衆議院

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第9号 令和6年4月19日(金曜日)

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令和六年四月十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 長坂 康正君

   理事 あかま二郎君 理事 泉田 裕彦君

   理事 小林 茂樹君 理事 武井 俊輔君

   理事 城井  崇君 理事 白石 洋一君

   理事 三木 圭恵君 理事 國重  徹君

      東  国幹君    井出 庸生君

      井上 貴博君    井原  巧君

      石橋林太郎君    尾崎 正直君

      尾身 朝子君    大西 英男君

      加藤 竜祥君    金子 俊平君

      金子 容三君    菅家 一郎君

      小島 敏文君    小林 史明君

      小森 卓郎君    佐々木 紀君

      櫻田 義孝君    鈴木 英敬君

      田中 英之君    高木  啓君

      谷  公一君    谷川 とむ君

      土井  亨君    中川 貴元君

      中根 一幸君    中村 裕之君

      西野 太亮君    古川  康君

      武藤 容治君    山口  晋君

      山本 左近君    井坂 信彦君

      石川 香織君    枝野 幸男君

      おおつき紅葉君    鎌田さゆり君

      神津たけし君    伴野  豊君

      谷田川 元君    赤木 正幸君

      漆間 譲司君    高橋 英明君

      伊藤  渉君    日下 正喜君

      高橋千鶴子君    古川 元久君

      福島 伸享君    たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      國場幸之助君

   国土交通大臣政務官    石橋林太郎君

   国土交通大臣政務官    こやり隆史君

   国土交通大臣政務官    尾崎 正直君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           大森 一顕君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        山越 伸子君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        廣瀬 昌由君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   国土交通委員会専門員   國廣 勇人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     加藤 竜祥君

  小林 鷹之君     東  国幹君

  小林 史明君     金子 容三君

  小森 卓郎君     山口  晋君

  高木  啓君     中川 貴元君

  谷川 とむ君     西野 太亮君

  中根 一幸君     井原  巧君

  中村 裕之君     井上 貴博君

  武藤 容治君     井出 庸生君

  石川 香織君     おおつき紅葉君

  小宮山泰子君     鎌田さゆり君

  馬淵 澄夫君     井坂 信彦君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     小林 鷹之君

  井出 庸生君     山本 左近君

  井上 貴博君     中村 裕之君

  井原  巧君     中根 一幸君

  加藤 竜祥君     大西 英男君

  金子 容三君     小林 史明君

  中川 貴元君     高木  啓君

  西野 太亮君     尾身 朝子君

  山口  晋君     小森 卓郎君

  井坂 信彦君     馬淵 澄夫君

  おおつき紅葉君    石川 香織君

  鎌田さゆり君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     鈴木 英敬君

  山本 左近君     武藤 容治君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 英敬君     谷川 とむ君

    ―――――――――――――

四月十八日

 建設労働者の雇用改善、担い手確保・育成に関する請願(中曽根康隆君紹介)(第一〇三〇号)

 同(古川康君紹介)(第一〇三一号)

 同(長島昭久君紹介)(第一〇五二号)

 同(福田達夫君紹介)(第一〇五三号)

 同(末松義規君紹介)(第一〇六一号)

 同(萩生田光一君紹介)(第一〇六二号)

 同(櫻井周君紹介)(第一〇六九号)

 同(遠藤利明君紹介)(第一〇九七号)

 同(河西宏一君紹介)(第一〇九八号)

 同(日下正喜君紹介)(第一〇九九号)

 同(小島敏文君紹介)(第一一〇〇号)

 同(西岡秀子君紹介)(第一一〇一号)

 同(大串正樹君紹介)(第一一〇九号)

 同(佐々木紀君紹介)(第一一一〇号)

 同(山田賢司君紹介)(第一一一一号)

 同(大串博志君紹介)(第一一二二号)

 同(小森卓郎君紹介)(第一一二三号)

 同(稲田朋美君紹介)(第一一三一号)

 同(英利アルフィヤ君紹介)(第一一三二号)

 同(枝野幸男君紹介)(第一一三三号)

 同(櫻田義孝君紹介)(第一一三四号)

 同(たがや亮君紹介)(第一一三五号)

 同(田嶋要君紹介)(第一一三六号)

 同(田中良生君紹介)(第一一三七号)

 同(高木毅君紹介)(第一一三八号)

 同(角田秀穂君紹介)(第一一三九号)

 同(野田佳彦君紹介)(第一一四〇号)

 同(鳩山二郎君紹介)(第一一四一号)

 同(平林晃君紹介)(第一一四二号)

 同(本庄知史君紹介)(第一一四三号)

 同(松本尚君紹介)(第一一四四号)

 同(松本洋平君紹介)(第一一四五号)

 同(森田俊和君紹介)(第一一四六号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第一一六七号)

 同(青山大人君紹介)(第一一六八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一一六九号)

 同(今村雅弘君紹介)(第一一七〇号)

 同(上野賢一郎君紹介)(第一一七一号)

 同(岡本三成君紹介)(第一一七二号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一七三号)

 同(菅直人君紹介)(第一一七四号)

 同(菅家一郎君紹介)(第一一七五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一一七六号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一七七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一七八号)

 同(篠原豪君紹介)(第一一七九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一一八〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一八一号)

 同(平林晃君紹介)(第一一八二号)

 同(堀内詔子君紹介)(第一一八三号)

 同(宮下一郎君紹介)(第一一八四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一一八五号)

 同(宮本徹君紹介)(第一一八六号)

 同(本村伸子君紹介)(第一一八七号)

 同(山口晋君紹介)(第一一八八号)

 同(山崎誠君紹介)(第一一八九号)

 同(渡辺博道君紹介)(第一一九〇号)

 危険なライドシェアを許さず安全な公共交通を守ることに関する請願(城井崇君紹介)(第一一〇二号)

 同(松木けんこう君紹介)(第一一九一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)


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     ――――◇―――――

長坂委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省国土政策局長黒田昌義君、水管理・国土保全局長廣瀬昌由君、道路局長丹羽克彦君、内閣府地方創生推進室次長大森一顕君及び総務省大臣官房地域力創造審議官山越伸子さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。井出庸生君。

井出委員 おはようございます。

 本日は質疑の機会をいただきまして、御関係の皆様にまず感謝を申し上げます。

 今回の法案では、地域の二地域居住ですとか関係人口を増やしていこう、その中でコワーキングスペースや交流施設等の整備、またそれに対する支援が必要だということが言われております。

 私の地元長野県は、そうした交流人口ですとか二地域居住というものを積極的に進めてきている県だと思っています。

 私は政治活動を始めたのが十五年近く前になりますが、そのときは、私の地元、例えば上田市、佐久市、コワーキングスペースをつくろうという意欲のある人たちはいたんですが、まだなかったというのが現状でして、私が一番印象に残っているのは、今、HanaLabという上田のコワーキングスペースがありまして、何としてもそれをつくりたいと。

 当時は、本当にそんなものがつくれるのかなとか、果たしてそういうものが地方においてニーズがあるのかなと、私も正直、今だから申し上げるんですが、半信半疑で、ただ、二十代、三十代、四十代の人たちが中心、私も当時三十代でしたが、いろいろなイベントですとか勉強会を重ねてそうしたコワーキングスペースが一つできて、そこのコワーキングスペースが、最近では別の御代田町という町に、古くなって使わなくなった農協の建物を使ってコワーキングスペースをつくったり、また、佐久市でも、移住してきた人に指定管理をしてコワーキングスペースをつくって、やはり、つくっていると、若い方の利用、それから女性の利用が非常に多いかなというふうに思います。

 東京の一等地にあるコワーキングスペースのように、企業の看板がたくさん並んで、人がたくさんいてというような状況ではありませんが、この十五年で、本当に新しいコミュニティーというものを、人と人との集う場というものをつくってきてくれたということはすごくありがたいなと思っておりますし、当時三十代、四十代だった我々が四十代、五十代になりまして、その次の世代の人たちも我々以上に、どうやって地域の活性化、地域の交流の場、人を呼び込んでいくかということを考えてくださっているんだろうというふうに思います。

 そうした中で、今回の法案で、まず、二地域居住に関する市町村の計画を作るということと、それから、そうした住まい、なりわい、コミュニティーを提供する活動に取り組む法人を指定する、それからもう一つ、協議会、この大きな三つの柱がございますが、初めの二つ、地域の、市町村の計画の策定は法律を施行してから五年間で六百件、それから、二地域居住の支援法人の指定数も、同じように五年で六百件。

 特に二番目の、そうしたことを支援する法人の指定。長野県では、市町村とか県が既にコワーキングスペースと連携をしていろいろな取組をしてきたり、一定程度、自治体と密接に関わってやってきているとは思うんですが、今回、新たに支援の法人を指定する、それを五年間で六百件とすることに今後どのようなメリットがあるのか、まず伺いたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 今般、この二地域居住促進法案、広域的地域活性化基盤整備法案を提出させていただきました背景には、二地域居住の促進に当たっては、住まい、なりわい、特に仕事、またコミュニティーのハードルが存在している。そのハードルを解決するために、二地域居住を行う者への生活サービスを提供する基礎自治体たる市町村の役割、その市町村が、この住まい、なりわい、コミュニティーに関する施設整備、それに対する国の支援というのを一連のセットで御提案をさせていただいているところでございます。

 特に、ハード整備だけではなくて、委員の御指摘にありました二地域居住促進支援法人、法律上は特定居住支援法人となっておりますが、このソフトの役割が非常に大きい役割を果たしてまいるというふうに考えております。

 この法案におきましては、市町村長は、二地域居住促進に関する活動を行うNPO法人、民間企業等を特定居住支援法人として指定をし、二地域居住者と地域住民との間に入るコーディネーター役としての役割を果たしていくことを期待しているところでございます。

 この法人に指定されることによりまして、国や自治体から、空き家等に係る情報提供や助言を受けられるということであるとか、特定居住促進計画の作成、変更の提案が可能になるということが、法律上、規定されているところでございます。

 特定居住支援法人のみならず、地元事業者を含めました多様な主体が参加する協議会の制度ということも設けさせていただいておりますので、まさに、官民連携による二地域居住の促進という、その肝となる部分が、この特定居住支援法人という制度でございます。

井出委員 特に、支援法人となることによって、市町村との連携、市町村が様々な計画を立てていくときに提案が可能であるとか、そうしたところでいろいろ意見を申し上げる機会が増えてくるということは、その法人にとっては大きなことだろうと思います。

 ただ一方で、私の地元のコワーキングスペースはそうなんですけれども、果たして順調にバラ色の未来が開けているかといったら、スタートは多難だったと思いますし、今も経産省関係のいろいろな補助金を使って、コロナにもぶち当たりましたし、大変な御苦労がある中で、それでも、民間の力といいますか、そういう力でここまで来ている。

 恐らく、そうした動きは、次の世代も、自分たちも地域のためにこういう事業をやりたい、こういう団体を作ってこういう活動をしたいというものが出てきて、当然、この支援法人の指定を受けたいというところも出てくると思うんですが、逆に、そのお墨つきを得られるところとそうでないところ、また、意見を言えるところとそうでないところ、そういうような少し格差というか、そういうものが出ないようにちょっと注意をいただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 特定居住支援法人に指定されるための要件としては、法律上、幾つか規定をしておりますけれども、業務を行う内容も法律で規定をされております。

 先ほど申し上げましたけれども、特定居住者、二地域居住の希望者に対する情報の提供であるとか必要な援助又は施設の整備、調査研究などが法律上規定をされておりますが、そうではない、指定をされていない民間の事業者さん、これにつきましても、先ほど申し上げましたが、協議会の設置というのがなされれば、広く意見の参画、市町村に対する特定居住促進計画の意見参画ということができる形となりますので、そうした不公平、御指摘のようなことがないように、私どももしっかりと周知をしていきたいと思っております。

井出委員 地元でコワーキングスペースを始めた人たちが、地域と連携をして自治体に意見を聞いてもらえるようになるとか、頼りにされる存在になるまでにもある程度時間はかかりましたし、それは、これから新しいことを地域でやろうという人たちも、恐らく同じような壁といいますか、そこに対してこういう制度があれば、いろいろ意見は言いやすいこともあろうかと思いますが、是非、地域で新しいことをやる、地域のために何かやるんだということが、うまく次の世代といいますか、持続的につながっていくようにしていただければなと思います。

 それと、もう一つは、今回、二地域居住ということでこの法律の改正をするわけですが、私の地元のような地方にとりましては、何といっても、人の往来ということに関して言えば、基盤整備、ここはもう国交省の本懐ともいうべきところでございますが、基盤整備の重要性というものを申し上げておきたいと思います。

 私の地元は、例えば高速道路でいえば、中部横断道というものをこれまで進めてきていただいて、残すところ、あと、長野県区間でいえば三十四キロ、山梨にかかるところで、合計で四十キロという状況まで来ていますが、私は、地元の一国会議員としての思い以上に、もう半世紀近くにわたる、地域の皆さんの数え切れない無限の思いの詰まった願いであると。

 恐らくそれは、私も前進をしていきたいと思いますし、その前進の歩みを決して止めることなく、私であろうと私でなかろうと引き継がれていくような、それだけ強い思いがあって、高速道路の例えばミッシングリンクの解消でいえば、全国で二百近くあると言われていて、私はもちろん、我が中部横断道こそ、このミッシングリンク二百か所の中で日本一必要性の高いところだ、そう信じて日々活動をしているんです。

 人を交流させていくという上で、いろんな新しいものに目を向けていく、ソフトの面をやっていくということは非常に大事ですが、ミッシングリンクの解消を始めとした基盤整備、そこの重要性について、改めて国交省に問いたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 高規格道路でございますが、人、物の往来を支援するとともに、国民の安全、安心を確保するなど、国民生活に不可欠なインフラだというふうに思っております。

 しかしながら、全国には、いまだネットワークがつながっていない、委員御指摘のミッシングリンクが残っていることや、つながっていても、災害時の通行止めリスクが高い、暫定二車線となっているといった課題がございます。

 このため、広域的に人や物の流れを活発化することによりまして、地域の活性化を図る観点からも、高規格道路のミッシングリンクの解消、また暫定二車線区間の四車線化などが重要であるというふうに考えております。

 例えば、御指摘の中部横断自動車道でございますけれども、良好なアクセス性から沿線に多数の企業が立地してきているとともに、観光周遊ルートの形成によりまして、広域からの来訪者を増加させるなどの効果が期待されているところでございます。

 引き続き、この中部横断自動車道を含む高規格道路のミッシングリンクの早期解消、また、暫定二車線区間の四車線化などによる高規格道路ネットワークの機能強化を着実に進めてまいりたいと考えております。

井出委員 まずつなげていくことと、それから車線の話がございまして、どちらも非常に重要なことだろうと思いますし、中部横断道も、四車線を目標に暫定二車線から始まっていて、この暫定二車線という、何というんですかね、非常にバランスの取れた言葉が広くあるわけで、何とか四車線にしてほしいなという思いもあります。

 私の地元の国道で、十八号線という二車線の国道で、大分左右の見晴らしのいい国道がありまして、それは、地元は当初四車線で計画をスタートして、高速道路じゃないんだけれども、まずつなげることが優先だということでやってきて、要は、二車線分の土地が、用地は買収してあるんだけれども、使っていないから左右が極めて見晴らしのいい道路になっているという現状で、恐らくここも、我々からすれば早期に四車線を、国交省からすれば、まずつなげる部分をというところで、いろいろ話合いをしております。

 この中部横断道は、ミッシングリンクの解消というもの、両方大事ですが、やはりまずつなげていただきたいなと。それから、その四車線というものも当然目標に入ってきますが、よくそこを、私どももこれから必要性も訴えていきますし、また、そうした声と丁寧に頻繁に向き合っていただいて、この地域の活性化、本当に地域の人間は努力していますが、なかなか、大きい課題もございますが、取り組んでまいりたいと思いますので、また国交省の皆さんの奮闘をお願いを申し上げまして、私の質疑を終了させていただきます。

 本日はありがとうございました。

長坂委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。

 二地域居住について、そのコンセプトが初めて示されたのは二〇〇五年、国交省が設置をした二地域居住人口研究会が公表した報告書において初めて提示をされました。それから約二十年たった今、広域的地域活性化法を改正して、その中に二地域居住を位置づける法改正を行うということですけれども、このタイミングで改正を行う理由、また、広域的地域活性化法の中で二地域居住を位置づける必要性はどこにあるのか、斉藤国交大臣の答弁を求めます。

斉藤(鉄)国務大臣 昨年、新しい国土形成計画ができました。この国土形成計画では、地方の人口減少、流出の流れを変え、国土全体において地域の活力を高めるため、地方への人の流れの創出、拡大を掲げております。

 二地域居住の促進は、関係人口の創出、拡大による魅力的な地域づくりに資するものであり、とりわけ、コロナ禍を経て、UIJターンを含めた若者、子育て世帯を中心とする二地域居住へのニーズが高まっている中で、今般多くの地方公共団体から、更なる促進策を講じるべきだ、こういう要望が寄せられてまいりました。

