第2号 令和5年11月10日(金曜日)
令和五年十一月十日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 長坂 康正君
理事 あかま二郎君 理事 小林 茂樹君
理事 佐々木 紀君 理事 武井 俊輔君
理事 伴野 豊君 理事 谷田川 元君
理事 三木 圭恵君 理事 國重 徹君
石橋林太郎君 泉田 裕彦君
大西 英男君 加藤 竜祥君
金子 俊平君 菅家 一郎君
岸 信千世君 小林 鷹之君
小林 史明君 櫻田 義孝君
鈴木 隼人君 田中 英之君
高木 啓君 谷 公一君
谷川 とむ君 土井 亨君
中川 貴元君 中川 郁子君
中根 一幸君 中村 裕之君
仁木 博文君 西田 昭二君
古川 直季君 古川 康君
牧島かれん君 三ッ林裕巳君
武藤 容治君 山口 晋君
枝野 幸男君 城井 崇君
小宮山泰子君 神津たけし君
櫻井 周君 下条 みつ君
屋良 朝博君 赤木 正幸君
漆間 譲司君 小野 泰輔君
高橋 英明君 伊藤 渉君
日下 正喜君 古川 元久君
高橋千鶴子君 福島 伸享君
たがや 亮君
…………………………………
国土交通大臣 斉藤 鉄夫君
国土交通副大臣 國場幸之助君
国土交通副大臣 堂故 茂君
内閣府大臣政務官 神田 潤一君
国土交通大臣政務官 石橋林太郎君
国土交通大臣政務官 こやり隆史君
国土交通大臣政務官 加藤 竜祥君
政府参考人
(内閣府規制改革推進室次長) 渡辺 公徳君
政府参考人
(消費者庁政策立案総括審議官) 藤本 武士君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 鳥井 陽一君
政府参考人
(林野庁林政部長) 谷村 栄二君
政府参考人
(国土交通省大臣官房長) 寺田 吉道君
政府参考人
(国土交通省大臣官房公共交通政策審議官) 石原 大君
政府参考人
(国土交通省大臣官房土地政策審議官) 中田 裕人君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 黒田 昌義君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 廣瀬 昌由君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 石坂 聡君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 村田 茂樹君
政府参考人
(国土交通省物流・自動車局長) 鶴田 浩久君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 平岡 成哲君
政府参考人
(観光庁次長) 加藤 進君
政府参考人
(海上保安庁長官) 石井 昌平君
国土交通委員会専門員 鈴木 鉄夫君
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委員の異動
十一月十日
辞任 補欠選任
小林 鷹之君 山口 晋君
小林 史明君 古川 直季君
中川 郁子君 岸 信千世君
古川 康君 中川 貴元君
武藤 容治君 三ッ林裕巳君
小熊 慎司君 櫻井 周君
高橋 英明君 小野 泰輔君
同日
辞任 補欠選任
岸 信千世君 仁木 博文君
中川 貴元君 鈴木 隼人君
古川 直季君 牧島かれん君
三ッ林裕巳君 武藤 容治君
山口 晋君 小林 鷹之君
櫻井 周君 小熊 慎司君
小野 泰輔君 高橋 英明君
同日
辞任 補欠選任
鈴木 隼人君 古川 康君
仁木 博文君 中川 郁子君
牧島かれん君 小林 史明君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○長坂委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長寺田吉道君、大臣官房公共交通政策審議官石原大君、大臣官房土地政策審議官中田裕人君、国土政策局長黒田昌義君、水管理・国土保全局長廣瀬昌由君、住宅局長石坂聡君、鉄道局長村田茂樹君、物流・自動車局長鶴田浩久君、航空局長平岡成哲君、観光庁次長加藤進君、海上保安庁長官石井昌平君、内閣府規制改革推進室次長渡辺公徳君、消費者庁政策立案総括審議官藤本武士君、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君及び林野庁林政部長谷村栄二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○長坂委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。佐々木紀君。
○佐々木委員 おはようございます。自由民主党の佐々木紀です。
私は、今、党の国土交通部会長を拝命しております。
今日はよろしくお願いいたします。
今日は、閣議決定予定の補正予算について質疑をしたいと思いますが、その前に、ライドシェアについて少し言及をしたいと思います。
このライドシェアですけれども、ちょっと、言葉だけが先行していくということが、大変私は懸念をしております。一般的なライドシェアというと、二種免許のないドライバーが自家用車を使って、ドライバー個人が責任を負う形で、アプリでマッチングをしてやっていくということですけれども、この完全なライドシェアというのは、なかなか日本ではなじまないのではないか。安全、安心をいかに担保しながら、ドライバー不足やタクシー不足を解消につなげていくか。安全、安心を最優先に考慮していくということが大事なんだろうと思っています。
また、タクシー不足、ドライバー不足といいましても、地域によって、あるいは時間帯によって事情が違うということもありますから、もし仮に、こういったアプリを使ってマッチングをやろうとするならば、地域の事情に即した形で、運転手と車両と、そして責任をアプリでどう組み合わせていくかといった、地域版のライドシェアということになっていくのではないかなと思います。したがって、全国一律で導入をしていくというのはなかなか難しいんだろうと思います。
その前に、まずは今の枠組みを使って最大限対策をやっていくということだと思います。例えば、二種免許の取得支援、これは補正予算にも盛り込まれておりますけれども、ということであったりとか、あるいは二種免許の取得要件の緩和というか、短期間で取得できるようにしていくとか、規制緩和なんかもやりながら既存の枠組みを最大限に活用していくといったことが必要なんだろうと思います。
私、今日は資料を用意しております。お手元の資料を見ていただきますと、国交省からは、タクシー不足に対応する緊急措置ということで資料がございます。
例えば、タクシーがない地域では、この二番にある自家用有償、もうこれを徹底的に積極活用するであるとか、あるいは時間帯によって不足するところは、女性、パートタイム運転者の拡大とか、こういったことをやはりやっていくということ。あるいは、都市部や観光地で慢性的にタクシーが不足しているようなところは、三番目にあるような対策をして、何とか、地域の実情に沿った供給の在り方というのを考えていくということが大事なのではないかなと思います。
国が一律の形を求めるのではなくて、地元の、業界の声も聞きながら、地域の実情に即した形で移動の足を確保していくということが大事なのではないかと思いますけれども、国交省としての見解をお聞かせいただければと思います。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
利用者の需要に応える、これは大変重要でございます。特に、現在、地域や時間帯によって需要に供給が追いつかない状態が生じていることは、解決すべき喫緊の課題であると考えております。
国土交通省としましては、委員御指摘のとおり、パートタイム運転者の拡大によるタクシーの供給力回復や、自家用有償旅客運送の徹底的な活用を図っていくことが重要と考えておりまして、これらを緊急的に実施する緊急対策を、十月十八日の観光立国推進会議において決定、公表したところでございます。
御指摘のありました地域の実情ということで申しますと、現在、政府において、地域交通の担い手や移動の足の不足といった深刻な社会課題に対応するため、地域の自家用車、ドライバーの活用などを検討しているところです。先日開催されました規制改革推進会議の地域産業活性化ワーキング・グループにおいても、地方公共団体の首長の皆様方から、先ほど申し上げた自家用有償旅客運送制度をより使いやすくしてほしいなどの御意見をいただいたところでございます。
今後とも、関係者の皆様の御意見をお伺いしながら、地域の実情に応じた形で移動の足が確保されるよう、制度の改善も含め、しっかりと取り組んでまいります。
○佐々木委員 ありがとうございます。
今の枠組みの中で、徹底的にドライバー不足、タクシー不足解消に向けて取り組んでいただきたいと思います。
二種免許のない方を活用するという、これがやはりハードルが大変高いんだろうと思っています。ただ、地域の理解が得られれば、例えば道路運送法七十八条の柔軟な解釈などをして、できないこともないのかなとは思ってはいるんですが、いずれにしても、地域版のライドシェアを考えていかなきゃいけないんだろう、そういうふうに思っております。
ライドシェアについてはこの辺にしておきまして、本日のテーマでございます補正予算について質問をさせていただきたいと思います。
政府は、十一月二日、総合経済対策、閣議決定をしていただきまして、本日、補正予算、閣議決定予定というふうに伺っております。自民党の国土交通部会としては、シンプルで分かりやすく、インパクトのある提言をまとめさせていただいて、その内容がそのまま盛り込まれているというふうに伺っております。
物価高、二〇二四年問題、観光、国土強靱化、海上保安、これらを重点事項として盛り込んで、予算においてインパクトとめり張りをつけていただいたと評価しておりますけれども、この補正予算の仕上がり具合について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○斉藤国務大臣 閣議決定していただいた経済対策、デフレ完全脱却のための総合経済対策、これを裏づける今回の補正予算でございます。御党からも御提言いただきました。しっかりと盛り込まれるように、我々も政府と交渉してきたところでございます。今日のこの後、閣議決定されるという予定でございます。
具体的には、国土交通省関係では、現下の資材価格の高騰等を踏まえた防災・減災、国土強靱化の推進、生産性向上に資する道路、港湾等のインフラの整備、子育て世帯に対する省エネ住宅の取得支援、物流の革新の実現に向けた取組、持続可能な観光の推進、地域公共交通のリデザイン、海上保安能力の強化などを盛り込んでまいりたい、このように考えております。
引き続き、この経済対策の目標であるデフレ完全脱却に向けて、しっかりとこの補正予算を使って頑張りたいと思います。
○佐々木委員 是非よろしくお願いしたいと思います。
国土交通政策というのは、行政というのは、まさに国民生活を支え、また、国民にとって最も身近で関心の高い事項ばかりでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
では、順番に取り上げていきたいと思います。
まず、物価高対策でございますけれども、住宅と、そして公共事業、国土強靱化予算の予算額、事業量をしっかり確保することについて取り上げたいと思います。
まず、住宅についてですけれども、住宅価格は大変高騰しておりまして、これまでも、こどもエコすまい支援事業というものを活用して、これは、昨年の補正予算で一千五百億、今年の当初予算でも二百億積んでいただいたわけですけれども、本年九月二十八日に早々と予算案の上限に達して終了してしまった、大変人気のある事業ですけれども、住宅価格が高騰している中、引き続き、子育て世帯、若者夫婦世帯にZEH住宅の取得などを支援していくべきだと思っています。
このリフォームを含む新たなこどもエコすまい支援事業の後継事業について、これまで以上の予算をしっかり確保して、子育て世帯や若者夫婦世帯、省エネ住宅の取得を支援していくべきだと考えますけれども、国土交通省の見解を教えてください。
○石坂政府参考人 お答えいたします。
住宅価格が上昇する中、子育て世帯、若者夫婦世帯が省エネ住宅を取得できるようにすることは重要であると考えてございます。
九月に受付を終了しましたこどもエコすまい事業でございますけれども、約十三万五千戸のZEH住宅への支援を行いました。これによって九千五百の事業者がZEH住宅の建築を行うようになり、地域の中小工務店など、ZEH住宅に対応できる事業者の裾野が拡大しつつございます。
国交省としましては、経済対策に、質の高い住宅ストック形成に関する省エネ住宅への支援が盛り込まれたことを踏まえ、こどもエコすまい事業の後継事業として、必要な事業費を確保し、しっかりと省エネ住宅や省エネ改修について取り組んでまいりたいと考えてございます。
○佐々木委員 是非大幅な予算を獲得していただきたいと思います。
この事業によって、やはりZEH住宅がかなり増えました。地方にも、このZEHに取り組む中小の工務店も増えてきているので大変いい事業ですし、ZEHにとどまらず、更にその先の長期優良住宅とかに対しても広がっていくように、そのような補正予算の組み方をしていただきたいなと思っております。
次に、公共事業についてお伺いします。
公共事業も、資材価格の高騰や労務単価の上昇などで、予定していた事業、これまでどおりの予算だと、なかなかその事業が着実に進んでいかない、事業量が減っていくということになるわけですから、これも必要な事業量を確保するには、それなりの予算を積まなきゃいけないということなんだろうと思います。
同様に、国土強靱化予算、五か年加速化対策についても同様です。昨今は気候変動によって災害リスクも高まっておりますし、災害も激甚化、頻発化しているわけでございますから、こういったことを考慮すると、着実な事業を推進するだけの予算、必要な予算を確保する必要があろうかと思います。
特にこの五か年加速化計画は、ロケットスタートを切っておりまして、かなりハイペースで予算をつけていただいて、そういう事業も実施してきているわけです。供給量も施工余力もあるわけですけれども、生産性向上に資する道路ネットワークの整備、いわゆる新たな道路整備、これも、これまでどっちかというと補正頼みでやってきています。やはり当初でやろうとすると、老朽化対策であるとか長寿命化対策にどうしても予算が割かれて、新たな道路ネットワークをつくろう、つなげようと思うと、やはり補正でしっかり積んでいかなきゃいけないということでもございます。ここで息切れしてはいけないわけでございまして、地方の大きな期待もあるわけでございます。
そこで、現下の資材価格の高騰や労務費の上昇なんかも踏まえた公共事業の事業量、必要な事業量をしっかり確保するだけの十分な予算の確保に向けた国土交通省の考えと、五か年加速化対策の着実な推進、そしてまた、その後の切れ目なく取り組んでいくんだという強い決意を聞かせていただきたいなと思います。
○寺田政府参考人 公共事業についてお尋ねをいただきました。
まず、大前提として、必要なインフラを着実に整備していくこと、これは不可欠だと考えてございます。
御指摘のとおり、資材価格が高騰している状況も踏まえまして、適切な価格転嫁が進むよう促した上で、必要な事業量を確保しつつ、社会資本整備を着実に進めるべきと認識をしております。
補正予算における措置も含めまして、今後とも必要かつ十分な公共事業予算の安定的、持続的な確保にしっかりと取り組んでまいります。
○黒田政府参考人 国土強靱化の部分について御答弁をさせていただきます。
これまで、五か年加速化対策を踏まえまして重点的かつ集中的に対策を講じることで、全国各地で着実に効果を発揮してきておりまして、引き続き着実に、かつ計画的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
また、委員御指摘のとおり、昨今、気候変動に伴います自然災害の激甚化、頻発化、大規模地震の切迫、インフラの老朽化などが懸念されていることから、更に国土強靱化の取組を進めることが必要であると考えております。
さきの通常国会におきまして、国土強靱化実施中期計画、これが法定化をされまして、これによりまして、五か年加速化対策後も継続的、安定的に切れ目なく国土強靱化の取組を進めることが可能となったわけでございます。
この実施中期計画の策定に向けまして、これまでの施策の実施状況の調査を進めていくなど、国土強靱化の取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
○佐々木委員 是非お願いします。
昨年の補正予算では公共事業全体で二兆円ほどいただいているわけでありますけれども、昨年からも、もう五%ほどコストも上がっていることもありますから、やはり更に予算を取っていかないと必要な事業量が確保できないということでございますので、是非お願いをしたいと思います。
続きまして、物流について、物流の二〇二四年問題についてお伺いしたいと思います。
政府は、令和五年六月二日に物流革新に向けた政策パッケージ、そして十月六日には緊急パッケージというものを決定をしております。物流の効率化や荷主、消費者の行動変容のための予算をやはりしっかり確保して、これらのパッケージをしっかり推進をしていくということなんだろうと思います。商慣行の見直しも必要でしょうし、適正な運賃収受、ドライバーの処遇改善、あるいは場合によっては制度改正なんかも早急に進めなきゃいけないと思っています。
今回の補正予算では、個人的には、GXを考えたときは、いわゆるモーダルシフト、鉄道貨物にやはり配慮していかなければいけないですし、再配達削減に向けた取組、これも注目をしているところでありますけれども、どのような内容になるのか。持続可能な物流の実現に向けた国交省の取組についてお伺いします。
○鶴田政府参考人 御指摘のありました緊急パッケージでは、三本柱で取り組むこととしています。
一つ目は、物流の効率化です。
早急に物流施設の自動化、機械化等によって生産性を向上するとともに、中長期的なカーボンニュートラルな観点からも、御指摘のあったモーダルシフトを今後十年程度で倍増させるべく、早急にコンテナの大型化等から着手いたします。
二つ目は、荷主、消費者の行動変容です。
御質問のありました再配達ですけれども、消費者が再配達の削減に取り組む、これを目指しまして、消費者が注文するときにコンビニ受取のような物流負荷軽減に資する受取方法などを選択した場合にポイントが還元される仕組み、これを社会実装すべく実証事業を行いたいと考えております。
三つ目は、商慣行の見直しです。
適正運賃の収受や賃上げに向けて標準的な運賃を見直すこと、また、物流負荷の軽減に向けた計画の策定を荷主に義務づけることを含めまして、次期通常国会での法制化の準備を進めております。
国土交通省としましては、必要な予算を確保しつつ、関係省庁や関係業界と連携して、しっかりと進めてまいります。
○佐々木委員 緊急パッケージで今できることをすぐやっていくということを是非お願いしたいというふうに思います。
次に、観光についてお伺いします。
地方の成長の実現には、やはり観光というものが大変大事なんだろうと思っています。我が国にとっても、観光は成長戦略の柱でございます。コロナ禍後の観光立国復活への歩みを確かなものとするために、内外の観光客を地域に、地域社会、経済の好循環を生み出すために、いかにそういう流れをつくっていくか、持続可能な観光地域づくりというのが必要になるんだろうと思います。
地方への誘客促進とともに、地域の自然、文化の保全と観光との両立を図りながら、観光地、観光産業の再生、高付加価値化、これが大事でございますし、最近はオーバーツーリズムということも聞こえてまいりましたので、この対策も大事かと思います。国土交通省の今後の取組についてお伺いします。
○斉藤国務大臣 佐々木委員がおっしゃるとおり、観光というのは、これから地方活性化の一つの大きな柱でございます。
外国から来ていただく方に、インバウンドの方に五兆円消費していただく。また、日本人の国内旅行、これも二十兆円を目指す。そのときに、いかに地方に来ていただくかということが一つの大きなポイントになります。
今回の緊急対策、また補正予算でも、地方誘客のため、観光地の魅力を向上させる、そういう高付加価値化事業、再生事業、これを盛り込んでいるところでございます。しっかり頑張っていきたいと思います。
○佐々木委員 申し訳ございません、ちょっと通告を忘れておりました。
いずれにしても、高付加価値化の事業、これは非常に大事でございまして、これにしっかり予算をつけてくれということをお願いをしておきたいと思います。
次に、公共交通についてお伺いします。
コロナで、公共交通、大変大きなダメージを受けました。そしてまだ、更にこれからリデザインをどうやっていくかといったことです。
今日はバスと航空についてちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、バス支援、地域にとってはもう本当に最後のとりででございます。ただ、コロナで大変経営が悪化して、最近では、地方どころか都市部でも路線を維持することが大変難しくなってきております。
一方で、DXやGXにも対応しなきゃいけないということで、来年は新札が発行されるということで、運賃箱も改修しないといけないということで、なかなか経営が大変な上に、また更なる投資をやむなくされているということでございまして、こういったキャッシュレス化への対応も喫緊の課題なんだろうと。また、EV化、こういったこともしていかなきゃいけないというわけです。
また、何とか路線を維持するべく、赤字を埋めるような制度、補助制度も持っているんですけれども、これも地域ブロック平均単価と実勢コストと物すごい大きな開きがあって、なかなかそれも穴埋めにつながっていないというようなこともございます。
こういった一連の課題について、国交省の今後の取組についてお伺いしたいと思います。
○石原政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま委員御指摘ございましたように、路線バスにつきましては、人口減少や新型コロナの影響を受けました利用者の減少とドライバー不足により大変厳しい経営状況にある、このように認識してございます。
こうした状況に対しまして、国土交通省としては、さきに閣議決定されました経済対策において、キャッシュレス化やEVバスの導入といったバス事業者によるDX、GXの取組に対する支援を行うこととしてございます。
また、こうした支援に加えまして、現在の厳しいバス事業や経済動向を踏まえまして、路線バスの運行補助制度において、御指摘いただきました実勢コスト、これを適切に勘案できるようブロック平均単価制度を見直すべく、必要な予算、これを令和六年度当初予算におきまして現在要求しているところでございます。
国土交通省としては、引き続き、さきの通常国会で成立した改正地域交通法や関連予算を活用して、路線バスを含めた地域公共交通のリデザインを推進してまいります。
○佐々木委員 是非よろしくお願いいたします。地域ブロック平均単価を実勢コストに、是非見直しをしていただきたいと思います。
続きまして、空港業務、航空についてちょっとお伺いします。
航空需要、何か戻ってきたように言われておりますけれども、実際は、国内線はまだまだ厳しいといったところでございまして、いわゆるグラハン、グランドハンドリングや保安検査、こういう空港を支える、空港業務を支える担い手が大きく減少しております。今後、インバウンドを取り込んでいくためにも、こういった人材の確保が大変必要でございます。
まず、グランドハンドリングの体制整備について、地方自治体なんかも巻き込んでやっていく必要があろうかと思っておりますし、最近は地方空港よりも羽田が大変遅延もひどくて、うわあ、何か大変そうやなと自分も利用者の一人として感じるわけでございますけれども、是非、円滑に運営できるようにお取り組みをいただきたいと思っておりますけれども、国交省の今後の取組についてお聞かせいただきたいと思います。
○平岡政府参考人 お答えいたします。
航空機の運航に不可欠なグランドハンドリングや保安検査を始めとする空港業務は、一時はコロナ禍前から人員が約二割減少するなど、人手不足に直面しております。
今後のインバウンド需要を取り込み、空港機能の持続的な維持発展を図っていくためには、空港業務を担う人材の確保、育成等を進めていくことが重要であります。
国土交通省では、本年六月、有識者会議において、処遇改善や生産性向上などが盛り込まれた、空港業務の持続的発展に向けたビジョンの中間取りまとめを公表いたしました。
この中間取りまとめを踏まえた取組を着実に進めていくには、委員御指摘のとおり、地方自治体を始めとする地域の関係者が一丸となって取り組むことが重要であると考えております。このため、各空港に地域の関係者から成るワーキンググループを設置し、地域の実情に応じた対策を推進しているところでございます。
国土交通省といたしましては、今般の経済対策に空港業務の体制強化が位置づけられていることを踏まえまして、処遇改善や生産性向上などの実現に向けた取組を全力で支援してまいりたいと考えております。
