衆議院

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第8号 令和5年4月5日(水曜日)

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令和五年四月五日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 木原  稔君

   理事 加藤 鮎子君 理事 津島  淳君

   理事 中根 一幸君 理事 長坂 康正君

   理事 伴野  豊君 理事 谷田川 元君

   理事 赤木 正幸君 理事 伊藤  渉君

      泉田 裕彦君    小里 泰弘君

      柿沢 未途君    菅家 一郎君

      工藤 彰三君    小林 史明君

      櫻田 義孝君    田中 英之君

      田中 良生君    谷川 とむ君

      冨樫 博之君    土井  亨君

      中川 郁子君    中村 裕之君

      西田 昭二君    西野 太亮君

      根本 幸典君    古川  康君

      堀内 詔子君    三反園 訓君

      宮崎 政久君    武藤 容治君

      宗清 皇一君    枝野 幸男君

      小熊 慎司君    城井  崇君

      小宮山泰子君    神津たけし君

      下条 みつ君    末次 精一君

      馬淵 澄夫君    山岡 達丸君

      池畑浩太朗君    一谷勇一郎君

      早坂  敦君    前川 清成君

      山本 剛正君    北側 一雄君

      中川 康洋君    古川 元久君

      高橋千鶴子君    福島 伸享君

      たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   経済産業副大臣      中谷 真一君

   国土交通副大臣      石井 浩郎君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小林  豊君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 鈴木  清君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         豊嶋 基暢君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 宇野 善昌君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 堀内丈太郎君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  久保田雅晴君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 茂木  陽君

   国土交通委員会専門員   鈴木 鉄夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     堀内 詔子君

  根本 幸典君     宗清 皇一君

  深澤 陽一君     西野 太亮君

  小宮山泰子君     山岡 達丸君

  下条 みつ君     馬淵 澄夫君

  一谷勇一郎君     池畑浩太朗君

  山本 剛正君     早坂  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     深澤 陽一君

  堀内 詔子君     小林 史明君

  宗清 皇一君     三反園 訓君

  馬淵 澄夫君     下条 みつ君

  山岡 達丸君     小宮山泰子君

  池畑浩太朗君     一谷勇一郎君

  早坂  敦君     山本 剛正君

同日

 辞任         補欠選任

  三反園 訓君     根本 幸典君

    ―――――――――――――

四月五日

 海上運送法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)

同日

 交通運輸産業における迅速な運賃改定と賃金・労働条件への確実な反映を求めることに関する請願(金子恵美君紹介)(第六八〇号)

 同(道下大樹君紹介)(第六八一号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第七〇九号)

 同(中川正春君紹介)(第七一〇号)

 同(玉木雄一郎君紹介)(第八〇八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

 海上運送法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長宇野善昌君、道路局長丹羽克彦君、自動車局長堀内丈太郎君、航空局長久保田雅晴君、警察庁長官官房審議官小林豊君、総務省大臣官房審議官鈴木清君、総合通信基盤局電波部長豊嶋基暢君及び防衛省大臣官房審議官茂木陽君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小宮山泰子君。

小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。

 本日は、道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案に対しての審議となっております。

 今回の法改正は、高速道路の利用料金徴収の延長、高速道路料金の確実な徴収、サービスエリア、パーキングエリアの機能高度化により、高速道路の機能を将来にわたり維持するため、必要な財源の確保、適正な管理、機能強化を推進するものと説明を受けております。

 とはいえ、高速道路特別措置法は、料金徴収期間を令和九十七年、西暦二一一五年、九十二年後まで延長するという、まさに異次元の発想の法律となっております。

 法律上、道路は無料の原則のまま、償還終了まで有料、そして、その期間を大幅に延長するといういびつな仕組みを維持、継続は、本会議で城井委員も指摘したとおり、事実上の高速道路の永久有料化です。また、大規模更新、修繕等の計画と償還計画も、二〇七四年以降、四十一年間について更新工事なしとしているが、老朽化していくのは明らかなので、この改正案も遠からずそごが生じると推測されます。

 先日審議した地域公共交通の活性化に関する地活化法の改正の参考人であります武田参考人の、国交省内の道路局と鉄道局、縦割りの構造が諸悪の根源、戦前の内務省と鉄道局の頃から、公共か民間か、公共事業か公益事業か、インフラかモビリティーか、似て非なる分野なのに施策は全く別になっているとの指摘は、本法にも通じる痛烈な指摘であると考えております。

 今後、人口減少、毎年二十万人規模の町が減る、そういった人口減少の中で、また、新型コロナ禍でオンライン、リモートで移動を必要としないとなると、そもそも、この特措法の改正の前提は崩れているとも考えられます。地活化法の対象となる鉄道、バス、タクシーと道路の需要見込みなど、移動の権利を確保するためにも、交通政策自体を見直すべきであると考えています。

 そもそも、高速道路の将来にわたる改修、更新を確実に行えるようにする方法として、料金徴収期間を大幅に延長することを基本とする本法案、内容以外の方法は検討されていたのか、お答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 更新などに必要な財源の確保策につきましては、税負担又は利用者負担による確保がございます。

 また、この利用者負担の場合には、料金の引上げか料金徴収期間の延長が考えられます。

 これらの財源の確保策については、有識者により構成される国土幹線道路部会において議論し、令和三年八月に中間答申を取りまとめていただいたところであり、これを踏まえ、検討を進めてきたところでございます。

 この結果として、今般の改正法案においては、財政事情が厳しいことなどから現時点での税負担は困難であることに加え、高速道路は速達性などのサービス水準が高いことから、利用者負担による財源を確保することとしました。

 その上で、現下の社会情勢から、料金水準の引上げは直ちに利用者の理解を得ることは困難であるとともに、更新により耐用年数が延びて将来世代にも受益があることを踏まえ、料金徴収期間を延長することにより、引き続き利用者負担をお願いする、こういう結論に至ったところでございます。

小宮山委員 償還期限が来る前に、ここにいる議員、役所の方も、そして機構の誰一人としてこの世にはいないでしょう。問題は後世が処理をすればいいという無責任な考えであるとも取られます。

 鉄道を含む公共交通と高速道路に関わる制度を根本的に総合的に改めることを検討すべきと考えますが、この点に関して、大臣、お聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 今般の改正法案は、人口減少などに伴う交通量減少や、今後更新が必要となる蓋然性の高い箇所の更新需要など、現時点における見通しを踏まえた制度としたものでございます。

 本制度については、自動運転への対応など、新たな技術開発などに伴う投資に対しては、必要な施設整備などを進化事業として対応していくことが可能であると考えております。

 今後の制度の運用に当たりましては、債務返済期間を五十年以内とする規定の下、逐次料金徴収期間を延長し、必要な更新事業などを実施することとなりますが、将来を正確に予測することは困難であるため、それぞれの事業許可時点において、最新の見通しを計画に反映していく方針でございます。

 一方、現時点において具体的に見通すことができないような革新的な技術開発など、道路交通を取り巻く環境に大きな変化が見込まれる場合には、高速道路における負担の在り方など、必要な有料道路制度の見直しを行っていく必要があると認識しております。

 このため、将来の生活様式の変化や鉄道などの他モードを含めた交通全体の動向など、道路交通を取り巻く環境の変化をしっかりと把握して、引き続き、将来の有料道路制度を含めて、必要な議論を進めていかなければならない、その御主張は委員と共通しております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 先週、空港施設会社への人事介入の問題がクローズアップされました。この道路関係ももちろん、ファミリー企業の方には、過去にもそうですが、国交省のOBの方は就職をされていますし、役に就いています。

 国土交通省の元事務次官が、昨年十二月、国土交通省と利害関係がある株式上場民間企業である空港施設会社の社長の下を訪ね、同社の社長に、国土交通省OBである同社副社長の就任を求めたと報じられました。四月四日、国土交通省の権限などに言及しながら副社長ポスト要求を行い、就任していた山口勝弘氏の辞任の意向も報じられております。

 各省庁から、所管し、指導監督、許認可を伴う利害関係のある企業や外郭団体、公益法人、独立行政法人などへの再就職、天下りについて、官製談合、余りにも厚遇な賃金、報酬、独善的な入札条件による単独受注などの温床となり、令和時代から遡り平成、さらには戦後から昭和の時代も通じて、しばしば問題になっております。

 過去の天下りの事例の記事の見出しとしたら、二〇〇四年には、年金福祉還元事業に天下り役人が、百三十七団体、百九十九人に、四兆円投入、二〇〇六年には、緑資源機構は受注四法人天下り、二〇〇六年には、施設庁談合、天下り確保最優先、二〇一〇年には、高速三社、天下り百二十五人、子会社役員四割、民営化後増加など、この天下りに関しては様々な課題、問題が挙げられました。

 第一次安倍内閣では、公務員制度改革を政策の柱として天下り廃止などに取り組んだけれども、政権復帰後は天下りは事実上復活しており、一旦は民間人事となっていた新関西国際空港会社と首都高速道路の社長にも国土交通省OBが就く人事が二〇一六年に了承をされています。

 推測するに、安倍内閣で復権した天下りが岸田内閣でも続いており、時代も企業コンプライアンスも変わっているにもかかわらず、今回のような人事介入、ポストの要求が官僚OBにより行われていることに対して、猛省を促すとともに、恐らく、高度成長期、華やかなる自民党政治下での時代の成功体験を追い求めている、言葉は悪いのですが、老害とも言える事件が起こっているのではないでしょうか。

 この一件から、今後の国土交通省の現役職員たちがセカンドキャリアを築く上、障壁とならないのか、国を官僚として支えたいという次世代の入省希望者のうち、国土交通省希望者の減少など影響を懸念する、心配をする声も聞こえてまいります。

 民間空港施設会社への人事介入問題について、改めて大臣の所見を伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 この度の報道を受けまして、事実関係の確認を行うべく、私からの指示の下、本田勝元国土交通事務次官及び山口勝弘空港施設株式会社副社長の両名に聞き取りを行いました。

 その結果、両名への聞き取りにより、国土交通省が民間企業の役員人事に関与している疑いを招きかねない発言があったことが事実であると判明し、甚だ遺憾なことである、このように考えております。

 そのため、国土交通省より、両者に対し、本件において両者の取った行動は、国土交通省が本件に関与しているという誤解を招きかねないものであることから、大変遺憾であり、今後、現役時代に担っていた公務に係る権限を行使可能であるかのような誤解を招かないよう、自覚を持っていただきたい旨伝えたところでございます。

小宮山委員 大臣、そうはおっしゃいますけれども、東証プライム市場に上場された、大変人事に関しても厳しいところに平然としてそんな要求を持っていくということ自体、正直言って、時代と社会と、そして現在からの乖離があります。

 これまでと違って、やはりOBに対してもコンプライアンスを求めるべきでありますし、また、これをやった背景というものは、国交省だけなんでしょうか、ほかのところでもまたやっているからこそ、こんなことがまかり通ってしまったのではないか。この点に関しても、徹底して内閣においても調べていただきたいと思います。

 この点をしっかりと御忠言いたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

木原委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。

 道路整備特別措置法等一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。

 まず、大臣にお伺いしますけれども、これまでの、三月二十八日の本会議での我が党の城井崇代議士の質疑、また、昨日の参考人の質疑の中でもいろいろ出てきましたけれども、高速道路にいろいろな費用がかかる、これは補修もしなきゃいけない、直していかなきゃいけない、維持管理にかかるというのはもちろん分かるところでありますけれども、そもそも、いつかは無料になるという思いで国民は理解していたんです。二一一五年、城井代議士の例えによれば、ドラえもんが誕生した三年後というとてつもない未来ですし、ここにいる人たちが誰も生きていない。そうしたら、これは、国家としては近い将来、先のある将来かもしれないけれども、一人の人生からしたら、もう永久有料化に等しいんですよ。

 今回、いろいろかかりますが、過去の経緯を言えば、何年後か先ですよというのがどんどんどんどん先延ばしされて、ニンジンをぶら下げられた馬みたい、今、余り国会を動物に例えちゃいけないのかな、になるわけですけれども、今後どうなるかなんて、今までの信頼関係からすれば、また何かあるんじゃないかと思いますよ。

 でも、またいろいろ考えてみると、二一一五年、ドラえもんが誕生しているのであれば、もう我々は道路じゃなくて空を飛んでいるかもしれないので、もう高速道路というのは要らないのかもしれないし、多少は残っていても、道路はそんなに、壊れにくいのかなというのもあるから、いずれも不透明なんです。

 大臣にお聞きしますけれども、永久有料化ではないというふうには答弁でもありますけれども、実質的には、人一人の人間の目線からすれば、永久有料化に等しいんですよ。これについての大臣の見解と、これは今までの質疑の中でもいろいろお金の必要な理由は述べていますけれども、昨日の参考人質疑にもあったとおり、余りにもスパンが長い、国民理解が得にくいということは否めません。説明責任、もっとしっかり果たさなきゃいけないと思う。

 この二点について、大臣、どうぞ。

斉藤(鉄)国務大臣 一個の個人にとって二一一五年という期限は、もう永久有料というふうに見ていてもおかしくないのではないかという御意見はよく分かります。

 しかし、道路は国民共有の財産で、極めて公共性が高く、無料公開が原則であるということを踏まえまして、有料道路制度は債務完済後には無料公開する、これが基本的な仕組み、原則となっております。

 そして、平成十七年に、道路関係公団民営化時には、二つの視点、つまり債務を確実に返していくという、そのことと、それから道路建設への歯止め、この二つの観点から料金徴収期限を法定化したということになりました。

 その後、料金徴収期限を十五年延長した平成二十六年法改正における附帯決議で、永久有料にすべきという御意見と、無料化すべきという両方の相矛盾する、そういう議論があって、それが附帯決議に両方載ったということでございます。

 このような状況を踏まえまして、今般の改正法案では、現行法を踏襲して、従来と同様に料金徴収期限を設定したものでございまして、債務完済後には従来と同様に無料公開する仕組み、このようにした次第でございます。

小熊委員 それは無料になれば一番いいんですけれども、今言ったとおり、それは、無料にします、努力しますが、努力の結果が延びているわけですよ。

 これまでの質疑の中でも、いろいろなことが起きます、そのたびにやはり、これだけかかります、もっと先延ばしですとなってきているし、これからも、今までのそういうロジックでいうと、なるじゃないですか。いつかは償還といったって、だって、道路だってずっと定期的に補修したり、直したり、造り直したりしなきゃいけないわけですから。一回造ったらもう完全に壊れないというものができない限りは償還なんてないですよ、今までの論理でいうと。

 それは、心意気はよしですけれども、無料化なんて来ないんじゃないかという疑念があるわけですし、昨日の参考人質疑の中でも、やはり長期にわたるのがちょっとよくない。無料化を目指すのであれば、もっと短くするという努力が見えていない。かえって、時代が変わってきて、もっと延ばさなきゃいけない、いろいろな需要に応えなきゃいけない。

 だから、これから二一一五年まで新たな需要が出るかもしれないし、もちろん人口が減少してきて、それが壊れにくくなったりするかもしれない、使用頻度が下がって。でも、たらればの話じゃないですか。確実に無料になると言えないじゃないですか、大臣。まして、こんなスパンが長いんですもの。

 心意気はいいけれども、実際の国民の心理としてはそうはなっていないということなんですよ。だから、いきって、いつかは無償化なんて言うのは逆にちょっとよくないんじゃないかな。申し訳ないけれども、百年、二百年先までかかるものはかかりますよと。その代わり、これは圧縮しなきゃいけないという努力の説明をしっかりしていく。それは私も、本当は短いスパンで無料化した方がいいと思いますよ。

 あと、これまでの議論もありましたけれども、私、ヨーロッパやアメリカでも車を借りて乗ったことがあるけれども、無料ですよ。お金がかかるところもあったけれども、もう日本のかかり方と全然違うし、数年後にはやはり無償化になっているし。これまでの議論の中でも、海外と日本のことは、ちょっといろいろな制度、仕組みが違っていて一概には比べられないと言ったけれども、このことすらも、国民からすれば、海外では無料なのに日本では何でならないんだろう、こういう背景も含めて説明責任を果たさなきゃいけないんですよ。

 大臣の、今私の質問に対して述べたことも、このいろいろな質疑の中で述べてきたことも、それは教科書どおりの答弁なんだけれども、全然刺さらない。二一一五年という数字が重い。もう一回答弁をお願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 今回の日本の高速道路、有料料金道路の仕組みは、確実にこれからこれだけのお金がかかります、既に建設したものの借金と、それから、これから確実に更新等でお金がかかりますというものが明確になったものをきちっと料金で返済していくという仕組みになっています。

 そういう仕組みである以上、明確にこれだけのお金が必要になりました、そして、基本的にこの料金で返済するにはこれだけの時間がかかりますというその期限を設けるのは、これは必然でございます。

 そして、基本的な考え方として、その期限が来たときには無料にするという、道路公開、天下の公道ですから、無料公開する、国民全部の持ち物にするという考え方でございます。

 したがって、確実にお金がかかるということ、それをいつまでに返すかということで、その期限を明確にしたのが今回の二一一五年だ、このことを分かりやすく説明していかなくてはならないんだ、このように思います。

小熊委員 分かりやすくといっても、もう堂々巡りなので、これで次の質問に移りますけれども、でも、恐らく、多分二一一五年には我々は空を飛んでいるから、もう道路の在り方も変わると思いますので、またそのとき生きていれば議論したいと思います。

 次に移りますけれども、また同じく三月二十八日の我が党の城井代議士の本会議の質疑の中で、料金制度の在り方そのものについての言及がありました。

 高速道路の区分は、御承知のとおり、軽自動車、普通車、中型車、大型車、特大車の五つに分けられていますけれども、この料金設定の原則、基準三つが、原因者負担、道路を損じていくというか摩耗していくということの負担。占有者負担、これは大きさとかですよね。受益者負担、標識とかいろいろなもの。これは、どういう乗り物に乗ろうともそれは負担するということで、公平になるべきだというふうに思います。

 その城井代議士の質疑の中で、質問に対して、利用者の負担が公正で、またシンプルで合理的な料金体系とすることも重要という答弁がありましたが、バイクは軽自動車に入れられているんですけれども、バイクの占有面積は軽自動車の三分の一です。タイヤ一輪当たりにかかる道路への負荷は半分以下です。なのに、軽自動車にがしゃっとまとめられてしまっています。

 だから、ちゃんと公平でというのであれば、これは公平じゃないので見直すべきだと思いますけれども、政府の見解をお伺いします。

丹羽政府参考人 バイク料金の関係でお尋ねがございました。

 先生御案内のとおり、高速道路料金の車種区分というのは、昭和六十三年の高速道路審議会の答申に基づきまして、委員御指摘のとおり、占有者負担、また原因者負担、受益者負担、この考え方でやっております。

 具体的には、当時の考え方でいいますと、二輪車については、まず占有者負担につきましては、走行時に他の車両と同様に一車線を占有して、安全な車間距離が必要となること、また、原因者負担につきましては、照明、標識、遮音壁などの費用に関して、他の車種と同様の負担を行うべきものと考えられること、また、受益者負担については、法定の最高速度は他の車種と同様であることなどを勘案して、普通車の〇・八倍という料金としております。

 この車種区分の在り方については、令和三年の八月の国土幹線道路部会の中間答申におきまして、車両諸元、また、高速道路の利用状況が変化してきたということを踏まえまして、二輪車を含めて、車種間の不公平感が生じないように検討する必要があるというふうにされたところでございまして、最新のデータに基づきまして、当時定めた車種区分を改めて精査する必要があるというふうに思っております。

 同時に、高速道路料金というのは、建設、管理に要する総費用を、料金の徴収期間で料金収入で償うように設定するということになっております。二輪車の料金水準、これを引き下げた場合の減収分については、他の車種によって償う必要があることにも留意する必要があると思っております。

 例えば、二輪車、軽自動車、普通車のバランス、また、物流を担う大型車への影響、EV車など、従来見られなかった車両の取扱いなどについても検討を深めていく必要があるというふうに思っております。

 なお、二輪車の高速道路料金に関しましては、土曜、祝日、百キロを超えて走行した場合、普通車の半額相当となる三七・五%割引とする二輪車の定率割引、これを令和四年度より実施しております。

 また、二輪車限定の観光周遊割引であるツーリングプランと併せて、引き続き、二輪車ユーザーの利便性向上に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

小熊委員 局長も、本当はここまでいろいろ出ているのが、同じバイク乗りでありますから、もっと言いたかったなという気もします。

 大臣、今ちょっと検討するとあったけれども、実は、今の局長の答弁の中でちょっと問題があったのは、大臣は本会議の答弁で公平公正と言ったでしょう、でなきゃいけないと。やはり、これは不公平感があるわけですよ、軽自動車と一緒になっていることが。でも、ここでへこんだ分をどこかにやらなきゃいけないと言うけれども、この基準の三つに照らし合わせたら、バイクにしわ寄せが行っているわけですよ。では、その分をどこかにということは、だから、公平に見れば、負担すべきところが負担すべきであって、負担すべきじゃないところが今バイクによっているとも見られるんですよね、ある意味では。

 今後の検討の中では、本当にこれを公平にやっていかなきゃいけない。しわ寄せが行くところでいろいろな議論が出るでしょう。でも、それは臭い物に蓋をしちゃいけないし、いろいろなキャンペーンをやっているのは分かるけれども、それだけでごまかされちゃいけないので、バイク乗りも。

 是非、大臣、一言もらいたいけれども、御党の伊藤議員もバイク乗りで、伊藤さんも新幹線まで乗れる国会議員ですからすごいんだけれども、是非、伊藤先生に相談に乗ってもらいながら、検討をより進めませんか。公平であるがためですよ。バイカーのために言っているんじゃなくて、公平でないから公平にしてくださいという話、公正にしてくださいという話。大臣、どうですか。

斉藤(鉄)国務大臣 現在の車種間の区分は、昭和六十三年の道路審議会答申に基づいているということで、少々古くなっているかなというのは感じます。

 令和三年八月の国土幹線道路部会中間答申では、車種間の不公平感が生じないように、今後の車種区分の在り方について検討する必要がある、このようにされました。

 具体的な検討に当たっては、最新のデータに基づいて、当時定めた車種区分、昭和六十三年に定めた車種区分を精査する必要がございまして、有識者や利用者の意見も聞きながら検討を行う必要がある、このように認識しております。

小熊委員 是非、その点をお願いします。伊藤議員によく聞いておいてください、大臣。

 併せて聞きますけれども、検討するときにもう一つの視点が必要になってきます、これからの時代。近年、電動化、EV化が加速していますし、国は決めていませんけれども、東京都は二〇三五年にバイクの新車もEVだと言っているんですね。これは本当にどうやってやるのかなというのはちょっとよく見えていないんですけれども、いずれにしても、ここも考慮しなきゃいけないと思います、今後の料金体系には。

 ただ、今のところ、過渡期なのでしようがないんですけれども、道路運送車両法では電動バイクの区分が三つなんですけれども、運転免許区分だとまた違うふうになって、四つに分けられていて、ねじれていますし、国際社会の中でも、ほかの国と日本の、出力でいろいろな基準を決めているんですけれども、ここのずれが生じています。

 これは多分、メーカー側からいっても、これはやはり世界統一してもらっていた方が、基準のところに合わせていろいろな製品が、車両が造られていきますから、これがずれていくと、日本のガラパゴス化もこの電動バイクでしてしまうかもしれないというところがありますので、こういうメーカーの世界戦略のためにも、やはりこれは国際社会、これからの時代、基準を一致させていかなきゃいけないというふうに思います。その点と免許制度というのがやはりずれているんですよ。そうすると、そこにちょっと穴ができちゃうんですよね。乗る方もメーカーの方もそこでいろいろなそごが出てくるので、これをしっかり統一させていくということが必要です。

 もちろん、ヨーロッパの幾つかの国でもずれているのはあるけれども、一致している国もあるわけです。そういう先進的な国と同じようにしていかなきゃいけないし、なるべく国際的な基準に一緒にしていくということが必要だというふうに思います。

 これをやらないと、結局、同じバイクでも車でも、さっきの高速道路料金の中で、タイヤの負荷のかかり方とか、あと重さによって違うわけですよ。それを踏まえて道路料金の方にも見直しをかけなきゃいけないし、そのときに、出力によって排気量の基準を合わせていくのであれば、高速道路の料金にもこれは反映してきますから、そういうのを見据えてこのEVの部分のいろいろな区分、免許の部分の区分も、ちょっとこの先、新たな改正が必要だと思いますけれども、答弁を求めます。

石井副大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、電動バイクの区分につきましては、道路運送車両法及び道路交通法のそれぞれの法体系の下で、モーターの出力によって車両が区分されているところでございます。

 道路運送車両に関する法令におきましては、車両の構造の違いに着目いたしまして、必要な安全性能や環境性能に関する車両区分を設けているところでございます。

 一方、道路交通に関する法令におきましては、運転者の操縦性能の違いに着目をいたしまして、必要な運転免許に関する車両区分を設けているところでございます。

 そうした違いがある中で、それぞれの車両区分も、御指摘のような一部異なる部分があるといった状況でございます。

 この点につきましては、海外における区分制度の動向なども注視しながら、国土交通省といたしましても、関係省庁、警察庁でありますけれども、連携をしっかりといたしまして、必要な見直しについて検討してまいりたいと考えております。

 あわせまして、現状は、二輪車を製造するメーカー等が、モーターの出力を測定する際、国際的に統一された測定方法が存在しないということがあるために、国連の自動車基準調和世界フォーラムにおきまして、国際的な出力の測定法を策定すべく、国土交通省が主導しているところでございます。

 電動二輪車の普及につながるよう、引き続き、国際的な検討をリードしてまいりたいと考えております。

小林政府参考人 お答えいたします。

 道路交通法におきましては、車両の大きさや出力等の車両特性により、これを制御し、安全に運転するために必要となる運転技能や知識が異なることとなるため、交通の安全確保の観点から必要な運転免許区分を設けてきたところであります。

 御指摘の自動二輪車についても、同様の考え方の下、区分を設けております。

 運転免許の在り方につきましては、今後、御指摘の海外の制度や国際規格制定の動向、道路運送車両に関する法令における車両区分の状況を踏まえつつ、これらの車両の運転に関する道路交通の安全が引き続き確保されるよう、関係省庁と連携しながら、必要に応じて検討を行ってまいります。

小熊委員 是非、新しい時代のため、日本が主導的に国際世論を主導していっていただきたいというふうに思います。

 大臣、是非、伊藤さんの話を聞いておいてください。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、神津たけし君。

神津委員 長野三区の神津たけしです。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速ですが、質疑に移らせていただきます。

 後ほど二十三条の二一一五年の問題については諸先輩議員が伺う予定となっておりますので、私は、質問通告一番は後ほど聞かせていただくということで、二、三、四、一の順で質問いたします。

 まずは、道路特措法二十四条に関連して、高速道路の料金徴収方法について伺います。

 近年、先進国においては、料金所での現金収受をやめて、完全電子料金徴収というものを行っている国が多くあります。特に、コロナ禍の中でこうした取組は加速いたしました。

 まず、配付資料の図一を御覧ください。これは、高速道路点検診断資格を運営している高速道路調査会の高速道路の料金制度に関する研究の最終報告書の資料の抜粋なんですが、ETCとナンバープレートの併用によって、完全電子料金徴収というものを推奨しております。

 日本では、今九割の車が既にETC車載器を搭載しておりますが、二〇三〇年から、新しいセキュリティーに対応していないETCが使用できなくなってしまう。この新しいセキュリティーに対応している乗用車はおおよそ今まだ二割ほどと伺っております。そうした新しいセキュリティーに対応していないような車についても、ナンバープレート読み込みの制度を導入しておけば、料金所を設けないでも、道路を通過すれば課金できるようになるという特徴があります。

