衆議院

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第14号 令和5年5月19日(金曜日)

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令和五年五月十九日(金曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 木原  稔君

   理事 加藤 鮎子君 理事 津島  淳君

   理事 中根 一幸君 理事 長坂 康正君

   理事 伴野  豊君 理事 谷田川 元君

   理事 赤木 正幸君 理事 伊藤  渉君

      泉田 裕彦君    小里 泰弘君

      柿沢 未途君    菅家 一郎君

      工藤 彰三君    小林 史明君

      櫻田 義孝君    鈴木 貴子君

      田中 英之君    田中 良生君

      谷川 とむ君    冨樫 博之君

      土井  亨君    中川 郁子君

      中村 裕之君    西田 昭二君

      根本 幸典君    深澤 陽一君

      古川  康君    宮崎 政久君

      武藤 容治君    枝野 幸男君

      小熊 慎司君    城井  崇君

      小宮山泰子君    神津たけし君

      下条 みつ君    末次 精一君

      一谷勇一郎君    前川 清成君

      山本 剛正君    北側 一雄君

      中川 康洋君    古川 元久君

      高橋千鶴子君    福島 伸享君

      櫛渕 万里君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      豊田 俊郎君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 内藤 茂雄君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        岡村 次郎君

   政府参考人

   (気象庁長官)      大林 正典君

   国土交通委員会専門員   鈴木 鉄夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十九日

 辞任         補欠選任

  宮崎 政久君     鈴木 貴子君

  たがや 亮君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 貴子君     宮崎 政久君

  櫛渕 万里君     たがや 亮君

    ―――――――――――――

五月十六日

 交通運輸産業における迅速な運賃改定と賃金・労働条件への確実な反映を求めることに関する請願(森山浩行君紹介)(第九七九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省水管理・国土保全局長岡村次郎君、気象庁長官大林正典君及び総務省大臣官房審議官内藤茂雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。泉田裕彦君。

泉田委員 おはようございます。自由民主党の泉田裕彦です。

 本日は、質問の機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。

 皆様方、昨日は大変暑い日でありました。今年、日本の中からも、連休明けに雪の便りが届くというような状況もありました。近年、気象が荒くなっているのではないかということを実感されている皆様は大変多いと思います。この荒くなるというのは寒くなったり暑くなったりということなんですけれども、地球温暖化のやはり影響なんだろうと皆さんは思っておられると思います。

 地球温暖化、平均気温が上がるとどうなるのか。簡単に言えば、空気中に含まれる水蒸気量が増えるということですから、台風が強力になったり大きくなったり、豪雨災害が発生したり、洪水、土砂災害等、こういったものが発生しやすくなっているというのが今の現在の地球の姿ということではないかなというふうに思います。

 命と財産を守るために、自治体から見ると、夜間避難を避けるというのは極めて重要な課題だと思っています。夜間に避難をすることによって、足下を取られたり、そしてまた、遭わなくてもいい危険に遭遇するということになってしまいます。

 そういった事態を発生をさせないということ、今回、気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案で、これは早めに情報提供、出していただけるんじゃないかということで、大変大きな期待をしているところでございます。

 何でそんなことができるようになったのかといえば、これは予測精度が向上した。皆さん方も、雨の降り方で、レーダーの予測アプリを使ったことがある方はおられると思います。結構正確で、五分後、三十分後、一時間後ぐらいだったら、どうなるかというのは、目で見て、雨が上がるのかどうか本当に分かるという時代になってまいりました。

 これは、雨量と災害との関係、統計的に推計する手法、今まで、これぐらいの雨が降ったら洪水が起きるんじゃないかとか土砂災害が起きるんじゃないかと統計的に判断していたものから、実際に、流体力学と計算能力、スパコンの向上によって、直接的に水の移動シミュレーションが可能になったということから、今回、法律の改正案を提出していただいたというふうに受け止めております。

 自治体では、土木防災情報システムを運営しているところがほとんどだと思うんですけれども、現在どうなっているか、すなわち、河川の水位がどれぐらいになっているのか、さらには、ダムの貯水量がどれぐらいになっているのか、降雨量が今までどうなっているのかということは、一般の方々でもネットを通じて見ることができるという状況になっています。

 しかしながら、土中雨量を推計することができても、いつ避難情報を出すのか、これを今後の雨量を予測する中で出すときというのは相当勘に頼っています。天気予報レベルの話しかないので、土砂災害警戒情報が出ても、これは今本当に発表した方がいいのか、もうこれから雨が落ちてくるので出さないでいた方がいいのか、悩ましいというところがあります。

 自治体で避難指示を出すと、これは避難所を開設しないといけなくなるんですけれども、避難所は市町村の職員が開けるわけではなくて、県で職員の予算措置をしている学校の先生が行って体育館の鍵を開ける。夜中に土砂災害警戒情報を出したりすると、避難場所の確保にも大変大きな負荷がかかってくるということから、判断をちゅうちょするという場面もあったわけであります。今回の法律の改正によってこういったことがなくなるようになってほしいなというふうに思っているところであります。

 そこで、一例を挙げたいと思うんですが、北陸新幹線が水没をした二〇一九年十月十二日の台風十九号の記憶、私、鮮明に残っています。地元の長岡市では、何と雨が上がって青空の中で浸水が始まるということが起きました。信濃川が氾濫して、約二百棟の浸水被害、さらに、避難勧告が六千名余りに出されました。予測精度が向上すれば、新幹線の早期の移動、夜間避難の回避、こういったことにつながるという期待をしているわけであります。

 そこで、政府参考人にお伺いをしたいんですが、近年の豪雨等による自然災害の発生状況、被害状況がどうなっているのか、局所的な予報、それから、長時間、夜間になる前の予報等が、先の予報ができてくれば、どの程度の被害の軽減が期待できるかという点、お伺いをしたいと思います。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御紹介ありました令和元年東日本台風や令和二年七月豪雨では、多くの人的被害や経済被害が発生しています。このように、近年、全国各地で甚大な豪雨災害が頻発しており、委員御指摘のとおり、早めの防災対応、避難行動を支援するための情報提供が重要であると考えております。

 本法案では、国土交通省が本川、支川一体の水位予測によって取得した予測水位情報を都道府県の求めに応じて提供することとしており、これにより、都道府県指定河川の洪水予報をより早く発表できるようになることが期待されます。

 また、気象庁では、令和四年度より、明るいうちからの早めの避難行動に結びつくよう、線状降水帯によって大雨となる可能性について、例えば、北陸地方といった地方単位での半日前からの予測を開始しました。さらに、大雨による土砂災害等のリスクの高まりをきめ細かく把握していただくため、一キロメッシュごとに危険度を示すキキクルを提供しています。

 予報の充実、高度化に資するこれらの取組により、早めの防災対応、避難行動につながるものと考えています。

泉田委員 ありがとうございました。

 引き続きの精度の向上を、できればもっと長い予測等を期待しておりますので、よろしくお願いいたします。

 それで、先日、これも連休明けの八日だったんですけれども、兵庫県伊丹市の天神川で、堤防工事中、何と想定外の降雨によって堤防決壊が起きてしまいました。大きな被害でした。

 この河川は洪水予報の対象河川ではありませんので、本法が成立しても防げなかったんだろうなというふうに思っているんですが、せっかくの気象の予測能力、河川を限定するだけじゃなくて、できるだけ多くの人に使ってほしいと思います。自治体が同様の工事を行っている場合、せっかくの予測能力を活用する方策はないものかどうか、政府参考人にお伺いいたします。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 先日発生をいたしました二級河川天神川における浸水被害は、雨の少ない非出水期間中に一時的に河川の幅を狭めて行われていた工事中に発生をしたものと承知しております。特殊な状況や個別の事情があるんだと思いますが、兵庫県からは、今回の被害を受けて、有識者会議を設置し、原因究明を行い、今後の対策につなげていくと伺っているところでございます。

 一方で、今回の法改正における国からの予測情報の提供については、まずは一級河川を対象としたものでございますので、天神川のような二級河川は対象となってございません。

 しかしながら、二級河川についても、都道府県や市町村に対して、国からの技術的支援というものは非常に重要だというふうに考えております。

 このため、二級河川においても活用できる水位予測技術の開発というものを国土交通省として進めているところでございます。これらの技術を提供することなどにより、二級河川においても洪水予測の高度化が支援でき、そして円滑な避難の実現ということに努めてまいりたいというふうに考えております。

泉田委員 ありがとうございました。

 自治体は、専門知識を持っている職員、やはり限られていますので、国からの支援が重要だと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 そして、今回の新技術の導入によって、長期かつ詳細な予測が可能になることに伴って、気象の予報だけではなくて、ひょっとすると、先ほど申し上げたように、雨が上がってからの洪水が発生するのではないかとか、土砂災害が発生するのではないかという予測も可能になるわけです。

 一方、この業務法の改正によりまして、民間事業者がこれらの予測情報は提供できないことになっているということであります。これは、いろいろな事業者が別々の予測をして、洪水が発生すると言ってみたり、しないと言ってみたり、混乱するといけないということなんだろうというふうに思いますが、今回の改正によりまして、どのような混乱を心配をして、洪水情報とかそれから土砂災害情報の予測情報の提供はしないということにしたのか、政府参考人にお伺いをしたいと思います。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 予報業務許可事業者は、利用者のニーズに応じて多様な予報を提供することが想定されます。このため、許可事業者による予報は、国等が発表する防災気象情報と異なる内容となる状況も想定されます。

 国等が発表する情報を含め、複数の異なる予報が広く流布された場合、それを見た住民等が混乱し、市町村に問合せが集中するなど、市町村による防災対応に支障を来すおそれがあります。

 これを防ぐため、本法案では、許可事業者が土砂崩れや洪水等の予報を提供する場合、利用に際し注意すべき事項について、契約の際など事前に利用者に説明することを義務づけるとともに、説明を受けた者のみが予報を利用できることとしています。

 気象庁といたしましては、許可事業者に対し、適切に事前説明を実施し、説明を受けていない者に予報内容が伝達されることがないよう指導監督してまいります。

泉田委員 ありがとうございました。

 やはり、新しく制度を始めるときに混乱を防止するということは重要だというふうに思っています。

 一方で、これは自治体にも温度差があって、情報を提供してほしい、それから住民も、言葉で避難指示と言うだけではなくて、何時頃、どの辺で洪水が発生するのか、ここが土砂災害が高くなっているのかという情報ありかなしかということで、避難しようという気持ちに差が生じるというのも事実だと思います。現在、避難指示を出しても、避難してもらえるのは一〇%いないという現実があるわけです。特定地点で洪水や土砂災害の予測がネットアプリの情報で見られるということになれば、隣近所誘い合って早期の避難をすることによって人命は守られるという可能性もあるんじゃないかというふうに考えています。

 住民の避難行動の向上につながる可能性のあるもの、中長期的には、民間事業者等による洪水予測等の情報の提供の在り方、どうしたらいいのかということも検討してほしいなと思っているんですが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 現状におきましては、先ほど長官が答弁いたしましたように、しっかりその情報をどう使うかということを説明を受けた人でないと使えないということで混乱を防ぎたいと思っておりますが、今、泉田委員の御質問は、将来的にはもっと広く、せっかく予報を民間事業者が出したんだから、それを使えるようにしたらどうかという御提案かと思います。

 今般の改正法案における予報業務許可制度の見直しは、土砂崩れや洪水等に関する予測技術の進展や、民間企業等における防災意識の高まりを踏まえて行うものでございます。この制度の見直しにより、民間による多様なニーズに応じた、きめ細やかな予報の提供の推進が期待されるところです。

 今後も、予測技術の更なる進展や、予報に対するニーズの更なる多様化も予想される中、国土交通省としては、国民の適切な防災行動につながるよう、引き続き、民間を含めた予報業務の在り方について検討を続けまして、国全体として防災気象情報の充実に努めていきたいと思っております。

