第10号 令和6年4月24日(水曜日)
令和六年四月二十四日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 長坂 康正君
理事 あかま二郎君 理事 泉田 裕彦君
理事 小林 茂樹君 理事 武井 俊輔君
理事 城井 崇君 理事 白石 洋一君
理事 三木 圭恵君 理事 國重 徹君
石橋林太郎君 尾崎 正直君
大西 英男君 金子 俊平君
菅家 一郎君 小島 敏文君
小林 鷹之君 小林 史明君
小森 卓郎君 佐々木 紀君
櫻田 義孝君 田中 英之君
高木 啓君 谷 公一君
谷川 とむ君 土井 亨君
中根 一幸君 中村 裕之君
古川 康君 武藤 容治君
石川 香織君 小宮山泰子君
神津たけし君 堤 かなめ君
伴野 豊君 馬淵 澄夫君
谷田川 元君 赤木 正幸君
漆間 譲司君 高橋 英明君
伊藤 渉君 日下 正喜君
高橋千鶴子君 古川 元久君
櫛渕 万里君
…………………………………
国土交通大臣 斉藤 鉄夫君
国土交通副大臣 堂故 茂君
国土交通大臣政務官 石橋林太郎君
国土交通大臣政務官 尾崎 正直君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局官房審議官) 向井 康二君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 小林 豊君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 一成君
政府参考人
(国土交通省大臣官房長) 寺田 吉道君
政府参考人
(国土交通省大臣官房公共交通政策審議官) 石原 大君
政府参考人
(国土交通省大臣官房上下水道審議官) 松原 誠君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 廣瀬 昌由君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 丹羽 克彦君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 石坂 聡君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 村田 茂樹君
政府参考人
(国土交通省物流・自動車局長) 鶴田 浩久君
政府参考人
(国土交通省海事局長) 海谷 厚志君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 稲田 雅裕君
政府参考人
(観光庁次長) 加藤 進君
政府参考人
(気象庁長官) 森 隆志君
国土交通委員会専門員 國廣 勇人君
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委員の異動
四月二十四日
辞任 補欠選任
枝野 幸男君 堤 かなめ君
たがや 亮君 櫛渕 万里君
同日
辞任 補欠選任
堤 かなめ君 枝野 幸男君
櫛渕 万里君 たがや 亮君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○長坂委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長寺田吉道君、大臣官房公共交通政策審議官石原大君、大臣官房上下水道審議官松原誠君、水管理・国土保全局長廣瀬昌由君、道路局長丹羽克彦君、住宅局長石坂聡君、鉄道局長村田茂樹君、物流・自動車局長鶴田浩久君、海事局長海谷厚志君、港湾局長稲田雅裕君、観光庁次長加藤進君、気象庁長官森隆志君、公正取引委員会事務総局官房審議官向井康二君、警察庁長官官房審議官小林豊君及び経済産業省大臣官房審議官田中一成君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○長坂委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田中英之君。
○田中(英)委員 おはようございます。自民党の田中英之でございます。
質問の機会を頂戴しまして、本当にありがとうございます。
限られた時間ですので、早速質問に入りたいと思います。観光とオーバーツーリズムの件と道路の問題になりますけれども、まず、観光の方からお伺いしたいと思います。
去年の五月にコロナの類型が変わって、やはり、どの地域にも、観光地と言われるところは、多くの皆さんが今訪れられているんだというふうに思っております。コロナ前の様々な目標値というのは、コロナでなかなか達成できなかった部分がありますけれども、観光庁では、残念としつつも、新たな指針、方針を出して、インバウンドをしっかりと受け入れていくんだということを考えていただいたと思います。
例えば、外国人観光客の受入れの環境の整備であったり、バリアフリー化、また、これは日本人向けなのか分かりませんけれども、新しい旅行スタイルというものを定着させようとする動きや徹底的な感染症対策、訪日プロモーションというものにも力を入れていくということであります。二〇三〇年には六千万人を目標にして、十五兆円を、しっかりとお金を落としていただくという高い目標に関して取り組んでいるところでもあるんだというふうに思います。
