衆議院

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第11号 令和5年4月26日(水曜日)

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令和五年四月二十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 木原  稔君

   理事 加藤 鮎子君 理事 津島  淳君

   理事 中根 一幸君 理事 長坂 康正君

   理事 伴野  豊君 理事 谷田川 元君

   理事 赤木 正幸君 理事 伊藤  渉君

      泉田 裕彦君    小里 泰弘君

      柿沢 未途君    菅家 一郎君

      工藤 彰三君    小林 史明君

      櫻田 義孝君    瀬戸 隆一君

      田中 英之君    田中 良生君

      谷川 とむ君    土田  慎君

      冨樫 博之君    土井  亨君

      中西 健治君    中村 裕之君

      西田 昭二君    根本 幸典君

      深澤 陽一君    古川  康君

      宮崎 政久君    武藤 容治君

      渡辺 孝一君    枝野 幸男君

      小熊 慎司君    城井  崇君

      小宮山泰子君    神津たけし君

      下条 みつ君    末次 精一君

      一谷勇一郎君    前川 清成君

      山本 剛正君    北側 一雄君

      中川 康洋君  斎藤アレックス君

      古川 元久君    高橋千鶴子君

      宮本  徹君    福島 伸享君

      大石あきこ君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   厚生労働副大臣      羽生田 俊君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   防衛大臣政務官      小野田紀美君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小林  豊君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 早川 智之君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            三好 敏之君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 坂本  基君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 山崎  翼君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 植松 利夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 宇野 善昌君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房土地政策審議官)       井上  誠君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            木村  実君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  天河 宏文君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 堀内丈太郎君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  堀田  治君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  久保田雅晴君

   政府参考人

   (観光庁次長)      秡川 直也君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    石井 昌平君

   国土交通委員会専門員   鈴木 鉄夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     瀬戸 隆一君

  冨樫 博之君     渡辺 孝一君

  武藤 容治君     土田  慎君

  下条 みつ君     馬場 雄基君

  古川 元久君     斎藤アレックス君

  高橋千鶴子君     宮本  徹君

  たがや 亮君     大石あきこ君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬戸 隆一君     小林 史明君

  土田  慎君     中西 健治君

  渡辺 孝一君     冨樫 博之君

  馬場 雄基君     下条 みつ君

  斎藤アレックス君   古川 元久君

  宮本  徹君     高橋千鶴子君

  大石あきこ君     たがや 亮君

同日

 辞任         補欠選任

  中西 健治君     武藤 容治君

    ―――――――――――――

四月二十日

 空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)

同日

 交通運輸産業における迅速な運賃改定と賃金・労働条件への確実な反映を求めることに関する請願(源馬謙太郎君紹介)(第八九八号)

 同(吉田統彦君紹介)(第八九九号)

 同(斎藤アレックス君紹介)(第九二四号)

 同(吉川元君紹介)(第九四八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会申入れに関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 この際、連合審査会開会申入れに関する件についてお諮りいたします。

 厚生労働委員会において審査中の内閣提出、生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律案について、厚生労働委員会に対し連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会は、本日午後一時から第十六委員室において開会いたしますので、御了承願います。

     ――――◇―――――

木原委員長 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長宇野善昌君、大臣官房土地政策審議官井上誠君、国土政策局長木村実君、不動産・建設経済局長長橋和久君、都市局長天河宏文君、道路局長丹羽克彦君、住宅局長塩見英之君、鉄道局長上原淳君、自動車局長堀内丈太郎君、港湾局長堀田治君、航空局長久保田雅晴君、観光庁次長秡川直也君、海上保安庁長官石井昌平君、警察庁長官官房審議官小林豊君、長官官房審議官早川智之君、金融庁総合政策局審議官三好敏之君、法務省大臣官房審議官松井信憲君、財務省大臣官房審議官坂本基君、大臣官房審議官山崎翼君、国税庁長官官房審議官植松利夫君及び厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。早速入らせていただきます。

 経済成長戦略を考える上で、インバウンドの回復や観光振興が経済の牽引役として大いに期待をされております。その観点から、幾つかお伺いをしてまいります。

 例えば、農業体験や料理体験、古民家ホテルなど、地域の暮らしや文化を観光資源として活用し、地域の魅力を発信していこうという動きが広がってきておりますが、その支援策と展開状況をお伺いをいたします。

秡川政府参考人 地域におきまして、その土地の暮らしや文化を観光資源として活用するということは、インバウンドの誘客にもつながる大変よい取組として期待しております。

 観光庁では、例えば、農家の方々と交流を核とした農業体験とか、地域の特産品を使用した料理体験、宿泊施設等を利活用するための古民家の改修などに対して支援を行っておりまして、これを日本政府観光局を通じて情報発信などにも取り組んでいるところです。

小里委員 しっかりやっていただきたいと思います。

 その観光関連産業では、コロナ禍で離れてしまった人材が帰ってこなくて、現場は深刻な人手不足の状況に至っております。どのような対策を取っているか、お伺いをします。

秡川政府参考人 宿泊業における人手不足なんですけれども、やはり何よりも、賃金水準を始めとした従業員の方々の待遇向上、あと、業務の効率化を図って、人材確保のための環境を改善していくということが大事だと考えています。

 このため、観光庁としては、観光地の再生、高付加価値化、あと、観光DXの推進による生産性や収益性の向上を支援するということ、例えば、支援に際して賃金水準の引上げを求めるなど、従業員の方々の待遇向上が図られるように取り組んでいるところであります。

小里委員 関連しまして、観光地、観光産業の高付加価値化事業、観光地の魅力アップを図る上で期待の高い事業であります。その効果として、観光客誘致の促進はもとより、観光関連産業に従事する方々の処遇の改善が進んで、人材の確保にもつながるものと期待をするところであります。

 高付加価値化事業の展開状況をお伺いします。

秡川政府参考人 観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業なんですけれども、生産性や収益性の向上、あと、それらを通じた人手の確保にも資する事業であると考えております。大変人気のある事業になっております。

 今年度の事業におきましても、第一回の公募では大変多くの地域から申請をいただいておりまして、この中には、ベッドつき客室へ改修するとか、あと、食事どころの整備などによって業務効率化とか従業員の方の負担軽減に資するような内容も盛り込まれているというふうに考えています。

 引き続き、本事業を十分に活用して、地域一体となった再生、高付加価値化を積極的に支援していきたいというふうに考えております。

小里委員 高付加価値化事業は、各自治体におきまして、いわば観光資源の核をつくるものと認識をしております。

 一方で、近隣の自治体や一定エリアの自治体が連携して観光資源の相乗効果を図る上で、広域観光圏の形成、これがまた重要な要素であろうと思います。展開状況をお伺いします。

秡川政府参考人 旅行者に広域の観光を促すということは、滞在時間の長期化とか消費額の増加につながります非常に重要な取組だというふうに考えております。

 観光庁では、観光客の広域的な周遊を促進するために、観光地域づくり法人、DMOが中心となって、地域が一体となって取り組むような戦略策定や、そのための調査、さらには観光コンテンツの充実、情報発信などの取組に対して支援を行っております。

 今後とも、各地域が広域的に連携して行う観光振興の取組をしっかり支援していきたいというふうに考えております。

小里委員 広域観光圏、観光地と観光地をより広くつないでいく上で、交通アクセスの整備が不可欠であります。

 例えば、南九州西回り自動車道、おかげさまで仕上げの段階へと入っているところでありますが、早期に全線供用効果を出していきたいものであります。

 このうち、出水―芦北間におきましては、懸案の米ノ津川架橋についての課題が解決をしまして、先般やっと着工できたものであります。夏場の出水期も含めて、安全を確保しながら、しっかりと工事を急いでいただきたいと思うところであります。

 阿久根―川内間は二つのトンネルと二十五の橋梁が控えております。このような時間のかかる構造物については、用地が整い次第、早め早めに手をつけていくべきと考えます。

 以上、早期完成に向けての国交省の意欲をお伺いします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 南九州西回り自動車道は、地域の観光、また産業の振興を図る上で重要な役割を担うとともに、災害時のリダンダンシーを確保する観点からも重要な道路だと認識をいたしております。

 全長約百四十二キロのうち、これまで約七割が開通済みでございまして、残る区間を芦北出水道路、また阿久根川内道路として事業を進めているところでございます。

 具体的に申し上げますと、芦北出水道路につきましては、改良工事、橋梁の上下部工事を進めております。このうち、委員御指摘のとおり、米ノ津川に架かる橋梁につきましては、漁協との協議も完了いたしまして、今年度より仮桟橋の工事に着手の予定でありまして、出水期の期間中も、安全に配慮しつつ、工事を進めてまいりたいと考えております。

 また、阿久根川内道路につきましては、用地買収、改良工事、橋梁下部工事、トンネル工事を進めております。引き続き、用地買収が完了した箇所から速やかに工事に着手してまいりたいと考えております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、地域の皆様の御協力をいただきながら、一日も早い完成を目指して、しっかりと整備を進めてまいりたいと考えております。

小里委員 それぞれ、しっかり、早め早めに手をつけながら、お願いをしたいと思います。

 この度、国交省から、ローカル鉄道の活性化方策が打ち出されました。従来、赤字ローカル線につきましては支援策は限定的であったと認識をするところでありますが、今回は初めて公共事業のメニューにローカル鉄道が加わるなど、画期的な施策が実現されつつあると認識をするところであります。

 赤字でありましても、支援策を生かして前向きに取り組んでいくことで、観光需要を始め新たな需要が創出をされまして、まちづくりと一体的に活性化をされていくものと認識をするところであります。

 ローカル鉄道活性化への取組方針、大臣にお伺いします。

斉藤(鉄)国務大臣 改正地域公共交通活性化法をこの委員会で御審議いただき、可決いただきました。ありがとうございました。

 一部のローカル鉄道では、大幅な輸送需要の減少等により、鉄道事業者のみの努力で地域公共交通としての機能を維持していくことが難しい状況であり、事業者と自治体が連携、協働して地域公共交通の利便性、持続可能性の向上を図っていくことが急務となっております。

 そのため、先般成立いたしました改正地域公共交通活性化再生法に基づきまして、自治体がまちづくりや観光振興等の地域の取組の中で主体的にローカル鉄道の再構築に資するインフラ整備を行う場合には、新たに社会資本整備総合交付金により支援する制度を創設いたしました。

 議員御地元の肥薩おれんじ鉄道につきましては、地域の日常生活や観光等の経済活動を支えるとともに、貨物列車も走行しており、これまでも、国においては、この会社の安全投資に対する支援のほか、貨物調整金制度による支援も行ってまいりました。

 同社では、利便性向上に資するよう、駅施設や線路の改良などを検討されていると承知しておりますが、これについては新たに創設した社会資本整備総合交付金による支援が可能であり、今後、同社と関係自治体との協議を促してまいりたいと思っております。

小里委員 ありがとうございます。

 需要がなくなったから、赤字だから支援はしない、これまでのような考え方ではなくて、一緒に需要をつくっていこう、新たな可能性をつくっていこう、そういう観点からの今回の支援策であると思います。しっかりと積極的に進めていただきたいと思います。

 薩摩川内市におきまして、新たな国際物流ターミナル、新港の整備が進んでおります。せっかくの施設を宝の持ち腐れにしてはならない、そういう観点から、地元では新たな需要の開拓に一生懸命であります。

 木材の需要は日増しに増えまして、また、近隣の自動車プラグの生産工場等は、従来、北九州までトラックで運んで、そこから荷出し、積出しをしていたものを、川内港を使っていこうという動きがまた進んできているところでもあります。農産物、水産物につきましても、輸出の拠点港として活用を図っていきたいと考えるところであります。

 そこで、農林水産省との連携による産直港湾制度、この展開状況についてお伺いをいたします。

 また、同制度の川内港への適用、そして、国際物流ターミナルの整備促進を図っていくべきと考えますが、姿勢、これからの方向性をお伺いしたいと思います。

堀田政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産物、食品の輸出につきましては、二〇三〇年までに輸出額を五兆円とする政府目標の達成に向けまして、国土交通省と農林水産省が連携しまして、生産関係者やあるいは港湾関係者が協力して輸出促進の取組を行う上で必要な施設整備への支援制度を設けておりまして、これまで清水港や堺泉北港等において支援を行っているところでございます。

 例えば、清水港におきましては、背後圏の野菜や果物を集荷、大ロット化し、輸出促進を図るため、温度、衛生管理が可能な荷さばき施設やリーファープラグの整備に対して支援を行うとともに、輸送試験による鮮度確保状況の確認や輸出促進セミナーを行うことによりまして取組を促進しております。

 現在、川内港におきましては、同制度の活用も視野に入れまして、地元関係者による農林水産物、食品の更なる輸出促進に向け検討が行われていると承知しておりまして、国土交通省としては、地域の関係の皆様の要請を踏まえまして、必要な助言等の対応を行っているところでございます。

 また、川内港におきましては、背後に多くの木材関連企業が立地しておりまして、原木輸送船等の大型化が喫緊の課題となっておりまして、現在、唐浜地区において、国直轄事業として国際物流ターミナル整備事業を実施しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、地域産業の競争力強化を図るため、引き続き、しっかりと施設整備などの必要な支援を行ってまいりたいというふうに思っております。

小里委員 それぞれ簡潔に、要を得て回答いただきました。ありがとうございました。

 以上で終わります。

木原委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 伊藤渉です。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、住宅局にお伺いをします。

 こどもエコすまい支援事業につきまして、より高い環境性能の住宅の提供、これは近年の資材高への対応、また子育て家庭へのより良質な住宅の確保、こうした観点から、二〇二二年度第二次補正予算、これで千五百億円が盛り込まれ、こどもエコすまい支援事業、これは現場で大変好評をいただいております。

 これは去年の話になるんですけれども、ところが、前身のこどもみらい住宅支援事業が予算上限に達してしまったことによって、両事業のはざまで支援対象から外れてしまった方々から、これは私どもの公明党にも、また、今日、津島理事お見えですけれども、自民党にも、また国交省にも、たくさんの意見が寄せられまして、当時、ネット上では、こどもみらい難民として大きく取り上げておられました。

 こうした状況を受けまして、その対応策について検討を重ねて、国交大臣に申入れを行わせていただくなどの取組を粘り強く行わせていただいた結果、こどもエコすまい支援事業の条件が緩和をされまして、支援対象から外れてしまった多くの方々が救済されることとなり、現場では安堵の声が広がっております。

 また、あわせて、それでもなお一工夫必要な方もお見えで、相談窓口を設けて、いわゆるゼロ・エネルギー・ハウス未満の省エネ性能の住宅をZEHレベルまで変更する場合などのサポート体制の充実を図っていただいていると承知をしております。

 国交省においては、同事業の見直しについて、住宅事業者や取得者に対し広く周知をするとともに、引き続き、丁寧な相談窓口での対応に万全を期していただきたいと思いますが、局長、いかがでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 こどもエコすまい支援事業につきましては、昨年の十二月に、ZEHレベルの新築や改修につきまして支援対象の要件の見直しを行いました。

 この見直しの内容が広く住宅事業者の皆様方あるいは取得者の皆様方に伝わりますように、リーフレットをホームページに掲載をいたしますとともに、以前、ZEH補助事業の際に登録をされた事業者の方々に対しましては直接メールをお送りして、広く周知に努めているところでございます。

 また、こどもエコすまい支援事業の支援の対象とはなりませんZEHレベル未満で計画をされました住宅から、ZEHレベルへの性能の引上げを誘導いたしますために、事業者向けの無料相談窓口を一月末に開設をしておりまして、経験豊富な建築士の方が、設計図書に基づきまして、断熱材の追加の仕方でありますとか、省エネ性能の高い設備の選定など、具体的できめ細やかなアドバイスを提供することとしてございます。

 この三月三十一日からは、本事業の交付申請の受付を開始してございます。引き続き、この事業に関します丁寧な周知に万全を期してまいりたいと存じます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

 何といっても、日本全体の住宅の質を上げていくことは、社会のある意味最小単位である家族、この暮らしを豊かなものにして、社会をよりよい形にしていくという大きな意味を持つ事業だと思います。これからも引き続き、質の高い住宅供給に向けて、私どももサポートしてまいりますし、国交省としても努力をお願いしたいと思います。

 次に、同じく住宅ですけれども、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律、いわゆる住宅セーフティーネット法の制定や、これは我々が力を入れておるんですけれども、居住支援協議会等活動支援事業、これは特にコロナ禍で、いろいろなサポートがありますけれども、そもそも住宅がきちっと確保されていないとこのサポートが届かないといういろいろな事情がございまして、そういうお手伝いをするNPOが世の中にはたくさん増えてきております。

 そうしたNPOをサポートする居住支援協議会等活動支援事業、これは二〇二二年度第二次補正予算で、国交省の予算からしたら小さいかもしれませんが、二億円強追加をしていただきまして、低所得者や被災者、高齢者など、住宅確保に配慮を要する方に住宅を供給するための支援、これは福祉的な観点からも極めて重要で、小さな予算でしたけれども、現場では大変喜ばれているということをまず御報告をしておきたいと思います。

 その上で、今国会、衆議院の予算委員会では、子育て世帯が公営住宅に優先的に入居できる仕組みを検討することが斉藤大臣から答弁がされたと承知をしております。これも非常に重要なやり取りでございます。