 また、広域的地域活性化法は、広域にわたる人の往来の活性化を通じた地域の活性化を図ることを目的の一つとして掲げており、これは、これから国土交通省が実現を目指す二地域居住の促進を通じた地方への人の流れの創出、拡大と趣旨を同じくするものである、このように認識しております。

 このため、今回の法案では、広域的地域活性化法において二地域居住を制度的に位置づけ、市町村による居住環境整備等の取組を支援するための仕組みを創設することとしたところでございます。これによって、二地域居住の普及、定着を通じた地方への人の流れの創出、拡大、これによる地域の活性化を図ってまいりたいと考えております。

國重委員 今、二地域居住を制度的に位置づける必要性について答弁をいただきました。

 次に、二地域居住の内容について確認をさせていただきます。

 本改正案では、二地域居住等について、法文上、特定居住とした上で、特定居住とは「当該地域外に住所を有する者が定期的な滞在のため当該地域内に居所を定めること」とされております。

 そこで、伺います。

 「定期的な滞在」とは、どの程度の頻度で、どの程度の期間滞在することを想定しているのか。また、「当該地域内に居所を定めること」とある、この居所とは、具体的にどの程度までのものを求めているのか。賃貸契約を結んでいたりする必要性まで求めているのか。答弁を求めます。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、多地域居住も含めた二地域居住等を制度的に位置づける観点から、法律上、特定居住という名称で、「当該地域外に住所を有する者が定期的な滞在のため当該地域内に居所を定めること」と定義をしているところでございます。

 この「特定居住」の「定期的な滞在」につきましては、地域の実情に応じて求める、地域活性化に資する二地域居住者像も多様でありますので、頻度や期間を国において一律に判断することはできませんけれども、例えば、単なる観光のような一日、二日の短期かつ単発的な滞在などは「定期的な滞在」には該当しないというふうに考えているところでございます。

 また、「居所」につきましては、その場所とその人との生活の結びつきが一定以上あるものを指しているというふうに考えておりまして、住居のほか、ホテルや旅館に居住している状態、すなわち、委員御指摘のありました賃貸借契約を必ずしも必要とするものではないということも含まれているというふうに考えております。

國重委員 では、今の答弁を前提として、そのようなものを二地域居住とするとして、そのニーズはどの程度あるのか、どういった層が特に関心を示し、希望しているのか、お伺いします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 内閣府が行いました東京圏在住者へのアンケート、令和五年四月によりますと、二十代の若者の地方への関心が非常に高まっているというデータがございます。

 また、私ども国土交通省が令和四年度に実施したアンケートによりますと、二地域居住等を実施していない人に対して、約三割が二地域居住等への関心層との結果がございます。

 このアンケートによりますと、二地域居住者の世帯年収、実際にやっていらっしゃる方の世帯年収は、五百万前後の層が五割以上を占めているということから、様々なライフスタイルに応じた層が、この二地域居住を実施しているというふうに認識しているところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、この法案におきましては、コロナ禍を経て、二地域居住のニーズが高まっている、UIJターンを含めた若者、子育て世帯を施策のターゲットとし、このターゲット層からのニーズの大きい空き家の利活用やコワーキングスペースの整備、これを施策として行うこととしているということでございます。

國重委員 ライフスタイルに応じて様々な層が実際には二地域居住を実施をしている、また、二十代の若者が特に地方への関心が高いということでありました。

 ただ、実際にこの二地域居住をやるには、交通費もかかりますし、また、賃料等もかかってまいります。若い世代がその負担を前提にして実際に二地域居住を行うのか、子育て中であれば通園とか通学の課題等もあります。それを乗り越えてまでやるのかというような疑問もあります。

 一方で、地方自治体が今持っている自治体の存続に関する危機感、これも待ったなしの状況であります。

 我が党の二〇四〇ビジョン検討会が今年の二月から三月にかけて実施をしました、少子高齢化、人口減少への対応に関する自治体アンケートによりますと、市区町村の三二・五%が自治体としての存続が危うい水準にあると。また、存続がぎりぎり可能も含めますと、約七割の自治体が先行きに危機感を抱いていることが判明をしております。

 自治体の抱える事情とか課題、それぞれ異なりますけれども、国として、現場の希望や創意工夫が促されるような環境整備を進めていくこと、取り得る選択肢を増やしていくというのは、これは重要です。その意味で、二地域居住を望む人がいて、そういう人に来てほしいという自治体があるのであれば、それができるような制度設計をしていく、支援していくというのも大切だというふうに考えます。その上で、実際にワークさせる上で課題があるのであれば、それを一つ一つ取り除いていく。

 この点で確認ですが、今回の法案では、自治体が特定居住促進計画の策定などを行うことになっています。しかし、自治体の中では、マンパワー不足、人材不足でこれに十分に対応できないケースがある、負担を軽くしてほしい、そういった自治体の声も、私、同僚議員を通じて聞いております。

 そこで、例えば、小規模な自治体が比較的大きな自治体と共同で計画を立てられるようにする、あるいは、関連するようなほかの計画や書面なども一部流用できるようにする、そのようなことで、自治体に過度な申請負担がかからないようにするなど、合理化を進めていくことも一つだと思います。自治体の負担軽減に向けてどのように対応していくのか、伺います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、小規模の自治体におきましては、組織体制も限られておりますので、新しい計画作り、これに対する負担を軽減してほしいという声は私どももいただいているところでございます。

 今回の法案では、一つの市町村単独ではなくて、複数の市町村同士で共同してこの計画を作成することもできるということを法律上規定をしているところでございます。

 また、同計画は、市町村が組織をいたします特定居住促進協議会、これとも連携して作成することとしておりまして、この協議会のメンバーの中には、都道府県、また民間事業者など、様々な主体が参画することを想定をしております。

 こうした措置、また国としても、御指摘のありましたとおり、関連する書類の省力化、合理化、こうしたことを極力図ることによりまして、小規模な自治体のマンパワー不足を地域全体で補うような形で促していきたいというふうに考えているところでございます。

國重委員 是非よろしくお願いします。

 あとは、先ほど申し上げましたとおり、子供がいる場合に、一緒に二地域居住をしますと、学校や保育園、幼稚園をどうするのかという課題が出てきます。学校については、既に区域外就学制度がありまして、二地域居住についてもこの活用が可能であるとの整理が、平成二十九年に文科省の通知によりなされています。実際、例えば徳島などでは、これを活用した先駆的な取組が行われております。

 ただ、そのような取組はまだまだ限定的であります。二地域居住の環境整備のためには、こうした区域外就学制度の存在や先駆的な取組について、文科省とも連携しながら、より一層の周知、活用促進を図る必要があると思います。また、保育園、幼稚園については、このような制度はまだありません。これも、関係省庁と連携をしながら、同様の制度を検討するなどの対応が必要になると考えます。これらに関しての見解を伺います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 二地域居住を促進するに当たりましては、二地域居住者が子育て世帯である場合には、御指摘のような保育であるとか教育環境、これをどのように整えるかという点が非常に大きな課題になるというふうに認識をしております。

 御指摘の区域外就学制度につきましては、就学児を抱える二地域居住者からニーズが高いというふうに認識をしておりますけれども、活用の状況としては現在数%であるというふうに認識をしておりまして、当該制度を所管する文科省と連携をいたしまして、当該制度のより一層の周知、活用の促進、これが必要になってくるというふうに考えております。

 また、保育園、幼稚園に関しましては、例えば北海道の厚沢部町では、認定こども園の一時預かり事業と移住体験住宅によるワーケーションを一つのメニューとして提供する保育園留学という取組が行われているというふうに承知をしております。

 今後、このような事例を含めまして、関係省庁や教育関係者と連携して、各地域ごとに設けられる特定居住促進協議会などにも教育関係者、保育関係者にも入っていただいて、二地域居住者の環境整備、普及啓発にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

國重委員 是非よろしくお願いします。

 政府は、これまでにも、今回の二地域居住のほか、移住政策や地方創生など様々な取組を行ってきました。今回、二地域居住の取組を効果的に進めるに当たっては、こうした関連施策について所管をする関係省庁との連携も重要になるかと思います。また、今回、住民税や住民票など、積み残しになった課題もあります。こうした点についても、引き続き関係省庁との協議、連携が必要になってまいります。

 こうした今後の課題解決に向けた、関係省庁と一体となった取組を推進する、この意気込みについて最後にお伺いいたします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 本法案を検討するに当たりまして設置をいたしました国土審議会の専門委員会におきまして、二地域居住者の地域への関わりの環境整備、これが非常に重要だということで、中期的な課題というふうにされたところでございます。

 一方で、こうした点は、二地域居住者が地域に溶け込んでいく上で非常に重要であるというふうに認識をしておりまして、今後、官民連携の全国的なプラットフォームなども組織をいたしまして、関係府省庁と連携して、しっかりこうした点について議論を深めていきたいというふうに考えております。

國重委員 是非しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

長坂委員長 次に、伴野豊君。

伴野委員 おはようございます。

 本日は、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案について主に質問をさせていただき、それに関連することを幾つか、事実関係の確認も含めてお聞きしたいと思います。事実関係の確認、過去の経緯等々は政府参考人の方に答えていただきたいと思いますが、政治的な判断、あるいは政治的な覚悟等々につきましては、是非大臣の方から積極的に手を挙げてお答えいただければありがたいかと思います。

 では、まず、今日の本題である広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案に関連することからお聞きしていきたいと思います。

 今、与党さんの質疑者のお話もしっかり聞かせていただきました。私なりにもいろいろ学ばさせていただいて、学べば学ぶほど、今回、シームレスな拠点連結型国土という言葉が使ってあるんですが、これは大臣の所信の中の二つ目の、持続的な経済成長の実現というフレーズの中で書かれているというところにも、ちょっと私の中の頭の整理が十分できていないというところもあってみたり、シームレスなという言葉を最初聞いたときは、ユニクロさんかジーユーさんかの新しい商品かなと勘違いしたぐらいの私の理解というか、今まで余り国土交通委員会では聞かなかったから、これは私の勉強不足かもしれません。別に、これを、継ぎ目のないとか、そういう言葉を使ってもいいのではないか、ちょっと斜めから見ると。

 そうした疑問にもお答えいただくためにも、私の頭の中がちょっとシームレスになっていませんので、改めてここは局長に、多分、法案を作られたときの責任者でもあるでしょうから、これが過去の国土形成計画とか、今我が国が抱えている重要な課題、そして、それをどう解決していくか、その目標、背景、効果、こうしたことも含めて、端的に短く。ここで五分、十分取られちゃうと私の時間はほとんどなくなっちゃいますので、是非黒田局長から、まず、今回の法案にかける思いというんですか、こうだから是非皆さん方の御理解をいただいて、そして成案となり、国民の負託に応えるという気持ちをまずお聞かせいただけませんか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案の背景となることにつきましてでございますが、まず、やはり、東京への若い方々の人口移動、これが戦後長きにわたりまして断続的に続いているということがございます。こうした東京圏の転入超過傾向、これは、これまで、高度経済成長、バブル景気、二つの山がありまして、その後、コロナ禍で少し変化はあったものの、二〇〇〇年以降から現在まで続いているというような状況でございます。

 この傾向の背景としていろいろ考えていきますと、やはり、若い世代にとって魅力的な仕事、これは東京に集中しているであるとか、地方においても給与格差などのいろいろ課題もある、閉塞感もあるということで、特に若い女性が東京に来ていらっしゃる。

 こうした背景の下、昨年閣議決定しました国土形成計画の中では、国土全体にわたって人口や諸機能が分散的に配置されること、これがやはり今後の持続的な国土の在り方という点では非常に重要である、地方への人の流れの創出、拡大を図っていくということが非常にこれからの国土計画においては大事であるということが書かれたわけでございます。

 そうした中で、じゃ、具体的にどんな取組をするのかということで、若者、子育て世代をターゲットとする、コロナ禍でやはり地方への関心が高まっている今こそ二地域居住の促進をするということが、地域力を高める関係人口の創出、拡大ということにおいて、また、人口減少に悩む地方におきましても非常に重要な取組であるということで、この法案の提出をさせていただいたところでございます。

伴野委員 今局長がお答えいただいた中で私の心に響いたのは、若い人のためにやるんだ、未来のためにやるんだ、そういうことだと思うんですね。ですから、細かいことは余り言いたくありませんが、そうしたときに、ちょっとKPIのことに触れますね。この出てきたKPIが、今回お示しいただいたKPIで本当にいいのですか。

 私の中で、シームレスという言葉と、二拠点の移住と、そしてこのKPIと、若者のためだというところが、残念ながらぴんときてくれない。そうであるなら、このシームレスなという言葉をもう少し若者が響く言葉に、ユニクロやジーユーが先に来てしまうのではなくて、あってもいいのかなというのが率直な私の気持ちです、期待も込めて。

 KPIは本当に今回のものでいいんですか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案の中でKPIとして定めさせていただきましたのは、市町村が作成いたします特定居住促進計画の数、また、それに関連します特定居住支援法人の数、これをそれぞれ六百ということで定めさせていただいたところでございます。

 この背景には、現在、二地域居住促進を一生懸命旗を振っていらっしゃる市町村が六百から七百ぐらいあるという実態がございまして、そうしたところが、まさに熱心に、地方からの人の流れを変えていきたいということで活動されていらっしゃる。そうしたところと一体となって取り組んでいきたいということで数を設定させていただきました。

 恐らく、委員の御指摘の背景は、例えば、関係人口も含めた、まさに若い人がどれだけ移動するのかというようなことを定めるべきではないかということかと拝察をいたしますけれども、二地域居住者の数、輪郭をどう定めるのかということは、今時点ではなかなか定義が難しいところがございますので、今後、特定居住促進計画、法施行後に、各自治体の方で、いろいろな、地域に呼び込みたいという人の輪郭を出していただいて、KPIを例えば設定していただく中で、そうした数を総合的に考えていきたいというふうに考えております。

伴野委員 ちょうどこの法案の自分なりの学習をしたときに、最近やたら大谷さんのニュースが多いものですから、大谷さんのニュースをちょうど見ていたものですから、大谷さんからすれば、これはトスバッティングのレベルのKPIじゃないか。つまり、もう当たって当たり前というか、空振りは困りますけれどもね、法案ですし、政策ですから。やはり、ぽてんヒットでもいいから塁に出るとか、それぐらいのチャレンジングなKPIであっても私はいいのではないかと、こういう時代だから余計。

 過去の全総のように美辞麗句を並べろとは申しません。もうそういう時代でもない。先ほど申し上げた人口減、過疎である。だけれども、そこを克服してくるのが若者だということを認識していらっしゃるなら、若者が響くような言葉を使うというのがやはり大人の責務じゃないかなとつくづく思わせていただいたので、だんだんやっていかないと分からない。

 何で六百にしたのかということも、大体理解していて聞いているんですから、ちょっと嫌みな質問で恐縮でしたけれども、やはり国土形成計画ですから、百年の計というか、大上段に構えていいと思うんですね、だんだんそちらに移していっていただけないかなと。局長の今の時代における難しさというのもよく理解しているつもりです。だから、ゆえに、チャレンジングにやっていただきたいな、そんなふうに思う次第でございます。

 いろいろ考えていく中で、なぜそれを言うか、私自身が、やはり過去の開発計画でわくわくした一学生だったんですね。最初に全総の素案を見たのが十八歳のときです。そこに書いてあったことは、ちょうど三全総から四全総へいくところでしたから、美辞麗句も並んでいましたし、ちょっとバブルチックな言葉も散見されました。だけれども、そこに響いた若者は多かったと思います。同じような仕事をやってみたいと思った人もたくさんいたんじゃないかなと思うんですね。

 いや、今回の法案がそうじゃないとは言っていませんよ。やはり、そういうふうに育てていってほしいし、二拠点の、二地域移住のこの法案を活用して、どんどんどんどん若い人が首都圏や地方のいわゆる中央の市町から少し過疎化しそうなところにもどんどんどんどんチャレンジングしていってくれる、多分、そこにも今回の法案の目的もあると思うし、各地域が、今回の能登の震災でも分かったように、これだけ過疎が進み、そして、結果的に孤立集落ができてしまっているというのも、把握すら十分できていなかったというのが今の我が国じゃなかったか。そこにあえて、この法案の支援をいただいて挑戦していく若者が一人でも二人でもできれば、私は今回の法案の意味は非常に高くなってくるんじゃないかと思いますので、あえてKPIのことも触れてお聞きしました。

 それで、過去のものをひもとくと、東京一極集中とか多極分散型、国土を有効利用しようということをやはり大上段に語っているんですね。確かに、もう今、そういう時代じゃないかもしれない。でも、最終的にはそこを目標にすると。

 例えば、東京一極集中については、局長はどう捉えて今回の法案を作られたんですか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 東京一極集中、東京圏への転入超過傾向、これは先ほど申し上げましたけれども、戦後、今日に至るまで、大きなウェーブとしては三つあったというふうに理解をしております。

 初めは高度経済成長期、これは東京だけではなくて、東京、大阪、名古屋圏も含めた三大都市圏、製造業が中心でしたので、働き手というところで、また女性よりもむしろ男性の人口移動が非常に多い時期でございました。バブル景気、この時代というのは、まさに不動産業とか金融業とか、華やかな時代でございましたけれども、この時代も、女性よりもやはり男性の方が多かった。二〇〇〇年以降に、現在に続く中では、むしろ、先ほど申し上げましたけれども、男性よりも女性の方が多いというような傾向になっております。

