないということであります。

 今御指摘のように、特に物流に対しては、国民が広く薄く便益を受けているということも考えますと、税の在り方というのは、やはりそういう費用便益のメカニズムを明らかにした上で、オープンにした上で広く議論をしていくということが今後の課題だと思います。

小林参考人 私は、高速道路会社さん、それぞれ個別の事業者としての経営努力は、この二十数年努力をされてきて、それぞれ自主的にいろいろな新しい経営努力をやられてきている、こういうふうに思いますが、委員がおっしゃられるように、物流あるいは自動運転もそうだろうと思いますけれども、こういう問題は、一つの会社だけで議論できるような話ではないんですね。やはり、国家的、国民経済的な視点での議論をやっていかないといけない。そういう中で、国会あるいは関係省庁の政府の占める役割は非常に大きいんだと思います。

 そういう中で、おっしゃられるような新しい財源、税制、そういうものとリンクして、国民的な、国家的な戦略課題、これを考えていくという意義は非常に大きいのではないか、そういうふうに思っております。

朝倉参考人 ありがとうございます。

 高速道路のように規格の高い道路を建設して、それを運用していくときに、料金収入だけではなくて、適切な税、これを用いてそれを進めるという考え方自身は悪くない考え方だと思います。

 今でも、高速道路を施行するときに、合併施行という形で、料金で返す分と、それから税金を投入している分とが合体して運用されているところもあるというふうに伺っておりますので、どういう場所でそれが適切なのかということについては、引き続き議論していくということが大事なのかなというふうに思ってございます。

 以上です。

石田参考人 ありがとうございます。

 高速道路というふうに一概にはくくれない部分があるというふうに思っておりまして、これは上岡参考人のおっしゃるとおりだと思っております。

 本当に、高速道路スキームでやられているところ、一般有料道路方式でやられているところ、あるいは新直轄という全く無料の区間等がございまして、この辺りも、一般国民からするとちょっと分かりにくいものになっているんじゃないかなというふうにも思います。

 経緯としては、それぞれしかるべきところにしかるべき理由でもって、きちんとしたいいスキームがどんどん開発されてきたと思うんですけれども、振り返ってみたときには、そういう面が出てきているという印象は否めないのではないかなというふうに思いまして、そういう観点から、これも繰り返しの話になりますけれども、本当にどういうサービスが必要なのか、それは、人の流れ、観光、業務、あるいは物流という大事なところも含めて、受益と負担の関係をきちんと考えていくということが大事だと思っております。

 先ほど話題になりましたいろいろなデータプラットフォームとかセンサー技術とか、自動運転につながるものでございますけれども、そういうものが非常に急速に発展してございますので、そういう技術をどう取り入れて賢明な判断をしていくかということが問われているんだろうと思います。

たがや委員 ありがとうございます。

 上岡参考人にお伺いしたいのですが、今後、急激な人口減少に伴い、年々利用料金の収入が減り、そのため一人当たりの負担が増えていくと予想されるわけですが、それを踏まえて、二一一五年まで延長するという試算は果たして妥当なのでしょうか。そして、高速道路に関して、我々が生きていないような先まで料金を取り続けることを今決めるよりも、将来の人口減少も踏まえて、自動車間接税を投入するなどして少しでも償還期間を短縮することや、建設国債借換えなどで対応することが我々の使命だと思いますが、いかがお思いでしょうか。

上岡参考人 御指摘のように、例えば、民営化から現在まで、二十年弱を考えましても相当ないろいろ変化があるわけでありますから、やはり、これは再三出ておりますとおり、令和九十七年なんというのはちょっと非現実的だと思います。

 だからといって、先延ばしということではなくて、やはりもうちょっと現実的なスパンの中で見直しを義務化するというか、五年ごととか十年ごととか、そういう枠組みが必要じゃないかと思います。

たがや委員 ありがとうございます。

 最後の質問で、石田参考人様と上岡参考人様に再びちょっと質問なんですが、日本の高速道路は、海外、特にヨーロッパに比べて山岳地帯や橋梁が多い、地震が頻繁にあるので強度を強くしなければならないなどの理由で、外国に比べて高速道路利用料金が高いと言われていますが、それらの理由以外にも高くなる要因というのはありますでしょうか。ちょっとお聞かせください。

石田参考人 にわかには思い当たらないんですけれども、やはり、我が国の特性上、本当に高価なものになっているというふうには言えるかと思います。だから、ヨーロッパ並みに安くしろというのは少し乱暴な議論かと思います。

 先ほども申しましたように、民営化前はそういう部分もかなりあったのかなというふうに想像しておりますけれども、民営化でその部分は相当改善されたんだろうというふうに思っております。今後は、更に高速道路の収益性といいますか、本当に民営化の本旨を実現するような、いろんな制度、枠組みの検討というのが更に追求されていかなければならないとも思ってございます。

上岡参考人 今、その費用の内訳とか構造、データを持ち合わせておりませんので、詳しくはお答えできませんけれども、ただ、既に造ってしまったところについてはその議論をしてもしようがないので、今後造るものについて、もちろん人命に関わるようなことについては手を抜くことはできませんけれども、もう少し、ある程度、規格といいますか、レベルを妥協した形でコストを下げていくというようなことは考えてもいいのではないかと思います。

たがや委員 ありがとうございます。

 時間が来たので、終わります。本当に貴重な御意見、ありがとうございました。

木原委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言申し上げます。

 本日は、貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時四十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時十六分開議

木原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省道路局長丹羽克彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長坂康正君。

長坂委員 午前に引き続きまして、皆様、お疲れのことと思いますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。自民党の長坂康正でございます。

 道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案について質問をいたします。

 午前中の参考人の皆様のお話、また先生方の質疑は大変有意義に拝聴させていただきました。

 我が国は長い間、少子化の影響で労働力人口が年々減少しておりますが、働き手が減る中で経済成長を図っていくためには、労働人口の減少率以上に働く方一人一人の生産性を上げていくことが必要だと考えています。

 生産性を向上させるためには、人、物、お金、情報の流れの効率化が重要となりますが、現在、官民を挙げて推進していますDXは、情報の流れの効率化、円滑化、人や物の動きを効率化するため、また、日本経済の再浮上のために、高速道路網などの維持整備が重要な課題であることはもう言うまでもありません。また、時代の変化、経済、技術の進歩に対応して、高速道路の持つ機能の進化も必要だと考えております。