 私どもも、二〇四〇ビジョン検討委員会の住宅分科会の中で議論を始めておりまして、その中の課題の一つは、子育て世帯ももちろんなんですけれども、加えて、これから人口はトータルでは減少しますけれども、六十五歳以上人口は、これから二十年間、約三百万人増加をしますので、この高齢者の方の住宅確保、これの配慮を要する方々への住環境整備というのも極めて重要になってくるというふうに考えています。

 そこで、公営住宅の活用を検討される際には、是非とも、これも実際に私も相談を受けて、特にお独り暮らしの高齢者が賃貸住宅を探すというのは結構大変だということを身をもって実感をいたしました。よって、是非とも、高齢者などの住宅確保に配慮を要する方々の住環境整備も念頭に置いて検討を進めていただきたいと思いますが、住宅局長、いかがでしょうか。

塩見政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員が御指摘になられましたとおり、高齢者の方々や子育て世帯など、住宅の確保に配慮が必要な方々が安心して生活を送ることができますように、居住の安定の確保を図るということは大変重要な課題だと思っております。

 このうち、子育て支援のために、低廉な家賃の公営住宅に子育て世帯に居住いただく意義は大変大きく、優先的に入居いただくという取組を拡大してまいりたいと考えてございますが、その際、公営住宅本来の対象から外れました高額所得者の退去を促進することで、高齢者を始めとした真に支援が必要な要配慮者が入居可能な住戸を確保してまいりたいと存じます。

 また、住宅セーフティーネット制度にも御言及をいただきました。高齢の方など幅広い要配慮者の方の居住の安定が図られますように、成立をいたしました令和五年度予算におきましても、昨年度より予算を増額をいたしましたところでございます。入居後の見守りなどを行う居住支援法人への支援や、家主への支援などの充実を行うこととしてございます。

 引き続き、住宅セーフティーネット機能の強化を行いまして、居住の安定の確保に取り組んでまいりたいと存じます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 今答弁でも触れていただきましたとおり、住宅政策のみならず、我々が日頃接する現場のニーズは極めて多様化をしておりまして、事住宅ということでいきますと、この支援協議会等のNPOの存在というのは極めて重要だ、これからその重要性は増してくる、こう考えておりますので、その辺りへの住宅局としての目配りも引き続きお願いをしたいと思います。

 住宅局長への質問はこれで終わりですので、お時間の関係がありましたら、御退席いただいて結構でございます。

 次は、また内容を変えまして、自動車整備について伺います。

 自動車整備工場と損害保険会社との取引について触れさせていただきたいと思います。これも、今国会の参議院予算委員会で、私どもの西田実仁参議院議員が取り上げた課題でございます。

 まず、結論からお話しすると、多くの自動車整備工場が適正な価格で自動車整備作業を実施できていないのではないかという問題意識です。

 多くの自動車整備工場は、自動車保険に入っている顧客から事故に遭った車の修理を頼まれますと、例えばバンパーなどの部品を仕入れ、技術者、職人の皆さんが手間暇をかけて修理をして車をお返しし、その後、お客さんに代わって保険会社への修理代金を請求をしています。

 大手損保会社が共同出資している株式会社自研センターが、修理に必要な作業時間、例えばバンパーを取り替えて修理する時間の基準を決めており、それに労務費の単価を掛け合わせる形で、多くの損保会社はこの基準に近い額で修理代金、保険金額を定めておられます。

 昨年来の物価高を受けて、全国の自動車整備工場から、物価高でも価格転嫁できない、自動車整備作業の対価が適正でないなどの悲鳴が私のところにも寄せられております。たくさん寄せられています。例えば、オイル代も電気代も労務費も上がっているのに、損保会社から認められる修理代金、保険金はどの保険会社も似たような水準にそろって据え置かれたままで、実際にかかった修理代金を得られない。

 こうした状況は保険会社の監督官庁である金融庁も承知していると、この参議院の予算委員会で答弁がございました。

 また、工賃単価等の修理代金の計算方法、これは損害保険会社と自動車整備事業者との間の契約に基づき設定されるものではありますが、足下の目下の物価が高騰し、また労務費もかなり上昇していることを踏まえると、損保会社と自動車整備事業者の双方が納得できる適正な内容であるべきという答弁もされておられました。

 昨年来、こうした物価上昇でありますとか労務費の上昇、こうした環境の大きな変化については、四月以降の新年度の工賃単価等の見直しにおいて考慮されるものと認識をしているとも、これは鈴木金融担当大臣だったと思いますが、答弁されています。金融庁として、その見直しの状況をしっかり把握したいと考えており、必要に応じて取引の適正化を促していくことなどの答弁がございました。

 岸田総理からも、大手損害保険会社において、取引先との共存共栄に向けた取組を進めているものと承知しており、金融庁を始め関係省庁においてその取組状況の把握に努め、そして取引の適正化を促してまいりたいと、総理からも極めてありがたい答弁がございました。大変に重要な、国会での、参議院予算委員会でのやり取りでございます。

 四月に入りまして約一か月が経過をしようとしております。新年度の自動車整備における工賃単価等、これは、工賃単価等というのは、修理する時間の基準及びこれに対応する労務単価ということになりますけれども、この見直し状況について、現在、金融庁はどのように把握されているのか、答弁をお願いします。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の令和五年度、今年度の工賃単価につきましては、足下の物価や労務費の上昇を踏まえまして、損害保険会社において引上げを行う方向で検討されているものと承知しております。

 工賃単価等の修理代金の計算方法につきましては、その結果が適正なものとなるように、損害保険会社と自動車整備事業者が丁寧に話し合い、双方が納得できる内容であるべきものと考えております。

 金融庁といたしましては、今後、損害保険会社と自動車整備事業者の双方を対象に、工賃単価の見直しの状況など、より詳細な実態把握を行う方向で、現在、関係省庁等と調整をしているところでございます。

伊藤(渉)委員 ちょっとこれは更問いさせてもらいますね。可能ならお願いします。

 今の答弁は、ほぼ予算委員会の段階と変わらない答弁なんですね。一か月たっているので。要するに、まだ現場から、この参議院でのやり取りを受けて、こういうふうに徐々に変化しているという情報は金融庁には入っていない、こういう理解でよろしいですか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、今、損害保険会社におきまして、昨今の物価や労務費の上昇を踏まえまして、引上げを行う方向で検討が行われているというふうに承知しておるところでございます。

 その詳細を調査するために、今、関係省庁と調査の内容等を調整しているところでございまして、その調整がつき次第、実態把握をさせていただきたいというふうに考えてございます。

伊藤(渉)委員 済みません、ありがとうございました。

 一か月、長いようで短いですので、今ありましたとおり、きちんと、これは政府を挙げて賃上げをしようと言っているときですので、是非とも取組を進めていただきたいのと、これを放置したら自動車整備をする人がいなくなりますから、そういう極めて重要な問題で、自動車整備をするスキルが落ちて、人がいなくなったら、自動車社会の安全を損なうリスクがある、我々はそういう問題意識でこのことに取り組んでおりますので、引き続きの取組をお願いして、実は今日、最後、大臣への御質問を通告をさせていただいておりましたが、時間の関係で、ここで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。

 本日は一般質疑ということで、質問させていただきます。

 先般というか先週ですが、山口へ行く途中で広島に降りましたら、本当に外国人の観光客が多くいらっしゃいました。もちろん、私の住んでいる地元川越も観光客が大勢来られているし、その中の割合も、外国の方が多く見受けられるようになりました。改めて、インバウンドがすごく日本に来ているんだなというのを実感をしております。

 昨年十月の水際対策緩和以降の状況でありまして、円安状況の中で日本経済が世界から遅れて、安く安全に楽しめる旅行先として、訪日観光客数の回復は顕著であります。新型コロナ禍以前の水準まで取り戻していくとの予測も出されておりますし、二〇二四年と野村総研の方では予測をされています。

 訪日観光客の一日当たりの消費額は、コロナ前の平均は十五・九万円、それを今は既に上回って二十一万二千円で、いわゆるインバウンド需要というのは五千九百四十九億円に上っております。今のは観光庁の三月三十一日の発表でありますが、野村総研の試算でいきますと、インバウンドの需要は、二〇二三年、本年は五兆九千四百五十八億円、GDPの一%を超えて押し上げる規模に達するということが発表されております。

 地元の川越で一月に大火事がありました。川越市の指定文化財の店舗が全焼しました。この焼失した建物は、明治時代に川越大火を教訓に大谷石など不燃性素材を使って建造されておりまして、今回の火事において、夜の九時ぐらいから消火が始まり朝の四時までかかるという本当に大きな火災ではありますが、隣接する建物への延焼を免れております。

 このことからも、明治時代に丁寧に造られたこの建築方法というのは理にかなった優れたものだったというふうに考えますけれども、この建物自体を再興するのだと億単位のお金がかかるということが言われております。

 川越市や建物の所有者など、また多くの方々がやはり再建に向けて動いております。私も情報提供などをさせていただきましたが、文科省や国交省など様々な補助制度も検討しているとは聞いておりますけれども、なかなか、個人所有のものであったり、火災保険の問題であったり、民民の問題など、非常に障壁があるものが山積しておりまして、復元のめどというのは現在ついていないところであります。

 今国会での空き家法改正で相続登記の義務化なども進められていくことで、また、所有者不明や放置が軽減されていくことにも期待しておりますけれども、観光地に建つ歴史的建造物の再建というのは非常に難しいということが、今回は実感をしております。

 そこで、町並みの保存や再興は観光政策に資するのか、この点に関しまして観光庁の考えをお聞かせください。

秡川政府参考人 我が国が有する良好な景観とか歴史的な町並みは、国内外の観光者を魅了するすばらしい観光資源の一つだというふうに考えています。

 また、これらを保存して活用していくことは、住民が地域に誇りと愛着を持ち、活力に満ちた地域社会の持続的な発展を可能にするということで、観光立国の実現には不可欠な取組というふうに認識しております。

 観光庁としては、歴史的な資源を活用した観光まちづくりの取組を推進しておりまして、引き続き、地域における特色ある取組を支援していきたいというふうに考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 そうはいいましても、景観というのは継続性があって、歴まちなどにおいてもそこを認めていただいているのは理解をしているんですけれども、なかなか、居住していない方とか、新しい方とか、古いものを維持するというのは難しく、不動産のフが負債のフとなりかねないところもあります。

 住んでいる方も、住み心地が必ずしもいいわけじゃないけれども、代々引き受けた建物だから、自分の代は何とかこの景観を守って頑張るんだという個人のある意味努力と、もしかすると犠牲とか奉仕の気持ちとか、そういったもので何とか成り立っているのが今の日本の状況ではないかと思っております。

 歴史的価値や町並みの連続性が結果として壊されたりしても、やはり個人で維持するのは厳しく、その場所が、川越の町でも何か所も、維持をしてもらいたいと言いましたけれども、所有者の方が維持ができないで、結果として、更地にして、駐車場需要、観光地はありますので、なるということがもう幾つも起きています。

 国交省として、町並みの維持、再興、復元というのは価値あるものと考えるのか。現状のままでは観光資源となる町並みが維持できなくなる。日本はそこがやはり、多くの方が外国から来て、町並みを見る。私たちも恐らく、海外に行って、その歴史的な町並みというのを楽しみ、そのためにそこまで行ってお金を落としてくる。海外の方も同じです。この点はやはりしっかりと守るために、ある意味、それによって、先ほど言ったとおり、一年ですけれども、五兆以上入るインバウンドのそういった経済の利益を考えれば、しっかりと支援をするということが必要だと思います、経済的にも。

 その点に関して、施策など、支援策などありましたら、是非お聞かせいただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 歴史的町並みは、地域固有の風情や情緒を醸し出しております。各地域のアイデンティティーの確立に寄与し、大きな観光資源でございます。後世に継承すべき資産である、このように考えております。

 そのため、国土交通省では、平成二十年にいわゆる歴史まちづくり法を制定いたしました。

 市町村は、この法律に基づきまして計画を策定し、国の認定を受けることによりまして、街なみ環境整備事業など、様々な事業により、重点的な、財政的な面も含めまして支援を受けることが可能となっております。

 具体的には、歴史的建造物の修理、伝統的な意匠形態を有する新築建築物の外観の整備等について支援を実施しております。

 また、歴史的資源を活用した観光まちづくり推進事業においても、歴史的建造物の改修などへの支援が可能となっております。

 国土交通省としては、地方公共団体の意向や地域の実情を踏まえながら、引き続き、歴史的な町並みの維持向上に向けた支援をしっかりと進めていきたいと思っております。

小宮山委員 ありがとうございます。是非しっかりとしてやっていただきたいと思いますが、なかなか、試算上、見ていると、新しい建築物を造るときの予算規模でしかないのかなと。

 古いものというのは、構造の問題とか、また、職人もいなくなる、その人たちのことも考えると、もう少し手厚くすることも含めて是非検討していただき、今後、インバウンドや、復興するというのと、六千万人、多くの方々が日本に来て、どうやったら、日本を楽しんでいただくのか、長い歴史があるからこそすばらしい国だと言っていただけるように、その点は手厚く支援策を考えていただければと思います。

 それでは、新しい資本主義実現会議でのライドシェアの議論について、伺わせていただきます。

 おととし十月二十六日の第一回の開催以降、これまで十六回開催されている会議であります。今年三月二十九日の第十五回開催において、委員の一人が、ライドシェアの拡充に努めるべきであるとした資料を提出されております。同委員会委員の発言では、提出資料内の説明や意見表明は資料を御一読いただきたいというだけでほとんど触れられておりませんが、既存の事業者に対しては政治が補償し、圧倒的大多数の国民にライドシェアのメリットを提供すべきだなど補足されておりました。

 政府内に設置された新しい資本主義実現会議において、ライドシェア拡充についての資料提出や意見表明が行われることで、なし崩しに、いつの間にか政府として進めていく政策の中に位置づけられていくということのおそれがあると思います。各委員からの資料提出や意見表明だけで、ほかの委員の意見に対しての意見表明などはほとんど行われない会議のまとめとして、否定的な意見は出なかったことがほかの参加者が同意したというまとめにされるのではないか、大変危惧をしているところでもあります。

 そこで、国土交通省では、安全、安心を担保しにくいライドシェアに対して、慎重な姿勢で対応していただいていると思いますが、改めて、ライドシェアについての御所見を求めます。また、新しい資本主義実現会議にてライドシェア拡充の意見が出されたことに対して、どのように受け止め、どのように対応していくのか、お聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 いわゆるライドシェアにつきましては、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としており、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があると考えておりまして、この考えは従来から変わっておりません。

 また、新しい資本主義実現会議でライドシェア拡充についての御意見がありましたが、国土交通省としましては、住民、来訪者の移動手段の確保に関しては、安全性及びサービスの安定的な提供の観点から、まずはタクシーやデマンド交通を御活用いただき、それでも不十分な地域では、自家用有償旅客運送も組み合わせて交通サービスを確保していくことが重要だと考えております。

 このため、先般、交通不便地域を念頭に、タクシーやデマンド交通の供給力を高めるとともに、自家用有償旅客運送を安定的に運営するための制度、運用の改善に関する検討会を開始したところでございます。

 加えて、喫緊の課題となっているタクシーの運転手の人材確保に向け、運賃改定への迅速な対応や必要な財政支援にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

小宮山委員 是非、今国会では、地域公共交通の法案とか地活化法とか、いろんな法案がございました。地域において、また、移動の権利というのをしっかりと認めた上で、例えば、自動運転もそうですし、電動車椅子であったりとか、様々なツールを国交省としても使えるようにしていただきたいと思いますし、また、ライドシェアという、不安定なというか、余り安全性や、働き方としても、海外ではかなり訴訟も起きています。日本でもやっています。こういったものではなく、きちんとした、権利が守られるように、またしっかりと声を上げていただきたいと思います。

 次の質問では電動キックボードについて伺いますけれども、昨年四月に道路交通法が改正され、今年七月一日から、特定小型原動機付自転車、いわゆる電動キックボード等の交通方法に関する規定が施行となりますが、これなども、事業者の要請とともに、内閣府の規制改革推進会議での議論を通じて導入に向けての道筋が敷かれた上で、何となく、私の印象ではございますが、国土交通省と警察に押しつけられたような側面があったのではないかと思っております。導入に伴う事故や問題が出てきたとしても、それは国土交通省や警察庁の問題であって、規制緩和、導入を求めた立場の人たちは我関せずと責任放棄をしてしまうような状況さえ生まれかねないのではないでしょうか。

 ライドシェアに関しては、安全、安心の担保の観点から問題を指摘できるのは国土交通省のみだと思うので、しっかりと対応していただきたいと思っております。

 そこで伺いますけれども、この点に関して、四月から自転車のヘルメット着用が努力義務となり、また、七月から電動キックボード等の利用が始まるという、本年の今の時期から夏にかけては、自転車並びに電動キックボード等のほぼ同じとなる交通法制につきまして周知徹底、教育指導などに努めるべきだと考えますが、警察庁での取組の進捗状況について御説明ください。

小林政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の自転車及び本年七月からの改正道路交通法の施行が予定されている特定小型原動機付自転車に関する交通秩序と安全性の確保は、警察として大変重要な課題と認識しております。

 まず、自転車につきましては、本年四月一日から全ての自転車利用者について努力義務化されたヘルメットの着用向上のため、関係機関、団体等と連携して広報啓発に取り組んでいるところです。

 また、交通ルールの徹底を図るため、都道府県警察において、全国約千九百か所が選定されている自転車指導啓発重点地区・路線を中心に、広報啓発活動、交通指導取締り等に取り組んでいるところであります。

