衆議院

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第10号 令和5年4月19日(水曜日)

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令和五年四月十九日(水曜日)

    午後一時二分開議

 出席委員

   委員長 木原  稔君

   理事 加藤 鮎子君 理事 津島  淳君

   理事 中根 一幸君 理事 長坂 康正君

   理事 伴野  豊君 理事 谷田川 元君

   理事 赤木 正幸君 理事 伊藤  渉君

      池田 佳隆君    石川 昭政君

      泉田 裕彦君    小里 泰弘君

      柿沢 未途君    菅家 一郎君

      工藤 彰三君    小林 史明君

      佐々木 紀君    櫻田 義孝君

      塩崎 彰久君    田中 英之君

      田中 良生君    谷川 とむ君

      冨樫 博之君    土井  亨君

      中川 郁子君    中村 裕之君

      西田 昭二君    西野 太亮君

      深澤 陽一君    古川  康君

      宮崎 政久君    武藤 容治君

      渡辺 孝一君    梅谷  守君

      枝野 幸男君    小熊 慎司君

      大島  敦君    城井  崇君

      神津たけし君    下条 みつ君

      末次 精一君    一谷勇一郎君

      前川 清成君    山本 剛正君

      中川 康洋君    福重 隆浩君

      吉田 宣弘君    鈴木  敦君

      高橋千鶴子君    仁木 博文君

      たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 片平  聡君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 松尾 裕敬君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         佐藤 寿延君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            木村  実君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  天河 宏文君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        岡村 次郎君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  堀田  治君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  久保田雅晴君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    石井 昌平君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥田 直久君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 安藤 敦史君

   国土交通委員会専門員   鈴木 鉄夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     塩崎 彰久君

  冨樫 博之君     渡辺 孝一君

  根本 幸典君     佐々木 紀君

  小宮山泰子君     大島  敦君

  北側 一雄君     吉田 宣弘君

  中川 康洋君     福重 隆浩君

  古川 元久君     鈴木  敦君

  福島 伸享君     仁木 博文君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     池田 佳隆君

  塩崎 彰久君     西野 太亮君

  渡辺 孝一君     冨樫 博之君

  大島  敦君     梅谷  守君

  福重 隆浩君     中川 康洋君

  吉田 宣弘君     北側 一雄君

  鈴木  敦君     古川 元久君

  仁木 博文君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     石川 昭政君

  西野 太亮君     小林 史明君

  梅谷  守君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     根本 幸典君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 来る二十三日をもちまして、知床遊覧船の事故の発生から一年を迎えることとなります。

 改めて、お亡くなりになられた方々と御遺族に対しまして、衷心より哀悼の意を表するとともに、いまだ行方不明となっておられる方々の一日も早い発見をお祈り申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと思いますので、全員御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

木原委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

木原委員長 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房技術審議官佐藤寿延君、国土政策局長木村実君、不動産・建設経済局長長橋和久君、都市局長天河宏文君、水管理・国土保全局長岡村次郎君、道路局長丹羽克彦君、住宅局長塩見英之君、鉄道局長上原淳君、港湾局長堀田治君、航空局長久保田雅晴君、海上保安庁長官石井昌平君、こども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文君、外務省大臣官房参事官片平聡君、大臣官房参事官松尾裕敬君、厚生労働省大臣官房審議官大坪寛子君、環境省自然環境局長奥田直久君及び防衛省防衛政策局次長安藤敦史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中根一幸君。

中根委員 自民党の中根一幸です。

 本日は、G7都市大臣会合について、また、都市の国際競争力向上をテーマに幾つか御質疑させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 本年七月、G7議長国としての関係閣僚会合としては初めてのG7都市大臣会合が香川・高松で開催されると伺っております。二〇五〇年には世界の人口の七〇%以上が都市に居住すると予測されており、気候変動、脱炭素化への対応、都市災害の激甚化、格差の拡大、デジタル化への対応等、都市が抱える様々な問題に着手したこの都市大臣会合は非常に時機を得たものと考えており、むしろこれまで開催がなかったことを不思議に思うほどであります。

 そこで、お伺いします。

 開催まで約二か月半という段階を迎える中で、現在の国土交通省におけるG7都市大臣会合、準備状況を問うとともに、日本で初めて開催されるG7都市大臣会合の狙い、そして斉藤大臣の意気込みについてお伺いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 都市は、人々が暮らし、働き、愛着を持ち、また目的地として訪れる、生活と経済の拠点として大変重要な場所でございます。

 そうした都市が、温暖化対策など地球規模の課題を解決する上で果たす役割は極めて大きいと考えています。

 こうした重要なテーマについてG7各国で議論を深めるため、昨年九月にドイツ・ポツダムにおいて初めて都市大臣会合が開催され、私も次期議長国の立場で参加いたしました。

 その議論を踏まえ、本年七月七日から九日までの期間で、香川県高松市においてG7香川・高松都市大臣会合を開催いたします。

 会合では、ドイツでの議論を深化させる観点から、多様な主体による持続可能な都市の発展をテーマとし、カーボンニュートラル、レジリエンス、インクルーシブ、デジタルの活用などについて幅広く議論することとしております。

 これらについて、世界各国の都市課題の解決につなげる具体策を議論し、持続可能な都市の発展に貢献するという方針で各国等とも一致して、準備を進めているところでございます。

 議長国として、日本における経験や取組も生かしながら議論をリードし、最終的には大臣宣言の形でまとめ上げていきたいと考えております。

 あわせて、この機会を通じ、開催地である香川県及び高松市を含め、我が国の豊かな観光資源の魅力についても世界に発信したいと思います。

 この会合の成功に向け、地元の県、市とも引き続き緊密に連携し、国土交通省としてしっかりと準備を進めてまいりたいと決意しております。

中根委員 持続可能な都市の実現に向けて、各国共通の理念に基づく連携、その構築のために、議長国として、日本が議長国ですから、議論をリードして、それを取りまとめていっていただきたいと思います。期待しております。

 さて、ここからは、都市の国際競争力向上とインフラ整備について述べさせていただきたいと思います。

 都市政策の国際協調が進む一方で、グローバル化の進展により、各都市間の国際競争はますます激化していくことが想定されます。私も外務政務官、副大臣を務め、海外各国を回ってまいりましたが、シンガポール、香港などアジアの各都市では、競争力の源泉となる交通、物流インフラ等の整備を着実に進めることで、継続的かつ著しい経済成長を遂げております。我が国の諸都市も、時代のニーズに合ったインフラ整備を進めていかなければ、こうした国際都市と伍していくことができなくなるのではないか、そういった危機感を抱いております。

 東京を始めとする日本の大都市圏は、これまで我が国の成長の牽引役として役割を果たしていただきましたが、今は課題が山積しております。人口減少、少子高齢化の進行、経済活動に伴う地球環境への負荷の増大、さらには社会資本インフラの老朽化など、このままでは都市の経済活力が低下し、ひいては我が国全体の成長の足かせにもなりかねません。

 中でも私が懸念しているのは、我が国の場合、自然災害のリスクが日本の都市の魅力の阻害要因となっていると思っております。

 私は内閣府副大臣として防災を担当して以来、数多くの災害の現場に足を運んでまいりましたが、気候変動に起因する頻発化、激甚化により、自然災害のリスクが年々高くなっていると肌で感じております。国民の生命財産、安全、安心な暮らしはもとより、安定的なビジネス環境を創出し、投資を呼び込む、そして、都市の経済成長と国際競争力を向上させるためには、何といっても都市の強靱化が不可欠です。

 現在は、令和三年度から令和七年度まで五か年に追加に必要な事業規模等を定めて、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策として重点的、集中的に対策を講じていただいておりますが、こうした取組は近年の災害に対しても着実に効果を上げており、被災の大規模化を回避できたという事例が多数報告されていることから、この五か年加速化対策が終了した後も、引き続き、継続的、安定的に必要な予算を確保して、国土強靱化施策を推進していくことが必要だと強く感じております。

 そこで、お伺いします。

 今後も頻発化、激甚化の一途をたどると想定される自然災害に備え、防災・減災のためのインフラ整備を着実に推進する必要があると考えますが、今後の取組についてお聞かせください。

木村政府参考人 お答えいたします。

 激甚化、頻発化する豪雨災害、切迫する大規模地震、いつ起こるか分からない火山災害等から国民の皆様の命と暮らしを守ることは国の重大な責務と認識しております。

 国土交通省におきましては、五か年加速化対策等に基づき、流域治水、道路ネットワークの機能強化、地震、津波対策、インフラ老朽化対策、デジタル技術を活用した気象予測高度化等の対策を重点的かつ集中的に実施しております。

 この結果、例えば、河道掘削やダムの事前放流など、ハード、ソフト両面にわたる取組によりまして、大規模な被害を未然に防止するなど一定の効果を発揮しております。

 一方、対策が必要な箇所も多く残っておりまして、地球温暖化に伴う降雨量の増加等も予測されているため、取組の強化が必要です。

 五か年加速化対策後も、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的、安定的に防災・減災のためのインフラ整備も含めた取組を進めることが重要であると考えております。

 現在、政府において、本年夏を目途に、新たな国土強靱化基本計画の策定に向けた検討をしているところであり、関係省庁と連携しつつ、国土交通省としてもしっかりと取り組んでまいります。

中根委員 力強い御答弁、ありがとうございます。

 政府として継続的に国土強靱化を進めていくためには、何といっても予算の裏づけというのが一番重要になってきます。必要です。しっかりとした予算の確保をしていただいて、国土の強靱化を進めていっていただきたいと思います。

 さて、都市の競争力向上のためには、自然災害の課題だけではございません。高度経済成長期以降に整備した社会資本が加速度的に老朽化しており、その対応は深刻な問題となっております。インフラの老朽化は都市の競争力を毀損します。都市の持続的な経済成長に向けて、インフラを適正に維持管理、更新していく必要があります。

 こうしたインフラの更新は多額の支出を伴う大規模な事業となりますが、私は、これと併せて周辺のまちづくりを同時に行えば、都市環境を刷新する大きなチャンスにすることもできるのではないかと考えております。

 例えば、シアトルのウォーターフロント開発がよい例です。シアトルのセントラルウォーターフロントは、元々多くの観光客や市民らでにぎわっていましたが、一九五三年に建設された二階建ての高架道路で市街地と分断されてしまいました。その後、完成から半世紀がたった高架道路は、老朽化に加え、二〇〇一年のシアトル地震によって大きなダメージを受け、耐震診断の結果、完全復旧は困難であると判断されてしまったわけであります。

 様々な対応案が検討された結果、大規模な更新事業として、高架道路を地下化するトンネル化案、これが採用されたわけであります。これにより市街地とウォーターフロントの分断が解消できること、新たなオープンスペースが創出され、景観、にぎわいの向上が期待できること等、高く評価されたからであります。

 そこで、お伺いします。

 今後の不可避となるインフラの更新を契機として、都市機能を向上させる周辺の都市環境整備と併せて実施することは、都市の競争力向上に非常に有効かつ効率的だと思っております。お考えをお聞かせください。

天河政府参考人 お答えいたします。

 日本の都市の国際競争力を向上させていく上で、交通インフラや緑地等の環境改善が重要であると認識しております。

 このような中、品川やうめきた等の鉄道操車場の跡地等におきまして、鉄道施設の整備に併せて土地区画整理事業を実施することにより、市街地の分断解消とオープンスペースの確保、国際競争拠点にふさわしい土地の高度利用とビジネス環境の整備等が進められております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、国際競争拠点都市整備事業等によりまして、インフラの更新に併せた周辺都市環境の整備に対して集中的に支援してまいります。

 以上でございます。

中根委員 ありがとうございます。是非、その取組、更に拡大していっていただきたいと思います。

 さて、我が国の首都東京を見てみますと、高度な都市機能の集積により、周辺都市と併せて依然として世界有数の都市圏を形成していることから、その強みを生かし、引き続き、都市間競争に勝ち残るための機能強化を進めていかなければなりません。

 私の地元、埼玉県など首都圏の郊外部は、ライフスタイルの変化に合わせて自立分散型の町を目指し、人口減少、高齢化の時代を生きるために、コンパクトシティー化、公共交通ネットワークの再構築などを進めるべきだと考えております。規模の異なる複数の郊外拠点がそれぞれの役割を分担し、補完し合いながら共存共栄する都市構造の形成を目指すことで、首都圏の機能強化にもつながると考えております。

 このような東京を支える郊外部と都市部及び地方部との効率的なネットワークを図り、物流の信頼性を向上させ、地域経済の活性化、そして広域観光の促進、企業立地による雇用の創出などの経済効果を得るためには、幹線道路ネットワークの整備、強化が必要です。

 そこで、お伺いします。

 首都圏の国際競争力強化のためには、道路ネットワークの強化につながる上尾道路二期、新大宮上尾道路等の幹線道路の整備をしっかりと進めていくべきだと考えていますが、見解をお聞かせください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 東京都心部と郊外部をつなぐ上尾道路二期、もう一つは新大宮上尾道路でございますが、この幹線道路ネットワークは、都心へのアクセス向上による物流の効率化、また、地域産業の振興などを促進し、首都圏の国際競争力の強化を図る上で重要な役割を担うものであると認識をいたしております。

 この上尾道路二期につきましては、現在、用地買収、改良工事、橋梁の上部工事を進めているところでございます。このうち、JR高崎線に架かります橋梁は、下部工事が完成いたしまして、昨年度から橋梁の上部工事を進めているところでございます。

 また、新大宮上尾道路につきましては、令和三年度より現地の工事に着手したところでございまして、現在、用地買収、改良工事、橋梁の下部工事を進めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、首都圏において、これらの道路を始めとする幹線道路の整備を強力に進め、地域の活性化、また国際競争力の強化を図ってまいりたいと考えております。

中根委員 ありがとうございます。

 引き続き、この上尾道路二期区間や新大宮上尾道路、首都圏の道路ネットワーク整備をしっかりと進めていっていただきたいとお願いいたします。

 海外の活気に満ちた都市を訪れますと、長きにわたる経済の停滞で日本の元気がなくなっていると感じることがございます。国土、都市政策を所掌する国交省におかれましては、是非とも、積極的なインフラ整備を進めていただきまして、将来世代に胸を張って引き継ぐことができる、豊かで持続可能な強い国土を築き、国民の元気を取り戻していただきたいとの私の強い思いを強調いたしまして、質問を終わりにいたします。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。

 本日も質問の機会をいただきまして、委員長を始め理事の皆様、さらには委員の皆様には大変に感謝を申し上げます。

 今日は一般質疑ということで、日頃から様々課題がある中で、広範な話題について何点かお伺いをさせていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 最初に、観光施策につきまして、具体的には観光立国推進基本計画における国立公園の利活用についてお伺いをいたします。

 観光庁は、本年三月三十一日に閣議決定されました新たな観光立国推進計画におきまして、持続可能な観光地域づくり、さらにはインバウンド回復、また国内交流拡大との三つの戦略を立てるのとともに、その具体的な取組の一つとして、国立公園の魅力向上とブランド化、これを示されております。

 また、その国立公園を所管をしております環境省におきましては、二〇一六年より国立公園満喫プロジェクト、これを進めていただいておりまして、具体的には、受入れ環境の磨き上げとしての景観の改善や多言語解説、さらにはWiFiの設置、またさらには、自然体験コンテンツの充実や国内外へのプロモーション活動、こういったものを行っていただいております。

 私は、今回のこの国立公園の魅力向上とブランド化につきましては、保護と利用のバランス、これは常に保ちながらも、日本の国立公園のブランド力を高め、国内外の誘客を促進することを目的に、観光庁と環境省が今後更に緊密に連携をして推進していくこと、これが大変重要と考えております。

 特に、今回の計画の本文並びに満喫プロジェクトの中でも示されている、国立公園内における廃屋の撤去につきましては、各々の国立公園が持つ本来の景観を取り戻し、さらには、インバウンドも含めた旅行者の滞在環境の上質化、これを図る意味においても、集中的かつ積極的に進めていただく必要、これがあるかと思います。

 そこで伺いますが、観光庁並びに環境省といたしましては、自然景観を著しく阻害している廃屋の撤去も含めた国立公園の魅力向上とブランド化、これを今後どのように具体的に進めていき、もって新たな誘客の促進、これを図ろうと考えておられるのか、御答弁を願います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 観光立国推進基本計画では、当初、八つの国立公園から始め、現在、全三十四の国立公園に展開しております国立公園満喫プロジェクト、これを位置づけまして、サステーナブルツーリズムの推進等によって国立公園の魅力向上とブランド化を進めることとしておるところでございます。

 国立公園内の廃屋につきましては、国際観光旅客税を活用いたしまして、跡地活用を前提とした廃屋撤去をより一層推進していく所存でございます。地域とともに、魅力的な国立公園滞在環境の整備を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。

 また、新たに民間提案を取り入れた国立公園利用拠点の面的な魅力の向上に取り組むことといたしておりまして、宿泊と自然体験のアクティビティーが一体となった質の高い利用を官民連携で進めていくこととしておるところでございます。