 また、もう一つの特徴としては、料金所における料金徴収コストの削減が達成できるというところにあります。

 現在の高速道路における料金徴収コストは、ETCで四十円、現金徴収で三百八十四円と非常に高額になっているというふうに事前のレクでお伺いしました。高速道路のターミナルチャージというものは百五十円ですので、現金での収受というものはこれを大幅に上回っているという状況にあります。ETCの値段までは恐らくこのナンバープレートによる徴収というものも低コストにはならないかもしれないんですが、この完全電子料金徴収を導入することによって、大幅なコスト削減効果が生み出されると思います。

 高速道路料金徴収の方法に、ETCに加えて、ナンバープレート読み取りによる料金収受の方法について調査を行って検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 現在、令和五年一月現在ですけれども、ETC利用率は約九四%ということで、ETCがまず非常に今よく利用していただいているという現状がございます。

 他方で、ナンバープレート読み取りによる料金徴収については、読み取った車両番号を基に利用者を特定し、事後に料金を個別に請求するための作業が増大するなど、徴収確実性などに課題があると認識しております。

 一方、高速道路会社では、料金収受の効率化などを図るため、令和四年三月より、料金所のETC専用化を順次導入しているところです。

 ETC専用料金所に現金利用車が進入した場合、現在は、遠隔の係員の指示に従って料金の事後支払いなどをお願いしていますが、将来的には、読み取ったナンバープレートを基に事後請求することを検討しているところでございます。

 引き続き、ETCによる料金徴収を基本としつつ、効率的で確実な料金徴収を行うことができるよう、委員御提案のございました海外の導入事例も参考に、高速道路会社とともに検討に取り組んでまいりたいと思います。

神津委員 ありがとうございます。

 将来的に検討していただけるということで、よろしくお願いいたします。

 道路特措法、この二十四条に関連してなんですが、今回の条文を読んでいると、これまで、高速道路の料金については車両から徴収するということが記載されておりました。この条文の中で、この車両から徴収するというところを、今回は、運転者又は利用者から徴収するという記述に変わりました。

 車検証の中では所有者ということが含まれておりますが、この所有者を今回なぜ加えなかったのか、教えていただけますでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の改正法案におきましては、料金の確実な徴収のため、実際に車両を通行させた者であります運転者のほか、車両の運行支配権を有する者である使用者を料金徴収の対象とするということを明確化いたしました。

 一方、お尋ねの使用者でございますが、例えば、長期のリース車両の場合、車両を貸し出すリース会社、これが所有者となりますが、車両の運行支配権を有していないため、料金徴収の対象とすることは不適切であると考えられます。したがって、今般の改正案では所有者を対象としていなかったところでございます。

 この使用者と所有者は基本的に一致することから、今般の改正内容でも十分に料金徴収の強化が可能でありますが、今後、新たな対応ニーズが明らかになった場合には、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

神津委員 ありがとうございます。

 先ほどのナンバープレートによる料金徴収の方法、これについて研究されている方々の多くは、所有者から徴収するということを推奨しております。昨日も石田先生が、使用者ではなくて所有者から徴収するということを推奨されておりました。

 この点について、もしかしたらば、学者さんの中では、車検証上の記載についての、使用者と所有者というところについて余り区分がなくおっしゃられている方もいらっしゃるかもしれないので、その辺、明確にしていただいて、これから所有者というものを加えていくのか検討していただければと思います。

 次の質問に移ります。

 ETCについては、二〇二二年問題というものがありました。二二年問題というのは、本来必要とされる所定の周波数を外れた不必要な電波が発生されている、これをスプリアスと呼ぶそうですが、このスプリアスが発生する状況となっているETCについては、本来であれば、コロナ禍前であれば、二〇二二年から取締りが行われるという予定になっておりました。

 いつ頃から電波法違反で取締りの対象となるのか、また、どのような処罰となるのか、警告などを行わずに処罰を行うのか、教えてください。

豊嶋政府参考人 お答えをいたします。

 今委員から御指摘がありましたいわゆるスプリアスに関する基準でございますが、このスプリアスの基準につきましては、旧スプリアスの基準の無線設備については、その使用期限を令和四年、二〇二二年十一月三十日までとしておりましたが、新型コロナウイルス感染症による社会経済への影響などによる無線設備の製造や移行作業に遅れが生じていることを考慮しまして、令和三年八月に関係省令を改正をしまして、その使用期限を当分の間に延長いたしたところでございます。

 したがいまして、現時点におきましては、旧スプリアス基準に適合した、例えばETC一・〇のような無線設備を使用しても電波法の違反に該当することはなく、当然のことながら、処罰の対象ではございませんので、取締りを行うということはございません。

 以上でございます。

神津委員 ありがとうございます。

 当面の間は行わない、ただ、いつかは行うというところにおいては、今、スプリアスを発生している車の所有者なんですが、皆さん、自分のETCがスプリアスを発生しているということを恐らく理解していないで利用していると思っております。そういう意味では、まずはスプリアスを発生している車両について特定していただいて、まずは警告していただいた上で、その上で取締りというものを、もし今後始めるのであれば、やっていただきたいと思います。

 次に、機構法第十二条のサービスエリア、パーキングエリアの整備支援関係について伺います。

 日本は、充電インフラの遅れが日本におけるEV普及の壁になっていると言われております。報道によると、二〇二二年十一月の新車販売におけるEVの比率ですが、中国では二五%、ドイツでは二〇%、韓国では九%に対して、日本では約二%と非常に低くなっております。

 これに対して、国土交通省は、高速道路における電動化インフラ整備加速化パッケージというものを三月二十九日に発表されて、充電器数を大幅に増加するというふうにおっしゃられているかと思います。この中でおっしゃられているのが、九十キロワットの高圧のもの、高出力のものを普及させていくというふうに言っているんですが、実はこの九十キロワットのもので三十分ぐらい充電すると、まだ百九十キロぐらいしか走れないような状況となっております。

 こうした意味では、ガソリン車と同等の利便性ということを考えると、五分から十分の充電で数百キロ走れるような環境というものを整備していかないとというふうに考えております。超急速充電を導入して、短い時間で大容量の充電を実現していく必要があると思います。

 これを実現する障壁として、充電設備設置コスト、それから高圧契約による運用コストが大きくあると思っております。初期費用だけではなくて、運用面での補助金を充実させていくべきと考えておりますが、経産副大臣、いかがでしょうか。

中谷副大臣 電動化社会の実現に向けては、電動車の普及とインフラとしての充電器の設置を車の両輪として進めていくことが重要というふうに考えております。

 先生御下問の充電器についてでございますが、政府といたしましては、二〇三〇年までに公共用急速充電器三万基を含む十五万基の充電インフラを設置することを目標と掲げております。

 政府といたしましても、車両がどのくらい高い出力で充電できるのかといった性能の向上も踏まえつつ、より高出力の急速充電器の導入が進むように、補助金によって誘導していきたいというふうに考えているところであります。

 一方、設置事業者の設置、運用費用が大きいという課題もありまして、経産省といたしましては、補助金の運用において今工夫を行っているところであります。

 例えば、高速道路のサービスエリア、パーキングエリアでの設置に対しましては、急速充電器の補助上限を通常より高く設定しております。これは工事費も補助するというような形にしております。重点的に支援を行っているというところであります。その結果、令和四年度の補助事業では、九十キロワットや百五十キロワットといった最大出力の大きな急速充電器も数多く導入されてきているというところであります。

 また、高速道路以外につきましても、令和四年度補正予算から、九十キロワット以上の高出力急速充電器に対する補助率を二分の一から一分の一に引き上げて、一層の普及を図っていきたいというふうに考えております。

 充電インフラの整備に関わる今予算全体につきましても、令和四年度補正予算と令和五年度当初予算を合わせますと、前年度の三倍となる百七十五億円に拡充しているところであります。

 こうした支援措置を通じまして、車両の充電性能も踏まえながら、より利便性の高い、高出力の急速充電器の設置を促進していきたいというふうに考えております。

神津委員 ありがとうございます。

 高出力の充電器の整備、進めていただけるということで、お願いいたします。

 今、日本が推奨してきた、日本がリードしてきたチャデモという規格、九百キロワットまで対応していく、対応できるというふうに伺っております。できるだけ高い、高出力のものを整備していただきたいというふうに思っております。

 特に、今ほかの国の状況を見ると、テスラとか、韓国のヒョンデ自動車、ここは二百五十キロワットのものを急速充電として対応していて、五分の充電で二百キロぐらい走れるようなものを既に開発しているというところで、日本の自動車の国際競争力、自動車産業の国際競争力を維持する上でも、是非この超急速充電器というものを整備していただきたいと思います。

 今、高速道路を利用するときに、何キロ置きに充電器がないといけないという決まりがなくて、これはちょっと障壁になってしまうのではないかと。車種によっては、充電してもバッテリーの容量が低い、それから電費がよくないものがあるというところにおいては、是非、高速道路の規則として、何キロメートル置きに充電器を置かなければならないということを決めておくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 現在、NEXCO三社の高速道路における休憩施設の設置間隔は平均約二十五キロメートルとなっております。また、休憩施設全体の約九七%が隣接する休憩施設との間隔が五十キロメートル以内となっております。

 この休憩施設の一部を利用して、今五百十一口の急速充電器が整備されております。引き続き、充電事業者と連携し、充電器の拡充に取り組むこととしておりまして、先ほど言っていただきました、二〇二五年度までに千百口とする計画でございます。

 また、インターを出て充電器がある場合には、それを使えるような形にできないかということも検討も今しているところでございまして、急速充電器の整備促進に取り組んでまいりたいと思います。

神津委員 充電器の間隔というものを、今七十キロメートル以上充電器がないという区間が四十四区間あるというところで、もう少し間隔を短く整備していただければと思います。

 これに併せて、今回の法案の対象となっていませんが、道路交通法の第七十五条の十については、今、高速道路を利用するときに、これは質問通告していないので、私、言うだけなので、検討していただければと思うんですが、第七十五条の十では、高速道路を利用するときにはあらかじめ燃料を入れておきなさいというところが、ちゃんと点検しておきなさいということが定められているんですが、これは、電力、ちゃんと充電しておくことが定められていないので、次回の改正のときにはここを検討していただければと思います。

 次に、中部横断自動車道について伺います。

 全国には、国家の背骨とも言える高速道路、高規格道路があと少しでつながって、更に強靱な災害時のダブルネットワークの構築、緊急輸送路の迅速化、物流の生産性の向上につながるようなミッシングリンクが多くあると思っております。

 私の地元では、中部横断自動車道があったおかげで、ダブルネットワークがあったおかげで、国道が止まってしまったときに中部横断自動車道が代替道路として機能したというところもあります。それから、最近では、中部横断自動車道、近くまでは来ているので、今、私の地元の近くの佐久にあるスーパーでは、中部横断自動車道を使って、これまで朝捕り鮮魚を取り扱うことができなかったんですが、取り扱うようになってきているようなスーパーもございます。

 この道路が開通すると、あと残り僅か三十四キロなんですけれども、ここが開通すると日本海とそれから太平洋がつながるというところでは、災害の、これから南海トラフ、三十年以内に七〇%以上の確率で起こるというふうに言われておりますので、そのためにも是非整備していただきたいというふうに思っております。

 今日来てくださっている中谷経産副大臣が山梨県側の選挙区で、私の選挙区が長野県側になっておりますが、是非、斉藤大臣の中部横断自動車道の整備に向けた具体的な目標年と意気込みをお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 今地図を見させていただいておりました。

 中部横断自動車道は、太平洋に面する静岡県、内陸部に位置する山梨県、長野県の三県を結び、日本列島中央部の南北軸として機能する高規格道路です。

 この中部横断自動車道の全線開通により、災害時のリダンダンシーの確保や観光周遊ルートの形成に加え、内陸部から清水港へのアクセス向上による物流効率化などの効果が期待されております。

 御指摘の未整備区間である長坂から八千穂までの区間については、現在、山梨県及び長野県が都市計画や環境影響評価の手続を進めているところでございまして、具体的な目標年をお示しできる段階にはまだございません。

 国土交通省としては、中部横断自動車道のミッシングリンクの解消に向け、両県が行うこれらの手続が円滑に進むよう、引き続き、関係自治体と連携しながら、必要な検討を進めてまいりたいと思います。

神津委員 両県にまたがる議員、与野党問わず、みんな、この中部横断自動車道、積極的に進めていただきたいというふうに思っておりますので、是非よろしくお願いいたします。

 私の質疑時間は終わりましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

木原委員長 次に、末次精一君。

末次委員 立憲民主党の末次精一でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、大臣にお伺いいたします。

 償還に係る責任の所在についてでございます。

 先月の二十八日の本会議で、大臣は、高速道路の債務償還につきましては、関係法令に基づいて、国、機構、高速道路会社が、それぞれの役割に応じて責任を果たしていると御答弁されております。

 償還主義に関しまして、三者はそれぞれ具体的にどのような責任を果たしているか、償還が先送りにされ、料金徴収期間が続くことに対しまして、業務実施計画の認可を行う国に責任があるのではないかと思いますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 国、機構、そして高速道路会社のそれぞれの責任ということでございますが、まず、機構につきましては、高速道路機構法第四条において、債務の早期の確実な返済を行うことなどを目的とすることが規定されております。

 それから次に、高速道路会社ですが、高速道路会社法第一条において、新設、改築などを効率的に行うことなどを目的とすることが規定され、コスト縮減などを通じて、債務の確実な返済に寄与するということが求められております。

 そして最後に、国の責任でございますが、高速道路の債務返済を含めた業務の実施に当たっては、高速道路機構法第十三条に基づき、機構と会社が協定を締結した上で、そして、機構法第十四条に基づき、機構が国土交通大臣に業務実施計画を申請します。そして、道路整備特別措置法第三条に基づき、会社が国土交通大臣に事業許可を申請し、その申請内容が適切かどうかを確認した上で、国土交通大臣がそれぞれの許認可を行っております。

 このような形で、債務返還について、国、機構、会社がそれぞれの役割に応じて責任を果たしている、こういうことになっておりまして、今、法律に基づいてしっかりやっている、このように認識しております。

末次委員 そういうことである場合に、ここまで、そもそも、民営化になったときに二〇五〇年には無料化になる、その後また延長されましたけれども、そして、今回また、百年かかるかもしれないということで、この料金徴収期間が長引いているわけです。国民への説明というのが、このようにころころ変わっている。

 大臣がおっしゃったような仕組みであれば、そこの仕組みにおいて責任が果たされていればこういう状況は起こらないと思うんですけれども、その点について改めてお伺いしたいと思います。

 そもそも、大規模更新等を想定した計画策定が必要であったのではないかということですけれども、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 基本的に、前回の改正におきまして、それまで、ある意味で予測できなかった更新という大規模な仕事、こういうものが出てきた。そういうことで、これを、着実に更新事業を行い、高速道路を将来にわたって持続可能なものにしなくてはいけないという下で、償還計画を立て、前回の法律を成立させていただいたところでございます。

 ですから、民営化のあの法律ができたときには、そういう大きな更新事業ができるということが見通せなかった、そのときの技術水準では正確な予測はできなかったということにあると思っております。

末次委員 昨日、参考人招致がありまして、その中でも参考人の方から、税法上適用される耐用年数を参考に、更新や大規模修繕が必要となることを前提とした計画を立てておくことは可能であるということでおっしゃっていますね。

 大臣は、民営化の当時分からなかったということでお話しされましたが、アメリカを例に取りますと、ちょうど一九九〇年代に一斉に大きな更新がなされたということでありました。私、九〇年代初頭に、たまたまそのとき会社員でありまして、ちょうどアメリカにおりました。今でも覚えておりますが、全米の高速道路の老朽化が進んで、すごいそれにお金がかかると。記憶が曖昧で大変申し訳ありませんが、たしか四十兆ぐらいかかるというような話を耳にしておりました。これは大変だな、その財政、どうするんだと思っていたところであります。私は一介のサラリーマンでありましたけれども、日本、大丈夫なのかなというふうに思ったわけですね。これはもう三十年前の話であります。

 そういった諸外国の例を取っても、これだけ改修に、更新にお金がかかっている、そういう例を見たときに、大臣がおっしゃるような近年分かったという話は、私は出てこないんじゃないかと思いますけれども、その点について、大臣のちょっとお考えをお聞かせいただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 当然、既設は、構造物は老朽化いたします。したがいまして、民営化法当初からも、必要な修繕、そして、当然構造物として劣化していくであろうことに対しての修繕費、これは当然見込んでいたわけでございます。しかし、それぞれの構造物において、置かれた環境や状況によって変わってまいります。

 例えば、百年もつ構造物もあれば、非常に早く劣化する構造物もある。今回の羽田トンネルのように、既に漏水が始まっているというようなものもございます。そういう当時の技術的知見で予想されるものについては、修繕として当然見込んだ債務返済計画、料金体系となっていたわけでございますが、今回の更新というのは、まさにその時点でも見通せなかった、例えば羽田トンネルの例等、そういう新たに起きてきた更新事業ということでございます。

 全く最初から修繕については何も見込んでいなかったということではございません。

末次委員 私は、そういう外国の例を参考にされなかったのかということで質問したわけであります。

 昨日のこれも参考人招致の中で、いわゆる償還主義に問題があるのじゃないかということでお伺いしました。やはりその参考人の方も、償還主義じゃない、特急料金主義みたいなものに切り替えた方がいいのではないかという御意見もありましたし、一遍全体的に解体して見直すというような議論がどうしても避けられないのではないかという御意見もあったということをお伝えしたいと思います。

 それでは、次に参ります。

 追加事業に係る責任の所在についてお伺いいたします。

 同じ本会議、先月二十八日の本会議におきまして、大臣は、料金徴収期間の延長により新たに追加される事業につきましては、民営化後、高速道路会社の経営判断の下、国土交通省においても客観的な評価などを行いつつ追加されており、全体の採算を確保しながら、必要性などに応じて事業を進めていくものと認識していると御答弁をされております。

 そこで、お伺いいたします。

 事業の客観的な評価は、具体的にどのように、じゃ、行うのか。採算が確保されていない事業や必要性が疑われるような事業が実施された場合は、料金を負担している利用者が不利益を被ることになるわけであります。当該事業を実施したことに対する責任は誰にあるか、高速道路会社の経営判断のみならず、国としても十分な監視を行うべきではないかと思いますが、大臣のお考えをお伺いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 事業を追加するに当たりましては、高速道路会社は、採算性や必要性などを検討の上、事業の追加を国土交通省に申請します。申請に当たりましては、高速道路機構と高速道路会社との間で協定を締結します。国土交通省は、追加される事業について客観的な評価などを行い、有識者委員会でその必要性を確認し、あわせて、法令への適合も確認した上で高速道路会社に対して事業を許可をいたします。

 また、高速道路機構においては、事業を追加する際に、償還期間内に債務返済が可能かどうかを確認します。その上で、業務実施計画を作成し、国土交通省は計画を認可しております。

 このように、事業を追加する際の責任については、各々の役割に応じて果たしていくもの、このように認識をしております。

末次委員 その枠組みの中で、しっかり国としての責任を果たしていただきたいと思います。

 次に、維持管理や更新についての負担の在り方についてお伺いしたいと思います。

 同じ本会議におきまして、大臣は、国土幹線道路部会などの有識者会議におきまして、高速道路の維持管理や更新などの負担の在り方について検証、評価していると御答弁されております。

 そこで、お伺いいたします。

 有識者会議においてはどのような評価がなされたのか、また、その評価を踏まえて、国土交通省として、維持管理や更新についての負担の在り方についてどのように考えておられるのか、さらに、維持管理、更新についての検証、評価を行う権限を持つ機関を設置し、恒常的にチェックする制度を法定化すべきではないかと思いますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 この更新などに必要な財源の確保でございますが、先ほど申し上げましたように、税で負担するか、利用者が負担するか、利用者が負担する場合には、償還期間を長くするか、料金を上げるか、大きく分けて、この三つの選択肢があるわけでございます。

 この選択肢の中で、有識者で構成される国土幹線道路部会で議論をいただき、令和三年八月に中間答申がまとめられたところでございまして、その中間答申では、利用者負担を基本とすべきという御意見をいただいております。その理由は、高速道路は速達性などのサービス水準が高いことからということでございます。

 その上で、現下の社会情勢から料金水準の引上げは直ちに利用者の理解を得ることは困難であるということで、更新により耐用年数が延びて将来世代にも受益があることを踏まえて、料金徴収期間の延長を検討すべきとの御意見をいただいております。

 この中間答申を踏まえ、今般の改正法案では、更新などに必要な財源について、料金徴収期間を延長することにより、引き続き利用者負担をお願いするものでございます。

末次委員 分かりました。

 引き続き、ちょっと通告では質問が分かれておりましたが、併せて質問させていただきます。

 各会社の二一一五年までに追加が想定される事業規模と、その追加が想定される事業規模を含めた債務返還の試算についてお伺いいたします。

 これも大臣は、また、二一一五年までの料金徴収期間におきまして追加される事業規模として、首都高速を例に、今後更新が必要となる蓋然性が高い箇所を含めて、延長約百二十キロ、事業費約一・三兆円の更新事業を想定していると御答弁されております。

 お伺いいたします。

 首都高速以外のほかの高速道路会社の二一一五年までに追加が想定される事業規模はそれぞれどのようになっているのか、また、令和四年十二月に首都高速が公表した概算事業費約三千億円を前提として策定された債務返済の試算を承知しておりますけれども、二一一五年までに追加が想定される事業規模が一・三兆円ということであるならば、それを前提とした試算を作成し、国会に示すべきではないかと思います。また、ほかの高速道路会社についても同様に試算すべきではないかと思いますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 まず初めに、二一一五年までに追加が想定される事業規模についてお答えさせていただきます。首都高、阪神高速、それからNEXCO、三社申し上げます。それぞれに二つあります。

 一つは、点検によって明確に、これだけ必要になるということが分かったものと、それからもう一つは、同じ構造をしているからこれだけかかるであろうということ、蓋然性の高いもの、この二種類でございます。

 まず、首都高においては、はっきりしているものが約二十二キロ、そして、その必要な更新費は約三千億円です。

 同じ構造、基準のため、今後更新が必要となる蓋然性が高い箇所でございますが、これが百キロメートル程度、必要な更新費は一兆円程度、これらの合計は約百二十キロメートル、約一・三兆円となります。

 阪神高速におきましては、必要と判明した箇所が二十二キロメートル、必要な更新費は約二千億円。

 必要となる蓋然性が高い箇所が七十キロメートル、必要な更新費は八千億円程度で、これらの合計は約九十キロメートル、そして約一兆円となります。

 NEXCOですが、ここは、いわゆる橋梁部分が少なくて土を盛ったところが多いので、ちょっとここは幅があるんですけれども、NEXCOにおいては、更新が必要と判明した箇所、これが約五百キロ、必要な更新費は約一兆円。

 特に、先ほど申し上げましたNEXCOにおきましては、舗装において劣化に至るメカニズムが完全に解明できていないため、今後更新が必要となる蓋然性の高い箇所を絞り込めておりません。

 この舗装を最大限計上した場合には、今後更新が必要となる蓋然性が高い箇所は六千キロメートル程度、必要な更新費は五兆円程度と試算しております。これらの合計は約六千五百キロメートル、約六兆円となります。

 以上が、二一一五年までに想定している事業規模でございます。

 そして、後段の御質問でございますが、二一一五年までに追加が想定される事業規模も含めた債務返済の試算でございます。

 例えば、首都高で申し上げますと、先ほど御答弁申し上げましたとおり、更新事業として約一・三兆円が必要と考えております。この一・三兆円の更新事業を料金徴収期間の延長によって賄うこととした場合、料金徴収を令和九十七年まで、二一一五年まで継続する必要がある、こういう試算結果となっております。

 なお、阪神高速とNEXCOについては、先ほど答弁した更新の事業規模などを踏まえると、首都高速と同程度の料金徴収期間の延長が必要と見込んでおります。

末次委員 ありがとうございます。

 もう時間が余りないので、まだ質問が残っておりますが、また次回、機会があれば質問をさせていただきたいと思います。

 昨日も委員会の方でお話がありました、こういう百年先のような話を委員会でしていいのだろうかということで、私もそこは非常に違和感を感じております。そもそも、無料化ということを前提とした、約束した民営化がなされ、その後それが延長され、今度百年ということで、こういうのが国会で審議されている。これは、私は問題を先送りにした政治のツケの結果ではないかというふうにすら思っております。

 大臣のお考えをお伺いしたいところではありますけれども、時間が来ましたので私の考えだけ述べさせてもらいまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

木原委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 前回の一般質疑に続きまして、高速道路関連法案、質疑をさせていただきます。

 私、前回、二十三条の違反ではないのかということをお話をさせていただきました。大臣には度々答弁に立っていただきました。

 皆様方には、委員長のお許しをいただきまして、資料をお配りさせていただいております。前回、三月二十九日の斉藤大臣の御答弁であります。

 私が再三、二十三条違反に関わる前提の部分をお尋ねしたときの御答弁、七つございますが、これを御覧いただきますと、まず一番目、将来にわたる長期的な更新事業の計画を作成することは困難であると認識しておりますということで、これは、過去において困難だということをおっしゃっています。二番目、一つ一つの修繕、維持について、構造物の老朽化について正確に見通すことは、これはなかなか困難ですと。これも、過去において見通しということについては難しかったという御答弁です。そして、三番目、ここは、民営化当時においてはということで、過去の、当時の認識ですけれども、更新の必要性は認識していたが、るるありまして、更新は計画に盛り込んでおりませんでしたということであります。四番目は、また過去のお話でありますが、過去の時点で盛り込むことは技術的に非常に難しかった、こう答弁されています。

 この上から四つの答弁でまず整理をいたしますと、過去の民営化の時点においては、これは、更新の必要性を認識していたんだけれども盛り込んでいない、こういうふうにはっきりとおっしゃっています。そして、その後三度にわたって、過去、計画を作成する、つまり、盛り込んでいくということは非常に困難だった、技術的に難しかったんだということも、これも大臣の御答弁でいただいているわけであります。

 そして、五番目、更新については見込めるものだけを入れるという考え方でございますと。これは、この法案で、すなわち、これからの話です。そして、六番目、見込めるものを確実に国民の皆様に提示しと、そしてるるございまして、組み込んでいくということをおっしゃっている。この趣旨からすれば法令違反ではない、私は、二十三条の法令違反ではないかということを指摘したわけでありますが、こう答えられました。

 この五番目と六番目に関しては、これから見込めるものだけ入れる、見込めるものを入れるということが法の趣旨だからこれは法令違反ではない、このようにおっしゃっているわけであります。

 お配りをしました資料の二でございますが、ここには、先回も配った同じ資料でありますので、これには二十三条を載せております。料金の額は、貸付料と維持修繕費用、これを料金の徴収期間内に償うもの、こう決められているわけですね。つまりは、確実に見込める云々かんぬんというのは、これは大臣の少なくとも解釈であって、ここに示されているのは、料金を償うべきは更新料とその他の維持修繕費用、これは軽微なものということになります、これで償うものだというのが法の趣旨であります。

 こうした状況で、大臣は、法令違反ではない、このように繰り返しおっしゃったわけでありますが、私はそのときに、では、なぜ法令違反ではないと言い切れるのですかとお尋ねをしました。覚えておられると思いますけれども、そのときの御答弁が七番です。ここでははっきりと、国の役割としての許可申請、計画を道路会社が出すというものに対して、それを許可するという中で、事業計画と料金収入が一致しているかどうかを確認して、そして、それは一致してきております、だから法令違反ではない、こうおっしゃっているんですね。

 大臣の御答弁は、これは、今、私、時系列で議事録から引っ張ってきたものですけれども、いや、過去には、技術的に見通せないんだと。その懸念はあった、しかし見通せないんだ、だから、無理だったから仕方ないじゃないかとも言わんばかりの御答弁があって、その上で、これからは見込む、確実なものを見込むと言っておられるんですが、この最後の、国の役割は、という七番に関しては、過去において技術的困難で長期計画を作成していない計画と料金、これの一致を確認したということをおっしゃっているわけです。

