衆議院

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第16号 令和5年5月31日(水曜日)

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令和五年五月三十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 木原  稔君

   理事 加藤 鮎子君 理事 津島  淳君

   理事 中根 一幸君 理事 長坂 康正君

   理事 伴野  豊君 理事 谷田川 元君

   理事 赤木 正幸君 理事 伊藤  渉君

      泉田 裕彦君    小里 泰弘君

      柿沢 未途君    菅家 一郎君

      工藤 彰三君    小林 史明君

      櫻田 義孝君    田中 英之君

      田中 良生君    谷川 とむ君

      冨樫 博之君    土井  亨君

      中川 郁子君    中村 裕之君

      西田 昭二君    根本 幸典君

      深澤 陽一君    古川  康君

      武藤 容治君    山口  晋君

      枝野 幸男君    小熊 慎司君

      城井  崇君    小宮山泰子君

      神津たけし君    下条 みつ君

      堤 かなめ君    一谷勇一郎君

      前川 清成君    山本 剛正君

      輿水 恵一君    中川 康洋君

      長友 慎治君    古川 元久君

      高橋千鶴子君    緒方林太郎君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      豊田 俊郎君

   内閣府大臣政務官     尾崎 正直君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   経済産業大臣政務官    長峯  誠君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 親家 和仁君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            三好 敏之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 鈴木  清君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     鈴木 建一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           梶原 輝昭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  天河 宏文君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        岡村 次郎君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 堀内丈太郎君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  久保田雅晴君

   国土交通委員会専門員   鈴木 鉄夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十一日

 辞任         補欠選任

  宮崎 政久君     山口  晋君

  末次 精一君     堤 かなめ君

  北側 一雄君     輿水 恵一君

  古川 元久君     長友 慎治君

  福島 伸享君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  山口  晋君     宮崎 政久君

  堤 かなめ君     末次 精一君

  輿水 恵一君     北側 一雄君

  長友 慎治君     古川 元久君

  緒方林太郎君     福島 伸享君

    ―――――――――――――

五月二十九日

 交通運輸産業における迅速な運賃改定と賃金・労働条件への確実な反映を求めることに関する請願(浅野哲君紹介)(第一二五五号)

 国土交通行政を担う組織・体制の拡充と職員の確保に関する請願(石川香織君紹介)(第一二六二号)

 同(山岡達丸君紹介)(第一二六三号)

 同(荒井優君紹介)(第一二八八号)

 同(おおつき紅葉君紹介)(第一二八九号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第一二九〇号)

 同(神谷裕君紹介)(第一二九一号)

 同(枝野幸男君紹介)(第一三五五号)

 同(道下大樹君紹介)(第一三八八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件

 貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官鶴田浩久君、都市局長天河宏文君、水管理・国土保全局長岡村次郎君、住宅局長塩見英之君、自動車局長堀内丈太郎君、航空局長久保田雅晴君、警察庁長官官房審議官親家和仁君、金融庁総合政策局審議官三好敏之君、総務省大臣官房審議官鈴木清君、消防庁審議官鈴木建一君、厚生労働省大臣官房審議官梶原輝昭君及び資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小熊慎司君。

小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。

 質問に入る前に、冒頭、申し上げます。

 北朝鮮の許し難い度重なるミサイル実験、未明もありましたけれども、この対応のために、自衛隊はもとより、大臣始め海保の皆様方には、大変国民の安全のために努力されていることを感謝を申し上げ、また、今回の対応のためにも万全の体制を取っていただいたことに感謝を申し上げ、質問に移ります。

 まず初めに、旧車減税ですけれども、先日の日曜日に、私の地元の西会津町という新潟の県境の山合いの素朴な町があるんですけれども、ここで、なつかしcarショーというイベントがありました、毎年やっているんですけれども。クラシックカーを県内外からオーナーの方に協力して集めていただいて、大きなイベントがあります。この町は本当に小さな町なんですけれども、秋にはフォルクスワーゲンを対象とした、また車のイベントがあります。

 そこで私もオーナーとして参加したこともあるんですけれども、日本全国のそうした旧車のオーナーの方々とお話をしていてやはり言われるのは、自分の趣味の世界でもあるけれども、やはり日本の大事な産業遺産でもあり、文化遺産でもあり、また技術の粋を集めたものであって、日本の歴史の一部だ、これを守っていくんだという、そしてまた、排ガスの問題はありますけれども、一つのものを長く大事に使うという、それもエコじゃないかという意見も賜っています。

 一方で、これはヨーロッパ、とりわけドイツなんかは環境に非常に厳しい国ですけれども、逆にこの旧車を守っていくという税制になっています。御承知のとおり、Hナンバーというのを導入して、これを守っていこうと。一つの車種でいえば、ドイツの車が一番台数が多く残っているというデータもありますし、また、この旧車の優遇税制を入れたとしても環境負荷にはさほど影響がないというデータもドイツは持っています。

 その意味で、これから二〇三五年には新車販売もEV車若しくはハイブリッドしか売れなくなってくるわけでありますけれども、やはりその前に、ここに来て、とりわけこうした旧車というものをどう日本が位置づけて今後残していくのかということを考えなければならないところにあると思います。

 それで、大臣、鉄道マニアでありますけれども、車も好きだというふうにお聞きしていますし、地元ではやはり地元を愛してマツダの車に乗っている。この西会津町のなつかしcarショーでも、世界の名車でもある、世界初のロータリーエンジンであるコスモスポーツが出ていました。これを維持するのも大変ですよ、オーナーの方も。私は親しくさせていただいていますけれども。

 こういうものを残していくためにも旧車減税、そしてまた、旧車の価値といったものに対して大臣はどのようにお考えか、お聞きいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 旧車はもう文化遺産だと思います。しっかりこれを守っていかなくてはならないというのが基本認識でございます。

 それで、今、税制のお話がございましたが、税制については後ほど経済産業省の方からお話があるかもしれませんが、国土交通省が旧車と関係しているのは安全基準でございます。

 自動車の安全、環境基準につきましては、原則として、ユーザーに過度な負担を課すことがないように、自動車の製作年に応じた基準を適用することとしているところです。

 例えば、数十年前に製作された自動車に対しては、製作当時の基準を適用し、最新の排ガス規制のような新しい基準は適用されません。

 このため、いわゆる旧車につきましても、適用される基準に適合する状態を維持するため、継続的に点検整備を行うなど適切な維持管理を行っていただき、製作された時代を今に伝える存在として歴史的な価値を発現するもの、このように考えております。

小熊委員 大臣がいつかコスモスポーツに乗っている姿を見てみたいんですけれども。

 今、価値があるという大臣の見解でありましたが、では、これは税制に関して経産省の方にお伺いしますけれども、一方で、これは基準が、今大臣御説明あったとおり、当時の基準でいいんだ、今の基準を当てはめなくていいとなると、まさにこれは脱炭素の部分、環境政策の部分とどうなるんだということがあるんですけれども、これを守っていかなきゃいけないと大臣もおっしゃっていただいて、環境負荷に関しても、これは優遇税制をしているヨーロッパにおいてのいろいろなデータを見ると、自動車保有台数の何割も占めるわけではないんです、これを幾ら優遇税制しても。

 そうすると、環境負荷というのはさほど考えなくていいというか、それは全く考えなくていいとは言いませんけれども、脱炭素社会のためにはもっと太い部分をやらなきゃいけないというのがありますから、これはやはり、そこの部分で保護政策、守っていくという部分と脱炭素社会というのは大して矛盾はしないんだというふうに私は思うんですが、経産省の方からお願いします。

長峯大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、自動車分野の脱炭素化の潮流の中でも、旧車が持つ歴史的、文化的価値を大切にしていく取組を後押しすることは大変重要だと考えております。

 政府といたしましては、カーボンニュートラルの実現に向けては、電動車の普及を推し進めるとともに、水素や燃料の脱炭素化なども含め、多様な技術の選択肢を追求していくこととしておるところでございます。

 その上で、旧車市場の維持発展については、経済産業省といたしましても、旧車の展示イベントやラリーに後援を出すなど、旧車の魅力を伝えてファンを増やし、業界の発展に貢献する取組をサポートしているところでございます。

 加えまして、事業再構築補助金を活用して、新たに旧車の補給部品の製造に挑戦する事業者を支援する事例や、旧車の整備を行う事業者の新事業への取組を支援することで、別の収益源を確保し、従来の事業を継続する事例も出てきているところでございます。

 引き続き、自動車分野の脱炭素化に向けた取組を進めながら、旧車市場の維持発展につながる取組もしっかりと後押しをしてまいりたいと存じます。

小熊委員 私も二十年以上前の車を所有しているんですけれども、二十年たつと、もう部品もなくなったりいろいろ大変なんですね、維持管理にも。

 今ファンはもういっぱいいて、これは観光政策にもつながっていくんですけれども、イベントをやると本当に人が多く集まるし、多分、大臣も政務官も我々も、この委員の多くがスーパーカー世代ですから、その西会津町のイベントでも、カウンタックのLP500とかが飾ってあったらもう心震えましたけれども、本当にファンは多くいると思いますし、また、産業遺産としても守っていかなきゃいけないという意味では、今価値観は一致したんですけれども、しからば、支えているといっても、やはりネックになるのが税制ですよ。ほかの国がやっているわけですよ。

 これ、税制の部分はどう切り込むか、政務官、お願いします。

鈴木(清)政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の旧車、またいわゆるクラシックカー、こちらにかかります自動車税の重課の取扱いにつきましては、自動車税のグリーン化特例が、環境性能割を補完する制度として、より環境性能の優れた自動車の普及を促進するために講じられているものでございまして、今般の令和五年度税制改正でも、環境性能割の税率区分の見直しと併せて、その適用期限が三年間延長されたところでございます。

 また、このようなことや、車の歴史的、文化的価値の評価の在り方、また、そういった車を保有しておられる方々の担税力との関係などといった観点からも、引き続き論点が多い課題と考えております。

 まずは、今申し上げました論点等につきまして、関係者、関係府省のお考えをよく伺いながら、丁寧に検討を進める必要があるものと認識しております。

小熊委員 役所からすればそういう答弁になるんでしょうけれども、審議官もスーパーカー世代だと思うので分かると思いますが、今、環境に優しい車を推進していかなきゃいけないというのはあるけれども、さっきから言っているドイツのHナンバーは三十年以上というハードルですから、もはや、それを優遇したって、エコカーを阻害するということにはならないんですよ。

 先ほど大臣も政務官も答えられている、価値があるんだ、守っていかなきゃいけないんだと言っているのであれば、それに即した税制を導入していかなきゃいけない。是非、これは総務省所管かもしれないけれども、大臣も、価値がある、また政務官も言っていただいたので、省庁横断的に、税制の部分からこれをどう優遇していって、支えていくか。

 これをやっていかないと本当になくなりますよ。世界に誇るべきこうした日本の産業遺産がなくなっていくんです。ほかの国はやっている。自動車大国日本としてこれは恥ずかしい限りです、こうした遺産が失われていくのは。そして、それは個人のオーナーに大きく負荷がかかっていて、それは国がいろいろ支援するといったって、実際所有して守っていくのは個人ですから。この優遇税制政策に関しては、是非今後真剣に検討していただきたい。

 是非、大臣、西会津町、九月には、フォルクスワーゲンに限定したお祭りですけれども、是非誰か、大臣に来ていただければありがたいんですけれども、誰か視察に来ていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 次に移ります。

 東京一極集中の是正についてはこの委員会でも度々議論がなされ、とりわけ、我が党の理事の谷田川委員が三月に行った質疑の中で、その是正の取組については、国際競争の中で東京の競争力を強化するというふうに大臣がお答えになっていますけれども、具体的にはどういうふうな取組になるでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 東京の世界の都市間競争における競争力は、よく、東京は安全である、それから食べるものがおいしい、こういう優位性があるけれども、いわゆる欠けている面としては、税金が高い、それから子女の教育施設などが言われております。そういう面では、いいところを伸ばし、弱いところを補完していくということが、基本的にはこの都市間競争の競争力をつけていくことかと思います。

 あと、優良な民間都市再生事業等によるハイスペックなオフィスの環境整備、それから、国際的なゲートウェー機能を有する羽田、成田の首都圏空港の機能強化、外国語に対応したビジネス環境、医療、教育、商業や良好な住宅といった生活環境の整備など、大都市のリノベーションを推進することが、基本的に都市間競争における競争力を強めていくということにつながると思います。

小熊委員 ちょっと大き過ぎてフォーカスされていないんですが。

 次は、ちょっと併せて質問しますけれども、今、東京都ではなく首都圏とか、東京圏という言い方もあります。いわゆる五十キロから七十キロの通勤圏内ですよね。東京圏ということを意識して、例えば移住政策なんかは、二十三区から地方に行く場合、優遇してもらっていますけれども、例えば、千葉でも房総の方、谷田川さんの方は、これは対象になるわけですよ、同じ首都圏でも、東京圏から外ですから。

 東京圏、都市圏でいうと、これは世界最大ですよね。東京圏、三千七百万人とも言われている。これを維持していくということなのか、国際競争の中で東京の競争力を強化していくということは。

 でも、これは残念ながら日本は人口減少です。少子化対策を一生懸命やってもらっているけれども、V字回復まではいきませんから、減になっていくのはこれは推計でも出ています。移民政策でも取らない限り増えないわけです。

 総体的に減っていく中で三千七百万人を維持するということは、よりそれ以外の地方がもっと減るということです。マイナスサムですから。ゼロサムでもない。マイナスサムということは、首都圏、東京圏を維持するということは、地方と東京と両立していくと大臣は谷田川さんの質問に答えていますけれども、実は、この三千七百万人を維持するということは、やはり減るんですよ、地方が。これをどうするかなんです。

 意味合いだけでいくというのか、そういう意味では、人口のバランスをどう取りますか、東京の競争力を維持していくという上で。そこをどう想定していますか。減っていくことを想定して、それでも機能強化していくと言っているのか。この外形的な人口の問題をどう考えていますか、大臣。

斉藤(鉄)国務大臣 前回もまさにこういう議論を小熊委員とさせていただいたときに、いわゆる都市間競争における東京の競争力をつけることと、それから日本の中で東京だけが一極集中するということ、これは別の問題であって、かつ、お互い両立し得るといいましょうか、地方を充実させるということと、それから東京の競争力をつけるということは、両立させなければいけない事柄であり、両立する、このような議論をさせていただいたのを覚えております。

