第7号 令和6年4月10日(水曜日)
令和六年四月十日(水曜日)午前九時一分開議
出席委員
委員長 長坂 康正君
理事 あかま二郎君 理事 泉田 裕彦君
理事 小林 茂樹君 理事 武井 俊輔君
理事 城井 崇君 理事 白石 洋一君
理事 三木 圭恵君 理事 國重 徹君
畦元 将吾君 石橋林太郎君
上田 英俊君 尾崎 正直君
大西 英男君 加藤 竜祥君
金子 俊平君 金子 容三君
菅家 一郎君 木村 次郎君
小林 鷹之君 小林 史明君
小森 卓郎君 佐々木 紀君
櫻田 義孝君 鈴木 英敬君
田中 英之君 高木 啓君
谷 公一君 谷川 とむ君
土井 亨君 中根 一幸君
中村 裕之君 藤丸 敏君
古川 直季君 宮澤 博行君
宮路 拓馬君 武藤 容治君
柳本 顕君 吉田 真次君
石川 香織君 枝野 幸男君
小宮山泰子君 神津たけし君
伴野 豊君 馬淵 澄夫君
谷田川 元君 赤木 正幸君
漆間 譲司君 高橋 英明君
伊藤 渉君 日下 正喜君
高橋千鶴子君 長友 慎治君
古川 元久君 福島 伸享君
たがや 亮君
…………………………………
国土交通大臣 斉藤 鉄夫君
国土交通副大臣 國場幸之助君
国土交通大臣政務官 石橋林太郎君
国土交通大臣政務官 こやり隆史君
国土交通大臣政務官 尾崎 正直君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局官房審議官) 向井 康二君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 小林 豊君
政府参考人
(消費者庁審議官) 植田 広信君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 梶原 輝昭君
政府参考人
(農林水産省大臣官房新事業・食品産業部長) 小林 大樹君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官) 山影 雅良君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 丹羽 克彦君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 村田 茂樹君
政府参考人
(国土交通省物流・自動車局長) 鶴田 浩久君
国土交通委員会専門員 國廣 勇人君
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委員の異動
四月十日
辞任 補欠選任
大西 英男君 加藤 竜祥君
金子 俊平君 畦元 将吾君
小島 敏文君 宮澤 博行君
小林 史明君 鈴木 英敬君
中村 裕之君 柳本 顕君
古川 康君 上田 英俊君
古川 元久君 長友 慎治君
同日
辞任 補欠選任
畦元 将吾君 金子 俊平君
上田 英俊君 宮路 拓馬君
加藤 竜祥君 大西 英男君
鈴木 英敬君 吉田 真次君
宮澤 博行君 金子 容三君
柳本 顕君 中村 裕之君
長友 慎治君 古川 元久君
同日
辞任 補欠選任
金子 容三君 藤丸 敏君
宮路 拓馬君 木村 次郎君
吉田 真次君 小林 史明君
同日
辞任 補欠選任
木村 次郎君 古川 康君
藤丸 敏君 古川 直季君
同日
辞任 補欠選任
古川 直季君 小島 敏文君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)
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○長坂委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省道路局長丹羽克彦君、鉄道局長村田茂樹君、物流・自動車局長鶴田浩久君、公正取引委員会事務総局官房審議官向井康二君、警察庁長官官房審議官小林豊君、消費者庁審議官植田広信君、厚生労働省大臣官房審議官梶原輝昭君、農林水産省大臣官房新事業・食品産業部長小林大樹君及び経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官山影雅良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○長坂委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。神津たけし君。
○神津委員 おはようございます。立憲民主党の神津たけしです。
時間が余りないので、早速質問に移らせていただきます。
私、義理の父が長距離トラックのドライバーをしておりまして、かつては、やはりトラックドライバーというのは稼げる仕事だったと。私の義理の父も、四人の子供を育てて、自分で家を建てるというぐらい、それぐらいやはり稼げた仕事だったと思っています。それが、平成二年の物流法の施行によって、規制緩和によってトラック業界が過当競争に陥って、ドライバーの方の給与が下がる、さらに、残業が多いゆえに人が集まらないという業界になってしまったというふうに思っています。
この平成二年の物流法施行以降のトラックの事業についてどのように総括しているのか、まず伺えますでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 平成二年の規制緩和によりまして、事業者数が増加したことなどにより競争が激しくなり、事業運営が厳しくなった事業者がある一方で、新規参入が容易になるとともに、営業の自由度も高まり、輸送サービスの水準の向上や多様化が図られたと承知しております。
Eコマースの拡大、働き方改革の推進など、物流をめぐる状況は目まぐるしく変化しており、引き続き、事業者の営業の自由度を確保して対応していく必要がある、このように考えております。
他方、荷主に対する交渉力が弱いことや多重下請構造等により、必ずしも実運送を行うトラック事業者が適正運賃を収受できず、トラックドライバーが十分な賃金を得られていないという課題がございます。
このように総括をしております。
○神津委員 今おっしゃられたように、やはり過当な競争によって運賃収入が減って、賃金が減ってきた。ドライバーの業界というのは、やはり、私が思うには、差別化が難しい仕事だというふうに思っています。それによって、荷役を例えばサービスでつけたりとか、それから、荷待ちをすることにも余り文句を言えないというようなところで、結果的にドライバーの方々の仕事の環境というのが厳しくなってきた。
短期的には、政策、物流法については成功だったのかもしれないんですが、短期的には例えば物流のコストが下がったという意味では成功だったのかもしれないんですが、中長期的には過当な競争が増えてドライバーの賃金は下がったというところで、やはりよくなかったのかなというふうに思っています。
次の質問に移ります。
今回の法改正なんですが、二〇二〇年に議論されて作られた総合物流大綱二〇二一―二〇二五に出てくる内容と、ほぼ同じような内容でもあります。二〇二〇年の議論の場では既に、商習慣の見直し、標準的運賃の浸透、荷待ち時間の削減、運賃と料金の区別を明確化すること、パレット標準化等を料金として規定すること、附帯作業の内容を明確化することなどが既にうたわれておりました。
なぜ二〇二〇年で議論したことを今になって法改正をするのか、今回この法改正で実効性というものを担保できるような法律になるのか、伺わせていただけますでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 神津委員おっしゃるとおり、二〇二〇年に議論をし、二〇二一年に大綱を決めました。現在我々が課題にしているような課題は、そのときにも議論されたわけでございまして、それに向けて、二〇二一年に大綱を作って努力してきたわけです。
一方で、二〇二四年問題の解決に向けて取り組む中で、商慣行の見直しや物流の効率化などに向けて、荷主、物流事業者、消費者そして行政が協力して、社会全体として取り組む必要があること。大綱では、どちらかというと物流事業者の努力というところに焦点があったわけですが、やはり社会全体として取り組まなきゃいけないという新しい見方。そして第二に、この問題は喫緊の課題であると同時に、年々深刻化していく構造的な課題でもあるということで、法制度を構築して継続的に対応していく必要があること、この二点が明らかになってまいりました。
これが今回の法制度の意義だ、このように思います。
○神津委員 実効性を担保するためには、今回努力義務となったようなこととか、それから、細かい省令とかをしっかりと定めていって、実効性が担保できる法律としていただきたいと思います。
次に、商習慣の是正のところについて伺います。
厚生労働省によると、二〇二一年度の道路貨物運送業に携わる方々の脳・心臓疾患での労災認定は、全体の三二・五%を占めました。雇用者数に対する認定の割合は全業種平均の十・三倍と、道路貨物運送業の過労が明らかになっておりました。この事態に対して、厚生労働省は二〇二二年にトラック、バス事業者に対して労働基準法による監督指導を行いました。その結果、八三%の事業者に労基法違反、それから五八%に改善基準告示違反が認められました。
四月一日から施行される残業時間規制や拘束時間規制に対して、トラック事業者や労働者が本当に従うのか。トラックドライバーの残業時間規制は会社の売上げの減少に直結します。賃金の減少にも直結します。勧告、是正などの措置を取っても実効性を伴わないと指摘されております。
どのようにして残業時間を守ってもらえるようにするのか、適正な賃金を支払ってもらえるようにするのでしょうか。
○梶原政府参考人 お答えを申し上げます。
トラック運転者については、長時間労働の実態があり、働く方の健康確保の観点から、この四月から適用された時間外労働の上限規制及び改正後の改善基準告示を確実に遵守していただくことが重要であると考えております。
運送事業者に対しては、これまでも労働基準関係法令の周知啓発に取り組むとともに、法令違反の疑いがある事業場に対しては指導監督を実施するなど、トラック運転者の適正な労働条件の確保に取り組んできたところでございます。
議員から、特に実効性についての御指摘をいただいたところです。労働基準監督署の監督指導では、事業主から提出された資料や説明のみならず、各車両に備え付けられました運行記録計、いわゆるデジタルタコグラフですが、これなどの客観的な資料に基づき拘束時間や労働時間を特定するとともに、労働時間に応じて賃金が適正に支払われているかを確認し、法令違反が認められた場合には、その是正を指導しております。
こうした指導にもかかわらず法令違反を是正しないなど重大、悪質な事案に対しては、検察庁に送検を行うなど、引き続き厳正に対応してまいります。
○神津委員 売上げを上げること、それから賃金を上げるために日報の改ざんを行うということは、ドライバーと事業主の双方にとってはウィン・ウィンの関係が成り立ってしまうというところでは、やはりデジタルタコグラフを、そこをやはりしっかりと見ていく必要があると思っています。しっかりと、命が失われないように、労働環境が守られていくように、また取り組んでいただきたいと思います。ありがとうございます。
では、次の質問に移りますが、本会議での質問に対する答弁について伺わせていただきます。
今回、トラックの積載率の目標について、私は質問を大臣にさせていただいたんですが、大臣からの答弁では、二〇一九年度におけるトラックの積載率は三八%でしたが、本法案の施行後三年間で一六%向上させ、四四%とすることを目指しますと答弁がありました。
三年間で一六%向上するのであれば、目標値は五四%となるのでしょうか。一六%の計算の根拠とともに教えてください。
○斉藤(鉄)国務大臣 二〇一九年度においてトラックの積載率は三八%でございました。法案の施行後三年間で、この三八%に一六ポイントを加えるのではなく、一六%向上させる。つまり、三八%掛ける一・一六で四四%と。
私も最初は神津さんと同じような疑問を持ったんですが、一六%向上させるというのは、そういう意味でございます。
○神津委員 これは、六ポイント向上させるというふうに、そのまま言っていればよかったんですが、なぜ一六%としたのか、この計算の根拠というのを教えてください。
○鶴田政府参考人 計算の根拠は、まさに結果としての四四%を目指すということでございまして、それをポイント数の上昇で表現するか、パーセンテージで表現するかということで、内容としては同一であるというふうに考えております。
○神津委員 ポイントで表現した方が分かりやすかったと思うんですが、なぜパーセンテージにしたのか、教えてください。
○鶴田政府参考人 どちらの方がいいという決定的な理由があるかどうかはちょっと分かりませんけれども、どちらが分かりやすいかということで御指摘いただいたと思いますので、今後、それも踏まえて周知に努めていきたいと思います。
○神津委員 今後努めていただくのはもちろん当然だと思うんですが、私はやはり答弁修正が必要だというふうに思っています。
今回、例えばこの三八%の積載率なんですが、積載率というのは、出庫から入庫まで積載量制限いっぱい荷物を積み込めば、積み込んで出庫から入庫までずっと走っていれば積載率が一〇〇%となる数字なんですね。
この三八%という数字を基にして、そこに掛け算をしていったので、私は、これは非常にやり方としては邪道だと思っているんですが、例えば、では積載率一〇〇%にするには、この二〇一九年の三八%に幾ら、幾つ、何%掛ければ一〇〇%になりますか。
○鶴田政府参考人 積載率一〇〇%にするためには、三八%を二・六五倍にする必要がございますので、パーセントで換算すると一六五%向上させる必要があるということでございます。
○神津委員 今、一六五%とおっしゃいましたけれども、二六五%の間違いだと思います。
この二〇一九年の、例えば大臣がおっしゃられた答弁に当てはめれば、トラックの積載率は三八%でしたが、この法案の施行後三年間で二六五%向上させ、一〇〇%とすることを目指しますと言ったらば、全く分からないと思うんですよね。これは通じないと思うんですよ。だから、掛け算をするようなやり方で目標率を出すようなやり方というのは、やはりやめた方がいいんじゃないかと私は思います。
あと、もう一つ、ちょっとお伺いしたいのが、先ほど申し上げた総合物流大綱二〇二一―二〇二五での積載率の目標は五〇%となっていました。今回、なぜ二〇二六年の目標として四四%としているのか。そごが生じているので、そこを教えてください。
○鶴田政府参考人 総合物流施策大綱におきましては、トラックの積載率につきまして、二〇二五年度に五〇%を目指すという目標が掲げられてございます。
この進捗状況ですけれども、二〇二三年夏のフォローアップ会合の時点では三八・五%にとどまっておりまして、目標達成の見通しが立っていない状況でございました。
これを踏まえまして、この法案では、施行後三年間で、半分の車両、五割の車両で積載率五〇%を目指すという考え方に立ちまして、それで計算しますと、全体でいうと積載率が四四%、これを目指すこととしたものでございます。
○神津委員 配付資料の二枚目のところの左下を御覧ください。トラックの積載、一番下の、左下のところに、主なKPIとして、二〇一九年度三七・七%を、五〇%、二〇二五年度に変えていくというふうにここに書いてあるんですが、これは今の答弁で変えたのかもしれないんですが、それまで何の説明もなかったんですね。
それから、この法案のほかの、今日配付していないんですが、今回の法律の改正のKPIのところでも、例えば、積載率向上による輸送能力の増加、一六%増加とだけ書いてあって、例えば三八%から一六%増加させるとか、そういうことが一切書いていないんですね。
これは私、ちょっと記載漏れが余りにも過ぎるんじゃないかと思います。ちゃんと、三八%から一六%掛けて四四%にするとか、そういうことを記載してもらわないと、KPIとして正しいものか判断することができないので、しっかりと記載をお願いしたいと思っています。
実車率については、とにかくやはり往復で荷物を積んでいるという状況をつくり出すことが重要だと思っていますが、そこに係る取組について教えてください。
○鶴田政府参考人 御指摘のとおり、積載率の向上にとっては、帰り荷の確保というのが大変重要だと考えております。例えば、行きが満載でも帰りが空っぽですと、それだけでも五〇%ということでございます。
そのため、帰り荷の確保のためには、事業者間で連携をして、また場合によってはデジタルの力も使いながら、需要と供給をマッチングさせて効率を上げていくということが大変重要である、これをしっかり進めていきたいと考えております。
○神津委員 積載率、やはり、往復で荷物を積んでいるという状況が重要だと思うんですが、今回、例えば、重量勝ちのものか容積勝ちのものかによって大きく違うパーセンテージになってしまうというところでは、積載率に加えて、実車率についても、荷物を積んでどれだけ走っているかという、その率についてもしっかりと把握すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○鶴田政府参考人 御指摘ありましたように、重量勝ちのものと、かさ勝ちのもので、それを組み合わせて積載率を上げるというような取組もなされておりますけれども、様々な捉え方ができると思いますので、今後、施策の効果を検証していく際に、その点も十分踏まえてやっていきたいと思います。
○神津委員 実車率の把握、是非検討していただければと思います。
では、次の質問に移らせていただきます。次、賃上げについて伺います。
今回、大臣の答弁では、運賃水準を平均八%引き上げるとともに、荷待ち、荷役の対価、下請手数料など新たな運賃項目を設定することで、初年度で一〇%前後の賃上げにつながると見込んでおり、相応の年収増が期待されると考えておりますというふうな答弁もいただいております。
ドライバーの一〇%の賃上げが図られるとおっしゃられているんですが、計算の根拠を教えていただけますか。
○鶴田政府参考人 先月、標準的運賃の見直しを行いまして、その中で、運賃水準を平均八%引き上げるとともに、荷待ち、荷役の対価など、新たな運賃項目を設定したところでございます。
このうち、一つ目の、運賃水準引上げの効果としましては、実勢運賃水準を見ますと、標準的運賃の約七割程度が収受されているという現状に鑑みまして、引上げ幅約八%にこの収受率七割を掛けて、平均約六%を初年度の賃上げ効果として見込んでございます。
もう一方の、新たな運賃項目ですけれども、これによって加算される荷役料金などを収受すると、約七%の賃上げ効果があるというふうに見込んでおります。
この六%と七%で、幅を取ると六から一三、平均して一〇%前後ということでございます。
○神津委員 今の算数のところなんですが、私がいただいているところですと、例えば、荷役作業の対価を収受できていないトラック事業者の割合というのは三六%ということで、国交省が出している資料には書いてあります。三六%の企業のみが、先ほどおっしゃられた七%の賃上げの効果がまずあるというところでは、全体に押し延べれば二%以下ぐらいだというふうに思います。
それから、今日、配付資料で配っております平均八%の積算根拠の基なんですが、左下の固定費というボックスを見ていただきたいんですが、そのうちの左上の「時給(所定内)」というところがあります。これは、二千三百四十円から二千三百三十六円と、実は、平均で八%上げると言っておきながら、時給換算では、四円ですけれども、下げているんですね。決して上げていないんですよ。
だから、全体的には八%上がるのかもしれないんですが、ドライバーの給与、ドライバーに行く時給自体、給与自体は決して上がっていないんですね。なぜこれで賃上げ効果が望めるというふうにおっしゃられているのか、教えていただけますでしょうか。
○鶴田政府参考人 今御指摘ありました時給は、これは全産業平均ということでございます。そういったものも適正なコストとして見込んで、ほかの様々な物価分も見込みますと、全体として八%向上というものでございます。
○神津委員 私の質問に答えていないと思います。時給が下がっているにもかかわらず、ドライバーが受け取る時給が下がるにもかかわらず、賃上げ、六%でしたっけ、七%でしたっけ、この上がる効果があるとおっしゃられているのはなぜなのか、教えてください。
○鶴田政府参考人 今、適正運賃収受ということで申しますと、様々なコストが上昇している中で、それをしっかりと収受できていないということで、コスト全体としてどういうふうに上がっているかということを算定して、その中の内訳の一つとして時給というのがありますけれども、これがそのままトラックドライバーの時給になるということではなくて、コストを積算する中で、全産業平均ということでこれを見込んでいる。
現状は、トラックドライバー、もう釈迦に説法ですけれども、これよりも低い水準しか収受できていないので、それに比べて多くなるということでございますが、考え方は、トータルのコストをいただくということでございます。
○神津委員 大臣、今のお話を聞いていて、ちょっと時間が終了してしまったので、八%の標準的運賃引上げが一〇%の賃上げにはつながらないというところを分かっていただけたか、最後に御答弁いただければと思います。
○斉藤(鉄)国務大臣 今回、一つは標準的運賃を八%引き上げる、プラス、新しい項目を入れるというこの二つの効果によって、人件費、時間当たりの人件費ですけれども、これを一〇%上げるということを目標にしております。
この標準的運賃の約七割程度が収受されているという現状が今、先ほど局長が説明しましたけれども、ということに鑑みまして、引上げ幅約八%に収受率七割を掛けた平均値六%を、初年度の賃上げ効果に見込んでいるところでございます。
先ほど神津委員おっしゃった人件費につきましては、これは全産業の中でこういうことであるけれども、我々、トラック業界については今回こうやるというものでございますので、直接それを比較されるのは適当ではない、このように思います。
○神津委員 次回の標準的運賃の見直しのときには、必ず時給を上げるようにお願いします。
以上です。ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、枝野幸男君。
○枝野委員 立憲民主党の枝野でございます。
交通分野については公共交通という言葉があるんですけれども、なかなか、物流の公共性については、これまで余り注目されてこなかったかと思います。