また、羽田空港における遅延について御指摘がございました。
コロナ禍が明け、航空便数、旅客数が回復する中で、国内の航空便の定時性が低下傾向にあるというふうに承知しております。具体的には、羽田空港を含む国内線全体の遅延率でございます。これは、定刻より十五分以上遅れて出発した便の割合で算出をしておりますが、コロナ禍前の令和元年度第二・四半期の一四・四%から、今年度の第二・四半期は一七・七%に上昇しております。
遅延の要因といたしましては、天候などの理由による遅れのほか、機材繰りのため、後続便へ玉突き的に遅れが波及することなどが主たる要因と承知しておりますが、詳細につきましては、航空会社に現在聞き取りを行いつつ、分析を進めているところでございます。
航空局といたしましては、こうした分析を踏まえながら、今後、行政、事業者双方の観点から具体的な対応策を検討し、速やかに実施してまいりたいと考えております。
○佐々木委員 是非よろしくお願いしたいと思います。
最後になりますけれども、海上保安能力の強化についてお伺いします。
昨年十二月、新たな国家安全保障戦略を踏まえました海上保安能力強化に関する方針が策定され、巡視船、航空機等の増強など、海上保安能力の一層の強化の方針が示されたところです。
一層厳しさを増す我が国周辺海域の安全保障環境に的確に対応して、我が国の領土、領海の治安維持を図るため、海上保安能力の強化にどのように取り組んでいくか、見解をお聞かせください。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、厳しさを増す我が国周辺海域の情勢を踏まえ、新たな国家安全保障戦略等の策定に合わせまして、昨年十二月に海上保安能力強化に関する方針が決定されました。
同方針に基づき、海上保安庁では、大型巡視船等の大幅な増強整備などのハード面の取組に加え、無操縦者航空機等の新技術の活用や、自衛隊を始めとする国内外の関係機関との連携協力の強化、サイバー対策の強化、人的基盤の強化などのソフト面の取組を推進することにより、海上保安能力を強化してまいります。
引き続き、海上保安庁では、我が国の領土、領海を断固として守り抜くとの強い決意の下、必要な予算や人員の確保を含め、海上保安能力を一層強化し、我が国周辺海域の領海警備に万全を期してまいります。
○佐々木委員 どうもありがとうございました。
今日、国交省の取組をお聞かせいただきましたけれども、それらを着実に推進していけるだけの予算、是非つくっていただいて、国会で審議し、速やかに国民にお届けしなきゃいけないということでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げて、私の質疑を終えたいと思います。
ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、國重徹君。
○國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。
私、初めて国土交通委員会に所属させていただきます。どうかよろしくお願いします。
物流の二〇二四年問題、大臣も所信的発言でおっしゃっていたとおり、まさに喫緊の課題です。今日は、この物流業界の課題の中でも、特に多重下請構造の問題、ここに焦点を絞って、二十分という限られた時間でありますので、質問をさせていただきたいと思います。
現場のドライバーが適正な賃金を受け取れていない、その根本的な要因の一つが多重下請構造です。もちろん、運送業界において一定の下請が必要なことは私理解をしております。全てが悪いものとは思いません。とはいえ、余りにも下請構造が多重化して、多層化して、それぞれの下請が手数料として中抜きをしていく、その結果、実運送事業者が適正な運賃を受け取れない、現場のドライバーに適正な賃金が行き渡らない、こういった状況を是正しないと運送業の未来はありません。
そこで、斉藤大臣、政府としても、多重下請構造の是正に向けて、今様々手を打たれようとしていること、承知をしておりますけれども、今後具体的にどのように施策を講じていくつもりなのか、これは確認の意味ですけれども、答弁を求めます。
○斉藤国務大臣 多重下請構造の是正に向けては、政策パッケージ等に基づきまして、緊急性の高い取組から速やかに実行しております。
まず、年内を目途に、トラック運送事業者が参考とすべき標準的な運賃を見直す中で、下請に発注する際の手数料を荷主に求めることとし、その標準的な水準を示すべく検討を進めております。
さらに、今月と来月の二か月間を集中監視月間として、トラックGメンが厚生労働省の労働基準部局や中小企業庁などの関係省庁と連携して、運賃・料金の不当な据置き等を行う悪質な荷主に対し、要請、勧告、公表を含む指導を強化することとしております。
こうした取組に加えて、実運送体制管理簿による運送体制の可視化や、契約条件の明確化のための電子化、書面化を含め、法制化に取り組んでいるところです。
○國重委員 今大臣がおっしゃられた、運送体制の可視化、見える化、今、多くの荷主、元請、最終的に何次下請までいっているのかという、この実態さえ把握できておりません。
まずは、これを見える化するために、実運送体制管理簿の作成を義務化する、これは一歩前進です。ただ、その上で、これを作っただけで多重下請構造は解消できるのか、実運送体制管理簿、この管理簿によって実態が把握できたとして、それを元請や荷主がどう受け止めて、どう改善していくのか、どう行動変容をしていくのか、ここが肝になります。
斉藤大臣、国交省として、管理簿を作らせて、それをどう活用、展開していくおつもりなのか、どう多重下請構造の是正につなげていくおつもりなのか、お伺いします。
○斉藤国務大臣 実運送体制管理簿による運送体制の可視化によりまして、荷主等が運送全体の状況を把握することが可能となります。
これにより、例えば、元請事業者が荷主に対して、実運送事業者が収受すべき運賃に、必要な下請手数料を上乗せた金額を収受すべく交渉を行うことや、荷主が、運送コストの適正化の観点から、過度な下請構造を回避する取組に協力することなどによりまして、多重下請構造が是正され、実運送事業者が適正運賃を収受できる環境の実現が期待されます。
○國重委員 期待されるということですけれども、この管理簿によってどのような効果が実際に生じたのか、このこともしっかりと検証して、更なる効果的な手を打っていただきたいというふうに思います。
まずは、多重下請構造そのものにメスを入れていく。ただ、急にこれが大きく改善されるかというと、やはり一定の時間がかかるかもしれません。だからこそ、下請構造があったとしても実運送事業者が適正な運賃を確保できるような仕組みづくり、これも同時に進めていかないといけません。
この点、国交省は、実運送事業者が適正な運賃を受け取れるように、年内に、標準的な運賃、これを見直す方針を掲げています。先ほど答弁のありました下請手数料、これ以外にも、荷待ち、荷役費用、燃料高騰分なども荷主に適正に転嫁できるよう検討を進めている、このように聞いています。
ただ、下請手数料を荷主に適正に転嫁できるように、こういうふうに言っても、最終的に何次下請までいくというのは個々の取引で異なります。荷主と元請との間で契約を結ぶ時点では、最終的に元請が何次下請までいくというのは、これは個々の取引で違いますから、分からないと思います。管理簿が作成されるのは、その契約より後の時点になります。であれば、元請は一体どうやって適正な下請手数料を荷主に請求するのか。適正な下請手数料というのはどのように国交省として算出していこうとしているのか、お伺いします。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御指摘いただきました下請手数料ですけれども、まずは元請事業者が、実運送事業者に至るまでの運送全体の状況をしっかり把握して荷主との運賃交渉に臨んでいただくという考えでございます。
その際、下請運送事業者が更に下請に再委託をする、そういった場合、その再委託を受けた事業者が適正な運賃を収受できるか、これに配慮する必要がございます。下請事業者においては、自ら運送することができない、これが明らかにもかかわらず運送を引き受けて、それを再委託する、そういった措置は控えていただく必要がございます。実運送事業者の適正な運賃収受に向けた取組には、このように多くの関係者の協力が必要だと考えてございます。
さらに、著しく低い運賃での委託など、適正取引を阻害する疑いがある元請事業者に対しましては、トラックGメンによる是正措置の対象になります。
こうした取組を通じて、取引環境の適正化に努めてまいりたいと考えております。
○國重委員 答弁をいただきましたけれども、必ずしも真正面から答え切れていないような気がします。
私、実際の下請間の取引で抜き取られる下請手数料という金額、これはばらつきが大きくて合理的な算定根拠もない、このようにも指摘されております。こういった中で、適正な下請手数料をどう算出をして荷主に請求をしていくのかというのは更に検討が必要だと思いますので、深掘りを是非よろしくお願いします。
標準的な運賃とよく言われますけれども、この標準的な運賃というのは、荷主と元請との間で決められるものではないというか、元請が受け取る運賃ではなくて、実運送事業者が受け取るべき運賃の指標であります。でも、実際は、荷主と元請との間では標準的な運賃だったとしても、その後の下請、どんどん下請していく中で、これがまたどんどん乖離していく。
私も、この質問をするに当たって、幾つもの運送事業者、またドライバーの方からも話を聞きましたけれども、標準的な運賃なんて理想論だ、罰則があるわけじゃないし、平然と標準的な運賃を下回る格段に安い運賃を提示される、応えないと仕事が回ってこなくなる、こういった声も伺いました。
今日は時間の関係で多くは紹介できませんけれども、こういった声がある中で、標準的な運賃を見直した上で、じゃ、末端の実運送事業者の運賃が実際にどう変わったのか、しっかりと実態を把握して効果を検証していかないといけません。
そのためには、実際に運賃がどのくらい支払われて、どこで、どのくらい中抜きをされているのか、これを外部的に明らかにしていけば、一定、これは抑制されていくと思います。その手段として、例えば、先ほどの管理簿、どういうふうなところに下請を出していくのかというのを書く管理簿だと思いますけれども、ここに、それぞれの運賃、またあるいは下請手数料、こういったものを記載することも一つの案だと思います。
事業者にとってこの管理簿が過度な負担になってはならないということは、私は、これはよく分かります。他方で、実効性の確保も必要になります。両者のバランスを見てではありますけれども、運賃についてはしっかりと見える化をすることで、実運送事業者の適正な運賃収受を促進することにつながるのではないかというふうに考えます。これに対する見解をお伺いします。
○鶴田政府参考人 今御指摘いただきましたように、標準的な運賃は、荷主と実運送事業者に必要な額が届く、これが重要であると考えております。その観点で、制度については更に深掘りをしてまいりたいと思います。
その際、今、実態把握と効果検証にも資するということで御指摘をいただきました。現在、実運送体制管理簿に記載する事項を含めまして、制度の詳細については、次期通常国会での法制化に向けて、まさに検討を進めているところでございます。
今いただきました御指摘を踏まえまして、実運送事業者の適正運賃収受に効果がある制度となるよう検討を進めてまいります。
○國重委員 是非、検討をよろしくお願いします。
これまで述べてきました管理簿による運送体制の見える化、また標準的な運賃の見直し、こうした取組が、荷主と元請の間だけではなくて、しっかりと下の階層、下請間の取引まで効果を及ぼして、最終的に実運送をしているトラックドライバーの皆さんに適正な運賃が支払われる、こういうことにつながるように実効性を担保していく必要があります。
どうやってこの実効性を担保していこうと考えられているのか、大臣に伺います。
○斉藤国務大臣 運送体制が可視化されてもなお実運送事業者の適正運賃収受を妨げる悪質な荷主や元請事業者に対しては、トラックGメンによる貨物自動車運送事業法に基づく要請、勧告、公表などによる是正措置を徹底したいと思います。
国土交通省としては、関係省庁、産業界と緊密に連携し、適正な取引環境の実現に向けて全力を尽くします。
○國重委員 これまで様々な、今、やり取りをさせていただきましたけれども、業界の実態を踏まえますと、私自身は、多重下請構造というのは是正していかないといけないと思っています。ただ、今すぐにドラスチックに変えるということも現実的には難しい。かえって物流の現場を混乱、停滞させてしまう危険性もあるようにも思います。
ただ、何次下請までしか駄目だというのは、今はすぐにはできないとしても、これは将来的に、多重下請構造について、例えば何次ぐらいまでが基本的には適正だとかいうような、今後のあるべき姿、ビジョンというのも示していくことも私は大事なのではないかというふうに思っております。
これについて、大臣の見解をお伺いします。
○斉藤国務大臣 多重下請構造の是正に向けては、実運送体制管理簿による運送体制の可視化が、標準的な運賃の在り方や悪質な荷主や元請事業者の是正と相まって効果を発揮すると期待されます。
国交省としては、まず、これらの取組をしっかりと推進することにより、多重下請構造の是正に努めます。
また、実運送体制管理簿のみならず、契約条件の明確化のための契約の電子化、書面化を含め、次期通常国会での法制化に取り組んでいるところであり、トラックドライバーの賃上げの原資となる運賃の適正化に向けて全力を挙げていきたい、このように思っております。
○國重委員 大臣としては、現下の取組、まずはこれをしっかりとやっていくということです。私としては、先ほども申し上げましたとおり、それに全力を尽くすことはもちろんですけれども、この将来のあるべき姿というのも、しっかりと現場の声を聞きながら、また、諸外国の状況等も見ながら考えていくということも大事だと思いますので、また更なる検討をよろしくお願いします。
最後の質問にさせていただきます。
多重下請構造、この管理簿を作っていく、また、私は、この管理簿の中に運賃も入れたらいいんじゃないかとか、いろいろなことも言いましたけれども、この是正する取組の一つに、民間で行っている求貨、求車のマッチングシステムがあります。要は、荷物とドライバーとを結びつけるプラットフォームで、現在、様々な事業者が参入をして、サービスを提供しております。迅速で効果的なマッチングが可能になって、物流業界の課題解決に向けた大きな可能性を持つ、このように私は評価をし、期待をしております。後押しをしていくべきものだと思っております。
他方で、その導入、普及に当たっては、まだ様々な課題があることも承知をしております。例えば、物流は信頼関係の下で成り立っていますけれども、一度きりのマッチング相手には信頼性に懸念がある、特殊な軒先条件の設定があるかどうか分からない、輸送品質が分からない、こういったことも指摘をされています。
この点、国交省は、これまで、こうしたシステムが活用しやすくなるように、物流情報の標準化を進めて、標準的なフォーマットである物流情報標準ガイドラインを示してきました。今後、このフォーマットを更にバージョンアップをして、今指摘しました求貨、求車システムが抱えている課題を克服できるような中身へと進化させていっていただきたいと考えますけれども、いかがでしょうか。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘いただきました物流情報標準ガイドラインでございますが、これは、今年三月まで三年をかけまして、官民で協力して物流、商流に関するデータ項目などの標準形式を定めたものでございます。これを活用して、既に業種横断的に共同輸配送などに取り組む事例も出始めていると承知しています。
今御指摘のありましたように、他方で、求車、求貨システムの利用に当たっては、特殊な軒先条件、それから商慣習などについて、より詳細な情報を登録できるようにしてほしいという御意見があるというのは我々も承知してございます。
今後、このガイドラインのバージョンアップを行っていく段階で、御指摘いただいたような課題を含めまして、このガイドラインがユーザーのニーズにマッチしたものになるように、国土交通省としても、引き続きしっかり取り組んでまいります。
○國重委員 二〇二四年問題、ございます。物流は、日本の産業を支えるまさに経済の血流でありますので、今日は時間の関係で多重下請構造に焦点を絞って質問させていただきましたけれども、本当に課題山積でありますので、大臣を先頭に、本気になってこの課題に切り込んで、末端で働くドライバーの皆さんが本当に適正な賃金が受け取れて、この運送業界の未来が開かれるような、そういった取組を是非進めていっていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、小宮山泰子さん。
○小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。
まず、改めて、斉藤大臣、再任おめでとうございます。岸田内閣発足からずっと大臣を務めている大臣はなかなかおりません。この経験を是非生かしていただくとともに、この国土交通委員会は意外に、国土の健全な発展を目指して、与野党、仲よくとまではいかないかもしれませんけれども、非常に闊達な、修正案であったりと、良好な関係を保っております。是非、三権分立の中で、私たちの意見、また聞いていただいたり、取り入れていただくこと、そのこともお願いいたしまして、更なる御活躍を期待しております。
さて、まず最初に、新型コロナが明けてきまして、インバウンドの復活と課題についてお聞かせください。
ブッキングドットコムの宿泊事業者への入金遅延についてお伺いいたします。
日本の旅行業法が適用されていない外資系のオンライン旅行会社、海外OTAと日本の宿泊事業者の間で起きている、BツーBの取引でのトラブルに関してお伺いいたします。
宿泊施設がブッキングドットコムを介して旅行者に客室を販売し、宿泊サービス提供後にブッキングドットコムから支払われるはずの旅行、宿泊代金の入金について、大幅に遅れているとの報道がありました。
金融システムメンテナンスに伴う送金遅れは解消し、大半の支払いは再開されているとのブッキングドットコムの見解も伺っておりますが、新たに国際送金に係る送金遅れが十月頃に顕在化するなど問題が発生したために、一部の支払いが遅延しているのが現状であるとも聞こえております。取引先に対して直接連絡窓口を設けて対応していたようですが、現状、事態は収束されていないとも伺っております。
そこで、海外OTAとのトラブルから消費者を守っていく仕組み、制度が不十分なのではないか、また、そうした意識が薄いのではないかと感じております。観光庁、消費者庁には、ブッキングドットコムに関わるトラブルについて情報把握ができているのか、また、どのように対応しているのか、御回答ください。
○加藤政府参考人 お答え申し上げます。
ブッキングドットコム社による支払い遅延の問題に関しましては、日本法人を通じて同社に対し、事実確認を行っているところでございます。
原因といたしましては、七月のシステムメンテナンスの不具合により、全世界で取引のある宿泊事業者への送金がストップしたことによるものとのことでございました。八月十六日からシステムは復旧し、全ての取引相手への送金操作を済ませ、大半は既に着金済みとのことですが、国際送金の際の金融機関間の情報連携上のトラブルなどの技術的な問題により、一部事業者が未着金となっており、現在緊急に対応している状況とのことでございます。
観光庁におきましては、八月二十二日に、日本法人を通じてブッキングドットコム社に対し、宿泊事業者に対する丁寧な状況の説明と迅速な対応を指示したところですが、引き続き支払い遅延の状況が続いていたことから、十月十一日に改めての対応を求めたところでございます。
ブッキングドットコム社から十月三十日付で報告されたところによりますと、支払い遅延の最も多かった、これは九月とのことですが、九月に支払い遅延の影響を受けた約二千五百事業者のうち、同日時点で引き続き支払い遅延となっているのは十四事業者とのことでございました。
これを受け、今月六日に、ブッキングドットコム社の日本法人の代表に対し、未着金施設の数の精査、支払い遅延の早期解消、宿泊事業者等に対する正確かつ迅速な情報提供、さらには、支払い遅延の詳細な原因分析と再発防止などを要請したところです。
支払い遅延の早期解消に向け、引き続き、ブッキングドットコム社の対応をしっかりとフォローしてまいります。
○藤本政府参考人 個別の事案についてはお答えを差し控えさせていただきますが、消費者庁では、消費者がインターネットを利用した旅行予約におけるトラブルに遭わないようにするために、予約前にサイト運営事業者の基本情報を確認すること、予約後に予約内容をすぐに確認することなどのチェックポイントを消費者庁のウェブサイトに掲載し、消費者への啓発を行っているところであります。
また、国民生活センターによりますと、インターネットで予約した旅行に関する消費生活相談の件数は、二〇二一年度は約二千三百件であったところ、二〇二二年度は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う制限がなくなり、旅行する機会が増えたことなどから、約四千五百件と約二倍に増加しております。
こうした状況を踏まえまして、国民生活センターは、二〇二三年九月に、キャンセルの要件や契約内容をよく確認することなど、消費者向けに注意喚起を実施しております。
消費者庁としましては、引き続き、消費生活相談の状況も踏まえまして、啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
○小宮山委員 消費者庁の方にも、問合せ等、様々苦情等が入っているということで、増えているということではあるようです。
日本で旅行業登録を行っていない海外OTAなどの事業者は旅行業法の対象外となり、また、今回の送金遅れの原因も、当該OTA事業者のみにあるのではなく、国内と海外事業者での商習慣の違いとか、送金システム上の問題もある様子です。是非とも、国内ホテル、旅館業者ができるだけ不利益を被ることのないよう、関係省庁とも連携して対応していくよう要請をいたします。
観光庁の所見、決意をお聞かせください。
○加藤政府参考人 お答え申し上げます。
ブッキングドットコム社に対して、支払い遅延の詳細な原因分析と再発防止等を要請しているところです。その内容も踏まえ、必要に応じて関係省庁ともしっかり連携して、しっかりと対応してまいります。
○小宮山委員 ありがとうございます。
旅行等がまた活発に動き出すことによって、トコジラミの被害についてお伺いいたします。
南京虫の名前で知られ、刺されると強いかゆみを伴うトコジラミは、日本国内において一九七〇年代以降ほとんど見受けられなくなり、ほぼ撲滅に成功したというものであります。日常ではなじみはございませんが、二〇〇〇年代以降、欧米や豪州を始め、世界各地で被害拡大が報告されております。
フランスでは、トコジラミを駆除するため、各地で学校の休校、公共機関や公共交通、ホテル、劇場などが消毒のため閉鎖されて、社会問題となっているとも聞いております。
二〇二三年五月、全国旅館ホテル生活衛生同業組合では、「トコジラミに関する警戒のご案内」として、トコジラミに関する情報と対策を発信されております。
そこで、トコジラミ被害の防止のための注意喚起、対策方法などについて、周知徹底はどのように取り組まれているのか、御説明ください。
○鳥井政府参考人 お答えいたします。
トコジラミの被害ですが、最小限に抑えますためには、繁殖する前の早期発見、早期対処が重要でございます。
厚生労働省といたしましては、日本ペストコントロール協会とも連携し、保健所を設置している自治体の担当者向けに行う研修会において、トコジラミの効果的な防除法等を共有しておりまして、各自治体から、トコジラミ被害の防止のための注意喚起や対策等についての周知を行っていただいております。
また、厚生労働省からの補助金を受けて作成された旅館・ホテルのための害虫対策の手引書というのがありまして、これを全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会等を通じて周知を行っているところでございます。
今後とも、自治体や関係団体と連携し、トコジラミ被害の防止のための注意喚起、対策方法などの周知に取り組んでまいります。
○小宮山委員 新型コロナが明けて、日本も様々、訪日外国人も多く来ております。インバウンドの需要の回復、増加とともに、これはやはり、多くの観光客に対し、持ち込ませないためにも、水際対策は大変重要になってくると思います。
そのための注意喚起、厚生労働省だけではなくて、衛生面の問題だからといって、担当は厚生労働省かもしれませんけれども、この取組については、国交省においても、港湾局、海事局、航空局など、水際対策に係る部局が大変多くあります。
