衆議院

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第12号 令和5年5月10日(水曜日)

会議録本文へ
令和五年五月十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 木原  稔君

   理事 加藤 鮎子君 理事 津島  淳君

   理事 中根 一幸君 理事 長坂 康正君

   理事 伴野  豊君 理事 谷田川 元君

   理事 赤木 正幸君 理事 伊藤  渉君

      石橋林太郎君    泉田 裕彦君

      英利アルフィヤ君    小里 泰弘君

      柿沢 未途君    菅家 一郎君

      工藤 彰三君    小林 史明君

      櫻田 義孝君    田中 英之君

      田中 良生君    谷川 とむ君

      冨樫 博之君    土井  亨君

      中川 郁子君    中村 裕之君

      西田 昭二君    根本 幸典君

      深澤 陽一君    古川  康君

      堀井  学君    宮崎 政久君

      武藤 容治君    枝野 幸男君

      小熊 慎司君    城井  崇君

      小宮山泰子君    神津たけし君

      下条 みつ君    末次 精一君

      足立 康史君    一谷勇一郎君

      前川 清成君    山本 剛正君

      北側 一雄君    中川 康洋君

      斎藤アレックス君    古川 元久君

      高橋千鶴子君    福島 伸享君

      櫛渕 万里君    たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      豊田 俊郎君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   国土交通大臣政務官    清水 真人君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  塩見 英之君

   政府参考人

   (観光庁次長)      秡川 直也君

   国土交通委員会専門員   鈴木 鉄夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     石橋林太郎君

  中川 郁子君     英利アルフィヤ君

  中村 裕之君     堀井  学君

  一谷勇一郎君     足立 康史君

  古川 元久君     斎藤アレックス君

  たがや 亮君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     小林 史明君

  英利アルフィヤ君   中川 郁子君

  堀井  学君     中村 裕之君

  足立 康史君     一谷勇一郎君

  斎藤アレックス君   古川 元久君

  櫛渕 万里君     たがや 亮君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省不動産・建設経済局長長橋和久君、住宅局長塩見英之君、観光庁次長秡川直也君及び法務省大臣官房審議官松井信憲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田中英之君。

田中(英)委員 おはようございます。自民党の田中英之でございます。

 空き家法の改正の質疑の機会をいただきまして、理事の皆さん、委員の皆さん、本当にありがとうございます。

 今日の朝も、ニュースを見ていますと、石川県珠洲市付近でまた地震がありました。お亡くなりになられた方の御冥福、また、けがをされた方もおられるということでありますので、一日も早い御回復をお祈り申し上げたいと思いますし、やはり地震がどこで起こってもおかしくない時代であります。我々国会に携わる者全てがその地域に寄り添って対応していくべきだと思いますので、この委員会の皆さんにも、同じ思いを持って対応していっていただければなという思いでございます。

 さて、この空き家法の改正に当たりまして、ちょうど三十年ぐらい前になるんでしょうか、私、二十代の頃に、よく近所のおじさんとかと会話をしていると、おっちゃんらの時代は、結婚したらアパートに住み始めて、そして子供ができて、ちょっと広い中古住宅に住んだもんやなと。そして、やはり夢は新築のマイホームを持つことというような話をよく聞いたことがあります。

 決して新築の住宅が駄目だと言っているわけではありませんが、今の時代は、結婚すると新築のマイホームに住むことは珍しくないのかも分かりません。そんな時代の移り変わりからか、今は空き家や所有者不明の土地が増えてきているのも、その理由の一つなのかも分かりません。

 また、古くなった空き家とか、ごみ屋敷、木が生い茂った敷地などに対して、よく苦情を聞いたものであります。どこに相談に行ったらいいのか分からない。迷惑なので警察、ごみの場合はごみ処理を担当するところ、困り事相談を統括的に聞いてもらう役所の窓口と、ここに相談すれば解決するということが、ひょっとすれば、二十年ぐらい前であればはっきりしていなかったのかなという記憶もあります。そして、所有者もなかなか改善に対応してくれない、誰の所有物かも分からないということも問題になっていたこともあります。

 平成二十六年に議員立法で空き家法が制定され、住宅用地の特例というものが、先ほど列記したような建物の周辺に、これは著しい悪影響を及ぼす空き家、いわゆる特定空き家と称して勧告を受け、改善、修繕が図られたら、固定資産税は、現状の、二百平米以下であれば六分の一であったり、それ以上のところは三分の一、こういったことを維持して解除されない、そんな仕組みをすることで、改善、修繕などの対応によりインセンティブが働くようになったものだと思います。それでも、居住目的のない空き家はどんどん増え続けて、まだ増える見込みであると聞いております。

 さて、今回の空き家法の改正でありますが、歯止めをかけるために三つの方向性、空き家の活用拡大が図られるようにすること、管理不全であれば悪化を防止すること、そして、特定空き家は代執行で除却をすることといったことが示されています。

 活用拡大についてでありますが、接道規制の合理化とあります。本来でありましたら四メーターの幅員が必要でありますけれども、四メーター未満であっても建て替え、改築が可能になるということであります。あくまでもこれは区域指定があって特例認定でありますので、どこでもいいというわけではないのでしょうが、四メーターあることによって、災害があったとき、火災があったとき、緊急車両が入りやすいようになど、安心して安全が確保されるべきであるというふうに思います。

 そこで、この接道規制の合理化についてお伺いします。

 安全を確保するのには一定の基準が要ると思います。どのようにまず考えておられますか。また、市区町村の行う合理化はどのようなレベルなのか、ここを明確にしなければ、形だけの改正になってしまうのではと懸念もありますが、いかがでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 建築基準法におきましては、建築物の敷地に、幅四メートル以上の道路との接道を求めております。これは、災害時の避難、消防活動の場の確保など、市街地の安全確保等を図るためのものでございます。

 市町村が、今回の法案に基づきまして、接道規制を合理化いたしまして空き家を活用しようとする際も、規制本来の趣旨が損なわれないように、一定レベルの安全確保が講じられる必要がある、それを要件としてございます。

 ここで必要となります安全確保策の要件でございますが、国土交通省令で定める基準を参酌して、市町村が活用指針に明記するということになってございまして、今後、省令で定める基準といたしましては、例えば、燃えにくい構造の建築物とすること、一定規模以下の住宅など多数の避難者が発生するおそれが少ない建築物であることなどを明らかにするべく検討を行ってまいります。

 さらに、市町村が省令基準を参酌しながら、より円滑に活用指針で要件を明らかにできますように、ガイドライン等によりまして具体的な要件の事例などを示すべく検討してまいりたいと存じます。

田中(英)委員 要件として、国土交通省の省令で定める基準を参酌するということであったり、そういった基準は、燃えにくい構造、一定規模の住宅を検討するということ、また、ガイドラインなんかも、その具体的な要件を事例に示すということが検討されるということであります。

 私は京都市内に住んでおりますが、京都市では既に実はそういった制度を活用してきてまいりました。大きな戦災に遭っていない歴史都市であって、京町家を始めとした、建築基準法が施行される以前に建てられた建物がたくさんあります。中には、路地の奥、細街路、そういったところで、無接道の敷地に建てられた建物も結構あります。安心、安全に住み続けられる、災害に強い、そういった町にするためには、無接道の建物の適切な更新が必要であったためであります。

 これを可能にするために、京都市では、接道許可制度が建て替えや修繕を可能にしてまいりました。ガイドラインなんかを作られる際には、京都市のみならず、ほかの市町でも様々な取組をされていることがあろうかと思います。大いに参考にしていただいてガイドラインをお作りいただければと思いますので、お願いしたいと思います。

 また、活用拡大のほかには、用途の規制の合理化によって、住宅専用地域に店舗が入って活性化することと思われます。特に、市街化調整区域での人口減少、これは本当に激しいので、空き家の用途変更は新たな活力を生み出すと思いますので、ここは私自身も期待をしたいところであろうかと思いますので、お願いします。

 次に、空家等管理活用支援法人の創設について伺いたいと思います。

 市区町村が法人を指定するとありますが、具体的にはどんな団体を考えるんでしょうか。また、所有者や活用希望者が安心し、信頼できる指定された支援法人であるべきであると思います。最低限の要件や基準は必要と思いますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 これまでも、地域の空き家対策に熱心に関わってきたNPOや社団法人などは多数ございます。空き家所有者や活用希望者への相談対応、専門家の紹介などを行っております。このような民間法人を支援法人に指定し、公的な立場から、より充実した活動をしていただくことを想定しております。

 支援法人には、空き家の活用に向けた所有者や活用希望者の判断を後押しする重要な役割が期待されており、安心で信頼できる法人を指定することが極めて重要です。

 この法案では、業務を適正かつ確実に実施できることを指定要件として定めていますが、市町村がより的確に法人を指定できるよう、指定の際の留意点として、例えば、過去の活動実績や、業務を行うための体制や計画を確認することなどを手引に取りまとめ、市町村にお示ししてまいりたい、このように思っております。

田中(英)委員 ありがとうございます。安心で信頼できる法人を指定することは極めてやはり重要だと私も思っております。

 心配なのは、こういった法律を作ったことに乗じて、ちょっとよからぬことを考え、詐欺まがいのようなことがあっては、これは所有されている方々は困られることになりますので、その区別、ちゃんとした指定された指定法人というところと区別していただく、きっちりとしていただきますことをこれは要望させていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 次に、管理について伺いたいと思います。

 今回、管理不全空き家、いわゆる放置すれば特定空き家になるおそれがある空き家の区分が新たに追加されました。指導、勧告が可能となります。現行であれば特定空き家として勧告を受ければといったところが、この改正によって管理不全空き家の時点で住宅用地特例は解除されることになります。

 一つ一つの空き家の解決にかかる期間はそれぞれ違うと思いますが、認識として、空き家発生から特定空き家の指導の間に管理不全空き家となって指導、勧告ができるようにすることで、以前よりも早く指導、勧告に入ると私は理解しております。だから、所有者が改善、修繕を図られることも早くなると思っています。

 ただ、今回の改正で、特定空き家となっても指導、勧告、命令、代執行による除却ということであります。管理不全空き家と特定空き家の分類は違いますが、指導、勧告については二度同じ手続をすることになります。

 というのも、資料を見せていただきましたが、空き家法の措置によって、大体四万件の特定空き家があるうちの半分の二万件、特定空き家の指導後や勧告に至る前によって九四%の改善、修繕がなされているというような資料を見せていただきました。

 そこで、改修、修繕、代執行による除却のスピードアップを図るのであれば、管理不全空き家で指導、勧告として、特定空き家になった時点で命令、除却でいいのではないかというふうに思いますが、いかがでしょう。法律上、手続をすることは、二度指導、勧告をしなければならないのでしょうか。その点についてお伺いしたいと思います。

塩見政府参考人 お答えを申し上げます。

 スピードアップということでございますけれども、ちょっとまず、御質問と少しずれるかもしれませんが、空き家の状態が大きく悪化しないうちでありますれば、より簡易な措置で適切な管理が確保できますので、管理不全空き家への指導、勧告などを行うことによりまして、空き家はより短期間で改善可能になるというふうに思います。

 その上で、指導、勧告ということでございますけれども、同じ指導、勧告と申しましても、管理不全空き家に求める措置の内容と、特定空き家に求める措置の内容とでは、内容が大きく異なることが想定されております。具体的には、管理不全空き家、まだ状態がそれほど悪くないという状態の管理不全空き家であれば、修繕などの比較的軽い措置を求めることになります。特定空き家につきましては、除却を含めて重い措置を求めるということが想定されるということで、求める内容が異なる可能性がございます。

 また、特定空き家につきましては、行政代執行など財産権への強い制約が行われる可能性があることも念頭に置いて、慎重な判断をしていただく必要がございます。

 このため、特定空き家について措置を求めます際は、管理不全空き家に対して行った指導、勧告とは別に、指導、勧告から手続を行うということにしてございますけれども、一方、先生御指摘のように、スピードアップということも非常に大事な課題だと思います。

 このため、国からガイドラインをお示しをいたしまして、管理不全空き家として指導、勧告を行った後で、改善されずに特定空き家になったという場合には、命令や代執行の前に所有者に付与する猶予期間、これを短縮することを促すなど、スピードアップに向けた市町村の取組を後押ししたいと思います。

田中(英)委員 特定空き家というか、管理不全空き家との区別をしっかりとするということと、財産でありますので慎重に対応しなければならないということは、これは十分に承知をいたしました。

 ただ、是非ともお願いしたいのは、長い期間この問題を放置しておくと、やはり周辺には悪影響を及ぼしてしまいます。やはり、スピード感は大切だと思いますので、その点についてはガイドラインもいろいろと示していただきながらお願いしておきたいと思います。

 冒頭申し上げましたように、空き家、中古住宅に住むことはやはり少なくなってきたのかも分かりません。土地が安ければ、リフォームをするよりも新築の方がいいという場合も、これは地域によってもあるかも分かりません。でも、中古住宅、空き家をできるだけ安く借りたり買ったりできる、そんな環境をつくることはやはり必要だと思います。リフォームをすることにより今のライフスタイルに合わせれば活用も進むものと思いますし、しかし、でも、そのためには、管理をやはりしっかり所有者にしてもらうことが条件だと思っています。

 今回の改正は、空き家の活用を拡大することと、また、管理をきっちりすることであります。空き家、中古住宅がこれからうまく活用されることにつながればと、その先に期待をして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。

 今日は空き家法の改正ということで、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 早速質問に入らせていただきます。

 平成二十六年に制定されました現行法は、その緊急性に鑑みて、周囲に著しい影響を及ぼす空き家、いわゆる特定空き家への対応を中心にその措置が定められております。

 一方、国内の空き家数はこの二十年で約二倍に増加、このまま対策を強化しなければ、現在三百五十万戸ある空き家は、二〇三〇年には何と四百七十万戸にも達すると言われております。

 こうした中、空き家が周囲に著しい悪影響を及ぼすようになりましてからの対応では市区町村に限界があるため、そこに至る前の段階から空き家の活用や管理などを先手先手の対応で行っていくこと、これが重要であると考えております。

 そこで、まず、法案の柱の一つであります空き家の活用拡大について何点かお伺いをいたします。

 本法案では、第七条におきまして、市区町村は、空き家の活用を重点的に進める必要があると認める区域を空家等活用促進区域として設定できるとしております。

 私は、この空き家の活用は、周囲に悪影響を及ぼす空き家の発生を抑制するだけではなくて、コミュニティーの維持や新たなまちづくりなど、地域のニーズに応じた活用や社会的、経済的活動の促進に資するものであるため、今後、市区町村が積極的にこの促進区域の設定を行い、空き家の活用を進めていくこと、これは大変重要な取組であると考えております。

 そこで伺いますが、国交省としては、この市区町村の円滑な促進区域の設定に向けて、具体的にどのような支援を行っていこうと考えているのか、この点をお伺いをしたいと思います。

塩見政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、空き家の活用は大変意義のあるものだと思っております。

 地域の空き家ストックを、地域の活性化あるいは地域の課題解決に役立てていただく、そういう大変有効な資産として捉えて有効活用を進めていくということが大変重要でございます。

 このため、今回の法案におきましては、空き家の活用を重点的に図ろうとする区域を市町村が設定をし、その活用指針を定めることができることとしております。

 また、活用を進める際のネックになり得る接道や用途などの規制を市町村主導で合理化できるということにいたしまして、その際、所有者が、あるいは民間事業者の方が、どのような場合に制限が合理化されるか、そういうことが見通せるように、要件を活用指針に明記するということにしてございます。

 こういう活用促進区域の設定でありますとか、区域を設定した際に必要となる活用指針の作成、これは市町村が必要になりますけれども、市町村がこういった事務を円滑に行えますような支援といたしまして、参酌すべき基準、参考となる事項などを省令やガイドラインで示すことを検討してございます。

 具体的には、活用区域を設定することが考えられる区域として幾つかの事例をお示しをすることでありますとか、接道規制を合理化する際に活用指針に定める安全確保策の要件の例示として、燃えにくい構造の建築物とすることなどを示す、こういった支援を考えているところでございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 これは具体的にはやはり市区町村が進めていくわけでございますので、中にはやはり小さい町村等もあるかと思います。このガイドラインとか省令を定める中で、具体的なイメージが湧くような、そういった取組を法施行前からお進めいただきたいと思いますので、法施行後、やはり市区町村がイメージを持って具体的な取組ができるよう、その点、御要望を申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、空き家も含めた既存住宅の流通促進についてお伺いをしたいと思います。

 先ほども述べたように、空き家の数は年々増加傾向にありますが、その一方で、その空き家の内訳を実は細かく見ていきますと、まだまだ居住でき得る住宅も多くございます。

 現に、私の地元であります三重県四日市市が令和二年度に調査した内容によれば、一戸建て空き家三千百四十六軒中、すぐに居住できる状態のものは二千二百六十四軒で七二%、また、居住できる状態であるが簡易な修繕又は手入れが必要なものが三百三十二軒で一〇・六%と、合わせて八〇%を超える一戸建て空き家が居住可能との結果が出ております。

 我が国は、既存住宅の流通シェアが、欧米等の八〇%前後に比べて、一五%弱と極端に低い傾向にありますが、これまで以上に官民が一体となって空き家も含めた既存住宅の流通促進を図ること、これは私は大変重要な取組であると考えますが、いかがでしょうか。

 また、その際、空き家など既存住宅は比較的間取りも広く低廉なものが多いため、特に子育て世帯等が入居しやすい環境整備、例えば他省庁とも連携した入居補助や購入補助等の支援を図り、子育て世帯等が入居しやすい施策、これを検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。国交省の御見解を伺います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 既存住宅の流通の活性化と子育て世帯への支援ということでございますけれども、今後の住宅政策におきましては、将来世代に承継できる良質な住宅ストックを形成をし、これらの良質なストックが循環するシステム、これを構築して、既存住宅中心の施策体系に転換をしていくということが重要だと思っております。

 このため、既存住宅の流通を活性化いたしまして空き家の発生を抑制いたしますためにも、ストックの性能向上、それから既存住宅に対する安心感を高める施策、こういったことを一層強化してまいりたいと思います。

 それから、二点目の子育て世帯ということでございますが、子育てあるいは若い世代の方々の世帯というのは、一般に収入が低く、養育費などの支出が多いために、子育てに必要な広さや利便性等が確保された住宅に住むことが困難な場合が少なくないというふうに思っております。

 このため、新築に比べまして価格の低い既存住宅を活用いたしまして、子供がいることを理由に入居を拒まない良質な賃貸住宅の供給を拡大いたしますとともに、取得に際しての融資金利の引下げなどの支援につきまして、関係省庁とも連携しながら取り組んでまいりたいと存じます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 これは四日市市の調査なんですけれども、空き家、一戸建ての中で、入居可能な住居がやはり八割以上あるんですよね。そこをどう回していくか、使うかというのはすごく大事だと思いまして、やはりリフォームとかリノベを図る中で、そういったところの活用というのはすごく大事だと思います。