 次に、特定小型原動機付自転車につきましては、本年三月、関係省庁や事業者で組織した官民協議会において、関係事業者が取り組むべき交通安全対策を内容とするガイドラインが作成されたところであり、警察では、本ガイドラインに基づいた、販売事業者やシェアリング事業者による利用者への安全教育が的確に行われるよう働きかけをするとともに、警察としても、広報啓発、安全教育、そして、的確な交通指導取締りに努めてまいります。

小宮山委員 事業者の方たちなど、今でも、自転車やキックボードなどは非常に小回りが利いて、細いところへ入っていって、事故や、接触事故など心配もたくさんあります。その方たちは事業をやっております、生活が懸かっています。キックボードや、使いやすいかもしれないけれども、ルールが分からない、また、無謀な運転というんでしょうか、走行をするということで、事故が起こらないことを願いますし、また、そういった事業者の方々がもらい事故のようなことにならないように、周知徹底、そして、それを見てのまた対策を警察庁には求めたいと思います。

 さて、毎度と言ってはあれなんですけれども、どうしても、埼玉県民でございますし、空港の方に行くのには非常にアクセスが難しいということは常に考えております。しかし、私の町、地元川越も、五百五十万人ほど昨年は観光客が戻ってきておりまして、一大観光地でもありますが、なかなか空港から来るのは難しいという面もあります。

 そこで、現在、休止されている大汐線というんでしょうね、活用や、東京貨物ターミナル内の改良とともに、一部に新線工事を行って、東京駅などから羽田空港へ乗換えなく移動できる羽田空港アクセス線の東山手ルートが本年六月から工事着工されるという報道がございました。

 東山手ルートでは、宇都宮線、高崎線などから直通運転も実現可能となり、私の地元の埼玉県下からも、大宮駅などから乗換えなしで羽田空港まで行けるということになりそうです。予定では、二〇三一年の開業を目指すとされていますから、八年から九年先となるんでしょうけれども、今から大いに期待をしているところでもあります。

 そこで、二点聞かせていただきます。

 西山手ルートについてはどう見込まれるのか。大宮―川越駅間の川越線の複線化に関しても、観光客を、先ほど言った、経済効果を考えれば、誘致、大変重要かと思いますので、この点に関してお聞かせください。

上原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のございました羽田空港アクセス線西山手ルートにつきましては、今後、事業化に向けて、JR東日本、東京都を始めとする関係者間において具体的な事業計画の検討を深めていくことが必要であるというふうに認識をいたしております。

 先ほど御指摘のございました東山手ルートによりまして、羽田空港へのアクセス新線は、共通して整備が行われると思います。

 国土交通省といたしましては、地域における検討状況を踏まえつつ、制度面や技術面の観点から必要な協力や助言を行ってまいりたいと考えております。

 また、川越線大宮駅―川越駅間における複線化につきましては、荒川橋梁の架け替えに向けた埼玉県における協議会におきまして、現在線の上流線に単線で架け替え、複線化時には現在線位置に単線構造の橋梁を架ける案が、総合評価として最も高い結果であることが示されたと承知いたしております。

 こうした検討結果を踏まえまして、本年三月に、新たにJR川越線の利便性向上に向けた埼玉県による協議会が設置され、複線化に向けた環境の整備、あるいは利便性の更なる向上に向けた取組の検討が進められたところでございまして、まずは、地元自治体とJR東日本との間で十分な協議が行われていくことが重要であると考えております。

小宮山委員 是非、バリアフリーも、また、ホームドアの設置なども、いろいろな線が入りますが、難しいと思いますが、しっかりと検討をしていただきたいこと。

 そして、時間となりまして残念ながら伺えなかったんですけれども、国交省のOBの再就職先要請問題に関しましては、大臣につきましては、何となく、非常に消極的な答弁が続いております。現役の職員の方たちにも本当に御苦労もかけられていますので、この点に関してはしっかりと対応していただくこと。

 そして、OBが何と言ってもそれはOBの話でありますので、予算だったり、様々なところでは、今ちゃんと第三者機関をしているんだからということ、その点を是非肝に銘じ、そして、しっかり多く発言をしていただいて、しっかりと線引きをしていただけるように、大臣にはお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、神津たけし君。

神津委員 長野三区の神津たけしです。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まずは、ドローンについて質問させていただきたいと思っております。

 ウクライナの戦場においては、偵察、自爆、爆弾投下型などの様々なドローンが使用されて、日本もこうしたドローンに対する対応が今求められていると私は考えております。

 そして、今、私たちの航空法とかドローン法とか、今あるものでドローンによる攻撃を防ぐことができるのか、こうした観点から、そして、四月十五日には、岸田総理の演説直前に爆発物が投げられた。今後、あのような攻撃がドローンで行われたらと私は心配しております。

 航空法の百三十二条の八十六、二項第四号には、「祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空以外の空域において飛行させること。」というふうに定義されております。

 この条文にある多数の者とは何人のことをいうのか、多数の者の集合する催しには演説会場が含まれるのか、演説会場が含まれるのだとしたらば、催しが行われている場所の上空とはどこを指すのか、教えてください。

斉藤(鉄)国務大臣 航空法におきましては、ドローンが落下し、人に危害を及ぼすことを防ぐ観点から、国土交通大臣の承認を得た場合を除き、祭礼、縁日、展示会その他の多数の者が集合する催し場所の上空でのドローンの飛行を禁止しております。

 お尋ねの、多数の者とは何人になるのかという人数についてでございますが、ドローンの落下による人への危害を防止する観点から総合的に判断すべきものであり、具体的な人数の基準は設けておりませんが、一般的に、数十人程度以上が参加するようなものは多数の者の集合する催しに該当するのではないか、このように考えております。

 また、催物の上空の境界の範囲についてですけれども、同様に総合的に判断されるべきものではありますが、一般的に、催しの会場として主催者が管理を行っている施設や区域の上空でドローンを飛行させる場合が規制の対象になる、このように考えます。

 その上で、演説の会場につきましては、このような演説会場において参加する人数が数十人を超えるような場合には、航空法による多数の者が集合する催しの上空ということと考えて、規制の対象になる可能性があります。

神津委員 御答弁ありがとうございます。演説会場が含まれると理解いたしました。

 その上でなんですが、演説会場の上空以外でも、私は警備が対応できる距離まではドローンの飛行というものを一時的に禁止すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 航空法における多数の者が集合する催し場所の上空におけるドローンの飛行規制は、このような場所でドローンが落下し、人に危害を及ぼすことを防ぐ観点から設けているものでございます。

 このため、国土交通大臣の承認を行うに当たっては、ドローンの飛行高度や速度などを勘案し、ドローンが落下する可能性のある範囲を立入禁止とすることなどを求めております。

 一方で、御指摘のような悪意を持った者によるドローンの悪用について、国土交通省として、ドローンの登録制度の創設により未然防止を図るとともに、ドローンの利便性を確保しつつ、悪用についても防止を図るべく、関係省庁とも連携してまいりたいと思っております。

神津委員 警察庁からもお願いできますでしょうか。

 今、国交省から、航空法の観点から、落ちないという観点から、攻撃を考えているわけではないと理解しました。

 警察庁の方からもお願いいたします。

早川政府参考人 お答えいたします。

 小型無人機等飛行禁止法は、重要施設に対する危険を未然に防止し、もって国政の中枢機能等、良好な国際関係、我が国を防衛するための基盤並びに国民生活及び経済活動の基盤の維持並びに公共の安全の確保に資することを目的とする法律となっております。

 御指摘の、多数の者の集合する催しが行われている場所を含めまして、同法の重要施設に該当しない場所は同法の規制対象とはなりません。

 警察といたしましては、こうした多数の者の集合する催しが行われる場所において、国土交通大臣の承認を受けずに小型無人機を飛行させている者を発見した場合には、飛行を中止するよう警告するなどしているほか、小型無人機の飛行により危険が生じるおそれがある場合には、催しの参加者の避難誘導等を行うこととしているところでございます。

神津委員 今の御答弁だと、航空法の観点は落ちないようにという観点で、現在のドローン法については重要施設を守るという法案となっている。

 私が思うところでは、これは人が集まるところを守るというところが規定されていないと思いますので、次の法改正のときには、人の集まるところ、それから皇族、首相とか国賓とかが集まるところ、そうした方々がいらっしゃるところ、ドローンによる攻撃から守るべき対象として、場所として加えていくべきだと思いますが、政務官、いかがでしょうか。

小野田大臣政務官 恐れ入ります。ちょっと私が質問の意図を酌み取れていなかったら申し訳ないんですけれども、自衛隊の対象防衛施設の上をどうこうというお話でしたら防衛省だと思うんですけれども、全般的に人の集まる場所のドローンをどうするかは私の所管ではないかなというふうに、申し訳ございません。

神津委員 では、警察庁からお願いできますでしょうか。

早川政府参考人 お答えいたします。

 小型無人機等飛行禁止法は、対象施設、対象施設の指定敷地等及び対象施設周辺地域における小型無人機の飛行を、施設管理者の同意等がある場合を除き、一律に禁止するものであります。

 小型無人機等飛行禁止法に基づき指定される対象施設、対象施設の指定敷地等及び対象施設周辺地域については、事前に国民に周知することにより、規制の実効性を担保する必要があると考えております。

 御指摘の多数の者の集合する催しが行われている場所につきましては、その性質上、事前に国民に広く周知することが難しい場合が少なからずあり、規制の実効性を確保するという観点から課題があるものと認識しております。

 いずれにいたしましても、警察としては、引き続き、小型無人機を悪用したテロ等への対処に万全を期してまいりたいと考えております。

神津委員 先ほども申し上げましたが、今度の法改正の際には、この重要施設、場所だけではなくて、人が集まるところ、皇族、首相、国賓など、そういう方々がいらっしゃるところも守るべき対象場所として是非とも加えていただきたいと思います。

 航空法では、自衛隊が、例えば、ドローンを目視外、百五十メートル以上の高度を飛ぶとき、それから夜間に飛ばす場合、これは適用除外になっていると思います。ふだん、普通の一般の方がこうしたところを飛ばすときには、十日前に申請が必要だというふうに伺っております。

 警察庁にちょっと伺いたいんですが、自衛隊が自衛隊の敷地外の重要施設上空や付近にてドローンを飛ばすときには、四十八時間前までに手続を行うことになっているのか、伺わせてください。

早川政府参考人 お答えいたします。

 自衛隊との関係におきましては、四十八時間前の通報のほか、自衛隊との関係で取決めを結びまして、必要な場合には、通報という形ではなくて、事前の協議によって自衛隊のドローンが飛行するという場合もあるものと承知しております。

神津委員 私、事前のレクで伺っているのは、有事の場合のみ、飛行前に自衛隊が口頭で警察に通知することとなっていると伺っています。

 有事の場合以外には四十八時間前に申請が必要となっていると思いますが、もう一度伺わせてください。

 済みません、時間を止めてください。

木原委員長 では、速記を止めてください。

    〔速記中止〕

木原委員長 速記を起こしてください。

 警察庁早川長官官房審議官。

早川政府参考人 お答えいたします。

 自衛隊との関係では、通報を行うことが困難な場合もございます。その際には、小型無人機の識別を容易にするための必要な措置を取ることなどによって小型無人機の飛行が可能であると認識しております。

神津委員 自衛隊が、訓練時においても平常時においても、必要なときに迅速にドローンが飛ばせるように、次回の法改正の点で検討すべきだと私は思っております。

 次の質問に移らせていただきます。

 飛行禁止区域として設定している自衛隊基地等でドローンを飛ばしたいと申請があった場合には、認可しているのでしょうか。

小野田大臣政務官 お答え申し上げます。

 報道機関による取材目的の飛行など正当な理由のあるドローンの飛行については、施設管理者の同意等の手続を通じて飛行を認めることにより、法の規制目的と国民の権利との調和を図ることとしております。

神津委員 私が思うところ、これは毎回毎回認めていると、私、これまで、令和三年まで、自衛隊駐屯地上空にドローンを飛ばしたいという要請があった場合には、これまで禁止した実績はなくて、許可しているというふうに伺っております。

 これまで、私が思うところは、安全保障の観点から、許可をするだけではなくて、申請してきた方がどういった方なのかというのをもう少し吟味していただいて、次回のこれも法改正の論点として是非考えていただきたいというふうに思っております。

 次の質問なんですが、ドローン法では、国の重要施設と、そこから三百メーター離れたところでは飛ばしちゃいけないというふうに定められております。

 この距離なんですが、なぜ三百メートルとして定められているのか、教えてください。

早川政府参考人 お答えいたします。

 小型無人機等飛行禁止法の制定時の国会審議におきまして、対象施設周辺地域の基準の考え方として、小型無人機に搭載のカメラの画像を見ながら遠隔操作するタイプについては、一般的には、小型無人機と操作する者との間の距離が、上限がおおむね二百メーターから三百メーターであるということ、本法案の契機となりました官邸ドローン事件は、その後の調査で、おおむね二百メートルから飛ばしたものであることなどが挙げられているものと承知しております。

神津委員 これは、過去には二・四ギガヘルツ帯の無線を使って飛ばしていらっしゃったと思うんですけれども、今は五ギガヘルツ帯も認められているというところでは、数キロ先のものも目視外で運航できる。それから、位置情報のGPSも扱えば、コントロールすることなく入力地点まで飛ばすことも可能になっていると思いますので、その点、ちょっと留意しながら、この三百メーターというのが私は今のドローンに対しては有効ではないのではないかと思っております。

 例えば、今一般的に販売されているものでも、時速百四十キロぐらいで飛ぶものが大体十五万円ぐらいで手に入る。これは、三百メーター飛ぶには大体八秒ぐらいで飛べてしまう。そのほかにも、今、日本の大学で開発されているものでもマッハ二ぐらいで飛ぶものもあるんですね。それだと、もう〇・五秒で三百メーター飛べてしまうというところにおいては、本当にこの短い時間ですぐに対応できるのかというところを私は心配しております。

 この点について、三百メーターに入った時点でジャミングとかマイクロ波を使って対応していくのか、それとも、もっと先から対応していくのか、教えていただけますでしょうか。

早川政府参考人 警察におきましては、まず、違法な小型無人機の早期発見に努めているところであり、違法な小型無人機を発見した場合には、検知器による検知情報を活用するなどして周辺を検索し、操縦者の発見に努めているところであります。

 その上で、小型無人機の退去を命ずるなどの措置命令を行うなどしているところであり、また、操縦者がその場にいない場合や措置命令を行ういとまがないときは、飛行妨害等を行うことにより小型無人機の飛行による危害を防止することとしているところでございます。

神津委員 ありがとうございます。

 三百メートルに入った時点から対応するというふうに、私、事前レクでも伺っているんですが、これはやはり距離的にちょっと不足してしまっているのではないかと。特に原子力発電所とか、一旦攻撃に遭ってしまった場合、広域に被害が及んでしまうというところについては、三百メーターではなくて、もっと長い距離を取って規制をかけていくべきだと思います。

 この点、防衛省の方からも見解を伺えますでしょうか。

小野田大臣政務官 お答え申し上げます。

 ドローンが対象施設に到達する前の段階でこれを阻止するために設けられた三百メートル、おおむね三百メートルというふうに、必要な措置を取るために、距離として、専門家の見解を踏まえた上で規定されたものでございます。

 ただ、先生御指摘のとおり、ドローンに関する技術というのは進展をしておりまして、ドローンへの対処を含め、自衛隊施設等の警備をより万全にするための検討については、ドローンに関する今後の技術の進展の動向も注視しつつ、不断に行っていく必要があるというふうに考えております。

神津委員 今、ドローンによる攻撃、例えば原子力発電所にあった場合には、原子力発電所を守っているのは警察の方々なんですが、もしこれが、例えばドローンによって飽和攻撃が来た場合、そのときに、では、自衛隊出動しますというときに何を行うかというと、閣議を一回行ってからでないと、そこで確認をしないと治安出動命令というのが出せないと思うんです。

 そうすると、本当に一秒ぐらいでしか、ドローンについては、ミサイルと違って、対応できる時間が短いというところでは、迅速に閣議決定を行って治安出動を行ったとしても間に合わないのではないかというふうに私は思っております。

 そうした意味においては、もう少し、この法改正のときに、治安出動命令についても検討すべきだというふうに思っております。

 原子力発電所については、過去に、フランスの事例なんですが、人型のドローンを、これは固定翼型のドローンなんですけれども、環境のNGOが、燃料プールに向かってこれを過去に飛ばしたことがあるんですね。それは爆弾を積んでいなかったから一大事にならなかったんですが、そういった事態も検討すべきだというふうに私は思っております。

 先週の四月二十日、泊原発で周辺五十メーターでドローンを飛ばしていた方がいらっしゃって、その方は航空法によって検挙されたんですが、それは登録していなかったからということで検挙されたんですが、これは目視で、警察官がその方が飛ばしているというところを目視しないとドローン法で検挙できないのか、伺わせてください。

早川政府参考人 小型無人機等飛行禁止法の場合につきまして、周辺地域におきまして飛行していた場合に、検挙する場合には、警察官が操縦者に対して警告を行うことが必要となります、前提といたしまして。

 その場合には、その飛行状況を警察官が確認をし、その上で操縦者に警告を行うということが必要になります。

神津委員 今の点についても、これから、航空法それからドローン法改正の論点だと思いますので、是非御検討いただきたいと思います。

 質疑時間が参りましたので、ありがとうございました。

木原委員長 次に、赤木正幸君。

赤木委員 日本維新の会、赤木正幸です。

 本日は、また、貴重な質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 先日は、本会議において空き家法改正案について質問させていただき、こちらについてもありがとうございました。