泉田委員 ありがとうございました。

 本当に、大臣始め国土交通省の皆様方、二十四時間、日本列島で、いつ何があるか分からない中で職務を遂行していただいておること、深く感謝申し上げます。

 一日も早く、より正確な情報で、そして安心して、日本国民全体、枕を高くして寝られるような社会が実現するということを期待をいたしております。

 そして、災害、これは予測情報が時代とともにだんだん的確にできるようになってきたわけでありますけれども、それでも歯がゆいことはあります。

 線状降水帯が発生した、ここしばらくずっと同じところに停滞して、豪雨が降ると分かっている。そして、JPCZ、日本海寒気団収束帯、これが発生すると、本当に豪雪地帯は雪が、私、経験あるのは、県内で七メートル八十、積雪深です、降雪ではなくて。七メートル八十雪が積もるというようなことで、自衛隊に災害派遣出動要請したこともあるんですけれども、こういった事態は防げないものかなと。予測精度が上がってくれば、次は、これを回避する手法の開発というところも是非チャレンジしてほしいというふうに思っています。

 私、かつて、中国の建国六十周年記念の式典に参加をさせていただきました。前日の天気予報は豪雨でありました、北京市内。ところが、当日は完全に晴天で、晴れの中で日焼けをして帰ってくるという事態になりました。

 中国当局は何をやったかというと、やってくる雨雲を、手前でヨウ化銀の入ったロケットを打ち上げて、雨を降らせちゃったんです。落としちゃって、北京に来るときには完全に晴天という状態にして、それで快晴の中で六十周年式典を実施をしました。

 無論、JPCZとか線状降水帯にいきなりそんなことをして、更に激しく降ったら困るというリスクも十分承知をいたしております。日本でも、逆なんですけれども、雨が降らないときに、ドライアイスを飛行機から散布して雨を降らそうという研究はしているということも承知をいたしております。

 これは、災害が発生したときにどうするかということに加えて、できれば、世界各国が何をやって災害を防ごうとしているのかというような研究から始めていただいて、できれば、予測ができるのであれば、災害が発生する前に、先に日本海に、そしてまた太平洋上でもいいんですけれども、災害の元がやってくる前に雨を降らせちゃってほしいなという気持ちも持っております。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、大学とか防災科研等とも協力をして、段階を踏んでで構いませんけれども、集中豪雨や集中豪雪、こういったものを頻度を下げるとか抑制する可能性はないものかという辺りの研究も進めてほしいなと思いますけれども、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 まさに気象制御ということでございます。御質問があったので調べましたら、気象業務法に、気象庁の業務に気象制御というのがあるのかどうか調べましたら、ありませんでした。まさにこれはこれからの研究課題かと思います。

 気象制御に関する研究は、現在、関係府省が連携して実施しておりますが、その影響について、適切な科学的評価に基づく多角的な議論が必要であるということから、気象庁は予測技術の提供などの協力を行ってきたところでございます。

 今後とも、予測技術の高度化を進める、これは気象庁の立派な、法律で定められた業務でございますが、そこはしっかり進める。

 そういう中で、気象制御ということについては、やはり社会全体の、中国だったらできるかもしれませんが、日本でそれを行うということについてはまだまだ社会的コンセンサスが得られていないと思いますが、研究だけはしっかり進めていったらいいかと思います。

泉田委員 ありがとうございました。

 研究していただけるということで、大変ありがとうございます。

 私も地震の災害対策本部長をやったことがあるんですけれども、牛をヘリコプターで運んで、そして集落が水没するという、河道閉塞の経験をいたしました。あのとき、実は、災害対策本部では、山の谷全体が埋まるような大土石流が発生するリスクがあるので避難してほしいという話を専門家から伺っていました。それを市町村に伝えたところ、何と、河川の両側で交通規制だけをして、山全体が谷間に土石流が来るということが十分伝わらなかった。

 これは、図で伝えるということと、単なる言葉の避難指示というのはやはり大きな影響、違いがあると思いますので、一日一歩前に進んでいくことを期待しまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

木原委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。

 まず、冒頭ではございますが、先ほど大臣の方が会見をされたということで、国交省OB人事問題に関しての確認をさせていただきたいと思います。

 先日来からこの問題は非常に話題にもなっておりますし、また、城井委員を始め、様々な形で問合せ等が来ているし、答弁もしていると思いますが、新しい事実というのは、朝日新聞が問題を報じる僅か二日前の三月二十八日の夜、本田氏と国交省の航空局長が、現役幹部が、数名ですね、都内某所で飲食を伴う密会を催し、報道後の対応について協議していた疑いがあるというものでありました。

 国交省に問合せをしたところ、局長に確認したという名目で、複数人で会食に参加したことは事実だと認め、一月にこの会食はセットされ、三月三十日以降の報道された内容については承知をしておらず、これに関する会談を行っていないと、口裏合わせの事実を確認をしたという記事でございます。

 大臣におきましては、この会食があったこと、このことはまず認められますか。

斉藤(鉄)国務大臣 そのように報告を受けております。

小宮山委員 先週の段階で、城井委員の方がこの問題に関しまして質疑をされております。そのときには、再就職の監視委員会への情報提供など、この申入れ等に関しましては、大臣はその要請に対して拒否をされています。

 今回はどのように対応されるんでしょうか。新しい事実が出てきております。

斉藤(鉄)国務大臣 そのような報告を受けたのは、実は昨日でございます。

 これまで、空港施設株式会社に対するOBの人事介入問題に対して、国会等の場において、新しい事案が発生した場合にはしっかり調査する旨申し上げてきたところでございます。

 昨日、新たに、本年三月二十八日、航空局長と本田氏が会食を行っていたという事実について報告を受けました。事務方からの報告では、会食時に航空局長と本田氏において再就職のあっせんに関わるような話はしていないということを確認しているとのことでした。

 しかしながら、今回の事案においては、航空行政の責任者である航空局長が、朝日新聞による報道の二日前に本田氏と直接会っていたということでございます。

 私は、これは大変重く受け止めなくてはならない、このように感じました。航空局長と本田氏とのやり取り等について、事実関係の再確認を行う必要がある、また、その再確認に当たっては、第三者性や厳格性を確保すべきである、このように判断をいたしました。

 これを踏まえ、昨日、私から、次の二点について指示をいたしました。

 一点目として、今回の事案について、再就職等監視委員会事務局に情報提供を行うこと、これは既に昨日実施しております。

 また、二点目として、今回の事案について、再就職等監視委員会事務局に調査を行っていただくよう申し入れること、これは、本日、大臣官房長より同委員会事務局長に対し行うこととしております。

 しっかり皆様方に対して明らかにしたい。私は、ここで、国土交通省の職員が、再就職に関わる話はしていないということを言っております、信じておりますけれども、そういうことを、疑惑がある以上、しっかり調査をして、国民の皆様に明らかにしたいと思っております。

小宮山委員 新しい事実ということではありますけれども、これは本当に新しい事実なんでしょうか。そもそもあったのが明らかになった、表沙汰になっただけの話ですので、新しくも何ともないことです。最初から、先週の段階で、やはり再就職監視委員会にしっかりと要請をする、そのことが必要だったのではないか。

 ちなみに、NHKの方に関してですと、やはり局長の対応のみになっているようであります。それはよろしいんでしょうか。

 OBの人事介入問題、また、人事情報の送付メール、これもしっかりと対応しなければ、本当の意味で国交省の、ある意味、信頼回復につながらないんだと思っております。信じているからではなくて、しっかりとした事実、その対応が求められると思います。

 改めて御決意をお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 私は、この事実について知ったのは昨日でございます。報告が遅れたことについて、私は事務方に対して厳しく叱責をいたしました、緊張感が足りないと。そして、私としては、新しい事実を知ったのが昨日でございますので、昨日、先ほどのような指示をしたところでございます。

小宮山委員 昨日知ったと再度繰り返されましたけれども、やはりこの問題、根が深いという問題もありますし、また、OBが現在の国交省の施策に介入ができるような、そんなうたい文句で、ある意味、再就職やポストの要求をしたという意味においては、本当に、真面目に再就職された方や、現役の方々の今後再就職をせざるを得ない人たちに対し、多大なダークなイメージをつけるものでもあります。

 この点に関して、深い反省とともに、更なるきちんとした、報告漏れがないような形で調査、そして対応を求めて、本日議題となっております気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案の審議に入らせていただきたいと思います。

 課題となっている本法案は、自然災害の大規模化、頻発化により、洪水等の予報の重要性が増大していることに鑑み、気象業務に関する技術の進展に対応した洪水等の予測の高度化を図るため、所要の措置を講じようとするもので、都道府県指定洪水予報河川の洪水予報の高度化、昨年起きました南太平洋のフンガトンガ・フンガハアパイ火山の噴火に伴う潮位変化、この津波の予報、警報の実施、また、民間事業者による予報の高度化などの改正が内容となっております。

 予報というものはなかなか難しいことは分かっておりますが、高度化、様々な努力で進んできているのも事実でもあります。

 令和元年台風十九号では、十月十日から十三日の総降雨量が十七地点で五百ミリを超えるなど、東日本を中心に広い範囲で豪雨となりました。特に、静岡県や新潟県、関東甲信地方、東北地方の多くの地点で降水量の観測史上一位の値を更新するなど、記録的な大雨が起こっております。

 平成二十九年台風二十一号と令和元年の台風十九号の豪雨により、都市下水路でもあります川越江川流域の川越市寺尾地区とふじみ野市元福岡地区で冠水被害が生じました。最終的には川越市寺尾地区、ふじみ野市元福岡地区、双方に適用となりましたが、当初、ふじみ野市側には降水量の予測、観測、住宅戸数等の基準に達しておらず、災害救助法第二条第二項に基づき災害が発生するおそれがある場合の適用が遅れてしまいました。

 この災害後に気象庁長官とお話しした際に、周囲の地域が全て基準を超える降雨量と予測されたものの、細かな予想が可能になったために、ふじみ野市側の地域は降雨量が基準に達していない予測になっていたことなどを伺いました。

 しかし、土地の高低差による内水が高台からも集まり、さらに、川越江川からも越水し、低地にある元福岡地区に大きな浸水被害が生じたのは事実でもあります。仮に降雨量が予想どおりに基準に達しない地域だったとしても、土地の形状により水の被害が生じやすいことがあり、そうした事情までは降雨量の予測から災害救助法を適用する上では反映されないため生じた遅れだと個人的には解釈しております。

 そこで、近年、地形等の情報を利用しやすくなっている、地形情報の活用などを行っていくなどして、国交省は様々、法整備等進めておりますが、今回の法改正の対象とならない川越江川のような小河川等においても、降雨と地形の影響を踏まえて、洪水などの予測の高度化を進めるべきと考えますが、気象庁の見解をお聞かせください。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 気象庁では、主に中小河川の洪水災害のリスクの高まりについて、雨量や地形等のデータに基づき、水の流下状況を計算し、きめ細かく、分かりやすく示した危険度分布、愛称洪水キキクルを気象庁ホームページで提供しています。

 この洪水キキクルでは、過去の洪水災害発生実績を基に危険度を色分けする基準値を設定しており、この基準値の見直しを、毎年、自治体とも連携しつつ、最新の洪水災害の発生状況を踏まえて実施しています。

 今後とも、雨量予測の精度向上や最新の地形データの活用、そして基準値の不断の改善等により、洪水キキクルの高度化を進めてまいります。

小宮山委員 今長官のおっしゃったのは、恐らくキキクルなり、いろいろな情報公開はされているというふうに聞いておりますけれども、なかなかこの点に関しては認知が進んでいないのかと思っております。この点も是非、もう一手、情報公開というよりかは広報の方を頑張っていただきたいと思います。よろしいですか。通告はしておりませんが、熱意を是非。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 洪水キキクル等を広く使っていただくことは非常に重要だと思っております。報道機関の皆様の協力も得ながら、洪水キキクルが広く防災活動に使っていただけるように努めてまいりたいと思います。

小宮山委員 ありがとうございます。

 一級河川やそういったところはウェブカメラ等で見ることができますけれども、なかなか地域のところまではできない。この江川に関しましては、地元の自治会の方で、今後住民の方たちと協力して、ウェブカメラなどを町内で見るような形で危機に対応するなど、自主で頑張らなければいけないという状況も起きております。