 また、本格的なインバウンド再開を踏まえまして、国立公園の美しい自然の中での感動体験を柱とした滞在型、高付加価値型観光を推進し、国内外の誘客促進に貢献してまいりたいと考えておるところでございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今日は、観光庁と環境省ということでしたが、代表して環境省にお答えをいただきました。

 国立公園の四季に応じた自然環境というのは本当にすばらしいものがございまして、これは国内の皆さんも本当に実感していただきたいと思いますのと、海外の皆さんに是非やはり体験を実感していただきたい。やはり、コロナが収まる中で、これから海外誘客が、地方部、いわゆる国立公園に本当に多く来ていただく、そこにおいて、やはり廃屋とか廃ホテル、これが残っているというのが本当にこの景観を著しく阻害している状況はあるなと思って、ここはやはり税を使って行っていただいた。

 私も環境省の政務官のときに、北海道の川湯温泉、さらには、青森県と秋田県にまたがります十和田湖においてのこの廃屋の撤去の状況を見させていただきました。非常に、これを環境省がやっているというのは、もう私、感動したのとともに、現地の地方自治体の皆さんとか観光協会の皆さんが非常に協力的に、かつ積極的に行っていただいておる、本当にこれは大事な施策だと思っています。

 撤去をした後に、さらにはやはりこれを再生していく、さらには活用していく、こういったところまで、ただ更地になったらいいというものでもありませんので、民間活力も使って、やはり再生から活用、もって国立公園のよさを本当に多く感じていただく。

 当然、保護と利用のバランスというのは、ここはもう絶対忘れてはいけないと思うんですけれども、そこを保った上でそういった方向に行き、より日本のよさ、国立公園のよさ、これを感じていただけるような環境を観光庁と環境省でおつくりいただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 続きまして、園児等送迎用バスの置き去り防止装置の推進状況について。これは国交省並びに四月からできたこども家庭庁、こういったところとの連携で進んでいただいていると思いますが、この推進状況について確認をいたします。

 皆様、いまだ記憶に新しいと思いますが、昨年の九月、静岡県の牧之原市の認定こども園におきまして、園児が送迎用バスに約五時間にわたって取り残され、熱中症で亡くなるという大変痛ましい事件が発生をいたしました。

 我が党といたしましても、このような事案は二度とあってはならないという思いから、政府に対して緊急の提言、これを行ったところでありますが、政府としても、関係省庁が集まっての対策会議を立ち上げていただきまして、バス送迎に当たっての安全管理の徹底について、その取組がまとめられたところでございます。

 具体的には、内閣府、厚生労働省及び文部科学省においては、関係府省令を改正しての送迎用バスへの置き去り防止装置の義務づけや置き去り防止装置の導入支援並びにその財源としての関連予算の計上、これは第二次補正予算でございましたが、行っていただきました。また、国土交通省においては、置き去り防止装置の仕様に関するガイドラインの策定を行っていただいたところでございます。

 そこで伺いますが、保育所や認定こども園を始め、障害児通所支援事業所なども対象とした送迎用バスへの置き去り防止装置の設置につきましては、現場において早急な対応が求められるのとともに、できれば全ての対象バスに設置されること、これが私は望ましいと考えております。現在、設置に向けての推進状況及び設置の完了の目標年度、これがございましたら御答弁を願いたいと思います。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の事案を受けまして、送迎用バスには安全装置を装備し、当該装置を用いて降車時の園児の所在確認をすることを義務づける改正府省令等を本年四月一日より施行をしております。

 安全装置の流通状況等も勘案をいたしまして、令和六年三月三十一日までの間、園児の見落としを防止するための代替的な措置を講ずることを可能とする経過措置を設けておりますが、遅くとも令和五年度末、つまり本年度末でございますけれども、それまでには安全装置の設置完了を想定をしているところでございます。

 さらに、政府といたしましては、熱中症のリスクなども勘案をいたしまして、可能な限り本年六月末までに装備するよう求めているところでございます。

 今後、適切な時期に導入状況等について把握をする中で、可能な限り早く設置が進むように働きかけをしてまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 この事案につきましては、本当に関係省庁が早く連携して対策会議を持っていただいて、そこには国交省も関わっていただきながら、その方向性をつくっていただいたなと思っています。さらには、昨年の補正予算においても、しっかりとした財源措置もされているところでございます。

 やはり、こういった事案はもう二度とないようにしていただきたいなという思いを強く持ちますのと、この設置につきましては、ブザー方式とセンサー方式というのがあるそうなんですが、私はもうブザー方式の非常に単純な形でいいんじゃないかなというふうに思うんですね。これを最終的には代替措置も含めて五年度末までにしっかりやっていきたいというところで、一つの目標年度を定めていただいた。加えて、その後に、やはり熱中症の期間までにということで、六月末までにしっかりと進めていきたいという御答弁をいただいたところでございます。

 今後、いわゆる対象の幼稚園、保育所、認定こども園等と市町村との連携の中で進んでいくんだと思いますけれども、是非、積極的にお進めいただきたいと思いますし、折々においてその推進状況、ここをしっかり確認していただきたいなと思います。

 幼稚園については文部科学省でもあるわけですけれども、今日はこども家庭庁に御答弁いただきましたが、そこも連携する中で、間違っても今夏においてこういった事案がまた出るようなことがないように、そこは願いながら、今回、その推進状況の質問をさせていただきました。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 三点目でございますが、鉄道駅における、つえを使用する利用者への介助についてお伺いをいたします。

 国土交通省は、平成二十九年の二月に決定されました、政府のユニバーサルデザイン二〇二〇行動計画を踏まえて、交通事業者による一定水準の接遇を全国的に確保し、高齢者、障害者等の移動の円滑化を推進することを目的に、令和三年七月に公共交通事業者に向けた接遇ガイドライン、これを策定をしていただいております。

 私は、日本が世界に先駆けて超高齢社会を迎える中、高齢者、障害者など、様々な移動制約者のニーズに対して、施設等のハード面と交通事業者職員によるソフト面による一体的かつきめ細やかな対応を行うこと、これは大変重要な取組と感じております。

 そこで、冒頭、確認いたしますが、このガイドラインでの接遇の対象となる者には高齢者及び身体障害者が入っておりますが、日常的につえを使用する高齢者及び身体障害者についてもこの対象に含まれると考えてよいのかどうか、ここをまず確認的に教えてください。

上原政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘の、国土交通省が策定いたしました公共交通事業者に向けた接遇ガイドラインでは、高齢者及び身体障害者を含めた対象者を明記しておりまして、日常的につえを使用する高齢者及び身体障害者も対象となっております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 高齢者、身体障害者には、日常的につえを使用する者も含まれるということを確認させていただきました。

 その上で、ここで一つ、私の同僚議員が相談を受けた事例を紹介をさせていただきたいと思います。

 この方は首都圏在住の六十歳の男性でございまして、小児麻痺により日常的につえを使用している障害認定二級の方であります。日頃は溜池山王駅まで通勤をしておりまして、東京メトロの職員は、乗降時にサポートをお願いすると、気持ちよく対応をしてくれるそうでございます。

 しかし、先日、岡山まで新幹線で出張するため、西船橋駅で切符を購入の際に、岡山駅で降りるときに介助をしてほしいと依頼をしたところ、車椅子の方の介助はできますが、つえの方の介助はできませんと断られ、受け付けられるのは車椅子と盲人の方のみと言われたそうでございます。

 また、当日、東京駅で乗るときにもう一度お願いをしましたら、車椅子に乗るなら介助をするということで、結局、この方は最終的に車椅子にわざわざ乗り換えて介助をしてもらったとのことでございました。

 私は、つえで歩くといっても、人によって障害の状況は様々で、特に電車の乗降はかなり危険を伴うため、介助を希望される方は一定数、これはおられるのではないかと思います。また、つえの方は対応しない、介助を希望するなら車椅子に乗り換えてというのも余りにもしゃくし定規的な対応で、やはり希望された方にはつえでの支援をしてよかったんじゃないかと思っております。

 いま一度このガイドラインに戻りますが、このガイドラインでは、「基本の心構え」の項におきまして、「接遇を実施するにあたっては、高齢者、障害者等の移動上及び施設の利用上の利便性及び安全性を確保するため、支援を適切に行うよう努める。」と書かれております。また、「対応の留意点」では、「利用者の要望を的確に把握し、利用者が何を必要としているのかよく確認することが大切。利用者の立場にたった対応を行う。」と示されております。

 そこで伺いますが、今紹介した内容はほんの一例かもしれませんが、国交省といたしましては、公共交通の現場においてこのような対応が生じないよう、また、誰もが安心して利用や移動ができる社会の実現に向け、いま一度、このガイドラインの目的も含め、各交通事業者に周知徹底していただく必要、これがあるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。御答弁を願います。

上原政府参考人 お答えいたします。

 公共交通事業者に向けた接遇のガイドラインでは、つえを使用する高齢者等から支援の申出があった場合には、速やかな対応を心がけること、原則として利用者の望む方法で支援することといった基本的な接遇の方法のほか、ホーム、乗換え時などの利用場面に応じた留意点等を記載しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、議員御指摘の事例も踏まえ、鉄道事業者に改めてガイドラインの目的を周知徹底するとともに、特につえを使用する高齢者や身体障害者に対してもガイドラインに基づく適切な対応が行われるよう働きかけてまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 確かに、このガイドラインは、各鉄道事業者に対して義務ではございませんので、このガイドラインに基づいてどういったマニュアルを作るかということだと思います。

 しかし、この方の事例を聞いていますと、東京メトロではやはり対応していただいていて、日頃からお仕事の中で気持ちよく対応してくれていると。今回の事例は、恐らく新幹線だと思いますけれども、様々な事由はあると思うんですが、つえをつかれていて、そのままで支援を希望される方には、やはり希望された方にはその対応ができるようなマニュアルというか訓練、これはあっていいのじゃないかなと。そこを、車椅子に乗り換えたら介助するというのは、余りにもちょっとしゃくし定規だったんじゃないかなというふうに私は思います。

 この方の感想を聞きますと、日頃やはりお仕事もされています。日常的に通勤もされている。ゆえに、車椅子に乗り換えてということで、最後は車椅子に乗り換えたんですけれども、やはりちょっと自尊心を傷つけられたという、こういったお話も聞いたところでございます。

 今後、本当に、このユニバーサルデザイン、さらには、あまねくいろいろな社会において、障害をお持ちになった方、高齢者の方々も自由に移動できる、こういった社会を希望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 本日は大変にありがとうございました。

木原委員長 次に、城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 今回も質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。今回も、斉藤国土交通大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、まず一つ目は、元国土交通事務次官の民間企業の人事介入問題からであります。

 四月十二日の本委員会の質疑におきまして、私から客観的な全省調査を要求しました。立憲民主党天下り総点検チームからも、国土交通委員会理事を通じて、天下り状況の確認が国土交通省にあったと思います。

 その後の国土交通省の対応状況について、まず大臣からお答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、立憲民主党天下り総点検チームへの対応についてでございますけれども、国家公務員法等の規定に基づきまして届出された情報等を基に、令和二年度から四年度までの間の、営利企業又は一般社団、財団法人の役員への再就職状況、国土交通省所管独立行政法人の役員への再就職状況、公益社団、財団法人の役員への再就職状況、国土交通省所管独立行政法人への現役役員出向の状況を整理の上、四月十三日に御提出申し上げたところでございます。

 また、前回の質疑以降の対応につきましては、前回のこの委員会における質疑も踏まえまして、質疑当日の夕刻、地方支分部局を含めた全ての国土交通省職員に対し、今回事案の経緯を含め、再就職規制の趣旨を周知した上で、規制の遵守を徹底したところでございます。

 その際、委員会での御議論も踏まえ、OBから何らかの働きかけを受けた場合には、再就職等監視委員会の監察官に直接届け出るよう明示的に伝えたところであります。

 また、従来の周知では、内閣人事局が作成する制度概要のみ記載された資料を添付しておりましたが、今回の周知では、再就職等監視委員会事務局が作成する、違反情報があれば直接再就職等監視委員会に提供するよう求めることや再就職等監視委員会の受付窓口が記載された資料を添付しております。

 これによりまして、現役職員が何らかの再就職規制違反の情報を有している場合は、第三者機関である再就職等監視委員会に通報されることが徹底されることとなります。

城井委員 大臣、規制の周知、遵守では足りません。

 今お触れになった点で一つだけまず確認しますと、内閣府のその再就職規制委員会に、では、国土交通省の関係で、これまでに通報があったんでしょうか、一度でも。お願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 今ちょっと持ち合わせておりませんので、後ほど御答弁させていただきます。

城井委員 お触れになるのでしたら、これまでの対応状況の確認は是非お願いしたいと思います。

 今の話もそうなんですが、後ほど詳しく聞きますが、この天下り総点検チームからのお問合せでお答えいただいた営利企業、一般社団、財団法人役員への再就職や、また、独法役員への再就職、そして、公益社団、財団法人の役員への再就職についてもそうなんですが、ポイントは、選ばれ方を確認したかどうかであります。

 これまでの国土交通省の調査では、現役職員は関わっていないからいいんだということにやはり聞こえてしまう状況なわけであります。

 この選ばれ方を確認したかという点で、以下、今ほど大臣からお答えいただいた点について確認します。

 まず、府省の権限やそして補助金など関連の深い営利企業、そして、一般社団、財団法人の役員への国土交通省出身者の再就職数、先ほどの令和二年度から四年度は、数字としてはこうでした。まず、令和二年度で四十一件、令和三年度で六十一件、令和四年度で四十七件でありました。

 大臣、このうち、省庁の許認可権限をちらつかせた天下りと疑われる事例がなかったか、国土交通省として調査をしましたか。

斉藤(鉄)国務大臣 今回、国家公務員法によってきちんと規定がございます、その規定に従いまして、そういう関与が疑われる場合にはきちっと報告をすべき、先ほど申し上げたとおりでございますが、そういう規定になっておりますということで、そういう場合があればきちんと報告されるもの、このように思っております。

城井委員 大臣、リストを是非いま一度見ていただきたいと思います。チェックする側、国土交通省のポストから、チェックされる側、つまり、業界団体などへのポストへと直接再就職をしているケースが大変多かったのが、このリストから分かります。例えば、自動車関連部局にいた官僚OBが自動車関連業界への再就職、海事関係の部局だった人が海事業界への再就職という形であります。

 さらに、このいただいたリストで分かりにくかったのは、大臣官房付に一度移った上でその業界への再就職となっている分は、その前の職歴を追えないため、我々からチェックが届かないわけであります。こうしたことも含めて注意が必要だというふうに考えます。

 このほかにも、一般の社団、財団法人ということで申しますと、今週発売の週刊誌でも指摘があるようです。国交省OBによる天下り要求音声の存在ということでありますので、こうしたことですと、調査や事実確認は不可欠だというふうに考えます。

 大臣、もう一つ御指摘を申し上げたいと思います。

 では、国交省所管の独法役員への再就職はどうかといいますと、令和二年度から四年度の間はありませんでしたという報告でした。一方で、国交省職員の所管独法への役員としての現役出向が、令和二年度は十七名、令和三年度で十三名、令和四年度で十四名でした。全部で十三の独立行政法人、そのうち、六法人は毎年役員として出向させて、七法人は、複数人、二人から三人を役員として出向させています。

 この状況を見ますと、役員の出向が常態化をして、それが省庁の権限をちらつかせた天下りの要因になっているんじゃないかというふうに思うわけですが、大臣、この点、国土交通省として調査をしましたか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど申し上げましたように、我々としては、現役職員に対してまず法令の趣旨を徹底したところでございます。

 その上で、今回の件に関しましては、現役職員に対しての何らかの働きかけがあったかどうかということにつきましては、朝日新聞から取材のあった三月二十九日から四月十日にかけまして、私から事務次官に対し、そして、事務次官から、技監、国土交通審議官、官房長、航空局長、官房人事課長に対し、また、航空局長から航空局関係幹部に対し、また、官房人事課長から関係が考え得る者に対して、それぞれ個別に確認をいたしました。

 その結果、OBに対する情報提供の依頼を含め、現役職員からの再就職のあっせん、また、OBから現役職員への働きかけ、そのいずれについても確認されませんでした。

 こういう形で、現役職員に対しての、考え得る範囲での調査をしているところでございます。

城井委員 全く考え得る範囲ではないですね。

 OBが省庁の権限をちらつかせて天下りに利用したのかということは、OBそのものに確認しないと確認できないわけであります。現役職員だけ確認をして十分だということにはならないということを改めて申し上げたいと思います。

 もう一つ確認します。所管の公益社団、財団法人役員への再就職数であります。

 令和二年度で七件、令和三年度で八件、令和四年度で十五件ありました。これらが、公益法人役員が国土交通省出身者の指定席になっていないかということ。省庁の許認可権限をちらつかせた天下りと疑われる事例がなかったか。国土交通省として調査をしたか。大臣、お願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 その点については調査をしておりませんが、先ほど来申し上げておりますように、まず、OBに対する調査につきましては、ちょっと原理原則論を申し上げますと、国土交通省OBが現役職員の関与なく行う知人への仕事の紹介や採用活動などは、既に公務を離れた予算や権限を有していない民間人としての活動であり、再就職のあっせん規制の対象外でございます。このため、OBが行う再就職のあっせんについては、国土交通省として調査する立場になく、また、権限も有しておらず、こうした民間人の活動に対する調査については極めて慎重であるべきと考えております。