 私の前回の質問は、この大臣の御答弁は、つまり、事業計画と料金収入が一致していれば違法ではないんだ、こう御答弁をされたわけでありますが、私が指摘したのは、事業計画に長期的な修繕やあるいは更新を入れて料金に反映させなかったこと、このことそのものが二十三条の違反ではないのか、こう尋ねたわけですが、これについては御答弁をいただいていないんです。御本人は、大臣は、法令違反ではないとおっしゃっていますが、それは、大臣がおっしゃってきた答弁の中でいうと、見込めない、困難だから見込んでいないんだ、だからそこにあるものだけ見て確認して、だから法令違反ではないという御答弁でしたが、私の質問に対しては、これは答えになっていないんですよ。私は、長期計画が入っていない、反映させなかったこと自体が違法ではないかとお尋ねをしたんです。

 技術的に困難だというお話を、繰り返し先ほどの同僚議員の質問にも答えられておりましたが、しかし、一方で、道路会社は、困難な中でも、当たり前ですけれども、長期の更新あるいは大規模修繕ということについてはある程度予測がつく、当たり前です。道路構造物、おおむね五十年の耐用年数ですから、どの程度劣化していくかというのは、当然ながら土木技術者であれば分かる。

 そうしたものの知見を集めて、少なくとも二〇一四年の段階、これは笹子トンネルの二年後です、この段階で、NEXCO三社は、更新事業の長期評価を行って、大規模更新計画と大規模修繕計画に約三兆円は見込まれるというのを発表しています。

 こうした状況にもかかわらず、それ以降、今二三年ですから、結局、二二年の十二月と二三年の一月に道路会社から発表されて、それを法案として今回一兆五千億ほどということでありますが、今回の法案で出されてきていますけれども、そもそも、NEXCO三社、二〇一四年の段階でも、長期の予測、計画、評価を行っています。ということは、これらに対応する事業計画が作られなかったことというのはやはり二十三条違反ではないかということを、大臣の御答弁を確認した上で、改めてお尋ねをしたいと思います。いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、馬淵委員から御提示ありました私の答弁ですけれども、この七番で言っている、事業計画と料金収入が一致しているかどうかを確認する、そして、一致してきているから法令違反ではないというまずこの答弁でございますけれども、これは、先ほど委員が御指摘にありました道路特措法二十三条の規定でございます。

 この道路特措法二十三条は、会社の貸付料及び会社が行う当該高速道路の維持修繕その他の管理に要する費用で政令で定めるものを、料金の徴収期間内に償うものであることということで、機構への貸付料と維持管理費を足したものが料金収入に見合っていることということを規定した条文でございまして、これが見合っているから、まず、これは非常に形式的なものでございまして、法令違反ではないと答弁申し上げました。

 もう一点。多分、馬淵委員の御指摘は、機構法第十七条に関わる方だと思うんです。

 機構法第十七条では、貸付料の額の基準を定めた法令でございますが、この貸付料は、民営化時の承継債務の返済、それから、その他の費用、これは利息の支払いとかと、会社からの引受債務の返済、これに見合うものでなければならない、このような規定になっているものでございます。会社からの引受債務の返済の中に、新設、改築、更新、修繕、災害復旧とあるわけでございます。

 この更新につきましては、貸付料の額の基準を決めた業務の範囲、十二条、その十二条に、次条、つまり、第十三条第一項に規定する規定に基づき、新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に充てるために負担した債務を引き受け、当該債務を返済することと書いてございます。

 そして、その次条には、会社からの引受債務の中で、ここで更新事業ということが書いてございますが、この更新事業の中に、災害復旧につきましては要するものと見込まれる費用に係る債務というふうに書いてございます。そして、いわゆる特定更新工事につきましては要する費用に係る債務というふうに書き分けてございまして、この意味は、検査してはっきり確定された更新事業についてそれを債務に盛り込むこと、そして、その債務と見合った貸付料になること、このように規定されております。

 私の答弁の六番、五番、ここで見込めるという言葉を使っていますが、あのとき、馬淵委員から質問がありまして、私の言葉でこういうふうに答えてしまいましたけれども、六番に、見込めるものを確実にという、その確実にという言葉に表れておりますが、第十三条にあるように、検査して、これは更新が必要だ、これぐらいのお金がかかるという明確になったものに見合う貸付料にしなければならない、こういう規定が機構法の方にございます。その機構法の趣旨で、この五番、六番については答弁いたしまして、したがって、法令違反ではないと。

 五番、六番は機構法第十七条に基づいて、これが多分馬淵委員の質問の御趣旨のところだったのではないかと思いますけれども、そういう趣旨でございますし、七番については、形式ですが、二十三条、これは機構への貸付料と維持管理費の総計が料金に見合っていればいいという法律でございますので、そういう意味で法令違反ではない、このように御答弁申し上げたところでございます。

馬淵委員 細かな条文まで御開示いただきまして、多分、聞いている方々はほとんど分からないんじゃないかなと思うんですが。

 私、前回の質問では、この二十三条のみならず施行令の五条の二も引用しました。当然、この貸付けというのは、すなわち、大規模更新、大規模修繕のその事業の費用が貸付債務に変わるわけですから、これを含むわけですね。ここに対して、法の趣旨としては、私が申し上げたように、二十三条には、それは等しくなければならない、こういう趣旨ですから、確定させなければならないというのは、これはあくまでも国土交通省側としての解釈として述べられているんだと私は理解しています。

 ここは法廷ではありませんから、法令の違反の是非を問うている場面ではありません。ただ、私がここで問題視しているのは、事ほどさように、大規模の更新や修繕というのは貸付けとして、料金の見合う設定の大きな要因となると示されているわけですから、それを民営化時には想定していなかったなどということで、これはそのままスキップできるような話じゃないんですよ。極めて重要な課題を役所としてはある意味放置してきたことにこれは通じるわけです。その部分を私は強く問題視をさせていただいているわけであります。

 大臣にも申し上げましたが、今の斉藤大臣の責任だなんて、私、一言も言っていません。つまり、道路行政を行う上で当然ながら想定しなければならない大規模な更新事業などを全くもって見ないということが、これはあり得ないわけですよ。点検をしたから、今回の一兆五千億分でという今回の法案ですけれども、これはまたその先も膨れ上がっていく、その次の話になりますが。そもそも今日ある高速道路行政の中での償還主義という根幹が崩れる、そういう状況に今至っているんだということのその事例として私は指摘をさせていただいたわけであります。

 今、私の方から、じゃ、一点確認をさせていただきたいと思いますが、今、事業計画と料金収入が一致しているという確認をしてきた、これは過去のことですから今更言ってもしようがないんですが、してきたということでありますが、これがどれぐらいの頻度で行われてきたのか、これについて御答弁いただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 ちょっと今詳しい資料はございませんが、基本的に毎年きちっとやっている、このように思います。

 まず、特措法第三条の事業許可ということで毎年一、二回程度、それから、高速会社法第十条の事業計画では毎年一回、許認可という形でこれを精査しております。

馬淵委員 過去においては二、三年というのもあったということでありますが、直近においては連続の年も行っているということで私も説明を受けています。そして、道路会社のこちらに関しては、これはもう毎事業年度ですから毎年ですね。この長期の計画のところで、先ほど大臣が答弁なさった、事業計画と料金収入が一致しているかどうかの確認をされているわけです。つまり、毎年確認をしてきたということになります。

 これだけの機会があったにもかかわらず、繰り返しになりますが、大規模更新、大規模修繕ということに対して、国土交通省としては何一つ問題視をしてこなかった、少なくとも、笹子トンネル、この事件が、事故が起きるまでは全く触れず、そして、笹子トンネル以降も長い年月がかかっているわけであります。

 こうした状況で、本来ならば、毎年のように確認をする立場にいて、一致しているという確認をされてきたということで答弁ありますが、このような状況で、じゃ、ある意味放置をしてきたということに対する責任というのは大変私は重いと思っておりまして、この責任については、どのような責任の所在があるかということは、これは確認もしなければならないと思っています。

 前回も私、ちらっと申し上げたかもしれませんが、当たり前ですが、民間のマンションなどは、このマンションの修繕費の積立てを行います。実際には予測をしながら積み立てていって、そして、そのマンションのいわゆる改修費の積立てと実際にかかる修繕費、このそごがないかということをチェックしていくわけですね。

 本来は、この毎年度の事業の見直しと、もう一つあった、ほぼ毎年やっているというこのチェック、大臣がおっしゃった、一致しているのを確認したというところでは、そこに目を向けなければならなかった、私はそう思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 笹子トンネル事故までそういう大きな損傷が進んでいるということを見過ごしてきた、これは、行政として深く反省しなくてはいけないことだと思います。

 そして、その笹子トンネル、二度とこういう事故を起こしてはならないという決意の下、平成二十六年から、五年サイクルで全施設をしっかり点検していこうということで、その点検作業を始めたところでございます。

 今回のこの更新事業は、その点検作業の中で、これまで当然、修繕という形で、劣化するであろうと考えられていた以上の大きな劣化が進んでいたということも判明をいたしました。そういうことに対して、しっかり我々、対応していかなければならない、このように考えております。

馬淵委員 ここで、要は、毎年見ているにもかかわらず、これは触れなかったということですよ。もう今更過去のことを言っても仕方がないということになるのかもしれませんが、全くここではチェック機能が働いていなかったということです。

 では、これ、責任どうなのかということ、前にも、前回も言いましたが、これは会社が、何か一般の株式会社のように被害を被ったとかいう、取締役の何か忠実義務違反だとか、あるいは善管注意義務違反というものではないと思います。ここでは、損害というよりも、むしろこれは、国民が償還期間の延長によってその負担増を負ったということですから、ここの責任というのは当然出てくるはずです。

 そこで、道路局長にお尋ねしますが、高速自動車国道法六条では、管理者というのは国交大臣になっていますが、先ほど一致したと大臣が述べられている事業計画の作成については、法令の条文上はどうなっていますでしょうか。局長、御答弁をお願いします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと手元に条文がございませんので、ただ、事業計画の内容でありますけれども、元々その事業費であったり、どれぐらいの延長事業をするとか、起終点とか、そういったものを記載していくことになろうかというふうに思っております。

馬淵委員 昨日、私、通告しましたよ。局長の御答弁は、その法令の条文のところ、そこだけ端的におっしゃってくださればいいですよということだったので、手元にないと言われると困るんですが。大丈夫ですか、答えられますか、端的にですよ。二点ですよ、私が聞いているのは。はい、どうぞ。

丹羽政府参考人 失礼いたしました。

 まず、第十条でございます。事業計画について書いてありますが、会社は、毎事業年度の開始前に、国土交通省令で定めるところにより、その事業年度の事業計画をまとめ、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様であると書かれております。

馬淵委員 道路会社法十条で、毎事業年度の開始前に国交大臣の認可、そしてもう一つは、特措法の三条一項で、協定を締結したときに国交大臣の許可、こうした大臣の判断、チェックがそこにかかるようになっています。このように、事業計画の許認可というのは、国交大臣が完全にコミットすることになっています。

 こうした状況の中で、先ほど申し上げた国民の負担増の責任は誰が取るのかというところで、お手元にお配りしました資料三でありますが、これは、衆議院の法制局で、高速道路会社の取締役の責任ということについて見解を書いていただきました。ここにありますのは、道路会社法の規定は、ここでは、取締役の責任については、会社法の規定の適用除外の規定や特例の規定は設けられていないということから、高速道路会社法の、各法令、条文にのっとってみれば、国土交通大臣による関与についての責任は、国土交通大臣、国に存在します、こういう解釈を示していただきました。

 つまり、国民に償還期間の延長という負担増を求めた責任は、国交大臣にこれは法令上あるということになるかと思うんですが、斉藤大臣、償還期間の延長という国民負担増の責任は国交大臣にあるということで、どのようにお考えですか。

斉藤(鉄)国務大臣 今回、法律を提案させていただいた責任は私にございます。

馬淵委員 言い換えれば、問題があったわけですよ、これは。償還期間の延長という負担増を求めたわけですから、失政といっても仕方がないかもしれない。それを大臣の責任で、今回、法律をだから変えるんだというお話でしょう。前向きな話のように聞こえますが、実は、私、中身は前向きだと思っていないんですけれども、今、責任があるということはお認めいただきました。

 ただし、私、問題視しているのは、実は、この特措法には、明確な責任規定というのはないんです。あくまでも、私は、特措法並びに高速会社法等々を見た上で、今、大臣には責任があるのかということを問うたときに、今、お答えいただきましたが、これは、規定が明確にはなっていません。計画が失敗したり、多額の国民負担が生じるような経営上の失敗については、これはとにかく責任規定が入っていない。

 ここは、実は、この見解を衆議院法制局から取る段階で、何度も何度も国交省ともやり取りしましたが、国、そして機構、道路会社、これがある意味三すくみのような状態で、責任の所在が曖昧なんですね。つまりは、今後もこういうようなことが起きたときに、いや、過去にあったことだということで、またそれこそ闇に葬り去られるような話になっちゃいかぬ。つまりは、法令上では国交大臣に責任があるということを、これはしっかり書き込んでいかなきゃならない。そうしないと、今までと同じような体制で、高速道路行政、また継続することになりかねないんですよ。

 大臣、私は、ここは、今、明確に責任があるとおっしゃっていただけたのであれば、やはりこれは、その責任を明確にするべく、この法令の変更、すなわち改正を、いわゆる体制まで踏み込んで行うべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど私は、今回の法案提出の責任は私にある、これは当然のことだと思います。

 その上で、現在の高速道路事業のスキームにつきまして、高速道路機構に対して、国土交通大臣は、機構法第十四条で認可、高速道路会社につきましては特措法三条で許可という形でございます。これは委員御指摘のとおりでございます。こういう形で責任を有している。

 そして、先ほど来質問もございましたが、債務償還につきましては、会社と機構と国がそれぞれに責任を負って確実な償還をしている、こういう立場だと思います。

馬淵委員 今私申し上げたように、機構と道路会社と国の責任分担が明確ではないんですよ。大臣に責任があるということで、今の斉藤大臣のように、また何か変更を行わなければならないときには、新たな法案を出して、償還期間を延長します、これは責任を取ることにならないでしょう。何らその過去の反省に立っていないじゃないですか。だから私は申し上げているんですよ。

 体制まで踏み込んだ法案の改正が必要だ、そう思いませんか。いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、今回のこの法案の提出は、これまでの法律、民営化法、また道路特措法、機構法、これらの法律に定められた仕組み、そして、そのときの考え方、基本的な考え方は、先ほど来、また繰り返しになりますが、確実にこれは更新しなければならない、そして、それにはこれだけのお金がきちっとかかるということが明確になったものに対して、しっかりとこれを国民に説明し、それを償還計画の中に入れていく、これが現在の法律のたてつけでございまして、これ自体は十分機能していると私は思っております。

馬淵委員 今更法案の新たな改正などというのは当然今頭の中にはないんだろうと思いますが、ここではっきり議事録に残しておかなきゃならないのは、やはり国会で、今私が申し上げたようなことがこの先起きる可能性があるわけです。したがって、新規の協定締結時、ここについては国会がしっかりと監視しなければなりません。その状況で、誰に、どこに、どういう責任があるのかと。もしそこで、先ほど斉藤大臣がおっしゃるように、いや、十分機能しているんだなどというお話が答弁として返ってきたならば、いや、それは違うじゃないか、ここで法改正すべきだということを、改めてそのときには指摘をさせていただくということを申し上げておきたいと思います。

 その上で、償還主義の問題について触れたいと思います。

 現在も、料金収入のうち二割程度が補修などのいわゆるランニングコスト、そして、八割程度が償還に充てられているとされています。二〇二一年度末現在で約二十八兆円、これが残であります。過去十年間で二兆円程度しか減っていない。つまり、このペースだとあと百四十年かかる。しかも、補修が発生し続ける以上は、無料化は不可能。首都高でも、築五十年経過の路線というのは、二〇一四年の四月、これは四%だったんですが、二〇二〇年の十二月には二二%、まあ、年数が増えればどんどん増えていくわけですが、二〇三〇年には四一%、二〇四〇年には六五%に達する見込みです。

 改めて、大臣、これはもう端的にお答えいただきたいんですが、確認なので、大規模修繕箇所が今後次々と発生することが想定されますが、それでも償還主義は維持し、二一一五年には無料になるということでよろしいですか。

斉藤(鉄)国務大臣 今般の改正法案は、債務返済期間を五十年以内とする新規定の下、明らかになった更新需要などに応じ、逐次、料金徴収期間を延長するものですが、従来の仕組みどおり、償還主義を維持し、料金徴収期限である二一一五年までには、債務を完済した後に無料公開する、そういう仕組みになっております。

馬淵委員 しかしながら、新たな更新や、さらには新たな施設が必要になった場合といったものは、これは検討に入っていないと言われています。現在、政府目標で、特定条件下での完全な自動運転を可能とするレベル4、これについても実現時期は二五年めどとなっていますが、実際には、センサーの設置、通信設備の設置などが必要となりまして、これは相当大規模な投資が必要になると考えられるわけですが、これも、自動運転導入に向けた費用は今回の検討には入れていない、このように国交省は述べています。

 大臣、そのような追加投資、財源は、確認ですが、これは税か利用者負担かの選択があります。そして、利用者負担は料金値上げか償還期間の延長ということになりますが、つまり、この選択肢以外にないですよね。いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 その三つしかないと思います。

馬淵委員 そこで考えられるのは、現行の、昨今の財政の厳しい状況であったり、あるいは物価高による国民生活の大変な厳しさ、これを考えると、先ほど来ありました、償還期間の延長という選択にしかならない、これはもう自明だと私は思います。なぜ、じゃ、この償還主義ということにここまでこだわるんですか。

 大臣、同じ公共インフラで、高速道路以外、例えば港湾。港湾は、歴史的にいわゆる荷降ろしというのが独占的に運用されて、自由な利用というのは概念がなかったんですね。したがって、ハード整備の財源という概念はなく、港湾の利用料という形で徴収をしてきました。

 ほかのインフラといえば、空港もそうですね。空港も、これも自由な利用というのはありません。したがって、これも、償還主義などは取らない、無料となることはありません。そして、構造物ですから、当然ながら、補修費用や様々な追加設備が必要になるというのは、これは当たり前なんです。だから、それは、その時々にしっかりと、税なり、あるいは、これは民間会社がやっていますから、そこでの利用料も含めた対応ということになるんですけれども、なぜ道路だけが償還主義に固執するのか。

 もうそもそも償還主義は破綻しているという事実ですよ、私たちの前に突きつけられているのは。なぜ、この償還主義にこだわるのか。大臣、ここを端的にお答えいただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 道路のいわゆる公共性が極めて高い、天下の公道という言葉がございますが、その一点に尽きると思います。無料公開が原則でございます。

 この原則に基づき、現行の有料道路制度は、一定期間内の料金収入で建設に要した債務などを完済する償還主義を採用し、債務完済後には無料公開する、そういう仕組みでございます。

馬淵委員 だから、なぜそこまでこだわるかですよ。先ほど申し上げたように、空港の会社も、あるいは港湾も含めて、民間になっても、許認可を含めた様々な国の関与で、それは公のものとして国民が利用できるようになっているんです。

 そもそも、この償還主義というのはどういうことかというと、元々道路は無料だったんですよね。無料による通行が先に存在していたんです。この無料の通行の中で、道路建設が財政的に困難になってきたから有料の概念が出てきた。そして、その上で、将来は当然有料だけれども、これは元々無料で通行していたわけですから、無料にするということを前提として償還主義というものが生まれてきた。つまり、償還が目的ではないんですよ。無料にすることが本来の目的でした。

 したがって、道路は国民のものだといいながら、永遠に償還期間の延長が続いてしまう、あるいは、有料化、すなわち国民のものではない状況を許すことになる。これは私は、公のものだ、国民のものだといいながら、結局は公有でなければならないというドグマ、教義にとらわれてしまっている、これを変えなきゃいけないんじゃないですか。

 既に、国交省の様々な委員会、これは第五十三回、二月に行われた国土幹線道路部会、これは私、前回も触れましたが、もう償還主義ではないという意見が出ています。そして、償還主義の体は成していないじゃないかという意見でした。

 また、二〇二一年の、これは社会資本整備審議会道路分科会の、これも国土幹線道路部会中間答申でも、債務の一部又は全てを保有し続けるという案を検討することも考えられる、つまり、償還主義からの脱却を目指すべきじゃないかという意見がもう出てきているんですよ。

 それを、もう百年先まで償還主義を維持する、その理由が私には全く分からない。ネットワークを維持するためには国が関与しなければならないと道路局の皆さんは言います。何にも問題ない。ネットワークを維持するために、国の関与は様々な形で、許認可で、そこで料金の設定も含めて関わることができます。

 よく、それをやるのであれば、いわゆる償還主義の廃止は完全民営化ですか、こういう質問も私はいただきます。それは、鉄道と同様に、なかなか、JRの民営化、成功か失敗か、難しいという声も、中には言う方もいらっしゃいます。しかし、大きな違いがある。それは何か。鉄道の場合は、駅と駅を結ぶ鉄路、これを運行する列車がなければ成り立ちません。道路はインフラですから、その交通モードは車であって、これはどなたでもが通ることができる。鉄道の場合は、鉄路から一旦、交通モードが、徒歩やバスや、あるいはタクシーやといった公共交通機関や、マイカーに変わります。交通モードの変換がある。道路の場合は、高速道路から一般道路に移っても、交通モードの変換はありません。

 したがって、高速道路ネットワークの維持の殻の中で、必ずしもこれを無料にしなければならないという発想は、もうこれは持つ必要はないんじゃないですか。

 大臣、私はこれを改めてお尋ねしますが、この償還主義ということに対して今考え直すべきときですよ。いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 同じ答弁になって恐縮でございますが、今回の法律案では、償還主義を維持し、債務の完済後には高速道路を無料公開する仕組みになっております。その理由は、先ほど来申し上げてきた道路の公共性でございます。

 馬淵委員のいわゆる完全民営化というのも一つの御見識かと思いますし、また、幹線道路部会でもそういう御意見もあるところでございます。

 今後、道路の在り方については、しっかり議論していかなければならない、このように思っております。

馬淵委員 時間が参りました。

 償還主義の破綻は明らかです。改めて、道路行政の在り方の中で、償還主義そのものを考え直さなきゃならないということを強く申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、山本剛正君。

山本(剛)委員 日本維新の会の山本剛正でございます。

 今日ずっと質疑を聞いていますと、やはりこの法律そのものが国会に出てくるのがどうなんだという趣旨で、償還主義の話もありました、先ほどの馬淵さんの話は非常にそうだなと、みんなが思っていることを多分言っているなという私も思いがしましたし、そういった質問はもういっぱい出ると思ったので、私はそこからちょっとおいておいて、ただ本会議でも申し上げたので、ちょっと確認をしたいんです。

 我々は、この法案、もう出てきたときに、うわっ、これを国会で通すのかという思いと、でも、これが出てきた以上は、これをどういうふうに我々として考えるのかということを私は考えました。事実上の永久有料化法案と我々はもう位置づけました、これは。

 この法案が出てくる経緯というのは、平成二十六年の改正で、大臣も本会議のときにおっしゃっていただきましたけれども、平成二十六年の附帯決議、両論併記ですね。やはり償還を進めていくべきというのと、補修については料金徴収するべきだという、この両論併記があって、これは附帯決議でございますので、国会に責任があるといえばあるわけでもありますし、この今回の改正案を出させたことは、ある種、そういうことを考えれば、政治の怠慢もあったのかなという思いもしています。

 ただ、誰に責任があるのかというのは、例えば償還主義、いい考え方というか、すばらしい考え方だと思います。しかしながら、それを、では責任があるだろうというのも私はちょっと違うような気もしますし、政治そのものに、では責任があるのかといったら、やはり時代背景が変わったり様々なものがある中で、みんながそれぞれちょっと、世間が変わってきたことに敏感に反応している中で、この問題の在り方を、みんながどうすればいいのかと、多分、何か立ち止まっているような感じに私は感じるんですね。

 通行料という考え方を皆さんおっしゃいますけれども、私は高速に乗るときに、通行するためのお金とも払っていますが、時間を買っているという考え方もあります、それは。下道で行けばいいものを、時間を買って、ある意味、高速を使って早くたどり着くという考え。様々な考え方に立脚をして、私は、この法案というべきか、この問題を政治が解決をするべきだというふうに思っていますし、それは本会議で申し上げさせていただきました。

 まず、ここに対して、やはり認識をちょっと国土交通省に問いたいと思うんですが、早期無料化に向けて検討すべきという意見と、将来の維持管理費用について利用者負担で賄うようというこの両論併記、この附帯決議の中の矛盾があるわけでありますけれども、どうしてこういう決議になったのかということを、政府としてどういうふうに捉えられているのかを、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

    〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 前回の法改正の審議でございまして、まず、永久有料についてすべきだということを言われている意見として、厳しい財政状況を踏まえて、完済後の維持管理費を税金ではなく利用者負担とすることも検討すべきという話、また、無料公開後においても都市部などで渋滞が懸念されるため、料金を入れてロードプライシングなどを検討すべき、こういったことから有料制を継続すべきという意見がございました。

 また一方で、無料化等の御意見でございますけれども、生活、企業活動のコストを下げて、生活の利便性向上、また地域活性化を図るため、高速道路ネットワークが有効に活用されるよう、早期の無料化又は料金の引下げを検討すべき。

 こういった背景から、両方の意見が附帯決議に反映されたものと考えております。

山本(剛)委員 高速道路に関する将来の負担の在り方について様々な意見があることは承知をしていますが、我々には国民に対して責任を持って将来の安心、安全を見通すことができる制度を十分な議論をした上でお示しをする責務がございます。意見を闘わせて、その結果として、一つの制度をやはり国民にお示しをしなければならない。具体的には、高速道路の将来の姿は永久有料か無料化にするのかという論争に終止符を打つことだというふうに私は考えています。

 大臣にここで改めてお伺いをいたしますが、この高速道路の料金徴収に関する将来像について、決着をもうここでつけるべきではないですか。是非、大臣、お答えをいただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 これまでの議論は、山本委員、お聞きのとおりでございます。ここを、またそれを繰り返すことはいたしません。

 私、行政の側にいて感じますのは、利潤を出してはいけないという大きな原則があります。そうしたら、しっかりした料金の根拠が必要になってまいります。その料金の根拠というのは、やはりこの道路を維持していく上で、修繕、更新をしていかなくてはならない、その費用を明確に出して、その費用を、利用者負担ということであればどうするのか。

 利用者負担ということになれば、それは料金掛ける期間になるわけです。利潤を出してはいけない、かつ高速道路を維持していかなきゃいけないとなると、一番簡単なのは、期間を決定して、期間を決定すれば料金も決まってくる、ある意味でやりやすい考え方、仕組みというふうに、私自身は、ちょっと間違っているかもしれませんが、感じております。

 そういうことから脱却して、根本的に、高速道路の在り方、先ほど馬淵委員の御議論もございましたけれども、末次さんの意見もございましたけれども、そういう議論をしていくということについては、これは国土幹線道路部会でもそういう議論になっておりますけれども、しっかりやっていかなければいけないと思います。

    〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕

山本(剛)委員 料金、利潤を出しちゃいけないとか様々なことは、後ほどちょっと私も触れさせていただきますし、法律で決まっていることですから、そこは後からちょっときちっとやりたいなと思いますが、本当に強い決意だと思います、そういう意味では。

 この問題、やはりもう政府だけに私は任せるわけにはいかないと思うんですよ。政府の方も一生懸命やられているのも分かりますが、やはり決めるのは国会でありますので、これはちょっと積極的に議論を進めていくために、この委員会で、専門的に議論するための小委員会を設けるべきではないかなと思いますが、委員長、いかがでございましょうか。