 このような観点で、今回の法案でありますが、今後、我が国が経済成長率を引き上げていくために必要な高速道路網の維持整備とは何か、適切なメンテナンスや機能向上を図っていくための財源は税金という形で国民全体が負担するべきなのか、利用料として負担した以上の価値を評価する利用者の方々の利用者負担によるべきなのかが問われております。全ての参考人の先生方が利用者負担ということをおっしゃっておりました。

 かつて、二〇一〇年、平成二十二年の六月から、一時的に高速料金を無料化の社会実験がございました。覚えていらっしゃる方も多いと思いますが、結果として、各所で大変な渋滞が発生し、高速道路が高速で移動する手段でなくなったことがございました。

 現在、参考人の方のお話もございましたけれども、高速道路六社の年間管理費は一・三兆円。もし高速料金を無料化すれば、それだけ財源手当てが必要であります。渋滞などを考慮した上でも、税金で負担することが本当に日本の社会のためになるとは到底考えられません。

 私の地元にも、名神高速道路、東名阪道、伊勢湾岸自動車道、名古屋第二環状などの高速道路が通っておりますが、高速道路は全国的な物流を担う基幹路線として機能するとともに、地域の円滑な移動を担保するための路線としてもその役割を果たしております。

 このうち最も古い路線が名神高速道路で、私の地元では一宮インターチェンジから関ケ原インターチェンジの間が一九六四年九月に開通し、現在五十九年目を迎えております。

 参考人の質疑を聞いていて随分いろいろなことを思い出したんですが、一九六四年は東京オリンピック、新幹線、私の地元は名神高速道路が九月に開通をして、私の父親は、家族を意気込んで国産の中型のセダンに乗せて、高速道路を走るために一宮インターから大垣へ向かって走ったんですね。小学校一年生だったんですけれども、すごく覚えているのは、真っ白な道が真っすぐに延びていて、父親が張り切ってどんどんどんどんスピードを上げるんですが、百キロというメーターのところまでいったら、私の家の車はがたがたがたがたと揺れました。慌ててスピードを落としたという、そんな時代であったわけであります。

 また、御承知のように、名神高速道路、東名、東海道新幹線、黒部ダム始め、当時の日本のいろいろな三十一のビッグプロジェクトは世界銀行からの借入れで造ったわけですね、今日、参考人の先生もおっしゃっていましたけれども。それは、でも、平成二年の七月に完済をしております。やはり、日本というのはきちっと約束は守る国なんだなと、当時、私は官邸におりましたので、海部総理の秘書をしておりましたので、非常に印象的に覚えております。

 ただ、五十九年を迎えた名神高速道路も、今、長良川に架かる橋梁付近ではリニューアルプロジェクトも展開されておりまして、改めて高速道路におけるメンテナンスが重要であることを認識させられております。

 まず、このメンテナンスのための財源の確保について質問させていただきます。

 今回提出されました法律案においては、橋の床版の架け替えなどの大規模な修繕、いわゆる更新事業に必要な財源を確実に確保するため、料金徴収期間を延長し、将来の利用者が支払う料金収入により更新事業に伴う債務を返済する仕組みを採用しています。将来にわたる構造物の健全性を確保するための措置であることから、将来の利用者に負担を求めることについては一定の合理性があると考えます。

 加えて、債務を五十年以内に返済するよう新たな規定が設けられています。これは建設国債や特例国債を対象に設けられている六十年償還ルールに類似しています。

 この六十年償還ルールは、一九六六年度以降、建設国債の発行が始まった際に、建設国債によって形成される見合いの資産の平均的な効果発揮期間を六十年と解釈した上で、建設国債については六十年かけて徐々に償還するルールとしてスタートをしております。

 その後、一九八〇年代の中頃からは特例国債にも適用されたわけでありますが、本法律案における債務返済期間を五十年以内とする規定については、国債の六十年償還ルールとは別の理由で設けられたと理解しておりますが、改めて本規定を設けた理由についてお尋ねをいたします。

 また、あわせて、五十年以内という規定を国債のように六十年とした場合はどのような問題があるのか、教えていただきたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の改正法案につきましては、着実に更新などの必要な事業を実施するため、明らかになった更新需要などに応じ、逐次料金徴収期間を延長する制度でございます。

 その際、債務の返済期間が長期化するほど、交通量や金利などの変動リスクが高まるとともに、債務の元本返済と支払い利息を合わせた総額でございます資金調達コスト、これが増加いたします。

 このため、債務返済の確実性の観点から、これまでの債務返済期間の最長実績を踏まえまして、債務返済期間を五十年以内とする新たな規定を設けることとしたものでございます。

 御指摘の五十年を超える期間の設定につきましては、債務の確実な返済に対するリスクが増加するとともに、借換えを含めた資金調達コストの増加によって利用者負担の総額が増加するという課題があるというふうに考えております。

 このため、今後の事業許可に当たりましては、債務返済期間が五十年以内になっているかということに加えまして、必要最小限の期間となっているかを確認してまいりたいと考えております。

長坂委員 高速道路機構における有利子債務は現時点で二十六兆円残っており、これを確実に返済できるよう、高速道路会社が作成する事業の計画をコントロールしていくことは非常に重要だと考えております。

 一方、現在、金融緩和による低金利が続いていますが、今後、経済の状況などによりましては、アメリカのように金利が上昇することも想定されるわけであります。様々なリスクを想定しつつ、債務が膨張し、国民の負担が増大するような状況に陥らないよう、この五十年債務返済のルールに沿って、国土交通省として、高速道路会社をしっかり指導監督していただけるようにまずお願いをしたいと思います。

 本法律案においては、この債務返済期間に関する規定に加えて、料金徴収期間を延長する限度についても規定がされています。具体的には、令和九十七年九月三十日までに料金徴収を終える必要があるわけでありますが、高速道路については、一般道路とは異なり、速く移動できる速達性、所要時間が安定している定時性、事故が発生しにくい安全性、この三つの点において高いサービス水準が確保されています。このために、利用者から料金をいただき、それを整備やメンテナンスなどに充てることは一定の合理性があると思います。

 特にメンテナンスについては、道路を利用する限り、橋梁などに傷みが生じ、それに対しての修繕などは必然であると認識をしています。すなわち、永久に料金をいただき続けるという選択肢もあるわけであります。高速道路における有識者の委員会においては、料金徴収の期限を設けるかどうかについて議論があったと聞いております。今日、参考人の先生方もいろいろな御意見がございました。

 最終的に料金徴収期限を設けることとした理由についてお尋ねをいたします。また、あわせて、令和九十七年という遠い将来の期限を設定した理由についてもお尋ねをいたします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 道路は、国民共有の財産で、極めて公共性が高く、無料開放が原則であることを踏まえまして、有料道路制度は債務完済後には無料公開する仕組みとなっております。