まず、大臣に、今回の効率化法の改正案の二条で基本理念が定められました。物資の流通は我が国における国民生活及び経済活動の基盤である、将来にわたって必要な物資が必要なときに確実に運送されることを旨とするという基本理念が書かれて、これを受けて、改正案三条では、国は、前条の基本理念にのっとり、施策を策定、実施する責務を有するとされております。
この規定は、改めて物流が公共性のあるサービスであることを法的に認めたというふうに受け止めてよいのか。公共性のあるサービスであるならば、民間の努力だけでは、これは条文に書いてありますが、必要な物資が必要なときに確実に配送されることが困難な場合には、国が例えば財政的な支援をしてでもサービスを確保する必要があると思うんですが、そういう認識でよいかどうか、お答えください。
○斉藤(鉄)国務大臣 一番議論の基礎になる部分でございます。
物流は、基本的に民間事業者の活動を通じて提供されるべきものと考えますが、国民生活や経済活動を支える重要な社会インフラであり、人口減少が進む中においても、エッセンシャルサービスとしての物流網を維持していくことは極めて重要であると認識しております。
その趣旨を踏まえて、改正物流効率化法第二条第一号において、基本理念として、物流の流通は我が国における国民生活及び経済活動の基盤であることに鑑み、その担い手の確保に支障が生ずる状況にあっても、将来にわたって必要な物資が必要なときに確実に運送されることと規定しております。
こうした認識の下、物流に関わる民間事業者に対して、例えばサービス維持のための赤字補填などといった直接的な財政支援を行うのではなく、民間事業者による物流効率化などの取組を支援する形としており、国土交通省においては、令和五年度補正予算等も活用しながら支援を行っているところでございます。
○枝野委員 現状として、民間の皆さんがまさに全体を担ってやっていただいているし、今、当面それができるだろうし、それから、この法律がそういう前提に立ってやっている、そのことはもう十分承知をしているわけですが、そもそも、サービスの質として、これは、例えば水道や電力やあるいは道路や、こうしたものと同じように私たちの生活に欠かせない、まさに公共性を持ったサービスでありますから、だから、万が一、民間が自力で稼ぐ収益性だけでは成り立たない場合には、いざとなったら国が財政支援をしてでも維持しなきゃならないものなんだ、こういう認識をしっかりとこの機会に共通させないと、今、例えば今回の法案でも、宅配便などについての再配達を減らしましょうと国民の皆さんに共通認識を持って協力していただかなきゃならないわけですし、荷主の皆さんにも共有していただかなきゃならないわけです。
これはきちっとやらないと、税金を突っ込んででも維持しなきゃならないサービスなんですよ、ですから、みんな協力できることはしましょうよ、こうしないといけないと思うんですけれども、いかがですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 まさに物流は、公共的な大きな性格を持っております。だからこそ、税金を使ってのいろいろな支援策も行っているわけでございます。
現実、しかし、物流自体は今、民間で担われております。これは、ほかの電力等々、非常に公共性の高い事業についても同じでございます。その民間事業でやっているところに対して、直接それを財政的に支援するということではなく、先ほど申し上げましたように、その環境をしっかり支援していくという形で、これは公共性に対して我々が責任を持っている、このように私は理解しております。
○枝野委員 今回の法改正がそこまでですから今の答弁でとどめますけれども、もし一般質疑の時間がもらえたら後でやりたいと思いますが、例えば自動車整備工場は民間で全部やっていますけれども、奥尻島では町営でやっているそうです。島に民間がなくなってしまったけれども必要不可欠なサービスだから。物流は、日本全国にとって、もっと公共性は高いんだと思います。ですので、今はそれでやれているからやっているのであって、本当に、その他の水道やガスや電力と同じように、これはなくてはならないものなんだ、みんなで支えるんだということは強く認識していただきたいと思います。
時間もありますが、二点ほど技術的にお伺いしたいと思います。
効率化法の改正案三十条四号の、荷待ち時間の定義です。
改正案では、集貨若しくは配達を行うべき場所又はその周囲の場所において荷物の受渡しのために待機した時間であって、国土交通省令で定めるところにより算定されたものとされています。この荷待ち時間を短縮することが今回一つのポイントでありますが、実は荷待ち時間というのは、具体的に把握するのは相当困難だというふうに思います。
そんな中で、この荷待ち時間の決め方、特に周囲の場所の決め方によっては骨抜きにされるのではないかという一部不安もありますので、そうではないということをきちっと説明してください。
○鶴田政府参考人 今御指摘のありました、法律上の荷待ち時間の定義につきましては、具体的には今後省令で定めることとなりますけれども、計り方としては、例えば、ドライバーが荷主等の都合により貨物の受渡しのために待機した時間ということで、荷主等が指示する受渡し時間ですとか、荷降ろしを開始した時間がいつか、そういったことから算出するということを想定しております。
今御指摘ありました「周辺の場所」の解釈につきましては、物理的に何キロメートル以内といった決め方をすることは想定しておりませんで、実質的に荷待ち時間とカウントすべきものをカウントする、これを恣意的に範囲外とするような、いわば荷主による算入逃れのようなことが起きないように、適切に運用できるようにしていきたいと思います。
○枝野委員 その周囲の場所についてはそれで結構だと思いますし、なかなか本当に、具体的に把握するのは実務的には大変だろうと思いますので、抜け穴的に、脱法的に使われることのないように、緻密に現場の声を聞きながら省令を作ったり、あるいは運用していただきたいと思います。
もう一点、これは実運送を行わない専業水屋の話です。特にその中でも、取次ぎだけを行う者、マッチングアプリなどについては運送責任は負わない、したがって、本改正案の効果も直接には及ばないというふうに認識しています。これらの者に直接の規制を及ぼすのは今回の法のたてつけでは難しいかなとは思う一方で、実運送事業者が適正運賃を収受できるようにしていくためには、この取次ぎだけを行う者やマッチングアプリに今回の法の趣旨がしっかりと及んでいかないといけないと思うんですが、これについてどう対応しようとしているのか。これも政府参考人で結構です。
○鶴田政府参考人 今御指摘ありました、運送責任を負わないいわゆる取次事業者でございますけれども、これは、契約を取り次いでいるわけでございますので、発注者側と受注者側がいます。その契約の発注者側、これが今回の法律の、下請行為の適正化に係る努力義務ですとか、トラックGメンによる是正指導の対象というふうになります。
他方、この法案で、運送体制の見える化ですとか契約内容の明確化を行いますので、これを前提としましてトラックGメンがその取引の内容を把握できるようになる、これに基づく是正指導を行う、こういったことを通じて、不合理な中抜きの排除というのを進めていきたいというふうに考えております。
○枝野委員 この法律の現在のたてつけでは取次ぎなので、運送事業者じゃないので今のようなお答えになるのは分からないではないですが、ただ一方で、例えば、いわゆる元請になっているような大きなところは、本改正の趣旨を踏まえてきちっとやっていただける可能性は高いと思いますし、各地にしっかりとしたトラック協会なんかもあったりとかして、そういったところの監視も含めて、法の趣旨は相当程度僕は貫徹されると期待をしていますが、一方で、そんな中で、でも、いろいろな法規制はあるけれども、とにかく目の前の仕事が欲しいという、多分、現場の中小零細企業の現実もあったりします。
そうすると、このマッチングアプリとか取次ぎだけを行うところが、法の抜け穴的にこうやってうまいことをやったら、法の趣旨に反するけれども、取りあえず目の前の仕事はありますよみたいなことが行われると、せっかくの法改正や、あるいはきちっと法の趣旨を踏まえてやりましょうという健全業者にとっては大変迷惑なことになるし、結果的に、そういうところに飛びついた中小零細にとっても厳しいことになりかねない。ましてや、そこで働いているドライバーにとってはとんでもない話だということになりますので、できるだけそうしたマッチングアプリも、実際に帰りの車が空で走るよりは、ちょっとでも荷物を載っけていた方がいいからと、そういうことで、うまく使ってもらえば非常に意味のあることだと思いますが、悪徳業者的なものが出てこないように、そこは法の趣旨を踏まえて、できるだけのことはやっていただきたいんですけれども、もう一言いただけますか。
○鶴田政府参考人 今御指摘いただきましたように、まさに今回の法の趣旨を踏まえまして、それでトラックGメンの活動も通じて、また業界団体としてのお取組もあります。こういったものとも連携をして、現場の声をよく聞いて、しっかりと対応してまいりたいと思います。
○枝野委員 残りの時間で、私、昨年の三月も質問させていただきましたが、ネット通販などの送料無料表示問題です。
これが、消費者保護の観点から、消費者庁がなかなか直接はやりにくいということもよく分かっておりますが、今回も、最初に申し上げましたとおり、消費者の皆さんにもいろいろ御協力をいただかなきゃいけないわけですね、再配達などを防いでいくためなどに。それから、あえて言えば、場合によっては配送コストが今回の制度改正によって上がっていくことについても、国民の皆さんでシェアしていただかなきゃならない側面もあるかもしれません。
そうした意味では、これだけネット通販、ちょっとは改善されてきていますが、ネット通販の世界では、私も送料無料というところをやはり選びますよ、どうしても。それで、何か運送は、荷物を運んでくれるのはただなんだみたいな刷り込みが続いていくことはやはり望ましいことではない。物を届けてもらうのにはきちっとコストがかかっているんだということを国民の大前提、共有にしておかなきゃならないという中で、この送料無料表示は何とかしなければならないというふうに思っておりますし、昨年の三月もこの委員会で取り上げさせていただきました。
その後、昨年六月の物流革新に向けた政策パッケージでは、この送料無料表示問題に政府を挙げて取り組む姿勢を示していただいておりますが、実際に、この間、消費者庁が一定の対応をされていると承知をしておりますが、簡潔に御説明いただけますか。
○植田政府参考人 お答えいたします。
送料無料表示の見直しにつきましては、御指摘いただきましたとおり、物流の革新に向けた政策パッケージに基づき、取組を進めているものでございます。
具体的に申し上げますと、まず、消費者向けでございますけれども、昨年の七月に「物流の「二〇二四年問題」と「送料無料」表示について」と題しまして、物流は私たちの生活や経済活動を支える重要なインフラでありますから、物流の二〇二四年問題を消費者にも身近な問題として考えていただきたいといった趣旨についての発信を行ったところでございます。
また、昨年六月から十一月にかけてでございますけれども、送料無料表示に関する実態や見直しによる影響等を把握するため、運送事業者の関係者、EC事業者団体、消費者団体の関係者などと個別に意見交換を実施させていただきました。そこでいただいた御意見等を踏まえ、昨年十二月に、関係事業者に対しまして、送料無料表示の見直しを行っていただきたい旨、併せて、物流の二〇二四年問題に関し、物流の持続可能性に対する認識や対応についての説明を行っていただきたいという要請を行ったところでございます。
消費者庁といたしましては、引き続き、消費者の理解の増進と事業者の取組を促してまいります。
○枝野委員 実際にネットとかを見ておりますと、良心的な事業者は、最近は、送料は当社で負担いたしますとか、送料込みとか、まあ本当は、送料コストがどれぐらい含まれているのか、消費者にも、国民共有で認知してもらった方がいいような気もしますが、それは技術的に難しいところも場合によってはあるようですので、せめて送料込みあるいは当社負担という表示を、良識的なネット通販業者であるとか、あるいはテレビショッピングなどではかなり広がりつつあるかなと思っているんですが、まだやはり、済みません、大手のネット通販サイトなどを見ると、送料無料という表示が圧倒的な量を占めているのは現実であります。
これを法で直接規制するのが難しいというのは、去年の三月の質疑でも私も認識していますが、せめて大手のネット通販会社、アマゾンとか楽天とかにはやはり率先して送料無料表示をやめてもらう、それから、テレビCMみたいなところでは、送料無料表示はやめてもらうというようなことをしてもらっていいんじゃないかと私は思うんですけれども、まずそこまで、大臣、どうでしょう。
○斉藤(鉄)国務大臣 今回の法改正の趣旨は、これまで物流事業者任せだったところを、社会全体で、荷主も着荷主も、そして消費者も、全体でこの改革を行っていこうというのが今回の法改正の趣旨です。そういう意味では、物流にこういうコストがかかっているということ、また、実際に非情な現場で働いていらっしゃる方がいらっしゃるということを社会全体で認識する意味でも、今の枝野委員のおっしゃっていることはそのとおりだと私は思います。
○枝野委員 ありがとうございます。
そうだとすると、現行法、現行効率化法の三条で、改正後の五条になるんですかね、国土交通大臣は流通業務総合効率化事業の実施に関する基本方針を定めるとなっております。例えば、この基本方針などに、書き方は難しいので、ここでこういう書き方をとは言いませんが、結果的に送料無料表示を送料込みなどの表示に変更することにつながるような内容を盛り込むべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 今、枝野委員、改正後の五条で定める基本方針について言及されました。実は、ここでも基本方針を定めますけれども、三十三条に基づいて基本方針を決めることになっております。
これは、トラック運送サービスの持続可能な提供の確保に向けた基本方針を定めることになっておりまして、この基本方針の中に、配達時のドライバーの負荷の低減に資する事業者の活動について、また国民の理解を増進するための基本的な事項を定めることにしております。その中に、今委員御指摘の点についても、その中で十分にこれから検討して盛り込んでいきたい、このように思っております。
○枝野委員 是非積極的に、分かりやすく書いていただければとお願いを申し上げます。
時間がありますので最初の話に戻って、先ほど私、申し上げました。奥尻島では、自動車整備工場は町でやっているんだそうです。大臣、通告していないので答えられなくて当然なんですが、何でだか分かりますか。
○斉藤(鉄)国務大臣 いや、ちょっと分かりません。
○枝野委員 いや、私も現地に行ってびっくりしたんですよ、えっと、聞いてですね。そうしたら、あれは島じゃないですか。島だけれども、大きいので、自動車がないと生活できない島なわけですよ。その町の中に、島の中に民間の自動車整備工場がなくなっちゃう、そうすると、車が故障したときに直せないし、何よりも一番困るのは車検です。奥尻島は一日一便なので、一泊仕事で車を届けに、北海道本島に届けなきゃいけない。こんな状況では島に誰も住まなくなりますよね。ですので、他の普通のところでは民間で競争して成り立っている自動車整備や車検というのを町でやらなきゃならない、もうまさに公的に、公務としてやらなきゃならなくなったということなんですよ。
でも、やはり今の制度の下では、車検という制度がある以上は、自動車整備というのは不可欠じゃないですか、生きていく上で。同じように物流というのも、今は民間の御努力で頑張ってやっていただけているし、今回の法改正で、そういう形でやっていただけるように続けていかなければならないんだけれども、それこそ、人口の偏りがこれ以上進んで、過疎地域が広がって、それこそ離島とか山村とか、そうしたところに、本当に民間の力だけで、民間には直接財政を投入しないというやり方だけで本当に成り立つのかどうかということは、これは分からないわけです。
そうならないように努力をするということだとは思うんですけれども、でも、物流というのはそういうふうに、なくてはならないサービスなんだということは是非大臣に共有をしていただいて、仕事を進めていただきたいんですが、最後に御決意をお示しください。
○斉藤(鉄)国務大臣 まさに物流は、我々の生活、また産業を支えている、なりわいを支えている、まさに基礎だと思います。非常に高い公共性を持っている、なくてはならないものでございます。
今は確かに民間企業の皆さんの御努力で、こういう形で行われておりますけれども、大事だからこそ、我々も今、支援という形で、いわゆる公が関わっております。今、枝野委員も、最後は全責任を公が持つべきか、そういう法体系にするべきかどうか、ここについてはいろいろな議論があろうかと思いますけれども、非常に公という比重の高い、大事な社会の一つの部門であるという認識は一緒でございます。
○枝野委員 ちょうど時間なので終わりますけれども、交通や物流というところが、場合によっては、水道とかガスとか電力などと同じように、本当に重要な公共性を持っているんだという認識を世の中にも私は広めていきたいと思いますし、政治の側も、できるだけ民間でやっていただいた方がベターだと私も思いますから、民間の皆さんの力でやっていけるように、しっかりと支えていっていただきたいと思います。
終わります。
○長坂委員長 次に、高橋英明君。
○高橋(英)委員 日本維新の会・教育の無償化を実現する会の高橋でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
まずは、一九九〇年、規制緩和をして、先日の参考人の方々は口々に失敗だったというふうに言っておられましたけれども、今回、また法をかけるわけでございます。大臣、この業界を一体今後どうしたいのか、ちょっとお聞きしたいんですけれども、結構ひっかき回しているので。
○斉藤(鉄)国務大臣 この業界をどうしたいのかということでございますが、魅力ある職場にするために、適正な労働時間と適正な賃金が両立する産業としていくことが重要だと思っております。
このためには、省人化、省力化など物流の効率化に向けた取組と、賃上げの原資となる適正運賃を収受できる環境の整備、これを並行して進めていく必要がございます。これを抜本的に進めるには、関係省庁と連携いたしまして、荷主、そして国民全体を巻き込んだ取組が不可欠である、このように思っております。
魅力的な産業、昔はトラックドライバーを主役にした映画もございました。若者が魅力を感じる、そういう産業にしていきたいと思います。
○高橋(英)委員 「トラック野郎」ですよね。私もよく知っています。
現場に行くと、大体三つに分かれているんですよね。一つは、この五年間の間に本当にしっかりやってきたAグループです。Bグループは、これからしようがないからやるかみたいな。Cグループは、これはどうなるか分からぬわみたいなのがCグループなんですけれども。
Aグループは、これはやはり大したものですよね。もう荷主を切っていますね。きちんとやってくれない荷主とはもう仕事をしない。これは、もう本当にやっています。大したものだなというふうに思いますけれども、でも、これをやっているのは全体のたったの二%ぐらいなんですよ。
それで、Cグループというのが六割近いんですね。最近、新聞なんかでよく出ていますけれども、ほとんどこのグループは赤字みたいなことが出ていますけれども、このグループが、もし吸収なり、なくなると、多分、多重構造はもくろみどおりなくなるんですよ。賃上げも多分できるんですよ、Aグループみたいなのばかりが残れば。
ただし、これはやはり失業者も絶対出てきますよね。これは国交省だけじゃないので、ほかの省庁も関係してくるとは思いますけれども、是非、この辺のケアの点についても、しっかりと考えていただきたいというふうに思いますので、これは質問というか、ちょっとお考えだけ、お聞かせください。
○斉藤(鉄)国務大臣 これから、この業界について、この法律に基づき競争力を高めていくためには、非常に構造改革、また合理的な組織にしなくてはいけない、そういう中で、労働力の再配置等、出てくるかと思います。そういうことに対しても、しっかり厚生労働省と連携を取りながら対応していきたいと思います。
○高橋(英)委員 これは本当に、間違いなく失業者が出てくると思うので、しっかりとお願いをしたいというように思います。
あと、今トラック業界というのは、すごいMアンドAの標的になっているんですね、業者の。本当に、売りませんか、買いませんかみたいな形でターゲットになっているんです。
だから、さっきの六〇%じゃないですけれども、二十台ぐらいの会社かもしれませんが、例えば、五社一緒に百台にして買いませんかとか、こういうのがどんどん出てくると思うんです。そうすると、やはり一気に淘汰が進むと思うんですけれども、淘汰が一気に進んだ場合、物流機能は大丈夫なんでしょうか。
○鶴田政府参考人 冒頭、大臣が御答弁申し上げましたように、ドライバーの適正な労働時間と適正な賃金の両立、これを目指していくということでございます。
その中で、今御指摘ございました、今、日本の物流は、非常に多くの中小のトラック事業者の頑張りによって支えられている、そういう特徴があると思います。したがいまして、まず、これを支えるべく、財政的な支援も行っております。
それから、加えまして、立場の弱い事業者にしわ寄せが行く、そういったことがないように、標準的運賃の引上げですとか、トラックGメンによる是正指導の強化、それからさらに、この法案による措置、こういったものを組み合わせまして、中小トラック事業者を含めて、物流の持続的成長を図ってまいりたいというふうに考えております。
○高橋(英)委員 絶対にこれは淘汰されると思うんですよ。だって、頑張れない法律じゃないですか、どっちかというとこれは。今まで一生懸命働いていたのを、ここまでにしてくださいよという話なんですから、それで本当に維持できるんですか。私は、ちょっとしんどいというふうに思います。
これは本当に一気に進むと思うので、今の答弁は、はてな、はてな、はてななので、ちょっと、もう一度お願いします。
○鶴田政府参考人 今申し上げましたように、中小のトラック事業者の今活動によって物流は支えられているという現実がございます。そういう中で、立場が弱いからといって不利なことになるといったことがないように、しっかりと今回ルールも定めて取り組んでいくということでございます。