 一方、そこに現役の職員が関与すること、これは法令違反でございます。このことについては、我々としてしっかり調査をし、また、その趣旨の徹底をしているところでございます。

城井委員 私から指摘を申し上げているのは、OBが関わって人事をねじ曲げるケースについて指摘を申し上げたわけです。今ほど申した、この公益社団、財団法人役員への再就職者も、やはり先ほどの一般社団、財団、営利企業と同様に、チェックする側からチェックされる側への直接再就職のケースがやはり見えてくるわけであります。こうしたことを調べていないということ、これは調査が不十分だというふうに考えますし、更に言えば、ルールがないから調べないということだったら、ルールは作ればいいというふうに考えるわけであります。

 さて、こうやってOBに対する規制のルールがないから起こったのが、先日からの元次官の介入でありました。民間企業の人事介入をした元国交次官の本田勝氏が、東京地下鉄の現在の代表取締役会長であります。この国土交通省の影響力を背景に民間企業への人事介入の働きかけを行った本田氏に、この東京地下鉄の会長の役割を預け続けるのは不適切であると考えます。

 空港施設の経営陣に本田氏は、私は有力OBの名代、OBを社長につければ、省として全面サポートすると語ったわけであります。官僚OBの特権意識にとらわれた、耳を疑う前時代的な発言であります。

 本田氏が山口元副社長を支えるために、別の国交省OBの同社役員二人を同社に送ってあると発言していたことも分かっています。名前の挙がった役員は辞任しました。民営化を計画する東京メトロの会長として、本田氏の資質にも大きな疑問を呈せざるを得ません。

 東京メトロは、全株式を国と東京都が保有しています。会長人事は閣議了解されています。斉藤大臣は、東京メトロの代表取締役の選定は国交大臣の認可を受けると四月七日の記者会見で述べました。国としてどう対応するのか。閣議了解をして代表取締役の選定を認可した国土交通省の責任をどう果たすのか。大臣、明確にお答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 東京地下鉄株式会社の代表取締役につきましては、会社法の規定に基づき、株主総会において選任された取締役から、取締役会において選定され、国土交通大臣の認可を受けることにより効力が生じる、こういうたてつけになっております。このため、まずは、今回の事案についての会社としての評価や判断を注視することが適切である、このように考えております。

城井委員 認可をした国土交通省としての調査がないというのがおかしいということを申し上げているわけです。

 これまでの現役職員に対する調査だけでは大変不十分だということを繰り返し申してきておりますが、この本田氏に関わっては、そもそも国土交通省は、本田氏が名前を挙げた元次官の二人から話も聞いていないじゃないですか、大臣。

 今回名前の挙がった元国交事務次官は、朝日新聞の取材に対して、昔は現役がやっていたが、法律上できなくなり、OBがやらざるを得ないと話しているわけであります。なぜ本田氏が名前を挙げた元次官二人を調査していないのか。OBをかばって事態を矮小化するつもりなのか。この点だけでも、国土交通省の調査は不十分です。

 大臣、どうするんですか、調査してください。

斉藤(鉄)国務大臣 本田元次官への聞き取りは、本来、国土交通省としては調査する立場になく、また権限も有していないものですが、本人が、国土交通省がサポートするなど、国土交通省が本件に関与しているという誤解を招きかねない発言があった、こういう報道がなされたことから行ったものでございます。

 その聞き取りで言及のあった二名の元事務次官につきましては、国土交通省の関与があった旨の誤解を招きかねない発言は確認されておらず、また、本田元次官からの聞き取りにおいても、国土交通省の権限に言及するといったような発言は一切ないとのことであり、聞き取りを行う予定はございません。

城井委員 調査、確認もなかったら、かばっていると言われてもしようがないですよ。

 大臣、今回の問題は、我々も、半分は冷静な目で見ているんです。官僚OBの再就職においても職業選択の自由は守らなければならないというのは当然だと考えるんです。高い識見がある官僚OBに有能な人材として頑張ってほしいと求める企業もあるでしょう。そこもいいと思うんです。

 問題なのは、選ばれ方です。省庁の許認可権限をちらつかせた天下りであります。放置すれば、利益誘導などが、官民の癒着につながってしまうわけであります。実際に、先ほど申したように、以前からOBが省庁の権限をちらつかせる問題の指摘があったのに、国が対応してこなかったというのが実情なんです。

 今回、この元事務次官による人事介入が発覚した以上は、大臣、OBのあっせんなどに対する新たな規制が必要です。国土交通省として、職員OBの振る舞いに対する新たな規制を設けるべきです。大臣、対応いただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 お尋ねの点につきましては、再就職等規制を担当している河野大臣からは、職員OBが現役職員の関与なく行う知人への仕事の紹介や採用活動などは、既に公務を離れた予算や権限を有していない民間人としての活動であり、これに関してどういった調査、規制ができるかということについては極めて慎重であるべきと考えておりますとの答弁がなされているものと承知しております。

城井委員 今の大臣の御答弁の対応ですと、結局、許認可権限をちらつかせるOBは野放しということになります。

 事実の解明や再発防止のためには、国土交通省の権限をちらつかせ、省の意向としてポストを要求した元国交省東京航空局の局長の山口勝弘氏、また、働きかけを行った元国土交通省事務次官の本田勝氏、本田氏への国土交通省の聞き取りで名前の挙がった元国交事務次官の小幡政人氏、そして安富正文氏の本委員会への参考人招致を要求したいと思います。

 委員長、理事会でのお取り計らいをお願いします。

木原委員長 ただいまの件につきましては、理事会にて協議をいたします。

城井委員 この件については、また改めて質問をさせていただきたいと思います。

 次に参ります。

 続いて、台湾周辺の日本船舶に対する安全確保の観点からの情報提供について伺います。台湾周辺の海域における日本船舶の安全確保のために、今よりも更に十分な情報提供を行うべきであるとの観点から、大臣の考えを伺います。

 台湾周辺の海域は、我が国の安全保障の観点はもちろんでありますが、経済面、貿易面、戦略上重要な価値を有する海上交通路、いわゆるシーレーンがございます。我が国にとっては、シーレーンの安全保障は大変重要、最重要の課題だというふうに考えます。最近では、台湾から、特に九州などに向かっての船舶で、半導体を連日運んでいる、こうした状況もございます。

 この台湾周辺の海域で、昨年八月にも中国軍が大規模な軍事演習を行い、台湾をめぐる情勢が緊迫化し、一部の貨物船や石油タンカーなどが軍事演習が行われている海域を避けて運航するという事案が発生しました。最近も中国軍の動きがあったところであります。当然、我が国の海運を担う日本船舶も、この船舶には含まれるわけであります。

 こうした事案を受けて、海運の現場を担う船員の皆さんからは、突然ミサイル発射や軍事行動が発生した場合に船舶の安全を確保できるのか心配だ、あらかじめ危険情報を提供してもらえるような仕組みが十分に機能していないのではないかと政府の取組を心配する御意見が寄せられています。大変重要だと思っています。

 そこで、伺います。航行中の船舶に対して情報提供を行うため、航行警報という仕組みがあります。これまでに中国軍が台湾周辺で大規模な軍事演習を行ったときに、この航行警報による危険情報の提供は行われたんでしょうか。大臣、お願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 その御質問にお答えさせていただきますが、ちょっと、いわゆる条約関係についてお話をさせていただきますと、海上における航行安全の確保を図るため、千九百七十四年海上における人命の安全のための国際条約、いわゆるSOLAS条約に基づき、射撃演習を実施する場合など、船舶の航行の安全に影響のあるときは、条約締約国である訓練実施国には、航行警報の発出等の必要な措置を講ずる義務があります。

 また、条約締約国である我が国は、我が国周辺海域を含め、広く太平洋西部において、広域的な航行警報の発出を担当しておりまして、訓練実施国から軍事演習等の情報提供を受けた場合など、船舶の航行の安全に影響のある事象を認知した場合には、条約に基づき、航行警報の発出等の必要な措置を講ずる義務があります。

 その上で、御質問、令和四年八月の台湾周辺における中国軍による軍事演習においては、射撃訓練を伴うことから、SOLAS条約に基づき、中国海事当局から航行警報が発出されるとともに、中国海事当局から海上保安庁に対して行われた事前の情報提供を踏まえ、海上保安庁として航行警報を発出いたしました。

 引き続き、海上保安庁としては、条約に基づき、適切に航行情報を発出してまいりたいと思います。

城井委員 もう一点確認します。

 中国軍による台湾周辺での軍事演習について、中国から我が国に対する事前の情報提供はそもそも行われたんでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、令和四年八月の台湾周辺における中国軍による軍事演習においては、射撃訓練を伴うことから、SOLAS条約に基づき、中国海事当局から航行警報が発出されるとともに、海上保安庁に対して事前の情報提供が行われました。

城井委員 大臣、この航行警報の仕組み、これが仮にあっても、突発的に発生する事案についての危険情報が提供がされなければ、海運現場の不安は解消されないのではないかということを大変心配をします。いわゆるミサイル発射ですとか軍事的衝突など、これはあらかじめ予測は難しいというふうに思います。他国からの情報提供がなくても守らなければならない場面というのがあるのではないかというふうに考えます。そうすると、現在の航行警報による情報提供では手が届かないケースがあるのではないかということを心配します。

 そこで、航行警報の仕組みに限界があるならば、何らかの新たな情報提供の仕組みを検討するべきではないかというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 SOLAS条約締約国においては、船舶の航行の安全に影響のある場合等には、航行警報を発出することとなっております。

 一方で、周辺国において、航行警報の発出や事前の情報提供を行わない場合もあるため、海上保安庁では、周辺国から航行警報の発出や情報提供がない場合においても、関連情報の収集を行い、船舶の航行の安全に影響があると考えられた際には、速やかに必要な航行警報を発出することとしているところでございます。

城井委員 これまでの仕組みに基づいての取組に対して、海運の現場からの心配の声でございましたので、今ほどの仕組みの徹底はもとよりでありますが、仕組みが手が届かない部分について、しっかり確認をしていただきながら、現場を支えていただくことを是非お願いしたいというふうに思います。

 続きまして、通告を一問飛ばしまして、福岡空港からの北九州空港へのダイバートについて伺います。

 資料として、新聞記事を皆様には配付しております。御覧ください。

 市街地にある福岡空港では、都心にある立地から、着陸できるのは午後十時までと門限が設けられています。このいわゆる門限に間に合わず、飛行機が出発地に引き返すケースが今年だけでも既に三件起きていて、福岡県などが解決策を検討しています。四月十四日には、北九州空港で受け入れる体制をつくるための検討会議が北九州市で初めて開かれました。

 北九州空港への行き先変更なら、出発地に引き返すよりは利用者の負担を軽減できるのではないか。特に北九州空港は二十四時間運用可能な海上空港で、深夜の騒音問題も解決済みです。現場の声を聞きますと、修理部品の確保ですとか降機後の交通手段の確保など、なかなかに大変だというふうには聞いています。具体的な対応を、やはり国の空港でありますから、国としても取り組むべきだというふうに考えます。

 具体的には、門限がある福岡空港や、また、九州で申しますと鹿児島空港もそうなんですが、そうした門限がある空港からのダイバートも念頭に、二十四時間運用可能な北九州空港を、いざというときの防災拠点としての役割も視野に入れた機能強化を行うべきと考えますが、この福岡空港からの行き先変更への対応改善について、大臣の見解をお聞きします。

斉藤(鉄)国務大臣 航空会社は、当初、目的としていた空港に着陸できない場合に備え、あらかじめ代替空港を選定しております。

 この代替空港の選定に当たっては、航空会社におきまして、本来の目的地までの距離、整備、グラウンドハンドリング等の体制、交通手段や宿泊先の手配の可否などを勘案し、決定されております。

 御指摘の事案につきましては、航空機を運航していた日本航空からは、北九州空港は、整備、グラウンドハンドリング等の体制や、夜間の交通手段や宿泊先の手配に課題があることから、当時は福岡空港の代替空港にはしていなかったものの、その後、北九州空港を標準の代替空港先として設定したため、現在は、実際に代替空港に着陸する必要が生じた場合は、北九州空港の受入れ体制次第で、北九州空港に着陸する可能性があると聞いております。

 一方、今般の事案を踏まえ、北九州空港の代替空港としての受入れ体制を検討するため、地元自治体や航空会社、交通事業者などで構成される検討会が立ち上げられ、先ほど委員がおっしゃったとおりでございます、国土交通省もこの検討会に参加しているところでございまして、引き続き、積極的にこの議論に参画してまいりたいと考えております。

城井委員 大臣、結局、航空会社や地元自治体は今頑張っているんですが、国は会議に参加したということしか今おっしゃっておりませんね。

 では、今回、そうした航空会社や地元自治体の努力について、どんなふうに後押しをしていきますか、具体的に。お答えいただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 実際、私も羽田に引き返したことがこれまでに三度ございます。そういう気持ちもよく分かります。利用者観点から、利用者にとって最もいい形になるように、空港事業者そして地元自治体、そして国も入って、そういう観点から、利用者目線で、しっかり、国として何ができるかということを、積極的に関与していきたいと思います。

城井委員 是非積極的な支援をお願いしたいというふうに思いますが、次の質問はそこにも関わる質問であります。

 空港業務の効率化、イノベーション技術の導入の促進、喫緊の人材確保策について伺います。

 空港現場における航空機の手荷物、貨物の搭載、降載や、出発機の牽引、誘導、清掃などのグラウンドハンドリング作業は、過去三十年とも五十年とも変わらない方法で行われているというふうに現場から聞きました。先ほどのダイバートで仮に行き先変更をした場合でも同様の作業が発生するということは、大臣御承知のとおりであります。空港によっては二十四時間交代制ですし、あらゆる天候下で屋外での作業が求められるなど、過酷さも伴います。体力的な厳しさも、職を離れてしまう一つの原因になっているというふうに聞きました。

 こうした背景を踏まえて、これまでにも国から、先端技術や無人車の導入、除雪作業の省力化に向けた支援などが実施されていますが、具体的にどれくらいの予算措置ができているんでしょうか。

 空港現場からは、調査や実証実験に時間が多く費やされ、実装段階に入ったものが少ない、実装が一部の大規模空港に限られ、人手不足が深刻な地方空港には恩恵が少ないとの声が届いています。現在の厳しい状況を踏まえれば、これまでの支援からもう一歩踏み込んで、国土交通省は、予算措置の大幅な増額、又は、措置方法の見直しを通じた調査研究段階から実装段階への速やかな移行によって、より多くの空港への展開をさせる取組が必要だと考えますが、大臣の見解をお願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 現在、国土交通省では、空港車両の省力化、自動化を含めたグラウンドハンドリング作業の効率化等に資する先進機器の導入支援に取り組んでおりまして、令和四年度補正予算及び今年度予算において十三億円を確保しております。

 また、グラウンドハンドリング作業の更なる効率化に向け、AIなどの先進技術や自動運転技術の社会実装を進めるため、今年度予算において二億円確保しているところでございます。

 国土交通省としては、引き続き、こうした支援を通じまして、空港のグラウンドハンドリング作業等の効率化に向けて、しっかりと取組を進めてまいります。

 それから、この機会を使わせていただきまして、二番目の質問、再就職等監視委員会への通報はこれまであるかという御質問に対しまして、国家公務員法の規定に基づき、働きかけ規制に関する国土交通省職員からの再就職等監視委員会への通報はこれまで実績はない、こういう報告を今確かめました。

城井委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

木原委員長 次に、谷田川元君。

谷田川委員 立憲民主党の谷田川元です。どうぞよろしくお願いします。

 まず、大臣所信を踏まえて、三月十日に私が、今年は何といっても東日本大震災から十二年、関東大震災から百年と節目の年でありますので、特に南海トラフ地震のような、もう九州から千葉の方まで津波の大きな被害が出た場合、建設機械が低地にあって、浸水地域にあったとしたら、もう復旧作業をしても、なかなか建設機械の調達には大変なことになる、この辺どうなんだという質問をしまして、お手元の資料、お配りしていると思うんですが、石井副大臣からはこういう答弁がありました。下線部分だけ読み上げます。

 高台に保管されている建設機械も含めて、直ちに稼働できるものを広い範囲から確実に調達できる体制を構築する観点から、日本建設業連合会や日本建設機械レンタル協会との間で、災害発生時における建設機械の調達に関する協定を結んでいるところでございます。

 こういう答弁をされたんだけれども、この協定を私、見せてもらったら、高台に建設機械をプールする話、一切ないんですよ。これは非常に不適切な答弁だと思いますが、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 三月十日の国土交通委員会における答弁に関し、議員に不誠実と受け取られた内容をこちらで準備したことにつきまして、おわび申し上げます。

 三月十日の答弁において、国土交通省が災害時の建設機械の調達について協定を結んでいる団体に加盟している大手のレンタル会社から、南海トラフ巨大地震などの大規模災害に対して、広域的に建設機械を調達することが可能であることをお答えしたものです。

 一方で、都道府県などの地域内で調達する建設機械については、地域にあるレンタル会社や建設会社の建設機械の保管場所の把握等に関する説明が不足していたと考えております。

