衆議院

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第5号 令和6年4月3日(水曜日)

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令和六年四月三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 長坂 康正君

   理事 あかま二郎君 理事 泉田 裕彦君

   理事 小林 茂樹君 理事 武井 俊輔君

   理事 城井  崇君 理事 白石 洋一君

   理事 三木 圭恵君 理事 國重  徹君

      井原  巧君    石橋林太郎君

      尾崎 正直君    大西 英男君

      金子 俊平君    菅家 一郎君

      小林 鷹之君    小林 史明君

      小森 卓郎君    佐々木 紀君

      櫻田 義孝君    田中 英之君

      高木  啓君    谷  公一君

      谷川 とむ君    土井  亨君

      中根 一幸君    中村 裕之君

      武藤 容治君    和田 義明君

      石川 香織君    枝野 幸男君

      大島  敦君    神谷  裕君

      小宮山泰子君    神津たけし君

      伴野  豊君    馬淵 澄夫君

      谷田川 元君    赤木 正幸君

      漆間 譲司君    高橋 英明君

      伊藤  渉君    日下 正喜君

      高橋千鶴子君    古川 元久君

      福島 伸享君    たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      國場幸之助君

   国土交通大臣政務官    石橋林太郎君

   国土交通大臣政務官    こやり隆史君

   国土交通大臣政務官    尾崎 正直君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局官房審議官)       向井 康二君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小林  豊君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    植田 広信君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           梶原 輝昭君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       佐藤  紳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房新事業・食品産業部長)    小林 大樹君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         山影 雅良君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            山本 和徳君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  村田 茂樹君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  海谷 厚志君

   国土交通委員会専門員   國廣 勇人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     和田 義明君

  小宮山泰子君     大島  敦君

  神津たけし君     神谷  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  和田 義明君     井原  巧君

  大島  敦君     小宮山泰子君

  神谷  裕君     神津たけし君

同日

 辞任         補欠選任

  井原  巧君     古川  康君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)


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     ――――◇―――――

長坂委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省道路局長丹羽克彦君、鉄道局長村田茂樹君、物流・自動車局長鶴田浩久君、海事局長海谷厚志君、公正取引委員会事務総局官房審議官向井康二君、警察庁長官官房審議官小林豊君、消費者庁審議官植田広信君、厚生労働省大臣官房審議官梶原輝昭君、農林水産省大臣官房生産振興審議官佐藤紳君、大臣官房新事業・食品産業部長小林大樹君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官山影雅良君及び中小企業庁事業環境部長山本和徳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。泉田裕彦君。

泉田委員 おはようございます。物流効率化法の一番バッターで質問させていただきます。

 物流につきましては、経済、社会を支える極めて重要な社会インフラでございます。そして、生活を支え、日々の暮らしから未来への希望もつないでくれているというのがこの物流ではないかなというふうに考えております。

 歴史を振り返ってみますと、世界初の株式会社、これも物流企業でした。えっと思われるかもしれませんけれども、東インド会社、これが世界初の株式会社ということになります。

 世界に目を転じてみますと、現代社会においても、フェデックス、UPS、DHL等、物流企業というのは極めて優秀な人材を集め、そしてまた給料が高い。最も複雑な法律は何かというと税法と言われるんですけれども、その次に難しいのが貿易関係立法というようなこともあって、やはり、物流企業に携わる方というのは大変様々なことができないといけない、極めて重要な職種になるということだと思っています。

 一方、日本で考えてみますと、物流企業、今一番苦しんでいるのは、やはり荷主企業からのコストダウン要請、こういったものに応えるという中で、利益率が低下をいたしております。結果、そこで働く従業員の給料も、全産業平均を大きく下回るというような状況になっているわけでございます。

 そういった中で、働き方改革、これが大きなきっかけとなって、物流の維持ができるのかどうかという瀬戸際に追い込まれているというのが現状でございます。この危機感を背景に、今回、この物流効率化法の提出をしていただいたというふうに理解をいたしております。

 そこで、早速、大臣にお伺いをしたいと思うんですけれども、本法案が成立をすると、日本の物流の未来、これはどういうふうになることを期待しているのか、物流企業の競争力はどうなるのか、賃金、これはどうなるのか、人材確保はできるのか、荷主企業側の負担が増えたりしないのか、消費者の利便性はどうなるのかという観点も含めて、認識をお伺いしたいと思います。

 ずらずら申し上げましたので、あえて色で表現をすると、物流の未来は何色でしょうか。バラ色なんでしょうか、灰色でしょうか、黒でしょうか、それとも緑でしょうか。これもお伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 最後の御質問に最初に答えさせていただくとすると、明るい色にしていかなくてはならない、明るい色というふうにまずお答えを申し上げて、今回、この法案で最初の答弁でございますので、今の御質問にお答えさせていただきます。

 物流は、国民生活や経済活動を支える重要な社会インフラでございます。物流の停滞が生じないよう、また、将来にわたって担い手を確保できるよう、処遇改善や物流効率化などの課題に取り組んでいく必要があります。

 こうした認識の下、この法案におきましては、荷主や物流事業者に対し、物流の効率化、多重下請構造の是正、適正運賃収受に向けた取組などを義務づけるなど、規制的措置を導入するとともに、物流DXやモーダルシフトの推進、消費者の行動変容に向けた予算措置なども含め、あらゆる施策を総動員して取り組んでいるところでございます。

 国土交通省としては、この法案などにより、処遇改善による担い手確保や物流の競争力強化を進めるとともに、長期的視点で荷主、消費者の利便性向上を図っていきたい、このように思っております。

 荷主にとってもいい、消費者にとっても利便性が向上する、そして何よりも、担い手である物流の関係者の競争力が上昇して魅力ある職場になってくる、そういう意味で、明るい色にしていかなくてはいけないと思っております。

泉田委員 ありがとうございました。

 明るい色を目指す、目指すというか、これは実現できるという期待の下に法案を提出いただいたということで、答弁ありがとうございました。是非、隆々とした緑の幹にバラ色の未来が咲くような結果を出していただければと期待を申し上げたいと思います。

 さて、足下なんですけれども、物流企業は、顧客が指定した時間に集荷しなければならないとか、顧客の指定した時間に荷物をお届けしなければならない、こういったことが当然の商慣習になっているという部分があるんだと思います。場合によっては、荷物の積卸し、これも明確な契約がない中で、物流企業やドライバーがその負担を負うというような商慣行も存在をいたしております。

 私もかつて国交省で物流担当をやらせていただいたので実感があるんですけれども、省力化の切り札の一つで、パレットというのがあるんですよね。パレットを使って機械でまとめて運べば楽なんですけれども、工場敷地内でパレットできれいに運んで見事に物流が完成しているのに、最後、トラックに積むときは、ドライバーがそのパレットから荷物を降ろしてトラックに積み込むというようなことが間々行われております。これは何でそうなるかということなんですけれども、パレットが共有化されていないので、自社のものをそのまま渡すとなくなっちゃうというようなところがあって、そのしわ寄せが現場に行っているというようなことも起きているわけでございます。

 それから、物流、もう一つ問題なのは、繁忙期と閑散期で物すごく運ぶ量がずれちゃうということになります。だから、企業と契約のある、荷主さんと契約のある物流企業同士だけですと、手が足りないというようなときがある。そうするとどうなるかというと、外部に頼むわけで、その結果、下請多重構造が発生しやすい構造にあるということではないかなというふうに思っています。

 そこで、政府参考人にお伺いしたいんですけれども、これまでも累次にわたって物流大綱を策定してまいりました。様々な施策を展開してきましたけれども、残念ながら現状は物流の危機というような状況になっています。これまでやってきた物流大綱が必ずしも結果につながらなかった原因、これをどのように分析をしているのか、この点をまずお伺いしたいと思います。

鶴田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、国土交通省として、自動化、機械化などの物流DXや、モーダルシフトなどによる輸送の効率化など、物流の課題に対し、必要な対策を講じてきたところでございます。

 その上で、平成三十年に、時間外労働の上限規制を含む働き方改革関連法案が成立したことを受けまして、同年、議員立法により、標準的運賃と荷主に対する要請等の制度が設けられました。国土交通省において、これらの制度を速やかに運用して、浸透を図ってまいりました。

 これらの結果、労働時間や賃金の全産業平均との差は縮まりつつあるなど一定の進捗が得られた一方で、物流の効率化や担い手の処遇改善に向けましては、商慣行の是正の難しさなどがあり、なお道半ばとなっているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、政府全体として取組を加速化すべく、昨年六月に関係閣僚会議で政策パッケージを取りまとめて、その上で、本法案による措置を導入しようというものでございます。

泉田委員 ありがとうございました。

 これまでもるる施策を展開していただいて、少しずつですが前に進んできたということだったと思います。

 そこで、大臣にお伺いをしたいんですが、今回の法案、これまでの施策と何が根本的に違って、二〇二四年問題、これに有効に機能するという施策となっているのか、この点を端的にお答えいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど局長が答弁いたしましたように、これまでも努力をしてまいりました。そして、いわゆる二〇二四年問題が生じました。そして、この二〇二四年問題の解決に向けて取り組む中で、二つの点が明らかになってまいりました。

 一点目は、商慣行の見直しや物流の効率化などに向けて、荷主、物流事業者、消費者、そして行政が協力して、社会全体として取り組む必要があること。これまでは、どちらかというと物流事業者だけの努力にとどまっていたわけでございます。これはやはり全体として取り組まなきゃいけないということが明らかになってきたこと。

 そして第二に、この問題は、喫緊の課題であると同時に、年々深刻化していく構造的な課題でもある。このようなことから、今回、法制度を構築し、継続的に対応していく必要がある。このような認識に至りました。

 これを踏まえまして、荷主事業者を所管する経済産業省、農林水産省などとも連携しながら、一つは、中長期計画の策定など、物流効率化に向けた取組を荷主等に義務づけること、荷主への義務づけ。それから、多重下請構造の是正に向けた取組をトラック事業者等に義務づけることなどの規制的措置を導入し、中長期的に対策を講じることで、物流の持続的成長を強力に推進したい、このように考えております。

 これらの点が、新たな今回の視点でございます。

泉田委員 大臣、ありがとうございました。

 これまで、やはり省庁の所管の壁というものがあったのかなというふうに思います。私も経済産業省から国土交通省に出向して感じたのは、やはり物流企業の荷主企業に対する交渉力の弱さ、これを何とかしたいということで、物流企業にいろいろな支援策を講じる。でも、結局は荷主の意識だよねというようなところがあるんですが、逆に経産省側から見ると、荷主に何とかしてくれと言われても権限がないんだよねというようなところがあって、若干、お見合いというか、ぽてんヒットみたいになりやすい状況というのがあったと思います。

 今回の法律というのは、まさにその点を突いて、社会全体でこの二〇二四年問題の解決に道筋をつけてくれるんじゃないかなというふうに期待をいたしておりますので、是非今後とも頑張っていただきたいというふうに思います。

 そういった中で、具体的な条項についてお聞きをしたいと思います。

 これは政府参考人にお伺いしたいんですが、まず、法案の中で、荷主さんがこの時間に来てくれという荷待ち、それから荷役時間の削減、このために、荷主と物流企業間の契約に一体何を期待をしているのか、何を求めるのか。これは努力義務がかかってくると思うんですけれども、努力義務が守られないということが分かった場合にどのように対応する予定なのか、お伺いしたいと思います。

鶴田政府参考人 この法案では、貨物の受渡しについてトラック事業者に指示できる立場にある荷主に対しまして、御指摘の努力義務等を課すこととしております。

 具体的には、まず、全ての荷主に対して、例えば、トラックバース、貨物の積卸し場所ですけれども、これに予約システムを導入して荷待ち時間の削減につなげるですとか、標準仕様パレットを導入して手荷役解消につなげるといった措置を講ずる努力義務でございます。これに基づく事業者の取組状況につきましては、国において指導助言と調査、公表を実施することとしております。

 その上で、一定規模以上の荷主に対しましては、これらに関する具体的な取組について中長期計画を作成することや、その実施状況を国に報告することを義務づけるとともに、取組が不十分な場合には勧告、命令等を行うこととして、実効性の確保を図っております。

泉田委員 ありがとうございました。

 計画策定をしてもらった上で、さらに、国との間でもコミュニケーションが取れる体制ができるということと理解いたしますので、是非、実効の上がる対応を頑張っていただきたいと思います。

 続きまして、多重下請構造、これをどうやって是正するのかということ。先ほども申し上げたとおり、閑散期と繁忙期ですごく差がある荷物を一定の人員しか抱えていない物流企業が全部カバーするというのはやはり根本的に難しいので、どうしても下請多重構造はできちゃうということだと思います。

 これの対策として実運送体制管理簿、実際に誰が運んだかということを管理をする、こういう書面を作ってくださいということになるということだと思いますが、この管理簿を作成すると何で多重下請構造の是正につながるのかというメカニズムがなかなか分かりにくいと思いますので、ここのところを御説明いただければと思います。

鶴田政府参考人 この法案によりまして元請事業者が作成を義務づけられる、今御指摘の実運送体制管理簿は、誰が、何次請けとして、何を、どこからどこまで運送したのか、これらを荷主ごとに整理して記載する管理簿でございます。

 その上で、今般、標準的運賃の見直しを行いまして、新たに下請手数料を設定しました。これは、下請に出す際に、その手数料を運賃から差し引くのではなくて、逆に上乗せして荷主に請求する、そういう考え方に基づくものです。

 これによりまして、今の御指摘のメカニズムですけれども、元請事業者は、実運送事業者が収受すべき運賃に手数料の合計を上乗せした金額を荷主に求める、一方、荷主は、運送コストを適正化すべく、過度な下請構造の回避を運送事業者に求めることとなって、多重下請構造の是正が図られるというふうに考えております。

泉田委員 ありがとうございました。

 ちょっと議論はあると思うんですけれども、運賃が記載されない管理簿になるというふうにお伺いをいたしております。誰が運ぶかということは記載するんですけれども、誰がどの程度運賃を乗せているかは分からない。

 これは、なぜそうしているかというのは合理的な部分があると思っているんですけれども、運賃幾らで運んでいるかと分かっちゃうと中抜きが起きちゃって、直接契約しちゃうというふうなケースも生じるので、こういうことになっているということだと承知はいたしておりますが、一方で、もし運賃が転嫁できるのであれば、多重下請であっても構わないのかもしれませんよね。必ずしも多重下請が解消するというふうに動くだけではなくて、場合によっては、運賃転嫁という形で消費者の方に負担が増えていく結果になるかもしれないという部分もあるかと思います。

