衆議院

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第8号 令和6年4月17日(水曜日)

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令和六年四月十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 長坂 康正君

   理事 あかま二郎君 理事 泉田 裕彦君

   理事 小林 茂樹君 理事 武井 俊輔君

   理事 城井  崇君 理事 白石 洋一君

   理事 三木 圭恵君 理事 國重  徹君

      石橋林太郎君    尾崎 正直君

      大西 英男君    金子 俊平君

      菅家 一郎君    小林 鷹之君

      小林 史明君    小森 卓郎君

      佐々木 紀君    櫻田 義孝君

      杉田 水脈君    田中 英之君

      高木  啓君    谷  公一君

      土井  亨君    中根 一幸君

      中村 裕之君    古川  康君

      宮路 拓馬君    武藤 容治君

      柳本  顕君    石川 香織君

      枝野 幸男君    小宮山泰子君

      神津たけし君    馬場 雄基君

      伴野  豊君    馬淵 澄夫君

      谷田川 元君    赤木 正幸君

      漆間 譲司君    高橋 英明君

      伊藤  渉君    日下 正喜君

      高橋千鶴子君    古川 元久君

      緒方林太郎君    福島 伸享君

      たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      國場幸之助君

   国土交通大臣政務官    石橋林太郎君

   国土交通大臣政務官    尾崎 正直君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    真渕  博君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   石田  清君

   政府参考人

   (農林水産省農産局農産政策部長)         松本  平君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通政策審議官)     石原  大君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房土地政策審議官)       中田 裕人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房上下水道審議官)       松原  誠君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  天河 宏文君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  村田 茂樹君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  海谷 厚志君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  平岡 成哲君

   政府参考人

   (国土交通省国際統括官) 田中 由紀君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 山野  徹君

   国土交通委員会専門員   國廣 勇人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十七日

 辞任         補欠選任

  小島 敏文君     柳本  顕君

  谷川 とむ君     杉田 水脈君

  古川  康君     宮路 拓馬君

  石川 香織君     馬場 雄基君

  福島 伸享君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     谷川 とむ君

  宮路 拓馬君     古川  康君

  柳本  顕君     小島 敏文君

  馬場 雄基君     石川 香織君

  緒方林太郎君     福島 伸享君

    ―――――――――――――

四月十六日

 広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

長坂委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房公共交通政策審議官石原大君、大臣官房土地政策審議官中田裕人君、大臣官房上下水道審議官松原誠君、不動産・建設経済局長塩見英之君、都市局長天河宏文君、道路局長丹羽克彦君、鉄道局長村田茂樹君、物流・自動車局長鶴田浩久君、海事局長海谷厚志君、航空局長平岡成哲君、国際統括官田中由紀さん、消費者庁審議官真渕博君、財務省理財局次長石田清君、農林水産省農産局農産政策部長松本平君及び防衛省地方協力局次長山野徹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小林鷹之君。

小林(鷹)委員 おはようございます。自由民主党の小林鷹之です。

 本日は、危機管理を中心に質疑をさせていただきます。

 まず、国際海上物流について伺います。

 斉藤大臣が所信表明演説におきまして、紅海等の船舶への攻撃事案も踏まえ、関係国や国際機関と緊密に連携しながら、船舶の自由かつ安全な航行と安定的国際物流確保に取り組むと述べられました。紅海やアデン湾におけるホーシー派による商業船舶への攻撃だけでなく、今、足下でイラン、イスラエルの情勢が緊迫化しておりますので、ホルムズ海峡の危険性も上がってきていると考えます。

 そこで、政府として現在、海上物流上懸念のある地域はどこと考えているのか。そして、その地域における航行の安全をどのように確保しようとしているのか。例えば、自衛隊艦船の護衛をつけるのか。関係国やIMOと連携するとのことですけれども、どのような方法で我が国の商船を守っていくのか。斉藤大臣の見解をお聞かせ願います。

斉藤(鉄)国務大臣 昨年十一月に発生いたしました日本関係船舶の拿捕事案以降、ホーシー派による船舶に対する攻撃が続くとともに、海賊行為も再び増加が見られます。特に、紅海などの中東海域では、国際海上物流における地政学上のリスクが高まっていると認識しております。

 中東における日本関係船舶の安全確保については、政府として、関係業界との緊密な情報共有や、自衛隊による情報収集活動などの航行安全対策を実施しておりますし、また、海上保安庁においても自衛隊と連携した海賊対策を行っているところでございます。

 こうした対応に加えて、今般のホーシー派の攻撃事案を受け、紅海などを航行する船舶に対して注意喚起を行うとともに、昨年十一月に開催されたIMO、国際海事機関総会におきまして、國場副大臣より、ホーシー派の攻撃を断固非難するという我が国の立場について発言をいたしました。

 これらを受け、IMOにおいて国連安全保障理事会に働きかけるなどした結果、本年一月、国連安全保障理事会において、こうした内容を踏まえた決議が採択されたところでございます。

 さらに、今年の二月及び先週末に開催されたG7交通大臣会合におきまして、このような内容に加え、安全かつ強靱な物流ルートの確保に向けた取組の実施などを盛り込んだG7交通大臣宣言を取りまとめたところでございます。

 引き続き、この中東地域、地政学上、最も注意を要するところ、関係省庁と連携して、船舶の自由かつ安全な航行の確保に取り組んでいきたいと思っております。

小林(鷹)委員 ありがとうございます。

 エネルギーを含めまして、我が国の貿易の九九・六%を海上物流が担っておりますので、是非シーレーンの確保に全力を尽くしていただきたいと思います。

 次に、今、大臣からお話がございました先週のG7交通大臣会合で共同宣言が発出されております。その中の、交通のサイバーセキュリティーと戦略的脆弱性という項目の中で、コネクテッドカーや自動運転車につきまして、運転手や同乗者の機密データを大量に収集し、カメラやセンサーを使って周囲の詳細な情報を記録し、重要インフラと直接交信し、遠隔操作で操縦、無効化することができるとされています。そうして、こうした技術がサイバー攻撃の対象となる懸念ですとか、国家安保上のリスクもこの宣言で触れられております。

 コネクテッドカーや自動運転車が有するリスクというのは私は二通りあると思っておりまして、そのうちの一つは、サイバー攻撃によって交通インフラシステムそのものが混乱するリスクと、もう一つは、サイバー攻撃によるデータの窃取、また、車体が収集する機密情報を含むデータの流出のリスクであります。

 そこで伺います。

 一昨年成立した経済安保推進法では、基幹インフラのサイバーセキュリティーの強化の観点から、例えば貨物自動車運送事業につきましては、輸配送管理システム、これが特定重要設備に指定されておりますけれども、一方で、今申し上げたコネクテッドカーや自動運転車の脆弱性を通じたサイバー攻撃への対処というのはこの法律ではカバーされていない中で、こうした対処は一台一台の自動車のサイバーセキュリティーのレベルに依存することになるのでしょうか。今後、車体や関連インフラの技術革新が進んでいく中で、国交省として、安全性を担保するために今後いかなる検討を行っていくのか、その方向性をお聞かせ願います。

鶴田政府参考人 御指摘のように、個々のコネクテッドカーや自動運転車につきましては、経済安全保障推進法の特定重要設備の対象とはなってございません。しかしながら、これらの車両のサイバーセキュリティー対策が確実に行われない場合には、遠隔で車両を操作するなどによって、安全な運行に影響を及ぼすおそれがございます。

 このため、国土交通省では、車両の安全基準を策定する国連での会議において議論を主導して、サイバーセキュリティーに関する国際基準を策定しているところでございます。

 具体的には、不正アクセスに対する防止策を自動車メーカーに義務づけるとともに、新車の認証時にそれぞれの対策についての評価結果を国に説明すること。また、車の安全に係るソフトウェアをアップデートできる機能を持つ場合には、外部からのサイバー攻撃を確実に防ぐこと等について、令和四年七月以降の新車から義務づけてございます。

 引き続き、この面でも国際基準の不断の見直しを主導してまいりたいと考えております。

小林(鷹)委員 今、国際基準という話が出ましたが、例えば一九五八年の型式認定相互承認協定というのがあって、これ、例えば中国は加盟していないんですね。今後、EVが普及していく中で、中国製のEVというのも国内でどんどん広まっていくと思うんですけれども、この中国製のコネクテッドカーや自動運転車のセキュリティー、こうしたものについてもしっかりと担保していただくべく、適切な対応をお願いしたいと思います。

 次に、先ほど申し上げましたとおり、もう一つのリスク、つまり、コネクテッドカーや自動運転車の普及によって、サイバー攻撃によるデータの窃取や、車体が収集する機密情報を含むデータの流出が懸念されます。例えば、重要物資の詳細なサプライチェーンですとか、あるいは政府要人のプライバシーが判明し得るなど、我が国の安全保障上の懸念もあると私は考えています。

 現在、国交省やデジタル庁も含めまして、ウラノス・システムというデータ連携システムの構築を目指していると理解していますけれども、国交省として、交通系のデータの保護を含めた管理、取扱い、あるいはオープン・クローズの、このルールの在り方についてどのように進めていくのか、その方向性をお聞かせ願います。

鶴田政府参考人 コネクテッドカーや自動運転車の普及に伴いまして、御指摘ありましたように、車両の運行データですとか車両周囲の映像など、多岐にわたるデータが収集されるようになると考えられております。このうち、安全に直結するデータにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、国際基準に基づいてサイバーセキュリティーを確保するということです。

 一方、収集された様々なデータの取扱いにつきましては、現在デジタル庁を中心に取り組んでいます、プライバシーやセキュリティーの信頼性を確保しつつ、国際的に自由なデータ流通を促進するという、いわゆるDFFTの具体化の取組との連携も必要だと考えてございます。

 国土交通省としましては、このような関係省庁における検討の結果も踏まえながら、また、G7を含む関係国とも連携しながら、自動車のデータ管理について必要な対策を講じてまいりたいと考えてございます。

小林(鷹)委員 ありがとうございます。

 私は、五年ほど前から自民党内におきまして、このデータの保護と利活用の観点から、交通系に限らず、あらゆる産業分野について、そのデータに関わる権利を法的に位置づけること、あるいは、各分野におけるオープン・クローズのルールに関する法整備を提言してきております。是非、政府にも、問題意識を共有いただいた上で、政策の推進を期待するところであります。

 そして次に、水道のセキュリティーについて伺ってまいります。

 二〇二一年にアメリカで水道施設、浄水場のシステムへのサイバー攻撃があって、飲用水に含まれる水酸化ナトリウムの濃度が引き上げられる事案がありました。その後も、イランや中国といった政府とつながりのあるハッカー集団が、飲用水や重要インフラの情報に不正にアクセスするといった脅威が継続したので、今年の三月、バイデン政権は、水道システムへのサイバー攻撃に関する警告を全米中に発したところであります。

 我が国においても、二〇一九年に長野県の阿智村の水道施設中央監視装置がウェブサーバー経由でサイバー攻撃に遭って、最悪の場合、断水に至るおそれがあったと言われています。

 阿智村の水道施設は、小さな集落ごとに分散していて、九つの浄水場、そして井戸、約八十の配水池、そして約百三十キロの管路から成り立っているので、遠隔監視装置を導入したところ、この装置自身が攻撃を受けたと言われています。

 仮に、浄水場システムへの攻撃によって有害物質が投入された場合、被害を最小限に抑えていくためには、攻撃を検知した後、早急に管路を閉鎖するなどの対応が必要だと思います。そのためには水道全体のデジタル化が肝になると考えますが、我が国の水道システムのデジタル化の進捗、またサイバーセキュリティーの対策状況を伺います。

松原政府参考人 お答えいたします。

 水道事業におけるデジタル化やシステムの連携につきましては、業務の効率化や適切な維持管理の観点から、水道事業者等による水道施設台帳の電子化や管路情報をデータベース化したマッピングシステムの整備を推進するとともに、異なる水道事業者のシステム間においても相互に情報を活用できる共通システムの導入支援などを進めております。

 また、水道事業において水を安定的に供給するためには、水道事業者等によるサイバーセキュリティー対策を徹底することが重要であると認識をしております。

 このため、国において、サイバーセキュリティーに関する省令、通知を策定し、水道施設の運転を管理するシステムにつきましては、水道事業者等は、水の供給に著しい支障を及ぼすおそれがないように、例えばアクセスする者への主体認証や、システムを外部ネットワークから分離するなどの必要な措置を講じるよう定めております。また、この措置につきましては、システムの操作等を受託する民間事業者にも同様に適用されます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、水道事業の業務向上の観点からデジタル技術の活用を進めるとともに、水の安定的な供給の観点から、水道事業におけるサイバーセキュリティー対策に万全を期してまいります。

小林(鷹)委員 恐らく、浄水場では一定程度管理できているとしても、その先のポンプ場などにもリスクは存在するんですね。ポンプ場の管理についても今DXが進みつつあるからこそ、サイバー攻撃のリスクは高まっていると考えます。しかも、ウォーターPPPという中で管理の主体が自治体から民間企業へと移行する、そういうところもある中で、その企業のセキュリティーがどこまで担保されているのかという課題もあります。

 また、物理的に、浄水場やポンプ場などで有害物質を投入された場合に、管路にもセンサーをポイントごとにつけておかないと、迅速かつ的確な対応というのはなかなか難しいというふうに私は思います。なので、性善説に立つことなくリスクシナリオを立てていただくことを求めます。

 なお、宮城県では、この二年間の間に、コンセッション方式によって、民間企業十社から成るコンソーシアムで運転管理を行っているようですけれども、今後は集中管理システムの構築を目指していくと聞いています。サイバーセキュリティーの強化というのはますます重要になってくると思いますので、政府としても、自治体や企業との情報共有を円滑にできるような体制構築をお願いしたいと思います。

 最後に、国家運営の肝は危機管理だと私は思っていまして、つまり、リスクマネジメントとクライシスマネジメントです。そのためには、事前に想像し得る限りのリスクシナリオを立てることが必要です。これは、リスクが顕在化する蓋然性とインパクト、そして対応できていない事項の把握、そして、その対策について、時間軸を踏まえた上で優先順位をつけていくことであります。

 おととしの三月に、政府内にいわゆるリスク点検会議が立ち上がっていますが、リスクシナリオを随時アップデートすることや、複数のリスクが同時に顕在化する複合事態への対処、こうしたものも斉藤大臣に引っ張っていただくことをお願いして、質疑を終わります。

 ありがとうございます。

長坂委員長 次に、日下正喜君。

日下委員 公明党の日下正喜でございます。

 昨年十月に新設された制度となる、持続困難な鉄道路線の再構築を話し合う再構築協議会について質問いたします。

 全国には赤字路線として存続が危ぶまれるローカル鉄道が散在しており、私の地元、広島においても、広島、岡山両県を走るJR芸備線の一部区間の存廃などを話し合う再構築協議会が全国で初めて設置され、三月二十六日、その初会合が持たれたところでございます。

 地元紙によれば、初会合の模様を、沿線自治体は相次いで路線の存続を要望、JR西は利用者が少ないとして交通体系の見直しを訴えるなど、双方の主張は平行線をたどったとありました。

 本協議会は、鉄道事業者や関係自治体の要請を受けて、国土交通省が組織し、存廃や利用促進、バス転換などの方針を三年以内を目安にまとめるというものです。

 ローカル線をめぐる議論は、これまで事業者と沿線自治体が向かい合い、廃止か存続かという二項対立の構図が続いてきておりましたが、本制度により、国が事務局を務め、交通手段をめぐる議論だけでなく、地域のまちづくりや観光振興の観点からも、あるべき公共交通とは何か、どのような役割分担で維持していくのか、さらに、国は存廃の前提を置かず、中立的な立場で実証実験の活用やデータに基づいた議論をリードしていくものと期待されております。

 人口減が急激に進む中山間地に多く見られるこうしたローカル鉄道や公共交通の在り方を軸に、運輸行政と鉄道事業者、そして自治体住民の三者によって行われる協議自体、高齢者の移動支援、買物支援、過疎化対策、農業や観光振興等々、地方創生の観点からも大変重要な意義を持つものと期待するところですが、まず、斉藤大臣のこの再構築協議会にかける思い、御決意を伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 一部のローカル線につきましては、人口減少などによりまして大量輸送機関としての鉄道特性が十分に発揮できない状況が生じています。

 今後、更なる人口減少も予測されている中で、地域や利用者にとって最適な形での地域公共交通の維持、確保を鉄道事業者の経営努力のみに委ねることにはもはや限界があります。まちづくりや観光振興に取り組む沿線自治体との連携、協働を通じた再構築の取組が急務である、このように考えております。

 そのため、昨年、地域交通法を改正し、鉄道事業者又は自治体の要請を受けて、国が再構築協議会を設置できることといたしました。また、制度面、予算面でローカル鉄道の再構築に向けた関係者の取組を支援する仕組みを整え、先月二十六日、全国で最初の事例となる芸備線再構築協議会が開催されたところでございます。