 東京を始めとする首都圏、とりわけ東京圏に人口や諸機能が過度に集中している状況は、地方から若者世代を中心に人口流出が継続し、地方の活力が喪失することにつながっていることに加え、首都直下地震等の巨大地震が切迫する中で、広域にわたる甚大な被害が想定されるなど、国土構造上も大きな課題であると認識しております。この認識はまさに一致しております。

 そのため、世界から人、物、金、情報を引きつける東京の国際競争力の強化を図る一方で、国内においては、国土全体にわたって人口や諸機能の広域的な分散を目指し、地方への人の流れを創出、拡大していく必要があると考えております。

 このような考えに基づきまして、現在、政府としても、東京への過度の集中を是正する観点から、地方移住や二地域居住の推進、企業の地方拠点の強化、地方大学の活性化等に取り組んでいるところです。

 国土交通省としては、こうした取組を、この夏に予定しております国土形成計画に位置づけて、関係府省とも連携して、地方への人の流れを加速させる取組を強化してまいりたいと思っております。

小熊委員 これは、狙いはよしなんですけれども、実態が伴っていません。

 実際、平成になってから東京が総量規制を緩和して、タワーマンションが今でもばかばか建っていますよ。

 これは、私、地元でも調べましたけれども、日本の人口のピークはここ数年前に迎えましたけれども、地方においては、中心的な都市は二、三十年前にピークなんですけれども、本当に山間部とか都市部の周辺の町村の人口のピークというのはいつだか分かりますか。多分、日本全国そうですけれども、昭和三十年代ですよ。団塊の世代の方々が中学、高校を卒業していったら、もうあっという間に人口が減り始めたんです。どの地方でもそうです。広島もそうだと思います、周辺の町村。もう六十年間続いている人口の構造なんですよ、これは。構造的な問題です。

 我々の先輩たちも地元の人たちも盛んに努力してきても、この東京一極集中が加速してきた。近年、更に加速している。それで、今の大臣の目標、掲げられましたけれども、打っている政策は全然足りていません。

 そこで、一つの提案です。

 これが魔法のつえではありませんけれども、国会決議がされていて、今、担当の直接の課はなくなりましたけれども、国交省の中でも、首都機能移転の、これはまだホームページを残していますよね。これは、いろいろなメリット、デメリット、当時も、私も秘書時代に国会の審議の状況を見ていましたけれども、いろいろな意見がありましたけれども、あと、まさにこの間も谷田川さんが言ったとおり、安全といった意味でも、やはり多極分散、大臣が言ったとおり、しなきゃいけない、日本の安全のためにも。

 ここでもう一度、首都機能移転の議論をして、国土の均衡ある発展、多極分散といったものの一つの切り口として、首都機能移転の議論、国民的議論をもう一度やらなきゃいけない、そういうふうに思っていますけれども、大臣の見解を最後に求めます。

斉藤(鉄)国務大臣 首都機能移転につきましては、政治、経済、文化などの中枢機能が首都東京へ集中した結果、人口の過密などの様々な問題が発生していることから、平成二年十一月に衆参本会議において国会等の移転に関する決議が採択されました。

 これを受け、議員立法により制定された国会等の移転に関する法律に基づく検討が行われまして、平成十一年十二月に国会等移転審議会から三か所を移転候補地とする答申が出された以降は、一貫して国会主導で検討が行われてきたところでございます。

 平成十六年十二月に国会等の移転に関する政党間両院協議会におきまして座長取りまとめがされた後、国会での具体的な議論が止まっている状況であると認識しております。

 国会での議論が進むことが重要であると考えておりまして、国会等移転に係る調整事務を担当する国土交通省として、国会からの要請に基づいて必要な協力を行ってまいります。この点、御理解をいただきたいと思います。

小熊委員 時間が来ましたので終わりますけれども、引き続きこの点については議論していきたいと思いますし、国交省のホームページ、首都機能移転については大変よくできていると思いますので、是非、主導的にもこの議論の先頭に立っていただきたいというふうにお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、神津たけし君。

神津委員 長野三区の神津たけしです。

 早速ですが、質問に移らせていただきたいと思います。本日は、質問通告、二番から始めさせていただきます。

 昨年の十一月九日の一般質問で、自家用車の幼児置き去り防止装置について質問いたしました。本日、配付資料、この一の資料なんですが、昨年も配付させていただいております。アメリカでは、この三十年間ぐらいで約千人以上の子供が亡くなっている。そのうち、親が認識せずに、親がうっかり忘れてしまって子供が置き去りで亡くなっている数が五百六十一名と非常に多くなっております。そして、日本でも、多くの子供たちが、下のこの表ですが、十名ほど置き去りによって失われた命があります。

 私自身、このデータ、これは自分で作ったので、恐らく漏れがあると思っています。実は、もっと多くの子供たちが亡くなったり、置き去りになっている数があるのではないかというふうに思っております。

 昨年の一般質問のときに、車の安全性を評価するJNCAPに、幼児置き去り防止システムを評価に加えることについてお願いいたしました。その検討状況、それから、置き去り防止装置の設置に係る考え方というものを伺えますでしょうか。お願いします。

豊田副大臣 お答え申し上げます。

 昨年九月に静岡県で発生した園児の置き去り事案は大変痛ましいものであり、その再発防止に取り組むことが重要と認識をいたしております。

 この事案を受け、国土交通省では、園児等の送迎バスについては、昨年十二月に、置き去り防止を支援する安全装置のガイドラインを策定いたしました。

 一方、乗用車については、エンジン停止後の後席、後部座席の確認を促す等により置き去り防止を支援する装置を、自動車の安全装置に関する評価、公表を行う自動車アセスメントの対象として本年度から追加することといたしました。

 国土交通省といたしましては、このような取組を通じて装置の普及が進み、痛ましい事案が二度と起きることのないよう、関係省庁等とも連携の上、しっかりと取り組んでまいります。

神津委員 検討が進んでいる状況について理解いたしました。

 痛ましい事故がこれ以上起こらないように、犠牲者が出ないように、積極的にまた置き去り防止装置の設置の推進について御尽力賜れればと思っております。

 ただ一方で、この背景となる置き去りになっている方々の人数について、国土交通省のみではやはり把握していくのは難しいというところで、これまで、消防庁と警察庁に、私、昨年の一般質問でも、熱中症の人数が始まる前に、この置き去りの人数、それから病院で手当てが必要となった人数、それから亡くなられた方の人数を把握していただきたいということをお願いしてまいりました。

 消防庁と警察庁に、今の検討の状況というものを教えていただければと思います。

中川大臣政務官 お答えさせていただきます。

 消防庁では、毎年五月から九月にかけて、熱中症により救急搬送された人数等についての調査を行っているところでございますが、この調査では、車内への乳幼児の置き去り件数を把握をしておりません。

 しかしながら、車内で熱中症になった乳幼児を救急搬送した件数を把握していくということは、車内への置き去り対策等を検討する上での基礎データとなり得るものであると考えているところでございます。

 このため、今年度におきましては、熱中症による搬送者が多く発生している七月及び八月に、消防庁及び消防本部のシステム改修を伴わない範囲で、車内で熱中症になったと思われる乳幼児の救急搬送件数を試行的に調査することを検討しているところでございます。

 乳幼児は、御案内のとおり、体温調整機能が未発達で、大人に比べて暑さに弱く、熱中症にもなりやすいという特性がございます。

 消防庁といたしましては、こうした特性を周知することで、車内への置き去りを含め、熱中症から幼い命を守るための取組を関係機関と連携をしながら進めてまいりたいと存じます。

親家政府参考人 お答えいたします。

 警察庁におきましては、本委員会における委員からの御指摘を踏まえ、警察が取り扱った遺体のうち、自家用車内に置き去りにされて亡くなった四歳以下の子供の人数について把握することとしているところでございます。

 その数字を申し上げますと、令和四年中は四人であり、県別に見ると、神奈川県が二人、新潟県が一人、大阪府が一人となっているところでございます。

神津委員 ありがとうございます。

 消防庁に置かれたシステムの改修というものは、五年に一回ですかね、たしか行われていると思うんですが、すぐにやっていくのは難しいというところで、今年については七月、八月の熱中症の人数というものを把握していただけるということで理解いたしました。

 それから、警察庁については、どのぐらい去年発生したかというところだと思うんですが、千葉県警が二〇二一年に把握した児童の置き去り事案というものは、故意も含めて約二十四件あったと伺っております。

 これについては、是非、この千葉県警の、児童の置き去りというものを把握することについて、横展開というものを全国に図っていただいて、置き去りになった人数というものをしっかりと把握していただきたいと思います。

 まずは、やはり数値を把握していただくことが重要だと思っていますので、これ以上犠牲者を出さないためにも、是非、積極的な情報収集に努めていただきたいと思います。

 次に、国土の長期展望について伺いたいと思います。

 国土の長期展望、本日配付させていただいている資料二なんですが、私たち立憲民主党で、新たな国土形成計画の素案について説明を受けたときに配付された資料なんですが、人口五十万人以上の都市においては人口が維持できる。小さい自治体ほど人口が減少していくことになっているかと思います。

 この人口減少社会をそのまま受け入れた上でこの計画というものを策定してしまうと、更に地方に住みづらくなってしまう。国土交通省として、中長期的に地方の活性化というものを図る考えがあるのか、教えてください。

斉藤(鉄)国務大臣 私自身も、地元又は全国を回りながら、地方の、特に小さい自治体における人口減少、これがもうコミュニティーを維持できないぐらいになりつつあるというのは、本当に危機感を持っております。

 こうした危機を乗り越えて、地方に活力を取り戻すため、本年夏に策定予定の新たな国土形成計画の原案では、目指す国土の姿として、新時代に地域力をつなぐ国土を掲げまして、人口減少下でも持続可能な地域づくりを進めるとともに、地方への人の流れの創出、拡大を図っていくこととしています。

 先ほど、これは小熊委員の質問にも答えたところでございますが、具体的には、東京一極集中の是正の観点も含めまして、関係府省とも連携して、地方移住や二地域居住の促進など、地方への人の流れを加速させる取組を強化してまいります。

 さらに、デジタルとリアルが融合した地域生活圏の形成を重点テーマと位置づけまして、市町村の境にとらわれず、デジタルを徹底活用し、自動運転やドローン物流、遠隔医療などの実装によりまして、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会の実現を進めてまいります。こういう国土形成計画にしたいと思っております。

 こうした考え方を含め、国民の皆様方が未来に希望を持てるビジョンを示していきたい、このように考えているところです。

神津委員 ありがとうございました。

 大臣の考え、よく分かりました。地方に是非、人が定着しやすい、地方に人が来てくれるような政策を、この国土形成計画というものをお願いしたいと思います。

 ただ、今国会では、高速道路の二一一五年まで有料化していく法律、それから、赤字の鉄道を廃止していくという法律が通過してしまいました。私、これについては、地方に、特に中山間地に人が住みにくくなってしまうような法律だったと思っております。そうした意味においては、国土形成計画だけではなくて、付随してくる法律についても、しっかりと地方で人が住みやすいような環境づくりというものを推進していただきたいと思います。

 地方に人が住むところについてなんですが、次の質問に移らせていただきます。

 今、私、地元を回っていると、免許を返納して、自由に買物や病院に行けずに本当に困っていらっしゃる方が多いと実感しております。自治体ではオンデマンドバスを走らせたりしているんですが、予約がすぐにいっぱいになって、出かけたいときに出かけられない、それから、当日の予約が受付が難しいといった、使いづらいような状況もよく耳にしております。それだったらばタクシーを使えばいいじゃないかという考えもあるかと思うんですが、特に田舎の場合、乗車区間が長距離になりがちですので、毎回タクシーを使うというのも非現実的な選択肢となってしまっていると思っております。

 質問通告は五番と六番を一緒にさせていただきたいと思いますが、特に過疎地域で、高齢化率も高く、移動手段に困難が生じている。自動運転の実用化に向けての進捗がどのくらい進んでいるのか、皆さん期待されているので、そこを教えていただきたいというところと、あとは、現在の日本の法律において、どのレベルの自動運転まで対応することができるのか。レベル5達成までの中長期的目標とか、法改正のめどについてはどのようになっているのか、教えていただければと思います。

豊田副大臣 私の方からは、進捗状況についてお伝えをしたいというふうに思います。

 自動運転技術は、特に、過疎地域における地域公共交通の維持、改善や高齢者の移動手段の確保につながる新しい技術として開発、普及を進めることが重要であると考えております。

 このため、国土交通省では、自動運転の実現に向けて、安全基準の策定や自治体が行う実証事業に対する支援などに取り組んでおります。

 今月の二十一日でございますけれども、私も式典に参加してまいりましたけれども、福井県永平寺町において、国内初となる、運転者を配置しない、レベル4の自動運転移動サービスが開始されたところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、自動運転の社会実装の推進を着実に進めてまいります。

 以上です。

斉藤(鉄)国務大臣 後半の、今の現状と今後のこれからの方向性についてでございますが、今副大臣から答弁がありましたように、今、レベル4がやっと始まったところでございます。あらゆる状況下で自動運転が可能な、いわゆるレベル5につきましては、例えば、交通量が多い交差点での対向車や歩行者の検知といった技術的課題があることから、現時点では、日本のみならず、世界的に見ても実用化の見通しは立っていないものと承知しております。

 したがいまして、レベル5の目標設定に当たっては、更なる技術の向上によりまして、その実現可能性の道筋が見える必要があり、国土交通省では、自治体が行う実証事業の支援などを通じ、自動車メーカー等の技術開発を促しているところでございます。

 こうした取組を通じまして、技術開発の促進を図るとともに、レベル5の自動運転車に関する目標の設定や安全性の在り方について、関係省庁とも連携しつつ、技術開発の動向も踏まえながらしっかり検討していきたい、このように思っております。

神津委員 今の少し確認なんですが、免許を返納された高齢者の方、この方については、レベル4から自動運転というものは利用できるのか、それとも、レベル5にならないと、免許を返納された方、運転というか、自動運転を利用できないのか、ちょっと伺えればと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 今、そのことも含めまして、今後、自動運転の在り方といわゆる高齢化の進展に向けましての具体的なことについてはこれからで、まだそこがはっきりとしたこういう基準が出ているという段階ではないというところです。

神津委員 今の段階になったらば、もう既にやはりそういうことは決まっていないといけないのかなと私は思っています。

 配付資料三を御覧ください。

 四角の括弧にありますが、政府目標として、二〇二二年をめどにレベル4の移動サービスの実現、それから、二〇二五年をめどに高速道路レベル4の実現ということでうたわれております。