○高橋(英)委員 では、先ほど私、Aグループ、Bグループ、Cグループというふうに言いましたけれども、中小というのはどのグループのことを言っているんですか。
○鶴田政府参考人 規模の大小にかかわらず、小規模な事業者でも、どのグループに属するかというのは、それはそれぞれあると思います。そういった中で、頑張っている事業者をしっかりと応援するという発想で取り組んでおりますし、今後とも、そういうふうにやっていきたいというふうに考えております。
○高橋(英)委員 小規模な事業者というのは、今、多重構造をなくそうとしているわけですよね。何か、言っていることが違うような感じがしますけれども、この法律と。
○鶴田政府参考人 今申し上げましたのは、規模が小さいからといって、みんなが弱いというわけではない、とは限らないということでございますが、全体として見ると、やはり多重構造の中で、規模の小さいところほど、非常に弱い立場に置かれているということは言えるかと思います。そういう中で、立場が弱いことをもって、しっかりとドライバーの処遇が確保できないといったようなことがないように、荷主や社会全体の協力も得ながら進めていきたいということでございます。
○高橋(英)委員 次に行きますけれども、また戻るかもしれませんので。
ここに、三月にされた閣議決定の資料があるんですけれども、令和六年度からの向こう五年間の自動車運送業分野受入れ見込み数は最大で二万四千五百人。これは外国人です、外国人の受入れですね。トラック運送業では五万六千人程度というふうな決定がなされているんですけれども、この数字なんですが、これは既存のトラック事業者を基にして出している数字なんでしょうか。
○鶴田政府参考人 必要な外国人の方の人数を算出するに当たって、一定の前提を置いて計算をしているわけでございますが、そのベースとなっていますのは、今御指摘ありましたように、現在のトラック事業者ということになります。
○高橋(英)委員 もう何回も言いますけれども、恐らく、一気に淘汰されるので、この基になる数字というのは大分変わってくるのかなというふうに思っているんですが、適正なトラックドライバー数というのはどのぐらいの規模なのか、お考えをお聞かせください。
○鶴田政府参考人 今、適正なドライバー数についての御質問でございますが、まず、必要ドライバー数を算出した考え方を申し上げますと、これは、国内貨物の輸送量の推移を踏まえながら、仮に現在と同様の運び方を前提とすると、五年後に必要なドライバー数は百十七・七万人というふうに推計してございます。
一方で、五年後、これもドライバー数がどうなるかということを推計しますと、約九十七・八万人だろうということで、この差の分の十九・九万人が不足する、そういう考え方でございます。
○高橋(英)委員 多分、見込みが甘いのかなという気はしますけれども、外国人の方々が本当に来ると思いますか。この間も出ていましたけれども、本当に給料が安いわけですし、やはり日本語がどうしてもネックになってくると思います。N4か何かですよね、たしか基準が。
まず、やはり今後、技能実習もそうですけれども、このドライバーに限らずですが、まあ日本に来るのはしんどいなという気がしますよね。韓国なんかは、何か英語でもいいし、もちろんカナダも英語でもいいし、日本だけが日本語が必須になっている。そしてまた、円安で非常に賃金も安い。本当に来るのかなというのは甚だ疑問なんですけれども、まずはやはり国内でドライバーを探すというのが非常に重要だというふうに思いますね。
それで、どうやれば来るかといったら、これはやはり稼げる業種にするしかないですね。稼げるようになれば必ず来ますよ、これ。その点を、是非お考えをお聞きしたいんですが。
○鶴田政府参考人 今御指摘ございましたように、元々、外国人、何人必要になるかというのは、これはトラックに限りませんけれども、まずはその産業において効率化を進めていく、さらに、その産業で国内の雇用を増やしていく。そういったことをした上で、それでもなお足りない部分は外国人ということでございます。
したがいまして、我々も全く同じ前提に立っておりまして、まずは国内を含めて処遇を改善していく、これが大変大切だと思いますし、そのためにこの法案を提出したということでございます。
○高橋(英)委員 是非稼げる業界に、しっかりとしていただきたいというように思います。
この法案、もうずっと何かしっくりこなかったんですけれども、なぜかなと思ったら、これは、ドライバー、トラックとか運送は国交省なんですが、荷主は国交省だけじゃないんですよね。すごい多岐にわたっているじゃないですか。だから何かしっくりこないなというふうに思っていたんですけれども、荷主が何といってもこの法案をやるにはキーポイントじゃないですか。
各所管の省庁にお考えをお聞きしたいんですけれども、しっかりとコンセンサスを取れていて、もう各省庁はしっかりこれをやっていくんだというふうに思っているんでしょうかね。是非お願いします。
○山影政府参考人 お答えいたします。
トラックドライバーの方々の労働負荷の軽減につながる、いわゆる荷待ち、荷役時間の削減など、物流効率化に向けましては、運送事業者のみならず、荷主の取組が極めて重要と考えてございます。
荷主企業の多くを所管する経済産業省といたしましては、物流の二〇二四年問題について早急な対応を進めていかなければならないという認識を強く持ってございます。したがいまして、国土交通省あるいは農林水産省といった関係省庁とも連携して、これまで検討を進めてきたところでございます。
こうした中、今回、荷主の取組を実効的なものとすべく、本法案におきまして、荷主に対して物流効率化の取組、これを義務づけることとしてございます。
加えて、経済産業省といたしましては、昨年の補正でございますけれども、中堅・中小企業者を含めました荷主企業における荷待ち、荷役時間の短縮に資する設備投資、あるいはデジタル化を促進すべく、例えばフォークリフトあるいはバース予約システム等の導入に関する実証事業を実施してきているところでございます。こうした荷主側の取組、これを促すことで、ドライバーの方々の負担軽減につながるものと考えてございます。
また、ドライバーの賃金の向上に向けました環境整備といたしまして、物流における取引環境の改善が重要とも認識してございます。その際、荷主の理解、協力が不可欠であろうと思っているところでございますから、今回、標準的運賃の引上げ等の措置、これについて周知されているところでございますけれども、我が省といたしましても、既に関係業界に対しまして周知いたしまして、協力を要請したところでございます。
経済産業省として、引き続き関係省庁と緊密に連携して、しっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。
○小林(大)政府参考人 お答えいたします。
農林水産省が所管しております農産物、食品等の輸送につきましては、その大宗をトラック輸送に依存しているという中で、特に、長距離輸送が多いでありますとか、手積み、手下ろしなどの手荷役が多い、それから卸売市場等での待ち時間が長いといったような課題がございまして、特に荷主と物流事業者が協力して、こういった課題の解決に取り組んでいく必要があると考えております。
農水省では、こういう課題に対して、昨年六月に策定されました物流革新に向けた政策パッケージに基づきまして、これまで六十を超える荷主の関係団体、事業者に、自主行動計画を作成いただいたところであります。さらに、産地での共同集出荷施設の整備によりまして、荷の大型化やドライバーの荷待ち時間の縮減、こういったことを通じて物流負荷を軽減する、標準仕様パレットの導入によりましてドライバーの荷役を縮減するといったような取組を進めております。
また、あわせまして、今般の標準的な運賃の改正等の措置につきましても、荷主の関係団体に周知をしているところでございます。
今後とも、関係省庁と連携しまして、こうした対策をしっかり進めることで、円滑な物流の確保に努めてまいりたいと考えております。
○高橋(英)委員 この法案は、もうとにかく荷主が肝だと思うので、これは横のつながりをしっかり取ってもらって、俺のところは知らねえよとか言われたらたまりませんので、これは本当にしっかりとお願いをしたいというように思います。じゃないと、これはうまくいくはずがないので、よろしくお願いいたします。
あと、次に、実運送体制管理簿、これについて聞きたいんですけれども、この作成は元請に課しているんだというふうに聞いていますが、これは現場はほとんど知らないんですよね、現状。どうなっているのかなというのを、ちょっと聞かせていただきたいんですけれども。
○鶴田政府参考人 今御指摘ありました実運送体制管理簿ですけれども、多重下請構造、これはトラック業界内における元請、下請構造の課題でございますので、その是正に向けて、元請トラック事業者、これは荷主から直接運送を請け負う立場にございます、その元請事業者において下請の構造の実態を把握していただく、このための制度でございます。
まず、本法案では、この管理簿の作成は元請事業者の義務というふうにした上で、御指摘のように、これは荷主がちゃんと取り組まないと前に進みませんので、まず、元請事業者が管理簿を作成して運送体制を可視化する、その上で、荷主はこれを閲覧できるというふうに規定してございます。これによって、荷主、元請、両方の立場から、下請取引の適正化に向けた取組につなげていくということを目指しているものでございます。
○高橋(英)委員 それは重々分かっているんですけれども、現場の元請の会社が、これをまだほとんど知らないということなんですよ。これは、これから周知するんですか。
○鶴田政府参考人 失礼いたしました。
周知につきましては、これまでも、この施策の立案に向けまして、団体、それから大手の元請、それぞれとコミュニケーションを取りながらやってきたところでございますけれども、まだ周知が足りない、周知が十分だというふうに思っているわけではございませんので、しっかりと周知してまいりたいというふうに考えております。
○高橋(英)委員 これは間違いなく、まだ全然周知徹底がなされていないので、これは一番、これも肝の部分だと思いますので、しっかりお願いします。
あと、実はこの管理簿、これは荷主が作った方がいいんじゃないかと思っているんですけれども、この点、いかがでしょうか。
○鶴田政府参考人 この点は、先ほど申し上げましたように、また、先ほど御指摘もありましたように、荷主と元請事業者が一緒になって取り組まないとこの問題は解決しませんので、作成は元請事業者ですけれども、荷主はそれを閲覧できる。それで、運賃交渉などの場を通じて、多重下請構造の解消を、それぞれの立場から図っていくということを目指しているものでございます。
○高橋(英)委員 でも、一番内情を知りたいのは、実は荷主だと思いますけれどもね。やはり、今回、横のつながりをしっかり取るということなんですから、できれば一斉にやっていただければ本来いいんじゃないかなというふうに思いますけれどもね。
では次に、トラックGメンについて聞きたいんですけれども、百六十二名ですか。たしか、一定規模以上の事業者というのが約三千者と聞いているんですけれども、荷主ね。でも、荷主は三千者どころじゃないですよね。そのほかにも何万者もあるかと思うんです。
それで、百六十二名。都道府県で大体、県で二、三人と聞きましたけれども、こんなので足りるんですか。
○鶴田政府参考人 トラックGメンでございますけれども、数多くの荷主、それから、そこの是正指導をしていくに当たっては、大変、更に多くの数のトラック事業者からの情報収集、こういったことをやっていく必要があるのは御指摘のとおりでございます。
それぞれ一定の、どういう頻度で、どういう数の事業者から情報を得られるかとか、それから、どういうふうにパトロールしていくかとか、そういうことに一定の前提を置いて、必要な人数として百六十二名を確保したところでございます。しっかりと、積極的に対応してまいりたいと思います。
○高橋(英)委員 トラックGメンは、では逆に、この三千者を特定してやるんですか。
○鶴田政府参考人 荷主の中の大手が三千者ということだと思いますけれども、トラックGメンは、それに限らず活動していくということでございます。その際、トラックGメンの情報収集力を高めるという意味でも、この法案で、運送契約の書面化を盛り込んでおります。
また、国が指定した民間の適正化機関というのもございます。こういった適正化機関が、悪質な荷主の情報、これを得たときは、今回の法律で、これを国交大臣に通知するという規定も盛り込んでおります。
このように連携もしまして、また関係省庁とも連携をして、トラックGメンの機能強化を行ってまいりたいと考えております。
○高橋(英)委員 今、適正化という言葉もありましたけれども、国交省から結構アンケートを各業者に行っているみたいですよね。要は、変な荷主いませんかみたいな。そう聞きましたよ。そうしたら、やはり、報告した業者も結構いるみたいですけれども、きれいに干されたらしいですよ、荷主から。こういう現実があるんですね。だから、今後そういったアンケートとかを出しても、トラック事業者から本当の回答はなかなか得るのは難しいんじゃないかなという気がしています。
あと、残りの、三千者以外の、もう何万者もあるわけですから、この業者というのは報告義務がないわけですよね、三千者以外の。何にもないわけですよね。そうすると、結局、さっき言ったCグループみたいなのが、こっちの荷主の仕事を多分やり始める可能性も高いんじゃないかなと思うんです。そうすると、やはり全然賃上げにはなってこないと思いますけれども、この辺はいかがですか。
○鶴田政府参考人 今御指摘の点につきまして、これも先ほど委員からも御指摘があったところですけれども、やはり荷主を所管する役所との連携というのも大変重要になってくると思います。このため、関係閣僚会議も設置をしまして、政府全体としてパッケージをつくって進めていくということでございます。
しっかりと連携を取りながら、この法律に基づく直接の義務以外にも、全部の荷主が努力義務を負っている、それに基づく指導助言ですとか、それから調査、公表、こういったことも法案に盛り込んでおります。これを実効性のあるものとするべく、御指摘のあった現場の状況もよく把握しながら、また関係省庁と連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○高橋(英)委員 この管理簿ですけれども、一年ぐらい、一年の猶予がたしかあるんですよね。一年の猶予があるんなら、各荷主の省庁、しっかり横のつながりを持っていただければ、一遍にこれはできるんじゃないですか。やった方がいいと思います。そうすれば、ある意味、全ての荷主にも報告義務をきちんと課して、それの方がいいと思いますけれども、いかがですか。
○鶴田政府参考人 現状、荷主とも一緒に取り組んでいくという枠組みがない中で、まずこれを、そういう仕組み自体をつくるということが今回の法案の大きな一歩かと思っております。
まずは一定規模以上の事業者に義務をかけるという形でスタートしますけれども、取組としては、それが全産業に広がっていくように、力を合わせてやってまいりたいと思います。
○高橋(英)委員 しっかり横のつながりを各省庁が取れば、荷主同士で話し合えば、最低契約運賃とか設定できると思うんです。誰も、みんな平等になりますし、みんなで話合いをすれば。それで、運賃の値下げの交渉材料にもなりませんし、その点、ちょっとお聞かせいただきたいんですが。
○鶴田政府参考人 今御指摘ありました最低契約運賃というようなものにつきまして、それに関してまず申し上げますと、トラック事業の取引、多種多様でありますので、最低運賃制度といったようなものの導入については慎重な検討が必要かと考えております。これは先日の参考人からも御意見の陳述があったところでございます。
その上で、横の連携を強めて社会全体で取り組んでいくことが重要だというのは、これはもう全く、私どももそういうふうに認識してございます。このため、こういう前提に立って、今回、諸々の制度を導入しているところでございます。しっかりと運用してまいりたいと思います。
○高橋(英)委員 多種多様ですよね。もちろん、こんなにいろいろな省庁にまたがっているんだから、多種多様だと思います。
先ほども各省庁が言っていましたけれども、しっかり連携を取っていくという話なんですから、しっかり連携を取ってやった方がいいと思いますし、可能だと思いますけれども、これは可能ではないですか。
○鶴田政府参考人 この法案提出に至るまで、一年半、二年近く、関係省庁とともに検討を重ねてまいりました。そういう中で、これはもう実感としまして、立場の違いを超えて、共通の目標に向かって進んでいくということを非常に実感をしているところでございます。これを、ただそのときの勢いということではなくて、しっかりと仕組みとして定着させる、このための、今回、法案、法制化というふうに考えてございます。御指摘をしっかり踏まえまして、横連携を強めて進めていきたいと思います。
○高橋(英)委員 これは稼げる業界にしないと駄目なんですよ、稼げる業界に。最低でもこれだけ稼げる、プラスアルファ、各会社によっては可能性も出てくると思うので、これは稼げる状況にするためにも可視化した方がいいと思いますけれども、いかがですか。
○鶴田政府参考人 稼げる産業にする、全くそのとおりだと思います。
それで、済みません、可視化というのは多重下請構造のということでしょうか。(高橋(英)委員「ううん、こっち」と呼ぶ)
運賃については、まさにそれを進めるために、今回の標準的運賃の強化、それから、それをしっかり守ってもらうためのトラックGメンの強化、そういったものを組み合わせて、それで、可視化に関して申しますと、この法案で契約内容を明確化する。これは、個々の内容については公表するものではございませんけれども、トラックGメンを含めて、国の立場で全部分かるようになる、その前提が整うということだと思いますので、それを基に、しっかり稼げる産業にすべく取り組んでまいりたいと思います。
○高橋(英)委員 管理簿には金額が記載されないので、いかがかなというふうに思います。
冒頭言いましたけれども、約六割がCグループで、これは多分、まさかこれを、淘汰して多重構造を解消するんだという頭が、はなからあるわけではないですよね。くれぐれも、そういう考えではいないようにお願いをしたいというように思います。もうすごい人数になってしまいますので、しっかりとケアの方もお願いしたいというように思います。
あと、今後は貨物運送も力を入れていくんだと思うんですけれども、ちょっと話がずれちゃうかもしれません。JR東日本、この間も新幹線、四月二日かな、遅れましたけれども、私、完璧に巻き込まれたんですね。それで、同じレールを使うわけなんですけれども、このJRの安全管理というのは大丈夫なんですか。
○村田政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘のとおり、今年になりましてから、東北新幹線におきましては、長時間にわたる運転見合せが生じ、多くの利用者に多大な影響を及ぼす事案が複数生じております。国土交通省といたしましては、各事案に対しまして、JR東日本に原因究明及び再発防止策の実施を指示しているところでございます。
また、これらの個別事案への対応とは別に、輸送の安全確保に向けた施策といたしましては、鉄道事業法におきまして、JR東日本を含む鉄道事業者に対しまして、安全管理規程の策定や安全統括管理者の選任、さらに、安全報告書の作成、公表を義務づけております。
各事業者におきましては、このような規程や体制の下で鉄道事業を安全に運営することとしておりますけれども、国土交通省といたしましても、そのための取組が適切であるかどうかなどを確認するために、鉄道事業法に基づき保安監査を行っておりまして、JR東日本に対しては、毎年度、定期的に実施しているところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き、JR東日本を含む鉄道事業者に対しまして、鉄道の安全、安定輸送が確保されるよう、適切に指導を行ってまいります。
○高橋(英)委員 やはりこれは非常に不安ですよね。皆さん言っていましたけれども、このままじゃ、いつか大きな事故を起こすと。この一年間だけでも非常に多数の事故があるわけですから、やはりもう少し踏み込んだ方が絶対にいいと思いますし、本当にJRは公共性を見失っていますよね。
たがや委員が、トイレがなくなって駐車場になったという話もしていましたけれども、私の地元の駅は、トイレは有料ですからね。貸してくれないんですよ。ちょっとトイレを貸してくださいと、昔は改札に言って通れたんだけれども、今は通してくれませんからね。入場料を払えと言うんですよ。こんなふざけた会社、ないですよね。
大体、国鉄の時代を忘れちゃったんですかね。どれだけ国民に迷惑をかけたんですかね、毎年のように平気な面してストをやって。冗談きついですよ。挙げ句の果てに二十五兆円ぐらいの借金をこさえて、いまだに十五兆円ぐらいあるんでしょう、借金。これをいまだに税金で払っている。たばこを吸っている方々が払っているのかなというふうに思いますけれども。
いずれにしても、もう皆さん、言いたいことがいっぱいあるみたいだから、一回、委員会にでもJRの関係者を呼んだ方がいいんじゃないですか。本当にそのぐらい大きな問題だなというふうに最近思っていますので、是非これを検討していただければというように思います。JRにはみんな言いたいことがあると思いますので、是非お願いをしたいと思います。
これをお願いして、あと、さっき言った淘汰の促進だけはやめるようお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、高橋千鶴子さん。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
物流の二〇二四年問題と騒がれながら、既に四月になってしまいました。
五日の参考人質疑では、全日本トラック協会の馬渡副会長が、労働時間短縮とドライバーの待遇改善という要請に応えたいと決意を述べていただきました。
具体の施行日はいつと考えているでしょうか。物流が止まることはないし、止めない、そういう力強い声もありました。そのことが、違反やリタイアが次々出るという意味ではなくて、ちゃんとドライバーの労働時間短縮と処遇改善が進んでいく、そういう理解でよろしいでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 この法案の施行日につきましては、一部を除き、公布後一年以内の施行としております。