今日もテレビで見ていましたけれども、主要な駅のバスなんかでも大変なことになっておりますし、飲食店なんかも長蛇の列になって、いよいよ本当に、インバウンドを始め、多くの観光の皆さんがこのゴールデンウィークに向けても動いてくることなんだというふうに思います。
ポイ捨てもすごかったですね、テレビで見ていると。食べ歩きをする方が最近は多いのかなと思いますけれども、串だけを入れるごみ箱とか、そんなものを駆使しながらやっておられる姿を見ると、地元で、そういった地域で、いろいろなことを考えながら、ごみ対策なんかもやっておられるんだと思います。
ここで取り上げるのは、公共交通機関に関して、ちょっと取り上げたいと思います。
本当に、観光客で、多くのところはとんでもないことにやはりなっているんだと思います。東京とか大阪、非常に公共インフラが発達しているところでは、バスに換えるのに二台、三台も待ったなんてことはないんだと思うんですけれども、実は私の京都なんかでは頻繁でありまして、ちょっと困っているなというのがございます。やはり、その地で生活される方を中心に、こういった公共交通を使っている地域なんかでは、まさにお手上げ状態なんだなというようなことだと思います。
多くのインバウンドの皆さんや観光の皆さんがお越しいただけるということは、地域にとっては本当に喜ばしい、うれしいことなんでしょうけれども、でも、やはりその人と、インバウンドを始めとした観光客の方々が調和を取れる環境をどうやってつくるかということ、これは地元住民の皆さんも自治体も頭を抱えて、本当にいろいろなことを工夫をしながら考えているんだと思います。
そこで、観光庁では、そんな地域に対して、オーバーツーリズムの未然防止・抑制によって持続可能な観光推進事業として、先駆的モデル地域などというところを指定しようということがありまして、自治体手挙げ方式でこの間も選定されたと伺っております。
オーバーツーリズム対策として、地域によって本当にいろいろな課題があるんだと思いますが、その手の挙がった地域を、どのような理由があったり条件があって採択したか、そのことについてまずお伺いしたいと思います。
○加藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の、オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業、これを令和五年度補正予算において措置したところでございます。
この事業では、地方公共団体が中心となって、住民の方々を含めた地域の関係者による協議、これに基づく計画の策定や、具体的な取組の実施を総合的に支援する先駆モデル地域として二十地域を採択したところでございます。
特に、先駆モデル地域型におきましては、地域の関係者による協議の場の立ち上げ、こういったことも念頭に置き、また、実際にそういった立ち上げが進んでいるというふうに認識しておりますが、例えば、京都市における観光特急バス新設や、比較的すいている地下鉄への乗換促進など、公共交通などの混雑対策、あるいは、北海道美瑛町における、AIカメラの活用やデジタルサイネージの設置を通じた私有地への無断立入り行為の抑制を図るマナー違反対策など、各地域の実情に応じた取組が進められる予定となっております。
こういった取組を踏まえ、観光庁といたしましては、地域の実情に応じた具体策が進み、観光客の受入れと住民の生活の両立が図られるよう、地域における意欲的な取組をしっかりと支援してまいります。
○田中(英)委員 ありがとうございます。
本当に地域の実情、様々あるんだというふうに思います。公共交通の問題もあれば、様々なマナーの違反、今おっしゃった環境保護の対策とか需要の分散、周遊、そういったものを、先駆的モデルだったり一般モデルということで、先駆的モデルが二十、さらに、一般型が五十一だったかなというふうに思いますけれども、そういうように指定をされたところというのは地元と協議をしたり、また、先駆的モデルのところは、また国ともいろいろと協議をする機会を持って、そういう対策を取っていただけるものだというふうに思います。
公共交通機関では、今、京都の話もいただきましたけれども、そういった意味では、観光特急バスというものをやられるというふうに聞いております。
運賃の話をした際に、いろいろと制限というかルールがやはりあって、どうなのかなと、実は不安の声もあるわけでありますけれども、例えば、道路運送法の上で、九条の七項の二を読み解いてみると、特定の旅行者に対して不当な差別扱いをするものは基本的には駄目なんだと。でも、そこには合理的な理由があれば、何とかそういったことができるんだろうというふうに私自身は解釈をいたしております。
確認のため、これはお伺いしたいんですが、観光特急バス、これを六月のかかりぐらいからやっていきたいなという思いがあるようであります。これは、いわゆる不当な差別扱いとならないので問題はないと聞いていますが、いかがでしょうか。
○石原政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘ございました観光特急バスでございますけれども、この運賃は、ほかの路線バスよりも高い水準の額を設定することになりますけれども、これは、当該バスを利用される全ての利用者の方に適用されるものでございます。特定の利用者に対してのみ何か高い運賃を求める、こういうものではございませんので、不当な差別的取扱いには該当しない、このように考えております。
○田中(英)委員 ありがとうございます。