 先ほど田中委員の御質問にもありましたけれども、やはり我が国は新しい一戸建てを求める傾向があるわけですけれども、そこの考え方を変えていく、そして、間取りも広くて低廉なものの供給体制、これをしっかりと取ることが大事だと思いますし、特に子育て世帯に対してそういったところが供給しやすいような具体的な環境なり制度、これをおつくりいただきたい。特に今、政府を挙げて子育て施策、少子化対策を行っているわけですので、そこにやはりそういった施策を乗せ込んでいくというか入れ込んでいく、こういった方向性を是非国交省からもお進めいただきたいと思います。

 では、続きまして、支援法人の指定についてお伺いをいたします。

 本法案では、第二十三条におきまして、市区町村は、空き家の所有者に寄り添った相談対応や空き家の管理、活用等を行うNPO法人や社団法人等を空家等管理活用支援法人として指定できるとされております。

 私は、この空き家の活用拡大に向けて、市区町村がこれら専門的知見を有する法人を積極的に指定し、その法人と連携して空き家対策を強化していくこと、これは大変に重要な取組であると思います。

 そこで伺いますが、具体的にどのような団体かというところについては、今、田中委員からの、御答弁で大臣がされましたので、そこを外しまして、二点目といたしましては、これら支援法人の活動には何らかの財政支援、これが場合によっては必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 さらには、市町村によっては小規模な自治体もあり、場合によっては指定対象となる法人がない地域、これも想定されるわけでございますが、そのような自治体では具体的にどのような手法でこの対策強化を進めようと考えるのか、この点、国交省の見解を伺います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 支援法人に対する財政支援等ということでございますけれども、今回新しく創設する支援法人の制度につきましては、その財源については、法人が元々従来から行ってきた業務以外に、今回、空き家法で、新たな支援法人の業務として、空き家の調査とか管理それから活用、こういった事業を行っていただくことを法律で規定しております。また、所有者を探索していただく事務、こういうものも法律に規定してございます。

 改正法に基づく業務をこの法人が所有者や行政から依頼をされるというケースも少なくないと思っておりまして、そういう受託に伴う収入によりまして法人が自立的に活動されるということを基本的には想定してございますが、国といたしましても、空き家の活用をモデル的に取り組まれる、こういう支援法人に対しましては直接財政支援をするということも考えてまいりたいと思います。

 二点目の、法人が余りないような地域ということでございますけれども、市町村によりましては、地域固有の活動をしているNPO法人等がいない地域も確かにあろうかと思います。全国規模の社団法人の中には、地域ごとの支部などを設けて地域に根差した活動をされている、そういう法人もございますので、例えばこういう社団法人を指定していただくということも考えられるのではないかと思います。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今回のこの空き家法の改正の一つの特徴は、空家等管理活用支援法人の指定ができるというところであって、やはり民の力も生かすというところだと思います。

 私も、何でもかんでも財政支援をするべきだという思いではございません。基本的には、やはり自立的に動くことが大事であると。しかし、今答弁にもありましたように、例えばモデルケースでありますとか先例的な事例でこれを横展開していきたい、こういったものについてはやはり財政支援をしながらしっかりと広げていく、そういったことの必要性もあるんじゃないかな。

 加えて、安心で信頼のある法人を指定するわけでございますので、その社団、やはり全国組織でもありますので、その支部を活用しながら、小さな町村においてもしっかりとしたそういった取組が進むような、そういった流れができることを御期待を申し上げたいなというふうにも思います。

 それでは、最後に、空き家の管理の確保について、特に管理不全空き家への指導、勧告について一点お伺いをいたします。

 本法律案では、市区町村長は、放置すれば特定空き家になるおそれのある空き家につきまして、管理指針に即した措置を指導、勧告できることとし、勧告を受けた管理不全空き家は、固定資産税の住宅用地特例、いわゆる六分の一特例が解除されるということになっております。確かに、今後更に予想される空き家の増加を踏まえれば、特定空き家になる前から所有者に管理を促すことができる今回の措置は、私は意義あるものと考える一人でございます。

 しかし、私は、今回の措置は、住宅用地特例を解除することそのものを制度の目的としているのではなく、まさしくそこに至るまでの抑止効果を期待しての措置なのではないか、このように考えるものでございます。

 そこで伺いますが、今回この管理不全空き家への指導、勧告を可能とし、勧告を受けた管理不全空き家に対して住宅用地特例を解除することを可能としたこの制度の趣旨について改めて確認をしたいと思います。

 また、もう一点、空き家等の所有者は、その多くが六十五歳以上の高齢者など一般的に資金力のない世帯が考えられるというふうに想定されます。私は、そのような所有者に対しては、空き家の管理状態の改善等を図る上で、所有者の実情に応じた丁寧な対応、これを事前にしていくこと、従前からしていくこと、これが必要ではないかと考えますが、この点について国交省の見解をお伺いをしたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 まず一点目の、管理不全空き家に対する指導、勧告、これに伴う固定資産税の住宅用地特例解除の趣旨ということでございますけれども、今回管理不全空き家に位置づけた空き家に対して所有者に指導、勧告を行った場合、この勧告を受けた空き家につきましては、御指摘のとおり、固定資産税の課税標準を六分の一とする住宅用地特例が解除されるということでございます。

 この趣旨でございますけれども、勧告をすること自体あるいは特例の解除をすること自体を目的としているということではなく、空き家の状態が悪化することのないように所有者の方に日頃からの適切な管理を強く促そう、そういう趣旨で制度を設けようとしているものでございます。

 二点目にお尋ねの、高齢の所有者の方への対応ということでございますが、特に経済的に困窮をされた高齢の所有者の方には、ノウハウの面あるいは資金の面で非常に心配が少なくないんだろうというふうに思います。

 そうした所有者の方に対しましては、指導を行いまして御本人に管理を促すということだけでなくて、市町村が今回新たに指定することができるようになる支援法人、これが所有者に寄り添って相談に応じるということにいたしますし、また、委託に基づいて空き家の管理も受託するということもこの支援法人は可能でございますので、こういう形で、所有者に足りていないノウハウ等を補完をしていくということが考えられると思います。

 また、資金面におきましては、所有者が行います一定の空き家の除却に対しまして市町村が支援をするという場合に、国といたしましても財政支援を行うということにしております。

 これらによりまして、所有者の実情に応じた空き家対策が進むように取り組んでまいりたいと存じます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 私、この点、今回の空き家法の改正においては結構大事な視点だというふうに思っています。この勧告自体が目的ではなくて、この解除自体が目的じゃないんだ、そこに至るまでの抑止効果として、しっかりとしたものが動くようなところ、ここに一つの目的があるんだ、制度の趣旨があるんだというところ、これは非常に大事な視点だと思いますので、これから取組を行う基礎自治体に対しても、その点、しっかりとお伝えをいただければと思います。

 また、加えて、所有者の中には高齢者とか資金力のない方はやはり多いんじゃないかなと思いますので、早め早めの対応で、ただ措置を打って何とかしていく、そういったことじゃないようにしていただきたいと思います。

 私の周辺でも、今本当に、空き家が更地になって、そして新たなる供給というか動きが出ているというのを見ることができます。今回の空き家法改正が、こういった空き家の有効活用の方向に機能するようなこと、これをしっかりと願いながら、私の質問を終わりたいと思います。

 大変にありがとうございました。

木原委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 おはようございます。国民民主党の古川元久です。

 早速質問に入らせていただきたいと思いますが、私たち国民民主党は、この法改正には賛成の立場であります。そのことを申し上げた上で、質問に入りたいと思います。

 まず、この間、今の質疑にもありました、空き家はどんどん増えてきているわけでありますが、その背景には、日本の人口が減少時代に入ってきたことがあるんだと思います。そして、また今後、人口はますます急速に減っていく、そういうフェーズに入ってきておりますので、このままだと、これから空き家はもっと加速度を増して増えていく。特に、二〇二五年問題と言われる問題で、団塊の世代の皆さんが七十五歳以上の後期高齢者になると。これは、いろいろなほかの社会保障とかそういうところの問題でも言われていますけれども、この空き家の問題も二〇二五年問題というのはやはりあるんじゃないかと。

 どういうことかというと、やはり団塊の世代の皆さんが後期高齢者になると、お元気であってもさすがにだんだん持病がちになる。亡くなる方も一気に増えてきて、二〇二五年以降というのは、亡くなる方がどっと増えて、結局その後が空き家になる。そういった意味で、これは二〇二五年以降、空き家が急増されることが懸念されるんですけれども、今回の改正、もう目の前、二〇二五年ですが、今後起きることが十分想定内のこういう空き家の急増、そういったものに対応できるのか、そうしたことにならないような、そういう事態は回避できるというふうに大臣はお考えでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今、古川委員おっしゃるように、居住目的がなく管理不全となるおそれのある空き家は、平成三十年の住宅・土地統計調査によれば、この二十年間で約百八十二万戸から約三百四十九万戸へ、約一・九倍に増加し、今後は二〇三〇年に四百七十万戸程度になると見込んでおります。

 こうした状況を踏まえ、今般、これまで進めてきた除却等を一層円滑化する措置に加え、空き家の状態が悪化する前の段階から有効活用や適切な管理が図られるよう、本法案に必要な措置を盛り込みました。

 また、令和五年度予算や税制において、空き家の除却、活用への支援を強化するとともに、空き家所有者への普及啓発など、本法案以外による措置も総合的に強化することで、地域活性化を図りつつ、地域住民の生命身体や生活環境の保全を図ってまいりたいと思っております。

 中でも、現に悪影響を与えている特定空き家や管理不全状態の空き家計約二十六万戸につきましては、当面、五年間で十五万戸という従来よりも高い目標を掲げて、除却等の対策を着実に進めてまいります。

 除却の推進と、そして活用ということが今回の法案の大きな柱でございます。

古川(元)委員 それはいいんですけれども、本当にそれで今後、もう今、多分大臣の地元でもそうだけれども、うちの地元でも、本当にやはり御高齢だけで住んでいらっしゃる世帯、多いんですよね。そういう人が亡くなった後に、大体息子さんとか娘さんとかもう出ていっちゃっている、自分たちでうちを持っている。間違いなくこれ、空き家になるんですよ。

 ですから、今回の法改正はもちろん大事だと思うんですけれども、これは空き家になってからという形ですよね。やはりそうなると、御存じのように、家というのは人が住まなくなると一気に朽ちていくというか悪くなっていくんですね。

 ですから、これは、私、この問題というのは、それこそ本当に二〇二五年を迎えて団塊の世代が後期高齢者になって、さすがにお元気であっても、寿命になって亡くなられる方がどんと増えてくる、その前に、亡くなった後、家族関係とかを考えれば、あるいは、家族での家の所有関係とかを考えれば、空き家になるだろうな、そういう家は想定十分できるわけですから、やはり、これは早めのうちに何らかの対応をすることが重要じゃないか。

 そういった意味では、この間の空き家対策というのは、空き家になってから行動するというのが、やはりそこが中心に対策が講じられてきたんですけれども、これからのことを考えると、やはり近い将来空き家になる可能性が高いと想定されるような家屋については、空き家になる前に、その後の活用がちゃんと、まさに今、団塊世代の皆さんだけで住んでいて、その後、空き家になりそうだったら、生きているうちから、亡くなった後が、空き家になった後には、その後の活用をどうするとか、その処分をどうするとか、やはり、そもそも空き家にならないように、そういう空き家になる前の対策というものにもっと力を入れて取り組むべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 全くそのとおりでございまして、今回の法案も、基本的にそういう考え方に立っております。

 空き家の半数以上は相続に伴って発生していることを踏まえますと、できるだけ空き家とならないよう、所有者の生前から、所有者や御家族に住宅を空き家としないとの意識を持って必要な準備を進めていただくよう促すことが大事だと思います。

 こうした所有者などによる取組は、住まいの終活とも呼ばれておりまして、所有者が亡くなった住居を売却するか賃貸するか、誰が相続するかなどを家族間で相談しておいていただいて、相続発生後に空き家のまま放置されることを防ぐことが必要だと期待されます。

 このため、生前から住まいの対処方針を決めておくことの重要性や、空き家を所有し続けることに伴うリスク、例えば、空き家は傷みが早く資産価値も低減することなどについて、国や地方公共団体、さらには、今般創設する支援法人などから所有者などに周知し、所有者の皆様方などの行動を促してまいりたい、このように考えております。

古川(元)委員 一定程度その取組はされているんですけれども、やはり、まだまだそこの、空き家になる前の対応というのが不十分じゃないかと思うんです。今回の法案でも、もう少しやはりそこのところに踏み込んでいくことが早急に求められるんじゃないかと思うんですね。

 そうした視点だと思うんですが、空き家対策モデル事業というのが行われていますよね。これまで、空き家対策を加速させるべく、民間事業者が空き家の発生防止等の抜本対策に取り組むモデル的な取組について支援を行って、その成果を全国へ展開をしよう、そうした発想で住宅市場を活用した空き家対策モデル事業というのがやられていますが、採択された事業が、中には、ちょっとその実施段階において、本当にこの事業の趣旨、目的に適合しているのか、また、弁護士法とか司法書士法など各種法令に触れているんじゃないか、そういう疑念を持たれるような、そういう事業もあるという話も聞きます。こういうところをちゃんときちんと確認すべきではないかと思いますが、いかがですか。

塩見政府参考人 お答えを申し上げます。

 事業の趣旨、目的への適合、あるいは法令への抵触ということでございますが、先生御指摘の空き家対策のモデル事業におきましては、まず、提案の採択をするに当たりまして、提案の内容が、本事業の趣旨、目的に十分適合しているかなどの観点から評価をいたしますとともに、事業の実施に当たり関係法令を遵守するように求めているところでございます。

 また、事業の実施段階に入りました後におきましても、年度の途中で中間報告を求めまして、提案どおりに取組が実施されているかなどの確認をいたします。また、必要に応じ、補助対象事業に関しまして、補助金交付の目的達成に必要な法令への適合、これを確認することとしてございます。

古川(元)委員 是非そこはしっかりチェックをしていただいて、問題があれば採決を取り消すとか、そういう必要な措置を取っていただきたいと思います。

 次に、法案の関係で御質問したいと思うんですが、管理不全空き家や特定空き家に指定されて勧告等を受けた人の中には、その勧告等にきちんと対応できる、そういう能力や資力が不十分な人や、親族の支援が受けられないような、そういう高齢者なども存在するというふうに思われるんですけれども、こうした人たちに対しては、本人のちゃんと権利を守っていく、そうしたためにも、成年後見人や財産管理人、こうした制度があるわけですから、こうした制度を積極的に活用するようにすべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、所有者が高齢の方の場合には、経済的に困窮されている方も多く、また、ノウハウの面でも不安を持たれている方が多いと思います。

 今回の法案におきましては、空き家を適切に管理していただく上で必要な具体的な対応を国が指針としてお示しをし、所有者に自主的に管理していただくということを促しますが、これに加えまして、先ほど来御指摘いただいている支援法人が所有法人に寄り添って相談に応じる、また、委託を受けて空き家の管理を行う、こういうことも可能としておりますことで、所有者のノウハウを補完するということもしてまいりたいと思います。

 また、高齢の方が意思能力に欠けるという場合もございます。その御親族に対しまして成年後見人制度の活用を助言させていただき、本人に代わって後見人にいろいろな御対応をいただくということも考えられると思います。また、今回の法案で、市町村が裁判所に対しまして管理不全建物管理人の選任というものを求められることにしてございます。この管理人が所有者に代わりまして空き家を適切に管理するということも考えられますので、こういった制度の積極的な活用についても、是非推進してまいりたいと思います。

 資金面につきまして不安がある、資力の少ない所有者がおられる場合には、その所有者が行います空き家の除却に対しまして市町村が支援を行います場合には、国としてもその一部を支援するということにし、こういった取組によりまして、所有者の実情を踏まえた空き家対策を進めてまいりたいと存じます。

古川(元)委員 元々、成年後見人制度とか財産管理人制度というのはそういうためにつくられているものですから、是非そういうのを積極的に活用するような、そうした取組をしていただきたいと思います。

 次に、ちょっと法務省の方に伺うことになると思いますが、空き家や所有者不明土地対策として、来年四月から行われる相続登記の申請義務化についてお伺いしたいと思います。

 この相続登記の申請義務化について、今年の三月実施の調査だと、来年四月から登記の申請が義務化されることを知っているという人は僅か二七%。まだこの新しい制度に関する国民の認知度は非常に低くて、これはもっと国、自治体、関係業界を挙げた国民運動的な周知広報活動が必要で、これは国としてこうした取組を積極的にリード、そしてまた財政的にも支援していくべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 空き家や所有者不明土地の発生を予防するため、令和三年に不動産登記法が改正され、令和六年四月一日から相続登記の申請が義務化されます。

 これによって、相続により不動産を取得した者は、その取得を知った日から三年以内に相続登記を申請することが法律上の義務となります。

 相続登記の義務化は、令和六年四月一日より前に相続した未登記の不動産についても適用対象になるなど、国民に大きな影響を与えるものでございます。このため、手続の負担軽減策を含めて、国民各層に十分な周知を図ることが重要でございます。

 法務省では、これまでも、新制度に関するポスター、パンフレットや新制度を解説した漫画の冊子を、地方自治体や登記の専門家である司法書士会などの専門資格者団体に配付したり、専門資格者団体や福祉団体、不動産業界、葬祭業界等と連携した説明会等を実施したりするなど、円滑な施行に向けた広報活動に力を入れているところです。

 法務省としては、新制度が国民各層に十分認知されるよう、全国の自治体や専門資格者団体はもちろん、各地の公共的団体、福祉、経済団体などとの具体的連携を全国各地で一層進めるとともに、引き続き、省庁横断的な広報活動にもしっかりと取り組んでまいります。

古川(元)委員 本当にもう一年切っているわけですから、積極的に、これはいろいろな方々の力をかりて広報していただきたいと思います。

 今後、数百万人が相続登記を行うことが必要となる中で、やはり専門家によるサポートは不可欠であって、そのためには、各自治体に専門家による相談窓口を開設するのが適当だというふうに思いますが、これは、国は今もやってはいるようですけれども、もっと積極的に自治体に対して相談窓口を設置するように働きかけるとともに、窓口をつくれという以上は、そのための財政支援、こうしたものもちゃんと行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、来年四月一日に施行される相続登記の申請義務化により、相続登記を行うことを検討する国民が増えることが予想されますが、登記手続の経験や知識がなく御自身での対応が難しいと感じる国民も多いと考えられます。