 是非、こういった地域地域で頑張っている、そういった防災を頑張っているところに関しても目を届けていただき、いずれは全ての支流等もちゃんと予測ができるように、更なる高度化を期待をしております。

 さて、許可事業者からの予報情報の第三者への提供の禁止に関してお伺いいたします。

 今回の法改正では、民間の許可事業者により提供される防災気象情報を事前説明を受けた者のみへの提供にとどめ、事前説明を受けていない者へ予報情報が伝達されることを防止するために必要な措置を徹底することとされています。情報伝播範囲や経路の制限の実効性が確保できるのかが鍵になると考えます。

 例えば、今私たちが心配しているのはマイナンバーカードの情報に関してです。国民皆保険制度の根幹にある安定的に運営されている健康保険証を廃止してまで、マイナンバーカードへの一元化を半ば強引に政府はしようとしております。その肝腎のマイナンバーカードの利用に際して、他人の情報が参照されたり、他人の住民票などが交付されたり、他人の健康保険証情報が登録されていたり、既に廃止済みの古い印鑑登録情報が見つかるなどのように、連日のように情報の扱いに瑕疵がある事例が報道されております。

 また、国土交通省においても、公開前の人事情報が、内部関係者だけでなく、表面上はメールアドレスのみしか分からないままに、多数の宛先に対して慣例的にメール送付されていたという事実がございます。

 やはり、情報の扱い、政府の情報の扱いというもの、そして、それが一旦手を離れたときにどう扱われるのかというのは把握し切れないというのはこの点からも分かるかと思います。システム上の間違い、登録時の間違い、身内関係者意識からの情報伝達などにより、取り違われてはいけない情報、伝わってはならない情報が流れ出しているというのが今の現実ではないでしょうか。

 今回の法改正では、予報業務許可事業者による洪水等の予報の利用者が、提供された予報情報を第三者に伝達した場合に、防災上の混乱が生じないように措置を講ずることとされています。事前説明を受けていない第三者への予報情報伝達を禁止させる意義について、改めて説明をお願いいたします。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 予報業務許可事業者が提供する予報は、主として企業等の法人向けに、利用者それぞれの多様なニーズに応じて局所的な予報として提供されることを想定しており、気象庁が広く一般向けに行う予報及び警報の内容と相違が生じることが想定されます。

 洪水や土砂崩れなど社会的に影響が大きい現象については、許可事業者による予報がそのまま社会に流布され、その特性について十分に理解していない者が受け取った場合には、委員御指摘のとおり、避難行動や防災対応の妨げになるなど、防災上の混乱が生じるおそれがあります。

 このため、本法案では、許可事業者に対しては、洪水や土砂崩れ等の予報の提供に際し、利用者への事前説明及び第三者への伝達を防止するための措置の実施を求めることとしております。

 気象庁といたしましては、この点について確実に実施されるよう、指導を徹底してまいります。

小宮山委員 指導を徹底するといって徹底できていなかったのも多分マイナンバーカードのようなことなんだと思いますので、改めて厳格にしていただければと思います。

 さて、省庁再編後の国土交通省では毎年人員削減が続いていますが、近年、僅かながら増加に転じてきた。これは、大規模な災害の頻発化、老朽化、社会インフラの改修対応、海上保安体制の強化など、国土交通省が所管する広範囲な分野に対しての必要性が高まっていることから、当然だと思います。

 社会インフラ整備、改修を始めとして、国土交通省では、他省庁との比較の上でも、土木建築など専門分野を持ち、学んだ職員など、いわゆる技術者出身の職員が多くいらっしゃいます。地方自治体での災害対応や建築物対応、空き家対策、無電柱化、上下水道更新などについて議論する際によく触れられることとして、技術者の職員人数の減少という問題が触れられます。

 土木建築の職員数が五人以下の自治体が約五割、ゼロの自治体が四百三十七団体、一人から二人は百五十四団体、三から五人が二百三十六団体に上り、その人数では日常の職務をこなすだけで手いっぱいとなり、防災・減災の備えや計画作りなど、大規模災害が発生したときには、ほかの自治体や国からの応援がなければ対応ができない地方自治体という姿が日本の今の現状だと認識をしています。

 技術系の職員を多く擁する国土交通省の中にあって、とりわけ気象庁は、技術系職員というよりも、高度なコンピューター解析やシミュレーションを駆使する、ほとんど研究者、科学者と呼んでも間違いないような職員がそろっているのが特徴かと思っております。この点におきまして、四月六日、参議院国土交通委員会でも大臣の答弁はございましたけれども、人員の確保に取り組んでまいりたいということでもあります。

 この点に関しまして、極めて専門性の高い技術系職員が多い気象庁において、人材の確保や育成のためにどのような措置を講じているのか、お聞かせください。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 気象業務を適切に遂行するためには、専門的な知識や技能を持つ人材の確保及び育成が重要と考えております。

 そのため、気象庁では、総合職や一般職の国家公務員採用試験で技術系の職員を採用しているほか、高い専門性を有する者を確保するため、経験者採用試験や選考による採用も活用して人材の確保を図っているところです。

 また、採用後も、気象庁独自の専門研修や、国内外の先進的な研究機関への派遣を継続的に実施するなど、職員の能力向上に努めているところです。

 今後も、こうした取組を進め、必要な人材の確保や育成に努めてまいります。

小宮山委員 残余の問題はありますけれども、この法案が通ることによって、より高度な予測ができること、そして、多くの方たちが気象庁に対しても、また、政府に対しても信頼を置ける、そういう情報が出るということ。特に、今指摘したとおり、専門職が多いということは、今後、気象ビジネスの中に引き抜きがある職員が多いのではないかと想定します。

 先ほどから、やはり信頼がなければ、省庁を選ばない、公務員として働きたいという人数が年々減ってきていることを考えると、先ほどから指摘させていただいているOBのあっせんの問題や、そういったこともしっかりと解決をすること、これが何よりも、この気象業務というもの、国がしっかりとした情報を提示すること、その信頼性を高めることを指摘させていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、下条みつ君。

下条委員 立憲民主党、下条でございます。

 私は、法案について、大臣中心に提案、また、改善をちょっと申し上げたいなと思って今日立たせていただきました。時間に限りがありますので、その中で是非前向きな御答弁をいただければなというふうに思います。

 この法案、民間に任せる、そして技術アップしていけと、これはこれで僕はいいと思っています。個人的にはすばらしい法案だと思います。ただ、釈迦に説法ですけれども、これだけ皆さん優秀な人材がそろっていて、災害というのは、例えば、噴火にしろ洪水にしろ津波にしろ土砂にしろ、いろいろあると思うんですけれども、これをまとめて全部一くくりというところが僕はちょっとクエスチョンを持っているんですよ、大臣。

 というのは、今度は、契約して、細かいことは避けますけれども、それによって、その契約した人に説明を、また、報告する、知らせるのはいいけれども、それ以上ほかの人にやったら混乱するから罰金にすると言っています。

 大臣、私の地元でも、津波は海がないのでないんですけれども、土砂というのはしょっちゅうございます。土砂というのは本当に、津波とか洪水と違って、非常に狭められた期間で、短時間で起きるんですね。例えば、百メーターとか、熱海のあの盛土の部分は、あれは違う意味で、上にあったので圧迫してあれだけ流れてきましたけれども、通常の土砂は、大体、国道とか、無理に造った道の先の途中にいきなり起きてくる。例えば、住宅地があったりいろいろなものがあると、そこで災害が起きるということになります。

 私が言いたいのは、この法案は法案でいいんですけれども、土砂については、短期間で起きる土砂のこの細い局地的な部分については、洪水、また津波と一くくりにしていいのかなという疑問を持っているんですよ。

 私が提案したいのは、土砂はやはり局地的なので、これを例えば民間に任せて、調べて、いきそうだよというのを契約者だけに言っていいのかな、ほかの人には知らせなくていいのかなと僕は言いたいんです。それこそ、やはり時間が短いのだから、これは言いにくいですけれども、四回に一遍、当たろうが当たるまいがそんなことは問題じゃなくて、報告をし、知らせるということが予報になるわけですから、これはなるべく、僕は、局地的な部分については、今後、枠を設けていただいて、少し緩い規制をしていただいて、なるべく、分かったら契約していない人にも教えてあげてもらいたいというのが、僕は、自分の提案なんですよ。

 大臣、いかがでございますか。

斉藤(鉄)国務大臣 大変重たい御提案だと思います。

 まず、避難などの住民の防災活動に関わる予報につきましては、ワンボイスといいましょうか、国そして地方自治体が責任を持って情報を提供する、これは非常に重要だと思います。そこに二つの声があると混乱する、こういうことだと思います。

 その上で、非常に局所的なものについては、民間の情報も役立っているのではないかということでございますが、土砂崩れなどについて、予測精度等の特性に関する理解が十分でない者が予報を受け取った場合、避難行動や防災対応の妨げになるなど防災上の混乱が生じるおそれがあることから、第三者への提供を制限しているというのが今の考え方でございます。

 今後も、予測技術の更なる進展や予報に対するニーズの一層の多様化も予想される中、許可事業者による予報の一層の活用を含め、防災気象情報の充実に努めてまいりたいと思います。

 今の法律はこういうたてつけでございますが、今の御提案はしっかりと受け止めながら、今後どのようにしていくかということを考えていかなければならないと思います。

下条委員 ありがとうございます。

 僕は、この法律に今つけ加えろとかというのではなくて、我々の実際の足場で起きたことのスピードと局地的という部分を、洪水や噴火や津波とは分けて、スピードアップするためには、そこの部分を、土砂については、最後にちょっと一言だけ言うと、自治体に連絡させていいんじゃないかと僕は思うんですよね。余り規則に立って、混乱、混乱というけれども、そこで命が救われる人が出てきたとしたら、僕はこの場でこうやって議事録に残しておきたいというのは、そういうことです。是非、リーダーシップを取っていただきたいと大臣に再度お願い申し上げます。

 次に、今度はハード面で申し上げたいんですけれども、もう釈迦に説法ですけれども、河川管理施設構造令第十九条というのがありまして、これはどういうことかというと、簡単に言うと、堤防はコンクリートでやりますけれども、中は基本的に土だよという、そういう令なんですね。大臣は御存じだと思いますけれども。

 これは僕は、やはり、我が党の、亡くなっちゃったけれども羽田大臣のときも、大臣をやっていたときの後ですけれども、千曲川で河川の決壊があった。水は、やはりコンクリートにはある程度弱いんですけれども、コンクリートが裂けたときは、すぐにその後、土の中に侵略していって、そこの決壊が起きてくるということを考えたときに、いつ作ったか知りませんけれども、この十九条というのは、いろいろな大学の先生と僕も話をしましたけれども、やはり、土堤防の大罪という本も出ているぐらいで、大臣がリーダーシップを取って、この法令を今すぐ変えろということじゃないけれども、もうこれは古いと。

 なぜかといえば、昔から、後で私も言いますけれども、もうこれだけ、昨日もあれだけくそ暑くて、今日は少し下がりましたけれども、これだけ暑いと、更に、災害の規模、回数、そして量も、量と規模は同じか、これはどんどん増えていくと思うんですよね。そのときに、基本的には堤防は土というこの法令、これは私は現在の災害に適していないというふうに思うんですね。

 そこでちょっと、これは是非、今後変えていってもらいたい。基本的にコンクリートと矢板でやるんだ、鉄骨でやるんだというふうに変えていってもらわないと、まあ、いろいろなエクスキューズは感じます。土だともっと逃げ道があるとか、いろいろある。

 だけれども、災害が起きたときというのは、大体、堤防を突き抜けて、土を流していって、決壊して田畑や住民を流していくということになりますので、この辺、お考えはいかがでございますか、今後について。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 河川堤防につきましては、河川管理施設等構造令十九条に基づきまして、背後の土地利用状況等によりやむを得ない場合は、コンクリート等を用いた特殊堤の整備が認められているところでございますけれども、御指摘のように、堤防というものは複雑な基礎地盤の上に築造された長大な構造物であること、そして、構造物の耐久性、施工性、経済性、維持管理の容易性などから、土で造ることを基本としておりまして、いわゆる土堤原則ということとなってございます。