 民間会社やレンタル会社が保有する建設機械の保管場所について、国土交通省では現時点で把握できていないため、まずは、これらの建設機械が高台など浸水想定区域外に保管されているかなどの実態を早急に把握し、建設機械の保管場所の在り方について、業界団体と意見交換を行ってまいりたいと考えております。

谷田川委員 今、最後に、業界団体と意見交換をしたいということだったけれども、ある地区だと、高台に建設機械を置くためには、その費用を公で持ってくれないか、国の方で持ってくれないかという意見を言ったという話も聞いているんですが、いかがですか、その辺については。

佐藤政府参考人 その点につきましても、業界団体と意見交換を早急に行ってまいりたいと考えております。

谷田川委員 もう三年以上たちますよね、例の、千曲川が氾濫して、新幹線基地が水浸しになって、新幹線がとても使えなくなってしまった。今、JRの中で、どこか高台に移転しようと検討はしているんだけれども、なかなか国交省との協議の間でうまく話合いが進んでいないという話も聞いております。

 あれでもう三年以上たっていて、とにかく、天災は忘れた頃にやってくるという有名な言葉がありますけれども、早い段階でこれをやらないと、危機管理の初歩というか大切なことは、やはり最悪を想定することですよね。

 ですから、大規模な津波が起きた場合、本当に建設機械がなくなっちゃったら大変な話なので、最後に大臣にお聞きしたいと思うんですが、大臣もそのような認識をお持ちで、何がしかの対策を取るということでよろしいでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 質疑を読ませていただきまして、確かに、御提案に対してきちっと答えていないということについては、不誠実と受け取られかねない答弁であり、申し訳なく思っております。

 その上で、建設機械を高台等浸水想定区域外に保管しておくことは大変重要である、このように思います。

 そのため、先ほど技術審議官が答弁申し上げましたけれども、まずは建設機械の保管場所の実態把握を早急に行うとともに、大規模災害発生時に迅速に調達し、速やかな復旧作業が進められるよう、保管場所の在り方等について業界団体と意見交換を行って、この議論を前に進めていきたいと思います。

谷田川委員 斉藤大臣から前向きな答弁をいただきましたので、是非よろしくお願いいたします。

 それでは、あと、先ほど公明党の中川議員も指摘されましたが、JRの対応について、ちょっと問題があることを私も指摘したいと思うんです。

 三月十八日に、京葉線の新駅、幕張豊砂駅が開業しました。三月十八日というのは、皆さん御承知のとおり、JR東日本は十円値上げしたんですよね。それはバリアフリーを整備するためという理由なんですよ。三月十八日に開業したその新駅が、何とホームドアがついていないんですよ。私はNHKのニュースを見てびっくりしました。

 これはJRの対応、問題があると思いませんか。いかがでしょうか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 バリアフリー制度はバリアフリー法に基づいて現在進めているところでございますが、バリアフリー法上、基本的に鉄道駅を新設する際にはバリアフリー基準に適合させる必要がございます。

 一方で、幕張豊砂駅を始めといたします京葉線の各駅のように、編成車両数の異なる路線が乗り入れており、ドアの位置が車両によって異なる駅におきましては、バリアフリー法上、ホームドアや可動式ホーム柵の設置は義務づけられておりません。

 なお、幕張豊砂駅におきましても、内方線付点状ブロックを整備することにより安全性を確保するとともに、エレベーターなどのバリアフリー施設は整備されております。

 JR東日本からは、二〇三一年度までにこの駅を含む京葉線全線でホームドアを設置する予定と伺っております。

谷田川委員 先ほど中川委員も、東京メトロはできたのにJRはできていないという話がありましたけれども、同じ日に東急新横浜線の新綱島駅が開業しているんですよね。ここはちゃんとホームドアはついているんですよ、もちろん東急は料金を上げたけれども。何でほかの鉄道会社はできるのにJRはできないのか、本当に疑問を持たざるを得ないんですよ。

 それで、斉藤大臣、同じ公明党の大臣で赤羽一嘉さんという立派な方がいらっしゃいました。今からもう四年ぐらい前になりますかね、れいわ新選組の木村議員の指摘で、車椅子の人が新幹線を予約しようとする場合、何と前日と当日は駄目だと、おかしいと思いませんかという、そういう質問をしたら、赤羽大臣は、けしからぬという話をされて、議事録にしっかり残したいと、そういう話になったら、何とその半年後にはJRはしっかり改善したんですよね。

 このJRの対応について、斉藤大臣がやはり政治家としてしっかりJRに対して強く要請すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今回の場合、この新しい駅がいわゆる地元の要望でできる請願駅であったということで、その地元自治体また周辺の企業が費用を負担して駅を造ったわけですが、その時点で、武蔵野線及び京葉線については、ほかの駅は全部ついていないんですね。そういうこともあって、当初から議論されなかったということでございます。

 しかし、委員おっしゃるように、せっかく新駅として造るのであれば、後から造るよりはるかに安いコストでできるわけですので、これから新駅を造る際には、ほかの駅がなくても、かつ、バリアフリー法上、これはホームドアを造るべきだという駅に適合していれば、新駅が整備される際には、バリアフリー法上のホームドアの設置義務がない場合であっても、設置について検討するよう鉄道事業者に働きかけてまいりたい、このように思います。

谷田川委員 恐らく、斉藤大臣の下に、これは、バリアフリーの料金を乗せる、十円上げるというのは、一年ぐらい前に国交省は把握しているわけですよね。その時点で、JRに対して、新駅にちゃんとホームドアを設置するだろうなということを確認して、大臣がそうしなきゃ駄目だと言ったら、恐らくJRでやったと思うんですよ。

 是非、大臣の強いリーダーシップを心から期待いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

木原委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会の一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 これからの世の中を見ますと、今回国土でいろいろ議論されています公共交通であるとか高速道路、そして次の空き家問題、これはやはり、高度成長したこの日本で人口が減少していく中で、若い方々に負担をお願いをしていくことが多々あると思います。

 財務省によれば、日本の現在の国民負担率は四六・八%、国民負担に財政赤字を加えた国民負担率は五三・九%となる見通し。国民は稼いだ収入の半分以上を国に納めるということになります。

 そのような中で、岸田政権の打ち出す政策は全て、財源として、増税や借金など、更なる国民負担を求めています。防衛費の財源は増税、少子化対策の財源は保険料値上げが予定されている中で、歳出削減や経済成長による税収をもたらす規制改革など、痛みを伴う改革が全く足りていないと我々維新は考えています。財源が必要になったら、取りやすいところから取って、自分たちの身や既得権益は守るという姿勢は、到底我々は容認ができないところであります。

 国民に負担を強いるならば、まずはそれを決める国会議員から始めるべきであり、既に約束している調査研究広報滞在費の改革ぐらいは政治家が、国民が負担をするならば、まずは我々がそういった身を切る改革をしなければならないというふうに考えますが、この旧文通費についての対応が一体どうなっているのか。昨年の国会中に既に案がまとまりましたが、与野党の約束を自民党が一方的にほごにした。

 岸田政権の中で国民負担をお願いしている大臣であり、かつ、与党に属する政治家の一人として、この問題を放置したままでよいと考えておられるのか、御意見をまずは求めさせていただきます。

斉藤(鉄)国務大臣 調査研究広報滞在費についての御質問ですが、議会政治や議員活動の在り方に関わる重要な課題であり、各党各会派において御議論いただくべき事柄であると認識しております。

 このため、国土交通大臣の立場からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

一谷委員 やはり、リーダーが姿勢を示さなければ皆さんについてきてもらえないというふうに思いますし、これから若い世代の方々に更に負担をお願いをしていく、まあ、これは全世代ですが、やはり少子化というのは加速していますし、これからのこの日本のインフラを守っていくにも、若い方に負担をお願いする中で、政治家が使っている百万円の領収書を添付する、これはそんなに難しいことではないと思いますし、これぐらいができないのに、大きな改革というのはできないのではないかというふうに考えますので、ここは一人の政治家として、腹を決めて実行していただけたらというふうに考えております。

 それでは、次の質問に行かせていただきます。

 沖縄県の宮古島付近で、十人の隊員が乗られた陸上自衛隊のヘリコプターが行方不明になりました。海上の捜索で、今六人の方が見つかったということをお聞きしております。また、その捜索が、水域約百六メーターということで、まさに命懸けで捜索に当たっていただいていると思います。自衛隊の方、そして海保の方には、私は最大の敬意を払い、また、亡くなった方には哀悼の誠をささげます。

 そういったことを大前提として、今日は、この海上保安庁のことについて少し質問を進めさせていただきたいと思います。

 新潟の柏崎市沖で、一月十八日朝、新潟海上保安部の巡視船が座礁し、動けなくなった経緯について、なぜ乗組員の人数を公表したのかということをお聞きしたいと思います。

 この「えちご」は、総トン数三千百トン、全長百五メーターですね。新潟の海保が有する五隻の巡視船の中で最大であり、ヘリも一機載せられるということが分かっています。この乗組員の数を公表するということは、他国に機密を公表するということになるのではないかというふうな考えを持っています。

 なぜ公表したのかという点と、この公表は、メディアが求められて公表したのかという点も併せて、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 海上保安庁では、海難が発生した場合には、広く国民に対し海難の概要等についてお知らせしており、委員御指摘の乗組員数についても、海難の被害規模を示すものとして、一般的に公表することとしております。

 一方で、海上保安庁の巡視船の事故に係る具体の公表内容については、当該巡視船が従事していた業務や今後の業務に与える影響など、個別の状況に応じて総合的に判断する必要があり、一概にお答えすることは困難でございますが、本件においては、乗船していた人数の公表が当庁の業務に支障を来すものではないと考えております。

 したがいまして、本件事案についても、当庁巡視船による事案でございますが、一般的な海難の対応として、海難の規模を示すため、当時、事故発生船舶に乗船していた人数も含め、事案の概要等について広報を行ったものでございます。

一谷委員 ただ、この公表が、最初は三十三人から、途中で四十三人に変わり、また最後三十三人に公表が変わったということなんですが、これはちょっと、公表してから、私は、ちょっとまずかったなというところで四十三人に変えられたのかというふうな考えをちょっと持ったんですが、この辺り、なぜこの人数が変わったのかというところを、お答えできたらお答えしていただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの件につきましては、本件事案に対応する中で情報が錯綜したことによるものであり、御指摘のようなことではございません。

一谷委員 分かりました。

 私としては、これ、他国に機密が分かってしまうので、積極的に公表する必要はないのではないかなというふうに考えております。

 それでは、次の質問に行かせていただきます。

 有事の際の防衛大臣が海保を統制する手順を定めた統制要領について御質問をいたします。

 なぜ指揮要領ではなく統制なのか。指揮の権限を防衛大臣に与えることができないのかという問いと、自衛隊法八十条二項は、内閣総理大臣による自衛隊の出動命令を規定した同条一項を設け、内閣総理大臣が、海保を統制下に入れた場合、政令の定めるところにより、防衛大臣に指揮させるものとすると規定しています。

 防衛大臣は政令の定めによって海保を指揮できるのに、なぜ統制でお茶を濁すのかというところをお聞きしたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊法第八十条第一項におきましては、内閣総理大臣は、防衛出動等を命じた場合におきまして、特別の必要があると認めるときは、海上保安庁の全部又は一部を防衛大臣の統制下に入れることができるとされております。

 そして、統制下に入れた場合は、同条第二項によりまして、政令で定めるところにより、防衛大臣に海上保安庁を指揮させる旨規定しておりまして、自衛隊法施行令第百三条において、防衛大臣の海上保安庁に対する指揮は、海上保安庁長官に対して行うものとする旨規定しているところでございます。

 このように、自衛隊法第八十条によって海上保安庁の全部又は一部を防衛大臣の統制下に入れた場合には、防衛大臣は海上保安庁長官に対して指揮を行うことになります。

一谷委員 私の認識が違うのかも分からないんですが、軍事上は、指揮と統制は違うというふうに思います。C2、コマンドとコントロール、意味が違うと思うんですが、これが一緒なのか違うのかというところの説明を求めたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、指揮とは、我が国国内法の用例では、職務上の上司がその下僚たる所属職員に対して職務上の命令をすること、又は、上級官庁が下級官庁に対してその所掌の事務について指示又は命令をすることを意味しているとされているところでございます。

 また、統制とは、必ずしも確立された定義があるわけではありませんが、例えば、ある組織を指揮監督下に置くことを意味する場合で使われている場合もございます。

 いずれにいたしましても、自衛隊法第八十条によって、海上保安庁の全部又は一部を防衛大臣の統制下に入れた場合には、防衛大臣は海上保安庁長官に対して指揮を行うことになります。

一谷委員 それでは、確認の意味を込めて次の質問をさせていただきたいんですが、統制にとどまれば、いざ有事となったときに、自衛隊と海保の連携が十分に果たせないのではないかというふうに考えますが、そうではないというふうな意思でよろしいんでしょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 重大な緊急事案におきまして、自衛隊と海上保安庁の通常の協力関係では効果的かつ適切な対処が困難な場合に、自衛隊法第八十条に基づいて、防衛大臣が海上保安庁を統制下に置き、海上保安庁長官に対して指揮を行うことで、効果的かつ適切に対処していく必要がございます。

 その上で、海上自衛隊と海上保安庁は、平素から情報共有、連携に努めているところですが、武力攻撃事態における対応も含めて連携を強化することは、厳しい安全保障環境の中であらゆる事態に対応する体制を構築する上で極めて重要であると考えております。

 新たな国家安全保障戦略におきましては、「有事の際の防衛大臣による海上保安庁に対する統制を含め、自衛隊と海上保安庁との連携・協力を不断に強化する。」とされているところでございます。

 こうしたことから、自衛隊法第八十条に基づく武力攻撃事態における防衛大臣による海上保安庁の統制要領は、現在、作成に向けた作業を実施しているところでございまして、引き続き作業を進めるとともに、共同訓練において検証していきたいと考えております。

一谷委員 確認をさせていただきました。

 それでは、これがこの質問の最後になるんですが、海保長官は防衛大臣の統制について完遂する義務があると解釈しているかどうか、お伺いさせていただきます。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊法第八十条に基づき、海上保安庁が防衛大臣の統制下に入った場合には、防衛大臣の指揮に従って、海上保安庁法に基づき的確に任務を実施していくこととなると考えております。

 海上保安庁においては、引き続き、自衛隊を始めとする関係機関等と緊密に連携し、対応を行ってまいります。

一谷委員 分かりました。ありがとうございます。

 それでは、先ほども他の委員から質問があったんですが、次は、台湾有事について質問をさせていただきたいと思います。

 政府は海保を在留邦人の輸送として活用していくことを検討しているかということをお聞きしたいのと、それに当たって赤十字との調整は行っているのかということについてお伺いをさせていただきます。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 海外に渡航、滞在する邦人の保護は政府の最も重要な責務の一つであり、平素から、在外邦人の保護や退避が必要となる様々な状況を想定し、必要な準備、検討を行っております。

 有事における我が国の個々の対応や計画について個別具体的にお答えすることは差し控えますが、日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、外務省としていかなる事態にも対応できるよう万全を期してまいりたいと考えております。

一谷委員 分かりました。

 それでは、やはり邦人輸送には自衛隊を活用するということも、人数もありますので、必要になってくるのではないかと思うんですが、その際に、受入れ国の同意が必要だというふうに考えます。

 この場合、台湾の同意でいいのか、一つの中国を尊重する日本政府として、それで可能なのかどうかを参考人の方にお伺いいたします。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 有事における我が国の個々の対応について、個別具体的な国、地域名を挙げてつまびらかにすることは、事柄の性質上、差し控えますけれども、いずれにせよ、邦人の安全確保に万全を期す考えでございます。

一谷委員 分かりました。

 それでは、次は、在留邦人の輸送への自衛隊活用には、ジュネーブ条約第一の追加議定書六十七条に問題も出てくるのではないかというふうに考えますが、この点はいかがでしょうか。輸送に使ってしまうとその他の業務に当たれないというふうに考えますが、お答えいただけたらと思います。

片平政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のありましたジュネーブ諸条約第一追加議定書第六十七条1には、文民保護組織に配属される軍隊の構成員及び部隊について、紛争の間他のいかなる軍事上の任務も遂行しないこと等を条件として、尊重され、かつ、保護されることを規定しております。

 自衛隊が在留邦人等の輸送等に当たるか否か、また、そのような活動の対応については、状況に応じて個別具体的に判断されるものでございますので、同条との関係についても一概にお答えすることは困難でございます。

 以上でございます。

一谷委員 分かりました。

 それでは、最後の質問に行きたいんですが、これは海保なら受入れ国の同意は必要ないのかというところと、一般に、諸外国は海保もコーストガードで軍扱いをしているのではないかと。日本政府は海保は軍ではないと主張しても、国際基準から受け入れられない可能性もあるのではないかというふうに考えますが、参考人の方のお考えをお聞かせください。

片平政府参考人 お答え申し上げます。

 海上保安庁は、海上保安庁法第二十五条に基づき、「軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」とされております。