 実際に運用してみないと分からない部分がありますので、取りあえず、弊害を最小にした上でこれを運用してみていただいて、うまくいかないようであれば柔軟に見直すということも念頭に置いて、是非やってみていただきたいというふうに思います。

 続きまして、運賃収受、価格転嫁、これは今の御説明とダブる部分があるんですけれども、このための義務づけ、誰に何を義務づけるのか。つまり、事務負担がどこに生じるのか、荷主側なのか元請なのか下請なのか、この辺、教えていただければと思います。

鶴田政府参考人 トラック運送業につきましては、この法案におきまして、多重下請構造の是正のために、元請事業者に対して実運送体制管理簿の作成を義務づける。あわせまして、トラック事業者等に対して、下請に出す行為の適正化に関して努力義務や義務を課すこととしております。

 あわせまして、荷主、トラック事業者等に対して、運送契約の締結に際しまして書面交付等の義務を課すというふうにしております。これによって、トラック事業者が担うべき役務の範囲や、その対価が明確になるということでございます。

 その上で、先ほどの御指摘とも関係しますけれども、トラックGメンはこの書面化された契約というのを見ることのできる立場におりますので、このトラックGメンが悪質な荷主等への是正指導をする。これらを組み合わせまして、実運送事業者が適正運賃を収受できるように全力を尽くしてまいりたいと思います。

泉田委員 ありがとうございました。

 そうすると、やはり元請の方に書類の作成等をやってもらうというのが基本ということになるかと思います。是非、その負担が過重にならないように、かつ、トラックGメンが活動しやすい体制、これをつくって、社会全体としての実効を上げていくということが大切かと思いますので、役所の体制整備も含めて、是非頑張っていただきたいというふうに思います。

 次にお伺いをしたいと思います。

 これは荷主との関係なんですけれども、発荷主に加えまして、着荷主の経営者層の意識改革を進めるということ、これは画期的だと思うんですが、通常、運賃を誰からいただくかということになると、発荷主からいただくということになるわけです。でも、運送業の場合は、着荷主、こちらは、お金をもらっていない、契約関係にないけれどもお届けをするという方が着荷主になりますけれども、この着荷主の経営者層、契約関係のない人に対して意識改革を求める。

 結構、これは社会全体で一歩前に進んだ取組かなというふうに理解をいたしておりますけれども、何を着荷主側に、つまり、受け取る側の荷主さんに努力義務として求めていくのか。そして、この努力義務にうまく当たらないと指導、助言、調査、公表の対象になるというふうに承知しておりますが、どのような場面で指導、助言、調査、公表になるのか。荷物を受け取るだけの人が、突如、社会に、あなたはけしからぬといって公表されるということになるのか、ならないのか、この辺をお伺いをしたいというふうに思います。

鶴田政府参考人 今御指摘のありました着荷主ですけれども、これは、まず、物流事業者に発注する立場なのが発荷主ということですが、それだけではなくて、発荷主に発注する立場である着荷主にも、発荷主と同様の努力義務や義務を課すという考え方でございます。

 具体的には、この法案で着荷主に課す努力義務としましては、先ほど申し上げたトラックバース、ここに予約システムを導入して荷役時間の削減につなげるですとか、あと、フォークリフトのような荷役作業の機械化、自動化を進める機器を導入して荷役時間の削減につなげるといったようなことでございます。

 その上で、荷待ち、荷役時間の削減について改善が見られない場合などには、国として必要な指導、助言を行います。また、事業者の取組状況について、個社名を含めて調査、公表を実施するということも考えておりまして、今後、具体の実施方法につきまして、関係省庁とともにしっかりと検討してまいりたいと思います。

泉田委員 ありがとうございました。

 着荷主の方、発注者じゃないか、ごもっともな御指摘でございます。やはり着荷主の方も、社会の一員として、この物流の効率化、円滑化に協力してもらう義務がかかってくるということで、これも過重にならないように、かつ、適正に是非運用をしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それで、これまでの質疑を踏まえまして、物流企業側と、それぞれ大きな影響力を及ぼしている荷主側の産業を所管する各省にお伺いをしたいと思います。経済産業省、農林水産省、それから消費者行政をつかさどる消費者庁に、物流が抱える課題に対する認識と、そして、課題解消に取り組む基本的姿勢について伺いたいと思います。

 特に消費者庁には、消費者に対して過度な要求をしないでくれというような方向に多分いくんだろうと思うんですけれども、一方で、不便を強いていく、皆さん、我慢して何とかしましょうという方向にいくのか、もう少し知恵を出して、利便性は余り損なわない形で、かつ無体なことはやめましょうという方向でいくのか、基本的な考え方ということも併せて御答弁いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

山影政府参考人 お答えいたします。

 荷待ち、荷役時間の削減など、物流効率化に向けましては、運送事業者のみならず、荷主の取組は極めて重要と考えてございます。荷主企業の多くを所管する経済産業省といたしましては、物流の二〇二四年問題について早急の対応を詰めていかなければいけないと考えてございます。

 こうしたことから、まず、この法案におきまして、荷主に対して物流効率化の取組を義務づけていただく、それで、この取組を実効的にやっていく。先ほど委員からもありましたように、ぽてんヒットにならないようにということで、経産省としても、ここについてはしっかり対応していきたいと思ってございます。

 加えまして、中堅・中小企業者も含めました荷主企業におかれましても、荷待ち、荷役の時間の短縮に資する設備投資、あるいはデジタル化といったものを促進すること、これが重要だと考えてございます。昨年度の補正予算になりますけれども、既にフォークリフト、パレタイザーといったいわゆる入出荷機器、あるいは無人搬送ロボットといったような運搬機器、あるいはバース予約システムといったシステムの導入、これを幅広く荷主側企業の方々に入れていただこうと思ってございまして、そういう実証事業でありますけれども、予算も用意してございます。

 こういったものも組み合わせながら、経済産業省としましては、引き続き、関係省庁とも連携を取りながら、物流システムの革新に向けた取組、これを強化してまいりたいと考えてございます。

小林(大)政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省が所管します農産物、食品等の輸送につきましては、その大宗がトラック輸送に依存しているという中で、長距離輸送が多いでありますとか、手荷役が多いとか、待ち時間が長い、こういった課題がございまして、荷主と物流事業者がまさに協力いたしまして、この解決に取り組んでいく必要があると考えております。

 農水省では、この課題に対しまして、物流革新に向けた政策パッケージに基づきまして、これまで六十を超える関係団体、事業者に自主行動計画を策定いただいております。また、中継共同物流拠点の整備でありますとか、標準仕様のパレットの導入、トラック予約システムの導入等も推進しているところでございます。また、昨年十二月に設置しました農林水産省物流対策本部の下にタスクフォースも構成いたしまして、現場での課題解決に当たる取組、これも開始したところでございます。

 今後とも各般の取組を進めまして、農産物、食品の円滑な物流に努めてまいります。

植田政府参考人 お答えいたします。

 消費者庁でございますけれども、物流は私たちの生活や経済活動を支える重要な社会インフラであることから、消費者の皆様にも、物流が抱える課題、物流の二〇二四年問題について、身近な問題として、自分事として考えていただきたいというふうに考えているところでございます。

 具体的に申し上げますと、例えばでございますけれども、物流を十分に機能させて、より豊かな生活が実現するためには、物流に対する消費者の意識の改革や行動変容が必要であるといったことでありますとか、例えば、送料無料と表示をされていても、配送コストは当然かかっております。物流サービスには相応の費用がかかっているということについても、消費者が思いを巡らせていただく必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。

 また、消費者庁は、人や社会、環境に配慮した消費行動であるエシカル消費の普及啓発を図っているところでございまして、特設サイトにおいて、事業者の社会的課題の解決への取組の紹介等を行い、消費者の理解の促進を図っているところでございまして、物流関係につきましても、二〇二四年問題について、主に消費者向けにウェブサイトでの発信をしておるところでございます。

 今後とも、消費者が、物流を含め社会的課題を自分事として捉え、課題解決に取り組むことにより豊かな社会をつくり上げていくことができるよう、消費者庁としては理解の促進に努めてまいりたいと存じます。

泉田委員 ありがとうございました。

 対消費者、それから荷主業界での取組、是非、国交省と一緒になって頑張っていただきたいというふうに思います。

 最後に、本当はモーダルシフトについてもお伺いしたいと思いましたが、時間がないので次の機会に譲って、日本の物流政策のかじ取り、今大変重要な時期に来ております。これが的確に行えるかどうかということが、日本経済の競争力にも直結するということだと思っています。これは、大臣を補佐して活躍されている副大臣の決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

國場副大臣 物流は国民生活や経済活動を支える重要社会インフラであり、将来にわたって担い手を確保できるよう処遇改善に取り組むとともに、処遇改善と日本経済の競争力確保が両立するよう、併せて物流効率化にも取り組んでいく必要があります。

 このような観点から、本年四月以降、輸送力不足が生じないよう、昨年六月の政策パッケージ等に基づき、業界、分野別の自主行動計画の作成、実施、標準的運賃の引上げ、トラックGメンによる荷主等への是正指導の強化、自動化、機械化に向けた即効性のある設備投資の促進といった様々な施策を進めてまいりました。これらを引き続き徹底するとともに、本法案による措置を組み合わせることにより、中長期にも物流の停滞が生じないよう、物流の持続的成長の確保に全力を尽くしてまいります。

泉田委員 ありがとうございました。終わります。

長坂委員長 次に、日下正喜君。

日下委員 公明党の日下正喜でございます。よろしくお願い申し上げます。

 早速ですが、本法案に対する質問に入らせていただきたいと思います。

 物流は、言わずもがなでございますが、国民生活や経済を支える最重要の社会インフラでございます。ネット通販が当たり前に利用される今日では、誰もがその重要性を認識できる環境にあると思います。

 一方、働き方改革に関する法律が既にこの四月から適用され、当面、現在の物流量の一四%が運べなくなるとの試算もあり、物流の停滞が懸念されております。また、それと同時に、トラックドライバーのなり手不足も深刻です。ドライバーの労働環境を改善し、物流産業それ自体を魅力あるものに変えていくことが喫緊の課題になっております。

 公明党としても、党内に物流問題PTを設置し、これまで全国七か所の物流現場の視察を行い、関係者等からヒアリングを重ね、物流問題の実態把握に努めてまいりました。物流事業者からは、荷主の立場が強く運賃交渉ができない、荷主に商慣習を改めてもらうことができずドライバーが荷役をせざるを得ない、待機時間が長い、実運送をしない専業水屋の存在や多重下請構造のため実運送事業者が適正な運賃を収受できない、また、ドライバー不足は深刻で解決の見通しが立たない等々の切実な声を頂戴してまいりました。

 ドライバー不足、適切な運賃の実現等々の物流問題の解決には、物流業界の努力のみならず、荷主の理解、協力により、サプライチェーン全体で物流の産業構造から変えていくことが必要であり、消費者の理解も重要でございます。そのためにも、本法案をしっかり審議し、早期成立、速やかな執行及び政府の取組をより実効性あるものとしていけるよう、今後も全力を尽くしていく決意でございます。

 まず、適切な運賃の確保について伺います。

 今年の春闘は、昨年を上回り、三十三年ぶりの高水準になったと報じられておりますが、物流業界は、こうした産業界全体を支える、基盤の存在でございます。早期に、標準的運賃の引上げや、荷役対価、下請手数料等の経費を加算できるようにする必要があると考えます。

 当面の一四%の輸送力不足は、残業制限が始まった今、補い切れるのか。そして、何%の標準的運賃の引上げが必要と考えておられるのか、また、それによって一般ドライバーの賃上げがどれほど実現できるのか。さらに、二〇三〇年に予想される三四%の輸送力不足を補いつつ、国土交通省としてこの課題にいかに向き合っていくのか。斉藤大臣のお考え、御決意をお聞きします。

斉藤(鉄)国務大臣 まず初めに、二〇二四年度に不足するとされる輸送力一四%について、これをどう補うのかという御質問でございますが、昨年六月の政策パッケージ、そして十月の緊急パッケージ、これらに基づきまして、業界分野別の自主行動計画の作成、実施、即効性のある設備投資の支援、再配達の削減に向けた事業、トラックGメンによる荷主等への是正指導、これらの取組を進めることで補うことが可能、二〇二四年は可能、このように考えております。

 また、次の、運賃と賃上げがどうつながっているのかという御質問でございますが、標準的運賃の見直しにおいては、運賃水準を平均八%引き上げるとともに、荷待ち、荷役の対価や下請手数料など新たな運賃項目を設定しており、これを活用することで、初年度で一〇%前後の賃上げにつながると見込んでおります。

 そして、最後の御質問、二〇三〇年度に不足する輸送力三四%はどう補うのかということでございますが、これまで申し上げてきた措置に加え、今般の法案による物流の効率化や多重下請構造の是正に向けた規制的措置の導入等を含め、本年二月の、二〇三〇年度に向けた政府の中長期計画に基づく取組を進めることによって、二〇三〇年度輸送力三四%不足ということに対して、これをしっかり対応してまいりたい、このように思っております。

日下委員 ありがとうございます。

 長年続いた商慣習を打ち破っていく話でもございますので、出だし、スタートダッシュが大切になると思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 次に、トラック事業者が適正な運賃を収受するためには、荷主の理解が欠かせません。そのためには、荷主の所管官庁である経済産業省、農林水産省、厚生労働省等も新制度の実効性確保に万全を期していただかなければなりません。標準的運賃を活用し、運賃への転嫁を促進させること、さらに、その取組状況を適切に監視し、現場の実態をフォローアップすることも必要です。

 荷主を所管する経済産業省や農林水産省、厚生労働省の取組状況、見解について伺います。

山影政府参考人 お答えいたします。

 物流の効率化に向けましては、運送事業者のみならず、荷主の取組、これが極めて重要と考えてございます。荷主企業の多くを所管する経済産業省といたしましては、物流の二〇二四年問題について早急に対応していくということを、しっかりとしていきたいと思います。

 こうしたことから、まず、この法案におきまして、荷主に対して物流効率化の取組を義務づけまして、経済産業省としても、しっかりとこの取組を実効的なものにしていきたいと考えてございます。

 そのため、既に、昨年の補正予算でございますけれども、中堅・中小事業者を含めた荷主企業の方々における荷待ち、荷役時間の短縮に向けた設備投資、あるいはデジタル投資といったものを支援することにしてございます。

 あわせまして、物流における取引環境の改善に当たりましては、荷主企業の方々の理解、協力が不可欠という認識もございます。

 したがいまして、今回、国交省が中心になりまして標準的運賃の引上げ等の措置を講じられてございますけれども、この措置につきましては、関係業界の方々に対して周知をいたしました。協力も要請してございます。