 これが基本でございますけれども、その上で、国土交通省におきましては、水害の激甚化、頻発化に対応するために、越水しても、決壊しにくく、堤防が決壊するまでの時間を少しでも長くするなどの減災効果を発揮する粘り強い河川堤防、これの技術開発を進めているところでございます。

 具体的には、学識者から成る技術検討会というものを設置いたしまして、コンクリートも含めた土以外の材料を活用した工法についても対象といたしまして、越水に対する堤防の強化に関して、民間企業等からの技術提案の公募というものを現在行っているところでございます。

 これらを通じまして、今後とも、激甚化、頻発化する水害に対して、被害の軽減に資する堤防の強化対策について進めてまいりたいと考えております。

下条委員 局長、リーダーシップを取っていただいてやっているということですが。

 大臣、簡単に言えば、大きくなってきている、災害が。これは、行政は、こういう法令があればそれに従っていくわけですよ。だから、これはやはり、我々政治家が、これについても、災害が多いんだからそろそろ変更していって。

 今、だから、技術というのは局長おっしゃっていただいて、いい答弁だったと思います。頑張っていただいているのも分かるけれども、だけれども、できるだけ、土を基本という部分を。

 さっき、三番目に経済性と言ったんですが、経済を捉えているどころじゃないと思います。一回決壊したら、もう何百億円、何千億に値し、人の命も懸かってくるので。

 ここの委員会で私は提案させていただきましたので、それを含んでいただきながら、今後の運営に生かしていただければというふうには思っています。

 次に、河川のハードの部分で、私も河川管理局にいろいろヒアリングして、簡単に言うと、週二回とか数回、河川のチェックをしているわけです。それは、大臣、足下であるかもしれないけれども、大体目視なんです、目視。

 僕は思うんだけれども、何かあったときにチェックするのではなくて、これからあるために予防していくというのが防災だと僕は思うんですね。そのときに、大体、川というのは曲がっているわけです。Sの字、どんどんどんどん曲がる。それで、最後、真っすぐになって海に流れていく。その曲がったところに何が起きるかというと、砂がたまっていく。砂がたまるということは、どんなに平常で雨が少なくても、見た目は水深が同じように見えるんですね。水深が同じように見えるけれども、下はたまっているわけだから、実際は耐久力が落ちているわけですよ。

 この曲がった部分のチェックについて、私は、どうも聞いたところによると、こういうふうに御省から言われたのは、こういう端っこの方に深さの印をつけておくと。深さというのは水の水位。水の水位の印をつけておいて、それがちょっと上下したら、それがデータで入ってくると言ったんですけれども、それというのは、実を言うと、水面から水深までの距離ではないわけですよ。僕が言いたいのは、この高さではなくて、目視ではなくて、レーザーを使って、砂がたまっている部分をチェックすることを、さっきちょっと人手の話が出ましたけれども、同僚議員から、これをやるべきじゃないかなと思っています。そうすれば、一度決壊したら何百億、何千億のお金を全国で使うんじゃなくて、目視するんじゃなくて、レーザーを使うことによって、砂がたまっているSの字の部分のチェックができるんじゃないかなと思っているんです。

 だから、この法案がいい、悪いじゃなくて、このハード部分の、元々災害が起きないために何をするかという提案でありまして、いかがですか、大臣。

斉藤(鉄)国務大臣 実際に、川が流れる、その流量を決めるのは、断面の大きさと言われております。ですから、断面が今どういう状態にあるのかが常に把握されているということが非常に重要ですが、今、下条委員おっしゃったように、大変技術的に、上空からばあっと見れば分かるというものじゃなくて、水の中ということもありまして、かなり難しい面がございますけれども、より効率的に河川の断面の状態等を把握することが必要だと思っております。

 DX等の最新技術を活用して、河川管理の高度化を図りながら、河川の状態把握など的確な河川管理に努めてまいりたい、このように思います。新しい技術をどんどん取り入れていきたいと思います。

下条委員 もう一度言います。今私が言ったのと同じことを大臣は言っているんですよ、水位を測ると。でも、それは表面上の問題なんですね。僕が言っているのは、カーブのところに砂がたまってきて、それが受ける側の川の容量を減らしているということを、僕は提案しているんです。

 ですから、御理解していただいていると思いますけれども、是非そこは、今後の話として、これは、だから、河川管理事務所等の人の問題と予算の問題につながっていくんですよ。僕はもう時間があと数分しかないということなので、その程度にしておきますけれども、本当にこの問題は大きく後でなると思います。必ず砂がたまりますから、Sの字のところに。是非御理解しておいていただきたいと思います。

 最後になります。もう時間が参りましたので、予報の部分について、正直、気象庁、頑張っていらっしゃる。今日、長官がいらっしゃって、頑張っているのは分かっています。だけれども、現実問題として、捕捉雨量と、それから当たり具合を、ウェザーニューズと気象庁、どっちが当たるかというと、御存じのとおりで、僕は気象庁を非難しているわけじゃない。この原因を僕は突き詰めたつもりでいるんです。

 それは、キャッチする機械が、ウェザーニューズは一万三千か所あるんですよ。気象庁さんの方は千三百か所しかないんですよ、大臣。それで、それも、私がいただいたあれでいくと、アメダスをやっている千三百か所というのは一体いつからやり出したかというと、一九七八年からなんですよ。それで、千三百か所から全然増えていないんです。私が何を言いたいか分かりますか、大臣。要するに、今から四十四、五年前に設置した台数よりも全然増えていない、かつ、最新のレーダーは、置いておくレーダーというのは四億円らしいんです、大臣。四億円です。かつ……

木原委員長 下条君、時間が経過しましたので、まとめてください。

下条委員 はい。済みません。

 観測地点がちょっとしかないので。

 だから、僕は何を言いたいかというと、一万三千対千三百では、ウェザーニューズが勝つに決まっているんですよ。だから、是非リーダーシップを取っていただいて、大臣に、このレーダー設置地点を増やすのと、レーダー台数を増やしていただいて、気象庁のレベルアップをしてもらいたい、これが御提案です。もう時間が来ていて、最後です。済みません。お願いします。

木原委員長 簡潔に答弁願います。

斉藤(鉄)国務大臣 しっかり観測点、今も増やす努力をしております。アメダスだけではなくて、いろいろなところからのデータが入ってくるようにしておりますが、御質問の御趣旨はよく分かりますので、より精度を高める努力をしていきたいと思います。

下条委員 いいお答えをいただきました。

 是非、今、増やしていって、気象庁は頑張っているんですから、四十五年前のままじゃなくて、プラスで予算をつけてあげて、もっともっと正確にしていただきたいというふうにお願い申し上げて、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 ありがとうございます。日本維新の会の一谷勇一郎です。本日もどうぞよろしくお願いをいたします。

 私は、民間の企業にヒアリングにも行かせていただきました。その民間企業からの懸念点と法案の内容について、共に質問をさせていただきたいと思います。

 とはいえ、まずは、都道府県指定洪水予測河川の予測水位情報について、バックウォーター現象が水災害の課題の一つとなっているというふうに認識をしております。

 本法案では、国土交通大臣は、都道府県知事の求めに応じ、国が管理する洪水予報河川の水位の予測をする過程で取得した都道府県が管理する洪水予測河川の予測水位情報を提供するとともに、都道府県知事と気象庁は、当該情報を踏まえ、共同して洪水予測を実施することとされています。

 そのため、国と県がより一層連携して防災対策に取り組み、確実な避難につなげていく必要があると考えますが、まずは国土交通大臣の見解をお伺いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 近年の激甚化、頻発化する水災害から住民の命を守るためには、河川整備に加えて、的確な避難行動を促す取組が重要でございます。中小河川を含めて、信頼性の高い予測情報を早期に提供することが有効です。

 このため、今回の法改正によりまして、国土交通省が本川、支川の水位を一体で予測し、バックウォーター現象も考慮した水位情報を都道府県に提供する、そういう仕組みを構築いたします。これによりまして、都道府県では、新たに洪水予報河川の指定を進めることが容易になるとともに、これまでより、より早く洪水予報の発表を行うことによりまして、早めの避難行動を促すことが可能となります。

 国土交通省としては、都道府県や関係機関とより一層連携を強化して、ハード、ソフトの両面から、安全、安心な国土づくりに全力で取り組んでまいりたいと思います。

一谷委員 このことによって、河川の水位が上がっているかどうかと現場に見に行くようなことが減るようなこともお伺いしていますので、是非よろしくお願いをいたします。

 それでは、続きまして、本法案の改定案の十八条の許可の基準のところの質問をさせていただきます。

 予測手法に係る許可基準改定後に追加された土砂崩れ、高潮、波浪、洪水の取扱審査基準が明確ではないのではないかというふうに民間の企業の方からお伺いをしております。気象予報士さんがいなくてもいいということなんですが、この基準について政府参考人の方にお伺いいたします。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 予報業務の許可に際しては、主として、現象に応じた予測手法の技術や、許可を受けた事業者が適正に業務を実施する施設及び体制を有するかについて審査基準を設けており、これを気象庁ホームページで公表しているところです。

 本法案では、土砂崩れ、高潮、波浪、洪水については、これまでの事業者の施設及び体制に係る基準に加えて、現象の予測手法に関する技術上の基準を新たに設け、当該現象の予報のために気象の予想を行わない場合は気象予報士の設置を要しないことといたします。

 これらの審査基準についても、最新の予測技術を適切に反映したものとなるよう、法案成立後、有識者の御意見を伺いながら速やかに検討を進め、気象庁ホームページで公表をしてまいります。

一谷委員 企業の方からの心配事としては、気象予報士さんは必要ないということなんですが、土砂崩れや高潮についての専門性の知識を持った方の配置が必要というわけではないということなんですね。人の配置はないということで認識はよろしいでしょうか。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございまして、洪水等に関しては、シミュレーションの予測方法について技術上の基準を設けるということにしております。洪水等の予測の入力となる気象の予報については、従来どおり、気象予報士が予報、予想を行うということになります。

一谷委員 ありがとうございます。

 その企業の方は、専門性の人が必要であればどのようにして確保しようかということをおっしゃっていたんですが、それがないということなので、非常にこの業務が広がると思います。

 それでは、次の質問をさせていただきます。

 第九条の二、検定済みではない気象測器を予測業務のために補完的に用いることを可能にするとありますが、補完的に用いることができる誤差についてどのようにお考えになられておられるかということをお伺いいたします。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、近年の技術進展を踏まえ、検定を受けていない簡易センサーを搭載した観測機器でも、補完観測として許可事業者の予報業務に利用することができることといたします。

 この補完観測については、検定済測器による観測を補完するものとしてその観測データを事業者がどのように活用し、実際に利用者のニーズに対応した予報サービスの提供に向けた改善ができるかということが重要です。

 そのため、個別の観測機器が有する誤差を確認するのではなく、この観測データを用いた予測結果が、そのサービスの目的に照らして問題がないこと等を気象庁長官が確認することとしております。

 これにより、より多くの地点から取得した観測データを低コストで予報業務に用いることが可能となり、利用者のニーズに対応したきめ細かい予報が可能になることが期待されております。

一谷委員 今言っていただいた、低コストで観測の拠点を増やすことができるというのが最大の利点だというふうに考えます。ということは、予測をする範囲を狭めることによって、ピンポイントで気象の測定をしていくということが目的だというふうにまず考えます。

 そこで、そういった事業者が増えていくというふうに思うんですが、もう一つ、いろいろな民間企業の方からお伺いすると、やはり、大学や研究所での気象研究成果を民間企業でも活用できるようにならないかということをおっしゃっておりました。

 これはどの分野でも言えることではないのかなと思うんですが、アカデミアでされている研究成果が、民間企業が活用するのにはなかなか壁が高いということがあると思うんですが、せっかく測器を増やして測定を、範囲を狭めて企業を増やしていこうというところで、このアカデミアの研究成果を民間が活用できる取組について、大臣はどのようにお考えになっておられるのかということを御質問いたします。