 このため、海上保安庁においては、海上保安庁法第二十五条によって海上保安庁が非軍事的性格を保っていることを対外的に示しながら、これまで、海上法執行機関間の会合等に際して、海上保安庁は軍事組織ではなく法執行機関として活動していることを諸外国に説明してきているものと承知しております。

 外務省としても、国土交通省を始めとする関係省庁と連携しつつ、必要に応じて我が国の立場を発信していきたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 他国がどう思われるか。我々が海保は軍ではないと言っても、いや、それは軍だと言われてしまうことがないようにしていかなければならないのではないかなと思います。

 私は本当に、自衛隊の皆さん、私のきょうだいは医療従事者として災害のところに復興に当たったりしていますが、そこで本当に自衛隊の方が物すごく、災害のときの医療の分野であるとか救済のときに、やはり一番自衛隊の方が本当に命を懸けてやってくださっているという現場も知っておりますし、本当に、海保も人数が少ない中で日本の広い海域を守っていただいているということで、最大限私は敬意を払って今の質問をさせていただきました。ありがとうございます。

 それでは、次は全く違う質問をさせていただきますので、皆さん、退席をしていただいても結構ですので、よろしくお願いをいたします。よろしいですか。いていただいても大丈夫です、全く違う質問になりますけれども。ありがとうございます。

 それでは次、全く違う質問なんですが、やはり日本の大きな問題としても高齢化があり、高齢者の方をどう支えていくかという問題が非常に重要だと思いますし、独居の高齢者の方も増えていっております。

 その中で、サービスつき高齢者住宅というのはまさに国土交通省の管轄であると思います。現在、令和五年二月の段階で八千二百十一棟、このサービスつき高齢者住宅が建ち、部屋数は二十八万二千四百ということになっています。地域によってサービスつき高齢者住宅の建っている割合がばらつきはかなりあるんですが、高齢者の方の生活を支えているということは確かだと思いますし、これからの地域包括ケアシステムの中ではこのサービスつき高齢者住宅は非常に私は重要だと、現場にいながら、そう考えています。

 しかし、このサービスつき高齢者住宅は、私の認識では、少し軽度の方の住まいであるという認識があります、サービスがついておったとしても。自立の方も入っておられますし、要支援一、二ぐらいの方で、自らが買物に行ける、自らが生活を何とかヘルパーさんの手があればできるというふうな方の住まいだと私は思っているんですが、実際、自立支援を考えた場合に、このサービスつき高齢者住宅が建っているところが、とても、町の中ではなくて、買物に行くのに送迎してもらわなければならない、自立した生活を送れる立地のところに建っていないというのが現実だと思います。

 そこで、御質問させていただきたいんですが、これから更にこのサービスつき高齢者住宅を増やしていく中で、立地についてはどのように考えておられるのか、お聞かせいただけたらと思います。

木原委員長 答弁の終わられた政府参考人の方は退席されて結構です。

塩見政府参考人 お答えを申し上げます。

 サービスつき高齢者向け住宅は、その立地状況を令和二年度に調査したデータで見ますと、公共交通機関へのアクセスという観点から分類しますと、駅からの徒歩圏にあるものは三二%、駅からの徒歩圏ではありませんけれども、バスの利用圏にあるものが五〇%で、合わせると八二%は必要な生活機能を享受しやすい立地にあると思われますけれども、残りの一八%は駅やバス停から遠い立地というふうになってございます。

 高齢の方々の居住場所をどうしていただくかということは、各市区町村が地元のまちづくり方針、あるいは医療・介護サービスの提供体制、こういうものを考えながら適切に御判断いただくということが重要でございます。

 このため、私どもといたしましても、サービスつき高齢者向け住宅の立地に市町村の御意見、考えがより反映されやすくなりますように、国が整備費に補助を行います際に、各設置事業者から市町村に事前に意見聴取をしていただくということを求めてございます。

 市町村の方では、公共交通機関の利用のしやすさ、生活利便施設の利用のしやすさ、こういった観点から御意見を述べられているということでありますけれども、国といたしましては、個々に意見を求められた場合だけでなくて、あらかじめ考え方を公表するということによりまして、設置事業者の立地選択に、より市町村の意向が反映されやすくなるような、そういう取組を促しているところでございます。

 このほか、優良な取組事例といたしまして、事前公表の例を広くほかの自治体にも横展開することによりまして、事業者が高齢者に、より望ましい立地を選択されるように促してまいりたいと存じます。

一谷委員 今、八二%が立地条件のいいところにあるとお聞きして、ちょっと私は驚いたんですが、認識が大分私と違うなというところと、やはり私の感覚だけではいけないと思って論文や研究の文書を読むと、こういった問題は非常にあるというふうに聞いていますし、私も実感しているんですが、数字上は、でも、八二%が立地条件のいいところにあるということなんですね。そこはどういったあれで立地条件がいいようになっているのか、もうちょっと私も調べてみたいなというふうに思います。

 もう一つ、私は、このサービスつき高齢者住宅の問題点は、サービスつきですから、デイサービスやヘルパーさんのサービスが、ケアプランセンターも含めて、同じ経営の中にあって、コミュニケーションを図る、他者との交流を図る場合に、デイサービスを使ってくださいというふうに誘導されているような問題点もあると思います。

 ただ、ここは厚生労働の問題であるので、今回はそこではなくて、結局、このサービスつき高齢者住宅に公共のスペースがない、皆さんが集まって雑談をしたりとか、少しみんなで集まって食事をしようか、おやつを食べようかというような、そういった公共スペースが少ないのではないかな。ほとんどの施設で私は余り見たことがありません。

 もちろん、地域の方に開放してカフェを開いているというような、すごいすばらしいところもあるんですが、やはりそうすると部屋数が少なくなるという問題もあって、これは一千万までの補助が十分の一で出ているということなんですが、公共スペースをつくるということには出ていないのではないかなということと、今後こういった公共スペースというのをつくることがシニアの方の自立を促していくというふうにつながると思うんですが、どういうふうにお考えかを政府参考人の方にお伺いしたいと思います。

塩見政府参考人 御指摘の集会するためのスペースなどでございますけれども、御高齢の方が孤独、孤立を防ぐ居場所となるという意味でも非常に有効、有意義でございますし、また、入居されている方同士とか、あるいは地域の住民の方との交流、助け合い、支え合い、こういった活動の場となることを通じて、高齢者が生きがいを持ちながら安心して暮らせる環境を提供する上で非常に重要なものであるというふうに認識をいたします。

 このため、先生からも御紹介ありましたような補助制度によりまして設置を支援しているところでございます。

 これまでに整備をした事例の中には、集会スペースを有効に活用されまして、地域住民も参加できるようなサロンにしたり、交流イベントを企画したり、子供さんたちと触れ合えるようなたまり場にしたり、こういう優良な事例もたくさんあるところでございます。

 こういう優良な事例をより多くの設置事業者の方々に知っていただいて、集会スペース等をできるだけ設置していただきたいと思いますし、また、モデル的な取組に対しましては補助も行いまして、更に優良な事例をつくっていくということについても取り組んでまいりたいと思います。

 他方、入居を考えておられる方に対しても、そういう集会スペースでいい取組があるということを知っていただくということが、入居先を選択する上で非常に重要な要素になると思います。

 設置者側が入居者から選ばれるような施設、サービスつき高齢者向け住宅を造るように、入居を検討されている方に対する情報提供、こういうものについても考えてまいりたいと思います。

一谷委員 利用される方が選べるだけ地域にサービスつき高齢者住宅があればいいんですが、ない場合もあると思いますし、ここは制度でできるだけそういった公共スペースを造って、過剰な介護サービスで介護度の度合いが増えないように、本当に自立支援に即したサービスつき高齢者住宅になればというふうに願っております。

 次の質問は大臣にさせていただきたかったんですが、時間になりましたので、次回、またさせていただけたらと思います。

 本日は誠にありがとうございました。

木原委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 国民民主党の鈴木敦でございます。

 今日も、公共事業についてのいろいろな議論を聞かせていただきまして、非常に重要なことで、私たちの生活に最も密着した部分でもあると思いますし、その責任は重いと思います。必ずしも、必要に応じて造られて、将来にわたってその価値が維持されていくというものを算出するのは非常に困難だと思いますが、一方で、今はいいと思って橋を架けたけれども将来それが役に立たないだとか、あるいは、バイパスを造ってしまったけれども出入口がないのでまたいだ部分がだんだんだんだん衰退してしまったとか、こういった事例は枚挙にいとまがないと思いますけれども。

 こういった公共事業を今、どんどんやっていくのは非常に重要なことなんですが、一方で、国もそうですし企業もそうですし、我々、生活もそうですけれども、入れた分利益が返ってこないと、事業採択はできないわけです。ですから、必ずしも、これは費用便益比と皆さんおっしゃっていると思いますけれども、これが一以上にならないと基本的には採択されないというのは当然のことなんですが、ここに、今の十万円は十年後の十万円の価値ではないということを加味しているのが社会的割引率と皆さんがお呼びになっているものであります。

 この社会的割引率を適用して、現在の価値と将来の価値とを計算に入れた上で、自分が投資した額と返ってくる額を計算していると思いますが、費用便益比が一を上回らない限り、基本的には公共事業として成り立たないと私は思っていますが、まずその認識を大臣に伺います。

    〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕

斉藤(鉄)国務大臣 社会的割引率と事業採択の関係という質問、御趣旨だと思います。

 国土交通省所管の公共事業の採択に当たっては、公共事業の効率性及びその実施過程の透明性の一層の向上を図るため、維持管理に係る事業、災害復旧に係る事業などを除く全ての事業を対象に、新規事業採択時評価を実施しております。

 この評価の実施に当たっては、基本的に、貨幣換算できる費用便益分析、いわゆるBバイC分析に加え、環境への影響や、災害時における人や物資の輸送の確保など貨幣換算が困難な効果、そのほか、事業実施環境や地元との調整状況など、様々な視点を踏まえ、総合的に評価を実施しております。

 一方、社会的割引率は、現在の価値を一とした場合、社会にとって将来その価値が幾らになっているか、換算する交換比率を意味しておりまして、BバイC分析に当たり、将来の費用や便益を現在の価値に換算するために用いているものでございます。

 このように、社会的割引率は、BバイC分析の実施に際して設定している一つの率ですが、公共事業の採択はBバイC分析のみで判断するものではないことから、公共事業の採択との関係性について、明確にこういう関係だというふうにはなかなかお答えできるものではない、こう考えております。ちょっと長々しゃべりましたが。

鈴木(敦)委員 とはいえ、費用便益比の分析をした結果、利益の方が高いだろうということにならない限り、事業は前に進んでいかないと思います。

 事前にお話を伺ったところによりますと、幾ら採算が合わないとはいえ、BバイCは一・一以上を確保してきたと私は聞いておりますし、認識しておりますが、必要に応じて、それ以外に貨幣換算できない部分で、利益が低いということは考えられると思いますが、利益がマイナスになるということは基本的にはあり得ないと思いますけれども、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 委員御指摘のとおり、BバイC分析のBは便益を意味しますけれども、この便益というのは、ある意味、貨幣換算できる価値を積み上げて計算しておりますので、これがマイナスになるということは考えておりません。

 ただ、BバイC、これは割り算ですから、これが一を下回るということは当然あり得ます。

鈴木(敦)委員 だから、BバイCが、じゃ、一を下回っている事業を採択した例はあるんですか。

佐藤政府参考人 令和五年度、三月に実施いたしました今年度の新規事業採択時評価、これにつきまして、直轄事業、補助事業、合計二百七十八件の事業評価を実施してございます。このうち、BバイCが一以下となっております事業は、実は二事業ございます。

鈴木(敦)委員 事前に御説明いただいたときは、そんなものは存在しないとおっしゃっていたじゃないですか。

 二事業あって、じゃ、それは具体的に何なのか、教えていただけますか。

佐藤政府参考人 二事業ございますけれども、いずれも、申し上げますと、地域居住機能再生推進事業という事業、補助事業でございますけれども、これが二事業、採択をされてございます。

鈴木(敦)委員 何かを造っているというわけではないようですけれども。

 BバイCが一以下になるということは、投資しても、その分のリターンが返ってこないと分析をしたもので、貨幣で。それ以外のものについての価値で事業を実施するべきだということが二事業しかなかったということだろうと私は思います。別にそれが、やるべきじゃないと言っているのではなくて、仮に一以下であっても、貨幣価値に換算できないものについては加味する必要がありますね。それは私も大事だと思います。

 ただ、これは事務方に伺いますけれども、では、社会的割引率、今何%でやっていらっしゃいますか。

佐藤政府参考人 社会的割引率に関しましては、現在、四%となってございます。

鈴木(敦)委員 国土交通省が出している資料によれば、全事業で、四%、社会的割引率を適用してやっております。道路や橋といった長期間使うインフラも含めて、大体五十年分ぐらいの費用便益を計算をされていると思いますが、四%にされた理由は何だったんでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 平成十六年の公共事業評価の費用便益に関する技術指針における社会的割引率の設定に当たり、事業評価手法検討部会において、社会全体の消費に着目し、直接的に、先ほど大臣が答弁いたしました社会的割引率、交換比率を推計する手法と、資金調達を考慮し、市場利子率を適用する手法が議論されました。

 当時においては、実務的に、前者の推計が困難であったことから、十年物国債の実質的利回りなどを参考に、社会的割引率を四%と設定しております。

鈴木(敦)委員 社会的割引率をめぐる議論は実は六〇年代からあったと私は承知しています。当時は、かんがいや洪水といった部分で指針を作っていて、かんがいで大体六%から七%ぐらい、洪水調整で五%というものが調整されたというのが、一九六七年の国土総合開発審議会の経済効果測定、この金利を基にしていると承知をしています。

 今おっしゃったように、平成十六年の指針で、当面の間四%とすると言われたまま現在に至っているわけです。これは二〇〇四年ですから、今から十九年ほど前になります。この間、この部屋の中では既に議員だった方もいらっしゃるので、どれぐらい長い期間だったか想像つかないかもしれませんが、平成十六年というのは私が高校一年生のときです。

 平成十六年に技術指針で四%を踏襲しますと言った、その数字を作ったのは平成十二年ですね。それで間違いないですね。

佐藤政府参考人 はい、間違いございません。

鈴木(敦)委員 平成十二年といったら、私は小学校五年生ですよ。私が小学校五年生のときから、国土交通省、当時は国土交通省じゃありませんけれども、建設省とかが作っていた社会的割引率四%のままずっと運用しています。当時は四%でよかったかもしれませんが、しかも、国債の利回り等を勘案してとおっしゃいました。

 平成十六年のとき、これは皆様に資料をお渡ししていますので、これが今ほど御紹介のあった技術指針の中身です。この表を見ていただければ分かるとおり、平成十六年に国債の利回り等を参考にしてといって、このときに十年間の平均と二十年間の平均を計算しています。最も古い数字は一九八三年、これは昭和五十八年です。私はもちろん生まれていませんし、何があったかといえば、昭和五十八年は「スター・ウォーズ」のエピソード6が公開された年ですよ。それぐらい昔からのデータを使って、現在の公共事業の社会的割引率の計算にいまだに用いられている。そのときと状況が、今、全然違うじゃありませんか。

 これを見直そうという議論があるのは承知していますが、今はどうなっていらっしゃるんですか。

佐藤政府参考人 社会的割引率を決めてから長い時間が経過しているのは、委員御指摘のとおりでございます。

 令和に入りまして検討委員会を設置し、この中で有識者の意見を聞いてまいりましたところでございますけれども、まだ結論を得ているわけではございません。

    〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木(敦)委員 では、事実関係を明らかにさせていただきますと、国債の平均利回りを参考にしつつということでした。

 直近のデータが財務省の報告にあります。令和五年の三月三十一日現在の国債の十年物の金利、幾らだか把握されていますか。

佐藤政府参考人 令和五年三月三十一日の十年物国債の金利は、〇・三八九%となってございます。

鈴木(敦)委員 財務省は、毎日毎日、金利をエクセルに落とし込んでホームページに公開しているんですよ。だから、遡れば、十年物だろうが二十年物だろうが自分で計算できるようになっています。是非とも皆様には一目見ていただきたいと思いますが。

 この十年物の金利がゼロ%以上、一を上回っていたのは二〇一〇年だけです。それ以降ずっとゼロ%台が続いていますし、これは名目金利です。実質金利になって、GDPデフレーターを適用すれば、マイナスになっているはずです。

 ということは、この利回りを参考にして社会的割引率を計算しようとしたら、恐縮ですけれども、これは何%の乖離が存在しますか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 直近二十年の十年物国債の実質利回り、これは名目利回りからGDPデフレーターを引いた数字になります。過去十年間、二〇一三年から二〇二〇年を計算いたしますとマイナス〇・四六%。二〇〇三年から二〇二〇年を計算いたしますとプラス〇・九六%となります。

鈴木(敦)委員 ですから、もうこの社会的割引率の適用に国債等の利回りを参考値としてやるのであれば、四%というのは実態に合わない数字になっているわけです。

 もう既にマイナスに近い状態になっていますし、例えば、これは私の方で計算をいたしました。先ほどの令和五年三月三十一日を基準として、これは以前の十年間と二十年間の国債の利回りを計算しましたら、十年間の平均は〇・一三、二十年間の平均は〇・七四です。本来、社会的割引率の参考にしなければならないのは、こちらの数字なんですよ、昭和五十八年の数字ではなくて。