この法案の施行前におきましても、昨年六月の政策パッケージなどに基づき、政府一丸となって、即効性のある設備投資の支援、業界、分野別の自主行動計画の作成、実施、トラックGメンによる荷主等の是正指導の強化、標準的運賃の引上げ、拡充などの施策を講じているところでございます。
また、労働時間につきましても、運送事業者への監督時にその遵守状況を確認、指導してきたところでございまして、新たな改善基準告示についても確実に遵守されるよう、引き続き関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 公布後一年以内というのは、法律に書いているから当然知っています。その上で、四月になっちゃったんだよという点でどうするのかということを大臣に決意を含めて聞きました。
だから、公布が延びるという意味ではないはずなんですよね。そういうことも含めて伺います、もう一度。
○斉藤(鉄)国務大臣 この公布が、一年以内に公布いたしますけれども、それまでの間に、先ほどおっしゃったようないろいろな問題点、基準告示を守れないとかそういうことがないように、また、賃金が上がっていくように、しっかり取り組んでいきたい、このように思います。
○高橋(千)委員 本会議でも、一九九〇年の物流二法改正による規制緩和の影響についてただしました。
資料の二枚目を、ごめんなさいね、順番が違っていたんですが、見てほしいんですけれども、トラック運送事業者数の推移ということで、スタートは、これは四万八千六百二十九者から始まっているんですけれども、何度も言われているように一気に一・五倍になったと。令和四年度が六万三千百二十七者になっているわけです。
それで、私がずっと疑問に思っていたのは、これは六万を超えてから二十年たってもほぼ横ばいなんだと。これは下の色、オレンジが新規参入でグレーが退出事業者数、オレンジの方が上回っているのが最近でもありますし、大体、一千者以上が入り、一千者前後がリタイアする、こういうふうになっている。何でそうなのか。なぜトラック業者の数は、規制緩和でこんなになっちゃったのに、結局、今も横ばいになっているのか、この点について、まず伺います。
○鶴田政府参考人 御指摘ありましたように、平成二年の規制緩和後、当時約四万者だった事業者数が、平成十九年頃までにかけて増加をして、その後は六万二、三千者ぐらいで横ばいになっているということでございます。
当初、平成十九年頃まで増加したのは、これは、新規参入が容易となったことや、それから、その後、近年のEコマースの拡大などがあるかと思います。その後、横ばいになっている要因は必ずしも明らかではありませんけれども、まさに、参入者数と退出者数が今拮抗して横ばいになっているというふうに認識をしてございます。
○高橋(千)委員 参考人質疑の中でもいろいろな議論があったわけですけれども、優良な事業者が撤退を余儀なくされて、残念ながらそうではない事業者が増えている、そういう理解もできなくはないわけですよね。そこの分析がないのかと。
○鶴田政府参考人 今御質問ありました、どういう事業者が参入をして、どういう事業者が退出しているかということについての網羅的な分析というのは今ないかと思いますけれども、ただ、大事なことは、ちゃんとルールを守ってやっている事業者、中には、それが守られていない事業者というのもあるかと思います。そういった悪質な事業者に対する対応を強化していくということが大切だと思っていますし、そのようにしていきたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 やはり、これからこの法案を、さっき施行日いつですかと聞きましたけれども、徹底していこうとするのであれば、この点もしっかりと分析をして、優良な、真面目な事業者がきちんと続けられる、そうではないところはやはり遠慮してもらう、そのような決意もなければならない、このように思っているんです。
参考人質疑の中でも、物流二法の影響は大きく、規制緩和には社会的規制が必要だが、市場競争に追いついていないという指摘もありました。
実際に、中小零細のトラック事業者では、荷主に運賃交渉はできないし、すれば、もっと安いところがあるからいいんだ、そっちへ頼むよと言われるわけです。だから交渉もできない。許可制になって、最低五台以上と駐車場があれば事業が始められます。その車両とは、必ずしもトラックでなくても、セダンでなければバンやワゴンタイプ、つまりは家庭で走っている自動車と同じでも構わないわけですよね。
ライドシェアではないけれども、全体として質を上げていくことも重要です。その問題意識がありますか。
○鶴田政府参考人 質を上げていくということも大変重要だと思います。こういった問題意識に立って、先ほどお話ありましたような、例えば、中小の事業者ですと、特に価格交渉力が弱い、そういったことではいけないということで、それを変えるための仕組みを今回、法律に盛り込んで、御審議をいただいているところでございます。
○高橋(千)委員 先ほどの資料の上の段なんですけれども、トラック運送事業者の車両に応じての内訳が書いてあります。
これを見ると本当によく分かるんですけれども、半数以上は十両未満の零細業者になっております。五四・七%。そして、その上の方を見ても、圧倒的に中小業者が多いということになります。
それで、今回、貨物自動車運送事業者のうち、大臣から指定される特定事業者、この基準と指定される事業者数、どのくらいになりますか。
○鶴田政府参考人 この法案では、運転者一人当たりの一回の運送ごとの貨物の重量の増加を図るということで、改正後の物流効率化法第三十七条に基づきまして、今御指摘ありましたように、一定規模以上のトラック事業者を国土交通大臣が指定をするというふうにしてございます。指定をされますと、中長期計画の作成などの義務づけがかかるということでございます。
御質問のありました、この指定の対象となるトラック事業者の基準につきましては、具体的には今後政令で定めることとなりますけれども、考え方として、日本全体の輸送量のうち半分程度をカバーすることができるように、保有車両数で申しますと、上位四百者程度を指定することを想定しております。
○高橋(千)委員 上位四百者程度と今おっしゃいました。二百両以上の車両を持つ事業者ということを聞いてあったのですけれども、それとはまた別ですか。
○鶴田政府参考人 同じでございます。上位四百者ぐらいが車両数で見ますと二百両以上ということでございます。
○高橋(千)委員 同じだというので安心しました。資料を見ていただくと、大体そうなっているわけです。それで、合わせると〇・六%くらいということで、全体の量は半分カバーしているわけだけれども、業者の数でいうと本当に一握りの大手のところなんだということです。
だから、大手の業者の方にちゃんと模範を示してもらうというか、率先してやっていただくというのもとても大事なことだと思うし、同時に、最初に言った中小零細の業者の人にしてみると、今度の改正は自分たちのことじゃないんだというふうにおっしゃっているんですよ。やはりそこに応えていく施策でなければならないなと思っております。
それで、貨物自動車運送事業者等は、三十四条で、運転者一人当たりの一回の運送ごとの貨物の重量の増加を図るための措置を講ずる、この努力義務を書いています。
確かに、営業用貨物自動車の積載率を見ると、三九・七%にすぎない。物流件数自体は増えているのに、貨物一件当たりの貨物量は、二〇二一年でいうと〇・八三トンと、小口の多頻度化が進んでいる。これがもっとまとめられれば、効率もよくなるし、ドライバーの負担も減る、これは分かりやすい話ですよね。
とはいえ、先ほど来言っている中小の事業所では、貨物をまとめられるかは、それは発注側の荷主だとか、あるいは元請次第ともなって、自らの努力ではなかなか難しいとおっしゃっている。どのように進めていきますか。
○鶴田政府参考人 今御指摘ありましたような努力義務、これを中小の事業者にも課しているところでございます。
ただ、同じくお話ありましたように、こういった輸送の効率化を中小のトラック事業者だけで行うということは大変難しいと思っております。したがいまして、この法案では、荷主等に対しまして、特に大規模な荷主等に対しては、計画作成の義務づけも含めて取り組んでいただくということを盛り込んでおります。また、元請トラック事業者に対しましては、荷主の取組に協力するという努力義務も課している、そういった規制的措置を盛り込んでおります。
さらに、令和五年度の補正予算などの支援も活用しながら、中小事業者を含めて、しっかり物流が持続的に成長するように取り組んでまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 荷主とそれから元請の役割といいましょうか、ここに対する指導だとか規制だとかが進んでいくということが大きな鍵なんだなということは、もう今日の議論の中でも明らかになってきたなと思うんですけれども、運ぶ荷物が分散されて効率が悪いだけではなくて、倉庫によって理不尽に待たされている現実があります。荷待ち、荷役に要する時間が長時間労働の温床になっていることは既に指摘をされてきたことです。
実際にドライバーがどのような状態で待たされているか承知をしているでしょうか。全国商工団体連合会が会員の運送事業者から集めた実態アンケートに寄せられた自由意見、それは大変厳しい、先ほど言った、大手ばかり見ているんじゃないか、全てが的外れだ、そういう意見さえ出ているんです。
その中で、待機の様子を紹介しますと、納品先では混雑時は二時間から四時間以上待たされたりもする、待つにしても、構内は狭いとの理由で、結局は路上で待機せざるを得ない。その路上が通学路であったりするわけですから、邪魔者扱いされると。しかも、トイレにも困ります。女性ドライバーを少しずつ増やしてきているわけですが、その女性ドライバーがトイレがないから大変なわけで、このアンケートに答えてくれた会社は女性に簡易トイレを渡しているということです。大変驚きました。やむを得ず路上で待つ、それで、トイレにどうしても行けないから中座したら駐禁切符を取られちゃった、こういう例は日常茶飯事になっている。大臣、どのようにお感じですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 私も、地元に小規模零細トラック事業者がたくさんいらっしゃって、地元に帰ったときに御挨拶回りする等のときにそういうお話を伺います。今の女性ドライバーのようなお話は今初めてお聞きしましたけれども、例えば、まさに道路で待たされる、その上に、ばら積み、ばら降ろしまで全部要求されるというような状況について、私自身も把握をしているところでございます。
今回、荷主、着荷主、発荷主、共に連携をして、こういうことがなくなるように頑張っていきたいと思っておりますし、国土交通省としても、そういう御意見を伺う場、相談窓口、それから目安箱、こういうものを設けて、また、トラックGメンのプッシュ型の情報収集等を行って、しっかりそういう声を聞き、また、そういうことがなくなるように頑張っていきたいと思います。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
警察庁に伺います。
貨物自動車の駐禁違反、年間どのくらいあるでしょうか。本来なら駐車許可証をもらえばよいはずなんですよ。だけれども、毎回最寄りの警察署にもらいに行く、それはその分の時間もかかるわけですから、余りにもドライバーにとっても負担です。何か工夫すべきだと思いますが、いかがですか。
○小林(豊)政府参考人 お答えいたします。
駐車違反の車両には放置車両確認標章を取り付けるということになりますけれども、その取付け件数については、令和五年中、全体では七十八万八百二十九件でありました。このうち貨物自動車については十四万九千八百四十七件、さらに、このうち営業用の貨物自動車については三万一千四百七十一件となっております。
また、貨物集配中の車両の駐車スペースの確保につきましては、物流の効率化のための課題の一つであって、警察におきましては、駐車場の整備等について地方自治体等への働きかけを推進してきたほか、駐車禁止規制の対象から貨物集配中の車両を除外するといった駐車規制の見直しを進めております。
また、駐車許可についてでありますけれども、道路交通法に基づきまして、駐車禁止場所であっても駐車することを可能とするものでございますが、その判断について、交通に与える危険性を考慮に入れつつ、ほぼ同一の全国の条件で警察署長が行っております。この駐車許可について、申請される方の負担軽減の観点から、駐車が可能となる時間や場所の柔軟な設定や、申請手続の簡素化に取り組むなど、運用の改善に努めてまいっているところでございます。
今後とも、運用の実態を把握しながら、関係団体の御意見を伺うなどして、更なる改善に努めてまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 更問いしないと約束していたんですが、やはりちょっと一言聞きたくなって。
営業用の貨物自動車が三万一千というお話だったと思います。実際に、かなりの数字だと思うんですよ。いない、中座しちゃまずいと思って頑張っているんだけれども、どうしようもなく離れたときに、離れた瞬間を狙って切符を切りに来る、そういう実態も聞かれていますよ。これは絶対おかしいし、そもそも理解が足りないんだと思うんです。
そうせざるを得ないこと、また、そういう、ちゃんと許可証という仕組みもあるということ、これを、本当に、切符を切る人も含め、そして倉庫業の人も含め、しっかりとした理解を進めていかなきゃいけないし、少なくとも、だから、労働時間も増えるけれども、切符を切られてその料金まで発生しちゃうと、これはもう二重に負担なわけですよね。これを全部ドライバーに押しつけちゃうのかって、それはあってはならないですよね。
この点で、再度の努力が必要だと、関係者に対しても周知していく必要があると思いますが、もう一言。
○小林(豊)政府参考人 お答えいたします。
取締りについてでございますけれども、現場においては、なるべく、悪質かつ危険なものに重点を置いて取締りを行うようにしておるところでございます。
また、先ほども申しましたが、まずは駐車ができる環境をつくるということにしっかりと力を使っていきたいと思いますし、また、駐車許可の制度そのものについての理解であるとか、どのような条件で駐車許可が行われているかということについての周知はまだまだしっかりしていく必要があると思いますので、警察庁からも都道府県警察に対して、その旨、これまでも指導しておるんですけれども、更にしっかり指導してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 はい、お願いします。これは国交省側もしっかりとお願いしたいと思います。
それで、契約にない荷役をさせられるということは、参考人質疑でトラック協会の馬渡副会長が、これは実は日常茶飯事であり、やめさせてほしいという告発がありました。スーパーの売場に並べるところまで求められている、だけれども、スーパーなので監視カメラで持ち出ししていないかとチェックまでされると。本当にひどいなと思いました。
先ほどの紹介した全商連のアンケート調査でも、荷役があると答えたのは八三・八%に上ります。その分を運賃に転嫁できているかという問いに対して、ほぼできていないと全くできていないを合わせると七割を超えているわけです。
本来、これはドライバーにさせるべきではないと思いますが、いかがですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 最初にちょっと私の修正をさせていただきたいと思います。
最初の御質問に、公布後一年以内に施行と答えるべきところ、一年以内に公布というふうに言ってしまいました。これは修正をさせていただきます。
今の質問でございますけれども、荷役作業をするかしないかということにつきまして、これは、荷主とトラック事業者間の契約に基づいて行われるべきものであると思います。もしするのであれば、契約にきちんと書いて、その分、対価を払う。しないのであれば、しない。そういうことを明確にすることが必要だ、このように思います。
○高橋(千)委員 そのとおりだと思うんですよね。はっきりさせる。ただ働きをしたり、労働時間に割り込むようなことがあってはならないと思うんですね。
昨年六月に、公正取引委員会が、令和四年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果及び優越的地位の濫用事案の処理状況についてを発表しました。三万名の荷主と四万名の物流事業者に書面を送り、一万八千四百五十九名、そして物流事業者一万七千九百二名からそれぞれ回答を得たと。その後、百一の荷主に立入りを、調査を行っています。一番多いのが買いたたき、二六・八%。次が支払い遅延、二三・一%。代金の減額、二二・一%。一つ一つ驚くわけですよね。
ある荷主は、物流事業者から引上げの要請がなかったことから、労務費、原材料費、エネルギーコストなどの上昇分の反映の必要性について明示的に協議することなく据え置いていたと。これは令和元年からそうだということです。
中には、また別のところですが、物流事業者との運賃値上げ交渉に応じず、三十年ほど前に定めた運賃表に基づく内容で毎年契約更新をして据え置いていたと。三十年も据え置いていたという、本当に驚きました。三十年間賃金が上がっていないというのも、全体、失われた三十年がまさにそうなわけですが。
それで、やはりトラックGメンも今頑張っているわけですが、今年になって二件だけじゃないかという話もあるんですが、やはりこういう連携をしているのは分かるんです。経産省や農水省などとも連携してパッケージも作り、法案にも、それぞれの大臣が判断の基準を定め、勧告、公表、立入りなど厳しい措置を書きました。その実効性を図らなきゃいけないんです。
国交大臣は、その上で、五十一条の中で、運転者の運送及び荷役の効率化と、特に必要があると認めるときは所管大臣に意見を述べることができる、こういうふうに書いていると思うんですね。やはり最終的には、国交大臣として、本当にこれが無理が起きていないようにちゃんと見て、意見をして、前に進める特別な役割があるんだ、このように思うんですが、いかがでしょうか。
○鶴田政府参考人 今お話がありましたように、各荷主所管大臣がしっかり取り組む、こういう規定を盛り込むと同時に、物流を所管しています国交大臣には、さらに、それらの荷主所管大臣に対して意見を述べることができるという規定を盛り込んでございます。
これは、今お話もありましたように、しっかりと、物流所管の立場から荷主に対して、荷主サイドでこういうふうにしてほしいということに気づくことのできる立場でもありますし、その際には、しっかりと意見を述べて連携を強めて取り組んでいくということだと考えております。
○高橋(千)委員 お願いします。連携するだけではなくてしっかりと意見も述べていただきたい、こう思います。
それで、厚労省にも伺います。
改善基準告示の中で、連続運転時間は四時間以内、運転の中断を一回十分以上、合計三十分以上としています。この運転の中断は原則休憩とすべしとなったわけですが、実態は、今まで話してきているように、荷役の時間も含まれている。でも、これじゃ全然休憩にならないわけで、むしろ大変だと。
これは、原則休憩ということをちゃんと休憩にするということを徹底することと、荷役をした場合はちゃんと労働時間としなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
○梶原政府参考人 お答えをいたします。
委員から御指摘がありましたとおり、四月一日から運用しております新しい改善基準告示においては、原則として休憩を与えることというふうに明示をしております。労働基準監督署の監督指導等においては、事業主からの提出資料や説明により運転の中断時における休憩の取得状況を確認をしまして、中断時に荷役作業等を行っている場合は原則として休憩を与えるよう指導することとしております。
また、荷役の関係の御指摘がございました。仮に、あらかじめ運送契約に入っていない場合であっても、現場で荷主の指示に従って運転者が行う荷役の作業は、通常、使用者の明示又は黙示の指示により行われるものと考えられます。その時間は労働基準法上の労働時間に該当いたします。これを労働時間として取り扱っていない事実が確認された場合には、労働時間として取り扱うよう是正勧告等を行ってまいります。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。はっきりした答弁だったと思います。原則休憩というのがきちんとできるように指導するということと、契約に明示されていなくても、これは指示があってやったということでは労働時間となるということで、是正勧告もあるということでありました。しっかりと貫いていただきたい、このように思います。
もう一つ、今度は経産省に伺いたいと思うんですが、コンビニチェーンに限って質問いたします。
同じ企業のコンビニが市内に集中していて、これをトラックが回って朝昼晩とお弁当などを届けているというのが大体のシステムなのかなと思います。受け取る側の店舗は第二種荷主になるのかと思うんですが、問題は、ここに指示を入れているフランチャイズチェーンの本部が、今回、連鎖化事業者として荷主と同様の規定が設けられていると思います。
それで、商品の入替えを一日三度から二度に減らすなど、各チェーン店でも自主的取組が始まっているようですが、自主的行動計画をもちろん尊重しつつも、やはり国として、これを思い切って改善するという考え方を示していただきたいと思うんです。
それで、さっき駐禁の話をしました。聞いていただいたと思うんですけれども、コンビニには、トラックドライバーが休めるような広い駐車場を持っているコンビニもある一方で、駅ビルの中にもたくさんコンビニはあるわけですよね。そうした場合の待機場所、どのようになっているのか。ドライバー任せにしないで着荷主が確保すべきと思いますが、いかがでしょうか。
○山影政府参考人 お答えいたします。
荷待ち、荷役時間の削減、これは、物流効率化に向けまして、運送事業者のみならず、荷主等の関係事業者、この場合、先ほど委員からも御指摘ありましたとおり、フランチャイズの本部のことでございますけれども、その方々の取組も極めて重要と考えてございます。