 そこで、法務省では、国民目線で相続登記の手続を分かりやすく説明したハンドブックを昨年十二月に法務局ホームページで公開をしたり、一般の方向けの新制度説明会を開催したりするなどの対応を行ってきたところですが、登記の専門家である司法書士や国民に身近な地方自治体などとの連携を図ることも極めて重要と考えております。

 法務省では、これまでも、法務局と司法書士会等が連携した相続登記についての相談会を実施したほか、相続登記に関する専門資格者の相談窓口を記載したパンフレットを地方自治体等に広く配付したり、自治体職員向けの勉強会を開催したりするなどの取組を行い、地方自治体の対応を支援してきたところです。

 法務省として、引き続き、専門資格者や地方自治体とも連携の上、御意見も伺いながら、相続登記の義務化に向けた必要な環境整備に努めてまいります。

古川(元)委員 これはしっかりやっていただきたいと思います。

 この相続登記の義務化は、これは、もちろん基本は法務省なんでしょうけれども、やはり空き家対策とか所有者不明土地対策ということを考えると、国交省も非常に関係しているわけですね。

 この相続登記については、登記の専門家、これは司法書士の皆さんですから、これは司法書士を活用することが適当だと思うんですが、そういった意味では、司法書士会とかはこれは所管が法務省ですから、今まで関係は、やはり法務省との関係が司法書士業界というのは強かったんだと思いますが、やはり今後のことを考えると、これは、国土交通省も、司法書士法を所管しているわけじゃないですけれども、この司法書士業界というのは、連携あるいは普段からの交流、こうしたものをもっと密にしていく、強化すべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 司法書士の方々は、相続登記などに知見をお持ちであるため、市町村が空き家所有者を探索する際に御協力いただければ、空き家対策の推進が図られるもの、このように考えます。

 また、空き家対策において司法書士の方々に期待される役割は大きく、このため、国が定める基本方針などにおいて市町村が設置する協議会の構成員として参画いただくことなどを明記しております。

 また、国土交通省では、これまでに、空き家対策モデル事業により、地方の司法書士会が県や市と連携して、空き家対策の市民講座の開催や啓発パンフレットの作成等を行う場合に、これらを優良な取組として支援してきたところでございます。

 相続登記が促進されれば、空き家の所有者探索が迅速になり、空き家の活用も円滑になることから、国土交通省としましては、今後も司法書士の方々との連携を進めて深めてまいりたいと思います。

古川(元)委員 所管する法務省が余りいい顔をしないかもしれませんけれども、これはやはり、国民の立場に立ったら、国交省と司法書士の皆さんともしっかり連携して、相続登記をちゃんと進めて、空き家や所有者不明土地を少しでも少なくする、大事なことなんです。是非、これは積極的に進めていただきたいと思います。

 時間になってまいりましたが、最後にちょっと、もう一問。

 今回の空き家ですけれども、私、地元なんかでもよく不動産関係の話をしていると、古川さん、これから、とにかく賃貸のアパートとかマンションの空き室の問題が本当に大変な問題になってくると。今でもだんだんそうした空き室が増えているんですけれども。

 一方で、どんどん新しい、今、賃貸アパートとかマンションが建って、最近、戸建てなんかは減っても、一方で賃貸のマンション建設なんかは増えていると。結局、新しいものができると、古いところから新しいところへ移って、人口が増えていればいいですよ、しかし、人口がどんどん減る中では、これからどんどんどんどん古いものを中心にアパートとかマンションの空き室というのはやはり増えていく。

 こうやって空き室が増えていくと、やはり人がたくさんちゃんと入っているアパートとかマンションであれば治安もいいんですけれども、逆に空き室ばかりになると、やはりそこは治安上も悪いし、それこそ、私もちょっと聞いたら、いわゆる詐欺グループなんかの、空き室が住所だけが使われたりとか、いろいろなそういう犯罪の温床にもなりかねないと。

 そういった意味では、この空き家の問題と同時に、マンションとかアパートなんかの、賃貸のそういう空き室の問題、こうした問題も、そういうスラム化とかする前に、今のうちからやはり本格的な対策を講じる必要があるんじゃないかと思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 今後、老朽化が進む賃貸アパートや分譲マンションにおいては、空き室の増加に伴う管理不全を招かないよう、適時適切に修繕工事を実施し、必要な管理状態を保つとともに、長寿命化工事の的確な実施が重要と考えております。

 まず、賃貸住宅につきましては、特に個人オーナーの方々が計画的に修繕を行えるよう、ガイドブックにより、修繕工事の必要性や概算費用などを周知するとともに、計画的な修繕費の確保に資する大家向け共済制度の普及を図っております。

 また、分譲マンションにつきましても、管理組合の合意形成を支援し、マンションの長寿命化に資する修繕工事を促す税制上の優遇措置を本年度から創設いたしました。

 さらに、法務省における区分所有法制の見直しでは、集会の決議を円滑化する仕組みなどの検討がされており、国土交通省でも、有識者の検討会で、空き室が増加する中でも適切な管理に必要な方策について、これからしっかり検討を進めていきたいと思います。同じ問題意識を有しております。

古川(元)委員 これから急速な人口減少で、間違いなく空き家や空き室は増えていく、もうそれは想定できますから、やはり、なっちゃう前に、そういう空き家や空き室になる前に対応ということで、是非国交省、斉藤大臣の下、リーダーシップを取って進めていただくことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、末次精一君。

末次委員 立憲民主党、末次精一でございます。

 それでは、空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、質問させていただきます。

 まず、法改正に伴う自治体への影響について、大臣にお伺いしたいと思います。

 この度の改正のポイントは、特定空き家、すなわち、危険空き家の除去から空き家の再生、有効活用に大きくシフトしている点にあります。この点について、空き家の発生抑制に資する、そもそも空き家にしない施策が取り入れられていることは評価できます。

 しかしながら、空き家再生を地方創生へつなげていきたいという国の考えはよく投影されている一方で、その内容は、要するに、国が自治体のお尻を、あんたらしっかりやってくださいよとたたいているだけにすぎないと思います。

 私は、本年三月の質疑で、地元長崎県内の自治体が住宅政策に取り組むに当たって最大の壁となっている課題が、マンパワーと財源の不足であるという結果を示しました。

 その後、全国千七百四十一の自治体にアンケートを実施し、五百一の自治体より得た回答結果、複数回答可によりますと、マンパワー不足に関する結果は、具体的な自治体独自の計画を策定しておらず対応が進まないが四七%、専門家が少ないため相談等に対応できないが三五%、国などの具体的な支援措置がないか、利用しづらいため対応が進まないが二五%となっており、この結果を受け止めるに、国が自治体に取り組んでいただきたい施策を考えることも重要ではありますが、実際の施策に取り組む環境を整備することも同時に必要でないかと切実に思うところであります。

 本改正案も、自治体が空家等活用促進区域を指定し、空き家の活用を促していこうというものですが、マンパワーの不足を再三訴え、ただでさえリソースが足りない中で、果たして、更に仕事を増やす取組を行うことが現実的に可能なのか気になりますが、この点について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 今回の改正案におきまして、今委員おっしゃるとおり、市町村の役割が非常に大きくなります。これに対してしっかり国としても支援をしていきたいし、また、制度的にもいろいろなことを考えたいと思っております。

 法律の円滑な施行や運用に向けて、市町村を支援するため、国としてガイドラインやマニュアルの策定、周知、優良事例の横展開などをまず取り組んでまいります。

 また、人員や専門的知識が不足しがちな市町村においても、こうした空き家対策を着実に推進できるよう、空き家対策に経験や実績などのある民間法人を市町村が指定し、相談対応などを行う仕組みを新たに設けることとしております。

 さらに、市町村による空き家の除却や活用などの取組に対して国は補助を行っておりまして、残りの市町村負担分についても特別交付税による措置を講じているところでございます。引き続き、財政面においても、市町村を支援してまいりたいと思います。

 このように、しっかり支援をしていって、市町村と連携しながら空き家対策を進めていきたいと思います。

末次委員 ありがとうございます。

 今大臣お示しされましたけれども、あらゆる政策に共通して言えることかもしれませんけれども、なぜ国はやることを決めると同時にやる環境を整備しようとしないのか、私は甚だ疑問であります。やれる環境も与えずに地方に丸投げの内容である以上、どんな改正案も結局は自治体の度量次第ということになります。もちろん、それでも成功事例の一つや二つは出るでしょうけれども、全自治体の一%にも満たないと試算するのが妥当であると思います。理屈や方向性が間違っているとは思いませんけれども、それで解決するかといったら、私はするはずもないと思っております。

 続きまして、空き家対策、すなわち、空き家を放置しない、発生させないことへの消費者の理解、ニーズの醸成に係る質問をさせていただきます。

 先に示しました全国千七百四十一の自治体に対するアンケート結果によると、マンパワー不足の次に集中した課題は、消費者の認識、周知に関するもので、地域住民の具体的なニーズが見えてこないが四五%、地域住民への広報が不足しているが二六%、地域住民の理解が進まないというのが一四%となっております。

 すなわち、先ほどの結果と合わせますと、本年三月の質疑で、長崎県内の自治体の実態として示した結果は、そのまま全国の自治体共通の課題であったということになります。各自治体は圧倒的にマンパワーと財源の不足と消費者の認識、周知に課題を感じているのです。

 こうした中、自治体が空家等活用促進区域を指定し、空き家を活用する地域だから活用してくださいと言ったところで、はい分かりましたと納得する所有者がどれだけいるのかと思います。牽引には、相当強力なインセンティブや誘導プランが必要になるはずであります。その絵が自治体に描けるのか、はたまた国が用意できるのか、この点について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 空き家を発生させない、あるいは空き家を放置させないということは、やはり空き家をお持ちの所有者の方の意識が非常に大きく関わります。これは先生の御指摘のとおりだと思います。

 このため、所有者の方あるいは御家族の方に、空き家が発生しないように、所有者が生前のうちから意識を持っていただく、住まいの終活ということに是非積極的に取り組んでいく必要があると思っております。

 また、意識啓発ということで申しますと、生前から住まいの対処方針を決めておくことの重要性とか、あるいは空き家を持っていることに伴うリスク、空き家は傷みが早く資産価値が劣化する、こういったことにつきまして、国が自治体と一緒に、今回法案で創設します支援法人も活用しながら、所有者に対しまして周知をし、所有者の行動を促していくということが非常に重要だと思っております。

 また、行動を促す上で何をやればいいかということがより分かりやすくなるように、今回、空き家の管理に関する指針、何をやれば管理が適正になるのか、こういうこともお示しをすることで所有者の自主的な行動管理を促すということも今回の法案で盛り込ませていただいているところでございます。

末次委員 ありがとうございます。

 今、局長御答弁いただきましたけれども、もっとも、本年三月の質疑でお示ししましたとおり、実際、もう各自治体の取組はほとんど消費者に認識、周知されていないという事実がございます。

 別の機会でとある自治体担当者に、なぜ認識、周知されていないかと尋ねたところ、認識、周知されていないのではなく、認識、周知していない、なぜなら、問合せが集中してしまっても、それをさばくだけの人がいない、予算に限りがある一方、不用意にお断りもできない、苦情につながるからという回答が返ってきたということも申し添えておきます。

 それでは、国が示す成功事例が特殊解、特例であることに係る質問をさせていただきたいと思います。

 この度の改正ポイントが空き家の再生、有効活用に大きくシフトしているということは冒頭申し上げましたけれども、ある程度活用できたにしろ、増えるスピードからすれば、本改正案をもって、焼け石に水であることは誰でも分かることであります。

 我が国の空き家問題は待ったなしの状況であり、この問題を今から根本的な解決、解消に導くに当たっては、固定資産税の軽減措置を終了し、同時に、ヨーロッパのように新築に総量規制を設けるなどしなければ到底及ばないというふうに思います。ところが、税金は最も反発が強いため、いじりたがらない。個人の財産に対して規制をかけることに我が国は非常に後ろ向きであります。

 その中で、今般、京都市が全国で初めて非居住住宅利活用促進税の条例を制定し、話題にはなりました。ところが、こうした事例が地域固有の特殊解、特例であるということを我々国会議員も含めてどこまで認識しているのかと思うのであります。

 正直、いわゆる成功事例は、一般の地域、一般の空き家にはほとんど通用しません。それどころか、メディアが取り上げることをもって成功事例としている面も否めず、何をもって成功としているのかという点も曖昧な事例が多いことも事実であります。

 私の地元長崎県佐世保市、また、広島・尾道も同様の課題を抱えると推察しますが、港ありきで町が発展したため、急な坂道が多く、前面道路の非常に狭い住宅密集地に空き家が点在しております。

 成功事例はこうしたネガティブな条件の地域にはなく、京都市などポジティブな条件がそろった地域にしか存在をしないことが、成功事例ではなく、特殊解、特例であると感じる理由であります。

 空き家を含む既存住宅の活用で成功しているケースの多くは、古民家を改装して商業施設等に利用しているパターンであります。強いて言えば、古民家でなくても、そうした需要がある場所で古民家をセールスポイントにしているパターンです。

 一般的な地域、一般的な空き家に係る成功事例も創出しなければ、具体的な自治体独自の計画を策定しておらず、対応が進まないと答える自治体が四七%であるという結果も当然と思いますけれども、この点についていかがお考えでしょうか。本改正案をもって一般的な成功事例につながるとお考えでしょうか、お伺いしたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、改正法案で提案をさせていただいておりますものは、これは全国の市町村において活用いただける制度として御用意をさせていただくものでございます。

 あと、これをどう活用し、生かすかということは市町村において御判断いただくことになるわけでございますけれども、その際、それぞれの地域が抱えておられる事情あるいは地域の特性、そういうものを丁寧に分析をして、きめ細かく対応、立案し、粘り強く対策を講じていくということが最終的には成功に近づいていく近道ではないかというふうに思っております。

 やはり、地域固有の事情に適切に対応したところでは一定の成果が出ているのではないかというふうに思っております。同じ手法をまねればほかの地域でもうまくいくということではなかなかないと思いますけれども、どう努力をされたか、どう工夫をされたのかというプロセスを是非勉強していただいて、それぞれの地域に生かしていただければ、より近道につながるのかなというふうにも思います。

 私ども国といたしましては、一つの手段で空き家問題が解決するということはなかなか難しいという理解をしておりますので、いろいろな成功事例、地域の皆様の工夫をされた成功事例を私どもとしてもたくさん集めまして、それを多くの自治体の皆様に提供させていただいて、少しでもそういった事例を参考にした取組が広がりますように国としても情報提供に努めてまいりたいと存じます。

末次委員 ありがとうございます。

 それでは、特定空き家、すなわち危険空き家の除去に係る質問をさせていただきたいと思います。

 本改正案の内容を検討するに当たっては、その前提とした現行の特措法についても見直す必要があります。現行の内容も十分に活用できていないのに、その原因の解消を改正に委ねようとすることは少々雑であると感じるからであります。

 繰り返しになりますが、この度の改正ポイントは、特定空き家、すなわち、危険空き家の除去から空き家の再生、有効活用に大きくシフトしております。このとき、再生、有効活用できない危険空き家についてその除去がそもそも全く進んでいないということ、さらには、危険空き家のうち特定空き家の認定すらも後ろ向きな自治体が多いことを御存じでしょうか。根底にある問題は解体に要する費用です。

 空き家の問題は、除去と再生、有効活用が両輪として機能しなければなりません。むしろ、住宅行政を始め、地域の安心、安全な暮らしに直結するのは危険空き家の除去の方です。この解体費用は、ひとときは百五十万円と言われていましたが、今は最低でも二百万はかかります。値上がりの原因は、一般的に資材処分費が高騰しているだけではありません。実は今、解体しようとしている建築物のほとんどにアスベストが使用されている可能性が高いことによるものであります。

 アスベストの使用が完全に規制されたのは二〇〇三年以降。つまり、空き家の多くは解体時にアスベストの調査が必要で、仮に使用されているとなれば、解体時の保護、アスベストが使用された建材の処分費などがかかっていることになります。そのため、これだけお金をかけて解体するには、都心なら可能であっても、地方では簡単にはいきません。当然、数百万をかけて解体したところで売却金額で賄うことも難しいため、相当の手出しができないと処分すらできないというのが地方の空き家の実情であります。

 自治体による特定空き家認定が消極的な理由もこの点にあります。実際負担した解体費の半分も回収できておらず、現状、国が負担するたてつけにもなっていません。特定空き家認定を進めるためには、認定に係る自治体の権限を強化するとともに、この解体費負担についても国等の何らかの支援策を用意しなければ進まないと思います。

 空き家の解体について、私の地元である長崎県佐世保市は、本年二月に、県解体工事業協会と空き家対策に連携をして取り組む協定を結んだと発表がありました。ところが、現実には、一般人たる空き家の所有者が直接解体事業者に依頼する例は珍しく、大抵は解体と流通がセットとして不動産事業者等に依頼をします。不動産事業者等が解体事業者に発注をすれば当然マージンが発生するため、更に解体費用は割高になります。そのため、こうした自治体によるせっかくの取組も、協定を結んで協会に属する解体事業者の一覧を示すだけでは、単なる電話帳を示したレベルの話に終わってしまう可能性が高いということであります。

 そこで、お伺いします。

 多くの空き家所有者にとって解体と流通はセットである以上、解体してもその先がない地方では空き家問題は解消しません。解体にかかる費用と流通にかかる費用が相殺される程度の、解体費用に対する補助や解体後の更地に対する固定資産税のインセンティブについても同様に議論されて初めて現実的なイメージがなされるものと思いますが、その点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 空き家の除却についてのお尋ねでございますけれども、空き家の除却費に対しましては、周囲に著しい悪影響を与えているような特定空き家、こういうものにつきましては、その周りに与える影響に鑑みまして、市町村の御判断で除却費用を支援する、こういう場合に、国としてもその費用を補助しているわけでございます。

 その際、先生先ほど御指摘いただいたアスベスト費用、これは非常にいわば除去にお金がかかるというお話は、いろいろな地域の自治体の皆様からも御要望をいただいておりまして、そういったお声を踏まえまして、今年度の予算から、国の補助を行います際の上限額の考え方を変えまして、上限を撤廃するという形で、より実態に即した補助ができるように制度の見直しをさせていただいたところでございます。

 これまでの間、自治体が把握をされました管理不全状態の空き家につきましては、十四万件を超える除却等が行われてきております。一定の推進が図られておりますけれども、さらに、こういう財政支援を通じまして、推進してまいりたいと思います。

 また、除却に当たりまして、所有者の方がなかなか、ノウハウを持っておられない、何をどうしたらいいか、どこに頼んだらいいか分からない、こういうお話もたくさんあると伺っております。