 また、平成十七年の道路関係公団民営化時には、債務の確実な返済や道路建設への歯止めの観点から、料金の徴収期限を法定化したところでございます。

 その後、平成二十四年の笹子トンネルの天井板崩落事故を契機として、メンテナンスの重要性が再認識されるとともに、更新が必要な具体の箇所が顕在化してきたことを踏まえまして、平成二十六年の法改正で料金の徴収期限を十五年延長して、更新に着手したところでございます。

 この平成二十六年の法改正における附帯決議におきましては、維持管理費用の確保や渋滞対策のために永久有料化、また、高速道路ネットワークの有効活用の観点から無料化といった双方の、両方の意見がございました。

 このような状況を踏まえまして、今般の改正法案では、現行法を踏襲し、従来と同様に料金の徴収期限を設定したものでございます。

 具体的には、新たに更新が必要と判明した箇所に加えまして、これと同じ構造、基準のため、今後更新が必要となる蓋然性の高い箇所の更新財源も確保できるよう、料金の徴収期間の最長の延長年数を、料金の徴収期限を令和九十七年と設定したものでございます。

長坂委員 今日の午前中の参考人の先生方のお話にもございましたけれども、高速道路の料金徴収の永久化についての議論というのは今後も避けられないものだと思います。慎重な議論が必要だと思いますが、是非、今後の課題として引き続き御議論をいただきたいと思います。

 次に、高規格道路ネットワークについて質問させていただきます。

 昭和六十二年の第四次全国総合開発計画に合わせて、高規格幹線道路網としての一万四千キロメートルの計画が策定されました。現在、このうち一万二千キロメートルが開通しており、まだミッシングリンクは残っておりますが、全国的なネットワークについては着実に整備が進んでおります。しかしながら、私の地元におきましても、高速道路の整備はもう十分だという声より、まだ足りないという声の方が大きいのが現実であります。

 例えば、名古屋港は輸出額、貿易収支、取扱貨物量、外貿コンテナ取扱貨物量で全国一位となっており、日本の経済、物流を支える重要な港湾であります。さらに、私の地元の鍋田埠頭や飛島埠頭では、国際海上コンテナターミナルの整備が進められており、今後、将来、貨物量の増加が一層見込まれております。

 この名古屋港と内陸部の間の移動につきましては、令和三年五月に開通いたしました名古屋第二環状を利用する主に高速道路によるアクセスと、西尾張中央道を利用する一般道路によるアクセスの二通りのルートがございますが、交通集中による混雑の緩和や災害時におけるリダンダンシー確保のため、地元からは、高速道路による新たなアクセスルートの整備が必要であると強い意見が出されております。

 このような規格の高い道路ネットワークの計画について、国土交通省の有識者委員会における議論がスタートしたと聞いております。今後、議論に当たって重要となる視点、特に我が国の社会や経済の目指すべき方向と道路ネットワークとの関係をどのように捉えていくのか、現在の御認識をお尋ねをいたします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 広域道路ネットワークは、人、物の移動を支え、我が国の社会や経済の発展に重要な役割を果たすとともに、国民の安全、安心を確保する基幹的なインフラであるというふうに考えております。

 今後の広域道路ネットワークの検討に当たりましては、我が国が直面するリスク、また将来動向など、時代のニーズを踏まえて対応することが重要であるというふうに考えております。

 現在、国土審議会においては、新たな国土形成計画の策定に向けた議論が進められておりまして、人口減少、巨大災害などのリスク、またコロナ禍を経た変化の中で、国土構造の基本構想として、シームレスな拠点連結型国土の構築を目指す考え方が示されているというふうに承知をいたしております。

 こうした方向性も踏まえまして、広域道路ネットワークの在り方について、有識者の意見も伺いながら、しっかり検討を進めてまいりたいと考えております。

長坂委員 是非、全国各地域に必要なネットワークが計画に織り込まれるように、地域の声をよく踏まえていただいて、議論を進めていただけるようにお願いをいたします。今年の夏までに取りまとめる予定とのことでありますので、その結果についても期待をさせていただきます。

 計画が策定された後、整備を着実に進める必要があります。その際、税だけを活用した整備方法では、特に規模の大きい事業において、その整備スピードに限界が生じてまいります。

 先ほど事例として取り上げました名古屋港への新たなアクセスルートを形成する予定の一宮西港道路と申しますが、これは、北は富山県から、岐阜県を縦貫いたしまして、愛知県の一宮ジャンクションで名神高速と結ぶ東海北陸自動車道を更に南伸させて、名古屋港に直結させるものであります。さらには、知多半島の中部国際空港や三河地域を結ぶ延伸計画も県の方では持っておりまして、日本の中央部で、名古屋港から日本海へ直結する最後のワンピースとなる高規格道路でございます。

 そして、この道は重要物流道路としての期待のみではなく、一宮西港道路の沿線というのは海抜ゼロメーター以下日本一の、私の地元の海部津島地域でございまして、そこの住民にとりましては、予想される南海トラフ地震から避難できる命の道となる希望の道でもございます。

 そこで、一宮西港道路のような、現在有料となっている高速道路ネットワークと一体となって機能を発揮する道路ネットワークについては、積極的に有料道路制度を活用すべきではないかと考えますが、御認識をお尋ねいたします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 大都市部の高速道路につきましては、平成二十三年の高速道路のあり方検討有識者委員会の中間取りまとめにおきまして、その整備の緊急性や周辺ネットワークとの整合性から、利用者負担による有料道路方式による整備を基本とすべきとされているところでございます。

 この中間取りまとめも踏まえまして、これまで、名古屋二環を始めとする都市部の高速道路につきましては、地域からの意見なども勘案しつつ、有料道路制度の活用を基本として整備を進めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、ミッシングリンクの早期解消を着実に進めるため、引き続き、委員御指摘の一宮西港道路を含む都市部の高速道路について、地域の方々からの意見なども勘案しつつ、有料道路の活用を含め、整備に必要な検討を進めてまいりたいと考えております。

長坂委員 是非お願いしたいと思いますが、現在の我が国の社会経済の状況を踏まえれば、道路ネットワークの拡充は喫緊の課題であると考えています。何十年もかけて整備をしていたのでは、時代の流れに取り残されてしまいます。