本法案では、コンビニエンスストアを始めとするフランチャイズ業態につきまして、貨物の受渡しにつきまして指示を行うフランチャイズ本部を連鎖化事業者と捉えまして、必要な義務を課していきたいと考えてございます。これに基づきまして、本法案成立後はきちっと指導助言等をしていきたいと考えてございます。
その上で、先立ちまして、昨年になりますけれども、昨年六月に、非効率的な商慣行の是正に関するガイドラインを経済産業省としてお示ししました。これに基づきまして、コンビニ業界を含めまして、業界あるいは分野別の自主行動計画の策定を呼びかけたところでございます。
これに基づき、大手コンビニ各社が加わります日本フランチャイズチェーン協会、昨年末、十二月になりますけれども、自主行動計画をお作りいただきまして、この中で、委員御指摘のような配送回数の削減といったものについても含めまして、効率化の取組が盛り込まれてございます。
なお、この行動計画を作る際には、経済産業省も一緒になりまして、どういうふうにしていったらいいんだろうかという形で一緒に作らせていただいてございます。
こういう計画に基づきまして、既に、委員から御指摘がありましたとおり、配送回数を減らすといったような具体的な取組が始まってございます。私どもとしても、こういう取組を各者だけにとどまらず業界内でも広げていただく、あるいは、もっといい方法はないかといった形で意見交換を進めていきたいと思っていますので、こういった中で必要な助言あるいは指導というのをやっていきたいと考えてございます。
それから、もう一つの御質問でございますけれども、店舗に商品を配送する際のトラックの待機場所でございます。これも、各業者にお聞きしますと、今御指摘がありました駅ビルといったところ、確かに各施設ごとに荷降ろしする場所が決まっていたりします。これは、どちらかというと、施設の管理会社の方が、ここでこの時間でやってくださいと言っているようなケースがあるようでございまして、大体それに従っているケースが多いというふうに伺ってございます。
他方で、全てのケースがそこまで丁寧にされているわけではございませんので、それぞれ業態によって、あるいは場所によっていろいろな事情がございます。それを一概には決められないんですけれども、それぞれの実態に合わせて対応していきたいと考えてございます。
その際、やはり駐車場の確保、これが前提でございますが、それが確保できない場合、先ほど警察庁からも御指摘ありましたが、路上に駐車する場合であっても、駐車規制に従って適切な場所にトラックを置いていただく、こういうことをすべきだと考えてございますので、いずれにしましても、荷主側、フランチャイズ店、本部、それから運送事業者、この四者が全てでよく話し合っていただくことが大事だと考えてございます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
改善が始まっていると思いますし、今最後におっしゃった駐車の問題は、よく連携をして、ドライバーの負担にならないようにお願いしたい、このように思います。
それで、資料の一枚目に戻りますけれども、実運送体制管理簿、これが、下の方がイメージ、あくまでもイメージであって、よくよく見ますと、様式が特に決まっていないし、電磁的記録でもいいよというふうに書いています。それと、流れが上の方にあるわけですけれども、ここに書き込むことが何で、これにより得られる情報と期待される効果は何かを伺います。
○鶴田政府参考人 実運送体制管理簿には、この図にありますように、荷主ごとに整理をして、書き込む情報としては、実運送事業者の名称、それから、その事業者が何次請なのかの下請次数、さらに、貨物の内容及び運送区間などを記載することとしております。
もう一つ関連しまして、今般、標準的運賃を見直しました。その中で、新たに下請手数料を設定したところでございます。
この二つ、すなわち、管理簿と手数料、この二つを組み合わせますと、元請事業者においては、その実運送事業者が収受すべき運賃の総額に下請手数料の総額を上乗せして、その金額を荷主に求めるということが可能になります。一方で、荷主の側からしますと、運送コストを適正化すべく、過度な下請構造の回避を元請事業者に求める、これが可能になります。
これまで、こういったことをやろうとしても、いわば手段がなかったわけですけれども、今般、この手段を整えた上で、今申し上げましたような取引の中で運賃交渉を続けていただくことによって、多重下請構造の是正が図られるというふうに考えております。
○高橋(千)委員 間に何次請まで、自分のところが何次請なのかなというのは、上から来ますと、今二次だわというのは分かるわけですけれども、最終的にどこまでいったかというのは、最後に運送する実運送の方しか分からないわけですよね。
これが全体として、あっ、いや、実は六次までいっちゃったわとか、例えば分かったときに、今おっしゃったように、じゃ、荷主がそれを把握して多重下請にならないように要請ができるとおっしゃったけれども、そのことのインセンティブがあるんでしょうか。
つまり、今までも、元請も含めてですよ、頼んだら、その先、最終的に誰が運んでくれたのかも分かっていない、そういう実態があるということが議論されてきたんだけれども、これを正していかなきゃいけないんだということが、元請にも荷主にもちゃんと伝わるのか、それが分かったことだけでは伝わらないんじゃないかと思うんですよね。だって、払うものを払っちゃったと、それで済むわけですから。
そうじゃなくて、最終的にはきちんと実運送のところに標準的な運賃が届いていて、そうなっているかどうかに対して、まず、荷主も元請も責任があるという理解でよろしいのかということを。
○鶴田政府参考人 まさにその実運送をしている人のところに標準的な運賃が届くということが大事で、それをしっかりやっていかないと、これから運び切れなくなってしまうかもしれない、そういう危機感をみんなで共有をして、今回、この道具を作るわけですけれども、これをどういうふうに使っていくかということ、実効性が重要ということは、御指摘のとおりだと思います。
したがいまして、荷主サイド、それから元請事業者サイド、両方に対して、これを使ってこういう形で、実運送事業者にちゃんとしかるべき運賃が届くように、これをみんなで取り組んでいくんだということを、関係省庁とも連携して進めてまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 ちょっと最後は精神論になってしまうような気がして、やはり、ここまで見える化をしたんだったら、それが強制力になるくらいの仕組みをつくらなきゃいけないと思うんですね。
これは、真ん中ら辺、ちっちゃく書いているんですけれども、オレンジの囲みのところ、「いわゆる「水屋」や「マッチングサイト」等を使って下請に出す行為を行う場合も、当該事業者は、適正化に係る努力義務を負う」、大事ですよね。これはこの中にちゃんと見えるようになりますか。
○鶴田政府参考人 マッチングをする事業者自体はこの管理簿の中には登場しないわけですけれども、ただ、これが、マッチングということは、つまり取次ぎですので、必ず発注者と受注者がいる、この構図を明らかにするということでございます。
その上で、それを単なる精神論で終わらせないために、トラックGメンとそれから関係省庁との連携をしてこれを進めていく、しっかりと是正していくということとセットで進めていきたいと思っております。
○高橋(千)委員 ずっと最初からこの水屋の問題が議論されてきて、やはり登場しないというのはまずいと思うんですよ。なくしてしまえというと、そこまではできないと、事業者の方もいろいろな今の実態があるというのは、それは了解しました。その上で、でも、やはりきちんと役割を果たしてもらうという意味では、管理簿の中に登場できる仕組みをつくるべきだと思います。
燃料費が、例えば一リットル十円上がった際に、月の負担増は十八万五千五百七十円になると、さっきの調べの中で出てくるんですね。結局、それが転嫁できているのは二三・六%にすぎないと。だから、実運送事業者がその分丸かぶりするのでなく、最後まで届く仕組みをつくるべきだ。結局その分が水屋に取られているだけだよという声もあるんです。こうしたことを見える化してこそ、本当の意味での今回の法改正の意義があると思います。
今日は時間をふだんより多くもらったのでいっぱい質問を用意したら、逆に質問を余してしまいまして、残念ながら、ここは強く指摘をして、要望して終わりたいと思います。ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、長友慎治君。
○長友委員 国民民主党の長友慎治でございます。
四月になりまして、トラックドライバーの残業規制が始まりました。そのこと自体は、働き方改革を実現していく、労働環境を改善していくということで大変歓迎すべきことでございます。
一方で、首都圏などの大消費地から遠く、輸送距離が長い地方にとっては、試練の始まりというふうにも受け取られております。ドライバーが一日で運べる距離が減りまして、遠隔地ほど輸送日数や人件費の増加につながります。ドライバー確保には運賃値上げによる賃金の改善が必要ですが、事業者の大半は中小零細で立場が弱く、荷主と協議すらできない場合も少なくありません。
野村総合研究所が昨年一月、二〇三〇年の輸送力見通しを公表し、運転手不足により全国で三五%の荷物が運べなくなると予測をしていますが、特に、東北は四一%、四国四〇%、北海道と九州は三九%が輸送できなくなるというふうに指摘をしているところです。
燃料費の高騰もおもしとなる中、廃業や長距離輸送撤退を決める事業者も出てきています。九州トラック協会の馬渡会長は、運賃値上げに応じてもらわなければ誰も運ばなくなるとの危機感も示しているところです。
今回の法改正に地方ほど大きな影響が出るということについての配慮はあるのか、伺いたいと思います。
○鶴田政府参考人 二〇二四年問題による輸送力の不足につきまして、データに基づいて推計をしますと、特に地方部の物流において影響が大きいというふうに試算されております。一方で、首都圏を含めて日本全国の暮らしと経済が地方部との物のやり取りで成り立っているというのは、大変重要な事実かと思います。
これを踏まえまして、昨年六月の政策パッケージなどに基づきまして、令和五年度補正予算も活用しながら、例えば、日帰り勤務を可能とするような中継輸送拠点などの物流拠点整備、また、モーダルシフトを進めるための大型コンテナの導入や、内航海運、鉄道貨物の拠点機能強化などの支援を、物流事業者、それから荷主、関係省庁とも連携して進めております。
加えまして、標準的運賃の引上げですとかトラックGメンによる荷主の是正指導、これらは、中小零細なトラック事業者も適正運賃を収受できるような環境整備ということでございます。
これらを通じまして、地方部、また中小零細事業者にしっかり目を向けて、物流の維持、確保を図ってまいります。
○長友委員 中小企業、零細にしっかり目を向けていただけるというお言葉をいただきました。
私は宮崎の出身なんですけれども、九州は首都圏まで走行距離が千キロ以上あります。燃料が要るし、労働時間も長くなります。このまま運賃が上がらず、高速道路代や燃料費もきちんともらわなければ、もう九州から物が運べないということにもなりかねません。残業規制により長距離輸送から撤退する事業所も出ているということは先ほどお伝えしましたけれども、是非その辺りも政府も目配りをいただくことを強くお願いしておきたいと思います。
また、今回の法改正によって、規制に抵触すると考えられるルートについては、中継輸送や鉄道輸送への切替えなどの改善策を荷主や産地にも当然提案をしていきますし、政府もその働きかけをしていただいているというふうに認識はしております。
長距離輸送は、出発地から消費地までの直送が難しくなりまして、ストックポイントを介した中継輸送が必要になります。共同の物流拠点を使う分、やはり更に必要経費は増えるわけなんですね。更に運賃上昇は避けられない。その点を、荷主も運送業者も、そして我々も、国民も理解していく必要があるというふうに思います。
モーダルシフトの説明もいただきましたけれども、トラックから船便へ切り替える場合、フェリーの出港時間というのは決まってくるわけですね。フェリーの場合、五分でも遅れれば、輸送が一日の遅れにつながるということにもなりかねません。届ける時間に沿って組み立てる運送体系に合わせて、現場も変わっていかなければならないというふうに認識をしているところです。
そのような現実を広く政府も啓蒙していただきまして、地方から活力を奪わないように努力をいただくことをお願いしまして、次の質問に移りたいと思います。
運送事業者の皆様から、高速道路料金をもらえないため下道を走るしかなく、長時間労働を招いているとの声が聞かれました。ドライバーの残業時間を減らすためにも高速道路は使った方がいいというふうに考えますが、高速道路料金を荷主に請求することについては今回の法改正で担保されるのか、伺いたいと思います。
○鶴田政府参考人 この法案におきましては、元請事業者等に対して、下請行為の適正化に係る努力義務、これを課すこととしております。その努力義務の中には、実運送事業者が適正運賃を収受できるように荷主と交渉を行うということも含まれております。
その上で、適正運賃の中には、高速道路を使う場合には高速道路料金というのが当然含まれるわけでございます。
このため、今年の三月に見直しました標準的運賃の中に、有料道路料金を新たに項目立てをして明確化をいたしました。また、逆に有料道路を利用しないことになりますと、運転が長時間になるということで、有料道路を使わない場合には、今、この点を考慮した割増しというのも設定したところでございます。
○長友委員 有料道路料金というものをきちんと明確にしていただいているということですので、それも現場に徹底していかないといけないと思うんですが。
でも、現場で、やはりこういう声が出てくるんですね。運賃交渉については協議してくれない荷主がまだいるというふうに、運送業の社長の方から聞いています。多重下請の中、立場が弱く、もしそういうことを要求したら、あしたからもう要らないというふうに言われるのが怖い、心情的に。それで協議を言い出せない事業者というのがまだいらっしゃるというふうに聞いています。
人手確保のためにも、国が定めた標準的な運賃は荷主が払うように、また、かかる費用なども応分の負担をするように目を光らせる必要があると思いますので、政府の方も取組の強化はお願いしておきたいと思います。
政府としては、ちゃんとそれはできるんだよと言っても、現場でそれが、じゃ、実際に行われているかというと、できていないということが、ちゃんと政府も認識していただければいいんです。その点を強調しておきたいと思います。
次に、荷物をトラックに積み込むまでの荷役作業を運転手が担う場合があるということは、さんざんこれまでも議論をされてきておりますし、皆さんも認識をされていますが、物流業界において女性を含めた多様な人材を確保しようとなると、この荷役作業が負担になってきます。
国交省として荷役作業の負担軽減に資する機械の導入支援を行っていると、先日、本会議の方で大臣から答弁をいただいております。具体的にどのような機械の導入の支援をしているのか、また、その際の補助率等につきまして教えてください。
○鶴田政府参考人 御質問のありました荷役作業の負担軽減に資する機械の導入支援としまして、具体的には、トラックの後部、後ろに装着する昇降装置、リフトでございます、籠台車などによる荷役を可能とするテールゲートリフターと呼ばれる機器、また、重量物ですとか高低差のある現場において貨物の積卸しを効率化するトラック搭載型のクレーン、こういったものの導入を支援することとしております。
補助率につきましては、これらの機器の通常の価格の六分の一というふうになっております。
○長友委員 テールゲートリフターとかトラック搭載のクレーン、その補助をしていただくのは大変ありがたいんですけれども、今お聞きしたように補助率が六分の一ということで、六分の五は事業者負担ということですよね。
先ほどもお話ありましたけれども、今回の法改正、中小零細の方たちからすると、私たちには関係ないと思っているという声も上がっていましたけれども、補助率六分の一で使うのかな、現実問題、使えるのかなというふうに私は思います。
結局、そういう補助率を聞くと、ということは、中小零細の経営者は、自分たちは淘汰されていい、淘汰される対象になるというふうに思っているんじゃないかと言われても仕方ないと思うんですね。
物流の二〇二四年問題を本気で危機として考えるのであれば、国として十分の十を補助して、中小企業、零細の皆さんがしっかりテールゲートリフターやトラック搭載のクレーンを使えるように私はすべきだと思うんですけれども、その点についても是非もう一言見解を伺いたいと思いますが、いかがですか。
○鶴田政府参考人 現在の補助率でございますが、トラック事業者の九九%以上が中小事業者である、そういう状況の中で、できる限り多くの事業者に補助制度を使っていただきたいということで、今の補助率としております。
国土交通省としましては、中小事業者も含めて、しっかり効率化を進めて、人材確保ができるようにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○長友委員 できるだけ多くの事業者に使っていただきたいという思いは私も同じです。じゃ、結果、本当に多くの事業者が使うのかどうかということに関しては、これからも注視していきたいと思いますので、是非取組をお願いしたいと思います。
続きまして、レンタルパレットの普及についての質問になります。
物流の現場でのパレット化を進めることで荷物の積込み時間を短縮することができますが、大半は持ち主不明の、これまで、雑パレが使い回しをされていたというふうに認識しています。
政府は、従来のパレットに代えて一・一メートル四方のレンタルパレットを推奨していますが、普及させるには、紛失を防ぐ仕組みが必要になるというふうに思います。
特に青果市場とかなどでは、市場に着いた後、場内業者や、他の市場など行き先が多岐にわたってくる、そうしたときに、パレットの借主である人たちがパレットの行方をたどるというのが困難になってくるんじゃないかというふうに言われています。
このレンタルパレットの紛失対策については、政府はどのように取り組むのか、これは国交省と農水省、それぞれに伺いたいと思います。
○鶴田政府参考人 まず、国交省からお答え申し上げます。
令和三年六月に官民の協議会を設置しまして、パレットの標準化に向けて議論いただいています。この中で、今御指摘がありましたように、平面サイズが百十センチ四方、いわゆる一一型を普及させていこう、運用の方式としては、レンタル方式を推進していこうという方向で進めております。
御指摘のとおり、レンタルパレットの活用促進に向けましては、紛失、流用防止に向けた取組、これが大変重要でございます。
このため、国土交通省では、予算を確保しまして、レンタルパレット事業者におけるパレットの動態管理への取組を支援してございます。
また、あわせまして、レンタル事業者と荷主との契約締結の徹底などを通じて紛失防止をするということについて、今申し上げた協議会で議論いただいております。
○小林(大)政府参考人 青果物分野の取組についてお答えを申し上げます。
農林水産省では、令和五年の三月に、青果物分野におけるパレット循環体制などについて定めました青果物流通標準化ガイドラインを策定いたしました。
このガイドラインにおいては、先ほど御指摘のありました一一型を標準パレットサイズとしまして、その運用はレンタルを基本とするということとした上で、各卸売市場におきまして、開設者を中心に、卸売業者でありますとか仲卸業者等の関係者が場内物流改善体制というものを構築いたしまして、レンタルパレットの紛失防止を含む、場内におけるパレット管理の徹底などに取り組むこととしております。
これに基づきまして、例えば、レンタルパレットの転用や二次利用を行わない、卸売事業者は、産地からのレンタルパレット枚数、それからレンタル業者への返却枚数、こういったものを把握する、運送事業者などにも返却ルールの周知徹底を図るといったようなルールの策定などが進められているところでございます。
農林水産省といたしましては、引き続き、各市場におけるこうした取組を後押しすることでレンタルパレットの紛失を防止し、青果物分野におけるパレット循環体制の構築に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○長友委員 ありがとうございます。
農水省の方から、パレットの循環体制を構築していただけるという話がありましたが、今回の物流の二〇二四年問題で一番早く影響が出るのではないかと言われているのが、価格負担力のない農産物だと言われています。
例えば、九州の熊本県に立地する半導体工場から単価の高いものをもし運べるようになれば、運送業者は当然、地元の農産物を運ぶよりも、半導体工場からの仕事を優先するということになるんじゃないか、そんな懸念が示されているところです。
九州の農産物は、六割が九州の外に出荷されています。このように、産業への影響というものが当然出てくるわけなんですけれども、私が今日お聞きしますけれども、例えば、農業分野に対してであったり他の産業の分野に対して、この二〇二四年の物流問題が他の産業に影響が及ぶということについて、政府はどのように手当て、配慮していくのか、見解を伺いたいと思います。
○小林(大)政府参考人 お答え申し上げます。
この物流二〇二四年問題につきましては、昨年六月に策定しました物流革新に向けた政策パッケージに基づきまして、関係省庁が一体となって物流革新に向けた取組を進めているところでございます。
特に、遠隔地、遠隔の産地から消費地への輸送が不可欠な農産物、これにつきましては、極力コスト増を抑制しながら産地の物流を確保する、これができるように、産地での共同集出荷施設の整備によりまして、荷の大型化でありますとか、ドライバーの待ち時間の縮減、こういったことを通じて物流負荷を軽減するほか、標準仕様パレットの導入によりましてドライバーの荷役を縮減するといったような取組を推進しているところでございます。
また、鮮度の低下というようなものを招かないように、産地での予冷施設の整備でありますとか、中継物流拠点での保冷荷さばき施設の整備、こういったものも併せて進めることとしております。