 これは行政としてということではございませんけれども、どういう民間の事業者が優良な業者としておられるのか、費用としてどれぐらいなものが大体かかるのか、手順、手続としてどういうことが必要なのか、こういったことを自治体と民間企業が連携をして所有者の方に提供する、こういった取組も一部の自治体で始まっております。こういう先進的な取組を是非ほかの地域でも参考にしていただけるような情報提供を積極的に行ってまいりたいというふうに存じます。

末次委員 ありがとうございます。

 続きまして、空き家問題の実態を踏まえた、解決策につながる提案と認識の関係に係る質問をさせていただきたいと思います。

 新築住宅は過去、年間百二十万から百九十万戸建てられ、そのうち建て替えは二十万戸程度です。ほかに再建築しない取壊しが十万戸あったとしても、毎年百万戸ペースで増えてきた計算になります。近年は新築の着工数が減り、増加のペースは百万戸から五十万戸程度に落ちたものの、空き家問題の観点からいえば、昔は人口も世帯数も増えていたため、増加した住宅戸数の推移、空き家になるのは半数程度でしたが、昨年は人口が年間七十万人も減少し、世帯数も減少に転じていました。

 野村総研は二〇三三年に空き家率が三割を超えるという予測を出していますが、このまま人口が減り続ければ、二〇五〇年頃には住宅の半数が空き家という可能性も高くなります。仮に除去した分しか新築を建ててはいけないなど、新築住宅に対する規制を厳密に行ったとしても、人口と世帯数が減り続ければ、当たり前ですが、空き家も増え続けます。

 ところが、政府の問題意識は相変わらず目先のことにしか向いておりません。これは私の意見ではなくて、私が調査した自治体、事業者、地域住民から私に寄せられた意見であります。

 空き家問題を解決したいならば、本来は新築住宅に相当額の課税をしてしかるべきだが、逆に減税措置ばかりを続けておられます。それは、国民のためよりも、景気と住宅業界のためにすぎない。本当に国民の生活の質を向上させようとするならば、既存住宅の性能向上に対する重点的な補助あるいは既存住宅に対する大胆な減税なども必要でしょう。

 例えば、耐震や断熱改修にかかった費用の半額を向こう十年間所得税から控除するぐらいの思い切った対策を打たなければ、また新築を買って移り住むということが続きます。

 そこで、お伺いします。

 例えば、解体費用に係る消費税は免除する、建て替えにする新築費用も同様に減税するぐらいの思い切った対策を打たなければ、空き家の除去も、再生、有効活用も進まないと思います。しかしながら、全国に建て売りの手を広げまくっている大手住宅会社が存在していることも事実であり、こうしている今も、未来の空き家が量産されている現実は矛盾しております。

 この点についていかがお考えか、お答えをいただきたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 これからの住宅政策の方向性といたしまして、既存の良質なストックが循環をするシステム、こういう方向に大きく進めていく必要があり、既存住宅中心の施策体系への転換というものが大変重要だと思っております。

 そこに至ります過程ということになりますけれども、現在の住宅ストックの状況を見ますと、耐震性能でありますとかバリアフリー性能、そして、省エネの性能、こういう将来に引き継いでいくにふさわしい性能が整っている住宅はまだ非常に少のうございまして、特に耐震性が不足しているものなどにつきましては建て替えなどを通じて将来に引き継げるようなストックに置き換えていくということも、現在の住宅ストックの状況から見ると大変重要でございます。

 したがいまして、そうした建て替えあるいはリフォーム、こういったものを推進するとともに、今回御提案申し上げている空き家対策、建て替え、リフォーム、空き家対策、この三つをバランスよく講じていくということが、現時点での住宅ストックの状況を見ますと必要な対策ではないかと考えているところでございます。

末次委員 ありがとうございました。

 本改正案の遂行を各自治体に委ねるのであれば、遂行できる土壌をつくることをセットにしなければ実行に至らないことを強く問題提起いたしまして、質問を終わらせていただきます。

木原委員長 次に、城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 今回も、斉藤国土交通大臣、よろしくお願いいたします。

 まず冒頭に、元国土交通事務次官らの民間企業人事介入問題に関する当該民間企業の第三者委員会の報告について伺います。

 二〇二三年四月二十八日、元国土交通次官らの民間企業人事介入問題に関して、当該民間企業の第三者委員会の報告が発表をされました。委員の皆様などは資料を御覧ください。

 これまでに国土交通大臣がないと答弁した山口氏と現役国交省職員とのやり取り、しかも、発表前の国交省の人事情報を受け取っていたことが具体的に認定されました。

 私が何度も、大臣、調べるべきだと委員会質疑でただしましたが、現役職員の関わりはないと強弁した国土交通大臣の、残念ながら、虚偽答弁の可能性を指摘せざるを得ません。

 当該民間企業の第三者委員会の報告には、お手元資料では二十八ページの下段でありますが、「山口氏は、国交省出身者である本田氏、小幡氏と連絡を取り合っていたこと、国交省内に存し、その時点では一般に公開されていないと思われる人事情報を国交省大臣官房総務課職員及び航空局総務課職員から受け取っていたことが確認された。」との記載があります。現役国交省職員との関与が明確であります。

 国土交通大臣は、この国土交通省OBの山口勝弘氏、国土交通省大臣官房総務課職員、航空局総務課職員に対して事実関係を確認すべきです。大臣、事実関係の確認をもちろんやっていただけますよね。

斉藤(鉄)国務大臣 先月二十八日に空港施設株式会社の検証委員会の報告書が公表されたことは承知しております。

 報告書の内容を踏まえ、既に私が主導して、事実関係の確認と、これまでの調査の点検を進めているところでございます。今後、その結果を基に適切な対応を図ってまいりたいと思います。

城井委員 具体的に教えていただきたいわけですが、今回の第三者委員会の報告では、現役職員とのメールのやり取りがあったということでした。これだけでも現役の関与は明らかですが、大臣、これはお認めになりますね。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、事実関係の確認と、これまでの調査の点検を進めているところでございまして、しっかり点検をしてまいりたいと思います。

城井委員 ここは認めていただかないとおかしいところだと思います。

 もう一点伺います。

 このメールのやり取りがどんなやり取りだったかといえば、未公表の人事情報の提供が含まれていました。これは、国家公務員法違反を始めとした違法行為ではないですか。

 大臣、これ、違法か否か、明確に答えていただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 今後、事実関係の確認につきましてしっかりと点検をしてまいりたい、このように思います。

城井委員 これは基本的な点だと思いますので、全部出そろうまで分かりませんという話じゃないですよ、大臣。

 もう一つ伺います。

 本田氏も山口氏も頻繁に連絡している点も、これまでの国土交通省による聞き取りとは矛盾をしています。

 大臣、一方は第三者による証拠に基づく事実認定です。デジタルフォレンジックまで使っている、こうした話であります。

 国土交通省による聞き取りは、残念ながら、その聞き取りに対して、当該官僚OBはうそをついていたということになるんじゃないんですか。

 大臣、複数の官僚OBによる組織的関与は当然認めますよね。

斉藤(鉄)国務大臣 事実関係の確認につきましては、今回の報告書に記載のあった山口氏と現役職員とのやり取りにつきまして、関係する職員から事実関係や経緯についての聞き取りなどを進めているところです。

 また、調査結果の点検につきましては、調査報告書に記載のあった事実関係と、国土交通省によるこれまでの聞き取り結果についての照らし合わせなどを進めているところでございます。

城井委員 大臣、残念ながら、国土交通省による内部での聞き取りや調査というだけでは、残念ながら、信頼、信用ができません。法律家や第三者調査の専門家からも、客観的な国による調査の提言が既にあっています。官僚OBによる民間企業への人事介入を放置すれば、上級国民だけを守るのかというふうに言われかねない重大な事態です。

 改めて、国土交通大臣に要請をしたいと思います。元国土交通事務次官らによる民間企業への人事介入問題について、事実関係の究明と再発の防止のため、現役職員、OB職員、それぞれ全員への客観的な、内部調査にとどめない、客観的な全省調査を実施すべきと考えますが、大臣、当然、全省調査、やっていただけますね。明言ください。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、報告書の内容を踏まえ、既に私が主導いたしまして、事実関係の確認と、これまでの調査の点検を進めているところでございます。今後、その結果を基に適切な対応を図ってまいります。

 なお、委員御指摘の客観的な全職員調査につきましては、明確な現役職員の関与があるといった調査を行うべき端緒は確認されておらず、そのような状況を、行う状況ではないと考えております。

 また、国土交通省OBが現役職員の関与なく行う知人への仕事の紹介や採用活動などは、既に公務を離れた、予算や権限を有していない民間人としての活動であり、こうした民間人の活動に対する調査については極めて慎重であるべきと考えております。

城井委員 大臣、今ほどの説明では、私が申した、今日、実際に具体的に資料としてもお示しをしています国土交通省の現役の官僚とのメールのやり取りが、既に第三者委員会での認定があるわけです。これがなかったというならば今の話で通じるわけですが、既に客観的な調査の端緒は存在をしています。そのことをもってして、十二分に客観的な全省調査はやれるというふうに思いますし、やるべきだというふうに考えます。

 大臣、このメールは虚偽ですか、うそですか。確認をされていないんでしょう。すぐできますよ。大臣、きちんと調べた上で客観的な全省調査をやってください。もう一回お答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 これまで私からは、一つは、空港施設株式会社の役員人事に対する現役職員の関与、それから二つ目に、現役職員による空港施設株式会社への再就職のあっせん、三つ目に、OBから国土交通省に対する働きかけについて確認できなかったと説明してきたところでございます。

 報告書に国土交通省の現役職員と山口氏のやり取りについて記載があったことを踏まえ、事実関係を確認の上、先ほど申し上げた私の説明に影響を及ぼすものかどうかについて今点検を行っているところでございます。

 そして、二点目の点につきましては、先ほど申し上げましたとおり、客観的な全職員調査につきましては、明確な現役職員の関与があるといった調査を行うべき端緒は確認されておらず、そのような調査を行う状況ではないと考えております。

城井委員 大臣、それはあんまりですよ。端緒があるからお示しをして、その確認を今ここでさせていただいているわけです。

 一つ伺いますが、では、今の内部の調査、いつまでに我々に結果を示してくれますか。

斉藤(鉄)国務大臣 今点検を行っておりまして、その点検の報告は今いついつまでにということは申し上げられませんが、報告をさせていただきたいと思います。

城井委員 少なくとも、未公表の人事情報がやり取りされていたというメールぐらいは確認できるんじゃないですか。大臣、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 今、先ほど申し上げました私の三点について、これまで行ってきた説明について影響を及ぼすものであるかどうかについて今点検を行っているところでございます。

城井委員 では、メールの存在なども含めて、今大臣がおっしゃった三点、確認されたら客観的な全省調査を行うんですね。明言してください。

斉藤(鉄)国務大臣 報告書に基づいて、現在、事実関係の確認と、これまでの調査の点検を進めているところでございます。

城井委員 大臣、それではかなり後戻りしてしまっています。

 先ほど大臣が申した三点について、新事実、そして未公表の人事情報のやり取りなどを含めて、違法行為も含めてですが、これが内部調査でも確認されたならば、当然、客観的な全省調査を行うということでよろしいですね。この点、是非確認したい。明言してください。

斉藤(鉄)国務大臣 現在、先ほど申し上げましたように、報告書の内容を踏まえ、事実関係の確認と、これまでの調査の点検を進めているところでございまして、今後、その結果を基に適切な対応を図ってまいりたいと思います。

城井委員 大臣、それでは連休前の質問のところからもう一歩も前へ進んでいないんですよ。こちらから新事実をお示ししているわけです。これを踏まえてどう対応するか、明言ください。

 客観的な全省調査、この新事実の確認をして行うということ、そしていつまでに行うか、この二つ、お答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、事実関係の確認と、これまでの調査の点検を進めているところでございます。今後、その結果を基に適切な対応を図ってまいりたい、このように思います。(発言する者あり)

木原委員長 御静粛にお願いします。

城井委員 大臣、それでは、私はきちんと新事実を客観的にお示しをしてお聞きしているわけですが、そのお答えではとても納得できるものではありません。

 いつまでに、そして客観的な全省調査を行うか否かも含めてきちんとお答えいただきたいと思います。もう一回だけ聞きます。お願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、現在、事実関係の確認と、それからこれまでの調査の点検を進めているところでございます。その結果をできるだけ速やかにまた報告をしたいと思います。

木原委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

木原委員長 速記を起こしてください。

 では、質疑を続けてください。城井崇君。

城井委員 大臣、客観的な全省調査、やっていただけるか、そしていつまでにやるか、改めてお答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 報告書の内容を踏まえまして、事実関係の確認と、これまでの調査の点検を進めているところでございます。その点検の結果につきましては、できるだけ早く御報告させていただきたいと思います。

城井委員 大臣、今のお答えですと、せっかく委員長の配慮で時間を止めていただいて、御調整までいただいたのに、何も変わっていないんですよ。もう一度お答えいただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 できるだけ速やかに結果を報告させていただきたいと思います。

城井委員 今後の衆議院の国土交通委員会での法案審議の場も含めて、今後、審議の場は限られます。公の場で確認を是非させていただきたいと思いますが、是非、国会に対しての配慮も含めて、日程をお示しいただきたいと思いますが、我々の公の委員会審議の場で、その調査結果をきちんと諮れるタイミングで出していただけるか、確認させてください。

斉藤(鉄)国務大臣 今点検を進めているところでございます。いついつまでにと今の時点でちょっと申し上げられませんが、できるだけ速やかに調査をし、結果を御報告申し上げたいと思います。

城井委員 大臣、今日、幾つか重大な事実をお示しをしています。デジタルフォレンジックという技術を使ってまで第三者委員会が丁寧に調査をして調べ上げた、これまでの官僚OBの組織的な関与としてのやり取り、そして、私もまさかこんなものが出てくるとは思いませんでしたが、未公表の人事情報を一日前あるいは四日前に出すようなことを、まさかしていたと思わなかったわけです。国家公務員法違反に多分これはなるんじゃないかということを極めて心配をしているわけであります。

 今後の国交省の職員の仕事の信頼性に大きく関わる話であります。少なくとも、今日示したこの第三者委員会報告書にある国土交通省現役職員がやり取りしたメール、我々にはきちんと示していただくということを前提にして、この調査結果、きちんと示していただける、いつまでに示すかも含めて、もう一回お答えいただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど来申し上げております、大変申し訳ございません、今、時期をいついつまでにとは限定できませんけれども、できるだけ速やかにそのメールの調査も含めまして御報告をさせていただきたい、このように思います。是非、御理解を賜りたいと思います。

城井委員 メールの存在を明らかにできない理由が何か、教えてください。

斉藤(鉄)国務大臣 今、我々で調査をしているところでございまして、その結果については、まさにできるだけ速やかに御報告をさせていただきたいと思います。

城井委員 事実関係だけでもお示ししていただきたいんです。最終的に、その事実に対する評価や、そしてその処分も含めた対応もあると思います。

 まず、事実を示していただきたいんです。このメールのやり取りを含めて、事実について我々に早急に示していただきたい。少なくとも次の国土交通委員会の場では議論ができるように我々に示していただきたいと思いますが、お約束いただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 そのメールの存在につきましても、今調査をしているところでございます。今、この時点で、このメールについてはどうだった、このメールについてはどうだったという段階ではございませんが、これはできるだけ速やかにきちっと御報告をさせていただきたいと思います。

木原委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

木原委員長 速記を起こしてください。

 城井崇君。

城井委員 大臣、改めて伺います。

 次の衆議院国土交通委員会の質疑の機会で事実関係を含めて確認ができるように、我々に客観的な全省調査を含めてお示しいただくということをお約束いただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 今週金曜日の国土交通委員会、衆議院国土交通委員会に御報告できるよう、全力を挙げて点検をしてまいります。

 御報告できるように努力したいと思います。

城井委員 今の大臣の発言を受けまして、委員長にお願いしたいと思いますが、今ほど申しました事実関係の確認を含めて、客観的な全省調査、これは現役職員そして職員OBも含めてでありますが、これをまずやっていただくこと、そして本委員会に報告いただくこと。

 まず、次の衆議院国土交通委員会の理事会に御報告いただく、本委員会に御報告いただくということをお願いしたいと思いますが、お取り計らいをお願いします。

木原委員長 この件は理事会でしっかりと検討いたします。

城井委員 本当は、この質問は十分ほどで終わるはずだったんです。一日の日には通告していまして、一週間以上お時間を差し上げていましたので、まさかあんな答えが来るとは思いませんで、本当に残念な思いであります。

 私、今回の質疑に当たって、関係団体や、あるいは地元、北九州市内の不動産業者さんたちに、法改正について随分丁寧に意見を聞いて回ってきたんです。そのことについて質問を、踏まえてやろうと思っていたんですが、残りの時間が何分かも分からない状況です。

 まず、一問だけ聞きます。

 空き家の管理、利活用、予防を進めるために、国としての筆界、いわゆる境界の確定への支援を行ってほしいという現場要望があります。

 これは二〇一八年五月二十三日の衆議院国土交通委員会の附帯決議でもこの点については触れられておりました。「政府は、本法の施行に当たり、隣地所有者との土地の境界紛争を未然に防止するとともに跡地の利活用の推進を図る観点から、空家を取り壊し更地にする際には事前に空家が所在する土地の境界を明確にする手続を設けることについて、必要な検討を行うこと。」こうしたことでありました。

 この部分を受けての検討対応状況について、大臣、教えていただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 政府におきましては、先ほど城井委員御指摘の附帯決議、空き家法制定時の附帯決議を踏まえまして、空き家の敷地に係る境界を明確化する観点から、土地の境界の専門家である土地家屋調査士に専門的知見を生かして空き家対策に積極的に協力いただく枠組みを構築いたしました。

 具体的には、空き家法に基づく基本指針において、関係省庁と調整の上で、土地家屋調査士が空き家対策の推進に積極的に協力する枠組みを設けたところでございます。

 これを踏まえて、土地家屋調査士は、一つに、市町村の設置する法第七条の協議会に構成員として参加すること、二つ目に、市町村長からの委託を受けて特定空き家に法第九条に基づく立入調査を行うことが可能になっている、このようになりました。

 こうした空き家の敷地を対象とした措置以外にも、令和二年の土地基本法、不動産登記法等の改正により、地方公共団体が筆界特定を登記官に申請できる措置の導入等について進めてきたところでございます。

城井委員 筆界確定敷地に関する地積測量図が法務局に備えられていることは、空き家等並びに空き家になる前の住宅を流動性の高いものにして利活用や予防に資するために最も必要なことだというのが現場の声であります。

 具体的には、空き家の多い地域に対して積極的に地籍調査を行って筆界を確定する、空き家予防のための筆界確定を推奨する、既に空き家になっている敷地の筆界確定のために自治体が補助金を出す仕組みをつくるといった方策を行うべきというのが現場の声であります。やるべきだと思いますが、大臣、見解をお願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 空き家等の活用時に土地の筆界が不明瞭であることが支障とならないよう、筆界確定を進めることは非常に重要でございます。