斉藤(鉄)国務大臣 その点については、まさに、気象分野に限らず、いろいろなその他の分野についても言えることかと思います。日本はその点が少し遅れているがゆえに、今、欧米に後れを取っているということも言われているところでございます。

 気象分野では、例えば気象庁は、線状降水帯の予測技術の向上に関し、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムなど、開発から社会実装につなげる研究プロジェクトに参画し、大学や研究機関、さらには民間事業者とも連携して、社会実装につながる研究に取り組んでおります。

 これらも含めまして、国土交通省としては、引き続き、大学や研究機関の研究成果、また、気象庁も本当に研究的な仕事をしております。そういう成果が社会で活用されるように、しっかり我々もその仕組みづくり等をやっていきたいと思います。

一谷委員 大きな気象の企業であれば、大学、大学院の研究をされた方が採用できるということだったんですが、なかなか、私が訪問させていただいたところでは、そこはちょっと難しいということでしたので、やはり、研究成果を生かせるような仕組みをつくっていただけたらというふうに切に願っておられました。これはどの分野でもだと思うんですか、どうぞ、斉藤大臣、よろしくお願いをいたします。

 それでは、この気象というものが、非常に、SDGsにも生かされ、また、民間の経済力の活性になるんだということを改めて勉強させていただきました。ピンポイントでの予測で、スーパーマーケットの来客予測から、賞味期限の短い食品の発注を自動で行い、無駄を省くなどの効果が出ているとお聞きしています。

 SDGsの観点からも大事なことかと思いますが、国土交通省として、その他の事例をどの程度把握されているのかということを政府参考人の方にお伺いいたします。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 気象庁では、気象データの利活用を通じた気象ビジネス市場の拡大に取り組んでおり、具体的には、産学官連携組織である気象ビジネス推進コンソーシアムを通じて、気象データ活用の好事例の共有、普及啓発を進めております。

 この取組の中で、今委員から御指摘いただきましたスーパーマーケットでの事例のほか、例えば、農業分野において、気象データを農業経営に適切に利用し、収穫量や売上げを向上させた例なども報告されているところです。

 気象庁としては、引き続き、気象ビジネス推進コンソーシアムと連携して、SDGsにも資するこのような事例の共有等を進め、気象ビジネスの発展にしっかりと取り組んでまいります。

一谷委員 気象庁が出されているDX社会に対応した気象サービスの推進というところでも、製造、販売、廃棄・機会的削減効果として一千八百億と書かれておりましたし、気象庁のツイッターにも、今日見たら記事がありましたけれども、小売のところでは、来客数、メニューごとの販売予測を予想して、売上げ四倍、利益率十倍というすごい効果が出ているんだなと思います。

 これからの人口減少の中で、一人一人の生産性を上げていくということについてすごく貢献されることだと思いますので、是非これを力強く進めていただけたらと思います。

 それでは、次の質問については、実は、参議院の石井苗子さんも質問をされているんですが、これは、私も一緒に苗子さんと民間企業に視察に行ったからなんですが、民間事業者は、気象と河川のデータを、それぞれ気象業務支援センター及び河川情報センターから別々に入手しているということをお伺いをしています。

 そのデータを買い取っているというよりは、その通信の負担というんですか、それをしているということで、私としたら、その通信のデータを送るという技術はどんどん進んで、そのコストは下がってくるのではないかなというふうに思いますし、参入障壁を下げることによって、いろいろな企業が、またベンチャーも立ち上がってくると思うんですが、このデータ利用の障壁を下げるために、両センターからデータを入手するための費用を下げていくべきではないかというふうに考えるんですが、大臣の考えを、見解をお伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 基本的には、実費をいただいているということなんですけれども、気象情報は一般財団法人気象業務支援センターから、それから、河川情報は一般財団法人河川情報センターから、最新の情報通信技術を取り入れつつ、安定的かつ効率的に提供されており、利用料金は、各センターがデータの管理や配信に必要な実費を利用者数に応じて負担していただく方式で設定しております。

 情報提供の経費につきましては定期的に見直しておりまして、近年、両センターの利用者が増えていることなどから、より安価に情報を入手いただけるようになってきているということも事実でございます。

 今後とも、適切な利用者負担の下、情報の充実と一層の利活用が図られるよう、この両センターを適切に指導してまいりたいと思います。

一谷委員 一時間ほど訪問させていただいた中で、最後の最後に、実は、これが何とかなりませんかというふうに企業からも言われまして、結構、数十万円にも及ぶような負担だとお聞きしておりますし、新たな測器を購入するにも費用もかかりますので、是非、値下げをお願いしたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、次の質問をさせていただきます。

 洪水及び土砂崩れの予報業務許可制度について、令和五年一月現在で予報業務許可を受けている事業者は百三十四者いますが、これまで土砂崩れ及び洪水に関する予報業務許可を受けた事業者はいません。土砂崩れ及び洪水について、これまで予報業務許可を受けた事業者がいない理由をお伺いしたいと思います。

 また、本改正により、二〇二八年度に、土砂崩れ十者、洪水三十者の予報業務許可を目標としていますが、目標の実現に向けて具体的にどのような取組を行っていくのかということについてお伺いをいたします。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、これまで土砂崩れや洪水の予報業務を取得した事業者はおりません。これにつきましては、近年、技術的に進歩があったわけですが、それ以前は十分な予報を行うための技術がなかったからというように推測しております。

 今回、土砂崩れや洪水への予報業務の参入に目標を設けておりますが、今回の目標の設定に当たっては、民間事業者の聞き取り等において、土砂崩れ及び洪水の予報業務について一定の参入希望があるということを把握した上で設定しております。

 今般の法改正により、自ら気象の予報をしない場合は、気象予報士の設置が不要になることから、既存の予報業務許可事業者に加え、新たに、建設コンサルタント、損害保険会社、測量事業者、研究機関などの参入が見込まれます。

 今後、改正法の内容について、既存の許可事業者のみならず、気象ビジネス推進コンソーシアム等を通じて産業界等に広く周知を行ってまいりたいと思います。

一谷委員 分かりました。

 先ほど、気象予報士さんの設置が要らないというようなお話もあったんですが、次の質問では、今回の気象業務の法の改正において、自ら気象の予報をしない事業者は気象予報士の設置義務を免除されるとありますが、それでは、今後求められる気象予報士の役割についてお伺いしたいと思います。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、従来、洪水、土砂崩れ、波浪、高潮の予想は気象予報士に行わせるものとしてきましたが、これらの現象の予想については、近年の技術進展を踏まえて、気象の予想と分割して行う手法が主流となってきており、本法案においては、技術上の基準に移行することとしています。

 一方、これらの予想を行うに当たっても気象の予想が必要であり、今後も気象予報士には気象の予想を行う役割を担っていただきます。

 さらに、気象予報士には、気象に関する知見を生かし、例えば、気象防災アドバイザーとして自治体の防災の現場での活躍や、DX社会の進展も踏まえたデータ利活用の分野での活躍等も期待しております。

一谷委員 ありがとうございます。

 もう時間がありませんので、ちょっとコメントだけになると思うんですが、気象庁の情報基盤部情報利用推進課の資料を見ますと、気象予報士になられた方の満足度は、気象に関する知識が得られたということで、七三%で非常に高かったんですが、不満としては、気象予報士資格を活用できる場が少なかったということで、これも七九%として非常に高いなというふうに思っています。

 今後、気象予報士の資格や知識を役立てたいと考える業務として、これは活用希望ですね、これは、おっしゃっていただいたとおり、地域の防災活動というふうにありました。これが三九%で最も高かったんですね。

 やはり地域の、特に医療や介護施設、様々なところで、今、BCPの、災害時の政策をしなければならない、また、取組をしなければならないというところで、私は本当にこの気象予報士さんの力がすごい必要になってくるのではないかなというふうに思っていますので、是非、その場に活動の場を広げていただけたらと思いますし、もちろん、そこに何かちゃんとした手当がつくとか給料がつくとかいうことも必要だと思います。

 そこで、もう一つ気になったのが、日々日々、デジタル化は進んで、技術は進んでいくんですが、この技術力を維持するための技術の研さんの方法が、気象関連の書籍やホームページ情報を見て独学というのが六一%で一番高かったんですね。この辺りを少し、独学ではやはり限界があるのではないかなと思いますので、やはりフォローアップもしていただくことが大事じゃないかなと思います。どれだけデジタル化が進んでも、最後はやはり人の力が必要になると思いますので、是非その点をお願いさせていただきまして、私の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

木原委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに水防法ですが、第十一条で、国は都道府県の求めがあったときに水位等に関する情報を提供するとなっています。全国百九ある一級水系の河川全てに、国が管理する河川と都道府県が管理する洪水予報河川がありますが、国はそもそも、本川、支川が一体となった水位予測に取り組んでいると承知しています。

 そうであれば、都道府県の求めがなくても国が情報提供することができないのでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 水防法では、洪水予報について、国と都道府県で河川の規模などに応じて役割分担を行っております。国、都道府県がそれぞれ指定した河川において、それぞれの責務で実施するわけでございます。

 このため、今般の改正では、国が都道府県の意思にかかわらず情報を提供するのではなく、責務を有する都道府県が情報の必要性を判断する仕組みとしておりまして、都道府県知事は、国土交通大臣に対し、情報の提供を求めることができるという規定となっております。

 国土交通省としては、都道府県指定の河川においても洪水予報の早期化が実現し、本川、支川が一体となって、災害に対する備えの充実が速やかに図られるよう、都道府県との連携、これはしっかりと進めてまいりたいと思います。

高橋(千)委員 役割分担とおっしゃったんですけれども、やはり大きな災害が来るおそれがあるということが分かっているときに、やはりそれは、たてつけ上は求めがあったらというふうなことをしなくてもいいのじゃないかと改めて伺いたいと思うんですね。

 気象業務法に基づき、気象庁は、都道府県と共同で会見、予報を行っています。避難勧告を出す首長さんの負担は本当に大きく、災害があるたびに、もっと早くといった議論が繰り返されてきました。

 二〇一四年、広島の土砂災害のときは、大雨警報や洪水警報は気象庁が夕方から出していましたが、実際に豪雨になったのは夜中の一時過ぎで、避難勧告を出したのは明け方の四時過ぎでした。

 二〇一六年の岩手県岩泉町のグループホームを襲った台風十号は、朝のうちに隣の老健施設に避難していればというのは後で言えることなんだけれども、そこまで判断できる情報が得られていないわけです。

 分かりやすい警報の出し方というのは、この間、気象庁も見直しをしてきたのは分かります。だけれども、もっとできないかということで、洪水及び土砂災害の予報のあり方に関する検討会では、警報のタイミングについて、一日前とか、明るいうちに、暗くなる前になどということが議論されてきましたが、具体化されるでしょうか。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、令和三年に開催された洪水及び土砂災害の予報のあり方に関する検討会でも提言されているように、より早期の避難等に資する情報提供のためには、予測技術の高度化が重要な課題となっております。

 このため、気象庁では、特に近年、毎年のように甚大な被害をもたらす線状降水帯について、予測精度を向上すべく、観測、予測技術の高度化に関する取組を強化、加速化しているところです。

 これにより、昨年には、それまで予測が困難であった線状降水帯による大雨について、その可能性が高いことが予想された場合、関東甲信地方といった地方単位で半日程度前から呼びかけることを開始いたしました。

 今後、令和六年にはこれを県単位で、さらに令和十一年には市町村単位で半日前からの情報提供を目指してまいります。

 引き続き、予測技術の高度化により、早期の避難等に資する情報の改善に努め、防災・減災の取組を推進してまいります。

高橋(千)委員 予測の高度化と避難勧告を出す首長の決断というのは、また違うわけです。そこに迷いが生じないように国の支援が必要だと思いますが、大臣、もう一度、さっきの質問についてお願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 その点、しっかり進めていきたいと思います。