 この協議会におきましては、沿線自治体からいただいた意見も踏まえつつ、客観的なファクトとデータに基づいた分析を活用し、まちづくりや観光振興といった観点も含め、地域にとってあるべき公共交通とは何か、それを関係者の間でどのような役割分担で維持していくかなど、多面的な観点から議論を行っていく必要があると思っております。

 国土交通省としても、廃止ありき、存続ありきという前提を置かず、中立的な立場から、地域の声をよく聞き、地域の実情に即した利便性や持続可能性の高い地域公共交通が実現するよう取り組んでまいりたいと思っております。

 この芸備線協議会の場合は、対象区間だけではなく、地元自治体から、芸備線全線にわたる自治体も入って、例えば、広島市とかお客さんの多い地域の自治体も入って、一緒に芸備線全体で議論していくべきだ、こういう御意見も伺いましたので、全自治体に入っていただいて協議を始めさせていただいたところでございます。

日下委員 そこで、三者の中で鍵を握るのは、やはり自治体住民が熱意を持って主体的に関われるかどうかだと思います。そうした熱意がなければ、企業もここに投資したいとは考えないと思います。しかし、一方の住民は、路線がなくなると困るのは間違いないが、以前とは違い使用頻度がほとんどない、どうしたものだろうと判断に迷っている人が数多くおられます。といいますか、全く判断材料がないのが現状だと思います。

 これまで沿線自治体で、国の実証実験として、スマホアプリで呼べるオンデマンドバスや、既存のバスやタクシーなど公共交通を組み合わせて最適な移動サービスを提供するMaaSの実証実験も試みてきたと聞きます。自家用有償旅客運送もございます。しかしながら、地元の方に伺うと、バスもタクシーも運転手不足が深刻で、こうした実証実験もうまく機能したのか甚だ疑問も感じております。

 JR西日本としても、路線各駅の利用状況の調査、また、ふだんの外出と移動手段に関する住民アンケートなどを実施してまいりました。

 それらの結果も踏まえて、主体はあくまでも自治体住民そして事業者であるとは思いますが、やはり国は、これまで全国で様々な実証実験を通して蓄積してきた知見や、観光、貨物輸送の可能性、国土形成を視野に入れた広域的な視点、さらには、AIやビッグデータを用いた住民の動態調査などを実施、活用して、将来に向けた公共交通と身近な住民の生活をつなぐ青写真を幾通りか示していく、官民が協力して地域の未来像を描く手助けを積極的に行っていく、三年を目安に方針を導くためにはそういう段階に入っていると思うのですが、斉藤大臣のお考えを伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 再構築協議会における協議につきましては、地域交通法に基づく基本方針におきまして、地域公共交通としての利便性と持続可能性を早急に改善する観点から、協議開始後三年以内を目安とする合理的な期限内に再構築方針を作成すべきとされております。この方針に基づきまして、国交省としても、三年以内を目安として方針を作成できるよう最大限努力してまいりたいと考えております。

 具体的には、例えば、協議会における協議が効率的かつ円滑に進むよう、交通流動調査やクロスセクター分析などの調査事業や、今後の具体的な対策案に向けた実証事業の詳細について、実務的、機動的に検討、実施すること。また、そのような調査事業や実証事業については、国も主体的に関与し、国の予算の活用や、国の立場からのアドバイスの提供などにより支援すること、このように頑張っていきたいと思っておりまして、客観的なファクトとデータに基づき議論を進め、関係者間の合意形成に向けて取り組んでまいりたいと思います。

日下委員 こうした赤字路線では、先ほど大臣も申されましたが、鉄道の大量輸送の特性を発揮できていないとよく聞きます。しかし、自動運転に向いていて、省人化やCO2排出削減の時代にも合致いたします。乗客が減っても、物資を運ぶことができます。貨客混載も考えられます。

 一方、中山間地では、車の利用を前提に、病院や体育館、文化ホール、スーパー、飲食店などが郊外や道路沿いに立ち並んでいるのをよく見かけますが、その町が持つ文化や伝統や身近な人との触れ合いを感じることが少なくなったようにも思います。

 人口がどんどん減少する中で、もう一度駅前を生かす、駅からの二次交通の充実や、地元住民やインバウンドも含め、観光客が行きたくなるような駅と周辺の町並みづくりなど、モーダルシフトの転換と抱き合わせながら、国として、地域交通を通して、その町の活性化に何か貢献、支援できるものはないかと考えるのですが、国土交通省の御所感をお尋ねします。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 ローカル鉄道を始めといたしました地域の生活の足としての地域公共交通の持続的な維持、確保に当たりましては、民間の事業者任せではなく、官民を始め、地域の多様な関係者の連携を強化して、まちづくりや地域づくりと併せて、地域が一体となって地域公共交通を支えていく必要があります。

 今般の芸備線再構築協議会におきましては、地域の面的な交通ネットワークの在り方や、地域のまちづくりの将来展望を踏まえた取組、あるいは、広域的な観光連携の取組などにつきましても、併せて議論を行っていくことが重要であると考えております。

 そのため、この協議会は、地域の公共交通や物流を所管する中国運輸局が事務局として運営を担っておりますが、さらに、地域のまちづくりを支援する中国地方整備局も構成員として参画をしております。

 国土交通省といたしましては、沿線自治体が描く地域の将来像の実現に向けたまちづくりや地域づくりの取組と、利便性や持続可能性の高い地域公共交通の維持、確保の取組につきまして、中国運輸局及び中国地方整備局を通じて一体的に、かつきめ細かく支援を行ってまいりたいと考えております。

日下委員 この度の再構築協議会の設置は、全国第一号です。同様の課題を抱える、全国、地域の関係者も注目する一大プロジェクトとも言えます。

 沿線地域の人口減少は更に進むことが考えられ、交通の在り方だけではなく、地域のまちづくりを進める方々と連携しながら地域交通の再構築を進めなければならないと思います。そのためには、国交省のみならず、内閣府を始め各省庁で、知恵や予算を出し合えるような仕組みづくりも是非考えていただきたいと思います。斉藤大臣の御所見をお伺いします。

斉藤(鉄)国務大臣 日下委員御指摘のとおり、地域交通の再構築は、交通分野のみならず、まちづくりとの連携、さらには、教育分野や介護、福祉分野なども含め、地域のあらゆる関係者とともに取り組まなければならないものと認識しております。まさに線から面へ広げていかなくてはならないということでございます。

 そのため、昨年九月、十一の関係省庁にも御参画いただきまして、私が議長を務める地域の公共交通リ・デザイン実現会議を立ち上げました。地域の足の確保に関する課題解決に向け、分野を横断した関係者の連携、協働を実現するための環境醸成や実施方法について検討しているところでございます。

 来月に予定しているこの会議の取りまとめを踏まえ、地域交通の再構築に関する政府共通指針の策定、周知や、関係省庁の支援の活用も含め、政府一体となって住民生活を支える地域の足を守ってまいりたいと思っております。

日下委員 よろしくお願いしたいと思います。

 ちなみに、この芸備線の隣の、六年前に廃線された三江線について、現在は、廃線後、線路跡が荒廃して害獣のすみかになっているというふうなこと、JRさんもなかなか撤去作業が追いつかないというふうな状況も聞いておりますし、また、代替バスについても赤字で、路線が減少し、交通弱者の足の確保、維持が困難になってきているということ。また、観光客にも影響を与えておりまして、もうちょっとこの沿線の魅力化を早くするべきではなかったのかというふうな声が、六年前は協議会が設置されておりませんので、そういうことだろうと思いますが、でも、やはり過疎化地域特有のそうした傾向というのはあると思いますので、そうはならないように、是非お願いしたいと思います。

 あと、地元の住民から聞いた話では、やはり、バスが代替したとしても、バス停まで歩いて出ていくのに、田舎ですので、時間がかかって行けないと。自家用有償旅客運送も走っていますが、これも相当早く申し込まないと取れないというふうなことで、やはり運転手不足というのが利いておりまして、非常に困難な環境になっているということも伺っておりますので、そういったことも併せて今後しっかりと検討を進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 以上です。ありがとうございました。

長坂委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 馬淵でございます。

 時間が短いので、早速質問に入らせていただきます。

 まず一つ目、ライドシェアに関してですが、これは、私が三月十三日に大臣所信でも質疑をさせていただきました。

 そこで、確認をさせていただきたいのですが、このライドシェアに関する新たな法整備、これにつきましては、岸田総理は、一月三十日並びに二月二日の参議院の本会議において、四月から始まる地域の自家用車、一般ドライバーを活用した新たな運送サービス、自家用車活用事業、これについて、「これらの施策の実施効果を検証しつつ、」と述べられています。また、二月五日、二月七日の衆議院の予算委員会でも同様に、「実施効果を検証しつつ、」と述べられました。

 一方、斉藤大臣は、三月十三日の私の質疑に対しては、この四月からの制度に関しては、「実施効果をしっかりと検証した上で、」こう述べられました。私の質問に対して二回こう述べられた上で、さらに、斉藤大臣が、「政府の中で検証させていただいた上でと申し上げているのは私だけでございます」、ここまで述べられております。

 私は、これは大臣が勇気を持って発言された、そのように思っておりますが、改めて確認です。大臣は、「検証した上で、」こう述べられていますが、この真意についてお答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 お金をもらってお客様を運ぶ、いわゆる有償旅客運送におきましては、ドライバーと車の安全性、それから事故が起こった際の責任、そして働く人の適切な労働条件、この三つが大切だ、このように思っております。

 このため、日本版ライドシェアと呼んでもいいかと思っておりますけれども、この四月から始めました自家用車活用制度におきましては、ドライバー教育、運行管理、車両整備管理を行うこと、それから、任意保険に加入し、事故が起こった際の責任を負うこと、そして三番目に、労務管理を行うことにより、適切な労働条件、報酬も含めてですね、を確保することをタクシー事業者が行うことで安全、安心を確保する、こういう形でこの事業をスタートしたところでございます。

 六月に向けての議論におきましては、委員御指摘のとおり、自家用車活用事業の開始、それから、この四月からまた、自家用有償旅客運送の制度改善、四月からとは限りません、前からやっておりますが、この自家用有償旅客運送制度の改善も随分行いました。それから、タクシー事業の規制緩和の実施効果も行っております。これらを検証した上で、自家用車の活用も含めて、地域交通の担い手や移動の足の確保のためにどのような制度が適切であるのかを丁寧に議論する必要がある、このように考えておりまして、検証した上でと、このように私は申し上げております。

馬淵委員 大臣が所管するお立場で、明確に検証した上でと、このように御答弁をいただきました。これは、私も前回の質疑でそのように確認をさせていただいたところであります。

 加えて、私の方からは、十月一日からは、いわゆるタクシー特措法における準特定地域、百四十四地域の解除も当然行われるであろう、したがって、解除された地域におけるタクシーの保有台数も増えますので、そういった状況の変化の中で、検証した上でというのは、この新法に対して極めて慎重な、丁寧な議論を行うという大臣の御決意と、そして、その方針が確認できたということで、極めて意味が大きい、このように思っております。

 実証的なデータの収集、これが不可能であれば、いわゆる立法事実、エビデンスがないということになりますので、ここは大臣が、これはあえてもうこれ以上申しませんが、政府の中でただ一人おっしゃっていただいたということでありますが、省の方針として打ち出されたわけでありますから、しっかりと進めていただきたいというふうに思っております。

 そして、改めて、六月に向けての議論を進めるというこの発言に関して、これも前回私も確認をしましたが、これはあくまでも、向けてということでありますので、六月末までにではないということでよろしいかと思いますが、これに関して、端的にお答えいただけますでしょうか。大臣の方からお答えいただけますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今行っております、先ほどの様々な実証事業等、実証事業といいましょうか、自動車活用事業なども含めて、その効果を検証した上で、どのような対策が必要かということを六月に向けて議論していく、このように私は理解しております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 検証した上でということですから、検証がなされなければ、当然ながら前には進まないということになります。しっかりこの検証を行っていただくということを、改めて確認をさせていただきました。

 ライドシェアは以上にしまして、今日は残りの時間で、まず、物流効率化の法案というのは、前回、この国土交通委員会、衆議院でも審議をされ、採決をされました。この物流効率化法案で、確かに、荷主企業やあるいは物流事業者、また一般消費者、そして商慣行の見直し、さらに、荷主や消費者の行動変容、こういったものに対しても、この物流効率化法案において求められる様々な施策が講じられたという法律が衆議院で採決されたというところであります。

 しかし、これだけでは十分に把握できていない状況が、実はまだ業界の中に慣行としてあるということについて、お尋ねをしたいと思います。

 表に表れないというところでいいますと、ドライバーのためにも、あるいは消費者のためにもならない慣行的な契約として、預けと称される契約が横行している、これを私は事業者からも再三聞いております。

 この預けという仕組みは、運送事業者、トラック事業者が保有する車両とドライバーを、荷主あるいは荷主の子会社にそのまま預ける、車両とドライバーごと預けると。したがって、この車両は荷主の完全なコントロール下に置かれて、事実上、荷主によって運送が行われるような状況になるものであります。

 こうした預けと称される契約、これが横行しているということにつきまして、運送事業者から、私は再三の指摘を受けているわけですが、これにつきまして、国土交通省はこの事実をどの程度把握されていますでしょうか。政府参考人にお尋ねいたします。

鶴田政府参考人 預けという言葉自体は承知しておりませんけれども、御指摘のありましたような形態、すなわち、トラック事業者が荷主の車庫等に車両を継続的に置いて、運転者への運行指示をトラック事業者ではなくて荷主等が行っている、そういう場合があるということは認識をしてございます。

 この場合、事業計画で定めた車庫以外で車両を保管していること、いわゆる車庫飛ばし、また、運行管理を適切に行わないことなど、貨物自動車運送事業法違反に該当する可能性もございます。実際に、監査によって違法性を確認して、処分も実施してございます。

 今後とも、実態の把握に努めて、厳正に対処してまいりたいと考えております。

馬淵委員 今局長がお話しいただいたように、車庫飛ばし、あるいは運行管理の未実施、まさにその状態が起きているんですね。これはもう、社名はあえて申し上げませんが、大手の飲料メーカーであったり様々な食品関係、こういったところが、荷主の完全子会社の運送事業者に、一般のトラック事業者からドライバーとトラックそのものを預けさせると。ここで起きているのがどういうことかというと、効率的な車両手配が不可能という状況になる。当然、定額でこれは預けるわけですね。中小零細の事業者であると、一定の売上げが確保できるということで、また、荷主からの要請ということもありまして、それで預けてしまう。高速料金がいただけない場合がほとんどだということであります。

 労務管理のコントロールができないため、事故や、あるいは労災の発生の状況になった場合も、運送事業者がその責任を問われるということになる。先ほど申し上げたように、月額は決まっていますから、自由にこれは使い放題のように使われてしまうと、コスト倒れとなって赤字になります。当然、効率を無視した走行ですので、燃費の悪化、また、終日、取引先がずっと拘束しているわけですから、いわゆるほかの荷主との運行の組合せ、いわゆる効率化ということにも全くそぐわないことになります。

 こうした慣行が横行していて、残念ながら契約書面が交わされている例はほとんどないんですね。これはかなり、私、広範に調べてみたんですが、書面はありません。全て口頭契約になっています。

 これは、今回のこの物流の効率化法案で一定程度縛れる部分はあると思うんですが、まずこの実態がどうあるかということについて、早急に調査並びに対応を進めるべきだと思いますが、これに対して、大臣、どのようにお考えでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 私も、実は今回こういう御質問が出てくるまで、正直こういう形態について知りませんでした。もしこういう形態があるとしたら本当に問題だと思いますし、先ほど局長が答えましたように、貨物自動車運送事業法違反につながる可能性があると思います。

 今年の夏をめどに件数を把握いたします。実態調査を行いたいと思いますし、これを踏まえて監査等も計画的に行っていきたいと思います。

馬淵委員 期限も区切って、今年の夏めどということでお話をいただきました。

 これは、とにかく契約形態が口頭で結ばれて、かつ、荷主への預けですから、その預けている側の零細事業者というのも強く言えないんですね。ただ、私のところにもぼつぼつ入ってきているのは、さすがにこれは赤字になりますから、このような状況では契約解除する以外ないということでお断りをする例というのが出てきているそうですが、いまだもって、零細のトラック運送事業者さんは、この預けをずっと強いられている状況にあります。

 是非、これは現場でしか明らかにならないことですので、しっかりと、夏めどということで今御答弁をいただきました。今日の質疑に関しては、多くのトラック事業者さんの皆さんに私通知をしていますので、今の大臣の御決意というのは非常に心強いものだと思います。これも、衆議院のインターネットで、配信で見ていただいているかと思いますので、これはきっちりと進めていただきたいということを改めて申し上げておきたいと思います。

 さらに、今、預けの形態が横行しているということを申し上げましたが、もう一つ、これも前回の物流効率化法案ではカバーできていない部分というか、全くもってけしからぬというか、これは国土交通行政全体に関わる問題ではないかと思っておりますのが、行政処分対象事業者による処分逃れという問題であります。