 こういった取組も含めまして、経済産業省といたしましては、国土交通省を始めとして関係省庁と緊密に連携しながら、事業者の方々あるいは関係業界の方々と物流システムの革新に向けた取組を強化してまいりたいと考えてございます。

小林(大)政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省では、物流革新に向けた政策パッケージに基づきまして、ドライバーの荷待ち、荷役時間の削減等、物流負荷の軽減に取り組んでいるところでございますが、荷主側の取組としまして、これまで六十を超える関係団体、事業者に自主行動計画を策定いただくとともに、中継物流拠点の整備でありますとか、標準仕様パレットの導入、トラック予約システムの導入等を推進しているところでございます。

 さらに、昨年十二月に設置しました農林水産省物流対策本部の下に、関係団体も含めましてタスクフォースを構成し、現場に出向いて課題解決に当たる取組、こういったものも開始したところでございまして、引き続き、こうした取組をしっかり進めてまいりたいと考えております。

梶原政府参考人 お答えをいたします。

 厚生労働省におきましては、全国の労働基準監督署から、発注者である様々な業種の荷主に対して、長時間の荷待ちを改善することなどについての要請を行っておりまして、その際に、標準的な運賃についても併せて周知をしております。

 トラックドライバーの賃金水準向上のため、適正な運賃の支払いについて、引き続き周知に努めてまいります。

日下委員 国土交通省としても、多重下請構造の是正、トラックGメンによる荷主等の監視、指導の徹底等を図ることが求められますが、特に多重下請構造の是正に向け、本法律案でどのような実効性のある措置が取られているのか、お尋ねします。

鶴田政府参考人 この法案におきまして、多重下請構造の可視化、見える化のために、トラックの元請事業者に対しまして、実運送体制管理簿の作成を義務づけています。これによりまして、先ほど答弁申し上げましたように、元請事業者は下請手数料を上乗せした金額を荷主に求める。一方、荷主は過度な下請構造の回避を運送事業者に求める。これらによって多重下請構造の是正が図られると考えております。

 また、トラック事業者等に対しまして、下請行為の適正化に係る努力義務を課します。これには、今申し上げましたような荷主との交渉、荷主とそういった交渉をするということも含まれます。さらに、一定規模以上の事業者に対しましては、今申し上げた適正化につきまして、社内マニュアルの作成等を義務づけることとしております。

 その上で、この法案によって明確化される契約内容、これをトラックGメンが確認をして、悪質な荷主等への是正指導を徹底することとしております。これらによって、適正な取引環境の実現に向けて取り組んでまいります。

日下委員 また、悪質な荷主、トラック事業者に対しては、国土交通省だけではなく、厚生労働省、中小企業庁、公正取引委員会等、関係機関が緊密に連携し、厳格に対処することも必要となります。厚生労働省、中小企業庁、公正取引委員会の見解について答弁を求めます。

梶原政府参考人 お答えをいたします。

 厚生労働省では、長時間の荷待ちを発生させている発着荷主等に関する情報を国土交通省と相互に共有するとともに、トラックGメンが行う発着荷主等に対する働きかけの場に参加をしております。トラックドライバーの労働環境改善に向けて、関係省庁と連携し、引き続き発着荷主等への取組を行ってまいります。

山本政府参考人 お答えいたします。

 発注側企業が適正な料金を支払うことは大変重要でございまして、経済産業省、中小企業庁としても、物流業界における価格交渉、価格転嫁をしやすい環境の整備に取り組んでいるところでございます。

 まず、荷主から運送事業者への価格転嫁を後押しするため、国土交通省とも連携いたしまして、各荷主の業界団体が取引適正化に向けた自主行動計画、これを定めまして、その中で、荷主の立場で適正な運賃水準に配慮する旨定めるように働きかけた上で、業界団体に所属する事業者への周知徹底等を求めているところでございます。

 また、年二回、三月、九月を価格交渉促進月間と定めておりますけれども、この月間におきまして、トラック運送業を含め、価格転嫁の状況を調査、公表をしております。これに加え、この月間における交渉、転嫁状況の企業名の公表、また、取組が芳しくない企業への事業所管大臣名での指導助言を行っているところでございます。

 引き続き、国土交通省などを始めとする関係省庁とも密に連携をさせていただきながら、物流業界における価格転嫁を強力に推進してまいる所存でございます。

向井政府参考人 お答えいたします。

 公正取引委員会は、昨年十一月に、内閣官房とともに、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を策定、公表しております。これにつきまして、引き続き関係省庁と連携をしながら、同指針の周知徹底を進めています。

 また、今後、公正取引委員会におきましては、同指針の実施状況につきまして、フォローアップのための特別調査を実施していきたいと考えております。

 また、荷主と物流事業者の間の商慣習、物流業界の多重下請構造からも生じる課題につきましては、公正取引委員会といたしましては、従来から強い問題意識を持って取り組んでいるところでございます。独禁法上の優越的地位の濫用に該当するような行為がありますと、そういうものに対しましては積極的かつ厳正に対処するとともに、荷主と物流事業者との取引の公正化に向けた調査を従来から継続的に実施しているところでございます。

 本法律案の内容も踏まえまして、独禁法や下請法の効果的な執行につながりますよう、国土交通省から公正取引委員会への情報提供の具体的な方法について検討するなど、関係機関と連携いたしまして実効性のある取組を行ってまいります。

日下委員 ありがとうございます。

 国土交通省を始め、各省庁の本気度が今回試される、そういうふうな制度になっていくと思いますので、各省庁の皆さん、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、物流の効率化に向けた取組について伺います。

 既に一部の企業が導入しておりますが、共同輸配送の促進や車両の輸送能力向上、標準仕様パレットの導入促進等によるトラック輸送の効率化はもとより、倉庫物流施設の自動化、機械化、さらには物流の標準化、デジタル化など、荷主と物流事業者が連携して、サプライチェーン全体の効率化を強力に推進することも極めて重要です。鉄道輸送や海上輸送も積極的に活用するモーダルシフト、ラストワンマイルを担う事業者との連携など、AI技術も駆使し、最も効率的な物流システム、プラットフォームの構築も急がれます。民間が行う場合の支援も積極的に行うべきだと思いますが、国としてどのような取組を考えておられるのか、斉藤大臣の御所見を伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 今、日下委員おっしゃいましたように、荷主側の協力、これが最も重要でございます。そして、荷主と物流事業者が共同で行う効率化について、国もしっかり支援していきたいと思っております。

 令和五年度補正予算も活用しながら、六月に定めた政策パッケージに基づきまして、例えば、標準仕様パレットの導入促進、物流施設における自動化、機械化機器の導入促進、物流データの標準化を通じた共同輸配送の促進、荷主や物流事業者の情報を集約、分析し、物流を最適化するシステムの導入などでございます。

 荷主を所管する経済産業省、農林水産省などとよく連携して、荷主の協力を得てこれらの施策を進めていきたいと思います。

日下委員 次に、モーダルシフトの推進について伺います。

 昨年十月に関係閣僚会議において決定された物流革新緊急パッケージでは、モーダルシフトの推進について、鉄道、内航の輸送量、輸送分担率を今後十年程度で倍増するという目標が掲げられております。

 モーダルシフトについては、昭和五十六年の運輸政策審議会の答申において、石油危機を背景とした省エネ対策として初めて打ち出され、以降、四十年以上が経過しておりますが、進んでいないという現状があると指摘されてきました。

 まず、鉄道や船舶へのモーダルシフトが進まない要因についてどのように認識しているか、伺います。

鶴田政府参考人 モーダルシフトを進める際の課題としまして、荷主や物流事業者からの指摘としまして、鉄道や船舶の利用を新たに検討する場合に、希望するタイミングで、希望する枠、時間帯を利用することが比較的困難であること、また、トラック輸送と比較してリードタイムが長いこと、さらに、鉄道については、近年、自然災害による輸送障害が頻繁に発生して、荷主からの信頼が低下していること、これらが挙げられております。

日下委員 ありがとうございます。

 まさに進めようと思っても、やはり効率はトラック輸送の方がはるかに高いというふうなことであったと思うんですけれども、今後十年程度で倍増するという目標の実現に向けて、鉄道、港湾のコンテナ貨物ヤード等の整備も必要になると思います。また、施設整備や労働環境の改善にどのように取り組んでいかれるのかということをお伺いしたいんですが、まず効率化。

 モーダルシフトを整えようとしても、効率的にトラックの方がやはりいい、リードタイムも早いということで、結局、民間がそちらを利用するということも十分に考えられると思うんですが、この点、やはり政府、国交省がしっかりリーダーシップを持って、またCO2削減ということもございますので、しっかり取り組んでいただきたいと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。

鶴田政府参考人 先ほど御指摘いただいた、昨年十月の緊急パッケージで、官民で議論をした上で、それを踏まえまして、鉄道のコンテナ貨物、フェリー、ローロー船の輸送量を、今後十年程度で倍増させるというふうにしたところでございます。

 このために、御質問のありました施設整備につきましては、貨物鉄道については、大型コンテナに対応するためのコンテナホームの拡幅ですとか、災害時の代行輸送の実施に必要となる貨物駅の施設整備、また、内航海運につきましては、船舶大型化等に対応したシャシー、コンテナ置場の整備促進など、内航フェリー、ローロー船ターミナルの機能強化などに取り組んでおります。

 加えまして、貨物鉄道における運転士、駅要員や、船舶における船員等の担い手の確保も重要でございます。

 このため、貨物鉄道につきましては、JR貨物が今般策定した中期経営計画に基づいて、生産性向上のための設備投資や人的投資、働きがいの創出等の取組を進めることとしております。

 また、内航海運につきましては、令和三年に改正された海上運送法等によって船員の働き方改革等の措置を講じるとともに、労働環境の改善等に取り組んでいるところでございます。

日下委員 ありがとうございます。

 結果的に、この十年で倍増と言わず三倍増、それぐらいの利便性の確保というか、効率化をしていかなければ、結局、用意した設備が使われないというふうなことも起こり得ると思いますので、しっかりと進めていただきたいと思います。

 次に、運転手の確保の観点から質問いたします。

 安全性に留意しつつ、中・大型免許の取得者が増加するよう環境整備を図ることも必要です。先日、特定技能制度の対象に自動車輸送業も加えることが報道されておりましたが、外国人が国内でトラック運転手として就労できるよう、外国人の日本の免許への切替えが円滑に行われるよう、関係機関が連携して対策を講じることも必要になると考えます。

 こうした国内と国外からの運転手の確保に向けた環境整備について国交省、また、外免切替えの円滑化について警察庁の御所見を伺います。

鶴田政府参考人 まず、国土交通省からお答え申し上げます。

 二〇二四年問題に対応するためには、物流業界において、外国人を含めた多様な人材を確保していくことが重要でございます。

 このため、国土交通省としては、大型免許、牽引免許の取得費用など、物流事業者における人材確保、育成の支援、荷役作業の負担軽減に資する機械等の導入の支援、また、ホワイト物流推進運動など、事業者における職場環境改善に向けた取組の後押しなどを進めてございます。

 また、先日、御指摘の特定技能制度の対象分野に、自動車運送業を追加することが閣議決定されたところであります。関係省庁や業界団体と連携しまして、安全の確保など制度の運用開始に向けて、必要な準備を進めてまいります。

小林(豊)政府参考人 警察庁からお答えいたします。

 自動車運送業分野における特定技能外国人の受入れに当たり、警察庁におきましては、その円滑な受入れを行うとともに、交通の安全を確保する観点から、国土交通省等と緊密に連携し、準備を進めておるところでございます。

 委員御指摘の、日本の免許への外国免許の切替え、いわゆる外免切替えにつきましては、特定技能外国人の受入れが円滑に行われるよう、知識確認問題の多言語化を一層進めるなど、今後、その運用の改善に努めてまいります。

 また、今回の特定技能外国人の受入れに当たりまして、国土交通省において、日本への入国前等に、外免切替えの申請のために必要な関係書類の確認や、日本の交通ルールやマナーに関する研修を行うための準備を進めているものと承知しておりますが、警察におきましても、こうした取組についても協力してまいりたいと考えております。

日下委員 ありがとうございます。

 総合物流施策大綱では、「多くの運行で、依然として荷主都合による長時間の荷待ち、契約にない附帯作業などが発生しており、これらの時間を減らすことができれば、トラックドライバーが運送に専念できる時間を確保でき、今後の物流の持続可能性は高まる。」と記載されております。

 また、今回の改正案では、トラックドライバーの荷役等の時間短縮のための取組として、荷主等に対して、ドライバーに荷役等を行わせる場合にはパレット等をドライバーが利用できるようにするなど、ドライバーの荷役等を省力化する取組などを求めています。

 全くそのとおりだと思うのですが、本改正において、ドライバーが運送に専念し、荷役等をする場合についても、その対価をきちんと請求できる仕組みを整える必要があると考えますが、斉藤大臣の御所見を伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 トラックドライバーが荷役作業を行った場合には、きちんと対価をもらえるということにすることが非常に重要だと思います。

 この法案では、荷主等に対し、契約内容の書面化を義務づけることとしております。これによって、トラックドライバーが荷役作業を行うか否か、また、行う場合の対価が幾らとなるかということが明確化されます。

 また、今般、荷役作業の対価を含め、標準的な水準を提示し、貨物自動車運送事業法に基づく標準的運賃として設定いたしました。項目として、きちんと荷役作業を入れたということでございます。

 あわせて、トラックGメンによる荷主等への是正指導を強化することにより、トラックドライバーが荷役作業を行う場合に適正な対価を収受できるよう、しっかりと取り組んでまいります。

日下委員 ありがとうございます。

 荷主、消費者の行動変容に向けた取組についてもお聞きしたいと思います。

 一つは、再配達削減の仕組みの社会実装ということですが、確かに、ラストワンマイルを担うドライバーにとっては、再配達は時間と労力を費やすものだと思います。最近は、置き配やSNSでの日時の調整など便利な仕組みができて、再配達がかなり減少したと感じておりますけれども、ここ数年の再配達率の変化が分かれば、お示しいただきたいと思います。また、都市部と地方での違いがあれば、教えてください。

鶴田政府参考人 宅配便の再配達率につきましては、半年ごとの数値を調査しております。コロナ禍前の二〇一九年十月までは一五、六%程度となっていましたけれども、二〇二〇年四月では、コロナ禍に伴って、利用者の在宅時間が増加するなどがありまして、一時的に八・五%まで減少しました。その後、また上昇しまして、一二%程度で推移しておりましたけれども、昨年は減少に転じて、直近では一一・一%となっています。