 今日は、空き家法そのものではないんですけれども、非常に密接な関係がある既存住宅流通市場、いわゆる中古住宅不動産の売買マーケットに関する質問と、さらに、その大前提にもなる所有者不明土地若しくは所有者不明空き家について質問させていただきます。

 私、何度かお話しさせていただいたみたいに、不動産ビジネスに関わっていた経験がありますので、こういった既存住宅流通市場を活性化させるための論点とか施策は非常になじみが深いものなんですけれども、恐らく、一般の方たちに余り知られていないのかなと考えております。そもそも、新築市場の方が注目度もマーケット規模も大きいですし、目を向けられることが相対的に少ない論点、しかしながら非常に重要な論点と考えております。

 ですので、今日はちょっとかなり細かい論点が続くことになりますが、日本の住宅政策とか空き家政策を考える上では避けては通れない論点ですし、あと、持家率がたしか六割ぐらいですので、ある意味、国民の過半数以上の方にとっては無関係ではない論点と考えておりますので、かなり多い論点になりますので、深入りすると確実に、もうこんな話をしている時点で時間オーバーにつながっていくので、まず、ちょっと網羅的に、各論点について質問させていただければと考えております。

 まず、最初の質問となります。

 全体の前提となりますが、そもそも、日本の既存住宅流通市場の現状について、政府としてどのように受け止め、評価されていますか。また、どういった課題が存在していると認識されているか。そして、一番大事なところですけれども、今後目指すべき方向性について、これは本当に国民全体に関わることですので、是非、斉藤国土交通大臣より御見解をいただけますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 我が国の新築住宅と既存住宅を合計した全住宅流通量に占める既存住宅の割合は、平成三十年時点で約一四・五%となっており、欧米諸国と比較して五分の一から六分の一程度にとどまっております。

 一方、我が国の住宅ストックの現状を見ると、耐震性を満たさない住宅が約七百万戸あり、省エネ性能やバリアフリー性能が不十分な住宅等も多数あることから、これらの住宅の建て替えや改修による性能向上が必要です。

 これらを踏まえ、政府としては、住宅ストックの質の向上に取り組むとともに、これらの住宅ストックが世代を超えて継承される市場環境の整備に取り組むこととしております。

 また、既存住宅の流通とリフォームにつきましては、平成三十年時点の市場規模十二兆円を長期的には二十兆円規模とする目標を掲げて、拡大に取り組んでいきたいと思っております。

赤木委員 ありがとうございます。

 そうですね。まさしく私も認識どおり、諸外国と比べると、非常に既存住宅流通というのは少ないというか低調であることは事実であり、さらに、良質なストック、良質な住宅を増やしていくという観点から、ここを活性化させるというのは非常に大事だと考えております。

 それを政府としても増やしていこうという認識があるというところで、そもそも、この流通量を低調な状況にしている原因は、ある意味、良質なストックの形成を阻んでいる原因とかなり近いかなとは考えております。

 そういったゆえに、ちょっと多いんですけれども、十個ぐらい論点を質問させていただきたいと考えております。

 まず最初は、そもそもの住宅購入者の意識に関する論点になります。

 私、不動産事業者だけではなくて、結構、エンドの、住宅購入者の方ともよく接点があるんですが、よくありがちなのは、せっかくのマイホームだから新しい方がいいとか、あとは中古住宅が何となく不安という意見もある。一方で、中古の方が割安だから絶対中古でしょうという意見もあると思うんですけれども、ここで質問になりますが、住宅購入者の意識に関して、政府としてどのように把握されて、また逆に、あえて中古住宅をなぜ選ばなかったのかといったような意見でも結構ですので、どのように把握されているかを御回答いただけますでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 新築の住宅を購入した方の意識につきましてアンケートを行いました。令和三年度住宅市場動向調査によりますと、既存住宅にしなかった理由といたしましては、新築の方が気持ちいいというのが最も多い回答でございますし、二番目には、リフォーム費用などで割高になるという回答が多く、既存住宅の客観的、技術的な性能に満足をされていないということが見て取れます。

 また、隠れた不具合などが心配である、耐震性や断熱性などの品質が低そう、給排水管などの設備の老朽化が懸念されるといった回答が三位から五位に挙げられておりまして、消費者の方の既存住宅の性能や品質に対する不安感あるいは疑問、こういうものがあるということも見て取れるかと存じます。

 こういう購入者の声を踏まえますと、既存住宅の品質自体を高めるということに加えまして、購入者の不安感にも応えられる対策が重要と考えられますので、インスペクションの普及でありますとか瑕疵保険の加入促進、こういったことに取り組む必要があると考えております。

赤木委員 そうですね、まさに気持ちいいとか不安がありそうだからという、ちょっとそういった懸念の部分というのがあるのは確かかなと考えております。

 もう一つ私も認識していますのが、やはり、木造が多いという部分もある、あとは日本は地震が多いということもあると思うんですけれども、日本の住宅の寿命そのものが短いんじゃないかという、ある意味これはちょっと誤ったイメージかなと私は思っているんですけれども。

 これは質問になりますが、日本の住宅の利用期間とか寿命が本当に短いものになっているのか、また、それがもし短いのであれば、どういったことが原因と認識されているかを御回答いただけますでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅が除却をされました時点での平均築後年数を見ますと、平成三十年度の調査では三十八・二年となってございます。十年前の二十七・〇年に比べますと伸びているということでございますが、諸外国に比べますと短くなってございます。アメリカですと六十六・六年、イギリスですと八十・六年という調査結果がございます。

 この背景にございますのは、我が国におきましては、戦後、絶対的な住宅不足の中で、住宅の質よりも量の供給を優先せざるを得なかったということが一つ考えられます。また、耐震基準が一九八一年に改正をされまして、それ以前に建築された住宅への安全性について不安感がある、こういうことから、古い住宅ストックが流通することなく取り壊されることが多いということが背景にあると認識しております。

赤木委員 そうですね、まさに今御回答いただいた内容というのは、意外に国民の皆様も含めて知られていない事実かなと思います。

 良質なストックに建て替える上で、悪いものとは言わないんですけれども、建て替えざるを得なかったものを建て替えていくことによって築年数が諸外国に比べて短くなっているというのは、決してそこだけ切り取って、数字は確かに少ないんですけれども、悪いことではないかなとは考えております。

 一方で、この良質なストックの内容として、何をもって良質かというところは、住宅品質というのが中古住宅の流通において非常に重要になっていると考えています。

 よく言われるのが、この中古住宅マーケットは、まさに実際に購入してみないと分からないレモンマーケット、レモン市場と言われていて、いわゆるレモンというのは、皮が分厚いから切ってみないと中身が分からない、味が分からないという、そういう世界なんですけれども、そんな中で、この中古住宅マーケット、購入者が十分な情報を持つことというのは非常に難しい、いわゆる情報の非対称性が発生しやすいマーケットだと考えております。

 ここで質問になりますが、こういった住宅品質に関する情報やそれを把握する仕組みなど制度の整備状況と、その活用状況を踏まえた評価について御見解をいただけますでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、既存住宅の流通を拡大していきますためには、住宅の品質に関する情報でありますとか既存住宅の不具合の有無、こういったことを分かりやすく示していくということが大変重要だと認識してございます。

 まず、住宅の品質につきましては、耐震性能でありますとか省エネの性能が確保されまして、多世代にわたって良好な状態で使用可能となってまいります長期優良住宅の認定制度を平成二十一年に創設をいたしまして、これまでの間、令和三年度末までに百三十五万戸が供給をされてございまして、住宅の品質向上に一定の貢献をしているというふうに考えてございます。

 また、令和三年にはこの制度を拡充いたしまして、新築に加えて、一定の性能を有する既存住宅につきましても長期優良住宅の認定を受けられるようにしたところでございますので、引き続きこの制度を活用していきたいと考えております。

 また、もう一点の既存住宅の不具合の有無等でございますけれども、これにつきましては、インスペクションと呼ばれます既存住宅の状況調査を行いまして、その不具合の有無等を明らかにしていくわけでございますが、調査方法の基準を明らかにいたしますとともに、技術者の育成をいたしまして、普及に努めているところでございます。

 こういった制度を更に普及させていきますためには、消費者の方々にインスペクションの意義とか効果を御理解いただくということが大変重要だと思いますので、分かりやすい周知啓発に努めてまいりたいと存じます。

赤木委員 そうですね。まさに、その長期優良住宅制度とかインスペクションの仕組みというのは、現場の不動産事業者にとってはすごくなじみが深いんですけれども、御回答いただいたみたいに、消費者の購入される方たちにとって、それが何を意味していて、それがどれぐらいの価値があるかというのが、なかなかまだ周知徹底というか広まっていない部分があると思いますので、それがプラスの評価になるようになれば、この後の質問にもつながるんですけれども、中古住宅の価格も上がって、資産性も向上するというふうになると、不動産事業者も力を入れてやりやすくなりますので、是非、引き続き、そこを広めていって、制度自体も拡充する部分は続けていただければと考えております。

 さらに、その不具合、今みたいなインスペクション等あれども、やはり、購入してからの不具合若しくは問題発生は、中古住宅の方が多いのはやはり実情です。

 あと、例えば、新築であれば住宅を建てた会社が存在することが多いですけれども、築数十年たっている住宅の場合は、結構建てた会社がもう倒産していたりということもあって、やはり中古住宅購入の心配というのは新築に比べて多いのも事実だと考えております。

 そこで、不安とかリスクを担保するものとしては保険という技術がありますが、この既存住宅の売買における瑕疵保険に関して、制度の整備状況若しくは活用状況等、評価について御見解をいただけますでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 既存住宅の流通を活性化いたしますためには、消費者が既存住宅を安心して取引できる環境整備が大変重要でございます。既存の住宅の売買に係ります不具合に対応いたしますため、既存住宅売買瑕疵保険というものがございますが、この普及が重要だと認識しております。

 この保険への申込数でございますが、令和三年度で約三万戸となってございまして、近年増加傾向にございますけれども、更なる普及を図ることが必要だと思います。

 このため、国土交通省におきましては、瑕疵保険の意義や効果につきまして、消費者に分かりやすく周知をするというふうに努めております。また、既存住宅売買等に関します瑕疵保険に加入をした既存住宅で仮に紛争が生じました場合には、令和四年十月から住宅紛争処理の対象にこれを追加いたしまして、専門家の関与の下で住宅トラブルの解決に向けたサポートを受けられるようにする、こういう取組を行いまして、より安心して既存住宅を取引できる環境、こういうものを整備するように努めているところでございます。

赤木委員 そうですね。まさに、安心感をどんどん醸成というか育成していただければと考えております。

 さらに、その品質の不安じゃなくて今度はプラスの部分、メンテナンス情報若しくはリフォーム情報という、中古住宅の買手にとってはかなりプラスの有力な判断材料になりますし、あと、売手さんの側にとっても、せっかくやったリフォームとかメンテナンスがきっちりと売買価格に乗っかってくるという形は非常に合理的ですし、あとは、その情報を信頼できる形できっちり残していきたいというニーズも、ユーザーさんというかオーナーさんには多いと思います。

 こういった住宅メンテナンスやリフォーム等の履歴情報を残すことに関する制度の整備状況等について、御見解をいただけますでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 新築や維持管理、点検、リフォームなどに関する情報が住宅履歴情報として蓄積をされております既存住宅につきましては、今先生御指摘のとおり、きちんとした手入れがされてきているということがその情報を見れば明らかになるということで、より安心して購入できることにつながると思います。

 また、蓄積されております図面、図書などを使いまして、仮に追加的なリフォーム工事を行うという場合に、基の情報がしっかりあるということが適切な工事を行うことにもつながるという意味でも、既存住宅の流通活性化に資するものであるというふうに認識をしてございます。

 こうした住宅履歴情報の蓄積、活用につきましては、そのルールづくりを国土交通省におきまして支援をいたしますとともに、このルールに基づきまして、工務店などが履歴情報の蓄積をし、また、所有者の方が蓄積された情報を取引の際には買主の方に対して開示をするという形で活用されているところでございます。

 ただ、一方で、今申し上げました住宅履歴情報が蓄積された住宅というのは、まだ現時点では非常に少ないということでございますので、維持管理の履歴がきちんとあって、かつ良質な住宅ストックが市場においてきちんと評価される、そういうモデル的な取組を支援してまいりたいと思います。例えば、地域の工務店の団体が、ほかと差別化をしやすい既存住宅の認定制度のようなものを設けまして取り組まれているような場合について、国が支援を行っているところでございます。

 こういった活動を通じまして、住宅履歴情報の蓄積や活用を更に推進してまいりたいと存じます。

赤木委員 ありがとうございます。

 ここで、ちょっと異なる側面からの質問になるんですけれども、既存住宅取引のマーケット環境に関する論点になります。

 売る側も買う側も、幾らで売れるの、幾らで買えるのという取引事例については一番関心が高い情報です。一方で、売買価格というのは限りなく個人情報でもあり、知りたいけれども知られたくない情報です。さらに、物件も、個別な特殊事情もあったりして、一物一価になっていないというのが難しさではあると思うんですけれども、日本の不動産マーケットにおける住宅取引のデータベースの整備状況について、御回答いただけますでしょうか。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 既存住宅を始め、不動産流通市場の活性化のためには、市場の透明性、信頼性の向上が重要であると認識しておりまして、先生御指摘のように、価格情報についても非常に大事なものだと思っております。

 このため、国土交通省では、宅建業者間の物件探索システムであるレインズが保有する成約価格情報について、これは個人情報保護にも十分留意した上で、消費者向けに、レインズ・マーケット・インフォメーション、通称RMIと言っておりますけれども、として、ウェブサイトに情報発信を行っております。

 このRMIにつきまして、本年三月よりサイトをリニューアルしまして、少し消費者の方に分かりやすくという観点から、情報項目の詳細化や、あるいは対象地域の拡大などの見直しを行ったところです。さらに、国土交通省では、不動産の購入者からのアンケート結果に基づいて不動産取引価格情報を提供しておりますけれども、これを先ほどのRMIと同一のサイトで閲覧可能とするなど、消費者に向けた情報提供の充実を図ってまいりたいと考えております。

赤木委員 そうですね。まさにこの取引事例のデータベースというのは、海外はかなり進んでいて、それに付随した新しい、いわゆる不動産テックとかプロップテックというビジネスも盛り上がっていますので、是非この情報、活用しやすい情報基盤の整備をお願いできればと考えております。

 次に、同じように不動産マーケットの環境になるんですが、いわゆる仲介事業者さんが、両手仲介という、売主と買主の両方の仲介をすることに付随する弊害がよく指摘されているんですが、情報を囲い込んで、スムーズな取引に、なかなかマーケットに出してこないとかいう問題もあります。

 一方で、特に空き家が関連すると思うんですけれども、非常に低廉な住宅の場合は、手数料をそのままやってしまうと、なかなか十分な手数料がもらえないということでインセンティブが働かないといった課題も指摘されていると認識していますが、こういった両手仲介による弊害とか金額の低廉さによる弊害について、どういった改善政策をされているかということについて、御回答お願いいたします。

長橋政府参考人 先生御指摘の両手仲介の問題ですけれども、宅建業者が自社の利益のため、売主、買主双方の媒介を行ういわゆる両手取引を目指して、故意に物件の取引情報を隠すような、いわゆる囲い込みの行為を行うことは、早期の成約可能性を狭め、売主や買主の利益を損なう可能性があり、市場の公正を害するものと考えております。

 このため、取引情報の開示を促進すべく、レインズにおいて、物件の売主や他の宅建業者が当該物件に申込みが来ているかどうかの状況を確認できる機能、ステータス管理機能を導入し、囲い込み行為の防止を今図っているところでございます。

 また、低廉物件の媒介報酬の問題につきましては、平成三十年一月より、物件価格が四百万円以下の低廉な空き家などであって、通常より現地調査等の費用を要するものについては、従前の報酬額の上限に加えて、当該費用を考慮した額の報酬を売主から受領できるよう、見直しを行っております。

 こうした取組を通じまして、引き続き、宅建業者の業務の適正化と、消費者利益の保護の充実を図ってまいります。

赤木委員 まさに、レインズのステータス確認機能というのは、結構、事業者にとってもいろいろな意味で衝撃的なものだったんですけれども。すごい、いい意味で緊張感を、当然、当たり前のように公正な取引をするという環境は整っていると思いますので、引き続きこういった改善をしていただければなと考えております。

 次に、中古住宅の購入者の資金面の論点に移ります。

 中古住宅は住宅ローンがつきにくいという指摘が結構されます。例えば、中古住宅ローンへの優遇措置とあれば、新築ではなく中古を選択するインセンティブも働くと考えております。日本の中古住宅ローンの制度の整備状況若しくは活用状況について御見解をいただけますでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省所管の独立行政法人住宅金融支援機構におきましては、全期間固定の住宅ローンでありますフラット35を提供してございます。

 このフラット35の中で、既存住宅ストックの活用を図る方への支援といたしまして、高い省エネ性能などの確保のためのリフォーム工事を、既存住宅の取得と併せてそうしたリフォーム工事を行います場合に、これらに要します資金について、フラット35リノベという制度で金利の引下げを行ってございます。十年間で、〇・二五%あるいは〇・五%の引下げを行っているところでございます。