 これは再計算をすればすぐに分かる話なんですけれども、これをされない理由は何なんですか。

佐藤政府参考人 最初にお答えいたしました、社会的割引率を設定した平成十六年当時の考え方でございますが、当時は、国債の利率を参考としつつ、当時の費用便益の考え方においては、いわゆるリスクを考えないということで、委員が配付された資料の中にもその文言が書いてございます。

 一方、現在におきましては、例えば、地球温暖化により、外力が増加し安全度が低下するといった将来への不確実なリスクというものがございます。

 これらを踏まえまして、委員御指摘のとおり、市中金利が減ってきている、低下しているということも事実でありますけれども、これらのリスクをどう評価するかということについても十分な議論が必要というふうに考えてございます。

 また、海外におきましても、様々な社会的割引率の計算方法が採用されているところでありまして、これらにつきまして、現在、調査研究を進めているところでございます。

鈴木(敦)委員 海外においての事例はいいんです。別に日本のことは日本で考えればいいと思いますし、それに、様々なといっても、ラムゼー式を始めとして二、三種類しかありませんから、そんなにたくさん考慮しなければいけない状況には私はないと思います。

 今おっしゃったとおりであれば、これが、当時はリスクを想定していなかったと。それはそれで結構ですが、では、技術指針すら書き直していないのはなぜなんですか。今は、これは、平成十六年当時の技術指針を使って、当面の間四%とする、必要に応じて見直しを行うという文言まで入った技術指針を作ってから十九年放置している理由は何ですか。

佐藤政府参考人 その間、いろいろな社会情勢の考え方の変化及び、先ほど申し上げたとおり、技術的な新たな知見などございまして、これらにつきまして、現在、研究調査の方を進めているところでございます。

鈴木(敦)委員 ちょっと大臣に伺いたいと思いますが、この四%で運用してきた間、いろいろなこと、確かにありました、局長が今言ったとおり。この間に、四%の割引率で計算したことによって、どれぐらいの数の公共事業ができなかったと思いますか。橋や道路の将来にわたっての価値を四%で計算してしまったせいで、特に少子高齢化があったり工期が延びたり、いろいろな要因はありますけれども、社会的な割引率がもっと低ければ、もっと公共事業ができて国土強靱化が実現できたと、大臣、思いませんか。

斉藤(鉄)国務大臣 社会的割引率の本来の意味は、もう委員が最初おっしゃったように、例えば、十年後の社会インフラの価値が、今を一として大体どのぐらいになっているか、割引率ですから、一年後どうなっているか、それを四%減じる、こういう意味です。

 今議論を聞いておりまして、確かに、本来の社会的割引率ということに対して、市場金利を使っていくということはなぜなんだろうかと、私自身考えながら聞いたんですが、なかなか正直申し上げて理解できなかったんです。だから、この社会インフラが一年後にどういう価値を持っているかという本来の姿に戻してBバイCを計算すべきだという委員の御意見はよく理解できるところでございます。

鈴木(敦)委員 これで、例えば、年間一億円稼ぐ建物を五十年間の価値で割り戻そうすると、将来、五十億円もうかるわけです。じゃ、この建物を、五十億円稼ぐ建物を幾らで造ればいいのかというときに、社会的割引率が利いてくるんですよ。これは、四%でどんどん価値が減少していく建物を造ると、二十億円弱ぐらいじゃないと建てられないんです、五十億円のものが。でも、これが二%だったら、もっと安い金額で造れるし、もっと採択しやすくなるんです。

 橋を造ったり、道路を造ったりというのは、これは、一九八三年当時に造ったものは、我々も、僕らの世代も使っていますからね、ずっと長いこと使えるものなんですよ。だから、やるべきものはどんどんどんどん運用するべきなんです。これは、橋や道路だけじゃなくて、トンネルもそうですよね。青函トンネル、第二を掘るとかと言っていますけれども、そういうときのものは、四%で計算するのではなくて、別の考え方で、もう社会の構造が変わっているんですから。八三年は、私、知らないんですよ。当時は、でも、皆さん、知っていますよね、日本が元気だったかと思います。私は、記録映画でしか見たことがない。でも、その頃の金利で今の日本経済とか社会的インフラの整備を考えるのはもう無理だというのが、私の世代の考えなんですよ。

 だから、この点は大臣も是非受け止めていただいて、この議論、すぐにやっていただきたいんですよ。どうしても、局がやろうとすると、年間二、三回ずつの会合を何年かに分けてやって、結論が出た頃にはもうかなり遅くなっていたりするんです。だから、これは、大臣主導で、社会的割引率の再検討、場を設けていただいて、少なくとも費用便益分析の技術指針は書き直していただかないと、十九年もずっと、今後は、当面と言い続けていること自体が私は間違っていると思いますので、この議論は続けさせていただきたいと思います。

 最後に、この議題について聞きますが、昔造った橋、昔造ったトンネル、当時、例えば、私の地元にも橋が通っていますけれども、あの頃、鼓笛隊と一緒に、私、一番乗りで橋を渡ったものですが、今も昔も、東京と神奈川をつなぐ非常に大切な橋になっています。この橋は、世代間で価値がやはり違ってきますよね。昔は、自転車で通っていた人が、今は車で通っていたりすると、利便性の価値というのは違ってきます。これはまさに、貨幣価値に換算できない議論になります。

 なので、イギリスですとかフランスはやっていますが、時間に応じて社会的割引率をどんどん低減させていくという考え方、長く使うものなんですから。五十年で計算していますけれども、例えば、じゃ、今、JR東日本の東海道線、何年たったか、百五十年ですよ。最初に投資した分からプラスになって、いろいろやっていますけれども、五十年で計算したわけじゃない。もっと長く使えるし、もっと多くの人が使えるようになった。

 だから、世代間で価値が変わってくるので、時間低減で、社会的割引率をもっと更にがくっと下げるような仕組み、これも併せて導入すべきだと思いますが、これは、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 まさに、このインフラが何年後にどういう価値になっているかというのは、言葉だけだとすぐ理解できるんですが、じゃ、実際にそれを数字で表してみろというと非常に難しい。そして、今委員おっしゃったように、各年代によってもその価値を見る目が違ってくる、こういう観点を入れて社会的割引率を考えていくべきではないかという御主張は、非常によく理解できます。

 この点につきまして、しっかりと調査研究を国土交通省でもやっていきたい、このように思います。

鈴木(敦)委員 これは、先ほど御答弁いただいたときもそうですけれども、是非これは議論をちゃんと続けていただいて、形にしていただきたいと思います。私たちの子供の世代、孫の世代に何を残すかという議論をするときに、公共事業、実は社会的割引率で計算していてできないんだよねといって、それ、何の世代といったら、君のお父さんよりも上の世代の金利で造っているんだというようなことは子供にはとても言えないと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 では、次に、社会的割引率にも関連しますが、それを使ってやる公共事業について伺いたいと思います。

 これは、余り議論されていないように思われるのですが、北海道新幹線が全線開通するのは間もなくでございます。これは、令和二十七年ですから、三〇年度、あと七年ぐらいで開通すると思われますけれども、それに伴って、函館から札幌までの間、新幹線が開業すると、上下分離で、下の並行在来線は、今議論になっているところであります。これが、百四十七・六キロあります。今、北海道庁とJR北海道、そして北海道のJR貨物で、三者の議論を継続していると承知していますが、まず、この路線、どういうものと認識されているかを伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 この路線をどのように認識しているかということでございますけれども、二つの区間がございます。まず、函館から長万部、いわゆる海の側を通っていて海線と言われる。長万部から小樽を回って札幌まで、小樽までですね、ここは山の中を通るので山線と言われております。

 山線につきましては、地元の協議が調って廃線にするということになっております。海線の方につきましては、貨物列車が通っております、いわゆる基幹ネットワークの一部を成しております。

 そういう意味で、この海線については、農産品の輸送など、北海道と本州を結ぶ貨物鉄道輸送を担う重要な路線でもあり、我が国の基幹的鉄道ネットワークの一部を形成しております。そのため、その在り方については全国的な観点からも検討していく必要があると考えております。

 国土交通省、北海道庁では、JR貨物、JR北海道も加えて、今、意見交換を実施しておりまして、今後の具体的な対応方策について今議論を進めているところでございます。

 基幹的区間だという認識でございます。

鈴木(敦)委員 その視点が非常に重要でして、札幌―長万部がもし仮に線路がなくなってしまうと、鉄道輸送が一切できなくなるんですよ。線路を持っているのはJR貨物ではなくてJR北海道ですから、JR北海道がもう経営しませんという話になれば、線路がなくなるんです。

 山線は、おっしゃったとおり、バス転換が実現します。でも、あの区間には貨物列車は通っていないんです。だから、問題ないんです。ただ、海線については、ここは貨物列車が通っていて、何に重要かというと、これは防衛上も問題なんですね。いざ何かというときに、列車で様々な物資を輸送することもできなくなるし、平素から物を輸送することもできなくなります。

 そして、これは懐かしい話になるかもしれませんが、今から十二年前ですね、東日本大震災が起こった際に、被災地でコンビナートが被災をして、ガソリンが足りなくなりました。その際、どうしたか。JR東日本は、全力で全国から機関車を集めてきて、鉄道でガソリンを運んだんですよ、貨物列車で。それも、在来線ではなくて、貨物のネットワークを使って日本中から運んだ、電気機関車でですね。旧型の機関車でしたけれども、廃車するというものにむちを打って、全国から持ってくる。それが可能だったのは、線路がつながっていたからだったんです。

 この百四十七・六キロがもしなくなってしまうようなことがあると、もし仮に、北海道でエネルギー不足が発生した、地震があってブラックアウトした、物資が緊急に必要だというときに、航空機以外の手段がなくなってしまうんですよ。だから、大臣がおっしゃるように、基幹ネットワークの一部というのは国としてしっかり位置づけておいていただいて、この協議の中にも積極的にその文言は含めていただいた方がいいと思います。

 私が電車が好きだからこう言っているわけじゃありませんが、この鉄道については、一本しかない路線をどうやって維持するか、現実的な解決策を見出していただきたいと思います。

 とかく、今、鉄道ファンの間では、貨物新幹線を造るんだとか、いろいろな夢のような話が出ているんですけれども、現実的に可能なのは、恐らく、その線路だけを何かしらの形で残した上で、並行在来線はなくすのかそのまま走らせるのか分かりませんが、貨物はとにかく通すという方向で持っていくことになると思いますので、是非方向性は持ち続けていただきたいと思います。

 鉄道関連でもう一問聞かせていただきたいんですが、もう東京都内ではかなり解消されていると思いますけれども、開かずの踏切というのがずっと問題になっていました。昔は私、中央線なんかでも、よく、開かずの踏切、三十分、四十分待たされていましたけれども、実は、私の地元でまだあるんです。四十分以上、子供たちが列を成して、通学路なものですから、開かずの踏切がいまだに残っているんですけれども。

 これについて、踏切カルテというのを国交省さんは作っていらっしゃるのを承知しています。非常によくできていると思います。スペックが書いてあって、どういう法律にひっかかる開かずの踏切であるか。

 自治体に解消を促してはいるんですけれども、そのカルテを見ると、実は非公表とかになっていたり、歯抜けになっていたりとかするんですね。これが千三百ほどあると承知していますが、これはちゃんと更新をして、実態に即したカルテになっていないと、カルテと呼ばないんですよ。身体測定したときのままでお医者さんに診てもらう人はいませんので、しっかり、カルテというのは、常に点検をして、実態を表すものにしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 踏切道において、自動車や歩行者などの安全で円滑な通行を確保するというのは非常に重要でございます。

 このため、国土交通省では、開かずの踏切など緊急に対策の検討が必要な踏切について、踏切の遮断時間や事故の発生状況、通学路の指定の有無、対策の実施状況などを記載した踏切道安全通行カルテを公表しております。

 現在、全国の千三百三十六か所の踏切につきましてカルテを公表しており、対策の実施状況などを毎年更新することを通じて、踏切対策の進捗状況の見える化に取り組んでおります。

 また、対策の検討熟度が上がった箇所については、改良すべき踏切道として指定し、地方自治体や鉄道事業者に対して支援を行うとともに、対策完了後は効果の評価を行うなど、踏切対策のPDCAの強化を図っているところです。

 国土交通省としては、カルテを作成、更新する道路管理者や鉄道事業者に必要な事項の記載や適切な更新を促し、踏切対策の進捗が図られるよう、これからもしっかり取り組んでまいりたいと思います。

鈴木(敦)委員 開かずの踏切を解消するためには、鉄道事業者がダイヤを改正するとか、あるいは、道路管理者がそこを連続立体交差にするとか、そういったかなり時間のかかる作業ですので、全国三万以上ある踏切の中で千三百を抽出してカルテを作っていただいていますから、これは、そんなに毎日毎日更新しなくちゃいけないものじゃないと思います。多分、これが解決するのには、もう何年、何十年の世界で変わってくるので、その進捗を管理するというのはそんなに大変なことじゃないと思いますので、是非実態に即したカルテの運用をつくっていただきたいと思います。

 では、次に、地震について伺いたいと思いますが、首都直下地震対策本部というのは改組されて、今は防災・減災対策本部になっていると思いますけれども、直近の会議内容について御説明をお願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 切迫する首都直下地震に対して、国民の生命、財産を守っていくため、国土交通省の総力を挙げて対策に取り組んでいっているところでございます。

 このため、国土交通省では、平成二十五年に首都直下地震対策本部を設置いたしまして、平成二十六年四月に首都直下地震対策計画を策定し、平成三十一年一月には、熊本地震などの対応も踏まえ、計画の改定を行いました。

 このような中、毎年のように様々な自然災害が発生していることも踏まえまして、地震、風水害などあらゆる自然災害に対し、総力を挙げて対策に取り組むべく、首都直下地震対策本部などを発展的に統合し、令和二年一月に国土交通省防災・減災対策本部を設置いたしました。

 今後とも、防災・減災対策本部において、あらゆる自然災害の対策を議論し、国民の命と暮らしを守るため、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

鈴木(敦)委員 ということで、首都直下地震対策本部がなくなった理由は、そういうことであります。だから、発展的な解消というか、改組されているわけですけれども。

 これは最後に改定されたのは平成三十一年の四月、御説明があったとおりですけれども、その頃はまだコロナがありませんでした。その計画の中に重点テーマというのが挙げられていて、重点テーマの中には、東京オリンピックのレガシーというコーナーがあったりするぐらいのものです。それがいまだに改定をされていない。

 これは事務方に伺いたいと思いますが、一つは、これは分かればの話で結構ですけれども、もし仮に避難所を開設するときに、感染症についての記載があるのかないのか。恐らくないと思うんですが、あるのかないのか。

 そして、もう一点は、そのとき、いろいろなテーマがアドバイザーからあったんですけれども、一つは、高速道路の運用について。首都高速が混雑しているときに大地震が発生したら、じゃ、車を上から下ろすのか、それとも車をそこに捨てて人だけ避難させるのか、これは問題だということがそのときも指摘されていました。今も議論されていると思いますけれども、結論が出たのであれば、その二点、教えてください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、高速道路の方から、私の方からお答えさせていただきます。

 首都直下地震が発生した際には、救援、救護活動、緊急物資の輸送に当たる緊急車両の円滑な移動のために、道路啓開による緊急輸送道路のルートを確保するということは、東日本大震災の教訓を踏まえて重要であるというふうに考えております。

 委員御指摘の平成二十六年の国土交通省首都直下地震対策計画の取りまとめを踏まえまして、各道路管理者と警察等の関係機関が連携いたしまして、首都直下地震道路啓開計画、これを平成二十七年に策定をしたところでございます。

 この計画におきましては、各道路管理者は、被災後、直ちに道路啓開候補路線の点検、また被災状況の把握、これを行いまして、その結果を踏まえて、高速道路、国道、都道の被災規模が比較的小さい区間を組み合わせて、被災後四十八時間以内に各方向最低一ルートは道路啓開を完了し、緊急輸送ルートを確保するということを目標としております。

 お尋ねの首都高速道路の一般車両への対応についてでございますが、警察と連携いたしまして、緊急輸送ルートとなった首都高速道路におきましては緊急自動車専用というふうになりますので、通行止めを行いまして、一般車両につきましては、高速道路のパトロール車などの案内、誘導の下、都心部へ向かう上り線は直近の出口で排出をする、下り線につきましては郊外側へ誘導を行うということを基本としております。

 また、併せて検討したものでございますが、都心部の一般道路の話もさせていただきますと、これについては、関係機関役割分担の下、警察において、都道の環状七号線より都心方向への車両の通行禁止、また、国道二十号等の幹線道路を車両通行禁止、そうすることによりまして緊急輸送ルートを確保するということ、またあわせて、各報道機関に対しまして、都心部方面への車両移動と都心部での車両使用の自粛等について呼びかけていただくよう、警察庁、国土交通省から要請をするということとしております。