 是非、有料道路による整備の加速化については前向きに取り組んでいただきたいと思いますが、是非、大臣の意気込みをお尋ねをしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 高速道路は、一つに、物流の効率化による国際競争力の強化、二つ目に、国民の安全、安心の確保、そして三番目に、地域の観光や産業を支え、都市圏と地方との人、物の往来を支援など、経済活動や生活の基盤として重要な役割を担っていると認識しております。

 このため、現状の交通課題の解消や新たな国土形成の観点を踏まえつつ、空港、港湾等の交通拠点へのアクセス強化など、高規格道路を始めとする広域ネットワークの形成及び機能の向上が重要と考えております。

 これまで、国土を縦貫する高速道路や都市部の高速道路など、高い交通需要が見込まれる高速道路については、整備の加速化の観点も踏まえ、有料道路事業を基本として整備が進められてきたところです。

 国土交通省としては、引き続き、有料道路事業を適切に活用して、広域ネットワークの形成及び機能の向上など、こういう観点をもってしても、この有料道路制度を使って整備の加速化を図っていかなければならない、このように考えております。

長坂委員 是非よろしくお願いをいたします。

 次に、カーボンニュートラルに向けた取組について質問をさせていただきます。

 二〇五〇年の脱炭素社会の実現を目標として、各分野における取組の加速化が不可欠であります。

 道路に関しては、CO2の排出量の大部分は自動車交通に起因するものであり、我が国のCO2排出量のうち、約一五%を占めております。いろいろな課題があるわけですが、その中で、電気自動車とかそういった話もあります。

 例えば電気自動車に関しては、日常の買物や通勤などは普通充電器による給電が基本となりますが、一方、旅行などの長距離移動においては、普通充電器による給電に加えまして、経路における急速充電器による給電を組み合わせる必要があります。この点において、長距離移動に必須となります高速道路上での急速充電器を拡充しないと、電気自動車によって安心して旅行することができない。

 また一方で、燃料電池車もあるわけでありますけれども、物流を担う大型トラックの電動化においては、充電池を大型化しなければなりません。そこで、燃料電池トラック、いわゆるFCトラックの開発が進んでいるわけでありますが、このFCトラックが安心して長距離を移動するためには、高速道路上に水素ステーションを設置する必要もあると考えます。

 そこで、お尋ねをいたしますが、現在、高速道路のサービスエリア、パーキングエリアにおいては、どの程度急速充電器及び水素ステーションが整備されているんでしょうか。また、今後の整備目標が定められているのか、お尋ねをいたします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 カーボンニュートラルの実現に向けた電動車の普及のためには、急速充電器や水素ステーションなどの充電、充填インフラの整備を進めることは極めて重要なことだというふうに認識をいたしております。

 急速充電器につきましては、NEXCO三社のサービスエリア、パーキングエリアにおいて現在五百十一口が整備されているところでございまして、今後、高速道路会社と充電事業者が協力して、二〇二五年度までに約千百口まで拡充することとしております。

 また、東名高速道路下り線の足柄サービスエリアにおいて、高速道路初の水素ステーションとして、年内の開業を目指し、現在整備が進められているところでございます。

 現在、この水素ステーションの今後の整備目標は定められておりませんが、水素自動車の普及が促進されるよう、ニーズを把握しつつ、計画的に整備を進める必要があるというふうに考えております。

 国土交通省といたしましては、経済産業省や高速道路会社、充電、充填事業者などと連携いたしまして、急速充電器や水素ステーションの整備促進に取り組んでまいりたいと考えております。

長坂委員 二〇三五年の目標で、電気自動車、水素自動車の電動車の販売、我が国は一〇〇%を目指すということになっているわけでありますので、そのためにはしっかりとそういった整備をしてもらわないと立ち行かないんだろうと思います。

 また、現在、急速充電に要する時間は三十分が基本となっていて、充電待ちの渋滞が発生しているサービスエリアもあるというふうに聞いております。

 このように、人気のあるようなサービスエリアなどにおいては、敷地の制約から急速充電器の増設が容易でないということも考えられますが、今後どのような工夫が考えられるのか、お尋ねをいたします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路のサービスエリア、パーキングエリアでは、現在、既設施設とのレイアウト調整によりまして急速充電器の設置場所を確保しておりますが、スペースが限られていることから、この手法にて増設を進めることには限界があるというふうに考えております。

 その中で、高速道路利用者がいつでも快適に充電できる環境を目指すための取組について、先月、国土交通省と経済産業省におきまして、高速道路における電動化インフラ整備加速化パッケージを取りまとめております。

 今後は、このパッケージに位置づけられました、急速充電器の複数口化また高出力化の促進、また、高速道路外の急速充電器の活用、また、今般の改正法案による、充電施設と一体的に整備される駐車場への補助制度の創設などを通じまして、経済産業省と連携して、高速道路における充電環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。

長坂委員 もう時間がありませんので、少しはしょって、二つお尋ねをしますが、未来に向けて、走行中給電という技術の研究も進められているというふうにも伺っています。

 いまだ研究段階だとは思いますが、走行中給電に関する現状と、国土交通省として、どのように民間企業や大学と連携していくか、取組をお尋ねをしたいと思います。

 もう一つ、重ねて、自動運転、世界各国において自動運転に関する研究が精力的に進められておりますが、世界と比べると日本での動きはまだ遅れているのではないかという危機感があります。

 二〇二五年を目途に高速道路におけるレベル4の自動運転や地域限定型の無人自動運転移動サービスを実現するのを目標に掲げているわけですが、このためにも、車両と道路との間で情報をやり取りするには、道路が自動運転を支援する、いわゆる路車協調の仕組みが不可欠であると考えます。

 現在、車両の開発状況も踏まえつつ、車両のみでは対応することが難しい課題に対して、路車協調に関する研究が進められているというふうにも伺っておりますが、道路からの支援について、具体的にどのようなものが想定されるのか、お尋ねをいたします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、走行中の給電の御質問からでございますが、走行中給電システムは、電気自動車の走行中に無線で電力を供給し、充電する技術でございまして、電気自動車が抱える航続距離などの課題を解決する技術として期待されているところでございます。

 民間企業、大学などで技術開発を進められていることを踏まえまして、国土交通省では、技術の確立を目的として、令和元年度に公募を行いまして、二つのグループの本格的な研究に対して財政的な支援を行っているところでございます。

 研究グループにおきましては、現在、舗装に及ぼす影響、また給電の効率などを確認するための試験を行っているところでございまして、国土交通省におきましては、引き続き、これらの取組を支援するとともに、研究の進捗状況に応じまして、社会実装のための検証、評価を行ってまいりたいというふうに考えております。