農水省では、昨年十二月に、農林水産大臣を本部長といたします農林水産省物流対策本部、これを設置いたしまして、現場の課題解決の取組を開始したところでございます。今後も、農業団体でありますとか食品産業団体のほか、物流団体の協力も得て、関係者が現場に入って問題解決に取り組んでいく考えでございます。
○長友委員 地元のものとか地域のものが、物流がネックで売れなくなるということになれば、地域の経済が当然シュリンクしていくわけですね。特に、農産物が売れなくなるとかということになると、生産者が離農するというようなことにつながっていきかねません。そうなると、食料安全保障の観点からも問題になってまいります。
この青果物の輸送は、産地と地元の運送会社が結びついて機能してきた側面がどうしてもありますので、現状、仕事を得るために安い運賃で引き受けて、選果や梱包作業も無料で請け負ってきた会社も、これまでどうもあったというふうに聞いています。しかし、そのような輸送は限界を迎えていますので、この点においても引き続き、手当て、配慮をお願いしまして、地元のもの、それから地域のものが物流がネックで売れなくなる、そういうことにならないように、しっかりと目配りをお願いしたいというふうに思います。
続きまして、輸送するときの負担になるのがガソリン代になってくるんですけれども、政府は、四月末を期限としていましたガソリン補助金制度を一定期間延長する方針というふうに聞いています。
円安進行や長期化するロシアのウクライナ侵攻、中東地域での紛争などで、原油の輸入価格が高止まりをしています。
補助金は二〇二二年の一月に開始され、制度の拡充や縮小が繰り返されてきました。四月末以降も延長するとなると、七回目の延長になります。現行制度では、レギュラーガソリン一リットル当たり小売価格を百七十五円程度にするために、約九円から三十七円分を抑制をしてきましたけれども、かなり巨額の予算を既に費やしています。経済産業省によると、補助金を十円支給すると月一千億円が必要で、これまでに積み上げた予算規模は総額六兆四千億円に上っています。
ガソリン代の高騰は輸送コストにダイレクトに影響をしてきます。物流運賃の適正化のためにも、トリガー条項の凍結を解除するというふうに考えるべきだと思いますが、大臣に見解を伺います。
○斉藤(鉄)国務大臣 今般の標準的運賃の見直しにおきまして、燃料費の高騰分を反映させました。また、新たに下請手数料を設定いたしました。これは、下請に出す際に、その手数料を運賃から差し引くのではなく、上乗せして荷主から収受するという考え方に基づくものでございまして、これにより、実運送事業者は適正な運賃を収受できるようになる、このように考えております。
また、この法案におきまして、実運送体制管理簿の作成を義務づけることによる運送体制の可視化や契約条件の明確化を図るとともに、トラックGメンによる、悪質な荷主、元請事業者等への是正指導の強化によりまして、トラック運送業における適正な運賃収受を一層推進していくこととしております。
長友委員からトリガー条項に関しての御質問でございますが、トリガー条項をどう考えるかということについて私の立場から申し上げるのは差し控えさせていただきますが、冒頭申し上げましたように、燃料費の高騰分を反映させた標準的運賃、これを徹底することによって、その燃料費の高騰が物流事業者にしわ寄せされることがないようにしっかり対応していきたい、このように思います。
○長友委員 燃料費の高騰が物流事業者に負担にならないようにということはちゃんと配慮をいただけるということでございますけれども、トリガー条項の凍結解除を私たち国民民主党はずっと訴えてきて、そのときのできない理由の一つとして、ガソリンに頼るということは脱炭素化の流れにも反する、そういう説明を受けたこともあります。
その上で、次の質問なんですけれども、それであれば、物流に関して、トラックの電気自動車化ということも積極的にやはり進めるべきじゃないかというふうに思うわけですが、現状、政府としての取組についてお示しいただきたいと思います。
○鶴田政府参考人 トラックでございますが、これは、運輸部門のCO2排出量の約四割を占めております。二〇五〇年に自動車分野でのカーボンニュートラルを実現するためには、トラックの電動化を促進することが大変重要でございます。この電動化には、今御指摘ありました電気自動車もございますし、それから、適材適所で、その他の水素、合成燃料等々、いろいろな選択肢があるかと思います。
国土交通省としましては、これまでも、省エネ法に基づく規制ですとか、それから補助制度などを通じて、トラックの電動化を後押ししてまいりました。
具体的には、省エネ法において、トラック運送事業者に対しまして、電気トラックを始めとする非化石エネルギー自動車の保有割合につきまして、昨年四月に目標を設定したところでございます。
また、電気トラック等に対する補助につきましては、関係省庁とも連携しまして、今年度に活用可能な予算としましては、前年度の約三倍となる四百九億円を確保してございます。
国土交通省としましては、引き続き、今申し上げました様々な取組を通じまして、トラックの電動化に取り組んでまいりたいと考えております。
○長友委員 はい、分かりました。
次の質問に移ります。
私たち、物流の恩恵を受ける国民一人一人、消費者も、やはりこの物流の二〇二四年問題にしっかりと自分事として捉えていくという機運をつくらないといけないというふうに感じております。最近では、再配達を減らすなど、身近な点で消費者の意識が少しずつですが変わりつつあるのかなというふうに感じていますけれども、物流が滞ってくるとか、これまでと同じようにいかないとなってくると、当然、商品の種類が少なくなってくるとか、欠品が起きてくるとか、そういうことも甘受する必要が出てくるのではないかというふうに思いますが、その点においてはまだ消費者の意識の変化が必要なのかなというふうに感じるところでございます。
この配達の遅れや欠品に対し寛容になる社会の醸成に取り組むことが必要だと考えますけれども、政府の取組について、大臣にここは伺いたいと思います。
○斉藤(鉄)国務大臣 配達の遅れや欠品に対して寛容になる社会、そういう社会を目指して、社会のそういう意識の醸成が必要ではないかという、大変根本的な御質問をいただいたと思います。
ある意味で、哲学的なところには答えられないんですけれども、少なくとも、我々としては、二〇二四年問題に対応し、物流の持続的成長を実現する上では、今、長友委員御指摘の点も含めて、消費者の意識改革、行動変容を促す取組が必要だ、このように考えております。
このため、国土交通省では、昨年六月の政策パッケージなどに基づきまして、消費者に対して、物流が果たしている役割の重要性やその危機的状況、取り組んでいただきたい事項を伝えるため、広報を実施することとしております。
例えば、昨年に引き続き、本年四月を再配達削減PR月間といたしまして、関係省庁や宅配、通販事業者と連携して、再配達がドライバーの大きな負担となっていること、それから、ゆとりある配送日時の指定など消費者の協力が必要であることについて周知を行っているところです。また、消費者が物流の二〇二四年問題を自分事として感じ、幅広い意識改革につながることを期待しております。
少なくとも、我々国土交通省としては、こういう配達してくださっている方、また、物流事業者に思いをはせて意識改革をしていかなきゃいけない、このように考えておりまして、関係省庁とも連携し頑張っていきたい、このように思っております。
○長友委員 大臣、ありがとうございます。
大臣としましても、消費者のこの理解を増進することが必要だということで、取組をお願いしたいと思っております。
当然、トラックドライバーの皆様だけの問題ではなくて、消費者も物流に対する理解がやはり必要だと思います。運転手の労働環境の改善などに伴ってコストも当然増える、業界の努力だけで吸収し切れない分は仕方ないものと理解するということが必要だと思います。さらには、ゆとりある配送日指定をするとか、何げない行動が物流に負荷を与えていることを意識をしていくということを、是非、政府としても取組として啓蒙をしていただきたいと思うんですね。
正直、この二〇二四年物流問題はピンチだと思うんですね、社会としても。ただ、この社会インフラである物流が、今度効率化をさせていかないといけない、そうすることは、つまり、イコール社会の生産性を上げていかなければならないということだと思うんです。物流のこの持続的成長をこれから続けていかなければならない。つまりは、これは社会の持続的成長にもつながってまいりますので、社会全体でこのピンチをチャンスに変えるんだ、そういう機運を、是非、大臣のリーダーシップの下、醸成をお願いしたいというふうに思います。
最後、これは通告をしていないんですけれども、大臣、是非、私の地元の特積みをする企業の社長さんからの実態を御紹介させていただきますので、最後、見解を伺わせてください。
私の地元、宮崎ですけれども、この特別積み合わせの貨物運送を行う中小企業の社長から、この前お会いしてきて話を聞きました。その方は七十七歳でいらっしゃいます。自分の会社のドライバーが足りなくて、一か月以上休みをもう取れていないというふうにおっしゃっていました。
本人だってもちろんハンドルを握ります。いろいろ、昼間、事務作業、事務処理、自分のところの社員の世話をして、夜もいろいろ文書整理等をして、そして、どうしても運転手があした足りないとなれば、この社長自身、徹夜明けでハンドルを握ることもあるんだよというふうにおっしゃっていました。それぐらい現場が厳しいということなんですね。体がきつくて、本当ならやめたいぐらいだけれども、社員の生活を守るために、また会社を守るために、自分が老体にむちを打ってハンドルを握らないといけないと。涙ながらに、私は話を聞きました。
その社長は、これは多重下請構造の中で仕事を振ってくれる元請の人に、運賃を改定してほしい、これはもう十何年以上前からずっと言い続けているとおっしゃっていましたけれども、荷主の方から他のところに仕事を振るからもういいと言われかねない、そういうふうに元請の人が説明するんだと。今回の法改正も本当にそこが改善できるのかというふうに言われておりました。
また、ほかの荷主からは、電気や燃料の値上げに応じるのが精いっぱいで、運賃上昇までは対応できないと実際に言われたというふうにもおっしゃっていたんですね。
そんな中、私、ずっとその社長の働く姿が頭に浮かんでいた中で、今朝、ニュースを見たら、昨夜、愛知県で小学三年生の女の子が大型トラックにひかれ、死亡したという事故を報じていました。トラックがコンビニの駐車場に入ろうと左折した際に、歩いていた小学三年生の女児をはねてしまったということでありました。私は、トラックの現場、運送の現場の疲弊が続くと、このような事故がもしかしたら増えてしまうのではないか、そんな心配をせざるを得ません。
目の前の大型トラックを運転しているドライバーが、体力の限界を超えてハンドルを握っているかもしれない。体調不良を押して仕事をしているかもしれない。睡魔に襲われているかもしれない。そんな環境で働かせていい職場では決してないということは、もう皆さん分かっているとおりでございます。
今、春の全国交通安全運動をまさに実施中ですけれども、今回の物流の二〇二四年問題を改善するための法改正が、このような不幸な事故をなくして、交通事故死亡ゼロにつながるということを切に願いたいなと、今日の朝の事故を見て本当に思いまして、この七十七歳の私の地元の特積みの運送業を経営する社長の姿が思い浮かんだんですが、現場に寄り添うということはこういう事業者に寄り添うということだと、大臣、私は思うんですね。
大臣として、もう一度、物流の二〇二四年問題に対して、このような痛ましい事故が起きないように努力いただくということを、決意を改めてお聞かせいただきたいと思います。
○斉藤(鉄)国務大臣 今の長友委員のお話、心して聞かせていただきました。その七十七歳の社長さんのお話、その他の社長さんのお話、また愛知県の交通事故のお話、そういう今の現状を打開すべく、今回の法案、これは政府も、岸田総理を始め、関係閣僚会議を何回も持ち、政府を挙げて取り組んでいこうと。
今回は、荷主、着荷主、発荷主、社会全体の意識を改革していかなければ改革できない問題だ、こういう認識の下、経済団体とも関係閣僚会議で、総理の下に経済団体のトップの方にも来ていただいて、こういう改革をするので協力をしてほしいというようなお話も総理自らしていただいたところでございます。
今回のこの法案、その第一歩だと思いますので、大きな効果が出るように、私も全力を挙げて、国土交通省を挙げて、そして関係省庁ともしっかり連携を取りながら、全力を挙げて頑張っていく決意でございます。ありがとうございました。
○長友委員 大臣、ありがとうございます。
私たち議員一人一人も、関係省庁と協力をして、このような痛ましい事故が起きないように、実際に取り組んでまいりたいと思います。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○長坂委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時三十七分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○長坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。福島伸享君。
○福島委員 有志の会の福島伸享でございます。あと午後少しでございますので、張り切ってまいりたいと思います。
この法案を審議するに当たって、ふだん、大体二十者前後、おつき合いをしている運送会社があるんですけれども、皆さんの周りを回っていろいろなお話をお伺いしてまいりました。相変わらず、政府の二〇二四年問題の対策とか、この法案に対する評価は低いと思うんですね。
何が一番低い理由かというと、やはり地方の中小運送会社の声が届いていないということで、参考人質疑に私が立たせていただいたのも皆さんネットで見て、メールや電話で様々なコメントをいただいて、全然現場感覚がない議論をしているねと、お叱りをいただきました。
私はこれまで、昨年の五月十二日の国交委、そして十一月の委員会で、大臣に対して、是非、中小零細に直接聞いて、そこに当てはめる対策をつくっていただきたいと申し上げまして、五月に、大臣は、本当の中小零細事業者から意見を聞く機会を設けたいということで、十一月の委員会の答弁では、トラック協会に加入していない中小零細事業者の二十三の事業者と一つの組合から意見を聞かれた、かなり辛辣な意見もいただいたというふうに御答弁されていますけれども、そうした声を受けて今回作った対策、法案というのは、そうした中小企業の皆さんの声を受け止めて、それに対応するようにできたと胸を張って大臣はおっしゃることができましたか。是非、その御感想をお聞かせいただけたらと思います。
○斉藤(鉄)国務大臣 まず今回、もちろん全日本トラック協会を通じて皆さんの声をお聞きする、また、先ほど福島委員からの御提言もございました、トラック協会に加盟していない中小零細企業の方からも、我々は御意見を伺いました。そして私自身、これはふだんから地元でおつき合いをしているたくさんの、本当に零細の、また軽トラ一台持って頑張っていらっしゃるような方からも御意見を伺ったところでございます。
そういう声がどのように今回の法案の中に入っているのか、胸を張れるのかという御質問でございますけれども、もちろん、それらのお一つお一つの声に一〇〇%しっかり応えているというところまでは行っておりませんけれども、しかし、現状のトラック業界が抱えている、中小の事業者も含めて、そういう方々が抱えていらっしゃる問題に対して、一歩でも前進しよう、改善していこう、そのためには、今回、何回も申し上げておりますけれども、いわゆる業界だけの努力ではなくて、社会全体が変わっていかなければその声に応えられない、そこを目指した法案になっている、このように思っております。
もちろん、一〇〇%これで解決するというものではございませんけれども、一歩大きく踏み出した、そして荷主も含めた改革を一歩これで踏み出させていただいたということは、御評価をいただきたいと思います。
○福島委員 誠実な大臣にそう答弁されると何も言えないんですけれども、ただ、地元の、今日は坂本会長がいるから申し上げづらいんですけれども、トラック協会の幹部の方であっても、実は日本のトラック協会にちゃんと声が届いていないとおっしゃる方もいらっしゃって、それはやはりトラック協会、これは全ト協が悪いということじゃなくて、やはりそれだけ多様だと思うんですね。それで、やはり直接その声を国に届けたいという声は、かなりのストレスがたまっているということを感じましたので、この法律の施行状況も含めて、そうしたきめ細かな現場の状況を調査していただけたらというふうに思います。
二番目に、モーダルシフトの問題なんですけれども、鉄道貨物の活用について、一昨年の四月と十一月の国土交通委員会で私が議論してまいりました。
一昨年の十一月の港湾法改正の審議のときに、斉藤大臣は、モーダルシフトという面で、船舶輸送と鉄道輸送、しっかりこれをつなげていくことが重要だと言って、私が、港湾法に基づく基本方針の中にも、例えば海上コンテナと鉄道輸送の一貫輸送の促進とか書けばいいんじゃないのと申し上げたら、検討させてくださいと斉藤大臣はおっしゃって、なるほど、今年の四月の港湾法に基づく基本方針を拝見いたしましたら、ちゃんと、幹線道路網及び鉄道輸送網との円滑な接続というのを入れて反映していただいたことは、本当に感謝を申し上げたいと思います。
資料一なんですけれども、これは参考人質疑のときの根本参考人の資料でありますけれども、物的労働生産性を上げるために、モーダルシフト、海上・鉄道輸送量を四億トンから五億トンに増やせばこれだけの効果があるといって、政府目標は本当は倍増なので、もっとこれを増やして、恐らく、この荷役時間の短縮とか荷待ち時間の短縮、これも大事なんですけれども、やはりモーダルシフトというのは、マクロで見たときに効果は私は非常に大きいというふうに思っております。
その上で、次の資料二ですが、鉄道貨物をめぐる現状と課題という資料を国土交通省からいただいたんですけれども、輸送機関別分担率はトンキロベースで五%弱で横ばい。とりわけ、この右下に、ぎざぎざの見づらいグラフがあります。激甚化、頻発化する自然災害による、特に山陽本線なんかですけれども、大規模な障害が発生して、荷主からの信頼が低下しているということで、余り鉄道貨物が伸びていないんですね。これは、なぜ伸びないのか、こうしたことに対してどのように対応しようとしているのか、鉄道局長の答弁を求めます。
○村田政府参考人 お答え申し上げます。
貨物鉄道につきましては、労働生産性や環境性能に優れた安全な大量輸送機関としての特性を有する反面で、トラックと異なりまして、ドア・ツー・ドアの輸送ができないために、発地、着地と鉄道駅の間の輸送に必ずほかの輸送モードが介在せざるを得ないということ、また、列車のダイヤの制約があり、柔軟に荷主のニーズに応えづらいということ、また、今御指摘いただきましたように、自然災害による輸送障害の発生時に迂回輸送や代行輸送が容易ではないことといった課題がございます。
このため、国といたしましては、大型で十トントラックからの積替えが容易な三十一フィートコンテナの取扱いを拡大するためのコンテナホームの拡幅や、災害時の代行輸送の実施に必要となる貨物駅の施設整備などについて補助を行うとともに、JR貨物の経営基盤の強化のため、機関車等の設備投資に対する無利子貸付けを行うというようなことなどによりまして、災害対応の機能強化や輸送力増強などに向けた支援を行っているところでございます。
○福島委員 ありがとうございます。
今そういうことをやっているということなんですけれども、ダイヤの制約とか自然災害のときの迂回路というのは、これはまさにインフラの話なんですね。参考人質疑で根本参考人からも、鉄道も内航海運も現在のキャパシティーの八割ぐらいは埋まっている、ここから倍増するためには相当インフラにてこ入れしなければいけません、政府がしっかりと旗を振るということも大事ということをおっしゃっていて、根本参考人も、このモーダルシフトが大事だということを強調されておりました。
これは今、芸備線なんかで問題となっているローカル線の再編とも絡むんですね。山陽線のまさに迂回路が芸備線なわけですから、これを廃線したら迂回路がなくなっちゃうわけですね。これまで何度も鉄道で申し上げているように、鉄道には予算が著しく少なくて、民間であるがゆえに公共投資の対象に整備新幹線以外はほとんどなっていません。
私は、これは国土政策の点から見る必要がある、これは国土形成計画のときにも議論をいたしましたけれども、その必要があるというふうに私は思うんです。どこに港を造って、どういう線路を敷いて、どういう迂回路を造って、どういう縦断、横断路線を造ってというのは、これは国の関与が必要でありますし、あるいは、どの距離のどういった荷物を高速道路、世界一高い高速道路ですけれども、それで運んで、どれを鉄道貨物の適性を生かしたルートとしてというような大きなグランドデザインを描くのは、やはり国土政策の観点としての国土交通省だし、そこに意思を働かせるのが私たち政治の役割だと思うんですね。
ですから、大臣、次の国土形成計画、あるいは社会資本の計画作りも含めて、モーダルシフトの観点からのインフラ整備、そして、そこには公的資金の投入をちゅうちょすべきではないと思うんですけれども、大臣の認識をお聞かせください。
○斉藤(鉄)国務大臣 国土政策として捉えるべきだという御主張は、もう福島委員おっしゃるとおりだと思います。そのために、昨年策定した国土形成計画におきましても、「新たな社会的要請の高まりを踏まえた貨物鉄道ネットワークの強化と最大限の活用を図る。」こととしています。「新たな社会的要請」とは、まさにこの物流の問題であり、また地球環境、環境性能の問題でございます。
こういう形で、この国土形成計画の中に鉄道そして内航海運等をしっかり位置づけて、位置づけるわけですから、その上で国としてしっかり支援をする、そういう方向性を打ち出していきたいと思います。
○福島委員 まさに時代の変わり目だと思うので、大胆な決断をお願いしたいと思います。
またトラックの問題に戻りますけれども、地元の運送会社から一番評判が悪いのは、標準的な運賃なんですね。標準的な運賃があるからと言うと、大体、そんなのねえよ、ふざけるな、ばかやろうといって、茨城弁で罵られるのが常なんです。