 また、地方公共団体と連携をして、空き家の活用を図る方への支援といたしまして、地方公共団体が住宅取得費に対する財政支援を行います場合に、フラット35地域連携型という制度で金利の引下げを行ってございます。この四月からは、金利の引下げ期間を従来の五年から十年に更に延長したところでございます。

 こういった制度によりまして、既存住宅の活用をより促してまいりたいというふうに存じます。

赤木委員 そうですね、フラット35がいろいろな形で改良版が出てきているというのは、これも、意外に、エンドの住宅購入者さんというのは、まだまだ知られていない部分がありますので、是非、周知を広める活動をしていただければと考えております。

 同じく、中古住宅のローンに関しては、ローンを出す金融機関サイドの難しさもあると考えています。具体的に言うと、中古住宅の担保価値の評価というのが非常に難しいということなんですけれども。一方で、最近だと、築年数だけじゃなく、立地のよさとか、省エネのストックの改修をしているというプラス評価も十分行う余地があると考えております。

 そこで、先日の、先週の二十日に、日経新聞にも記事が掲載されましたが、国土交通省さんが実施されようとしている価格算定モデルの検討会について、検討の内容とか、目指すものに関して御回答いただけますでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅金融支援機構が調べたところでは、現状では、約八割の金融機関におきまして、既存の戸建て住宅につきまして、建物の経過年数に基づき評価をし、維持管理やリフォーム等による物件ごとの品質差を考慮していないという回答が得られておりまして、築年数のみで一律に判断する担保評価手法というものが今大勢を占めてございます。

 既存住宅流通市場を活性化する方策の一つとして、既存住宅に対します金融機関の担保評価を改善をいたしまして、実態に合った適切な金額のローンを提供するということを促すということも非常に重要だと考えてございます。

 このため、令和五年度予算におきまして、地域の課題に精通しておられる金融機関が担保評価の改善を行おうとする場合に、これを支援する事業を新たに始めることにいたしました。

 この事業を通じまして、リフォームによります価値向上を反映させた担保評価モデル、こういうものの構築等を進めまして、既存住宅流通市場の活性化を図ってまいります。

赤木委員 まさにその部分というのが一番重要だと個人的には考えています。不動産、住宅を買うというのは、確かに住まいを買うことではあるんですけれども、当然、資産に対して投資をしているという、購入した資産をどうやって維持するか、若しくは、海外みたいに、資産を価値を上げていって、投資の側面というものが重視されるためには、今おっしゃられたような評価制度というのはもう絶対的に必要なものになると考えていますので、是非そこは徹底的に、いろいろな、証券化とか、既に不動産の価格を算定する方法はたくさんありますので、そういったところも参考にしながら進めていただければと考えております。

 次に、住宅の税制の論点になります。

 特に買取り再販と呼ばれる不動産ビジネスで、一旦買って、それをリニューアルして、リノベして、また次に売っていくといった場合に、中古住宅のマーケットのかなり重要な機能を果たしている事業者さんなんですが、買取りのたびに登録免許税が発生すると、コストがオンされて、競争優位性が阻害されかねないとかそういった部分もありますので、こういった中古住宅に関する税制の整備状況、その活用状況について御回答いただけますでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 既存住宅の流通を促すということで、事業者の方が既存の住宅を買い取って、一定のリフォームを行った後、消費者の方に販売をする、いわゆる買取り再販住宅、こういうものがございます。その流通に係ります税制上の優遇措置を講じているところでございます。例えば登録免許税、これは買手の方にかかる登録免許税を減額をする、それから、売手の方にかかる不動産取得税を減額する、こういった措置を講じているところでございます。

 こういった流通そのものを促進する税制以外にも、既存住宅の取得とか、リフォームを促進する税制というものも設けてございまして、例えば、いわゆる住宅ローン減税におきましては、長期優良住宅の建設をされようとする場合、長期優良な既存住宅を取得するような場合、こういうことについては非常に優遇した措置を講じてございますし、また、性能の向上を図ろうとする、いわゆるリフォーム減税、こういったことも講じているところでございます。

 こういった税制は、住宅を取得をされようとする方の、あるいはリフォームをされようとする方の行動に非常に大きく影響を与えるものでございますので、この税制を適切に活用して、住宅ストックの質の向上を図り、そして、流通の拡大を図ってまいりたいというふうに存じます。

赤木委員 ちょっと時間も迫ってきましたので、既存住宅の最後の論点になるんですが、日本は新しい家を建てやすいんじゃないか、建てやすい環境にあるんじゃないかという指摘が結構されるんですけれども、こういった、宅地規制とか新規の開発に対する規制の制度について、既存の住宅流通という側面から、どういった状況になっているかということについて御回答いただけますでしょうか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 新規開発の抑制につきましては、都市計画法におきまして、無秩序な市街化を防止するため、開発許可制度を設けております。

 具体的に申しますと、都市計画区域におきまして、必要に応じ市街化調整区域を定めますと、当該区域におきましては、例えば、農林漁業の用に供する施設や、周辺の地域に居住している方の利用に供する診療所や食料品店などを除きまして、開発について許可できないこととなります。

 また、令和二年に、災害の頻発化、激甚化を踏まえ、安全なまちづくりを進める観点から、都市計画法を改正し、土砂災害特別警戒区域等の災害レッドゾーン、あるいは、浸水想定区域等の災害イエローゾーンといった災害リスクの高いエリアにおける新規開発の抑制を図る措置を講じたところでございます。

 国土交通省といたしましては、こうした取組を引き続き行い、無秩序な新規開発が抑制されるよう努めてまいります。

 以上でございます。

赤木委員 ちょっと時間が来てしまって、済みません、所有者不明土地の質問に入れなかったんですけれども、今回、かなりたくさんの部局の方たちにも助けていただきまして、本当にありがとうございました。

 今日は時間が来ましたので、私の質問を終わりとさせていただきます。ありがとうございました。

木原委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 今日は、まず最初に、休日分散化についてお伺いしたいと思います。

 間もなくゴールデンウィークで、今年のゴールデンウィークは、コロナ禍も収束して、各地とも観光客で大混雑することが既に予想されておりますけれども、こうした一時期に観光客が集中する、これを何とか分散できないかということは、これはずっと以前から言われているわけでありますけれども、いまだに分散化は実現していないという状況だと思います。

 こうした中で、私の地元であります愛知県では、「休み方改革」プロジェクトの一環として、保護者の休暇に合わせて子供が学校を休んでも、それを欠席扱いとしない、いわゆるラーケーションの日、校外学習活動の日、こうしたものを年三回まで認める制度を創設して、今年の二学期以降、公立の小中高等学校等で実施する予定というのを大村知事が発表されました。

 こうした取組は、私、大変いい取組で、これは全国的に実施することを検討してもいいんじゃないかというふうに思いますが、大臣はどのようにお考えになるでしょうか。

    〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕

斉藤(鉄)国務大臣 愛知県の「休み方改革」プロジェクトの一環として、ラーケーションの日を創設し、導入に向けた環境整備を進めていらっしゃるということについてはお聞きをしております。ラーニングとバケーションを合わせてラーケーションというふうにもお聞きをしているところでございます。

 愛知県としては、保護者がラーケーションの日に合わせて休暇を取得し、子供と一緒に社会学習を楽しむことによって、保護者の休み方改革につながるものとして導入した、このように私も聞いております。

 また、この取組と併せて、閑散期への観光需要のシフトに向けたキャンペーンなども実施する予定と承知しておりまして、こうした取組は平日への旅行需要の平準化に資するものと考えております。

 ラーケーションの日、この取組は非常に野心的な取組だ、このように考えさせていただいておりまして、今年の二学期以降に順次開始される予定であることから、まずは、導入後にどのような効果や影響があるかを注視してまいりたいと思っております。

古川(元)委員 野心的というほどの話でもないと思うんですね。

 これくらい、もうとっくにやられていてもおかしくないんじゃないかと思うんですけれども、注視だけじゃなくて、これ、本当にほかの地域でもやったらどうかということを、それこそ国から提案していく、それくらいのことを踏み込んでもいいんじゃないかと思いますが、どうですか、大臣。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど申し上げましたように、非常に前向きな試みだと、先ほど私、野心的という言葉を使わせていただきましたけれども、この状況をよく、まだこれから、二学期から始まるということでございますので、その状況を見させていただきながら注視をしていきたいと思っておりますし、効果があれば、これを全国に広めていくということも一つの選択肢だと思っております。

古川(元)委員 多分、間違いなく効果があると思うんですよね、これは。

 本当に、親と何かで行くときに、かつて私も、子供が、上の息子が小学校の小さい頃に、ちょっと海外に行くときに一緒に連れていってもいいかなと。ただ、やはり学校を休むというのは、親からすると、小さいから休んでもいいかと思っても、なかなか抵抗あるんですよ。

 ちゃんとこういう仕組みがあると、休ませる親の方も、子供の方も休みやすい、そういう環境づくりは、それこそ、それぞれの地域の取組もいいんですけれども、やはり国としてのそういうものを是非主張していただきたいなと思います。

 それで、次の質問に行きたいと思うんですが、かつて民主党政権時代の二〇一〇年に、国交省が休日分散化の試案というのをまとめて、これを政府として提示したことがありました。ただ、これは結局、意見を集約して具体的な実施案にまでまとめることができずに、試案を出したままでそのままになってしまったというのが実際のところであります。

 ただ、このコロナ禍を経て、今、観光業、復活していますけれども、もうそれこそ人手不足や施設が足らないとかオーバーツーリズムだとか、いろいろな問題も出てきている中で、やはり休日を分散して、安定的に、一時期やあるいは週末に集中しないような、そういう仕組みをつくっていくということは、今後の観光産業の持続的な発展のことを考えると非常に重要であって、この休日分散化、これをやはりもう一回、政府として検討した上で、案を政府として提案して、それを実行に移していく、こうしたことを真剣に考えるべきではないかと思いますが、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 今後の観光産業の持続的な発展には、新たな旅行需要を喚起するとともに、旅行需要の平準化を促進していくことが重要であると私も考えます。

 その際、休暇取得の分散化も一つの方策ではありますが、様々な課題がある。私も、当時、御提案、例えば中国地方はこの週をゴールデンウィークにしよう、近畿地方はこの週をゴールデンウィークにしようという、私がそのアイデアを聞いたときは本当にびっくりしたわけでございますが、非常にいろいろな課題もあのときに大きな議論になって、課題もあるということも分かりました。まずは、コロナ禍後の働き方や、休暇取得の在り方等の社会情勢を適切に見極めることが必要であると考えております。

 このため、国土交通省では、全国旅行支援における平日のクーポン券の上乗せ、また、近年の働き方改革等を踏まえ、テレワークを活用したワーケーションの推進、平日への旅行需要の平準化を促す、平日にもう一泊キャンペーン等に取り組んでいるところでございます。

 こうした取組を通じて、旅行の平準化をまずは図っていきたい、このように思っております。

古川(元)委員 そこも大事だと思うんですけれども、例えば、今回のGoToキャンペーンなんかで、では、平日に旅行した人って、多分ちゃんとこれを調べたら、ほとんどが仕事をしていない人とか、そういう非常に偏った人たちのところだけで、働いている若年の世代とか何かはやはりなかなか休みが取れないとか、そういう実態もあるんじゃないかと思うんです。

 是非そこも、単に人が分散したかどうかだけじゃなくて、では、分散して平日に行っている人たちはどういう人たちなのかと。

 先ほどのラーケーションと同じで、もうリタイアした、別にわざわざ高い土日に行かなくてもというのじゃなくて、働いている世代、子育ての世代とか、やはりそういう世代も、平日に休みを取って行けるような、そこまで是非考えていくことをしないと、今回、やはりコロナ禍の中で観光業を支えたのは国内需要ですから、その国内の需要をどう今後とも均一をさせていくかということ。

 最近だと、要は、今、週末は日本人で、平日はインバウンド、外国人で保っているなんという、そんな報道もちょっとどこかで聞いたことがありますけれども、しかし、そういう構造は、もしまたコロナみたいなことが起きたら、途端にインバウンドは蒸発しちゃうわけですから、やはりそういうことを考えると、常日頃から、ベースとして、平日も含めて、国内需要のところで、ちゃんと持続可能な、観光産業が維持できるような仕組みをつくっていく。

 そのためには、やはり休日の分散化というのも、いろいろ課題はもちろん前のときもありました。課題があるからというのでやめてしまうんじゃなくて、今の時代だからこそ、かなりいろいろ働き方も変わってきているし、テクノロジーも変わってきているわけです。ですから、やはりもう一回、今の時代であればやれることというのがあるんじゃないか。是非そこは検討することをお願いしたいと思います。

 次に、インバウンドについてちょっと御質問したいと思いますが、さっきから申し上げているように、インバウンド、これは急速に回復しつつあります。今後も、インバウンドはどんどん増えていくでしょう。特に、足下でいえば、これから中国人旅行客を本格的に受け入れるようになったら、これまた一気に増えてくると思います。

 しかし、今の回復してきた、まだ回復途上の状況であっても、宿泊など観光産業の供給力というのは、もう既にこれは不足ぎみになっていて、だから、人手が足らないから、部屋が空いていても予約を取れないとか、もうそういう状況さえも今の状況で出てきている。今後、ますます需要が増大していくとなると、増大する需要に対応できなくなるんじゃないかと。

 そうなると、さっき大臣は需要の喚起と言いましたけれども、せっかく需要があっても、供給力不足のために需要を取り込めない、そうなると、観光産業は本当は成長余力が、ポテンシャルがあるのに、供給力不足のために成長が限界、ここから上に行けませんよという、やはりそういう状況が生まれてくることにならないかと。

 この観光産業の供給力と今後の需要の見通し、その点について、これは、今政府はどのようにそれを想定し、予測して、それに対して、さっき言われたように、需要を喚起するというんだったら、当然ちゃんとその需要を満たす供給力をきちんと用意していかなきゃいけない。その点についてはどのような対応を考えているんでしょうか。

秡川政府参考人 昨年十月に水際を緩和いたしました。それ以降、インバウンドは回復傾向にございまして、直近の数字では、今年の三月のインバウンドの数なんですけれども、約百八十二万人ということで、コロナ前と比べて大体六六%ぐらい回復しております。

 インバウンドについて、国際機関によりますと、国際航空需要、二〇二五年までにコロナ前の水準に回復するんじゃないかという予測がございます。先月末に閣議決定した観光立国推進基本計画では、インバウンドの数について、二〇二五年にコロナ前の水準を超えることというのを目標としてやっていこうということになっています。

 一方、今御指摘いただきましたとおり、観光需要の回復に伴って、宿泊施設等において、人手不足によって稼働を落とさざるを得ないという状況も生じていると承知しています。

 観光庁では、人手不足について、業界団体に対して定期的な状況調査を実施しております。地域とか業態によっても違うという傾向はあるようなので、そこの状況を把握して注視していきたい。政府目標の実現に向けて、宿泊を始めとした観光産業の供給力がボトルネックとならないように今後対応していきたいというふうに考えています。

古川(元)委員 抽象的な話だけで、大臣、今の答弁を聞いていて、これで、観光産業の人たちは、では、一体国が本当にこの供給力不足のところを何をしてくれるんだと。

 今、人手の話だけでしたけれども、人手だけじゃなくて、コロナ禍で結局やめちゃったようなホテルもあったりとかするし、全体としての供給力が非常に今、これから多分伸びてくるのは、これは私、インバウンドは恐らくもっと想定よりも早く回復するんじゃないかと。特に、この間の、急速にやはり円安が進んだことによって、とにかく安いんですよ、日本は。ですから、やはりここは一気に増えてくる。

 そういうときに、やはりこの供給体制が、人手はもちろんですけれども、それ以外も含めて、かなりそこの部分が追いつかない。それがために、いろいろオーバーツーリズムみたいな問題も、逆に観光地周辺の住んでいる人たちに迷惑もかかるとか、そういうことも起きてくるんじゃないかと思います。

 やはり、しっかりそこは、余り甘い予測ではなくて、かなりこれは相当伸びてくるという想定の中で、では、せっかくの需要をどう取り込むのかということはしっかり考えていただきたいと思います。

 特に、今も指摘ありましたけれども、人手不足というのは、これはもう本当に既に深刻ですけれども、今後、労働人口はますますやはり減っていくわけです。かつ、今、人手不足なものですから、よく言われているのは、ホテルや旅館で働いている人たちが、今までよりもやることがどんどん増えてきて、非常に一人当たりの労働負担が過重になってきていると。やはり、そうなると、もうここまではとてもじゃないけれどもやれないといって離職する人も増える、そういう危険性もあるような状況なんですね。

 ですから、そういう労働人口の減少とか、そして、残っている人たちの負担が増えるという、そういうことを考えていくと、今後、人手不足は更にやはり深刻になるおそれが私は高いんじゃないかと思います。

 そういった意味では、この観光産業における人材確保には、やはりこれは、よほど国が具体的に積極的にちゃんとこういうことをやりますということを示さないと、観光業に携わる人たちが、本当に将来をなかなか見通せないからというところで、続かないんじゃないかと思いますが、この点について国としてどう取り組んでいくかについて、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 最も大事な点だと思います。

 まず、そのためには、先ほど来、古川委員からお話のございました平準化ということも非常に大きな、週末に需要が極端に高まるという、この平準化というのも一つの大きな方法だと思います。

 そして、魅力ある産業としてたくさんの人が来ていただく、そのためには、賃金、待遇改善ということがまず大切だと思っております。官民連携して賃金水準を始めとした従業員の方々の待遇向上を図り、人材確保のための環境を改善していくということが重要でございます。