高橋(千)委員 一九九五年から気象業務への民間参入の対象が順次解禁されてきました。現在、気象及び波浪に関する予報業務の許可事業者は八十九と聞いています。

 気象観測のデータについては、その品質を確保することにより、誤った観測値がもたらす社会的混乱を防ぐとして、一つに、一定の技術基準に従う、二つに、観測施設の届出や気象測器の設置の届出、三つ、検定に合格した気象測器を使うことが義務づけられているということです。また、人命や財産の安全に関わる警報については、世界的にもシングルボイスが原則とされ、気象庁以外の者による警報が制限されてきました。

 今回の改正においてもこれらの原則は変わらないという理解でよろしいでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 委員御指摘のこうした観測に関する制度は、気象観測の品質を担保することによりまして、誤った観測値がもたらす社会的混乱を防ぎ、国民の生命財産を災害から守るためのものでございます。

 今般の改正は、予報業務許可事業者が、検定済みの測器による観測の補完として行う観測であると気象庁長官から確認を受けた場合に限り、検定を受けていない測器も利用できるようにするものです。また、それ以外の観測については従前の原則を維持いたします。

 また、いわゆるシングルボイスに関しては、気象業務法第二十三条において、気象庁以外の者が警報をしてはならない旨が定められていますが、この原則についても今般の改正によって変わることはございません。

高橋(千)委員 確認できました。

 それで、先ほど一谷委員の方から、予報業務許可事業者について、土砂崩れや洪水については許可された業者はなかったけれども、土砂崩れ十者、洪水三十者というKPIが掲げられているという質問がありまして、答弁として、参入希望があったということと、当時は技術がなかったけれども、その精度が上がってきたという答弁だったと思うんですね。

 要件としては、気象予報士の設置がこれまでは要件としてあったと。検討会の中でも、気象予報士には土砂崩れや洪水についての経験値というんでしょうかね、予報を出すための、まだ技術的にはないということを気象庁自身が答えているわけなんですよね。

 そのことと、今回、気象予報士を設置しなくても許可できると判断した、その間はどういうふうに埋めていくんでしょうか。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 近年は、従来のように、気象と洪水等の予測を一体的に行う手法ではなく、気象の予測結果を入力値として洪水等の精緻なシミュレーション計算を行うような、気象と洪水等の予測を分割して行う手法が主流となってきており、これにより、従来よりも高精度な予測を行うことが可能となってきております。

 このため、本法案では、洪水等の予測については、気象予報士に行わせるのではなく、最新の予測技術を踏まえたシミュレーション計算等に関する技術上の基準により予報業務許可を行うことが適切であると判断したところです。

 なお、洪水等のシミュレーション計算の入力値となる気象予報も自ら行う許可事業者は、引き続き気象予報士を設置する必要があります。

高橋(千)委員 最後のところは、自ら行う事業者はということであったんですけれども、情報が高度になっていくことと人の力というのですか、そこはやはり合わせていかなきゃ駄目なんじゃないかということを常々考えているところであります。

 それで、検討会の中で民間予報業務許可事業者からのヒアリングを行っていますが、例えば、ウェザーニューズは、公助として、公式な防災情報は国が担うべきと言った上で、加えて、民間事業者が出す情報も活用することで、一般の住民の自助が促進するとあります。これはやはり、警報などにもっと民間事業者が関わりたいという趣旨ではないかと。それと、一般の一個人に対しての情報の出し方ということを述べているんだと思うんですね。

 それから、株式会社建設技術研究所、民間の予測情報を自治体等の住民へ提供したい場合、予測情報の利用が許可されるかどうか、避難判断への利用を認めるかどうか、こうした問題提起をしております。

 さっき大臣からシングルボイスは変わりませんということをはっきりとおっしゃっていただいたんですけれども、やはり個人に対してそれができるようになってしまうと更に混乱を招くという点では、やはりできないよということをはっきり言っていただきたいのと、それから、自治体が、問合せが来て、自治体自身が情報がないというふうなことがないように、むしろ自治体自身がこの予報業務許可業者をうまく契約して、使って、出せる、つまりお互いに補完できるような形に国がもっと支援していくべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 委員御指摘のとおり、国民の防災活動に必要となる防災気象情報は、社会的な混乱を防止するため、国の機関から一元的に発表される必要がある、このように考えております。

 今回の改正によりまして、洪水や土砂崩れ等の予報について、許可事業者が個別の契約に基づき利用者に提供できる環境整備を進めることとしておりますが、防災気象情報について国が責任を持って提供していくことに変わりはございません。

 特に、重大な災害の起こるおそれを警告する警報につきましては、引き続き、気象庁以外の者から発信することを制限し、責任の一元化と情報の一貫性を持たせることとしております。

 今後とも、国民の命を守る防災気象情報を適時的確に提供してまいる所存でございます。

高橋(千)委員 ここは指摘にとどめたいと思うんですが、先ほどの長官の答弁を聞いていますと、やはり民間の参入というのに物すごく力を入れてきているわけですよね。気象業務支援センターなどの出す情報の提供、これは許可業者だけじゃない人たちが九割を占めているという形で、いろいろな形で利用されていくと。

 だけれども、それ自体が、今言ったような、個人にもピンポイントで分かっちゃうみたいなことになっていくと、一方では、シングルボイスです、国は制限していますと言うんだけれども、業者じゃなくても手に入っているわけですよ、いろいろな情報が。その境目がなくなってくるということが何をもたらすのかということは、やはりちょっと緊張を持って見ていきたい、このように指摘をしたいと思います。

 私は、二〇〇六年十一月に測候所の全廃方針が閣議決定されて以来、繰り返し、人による観測にこだわって質問してきました。青森県の深浦測候所、岩手の大船渡測候所などを直接訪ねて聞いた現場の職員、そして漁協の皆さんなど、測候所の情報を頼りにしている人たちの声、あるいは国会に寄せられた意見書などに基づくものでした。

 直近では、二〇二〇年の十一月、半世紀以上続けてきた生物季節観察の縮小について取り上げました。しかも、このときは、気象庁のホームページの広告掲載問題も指摘したわけですが、当時も気象庁は予算が足りないと言っていたわけであります。だからこそ、もっと拡充する必要があると思うんですね。

 定員を見ますと、それこそ半世紀近く、一九七七年は六千五百八十九人だった定員が、今や五千二十五人と二四%も減っています。デジタル化で更に減らすつもりなんでしょうか。

 ある民間気象業関係の方から、気象庁は気象省に昇格して、予算も権限も強めるべきだと御意見をいただきました。本来、それだけの存在なんじゃないか、私はこう思うんですね。

 気象と戦争は切っても切れない関係とよく言われますし、太平洋戦争のときには、敵に軍事目的で利用されるのを防ぐために天気予報が発表されなかった時代がありました。

 これほど天気というのは国民の命と財産に関わる重大な情報である、そういう認識に立って、もっと格上げを目指して、人員も予算も増やしていくべきだと思いますが、大臣、一言。

斉藤(鉄)国務大臣 最近、気象庁、本当に、自然災害が発生したときにはJETTがすぐ駆けつけ、また、地方気象台の役割というのも地域の活動に本当に重要になってきておりまして、期待も大きくなっている。また、線状降水帯による予測精度向上等も求められております。

 こういう状況を踏まえまして、気象庁におきましても、防災対策の強化や技術開発に必要な体制強化に取り組んでおり、それらに必要な予算や人員を確保しております。令和五年度におきましても、気象庁予算を大きく伸ばしていただきました。

 気象省にしたらどうかという御提案も紹介されたところでございますが、気象庁につきましては、引き続き、国土交通省の一員として、省内各局とも幅広く連携しつつ、業務を推進していくよう、私からもしっかり指導していきたいと思っております。

高橋(千)委員 終わります。よろしくお願いします。

木原委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 私も、今回の法改正の一つの柱が民間事業者による予報の高度化ということで、確かに、最近災害が激甚化している中で、気象予報のニーズが細分化したり多様化したりしておりますし、一方で、ITの進展によって、いろいろな情報源が多様化したり複雑化しているという中で、民間の事業者が果たすこの分野の役割というのは非常に大きいと思います。

 私自身、妻が気象予報士でありまして、NHKの初代の民間出身のお天気お姉さんを二十年前にやっておりましたので、今日この質問に当たっては、いろいろな気象予報士の仲間からも、妻の仲間からもアンケートを取って、話を伺った上で質問させていただきます。

 まず一点目は、ちょっと法律の議論をするんですけれども、土砂崩れや高潮、波浪、洪水といった気象関連現象予報業務について、今回、技術的な基準を定めることになっております。これまでは、地震とか火山、津波には国土交通省で技術上の基準がありまして、ただ、その省令を見ると、気象庁が認める予測資料に基づき予測するものとか、気象庁長官が定める計算方法により行うものと定めております。

 ただ一方、この気象関連現象予報というのは、まさに気象関連ですから、先ほど気象予報の部分とシミュレーションと二つ分けるんだという話がありますけれども、ただ、やはりこれは気象関連ですから、気象との影響は切っても切り離せないものになるんだと思うんですね。

 そういう意味では、地震とかと同じ省令では規定できないと思うんですけれども、どのような規定になるのか簡潔にお答えください。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、新たに策定することとなる技術上の基準については、土砂崩れ、高潮、波浪及び洪水の予測手法として、シミュレーション計算の際に、降水量や風等の気象の予報や観測値等を適正に入力することとなっているか、各現象に関する専門的な知見に基づく手法により、適切にシミュレーション計算等を行うことになっているかについて審査する基準を設けることとしております。

 このように、新たな技術上の基準では、前提条件として用いる気象の予報や観測値等の適正さに関しても規定することを想定しており、現行の法第十八条第一項第四号に基づいて策定されている地震動等の技術上の基準と全く同じような規定にはならないと考えております。

福島委員 具体的な答弁、ありがとうございます。

 次に、今回、噴火とか火山、土砂崩れ、津波といった、社会的な大きい特定予報業務については、法十九条の三で説明を行う義務を課しております。

 ただ、これは、国土交通省令で定めるところにより、当該特定予報業務を利用しようとする者に対して、その利用に当たって留意すべき事項その他の国土交通省令で定める事項を説明となって、省令に落ちております。この国土交通省令はどのようなことを定めるのか、これも具体的に答弁をお願いします。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、改正後の法第十九条の三においては、予報業務許可事業者が、洪水や土砂崩れ等の予報を提供する場合には、その利用に当たって留意すべき事項について、契約の際など事前に利用者に説明しなければならないことといたしました。

 その説明の方法と説明しなければならない事項の詳細については、国土交通省令で規定することとしております。

 まず、方法に関しては、許可事業者からの説明が対面あるいはオンライン会議など対面に準ずる双方向的な方法で行われるよう、国土交通省令に規定することを想定しています。

 また、説明すべき事項としては、利用者が予報の性質を十分に理解して適切に利用していただけるよう、気象庁の予報とは異なる内容となる場合がある旨や、予想結果の特性や誤差等を国土交通省令に規定することを想定しております。

福島委員 ありがとうございます。

 時間がないので、次からの問いはちょっと、大臣、端的にお願いしたいんですけれども、なぜこれを聞いたかというと、私がアンケートをする中で多くあったのは、民間に気象業務を開放といいながら、あれこれ条件をつけて、なかなか開放を実際はされていないんだという話を聞いたんですね。

 資料一がありますけれども、これまで法四十条の二に基づいて様々な条件がつけられているんですよ。許可を得るときの、例えば気象庁が行う警報等と紛らわしい名称を予報に用いないとか、台風の進路に関するのは解説の範囲と。

 私、こういうのはきちんと事前に法令で、省令も含めて、規定すべきだと思うんですけれども、大臣、それをやっていただけませんか。端的にお答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 委員御指摘のとおり、事業者の予見可能性を高める観点からは、どのような場合に、どのような条件が付されるのかを明らかにしておくことが重要です。

 このため、条件とすべき内容については、今回の制度改正の機会を捉え、できるだけ国土交通省令に規定することといたしたいと思います。

 また、今後の法第四十条の二に基づく条件については、公共の利益を確保するため必要な最小限度のものに限って付すことを徹底させてまいります。

福島委員 極めて前向きな答弁、ありがとうございます。

 うちの妻は台風のときになるとNHKの画面から外されたんですよ。それは、うちの妻が所属する会社が、この台風の条件が課せられて、実際は単にしゃべるだけなら構わないはずなんですけれども、その当初はそういう不透明な運用があって、どこまでやれるかというのが分からなかったというのがありますから、是非そこを明確に法令上していただければと思います。

