衆議院

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第13号 令和5年5月12日(金曜日)

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令和五年五月十二日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 木原  稔君

   理事 加藤 鮎子君 理事 津島  淳君

   理事 中根 一幸君 理事 長坂 康正君

   理事 伴野  豊君 理事 谷田川 元君

   理事 赤木 正幸君 理事 伊藤  渉君

      泉田 裕彦君    小里 泰弘君

      柿沢 未途君    菅家 一郎君

      工藤 彰三君    小林 史明君

      櫻田 義孝君    田中 英之君

      田中 良生君    谷川 とむ君

      冨樫 博之君    土井  亨君

      中川 郁子君    中村 裕之君

      西田 昭二君    西野 太亮君

      根本 幸典君    深澤 陽一君

      古川  康君    宮崎 政久君

      武藤 容治君    枝野 幸男君

      小熊 慎司君    城井  崇君

      小宮山泰子君    神津たけし君

      下条 みつ君    末次 精一君

      一谷勇一郎君    前川 清成君

      山本 剛正君    北側 一雄君

      中川 康洋君    古川 元久君

      高橋千鶴子君    福島 伸享君

      たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   国土交通副大臣      石井 浩郎君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 上村  昇君

   政府参考人

   (内閣府総合海洋政策推進事務局次長)       吉田 幸三君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          片岡  進君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 的井 宏樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 宇野 善昌君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         佐藤 寿延君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        岡村 次郎君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 堀内丈太郎君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  高橋 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  堀田  治君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  久保田雅晴君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    石井 昌平君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            秦  康之君

   国土交通委員会専門員   鈴木 鉄夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十二日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     西野 太亮君

同日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     小林 史明君

    ―――――――――――――

五月十一日

 気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)(参議院送付)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長宇野善昌君、大臣官房公共交通・物流政策審議官鶴田浩久君、大臣官房技術審議官佐藤寿延君、不動産・建設経済局長長橋和久君、水管理・国土保全局長岡村次郎君、道路局長丹羽克彦君、住宅局長塩見英之君、鉄道局長上原淳君、自動車局長堀内丈太郎君、海事局長高橋一郎君、港湾局長堀田治君、航空局長久保田雅晴君、海上保安庁長官石井昌平君、内閣府大臣官房審議官上村昇君、総合海洋政策推進事務局次長吉田幸三君、消費者庁政策立案総括審議官片岡進君、総務省大臣官房審議官的井宏樹君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官佐々木昌弘君及び環境省水・大気環境局長秦康之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。土井亨君。

土井委員 おはようございます。自民党の土井でございます。

 久方ぶりの質問ということで緊張いたしておりますが、是非よろしくお願いをいたしたいと思います。

 冒頭ですが、地震が頻発いたしております。石川県の能登地方では犠牲になられた方もいらっしゃる、御冥福をお祈りをいたしたいと思いますし、昨日の未明には千葉県南部でも地震が発生をいたしました。

 この日本、地震国と言われても、やはり国民の生命財産を守る、これが一番でありますし、国土交通省の皆さんも気の休まる日がないというふうに思いますが、安心して暮らしていける、万々が一地震や自然災害に遭ったときでもしっかり対応してくれる、そういうことで頑張って対応していただきたいというふうに思います。私も、東日本大震災のときには、発災時、地元の仙台におりまして、本当にこの世の地獄だなと、そして、何日も何日も不安な日々を過ごしたということを本当に鮮明に覚えております。

 地震の大きさ、小ささ、被害の大きさ、小ささ関係なく、被災されたり被害に遭われた皆さん方は不安な日々を過ごされている。まして、一週間ぐらいはまた地震が来るのではないかと言われる中で暮らしているわけでありますから、是非、万全の体制を取っていただきながら、国民の命を、財産を守っていただきたいというふうに思います。これはお願いを申し上げたいと存じます。

 今日の質問は、事業評価と二〇二四年問題の建設業の皆さんに対しての質問をさせていただきたいと思うのでありますが、平成に入りましてから、バブルが崩壊をし、まさに日本が暗い時代に突入をいたしました。そういう中でも、政治の中では行政改革また政治改革が進められてきたのでありますが、しかし、私が振り返ると、どうも、このいろいろな法律や制度、大都市や大企業を見て作られた制度のような気がいたしております。

 規制緩和もそうでありました。大都市や大企業にとってはいい規制緩和であっても、その規制緩和は、地方、地域によっては地域経済を壊してしまうような、そういう規制緩和も多くあったのではないか。もっともっとこれからは地方や地域に視点を持って制度等々が展開をされていかなければならない、そういう思いを持ちながら質問をさせていただきたいと思います。

 まず、事業評価についてであります。

 前々回の本委員会でも、BバイC、事業評価について質問がございました。平成九年十二月の大臣の指示によって、平成十年度からこの事業評価というのが試行的に始まりました。また、国土交通省として、平成十六年二月には、公共事業の費用便益分析に関する技術指針というものを出されました。それによって、事業評価に対する評価方法、計測方法等々によって行われてきたのでありますが、あれからもう二十年以上たちます。

 地域の事情も変わっておりますし、むしろ、地域の皆さん方が意欲的に地域の活性化に向けて取り組むという姿勢で頑張っておられます。そして、そのことに役立つのが私は公共事業だというふうに思います。無駄な公共事業は決してあってはなりませんが、地域の皆さんが地域の活性化のために必要だと言われるような公共事業は、私は、大切な公共事業だということで促進をしていかなければならない。

 そういう意味で、今現在、都市部の公共事業の役割と、地方、地域の公共事業の役割というものは、おのずと違っているというふうに考えております。しかしながら、BバイCは一律に評価されております。

 是非、現在の事業評価の在り方、都市部また地方の事業評価の在り方、このことをどのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺いをさせていただきたいと存じます。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省所管の公共事業については、公共事業の効率性及びその実施過程の透明性の一層の向上を図るため、費用便益分析、いわゆるBバイC分析を含め、総合的に事業評価を実施しております。

 費用便益、BバイC分析に当たっては、貨幣換算が可能な効果を便益、Bとして計上しており、都市部と地方部にかかわらず、全国同じ手法で算出しております。

 なお、地方部の公共事業の効果については、BバイC以外の貨幣換算が困難な効果として、例えば、地域経済への影響、災害による孤立化の解消なども含め、総合的に評価しております。

土井委員 ちょっと前振りが長過ぎて時間が足りなくなってきたので、簡単に質問させていただきたいと思います。

 今、総合的にという言葉が出てまいりました。確かに、貨幣換算できない、こういうものをしっかりと見ていただいているということは感謝をいたしておりますが、私は、むしろ、今、貨幣換算できないものこそ大切なんだろうというふうに思っております。

 特に、地方再生、地方創生に取り組む自治体、地方、地域にとっては、まさに貨幣換算できないものを重視しながら、将来にわたってまちづくりやそういうものを考えている。企業誘致もそうだと思います。今現在は観光促進というものもそうだというふうに思います。そういう、将来にわたっての地域の活性化のための公共事業というもの、これは貨幣換算できませんが、むしろ、私は貨幣換算よりも大切な視点として捉えていかなければならないというふうに思います。

 そこで、事業評価と地域再生の関係性について、どのような役割を果たすのか、考慮されているのか、お伺いをいたします。

佐藤政府参考人 公共事業には、貨幣換算が可能な便益だけではなく、貨幣換算することが困難な効果も含め、様々な効果が期待されております。

 委員御指摘の地方創生の観点については、例えば道路事業では、BバイCのほかに、貨幣換算することが困難な事業の効果として、沿道まちづくりの連携、拠点開発プロジェクトの支援、農林水産品の流通の利便性向上の項目についても客観的に評価するなど、公共事業の評価に当たっては、様々な視点を踏まえ、総合的に評価をしております。

土井委員 今も総合的にと。おっしゃっていることは分かりますけれども、現実的に、やはり地方、地域、自治体にとってはそういうものが大切なものでありますから、むしろ、そういうことを重視して私は事業評価というのはなされなきゃならないというふうに思っております。

 それで、大臣、前々回の委員会でも社会的割引率という問題提起がされました。二十年間も四%という形で来ております。時代が変わってきている、地域の要望も変わってきている、地域の公共事業に対する期待、役割というものも変わってきている、そういう意味では、この事業評価、BバイCの在り方というもの、そういうものもしっかり私は変えていかなければならない、変えることを恐れてはならないというふうに思います。

 今申しましたような社会的割引率等々を含めて、やはり具体的に改善、見直していかなければならないと思いますが、これは、大臣、是非よろしくお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 この社会的割引率、二十年間四%で変わっていない、しかし、社会の状況が大きく変わっている、そういう中で、今、公共事業評価手法研究委員会、有識者会議の中でこの割引率の設定の在り方について御議論をいただこうと思っております。

 早急に、その御議論も踏まえまして、我々も検討していきたいと思います。

土井委員 ありがとうございますと言っていいのか何か分かりませんが、是非これは見直していただきたい。

 世界的にも見直しは当然でありますし、また、そのことによって私は事業評価全体の在り方というものまで是非見直していただきたい。日本なりの事業評価があっていいはずだというふうに思います。グローバルな物の見方、もう一つはローカル的な物の見方というものも私はこれからの日本の地域社会、特に地方、地域には必要だというふうに思いますので、是非、見直し、前向きにこれからも行っていただきたいというふうに思います。

 次に、二〇二四年問題、働き方改革ということで、今、物流業界、大変苦慮している、このことがクローズアップされておりますが、一方で、地域で頑張っている建設業の方々、中小企業、中小建設業の方々も苦慮いたしております。これも、前段申し上げましたとおり、大手の皆さん方は何とか対応できますが、やはり地域の中で頑張っている小さな中小建設業の皆さん方は、大変な思いをしながら今取組をされているというふうに思っております。

 そこで大切なのは、やはりどんな建設業であっても週休二日はしっかりとやらなければいけないということであります。

 この週休二日の取組について、国交省としてどのように御判断されているか、また、どのような対策を今講じようとしているのか、お伺いをいたします。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、建設企業はその規模によってやはり対応に違いがあるものと認識しておりますけれども、時間外労働の上限規制の適用が来年四月に迫る中で、経営的に厳しい中小の建設業であっても実効性のある働き方改革を実現し、地域の守り手としての役割が持続できるよう、国土交通省としてもしっかり支援していくことが重要だと思っています。

 特に、今御指摘のあった週休二日の関係でございますけれども、国土交通省の直轄土木工事におきましては、原則全ての工事を対象として週休二日を確保できるように実施するとともに、繰越制度の適切な活用によって適正な工期の確保を図るという取組を進めております。こうした取組を横展開すべく、地方公共団体を含む全ての公共発注者に対して、適正な工期設定、必要な工期の変更や繰越手続の実施について今要請しているところでございます。

 また、民間の方の発注工事におきましても、工期基準の周知徹底を図っているところでございますが、今年度から、特に厚労省と連携しまして、発注者に対してもモニタリング調査を実施するなど、工期の適正化に向けた働きかけ、あるいは注意喚起を行うこととしております。

 引き続き、適正な工期の確保、週休二日の確保のための取組を進めてまいりたいと考えております。

土井委員 今御答弁いただきましたように、週休二日を実行するためには工期というものが大変私は重要だというふうに思います。昔と言うと変ですが、繰越しだったり、年度をまたいでという、そういう工事はいっぱいありました。今はなかなか年度をまたいだ工期ということができないという、厳しくなっているということも現状であります。

 しかし、自然環境や工事の中身等々、いろいろな形の中で、工期が迫るとどうしても無理をしなければいけない、工期の柔軟性のある設定また対応、これが必要だというふうに思っております。

 是非、国土交通省、国が先頭を切って一生懸命やられているわけでありますから、自治体に対しても、工期の設定、また、年度末だからといって急ぐ、そういうことがあってはなりませんので、しっかりと繰越しができるような、そういう体制、そういうものが構築できるようにお願いをいたしたいというふうに思います。

 そして、民間事業の皆さん方は一番大変だと思います。やはり、民間はどうしても工期が厳しくなります。それは、早く造って、早くそこで営業したり、利益を上げるということが一番大切になりますので、公共事業とは全く違う活動の中で工期が設定をされるわけでありますから、これは民間の皆さんに本当に協力していただく、そういう体制をやはり国土交通省としてしっかりと要請をしていく、このことが大切だというふうに思いますので、是非、局長、民間の皆さんにも積極的にお願いというか要請をしていただきたいというふうに思います。

 また、残業が減るということは、これは地方、地域で頑張っている中小建設業の社員の皆さんからすると、いわば残業手当も踏まえた中での生活給ということで今まで頑張ってこられたということもよくお聞きをいたしております。この生活給としての残業の手当というか、それがなくなりますと、いわゆる給料が下がったという、生活給が少なくなったというふうに捉えられかねませんし、また、現実的にはそうなる可能性があります。

 そうすると、今人手不足で悩んでいる、そういう中で、従事をしている皆さん方が離職をしていくということも考えられます。ますます経営が難しくなっていく。本当に地域の中から地域の守り手として頑張っていただく建設業の皆さん方がいなくなるというのは、大変私は不幸なことだと思いますので、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。

木原委員長 時間が経過しておりますので、終了してください。

土井委員 済みません、質問の熱が入りまして、オーバーしてしまいました。申し訳ありません。

 ほかに質問項目があったんですが、申し訳ありません。

 副大臣、申し訳ありません。別の機会に是非御質問させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。

 本日も質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 今日は一般質疑ということで、三点ほど御質問をさせていただきます。

 最初に、緊急浚渫推進事業の更なる延長についてお伺いをいたします。

 近年、気候変動等による大規模な浸水被害が頻発をする中、地方自治体が緊急的かつ集中的に河川のしゅんせつやダムの機能確保のための土砂掘削に取り組み、危険箇所を解消することの重要性、これが増しております。現に私が県会議員の時代におきましても、県管理河川の氾濫の危険性が高まる中、市町や県民から河川等における堆積土砂撤去の要望、これは非常に強いものがございました。

 このため、総務省は、国交省と連携いたしまして、地方からの要望に応える形で、令和二年度から六年度まで、地方自治体が単独事業として行う緊急的な河川等のしゅんせつ経費等について地方債の発行を可能とするための特例措置として、新たに緊急浚渫推進事業債、これを創設をしていただいております。

 私は、この総務省の判断は、画期的かつ地方の声に国が応えた施策として、大変高く評価している一人でございます。また、地方自治体の現場においても、うれしい声として、樹木伐採や堆積土砂の撤去により、大雨時においても水位上昇を抑え、地域の安全を確保することができたとか、台風による豪雨では、事前にしゅんせつを実施したことで、越水による浸水被害を防止することができたなど、多くの実績や効果が報告をされているところでございます。

 しかし、この事業は、先ほども述べたように、令和二年度から令和六年度までの時限事業でございます。そのため、いまだ必要な事業を抱える地方自治体からは、更なる継続を求める声、これが上がっておるのと同時に、私の地元、三重県では、計画に示された撤去を必要とする事業のうち、令和六年度までに完了する率、これは三六%ということになっておりまして、仮に令和七年度以降も継続した場合、あと十年あれば対策が完了できる、このような報告も聞いております。

 確かに、河川等の堆積土砂の撤去等は、あくまでこれは維持管理の事業でありますので、その事業に対して半永久的に地方債の発行を可能とするような措置、これは私は講じる必要はない、このようにも思っているわけでございます。

 しかし、現在、各地方自治体がこの事業を活用して防災・減災にも資する堆積土砂等の撤去を加速させている中、少なくともその計画完了までこの事業を継続、延長することの必要性、これはあるのではないか、こんなふうに考える一人でございます。

 そこで、本日は総務省に伺いますが、現在、鋭意取組を進め、現場において数多くの効果も報告されておりますこの緊急浚渫推進事業については、引き続き、地方からの声もしっかりと聞く中、令和七年度以降も継続してその延長を図る必要がある、このように考えますが、いかがでしょうか。見解を伺います。

的井政府参考人 お答えいたします。

 近年、災害が激甚化、頻発化いたしておりまして、大規模な河川氾濫などが相次ぐ中、河川などにおける堆積土砂の撤去は喫緊の課題である、このように認識をいたしているところでございます。

 このため、令和二年度に緊急浚渫推進事業債を創設をいたしまして、令和六年度までの五年間、しゅんせつ等に係る事業費につきまして地方債を特例的に発行できることといたしまして、更に加えまして、その元利償還、元利償還金の七〇%を交付税措置をするということとさせていただいているところでございます。

 この事業債でございますが、これまで多くの地方団体において御活用いただきまして、委員御指摘のとおり、実際に豪雨時に河川氾濫や浸水被害などが発生しなかったなどといった、評価をする声をいただいているところでございまして、大きな防災上の効果があったものと考えているところでございます。

 総務省といたしましては、引き続き、こうした活用事例などを紹介いたしますとともに、関係省庁とも連携を図りながら、令和六年度までに緊急性の高い箇所のしゅんせつ等を地方団体において完了することができるよう活用促進に取り組んでまいりたい、このように考えております。

 その上で、本事業債の期間終了後の在り方につきましては、既に幾つかの地方団体から延長の要望を伺っているところでございますけれども、関係省庁とも連携をいたしまして、地方団体の取組状況などを踏まえて判断をいたしてまいりたい、このように考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 これは、今まではやはり維持管理ということで、単費でやらなきゃいかぬという状況があったものですから、地方ではやはり大変に様々な要望があったわけでございます。これを、令和二年度から地方債の発行を可能とする、これは非常に私は英断していただいたと思っておるわけでございます。やはり地方に行きますと大変喜ばれております。

 今、気候変動の中で本当に災害が頻発をしている中で、やはりまだ完了していないところがあると思うんですね。しかし、令和六年度まではまだ一年半ありますので、まずは令和六年度まで事業の推進をしっかりと促していただいて、それと同時に、やはり国交省、総務省が連携を図る中、又は財務省ともしっかりと意見交換をしていただく中で、これは延長という形を是非取っていただきたい。これはやはり地方の生の声として私はあるんじゃないかなと思いましたので、今日は頭出しという意味で御質問をさせていただきました。

 続きまして、二点目に、地方整備局の人員の確保について御質問をいたします。

 国交省における災害発生時の重要な任務の一つでありますTEC―FORCEは、大規模自然災害への備えとして、迅速に地方自治体への支援が行えるように、平成二十年の四月に創設をされるのとともに、その主要な任務は、実は各地方整備局等の職員が担っていただいております。