木原委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をいたします。

山本(剛)委員 ありがとうございます。是非、議論していただきたいなというふうに思います。

 有料か無料かの議論を深めるために、ここからは法案の中身をちょっと徹底的にやりたいなと思うんですが、法案のベースとなっている現在の高速道路の、いわゆる四公団のスキームですね、高速道路のスキームについて、平成十七年、道路関係四公団の民営化に伴って、上下分離を基本として、高速道路機構と高速道路会社によって高速道路を整備し、管理する制度となっているわけでございます。

 このスキームが導入されて既に十七年以上が経過しております。機能している点と改善が必要な点がもう明らかになっているかと思うんですが、改善が必要なところの最たるところが、やはり今回の法律案の対象となっている二十三条の料金徴収期間の扱いだと私は考えています。

 民営化の時点では更新事業を見込むことができず、二〇五〇年までに債務を完済すると約束をしていたところ、その後の点検の強化により次々と更新事業の必要性が明らかになって、その財源を確保するために、二〇五〇年までと規定していた料金徴収期間を延長せざるを得ない状況となっているわけであります。

 この点については本会議でも申し上げましたが、私としては、単に期限を延長するのではなく、永久有料制度に移行するべきだと考えています。既に大臣からはしっかり検討するという趣旨の答弁をいただいているわけでありますが、是非とも積極的にこの議論を進めていきたいなというふうに思います。

 他方、延長ばかりクローズアップされて、スキームの改善が必要となっているところについては余りちょっと議論が深まっていないなと思っています。このスキームを見直す点を明らかにしたいと考えているんですが、まず、民営化に伴って構築された現在のスキームについて、民営化時にどのような目的を掲げていたのか、お伺いをしたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十七年の道路関係公団の民営化の目的でございますけれども、この民営化につきましては、まず、有利子債務を確実に返済をするというのが一つございます。また、真に必要な道路を、会社の自主性を尊重しつつ、早期に、できるだけ少ない国民負担で建設をするというもの。それから三つ目として、民間ノウハウの発揮によりまして、多様で弾力的な料金設定や多様なサービスを提供する。そういった目的が掲げられております。

山本(剛)委員 今お答えいただいたとおり、債務を確実に返すということ、民間に任せられることは民間に任せるということが肝だったということで、四十兆円近い債務をどうすれば確実に減らすことができるのか、債務返済を担当する機構と、整備や維持管理などを担当するNEXCOなどの高速道路会社に分けて、債務を減らす機構と、資金を調達し、その資金を元手に道路整備などの投資を行う高速道路会社との間で協定を結んで、債務の返済計画を両面からチェックするという仕組みはこれまで機能していたわけであります。

 また、整備や維持管理、さらには料金の設定に至るまで、高速道路会社による申請を受け、国が許可する仕組み、いわゆる申請主義を採用しているわけでありますが、民間としてのノウハウを最大限これを発揮するという点においても、民営化の仕組みとしてはいいことなのかなというふうに私は感じています。

 そこで、この仕組みにより、民営化以降、高速道路機構と高速道路会社が連携して高速道路の運営を進めてきた結果、具体的にどのような成果が得られたのかをちょっとお答えいただきたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 民営化の成果でございますけれども、まず、有利子債務がどうなったかということでございますが、平成十七年の民営化時点で有利子債務というのは約三十七兆円でございました。この有利子債務が、最新の令和七年度末の実績におきましては約二十六兆円というふうになっておりまして、着実に減少しております。これも一つの民営化の成果だというふうに思っております。

 もう一つは、民間のノウハウを発揮したサービスを展開していくということも民営化の一つの目的でありますが、例えば、サービスエリアなどの休憩施設において、施設内の店舗また商品の充実、また、多機能のトイレがあったり、パウダーコーナーがあったり、そういったもの、利便性向上に資する取組を進めてまいりました。

 これらの取組の成果によりまして、六社合計の休憩施設における年間売上高でございますが、民営化スタート時には約四千億円の売上げでございましたが、現在では最大で五千五百億円というふうに増加をしているところでございます。

 このように、民営化によりまして着実に成果が上がっていると認識しておりますが、民営化後十年のタイミングでございます、平成二十七年に設置いたしました高速道路機構・会社の業務点検検討委員会という有識者委員会がございまして、有識者の先生方から、これまで着実な成果を上げてきた会社と機構による基本的な枠組みについては継続する必要という御意見をいただいているところでございます。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 丹羽局長は謙虚なお人柄というのは非常によく私も分かっているんですが、せっかく成果を話されるので、もうちょっと元気よくお答えいただきたいなというふうに、全然聞いていないみたいな感じですが。

 先ほど局長がお答えいただいたサービスエリアの民営化後というのは、私もちょっと目をみはるものがあるなと、結構、地元の名産とかがどんと入ったりして、ある意味、サービスエリアを目的に行かれる方なんかもいるのかなというふうに思っています。また、サービスエリアはやはり避難場所とか大規模災害時の拠点にもなるわけでございまして、また、資材を置いたりするような場所にもなりますし、非常に大きなポテンシャルが私はあるというふうに思っております。

 後に触れますけれども、RVパークの整備についても積極的に取り組んでいただければ、更なる地域活性化、地方創生に結びつくのかなというふうに私は考えております。

 このような民営化の成果、今発表していただいた民営化の成果もあります。すばらしい成果だと思います。

 でも一方で、やはり課題もあったのは間違いないと思うんですよ。やはり、きっかけとなった笹子トンネルの天井板の崩落事故とか、逆走事故、暫定二車線区間における正面衝突事故など、安全、安心の面で、結果として取組が不十分だったと私は言わざるを得ないというふうに思います。特にメンテナンスについては、民営化の際、コスト縮減ばかり注目されて、必要なメンテナンスとは何かという議論が私は不足していたのではないかなというふうに思っています。

 今の答弁の中でも、メンテナンスについて言及が全くなかったわけでありますが、このような状況を踏まえると、民営化時点においてメンテナンスについての意識が低かったのではないかなと私は思うんですけれども、見解をお聞かせ願いたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 その前に、先ほどの私の有利子債務二十六兆円の年度は令和三年度でございますので、訂正させていただきます。

 それと、今の御質問でございますけれども、高速道路につきましては、利用者の安全、安心を確保することが重要であるという認識の下、メンテナンスをやってきたつもりではございます。

 こういった中で、平成二十七年、先ほどの高速道路機構・会社の業務点検検討会におきまして、有識者から、我が国の経済社会を支える高速道路を担う組織として、機構と会社は、安全、安心などの民営化時点で明示されていなかった役割も含め、これまで以上に社会的な役割を果たしていくことが求められる、そういった御意見をいただいているところでございます。

 引き続き、この維持管理、修繕、更新、これを確実に実施していくとともに、災害への対応、こういった取組によりまして、より一層、高速道路の安全、安心の確保に努めてまいりたいと考えております。

山本(剛)委員 今の御答弁を聞いて、そういったところが、その後のいわゆる点検の強化とか、更新に対する財源をどうするかというところにつながって、本改正案が出てきた部分もあるのかなというふうに思います。

 社会変化における既存の制度の陳腐化といいますか、そういったものはちょっと僕は避けられないと思うんですね。特に今、社会が非常に速いスピードで動いている中で、利用者の安心、安全の確保、円滑な移動サービスの提供などを追求をしていく姿勢というのは私は非常に重要だというふうに思っています。この姿勢で現在のスキームが障壁となっているのではないかな、サービスの向上なんかも妨げているのではないかななんて感じたりもするんですが、こういったものを定期的に確認することは私は不可欠だというふうに思います。

 メンテナンスの課題についてお聞きしましたが、そのほかにも課題はあるのではないでしょうか。民営化後の現在の高速道路のスキームについて、メンテナンスのほかにどのような課題があるのかを、また、その課題に対してどのような見直しを行っていくのか、もしあれば、見解をお伺いしたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今委員御指摘の更新に関する課題というのは一つ挙げられます。

 また、令和三年の八月にまとめられた国土幹線道路部会の中間答申におきましては、高速道路が果たす公的使命と責任は非常に大きいが、会社の経営の自由度を確保し、その活力を最大化させるという意識も重要でありまして、両方の観点から、会社、機構、国の役割分担の在り方について、組織体制等も含め、必要に応じて検討を進めるべき。

 また、もう一つとして、カーボンニュートラルのように、国全体の政策について、会社のより積極的な取組につながるような制度の改善についても検討を進める必要がある。

 また、三つ目として、資材、労務単価の変動、また税制の改正などに合わせて、料金などを調整する仕組みについて議論が必要。こういった御意見をいただいております。

 引き続き、高速道路の現状と課題を分析するとともに、有識者などの御意見も丁寧に伺いながら、効率的な業務実施、また利用者の利便性向上に資するような有料道路制度について、必要な改善を継続的に進めてまいりたいと考えております。

山本(剛)委員 本当にいろいろあると思います。公的な使命を担いつつも、やはり民間ということで、その自由度も確保しなければならないとか、これは大きな課題だと思いますし、ほかにもあります。

 特に、カーボンニュートラルへの対応については、私が本会議でも質問させていただいたとおり、民間企業においても営利とは別の観点で着実に取り組んでいただくことが私は不可欠だというふうに思います。

 国交省さんから機構そして道路会社への働きかけも重要だと思いますけれども、何よりも、それぞれの組織において取組のインセンティブを高めるべく、是非新たな仕組みづくりを進めていっていただければなというふうに思います。

 次に、民間企業としての高速道路会社の運営についてちょっとお尋ねをいたします。

 まず、現行の制度について確認をさせていただきますが、通常の民間企業であれば、一定の利益を出すということが目的にもなるわけでありますが、社会貢献として、利益が見込めないような事業に取り組むこともあるわけであります。

 基本的に利益を出すことが企業の前提となるわけでありますけれども、一方、高速道路においては、民営化後のスキームについては、民間のノウハウを最大限活用するために高速会社が設立されたわけではありますけれども、高速道路会社は、サービスエリアの商業施設に関連する事業などを除いては、いわゆる高速道路の本体を運営する事業において、料金収入に利益を含まないような仕組みとなっています。これは二十三条の部分ですね。

 この仕組みについて、利益を含まないことを基本としたその理由というのをちょっと明確にお答えをいただきたいと思います。

丹羽政府参考人 お答えいたします。

 高速道路の料金については、公団民営化に際しまして、まず一つ目として、高速道路が典型的な国民、国有の財産であり、債務完済後を含め、民間企業の利潤獲得の手段とすべきではないこと、二つ目として、利潤を上乗せすれば料金の引上げにつながり、国民の不利益になること、また三つ目として、利潤があるならば、債務の早期返済や料金の引下げに充てるべきであることなどから、料金には利潤を含めないということとされたということでございます。

 ただし、高速道路会社の経営努力のインセンティブとなるよう、実際の料金収入が計画に対して上振れまた下振れしたときには、一定の範囲内で会社の利益また損失として計上する仕組みとしております。

山本(剛)委員 先ほど大臣も、料金に利益を含まないということ、今のような中身だったというふうに私は認識をしますが、この仕組みについて、料金収入の大部分が債務返済に充てられているという点については評価しなければならないなというふうに思います。

 一方、民間企業としての経営上のインセンティブを与えるため、一定幅の利益若しくは損失、具体的には経営料金収入の一%の範囲で損益を出す仕組みは、高速道路会社の決算に対してどのような影響を与えているのか、高速道路会社の決算における損益の状況と具体的な損益が生じている要因についてお伺いをしたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路会社の損益の状況についてでございますが、令和三年度の決算におきまして、高速道路会社の純利益でありますが、六社合計で百四十一億円となっております。

 このうち、高速道路事業につきましては、コロナ禍で急激に料金収入が落ち込んだ年を除きますと、料金収入の一%の範囲で損益を出す仕組みの下、基本的には料金収入が計画を上回っていることが純利益の計上に寄与しております。

 また、関連事業につきましては、サービスエリアの魅力向上などによる収益拡大を図ってございまして、コロナ禍でサービスエリアなどの売上げが減少した年を除きますと、純利益の計上に寄与しているということでございます。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 一般的に、民間企業として利益が出ているということは非常に望ましい状況でありますし、株主である国としては、受け入れられる結果かなというふうには思います。

 一方で、先ほど答弁をいただきましたとおり、この高速道路の制度においては、料金収入には利益を含まないことを基本としているわけでございます。経営上のインセンティブを与えるための仕組みを否定するものではありませんが、その仕組みの結果として、利益剰余金がどれぐらい増えているのか、高速道路会社の個別と連結のそれぞれの決算における剰余金の状況についてお答えをいただきたいと思います。また、剰余金が生じている要因は先ほどの損益の要因と同じものかどうかも併せてお答えをください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年度末における高速道路会社の利益剰余金は、高速道路会社六社合計で三千百七十七億円というふうになっております。

 また、高速道路会社の子会社も含めた連結決算全体の利益剰余金は四千八百四十五億円となっております。

 先ほどの高速道路会社の損益の要因と同様に、高速道路事業につきましては、基本的に料金収入が計画を上回っておりまして、その一部が結果として利益剰余金に積み上がったものと考えております。

 また、関連事業につきましても同様に、サービスエリアの魅力向上などによる収益の拡大の結果、利益剰余金が積み上がったものでございます。

山本(剛)委員 ありがとうございます。単体で三千百七十七億、連結で四千八百四十五億、非常に大きいなという印象があります。

 先ほど申し上げましたとおり、利益が出ること、その結果、剰余金がたまっているということについて、それ自体は別に悪いと言っているわけではないんですね。通常の企業であれば、剰余金を株主に還元したり、新たな投資に回したりすることになるわけでありますが、高速道路会社の場合は、やはり利用者に還元をするということが重要なのではないかなというふうに思っております。

 平成二十六年の改正時においても、この剰余金の扱いについて国会で議論をされているわけであります。その中で、当時の政府答弁、当時の副大臣の答弁を見ると、修繕事業など高速道路の安全性確保などに資する方策を検討してまいりたいと答えられているわけでございます。

 そこで、平成二十六年以降、剰余金の活用状況について具体的な説明をお願いします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路会社における利益剰余金のうち、高速道路事業分につきましては、会社経営の健全性を確保できる範囲において、これまで修繕事業など高速道路の安全性の確保に資する方策に活用しております。

 具体的に申しますと、平成二十六年度以降におきましては、笹子トンネルの天井板崩落事故後の高速道路の緊急修繕事業、また、跨道橋の耐震対策などにこれまで約三百三十億円を活用しているところでございます。

 一方、関連事業分につきましては、高速道路会社の創意工夫の下、サービスエリアや、またパーキングエリアの建設、改良、また老朽化対策への投資など、ほぼ全額を活用しているところでございます。

山本(剛)委員 それは、国会答弁を受けて、高速道路会社が前向きに取り組んでいるのかなということでよろしいんですかね。よろしいのかな。

 剰余金については、今御説明ありましたが、サービスエリアなど高速道路の料金収入以外によるものが含まれているということ、また、新型コロナウイルスの影響によって大幅に料金収入が減少したように、今後の損失にもある一定程度は備えていく必要が私はあるのかなというふうに思いますし、全ての剰余金が活用できるものであるとは考えてはおりません。

 一方で、今回の改正案は、将来の国民に新たな負担を強いてしまっているものになっているわけであります。負担を強いる前提として、高速道路会社は、最大限、会社自ら財源を確保するための取組を尽くすべきであり、剰余金の活用もその一つの取組として不可欠ではないかと私は思っています。

 剰余金の利用者への還元について、これまで以上にその取組を加速するべきだと私は考えているんですけれども、その点についてはいかがでございましょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路事業の利益剰余金につきましては、委員御指摘のとおり、会社経営の観点からは、交通量が減少した場合における確実な貸付料の支払い、また、除雪や自然災害に伴う管理費の増大への対応など、安定した事業運営を行うためのリスクに備えておく必要があるというふうに考えております。

 その上で、高速道路事業の利益剰余金の原資は高速道路の利用者からいただいた料金であることから、できる限り利用者に還元していく必要があるというふうに考えております。

 国土交通省といたしましては、高速道路事業の利益剰余金につきまして、引き続き、修繕事業など高速道路の安全性の確保に資する方策へ活用するとともに、利用者への還元を更に加速すべく、より具体的な活用について高速道路会社と議論をしてまいりたいというふうに考えております。

 また、関連事業の方の利益剰余金でございますが、高速道路会社の創意工夫の下、サービスエリアの建設、改良、また老朽化対策への投資など、ほぼ全額を充てているところでございまして、引き続き、利用者の利便性向上のために活用するよう働きかけてまいりたいというふうに考えております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 ちょっと視点を変えますけれども、この高速道路に関するスキームが基本的に利益を出さないことを踏まえて、現在、高速道路機構が保有する道路資産に対する固定資産税の非課税措置が講じられていると私は認識しています。国民共有の財産である高速道路については利益を出さないよう、よって固定資産税を課さないということが国としての基本スタンスであると考えています。

 繰り返しになりますけれども、国土交通省は、剰余金の利用者への還元について、高速道路会社にしっかりと取り組ませるように積極的な関与を私はしていただきたいと思いますので、お願いをしたいと思います。

 先ほど申し上げました財源を確保するための取組として、料金徴収の期間の延長だけではなくて、料金制度そのものの改定というものも、見直しも考えられるのではないでしょうか。

 料金については、財源を確保するという目的と、利用者が高速道路を利用しやすいものとする目的、これを両立をさせる必要があるわけでありますが、前者については、新たな更新需要に対応するものとする必要がある一方、後者については、本会議でも確認させていただきましたが、料金の定額制を含めて、現状の制度にとらわれることなく、社会情勢に合わせて利用しやすい料金となるように制度を見直すべきではないかと私は申し上げています。

 この財源の確保と利用しやすさという相反する二つの観点から、どのような負担の在り方を実現すべきなのか、料金制度、先ほど定額料金制を私は言っておりますけれども、望ましい姿とはどのようなものなのか、お答えをいただきたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路料金は、建設、管理に要する総費用を料金の徴収期間内に料金収入で賄うよう、償還主義の原則でやっております。利用者の負担の公平性、これを確保する観点から、利用度合いに応じて料金をお支払いいただく対距離制を基本といたしております。

 その上で、利用しやすさの観点から、平成二十六年度より、国土幹線道路部会の中間答申を踏まえまして、それまでの整備重視の料金から利用重視の料金に移していくこととし、建設の経緯の違いなどによる区間ごとの料金の格差、これを是正して、三つの料金水準に整理しているところでございます。

 また、様々な政策課題を解決するため、例えば、一般道路の渋滞を改善するための平日朝夕割引、また、一般道路の沿道環境を改善するための深夜割引など、各種割引制度が導入されているところでございます。

 引き続き、国土幹線道路部会での議論も踏まえまして、必要な財源を確保した上で、高速道路の利用が促進されるような料金となるよう努めてまいりたいと考えております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 料金制度の難しいところは、非常に多くの、他の交通機関であったりいろいろなところに影響することであるということは私も理解をしています。

 我々政治の側としても、やはり料金制度をしっかりと国民の理解が得られるように議論をしていきたいと思いますので、是非また今後ともよろしくお願いいたします。

 次に、サービスエリアの機能高度化、RVパークについてちょっと質問させていただきます。

 これは本会議でも申し上げたんですが、近年、車旅や車中泊という新たな旅の考え方が本当に広がっています。車旅や車中泊を増やすことは地方創生にもつながるということは先ほども申し上げましたが、その中で、道の駅や高速道路のサービスエリアは、トイレなどが整備されていることから、車中泊に適した場所であると私は考えています。

 一方で、車中泊のための施設が整備されていない道の駅やサービスエリアにおいて、車中泊により、通常の休憩のための利用者や施設の機能に対して悪い影響を与える懸念もあることは事実でございます。

 そこで、現在、車中泊のためのスペースが確保されていない道の駅やサービスエリアにおいて、車中泊によりどのような問題が生じているのか、把握している範囲でお答えをいただきたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、車中泊によりどういった問題が発生しているかということでございますが、一部の道の駅では、車中泊の利用によりまして、観光シーズンの夜間に駐車場が満車となり、休憩目的の利用が妨げられる、こういった事象、また、宿泊利用者が道の駅の中で騒音を発生させたり、ごみを投棄するなど、他の利用者の迷惑となる事象がある、そういった課題が確認されているところでございます。

 高速道路のパーキングエリアにおきましては、車中泊に特化した状況を特に把握はしておりませんが、車中泊を含めた長時間駐車によりまして駐車待ちが発生し、他の利用者が利用しづらくなるといった課題が確認されているところでございます。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 そもそも、道の駅やサービスエリアについては、宿泊を想定していない施設がほとんどでありますし、車中泊についても、その環境が整っているとは言えない状況ではあると思います。

 一方、これらの施設における宿泊の需要が高まってきているのではないかなというふうには感じております。その需要を受けて整備が進められているのが、道の駅に隣接する宿泊施設などでございます。

 そこで、道の駅と連携して進められている宿泊施設の整備の状況及びその整備が地域に与えた影響について、ちょっと教えていただきたいと思います。

丹羽政府参考人 お答えいたします。

 現在、約百か所の道の駅の区域内又は近隣において、道の駅と一体的に利用される宿泊施設が立地していると承知をしております。

 その中には、民間企業が主体となりまして、道の駅を拠点とした滞在型の観光需要の創出を目指し、道の駅の近隣に宿泊に特化したホテルとして設置されているものもございます。

 こうした宿泊施設が設置されることによりまして、例えば、宿泊客向けに道の駅の営業時間を拡大し、併設する飲食店や温泉施設での雇用が創出されるなど、波及効果が期待できるというふうに考えております。

 現在、国土交通省では、地域の創意工夫を生かしながら、道の駅を地方創生、観光など地域全体の活性化を図る拠点へ進化させる道の駅第三ステージの取組を進めておりまして、この道の駅の区域内又は近隣への宿泊施設の設置も、こうした取組の一環として大変効果的なものというふうに考えております。

山本(剛)委員 この百か所程度の宿泊施設と比較して、車中泊のためのスペース、いわゆるRVパークは、より手軽に私は設置することが可能だというふうに思っています。

 全国各地において観光による地域活性化が期待されていますし、観光客を呼び込むためには様々な取組を展開していかなければなりません。道路においては、観光地までの移動手段としては、いわばネットワークとして非常に重要な役割を果たす一方、道路局さんにおいては、近年、拠点として道路整備にも力を入れておられるというふうに私は認識をしています。

 RVパークは、地方における観光の拠点として効果的、効率的な施設であることは間違いないと思います。道路における拠点整備の一環として、道の駅やサービスエリアにおけるRVパークの設置を促進すべきだと私は考えていますが、いかがでしょうか。お答えください。

丹羽政府参考人 お答えいたします。

 近年、これまで以上にアウトレジャーへの関心が高まっているというふうに認識をいたしております。

 そうした中、約三十か所の道の駅におきまして、観光施設などの敷地において、一般的な駐車スペースより大型で、電源の使用などが可能な宿泊用の駐車スペースが設置されているところでございます。

 このように、宿泊用の駐車スペース、これを設置したことで、宿泊目的と休憩目的の車両が区分され、休憩目的の利用が妨げられる事象の改善、また、宿泊利用と休憩目的の利用者の双方にとって快適な休憩環境の提供といった効果が確認され、域外からの訪問者が増加しているといった事例がございます。

 また、高速道路のサービスエリアにおきましては、現在、高速道路で全国初となる車中泊が可能な駐車場を、新名神の上り線の鈴鹿パーキングエリアにおいて試行運用を開始しております。これにつきましては、電源が利用できる、二十四時間利用のコンビニ、シャワー、トイレなどが整備をされている、区間が区切られている、安心して車中泊できることから、利用者からは一定の評価をいただいていると承知をしております。

 国土交通省といたしましては、車中泊ができる環境の整備が各地で促進されるよう、全国の道の駅また高速道路会社に対しまして、各地での取組事例、それらの効果、また活用可能な予算制度などについて情報提供するなどによりまして、各地域の実情に応じた取組の支援を行ってまいりたいと考えております。

山本(剛)委員 前向きな答弁、本当にありがとうございます。

 是非とも、RVパークの設置、強力に推進をしていただきますようにお願いします。また、設置に当たっては、利用者目線で施設整備をしていただくということが私は重要だと思います。これまで全国のRVパークにおいて蓄積されたノウハウを生かすことができるよう、専門家の意見を取り入れながら整備を進めていただきますように、そして強力に推進をしていただきますようにお願い申し上げます。

 ちょっと一問飛ばしますが、最後に、ちょっと時間もなくなってしまったので、自衛隊の高速道路を利用する際の料金について、これも本会議でやりましたので伺います。

 本会議では提案という形で意見を申し上げましたけれども、我が国の防衛力の抜本的な強化を図るために、自衛隊員の移動にかかる時間と労力を極力軽減すべく、訓練、演習のための移動について料金を免除し、高速道路を利用しやすい環境を整える必要が私はあると思っています。

 現在も災害発生時などにおいて高速道路の無料通行が認められていますが、緊急時の無料通行に関する基本的な考え方についてお答えください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路の通行料金は、現行法上、通行する車両から徴収することとされておりますが、緊急自動車また災害緊急車両などが緊急の用務のために使用する場合、また、一般道が被災して孤立状態となり、高速道路を通行せざるを得ない場合、また、高速道路の管理用の車両が通行する場合、そういった場合において、通行料金を徴収することが著しく不適当であると認められる場合に限り、通行料金を徴収しないこととされております。

 例えば、自衛隊車両が災害派遣また防衛出動などの緊急を要する公務のために高速道路を利用する場合については、通行料金を徴収しないこととなっております。

山本(剛)委員 今御説明をいただいた考え方に基づいたら、自衛隊が訓練のために移動する場合、料金は免除はされないということで、実際、料金を支払う制度となっているわけです。

 この料金は防衛予算から支出されるわけでございまして、そこで、防衛予算においては通行料金としてどれぐらいの額の予算が確保されているのか、これは防衛省にお聞きしたいと思います。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 有料道路の通行料金につきましては、それのみで予算計上しておるわけではございませんで、演習、訓練等に伴います人員、物資の輸送等に係るその他の経費と合わせまして、運搬費として計上させていただいております。

 この運搬費でございますけれども、令和五年度予算では、前年度比約一・四倍でございます百九十五億円を確保させていただいているところでございます。

 これによりまして、予算不足によって自衛隊車両が訓練時に有料道路を利用できないといった状況は解消される見込みでございます。

 以上でございます。

山本(剛)委員 ありがとうございます。済みません。

 昨年度と比べて、令和五年度予算が大幅に一・四倍増えているということは、ちょっと安心をいたしました。しかしながら、防衛予算は限界がありますから、予算が尽きれば一般道路を利用せざるを得ない状況となるわけであります。隊員に余計な負担がかかることになりますので、是非この辺の改善をしたいと思います。

 ちょっと、時間が来たので、最後の質問も省略をいたしますが、是非、国家国民のための制度を我々国会として築いてまいりたいと思いますので、委員各位の皆様方の御協力もよろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、赤木正幸君。

赤木委員 日本維新の会、赤木正幸です。

 本日は、貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。午前中のラストバッターということで、もう少しよろしくお願いいたします。

 本日は、道路整備特別措置法、法案の中でも特に高速道路事業に係る債務の管理、いわゆるデットマネジメントと呼ぶものだと思うんですけれども、そこに焦点を絞った質疑をさせていただきます。

 有料化とか、無料化云々の、定額化を含めた高速道路料金の論点は既にたくさん出ていますし、これからも出てくると思いますので、私は、特に債務の返済、いわゆる借金の返し方について取り上げさせていただきます。

 これはなぜかというと、私、個人的に債務の返済に関してすごく恐ろしい経験をしたことがあって、決して個人的に借金取りに追われたというわけではないんですけれども、いわゆるリーマン・ショックのときに、私、不動産ファンドでファンドマネジャーをしていました。当然のように、いわゆるリファイナンスという借換え借換えをしていくというのが当たり前のように思っていた世界が、突然、暗黙の前提が崩れ去って、お金を返せなくなって、デフォルトというか、潰れていく会社も、私の知り合いもたくさん潰れましたけれども、それを目の当たりにしてきました。