 もう一つの、自動運転の御質問でございます。

 御指摘のとおり、車両単独で対応が困難な課題につきまして、自動車メーカーから、道路側からの支援といったものが求められているところでございます。

 具体的には、車載のセンサーのみでは必要な情報を収集することが困難なインターチェンジまたジャンクションでの合流の支援、また、計画的な車線変更、これを行うために必要な前方の落下物などの情報、いわゆる先読み情報と言っておりますが、これの提供について、道路側からの支援といったものが求められているところでございます。

 このため、令和三年の十一月に、国土技術政策総合研究所、自動車メーカー、また路側機メーカーなどが参画する官民の共同研究、これを立ち上げまして、自動運転車が必要とする情報の内容、精度、また通信の要件などにつきまして、官民共同で検討を進めているところでございます。

 引き続き、この支援の具体化に向けまして、自動車メーカーなどと連携して検討してまいりたいと考えております。

長坂委員 日本経済の再浮上のためにも積極的な取組を期待して、終わります。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。

 本日も質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 本日、委員会は、私が最後の質問でございますので、もうしばしおつき合いのほど、よろしくお願いをいたします。

 今、長坂先生御質問されまして、愛知県でございまして、私はその隣の三重県でございますので、東海エリアつながりで、今日は高速道路を質問をさせていただきたいと思っております。

 私の方からは、最初に、道路インフラの老朽化対策について、大臣にお伺いをいたします。

 本法案は、今後も高速道路の適正な管理、更新などを着実に進めていくため、その財源を確保することを目的に提出されたものですが、我が国におきまして、高度経済成長期に本当に多く建設されました公共インフラについては、現在、その老朽化が急速に進んでいる状況がございます。高速道路を始めとする道路インフラもその例外ではなく、点検の結果、修繕や更新などの対策が必要な箇所、これが顕在化している状況でございます。

 私は、これらの公共インフラの老朽化に対しまして、今後も着実な対応を行い、将来に向けて安全に使える道路インフラ、これを残していくことは、今を生きる私たちの責務として大変重要な取組である、このように思っております。

 そこで、冒頭、大臣に伺いますが、我が国における道路インフラの老朽化対策について、国交省としては今後どのように取り組んでいくのか、大臣の決意も含めて御答弁を願います。

斉藤(鉄)国務大臣 高速道路に限らず、道路全体の老朽化に対しての御質問かと思います。

 我が国におきましては、高度経済成長期以降に集中的に整備されたインフラの老朽化が加速度的に進行しており、インフラ老朽化対策は喫緊の課題でございます。

 例えば道路橋につきましては、全国で約七十三万か所あるうち、建設後五十年を経過したものの割合は、昨年時点で約三割であったのに対して、十年後の令和十四年には約六割に達すると見込んでおります。

 このように、喫緊の課題となっている道路インフラの老朽化対策を効率的かつ効果的に進めていくためには、損傷が軽微な段階での手当てによって施設を長寿命化させる予防保全型のメンテナンスに転換していくことが極めて重要、このように考えます。

 このため、今般の改正法案による措置を含めて、予防保全型のメンテナンスへの早期転換を図り、効率的かつ持続可能なメンテナンスが実施されるよう、全力で取り組んでまいる決意でございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今、全般的な老朽化対策として、大臣の方からは、予防保全型のメンテナンスをしっかり行っていくというお話をいただきました。

 やはり、使えなくなってから修繕、更新をするのでは社会的影響も大きいですし、予防的に保全をしていく、これは非常に大事な視点だと思っております。そのための防災・減災、国土強靱化等によって財源をしっかり確保していく、そういった内容も方向性として大事かと思いますので、今後、また大臣を先頭に、この老朽化対策、しっかりと進めていただきますよう、まず、全般的な御要望等をさせていただきたいと思っております。

 では、続きまして、法案について、今回の改正案について何点か質問をいたします。

 更新事業の進捗状況について幾つか質問いたしますが、最初に、平成二十六年の法改正以降事業化された更新事業の進捗状況、これがどうなっているのか、お伺いいたします。

 平成二十四年の十二月に発生しました中央自動車道の笹子トンネルにおける天井板崩落事故、これは、多くのところで、今回の参考人等の質問の中にも出ていますが、これをきっかけにいたしまして、高速道路各社では、老朽化対策の重要性、これが強く認識をされたところでございます。

 また、その後、高速道路会社が行った点検では、それまでのいわゆる維持修繕ではなくて、抜本的な更新が必要な箇所、これが顕在化をいたしました。これを受けまして、国は、平成二十六年に、更新事業の財源確保を目的に、高速道路の料金徴収期間、これを十五年延長する、この法改正を行ったところであります。

 そこで、伺いますが、その後、高速道路各社ではこの更新事業を順次進めてきていただいている、このように承知をしておりますけれども、前回の法改正以降事業化されたこれらの更新事業、この進捗状況、これがどうなっているのか、これをまず確認をさせていただきたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路につきましては、平成二十四年の笹子トンネルの天井板崩落事故を契機としてメンテナンスの重要性が再認識されるとともに、建設後五十年が経過し、老朽化の進展によりまして更新が必要な具体の箇所が顕在化したことを踏まえまして、平成二十六年の法改正で料金の徴収期限が十五年延長して、更新に着手したところでございます。

 現在、高速道路六社が実施しております更新事業につきまして、令和五年の一月時点における契約ベースでありますが、約四割の進捗状況となっております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 局長、済みません、マスクして答弁されているので、もうちょっとボリュームを上げていただいて、ちょっと聞き取れないところがあったものですから。肝腎なところを聞き取れないと、四割か五割か分からないなという感じになりますので、よろしくお願いをいたします。

 平成二十六年に法改正いたしまして事業化を進めてきたということで、今現在、この一月で、事業進捗、契約ベースで四割というところというふうにお伺いしました。

 私も、この笹子トンネルの事案というのは本当に衝撃を受けまして、若い方々が本当に命を失った、こんなことが本当に我が国であっていいのかというふうに思ったわけでございますが、現状はまだ契約ベースで四割ということでございますので、今回も新たに更新が必要なところ、これはもう既に出てきているわけですけれども、既に事業化されたところも着実に行っていく、この必要性があると思いますので、そこを計画的に高速道路各社と行っていただきたいなと思っています。

 最近、テレビ等でNEXCO等のリニューアル工事というのがしっかりとアピールされていまして、私、その更新事業に対しての予算を使っていくというか、当然、高速道路は有料なんですけれども、そこに対する国民の皆さんの意識というのは本当に肯定的だというふうに思います。順次、今、予防型のメンテナンスという話もありましたけれども、リニューアル工事を進めていくということはすごく大事だと思いますので、ここを引き続き計画的によろしくお願いをしたいなと思っております。