 こうした意味においては、レベル4で高齢者の免許を返納された方が運転できるのかというところについても明確にしていくべきではないかと思いますので、この辺、是非迅速に進めていただきたいと思っております。

 あとは、レベル5については、まだまだちょっと達成のめどが分からないというところではあると思うんですが、私、ある物事を進めていくときには、一定の、ここまでに実現していきますという目標を立てた上でやはり進めていくべきではないか。それが、技術的な進歩の上で、こういうふうな技術がある程度の年で進捗していくから、ここまでに達成しますというのではなくて、大きな目標をこの自動運転についてはまずは掲げて、レベル5については、めどが立っていないという時点では掲げていただきたいというふうに思っております。

 ちょっと次の質問に移らせていただきますが、これは七番、更問いから聞かせていただきますが、今、自動運転、車を提供する方については、ハッキングとかコンピューターウイルスに対するサイバーセキュリティー、これについてなんですけれども、自動車メーカーは、売った後、何年間提供する必要があるのか、教えていただけますでしょうか。

豊田副大臣 議員御指摘の自動運転におけるハッキング等のサイバーセキュリティー対策は安全確保の観点から重要であり、国としてもその対策を講じているところでございます。

 具体的には、道路運送車両法においてサイバーセキュリティーに関する保安基準を規定しているところでございます。

 この基準は、自動車メーカーも参加する国際会議において、日本が共同議長として議論を主導して作成した国際基準でございます。

 自動車メーカーがサイバーリスクを把握し、対処する体制の構築などを求めており、車両の製造時のみならず、使用時にも適用がされます。

 このような対策を通じて、自動運転がサイバーセキュリティーを確保した上で安全に使用されることを図っているところでございます。

神津委員 使用時にとおっしゃられたんですが、これは、この車が使用される限りにおいてメーカーがセキュリティーを提供しなければならないということなんでしょうか。

豊田副大臣 年数には制限がないということでございます。

神津委員 私たちはコンピューターを使うときに、サイバー攻撃に対して、ウイルスのソフトウェアというものを皆さん使っていらっしゃると思うんですが、車についてもやはり同様に、そのセキュリティーというものを守っていかなければならない。

 パソコンで使うときには、二年更新とか三年更新とか、契約をやって使っていると思うんですけれども、車のメーカーについては、永続的にコンピューターウイルスとかハッキングに対してセキュリティーを提供しなければならないというところについて、私、これは非常に難しいのではないかというふうに思っております。何年かごとに更新するとか、そういうふうな料金のシステムというものをやはり制度化していかなければならないのではないかというふうに思っております。

 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、最後、一問だけちょっと伺わせていただきたいと思います。

 海外から輸入してきた車についてなんですが、その車を日本で販売した場合、製造者責任を日本の裁判所で問うことができるのか、教えていただけますでしょうか。

尾崎大臣政務官 お答えいたします。

 海外の製造業者等に対しまして、我が国の製造物責任法に基づいて、日本の裁判所に損害賠償請求を提起することが可能か否かということでありますけれども、これは、それぞれの事案において、国際裁判管轄や準拠法に関する契約上の合意等がどうなっているかにより異なるということでありまして、一概に申し上げることは困難であります。

 ただ、一般論として申し上げさせていただきますと、消費者が直接海外の製造業者を訴えることなどは困難であることに鑑みまして、製造物責任法では、製造事業者又は加工事業者と同様に、輸入業者に対しても損害賠償責任を問えるということとしているところでございます。

神津委員 時間が参りましたので、最後、まとめたいと思いますが、この自動運転についてはまだまだ多くの課題があると思っておりますので、是非その点、私、これからまたいろいろと質問させていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

木原委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時四十二分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時三十分開議

木原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山本剛正君。

山本(剛)委員 日本維新の会の山本剛正でございます。

 今日は、顔が、右目が腫れて、決して人に殴られたわけではなく、先週、ちょっとラグビーの練習で顔面を強打いたしまして、ただでさえ人に見せるのはちょっとはばかられる顔なんですけれども、更に醜い顔になって、ちょっとインターネットを見られている方にも本当に御迷惑をおかけをしますが、心苦しいですけれども、どうぞお許しをいただきたいというふうに思います。(発言する者あり)男前ですか、ありがとうございます。

 先日は、自転車、お疲れさまでございました、大臣。エコもいいんですが、やはり今、航空業界がコロナから明けて、徐々に国際線も戻ってきて、さあ、これからスタートダッシュで頑張っていこうというところに私は来ているんだろうなというふうに思います。しかしながら、コロナでやはり航空業界、相当傷んで、体力も大きくそがれているわけでございます。

 そういった中で、今、航空業界は何とか、それでも、顧客が戻ってくる、そして付加価値をつけて、サービスをして、しっかりとがっちりキャッチをしていきたいと。でも、やはりそういったものが十分でなければ、残念ながらまたリモートでいいやというような人も出てきて本末転倒になってしまうわけであります。これはインバウンドも含めて、やはり航空業界の隆盛は、まさに日本経済の屋台骨を支える部分であるというふうに思っておりますし、地方の回復にも私はつながらないというふうに思っております。

 そこで、コロナ後の支援メニューの追加等を考えているのかというのが一点と、もう一つ、コロナ禍で、実は、航空業界はもう御案内のとおりでございますが、航空機を売ってその場をしのいできた経緯がございます。航空機が足りないといいますか、これからやっていこうとするときに、しかも、カーボンニュートラルで二酸化炭素の排出削減をしなければならない。そうすると、新たな機材を導入をするに当たって、省エネの進んだ機材を導入するべきであろう。

 二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、当初、足下の五年、十年は、実は、省エネ機材の導入であるとか航空ルートの改善であるとか、そういったものによって二酸化炭素排出削減をやっていこうというのが航空業界だそうでございます。ですから、省エネ機材を導入するのも、いいものはやはりお値段もいいんですね。そういったものを考えていただくと、やはりそういった支援も必要ではないかなと思いますが、この導入補助についても、この二点、ちょっとお伺いをしたいと思います。

久保田政府参考人 お答えをいたします。

 航空旅客需要は回復しつつございますが、委員御指摘のように、コロナ禍前と比べると、巨額の有利子負債を抱えるなど、航空ネットワークの担い手である航空会社を取り巻く経営環境は依然として厳しい状況が続いていると認識をしているところでございます。

 そのため、航空機燃料税に係る特例措置を今年度から令和九年度まで五年間延長するとともに、令和五年度、今年度は、着陸料等の空港使用料の軽減措置も実施し、今年度、合わせて五百億円規模の支援を行うこととしてございます。

 これらの措置を通じて、航空ネットワークの維持とそして拡大、回復する需要に対応できるよう、航空会社の経営基盤の強化をまず図ってまいりたいと思います。

 その一方で、これも委員御指摘のように、航空分野におけます脱炭素化も喫緊の課題でございます。国際航空の分野では、厳しい排出スキームが設けられておるわけでございますが、こういった中、機材の更新という意味におきまして、航空会社からは省エネ航空機材の導入支援の要望があることを承知してございます。

 航空の脱炭素化には、燃料の関係の取組も重要でございますが、そういった国産の燃料の十分な供給までにはまだ時間がかかるという中で、省エネ航空機材の導入も進めていく必要があると考えておりまして、どのようなやり方があるか、しっかり検討してまいりたいというふうに思っておるところでございます。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 まず、一点目の件はその規模でまず支援をしていただいて、やはり、足りないという部分があれば補正予算等で対応していただきたいなというふうに思いますし、やはり、日本のエアラインを守っていくことというのは非常に重要だと思います。

 それで、やはり今、ウクライナの問題もあって、ロシアの上空が飛べない。ヘルシンキに行く、これは、九時間ぐらいで行けるのが、十三時間、十四時間かかって今行っているわけですよね。ですから、そういった部分でもやはり私は補助が必要だろうなというふうに思います。

 また、省エネ機材においては、何か、環境省とお話をされているときに財務当局が、海外の飛行機を買ったら海外に日本のお金が流れていくだけじゃないかみたいなことを言っているということをちょっと耳にしたんですね、これは本当かどうか分からないんですが。もしそんなことが言われているとするならば、見当違いも甚だしくて、今日別に財務省を呼んでいるわけではありませんけれども、省エネといえばやはり日本の技術なんですよ。だから、省エネ機材には日本の技術がふんだんに使われている。

 つまり、日本の部品会社とかそういったところには、しっかりとそういったものが還流されているわけでございますから、海外の航空機を買ったからといって、日本の富がどんどんどんどん流出しているというのは私はお門違いだろうなというふうに思っておりますので、是非支援を進めていただきたいというふうに思います。久保田局長、是非よろしくお願いします。

 航空輸送の脱炭素についてちょっとお伺いをしたいんですけれども、最近僕は脱炭素という言葉が余りよくないなと思っていて、二酸化炭素を排出しない社会みたいになっちゃっているんですね。でも、二酸化炭素を排出しない社会になると、アマゾンの森とかが死ぬわけですよ。だから、やはり、カーボンニュートラルはあくまでもプラマイ・ゼロの話でありますから、脱炭素というのは余り僕はこれから使わない方がいいんじゃないのかなと思っております。

 航空業界において、我が国の責務とも言えるカーボンニュートラルの取組を、今後、例えば経済活動においても、顧客の方たちが商品やサービスを選択するときとか、また、投資家の方が企業を評価する際にも重要な要素になってきているわけでございます。我が国が多くの外国人旅行客を受け入れて観光立国として確かな地位を確立するためには、航空輸送の脱炭素が最重要課題であるということは間違いないというふうに思います。

 国土交通省として、我が国の経済成長や安全保障の観点などから航空の脱炭素の重要性をどのように位置づけているか、大臣のお考えをお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 昨年の航空法の改正では山本委員からもこの脱炭素化について御質問をいただき、熱心な議論をさせていただいたのを今思い出したところでございます。

 二〇五〇年までのカーボンニュートラルに向けて、航空分野における脱炭素化は喫緊の課題でございます。

 特に、国際航空では、国連の専門機関であるICAOにおいて、昨年、二〇五〇年までのカーボンニュートラル、これはもう決まったわけですが、それに加えて、CO2排出量の増加を更に制限する決議が採択されるなど、脱炭素化の動きが加速化しております。

 また、航空輸送は、公共交通として経済成長を支え、ポストコロナの観光立国の復活、インバウンドの本格的な回復を支える、我が国にとって重要な基盤であると認識しております。

 国際競争力の維持強化、航空ネットワークの維持発展のためにも、航空の脱炭素化は我が国の責務であり、航空業界とともに、しっかりと連携して取り組んでまいりたいと思います。

 また、責務ということでございますし、日本の航空業界が生き残っていくためにも、日本が率先して、この脱炭素化、SAFの分野で先頭を切って走っていく状況にならなければいけない。今そういう状況じゃないと思っておりますが、まだそこに至っていないと思いますが、しっかり頑張っていかなきゃいけないと思います。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 図らずもSAFの話が出まして、航空法の改正のときにもSAFの話は私も一生懸命させていただきました。SAFの国内生産とかそういったものはちょっと一番最後の方に質問させていただきますが、まず、先日の報道のSAFの利用義務化で、二〇三〇年に、石油元売に対して、国内の空港で給油をする燃料のうち少なくとも一〇%をSAFにするというのを課すというのが報道でありました。

 このような報道が出るのであれば、当然、数字をただ積み上げただけではない、確実な供給の確保、それに伴う価格の安定性の確保、そして、将来に向けた取組を含めた支援策の策定などが済んでいるという認識でよいのかどうか。

 規制が先走っているのではないかな、この一〇%という数字だけが先走っているのではないかなという思いもしています。そうだった場合、本当に拙速と言わざるを得ませんし、価格の安定性は残念ながら保証できません。一〇%、そういうふうにするのであれば、高いものでも買うんだろうと思われてしまったらいけないわけであります。

 アメリカやEUにおける支援は、価格を現在の航空燃料と同等程度にまで抑え込めているわけでございますが、この部分について、策定などが、先ほど言ったとおり済んでいるという認識でいいかどうか、ちょっとお答えいただきたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、官民協議会で取りまとめましたSAFの導入促進に向けた支援策の案でございますけれども、これは協議会参加の構成員からの要望などを踏まえて、関係者間で議論を重ねて、現時点での基本的な考え方、あるいは、現時点で考えられます施策の項目を、中間まとめという形で整理したものでございます。

 その詳細な具体策の内容、委員御指摘の規制の具体的な水準でありますとか、安定供給を担保するための様々な支援策の在り方については、今後、国内外でのSAFの製造、供給に向けた状況、国際動向なども踏まえて、しっかり検討していくという状況でございます。

山本(剛)委員 それで、五月二十六日にこの中間取りまとめというのが出ていまして、私も読ませていただきました。この中で、結局、その一〇%を課すというのだけが表に出て、支援策、この規制案の中に入っているわけでありますけれども、ここが、案であるにもかかわらず確定のように話が出て、報道で流された。

 一方で、支援策については全てこれから検討していくというようなところのわけでありますから、是非、これはやはり、規制の部分が表に出るのであれば、やはり支援策もしっかりとコンクリートしていただかなければいけませんし、当然その努力は今されているという定光部長のお話でございましたので、これはやはり、業界のためにということではなくて、やはり日本が、今後の、SAFとどのように向き合っていって、どのように開発や生産というものも進めていくのかも含めて、やはり日本のあるべき姿勢というものをしっかりとお示しをいただきたいというふうに思いますので、是非大臣もよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 その中で、SAFの調達の見通しについてちょっとお尋ねをしたいんですが、これも釈迦に説法でありますけれども、航空機は、動力源を電気とか水素エネルギーに転換するのが非常に難しいわけであります。電動化や水素化すると、従来の液体燃料と同じ距離を移動するには、より大きな容量の電池とか水素エネルギーが必要となるために難しいと言われているわけでございます。

 一方、SAFは、従来の燃料と同様、エネルギー密度が高くて、現在のジェットエンジンや空港設備などの燃料インフラも活用できるために、水素を導入した場合にかかる新たなインフラ整備のコストがかからないというところもございます。

 しかしながら、現在商用化されているSAFは廃油とかバイオエタノールから製造されていて、原料は、バイオエタノールとか廃油は、もう今世界で取り合いになっているわけですね。