 私の地元であります三重県を中心に平成二十三年に発災をいたしました紀伊半島大水害でも、国交大臣の指示の下、発災直後から、TEC―FORCEとして、専門知識を有する職員の派遣や災害対策用の資機材の広域運用を開始していただき、発災直後一か月の間に、地方整備局の職員を中心に、延べ四千三百人を超える体制で、被災した三重県、奈良県、和歌山県において、大規模な土砂災害等に対する高度技術支援や被害拡大防止等、これを実施をしていただきました。

 また、今国会に法案が提出されておりまして、令和六年度から、これまでの厚労省から、国土交通省にその業務が移管をされます水道整備及び管理行政についても、その具体的な業務及び事務は各地方整備局が担うことになっております。

 しかし、この肝腎要である地方整備局等の定員は、この四年間は微増しておりますが、発足時の約二十年前に比べると何と二割以上も減少しており、地方整備局等の人員の確保、これは私はもう急務の課題だ、こんなふうに捉えておる一人でございます。

 そこで伺いますが、近年、自然災害が激甚化、頻発化し、今後、国交省に移管される上水道も含めたインフラの老朽化が急速に進む中、災害発生時におけるTEC―FORCEの地方自治体への迅速な支援に加え、地域の防災・減災、国土強靱化を加速させるためにも、この地方整備局等の更なる人員の確保、充実、これを図ることは大変重要な取組、このように考えるわけでございますが、国交省の見解、これをお伺いをしたいと思います。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 昨今、自然災害が激甚化、頻発化し、インフラの老朽化が進む中で、国民の皆様の命と暮らしを守る地方整備局及び北海道開発局の役割はますます大きくなっております。

 このため、地方整備局等において必要な人員体制を確保することは極めて重要であり、国土交通省では、毎年度の定員要求において重点的かつ継続的に取り組んでいるところでございます。

 その結果、令和二年度から純増を確保しており、令和五年度においても百名の純増となりました。

 今後とも、防災・減災、国土強靱化の最前線を担う地方整備局等について、事務所、出張所も含めて必要な人員体制の確保に向け、最大限努力してまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。今、御丁寧に、地方整備局と北海道開発局というお話もいただきました。丁寧な答弁をいただきましてありがとうございました。

 まさしくそのとおりでございまして、私は、平成二十三年、県会議員だったんですけれども、紀伊半島大水害というのが発災いたしまして、本当に道路寸断の中、中部地方整備局とそれから近畿地方整備局からやはりぐっと入っていただいて、一か月、本当に様々な支援をしていただいたわけでございます。

 これは地方にとっては本当に喜ばれまして、やはり現場の第一線でやっているのが地方整備局並びに北海道開発局の職員だという思いの中で、今日この質問をさせていただきました。

 定員管理の中で二割減っていったという歴史があって、最近では増えているわけですけれども、二割減る中で、毎年のこの純増を見ると、まだ一%なんですね。一%だと何年かかるか分からないというところがありますので、我々も本当にここの部分、やはり現場で、最前線でお仕事をされている方ですので、支援をしていきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 水行政もこれから国交省でございますので、上下水道というところも含めて御要望申し上げ、我々も応援をしてまいりたいという、この思いで質問をさせていただきました。

 そうしたら、三点目、これはちょっと前回質問できなかったことを今日御質問させていただきますが、国道二十五号名阪国道の整備、更新について道路局長にお伺いをしたいと思います。

 この国道二十五号名阪国道は、三重県亀山市と奈良県天理市を結ぶ延長七十三・二キロメートルの自動車専用道路でございまして、昭和四十年十二月に暫定二車線で開通するとともに、昭和五十五年の三月には全線四車線となったものでございます。現在は建設から既にもう五十八年が経過をしておりまして、増加する交通事故などの課題に対処するため、インターチェンジ等の改良、また道路構造の改善、橋梁の長寿命化、こういったものを進めていただいております。ありがとうございます。

 また、利用者の利便性の向上の観点から、サービスエリアの改修、これも重要でございまして、特に伊賀サービスエリア上り線のトイレにつきましては、昨年三月に、その手前にありました民間の上野ドライブインが閉鎖されたこと、さらには、観光需要の持ち直しや大型バスの利用も予想される中、既に、休日におきましては、特に女子トイレにおいて利用者が並んでしまうなど、必ずしも利用者のニーズに応え切れていない現状がございます。

 ここで、皆様に配付をいたしました資料を御覧をいただきたいと思います。

 これはゴールデンウィーク後半の初日でございます五月三日の、伊賀サービスエリア上り線の女子トイレの混雑状況でございますが、朝八時前より女子トイレの利用待ちの列ができ始めております。八時二十分頃には既にもう三十名前後の方が並んでおりまして、私はもっと多いんじゃないかと思っているんですけれども、十時二十分頃にはもう女子トイレの待ちの列が駐車場の横まで延びまして、写真の真ん中は、これは実は車の往来というか進入路でございますので、その横の通路に並んでいただくよう、いわゆる社員が整理をした、こういったお話をいただきました。

 ちなみに、多目的トイレの方にも利用者の方が並んでおります。小さなお子さんがこの進入路のところを歩いている、こういった状況もこの写真からは見えるわけなんですね。

 確かに、この伊賀サービスエリア上り線のトイレは令和二年度並びに四年度に一部改修が行われていますが、私は、利用者が今後も清潔で安心して利用していただき、そのニーズに十分応えていくためには、このトイレの増床や子供用トイレの設置など、早急に抜本的な改修、これが必要ではないか、このように考えています。

 そこで伺いますが、建設から既に六十年近くがたっている国道二十五号名阪国道につきましては、今後も大規模改修も含めた整備、更新を着実に進めていくのとともに、サービスエリアにおけるトイレ等の施設についても、更なるサービスの向上と利用者の視点に立った抜本的改修を行う必要がある、このように考えますが、いかがでしょうか。国交省の見解を伺います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 国道二十五号の名阪国道、昭和四十年に開通した、亀山市、天理市を結ぶ無料の自動車専用道路でございまして、上り線には伊賀サービスエリアが設置されているところでございます。

 この名阪国道につきましては、これまでにも橋梁補修あるいは舗装補修などの老朽化対策、これを計画的に進めてきているところでございますが、これに加えまして、縦断線形が四%を超える急勾配の区間が十三区間存在することから、走行上の課題もございまして、大規模更新が大きな課題であると認識をいたしております。

 また、御指摘のこの伊賀サービスエリアでございますが、施設の老朽化に伴いまして、これまで、建物、トイレの改修工事、駐車場の拡張などを随時実施してきておりまして、令和二年度には便器の洋式化、ウォシュレット化、さらには、令和四年度には洗面所の自動水栓化などを実施したところでございます。

 このような中、このサービスエリアにつきまして、ゴールデンウィークの期間であります五月四日、委員は三日でございますが、我々が五月の四日に行いました利用実態調査では、委員御指摘のとおり、観光バス到着時に女性用トイレに長い待ち行列が生じる、そういう課題を把握いたしました。

 今後、この休憩施設を含めました道路インフラの老朽化が進展する中で、既存の道路施設を適切に維持管理、更新していく取組がより一層重要になると認識しておりまして、老朽化の状況、また利用者のニーズ、これを踏まえまして、利用者の視点に立って必要な対応を適切に行ってまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 利用者のニーズに立って適切な対応を行っていただきたいと、前向きな答弁をいただいたなというふうに思っています。大変にありがとうございました。

 この名阪国道、もう六十年近くたっていまして、渋滞率が非常に高いんですね。事故なんかが起きますと、もう本当に膨大な渋滞になると。今は新東名、新名神ともできていますので、以前ほどではないんですが、無料道路だから対応しなくていいという、こういった問題ではないというふうに思います。

 先ほど、五月四日に国交省も調査していただいたという話がありましたが、最大で五十名を超える列ができたと。これから、コロナが落ち着いて、観光とかインバウンド、これが進んでくると思うんですね。この名阪国道というのはまさしく東京―京都のゴールデンルートの一つにもなっておりますので、今後、本当に観光を推進すると、観光バスが二台、三台入ると本当にトイレの利用ができなくなる、こういった状況が出てくると思いますので、現場の状況を把握していただきながら、鋭意御検討又は着手をお願いをしたいと思います。

 そのことを要望申し上げまして、質問を終わります。大変にありがとうございました。

木原委員長 次に、城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 斉藤国土交通大臣、今回もよろしくお願いいたします。

 まず、元国土交通次官らの民間企業人事介入問題、とりわけに当該民間企業の第三者委員会の報告について伺います。

 前回の委員会で、次の衆議院国土交通委員会に、国土交通省から事実確認を含めて客観的な全省調査を行って報告いただくよう、国土交通大臣と国土交通委員長にお願いをしていました。本日五月十二日の国土交通委員会理事会にて国交省による内部調査の一定の報告がなされたと聞いております。その報告を踏まえて、以下質問をいたします。

 まず、大臣、今回の件をめぐって現役職員と官僚OBでメールのやり取りがあった、これだけでも現役の関与は十分明らかだと考えます。大臣、このメールのやり取りの事実をお認めになりますか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、大臣官房総務課より山口氏に対し人事情報の送付があったとされる点について、現在及び当時の大臣官房総務課担当者に事実関係を確認いたしました。その結果、当該メールの送付は、事実であったと考えております。

 当時の担当者からは、令和三年七月一日付発令予定の事務系総合職職員の内示情報について、職員有志が収集して取りまとめ、省内の職員や関係者に慣習的に広く共有されていたものであり、その一環として山口氏にも送付されたものと考えられる、山口氏より個別に人事情報の送付依頼を受けた記憶はないとのコメントを得ています。

 送付された情報には、現役事務系総合職の内示対象者の異動情報、具体的には、氏名、入省年次、現職及び異動先を整理したものであり、省内職員を中心に慣習的に広く共有されてきたものでございます。

 次に、航空局総務課より山口氏に対し人事情報の送付があったとされている点について、航空局総務課に事実関係を確認いたしました。その結果、当該メールの送付があった事実を確認いたしました。

 人事異動日の前業務日である令和三年六月三十日及び令和四年十二月二十八日に、航空局総務課より、当該異動情報、具体的には、退職予定者を含む航空局職員の異動対象者について、氏名、現職、異動先を記載した行政文書の送付がありました。

 保存されているメールによれば、局内各課、地方支分部局等のほか、関係企業、業界団体等に対し同時配信されており、そのうち関係企業の一つである空港施設株式会社に係る送付先として、総務担当役員である山口氏が含まれておりました。

城井委員 少なくとも二つのメールについてはやり取りは事実であった、これは大臣がお認めいただいたということであります。人事情報の内容については後ほど聞きます。

 まず、このメールの中には、現役職員から山口氏へ送られた未公表の人事情報つきのものがありました。このメールは、皆様もお手元の資料で見ていただけると思いますが、BCC、ブラインドカーボンコピーにて送られていました。送られた先が問題です。山口氏を含めて何人いて、どなた宛てに送られていましたか。その中に現役職員以外で受け取った人は山口氏のほかに何人いましたか。それは誰ですか。大臣、お答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、令和三年六月二十九日に大臣官房総務課から山口氏に送信されたとされるメールにつきましては、送信側には保存されていなかったため、送付先については確認できませんでした。しかしながら、先ほど申し上げましたように、慣習的に人事異動があったときに送っておりました。

 このため、直近となる令和五年四月時点で送付された同旨のメールの送付先を確認したところ、その総数は千五十八件であり、このうち百七十三件が非政府系アドレスでしたが、アドレスしか残されていないため、具体的に誰に対して送付されていたのかは特定できておりません。

城井委員 千五十八件のうち、非政府系が百七十三件、アドレスのみ、誰に送っているか分からない。大臣、これはさすがにまずい。人事情報がつけられたメールの送付先が分からない。大臣、これはまずいです。

 特に、先ほどの二通のメールのうちのもう一つは、関係企業や業界団体にも送っていたというふうに御説明をいただけたわけです。ところが、もう一つの方は、今のお話、分からない。大臣、この関係企業や業界団体、つまり、企業幹部や社用メールに送られたメールは何件あったか、これは確認しますよね、されましたか。

斉藤(鉄)国務大臣 いわゆる航空局総務課から、航空局から送られたことにつきましては、これはしっかり、関係企業、業界団体等に送付されて把握しております。

 航空局総務課からの送付につきましては、局内各課、地方支分部局等計八百七十六名のほか、関係企業、業界団体等十四名に対し送信されており、そのうち、関係企業の一つである空港施設株式会社に係る送付先として、総務担当役員であった山口氏も含まれておりました。

城井委員 今の関係企業、団体十四名は重要な数字だと思います。先ほど、先日も御指摘を申し上げましたが、所管の営利企業や関係団体に国交省から相当数再就職をしています。その意味では、今回の人事情報のメール、官僚OBに何を送られていたかというのは極めて重要であります。

 少なくとも、関係企業、団体十四名が含まれるのではないかというふうに考えますが、大臣、この官僚OBへの送付はもちろん確認しますよね。今、数字が分かるなら教えてください。もし分からないなら、官僚OBが含まれるか。当然、メールアドレスを突合すれば分かるはず。その方々の調査をもちろん行いますよね、大臣。御明言ください。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほどの、今の質問は、いわゆる官房総務課から送られた方のメールのアドレスしか分からないという点について、その送付先を特定せよ、こういう御趣旨でございますね。

 先ほど申し上げましたように、アドレスしか残っていないため、困難ですが、技術的な課題はありますが、最大限の努力をしてメール送付先を特定したいと思います。

城井委員 最大限では困ります。誰に送ったか分からないメールに、人事情報をくっつけて御丁寧に慣習的に送っていた。こういうことでは、大臣、許されません。

 百七十三件の、先ほどの大臣官房からのメールの部分についての関係企業、団体への送付の分を確認いただくこと。そして、先ほどの航空局からの分の関係企業、団体十四名、この詳細を我々に示していただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 航空局の方につきましては、この十四名、これはすぐ分かりますので、御提出できると思いますし、先ほどの百七十三アドレスについては、最大限努力をして特定をする。その作業をしたいと思います。

城井委員 まず、航空局の関係企業、団体十四名、今御説明いただきたいと思います。お願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 済みません。今手元に、この十四名、関係企業、業界団体等ということでございまして、その具体名は、今ここではちょっと分かりません。(城井委員「止めていただいて、御確認をいただいてください」と呼ぶ)

木原委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

木原委員長 速記を起こしてください。

 斉藤国土交通大臣。

斉藤(鉄)国務大臣 この十四名に対して、ちょっと時間がかかりますので、今すぐここでお示しすることはできませんけれども、できるだけ早く、今日中にはお示しをしたいと思います。

城井委員 今日中に委員会に提出いただくということでお願いします。委員長、お取り計らいお願いします。

木原委員長 個人情報もあると思うので、これは一旦理事会で協議をさせていただきます。

城井委員 民間企業、団体に送っていたという事実が確認したいという趣旨でありますので、御配慮いただきたいと思います。

 それからもう一つ。先ほどの、大臣官房からの百七十三件の内数の中での関係企業、団体、最大限の御努力という趣旨の御発言がありましたが、これも我々にきちんと、具体的に示していただけますね。

斉藤(鉄)国務大臣 最大限努力をしまして、委員会にお示ししたいと思います。

城井委員 お願いいたします。

 このメールのやり取りは、送信時点で未公表の人事情報の提供が含まれました。これは国家公務員法違反を始めとした違法行為ではありませんか。少なくとも守秘義務の違反であることは明確だというふうに考えます。

 大臣、違法か否か、具体的にどの法律に違反しているか、明確にお答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 大臣官房総務課からのメールは、七月一日付異動情報を、報道発表した日である六月三十日の一日前に送付しておりました。いまだ公表されていない異動に関する情報が、内示後ではあるものの、報道発表の前に外部の者に共有されていたことは大変遺憾なことであり、事務方に対して厳しく注意したところでございますし、今後この点を改善をしていきたい、このように思っております。

 他方で、この情報の漏えいが守秘義務違反に当たるか否かは、その情報が国土交通省の機密扱いとされているかどうかによることになります。国土交通省の内規では、内示情報は機密扱いとはされておりません。

 機密扱いとされていない理由は、内示は異動の発令前に人事異動者に対して行われる事実行為でございまして、内示を受けた者は、前任者や後任者との引継ぎ、現在の部署からの退出、新しい部署での受入れが円滑に行われるよう、必要な範囲内で自身の異動情報を伝えることが行われているところでございます。また、ちょっと遠方に行くときには引っ越しの準備もしなくてはなりません。そういう意味で内示を機密扱いとはしていないところでございます。

 したがいまして、直ちに守秘義務違反に当たるものではないと思いますけれども、しかしながら、今後、適切な異動情報の管理の観点から、改善策について検討を行うよう強く指示したところでございます。

 先ほどの、漏えいした、一日前に出したものも、自分の後に誰が来るなとか、自分の前任者は誰なのかとかということを線で結んだ、内部で情報を共有する、そういうものでございました。この点を是非御理解を賜りたいと思います。

城井委員 大臣、報道発表の一日前、未公表なんですよ。遺憾では済まない。機密扱いではないというお話です、内部のというお話でしたが、私は、ここであえて申し上げなければならないのは、内部ではなくて外部に出たから問題、未公表の段階で外部に出たから問題だということを申し上げているんです。

 今回、そもそも、このメールに添付されていた人事情報は、いわゆる人事異動の一覧、今の、新しいところはここ、古いところはここと書いてある、例のあれだけではないんですよね。大臣も今おっしゃったように、業界で、省庁は呼び方が違うそうなんですが、線引きとか棒引き表とか、何か片仮名の名前がついている省庁もあったそうですが、そういう一覧表も含まれていました。

 実際にメールの添付ファイルの名前も線引きでした。各部局の職員の前任、後任が分かる。いつ退職しそうかも分かる。実際、退職予定者も含まれるというふうに今回の国土交通省の一定の報告にも書いてあります。つまり、個人情報の塊です。本来は人事課に関わるごく少数が持っている資料だと官僚出身者からは聞きました。

 この線引きは、大臣、現役職員が作っていますね。恒常的に作って、恒常的かつ慣習的に、現役職員のみならず、職員OBにも送っていましたね。大臣、この事実を確認させてください。