 この処分逃れ、どういうことが起きているかというと、先ほどお話がありました貨物自動車運送事業者の法令違反ということは、これについては運送事業法の三十三条で、いわゆる許可の取消しなどの行政処分が定められているわけでありますが、実は、この許可の取消しが一番重いわけですけれども、あるいは、事業停止、こういった行政処分を逃れるための分社化、これが横行している。

 大手であればそんなことはないかもしれませんが、そこそこの中堅規模になると、トラックを抱えている台数が増えている、これを支店単位で置いている、これを分社化していくということがなされていると言われております。

 国交省でも、こういった問題に対して、貨物自動車運送事業法改正、これは平成三十年ですけれども、この間に欠格期間の延長などで厳格に対応する姿勢、これを見せておられるのは承知をしております。しかし、それでもなお、この処分逃れをしようとする業者が後を絶たないという声が上がっており、これは深刻に受け止める必要があるのではないかと思います。

 ある記事では、これは物流関連の雑誌ですね、月刊誌、こういったところで出ているものを見ますと、行政処分による減点で事業継続を不安視する会社も存在していることから、これが、ある運送会社の弁なんですが、行政処分による減点で事業継続を不安視しているというような状況で、当社でも決算や管理面ではデメリットもあるけれども、会社の存続のため分社化を検討している、このように述べられているんですね。これは、月刊誌にこのようなインタビュー記事が出ているわけです。

 こうした分社化によって行政処分逃れということで、どういうことかというと、結局は、トラックの台数をたくさん抱えているところ、こういったところは、当然、事故や違反のリスクというのを抱えます。ところが、零細中小、かなりトラックの台数を絞っていくと、そのリスクも下がるということもあります。

 こうした中で会社を分社化してしまう、本当に面倒なことではあるかと思いますが、処分を逃れるためにはこれが最も効果的だということが喧伝されている部分があるんですね。

 調べてみますと、これも名前は言いませんが、ある行政書士あるいは司法書士などの法人向けサービスをしているコンサルティング会社、ここが、法人向けサービスということで、これは大々的に、もうホームページにも載せています。会社の分社化、行政処分がなされたときの影響を最小限に食い止める、こう訴えているんですね。ある意味、行政処分逃れをお手伝いしますよ、こういうウェブサイトが現実にあります。

 依頼内容は、運送業の許可につき、停止や取消しになった場合のリスク回避、複数の支店がある場合は、一つの支店で許可が停止や取消しとなっても、他の支店は事業が継続できるようにしたいという依頼内容に対して、対応として、支店ごとに新会社を立ち上げて各支店事業を譲渡する、新会社設立に向けて様々な対応、こういったものを私どもがワンストップサービスで提供します、こう出ているんですよ。

 大臣、これはある意味、行政処分逃れですよね。私は、こうした状況というものをどれぐらい把握しているかということ、これも極めて問題だと思っています。これは政府参考人にお願いします。今申し上げたような分社化の実態、どれぐらい承知されていますか。

鶴田政府参考人 いわゆる処分逃れですとか、そのための相談を受ける行政書士、これらの存在につきましては国土交通省としても認識をしておりまして、これに対応するために逐次対策を講じてきたところでございます。

 具体的には、監査を受けて事業許可が取り消されそうだというふうに考えた事業者が先回りをして自ら事業廃止の届出をするですとか、あと、車両を別会社に譲渡する、そういった場合には、国土交通省として、当該事業者から車両が譲渡された先の事業者を対象にして、厳格な監査を行っているところでございます。

馬淵委員 でも、これは実は不十分なんですよね。ですから、現実に、これは私の方にもいろいろ情報が届きます、こういった会社が分社化して処分逃れをやっていると。それを追っかけて、監査を入れてということをやっておられるんでしょうけれども、現実にそうやって分社化が進んでいく、また、監査の期間が長い間にトラックの移譲が起きてしまう、トラックの移動ですね、起きてしまうなどなどがあります。

 これは、大臣、やはり法制上の改正を含めて検討しなきゃならないと思うんですが、大臣、これに対してはどうでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今の馬淵委員の御説明を聞きまして、この会社が違反をして、多分、処分は別な会社ということになる可能性もあって、法制上、非常に、これをきちっと把握して処罰するというのは、かなり慎重な検討が、慎重な検討というのは消極的という意味ではなくて、しっかりとした検討が必要になってきて、全体としてどのようにこれをなくしていくかということについては、しっかり仕組みを考えなくてはいけないと思いますが、まずは、先ほど局長が答えましたように、そういう実態があるということを我々もこれまで認識していたところでございますので、しっかり実態を把握するところから始めたいと思います。

馬淵委員 ありがとうございます。

 この処分逃れ、本当に、トラックを百台、二百台抱えているところとそして数台しかないところ、これは行政処分の点数という部分においては一緒なんですね。したがって、結局、たくさんのトラックを抱えているところがばかを見る。逃れようとしている、こうした違法な行為をしているところが存続させられてしまうという、まさに正直者がばかを見るような結果になりかねません。

 今、大臣、実態把握に取り組むとおっしゃっていただきました。これについても、いつまでに実態把握、並びに、運用レベルの改善も可能ですから、これについてお答えいただけますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 この夏をめどに、この処分逃れ実態についても調査をしていきたいと思います。

 最終的には、先ほど法改正ということもございましたが、まずその実態を見た上で、今の法体系の中でできることはまずやっていきたい、このように思います。

馬淵委員 これも夏までにということで期限を区切って実態解明に取り組むという決意をいただきました。ありがとうございます。

 その上で、法改正は慎重に行わねばならないことは私もよく分かります。分社そのものは商法上で違法行為でも何でもありませんので、定められた権限で、経営者の判断でできることです。しかしながら、こうした処分逃れの実態が続いていくようであれば、ここはやはりしっかり歯止めをしていかねばならない。その部分で、運用改善ということは私は可能だと思います。

 大臣、この運用改善についても夏めどにしっかりとやっていただくということでよろしいでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 夏をめどに、まず調査をさせていただきます。その結果を見た上で、まずできることはやる、運用上できることは早急にやるということでいきたいと思います。

馬淵委員 運用はまさに皆さん方の判断でできます。内規でいろいろと定められていると思いますから、これを変更することによって、何とか止める手だてというのが生まれると思いますので、しっかりそれも進めていただきますことをお願い申し上げて、私からの質問を終わります。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 斉藤国土交通大臣、今日もよろしくお願いいたします。

 まず、特定利用空港、特定利用港湾について大臣に伺います。

 委員の皆様、資料を御覧ください。

 有事に備えて、自衛隊や海上保安庁が特定の空港や港湾を円滑に使えるように整備や拡充を行う、これはこういう仕組みだという御説明でありました。全国で五つの空港、十一の港が指定ということ。私の地元の北九州空港も指定されました。北九州市など、これらの空港や港、最寄りに暮らす人々からは、一体どんなことが起きるのか、そうした懸念、御意見が寄せられています。

 そこで、令和六年四月一日の、総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備に関する関係閣僚会議による「総合的な防衛体制の強化に資する公共インフラの運用・整備方針について」に関して、まずは北九州空港を例に、国の空港の管理者である国土交通大臣に伺います。

 政府資料には、「安全保障環境を踏まえた対応を実効的に行うため、自衛隊・海上保安庁の航空機・船舶が平素において必要な空港・港湾を円滑に利用できるよう、国土交通省、海上保安庁、防衛省及び空港管理者又は港湾管理者との間に「円滑な利用に関する枠組み」を設け、必要な調整を実施する。」とあります。

 大臣、この「円滑な利用」とは、具体的には何を指すんでしょうか。また、「必要な調整」とは、具体的に、誰と誰の間で、どのような調整を行うのか、大臣の認識をお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 今般の特定利用空港に係る取組は、国家安全保障戦略に基づき、総合的な防衛体制の強化の一環として、自衛隊、海上保安庁が必要とする空港を平素から円滑に利用できるよう、空港管理者との間で「円滑な利用に関する枠組み」を設けるとともに、民生利用を主としつつ、必要な整備又は既存事業の促進を図るものです。

 御質問の「円滑な利用」とは、自衛隊や海上保安庁の航空機が平素の運用や訓練等を行う際に、民生利用との調整を図りつつ、必要な空港を利用できることを指します。

 また、「必要な調整」とは、空港管理者と防衛省、海上保安庁との間で連絡調整体制を構築した上で、先ほど申し上げました「円滑な利用」に向け、具体的な運用や調整を行うために必要な意見交換等を実施することを指します。

城井委員 政府からの事前の説明によりますと、自衛隊、海上保安庁が平素から必要な空港、港湾を円滑に利用できるよう、インフラ管理者との間で円滑な利用に関する枠組みを設けるということでした。

 北九州空港は国管理空港であることから、地元自治体である北九州市は、この「円滑な利用に関する枠組み」には含まれず、「必要な調整」を行う立場にもないのではないか、円滑に利用したい場合には、空港管理者として、国土交通大臣は、地元自治体を枠組みに加えて、公式の場で情報共有や説明をすべきではないかと考えるのですが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、「円滑な利用に関する枠組み」は、空港管理者と防衛省、海上保安庁との間に設けるものでございます。委員御指摘の北九州空港は国管理空港であることから、管理者ではない自治体が「円滑な利用に関する枠組み」の構成員になることは想定しておりません。

 他方、これまでも自衛隊、海上保安庁は、訓練などの実施に当たり、地域住民に及ぼす影響を考慮し、利用する内容や規模によっては、事前にその内容、実施日等を空港管理者や地元自治体へ説明しているものと承知しておりまして、特定利用空港においても、これまでと同様に説明が行われるものと承知しております。

城井委員 続いて、確認をさせてください。空港における空港の施設の円滑な利用に関する確認事項について。

 この確認事項の二には、「国土交通省は、国民の生命・財産を守る上で緊急性が高い場合」「(武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態を除く)であって、当該空港の施設を利用する合理的な理由があると認められるときには、民生利用に配慮しつつ、防衛省・海上保安庁と緊密に連携しながら、自衛隊・海上保安庁が柔軟かつ迅速に施設を利用できるよう努める。」とあります。これらの点について心配する御意見があります。

 そこで、伺います。

 この「緊急性が高い場合(武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態を除く)」とは、具体的にどのような場合か、大臣の認識をお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 空港の施設の円滑な利用に関する確認事項の中における「緊急性が高い場合」とは、「国民の生命・財産を守る上で緊急性が高い場合」と、「航空機の飛行の安全を確保する上で緊急性が高い場合」を指します。

 具体的には、「国民の生命・財産を守る上で緊急性が高い場合」とは、例えば、弾道ミサイル対処や、災害等における救援部隊の派遣が必要な場合などでございます。

 また、「航空機の飛行の安全を確保する上で緊急性が高い場合」とは、例えば、自衛隊機などの機体トラブル等による緊急着陸が必要となった場合などを想定しているところでございます。

城井委員 あわせて、「当該空港の施設を利用する合理的な理由」とはどのような理由か、具体的に教えていただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、空港の施設の円滑な利用に関する確認事項における「緊急性が高い場合」とは、「国民の生命・財産を守る上で緊急性が高い場合」と、「航空機の飛行の安全を確保する上で緊急性が高い場合」を指します。

 その二つの緊急性が高い場合を指したその上で、「当該空港の施設を利用する合理的な理由」とは、これらの場合への対応として、民生利用に配慮しつつ、自衛隊と海上保安庁が当該空港を利用する必要があると認められることなどを指すと考えられます。

城井委員 続きまして、確認事項の三には、「上記の着実な実施に向けて、関係省庁間において連絡・調整体制を構築し、円滑な利用に関する具体的な運用のための意見交換を行う。」とあります。「関係省庁間において連絡・調整体制を構築し、」とありますけれども、具体的にはどのような体制が構築されるか。

 先ほどの御答弁では、基本的には地元自治体、隣接自治体は含まないということでしたが、当該自治体、例えば北九州空港の場合には北九州市や苅田町など、周辺自治体は含まれた方がいいのではないかというふうに考えます。別に事前にお知らせするからよいということではなく、同じ情報を同時のタイミングで共有するという意味で重要なのではないかというふうに考えますが、大臣の認識をお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 空港管理者と関係省庁との間において構築される連絡調整体制は、空港ごとに、空港管理者と自衛隊、海上保安庁において構成するものであり、事前に連絡網などを整備し、具体的な運用のために必要な意見交換を行うことなどを想定しております。従来、自衛隊や海上保安庁の利用につきましては、その都度調整しておりましたが、こうした連絡調整体制が整うことで、より円滑な空港の利用が可能になると考えております。

 また、先ほど申し上げましたとおり、北九州空港を例にされておりますが、北九州空港は国管理空港であることから、管理者ではない自治体が円滑な利用に関する枠組みの構成員となることは想定しておりません。

 他方、特定利用空港において自衛隊や海上保安庁が訓練などを行う場合にも、空港管理者や地元自治体に対して、引き続き、これまでと同様に説明が行われるものと承知しております。これまでの仕組みを使わせていただくということでございます。

城井委員 今ほどの、これまでの仕組みを使わせていただくということですが、そこにタイムラグ、時間の差があると無用の混乱を呼ぶのではないかというふうに思いまして、この連絡調整と、そして事前の周辺自治体への情報共有、連絡を同じタイミングでやっていただけるということで運用いただけますでしょうか。大臣、お願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 これまでどおり、そのタイムラグがないように、しっかりと地元自治体への連絡調整を行っていきたいと思います。

城井委員 続きまして、「円滑な利用に関する具体的な運用」とありますけれども、この「具体的な運用」とは何か、我々に示された書面では具体的に示されておりませんが、大臣の認識を教えてください。

斉藤(鉄)国務大臣 今般の特定利用空港に係る取組は、例えば災害時などに備え、自衛隊、海上保安庁の航空機が平素から訓練等において民生利用との調整を図りつつ、必要な空港の利用を可能とするものでございます。

 これらの利用に当たり、空港管理者におきましては、民生利用と同様に、空港法等に基づき、訓練などを実施する日時や、その際使用される航空機などの情報について事前に提供を受け、他の利用者との調整を行うこととなります。

 「円滑な利用に関する具体的な運用のための意見交換」とは、こうした個別の訓練等に係る情報共有や調整などを指しているところでございます。

城井委員 続きまして、令和六年度の総合的な防衛体制の強化に資する公共インフラ整備について伺います。

 政府からの事前の説明によりますと、北九州空港の場合は六十三億円の予算が措置され、うち、対象施設分として六十三億円の全額が充てられる、こういう説明でした。

 この対象施設とはどのような施設のことでしょうか。この予算はどのような施設の整備に使われるのか、大臣からお答えいただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 総合的な防衛体制の強化に資する公共インフラ整備の対象施設とは、民生利用を主としつつ、自衛隊、海上保安庁の航空機の円滑な利用にも資する施設を指します。

 北九州空港におきましては、滑走路延長、浸水対策、滑走路端安全区域整備、無線施設整備、照明施設整備などが対象となっておりまして、令和六年度に約六十三億円予算配分しておりますが、その六十三億円のうちのほとんど多くの部分を、この三千メートル化、滑走路延長が占めております。

城井委員 ここまで幾つもの質問を、大臣の認識ということでお伺いしてまいりましたが、今ほどの基本的な質問を、こうして表の場で確認をさせていただかなきゃいけないぐらい世間の関心は高いというふうに思っています。

 例えば、北九州市や周辺自治体に暮らす人々にとっては、有事の際の対応も見据えた北九州空港の平素からの利活用に関するルールというふうに言われると、一体何が起こるのかというのは、いろいろな想像を巡らすのも無理はないというふうに思います。実際に、多くの方々が様々な状況を想像しながら、政府がどのように振る舞おうとしているのかということを注視しています。

 運用・整備方針や確認事項を読みますと、地元自治体や住民に対する説明についても明確には記載されていないので、やはり心配する意見も寄せられるのは無理もないというふうに思うわけであります。

 要らぬ心配、懸念を増やすことがないように、今回は北九州空港を例に取ってということでしたけれども、北九州市や周辺自治体に暮らす人々、今回の特定利用空港、特定利用港湾のその周りに住まう方々に、是非、国土交通大臣の立場から、引き続き、今後丁寧な説明をやっていただくということをお約束いただきたいと思いますが、お願いできますか。

斉藤(鉄)国務大臣 まさに今回の特定空港、港湾につきましては、地域の方、大変関心を持っていらっしゃる、また御心配されている方もたくさんいらっしゃると思います。丁寧な説明が必要だと思いますので、しっかり、タイムラグを置かないように、またきちんとした説明をしていきたいと思っております。

城井委員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 次に参ります。

 鉄道産業、電力関連産業における建設業の時間外労働の上限規制、いわゆる二〇二四年問題について伺います。

 公共インフラの維持発展に欠かすことができない鉄道や電力といった産業における建設業の時間外労働の上限規制、いわゆる二〇二四年問題については、建設業の時間外労働の上限規制自体も多くの産業に大きな影響を与えるというふうに考えていますが、実はこれは鉄道産業や電力関連産業であっても同様で、有効な対策を講じなければ危機的な状況に陥る可能性があるというふうに考えています。