若干そういったところで、いろいろなルール上で制限がかかっていますので、いろいろと考えながら、相談もしながら、そういうことに取り組んでいけるということであります。
公共交通、そういったところでは、他の地域なんかも、実は、上限を設定した上で、例えば、マイナンバーカードのデータを交通系のICカードに読み込ませて、市民の皆さんには割引をするなんという、そういったこともできているところがあるとは聞いております。外国人の観光の皆さんだけ価格を上げるというのは、実は、今の道路運送法上で大変なかなかハードルが高い部分であったりするんだというふうに思います。
ただ、世の中で今よく出ているのは、インバウンドに対して、いろいろな形で更なるいいおもてなしをしようとすると、二重価格や二重料金の話が出ているのも、これは事実であると思います。例えば交通であったり、宿泊もよく聞きます。さらには、いろいろなところの入場料なんかもお聞きするわけであります。
いいか悪いか、賛否は正直言ってたくさんあると思います。価格が上がると、やんぺという形になってしまうこともあるのかも分かりませんので、あるわけではありますけれども、でもやはり、インバウンド受入れ体制をしていく上で、これまで国が準備してきたものは、多言語表記もやってきましたし、フリーWiFi、コロナ禍ではありましたけれども、高付加価値の補助金を使いながら、宿泊施設も、これは日本人の皆さんにとってもでありますが、実は改善をして、更に付加価値の高い宿泊、そういったものをしてもらえるようにやってきたと思います。
ですから、インバウンドに対して、国内旅行者、地元住民、こういった方と調和を取る環境は、やはりしっかりとつくっていかなければならないんだというふうに思っています。
やはり、地域を挙げておもてなしをしたい、そんな気持ちを高めていくためにも、住民の暮らしに対する満足感とか納得感、今までこうだったのにななんて思えるような環境はしっかりと維持すべきだというふうに思います。
仮にこの二重価格というものを導入すれば、公の部分でありましたら、バスの本数を増やしたりとか、いろいろな形で、住民の皆さんにも観光の皆さんにもサービスができるんだと思います。民間でも、賃上げというものにつながれば、またその他のサービスにもつながるというふうに思います。まさに、住んでいる方と観光の皆さん、外国人の旅行者の皆さんにとって、ウィン・ウィンの関係をつくっていくということのためには、やはりこういったことも必要なんじゃないかなというふうに思うわけであります。
そこで、訪日外国人の観光客に対しての二重価格についてどのように考えておられるか、お願いします。
○石原政府参考人 お答え申し上げます。
今委員、訪日客への二重価格全般についての御質問でございましたけれども、御指摘のありましたバスについて、私の方から御説明させていただきたいと思います。
先ほど委員御指摘ございましたように、乗り合いバスの運賃につきましては、道路運送法で、特定旅客に対する不当な差別的取扱い、これを禁じているところでございます。
どのような運賃が不当差別となるかということでございますけれども、これは個別の事案ごとに判断をすることになりますけれども、一般論として申し上げれば、人種や性別など、利用者の属性を理由に同一区間で異なる運賃額を設定するということは、この法律が禁じている不当な差別的取扱いに該当するおそれがあると考えております。
このため、例えば京都市で、仮にインバウンドの方とそれ以外の方で別の異なる運賃設定を行うというようなことでありますれば、その目的ですとか、その目的を達成する手段としてそういったことが適切なのかどうか、そういったことについて、いろいろバス事業者などの皆様からお考えをお聞きして個別に判断をしていきたい、このように考えているところでございます。
今、京都市で少しそのようなこともお考えになっている、このように伺っております。現在、国土交通省におきましては、京都市交通局とその件につきまして定期的に協議を実施しているところでございます。引き続き、市交通局などの相談に対して必要な助言、検討を行ってまいります。
○田中(英)委員 公共交通の部分に触れていただきました。
恐らく、いろいろな事案がこれから、そういった意味では出てくるんだと思います。これは京都だけじゃないと思います。特にちょっと京都は特別なのかも分かりません。だけれども、そういった意味では、寄り添いながら、どういうふうにすれば、日常の生活と観光の部分、これをうまく区別すれば、少しはそういった和らぐ部分もあると思います。
そういう意味で、しっかりと考えていただきたいなというのと、実際、この二重価格全般像で見たときには、憲法とか法律、さらには国際的な条約なんというものもいろいろとこれは影響するものなんだというふうに思います。
受け入れる環境、これは観光庁の方の政策では整えていくということでありますし、その部分では、ハード面にしてもソフト面にしても、やはり税金を使いながらこれをやることもあると思いますし、全くお金のかからないこともこれはあるんだと思います。ただ、世の中で、少しそういう二重価格のことも検討してはどうかなという声がある中で、やはり合理的な理由があって目的もしっかりしていてというところは、個々別、個別の部分で出てきた際には、これは国交省のみならず、様々な省庁に関係する部分があるかも分かりませんけれども、そういったことをしっかりと検討して、自治体と連携をしながら、いいアドバイスそして解決策が見つけられる、そんな状況をしっかりとつくっておいていただきたい、これは入口の部分だというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