斉藤(鉄)国務大臣 城井委員おっしゃるように、この情報が公表前に、それも外部に漏れたことについては、これは大変大きな問題だ、このように思っております。ここはきちんとこれから規律を正していきたい、このように考えております。

 そして、いわゆる線引きでございますけれども、この線引きは、事務系総合職に係る内示対象者の異動情報、具体的には、氏名、入省年次、現職及び異動先を記載するとともに、前後任の間を線で接続し、異動全体の流れを整理したファイルとして、省内事務系総合職職員を中心に、慣習的に広く共有されてきたものでございます。

 いわゆるこの線引きを作成し、送付すること自体は、先ほど申し上げましたとおり、法律に違反するものではございません。

 しかしながら、先ほど申し上げましたように、この情報が、内示後ではありますけれども、公表前に、そしてまた外部に漏れたことについては、これは我々も深く反省し、ここの規律はしっかり正していきたいと思います。

城井委員 内示は理解をするんです。内部での情報共有、あり得るでしょう。問題は、未公表人事情報を外部に出していたというのが問題なんです。そこについてお答えいただけていないんです。

 この線引きは、若手職員に命じて恒常的に作っている内部資料だと国交省からも事前に説明を受けました。私的ファイルだという説明だったんですが、そんな言い訳は通用しないんです。人事情報という個人情報の塊が、慣習的に外部に出ているのが問題です。

 職員の前任、後任が分かります、いつ退職しそうかも分かります、いつももらっているのでしたら、職員の職歴を追うことも可能なんです。まさに、天下りあっせん支援資料なんです。そんな資料を、民間人だと大臣がさんざん説明してきた、その民間人である職員OBにも恒常的に慣習的に送っていました。そのOBが、許認可権をちらつかせて民間企業に人事介入していたわけであります。

 守秘義務違反に加えて、国家公務員法第百六条の二にある、あっせん規制の違反だと考えます。

 国家公務員法第百六条の二では、現職の職員が営利企業等に対し、他の職員、職員OBを、当該営利企業等又はその子法人の地位に就かせることを目的として、他の職員、職員OBに関する情報を提供することを明確に禁止しています。

 内閣府の再就職等監視委員会に、大臣、国土交通省から申し出て、今回のこのメールの一件を含めて、あっせん規制違反か否か、諮っていただくべきです。大臣、監視委員会に申し出ていただけますね。

斉藤(鉄)国務大臣 今回、このメモは、先ほど申し上げましたように、部内で、誰がどういうふうに異動するかという情報を共有しようというものでございます。現役事務系総合職の内示対象者の異動情報を整理したものであり、省内職員を中心に慣習的に広く共有されてきたものです。

 このため、他の職員また職員OBを企業等の地位に就かせることを目的として情報を提供したものではなく、これが直ちに再就職等規制違反に当たるものではないと考えているところです。

 一方で、一部に退職者情報が含まれており、発令前の時点で外部に共有されることが再就職等規制違反に関して国民の疑念を招きかねない、これは城井委員おっしゃるとおりだと思います。今後、適切な異動情報の管理の観点から改善策についてしっかり検討していきたい、しっかり私自身先頭に立ってこの規律を正していきたい、このように思っております。

城井委員 大臣、もう少しだけ認識を改めていただきたいと思います。国民が知らないところで、官僚OBという上級国民が、官僚OBだから把握できる情報を共有して自分たちのポスト確保を謀っている、こういう状況なんです。いかにも公正性がないんです。

 しかも、この人事介入に関わった官僚OB、本田氏も山口氏も頻繁に連絡していたということも、今回の第三者の報告や国交省の調査も含めて照らして、明らかになったわけであります。これまでの国交省の聞き取りとは矛盾をしていたわけであります。第三者による証拠に基づく事実認定に照らしますと、当該官僚OBは国交省の聞き取りにすらうそをついていたということになるんじゃないですか。面会のアポイントまでメールで確認されています。極めて組織的です。

 大臣、複数の官僚OBによる組織的な関与があったということを、当然、お認めになりますよね。

斉藤(鉄)国務大臣 OBが、現役職員の関与なく行う知人への仕事の紹介や採用活動などは、既に公務を離れた予算や規制に関する権限を有していない民間人としての活動でございます。これについて、国土交通省として組織的な活動であるかどうかを判断したり評価することは難しいと考えております。

 いずれにいたしましても、OBの再就職につきましては、国家公務員法の定める再就職等規制を遵守して行われることが重要であると考えており、国土交通省としては、引き続き、規制の周知などを通じ、その徹底に努めてまいりたい、このように思っております。

城井委員 大臣、ポイントは、現在法規制がない、機密情報の入手を含めた、省庁をかさに着て、省庁の許認可権限をちらつかせた官僚OBによる組織的な天下りあっせんをいかに防ぐかであります。この手だてが必要なんです。

 だからこそ、二つ、これまで言っていたのは一つ目、まず、客観的な全省調査です。これをやらなきゃいけません。

 もう一つは、これまでの調査内容を内閣府の再就職等監視委員会に情報提供して、あっせん禁止規制に抵触するかどうか調べていただく、この二つ、お約束ください。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、第一点目の客観的な全省調査についてでございますが、今回の事実関係の確認等においても、再就職等規制違反行為を行った疑いがあると思料するべき事実は確認できませんでした。現在の事実関係の下においては、そのような調査を行う状況ではないと考えております。

 また、国土交通省OBが現役職員の関与なく行う知人への仕事の紹介や採用活動などは、既に公務を離れた予算や規制に関する権限を有していない民間人としての活動であり、こうした民間人の活動に対する調査については、極めて慎重であるべきと考えております。

 そして、二点目の再就職等監視委員会への申出、情報提供につきましてですが、国家公務員法上、任命権者は、職員等に再就職等規制違反行為を行った疑いがあると思料するときは、その旨を委員会に報告しなければならないこととされております。

 四月二十八日に公表された報告書に記載のあった山口氏と現役職員とのやり取りを受け、事実関係の確認等を行った結果、再就職等規制違反行為を行った疑いがあると思料するべき事実は確認できなかったため、再就職等監視委員会への報告を行う必要はないもの、このように考えております。

城井委員 大臣、残念です。

 やはり、現在法規制がない官僚OBによる組織的なあっせんの規制、是非、与野党の委員の皆さん、一緒にこれを作りましょう。ルールがないから役所は動けないんです。是非やりましょう。よろしくお願いします。

 終わります。

木原委員長 次に、枝野幸男君。

枝野委員 今の城井委員の質疑の更問いとして一点、ちょっと派生的な問題で、大臣もお気づきだと思いますが、国土交通省の官房総務課から送った先のうち百何件はアドレスしか分からなくて、誰に送ったか分かっていない、これは大変深刻な状況ですよね。

斉藤(鉄)国務大臣 私もそのように思います。それが恒常的に、人事情報を共有するという目的ではあったにせよ、そういう形で行われていたことは大変大きな問題だと思っております。

枝野委員 後段の話と切り離しましょう、前段だけで。

 駄目ですよ。だって、役所が公的な発信をする、不特定多数に対してホームページなどをやるのはいいですが、メールで特定の人に送るのに、アドレスしか分かっていない人に送っていたということ自体、これはもう決定的に駄目でしょう。

斉藤(鉄)国務大臣 私的メモということではありますけれども、その内容は非常に公務に関わることでもございますし、大変大きな問題だと思いますので、この点はしっかり今後是正していきたいと思います。

枝野委員 そんなレベルじゃない、その中に外国のスパイが入っていたらどうするんですか。

斉藤(鉄)国務大臣 問題の御指摘、非常によく理解できます。しっかりこの点、正していきたいと思います。

枝野委員 恐らく、大臣も気づかなかっただけで、下手するとこれは国交省だけじゃなくてあらゆる役所にあると思うし、これは全部チェックさせなきゃ駄目ですよ。アドレスしか分かっていなくて、送り先がすぐに分からない、そんなところに物を送っていたらやばいですから。そういうアドレス、全部消させなきゃ駄目です。少なくとも役所の公用のパソコンからは。そうですよね。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 このいわゆる線引きというものにつきましては、元々職員の……(枝野委員「そんな話、聞いていない」と呼ぶ)現職の職員の、いや、済みません、現職の職員の中で共有するために作っているものでございまして、元々職員のアドレスにしか送っていなかったというところが、何人かがOBになって、それからあと、現役職員が、例えば、出向したとか育休になったとか、あとは個人メールアドレスに送ってほしいとか、そういった範囲であって、全然関係ない人に送っているものではございません。

枝野委員 そんな話、聞いていない。話、分かっていないの。

 大臣、いいですか。公用のパソコンから送られたわけでしょう。BCCで百何人もそんな先の分からない人がいるわけでしょう。一件一件入力したわけじゃないでしょう。つまり、公用パソコンの中に、アドレスしか分からなくて、すぐには送り先が誰なのか分からない相手の名簿が入っているということですよ。リストが入っているということですよ。

 ということは、それは使われる可能性があるわけで、その中には機密情報が入っていたっておかしくないわけですよ。その中に外国のスパイがいるかもしれないじゃないですか。そんなもの、公用のパソコンの中にアドレスが入っていること自体がまずいじゃないですか。大臣。

斉藤(鉄)国務大臣 その点については、しっかりと今後その問題の本質を正し、是正していきたいと思います。

枝野委員 これは安全保障問題ですよ。

 まず、その今の百何件、宛名が分からないところは全部アドレスを消させなさい。国土交通省の中の全てのパソコンをチェックして、そういうものがないか、全部やってもらいなさい。

 そして、全省庁です、閣議か何かで、閣僚懇か何かで提起して、全省庁やってもらわないといけないですよ。ほかの役所、ありますよ、必ずこれ。まずいでしょう、これ。

斉藤(鉄)国務大臣 しっかりこの問題に対応していきたいと思います。

枝野委員 大分顔つきが変わってきていただいたので、深刻さを分かっていただいたんだと思うんですけれども、本当に下手すると安全保障問題ですよ、これは。

 繰り返します、最後に。

 だって、宛先が分からないアドレスが役所の公用のパソコンの中に入っていて、その相手先が分かっていない先に、内容についてはともかくとして、それの評価は、百何人も相手先を分かっていない人にBCCでメールを送っちゃっているということ自体が、もうそのこと自体、申し訳ないけれども、そういう扱い自体、メールを扱う資格がないとしか言いようがないぐらいの話ですから、これは相当な危機感を持ってやっていただきたい。いいですか。

 しかも、国交省だけの問題じゃないです。国務大臣として、しっかりと全省庁、大丈夫かという話をやってください。お願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 御指摘を受けまして、しっかり、まず国土交通省としてどのようにするか、規律を正していきたいと思います。

枝野委員 では、本来予定していた案件に戻りたいと思います。

 前回、公共交通の公共性について話をして、大臣も、単に、従来国交省で一般的に言っていた広い意味での、誰でも不特定多数が同じ料金で利用できるというだけではなくて、必要なサービスを低廉又は無料で提供することまで責任を持たなきゃならない部分があるということについては大臣も同意をしていただいたと思っています。

 そうした中で、今やはり大事なのは、過疎地域、それから、過疎地域だけではありません、私の地元の大宮のようなところでも、例えば、従来は自転車で買物に行けていた皆さんが高齢者になって、いわゆる手押し車などでかなり足下が不安な中で、そうすると、自転車でなら買物に行けていた方が歩道のない国道などを通っていかなきゃならず、とてもじゃないけれども買物にも行けないというようなのが都市部でも実は出ています。

 そうすると、これは、一件一件の需要は全部小さいんですね。過疎地域、小さいですし、それから、国道まで出ること自体が不安なわけですから、本当に家のそばまで来てくれないと買物にも行けないという人、これはもう地域かかわらず、都市部であれ田舎であれ、いらっしゃる。そうすると、いわゆるコミュニティーバスであったりとか乗り合いタクシーであったりとか、要するに、一台に三人、五人、せいぜい七、八人しか乗らない、恐らく、普通に考えたら採算は取りにくい。そうした中ででも、こうしたコミュニティーバスや乗り合いタクシーのような形で公共の交通を確保しなければならない、こういうことの重要性、高まっていると思います。

 こうしたアプローチ、各地で行われているのを承知しています。その多くが自治体の主導だと思っていますが、一つは、国土交通省として、全体像や先進事例についてどう把握をしているのか。それから、地域ごとで創意工夫しているこうした先行事例は、類似の課題を抱える他の地域にとっても貴重な参考事例だと思っています。把握をしているとすればどのような形で周知、広報しているのか、確認をしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 基幹交通ネットワーク、それから地域公共交通、そしてラストワンマイル、これらをどう、特に、今、枝野委員の問題意識はそのラストワンマイルをどのようにしていくかということかと思います。

 国土交通省においては、これまでも、様々なプロジェクトへの補助などを通じまして、優良事例の収集、把握を行っておりまして、その事例を地域公共交通計画作成ガイドラインやホームページなどで周知、横展開を図ってまいりました。

 また、今般の改正法と予算によりまして、地域公共交通のリデザインの支援を大幅に拡充したところです。

 今後、これらを通じて、より幅広く、かつ、多くの好事例を把握し、地方運輸局等も活用して、全国の自治体に対し、積極的に周知、横展開を図ってまいりたいと思います。

 現場力を生かして、しっかりやりたいと思います。

枝野委員 私も、事前の国交省の事務方とのやり取りで、ホームページとかでどんどん告知しなきゃねと言ったら、ありますということで、恐らく、地域交通支援センターのホームページの地域公共交通活性化事例検索ページというところに私もたどり着きました。それで、見てみました。

 大臣、御覧になったことはありますか、ちなみに。ないですか、なければいいんです。

斉藤(鉄)国務大臣 ありません。

枝野委員 それはいいんです。私も今回、指摘を受けて気づきました。それまでも、こういうのはないのかなと思って自分で探したんですが、見つからなかったんです。ですから、まず、そもそも見つからない。

 それで、見てみたら、それなりの工夫はしているんです、どういう規模のところでの対象であるとかですね。

 ただし、恐らく、これを見て、役に立つとすれば、各自治体でこういうまさに小規模な地域コミュニティー交通を担当している職員の方にとっては意味があるかなと思いつつも、その中からどう見つけてどう生かしたらいいのかということは全くなくて、基本的には全部、それぞれの自治体の事例が、しかも、今どきPDFで載っかっているだけなんですよ。

 これは、国交省の内部でできるのか、こういったものこそ外部の知恵をかりるのか、いろいろあると思うんですけれども、もうちょっと、その担当の自治体の職員と国交省の役人の方だけが分かっても、これはよくないと思うんですね。

 地域で、まさに当事者、利用者、ユーザー、住民の皆さん、あるいは民間企業であったりとかNPOであったりとか、うわあ、こういうやり方はうちでできるじゃないかということがそれぞれの地域の中で出てくる、そのために参考になるような事例を見つけやすい、こういうことが必要だと思うんですけれども、いかがでしょう。

斉藤(鉄)国務大臣 私も先ほど、こういうものを用意して、ガイドライン、ホームページ等で周知徹底すると言ったんですが、私自身、見ていませんでした。もう少し、我々もアクセスしやすい、参考にしやすい形に、また、地方自治体も参考にしていただきやすい形にしなくてはいけないと改めて思った次第です。

枝野委員 本当に、各自治体、例えば報道などで、こんなところでこんなことをやっていると。最近もニュースで、大きなバスから小型のバスに替えて、その代わりに本数を大幅に増やしたら乗客が増えたみたいなニュースを見て、ああ、いいじゃないかと。

 そういったときに、いろいろ探してみるんですけれども、少なくとも、今回、役所の皆さんから御指摘いただくまで見つけられませんでしたし、もったいないと思います。是非頑張っていただきたいというふうに思います。

 二つ目。ゴールデンウィーク、鉄道も道路も、そして航空も、三年前まで、一〇〇%とは言わないまでも、四年前か、この三年間のコロナ禍の状況とは大きく変わりました。これは大変よかったと思っておりますが、航空についてお尋ねしたいと思います。

 一部では保安検査に長時間を要したとの声がありますが、ゴールデンウィークの保安検査の混雑状況、どう把握しているでしょうか。これは参考人で結構です。

久保田政府参考人 お答えをいたします。

 ゴールデンウィークにつきましては、当初より保安検査場における混雑が予想されておりましたので、私ども国交省としましても、可能な限りの混雑を抑制するために、航空会社、そして空港会社などの関係者との連携を強化し、対応を進めてまいりました。

 具体的には、保安検査場のオープン時間の前倒しや、それから混雑時間帯における保安検査レーンの追加運用などの対応、そして、国交省としましても、ウェブサイトなどを通じまして、早めに来港を呼びかけるなどの、関係者一丸となって対策に努めたところでございます。

 その上で、ゴールデンウィーク中の状況につきましては、空港設置管理者等から報告を受けたところによりましたら、羽田空港の国際線や那覇空港などの一部の空港におきましては、出国ピークの曜日の出発便が集中する一部の時間帯におきましては、最大五十分程度の待ち時間が生じた、それ以外につきましては、主要空港、最大待ち時間三十分以内という報告を受けているところでございます。

枝野委員 私も四十五分から五十分ぐらいと事前にお話、国際線でと聞いていますが、実際に何かもっとかかったなというような声はいろんなところから聞こえてもきますので、そういうのはデータですから、当然、状況によって上下があることは構わないと思うんですが、やはり一時間近くかかるというのは、保安検査だけですからね。ただ、国際線の場合は、保安検査のほかにも、出国手続であったりとか、あるわけですから、それはやはり長過ぎるんじゃないのというのと、事前の説明で、かなり無理をして、例えば、地方からの国際線はまだ回復していないということで、それをできるだけ羽田、成田に寄せたみたいな話は聞いておりますので、そうすると、これから本当に大丈夫なのか。

 同じようなことはグラウンドハンドリングについても言えます。コロナ禍で保安検査要員やグラウンドハンドリング要員が減って、その人員が必ずしも回復し切ってはいません。コロナ禍の中、最大どの程度減員し、現状、どの程度回復していると把握をしていますか。また、いつ頃までにコロナ禍前の業務量が可能な状況に戻ると見込んでいますか。中でも、一つは保安検査要員、それから、グラウンドハンドリング全体と、グラウンドハンドリングの中でも特に整備と安全運航に直接関わる人員について、分かっている範囲でお答えください。