 また、都市部と地方部で比べますと、都市部は一二・一%、地方部は九・二%となっております。

日下委員 ありがとうございます。

 二〇三〇年に向けた中期計画には、二〇二四年に再配達率半減と書かれておりますが、いつの時点からの半減なのか。そして、この先、再配達率を削減する上での課題としては何が考えられるのか。ポイント還元実証事業についても説明をお願いできればと思います。

鶴田政府参考人 再配達率は、令和四年で約一二%程度でございました。これを半減して、令和六年度に六%にするということを目指しております。

 課題としましては、多様化するライフスタイル等への更なる対応や、消費者と宅配事業者、通販事業者との間のコミュニケーション不足への対応が課題かと思っております。

 これらを踏まえまして、消費者が再配達削減に取り組むよう促すということで、物流負荷軽減に資する受取方法を消費者が選択した場合に、その方にポイントが還元される仕組み、これを社会実装するということを目指しまして、令和五年度補正予算を活用して、実証事業を実施するということにしてございます。

日下委員 ありがとうございます。

 ポイント還元実証事業で、どこまで削減できるかということなんですけれども、やはり宅配ボックス等、ますますこれからはこういう通販の利用が増えていくというふうに思います。都市部においても、地方部においてもありますので、マンションであるとか、戸建ての住宅であるとか、この宅配ボックスの設置をしっかり進めていくということも必要かと思いますので、その点もよろしくお願いしたいというふうに思います。

 あと三問ほど用意しておりましたが、時間が参りましたので、準備していただいた皆様には大変申し訳ないんですけれども、また次の機会に回したいと思います。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、石川香織さん。

石川(香)委員 立憲民主党の石川香織です。

 斉藤大臣、そして委員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 いよいよ新たなルールの下での働き方がスタートいたしました。私たちの生活、物流の在り方、そして消費者の意識も大きな影響があると言われておりますこの物流の二〇二四年問題、しっかり解決に向けて進めていかなければいけないということであります。

 ただ、そもそも、人手不足でありましたり、低賃金など多くの問題があったにもかかわらず、国民ですとか業界の認識を深めて、この課題解決に向けてどうしていこうかという議論、余りにも時間が足りなかったのではないかという印象を持ちます。

 実際に、今回この新ルールが適用される建設業界や運送業界に対しては適用までに五年間の猶予期間があったわけですが、関係閣僚会議が設置されたのは昨年の三月となっております。これは、労働時間の上限規制が始まる僅か一年前ということになっています。

 私も予算委員会で何度か斉藤大臣とこの物流の二〇二四年問題、議論をさせていただいておりますけれども、現場の様々な懸念、質問をさせていただいておりますが、このやり取りを見ても、対応が遅かったんじゃないかと。加えて、様々な地域の事情もしっかり酌み取っていただいているんだろうかという点において、十分ではなかったのではないかなと私は感じておりますが、斉藤大臣の受け止めをまずお伺いさせてください。

斉藤(鉄)国務大臣 これまで、国土交通省として、自動化、機械化等の物流DXや、モーダルシフトなどによる輸送の効率化など、物流の課題に対して必要な対策を講じてきたところでございます。

 その上で、平成三十年に時間外労働の上限規制を含む働き方改革関連法が成立したことを受けまして、この年、議員立法により貨物自動車運送事業法が改正されまして、標準的運賃と、荷主に対する要請等の制度が設けられました。国土交通省において、これらの制度を速やかに運用し、浸透を図ってきたところでございます。決して何もやってこなかったというわけではない、それなりに努力をしてきたと思っております。

 これらの結果、労働時間や賃金の全産業平均との差は縮まりつつあるなど一定の進捗が得られた一方で、コロナ禍を経た近年の輸送需要の変化なども相まって、二〇二四年問題への対応が喫緊の課題となっているところでございます。

 このような状況を踏まえ、荷主、物流事業者、消費者が協力して物流を支える環境の整備に向けて、取組を加速化すべく、昨年三月、関係閣僚会議が設置され、六月に政策パッケージを取りまとめたものでございます。

 先ほども答弁申し上げましたが、これまではどちらかというと物流事業者が一生懸命頑張ってきた。しかし、それではなかなか解決しない。今回、社会全体、特に荷主の方々も一緒になって解決していかなければならない課題だ、こういう認識の下で、今回この法案を出させていただいたところです。

石川(香)委員 確かに、これまでもいろいろな場面で、この物流の問題に関して御議論していったということなんですけれども、そして、今回は荷主に対して踏み込んだものになっていると。

 ただ、長時間の荷待ちですとか契約にない附帯作業の課題というもの、これは前から把握はされていたんですけれども、なかなか解決をされてこられなかったということが問題だと思います。これだけ難しい問題だということだと思うんですけれども、その中で、同様に認識をされてきた多重下請構造でありますけれども、今回の法律案の中では、これを是正していこうということも大きなテーマになっております。

 元請の事業者に対して、一定の場合、実運送事業者の名称などを記載した実運送者の体制管理簿の作成を義務づけまして、多重下請構造の見える化を図るとしています。この管理簿を荷主が閲覧できるようになっているということで、荷主がしっかり関心を持って取り組むということも、この問題の是正につながるのではないかなと思いますけれども、この中で、この管理簿の作成に関しては実運送事業者でありまして、いわゆる水屋と言われる、実運送を伴わない、マッチングですとか取次ぎだけを行う事業者、これは管理されないということになっています。

 このような取次ぎだけ行う事業者に対して、把握をして対策を講じることも必要かどうかということを、どういうふうに考えているでしょうか。

鶴田政府参考人 いわゆる水屋と呼ばれる事業者ですけれども、様々な形態があると思います。

 まず、その水屋が、荷主又はトラック事業者と運送契約を締結する利用運送事業者に該当する場合ですけれども、この場合は、下請行為の適正化に関する努力義務等が課される対象となるほか、トラックGメンによる是正指導の対象にもなります。

 また、これ以外の、今御指摘のありました、運送責任を負わない、いわゆる取次事業者に該当する場合には、取り次がれた契約の発注者側が同様の規制的措置の対象となります。

 いずれの場合も、この法案に基づいて運送体制の可視化や契約内容の明確化が行われることとも相まって、荷主と元請事業者との運賃交渉等を通じて、不合理な中抜きの排除にもつながると考えております。

 このように、トラックGメンを含めて、あらゆる施策を組み合わせて対応して、適正化を図ってまいりたいと思います。

石川(香)委員 この水屋と呼ばれる取次事業者が業者をつなぐという役割があるとすれば、一概にこれは悪いことではないかというところも議論が必要だと思いますけれども、不当に中抜きをしている事業者に対しては、これは当然、取り締まる必要もあるということでありました。今の段階では、そもそもこの構造自体が、全体像が分からなかったということもありますので、しっかり全体像を明らかにするということがまず最初だということでありました。

 次に、高速道路においての大型トラックの最高速度の引上げについて伺いたいと思います。

 昨年末、これを現行の八十キロから九十キロに引き上げることが有識者検討会を経て決定をされまして、四月一日から引き上げられております。

 これまでの高速道路における車種別の最高速度の在り方に関する有識者検討会の中でも、委員の中から、大型貨物自動車などの制限速度については、積載量に応じて制動距離が長くなることや、ほかの車両より重量が大きいため、同一速度でも事故発生時に被害が重大化しやすいことなどが懸念事項として示されているということも踏まえまして、エビデンスに基づく十分な検討を行うことが必要だという意見や、ほかの車両との関係を留意するべきだという意見も出ております。

 この有識者検討会でも求められたように、安全性についてエビデンスに基づく十分な検討を行うということですけれども、これは十分に行われたと言えるんでしょうか。

小林(豊)政府参考人 お答えいたします。

 高速道路における大型トラックの速度規制の見直しにつきましては、警察庁において、学識経験者や運送事業者団体等の方々を構成員とする有識者検討会を立ち上げ、検討を行ってまいりました。御指摘の、エビデンスに基づく検討が必要といった御意見につきましては、第一回有識者検討会において有識者委員からなされたものと承知しております。

 こうした意見を踏まえて、有識者検討会においては、交通事故の発生状況、車両の安全に係る新技術の状況のほか、運送事業者やドライバーの方々へのヒアリングやアンケートを通じて、トラックドライバーの精神的負担の観点からも検討が行われたところであります。

 検討の結果、大型トラックについては、交通実態として九十キロメートル毎時に近い実勢速度が確認されていること、それに加えて、そうした中でも、安全装置の普及により交通事故件数が全車種と同程度減少していることなどを踏まえ、九十キロメートル毎時を上限とする現在の速度抑制装置の装着義務を存置した上で、その法定速度を九十キロメートル毎時に引き上げることは可能という結論に至ったものでございます。

石川(香)委員 ドライバーの方の中には、これはかなり賛否が分かれていたと思います。緩和するべきとする方の意見の中で、乗用車との速度の差を求めるという声が多かったそうなんですけれども、時速八十キロで走行していると、他者の車の方が速度が速く、追突される危険がある、加えて、速度を気にしており、運転のストレスもたまりやすいことから、制限速度を緩和してほしいということや、乗用車から日々あおり運転を受けているということもあったということで、こういう御苦労があったんだなという反面、ほかには、ドライバーが高齢化してきているので無理に速度を上げなくてもいいのではないかといった意見や、これは運輸労連のアンケートの中の二件でありますけれども、私が個々に聞いた話の中でも、タイヤの減りが早くなるのでかえってコストが上がる、十キロスピードを上げると風圧が強くなるので隣を走るドライバーの影響もどうなんだろうか、それから、衝突軽減ブレーキを装着しているトラックは四割程度ですので、安全装置の普及促進が先ではないかといった意見がありました。

 先ほどの答弁の中にもありましたけれども、今回の速度の引上げの根拠となるものが実勢速度です。法定速度とは別に実際に出している速度ということですね。これは、現状での実勢速度、大型トラックが八十七キロ、トレーラーが八十四キロということで、これは、既に法定速度を上回っている中でも一般の車も含めて事故が減少していますので大丈夫ですよという話でしたが、これは冷静に考えますと、スピード違反している速度なんですよね。高速道路、大型トラックの制限速度はあくまで八十キロまでということなんですけれども、本来、取り締まられるスピードであるにもかかわらず、これを根拠にすると、スピード違反をしても事故がなければ出してもいいんだということを容認しかねないと思います。流れに沿ってスピードを出すということがあったとしても、それを堂々と根拠にしていいのかどうなのか。これはかなり違和感がありますが、いかがでしょうか。

小林(豊)政府参考人 お答えいたします。

 速度規制に当たりましては、道路構造や交通の実情、交通事故発生状況等を踏まえる必要があります。速度規制と実態が乖離していないか等の観点から実勢速度も考慮すべき一つの要素であると考えております。これまでも実勢速度を考慮しつつ速度規制の検討を行ってまいったところでございます。

 今回の見直しにおきましても、実勢速度の実態を確認した上で、交通事故の発生状況、車両の安全に係る新技術の状況、トラックドライバーの精神的負担といった様々な観点から検討が行われてきたところでございます。

石川(香)委員 ドライブとかに行くときも、もっとスピード出してと隣のドライバーの方に言わないと思うんですよね。だから、これを容認してしまうというのは非常に違和感を感じます。

 もう一つ、一般的には制限速度を上げると衝突した際の衝撃が増すので、これは死亡事故のリスクも上がるのではないかと思います。制限速度を十キロ上げると衝突した際の衝撃がどれぐらい増すのか、死亡事故のリスクも上がるのかと思いますけれども、こうしたリスクに関してはどのような認識でしょうか。

小林(豊)政府参考人 お答えいたします。

 一般的に、衝突時の速度が高ければ衝突時の衝撃が増すということは御指摘のとおりであります。

 警察庁の有識者検討会におきましては、道路交通の安全確保を前提として、事故の現状、車両の安全に係る観点等を踏まえて総合的に検討を行ったところでございます。その結果につきましては、先ほど御答弁したとおりでありますが、加えて、交通ルールの周知や的確な取締りを進めてまいりたいと考えております。

 さらに、検討会の報告書におきましては、過度なプレッシャーがドライバーに加わらないよう、荷主、運送事業者が認識を持つことの必要性、安全装置の拡大の必要性についても指摘されているところでございまして、関係省庁による取組に警察庁も連携して行ってまいりたいと考えております。

石川(香)委員 ちょっと私は釈然としないんですけれども、リミッターの装着が進んでから交通事故が減少した、これは、トラック業界の方々を中心にスピードを下げるキャンペーンというのをかなり取り組んでいらっしゃった成果だと思うんですね。

 高速道路は、ドライバーさんのような運転のプロの方だけではなくて、一般のドライバーも利用します。スピードを上げることによほどの根拠があって、時間をかけて議論をして実証していくものではないかと私は思います。

 この不安が残る中でも、制限速度十キロ引上げをここまで急いだということによって、いわゆる物流の二〇二四年問題はどの程度解決するというふうに分析をされているでしょうか。

鶴田政府参考人 高速道路における速度規制の引上げにつきましては、トラックドライバーの労働時間の短縮、また、物流の効率化に資するものと考えております。

 例えば、高速道路の東京―大阪間、五百五十キロございますが、これにつきまして、現在は休憩時間を含めて七時間三十分程度かかっていますけれども、速度規制の見直しによりまして、これが六時間四十五分程度に短縮されるというふうに推計してございます。

石川(香)委員 これも全国一律のルールということなんですが、北海道のように雪の降る地域もありますし、全国一律のルールでは無理があるのではないかということを申し上げたいと思います。

 そして、何より四月一日から制限速度が上がることをトラックドライバーの方や一般のドライバーはどの程度知っているのかということです。昨年、私が予算委員会で質問した際に、この質疑をSNSで上げましたところ、知らないといった方、トラックドライバー、関係者の方もかなりいらっしゃいました。

 告知は十分であるかという点、これは業界向けの告知と一般向けのドライバーの告知、続けて御答弁いただければと思います。

鶴田政府参考人 まず、業界向けでございますけれども、制限速度の引上げにつきまして、業界団体の広報紙やホームページなどを通じまして、トラック運送事業者に向けて十分な告知を図っているところでございます。

小林(豊)政府参考人 お答えいたします。

 一般のドライバーの方々に対しましても、今回の大型トラックの最高速度の引上げについて周知することが重要でありまして、警察としては、サービスエリアでチラシを掲示したりホームページ等で広報したりしているほか、道路管理者と連携し、交通情報板を活用して広報啓発を実施することとしております。