 国土交通省では、地方公共団体が実施する地籍調査による筆界確定を効果的に進めていくため、中心市街地の活性化等の効果が期待できる都市部や、所有者不明土地にもなり得る空き家等が多く存在する地域において地籍調査を行う場合に、重点的に予算上の支援を行っております。

 また、筆界の未確定が空き家を活用しようとする際に支障となり得ることを踏まえまして、空き家対策の基本指針に筆界確定の重要性等を明記することで、空き家対策に必要な筆界確定の推奨などを図ってまいりたいと思っております。

城井委員 今ほどの提案は、これまでの仕組みを踏まえて、こういうことがあったら更に頑張りやすいという現場の声でありますので、是非積極的に取り入れていただくことをお願いしたいというふうに思います。

 続いて、空家等活用促進区域における前面道路の幅員規制の緩和、これは改正案の第七条六項に関わる部分ですが、これに伴う災害時の避難や消火、救助活動のための安全確保について伺います。

 接道に係る前面道路の幅員規制は、災害時に迅速に避難するため、消防車や救急車がスムーズに通ることができるようにするための規定でもあります。今回、これを、もしこの前面道路の幅員規制の緩和を行った場合には、地域住民の生命、身体、財産などに重大な被害をもたらす可能性があるのではないかと心配する声が届いています。

 空家等活用促進区域の災害時の避難や消火、救助活動のための安全性が低下して、もし地域住民に何かしら重大な被害があった場合には困る、これをもたらさないように、この前面道路の幅員規制の緩和の運用には慎重を期すべきではないかというふうに考えますが、大臣、この点、いかが取り扱われますか。

斉藤(鉄)国務大臣 この法案に基づく接道規制の特例は、安全性の確保に支障が生じないよう、国土交通省令で定める基準を基本に安全確保策が講じられていることを要件としております。例えば、燃えにくい構造の建築物にすることなどでございます。

 さらに、この要件に適合していることに加え、特定行政庁では、建築物の計画を個別に確認し、市街地の安全上等の観点から支障がないと認める場合について特例を適用することとしております。

 こうした制度の下で、接道規制の特例が市街地の安全性などの低下につながることのないよう、適切な運用に努めてまいりたいと思います。

城井委員 お時間が参ったということであります。今日はこれで終わります。

 残りの質問は、また改めての機会にいただきたいと思います。ありがとうございました。

木原委員長 次に、下条みつ君。

下条委員 下条みつでございます。

 まず最初に、今、城井委員が申し上げた、次回の委員会までにということ、私からも大臣の御指導の下に出していただくことをお願いしたいというふうに思います。

 それでは、私は法案について、ちょっと時間が削られちゃいましたけれども、頑張ってやりたいと思いますので、よろしくお願いします。

 この法案、私、個人的には非常にいい法案だと思います。法務と、そして、それに基づく結果がこういう空き家の多い結果になったと僕は理解しているので、まず、本件、私が調べたことによると、原因というのはやはり幾つかあると思うんですよ。大きな原因が、やはり相続の登記がなされていない。若しくは住所変更等の登記がなされていない。そのために、全く所在が分からなくなった空き家が物すごくあるということですね。それが全体の約四分の一にも達していると。

 それで、私は、これは現在の法務省や現在の国交省に責任はないと思います。元々をたどっていったところの、明治時代か何か分かりませんが、そもそも論のところで、それを放置してしまったことに原因が出てきて、それで、登記しないでどんどん相続していけば、ネズミ講のように広がっていっちゃって、これは分からなくなっちゃう、そこに僕は原因があると思うんです。

 これはやはり、今度の法案、細かいことは時間の関係で言いませんけれども、非常にいい法案になってきているけれども、そもそも論を、このときに、現在の法務省を含めてきちっと検証して、これと同じようなことが起きないように進めていくように僕は提案していきたいと思いますが、いかがでございますか、法務省の方。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、所有者不明土地建物の主要な発生原因は、相続登記や住所等の変更登記がされていないことにございます。

 このため、令和三年に不動産登記法が改正され、これまで任意であった不動産の相続登記や住所変更登記等の申請が義務化されることとなりました。

 相続登記の申請義務化は、不動産を相続により取得した者に対し、その取得をした日から三年以内に相続登記の申請を義務づけるもので、令和六年四月一日から開始されます。

 また、住所等の変更登記の申請義務化は、不動産の所有権の登記名義人の住所等に変更があった場合に、その変更の日から二年以内に住所等の変更登記の申請を義務づけるもので、令和八年四月までに開始されます。

 これらの新制度では、施行前に発生した相続や住所等の変更の場合にも、未登記であれば申請義務の対象になり、正当な理由なく義務を履行しなければ過料の適用対象となるなど、幅広い国民に影響を与える重要な制度改正でございます。

 法務省としては、所有者不明土地建物問題の解消に向けて、全国の自治体や専門資格者団体等ともしっかりと連携をしつつ、申請人の負担軽減策も含めた新制度の内容について丁寧な周知、広報に引き続き取り組んでまいります。

下条委員 今日、時間ないので、今のは法案の説明なんですよね。なぜそう起こったかということを聞いたんですが、まあ、ここは今回は法務省を責めないようにいたしますので、是非頑張っていただきたいです。

 そこで、今回の法案のそもそも論は、自治体が言われたとおり計画を練って、それを出したら政府の補助がもらえると。昨年の三月末ですね、全国の自治体の千七百四十一のうち、千三百九十九自治体しか計画ができていないと。

 私も相当ヒアリングをしました。原因というのは、空き家になっているところはやはり村や町のところで、人繰りが足らないと計画が立てられないということが多くあったんですね。そうすると、では、人繰りがないと、空き家はどんどんどんどんそのまま管理不在で進んじゃって、補助がなくて自己負担が増えていってしまう、こういうことになると思うんです。

 そこで僕は思うんですけれども、やはり補助をきちっとやってあげて、つまり、計画を出せないところが一番僕は空き家が多くなってきていると思うので、そこの部分にきちっと補助を出してあげて、そして平等にこういうことがあるということを知らしめることが必要じゃないかと思うんですが、大臣、いかがでございますか。お考えを。

斉藤(鉄)国務大臣 その点、大変重要だと考えております。

 空家等対策計画は、各市町村における空き家対策を総合的に樹立をし、重点的かつ効率的に対策を進める上で極めて重要な役割を果たすものでございます。また、行政内部の連携確保に加え、住民との間で対策の必要に関する認識を共有する上でも重要でございます。

 令和三年度末時点で、全国の市区町村の八割が策定済み、策定予定も含めると約九割となっており、空き家法制定時から着実に策定が進んでおります。

 一方で、一割弱の市区町村は策定予定がないとしており、その理由としては、空き家が少ないため、そもそも計画を策定するまでの必要がないというもののほかに、一部には担当職員の人員不足という理由も聞いております。

 国土交通省としては、空家等対策計画を策定する意向があるものの、人員不足が理由で策定できないような市区町村について、都道府県とも連携し、策定に関する相談に乗るとともに、計画策定に要する費用を支援するなどして計画の策定をしっかり後押ししていきたいと思っております。

下条委員 ありがとうございます。その部分ですね。人員がないというのは僕は結構聞いていますし、そこの補助が必要であることによって、計画を出せて、それがまた持っている方につながっていくということだと思いますので、是非補助してあげていただきたいというふうに思います。

 そして、時間の関係もあるんですが、僕はこれは、こういうことになりましたという、せっかくいい法案が出て、私は賛成だと個人的に思っておりますけれども、いい法案が出て、その法案を知らない人がいるということが一番ポイントなんですよね。プラン・ドゥー・シーじゃないですけれども、チェックする機能があって、それを広げて、どの程度広がったかと。

 僕はこの法案をやるに当たって、やはりプロパガンダ、どんどんこういうものがありますからということを国交省を含めて宣伝していくということが、空き家を持っている方に周知徹底することだと思いますけれども、その辺はいかがでございますか、お考えの方は。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案の中には、所有者の方々にいろいろな行動をしていただくことを期待している部分がございます。特に、空き家の管理でありますとか活用、これは是非所有者の方に御理解をいただいて、積極的に取り組んでいただく、これは非常に期待をしているところでございます。

 一方で、管理不全空き家につきましては、勧告を行い、固定資産税の住宅用地特例を解除する、こういうことも内容として盛り込まれております。

 こういった様々な今回の改正法案の趣旨が広く伝わりますように、県、市町村に対する周知は当然でございますけれども、民間の方々とも連携をさせていただきながら、パンフレットやホームページといった、こういった情報提供に加えまして、より分かりやすい周知ということで、動画の配信でありますとかイベントの開催、こういったことも積極的に行ってまいりたいと思っております。

 空き家の所有者、それから活用を希望される方、こういう関係される方、幅広く今回の法案の趣旨に御理解をいただけるような広報にこれからも努めてまいります。

下条委員 ありがとうございます。

 動画というのは非常にいいことだと思いますのでね。やはり、せっかくいい法案を行政の頭のいい方が作って、それを民間から選ばれた僕らがどうやって使って広げていくかというのがポイントだと思います。大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、簡単に言えば、空き家というのは空き地と空き家と二つあると思うんですが、空き家が中心になっています、今回の法案は。そうすると、上物の問題が出てくると思うんですよ。私の地元でも、上物、もう本当にこれはどうしようもないというのも幾らでもあるし、それがいろいろな、防犯とか災害のときに非常にネックになってきているというふうに思いますし、また、財政的な税金の問題も出てきますよね。所有者が分からないとか。

 そこで、僕は、空き家の解体というのが一番ポイントで、お金のある人は解体できるんですよ、大臣。だから、お金のある人は今回の法案は関係ない。お金がない人で、解体が、補助が例えば最大七十万とか百万とか、いろいろ自治体によって違いますけれども、地方と国が五分の二、五分の二だけじゃなくて、本人が五分の一出さなきゃいけない。その出せない人が空き家を放置して、申告もしない、さっき言った相続も、それから住民票の異動のときもやらないわけですよね。

 だから、僕は、空き家解体については、もし分かったら、相手の所得と同時に、その補助をもうちょっと増やしていかないと、最大五分の二になると自治体はやらないですよ、大臣。私の地元でも三分の一ですもの。五分の二、四割はやらない、金がないから。

 だから、そうすると、結局、この目的になる、空き家を減らして管理をしっかりやれよという法案に沿っていかない方向に道が行ってしまうと思うんですが、その財政負担の補助はいかがでございますか。

斉藤(鉄)国務大臣 空き家や空き家を除却した後の跡地について利活用を進めることは、地域の社会経済活動の活性化につながり、かつ、空き家対策の推進にも資する意義の大きな取組でございます。

 本来、空き家は個人財産であり、その所有者や跡地を活用しようとする者の責任で除却することが原則でございます。

 他方、資力が極めて乏しく、放置されることにより近隣に多大な悪影響を及ぼすこととなる場合などにおいて、市町村の判断により除却費用を支援する場合があり、国もその一部を支援することとしております。

 そのための予算を確保し、必要な除却に対する支援を行ってまいります。

 まさに今、下条委員がおっしゃった除却を進めるということ、しかし、あくまでも個人財産であるということ、そのバランスの問題かと思いますけれども、現実的にこれが進むように制度を運用していきたいと思います。

下条委員 人柄がよく出ている御回答だと思いますけれども、僕が言いたいのは、要するに、五分の二だけじゃ、また地域、地方も三分の一に下ろしたりとか、結局、負担が個人が増えてしまって、お金がない人は結局除去できなくなってしまうということがポイントだと思います。

 時間が来ていますので、もう最後にしますけれども、管理をしていくことを進めるためにこの法案が出ていると思いますけれども、私は、いろいろな空き家管理法人の一部を担っている方にヒアリングしました。その中で、やはり空き家をきちっと管理できるというのはユニバーサルサービスを持っているグループだと僕は思っているんです。というのは、一部だけNPO法人がどこかやっていても、北海道に住んでいて、九州のあれは分かるわけない、そういうこともありますので。

 これは提案です、大臣。ユニバーサルサービスというと、やはり日本では日本郵便なんですね。ですから、日本郵便に僕も今確認したら、百件ぐらいはどうも一年間ぐらいでやっているらしいんです。法案が通れば、それに相応してというのは日本郵便の方もおっしゃっていましたけれども。

 日本郵便というのは、毎日、大臣の地元でも郵便物をやったりチェックをしたり、空き家のそばを通っていくわけですね。そこも郵便物を届けたりしますから。そういう日本郵便の皆様にも、ユニバーサルサービスを持っているんだから、要するに、空き家バンクというのは物を売り買いするだけです。空き家管理というのが、ユニバーサルサービスを持っている日本郵便などに依頼をして、トータルでコントロールするということを僕は提案したいと思っているんですよ。

 それによって、日本郵便はいろいろな意味で、郵便物が今いろいろマイナスになっている、収益も落ちていますから、いろいろな意味でプラスになるし、その人たちの力を使って、端から端まで、ネットを使って、その人たちが動いていることを利用すべきじゃないかという、もう時間も来ましたし、最後の御提案でございます。いかがでございますか、大臣。

斉藤(鉄)国務大臣 空き家対策では、空き家の状態に係る定期の確認や日常的な風通しなど、現地での管理が必要不可欠でございまして、その担い手の確保が重要です。

 日本郵便株式会社は、全国に人員を配し、日頃から住戸を直接訪れる形で業務を行っておられるため、その有する体制やノウハウは空き家対策の推進に大変有効と考えております。

 現に、日本郵便は、定期的に社員が空き家を訪問し、戸締まり等の確認や、換気や通水、郵便受け箱の片づけを行って、写真つきで報告するサービスを試行的に提供しておられます。市町村や空き家所有者をサポートする有力な存在と考えます。

 国土交通省では、これまでも、市町村が空き家の所有者探索の際に日本郵便の有する情報を活用できるよう連携を進めてまいりましたけれども、加えて、空き家の適切な管理を確保する観点からも、同社との連携強化を検討してまいりたいと思います。

下条委員 時間が参りました。本当にいい御回答をいただきました。

 是非、連携を強化していただいて、どこにとってもマイナスのない、そして、この法案の目的の管理というのが結びつきますので、是非リーダーシップを取って進めていただきたいと思います。

 時間が参りました。以上にします。ありがとうございました。

木原委員長 次に、赤木正幸君。

赤木委員 日本維新の会、赤木正幸です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 また、先日、四月二十日、本会議にて空き家法改正法案について質疑させていただいて、ありがとうございます。今日は、いただいた御回答を受けての続きの質問になると思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、空き家法と義務的法定自治事務との関係についての質問になります。

 大臣は本会議の私の質問に対して、本法案は市町村に義務を課すものではないという趣旨の御回答をされましたが、やはり、例えば二十三条の支援法人の指定申請が行われれば、これに対応した事務処理として指定するかしないかの判断をするのは、やはり法的義務であると認識しています。このように、今回の改正法案の多くの事務は義務的な法定自治事務になっていると言わざるを得ないと考えているんですけれども、一方で、例えば、指定に対する裁量があるということと事務の義務づけとは、やはりちょっと次元が異なるのではないかなと考えております。

 そこで、大臣に再度お聞きすることになりますが、義務を課すものではないと回答された趣旨について、もう一度御回答いただけますでしょうか。

    〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕

斉藤(鉄)国務大臣 赤木委員には、本会議の質問、ありがとうございました。

 この法案では、空家等活用促進区域を市町村が指定し、また、管理不全空き家の所有者に対して市町村長が指導、勧告することとしておりますが、これらは、いずれも市町村や市町村長が行うことができる、このように規定しております。

 また、空家等管理活用支援法人の指定についても、市町村長は支援法人を指定することができると規定しておりまして、指定の申請に対して何らかの判断は求められることとなりますが、支援法人を指定すること自体を義務づけ、指定しなければ違法になるものではありません。

 御指摘のございました本会議におきまして、私の答弁でございますが、これらのことをもって、本法案は市町村に義務を課すものではないと答弁したところでございます。

 なお、御指摘のあった本会議では、小規模市町村における施行準備期間と法案の施行日との関係をお尋ねいただいたのに対し、支援法人を指定できるという規定である以上、事務体制が整ってから申請を受け付けることも可能、こういう趣旨でお答えしたところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 そうですね。まさに、できるという部分と、実際に申請を受けた場合にやらなければいけないという部分の線引きの難しさはありますし、体制を整える必要もありますので、是非そこの体制を支援する仕組みについても進めていただければと考えております。

 次に、意思能力に欠ける特定空き家等の所有者への対応と民法規定の管理不全建物管理命令制度についての質問となります。

 これも、本会議において、大臣答弁から、民法二百六十四条の十四に規定される管理不全建物管理命令制度への期待が大きいと受け止めさせていただきました。この場合に、意思能力に欠ける特定空き家等所有者への対応に対して、市町村長の請求により財産管理人を選定して対応してもらうということになると思われますが、特定空き家に認定されて、なおかつ改正法二十二条十一項の要件を満たす状況にある建物に関して、市町村長の申立てにより、地方裁判所により管理不全建物管理人を選定してもらって、なおかつ、管理不全建物管理命令を発する手続となるのか、こちらについて御回答いただけますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、意思決定能力に欠ける所有者への対応については、今回の空き家対策を御議論いただいた社会資本整備審議会の答申におきまして、継続的に検討すべき事項と整理されたものでございます。非常に大きな問題だということだと思います。

 その上で申し上げますと、本法案で設けた民法の管理不全建物管理制度の特例は、緊急代執行を実施しなければならないような状況に至る前から積極的に活用を図ることが重要です。特に、意思能力に欠ける方が所有者である空き家については、早期の対応の必要性がより高いものと考えます。緊急代執行が必要な事態になってから対応に苦慮することのないよう、早め早めに財産管理制度の活用を検討すべきことについて、国から市町村に助言等を行ってまいりたい、このように思っております。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさにそうですね。今御回答いただきました意思能力に欠ける者に関して、今回の命令というのが、ちょっとかなり細かい話になるんですが、非訟事件手続法に基づくものとして命令が出されると認識しているんですが、この法律の九十一条三項によると、建物所有者の陳述を聞くことが義務となっていると認識しています。意思能力に欠ける者について、この手続がそもそも可能かどうかについて御回答いただけますでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 裁判所が管理不全建物管理命令の裁判をするためには、原則として、その対象となるべき建物の所有者の陳述を聞かなければならないとされています。このことは、その建物の所有者が意思能力を欠いている場合でも異なりません。