久保田政府参考人 お答えをいたします。

 航空機の運航に不可欠な保安検査やグラウンドハンドリング等の空港業務は、コロナ禍前と比較しまして、人員が約二割減少するという状況でございます。

 昨年度から様々な対策を講じてきたこともありまして、足下の要員につきましては増加傾向にございますが、今後の航空需要の増大を考慮すれば、引き続き、人手不足の状況は続いているものと認識をしているところでございます。

 このため、国土交通省におきましては、空港ごとに設置したワーキンググループを活用し、自治体等の関係者一丸となった取組を推進しているところでございます。

 また、事業者におきましては、中核職員に対する過度な負担集中の回避を図りながら、人材確保、育成、生産性向上等を着実に進めることで、委員御指摘の安全運航を支える人員を含む体制を、今年度末までに段階的にコロナ禍前の水準に近づけることを目指しているというところと承知をしているところでございます。

 なお、整備に係る人員につきましては、これはコロナ中においても必要な人材、数を確保しているというふうに聞いておるところでございます。

 以上でございます。

枝野委員 努力をされているとは思うんですが、先ほど不規則発言でも聞こえてきましたが、保安も、いきなり人を増やせばその日から仕事をしてもらえるわけではないですし、整備なんかもそうです。そういった意味では、かなりの期間の、一人前というとなんですけれども、あらゆる業務、できるようになるには時間のかかる業務ですので、簡単に戻せないのもよく分かるんですが、まさにインバウンド、これからコロナの状況がこのままいってくれれば、日本の経済の立て直し、特に、傷んでいる観光、交通、飲食、こうしたところの立て直しには、非常に大事な、その分野というよりも国の経済全体にとって大事なところです。

 保安検査が時間がかかり過ぎて、これじゃちょっと、なかなか旅行に行くの、どうしようかなとためらうような状況であったりとか、あるいは、グラウンドハンドリングの要員が足りないために便数を増やせないというようなことなどがあってはいけないというふうに思います。

 時間がなくなってきているので。

 一つは、努力をしていると認識していますが、そこについての大臣の決意をお聞かせいただきたい。

 そして、その中でも保安なんですけれども、これは航空機の安全運航にとどまらない話です。我が国全体としての治安維持、ひいては安全保障にも関わるような話だというふうに思います。常に最高水準で保安検査がなされていなければならないという分野だと思います。

 今は、日本は、なぜか、世界の中でもごく少数、民間航空会社の責任と費用負担で、実際に、あの保安検査をしているのも、民間企業の民間人に全面的に依存したシステムであります。

 今回のようなことが起こって需要が大きくぶれたりすると、それは民間企業ですから、当然、減らさなきゃならないのは、この間減らしたのも、潰れちゃったらどうしようもないわけですから、分からないではないわけですね。

 そうすると、民間航空会社だって、その間の費用を負担するといったって、収入が大幅に減っているわけですからね。ちょっと、そもそもがやはり、航空保安を民間に委ねているという今の日本の仕組み自体が無理があるということは、このコロナ禍で明らかになったのではないか。つまり、航空保安については、あの保安検査については、国の責任を明確にした上で、一定の財政的、制度的な裏づけが必要であると思います。この点を含めてお答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 二つ御質問いただきましたが、ある意味で一つの大きな問題だと思います。

 まず、これまで国がグラウンドハンドリング、また保安業務に対して行ってきた支援業務ですけれども、採用活動、人材育成、業務効率化などで支援してまいりました。その上で、グラウンドハンドリングの充実、また、保安検査要員の在り方について、非常に重要な問題だと思います。

 今、国土交通省では、持続的な発展に向けた空港業務のあり方検討会という有識者会議を設けまして、グラウンドハンドリングの人材をどう確保するのか、それから、保安検査の在り方、また、保安検査における国と事業者と空港施設会社、これらの役割分担等の見直しについて検討していただいているところでございます。

 その問題意識を持って、我々も、しっかり取り組んでいきたいと思います。

枝野委員 航空保安の国の関与ということは、従来からの一つの課題、大きなテーマだと思っています。私どもは、一貫して、これは国の責任、しっかりと明確にして、コミットを深く強めるべきだというふうに御提起をしていますので、是非そうした方向での御検討をお願いします。

 時間がなくなりましたので、済みません、鉄道局も来ていただいていますが、こちらから言いっ放しで、問題の指摘だけしておきたいと思います。

 公共交通の話で、どうしても、旅客鉄道、旅客のバス、そうした移動の権利というところでの兼ね合いが大きいんですけれども、JRの貨物というのはこれから間違いなく需要が増えるし、これは国策として鉄道貨物にある部分をシフトさせないと、例えば、トラック輸送の場合ですと、二〇二四年問題が言われているように、人手が減る、人口が減る中で、トラックドライバーをどれぐらい確保できるのか。そうはいっても、まさに、先ほどのラストワンマイルの話がありましたけれども、小口に分かれれば分かれるほど、トラックでやらざるを得なくなっていくわけですので、そこを優先して確保しなきゃならないとなると、大規模、長距離というのはほかの方法はないのか。

 そしてもう一つは、やはり、CO2、温暖化対策の観点から、もちろん、鉄道を走らせる電力をどう発電するかという問題はあるんですが、少なくとも、ガソリン、原油由来の燃料でやるよりも、温暖化対策は電気で動く鉄道の方がやりやすいということがあります。

 そうした意味では、旅客の足を確保するかどうかということに加えて、全国の基幹部分のところの貨物という鉄道網は、これはやはり、線路は維持しなきゃならないというふうに強く思っています。この問題意識も鉄道の交通の公共性という観点から是非考えていただきたいということを申し上げて、済みません、時間が切れたのでお答えは結構ですので、私の質問といたします。

 ありがとうございます。

斉藤(鉄)国務大臣 済みません、私の先ほどの答弁の中で、グラハンとそれから保安業務、有識者会議で議論しているということを答弁申し上げたんですが、有識者会議で議論していただいているんですが、別々な、それぞれの有識者会議でございました。この点だけ修正させていただきます。

枝野委員 終わります。

木原委員長 次に、谷田川元君。

谷田川委員 立憲民主党の谷田川元でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、私は、子供の転落事故防止に関して質問したいと思います。

 今年の三月なんですが、大変痛ましい事故が起こりました、名古屋市で二歳の双子の男の子が転落するという。亡くなられたお子様に心から哀悼の意を表し、冥福をお祈りしたいと思います。

 それで、消費者庁の資料によりますと、九歳以下の子供が建物から転落して、令和二年までの五年間で何と二十一人の方が亡くなっているんですね。

 せんだって、NHKでも朝のニュースで取り上げていまして、私もそれを見たんです。大臣も御覧になったようですが、そうですか。アメリカのニューヨークの例が出ていまして、ニューヨークでは一九七〇年代、百人以上の方が亡くなられて、それで、市の規制として、賃貸アパートのオーナーに転落防止柵を作ることを義務づけたんですね。その結果、何と転落事故が九五%も減ったなんということが出ていました。

 日本の場合、アメリカと比べて、やはり子供の安全は親が第一義的に責任を取るんだ、そういう考えが強いと思うんですが、しかし、これからは、異次元の少子化対策なんということを総理が言う時代ですから、子供の命をいかに守るか、やはり社会全体で子供の命を守るという考えを浸透させるべきだと思うんですよね。

 そこで、まず国交省の事業について伺いたいんですが、二〇二二年一月から、転落事故防止や防犯対策など、子供の安全に関わる対策費用を補助する事業を始めました。共同住宅を新築や改修する場合、一戸当たり百万円を上限に、新築の場合は十分の一、改修した場合には三分の一を補助するとのことですが、この事業を始めた経緯を簡単に御説明ください。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、平成二十六年に、子育て世帯、高齢者世帯など、より安心して居住できる住宅についての研究を始めまして、民間の有識者の方から、子育て世帯が安心して子育てできる居住環境についての指針を定めてはどうかと問題提起をいただきました。

 その後、国土技術政策総合研究所におきまして検討を進め、平成三十年に、子育てに配慮した住宅に求められる事項、それからその水準を整理したガイドラインを策定いたしました。

 このガイドラインの普及を図る中で、令和二年には五件の転落事故もございましたことも踏まえ、令和四年一月から子育て支援型共同住宅推進事業を開始いたしまして、転落事故対策を含めまして、子育てに配慮した住宅の整備を促進することにしたという経緯でございます。

谷田川委員 国交省も問題意識を持ってそういう事業を開始したわけでございます。

 それで、子供の転落を防止するための手すりの設置に関しては、二十九件、二百七十五戸がこの事業を実施したと聞いております。一年半ぐらいですから、とはいいつつも、まだ数は少ないと思うんですが、大臣、そう思いませんか。

斉藤(鉄)国務大臣 もっと利用していただいていいのではないか、率直にそう思います。

谷田川委員 資料一を見ていただきたいんですが、これは東京都が作成した東京都商品等安全対策協議会の報告書なんですけれども、建築基準法の施行令では、手すりの高さは百十センチ以上のみが規定されているんです。それに対して、子育てに配慮した住宅のガイドライン、東京都のガイドラインは百二十センチ以上なんですね。隙間も九センチ以上、こう規定しているんですね。建築基準法の施行令については、この隙間について何も書いていないんですよ。

 大臣、先ほど二十九件利用したとあったんだけれども、新規が十九件、改修が十件なんですよ。新規の方が多いんですよね。そうであるならば、この施行令を見直して、最初から規制を強めた方が、この補助金を使わなくてもいいんじゃないかと私は思うんです。

 ですから、この辺、子供の安全という観点から、この建築基準法の施行令を見直すべきだと考えますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 建築基準法につきましては、ちょっと住宅局長から後から答弁させます。

 まさに同じ問題意識を我々も持っております。先ほど、もっともっと使ってほしいということを申し上げたわけですが、国土交通省としては、転落事故を防ぐために、子供がよじ登りにくい形状の手すりとすること、それから、窓の子供が届かない位置に補助錠を設けることなど、事前対策をしっかり進めるようPRを今しております、啓発活動をしているところでございますし、また、こういう設備に対して財政的な支援もしているところでございます。

 まだまだ認知度が低いことから、住宅事業者やリフォーム業者への周知を進めていきたい、今後は自治体とも連携した周知などを進めていきたいと思っております。

 今スタートしたところで、もう少し努力をしてみたい、このように思っておりますが、先ほどの問題意識につきましては、ちょっと住宅局長から。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、建築基準法におきましては、火災時の避難安全性の観点から、共同住宅の二階以上のベランダには、高さ一・一メートル以上の手すりなどの設置を義務づけているものでございます。

 近年の子供の転落事故の原因を見てみますと、手すりを乗り越えるというケースにおきましては、付近にありました踏み台でありますとかエアコンの室外機、それから足がかりとなるような腰壁などに子供がよじ登って事故に至っているというケースが非常に多いと承知しております。

 委員の御指摘も踏まえましてですが、こういったよじ登りにくい構造とすることでありますとか、ベランダに物を置かないようにするための啓発、こういうことも含めまして、建築物における安全確保の在り方全般について十分検討してまいりたいと存じます。

谷田川委員 かなり前向きな答弁をいただきましたので、是非、建築基準法の施行令を見直すということも視野に検討していただきたいと思います。

 それでは、次の質問に行きたいと思うんですけれども、二〇一七年度に、先ほど申し上げた東京都の商品等安全対策協議会の報告書概要に、最後にこういうことが書いてあったんですよ。「国は、関係省庁と連携し、安全対策に有効な事故情報が一元的に集約され、関係主体が活用できる仕組みづくりを検討すること。」そういう記載があるんですね。

 現在、この仕組みができて、十分機能していると言えるかどうか、政府の答弁を求めます。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 子供の事故や事故対策の情報を関係府省庁で共有し、効果的な啓発活動や関係者の取組推進の方策について検討をするため、平成二十八年に消費者庁を議長とする子供の事故防止に関する関係府省庁連絡会議を立ち上げました。

 この会議を通じまして、消費者庁に集約をされた事故情報や消費者庁において分析した情報を関係府省庁に共有するとともに、毎年度、子どもの事故防止週間を設定をして、共通のテーマ、令和四年度についてはまさに転落、墜落事故をテーマに取り上げましたけれども、共通のテーマについて関係府省庁において集中的に啓発を行うなどの取組を進めてきてございます。

 こども家庭庁の設立に伴いまして、連絡会議の議長を含む子供の事故防止に関する取りまとめ機能はこども家庭庁に移管されましたけれども、消費者庁におきましても、引き続き、子ども安全メール等の情報発信や事故情報の共有など、関係府省庁と連携をして子供の事故防止に取り組んでいきたいと考えてございます。

谷田川委員 今答弁いただいたけれども、残念ながら、その関係省庁の会議というのは年に一回ぐらいしかやっていないんですよね。はっきり言って、申し訳ないけれども、十分機能しているとは言えないと思うんですよ。

 そうした中、この四月からこども家庭庁という省庁が発足したんですね。ですから、私は、まさに子供の安全に対する施策は、このこども家庭庁が司令塔となって強力に推進することが期待されると思うんです。

 社会全体で子供を守るという考えをより浸透させて、規制強化もいとわない姿勢が必要だと思いますが、こども家庭庁の見解をお願いいたします。

和田副大臣 子供の安全を守る取組については、これまでも、消費者庁、文部科学省、国土交通省、警察庁などの関係省庁が連携をして取り組んできたところでございます。

 こうした中で、本年四月に発足したこども家庭庁におきましては、これまで各府省庁において別々に担われてきた子供政策の総合調整を一元化することとしており、子供の安全に関する政策についても、司令塔機能をしっかりと発揮してまいりたいと思います。

 具体的には、消費者庁から引き継いだこどもの事故防止に関する関係府省庁連絡会議を適時適切に開催するほか、関係省庁と連携して子供の事故防止に関する広報啓発を積極的に行うなど、子供や子育て当事者の視点に立った政策を推進することなどにより、子供政策に関する司令塔として、政府全体の総合調整を行ってまいります。

 全ての子供が健やかに成長できる安全、安心な環境を提供していくことは子供政策の基本であり、引き続き、子供の命と安全を守るために、関係省庁と連携し、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

谷田川委員 今、和田副大臣から司令塔となるという言葉がありましたので、是非期待したいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、次の質問に行きたいと思うんですが、第四期の海洋基本計画が四月二十八日の閣議で決定されました。その中で、中国海警局に所属する船舶による領海侵入があったと記述しまして、我が国の海洋に関する国益はこれまでにない深刻な脅威、リスクに直面している、ここまで述べているんですね。その上で、武力攻撃事態の際に、防衛大臣が海上保安庁を統制する要領を確立し、有事を念頭に、自衛隊と海上保安庁が具体的対処訓練を行う方針を盛り込んでいます。

 私は、この方針というのは理解できますけれども、一方で、やはり冷静な対応も必要だと思うんです。

 そこで、お手元に、去年の十二月二日に、朝日新聞に佐藤元海上保安庁長官のインタビュー記事が載っております。これを見て、私は非常に感銘を受けました。

 海上保安庁、二十五条、これは海上保安庁というのは軍隊でないということをしっかり規定した法律なんですけれども、資料の私が引いた傍線部分、一の方をちょっと読ませていただきますと、「海保の巡視船はわざわざ武器を降ろして漁民の保護に向かったんだと、先輩から若い頃に船の上で聞かされました。当時もエスカレートを気にしていたんです。巡視船への銃撃も十五件ほどあった苦しい状況でも、力に頼らなかった。これぞ二十五条の精神だと思いました」「海上保安官は「憲法九条の申し子」だと思うんです。戦後七十七年経っても境界が定まらない隣国との関係のなかで、海上保安庁は緩衝材として生き残ってきた。その役割が終わったなら、組織のあり方が変わるのは当然です。だけど、それが今かと言われると違うでしょう。今ほど海保の真価が問われる時はありません」と、非常に明快な主張だと思います。私はこれに共鳴しました。

 そこで、海上保安庁が防衛大臣の統制下に入っても、国民保護措置や海上における人命の保護等で最大限の役割を果たすということなので、海上保安庁法第二十五条は堅持されると理解してよろしいでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 海上保安庁の統制については、自衛隊法第八十条において、内閣総理大臣は、特別の必要があると認めるときは、海上保安庁の全部又は一部を防衛大臣の統制下に入れることができると規定されており、先月二十八日、その具体的な手続等を定めた統制要領が策定されたところであります。

 統制下に入った場合でも、海上保安庁が実施し得る任務や権限に変更はなく、海上保安庁法に規定された所掌事務の範囲内で、非軍事的性格を保ちつつ、自衛隊との適切な役割分担を確保した上で、国民保護措置や海上における人命の保護等で最大限の役割を果たしてまいります。

 委員御指摘の海上保安庁法第二十五条でありますが、警察機関である海上保安庁が非軍事的性格を保つことを明確化したものであり、統制下に入った海上保安庁が国民保護や海上における人命の保護等を安全かつ適切に実施する上でも、引き続き重要な規定であると認識しております。

谷田川委員 認識しているのはそうなんですが、私は、堅持されるかということなので、いいんですね、堅持ということで。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 私、行政官なので、ちょっと発言できる範囲はございますが……(谷田川委員「分かりました。では、大臣に聞きます」と呼ぶ)はい。

斉藤(鉄)国務大臣 はい、堅持してまいります。

谷田川委員 よかったです。明快にお答えいただきまして、ありがとうございます。

 いや、政府参考人に答弁させてくださいと事務方が言ったので、あえて私は、石井長官、言えるかなと思ったけれども、最初から大臣に聞けばよかったです、それだったら。

 それで、ちょっと時間がないので、二問目と三問目、一緒に質問しますけれども、この佐藤元長官のインタビューの中で、二のところ、「大型巡視船は増えましたが、それに見合った維持経費が確保できない。」こう書いてあったので、予算の方は大丈夫ですか。

 あと、もう一点。残念ながら、海上保安庁の定員が一万四千六百八十一名だそうなんですが、昨年度は三%の欠員が出ているということなんですね。人材確保の方はどうでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、予算についてであります。

 我が国周辺海域の情勢については厳しさを増していることから、新たな国家安全保障戦略等の策定に合わせて、昨年十二月に海上保安能力強化に関する方針が決定されました。

 この方針においては、大型巡視船等の整備はもとより、燃料費や修理費といった運航費、すなわち委員御指摘の維持経費など、海上保安能力強化のために必要な所要の経費を確保することとされており、また、令和九年度における海上保安庁の当初予算額を令和四年度の水準からおおむね〇・一兆円程度増額することとしております。