 引き続き、高速道路における道路交通の安全が確保されるよう、広報、周知の徹底、交通違反の取締り強化等の安全対策を推進してまいります。

石川(香)委員 これは、まだ余り皆さん知らないと思うんですね。トラックドライバーの方々は、周りの方が知らないと、あのトラック、スピード出して危なかったとか、風圧がすごくて驚いたということを一般の方に意見されるかもしれないということも話しておりました。一般の方ももちろんびっくりしてしまいますので、双方の理解が進むようにしっかり告知をしなきゃいけないと思います。

 次の質問に行きます。

 今、引っ越しシーズンで忙しくなる三月、四月ということですけれども、物流の二〇二四年問題で更に人手不足に拍車がかかるということが問題になっております。

 引っ越し部門を持つ運送会社では予約を断る状況にも至っているということであります。転勤などで着任日まで間に合わないといった声や、大型家具は実家にひとまず置いて、トランクルームに一時的に荷物を置いて、徐々に進めざるを得ないといったこともあるそうですけれども、加えて、繁忙期の引っ越し料金は非常に高いということで、見積額が高額で諦めたという声もあるそうですが、その中で、国交省は引っ越しの時期を分散しようというキャンペーンを行っていると思います。このキャンペーン、どんな感じで進んでいるでしょうか。

鶴田政府参考人 引っ越し時期の分散化につきまして、国土交通省としましては、平成二十九年度から利用者への呼びかけを行っております。経済団体、行政機関、大学などへのリーフレットの配付ですとか、駅の構内等へのポスターの掲出によって周知を図っております。

 また、令和元年度からは、加えまして、経済団体を通じて民間企業に人事異動の時期の分散化の検討を要請する、また、国家公務員の人事異動において引っ越し時期分散化に向けて取り組む、さらに、引っ越しのトラブル等に関する情報提供窓口を地方運輸局に設置するなどを行っております。

石川(香)委員 今年の繁忙期の予想は三月十六日から二十三日ということなんですが、進学先とか、異動の内示というのはぎりぎりにならないと分からないので、個人の努力で限界があるのも事実かなと思います。

 最後に、この引っ越しの分散は非常に重要な観点だと思います。というのも、北海道のような広大な面積ですと、この時期、雪も残っていますし、移動に時間がかかってしまうということがあります。

 例えば札幌―帯広間、これは高速道路で、冬道で片道三時間程度かかりますが、引っ越し作業を終えて日帰りが可能だという業者もいるんですけれども、今回の時間外労働の上限規制で、一日でこの作業が収まらなくなってしまう可能性もある。

 引っ越し分野はほかの輸送分野よりも荷物の積卸しが長くかかるということですので、引っ越し業者の宿泊、例えば宿泊をさせるのであれば、この負担はお客さんの方に乗っかかってくるわけですし、次の日の仕事の兼ね合いで泊まりもできない日もあるということです。

 この人手不足の中で、繁忙期にこういった引っ越し事業者の問題をどうクリアにしていくか、国交省の見解を最後に伺います。大臣、お願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 この引っ越しの問題もそうだと思いますが、今回の上限規制で、これまでできていたことができなくなるということもあり得ると思います。

 今回の時間外労働の上限規制は、ドライバーの労働時間を削減し、健康と安全を確保するために必要な施策である、このように考えております。物流業界のみならず、荷主である産業界、消費者、そして行政が同じ危機感を持って取り組まなければなりません。

 そういう観点から、社会全体で考えていかなければならない課題であるというふうに申し上げさせていただきたいと思います。

石川(香)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

長坂委員長 次に、大島敦君。

大島委員 今日は、城井筆頭を始め委員の皆さんの御理解をいただいて、二十分質問をさせていただきます。

 党内に物流プロジェクトチームがありまして、そこのメンバーですから、物流について質問をさせていただきます。

 私、二年前から、物流は創造の余地がある分野だと思っていまして、私、メーカー出身ですので、鉄鋼会社ですと物流部門はどちらかというと余り日が当たらなかったところなんです。でも、物流が今後は商品を決めていくと思っていまして、物流が産業の中核になると確信をしておりまして、昨年も経産委員会で物流について取り上げさせていただいて、国土交通省の役所の方にも政府参考人として答弁をいただいています。

 我が国の総人口と生産年齢人口の推移を見ると、二〇二〇年が、人口中位推計で一億二千六百万人、二〇五〇年が一億四百万人ですから、二千万人ぐらい減るわけです、これから。生産年齢人口も七千五百万から五千五百万ですから、ほぼ二千万人減るんです、これから。

 この過程を考えながら様々な施策を打たなければいけないなと思っておりまして、この物流の問題、トラックですと積載効率ですか、できるだけそれを上げていくことが必要だと思っていまして、ここ二年間のうち、フィジカルインターネットの話を伺ったときに、すぐ理解しました。

 インターネットは、一九九四年、日本で一番最初のインターロップ、インターネットの見本市を見たときに、これで世界が変わると思って会社を辞めてしまったものですから。

 インターネットの考え方、ですから、インターネットは、通信中に回線を専有する回線交換方式が昔で、今、当たり前ですけれどもパケット通信で、データを複数に分割してやり取りするということで、このパケットの一つ一つが一つ一つの商品だと思っています。何百万個、何千万個ある商品を、これを一つのパケットとして考えて最適化を狙うということ。

 もう一つは、量子コンピューターの中で先行しているのが、ゲート型ではなくてアニーリング型の量子コンピューターで、この量子コンピューターは組合せ最適化問題に物すごく向いていて、これは何千億個ある個々の商品を瞬時に最適化、物流を組むことができます。物流網もそうですし、貨車の中のコンテナ、あるいはトラック、どういうふうに積んでいくかも個々に最適化できると思っていまして、先ほどのインターネットは、これはネットワークとネットワークをつなげていますから、一つの拠点が崩れたとしても全部迂回しながらデータを運べるという、これを多分物流で考えていらっしゃるのかなと思っています。

 そういうことを前提としながら、何問か質問させていただきます。

 まずは、二〇二四年問題は物流改革のきっかけになると思っています。二〇五〇年に向けて物流の効率化、省力化が必要であり、自動運転技術は省力化の最たるものだと思っています。国交省でも、高速道路網を使いながらの無人化についての取組もしていらっしゃいます。

 近年は、準天頂衛星システムを活用した自動運転技術も進んでいると考えておりますが、この自動運転技術についての我が国の、準天頂衛星システムの活用を含め、開発状況と、今後の活用の見通しや目標を教えていただきたいと思います。

鶴田政府参考人 物流の二〇二四年問題は、喫緊の課題であると同時に、御指摘のように、年々深刻化していく構造的な課題でもあります。

 こうした中で、自動運転技術の活用は、ドライバー不足や労働環境の改善など、物流業界が直面する課題の解決につながるものとして期待されております。

 このため、政府としましては、二〇二五年度頃の高速道路におけるレベル4自動運転トラックの実現、また、二〇二六年度以降の社会実装、これらを政府目標として掲げまして、現在、技術開発を進めております。

大島委員 今、政府参考人の答弁にあったとおり、一つは、ソフトの面でのフィジカルインターネット、あるいは、量子コンピューターを利用しての物流網をつくること。やはり、国としてはハードの面が大切だと思っていまして、自動運転が実現した場合、高速道路上の幹線輸送を自動運転で代替することが考えられると思います。そのためには、高速道路に直結した物流施設が必要となると考えています。国として、そのような物流拠点の整備をどのように推進していくのか、答弁願いたいと思います。

 これは、恐らく、高速道路の自動運転で、一回高速道路を出た後に、物流の拠点をつくって、そこで積み替えて今度は個々に配送していくものですから、その物流拠点をつくるのは、まずは土地の取得も必要ですし、様々な整備が必要で時間がかかります。多分、計画しても十年ぐらいかかるかもしれないので、その点についての今後の見通し等について、伺わせてください。

鶴田政府参考人 御指摘の物流拠点につきましては、幹線物流と支線の物流の切替えという拠点でもありますし、また、有人の運転と自動運転の切替えという意味もあるかと思います。

 昨年六月の政策パッケージや十月の緊急パッケージにおきましても、こういった考え方に基づきまして物流施設の整備や機能強化を推進するということが掲げられております。

 今、御指摘のありました高速道路に直結した物流拠点につきましても、物流効率化法に基づく財政融資などによる支援が今現在可能となっております。さらに、この法案によりまして、融資に加えて出資も可能となるということで、こういったことを活用しながらしっかりと進めてまいりたいと思います。

大島委員 高速道路の自動運転は可能だと思います。ただ、町の中での自動運転で物流というのはなかなか難しいと思っていて、ですから、まずは、高速道路を出た後の積替えについての効率化については、財政的な措置も含め、やはり国としてしっかり対応していただきたいと考えております。

 その次に、究極の方法、これは、輸配送であるフィジカルインターネットを実現して、貨物運送の最適化をすべきと先ほど申し上げましたとおり考えておりまして、政府としてはどのような長期的なビジョンをどのように実現していくのか、参考人の答弁をお願いします。

山影政府参考人 お答えいたします。

 中長期的には、委員からの御指摘ございましたとおり、人口減少あるいは労働人口減少の中で人手不足が更に進んでいくものと考えてございます。その中で物流は、我々の経済活動、これを支える必要不可欠な社会インフラでもございます。よりまして、まさに物流を我が国の産業競争力の源泉とすべく、物流システム革新に取り組んでいかなければならない、そういう覚悟でございます。

 その際、働き方改革に向けた商慣習是正等に加えまして、ロボットあるいはAI技術といったものを活用しながら、省力化、効率化を進め、さらには、現在四割程度となってございます積載効率、こういった向上をしていかなければならないと考えてございまして、それに当たりましては、まさしく物流は非競争領域であろうと捉えまして、企業間の共同輸配送、これを進めていくことが重要と考えてございます。

 それを踏まえまして、我が省といたしましても、まさに先ほど委員からも御紹介ありましたが、デジタル技術を活用いたしまして、物の流れ、これを見える化をする、これに併せまして、標準化された容器などを活用し、業種を超えて共同輸配送を可能とするフィジカルインターネット、これを実現することが重要と考えてございます。

 二〇四〇年までのロードマップを既に作成しておりまして、標準化あるいはデジタル化に向けた道筋を示すとともに、まずは業種あるいは地域単位での動きを促したいと考えてございます。

 具体的には、業種固有の商慣行、あるいは物流課題に対応するため、例えば建材の分野ですとか化学品、あるいはスーパーマーケットといった分野のところで業種ごとのアクションプランを作っていただく検討を今進めてございます。さらには、まさに地域で物流課題が明確に示されているエリア、例えば、北海道といったところでも実証事業を既に行っていただいています。

 こういったものを組み合わせながら、引き続き関係省庁とも連携しながら、物流システムの革新に向けた取組を強化したいと考えてございます。

大島委員 昨年のこれは経産委員会なんですけれども、そのときに、先ほどの量子コンピューターの話をさせていただいたところ、ベンチャー企業で量子コンピューターを使いながら物流にトライしている会社があると伺っていまして、来週見に行こうかなと思っているんです。

 このフィジカルインターネットを実現するためには、全ての荷物の情報を標準化した上で管理し、マッチングするプラットフォームが必要となります。国として、そのようなプラットフォームをどのように構築していくのか、国が自分で構築するのか、民間任せなのか。また、先行的な取組を行っている事業者を支援すべきだと思うんですけれども、大臣の御答弁をお願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 昨年六月の政策パッケージにおきましては、デジタルを活用して極限まで効率化された共同輸配送システムであるフィジカルインターネットの実現に向けて、取組を着実に進めることとされております。

 先ほど委員お話がありましたように、これには、膨大な情報量を蓄積し、それを処理するまた物すごい電力と、それから演算速度の速いコンピューターが必要になるということで、これは本当に官民挙げて進めていかなければ実現できないと思っております。

 その実現に向けては、まずは、物流の標準化を通じた荷主、物流事業者のデータ連携による共同輸配送を進めていくことが必要でございます。

 このため、国土交通省としましては、現在、令和五年度補正予算等も活用しながら、物流データ等の標準化を通じた荷主や物流事業者の連携による共同輸配送の促進、荷主や物流事業者の情報を集約、分析し、物流を最適化するシステムの導入などに先進的に取り組む民間事業者を支援しているところでございます。

 そして、先ほど申し上げましたように、これは民間に任せるのではなく、しっかり官も連携して、大きなプラットフォームをつくっていかなくては実現できませんので、積極的に官民連携を進めていきたいと思っております。

大島委員 ありがとうございます。

 続きまして、トラックドライバー不足への対応だけでなく、カーボンフリーの観点からも貨物鉄道は非常に重要だと考えています。

 貨物鉄道をもっと活用すべきと考えますが、どのように貨物鉄道の活用を拡大させていくのか、大臣の御答弁をお願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 貨物鉄道の活用というのは、モーダルシフトで最も重要なものの一つでございます。

 このため、昨年十月にまとめました緊急パッケージにおきましては、鉄道そして内航船の輸送量を今後十年程度で倍増させることを目標にしております。

 具体的には、大型コンテナに対応するためのコンテナホームの拡幅や、災害時の代行輸送の実施に必要となる貨物駅の施設整備などについて補助を行ってまいります。また、JR貨物が行う機関車等の設備投資に対する無利子貸付けによる支援を行うこととしております。

 今後も、鉄道貨物輸送が期待される役割を存分に発揮できるよう、鉄道へのモーダルシフト等の物流の効率化に向けて、官民挙げてしっかりと取り組んでいきたいと思います。

大島委員 伺いますと、貨物鉄道、特に鉄道は、自然災害の被害を受けやすくて、止まったりすることもあります。

 先ほど申し上げました将来型の日本の物流は今とは違うというイメージを持っています。今までの重層的な下請構造から、ドライバーに着目しながら、どういうふうに物流をしていくのか、構造が、今まで、従来とは多分違った形になると思っています。

 そうすると、先ほどインターネットの話をしたときに、インターネットというのは、TCP/IPのプロトコールでネットワークとネットワークをつなげていますから、一つの例えば貨車のネットワークが途絶しても、こういうふうに運んだ方がいいよというのがすぐ最適化処理できると思っていまして、ですから、そういうことを前提にしながら、特に、国が必要なのは標準化だと思っています。

 やはり、この委員会でも出ていると思うんですけれども、コンテナ、パレット、あるいは箱を含めて、標準化するということ、これは国の役目だと思っています。そして、それをどういうふうに、高速道路網を整備し、積替えを整備するのかというところも国の役目でして、民間は、それに対するソフトウェアをどういうふうに構築していくかということが私は必要だと思っている。