さらには、観光客に対しては、やはり注意喚起をするには観光庁が中心になってやるべきではないかと考えます。そのためにどのようなことをされるのか、是非、観光庁にも一言お願いいたしたいと思います。
○加藤政府参考人 お答え申し上げます。
海外からの入国に関しましては、一義的にはやはり水際で対応すべきものと考えておりますが、観光庁といたしましても、関係省庁からの要請があれば、旅行業の関係団体などを通じて海外渡航者に対し、注意喚起することを検討してまいります。
○小宮山委員 委員長、ちょっと速記を止めてください。
○長坂委員長 では、止めてください。
〔速記中止〕
○長坂委員長 起こしてください。
小宮山泰子さん。
○小宮山委員 ちょっと地震があったので止めさせていただき、皆さん、御協力ありがとうございました。
さて、本日も大分話題になっておりますライドシェア、白タク、有償運送事業などの定義と実態についてお伺いしたいと思います。
最近報道等でも多くなっておりますが、欧米諸国を始め各国で利用されているライドシェアが日本では認められていない、また、日本での対応が遅れている、タクシードライバー不足への対応として導入すべきといった言葉が添えられて、ライドシェアが取り上げられる場面が多く見られるようになりました。
一言にライドシェアと呼びながら、その指し示すものは、対象となる国や地域、語る人によって定義が曖昧となっているのではないでしょうか。
知人同士での無償での自家用車移動。既存のタクシーなどの枠組みの中で、同じ目的地へ移動のための他者の同乗といった、車両の中の座席をシェアするという意味でのライドシェア。また、自家用車を自ら移動の用に使っていない時間帯について、他者を乗車させ、希望の場所まで送っていき、その対価の授受が伴う、二種免許、許可事業という枠組みで行われている、運行管理、車両整備の責任を事業者により担保させるハイヤー、タクシーではない白タク、白ナンバーでのタクシーとなるライドシェア。こういった様々なことがあります。
是非、言葉の定義の内容、実態をどのように捉えているのか、また、海外などでの導入の実態など、その後の評価、メリット、弊害などについてどのように把握しているのか、国土交通大臣よりお伺いいたします。
○斉藤国務大臣 冒頭、ネクストキャビネット国交大臣の小宮山大臣から激励をいただきました。私もしっかり頑張りますので、よろしくお願いいたします。
ライドシェアとは、一般的に、アプリ等で自家用車、ドライバーと利用者をマッチングさせ、輸送サービスを提供するものであると考えていますが、決まった定義はなく、海外では様々な形態で運営されているものと認識しております。
いずれにいたしましても、国土交通省としては、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態で、有償で旅客輸送サービスを提供することは、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があり、認められない、このように認識しております。
○小宮山委員 業界関係者を招いて議論をした河野規制改革担当大臣は、規制を守るために難しくしているが、守るべきは規制ではなく、国民の移動の自由だとの発言があったそうです。
バスの規制緩和では、高速バスの規制緩和を行った結果、格安バスが増えたものの、安全性に問題があり、二〇一二年の関越道のバス事故、二〇一六年の軽井沢スキーバス転落事故など、重大な事故が起きたことにより、安全を守るために法改正、規制強化をしてきました。
そもそも、国民の移動の自由はあるのが日本です。現在の問題は、高齢化や人口減少など社会環境の変化、カーナビの普及や車両の安全技術など技術が進んだのに、現状にそぐわない規制やタクシー業界の規制が様々あり、起こっている不具合なんだと捉えることができます。ならば、この規制を見直すことから始めるのが、安全に国民が移動できる環境につながるのではないでしょうか。
また、自家用有償旅客運送、道路運送法七十八条の事業をライドシェアとして紹介している報道が見受けられますし、欧米で普及したライドシェアとの報道も聞かれますが、オンラインでの仲介も旅客運送業に当たるとした判決など、欧州の多くでは違法とされています。道路運送法に違反する白タク行為との報道も、私は見たことがほぼありません。
国土交通省国土交通政策研究所の分類を参考にすると、営利型ライドシェアや、また、非営利型ライドシェアなどあります。様々な解釈、言葉があり、都合よく使って、都合よく解釈され、都合よくライドシェア解禁論が善であるといった風潮は、人の命を乗せる有償運送において、冷静に考え、判断すべきと考えております。
ライドシェアと呼称するものが、本来の所管でない他省庁の諮問会議において議論に取り上げられておりますが、これまでの国土交通大臣のライドシェアに対しての見解は継続、堅持されるのか、改めてお伺いいたします。
○斉藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、これまでお示ししてきた認識については、何ら変わるものではございません。
○小宮山委員 ありがとうございます。しっかりと堅持をしていただければと思います。
さて、ユニバーサルデザインタクシーについて次にお伺いしますけれども、私自身も骨折をしたときに、様々、タクシーや公共交通を使わせていただきました。UDデザインの有効性と、実際に使うには改良すべき点があるんだということを体感いたしました。
UDタクシーについては、現在、新車販売されている車種はトヨタ製のジャパンタクシーのみとなっています。側面から乗り降りする、LPGを燃料としております。これも多くの皆様が御利用されたかと思っております。しかし、地域によってはLPGスタンドの利用が難しいところもあり、ガソリン車のUDタクシーを望む声が届いてきております。
また、けがをしたときに、横から入るのに、歩道からタクシーに乗るスロープだと角度が変わるので、角度が急ですと非常ランプが鳴ったり、非常に危険な思いもしたのも事実でもあります。
タクシー用に、後方の乗り降り可能なUDタクシー車両が新たに開発、販売、普及することが望ましいところですが、横から乗って座るとか、様々な工夫もできるかと思います。また、既存の福祉車両仕様のワンボックス車もUDタクシーとして認定されれば選択肢が広がり、事業者にも利用者にも有益だと考えますが、国土交通省の見解をお聞かせください。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省では、様々な人にとって利用しやすいタクシー車両の普及に向けまして、ユニバーサルデザインタクシー、UDタクシー車両の認定制度を設けているところでございます。
現在、このUDタクシーとして認定を受けていますのが、販売されているのはジャパンタクシーのみ。これは、御指摘のとおり、側面から乗降するものですが、障害の当事者団体の意見交換の中でも、後ろから乗り降り可能な車両についてもUDタクシーとして認定が欲しいという御要望をお聞きしております。
国土交通省としましては、そのような車両についてもUDタクシーとして認定できるよう検討を行っているところでございます。
引き続き、タクシーは重要な公共交通機関でございます、様々な人に利用しやすいように努めてまいります。
○小宮山委員 一般販売されているウェルキャブの大半は、後ろから乗るものが大半でありますので、是非前向きに、実現に向けて検討を進めていただければと思います。
あわせて、自動車重量税の免税措置が取られているのがUDタクシーでもあります。免税措置の延長、並びに、今取り上げていた福祉車両ワンボックス車をということ、また、これも同じく免税措置が取られるように、税制改正論議の時期でもありますので、是非前向きにというか、実際に働きかけもお願いしたいと思います。
大臣、うなずいていただいたみたいですけれども、通告はしておりませんが、その点、いかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 私も、ユニバーサルデザインタクシー、後ろ向き、後部ドアから入れるのがなぜユニバーサルデザインタクシーとしてまだ認められていないのか、昔はあったそうですけれども、今は認められていないという、今認められていないのではなくて、今実際に動いている、後部から入るユニバーサルデザインタクシーはないという現状を聞きました。
いろいろな当事者との、皆さんとの対話の中で、今はそうなっているようですけれども、今の御提言を踏まえて、しっかりとユニバーサルデザインタクシーが普及するように、しっかり頑張っていきたいと思います。
○小宮山委員 最後になりますけれども、高断熱、高気密住宅への、既存住宅への支援などについてお聞かせいただきたいと思います。
ZEHなど高断熱、高気密の住宅建築を促すべく、本予算、補正予算での補助事業が行われてきたこどもエコすまいは、本年度九月に予算上限に達して締め切られるほどに高い注目を浴びたと伺っております。
こどもエコすまいの後継事業には今後どのように取り組まれていくことになるのか。また、新築でのZEHなど、普及促進を否定するものではありませんけれども、膨大なストックに上る既存住宅の高断熱、高気密化のための改修支援をより重視すべきと考えます。さらに、こどもエコすまいの後継事業に取り組む際にも、既存住宅の高断熱、高気密化改修なども広く対象としていくべきだと考えておりますが、大臣の考えをお聞かせください。
○斉藤国務大臣 住宅ストックのうち、省エネ基準を満たしていないものが約九割あると推計されております。委員御指摘のとおり、ZEH住宅の新築のみならず、既存住宅の省エネ化を強力に進めていく必要があります。
こどもエコすまい支援事業では、約二十九万五千戸の省エネ改修の申請がなされ、既存住宅の省エネ化の促進に貢献しているものと考えております。
十一月二日に閣議決定された総合経済対策では、省エネ住宅の取得の支援を行うとともに、省エネ改修、断熱窓への改修、高効率の給湯器の導入支援についても盛り込まれたところでございます。
国土交通省としては、この総合経済対策も踏まえ、引き続き、経済産業省、環境省とも連携して、既存住宅の省エネ改修に積極的に取り組んでまいりたいと思います。
○小宮山委員 この夏は本当に暑く、また、エネルギーの高騰などがあります。そもそもは、やはり、エネルギーや燃料を使わないという意味では、このような高断熱、高気密の住宅というものが増えることというのは大変重要な施策だと思っておりますので、是非進めていただければと思います。
そして、委員長、課題、様々山積しております。今回は法案がない臨時国会でもありますので、こういったときに、是非、二〇二四年問題や上質な住宅ストック、無電柱化、上水道、流域治水や海上領域警備など、空き家問題など、様々な課題がありますので、是非、集中的な審議をしていただくようにお取り計らいのほどお願いいたします。
○長坂委員長 理事会で協議いたします。
○小宮山委員 ありがとうございました。
以上で終わります。
○長坂委員長 次に、屋良朝博君。
○屋良委員 立憲民主党の屋良朝博でございます。先月、比例復活で戻ってまいりました。よろしくお願いいたします。
大臣所信に触れながら、今般沖縄で大臣がなさろうとしている代執行についてお伺いしたいと思います。
普天間飛行場を返還するために名護市辺野古で進められている埋立工事で、国交省は、先月五日、沖縄県を相手取り、代執行訴訟を提起しました。日本の行政において、地方自治の権限を奪う代執行は歴史上初めてのものとなります。沖縄県の玉城デニー知事は、この間政府との話合いを求めてきましたけれども、その糸口さえないまま裁判で被告席に立たされております。地元では今も多くの県民が反対している案件でございます。
斉藤大臣は、所信で、小さな声を一つ一つよく伺い、国土交通行政に生かすと述べられておりましたけれども、沖縄の声は聞かないでもいい、そんなことなんでしょうか。
この埋立事業は計画からかなりの年月が過ぎております。防衛省は埋立承認申請を二〇一三年三月に沖縄県に提出し、同年暮れに当時の知事から承認を取り付けました。しかし、その六年前の二〇〇七年に、防衛省は当該水域で音波探査を行っております。軟弱地盤が広範囲に広がっていることを確認し、当該地域の地質構造を精度よく把握するには情報が少なく、不確定さが残ることを報告書にはっきりと明記しております。資料一でお示しした関連記事でございます。
軟弱地盤について、防衛省は承認申請の中で、地盤沈下は起こらないと説明しておりました。言葉を選ばずに言わせていただければ、これは詐欺と言われても仕方がないというふうに思うんですけれども、国交省は代執行でもってそれを無理やり抑え込もう、事態を収束させようとしているようにも見えます。施工前に地盤をしっかりと調べるよう、省令、告示、通達などの類いはないのかと国交省担当者からのヒアリングで私が尋ねたところ、ありませんという説明でした。それが本当であれば、日本の土木工事で同様な問題は未然に防げないということになりますけれども、制度的な瑕疵があるのではないでしょうか。
大臣にお伺いします。
○斉藤国務大臣 公有水面埋立法における当初の出願時には、その時点で必要な調査を行い、その結果に基づき、工事の施工方法を設計の概要として提出し、都道府県知事が審査、承認します。
出願時に地盤の情報を完全に把握するのは困難であることから、その後、新たな事情が判明した場合には、設計の概要の変更という形式で再度処理する制度となっております。
地盤や地形の状況は、地点によって多種多様であり、かつ不確実性を伴うことから、当初の出願時に一律に詳細な調査を求めることは適切とは考えておりません。
○屋良委員 私の質問は、国交省が地盤をしっかりと事前に調べなさいというふうな、省令とか通達とか告示はありませんかという質問でございますけれども、それがないのであれば、今回のような問題に発展していくというふうな問題認識を持ってお伺いしたところでございます。そこをはっきり、あるのかないのかということをお知らせいただけますでしょうか。
○廣瀬政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のような具体的なガイドラインは国土交通省では有しておりませんけれども、先ほど大臣からございましたように、公有水面埋立法における設計の概要の位置づけについては、本年三月十六日の高裁判決においても同様の考え方が示されているというふうに認識しております。
○屋良委員 どうも私はちょっとこれはおかしいかなというふうな気がしますけれども、港湾の施設の技術上の基準を定める省令、港湾の施設の技術上の細目を定める告示によって、地盤はしっかりと調べなさい、土質試験の結果を基に、土の物理的性質、力学的特性などを適切に設定するものとするというふうな告示の内容になっています。それをしっかりやっていれば、今回のような設計の変更申請も、予算が膨大に広がることも、工期が長くなることもなかったのではないかと私は考えますけれども、その辺の認識、もう一度お願いいたします。
○廣瀬政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のような図書が存在することは承知をしておりますけれども、それをベースに各都道府県の方で審査をされているというふうに承知をしているところでございます。
○屋良委員 令和二年三月に防衛省の技術検討委員会というのが開かれております。その中で、省令と告示について検討委員から御発言があって、この存在を認識していたということは明らかなんですね。当然、それを知っていて、ちゃんと地盤の構造を調べる、その上で設計をする、当たり前じゃないですか、これは。何というか、こんな基本的な、基礎的な手順を踏まないで、今回の二〇一三年の申請が行われ、そして承認を取り付けているわけですよ。これは大きな瑕疵の中に流れていった事業ではないかというのが私の問題意識でございます。
もう一度お答えを求めます。
○廣瀬政府参考人 お答えをいたします。
防衛省沖縄防衛局において、今委員御指摘のような図書も参考に、適切な施工についての検討がされているというふうに認識をしているところでございます。
○屋良委員 それなら伺いますけれども、この省令、通達は誰が管理、運用するんでしょうか。お答えください。
○廣瀬政府参考人 お答えいたします。
港湾局の方で所管しているというふうに認識しております。
○屋良委員 それなら、国交省は、今回のこのような事態に陥ったこと、地方の権限を奪ってまで代執行しないといけない事態になっているわけですよ。それをしっかりと港湾局が管理運営していれば、事前に防げたかもしれないじゃないですか。
もう一度お願いします。
○廣瀬政府参考人 お答えいたします。
繰り返しになりますけれども、公有水面埋立法の出願時においては、その時点で必要な調査を行い、その結果に基づきまして、工事の施工方法を設計の概要と提出して、都道府県知事が審査、承認していただいていると思ってございます。
その過程におきまして、出願者の方で必要な検討を行い、承認に当たっては、承認者の方でいろいろな基準も参考になされているものというふうに認識をしております。
○屋良委員 だから、省令や告示に示されていて、ちゃんと地盤は調べなさいとは言っている。そして、その省令、告示の存在を防衛省も認識していた。しかし、何というか、今回の結果を見る限りにおいて、それがちゃんと守られていなかった。もしかしたら、これは省令、告示違反に当たるんじゃないかと私は思っておりまして、大変グレーな状態の中で、政府説明も軟弱地盤の上に構築されているような気がします。地盤の調査をせずに、情報不足を認識しながら見切り発車された埋立事業ではないでしょうか。
資料二を御覧いただきたいと思います。
これは、現状、実績とこれからの計画、一から六までの範囲に書いてある青い線なんですけれども、グラフなんですけれども、これは実績です。今終わっている段階、二〇二三年までに終わる段階。全体の土砂投入量で見ると、全体の一六%しか終わっていないんです。そして、年間二・七%しか進捗しないという実績なんですね。
それが今、防衛省から出されている計画によりますと、ぐっと進捗率が一〇%を超えるという、ウルトラマンを呼んでこないとできないような、そんな計画になっているんですよ。しかも、地盤改良をしないといけない、七万本の砂ぐいを打たないといけない、こんなことで、本当にこれは計画として信憑性があるのかどうか。
国交省はそれを基に今代執行をやろうとしていますよ、歴史上初めて。これは本当に許されるんでしょうか。仮に今のペースで進むと、これは四十年以上かかってしまう、そんな代物ですよ。
沖縄県知事は、当初から着工は、着工から完成まで十八年もかかるんですよ、今六年過ぎていて、次の、軟弱地盤を含む広範な埋立工事が終わって、施設の供用開始まで十二年かかりますので、全体で十八年もかかるんですよということを認識していれば、知事の判断も違っていたのかもしれません。誤った情報に基づく誤った承認だったかもしれない。
一連の手続はどうだったのか。大臣はどのようにお受け止めでしょうか。
○廣瀬政府参考人 お答えいたします。
先ほど委員から御指摘のありました内容につきましては、変更承認の際に沖縄防衛局から知事に対して提出されておるものだと思います。また、それにつきましては、国土交通省も審査請求の過程で把握している数字になってございます。
先ほどございましたように、公有水面埋立法に係る変更承認につきましては、所要の手続を進めておるところでございまして、この是正の指示というものが、本年九月四日の最高裁判決において、適法性が確定しているところでございます。
それでもなお、知事が承認されないため、公有水面埋立法の所管大臣として、先月五日に、地方自治法に基づく代執行の訴訟を提起したものであり、今後も必要に応じて法律に基づく手続を進めてまいりたいと思います。
○屋良委員 適切だったという御回答であれば、なおさらです。
今、代執行の手続を進めているこの埋立てに一体幾らかかるのか、そして工期はどのぐらいなのかということを国交省は確認した上でこの代執行の手続を進めているのかどうか。これは大変大きな疑問なんですね。
この問題の責任を大臣が全て負うことになりますけれども、代執行をする前に、工期とか経費、それを国民の、納税者の前に明らかにした上でやらないと、これは大変な問題を残します。
これは日本の行政史上初めてのことなんですね。国が地方の権限を奪って、そして、工事を進めていく。それをやるには大変慎重な手続が必要だと思いますけれども、大臣、その辺の手続問題についていかがお考えか、見解をお示しください。
○斉藤国務大臣 この件に関しましては現在係争中でございますので、大臣として、訴状に書いている以外のことを申し上げるのは、影響が出てまいりますし、控えたいと思いますけれども、先ほど局長からも申し上げましたように、公有水面埋立法の変更承認につきましては、昨年四月二十八日付で、沖縄県に対し、申請を承認するよう是正の指示をしており、この是正の指示につきましては、本年九月四日の最高裁判決において、その適法性が確定しているところでございます。
今後も、必要に応じて法律に基づき手続を進めてまいりたいと思います。
○屋良委員 法律の下にある省令や告示など、それにしっかりと従っていれば今回のような事態には至らなかったというふうに、私はそんな感想を持っているんです。
訴状で今回強調されているのが、政府はずっとこれを繰り返しているんですけれども、一日も早く普天間の返還、そして危険性の除去、そして日米関係の信頼性を高めていく、そのために辺野古が唯一の選択肢だと言っているんですけれども、危険性を認めた場合、普通であれば、公共施設ですよ、公共なものですよ、これは危険だねと言いながら、新幹線の危険性が認められるのを走らせるんですか。
普天間の基地のすぐ近くには小学校があって、小学校のグラウンドにヘリコプターの窓が落ちたりもする事故を大臣も御承知だと思いますけれども、そのために国がやったことは、あそこにシェルターを造ったんですよ、運動場に。こんなような状態を、一日も早くといって、そして、いつ終わるか分からないし、工期も示せない、費用も示せない、このような公共工事が果たしてあり得るのかということです。
そして、さらに、それに対して全てに蓋を押すように、代執行手続を今始めてしまっている。これは僕は大変な問題だというふうに思っております。
そして、今、日米両政府が約束した事業なのだから、信頼関係を維持するためには進めるしかないという議論があることも承知しております。しかし、米軍からは、辺野古の滑走路、これは実は千二百メートルという短い滑走路なんですね、それに不都合や不便を感じているというふうな声も米側から既にもう出ている。これは資料三でお示ししているものなんですけれども、今月八日付の朝日新聞の記事です。在日米軍幹部の見解が報じられています。
大臣、垂直離着陸が可能なオスプレイでさえ千五百メートル必要なんですよ。今、計画の千二百メートルプラス三百、三百のオーバーラン、これを常態的に使わないと、オスプレイすら運用できないという代物ですね。戦闘機を飛ばす場合、二千五百から三千、これは当たり前ですよ。にもかかわらず、千二百を提供して、日米関係の信頼だと言いつつ、アメリカ側は、米軍側は運用に支障が出るかもしれないという懸念すら示している。
しかも、完成したにもかかわらず、完成後から向こう二十年間、供用開始から二十年間、地盤沈下が進むんですよ、しかも不同沈下が。そのたびに、暫時、ジャッキアップなり、滑走路の平たんを保つ作業をしないといけない、メンテナンスが続くんですよ。それを今一生懸命やっているというのが現状です。
こんなぽんこつな滑走路を提供する合理性が一体あるのかどうか、それがとっても不思議でありまして、地元の民意を踏みにじりながら巨額の税金を軟弱地盤に沈めて、短い滑走路は米軍も喜ばない。国交省の省令、通達に違反している疑義すらある中で進められるこのモンスター事業、その責任を全て国交大臣が背負う、そのような覚悟はあるのか、もう一度、大臣、御見解をお示しください。
○斉藤国務大臣 まず、米軍関係者による発言についてはコメントする立場にありませんけれども、様々な御意見があることは承知しております。
一方で、昨年四月二十八日付の是正の指示以降の経緯を踏まえ、公有水面埋立法を所管する国土交通大臣としましては、今後も、必要に応じて、法律に基づく手続を進めてまいりたいと思います。
○屋良委員 大臣、所信で述べられたように、沖縄県からも、とても小さい声かもしれません、聞き取りにくいかもしれません、しかし、もう一度、ちゃんと地元の意見を聞いた上で、そして、しっかりと事業の点検を行った上で、日本の史上初めてと言われる代執行、それをもう一度検討して、国民の前に事業の全容をつまびらかにしていただきたいという要望をして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、神津たけし君。
○神津委員 長野三区の神津たけしです。
本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
早速ですが、昨年の国土交通委員会での質問において、どのくらいの車内置き去りが発生しているのか、消防庁、警察庁に調べていただくようにお願いをいたしました。
配付資料一の裏面の下にある表一と表二を御覧ください。