 これを踏まえ、令和五年度当初予算では、大型巡視船等の運航費四十億円増を含め、対前年度比二百億円の大幅な増額が行われました。

 海上保安庁においては、引き続き、この方針に基づき、大型巡視船等の増強に併せて必要となる運航費を含め、必要な予算の確保にしっかり取り組んでまいります。

 次に、定員についてであります。

 今申し上げました海上保安能力強化に関する方針等に基づき、海上保安庁の定員の増員が順次図られてきたところでございます。

 こういった中、人材確保は喫緊の課題であると認識しておりますところ、インターネットを活用した募集活動を強力に実施するなど、海上保安大学校及び海上保安学校の学生確保を図っております。

 また、更なる取組として、大学卒業者を対象とした海上保安官採用試験の新設、海上保安学校学生採用試験の受験年齢制限の緩和、定年退職者等の再任用の推進等に取り組んでいるところでございます。

 委員御指摘の欠員の状況につきましては、令和四年度末時点で海上保安庁全体の欠員率が約三%となっておりますが、その更なる改善に向け、これらの取組を積極的に推進してまいります。

 いずれにしましても、海上保安庁におきましては、引き続き、優秀な人材の確保に努め、国民の負託に応えられる海上保安官を育成し、多様化、複雑化する海上保安業務に適切に対応してまいります。

谷田川委員 では、時間がないので、一つ飛ばして、最後の質問にします。

 海洋基本計画の中に、洋上風力発電を排他的経済水域にも造るんだという方針が盛り込まれました。新たな立法措置をしないとこれはできないのか。私は、すぐにでもこれに取り組むべきだと思うんですよ。ヨーロッパの国なんかは、もう稼働しているのもありますのでね。その辺、いかがでしょうか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 洋上風力発電につきましては、現在、再エネ海域利用法でその適用対象範囲が領海及び内水としているところでございまして、EEZ、排他的経済水域についての定めがない状況でございます。

 このため、EEZで活用するためには所要の法整備が必要であり、その旨、今般の海洋基本計画でも明記されているところでございまして、内閣府としましても、こうした状況を踏まえまして、今後、関係省庁と連携し、具体的な法整備の検討をしっかり進めてまいりたいと考えておるところでございます。

 以上でございます。

谷田川委員 できるだけ、排他的経済水域にも造るんだという強い意思を持って、迅速に対応していただきたいと思っています。

 何といっても、再生可能エネルギーの切り札だなんという言葉を使っていますので、よろしくお願いします。

 時間が来ましたので、終わります。

木原委員長 次に、伴野豊君。

伴野委員 立憲民主党の伴野豊でございます。

 今日は、国土交通委員会、大臣に、最近私が非常に国土交通行政の、どちらかというと政策的、技術的なことで、自分の中で懸案とし、限られた時間ではございますが、整理してきたことを、ちょっと大臣の胸をかりていろいろ方向性を見出していければ、またこれは一つ、与野党を超えて、国民の皆さん方にとっていいことをするためにはいい機会をいただいているんじゃないかな、そんなふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ただ、御案内のように、筆頭の理事の役目というのは、野党会派の皆さん方の質問時間を公平に確保することが一つの大きな仕事であり、もしそれが足らなくなった場合には自分でかぶるしかないという、そういう役目も負っておりますので、これが、今日のこの四名の中で五分オーバーしてきてしまいましたので、私のところでちょっと吸収させていただきますので、予定の二十分、本当は三十分だったんですけれども、これが三十分、二十分、十五分と刻まれてきましたので、ポイントを押さえて、ですから、通告しておりました内容が若干出入りすると思いますが、そこはお許しいただきたいと思います。

 では、まず一点目。これは、いよいよ翌年ということもあり、更に最近様々なところで話題になってきたいわゆる物流の二〇二四年問題。

 正直言って、私、この問題という言葉にちょっとひっかかるところがありまして、一番困っている人は誰なのかということと、何が問題になっているのか、ここを明確にしないと、そもそもこれはドライバーさん始めこの業界で働きになられる方、それだけではないです、元々は働き方改革という、そういうところから始まって、どうしても時間外労働の上限規制を厳しくかけないと、正直言って、健康被害ももう発生しているんだと思います。

 ですから、そうした方々のところに、それがあるからこういうことが起こっちゃっているんだという全然違う解釈をされると、これは本質を見失うので、私は正直言って、私自身では、きちっとやるべき人がやれば問題は解消していく、だから、一つのモメンタムの現象が起きているんだろう、そんなふうに思っています。

 もっと言っていけば、この時間外労働の上限規制をすることによって、きちっと標準的運賃が守られ、そして荷主さんのこれらの対策あるいは理解が深度化していけば、これはいい回転をして適正になっていく。ただ、それを、キャップをはめるというか、輸送力というところで見ると、どうしてもあふれてしまうところが出てくるのではないかな、当然、国交省さんもそれは試算されていると思いますけれども。では、そこをどこで吸収するか。要するに、輸送力として、キャパとして、ハードとしてどこで吸収するかという問題は出てくるんだと思いますが、あとはきちっとやれば関係者はみんなハッピーになっていくはずなんですね。

 その点でお伺いしたいんですけれども、私は、この標準的運賃、それから荷主対策の深度化、たしか平成三十年のときに議員立法でやりましたけれども、これをいまいち、きちっと今の時代に合わせるような工夫と、それから認識を高める意味でも、今その時期も来ているような気もしますが、大臣はどのようにお考えになりますか。

斉藤(鉄)国務大臣 いよいよ二四年四月まで一年を切りました。このままでは、多くの荷物が運べなくなると同時に、私も地元を歩きますと、運送事業者という方は物すごくたくさんあって、非常な多重構造の中で解決しなきゃいけない労働問題もある、こういう二つの大きな課題があるかと思います。しっかり働く人の待遇が守られて、かつ物流もきちんとするというようなことをするためにどうすればいいのか、まさに私も伴野委員と同じ問題意識でございます。

 政府では、総理主導で関係閣僚会議が開かれておりまして、六月に抜本的な総合的な対策を政策パッケージとしてお示しするということで、今いろいろな議論が闘わされているところでございますが、非常に、抜本的というのは、もうある意味で革新的であり、それはまた反対意見も強いというような中で今議論を進めております。

 商慣行の見直し、物流の効率化、荷主や消費者の行動変容、この三点を中心に、しっかりそこは議論を進めていきたいと思います。

伴野委員 御認識は一緒だと思いますので、御案内のように、コロナもありました、さらには原油価格の高騰等もありました、ですから、いろいろ深度化していかなければいけないところがありますので、是非その点、御留意いただいて、関係省庁もいろいろまたぐというところで、我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議もやっていただいているようですので、これもアグレッシブに、もう毎日やるぐらいでもいいと思うんですよ。

 令和六年というのはまさに目の前ですから、いろいろな意味で、国民の利益を共有し、そして、時にこういうモメンタムがあるときというのは、最後、どこかにしわ寄せが行くというと、大抵弱い立場のところに行くものです。それで事なかれということになりがちな過去の歴史がありますから、絶対にそこは、大臣、リーダーシップを発揮してやっていただければ、そんなふうに思います。

 そうした中で、ちょっと元気を出してもらわなきゃいけない組織なり関係者もいるんじゃないかという視点で、先ほど、時間外労働の上限が来ることによって、労働時間は当然短縮していく。はっきり言って、ドライバーさん不足も発生しているわけで、これは一つは労働環境が余りよくないということも起因していると思いますので、女性が働きやすい職場にもっとしていただくとか、いろいろな工夫を、休みをもっと取りやすいようにしていただくとかすると、ドライバーさんも集まってくるかもしれません。

 ただ、どこかでやはりリスクヘッジもしていかなきゃいけない。あぶれるだろうと思われる数字もたしか試算されているようです。正直言って、物流のそういう将来予測はどうやっているのかなと、ちょっと私も興味があったものですから、調べました。正直言って、かなりマクロですよね。ざくっとしています。

 人流と違うのでトリップをきちっと把握するのが難しいかもしれませんが、今どき、それこそビッグデータもあるし、それから各荷主さんも管理していらっしゃる、それから運送された業者さんもパソコンでデータを持っていらっしゃるので、それこそ一回突合されると、整理さえすれば使いやすいデータになってくると思います。

 ここも国交省さんが、メールをどこに送っているか分からぬと言われちゃうとつらいんですけれども、データをやはり今の時代に合わせて管理し、整理して、これを使う、これは誰もノーと言えないと思うんですね。それでもあぶれてきてしまったところはどこが吸収するか。複数考えられるのは、やはり鉄道と内航海運ですよ。ここにどうもっとやる気を出してもらうか。

 とりわけ鉄道ですよね。やはり、一つの荷主さんからすると、災害に弱い、それからダイヤ編成が非常に硬直化している。アボイダブルコスト等々、今の旅客体制、旅客各社との体制の中で、やはりどうしても関係性があるので、自分たち貨物だけで、災害だからといって、ダイヤをすぐ編成し直すということが難しいのは、それは重々分かります。

 ただ、国鉄時代はダイヤは貨物優先であったというこの事実もいま一度御認識していただいて、鉄道に頼るとリンゴが腐っちゃう、あるいはミカンが腐っちゃうと言われないような、その場合には、内航海運も少し、JR貨物の方でそういう対策もし出しているようですが、ここも、場合によっては、私は、お金でプッシュできるならしっかりプッシュして、もっと言うなら、どこで吸収させるかとか、もっと言うなら、今のJR貨物を含めた貨物系の鉄道のどこを使っていくかということを、トリアージも含めてやるべきじゃないかと思います。

 逆に、守れるところがあったら、そこは旅客の方も守ってもらえばいいわけで、そこに赤字が仮に出てきたとしても、これは国益を守ることになると思いますので、誰もノーと言いにくいのではないかなと思います。

 一個目の話でほとんど時間が来てしまいました。いわゆる物流の二〇二四問題はこれぐらいにして、もう一つ、構造物の老朽化対策についてもっと国交省は本気で科学してほしい。いろいろ将来予測や、あるいは、どれだけ今の日本の生活環境を、いわゆる国交省さんの管轄のインフラ対策というところで維持していこうとすると、これは相当の金がかかります。今の制度だと、逆に、そこに上乗せをしておかないと精緻なものができないということで、非常に振れ幅が大きい、財政的にも技術的にも隙間の多いことをやっていらっしゃるような気がしてなりません。

 これはちょっと手前みそで恐縮ですが、この分野は多分鉄道の方が進んでいると思いますので、ここはもう、分野がどうかとか頭を下げるのは嫌だとか、そんなレベルの話じゃなくて、もっと、この老朽、劣化について研究している学者も含めて、縦割りじゃない、モードを超えた、どうしたら日本の生活基盤を中心としたインフラを、今のレベルで、場合によってはトリアージもかけて維持していけるかということを、本気で国交省さんが旗を振ってほしい。

 アグレッシブな研究をしていらっしゃる学者も今たくさん育ってきています。大臣はお詳しいですよね、非破壊検査とか。だから、そういうところで大臣が自らアプローチして、趣味の領域に入られちゃうと役所は困ると思いますけれども、そうではない、本当に使える技術を大臣自らピックアップしてやるというぐらいのことをやられてもいいような気がします。

 道路橋定期点検要領、これを御覧になったことはありますか。ありますよね、当然。正直言って、もっと科学できるんじゃないですかということをまず言いたい。

 これは結局、目視が中心なんですよ。構造物を人の体、それから検査する人をお医者さんの検診と例えてみます、全てリンクいたしませんが。目視だけでやっているというと、お医者さんが、顔色や、あるいはせいぜい聴診器を当ててとんとんとやるぐらいで全ての判断をしていこうという、職人芸としてはすごい技術かもしれません。

 だけれども、例えばこれを四段階にまず分けていきますよね。多分、二人の検査官がいて、やったら、かなりここには誤差が発生すると思います。ある人は三にする、ある人は四、その根拠は何と言われたときには、残念だけれども、科学的説明がしにくい。もう本当にぼろぼろのものはどちらの方も四だと言うかもしれませんが、三と四、二と三の間のこの微妙な差異というのは、残念ながら、定量化されていません。

 それぐらいはやるというぐらいをしないと、国民に、これだけ維持管理費が要りますと、これは多分莫大な金になってくると思います。これから老朽、劣化対策を本気でやったら半端じゃないお金がかかってくるから、今から準備していかないと説明責任を果たしていただけないという、そんな問題意識があります。

 例え話で申し上げましょう。鉄道だったらドクターイエローというのがありますね。同じものがあるかなと思ったら、やはりあるんですね。NEXCOさんは高速道路ではロードテスターという、これも偶然か、やはりこの手の話は全部黄色いものになるみたいで、だけれども、やっていることはかなり差があるんじゃないかなと思います。

 鉄道も最初はそうだったんです。我々の世界で必ず使う、今、木札がありますよね。検査員は必ずこの木札を持って鉄路を歩いたものなんです。この三辺の、これが三ミリ、六ミリ、八ミリとかと決まっていて、これを当てるだけで、いわゆる、もう保守しなきゃいけない限界が来ているかどうかというのを線路ではやってきた。その積み重ねが、新幹線になっていくとドクターイエローになっているんです。

 だけれども、では、今、構造物はどういう感じになっているか。多分、道路で、笹子トンネルの件があったから、道路が一番進んでいるんだと思います。

 だから、ほかの構造物だって、正直言って、設計標準に照らし合わせたら、カテゴリーも違ってくるし、見なきゃいけないところも違ってくるはずなんです。ただ、そこまでいっているのかというと、この今の点検要領、五年前にお作りになったやつだから、これを、五年ごとにいろいろ計画を立てるなら、五年ごとに要領を見直すことをやったっていいのではないか。最新の、聴診器の次に使えるものがあったら、どんどん使っていく。

 このテスターさんがあるんだったら、これでトンネルの天井空洞を調べられるように多分今なっていないと思うんですよね。例えば、そこに超音波を当てるとか何かでやれるなら、どんどん取り入れるだけで効率化できるし、クオリティーコントロールもできるし、標準化もできると思いますので、是非ここもアグレッシブにやっていただければ。

 ちょっと過疎の問題にも本当は触れたかったんですが、過疎の問題にも、国交省さん、私はどんどん手を出していただいていいと思います。生活基盤を崩壊させないためには、どこまで、どういう維持の仕方をしなきゃいけないか。

 今御案内のように、過疎の定義は人口とそれから財政だけでやっていますよね。ここに例えば、それぞれの持っている町の施設という、そういう要素を入れたら、がらっと変わってくる可能性もありますので、どうかそこの点もやっていただければと思います。

 多分時間を超えちゃったと思いますので、五分短縮したつもりが五分オーバーしていたら怒られちゃいますので、以上で終わらせていただきます。

木原委員長 次に、山本剛正君。

山本(剛)委員 日本維新の会の山本剛正でございます。

 アクリル板がなくなって非常にクリアになって、私、体が大きくて、いつもはみ出てやっていたんですけれども、今日はなかなか気楽にできるなという思いでやっていますが、先ほどから、今日は本当に黄色いネクタイには気をつけた方がよくて、城井さんの話もそうですけれども、どこに送ったかメールが分からないといって、でも、多分、分かっているんですよ。誰に送ったか、絶対、全員分かっている。だけれども、申し訳ないけれども、浅知恵で、浅知恵と言っていいのか分からないけれども、取りあえずそれで、それを調べますからという時間稼ぎなのか何なのか知りませんが、ただ、それが国家安全保障につながるという、そういう意識がないとすると、やはりそれは省庁としては非常に問題があると思いますし、国家機密を扱う資格は私はないというふうに思います。そういう危機感を覚えました。

 ただ、私は、心の中では多分誰に送ったかはもう分かっているはずだから、そういう言い訳をしたんだろうなと思っていますが、やはりそういったところも、もうせっかくアクリル板もなくなったので、クリアにちゃんとしていただいて、信頼される国土交通省になっていただきたいというふうに思いますし、政府が法案を委員会に提出してお願いをしているわけで、そこは、そのお願いを我々はきちっと聞いて、誠実に委員会で質問もさせていただいています。

 でも、我々が質問したこと、この間の、おとといの城井さんの質問でも、いつですかと聞いても答えていないのが現実だったと思うんです。そうすると、そちらのお願いはこちらは聞かなきゃいけないのに、こちらのお願いは聞いてくれないのか。それはもう信頼関係がやはり崩れてしまいますから、是非大臣のリーダーシップで、この委員会、やはり国土交通委員会というのは、私は、本当に平和で、もっと前向きな議論がたくさんあっていい委員会だというふうに思いますので、是非、これはもう私の意見でございますので、答弁は結構でございますので、是非よろしくお願いしたいというふうに思います。

 今日は話はがらっと変わって、今日は、私は海辺の利活用についてちょっと質問を幾つかさせていただきたいなというふうに思うんです。

 海とやはり連想すると夏というふうになるんですが、じゃ、夏だけ活用すればいいのかというと、日本は、国土面積、もうこれは釈迦に説法ですが、国土面積は世界で第六十位、一方、海岸線の長さは世界第六位という、この強みをやはり強みに変えて、政策をどんどん打っていって、通年、一年を通して海辺を、海岸を有効に活用すれば、これは、どこにでも、ないところもありますけれども、ほぼ日本は海岸を抱えている中で、地方創生にも間違いなくつながるというふうに思うんですね。

 しかしながら、元々、海岸法というのは一九五六年に制定をされて、そのときの時代背景というのは、昭和二十年、三十年、いわゆる災害が頻発をしまして、台風であったり、高波、高潮、地震、津波とかいろいろある中で海岸法というのが制定をされて、そのときは、防護、とにかく守るんだという意識の中でその法律ができたわけでございます。

 一方、一九九九年にその海岸法が改正をされまして、その防護に加えて、環境の保全であるとか適正な利用というものが目的に加えられたわけであります。これは、目的に加えられた以上は目的を達成しなければならないけれども、一九九九年ですからもう二十数年たって、約四半世紀たってその目的が達成されているかというと、もちろん、東日本大震災とかいろいろなものがありましたので、どうしてもやはり防護に力が注がれるのはこれは仕方がないと思いますけれども、有効な活用、環境保全というものをもう少し力を入れてやっていただかなければならないのではないかな、そのためにも、夏以外の利活用というものが私は重要になってくるんだろうなというふうに思います。これはやはり、国交省さんに聞いても、そこら辺は、海岸は地方公共団体さんの裁量だからということで、支援も出さないで予算も少ないという中でやっているからこそ、なかなか二十数年たっても同じようなことになってしまう。