今回、標準的運賃を見直して、八%の運賃引上げや、荷待ち、荷受け等の対価を提示したり、あるいは下請手数料の設定などの見直しを行っている。これは絵に描いた餅になってはいけないんですね。
あと、先ほど神津議員がやっていましたけれども、標準的運賃が賃上げに、上昇するという試算を見ましたけれども、正直言って、小学校の宿題レベルで、全く学問的にも経済学的にも統計学的にもなっていないものですから、私はこれは絵に描いた餅以下だと思うんです。あえてここでは議論しません、国土交通省の皆さんに恥をかかせないために。
標準的な運賃、資料三というのを御覧いただきたいんですけれども、これの問題は、回収率が八・五%なんです、右の上の箱にありますけれども。対象者数五万者ちょっとのうち回収数は四千四百、そのうち標準的な運賃を提示しているのは二一%、九百三十九者。二一%もあるじゃないかと思いますけれども、五万一千分の九百三十九だと、僅か一・八%です。これの下に行くと、何か、そのうちのみんなが希望額を収受できたというふうに見られておりますが、標準的な運賃を提示した者が希望額を収受できたというのはどのぐらいの比率になるのか、その数字をまず端的に教えてください。
○鶴田政府参考人 令和五年に行いました実態調査の結果におきまして、御質問のありました、標準的な運賃を提示した者のうち、希望額を収受できた者の割合は三一・五%でございます。
○福島委員 だから、九百三十九者のうちの三一・五%なんですね。さっき一・八%しかトラック事業者のうちで標準的な運賃を出している人がいなくて、その三分の一ですから〇・六%、ほぼゼロですよ。私がヒアリングして、誰も標準的運賃なんて生きていないという皮膚感とまさに近いのでありまして、統計で前に間違いを犯しましたけれども、非統計学的な分析をしてはいけないと思うんですね。
ただ、そうはいっても、今回の標準的運賃の見直しを何とか生かさなきゃならないと思って、法律を見るわけであります。標準的な運賃は、貨物自動車運送事業法の附則第一条の三に規定しているのでありますが、今回、全くこの条文を引いた改正が行われておりません。
例えば、この運送事業法の十二条で、真荷主と一般貨物自動車が運送契約を締結するときの書面交付義務というのが課されておりますが、第一号で運送の対価、第二号で運送の荷役以外の役務の対価を記載しなければならないことになっておりますが、その対価が何かというのは示されておりません。同様に、一般貨物事業者が他の一般貨物事業者に委託をする場合、下請に出す場合に、輸送に関する費用の概算額とか荷主が提示する運賃というものが掲げられているんですけれども、この運賃も標準的な運賃とは何の関係もないんですね。
私は、本来、こうしたものに、例えば、この同項の対価とか運賃については、附則一条の三によって告示された運賃を参照しなければならないと。これは別に罰則をつけない努力義務でもいいんですよ。その条文があれば、なるほど、対価とか運賃とか、ここで法律で出てくるものは標準的運賃を参照とするものだなとなるんですけれども、何でそれがないのか、なぜそれを位置づけていないのか、その理由をお答えください。
○鶴田政府参考人 今御指摘のありました、貨物自動車運送事業法改正後の第十二条第一項の一号、二号で対価というのを定めております。
この法案では、荷主、トラック事業者等が契約を締結する際に、書面で交付をすることを求めるわけですけれども、その書面にトラック事業者が担うべき役務の範囲とその対価を記載するというものでございます。
一方で、同じく御指摘ありました、貨物自動車運送事業法の附則第一条の三の標準的な運賃でございますが、これは、平成三十年に行われました同法の改正によりまして、トラック事業者は荷主に対する交渉力が弱いということで、その交渉の際の参考指標として、国土交通大臣が定めるということとされたものでございます。
この両者が、法文上、直接、同一ないし関係を示しているものではございませんけれども、例えば、標準的運賃を著しく下回る水準の対価で契約が締結されている、そういったケースであればトラックGメンによる是正措置につなげるなど、この両方の仕組みを効果的に活用して、適正な環境整備に努めてまいります。
○福島委員 運賃とトラックGメンの話はまた後で述べますけれども、私は実効性はないと思うんですよ。努力義務でいいんだから、そんなのは書けるはずなんです、法律上、法理論上。なぜ書かないかというところに、何か標準的運賃を日陰のもの、日陰のものにしようとする、そうした意図を感じざるを得ないんですね。
今国会、国交省が提出している建設業法の改正では、例えば、労務費の基準というのを中央建設審議会が作るという規定があったり、著しく低い労務費での見積りの禁止とか、原価割れ契約が、これまで発注者には規制があったんですが、受注者にもそれを禁止する規定を設けるとか、ある意味、下限価格というのが出ているんですね。労務費を下回るような価格では、もう受注したり見積りを出しちゃ駄目だというのが建設業法で決められているんです。建設業も、トラックと同じように、複雑な多様な業界だと思うんです。
本会議で斉藤大臣は、下限運賃制ができないことについて、トラック事業の取引は多種多様であるため、最低運賃を保障する制度の導入については様々な意見があり、慎重な検討が必要と答弁していますけれども、建設業でできて運輸業でできない。私は、合理的な理由は何にもないと思います。やる意思さえあればできる。これは理屈の問題じゃないと思うんです。
参考人質疑で馬渡参考人が、私の個人の意見では、そこを最低運賃にしていただけるというのは非常にありがたいとおっしゃっていまして、私はそのことに対して質疑を足して、それに対して、標準的な運賃がコストを反映した形で改善されて、その改善策が最低運賃ですよと言えるような日が早く来てほしいと。やはり、標準運賃と言われ、最低限の労賃とか荷待ち、荷受けの費用とかは必ず保証されますよという、そうした最低運賃に対する期待というのは馬渡参考人からもいただいております。
私は、今回、この標準運賃というのは、恐らくほとんど意味を成さないものだと思っていますよ。それを見た上で、やはり施行の状況を見て、近い将来に、最低運賃的な、特に労働費が出ないとか、そうしたものじゃない運賃にするような最低運賃価格を導入すべきだと思いますけれども、大臣、できない理由じゃなくて、できるためにどうしたらいいかという観点から御答弁いただけたらと思います。
○斉藤(鉄)国務大臣 その質問にお答えする前に、その前の質問に関わるんですが、標準的運賃を日陰者にしようという意図があるのではないかというような御趣旨が、発言がありましたが、全くそのようなことはございません。
確かに、標準的運賃を設定して、社会全体がそこのレベルまでにはすぐにはいきませんけれども、今、一歩一歩拡大しておりますし、進んでおります。そういう意味で、議員立法でできた道路運送事業法で考えられた標準的運賃というのをしっかり定着させていきたいと思います。
その上で、下限運賃制度を導入できない理由について御質問がありました。
下限運賃を設定する場合、トラック事業者は荷主に対する交渉力が弱い現状を踏まえれば、実勢運賃が下限に張りつくおそれがあり、その結果、下限運賃よりも高い水準の運賃を収受できている事業者の運賃が下方修正される可能性があるということ、また、現状、帰り荷の場合、標準的運賃を下回るものの、往復で運送コストが賄える水準で運送を請け負っている実態がある中で、下限運賃の導入により、現場が混乱するおそれもあるため、その導入については慎重に検討する必要がございます。
その上で、先月、標準的運賃を引き上げたほか、下請手数料等を新たな運賃項目として設定しました。また、この法案には、実運送体制管理簿の作成義務による運送体制の可視化と、運送契約締結時の書面交付義務による契約条件の明確化を盛り込んでおります。
これらの政策で、しっかりとその運賃を上げていくということを御答弁申し上げた上で、私、先ほど道路運送事業法と言いましたが、貨物自動車運送事業法の誤りでした。失礼いたしました。
○福島委員 だから、そういう答弁をするというのを昨日聞いていたので、あえてできる観点からと意地悪く質問したんですけれども、張りつくとかそういうのは、だってほかの業種は幾らでも下限運賃制とか下限料金制というのはあって、じゃ、それに張りついているかといったら、そうじゃないんですよ、そこは。
だから、私はもうちょっと、特に標準的運賃、さっき言ったように、ひたすら零コンマ何%しか、それで運賃を受け取れている人はいないわけですから、そこは運用を見てしっかり考えていただければと思います。
この業界の最大の問題は、言うまでもなく多重下請構造であります。今回、運送事業法二十四条の五で実運送体制管理簿の作成を義務化して、見える化すると言うけれども、何が見えるかが問題なんですね。
何が見えるかというと、先ほど、Gメン、Gメンと言っているけれども、これは運賃とか契約が分からなければ、Gメンも何もしようがないんですよ。この事業法の二十四条の五第一項に、何を記載すべきかというのが出ていますけれども、実運送を行う者の名前、貨物の内容と区間、そして請負階層の三点なんですよ。契約とか価格というのはどこにもないのに、どうやってGメンが取り締まるのか。ただ、四号に「その他国土交通省令で定める事項」とあるんですね。
私は、この「その他国土交通省令」の中で、手数料とか荷役などの契約の条件とか、全部の契約は確かに民間では出せないかもしれないけれども、幾つかのキーとなるようなものは出させて、あるいは水屋、今日午前も議論になっていましたけれども、水屋を入れているか入れていないか、そうしたことは法律になくても、この国土交通省令で、水屋を使ったか使わないかと記載させることができるわけですね。そうした省令を作るべきであると思いますけれども、いかがでしょうか。
○鶴田政府参考人 御指摘ありました条文におきましては、実運送体制管理簿の記載事項を規定しております。この中で、誰が何次請として何をどこからどこまで運送したかということをです。
その他、必要な事項を省令でということですけれども、その中で、手数料の記載につきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、手数料を把握したことで、荷主が運賃を推測することで、かえって発注額を引き下げてしまうような懸念もあります。そういうことも踏まえて慎重な検討が必要と考えております。
また、もう一つ御指摘のありました、いわゆる水屋につきましては、これは実運送体制管理簿に記載がされていなくても、この契約の内容、これは国として把握できるようになります。これは今回の法案によって、書面化されることを通じて把握可能になります。これを前提に、先ほどGメンの御指摘もありましたけれども、Gメンは是正措置を講じるということでございます。
この実運送体制管理簿は、荷主が閲覧できるというところがポイントでありまして、一方で、個別の運賃を含めた契約について、国は個別に全て見ることができる、それに基づいて措置を講じるということでございます。
○福島委員 ちょっとよく理解できないんですけれども、水屋は午前中の議論だと、輸送契約を結んでいない人が水屋なんじゃないですか。契約を結んでいる人は出るにしても、結んでいない人が出ないという面があるんだから、ここの省令にかこつけて、水屋の存在を出させるといったら、初めてそれで見える化されるわけじゃないですか。今は見える化されていないわけじゃないですか、契約にないから。私はおかしな答弁だと思います。
是非、せっかく提案をしているので、大臣、しっかり局長を指導していただいて、必要なところはこの省令で書かせて、出させるようにして、全てを見える化するようにしていただけたらと思います。
その上で、水屋の議論はちょっと時間がないからやりませんけれども、先日の三木委員が、アメリカの下請規制に関するすばらしい質問をされましたけれども、大臣は、ある意味で神の見えざる手のような形で多重下請構造を改善していくと言っていますけれども、これは甘過ぎると思いますよ。神の見えざる手でうまくいくんだったら、元々うまくいっているわけですよ。
馬渡参考人も、他国では下請が二次までというところもあるというふうに聞いております、我が国でもそういうふうに決めていただいて解決すべきということで、トラック協会も、二次下請までというルールを作ろうとしております。
これは段階的にやらざるを得ない部分もある。見える化したら、どのぐらい、何次ぐらいで、二次下請までの規制が現実にできるかできないかということも検討できると思いますので、見える化して実績が上がった後は、この下請に対する規制というものの検討をしていただけませんでしょうか、大臣。
○斉藤(鉄)国務大臣 この法案におきましては、我が国における現在の物流の実態を踏まえ、現実に即した形で多重下請構造を是正していくため、元請事業者に対して実運送体制管理簿の作成を義務づけることなどにより、漸進的に多重下請構造の是正を図ることとしておりまして、一定の下請の禁止のような措置は盛り込んでおりません。
なお、例えば、トラック事業者が下請に出す際に、再委託に関する一定の制限を設けるようにするなど、下請行為の適正化に係る努力義務をトラック事業者等に課すとともに、そのうち、一定規模以上の事業者に対しては、下請行為の適正化に係る社内マニュアルの作成を義務づけることとしております。
前回の答弁で、三木委員に答弁した神の見えざる手というのは、そのときとっさに出てきた言葉でございますが、こういう、いわゆる実運送体制管理簿のようなもの、そして先ほど申し上げたマニュアル、社内マニュアルを設けるというようなことで、漸進的にこの多重下請構造を改善していく、それが荷主にとっても利益がある、元請にとっても利益がある、こういう体制をつくることで漸進的に進めていきたい、このように思います。
○福島委員 でも、それは今見えていないから見える化するわけだから、一回見ないと分からないんですよ、どういう規制をしなきゃならないのか。多くの現場の人は、やはりこれは下請規制をするべきだと言っておりますから、是非それは検討の対象として入れていただきたいと思います。
というのは、この間回っていて聞く声は、下請とか、二次下請、三次下請になると、荷主と元請がどんな契約をしているか、全然分からないんですよ。現場で働いてみたら、荷受け側から荷役を当然のように、何も契約していないのに、もうそう決まっているからといって求められたり、ひどいのになると、スーパーの棚に陳列までさせられたりする。あと、荷降ろしが必要になったから、おまえ、助手を一人連れてこいといって、そのお金を払ってもらえないとか、そこに行くんだったら、ついでにここにもお得意さんがいるから配達しろとか、家に行ってみたら家電の配線までさせられたとかね。
ほとんど、これは全部、独禁法違反だと私は思いますよ。余りにもひどい業界の実態があると思って、そのためにはやはりチェック体制が大事で、さっきからGメン、Gメンと言っていますけれども、こうした例、私が聞いた会社は、全て独禁法違反が認められるような事例もあったんですよ。この膨大な数をトラックGメンでできることは、私はないと思いますよ。公取に期待する声もあるんですけれども、公取は地方ではほとんど存在感がありません。
この間、公取の皆さん、この運送事業者に対して何をしていたのか、是非御答弁お願いいたします。
○向井政府参考人 お答えします。
公正取引委員会では、荷主と物流事業者の間の商慣習や、物流業界の多重下請構造から生じる課題につきまして、従来から強い問題意識を持って取り組んでいるところでございます。
具体的には、独禁法上の優越的地位の濫用のおそれのあるような具体的な事案がありますと、それに対しましては積極的かつ厳正に対処しておる。そのほか、荷主と物流事業者との取引の公正化につきましても、継続的に調査をしているところでございます。
令和四年度の取組といたしまして具体的な数字を申し上げますと、荷主と物流事業者との取引でございますが、独禁法上の優越的地位の濫用につながるおそれがある行為といたしまして、十四件の注意をしております。
そして、継続的に実施しております実態調査に基づきまして把握した問題行為、荷主に対しまして七百七十七名、この事業者に対しまして、具体的に懸念事項を明示した注意喚起文書を送付しております。
そのほか、元請、物流事業者、そして下請事業者との取引におきましても、令和六年二月には下請法に基づく勧告をしておりますし、令和四年度には、下請法違反の行為の改善を求める指導といたしまして五百九十四件、実施しているところでございます。
引き続き、独禁法や下請法に違反する行為がありましたら、厳正に対処してまいりたいと考えております。
○福島委員 結構やっているんですね、私も聞いてびっくりしたんですけれども。芸能人が薬をやるとすぐ大きく新聞に載るんですけれども、トラック事業者が摘発されても余り載らないんです。
私は、トラックGメンって、名前は格好いいけれども、そんな怖くないんですよ、実は。行政指導するぐらいですから。公取に捕まるというのは、ある意味、経済警察だから、大変なんですよ。一番の抑止力は、公取がばんばん入って、ばんばん捕まえるぞというのを荷主に知らせることだと思うんですね。
ですから、最後の質問ですが、斉藤大臣。
トラックGメンも大事です。数も少ない。権限も、私から見たら弱い。しかも、事業者はなかなかトラックGメンには言い出せない。そうした中で、やはり公取ともっと連携をして、ばしばし公取に悪徳な荷主とか元請を捕まえてもらって、それをむしろばあっとメディアなどにも、こんなひどいやつがいると。
さっき言った私の例は氷山の一角です。私が聞いた全ての会社で、おかしな契約とか、おかしな仕事をさせられている。おかしな運賃であるというのはいっぱいあるんですよ、これはもう。全部にありますよ。
だから、そうしたことを出すことによって、抑止力をやるために十分に公取との連携をして、その例を広めていただきたいと思うんですけれども、大臣の御認識をお願いいたします。
○斉藤(鉄)国務大臣 公正取引委員会ともよく連携をしながら、そして、我々の国土交通省の職員が行っておりますトラックGメンにつきましても、体制を拡充しました。しっかり頑張っていきたい。
その上で、もちろん公正取引委員会、私も今の答弁を聞いて、ここまでできるんだなというのも感じました。しっかりやっていきたいと思います。
○福島委員 まだまだこの法案は不十分なところがありますし、現場の皆様方に響いていないところもありますので、法施行後、見直すべきところはどんどん見直していっていただけたらと思います。
以上でございます。ありがとうございます。
○長坂委員長 次に、たがや亮君。
○たがや委員 れいわ新選組のトラック野郎、たがや亮です。本日はよろしくお願いします。
実は私、十代の頃、運送業のアルバイトの経験があり、配達の魔術師とまで言われていたかどうかは分かりませんが、その観点も含めて、質問をさせていただきます。
本法案は、立場の弱い運送業者あるいはトラックドライバーが不当に安い運賃を強いられないために幾つかの対策を講じる中身であると承知をしております。しかし、実は、運送業者にとって、それだけでは到底不十分で、もっと抜本的な改革をしていかなければ、業界の衰退を食い止めることはできないと思います。
今日は、その根拠となる現場の生々しい声を大臣にお伝えをして、トラックドライバーが真に働きがいのある職場として、職業として存続できるよう議論したいと思います。
質問に入る前に、なぜ運送業が衰退の一途をたどっているのか、国民の皆さんにも分かりやすく、まずは押さえていきたいと思います。
そもそも、物流業界におけるまだ景気がよかった時代、一九九〇年からの規制緩和により運送事業者が急激に増え、更に小泉・竹中構造改革などによって拍車がかかり、事業者数は一・五倍に膨れ上がり、過当競争が激化。バブルがはじけ、景気が悪くなった後も続いています。
例えば、一次請が十万円で請けた仕事を、二次請の中では、うちは九万円でやる、いや、うちは八万円などと生き残るための運賃ダンピングをせざるを得なくなっています。また、事業者数の分母が激増したため、それぞれの事業者は十分な人材確保が困難な環境となっています。
さらに、運賃競争だけではなく、うちはばら積み、ばら降ろし、更に棚に陳列までやりますという過剰なサービス合戦にも発展。ドライバー側から見ると、賃金は安くて重労働。そんなサービスが常態化しながら現在に至り、ドライバーの高齢化が進み、今では、ばら積み、ばら降ろしすることも体力的に厳しい状況まで来ました。
これでは新たに若い人材を確保することができず、事業者がどんどん廃業に追い込まれていくのは目に見えています。事業者の聞き取りでは、十年後は運送業自体なくなっているのではないかというような悲観的な御意見も多数ありました。
目先のことで右往左往し、慌てて形だけの法案を作るとまでは言いませんが、こういったことを踏まえて、抜本的な見直しが喫緊の課題だと思います。
まずは、多重下請構造に関しまして質問させていただきます。
アメリカでは、これが原則禁止とされているんですが、日本では現在、規制がありません。多重下請構造に関する斉藤大臣の所感を率直にお聞かせをください。
また、アメリカと同様に、多重下請を禁止する法整備になぜ踏み込めないのか、何か理由はあるのか、お聞かせください。
○斉藤(鉄)国務大臣 まず、前段の多重下請構造についての私の所感でございますが、トラック運送業については、輸送需要の繁忙期、閑散期の差が激しく、こうした需要に柔軟に対応するため、自社のドライバー不足を補ったり、荷主からの突発的な運送依頼に対応したりすることを目的として一定の下請構造が生じている、こういう特徴があると認識しております。
しかしながら、過度な下請構造は、これまで議論してきましたのでもう繰り返しませんけれども、これは望ましくないし、産業の未来にとっても本当によくない、ここを改善していかなければならないということで、今回、この法案を出させていただいたところでございます。
それから、後段の、いわゆる多重下請の禁止の法案をなぜ出さないのかという御質問につきましては、先ほど福島議員にお答えしたとおりでございまして、それを言っていると長くなりますので、これで終わらせていただきます。
○たがや委員 御配慮をありがとうございます。
それでは、トラックドライバーの担い手を維持するための一つに、やはり待遇改善が重要だと思います。冒頭申し上げた過当競争などの結果、待遇は悪化の一途です。それに加えて、昨今の燃料費の高騰などにより、更に厳しい環境です。