 続きまして、その更新事業時における社会的影響をいかに抑えていくのかという、そこの部分を確認的にお伺いをしたいと思います。

 平成二十六年度からの点検強化によりまして、高速道路でも重大な損傷の発見、これが相次いでおりまして、高速道路各社では、昨年十二月から一月にかけて、今行っておる事業化とはまた別の新たな更新計画、これを公表いたしております。この更新計画では、これまで事業化していたものに加えまして、新たに一・五兆円の更新事業、これが必要との結果が出ておるところでございます。これまでのものを含めると、合計では約七兆円という状況でございます。

 私は、これら更新事業は待ったなしで対応すべき課題でありまして、今後もスピード感を持って実施する必要、これがあるというふうに考えますが、その一方で、我が国の社会経済活動を支える高速道路において更新工事を実施するためには課題もあるというふうにも思っております。

 例えば、これは一例でございますけれども、橋梁の架け替えが必要な場合、古いものは撤去して新しいものを設置するということになりますが、その期間、仮にその区間を通行止めにするとか車線を絞るなんということがあったら、これは渋滞等が発生して、社会的に大きな影響が発生することになります。

 そこで、改めて伺いますが、これら更新事業を実施する際には、これは、渋滞等の社会的な影響を最小限に抑えるような、工期の短縮でありますとか何らかの工夫、これをやはりしっかりこれから行っていく必要性があるんじゃないかと思っております。これまでの取組も含めて、こういった社会的影響の最小化に向けた様々な工夫、このところを御答弁いただきたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 更新事業の実施に当たりましては、通行止めによる社会的影響をできるだけ低減する必要があるというふうに考えております。

 例えば、東名阪自動車道の弥富高架橋におきましては、路肩の拡幅によりまして、下り線の対面通行、これを可能といたしまして、上り線二車線を一括で施工して工期を短縮するというようなこともやっております。また、高速道路の外側から資材を搬出入できる工法を行いまして、工事用の車両の出入り時に発生する渋滞を抑制するなどの取組も行っているところでございます。

 このほか、更新事業により通行止めなどが必要となる場合には、料金調整による迂回の促進、また、通行止め情報の周知、広報などの取組も行っているところでございます。

 引き続き、通行止めによる社会的影響ができるだけ低減する工夫を行いながら、更新事業が速やかに完了できるように取り組んでまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 まさしく、長坂先生、また、私の地元であります、今、東名阪道の事例を挙げていただきまして、私もあそこの弥富工区をよく走りますので、非常に大規模なリニューアル工事をしていただいておりまして、しかし、その割には、従前に比べると渋滞が余り発生していないんですね。これはやはり、事前にしっかりと広報していただいているのと、それと、今おっしゃっていただいたような工夫をしていただいている、そういった状況があるのかなと思っております。

 工期の短縮等を図ることも大事ですし、また加えて、最近、結構いろいろな形で高規格が進んでいますので、おっしゃっていただきましたけれども、迂回ルートの紹介、こういったこともしていただいて、そして料金調整もしていただいている。やはり、高速道路でございますので、社会的な影響が非常に大きい渋滞とか通行止め、これは発生しない工夫というのが非常に大事になってくると思います。

 コロナが一定程度落ち着いてきて、人流とか物流はこれまで以上に増してくるというふうに思います。しかし、いわゆるこういった更新事業、更新工事はしっかりとしていかなければいけないということでございますので、そこをうまく工夫しながら社会的な影響を最小限にしていく、その工夫をこれからも行っていただきたいなと思うのと、それと、一つここで御要望を申し上げたいんですが、リニューアル工事とは別に、ちょうど今からの時期ぐらいにリフレッシュ工事というのを結構やるんですね。このリフレッシュ工事については、いまだやはり渋滞の発生率が非常に私は高いというふうに感じていまして、このリフレッシュも必要なんですが、ここも一段の工夫をしていただけるといいのじゃないかなと思っています。

 東名阪道でもリフレッシュ工事をしていただくんですが、私が県会議員のときによく使っていたんですけれども、東名阪道がリフレッシュすることによって、自分自身がリフレッシュしないという、こういった状況がありましたので、渋滞解消を図っていただくような、そういった工夫というか御努力をお願いをしたいなというふうにも思います。

 では、続きまして、高速道路各社におけるコストの縮減。今回は料金徴収を延長するということでございますが、ただ延長して徴収すればいいというものではなくて、このコスト縮減の取組、ここもやはり示していく必要性があるのではないかという視点で質問をさせていただきます。

 今回の法改正におきましては、平成二十六年に続き、更なる高速道路の更新事業に対応するため、料金の徴収期間を延長してその財源を確保する、こういった内容になっております。法改正に当たりましては、有識者委員会での議論を踏まえて国交省で議論されたものでございまして、その内容につきましては、一定程度妥当なものというふうに私は考えております。

 しかし、今回の料金の徴収期間の延長は最長で令和九十七年ということで、将来世代にも負担をお願いすること、これには変わりがございません。

 そのため、今後、各高速道路会社が行う更新事業につきましては、常にコスト意識を持って、少しでも負担を減らせるよう様々な工夫を行う中でのコストの縮減、この視点が不可欠だと私は考えております。

 これまでの高速道路会社のコスト縮減の取組も含めて、御答弁を願いたいと思います。

丹羽政府参考人 お答えいたします。

 更新事業につきましては、料金徴収期間を延長した財源を活用して実施するものでございますので、利用者の負担を軽減する観点から、このコスト縮減というのは非常に大切なことだというふうに思っております。

 例えばでございますけれども、NEXCOの床版取替え工事におきましては、材料搬入から床版の据付けまで、一連で作業が可能な床版取替えシステム、こういったものを新技術として導入いたしまして、工期短縮による規制費用の縮減といったものを図っております。

 また、阪神高速の湊川上部工架け替え工事におきましては、現在の橋脚を補強する工法と、新たに橋脚を設置する工法を比較検討し、経済性や施工性の観点を踏まえて、新たに橋脚を設置する工法を採用し、工事を進めているところでございます。

 現在実施している更新事業のみならず、今後実施する更新事業についても、引き続き、新技術の導入、また、経済性なども踏まえた工法の採用など、コスト縮減の取組を続けてまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございます。

 今回は、料金の徴収期間を延長するというのがこの法改正のメインになっているわけですけれども、やはり、それを国民の皆様に、利用者の皆さんにお願いする以上、このコスト縮減の取組というのをしっかりと示していく、また、それが見えるという形が私は大事かなと思っています。