 先ほどの、二〇三〇年にSAFを一〇%にすると目標を掲げたものの、その原料の安定調達の道筋が立っているのか。資源エネルギー庁として、SAFの安定供給に向けてどのように取り組んで関係省庁と連携を進めているのか。原料の観点からちょっとお答えをいただきたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 SAFの安定供給に向けましては、内外から原料を確保していく、そういうサプライチェーンの構築が重要となってまいります。

 国内に関しましては、今後、農林省、環境省とも連携し、SAF用原料の国内調達比率の向上に向けた各省の取組をアクションプランとして、年内目途に策定していく予定でございます。この中で、先生御指摘の廃食油、これもしっかり国内で有効活用していくというような方策、取組を検討していきたいというふうに考えてございます。

 また、国内の原料調達だけでは限界がございますので、海外からの原料確保も重要となってまいります。

 例えば、最近では、東南アジアやオーストラリアなどの地域でポンガミアと呼ばれる非食用の原料を栽培し、SAFの原料として活用するようなアイデアも出てきております。

 今後、アジア・ゼロエミッション共同体の枠組みなども活用しながら、我が国として、その原料を日本に供給してくれるのであれば技術や資金を供給するよといった、そういう互恵的な関係を構築しながら、しっかりと原料確保に向けたサプライチェーン構築に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

山本(剛)委員 これは本当に非常に重要で、やはり、その安定確保がなければ価格の安定性も担保されないわけであります。

 例えば、家庭用の廃油を、年間で十万トンぐらい出るらしいんですけれども、それを、じゃ、回収していきましょうよというふうになったとしても、これは人の努力に寄りかかるものでございまして、やはり、安定性をどのように担保するかというのは、多分、結構難しいし、コストもやはり大きくかかると思うんですね。コストがかかって結局燃料代が高くなるのであれば、もちろん、私は、航空会社の企業努力は大前提だと思いますよ、大前提だと思うけれども、その企業努力を上回る価格の上昇があった場合には、SAFの導入はやはり進まないわけでありますよね。

 ですから、原料をきちっと確保する、最終的には合成燃料をしっかりとやっていくことが大事なんですが、ここ十年、二十年の話でいうと、やはり、廃油を用いたりバイオエタノールを用いたりするSAFに寄りかからざるを得ないという現状であるわけでありますから、何としても、特に廃油に関しては国外に三割ぐらい輸出もあるんですよね、だから、それを国内でしっかりと消化できるようなサプライチェーンの構築であるとか、様々なやはり可能性を追求をしていただいて、原料の確保をしっかりとやっていただくことによる価格の安定性の担保というものをしっかりと取っていただきたい。

 そういったことが、先ほど言った対策の中にしっかりと盛り込まれて、明らかな形になっていないと、やはり、業界の皆さんもそうですし、多くの皆様方が不安に思うわけであります。数字が先走ると、その数字に群がる人間が出てくるんですよ。誰とは言いませんが、そういう人たちがこの日本の環境問題をリードしているとするならば、やはり、どんどんどんどんちょっと違う方向に進んでしまって、さっきも言ったような、脱炭素が、もう二酸化炭素を排出しない社会を目指すんだみたいな乱暴な意見になってしまいかねないと私は思っております。

 あくまでも、カーボンニュートラル、プラマイ・ゼロを目指す、その中で、日本経済がより発展していくためのカーボンニュートラルというものを是非構築をしていっていただきたい、そして、航空業界の中で確立をしていただきたいというふうに思っておりますので、是非お願いをしたいと思います。

 SAF供給の制度整備についてもちょっとお尋ねをしたいというふうに思います。

 SAFの導入促進には、安定供給に加えて、従来燃料との価格差をどのように縮めるかが重要な課題なわけであります。先ほども申し上げましたとおり、民間の経営努力、大前提ですけれども、その経営努力を超えるものであっては私はならないと思いますし、導入も進まない。SAFは、我が国の経済成長、さらに、安全保障にとっても重要な戦略物資であり、国際競争力を確保するための大胆な政策支援が私は必要だというふうに考えています。

 欧米を中心に、今、実際、SAFの市場導入を加速する政策支援が進んでいます。特にアメリカでは、既に、SAF普及に向けて、軍事、民間双方のジェット燃料を二〇五〇年までに全てSAFに転換をするという長期のグランドデザインを示して、従来のジェット燃料並みの価格でSAFを供給できる制度整備がされている。

 SAFに関わるベンチャー企業が今、アメリカに集まり始めているとも聞いております。欧米がどのような政策によってSAFの安定供給と価格低廉化に取り組んでいるのか、把握をしていらっしゃるんでしょうか。

 その上で、昨年設置された、SAF導入促進に向けた、先ほど申し上げられた官民協議会を通じて、どのような政策支援を、中身を検討をされてきたのか、その内容で国際競争力を確保できるのか、従来のジェット燃料並みの価格実現に向けて十分なのか、進捗状況も含めて、継続検討すべき課題についてお答えをいただきたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 SAFの量産技術が確立していない現段階におきましては、二〇三〇年の航空燃料消費量の一〇%をSAFに置き換えるという我が国の目標、SAF需要に対応するために、様々な施策を総動員していく必要があるというふうに考えております。

 このため、まずは国として確保すべきSAFの供給水準を定め、規制により企業を誘導するとともに、先ほど委員も、こういう先走った目標だと、日本にまさに高値で売り込もうとするいろいろな業者が出てくるのではないかという御懸念もありますが、他方で、その目標水準が適切であれば、逆に、原料を供給するサイドは、とにかく長く安定的に買ってくれる人に売りたいという思いもありますので、日本はしっかり十年後これだけ買うんですというようなことを言うことによって、まさにそれがレバレッジになるという面もあるかと考えております。

 そういう規制により企業を誘導するとともに、企業にとっての投資リスクなどの負担を軽減するための設備投資や、サプライチェーン構築に対する相応の支援策が不可欠だと認識しております。

 具体的には、SAFの製造設備投資、あるいは、海外における原料開発、輸送インフラ整備などの原料サプライチェーンの構築、税制、SAFの製造技術の開発や実証などに対する政府による支援策を取りまとめ、規制的措置と一体となった取組を進めていく所存でございます。

 将来的に、国際競争力のある価格で安定的にSAFが供給できるよう、これはまだ、不確実な面、見通し切れていない面も確かにあるのは事実でございますけれども、官民で目線を合わせながら前に進んでいかなければならないものですから、今後、アメリカやEUなどの諸外国の政策動向などもしっかり注視しながら、SAFの利用に関する支援策も含めた政策の在り方について、国土交通省とも連携して、検討を進めてまいりたいと考えております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 原油でいうと、オイルショックを経験をして、安定供給のために安定の口座と需給の口座を設けて、どんなことがあってもその玉、玉といったらいいかな、いわゆる商品を供給しますよ、その代わり少し高い値段で売っていきますという契約と、需給だけ、つまり、欲しいときだけもらうという、その代わり安価ですというような二本立ての契約を用いているのがほとんどだったわけでありますけれども、SAFの場合はそういう形ではないんですね。

 私は、SAFについては、最終的には国産SAFをやはり製造して輸出までする、つまり、安定的に我が国がSAFを供給できる状況をつくって初めて価格の最終的な安定性というのが担保されるんだろうなというふうに思います。

 ちょっと極端な話になりますけれども、じゃ、廃油を使ってといいますが、私も含めて、やはりちょっと油を控えた方がいいんじゃないのかなと思ったときに、本当にこれから油を使う料理が未来永劫あるのかどうかというのは分からないわけですね。油を使わずとも揚げられる、例えば、揚げ物でも何でも作れるというような時代も来ているわけでありますから、やはりそういったところに今の感覚の予測を乗せていくことが、そんなに私はいいことではないのかなというふうにも思っています。

 ですから、確実な足下の話と未来への話を、この両方のアクセルを上手に踏み込んでいくことが私は大事だと思っています。

 最後に、国産SAFの開発について、大臣も先ほど触れていただきましたが、まだそういう環境にはないということもおっしゃっています。でも、航空法の改正のときに、私、実はおわびから入って、我が党のちょっとやり方が悪くて、附帯決議を衆議院で出すことができなくて、その足で走って、参議院の国土交通委員会で実は附帯決議を出していただきました。私が考えた原文のまま出していただいて、SAFに関することで。

 この間の委員会で、私、期せずとも、枝野先生がそれに触れたんですよ。あっ、そういう問題意識、ちゃんといろんな方が持ってくださっているんだということが僕はすごくうれしくて、やはり国産SAFの開発は強力に進めていかなければならない。

 我が国にとっては、我が国史上初めて、エネルギーの輸出国になれるチャンスなんですよ。これを何としても私は強力に前に進めてもらいたいと思っておりますし、是非、並行して、さっき言った、こっちのアクセルともう一方の国産SAFの生産のアクセルを全開に踏んで、とにかく開発にお金をかけて、そこに一点集中で私は予算を投資して、実現に向けて努力をしていただきたいと思うんです。

 この国産SAFの生産に向けていかほどの決意があるのかというのを、是非、大臣にお尋ねをしたいというふうに思います。

斉藤(鉄)国務大臣 山本委員、脱炭素化というよりも、プラス・マイナス・ゼロ、いわゆるカーボンニュートラルということを強調されております。そのとおりだと思います。

 SAFも基本的に、燃えれば、燃料で使えばCO2が出てくるわけですが、そのCはいわゆる植物由来のCであるがゆえに、プラス・マイナス・ゼロ、ニュートラルということでございまして、まさしくそういう考え方で進めていかなきゃいけないというのが、今、質疑を聞いていて感じたことの一つでございます。

 そして、国産SAFの供給拡大が不可欠であるということ、これも、我々国土交通省としてもまさに同じ認識を持っております。

 このため、グリーンイノベーション基金等を活用し、研究開発、実証を進めるとともに、SAF官民協議会において、資源エネルギー庁などの関係者と国産SAFの供給体制の構築等について検討を進めております。

 具体的には、先週、五月二十六日にも行いましたけれども、官民協議会を開催いたしまして、SAFの導入促進に向けた今後の施策について、関係者が一致して取り組み、更に連携を深めていくことを確認したところでございます。この導入促進、そして、国内生産ということも非常に重要な観点で、この方向で頑張っていきたいと思います。

 国土交通省といたしましては、国際競争力のある価格で安定的にSAFを供給できる体制を早期に構築するよう、引き続き、関係者と連携を密にしながら、取組を進めてまいりたい、このように考えております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 私の本心は、本当に、この国産SAFのやはり国内生産、その輸出にまでたどり着く、これこそが私は日本の生命線になるだろうというふうに思っています。

 参議院の附帯決議の文章をちょっと今読みますけれども、これに私は尽きると思っているので、是非、本当に一体となってやっていただきたいと思いますが、「航空の脱炭素化の推進には、バイオジェット燃料を含む持続可能な航空燃料であるSAFの供給の拡大が不可欠であることから、国産SAFの開発及び製造等の導入の促進に関する事項について航空脱炭素化推進基本方針に盛り込むこと。」これを盛り込んでいただきました。「また、国産SAFの安定した供給を目指し、開発、製造及び流通を行う事業に対する、国による財政面を含めた支援について早急に検討を行い、その結果に基づき必要な措置を講ずること。なお、国産SAFの開発及び製造が軌道に乗るまでの当面の間は、輸入SAFの安定的な調達、価格低減を図るための環境整備を図ること。」これが附帯決議になっているわけであります。

 時間が参りましたので、是非、この附帯決議に書いてある内容に沿って、今後、支援策であったりするものとか、開発に関すること、様々なSAFを取り巻く状況を、経産省さん、そして国交省さん、全ての英知を結集してやっていただくことを心からお願いを申し上げて、私の質問に代えます。

 どうもありがとうございました。

木原委員長 次に、長友慎治君。

長友委員 国民民主党の長友慎治と申します。

 本日、国土交通委員会、初めての質疑に立たせていただきます。

 今日は主に世界で不足している砂の問題、そして、私の地元の話で恐縮でございますけれども、宮崎県延岡市の長浜・方財海岸の浸食の問題というものを質問をさせていただきたいと思います。

 まず、前提としまして、世界的に砂が不足しているという状況を皆様も御理解していただいていると思います。天然資源である砂が枯渇の危機に直面している。

 砂は建物や道路を造るときなどのコンクリートに一番使われますが、それ以外にも、私たちの身の回りでは砂を利用しているものがたくさんあります。例えば、浄水場では水をきれいにするためのろ過技術で砂を利用したり、パソコンなどの電子回路などにも砂の成分であるシリコンが使われていたりします。今や私たちの生活に欠かせなくなりましたスマートフォンにも砂が使われています。スマホの画面のガラス部分、珪砂という特殊な砂を熱で溶かして加工して造られる、そのために、砂がないとスマホが造れないということになります。

 砂に代わる代替素材があればいいのですけれども、現時点では砂に代わる素材はなく、砂は金にも勝る価値があるというふうに言われることもあるぐらい、世界では砂が重宝されているという状況でございます。

 そもそも、砂は水の次に利用される天然資源というふうに言われます。世界では、水不足やウクライナ情勢によるエネルギー資源不足が指摘されている一方で、砂の採取はほとんど管理されていないというのが実情だと思います。

 そんな中、国連環境計画のパスカル・ペドゥッチ氏が、私たち人類は年間五百億トンの砂と砂利を使用している、砂は無限の資源ではないという御発言をしております。国連は砂浜の採掘禁止を含む緊急対策を昨年呼びかけました。世界では砂を奪い合う事態となっておりまして、一部の国では砂ビジネスを支配する砂マフィアの存在まで指摘されているという背景もあります。

 国連は、このままでは砂が採掘され、河川や海岸線を壊し、小さな島々を消滅させる可能性さえあると警告しているわけですが、ここで政府の見解を伺います。

 日本では、河川や河口、海岸の砂や砂浜の採掘について規制はあるのでしょうか。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 河川や海岸で砂を含む砂利を採取する場合には、関係法令に基づき手続を行っていただく必要がございます。

 河川区域内で砂利の採取を行う場合には、河川法に基づき、河川管理者の許可が必要となります。

 また、海岸保全区域又は一般公共海岸区域で砂利の採取を行う場合は、海岸法に基づき、海岸管理者の許可が必要となります。

 さらに、砂を含む砂利の採取を事業として行う場合には、砂利採取法において、砂利採取業の登録や採取計画の認可などが必要となります。この採取計画の認可については一般的には都道府県の事務となってございますが、河川区域内での採取については河川管理者の事務となってございます。