 実際に現場からもお声がありました。JRを始めとする鉄道産業からは、定められた検査や保守作業を施工することができなくなる可能性があり、列車運行に支障する事態を招きかねないとの声があります。電力関連産業では、自然災害が発生した際のインフラ復旧を含めて電力の安全、安定供給に影響が及ぶのではないかという不安を抱えています。

 時間外労働が上限規制され、労働者一人当たりの労働時間が短くなることで、これまでと同規模の工事であっても、施工要員が増員できなければ竣工までに時間を要することになります。しかし、依然として人手は不足しています。適正な工期設定が求められても、前の工程の遅れによるしわ寄せもあります。工期を延ばしても、期間に応じた管理費等の負担が増えるため、増加した工事費を支払うことができる環境整備が必要です。

 これは今後法案も出てくると思いますが、建設業界のみならず、鉄道産業や電力関連産業などの建設業に多く従事している産業にとっても、早急に解決すべき課題です。

 これらを踏まえ、まず、鉄道産業や電力関連産業に関連する建設業における工期、金額などの適正契約について伺います。

 建設業界、例えば多重下請構造で下流工程となる電気工事などの職種では、現在も、前工程の遅れによるしわ寄せを受けて、実際に施工できる期間が著しく短くなる事態、それに伴う長時間労働も生じています。

 鉄道産業や電力関連産業においても、建設業に多く従事していることを踏まえ、二〇二〇年に策定された工期に関する基準を実効性のあるものとするため、基準の検証を行い、必要により見直しを行うべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今月から建設業においても時間外労働規制が始まることから、前工程の遅れに伴って、後工程の工事がしわ寄せを受け、当初の予定よりも短い期間での作業を余儀なくされることのないよう、適正な工期の確保が今まで以上に重要となってまいります。

 このため、国では、本年三月に、工期に関する基準の改定を行いました。工事の受注者から、時間外労働規制を遵守した適正な工期による見積りを受け取った注文者は、これを尊重し、受注者による規制違反を助長しないようにしなければならないことを明記したところです。この新たな基準につきましては、法定の上限労働時間の遵守という観点から明確に判断し得ることから、実効性がしっかりと確保されるものと考えております。

 さらに、国土交通省の職員で構成する建設Gメンの体制を今年度から倍増し、個々の契約を実地調査した上で、適正な工期確保を妨げる取引に対して必要な改善指導を求めるなど、工期適正化を一層推進してまいりたいと思っております。

城井委員 もう一点伺わせてください。

 適正な価格競争の下、契約されることは大変望ましいことだと思いますが、取引上の地位を不当に利用した、不当に低い請負代金による契約に加えて、価格競争における、利益を無視した不当に低い請負代金での契約も想定されます。

 鉄道産業や電力関連産業においても、建設業に多く従事していることを踏まえて、不当に低い請負代金の禁止について、実効性のあるものとなるよう、企業に対する指導等を徹底すべきだと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 建設工事の注文者と受注者は互いにパートナーの関係にあり、注文者、受注者間の取引適正化は、工事の品質確保や発注者の安定的な事業継続上、極めて重要でございます。このため、サプライチェーン全体で適正な取引が行われるよう、必要な環境整備を進めてまいります。

 まず、不当に低い請負代金で契約が行われ、労務費が適切に確保されなければ、技能者の処遇悪化を招き、さらに、建設業の持続に必要な人材確保も困難になります。このため、今国会に提出中の建設業法等の改正案では、国があらかじめ示した適正な労務費の基準を著しく下回る積算見積りや請負契約を禁止する新たなルールを導入いたします。また、資材高騰分についても、適切な転嫁を促す取引ルールを強化いたします。

 さらに、建設Gメンの体制を今年度から倍増させ、個々の請負契約を実地で調査の上、働き方改革や賃上げを妨げるような請負代金や工期について、改善指導を徹底してまいりたいと思います。

 このような取組を通じて、不当に低い請負金額の禁止について実効性を確保してまいりたい、このように考えております。

城井委員 今の、今後議論する新たなルール案について確認をさせてください。

 今、労務費等を確保する観点でということで、原価を割れるような契約の禁止は全ての事業者が担うべきだというふうに思いますが、その中には、当然、資本関係にある事業者間の取引であっても例外なくこの原価割れ契約の禁止は適用されるべきだ、こういう認識、考え、理解でよろしいかを確認させてください。

斉藤(鉄)国務大臣 受注者と発注者という関係……(城井委員「資本関係にあった場合」と呼ぶ)関係でしますので、そこに資本関係があるかないかというのは関係ないと思います。

城井委員 ありがとうございます。今の点、大変重要な点だと確認させていただきました。

 今のように、建設業であっても一見違う産業、鉄道産業や電力関連産業といったところでも関わってくるところがあります。なかなか建設業という観点で国土交通省からお話は聞いていただけていないということでした。ですので、是非、大臣には、こうした建設業全体、違う産業のところにも片足がかかっているような産業についても目配りいただいて、声を聞いていただきたいと思うんですが、最後にその点を確認させてください。

斉藤(鉄)国務大臣 今回、法律を国会に提出させていただきました。働き方改革、そして今回、新たな労働法制も始まります。建設業界が魅力ある産業になるように、しっかりこの点、頑張っていきたい、このように思っております。

城井委員 時間が参りました。終わります。ありがとうございました。

長坂委員長 次に、赤木正幸君。

赤木委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の赤木正幸です。会派を代表して質問させていただきます。貴重な時間をいただきまして、誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、リニア中央新幹線についての質問をさせていただきます。

 この一か月、リニアに関してはかなり激しく動きがあったと考えております。三月下旬にJR東海さんが二〇二七年の開業を断念する方針を出されて、それを受けて、斉藤大臣からも、開業目標が実現できないことは非常に残念だと述べられて、早期の開業に向けて静岡県とJR東海さんの対話を促すという考えを示されましたが、その後また急展開があって、川勝静岡県知事が辞職されて、五月二十六日ですかね、投開票の県知事選という流れ、これについては皆さん御存じ、かつ注目されていることと考えております。

 今日は、あえて次の県知事が決まる前に、リニアに対してどういった立場を取られる方がなるかということは不明ではあるんですが、言ってみれば、どのような方が県知事に次になろうとも、リニアに対する政府の、ある意味、フラットなスタンスをちょっとこのタイミングでお聞きしたいなというふうに考えていることと、あとは、日本維新の会としては、やはり、名古屋までが通らないことには大阪までたどり着かないんですけれども、一日も早く大阪にたどり着いていただきたいと。これは私だけが言っているんじゃなくて、吉村共同代表も、次の知事について、リニアを推進する知事をしっかり支えていきたいということも示されていますので、そういった意味も含めて、今日は、少し長い時間ではありますが、リニアの話をさせていただければと考えております。

 まず、リニアの話に入る前に、東海道新幹線の話をお聞きしたいと考えています。

 私は選挙区が神戸ですので、頻繁に東海道新幹線を使わせていただいているんですが、感覚として、以前より、よく止まったり遅れたりすることが多くなっているのかなというふうに感じているんです。これについて、直近のデータで全然構いませんので、天候とか自然災害等を理由とした遅延とか運休の回数、そしてその原因に関して教えていただけますでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 東海道新幹線では、二〇二二年度でございますけれども、国への報告対象外である計画運休等を除きまして、雨の影響による運休が一回発生しました。これは、二〇二二年九月の台風十五号によるもので、運休した列車は二百二十七本、遅延した列車は百三十三本、最大約十八時間二十分の遅れが生じました。

 また、このほか、自然災害を理由とした三十分以上の遅延につきましては十四回発生し、最大遅延時間は約四時間四十分でした。この十四回の遅延につきましては、雨によるものが十回、雪によるものが二回、風によるものが二回となっております。

赤木委員 そうですね、回数だけを聞くと一見多く感じるんですが、一日たしか四百本以上、東海道新幹線は運行されているので、年間十五万本近い運行数にしてみれば少ないのかなと思いながらも、そもそも、天候若しくは自然災害等を理由とした場合の、運転を見合わせする際の基準に関してはどのように定めているかをお答えいただけますでしょうか。

村田政府参考人 まず、降雨等を理由といたしました運転見合せの基準でございますけれども、私どもの、鉄道に関する技術上の基準を定める省令というものがございまして、この中で、暴風雨、地震等により列車に危難の生ずるおそれがあるときは、その状況を考慮し、列車の運転の一時中止などの措置を講じなければならないという規定がありまして、この規定に基づきまして、各鉄道事業者は、それぞれの路線の状況を踏まえまして、具体的な措置につきまして実施基準を定めるということになっております。

 その上で、東海道新幹線の運転見合せの基準でございますけれども、JR東海の実施基準におきましては、沿線に設置した雨量計を用いて、降雨量が規制値に達した場合に運転見合せを実施する旨、規定されております。

 具体的には、三つの規制値を設定しておりまして、一つ目が、一時間降雨量が六十ミリ以上であること、二つ目といたしまして、一時間降雨量が四十ミリ以上かつ二十四時間降雨量が百五十ミリ以上であること、三つ目といたしまして、二十四時間降雨量が三百ミリ以上かつ十分間雨量が二ミリ以上であることとされておりまして、これらの規制値をいずれか一つでも超えた場合に運転見合せを実施することとされております。

 なお、これらの規制は、東海道新幹線の開業以降、路線の防災対策の進捗によりまして、随時見直しが行われてきていると承知しております。

赤木委員 ありがとうございます。

 今、まさに降雨量を基準としたJR東海さんの基準があるということなんですが、結構、遅延とか運休が起こるたびに、東海道新幹線は雨に弱いんじゃないかということが言われることが多いと感じております。これについて、もちろん、盛土区間が多いとか、老朽化の部分があるとかという原因も考えられますが、実際に雨に本当に弱いのかどうか、その辺りの理由、そしてそれへの対策に関してお答え、お願いいたします。

村田政府参考人 東海道新幹線の構造ですけれども、東京から新大阪の延長五百十六キロのうち、約五三%に相当する二百七十三キロメートルが、今御指摘いただきました盛土あるいは切土によります土の構造区間となっておりまして、他の新幹線と比べましても多くなっているというふうに承知をしております。

 JR東海におきましては、このような土の構造区間への防災対策といたしまして、のり面へのコンクリートを用いた防護工の整備、排水を促進するための排水パイプの整備、また土砂の流入を防止するための土砂止め設備の整備を行うなどの対策を、継続的に実施してきているところでございます。

赤木委員 そうですね、五三%、半分以上が盛土、切土というのは、結構ほかの新幹線に比べると、非常に盛土、切土が多いと思いますので、この後にもお聞きしますが、やはりリニアという複線化というか、リダンダンシーの必要性があるのかなとは考えています。

 もう一つよく言われる南海トラフ巨大地震、これに関して、実際にリニアの開通が遅れるのであれば、よりこの南海トラフが起こる、遭遇する確率も当然上がっていくと思いますので、ここについて結構懸念される方は多いと思います。あとは、実際に南海トラフになると日本全体への影響も大きくなると思いますが、この点、東海道新幹線はこの南海トラフ巨大地震に対してどのような対策を取られているかについてお答え、お願いいたします。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 南海トラフ等の大規模な地震に備えまして、東海道新幹線におきましては、まず一つ目といたしまして線路などの鉄道施設の耐震対策、二つ目といたしまして地震時にできるだけ列車を早く止める対策、三つ目といたしまして車両の脱線防止対策、こういった対応策が進められております。

 耐震対策といたしましては、具体的には、高架橋や橋梁、盛土などの構造物や駅舎の耐震補強を進めてきているところでございます。

 また、地震時にできるだけ列車を早く止める対策といたしましては、沿線の地震計で地震をいち早く検知し、早期かつ着実な列車への緊急停止指令を出す地震防災システムを導入しております。さらに、緊急停止指令を受けた後に新幹線列車が停止するまでの時間を短縮するため、車両のブレーキ性能の向上にも取り組んできているところです。

 加えまして、車両の脱線防止対策につきましては、レール内側に、レールと並行して敷設する脱線防止ガードの設置を進めてきておりまして、また、万が一脱線した際にも車両が線路から大きく逸脱することを防ぐために、逸脱防止ストッパーを全車両へ設置しているところでございます。

赤木委員 結構いろいろな対策を取られているということをお聞きして安心は深まっているんですが、一方で、津波の被害が実は東海道新幹線の線路面まで来ることは、ほぼほぼ、基本的にないということも、今回ちょっと私も調べさせていただいて、津波をかぶるのかなと思っていたんですけれども、意外にそうではないというところで安心はしているんです。

 とはいいながらも、リニアは防災以外のメリットもあるので、ここからリニアの話に入らせていただきます。

 本当に今更で怒られてしまうかもしれないんですが、そもそも、リニアは鉄道と言っていいのでしょうか。昔、僕が子供の頃、リニアモーターカーとかと呼んでいて、カーとついていたというのと、あと、そもそも、車輪で走っているわけじゃなくて宙に浮いて走っているので、この辺り、実際に新幹線なのか鉄道なのか。

 あと、北陸新幹線のように整備新幹線ではないということは理解しているんですが、この辺り、どういった位置づけ、整理をされているかについて教えてください。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御質問いただきましたリニアモーターカーの位置づけでございますけれども、鉄道事業法におきましては、私どもの省令であります施行規則第四条におきまして鉄道の種類というものが掲げられておりまして、その中に浮上式鉄道という類型がございます。リニアモーターカーは、この浮上式鉄道に該当する鉄道というふうに法律上位置づけております。

 その上で、リニア中央新幹線につきましては、全国新幹線鉄道整備法に基づきまして、国土交通大臣が中央新幹線として基本計画や整備計画を決定した上で、建設主体及び営業主体をJR東海に指名して事業を進めております。

 一方で、今御質問いただきました、いわゆる整備新幹線でございますが、こちらは、全国新幹線鉄道整備法に基づきまして、昭和四十八年の整備計画に基づきまして、鉄道・運輸機構が国と地方自治体の予算等によりまして建設を行っております。具体的には、北海道、東北、北陸、九州の各新幹線を総称したものというふうに認識をしております。

 これらの路線につきましては、鉄道・運輸機構が建設後も施設の保有を行い、営業主体であるJRに貸付けを行うものであるのに対しまして、リニア中央新幹線は、JR東海が自ら建設、保有を行うものでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 浮上式鉄道ということで、なおかつ、基本的にJR東海さんのお金で全てをするということで理解いたしました。

 次に、リニア中央新幹線を整備する理由についてお尋ねしたいんですが、まずは災害対策という観点から、雨に対する対応とか老朽化に対する対応があると思いますが、この点、どのような御見解を持たれているか、教えてください。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 リニア中央新幹線の災害対策の観点でございますが、リニア中央新幹線は、東海道新幹線とのダブルネットワークによるリダンダンシーの確保を図るものでありまして、国土形成計画あるいは国土強靱化基本計画にも位置づけられております国家的見地に立ったプロジェクトでございます。

 具体的には、国土形成計画におきましては、三大都市圏を結ぶ大動脈の二重系化により、巨大災害リスクに対するリダンダンシーの確保に資するという旨でありますとか、三大都市圏相互の機能補完、連携の強化とも相まって、東京に集中する中枢管理機能のバックアップ体制の強化にも寄与するということが位置づけられております。

 さらに、国土強靱化基本計画におきましても、リニア中央新幹線は雪や大雨等の災害に強い都市間輸送手段であり、災害時には代替輸送ルートとしても機能する旨が位置づけられております。

赤木委員 ありがとうございます。

 聞けば聞くほど、まさに国家としてすごく必要なプロジェクトというふうに認識しております。

 次に、リニアを整備する理由の、経済的な理由をお聞きしたいんですが、たしか五年ぐらい前のレポートで「リニア時代の国土創生」というものがありまして、リニア中央新幹線は少なくとも十・七兆円の経済効果をもたらす歴史的な社会資本、圧倒的な時間短縮が国土の構造に転換をもたらし、産業機能だけじゃなくて居住機能の立地選択の多様性が生まれるというふうなものを読んだときに、すごく重要なプロジェクトだと私も認識した記憶があります。

 リダンダンシーの部分というのは、これはこれですごく大事なんですけれども、政府として、経済的な観点、若しくは国土開発的な観点として、リニアを整備する理由について御見解をいただけますでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 リニア中央新幹線でございますけれども、最速で東京―名古屋間を四十分程度、東京―大阪間を一時間強と、いずれも移動時間が現在の半分程度になるなど劇的に短縮するとともに、三大都市圏を含む世界最大級の経済圏を形成するということで、企業立地や観光などに対しても大きな効果があるものと考えております。

 また、リモートワークやワーケーション、二地域居住など、新しい働き方、住まい方、価値観の変化が期待されるなど、様々な生活スタイルの選択肢も出ており、デジタル田園都市国家構想の実現を支えるインフラともなるものでございます。