限られた時間で、もう最後になります。
道路問題、昨日もやはり地震がありましたし、そういった意味では、陸の孤島になってしまうというところは、これはたくさんあるんだと思います。私の地域も、高規格道路と直轄国道、これをダブルネットワーク化にして、やはり陸の孤島にならないようにしてほしいという声はいっぱいあります。
全国、半島もそうであれば、町中の、町と町をつなぐ、そんな道もやはり充実していかなければならないし、道路が崩落したり土砂崩れがあったりすると、本当に身動きが取れません。
最後になりますけれども、決意を述べていただきたいわけでありますけれども、本当に命の道でありますので、道路整備をしっかりと促進をしていく、陸の孤島にしない、そのことの決意をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
○堂故副大臣 お答えします。
能登半島地震など、激甚化、頻発化する災害に対し、国民の生命と財産を守る観点からも、高規格道路のミッシングリンクの解消や直轄国道とのダブルネットワーク化など、災害に強い高規格道路のネットワークを構築することが重要と考えます。
例えば、御地元の国道九号の京都市から亀岡市の間については、積雪や豪雨により京都縦貫道との同時通行止めが発生するなど、防災面での課題があると認識しています。令和三年三月に京都府が策定した新広域道路交通計画において、京都亀岡連絡道路が高規格道路として位置づけられました。現在、国土交通省において、整備効果など調査を進めているところであります。
災害に強い高規格道路ネットワークの構築を図ってまいります。
以上です。
○田中(英)委員 どうもありがとうございました。
○長坂委員長 次に、城井崇君。
○城井委員 立憲民主党の城井崇です。
斉藤国土交通大臣、今日もよろしくお願いいたします。
まず、国が発注する公共工事の事業費チェック体制について改めて伺います。
国が発注する公共工事で、人件費単価や物価の伸びを上回って、工事の着工後に事業費が増額する事例が生じています。日本経済新聞によりますと、計画から十年以上が経過した公共工事三百八十二件のうち、四二%もの公共工事において、合計五・二兆円も事業費が増額したとのことでした。先日の質疑で一例を紹介し、国の計画や見通しが甘かったのではないかとの質問をいたしましたが、大臣からは認めない趣旨の答弁でした。
本当にそうでしょうか。先日の質疑で挙げた例のほかにも、事業費を増額した事例があります。例えば、二〇〇一年度に事業化した国道横浜湘南道路では、掘削発生土の処理方法やトンネルの安全対策の変更で、二〇一九年度に何と当初の二・一倍となる四千六百億円に増えたとのことです。具体的には、地元住民や行政間の調整不足が要因とのことでした。二〇二二年度には一千百十億円も増えたとの報道です。
国土交通省横浜国道事務所は、日本経済新聞の取材に対し、事業が進み、よりよくするために事業費が増えていると説明したそうであります。
指摘されている公共事業費の増額は事実でしょうか。どのような理由から生ずるのか。やはり国による計画に問題があった、あるいは国による見通しが甘かったのではないか。大臣の認識をお示しください。
○斉藤(鉄)国務大臣 お尋ねのありました横浜湘南道路につきましては、当初の全体事業費は約二千百四十億円でしたが、発生土の再利用のための土砂の改良作業の追加、トンネル地中接合部の可燃性ガス対策の追加、地元や関係機関協議を踏まえた遮音壁や調整池の追加などの理由により、当初計画から約三千五百六十億円増額し、現在の全体事業費は約五千七百億円となっております。そういう意味では、その増額は事実でございます。
横浜湘南道路については、当初の計画段階において、地質情報など、その時点で判明していた現場条件を基に事業費を算出しておりましたが、事業実施段階において、不確定要素のある地下のトンネル工事であり、調査や工事の進展に伴い、予期しなかった地中の可燃性ガス対策などの技術的課題が確認されたこと、地元や関係機関と随時調整していく中で地域の生活環境に配慮しながら周辺への影響を最小限にする形で工事を進める必要が生じたことなどの理由により、事業費が増額したものと認識しております。
なお、これらの事業費の増額に当たっては、有識者委員会での審議などの事業再評価の手続を実施し、事業費増加や事業継続の妥当性について御審議いただいた上で、了承されているところでございます。
○城井委員 地元住民ですとか行政間の調整不足という部分もあり、増額した点を先ほども御説明いただきましたが、これらは着工前に想定すべきだし、対応できたのではないかというふうに考えます。
先ほどの再評価委員会についても触れていただきましたが、計画変更段階で、さて、発注者、受注者以外の目が、国民そして国会に対しての説明も含めて届いていたんだろうか、この点は問題だというふうに考えています。
別の公共工事での事業費増額についても確認をいたしたいと思います。
北海道三笠市の幾春別川総合開発事業では、二つのダムを建設しています。二〇〇四年度完成予定であったところを二〇三〇年度完成予定に延長。災害の影響などもあったとのことですが、事前に把握することができなかった地盤などの影響もあり、事業費は二・四倍の一千六百六十七億円となったとのことであります。