 このように、当該建物の所有者が意思能力を欠いている場合でも、例えば、その者について成年後見人が付されているときは、その成年後見人の陳述を聞いた上で、管理不全建物管理命令の裁判をすることができます。また、その者について成年後見人が付されていないときは、非訟事件手続法に基づいて特別代理人を選任し、その特別代理人の陳述を聞いた上で管理不全建物管理命令の裁判をすることができます。

 さらに、差し迫った危険があるケースなど、当該建物の所有者の陳述を聞く手続を経ることにより、管理不全建物管理命令の裁判の申立ての目的を達することができない事情があるときは、その陳述を聞かないで当該裁判をすることができます。

赤木委員 まさに、この管理不全建物管理命令に関する手続のもう一つの質問になるんですが、民法二百六十四条十四第四項は、管理不全土地管理制度の関係規定を準用されていると認識しています。

 そこで、準用されている二百六十四条の十、三項を見ると、これも同じですね、処分には所有者の同意が必要があるとされているんですけれども、この除却は処分に該当されると考えていますが、まず、意思能力に欠ける者についてもこの手続が可能かどうか、あと、本会議での御回答においては、管理という言葉が用いられていたため、もしかしたら、この除却に至らない修繕を念頭に置いたものだったかもしれないんですけれども、除却の場合に、意思能力に欠ける者についてもこの手続はやはり省略できるものではないと考えていますので、ちょっと確認のために御回答をお願いいたします。

    〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、管理不全建物管理人が対象建物の取壊しなどの処分行為を行うためには裁判所の許可を得なければなりませんが、裁判所がこの許可をするには建物所有者の同意が必要とされております。このことは、建物所有者が意思能力を欠いている場合でも異なりません。

 このように、建物所有者が意思能力を欠いている場合でも、例えば、その者について成年後見人が付されており、かつ、その成年後見人の同意が得られるときは、裁判所の許可を得て建物を取り壊すことが可能です。他方で、建物所有者について成年後見人が付されていないときや成年後見人の同意が得られないときは、建物を取り壊すことは困難です。

 なお、そのような場合であっても、管理不全建物管理人は、建物の修繕工事などの保存行為等を行うことで他人の権利利益に対する侵害を防止するということは可能でございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 かなり細かい論点だったかもしれないんですけれども、実は、やはり現場で一番まさに困っている、直面している論点でもありましたので、ちょっとあえて今日は聞かせていただきました。

 では、次に、特別緊急代執行における手続に関する質問に移らせていただきます。

 改正法の二十二条十一項の特別緊急代執行は、まさに自治体からもかなり要望が強かった手段であり、ほかの法律に倣って規定されたのは、とても現場も評価していると私自身も感じています。

 一方、私も本会議で言いましたけれども、抜けない伝家の宝刀であった代執行を行うという場合に、どういった場合に実行できて、どういった場合が駄目なのかという、これも現場から相当、疑問と不安が寄せられています。

 そこで、あえての質問になりますが、この特別緊急代執行の措置は、特定空き家等が同項に規定される要件を満たす状態になっていればよいのであるとして、一項の助言、指導、若しくは、二項の勧告がなされていなくても、いわゆるいきなり除却が可能となるのでしょうか、御回答お願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 緊急代執行は、改正法案の第二十二条第三項から第八項までの規定により、命令を出すいとまがないときに行うことができる、このようになっております。

 この制度の創設によりまして、勧告を行った後、命令の発出に伴い必要とされる、所有者からの慎重な意見聴取手続などが緊急時には必要なくなることから、手続期間の大幅な短縮が可能となります。

 一方で、手続を省略できるのは、勧告の後、命令の発出に伴い必要な手続であり、第一項の助言、指導や、第二項の勧告は適用除外としていないことから、勧告等が行われていない場合は、緊急代執行の対象とはなりません。

 これは、勧告が行われていなければ、所有者は、義務の履行が強制されることを具体的に予見できず、不意打ちになることは適当でないとの判断に基づくものです。

 このため、市町村は、このような緊急代執行の特性も理解した上で、特定空き家について、平時から、助言、指導等を行っておくことが求められるもの、このように考えております。

赤木委員 まさに御回答のとおりだと思うんですが、意外にこれは勘違いされている方が、私の周りは、私の周りだけかもしれないんですけれども、多くて、いきなり除却ができると思われている方も少なからずいらっしゃいますので、ちょっと、ガイドラインを含めてここはきっちりと周知していただければと考えております。

 同じように、今おっしゃられたみたいに、この二十二条十一項は命ずるいとまがないときと規定されていますが、これは、命令しようと思えばできるけれども時間的余裕がないという趣旨になるのでしょうか。

 なぜこれを聞くかというと、そもそも、不利益処分である命令の受領能力がない意思能力に欠ける方が所有者となっている場合に、この規定を用いた代執行はできないのではないかなと考えています。また、同じように、この命令の名宛て人をそもそも過失なく確認できない状態であれば、当然、命令ができないためにこの二十二条十一項は使えないと考えているんですけれども、これについて御見解をいただけますでしょうか。

塩見政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の改正法第二十二条十一項の命ずるいとまがないときというのは、命令に伴って必要となります手続を踏む時間的余裕がないとの趣旨でございまして、命令自体ができないという場合は含まれないと考えております。

 このため、例えば、不利益処分の受領能力がない意思能力に欠ける者が所有者である場合、命令自体ができないということになりますので、本規定を用いての代執行はできないということになります。

 所有者の命令の名宛て人が不明というような場合については、これは現行法でもございます略式代執行の規定を用いれば、指導、勧告、命令などを行うことなく代執行ができる、こういうことになってございます。

 制度的には以上のとおりなのでございますけれども、国土交通省としましては、意思能力が低下する前から、できるだけ早い段階で、適切な管理、そして活用を所有者に促すということがやはり大事だろうと思っております。公共団体の方と連携をし、空き家を所有し続けることのリスク、こういったことについての意識啓発に努めまして、できるだけ早く、できれば意思能力が低下する前から、適切な対応がされるように働きかけを行ってまいりたいと思います。

赤木委員 ありがとうございます。

 時間が参りました。支援法人に関する質問を用意していたんですけれども、ちょっと今回は省略させていただきます。

 支援法人に関しまして、アウトソーシング先としてすごく魅力を感じながらも、やはり指定に関する事務が相当煩雑になるというふうに現場が不安を抱えていますので、是非そのやり方を含めて、ガイドラインの準備等、かなり充実していただければと考えておりますので、それをお願いして、私の質問を終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今日は、ちょっと出張させていただいてきました。ふだんは別の委員会でやっておりますが、この今日の空き家問題は私のライフワークの一つでもありまして、ライフワーク、いっぱいあるんですけれども、一つでありまして、同僚の委員の皆様にお願いをして、ちょっと時間を頂戴をしまして、ありがとうございます。

 国土交通委員会は平和だと思って来たら、えらい盛り上がっていましてちょっと驚きましたが、ちょっと一言だけ。私、OBの人事介入の問題は、大臣、これは大事だと思います。是非、先ほど質問があったように、しっかり対応をいただきたい、こう思いますが。

 ただ、ちょっと、一方的に旧民主党の人たちが大臣を追及する、私はやはり違和感があるんですよ。またかという感じかもしれませんが、これは皆さん是非思い起こしていただきたいんですが、天下り規制が入ったのは二〇〇七年ですね。第一次安倍内閣でこれは入りました。私も知り合いがいろいろそれに関与していましたので。これは、大変いろいろな議論があったけれども、職員によるあっせんを禁止するということになったわけです。それがうまく機能していれば、こんなことに多分ならなかったと思うんですよ。

 ところが、当時何が起こったかというと、当時の民主党の人たちが、これはざる法だといって、いや、それなりにいい制度だと思いますよ。当時つくった制度は、再就職等監視委員会というのをつくって、今もありますが、あっせん禁止をちゃんと監視をしていく。それから、出口もつくろう、だって、出口を塞ぐとこれはもうむちゃくちゃになりますから、だから、官民人材交流センターへのあっせんを一元化ということをセットでつくったわけです。これは安倍政権。

 ところが、当時の野党民主党が、これはざる法だといって暴れて、結局、何が起こったかといったら、再就職等監視委員会の国会同意人事はずっと行われなかったわけですよ。当時ねじれていたのかな、それで、とにかくできなかった。民主党政権になっても、やらなかったわけです。二〇〇九年に民主党政権になった、民主党政権になっても一切それをやらなくて、結局、再就職等監視委員会の国会同意人事が決まったのは二〇一二年ですよ。

 だから、何が申し上げたいかというと、結局……(発言する者あり)何、地震、ごめん、大丈夫ですか、済みません。ちょっと地震が多いです。皆さん気をつけてまいりましょう。

 そういうことなので、大臣、国交省で今回明るみになりつつあるか、ちょっと詳細、報道しか知りませんが、また次の委員会に向けてチェックをされるという、OBの人事介入の問題は、これは深刻な問題だと思います。

 ただ、それは氷山の一角で、だって、そうでしょう、出口を塞いで、さっき申し上げたように民主党が邪魔して体制が整わなかったから、みんなOBに逃げたわけですよ。だから、全省庁でOBによるあっせんが常態化していったというのがここ数年の出来事でありまして、私は、もうたたっと、この話はちゃんと検証したらいいけれども、何が問題でどういう制度をつくればいいのかということをちゃんとやはり議論をしていくべきだ。まあ、この委員会じゃないけれどもね。これは内閣人事局だから、今だと河野大臣かな、しっかりと次の、未来に向けた議論も並行してやっていくべきだと。だから、余りがちゃがちゃやるんじゃなくて、粛々と検証した上で、何が悪かったのか。

 これは、なぜ私が今回こういうことを言うかといったら、これから私たちは政権交代がある政治を目指しています。すると、今起こっていることの遠因は誰がつくったか。今起こっていることの遠因は誰がつくったか、これ以上言うと怒られますけれども、それは民主党がつくったわけです。だから、私は、そういうこともちゃんと議論できる国会にしていかないと、いや、誰が悪い、あれが悪い、大臣が悪い。だって、大臣は、そういう慣行、OBによるあっせんというものが常態化していった中で大臣に就任されているわけですから。

 そういう視点でしっかりと、何か足下の追及に、追及する側もそれに拘泥したらあかんけれども、追及される側も余りそこに拘泥せずに、本質的に何が問題なのか。それは経緯があるわけだから、二〇〇七年以来の経緯を見据えた対応を国交省の中でもしっかりしていって、特定の人を余りいじめずにやるということで、ちょっと大臣、一言、そういう大所高所からやるということで、ちょっと一言いただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 御意見、承りました。

 しっかりと、今回の問題は、今点検をしているところでございます。問題があるとすれば、これをしっかり正していかなくてはならない、このように思っておりますが、今、しっかり点検をして、まずそこからスタートをさせていただきたいと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 まさにそこからスタートですが、そこで終わったら、いつもの、スキャンダル、はい、攻撃して終わりということになるので、未来につながる議論を是非私は国会でリードしていただきたく思います。

 さて、何分までだ、終わっちゃいそうですけれども、ライフワークですね。大臣、ちょっと問いを三つ立てていますが、一番最後の、三つ目の問いが、今日私が大臣にお願いしたいことというか、確認をしたいことの最大です。

 どういうことかというと、空き家問題というのはそれこそ氷山の一角だと思うんです。だって、空き家問題が起こる背景があるわけですよ。それは、今日、国民民主党の古川さん始め野党の皆さんも指摘をしていましたが、日本の住宅市場に問題があるわけですよ。だから、既存住宅の流通がもう少しうまくいくようにしなければ、いつまでたっても空き家は増えていくということで、ちょっと三つ目の、最後の質問ですが、是非、不動産IDを使って、要は空き家だけじゃなくて、住宅全般の維持管理がしっかりとなされて、しっかりと流通していく、そういう住宅市場の環境ですね。それは、私は、武器は不動産IDだと思うんですよ。

 ちなみに、不動産IDの資料を拝見すると、不動産IDのユースケース、不動産IDによる課題解決のユースケースイメージのところに空き家とあるんですよ。まあ、これはいいんですが。ただ、そうじゃなくて、もっとブロードな、住宅の流通に不動産IDをしっかりつくっていく。特に、既存住宅を適正かつ効率的に流通させるためには維持管理情報がしっかりと流通していく、これが必要だと思いますが、その辺、大臣のお考えをお願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 足立委員言及していただきました不動産IDでございますけれども、これは、土地や建物を一意に特定するため、不動産登記簿の不動産番号をベースに十七桁の番号を使用するIDでございます。行政や民間など多様な主体が保有する不動産関連情報のデータ連携のキーとして活用されるべく、昨年、国土交通省においてガイドラインを定めたところでございます。まだスタートしたばかりです。

 また、国土交通省においては、建築物の三次元データのBIMの普及、都市全体の空間情報の三次元データであるPLATEAUの整備を一体的に進める建築、都市のDXに取り組んでおりますが、不動産IDは、それらの情報連携のキーとして活用される、このような位置づけでスタートをいたしました。

 今後、官民連携協議会の立ち上げや実証事業の実施を予定しており、こうした取組を通じて、住宅の維持管理分野を始めとした様々な分野での活用を図ってまいりたいと考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 まさに御答弁いただいたように、維持管理分野を始めとして様々な分野で不動産IDがキーとして活用される、まさにそれを私も期待をいたしておりますので、是非お願いしたいと思います。

 ちなみに、今私が申し上げたような維持管理ということで、これまでどういうことが行われてきたかということで、一番注目されてきたのはいわゆる長期優良住宅制度です。

 これは事務方、局長で結構ですが、この長期優良住宅制度というものについて、狙いというか現状というか、簡単に御紹介いただけますでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の長期優良住宅制度でございますが、耐震性能、省エネ性能が確保されまして、維持保全計画を策定いたしますなど、多世代にわたって良好な状態で使用するための措置、これが講じられた住宅を認定する制度でございまして、平成二十一年の制度創設以来、令和三年度までの累計で、約百三十六万戸が認定を受けております。

 直近の令和三年度で申しますと、年間で十二万戸、新築住宅全体の約一四%に当たるものでございまして、なお一層の普及拡大を図る必要があるという現状でございます。

足立委員 まさに、いや、いい制度だと思うんですよ。これがしっかり使われればいいんだけれども、今もおっしゃったように、規模的に、住宅は今五千万とか六千万戸あるわけですから、その中で百数十万戸と言っている時点で、それは、今申し上げたような、今日ずっと委員会で議論しているような問題に正しくアドレスし切れているとは思えない。

 ただ、気持ちはいいんですよ。元々、ストック重視の住宅政策への転換ということがうたわれ、平成二十一年に、長期優良住宅の普及の促進に関する法律という法律ができて、認定制度ができた。だから、これは是非使っていっていただきたい、促進していっていただきたいと思うんだけれども、私に言わせれば、やっているふりとは言わないけれども、とても日本の住宅、まさにストック重視の住宅政策への転換の大きな武器にはなれていないんですね。

 だから、長期優良住宅制度なども活用しながらですが、その延長線上に、やはり不動産IDを活用した、もっと普遍的な住宅の維持管理を進める仕組みを不動産IDをキーとしてやっていっていただきたい、こう思います。

 最後に、もう一問は、今の長期優良住宅制度とは別だと思うんですが、「いえかるて」というのがあります。

 よくあるんですが、結局、私が国会の中で議論をしていて一番気になるのは、またいろんなところでいろんなことをやっているんです。「いえかるて」は「いえかるて」で番号を振っているんですよ。

 今、ちょうど河野大臣のところで、デジタル庁で、何か保険証とかもめていますけれども、要は、マイナンバーのフル活用、あるいはマイナンバーカードへの一元化。カードがいっぱいあるから、それはマイナンバーカードでいいだろうという議論をやっている。ちょうど今大臣がおっしゃった、これ、ちょうど、不動産IDをつくったのに、住宅局でやっている「いえかるて」は「いえかるて」独自の番号を振っているんですよ。

 早く一元化するということで、局長、よろしいでしょうか。

塩見政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生御指摘の「いえかるて」、これは、住宅の維持管理等に関する情報を住宅の履歴情報として蓄積をし、取引の際にその住宅の履歴を参照して意思判断をしていただく、こういう活用をしていただく仕組みでございます。

 これまで、御指摘のとおり、この「いえかるて」のための共通IDというものが振られてまいりましたが、今後につきましては、御指摘の不動産IDとの情報連携、これが図られますと、例えば、既存住宅の取引に際しまして、「いえかるて」の方に蓄積されている、例えば、住宅の不具合情報だけでなくて、不動産IDの方にひもづけられました、その住宅のある場所の地域防災情報、こういうものが引き出しやすくなって、取引の際に、建物の不具合情報と防災情報を併せて御判断いただける。こういう、より安心した既存住宅の取引をしやすい環境というものが整ってくる可能性があるというふうに思っております。

 このため、「いえかるて」のIDと不動産IDとの連携をより促進するために、住宅履歴情報を更に蓄積、活用し、既存住宅流通市場を拡大することに役立つような先進的な取組を予算で支援するということについて検討してまいりたいと思っております。

足立委員 是非お願いします。

 情報連携でいいんですが、理想を言えば、もう要らない番号はやめたらいいんですよ。だって、不動産IDを使えばいいんだから。私は統一でいいと思いますが、百歩譲って連携はもう最低必要だと思いますので、是非御努力をお願いします。

 ありがとうございます。

木原委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 昨年の三月は所有者不明土地の法改正があり、二〇二〇年の三月には三十年ぶりの土地基本法の改正がありました。関係はずっとあると思いますが、関係閣僚会議による、空き家対策と所有者不明土地等対策の一体的・総合的推進、政策パッケージが決定されたのが今年二月です。私有財産と公共の福祉のぶつかり合いという重要な課題だと考えています。

 そもそも、二〇一四年の空き家法附則第二項では、五年後の見直し条項がありました。検討の上、ガイドラインの改正などで足りると当時判断した経緯があったと承知しておりますが、今回改正に至った最大の動機は何でしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 空き家法が制定されました当時の附則では、先生御指摘のとおり、法律の施行後五年を経過した場合における検討規定というものが設けられております。

 これを踏まえまして、国土交通省におきましては、空き家法施行から五年を経過したことを受けて、令和三年度に、まずは、市町村の御要望を踏まえまして、基本指針やガイドラインを改正しまして、所有者の特定に当たって想定される調査方法の具体例、こういうものを示すなど、運用上の改善をまず行ったところでございます。

 他方、市町村からは、空き家を活用するときの接道規制の合理化でありますとか、管理不全空き家に係ります住宅用地特例の解除でありますとか、特定空き家に対する緊急時の代執行制度の創設でありますとか、制度的な手当てが必要になりますものにつきましての御要望もいただいておりまして、事務的には様々な検討を続けてまいったところでございます。

 この検討が進捗いたしますとともに、今後もまだ空き家の増加がなお見込まれるということも踏まえまして、今回、制度を含めた総合的な対策の強化を図る必要があると考え、法改正の提案をさせていただいたところでございます。