 次、資料二なんですけれども、市町村の首長さん、私の地元の水戸市長さんなんかも、洪水がよく水戸はあります、那珂川、涸沼川、川に囲まれて。避難指示を出す決断は物すごい重いもので、やはりそのときに専門家のアドバイスが欲しいわけですね。各地の気象台も努力はしておりますが、全ての細かいニーズや市町村に対応できることは物理的にも不可能でありますから、こうした気象防災アドバイザー制度というのを設けております。

 これは、令和二年十月三十日の参議院本会議で山口那津男公明党代表が提言された。山口さんは、私が生まれた日立市の市役所の中にある気象相談所の所長さんがお父さんであって、山口さんは私の中学、高校、大学の先輩でもありますけれども、山口代表自ら気象災害情報の専門人材について質問があって、そのちょっと後に、公明党の赤羽大臣が気象防災アドバイザーというのを初めて委嘱したということでありまして、私はこれは非常に有益な制度だと思っております。

 現在、委嘱されているのは百九十一人、活動しているのは三十九自治体で二十九名で、でも、そのうち通年で任用しているのは十一市区町村だけなんですね。気象防災アドバイザーに関わる予算というのは、令和四年度には二千万あったんですけれども、令和五年度予算案では一千二百万円と減っちゃっているんですよ。

 私は、これは何で必要かというと、日頃から住民の皆さんに防災教育も必要ですし、あと、地形によっていろいろな微気象があるんですね。水戸の場合ですと、那珂川が氾濫するのは、水戸の天気じゃなくて、上流の那須の辺りの天気によって変わったりとか、あるいは、先ほどの下条先生の土砂崩れの話がありましたけれども、微妙なその土地土地の気象と地形とかによってきめ細かいものをやるのが必要ですから、私は、この気象防災アドバイザーは本来は常駐すればいいと思うんですね。

 事前のレクでは、例えば岐阜県さんなんかは県で三人雇って、いろいろな市町村に派遣できるようにしているというふうにおっしゃったんですけれども、ただ、いずれにしても、常勤で、県なのか市なのか分からないですけれども、置いた上で、日常は様々な防災教育の講師として、あるいは調査研究を行うという業務をやるし、緊急時になったら、首長さんの横にいて、これはもうちょっとこうした方がいいよと、いろいろな情報が入ってくるんですよ、気象庁だけじゃない、民間の情報も入ってくる中で、いや、ここはこの情報をこう見た方がいいよとリテラシーの面からもアドバイスする上で、この人材は極めて大事だと思うんですね。

 ただ、一千二百万の予算じゃ駄目だと思うんですよ。自治体はやはり先立つものがなければならない。交付税措置なのか国交省の補助金なのか分からないけれども、ある程度の財源は必要だと思うんですね。

 一方、先ほど一谷さんの質問でありましたけれども、気象予報士、私の妻が合格させていただきましたが、合格率僅か五%、平均すると。非常に難しいんですよ。三回ぐらいうちの妻も落ちたんですけれども、何とか受かって、でも、そうした気象予報士の方は今全国で一万人ぐらいいらっしゃるわけですね。

 この人材を私は活用しない手はないというふうに思っておりまして、山口代表も非常に思い入れのある仕組みでありますし、赤羽大臣、そして斉藤大臣も非常にこの制度に対する御理解があるんですが、これは、単に広めますとか、この制度があるんですよと自治体に広めるだけではなくて、具体的な予算措置とか制度上の措置として、あるいは市町村の防災計画の中に位置づけるという制度的な面も含めて、しっかりとこれを位置づける必要があると思うんですけれども、斉藤大臣、どのように今後されていくのか、御決意のほど、是非お伺いできればと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 山口代表のお父さんは気象庁の職員で、最終的には自治体、日立市に入られて、自治体で気象の専門性を生かされた、このように聞いております。

 そういうことから、山口代表もこの気象防災アドバイザーが各地方自治体で活躍することについて非常に熱心に提言をしてきているということでございます。

 気象防災アドバイザーは、専門的な知見に基づき、避難指示の発令など自治体の防災対応について助言できる有為な人材であり、気象庁においては、その育成などにより、人員の拡充に取り組んでおります。

 また、自治体における常時任用も含め、その活用を促進するため、地元の気象台長が市町村長に対し、気象防災アドバイザーの役割等について説明するなど、自治体への周知、普及に取り組んでおります。

 国土交通省としては、関係省庁とも連携しつつ、委員御指摘の支援制度についての検討も含め、気象防災アドバイザーの更なる活用促進について、予算面も含めてしっかり頑張っていきたいと思います。

福島委員 最後に予算面という話もいただきましたので、是非、来年度予算に向けて検討していただければと思っております。

 前向きな答弁、ありがとうございます。

 以上です。

木原委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里でございます。

 今回の法改正で、国と自治体が連携して洪水などの予測業務が広がることになります。

 二〇一九年十月十二日、大型台風十九号によって、私の地元の狛江市は、床上、床下浸水合わせて四百四十八件、また、調布市でも二百十四件の大きな被害が発生したんです。

 今日は、傍聴席に被災された方も来ておりますが、本日はこの件を含む水害への対策について質問をいたします。

 このときの大きな原因は、下水道管に集められた雨水が、多摩川に排水するための猪方排水樋管、そして六郷排水樋管、そこから水が逆流して市中にあふれ出したことにあります。

 一点目は、その樋管の遠隔操作化の状況です。

 パネル一を御覧ください。

 多摩川が増水し、排水樋管に近づけないという事態が発生して、豪雨によって多摩川の水位が高くなったため、樋管の職員を退避させた際、水門を開けたままだった、このことを一因として、水が逆流したとされています。この教訓を踏まえ、狛江市では両樋管を遠隔で操作できるようにしていたんですね。

 そして、これを全国的に見てみますと、国は、令和七年までに、水門、樋管など、約三千施設の遠隔操作化を完了するとしているのですが、国交省によると、この三千か所は全て国の管理ということなんです。

 つまり、都道府県が管理するものは遠隔化加速の対象とはされておらず、市町村管理のものは数すら分からないということなんです。このままでは、狛江市と同じような理由による水害が全国各地に発生する可能性があります。

 さらに、二点目として、多摩川の河川整備には大きな問題も残っています。

 パネル二をお願いします。

 今年の三月に改定された多摩川水系河川整備基本方針です。

 まず、右側の図ですけれども、水量を計測する基準地点、石原のピーク水量、ここも地元の調布市に当たりますが、このピーク水量が約一・二倍の増加となりました。これは気候変動を踏まえた想定となっていることについては大変評価ができるんですけれども、いつ頃までに河川整備が行われ、どれぐらいの費用がかかるのか、この基本方針ではよく分からないんです。また、左側の図、そもそも、河川の調布市側は暫定堤防区間のままであり、計画堤防の整備完成時期も明らかになっていません。

 そこで、大臣に二点質問いたします。

 全国の水門、樋管の遠隔操作化について、国はもちろん、都道府県や市町村など地方自治体が管理するものも含めて、現在の進捗状況はどうなっているのか、また、今後の目標はどうなるのか、大臣からお願いいたします。

 そして、二点目として、多摩川のピーク水量が変更になったわけですが、この変更に対応した河川整備、この計画の改定時期、そして完成する時期、また、特に計画堤防の完成がいつ頃になるのか、必要となる予算はどれぐらい見込まれるのか、大臣にお答えをお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 二点といいましょうか、三点、御質問がございました。

 まず、第一点目の小規模河川における遠隔化でございます。

 国土交通省では、小規模な河川管理施設については無動力化、無動力化というのは、バックウォーター現象が起きないように、自然に門が閉まるものですが、この無動力化を進めております。無動力化が困難な施設については遠隔化を推進しておりまして、令和二年十二月時点で、約三割の施設で無動力化、遠隔化を実施しております。

 また、地方公共団体が管理する河川管理施設についても、操作の確実性や安全性の確保が重要であることから、施設規模に応じた無動力化、遠隔化を推奨するとともに、交付金等により支援しているところでございます。

 そして、二点目が、内陸部の遠隔化目標をどうしているのかということでございますが、令和七年度を目標とする現行の第五次社会資本整備重点計画では、河川における排水機場の遠隔監視、操作化について目標を定めております。

 操作の確実性や操作員の安全性の確保などの観点から重要でございますので、次期の社会資本整備重点計画においては、水門や樋門等も含め、対策の実施状況を踏まえつつ、どのような目標を設定すべきか、次期計画においてはしっかり検討して盛り込んでいきたいと思っております。

 そして、最後、多摩川地区石原地点の目標でございますが、多摩川においては、気候変動による降雨量増加を踏まえて、長期的な河川整備の目標を定める河川整備基本方針を今年三月に見直したところです。

 これを踏まえて、堤防の整備や河道掘削など、当面、二十年から三十年程度の間に想定する具体的な整備内容等について盛り込む河川整備計画の改定に着手いたしました。

 また、御指摘のあった堤防の整備などを含めて、具体的な河川整備の内容や必要となる概算事業費につきまして、河川整備計画を検討する中で整理してまいります。

 この多摩川においても、しっかりと中流域、早期の治水安全度向上に取り組んでまいりたいと思っております。

櫛渕委員 時間が来ましたのでまとめますが、大臣、丁寧なお答え、ありがとうございます。

 ただ、明確な目標の時期ということも是非示していただいて、来年度予算に盛り込んでいただきたい。

 気候変動の課題、急務であります。そもそも、一点だけ、国交省の水関係……

木原委員長 時間が経過しておりますので、まとめてください。

櫛渕委員 はい。

 水管理・国土保全局の河川関係の予算は、令和二年度の五千九百億円から令和五年度当初予算の四千三百億円と、三年間で三割近くも減っているというのは、大変私はゆゆしき事態だと思うんです。是非、ここに強く力を入れていただいて、来年度、是非ともお願いを申し上げたいと思います。

 以上です。

木原委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 まず最初に、私たち国民民主党はこの法案には賛成であることを申し述べた上で、質問に入りたいと思います。

 今回の法改正を行うに至った背景には、豪雨災害の激甚化や頻発化、こういったことで、洪水などの予報の重要性が増大しているということがあるというふうに言われておりますけれども、このところ、こうした豪雨災害、これが激甚化する、あるいは頻発化している、これは、専ら地球温暖化の影響によるものと考えていいのか、それ以外にも要因が考えられるのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。

岡村政府参考人 お答えを申し上げます。

 近年、豪雨災害をもたらすような大雨の発生頻度は増加しているところでございます。例えば、一時間降水量が八十ミリ以上、三時間降水量が百五十ミリ以上、日降水量が三百ミリ以上といった大雨のデータにつきまして、一九八〇年頃の十年間と比較して、最近の十年間ではおおむね二倍に頻度が増加しておりまして、これは地球温暖化が影響しているというふうに考えているところでございます。

 これに加えまして、我が国は、水害リスクの高い平野部などに人口や資産が集積していることや、治水対策としての河川などの整備がまだ整備途上であるということから、大雨が災害につながりやすく、結果的に激甚な豪雨災害が頻発しているというふうに考えております。

 このため、流域の関係者が協働して、ハード、ソフト一体で取り組む流域治水、この取組が重要であるというふうに考えております。

古川(元)委員 もちろん、そういう流域の整備とか、そういうのも大事だと思いますけれども、よくこれだけの大雨が降るというのは、それはやはり、線状降雨帯とか、そんなのは余り昔は聞かなかったですけれども、そういうものが頻発しているのも、基本は、やはりこれは温暖化の影響だということで考えていいということですね。もう一回、確認です。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど答弁のとおりでございますが、地球温暖化の影響が考えられること、そして、我が国の状況が、水害リスクの高いところに集積していて、整備が途上であること、これらによって災害が頻発化、激甚化しているというふうに考えております。