ここで指摘されている公共事業費の増額や完成予定の延長は事実でしょうか。追加工事や工期延期などはどのような理由から生ずるのか。国による計画に問題があった、あるいは、国による見通しが甘かったのではないかというふうに考えますが、大臣の認識をお示しください。
○斉藤(鉄)国務大臣 お尋ねのありました幾春別川総合開発事業につきましては、一九九四年度に策定した当初の全体事業費は約七百億円、完成予定は二〇〇四年度でしたが、直近の二〇二一年度の変更後の計画では、全体事業費が約千六百六十七億円、完成予定が二〇三〇年度となっております。こういう意味でも、これも事実でございます。
幾春別川総合開発事業については、当初の計画段階において、地質情報など、その時点で判明していた現場条件や、類似のダムでの実績を基に事業費や工期を設定しておりましたが、事業実施段階におきまして、ダムの基礎となる岩盤が想定より深かったことにより掘削量が増加したこと、二〇一八年北海道胆振東部地震など、工事現場の被災に伴う追加対策が発生したことなどの理由により、変更の必要が生じたものと認識しております。
なお、これらの変更に当たりましては、有識者委員会での審議などの事業再評価の手続を実施し、事業費や工期、事業継続の妥当性について御審議いただき、了承されているところでございます。
○城井委員 災害の影響は致し方なかったというふうに考えましても、例えば、着工後に見つかった想定外の地盤への対応、着工前の事業費の内数でやはり行うことができなかったということ、しかも、完成予定を大きく後ろ倒しをした上で、当初事業費の二・四倍にも事業費が膨れ上がっている事実、この辺りからしても、やはり国による見通しは甘かったということは指摘せざるを得ないというふうに考えます。
そもそも、公共工事の発注は競争入札で決まります。しかし、変更契約は競争入札ではなく事実上の随意契約となることから、値決めやコスト管理が十分に行き届かない場合があるとの指摘があります。
日本経済新聞によりますと、二〇二一年度時点で継続中のダム、道路、河川、港湾の工事について、計画当初と二〇二一年度の事業費が分かる資料を国土交通省から入手して、計画から十年以上のいわゆる大型案件を抽出して分析したところ、公共工事の事業費が増額していたのが全体の七七%に当たる二百九十四件で、増額幅は六・五兆円にもなっていたとのことでした。さらに、三百八十二件全体の費用は、当初計画比二六%増の三十一兆二千九十一億円にまで膨らんでいたということです。人件費単価や資材費の上昇の範囲に収まる物価高を要因とする増額が、このうち百三十五件とのことでした。
このような事業費増額の実情がある一方、事業費の増額に伴う変更契約は受注者と発注者の交渉で決まることから、外部からの検証を十分に行うことができません。先ほどお話しのように、事業費全体、大きな視点の部分では再評価委員会が動くケースもありますが、さて、個別の契約まで一つ一つ目が届いているかといえば、そこは不十分だ、現在の仕組みの下では契約変更はいわばブラックボックスとなっています。
国会の行政監視も届きにくいことに加えまして、メディアが契約変更された公共事業の事業費を追いかける際には、現地を見に行って取材をかけるか、時間をかけて情報公開請求を行うかといった形を取るほかなく、当初予算や補正予算案、新しい政策の説明とは異なりまして、政府からの情報提供や説明を詳しくお聞きできないとのことでした。
事ほどさように、発注者と受注者以外のチェックの視点が届かないんです。大型案件だけでも着工後に六・五兆円もの事業費増額となっていた事実、発注者と受注者以外での視点のチェックが届いてこなかった現状について、大臣の受け止めをお聞かせください。
○斉藤(鉄)国務大臣 公共事業の実施に当たりましては、事業着手後に実施した地質調査の結果や、地元や関係機関との協議を踏まえた追加対応などにより、事業費の増額や工期延長が生じることがございます。
国土交通省では、事業着手後、五年に一度、都道府県の意見を聞くとともに、学識経験者などの第三者から構成される委員会において事業の妥当性を御審議いただき、費用の増加要因や最新データに基づく費用便益分析なども示した上で評価を行い、この評価結果を公表しているところでございます。事業費が大幅に増加する場合などは五年を待たずにこの評価を行っている、こういう場合もございます。
また、個別工事の契約変更に当たっては、変更する工事の内容を発注者と受注者の間で協議して決めることとなりますが、その際には、発注者である国において、公表されている積算基準などに基づき予定価格を作成し、これを踏まえて適切な価格で契約変更を行っていると認識しております。加えて、契約変更の内容は、本年四月以降、原則インターネットで公表することとしております。現地に行かなくても、また役所に来なくても分かるようにいたしました。
こうした取組によりまして、事業費などについては適切に見直されていると考えておりますが、引き続き、計画や契約における透明性を確保しつつ、公共事業を実施していきたい、このように考えております。
○城井委員 私も事前に、国土交通省での、事業費全体や個別契約における事業費増額時の実態、そしてそのチェックの仕組みの現状については説明を受けました。
資料を御覧ください。