 そういった視点をやはり忘れないようにというか、外さないようにしていただきたいなと思うのと、中には、やはり、新たな工法を比較検討していく、こういったことも大事ですし、経済性の視点、いわゆる安全性の視点を度外視してはいけませんが、そこを担保しながら、経済性の視点を持って更新事業を進めていく。この視点というのを高速道路各会社は忘れてはいかぬというふうにも思いますので、その点を確認をさせていただきました。

 続きまして、じゃ、少し視点を変えまして、今日も参考人の質疑の中でも御質問が出ていましたが、四車線化の取組について、特に、災害リスクの低減等などに資する四車線化という視点で、質問をさせていただきます。

 近年、地球温暖化による気候変動により、短時間豪雨の発生頻度が増加をし、大規模な土砂災害の発生が多発するなど、自然災害が激甚化、また頻発化をしております。また、地震につきましても、首都直下型地震、さらには、南海トラフ地震などの大規模地震の発生が切迫するのとともに、こうした大規模地震と併せて、津波による甚大な被害、これも懸念をされているところでございます。

 これら激甚化、頻発化する災害に対して、災害時にも機能する強靱な道路ネットワーク、これを築くことは大変に重要でございまして、特に高速道路は、災害からの迅速な復旧や、早期の日常生活、また、経済活動の再開において重要な役割を担うため、その強靱化は私は急務であるというふうにも思っています。

 しかし、我が国の高速道路を見ますと、諸外国に比べていまだ暫定二車線区間が多く、この二車線区間が大規模な災害時等の通行止めのリスクや安全性の低下など多くの課題を有しているために、四車線化を強力に推進すること、これは私は大変重要な取組だというふうにも考えております。

 そこで伺いますが、これまでの暫定二車線区間の四車線化への整備の状況及び改正後の取組の方針、これについて答弁をいただきたいと思います。

丹羽政府参考人 委員御指摘のとおり、高速道路の暫定二車線区間の四車線化、大変重要だというふうに考えております。諸外国の状況を踏まえれば、四車線化によりまして、高速道路が本来有すべき速達性、定時性、安全性などの機能を確保する必要があるというふうに考えております。

 現在、暫定二車線のまま残っている区間のうち課題の大きい区間を優先整備区間として選定いたしまして、計画的に事業化を行っているところでございます。優先整備区間、約八百八十キロございますが、これのうち約二百三十キロ区間、これを事業化したところでありますが、依然として優先整備区間において未事業化となっている区間が約六百五十キロほどございます。これのための財源を確保するということは喫緊の課題だというふうに思っております。

 このため、今般の改正法案によります料金の徴収期間の延長によって生じます財源につきましては、更新事業に優先的に充当した上で、四車線化などの進化事業、これに充当することといたします。交通事故が集中する区間又は災害時の通行止めのリスクが高い区間など、優先順位をつけながら、四車線化を着実に進めてまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 私ども三重県にも、まだ暫定二車線区間がございます。今回の法改正の視点は、この暫定二車線の解消というのも一つの視点としてあるのかなと私は感じております。質問の内容としては、災害リスクの低減という視点で質問させていただきましたが、今局長が最後におっしゃったように、やはり暫定二車線は事故率も高いんですね。特に、重大事故につながるという、こういったこともありまして、やはり、地方からの要望も強い一つの案件かと思いますので、有効に財源を使いながらではありますけれども、暫定二車線の解消、こういった取組、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、サービスエリア、パーキングエリアの今後の整備方針について、二点確認をさせていただきます。

 最初に、今回の法案にもありますサービスエリア、パーキングエリアの機能の高度化について伺います。

 今回の法律案には、自動運転の普及やEV充電器の拠点整備等を促進するサービスエリア、パーキングエリアの機能の高度化について、高速道路機構から高速道路会社に対する無利子の貸付制度、これを創設するとの内容が盛り込まれております。この無利子の貸付けにつきましては、先週成立をいたしました令和五年度の予算にも含まれているものと思いますが、この機能高度化事業について、高速道路会社から、既に、具体的な事業の候補箇所、これが挙がっているのかどうか、ここを御答弁いただきたいと思います。また、今後、国交省としてはどの程度の整備を想定しているのか、この視点、御答弁いただきたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の改正法案は、高速道路における自動運転の普及、また、カーボンニュートラルなどを推進するため、EV充電器や自動運転車両の拠点施設の設置など、サービスエリア、パーキングエリアの機能高度化を推進するための補助制度を創設するものでございます。

 現時点において、具体的な整備箇所、今後の整備見通し、まだ定まっておりませんが、現在、高速道路会社において、民間のニーズ、実現可能性など、事業化に向けた調査を今行っているところでございます。

 国土交通省といたしましては、できるだけ早期に具体的な整備箇所をお示しできるよう検討を進めるとともに、高速道路会社と連携して、自動運転の普及、カーボンニュートラルの推進に取り組んでまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 脱炭素化でありますとか、さらには、高度な自動運転というのは、これから加速度的に進んでいくと思います。それに間に合うように、サービスエリアとかパーキングエリアの拠点整備というのは必要だと思いますので、既に、この後ちょっと質問しますが、やはりSA、PAの慢性的な渋滞とか升が足らないというのも、これは大きな問題にもなっていますので、そういったところの解消も含めて、今回、いわゆるインセンティブ事業を行うわけですので、しっかりとした具体性を持って事業化が進んでいくように、よろしくお願いをしたいなと思っております。

 続きまして、同じく、サービスエリア、パーキングエリアの混雑の緩和策、並びに、ちょっと視点を変えまして、防災拠点機能の強化、こういった視点で、二点併せて御質問をいたします。

 高速道路のサービスエリア、パーキングエリアにつきましては、これは私の肌感覚でもあるんですけれども、民営化後、店舗の多様化や施設の充実など、利用者に対するサービスが格段に向上している、こういった実感を感じております。民営化前と比べれば、その変化は目をみはるものがありまして、特に新東名なんというのは本当にそれを感じるんですけれども、場所によっては、サービスエリアが、単なる休憩のために立ち寄る施設から、目的地そのものになっているところもございます。

 しかし、その一方で、これが、結果として、駐車場がいっぱいであるとか、常に混雑しているということが問題となっており、私の地元のトラック事業者からも、特に夜間を中心に、サービスエリアの駐車升がいっぱいで、運転手が休憩もままならないという話も聞かれるところでございます。