 なお、河川区域内において、河川管理者が砂利採取法の認可を行うため、河川法で必要となる手続の一部については、許可があったものとみなすということになってございます。

長友委員 河川法、それから海岸法、それから砂利採取法、それぞれあるということは理解をしているところでございます。

 その上で、昨年、国連環境計画の方から、海洋環境から砂をしゅんせつする方法に関する国際基準の策定や、また、ビーチから砂の採取の禁止などを推奨するような、危機を回避するための十の戦略的提言というものが出されています。

 砂の持続可能性を考えていく必要があるという提言になるんですけれども、その中の緊急対策の一部を抜粋すると、採掘の影響を受ける人の意見を反映させる、また、砂資源への所有権とアクセスを確立する、砂資源のマッピング、監視、報告をしていく、また、倫理的で持続可能性、社会的な方法での調達をしていこう、こういうことが世界的に重視をされるということになっています。海の豊かさ、それから陸の豊かさを守るためにももっともな提言と対策だということは誰もが認めるところだというふうに思うわけでございます。

 私の地元の話になりますけれども、宮崎県の延岡市に方財・長浜海岸というものがありまして、そこの砂浜の浸食が急速に進んでおります。

 お手元に資料を配付させていただいております。

 資料の一を御覧いただきますと、中央に方財海浜公園があるかと思います。この海側が方財海岸ということになります。その下に長浜海岸というピンが立っていますけれども、この下の海岸が長浜海岸ということになります。ここには左から川が流れ込んでいるかと思いますが、下から大瀬川、その上に五ケ瀬川、地図は切れているんですけれども、もう一本、北側の方に北川という三つの一級河川が注ぎ込む河口というふうになっています。

 ここの海岸線沿いの浸食の様子というものを資料二につけさせていただきました。

 資料二の左上、こちらの方が、いわゆる消波ブロック、テトラポッドの後ろの松林まで浸食が進んでいることが分かる写真になります。その下の左下の写真は、長浜海岸の浜崖が崩れ落ちている写真。そして、右上が、方財海岸の護岸が台風の影響を受けて崩れたときの写真ということになります。砂浜がなくなりまして、消波ブロックでも波を消せずに、強風、暴風により襲いかかった波によってコンクリートの護岸が破壊されているということが分かります。

 なぜこのようになるかというと、以前は砂浜がきちんとこの護岸の前まであったんですね。その砂浜がなくなってしまって、台風のときなどに強い大きな波が護岸に直撃するようになった、襲いかかることによって護岸が破壊されているということが分かります。

 砂浜がなくなってしまったので、このような被害というのは、今後、護岸を修復しても、何度も繰り返されるということになりました。壊れては修理し、壊れては修理しと、そういう状況がいわゆる税金の無駄遣いで、抜本的な対策が必要との指摘も地元では上がっているところです。浸食と波による洗掘により護岸が空洞化しているということが言われています。

 最後、資料の二の右下の写真、こちらは、方財の北側の河口で砂利採取を国土交通省が許可した標識の写真になります。令和四年六月二十三日に認可したものになりますので、この赤く示した部分、方財の北側の河口で砂利を採取しているということになります。

 地元では、資料の一に戻りますけれども、長浜海岸の砂が、この赤いエリアで砂を採取しているところに、沿岸流の流れの影響で北に北にと砂が流れてしまっている、そのように理解をされているという状況をまず御説明させていただきたいと思います。

 この方財海岸と長浜海岸の浸食の原因として、やはりこの東海河口、この赤いエリアの土砂の採取が影響しているということを、長年にわたって地元の皆様が、地元の自治体、市、県、そして国土交通省の地元の河川事務所に申請というか要請、要望をお伝えしているんですね。

 令和四年度の事業者の砂利採取計画、そこにも書いてある数字が見えますけれども、六万二千立方メートルというふうになっております。この六万二千立方メートル、実は過去最大の砂利採取許可になります。これは二十年近く砂利採取が行われているんですけれども、当初は三万立方メートルとかそういうレベルだったんですけれども、今や倍近く砂利採取の許可が出ている。この六万二千立方メートルの砂、大型の十トンダンプに換算すると一万三百三十三台分の量というふうになります。

 この方財の河口でのこれまでの土砂採取の総計、過去二十三年間で延べ約六十七万立方メートル、大型ダンプにして十三万台分に当たる土砂が採取され、方財から長浜に至る約七キロの海岸で、高さ約二メートル、幅約五十メートル分の砂浜が採取により消失したというふうに地元の人が試算をしているという事実がございます。このままでは完全に砂浜がなくなるとの危機感を地元住民は持っているわけですね。

 この点について、延岡市は、国と県に対しまして、砂利採取と海岸の浸食の因果関係が明らかになるまで砂利採取を中断してほしいという地元からの要望を何度も、幾度となく、延岡の国土交通省九州地方整備局延岡河川国道事務所の歴代の所長の方々に要望を伝えているのですけれども、なかなか地元の河川事務所の方が、現地視察もしていただけず、海岸対策は県の管轄になると一点張りで、対策を取ろうとしないという現実がございます。

 まず伺います。なぜこのような対応になるのか、教えてください。

岡村政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の砂利採取につきましては、五ケ瀬川の河口部において実施されているものなんですけれども、この河口部は、土砂が堆積傾向にあり、放置すると河口が閉塞し、洪水の流下を阻害することが懸念されております。このため、毎年、堆積した量と同程度の量について、宮崎県と延岡市とも協議をした上で、砂利採取の許可を行っているところでございます。

 一方で、地元の区長さんが、因果関係が明らかになるまで砂利採取を許可しないでほしい、こういう御要望をお持ちであることについても延岡河川国道事務所では把握しているところでございます。

 このことに関しましては、方財海岸及び長浜海岸を管理しております宮崎県で、これらの海岸の維持保全を目的に、学識者それから地元の関係者との意見交換会というものを開催しておりまして、その場におきまして、これらの海岸は著しい浸食がなく、比較的安定しているという説明をしていると承知しております。

 他方で、写真にも少しございましたが、台風のときの高波等の影響により生じました、陸地側の少し小高い場所の浜崖の浸食に関しましては、しゅんせつ土砂を活用して修復を実施しているということも伺っているところでございます。

 また、これらの海岸の状況の情報共有、あるいは検討をするために、宮崎県や延岡市等と関係行政連絡会議というものを開催されておりますが、この場を通じて、延岡河川国道事務所では海岸の状況についても把握、共有をしているところでございます。

 なお、延岡河川国道事務所では、常日頃から、河川巡視等を通じまして、河口部の管理区間の状況については把握しているところでございます。

長友委員 御答弁ありがとうございます。

 今のお話ですと、五ケ瀬川の河口に滞留する砂をしゅんせつすることに関しては問題ないだろうという意識であるということを受け止めたわけですけれども、事実、南側で、県は浸食を認めていないという立ち位置かもしれませんが、写真を見ていただいても、地元住民からも、いわゆる砂浜が消失しているということが長年言われているわけですね。であれば、そこの堆積したものを元に戻せばいいじゃないか、なぜ民間の事業者にそこを、いわゆる営利目的で許可をしているのかという疑問を禁じ得ないわけです。

 今のお話の中でも、地元住民との説明会を行っているということを御答弁いただきました。これについても、地元ではちょっと理解し難いことが起きております。

 実際、意見交換会は行っていただいているんです。県主催による二回目の長浜・方財海岸浸食に関する地元意見交換会、これは令和二年六月二十四日に行われています。その後、三回目が令和三年の三月三十日、長浜・方財海岸浸食に関する地元意見交換会、ここまでは浸食ということで地元の意見交換会が行われていたんですけれども、それ以降、この意見交換会のタイトルから、長浜・方財海岸に関する意見交換会ということで、浸食という言葉がなくなっているんですね。その後、さらには地元意見交換会の地元という言葉までなくなって、もう浸食はあたかも県の中では事実としてない、そして、地元の意見を聞く必要もないというような、誤解を与えかねないような意見交換会に現在なっているという状況があるということをまずはお伝えをしておきたいと思います。

 私の方から更に御質問をさせていただきたいんですけれども、資料三を見ていただきますように、私自身も、令和四年の二月二十八日、地元の延岡河川国道事務所、当時の所長は甲斐靖志所長でございましたけれども、私、二〇二一年の衆議院選挙で初当選したばかりでしたので、その後のタイミングで河川事務所の方に、長浜・方財海岸の浸食対策についての要望書というものを地元の区長さんと一緒に申入れに行きました。所長は結局出てこられず、対応されずに、現場の事務所の方に御対応いただいたというのが事実なんです。

 そこに書いてあるとおり、長浜・方財海岸の浸食、これは平成二十二年、二〇一〇年からの五ケ瀬川河口付近での大量の土砂採取が始まって以来一気に進み、アカウミガメの産卵地でもあり、学校の遠足ではソフトボールができるほどの広々とした砂浜があったんですね。それが、現在では見る影もない。

 そのような状況において、浜崖が三メートルから五メートルもあり、一部では既に潮害防備保安林である松林の松の木が流出している、そのような状況になっているんです。方財海岸では、令和二年に階段状の一部護岸が大きく崩落し、現在も復旧工事が続いていますが、その間にも更に百メートルにわたり護岸の基礎の傾き、隙間など浸食被害が広がり、今後の崩壊が不安視されています。

 これは令和四年の二月二十八日時点ですけれども、その年の一月二十二日に震度五強の日向灘地震がありましたが、長浜・方財海岸の浸食が進み、南海トラフ地震による津波に対する不安は更に募るばかりです。

 国においては、現在、津波防災地域づくりと砂浜保全のあり方に関する懇談会が行われていますが、砂浜は津波対策として大いにその効果が認められています。

 つきましては、長浜・方財海岸の保全、浸食対策についてお力添えをいただきますようお願い申し上げます。

 このような要望書とともに、下記三点、お願いをさせていただいたところです。

 まず、五ケ瀬川河口で行われています土砂採取について、宮崎県による海岸浸食の原因究明調査が終了するまでは、国において許可しないようにお願いをします。

 二番目に、宮崎県による海岸浸食に関する地元意見交換会に国土交通省としても出席をお願いします。

 今後、海岸浸食が進まないように抜本的な海岸保全対策をお願いいたします。

 以下、この三点、要望させていただいたんですが、これに対する正式な回答というのはいただけていないんですね。

 これについて、まず、延岡事務所からの回答はないのですが、この三点に対する国土交通省としての回答をいただけないでしょうか。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、土砂採取につきましては、河口部の堆積に関しての懸念ということから、毎年、堆積したのと同量の砂利採取を許可をしているというところでございます。

 また、地元意見交換会につきましては、たしか第五回において事務所の者が出席しているというふうに伺っているところでございます。

 また、海岸保全対策につきましては、これは宮崎県の方で管理者になってございますので、宮崎県の方で適切に対応されていると思いますが、地元意見交換会などを通じて、海岸の状況についても御説明がなされているものと承知しております。

長友委員 御答弁いただきました。

 次の資料四を見ていただきたいんですが、こちらは、地元の区長さんたちを始めとする皆様が、意見広告を地元の夕刊デイリーという新聞に出されたものになります。

 二〇二一年七月五日の夕刊デイリーに、「国土交通省及び宮崎県は、方財海岸での砂利採取を許可しないでください。」というものを掲載をされました。

 この意見広告の存在は国土交通省は把握をしていますでしょうか。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、延岡市を中心とした地方紙でございます夕刊デイリー新聞における意見広告につきましては、まず、地元の延岡河川国道事務所においては把握しているところでございます。また、国土交通本省としても、地元の御意見についての報告を受けているところでございます。

長友委員 この意見広告の中にもあると思いますが、中央付近ですね、「宮崎県は十年以上にわたり砂浜の浸食の原因究明の調査を行なっていますが、未だに調査中であります。」調査中で因果関係が分からないから、国土交通省が砂利採取を認めることが問題ないという判断だということなんですね。

 私は逆だと思うんですね。調査をまだ終わっていなくて因果関係が分からないのであれば、分かるまで一旦砂利採取を中止すればいいと思うんですね。それがなされないということが、地元の中では理解が難しい、されていないということになるんですね。

 これは、では、因果関係が調査でもし分かった場合、これまで砂利の採取をずっと許可し続けてきた国土交通省は、その責任を取れるのかということが問われると思うんですね。

 取れるというのであれば、どう取るのか教えていただきたいと思いますし、取れないというのであれば、調査結果が出るまで砂利採取の許可を出すべきではないと思いますが、見解を伺いたいと思います。

岡村政府参考人 お答えを申し上げます。

 当該海岸については、管理者であります宮崎県より、著しい浸食はなく、比較的安定しているとの説明をいただいているところでございます。

 仮にのお話でございますので、なかなか明確な御答弁を申し上げるわけにはいかないんですけれども、仮に、浸食をしている、そしてその原因が何かということが判明した際には、その状況に応じて適切に対応してまいります。

長友委員 分かった場合には適切に対応するという御答弁ですけれども、二十年近く、この砂浜の消失によって、地元の皆様が迷惑を被っているわけですよね。そのような答弁になるということは予想はしていましたけれども、納得できるかというと納得できないというのが普通の感覚だとは思います。

 更に質問させていただきますが、この資料二の四番目の写真で、いわゆる砂利採取の許可、標識に書いてありますけれども、宮崎県延岡地区骨材事業協同組合さん、恐らくまた今年度も採取の申請を出されているんじゃないかと思います。

 この令和五年度の砂利採取の許可申請、既に出ていると思うのですが、まだ継続して許可するのでしょうか。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 今年度については、砂利採取については承知しておりません。

長友委員 もしかしたら延岡の河川事務所のところでまだ止まっているのかもしれませんけれども、この砂利の採取の許可をされたのが令和四年六月二十三日というふうになっていますね。ですから、恐らく間もなく更新というか、更に申請される時期だと、そして許可される時期だと思うんですね。

 これに関しては、やはり因果関係が、県はないと結論づけているんだとしても、国土交通省として、この民間の事業者に砂利採取を許可することが、果たして本当に国民の生命と財産を保全する役割として間違っていないのかということは、引き続き地元の市議会そして県議会でも質疑をさせていただきたいというふうに思っております。

 国土交通省は、砂浜保全に関する中間とりまとめなるものを公表されています。その中において、海岸浸食の要因例として、河川や海岸の崖からの供給土砂量の減少ということを挙げていたり、しゅんせつや砂利採取ということをはっきりと明記されています。