警察庁からは一月から十月までの車内置き去りに遭った人数、消防庁からは七月―八月の車内における乳幼児等の熱中症による救急搬送人数をいただきました。警察に連絡があった車内置き去り件数は十三件十四名。うち、二件二名の貴い命がまた失われてしまいました。残念無念の極みであります。
消防による、車内での熱中症により救急搬送された方々は八十名、そして、うち一名が命が失われております。この消防庁が集めたデータは、七月―八月の二か月のみなので、一名、九月に亡くなられた方、乳幼児の人数が含まれておりません。車内で熱中症となり救急搬送された乳幼児は八十名にも上ります。運よく重症にならずに救われた子が多いのが救いでもありますが、もし気づくのが遅れていたらというのが恐ろしい人数でもあります。
そこで、質問させていただきます。
幼児車内置き去りによって亡くなる子をこれ以上出さないという決意の下、園バスだけでなく乗用車でも、積極的な幼児置き去り防止の装置の開発や導入促進を国としてもやっていくべきだと思いますが、国土交通大臣の御所見をお願いいたします。
○斉藤国務大臣 今、神津委員お示しのように、今年八月に福岡県で、また九月に岡山県で発生した乗用車での幼児の置き去り事案は大変痛ましいものであり、再発防止に取り組む必要があると国土交通省としても強く認識しております。
国土交通省では、乗用車の置き去り防止を支援する装置として、一つは、エンジン停止後に後部座席の確認を促す装置、それから二番目に、車内センサーにより幼児を直接検知する装置のそれぞれについて、自動車の安全装置に関する評価、公表を行う自動車アセスメントの対象として追加をいたしまして、本年十月より順次公表を行うことにより、開発や普及を促進しております。
国土交通省としましては、このような取組を通じて、痛ましい事案が二度と起きることのないよう、関係省庁とも連携して、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○神津委員 ありがとうございます。更なる積極的な取組、よろしくお願いいたします。
次の質問に移ります。
自賠責保険について今日は伺いたいと思っております。
現在、日本で走っている車、おおよそ八千二百万台、ほぼ全ての車が自賠責保険に掛かっている。この九千億円のうち、大体六千億円ぐらいが保険金で支払われていて、残りの三千億円が、保険会社それから代理店に入っていくぐらいの仕組みとなっております。
これについて、ビッグモーターと損保ジャパンの自賠責を介した蜜月関係というところにおいて、多くの金額が損保会社と代理店に入っていくという仕組みがあるというところにおいて、少し経費的な見直しというものを精査していかなければならないのかと思っております。
その問題に取り組む前に、自賠責保険金についてちょっと取り上げたいと思っています。
資料二を御覧ください。資料二では、これは自賠責保険の支払いのフロー図となっております。
自動車で事故に遭った加害者又は被害者は、保険金の請求をするためには、まず損害保険会社に請求書類を提出します。これが一番です。二番目に、損害保険会社は、損害保険料率算出機構、以下、料率算出機構と略しますが、ここに損害調査の依頼をいたします。三番目に、算出機構は、自賠責保険の損害調査をし、けがの等級など調査結果を損保会社に対し報告いたします。四番目に、損保会社は、調査結果を受けて支払い額を決定し、それを請求者に連絡いたします。請求者は、その支払い額に不満がある場合には、損保会社に異議を申し立てるか、自賠責保険・共済紛争処理機構に紛争処理の申請をするか、これを選ぶことができます。
異議申立てについては、何度でもこの一から四番目を繰り返すことができるんですが、五番目の紛争処理機構に対する申請というのは、一度しかできないこととなっております。
紛争処理機構は、申請を受けた場合は、弁護士、医者、学識経験者など、公平中立で専門的な知見を有する第三者による紛争処理委員会を構成して調停を行い、その結果を請求者と損保会社に連絡することとなっております。これが六番になります。請求者は、この調停結果に不服があれば訴訟を提起することになります。
この一連の流れによって自賠責保険の保険金が決まることとなるため、料率算出機構それから紛争処理機構は、公正中立で独立の機関でなければならないということはお分かりいただけるかと思います。ただ、仮に、これらの機構に利害関係があるような、例えば損保会社の方々あるいは監督するような金融省庁からの関係者が入ってしまうと損保会社に有利な保険金になってしまうのではないかと思われることを前提に、以下ちょっと質問に移らせていただきます。
まず、質問の一番なんですが、一番目は、紛争処理機構の、被害者の保護を行うという設立の趣旨があるんですが、交通事故の被害者の権利がないがしろにされてしまった事態があったのではないかということを連絡いただいているので、ちょっと伺います。
自賠責保険・共済紛争処理機構への紛争処理の申請に当たり、交通事故被害者の方が自賠責保険会社に提出しなかった新たな資料を提出した場合、本年七月頃まではこれを審査の対象としていなかったと聞いております。このような運用がなされていた事実を国交省は把握していたのか、また、把握していたとしたらば、いつ頃把握されたのかを伺います。
○國場副大臣 委員から御指摘いただきました自賠責保険・共済紛争処理機構における資料の取扱いにつきましては、国土交通省としては、本年五月に初めて関係者から本件の端緒となる申出を受け、その後、機構に対して調査を開始したところでございます。
○神津委員 ありがとうございます。五月頃把握されたということを理解しました。
じゃ、二番目の質問を行いますが、この五月に把握されていたということなんですが、この申請者から提出された新しい資料なんですが、国交省としては、この新しい資料が審査の対象となると考えているのか、ならないと考えているのか、どちらが正しいのか、教えてください。
○國場副大臣 国土交通省においては、本年五月に関係者から本件の端緒となる申出を受けてから、速やかに機構に対して事実関係の確認など調査を行うよう指示したところであります。その結果として不適切な状況が確認され、機構として運用の変更をすることを七月に決定したと承知しております。
○神津委員 ありがとうございます。審査の対象となるというお答えであったと理解しております。
これを前提として考えると、これまで紛争処理機構が新たな資料を正式な書類として受け取ってこなかったのは、業務規程違反に当たるかと思います。国土交通大臣として自賠責保険・共済紛争処理機構に対して報告の要求、それから監督の命令を出す予定があるのか、伺えますでしょうか。
○斉藤国務大臣 委員御指摘のような運用が行われていたことは、国土交通省として大変遺憾であると考えております。
現在、そのような判断に至った経緯や、以前の運用により不利益を受けた人の有無などについて機構で確認を進めているところであり、その結果を踏まえ、金融庁と連携しながら、国土交通省として適切に対応を進めてまいりたいと思います。
○神津委員 ありがとうございます。
今おっしゃられた内容なんですが、私の思うところですが、被害者の方にしてみれば、自賠責保険に請求しても駄目だった、自賠責保険にそれから異議申立てをしても駄目だった、最後にこの紛争処理機関に皆さん申請をしているわけで、その時点で被害者の方は二回請求を否定されていて、大体半年から一年ぐらい、そのプロセスではかかっています。その状態で紛争処理機構に申請したら、新しい資料が添付されてもうちでは審査しない、もう一回自賠責保険でやり直してこいといって、門前払いを食らうといったような状況があるんですよね。これはもう、この状況を考えると、過少払いというものがあったかもしれないなというふうにやはり私も思っております。
そういう意味においては、これは被害者の保護という本来のこの紛争機構の設立の趣旨にも反しているということを考えると、国土交通省として、私は、行政処分を速やかにやはり行っていくべきではないかというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、現在、この以前の運用により不利益を受けた人の有無など、機構で確認を進めているところでございまして、調査をしております。その調査の結果を踏まえまして、金融庁と連携しながら、国土交通省として適切に対応を進めてまいりたいと思います。
○神津委員 承知しました。
今の御返答、ちゃんと事実関係が分かったらば、行政処分するかしないかを判断するというところだと思うんです。
今、この機構のホームページ上で、これまで新しい証拠書類というものを受け付けてこなかったというところを記載してあるんですが、非常に分かりにくいところにそれが出ているんですよね。例えばノートパソコンで開いたときには、最初の画面上では分からないようになっています。一番下まで行くと、ようやく、お知らせというところが一番下にありまして、それをクリックすると出てくるようになっているんですよね。
やはり、ちゃんと分かりやすいようにしていただく必要があると思っております。そうしないと、恐らく、いまだに弁護士の方では、新しい証拠書類を受け付けてもらえないというふうに思っていらっしゃる方が非常に多いので、積極的な、せめてホームページ上の上の方に出すとか、それから、国土交通省、日弁連とかを通じて積極的に、新しい証拠を受け付けるように変えましたというところを連絡していただきたいというふうに思います。
先ほどの、自賠責保険金支払いフローのところで、損害保険会社が損害調査の依頼を行って、損害保険料算出機構が調査結果の報告を行うというところと、それから、自賠責保険・共済紛争処理機構、ここも損害保険会社に対して報告を行ったりするというところにおいては、それぞれが独立をするべきだと私は思っています。そうしないと、保険金の金額について、過少払いであるとか払い渋りですとか、そういうことが起きてしまいかねないというところについてちょっとお伺いしたいと思うんですが、今現在、損保会社から損害保険料率算出機構に対して、あるいは自賠責保険・共済紛争処理機構に対して出向していらっしゃる方はいらっしゃるんでしょうか。
○神田大臣政務官 お答えいたします。
損害保険料率算出機構や自賠責保険・共済紛争処理機構と保険会社との間での職員の出向に関する情報は公表されていないものと承知しております。お答えは差し控えさせていただきますが、一般論として、損害保険料率算出機構においては保険契約者等の利益の保護、また、自賠責保険・共済紛争処理機構においては被害者の保護を図っていただくことが重要と考えており、適切に運用してまいりたいと思います。
○神津委員 今おっしゃられたその適切な運用、それぞれの機関の独立性を担保していくという意味においては、損保業界から料金算出機構に対して出向しているのか、それから、紛争処理機構に対して出向しているのか、これを確認する必要があると私は思っています。
これは理事会で協議をお願いしたいと思いますが、お願いできますでしょうか、委員長。
○長坂委員長 理事会で協議いたします。
○神津委員 ありがとうございます。
この構図なんですが、新証拠ですね、先ほど申し上げた新証拠を採用すると、変更率が下がって保険金の支払い額の増額とこれからなっていく可能性があると。
この機構が実は設立された当初、変更率、この五番から六番の過程を経ていくに当たって、過去、当初の、この機構が設立された当初七年間の変更率というのは約一七%ぐらいでした。ただ、実は、この十年間ぐらい、新しい証拠等を受け付けないことによって、今一〇%ぐらいに下回っています。是非、こうした紛争処理が、これまで著しくゆがめられていたというところにおいては、もう少し厳しく監督をお願いしたいというふうに思っています。
次に、自賠責保険の計算をする上で、次の質問、済みません、ちょっと飛ばさせていただいて、四番目の質問ですかね、自賠責保険の金額の中身のところに行きたいと思います。
先ほど、九千億円、自賠責保険で集めていて、三千億円が保険会社、代理店に支払われると申し上げたんですが、大体、今現在の五ナンバーの自賠責保険の料金というのは二年で一万七千六百五十円。このうち、販売代理店に対して支払われている手数料が千七百三十五円、保険会社に入る経費は五千五十六円。保険会社に五千五十六円支払われているんですね。業界全体で合わせると、保険会社に非常に大きな、二千百七十四億円が保険会社に入っていくこととなっております。
自賠責保険を構成する純保険料、社費、代理店費の各費用の積算は何を基に行っているのか、伺えますでしょうか。
○神田大臣政務官 お答えいたします。
神津委員御指摘のとおり、自賠責保険料は、純保険料、社費、代理店手数料等によって構成されております。
委員御指摘の、それらの算出方法につきましては、自動車損害賠償保障法の中で、純保険料、社費、代理店手数料、それぞれについて、利潤や損失を生じさせない水準とすることが求められております。これらが適正な水準であるかについては自賠責保険審議会において検証し、検証の結果、改定の必要があれば自賠責保険料を改定しています。
なお、社費を計算する際に保険会社が用いる経費計算基準については、日本損害保険協会において、学識経験者や会計専門家等の外部の有識者等により作成されており、その内容についても自賠責保険審議会において了承を得ております。
○神津委員 第三者委員会からの承認を得ているというところは、そのやり方はいいと思うんですが、ただ、私たちみたいに、例えば私の立場から、では、どういう計算式でやっているのかということを聞いても、なかなか実は出てこなかったんですね。最初はずっと、ない、ないというふうに言われていて、二〇一二年の資料が出てきて、それで、あったということが分かったんですが、ただ、今、例えば、この業務には何分処理がかかって、それ掛ける給与、基本的な給与とか、いろいろな計算式があるんですけれども、その金額とか分数はオープンになっていないんですよね。
そういうものは、やはり細かい計算式とかもちゃんとオープンにすることによって初めて、その金額が、妥当性というものが検証できるのではないかというふうに思っております。その基準について、計算の基準、全て公開していただけないでしょうか。
○神田大臣政務官 お答えいたします。
神津委員御指摘の経費計算基準は、先ほども申し上げましたが、日本損害保険協会において、学識経験者や会計専門家等の外部の有識者等により作成されているものであり、自賠責保険審議会の資料において、社費の計算方法の考え方や例、あるいは、経費計算基準を全社が使用することについての考え方などについて、算出の見直しに当たり行った業務実態調査の概要などとともに公表をしております。
金融庁としては、その公表の範囲の妥当性について、必要に応じて日本損害保険協会と議論をしてまいりたいと思います。
○神津委員 経費計算基準の公開を求めて、理事会で協議を図っていただくようにお願いいたします。
○長坂委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。
○神津委員 ありがとうございます。
以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
○長坂委員長 次に、城井崇君。
○城井委員 立憲民主党の城井崇です。
斉藤国土交通大臣、今回もよろしくお願いいたします。
早速質問に入ります。
まず、タクシー不足やタクシーの乗務員不足の解消について伺います。本日も、同僚議員の質問でもございました。
このタクシー不足やタクシー乗務員不足の解消については、利用者の安全、安心と労働者の生活を守るために、白ナンバー、普通免許によるいわゆるライドシェアの導入ではなく、運送責任や安全確保の責任、雇用責任を直接果たしているタクシー事業の規制改革と、そして処遇改善によって地域での移動手段の確保に当たるべき、この観点から国土交通大臣にお伺いしたいと思います。
本日も、ライドシェアについては、先ほど国土交通大臣から、これまでの見解の堅持という答弁がございました。具体的に確認をしたいという質問であります。
運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かずに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態でプラットフォーム事業者が配車を行う、いわゆるライドシェアのような形態のサービスは我が国では導入すべきではないと考えますが、大臣の見解をお聞かせください。
○斉藤国務大臣 ライドシェアという言葉については定義は定まっておりませんが、先ほど委員おっしゃいましたように、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態で、有償で旅客輸送サービスを提供することは、従前から国会で答弁しているとおり、安全、安心の確保の観点から問題があるため認めることはできない、このように考えております。
○城井委員 有償でということも補っていただきながら、従来見解も含むということでございますが、認めないということで確認させていただきました。
次に参ります。
本年五月、国土交通省のラストワンマイル・モビリティ/自動車DX・GXに関する検討会におきまして、ラストワンマイル・モビリティに係る制度・運用の改善策が取りまとめられました。この報告書の中では、以下の改善策の三つの柱が示されています。
一つは、タクシー事業者の供給力の強化のための制度・運用の改善、二つ目には、多様なサービスの提供の検討を可能とする制度・運用の改善、三つ目には、自家用有償旅客運送の円滑な導入や持続可能性の向上のための制度・運用の改善です。概要は、委員の皆様にもお手元の資料をお配りしております。御覧ください。
そこで、伺います。
これまでも、地域協議会において、いわゆる緑ナンバー、そして福祉有償運送、自家用有償運送、NPO運送、そして普通免許証のナンバーのライドシェア、この順番で選定、管理が行われていますが、タクシーの規制改革につながる先ほどの三つの柱、十二項目の施策を基に、現状の地域協議会のルールを守ることで、タクシー不足やタクシーの乗務員不足の解消につなげられるというふうに考えます。これは、タクシー現場の要望にもかなう内容であります。
大臣、まずこの一つ目、タクシー事業者の供給力の強化のための制度運用の改善として、営業所ごとのタクシー車両の最低車両台数の緩和、営業所等の施設設置要件の緩和、運行管理のDXの推進、そして、地方部にUターン等をした個人タクシー事業の経験者の活用を行うべきだと考えますが、大臣の考えをお聞かせください。
○斉藤国務大臣 地域交通の担い手不足や移動の足の不足といった深刻な社会問題に対応するため、時代や社会状況に合ったタクシー規制の緩和や、地方部を含むタクシードライバーの確保が重要でございます。
先般、タクシー規制の緩和の一環として、十月三十一日付で制度改正を行い、営業所ごとのタクシー車両の最低車両台数や、営業所等の施設設置要件を緩和する制度改正を行いました。これまで、ある一定の台数が必要だったんですが、一台、一台でもいいというふうにしたわけです。これにより、特に地方部におけるタクシーの固定費の削減効果が期待されます。
また、運行管理のDXの推進や、地方部へのIターン、Uターンを希望する個人タクシー事業者の活用についても、地域交通の担い手不足解消や利用者の移動需要に応えるために重要と考えておりますので、速やかに制度改正を実施してまいりたいと思います。
○城井委員 運行管理のDX推進、地方部へのIターン、Uターン等の個人タクシー事業者の活用、是非速やかに進めていただきたいということを私からも改めて要望したいというふうに思います。
次に、二つ目の、多様なサービスの提供の検討を可能とする制度・運用の改善として、タクシー事業者による乗り合いタクシー展開に当たっての法令試験免除、タクシーと乗り合いタクシーの事業用車両の併用の柔軟化、乗り合いタクシー事業における補完的な自家用車の活用を行うべきと考えますが、大臣の考えをお聞かせください。
○斉藤国務大臣 乗り合いタクシーとの併用の柔軟化等の御提案がございました。
タクシー及び乗り合いタクシーが地域の実情に即した多様なサービスの提供を行うことは、地域交通の担い手や移動の足が不足しているという深刻な社会課題に対応する観点だけでなく、持続可能で利便性の高い交通サービスを実現する観点からも重要であると考えております。
国土交通省としては、小口化、多様化している利用者の移動需要に応じた交通サービスの実現に向けて、タクシー事業者が乗り合いタクシー事業を展開するに当たっての法令試験を免除すること、タクシーと乗り合いタクシーの車両の併用を柔軟化すること、乗り合いタクシー事業において補完的に自家用車を活用すること、これらを速やかに実施してまいりたいと思っております。
○城井委員 速やかな実施を是非お願いしたいと思います。
三つ目も確認させてください。
自家用有償旅客運送の円滑な導入や持続可能性の向上のための制度・運用の改善として、事業者協力型自家用有償旅客運送の活用促進、交通空白地に係る目安の設定及び地域交通の把握に関するマニュアルの活用促進、地域交通の検討プロセスガイドラインの活用促進、自家用有償旅客運送に係る運送の対価の目安の適正化、自家用有償旅客運送に係る更新登録手続の簡素化、これらを行うべきと考えますが、大臣の考えをお願いします。
○斉藤国務大臣 自家用有償旅客運送は、バス、タクシーを補完する交通手段として活用されていますが、持続可能性を向上させるため、基盤の強化や事業者の負担軽減が重要であると考えております。
このため、今般、十一月二日付で省令改正を行い、交通事業者による協力類型の多様化により、事業者協力型自家用有償旅客運送の活用を促進するとともに、自家用有償旅客運送の登録を更新する際の書類の簡素化を行いました。
このほか、御指摘のような、交通空白地に該当するかどうかの目安の設定、各種マニュアルやガイドラインの活用促進、ドライバー確保に向けた運送の対価の引上げについても、自家用有償旅客運送の円滑な導入や持続可能性を向上していく上で重要と考えておりますので、速やかに実施をしてまいりたいと思っております。
○城井委員 運送の対価の引上げにも言及いただき、ありがとうございます。
以上、三つの柱、十二の施策でありますが、タクシー不足、タクシーの乗務員の不足の対応としては、やはりまず、タクシーの規制改革、以上の十二の施策を速やかに実現することが必要だというふうに、今ほどの御答弁からも改めてかみしめているところであります。一日も早い実現を大臣に強く要望したいと思います。
次に参ります。
次に、ビッグモーターによる車検などの不正事案について、車検制度の信頼性の回復と自動車整備業への風評被害を防止する観点から、大臣に伺います。
まず、ビッグモーターの全ての整備工場が法令に照らして違反がないか、早急に調査すべきだという立場から、大臣に伺います。
資料を御覧ください。
国土交通省は、ビッグモーターの整備工場全百三十五事業場のうち、三十四事業場に対して実施した立入検査、十月十三日に聴聞を公示、十月二十日に聴聞を実施、その結果を踏まえて、十月二十四日に行政処分等が行われました。
その結果、立入検査を受けた整備工場、三十四事業場の全ての事業場で、点検や整備における過剰請求、検査の一部未実施、記録簿の虚偽記載などの違反行為が行われてきたことが明らかになりまして、自動車特定整備事業の事業停止、そのうち十二事業場は指定自動車整備事業の指定取消しとなりました。極めて重い処分であります。
国交省からは、立入検査を実施した整備工場三十四事業場は、ビッグモーターが設置した特別調査委員会からの報告に基づいて三十四事業場で立入検査を実施した、あわせて、ビッグモーターより百三十五事業場の法令違反の有無について報告を受領していると国交省から説明を受けています。
改めて、国交省として、ビッグモーターより百三十五事業場の法令違反の有無について事実関係の確認を行い、道路運送車両法違反が認められた場合には厳正に対処すべきだと考えます。
そこで、大臣に伺います。このビッグモーターの百三十五事業場の法令違反の有無についての調査状況、大臣からお示しいただけますか。
○斉藤国務大臣 今御説明があったとおり、第三者委員会の報告書にありました三十四の事業場についてはそのとおりでございます。全て法令違反が確認され、行政処分を実施したところでございます。
これ以外の事業場についての御質問でございますが、順次、立入検査を行う等により、事実関係の確認を行っているところです。
国土交通省としましては、これらの事実関係の確認を可能な限り速やかに行い、その結果、道路運送車両法違反が認められた場合には、厳正に対処していきたいと思っております。
○城井委員 順次事実確認という答弁でございましたが、大臣、この調査結果、いつまでに公表いただけますか。速やかにということでは弱いと思うんですが、期限を区切っていただけますか。
○斉藤国務大臣 今、いつまでにという期限を申し上げることはできませんけれども、できるだけ速やかに、迅速にやりたいと思っております。
○城井委員 一日も早く速やかにということを申し上げておりますのは、やはり、今回の不正が、国土交通省という観点からも、そして金融庁や消費者庁という観点からも、問題満載という部分があるから、特に、このビッグモーター等による車検等の不正事案は、我が国の車検制度の信頼、根幹を大きく損なったという点で前代未聞であります。