 このように、リニア中央新幹線は、我が国の経済を支える大動脈の機能強化に資するものであり、経済的にも国土開発的にも、非常に大きな効果をもたらす事業であると考えております。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさしく経済的にも非常に重要ということなんですが、少し、リニアを整備する中で今後の障害に、若しくは調整事項になる問題として、私、実は不動産ビジネスを長く行ってきたので、地権者とか権利調整の補償の問題に非常に敏感なんですけれども、大深度地下と呼ばれる四十メートルよりもっと深いところを今回トンネルを通すわけなんですが、このときの地上部分の地権者に対して補償が発生する可能性があるかなと考えているんですが、この点どう考えられているかということと、あと、名古屋までの間に、実際どれぐらいの補償とか調整が発生したかということについて教えていただけますでしょうか。

中田政府参考人 お答え申し上げます。

 大深度法に基づきます使用認可制度は、公共の利益となる事業を円滑に実施するために、国民の権利保護に留意しつつ、通常使用されない空間である大深度地下を使用する権利を認めるものでございます。

 また、当該使用権の設定については、財産権の制約に伴う損失が発生しないものと考えられることから、一般に補償を要しないこととされております。

 なお、例外的ではございますけれども、通常使用されない大深度地下空間に井戸などの既存物件がある場合等については、大深度法に基づいて補償の対象とされております。

 お話の、リニア中央新幹線品川―名古屋間における大深度地下使用におきましては、認可時点で既存物件として井戸が五件確認されております。事業者において地権者等と協議して適切な対応がなされるものと承知しております。

赤木委員 そうですね、実際にやはり件数としては非常に少ないと思うんですが、そういったものもあるということを踏まえて、今後、名古屋より、もっと以西も進めていただければと考えております。

 次に、リニアの開発状況、車体とか車両の開発状況についてお聞きしたいんですが、今現在、車体、車両、あとは技術的な開発状況、これが世界最先端の技術の粋を集めたものが開発されていると考えているんですが、現時点の車体の開発状況を教えていただけますでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 リニア中央新幹線の技術開発の状況でございますけれども、平成二十九年に開催いたしました国土交通省の技術評価委員会におきましては、営業線に必要な技術開発は完了したとの評価を受けているところでございます。

 車両につきましては、山梨実験線におきまして、有人走行で世界最高の時速六百三キロメートルを達成するとともに、令和二年からは、第一世代のLゼロ系車両を改良した改良型試験車により、引き続き走行試験が進められているところでございます。

 さらに、液体ヘリウムや液体窒素を用いず、より簡素な構造で超電導を実現する高温超電導磁石の運用安定性の検証、あるいはICT技術等を活用した保守の更なる効率化、こういった技術開発を進めているところでございます。

赤木委員 もう技術的な開発は完了されているということで、レールというか、ガイドウェーというんですか、ものさえあれば走る状況になっているということをお聞きして安心はしたんですが、一方で、ゆえに早く工事を進めなきゃいけないと考えているんですが、世界初とか、日本の技術の優れているところをアピールするためにも、今、上海でたしかリニアが走っていると認識しているんですが、この点に関して、日本の優位性に影響がないのか、揺るぎがないのかというところについての政府の見解をいただけますでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました上海のものでございますけれども、磁気浮上方式により営業運転が行われている高速鉄道につきましては、中国の上海市中心部と空港を結びます上海トランスラピッドのみであると承知をしております。

 この上海トランスラピッドでは、通常の電磁石の吸引力を利用して、約一センチ、車両を浮上走行させる常電導磁気浮上方式によりまして、最高時速は約四百三十キロメートルで走行できるものと承知をしております。

 一方で、我が国のリニア中央新幹線でございますが、超電導現象による強力な電磁石の磁力を利用して、約十センチ、車両を浮上走行させる超電導磁気浮上方式を採用しておりまして、最高時速は五百キロメートルで走行する予定でございます。約十センチの浮上走行をすることによりまして、地震時の揺れやガイドウェーのずれに対処が可能となっております。

 したがいまして、リニア中央新幹線につきましては、世界初の超電導磁気浮上方式により、世界最高速度で大都市間を結ぶ高速鉄道となるものと考えております。

赤木委員 ありがとうございます。

 一センチと十センチの違いと、百キロの速度の違いがあるということなんですが、まず日本でリニアを開業させることを目指すべきだと思うんです。こうやって技術開発も完了して、車両もでき上がっているのであれば、並行して、例えばインフラ輸出のような形で海外に展開することも可能ではないかと考えているんですけれども、これが進めば、世界で日本のリニアに対する評価の指標にもなると考えていますが、このリニアのインフラ輸出の可能性、若しくは実際の動きについて教えていただけますでしょうか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省としましては、超電導リニア技術の海外展開を推進することは、日本の鉄道技術の確保、維持向上に資するものと考えております。

 現在、米国のワシントン―ボルティモア間におきまして、我が国のリニア技術を活用する超電導リニア構想、マグレブの構想がございます。この構想につきましては、平成二十七年に米国連邦政府より、同国のマグレブ事業の開発、計画、実現を目的とする補助金の対象に選定、拠出されております。

 これを踏まえまして、国土交通省では、平成二十八年度より、需要予測や線形等、当該区間における超電導リニア技術導入の実現可能性につきまして調査を進めております。

 国土交通省としましては、当該調査の結果を十分に活用しつつ、引き続き米国への働きかけを行う等、超電導リニア技術の海外展開に取り組んでまいります。

赤木委員 ありがとうございます。既にもうアメリカに対して、そういった働きかけと実際に進捗があるということを聞いて、安心しました。

 次に、今日のある意味本題にはなるんですが、そもそも、ちょっと答えづらい内容も多いかもしれませんが、東京―名古屋間の開業予定が遅れた理由についてお聞きしたいんですけれども、どこに課題が発生していたのかという点。あと、リニアに関して国が果たしてきた役割、そして果たそうとしている役割ですね。あとは、JR東海若しくは県との関係を含めて、その辺りの役割をどう考えられているかということをまずお聞きしたいことと、もう一つ、二月からモニタリング会議が始まっていますが、この会議の位置づけや、国、県、JR東海の役割についても教えていただけますでしょうか。済みません、あともう一つ、名古屋の開業の予定時期についても併せて言及いただけるとありがたいです。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、令和六年、今年の三月に開催されましたリニア中央新幹線静岡工区モニタリング会議の中でございますけれども、建設主体であるJR東海からは、不確実性を伴うトンネル工事の中でも極めて難易度が高く、掘削延長が長いにもかかわらず、工事に着手できないまま、工事契約締結から既に六年四か月が経過している静岡工区が、名古屋までの開業の遅れに直結をしており、二〇二七年の開業は実現できないということ。また、静岡工区の工事にいまだ着手の見込みが立たないことから、現時点で新たな開業時期を見通すことはできないが、引き続き早期の開業を目指して全力を挙げて取り組んでいく、こういった説明があったところでございます。

 いまだ着工のできていない静岡工区につきまして早期着工することが、リニア中央新幹線の早期開業に向けた重大な課題と認識をしております。その上で、静岡工区の早期着工に向けましては、静岡県とJR東海の対話を促進するということ、科学的、客観的な観点から議論することが重要と考えております。

 このため、国土交通省におきましては有識者会議を設置し、令和三年には大井川の水資源への影響に関する報告書、また、昨年十二月には南アルプスの生態系などの環境保全に関する報告書をそれぞれ取りまとめまして、国土交通大臣からJR東海に対し、これらの報告書に基づく対策を講じるよう求めたところでございます。

 これを受けまして、建設主体のJR東海は、様々な施策を講じようと努力をしておりますが、必ずしも静岡県の理解を得られずに今日に至っているものと認識をしております。

 今後は、JR東海におきまして、報告書に基づく対策を着実に実行していくということが重要であるということ、また、地域の方々からは国の関与の継続についても御要請いただいておりますことから、今御指摘がありましたように、本年の二月より、JR東海の取組を継続的にモニタリングする新たな会議体でございますリニア中央新幹線静岡工区モニタリング会議を開催しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、この静岡工区モニタリング会議を通じまして、JR東海の対策状況を継続的に確認するとともに、静岡県とJR東海の協議に国土交通省も入って一層の対話を促すなど、リニア中央新幹線の早期整備に向けた環境を整え、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

赤木委員 国としても、モニタリング会議を含めてサポートされていくとのことですが、特にやはり静岡工区が非常に重い課題を抱えているというふうに受け止めています。静岡工区以外にも当然まだ工事は進めなきゃいけないと思うんですが、静岡工区以外の工区においても同様の課題が発生する可能性若しくは工事期間に影響を及ぼすその他のリスクに関して、政府としてどのように認識されていますでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 JR東海の方からは、不確実性を伴うトンネル工事の中でも極めて難易度が高く、掘削距離が長いにもかかわらず、いまだ掘削工事に着手できていない静岡工区のような工区はほかにはないということ、静岡工区の遅れを踏まえて、経済性も考慮して工事全体の進め方について検討をしているということ、また、静岡工区が名古屋までの開業の遅れに直結している一方で、他の工区は開業時期に影響を与えることはないということの説明を受けてございます。

 私どもといたしましても、この静岡工区の早期着工がリニア中央新幹線の早期開業に向けた重大な課題でありまして、先ほど答弁いたしましたように、引き続き、早期開業に向けた環境整備を進めてまいりたいと考えております。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに、まず静岡工区をどうにかしなければいけないということではあるんですが、大阪までいつ届くのかということも、日本維新の会としてもすごく気になるところなんです。名古屋までの開業が遅れることで大阪までの開業も遅れてしまうのかどうかということを、少し懸念しております。

 あと、JR東海に対しては、三兆円の財政投融資を活用して、長期、固定、低利の貸付けを行っていると思うんですけれども、これがたしか二〇四六年まで据え置かれて、そこから返済が始まると思うんですが、この名古屋開業が遅れることによって、この財政投融資の返済にも影響があるのかについて、併せて教えていただけますでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今御指摘の財政投融資でございますが、リニア中央新幹線につきましては、令和二十七年、二〇四五年の東京―大阪間全線開業という当初のJR東海の計画に対しまして、最大八年間前倒しをし、最速で令和十九年、二〇三七年の開業を図るため、財政投融資を活用した三兆円の貸付けを行っているところでございます。

 この貸付けにつきましては、今御指摘いただきましたように、返済は令和二十八年、二〇四六年まで据え置かれております。また、東海道新幹線を主力とするJR東海の収益力というようなことも踏まえますと、現時点で返済計画に特段の影響はないものと考えております。

 静岡工区に着手できていない現時点におきましては、品川―名古屋間の新たな開業時期を見通すことができておりませんので、まずは静岡工区に早期に着手するということが最重要でございまして、繰り返しになりますけれども、引き続き、このリニアの早期整備に向けた環境を整えて、一日も早い全線開業に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

赤木委員 明確な時期が言いづらいというのは非常に分かるので、やはり、名古屋まで通るだけじゃなくて、大阪まで行って初めて、先ほど御答弁いただいたように、東京、名古屋、大阪の三大都市圏が一つになる、一時間で結ばれるというのは非常に日本にとってインパクトが大きいと考えております。

 そこで、名古屋以西の質問になるんですけれども、今、三重―奈良―大阪ルートを前提とした進捗があると認識しているんですが、このルートの選定状況について教えていただけますでしょうか。たしか、去年年末ぐらいに環境アセスにも着手されたということをニュースで見ましたが、これについても併せて教えてください。

村田政府参考人 御指摘の、名古屋―大阪間のルートでございますけれども、昨年十二月でございますが、JR東海におきまして、計画段階環境配慮書の作成に必要となります概略のルートの絞り込みと、概略の駅位置選定のためのボーリング調査を、三重県と奈良県の駅候補地周辺において開始をしております。したがいまして、環境影響評価に着手した、こういった位置づけになってございます。

 引き続き、ルートの絞り込み等に向けまして、JR東海や自治体とも連携いたしまして、環境整備を進めてまいります。

赤木委員 ありがとうございます。

 名古屋まで通らないとその先が進まないわけではなく、並行して行われているということを聞いて安心しているんですが、今年の一月も、三重県、奈良県、大阪府のそれぞれの県知事も代表に名を連ねているリニア期成同盟会とか、あと、協議会からの要望書にも、特に早期着工と、三重―奈良―大阪ルートを前提とした駅位置の公表に向けた準備を早く進めてほしいということを出されていますので、引き続き、そこについては並行して進めていただければと考えております。

 もう一つ、実際、私も聞かれる、言われることがあるんですが、大阪までリニアが通った際に、そもそも運賃が幾らになるんだ、どうせ高いんだったら新幹線でいいんじゃないのということも言われたりする方がいらっしゃいますが、今時点で分かる範囲で、品川―大阪間の想定運賃に関しては、どういった想定をされているかについてお答えいただけますでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 リニア中央新幹線開業時の実際の運賃や料金の設定につきましては、JR東海におきまして、そのときの社会経済情勢等を総合的に勘案して行われることとなり、鉄道事業法に基づきまして、認可等の手続が必要となるものと考えております。

 その上で、参考に申し上げますと、平成二十二年の交通政策審議会の中央新幹線小委員会におきまして、JR東海の事業遂行能力を確認するための長期試算見通しというものをやっておりますが、この中では、中央新幹線の運賃・料金につきましては、東海道新幹線の運賃・料金に、品川と大阪の間では千円をプラスするという前提を置いて試算が実施されているところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 千円ということをお聞きしてすごく安心はしたんですけれども、一万五千円ぐらいになるのかなと思うんです。

 当然、今もそうですけれども、新幹線と、あと羽田―伊丹間の飛行機の運賃の価格競争というのもありながら進められていると思うんですが、リニアの整備の意義として、リニアと飛行機の役割分担の議論もあると考えております。

 東京―大阪のリニア開通によって、東京―大阪の飛行機のラインとの役割分担について、政府としてどのように考えられていますでしょうか。

村田政府参考人 先ほどの平成二十二年の交通政策審議会の中央新幹線小委員会におきましては、今御質問のありました、リニア中央新幹線の全線開業後の航空機と新幹線のシェアについても予測を行っておりまして、この予測によりますと、平成十七年の時点で、東京と大阪の間の輸送機関別分担率は、東海道新幹線が六九%、航空機が二六%でございますが、リニア中央新幹線開業後の分担率は、リニア中央新幹線が七〇%、東海道新幹線が一四%、航空機が一三%ということで、航空機のシェアは半減するという予測がされております。

 なお、一方で、リニアの開業に伴いまして全体の輸送需要自体が増加するため、航空機の輸送需要につきましては半減するのではなく、平成十七年の三百十一万人に対しまして、開業後は二百二十一万人ということで、約三割減となるものと予測がされたところでございます。

赤木委員 たくさん聞きたいことを聞いているうちに、大臣への質問が、時間がなくなってしまって済みません。

 最後に、リニアに関する国家政策における位置づけ、若しくは政府が果たす役割と今後の方針について、大臣より強いコメントをいただければと考えております。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、国家政策における位置づけでございますが、東京、名古屋、大阪の三大都市圏を一つの圏域とする日本中央回廊を形成し、日本経済を牽引するとともに、東海道新幹線とのダブルネットワークによるリダンダンシーの確保を図るものであり、国土形成計画、国土強靱化基本計画等にも位置づけられた、国家的見地に立ったプロジェクト、これが位置づけでございます。

 次に、政府が果たす役割ですけれども、品川―名古屋間につきましては、いまだ着工のできていない静岡工区について早期着工することが、リニア中央新幹線の早期開業に向けた重大な課題と認識しており、静岡工区モニタリング会議を通じてJR東海の対策状況を継続的に確認するとともに、静岡県とJR東海の協議に国土交通省も入って一層の対話を促してまいり、そして静岡県の理解を得ていきたい、このように思っております。

 また、名古屋―大阪間については、昨年十二月、JR東海が概略の駅位置選定等のためのボーリング調査を開始し、環境影響評価に着手しました。これにより、中央新幹線の全線開業に向けた事業の前進が図られたものと考えております。

 今後の方針ですけれども、国土交通省としては、財政投融資を活用して三兆円の貸付けを実施しているところであり、今後とも、リニア中央新幹線の早期整備に向けた環境を整え、一日も早い開業に向けて、関係自治体やJR東海と連携し、しっかりと取り組んでまいりたいと決意しております。

赤木委員 ありがとうございます。

 国家プロジェクトとして国が全力を挙げてサポートしていただけるということを非常に期待しておりますので、是非引き続きよろしくお願いいたします。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

長坂委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、二〇二七年横浜花博、国際園芸博について質問します。

 二〇二二年の三月九日、この委員会で、関連する法案が審議をされました。また、今年三月には外務委員会で審議がありました。

 二〇二七年三月十九日から半年間、横浜市で開催される国際園芸博ですが、資料の1はそのイメージ図であります。三つのゾーンということで、それで五つのビレッジということで、基本計画ができております。

 それで、会場の旧上瀬谷通信施設は、昭和二十年に米軍に接収され、平成二十七年、二〇一五年六月に全域が返還された跡地約二百四十二ヘクタールの広大な土地なんですが、そのうち約百ヘクタールが使われることになっております。

 前回、私は、開催規模を身の丈に合った見直しをすべきではないか、このように提案をしました。長い間米軍施設だったために手つかずの里山、自然が残されており、こうした豊かな自然を生かした花博の理念には賛成をするわけですが、実際はどうなのかと大変懸念がある。また、横浜市議団も、党の市議団も、過大な計画の見直しを繰り返し提案をしてきたところであります。