 平成二十六年に改正された海岸法では、維持修繕基準等が策定され、海岸の管理者は海岸保全施設を良好な状態に保つよう維持修繕すべきということが明確化されています。第十四条の五ですけれども。

 この方財・長浜海岸は、台風時には松林の中まで波が来るようになりました。三十メートルほども中に入ってくるということを地元の方から報告を受けております。そして、写真で見ていただいたとおり、護岸崩落も起こっているわけですね。浜崖も進んでいるにもかかわらず、宮崎県は対策を取ろうとしません。

 この点、海岸法に抵触しないのか、見解を伺います。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 海岸管理者は、海岸法の規定に基づきまして、海岸保全施設を良好な状態に保つように維持修繕し、海岸の防護に支障を及ぼさないように努めることとなってございます。

 この方財海岸及び長浜海岸を管理している宮崎県においては、これらの海岸を良好な状態に保つため、日常の巡視や台風の後の点検等により状況把握を行うとともに、修繕など必要な対応を行っていると伺っております。

 例えば、令和二年の九月に、台風十号の際に発生をいたしました方財海岸の護岸の崩落につきましても、点検により確認した後に、災害復旧制度を活用して速やかな復旧を行っているところでございます。

 また、宮崎県では、深浅測量や航空写真等により汀線、いわゆる水際線の位置ですとか、あるいは陸地側の小高い位置にあります浜崖の状況把握も行っておりまして、高波等により浜崖が後退した箇所については、しゅんせつ土砂を活用した修復を行うなどの対応を行っているというふうに伺っております。

 こうした対応により、方財海岸及び長浜海岸の砂浜については、著しい浸食はなく、比較的安定している状況が維持されているというふうに県より聞いているところでございます。

 国土交通省としましても、宮崎県に対して、この海岸事業に関しての技術的な助言を行ってまいりたいと考えております。

長友委員 続いて、国土強靱化基本計画についても確認をしたいと思います。

 国土強靱化の基本計画の第二章で、地方公共団体、民間等の連携が必要ということが記されておりまして、「個々の施策の実施主体は、国だけでなく、地方公共団体、民間事業者、NPO、国民など多岐にわたる。国以外の実施主体が効率的、効果的に施策を実施するためには、強靱化を担う人材の育成など地方公共団体等における組織体制の強化及び市町村に対する適切な支援が必要不可欠であるとともに、各実施主体との徹底した情報提供・共有や各主体間の連携が必要不可欠である。」と明記をされているところです。

 また、国土保全という部分についても、「地震・津波、洪水・高潮、火山・土砂災害等の自然災害に対して、河川管理施設、海岸保全施設、土砂災害危険箇所等における砂防設備や治山施設の整備等のハード対策を進めるとともに、土地利用と一体となった減災対策、ハザードマップの作成推進及び周知徹底、災害発生時の的確な情報伝達、警戒避難体制整備等のソフト対策を効率的・効果的に組み合わせた総合的な対策を、地方公共団体を適切に支援しつつ、強力に実施する。これにより、気候変動等の影響も踏まえ、計画規模を上回る、あるいは整備途上で発生する災害に対しても被害を最小化する。」というふうに記されているわけであります。

 つまり、国土強靱化基本法においても、国が地方自治体と連携し、適切に支援し、強力に実施することが定められているということに理解をするわけですが、であれば、この地元区長の要請に対して、延岡の河川国道事務所の、これまで現場を視察してほしいと言ったのに、なかなか一緒に視察してもらえないという対応は、私は改善が必要だというふうに思われますが、国土交通省として指導していただけるのか、伺います。

岡村政府参考人 お答えを申し上げます。

 この五ケ瀬川を管理しております延岡河川国道事務所では、常日頃から、河川巡視等を通じて、五ケ瀬川の河口部を含む管轄区域の状況の確認をしているところでございます。

 また、御指摘の方財海岸や長浜海岸につきましては、管理者でございます宮崎県が必要な調査、測量を適切に実施しており、県や延岡市等との関係行政連絡会議の場を通じて、その調査結果についても把握しているところでございます。

 これらの河口部の状況あるいは海岸の状況につきましては、随時、事務所長も含めた事務所内での共有がなされているところでございます。

 今後とも、現場での課題につきましては、事務所において関係者との意思疎通をしっかり図りながら、その解決に当たるよう対処してまいります。

長友委員 更に申し上げますけれども、令和二年十二月四日に、この地元の区長さんと、それから延岡市選出の五人の県議が県庁へ河野知事を訪ねまして、この長浜・方財海岸の浸食対策を要望しております。そのときに、現地の視察をする、そのように約束をしていただいたんですが、三年以上たってもまだ実現をしていないという事実がございます。

 この知事に対する御指導も国土交通省からしていただくということはできるのでしょうか。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来から出ておりますけれども、宮崎県では、地元からの御要望を踏まえまして、地元の関係者や学識者との意見交換会、これを令和二年度からこれまでに五回開催しております。この中で、二回にわたって、参加者が共に現地を視察し、意見交換を行うなどの取組を行っているというふうに伺っております。

 また、令和五年三月の意見交換会においては、宮崎県が毎年実施している深浅測量の結果を示した上で、方財海岸、長浜海岸の砂浜が比較的安定しているということについて説明を行っているということでございます。

 宮崎県知事が当該海岸を視察するか否かにつきましては、県の判断によるものになりますけれども、宮崎県は、海岸管理者として、海岸の状況の把握に加えまして、陸地側の小高い位置にある浜崖部分の浸食に対する修復ですとか、あるいは砂浜部分の移動の監視を行うなど、必要な対応を行っているものと認識しております。

 国土交通省としましては、必要に応じて海岸事業に関する技術的な助言を行ってまいりたいというふうに考えております。

長友委員 国土交通省は、技術的な助言というところをよく強調されますし、まずは地元の自治体の管轄だというふうにおっしゃるんですけれども、先ほど来御説明いただいている、県主催による長浜・方財海岸浸食に関する地元意見交換会、これは、令和二年六月二十四日の時点では、県の担当者の説明として、長浜・方財海岸については浸食海岸と認識しているということで、浸食を認めているんですね、令和二年六月二十四日。

 その次に、令和三年の三月三十日になって、急に県の認識が、著しい浸食は見られない、陸域は浸食が見られるが、砂は沖合に堆積している状況にあり、比較的安定しているというふうな回答に変わりました。

 浸食していたという認識が、半年後に浸食していないというふうに変わってしまうという、この間に何があったのかなということが地元の中でも疑問なんですね。

 確かに、宮崎大学の識者も同席してもらっておりましたけれども、その方も来なくなりました。地元の人からすると、不都合な研究者の事実をもうこれ以上話してほしくないから、そのような声も上がってしまっているわけですね。

 つまり、これまでの県の対応に対する地元の方の不信感、そして国土交通省の延岡河川国道事務所に対する不信感、不満というものが募っているからこそ、私がここで質問をさせていただいている、その事実を重く受け止めていただきたいなというふうに思うわけです。

 国土強靱化法において、しっかりと地元の自治体と、そして民間とも連携するとうたっているわけですから、そこは逃げずに真正面から取り組んでいただくということを強くお願いしたいと思うわけです。

 この方財・長浜海岸で砂を採取しているのが民間の事業者です、先ほどからお伝えしていますけれども。浸食が激しく進む海岸がすぐそばにあるにもかかわらず、この民間事業者の利益目的の事業をなぜ引き続き国が許可するのかについて伺いたいと思います。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 河川の産出物でございます砂利は、先生御指摘のとおり、公共工事を始めとする各種建設工事の素材として国民経済上欠くことのできない基礎資材でございます。

 河川区域内の砂利の採取につきましては、河川管理上支障がない場合に、砂利採取法及び河川法に基づく許認可を行うこととなってございます。

 先ほど御答弁させていただきましたけれども、御指摘の五ケ瀬川の河口部につきましては、土砂が堆積傾向にあり、放置すると河口が閉塞し、洪水の流下を阻害するという懸念がございます。これのため、毎年、堆積した量と同程度の量について、県や市と協議をした上で、砂利採取を認めているという状況でございます。

 また、海岸の状況については、御指摘の中でもございましたけれども、県の方からは、著しい浸食はなく、比較的安定しているという説明が最新の説明としてなされているところでございます。

 いずれにしましても、この砂利採取につきましては、県や市とも状況の把握をしっかりしながら、申請があった場合には適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

長友委員 この長浜海岸と方財海岸の松林のすぐ裏に人が住んでいるんですよ。住民の皆さんからは、波が大きいときに護岸に直接当たって、その大きな音で怖くて眠れないという、そのような悲痛な叫びというかお願いも、この長年、ずっと上がっているわけです。

 そういう事実があるにもかかわらず、県が浸食を認めていない、だから国は採取を許可しているというのは、地元の方は納得できないんですよ、先ほどから答弁を繰り返しいただいていますけれども。その現場のことが分からないということで、大変、地元の方は、この浸食問題について、延岡河川国道事務所の対応に不信感を持っているんですね。

 それで、本庁の国土交通省として、どのような対応ができるのかというものを最後に伺いたいと思います。

岡村政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど来からありますけれども、宮崎県では、学識者や地元関係者との意見交換会、そして国や延岡市との関係行政連絡会議、こういうものの開催を通じまして、地元の方々の意見も踏まえながら状況把握を進めていくというふうに県の方からは聞いているところでございます。

 また、延岡河川国道事務所においても、関係行政連絡会議に加えまして、今年からこの意見交換会にも参加させていただいておるんですけれども、宮崎県の取組に協力をしているところでございます。

 国土交通省としましては、こういった枠組みを活用しまして、県の検討結果を関係者で情報共有していくことが望ましいというふうに考えております。

 砂浜の保全につきましては、海岸の防護だけではなくて環境や利用面についても重要でございます。国土交通省としましても、宮崎県の検討状況を注視しつつ、必要に応じて技術的な助言等に努めてまいります。

長友委員 鳥取砂丘の例を出しますと、鳥取砂丘も激しい浸食にさらされた過去がありました。鳥取県が調査したところ、港湾建設による沿岸の流れの変化が主な原因と判明して、湾内にたまる砂のリサイクルを二〇〇五年から始めたところ、浸食が進むのを食い止めることに成功をしています。これは、各地で頻発する同様の被害の対策モデルとして注目をされているわけです。

 鳥取砂丘の場合、河口にある鳥取港の整備が八〇年代に進み、巨大な防波堤が造られた、そのような影響で砂のメカニズムが狂ったということが分かったんです。そのときに活躍されたのが、元国土交通省の土木研究所の河川部長だった宇多高明さんでございます。国土交通省の先輩OBの皆様に、こうやって地元の課題を解決していただいている人がいるということを私たちも知っているんですね。

 ですので、是非、この宮崎県延岡市の河川国道事務所にも、この原因解明に積極的に前向きに取り組んでいただける方を配置していただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 資料の一枚目を見ていただきたいんですが、トラックドライバーの年間所得額と年間労働時間の比較であります。全産業平均と比べて相当長く働いて、なのに、相当低い賃金にとどまっています。これでは、担い手不足と言われるのは当然だと思います。

 こうした中、議員立法で貨物自動車運送事業法が成立し、五年目の延長がこの後議題となることを承知しております。執行状況については、質問通告しておりましたが、時間の関係で私がしゃべってしまいますので、答弁しなくてよろしいです。

 国交省から荷主に働きかけを行ったのが八十件、うち要請までは三件、標準的な運賃について運賃交渉が実施されているのは六九%ということで、まだまだとは思いますが、この議員立法の一定の成果が上がっているものと思っております。

 そこで、質問は、標準運賃を仮に掲示していても、それは元請との関係で支払う運賃であって、下請になればなるほど、途中が抜かれてしまうために、標準運賃からはかなり遠くなる、低くなるということにならないでしょうか。それをどうするのか。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 トラック運送業の取引環境の適正化を図るためには、実運送事業者、実際に運送する事業者が適正な運賃を収受できることは重要だと考えております。このため、元請の運送事業者におきましては、参考指標である標準的な運賃を活用しつつ、自社のみならず、実運送事業者が適正な運賃を収受できるよう配慮しながら、荷主との交渉に臨んでいただきたい、このように考えております。

 そのため、国土交通省では、元請運送事業者をメンバーとする適正取引のための会議などのあらゆる機会を通じて、元請事業者に対し、理解と協力を呼びかけております。

 また、令和四年度に国土交通省が実施した調査によれば、多重下請構造が実運送事業者の適正な運賃・料金の収受を妨げていると考えられることから、運送体制の可視化、見える化を通じた多重下請構造の是正が必要と認識しており、関係省庁や業界団体とも連携し、実効性のある方策の具体化に向けてスピード感を持って対応してまいります。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 今お話にあった多重下請構造の問題での実態調査、これが資料の二枚目にあります。

 調査はいろいろある中で、分かりやすいのを少し選んだわけですけれども、ほかのトラック事業者からの依頼を受けるケースがあるかに対して、あると回答した事業者が八割、さらに、その八割の中の半数が、ほかの事業者、つまり孫請に委託しているということであります。多重下請がなぜできているのか、いくのかがよく分かる調査だと思います。

 下請に出す、あるいは下請が孫請に出すという理由が、自らトラックを持たない第一種貨物利用運送事業者もいるし、あるいは、突発的で対応できないというのは分かるんですけれども、自社のトラックドライバーがそもそも不足していたり、ここにあるように、自社で運行するより費用が抑えることができて利益を確保できるため、運賃・料金が安いためという答えになっているのは、本当にこのままにしてはおけない、解決をしなければならないというふうに思っております。

 そこで、今検討会で議論されているのが、建設業法を参考に、今、見える化とおっしゃいました、運送体制台帳の作成を求めること、こうしたことも検討していると思うんですね。同様に、建設業法を参考にするのであれば、二十二条、一括下請、いわゆる丸投げの禁止に準ずる規制なども検討すべきではないでしょうか。

堀内政府参考人 委員御指摘の問題意識でありますとか建設業法にそうした規定があることについては、十分認識をしております。

 建設業と全く同じように引き写せるのかどうか、やはり、建設業との違いとしては、突発的に運送業の場合は、繁忙期ですね、オーダーがあったりしますので、どこまでそういうことに対しての対応ができるのかということは違いがあると思いますので、それも含めてどのように対応できるかについてしっかり検討してまいります。