 言い換えるなら、お金って当たり前のように返し続けられるというのは、当然視するとかなり危険だなというのを身をもって経験しているがゆえに、ちょっと、今日はそこに注目した質疑とさせていただいています。

 今、日本高速道路保有・債務返済機構が大体二十八兆円ぐらい債務を保有していて、いわゆるリファイナンスを繰り返しながら返済されていくと認識しています。これは長い債務、長い借金の一本をちょっとずつ返すんじゃなくて、いろいろな機関を組み合わせながら、それをちょっとずつ借換え借換えをしながらされているというスキームなんだと理解しているんですが。

 その裏側には、すごい、格付というものが非常に重要になっていると考えております。その格付には、政府保証がある程度くっついているので、ここがもし、機構がデフォルトすると結局は政府保証が発動して、結果的に国民全体にその負担が拡大しかねないようなスキームになっているというふうに理解しております。

 結構複雑な仕組みだと思いますので、まず最初の質問になりますが、質疑の前提として、高速道路事業に係るこの債務の流れ、例えば、誰が誰から、何を担保にして借りて、じゃ、誰にいつまでに返すのかというようなところの御説明をいただきたいんですけれども、私が先ほどから使っていますリファイナンスとか、政府保証とか、格付といったところも触れながら御説明いただけるとありがたいです。

 御説明よろしくお願いいたします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路事業につきましては、高速道路会社は高速道路の建設や更新などを行う際に、債券の発行や銀行等からの借入れにより資金を調達をいたしております。

 高速道路会社の資金調達に際しましては、一般担保つきとした上で、工事完了後、その債務を高速道路機構に必ず引き渡すこととしておりまして、高速道路機構の返済能力も加味されているというふうに認識をいたしております。

 次に、高速道路機構は、高速道路会社から引き受けた債務などについて、高速道路会社からの貸付料をもとに返済しておりまして、高速道路の料金収入がその原資となっております。

 また、高速道路機構が債務返済を行う際にまとまった資金が必要な場合には、借換えを行うこととなります。その際には、一般担保つきとして市場から調達するほか、政府保証を付することもあり、返済期限までに貸付料から債権者へ返済するということになります。

 なお、高速道路会社また高速道路機構では、格付を取得しておりまして、円滑な資金調達に努めてまいっておるところでございます。

赤木委員 今御回答いただきました政府保証がされた債務というのがあるということなんですが、大体、政府保証された債務の割合というのがどれぐらいかを教えていただけますでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路機構における資金調達については、一部異なる年度はありますけれども、約八割が政府保証債となっております。

 また、高速道路会社におきましては、経営の自主性を発揮させるために、平成二十二年度以降、政府保証による調達は行ってございません。

赤木委員 機構の債務にはかなり、八割ぐらいが政府保証がついているということなんですけれども、これは政府保証がついている債務とついていない債務について、何かしらの金利の差とか条件の差といったものはありますでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路機構や高速道路会社における調達時の金利差につきましては、調達時期また調達額によって異なるものではございますが、一例についてお答えさせていただきます。

 まず、高速道路会社と高速道路機構における金利差につきましては、令和三年度の四年債の平均利率で比較しますと、阪神高速道路は〇・〇七%、高速道路機構の、政府保証がついていない財投機関債は〇・〇二%というふうになっております。

 また、高速道路機構における政府保証の有無による金利差につきましては、令和三年度の二十年債の平均利率を比較いたしますと、政府保証債は〇・四七%、政府保証のついていない財投機関債は〇・六二%となっておりまして、政府保証債の方が低金利で調達をできております。

 なお、政府保証の有無、また高速道路会社の債務は、高速道路機構に引き渡されること以外、基本的には、調達する主体の違いによる条件の違いはございません。

赤木委員 そうですね。金利の差は当然あるとのことなんですけれども、この後継続して質問させていただく、多分、恐らく、格付の内容にもすごく影響しているのかなと考えております。

 ちょっと細かい話にはなるんですけれども、機構において平成三十年から令和四年にかけて政府保証債がかなり減っていると認識しているんですが、この理由と、あと、一旦こうやってマーケットからこういった政府保証債をなくすことによって、マーケットとのリレーションというか関係性が何か影響があるかどうかといった部分について、お答えをお願いいたします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年から令和四年につきましては、財政融資資金を活用して資金調達をしたため、政府保証の割合が低くなっております。

 委員の御指摘は、市場からの調達が減少したことによる投資家との関係についての御懸念かと思いますけれども、高速道路機構におきましては、債務の返済状況などの積極的な情報提供、また、ソーシャルボンドの発行などの新たな投資家を確保する取組を行うことで、資金調達に影響がないよう、投資家との関係の維持に努めているところでございます。

赤木委員 そうですね。まさに、政府が独立行政法人や会社に政府保証をつけるとか、かなり踏み込んだ方針だと考えております。

 機構と会社の債務において政府保証する理由というか意義ですね、それぞれの保証の金額、保証の期間と、今後の政府の方針について、かなり重要な内容だと思いますので、あえてちょっと斉藤国土交通大臣より御回答いただけますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 道路公団民営化は、一つに、約四十兆円に上る有利子債務を確実に返済すること、そして二つ目に、真に必要な道路を、会社の自主性を尊重しつつ、早期に、できるだけ少ない国民負担で建設すること、そして三つ目に、民間ノウハウ発揮により、多様で弾力的な料金設定や多様なサービスを提供すること、これらが目的となっております。

 公的機関である高速道路機構の信用力と併せて政府保証債を活用することは、低金利で資金調達できることから、道路公団民営化の目的である債務の確実な返済や国民負担の軽減を果たすことに大きく寄与しているものと考えております。

 今後も、更新事業の実施などのための財源が必要である中、資金調達コストを低減していくことは重要であり、引き続き必要な政府保証の確保に努めてまいります。

赤木委員 ありがとうございました。

 今後も政府保証を継続されるということですけれども、ここら辺の方針が変わるというのはかなりマーケット的にも影響があると思いますので、慎重に御検討していただければなと考えております。

 次は、まさにこの政府保証の影響が強く出ているもう一つなんですけれども、格付ですね。これは、機構と会社、それぞれについて格付が得られていると考えていますが、どのような評価が得られているかという格付の状況と、あえてその評価が得られている理由をどのように考えられているかということを御回答いただけますでしょうか。

丹羽政府参考人 お答えいたします。

 高速道路機構と高速道路会社の格付についてでございますが、例えば、格付会社の一つであります株式会社格付投資情報センターからは、現在、ダブルAプラスと、日本の国債と同程度の評価をいただいていると承知をいたしております。

 こうした格付評価につきましては、株式会社格付投資情報センターのプレスリリースによれば、高速道路の経済社会政策上の重要性は極めて高く政府の支援姿勢が強いことが挙げられているほか、高速道路機構は高速道路システムにおける収益力が強く、財務基盤が損なわれる懸念が小さいこと、また、高速道路会社は高速道路機構が債務を引き受けるスキームの確実性が高いことなどが理由とされております。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに、そうですね、国債に近い評価を受けているとのことですが、これは私の方でも、ムーディーズさんの格付を少し見ていて気づいているんですが、例えば説明に、格付を支える要因として、政府からの高水準のサポート及び監督を受けているということが記載されていて、さらに、その中身としては、民間資金調達に際して政府保証の付与を享受しているということが明確に書かれています。あと、将来の格上げにつながる要因として、日本国債の格上げと書いてあったりとか、将来の格下げにつながる要因としては、日本国債の格下げという、まさしく国債同等の評価を得ていると認識しているんですが、ここで質問となります。

 格付の維持においても、やはり政府の関与というのが非常に強く出ていると認識しているんですが、今後、この格付の維持に向けた国の関与の方針について、これも政府の重要な考え方と思いますので、斉藤国土交通大臣より御回答いただけますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 機構や会社が資金調達する上で、金利調達コストを低く抑えることは重要であり、そのためには、より高い評価の格付をいただき、投資家から高い信頼を得ていくことが重要と考えております。

 国土交通省としましては、引き続き、債務の確実な返済のために、必要な政府保証の確保に努めるとともに、料金徴収期限までの確実な債務の返済に係る許認可等を通じて、高速道路機構や高速道路会社の格付において高い評価をいただけるよう取り組んでまいります。

赤木委員 これも同様、非常に重要な内容だと思いますので、本当に方針変更等する場合は慎重に行っていただければと考えております。

 次は、少し話題が変わって、返済の計画と実績の推移に関した質問になるんですけれども、機構のホームページとか高速道路機構ファクトブックに債務返済計画及び実績の推移が掲載されているんですが、結構計画と実績の間に差が発生しています。

 例えば、令和三年期末においては、債務残高なんですが、計画としては二十八・一兆円、実績としては二十六・三兆円と、一・八兆円ぐらい計画と実績に差が発生しています。これについて、なぜこういった差が生じるのかについての御回答をいただけますでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の一・八兆円の差の理由でございますけれども、この差につきましては、工事工程の見直しなどによりまして高速道路会社から高速道路機構への債務の引渡しが遅れたこと、これが主な要因であると考えております。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに債務の引渡しが理由であって、いわゆる高速道路収入というものの入りの部分が増えたとかというわけではないということだと思うんですけれども、とはいいながらも、高速道路の収入というのはその時々で影響があると思っております。特に、ここ数年はコロナによって国民生活全体に影響があったと考えているんですが、高速道路収入へのコロナの影響というものは、実際、どれぐらい計画と実績に影響を与えているか、お答えいただけますでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の拡大での影響でございますが、コロナウイルスで移動制限が行われたことによりまして、乗用車を中心に交通量が減少いたしております。

 そのため、高速道路会社六社合計の料金収入の実績値でございますが、コロナ禍の前の令和元年度につきましては約三兆円であったのに対しまして、コロナ禍では、令和二年度に二兆五千億、また、令和三年度では二兆八千億と、令和元年度より少なくなっております。

 また、令和二年度の料金収入の計画値でございますが、これは令和二年三月に策定したものであるために、コロナ禍の影響が未反映でありまして、その結果、実績は計画を約四千億下回る結果となっております。ただ、令和三年度の料金収入の計画値は、前年度のコロナ禍における交通量の減少を踏まえて策定したため、その結果、実績は計画を約二千億円上回っているところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 そうですね。短期の影響と今のような影響があると思うんですけれども、より長期のトレンドとして、人口減少、少子高齢化というものは高確率で、ほぼ確実に発生すると思うんですけれども、これがまさに計画にどのように反映されているかについてお答えいただけますでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路機構の債務返済計画は、将来の料金収入などを算出した上で、法定期限内での確実な債務返済が可能であることを確認するものとなっております。

 この将来の料金収入につきましては、人口の最新の将来推計値などに基づいて推計される高速道路の将来交通量の推計値を踏まえて算出されております。

 具体的には、人口につきましては、国立社会保障・人口問題研究所の中位推計を採用しておりまして、また、高速道路の将来交通量につきましては、この人口の最新の将来推計値を基に令和四十二年度までの交通需要を算出し、それ以降につきましては、令和二十二年度から令和四十二年度までの減少率を踏まえて推計しているところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 様々な要因を加味した計画を作られているとのことですが、やはり、技術革新含めて、世の中の変化によって高速道路収入というのは計画より増加することもあり得ると考えております。少し、先ほどの山本委員の質問にちょっと近いものがあるんですが、例えば、計画より料金収入が増加した場合に、返済期間を短く、償還期間を短くするとか、若しくは料金を下げるとか、あとは、より使いやすい道路整備を進める、いろいろな方法があると思うんですけれども、こういった場合に、料金収入が計画より増加した際の政府の方針について、国土交通大臣より御回答いただけますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 実績が計画を上回った場合でございますが、これまで料金収入の実績が上回った場合には、そこから生じる財源は、主に必要性の高い四車線化や耐震化などの投資などに充当してきたところでございます。

 今後、更新事業などを確実に実施していくことが重要であることから、仮に料金収入の計画と実績の差が生じた場合には、必要性の高い更新事業や四車線化、耐震化などに充当することを基本に考えております。

赤木委員 ありがとうございます。

 今日は、まさにデットマネジメントについて質問させていただきましたが、政府保証が発動しないように、是非デットマネジメントしていただければと考えております。

 私の質問は、これで、以上で終わります。ありがとうございました。

木原委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

木原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 まず最初に、ちょっと、丹羽道路局長、本格的に質問に入っていく前に、事実関係をちょっと確認をさせてもらいたいんですが、今回のこの法案で料金徴収期限を二一一五年としたのは、現時点で、今後新たに追加が見込まれる道路の維持管理のための更新事業の償還期限が、これが二一一五年になる、だからこの期限を二一一五年にした、そういうことでよろしいですか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の料金の期限でありますけれども、今回新たに更新しなくちゃならない箇所と、それと同じ基準、また構造で造られている、今後更新が必要となる蓋然性が高いところをピックアップして、そのための料金の徴収期限を二一一五年としたところでございます。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 そうなりますと、将来、更に新たな更新事業が必要となれば、そのときにはまた料金徴収期限というのはこれは延長されるということに、論理的な帰結としてはなると思いますが、そのように理解してよろしいですか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今後、今回、更新が必要となるんじゃないか、蓋然性、あるんじゃないかというところの期限である二一一五年につきましては、そこについては、今後の更新がどうなってくるのかというのがちょっと不確かな部分がございますので、現在の知見では、なかなかそこの部分はどうなるのかというのは見込めないと考えております。

古川(元)委員 大変苦しい答弁というか、でも、道路を使い続ける以上は、これは、維持管理のための更新事業というのは、今日のずっとほかの人の質疑を見ても、やはり必要になるんだと思うんですね。

 そういった意味では、これは、高速道路の運用をやめるというなら、どこかで、朽ちたらもうやめますというのであれば別ですけれども、普通はやはり高速道路の運用をやめるということは余り考えられない。そう考えれば、これは、維持管理のために新たな更新費用が、じゃ、これは仮の話ですね、仮に必要となれば、そのときにはやはり、今回の理屈からいえば、料金徴収期限、これは延長するということに、論理的に考えればそういうことになりますよね、局長さん。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 更新の度合いがどれぐらいになるのかによって対応が異なってくるかと思いますので、現時点では何とも申し上げかねるというところでございます。

古川(元)委員 この法案を通したいがために、そういうふうに言われているんだと思いますけれどもね。

 大臣、論理的に考えたら、当然、新たに更新事業が必要になってきたら、今の仕組みを続けるといえば、当然、そのときはやはり期限をまた延長しなければいけないということになるわけで、道路をずっと使い続けるということを考えると、今回の法改正は、これは、マスコミ報道などで事実上の永久有料化というふうに言われておりますけれども、昨日の参考人質疑でも、参考人の皆さんも事実上の永久有料化と見ていいんじゃないかというようなお話もあったかと思うんですが、これはやはり、もう事実上の永久有料化というふうに受け止めてよろしいんですか、大臣。

斉藤(鉄)国務大臣 今回の法改正は、これまでの法律の枠組みの中で、幹線部会の御意見も踏まえて、今回の法改正にさせていただいたところでございます。

 つまり、まず道路は、一般、公共性が高く、無料公開というのが大原則である、この大原則がございます。そして、その上で、いわゆる民営化、当時の議論から、一つは、債務をきちっと返済していくということと、それから無駄な道路をどんどん造らないというこの二つの観点から料金徴収期限を決めた、このように認識をしております。

 そして、それから十年たった平成二十六年、新たな更新事業が明確になってきたということで、十五年徴収期限を延長させてもらいました。そのときの議論の国会決議に、無料化という意見と永久有料化という、ある意味で相矛盾する二つの事柄が附帯決議の中で入ってきた、こういう状況の中で、今回、今までの法律の枠組みの中で、新たに更新が必要になるものが明確になってきました。また、そうなる蓋然性が高いものも明確になってまいりました。今までの法律の枠組みの中で、その期限を明確にさせていただいたということでございます。

古川(元)委員 今、大臣、いみじくもおっしゃられたんだけれども、要するに、今までの枠組みの中で、前の法改正のときに附帯決議でついた、無償化とそして永久有料の相矛盾するものを、それを何とかつじつまを合わせるために出てきたのが今回の法案なんじゃないんですか。

 これは結局、枠組みは確かに今までの枠組み、しかし、償還期限五十年で、今、想定し得る蓋然性があるものについて、そこのところで二一一五年という期限を切ったわけですね。そうしたら、将来、また新たな更新事業というのが出てくるんだったら、そのときにやはりそれは、その後にまでこれは期限が延長される、またそういうことを、今の枠組みを続けるんだったら、これは仮定の話ですよ、仮定の話で、仮に将来、新たな、今想定されていないような更新事業というものが見込まれることになったら、枠組みを続けるんだったら、そのときは、これはまた期限をこの二一一五年からもっと先に延ばすということになりますよね、論理的に。そうじゃないですか、これは。そこは、違うんだったら、ちょっと違うと教えていただきたいんですが。

斉藤(鉄)国務大臣 現在のこの枠組みで明確になったものを償還をしていく、これだけのお金がかかる、工事をする、そのときに借り入れた金は償還していく、こういう今の枠組みで計算をして、二一一五年ということにしたものでございます。

 まだどれだけこれから将来かかるか分からないもの、これは例えば、現在の橋梁設計は百年もたせるということを基本的ないわゆる設計思想として造られております。どういう状況になるか明確ではございません。そういう明確でないものを今決めるということは、ある意味で無責任なことでございます。

 将来、二一一五年の時点で、若しくはもっとその前の時点で新たなる更新事業等が必要になってくるという場合には、またそのコストをどのように償還していくのかということはその時点でまた考えなくてはいけないことだと思いますが、今の時点で、先ほど道路局長が申し上げましたように、不確かなことを前提に議論はできないということだと私自身は思っています。

古川(元)委員 それは不確かかもしれませんけれども、今、百年が、それが千年になるかもしれないけれども。でも、これはやはりインフラですから、永久に、一回造ってもう朽ちないなんてことはないわけですよね。必ずやはりどこかで更新しなきゃいけない。

 ですから、今の中だったら、今のこの時点でこうだということは分かりますよ。ただ、この枠組み、これを将来考えたら、やはりこれは、そのときまで、そういう状況が起きたら、結局、またそこから五十年という、そういう形で、だから、私が聞いているのは、今のこの考え方でいえば、事実上これは永久有料化していく、そういうものですよねと。さっき大臣が言われた、この国会でついた附帯決議の相矛盾するものを何とかこじつけるというか、うまくつなぎ合わせるために出てきたのがこの法案だというふうにやはりこれは理解するしかないんじゃないかと思いますが、どうですか、大臣。

斉藤(鉄)国務大臣 相矛盾するものをこじつけるために出した法案ではございません。先ほど申し上げましたのは、そういう大きな議論があったということでございます。

 その上で、基本的な枠組みが、明確になったコストに対してそれをきちんと償還をしていく、料金で償還をしていく。その料金を決めるというのは、料金の総額は、料金掛ける期間です。したがいまして、その期間をある意味で明確にしなければいわば料金が決まらないという仕組みもございます。そういうこともあって、今の仕組みを維持して、これからの更新事業に対応していくということでございます。

 将来、新たな更新等が必要になってくる、当然そういうことがあろうかと思いますが、その折には、そのコストをどのように、例えばコスト削減でありますとか、いろいろな努力、方法があるかと思います。そういう議論は当然していかなくてはならないかと思いますけれども、それを今の時点で、技術的にも確定して議論するのは困難だということだと私は思います。

古川(元)委員 いや、だから、大臣がおっしゃる、今の時点で確定することは困難だ、それは私も分かるんですよ。

 ただ、必ずやはり更新はどこかで必要になってくるし、そこのコストがかかるわけですよね、ここは。そのコストをどういう形で負担するかという、まさにコスト負担の問題というのがあるわけで。だから、そういった意味では、そのコストをどういう形で負担していくのか。それは税金で負担するという考え方も当然一つあるんだと思うんです。

 大臣のその話でいくと、じゃ、それは新たな更新事業が少し分かってきたようなところで、まさにその財源論というものを考えるということで、これは、あくまで今分かっているところまでのこの枠組みというのは、将来までというんじゃなくて、あくまで今、更新事業があると見通せるところの、そこまでの枠組み。そういった意味では、暫定的な枠組みだ、そういうふうに考えていいんですか、そうしたら、これは。

斉藤(鉄)国務大臣 今明確になったもの及び同じ構造や設計思想で造られていて、近い将来に今必要となっている更新事業と同じような更新が必要となるであろう蓋然性の高いものについて、今回法律で決めているわけでございます。

 それ以外に別にコスト上昇要因が出てきたときには、いろいろな形でそのコストをどう吸収するか、コスト低減のいろいろな努力、技術開発、会社の経営努力等、また、その他の方法、あろうかと思いますけれども、そのときにはそれなりの努力が必要かと思いますし、そういう議論も必要になってくるかと思います。

古川(元)委員 水かけ論になってしまうんですけれども、この今日の質疑でも何度も大臣は、そもそも道路は無料が原則だという話をしていらっしゃいます。しかし、無料が原則というけれども、実はこれは昨日の参考人質疑でもありましたけれども、別に道路が元々全くただでできているわけじゃないですよね。それは、その利用のときに払わないだけで、税金で払うとか、とにかく、やはりこれはコストがかかるわけです、造ったり維持をするためには。そのコストをどう維持するかということ、要するにコスト負担の仕方の問題ですよね。

 そういった意味でいうと、高速道路について、とにかく、そもそも道路は無料なんだからと無料にこだわるというのは、やはりその財源というのが、結局、高速道路にかかわらずどういう道路であれお金はかかるよねといったら、その負担の仕方が、国民の皆さんや利用者に負担してもらう負担の仕方の問題だということであれば、そもそもこれは、やはり、無料だということの言い過ぎている部分が、ちょっとそこに私はこだわり過ぎているんじゃないかと。もう少しそこは、実際に、これは高速道路にかかわらず、道路を建設したり、維持管理には費用がかかる、その費用を何らかの形でやはり負担をしてもらわなきゃいけない。

 そういった意味では、無料、無料という言い方を、そこにこだわることにはもう私は余り意味がないんじゃないかと思うんですけれども、それでも大臣、こだわりますか、これ。

斉藤(鉄)国務大臣 いえ、こだわっているわけではありません。

 もちろん、道路を造るにはコストがかかる、そのコストをどうやって負担するかは、先ほど来ありましたように、税金か、利用者負担かということしかないわけでございます。しかしながら、そもそも道路というのは、先ほども申し上げましたが、天下の公道という言葉もあるぐらいで、誰もが利用できるというのが基本原則。そして、したがって、税金でそのコストを負担するというのが多くの道路の姿だろうと思います。

 その上で、先ほど申し上げたような理由で有料道路制度ができたわけでございますけれども、今回は、その有料道路制度の基本的な考え方に基づいて法案を提出させていただいているということです。

古川(元)委員 何かよく分からないような答弁ですが、これは私は、特に高速道路、それは無料になればいいですよ。でも、実際にはこれは、今回の法案なんかでも、かなりやはり高速道路はいろいろな意味で、ちょっとほかの道路とは違う、高機能を持たせようという、相違しているわけじゃないですか。

 そういう意味で言うと、これをほかの道路と同じように完全無料というのは、もう今、それを期待しているというか、そうなると思っている人は、多分誰もいないと思いますよ。

 これは高速道路が、今回の法案の中でも、いろいろな形で、サービスエリアとかパーキングエリアを活用していくとか、いろいろやはりそうなってくると、これはちょっとほかの道路と違うところがあって、しかも、昨日の参考人質疑の中でも、道路への課金というのが、建設コストや維持整備のための費用というだけではなくて、ロードプライシングのような形で、別の観点から料金を取るべきじゃないか、そういう意見も昨日もありました。

 そういう意味からすると、やはり無料という在り方自体が、これはもうそろそろ、ちょっと考え直してみる時期にやはり来ているんじゃないか。実は、そこの高速道路の無料化というところにこだわるからこそ、この法案がかなり無理な形で、こういう形に仕上がってきているんじゃないかなと思うんですね。

 こんなことばかりやっているとすぐに時間がなくなっちゃうので、少し視点を変えてちょっと質問しますが、永久有料とした場合の問題点として、固定資産税がかかるということがよく挙げられています。昨日の参考人質疑でもこの点が挙げられておりました。

 そこで、ここをちょっと総務省に聞きたいと思うんですが、高速道路を永久有料としたその途端に固定資産税の課税対象になるんですか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 固定資産税におきましては、公共の用に供する道路につきましては非課税措置が講じられておりますが、有料道路の用に供する資産については原則として課税対象となっているところでございます。

 これに対して、高速道路株式会社等の道路資産に対する固定資産税につきましては、当該道路が、いずれ無料開放され、何ら制約を設けず不特定多数の人に利用に供されることとなること、また、一般の有料道路とは異なり、料金に利潤を含めないものとされていることなどを踏まえまして、非課税措置が講じられていると認識しております。

 永久有料となった場合の当該非課税措置の在り方についてでございますが、措置が講じられた際の考え方などを踏まえつつ、税制改正プロセスにおいて適切に議論されるものと認識しております。

古川(元)委員 今の答弁をお伺いすると、要は、では、そんなに、当然のように、当たり前で、永久有料になった途端に課税されるという、そういうわけではないということですね。いいですか。

鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 永久有料となるというようなことになります場合には、当該非課税措置をどうするのかということにつきましては、先ほど申し上げました、措置が講じられた際の考え方などを踏まえつつ、税制改正プロセスにおいて適切に議論されていくものということと認識しております。

古川(元)委員 要は、それはそのときの税制改正のプロセスでどうするかを判断するということですよね。

 だから、よくちまたに言われている永久有料にした途端に固定資産税がかかるというのは、それは自動的にかかるわけじゃないわけですよ、今、大臣、これを聞いていたら分かると思いますけれども。

 では、もし固定資産税がかかるという場合に、課税対象になった場合、これは、課税額はどれくらいになるというふうに試算をしておられますか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 高速道路株式会社等の道路資産に対する固定資産税につきましては非課税措置が講じられているところでございまして、市町村におきまして課税標準額を把握しておりませんので、委員御指摘のような課税額については把握をしていないところでございます。

古川(元)委員 メディアなんかで五千億とかいろいろ言われていますが、要は課税対象もないから考えていないと。

 今、別に地方自治体ももらっているわけじゃないですから、高速道路が永久有料になった、それで従来のままの固定資産税がかからないようにしたからといって、これは、今まで入っていた税収が減るとなったら大騒ぎになりますけれども、そういうわけじゃないから、これは私は問題には、それほど、そこは税制改正のところの立法判断として、まさに道路は公共の用に供するということですから、単に永久有料になったというだけで、それでかかるという話ではないんだと思うんですね。まさにこれは立法政策の話であって。

 そういうふうに考えると、私は、最大のいわば問題点だ、永久有料という場合に問題点だという、こういう点は、立法政策によって、十分、これは今さっき、審議官のお話だと税制改正の過程で適切に判断されるということですから、これは立法政策としてもうここは課税しないというふうにやれば、それは課税対象にはならないというふうに考えてよろしいですよね。

鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど答弁いたしましたとおり、現在非課税措置とされているその考え方、一般的な有料道路の用に供する資産については原則として課税となっておりますが、高速道路株式会社等の道路資産につきましては、いずれ無料開放されること、また、料金に利潤は含まれないことというようなことで非課税措置が講じられているという、そういった考え方、そういったことを踏まえまして、適切に税制改正の中で議論されていくものというふうに考えております。

古川(元)委員 もうちょっと審議官は、同じものを、持ってきたのを読むだけじゃなくて、昔の局長あたりはやはり、それは、答弁は答弁としてあっても、もうちょっとそこは柔軟に答弁していたはずですよ。もうちょっと国会答弁を練習した方がいいんじゃないかなと思うわけですけれども。