 この要因といたしましては、やはり、若者世代が魅力的な仕事は東京に集中していることであるとか、やはり給与の問題、また、地域の方にとっても、女性の活躍する場であるとか、いわゆる閉塞感というような御指摘もありますけれども、こうした修学とか就職、こうしたことが原因となって、地方からの人口の流入、また、女性の流出というのが進んでいるのではないかと思っております。

 そうしたことで、今回の法案につきましては、昨年閣議決定した国土形成計画で、地方への人の流れを変えるんだというようなことの施策の一環で進めさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

伴野委員 私の知る限り、過去の全総やそれからこの形成計画、東京一極集中の是正のためにいろいろな知恵者が知恵を絞って、いろいろなことを考え、やり、文書にしてきました。残念ながら、どの計画においても東京一極集中が効果的に何か行われた施策は、私が知る限り過去一度もありません。皮肉ながら、コロナでちょっと東京一極集中が若干是正されている。これが現実です。だから、ある意味、地味なことも必要だと思いますし、チャレンジングなことも必要だと思います。

 一方で、今年に入って震度五以上の地震が、大臣もよく御存じのように、もう十回以上あります。確率的にどうのこうのと言っている時間があるならば、やはり備えられるところから備えていく、これも国交省の一丁目一番地に近いところかなというように思います。

 水局の局長にも来ていただいておりますが、国交省として、今の直下型の地震の被災に対してどういう数字で対応していますか。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 首都直下地震対策については、中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループにて平成二十五年十二月に取りまとめた、最大で二万三千人の死者、八百万人の帰宅困難者などが想定されるとの首都直下地震の被害想定を踏まえ、政府で首都直下地震緊急対策推進基本計画を策定し、対策を進めております。

 国土交通省においても、被害想定や政府の基本計画を踏まえ、首都直下地震対策計画を策定し、ハード対策として、木造住宅密集市街地の環境整備、緊急輸送道路における橋梁の耐震補強、ソフト対策として、鉄道駅などにおける帰宅困難者対策訓練などの対策を実施しております。

 また、首都直下地震が発生した際の応急対策活動を迅速かつ的確に実施できるよう、都心に向けた八方向ごとに優先啓開ルートを設定する道路啓開や、全国からのTEC―FORCEの応援体制などについても計画を定めているところです。(伴野委員「短く。そこは聞いていないから」と呼ぶ)済みません。

 しっかり進捗を管理しながら、社会資本整備重点計画等で進捗を管理しながら、進めてまいりたいと思います。今後ともしっかり進めてまいります。

伴野委員 どの数字を使っているかというのを聞きたかっただけなので、ちょっと、非常に質問時間が短いところで、お呼びしておいて恐縮ですが。ありがとうございます。

 東京都のやつも、それから国交省さんのやつも、国交省さん、その数字がいつのやつか、まず本当は聞かなきゃいけないけれども、もう時間がないからあれですけれども。どこも、役所が頑張っていくと、いわゆる被災状況が小さくなっていくとシナリオ上にあるんですよね。それは、一生懸命手をかけていくんだから、そうありたいという気持ちは分かるけれども、そのシナリオじゃないシナリオを作らないとというか、多分、私は、この十年なりで、あってはいけないけれども、被災状況というのは想定を超えてきているから、どこも。

 だから、もっと厳しくというか、だからといって国民の方をあおる必要はありませんけれども、もう少しポイントを押さえて、一つのシナリオだけではやらないということぐらいはやってほしいなと。それから、データなり数字は、常にアップデートしていくぐらいの、刻々と変わると思いますよ。それをちょっと申し上げておきます。

 何が言いたいかというと、過去にやはり東京一極集中の是正を試みたが、どれも成功していないんですよ。ただ、どんどんどんどん東京に集まってきちゃっている、今の人間の生き方もある。だから、局長も、二拠点のこういう法案を作って、少しでも若者が地方へということをやるんだと思います。

 やはり一番怠慢なのは国会議員じゃないかと思います。なぜかというと、大臣はよく御存じのように、国会移転決議というのがありましたよね。残念ながら私もこれで終わっちゃうのかなというので、最後のあの委員会というか、特別委員会でしたが、出ましたけれども、決議を確認したら、まだ生きているというんですよね。どこまで行っていたかというと、候補地選定のところで止まっちゃっているんですよ。それはいろいろあると思います、要望も出てきて。

 一方で、議論を先送りして、そして、大人が逃げているのかなという感じも受けないわけではない。やはり、大臣のときに、政治家に声をかけて、どういう結果になろうとも議論ぐらいはやる、この国会移転の話は、決議が生きているわけですから。

 ちょうど、静岡でもいろいろあったみたいですから、リニア中央新幹線も期待される。過去、京都大学の天野先生だったと思いますが、リニア中央新幹線と国会移転を連動させた計画というのを発表していた時期があります。かつての先輩たちはこういう議論もちゃんとやっていたんですよね。

 ですから、こういうことを、是非、大臣、先頭に立ってやっていただけないかというのが大臣への質問です。

斉藤(鉄)国務大臣 今、リニアのお話を出されましたけれども、例えば、リニアが開通すれば、関西から東京まで、これが一つの都市、日本の中心ということになろうかと思います。そういう時代にあって、首都がどうあるべきか、国会がどうあるべきか、これは当然なされるべき議論だと思いますし、我々国土交通省としてもしっかり考えていきたいと思います。

伴野委員 よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、谷田川元君。

谷田川委員 おはようございます。立憲民主党の谷田川元です。斉藤大臣、よろしくお願いします。

 前回の三月十三日の国交委員会の質問で、私は、去年閣議決定された国土形成計画の中に、東京一極集中の是正は、中曽根内閣のときから、三十七年前からずっと政府が旗を振っているにもかかわらず、東京一極集中の是正どころか一極集中が進んでしまった、それに対する反省とか分析がないんじゃないか、そういう質問をしたんですよ。それに対して大臣の答弁は、東京一極集中の要因は述べられたけれども、なぜ三十七年間旗を振ったにもかかわらずそれができていないのか、それに対する分析とか反省の言葉がなかったんですよ。

 それで、一言まず質問したいんだけれども、やはり、私は、過去、この三十七年間を振り返って、一番大きな東京一極集中を促進した政策は、小泉内閣のときのあの容積率の緩和だと私は思うんですが、大臣、そう思いませんか。

斉藤(鉄)国務大臣 容積率の緩和については、これが都市における機能にどういう変化をもたらしたかというのについては、ちょっと分析をしなくてはいけないと思いますし、大きな効果といいましょうか、大きな機能の変化があったかと思います。

 ただ、それが東京一極集中の一番大きな要因かと問われると、様々な要因がある、このように思います。谷田川委員との議論の中で、世界における都市間競争、この都市間競争に勝たなければいけないということと、そのために、東京の機能を、都市としての機能を高めなきゃいけないということと、東京一極集中の議論、これは必ず矛盾するものではない。東京の機能も高めながら、地方に豊かな人口も広がっていく、若い人たちが地方に住む、地方の活力も増す、これは矛盾することではない、このように思っております。

谷田川委員 じゃ、一つ確認しますけれども、小泉内閣のときの容積率の緩和は、東京一極集中をもたらした大きな要因と言えるかどうか分からないけれども、要因の一つであることは間違いないということでよろしいですね。

斉藤(鉄)国務大臣 東京の都市機能を高めるために行ったものだと思います。という意味で、それが東京一極集中にどのような影響を及ぼしたかはまだ私自身分かりませんけれども、また、その分析もないかと思いますけれども、東京の機能を高める一つの大きな要因になったとは思います。

谷田川委員 やっとそこをおっしゃっていただけましたか。実は、私、国交省に確認したんですよ。これまで、この三十七年間、東京一極集中の是正ということを掲げておきながら、できなかった要因の一つとして、小泉内閣のときの容積率の緩和、それをうたっている政府文書があるかと聞いたら、見当たりませんでしたと言うんですよ。

 だから、私、今大臣はこれから検討しなきゃいけないとおっしゃっていただいたので、そうすると、大臣、今度、国土形成計画が去年策定されて、あと七年か八年後に新しい計画を作るとは思うんだけれども、そのときは是非、今回提出されている二地域居住の効果とか、それも含めて、計画にうたったものが実際どの程度できたかという検証が必要ではないか。

 次の国土形成計画を作るときには、前の計画がどの程度できたか、そういう検証が私は必要だと思うんですが、大臣、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 新しい計画を作るときに、前の計画の検証というのは当然行うべきものだと思います。

谷田川委員 明快に答弁いただきました。是非その答弁が欲しかったんですよ。

 私、ずっと見たんですよ。四全総からずっと国土形成計画を見てきたけれども、恐らく、前の計画の反省というのがないんですよ。それが私は今回の、今回というか今現在、いっときは、さっき話があったように、コロナ禍で、東京、転出超過があったんだけれども、また今、転入超過になっちゃいましたよね。だから、私は是非、新しい国土形成計画を作るときには、前の計画が本当によかったかどうか、どこまでできたかという検証をしっかりしていただきたいということをお願いしたいと思います。

 それでは、ちょっと資料の一と二を見ていただきたいんですが、二地域居住を促進するためには、やはりテレワークがその地域で普及しているということが必要だと思うんです、テレワークの設備ですね。それを補助する、内閣府が管轄しているデジタル田園都市国家構想交付金というのがあるんですが、地方創生テレワーク型、この対象地域は、非常に残念なんですが、三大都市圏、ですから、私が住んでいるのは千葉県なんだけれども、東京、神奈川、埼玉、千葉、この四つは基本的に対象にならないんですよ。それで、ただし、半島地域だとか、あるいは過疎地域は対象にしますよと。プラス、ここに書いてある、私が申し上げますと、二〇一〇年から二〇二〇年の人口減少率が一〇%以上の市町村は対象にします、そう言ってくれたんです。ちょっと分かりにくい要件なんだけれども。

 その結果、今度は地図を見ていただければ分かるんですが、私の住んでいるのは香取市なんですが、成田の東側にあります。その成田と香取市の間に神崎町という町があるんですよ。ここは、千葉県は五十四市町村ありますけれども、一番人口が少ないんですよ。五千人余りしかいない。ここが、デジタル田園都市国家構想、地方創生テレワーク型の交付金の対象になっていないんです。

 神崎町は、非常に頑張っていまして、三月のいつも半ばぐらいに、二つの酒蔵があるんですね、鍋店さんというのと寺田さんというこの二つの酒蔵が共同して、酒蔵まつりというのをやるんですよ。何と一日で神崎の人口の十倍以上の人が来るんですよ。すばらしいでしょう。それで、だから、神崎町はファンが結構増えているんだけれども、テレワークの施設がないから、二拠点居住をしたいと思っても、いや、ちょっと戸惑うなという人がいるわけですよね。

 だから、こういう小さな町が頑張っているのに、人口が一〇%超減らないと対象にならないというのはちょっと私はおかしいと思うんですよ。

 あと、神崎町の財政力指数、何と、やはり低いんですよね、〇・四四。ここに掲げた、印がついた対象になっていない町、村。神崎町が今言った〇・四四、酒々井町は〇・八あるんですよ。成田に、東京に近いですからね。それから、長生村は〇・五四、一宮町が〇・五六、睦沢町が〇・四二と、かなり低いんですよ。

 ですから、このことも踏まえて、やはりこういう町や村をやはり対象にすべきだと思うんですが、内閣府の答弁を求めます。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル田園都市国家構想交付金、デジタル実装タイプ地方創生テレワークは、東京圏への一極集中の是正や転職なき移住を実現し、地方への新たな人の流れを創出するため、サテライトオフィス等の整備、利用促進等に取り組む地方公共団体を支援するものであります。

 そのため、委員からも御質問ありましたけれども、東京圏、つまり東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県内の自治体の場合は、いわゆる条件不利地域に該当する市町村及び直近の国勢調査を踏まえ、二〇一〇年から二〇二〇年の人口減少率が一〇%以上の市町村を対象としているところです。

 そもそも、地方への新たな人の流れの創出を目的としておりますことから、対象自治体の要件については、人口の観点に着目して設定しておりまして、委員から御指摘ありましたが、東京都心からの距離や財政力指数等、人口以外の要件を設定することについては、慎重な検討を要するものと考えております。

谷田川委員 慎重な検討というのは、大体、役人用語では反対だというふうに聞こえるんですがね。

 では、もう一つ。同じようなことがやはり地域おこし協力隊でもあるんですよ。実は、これは二〇一八年の夏と記憶しておりますが、実はその前の年から、銚子市が地域おこし協力隊、銚子市は対象にならないんだと。

 皆さん、資料を見ていただければ、資料二、裏のページ。ちょっとこれは地図が隠れちゃっているけれども、一番南、館山市というのがあるんですよ。館山とか南房総市というのは半島地域に振興されているから、地域おこし協力隊の対象になっていたんですね。銚子市が、何で館山が対象になって銚子市がならないんだと。

 過疎になれば対象になるんですけれども、過疎にならないように頑張っている市を応援しないでどうするんだという話をしたら、当時の総務省の担当者が、確かにそれはそのとおりですねといって、二〇〇五年から二〇一五年の人口減少率が一一%以上の市町村に対しては対象にしますといって、ありがたいことに銚子市のみならず、私の地元香取市あるいは匝瑳市、多古町が対象になったんですよ。

 内閣府の方、うなずいていますね。是非、総務省のやったことを今日聞いておいてくださいよ、今言いますからね。

 その結果、銚子市は地域おこし協力隊を二〇一九年にできるようになったんですよ。その結果、もう本当に市がいろいろな挑戦をしています。ですから、是非、そういうことを内閣府に見習っていただきたいんだけれども。

 ただ、残念ながら、神崎町はやはり対象にならないんですよ、今現在。横芝光町も、デジタルの方には対象になるんだけれども、やはり人口、一一%は減らないんですよ。多分、デジタルがもらえたということは、一〇%ちょっとなのかもしれない、ぎりぎりね。

 だから、この辺、地域おこし協力隊の要件についても、できるだけ町や村に対して対象にするということで検討していただけませんでしょうか。総務省、答弁お願いします。

山越政府参考人 お答えいたします。

 地域おこし協力隊は、都市部の若者等が過疎地域等に移住し、地域の協力活動を行いながら定住を図っていただくものでございます。

 こうした都市圏から地方部への人の流れの創出を図るという観点から、この制度には、転出地や受入れ自治体などに一定の地域要件を設けているところでございます。

 先生から御紹介もありましたとおり、この地域要件につきまして、令和元年度に、対象外としている三大都市圏内の過疎地域等の条件不利地域ではない市町村の中に、相当程度の人口減少が現に生じている市町村があることを踏まえまして、特例的に、一定以上の人口減少をしている市町村の対象を追加したところでございます。

 ただ、御質問の、これまでの地域に加えまして、さらに、都心からの距離とか財政指数といった要件を考慮して地域を追加することにつきましては、先ほど申し上げた制度の趣旨から、これまでの法律に基づく条件不利地域や人口減少率を基準としてきたことを踏まえますと、課題が大きいのではないかと考えているところでございます。

谷田川委員 課題が大きいのと慎重な検討を要する、どっちが前向きか分かりませんけれども。

 ただ、私、この二地域居住を促進するためには、やはり、是非こういう町や村、対象にしてほしいんですよ。大臣、そう思いませんか。

斉藤(鉄)国務大臣 済みません、今の御質問は、二地域居住、今回の法律の対象にすべきではないかという……

谷田川委員 いや、違います、済みません。

 二地域居住を促進するためにも、やはりテレワークのシステムが必要ですからね。だけれども、財政力指数、神崎町はすごい弱いわけですよ。そうすると、そういう交付金も対象にならない、自腹をやらなきゃいけない、だけれども財政力指数が低いから、とてもそういうね。

 だから、もちろん、管轄は内閣府であり総務省だけれども、国交省として関係省庁に、やはりこういうところは認めてもらった方がいいんじゃないかという意見ぐらい言っていただけないか、そういう趣旨です。

斉藤(鉄)国務大臣 御質問の趣旨はよく分かりました。

 二地域居住、その地域の関係人口、特に若者の人口を増やして関係人口を増やしていくということが大きな目的ですので、よく総務省とも連携を取っていきたい、このように思います。

谷田川委員 総務省プラス内閣府ということでよろしくお願いします。ありがとうございます。

 それでは、もう一つ質問をしたいんですが、資料三、最後を見てください。

 私、これ、去年の十二月二日の朝日新聞の記事なんですよ、これを見て非常に心強く思いました。いやあ、国交省にも志ある役人の方がいらっしゃるのかなと思いましてね。(発言する者あり)辞めてはいないんです。この方、大水敏弘さんとおっしゃって、キャリア官僚ですよ。それで、過去に非常にあちこち転勤されていらっしゃるんですよね。最初は、三十三歳まではずっと東京近郊にいたんだけれども、その後、水戸勤務になって、それからまた東京に戻って、岩手へ行って、東京へ行って、岩手県の大槌町へ行って、そして東京へ行って、長崎の諫早へ行って、つくばへ行って、そしてまた東京と。今、都市再生機構に国交省から出向しているんだけれども。