 そのためには、再生、高付加価値化や観光DXの推進ということで、産業の生産性、収益性の向上を支援していきたいと我々も考えております。例えば、事業者への支援に際して賃金水準の引上げを求めるなど、従業員の方々の待遇向上が図られるよう取り組んでまいりたいと思います。

 また、国内人材では充足し切れない分につきましては、関係業界と連携の下、特定技能制度などの活用を通じて、外国人材の活用にも取り組んでいくことも重要、このように考えておりまして、これらの施策を組み合わせてこの人手不足問題に取り組んでいきたいと思います。

    〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕

古川(元)委員 これは本当に今から大至急、そして抜本的にやらないと、とにかくこれから労働人口が減っていく中で取り合いになってくる中で、やはり本当に魅力ある職場でなければなかなか人は集まらないと思います。是非そこは積極的に国が先頭に立って、この観光産業での人材確保のための方策に取り組んでいただきたいと思います。

 そういう意味からいうと、今大臣も言われましたけれども、賃金を上げる、給料を上げる、やはり待遇改善というのは非常に大事であって、そういう意味では、やはり収益力も上げていかなきゃいけないと思います。

 その点からすると、これはさっきちょっと申し上げましたけれども、とにかく日本は安いんです。日本人は、我々は、自分たちはまだ先進国だ、経済大国だと思っているかもしれませんけれども、気がついたら、自分は背が縮んでいないから変わらないと思っていても、周りがみんな大きくなっちゃって、もう本当に隣の中国というのは何か見上げるぐらい大きくなっちゃっているんですね。ですから、日本はとにかく安いんです。

 昔、それこそ私が初めて中国に行った頃、当時はまだ中国は何でも安いという感じでしたから、北京のホテルに泊まりました、日系のホテルでしたけれども。そこで、チェックアウトでクレジットカードを出して、見たら三万円ぐらい取られているんですよね。何で中国でこんなに高いんだと思ったら、いや、これは外国人料金だと言われて。でも、そこのホテルは日本で泊まれば大体それくらいするから、そういう意味でいえば、中国でそれだけ払うから高いと思ったのであって、日本で泊まればそれくらいなんだから、まあ、そんなものかと思ったんですけれども。

 そういうことを考えると、やはり収益性を高めて人を集めるという意味でも、もう日本も、そういう意味でいうと、そういうところで、俺は先進国だからというんじゃなくて、高いお金でも払ってくれる人たちには、これを払ってもらう。ですから、これはもう、日本においても、例えばこういう宿泊料金なんかで外国人料金を設定して、全然、外国の同じようなホテルに泊まったら、もう日本の何倍もしているわけですよ。

 ですから、そういうことも考えて、そういうことをやって収益を上げて、それを従業員に還元していく、やはりこういうことももう考えないといけないときに来ているんじゃないかと思いますが、いかがですか、大臣。

斉藤(鉄)国務大臣 基本的には、宿泊料金について、それぞれの事業主が主体的に自由に決められることになっておりまして、そういうことも可能でございます。宿泊料金について、その時々の需要動向等に応じて適正な料金を設定するということはあり得ることでございます。

 ただ、日本のこれまでの商習慣からして、なかなか、そんなことをしていると、周りの評判も気にするというようなこともあるのかもしれません。一物一価というような考え方から、そういう、日本的にはなかなか理解が得られないということなのかもしれませんが、これからはまさにそういうことも考えていくべきだ、そのように私も思います。

 我々、海外富裕層の方にたくさん日本で消費していただこう、こういう基本的な方針ですので、そういうことも考えながらやっていかなきゃいけないと思います。

古川(元)委員 まあ、一物一価というのも、今はもうダイナミックプライシングとかで、そういう時代じゃなくなっているんですよね。

 だから、それは、大臣、要するに、そこは事業者の判断で、例えば外国人を高く設定してもいいということですよね、そうしたら。それはそういうことですよね。

斉藤(鉄)国務大臣 そういう料金設定というのは基本的に可能なんだと思います。

古川(元)委員 これは、日本人はやはりプライシングのつけ方が非常に真面目なものですから、このコストにいわゆる還付率みたいな形で利益を乗せて、それでその価格を決める。これは善意なんですけれども、世界で見ると、では必ずしもそうかというと、この値段でいいといって買ってくれる、払ってくれるんだったら別にそれでいいじゃないか、そういう発想の国も多いんですよね。

 かつ、これは別にぼれと言っているわけじゃないですよ、私は。明らかにほかの国に比べて、サービスとか施設、日本は同じぐらいなのに全然安いと。やはりそこは、ほかの諸外国に比べれば、大体の水準に合わせるぐらいのことは私はあってもいいんじゃないかと。

 そういうことをやはりしていかないと、これはさっきも言いましたけれども、やはりコロナの中で支えてくれた国内需要、今のままいくと、供給制約があるから、そうすると、やはり全体の値段を上げるということになる。そうすると、日本人からすると、だんだんだんだん値段が上がってという、だから、値段が上がることによって何が起きるかといったら、外国人からすると、少々値段が上がっても全然、別にまだ安いから、外国人需要は抑制されませんけれども、日本人の国内需要が抑制されちゃうということになりかねないんじゃないかと。

 そうなると、本当に苦しいコロナ禍の中で観光産業を支えてきた国内需要、そういったものを抑制するようになることを私はちょっと懸念するわけであって、そういった意味では、今大臣から、それは事業者の判断でというお話もありました、そうしたことも考えるべきときじゃないかなというふうに思っております。

 次に、外国人に対する消費税の免税についてちょっと伺いたいんです。今日は財務省、国税庁、来ていただいていると思います。

 日本は、町中、もういろいろなドラッグストアとかああいうところで、家電量販店もそうですけれども、タックスフリーといって、でかでかとあって、本当に極めて多くのお店で、しかも簡単に、そこで手続しちゃえばそれでもう免税というような、消費税を取られない。だから、まさに日本人よりも一〇%、一割引きで何でも物が買えると。しかも、これも、持って帰ると言えば、お菓子から何から、何でも買えるということになっているんです。

 私もいろいろな国に行きましたけれども、ほかの国でこんなに簡単に何でも、まあ、いろいろな国がセールスタックスとか付加価値税、VATというのがヨーロッパとかかかっていますけれども、そういうものがそんなに免税で簡単に買えるような国というのは、余りほかの国では聞いたことがない、私は見たことがないんですけれども、ほかの国で、日本と同じかそれ以上に優遇していますなんて、そんな国はありますか。

坂本政府参考人 お答え申し上げます。

 外国人旅行者向けの免税制度でございますけれども、EU等の諸外国では、御紹介ございました日本の免税販売方式とは異なりまして、出国をするときに空港などで手続を行う事後還付方式というものを採用していると承知してございます。

 免税販売の対象ですけれども、例えば、ドイツにおきましては、インボイスに記載の購入金額が付加価値税額込みで五十ユーロ、七千二百五十円超の場合、フランスにおきましては、連続する三日間の購入金額が同様に百ユーロ、一万四千五百円超の場合に付加価値税の免除の対象となります。税抜き五千円以上という我が国の基準よりは若干厳しいものとなっている。

 また、手続面でございますけれども、今申し上げた例のドイツ、フランスでございますと、店で受け取った還付申請書などに必要事項を記載した上で、購入した未使用の物品とともに、出国時に空港などの窓口に持参して申請を行うということで、手数料が差し引かれた付加価値税相当額の金額について還付を受けるものができるものと承知してございます。

 日本においては、初めから免税で販売され、購入時及び出国時にパスポート等の提示をすればいいということで、手続はより簡便でございますので、日本の制度は外国人旅行者に対して、諸外国に比べて、フレンドリーな制度になっているということかと思います。

古川(元)委員 本当に簡単なんですよね、これ。何でこんなに幅広く、かつ簡易な免税制度にしたんですか。

坂本政府参考人 お答え申し上げます。

 輸出物品販売場における外国人旅行者への販売は、その旅行者が出国の際に国外へ持ち出すことを前提としまして、実質的には輸出取引と変わらないものとして、所定の手続を行って販売される一定の物品について消費税が免除される仕組みでございます。

 その上で、外国人旅行者の利便性の向上、インバウンド消費の拡大、地方の活性化といった目的から、執行上の観点も踏まえつつでございますが、対象となる輸出物品販売場の範囲、免税販売の対象となる購入額、物品の範囲の拡充など、累次の見直しが行われてきたという結果として、今、このような制度になっているという経緯でございます。

古川(元)委員 要は、インバウンドを振興しようと。観光振興、とにかく外国人に来てもらおう、やはりそういう振興の側面があったということでいいですか。

坂本政府参考人 御指摘のとおりでございます。

古川(元)委員 そのおかげかどうかは分かりません。これ、多分、最初のときは、当時は日本は物価が高かったんですよ。だから、やはりこういう、簡単に免税でできますよというので外国人を呼び込もうと。

 今は外国人による爆買いというのが話題になることはありますけれども、この爆買いが、実は本当にこれを買って持って帰るんじゃなくて、海外へ持ち出さないで、不正に国内で転売する目的で爆買いがされている事例もかなり多い、そういうことが言われているんですけれども、これ、税務当局として、こういう実は不正が行われている、そういう爆買いがあるということの実態はちゃんと把握していますか。

植松政府参考人 お答えいたします。

 国税当局といたしましては、輸出物品販売場制度を悪用した不正事案について特に厳正な対応が必要と考えておりまして、これまで輸出物品販売場に対する税務調査を実施し、輸出物品販売場の許可の取消しも含めまして、不適正な免税販売を是正するなど、必要な対応を行ってきたところでございます。

 また、電子化された購入記録情報を含め、様々な資料情報の収集、分析等から、輸出物品販売場で免税購入した物品を国内で販売するような事案につきまして税務調査を実施しておりまして、例えば国税当局におきましては、令和三事務年度では三十件、追徴税額で十二億円の税務調査を実施し、その購入者に対して消費税相当額を賦課決定を行うなどの取組を実施してございます。

 引き続き、税関当局とも緊密に連携しながら、制度の適正な運用に努めてまいりたいと考えております。

古川(元)委員 僅かそれくらいしかちゃんとチェックしていないということなんですかね。

 これ、国税の当局の関係者の方からちょっと聞いた話を確認したいんですが、令和二年の四月から令和四年の二月の間に免税購入した外国人等は約六万九千人。そのうち、一億円以上の買物をした人は約二百二十人。この人たちの購入金額は、免税売上げ全体千五百六十七億円のうちの千四百七十二億円。全体の僅か〇・三%の人が免税販売額全体の約七五%を占める、こういう話を聞いたことがあるんですけれども、この数字は事実ですか。

植松政府参考人 お答えいたします。

 今委員からの御指摘は、令和二年四月から令和四年二月の数字について御指摘ございましたけれども、輸出物品販売場における免税販売手続につきましては、令和三年十月から完全電子化されまして、免税販売に係る購入記録情報が輸出物品販売場から国税庁へ随時送信されているところでございます。

 したがいまして、令和三年十月以降に輸出物品販売場で免税販売されたものにつきましては、全てのデータが国税庁に送信されておりますけれども、それより前の期間に係る免税販売のデータに関しては、国税庁として客観的かつ正確なデータを持ち合わせていないというところでございます。

 なお、数字について申し上げますと、完全電子化されました令和三年十月から、御指摘の令和四年二月の間に国税庁において電子的に送信を受けた購入記録情報を集計いたしますと、一億円以上免税購入した者は延べ百三十九人、その免税購入金額につきましては約八百二十五億円となってございまして、一億円以上免税購入した者の免税購入金額は全体の金額の約八割となっており、御指摘のように、少数の外国人旅行者等によって多額の免税購入がなされている実態があるのではないかと考えてございます。

古川(元)委員 今の私が言った数字は、あれはほぼ割合とか何かは合っていたということだと思うんですが、普通考えて、一億円を超えるほど多額に購入された物品が、これを全部自分の国へ持って帰っているというふうに考えられますか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 税関におきましては、消費税法の規定に基づきまして、外国人旅行者などの免税購入者が出国する際に、購入した消費税免税物品を輸出しないことが判明した場合には、その免除された消費税相当額の賦課決定を行ってございます。

 個別の事案につきまして述べることは差し控えたいと存じますが、これまでに賦課決定を行った免税購入者には、委員お尋ねの一億円を超える購入者も含まれてございます。

 なお、賦課決定と申しましたが、出国までの限られた時間の中、賦課決定を行っても消費税相当額の徴収に至らず、滞納となっているケースもございますことを申し添えさせていただきたいと存じます。

 輸出物品販売場制度を悪用する事案につきましては、国税当局等とも緊密に連携しつつ、必要に応じて出国時に確認を行いまして、消費税相当額を徴収するなど、引き続き厳正に対応してまいりたいと考えてございます。

古川(元)委員 引き続き厳正に対応していきたいというのは、本当に厳正に対応できているのかなと思うんですね。

 これは、普通考えて、大臣、一億円もお土産を買う必要、ちょっと、余りあり得ないですよね、やはり何かの目的がないと。ですから、今の免税制度というのは、やはり不正の温床になっている、そういうところがあるんじゃないかなと思うんですけれども、そういう認識はありますか、当局の方で。

植松政府参考人 お答えいたします。

 国税当局といたしましては、これまで、輸出物品販売場に対する税務調査を実施し、不適正な免税販売を是正するとともに、免税購入した物品を国内で転売するような事案について消費税相当額を賦課決定するなど、必要な対応を行ってきたところでございますけれども、輸出物品販売場制度を悪用した不正事案については、特に厳正な対応が必要な状況と考えてございます。

 引き続き、税関当局とも緊密に連携しながら、制度の適正な運用に努めてまいりたいと考えてございます。

古川(元)委員 そこは、そういう取締りとかチェックするだけじゃなくて、やはり制度そのものをちょっと見直しをする必要があるんじゃないかと。

 元々は、確かに、さっき私も申し上げましたけれども、インバウンド振興があったかもしれませんけれども、今、逆に、入ってくるのが受け入れられないぐらい増えてきているんですから、やはりそこは、制度そのものを不正防止の観点からも見直すべきじゃないかと。きちんと店舗や金額、数量を制限したり、手続、それこそ外国のようにちゃんと事後還付方式にするとか、やはり買ったところで全部手続が終わっちゃうから横流しとかいろいろなこともなされているんじゃないかと思うんです。

 そういう制度の抜本的な見直しは、これは考えるべきじゃないですか。いかがですか。

坂本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど国税庁から答弁がありましたとおり、現行の免税制度については、免税販売手続の完全電子化により、不正が疑われる免税販売、購入の実態が明らかになってきた状況にございます。

 このような不正につきましては、令和四年度税制改正におきまして、免税購入が可能な者の範囲を見直すとともに、令和五年度税制改正において、免税対象物品が国内で横流しされた場合に、即時徴収が可能となる対象者を、横流しを行った者だけでなく、横流しを受けた者まで拡大するといった対応をこれまで行ってきているところでございます。

 また、令和五年度の与党税制改正大綱におきましては、外国人旅行者の利便性や免税店の事務負担等を踏まえつつ、引き続き効果的な不正対策を検討していくこととされてございます。

 こうした方針に沿いまして、委員御指摘の免税販売の実態ですとか諸外国の制度も踏まえつつ、適切な外国人旅行者向けの免税制度の在り方などについて検討してまいりたいと考えてございます。

古川(元)委員 大臣、これは別に大臣の所管じゃないからあれですけれども、これはやはり、どう考えてもちょっとおかしいんですよ、これだけ。本当にちゃんとお土産で帰っていくのはいいんですけれども、やはりそうじゃない形で利用されている。しかも、本当に、さっきから繰り返し申し上げていますけれども、今、日本は安いので、ここまでして、一割引きにしなきゃ買ってくれないというわけじゃなくて、それこそ、少々高く、さっきの話じゃないですけれども、外国人料金にしたって買ってくれるぐらいなんですから。これは閣内の中でも、財務大臣にも、是非ちょっと見直しのことを検討するように大臣からも言っていただきたいなと思います。

 残された時間で、ちょっとリニアの問題についてお伺いしたいと思います。

 二〇二七年に予定されていた東京―名古屋間のリニア開業が遅れる状況となっております。

 私の地元は、リニアが二〇二七年に開通するという、それ前提に様々な計画が立てられて、これまで実行に移されてきましたが、それが開業延期で大きな見直しを余儀なくされておりまして、特に、名古屋駅周辺の大規模な再開発などは、開業が延期となった上に、まだ開業時期のめどが立たないという状況にあって、今後どうしたらいいのかと、かなりこれは関係者の立場に立ったら困った状況だと思うんですね。

 ですから、私の地元の経済に与える影響というのは大きいんですが、ただ、これは単に名古屋、愛知だけじゃなくて、リニア沿線地域だけじゃなくて、このリニアの開業の延期というのはやはり今後の日本経済にも影響があるというふうに思われますが、この開業の遅れが日本経済に与える影響について、大臣はどのようにお考えになっていますか。

斉藤(鉄)国務大臣 リニア中央新幹線は、最速で東京―名古屋間を四十分程度、東京―大阪間を一時間強と、いずれも移動時間が現在の半分程度になるなど劇的に短縮するとともに、三大都市圏を含む世界最大級の経済圏を形成し、企業立地や観光などに対して大きな効果があるものです。日本全体に対して効果があるものです。