 ただ、ここで着目したいのは、是非大臣にお願いしたいのは、やはり、今だと、アマゾンなりグーグルなり、私も使ってもいるし、皆さんも使っていますけれども、海外の技術なものですから、物流というのは、これは日本の血管と同じだと思っていて、できるだけ、我が国の技術と我が国の能力でこの物流網をしっかり整えて、サーバー等も全て我が国の中で持つということにしないと、どうしても、安全保障上も脆弱になってしまうのかなと思っています。ですから、そういうことも、国としての役割、民間に任せるところ、あるいは安全保障上どういうふうにやっていくかということ。だから、イメージとしては、先ほどの物流の省力化。

 大臣がおっしゃっていた電力については、ずっと、ここ四年ぐらい前から光電融合の技術は着目をしていて、昨年、NTTのR&Dのフォーラムに伺ったときに、二〇二八年には光電融合の技術が完成するので、そうすると、日本の通信網は百分の一ぐらいの電力消費量で、かつ、タイムラグなく光の速度で送れて、情報を圧縮することなくですから、そうすると、全ての技術が二〇五〇年に向けて集約していくと、我が国としては、電力消費量についても、物流の最適化についても、非常に心地よい国になるというイメージを持っています。ですから、その点、是非大臣、お願いします。

 最後に一問、今度は農水省に伺いたいんですけれども、花卉、花は農産物の中でも高付加価値で、輸出も盛んであります。花卉業界における物流の対策について。もう一つは、やはり、今後、まだまだ、今から二〇二四問題は始まっていますから、いろいろなことが起きると思うの、様々な業界ごとに。ですから、様々な業界とのやり取りも綿密にやってほしいということを踏まえながらの答弁をお願いします。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 花卉の物流については、ファクスによる受発注や手積みによる荷役作業など非効率な部分が多く、二〇二四年問題に対応するため、流通の効率化を速やかに進めていくことが重要であります。

 このため、農林水産省では、令和五年三月に花卉物流の合理化に必要なパレットサイズの統一などのための流通標準化ガイドラインを策定したところであり、これに基づき、日本花き卸売市場協会が自主行動計画を策定し、その実現に向けて取り組んでいるところであります。

 具体的には、農林水産省の支援の下、花卉市場や花卉産地において、ストックポイントの設置による中継輸送、ばら積みの手荷役から標準規格の台車やパレットへの切替え、受注システム、トラック予約システムなどの導入によるデジタル化等の実施を進めております。

 これらの取組においては、輸送距離の短縮や作業の省力化などの成果が確認されており、今後、こうした成果を、花卉業界にとどまらず、いろいろな業種も含めまして、全国に波及するよう、農林水産省としても、国土交通省と連携をいたしまして、後押しをしてまいります。

大島委員 発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 終わります。

長坂委員長 次に、神谷裕君。

神谷委員 立憲民主党の神谷裕でございます。

 私も、ふだんはこの国土交通委員会に所属はしておりませんけれども、委員の皆さんの御理解をいただいて、今日は発言の機会をいただきました。本当に感謝と御礼を申し上げたいと思います。

 私の選挙区は北海道でございます。北海道でも農業が盛んな地域でございまして、非常にすばらしいお米であるとか、お芋であるとか、あるいはタマネギであるとか、そういったものを作っております。

 ただ、作っているだけでは当然話にならなくて、これをいかにして、大消費地、東京なのか、名古屋なのか、大阪なのか、そういったところは別にして、お届けをして、そして食べていただく、このことが非常に大事でございますので、実は、この物流の問題、農産品あるいは食料品、非常に重要な問題だと思っているところでございます。そういった観点から今日は質問をさせていただきたく、お願いを申し上げたい、このように思います。

 今申し上げたとおり、農産品や食品流通は、トラックによる輸送がおよそ九七%というふうに承知をしております。また、今申し上げたように、北海道であるとか、あるいは青森であるとか宮崎であるとか、こういったところから大消費地東京に持っていくというのは、それなりに時間というか、距離も長うございます。北海道であれば実に千キロ、青森で七百キロ、宮崎で千四百キロと大変に遠方でありまして、それは同時に、輸送時間がかかるということも意味します。そして同時に、トラックドライバーの負担がかかる、負担が重いということを意味していると思います。

 そこで、先ほど大島委員からもお話がございましたけれども、鉄道やあるいは船にシフトをしていく、これは本当に重要なことだと思いますし、北海道、トラックでつながるわけではございませんので、どうしても船か鉄道貨物に積み替えることが必要になってまいります。

 だとするならば、現実的な問題として、こういったものに積み替えなければいけないのですが、例えば、鉄道分野では、北海道なんかは特にそうなんですけれども、地方路線の廃線というのが実は進んでおります。先般も、一部の路線の廃線が決まるというか、実際に廃線になりました。そんなこともございまして、先ほどのお話にあったとおり、二酸化炭素の排出量のことも考えれば、当然にして、鉄道あるいは船、これを展開していくことは好ましいと思いますし、鉄道は特に我々にとっては重要なものだというふうに理解をしております。

 そういった中で、先ほどJR北海道の問題も申し上げましたけれども、この国の鉄道の在り方についての議論の中で、鉄道貨物輸送という事由はどの程度考慮されているのかということを確認をしたいと思います。

 一義的には、路線の存廃、今盛んに議論されておりますけれども、JR各社がそれぞれの経営の中で検討されているというふうに私は承知をしております。JRさんと関係自治体の中での協議でおおよそ決まっているというふうに聞いているんですけれども、その中で、貨物輸送という北海道全体の事情というか、この国全体の事情がどれだけ考慮されているのか、これについて国土交通大臣の御所感を伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 貨物鉄道は、全国ネットワークを活用した大量輸送機関であり、また、優れた環境性能を有するため、ドライバー不足など、物流二〇二四年問題への対応とともに、カーボンニュートラル実現への貢献も期待されている、非常に重要な輸送手段だと認識しております。

 このため、鉄道ネットワークのうち、貨物鉄道が現に走行しており、全国一元的な貨物鉄道輸送サービスの一部として重要な役割を果たしている区間など、我が国の基幹的鉄道ネットワークを形成する区間については、安定的に維持されることが重要です。

 JR貨物は、JR旅客会社が管理する線路を使用して貨物列車を運行しておりますので、このような区間については、JR交通法に基づく基本方針において、当面、国が設置する再構築協議会における協議の対象としないこととしており、また、国としても、JR会社法に基づく大臣指針により、JR上場各社に対し適切な維持を求めていくほか、JR会社法の規制の下にあるJR北海道、JR四国に対しても指導監督しながら、維持を図ってまいります。

神谷委員 ありがとうございます。

 本当にそこの話は大事だと思っていまして、今、様々な鉄道線区の議論がされておりますけれども、その際にはどうしても、乗客数であるとか、百円当たりの、どれくらいお金がかかるんだという議論に終始しているように私には見えます。その際に、JR貨物のことがどれだけ考慮されているかというと、実はほとんど考慮されていないように私には思えました。でありますので、やはり全体最適ということを考えていただいて、個別最適ではなく、全体としての最適を是非考えていただきたいと思います。

 その上で、先ほど、お話にもありましたけれども、鉄道を、災害のときも含めて、実は、迂回路を含めていろいろなルートで回っていけるということが非常に重要になってくると思いますので、そういった意味において、JR各社の議論に委ねられている部分もありますが、そうはいいながらも、やはり国全体の貨物の在り方としてお考えをいただきたいと思います。

 その上で、食料基地北海道から府県に鉄道で輸送する場合には、青函トンネルを利用することになります。現在、新幹線と共用して利用されておりますけれども、新幹線の高速化への影響と、トンネルのメンテナンス時間の確保、さらには、青函トンネル、もう開業した時点ではそれなりに時間がたっているものですから、この寿命の問題など、これは早急に対応を考えていかなければならないのではないかというふうに思います。もちろん、貨物輸送に切り替えていかなければいけないというふうにしても、こういった問題が根本的なところでネックになる懸念があるんじゃないかなと思っております。

 これは早めに考えていかなければいけないと思うのですけれども、国土交通大臣の所感を伺わせてください。

斉藤(鉄)国務大臣 まず初めに問題提起、いわゆる新幹線の高速化と、それから貨物、この両立という点でございますけれども、青函トンネルは、北海道新幹線と貨物鉄道が共用しており、北海道と本州間の円滑かつ安定した人流、物流を確保する観点から、様々な課題への対策を行っているところです。基本的に両立させなければならないと考えております。

 まず、高速化の観点につきましては、青函トンネル内で新幹線と貨物列車のすれ違いのとき、安全を確保するため、新幹線の走行速度を落として運行する必要がありますが、年末年始など貨物列車の走行が少ない時期は、運用の工夫により、新幹線だけが走行する時間帯に高速走行を行う、いわゆる時間帯区分方式を実施しています。さらに、この高速走行については、今年のゴールデンウィークから、これまでの時速二百十キロメートルから時速二百六十キロメートルに速度向上を図ることとしております。

 それから二点目の、老朽化、メンテナンスの問題ですけれども、海底下という厳しい環境であることを踏まえ、青函トンネルの機能を適切に保全するため、トンネルを所有している鉄道・運輸機構に対し、設備の改修、更新への補助を国として行うなど、必要な支援を行っておりますし、行ってまいります。

 さらに、北海道新幹線の札幌延伸に伴う鉄道物流の在り方につきましては、並行在来線となるいわゆる海線、JR函館本線函館―長万部間に係る課題の解決に向けて、北海道庁とともに有識者検討会議を設置し、議論を進めているところです。

 国土交通省としましては、北海道新幹線の高速走行の実現と、北海道と本州の間の物流の維持、双方の両立を図ることが重要と考えておりますので、これからもしっかり頑張っていきたいと思います。

神谷委員 大臣、これは非常に重要な問題だと実は思っています。先々を見て考えなきゃいけないんじゃないかなと思っています。もちろん、長寿命化ということで頑張っていかなきゃいけないと思っていますが、そうはいいながらも、やがて寿命は来るでしょう。寿命が来るにしても、例えば、この後、札幌までの延伸もございます。そうなったときに、新幹線の数も増えていくと思いますし、共用走行がどれだけできるのかというようなところが一つあるんだろうと思います。

 先ほどお話しいただいたように、JR貨物、これもやはり今後増やしていかなきゃいけないんだろうというふうに思います。そういった中で、本当に共用が成り立つのかどうか。成り立つのか、まあ、成り立たせるのかもしれませんが、そうでなくても、今、メンテナンスの時間が相当、ほかの線区に、新幹線のほかのトンネルに比べれば、短い時間で手当てをしているというふうに聞いています。だとするならば、これは本当に事故が起こらないことを祈るんですけれども、ないということを前提としたいんですけれども、やはり時間が短いということは、それだけ、あの区間を維持していくというのはなかなか大変なんじゃないかなと思うところです。

 また、先ほど申し上げたように、寿命もそれなりにあるでしょう。だとするならば、早いところでどういうような手当てができるか。今お考えいただいていることは、今の、既存の中で最善の施策を考えていただいているとは思いますが、先々を考えた上でどういうふうに、例えば、第二なのか、新しいものを新設するのか、あるいはJR貨物を一部船で走行させるのかとか、いろいろなことも考えなきゃいけないと思いますので、こういったところは長い目で見て、早めに施策を打っていかなきゃいけないと思いますので、あえて大臣にお伺いをしたというようなことでございます。

 次の質問なんですけれども、また北海道なんですけれども、黄色線区をめぐる議論。先ほども廃線の話をさせていただきましたけれども、こういったときに、先ほど申し上げたように、JR各社の売上げと、やはりJR貨物の売上げというか、経営が別なので、別の会社であるので、当然、営業の成果というか、収支というのは別々にカウントされますが、これまで、線路の経営上の価値を正確に測るという意味では、これは別々だとなかなか、本当の意味での線路の価値というのが見えないんじゃないかなと思っています。

 例えば、お客さんの数、乗客数が減少しても貨物が倍増していれば、その路線の価値というのは実は相当あるんじゃないかなと思っていまして、ただ、今のJR各社の、各社というよりは北海道になるかもしれません、ほかの会社もそうかもしれませんけれども、今、やはり、廃線とか黄色というときに、乗客数であるとか、どうしても経営のことで論議になるものですから、この辺の貨物についてどう考えるのか。これがどれだけ貢献しているとか、これはやはり国が言わないと、というか、大所高所で言わなきゃいけないと思っていますので、この辺の、別々にカウントしていることによって真の価値が見えなくなることについていかがなのか、国土交通省の所感を伺いたいと思います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねがありました、JR北海道のいわゆる黄色線区でございますけれども、JR北海道と地域の関係者におきまして利用促進等に取り組んでいただいておりますけれども、その見直しは、JR北海道の経営改善の観点からも、また、地域の持続可能な輸送サービスの確保の観点からも重要な課題でございます。このため、先月十五日に国土交通省からJR北海道に対し発出した監督命令におきまして、令和八年度末までに線区ごとに抜本的な改善方策を確実に取りまとめるよう求めているところでございます。

 各線区におきましては、JR北海道と北海道庁、沿線自治体等の関係者が設置する実行委員会において取組が進められることとなりますが、貨物鉄道が現に走行している線区におきましては、物流面での特性にも留意して御議論いただきたいというふうに考えておりまして、国土交通省といたしましても、この実行委員会に引き続き参画し、協力、相談してまいります。

神谷委員 是非、ここのところは御留意いただいて、お進めをいただきたいと思います。

 次に、農産物の特性というのがございまして、天気によってですが、雨が降ったら収穫作業をしない、できないというようなことがございます。そんなことがありますので、荷物の量をあらかじめ、どうしても予定しにくいんです。また、そういったものを運ぶんですけれども、例えば、市場なんかへ持っていくんですけれども、荷降ろしであるとか、競りの時間に向けて一斉に向かっていくものですから、どうしても待ち時間が長くなる傾向があるというふうに聞いております。

 流通業界あるいは食品業界においても、協議会的な組織を立ち上げて、少しずつ改善も行われているというふうに承知しているんですけれども、農業や食料産業での物流二〇二四年問題を解決するために、実は、こういった部分も含めて、抜本的に商習慣も含めて見直していかなければいけないのではないかなと思うんですけれども、そういったことをどういうふうにやっていくのか、農水省の所感を伺いたいと思います。