ドライバーの報酬につながる運賃について、現状、標準運賃等を設けているとのことですが、ドライバーの皆様の報酬の確保は、先ほど申しました多重下請構造の末端、例えば、一次請から四次請まである場合は、四次請の事業者でも適正な取引を担保される必要があると思います。
そこで、四次請事業者への最低運賃を定めれば、三次請、二次請も適正な取引を担保できるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○鶴田政府参考人 今御指摘のありました方法につきましては、トラック運送業の多種多様な取引実態、これに鑑みて、いろいろな、様々な御意見があるということで、慎重な検討が必要かと思います。
その上で、標準的な運賃、これは、六年前に法律で導入をされて、一年前にその期限が延長された、国会の御意思としてこの制度を延長するということが示されたわけでございます。それを受けまして、より実効性を高めるために、標準的な運賃の中身を変えました。また、その実効性の担保としての、トラックGメンという体制をつくりました。
これらで実効性を高める取組をして、効果も検証しながら進めてまいりたいというふうに考えております。
○たがや委員 ありがとうございます。
昨日の国交省のレクでも、四次請が実運送業者だった場合は、そこに標準運賃が適用されるとのことで、最低運賃を担保されるイメージ、そんな話をされていました。ですが、やはり最低運賃という明確な物差しがあった方が、トラックGメンによる調査も含めて威力を発揮すると思いますので、検討をよろしくお願いします。
さて、長距離運送業者を圧迫している要因の一つは高速料金です。ずばり、運送業者の高速料金を無料化若しくは定額化してはいかがでしょうか。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
高速道路の負担の在り方については、更新や進化に必要な財源、これを確保するために、料金徴収期限を延長した昨年の法改正、これの審議におきまして、税負担と利用者負担の両方の意見があったというふうに認識をいたしております。
それで、高速道路を直ちに無料化する場合には、高速道路機構が保有しております約二十六兆円の有利子債務の返済と、現在の償還計画に含まれております更新、また維持管理などに必要となる費用、これを、利用者負担ではなくて、税負担で行う必要がございます。
約二十六兆円という多額の債務を直ちに税負担で返済するということはなかなか困難であることに加えまして、更新というのは将来の世代にも受益がありまして、これを現世代の税負担だけとすることは、世代間の公平性の観点から課題があるということから、直ちに高速道路を無料化するということは難しいと認識をいたしております。
○たがや委員 定額化には触れられておりませんでしたが、長距離運送業者は、過当競争による運賃ダンピングにより、企業努力で少しでも経費を浮かすために、高速料金の割引時間帯に運んでもらえるよう、経営者側はドライバーにお願いをします。例えば、往復で一万円安くなれば、二十日で二十万円節約できるからです。それにより、ドライバーは、割引の時間帯を調整するために相当苦労をしております。
そもそも昼間に届けられる荷物を、わざわざ高速の割引がある深夜帯を使い、荷物を届けなければならないドライバーにとっては無駄な待機が必要、しかも、待機場所が限定、トイレにも行けないので、ペットボトルで用を足すなど、現場は相当厳しい環境です。また、朝早く着いても、着荷主が受け取れる時間まで無駄な時間が発生します。待機場所を含めて、これらもドライバーのストレスになっております。
ここで提案ですが、高速料金無料化が難しいなら、限定された時間帯割引から、距離割引にしてはいかがでしょうか。例えば、百キロごとに一割引き、最大で五割引き、そうすると、東京インターから福岡インターまでおよそ一万円です。又は、先日の馬渡参考人の、一キロ当たり十円換算するなど、距離に応じた通行料などが考えられます。そうすれば、時間を気にせずドライバーの裁量で休憩を取ることができるメリットもあります。
大臣、割引を時間帯でなく距離に応じてやってほしいという現場の声を反映し、距離割を是非検討していただけないでしょうか。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
高速道路料金につきましては、利用者の負担の公平性を確保する観点から、利用度合いに応じて料金をお支払いいただくという対距離制、これを基本としておりまして、その上で、政策課題に応じた割引を導入をしているところでございます。
その中で、長距離利用を促進し、高速道路のネットワークの効率的な利用を図る観点から、百キロを超える利用は二五%割引、二百キロを超える利用は三〇%割引と、利用距離に応じて料金を逓減しているところでございます。
そのほか、一般道の沿道環境を改善するために、交通容量に余裕があります高速道路の夜間利用を促進する深夜割引、また、物流事業者など、高速道路を利用する機会の多い車の負担を軽減する大口・多頻度割引などの割引を設けているところでございます。
なお、この長距離逓減割引につきましては、深夜割引の見直しと併せて、令和六年度中に四百キロ以上の長距離逓減を更に拡充することとしております。
委員御指摘の、更なる割引の導入ということでございますが、他の交通機関への影響、また、高速道路料金の料金収入が減少するということで、安定的な債務返済が難しくなるなどの懸念がございまして、慎重に検討する必要があるというふうに考えております。
○たがや委員 ありがとうございます。
混雑問題等々の問題はあると思うんですけれども、今はAIもありますから、渋滞分析、混雑時は除外するとか、様々対応できると思いますので、現場の切実な声ですので、是非、距離割、御検討ください。
それでは、次に行きます。
ヒアリングした運送業者からは、年間で売上げ九億円程度、以前、純利益は三千万ほど出ていた、しかし、燃料費の高騰で利益は全て吹き飛んだと切実に語っておられました。予算措置が必要になりハードルは高くなりますが、昨今の燃料費高騰に対応した激変緩和措置として、燃料高騰が収まるまで、運送事業者に直接補助金支給を検討してはいかがでしょうか。
○鶴田政府参考人 今、燃料費の支給についての御質問でございます。
直接に燃料費を支給する、これは政府全体の取組の中で行われている方式がございますが、それを超えてというのは様々な課題があるかとは思います。
しかしながら、増えたコストを適切に転嫁するということは極めて重要でございますので、先月改定しました標準的運賃の中でも、燃油サーチャージを額を引き上げて定めるなどしてございます。この実効性をしっかり高めてまいりたいと思います。
○たがや委員 ありがとうございます。
荷主とのまだ力関係も存在する中で、事業者の声は、単純に燃料の暫定税率をやめてくれという声が圧倒的です。政府は検討していないようですから、それならば直接補助金を御検討いただければと思います。
それでは、運転免許証に関してお伺いします。
私が免許証を取得したときは、中型トラックは普通免許証で運転できたため、就職、転職を考える人が気楽にトラック運送業に携わることができ、よりよい待遇を目指したい人たちは大型免許を取るという流れがあり、比較的担い手を確保することができていたそうです。
しかし、二〇〇七年に中型免許が新設され、それまで普通免許で八トントラックまで運転できていたのに五トン未満に、さらに、二〇一七年に準中型免許が登場して、普通免許では四トントラックすら運転できなくなりました。免許取得のための費用や時間を考えると、トラックドライバーの確保は相当ハードルが上がっています。これでは若手人材の確保は到底できないと思います。
そこで、質問します。中型、準中型免許の取得要件が若い担い手確保に大きく影響していることについて、大臣、この事実は御存じでしたでしょうか。所感で結構です。
○斉藤(鉄)国務大臣 いや、知りませんでした。
○たがや委員 さすが大臣、率直で、本当に素直で、もう本当に感激しました。そのまま答えていただき、ありがとうございます。
大臣、これは現場の生の声なんですね。私もそうですけれども、昔は普通免許に中型免許がついていました。しかし、これから免許を取得する人は中型免許を別に取得する必要があります。だから、募集をかけると五十代以上の方々が主になってしまうと事業主の方々は嘆いておられました。
免許自体は警察庁の管轄ですが、国交省として、例えば、運送業に新たに従事する人たちに対して、免許取得の一部を負担するなどの措置は考えていないでしょうか。
○鶴田政府参考人 今御指摘ありましたように、免許制度自体は警察庁の所管でございますけれども、先ほど来の御指摘は、現場の声をしっかりと聞いて、それを制度に生かしていくようにということだと思います。
そういう観点でこれからも取り組んでまいりますし、あと、今御指摘ありました支援につきましては、これは従来からも、運転免許の取得について、トラック事業者に対する支援をやってございます。これをしっかりと進めてまいりたいというふうに思います。
○たがや委員 まとめます。
今国交省が言われた補助というのは、大型、牽引二種免許の取得への補助だと思うんですけれども、それは本当に大いに結構です。しかし、事業者からの要望では、若い人材を確保するためには、やはり中型免許が肝になっているとのことで、そこから大型免許取得につながり、好循環が生まれるということでしたから、是非大臣、若い人の人材確保のために、中型免許の取得の補助まで踏み込んで御検討ください。
物流業界の持続可能性のための法体系はとても大事ですが、イメージ、PRも大事だと思うので、是非、トラック野郎一番星のようなイメージアップにつながるPRもよろしくお願いします。
質問を終わります。
長坂委員長、ハッピーバースデー。
○長坂委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○長坂委員長 この際、本案に対し、高橋千鶴子さんから、日本共産党提案による修正案が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。高橋千鶴子さん。
―――――――――――――
流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○高橋(千)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
五年間猶予されていた自動車運転者への時間外労働の上限規制が、本年四月から始まり、物流の二〇二四年問題への対応として、政府は、流通業務総合効率化法及び貨物自動車運送事業法の一部改正案を提出しました。
トラック運送事業は、一九九〇年の物流二法の施行による需給調整規制の廃止、二〇〇三年の貨物自動車運送事業法の改定による営業区域規制の廃止等、大幅な規制緩和により新規参入が相次ぎ、事業者数は一・五倍に増え、過当競争による運賃の低下、長時間労働という劣悪な状態に置かれてきました。トラック運送事業の危機を招いた原因は、政府の規制緩和路線にあることは明白です。
政府案は、荷主、物流事業者への荷待ち・荷役時間削減のための取組、元請事業者への実運送体制管理簿作成の義務づけや運送契約締結時の書面による交付等の義務づけなどを盛り込んでおり、一歩前進と言えます。
しかし、トラック運転者は、全産業平均に比べ、長時間労働、低賃金で、過労死が最も多い職種であり、その改善のための取組としては不十分です。過労死を一日も早くなくすとともに、トラック運転者が、人間らしく安心して働き、残業なしでも生活できる賃金が保障される職業となるよう政治が責任を果たすべきです。
このようなことから、本修正案を提出するものであります。
次に、修正案の内容について御説明申し上げます。
第一に、国土交通大臣は、事業用自動車の運転者の労働条件を改善するとともに、一般貨物自動車運送事業の健全な運営を確保し、及びその担う貨物流通の機能の維持向上を図るため、荷主及び一般貨物自動車運送事業者が締結する運送契約における運送の役務の内容及びその対価等に関する実態の調査を行い、その結果を公表するとともに、必要な施策を策定し、及び実施するものとします。
第二に、荷主は、自己の取引上の地位を不当に利用して、一般貨物自動車運送事業の能率的な経営の下における適正な原価及び適正な利潤を基準として定められる運賃の金額を不当に下回る金額を運賃の額とする運送契約を締結してはならないこととします。また、一般貨物自動車運送事業者と運送契約を締結した荷主がこれに違反した場合において、特に必要があると認めるときは、国土交通大臣は、その荷主に対して必要な勧告をすることができることとし、その勧告に従わないときは、その旨を公表することができること等とします。
第三に、一般貨物自動車運送事業者には、営業区域の制限がなく、その事業用自動車の運転者に過重な負担がかかるおそれがあること、競争の激化に伴い輸送の安全性の確保等の重要性が高まっていること等を踏まえ、政府は、この法律の公布後三年を目途として、一般貨物自動車運送事業の許可について営業区域の制限を再度導入すること、一般貨物自動車運送事業の許可について更新制度を設けること等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとします。
以上が、本修正案の趣旨であります。
委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
○長坂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○長坂委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、高橋千鶴子さん提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○長坂委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
原案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○長坂委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○長坂委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、小林茂樹君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。石川香織さん。
○石川(香)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。
流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。
一 トラック運送事業について、現状において過労死や精神疾患などの健康被害が最も深刻であり、かつ、そのために深刻な人手不足に陥っている物流産業の現状に鑑み、できるだけ早期に時間外労働の上限を一般労働者と同様にできるよう、関係省庁、労働者団体を含む関係団体及び荷主等の連携及び協力を強化し、トラックドライバーの賃金引上げの原資となる適正な運賃収受の実現や物流効率化等の労働環境改善に向けた実効性のある取組を一層強力に推進すること。その上で、トラックドライバーの人材の確保及び育成のための支援策を講じること。
二 トラックドライバーの賃金水準の向上等の観点から実運送事業者における適正な運賃収受を図るため、貨物自動車運送事業法に基づく標準的な運賃を毎年見直し、当該運賃の効果について検討し、その在り方も含め適時適切な見直しを行うとともに、トラック運送事業者が当該運賃を活用して行う荷主との適正な運賃交渉と適切な価格転嫁を実現すること。また、実運送事業者における標準的な運賃の収受及び荷待ち時間の短縮等の状況について調査し、公表すること。その結果を踏まえ、トラックドライバー賃金の全産業平均並みの引上げができるよう、必要な措置を講じること。
三 前項の実効性を担保するため、国土交通省のトラックGメン、厚生労働省、中小企業庁及び公正取引委員会等、関係行政機関に加え、労働者団体を含む関係団体との更なる連携強化を図るとともに、悪質な荷主等への監視を強化すること。また、市場運賃を度外視した安価な運賃で事業者を募ることや、安価な運賃で事業を請け負うことに対する監視を強め、その状況を踏まえて適切な規制措置を導入すること。さらに、当該関係行政機関等において情報収集と共有を図り、貨物自動車運送事業法に基づく勧告及び公表等を積極的に行うこと。
四 国土交通省におけるトラックGメンの機能を強化し、荷主や元請事業者等への是正指導を徹底すること。これに向け、全国及び地方貨物自動車運送適正化事業実施機関を活用し、貨物自動車運送事業者からの情報収集や、荷主や元請事業者等の違反原因行為に係る調査等を補完する体制について、調査員証の発行などにより、強化、明確化を図ること。また、トラック運送事業の近代化や、物流のサプライチェーン全体の取引の適正化に向け、トラックGメンを物流産業全体の健全化に向けた組織とすることや、全国及び地方貨物自動車運送適正化事業実施機関の業務の拡大や体制の抜本強化について、検討を進めること。
五 一定規模以上の荷主等に義務付けられる中長期的な計画の作成や、元請事業者に義務付けられる実運送体制管理簿の作成及び下請関係に入るトラック事業者等に対して義務付けられる当該管理簿作成に必要となる情報の通知に当たり、ガイドラインの作成等により円滑に導入されるとともに、事業者にとって過度の負担とならないよう、また、トラックGメン等が効率的かつ確実に取組状況を把握できるよう、デジタル技術の活用を推進すること。
六 トラック運送事業における多重下請構造の是正を図り、実運送事業者における適正な運賃収受を実現するため、実運送を行わない、いわゆる「専業水屋」についても実態を把握し、規制措置の導入も含め必要な対策を講じること。
七 運送契約の書面及び実運送体制管理簿については、可視化のためのDXの推進やデータ等の規格統一を目指すこと。また、当該管理簿により可視化された多重下請構造の実態を分析し、その是正に向けて諸外国の規制事例等を参考にしつつ、必要な措置の検討を継続し、その結果、更なる措置が必要と判断された場合は、下請次数を二次までとすることも含め必要な措置を講じること。
八 物流のサプライチェーン全体の最適化も念頭に、物流業界における商慣行の見直しを実現するため、トラックドライバーの荷待ち時間等の短縮やトラックの積載率の向上を図るための取組が適確に実施されるよう、関係所管大臣が判断基準として示す取り組むべき事項についてわかりやすく示し、適宜改訂を行うとともに、着荷主を含む荷主や事業者の全てに取組を周知し、必要な支援をすること。また、荷主等における取組状況についてフォローアップ調査を定期的に実施し、取組が不十分な荷主等に対しては、関係省庁と連携しつつ、積極的に指導、助言等を行うこと。
九 物流効率化等の努力義務を課す対象に、運送契約に直接関わりを持たないが商取引に大きな影響力を持つ商社等についても対象に含めることを検討すること。
十 車両を保有せず利用運送を専門に行う第一種貨物利用運送事業者についても、運転者の運送及び荷役等の効率化に向けた責務を担わせるよう検討すること。
十一 荷主等において、物流統括管理者として物流改善の取組を推進できる人材の確保、育成を図ることができるよう、必要な支援を講じること。また、物流統括管理者が、実効的に物流改善に取り組める環境整備に努めること。
十二 一貫パレチゼーションの推進により荷役等の負担を軽減するため、フォークリフト免許取得や中小事業者に対するパレット導入促進等のための支援を行うこと。また、荷主においてパレットの標準化や回収が行われるよう、適正な指導を行うこと。
十三 トラックドライバーの拘束時間を短縮し、労働環境の改善等の働き方改革を進める観点から、安全面に万全の配慮をした上で高速道路における自動運転トラックの導入、中継輸送や自動運転に活用可能な物流拠点の整備を進めること。また、中小トラック事業者においても中継輸送の普及、実用化が進められるよう、必要な助言、財政的支援等を行うとともに、多くの企業間の連携が図られるよう支援すること。
十四 再配達率削減緊急対策事業の実施に当たっては、再配達率削減に資する先進的なDX、GXの取組を支援するとともに、物流に係る広報に努め、広く消費者に意識改革、行動変容を促すこと。
十五 物流の効率化に伴い過積載とならないよう対策を講じること。一方で、積載率の向上により、顧客を失う事業者が発生することが想定されることから、当該事業者に対して配慮すること。
十六 貨物軽自動車運送事業における運行の安全を担保するため、貨物軽自動車安全管理者が受講する貨物軽自動車安全管理者講習において、整備の知識を含む運行管理者並みの要件を課すこと。また、貨物軽自動車運送事業者の多くを占める個人事業主においても、安全管理者の選任、講習の受講、国土交通大臣への事故報告が確実に行われるよう周知徹底を図るとともに、運転者への適性診断の受診、業務記録及び事故記録の作成、保存、貨物運送保険の加入等を図ること。
十七 鉄道貨物や内航海運等へのモーダルシフトを進めるため、国土政策の観点から必要なインフラの整備等を進めるとともに、国、荷主、運送事業者等関係者によって、新たな需要を生むための方策を検討すること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○長坂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○長坂委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣斉藤鉄夫君。
○斉藤(鉄)国務大臣 流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。
今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
ここに、委員長を始め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。
誠にありがとうございました。
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○長坂委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○長坂委員長 次回は、来る十七日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時五分散会