検査が不十分な自動車が結果として公道を走ることになったことを防げなかったことは、やはり国民の生命に関わる問題であります。我が国の車検制度の信頼回復に向けて、手だてを尽くして早急に対応すべきであるというふうに考えます。
優先して行うべきことは、みなし公務員である自動車検査員による車体整備の透明性の確保であります。
今回の行政処分で、国土交通省は、二十四人の自動車検査員に解任を命じました。自動車検査員は、国交省、地方運輸局に代わって業務を担います。身分については、身分は公務に従事する公務員と同等とみなされるとされており、いわゆるみなし公務員であります。職務権限についても、完成検査についての判定及び指示に係る権限については、社内における組織、職位及び就業規則と社内規定にかかわらず、検査員が有するものとするとして、強い権限を有しています。自動車検査員の身分と職務権限について十分に規定しているにもかかわらず、今回の不正は防げませんでした。大変残念なことであります。
今回、解任を命ぜられた二十四人の自動車検査員は、みなし公務員として職務権限に基づいて業務に当たることができていたのか。ビッグモーターが会社として組織的に関与していたかも明らかにすべきなのではないか。自動車検査員は従業員でもあるため、社内の指示にあらがうことが難しかったのではないか。
以上を踏まえ、自動車検査員が法令を遵守し適正に自動車整備を行うことができるよう、一つには、自動車整備業界全体における自動車検査員の働き方についての実態把握、二つ目には、車体整備の透明性を確保するための改善、三つ目に、整備工場に対する監査の強化などについて、早急に取り組むべきだと考えますが、国土交通大臣の考えをお聞かせください。
○斉藤国務大臣 まず初めに、自動車検査員の働き方の実態把握についてでございますが、御指摘のとおり、自動車検査員は、国に代わって車検を行う、重責を担うみなし公務員です。この自動車検査員が自身の立場をしっかりと認識し、公正、厳格に検査を行う環境を整備することは非常に重要です。
このため、国土交通省としましては、今回の事案を踏まえ、自動車検査員の働き方の実態について検査を行ってまいりたい、このように思います。
それから二点目の、透明性、また整備工場の監査の強化でございますけれども、今回のビッグモーターの不正事案を受け、同種事案の再発防止のため、顧客に対する作業内容の説明や作業の前後の画像の保存など、車体整備の消費者に対する透明性の確保策や、本社に起因する法令違反が確認された場合、関連する事業場に対して一括して立入検査を行うことなど、より効果的な監査の在り方についても検討を行っているところでございまして、速やかに結論を得て対応を行っていきたいと思います。
○城井委員 今ほど大臣からも言及がありました。自動車の検査員はみなし公務員であります。
大臣、みなし公務員の不正を見逃した、本来は地方運輸局に代わって民間で車検をしている、では、この不正を見逃した国交省、地方運輸局の責任というのはどのようにされるんでしょうか。
○斉藤国務大臣 先ほどの私の答弁で、自動車検査員の働き方の実態について、検査を行ってまいりますというふうに答弁しましたが、調査を行ってまいる、委員の御提案のとおり、調査を行っていくということでございます。
それから、今回の事態を非常に我々も重く受け止めまして、自動車の安全に関わる体制についてしっかりとこれから取り組んでいくよう、私からも指示を出したところでございます。
○城井委員 国交省や担当する地方運輸局についての責任もきちんと明らかにされるという認識でよろしいですか。
○斉藤国務大臣 今回の事案を受けまして、こういう自動車安全行政についてしっかり取り組んでいくよう、私から国土交通省内で指示を出したところでございます。
○城井委員 これはみなし公務員ですから、当然、本来の公務員が果たすべき同等の責任が伴うはずだという点をしっかり明らかにせねばなりません。地方運輸局の責任についても、当然、明らかにしていただけますね。
○斉藤国務大臣 今はとにかく、このビッグモーター、またその他の者のいろいろな事案について、しっかりと調査を今しているところでございます。こういう形を通して責任を果たしていきたいと思っております。
○城井委員 実態の調査の上で、最終的に責任を明らかにすることをお願いしたいというふうに思います。また改めて、この点はお伺いしたいと思います。
さて、次に参ります。続いて、国土交通省から日本財団への二重出向と官民癒着の疑い、この点について伺います。資料を御覧ください。
国土交通省海事局が二〇一八年十月末までの四年余り、法律で人事交流が認められていない日本財団に対して、国交省所管の外郭団体である海上・港湾・航空技術研究所を経由して職員を出向させていた、いわゆる二重出向が行われていたことが明らかになりました。
また、国交省は、海洋基本計画を踏まえて、二〇一五年度から二〇二〇年度まで海洋開発人材育成に係る調査事業を実施し、日本財団を含む複数の事業者から成る共同体が一者応募で受託、九件の事業、総額七・六億円の発注ということでございました。
この国交省から日本財団への二重出向は法令違反ではないか、官民癒着につながるのではないかという疑いから、大臣に聞きます。
大臣、いわゆる官民人事交流法で、国や自治体の事業で主な収益を上げている企業とは人事交流ができないというふうに法律に書いてあります。しかし、日本財団は、国土交通省海事局が所管する競艇による自治体からの交付金が総収入の九割であります。つまり、国交省から職員が出向いたしますと、明確な法令違反であります。
大臣、この二重出向は事実でしょうか。事実だったら、脱法行為あるいは官民人事交流法に違反するというふうに考えます。大臣のお考えをお聞かせください。
○斉藤国務大臣 海事局の職員が、平成二十六年十月から平成三十年十月まで、独立行政法人海上技術安全研究所、現在の海上・港湾・航空技術研究所に出向後、公益財団法人である日本財団に再出向し、海洋開発に関わる人材の育成に関する業務に従事しておりました。二重出向していたのは事実でございます。
具体的な業務は、企業、研究機関、大学などを構成員とし、大学生や社会人を対象とした海外研修やセミナーなどを行うコンソーシアムの立ち上げ準備や、立ち上げ後の事務局としての業務でした。
当時、日本財団と研究所とが連携して、このコンソーシアムの枠組みによる海洋開発に関わる人材の育成を進めようとする中、研究所から海事局に人材協力の相談があり、産学官連携を推進する海洋基本計画が閣議決定された趣旨も踏まえ、これに協力することになりました。
その際、業務の円滑な遂行のためには、コンソーシアムの事務局を務める日本財団に在籍することが効率的と考えられたことから、研究所から日本財団への再出向に至ったものと聞いております。
本事案における再出向は、官民人事交流法の違反という問題が生じるわけではないものの、同法では直接の人事交流が認められていない日本財団へ再出向させたことは、脱法行為との疑念を招きかねず、不適切であるため取りやめましたが、今後も適切な人事運用を徹底してまいりたいと思います。
○城井委員 時間が参りましたので質問を終わりますが、この二重出向、労働局からの指摘で取りやめることになったわけですが、その後には、何と偽装請負の疑いまであるような状況になっているという、二重にまずい状況になっています。
これがこの件だけで終わっているのか、全省調査も含めてやっていくべきだというふうに考えますが、この点を求めまして、全省調査をきちんとやって、二重出向あるいは偽装請負、ほかにないということを明らかにしていただくことをお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、赤木正幸君。
○赤木委員 日本維新の会、赤木正幸と申します。よろしくお願いいたします。
今国会も、前国会に引き続いて国土交通委員として頑張りますので、是非よろしくお願いいたします。
まず、大臣所信の重点的に取り組む三本柱の三つ目に、個性を生かした地域づくりと分権型の国づくりに関連して、安心して暮らせる住まいの確保の中に空き家対策の強化というのがうたわれていたと認識していますが、まさにこの空き家は、もう日々数が増えていますし、喫緊の課題と認識しております。今日、ちょっと車の話題が多かったんですけれども、私、ちょっと空き家で話させていただきます。
さきの国会で改正されたいわゆる改正空き家法が十二月に施行されるのを受けて、日本全国の自治体の現場の方たちもすごく準備を始められていまして、関心も高まっていますし、さらに、一般の方たち、ふだん私が地元でお話をする方もそうですし、意外に、同僚の国会議員の皆さんと話すとき、実は母方の家がもう空き家なんだよ、どうしたらいいかなとかという話で、もう本当、日本全国の国民の皆様の話題になっていると思いますので、ちょっと今日は細かい論点も入りますけれども、改正空き家法の内容を質問させていただきます。
細かい話と言いましたけれども、本会議でも質問させていただいたり、こうやって国交委員会でも質問させていただいていて、私、何か空き家の人という位置づけになっていて、地元だけじゃなくて日本全国から、いろいろな方からすごく細かい論点をお伺いすることが多くなってきて、なので、ちょっと今日の質問内容というのは、ある意味、今までお受けした質問のすごく重要なことをピックアップして回答していただきますので、一般回答の形になればなと考えております。
それでは、中身に入らせていただきます。
まず、改正空き家法の指導、勧告に関する質問になります。
九条二項に、立入調査ができる取決めがあるんですけれども、例えば、管理状態が極めて劣悪な状態、いわゆる特定空き家と認定する方針で立入調査をして、実際、入ってみたところ、これは特定空き家じゃないなと判断した場合に、その調査で得た内容を、十三条一項に基づく指導とか、あと、二項に基づく勧告を、その調査の内容をもって行うことは可能なのか。
もうちょっと言うと、十三条の中には立入調査ができるという規定はないので、言ってみれば、違う条文の、立入調査の結果をもって違うことをしてしまうというのが、これは何か違法行為に当たってしまうんじゃないかなと懸念されている現場の皆さんがいらっしゃいます。
わざとそれをやってしまうと恐らく脱法行為なのかなと思うんですけれども、結果的に、立入調査して、特定空き家に指定しなかったけれども、でも、やはり指導はしたいとかとなった場合に、どういった要件を満たしていれば適法とみなされるのかといった点について御回答いただけますでしょうか。
○石坂政府参考人 お答えいたします。
立入調査は、強い公権力の行使であるため、周囲への悪影響の大きい特定空き家に対して措置を講じる際に行うことができるものでございます。このため、管理不全空き家に対する措置を講じることを目的として立入調査を行うことはできません。
なお、実務的には、市町村が特定空き家である可能性があると判断するには、立入調査に先立って、実際いろいろな調査が行われることが通常でございます。その調査結果をもって管理不全空き家に対する指導や勧告、そういうことを行うことが可能ではないかと考えるところでございます。
○赤木委員 ありがとうございます。
そうですね。今おっしゃられたみたいに、突然立入りが入るというよりか、事前にいろいろな手続があった上でなされているので、私自身も、現場として、何かいきなり、それが、違法行為をどかんとやってしまうということはないのかなと思っているんですけれども、今の御回答を受けて、また私も回答させていただくようにします。
次に、住宅用地特例の適用除外の措置、これによって固定資産税の課税処分が行われてしまうという、いわゆる私的財産に非常に関わる大きな変更を引き起こす勧告が存在します。これは、かなり影響の大きな勧告になるので、むやみやたらに発動すべきじゃないと現場の方たちも考えられていますし、私も考えているんですけれども、適法な勧告とは何ぞやということを心配されている現場の方もまたいらっしゃるのも事実です。
もし、十三条二項に基づく勧告が具体性に欠ける勧告とみなされた場合は、まさに適法な勧告じゃないから、これを前提とする住宅特例の適用除外措置とか、あと、それを踏まえた、付随する固定資産税の課税処分が違法な勧告になってしまうと思われるんですが、適法な勧告として十分な具体性を持たせるためのポイントとか、クリアしなければいけないような内容について御回答いただけるとありがたいです。
○石坂政府参考人 管理不全空き家に対する勧告は、空き家法上、特定空き家に該当することを防ぐための具体的な改善措置を勧告することとされています。
そのため、勧告を受けた所有者が確実に判断できるよう、改善措置の内容ですとか、その対象となる空き家の部分を具体的に示すことが必要と考えています。
例えば、点検を行い、問題があれば必要な補修を行うといった勧告ではなくて、家屋の東側部分の破損している屋根ふき材が飛散しないよう補修を行うことといったように、具体的措置内容を示すことが大切と考えているところでございます。
○赤木委員 ありがとうございます。
そうですね。今おっしゃられたみたいに、具体的に何をしてもらうべきかとか、どこの場所をどう修繕してもらうべきかというところまで含めて、それまでの経緯も踏まえた上で勧告を行えば、当然、適法な勧告になるということですね。ありがとうございます。
先ほどの質問は自治体サイドの懸念なんですけれども、一方で、受ける側もかなり懸念を持たれていて、まさに、自分が持っている、保有している空き家が、突然、住宅特例が外れて税金がどかんと、それこそ下手したら六倍ぐらいになってしまうんじゃないかというふうに、空き家を持たれる、若しくは空き家を持つかもしれない方たちもすごく懸念されています。
勧告一発で固定資産税が増えるんじゃないかということなんですけれども、そもそも、勧告を受けた時点で住宅用地特例の適用が解除されてしまうのか。もし解除されるのであれば、勧告に至るまでに何らかの手続とか経緯とか、具体的に勧告に至る場合のケースみたいなものを是非知りたいということを、結構な方たちから御質問を受けるんですけれども、こういった実態を踏まえた政府の見解、若しくは解説のようなもの、お願いできますでしょうか。
○堂故副大臣 お答えいたします。
固定資産税の住宅用地特例は、管理不全空き家として勧告を受けることにより解除されますが、管理不全空き家に対する措置は、まずは勧告ではなく、指導を行うことから始まります。
勧告は、指導をしてもその状態が改善されず、そのまま放置すれば特定空き家になるおそれが大きい場合に行うことができます。具体的には、指導時から空き家の破損などの状態が更に悪化している、複数回の指導をしたが改善しないなどにより判断することになります。
国土交通省としては、こうした勧告に至るまでの手続について、市町村が判断する際に参考となるようなガイドラインをお示ししてまいりたいと思います。
○赤木委員 もう今まさにお答えいただいたみたいに、突然勧告が来るわけではないというのを、結構、もう世の中の皆さん、空き家を持たれている方は、まだ認識が全然行き渡っていないと思われますので、そういった手続的なものがあった上で、当然、納得の得た内容として勧告がされるということを、是非もうちょっと知らせていただければなと考えております。
今まさにちょっとガイドラインのお話が出ましたけれども、今ガイドラインがパブリックコメントに付されていますが、この特定空き家の措置のガイドラインはありますけれども、ごめんなさい、ちょっと順番が前後していまして、済みません、次に、支援法人の質問に移らせていただきます。
空家等管理活用支援法人が今回初めて新設されるわけですけれども、これは所有者不明土地法の推進法人が類似の制度としてベースにあるのかなと考えていますが、実際に自治体の現場の職員の方たちは、やはり新しい制度として、どういった受け止め方、どういった準備をすればいいかということが、かなりナイーブな状況になっております。
これは、空き家法二十三条一項に基づいて、支援法人の申請として、これはいわゆる行政手続法の第二章に言う、申請に対する処分に当たるのかどうかということが結構重要な論点になっております。
行政手続法の五条に基づいて、いわゆる市長村長は、できるだけ具体的な審査基準を作成して、これを公表する義務があるのか、また、この公表は施行日前に十分な時間的な余裕を持って行う必要があるのかといった点について、実際、具体的な手続の方法についての御見解、御解説をお願いいたします。
○石坂政府参考人 御指摘の支援法人の指定は、行政手続法第二章の申請に対する処分に当たるものと考えています。
このため、行政手続法に基づき、基本的には、市町村は、指定に係る審査基準を作成し、これを公にする必要がございます。
審査基準は、法の施行後に、実際の申請が来るまでに、あらかじめ準備をしておくことが適切であると考えているところでございます。
○赤木委員 今、実際にガイドラインを含めてパブリックコメントが募集されていますけれども、この支援法人に関するガイドラインというのは、まだパブリックコメントの中に見当たらない状況で、皆さん、ガイドラインは出るのかな、どうなのかなというのを非常に心配されています。
これについて、そもそもガイドラインは公表される予定なのか、また、公表される場合、いつ頃を目指されているのかということについて教えていただきたいです。
あともう一つ、何でこれはパブリックコメントにならないのかなということも疑問に思われている方も結構いらっしゃいますので、その点も併せてお答えをお願いいたします。
○石坂政府参考人 空家等管理活用支援法人の制度に対しましては、市町村が強い関心を持っておられると認識しております。そうした認識の下、市町村が支援法人を円滑に指定することができるよう、参考となる考え方を手引としてお示しする準備を進めております。
この手引は命令や処分基準ではございませんので、その性質上、パブリックコメントの義務対象とはなっておりませんが、指定権者である市町村の御意見を伺うことは重要と考えております。
そのため、現在、市町村の御意見を伺いながら検討を進めているところであり、できるだけ早期に公表できるよう努めるとともに、施行後もしっかりと市町村をサポートしてまいりたいと考えております。
○赤木委員 是非、いろいろと準備があって大変だと思うんですけれども、一日も早く、待たれている方が多いので、よろしくお願いします。ガイドラインが出れば私も問合せが少し減ると思いますので、私も答えやすくなりますので、是非よろしくお願いいたします。
今、そうですね、支援法人の懸念は行政サイドの質問だったんですけれども、実は、同じようにして、住民の方たちのサイドからの懸念点もあります。
これは何かというと、空き家行政とか空き家政策、これは支援法人として指定される法人が行うことになる、委託できるようになると思われますが、これは当然営利法人ですね、お金もうけを追求される法人の場合も当然あり得ると考えられます。この場合に、この空き家の政策が、言葉を選ばずに言うと、全部支援法人に丸投げされちゃうんじゃないかなということを危惧されている方も一方でいらっしゃいます。
これは、当然、私個人としては、空き家法はもう既に八年ぐらいの実績もあって、自治体の現場の皆さんもいろいろなノウハウを積み上げられていますので、当然、空き家関係の団体とか古民家関係の団体さんもいっぱいいらっしゃいますので、そんな、何か丸投げになる心配はないとは思ってはいるんですけれども、自治体が支援法人にどの程度までの裁量を与えることができるのかという点について、御見解をお願いいたします。
○石坂政府参考人 市町村による支援法人の指定に当たりましては、丸投げではなく、どういった業務を法人に行ってもらうか、そういったことを具体的に明らかにして、この制度を活用していただくことが必要であると考えてございます。
そのように業務を明らかにした上で、業務を適正かつ確実に行うことができるという範囲内において、市町村の判断で、その範囲で法人に裁量を与えていただくということが可能と考えているところでございます。
○赤木委員 ありがとうございます。
そうですね、今おっしゃられたみたいに、この業務をとか、例えばマッチングの部分をお願いしたいとかという、当然、支援法人の方たちに依頼する場合というのは、それを前提とはされているとは思うんですけれども、こういったことがガイドラインの中に恐らく細かく記載されていると思いますので、ちなみに、ガイドラインでは、そういったところをもうちょっと詳しく掲載されているということでよろしいんでしょうか。
○石坂政府参考人 御指摘の点も踏まえて、市町村の方々が適切にその指定をしていただくように、きっちりとそういったことの手引を示してまいりたいと考えているところでございます。
○赤木委員 そうですね、まさにそこら辺の、その部分のガイドラインを当然読み込んだ上で進めていきたいと考えていますので、是非、すごくせかす形になってしまって申し訳ないんですけれども、ガイドラインを心待ちにしております。
次は、支援法人を指定する際の懸念点になるんですけれども、現状においても、相当数の自治体が各種団体と例えば協定等を締結して、空き家に関する何らかの業務委託を行っている状況かと認識しています。
これは実際に、空き家バンクが始まって以降、結構空き家に関する協定というのは、いろいろな各種協会さんとか団体さんが協定を結んで進んでいるというふうに認識しているんですが、これは、例えば、既に協定を締結して業務を委託している法人に対して、こういった支援法人という制度ができたので是非申請してくださいとお願いして、それで申請を受けることが可能なのか。若しくは、多分、恐らく複数の団体さんから支援法人の申請が出てくることも当然考えられるんですけれども、既に既存のつながりのある法人さんに支援法人としてお願いするので、これ以上ちょっと受け付けることはできませんといったことを例えば拒否理由にできるのかといった点について、たくさん殺到することもやはり懸念されている部分がありますので、どういった場合に拒否ができるのか、若しくは、どういった場合、どういう理由があれば、客観的に、具体的に指定できるのかといった点について、御回答をお願いいたします。
○石坂政府参考人 議員御質問の趣旨は、これまで市町村が独自に協定を締結して業務を委託してきた法人のみを指定することを理由として、ほかの法人を指定しないことは可能かというものかと思います。
こうした、指定する法人数を限定する、例えば、もうこれ以上受け付けないということにつきましては、公平性の観点に留意することが重要と考えてございます。
例えば、先生御指摘のございましたように、余りにも多くの申請があって、業務の適切な、かつ確実な実施が損なわれてしまうというようなことがございまして、例えば、そういったことが合理的に説明できるということであれば可能かと思いますけれども、その場合でも、公平性の観点というのは十分留意をしていただく必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。
○赤木委員 そうですね、まさに空き家に限らず、随意契約等を結ぶ際の、いわゆる客観的、合理的な説明に類似するような内容を備えなければいけないというふうに理解させていただきました。
では、私の時間も、もうそろそろ迫りつつありますので、これは最後の質問で、斉藤大臣に是非お答えいただきたいんですが、今回、改正空き家法のKPIとして、五年で百二十団体の支援法人の指定という目標が設定されているんですけれども、これについて、戦略というか、どういった作戦を持たれているかということをお聞きしたいんです。
既に国土交通省さんの方が、例えば、今までいろいろな、出向先も含めてですけれども、つながりがある自治体、全部の自治体につながっていると思うんですけれども、そうした自治体に、是非この支援法人に登録してくださいみたいな、お声がけみたいなものをされるのかとか、あとは、支援策、支援法人を指定するとこんな支援がありますよみたいなことを準備されているのかということを、斉藤大臣の方からお答えいただけますでしょうか。
○斉藤国務大臣 空家等管理活用支援法人制度は、人員やノウハウの不足する市町村が民間法人を指定し、空き家の所有者に寄り添った相談対応などを担っていただくためのものでございます。
空き家対策における市町村の現状を見てみますと、六割以上の市町村がマンパワー不足を課題としております。また、既に民間法人と連携している市町村が七百以上あります。このため、改正法による新しい支援法人制度への潜在的ニーズは高いものと考えております。
国土交通省としましては、空き家の適正な管理や活用を推進していくに当たり、支援法人が大きな役割を果たすものと期待しており、機会を捉えて、市町村にその活用を働きかけてまいります。
今後、数値目標の達成も含め、この制度がしっかり普及するよう、市町村が支援法人を指定するに当たり、参考としていただける指定の手引も作っていきたいと思っておりまして、施行後もしっかりと市町村をサポートしてまいりたいと思います。
○赤木委員 心強いお言葉、ありがとうございます。
やはり新しい仕組みですので、言葉は悪いですけれども、恐る恐る、どうやって進めていったらいいかどうか分からないという自治体が非常に多いのが現実ですので、是非、この制度を活用するのを全力で御支援していただければと思います。