 例えば、こういうものをやりましょうといったときに、大きな駅であろうと小さな駅であろうと、なぜか、どこにでも、北口にも南口にも、例えば、東口にも西口にも駅前にロータリーができるみたいな、もう何か一緒くたな政策になってしまっているのが今の日本の私は大きな弱点だというふうに思っております。

 ですから、これは前にほかの委員会でも言ったんですけれども、やはり、知恵のある者がしっかりと知恵を出す、知恵のない者は汗を出す、汗の出ない者はたたき出す、これは私がサラリーマン時代に先輩から鍛えられた言葉でありますけれども、そういった思いで、是非、国交省の皆さん、知恵があるわけでございますからその知恵を出していただいて、民間とかも活用して、英知をやはり結集して、その目的達成のために動いていただきたいと思うんですが、夏以外の利活用について、現在、今どのように進んでいるのかというのをちょっと教えていただきたいと思います。

    〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕

堀田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、まず、平成十一年の海岸法改正では、頻発していた油流出事故の適切な対応であったり、あるいは、自動車の乗り入れ等による海岸環境の悪化から貴重な動植物の生息、生育環境及び海洋性レクリエーションの場としての機能を保全する必要性を踏まえまして、法目的に海岸の適正な利用等が追加をされております。

 まさに御指摘のとおり、国土交通省といたしましても、夏場の海岸の利用だけに限らず、通年の利活用の促進は、地域の振興等の観点からも非常に重要であるというふうに認識しておりまして、様々な取組を実施はしております。

 例えば、鳥取県の皆生海岸であったり北海道の江差港海岸では、近隣の観光地と連携しながら、これは、海岸だけではなくて、公園等とも連携して、エリア一帯としてそういった海岸の利用を促進する取組が進められているところではございます。

 また、国土交通省としては、通年での海岸利用の活性化に向けましてノウハウ集を作成いたしまして、海岸管理者であったり海岸利用者に周知しておりますが、残念ながら、コロナ禍によりまして十分な活用はまだ至っていないのが現状ではございます。

 国土交通省では、海岸の夏以外の利活用の促進を図るため、これらの取組を引き続きしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。

    〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 今出てきた例というのは結構まれというか、日本全体で考えたときにやはりまだまだ進んでいないという現実がある中で、成功していたり、いろいろにぎわいがあるところもあるというような話だというふうに理解をしています。

 やはり、海岸、例えば砂浜というふうに考えると、白砂青松がすごいきれいだというふうに言われていますが、それを実現するために、わざわざ白い砂を運んできてやっているとかというところもあるわけですよ。でも、僕は、そこまでやる必要はないんじゃないかなと。もっとちゃんとその地域の特性を生かして活用していくということも私は非常に大事だと思いますし、そのためには、地元の皆様方のやはり意見もしっかりと取り入れること、そして民間の力も活用するということ、また、NPOとかいろいろな団体がありますけれども、そういったところの英知もやはりどんどんどんどん使っていって、三位一体となってこの問題に私は取り組んでいくべきだというふうに思います。

 やはり、冬の海岸を見ると、どうしても寒々としていて、大体、冬の海岸を見ると夏のことを思い出すみたいな、何かそういうものもありますけれども、是非、こういった様々な分野の皆さん方の意見を活用していただきたいというふうに思うんですが、今、そこについての民間や非営利法人等と連携をどのように進めているのかというのをちょっとお答えいただきたいと思います。

堀田政府参考人 お答え申し上げます。

 海岸の利活用に関しまして、民間事業者であったり非営利法人等との連携は極めて重要なことであると認識をしております。

 平成二十六年に実は海岸法を改正いたしまして、適正に海岸を管理することができる非営利法人等を海岸協力団体として指定する制度を設けまして、地域の実情に応じた効果的な海岸管理が可能となるように措置したところでございます。

 これによりまして、海岸管理者と地元の民間事業者さんであったり、あるいは非営利法人などが連携いたしまして、地域住民も参加する形での海岸清掃活動であったり、あるいは環境学習等が行われておりまして、一般市民が海岸に親しむ機会の創出に寄与していると思っております。

 引き続き、海岸協力団体の活動等を通じまして連携を進めてまいりたいというふうに考えております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 やはり、そのためには先立つものも必要になってくるというところもあります。だから、予算措置、後でちょっと予算のお話はしますけれども、是非、やはり、二十数年たって、じゃ、どれぐらい変わったのかという側面から見たときに、まだまだ不十分なのではないかという立ち位置に立って今後運用していただきたいなというふうに思います。

 ちょっと、海岸線で若干問題があるところもあって、これ、一つの例なんですけれども、私の地元とかで、水上バイクが結構遠くの方からやってきて、子供たちにヨットを教えている方がいて、そこにがあっとやってきて、何か事故寸前になっちゃうみたいな事例があったりして、実は、水上バイクの問題はちょっと、全国的にもそれなりに問題になっているところがあると思います。

 それについて今対策を、どのようになっているのかというのを、もし分かれば教えていただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 水上オートバイが遊泳者などの付近で衝突や危険を生じさせるおそれのある速力で航行したり、急回転やジグザグ航行するといった危険操縦につきましては、船舶職員及び小型船舶操縦者法において禁止をされてございます。小型船舶操縦免許の取得あるいは更新時におきまして、教本や視聴覚教材で最新の危険操縦の事例などを取り上げて、重点的に教育を行っておりますほか、違反者に対しましては、都度再教育を行うこととしております。

 さらに、特にマリンレジャーが盛んになるシーズンを中心にいたしまして、地方運輸局と海上保安庁が共同でマリーナを巡回して指導を行うなどの安全啓発並びに取締りを行っておりますところ、関係機関と連携して、しっかりと危険操縦の防止に取り組んでまいる所存でございます。

山本(剛)委員 これは、あれなんですよね、結構深刻なのは、例えば、水上バイクを降ろすところを自分たちで勝手に作っちゃうパターンとかですね。結構距離を走れるので、相当遠くで降ろしたものががあっとにぎわいのある海岸にやってきて、言葉は悪いですが、見せびらかすじゃないですけれども、そういったこともやはり行われているのは、実際事実であります。

 だから、是非、余り取締りをきつくというのもなじまないのかもしれませんが、ただ、やはり事故が起こってからでは遅いというところもありますし、また、近隣の住民の方から騒音などの被害もやはり言われることもあります。ですから、要は、ちょっと大きく音が出るように改造しているようなものもあるということを聞いています。だから、やはりそういったものに対する取締りとか規制の強化というのは是非やっていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 ちょっと大臣にお尋ねをします。

 やはり、一年を通して海岸を利活用していこう、様々な取組をしていこうというためには、やはり先立つもの、予算も私は必要だと思うんですが、残念ながら、港湾局の中でも海岸に関わる予算は、実は港湾局予算の一割に満たないというか、一割程度なんですね。これはずっと変わっていないんですよ。そこに、じゃ、やろうという、この目的を達成するためにやろうという迫力を感じないんですよ。まあ、この程度でやっておけばいいやというような、やはりそれが数字に表れちゃっているというふうに私は捉えているんですね。ですので、やはりこれは地方創生にもつながります、本当に。

 私、一つ提案なんですけれども、何かをつくったから人が集まってくるという考え方はもうやめた方がいいと思います。人を集める努力をして、そこに何が入ってくるのかというのを地域に任せる、こういった考え方に転換をして、じゃ、人を寄せるためにどうすればいいかと。海というふうに考えてしまうと、どうしても夏として捉えてしまうということがあるとするならば、海だけではなくて、そこは広場なんだ、大きな有効に活用できる土地なんだというような概念の中でその予算をしっかりと取って活用していっていただきたいんですが、大臣の所見をお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 海岸をしっかり守るということは、ある意味でまた利用するということで守っていくということになろうかと思います。そういう意味で、防災・減災、国土強靱化の中の一つの大きな項目でございます。

 迫力が足らないというお話でございますが、今、全体、予算は抑えられていますので、どこの部門も迫力を持って対応してやっと今の現状というのが、もっともっと増やさなきゃいけないんですが、そういう現状だということも是非御理解をいただきたいと思います。

 例えば、全国各地の海岸においては、高波、高潮から背後地域を防護するため、海岸保全施設整備事業による突堤や養浜等を実施しておりまして、その際、地域の観光振興にも資するよう砂浜幅や突堤高さなどを決定していく、このような試み、また、周辺の観光施設等と連携することによりまして、海岸の利活用を通じた地域振興にも取り組んでいきたい、このように考えております。

 必要な海岸予算、しっかり確保していきたいと思います。

山本(剛)委員 ありがとうございます。是非お願いします。

 やはりそういって利活用が進むと、今、ごみ問題も結構大変なんです、海岸は。特にプラスチックごみが漂着したり、捨てたり。一年中利活用されているきれいな海岸にやはりごみを捨てようという人はいないんですよ。きれいな海岸に、何か、きれいな海にごみ捨てようって、ないじゃないですか。だけれども、誰もいないからいいやみたいなところが私はやはりあると思うんです。そのプラスチックごみ問題、今どうなっているかちょっと教えてください。

秦政府参考人 環境省におきましては、大きく分けて二つの事業を実施しております。一つは、既に海岸の方にたまってしまったごみを片づける事業でございます。これは海岸漂着物等地域対策推進事業というものでございまして、海岸管理者であります自治体が行う、海岸漂着物、これはプラスチックも含めてなんですが、これの回収、処理等につきまして、補助率七割から九割というかなり高い率で財政支援をしております。令和三年度には、全国で約四万トンの回収を実施したところでございます。

 もう一つは、主に国内対策でございますが、未然防止のための啓発事業ということで、例えば、自治体と企業等との連携を促すモデル事業なんかを行っております。具体的には、自治体とトラック協会さんとの間で連携をいたしまして、トラックからのポイ捨てを防止するためにトラックのキャビンの中に分別のごみ箱を設けるとか、こういった対応ですとか、あるいは、観光しながら観光客の皆様にごみを拾ってもらう、こういったイベントを企画するとか、様々なお知恵を地域の実情に応じて出していただきながら事業を実施しておるところでございます。

 こういった取組につきまして、引き続き、多くの皆様に海岸の保全への関心を持ってもらいながら海洋ごみ対策の取組の推進につなげてまいりたいと思っております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 海岸をボランティアの方が結構清掃されているのはやはりよく目にする光景でございまして、そういったものにしっかりと高い補助率でやっていただくというのは非常にありがたいことだというふうに思いますし、これからも進めていただきたいなというふうに思います。

 一方で、やはり、利活用を進めて、そもそもごみが出にくくするような環境をつくっていく努力も私は並行して必要だというふうに思いますので、そういった民の力をかりるのと同時に、ごみの出ない活用の在り方というものを是非検討していただきたいなというふうに思っております。

 また、防災についてもちょっと伺いたいなというふうに思うんですが、やはり、海岸地域の防災意識というのが年々高まっている中で、この防災意識の高まりというのは地域を本当に強くするんですね、固くするといいますか。やはり、防災は自分一人でできるものではなくて、また、家族みんなでやろうと思っても、例えば、足が悪い高齢者の方々と若い人たちが同じ防災ではおかしいわけで、やはり、足の悪い人には足の悪い人なりの避難計画というのが必要になってきたり、若い人たちには若い人たちなりの、また、それを幇助したり助けたりするような防災の在り方というものも私はあるんだろうなというふうに思います。そういったものをどんどんどんどん地域で話し合うことによって地域の連携が生まれ、地域が固くなっていく。

 また、新潟での事例を申し上げますと、海岸でイベントをやっているときに、十二時になったら何か訓練用のサイレンをだあんと鳴らして、皆さんが、例えば、バレーボールをやって楽しんでいるとかというのも一度中断をして避難訓練をやっているところがあるというのを私ちょっと聞いて、ああ、それはすごいすてきな取組だなと思ったんですね。

 だから、そういうふうににぎわいがあって、例えば、そういったときに防災訓練をやはり導入をするというのは、私はこれからもどんどんどんどんほかの地域でもやっていくべきだというふうに思うんですが、こういった現状の今取組というのがどういうふうになっているのかというのをちょっとお教えいただきたいというふうに思います。

上村政府参考人 災害の多い我が国におきましては、行政による公助はもとより、国民一人一人が自ら取り組む自助、地域で互いに助け合う共助を組み合わせまして、地域全体で防災に備えていくことが重要であります。

 内閣府としましては、地域住民等がふだんから災害リスクを把握し、地域の実情に応じました避難計画を立てる地区防災計画というものが、自助、共助による自主的な避難行動を推進するために有効であると考えてございます。

 このため、地区防災計画の策定が一層進みますよう、ガイドラインの作成主体や作成支援者への研修の実施、地区へのアドバイザー派遣、優良事例の横展開などの取組により、計画の策定支援を行ってございます。

 また、津波に対しまして、毎年十一月五日の津波防災の日とその前後の期間におきまして、津波防災に関する知見を共有する啓発イベントの開催、地方自治体と連携しました地震・津波防災訓練の実施、地方自治体に対する津波避難訓練等の行事の実施の呼びかけなどを通じて国民の津波防災意識の向上に取り組んでございます。

 引き続き、このような取組を通じまして地域防災力の向上に努めてまいります。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 本当に、海辺に暮らす人たちの最も大きな懸念はやはり災害であるというふうに思いますし、防災意識の高まりを、もっともっと多方面で、多角的にやっていくことで地域を固くしていく、地域のつながりを強くしていくということを是非意識してやっていただきたいなというふうに思います。

 じゃ、海岸線を有効活用していこうという中に、里浜という言葉があるそうなんです、これは里山に準ずる造語らしいんですけれども。里山はもう御案内のとおりで、山裾に人が住んで、そこで果樹園とか例えば農業とか林業とかやりながら、人の手が入った、そういったものを里山というんですが、そういった人のつながりが、やはり地域創造、海をにぎわせていく、逆に海からも恵みをもらう。

 実は、私は福岡が地元なんですけれども、皆さんも御存じかもしれませんが、志賀島という金印が出たところがありまして、そこでは志賀海神社といって、そこの志賀海神社は山ほめ祭りというのをやるんですね。それは何かというと、山をおだてて褒めて、山と海は、山から海に要するに栄養が行って、だから海で取るものを豊かにするためには山を褒めようというお祭りがあって、これは神功皇后が、これはすばらしい祭りだから志賀島の波が絶えるまでやれみたいなことを言って、波が絶えることはないので、多分ずっとやらなきゃいけない祭りなんですけれども、そういうお祭りがあります。

 いにしえの知恵もやはり山と海と一体だということを私は示していると思うんですが、やはりそういった考え方の中で里浜という里浜づくりをこれからどんどんどんどん進めたらいいのではないかなというふうに思うんです。海辺と人々のつながりを地域地域の特性を生かしながら現代の暮らしにかなうような形でよみがえらせる、海岸線を、是非そういったことをやっていただきたいなというふうに思います。

 時間がだんだんなくなってきてしまったので、これはちょっと答弁は求めないので、是非そういう取組を進めていただきたいなというふうに思います。

 そのためにも、じゃ、通年を通して海岸を利用しようという中で、私、実はゴールデンウィークにキャンピングカーを借りてちょっと旅をしてみたんですけれども、今はすごいんですよ、技術革新も。アウトドアというと冬はなかなかきついなと思いがちですけれども、キャンピングカーであれば非常に快適に冬でも車中泊などができるなというのを私は実感をいたしました。そういった中で、海辺沿いに、やはり先ほど、物をつくって人を寄せるじゃなくて、人を寄せる努力の一環としてRVパークを海辺とかにたくさん造ったらいいんじゃないのかなと思うんですが、その辺はいかがでございましょうか。

堀田政府参考人 お答え申し上げます。

 海岸の夏場に限らない通年の利活用は、地域振興を図る上で重要であると認識をしております。

 例えば、広島県の瀬戸田港であったり、あるいは石川県の千里浜では、海岸の近隣にRVパークが整備されておりまして、通年の海岸の利活用を通じた地域の振興に寄与している取組の一つだと考えております。

 国土交通省としては、夏場に限らない通年の利活用に資する取組を推進してまいりたいというふうに思っております。

山本(剛)委員 これは、何で私がこんなのを造ったらええんちゃうかと言うのは、キャンピングカーの業界ってこれからすごい伸びていく業界なんですね。今注文しても一年待ちとかいう状況の中で、リセールも非常によくて、だから結構買いやすいということが言われて、お値段は高いんですけれども。ただ、ローンが三十年ぐらいで組める、もう家と同じぐらいなので。

 そういうふうに考えると、まずは一つはRVパークを造ってそういった人たちを呼び込むというのが一点ありますが、もう一つは災害時、どこかで災害が起きたときに、キャンピングカーを持っている方たちは結構災害時に拠出する契約みたいなのもしている方もいらっしゃるらしくて、そうしたら、キャンピングカーを出してもらったら避難所になるわけですよ。

 やはり、私も震災のときに行ったりしましたが、発災直後に、体育館で、段ボールで、寒い中ストーブをたいてというのは、何日も続けるのは、本当に私はストレスだと思います。それを、そういったRVパークを整備することによって、ふだんはレジャーで使ってもらう、災害時はそこは開放して、キャンピングカーを置いてもらって避難所にするというようなことができるわけですから、是非、海岸沿いにRVパークをたくさん設置をするということは前向きに考えていただいて、実行していただきたいなというふうに思います。

 最後の質問で、これはこの間、高速道路の法案のときにも言ったんですが、RVパークをサービスエリアにもやはり造った方がええやろというような話をさせていただいて、非常に道路局さんからは前向きな答弁をいただきました。もし設置を進めていかれるのであれば、利用者団体の意見もしっかりとよく聞いて、そういった連携を取っていただくのが私はよろしいかなと思うんですが、是非、いかがでございましょうか。

丹羽政府参考人 お答えいたします。

 高速道路のSA、PAにおきまして、利用者の目的に応じた多様なサービスを提供することは、休憩施設の快適性、また利便性の向上からも重要な視点だというふうに思っております。

 SA、PAにおきまして、車中泊ができる駐車場の設置を検討するに当たりまして、委員から御提案がございました車中泊を推進している団体との意見交換を行うことは、利用者ニーズを把握する上で効果的であるというふうに考えております。