 そこで、まず伺いますが、二〇二二年四月から半年間開催されたオランダ・アルメーレでは二百万人の目標だったわけですが、実際はどうだったのかということ、また、こうした経過に照らしても、横浜市の一千五百万人の来場者数、うち有料来場者一千万人との目標は過大過ぎると考えますが、見直しする考えはないのか、伺います。

天河政府参考人 お答えいたします。

 二〇二二年にオランダ・アルメーレで開催されましたフロリアードエクスポは、新型コロナウイルスの影響等もありまして、来場者数が約六十九万四千人であったと承知をしております。

 二〇二七年国際園芸博覧会の来場者数の目標につきましては、過去の園芸博覧会の実績を参考として、本博覧会の圏域人口を基に算出された妥当な数字であると認識をしております。

 国土交通省といたしましては、目標の来場者数を達成するため、関係府省庁、国際園芸博覧会協会、横浜市等と連携し、鋭意準備を進めているところでございまして、現段階におきまして、目標を見直すことは考えてございません。

 以上でございます。

高橋(千)委員 確かにコロナ禍という時期の問題があるとは思うんですが、ここはユーロ圏人口三億四千万人の都市の中での花博で、最初は、私が質問したときは、目標二百万人と言っていたわけですが、その後、六十五万人と目標自体を下方修正しているので、実際は達成したというふうになっているわけですよね。だから、そういう見直しだってあるんじゃないかということをあえて指摘をしたいと思います。

 当時、私も現地に行きましたけれども、周辺の道路が大変狭くて渋滞になっていること、アクセスの問題は強く実感をしています。一日の来場者数見込みと、うち、公共交通機関をどのように使うのか、例えば、大型バスの出動見込みなどということについて伺います。

天河政府参考人 お答えいたします。

 来場者数の輸送対策につきましては、国、県、市といった行政機関や交通事業者等で構成されます輸送対策協議会におきまして検討が進められておりまして、この三月二十五日に、国際園芸博覧会協会が来場者輸送基本計画を策定したところでございます。

 基本計画におきましては、有料来場者数一千万人以上の来場想定に対しまして、一千二百万人程度に対応できるものといたしまして、一日当たりの来場者数につきましては、平日に平均で五万三千人、ゴールデンウィークや会期終盤といった来場者が集中する多客日、お客さんが多い日ですけれども、多客日を除いた休日平均で七万七千人、多客日で十万五千人と設定をしております。

 鉄道とシャトルバスによります公共交通機関の割合ですが、これは過去の大規模イベントの実績を踏まえて約三三%としておりまして、多客日におきましては、会場近傍の鉄道駅からシャトルバスを一日当たり延べ八百便運行するほか、団体バスが一日当たり四百六十台、会場に到着することを想定をしております。

 基本計画におきましては、シャトルバスの輸送力確保のためには、バス及び運転士の確保が課題ということとしておりまして、国土交通省といたしましても、これらの点は本博覧会の成功に向けた重要な課題であると認識をしております。

 本年度、国際園芸博覧会協会におきまして来場者輸送実施計画を策定する中で、バス事業者を含む関係者と連携して具体策を検討してまいりたいと存じます。

 以上でございます。

高橋(千)委員 資料の2に、今お話ししてくれた来場者輸送基本計画の中から抜粋をしております。左側が輸送基本計画による来場者見込み数、今お話ししていただいた平日と休日、そして最大ピーク時十万五千人、このことが書いております。それから、右側は、四つの駅からシャトルバスという考え方で、この赤い線が四つの駅から出ているわけなんですね。

 これは、今、自覚しているんだと思って聞いていましたけれども、一時間当たり百五十本出すということになるわけですよね、シャトルバスを。そうすると、一分で二・五台、二分で五台ということで、常に走っている状態になるわけですよ。それ自体渋滞になるし、これほど運転手不足が叫ばれている時代にこれを確保できるんでしょうか。もしや、ライドシェアもそのために横浜は熱心にやっているのかしらと思ってしまうわけですが、どのように考えていらっしゃいますか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、これは非常に大きな問題だというふうに認識をしておりまして、例えばバスの乗り場を工夫をしますとか、そういったことも含めまして、今後、しっかり検討を進めて、輸送力が足りないということがないようにしていかなければいけないと考えております。

 以上でございます。

高橋(千)委員 正直、これは言うだけということになっちゃいますよね。実際、実効性が伴うとは正直思えないというふうに思います。

 それで、建設費三百二十億円、運営費三百六十億円と承知をしております。赤字の際、国はこれ以上の助成はしないということは、二〇二一年、令和三年の閣議了解で明記をされております。開催まで一年という大阪万博は、二度の建設費見直しをして、当初の一・八倍、千二百五十億円から二千三百五十億円に増えております。当然、花博だって物価高騰の影響は避けられないと思います。

 こうした経費増、また、赤字の際、だったら誰が負担するのか、伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 会場建設費につきましては、令和三年六月の閣議了解に基づきまして、国、地方公共団体、民間が、それぞれ三分の一ずつ負担することとされております。

 物価や人件費の高騰が生じていることは承知しておりますが、会場建設費につきましては、施設整備のグレードにめり張りをつけるなどして、費用が増加することのないよう、国際園芸博覧会協会において最大限の努力を続けてまいります。

 また、運営費につきましては、令和三年六月の閣議了解に基づき、適正な入場料の設定等により賄うものとし、国による負担や助成は行わないこととされているところでございます。

 国土交通省といたしましては、収支の面からも、国際園芸博覧会協会において適切な会場運営がなされるよう、必要な助言、監督を行ってまいりたいと思います。

高橋(千)委員 これはつまり、赤字のときはどうするかと聞いたときに、赤字にならないようにしますという答えでしかないんですよ。これは何の説得力もない。

 同じことが横浜市議会でも議論されています。昨年の十二月の十二日に我が党の白井正子議員が聞いているんですが、そのときに、市長の答弁が、運営費が赤字となった場合の市の負担ですが、そのようなことにならないよう、市民の皆様を始め国内外の皆様に多く来場いただけるような魅力と感動あふれるグリーンエキスポ。いや、感動するかもしれないけれども、赤字にならないということとは全く違うわけですよ。

 適正な料金と言っていますが、まだ料金は決まっておりません。だからといって、赤字にならないようにと料金をうんと高くしたら、それこそ大変、来ないだろうということもあって、非常に現実的ではないと思うんですね。

 それで、二〇〇九年四月二十八日から百五十三日間取り組まれた横浜開港博、この入場者数は百二十三万九千三百二十五人でした。ですから、十分の一ですよね。当時の博報堂JVに対する協会の債務残高は約三十四億円、横浜市の財政調整基金を取り崩して負担したことで、当時の中田市長が住民訴訟を提訴されたと聞いています。事実関係を掌握していれば教えてほしいし、同じことがあってはならないと思いますが、いかがですか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 横浜市に伺ったところでございますが、財団法人横浜開港百五十周年協会と横浜市が、二〇〇九年、平成二十一年に開催いたしました横浜開港百五十周年記念事業では、事業の収支が計画を下回ったため、運営の委託事業者に対する委託契約の金額約三十四億円の支払いについて、調停委員会で調停手続がなされたと承知をしております。

 調停の結果、協会から委託事業者に対して支払われるとされた約二十四億円のうち、約十二億円につきましては横浜市からの補助金が交付されたことなどから、住民から横浜市長に対しまして、補助金交付の取消しを求めた訴訟がございました。この中で中田市長に対する損害賠償請求もあったと承知をしておりますが、いずれにしましても、住民の請求は認められなかったということで承知をしております。

 以上でございます。

高橋(千)委員 認められなかったという御答弁だったけれども、そこに至ったということの問題を重く見るべきだと思うんです。誰も、そうならないようにするとしか答弁をしないで、結局そうなっちゃったという実例があるのに、同じことをやるのかということを言わなければならないと思うんですね。

 問いにはしませんが、資料の3にあるように、実際、今議論している建設費や運営費以外にも、アクセスをするというので周辺の道路を拡幅するという計画がございますので、一本ではありませんので、こうしたものも結局市にとっても大きな負担になっていくということを加味してやはり議論していかなきゃいけないんじゃないか、このように思います。

 それで、二〇二二年の当委員会の質問のときに、私が、国有地六十六か所、民有地二十区画で基準値を超える土壌汚染が公表されたと指摘をしました。原状回復、どのようにするのか、きちっと行うべきじゃないかと質問したんですが、その後の進捗状況について、まず防衛省に伺います。

山野政府参考人 お答え申し上げます。

 旧上瀬谷通信施設は、日米の合意に基づきまして、二〇一五年六月三十日に日本側に返還され、防衛省において、返還された土地の原状回復作業を実施したところでございます。

 二〇二二年三月の委員の御質問に対しましては、防衛省から、土壌調査の結果、国有地の中の計六十六か所において、土壌汚染対策法の特定有害物質である鉛などの基準値超過が確認され、横浜市と調整の上、土壌汚染対策法のガイドラインに沿って、立入り防止柵を設置する措置を進めていると答弁をさせていただいたところでございます。

 その後、この立入り防止柵の設置は二〇二二年三月に完了するとともに、土壌汚染の有無に関する調査は二〇二三年三月に完了したところでございます。

 この調査におきましては、先ほど申し上げました六十六か所のうち二か所は、土壌汚染ではなく、廃棄物そのものの汚染であったことが判明したことから、土壌汚染対策法に基づく土壌の基準値超過は計六十四か所と確定をし、財務省及び横浜市と調整の上、二〇二三年三月三十一日に財務省への引継ぎを完了したところでございます。

 また、民有地につきましては、二〇一七年度までに実施をいたしました土壌汚染調査の結果、計二十二か所において国の基準値超過が確認され、このうち二か所においては、二〇二〇年度に防衛省において掘削除去を実施したところでございます。

 その上で、掘削除去を実施していない土壌汚染箇所におきましても農作物への影響がないことを確認をしておりまして、土地所有者への方々にも御説明の上、二〇二一年三月までに引渡しを完了しているところでございます。

高橋(千)委員 有害物ではあるんだけれども、農地の、農家の皆さんに納得してもらって、肥料と同じ成分だというお話を聞きました。正直、それでいいのかなという思いがあるんです。

 残りのところは財務省に引き継いだということですので、財務省の方にお願いします。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 旧上瀬谷通信所跡地の国有地部分についてでございます。

 平成二十五年三月以降、国と横浜市との間で設置された協議会等を通じて、土壌汚染の対処方法を含めて利用構想等を協議してきたところでございます。

 先ほど防衛省からお話がありましたけれども、昨年三月に防衛省から財務省に財産自体は引き継いでおります。その時点で残存する国有地の土壌汚染等については、横浜市と協議の上で、現在、横浜市が実施している土地区画整理事業の中で除去等が行われるものと承知しております。

高橋(千)委員 まず、花博の開催前に行う土地区画整理事業の中で処分をするということを、それは確認をいたしました。同時に、この花博のレガシーを引き継ぐということで、今取り組まれている旧上瀬谷通信施設公園整備事業、これの準備書の意見見解書というのが、昨年の六月に市が出しているんですが、その中で、やはり土壌汚染のことが質問されているんですね。

 土壌汚染があることを把握しているかというのに対して、把握している、防衛省が調査しており、区画整理事業で除去すると聞いている。ここまでは今の答弁なんですね。その中で、一点、公園の東地区の地下深く、八から九メートルの位置に鉛が基準値以上あることは承知しているが、地下深くにあり、地形を大きく改変しないため、影響はないと考え、残置する、こういうふうに答弁をしている。

 だから、全部除去するのかなと思ったら、そうじゃない、残置もあるんだということなんですよね。ここははっきりと認めていただきたいんですが、いかがですか。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 土地区画整理事業の中で、現在、横浜市が土壌汚染の除去等の作業を行っているというところで、健康被害に対する影響等も踏まえて、横浜市の方で適切に御判断いただいているというふうに考えております。

 以上です。

高橋(千)委員 自然を残してほしいということで、市民団体や、いろいろな意見をしているのに対して、要するに、有害物質を地下から掘り起こせば逆に生物に影響するからといってお答えをしているんですよ。これは本当に矛盾していることだと思っております。

 残念ながら時間が来ましたが、米軍施設からせっかく戻したところを本当に自然のままで住民に還元していくということがやはり大事だと思いますので、改めて見直しを指摘して、終わりたいと思います。

長坂委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 よろしくお願いいたします。

 まず、農林水産省に御質問させていただきたいと思います。

 福岡県北九州市及び水巻町におけるバナナ又はバナナの苗の生産、出荷状況について、農林水産省が把握をしている数字についてお聞かせいただければと思います。農林水産省。

松本政府参考人 お答えいたします。

 国内におきまして、鹿児島県や沖縄県において、少量ながらバナナの生産が行われております。また、他地域におきましても、希少性を訴えて生産に取り組まれていることは承知しております。

 このような中、統計上、福岡県のバナナの出荷実績はなく、農林水産省といたしまして、福岡県北九州市及び水巻町におけるバナナの生産、出荷状況は把握しておりません。承知しておりません。

緒方委員 もう一つだけ。バナナの苗の生産もないということでよろしいですね。

松本政府参考人 お答えいたします。

 同様に、バナナの苗の生産も承知はしておりません。

緒方委員 続きまして、消費者庁にお伺いをしたいと思います。

 一部の調査会社におけるナンバーワンランキング、何とかがナンバーワンですというふうになっているあれですね。あれが、事実上、誤認表示の外注になっているのではないかという懸念を持っています。

 景品表示法において、このようなランキングを使う事業者に対する措置が取られていることについては承知をいたしておりますが、このような粗製ランキングを販売している調査会社に対する規制をかける必要があるのではないかというふうに思いますが、消費者庁、いかがでしょうか。

真渕政府参考人 お答えを申し上げます。

 消費者庁が所管しております景品表示法ですけれども、委員御指摘のように、優良誤認表示などの不当表示を禁止しておりまして、これまでもナンバーワン表示などに対しまして、様々な行政処分を行っているところでございます。ナンバーワン表示につきまして消費者庁が令和五年度に行政処分を行った事業者は、十四社ということになっております。

 調査会社に対して何か措置を取れないのかという点につきましては、景品表示法では、自己の供給する商品、役務を提供する事業者の不当表示を禁止しておりますので、そうした商品、サービスを提供していない調査会社に対して措置を取ることは、現行では難しいと考えております。

 ただ、先ほど申しましたような、昨年度だけで十四社に対して行政処分をしておりますので、私どもの方で、ナンバーワン表示に関する実態調査を先月から開始をしたところでございます。

 具体的には、調査会社などへのヒアリング調査のほか、実際のナンバーワン表示広告に関する実態の調査、商品やサービスの利用者においてナンバーワン表示をどの程度参考にするかといった消費者への意識調査、こういったものを行うことを予定しております。

 調査結果は本年秋頃に取りまとめる予定でございますけれども、調査報告書につきましては、広告主や消費者あるいは調査会社にとって参考となるようなものにしていきたいと考えております。

緒方委員 答弁、短くお願いいたします。

 今、紅こうじの件で、機能性表示食品の関係の広告とかでも、この話は出てくると思うんですけれども、調査会社と事業者が一体化しているケースについては、調査会社に対しても規制を入れるべきだと思いますが、消費者庁、いかがでしょう。

真渕政府参考人 お答えを申し上げます。

 法律上は先ほど申し上げたような形になりますけれども、個別具体の事案によっては、調査会社と広告主が一体として不当な表示を行っているということであれば、景品表示法上の措置が全く不可能ではないというふうには考えているところでございます。

緒方委員 それでは、質問を移していきたいと思います。

 国土交通省の航空局の方にお伺いをしたいと思います。

 騒特法の下、成田空港株式会社が保有する土地を貸し付ける際に、定期借地権を設定する可能性はあるのか。定期借地権を設定した後、その事業者そのものが外資に売却される可能性も含めて、それを念頭に置いた上で答弁いただければと思います。国土交通省。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 一般論として申し上げますが、騒特法に基づいて成田空港会社が取得し所有する土地について、建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約を締結する場合に、定期借地権を設定することは否定されておりません。

 しかしながら、騒特法に基づき成田空港会社が所有する土地の賃貸借に当たりましては、航空機の騒音により生ずる障害を防止し、適正かつ合理的な土地利用を図るという騒特法の趣旨、目的に照らし、個別事例ごとに契約の相手方や賃貸借の期間や手法などが適切なものとなるよう、同社において対応しているものと承知しております。

緒方委員 仮に、定期借地権を設定した際に、その事業者が外資に渡るという可能性について、そこまで念頭に置いた上でどう思われますか、局長。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 繰り返しになりますけれども、騒特法の趣旨、目的に照らして、個別事例ごとに契約の相手方、あるいは賃貸借の期間、手法などが適切なものとなるよう、同社において適切に対応するというふうに考えております。