 これは、要は立法判断ということ、大臣、これを今聞いていて、当然ですけれども、要は立法判断なんですよ、これは。

 だから、ちまたで言われている、高速道路を永久有料にすると固定資産税がかかるんだ、これは、今の答弁を聞いていただいていたら分かると思いますけれども、別に必ずしも決まったことじゃなくて、それは、政治的に、高速道路、これはかけないというふうになれば固定資産税はかからない、そういうことができるというふうに大臣も認識していらっしゃるというふうに思っていいですね。いかがでしょう。

斉藤(鉄)国務大臣 固定資産税をかけるかどうかは、まさに立法府が決めるべきことだと思います。

古川(元)委員 そうなると、高速道路を永久有料にする場合の最大の問題だとよく言われているそこのところは、立法判断で、それは、その懸念は取り除くことができるんですよ。

 あとほかに、道路を永久有料にして何かした場合に、想定される問題はありますか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 永久有料にした場合の問題点というか、検討すべき課題でございますけれども、有識者からいただいた意見を踏まえまして、議論が必要となっていることは、まず、永久有料にした場合、その対象路線、人口減少になってまいりますので、有料道路とした場合、ネットワークの有効活用が図れない区間というのは出てくると思いますので、その対象路線はどうするのかというのと、あと、料金水準をどうセットするのかという話がまず一つございます。

 もう一つは、債務の取扱いでございまして、債務を完済するというのを基本とするのか、また、投資財源、これを確保するために債務の保有を継続するのかということ、また、その債務が全部なのか一部なのかといったこともあると思います。

 そういった、債務の取扱いをどうするのかというのも検討する課題、この二つが検討課題だというふうに思っておりまして、今後の道路交通環境を取り巻く課題、環境の変化といったものを見据えながら、有識者などの御意見を丁寧にお伺いしながら議論していく必要があるというふうに考えております。

古川(元)委員 今の局長のお話の二点というのも、それも結局は政治的な判断で、だって、今だって高速道路の一部無料化部分はあるわけですから、だから、まさにそれは、判断でどちらもクリアできる話。

 だから、何か、こういう問題があるから永久有料にできないと。債務だって、借金を全て返さなきゃいけないといったら、じゃ、この日本の今の借金、これを全部返すんですかと。会社だって、別に、借金はあるだけで潰れるわけじゃないんですよね、ちゃんと信用があれば、それは借金があったって。だから、全部、別にいつまでもいつまでも返さなきゃいけないというわけではないんだと思うんですよね。

 だから、そういう視点からいうと、永久有料は難しい、無理だ、そういう理由が、固定資産税の話も、今日の話で、別にこれも立法判断で固定資産税がかからないようにできるし、今の局長のお話のところは、まさにそこは政治的な判断をすればクリアできる話なので、そういった意味でいうと、何か、とにかく永久有料にできない、どうしてもこれがあるんだというところは、私はないんじゃないかなと思うんですね。

 むしろ、今、この日本の経済あるいは人口減少、特に地方がどんどんどんどん疲弊している状況を考えたら、せっかくある高速道路ネットワークを地方の活性化やあるいは経済の活性化のためにどう活用するのか、そういう視点でやはり活用を考えていくという方が非常に大事で、そこは前からこの委員会で私も質問したりしていますけれども、やはり、日本の高速道路料金というのは高いんですよ、欧米に比べると。

 ですから、これを少しでも料金引下げができるように、そういう知恵をやはり出していくべきである。大臣にそういう認識はありますか、料金を少しでも下げようという、それが必要だということは。どうですか。

斉藤(鉄)国務大臣 もちろん、国民生活の向上、また経済の活性化のために、高速道路料金は安い方がいいし、そのために会社も機構も国も努力していくべきだ、このように思います。

古川(元)委員 それに、今の物価高の局面を考えると、今、いろいろな、政府は物価高対策をやっていますけれども、これは、料金引下げを行えば、現下の物価高対策としても有効な対策の一つになるんじゃないですか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、日本の高速道路が高いということでございますが、アメリカやヨーロッパ等に比べて非常に急峻な谷や山が多いという、また地震国であるという、構造的にも随分しっかりとした構造になっております。そういうことがまず関係している。その上で、コストの低減化を図っていかなくてはいけないということでございます。

 高速道路料金の引下げについてでございますけれども、物流コストの低減などが期待されております。

 今の料金は、もうずっと答弁しておりますように、これまでの借金と、それから、これからかかるであろう更新等の費用、それらを利潤なしに償還するために設定された料金でございます。この料金をどのように引き下げることができるか、今後、そういう更新にかかる費用等を低減化させていくということも必要かと思いますけれども、最大限努力をしたいと思います。

古川(元)委員 いや、だからこそ、私は、永久有料化したらいいじゃないかと言うんですよ。

 大臣、答弁していらっしゃるように、今の料金だって、結局、いつまでに返さなきゃいけないという、そこから、そこの債務、それを逆算して、いわば面積が決まっているから、それを逆算しているからこの値段になっているわけでしょう。これを永久有料という形にしたら、もう少し先までにするんですから、そうしたら、もっと今の料金は、まさに料金算定の基準が全然変わってくるわけですから、永久有料にしたら料金の引下げは可能となるんじゃないですか。

斉藤(鉄)国務大臣 これも先ほど来申し上げていることでございますけれども、過去の借金及びこれからかかるであろうコスト、そういうものを明確にしてそれを償還していく、それで料金設定するわけです。その料金設定をするときに、期間、いつまでに償還する、これは、民営化時にも、その償還を確実なものにするということがこの償還期間を明確にするということの一つの理由になりました。そういう意味で、期限を明確化するということは民営化時の一つの考え方でございました。これは御理解をいただきたいと思います。

 永久有料化するということになりますと、では、ある意味では、料金掛ける期間の掛け算の期間が不明確になるわけでございまして、料金の方の設定根拠があやふやなものになってくるというふうに私は考えます。

古川(元)委員 いや、だから、同じ発想で考えるからなんですよ。料金の方は、さっきもちょっと言いましたでしょう。これから、例えばロードプライシングとか、いろいろな考え方になってきたら、そもそも、そういう、いわゆる債務が将来も含めてどれだけあるかという、そこから逆算した料金設定をしているのではなくて、料金の設定の仕方自体、それをもう根本的にやはり考え直していく。

 むしろ、本当に、足下のところですよ。やはり、経済をとにかく活性化させなきゃ、特に地方の活性化、人口減少がどんどん進んでいく中で放置をしておけないし、しかも、物流費のコストなんかの大きな一つはやはりこの高速料金なんですよ。だから、足下のところの経済をやはり強くしていかなきゃ。

 これは、将来的に道路をもっと広げていこうと思っても、今の日本の長期衰退傾向をやはりどこかで転換させて経済を活性化させていく、そのツールになり得るんですから、それであれば、目先のところだけで、とにかく将来の、先があるからといって、その発想からでこの料金を設定するのではなくて、むしろ、いかにしたら、高速道路、せっかくあるものをうまく活用して、もっと活用してもらって、そして経済を活性化する、物流コストも下がって地方も活性化する。そういう、そもそもやはり料金の設定の発想自体を変えていくということが必要なんじゃないですか。いかがですか、これは。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 永久有料にしたら料金が引き下げられるのではないかというお話でございますけれども、まさにそう考えられると思います。

 ただ、先ほど申し上げました、料金の水準をどうするかとか路線をどうするのか、債務をどうするのか、そういった部分について、特に料金水準だと思いますけれども、これは利用者にどう理解を得ていくのかというのが一つ大事じゃないかなというふうに思っております。

 今後、追加となる更新事業の規模とか債務残高が一定程度減少した段階で、料金の引下げを含めて負担の在り方を検討していくものと考えております。

古川(元)委員 これはやはり、今の日本の経済の状況を考えたら、余り悠長なことを言っていられないと思うんです。これから急速な人口減少も進んでいく、特に地方から減っていく。今こそやはり、せっかくこの間造ってきた高速ネットワークを活用していく、そのための水準のところのやはり料金設定をして、それは将来的には、そこの債務償還とかそういうことについては、またそれは別の考え方でやったらいいんですよ。

 それは昨日の話の中でも、参考人の質疑の中でも話がありましたけれども、結局、高速道路だけじゃなくて、ほかの今の道路も含めて、やはり費用がかかる、その費用をどう決めるのか、どう分担するのか。やはりこれは全体で検討すべきである、そういう意見が出されたと思いますが、この間の政府の議論の仕方を見ていますと、高速道路は高速道路に限った議論をしている。

 やはりこういう議論の在り方を見直して、日本の高速道路も含めた道路網全体、これをどうやって今後とも維持していきながら、かつ、道路というのは、特に高速道路なんかは距離が遠いところを短くつなげる、そういう効果を、効用を発揮させる効果もあるわけですから、やはり、そういう高速道路に限った議論でいつまでもやっているんじゃなくて、もっと全体を考えて、見据えた、そうした議論をしていくように、抜本的に議論の在り方を見直すことが必要じゃないかと思いますが、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 国土幹線道路部会につきましては、高速道路会社が管理する高速道路のみならず、無料の高速道路や高速道路以外の幹線道路も議論の対象としております。

 御指摘のとおり、令和三年八月の中間答申におきまして、会社が管理する高速道路以外の道路についても、サービス水準の向上を図る必要があると御意見をいただいております。

 一方、会社が管理する高速道路が他の道路よりも大型車交通量が多いことなどから、更新への対応が喫緊の課題となっていることを踏まえ、中間答申の取りまとめに当たっては、会社が管理する高速道路を中心に議論していただいたものでございます。

 これを踏まえ、国土交通省においては、会社が管理する高速道路の更新に必要な財源確保策などについて検討を行い、今般の改正法案を提出するに至ったものでございます。

 引き続き、会社が管理する高速道路のみならず、その他の道路も含めて、有識者の意見も伺いながら、持続可能な道路ネットワークの在り方について議論してまいりたいと思いますし、また、いわゆる道路全般、老朽化という非常に重要な観点もございます。道路全般について大きな議論をしていかなくてはならないという御意見は、まさにそのとおりだと思います。

古川(元)委員 これは本当に、やはり経済を活性化させていかないと、結局、税収ももちろん、そして料金だって取れないんですから、そういった意味では、いかに今あるインフラ、道路のネットワークのインフラを活用するか、そういう視点から柔軟な料金設定も含めて考えていただきたいと思います。

 最後に一点、水素戦略について、政府は、水素基本戦略を改定する、今後水素エネルギーの普及を大きく加速させていく、そういう方針だということが今日などの新聞には各紙にも出ております。

 そうであれば、今回の改正によってサービスエリアとかパーキングエリアへのEV充電施設の整備促進というものを行うんだということが予定されていますが、EVの充電施設だけじゃなくて燃料電池車なんかの普及を図っていくためには、水素ステーション、これの整備がやはり必要であって、特に、燃料電池車はEV車以上に長距離、大型車もできるわけですから、ここは水素ステーションの整備も、EV充電施設と同様に一緒に整備すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、カーボンニュートラルの実現に向けまして、やはり急速充電器だけではなくて、水素ステーション、これのインフラの整備を進めるということは極めて重要なことだというふうに思っております。

 お尋ねの水素ステーションでありますが、高速道路への設置につきまして、東名高速道路の足柄サービスエリアにおきまして、高速道路初の水素ステーションを年内の開業を目指して現在進めているところでございます。

 今回の改正の法案におきましては、高速道路における自動運転の普及、またカーボンニュートラルを進めるため、急速充電器、また水素ステーションの設置など、休憩施設の機能の高度化を進めるための補助制度を創設することとしております。

 国土交通省といたしましては、この制度の活用を含め、経済産業省と設置をしておりますモビリティ水素官民協議会等の動きを踏まえまして、関係機関と連携して、水素ステーションの整備促進に取り組んでまいりたいと考えております。

古川(元)委員 EVも、あと燃料電池車も、需要が少ないんじゃなくて、需要をつくり出すための供給網の、やはりそこの整備がないと需要も出てきません。

 やはりここは思い切って、供給力、特にこの燃料電池車なんかは、水素ステーションなんかは、EVと一緒に進めていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

木原委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 昨年十二月二日、中央自動車道の笹子トンネルで天井板が落下し、走行中の車三台が下敷きになって九人が死亡した事故から十年目の慰霊追悼式が行われました。御遺族が、事故の原因と責任を明らかにしたいという願いさえもいまだ解決できていないと訴え、中日本高速道路の社長に向かって土下座をして懇願するという場面がありました。こんなことがあっていいのかと大変衝撃を受けました。

 二〇一三年に国交省の事故調査報告書は出ておりますが、設計や施工不良、点検体制など複合的な要因があったとの報告にとどまりました。

 また、中日本高速道路と子会社の当時の幹部など十人全員が不起訴となり、捜査は終結しております。

 この事故がその後のインフラ総点検など大きな契機となり、二〇一四年法改正、そして今回の法案提出につながったことは承知をしていますが、いまだ解決できていないと訴える御遺族の気持ちをどう受け止めるのか、大臣に伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 笹子トンネルから十年がたちましたが、改めて、亡くなられた九名の方々の御冥福をお祈りしますとともに、その御家族の皆様方に対してお悔やみを申し上げます。

 笹子トンネル天井板崩落事故の際の責任につきましては、御遺族より損害賠償請求訴訟が提起され、平成二十七年十二月に、中日本高速道路会社などに対し、事故の予見可能性及び工作物責任に基づく損害賠償責任を認める判決がなされたと承知しております。

 私といたしましても、このような痛ましい事故は二度と起きてはならない、また忘れてはならないと考えております。

 国土交通省としては、事故の教訓を生かし、強い決意を持って全国のインフラ老朽化対策に取り組むとともに、今般の改正法案を通じて、高速道路の機能を将来にわたって維持し、将来世代に安全な高速道路を引き継げるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと決意しております。

高橋(千)委員 平成二十七年の判決のみをお答えになったと思います。その後の民事裁判などでも最高裁で遺族側が敗訴しているということ、やはり全員不起訴であったということを重く受け止めるというか、十年たってもやはり遺族の思いは晴れない、要するに、帰ってこないのを分かっていても、せめて原因をはっきりしてほしいという思いに対して、やはり正面から応えていくべきではないか、このように思っております。

 そういう意味で、この法案がどのように作られてきたのかということを考えていきたい、このように思うんですね。

 二〇一四年四月十四日、国交省の社会資本整備審議会道路分科会は、道路の老朽化対策の本格実施に関する提言を発表、「最後の警告 今すぐ本格的なメンテナンスに舵を切れ」と呼びかけました。

 提言では、既に、二〇〇二年以降、今後適切な投資を行い修繕を行わなければ、近い将来大きな負担が生じると繰り返し警告してきたと述べています。

 二〇〇五年の道路関係四公団民営化により高速道路の管理費が約三〇%削減され、直轄国道の維持管理費を一〇%から二〇%削減されました。全国に道路橋は約七十万、道路トンネルは約一万本、高度経済成長期以降に集中的に整備した橋梁やトンネルが、今後急速に高齢化し、十年後には建設後五十年経過する橋梁が四割以上になると見込まれるとの提言がされてから、十年既にたっているわけであります。

 静かに危機は進行している、こうした警告がなぜ考慮されなかったのか、考慮されたというのであれば、どのように生かされたのか、伺います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇二年八月の社会資本整備審議会道路分科会の中間答申におきまして、高度成長期に整備された道路構造物の老朽化が今後進むため、適切に更新していくことが必要であるとの意見をいただきました。

 一方、二〇〇五年の民営化当時におきましては、更新の必要性は認識していたものの、構造物の正確な劣化予測は困難であるということに加え、更新が必要な具体の箇所などが明らかになっていなかったことから、更新は計画に見込んでございませんでした。

 その後、高速道路の建設から約五十年が経過いたしまして、更新が必要な具体の箇所が顕在化してきたことを踏まえ、平成二十六年の法改正で料金徴収期間を十五年延長し、更新に着手をしたところでございます。

 引き続き、定期点検を適切に行いまして、個別箇所ごとの損傷状況を踏まえ、更新の必要性を確認してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 二〇一四年四月二十三日、この道路法審議をした、ですから、前のときの本委員会においても、我が党の穀田議員が、同審議会の私が今紹介した提言を紹介して、警告を受けながら、具体の対応策を盛り込まなかったのが問題ではないのかとただしたのに対し、当時の道路局長は、この更新というものの必要性は想定しておりましたと答えています。今も、認識していたものの困難という答弁であったかなと思います。

 この一四年の改正の前、四十五年間の償還期間を決めたときに、もう既に想定していたという答弁をして、けれども十分でなかったというのがあって、それから前回の改正であり、また今回の改正なわけですよ。二回目なんですよね、反省してから。

 それで、当時そうした反省をして、一旦償還計画を延長し、更新費用を盛り込んだはずなのに、また今回、見込んでいませんでしたと、同じような趣旨でなぜ更に延長するのかということが納得いかないんです。

 二一一五年終了ということは、通算百年に及ぶ計画であって、昨日の参考人質疑でも、誰も生きていないよねとか、事実上の永久有料化と言われても仕方ないなどの厳しい意見が出ました。

 なぜ同じことを繰り返すのかということをお答えください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年に、法改正で料金徴収期間を十五年延長しました。その同時期に、構造物につきまして、五年に一回の法定点検を開始をしております。その法定点検を実施する中で、重大ないろいろな損傷が各道路で分かってきた。それをいろいろ分析をすることによりまして、今回の法改正につながっているわけでございます。

高橋(千)委員 今のお答えは、十五年延長したのが二〇一四年のときであったと。そのときに、もう法定点検をやっていて分かってきたということですから、では、その二〇一四年の時点で、十五年では足りなかった、足りないというのは分かっていた上でやったという理解でよろしいですか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 前回の法改正においては、その時点で甚大な損傷があって、更新をしなければならないと分かっていたところを、前回の法改正のときは、抽出して、これを更新するために十五年延長したということでございます。

 それで、その延長したときと同じ時期に、この点検を、法定点検を、五年に一回のを開始しているということで、そこから、平成二十六年から点検をやっていく中で新たな損傷が分かってきた、そういう経緯でございます。

高橋(千)委員 だとしたら、やはり当時の説明が、これで終わるかのような説明はやはりおかしかったのではないか、このように指摘したいと思うんですね。

 少しでもやはり経費を少なく見せようとしたのではないかと、当時、穀田議員も指摘をしました。やはり、全体としてコストを下げようとか、せっかく民営化になったんだから料金も安くしようとか、そういう議論がされている中で、やはり修繕の必要な費用を、今分かる部分だけ、あえて分かる部分だけにして小さく見せようとしたんじゃないか、そういうことはどうしても指摘をせざるを得ないと思うんですね。

 二〇一四年以降も数兆円規模で予定されている道路建設を抑制して、その債務部分を回せば、大規模修理、更新の費用を捻出することは可能だと私たちは指摘をして、前回も反対をしました。あのときの指摘のとおりかな、このように思うんです。

 日本共産党は、無料化すればよいとか、無料化が遠のくから問題だという立場ではありません。必要な大規模修繕、更新費用をきちんと説明をして、その範囲で償還計画を見直すこと、その際、未実施の道路事業、新規の事業については聖域としない、もう本当に必要ないんだったら造らない、総量規制を行うべきだと考えます。

 質問は、元々、民営化以降に四十五年償還という考え方は、返還時期が二〇五〇年を超える新規の事業はできないという制約を決めたものになると思いますが、確認します。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 道路関係四公団につきましては、平成十七年の十月に、有利子債務の確実な返済、真に必要な道路を、会社の自主性を尊重しつつ、早期に、できるだけ少ない国民負担で建設、民間ノウハウの発揮により、多様で弾力的な料金設定や多様なサービスを提供することを目的として民営化したところでございます。

 この民営化時から、債務の確実な返済や道路建設への歯止めの観点から、料金の徴収期限を二〇五〇年、令和三十二年と規定しております。

 この規定に基づけば、新規事業であるかどうかにかかわらず、債務返済期間が令和三十二年、二〇五〇年を超えるような債務を高速道路機構が引き受けることはできないと認識をいたしております。

高橋(千)委員 回りくどい言い方でしたが、できないということだったと思います。

 それで、二〇一四年改正は、笹子トンネル事故を受けて更新事業を追加し、十五年間延長したものでありますけれども、この間に、新規の道路事業は、道路建設事業、どんなものが実施されたのか、事業名、建設費でお答えください。また、それができるという根拠はどこから導かれるのか、お答えください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年の法改正によりまして、更新事業の財源を確保するため、高速道路の料金徴収期限を十五年延長いたしました。

 その後、平成二十七年度からの近畿圏の新たな高速道路料金の検討に際しまして、地方自治体、大阪府、兵庫県、大阪市、堺市、神戸市等から、延長した期間における料金収入の一部を、世代間の負担の公平性を考慮し、大阪湾岸道路西伸部、また、淀川左岸線延伸部のネットワーク整備のためにも充当すべきという御提案をいただいたところでございます。

 この提案を踏まえまして、平成二十八年十二月の国土幹線道路部会の基本方針におきまして、受益のある世代間の公平な負担、また追加的な料金負担の軽減の観点から、現行の建設分とは別の新規建設の債務償還のために、料金徴収期限までの追加的な料金負担分を活用することを検討する必要があるとの御意見をいただいております。

 これを踏まえまして、阪神高速道路におきましては、延長した期間における料金収入の一部を、大阪湾岸道路西伸部、淀川左岸線延伸部のネットワーク整備に活用することとし、道路整備特別措置法第三条を根拠に、阪神高速道路会社が有料道路事業としてその整備を実施しているところでございます。

 なお、それぞれの有料道路事業の事業費でございますが、大阪湾岸道路西伸部につきましては約一千六百億円、淀川左岸線延伸部につきましては二千五百億円となっております。

高橋(千)委員 今のところなんですけれども、本法案の土台となった国土幹線道路部会の中間答申、二〇二一年八月四日にはこういう表現があります。近畿圏においては、新規路線の整備に必要な財源確保についても新たな料金を導入する目的の一つであったことから、こうした整備の進捗状況についても確認していくことが重要であるというふうに書いているんですね。

 これはどういうことかなとずっと追いかけていくと、まさに今局長が答弁なさったことなんですが、二〇一六年の十二月十六日に、近畿圏の高速道路を賢く使うための料金体系ということで、確かに受益のある世代間の公平な負担ということも書いているんですが、追加的な料金負担の軽減の観点から、現行の建設分とは別の新規建設の債務償還のために、料金徴収期限までの追加的な料金負担分を活用することを検討すると。

 つまり、償還期間が延びたので、その期間を利用して、受け取る料金を高くしなくても新規建設の分を生み出すことができると、それが賢く使うためのという、それを意味しているということでよろしいですね。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員がおっしゃられたとおりでございます。

高橋(千)委員 ということで、この賢く使う料金体系は今後も利用されると。

 今回も、深刻な老朽化が明らかになったということで更新ということが言われているんですけれども、更新、進化という表現がされていますので、これは、規定されている四車線化などのほかに、新規の道路建設そのものも含まれるという理解でよろしいですね。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法改正におきましては、更新事業をまず最優先にしてまいります。それで、その後として、いろいろ取捨選択、優先順位を決めまして、進化事業をやっていくということになりますので、その中で整備が進んでいくものというふうに考えております。

高橋(千)委員 更新事業を最優先だけれども、取捨選択した後に使われるということをお認めになったと思うんですね。

 その更新事業なんですけれども、二〇一四年の改正時は更新費用を約四兆円と見積もっていました。でも、資材高騰などもあって、今年の一月末には五兆四千億円になっています。

 今回、五十年も延長するのに更新費用は約一兆五千億円しか見積もっていないんです。そうすると、年間管理費が一兆三千億円も既に毎年かかると言っているんですから、それと同水準。それだけが五十年先延ばしにする理由のはずがないと思うんですね。

 だから、今後の増大要因をどこまで見込んでいるのか、そして、それとも、その時点で法案を再改正するということなのか、大臣、お答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 平成二十六年度に着手した更新事業につきましては、労務単価の高騰や事業計画の見直しなどにより事業費が増加しております。

 今般明らかになった更新需要について、現時点において具体的に事業費の増加を見込むことはできませんが、これまでに着手した事業と同様、事業費の増加につながる可能性のある事業内容の見直し等が生じることも想定されます。

 また、事業費が増加する可能性がある場合の対応について、まずは、施工方法の見直しや新技術の活用等により、安全を確保しつつ、コスト縮減を図ることが必要であると考えております。

高橋(千)委員 いやいや、コスト縮減をしたら、五十年も先延ばしにする理由が一層分からなくなるんですよ。どうなんです。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 事業費がどうなって、規模がどうなるのかというお尋ねだと思います。

 首都高速道路におきましては、新たに更新が必要と判明した箇所が二十二キロで、更新費用が三千億円となっております。

 これと同じ構造、基準のため今後更新が必要となる蓋然性の高い箇所、これが百キロ程度でございまして、必要な更新費が一兆円程度と試算しております。これらの合計は約百二十キロ、一・三兆円となっております。

 また、阪神高速道路でありますが、新たに更新が必要と判明した箇所は二十二キロ、必要な更新費は約二千億円となっております。

 これと同じ構造、基準のため今後更新が必要となる蓋然性が高い箇所、これが七十キロ程度、必要な更新費は八千億円程度と試算しておりまして、これらの合計は九十キロ、約一兆円となります。

 また、NEXCOでございますけれども、新たに更新が必要と判明した箇所、これは五百キロで、必要な更新費は一兆円ということでございます。

 これらの箇所につきましては、橋梁、土工、舗装になりますけれども、舗装において劣化に至るメカニズムがまだ完全に学術的に解明されておりませんので、今後更新が必要となる蓋然性の高い箇所がきっちりと絞り込めていない状況であります。

 この舗装を最大限計上した場合には、今後更新が必要となる蓋然性が高い箇所、これが六千キロ程度ということで、必要な更新費は五兆円程度と試算しております。これらの合計は約六千五百キロ、約六兆円となっております。

高橋(千)委員 初めて六兆円というところまで引き上げたなと思って聞いておりました。これまで説明されていたのは一兆五千億円まででしたからね。

 それにしても、十五年延長したときとはまた違う、五十年延ばしたということの理由にはやはりならないのであって、先ほど来議論をしているように、その中で新規も可能だということはお認めになったわけです。

 そうすると、深刻な急ぐべき老朽化が進んでいて、そのための費用捻出はやむを得ないと思わせて、高速料金を取り続けることで新しく道路が造れる、やはりそういうことになるわけで、そういう仕組みになっているわけですね。そこをどうかということを大臣に聞いています。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど来御答弁申し上げておりますように、まずは更新事業をしっかり優先をしてやっていきたい、このように思っております。

 進化事業についてでございますが、現時点においては、具体的には、安全、安心の確保や強靱性の向上のための四車線化事業、それから、切迫する大規模地震に備えた耐震補強などを進化事業として考えているところです。

 御指摘の新規道路事業につきましては、事業化に当たり、例えば高速自動車国道の場合、国会議員も委員となっていただいている国幹会議の議を経る必要があるなど、その手続の中で必要性や財源の確保策などを十分に検討された後のことになります。

 この結果も踏まえつつ、有料道路事業としての実施について、まずは高速道路会社において検討するものと認識しております。

 いずれにしましても、この更新事業を最優先でやっていくということでございます。

高橋(千)委員 最優先でやっていくことと実際に新規の話と、やはり隠れちゃうというのはよくないと思うんですね。

 やはり、先ほどの例えば淀川左岸線延伸部についても、住民の反対が非常に大きい問題で、賛否が分かれる問題なわけですよ。そういうことが、まずは更新事業だと言っておきながら、いやいや、賢く使うのよというふうな話になったら、延びたら延びただけ造れる要素が出てくるということでは、やはり違うんじゃないか、国会のチェックも必要だというふうに言いたいと思うんですね。