 国土交通省といたしましては、委員から御提案のあった意見交換も含めまして、SA、PAにおいて車中泊ができる環境の整備が促進されるよう、高速道路会社と協力して取り組んでまいりたいと考えております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。是非強力に推進をしていただきたいなというふうに思いますが。

 先ほども申し上げましたとおり、大臣、RVパークの設置は、トイレを造ったり、電源、今キャンピングカーは、もっとぎょうらしいのかなと思ったら、百ボルトのコンセントにぽちょっとつけるだけで充電も済むし、運転していれば急速充電もできるから、夜に例えばエアコンをがんがんつけて、冷蔵庫もつけっ放しにして、夜一日寝ても、一〇〇%充電していたのが七〇%ぐらい、落ちるぐらいで済むんですよ。

 だから、非常に快適で、エンジンも止めて静かな中で車中泊ができるというところでございますので、災害時には、そういった、先ほど申し上げたような活用ができる。まさに一石二鳥の、私は、災害対策にも資すると思いますので、是非強力に進めていただくことをお願いを申し上げまして、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 先月、水道法改正で厚生労働委員会との連合審査がありました。来年四月から、水道事業が厚労省から環境省と国交省に移管されるというものであります。当時、そのときに十分しかなかったので、今日はその続きをやりたいと思います。

 高度経済成長期に整備された水道施設の老朽化が進行し、耐震性の不足等から、大規模な災害の発生時に断水が長期化するリスクに直面していること、人口減や水需要の減少に伴う水道事業の経営環境の悪化、さらに、水道事業を担う人材の減少や高齢化が進むなど、深刻な課題に直面していることなどを背景に、民間事業者の技術力や経営に関する知識を活用する官民連携や広域連携を進めることを中心とした、二〇一八年水道法改正がありました。

 これを受け、水道の基盤を強化するための基本的な方針が二〇一九年九月三十日に決定されております。そこで、政府が進める官民連携の形として、自治体が施設の所有権を持ったまま運営権を民間企業に売却する、コンセッション方式を水道事業でも推進することが明記されたわけですが、実際にコンセッションを実施あるいは検討している自治体はどこか、その進捗状況、実施状況についてどのように評価しているのか、伺います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、実施についてでございます。

 宮城県における仙南・仙塩広域水道用水供給事業と大崎広域水道用水供給事業のこの二事業が令和四年四月から実施しています。

 次に、検討でございます。

 現時点で具体的に検討が進んでいるというものは、現時点ではございません。

 次の、進捗状況、実施状況でございます。

 宮城県におけるコンセッション事業の経営状況については、これはちょっと三点申し上げます。運営権者によるセルフモニタリング、二つ目が県によるモニタリング、三つ目が第三者機関である経営審査委員会によるモニタリング、この三段階でモニタリングを実施することとされています。

 このうち、三つ目の経営審査委員会では、そのモニタリング結果を運営権者にフィードバックして、必要に応じて運営方針の見直しを求める、こういった体制を構築しているところでございます。

 本事業における運営権者の令和四年度上半期の経営状況については、当初の計画値から大きな乖離はなく、初年度、令和四年度全体の決算においても計画値と同程度になる見込みであることを確認したと聞いております。

 こうしたことを考えると、現時点では事業は適切に実施されているものと考えております。

高橋(千)委員 済みません、昨日ちゃんとやり取りしたつもりですが、答弁が、趣旨がちょっと違っているわけですね。

 実施あるいは検討している自治体はどこかといったときに、宮城県以外は今はもうないわけですよね。大阪は上水道のコンセッションを途中で断念をした経緯があります。

 ですから、宮城の話を聞いているんじゃなくて、国は鳴り物入りで官民連携をやると言ったわけです。それが、今こういう状態になっていることをどう評価していますかと聞いたんです。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、今委員から御指摘いただいた点で申し上げますと、過去には大阪市が御指摘のとおりになった。加えて申し上げますと、浜松市では現在検討が中断状況となっています。

 私ども厚生労働省としては、まず第一にあるのは、水道法の心でありますところの、清浄な水がきっちり供給される、その中の一方法として、どのような供給、その経営、運営基盤があるのか、それの強化をどうするのかということが、先ほど御紹介いただいた令和元年九月三十日の方針でございますので、その意味では、それぞれの運営者において協議の結果が今ですので、それについて、二だからよい、二だから悪いというよりは、それはそれぞれにおいて適切に経営の、運営の仕方について検討は行われていると考えております。

高橋(千)委員 逆に言うと、大いに進めようと思ったものが、余りそうではない、あるいは水道法の本来の目的に立てばコンセッションはふさわしくない、そういうことが実は多くの自治体が気づいているというあかしなのかなと、かえって私はそのように受け取りました。

 それで、資料の一が、みやぎ型管理運営方式の事業区域です。私、ちょっと、あれっと思ったんですが、厚労省なものだから、水道の話しかしなくて、二つの、この上の、大崎と仙南・仙塩広域水道事業の二つしか今おっしゃいませんでした。宮城は全国初の、上水と工業用水と流域下水道、この三つを一体型でコンセッションをやるというやり方で、九つの事業になるわけであります。

 それで、下段にその運営権者の構成員が示されておりますが、水処理大手のメタウォーターを代表企業とし、水メジャー、ヴェオリアなど十社が出資した特別目的会社、SPCといいますが、みずむすびマネジメントみやぎと契約を結びました。契約は二十年間、十億円と聞いております。

 昨年四月十二日、みずむすびマネジメントみやぎの酒井社長は、悪い情報もきちんと発信し、隠し事をしない会社を目指す、約束した水質と水量を安定的に提供し続けていくと記者団に語りました。ところが、一年目に当たり、命の水を守る市民ネットワーク・みやぎが声明を出しておりますが、民営化後、情報公開が大幅に後退したと指摘をしています。

 先ほどの企業名の並んだ資料の中にある、みずむすびサービスみやぎ、これは出資は一緒ですけれども、サービスみやぎの方が浄水場や下水処理場の維持管理を担当しているわけなんです。これは設立をしたわけなんです。ところが、県とは直接の契約関係にないために、財務数値などがほとんど開示されていないという指摘であります。

 このように、民間企業が運営権者となった場合、情報公開については、地方自治体や公営企業で運営していたときとは違って仕方がない、やむを得ないという立場でしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 水道法では、これは二十四条の二というところで規定されているんですが、水道事業者は、水道の利用者に対し、水質検査の結果や水道事業の実施体制に関する事項等の情報を提供しなければならない、こういう規定がございます。

 これを受けて、厚生労働省が定めております水道事業における官民連携に関する手引きでは、コンセッション事業において、民間の運営権者が運営を行う場合であっても、水道事業の透明性の向上のため、事業運営に関する情報を積極的に公開していく必要があり、適切に情報公開が行われるよう実施契約書に必要な規定を盛り込むことが望ましい旨をお示ししているところでございます。

 よって、委員の御指摘の、情報公開において公開されなくてもやむを得ないという立場、考えかというと、厚生労働省は、そんなことではございません。

岡村政府参考人 下水道分野についてお答えを申し上げます。

 下水道につきましては、日常生活を支える重要なインフラでございまして、官民連携の導入の有無にかかわらず、情報が住民等に適切に公開される必要があると考えております。

 このため、国土交通省が策定をいたしました下水道事業における公共施設等運営事業の実施に関するガイドラインにおきまして、透明性確保の観点から、積極的な情報公開を行うことが望ましい旨を記載し、周知をしているところでございます。

高橋(千)委員 今、厚労省と、下水道に関わって国交省に答弁をいただきましたが、国交省の方はガイドラインにとどまっているんですね。法律に書かれているわけではない。ここはきちっと今後検討していただきたいと思うんです。

 ただ、厚労省も、水道法二十四条を御紹介いただきました。事業者はということは、これ、事業者は県になるわけですよね。県が民間事業者に対して、さっき言ったように、契約の相手方ではない、つまり再委託になりますので、それに対してもきちっと情報提供させる責任がある、このような理解でよろしいでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 この法の趣旨から鑑みれば、まず、少なくとも、先ほど御指摘いただいた条文のところでそう規定していて、それを受けてと先ほど御答弁差し上げたところですが、それを受けて、私どもは水道事業における官民連携に関する手引きを定めておりますので、そのような考え方は、当然ながら、この事業そのものについての情報公開の必要性を私どもは求めているということでございます。

高橋(千)委員 これが確実に浸透するように御指導をお願いしたいと思います。

 昨年三月三十一日の河北新報によると、二〇一七年度の地方公営企業年鑑を基に、宮城県の水道料金、一立方当たり百四十六・五円ということで、広域水道行政を手がける二十二府県で最も高いんですね。最も安い長野県の三倍超に達すると指摘されています。村井知事がその三日前の定例記者会見で、県民に少しでも安価な水道を供給するための施策である、日本のモデルになると自信を見せたと報じています。果たしてそうでしょうか。

 市民ネットワーク・みやぎは、年間契約水量の八割に相当する料金を、給水量が仮にそこまで満たなくても市町村は必ず支払う責任水量制の見直しをしてほしいと求めています。

 これまでは、事業別にそれぞれの用水の原価が公表され、市町村の受水料金もそれに基づいて算定をされてきました。同じように、水道用水原価、下水道負担金の算定根拠が公表されなければ、首長は住民に責任ある説明ができないし、議会も判断ができません。この点は民営化前と変わらずということでよろしいでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まずは、水道法上の根拠ですが、十四条の第二項において、水道料金は、能率的な経営の下における適正な原価に照らし、健全な経営を確保することができる公正妥当なものであること、これが法律が求めているところです。

 同じ法律、水道法の二十四条の二、これは先ほど申し上げましたが、水道事業者は、水道の利用者に対し、水道料金や利用者の負担に関する事業の情報を提供しなければならないとされています。

 こうした水道法上の規定に基づきますと、地方公共団体が水道事業を実施する場合、料金の改定を行うに当たっては、事業に要する費用や給水量についての将来の見通し等、こういったことも含めた根拠を議会に示した上で、それぞれの地方公共団体の条例によって水道料金を決定されている、このような仕組みだと承知しております。

 御指摘のみやぎ型管理運営方式においても、水道料金の改定を行う際は、その十八か月前には宮城県から市町村に対し、収支見通しや料金の改定案等を提案し、宮城県と市町村の間で料金の交渉を行った上で、宮城県議会において条例により料金の改定を行う、こういう仕組みになっているものと、まだ初回の改定はありませんが、規定上はそのような定めになっているものと承知しております。

高橋(千)委員 確認ですが、十八か月前に原価をちゃんと議会に示すことになっていると。当然、そこには、民間会社ですので、配当もきちっと示されるのかというのが確認と、それから、通告していなくて申し訳なかったんですが、今、最初にお話しした責任水量制、これについてはどのようにお考えですか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、前者の十八か月前には示すものというところですが、もちろん、これは市町村等に対して、判断いただくのに必要な収支見通し、ちょっと例示的に申しますと料金の改定案等でございますし、宮城県と市町村間の料金の交渉、これを踏まえた上で宮城県議会で御審議いただくに際しては、それに必要な情報を当然お示しした上での御審議をいただくことになると思います。

 二点目のところでございますけれども、これはどこの部分を御答弁差し上げればよろしいでしょうか。委員長、どうしましょうか。責任水量制のその部分を……(高橋(千)委員「についてどう考えますか」と呼ぶ)承知しました。

 もちろん、この水道法が求めている趣旨からすると、当然ながら、その水道事業者はという、これは二十四条の二のところで申し上げましたけれども、まず、そこで、事業者が利用者に対して開示をしながらするんだ、そして、その上で、その料金の設定においては、十四条の二項で定められている、能率的な経営の下で、そういったものの健全な経営を確保することができる公正妥当なものであること、これをちゃんと担保するんだ、こういうような法律のたてつけになっております。

高橋(千)委員 広域化と、それから三つの水道を一遍にコンセッションにしていますので、どうしてもその矛盾が出てくると思うんですよね。

 今言った責任水量制というのは、やはり、実際は使わなかったけれども、ここまでは払わなきゃいけないという問題が出てくるということは、市町村長が問題だと言っているのは是非受け止めていただきたいと思うし、はっきりおっしゃらなかったんですが、必要な情報は出さなきゃいけないとお話しだったので、民間企業である以上は配当についてもお示しをするということでよろしいですね。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、後段の今の御指摘については、民間企業がちゃんとそういう情報を出すのかということかと思います。

 当然ながら、まずこれは、議会で承認、また、県と市町村の間で交渉する、その際に必要な情報が必要ですし、また、その情報を提供するに際しては、契約関係において、民間企業との間でしかるべきそれを担保するような措置があって、その上で御審議いただくという当然これは流れになると思いますので、その意味では、その民間企業に必要な情報というところは、それで担保できるものと考えております。

高橋(千)委員 確認しました。時間が非常に過ぎてしまって申し訳ありません。

 昨年十二月九日、仙南・仙塩広域水道事業において、今年四月八日は大崎広域水道で濁度上昇事故が起きております。施設等の維持管理を担当している会社と受託業者の間で十分な確認作業をしていなかったということが問題だと聞いております。まず、この事案を承知しているかということと、水質管理は、水道法の一条、清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もって公衆衛生の向上と生活環境の改善に寄与するという水道法の目的そのものであり、大変重要なわけです。

 資料の二枚目に、この水質検査体制のフロー図と、県と運営権者の分担があります。モニタリングは県がやるということになっているわけですが、実際には、この下にあるように、運営権者と分け合って、減らないんだ、これまで以上にやるんだということを県は強調しているわけなんですね。これを、やはり最終的にチェックはどうあるべきだとお考えですか。

佐々木政府参考人 簡潔にお答えいたします。

 まず、この事案については、厚生労働省においては、宮城県から話を聞いて、当然ながら承知しております。

 その上で、これをどういう形でマニュアル的なものにし、かつ、それをチェックしていくかについてでございます。

 今回、宮城県が運営権者に対して改善命令を通知しました。それで、再発防止策として、運営権者によるこれまでの施工要領書に代わり、より詳細な手順書、これがマニュアルに相当するものかと思いますが、この手順書を作成の上、この手順書を用いた点検作業を宮城県も確認したというところです。

 このチェックの部分ですけれども、厚生労働省としては、水道事業の適切な運営に向けて、今後も引き続き宮城県及び運営権者に対して、適切なモニタリング、先ほどモニタリングの仕組みを御説明しましたが、これを継続するよう指導してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 資料の二の上段にあるように、民間の力の最大活用というんですけれども、実際は、モニタリング、管路の維持管理、更新などは県が引き続き持っているわけなんです。

 先ほど、大阪がコンセッションを検討して途中で断念ということをお話ししましたが、政令市の中でも水道管の老朽化が最も進んでいるということで、水道管の交換事業を民間移譲しようと考え、公募に応じた二グループが採算が取れないということで断ったというのが大阪のてんまつだったと思っています。

 村井知事はそういうことが分かっているから、これでは民間事業者がもうからないと参入してこないから、管路の更新は県が持ちますと宣言して、こういうふうに呼び込んでいるわけです。

 でも、それだったら、何のためのコンセッションなのかとつくづく思うんですよ。ちっとも負担は軽くならないし、安くもならないじゃないかということで、それだったら、やるんだったら、元々、県がそのままやればいいんじゃないか、このように思うんですね。

 ちょっと、これで時間になりますので、大臣に一言。

 新水道ビジョンでもうたわれて、本当に小さい自治体だと専門の技術職員が一人もいないとか、そういう議論の中で作った法律なんですよ。本当にこれで進める必要は特にないと思うし、こういう中で、やはり人材不足を本気でやっていかなければまずいと思うんですが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 いよいよ水道事業が国土交通省所管になりまして、下水道、上水道一体として、国土交通省、管理事業を推進してまいります。

 そのときに、上水道、下水道共に地方自治体にお願いしているところもたくさんございまして、ここは国と地方自治体、しっかり連携してやっていかなくてはいけない。そのときのいわゆる自治体での技術者不足というお話も聞いております。そこはしっかりと、人材育成も含めて、そして予算面も含めて、我々国土交通省として頑張りたい、このように思っています。

高橋(千)委員 また時間が足りなくなりました。次にやりたいと思います。

 ありがとうございます。

木原委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 今日は私から、伴野さんからもありました物流の二〇二四年問題と、天下りの問題、これは両方実は関係しているところがあるということをお話をさせていただきたいと思います。追及じゃなくて、柔らかくやる提案型でやりますので、是非お気軽に答弁していただければというふうに思います。

 最近、地元の関係者から、皆さん方もそうでしょうけれども、二〇二四年問題について様々な声を聞いて、私もゴールデンウィーク中、仲間の運送関係の皆さんと意見交換をしてきました。

 数十台のトラックを持つ中堅的な方もいれば、多くが十台前後の車を持っていて、従業員が数人、経理をやるのは奥さん、社長自らハンドルを握って遠くまで行くこともあるというようなのが私の知り合いの社長さんは多いですし、また、大手の会社でドライバーとして働く人も同じ地元の仲間としているので、そういう人から話を聞いてきました。

 みんなが言うのは、今、二〇二四年問題で言われているのは、全然自分たちの現場の実態を踏まえていないということなんですね。

 私、これまでの二〇二四年問題、何度も国会で議論になって、その答弁を全部読んできました。過去の答弁を読んだ上で質問するので、これまでの答弁と同じことを繰り返さないでいただきたいんですけれども、大臣も、先ほど伴野さんの質問のときにちょろっとありましたけれども、これまで、この二〇二四年問題の対策をつくるに当たって、どういう人たちの話を大臣自らが聞いていらっしゃって、それをどう生かそうとしているのか、そのことをまずお答えいただければと思います。

    〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕

斉藤(鉄)国務大臣 まず、私個人、政治家としてどのように聞いてきたかということでございますが、私の地元にも、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、小さい事業者、まさにダンプ一台持ってやっているような事業者の方もたくさんいらっしゃいます。そういう中で多重構造の問題も聞いてまいりました。

 国土交通省としても、そういう中小の事業者の方の声もしっかり聞こうということで、国土交通省本省、地方運輸局等に相談窓口も設置しておりますし、また、目安箱も設けているところでございます。