遺跡が出たり、想定した地層と異なる地層だったりなど、事前の想定が難しい理由により着工後の計画変更を行っている。一方で、着工後に計画変更する場合、先ほど再評価委員会なども含めて見ているということでしたが、結果的には、既に動いている工事を完全に止めるわけにはいかず、計画変更時には随意契約での対応等を行っている、こういう説明でした。
発注者と受注者以外で、着工後の事業費増額時における契約変更が本当に適正だったかどうかという、チェックする役割の存在が個別の契約も含めていないのではないか、その積み重なりが雪だるま的な事業費増額を防げていない一因となっているのではないかというふうに考えます。
国土交通省の説明では、着工後の事業費増額のチェックについては設計変更審査会が活用可能とのことでした。
そこで、伺います。
この設計変更審査会はどのくらいの開催実績がありますか。それは、事業費を増額した国発注の公共事業数のどのくらいの割合で開催されていますか。大臣、お答えください。
○斉藤(鉄)国務大臣 個別工事の契約変更に当たりましては、追加すべき工事の内容を発注者と受注者の間で協議して決めることとなりますが、必要に応じて、迅速に協議を行うため、受注者、発注者が一堂に会して協議を行う設計変更審査会を開催しております。今委員御指摘のあったとおりでございます。
設計変更審査会の開催実績につきましては、網羅的に把握してはおりませんけれども、例えば、令和三年度に契約し、完了した関東地方整備局の道路、河川の改築工事など三百三十四件のうち、増額変更した工事は二百五十二件で、そのうち約五割に当たる百三十二件で設計変更審査会を開催しております。
○城井委員 今の大臣からの御説明によりますと、関東の事例で約半数では開催されたということでした。つまり、残りのもう半分については、そうした、ある意味で違う、外部での視点を含めてチェックをする場というのが、目が届いていない、こういう状況だというふうに受け止めました。
この契約変更時の事業費増額は、発注者と受注者以外の視点で常にチェックをすべきだと考えます。なぜならば、先ほどの事例のほかにも、これまでにチェックが行き届かなかった事例、例えば、競争入札も随意契約も経ることなく既存の事業に予算を上乗せし、施工した事例があるからであります。
例えば、東北の復興工事では、競争入札も随意契約も経ることなく既存の事業に予算を上乗せし施工した事例が五件もあったと、本年二月十九日に日本経済新聞が報じています。
大臣、この五件の事例は事実でしょうか。これらの工事の取扱いは、会計法などの法律違反ではないですか。このような問題をどのように取り扱う考えか、大臣から明確にお示しください。
○斉藤(鉄)国務大臣 東北地方整備局が発注した復興工事におきまして、報道がありました五件で工事内容の変更を行ったことは事実でございます。
例えば、このうち、東北中央自動車道掛田トンネル工事については、調整の結果、トンネル工事に伴い発生した土砂の運搬先を、より近傍の工事現場へ変更可能となったこと等を踏まえ、施工中の工事との一体性の観点から、土砂運搬に関する工事等を追加したものでございます。
工事で出た土砂を、遠くに運ぶ計画だったんですが、近くの、それも同じ東北中央自動車道の工事の現場に使って、そこでその土を使った工事を行うということで、同じ工事というようなこともございまして、一体という観点からこの工事等を追加したということでございます。
このように、これら五件は、いずれも施工中の工事との一体性の観点から、契約変更により工事を追加したものであり、会計法令の趣旨に反するものではないと考えております。
いずれにいたしましても、契約手続の透明性を確保することは大変重要でございます。委員御指摘のとおりです。引き続き、より適切な仕組みづくりに努めてまいりたいと考えております。
○城井委員 同じ工事であっても、適切かどうかということは、きちんと外部の目からチェックをすることが必要だというふうに考えます。こうした事例だけでも、着工後の契約変更時の事業費増額は、やはり発注者と受注者以外の視点で常にチェックすべきだという理由になるというふうに考えます。
事業費全体にしても、そして個別の契約にしても、事業費の増額を行う場合のルールの見直しと、そして検証の仕組みが必要です。大臣、着工後の契約変更時の事業費増額を発注者と受注者以外の視点で常にチェックをする仕組みを国土交通大臣のリーダーシップでつくっていただけませんか。大臣から明確にお答えください。
○斉藤(鉄)国務大臣 繰り返しになりますけれども、事業費全体につきましては、事業着手後、五年に一度、都道府県の意見を聞くとともに、学識経験者などの第三者から構成される委員会におきまして事業の妥当性を御審議いただき、事業再評価の結果を公表しているところでございます。また、事業費が大幅に増加する場合などは、五年を待たずに、この評価を行っております。
個別工事の契約変更においても透明性の確保は重要と認識しており、例えば、本年四月より、契約変更の内容を原則インターネット公開とするなどの取組を実施しております。
今後、更に透明性の確保を図るため、委員の御指摘も踏まえまして、新たに、契約変更前に発注者と受注者以外の第三者からの意見聴取を行うことを含め、具体的な取組について検討してまいりたいと思います。
○城井委員 今、大臣から大事な答弁をいただけたと思います。発注者、受注者以外の第三者から意見を聴取するという仕組みの創設について言及いただけたかと思います。