 また、リモートワークやワーケーション、二地域居住など、新しい働き方、住まい方、価値観の変化が期待されるなど、様々な生活スタイルの選択肢も出ており、デジタル田園都市国家構想の実現を支えるインフラとなるものです。

 加えて、我が国の経済を支える人流の大動脈の機能強化に資するだけでなく、激甚化、頻発化する風水害や大規模地震、津波の発生の切迫等を踏まえると、東京―名古屋間を結ぶ交通路のリダンダンシーを確保することは、国土強靱化の観点からも重要な意義を有しております。

 日本経済に与える影響は非常に大きい、このように申し上げたいと思います。

古川(元)委員 非常に大きいのであれば、やはり一日も早く開業できるように、少なくとも開業の時期のめどが立つぐらいの状況は早くつくってもらいたいんです。

 その開業のめどもなかなか示さない原因になっているのは、やはり静岡工区、これがなかなか工事着工が見通せないという状況であります。

 静岡県との調整について、JR東海、もちろんやっていますけれども、もっとやはりこの調整について国が積極的に関与していくべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 未着工である静岡工区につきましては、国土交通省が設置した有識者会議において、大井川の水資源への影響に関する中間報告を取りまとめるとともに、現在、環境保全に関する有識者会議をこれまで計八回開催するなど、課題解決に向けた取組を進めております。

 また、リニア中央新幹線の開業を見据え、リニア開業後の東海道新幹線の需要動向に基づく静岡県内の駅などの停車頻度の増加の程度や、時間短縮効果の可能性等に関する調査について、本年夏をめどに一定の取りまとめを行いたいと考えております。

 国土交通省としましては、今月二十日の大井川流域市町からの要望も踏まえ、引き続き、静岡県とJR東海との対話への関与を行うなど、水資源や環境保全などの課題解決に向けて議論が進むよう取り組んでまいります。

古川(元)委員 もっと、斉藤大臣、リーダーシップを取って、是非この調整を進めていただいて、一日も早くこれに着工できる状況をつくっていただきたいということを最後にお願いして、時間になりましたので、終わります。

 どうもありがとうございました。

木原委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 今日は、まず、羽田の新ルートの問題をお伺いしたいと思います。

 羽田の新飛行ルートの運用が始まりまして三年たちました。騒音だとか、落下物、事故への不安などから、新ルートの撤回を求める声が大変強い状況です。

 国交省は、二〇一七年十一月から、全国の七空港で部品欠落報告を取っております。二〇二〇年度は千五個、二一年度は一千六十四個の部品欠落が報告されております。お配りしております資料は、その中で一キログラム以上の部品とされているものです。二〇二〇年度は九十七・三キログラムや八十三・四キロのファンカウルの一部、二〇二一年度には七十五キロの主脚タイヤや六十キロのフェアリングの一部欠落というのが報告されております。

 仮にこうした大きなものが都心上空の住宅密集地で落下すれば、重大な事態が生じるんじゃありませんか。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省としては、落下物による重大な事態の発生を防ぐことが極めて重要だと考えております。

 このため、国土交通省では、二〇一八年三月に落下物対策総合パッケージを取りまとめ、落下物対策を充実強化しました。

 特に、世界に類を見ない基準である落下物防止対策基準を策定し、機体の改修や整備点検の実施等、ハード、ソフト双方の観点から、本邦航空会社及び日本に乗り入れる外国航空会社に落下物防止対策を義務づけ、最新の動向を踏まえて基準を継続的に強化しております。

 これに加え、羽田空港では、国の職員による駐機中の機体チェック等を行い、落下物の未然防止に取り組んでおります。

 また、羽田空港など国際定期便の就航が多い主要空港においては、いわゆる部品欠落報告制度を運用しており、この制度に基づき報告された部品欠落について、原因究明、再発防止策の強化、情報の共有等の取組を継続的に実施しているところでございます。

 御指摘の事案につきましても、設計製造国とも緊密に連携し、改良型部品への換装、点検の強化等の再発防止策の強化を図っているところでございます。

 これは、世界の中で最高水準の、極めて突出した最高水準の対策、このように我々は考えております。

宮本(徹)委員 最高水準の対策を取っている中でも、どんどんいろいろなものがおっこちているわけですよね。

 この二〇二〇年度の九十七・三キロや八十三・四キロのファンカウルの一部というのは、日航機がエンジントラブルで引き返す事案のときのものですけれども、これは海の上で起きたということですけれども、これは本当に、こういうのが都心上空で起きれば、重大な事態ですよ。

 それ以外にも、ここにありますように主脚タイヤの一部、五キロだとか、発見されていない、飛行中に落下した可能性があるものが、たくさん報告されているということであります。ですから、一刻も早く、都心上空の低空飛行はやめなきゃならないと思います。

 そこで、国交省は、新ルートの固定化を回避するとして、二〇二一年に検討会を設置して、昨年八月の第五回検討会までに、飛行方式を二方式に絞ってシミュレーションを行っております。この二つの方式というのは、都心上空飛行を回避するものなんですか。

斉藤(鉄)国務大臣 令和二年三月に導入された羽田空港の新飛行経路については、地元の皆様から固定化回避に向けた累次の御要望を受け、令和二年六月から、羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会を開催しております。

 この検討会では、現在の滑走路の使い方を前提とした上で、新飛行経路の固定化回避、騒音軽減の観点から、新飛行経路の見直しが可能な技術的選択肢がないかについて、幅広く御検討いただいているところです。

 昨年の第五回検討会では、羽田空港において技術的に採用が可能で、かつ、採用された場合の騒音軽減効果が高いと考えられる方式として選定された二つの飛行方式について、技術的検証の進捗状況等の報告が行われました。

 現在は、選定された飛行方式を羽田空港に導入するために、これまでの検討会での議論等を踏まえ、安全性評価などの取組を鋭意実施しているところでございます。

 そのため、選定された飛行方式に基づく、見直し後のルート案については、現時点で具体的に決まったものはありませんが、引き続き、新飛行経路の固定化回避のため、必要な取組を着実に進めてまいりたいと思っております。

宮本(徹)委員 その二方式、決まったものではないというお話ですけれども、資料を見ますと、シミュレーションでは、航空機の通過地点、ウェーポイントを定めて行っているということを書いているわけですよね。このウェーポイントというのは、じゃ、都心上空以外に定めてあるということでいいわけですね。

斉藤(鉄)国務大臣 新飛行経路の固定化回避のための飛行方式を羽田空港に導入するため、昨年の第五回検討会での議論等を踏まえ、引き続き、安全性評価などの必要な取組を鋭意実施しているところでございます。

 そのため、現時点では、見直し後のルート案について具体的に決まったものはなく、また、ウェーポイントにつきましても、現在行っている取組を踏まえて定まるものでございますけれども、引き続き、新飛行経路の固定化回避のため、必要な取組を着実に進めてまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 繰り返し伺っても、都心上空は飛ばないんだということをおっしゃらないわけですよ、騒音の軽減の効果を狙っているという話はあっても。

 都心上空は飛ばないんだと、なぜこのことが言えないんですか。

久保田政府参考人 お答えをいたします。

 現在、新飛行経路、それを固定化を回避するための検討を行っているところでございまして、先ほど大臣が申しましたように、有識者による検討会におきまして、将来の要するに技術的なもの、それから、羽田におきまして、騒音軽減効果があるものということで二方式のものについて現在検討を行っているところです。

 具体的には、羽田につきましては同時進入が必要となってまいりますので、それの安全性につきまして、飛行機の速度でありますとか……(宮本(徹)委員「だから、いいから、都心上空って何で言わないのかって聞いているんですよ」と呼ぶ)いや、要するに、その方式が、現在の方法でもって有効かどうか、安全かどうか、まずそれを検証する、それをやることがまずスタートだと思っております。その検討を今行っているところでございます。

宮本(徹)委員 スタートが間違っているんじゃないですか。

 まず、住民の安全のために都心上空は飛ばない、そこを出発点にして、そのためにどうするのかというのを考えるのが出発点じゃないですか。根本から間違っているんじゃないですか。住民の皆さんが求めているのは、落下物だとかの危険があるから、都心上空は飛ばないでくれということですよ。

 この間、テニスコートに氷の塊がおっこちていた、それも飛行機から落ちたんじゃないかということが指摘されているわけですからね。これはもう本当に、元のルートに一刻も早く戻すべきだということを強く求めておきたいと思います。

 続きまして、住まいの問題についてお伺いをしたいと思います。

 資料も後ろにつけておりますけれども、わくわくシニアシングルズの皆さんが、四十歳以上のシングル女性二千三百四十五人を対象にアンケート調査を行っております。主たる生計維持者が八六・一%、就労率も八四・六%でしたが、正規職員は四四・八%と半数に満たず、非正規の方のうち、不本意非正規が半数超ということでした。

 アンケートの中では、生活費における住居費の負担が大きい、こういう住宅への不安、支援の要望の声が多かったとされております。

 民間賃貸に居住している人が四一・八%で最も多く、公営住宅入居者は六・九%、持家二一・三%ということでありました。

 住居費の額は、月七万円以上の負担がある方が二三・五%、かなり高い家賃を払っている。そのため、住居費支払い後の家計に余裕がないと答えている方が六二・六%と六割を超えるということなんですね。

 大臣、この四十歳以上の中高年シングル女性が置かれております居住貧困の実態について、どのように認識されておりますか。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省におきましては、厚生労働省などの関係省庁と連携して、生活に困窮する方などが抱えている住まいに関する課題を把握するよう努めているところでございます。

 御指摘の調査では、中高年シングル女性の方々においても、低額所得者の方が少なくなく、特に母子世帯ではその割合が高いという結果であったと承知しております。

 こうした方々は、住宅の確保に困難や不安を感じている場合が多いもの、このように私も思います。

 住まいは生活の基盤であり、中高年シングル女性の方も含め、誰もが安心して暮らせる居住環境の整備は重要な課題でございます。

 このため、国土交通省では、低額所得者や一人親世帯など、住宅の確保に配慮が必要な方に対して、公営住宅等の供給を図るとともに、セーフティーネット登録住宅の確保や入居の前後を通じた居住支援等を推進しております。

 引き続き、中高年シングルの女性の方々などの住まいの確保に向け、支援の充実に取り組んでまいりたいと決意しております。

宮本(徹)委員 公営住宅は、大臣も御存じのように、都市部を中心に、全く空きがなくて、応募しても応募しても入れないと、私の知り合いなんかも大変苦労しておりますよ。

 そして、もう一つおっしゃった、住宅セーフティーネットの制度ですけれども、これは二〇一七年に始まりました。柱の一つが、家賃の低廉化補助、最大四万円、国と自治体で家賃を引き下げる補助ですけれども、大臣にお伺いしたいと思いますけれども、この家賃低廉化補助、直近では、幾つの自治体が利用して、補助を実施している戸数は全部で幾つなのか、予算と執行額がどうなっているか、教えていただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、低廉化補助でございますけれども、住宅の賃貸人に対し、家賃を低廉化するための補助でございますけれども、令和三年度の予算額は、他の家賃対策補助を含めた約百二十五億円の内数でございますが、執行額は約五千万円となっておりまして、これにより、二十一自治体の計二百九十八戸の住宅が本制度による補助を受けております。

宮本(徹)委員 二〇一七年に始まって以降、私も何回か国会でもこの問題を取り上げましたけれども、二百九十八戸ですよ、全国で。家賃低廉化補助、二十一自治体、二百九十八戸、ほとんど使われていないですよ。これは住宅支援の政策として失敗だったんじゃないですか。

 私は、もう抜本的に住宅支援の考え方を改めるべきだと思いますよ。公営住宅を増やしていく、それと併せて直接の家賃補助ですよ。公明党さんも選挙の公約で掲げられていると思います。

 これはもう根本的に、国民の住居の支援策については家賃助成をつくっていく、こういう方向にかじを切るべきだと思いますけれども、大臣、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 住宅確保給付金の拡充につきましては、制度を所管する厚生労働省において令和五年度からコロナ禍の特例的な対応を一部恒久化するなど、社会保障政策としての取組が進められているものと承知しております。

 一方、住宅の確保に配慮が必要な方も含め、誰もが安心して暮らせる居住環境の整備は非常に重要な政策課題でございます。

 このため、国土交通省においては、公営住宅等の供給に加えて、セーフティーネット登録住宅の確保、家賃低廉化等の支援を行ってきたところでございまして、令和五年度から、セーフティーネット登録住宅に係る家賃低廉化補助の支援期間を一定の場合に延長するなど、支援の充実を図っております。

 引き続き、福祉政策を所管する厚生労働省や地方公共団体等とも連携しながら、誰もが必要な住まいを確保できる住宅市場の整備に取り組んでまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 だから、家賃低廉化補助は、今ほど大臣から数字のお話があったとおり、全然進んでいないじゃないですか。二百九十八戸ですよ、手を挙げている自治体も二十一、なぜかと。だから、国と地方自治体で折半して負担しなきゃいけないから、自治体負担があるから自治体は手を挙げない。大家さんからしても、これは更新料が取れないだとか、デメリットもあるから大家さんも手を挙げない。進まないわけですよ。

 予算は確保しても進まない、だったら政策を切り替える必要があるんじゃないですかということを私は建設的に提案させていただいているわけですよ。是非……(発言する者あり)いい提案だと皆さんからも言っていただいていますし、本当は大臣も家賃補助をやりたいんじゃないですか、御党の公約でもあるわけですから。

 是非、ここは、今後の制度をどうするか、家賃補助制度も含めて検討する、こういう方向で答弁いただきたいと思いますが、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 住宅政策につきましては、先ほど申し上げてきましたように、公営住宅の拡充、またUR住宅、また住宅セーフティーネット制度における家賃の低廉化補助等を総合的に行っているものでございます。

 家賃低廉化補助について、少ないではないかということでございますが、平成二十九年度の制度発足以来、この補助制度によって補助を受けた住宅は増加してきておりまして、所得の低い住宅確保要配慮者における居住の安定確保に一定の寄与をしているものと考えております。

 しかし、まだ低レベルにあるということで、このため、国土交通省の職員が全国の地方公共団体の首長等を直接訪問し、この制度の活用を働きかけるとともに、令和五年度予算では、補助対象期間の延長を可能とするなどの制度の拡充に努めているところでございます。

 総合的に進めていきたい、このように思っておりますし、先ほど答弁いたしましたように、厚生労働省と連携しながら、社会保障制度としての観点も含めながら、国土交通省も厚生労働省と連携して進めていきたいと思っております。

宮本(徹)委員 公営住宅が足りない、公営住宅入居基準で住宅セーフティーネットの家賃低廉化補助制度をつくったけれども、それも全然活用が進まない。一生懸命自治体を役所の皆さんが回っても、徒労に終わっているんじゃないですか、結局は。気の毒ですよ。

 やはりここはちゃんと、もっと直接的に支援するということだとか、合理的な支援制度を考えるべきですよ。その点、それ以上の答弁、今日はペーパーがないようですので、是非考えていただきたいということを求めておきたいと思います。

 ちなみに、住宅確保給付金の方についても、日弁連の会長声明というのが昨年十二月に出ていまして、これも、収入基準、資産基準だけの簡易な制度にした上で、収入基準を生活保護基準の一・三倍にするなど要件を緩和する、普遍的な制度にしようということが提案されているんですね、日弁連の皆さんからも。

 厚労省と国交省とで是非相談して、どうやって本当に家賃を支払うのにも苦労している方々をしっかり支援するのかというのを考えていただきたいと思うんですよ。よろしいですか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど申し上げましたように、いろいろな制度がございます。それぞれの趣旨があって、できるだけ幅広い、お困りになっている方をお助けする幅広い制度となっております。それらをしっかり、厚生労働省とも連携しながら進めていきたいと思っております。

宮本(徹)委員 だから、今の制度では全然届いていない。数字は大臣がおっしゃったとおりですから、よろしくお願いします。

 最後ですけれども、住宅の支援という点で、URのお話、先ほど一言大臣からありましたけれども、現に居住している方々、例えば、年金生活者二人だったのが、旦那の方が亡くなって高齢女性一人になったら、家賃を支払うだけで生活が圧迫するような事態になっているわけですよね。

 こうした際に、機構法二十五条四項に基づいて家賃減免をする、こういう制度を直ちに設けるべきだと思うんですよね。いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 UR賃貸住宅に入居されている方、とりわけ、民間賃貸住宅への入居を拒まれやすい高齢者世帯の居住の安定を図ることは重要な課題でございます。

 そのため、一定の収入要件を満たす高齢者世帯等に対し、家賃が値上げされる場合には家賃を据え置く制度を運用しているほか、令和四年三月からは住宅セーフティーネット制度をUR賃貸住宅にも導入し、この制度の中で、収入に応じた家賃低廉化補助について、地域の住宅事情に応じて地方公共団体が決定することを可能としております。

 さらに、URにおいては、家賃の支払いが困難になった方に対し、個別の事情をよくお伺いした上で、家賃の分割払いや、より家賃が安い団地内住戸への住み替え、福祉の相談窓口へのおつなぎなどの提案を行っているものと承知しております。

 こうした制度の活用も含め、お住まいの方の事情を丁寧に伺いながら、適切な対応が図られるよう、引き続きURへも取組を促してまいります。

宮本(徹)委員 大変残念な答弁ですね。

 先ほど、家賃低廉化補助の対象にするといったって、自治体が手を挙げないから二百九十八戸しかないんだから、それを適用するといったって全然進んでいないわけですよ。もっと、法律で減免できるというふうに書いているんですから、そこにちゃんと予算をつけて執行する、これが大臣の責任だということを申し上げまして、質問を終わります。