古川(元)委員 後半部分は別に最近になって起きたわけじゃなくて、昔から、ここ何十年もそういう地域に住んでいるんですから、そういった意味では、基本は、温暖化の問題じゃないかと思うんですが。

 今、温暖化は、予測よりもむしろ進みが速いという、そういう分析もされています。今後更に温暖化が進んだ場合に、ただでさえ、今週も物すごく、五月としては最高の気温みたいな、東京でもそういうような、昨日も暑かったですけれども、いわば異常気象が普通になってきていると思うんですけれども、もっとこれは、どんどんどんどんと異常になっていくんじゃないかと思いますが、この温暖化が更に進んでいくと、日本の気象現象というのはどのようになるというふうに想定しておられるのか、教えていただけますか。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 気象庁では、文部科学省と共同で、日本の気候変動二〇二〇を公表しており、この中で、日本とその周辺の気温、降水などの気象現象について、観測の成果と将来の予測等をまとめております。

 例えば、二十一世紀末には、多くの地域で猛暑日や熱帯夜の日数が増加し、冬日の日数が減少すると予測されています。また、降水については、大雨や短時間強雨の頻度や強さが増加する一方、雨の降る日数は減少すると予測されています。さらに、多くの研究から、日本付近における台風の強度は、台風のエネルギー源である大気中の水蒸気量が増加するため、強まると予想されています。

古川(元)委員 今の御答弁だと、大変になるよというぐらいで、具体的政策が余りないですよね。これ、大臣、聞いていて分かると思いますけれども。

 でも、やはり、今のこの温暖化は、これはもはや気候変動というレベルではなくて気候危機、クライメートチェンジではなくてクライメートクライシスだ、そういうレベルにまで至ってきているんだ、そういう危機感。これは、ずっとフォローしていらっしゃる科学者を始め、そういう認識というものは、これは世界的に広がってきています。このままだと、本当に近い将来、私たちの暮らし、これは本当に極めて深刻な影響を受けることは間違いない。だからこそ、我が国も、二〇五〇ではありますけれども、一刻も早くカーボンニュートラルを実現しようという目標を立てて、まさにこの国会でも、それに向けての様々な法案、予算も議論されて進んできているわけなんですが、とにかく温暖化対策は、これは本当に、官民というか、国を挙げて、世界を挙げて取り組まないと大変なことになるという、私も非常に大変危機感を持っています。

 そんな危機感もあり、斉藤大臣にも御協力をいただいて、国会では二年前に衆参両院で、全会派賛成の下で気候非常事態宣言を決議して、それを受けて、先月十九日には、この決議の趣旨を実現をしていって、一日も早くカーボンニュートラルを実現するために、当時はこの決議を実現するために超党派議連をつくりました。それと同じような超党派のカーボンニュートラルを実現する会を立ち上げまして、私もその共同代表の一人になって、これからとにかくドライブをかけて、この温暖化対策、官民挙げて、国を挙げてやっていこうということで活動を始めております。

 やはりカーボンニュートラル実現のためには、これまでの延長線上では、今のこの推計を見ていくと、想定だと、なかなか、この二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に対して、その手前のところの、二〇五〇年に実現するために二〇三〇年でクリアしていなきゃいけないその基準も今の状況では非常に難しいというふうに見られています。

 ですから、本当に、我々の意識を変えて、ライフスタイルを変える、そういうことまで必要になるんですけれども、そのためには、今温暖化によって引き起こされている、そしてまた、今後引き起こされるであろう気象現象について、先ほどさらっとお話がありましたけれども、どれだけ大変なことかということをもう少し、やはりかなり具体的に、そして、今世紀末にはと言っちゃうと、ほとんどの人は、みんなそのときはいないからと。子供たちからしたらそうじゃないですよ。でも、ここにいる人たちは、今世紀末に生きている人は多分誰もいないんじゃないかな、ほとんどが。そういうことではなかなか自分事にならないんですね。

 ですから、もう少しやはり足下のところから、このままだと、科学者が想定する最悪のケースだとこうなっていくとか、かなり具体的に、世の中の人が、本当にこのままだとまずいよ、これまでの考え方、行動とか、根本から変えなきゃいけないという危機感を持つ。これは非常にカーボンニュートラルを強力に実現していく。幾ら政府が旗を振ったって、やはり最後に動くのは一人一人の個人ですから。そういう意味でだと、危機感を多くの国民が共有する、そういうところまで持っていかなきゃいけないと思うんですが、まだ残念ながら、そこには至っていないんじゃないかと思うんです。

 特に若い人なんかを中心に、むしろ、本当に二一〇〇年というものが、次の世紀が、自分たちはまだ生きているという人たちは意識が高いと思うんですけれども、年が上になればなるほど、何となく、俺、そのときいないしみたいな、そういう感じになっているんじゃないかと思います。

 しかし、そんな先じゃなくても、こんな気象状況だと、昨日もたまたまちょっとお話を伺ったんですけれども、今、うちの中で亡くなる人の数というのは、交通事故で亡くなる人より全然多い。その一つがヒートショックだとか、あとは、やはり昨日みたいに急に暑いと、それに対応できなくなってという、まさにこの温暖化が影響して、高齢者のやはり命にも関わるようなことも起きているわけですから、やはりそういった意味でも、この温暖化対策はみんなで危機感を共有してやっていかなきゃいけない。

 その意味では、もうちょっとやはり気象庁なんかが、温暖化が進めばどれほど大変なことが起きるのか、洪水だけじゃなくていろいろな気象現象によって起きるわけですから、こうした温暖化防止の観点に立った広報活動というものを、これはもっと積極的にやはりやっていくべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 全く同じ危機意識、問題意識を持っております。古川委員が超党派で、官民挙げてそういう国民運動を起こしていこうということで活躍されていることに敬意を表しますし、私もその議員連盟に入らせていただいております。一人一人が危機感を持つことが大切だと思います。

 そのために、国土交通省としてできること、こういう気象になると、河川がこうなる、海象がこうなる、気象がこうなる、また、それを防ぐために、例えば建物はこうでなくてはならない、こういうことで非常に深く国土交通省は関係しておりますので、しっかりその広報等をやっていきたいと思います。

古川(元)委員 本当に、是非そこは、防災とか、もちろんそれも大事なんですけれども、やはり温暖化の、こんなに大変になるんだということの周知、広報は、これはもちろん、環境省とかほかのところがメインかもしれませんけれども、我々国交省、気象庁なんかは、是非、そういうことを中心にもっとリードしていただきたいなということをお願いしたいと思います。

 今の話とも絡むんですけれども、こういう温暖化のリスクをちゃんと正しく理解するためにも、また、激甚化する災害から自分の身を守る。

 例えば、最近だとゲリラ豪雨みたいなものがあって、私もたまたま気象庁の方を御紹介もいただいて、よくテレビなんかにも出てきたり、本も出しているんですが、荒木さんという気象予報士の方にもお話を伺って、雲の研究家の。それで、お話を伺うと、こういう雲が見えてきたらちょっと危ないよと、やはりちゃんと行動を控えるとか、ちゃんと避難するとかですね。

 気象の基本的なことを理解をしているかしていないかで命が守れるか守れないかというのは、やはり、結構、今これだけ激甚化してくると、ただ単に理科の授業で雲はこうやってできますとか、そういう、今まで気象というと、私の記憶だと、今の時代は変わっているかもしれませんけれども、学校で気象というのは理科の一項目の中で学ぶぐらいな話だったと思うんです。

 もうちょっと、気象予報士とか気象庁の中の専門家の皆さんが学校の教育の中で、そういう身を守るためにもちゃんと理解しておくべき、必要な具体的な気象現象、こんな雲が見えてきたらちょっと外で遊んでいてもうちの中に戻ってきた方がいいよとか、そういうこととか、さっきから申し上げている、このまま温暖化が進んでいくと本当にこうなりますよということは、理科の中の一項目としての気象現象として教えるんじゃなくて、もう少し踏み込んで、こういうことを分かっていることが自分の命を守ることにつながるとか、また、温暖化対策をしていかなきゃいけないんだ、そういう意識にもつながる。

 そういう意味で、気象予報士などの専門家が子供たちの学校でこういう気象現象についてもっと教えていくということをやったらどうかと思いますが、いかがでしょうか。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、児童生徒が気象や気候変動に関して正しい知識を身につけることは大変重要であると思っております。

 気象庁では、文部科学省や各地の教育委員会と連携し、教員を対象とした研修への協力や、気象等に関する学習教材の気象庁ホームページでの公開など、学校教育を支援しているところです。

 また、日本気象予報士会とも連携し、気象台の職員や気象予報士が児童生徒に直接授業を実施することも行っております。

 気象庁としては、引き続き、関係機関と連携し、児童生徒が気象現象に関する知識や理解を深められるよう取り組んでまいります。

古川(元)委員 今も、私も聞きましたが、やっていないわけじゃないんですよ。だから、先生に教えるとか、教材を提供しますよと。

 ただ、今、大臣、聞いていただくと分かるんですけれども、こういう資料があるし、言われれば行きますという感じなんですよね。そうじゃなくて、もっとこっちから出ていって、文科省の方に我々やりますよと。

 だから、先生に教えるのじゃなくて、それこそ、学校に、子供たちに直接、やはりそれは聞いた方が、私も荒木さんが直接話してきて、雲ってこんなふうに作れるんですといってやってもらったりすると、そういうのを見ると、なるほどとか、関心も高くなるので、是非、そこのところはもっと積極的に出ていっていただきたいなと思いますので、時間になりますので、最後、大臣の意気込みだけお伺いして、質問を終わりたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 気象庁、そして国土交通省、しっかりと、我々が持っている知識や能力を、そういう地球温暖化に対して、国民の皆さんに知っていただくよう、特に若い人たちに知っていただくよう、全力を挙げていきたいと思います。

古川(元)委員 ありがとうございました。

 終わります。

木原委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、津島淳君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。神津たけし君。

神津委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。

    気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 本川・支川一体での洪水予測による洪水予報の高度化を実現するに当たり、国土交通省水管理・国土保全局、気象庁及び地方公共団体が一層緊密に連携・協働するとともに、地方公共団体に対し、長時間先の予測水位情報や早期の洪水予報等を活用し、地域住民の早期の避難行動につながるよう、的確で理解しやすい情報の提供を促すこと。また、地方公共団体における防災体制の充実強化のため、地方公共団体に対し、人的支援の取組を推進し、財政支援を十分に行うこと。特に、地方公共団体における住民への防災教育や災害時の専門的助言を行う気象防災アドバイザーの設置を促進するための十分な支援措置を講ずること。さらに、防災気象情報の提供体制を強化するため、組織の在り方を含めた見直しの検討を行うこと。

 二 水位周知河川においては、降水の予測精度の向上や洪水予測技術の進展等により、一定の精度で水位や流量の予測が可能となってきている現状を踏まえ、必要に応じ、洪水予測モデルの開発や予測システムの提供を含めた技術的な支援を都道府県に対し行うよう努めること。

 三 大規模噴火の発生に伴う潮位変化を発生させるメカニズムの解明や津波予測精度の向上等を、できるだけ早期に実現させるため、気象衛星ひまわりの画像解析技術の高度化や、沖合の海底水圧計等によるリアルタイムでの観測結果及びその予測への活用に係る調査及び技術開発などについて、必要な予算措置を講ずること。

 四 民間気象事業者による土砂崩れ、高潮、波浪又は洪水の予報業務については、利用者の多様なニーズに寄与できるよう、予報業務許可に当たり、予報の提供に関する条件や技術上の基準等の許可基準の明確化を図るとともに、その周知に努めること。

 五 噴火、火山ガスの放出、土砂崩れ、津波、高潮又は洪水の予報業務においては、防災上の混乱を防止するため、予報業務許可事業者に対し、利用者への予報事項を第三者に伝達するリスクの説明等の徹底を求め、その情報提供体制について、問題事例が生じた場合には、必要に応じ、適切に指導を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

木原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)国務大臣 気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 誠にありがとうございました。

    ―――――――――――――

木原委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

木原委員長 次回は、来る二十四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十七分散会


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