緒方委員 それでは、不動産特定共同事業法について御質問させていただければと思います。

 令和三年に、これは消費者庁の方ですけれども、預託法というものを改正をいたしまして、販売預託の仕組みが禁じられました。安愚楽牧場とか、ああいった類いの話があったことを踏まえてだと思いますが、一方、当時も少し議論になったんですけれども、この不動産特定共同事業法の枠組みでも、販売預託に非常に類似した手法を取ることが可能だと思います。預託法改正時、この販売預託類似の行為を不動産特定共同事業法改正で手当てしなかったのはなぜでしょうか、塩見局長。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の、令和三年の預託法の改正でございますけれども、これは、消費者から預かったとされる物品が実際にはないとか、あるいはほとんどない、そういう問題に対応するための規制強化がされたというふうに承知しております。

 この改正の内容について議論がされました有識者会議の報告書では、金融商品取引法など他法令による規制が行われている場合に預託法は適用しないという方向性が示されたというふうに承知をしてございます。また、その報告書の取りまとめの過程における議論として、消費者が購入した物がない場合に比べますと、所有権の移動が不動産移転登記等ではっきり裏づけられる、こういう議論もあったというふうに承知しております。

 その上で、不動産特定共同事業法における規制を見ますと、許可なしでは不動産特定共同事業を行ってはならない、こういう強い規制を課した上で、預託法と同種類似の各種の規制を設けております。これは、広告や勧誘の規制でありますとか、契約締結時の書面の交付、説明の規制、それからクーリングオフの制度、さらには業務の状況についての書類の作成、備置き、監督処分などの制度でございます。

 こういった同種類似の規制制度が置かれているということを勘案しまして、当時、預託法の対象とはされず、また、不動産特定共同事業法の方でもその改正が行われなかったというふうに認識をしております。

緒方委員 若干、違和感がある答弁でしたが、議事録をよく後で精査したいと思います。

 不動産特定共同事業法において、この事業を行う者と不動産を所有している者が同一資本の下にある場合又は何らかの強い関係を有する場合、利益のつけ替えとか利益の相反とかいったことが生じるおそれがございます。

 先日、私、この件を予算委員会の分科会で質問した際も、局長の方からあった答弁は、契約時の書面の交付時にその旨の説明をするよう求めているとの答弁がございました。しかしながら、この不動産特定共同事業をやる際に、不動産を持っている人間とこの事業をやる人間を、そもそも完全に切り離すことを法令上求めるべきではないかというふうに思いますが、塩見局長。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、前回の予算委員会の分科会におきまして、利害関係人から保有している資産を購入をして対象不動産とするというような場合には、投資家に対しまして特段の注意喚起を促す必要があるという認識を申し上げさせていただいた上で、その契約などの際に、利害関係人との関係などの情報を丁寧に書類に記載した上で説明をする、こういう仕組みについて御答弁を申し上げました。

 この仕組みによりまして、利害関係人でない場合に比べますと、利害関係人との取引がある場合については投資家に対しまして手厚い情報提供がされているということでございまして、投資家の方でそういった開示される情報を適切に判断していただいて投資をしていただく必要があるというふうに思っております。

 その上で、完全に切り離す必要があるのではないかという点につきましては、これまでも、不動産特定共同事業では、地域の不動産ストックの更新といったような非常に意義のある事業も行われておりまして、その中で、例えば、子会社がマンションのリノベーションを行いました、そしてその中古のマンションを親会社であります不動産特定共同事業者が購入をして、不動産特定事業として第三者に賃貸をして運用する、こういう商品が現に販売されており、地域の再生にも非常に役立っているという面がございます。

 したがいまして、利害関係者との取引についてはやはり特段の注意を要する必要があるということかと存じますけれども、一律に禁ずるということにつきましては慎重でなければいけないとも思っておりまして、現在の規制上は、丁寧な説明を投資家に対してさせていただくという仕組みになっているところでございます。

緒方委員 なかなか、高齢者の方々とかが出資する際に、その説明で十分に納得できるかということについては甚だ疑問が残るというところでありまして、この件、何か法的な、法技術論的に対応できるところがあるのではないかということを指摘した上で、次の質問に移りたいと思います。

 この不動産特定共同事業法において、分別管理された事業で、それぞれ区分経理的なことをやっていくわけですが、外部から業務委託等によって資金を受け入れることで、利払いとかをした後ででも、帳簿上は収支が均衡又は黒字になっている状態を取り繕うこと、これはこの法律上問題がないということでしょうか、塩見局長。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先生御指摘の分別管理でございますけれども、これは自分の財産とも分別しなければなりませんし、他の不動産特定事業契約の財産とも分別しないといけないということでございますが、その分別の方法につきましては、契約ごとに不動産の取引から生ずる利益などの明細書を帳簿に作成をするということになっております。したがいまして、対象不動産からの利益分につきましては、必ず書面に残るという形の仕組みになっております。

 加えまして、投資家に定期的に投資の運用状況の報告をする財産管理報告書というものを作成、交付する必要がございますけれども、その報告書の中でも、不動産の取引から生じた利益について記載をしなければいけないということにしておりまして、この仕組みによりまして、投資家の方が不動産取引からの利益を確認できる制度としておりますので、仮に先生御指摘のような不動産取引以外の何らかの利益が混じっているということだとしましても、その不動産取引分の利益ということと区別できなくなるということはない仕組みにしているところでございます。

 ただ、先生が今、取り繕うというお言葉もお使いになられましたけれども、実際の不動産取引では損失が生じてしまっているという場合に、ほかの理由で利益が生じて、トータルで見れば損失がないような商品があった場合に、それを不動産の取引で黒字になったんだというような説明を商品の広告などでするということは、これは事実に反する説明ということになりますので、広告の規制等に違反するということでございます。

緒方委員 質問を続けたいと思います。

 この不動産特定共同事業において、事業が現在まで約束した利回りをきちんと保証していることそのものは、将来の事業の健全性の証明になるというふうに思われますでしょうか、局長。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 同一の事業者が過去に不動産特定事業を行って、その際、契約前の広告とか勧誘のときに配当の見込みの額を示して、実際にもその見込額どおりの配当を行った、そういう実績が仮にあったというふうにいたしましても、新たに募集しようとする不動産特定事業の商品、これは過去とは対象の不動産がまず異なります。また、不動産をめぐる市場の環境も過去と同じということは、なかなか考えにくいところでございます。

 不動産取引からどれぐらいの利益が生じるかというのは、やはり、対象不動産の特性とか市場の環境などに応じて個別に判断をする必要がございます。そういう意味では、過去の類似商品における運用の実績というものは参考指標の一つにすぎないというふうに理解すべきものと思います。

緒方委員 質問を続けます。

 事業運営上、利払いを含む債務の弁済において、優先劣後のシステムを取り入れて事業者の出資を劣後させ、個人出資者に優先的に弁済するということ、これ自体は事業の健全性の証明になるというふうに思われますか、局長。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 不動産特定共同事業の商品には、収益の還元を優先的に受けられる優先出資部分を一般の投資家の方に販売をする、そして、残りの劣後して収益の還元を受ける劣後出資部分、これを不動産特定共同事業者自らが引き受ける、こういういわゆる優先劣後の構造になっているものが存在するというふうに承知しております。

 こういった仕組みによります商品の場合でございますけれども、一般の投資家の方は、元本あるいは配当の支払いというものを不動産特定事業者の出資分よりも優先的に受けられるという意味では、一般投資家の方が負うことになります投資リスクが一定程度軽減をされるということは申し上げられると思います。

 しかしながら、生じました損失が非常に多額の場合は、劣後出資部分、不動産特定事業者が出資した部分はもとよりでございますけれども、優先出資部分に投資した一般投資家につきましても、元本や配当が支払われないということも、当然、おそれとしてはあるわけでございます。

 したがいまして、優先劣後構造があるということのみをもちまして、一般投資家に対する元本とか配当の支払いが確実になされるということまで言うことはできないというふうに考えております。

緒方委員 最後の質問にしたいと思います。

 斉藤大臣、予算委員会の分科会と今日の質疑を聞いて、明らかに私はちょっとおかしなところがあるのではないかというふうに思いますし、大臣もそう気づいていただけたのではないかなというふうに期待をいたしております。法改正に踏み込むべきではないかというふうに思いますが、斉藤大臣の答弁を求めたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 不動産特定共同事業は、地域の核となる複合施設や、介護施設、保育園の整備、古民家の再生など、多様なプロジェクトを実現する事業スキームとして有効に機能してまいりました。不動産の証券化手法を用いた事業の資産総額を二〇三〇年頃までに約四十兆円とする目標に向けて、引き続き、不動産投資市場の健全な発展を推進してまいりたいと思います。

 さきの分科会と今日、委員からは、投資家保護の観点から様々な質疑をいただきました。

 現行の不動産特定共同事業法は、金融商品取引法などと同様に、広告時における誇大広告や勧誘時における不適切な勧誘行為を規制するとともに、投資家に対し、契約に際しての情報提供義務や運用開始後の情報提供などの仕組みを備えており、これらによって投資家保護を図っております。

 投資家の皆さんには、事業者から提供される情報を十分に吟味し、適切な注意を払って慎重に投資判断をしていただく必要があり、改めて、制度の周知啓発が重要だ、このように感じました。

 また、事業者には、法令に基づくルールを遵守し、投資家保護や適切な事業運営を確保いただく必要があり、国土交通省としても、投資家保護などを徹底するとの決意を新たにしたところでございます。

 国土交通省としましては、本日御指摘のあった点を十分に踏まえながら、法令の的確な運用を更に徹底し、不動産特定共同事業の健全な発展を図ってまいりたいと存じます。

緒方委員 終わります。

長坂委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 まず最初に、国家的プロジェクトでありますリニア中央新幹線についてお伺いしたいと思います。

 私も一日も早く開業して乗ることを楽しみにしているわけなんですけれども、当初開業を予定されておりました二〇二七年、それが先日、正式に、開業は二〇三四年以降に先送りされる、そうしたことがJR東海の方から発表になりました。静岡工区なんかの着工ができていないとか、そういう事情があってなかなか難しいかなとは思っておりましたけれども、正式に二七年から三四年以降に先送りされることになりましたけれども、このことについて、まず大臣、率直にどのように感じておられるか、お聞かせいただけますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、開業時期についてでございますが、先ほど古川委員の方から、二〇三四年以降に先送りされたというふうな御発言がございましたが、まず、JR東海は、静岡工区の工事にいまだ着手の見込みが立たないことから、現時点で新たな開業時期を見通すことはできないと公表されたものでございます。現時点で開業時期を二〇三四年以降と明示したものではないということを、まず最初にちょっと申し上げさせていただきたいと思います。

 その上で、リニア中央新幹線は、東京、名古屋、大阪の三大都市圏を一つの圏域とする日本中央回廊を形成して日本経済を牽引するとともに、東海道新幹線とのダブルネットワークによるリダンダンシーの確保を図る、国土強靱化の観点からも重要な意義を有する国家的プロジェクトです。国家的観点からも早期開業が求められる中、静岡工区に関連して二〇二七年の開業目標が実現できないことは非常に残念なことであると認識しております。

 静岡工区の早期着工に向けて、国土交通省では、有識者会議を設置し、水資源や環境保全に関する報告書を取りまとめ、私からJR東海に対し、これらの報告書に基づく対策を講じるよう求めており、また、これを受け、建設主体のJR東海は様々な施策を講じようと努力していますが、必ずしも静岡県の理解を得られずに今日に至っているものと考えております。

 国土交通省としては、早期整備に向けた環境を整え、一日も早い開業に向けて、関係自治体やJR東海と連携し、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

古川(元)委員 これは残念だというだけでは済まないんだと思うんですね。

 やはり、私の地元、愛知県名古屋で、隣に伴野さんもいらっしゃいますけれども、リニアが二〇二七年に開業する、これを前提に名古屋駅周辺の再開発計画を立てて事業が進んできたりとかしてきたんですよね。これは、開業が延期になって、またいつ開業するか分からないということになって、やはり、地域経済にも、地元あたりにも大きな影響がもう既に及んでいるんですが、単に私の地元に限らず、まさにこれは日本経済全体にもやはり影響があるんじゃないかと思うんですが、その影響について、どのような形で、その影響はどれくらい出てくる、このリニア開業延期によってですね、どのように考えているのかを教えていただけますか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 リニア中央新幹線でございますけれども、最速で東京―名古屋間を四十分程度、東京―大阪間を一時間強ということで、いずれも移動時間が現在の半分程度となるなど劇的に短縮するとともに、三大都市圏を含む世界最大級の経済圏を形成し、企業立地や観光などに対して大きな効果が期待されております。

 また、リモートワークやワーケーション、二地域居住など、新しい働き方、住まい方、価値観の変化が期待されるなど、様々な生活スタイルの選択肢も出ており、デジタル田園都市国家構想の実現を支えるインフラともなるものでございます。

 加えて、東京、名古屋、大阪の三大都市圏を一つの圏域とする日本中央回廊を形成して日本経済を牽引するとともに、東海道新幹線とのダブルネットワークによるリダンダンシーの確保を図る、国土強靱化の観点からも重要な意義を有しております。

 したがいまして、リニア中央新幹線の開業が遅れるということにつきましては、定量的にお答えするのは難しいところでございますけれども、我が国の経済や社会構造、あるいは沿線や駅周辺のまちづくり、地域経済、また、災害対応等にも非常に大きな影響を与えるものと考えております。

古川(元)委員 そういった意味でも、さっき大臣も言われましたけれども、一日も早い開業、そのためには、やはりこれは、もう少し国として、サポート体制ですね。あと、開業時期をなるだけそれは早くしてもらうことと、あとはやはり、いつ開業するかという、なかなかめどがないと、いろいろな周りの、開業に合わせてというので今までいろいろな開発も行われてきているわけですから、そういった意味で、できるだけ早い時期に、かつ、できるだけ早く開業時期が明確にできるような、そういう環境をつくるためには、これは、国ももっと、JR東海を支援していく、サポートしていく必要があると思いますけれども、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、JR東海は、開業時期を二〇三四年以降と明示したものではございませんけれども、いまだ着工のできていない静岡工区について早期着工することは、リニア中央新幹線の早期開業及び開業時期の早期明確化に向けた重大な課題と認識しております。その上で、まだ、調査のボーリングの穴さえ掘らせてもらっていないわけですので、静岡工区の早期着工に向けては、静岡県とJR東海の対話を促進すること、科学的、客観的な観点から議論することが重要である、このように考えております。

 このため、国土交通省では、先ほども申し上げたとおり、有識者会議を設置し、水資源や環境保全に関する報告書を取りまとめ、私からJR東海に対しこれらの報告書に基づく対策を講じるよう求めたところでございます。

 その上で、今後は、JR東海において、報告書に基づく対策を着実に実行していくことが重要である、そして、静岡県の理解をいただく、地元でボーリングしてもいいよ、調査、着手してもいいよということを御理解いただくということが重要だと思っております。

 地域の方々から国の関与の継続について要請をいただいたことから、本年二月より、JR東海の取組を継続的にモニタリングする新たな会議であるリニア中央新幹線静岡工区モニタリング会議を開催しております。

 これはまさに、我々がJR東海に対して求めて、各有識者会議が、これをやれば、水の問題又は環境保全の問題、きちんとできますということを言った、そのことをきちんとやるようにモニタリングする会議でございます。ある意味で静岡県の皆さんに御納得いただく会議、このように思っております。

 国土交通省としては、この静岡工区モニタリング会議を通じてJR東海の対策状況を継続的に確認するとともに、静岡県とJR東海の協議に国土交通省も入って一層の対話を促すなど、リニア中央新幹線の早期整備に向けた環境を整え、一日も早い開業に向けてしっかりと取り組んでまいります。

 静岡県の御理解をいただくように、国も全力で頑張ってまいります。

古川(元)委員 これは国家的プロジェクトですから、もちろん、JR東海と静岡県、大事ですけれども、やはり国としてもしっかりちゃんとこれは関与して進めていただきたいということをお願いしたいと思います。

 次に、防災道の駅についてお伺いしたいと思います。

 さきの能登半島地震で、輪島にある防災道の駅、のと里山空港、ここが、自衛隊とか警察、国交省、DMATの活動拠点や被災者の避難、また、道路情報や物資の提供場所として活用されましたけれども、今回、広域防災拠点として、この道の駅、その機能をきちんと発揮したんじゃないかと思うんですね。

 こうした防災道の駅について、今回の活用から得た教訓や知見、これを今後の災害対応の中で、例えば、防災道の駅の高機能化や新規選定、そしてまた配置の在り方、そういうことについて具体的にどのように生かしていくおつもりなのか、教えてください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 防災道の駅は、災害時に広域的な防災拠点としての活用が期待される道の駅でございまして、災害時においても電源、通信、水の確保がなされることを要件に、現在、三十九か所が選定をされております。

 今般の能登半島地震においても、先生、先ほど御指摘のように、輪島市の防災道の駅、のと里山空港では、停電、断水地域にもかかわらず、発災直後から非常用発電、また、雨水貯留によりまして電気や水が利用可能でございまして、支援物資の集配拠点、また、道路啓開活動の拠点としての活用がなされるなど、被災地における活動の拠点としての役割を果たしているところでございます。