 この方は、東京に住んでいるのは危険だ、やはり災害リスクが過密都市は高まるから、是非地方に行くべきだと。だけれども、地方の魅力がまだまだ足りない。すぐに地方というわけにいかない。それで、自分自身は二拠点生活をやってきたと。二地域居住の一歩手前が二拠点生活だというんですね、二拠点生活。考えてみれば、我々国会議員も東京以外の方は二拠点生活を送っているわけですよ。だから、我々も、恐らく地方であればあるほど地元の宣伝をみんなしますよ。

 だけれども、私、びっくりしたのは、国交省、何と、課長になる前の職員に対して、ちょっと調べてもらったら、何と八割以上が地方勤務経験者なんですってね。だから、恐らく国交省では、それなりに地方のよさを実感した人がたくさんいると思うんですよ。そういう人たちを是非活用して、もっと国民に対してアピールすべきじゃないかと私は思うんですよ。

 大臣、御存じかどうか分からないけれども、コロナのときに農水省の役人が、卒業式とか入学式で花が一切売れなかったので、BUZZMAFFといって農水省のユーチューブをつくって、それで花のPRをやったら花が売れたというんですよね。それは結構メディアに取り上げられていましたよ。

 だから、この二地域居住を促進する意味でも、地方の生活を体験した国交省の職員がしっかり発信する、そういう仕掛けをつくってもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省では、条件不利地域の小規模市町村を対象に、若手職員が自治体の職員と協力して、地域課題の整理やその解決策の検討、提案などを行う地方応援隊という取組を農林水産省と連携して実施しており、年度ごとに活動報告書を公表して、地方の魅力や取組について発信しております。

 このように、地方経験を有する職員や、東京にいながら地方に目を向ける職員など、地方の実態や魅力を肌感覚で知り、それを発信する人材の育成を行うことは非常に重要であり、引き続き様々な取組を検討してまいります。

 また、言うまでもなく、国土交通省は全国津々浦々に多くの官署を有し、地域の活性化や安全、安心の確保などの業務に従事する中で、地方の魅力の発信にも貢献してまいります。

 引き続き、職員一丸となって地域の活性化に取り組んでまいります。

谷田川委員 時間になりましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

長坂委員長 次に、石川香織さん。

石川(香)委員 立憲民主党の石川香織でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほどの、ほかの委員の方の質問の中にもありましたけれども、保育園留学の話がありました。厚沢部町の例を出されておりましたけれども、私の選挙区でも清水町、上士幌町などもこれに取り組んでいるということで、子供を主役にした一、二週間の家族の滞在で地方のどんなところかというところを実感してもらおうという取組があるということで、ほかにもいろいろ探してみますと、二地域居住推進に向けての自治体と連携したツアーというのをJALでもやっておりまして、帯広市とほかの自治体、幾つかが一緒になって、二〇二〇年、こういうツアーも販売していた。

 今年四月に、中札内村というところは、羽田空港からとかち帯広空港のこの区間に限定をして航空券のサブスクを始めたんですね。これは、ターゲットになる方は、もちろん二地域居住も考えている方、移住を考えている方ということなんですけれども、この区間が最初の搭乗から三十日間乗り放題になるということで、地域も是非この二地域居住や関係人口の創出、移住の促進につなげていきたいと考えているということで、北海道も非常に積極的に取り組んでいるところもたくさんあるなと思っております。

 この二地域居住ということなんですけれども、今これを実際にやっている人、七百一万人ほどいらっしゃるということなんですね。考えてみますと、この二地域居住というか拠点というか、例えば、東京に家があって地方にマンションとか持っている、家を持っているという方もいらっしゃると思うんですけれども、逆に、地方に住んでいる方が東京に出張が多いのでマンションを持っているとか、経営者の方なんかも多いのかなと思いますけれども、ただ、このケースだと、むしろ東京一極集中にもなりかねませんので、やはりこの二地域居住は地域での関わりが一番肝になってくるということであります。

 この地域の関わりについて聞いていきたいんですけれども、まず、二番、三番から始めさせていただきたいんですけれども、この二地域拠点、そもそもどんな年代の方をターゲットにしているのかということについてもお伺いしたいと思います。

 令和四年度に地域居住に関するアンケートというものがありますけれども、この二地域居住等を実施していない人のうち三割が関心があるというふうに答えたそうなんですけれども、この回答者の年齢の分布はどのようになっているかということ、それから、三問目もまとめてお伺いしたいんですが、一方で、過去に二地域居住を行ったことがあるんだけれどもまた行いたいとは思わないという方も一四%程度いたということで、回答者がなぜこのような回答に至ったのかという背景も併せて、二番、三番、まとめてお伺いしたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 お示しのアンケート、これにつきましては、国土交通省の方でやらせていただいたものでございますけれども、二地域居住の関心層の全体の割合、御指摘のとおり、約三割、二七・九%でございます。

 この年代における関心層の割合を分析しますと、二十代以下が三七・五%、三十代が三五・九%、四十代が三三・二%、五十代が二八%、六十代が二一%、七十代が一六・五%というふうになっておりまして、全体的に見ますと、四十代以下における関心層の割合が全体の平均を上回っているということで、特に、二十代以下における割合が一番高い、比較的若い層における関心が高いと言えるのではないかなというふうに考えております。

 また、過去に二地域居住を行ったことがあるけどもまた行いたいとは思わないという回答、これも一四・四%あったわけでございます。

 この継続しない要因につきましては、いろいろあると思うんですが、私ども、この法案の検討に先立ちまして、国土審議会に設置された専門委員会、こうした中でも議論をし、ヒアリングをさせていただきましたところ、やはり、主に地域への溶け込みの困難さ、こうしたことを挙げる御指摘がたくさんございました。

 このため、今回の法案の中では、市町村が作成する計画の中で、地域におきます二地域居住者の果たすべき役割とか責任、市町村が計画を作成する過程において、受け入れる側の住民の意見を聞くというような双方向のやり取りをしっかり入れ込みながら、二地域居住者が地域コミュニティーに円滑に溶け込めるような仕組みも構築しているということでございます。

石川(香)委員 せっかく二地域居住などを始めてみても、やはり地域の溶け込みの困難さというものが結果的にあるということなんですけれども、やはり、土地の相性というのはあると思うんですよね。住んでみないと分からないというところもたくさんあると思います。

 そこで、一番重要なポイントであるだろう地域の関わりについて伺いますけれども、私自身も、ずっと東京に住んでいまして、北海道に移ったときに、まあいろいろ違うなと実感をしたことがたくさんあります。

 例えば、葬儀、町内会の会長さんが葬儀委員長をするのもちょっと初めは驚きましたし、今は余り町内会とか地域単位ですることもなくなったんですけれども、それだけ町内の結びつきというのがやはり濃い地域なんだなということも実感しました。

 それから、雪が降るところですと、除雪のやり方も全然分からないとできませんし、冬場にもし家を空けてしまうということになりますと、当然除雪のこと、それから、水道管が凍結しないように水抜きという操作もしないと大変なことになってしまうということで、この辺りは知らないと大変なことになってしまうということなんですね。

 例えば、あとは、冬タイヤを履き替えたり、灯油も準備したりと、地域で当たり前にやっていることを一年間の流れの中でしっかり把握できるようになるというのは、結構時間がかかると思いますし、ネットで調べても分かるものでもないなというふうに思っています。

 私自身は、町内会の方、地域の方にたくさん助けていただいたんですけれども、一番身近な話題とすれば、やはりごみ出しなんですね。ごみ出しも、地域によって分別の袋も違いますし、分別の仕方も違いますし、もちろん出す曜日も違いますし、きちんとできていなかったりすると、持っていってもらえないので目立っちゃうわけですよね。私も緊張していまだにごみ出ししていますけれども、結構こういったことは、いきなり習得もできないので、町内の方も含めてフォローしてあげないと、これは結構大変だと思いますし、受け入れる側としても、それなりに新しい方にいろいろと教えるというのは心の準備も要ると思うので、やはりここの問題だと思うんですね。

 今は、その地域に元々住んでいる人でさえ町内会に入らない方が多いということで、その中で、町内会費も払っていないのにごみ出しをしているのかというような話も、やはり町内の皆さんとお話しすると出てくるということなんですね。町内会なども、人手不足でいろいろと運営が大変な中でやっている中で、数日なり数か月の滞在で住民税を払っていないような状況で、また、町内会費を払っていない状況でごみ出しをすることが実際どうなのかということが最大の問題だと思います。

 町内会の中でいろいろなルールというのは決められるかもしれませんけれども、これは国交省だけでもちろん決められるものでもないわけですけれども、ただ、この町内会の関係、地域の関係ということが一番肝になってくるわけですけれども、国交省はどのように進めるのがいいと思うか、また、どういうことができるかということについて伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 いかに地域社会に溶け込んでいただけるかということがポイントになります。そのために、今回、支援法人という仕組みをつくりました。二地域居住者が地域になじんでいくためのサポートや、交流の機会創出による地域内外との新たな連携のきっかけづくりを行うため、二地域居住者と地域住民の間に入るコーディネーター役が必要である、このように専門委員会でも指摘されたところでございます。

 このため、この法案では、市町村が二地域居住の促進に関する活動を行う民間事業者やNPO法人等を特定居住支援法人として指定する制度を創設いたします。

 御指摘の町内会との関係につきましては、特定居住支援法人が二地域居住希望者を町内会に紹介し、地域のルールを知っていただくなど、コーディネーターとしての役割を担うことにより、二地域居住者の地域コミュニティーへの円滑な溶け込み、これを支援していく、このように考えております。

石川(香)委員 今おっしゃっていただきました、この二地域居住等支援法人の方々がどのぐらい携わっていただくのかということも非常に重要だと思います。

 町内会のごみ出しだとかそういうことだけではなく、先ほども指摘されていましたけれども、保育施設なんかも利用できなかったりだとかもあるということで、当然、これは総務省ですとか自治体も含めて、海外もいろいろな事例があるそうですので、こういうことをしっかり、まずはやはり進めていかないとすっきりしていかないのではないかということで、この重要性についてお伺いをいたしました。

 そして、自治体の役割、これも大変重要です。

 二地域居住者等がその居住先で果たしてほしい、こういうことをしていただきたいなと期待される役割ですとか、また、居住されている方の責任の在り方についても、市町村が特定居住促進計画というものを作って、これにある程度分かりやすく反映をしていかないと、後からトラブルになってしまうということもあるということです。

 ただ、この計画の作成というのは非常に自治体にとっても大きな負担になりかねないという懸念点があります。ただでさえ、今、自治体というのは、いろいろな新しい制度なんかもありまして、事務負担が大きくなっていることも問題ですので、この負担を軽減するための支援というものも大変重要だと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 この法案の中では、二地域居住者が地域コミュニティーに円滑に溶け込み、地域の担い手として活躍できるようにするため、市町村が作成する特定居住促進計画の中で、二地域居住者の果たすべき役割や責任、市町村が二地域居住者を受け入れる目的などの具体的な事項を網羅的に記載するよう、国の基本方針において定めることを予定をしております。

 また、市町村は、特定居住促進計画を作成する過程において、受け入れる側の地域住民との合意形成を図ることとされておりまして、二地域居住者が地域コミュニティーに円滑に溶け込めるような手続を講じているところでございます。

 御指摘の、市町村の計画作成の負担につきましては、都道府県、市町村の連携、また、官民の連携を最大限に活用いたしまして二地域居住を促進するため、国の基本方針におきまして、都道府県及び市町村をメンバーとする特定居住促進協議会において、都道府県が市町村に積極的に協力する、また、国及び民間が市町村の計画作成に積極に協力する、こうしたことを明示していきたいというふうに考えております。

石川(香)委員 自治体のいろいろな負担を軽減した上で、やはりお互いに納得した上で、二つの拠点で就職をしたり、いろいろな地域の活動に参加するということを後押しをしていかなければいけないと思いますので、是非、この点については最大限の支援、配慮をしていただきたいなということを申し上げたいと思います。

 この二地域居住に実際に取り組むかどうかということは、自治体の手挙げ方式ということであります。

 先ほどもいろいろ紹介いたしました、北海道も非常に積極的な取組をしているところがたくさんあるということで、やはり人口減少ですとか、いろいろな課題がある中で、これを一つのチャンスとして捉えているという地域もあるとは思います。

 これは自治体がこういう方に来てほしいというニーズはもちろんではあるんですけれども、例えば、企業単位で、こういった取組をしっかり後押ししていきたいと思っているところがあるとすれば、その企業がどういうニーズがあるのかというところ、それから、それぞれの企業が二地域居住を推進するに当たってどういうことが壁になるのか、そういう課題も含めて、しっかりお互いに確認をしていくということが重要なのではないかなと思っています。

 そういうことにならないと、やはりお互いにうまくマッチしないというのが、これは一番問題なわけですので、これは、お互いの条件がしっかり確認できて、マッチしたら、あとは現場任せで頑張ってくださいねということではなくて、しっかりその点についてもやはり国がある程度役割を果たしていく、支えていくということが重要ではないかと思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘のとおり、二地域居住の普及、定着を図る上で、自治体だけじゃなくて、企業のニーズ、二地域居住についてのニーズ、課題について把握すること、これは極めて重要であるというふうに考えております。今後、企業に対しましても、二地域居住に関するヒアリングを行っていきたいというふうに考えております。

 また、このヒアリングを踏まえまして、従業員が円滑に二地域居住を実施することが可能となるような環境の整備、こうしたものも取り組んでいきたいというふうに考えております。

 また、そうした中の一環といたしまして、国の役割、これも非常に重要だと思っておりますので、今後、法施行後に全国的な官民プラットフォームを形成していきたいというふうに考えております。二地域居住の意義であるとか、自治体による好事例、国の支援制度の内容の共有、民間によるプロモーション、情報発信、二地域居住の機運の醸成ということが極めて重要だと思っておりますので、しっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

石川(香)委員 是非よろしくお願いをしたいと思います。

 国交省がこの二地域居住などに関するアンケートを取られておりますけれども、デメリットと感じる点が、やはり、移動にかかる交通費、若しくは移動時間ということなんですね。この点に関しては、冒頭紹介したような、例えば東京からその地域の区間のチケットのサブスクのサービスを始めるですとか、いろいろな取組が始まってくるのかもしれませんけれども、交通費、移動時間が一番大きく負担に感じているというところが非常にネックになってくると思います。

 交通面で、例えば、いわゆる条件不利地と言われるところがありますけれども、こういった条件不利地にある自治体が行っている取組に関する支援、移動時間それから交通費に係る支援というもの、これは大変重要なんですけれども、どのような支援を想定をされているのかという点についてお伺いをさせてください。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 二地域居住者の交通費に関します御質問でございますけれども、まず、公的な支援を行うことにつきまして、継続的に行うことができるかということにつきましては、例えば、通院であるとか介護などの長距離の移動、こうした方々との比較もしなければいけませんので、長期間にわたってどうやってできるのかというようなことをしっかり検討しなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っています。

 一方で、公的支援に頼らない形での官民連携の取組、例えば、関西圏では、鉄道事業者が沿線自治体と連携して、二地域居住希望者の通勤費を軽減するといった事例もあるというふうに承知をしております。

 この法案を検討するに当たりまして設置をしました国土審議会の専門委員会におきましても、地域間の交通費を含めまして、二地域居住に伴う諸費用の支援につきましては、中長期的課題であるというような御指摘もいただきました。そのような官民連携の取組を促進するための支援も含めまして、本制度を活用して二地域居住の促進を図る市町村や二地域居住者の意見を踏まえまして、関係省庁と連携してしっかりと総合的に検討してまいりたいというふうに考えております。(発言する者あり)

石川(香)委員 先生、ありがとうございます。

 公的支援、しっかりやっていかないと、国がやりましょうと言っているわけですから、やはりここはしっかり、是非力強くやっていただきたいなと思っています。

 とにかく、移動にかかる交通費だとか時間の問題、それから、どこに住民票を置いて、住民サービスを受けられるのかどうなのかということも含めて、この問題、それから、地域にしっかり溶け込んでいけるかというような問題、これらの問題は、なかなか、当事者間、つまり、受け入れる先と実際に来る人の間では解決するということは難しいわけですし、かなり、国交省だけではできない大きな課題になってきます。これは先送りできる問題でもありませんので、是非この点についてはしっかり後押しをしていただきたいと思いますが、もし、大臣、この点について一押しありましたら、よろしくお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 今の石川委員の質疑を通じて、いろいろな課題が明らかになってまいりました。非常に重要な課題で、かつ国土交通省だけで解決できない問題もたくさんございます。

 これらの課題について、実際に二地域居住、今回の法律が実効あるものになるためには、それらを解決していかなくてはなりませんので、しっかり取り組んでいきたいと思いますし、他省庁ともよく連携を取っていきたいと思います。

石川(香)委員 ありがとうございました。

 質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。

長坂委員長 次に、漆間譲司君。

漆間委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の漆間と申します。二地域居住ということで、質問をさせていただきます。