高橋(千)委員 今の問いは通告をしておりませんでしたので、是非検討したいという答弁だったと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それで、質問の順番を変えますけれども、貨物自動車運送事業は、一九九〇年施行の物流二法で需給調整規制が廃止され、事業参入への免許制から許可制になりました。また、退出規制が許可制から事後届出制へと緩和されてきました。

 持続可能な物流に関する検討会の中でも、有識者から、九〇年の物流二法の改正で、物流事業者四万数千社が六万数千社と一・五倍にもなった、過当競争で運賃が下がり、荷主はそれに乗じて物流コストを下げてきたと指摘されているところですが、大臣にそうした意識はあるでしょうか。問題意識、どうですか。

斉藤(鉄)国務大臣 平成二年の貨物自動車運送事業法の制定によりまして、新規参入について需給調整が廃止され、免許制を許可制に改める、そして、運賃・料金については認可制を届出制に改めるなどの規制緩和が行われました。

 これらによりまして、新規参入が容易になるとともに、営業の自由度も高まり、輸送サービスの水準の向上や多様化が図られた、こういう効果が出た一方、事業者数が増加したことなどにより競争が激しくなり、事業運営が厳しくなった事業者もある、このように承知しております。

 また、現在、国土交通省では、運送事業者がコストに見合った適正な運賃を収受できる環境を整備するため、平成三十年に改正された貨物自動車運送事業法に基づき、運賃交渉の際の参考指標として標準的な運賃を令和二年四月に告示し、荷主等への周知、浸透を図っているところでございます。

 こうした取組を一層強化することを通じて、トラック運送業における適正な運賃の収受と健全な競争環境の実現に努めてまいりたい、このように思います。

高橋(千)委員 前半は評価をしているという答弁だったかと思いますが、競争が激しくなったということはお認めになったと思うんですね。やはり、標準的な運賃はあくまでも指標であって、これに沿ってということを国交省としては期待をしているのではあるんでしょうけれども。

 実際に、この検討会の中でも、荷主自体が、一体、出した荷物が何トンで何回運ぶのかということは承知しているんだけれども、実際、そのドライバーが何キロどれだけ運んでいるのかということまでは分かっていないと。そういう中での、つまり、それだけ多重下請になっているということの議論もされてきた。とても貴重な調査の下に議論されていると思うんですよね。それを本当に無駄にしないで実のある成果を出していきたい、そう思って質問させていただきました。

 それで、続けますが、資料の三を見てください。令和三年度の過労死等の労災補償状況、業種別では道路貨物運送業がトップで五十六件、職種別でも自動車運転従事者がトップで五十三件。要するに、どっちもドライバーである、主にトラックドライバーである。残念ながら、毎年過労死トップというのが続いている。そのことの認識をまず伺います。

 その上で、二〇二四年問題というのは、働き方改革法に基づく残業時間の上限規制などの適用を自動車運転は五年間猶予をしている、それがいよいよ来年四月から本格実施になるということであります。

 一年間の拘束時間、三千三百時間を超えるドライバーは二一%強だと言われている。ここに規制をかけると、四億トンの荷物が運べなくなるなどといったことが叫ばれているんです。だけれども、過労死するような長時間労働を前提で、時間の規制をかけるとドライバーがいなくなって困ったではなくて、どうしたら過労死をなくせるのか、働きやすい環境と処遇の改善、これの立場で国交省も奮闘するべきだと思いますが、大臣に伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 まず最初の認識でございます。

 トラック運送業は、他の産業と比較して労働時間が長く、過労死等の件数も多いことから、時間外労働の上限規制の適用などにより、健康と安全を確保することが非常に重要だ、こういう認識でございます。

 このため、国土交通省としては、ホワイト物流推進運動の展開や荷役作業の負担軽減に資する機械等の導入支援などの働き方改革に関する取組を推進しております。

 また、来年四月からトラックドライバーに対する時間外労働の上限規制が適用されるところでございまして、その円滑な施行により、労働条件の改善を図ってまいりたいと思います。

 一方、物流は国民生活や経済を支える社会インフラであることから、ドライバーの健康と安全を確保しつつも、物流を停滞させないよう取り組むことが必要と考えております。

 こうした物流に関する課題の解決に向け、本年三月の総理指示を踏まえ、六月上旬を目途に政策パッケージを取りまとめるべく、閣僚レベルで今検討しております。

 国土交通省としては、引き続き、ドライバーの労働条件の改善と物流機能の維持のこの両方を実現すべく、関係省庁と緊密に連携し、スピード感を持って対応してまいりたい、このように思っております。

高橋(千)委員 今の後半のところは後で反論したいと思います。ちょっと言いたいところがあるんですが、改善基準告示のことを質問したいので、先に進みたいと思います。

 来年四月から施行される改善基準告示では、年の時間外労働の上限が九百六十時間、これ、そもそも、一般の労働者七百二十時間よりも既に長いです。一か月の拘束時間は二百八十四時間、最大三百十時間、これは、時間外労働にすれば八十九時間、また、最大では百十五時間まで可能となって、これ自体が過労死ラインを超えていることになると思いますが、一言認めてください。

梶原政府参考人 お答えをいたします。

 まず、改善基準告示についてでございますが、自動車運転業務従事者については、業務の特性を踏まえて、従来から、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準、いわゆる改善基準告示により、拘束時間や休息時間等の基準を定めて、長時間労働の抑制を図ってきたところです。

 令和六年四月からの法律による上限規制の適用に向けて、この改善基準告示の在り方についても、労働政策審議会の下に設置された専門委員会での公労使代表委員の議論を、合意を踏まえまして、昨年十二月に改正を行ったところです。改正後の新基準告示は、法律による上限規制と同じく、令和六年四月から施行される予定でございます。(高橋(千)委員「知っているってば」と呼ぶ)はい、恐縮です。

 今般の改善基準告示の改正のポイントですが、先ほど議員からの数字もお示しいただきました……(高橋(千)委員「一言でいい、答えを」と呼ぶ)はい。

 議員指摘の八十九時間と百十五時間は、改正後の改善基準告示の一か月当たりの拘束時間の上限値と、月の所定労働時間と休憩時間の合計百九十五時間を差し引いたその差の数字というふうに拝察をいたしますが、改善基準告示の拘束時間には労働時間のほか休憩時間も含まれますことから、八十九時間と百十五時間の全てが時間外労働時間になるということではございません。

 また、改正後の新基準告示におきましては、新たに、一か月の拘束時間の原則二百八十四時間を超える月が三か月を超えて連続しないようにすること、この三か月の限定を追加いたします。また、一か月の時間外・休日労働時間数が百時間未満となるように努めること、これも明確に告示本体に追加をいたしております。

 このように、改正は、全体として過労死等の防止に資する見直しとなっていると考えておるところです。

 今後とも、関係省庁とも連携をしまして、改正内容の周知に努め、自動車運転者の労働条件の改善を図ってまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 ちょっと唖然としてしまっているんですけれども。そもそも、説明の時点で、きちんと、過労死ラインを超えていますけれどもと、私、説明を受けていますよ。分かっていますよ。この八十九時間の中に、いやいや、そうじゃない部分もあるからって、そんな理由でお答えをされるとは、とんでもないですよ。しかも、長々と分かっていることを説明して。改善基準告示がどうやってできたかなんて、そんなことを今長々と説明して時間を稼いで、そうじゃないなんということを、許されませんよ、そんな答弁は。これはまた長い答弁が来ると困るので指摘にとどめます。

 次に続けますけれども、改善基準告示でトラック特有の問題があります。一日の拘束時間が十四時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努めるとはしているものの、長距離運送の場合、週に二回に限り十六時間を認めるとする趣旨は何ですか。十六時間だとインターバルを取っても一日を超えちゃうわけです、二十五時間になっちゃうわけですから。本来は、十一時間、最低でも九時間と決めた休息時間が実質担保できるでしょうか、これは。

木原委員長 厚生労働省梶原大臣官房審議官、答弁は簡潔にお願いいたします。

梶原政府参考人 はい。

 今回の改善基準告示の改正で新たに設置をいたしました長距離貨物運送の特例について御説明いたします。

 一週間における運行が全て長距離貨物運送、これは一運行百五十キロメートル以上の運送を申しますが、それであって、休息期間が運転者の住所地以外の場所におけるものについては、週二回までに限り、現行と同様、最大十六時間とすること、また、休息期間を継続八時間以上とすることができる特例を新たに追加をいたしました。

 この特例を適用する場合には、一の運行終了後の休息期間を通常は継続十一時間以上となっておるんですが、この通常よりも一時間長くして、継続十二時間以上とすることが必要というふうにしております。

 この長距離貨物運送の特例を設けた趣旨は、車中泊など、住所地以外の場所における休息期間を確保するということよりも、運行終了後、早く御自宅の方にお帰りになって、運転者の住所地で休息期間を十分に確保することの方が望ましいというものでございます。改善基準告示の見直しを御議論いただきました労働政策審議会の専門委員会での、労使の代表委員の御議論を踏まえたものとなっております。

高橋(千)委員 原則十一時間なんだけれども、継続九時間を下回らないものとした。そういうさんざん議論があって、十一時間と言えなかったわけですよ。だけれども、今言っているように、宿泊を伴う長距離貨物運送の場合、当該一週間について二回に限り九時間ではなく八時間でもいいとしたということなんですよね。これは結局、旧告示が継続八時間だった。これに倣っているわけですよ。ちっとも改善じゃない、このことを言いたいと思います。

 しかも、住所地が望ましい、それはそうですよ、なるべくうちに帰れるようにするべきです。だけれども、それだって、住所地に似たような、自分がなじんだところだったらそれでもいいって、そこまで書いているじゃないですか。ちっとも改善じゃない、このことを指摘したいんです。

 本来は、長距離だからこそ長く休まなければならないはずなんです。結局、長時間労働を改善するはずが、旧告示の八時間を維持してしまったことは問題だし、それどころか、分割して休息を取ってもいいということになっているから、これは本当に問題だと思います。

 それで、改善基準告示を議論した労政審のトラック作業部会の中でも、繰り返し、我々は公道を使って仕事をしているということを忘れてはならないとの発言があります。公道を走っているんだから、長時間労働による疲労が蓄積すると、ドライバーが健康を害するだけではなく、重大な事故につながり、一般の乗客を巻き込んでの犠牲を呼ぶことになる。こういう意味だと思うんですね。

 これまで特別重要調査対象の交通事故は、二〇一四年から今年まで十九件、十五名の死亡者を出した軽井沢のバス事故などが思い当たると思いますが、重要調査だけでも二〇一四年から今年までで四十八件も起こっている。こうしたことを踏まえて議論をしているはずなんですよ。そこは本当に、重ねて指摘をしたいと思っております。

 それで、連続運転時間を四時間以内、運転の中断を一回十分以上で、合計三十分以上としていますけれども、休憩と呼ばずに中断としている理由について、なぜなのか伺います。確実に休憩が取れるようにするべきではないでしょうか。

梶原政府参考人 現行の改善基準告示においては、委員御指摘のとおり、一回が連続十分以上で、かつ、合計三十分以上の運転の中断をすることなく、連続運転は四時間を超えてはならないという規定がございます。

 現行基準の中断の二文字につきましては、この内容について、休憩でなければならない、あるいは作業をしてもよいという、特に明確な解釈はございません。今回の改正においては、この運転の中断という言葉については、原則として休憩を与えることとするということを明確にお示しをしたところでございます。

高橋(千)委員 本当に、必ず休憩ということにしていただきたい。実態には、荷降ろしとか荷積みをやっているということで、休憩になっていないんですよ。そこを本当に徹底していただきたいと重ねてお願いします。

 こうした議論を踏まえて、先ほど、事故のことも、私、お話ししました。そういう立場で国交大臣に、この問題での感想を伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 今、改善基準告示の議論がありましたけれども、これを決めるときには大きな政治的なテーマになり、新聞でも一面トップで、今こういう状況だというのが報じられたのを今でも覚えております。公労使、ぎりぎりの議論を行って決められたものと思います。

 この改善基準告示を遵守することがこれから本当に必要だ、このように思いますが、その遵守のために最も一番キーポイントになるのは荷主側の理解だ、このように思います。

 この荷主の理解を得るために、しっかり貨物自動車運送事業法に基づく働きかけや要請等の是正措置を講じ、我々としてもその理解を得られるように、そして、今回、今、六月をめどに政策パッケージを提案することになるわけですけれども、そこでもこのことを中心に行っていきたい。

 そして、トラックドライバーが安全で健康で、そして、魅力ある職場となるということが必要になってくると思います。そのために、しっかりこの改善基準告示を守り、守られるような社会にしていく、そのための政策パッケージをつくっていきたいと思います。

高橋(千)委員 基準を守ってもまだ過労死を防げないんじゃないかという問題意識で質問させていただきました。とはいえ、前に進まなきゃいけないということで、続きがまたあればいいなということで、一旦終わります。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 よろしくお願いいたします。

 国土交通委員会初登板でありまして、ふだん見ないやつが来たなというふうに思っておられる方もおりますが、よろしくお願いいたします。

 今日は大臣に当てる予定は基本的にありませんが、参考人の方に申し上げたい。答弁は短くというのと、しょぼい答弁が返ってきたら大臣に当てるということでやらせていただきたいと思います。

 まず、住宅団地内の公園の在り方についてお伺いしたいと思います。

 皆さん方も経験あると思いますが、住宅団地の中に端切れの土地に、何か不思議なところに公園がぽつっとあったりとか、単に都市計画法で義務づけられているものを満たすためだけに造られた公園というのがあったりとか、あと、近年使われないまま荒れ放題になっている公園とかが増えています。

 都市計画法を見てみますと、第三十三条第一項第二号における開発許可において、道路、公園等が、環境保全、防災、安全等、支障がないような規模、構造で適当に配置されるということになっていますが、もう少し方向性を出さないとおかしな事例がたくさん出てくると思います。

 こういう事態を防ぐために、国土交通省として何らかの指針を示しておくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 今、公園のお話と思いますけれども、都市計画法におきます開発許可制度におきましては、良好な住環境の形成や防災上の見地から、開発区域内の利用者にとって必要な公共空地、これを確保するため、開発区域の面積が〇・三ヘクタール以上の開発行為につきましては、面積の三%以上の公園等を適切に配置する、これを求めております。

 他方、委員御指摘のとおり、これらの公園等の一部につきましては、使い勝手がよくない配置である、又は管理が不十分である、こうした声があることも認識をしております。

 開発許可制度におきましては、地域の実情に応じた公園の設置がなされるよう、開発区域の周辺に相当規模の公園が存在する場合は、公園等の設置を求めない、あるいは設置面積の下限を条例で引き上げる、これは可能になっております。