高橋(千)委員 済みません、もう一回聞きますけれども、今、要望をもらって、継続して検討と、それは市町村の要望ですか。

塩見政府参考人 空き家対策の最前線を担っておられるのは市町村であられまして、その市町村の現場から、先ほど申し上げました、接道規制の問題、住宅用地特例の解除の問題、代執行の問題、こういった御要望をいただいているということでございます。

高橋(千)委員 この間、空き家法を二〇一四年に改正してから、特定空き家に指定され、除却や修繕などがされた空き家等が一万九千五百九十九戸、特定空き家ではないが管理不全として市町村の取組で除却や修繕がされた空き家が十二万二千九百二十九戸というのは、市町村が、当初、法律ができたときは、非常にハードルが高いよということが議論されていたと思うんですが、その中で非常に頑張ったと私は思っております。そういう中で要望があったというお話だったと思うんですが、市町村だけではなかったんじゃないかと思うんですね。

 ちょっと話を進めていきたいと思うんですが、住生活基本計画に明記した成果目標、これは居住目的のない空き家数を令和十二年時点で四百万戸程度に抑えるというものであります。

 これは資料の一にある、居住目的のない空き家は二〇一八年現在で三百四十九万戸、二十年間で約二倍になり、令和十二年度には四百七十万戸程度に増加するおそれがある、これはさんざん言われていることです。

 それで、空き家対策の小委員会で、では、この四百七十万戸の差額を減らすのが目的ですかという質問が委員からあって、減らすということ自体、何だろうかみたいな話になって、でも住生活基本計画に書いているから、これが取りまとめに収まった経過だと思うんですね。

 では、この目標を四百万戸とした意味と、法案との関係はどういうことでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 住宅・土地統計調査で、そのトレンドでいけば、令和十二年には四百七十万戸と増えるという見通しが示されました。

 これに対して、令和三年三月の住生活基本計画では、これを七十万戸ぐっと抑えて四百万戸程度に抑えるという目標を掲げたところでございます。

 御質問は、その意味、根拠は何なんだということかと思いますけれども、意欲的かつ簡明な目標値を掲げることによりまして、一つは、空き家問題の重要性を広く訴えかけるということ、それから二番目に、国土交通省の政策努力はもとより、他の行政機関、国民の皆様、事業者など幅広い関係者の御理解と御協力の下で空き家対策を推進しよう、こういう意味で、分かりやすい簡明な目標としたものでございます。

 ということで、この法案は、予算や税制、本法案以外の様々な措置などと並んで、四百万戸という目標の実現に向けた様々な政策努力の一翼を担うものである。いろいろな施策を総動員して四百万戸を達成する、今回の法案はその一翼を担うものである、こういう位置づけでございます。

高橋(千)委員 簡単に言えば、分かりやすい数字ということではなかったのかなと思います。

 何でこういう質問をしたかといいますと、数字がいっぱい出てくるんですよ。八百四十九万戸とよくおっしゃるけれども、賃貸なり売却なり目的があるんだったら、それ自体が問題なわけじゃないわけで、どこにターゲットを指しているのかというのが分からないから何度も聞いていました。

 たくさんの数字が出てくるので、どこになのかというのを一言でおっしゃることはできますか。局長、お願いします。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、空き家の数字に関しましては、住宅・土地統計調査の中でも、八百四十九万戸という数字もあれば、居住目的のない空き家ということで三百四十九万戸という数字もございます。

 私どもが常に注目をしております数字は、空き家の全体の数というよりは、居住目的のない空き家の数字の三百四十九万戸でございます。その理由は、居住の目的がないということは、適正な管理がされないおそれが非常に高い。そして、最終的には空き家の所有者の責任になるとは思うものの、近隣に御迷惑をおかけするような、そういう状態になるおそれがある。

 そういう空き家の発生は極力抑制するべきであるし、政策的に対応も必要である、こういう観点から、空き家の中でも、居住目的のない空き家というものを注視するようにしているということでございます。

高橋(千)委員 まず確認しました。

 そこで、空家等活用促進区域を創設し、建築基準法の接道規制や用途規制を合理化するといいます。そもそも、建築物の敷地は幅四メートル以上の道路に二メートル以上接していなければならない。この規定は火災などの避難とか安全確保などのために設けられたものだと思いますが、それを確認したいのが一つ。

 それから、現行基準法でも緩和できる規定があって、今回、特例を設ける必要はないと考えますが、伺います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一点目の建築基準法の接道規制の趣旨でございますけれども、建築基準法におきまして、建築物の敷地が幅四メートル以上の道路と接道していることを求めておりますのは、災害時の避難、消防活動の場の確保などの市街地の安全性を確保するためということで求めているものでございます。

 二点目のお尋ねでございます現行の制度との関係でございますけれども、これまでも、建築基準法に基づきまして、特定行政庁の個別の審査を経て特例の許可を受ければ、安全性等の確保を図りながら、接道義務を満たさない空き家というものの建て替えは可能ではございました。

 しかしながら、現行の仕組みでは、許可要件が明らかでなく、個別に審査を受ける必要がありますために、事前には、許可を受けられるかどうかということの予見可能性が低いという問題がございます。また、建築審査会の同意が必要ということで、数か月の期間を要する、こういう課題も現行の仕組みにはございます。

 そこで、今回の法案で創設いたします空家等活用促進区域におきましては、市町村がその区域を設定いたします際に、特例を受けられるか否かの見通しを持てるようにする、こういう考え方に立ちまして、あらかじめ安全確保のための要件を明示し、この要件に適合すれば建築審査会の同意を要せずに特例を受けられる、こういう仕組みにしているところでございます。

 これによりまして、安全性等の確保を前提に接道規制の合理化をいたしまして、空き家の活用を促進してまいります。

高橋(千)委員 最初の質問にも関係するんですけれども、第三回の小委員会、昨年の十二月二十二日、ここで委員長代理がぽっと、空き家で使えない理由の中に、接道していない空き家が結構あると思うので、こういった問題をどういうふうに解決していくかと発言をされたんですね。

 次回の第四回、一月三十一日、最後の取りまとめがされた小委員会で、取りまとめ案にぽっと接道、用途規制の合理化と入っていた。これを見た委員が、これはどう見たって法律事項だろうと発言されて、事務局が、基本的には法改正を視野に入れながらと答えたわけです。それから最終的な詰めをしますと。

 つまり、今年の一月の時点で、法律改正するということが念頭にまだなくて議論していたのかと正直思ったわけなんですよね。つまり、こういう経過があるので、合理化を求めた発言だったわけではないと思うんです。委員会として、接道規制などの緩和が必要だという共通認識の下に出てきたわけではないと私は思うんですね。

 実際に、このとき委員長代理が例として挙げたのは、つるおかランド・バンクの取組に学んだらいいんじゃないかということをおっしゃっている。だけれども、このつるおかランド・バンクは、それこそ所有者不明土地のときにも参考になったんですけれども、空き家の持ち主の相談に乗りながら、用地の取得と売却を通して、結局、セットバックとか道路を拡幅する方向で活用している事例なんですよね。だから、要するに、狭くていいという議論ではないはずなんですよ。

 ですから、今回の取りまとめに事務局として入れて、結果として法案として出てきたんですが、ちょっと前のめりじゃありませんか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 接道規制の合理化に関する御議論は、先ほども御答弁申し上げましたとおり、地方公共団体の空き家対策の現場において非常にネックになっているというお声が以前からあったところでございます。その現場からのお声は、空き家対策に取り組んでおられる市町村の団体である協議会などを通じまして、私どもとしては承ってきたところでございます。

 そういった公共団体の御意見も参考にさせていただきながら、また、先生今御指摘の審議会の委員の先生方の御意見も踏まえて、最終的に、今後の対策としては重要な取組ではないかということで、審議会、検討会の答申の中に盛り込まれたということでございます。

 それを踏まえて、今回、法制化が可能なものにつきまして今回の法案に盛り込ませていただき、御提案をさせていただいているという経緯でございます。

高橋(千)委員 ですから、委員長代理が、そういう意見があるのでと言っているわけでしょう。言っていて、結局、議論が煮詰まっていないわけですよ。詳しく検討しますといって法律を出しちゃっているわけですから。それは自治体にしてみれば、そういう要望は出たかもしれません。だけれども、それをどうしたらできるのかということを、いきなり合理化ということに持っていってしまったというやり方は前のめりじゃないかということは重ねて指摘をしたいと思うんです。

 結局、このことを考えると、管理不全空き家があって、このままでは特定空き家になってしまうから早めに対応をしようということで、そのために代執行がしやすい権限、費用徴収の仕組みを設けるのは私は必要だと思うんです。その話をしていると思ったら、活用の話と入り組んでいるわけですね。

 空家等活用促進区域は、こういう管理不全の空き家や特定空き家が、極端に言えば、その中にない場合であっても、空き家だけれども持ち主がいて、売ってもいいよとか、そういう程度の話のときに、まちづくりや観光資源など、積極活用していきましょう、こういうことが可能だという理解でよろしいですね。

斉藤(鉄)国務大臣 空家等活用促進区域は、市町村が空き家の活用を重点的に行おうとする場合に、これを支援するための仕組みであります。管理不全空き家や所有者不明の空き家などがあるかどうかにかかわらず、空き家やその跡地の活用が必要と認められる一定の区域について設定できることとしております。

 それぞれの地域には、まちづくりや観光を始め、移住、定住、二地域居住、それから福祉増進、コミュニティー維持など様々な空き家活用ニーズがございます。こうしたニーズに応じて空き家を積極的に活用するため、空家等活用促進区域を活用いただきたい、このように考えております。

高橋(千)委員 はっきりお答えいただいたと思います。このままでは外部不経済、周りに影響を与えるよという管理不全空き家と、今の空き家をうまく活用しようというまちづくりの問題と、別のこと、それぞれのことを提起しているんだと思っております。

 もちろん、まちづくりの中で、例えば子育て支援センターですとか、まちの駅ですとか、いろいろな取組をしているのを承知をしております。それ自体を否定しているわけではないんです。

 問題は、市町村は、空家等活用促進区域に関する事項を定めるときは、あらかじめ区域内の住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずると条文にあります。これはどのような仕組みを考えているんでしょうか。ただその区域の代表に了解を取ったり、それでいいよというわけにはいかないと思うんです。

 それから、区域内というのは、まちづくりの一端なわけですから、区域の隣の人とか、その町の人たちとかは関係ないというわけにはいかないと思うんですね。区域外からも意見を聞くべきと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 住民の意見を反映させるために必要な措置の具体的な内容ですけれども、各市町村がそれぞれの実情に応じて講ずることとなりますけれども、例えば、公聴会の開催やホームページなどにおける意見募集などを想定しております。

 空家等活用促進区域を設定した場合、区域内においては、空き家の活用を促進するための用途規制の合理化など、現行法令とは一部異なるルールが適用され、区域内の住民の方々が影響を懸念される場合もあることから、区域内の住民を対象として意見を聞くこととしています。

 ただ、これは、必要に応じて区域外の住民を対象に意見を聞くことを妨げるものではなく、市町村の判断で、例えば、区域設定予定の地域の周辺の地域の住民を意見聴取の対象とすることなども考えられるところです。

 国土交通省としては、市町村が円滑に空家等活用促進区域を設定できるよう、住民の意見を反映させるために必要な措置の例などを手引などでお示ししたいと考えております。

高橋(千)委員 妨げるものではないという答弁でありました。もう少し頑張って言ってくれればありがたいかなと。

 やはり、用途規制という意味での影響というのはおっしゃるとおりだと思うんです。だけれども、それが開発につながった場合に、当然、周辺の住民に意見を聞かなかったら駄目なわけですから、そのことを、今の大臣答弁を生かして、しっかりお願いしたいと思います。

 そこで、資料の二は今年一月二十日付の朝日新聞です。

 「民泊業者の登録要件緩和へ」とあります。旅館業法の規制の対象外として宿泊を業として認める民泊は、家主が不在又は近くにいない場合も多くて、これを補うものとして、宅建やマンション業者の資格あるいは実務経験を必要とする管理業者に委託をする、そういうことをしてきたわけですが、今回、記事にもあるように、これを要件を緩和するんだと。しかも、当然、空き家対策としても民泊は期待されていると思うんですね。

 そこで、質問は、空き家を民泊に活用という取組は既に進んでいると思いますが、認識を伺います。また、登録要件の緩和については、規制改革会議で議論してきていると思うんですが、実施が決まっているということでしょうか。

秡川政府参考人 民泊法に基づく届出住宅の件数なんですけれども、本年の三月の時点で約一万九千件となっています。

 このうち、いわゆる空き家を含みます随時居住の用に供される家屋につきましては約四千四百件ということでございます。

長橋政府参考人 登録要件の緩和に関してお答え申し上げます。

 空き家を民泊として活用するような場合は、家主不在型となりますので、住宅の管理を住宅宿泊管理業者に委託する必要がございますが、現在、運用としては、住宅宿泊管理業者には、例えば、契約の実務に二年以上従事したという経験とか、又は宅建、宅地建物取引士の資格を持っているということを求めて運用しておりますけれども、そうした要件だけでは地方において住宅宿泊管理業者の確保が難しいという、関係の業界から要望がございました。

 空き家をこれから民泊として活用するときに、ちょっと管理業者がなかなかいないという要望がございまして、政府内で検討し、昨年六月に閣議決定された規制改革実施計画におきまして、所定の講習の受講修了者も新たに要件として認めるなどの具体的な方策の検討を行うということとされたところでございます。

 このため、国土交通省としては、所定の講習の受講を修了した者も要件を満たしているとして追加するための関係省令等の改正を今検討しているところでございまして、現在、そのパブリックコメントを実施しているところでございます。

 今後の予定としては、夏頃までには、講習実施に向けた省令改正の公布、施行を行って、講習実施機関の公募を行っていきたいというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 夏頃にはもう要件緩和が決まるということなわけですよね。私はさっき市町村からですかと言ったんですが、やはり業界団体から緩和の要望があったわけですよね。

 活用したいということで、対象となる人がいないんだから要件緩和だって、どこまでも、民泊自体が、旅館業法から飛び出して、要件緩和をして認めてやってきたわけですから、先ほどの接道規制と同じように、やはり安全ということや、なぜそこに規制があるのかということに立ち返らなければ、要望があるから何でもいいというわけにはやはりいかないと。できる限りそこはとどめていただきたいと思うんですね。ですから、私はここについては緩和することには反対であります。

 市町村の要望に応えていろいろやってきたということもあるんですが、今回の法案で市町村の権限がすごく高まって、そのことで、高まっていい場合と、しかし、それに応えるだけのマンパワーがないという、大変な苦労、苦悩、不安というのはあるわけです。そこに対してのしっかり支援をお願いをして、残念ですが、時間がないのでこれで終わります。

木原委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 冒頭、先ほど議論がありました国土交通省の天下り問題について、これまでの、残念ながら、国土交通省の答弁を見ていると、極めて遺憾な答弁が続いておりまして、私、質問時間が短いのでこれを取り上げるつもりはなかったんですけれども、金曜日に取り上げたいと思っております。場合によっては立憲民主党の皆さんより厳しい追及になるかもしれませんので、きっちりと金曜日に御報告いただければというふうに申し上げて、本題に入りたいと思います。

 まず一つ目は、この法案、本当に有意義な法案であると思っておりまして、ヒットの法案だというふうに思います。より実効性のあるものにする観点から、法律の解釈とか運用を確かめる質問を今日させていただきたいと思っております。

 まず第一点目は、市町村が定める空家等活用促進区域の要件が法案第七条三項で定められておりますが、五つ、五号ありまして、一つは中心市街地活性化法の中心市街地、地域再生法の地域再生拠点、地域再生法上の地域住宅団地再生区域、歴史的風致法の歴史的風致重点区域、これは法律で定める区域ですから、結構要件が厳しかったり法律的な手続が必要で、五番目にバスケットクローズ的に、市町村における経済的社会的活動の拠点としての機能を有する区域としての国土省令、総務省令で定める区域というのがあります。

 私は、ここは市町村の柔軟性を認める観点からも、この省令が極めて大事だと思うんですけれども、どのようなことが定められるのか、答弁をお願いします。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 空家等活用促進区域につきましては、市町村の地域の実情に応じましてできるだけ柔軟に区域設定ができますように、今先生御指摘の省令の検討は行っていきたいと考えております。

 具体的な検討のイメージを申し上げさせていただきますと、今回の改正法案の七条三項各号に規定する区域以外の区域といたしまして、商店街が形成されていて、その活性化を図ることが適当と認められる区域などを例示した上で、そのほかにも、今回の法案の第五号にございます経済的社会的な活動の拠点としての機能を有する区域、こういう要件に適合すると考えられる区域をできるだけ幅広く指定できますように、今後検討してまいりたいと思っています。

福島委員 私の地元で見ますと、空き家があるところというのは、大きな、大規模な団地じゃなくて、都市計画法上の白地区域のところで、例えば、水戸市の隣の町の畑の中にぽつぽつぽつぽつ家が建っているようなところとか、あるいは、農家の次男、三男が農家の集落の横の方に十軒、二十軒の集落をつくっていたりとか、そういうところの空き家がひどいんですよ。そうしたところも当然対象になり得ると考えてよろしいでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 空家等活用促進区域に指定できる区域については、先生今御指摘の類型が幾つかあるわけでございまして、その中の一つに地域住宅団地再生区域というものもございます。

 これ以外に、今先生がお尋ねいただきました第五号の省令で定める区域というものがあります。この省令の区域については、先ほど申し上げましたとおり、できるだけ地域の実情に応じて柔軟に設定できるような検討を行っていくつもりでございます。

 そこで、先生から今御紹介がありましたような場所が当たるかどうかということでございますけれども、これは最終的には市町村が個別に御判断をされることになりますので、ちょっと、この場で確たることを申し上げるというのはなかなか難しいわけでございますが、ただ、この場で今お話をお伺いする限りで申し上げますと、地域住宅団地再生区域に該当する可能性もあるかもしれませんし、また、仮に該当しないという場合につきましても、今御紹介いただいたような空き家につきましては、地方公共団体に重点的にやはり活用の取組を行っていただく必要のある、そういう空き家であるように思われますので、今後、先ほど申し上げました第五号の省令の検討作業を進めます中で、今御紹介いただいたような事例について、よく意識しながら作業を行っていきたいと思います。

福島委員 是非分かりやすいように、大臣、そういうところを積極的に市町村に教えてあげるようにしていただければと思います。

 二番目の論点は、管理不全空き家でありまして、特定空き家化を未然に防ぐための管理不全空き家に対して、市町村が指導、勧告を受けて、勧告を受ければ固定資産税が上がっちゃうという、これは私は非常に画期的な仕組みだと思います。ちょっとなかなか役所的じゃないんですけれども、いい仕組みだと思います。市町村にとっては、これは固定資産の税収も上がるわけですから、むしろ市町村が積極的に空き家対策に当たるインセンティブになるような制度にすべきであると思います。