以上をもって私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、三木圭恵さん。
○三木委員 ありがとうございます。日本維新の会の三木圭恵でございます。
私も、この国交委員会、初めて所属をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速ですが、質問に入らせていただきます。
今日もライドシェアに対する質疑が多くなされております。先般の、岸田首相が所信表明演説の中で発言をされたことが大きいのかなと思うんですけれども、岸田首相は、地域の交通の担い手不足や移動の足の不足といった深刻な社会問題に対応しつつ、ライドシェアの課題に取り組んでいくと表明されたわけでございます。
そこで、まず、斉藤大臣にお尋ねしたいのですけれども、総理の所信表明を受けて、国交大臣として、このライドシェアにどのように取り組もうとされているのか。また、デジタル技術を活用したこのライドシェアという新たな交通手段を取り入れることによって、導入することによって、日本の社会にどのように貢献されようとしているのか。大臣の思い描く日本の交通社会の未来像というようなものを、高所大所から、是非御所見をお伺いしたいと思います。
○斉藤国務大臣 総理からは、今、喫緊の課題になっている、地方に限らず、担い手不足、運転手不足等に早急に対応するようにという指示を受けております。
地域における旅客輸送需要への対応は重要であり、特に、地方部や観光地において、需要に供給が追いつかない地域が生じていることは、解決すべき喫緊の課題でございます。
このため、十月十八日に緊急措置として、タクシーの供給力の徹底的な回復や、自家用有償の徹底的な活用などの具体策を決定したところです。
まずは緊急措置による取組を早急に実施するとともに、さきの国会で成立した改正地域交通法の枠組みや関係予算を最大限活用し、私が議長を務める地域の公共交通リ・デザイン実現会議を活用して関係省庁とも連携しつつ、利便性、持続可能性、生産性の高い地域公共交通へのリデザインを推進してまいりたいと思っております。
交通大臣会合を高松で七月に行いました。そこでも、民主主義の基本は、行きたいところに、行きたいときに、自由に安い値段で行ける、これが、移動の自由こそ民主主義を支える一つの大きな柱だ、それをどう担保していくかが我々の役目であるという共通認識に立ちました。
今、地域公共交通が本当に危機に瀕しておりますが、それをしっかり持続性のあるものにしていきたい、こういう未来像を持っております。
○三木委員 大臣の未来像をしっかりと受け止めた上で、次の質問に入らせていただきたいんですけれども、様々今日もこれまでの質疑の中でライドシェアについて御質問があって、大臣もお答えされていらっしゃいます。
ライドシェアの形態というか、定義もはっきりとまだ日本の中では定められていない中で、ライドシェアがどのような形態を取っていくのかということに関しましては、今後の議論の行く末を見守ることが大切であるし、この国交委員会の中でも、ちょうちょうはっしの議論がなされていくと思うのですが、私はちょっと、この今般の流れを見ていると、一つの懸念として、道路運送法第五章の第七十八条で、この二号、市町村、NPO等が一定の旅客の運送を行う自家用有償旅客運送制度というものを今回様々な緩和をしていって、運賃なんかも二分の一から八割ぐらいまで上げていってというような方針も出されておりますけれども、この部分を拡張していって、それでおしまいみたいなライドシェアにならないかどうかということが非常に私は心配なんですけれども、これは大臣、どのようにお考えでしょうか。
○斉藤国務大臣 今、特に問題になっております地方そして観光地、また都会でも、夜間いわゆる公共交通がなくなる、こういう大きな課題がございます。まずは、そういう課題にどう対応していくかということが、今、我々に課せられた問題だと思います。
先ほど申し上げましたように、タクシーやラストワンマイルの交通も含めて、地域公共交通をどう持続可能なものにしていくかという観点から、議論を大いにしていきたいと思っております。
○三木委員 自家用有償旅客運送制度というのも、地域の交通の便を考えると、きっちりとこれを拡張していかないといけない、最善のスピード感を持ってやれるところだと思うんですけれども、そこだけではなくて、私は、携帯電話の普及、それからGPS技術の発展、こういった技術を駆使したライドシェアというのは、デジタル社会において利用者の利便性を向上させることはもちろんのこと、雇用形態を変化させ、経済を活性化させる大きな原動力になり得ると考えています。
ですので、まずは、斉藤大臣おっしゃったように、過疎地域の交通の便であるとか、ラストワンマイルのことであるとか、そういったところもしっかりと拡充をしていって、担保していくことも大切だと思うんですけれども、もう一歩踏み込んで、このデジタル社会に合った日本の交通の未来像というものをしっかりと考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 最新の技術、デジタル技術等も活用して、地域公共交通をしっかりさせていくという観点は非常に重要だと思います。
先ほど来申し上げておりますが、そのときに一番重要なのは、やはり安全、安心の観点だと思います。使う自動車、運転する人、そして事故が起こったときの対応、責任、こういうことがしっかり明確になって、安心して利用できる、そのときに、デジタル技術を使って、できるだけ持続可能な、便利な地域公共交通にしていくということが重要だと思っております。
○三木委員 幸いといいますか、海外でこのライドシェアというのは非常に発展してきていて、便利に使っている。海外に旅行された日本人なんかも便利に使ってきて、帰ってきたら、便利だったよみたいなお話とかもありますし、そういった中で、海外も、様々規制を加えていったりとか、改善をしていく形があると思いますので、そういったところも取り入れていきながら、日本に合うライドシェアというものを、今後この国交委員会の中で議論をさせていただきたいと思います。御答弁ありがとうございます。
それでは、次の質問に入らせていただきます。
ライドシェア、ここで言うのは一般的なライドシェアですけれども、それに比べて、タクシー会社には負担が大き過ぎるという不満の声が多く聞こえております。
今日も様々な御答弁の中で、タクシー会社に対する規制緩和みたいなものが発表されていると思うんですけれども、私が、維新の議員としてタクシーのことを言うのはちょっと意外に思われるかもしれませんが、維新は、既得権益に対しては、やはりこれは打破していくべきものだと思っているんですけれども、しかしながら、過度な規制、負担というのは、やはりこれは解消していくべきじゃないかなという立場でございます。
それで、タクシー会社の負担と、タクシードライバーに対する負担があると思うんですが、よく言われているのが、二種免許の取得の難しさ。これは地理試験の難しさなんかも、すごく指摘されているところだと思います。こういったことは、今までも議員の皆さんが、委員の皆さんがそれぞれ御指摘されて、これは改善されていく方向なのかなというふうに思っています。
今日、タクシー会社の経営に関しても、五台持っていなければいけないのを一台からということで、緩和されるということなんですけれども、タクシー会社には、それ以外にも数多くの規制が、規制というか制約というか負担があって、ライドシェアを導入するのであれば、こちらも制約を緩和していく、規制を緩和していく、負担を軽減していって、公平公正にライドシェアの会社とタクシー会社が競争をしていくような社会というものをつくっていかないといけないのではないかと思うのですが、いかがお考えでしょうか。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
地域の担い手不足や移動の足の不足といった深刻な社会問題に対応するためには、タクシーの規制についても、時代や社会状況に合ったものにすることが重要だと考えております。
タクシーの規制緩和の一環としまして、先般、十月三十一日付で制度改正を行いまして、営業所ごとのタクシー車両の最低台数、また、営業所の施設設置要件を緩和することを行いました。これによりまして、特に地方部において、タクシーの固定費の削減効果が期待されると考えております。
また、運行管理にDXを生かしていくですとか、地方部にIターン、Uターンで個人タクシー、活躍していただくといったようなことも重要と考えております。
また、御指摘のありました地理試験に関しましても、時代に合った見直しをしてまいりたいと考えております。
○三木委員 ありがとうございます。
地理試験も、カーナビがあるから、もうそんな細かいところまで、交差点の名前まで覚える必要ないんじゃないのというような御意見もたくさんあると思いますので、是非ともよろしくお願いいたします。
それで、まだそれ以上に、かなりタクシー会社というのは数多く制約というものがあって、どんなものが一体タクシー会社の負担になっているんですかということを担当課の方にお伺いしたんですけれども、これは全部網羅して一覧表にしているような、そんな資料はないというお答えだったんですね。通達をつけ足して、通達をして通達をしてというような、つけ足しつけ足しでいっているから、タクシー会社の負担が今どれぐらいのものになっているかというのは正確に把握されていないということらしいのです。
タクシー会社を経営している友人の方に聞きましたら、物すごい負担なんだということを言っておりまして、一例を御紹介をさせていただきますと、二種免許の取得に関してはもちろんのことなんですけれども、タクシー運転者登録のため、乗務員へ二日間の講習を受講させ、乗務員証を発行、ワンマン乗務開始前に十日間の横乗り研修が必修、乗務員の免許更新ごとに乗務員証の更新、再発行が必要、運行管理者、整備管理者を選任し、届出しなければならない、各管理者は二年に一回の一般講習を受講しなければならない、運行管理者又は代務者は乗務員の出庫前及び入庫前に必ず対面点呼を行い、アルコールチェック、健康状態の確認等を行う、乗務員の健康管理をする、条件により適性診断の実施が必要、乗務ごとに日報の記入をする。
これは当たり前のことなのかもしれないですけれども、これを会社が全部するとなると、かなりの負担なんですね。入庫、出庫時間、走行距離、営業回数、乗車、降車の場所と時間、休憩時間と場所、乗車回数、乗車人数、納金内訳ほか、日報は整理して一年間保管する、こういったことが様々業務としてある。
車に関しては、車両は三か月ごとの定期点検をして、十二か月ごとの車検が義務づけられる、メンテナンスにかかる費用も大きい。その他、かなり距離の離れているメーター検査場まで出向いて、タクシーメーターの検査を一年ごとに行わなければならないとか、出庫前の日常車両点検の実施は毎日、営業区域が指定されている、自動車保険、自賠責保険が普通乗用車に比べて高額である。もちろんでございますけれども、営業車、タクシーでの帰宅はできない。
こういったことが様々、もっと網羅されて、タクシー会社を経営する方としては、こんなに負担があるんだよということを、津々浦々、すごい非常に私の方に、負担が大きいから、ライドシェアといってそれを解禁するのはいいけれども、それだったら、やはりタクシー業界の方ももう少し負担を軽減してもらわないと、割に合わないし、競争としても負けてしまうというようなことを言われているんですね。
このことに関して、今、一覧表がないといったことと、今後、このタクシー業界の負担を軽減するということについてどのようにお考えか、お伺いしてもよろしいでしょうか。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
一覧表がないということですけれども、タクシーの規制の内容は、全貌は、当然、行政庁として把握はしてございます。
そういう中で、タクシー事業者と意見交換をする中で、やはり時代に合わなくなってきているというようなものを積極的に拾い上げて、これを見直していきたいと考えております。その際、御指摘もありましたDXの力を使うということは、非常に有力な手法だと考えております。
○三木委員 ありがとうございます。質疑時間がもう終了しておりますので、是非、その資料をいただけたらなと思っております。
今後、こういったライドシェアの、日本の交通状況について今後も議論を重ねて、よりよい日本の交通手段というものを日本の社会の中で築き上げていくために努力してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日は、ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、古川元久君。
○古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。
私は、今、日本経済は大変大きな分岐点にあると思っています。今は、まだ足下のところは物価上昇率が賃金上昇率を上回っていますけれども、これを一日も早く、賃金上昇率が物価上昇率を上回るような状況になって実質賃金が増えていく、経済の好循環、そういう方向に持っていけるのか、あるいは、それとも、今の足下のところの、物価上昇率が賃金上昇率を上回っている状況だから、実質賃金が減ってしまっていますから、また再びデフレスパイラルに陥るか。本当に、そういった意味で、ここは正念場だと思います。
ですから、これは与党も野党も関係なく、長年の、本当、三十年に及ぶデフレ、そこから復活して、経済の好循環を進めていく。そのためには、私たち国民民主党は、対決より解決と申し上げていますけれども、しっかり政府でやっていただくことは、それで我々と方向性が同じであれば、それはしっかり応援はしていきたいと思っています。
そういう中で、内需の柱は、私も前から大臣にも言っておりますが、私は、やはり住宅というのは、非常に住宅産業というのは裾野も広いですし、しかも、これは本当に内需ですから、やはりここは非常に大事なところだと思います。経済の好循環を回していくためにも非常に大事であると思います。
ただ、住宅建設、マクロの今の日本経済の状況、政府の月例経済報告では、景気は緩やかに回復している、そういう基調判断がこのところ、もう半年ぐらいずっと続いていまして、ちょっと若干の言い方の言いぶりは違っても、コロナから脱却して、マクロで見ると経済は回復基調に足下のところはあるということなんですが、しかし、先ほど申し上げた内需の柱である住宅建設については、これはずっと前から、このところ弱含んでいる、そういう非常に厳しい状況が続いていて、むしろ足下を見ると、より悪くなっているような状況なんですね。
九月の住宅着工は、全体数が年率換算で八十万戸、持家に至っては二十二か月連続で対前年割れをしておりまして、年率に換算すると二十二万戸割れにまで落ち込んでおります。これは、コロナの第一波のときの緊急事態宣言下で、住宅展示場など、もう閉鎖するとか、人が来ない、それで、全く住宅市場が止まったときよりも更に悪い水準にまで落ち込んじゃっているということなんですね。
こうした厳しい住宅建設の状況について、今後の見通し、これをどのように見ておられるか、教えていただけますでしょうか。
○石坂政府参考人 お答えいたします。
現状の住宅ストックの状況は、耐震性や省エネ性能などが十分でないものが多数あることから、引き続き、建て替えも含めた住宅投資に関する一定の需要があるものと認識しております。
他方、中長的な住宅着工数については、人口、世帯数、婚姻数、出生数等の推移や将来推計を鑑みますと、現状の水準よりも減少していくことが考えられます。
○古川(元)委員 その分析だと構造的な問題だけで、もうちょっと足下のところをちゃんと分析しないといけないんじゃないですかね。ちょっと次の質問とも関わってきますけれどもね。
これは、経済の好循環に変われば、当然、金利も上昇局面に今入りつつあるわけですよね。この間は、ずっとゼロ金利、マイナス金利というような状況の中で、住宅ローン金利もずっと下がってきた。ですから、そういう状況の中、これはそういった住宅建設にとってはやはり追い風だったんですが、しかし、当然、金利上昇になってくれば、それは逆風になりますよね。
今の回答の中に全くそういう話も出てこないというところではありますけれども、これは今、もう御存じのように、住宅ローンの金利、固定はどんどん減って、変動金利が増えてきています。ですから、これは本当に、どんどんとこの変動金利が上がっていくような状況になってきたら一気に、住宅ローン金利の増えた部分で、これは住宅建設にブレーキがかかるだけじゃなくて、それこそローンを払えなくて破綻をするというような、そういう大きな問題も出てくるかもしれないと思うんです。
じゃ、まず、今後の金利上昇が住宅建設に与える影響についてはどのように考えていますか。
○石坂政府参考人 御指摘のとおり、固定金利型の住宅ローンにつきましては、金利が上昇しているものと承知しております。そもそもの住宅価格、マンション、戸建て住宅、共に高騰しているような状況を鑑みますと、住宅を取得する環境というのは悪化しているものというふうに考えているところでございます。
先ほども申し上げましたように、そうした、そもそも金利が上がっているということ、なかなか借りられなくなっているということは重々承知しているところでございます。
○古川(元)委員 いや、それは、だから、ただ客観的な話だけで、これが、では住宅建設、住宅、これから金利が上がっていったら、やはりそれは相当心配なんでしょう。本当に何か評論家みたいな答弁だけれども、住宅局長がそれで本当に大丈夫かというふうに思いますけれどもね。
先ほど答弁があった、その前に答弁がありましたけれども、やはり住宅が落ち込んでいるのは、もちろん、そういう構造的な、人口が減っていくとか、そういう問題もありますよ。でも、足下でいえば、実質賃金が下がっているということもあるし、また、地価が上がってきているということ、そしてまた、建築費が上がって価格が上がっているとか、やはりそういう問題があるわけでしょう。そういうところの認識は、さっきの答弁でも全然出てこなかったけれども、ちゃんとあるんですかね。
そういうことを考えたら、それに更に上回って金利が上昇局面になってきたら、これは相当大変な問題だ、そういう危機感はありますか、どうですか。
○石坂政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、物価上昇、資材高騰の問題もございます。また、先生御指摘のように、賃金が余り上がらないという状況もあるかと思います。
そうした中で、住宅の価格が、恐らく高性能化とともに住宅の価格全体も上昇しているところがございまして、特にマンションについては、新規の供給がそれほど増えない中で、結果的に中古のマンションも含めて価格が上昇している、そうしたことが背景にあるのかと思っているところでございます。
また、金利についても、変動金利は余り変わらない、むしろ下がりぎみのところもございますが、一方で、長期固定の金利については、固定金利については上昇局面ということで、非常に住宅を取得する環境というのは難しいというふうに考えているところでございます。
そうした中で、今回、経済対策を実施し、必要な対策を講じてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○古川(元)委員 最初から私が聞いているのは、その現状の上で、では今後の見通しとしてどうなのかということを聞いているんです。
今ちらっと言われたけれども、今の状況からいったら、当然、建築費、価格はもっと上がっていくわけでしょう、想定されるわけでしょう。地価だって、今の状況からしたら、これは今日後で聞くつもりでいますけれども、上がっていく、都市部中心にまだまだ上がっていくんじゃないかと。
そういうことを考えたら、それで金利まで上がるといったら、これはやはり、今のその流れの現状でいったら、今後の住宅建設は今より更に厳しい、深刻になる、そういう見通しは当然持っていなきゃいけないと思いますけれども、そういうちゃんと認識は、局長、ありますか。
○石坂政府参考人 住宅の取得の環境が厳しいということについては、十分認識を持っているところでございます。
○古川(元)委員 大臣にお出ましをいただかないといけないように思いますけれども、これは、今は厳しいけれども、いろいろなもろもろの、やはり状況の、今後の推移を考えたら、今後もっと厳しくなるんじゃないかと思うんです。
そうであれば、今も住宅支援のいろいろな施策をやっていますけれども、これを続けてやっているというだけでは、どんどんもっと落ち込んでしまうんじゃないかと。やはり、相当今後の先行きを、このままだともっと深刻になっていくというふうに考えて、よっぽど思い切った政策を取らないと、内需の柱である住宅建設、これは本当にこれからますます深刻になってしまうと思いますけれども、大臣の御認識、いかがですか。
○斉藤国務大臣 現状、今の状況、それから将来の日本の社会の状況等を勘案した際の住宅市況の大変厳しい状況、これは我々認識しておりますし、先ほどの住宅局長の答弁も、まず今の状況をどのように認識しているかという御質問……(古川(元)委員「いや、今後はどうかという見通しを聞いているんですよ」と呼ぶ)ということで、彼はそう答えましたけれども、将来に対しても非常に厳しい認識を持っている、それは共有をしております。
これをどのように打開していくかということでございますが、具体的には、例えば、固定金利型住宅ローンの金利上昇を考慮し、住宅金融支援機構によるフラット35について、子育て世帯や若者夫婦世帯を対象とした、子供の人数に応じた金利引下げに向けた検討を進めております。
また、子育て世帯や若者夫婦世帯による省エネ住宅の取得についても、こどもエコすまい支援事業の後継事業の実施により、積極的に取り組んでまいります。
こういう形で、新築のZEH、そして大きなマーケットとしてあるのが既存住宅、この既存住宅について、省エネ化また耐震化を進めていかなくてはなりません。
そういう意味で、取組方によっては大きな市場として我々の前に現れている、このように思っておりまして、危機感を持ってしっかり取り組んでいきたいと思っております。
○古川(元)委員 今やっていることを私も否定しているわけじゃないんですよ。ただ、その延長線上では、住宅を新たに建設しようとか、リフォームも含めてですけれども、やろうという人たちにとってはやはり環境が厳しくなる、そういう状況、構造的な要因に加えて、足下のところ、そして今後の見通しとしてはそういう状況にある、そういう認識を持って、是非これは相当思い切って支援策を講じる。今までやってきたのに、かなり、二段も三段も上乗せするような、あるいは枠を広げるような、そういうことをやる必要があるという認識を是非大臣にも持っていただきたいと思います。
その上で、今やっている支援策について、少しお伺いしたいと思います。
日本の住宅、これは断熱性が欧米に比べると低くて、私は、もっと断熱性を高めることが、これはカーボンニュートラルの実現に向けて大事なことであると同時に、健康であるとかいろいろな観点から重要だというふうに考えますけれども、こういう中で、さきに閣議決定された経済対策の中では、これは「エネルギーコスト上昇に対する経済社会の耐性の強化」として、質の高い住宅ストック形成に向けた省エネ住宅、ZEH住宅への支援、断熱窓への改修促進などの支援などが盛り込まれましたけれども、これは、私は断熱性の向上という観点から評価をいたしますが、去年の経済対策にもあった、その延長です。
この間の政策によって、ZEH住宅の普及や断熱窓の普及にどのような効果があったのか、どういう認識をしているか、教えていただけますか。
○石坂政府参考人 九月に受付を終了しましたこどもエコすまい事業では、約十三万五千戸のZEH住宅の支援を行いました。これによって、約九千五百事業者がZEH住宅の建築を行うようになり、地域の中小工務店など、ZEH住宅に対応できる事業者の裾野が拡大しつつあると考えているところでございます。
また、先進的な窓リノベ事業として、既存住宅における断熱窓への改修を支援することを目的として、環境省と経産省が連携し、先進的窓リノベ事業を実施しております。環境省と経産省によれば、本事業の開始前後の三か月を比較しますと、高断熱の窓の受注数が約六倍に増加したと聞いているところでございます。
こうしたZEH住宅あるいは断熱性の窓の普及によりまして、カーボンニュートラルの実現ですとか光熱費の削減、温熱環境の改善、そうしたものに大変大きな効果があったものというふうに考えているところでございます。
○古川(元)委員 効果があるということは分かりましたけれども、ただ、例えば断熱窓が六倍になったということは、それこそ、まだまだ改修が必要なのが、先ほどの議論の中にも出ていましたけれども、日本の場合、本当にそういう必要なものがほとんど、九割とかそういう状況ですから、やはり、需要があっても十分に供給にまだ応えていないという状況じゃないかと思います。ですから、もっとやはりこれは加速をする、させる必要があるんじゃないかなと思うんです。