 そこで、最初に伺いますが、高速道路のサービスエリア、パーキングエリアにおける、特に大型車の駐車升については、今後もやはり積極的に整備を進めるべきだと考えますが、現在の取組状況や今後の整備予定、これを御答弁いただきたいと思っています。

 また、あわせて、先ほども申し上げたとおり、高速道路は災害時にも強いという機能を持っております。一般道よりも特に災害に強いという一面があります。現に、東日本の大震災のときには、食料供給とか救護、救援のための、福島県内とか宮城県内でも、高速道路のSA、PAが被災地への前線基地として活用されたという事例も聞いております。

 このように、大規模災害が今後もいつ起こるか分からない中で、高速道路のサービスエリア、パーキングエリアを防災拠点として活用していくこと、またそれを強化していくこと、これは非常に重要な取組と考えますが、緊急時の出入口の設置でありますとか井戸の整備、さらには、ヘリポートの整備など、サービスエリアやパーキングエリアの防災拠点機能の強化、これは、国民の命を守るという視点からも、今後ともしっかりと進んでいく、また進めていく必要があるかと思いますが、これまでの取組、さらには、今後の方針について、御答弁を賜りたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 一点目の、大型車用の駐車升の御質問でございますが、高速道路の休憩施設における大型車用の駐車升の拡充につきましては、いわゆる二〇二四年問題への対応の観点から、大変重要なことだというふうに考えております。

 NEXCO三社におきましては、二〇一八年度より、大型車用の駐車升を約三千台ほど整備いたしまして、全国合計で約三万台分を拡充したところでございます。今後二年間で更に一千百台分の駐車升の整備を予定しているところでございます。

 これに加えまして、確実に休憩を取っていただくための短時間の利用に限定した駐車升の整備や、駐車場の立体構造化などにも取り組むこととしております。

 国土交通省といたしましては、今後とも、高速道路会社と連携いたしまして、ドライバーの駐車環境の改善に取り組んでまいりたいと考えております。

 続いて、二点目の、防災拠点機能の強化の御質問でございます。

 防災拠点機能の強化につきましては、大規模災害時の避難活動において、高速道路の休憩施設というものは、避難場所、また、復旧活動の拠点として機能を果たすものだというふうに考えております。

 現在、高速道路会社におきましては、災害時に進出拠点として計画されている休憩施設などを対象に、井戸などの給水設備、また一般道から休憩施設への緊急時の車両出入口、またヘリポートなどの整備を計画的に行っているところでございます。

 また、地域防災計画等に広域的な防災拠点として位置づけられました休憩施設につきましては、国土交通大臣が防災拠点自動車駐車場と指定いたしまして、災害時に広域的な災害応急対策の拠点として活用できるようにしているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、高速道路会社、また、関係自治体と連携しながら、高速道路の休憩施設の防災機能強化に取り組んでまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 サービスエリア、パーキングエリアの、本当に機能がよくなっているという反面、止めるところがないという声は本当に伺います。

 私も、新東名なんかを夜間走っていまして、サービスエリアに入ると、本当にトラックが所狭しと止まっておるという状況がありまして、今後もやはり、二年間で一千百台分の整備という話がありましたけれども、より物流機能が増していくことは、これは火を見るよりも明らかでありますし、二〇二四年問題を考えると、しっかりとした休憩できる場所というのも必要になってくると思います。ここはやはり、高速道路各会社と協議しながら、積極的な整備をお願いしたいなと思っています。

 さらには、いざというときの防災機能拠点としてのSA、PAの機能というのは私は非常に大事だと思っていまして、東日本大震災のときにもその機能強化が図られたと聞いております。緊急時の出入口とか、あと、断水した場合の井戸の整備、さらには、ヘリポートの整備なんかをすると、そこでのドクターヘリの活用、こういったところにつながってくると思いますので、こういった視点を持ちながら、SA、PAのいざというときの活用ができるような造り方、こういった視点を込めながら、これからはSA、PAの整備、これをお願いしたいと思います。

 最後に、ちょっと具体的な地元の関係を一つ御質問させていただきます。

 東名阪自動車道の大山田パーキングに設置予定でございます大山田スマートインターチェンジの整備推進についてお伺いをいたします。

 この東名阪自動車道、大山田パーキングエリアがあります桑名市は、日本の東西、また南北を結ぶ人流、物流の要衝でございまして、現在、この桑名市では、市の北西部に位置する多度南部エリアを産業誘導ゾーンに位置づけ、高速道路網を始めとした広域的なネットワークによる企業誘致、これを進めているところでございます。

 しかしながら、この多度南部エリアへの既存道路を用いたアクセスについては、渋滞でありますとか住環境の悪化が危惧されるのとともに、豪雨時には周辺河川の浸水が想定されているために、経済活動が長期にわたって中断される、こういった可能性がございます。

 また、この近隣には人口約三万五千人を擁する新市街地、いわゆる新しい団地が形成されておりまして、この地域から桑名東インターチェンジへの周辺道路では既に慢性的な交通渋滞、これが発生をしているのとともに、関西方面に往来する物流車両の多くについても、新市街地を経由して桑名インターチェンジを利用するために、既に新市街地での住環境に対する影響が出ている状況にございます。

 このような課題に対しまして、通過交通の分散により渋滞緩和を図り、平時、また災害時を問わずに安定した人流、物流を支える道路ネットワークを構築するために、産業誘導ゾーンでございます桑名市の多度南部エリアからの新たなアクセス手法として、東名阪自動車道、大山田パーキングエリアに、新たにスマートインターチェンジ、これを設置することは、私は必要性の高い取組であると考えますが、国交省のお考えについて、この視点、お伺いをしたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 大山田スマートインターチェンジについてのお尋ねでございます。

 新たなスマートインターチェンジの設置に当たっては、まず、地方公共団体が主体となって、インターチェンジの必要性などを検討を進めていただいているところでございます。

 御指摘の東名阪自動車道の大山田パーキングエリアにおけるスマートインターチェンジ、これの設置につきましては、現在、桑名市が構造の検討、また、周辺の渋滞緩和や産業活動の支援などの必要性の整理などを行っているというふうに伺っております。

 国土交通省といたしましては、NEXCO中日本と連携いたしまして、桑名市に対しまして、引き続き必要な協力、支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 大山田のスマートインターチェンジ、一義的にはやはり市がしっかりと整備を進めていくというところが大事かというふうに思っています。その部分を国交省並びにNEXCOと、しっかりとした協力並びに支援をお願いしたいなというふうに思っております。

 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。大変にありがとうございました。

木原委員長 次回は、明五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十九分散会


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