 こういう形で、しっかり現場の声を聞いた上で、この二〇二四年問題の対策をつくっていきたいと思います。

福島委員 相談窓口とか目安箱とか、文句があれば言ってこいというやり方が私はそもそも駄目だと思うんですね、体質として。

 これまでの累次の国会答弁で、例えば、標準的な運賃の創設とか、荷主等に対して不適切な商慣行の是正等に向けた規制的措置を導入とか、モーダルシフトや物流DXなどの輸送の効率化で、いつもこれは答弁で表れておりますけれども、大臣自身、この中で一番政治家として優先度が高いというものは何だと思われますか。端的にお答えください。

    〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕

斉藤(鉄)国務大臣 一つだけ、二つだけ言わせてください。

 一つは、やはり待遇の問題だと思います。そして二つ目に、先ほど申し上げました多重構造の問題、この二つの問題が一番大きなネックだと思います。

福島委員 おっしゃるとおりだと思います。

 多重構造の問題も、私は全て待遇につながると思います。

 この業界は、ドライバーさんがいなきゃ成り立たないわけですね。ドライバーが集まる、その人たちにとって魅力的な仕事にならない限りは、自動運転というのがあるでしょうけれども、当面は全てが人であって、この問題は全てドライバーさん、働く人の賃金の問題に私は帰結すると思います。そうした観点から見たときに、今まで挙げられてきた政策というのは、なかなか現場に響いていないんですね。

 資料一がございます。

 これは、UDトラックスといういすゞの関連会社のアンケートで、全国の四百人のドライバーへのインターネット調査なんですけれども、二〇二四年問題を知っているというのは八割を超えていますから、多くの人が知っております。

 この残業規制に対してどう考えるか、ここが衝撃的で、この規制導入を、経営者じゃなくて働く側にとって、五三%がネガティブと答えているんですよ。働く人のためにやった政策が、実はネガティブに答えているんですね。

 何でかというと、その次の裏ですけれども、四分の三が給料が下がると。先ほど大臣がおっしゃいましたけれども、人手不足の要因は給与の低さであって、この規制を働く側によかれと思って入れたことが、逆に給料が減ってしまっていると。

 資料二でありますけれども、それを、ウェッジという雑誌に載っていた記事を模式化したんですけれども、今、この左上で、左のグラフでありまして、緑の部分が普通の給料、赤が残業代です。

 今は、ドライバーの時給を千七百円とすると、この百七十六時間の月間の所定労働時間で二十九万九千二百円月給がもらえます。それで上限いっぱいの残業をすると二十万一千九百円、合計五十万一千百円が月収になるんですが、今年の四月からは、割増し賃金率が引上げ、二五%から五〇%に上がりますから、時間外労働が増えると、今度、賃金が上がって五十一万六千円と、一万四千九百円アップします。

 ところが、来年の四月からは、残業規制があるから、緑の大きさは変わらないんですけれども、時間外賃金が十七万八千五百円に落ちて、一か月の合計賃金も四十七万七千七百円と、こういうふうに今よりも減ってしまうんですね。これから二〇二四で大変なときに、となってきます。だから、これは歓迎されていないという、そうした面があると思います。

 私が聞いた話ですけれども、私の知り合いの会社は、茨城から青森まで不定期で、ユニットハウス、それを、大体三坪だと大型トラックだと一台しか運べなくて非常に効率が悪いそうです。それよりちっちゃいのだと大手さんが二台とかとやるんですけれども、効率の悪いのは全部そういうところに回ってくる。

 今では、高速を払うと利益がなくなっちゃうから、下道を使って片道十三時間以上かけて一日で運んでいます。これからは恐らく十三時間では駄目ですから、二人ドライバーを乗せるか、高速を使わなければならないけれども、結局、そうはいかない。ドライバーの方も、こういう運送会社って、昔、やんちゃをやっていた人が経営しているから、ぱっと一声でドライバーを集めるんですよ。おまえ、ちょっとやれと言ったら、はいとやって。その人も残業代が欲しいから、いや、もう残業代、少々やってもいいですよとやるんですけれども、これからは恐らく規制がきつくなっちゃうからどうしようか、こそっと規制を破るか、どうしようかと思っているけれども、結局、やるとしたら、今まで従業員でいた人を個人事業主にして請負でやって、俺たちは知らねえよとやるしかないと思うんですよ、これからは。

 だから、どうにかしてでも規制の抜け道を探さなきゃ、もうやっていられないという悲痛な声が上がっていて、ちょっと時間がないので飛ばしますけれども、運用については、規制の運用がどうなるかと非常に気にしています。もし、これが厳しくなるんだったら、もううちは廃業するか、完全に闇に潜るか、どっちかしかないねなんということを言っているぐらい深刻な話になっております。

 同じ会にいた大手のドライバーさんは、今、うちの会社では二〇二四年対策をやっていましてと。長距離は途中で運転手交代、あるものは鉄道、モーダルシフトで、まさに鉄道貨物の利用で短距離になって、日帰りでできるようになるというようなことをやっていますよ。

 結局、だから、何が起きているかというと、運びやすい、二〇二四年に対応しやすいのは大手がやる、それでもできないものというのを中小零細、地場の者がやるというふうになっていっちゃっているんだと思うんですね。

 それの証拠が資料三ですけれども、資料三を見ると、下請を利用する、これは国土交通省がつい先日やった調査、四月二十七日にやった調査ですけれども、下請に回すのは、荷主からの突発的な運送依頼、あるいは自社のドライバーが不足と。

 やはり、トラック輸送というのは、いつでもどこでも何でも運べるという機動性が一番のトラック貨物の利点であって、しかし、それを、荷物を荷主さんから引き受けたときに、やるときに、効率のいいのは大手が取る、そうじゃないのはもう中小零細にぶん投げて、あとは二〇二四年問題を、できるかどうかは知らないというふうになっちゃって、そうした難しい問題があるわけですね。ですから、そこをどうにかしなきゃならない。

 国土交通省が胸を張る標準的な運賃、これも、私が聞いた社長さんは、昨日届いたメールでは、標準運賃は全く意味をなしていない、確かに収受できている運送業者もいないわけではない、しかし、一部の運送事業者のみが恩恵を受けている標準運賃には何の希望性も見えない。これは、数十トラックを持っているそれなりのちゃんとした会社の社長さんです。

 ある内部情報は、大手運送会社へは、弊社から一次下請に依頼したのは四トンチャーターが一日四万円、だから採算は下請は取れるだろうというけれども、実際、孫請が請けたのは二万二千円なんですよ。標準運賃では全然ないわけですね。

 これは何でかというと、標準運賃だからなんですよ。標準運賃は、大手が定型的なのが標準なんですよ。でも、中小零細が担うのは標準でできない定型的じゃない業務なんですね。だから、幾ら標準運賃、標準運賃と言っても、中小零細には響かない。私は、ここに、標準運賃の問題と、先ほど大臣がおっしゃった多重下請構造の二つの問題があるというふうに思っております。

 まず、その前者の方の標準的な運賃の問題ですけれども、次の資料四、いっぱいあって申し訳ありませんけれども、これを国交省は、標準的な運賃が半分、五割届けられていると言います。でも、これは単に届けているだけです。これはメーカー希望小売価格みたいなもので、実際に取引をされる値段というのは全く違います。ましてや下請、孫請になれば、標準的運賃は、元請とは、荷主さんとは標準的運賃でも、その下請、孫請になったらもう標準的運賃なんて関係なくなっております。

 最近、国交省が調査しているんですね。令和四年一月二十八日から三月三十一日。でも、これ、びっくりしたのは、回収率五・九%。トラック事業者四万四百六十八のうちの五・九%って、私は、国土交通省って統計学がすごくおろそかだと思うんですけれども、統計としては有意ではありません。これはパーセントで見ちゃ駄目なんですよ。標準的な運賃で提示しているのは三百十者、理解を得られたのは五十九者。四万四百六十八者ですよ。だから私は、これまでの国会で半分が標準運賃を届けているというのは、全く意味のない答弁ではないかと思うんですよ。

 結局、標準運賃、標準運賃と言いながら、この統計では標準運賃が実際どうなっているかという実態を全く把握できていないと思うんですけれども、これはちょっと質問通告はしておりませんけれども、いかがでしょうか。大臣でも局長でも審議官でも、どちらでも結構ですので、お答えください。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 標準的な運賃につきましては……(福島委員「その説明はいいから。これはちゃんと実態を把握できているかできていないか」と呼ぶ)はい。

 これは、全日本トラック協会と国交省の共同で、全参加事業者に対しての調査を行っております。それに対する回収率が低いことに対しては、これは反省すべき点があると思っておりますし、今回、三年度に続いて四年度もやっております。その回収率を高めるためにいろいろと努力をして工夫してPRをしておりますので、四年度についてはもう少し高い回収率が得られるものと考えております。

福島委員 結局、だから実態を把握できていないんですよ、この調査では。だから分かっていない。分かっていないままで標準運賃があればいいと国会答弁でしていたんですね。

 私は、結局これは、例えば下限運賃、この時間を走るんだったら、これだけ走るから人件費は最低確保できる運賃にしない場合はもう駄目だという、下限運賃規制みたいな明確な運賃規制を入れるべきだと私は考えます。答弁は求めませんけれども。

 もう一つ、多重構造の問題も、今年の二月に持続可能な物流の実現に向けた検討会の中間取りまとめが行われていて、物流業者の取引関係における多重下請構造の是正が必要となっているんですが、この文書を見ると、多重下請構造の是正については、一律に一括下請を禁止することを定めた建設業法の例があるが、トラック業界においてはこれはできない。ただ、一部の輸送業務を下請事業者に委託せざるを得ない場合もあるという業界の特性も配慮する必要がある。何げなく書かれている文書ですけれども、これは全て元請の立場になっているんです。でも、結局、下請は、さっき言ったように非定型的な業務の下請、孫請は存在するから、結局下請を便利屋扱いしているだけで、下請問題の解決には全然ならないんですね。

 大臣、お願いします。さっき地元でも聞いているという話があって、この中間取りまとめですから、六月、七月になると思うので、是非これは、下請の問題は、元請とか荷主に聞いても駄目ですよ。トラック協会に聞いても駄目です。トラック協会の問題は今からやりますけれども、是非、中小零細の元請、下請に窓口をしいて、文句があるやつは言ってこいというんじゃなくて、直接聞いて、そこに当てはめる対策をつくっていただきたいんですけれども、大臣、どうでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 持続可能な物流の実現に向けた検討会の最終取りまとめに向けまして、この事務局におきまして、全日本トラック協会に加盟している事業者からはもうヒアリングしておりますが、聴取していない中小零細のトラック事業者、そういう本当の中小零細事業者からも意見を聞く機会を設けたいと考えております。

福島委員 聞くだけじゃなくて、政策的な対応をお願いします。この書き方はいかにも元請、荷主だけの発想なので、下請の立場に立っていませんので、そうした対策を政策としてアウトプットとして出していただければと思います。

 私がこの過程で聞いてきたのは、トラック協会の不信、批判なんですよ。だから五%しか回答しないんです。トラック協会は、結局、大手運送会社とか都合のいいものしか話を聞かない。これは、メールは私、昨日いただきました。

 特に高速道路料金制度も、うちの茨城県のトラック協会の理事会でも提言するように取り上げたけれども、無視されたと。私、かつて、茨城県のトラック協会に行って高速道路料金の話をやったら、そんな要望は出ていませんと言うんですよ。むしろ業界から早く高速道路を造ってくれという要望の方が多いと言うから、何か、おたくは国土交通省出身ですかと言ったら、はいと言うんですよ。

 それで調べてみたのが次なんですけれども、この最後の一番裏のページですけれども、これは昨日から大急ぎで調べただけなんです。国交省からトラック協会に天下りは何人いるのかといって聞いたら、いつものとおり、二年の届出義務がある期間の人だけといって、三、四人しか出してこないんですよ。インターネット上で集めた情報だけでこれだけ、恐らくもっといます。ほぼ、皆さんも地元を調べるといいですけれども、専務理事、常務理事に一人ぐらいは国土交通省OBがいるんですよ。

 一番下の桝野さんという今の全日本トラック協会の理事長、国土交通審議官を務めた大物の方ですけれども、これは二〇一七年、退職して三年以後に就いているから、当然、届け出ないんですよ。自分で調べたら、やはり国土交通審議官だった。だから、言いづらいんですよ。

 トラック協会ばかりヒアリングをするんです。トラック協会は、大手から零細までいて、零細の人の声というのは私はほとんど届いていないと思います。だから、必ずこれからは、トラック協会だけじゃなくて現場の声を聞いていただきたいんです。

 私は何が言いたいかというと、天下りは何が問題なのか。それはいろいろ、これまでの議論はあったでしょう。大臣、何が一番天下りは問題だと考えますか。

斉藤(鉄)国務大臣 役所OBが適材適所で再就職すること、社会で役立つこと、これはむしろすばらしいことだと思います。それがいわゆる現役の公正公平たる役所の業務の公正性をゆがめること、これが問題だと思います。

福島委員 最後が大事だと思うんですよ。

 私も元役人でいましたし、先輩もいっぱい、OBの方がいらっしゃいます。天下りがあって上級国民だからけしからずという安っぽい批判はしたくないんですよ。ただ、一番の問題は、役所のOBがどこかに入ることによって政策がゆがめられたり、有形無形の便宜が図られたり、あるいは、それが期待されるというのが一番駄目なんですね。

 役所というのは年次が絶対なんですよ、年次が。私もそこにいる泉田さんには頭が上がらないわけです、先輩だから。いや、もうこれは年次は絶対なんですよ、役所は。本当にそうなんです。ということは、OBから電話一本もらったら、局長、次官といえども、やはり聞かざるを得ないんです。私が現職のときも、天下りした先輩方から無理難題の電話をいただいたときとか、本当にあった。結構あるんですよ。言ったら、それはやはり聞かざるを得ないというのが、それは役所のルールなんですよ。

 今まで大臣が答弁してきたことは、例えば、国土交通省OBが現役職員の関与なく行う知人への仕事の紹介や採用活動などは、既に公務を離れた、予算や権限を有していない民間人としての活動であり、こうした民間人への活動に対する調査としては極めて慎重であるべきと答えていますよね、官房長官も含めて。これは今のルールを守るという観点なんです。

 官房長は本当に大変つらそうな顔をしていて、茨城県副知事もされた方で、よく知っているので、本当にかわいそうだと思うんです。でも、役人はそれしかないの。今のルールがあって、それを守っています、違反していないことは調査できませんと。

 問題の本質は、今のルールを守っているかどうかじゃないんです。OBが関与したことによって何かがゆがめられていたんだったら、制度を変えるというのが我々政治家の役割じゃないですか。制度を変えるために、もしかして国土交通省の問題でゆがんでいると感じるんだったら、官僚が書いた答弁を読み上げるんじゃなくて、大臣自らが判断をして、政策がゆがめられていないか、それをチェックするのが私は大臣の役割だというふうに思いますよ。だから、その姿を見て、私、斉藤大臣もよく知っているし、お人柄も知っているから、厳しく申し上げたくはないんだけれども、今、それが問われているんです。

 この間、足立さんが何か変なことを言っていましたけれども、この天下り問題は、我々も与党を経験しているし、自民党の皆さんも与党を経験しているから、これは共通の責任なんです。だから、どういうルールを作るかというもののために、これは是非、斉藤大臣、真摯に調査しましょうよ。これは国土交通省の問題だけではないかもしれない。ほかにもあるんですよ。でも、あるかもしれないけれども、是非、もうちょっとちゃんと、官僚の答弁を読み上げるんじゃなくて、構造的な問題を調査していただきたいんですけれども、大臣、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 二〇〇七年当時、私も、その議論の中で、大いに議論させていただきました。いろいろな議論がある中で、今の制度ができたと思っております。

 今、私の立場は、そのときにできた今の制度をしっかり守ること。先ほど、今、委員がありましたように、本来あってはいけないOBからの現役への影響等が、それは今の制度の趣旨からも反します。今の制度の趣旨をきちっと徹底して、そういう不公正が行われないこと、行政の公正さが損なわれないようにすること、まずは国土交通大臣としてこの国土交通省でそれをしっかりやっていきたいと思います。

 それから先の新たな制度、本来どうあるべきかということにつきましては、また政治全体で話し合うべきことだと思います。

福島委員 ちょっと一分だけ時間を下さい。

木原委員長 まとめてください。

福島委員 はい。航空だけじゃなくて、トラックでも、高速道路でも、あるいは自動車保険の場合でも、あちこちでこの話を聞くんです。特に国土交通省はそれが多い。大臣は、それを、今ある規則を守ることが役割ではありません。議院内閣制の下で、国会議員の役割は、守らせるだけではなくて、きちんと正しきところに導くためのルールを作るのも我々の責任ですから、しっかりと政治家として役割を果たしていただきますことをお願い申し上げまして、私の質疑とさせていただきます。

 ありがとうございます。

     ――――◇―――――

木原委員長 次に、内閣提出、参議院送付、気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

    ―――――――――――――

 気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

斉藤(鉄)国務大臣 ただいま議題となりました気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 近年、自然災害の頻発化、激甚化等を背景として、防災対応のために国や都道府県が行う予報の高度化が求められております。加えて、洪水等の発生時における民間の事業継続等のために、国等が行う予報を補完する局所的な予報に対するニーズも高まっております。こうした状況を踏まえ、地方公共団体や住民、民間事業者等における様々な防災対応がより的確に実施されるよう、防災に関する情報提供を充実させていくため、最新技術を踏まえながら、官民それぞれの予報の高度化、充実を図ることが必要です。

 このような趣旨から、この度この法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、都道府県が行う洪水予報の高度化を図るため、国土交通大臣が、都道府県知事の求めに応じ、都道府県の洪水予報河川の予測水位情報を提供する仕組みを構築することとしております。

 第二に、令和四年一月に発生したトンガ諸島付近の大規模噴火に伴う潮位変化を踏まえ、火山現象に伴う津波の予報を的確に実施するため、気象庁の予報及び警報の対象となる水象の定義に、火山現象に密接に関連する陸水及び海洋の諸現象を追加することとしております。

 第三に、洪水や土砂崩れ等の気象に関連する現象の予報業務について、最新技術の導入による予報の精度向上を図るため、許可の基準を最適化するなど、許可制度の見直しを行うこととしております。

 第四に、防災に関連する予報の適切な提供を確保するため、社会的な影響が特に大きい現象の予報業務については、あらかじめ説明を受けた利用者に限って提供できることとしております。

 第五に、許可事業者による予報の精度向上を図るため、許可事業者が予報業務に用いることができる気象測器を拡充することとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

木原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


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