そこで、ZEH住宅について、もう少し踏み込んでお話を聞きたいと思いますが、ZEH住宅というのは、これは冬は暖かいし、夏は冷房が利いていて涼しい、また防音効果もあって静かですし、また、やはり断熱性が高いとうちの中の温度が余り変わらないので、そういった意味では、よく今、最近は、外に出て交通事故に遭うよりも、うちの中でヒートショックとか、そういうふうで命を失う人の方がもう何倍も多い。昔は、うちから出て外へ行くときに気をつけてでしたが、今は、うちに帰るときに、うちに帰ったら気をつけてくださいと言わなきゃいけないような、そんな話さえもあるぐらいに、やはりうちの中での事故。また、温度を上げると健康にもいい。やはり場所によって非常に温度変化があるうちというのは、結局これは血圧とかいろいろそういうことにも、変動にもつながりますから、そういった意味では、断熱性の高い住宅というのは健康にもいい。
そういった意味では、ZEH住宅というのは、私も、ZEH住宅を自分で造って暮らしてみたという人から伺いますと、やはり暮らしてみるとそのよさが実感できる、ただ、なかなか、そこに住んでみないと、私のマンションはZEHじゃないのでそこまで分からないんですけれども、やはり住んでみないと分からないというふうに言われて、どうそこを分かってもらうかというのが大事じゃないかなと思います。
また、ZEH住宅ですと、これは発電、蓄電の機能もつければ、災害時、ほかが電気が消えていても、ちゃんと自分のところは電気もつくとか、使えるということになりますし、また、とにかく今はエネルギーコストが上昇しています。電気代、ガス代、今は政府の補助で何とか抑えていますけれども、しかし、今後のことを考えても、むしろ下がるより、これからも上がっていくというふうに考えた方が普通で、そういった意味では、こうした電気代とかガス代とか、そういうエネルギー代の負担を軽減するという経済的なメリットもあります。
そういった意味では、ZEH住宅というのは価格がどうしても高いので、そこからちゅうちょする人もいるというふうに聞きますけれども、こうした様々な効果があることを、やはりもっといろいろな意味でPRしていく必要があるんじゃないかと思うんですね。
それに、さっきからも申し上げています、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現のためには、今、超党派のカーボンニュートラルを実現する会というのを私も共同代表の一人としてやっていますが、二〇五〇年にカーボンニュートラルを実現するためには、まずは足下、二〇三〇年目標を達成することが必要で、やはりそのためには相当住宅分野において頑張らなきゃいけない。
そういう意味では、このZEH住宅の標準化と既存ストックの省エネ化の加速というのは、二〇五〇年にカーボンニュートラルを実現するためには不可欠な話であって、そういった意味では、さっき、それなりに効果は生んでいるという話がありましたけれども、しかし、本当に必要な人に必要な支援が十分に行き渡っているかというと、途中で予算がなくなったとか、そういう話もよく聞くわけです。ですから、やはりこれは十分な予算の確保が必要と考えますけれども、そこについての政府としての考え方を教えていただきたいと思います。
○石坂政府参考人 二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現を図り、エネルギー価格の上昇への対応、あるいはヒートショック対策、そういった観点から、子育て世帯、若者世帯に対する、高い省エネ性能を有する新築住宅への支援ですとか住宅の省エネ改修は、引き続き大切であると考えているところでございます。
また、二〇三〇年、ZEH水準の義務化ということも予定しているところでございますけれども、そうした観点からも、このZEHの住宅の普及を図ることは本当に大切なことだと考えているところでございます。
国交省といたしましては、総合経済対策に盛り込まれた「質の高い住宅ストック形成に関する省エネ住宅への支援」の実施などを通じて、こどもエコすまい事業の後継事業について必要な事業費を確保し、積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○古川(元)委員 大臣、やはりいろいろと、住宅建設をしたい人にとっては、足下のところ、いろいろな状況はよくなくなっているし、これからもっと悪くなるというふうに、そういう中でこういう良質なストックを加速させていくためには、相当、本当に今まで以上に、条件も含めて緩和するとか補助金の金額を増やすとか、いろいろな、相当、質、量ともに大幅にやはり拡充していかないと、なかなか住宅建設の今後は厳しいと思いますから、是非そこはお願いしたいと思います。
そこにちょっと絡む話でもあるんですけれども、一方で、急に総理が花粉症対策をやるという話で、ばたばたと超党派の議連もできまして、私も副会長をやれと言われて副会長になっておりますけれども、その中で、花粉症対策として、とにかく、杉の木をこれから二割、ばっと切っていく、それで、切った木をやはり使うようにということで、住宅分野における輸入材から杉材への転換促進がうたわれております。
ただ、私は、ちょっと大手の住宅メーカーの方なんかから伺うと、国産木材の利用を促進していくためには、国際的に認められた森林認証制度の認証を受けた森林をもっと増やしていってもらわないと、こういう大手のメーカーは、今やはり開示の基準とか何かで、ちゃんとそういうものをどれくらい使っているかというのを示さなきゃいけないんですよ。ですから、やはり投資家向けへの開示の中で、日本はまだまだ、そういう国際的に認められた、認証を受けた森林面積というのは少ないんですね。こういう状況だと、輸入材から杉材に転換を促しても、やはりそういう、ちゃんとどれくらい国際的に認証された森林を使っているかということの開示を求められている大手のメーカーからすると、なかなかそれは苦しいところなんですね。
ですから、やはり、輸入材から杉材、国内材への転換を促進しようというのであれば、これはとにかく、国際的にもちゃんと認証を受けたような森林面積をいかに増やすかということが極めて大事だと思います。
森林はやはり林野庁だというところがあるんですけれども、林野庁と、住宅を造っていく国交省、両方がしっかり連携して取り組んでいかなきゃいけないことだと思いますが、この点について、どのように取り組もうとしておられるのか、林野庁と国交省、両方からお伺いしたいと思います。
○谷村政府参考人 お答えいたします。
御指摘の件につきましては、先日、国土交通省とともに住宅生産団体に聞き取りを行ったところ、現時点において支障が生じるわけではないものの、今後、森林認証面積を増やしてほしいという要望の声があったというところでございます。
国内の森林認証面積については、年々増加しておりまして、現在、約二百六十万ヘクタールとなっております。現時点においても一定の供給力はあると考えておりますが、農林水産省といたしましては、森林経営の持続性を担保した木材利用の推進に向け、国内の認証材の普及や、森林認証取得に係る川上から川下の関係者の合意形成にも活用可能な支援を今措置しているところでございます。
他方、多くの住宅メーカーからは、必ずしも認証材ということではなく、国産材全般に対して、価格や安定供給が課題であるという声もいただいておるところでございます。
農林水産省といたしましては、供給側である川上と需要側である住宅メーカー、双方にとって持続的で安定的な需給体制が構築され、認証材を含めた国産材への転換が促進されるよう、国土交通省とも連携して取り組んでまいることとしております。
○石坂政府参考人 花粉症対策を着実に推進するためには、住宅生産者において杉材需要の拡大が重要でございます。一方で、輸入材から国産材に転換しようとしても、認証材が少ないので増やしてほしいという声を聞いているのも事実でございます。
杉材の活用に当たりましては、認証材などが安定的に供給され、住宅生産者が持続的に調達できることが重要と考えているところでございます。このため、国交省としましても、林野庁と連携して、こうした環境整備に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○古川(元)委員 時間が来ましたので、済みません、ちょっと土地の話が聞けなかったんですけれども、次回に回しますが、是非、住宅は本当に大事な、私は、経済が、本当に分岐点にある中で、いい方向に進むためには、住宅にやはり力を入れるということは非常に大事だと思います。是非、大臣におかれては、同じ認識を持っていただいて、住宅の建設促進に努めていただく、そのために思い切った政策を取っていただくことをお願いして、質問を終わります。
どうもありがとうございました。
○長坂委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十八分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○長坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。高橋千鶴子さん。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
岸田総理は十月二十三日の所信演説で、ライドシェアの課題について取り組んでまいりますと述べました。デジタル行財政改革会議や規制改革会議のワーキンググループなどで具体的な検討が始まったところです。大臣も先日の所信挨拶で、移動の足の不足といった深刻な社会問題に対応するため、地域の自家用車、ドライバーを活用する仕組みなどの検討を進めてまいりますと述べました。ライドシェアと一口に言っても、何をもってライドシェアなのか、自家用有償旅客運送をライドシェアだと思っている方々も多いです。人々の受け止めは様々です。
そこで、自家用車でお金を取って運送することは白タク行為として道路運送法で禁じられておりますが、今回目指しているのは白タク行為の解禁なのかどうか。また、なぜ今、にわかにライドシェアが話題になっていると思うのか、大臣の認識を伺います。
○斉藤国務大臣 ライドシェアという言葉につきましては、定義は定まっていませんが、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態で、有償で旅客輸送サービスを提供することは、従前から国会で答弁しているとおり、安全、安心の確保の観点から問題があるため、認めることはできない、この考え方は一貫しております。
したがいまして、今回の検討は白タク行為の解禁なのではありません。
一方で、総理から、地域交通の担い手不足や移動の足の不足といった深刻な社会問題に対応するため、バス、タクシー等のドライバー確保や、不便の解消に向けた地域の自家用車、ドライバーの活用などの検討を進めるよう、指示を受けております。
この検討に当たりましては、都市部、観光地、地方部などによって課題も異なりますので、それぞれの地域の実情をしっかりと把握した上で、安全、安心を大前提として、利用者の移動需要に交通サービスがしっかりと応えられるよう、方策を検討してまいりたいと考えております。
地域交通などの担い手不足や移動の足の不足といったことが大きな社会問題になっているから今話題になっている、このように考えます。
○高橋(千)委員 まず、白タク行為の解禁ではありませんということと、従来から言っている考えに変わりがないということをおっしゃいました。
それで、平成二十年十二月十八日の交通政策審議会答申、タクシー事業を巡る諸問題への対策について、これは、地域の公共交通機関としてのタクシーの維持、活性化を目指してと、副題がついております。本文の中で、タクシーの役割として、「タクシーは、鉄道・バス等とともに、我が国の地域公共交通を形成する重要な公共交通機関である。」と明記されています。
この認識は今も変わりませんね。
○斉藤国務大臣 御指摘の答申にも記されているように、国土交通省として、タクシーは、国民生活や地域の足を支える重要な公共交通機関としての役割を担っていると認識しており、この認識は今も変わりはありません。
また、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律、今年の国会で御審議いただきました。この法律におきましても、タクシー事業者は公共交通事業者として位置づけられております。
○高橋(千)委員 今、変わりませんという答弁でありました。やはり、地域の大事な公共交通機関である、それにふさわしい支援が必要なのではないか、こうしたことも議論していきたい、このように思うわけであります。
この今紹介した答申は、二〇〇二年、平成十四年二月の改正道路運送法で、需給調整規制の廃止を柱とする、いわゆる規制緩和を行ったことを受けての評価、見直しを国交大臣が諮問したものでありました。
資料の一を見てください。当時の交通政策審議会、ワーキンググループの資料ですけれども、緑のグラフ、車両数は平成十三年を底にして、ぐんぐん右肩上がりに増えております。逆に、赤のグラフ、日車営収は八千七円、二一・二%も落ち込んでいます。タクシー車両が大幅に増加する一方、過当競争による経営状況の悪化、賃金の低下が見られました。
ちなみに、ちょっと飛んでいただいて、資料の四に主要都市の需給指標の推移というのがありますが、私も仙台が一番過当競争だったというふうな認識があるんですが、これは数字で見ると、まさにそうなんですね。平成十年を一〇〇とした場合に、平成十八年は実車総キロ数が八七。個々の総キロは減っている、けれども、実在車両数は一四七。ここまで過密の状態になってあったということが分かると思います。
その結果、特に供給過剰の地域を指定して、規制強化に転じたと思いますけれども、間違いないでしょうか。
○鶴田政府参考人 タクシー事業につきましては、先ほどお話がございました、平成十四年二月に改正道路運送法が施行されて、需給調整規制の廃止を始めとした規制緩和が行われたところです。
規制緩和の効果として、サービスの多様化、待ち時間の短縮といった効果があったところですが、地域によっては、需要が長期的に低迷する中、車両数が増加し、タクシー運転者の労働条件が悪化し、タクシーが地域公共交通としての機能を十分に発揮することが困難になったという経緯があります。
これを踏まえまして、平成二十一年の特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法の制定、また、平成二十六年のこの法律の改正によりまして、特定地域、準特定地域を指定して供給過剰の解消を図ることとなったところでございます。
○高橋(千)委員 時間の関係で説明はしませんが、二枚目のところに、今、特措法で改正を行ったということで、その後の動きのグラフを資料の二につけております。やはり、収入が若干増えまして、赤いところがそうなわけですけれども、コロナでまた頭打ちということが今起こっているということで、皆さんの認識のとおり、運転手の不足だとか収入の悪化ということがあると思います。
それで、そうした、今、国交省的には、いいところもあったという話を若干されたわけですけれども、やはり、輸送人員が減少し、過剰な輸送力の増加、過度な運賃競争、収益基盤の悪化、労働条件の悪化、その中で、やはり増え過ぎたということで、違法とか不適切な運営もあったということもあって、見直しをされたということだったと思うんですね。
そういう反省を基に、こうした、また規制をやってきたにもかかわらず、不思議なことに、今回、またも規制改革の文脈でライドシェアが叫ばれているわけです。さっきは地域交通のお話で、大事なことなんだとお話があったんだけれども、ライドシェアはやはりこういう文脈で言われているということが違うかなと思うんです。
岸田総理は、十月二十五日の本会議、維新の会、馬場代表の質問に答えて、デジタル行財政改革を強力に進める中で、御指摘のライドシェアの課題を含め、規制、制度の徹底した改革にスピード感を持って取り組んでまいりたいと答えました。
コストカット型経済から完全脱却のための規制改革、それがライドシェアだと言っているわけですから、どうも過疎地の話じゃないなというのは、これを聞くと思うわけですよね。
そこで、まず伺います、内閣府に。営利型ライドシェアによる新たな市場などの経済効果はどのくらいと見ているでしょうか。
○渡辺政府参考人 お答えいたします。
冒頭、先生からもお話がございましたように、現在、地域交通の担い手不足や移動の足の不足といった深刻な社会問題に対応し、利用者起点で社会変革を実現するために、デジタル行財政改革会議や規制改革推進会議での議論を開始したところでございます。
ライドシェアは一般に、これも先生お話ありましたが、アプリ等で自家用車、ドライバーと利用者をマッチングさせ、輸送サービスを提供するものであるというふうに一般にされておりますけれども、何か決まった定義があるわけではございませんで、海外では様々な形態で運営されていると認識しております。
加えまして、現在、規制改革推進会議のワーキンググループ、こちらで議論をまさに開始したところでありまして、今後の議論の行方を見通すことは困難でございます。
したがいまして、今御指摘のございました経済効果について、何らか申し上げることはできないということを御理解いただければと思います。
○高橋(千)委員 十一月六日のワーキンググループの中で、ウーバー・ジャパンのプレゼンでは、世界的なライドシェアの市場規模予測として、二〇一七年三百六十億ドルが、二〇三〇年には二千八百五十億ドルという試算を発表されました。ユーザーの割合は世界人口の一三%。
それから、ちょっと古いですが、二〇一八年の新経済連盟のシェアリングエコノミー推進PTのライドシェア新法の提案の中に、ライドシェアを日本で行う場合の経済効果は約三兆八千億円ということが言われています。いずれも会議で出された資料でもあるし、当然承知をしていると思うんですね。
やはり、さっき言ったように、総理がこういう文脈でおっしゃる、コストカット型経済からの脱却とおっしゃる以上は、経済効果を見込んでいる、額は今言えないけれども、そういうことだと思いますが、違いますか。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
総理も所信の演説の中で、地域交通の担い手不足や移動の足の不足といった社会問題に対応しつつライドシェアの問題に取り組むというようなお話をされておりますので、私どもは、まさにこの指示に基づいて、現在検討を会議で開始をしていただいたところでございます。
○高橋(千)委員 ですから、総理の答弁が使い分けていると言っているんですよ。地域の足と最初の日は言いました。だけれども質問されたら、規制改革だとおっしゃっているんですよ。二つの意味、違う意味でしょう。
路線バスが廃止、タクシーが幾ら待っても来ない、そうした報道が続くようになりました。移動の足を確保しなければなりません。それは当然です。でも、バスも廃止され、タクシー会社もないような交通空白地域にアプリで参入して、営利型ライドシェアが参入すると思われますか。都市部でこそアプリを活用しての事業が成り立つのではありませんか。これを狙っているのは、基本は外資ですよね。違いますか。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げたように、総理の指示に基づいて、私ども、検討を開始しているところでございますが、具体的に申し上げますと、十一月六日に規制改革推進会議のワーキンググループを開催いたしまして、地域交通の現状と課題について、自治体、三自治体の方ですけれども、それぞれの地域の切実な実情をお聞きするとともに、先生も御指摘ありましたが、ライドシェア事業者から、欧米諸国やアジアにおいて広く導入されている状況や、事業者自身やドライバーに対する安全確保の方策などについて、つまびらかにお話をお伺いしたところでございます。
今後、地域交通の課題につきましては、当該ワーキンググループにおいて有識者の方々に引き続き御議論いただくところでございまして、現在、先生御指摘ありましたけれども、何らか私ども、議論の方向性について申し上げられるような状態にないというふうに思っております。
○高橋(千)委員 二〇一六年、京丹後市の自家用有償運送の取組にウーバーが進出したときに、ライドシェアが始まったかのように報道されたことがありました。ライドシェアに詳しい川上資人弁護士によれば、ウーバーは単にアプリで利用者とNPO事業者を仲介していたにすぎないこと、地方で移動困難者を運んでも利益にはならない、ウーバーやリフトはあくまで東京でのビジネス展開を狙っている、これはその足がかりにすぎないという指摘をしています。
二〇一六年九月二十九日にウーバーイーツを東京で始めましたが、自転車なので道路運送法の規制は受けないわけですね。高橋正巳社長が、二〇二〇年の東京オリンピックまでにライドシェアを東京で行いたい、そこへ向けてブランドの認知を広げるためのウーバーイーツの事業なんだと、これは雑誌で述べていると指摘をしているんですね。東京オリパラには間に合わなかったけれども、万博が次の目標なんでしょうかと思うんですね。だから、漠然と、ライドシェアが交通空白地帯を救ってくれるような議論にしてはならないと思うんです。それはそれで、別のスキームだと思うんですね。
そこで伺いますが、OECD加盟三十八か国中、ライドシェアを禁止していない国はどのくらいありますか。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
ライドシェアという言葉については決まった定義がなく、海外では様々な形態で運営されているものと承知していますが、仮に、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態で、有償で旅客サービスを提供するという意味でのいわゆるライドシェアにつきまして申し上げますと、現時点で把握している限りでは、OECD加盟三十八か国中、米国の一部の地域では禁止されていないというふうに把握してございます。
○高橋(千)委員 質問主意書が前に出されまして、そういう答弁をされていました。辻元議員からの質問に対してでした。
資料の五を見ていただきたいと思うんですね。交通の安全と労働を考える市民会議が作成した欧州のライドシェアの状況であります。
これを見ると、禁止していないところは、カナダから下、八か国あると思います。非常に動いていますので、ただ、圧倒的に、三十八か国のうち三十か国は禁止なんだと。禁止が並んでいる。これは欧州なので、二〇一七年十二月、解説がついていますけれども、欧州連合の最高裁判決で、ウーバーは運輸業という判断を下しました。ウーバー社は配車アプリを介して運転手と乗客をつなぐデジタルサービスなんだから、事件や事故があっても自分たちの責任ではないと言ってきたわけですが、その主張が成り立たないことになったわけです。
それで、一斉にこう並んでいるわけですけれども、一番新しい裁判は、ここ、三十番を見ていただければ分かるんですが、トルコで今年の六月、最高裁でライドシェアを違法と判決を出しました。これは、ウーバーのアプリだけの使用は認めるということで、差止めされていたものを解除して、アクセスを解除しまして、タクシー配車アプリのみを認めたものであります。
こうして見ると、決して世界はライドシェアが標準とは言えないですよね。
国交省に聞いています。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
今お示しいただいた資料の中で、ライドシェアというのがどういう定義で使われているかにもよると思いますが、先ほど申し上げましたのは、数年前から、当初から言われているような形態でのライドシェア、これを認めていないのはどこかという御質問でしたので、米国の一部の地域では禁止されていないというふうにお答えを申し上げたところでございます。
○高橋(千)委員 ですから、禁止されていないという国をそれしか言えないということは、標準、世界ではどこでもライドシェアをやっているよという話ではないよねということを確認したかっただけで、そうですよね。
○鶴田政府参考人 先ほど申し上げたような意味でのライドシェアというのは、広い地域で認められているという事実は把握していないということでございます。
○高橋(千)委員 はい、確認しました。
二〇一八年に、楽天、三木谷氏などの新経済連盟が提案したライドシェア新法は、プラットフォーマーとドライバーの両方に規制をかけて、いわゆる白タク行為は厳格に罰則を設けるんだと呼びかけていました。
六日のワーキングでも、資料の六にありますけれども、ウーバー・ジャパンが、アメリカ・カリフォルニア州、ロンドン、オーストラリアなどの安心、安全対策、こんなにやっているんだということを紹介しているんですね。読みませんけれども、かなり細かいんですよね。例えば、この運行管理のところなんかは、過労防止、十二時間稼働した運転手は八時間アプリを使用できないよう設定するとかしているわけです。
それで、やはり、禁止していない各国でも、様々な事件があった中で、タクシー労働者の集団デモやライドシェア運転手の労働者性を問う裁判などを経て規制強化されてきたということが言えると思うんですね。
利用者の不安に応え、安全対策を突き詰めていけば、やはりその形態はタクシー営業に限りなく近づいていくんじゃないかと思うんですが、大臣、どうでしょうか。