 二地域居住、あと、二拠点生活ということもありましたけれども、こういうことを聞きますと、別荘を買えるお金持ちが、移動、輸送や維持コストを気にせずやるものというイメージがあるんです。今回、ターゲット層はそうじゃないと思うんですけれども、改めて、ターゲット層や居住コストの想定を教えていただきたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 本法案におきましては、コロナ禍を経まして、二地域居住のニーズが高まっております、UIJターンを含めました若者、子育て世帯、これを施策のターゲットというふうに考えております。このターゲット層からのニーズの大きい、空き家の利活用であるとか、コワーキングスペースの整備などの施策、支援策、これを行うこととしているところでございます。

 御質問の、どのくらいの予算が、コストがということでございますけれども、二地域居住先によって異なる、状況によって異なりまして、一概にお答えすることはなかなか難しいところでございますけれども、施策のターゲットであります若者、子育て世帯は、基本的に家を買うということではなくて、空き家を改修したコスパのいい賃貸住宅、こうしたところに居住することが一般的ではないかというふうに考えておりますので、地方において、例えばテレワークであるとか副業、兼業、こうしたことを行うような二地域居住の実施、これを支援をしていきたいというふうに考えております。

漆間委員 コロナ後、爆発的に普及したテレワークだったり、副業、兼業、そして先ほどおっしゃっていただいたような、比較的安く住めるような住宅も普及しているということで、お金持ちじゃなくても、比較的低コストで多くの方が二地域居住をできるようになった、興味を持つようになったと理解いたしました。

 とはいえ、国交省資料では、二地域居住に興味を持っているのは三割程度で、残り七割の方に改めて、二地域居住のために、本法案によって税金が使われたり、行政の仕事が増えていく、取り組んでいくということを説明するための、本法案提出の意義について改めてお伺いしたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 二地域居住の促進、本法案のテーマでございますが、やはり人口減少下におきます地方、これからの時代におきまして地域力をしっかりつないでいかないといけない、その意味におきまして、関係人口の創出、拡大による魅力的な地域づくり、これが喫緊の課題であるというふうに考えているところでございます。

 このため、この法改正におきまして二地域居住というのを制度的に位置づけて、市町村による居住環境の整備の取組の支援、このための仕組みの創設、また、二地域居住の普及、定着を通じた人の流れの創出、拡大、これによって地域の活性化を図っていく、これがこの法案の意義でございます。

漆間委員 人口減少の時代に、持続可能な国土の形成や維持のために二地域居住が必要であると理解をいたしました。

 そういう意味では、今年の予算委員会の中央公聴会でもあった議論なんですけれども、人口減少時代に、限られた人間を生かして、ある人間をその特定の領域にとどめないようにするためにはタスクシェアとかライドシェアが必要だという議論があったんですけれども、そういう意味で、二地域居住はタスクシェアだったりライドシェアと同様のものだと思いますが、いかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 二地域居住の促進は、地域コミュニティーの新たな担い手の確保に資すること、また、地域住民との交流を通じた新たなビジネスの創出などによりまして、地域の産業、雇用の活性化に資するということで、人口減に悩む地方にとって大きなメリットがあると考えております。

 先生御指摘のタスクシェアリング、これが地域におきます担い手の確保ということでありましたら、この二地域居住は、まさにその一環であるというふうに受け止めているところでございます。

漆間委員 そして、タスクシェアも、特にライドシェアも、この委員会でもすごく議論されているんですけれども、既存の制度との調整、これが非常に問題であり、しっかり調整していかなければならないということであります。

 この二地域居住も、これまで議論があったとおり、一地域居住の想定の法律や制度との整合性について、たくさん課題が挙げられていると思います。先ほど國重委員の方からは、子育てはどうするんだみたいな御意見もありました、住民票だとか。そういった課題、どんな課題が挙げられているか、また、その課題に対してどう解決していこうという展望などもあれば、改めて教えていただきたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 二地域居住者への行政サービスの負担に関しましては、本法案を検討するに当たりまして設置をいたしました国土審議会の専門委員会におきまして、二地域居住者等による納税等の負担の在り方につきまして、課税の根拠となる居住実態をどのように正確に把握するのか等の課題があることから、中長期的な課題であるということとなりまして、本法案では、特段の措置を講ずることとはしていないところでございます。

 一方で、こうした点は、二地域居住者が地域に溶け込んでいく上で重要であるというふうに認識しておりますので、法施行後の状況を見ながら、本制度を活用して二地域居住の促進を図る市町村、また、二地域居住者の意見を踏まえまして、関係省庁としっかり連携して、総合的に検討していきたいというふうに考えております。

漆間委員 関係省庁と連携をしっかりやっていく、そして、先ほど國重委員への回答では、黒田局長は、官民連携のプラットフォームなどもしっかり活用していきたいということもおっしゃっておりました。

 まだまだ課題がこういうふうにある中で、あえて法律をやるという意味もちょっと問いたいんですけれども、この二地域居住というのはあくまでも通過点で、やはり基本的には移住を目指している、ゴールは移住なのかというところについても、改めてお伺いしたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 二地域居住につきましては、移住の前段階であるものもあれば、二地域居住そのものを目的とするものなど、様々なニーズがあるというふうに考えております。

 先ほど申し上げました有識者会議におきましても、主にUIJターンを含む若者、子育て世代をターゲットとしつつ、二地域居住そのものを楽しむライフスタイルのニーズも的確に捉えるべきだという指摘のほか、委員御指摘のような、お試しの居住であるとか二地域居住、移住、こういうふうに段階的に変遷をする、それによって、地域との関わりの、各段階のニーズもしっかりと捉えるべきだという指摘を受けております。

 こうしたことから、本法案におきましては、様々なニーズを含む二地域居住を視野に入れた支援策ということを検討したところでございます。

漆間委員 移住はゴールで、もちろん目指すけれども、同時に、課題はたくさん残っているけれども二地域居住はしっかりと進めていく、この法案で走らせながら様々な課題を検討していくということで理解をいたしました。

 このような課題解決の場として、私は是非、来年の万博を提案したいと思っております。先ほど伴野委員からも、若者に響くアピールをということで議論があったところなんですけれども、まさに近年の万博というのは、見る万博から参加、体験、そして行動する万博に、また、人類共通の課題を解決する場へと変化しております。

 そういった意味でも、人口減少時代の持続可能な国土の維持及び未来社会に向けての新たな生き方ということで、万博のアクションプランであったり、あと、人類の英知を集めて課題解決を行う場である対話方式のテーマウィークなどで、是非これを取り上げていただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 二地域居住の一つの考え方は、地方への人の流れの創出、拡大を図ることでございます。そして、人口減少が進む地方を活性化し、未来の在り方を大きく変える手だての一つとなるものであると思っております。大阪・関西万博の「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマに通ずるもの、このように捉えております。

 今の御提案、アクションプランまたテーマウィークでこの二地域居住を扱うべきということにつきましては、万博関係者、齋藤健経済産業大臣に、こういう提案があったというのはお伝えしたいと思います。

漆間委員 本当にありがとうございます。

 齋藤健大臣は、昨年法務大臣でもありまして、私は昨年法務委員会だったんですが、法務省も万博の取組がゼロだったんですけれども、私が、法務省も万博の取組をしっかりとやってください、法務委員会では特に世界の人々との共生というものが強く議論されているところなので、そういったものも万博に取り上げてくださいと言ったところ、アクションプランに追加もされましたので、齋藤健大臣だったら本当に期待を持てると思いますので、是非よろしくお願いいたします。是非、本当に積極的に、よろしくお願いいたします。

 これまで政府の地方移住関連の様々な取組が国交省に限らずたくさんあったと思うんですけれども、本法案で二地域居住という意味を追加することで更に加速されると思われる取組を、幾つか実例や実績などを挙げていただきたいんですけれども、よろしいでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 二地域居住を推進する上で、二地域居住者向けの住まいやコワーキングスペース、交流施設の確保に当たりまして、空き家を活用しているような事例がたくさんございます。

 例えば、高知県の四万十町では、町が所有者から空き家を長期にわたり賃借し、改修した上で、二地域居住者に転貸、いわゆるサブリースをするような事例がございます。

 また、本法案に基づきます二地域居住に資する取組など、地域活性化のための空き家の活用に積極的に取り組む事業に対しましては、空き家に対する補助事業において重点的に支援を行うというようなことを今回検討しているところでございます。

 また、島根県の海士町、ここは特定地域づくり事業協同組合制度発祥の地でございますけれども、この制度を活用いたしまして、季節の人材需要に応じた複数の事業所に従業員を派遣する取組、これを行っているところでございます。

 本法案に基づきます特定居住支援法人、これにつきましても、この特定地域づくり事業協同組合を指定することも可能というふうに今回考えておりまして、地域コミュニティーと二地域居住者の間の調整、これを期待しているところでございます。

漆間委員 高知県四万十町の取組など、様々な空き家を活用したりして移住の促進をしている取組が、この二地域居住という意味を加えることによって更に加速されるんだなと理解をいたしました。

 ちょっと更問いといいますか、更に問いたいんですけれども、災害被災地において復旧や復興のために移住等の支援を行っている取組や団体、法人もたくさんあると思うんですけれども、そういった取組や団体、法人も本法律案によって活動が加速されるとお考えでしょうか。お伺いいたします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 本法案の検討に先立ちまして昨年閣議決定いたしました国土形成計画、ここにおきまして、災害時には二地域居住先が円滑な避難先となったり、関わり合いを持つ地域が被災したときには支援を行うという、災害時の支え合いの基盤ともなり得るんじゃないかということが記載をされております。

 実際、鳥取県の智頭町では、智頭町疎開保険の名称で、平時においては加入者に対しまして智頭町の特産品などを送付をするとともに、災害時においては、災害救助法の適用地域から避難してきた加入者に対しまして、一週間程度の宿泊場所や食事を提供するという取組が行われているというふうに承知をしております。

 二地域居住先となる地域で災害が発生した場合には、地域との関わり合いを持った二地域居住者が積極的にボランティアとして参加する、参加しやすいという効果も期待できるのではないかというふうに考えております。

漆間委員 先ほどの御意見は、多分、これから災害に対応して、この二地域居住の法律案が役に立つというお答えだったと思うんですけれども、私が問いたいのは、これまでに、被災地だったり、例えば福島とかだったり、そういったところで移住を促進しているような団体だったり自治体の取組が、この二地域居住の法律案が制定されることによって、よりその取組を加速させることができるかどうかという問いなんですけれども、もう一度お伺いさせていただいてよろしいでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 災害後の、発災後の被災住民の避難先とか復旧復興というような観点の御質問というふうに理解いたしましたけれども、まさにそういう意味におきましても活用できるのかなというふうに考えております。

漆間委員 私が問うているのは、災害後にそこから人がいなくなってしまって、どうしようかというときに、また人が戻ってきてもらうために、移住を災害被災地だったりに促進をするいろいろな団体や活動が、自治体の取組だったり、そういったものがあると思うんですけれども、そういった既にある取組だったり活動の団体を、本法律案がより加速させるような方向に行くかどうかということをお伺いさせていただいております。済みません。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 まさに委員御指摘のやつは関係人口というような文脈ではないかと思いますが、そうした関係人口を地方に拡大、導いていくような団体はたくさんございます。そうした団体の活動の一助にもなれば、本法案の活用がその一環になればいいというふうに考えております。

漆間委員 しっかりそういうふうな方向にこの法律案が資するということで理解をさせていただきました。ちょっと通告もなくて、ありがとうございます。

 次に、特定居住支援法人についてお伺いしたいと思います。

 これは、これまでの質疑の中でもありましたが、具体的にどのような活動を想定していて、一法人当たりの予算想定は幾らぐらいになるのかということについてお伺いいたします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 二地域居住者の受入れを通じた地域の活性化を実現するためには、二地域居住者が地域コミュニティーに円滑に溶け込み、地域の担い手として活躍できるようになることが重要であると認識しております。

 先ほどから御説明をさせていただきましたが、この特定居住支援法人、自治体からの要望におきましても、二地域居住者を受け入れる体制の整備とか環境の整備の必要性、これが指摘をされておりまして、この法案では、NPO法人であるとか、例えば不動産会社とか、特定居住支援法人として指定できることといたしまして、地域コミュニティーと二地域居住者との間の調整を担うことを期待しているところでございます。

 一法人当たりの支援額、これは法人の活動内容によっても異なりますので、ちょっと一概に言えませんけれども、国土交通省といたしましては、その活動費用の一部を支援いたしますために、令和五年度の補正、六年度の当初予算と合わせまして、四千三百万円を御用意させていただいているところでございます。

漆間委員 一概に言えないということですけれども、四千三百万円で、大体一法人当たりどれぐらいというのは、やはり言えないものでしょうか。もう一度お伺いさせていただきます。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 具体の詳細はこれからでございますけれども、定額補助という形で十分の十出す予定でございますが、最終的には精算払いのような形になってくると思います。また、法人の活動の実態とか規模によりましても変わってくると思いますので、一団体百万円とか二百万円と、なかなか言いにくいですけれども、その予算の規模と、あと、今年、法施行後、秋からの施行というふうに考えておりますので、そうした予算の規模とこの期間から考えまして、おおよそ数百万ぐらいではないかなというふうに想定をしております。

漆間委員 おおよそ数百万ということで、全体の予算が、先ほど局長、四千三百万円とおっしゃっていただいたので、日本全国で大体二十から三十、四十、それぐらいの法人が、この法制度を利用して活動ができるというふうに理解できました。

 そのぐらいの数をしっかりと役所が管理、コントロールしていただきたいんですけれども、自治体はどのように支援法人の活動を管理、コントロールしていくのか。その上で、自治体の事務や財政負担はどれぐらいになるのかということについて、自治体の意見もちゃんと聞いているかということも含めて、お伺いしたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 自治体からの要望におきましては、二地域居住者を受け入れる地域の体制の整備であるとか環境の整備、この必要性が指摘をされましたので、この法案では、先ほど御説明をさせていただいております特定居住支援法人の制度、これはNPO法人とか不動産会社などが指定できるような形にしております。

 この法案の中では、市町村長が、特定居住支援法人の業務の適正かつ確実な実施を確保するために、支援法人に報告を求めることができるほか、業務改善命令であるとか指定の取消し、こうしたものが措置としては講じられることとなっております。

 自治体に、これによって大きな事務や負担は生じないと思っておりますけれども、財政負担がこれによって生じることもないというふうに考えておりますが、初めての制度でございますので、しっかり御相談に応じながら、連携していきたいというふうに考えております。

漆間委員 この計画を作っていく自治体というのは、やはり自治体の力がそれほど強くないところも多いと思いますので、その辺、是非よろしくお願いいたします。負担軽減のための支援、是非よろしくお願いいたします。

 四千三百万円の予算で、一法人当たり数百万円程度ということなんですけれども、この本法律案における効果検証、適正に予算が使われているかどうかというのはどのようにチェックしていくのか、そこについてお伺いいたします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 この法案におきます、先ほど御質問ありましたKPI、目標につきましては、特定居住促進法人の計画の作成数、五年間で累計六百、特定居住支援法人の指定数を施行後五年間で累計六百法人というふうに設定をしております。

 また、本法案に基づき市町村が作成します特定居住促進計画には、地域が求める二地域居住者像であるとか、そのような二地域居住者の受入れ数の目標、そうしたことを盛り込むべきことを、国の方針に位置づける予定で検討しております。

 法案の施行後、こうした目標の達成状況を適切に把握していくということを考えているところでございます。

漆間委員 先ほどKPIの議論もあったんですけれども、やはり数とか居住地、結果の確実な把握と公表を、今後の推計も併せて公表いただきたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 次の議論に移らせていただきます。

 大阪府の府議会では、先月、住民サービスの維持のための市町村合併の必要性を明記した条例が成立したところであります。

 その上で、先ほど國重委員からは自治体の存続という話もあったんですが、本法律案や二地域居住の目指すところが、住民サービスの維持のための市町村の合併と相反するものではない、同時並行で行えるものだということを、本法律案の目指すところがそういうところだということを確認したいんですが、いかがでしょうか。

 広域自治体が市町村合併を推進しながらも、本法案に基づく広域地域活性化基盤整備計画を作成し、二地域居住や移住を促進しても何ら矛盾をすることがないということを、ちょっとこの場でしっかり確認させていただきたいんですが、いかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 この法案は、二地域居住を促進するための制度でございますので、委員御指摘のありました市町村合併と直接関係するものではございませんけれども、地域住民の生活環境の改善を行うという点におきましては、どの自治体でも御活用できるというふうには考えております。

漆間委員 どの自治体でも活用できるということで、住民が豊かに暮らせるのであれば、その役所の枠組みにはとらわれず、この二地域居住を推進できるものだということで理解をいたしました。

 私ども日本維新の会も、住民が豊かに生活できるために、自治体の枠組みを変えていこうということで大阪都構想を提案もさせていただいたところでありまして、自治体の枠組みは、その時代時代でどんどん変えていくべきだと思っております。

 それとは別に、やはり二地域居住というのは、人口減少時代にどうやって国土をしっかり維持していくかという上で必要なものだ、全然別のものだということで理解をさせていただきましたので、ありがとうございます。