 国土交通省といたしましては、関係機関と連携をしながら、実動訓練を実施するなど、この問題については、引き続き、道路啓開の実効性を高める取組を進めてまいりたいと考えております。

岡村政府参考人 お答えを申し上げます。

 国土交通省の首都直下地震対策計画、委員御指摘のとおり、平成三十一年一月に改定をしたところでございます。

 当然のことながら、その当時の知見に基づいて立てた計画でございますので、新型コロナウイルス感染症対応についての記載はございません。

 避難所等の運営に当たって、コロナの対応は必要だというような御指摘、ごもっともだと思います。それらにつきましては、関係省庁と連携を図って進めてまいりたいと考えております。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 最後の質問にしますけれども、今ほどいただいた、例えば避難所の感染症対策というのは当然なんですよ、ないのは当然なので、今後改定していただかなければいけませんから、防災・減災対策本部で議題に上ることになると思いますし、それがすぐに上って議論されるべきだと私は思います。

 道路についても、今ほど御案内いただいたとおり、四十八時間以内に一ルートは必ず確保するということですから、いろいろな計画を立てた上で、最低限それしかできないという想定なんですよ。二日間かかって緊急車両用ルート一個通すのがやっとだ、それも頑張らなきゃできないというのが今現状のリソースなわけです。

 だから、今、この計画の中には、救難物資をどう輸送するかというときに、海を使うルートと、空を使うルートと、車を使うルートが想定されています。恐らく、車を使ったルートは多分、余り機能しないと思います。海を使ったルート、これは船を使いますから、津波がない限り、そして、港湾施設が動いている限り、何とかなると思います。航空機が一番安全ですが、運べる量に限りがあります。

 なので、これは一つ提案なんですけれども、先ほど、東日本の震災のときにガソリン輸送の鉄道の話をさせていただきました。鉄道輸送で救援物資を各被災地に運ぶという計画を立てるというのは可能なんじゃないかと私は思っています。

 というのも、貨物駅というのは、コンテナを取り扱う関係上、非常に広大な用地を持っています。空きコンテナを保管するヤードもあるので、貨物電車でコンテナごと救援物資を輸送して、各場所に置くことは可能だと思います。

 また、もう一つ、日本の鉄道網は元々戦争中に造られたものがほとんどです。内陸の工場で造った魚雷や砲弾を海の船に載せるために造られているので、例えば、横浜とか川崎とか、あの辺を通っている路線は、全部、海からの艦砲射撃を受けないぐらい内陸に造ってありますから、恐らく地震が起こって津波が起こっても安全な地域にしか線路が走っていないんです。これを運用しない手はないと思いますので、是非、貨物輸送、検討されるべきと思います。

 もう一点、今ほど高速道路の話をさせていただいたときに、東京から離れていく車は遠いところに誘導しますということでした。であれば、向こうに向かうルートは何とか動いているわけですから、陸上輸送の物品は、一般道ではなくて高速道路で少し離れた郊外のサービスエリアとかパーキングエリアに残置して、そこから被災した地域に向かって分配をするという運用方法が考えられると思うんですけれども、その二点、お考えを伺わせていただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 災害時における救援物資輸送のためのリダンダンシーの確保は、国民の命を守る上で非常に重要と認識しております。

 このため、国土交通省では、防災・減災プロジェクトなどにおいて、災害時の輸送ルートの確保や道の駅等の防災機能の強化などを位置づけ、救援物資の輸送体制の構築に取り組んでいるところでございます。

 貨物鉄道の御提案、また、パーキングエリア、サービスエリア等の集積地利用の御提案、このように位置づけ、救援物資の輸送体制の構築に取り組んでいきたいと思っております。

 今後とも、災害時に円滑な物資輸送を可能とし、国民の命と暮らしを守るため、御提案の趣旨も踏まえまして、国土交通省の総力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 ただ、一点だけ、道の駅というお話がありましたが、道の駅は一般道ですし、今ですら車中泊でいっぱいになっているという問題がありますので、災害発生時には恐らくキャンプ場のようになってしまいます。だから、集積地としては使えないと思いますので、改めて検討いただきたいと思います。

 終わります。

木原委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 五月八日から、新型コロナウイルスが季節性インフルエンザと同様に感染症法上の五類に移行されます。

 資料の一を見てください。これはイメージ図ですが、一つは、真ん中の緑の矢印、五月八日に一遍に元どおりになるわけではないということだと思うんですね。夏と冬の感染拡大を警戒している印であります。また、右下に、医療機関の体制ですけれども、外来が四万二千から最大六万四千に、あるいは、入院約三千から全病院約八千と移行するというふうな印があります。

 むしろ、受入れ先が増えるようにも見えますが、この図の趣旨を簡潔に説明してください。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナの感染症法上の位置づけの変更、これは五月八日を予定しております。この変更に伴いまして、医療提供体制につきましては、先生御指摘のとおり、これまでの限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による自律的な通常の体制に段階的に移行していくことを考えております。

 具体的には、外来につきましては、同じ五類感染症であります季節性インフルエンザ、これの診療医療機関数が約六・四万ございます。それを踏まえまして、広く一般的な医療機関による対応を行うこと。また、入院につきましては、全病院数が約八千二百ございます。これによる対応を目指すこととしております。

 移行に当たりましては、外来医療体制につきましては、これまで行っておりましたように、対応する医療機関名、これは引き続き公表する仕組みといたしましたほかに、受け入れる患者をかかりつけの患者様に限定している医療機関もありますので、そういったところは、地域の医師会とも連携して、患者様を限定せずに診療に対応していただくよう促していくこととしております。

 また、入院の医療体制につきましても、位置づけ変更前は病床確保料を取っていた確保病床を有している重点医療機関、これが約三千ございます。ここにつきましては、重症者ですとか中等症の2以上の患者の受入れへと重点化を目指すこととしておりまして、それ以外で、既に受入れ経験がある医療機関が約二千ございます。ここを中心に、新たに軽症などの患者の受入れを積極的に促してまいりたいと考えております。また、これまで受入れ経験がない医療機関についても、受入れをしていただけるように促していくこととしております。

 こういった方向性につきましては、今、各都道府県において、地域の実情に応じて、新たな医療機関における受入れ拡大の具体的な方針や目標などを盛り込んだ九月末までの移行計画、これを策定をいただいているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、こうした医療の体制、維持拡大を促す上で必要な設備整備等の支援のほか、診療報酬上の特例や病床確保料につきましても、一部見直しは行いましたが、当面の間継続することとしておりまして、身近な医療機関で受診ができる体制の構築というものを図っているところでございます。

高橋(千)委員 コロナは、医師法第十九条第一項、応招義務の例外とされていたものが、今後は例外としない、つまり、拒否する正当な理由にはならないということだと思います。現場では、では実際に五類になったら、もう関係ないでしょう、誰でも受けてくれるんでしょうというふうになったら、どうすればいいのかという指示がないということで心配の声があったので、混乱がないか心配しているところです。

 今のお話は、九月末までの移行計画をきちっと持ってという話でありました。また、五月八日から一斉に元に戻るのではなくて、段階的に移行していく。それは、やはり警戒は必要だということだと思うし、それに合わせてコロナ対応の交付金も一遍に何もなくなるではなくて、一定は維持していくという理解でよろしいですね。イエスかノーでお願いします。

大坪政府参考人 先生御指摘のとおりでございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 そこで、資料の二を見ていただきたいと思うんですが、昨年の十一月十五日に国交省の港湾局と海事局が行ったプレスリリースです。「国際クルーズの受入を再開します」とあります。

 これによると、九月二十六日は水際措置が緩和されているんですが、日本国際クルーズ協議会、JICCなどによる感染予防対策ガイドラインが出そろったので、一番下の段を読みますけれども、今後は、各クルーズ船社が、寄港を予定している港の関係者と受入れに関する協議を行い、合意を得た上で、順次運航を再開することになりますとあります。

 今年三月三十一日付内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室長の事務連絡では、五月八日以降は、業種別ガイドライン、今言ったようなものだと思いますが、ガイドラインは廃止するとされております。

 国際クルーズは三月に再開したばかりですが、もうガイドラインを廃止するんでしょうか。

堀田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和五年一月二十七日の新型コロナウイルス感染症対策本部決定では、オミクロン株とは大きく病原性が異なる異変株が出現するなどの特段の事情が生じない限り、五月八日から新型コロナウイルス感染症について、感染症法上の新型インフルエンザ等感染症に該当しないものとし、五類感染症に位置づけるとされ、最終確認した上で実施することとされております。

 また、令和五年二月十日の新型コロナウイルス感染症対策本部決定では、新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置づけ変更以降は、業種別ガイドラインは廃止となり、事業者は自主的な感染対策に取り組むこととなる、政府は、感染法上の位置づけ変更後も、自主的な感染対策について必要となる情報提供を行うなど、個人及び事業者の取組を支援していくということとされているところでございます。

 こうした政府全体の方針を踏まえまして、国際クルーズの運航に係る関係業界団体は、五月八日以降のガイドラインの対応について検討を今進めているというふうに承知しております。

 特に、国際クルーズの運航本数の多い外国籍クルーズ船については、業界団体である日本国際クルーズ協議会がガイドラインの改定に向けた検討を進めておりまして、既に厚生労働省等関係省庁とも協議を進めているというふうに承知しております。

 引き続き、業界団体及び関係省庁としっかり連携しながら、安心してクルーズを楽しめる環境づくりを推進し、五月八日以降の対応に万全を期したいというふうに考えております。

高橋(千)委員 連休が明ければ、もうすぐに五月八日なわけですよね。もう少し具体の話があるのかなと思いました。

 JICCのガイドラインは第二版ですけれども、業界団体は第八版以上重ねております。それだけ苦労して重ねてきて、またここでどうするのか、全くゼロにしていいのかというのは、やはりみんな悩んでいるところだと思うんですよね。そこでの方向性が少し欲しかったなと正直思いました。

 それで、次に、続けていきますけれども、当面、国際クルーズ船の今年予定されている運航回数、そして港湾は幾つか。

堀田政府参考人 お答え申し上げます。

 今年予定されている国際クルーズ船につきましては、現時点では、日本籍クルーズ船につきましては、運航本数が五本、日本の港への寄港回数は十四回、港湾数にすると八港であると承知しております。

 また、外国籍クルーズ船につきましては、二〇二三年一月十九日時点の日本国際クルーズ協議会の調べでは、運航本数が二百十二本、日本の港への寄港回数は千百七回、港湾数にすると九十九港であると承知しております。

高橋(千)委員 ちょっと数え方があれかなと今思って聞いておりましたけれども、資料の三番に、国交省が出している二〇二三年三月以降のクルーズ予定の一覧ということを出しております。ここで分かっているだけでも、定員が三千人以上、つまりダイヤモンド・プリンセス級のクルーズ船が、運航本数が七十一本であるということで、かなりの本数が予定をされております。

 また、資料の四番なんですけれども、これがクルーズ船の寄港する港湾ということで地図に落としたもので、赤印が百回以上ということで、なぜか西日本に集中しているわけでありますが、ただ、コロナ前のピークは二〇一八年で二千九百三十回、うち外国船社が千九百十三回でありました。

 また、我が青森港でいいますと、二〇一九年が二十七回だったものが、今年三月から十二月までの予定で既に三十八回にも増えているということです。ですから、コロナの中でゼロだった記録を残して、一気に今再開をしているということになると思うんです。

 それで、ガイドラインに基づき自治体が担う役割はどんなものがあるのか。これは、ですから、五月八日前の話でお願いします。簡潔に。

堀田政府参考人 お答え申し上げます。

 日本国際クルーズ協議会のガイドラインに基づき自治体が担う役割の主なものを御紹介いたします。

 感染者の症状等に鑑み、陸上での治療が必要と船医が判断した場合は、寄港地の港湾管理者は、医療機関等の手配や感染者の搬送手段について、あらかじめ水際関係機関及び寄港地の衛生主管部局に確認することとなっております。

 また、最終下船港となる寄港地自治体については、隔離期間が残っている感染者の陸上での隔離のため、必要に応じ、可能な範囲で、宿泊療養施設の確保等に関する検疫所やクルーズ船社への協力を行うということになっております。

高橋(千)委員 自分なりに読んで、また青森県の取決めなども聞いて、非常に大変だなと率直に思ったので伺いたいと思うんですけれども、まず、受入れに当たっては、クルーズ船内で感染者が確認されたときに、船内隔離ということが基本になっておりますけれども、それでも、条件次第で陸上での隔離が必要となった際、あらかじめ備えておくということで、様々なことを、取決めを事前にしておかなければなりません。

 しかも、感染者が国内由来なのか国外由来なのかによって対応が違う。国内の場合は保健所であり、国外の場合は検疫所であるということがまずありますし、医療機関や公共交通によらない移送手段を用意しなきゃいけない。船社側がお金は後で負担するかもしれないけれども、でも、用意するのは地元自治体に頼る以外にない。

 そういういろいろな準備をして、再開、もう始まっているわけなんですけれども、実際に、そうした対応が困難と判断した場合、受入れを拒否することもあり得る、そういうことになりますよね。まずそこまで。

堀田政府参考人 お答え申し上げます。

 クルーズの受入れに当たりましては、港湾管理者、衛生主管部局、それから検疫所の、寄港する港の関係者が受入れに関する協議を行いまして、合意を得た上でクルーズ船の寄港を受け入れるように、国土交通省としては港湾管理者の皆さんに対しまして要請をしているわけであります。

 この受入れ協議におきましては、船内で感染者が発生したクルーズ船の受入れに当たりまして、医療機関への搬送等を安全かつ速やかに実施できるように、感染状況に応じた初動体制の構築や運送用動線等につきまして、寄港地自治体、それから検疫所、消防機関等の関係者とあらかじめ調整を行うこととなっておりまして、御指摘の港湾の受入れ体制なんですけれども、これについてはしっかりと構築されているのではないかなというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 私、今、ゼロか一〇〇かを聞いたわけじゃないんですよ。体制が、努力するんだけれども、できない場合もあるよねと聞いただけです。当然、書いていますから。

堀田政府参考人 お答え申し上げます。

 それは想定でありますので、ちょっとお答えはしにくいと思っております。

高橋(千)委員 これが答えられないと、では、ガイドラインをどうするかということが答えられないんですよ。だって、基本は、業種別ガイドラインは廃止すると言っているわけでしょう。廃止しても、感染者がゼロにはならないわけですよ。そのときの対応をどうしますかといったら、やはりガイドラインに基づく対応をするしかないじゃないですか。だから聞いています。

 大臣、今の私の質問、おかしく思いますか、当然じゃないでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 どのように各港、港湾、また港湾管理者、地元自治体が受け入れるかということについて、しっかりとした基準が必要だ、このように思います。

高橋(千)委員 事ほどさように、自治体に丸投げなんですよ、今の状態は。

 ガイドラインを作るときは国が監修していますと言っています。各団体、三つガイドラインがありますけれども、国にちゃんと、指導というんでしょうか、相談をしながら、いろいろな業界団体、知恵も出し合って作ってきたと言っています。だけれども、本当に現場でどうするかといったときに、それは自治体が受入れを準備していると思いますじゃ駄目なんですよ、そのことを言っています。

 そこで、一昨年三月の本委員会で、ダイヤモンド・プリンセス号の集団感染の問題について検証を行うべきではと私は質問しました。実は、今年二月三日に、横浜大黒埠頭で初めてリアルでの追悼行事が開かれて、私も参加しました。

 資料が最後のページにあるんですけれども、これは東京新聞の記事ですけれども、二月三日というのはクルーズ船が横浜港に入港した日なんですね。資料の、この二月四日付の東京新聞、報道陣もたくさんいらっしゃいました。また、主催者自身が、実はコロナの中で、互いにリアルに会うのは初めてだったんです。共同代表などがいらっしゃいますけれども、その人たち自身が会ったことがない、オンラインで会議をしながらやってきたということでありました。

 記事を少し読みますと、乗船していた五十六か国の三千七百人余りのうち、七百十二人がコロナに感染し、十四人が命を落とした。私たちの意図は、誰かに責任を負わせることにあるのではなく、同じ事態を再び起こさないために何が必要なのかを明らかにすることにあると宣言文を読み上げました。

 そして、趣旨に賛同して集まってくれたのは、例えば、東武伊勢崎線竹ノ塚駅の踏切事故の御遺族、二〇一四年の御嶽山の噴火災害の御遺族、また日航ジャンボ墜落事故の御遺族などです。

 まず伺いますが、このダイヤモンド・プリンセス号集団感染事故は、他の航空機事故だとか列車事故などと同じように、重大な犠牲を生んだ事故なのだという認識はあるでしょうか。シンドラー製のエレベーターに挟まれ、十六歳だった長男を亡くした市川正子さんが、命を守るために国が何をし、どう再発防止に動いたかを求めるのは、どの事件や事故でも遺族に湧き出る共通の問いだ、社会が人ごととするのが遺族を最も苦しめるとおっしゃっている。その言葉は大変重いと思います。

 大臣、二・三の追悼式にもし呼ばれたら参加するべきだったなと思うし、呼ばれなくても国として考えるべきだと思います。そのくらい重大な事故だという認識はおありですか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、検証をしたのかという前段の御質問でございますが、国土交通省では、二〇二〇年九月に専門家会議が策定したクルーズの安全・安心の確保に係る検討・中間とりまとめにおきまして、ダイヤモンド・プリンセス号事案の検証を実施しております。