○斉藤国務大臣 ライドシェアとは、一般的に、アプリ等で自家用車、ドライバーと利用者をマッチングさせ、輸送サービスを提供するものであると考えていますが、先ほど来申し上げたとおり、決まった定義はなく、海外では様々な形態で運営されているものと認識しています。
一般論として、海外事例との単純な比較は困難ですが、日本に合った自家用車、ドライバーの活用方策の検討に際しては、他の国で安全、安心の確保について一定の措置が取られていることも参考になると思われます。
いずれにいたしましても、我が国においては、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態で、有償で旅客輸送サービスを提供することは、安全、安心の確保の観点から問題があるため、認めることはできないと考えております。
○高橋(千)委員 ちょっとストレートなお答えではなかったと思うんですが、やはり、突き詰めていけば、今のタクシー営業がちゃんとできるように支援するということが、まずちゃんとできなきゃ駄目だと思うんですね。
資料の最後は、現在も外務省がホームページに掲載している海外安全虎の巻というものです。その中にある、悪徳タクシーというのがあって、必ずタクシー乗り場などから正規のタクシーを利用し、営業許可を受けていない白タクには絶対乗らないようにしましょうと呼びかけています。資料では配っていませんけれども、ここは日本じゃないんですよ、日本と同じ感覚で流しのタクシーに乗っちゃ駄目ですよ、正規のタクシーに乗ってください、ここまで注意を喚起しているんですね。
逆に言えば、日本がそれだけの、治安がよいというのであれば、そこに、日本にも気をつけてと言われるようになっては駄目なんだと思うんです。
資料の二は、もうさっき言ったので飛ばします。
資料の三。これはほとんど変わっていないんですが、タクシー運転手は、全産業より長く働いて、年収は全産業の今は半分です。そういう状況なんですね。タクシー運転手が不足しているのは、長時間労働と低賃金こそが最大の要因ではないでしょうか。
鉄道があって、バス路線があって、更にタクシーも利用できて、初めて地域公共交通が成り立つんです。ラストワンマイル交通であるタクシーだけにこの責任を負わせる話ではないんです。もっと言えば、市場原理に任せ、矛盾を放置してきた国の責任はないのか、それをどう受け止めるのかということを言いたい。その反省なしに、規制緩和で解決できるはずがありません。
タクシーを地域交通の中にきっちりと位置づけて、そのための支援、補助、魅力ある職業にしていくための処遇改善へ本格的に見直すべきだと思います。大臣、一言、時間なので。
○斉藤国務大臣 ちょっと、二言ぐらいになるかと思いますが、先ほども申し上げたとおり、タクシー事業者は、公共交通事業者として位置づけられ、地域交通にとって欠かせないものと認識しております。
委員御指摘のとおり、地域公共交通に関するニーズや課題は多種多様であることから、地域特性に応じて多様な交通サービスを組み合わせ、創意工夫を凝らしていくことが重要であると考えております。先般改正された地域交通法や関係予算を活用してリデザインを進めていこうという方針も、このような問題意識に基づくものです。
また、その担い手である運転手の確保に当たっては、職業の魅力向上が最も重要ですので、運賃改定申請への迅速な対応などにより、引き続き処遇の改善に取り組んでまいりたい、このように思います。
タクシーを地域交通の中に位置づけて、各種の支援により、タクシー事業の維持発展に取り組んでまいります。
○高橋(千)委員 引き続き、頑張りたいと思います。
ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、福島伸享君。
○福島委員 有志の会の福島伸享でございます。
今日は、これまで国土交通委員会の中で一般質疑で質問してきたことの途中経過というか、刈取りの問いを何本かさせていただきたいと思います。
まず一点目は、国土形成計画なんですけれども、七月二十八日に閣議決定されました。
去年の三月二日、そして今年の三月二十九日のこの委員会で、国土形成計画について大臣と議論させていただきましたけれども、私や山口公明党代表の先輩でもある下河辺淳さんの、ミスター全総と言われている下河辺淳さんの話なども引きながら、国土形成計画というのは国家としての意思とか理念とかが求められるものであって、国土計画というのは国土をデザインすることそのものなんだから、まさに我々政治家がやるものなんだということを私は語らせていただいたんですが、今年の新しいキャッチフレーズが、新時代に地域力をつなぐ国土、何か小学生のスローガンのような、すごい平凡なものだったと思うんですね。
その証拠に、資料一というのがありますけれども、これは、かつて最後の全総が作られたときは、毎日新聞は夕刊で、こうやって一面と解説記事みたいなのを作って、ほかのいろいろな新聞もつけているんですけれども、調査室や国会図書館を使って今回の国土形成計画の記事を見たら、ほとんどないんですよ。閣議決定された翌日の報道はゼロです。最後の全総のときは、全て閣議決定されたという記事はあるんですけれども、今回ゼロですよ、新聞では。大臣の所信でも、最後にちょこっと触れるぐらいなんですね。
本来、国土交通省ですから、元々、国土省という名前を作って、そのお役所をつくろうとしたのは、総合的な国土政策を実行すると。その憲法になるのが本来国土形成計画のはずなのに、所信の表明でも後の方だし、やはりこれは作り方を相当考えるか、位置づけを考え直さなきゃ、ただ単に紙の書類の資料を作っても仕方ないと思うんですね。
前回の委員会でも私は申し上げましたけれども、日本の英知を結集して、政治の意思を働かせた、記事になるのがいいとは言いませんけれども、少なくとも、閣議決定の翌日にどの新聞も報道しないような計画じゃない計画を作るように、次のプロセスに向けて見直すべきだと思うんですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。
○斉藤国務大臣 福島委員とは、特にこの国土形成計画について、毎回熱心な福島委員の国土形成計画に対する思いが伝わってくる議論をさせていただいておりますけれども、確かに、昔の全総に比べて新聞での取扱いが小さくなっている、私自身も大変残念に思います。
しかしながら、この国土形成計画、おおよそ十年に一度ということで、実は、新しい国土形成計画を作ったら、もう次の国土形成計画についての準備を始めて、多くの方の意見を聞き、多くの方との議論を踏まえて、国会でもいろいろ御議論をいただき、野党の議員の皆さんの意見もいただきながら作り上げているものでございます。
そういう意味では、これから、本当に日本のグランドデザインですから、どのような形で国民の皆さんに魅力あるものとして、注目されていくものとして存在できるか、しっかり考えていきたいと思います。
○福島委員 私は、必ずしも多くの人のを聞く必要はなくて、やはり最高の日本の知性が必要だと思うんですよ。新時代に地域力をつなぐ国土みたいな凡庸なキャッチフレーズじゃない、キャッチフレーズだけじゃなくて、中身も、十年間って大分変わりますから、とがった、日本の将来を見据えるようなものにした方がいいと思いますし、この委員会でも集中審議をするようにお願いしたんですけれども結局やっていませんので、是非、次の十年後のその計画を作るときにはしっかりと対応していただければと思います。
一般質疑の時間、来週も取っていただいたようなので、物流の二〇二四年問題、先ほどの國重委員の質問を聞いて、すごいいい質問だなと思ったんですけれども、時間がないので次の一般質疑のときに回しまして、三番目のJRの問題、これも何度も何度も議論してまいりました。
資料二というのにありますけれども、JR東日本の駅からどんどんどんどん時計がなくなっておるのは、皆さんお気づきでしょうか。前回、トイレがない駅というのをやったんですよ。それを今度、私の後に、たがやさんがトイレのない駅をやると言っているので、多分、多くの人が不便を感じていると思うんです、国会議員の皆様方も。うちの水戸駅も時計がなくなって、東京へ行くとき、両手に荷物を持っていくと、時計を見ようと思ったらないんですよ。携帯も取れない、もぞもぞもぞもぞしなきゃならない。
そして、みどりの窓口も減っております。しかも、営業時間が七時までとかになっちゃって、夜になると買えなくて、常磐線の特急は全席指定席ですから、指定券がないと、駅に止まるごとに、この席、誰かいないかなともぞもぞもぞもぞしなきゃならないので、寝るに寝られないんですね。
本当に、何でこんな乗客が不便な思いをするんだろう。JR以外の線があったら、私はその別の線を乗るんですけれども、残念ながらJRしかないから乗らざるを得ないんですね。
昨年の五月二十五日の国土交通委員会で、最近のJR東日本はどこかおかしいんじゃないのと話をしたら、これは結構あちこちで、ネットなどでも大きな反響がありましたし、同僚議員の皆様からも、そう思っていたんだよという声もお聞きしました。
昨年、社員に、JR東日本の高岡経営企画部長というのがいて、ホーム設備スリム化プロジェクトというのをやったそうです。駅の設備で使用実績がないものはないか、あってもめったに使わないものは他のもので代用できないか、今は使っているが近い将来撤去できる見込みのあるものはないかと社員で議論して、あれも要らない、これも要らないという議論になって、鶯谷で検証したところ、ある駅とない駅があるから全部なくしてしまえ、それでいいんだとなって、結果的に全部なくしたら設備が六〇%減りましたと自慢げにしゃべっていたんですけれども、ここに駅の公共性とかお客様のためという概念は全くありません。
私は、最近のこうした公共性のない、今、地域公共の活性化のためにいろいろ努力はしておりますけれども、そもそも、国鉄が分割・民営化されて、この駅の問題しかり、トイレなき駅もしかり、時計のない駅もしかり、最近のJR東日本って、えらい公共性がなくなったんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがお感じになりますか。
○斉藤国務大臣 鉄道事業者は、ポストコロナ社会における鉄道利用者の減少や、将来の人口減少に対応するため、経営体質の強化に取り組んでいるところであり、その一環として、御指摘のような駅設備の合理化等の方策が取られている面もあるものと受け止めております。
一方で、鉄道事業者がサービスのレベルをできるだけ維持向上させていくことは、公共交通機関として果たすべき役割であると考えており、仮にコスト削減対策を行うとしても、利用者の利便を著しく損なうことのないよう、利用者への丁寧な周知や沿線自治体等の関係者への丁寧かつ十分な説明を行うなどの対応が重要と考えております。
今後とも、こうした観点を踏まえて丁寧な対応を取るよう、引き続き鉄道事業者をしっかりと指導してまいりたいと考えております。
○福島委員 でも、指導じゃ駄目だと思うんですよ。そういう答弁は分かるんですけれども、指導だけじゃ駄目だと思うんですね。
高岡経営企画部長はこうも言っているんですよ。会社として、新たなビジネスモデルとして、JR東日本投資顧問という会社を立ち上げました、これは不動産事業における新たな回転型ビジネスモデルです、典型的な例として高輪ゲートウェイといって、不動産ビジネスなんですよ。後で、たがやさんからお話があると思いますけれども。
そもそも、JRの駅とか線路とか土地は誰のものか。日本国有鉄道。国有って誰のものですか。私たち国民のものです。その日本国有鉄道改革法第二十条第二項で、簿価で国鉄からJRに引き継がれた国民の財産を使って、経営体質の強化はそれは結構だけれども、そっちの方が、金もうけの方が今優先されちゃっているんじゃないかと思うんですね。
民営化って、そもそも何のためにやったのか、民営化のメリットは何か。それは、民営化というのは、民間は競争を通じて、よりよい経営を行ったりサービスの向上ができるから民営化なんです。
一方、独占をさせると、これは必ず独占の弊害が出ます。ですから、様々な規制を導入して独占の弊害が出ないようにする。国鉄の分割・民営化のときは全部を一体として民営化を行ったけれども、その後の情報通信、電電公社とか、私がやった電力、ガス、これは元々民間ですけれども、それは、エッセンシャルファシリティーと言っている通信線とか、あるいは電力の送配電網、ガスの導管、そうしたものは公として、きつい、厳しい規制に置いた下、発電をしたりガスを作ったり、売る方は自由化しましょうという、そうした規制の取り方をしているんです。
鉄道のエッセンシャルファシリティーって何かといったら、線路とか駅とか、そういうものです。私の地元でトイレなき駅といったのは、ちょうど昨日、トイレがオープンしたんです。市役所が造って、市民の税金で。でも、駅ですよ。何で駅なのにJRが造らないんだといったら、JRは駅も全部市のものにしてくれと。初めから市のものだったら、トイレを造るのは分かるんですよ。もうかるところだけ、民間だからといって支援して、もうからないサービスの部分は、あとはおまえらの税金でやれというのを、国民の財産を使ってやったJRがやるのというのは、私はおかしいと思うんですね。
ここの資料の、最後の資料ですけれども、これは前も使った資料ですけれども、EUを始めとするほかの外国は、上下分離といって、上に走る鉄道は競争を働かせた民間なんです。ただ、線路がなきゃ電車は走りませんから、線路は独占なんですよ。だから、そこは多くが国有であったり公が持つ、関与するというふうになっておりますが、今、日本の法体系上は、上下分離もできますよ。できるけれども、JRはそうなっていない。上下分離しない間に、駅とか設備に対して安全性の面からはいろいろ公的な関与ができるかもしれないけれども、駅って公共のものですから、どういう機能を持ったらいいかと、自治体だってなかなか関与できないんです、今。
だから私は、そうした行政の関与を、JRが独占しているところについては強めるというような抜本的な法改正をしないと、どんどん国民に対する利便性が低下し、更に言えば、国の財産、インフラとしての鉄道の役割を果たさなくなると思うんですけれども、大臣、いかがお考えになりますでしょうか。
○斉藤国務大臣 我が国における鉄道の保有形態として、全国的な高速鉄道ネットワークを形成する整備新幹線については、鉄道運輸機構が建設、保有し、JRが運営を行う上下分離方式が取られております。
一方で、地域公共交通を担うローカル鉄道については、地方自治体が主体的に関与する第三セクター方式で運営されている鉄道もあります。また、上下分離方式を採用して、地方自治体等が鉄道施設を保有し運営を行っている鉄道もあります。
上場後のJR各社については、JR会社法に基づく大臣指針により、路線の適切な維持に努めることや、鉄道施設の整備に当たって利用者の利便の確保に配慮することを求めているところでございます。
地域の実情等によって、鉄道事業者、国、地方自治体等が役割分担を行うことにより、適切な維持を図ることが必要であると認識しております。
○福島委員 いや、だからそういう官僚答弁は期待していないんです。
大臣、JRの職域団体であるときわ会というのがありますけれども、そこから何か御支援を受けていらっしゃいますか。
○斉藤国務大臣 御指摘の団体からの寄附やパーティー券の購入について、過去三年分の政治資金収支報告書を確認したところ、該当するものはございませんでした。
支援の有無にかかわらず、行政については常に公正公平に進めていくべきものと考えております。
○福島委員 そう言うかと思いましたが、私も実は調べさせていただいて、なくて安心して、さすがクリーンな斉藤大臣だと思って改めて敬意を持ったんですけれども、だからこそ斉藤大臣に期待するんです。
公明党ばかりが国土交通大臣をやっているとか、いろいろな批判が最近出ております。月刊誌にもそのような記事がありました。自民党は多額な献金をときわ会から受けているんです。だからJRに配慮しなきゃならないのは分かりますよ。でも、斉藤大臣は、恐らくそういう配慮をせずしてできる立場にあるのが斉藤大臣だと思うんですね。
今、細々答弁したのは、整備新幹線とかローカル線の話とかあるけれども、制度的な対応をやるのが政府に入る政治家の役割だと思いますので、斉藤大臣、是非とも、国鉄分割・民営化以降の日本の鉄道行政の在り方を根本から見直すような検討をやっていただきたいと思っていますが、いかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 今年の通常国会でも、地域公共交通をどう維持していくのかという議論をさせていただきました。そういう大きな視点から、鉄道の在り方について、私もしっかりと考えていきたいと思っております。
○福島委員 終わります。ありがとうございます。
○長坂委員長 次に、たがや亮君。
○たがや委員 れいわ新選組の球拾い、たがや亮です。
大臣、再任おめでとうございます。大臣と世間話したいところですけれども、そうもいかないので、早速質問に入らせていただきます。
大臣所信の中の三つの柱の二本目、持続的な経済成長の実現の中で、真っ先に取り上げておられる地域公共交通のリデザインについて質問いたします。
改正地域交通法により、ローカル鉄道などの再構築に関する仕組みが施行されましたが、このローカル鉄道というのはJRも含まれるでしょうか。
○斉藤国務大臣 ローカル鉄道は、一般的には、地方部において通勤や通学の足として沿線住民の暮らしを支えるとともに、観光等、地域間の交流を支える鉄道路線の総称と認識しており、JRの路線の一部も含まれるものと考えております。
○たがや委員 ありがとうございます。
そのJRを見てみますと、鉄道局がまとめた「国鉄の分割民営化から三十年を迎えて」には、「様々な利便性の向上のための施策が進められている。」と報告があります。さらに、JR東日本の行動指針には、地域密着、ネットワーク力を生かし、地域社会の発展に寄与します、お客様志向、質の高いサービスを提供し、お客様の御期待に応えますと書かれています。
なかなかいいことが書いてあるなと思うんですが、この鉄道局の報告、JR東日本の方針については、大臣、どのような感想でしょうか。
○斉藤国務大臣 国鉄の分割・民営化以降、JR東日本においては、例えば、民鉄との相互直通運転の拡大、ICカード乗車券の導入、駅や車両のバリアフリー化等の施策が進められてきたと承知しており、一定のサービス水準の向上が図られたものと考えております。
○たがや委員 大臣、そうやっておっしゃいますけれども、JR東日本は言っていることとやっていることが全然違うんですよね。
私の地元、千葉県の大網白里市のJR永田駅で、JRが市に財政負担をさせようとして協議が調わずに、一方的にトイレを閉鎖されたことが今大問題になっています。
それだけじゃなく、資料一を御覧ください。永田駅のすぐ脇に無料の駐輪スペースがあったんですが、その場所も潰して、駐車場として民間のコインパーキングに貸してしまったということです。すごいでしょう。すごくないですか。どこまで金、金、金なんだと思いませんか、大臣。
JRは、お客様志向、質の高いサービス、期待に応えるという偽りの指針を取り下げて、金の亡者、守銭奴、拝金主義と、実態に合った指針に看板をかけ替えるべきだと言いたくもなります。
怒り心頭ですが、ちょっとトイレの話に戻します。
例えば、大臣、ちょっと想像してほしいんですけれども、大臣がトイレのない列車に乗っていました。それで、おなかが急に痛くなって、次の駅まで我慢しようと思って、降りた駅がたまたま永田駅。よし、トイレがあったと思って行ったら、閉鎖。大臣、どうですか。絶望を感じませんか。病気や障害などを持った方々も、やむなくトイレに行きたい人もいると思うんです。私だったらと思うと、本当にぞっとします。今日もちょっと緩いんですけれども。また、トイレがなくなるような駅には、周辺にも公衆トイレもお店もないんですよ。それがお客様のためになっていると思うか、大臣、お答えください。
○斉藤国務大臣 そういう場合は、駅にトイレが残っていたら、本当に地獄で仏様に会ったような気になると思います。
○たがや委員 そうですよね。率直な感想をありがとうございます。地獄なんです。
世界に目を向けてみると、水へのアクセスや公衆衛生に関して、SDGsの掲げる六番目にこう書かれています。四十億人がトイレや公衆便所など基本的な衛生サービスを利用できていません、このため、全ての人々に水と衛生へのアクセスを確保すると明記されています。すなわち、これは基本的人権、生存権、憲法二十五条にも関わる問題です。
過疎地の駅のトイレを奪うという暴挙は、こういったことに抵触すると思うんですが、大臣、いかがですか。
○斉藤国務大臣 個別の駅のトイレを閉鎖したとしても、そのことが直ちにSDGsや基本的人権の趣旨に反するものではないと考えておりますが、利用者利便の観点からは、駅又は駅周辺にトイレが整備されていれば、より望ましいと考えます。
○たがや委員 大臣、ありがとうございます。
もう一度、大臣所信の話に戻しますが、地域公共交通について、大臣が議長を務めるリ・デザイン実現会議において、再構築を推進していくと述べられました。このリ・デザイン実現会議の議事録を拝見しましたが、過疎地域で公共交通機関をマルチタスク化して、現在の資源を生かしていくべきという御意見がありました。
こういった意見に照らし合わせてみても、今後、バス、タクシー、鉄道の連携により、より多くの皆様に公共交通を利用していただける社会を目指すというすばらしい方針を実現させるためにも、駅の構内にトイレはあった方がいいはずです。
この点について、是非、実現会議に持ち帰っていただき、検討していただけないでしょうか。
○斉藤国務大臣 地域の公共交通につきましては、人口減少などによる利用者の減少が続く中、輸送に係る従来のサービス水準を維持することが困難となっているところ、地域の公共交通のリデザインと社会的課題解決を一体的に推進するため、地域の公共交通リ・デザイン実現会議を開催しております。
一方で、駅及び駅周辺のトイレ整備につきましては、各地域ごとの実情を踏まえた個別の課題と考えており、個々の事情に応じて、利用者利便を著しく損なうことがないよう、鉄道事業者に対して、必要に応じ、地方自治体と連携を図りつつ検討を行うよう指導してまいりたいと考えております。
○たがや委員 お役人の回答、ありがとうございます。
JR東日本は、お客様の利便性を著しく損ねているということを分かっていながら、経費削減のためにあっさりとトイレを閉鎖してしまうのはなぜだと思いますか。それは、トイレの設置について、法的根拠がないからだと思います。
資料二を御覧ください。
根拠法の鉄道事業法施行規則では、トイレの設置は義務化されていません。違法にならないから、全国の小規模駅のトイレを平気で閉鎖し、経費を削減しているということです。そもそも、分割・民営化される前は国民の財産だったし、さらに、たばこ特別税で債務返済に充ててきたわけですよね。国民からこれだけ恩恵を受けている企業が、国民へのサービスを削るのはいかがなものかと思います。しかも、JR東日本には二兆八千億もの内部留保があります。
大臣、私は、立法府の一員として、基本的人権にも関わってくる公共交通機関のトイレの設置というものを義務化、すなわち法整備すべきと考えていますが、大臣、いかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 鉄道事業者は、ポストコロナ社会における鉄道利用者の減少や将来の人口減少に対応するため、経営体質の強化に取り組んでいるところであり、その一環として、鉄道事業者が小規模駅のトイレを含めた施設の見直しを行っていることは承知しております。
駅トイレの整備は、一義的には鉄道事業者の経営判断により行われるものですが、駅又は駅周辺にトイレが整備されていれば、より望ましいと考えております。一方で、駅の規模や利用状況に大きな差があることから、一律に義務化することは必ずしも適切ではないと考えております。
国土交通省としましては、駅及び駅周辺のトイレ整備については、各地域ごとの個々の事情に応じて、利用者利便を著しく損なうことがないよう、鉄道事業者に対して、必要に応じ、地方自治体と連携を図りつつ検討を行うよう指導してまいりたいと考えております。
○たがや委員 おっしゃることは分かるんですけれども、民間と国がトイレの設置の線引き、そういう協議もなく、民間に丸投げしてしまうのはいかがなものかと思うので、この駅にはトイレが必要、必要でないという、その線引きというのを、もう一回協議をしっかりしていただきたいと思います。
大臣所信の中に、バリアフリー社会の形成もうたわれております。過疎地の駅にトイレがないというのは、一種のバリアです。さらに、インバウンドの観光客が激増し、オーバーツーリズムを回避するために、外国人観光客を様々なところに分散させる方向性が打ち出されているわけじゃないですか。世界中の人が日本に訪れたとき、地方の交通インフラの充実が必要不可欠だと思いますので、大臣、トイレの設置の義務化、JRへの指導は是非お願いをいたします。
質問を終わります。
○長坂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時四十八分散会