小林(大)政府参考人 お答え申し上げます。

 物流二〇二四年問題に対しましては、政府で昨年六月に、物流革新に向けた政策パッケージを策定しておりますけれども、その中では、物流の効率化だけではなく、商慣習の見直しでありますとか、荷主、消費者の行動変容、こういったものを求める対策についても取り組んでいるところでございます。

 農水省では、この政策パッケージに基づきまして、荷主側の取組といたしまして、これまで六十を超える関係団体や事業者に自主行動計画を策定いただきまして、この中で、仕事のやり方の見直しも盛り込んでいただいているところであります。また、中継共同物流拠点の整備でありますとか、標準仕様パレットの導入、トラック予約システムの導入、こういったことも進めているところであります。

 この中で、例えば、卸売市場関係者の団体が策定しました自主行動計画を御紹介いたしますと、その中には、トラックの到着時間を、一定のときに集中していたものを分散させるような取組、こういったものも行動計画の中に盛り込んでいただいている、こういう例もございます。

 農水省といたしましては、今後も各般の取組を進めまして、農産物、食品の円滑な流通に努めてまいりたいと考えております。

神谷委員 この辺の商慣習、なかなか変えるのは難しいと思いますが、しっかり頑張っていただきたいと思います。

 先ほど鉄道について触れましたけれども、鉄道のほかに、もう一つ、船。北海道はどうしても、鉄道かフェリーか船か、ローロー船もあるんでしょうけれども、いろいろと考えていかなければいけないところでございまして、船の活用もやはりしっかり検討していただかなければいけないのかなと思っています。

 もちろんフェリーであれば、トラックドライバーの方も休憩時間というか、一定の休息時間も利用できるということで、大変に進めていくべきだと思うんですけれども、ただ、一方でいいますと、フェリーというか内航海運、決して今の事業が芳しいわけではないというふうに聞いておるところでございます。例えば、船員の方が不足しているんじゃないかとか、あるいは、船の価格、船価も上がっていますし、燃油代も上がっているというようなこともございます。

 そういった様々なコストがかかっているというか、内航海運の維持がちょっと問題になっているかなと思うんですけれども、この問題解決、要は内航海運を維持していくために、この問題を解決するために内航海運をしっかりしていただかなければいけないのですけれども、この点についての国土交通大臣の所感を伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 御答弁申し上げる前に、神谷委員の最初の御質問の私の答弁の中で、地域交通法と申し上げるべきところ、JR交通法と私は言ったみたいで、この点、修正をさせていただきます。

 国内海運、内航海運でございます。国内海運は、トラックと比較して大量輸送に強みを有するとともに、フェリーにおいては、トラックドライバーが乗船中の時間を休息に充てることができるなど、農産物や食品の長距離輸送を確保していく上で非常に有用な手段であると考えております。

 今後、国内海運による輸送を長期にわたり確保していく上では、委員も御懸念の、生産年齢人口の減少が見込まれる中での船員の確保、それから燃料油を始めとする物価高騰への対応などを図り、航路を安定的に維持していくことが重要となります。

 このため、国土交通省としては、これまでも関係機関との連携の下、内航船員の安定的な養成、働き方改革の推進による船員の労働環境の改善、船舶共有建造制度によるフェリーの新造支援、軽油引取税の課税免除による燃料費負担の軽減などに取り組んで、応援をさせていただいているところでございます。

 今後とも、国内海運事業者や関係機関とも密接に連携しつつ、国内海運の維持、確保に取り組み、国内海運へのモーダルシフト、先ほどの鉄道とともに、一緒に進めていきたいと思っております。

神谷委員 ありがとうございます。

 それでも、やはり今、内航海運は厳しい状況が続いております。一層のお取組をお願いをして、貴重なお時間をいただいたことを感謝申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 本日はありがとうございました。

長坂委員長 次に、三木圭恵さん。

三木委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の三木圭恵でございます。

 今日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 先日の本会議でも登壇をさせていただきまして、斉藤大臣に代表して質問をさせていただきました。その中で、五年間猶予があったのに、今この法案を審議している、四月三日ですけれども、今この法案を審議しているのは、ちょっとやはり遅いんじゃないですかということを質問をさせていただきました。

 斉藤大臣のお答えの中では、やはりモーダルシフトやGX、DXに取り組んでいくとか、トラックドライバーの働き方改革の呼びかけをしていくとか、いろいろなことをやってきたんだよということは御答弁の中でいただいたんですけれども、この法案を今審議するんじゃなくて、五年前から準備をして、四年前、三年前からこういう法案を作って意識の変容というのを心がけていくべきじゃなかったのかなというのは、やはり今でも思っております。

 努力が全くなされていないということではないと思いますが、やはり法案というのは大切なものなので、五年間の猶予があったのであれば、先に、前倒しでいろいろなことをやっていけたのかなというふうには思っておりますので、是非、今後はよろしくお願いしたいと思っております。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 ちょっと質問通告と前後するんですけれども、標準的運賃、八%上乗せして改定することによって、本会議の質問のところで、ドライバーの収入は何%増えるんですかという御質問をさせていただきました。ドライバーの収入は一〇%増えると見込まれているという、すごい金額だと思うんですけれども、しかしながら、運送会社に八%上乗せされた金額がきっちり入ってきたとして、雇用主からドライバーの給料に反映される保障があるのかどうか、また、それをチェックする仕組みがあるかどうかということをちょっとお伺いしたいと思います。

梶原政府参考人 厚生労働省よりお答えを申し上げます。

 厚生労働省におきましては、労働基準法の割増し賃金や最低賃金法の最低賃金を支払っていないなど、労働基準関係法令が求める労働条件の最低基準に違反をする疑いがある事業に対しまして、全国の労働基準監督署が監督指導を実施し、自動車運転者の適正な労働条件の確保に取り組んでおります。

 御指摘の標準的な運賃につきまして、厚生労働省においては指導や監督の権限を有しておりませんが、これは賃上げの原資となるものですので、国土交通省と連携をし、発着荷主等への周知に引き続き努めてまいります。

三木委員 ですから、厚生労働省の方としては、最低賃金というのは、今でもトラックドライバーの方々はクリアをしている状況だというふうに聞いております。ですから、今、そういう、厚生労働省の方でチェックすることはないんだというふうな、最初のレクの方でお伺いしているんですけれども、今のトラックドライバーの収入を上げるというのは、最低賃金にひっかかっていたらそれはもちろん問題なんですけれども、全職業種よりも、もっとちゃんとそれに近づいた金額を収受するべきだということが前提になっていると思うんですね。

 今チェックする体制はありませんということだと思うんですけれども、荷主が悪くて、悪くてというか、荷主が標準的運賃を全然守っていませんよ、非常に低い運賃、運送料ですよというときはトラックGメンがチェックをするということになっていて、荷主さんがちゃんとした運送料を払っている場合というのは、それでいいですよということだと思うんですけれども、荷主さんがちゃんとした運送料を払っていても、実運送業者の方が、会社の方が、トラックドライバーの方にお給料をちゃんと渡していかなかったら、トラックドライバーの方というのは結局お給料が上がらないということになるので、そういったところもちゃんとチェックをする体制が必要なのかなというふうに思います。

 今、これは多分、答弁を求めても、そういう今チェック体制はございませんということで終わってしまうと思うので、私のこれは問題意識として、国土交通省の皆さんにもしっかりと、やはり、トラックドライバーの元にちゃんと給料が跳ね返るような、そういった仕組み、それができているかどうかという仕組みもちゃんとつくっていただきたいなというふうに思っております。

 多重下請構造というものが今非常に、やはり、トラック業界の中で問題になっています。これは、多重下請構造を透明化する、管理簿を作る、それを元請さんがちゃんと作っていく、そこに標準的運賃がちゃんと提示されているかどうかということをチェックしていくということだと思うんですけれども、透明化を図っていく、明らかにするというだけでは根本的なことが解決しないんじゃないかなというふうに思っております。二次請、三次請、四次請の運送会社が標準的な運賃を収受できる保障というのがどこにあるのかなと。

 それのチェック体制が必要だと思うんですけれども、トラックGメン百六十二人で本当に対応可能かなと思うんですね。全国にトラックの実運送会社というのは六万者ほどありますし、荷主さんでも二千者あるというところで、荷主の二千者をチェックするということだと思うんですけれども、六万者ある実運送業者の方々が本当にこの標準的な運賃を収受できているのかどうかというのを本当の意味でチェックできる体制というのはありますかね。百六十二人で大丈夫ですか。

鶴田政府参考人 今般の標準的運賃の見直しにおきまして、新たに下請手数料を設定したところでございます。これは、下請に出す際に、その手数料を運賃から差し引くのではなくて、逆に上乗せをして荷主から収受する、そういう考え方に基づくものでございます。これによって、実運送事業者が適正な運賃を収受できるようになるというふうに考えております。

 また、御指摘ありましたトラックGメンにつきましては、昨年十一月と十二月を集中監視月間というふうに位置づけまして、適正取引の阻害が疑われた荷主等に対して、これは初めて二件の勧告、公表、さらに、百六十四件の要請、四十七件の働きかけを実施しました。引き続き、積極的に対応してまいりたいと思います。

 加えまして、この法案で、トラックGメンの情報収集力強化にも資するものとして、運送契約の書面化を盛り込んでございます。またさらに、同じくこの法案で、国が指定した適正化機関が、これは民間団体を国が指定して適正化活動をしていただくわけですけれども、これが悪質な荷主等の情報をつかんだ場合は国土交通大臣に通知する、そういった規定を盛り込んでいるところでございます。

三木委員 今お答えいただいたんですけれども、確かに勧告二件、行われているんですが、その勧告の内容というのは、一件は確かに標準的運賃が最低、据え置かれているというのがあるんですね。運賃・料金の不当な据置きというのが入っているんですけれども、一件はやはり長時間の荷待ちを是正しなさいということなんですね。だから、今行われて、本当に標準的運賃が全然支払われていないですよ、不当に据え置かれていますよというのは、たった一件なんですよ。

 百六十二件の中の内容というのは、百六十六件か、六件の内容はちょっと私も調べていないんですけれども、標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会というのが開かれておりました。その中で、令和四年度で、十割を超える運賃を、標準的な運賃、これをもらっていますよというところは六%なんですね、十割超えますよというところは。十割ですよというところは九%なんです、標準的運賃を十割とすれば。だから、標準的運賃をもらっていますよ、それ以上もらっていますよというのは全体の一五%ぐらいなんですね。九割をもらっていますというところが一一%、八割が二〇%なんですね。これはずっと、七割二〇%、六割一五%、五割九%、四割四%、三割二%、二割一%、一割以下が四%、こういう表になっているんですけれども。

 実際問題、その百六十六件ですか、百六十六件で要請を行ったところというのは、私から見たら、標準的運賃一割以下でやっているこの四%のところなのかなというふうに思うんですが、これはちゃんと対応されているんですかね。

鶴田政府参考人 今御指摘ありましたように、集中監視月間での主な違反行為の中で、運賃・料金の不当な据置き、これが一四%ほどあったところでございます。今、その一四%の内訳がどういったものであるかというのが手元にございませんけれども、この百六十四件の要請、これは、貨物自動車運送事業法に基づく荷主への対応の中で一番重いのが勧告、公表ですけれども、それに次ぐものでございます。

 したがいまして、これは現場の受け止めも含めましてそうなんですけれども、この百六十四件の要請を受けた事業者、これは、改善をしなかったら更に次は本当に勧告、公表が来てしまうということで、非常な危機感を持っていただいているというふうに考えております。そういったことも含めまして、標準的運賃がしっかり活用されていくようにというふうに思います。

 あともう一言だけつけ加えさせていただきますと、標準的運賃の水準の何割もらえているか、これは非常に重要でございますが、これはまだまだ道半ばだと思っておりますけれども、年々調査をしておりまして、だんだんだんだん標準的運賃に近い水準が受け取れるようになっている割合が高まっているということでもございますので、しっかりと徹底をしてまいりたいと思います。

三木委員 かばうわけではないですけれども、令和三年度は八割以上が三五%だったのが、令和四年は四五%以上になっているということだとは思うんですね。ただ、やはりそれでも、標準的運賃をちゃんとしっかりもらえている実運送業者さん、元請業者さんというのは、この表を見る限りでは非常に少ないんじゃないかなというふうに思います。

 結局、標準的な運賃は、改定前でも荷主から元請に払われていないのに、今年から急に十割を収受できるというのは到底考えられないんですね。元請でさえ十割を収受できていないのに、二次請以下はもっともらえていないんじゃないかなというふうに容易に想像ができてしまいます。

 逆に言えば、十割超えるぐらいもうちゃんと払っていますよという荷主さんもいらっしゃるわけですね。そういった荷主さんが、今度は逆に、この標準的運賃、罰則もないのに、うちはちゃんと守っているけれども、これじゃ競争力がうちだけ何か低下しちゃうんじゃないのというような心配をされている荷主さんとか実運送業者さんとかもいらっしゃるんですね。

 罰則もない標準的運賃なんですけれども、これを最低運賃にした方がいいんじゃないかというふうに言っている方は結構たくさんいらっしゃるので、それに対してはどういうお考えなのか、これはもう代表質問の中でも聞いたんですけれども、斉藤大臣に一度お答えいただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 最低運賃についての御質問でございますが、トラック事業の取引は多種多様であるため、最低運賃を保障する制度の導入については様々な意見があり、慎重な検討が必要と考えております。

 その上で、国土交通省としては、トラック事業者が適正運賃を収受できるよう、先月、標準的運賃を引き上げたほか、下請手数料等を新たな運賃項目として設定をいたしました。

 また、この法案には実運送体制管理簿の作成義務による運送体制の可視化と運送契約締結時の書面交付義務による契約条件の明確化を盛り込んでおります。

 トラックGメンは、これらの措置を通じて入手した情報を基に、悪質な荷主、元請事業者等への是正指導を強化します。

 これらにより、実運送事業者の適正運賃収受とトラックドライバーの賃上げに向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

三木委員 今、これが始まったばかりですので、今の標準的な運賃をすぐに最低運賃というようなことにするとか、標準的運賃を法的拘束力を持たせて罰則をつけていくとかということはなかなか今すぐには難しいのかもしれませんけれども、トラックドライバーの方々のお給料にきっちりと跳ね返るような法体制にしていくためには、やはりそういったこともきっちり検討していく必要があると思いますので、是非ともそれはよろしくお願いをしたいと思います。