この検討、いつまでに行っていただけますか。
○斉藤(鉄)国務大臣 第三者の視点を入れるという新たな仕組みの具体化に当たりましては、進行中の工事等への影響、対象工事の選定方法、対発注者以外の第三者の選定の考え方などを整理するとともに、現場への周知徹底を行うため、一定の期間が必要と考えておりますけれども、早ければ来年度にも実施できるよう検討してまいりたいと思います。
○城井委員 是非速やかなお取組をお願いしたいと思います。
次に参ります。
二〇二四年四月十七日の衆議院国土交通委員会理事会にて報告されたタクシー特措法に基づく国会報告について、大臣に伺います。
タクシー事業者に改めて現状を伺いました。日本版ライドシェア対応もありますが、当面は、激しい超円安と原油価格高騰によるLPガスの高止まりに対して、燃料対策のリッター二十五円を超えた分の助成金措置がないと、地方の運輸事業者はライドシェアどころではないとの悲痛な声が届きました。また、ゼロゼロ融資の先延ばし分の返済が本格的に始まり、大都会の売上げの高い事業者でさえ単月赤字決算基調となっているため、カーボンニュートラル対応で燃費のよいEV車、プラグインハイブリッド車、水素自動車などのリースを行う際の与信が通らなくなるといった厳しい見込みをお聞きしました。
タクシー事業者のこれらの現実に国の支援が必要だというふうに考えますが、大臣の見解をお願いします。
○斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省では、これまでもタクシー事業者に対して必要な支援を行ってきたところでございますが、令和五年度補正予算におきましても、LPガスを使用するタクシー事業者に対する燃料価格激変緩和対策事業、交通DX、GXによる経営改善支援、旅客運送事業者への二種免許取得支援等の人材確保支援などを盛り込んだところでございます。
なお、政府全体としては、民間ゼロゼロ融資の返済開始の最後のピーク、今年の四月でございますが、に万全を期すため、コロナ資金繰り支援策を本年六月末まで延長するとともに、再生支援のニーズの高まりを踏まえて、中小企業の経営改善、再生支援を強化することとしております。
これら全体としての支援と、先ほど申し上げましたタクシー業界への支援と、引き続き必要な支援を行ってまいりたい、このように思っております。
○城井委員 大臣、燃料対策は事実上三か月ごとの対応になっているというのが事業者の受け止めです。経営の予見性が立たないというふうに嘆きが聞こえてきています。
また、東京を始め大都市で走っておりますジャパンタクシーは、カーボンニュートラルの対応の車ではなくて、ユニバーサルデザインの車です。燃料対策の充実とともに、トラック、バス、タクシーの、商用車系のカーボンニュートラル対応車を増やす取組、これは国としても引き続き応援すべきだというふうに思いますが、この点、大臣、いかがお考えですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 今、DX、GXに伴いまして非常に環境が変化している、そういうことに対応した支援もしっかり行っていかなければいけない、このように思っております。地方で、まだそれが遅れていることにつきましても、しっかり我々考慮しながら、その支援策を考えていきたいと思います。
○城井委員 続きまして、タクシー特措法と、そして日本版ライドシェアとの関係について確認をさせてください。
これまで、タクシー特措法においては、特定地域、準特定地域といった形で指定が行われてきています。タクシー特措法においては過当競争を防止する観点から減車が行われてきた、こういうことでございました。
その一方で、これらの地域の中でも、本年四月から始まった日本版ライドシェア、正式名称は自家用車活用事業でありますが、これに参入したい事業者が出てくる可能性があるのではないかというふうに思います。
この両方の規制を同時に受けるというのは矛盾するところが出てくるんじゃないかというふうに考えますが、この点、どのように整理をされるでしょうか。大臣の認識をお願いします。
○斉藤(鉄)国務大臣 タクシー特措法に基づく特定地域、準特定地域の指定につきましては、タクシー運転者が十分にいることを前提に、タクシー車両数が供給過剰状態にあるか否かという観点で、客観的な指標に基づいて行っております。
委員御指摘のとおり、現在、タクシー特措法の指定地域においても、地域や時間帯によってはタクシー不足が生じております。このタクシーの供給不足は、タクシー運転者の不足により生じているものでございます。具体的には、特定地域、準特定地域においては、タクシー事業者が保有するタクシー車両は供給過剰又はそのおそれがある状態にあるものの、タクシー運転者の不足によって実際には稼働していない車両が多数あるために、利用者の立場からはタクシーがつかまらないという状態が発生しております。
したがいまして、タクシー特措法による措置と自家用車活用事業の実施が矛盾するものではございませんが、国土交通省としては、コロナ禍で急減したタクシー運転者の回復にしっかりと取り組み、地域の皆さんがタクシー不足により移動で困ることのないよう対応してまいりたいと思います。
○城井委員 この度のタクシー特措法に基づく国会報告によりますと、日車月収は上がっているとの報告結果でした。しかし、現実は深刻なタクシー運転手不足、先ほど大臣からもおっしゃっていただいたとおり、タクシー車両も余る状況です。