 ただ、一方、固定資産税が上がるということで、個人の財産に関わることですから、それで新しく課税がされる人との紛争とかそういうのが起きることも予想されるんですね。一方、空き家じゃなくても、管理不全な家って結構あるんですよ。いわゆるごみ屋敷と言われていたり、木を伸び放題にして住んで、周りから苦情を受けていたり、私もよく陳情を受けるんですけれども、その家は固定資産税は上がらないけれども、空き家だったら上がるとか、いろいろな例があって、もし裁判になったときに結構大変なんじゃないかと私は思います。

 そういうことを考えれば、これは要件が、そのまま放置すれば特定空き家等に該当するおそれが大きいとありますけれども、私、それだけでは駄目だと思っていまして、例えば、隣家に経済的な損害を与えるとか、交通の障害になる、景観に影響を与えるとか、何かこうしたものを指定する場合の、公の、パブリックな面での要件をつけた方がいいんじゃないかなと思うんですけれども、局長、どうでしょうか、この点。済みません、通告していないです、この質問。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、管理不全空き家に該当するか否かの基準は、法律上は、今先生おっしゃるように放置すれば特定空き家になるおそれがあるということでございます。

 放置すれば特定空き家になるおそれがあるという特定空き家については、保安上危険であるとか、衛生上有害であるとか、具体的な要件があり、どういう場合がその要件に当たるかについては、既に国土交通省からガイドラインで具体的な状態をお示しをしております。窓ガラスが例えば多数割れている状態、あるいは壁が崩れて斜めに傾いている状態、こういうことを具体的にお示しをしております。

 そういう事態になる一歩手前の状態が今回の管理不全空き家でございますので、既にある特定空き家に関する具体的な、技術的な状態の一歩手前の状態をお示しをするということは、私どもも十分可能であると思っておりますので、そういう意味で、管理不全空き家の基準、具体的な考え方を具体的にお示しすることを今後是非検討していきたいと思います。

福島委員 私が申し上げたいのは、やはり一番市町村が恐れるのは、紛争とか訴訟に至ったときの対応だと思うんですね。私は、そうしたときへの対応のマニュアルとか、市町村の相談窓口とか、何があってもこの法律で、起きたときにこうすれば大丈夫ですよというのを示す必要があるんじゃないかと思うんですけれども、済みません、じゃ、大臣に、是非そういうことも含めて取り組んでいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 管理不全空き家につきましては、市町村がその判断に迷うことがあったり、それから紛争が頻発するというようなことになりますと、結果的に制度の実効が損なわれてきます。そうならないようにしなきゃいけないと思います。

 そのため、市町村の判断に資するよう、国のガイドラインにおいて、管理不全空き家と判断する際に参考となる基準を示すということを検討しております。これは今局長が答弁したとおりでございます。

 これに加えて、国として、市町村から管理不全空き家に係る判断について相談があった場合に丁寧に対応するとともに、市町村の取組事例の横展開などを行い、裁判とお金に関わること以外についての支援もしっかり努めてまいりたい、このように思います。

福島委員 是非ともよろしくお願いいたします。

 三点目なんですけれども、実は私、今、父親が老人ホームに入りまして、藤沢にある実家を売っている途中なんですけれども、これは市街化調整区域に入っておりまして、市街化調整区域に入るとなかなか、間に入る、仲介に入る不動産屋さんも扱い難いという意味では、今回の法案第十八条の都市計画法上の特例措置的な条文というのは極めて有意義でありますし、私、塩見局長とは構造改革特区のときに一緒に仕事をして、机を並べていて、こうした規制改革を加えるというのは極めて特区的な発想かなと思うんですね。

 このときに一番苦労したのは、国の規制は法律を変えればできるんですけれども、都道府県の権限に関わるものを変えるというのは非常に困難でありまして、よって、ここの法律では、都道府県知事が許可に対して適切な配慮をする、そうした条文になっているんですが、これは法案の条文だけ見ると、配慮だと物すごい弱いように見るんですね。ただ、条件が入っていて、第七条八項の協議の結果を踏まえというのがありますから、あらかじめ事前に、市町村と都道府県で区域の設定や空家等活用促進指針を定めるときに都道府県と協議する段階で、私の言葉で言ったある程度の包括的な許可というか、それで、都道府県が何となく、この区域で出てくるのは許可しますよという事前の約束のようなものが得られる制度にしないと、これは今、現場でも、行政書士の皆さん方などから、市町村はいいと言っているのに県が駄目と言うんだという例を結構聞くんですね。

 そうならないような制度になっていると考えてよいのか、局長、答弁をお願いいたします。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の空き家に関する事務は市町村が中心になって行うものです。また、先生今回御指摘の市街化調整区域に関する許認可の事務は都道府県が行うということで、当事者が異なっているということが非常に大きな問題でございます。

 今回、この十八条の規定におきましては、事前に市町村と都道府県知事が協議をする、協議の内容は、空家等活用促進区域、この区域について協議をする、それからもう一つは、活用指針について協議をするということでございます。

 まず、区域についての協議でございますけれども、その区域内にあります空き家を用途変更することによりまして周辺の市街化の促進をすることにつながってしまわないか、そういう観点から適切な範囲かどうかの協議をいたします。

 それから、指針につきましては、その区域において活用することが必要な空き家の種類、誘導すべき用途、例えば、住宅を宿泊施設に使う、飲食店の用途に活用する、こういうことについて協議をすることを予定しております。

 この協議を行っておくことによりまして、包括的な許可を取ったというところまではなかなかちょっと申し上げにくいものの、個別の許可申請があった場合には、許可権者であります都道府県知事におきまして、活用促進指針に沿った申請であるということが認められます場合は、用途変更の許可が円滑に行われるものだと考えてございます。

福島委員 非常に工夫がされた、私は、これはいい規定だと思います。

 もう一個注目すべきは、次の第二項に、農地法その他の法律の規定による許可その他の処分についても適切な配慮となっておりまして、これは先ほど言ったような協議がないままあるんですね。恐らく、都市計画法じゃない法律でも、様々な空き家の活用のときに、想定していない、あるいは、今では想定していない規制みたいなのが出てくるかと思うんですけれども、私は、空き家の活用にとって法案十八条第二項はすごいいい仕組みだとは思うんですが、ただ、この規定のままですと、なかなかそれが有効に活用されない可能性があるんですね。塩見さんと特区をやっているときには、いろいろな規制改革の要望を自治体から受けて、それを当時の内閣官房が代理人になって、各省とこの規制を変えてよと交渉したんですね。

 ですから、この法律でも、私は、国土交通省が中心になって、いろいろな、空き家を活用したいんだけれどもこの規制が邪魔なんだよというのが上がってきたら、この二項の規定に基づいて、各省や都道府県に対してその運用の改善を促したり、場合によったら、この法律を更に改正して個別の法律を改正するような対応が必要であると思うんですけれども、大臣、その辺りについて、更なる空き家の活用のための規制改革について、市町村の要望を十分受け止めて、その出てきた規制の改善を求めるためのプロセスを明確にして、それに国土交通省が主体となって取り組む意思があるかどうか、その点について是非お聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 いろいろな各分野にわたる、各省庁にわたるいろいろな規制、これら、空き家対策を進めていくときに、国土交通省が先頭に立って省庁間の連携をとって、一例として規制緩和等やるべきではないか、こういう御趣旨かと思います。

 空き家対策を推進する国土交通省としては、対策がより実効的になるよう、空き家活用の現場における具体的なニーズを踏まえて、許認可に係るネックをできる限り乗り越えていきたいと考えております。

 空き家対策に関するこれまでの検討過程では、市町村から、具体的にどのような法律が支障となっているかを聞き取り、それを反映させて、建築基準法、都市計画法及び農地法を明記した法案を立案してまいりました。

 今後とも、空き家の活用を円滑に進める上で、どのような法律に係る許認可が支障となっているかを定期的に把握し、関係省庁とも協議調整の上で、配慮措置の対象となる許認可やその内容などを基本指針等において明示し、周知することを検討してまいります。

 国土交通省が中心になってやっていかなければどこもやらないと思いますので、頑張りたいと思います。

福島委員 前向きな答弁ありがとうございます。是非しっかり取り組んでいただけたらと思います。

 以上でございます。

木原委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 法案では、市区町村が空き家活用の促進区域を指定できるとされておりますが、既に自治体レベルでは、もう十年以上前から空き家の問題は指摘されてきたことであり、それぞれ取組をしてきているものと理解しています。

 例えば、私の地元、調布市の空き家等対策計画では、調布利活用モデルの確立として五つの柱を掲げています。本日は、このうち五番目のセーフティーネット住宅としての空き家等の有効活用について質問させていただきます。

 セーフティーネット住宅として空き家を利用するには、そのままでは難しい面もあり、国もそのことは認識しているため、改修費の支援制度を設けているのが実情です。しかし、この制度、どれぐらい利用されているのでしょうか。

 国交省によれば、データのある令和三年度で、国の補助が百四十九件、自治体を通じた補助が三十四件、すなわち全国の一年間で百八十三件しかありません。これは二年前の数字でありますけれども、居住目的のない空き家三百四十九万件と比べて、およそ二万件に一件、こうした利用しかない低調ぶりであります。一つの理由として、補助額が少ないことが挙げられるでしょう。

 資料一を御覧ください。補助工事の対象となっている項目が十一も並んでおりますけれども、複数行っても限度額は変わらないんですね。例えば、国費の場合、バリアフリー改修と耐震改修を行っても僅か百万円です。また、そもそも省エネ改修は五十万円が限度であり、太陽光発電パネルなど再生エネルギー関連は項目さえ載っておりません。ここでもう一度、調布市の例に戻ってみますと、調布市マスタープランでは次のような取組が紹介されています。

 パネル一を御覧ください。空き家バンクと耐震改修の支援、更に太陽光発電の設置をつなげる、いわば三・一一の大震災と原発事故後のモデルとも言えるすばらしい試みなんです。

 また、改修の利用が進まない別の理由に、そもそもセーフティーネット住宅制度自体の問題もあるのではないかと考えます。

 昨年の参議院国交委員会でも議論になっておりますが、セーフティネット住宅情報提供システムのホームページを見ますと、登録数は全国で八十六万戸、東京では五万戸と結構あるように見えるんですが、空き室中なのは全国で一万五千戸、東京だと五百九十一戸しかありません。しかも、そのうち保証人が要らず、家賃保証も不要といった低所得者に優しい物件、これは全国で千六百戸、東京で四十一戸しかないんです。さらに、低所得者や高齢者などの専用住宅に絞ると、全国で七十八戸、東京では二戸、たった二戸しかありません。

 増え続ける空き家、一方で、この三十年間賃金が上がらず、そこにコロナ、そして物価高、こうした三重苦で、若者も高齢者も生活困窮者が増えています。このような現状を見れば、セーフティーネット住宅として活用することを一層重視する必要があると考えます。

 大臣にお聞きいたします。空き家の早期利活用として、セーフティーネット住宅改修費支援について、まず一つ目に、太陽光発電パネルの設置を項目に加えること、二つ目に、省エネ改修の上限額を引き上げるとともに、メニューごとの上限にして全体の支援額を積み増すこと、そして三点目、セーフティーネット住宅そのものについて、居住支援関連予算を大幅増加してはどうか。以上三点について、大臣のお考えをお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、第一点目のセーフティーネット登録住宅の改修費支援に太陽光パネルを追加するべきではないかという御質問でございます。

 住宅の確保に配慮が必要な方々の住まいの確保というのは、住宅政策において重要な課題でございまして、配慮が必要な方々の入居を拒まないセーフティーネット住宅の供給を進めるため、改修費への支援を行っております。

 このうち、省エネ改修については、窓や壁などの断熱工事を支援しておりますが、太陽光パネルの設置費用については、固定価格買取り制度、FITの対象となっていることを踏まえ、本支援制度における補助対象となっておりません。

 一方で、住宅金融支援機構においては、太陽光パネルの設置を含め、賃貸住宅のリフォーム工事を対象として、全期間固定金利の融資を行っているところでございます。

 国土交通省としては、セーフティーネット住宅においても、固定価格買取り制度や融資制度の周知を通じて、太陽光パネルの設置が進むよう取り組んでまいりたいと思います。

 それから二点目でございますが、いわゆる補助上限額についての御質問でございます。

 複数改修したときには、それぞれに上限額を設定して、その上限額をプラスしたものにすべきではないかという御指摘でございます。

 セーフティーネット住宅の改修のうち、省エネ改修への支援については、補助上限額を戸当たり五十万円としております。セーフティーネット住宅における省エネ改修の大半は高断熱の窓への交換であり、補助割合三分の一を前提とすると、百五十万円を超える窓改修は考えにくいことから、現在、十分に支援できる上限額が設定されていると考えております。

 また、他の改修メニューに係る補助上限額についても、同様に、改修費用の実態に照らして十分な補助上限額が設定されていると認識しています。

 その上で、複数の改修メニューに取り組む場合については、取り組む改修メニューごとの補助上限額のうち、最も高い上限額を全体の上限額にすることとしています。

 これにつきましても、複数の改修メニューに取り組んだ場合に、トータルで要した費用の実績が、多くの場合、現行の上限額に収まっていることを踏まえたものですが、引き続き、改修費用の実態把握に努め、上限額の在り方の検討を行ってまいりたいと思います。

 そして、三点目でございますが、補助事業への予算額を大幅に増加すべきではないかという点でございます。

 低額所得者や高齢者などの住宅確保に配慮が必要な方々が安心して生活を送ることができるよう、居住の安定の確保を図ることは重要です。

 平成二十九年に創設した住宅セーフティーネット制度では、入居支援等を行う居住支援法人や居住支援協議会の仕組みを設け、これらに対する支援を行っており、今年度予算においても、前年度より予算を増額するなど、支援の充実を図ったところです。

 引き続き、必要な予算の確保に努めるとともに、居住支援法人や居住支援協議会、関係省庁とも連携し、住宅セーフティーネットの機能の強化に取り組んでまいりたいと思っております。

櫛渕委員 大臣、丁寧な御答弁、ありがとうございます。

 時間が来たのでまとめますが、太陽光発電パネルの件、FITがあるからカバーされるんだとお話しでしたけれども、もう買取り価格、とても安くなっていますので、是非これは、太陽光パネルの設置メニューも項目に挙げていくよう、御検討をお願いしたいと思います。

 日本の住宅政策そのものが、公的な賃貸住宅は年々削減され、低所得者や高齢者が低家賃で安心して住める、こうした公営住宅が圧倒的に不足しています。

 れいわ新選組は、住まいは権利、これを公約に掲げ、今回の空き家法においては、ペナルティーの強化だけでなく、空き家の利活用により、セーフティーネット住宅の充実、そして、公共住宅のストックを計画的に増加させるよう、是非とも大臣にはお願いをし、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

木原委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、津島淳君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。谷田川元君。

谷田川委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。

    空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 市町村による空家等活用促進区域の指定に当たっては、条件として中心市街地等の他に地域の実情に応じて幅広く柔軟に指定できることを明確にし、指定の基準や手順を明示するなど、必要な支援を行うこと。

 二 市町村長による管理不全空家等に対する指導及び勧告が円滑に行えるよう、どのような空家等が管理不全空家等に該当するか、具体的な状態を示すこと。

 三 意思能力に欠ける疑いが強いが成年後見人が選任されていない、特定空家等の所有者等への助言又は指導、勧告、命令及び代執行の手続並びに管理不全空家等の所有者等への指導及び勧告の手続の在り方について、その者の自己決定権などへの配慮をしつつ、検討を進めること。

 四 多数者が共有する特定空家等に対する措置に関する手続について、市町村の行政負担が不合理なまでに過酷にならないよう検討を進めること。

 五 本法に基づく特定空家等に対する措置を受けた所有者が死亡した場合の新たな所有者に対して、その者の手続面での保障に配慮しつつ、同措置の効果を早期に発現させることについて検討を進めること。

 六 管理不全空家等に係る勧告等の対象となる者のうち、意思能力が不十分又は意思能力を欠く者については、その財産を管理する各種制度を積極的に活用できるよう検討すること。

 七 管理不全建物管理人制度等の周知に努めるなど、財産管理人による空家等の管理などが進みやすい環境を整備すること。

 八 命令等の事前手続を経るいとまがない緊急時の代執行制度について、過度な財産権の制限とならないよう、また、制度の円滑な活用が進むようにするため、どのような場合に緊急時の代執行ができるかについて具体的に示すこと。

 九 代執行の対象となる特定空家等に残された動産の取扱いについて、本法の円滑な実施の観点からの検討を進めること。

 十 借地上の特定空家等が代執行により除却された場合において、土地の利用価値が増加し土地所有者等に受益が生じるとして負担を求め得るかの検討を進めること。

 十一 市町村長による空家等管理活用支援法人の指定が円滑に進むよう、先進事例を紹介しつつ、指定に当たっての考え方を示すなど、市町村長が指定しやすい環境を整備すること。また、市町村が空家等管理活用支援法人を積極的に利用できるよう、十分な支援措置と予算措置とを講ずることについて、検討を進めること。

 十二 本法の円滑な施行に当たっては、地方公共団体の空き家担当職員の確保及び地方公共団体の空き家対策予算の充実が重要であることに鑑み、地方公共団体の担当職員の増員を促し、地方交付税制度等による財政の支援に努めること。

 十三 空家等の発生及び増加の抑制のための対策を講じ、地方公共団体にその対策を促すこと。また、空家等の活用等を促進するため、筆界又は境界の確定に関する所有者及び市町村への支援を行うこと。

 十四 本法の第十八条に定める空家等の活用の促進についての配慮が円滑に進むよう、都道府県や関係府省にその運用について十分に周知徹底すること。

 十五 本法の特例により、狭あい道路が更に狭あいになることがないようにすること。また、空家等に関する除却を行う際に狭あい道路を拡幅するなどの災害対策と空き家対策の連携方策について、検討を進めること。

 十六 国土交通省の空き家対策モデル事業においては、その趣旨及び目的に鑑み、地方公共団体と法務、不動産、福祉等の資格を有する専門家との積極的な連携を図り、地域の活性化に資する優良な取組を支援すること。

 十七 部分居住の長屋の非居住住戸が著しく保安上危険等の状態になっている場合に本法の適用対象とすることについて検討を進めるとともに、全部非居住の長屋も含めて、建物の区分所有等に関する法律を踏まえた本法の措置の在り方について、検討を進めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

木原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)国務大臣 空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 誠にありがとうございました。

    ―――――――――――――

木原委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

木原委員長 次回は、来る十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十七分散会


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