 では、標準的運賃を八%上げることによって、政府、斉藤大臣もおっしゃっていました、先ほども言いました、トラックドライバーの給料が一〇%上がるとおっしゃっているんですね。全職業の平均と比べてトラックドライバーの給料は二十万から六十万低いということです。大型トラックドライバーの平均収入が四百六十三万円、中、小型は四百三十万円、これを足して二で割ると四百四十六万円ということになりますが、これが、給料が一〇%上がるということは、単純に計算すると四十万から四十五万ぐらいは給料が上がりますよということになると思うんですが、結構すごい数字だと思うんですよ。これでもまだ全職業平均より低いんですよね。だけれども、ドライバーが魅力ある職業だといって一生懸命働いていただく、やりがいを持って働いていただくというためには賃金の上昇は不可欠だと思います。

 ただ、魅力ある職場というと、これは、ドライバーだったら稼げるんだよとか、自分がやっている対価に見合っている賃金だというふうになるにはどれぐらいの収入があれば十分というふうに考えていらっしゃるのか、そのためには標準的運賃を何回改定してあげなければいけないというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。お答えいただけたらと思います。

鶴田政府参考人 今御指摘ありました、どれだけの水準にまで給与水準が上がったら、十分な人手、担い手が確保できるのかということに関して、最終的にこの水準ということはございませんが、少なくとも、今、全産業平均を下回っていますので、まずはここに追いつくということに向けて、今全力を傾注しているところでございます。

 そこに向けて標準的運賃の改定でございますけれども、これは、今後も運送コストの動向などを見極めながら、適時適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

三木委員 やはり、標準的運賃、このままの路線でいくんだったら、ドライバーの給料を上げていくためには、もうあと何回かやはり改定をしていかないといけないと思うんですけれども、標準的運賃を上げて収入を増やそうという考え方は、逆に言えば、デメリットとして言えば、商品価格が上昇するんじゃないか、消費者にとってメリットは余りないんじゃないかというふうに思うんです。

 標準的運賃が八%上乗せされて改定されて、順調に荷主さんが、八%、標準的運賃やりますよといった場合に、商品にどれぐらいの価格が転嫁されるというふうに考えておられますか。

鶴田政府参考人 今、商品への転嫁でございますけれども、今般の標準的運賃の引上げについては、コスト上昇分を適正に運賃に転嫁することを目的としております。これによって、商品への価格転嫁も一定程度進むものと考えております。

 その際に、単純な値上げで急激な物価上昇につながるといったようなことを避けるためには、荷主とも協力をして物流の効率化を進める、すなわち、運送一回当たりの輸送量を向上させるということが必要でございます。

 このため、先ほど来御答弁申し上げますように、関係省庁や産業界と連携をして、トラックGメン、標準的運賃、それから業界ごとの自主行動計画、さらに、この法案での取組、これらを通じまして、トラック事業者の適正運賃収受と物流の効率化、これが両立できるように取り組んでまいりたいと考えております。

三木委員 いろいろと効率化を進めて、その中でこれは吸収していくんだというお考えかもしれませんけれども、私は単純に、元請から下請に渡っていく過程の手数料の一〇%をなくす方が社会全体に与えるメリットというのは絶対大きいというふうに思っています。

 そこで、アメリカの例をちょっと御紹介させていただきます。

 今日、資料の方でお配りさせていただきました。日米輸送業界の構造比較ということで資料をお配りさせていただいているんですけれども、アメリカは輸送業務における関連法案で多重下請構造を規制しています。これは、輸送事業と仲介事業とを同一の事業者が行うことを禁止して、運送会社として業務を受託した場合は該当業務を再委託することを禁止する法案なんですね。これは、下請事業者の交通事故を契機として、物流の在り方を見直す機運がアメリカで醸成された、それで、二〇一二年に、二十一世紀における発展に向けた前進法により、多重下請構造の是正が図られてきたということでございます。

 アメリカでも同じように下請構造というものがあって、過重労働があって、事故が起きて、悲惨な事故だったがために、それで世論が喚起されて、ああ、やはりこういった多重下請構造というのは駄目なんだなということで、こういった法律ができているんですね。これを禁止する法案ができたことで、再委託を禁止する法案ができたことで、荷主とブローカーと実運送業者の三者間の情報連携は義務化をされている。今回の法案と同じように、書面もちゃんと作らなきゃいけないということでやってきているようです。

 トラックドライバーの年収というのが年率二%ずつ上昇してきていて、アメリカでは、二〇二三年、ちょっとこれは、円安の傾向もありますから一概には言えないんですけれども、ユナイテッド・パーセル・サービス、二〇二三年七月には最低でも時給三千二百円を約束した。これはどういうことかというと、最も給料が高いフルタイムドライバーの時給は、五年後なんですけれども、五年後まで労使交渉しているわけです。五年後には平均して四十九ドルで七千三百円、五万ドル、七百四十万円の手当を含めると、年収は約十七万ドルで、五年後には、トラックドライバーのフルタイムドライバー、一番お給料が高いドライバーは、ユナイテッド・パーセル・サービスでは二千五百万になるんじゃないかという計算をしています。

 すごいなと思うんですけれども、これが本当に実行に移されるかどうかというのは五年たってみないと分かりませんけれども、今でもかなり高いお給料をもらっているということですね。

 二〇二二年の四月、これはウォルマートなんですけれども、自社の長距離トラックドライバーの初年度の年収を上限十一万ドルにしています。約千三百六十四万円に引き上げるというふうに発表しています。だから、アメリカでは、やはりトラックドライバーが稼げる職種になっているんですね。

 多重下請構造は、手数料という名前の中抜きが横行して、実運送会社のドライバーの賃金を圧迫するということで、アメリカではこういう是正が行われているので、日本でも、今るる御説明ありました、それも聞いておりました、多重下請構造というのはある程度、やはり季節のこともあるし、日本の特性もあるのですぐには無理だと思うんですけれども、二次請、三次請ぐらいまで、取りあえず段階的に、三次請以下はちょっと禁止しますよとか、四次請以下は禁止しますよというふうにある程度はしていった方がいいと思うんですけれども、斉藤大臣、お考えいかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 貴重な御意見だと思います。

 トラック運送業につきましては、輸送需要の繁忙期、閑散期の差が激しい、こういう非常に大きな特徴がございます。一時的にたくさんの荷物がどっと出るということで、暇なときは全く暇、そしてまた、持っていった荷物、帰り荷についてはほぼ買手市場になっているというような非常に特徴がございます。こういった需要に柔軟に対応するため、自社のドライバー不足を補ったり、荷主からの突発的な運送依頼に対応したりすることを目的として、一定の下請構造が生じているという特徴があると認識しております。

 その上で、今、三木委員おっしゃいましたように、過度な下請構造は実運送事業者の適正運賃の収受を妨げているというふうに考えます。現在の取引実態や輸送の状況を踏まえつつ、現実に即した形でこれを是正していく必要があると考えております。

 このため、今回の法案におきましては、運送体制を可視化する、このことによって、また、元請事業者に対して実運送体制管理簿の作成を義務づける、こういうことによりまして、元請事業者は実運送事業者が収受すべき運賃に下請手数料を上乗せした金額を荷主に求め、荷主は輸送コストを適正化すべく、過度な下請構造の回避を運送事業者に求める、ある意味でこういう見えざる神の手のような形で多重下請構造を改善していく、こういうことを考えているわけでございますけれども、法的にそれをすべきだということについてはまた議論のあるところだと思います。

三木委員 お答えは大体想像していたとおりで、非常にユートピアというか、理想郷というか、そういったことが本当にできたらいいなというような感じだと私は思います。でも、やはり、政治の役割というのは、ある程度、法規制をしたりとか、道順を作ったりとかしていくということが政治の役割なのであって、やりたくないこととかやりにくいこととか、そういったことも一定やはりやっていかないと駄目だというふうに私は思いますので、これは時間をかけてゆっくりやっていかないといけないことだと思うんですね。

 だけれども、トラックドライバーを増やす工夫というのがどういうふうにされているのかなというふうに私は思うんです。今回の法案を見ても、効率化であるとかそういうことは一生懸命されているんですけれども、じゃ、本当にトラックドライバーを増やす、増やそうというふうにこの法案の中に盛り込まれているのかなというと、私は何か余りそういった方面には力が入っていないというふうに考えるんですね。

 なぜそういうことを言うかというと、やはり若者がトラックドライバーの職場から離れていっているという現実がございます。二〇〇〇年には二十九歳未満の方々が三十六万七千七百四十九人、これは、急激に進展する高齢化、道路貨物運送業の年齢別構成ということで、出典、国勢調査のものなんですけれども、二〇〇〇年には三十六万七千七百四十九人いらっしゃったのが、二〇二〇年になると十五万二千八百五十人というふうに物すごく減っているんですね。二〇〇〇年に二十五歳から二十九歳だった方が、今、四十五歳から四十九歳に、二〇二〇年になっている。その数はほとんど余り変わっていないんですよ。だから、このままの推移でいくと、数は余り変わっていないけれども、中の年齢構成が非常に変わってきていて、若い人たちがどんどんいなくなって、高齢化された方が引退されていくと、トラックドライバーが少なくなって物流が滞るというのが今の日本の現状だと思うんですね。

 トラックドライバーを増やす工夫というのは、特に若者世代に魅力を感じていただかないと将来のトラックドライバーの数が全く不足してしまいますということになると思うんですけれども、先ほど言いました、日本は平均四百三十万円から四百六十三万円、これは、斉藤大臣の試算どおり一〇%上がるとしても五百万ぐらいなんですよね。アメリカだと千三百万円を超すんですよ。これだけ差があると、今、トラック業界だけではないと思いますけれども、私、非常に残念だなというふうに思っているのは、円安の動きもありますけれども、日本の若者がワーキングホリデーで外国に行って外国でアルバイトをする、職業、働く、稼いで帰ってくるというような形に今なりつつあるんじゃないかというふうに思うんですね。日本は今若者にとって夢や希望が抱ける国になっているのかなと。

 また、外国人の労働者の方を日本も入れていくんだ、来ていただくんだというお話がありましたけれども、果たして外国人の労働者にとって、今、日本の市場というのが魅力的なものなのかなというと、私はここにクエスチョンマークがつくと思うんですね。

 やはり、日本の若者が日本にいて、日本の中でちゃんとしっかり稼いで、日本の未来に自分も一緒になって前に進んでいくんだよということをビジョンを描くというのが政治の役割だと思うんですね。ですから、政府にもしっかりとこの物流の課題に取り組んでいただいて、大胆な構造改革に挑戦していただきたいというふうに私は思っています。

 ここで、一番目の通告なんですけれども、トラックドライバーを増やす工夫、効率化を工夫する政策は打ち出されていますけれども、そもそも、ドライバーを増やす工夫というのはどういうふうにされているのか。特に、若者世代がトラックドライバーの仕事に魅力を感じていないという、数字で出ていますから、政府としてはどういうふうに考えているのか、斉藤大臣のお考えをお伺いします。

斉藤(鉄)国務大臣 今、三木委員の問題意識、私も共有をさせていただきます。

 そういう中で、これはもうトラックドライバーに限らず、日本で働くということが非常に、若者たち、世界の若者たちにとっても、もちろん日本の若者たちにとっても、魅力的なものである、そういう日本にしていかなくてはならないことだと思います。

 やはり、そういう意味で今最も日本に欠けているのは、これはよく言われていることですけれども、生産性、この生産性の向上にもっと取り組んでいかなくてはならないのではないかということだと思います。

 これにはいろいろな課題があるかと思いますけれども、この物流事業においても生産性の向上を上げて魅力ある産業にしていく、このことに尽きるのではないかと思います。しっかり、今回、もう申し上げませんが、いろいろな生産性向上のための方策も法案の中に盛り込んだところでございます。

三木委員 斉藤大臣のお答えから、やはり、将来的には、今のこのトラック業界をどういうふうなビジョンを持って国土交通省として改革をしていくのかということに尽きると思うんですけれども、そちらの方をしっかりと頑張っていただいて、日本の若者にとって夢や希望が抱ける国、夢や希望が抱ける職業ということで頑張っていただきたいなというふうに思います。

 それでは、最後の質問に移らせていただきます。これは全然今までとは違う質問なんですけれども、農水省の方に質問をさせていただきます。

 生鮮食料品を輸送する場合なんですけれども、野菜なんかは収穫してすぐに冷やす、すぐに予冷を行うことによって鮮度がかなり保たれるので、出荷日時を、取ってすぐに出すというよりは一日冷蔵庫に置いてドライバーの負担を減らそうという策があると思うんですけれども、全国のJAと受け手側の卸売市場の方で、どの程度この冷蔵の機器の設置の方が進んでいるのか、教えてください。

小林(大)政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、保冷が必要な野菜の主要産地では、おおむね予冷庫等が設置されているというふうに認識しております。また、ほとんどの中央卸売市場でも冷蔵庫などの低温施設が設置されているという状況でございます。

 こうした産地や卸売市場におきます冷蔵設備の設置によりまして、輸送する生鮮食料品の鮮度を保持できる期間を長くすることができるというため、こうした施設の整備は、中継輸送など、物流負荷の軽減を実現する上でも重要なものだというふうに考えております。

 このため、農水省といたしましては、物流負荷の軽減に資する観点からも、産地の予冷施設でありますとか、卸売市場の低温荷さばき施設、こういったものの整備を進めているところであります。

 また、こうした取組を進める際には、現場で様々な課題が生じますので、農水省では、昨年十二月に農林水産省物流対策本部を設置しまして、その下に、関係団体も含めたタスクフォースも構成いたしまして、関係者が現場に入って問題解決に当たる、こういった取組を開始したところでございまして、引き続き、産地に配慮しながら取組を進めてまいりたいと考えております。

三木委員 ありがとうございます。

 生鮮食料品がスーパーに並んでいるのが当たり前の日常にはなっておりますけれども、やはり、消費者の方が、これが当たり前じゃないんだよと感謝しながら生鮮食料品を買うということも意識の変容として必要だと思いますし、また、農産地の方、そしてトラックドライバーの方の努力の上、そして、JAや国の方の支援で、そういった予冷の設備なんかがちゃんと設備が整っていく、そして、中継地点の拠点なんかもつくっていただけるというふうに、支援していくんだということを、答弁の中で、本会議の中でいただいておりますので、是非とも、おいしいお野菜が家庭に並ぶように、よろしくお願いをしたいというふうに思います。

 今日は、質問をさせていただきまして、アメリカの事例も紹介をさせていただきました。できれば、多重下請構造をなくしていくために、こういったアメリカの例なんかも研究をしていただいて、日本でも多重下請構造がなくなるように努力をしていっていただきたいと思います。

 それでは、時間が参りましたので、質問の方、これで終わらせていただきたいと思います。本日は、ありがとうございました。

長坂委員長 次回は、来る五日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十七分散会


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