 それで、進化の中身の問題で、参考人の中からは、自動運転でレベル4の問題も紹介をされておりました。もうそうなったら、四車線化とか言っているけれども、車線必要なくなるよねとか、そんな議論もあったわけですけれども、確かに、百年のスパンでいうと、自動運転も確かに進化しているだろうし、もう全然違ったもの、ライフスタイルそのものが違ったものになっていると。それをこのスキームの中で実施していくのかというのはどうなのかな、それはそれでまた別途議論するべきなんじゃないかと思うんですね。

 それ以外の事業、今言った自動運転のようなものをどのくらい描いているんでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の改正法案による制度の下、更新事業に優先して充当した上で、必要性の高い進化事業を順次実施することとしております。

 進化事業につきましては、暫定二車線区間の四車線化、また耐震化などに加えまして、自動運転への対応など、新たな技術開発などに伴い必要となる施設整備も含まれると考えております。

 例えば、高速道路のサービスエリアなどにおきまして、自動運転車両にドライバーが乗り込むなど、高速道路上で自動運転と手動運転を切り替えるための拠点整備などを想定しているところでございます。

 なお、自動運転以外にも、カーボンニュートラルの実現に向けまして、EV充電器、また水素ステーションなどの設置の促進についても進化事業として取り組む必要があるというふうに考えております。

高橋(千)委員 自動運転の議論が前にこの委員会であったときに、私、聞いたと思うんですが、当時はまだGPSだとかそういうものの応用で、町の中の一部のところを実験的に走っているという段階だった。でも、レベル4になって、その後、いずれ高速を走る、そうなったら当然専用レーンだよね、そうしたら莫大な建設費がかかるよねという議論もあったと思うんですね。

 まだそこまではというので、具体的な答弁は得られなかったわけなんですけれども、やはりそれも進化で言っちゃうんでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 自動運転の設備がどうなっていくのかというのは、額とか、まだ見込まれないところでございますが、社会資本整備審議会の道路分科会の中では、そういった自動運転につきましても進化事業ではないかということを、有識者の委員から意見をいただいているところでございます。

 それと、申し訳ございません、先ほど、淀川左岸線延伸部の事業費が千六百億円で、大阪湾岸道路西伸部が二千五百億円でございますので、訂正させていただきます。

高橋(千)委員 今のは、逆に言ったということですよね。分かりました。

 進化ではないかという議論が出て、進化も、どこまで言うのかというのが、このスキームでやるのかということを疑問に思っているということです。

 最後にもう一度大臣に伺いますので、ちょっと待ってください。

 それで、老朽インフラの七割は地方公共団体の整備した道路や橋梁であって、人材不足、財源不足という中、道路のネットワークをどう整備するか、全体として検討すべきだと思っております。

 昨日の参考人質疑でも、無料の道路はあり得ませんと上岡参考人が述べていたことは大変印象的でした。不採算の地域こそ税金で建設して無料となっていることが多いわけですが、先般議論していたローカル鉄道、不採算だからと言われていたことを思うと、何とも割り切れない思いになるわけです。

 それで、今後、地域高規格道路、指定の方向性、どのように考えているのか、伺います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 宮古盛岡横断道路などの地域高規格道路は、地域の交流や連携を図り、港湾などの拠点を連結することによりまして、地域の活性化、物流の効率化に資する広域道路ネットワークでございます。

 こうした地域高規格道路を含めた高規格道路ネットワークにつきましては、各地域の交通課題また交通ビジョンに対応するため、令和三年の七月までに各ブロックごとに新広域道路交通計画が策定されたところでございます。

 地域高規格道路の今後の指定も含めて、安全で使いやすい広域道路ネットワークの在り方については、この計画を踏まえながら、国土幹線道路部会における有識者の意見も伺いながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 検討を進めてまいりたい、方向性がよく分からないなと思って今聞いていましたけれども。

 私たち、道路を全部反対という立場ではもちろんありません。地域で開通されたときに、やはり住民の皆さんが望んでいて、非常に理由があるという点では、そういうところは応援をしてきました。

 例えば、今ちらっと局長おっしゃいましたけれども、復興道路として国交省が取り組んできた三陸道。三陸の沿岸部は、御存じのように、リアス式海岸であるので、横に走るというのはなかなか困難で、くし形とよく言われますが、内陸の都市からでないと行けない。なので、盛岡駅からは宮古市、釜石に行くには花巻市から、気仙沼や陸前高田、大船渡へ行くには一関市からということで、新幹線の駅のある町から車で二時間は確実にかかるというのがこれまでの状況でした。

 震災前、三陸の魚を首都圏に運ぶには余りに道路が不備で、ハンディがあるということを漁協などから聞いていたものでありました。そうした中で、三陸沿岸道三百五十九キロ、宮古盛岡横断道路六十六キロ、東北横断道釜石秋田線八十キロ、東北中央自動車道四十五キロが全面供用されました。地元は大変喜んでいると思います。

 震災前からはもちろんですが、被災地に震災後何度も通った道路ですので、その違いは非常に実感をしています。

 一方、例えば宮古盛岡の道路でいいますと、一般道がまだ途中にあります。複雑に入り組んでいるために速度を落とさなきゃいけないところが、なかなか落ちないまま走ってしまっているとか、一般道なので人が横切るとか、事故の危険をはらんでいる箇所があるわけですね。

 せっかくつなぐ以上は、できるだけ分かりやすく、利用しやすい、そして安全な対策、早く同じスキームになればとは思いますが、そのための次善の策は必要だと思いますが、一言お願いします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 この宮古盛岡連絡道路でございますけれども、やはり地域の交流、連携を図る、また、あとは、港湾などの拠点を連結する、こういったことはまず大事なことだというふうに思っております。

 また、利用者にとって使いやすいということも非常に大事なことだと思っていますので、今後、この広域道路ネットワークの在り方を検討するに当たっては、十分そういった点も踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 最後に大臣にもう一度伺いたいと思うんですが、今の地域の道路も含めて、先ほどの答弁の中で、高速道路と地域の道路も連携するという話もあったかなと思っているんですけれども、やはりそういうこと自体も国がきちっと描いていく必要があると思うし、それ自体を、では、どう見るかという議論が絶対必要なんじゃないかなと思うんです。

 それで、今回は、やはり百年償還の根拠と具体の中身もまだ明確でないことが確認できたと思っています。

 ですから、民営化時につくったスキームは既に破綻しているのであって、今後追加する更新、進化、この進化がかなり幅広いということが明らかになっておりますので、そういう事業などはその都度国会にきちんと報告して審議すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今般の改正法案は、明らかになった更新需要などに応じ、債務返済期間を五十年以内とする規定の下、逐次料金徴収期間を延長し、必要な更新事業などを実施するものでございます。

 これまでも、更新事業や四車線化事業を計画に追加する際には、その事業内容について、有識者で構成される国土幹線道路部会の審議を経た上で事業許可を行うとともに、事業許可に関する情報は高速道路会社のホームページで公表するなど、客観性や透明性は確保されていると認識しております。

 引き続き、会社が行う事業内容について、客観性や透明性の確保に努めてまいりたい、このように思います。

高橋(千)委員 まず、会社が行う事業についてと言っていますけれども、この百年償還のスキームをつくるのは国会ですからね。ここで議論して、賛成が得られなければ決まらないわけですよね。そのときに、ここから先は会社が客観的に透明的にやりますよという話ではやはり違うと思うんです。そこに含まれる要素は最大分かるように議論するべきだと思います。

 しかも、有識者に諮るであろうということは、この間の答弁を聞いていても分かっています。ただ、昨日の参考人の質疑の中でも、その審議会の中にいた方たちが、情報公開が不十分である、当時の資料が、民営化当時はオープンだったのに、今は非公開になっている、こういう議論があったわけですよね。あるいは、事業評価の客観性が不十分じゃないか、こうした議論もされていました。

 ですから、会議をやるんだからいいでしょうということではなくて、そこの前段階として、もっと国会に示すべきものがあるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 有料道路事業につきましては、道路整備特別措置法などの法令に基づく制度に基づき実施するものでございます。今般の改正法案のように、制度の見直しを行う場合には国会で御審議いただいております。

 一方、法令に基づく制度の範囲の中で具体的な更新事業や進化事業を実施する際には、道路行政を所管する国土交通大臣が許可する現行制度が、国会と所管官庁との適切な役割分担であるものと認識しております。

 国土交通大臣による事業許可に当たっては、法令に基づく債務返済計画などに関する財務大臣との協議を行うとともに、有識者委員会において事業内容の審議を行っていただくなど、引き続き、客観性や透明性の確保に努めてまいります。

 なお、道路交通を取り巻く環境に大きな変化が見込まれる場合には、必要な制度の見直しを行うため、国会において審議をお願いすることになると考えております。

高橋(千)委員 災害などの大きな変化もあるだろうし、社会状況が大きく変わるということもあるだろうし、当然予想できる、誰でも予想できるんですね。

 だからこそ、やはり百年というスキームを今回提案されたということは、幾らその都度有識者を開きますよとか、公開しますよといっても、やはりそれはやり過ぎだというふうに、元々私たちは民営化に反対してきたという経過がありますけれども、その一つ一つの改正のときに議論してきたことが、結局、今になって、言ったとおりになったなというふうにつくづく思うんです。

 それを今、百年という形で出されたというのはやはり承服できないなということで、改めて組み直すべきだというふうに指摘をして、終わりたいと思います。

木原委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 やはり、この法案の一番の違和感は、皆さんおっしゃるように、この中の誰もが生きていない二一一五年のことを私たちが決める資格があるんですかということだと思うんですね。

 資料がありますけれども、国交省の資料ですけれども、推計するのだって大変だと思うんですね。人口の推計は、国立社会保障・人口問題研究所の中位推計が出ておりますので、二一一五年は今の半分以下の五千万人。次の裏を見ると、交通需要の予測のためのGDPの予測。これも二〇六〇年までは推計できるんですけれども、二一一五年までは想像がつかないんですよ。どういう技術ができるのかも分からないし、人口が半分になった国のGDPなんていうのは想像がつかないんですね。それをもとに将来交通量というのを予測しておりまして、だんだんちょっとずつ需要が減少するとしているんですけれども。

 二一一五年がどうなるかというと、この一番裏のページですけれども、令和九十七年度はちょっと年度の途中なので参考にならないので、令和九十二年度だと、今の八百七十億台キロが三百七十六と半分以下に減っているわけですよ。そんなことを、そこに償還するなんていう計画はできないと思うんですけれども、今回、需要予想は、このような機械的なものであったということでよろしいですか。イエスかノーかでお答えください。

    〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 交通需要予測でありますけれども、今委員がおっしゃられたとおりでございます。

福島委員 では、私は、やはり世の中がどうなるかと考えなければ行政じゃないと思うんですよ。

 二一一五年は九十二年後です。じゃ、その前の、九十二年前はどういう世の中だったかというと、昭和五年、浜口雄幸内閣で金解禁がされたときです。戦争の前ですよ。日比谷交差点に日本で初めての信号機ができたのが昭和五年、ブリヂストン、タイヤメーカーができるのが昭和六年、豊田自動織機が自動車部を設立したのが昭和八年ですから、まだトヨタ自動車もない頃なんですよ。道路もない。そのぐらいの時間感覚なわけですよ。

 一方、令和二年の科学技術白書によると、未来予測というのをやっていまして、どこでも自動運転ができるのは二〇三四年、空飛ぶ自動車が二〇三三年、ドローンで荷物を自動運搬するのは二〇二九年、これはもうすぐなんですよ。二一一五年じゃなくて二〇三〇年代には、ドローンだの空飛ぶ自動車だのというのが実用化しているんですよ。二一一五年は日本がどういう国になっていて、そもそも高速道路は、どういう車がどう走っていると想定して法案を作ったんでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 二一一五年の将来でございますけれども、今後、経済社会の発展、技術の進展があることから、具体的に想定することは困難でありますけれども、例えば、国土審議会における新たな国土形成計画の議論におきましては、今後の人口減少、少子高齢化の進展、巨大災害リスクの高まりの中で、国土の基本構想として、シームレスな拠点連結型国土、まずそこの考え方が示されているところでございます。

 また、あと、自動車についてでございますけれども、これも具体的にどうなるのかを想定することは困難でございますけれども、自動運転技術の発展、また、より環境に配慮した車両の普及が進むものというふうに考えております。

福島委員 いや、そうじゃないと思いますよ。想像つかないんですよ。自動車なんてあるかどうか分からないし、宇宙人が地球に来ているかもしれないし、戦争も二回ぐらいやっているかもしれないし、全く分からないんですよ。その時代まで私たちが今使っている高速道路を造るための借金を背負わせるという法案がこの法案なんですね。

 これは二一一五年で償還する根拠をつくるために国土交通省が作った資料があるんですけれども、これだと、更新事業は二〇七三年まで計上されているんですよ、毎年二百五十億円かな。それ以降はゼロなんですよ。そうじゃないと二一一五年で返せないんですよ。

 これは何で二〇七三年以降は更新事業がなくなるんですか。高速道路が要らなくなるからそうなんですか。要するに、二一一五年の根拠が分からないんです。二〇七三年でもう更新事業はやめるということですね。お答えください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生がお手元に持っておられるのは、更新の投資がどうなるのかということで、最後の方が更新の事業費がゼロになっているものだと思います。

 これにつきましては、まず、償還が、完全に返済されるのか、債務が返済されるのかどうかというのを計算したもの、試算したものでございまして、そういった今後予想される更新の需要、これを確実に二一一五年までに返済をできるのかと、一番厳しい条件で試算したものが先生のお手元にあるものだというふうに思っております。

福島委員 私が聞いているのはそういうことじゃなくて、償還できるというのは、二〇七四年以降は更新がゼロだとやるという仮定に立っているんですよ。

 つまり、二一一五年でこれは全部返し終わって無料開放するわけでしょう。それは、だから、更新をやらなければできないんです。

 これ以降、二〇七四年以降はやらないと考えていいですね、更新は。どうですか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今の試算の件でございますけれども、着手時期が更新事業が分からないということでございまして、債務の償還において、厳しい条件として二〇七四年までに実施すると仮定して計算をしているものでございまして、その先を、更新がないという、そういったものではなくて、一番債務の償還に当たって厳しい場合はどうなるのかなということを試算しているシミュレーションでございます。

福島委員 シミュレーションは、それまでは毎年二百五十億円の更新が発生すると。それはいきなりゼロになると仮定するからできるんです。

 では、なぜ二一一五年で返し終えると、二一一五年の根拠は何でしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 二一一五年の根拠でございますけれども、これは、今後の更新需要がございます。まずは、今既に分かっている更新需要、それと、その需要と全く同じような構造で造っているもの、同じ基準で造っているもの、そういったもので、今後更新に至る、更新をしなければならない状態になるもの、それの更新需要のボリューム、これを、償還をするためにはどれぐらいの料金を取り続けなければならないのかと、それを試算すると、この二一一五年という計算になっているというわけでございます。

福島委員 これは大臣、結局、物すごく無理があると思うんですよ。二一一五年って、大臣、全く想像がつかないじゃないですか。

 私たち今いる国会議員や国土交通省の役人の誰も生きていない時代のことを今法律で決めるということを、政治家として、斉藤大臣、どういう御感想をお持ちでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、先ほど局長が言った言葉でございますけれども、まず更新事業が明確になっているもの、そして、ほぼ同じ構造だから、多分、近い将来明確になるもの、蓋然性が高いもの、これについてはもう更新しなくてはならない、そのためにこれだけのお金がかかるということが明確になってまいりました。それをちゃんと事業をして、将来世代も受益するような形でその構造物を長寿命化する、安全なものにする、そのためのお金が今の料金でいけば二一一五年までかかってしまうということで二一一五という数字が出てきた。これがまず一つ。

 それから、なぜ生きていない時代まで法律を出すのかという御質問ですけれども、まず、今回のこの事業は将来世代も受益をいたします。そして、もう一つは、例えば今造っている橋梁については、百年構造物として健全性を発揮するという前提の下でこの橋梁構造物が造られるようになりました。そういう意味では、その構造物の寿命とバランスさせる、こういう意味合いもあろうかと思います。

 そのような理由で、今回、私も福島さんも多分生きていないと思います。だけれども、先ほど言ったような理由で、構造物の持っている性能とのバランス、将来世代も受益するということ等を考えれば、私はそんなに不思議なことではないと思います。

福島委員 私は不思議だと思います。

 最初に信号ができたのが九十二年前ですよ。九十二年後に何で高速道路を日本国民が造ると予想することができるんですか。それすら予想できないときだから言っているんです。二〇五〇年ぐらいだったらまだ分かりますよ。将来世代、私たちの子供の世代、まだ生まれていない、私の子供の孫ぐらいの世代のことを、なぜその負担を負わせるかと判断できる、私はそのセンスを疑いたいと思います。

 先ほど更新の需要が明らかになったとおっしゃいました。平成二十六年の法改正のときも、やはり更新の必要性が出てきたといって法律改正をしておりまして、そのときは、建設時に施工を急ぐなどの無理をした箇所とか、古い基準で設計された箇所を全部見てやって、そのとき、国会答弁があるんですよ。斉藤大臣の前に大臣をやっている太田大臣。前原さんが、「最後の償還延長ということになり得るという判断で本当によろしいんですか。」という問いに対して、太田大臣が「そのつもりで今回法律を提案させていただいたところ」と断言しているんです。前回の延長で最後ですよといったようなのが今度また出てきているんですよ。

 馬淵さんとのやり取りを見ると、詳細に点検したら新たな更新が必要な箇所が判明と言ったんですけれども、どんな技術的なブレークスルーがあってこんな新たな更新箇所が、前回、平成二十六年ですから、二一一五年なんかから見ればはるかに身近なときですよ。そのときからたった十年もしないような、十年ちょっとの間になぜそんないっぱい新たな更新の箇所が判明したのか、技術的なことについてお答えください。

    〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕

丹羽政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年に改正道路法施行規則が施行されました。これで、点検は、必要な技術を有する者が近接目視で五年に一回の頻度で点検を行うという法定点検が開始されたところでございます。

 具体的には、近接目視については、肉眼により変状を把握し、評価が行える距離まで接近して目視を行うことを基本とするという、こういった基準の変更をしていることと、あと、構造物の点検の実施に当たりまして、構造物内の直接目視が困難な場所、これについては、ファイバースコープ、また、非破壊検査などを活用いたしまして、人による点検が困難な箇所につきましては、ドローンまた点検ロボットなど、順次新しい技術を活用してきたところでございます。

 例えば、首都高速の荒川湾岸橋、トラス橋でございますけれども、これについては、令和三年の点検において、新技術である点検ロボット、また、ドローン、全方位カメラを活用した結果、多数の損傷が確認されたところでございます。

 このように、新技術を活用した詳細な点検によりまして、従来の点検では発見が難しかった新たな損傷が発見されてきたところでございます。

福島委員 これも一見もっともなんですけれども、そんな新しい革新的な技術であったら、高速道路だけじゃなくて、一般の道路も、鉄道だって、新幹線とか飛行場だって、あるいは民間の発電所とか大きな大規模なプラントだって、全部その需要が発生するはずなんですよ。そうしたら、みんな、それを料金に転嫁したり、値上げが起きたり、場合によったらインフレが起こるかもしれないのに、なぜか高速道路だけ需要が出てきて、今回、料金徴収の期間を延ばすということは、余りにも不自然だと思うんですよ。

 ほかの道路だってそうです。一般の道路だって、それだったら、増税をするかあるいは国債を発行するのか分からないですけれども、一斉にやらなきゃならないですよね。なぜ高速道路だけ、いきなり更新の需要がこんなにいっぱい出てくるんですか。

丹羽政府参考人 お答えいたします。

 高速道路と同様に、国道、県道、一般道路の道路管理者においても、同じように五年に一回の頻度で定期点検を行っております。

 例えば、橋梁について申しますと、令和三年度末時点で、全国七十三万橋の橋梁で、早期あるいは緊急に措置が必要とされる橋梁、これが約八%の六万一千橋あることが判明しております。

 こうした施設に対する対応方策といたしましては、一般道路におきましては、部分的な修繕工事と更新といった工事の区別はしておりませんが、老朽化対策に要する費用は全体として増加をしてきております。

 例えば、国土交通省が管理している道路につきましては、修繕費でございますけれども、平成二十六年度には二千六百八十四億円であったところ、令和五年度には四千三百七十三億円を計上いたしまして、この間に一・六倍に増加しております。これのお金をもちまして、老朽化対策を進めているところでございます。

 また、地方公共団体が管理する道路の修繕、更新に要する費用につきましては、道路のメンテナンス事業補助というものを使いまして支援を行ってきております。また、補正予算でありますが、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策、こういった予算も最大限活用して、地方公共団体を支援してきております。

福島委員 例えば、新幹線も同じような事情はあると思うんですよ。だから、それで新幹線が値上げしたと聞かないんですね。

 やはり民間企業であれば、自ら持っている施設が何か事故を起こすというのはリスクだから、自らのリスクを負わないために、きちんと検査をして修繕をしていくというのをやっていくのが当たり前のはずなんです。それで、お客様に迷惑はかけない。それをやるために、本来、道路公団が民営化したんじゃないですか。安易にこうして、新しく検査をして見つかったから料金徴収を延ばしますということは、民営化の精神に反すると思います。

 そして、前回の改正は、償還期限は二〇六五年まで、十五年延長でした。この根拠は、今の料金水準を変えないまま更新事業の事業費を償還する期間が十五年と逆算したというふうに当時の国会では答弁しております。

 今回、何でこれが五十年になったんですか。前回改正と今回で償還期間の設定の考え方というのは同じなのか違うのか、どちらでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 考え方でございますけれども、更新の需要の額が違っております。今回のものにつきましては、実際にすぐに更新をしなければならないという更新の需要と、あと、まだ今、健全ではあるんですが、そういったすぐ更新をしなければならないものと同じ構造あるいは基準で造っているもの、それが、いずれ更新が必要になるであろうと、そういったボリューム、更新需要の大きさが違っていることによりまして、この料金の徴収期限というものが異なってきているということであると思います。

福島委員 先ほど来、償還主義を維持すると大臣もおっしゃっていました。だから、前回は、きちんとした需要を基に、その償還をするための期間を設定するのが償還主義のはずなんですよ。それを、今の需要だけじゃなくて、いずれ発生し得る需要を基にやるというのは、これは償還主義に反する考え方ではないですか、局長。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法改正でありますけれども、すぐやらなければならない追加事業につきましては、五十年以内の債務返済期間を設けて返済をしていくということになります。ということで、この部分につきましては償還主義になっているというふうに思っております。

福島委員 それ以外もあるわけだから、そこは償還主義じゃない概念を今回の法律改正では入れたということではないでしょうか。

 平成二十六年の改正時は、料金徴収して期間延長して確保した財源は、新規の建設事業に充てることなく、更新事業のみに充てると、当時の徳山道路局長は答弁をしております。

 そして、審議会の中間答申でも、民営化の趣旨を踏まえて、民営化時に想定した債務と、新たに追加される更新のための債務を区分すべきというふうになっておりまして、平成二十六年の改正によっても、道路公団民営化のときに定めた、二〇五〇年までに建設費は全て返す、それを返し終わった後の十五年間で更新の値段を返す、そういうたてつけでよろしいんでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十七年の民営化時点におきましては、債務の確実な返済、また道路建設の歯止めの観点から、料金の徴収期限、令和三十二年、二〇五〇年として法定化いたしました。

 それで、前回の平成二十六年の法改正におきまして、二〇六五年までの十五年間、料金の徴収期限を延長しております。

 この際には、民営化の趣旨も踏まえまして、その当時の償還計画に含まれている新設、改築事業に係る債務は、二〇五〇年までに返済する、民営化の方針は堅持することといたしました。

福島委員 じゃ、二〇五〇年までにはこれまでの債務は全て返し終わるというのは変わっていない。

 その後の新たな建設の債務、先ほど高橋委員の質疑でもありましたけれども、阪神高速などで、二〇五〇年じゃなくて、二〇五〇年から六五年までかけても返す建設費というのはあるんですか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生がおっしゃったとおり、二〇六五年までの期限を使って返済をするという事業はございます。

福島委員 私はそれが一番の問題だと思うんですね。

 道路公団民営化の趣旨というのは、二〇五〇年までにきちんと返し終わって無料開放するということです。ただ、更新の需要が見つかったから十五年間延長したんだったら、それを区分して、全部の借金を返し終わった後に、残りの十五年間で更新の部分の債務を返すとなっていたのに、結局建設費の部分も六五年まで広がっちゃっているわけですね。

 それは今回の法改正でも同じですよね。二一一五年まで建設費に係るものを返済し続ける、し続け得るスキームになっていると。特に、進化という事業も入っておりますし、新たに建設したものについての債務の返済期限も二一一五年まで延びると。

 二一一五年まで返すのは、更新のお金だけではなくて、それ以外の建設費も含まれ得ると考えてよろしいでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、二一一五年までというものは、更新あるいは進化の部分も含めてでございます。

福島委員 そうすると、大臣、私、今回の法案は道路公団民営化をちゃぶ台返しするものじゃないかと思うんですよ。

 二〇〇五年の道路公団民営化のときに、民間にできることは民間に委ねる、当時は小泉内閣でしたけれども、それは目的は、先ほど来答弁があるように、公団の四十兆円の有利子債務の確実な返済だけれども、確実な返済が担保されないわけですよ。それで、民間の経営上の判断を入れつつ、早期にできるだけ少ない国民負担で建設とか、民間のノウハウの発揮による多様で弾力的な料金設定、サービスとなっているんですけれども、民営化の本質は何かというと、民間にできることは民間に委ねるというのもあるけれども、民間企業が市中から自ら資金を調達すると、今度は市場による監視が生まれます。だから、無駄な道路は造らない抑止になる。あるいは、市中から金利を借り入れることによって、確実な返済ができる事業しか行えなくなる。その市場のガバナンスというのが民営化の意味だと思うんですね。

 そのために必要なのは、区分経理ですよ。これまでの借金、新しくつくった借金、それ一つ一つ、本来はプール制も駄目なんですよ。だから、プール制のせいでこうなったというのは、民営化のときに何度も何度も報告書でも書かれているんです。本来、事業ごとに区分して、それがどれぐらいの投資額であってリターンがどれだけあってどうやって返せるかと区分していくのが民営化の本来の意味なんですよ。

 それが今回、前回の改正でも、初めはその区分をするといって、二〇五〇年までに返すものと二〇五〇年から六五年にかけて更新事業として返すものを区分する仕組みだったはずなのが、いつの間にか、阪神高速の道路のように、交ざってしまっている。今度は、更にそれが二一一五年まで一緒になってしまったら、これは何の歯止めもないし、民間の市場の監視も働かなくなっちゃうというふうに思うんですね。

 だから、私は、前回の法案と同じように、まずこの更新事業、これは厳密に区分して、五十年だったら五十年でいいですよ、その部分できちんと返す。その前に、二〇五〇年までにこれまでの借金は区分した上できちんと返し終える。その瞬間に高速道路は無料にできるんです。あとの更新部分の負担は、料金として取るのか税金として取るのか、いろいろな方法はあると思いますけれども、それはまた区分してやるんです。まずは借金を返し終える。道路公団のときにつくった借金を二〇五〇年までに返し終えるというのを区分経理して見えるようにしてやった上で、二〇五〇年以降の仕組みは、これからきちんと、どの料金でやるのか。

 というのは、大体、料金なんて分からないんですよ、自動運転だったら誰が払うんですかとか。あるいは、もし税金でやるとしても、揮発油税といったってガソリン車がないかもしれないから、料金とか税金の体系も全部変えなきゃならないんですよ。ただ、二〇五〇年ですから、もう空飛ぶ車とかドローンが走っているときですから、今からまだ検討する時間はあるんですよ。

 そうやることが道路公団民営化の趣旨にのっとった誠実なやり方じゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 更新部分のみ二〇六五年以降延長すべきだ、こういう御主張で、いわゆる建設部門と分けろということかと思います。