 このため、公園等の設置につきましては、開発許可制度の趣旨を生かしつつ、このような緩和措置を適切に活用して行われることが望ましい、このように考えております。その旨、周知徹底を図っていきたい、このように考えております。

緒方委員 まさに、今、仕組みの話がありましたが、本当に団地の一番隅っこのところとかに、何か不思議なところに、何でこんなところに公園を造ったんだろうとかいうことがあるわけですよね。そういうのを防止すべきだと思いませんか、局長。

天河政府参考人 これはケース・バイ・ケースということもあると思いますので、しっかり実態を把握したい、制度の主管課として、実態を把握して、必要なことを措置していきたい、このように考えています。

緒方委員 それでは、質問を移したいと思います。

 公営住宅についてお伺いしたいと思います。

 今後、コンパクトシティーを進めるに際して、コンパクトシティーを進めた結果として、例えば、町の中心の方に人に移ってきてほしいというような政策を進めるときに、私は公営住宅の役割があるのではないかと思っています。これは、地元北九州市でもこういうことが検討されたんですけれども、そのときに、公募制の大原則がひっかかります。公募制でなきゃいけないということなので、政策誘導のツールとして公営住宅を使いにくいということが実はございます。

 ただ、補助金適正化法による目的外使用の中で、そういうことが、目的外使用ができるようになるということがあるわけですが、明確にコンパクトシティーによる目的外使用、ひいては公募制の例外をルールとして作っておくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のようなコンパクトシティーを進める際に、従前の居住者に市街化区域内に移っていただきたいというようなケースもあると思います。そういう場合には、既存の住宅を購入したり、あるいは、従前の住宅を除去することなどに対する支援をするということも考えられますけれども、あわせて、先生がおっしゃるような公営住宅の空き室の活用ということも、ニーズや事業主体の御判断次第では十分考えられると思います。

 公営住宅につきましては、本来は住宅困窮者のためのものということでございますけれども、そういう方々の入居に支障がないという場合には、目的外使用ということも承認を受けた上でできるということになっておりまして、この場合には公募の必要がないということになります。

 地域の実情に応じまして弾力的に公営住宅を活用するというようなケースにおきましては、公営住宅を目的外使用するための計画を作っていただいて、包括的に承認をするというやり方もできることになっております。これについては、既に文書を明確にお示しをしているところでございまして、こういうやり方を取れば、コンパクトシティーを進めるための公営住宅の活用ということも十分円滑に進められるんじゃないかというふうに考えてございます。

緒方委員 よろしくお願いいたします。

 公営住宅、確かに、余り公募制の原則にどんどんどんどん例外を入れちゃうと恣意的な運用をする人が出てくるかもしれないというので、公募制は重要だと思うんですけれども、ただ、その一方で、政策誘導のツールとして使うということも大いにあり得る、今大臣うなずいておられますけれども、あると思うので、ここは、補助金適正化法による目的外使用、これをルールをしっかり決めた上でやっていくべきではないか、そう思っております。

 続きまして、運送業についてお伺いしたいと思います。

 これは地元の運送業者の方からの話だったんですけれども、クレーンを積んだ四トントラックのユニック車、これを使っておられる方から聞いた話なんですが、車両総重量が八トン未満で設定しようとすると、事実上、二トンちょっとぐらいしか積めないんだと。そうすると、例えば車を積もうとすると二台積むことが難しいぐらいのものしか積めないんだ、車を積もうとすると。

 これだと、主力の四トン車であっても余り活躍ができないので、今は車の性能も上がってきていて、そういうことも考慮に入れると、安全の基準をきちんと満たすことを条件にということは外せないと思いますが、もう少し積めるようにしてはどうかなというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。

堀内政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の、八トン未満の車両総重量のものについて、もう少し載せられないかということでございますが、車両総重量の計算方法ですが、まず、三つありまして、車両そのものの重量、それから、乗車定員の重量と積載できる荷物の最大値、これを足した値です。それは、自動車メーカーの設計で決まってくるということになります。

 ですので、車両総重量には、メーカーが保証できる積載荷物の最大値が含まれております。これは、衝突被害軽減ブレーキなどが入っていても、勘案して決められています。これ以上荷物を載せるとメーカーとして安全を保証できないということになりますので、車両総重量を超えて荷物を積載するというのは、安全上ちょっと問題があるということで認識しております。

緒方委員 そういう答えだろうなと思いましたが、はい、質問を続けたいと思います。

 次、自動車保険についてお伺いしたいと思います。

 地元で話を聞いておりますと、民間保険の自動車保険に入っていない、いわゆる無保険車、これは想像以上に多いですよということを私言われました。特に若い世代の方々が多いというふうに聞いたんですが、ガレージの方からですね。無保険車は、事実上、事故の際の補償能力がないことが大半であります。被害者の方々と、私、話をする機会がかなりありまして、事実上、泣き寝入りに近い状態も多いと聞いています。

 これは、劇的に、私、減らす必要があると思います。結局、補償能力のない車がどんどんどんどん町中を走っているという状況というのは、半ば、凶器が町中を走っているのと余り変わらないというような状況でありまして、これを劇的に減らすためには、自賠責も含めた仕組みそのものを根本的に見直すべきなんじゃないかと思ったりすることがあるんですね。

 もちろん、この一般質疑の答弁で、じゃ、やりますという答弁にならないと思いますけれども、こういった無保険車を劇的に減らす、そして、保険でのカバレッジがある車が町中を走るというような状況をつくっていくために努力をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 自賠責に加入をしていない無保険車については、根絶すべく、私どもも取り組んでまいります。

 もう一つ、無保険車両というのが、仮に、自賠責には加入しているものの、いわゆる任意保険に未加入の車両、そういう理解だといたしますと、自賠責保険というのは任意保険と相互に補完し合って、自賠責は強制保険なので、全ての自動車ユーザーが保険に加入できるよう、被害者救済に必要な基本的な金額、これを確保しつつ、自動車ユーザーに過度の負担を強いることのないように、同一の保険料を設定しているところでございます。

 こうしたことから総合的に勘案して定められておりますので、現状では適切であると考えております。

緒方委員 正直、何を言っているか分からないんですよね、局長。局長、何を言っているか分からないです。私の質問に全然答えていないし、そもそも、あなたは質問の内容を理解しているかどうかすら怪しいですよ。

 私、ちゃんと、これは実は縦割りなんですよ。自賠責のところは国土交通省が答えて、民間保険のところは金融庁が答えて、それを相互に補完し合って、じゃ、補償能力のない車を減らしましょうといったらどうなんですかと聞いたら、レクのときもお互いがぴたっと止まったんですね。こういう縦割りに落ちているからこういうことが起きるわけであって、これは大臣に、じゃ、お伺いしたいと思います。

 こういうことについて、縦割りを排して、しっかりと補償能力のない車がなくなるように努力をすべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 まさに、事故というものはあってはなりませんけれども、現実にある。そのときに被害者が十分に補償されるということが、我々、この社会を生きていく上で、安全、安心という基盤に立って生きていく上で非常に重要だと思います。

 そのために、まず自賠責、これは強制保険としてございます。この自賠責については、基本的に、自賠責そのもので基礎的なところはしっかり補償するという形にしたいとは思っておりますが、しかし、現実に、それだけでは足らない部分もあるというのが社会の現実かと思います。

 そういう意味で、任意保険と組み合わせて、全体として安全、安心なものにしていくという努力については必要だ、このように思います。

緒方委員 レクのときに聞いたら、自賠責に入っていない方、〇・一%ぐらいだということだったんですけれども、民間の任意保険に入っていない方って、そういう規模じゃないんですね。物すごい多いんですね。なので、そういうところも含めて考えるべきだということを述べて、質問を移りたいと思います。

 もう一つ、自動車事故についてなんですが、かつて保険会社による示談代行制度を導入した際に、昭和四十八年、日本損保協会と日弁連の間で覚書を交わしています。いろいろなことが書かれておりまして、非弁行為にならないようにとか、きちっと補償が払われるようにとか、そういうことの覚書を交わしているんですね。ただ、近年、交通事故被害者の中には、補償金の支払いが著しく滞り、この覚書に反するのではないかという声も聞こえてきます。

 これは日弁連と損保協会の覚書なのですけれども、政府として、この覚書は遵守されるべきであるという御理解でしょうか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の覚書は、民間同士の取決めでございまして、それ自体の遵守状況を当庁のモニタリング対象としているものではございませんけれども、当該覚書の内容の多くは、当庁が定めております保険会社向けの監督指針に含まれておるものでございます。

 金融庁といたしましては、損害保険会社に対しまして、この監督指針を始め、法令や業務上の諸規則などを厳格に遵守して、健全かつ適正な業務運営を確保するよう求めておるところでございます。

緒方委員 結構、今、自動車事故に遭った後、三年とか四年とかにわたって、訴訟を起こして全く一円も払われていないという人もいるわけでありまして、そういった方々からすると、実はこういった基礎的なルールが守られていないんじゃないかという思いをお持ちの方も多いので、この件、よろしくお願いいたします。

 最後に、バイオディーゼルの活用についてお伺いします。

 バイオディーゼルと軽油を混合して、バス等に、自動車に使用する場合、混合率等の申請で使用に制約がかかるというような指摘を地元でお伺いをいたしました。

 これは、関連する省庁が、経済産業省、国土交通省、そして総務省の自治税務局、さらには消防庁と幅広いんですね。まず、自治税務局を除く経済産業省、国土交通省、消防庁、それぞれの省庁の規制の中でこういったことのハードルになっているものがあると認識をしておられますでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省においては、揮発油等の品質の確保等に関する法律、いわゆる品確法に基づきまして、これは、バイオディーゼルなどを軽油に混合される事業を行う方が、不適切な濃度管理あるいは不均一な攪拌などによって、自動車のエンジントラブル、環境への影響を防止する、そして、消費者が燃料を安心して安全に購入、使用できることを確保するという観点から規制を行っております。

 この規制は、混合する事業を行う者に対して、混合する設備、場所、混合する対象物の種類、濃度などについて一定の基準を設けておりまして、この事業者は経済産業省に登録をいただくことになっております。

 ただし、個々の混合、使用の際に承認を求めているということではございませんので、御指摘のケースについての障害になっているという認識は我々としては持っておりません。

鈴木(建)政府参考人 お答え申し上げます。

 消防法で、タンクローリーによる給油というお話がございまして、その関係でございますけれども、バイオディーゼルと軽油の混合燃料と混合しない軽油で取扱いが消防法上異なるということはございません。

 バイオディーゼルと軽油の混合燃料あるいは軽油をタンクローリーから直接給油するということにつきましては、地盤面をコンクリートなどの危険物が浸透しない材料で覆う、こういったことなどの安全措置を講じていただいて、危険物施設として許可の手続を行っていただくことによりまして、その量にかかわらず直接の給油が可能となってございます。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省といたしましては、バイオディーゼルを利用することに伴う特有の道路運送車両法上の規制というのはございません。

緒方委員 それで、事前レクでこの件を聞いておりますと、皆さんで意見が一致していたのが、地方税法における軽油引取税の関連の承認申請の際の規定がひっかかっているのではないかというお話がございました。

 地方税法第百四十四条の三十二というのがその規定なんですが、それを踏まえた総務省施行規則が、実はバイオディーゼルの活用にひっかかっているのではないかというふうに、その種の指摘があったんですね。

 確かに、十日前に、承認を受けようとする者、そして、消費年月日、消費しようとする燃料の性状及び数量、消費に係る自動車の自動車登録番号、さらには、消費に係る自動車の主たる定置場、これを提出して承認を求めなくてはならないというふうになっています。

 これは、不正軽油防止等、課税情報をしっかり把握するということから設けられているものだということは分かるんですけれども、これが実はバイオディーゼルの活用を妨げているのではないかというふうに思ったりもするんですが、自治税務局、いかがでしょうか。

鈴木(清)政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、軽油引取税につきましては、課税対象となっていない重油や灯油などの混和により、不正軽油が問題となってございます。

 このような混和による課税逃れが生じないように、地方税法では、御指摘のバイオディーゼル燃料と軽油を混和する場合を含め、混和等に係る数量等の一定の事項を記載していただき、都道府県知事が承認することにより、混和等の実態を把握できるようにいたしまして、軽油引取税の賦課徴収の適正化を図ることとしているところでございます。

 仮に、このような手続を簡素化する場合には、このような、ただいま申し上げましたような軽油引取税の課税対象でない物質を混和した軽油による脱税を防止する仕組みを構築することが前提となると考えておりまして、慎重な検討が必要であるというふうに承知しているところでございます。

緒方委員 終わります。

     ――――◇―――――

木原委員長 引き続き、国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、理事会等での御協議を願い、お手元に配付してありますとおりの草案が作成されました。

 本起草案の趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。

 平成三十年に、いわゆる働き方改革関連法が成立しました。この中で、時間外労働の上限について、大企業は平成三十一年四月から、中小企業は令和二年四月から、年間で七百二十時間とすることとされましたが、トラックドライバー等については、運転業務の特性や取引慣行の課題があることから、上限時間が年間で九百六十時間とされ、適用の時期については令和六年四月まで猶予されておりました。

 このような状況から、貨物自動車運送事業法につきましては、令和六年四月からのトラックドライバー等に対する時間外労働の上限規制の適用を見据え、平成三十年に議員立法により時限措置として、荷主による違反原因行為への対処及び標準的な運賃の設定の規定を新設したところであります。

 一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大や燃油価格高騰などの影響を受け、トラック事業者の経営状況は一層厳しさを増しており、荷待ち時間の削減や適正な運賃の収受等により、労働条件を改善し、担い手を確保するための取組は道半ばとなっております。国土交通省が実施した調査によると、荷主との運賃の交渉において標準的な運賃の活用は進んできてはいるものの、十分な浸透が図れているとは言えない状況が示されております。また、同調査では回答した事業者の七六%が標準的な運賃制度の延長を希望するとされております。

 働き方改革の実現と安定的な輸送サービスを確保するため、現行の措置を継続的に運用することが必要な状況となっております。

 本起草案は、このような現状を踏まえ、令和六年三月三十一日に期限が到来する荷主による違反原因行為への対処及び標準的な運賃の設定に関する措置について、当該措置の期間を当分の間延長しようとするものであります。

 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。

    ―――――――――――――

 貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

木原委員長 これより採決いたします。

 貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付してあります草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十六分散会


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