 今般のこの能登半島地震において発揮された機能、いろいろございます。それにつきまして、道の駅第三ステージ推進委員会、有識者委員会でございますが、有識者の意見を伺いながら検証する予定としておりまして、そのための初回の会合を、今週の金曜日、四月の十九日に開催することとしております。

 こういった検証を踏まえまして、広域防災拠点としての防災道の駅に求められる役割、機能、また、広域的な道路ネットワークを踏まえた配置の在り方、こういったものを整理いたしまして、今後の防災道の駅の機能強化、追加選定に生かしていきたいと考えております。

古川(元)委員 しっかり生かして活用していっていただきたいと思います。

 続いて、この道の駅にいわゆる高付加価値コンテナ、トイレだとか、あるいは、いろいろ、医療施設とかそういうものを設置する、そういうものを推進しようという医療・防災産業創生の推進議員連盟、大臣にも副会長を務めていただいておりますけれども、そこでこの活動をしています。

 今回の地震でも、福岡県のうきは市の防災道の駅うきはの駐車場に設置していたトイレコンテナ、これを被災地の道の駅あなみずまで持っていって、これは穴水町の断水復旧まで活用して、今は珠洲市において活用しているようでありますけれども、こうした今回のトイレコンテナを活用した知見、これを平時と災害時の両面から、例えば、平時の利用状況の把握や、トイレ以外のタイプのコンテナの設置可能性など、具体的にどのように今後生かしていくおつもりか、教えていただけますか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の能登半島地震の被災地支援として、防災道の駅うきはの第二駐車場のトイレとして平常時に活用している防災用のコンテナ型トイレを被災地に運んでいるところでございます。

 また、自治体、民間企業等によりまして、トイレのほか、洗濯、また入浴、仮設住宅など様々な用途のコンテナやトレーラーハウスが被災地に運ばれていたと承知をしております。

 今回の災害では、多くの地域で断水など、ライフラインが被災している中、被災者の生活支援のために、機動性に優れた可動式のコンテナの活用が有効であるという知見が得られたところでございます。

 また、平常時の活用については、医療・防災産業創生協議会の主催の下、防災道の駅猪苗代におきまして、実証実験として、地元事業者による物販、あるいは、地元歯科医師会による口腔ケアなどが行われておりまして、知見の蓄積が進められているところでございます。

 こうした活用事例、また知見を踏まえまして、平常時、災害時の可動式コンテナを道の駅において活用する際の留意点、また、活用アイデアを取りまとめたガイドラインを今般作成いたしまして、四月の十一日に公表したところでございます。

 今後、コンテナ設置促進に向けまして、ガイドラインの周知を図りつつ、道の駅設置者であります自治体、関係省庁、民間企業と連携いたしまして、平常時の地域活性化、災害時の防災機能強化など、道の駅の拠点機能の充実を図ってまいりたいと考えております。

古川(元)委員 今局長が言われた猪苗代の道の駅での実証実験には、私も昨年実際に訪問させていただいて、それこそコンテナハウスだとかいろんなものを、高付加価値のコンテナの、要するに、また、その場で、自走式でジャッキアップして、すっとトラックが入ってそれで運んでいける、そういうのも見せていただきましたけれども、そういうものを踏まえて、先日、ガイドラインができたことは、これは一歩前進だと思います。

 今局長が言われた、これを全国に周知していく、そういうためには、これは具体的な取組として、高付加価値コンテナの平常時活用の社会実験、それこそ猪苗代でやってもらっている、こういうものを、これは国としても支援していくべきではないかと思いますが、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、ガイドラインの作成につきましては、コンテナや高付加価値コンテナの平常時、また災害時の活用について、今回ガイドラインを取りまとめましたが、その作成につきましては御指導いただきまして、また、猪苗代のプロジェクトも踏まえて作ったものでございます。古川委員に感謝を申し上げたいと思います。

 道の駅における高付加価値コンテナの活用につきましては、災害時の防災機能の強化に加えまして、平常時の地域活性化の役割も期待されているところでございます。

 平常時の活用につきましては、昨年、道の駅猪苗代において、猪苗代町や地元企業等の協力を得ながら、物販や地元歯科医師による口腔ケアの実施場所として活用する社会実験が実施されました。実験期間が延べ五日間と短期間であったこともあり、引き続きの検証が必要と考えております。

 そのため、現在、国土交通省も参画する道の駅「猪苗代」地域創生推進協議会におきまして、平常時を念頭に、一定期間継続して高付加価値コンテナを活用する社会実験の実施を改めて検討しているところでございます。

 国土交通省としましては、こうした取組が全国に拡大するよう、今般公表したガイドラインの周知を図るとともに、社会実験の実施に当たり、関係機関と連携しながら必要な支援を行ってまいりたいと思います。

古川(元)委員 支援していただけるという話ですけれども、具体的にこれはいつ、今、猪苗代のお話ありましたけれども、ほかのところでも何か計画している、そういうような支援の予定はありますか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、具体的に今動いているのは猪苗代の話でございまして、今、時期、内容について調整しているところでございます。

 その他の地域においても幾つかお話しいただいているところでございます。高付加価値コンテナの導入に関心があるという自治体がございますので、社会実験等の動きがあれば、関係者との調整への協力、また、設置に当たっての助言、そういった支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

 加えまして、国交省道路局においては、自治体を対象に道路に関する新たな取組の現地実証実験の公募を現在行っているところでございまして、道の駅に関する取組も対象としております。採択となった場合は、実験に関する予算措置も含めた支援を行うことができるというふうになっております。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 是非、社会実験、どんどん広げていただいて、手を挙げたところでやっていただいて、広げていっていただきたいと思います。

 さて、今回、本当に、地震で高付加価値コンテナ、トイレだけじゃなくて、お風呂だとかあるいはランドリーだとか、いろいろ有用であるということは明らかになったと思うんですが、一方で、我々の議連でも、道の駅に置いておいて、いざとなったら高速道路を使って運んでいってと思ったら、今回みたいにそもそも道が通れないとなるとやはり運べない。そういう中で、今回、本当に能登半島、当初の段階、大変苦労したわけであります。

 こういうことを考えると、今回の能登半島のような、災害で孤立するような可能性がある地域というのは、能登半島に限らず全国に結構あるわけですから、やはりそういうところに所在しているような道の駅については、こういうトイレコンテナなどの高付加価値コンテナを、それは実証実験的でもありますけれども、優先的にこれを設置するような、そういうことを行っていけば、何かあったときに運んでいかなくても、今回もこれは福岡から石川まで運んだわけですよね。

 もうちょっとやはり近くにあって、あるいは、そういう孤立、どこかでここの道が止まっちゃった場合にこの先はほかから行けない、そこに行くのにいろいろなルートがあるところはいいですけれども、この道が止まっちゃうともうそこに運んでいけないというところにあるような道の駅には、こういうものを優先的に設置したらどうかと思いますが、いかがですか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、地理的条件によりまして、災害時に道路によるアクセスが困難となり孤立する可能性がある地域においては、水道、電気といったライフラインが独立して活用が可能なコンテナ型のトイレなど、高付加価値コンテナの導入がまさに有効であるというふうに考えております。

 国土交通省におきましては、能登半島地震において発揮された道の駅の防災拠点機能につきまして、先ほども御答弁いたしました有識者の御意見を伺いながら検証していく予定としておりまして、高付加価値コンテナの設置の在り方も併せて検討してまいりたいと考えております。

 こうした検証結果も踏まえまして、道の駅の設置者である自治体に対しまして、道の駅への高付加価値コンテナの導入を促してまいりたいと考えております。

古川(元)委員 是非よろしくお願いします。

 さて、先ほどちょっと話が出たガイドライン、私も読ませていただいたんですけれども、その中に高付加価値コンテナの法的位置づけに関する記述があって、高付加価値コンテナ、これに関連する、法的位置づけに関連する法令、これは幾つもあって、じゃ、これが法的位置づけがどうなるかというと、それはそのときの設置状況等に応じて特定行政庁が総合的に判断することになるというふうに書いてあったんです。

 こうなると、いざ何か使おうと思ったときに、いろいろそういう関係法令のところが、しかも、あれはどう解釈するかみたいなところがかなり裁量部分もあるように私は感じて、そうなると、これはなかなか、やろうと思っても、いざやろうとするとここの法令のここがひっかかるとか、そういうことになって、もう少しやはり高付加価値コンテナというところにフォーカスを当てて、利用促進をしようとするんだったら、法的位置づけ、これをもうちょっとシンプルな形にして、いろいろな法令に当たらないと、これで大丈夫だと思ったらこっちでひっかかるとか、そういうことにならないように、もうちょっとこの辺の法的位置づけをシンプルで分かりやすいものにすべきじゃないかと思いますが、いかがですか、この辺は。

丹羽政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、道の駅への高付加価値コンテナの設置に当たっては、規模、形態、設置状況などによりまして、道路法、建築基準法、道路運送車両法など、個々の法令への適合が必要となってまいります。

 利用促進の観点から、自治体がやはり法令関係で悩まず取り組めるようにする必要があると我々も考えております。このため、まずは社会実験を進めるなど、実績をまず積み重ねまして、自治体の参考となる情報、これを収集し、それを踏まえまして、法令上の判断について、事例を基に整理して類型化することなどが考えられると思っています。

 このような取組を進めた上で、今般公表いたしましたガイドラインを随時改定いたしまして、自治体の参考となる取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

古川(元)委員 是非この辺はもうちょっと分かりやすく、利用する方も、やろうとする人たちも、特に民間事業者なんかがやろうとしたときに、この辺が、やはり行政上のその辺の手続とか何かに余り手間や時間を取られているとやる気もなくなっちゃいますから、是非その辺を、国交省としても、もう少し分かりやすいシンプルな、そういう形になるように、ガイドラインのまた改定もお願いしたいと思います。

 さて、高付加価値コンテナなんですけれども、これはいろいろな、先ほど局長も言われた、医療・防災産業創生協議会なんかに参加している企業なんかを始めとして、いろいろな、大企業だけじゃなくて、それこそスタートアップの企業なんかが、水循環システムや、トイレと浄化槽の一体化とか、コンテナドローンポートだとか、いろいろなやはり新技術、そういうものを活用して、コンテナ類の搭載設備の高度化や、あるいはコンパクト化、そういうものに取り組んでいる、結構あるんですね。

 それこそ、今回もかなり有用になりましたが、私もかつて長野県の災害の後に避難所へお邪魔したら、WOTAというベンチャーの、スタートアップの会社のシャワーがあって、とにかく水を何度も、使ったら使い捨てじゃなくて、それをまた浄水してまた使うという、自己完結型で何度でも使える、そのバッテリーにプリウスをつなげて、そういうので、水が来ていないところでシャワーが浴びられるという、こんなのも本当にそういうスタートアップの会社がやったりしているわけでありまして、こういう防災絡みのところの、特に高機能コンテナを、より機能の高い、そしてまたコンパクトにする意味では、こうしたスタートアップなんかの先端技術開発、これは非常に大事だと思うんですが、そういうものに対して国としても支援を行っていってはいかがかと思いますが、いかがでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、例えば道路分野では、業務の効率化、高度化に係る現場の技術開発ニーズを公表いたしまして、そのニーズに応える技術開発の募集を行うなど、技術開発やその導入を支援しているところでございます。

 また、コンテナにつきましては、先端的技術やノウハウを組み合わせることで付加価値が高まることや、コンテナに関する新技術の開発、その活用を通じて、新しい産業を育成し、道の駅などの機能強化を図ることは大変重要なことだというふうに考えております。

 道の駅における高付加価値コンテナの活用に当たっても、委員御指摘のとおり、水循環であったりドローンに関する技術開発を含めて、引き続き、関係省庁とも連携いたしまして、スタートアップ企業の研究開発に対するSBIR制度による助成などを通じまして、こうした技術開発の取組を支援していきたいと考えております。

古川(元)委員 是非よろしくお願いします。

 最後にちょっと大臣に伺いたいと思いますが、大臣も参加していただいている議連の一つの目的は、医療、防災という分野に関わる産業をこれからの日本の基幹産業にしていこうと。これまでの日本の戦後の産業というのは、やはり国民生活を豊かにする、そういうのがメインでしたけれども、これからは、国民の命と暮らし、安全、安心にやはりつながるような、医療とか防災はそういうところだから、そういうところを基幹産業にしていこうと。

 この高機能コンテナなんというのは、結構、やはり日本のいろいろな技術を組み合わせていく、そういうところに向いているものだと思うんですね。これを、ただ単に国内で災害があったときだけじゃなくて、例えば国際的な援助とか支援とか、そういうときに使っていくとか、あるいは、そういうコンパクトな高機能コンテナであれば、そこで、例えばコンテナの中で最先端の医療も受けられるとか、手術室になったりとか、そういうものであれば、これは本当に途上国なんかにもいわばコンテナごと輸出したりする、そういう産業化もできると。

 そういった意味では、これは国内でとどめるだけじゃなくて、将来的にはやはり世界にも展開していく、そういうビジネスのモデルの一つになるんじゃないかというふうに我々は考えて、大臣も参加していただいているんですが、そういった意味では、今度の大阪万博というのは、日本で今開発が進んでいる高付加価値コンテナ、こういうものを実装して、そしてまた世界の人たちにもやはりPRする絶好の機会じゃないかなと思うんですね。

 一方で、トイレで二億円使うとか使わないとか、そういう話題になったりもしました。やはり万博の会場だけで、期間が終わったら壊しちゃうというんじゃなくて、今もいろいろ、万博会場で使ったものをまた再利用しよう、そういったことも今検討されているようなんですけれども、こういう会場なんかに、このトイレを始めとして高付加価値コンテナ、いろいろな種類の、万博に合わせて造って設置をして、世界の人たちに見てもらう、万博が終わったら、そこで使ったものを、道の駅だとかそういうところでまた再利用していく。そういうことになれば、この万博という機会が、高付加価値コンテナ、日本におけるそういうものの存在を世界に示すいい機会にもなりますし、また、そこで使ったらそこで使い捨てじゃなくて、また次の、再利用もできて、いざ災害のときにも使える、そういった意味では、非常にいい取組になるんじゃないかと思うんですね。

 ですから、これは大臣の所管ではないですけれども、是非大臣、議連の副会長として、これは政府の中でも、そしてまた万博協会に対しても、こういう様々な高付加価値コンテナ、これを万博の会場にできるだけ設置するように、そういうふうに促していただきたいと思いますが、いかがでしょうか、大臣。

斉藤(鉄)国務大臣 高付加価値コンテナ、平常時も魅力的な、有効な使い方をし、そして、災害時、非常時にも機能を発揮する。万博の会場が平常時になるのか、非常時になるのか、ちょっとそれは分かりませんけれども、今、古川委員がおっしゃったようなことで有効に使う、そして、それを世界の人に見てもらうというのは非常に有効なことだと私は思います。

 実は、万博を所管する齋藤健経済産業大臣にもこのガイドラインができたところで御紹介を申し上げ、そして、猪苗代の話も含めてこの高機能コンテナについてお話をしたところで、非常にすばらしいという評価を齋藤健大臣からもいただいたところでございます。

 そのときは万博と関係した話はしなかったんですが、齋藤健経済産業大臣にも、この高機能コンテナ、何らかの活用ができないのかという話はさせていただきたいと思います。

古川(元)委員 齋藤大臣は議連の会長でもありますから、私からも言っておきますので、是非会長と副会長で活用をしていただきたいということをお願いして、質問を終わります。どうもありがとうございました。

     ――――◇―――――

長坂委員長 次に、内閣提出、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

    ―――――――――――――

 広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

斉藤(鉄)国務大臣 ただいま議題となりました広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 地方部を中心として、人口減少が著しく進行している地域において居住者の生活環境が持続不可能となるおそれが高まる中、このような地域の活性化を図るためには、地方への人の流れを創出、拡大することが必要です。

 一方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を経て、UIJターンを含めた若者、子育て世帯を中心とする二地域居住等へのニーズが高まっており、また、二地域居住等は関係人口を創出、拡大し、魅力的な地域づくりに資することから、二地域居住等の普及、定着を通じた、地方への人の流れの創出、拡大による地域の活性化を図ることが重要です。

 このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、都道府県と市町村の連携による二地域居住等の促進を図るため、都道府県が二地域居住等に係る拠点施設に関する事項及びその拠点施設に係る重点地区の区域が記載された広域的地域活性化基盤整備計画を作成したとき、市町村は、当該重点地区の区域内において特定居住促進計画を作成することができることとし、同計画に定められた事業について関係法律の特例措置を講ずることとしております。

 第二に、官民の連携による二地域居住等の促進を図るため、市町村長は、二地域居住等の促進に取り組む民間法人を特定居住支援法人として指定することができることとしております。

 第三に、関係者の連携による二地域居住等の促進を図るため、市町村は、特定居住促進計画の作成及び実施に関し必要な事項等について協議するため、特定居住促進協議会を組織することができることとしております。

 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由です。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

長坂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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