 平成二十六年に高速道路の料金徴収期限を十五年延長したところでございますが、その後の点検強化などにより、重大損傷の発見が相次いだため、更新事業の実施、これをやっていかなきゃいけないということで、今回の法案を出させていただきました。

 また、国土強靱化などの社会的要請を踏まえ、交通事故が集中する区間や災害時の通行止めリスクが高い区間の四車線化や、耐震補強などの進化事業を行うことも、これはある意味で、非常に強い要請として全国から来ております。

 今般の改正法案におきましては、これらの需要に対応するため、国土幹線道路部会の中間答申を踏まえ、財政事情が厳しいことなどから現時点での税負担は困難であることに加え、高速道路は速達性などのサービス水準が高いことから、利用者負担である料金収入により財源を確保することとしております。

 このため、料金徴収期間の延長により生ずる財源は、更新のために優先した上で、進化事業にも充当するのが適当だ、このように考えております。

福島委員 結局、今の大臣の答弁が、新しいNEXCOは民間会社じゃないというのを示しているんですよ。どういう道路を造るかの判断を会社に任せるというのが道路公団の民営化の趣旨なんですね。しかも、この新しいNEXCOは、将来、株式の上場を目指すというふうに、政府・与党が二〇〇三年十二月二十二日に申合せをしております。法律で負債の返済方法を変えられたり、どの道路を造るかというのを、国が政策を決めるような会社は民間企業じゃありませんよ。

 国交省に聞きたいんですけれども、いつ高速道路会社は上場する予定なんですか。この法案でその予定は変わるんですか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路会社の上場につきましては、平成十五年十二月の政府・与党申合せにおきまして、「会社は将来、株式の上場を目指すものとし、その時期、方法等については民営化後の経営状況等を見極めた上で、判断する。」とされておりまして、今般の法改正によりましてその目標が変わるものではないというふうに考えております。

 高速道路会社が上場するためには、サービスエリアの運営等の関連事業で安定した利益を上げ、配当原資を確保する必要がございますけれども、現状では、サービスエリアの老朽化対策などへの投資が必要なため、配当には至っていないと承知をしております。

 国土交通省といたしましては、高速道路会社の経営状況等を見極めた上で、上場の時期を具体的に議論していく必要があるというふうに考えております。

福島委員 何かすごい白々しい答弁なんですけれども、私は、償還主義は賛成なんです。そして、道路公団民営化というのは、私は必ずしもそれがベストな選択だとは思わないけれども、早く借金を返す方法としてはベターなやり方だったんだと思います。

 でも、私は、国交省は償還主義を掲げながら実は償還主義じゃないことをやっているんですね。それを骨抜きにして、国民は、高速道路は便利だから料金を払うのが当たり前だと。そうではない。大臣が言うように、やはり道路はみんなのものなんです。それは、世界中の共通した理念なんです。

 その上で、そのはずなのに、償還主義を掲げながら、実は国民が黙って料金を払ってくれるからそれに乗じて何でもできるような制度にしてしまっているというのが、私は今回の法改正ではないかと思っております。

 ですから、この道路公団民営化を無にする法案、私は到底認めるわけにいかないということを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組の男塾、たがや亮です。

 昨日の参考人質疑の中でも、高速道路の財務評価、費用対効果の計算、廃線の検討、償還主義の見直し、税金や建設債の投入、定期的に評価を見直す人口減少問題など、二一一五年という遠い将来に先送りする前にもっと議論を尽くすべきだという意見が大半を占めました。

 そして、そもそも、平成十四年民営化の目的として、民営化の果実を国民に還元するため、同時に弾力的な料金設定などによる料金の引下げやサービスの向上が実現するような、国民全体にメリットのある改革を実現するのが民営化の最大の目的であると道路関係四公団民営化推進委員会が発しています。

 こういって鳴り物入りで始まった民営化です。この重要な法案に対して審議時間が少な過ぎるのではないか。むしろ、高速道路の在り方を議論する特別委員会を設置すべきと冒頭申し上げまして、質問に入らせていただきます。

 民営化以降、NEXCO各社は、業務を子会社のグループ会社に委託するなどして業務を遂行しており、リストをいただきましたが、その数は百三十社に上ります。本来は、これらの会社の業績等についても調べる必要があると思います。

 そもそも、民営化の際に、ファミリー企業への様々な天下りや癒着、利権構造を解消すると言われた民営化ですので、時間がたつと先祖返りするのが世の常ですので、しっかりと確認をしたいと思います。

 例えば、サービスエリアの飲食や物販など、通行料金以外で収入を上げている子会社の利益も全て債務の返済に充てられているとのことで間違いはないでしょうか。中には、NEXCOの議決権比率がゼロ%という、子会社とは言えない会社も含まれていますが、そのような会社の利益も債務の返済に充てられているようなスキームになっているんでしょうか。お答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 高速道路会社のグループ会社の中には、親会社による議決権比率がゼロ%の会社、いわゆる孫会社もございますが、グループ会社が議決権を保有している場合には連結決算の対象とし、経営の効率化、透明化に努めているところです。

 各グループ会社で生じた利益はコスト縮減などの経営努力によるものであり、また、高速道路機構の債務は高速道路会社から高速道路機構に支払う貸付料を元に返済されるものであるため、各グループ会社で生じた利益を債務の償還に充てているわけではありません。

 なお、グループ会社で生じた利益は順次親会社へ配当しており、親会社である高速道路会社がサービスエリアの老朽化対策への投資などを行うことで利用者還元に努めてきたところでございます。

 国土交通省としましては、高速道路会社のグループ経営の効率化、透明化を図りつつ、できる限り利用者還元が進むよう高速道路会社と議論してまいりたいと思います。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 でも、何かスリム化とかいろいろ言われていましたけれども、ちょっと何か怪しいですよね。百三十社、今資料を全部、決算、ばらばらなやつをもらって大ざっぱには見ているんですけれども、何かちょっと怪しいところがあるのかなというふうに思うんです。

 そもそも、民営化の際に癒着、利権問題はさんざん議論されてきたんですけれども、それを踏まえて、国交省として、民営化の目的の一つであったグループ会社の癒着、天下り問題は解決されたと認識をしているか、これは通告していないですけれども、大臣の所感で結構ですので、お答えいただければと思います。簡潔で結構です。

斉藤(鉄)国務大臣 高速道路会社のグループ会社の実態については、正直、私、把握しておりません。しっかり見てみたいと思います。

たがや委員 大臣も一緒に調べてください。

 時間が足りず、全ての会社を追い切れなかったんですけれども、これだけ子会社がある中、本当に公団時代の癒着、天下り構造が撲滅されたのか、無駄な会社がないのか。利用料無料化、二一一五年までの延長が関わることですので、しっかりと精査していただけることを強く要望しますが、私も引き続き調べてまいります。

 それでは、ちょっと細かい話で恐縮なんですけれども、東名高速道路について、総建設費、更新費、維持管理、修繕費など、これまでの支出の総額をお伺いをいたします。

丹羽政府参考人 お答えいたします。

 東名高速道路の東京インターチェンジから小牧インターチェンジまでの三百五十キロでございますが、総建設費は約一兆円でございます。

 また、これまで、裾野インターチェンジから富士インターチェンジまでの間において、床版の取替え工事などの更新事業を実施しておりまして、これらの事業に係る費用の総額は約一千億円となっております。

 また、修繕、維持管理等に係る費用でございますけれども、民営化前のデータが残っていないため、民営化した平成十七年十月から令和三年度末までの期間において集計いたしますと、その総額は八千億円となっております。

たがや委員 ありがとうございます。

 ということは、一・九兆円ぐらいの総建設費、様々なものがかかったということですね。

 それでは、東名高速道路について、過去の通行料金の収入総額をお伺いいたします。

丹羽政府参考人 お答えいたします。

 東名高速道路の路線別の料金収入につきましては、民営化前のデータが残っていないため、また、民営化してから、平成十七年十月から令和三年度までの期間の集計をいたしますと、その総額は約三兆円となっております。

たがや委員 ありがとうございます。

 これは、では、東名高速の単体の償還というのは終わっているという考え方でいいんですかね。つまり、現在の東名高速の通行料金が他の高速道路の建設費用とかに流用されているとか、そういう形の流れということでよろしいんですか。

丹羽政府参考人 NEXCOが管理している高速道路でございますけれども、料金のプール制を取っておりますので、全体で対応しているところでございます。

たがや委員 今、プール制と言っていますけれども、ちょっと余りにも大ざっぱというか、まず、一つ一つの積み上げでやはり事業というのは成り立っているので、何か公団時代の悪い癖なんじゃないですか、そういうのは。

 一つ一つの積み上げで試算が成り立つんですから、一つのことが分からなければ、全体の償還期間など分かるわけないと思うんですよね。ということは、単なる先送りだけの二一一五年償還期限ということになると思います。更新事業のことばかり、結構、延長の理由にメインに挙げますけれども、それ以前の問題になっていると思います。

 先日、国交省のレクで路線ごとの収支を聞いたところ、全体として計算をしているので、路線ごとの数字は出せないと。全体として計算していると言っていたんですね、今のお答えのように。つまり、丼勘定になっているという説明でしたので、このように東名高速道路のデータを質問させていただきました。

 つまり、償還期間の見通しを正確に算出するためにも、東名高速以外の全ての路線について同様の数字が必要だと考えます。本委員会に資料を提出していただきたいと思います。

 委員長、お取り計らいのほど、よろしくお願いいたします。

木原委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をいたします。

たがや委員 ありがとうございます。

 さて、ここまでは過去から現在までのデータを質問させていただきました。それを踏まえた上で、これからは未来の話をさせていただきます。

 二一一五年まで延長するに当たって、未来への試算も出さなければなりません。東名高速道路の向こう十年間の通行料収入の見込額を教えてください。

丹羽政府参考人 お答えいたします。

 令和五年度以降、十年間の東名高速道路の料金収入の計算値の合計につきましては、将来の料金収入を路線別に算出していないため、令和三年度の全国の料金収入に対する東名高速道路の料金収入の割合、これが約七%でございますので、これを用いて試算しますと約二兆円となっているところでございます。

たがや委員 二兆円ということですね。

 では、東名高速道路の二一〇〇年から二一一〇年までの十年間の料金収入の見込みを教えてください。

丹羽政府参考人 お答えいたします。

 現在、高速道路機構と中日本高速道路が締結している協定においては、令和四十五年の料金徴収期限としているため、それ以降の料金収入は計算をしておりません。

 このため、二一〇〇年以降の料金収入については、将来交通量を、GDPと人口の最新の将来推計を基に、二〇六〇年度までの交通需要を算出し、それ以降はトレンドで需要が減少すると仮定して推計しているところでございます。

 この手法を用いまして、二一〇〇年度から十年間の料金収入の推計値を、令和三年度の全国の料金収入に対する東名高速道路の料金収入の割合、先ほどの七%でございますが、これを用いて試算いたしますと、二一〇〇年から十年間の東名高速道路の料金収入の見込額、約八千億円となっております。

たがや委員 ありがとうございます。

 随分頑張った試算だと思うんですけれども、先ほど福島委員も言っていましたけれども、二一〇〇年のことを予測するというのは、ほぼこれはできないですよね。例えば商売人だって、幾ら緻密なことをやったって分からないですよ、こんなの。

 なので、ちょっと私も無理して質問してしまったので大変申し訳ないと思うんですけれども、何が言いたいかというと、試算ができないのに、二一一五年まで延長期間を、無料化するのに二一一五年まで延長するというのはちょっと理解できないということを言いたいんですけれども、しっかりと試算をするか、できるようになるか、試算できない未来の話は意味がないと思うので、本当、これは言ったら切りないのでちょっと次の質問に行きますけれども、もうどうにもならないですね。

 現在、高速道路に関する支出の償還は全て高速道路料金で賄っているが、償還期間を少しでも短くするために、税金や建設国債の投入も議論していかなければいけないと思います。

 お配りした資料は日本自動車工業会が作成したものですが、自動車関連諸税、つまり旧道路特定財源ですが、二〇二二年は九兆円弱になっています。現在、一般財源となっているので、昨日の参考人質疑でも議論されましたが、受益者負担の原則は崩れています。車ユーザーにとってみれば、九項目の自動車関連諸税負担がありますから、言い換えれば九階建てのマンション、このままではタワーマンションの負担になるのではないかと危惧しています。

 そこで、質問します。

 道路や自動車利用を理由に徴収されているこれらの税を減額しないのであれば、せめて道路資本整備に係る費用を超えた分を、高速道路の更新、維持、補修や債務の返済に、償還に充てることも検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今の御質問の御趣旨は、償還主義一辺倒から、税や国債、そういうものも含めて考えていくべきではないかという御趣旨かと思います。

 高速道路における維持管理や修繕、更新などの費用の負担につきましては、税負担又は利用者負担により確保することが考えられます。また、利用者負担の場合には、料金の引上げか料金徴収期間の延長が考えられます。

 今般の改正法案におきましては、有識者の意見も踏まえつつ、財政事情が厳しいことなどから現時点での税負担は困難であることに加え、高速道路は速達性などのサービス水準が高いことから、利用者負担により財源を確保することとしました。

 その上で、現下の社会情勢から、料金水準の引上げは直ちに利用者の理解を得ることは困難であるとともに、更新により耐用年数が延びて将来世代にも受益があることを踏まえ、料金徴収期間を延長することにより、引き続き利用者負担をお願いするものでございます。

 今後、現時点において具体的に見通すことができないような革新的な技術開発など、道路交通を取り巻く環境に大きな変化が見込まれる場合などには、高速道路における負担の在り方についても幅広く検討を行うなど、必要な有料道路制度の見直しに向けて議論をしてまいりたいと思っております。

たがや委員 時間が来たので、まとめます。

 平成十四年の公団民営化推進委員会の意見書では、今後の道路建設について、既存路線の通行料金に依存して従来どおり建設を続けようとするのは容認し得ない、今後の道路建設、とりわけ財源問題については、民営化の目的、意義を踏まえた上で、全く新しい仕組みを構築し、その下で当事者間の負担ルールを定める必要があると明確に述べられていますが、二一一五年までの延長を定めるこの段で、全くそれらが反映されていないのではないでしょうか。

 そもそも、自動車関連諸税が何を目的に創設されたのか、道路公団を民営化したことによる効果の検証など、まだまだ議論しなければならないことが山積しており、二一一五年に問題を先送りする延長を政府が決める前に、しっかりと与野党を超えて、自動車関連諸税や建設国債の発行も含めた大きな議論を尽くすことが政治の役割であると申し上げて、私の質問を終わります。

 政治は生活である。ありがとうございます。

木原委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木原委員長 この際、本案に対し、谷田川元君から、立憲民主党・無所属提案による修正案、また、古川元久君から、国民民主党・無所属クラブ提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者より順次趣旨の説明を求めます。谷田川元君。

    ―――――――――――――

 道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

谷田川委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 高速道路は、社会経済活動や地域の生活を支える基幹的な社会資本であり、その機能を将来にわたり維持、継続し、良好な状態で次世代に継承することが重要です。

 一方、政府提出法案は、高速道路会社が管理する高速道路に係る料金徴収期限を、最長で令和九十七年九月三十日までとしており、高速道路の更新等に要する費用の負担を将来の世代に求めるものであります。このため、真に必要な事業のみが実施されるよう、追加する事業の必要性及び合理性について、一定の観点から、評価する等の必要があります。

 このようなことから、国土交通大臣が協定の変更に係る許可及び認可を行う場合の評価等を追加する修正案を提出するものであります。

 次に、修正案の内容について御説明申し上げます。

 第一に、国土交通大臣は、協定の変更に係る許可及び認可を行う場合には、当該許可等に係る後行特定更新等工事について、協定変更時における道路の修繕を効率的に行うための点検に係る技術を前提として、必要とされる工事のみを対象としているか、業務実施計画に記載する収支予算の明細の前提となる将来修繕費用の算定が適切であるか及び将来修繕費用に比してその効果が高いものであるかの観点から、その必要性及び合理性に関する評価を行うこととします。

 第二に、政府は、この法律の施行後二年以内を目途とし、国会に、協定の変更に係る許可等の状況及び評価の結果に関する報告書を提出することとします。

 第三に、政府は、人口の減少その他の社会経済情勢の変化を踏まえ、有効に利用されていない高速道路の供用の廃止等、老朽化した高速道路の修繕の効率的かつ持続的な実施を確保するための方向性について検討を行うこととし、国会にその検討の結果に関する報告書を提出することとする旨の検討条項を追加することとします。

 第四に、政府は、高速道路の修繕等の管理の重要性が増大していることに鑑み、この法律の施行後三年以内を目途とし、第二及び第三の報告書の内容を踏まえ、日本道路公団等の民営化の趣旨にのっとり、高速道路会社がより柔軟かつ多様な高速道路に係る料金の設定を行うことを可能とすること、利用者の利便性の向上に貢献すること及び将来修繕費用を最小化することの観点から、道路整備特別措置法第二十三条第一項第一号から第三号までに掲げる料金の額の基準その他高速道路の管理の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとする旨の検討条項を追加することといたします。

 以上が、本修正案の趣旨であります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

木原委員長 次に、古川元久君。

    ―――――――――――――

 道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

古川(元)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 高速道路は、国民の財産であり、適時適切に維持管理、更新を行い、その機能を将来にわたって確保することは大変重要です。

 政府提出法律案は、高速道路会社が管理する高速道路に係る料金徴収期間の延長期限を、現行の令和四十七年九月三十日から令和九十七年九月三十日まで五十年延長し、この範囲内で高速道路の更新等に要する費用を料金から賄うことなどとしております。

 政府は、平成二十六年の法定点検開始時の知見では見通せなかった、新たに判明した更新需要に対応するため、再度、料金徴収期限を延長することとしています。しかし、高速道路の更新等に要する費用は永久的に生じ得るものであり、五十年の延長で足りるとする政府の説明は必ずしも現実的ではありません。

 将来にわたる高速道路の更新等に要する費用については見通すことが困難であるため、高速道路の料金を永久に有料にすることで確保すべきです。また、料金を永久に有料とすることで、料金水準を引き下げる効果も期待でき、更なる高速道路の利用促進にも寄与できると考えます。

 このようなことから、高速道路に係る料金徴収期間の延長期限等を削除する修正案を提出するものであります。

 次に、修正案の内容について御説明申し上げます。

 高速道路会社が管理する高速道路に係る料金徴収期間の延長期限及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構の解散期限を削除することとします。

 以上が、本修正案の趣旨であります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

木原委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、政府案及び修正案に対する討論を行います。

 反対する第一の理由は、民営化スキームの破綻に反省もなく、将来にわたる長期的な更新事業の規模すら示さずに、更新を口実にして、今後百年近く先までの道路建設財源を確保しようという無責任極まりないものだからです。

 二〇〇四年の道路公団民営化によって、道路料金収入を当時の有利子債務四十兆円の償還に充てて、四十五年後の二〇五〇年までに償還を終了、その後、料金を無料化するというスキームがつくられました。

 我が党は、民営化先にありきで、四十五年で確実に債務返済できる保証がないばかりか、新会社の資金調達に政府保証をつけることによって、建設資金の調達を容易にし、借金を増やし、新たな負担を国民に強いることになると批判し、反対しました。

 二〇一二年に笹子トンネル天井板崩落事故が起き、高速道路の大規模修繕、更新を放置してきた根本問題が露呈しました。政府は、緊急点検で必要となった更新事業約四兆円の費用に充てるためとして、二〇一四年法改正で償還期限を二〇六五年に十五年延長する小手先の策を取っただけです。その後の点検強化で重大損傷が相次ぎ発見され、追加事業が必要となり、本法案では、その財源確保のため、償還期限を二一一五年まで五十年延長するとしています。

 反対する第二の理由は、更新を第一の理由にしながら、延長する目的の中心は、進化と位置づけた新設、改良工事にあるからです。

 二〇〇四年の民営化法は、会社が徴収した高速道路料金によって、二〇五〇年までに機構の債務を返済し、機構も解散するというスキームで、その範囲で高速道路を造り続けることができるようにする一方、返済期限が二〇五〇年を超える新規建設はできないという制約を持っていました。

 今回の改正は、この期限を二一一五年まで先送りすることで、今後百年近く高速道路を造り続けられるようにしようというものです。

 二〇一四年の改定では、老朽化道路の更新目的で道路料金徴収の延長が必要と説明していましたが、実際は、料金徴収期間の延長に乗じて、淀川左岸線延伸部など新規の高速道路建設の事業も行われてきました。今回はこの期間を更に大幅に延長し、かつ、高速道路の更新に加え、進化も含むとして、新規高速道路建設を堂々と推進することになります。

 高速道路の経年劣化は今後更に広がるし、維持修繕、更新費用は増加します。今必要なのは、安全性、必要性の点検に基づく老朽化道路の大規模修繕、更新であり、その費用は、新規建設を抑制して捻出すべきであります。

 百年という長きにわたり、人口減だけではなく、ライフスタイルも、自動車の性能、また温暖化対策の進捗など、様々な課題がある中、更新事業も進化も、事業の追加については道路会社と政府にお任せという本スキームは終結させ、今後の具体の中身と計画は、その都度国会に諮って決めていくべきと考えます。

 なお、立憲民主党が提出した修正案、また国民民主党提出の修正案については、見解を異にすることから賛成できません。

 以上で反対討論を終わります。

木原委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享です。

 私は、本法案と立憲民主党、国民民主党がそれぞれ提出した修正案に反対の立場から、以下にその考えを述べます。

 まず、この法案の最大の違和感は、二一一五年まで有料化を続けることを法律で決めることにあります。

 二一一五年には、ここにいる全員が生きていません。恐らく皆さんの子供もいません。日本がどうなっているのかも分かりません。官僚や学者であれば机上の計算によって債務の返済期限を定めようとするのでしょうが、日々国民と接し、国民の声を聞き続けている私たち政治家は、そうした観点から法律を作るのではありません。人間の体温や気持ちを法律に込めるからこそ、私たちは国権の最高機関である立法府の議席をお預かりしているのではないでしょうか。

 大臣以下、国土交通省の政務三役の皆さんや、それを了解する与党の皆さんは、法案の中身以前に、政治家としてこのような法案を違和感なく国会で審議していいのかということをまずは考え直すべきではないでしょうか。

 次の問題点は、この法案が、小泉政権の二〇〇五年に実現した道路公団の民営化をまるっきり骨抜きにするものであることです。

 私は、道路公団の民営化のスキームに必ずしも賛成するものではありませんが、当時内閣官房にいて、今は日本維新の会の参議院議員をされている猪瀬直樹さんなどが議論する熱気を目の当たりにしてきました。このスキームの最大のみそは、民間の経営判断を生かして、市場の統制によって、無駄な道路は造らず、借金を一日も早く完済するというものです。料金プール制の限界も強調されていました。

 しかし、今回の法案では、更新のために借りた金は前回の改正よりもはるかに長い五十年もかけて返済され、更新ばかりか、進化という名目で新たな高速道路の建設も可能とし、さらに、返済期間の延長に合わせて既存の債務の返済期間まで延びてしまう仕組みとなっております。

 市場の統制を受けるためには、本来、既存の債務と更新等に係る債務を厳密に区分し、既存債務は道路公団民営化法のスキームどおり返済を終了させ、その時点で一度高速道路を無償開放すべきなのです。これでは道路公団の失敗の二の舞となり得ることでしょう。

 更新や技術革新に伴う新しい車の走り方に対応するための投資は、道路公団民営化のスキームではなくて、そもそも高速道路は誰のもので、その負担をどうするのかという根本的な議論を整理した上で行うべきものです。電気自動車の普及が進む中、ガソリン税に頼る道路建設の仕組みはすぐにでも見直さなければなりません。こうした近い将来を見越した制度の見直しをすることこそ、本来の政治家の役割なのではないでしょうか。

 こうしたことを議論するには、この重要な法案の審議時間が僅か二日というのは余りにも短過ぎます。国会議員が立法府の役割を自ら軽んじていると言っても過言ではないでしょう。二一一五年の日本国民が過去を振り返ったとき、何でこんな法案を作ったのかと恥ずかしい思いをしないために、反対討論を行い、議事録に残したいと思います。

 以上です。

木原委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、古川元久君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、谷田川元君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、津島淳君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。末次精一君。

末次委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表しまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。

    道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 本法施行後に追加する更新等のための事業については、協定変更時における点検技術等を前提に、必要とされる事業のみを対象とし、当該事業の必要性及び合理性については、償還計画の前提となる高速道路の維持管理、更新等のライフサイクルコストの算定及び推計が適切か、費用対効果が高いものかの観点から評価すること。また、その結果については、随時公表すること。

 二 老朽化した高速道路の維持管理、更新に関し、人口減少その他の社会経済情勢の変化を踏まえた持続可能な整備の方向性について、本法施行後五年以内を目途として、検討すること。

 三 高速道路の維持管理の重要性が増大していることに鑑み、本法施行後五年以内を目途として、一及び二により公表又は検討された内容を踏まえ、道路関係四公団民営化の趣旨にのっとり高速道路会社がより柔軟かつ多様な料金設定をすることとし、利用者の利便性の向上に貢献し、ライフサイクルコストを最小化する観点から、道路整備特別措置法第二十三条第一項第一号から第三号までに掲げる高速道路に係る料金の基準等、高速道路資産の管理の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。

 四 定額制度をはじめ、あらゆる料金体系を国民経済と経済発展に資する観点から勘案した上で、持続可能な高速道路を実現するために必要となる費用の負担の在り方について早急に検討し、高速道路の料金を永久に有料にするか、無料にするかの議論について、可及的速やかに結論を出すこと。

 五 高速道路の維持管理、更新に当たっては、新技術を活用した効率化やコスト縮減を推進するとともに、維持管理等に係る費用の適正性等についての監査を適宜適切に行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

木原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)国務大臣 道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 誠にありがとうございました。

    ―――――――――――――

木原委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

木原委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、海上運送法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

    ―――――――――――――

 海上運送法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

斉藤(鉄)国務大臣 ただいま議題となりました海上運送法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 昨年四月に発生した知床遊覧船事故では、二十六名の方々がお亡くなりに又は行方不明になりました。輸送の安全の確保は、旅客船事業の大前提でありながら、今回の事故により、かけがえのない命が失われてしまったことを重く受け止め、このような痛ましい事故を二度と起こしてはならないとの決意の下、事業者の安全管理体制の強化、船員の資質の向上、行政処分の強化等により、旅客船の安全、安心対策に万全を期する必要があります。

 また、輸出入のほとんどを外航海運が担う我が国において、船舶の保有、維持管理、船員の配乗等を担う船主は、経済安全保障上、極めて重要な存在です。我が国の船主が熾烈な国際競争にさらされる中、安定的な国際海上輸送を確保するため、我が国の船主による外航船舶の計画的な確保等を図る必要があります。

 このような趣旨から、この度この法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、事業者の安全管理体制を強化するため、安全統括管理者や運航管理者に係る試験制度等を創設するとともに、小型船舶のみを使用する旅客不定期航路事業に係る許可について更新制を導入するほか、事業許可の欠格期間を現行の二年から五年に延長することとしております。また、事業への参入が事前届出制となっている人の運送をする船舶運航事業について登録制を導入することとしております。

 第二に、船員の資質の向上を図るため、事業用小型船舶の船長となるために必要な特定操縦免許の取得に係る講習課程の内容を拡充するとともに、当該免許について、乗船履歴に応じた航行区域の限定制度を創設するほか、船舶所有者に対し、船長等の乗組員への海域の特性等に関する教育訓練の実施を義務づけることとしております。

 第三に、法令違反があった事業者に対する船舶等の使用停止命令に係る制度を創設するとともに、輸送の安全確保命令に従わない事業者に対する罰則を強化することとしております。

 第四に、我が国の船主による外航船舶の確保等を図るための計画認定制度を創設することとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

木原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十二日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十分散会


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