 また、昨年六月、内閣官房が設置した新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議において、ダイヤモンド・プリンセス号の事案等を踏まえた検証を行い、入院等の調整時における国の権限の明確化など、広域的な調整が円滑に行われる仕組みづくりが必要である旨の取りまとめがなされ、昨年十二月、感染症法の改正が行われたと承知しております。

 今後、国土交通省では、中間取りまとめを公表した二〇二〇年九月以降の検証結果や、三月に再開した国際クルーズ運航によって得られた知見や経験を踏まえ、最終取りまとめを作成することとしております。

 なお、追悼行事への参加につきましては、他の事例等を踏まえ、その対応について考える必要があると認識しております。

高橋(千)委員 最終取りまとめを行うという答弁だったと思います。そこはまず確認します。

 そこで、ダイヤモンド・プリンセス号以降、外国におけるクルーズも含めて、集団感染というのは、程度はありますけれども、あったと思いますが、把握している状況を伺います。

木原委員長 既に持ち時間が経過をしておりますので、では、手短に答弁をお願いします。

高橋(千)委員 失礼しました。時間を間違えました。では、まとめます。済みません。大変失礼しました。

 実は、この後も、政府がガイドラインを作るときに一番世界で厳しいのを参考にしましたと、オーストラリアの船が、八百人の感染事故が二〇二二年の十一月に起きておりますし、また、三月には石垣で三十一名のクルーズ船の感染があるわけですよね。

 こうしたことがあるからこそ、やはり検証というのが大事なんだと。そして、当事者の視点というのを入れていかないと、当事者にしてみると、情報の在り方だとか、船内隔離といっても、それだけの場所がなかったよとか、様々な意見があります。当事者参加での検証をやっていただきたい、そのことを重ねて申し上げまして、終わります。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。

 今日はまず、国土交通省の所管する公共事業の入札について質疑を行いたいと思います。

 私、徳島県の地方で、一区でありますが、地元を歩きますと、やはり建設業界の方々の疲弊というか、それを感じています。

 過去には、公共事業の入札、様々な不正事案があって、談合に天の声とか、そういうふうなことが出てきたようなことがありましたが、私が今日お手元の資料をお渡ししていますが、こんな経緯を経て、やはり国民の税金を使ってする事業である以上、適正化が必要だということで、透明性とか公平性、そして、より正当な、適正な事業をするということで、この一枚目の資料のような経過を歩んでいます。

 今私が問題にしていますのは、公共事業、特にこの建設に関しては、インフラができることによって、地域の住民、国民に便益がもたらされると同時に、いわばニューディール政策のように、やはり地域の雇用や経済にも寄与するという大きな目的があると思います。そこの方で、冒頭申し上げましたように、後者の部分がより適正化が進み過ぎることによって、ちょっと逆に、今、実態として厳しくなっているんじゃないかということを思っています。そういう意味で、様々な是正あるいは法改正を伴って、このように歩んできたわけでございます。

 まず、一枚目の資料に基づいて、入札価格、そして、二枚目の方に、それぞれ事業規模に応じてどういった業者がその事業を受けられるか、応札できるかということが、落札できるかということがあるわけでございますけれども、その辺のことについて、予定価格等々の設定、これについてちょっと御説明いただきたいと思いますが、いかがでしょうか、政府参考人に。

佐藤政府参考人 等級区分価格について御質問があったというふうに考えております。

 まず、国交省の直轄工事におきましては、適正な競争が行われつつ、地域の建設業の受注機会の確保などの観点から、企業の等級区分、いわゆるランクづけを行っているところでございます。

 具体的には、企業の経営規模などによる経営事項審査点に直轄工事や地方公共団体の受注実績などによる技術評価点を加算した総合点数により、企業の等級区分を設定しております。地域の建設企業は、主に、この図の中のCランクやDランクに位置づけられており、Cランクであれば、契約予定価格が六千万から三億円の工事に参加が可能となってございます。

 このような等級区分や契約予定金額の基準は、適正な競争が行われるよう、企業の施工能力や登録される建設業者の分布などのバランスを勘案しつつ、定めているところでございます。

仁木委員 そうですね。今、実態として、事業を継続して、例えば、公共事業に依存している建設業も結構あると思いますけれども、継続して仕事を獲得するということが非常に難しい実態もございまして、結果としては、話は遡りますが、三・一一、東日本大震災のときにも、既に太平洋岸の被害を受けた地域、瓦れきがいっぱい、津波で起こっているにもかかわらず、そこに建設に伴う重機等々がなくて、いわゆるなりわいとして建設業をやっている方々が減って、復興に時間がかかったとか、復旧に時間がかかったとか、そういうふうなこともありました。

 それで、今、地方においては人手不足というのは本当に加速していまして、外国人の技能実習生にそういった建設業にも入ってもらっている方々もいらっしゃるわけでございますが、こういった今の予定価格の説明、さっき政府参考人、詳しくは、価格のことについてはなかったんですけれども、今、いろいろな資材とかあるいは人件費が高騰する中で、予定価格というのは、上下というのはあるんでしょうか。上げていくべきだと思いますが、その質問に関してはいかがでしょうか。特に、地方の方も、また後でお願いしたいと思います。

長橋政府参考人 今、御質問は、予定価格の設定という、積算という意味で……(仁木委員「そうです、はい」と呼ぶ)予定価格につきましては、例えば資材であれば、毎月毎月いろいろな物価の資料が出てきますけれども、そういったものを適宜適切に算定のところの根拠にするとか、労務費については、先般、三月から労務単価を引き上げましたけれども、そういったものに順次変更して、適切な単価を設定するように、国の方もそう設定しておりますし、そういった考え方を地方公共団体の方にも要請し、徹底していただいているというふうに認識しております。

仁木委員 ちょっと二枚目の資料を見ていただきたいんですが、事業評価、よくBバイCと言いますが、新規事業が着工される前に、こういった評価をする中の項目で、いろいろな数字になるものとか、貨幣換算が困難なものとかいう分類がありますけれども、私がここで問題にしたいのは、先ほども鈴木委員の方から指摘がありましたように、時間軸というか、例えば、この地域に道路ができますよ、あるいはこの地域にトンネルができますよ、あるいはこの地域にダムができますよということが出されたときに、住民の方、いろいろ賛否もあると思いますが、結局のところ、その多くが納得して、協力しようという形になるわけでございます。

 その際に、なかなか、いつ着工になるのか、そして、着工になってから工期がどのくらいかかるかということがあるわけでございまして、私が指摘しているのは、それだけ限られた税金を使っても、そのチャンス、今着工して、早い時期に着工してできていたなら最大の便益が得られたかもしれませんが、もっともっと遅くなると、先ほど私もこのコメントの中でありましたが、地方はかなり急激な勢いで人口減少がありますので、そういったパブリックインフラができ上がった後に、その便益を受ける国民が減る、つまり、このBバイCでいうと、ベネフィットがどんどん減っていくんじゃないかというふうに感じているわけでございます。

 様々な、さっき私は、ダムとか道路とかトンネルの事案を出しましたけれども、そういったパブリックインフラ、いろいろな計画が地方においてもなされていると思います。そういうときに、国として、この二番の事業評価の方法において、時間軸を想定した、本当にその公共事業ができ上がった後のベネフィットについて、改めて評価の対象として組み入れていくべきではないかと思うんですけれども、このことに関しては、斉藤大臣、どうでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 公共事業評価に時間軸という観点や、それから、地元の評価ということをしっかり入れるべきではないか、こういう御主張かと思います。

 公共事業は、インフラを整備し供用することにより初めて便益が発現することから、早期に事業を完了させることは重要でございます。

 一方、国土交通省所管の公共事業は、事業期間が長期間に及ぶこともあることから、事業評価において、費用便益分析、いわゆるBバイC分析と併せて要因別感度分析を実施しておりまして、その中で、事業期間の変動に伴う影響についても確認し、評価しております。

 また、公共事業の実施に当たっては地元の要望などを踏まえることも重要であることから、BバイC分析に加え、地元の調整状況や都道府県や政令市などの意見も踏まえ、総合的に評価しているところでございます。

 公共事業の評価手法については、最新の知見を踏まえた改善に取り組んでいくことが必要と認識しておりまして、引き続き、公共事業の効率性及びその実施過程の透明性の一層の向上を図ってまいりたいと思います。

仁木委員 大臣、本当に、冒頭申し上げたようなことが日本各地であると思います。国土強靱化、ある程度、こういった災害対策とか減災対策とか、そういったことは比較的進みやすいわけでございますが、そこにそういったインフラがあって、例えば、企業誘致が行われるとか、もっと早くできていたら展開が違うなというふうな、そういう公共インフラというのは結構多いと思うんですね。

 そういう意味で、今おっしゃっていただいた時間軸、そして、地元の理解ということ、これを数値化というか、何か分かる形での評価にして、本当に必要だと思えば、そこに、たとえ人口は少なくても、場合によっては将来の便益を考えてやはり投資する、いわゆる予算を配分していくということも、これから国土交通行政において、特に今私が出しているのは一般土木という範疇でございますけれども、組み入れていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 ちょっと今日は、それと、二点目ですけれども、ドローンのことについて質問したいと思います。

 まず、航空法の改正に伴って、今、ドローン、国家資格となって、免許を想定していますけれども、動き出していますが、これの議論の際に、例えば、今回、二〇二五年に大阪・関西万博、この中ではドローンタクシーでありますとか、海外に目を向けると、ドバイ警察ではドローンに乗った空飛ぶバイクでいわゆる警察官が取締りを行う、そういうような事案が出ています。人が乗るような、いわゆる有人の航空隊に対しましての航空法、これはもちろんあるわけですけれども、この辺に関して、大臣、全く今は、そういう技術的に夢の世界、SFの世界だから、想定していないのか、あるいは、近々これは想定しなきゃいけないものであるのか、どういうふうな御見解をお持ちでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 お尋ねのございました昨年十二月に施行された航空法の改正は、構造上人が乗ることのできないドローン等の利活用の促進を目的としたものでございます。

 これによりまして、有人地帯において補助者を置かずに行うドローンの目視外飛行、いわゆるレベル4飛行が可能となったことから、今後、物流等の各分野においてますますドローンの利活用が進んでいくと期待しております。

 一方で、お尋ねのドローンによる人の輸送は、ドローンの技術を活用し、垂直離着陸が可能な、いわゆる空飛ぶ車を指しているものと承知しておりますが、空飛ぶ車についても、次世代の空の移動手段として開発が進められております。

 空飛ぶ車については、二〇二五年の大阪・関西万博における商用運航を目標としておりまして、国土交通省としても、機体や運航の安全性に係る制度整備を今着実に進めているところでございます。

仁木委員 私、ドローンのポテンシャル、可能性はかなりあると思っていまして、この間の、広島でのサミットの中でも、経済安全保障上、例えば、GXを推進するにしても、その主な基板が、中国が製造しているということで、そういうことがリスクになっているという話も聞きます。

 ということは、逆に言えば、メイド・イン・ジャパンのドローンも、その機体、そして、それを運航する自動操縦のシステム等々、そういったことにも、これから国交省が、こういったところに将来性があるということを見越していくであるならば、新たな新規参入だったり、このドローンの業界が元気になっていくと思うわけでございます。

 そこで、そういった商業ベース化を想定しての、ドローンを飛ばして、例えば、実用化しているときに、何かトラブルがありました、バッテリーがなくなったり、そういうときは、ホバリングとかといってその場でいたりとか、安全にゆっくりと着地するような、そういうシステムがあるんですけれども、そういった、車でいうと、ピットインというか、いわゆる故障したところを作業するガソリンスタンドのようなものを、例えば、公的な機関でどこかに造って、そこで、その元を出発した、ドローンが出ていったところに格納される、戻ってくる間の対策として使うような、ドローンステーションというか、そういうふうなことを私は提案したいんです。

 大臣、商業ベース化というもの、そのポテンシャルはまずお持ちなのかということが一点です。かなりこれから広がりを見せるからということで、もちろん、航空法の改正もあったと思うんですけれども、それと、それに伴う、一時的にそういったドローンステーションのような、何かトラブルがあったときにすぐそこに対応するような、あるいは、新しいバッテリーが用意してあるとか、急速充電してまた元に状態を戻せるような、そういうステーションの設置とかに関してはいかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 御指摘のドローンステーションとかドローンポートと言われているものでございますが、運航者自身やその顧客のニーズに応じて運航形態も様々であることから、運航者が自らの使用方法に応じた附帯設備を含むドローンポート、ドローンステーションの整備を行うことが効果的だと今のところは考えております。

 国土交通省としては、運航形態に合わせた運航管理体制の構築や機体の点検、整備を求めているところでございまして、官民がそれぞれ役割を果たしながら安全確保を図っております。

 いずれにいたしましても、技術の進展等に応じた安全確保のルール、運航管理システムなどの環境整備を通じ、ドローンの利活用を推進してまいります。

仁木委員 冒頭申し上げたお話も、今、少子化が一番最大の問題になっていまして、異次元の少子化対策とかいいますけれども、私はやはり、都会に若い人がバブル崩壊後もどんどん出てきてしまって、それで、例えば結婚する年齢も上がったりして、結局、都会で結婚して家庭を持って暮らすコストが、やはり高いんですね。

 そうすると、地方というのは、私は、そういったことをクリアする。私の感覚では、東京で生活する六割ぐらいで四国とかでは生活できるような感じがします。

 ということは、地元に仕事が必要だということで、やはり、人、物、お金が集まる仕組み、これは、公共的なことが、東京に比べて地方では民間のディベロッパーとかはいないわけでございまして、やはりそれが一つの公共事業であり、今回のドローン。

 ドローンはそういうことでいうと、例えば、実証で何か事業を始める企業さんが、この地域はドローンのそういった実証実験をしていいですよというふうなことも、これから広範にこういうドローンを用いた事業が展開するに当たって、人口の少ないところ、もう過疎が進んでいるところを、かえって、いろいろな条件を満たせば、特区というか、実証できるような、ゾーニングをできるようなことを、これは国交省としても、この際考えていただくことが、逆にこれから、そういった地方の過疎化が急激に進んでいる中山間地域においてもいいんじゃないかと思っています。

 その中で、この資料も、これは奥多摩郵便局からレベル4の配送先を行って帰ってくる、往復四・五キロですかね、そういったルートの実証もされているというのは、これは今国交省の方の資料でいただいておりますけれども、そういったことも一つの事案として、今後、様々な事業、補助金とかを出されてやっていると思うんですね。そういうことでドローンのポテンシャルを見出して、かつ、同時に地方にこういった元気を与える、地方に新たな設備投資ができるような環境づくり。

 ですから、ドローンのゾーニングというか、実証できるようなゾーニング等々に関しては私は提言したいんですけれども、大臣はいかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 ドローンの利用は、これから、地方の活性化について非常に大きなポテンシャルを持っていると思います。

 このドローンの実証実験は、各地域における課題解決のための具体的なニーズや地理的特性などを踏まえて、既に各地で関係者が協議の上実施されておりまして、実証場所についても、地域ごとの事情に応じ選定されております。

 具体的には、地域の関係者による協議会においてドローンの実証実験を含む社会実装に向けた具体的な検討が行われており、こうした検討の中で、実証場所についても検討が行われているものと承知しております。

 委員の御地元の徳島では、徳島県名東郡佐那河内村というところが指定されております。

 国土交通省としても、こうした協議会を技術的に支援するとともに、物流分野では実装に向けたガイドラインを示すなど、各地での取組を支援しているところでございます。

 また、ドローン利活用の推進に当たっては、自治体が果たす役割も大きいことから、各自治体の取組を全国に発信し横展開することを目的に、国と自治体が連携してドローンサミットを開催しておりまして、本年も九月に長崎県で開催を予定しているところでございます。

 国土交通省としては、引き続き、地域におけるドローンの実証と社会実装に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

仁木委員 大臣、ありがとうございます。

 本当に、大臣のおっしゃることを聞いていると、地方にも夢が描けるような感じになります。

 特にまた、商用ベースのデリバリーとか、そういう主体としたドローンのみならず、やはり、防災とか災害時に役立ったりとか、あるいは、森林・林業にも役立ったり、これは所管が違うので今日は指摘しませんでしたが、いろいろなポテンシャルがあると思うんですね。そういうことを今大臣がおっしゃっていただきました。

 そして、まさにこのライセンスが国家資格となった以上、実技もやはり伴うわけですから、実技の実証というか、車でいったら自動車学校があるように、実際にドローンを操縦する、屋内だけでなくてやはり屋外で飛ばせるところ、広範囲にやれるところ、そういったことという意味でも、いろいろな活用が地方の特に人口の少ない地域で設定されることを、大臣がおっしゃったように、ある種、国の基準をクリアした自治体は手を挙げて、そういった地域として名のりを上げる、そういうことになって、結果として地方が元気になっていけばいいなということを私は今日実感しましたので、ありがとうございました。

 以上で私の質問を終わりたいと思います。

木原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時八分散会


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