 それでは次に、災害復旧復興と二地域居住についてお伺いしたいと思います。

 この二地域居住、先ほどちょっと黒田局長から、先に御答弁いただいた感じになってしまっているんですけれども、二地域居住はそもそも災害復興復旧に資するものかということについてお伺いしたいと思います。

 先ほどの私の質問で、二地域居住が復興時の移住促進や、あと、これまで議論があったとおり、円滑な避難先に資するということはすごくイメージができるんですけれども、国交省の中間取りまとめでありました文言で、「関わりを持つ地域が被災したときには支援を行うなど、災害時の支え合いの基盤となりうる。」という文言があったんですけれども、これがちょっとイメージがしにくくて、関わり合いを持つ地域が被災したときには支援を行うというのは、例えば私が二地域居住をしていたら、例えば大阪とどこかで二地域居住していた場合に、そのどちらかが災害に遭ったときに、大変やから私が例えば大阪から水持っていったろうとか、被災地支援の物資をいっぱい運んだろうとか、そういうことなんですかね。

 そういうことだとすると、結構これは小さなことなのかなとも思うんですけれども、中間取りまとめでありました文言、関わり合いを持つ地域が被災したときには支援を行うなど災害時の支え合いの基盤となり得るという、この文言の具体イメージについて、是非そこを、黒田局長から御説明をお願いいたしたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 国土形成計画におきましては、災害時には二地域居住先が円滑な避難先となったり、関わり合いを持つ地域が被災したときには支援を行うなど、災害時の支え合いの基盤となり得るものだというような記述がございます。

 この意味するところを具体的にイメージしますと、例えば、発災したときに広域避難しなきゃいけないというような場合に、近隣の自治体、こういうところも被災をした場合にかなり遠くに行かないといけない。こうしたところで、例えば、この二地域居住先として平常時から何らかの関わり合いを持っていれば、発災したときに広域避難するときに、そうしたところに避難をすることができる。平常時にも関わり合いを持つことによって、非常時にも受け入れてもらう、助けてもらうというようなことが、まずしやすいんじゃないかなというふうに思います。

 また、先ほど申し上げましたけれども、二地域居住先が、二地域居住者がこの地域との関わり合いを持ったところで、発災があった、災害があった場合にボランティアとして駆けつけるというようなことにおいても、平常時からおつき合いがあるところに何か発災があったときに、助け合うというようなことができるのではないかなというふうに考えております。

漆間委員 私、小さいことと申し上げましたが、失礼いたしました。そういうことなんですね。

 やはりボランティアとして、二地域居住、住んでいると、被災地じゃないところから人を呼び寄せて、すぐ駆けつけたりもできる、そういうことが、関わり合いを持つ地域が被災したときには支援を行うなど災害の支え合いの基盤となり得る、この文言の説明だと理解いたしました。

 そういったことも含めて、この二地域居住は災害復興復旧にも役立つということで理解をいたしました。そうですね、円滑な避難先に資するというのは、もう本当にすぐに理解できたんですけれども、ちょっとこの文言について分からなかったものでして、本当に私が想定したとおりの、やはり二地域居住していたら、その被災地にしっかり行ってやろうという気持ちがより働きやすいということで理解をさせていただきました。ありがとうございます。

 かつ、やはりとても重要なのは、災害被災地において移住等の支援を行っている法人というのは日本にたくさんあります。珠洲市にも、朝日新聞でもちょっと紹介されていたんですけれども、珠洲市特定地域づくり事業協同組合というのがあって、これが移住促進の取組をしている。こういったところも、今回の法案を活用して、石川県のそういう災害復旧復興にしっかり役立っていくものであるとすごく考えておりますので、是非その点もよろしくお願いいたします。

 続きまして、ちょっと関連の質問なんですけれども、市町村が作成する特定居住促進計画は、ハザードマップを含め、防災や減災等の災害対策の観点も踏まえたものとなっているのかどうかについて、そこがしっかり法で担保されているのか。自治体が計画を作るときに、二地域居住者が円滑に地域に溶け込むということはそういうことだと思うんですけれども、しっかり防災・減災についても担保されているかどうかということ、これはすごく重要だと思うんですけれども、その点についてお伺いさせていただきます。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、市町村が作成をいたします特定居住促進計画におきまして、二地域居住者を重点的に受け入れる区域を記載することとしておりますけれども、都市計画に関する基本的な方針との調和を求める、これを条項上定めております。

 したがいまして、委員御指摘がありましたハザード地区、ハザードマップを含めまして、防災・減災等の災害対策の観点も当然含まれた形での区域設定ということを考慮した上での区域設定ということになるかと思っております。

漆間委員 特定居住支援法人、こういったところは、計画でそういったところを定めるというのも大切なんですけれども、特定居住支援法人も、是非、その点もしっかり行えるように制度運用していただきたいと思います。

 ちょっと時間は早いですけれども、私の質問は以上となりますので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

長坂委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日の広域的地域活性化法は、二地域居住を位置づける法案であります。二〇〇五年に二地域居住人口研究会が定義づけをしたのが最初と聞いております。国交省の諸制度、あるいは予算も、いろいろあると思います。実は昨日、地方創生担当大臣に質問をいたしまして、デジタル田園都市国家構想交付金による活用事例も全国で多数生まれているということであります。

 聞きたいのは、それなのに、制度も予算もあるんだけれども今回改正しなければならない理由は何か、言い換えれば、改正しないとできないことは何か、これを伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 コロナ禍を経て、UIJターンを含めた若者、子育て世帯を中心とする二地域居住へのニーズが高まっております。二十年前とはこの点が随分変わっております。また、二地域居住は関係人口の創出、拡大を通じた魅力的な地域づくりに資するものとされる中、昨年閣議決定した国土形成計画において、二地域居住を促進することが重要とされたことを踏まえ、この度、この法案を提出したところでございます。

 その上で、二地域居住の促進に当たっては、住まい、なりわい、コミュニティーの課題を解決する必要があること、また、二地域居住者が地域に溶け込むためにはコーディネーター役が必要であることなどを踏まえ、これらの課題に的確に対応するため、ハード、ソフト両面における政策パッケージの制度化や法律上の特例について法案の中で措置しております。

 今後、官民連携の全国的なプラットフォームも組織し、自治体による二地域居住の好事例や国の支援制度の内容を共有するとともに、民間によるプロモーション、情報発信を行うなど、二地域居住の機運を高めていく必要があり、今般の法改正は、その契機として、しっかりと取組を進めてまいりたいと思います。

高橋(千)委員 ある意味、機運づくりということだと思います。ニーズが高まっているとか、二十年前と条件が変わっている、それはそのとおりだと思うんですね。だから、具体的に制度として今回盛り込まれたのは、コーディネーター役と大臣がおっしゃったんですが、支援法人を位置づけるということくらいかなと思います。あと、市町村が計画を作る、そういうことなのかなというふうに思っております。

 その背景には、やはりかつては週末田舎暮らしというイメージがあったんだけれども、もっと短くてもいい、一年間のうちに十日とか、それでもいいんだ、あるいは、一か所でなくてもいいんだ、そういった二地域居住の定義、イメージが大分違ってきているということなんだと思うんですね。そのことは、定義も書いていなければ、法案の目的、最初の目的も一切いじっていない。それは、それでよろしいでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 二地域居住につきましては、二十年ほど前には、主に、退職期を迎えた団塊の世代が山村、漁村、農村等で行うことを想定しておりました。

 その後、住む場所に縛られない新たな暮らし方、働き方が浸透し、若者や子育て世代の二地域居住への関心が高まっており、コロナ禍を経た今日では、目的や地域との関わり方など、二地域居住者の意識は多様化しているところでございます。

 このような中、本法案においては、地方に活力を取り戻す観点から、UIJターンを含めた若者、子育て世帯を施策のターゲットといたしまして、このターゲット層からのニーズの大きい、空き家の利活用やコワーキングスペースの整備などの施策を行うこととしております。

 なお、二地域居住者の意識の多様化を踏まえ、市町村が作成する特定居住促進計画において、地域が求める二地域居住者像を盛り込むべきことについても、今後策定する国の基本方針の中に明記することとしております。

高橋(千)委員 今、最後に大臣がおっしゃったところ、伺いたいと思うんですが、今回の法改正で、二地域居住を行う方に対して、つまり、若者とか、居住したいという方に対して、受け入れる自治体側から期待するものがあるということなんでしょうか。人口減ということもあって、なるべく定住してほしいなという気持ちがあるだろうし、例えば町内会の清掃活動とか、移住ではないから微妙なところではあるんだけれども、定期的に住んでいるなら参加してほしい、そういう要望があるということなんでしょうか。

 私は最初からの疑問なんですが、居住の権利というのがもう大前提であると思うんですよね。どこに住みたいかというのはその人が決めるものなので。だけれども、なぜ区域指定するのか。空き家の活用という自治体固有の課題も併せて、小さな拠点づくりとか、いかにも国交省的発想なのかなと。そっちがちょっと前に出ちゃうとどうなのかなと思いますので、その点、政府参考人でよろしいので、お願いします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 受入れ側の地方自治体の声でございますけれども、今回、有識者委員会など、また、促進協議会のメンバーである自治体からお聞きをいたしますと、やはり人口減少の中で地域の担い手が全くいなくなってしまっている、特に若い担い手が非常に不足しているというようなこと、また、そうした中で地域住民との交流の場がない、交流する人もいない、そうすると新たなビジネスさえも創出されない、そうした中で外から人が来ることによって新たなビジネスの創出の機会が生まれる、そうすることによって地域の産業や雇用の活性化、そうしたことを是非図りたいという切実な声、期待をいただいているところでございます。

 そうしたことを背景といたしまして、今回この法案の提出、受入れ側の気持ちということで、是非実現させていただきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 確認しますが、町会の都合ではないですね。

黒田政府参考人 済みません、ちょっと質問の趣旨が分からなかったんですが。

高橋(千)委員 ちゃんと言いました。町内会など、清掃活動とか、町内会の担い手がいないからそういうのを期待しているという意味ではないですねと聞きました。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 町内会の人手が足りないというのももちろんあるかと思いますが、そうした意味におきましての地域コミュニティーの担い手の不足というようなことは指摘としていただいているところでございます。

高橋(千)委員 最初に説明に来られたときに真っ先にその話が出たんですよ。だから、私は言っている。居住の権利よりも、受入れ側の自治体の希望があって、だからここに来てほしいみたいな議論になっちゃったら、逆さまなんですよと。このことを言いたかったわけです。

 コロナで広がったテレワークの可能性というのは、今、労働集約産業というのは圧倒的に多い中で、どれほどの伸びる可能性があるんだろうかと考えています。

 第三次国土形成計画では、「若者世代を始めとした地方移住や二地域居住等のニーズの高まりを踏まえ、こうしたニーズに応じた積極的な採用を行う企業の採用活動を支援するとともに、若者世代や女性に開かれた魅力的な地域づくりを推進する。」企業の採用活動を支援する、これは具体的にどういうことか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと今、手元に具体的な資料を持ち合わせておりませんけれども、恐らく、採用活動、企業の支援という点におきましては、例えば、東京から地方に移転する企業、こうしたことに対して、内閣府の方で拠点税制とか、そうしたことを取り組んでいるというようなことが大きな意味で言えるのではないかなというふうに思っておりますが、済みません、今直ちに、ちょっと、詳細な資料を持ち合わせておりません。

高橋(千)委員 拠点税制というのは、あれですよね、地域再生法のときにやったのと基本同じです、同じなはずです。

 それと、テレワークの可能性が、テレワークだけで可能性がうんと伸びるということではないですよね。確認です。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 テレワークの可能性というのは、やはり、コロナ禍で、転職なき移住であるとか、住まいにとらわれない形での仕事の仕方、こうした新しい仕事の仕方が普及してきた、そういう点においては、テレワークの可能性というのは非常に広がったのではないかなと思っております。

 二地域居住の促進というのは、そうしたことも一つの背景にあるというふうに考えるところでございます。

高橋(千)委員 そればかりを当てにはできないという意味で聞いております、もちろん、認めた上で。

 それで、二地域居住を経験した人の中には、地域コミュニティーとの関係性がネックとなるのかなというのを最初に思うわけですが、実際にアンケートを見ますと、地元の人との人間関係に苦労したと答えている方は五・七%で、むしろ、人との交流が広がった、一五・四%と、メリットに上げている方の方が多いと思うんですね。経済的な負担や移動時間などがむしろ多かったように思います。

 そこで浮かぶのは、自ら進んで二地域居住をしたいというばかりではなくて、家族の介護などで二地域居住になっている方も多いのではないかと思います。政府として、そうした方、実態を把握しているのかということと、そうした方にも支えになるような施策を考えていらっしゃるか、大臣に伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 この法案を検討するに当たり設置した国土審議会の専門委員会におきましては、二地域居住者と地域コミュニティーとの関係において、転勤による移住者や親の介護を契機とした二地域居住者と地域との関係性が希薄となる場合があることが指摘されました。

 このようなケースの二地域居住者も含めて、移住した方が地域コミュニティーに円滑に溶け込めるようにし、地域との良好な関係性を構築できるようにすることは、豊かな地域生活圏を形成する上で重要な視点であると思います。

 今後、この法案の施行状況を踏まえながら、市町村や二地域居住者の御意見も伺いながら、必要な対応を検討してまいりたいと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 今日、随分災害のことをお話しされている方が多かったなと思うんですが、例えば、鳥取県智頭町などでは、災害時の避難先として使える疎開保険と銘打って、二地域居住を進めております。

 それで、私が思い出したのは、東日本大震災と原発事故の際、長期に避難を余儀なくされた被災者がたくさんいらっしゃいました。そのときに、原発避難者特例法により、避難した先でも避難元の情報やサービスが得られるなどの手だてが取られています。それは今も続いております。

 私は、当時、二拠点に住民票を置くような考え方はできないかと質問で何度か提案をしました。住民票と投票権だけはダブルになってはまずい、それは分かるんです、それは分かるんだけれども、何か、二重にサービスを受けるとか、どちらも住民としての義務を果たさないということがなければ、今、これだけ二地域居住の議論が進んできた中では、もう一つ前に進むことができるんじゃないか、このように思ったわけであります。その点で総務省に御意見を伺います。

山越政府参考人 お答えいたします。

 総務省の二地域居住に関する施策についての御質問でございますが、全国の様々な取組が、移住、定住施策の中で二地域居住をサポートする取組を実施されているというふうに認識をしております。

 総務省といたしましては、自治体が実施する移住、定住対策に対しまして広く支援をさせていただいておりまして、その中で、二地域居住も含めた移住相談、地域の様々な状況を提供する移住コンシェルジュの設置なども行われているというふうに認識をしています。

 また、移住した地域おこし協力隊などの多くが、今回の法案にもあります空き家バンクの運営や古民家等を改修してゲストハウス、コワーキングスペースの運営を行うなど、二地域居住を含めた取組をなさっているところでありまして、このような取組について、事例を周知するなどの横展開を図ってまいります。

 このほか、特定の地域に継続的に関わる関係人口を登録し、地域づくりの新たな担い手とするいわゆるふるさと住民登録などの取組につきましても、地域活性化の観点から有効な取組であると考えておりまして、各地の取組について、情報共有に努めてまいります。

高橋(千)委員 ふるさと住民登録、なるほどなと思いました。

 私が最初にこの提案をした大震災のときのようなことは、これから先も起こる可能性が残念ながらあるわけですよね。そうしたときに、やはり、どちらかの決断を迫られるということではなくて、決断を迫られたけれども、それはふるさとを捨てたわけではないので、それをもう少し二地域居住という中で生かしていけないのかなというふうに思っておりましたので、そこが整理されていけばよいかなと思っております。

 これは、税金の問題ももしお答えできたらお願いしたいと思うんですが、一定の整理はできているんでしょうか、住民税の問題とか。総務省に聞いています。

山越政府参考人 お答えいたします。

 住民票を二地域で作成をするということになりますと、現行法上の住所については、各人の生活の本拠を言うとされておりまして、住所の認定につきましては、客観的な居住の事実を基礎とし、これに居住者の主観的居住意思を総合して市町村長が行うこととされているところでございます。

 住民票を二地域で作成することや、住所地とは別に居住地等を認めることにつきましては、先ほど御指摘がありましたとおり、選挙権、被選挙権を二重に与えるようなことは適当でない旨の最高裁判例がある、また、納税の義務についても二重課税の問題が生じること等から、制度化は困難であるという整理をされているところでございます。

高橋(千)委員 ふるさと納税の活用だとかいろいろ知恵があるということをお話ししたつもりだったんですけれども、もう一声、検討していただきたいと思います。

 最後に大臣に、今までお話ししてきたことのまとめになるんですが、受け入れる側の希望や、あるいは、この際、区域指定をすることで、拠点を中心としたまちづくりなど、居住者本人の希望とはそぐわないということがあってはならないし、地元住民の意向が無視されることがあってもならない、このように思いますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今回の法律で定めた特定居住促進区域、この区域が二地域居住希望者の意向と必ずしも合致しない可能性はあります。そのような場合も、居住者の選択はあくまで個人の自由であり、この区域の設定は、二地域居住者がその区域外に住むことを制限するものでは全くありません。