木原委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 本日は、住まいの問題のうちで、家賃保証会社についてです。

 最近、最高裁判決によってその違法な活動が世間に注目された家賃保証会社について、規制が不十分ではないかという点について伺います。

 まず、家賃保証会社とはどのような会社か。家賃債務保証業者などともいいますが、一般的にこのように言われています。大家さんに対して、家賃や更新料などの金銭面の保証をする会社のことだと。利用すれば、もし入居者が支払いを滞納してしまった場合などに、借主に代わって支払いを行うと。入居者から見たら、保証委託料を支払う必要があるものの、連帯保証人の代わりになってもらえる点がメリットだと一般的に説明されています。

 連帯保証人というものが立てられない事情のある方、たくさんいらっしゃいますので、家賃保証会社と契約することでアパートを借りることができるようにする、それが家賃保証会社の役割だと説明されているんです。

 しかし、実際にはそうなのかと。違うんちゃうかという経験を持った方も多くいらっしゃると思うんですけれども、そのことについて後ほど説明いたしますが、話を戻して、先ほど、裁判があったと言いました。

 この家賃保証会社の大手が、借主に対して課していた契約の条項が不当だということで訴えられていたんですけれども、それが昨年の十二月十二日ですが、訴訟の最高裁判決がありました。これはいわゆる追い出し条項訴訟とされるもので、追い出し条項、物件を明け渡させられる、強制的に、そういった追い出し条項自体は長年問題になっていたものですけれども、昨年、二二年になって初めて違法性が確定しました。

 その判決では、家賃を二か月以上滞納するなどの要件を満たせば、物件を明け渡したとみなし、契約者の同意なしに家財などを搬出できるという、それが追い出し条項なんですけれども、それについて、借主の権利が当事者ではない家賃保証会社の一存で制限されるとして、違法と認定されました。

 また、三か月以上の滞納で、家賃保証会社が事前通告なく賃貸借契約を解除できるとした別の条項も同様に違法と指摘し、契約解除は生活の基盤を失わせる重大な事態を招き得るために、先立って通告する必要が大きい、事前通告なしはあかんと指摘されています。

 これらが消費者契約法に違反すると認定されているんですね。消費者の権利を制限又は義務を加重する条項で、消費者の利益を一方的に害するものは無効だと。

 消費者契約法では、そういった社会常識に反するようなもの、また、消費者の利益に反するようなそういった約款、時にというか多くは、ちっちゃく書かれていたりですとか、急いでサインしないといけないということが多いわけですけれども、そういったものがたとえ約款に入れ込まれていても、たとえ消費者がサインしても、契約としては無効だ、そういった無効に当たると認定されたわけです。

 それにしても、この家賃保証会社の一存で実際に追い出してしまうという状態が続いてきたわけなんですけれども、これは最高裁判決を待たずに政府が適切な規制、指導ができなかったのかということで、まずは、家賃保証会社の現状について伺います。

 国交省が把握している家賃保証会社の数とその利用割合について、二〇一〇年、二〇一六年、二〇二一年における利用率について、お答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 家賃債務保証業者の数は、業界団体の独自調査によりますと、二〇二二年七月十二日時点で二百四十七者であると聞いております。

 次に、賃貸借契約における家賃債務保証会社の利用割合についてでございますが、国土交通省が賃貸住宅の管理会社に対して行ったアンケート調査によれば、回答した管理会社が管理している全戸数のうち、家賃債務保証会社の家賃債務保証が必須となっている戸数の割合は、二〇一〇年で三九%、一六年で六〇%、二一年で八〇%となっております。

大石委員 このように、過去十五年ぐらいで急増しているという状況なんですけれども、家賃保証制度自体、経緯としては、リーマン・ショックの頃に、連帯保証人がいない人が家を借りられないということが大いに問題になり、そういう方々にNPOなどが保証を行う支援もされたという一方で、この部分が公的な救済制度などではなくビジネス化したというところで、今、八〇%の契約の中で、そういった家賃保証会社との契約というのが強いられている状況になっている。

 これは、その経緯からすると、連帯保証人がいない人に対して、そもそも連帯保証人が要らない社会にするべきだったと考えますが、続いて伺います。

 二〇一七年に、国が、急増しているこの家賃保証会社の契約に関して、この保証会社の登録制度が設けられることになりましたが、現在何者が登録されているんでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省が定めた家賃債務保証業者登録規程に基づく登録事業者の数は、本年四月十一日時点で九十四者となっております。

 この登録事業者の数は、登録規程の制定以降、二〇一七年度時点で当初四十者の登録があったのに続き、一八年度にはプラス十六、一九年度にはプラス十一、二〇年度にはプラス六、二一年度にはプラス十三、二二年度にはプラス八者ということで、これまで着実に拡大してきております。全体で九十四者となっております。

大石委員 登録制度が義務ではなく任意になっていて、二百五十者把握されているうち登録は九十四、それでも着実に増えているんだということをおっしゃっています。

 質問項目に、義務化についての質問をしたんですけれども、ちょっとそれは時間の都合ではしょります。

 この登録制度自体の法制化については、民主党時代に、義務化については一度、閣法として、政府の法案として提出されているもので、これが成立しなかったんですけれども、これを現状に見合うように法制化して義務化するべきときだと考えます。

 一方で、この現行制度のことなんですけれども、大臣に伺いますが、現行制度の下で登録している業者であれば、果たして不当なこの追い出しはやらないのか、そういう制度になっているんでしょうか、大臣、いかがでしょう。

斉藤(鉄)国務大臣 登録制度の中で、それは、今回、家賃債務保証業者登録制度では、不当な取立て行為を禁ずる内部規則等が設けられていることを登録要件としております。

 具体的には、不適当な時間帯における電話や訪問の禁止、勤務先への電話や訪問の禁止、退去を求められた場合に居座ることの禁止などを内部規定として定めることを求めております。

大石委員 そういう制度になっていると言っているんですけれども、さっき私が言及した、裁判で違法だと認定されたのが、その登録業者の大手のフォーシーズ株式会社なんですよね。なので、登録業者が違法行為をやっていたということが最高裁で認定されたわけなんですけれども。

 なので、まず、業者の登録が任意であって、しかも、登録した業者が違法行為をしていて、国交省には、今、アンケートをやっているということなんですけれども。三月にも参議院の方で、私が今回質問しているような、同趣旨で、規制を急がなあかん、この最高裁判決を受けて、その前からずっと問題になっていたんだよ、だから、国として規制、対応を急がないといけないという質問があったんですよね。

 それに対する答弁、斉藤大臣の答弁は、追い出し条項を使っている場合の見直し方針について調査している、三月の時点で調査している、反則した業者に是正するという答弁を三月にされているんですけれども、追い出し条項自体は他者もやっているわけで、進捗はいかがですか。具体的に是正、指導をされたんでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 登録事業者に対しては指導等を行うことができることとしておりまして、具体的には、国土交通省において、賃借人等から求償権の行使に関する相談をいただいた際には、その内容に応じて当該業者に対する確認や注意喚起などを行っております。

 今後は、さらに、消費者から寄せられた相談事項を踏まえ、登録事業者に対する指導等をより積極的に行ってまいりたいと思っております。

大石委員 ちょっと、やっていないというふうに聞こえたんですけれども。進捗、是正、指導をやっているのかに対して、やっていないというふうに聞こえました。

 先日、国交省にも問い合わせても、アンケート調査中だという回答でしたので、追い出し条項を具体的に撲滅するような強い動きをしていないように思うんですけれども、これは本当に、最高裁でも判決になりましたし、大変なことなので、斉藤大臣、動いていただけますか。いつまでにやりますか。

斉藤(鉄)国務大臣 フォーシーズ株式会社に対しては、先ほど御指摘がありましたように、最高裁判決が出ました。そして、他の登録事業者に対しても、同様の契約条項を使用していないかなどについての調査をしております。該当する事業者には、当該契約条項の使用をしないよう是正を求めているところでございます。

 引き続き、この登録制度に基づいて家賃債務保証業の適正な運営の確保に努めてまいりたいと思っております。

大石委員 三月の時点で調査をしているということで、昨日も国交省に電話で、調査中だということですし、でも、やるということなので、是非その進捗を追っていきたいと思います。最高裁判決を機に、規制を強化、追い出し条項を撲滅できないようなら、これは行政の怠慢ですので。

 家賃保証会社をめぐっては、追い出し条項だけではなく、ほかにも幾つもの問題が指摘されております。その主要なものを三点まとめました。パネル一です。

 家賃保証会社をめぐる主要な問題点として三つ挙げました。その一つ目のダブル保証の問題について。

 先ほど、家賃保証会社が、事情があって連帯保証人を立てられない人が使うものだという目的を説明しまして、国交省も同じように説明されているんですけれども、ところが、実際には、連帯保証人を立てさせられ、かつ家賃保証会社を利用するダブル保証、これが契約の条件とされる例が増えている。これは、明らかに家賃保証会社の本来の目的を逸脱しております。

 アパートを借りる人の権利を守るために活動している全国借地借家人組合連合会という団体が行ったアンケート調査があります。

 パネルの二です。

 賃借時の保証契約について、どのようなダブル保証をやったのかやっていないのかといったアンケート結果なんですけれども、百四十二件の回答者を、ウェブ調査で、昨年、二〇二二年九月から十月に行っているので、最高裁判決の前から活動されていてそういう調査を行っていらっしゃるんですけれども、約半数がダブル保証だ、連帯保証人と保証会社を両方やらされていると。

 政府が行った実態調査においても、同じような、年々増加と書かれているんですね。令和三年度の家賃債務保証業者の登録制度に関する実態調査ですけれども。

 こういった、元々、連帯保証人がいない人用という役割だったはずが、連帯保証人もつけさせられ保証会社もやらされているという例が半数である。これは、どちらか一つを選択できるようにするべきではないでしょうか。大臣に伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 家賃債務保証業者は、保証の引受けに当たり、賃借人の家賃債務を代位弁済した際の賃借人に対する求償債権を担保するため、賃借人に連帯保証人を求める場合があります。これが一つ。もう一つは、連帯保証人と保証会社、賃借人に連帯保証人を求めたケースでございます。まず、賃借人に連帯保証人を求める場合がありますが、国土交通省の調査では、そうした住居はほとんど見られませんでした。

 賃借人に連帯保証人を求めた僅かなケースでは、三%ないし四%でございますが、賃借人の収入情報だけでは保証の対象にならなかったものの、連帯保証人を確保することで、保証契約もでき、入居が可能となった例もあると聞いております。

 このため、連帯保証人を一律に禁止することには慎重な検討を要しますが、他方で、居住支援法人が賃借人に一定の入居支援を行うことで、連帯保証人を要することなく入居が可能となった事例もあります。

 具体的には、家賃債務保証業者と居住支援法人が協定を結び、収入を理由に……(大石委員「質問だけに答えてもらえないですか、あと五分なんですけれども」と呼ぶ)はい、端的に。保証を受けられない賃借人が、居住支援法人から公的な給付金の活用に向けた支援や就労支援などを受けることを条件に、保証業者から収入の安定が見込めると評価され、入居が可能となった優良事例もございます。

 こうした例を横展開しながら、居住支援法人への支援を強めていきたいと思っています。

大石委員 普通に生活されていたり、アパートを借りた人に、現場に聞いてみてもらえたらいいと思うんですけれども、既に家賃保証会社の契約割合が八〇%まで急増していて、連帯保証人も求められていますので、このアンケート結果というのは事実を表すものであって、今おっしゃっているような何とかなっているという話ではなく、結局、これはただただ借主の負担が一方的に増えているということで、このダブル保証というのは厳格に認識されて規制されるべきです。

 元々、連帯保証人がいない人が顕在化したことが契機であり、また、最高裁判決を受ければ生活を奪うような取立ては駄目だという、そういう趣旨も踏まえて、誰でも受けられる公的な保証制度というものをそもそもつくるべきだと考えます。

 まだ家賃保証会社の問題があって、二つ目に行きます。

 家賃保証会社による原状回復費用の請求について、借主とのトラブルが増えている。これは、マンションとかアパートを出ていくときに多くの方が何らか関わる問題なんですけれども。

 そもそも、原状回復費用というのは、何か多めに取られるというのが世の中でも多くあるんですけれども、ただ、本来は、普通でないような使い方のせいで壊れたり、染みがついたというような、特別損耗が請求の対象になります。

 普通に使っていて古くなったり汚れたりしたものは、通常損耗として原状回復責任はないんですよね。壁の汚れとかちょっとした剥がれもそうだし、極端な例では、窓ガラスにひびが入っていても、これは借主が何らかの外力を加えたとうかがわせる証拠がなければ特別損耗ではなく、請求できない。かつ、特別損耗が認められる場合にも、老朽化による減価分を差し引いてなので、実際にはそれほど高額にはならないはずなんですけれども、それを、借主の側が知識があって、そのされた請求が正当かどうか判断して同意するというのが適正なんですけれども、現状はそうではない。

 私自身も、大分前の経験ですけれども、ちょっと壁紙が、退去時に、小さな剥がれに対して請求が過大だったので、ちょっと折り合わなくて、かつ、管理会社にかなりの圧で払うべきやと言われて、それだったら簡易裁判で決着つけましょうと言ったら、後日、ボンドで壁紙を留めてくれたら請求はしないと言われて合意したことがあって、話し合いというのは本当に大事なんですけれども。

 しかし、ここに家賃保証会社が間に挟まることによって悲劇が生まれている。管理会社とそういう折り合いがつかない状況のときに、管理会社が借主と交渉をせずに、家賃保証会社が勝手に立て替えて後々請求してくる事例がある。突然高額な請求が来るというトラブルが起きていて、これは、家賃保証会社の保証対象が、家賃以外に原状回復費用があるということが原因で、多くの方が泣き寝入りしている。これは、家賃保証会社に代行させたら管理会社は楽かもしれませんが、結局、過剰請求につながっています。

 そもそも、過剰請求をしてくることとか、泣き寝入りしないような、そういう情報というものがないということが原因としましても、最低限、賃借人に同意がない原状回復費用の請求は禁止するべきです。

 伺います。少なくとも、家賃保証会社による原状回復費用の請求を代行させるのはやめさせるべきではないですか。

斉藤(鉄)国務大臣 家賃債務保証契約におきましては、賃借人の家賃債務に加え、賃借人が退去時に負担すべき原状回復費用の支払いを保証している場合があります。このような保証内容の場合、賃借人が原状回復費用の支払いを滞納すれば、家賃債務保証業者は、賃貸人に当該費用を代位弁済し、賃借人に求償することになります。

 他方、原状回復の内容や費用は、賃貸人と賃借人の間で協議し、合意することによって確定するものであり、このような手続を経ることなく、保証業者が賃貸人の要求額を代位弁済して一方的に賃借人に求償することは、適当ではないと考えます。

 国土交通省としては、こうした不適当な事案が確認された場合には、保証業者に対して、賃借人が負担することに合意した原状回復費用に基づき代位弁済すべきであること、その場合でも、賃借人による負担が合理的な範囲で代位弁済することが望ましいことなどに留意するよう指導等を行ってまいります。

大石委員 現状がそういう請求だらけですので、より現状を踏まえた強い規制だったり保護というのが必要だということをずっと申し上げていたんですけれども、改めて、そうしなければならないという考えです。

 三つ目の問題点、家賃保証制度を選択できない、強いられているんだということなんですけれども、これはもう質問は時間がないので飛ばします。

 この国で、公的な住宅だったり、誰もが安心して家に住まえる住まいというものが、生存権が全く保障されていないという現状で、一方で、本日この一般質疑の後に空き家対策特措法の審議が始まる予定ですけれども、これは逆に、全国で約八百五十万戸も空き家が存在していることへの対策。でも、これも不十分だと本会議などで質疑をされているんですね。

 このように、よい住環境で暮らせる人が限られ、野方図で無計画な住宅政策であるのが今の日本社会であり……

木原委員長 大石君、時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。

大石委員 問題解決のためには、もっと大きな財政出動をやっていくしかありません。これからも、住まいは権利を求めていきます。

 終わります。

     ――――◇―――――

木原委員長 次に、内閣提出、空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

    ―――――――――――――

 空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

斉藤(鉄)国務大臣 ただいま議題となりました空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 近年、空き家の数は増加を続けており、今後、更に増加が見込まれる中、空き家対策の強化が急務となっております。

 具体的には、周囲に悪影響を及ぼす特定空き家等の除却といったこれまで進めてきた取組を一層円滑化するとともに、周囲に悪影響を及ぼすこととなる前の段階から空き家等の有効活用や適切な管理を確保するなど、総合的に取り組むことが必要であります。

 このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、空き家等の活用拡大を図るため、市区町村が空家等活用促進区域を定めることができることとし、同区域において接道規制や用途規制の合理化等を図ることにより、空き家等の建て替えや用途変更等を促進するとともに、市区町村長が空き家等の活用等に取り組む民間法人を空家等管理活用支援法人として指定することができることとしております。

 第二に、空き家等の適切な管理を確保するため、そのまま放置すれば特定空き家等になるおそれのある空き家等を管理不全空き家等と位置づけ、その所有者等に対して、市区町村長から指導、勧告できる制度を創設することとしております。

 第三に、特定空き家等の除却等を更に促進するため、緊急時の代執行制度を創設するとともに、所有者等に代わって空き家等の管理や処分を行う財産管理人の選任請求に係る民法の特例措置を講ずることとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

木原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る五月十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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