 また、市町村が特定居住促進区域を設定する過程において、受け入れる側の地域住民との合意形成を図ることとされており、地域住民の意向も反映した上で二地域居住を促進するエリアが設定されるもの、このように考えております。

高橋(千)委員 あくまでも合致しない可能性はありますとお認めになりましたので、区域優先にならないように、しっかりとお願いしたいと思います。

 終わります。

長坂委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 まず、日本が今直面している最大の社会構造問題は、これは急速に進む人口減少だと思います。どんなに少子化対策を頑張っても、少なくとも今後数十年は人口は減り続ける、これは厳然たる事実であります。しかも、この人口減少というのは、全国均一に減っていくんじゃなくて、地方になればなるほどその減少の幅と、そしてスピードは速いですし、また、そういう地域ほど高齢化率も高くなっていきますから、このままだと本当に地域社会が成り立たなくなる、そうしたところが続出してくる、そういう状況になるんじゃないかと思います。

 こうした状況を打開するためには、やはり東京を始めとする都市部から地方への移住とか、また、今回の法案で推進しようとしている二地域居住、そうしたものを進めていくしかないと思いますので、その意味では今回の法案には賛成でありますけれども、ただ、実際に二地域居住を進めるのはそんなに簡単なことではないと思います。こうした視点から質問させていただきたいと思います。

 埼玉県の中西部で、電車で池袋から大体一時間半ぐらいのところにあるときがわ町と、そこと東京を行き来して二地域居住を実践している神山さんという方が書いた、ライターですけれども、「トカイナカに生きる」という本があるんですね。この本の中で神山さんというのは、このときがわ町というのは、都会に一番近い田舎、これをキャッチフレーズにしている町なんですけれども、そういうときがわ町のような都心からほどよい距離の場所、これをトカイナカ、都会と田舎、かけ合わせてトカイナカというふうに称して、その魅力を発信して移住や二地域居住などの関係人口を呼び寄せることが大事だ、そうしたことを、この本の中で提言しておられるんですね。

 同時に、この本の中では、二地域居住のためには、まずはやはり住まいの確保が非常に大事だというふうにおっしゃっています。既成の不動産市場や空き家バンクがあっても、なかなか実際に、じゃ、空き家が利用できるかというと、簡単ではないと。なぜならば、空き家を持っている家主、やはり気にするのは、売値とか家賃とか、そういうもの以上に、どういう人がどういう理由で自分のこの地域に来たいと思っているのかとか、また、じゃ、その自分のうちをどういうふうに使いたいと思っているのか、やはりそういうことを知りたいんですね。

 自分の長年住んできたうちですからやはり思い入れもありますし、その人にとっての歴史と魂が宿っている、そういう言葉もありますけれども、ですから、そういったうちを、空き家を売ったりとか、また借りたりする、そのためには、家主と、借りる、売る、買う人の間にやはり信頼関係が必要で、ただ空き家バンクに登録してそこでマッチングすればいいというものではないということが書いてあります。

 こういう現場の声をやはり踏まえて、今回の法案、こうした二地域居住希望者に空き家を提供する上で、どのような工夫をしておられるのでしょうか、これをまず聞きたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 国土審議会に設置をされました専門委員会におきまして、委員御指摘のございました二地域居住を促進する上での地域における空き家の活用、これをどう進めるかということにつきまして、中間支援組織による空き家の掘り起こし、活用などのサポート体制を充実すること、また、自治体や不動産会社など官民が連携した取組を行うためのパートナーシップの構築を推進すること、こうしたことが重要だという指摘を受けたところでございます。

 このため、今法案では、市町村がNPO法人や不動産事業者等を特定居住支援法人として指定する制度を創設をいたしまして、当該支援法人と市町村の連携による空き家活用を促進することとしております。

 具体的には、支援法人が二地域居住者向けに空き家の情報を提供することや、所有者から賃借した空き家を改修した上で二地域居住者に転貸、いわゆるサブリースをすることであるとか、市町村が持つ空き家等の情報を支援法人に提供すること、こうしたことが法律上盛り込まれておりまして、官民連携による空き家の活用、こうしたことをしっかりと促進していきたいというふうに考えております。

古川(元)委員 是非、言葉だけじゃなくて、ちゃんとうまく機能するようにしていただきたいと思います。

 次の質問に行きたいと思いますが、地方消滅の本が出されたのがちょうど十年前なんですね。あの本を出された増田さん、十年後というので、今またリバイスをしているみたいですけれども、状況は十年前よりももっと深刻になっているような話を先日ちらっと増田さんから伺いました。

 この間、政府は、地方への新しい人の流れをつくる、また、地方における安定した雇用を創出する、魅力ある地方をつくる、こうしたかけ声の下、東京圏から地方への移住支援とか、企業の本社機能の移転の推進、地域おこし協力隊や特定地域づくり事業協同組合制度など、様々な取組をしてきたと思いますが、実際にどれくらい効果を上げたのかというと、残念ですけれども、先ほど申し上げたように十年前よりも状況は深刻ということを考えると、なかなかやはりこれはうまく機能してこなかったんじゃないかなと思います。その一つの理由としては、やはり、こうした取組が相互に連携が取れておらずばらばらに行われてきた、だから、なかなか効果を上げてこなかったんじゃないかと。

 ですから、今回の二地域居住促進を契機にして、地方への新しい人の流れをつくる取組を、各省庁が地方自治体や民間企業などと連携して、しっかり相互に連携して取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 二地域居住を効果的に促進するためには、委員御指摘のございました様々な施策、関係省庁の施策や自治体の取組、また民間事業者など、それぞれの主体がこれまで個別に行ってきた取組を相互にしっかりと連携しながら進めていくこと、これが極めて重要であるというふうに考えております。

 法律が成立をいたしましたら、官民連携の全国的なプラットフォームを是非組織をして立ち上げたいというふうに考えております。この当該プラットフォームを通じまして、関係省庁の様々な取組、施策、また、各自治体もいろいろな取組をやっておりますので、また、民間事業者の取組、こうした省庁、自治体、民間事業者と連携しながら、企業、団体にも参画をお願いをしたいというふうに考えております。

 そうしたプラットフォームを通じまして、自治体の好事例であるとか国の支援制度、こうしたことを行いつつ、民間のプロモーション、情報発信、そうしたことを通じて二地域居住の機運を高めていく、そういうことが肝要であるというふうに考えております。

古川(元)委員 現実は相当深刻というか、進んできてしまっておりますので、やはり、やったけれども駄目でしたというのでは、これはもう地域が本当に消滅してしまうというところまで来ているんだと思います。是非そこはしっかり連携を取ってやっていただきたいと思います。

 ただ、同時に、ここまでいろいろな意味でサイズが小さくなってくると、なかなか、本当に生活に必要なものをフルセットで備えていくというのが難しくなりつつもあると思います。

 ただ、やはり、二地域居住者がほどよく住みたいと感じる町であるためには、病院とか学校、移動などの公共サービス、やはりそれが整っていることも大事だと思うんですね。では、この、みんなそろっていてほしいというのと、現実には、なかなかこれを一つの町だけで全てフルセットで取りそろえるのは難しい、そういう状況にある中で、こうしたニーズとその現実、これをどういうふうにこれからの国土政策の観点で捉えていくのか、教えていただけますか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、人口減少の荒波が、これまでの小規模な都市から、地方の中小都市へとどんどん今拡大をしていっているところでございます。

 そうした中で、地域の暮らしを支える中心的な生活サービスの機能の低下、喪失、このおそれが心配をされておりまして、従来の縦割りの分野ごとの公共団体の対応では、やはりもう限界が来ているのではないかというふうに考えております。

 昨年閣議決定いたしました国土形成計画の中では、地域の文化的、自然的一体性を踏まえながら、生活、経済の実態に即して、市町村界にとらわれない、官民パートナーシップによる、各領域の垣根を越えた、地域公共交通であるとか買物、医療、福祉、介護、教育、こうしたサービスが持続的に提供されるような地域生活圏という新しい概念を出させていただいております。

 こうした取組がしっかりとデジタル田園都市国家構想とも連携し、デジタルの徹底活用ということの観点からも、この地域生活圏の実現を少しでも広げていって、一つの市町村や行政の取組だけでは困難な部分をしっかりと官民連携でサポートしていくというような形にしていきたいというふうに考えております。

古川(元)委員 これから是非やはり進めていかないと、フルセットで一市町村で維持するのは難しい、しかし、それがないとやはり人も住みにくい。そこはうまく進めていっていただきたいと思います。

 さて、今、東京圏に日本の全人口の三分の一が集まっておりまして、両親共に出身が都心かその近郊という、ですから、元々、田舎を持たない若者、こういう人が増えています。また、地方圏に住む若者が進学や就職で東京圏への転入超過がずっと続いていたのが、コロナ禍で一旦ちょっと落ち着いたかなというふうに見えましたけれども、コロナ禍が終わって、また転入超過が拡大している状況であります。

 こうした状況の中で、今回の法案の前提となる二地域居住をしたいというニーズを掘り起こすためには、田舎を持たない若者に地方への関心を持ってもらったり、二地域居住への関心を持ってもらうことが必要だと思いますが、そのための施策としてどのようなことを考えていますか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、若者の地方への関心を高め、さらには、二地域居住を実施してもらうためには、東京圏に住む若者に対しまして地方の魅力を伝える情報発信、これが極めて重要であると考えております。

 先ほど申し上げましたけれども、官民連携の全国的なプラットフォーム、これを立ち上げたいと思っておりまして、まずは東京圏に住む若者に地方を知ってもらうようなそういう取組、こうしたことを通じまして、二地域居住の魅力であるとか、それに対します官民の支援、サポート、若者のニーズを踏まえた民間によるプロモーション活動、こうしたことを通じまして、知ってもらうための情報発信、こうしたことにしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

古川(元)委員 私、意外に田舎を持たない若者の方が逆に新鮮に、田舎の魅力とか何か、気がつくところがあるんじゃないかと思います。例えば、外国人が田舎の田園風景を見て、特にヨーロッパ人なんかは、水田がないところだと水田を見るだけで感動するみたいな、そういうことがあると聞くことがありますから、それと同じで、むしろ、田舎のない、田舎を持たない若者がそういう可能性があると思いますけれども、しっかりそこは推進していただきたいと思います。

 今日はちょっと局長ばかり聞いていますから、大臣にちょっと最後に聞きたいと思いますけれども、今回、能登半島地震で大きな被害を受けた能登半島の被災地、ここの復興のためには、私これは、元の住民が戻るだけじゃなくて、ほかの地域から新しい人たちが来て住むようにならないと、元の人たちが戻っても、元々、例えば珠洲市なんかは高齢化率が五〇パーを超えているんですから、戻っても、この先それこそ消滅自治体になっちゃうわけですね。だから、そうならないためには、やはりこの機会に新しい人に移住してもらうとか、あるいは二地域居住してもらう。ですから、そういうことが真の復興のためには必要じゃないかと思います。

 ですから、今回こういう法律ができるわけですから、被災地を今回の法案で目指す姿を具体化する。例えば、モデル地区のようにして、被災地において二地域居住というのはこういう感じですよと、これを強力に進めたらどうかと思いますけれども、いかがですか、大臣。

斉藤(鉄)国務大臣 古川委員おっしゃるとおり、能登半島地震の復興に向けて、元いた方が元に戻るというだけではなくて、関係人口を増やし、地方への人の流れをつくっていくことが非常に復興に向けて大きな要素になると思います。

 現在、石川県において復興プランの策定に向けた検討が進められておりますが、三月末に示された骨子案では、創造的復興リーディングプロジェクトの一つである関係人口創出・拡大プロジェクトにおいて、二地域居住希望者などの受入れ推進が位置づけられました。

 国土交通省といたしましては、このプロジェクトで二地域居住の促進が位置づけられましたので、被災地の復興にも資するものとなるよう、先ほどモデル地域に定めてという御提案もございましたが、そういうことも含めて、被災地の復興に資するものとなるように、石川県の復興プランとの連携を図っていきたい、二地域居住を図っていきたい、このように思っております。

古川(元)委員 この法案のやはり魂を入れるためには、仏を作って魂を入れるためには具体的な姿がやはり見えるということが大事だと思いますけれども、是非よろしくお願いいたします。

 時間が来ましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

長坂委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 本日、十四分間という時間をいただいた御配慮に感謝申し上げますが、やはり法案審議というのは十分とか十五分でできるものではございませんので、是非少数会派にも御配慮いただいたことをしていただきたいと思いますし、なるべく私自身もいただいた時間を法案の本質的な審議をするように努めてまいりたいと思います。

 では、まず配付資料の一なんですけれども、済みません、うちのコピー機がぼろくて、全然これが読めなくて申し訳ないんですけれども、私の地元に倉品広樹さんという方がいらっしゃいまして、まさにこの二地点居住の事業を民間事業として行っております。

 この方は、二十七歳で東京に出てきて不動産会社に勤めていたんですけれども、国会の近くのマンションに住んでいらっしゃって、東京のマンションの窓を見ても見えるのはビルばかり、やはり地元に帰ろうといって帰って、まず不動産の経験を生かした空き家の活用の事業をやったんですけれども、なかなかこれはうまくいかなかったらしいです。つまり、田舎では空き家にほかの人を住まわせるというのはなかなか抵抗のある方もいらっしゃいますし、住む方もぽつんと一人で空き家に住んでもなかなかコミュニケーションも地域とも取れないということで、売手と買手の問題で済まなかったので、だったら、二地点で住むというのをやろうと。

 田舎暮らしを始めながら都会暮らしを両方やってみる、両方のいいとこ取りをするというのをやるということで、「森と蔵」というもので、もし興味がある方は是非、ホームページ、きれいなのがありますので、御覧になっていただければと思います。八棟貸出ししていて、そうしたら、六棟入っているんですけれども、うち四棟は、暮らしてみたら気に入っちゃって、もうこの地に定住するというふうに言っているようでありまして、非常に先進的ないい事業をされています。

 この法案に対する期待も、地元の首長さんとかは非常に強いものがありまして、私も、そもそも、僕ら国会議員というのは、みんな二地点居住じゃないですか。宿舎の前からビルしか見えなくて、ああ、嫌だなと思って地元に帰ると、山桜がばあっとあって、ああ、やはり地元がいいやとみんな思うと思うんですよね。

 やはり、それを多くの人に実感していただくこの法案は意義のあるものだと思いますけれども、ただ、私はこの法案、申し訳ないけれども、羊頭狗肉と言わざるを得ない。羊を売ると看板を掲げて、犬の肉を売っているじゃないかと。そのことを今から話します。

 問題の根源は、広域的地域活性化法の枠組みの中でこの制度をつくってしまったことにあると思っております。それは後で議論します。

 この広域的地域活性化を、現行法でも広域的特定活動として、改正前の法律第二条第一項第一号ホに基づく省令で、「都市における住所のほか農山漁村に居所を有することを促進する活動」というのが定められておって、これに基づく計画が作られているんですけれども、現在まで、この省令に基づく計画は幾つ作られているか、御答弁お願いいたします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 群馬県、長野県の連携によりまして、広域的地域活性化基盤整備計画といたしまして、計画名、群馬・長野における地域資源を活かした農山村活性化計画というのが策定されておりまして、実績としましては、当該計画一件ということになっております。

福島委員 そうなんですね。一件なんですね。何でこれだけ少ないかというやはり原因をちゃんと分析しなければならないと思っております。

 私は、この法案の問題点で最大のところは、市町村が二地域居住の促進に関する計画を作成できるのは、都道府県が二地域居住に係る事項を内容に含む広域的地域活性化基盤整備計画を作成したときだけなんですね。県が作らないと市町村は作れないんですよ。

 実際、二地域居住のメリットを受けるのは市町村だし、やろうとする主体は市町村なんです。都道府県は広域的な調整ですから、市町村を越えるエリアの調整は都道府県がやればいいけれども、市町村が主体にならなければならないのに、なぜ計画を都道府県にまず行わせるような仕組みにしたのか。その点について、大臣、御答弁をお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 二地域居住を促進するためには、広域的な観点からの地域活性化策を担う都道府県の取組と、それから、二地域居住を主体的に行う、住まいなどに関する市町村の取組がしっかりと連携することが必要でございます。そういう意味で、今回、県と市町村がよく連携した仕組み、こういうふうに考えております。

福島委員 私は、連携にならないと思うんですよ。県が作らなきゃ市町村が作れないんだから。主体は市町村なんだから、市町村が作ったのに対して、県がサポートするなら分かるけれども、私は全然連携に、それではならないと思います。

 もう一つが、市町村にとって一番インセンティブになるのは、社会資本整備交付金というインフラのお金ができることなんですね。新しく二地点の拠点をつくって、そこから駅まで道路を造ろうといったときに、この交付金が交付される。

 ただ、この社会資本整備総合交付金の広域連携事業というのは、資料二でありますけれども、確かに、市町村へ間接交付、(二)に書いてありますけれども、それも可ですけれども、それは、複数の都道府県が連携して作成する広域的地域活性化整備計画にしか駄目なんです。今度は都道府県だけじゃないんですよ。複数の都道府県、さっきの唯一の事例は群馬と長野の事例ですけれども、そうじゃないと交付されないんですよ。

 一方の予算措置は、地方移住促進テレワーク拠点整備事業とか、空き家再生等支援推進事業とか、市町村に直接補助金がされるのに、このインフラの交付金だけは、複数の都道府県が計画を作らなきゃならない。余りにもこれは、大臣、使い勝手が悪くないですか。民間ではこんな商品は絶対出しませんよ。どうですか。

斉藤(鉄)国務大臣 複数の都道府県が連携した計画に対して交付金の交付を行うことが、広域にわたる人の往来や物資の流通の活発化を通じた地域の活性化を図る上で特に効果的であるとの考え方に基づいて、この広域的地域活性化基盤整備計画というものができているわけでございますが、一方、この法案を検討するに当たりまして設置した国土審議会の専門委員会における議論、また自治体からの要望を踏まえますと、二地域居住の促進に当たっては、地域における様々な課題の中でも、とりわけ、住まい、なりわい、コミュニティーに関する課題を解決する必要性が高く、住宅、コワーキングスペース、交流施設等を始めとした市町村が担う居住環境の整備等について、重点的に支援する必要がございます。

 特に、二地域居住者向けの住まいの確保に当たっては、既存ストックを活用しつつ、本法案のターゲット層である若者、子育て世帯の費用負担を軽減する観点から、空き家を活用することが極めて重要です。

 このため、従来から都道府県に対して実施してきている社会資本整備総合交付金によるインフラ整備の支援等を引き続き行うことに加えて、二地域居住を促進する観点からの特別な支援策として、市町村による空き家対策に対し、補助制度において重点的に支援を行うこととしたものでございます。

福島委員 全く答弁は違うと思いますけれども、時間がないので、飛ばします。

 いつも、私がこう言うと、大臣、自分で考えているとおっしゃいますけれども、民間で勤めていらっしゃったじゃないですか。使うのは、市町村側の立場に立って見て、広域的に複数の都道府県じゃないとインフラのお金は下りません、そのほかは市町村の補助金がありますと。おかしいじゃないですか。是非ここは改めるようにしていただければと思います。

 今回、建築基準法の特例などの規制の特例措置も、これもいいと思います。ただ、これは全部、国土交通省所管だけなんですよ。

 話を聞くと、例えば農地法。クラインガルテンを先ほどの「森と蔵」では入れているんですけれども、農地法の規制を突破するのはなかなか大変だと。やはり、複数の規制を、ほかの省庁のものも含めてやらなきゃならなかったんじゃないかと思うんですけれども、そうした努力はされたんでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほどの審議会の議論におきまして、今回、とりわけ、住まい、なりわい、コミュニティーに関する課題を解決する必要性が高いということで、住宅、コワーキングスペース、交流施設など、居住環境の整備等について重点的に支援することといたしました。ということで、今回、建築基準法、都市計画法等の特例を設けることとしたものでございます。

福島委員 もう全てがお役所仕事だと思います。やはり、お客さんの立場に立ってニーズを基に法律を作らなきゃ駄目で、こういうことをやっているから実績が上がらないんですね。

 もう一つ、では、同じような、先ほど来、税負担の話がありますけれども、これは五年以内、五年をめどとした見直し条項がありますから、五年をめどとした見直しのときに、さっきの規制の措置をほかにも広げるとか、交付金の使い勝手をよくするとか、もう一つは税の問題。

 だって、これは、地方の人が来れば、ごみ出しのコストとか、いろいろな行政サービスのコストがかかるのに、増えれば増えるほど持ち出しが増えるというのはインセンティブにならないわけです。さっきの総務省の官僚みたいな答弁を許したら駄目なので、是非、大臣、五年後の見直しまでに取り組んでいただけるように、力強い決意をお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 審議会の議論でも、まさにこの税、住民税、住民票、また選挙権のことと、そして先ほど来問題提起されているいろいろな支援の在り方等について、中長期的課題とされたところでございます。しっかり、そういう意味で、見直しのときに、もう一度議論したいと思います。

福島委員 霞が関で中長期的課題というのは、やらなくて棚上げをするという意味なんですね。さっき中期的と言ったから、五年で切った方が私はいいと思います。

 なぜこうなったかというと、私、構造改革特区というのをやったんですね。そのとき席を並べていたのは、塩見不動産・建設経済局長が私の隣の席で一緒に働いていたり、ヨット部の後輩の春名君というのも、国土交通省から何人か来ていて、そのときの議論でやったのは、やはり市町村に競い合ってもらわなきゃ、知恵と工夫を競い合ってもらわなければならなくて、あくまでも単位は市町村なんですよ。これまでの答弁を聞いてみると、何か国が勝手に枠をはめて、その後、県があって市町村があってと、上から下に下りていくやり方では私は絶対うまくいかないと思います。

 この法律の仕組みは、残念ながら、大きな枠を国がもう初めからこうあるべきと決めちゃって、県が計画を作らせて、それに従って市に作れと。それじゃ私は駄目なんです。それは先ほど冒頭言ったように、この広域的地域活性化法を枠組みとして作ったからなんですね。

 私は、本当にこれを進めた方がいいと思うから申し上げるんですけれども、新法として、五年後の見直しはこの法律の見直しじゃなくて、ここから切り分けて、もっと市町村が創意工夫を持って、更にそこには民間の人も入って、民間も、地元の民間だけじゃなくて、送り出す側の都市部の民間、まさにこの「森と蔵」は、東京のそうした会社と地元の建設会社の二世の人、お子さんがタイアップしてやっているからうまくいっているんですよ。そうしたビジネスに根差した仕組みにしないと私はうまくいかないと思うんです。

 大臣、是非、この五年後の検討の中に、そうした根本的な法律の枠組みを含めて、本当にこれを政府がやる気があるのであれば見直していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今回は、既存の法律の、広域的活性化の法律の中で、この法律案を提案させていただきました。五年後、しかし、もうまず第一歩を踏み出すわけでございますので、その結果をよく見、検証した上で、成功させなきゃいけませんので、より効果があるものにしていきたいと思います。

福島委員 まだちょっと時間があるので、法律の解釈に関するものを五問用意していたんですけれども、時間ないので二問だけ聞かせていただきます。

 法案第二十八条第一項で特定居住支援法人というのが規定されておりますけれども、これは特定非営利法人、一般社団法人、一般等の、非営利法人のほかに、民間の営利企業も指定されることになっております。

 これは、民間だろうが非営利だろうが補助金等の扱いに差がないのかというのを確認させていただきたいと思いますし、この民間の企業の条件がありまして、「特定居住の促進を図る活動を行うことを目的とする会社」とあります。これは何で判断するのか。会社の約款で判断するのか、事業内容で判断するのか、どうなのかという、その二点をお聞きしたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の、支援法人の指定を受ける法人の性質に応じて何か差があるのかということでございますが、これは補助事業によって異なる取扱いを行うことはございません。

 また、法二十八条の一項におきまして、「特定居住の促進を図る活動を行うことを目的とする会社」の要件、これは何をもって確認するのかという御指摘でございますが、これは法二十八条の一項によって、「特定居住の促進を図る活動を行うことを目的とする会社」の要件については、例えば、当該会社が二地域居住の促進に資するような空き家の情報提供等の活動や業務を行っていることを、市町村が当該会社の事業報告書等で確認するなど、総合的に判断していただければいいというふうに考えております。

福島委員 ありがとうございます。

 いずれにしましても、役所が作る法律というのは、官僚は実際のビジネスとかやったことないですから、お役所的になりがちなんですよ。なぜ政治家が政府に入るかといったら、そういう観点じゃない観点から、なおかつ、法律という、立法府と二股をかけるからこそ国会議員が大臣をやっているわけでありまして、是非、この制度をうまくいかせるためにも、根本から法律の在り方を見直していただきますことをお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組のアドベンチャー男、たがや亮です。

 お時間をいただきました筆頭理事を始め、皆様に感謝を申し上げます。

 時間が九分と短いので、早速質問いたします。

 この法案は、地方への人の流れの創出、拡大を図る狙いとうたわれていますが、その方針で間違いないでしょうか。斉藤大臣にお伺いします。

斉藤(鉄)国務大臣 地方への人の流れの創出、拡大を図ることを狙いとすることに間違いございません。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 であるならば、今回の法案を通じて、都市から地方への単なる一時的な居住ではなく、住民票も移した定住、永住をしてもらうことを目指し、それを目的としなければ、自治体のデメリットなども含めて、間違った方向に向かいかねないと危惧されますが、政府の考えをお聞かせください。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 二地域居住につきましては、移住の前段階であるものもありますれば、二地域居住そのものを目的とするなど、様々なニーズがあるというふうに捉えております。

 有識者会議におきましても、主にUIJターンを含む若者、子育て世代をターゲットとしつつ、二地域居住そのものを楽しむライフスタイルのニーズも的確に捉えるべきだという指摘のほか、お試し居住であるとか二地域居住、移住、こうした段階に応じた地域との関わり合いの、各段階のニーズも捉えるべきだという指摘も受けたところでございます。

 こうしたことから、この法案におきましては、様々なニーズを含む二地域居住を視野に入れた支援策を講ずるということとしているところでございます。

たがや委員 ありがとうございます。

 昨日のレクでも、最終的に何の目的のためにこの法案を作るのか、煮え切らない曖昧な説明の印象を受け、私は危機感を覚えたんですが、レクでは、自治体自身の手挙げが必要で、参加自由だから自治体にデメリットは生じないようなことをおっしゃっていましたが、そうなると、手を挙げられる自治体と手を挙げられない自治体では更なる格差拡大が懸念される、そういうふうに思います。

 ですので、この法案自体に、最終的に都市から地方へ定住、永住していただくというビジョン、すなわち目的を明確にし、様々な予算措置をしなければ、今回の二地域居住を促す法案は、むしろ逆効果になるおそれがあると私は心配しています。

 今日は、そこの議論をしてまいります。

 資料一を御覧ください。これは、「アドベンチャー・ファミリー」という、およそ五十年前のアメリカの映画のチラシですが、大臣、この映画を御覧になったことはあるでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 いや、見たことはございません。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 映画のスローガン、見てください、これを。「さあ、都会を離れて大自然の中で暮らそう!」今回の法案の趣旨と何か似ているんじゃないかなと。

 粗筋ですが、大都会ロサンゼルスに住んでいた家族が、子供たちに大自然の中で生活させた方がいいと考え、ロッキー山脈に移住します。初めは日常生活の大変さをむしろ楽しんでいたんですが、娘が高熱を出しても嵐で医療機関に連絡すらできない、挙げ句の果てに人食い熊に襲われるなど、さんざんな目に遭って挫折を味わうという内容です。

 この映画の中身で例えると、住居がある、仕事場もある、通信環境も大丈夫などと主人公は考え、移住を決断、しかし、実際に住んでみると、電話はあるが嵐で不通、周りに病院がない、森で仕事をしようと思っても熊が出て危なくてそれどころではないという過酷な状況に直面。今回の二地域居住も、一歩間違えたらこれと同じような状況が生まれるのではないかと思います。

 いざ地方暮らしをしてみたら、近くに病院がない、産婦人科がない、統廃合が進み学校が遠い、バス停までの送り迎えが大変、車がないと生活ができない、夢を持って農業するために移住したけれども鳥獣被害がひどくて作物が全滅、とどめに快速電車までなくなるなどなど、地方の現状の問題が様々山積しています。

 これでは、移住どころか、地方はとても住むところじゃないとレッテルを貼られ、地方に移住を促す試みは完全に逆効果となってしまうおそれがありますが、国交省の見解をお伺いします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 二地域居住者の受入れを通じた地域の活性化を実現するためには、二地域居住者が地域コミュニティーに円滑に溶け込み、地域の担い手として活躍できるようにするための環境整備、これが非常に重要であると考えております。自治体からの要望におきましても、二地域居住者を受け入れる地域の体制、また環境の整備の必要性が指摘をされました。

 先ほど来申し上げておりますけれども、特定居住支援法人の指定、また関係省庁の予算と連携をしまして、この生活環境を整える、そうしたことによりまして、移住をしてみたけれども生活環境に不便があるというようなことがないように、事前に市町村が定める計画の中にもそうしたことを明示していくことを、国の基本方針の中に定めていきたいというふうに考えております。

たがや委員 ありがとうございます。

 二地域居住者が円滑に溶け込むということも大事なんですけれども、それ以前の地方の問題も同時に解決に導かなければ、地方暮らしは厳しいという体験談を都市部に持ち帰って拡散されてしまい、瞬く間に悪い情報が広まり、地方暮らしをしようとする人たちがいなくなってしまうのではないかとさえ思ってしまいます。いわゆるIターンの消失です。二地域居住の最大のエンジンと思われるIターンが失われたら、大都市一極集中の是正は夢のまた夢になってしまうと思うんです。

 そうならないために、単に二地域居住を促進するという入口だけではなく、受け入れる自治体に対して、最低限、生活者の利便性や安全性のための予算措置、農業従事者への予算措置などによる定住、永住の促進につながる出口も確保できるよう、並行して、文科省、厚労省、農水省など他省庁との横串の連携がマストだと思いますが、国交省としての見解をお伺いします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 二地域居住の推進に当たりましては、御指摘のとおり、様々な分野におきます取組との連携、これが極めて重要であると認識しております。

 今回、法案の中でも御用意させていただいておりますが、空き家の改修であるとかコワーキングスペース整備への支援以外にも、デジタル田園都市国家構想であるとか地域公共交通のリデザイン、観光政策、また関係省庁等の支援策、こうした取組との連携をしっかり図っていきたいと思っております。

 加えまして、先ほど来御議論がありました区域外通学制度などを始めとする教育との連携、そうした政策分野につきましても、今後、官民連携の全国的なプラットフォームを組織し、関係省庁としっかり連携しながら情報共有、またその横展開をしっかり図っていきたいと考えております。

たがや委員 ありがとうございます。

 自治体の一番の懸念事項は、人材不足による事務的負担と予算的負担が重くのしかかるのではないかという心配です。

 資料二を御覧ください。今回の質疑に当たり、地元自治体に二地域居住についてアンケートを行いました。各自治体からは、国から市町村への財政的支援を求める回答が数多く寄せられました。また、土地の用途変更や農振手続についての要望もありました。さらに、優良事例の共有や取組に対する補助や、市町村の負担とならないよう計画策定の支援や予算配分を検討してほしいとの要望がありました。

 このような自治体の生の声を国としては具体的にどのように受け止め、応えていくかを、最後、斉藤大臣にお伺いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 二地域居住の促進は、地方への人の流れを生み、地域の担い手の確保や消費等の需要創出、新たなビジネスや後継者の確保、雇用創出、関係人口の創出、拡大などにつながるものであり、よりよい地域づくりを進めるための手段であると捉えております。

 アンケートを見させていただきました。自治体からの御要請につきましては、いろいろな御要請がございますので、今ここで一つ一つコメントは差し控えさせていただきますけれども、今後、本法案に基づく制度の活用を含め、こういう御意見も参考にしながら、関係省庁とも連携して、地域からの御相談に丁寧に対応してまいりたいと思います。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 ですけれども、法案自体にそれが担保されているわけではないですし、この法案は、横串の通った出口ビジョンあっての法案じゃないと逆効果になるおそれがあると思いますので、しっかり、大臣、対応をお願いします。

 質問を終わります。

長坂委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

長坂委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、小林茂樹君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。谷田川元君。

谷田川委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。

    広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 本法による措置は、地域の活性化とともに東京一極集中の是正にもつながるものとするよう努めること。

 二 二地域居住等に係る施策の効果の検証を行い、今後の検討に資するため、実際の二地域居住者等の数及びその居住地について把握するとともに公表すること。また、今後の二地域居住者等の推計についても可能な限り具体的に把握し公表するよう努めること。

 三 附則第四条に基づき検討する際は、二地域居住等の促進のためには、本法の枠組による制度が適切なのか、市町村主体による推進が適切なのか、具体的なデータと実態に基づく検証を踏まえて、その根本から検討をすること。

 四 二地域居住等を実施する際の公共サービスの提供及びそれに応じた費用負担並びにこれらに対する二地域居住者等の意見の反映のための仕組みについては、二地域居住等を推進する観点から重要な論点であることを踏まえ、諸外国の事例も含めて早急に検討を進め二地域居住者等が希望する環境の整備をすること。なお、本法の施行後五年を目途として、本項に係る方策等について総合的に検討し、必要な措置を講ずること。

 五 二地域居住等を実施する際の移動費用の負担軽減に係る支援を検討すること。その支援期間については、二地域居住等を長期間実施できるよう配慮すること。なお、本法の施行後五年を目途として、本項に係る方策等について総合的に検討し、必要な措置を講ずること。

 六 二地域居住等を適正かつ円滑に促進するため、二地域居住者等が居住先で果たすべき役割や責任の在り方についても、市町村が作成する特定居住促進計画に反映されるよう促すこと。また、同計画の策定に伴う市町村の負担軽減のために支援をすること。

 七 二地域居住等を促進するため、企業に対して二地域居住等に関するヒアリングを行い、制度のニーズや課題を把握すること。また、ヒアリングを踏まえて、従業員が円滑に二地域居住等を実施することが可能となるような環境の整備を促すこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

長坂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

長坂委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)国務大臣 広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 誠にありがとうございました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

長坂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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