コロナの出口を模索する昨今、移動する方が増え、数が限られる営業中のタクシーにお客さんが集中した結果、日車月収を押し上げることになっているのではないか。全産業平均と比べても、いまだに厳しいタクシー運転手の処遇改善の必要性は、今回の報告を踏まえてもなお必要だし、最優先課題だという認識でよいか、今後の具体的な処遇改善策も含めて大臣からお答えください。
○斉藤(鉄)国務大臣 まさに過去の教訓からの御質問かと思います。
タクシーの供給過剰による収益基盤の悪化や運転者の労働条件の悪化等の問題が生じて、タクシーが地域公共交通として機能を十分に発揮することが困難な状況となり、これを解消することを目的として、平成二十一年にタクシー特措法が制定されました。こうした経緯も踏まえ、タクシー運転者の労働条件や処遇は大変重要だと認識しております。
委員御指摘のとおり、一日当たりの上がり、日車営収の改善が認められる一方で、新型コロナウイルス感染症の影響を受け輸送需要が減少し、タクシー運転者の年間賃金は全産業平均に比して低水準にとどまっている状況が継続しております。タクシー運転者の労働環境が十分に改善したと評価することは、まだ困難な状況にあると認識しております。
このため、運賃改定を通じた労働環境の改善や、配車アプリなどデジタル技術の活用を通じた多様なニーズへの対応を推進して、タクシー運転者の労働条件や処遇の改善にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○城井委員 待遇改善が必要なのは、先ほどのタクシー運転手だけではないというふうに思っています。公共交通機関であるバスや、物流を担うトラック運転手など、人手不足と言われるエッセンシャルワーカーの待遇を改善すべきというふうに考えますが、残念ながらお時間が参るということでありますので、この辺りで今日は質問を終わりたいというふうに思います。また、続きの質問は、次回以降させていただければと思います。よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、神津たけし君。
○神津委員 立憲民主党の神津たけしです。斉藤大臣、よろしくお願いいたします。
私から、今日は、新しい資本主義で目玉政策としてうたわれていた賃上げ企業優遇調達制度についてまずは伺いたいと思っております。
この賃上げ企業優遇調達制度なんですが、一定以上の賃上げを図った企業に対して、総合評価方式の調達で、価格外の評価点を五%から一〇%引き上げることとなっております。
国交省が総合評価落札方式において入札を行った案件総数と入札に参加した企業数、そのうち、賃上げ企業優遇調達制度を利用して入札した案件数と企業数はどのくらいあったのかを教えてください。
○寺田政府参考人 お尋ねのありました入札件数についてでございますが、令和四年度に国土交通省が総合評価落札方式によって入札を行った案件の総数は約一万六千六百件、入札に参加をした企業等の数は延べで約七万六千六百者となってございます。
そのうち、賃上げ表明企業への加点措置、評価に当たって点数を加える措置でございますが、この加点措置を適用した件数は約一万三千六百件、入札に参加した者の数は延べで約六万九千五百者、七万者近くとなってございます。このうち、賃上げ表明をして加点措置を受けた者の数は延べ約六万三百者となってございます。
○神津委員 ありがとうございます。
総合評価方式の入札評価において、賃上げのポイントが入札評価を左右した件数と企業数はどのくらいあるのでしょうか。
○寺田政府参考人 賃上げ表明企業への加点措置を適用した案件約一万三千六百件のうち、賃上げ表明で加点を受けたことによって落札者となった入札の件数は二百件強となってございます。
この二百件強の入札につきまして、入札に参加した者の数は延べ約千五百者、このうち、賃上げ表明をして加点措置を受けた者の数は延べで約千者となっております。
○神津委員 客観的に見ると、賃上げを行うことができた企業は一万三千件の入札で有利になった。そして、二百件の入札については、賃上げができなかったばかりに入札で負けてしまったというようなことがあったのかというふうに思っております。この制度を続けていくと、体力のない企業が淘汰されてしまいかねないというような制度だというふうに私は思っています。
そこで、大臣にお伺いしたいんですが、賃上げを行う体力のある企業ばかりが入札で有利にならないように、財務省に対して、この入札の制度、意見を申し述べていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 この制度は、まさに政府全体で行っている制度でございます。賃上げ環境を整えようということでございます。
今、神津委員からありましたような御意見も、私も現場を歩いて、いろいろな企業から聞いておりますけれども、一つは、先ほどの官房長から答えたことにありますように、応募者七万者のうち六万者がこの加点措置を受けていた、それだけ賃上げに努力している企業は多いということで、私も数字を見て改めて感じたところでございますが、これまで大きな、ある意味で賃上げ環境を整えるという効果があったかと思います。
これを今後どうするかということは政府全体でよく考えていきたいと思いますし、財務省とも相談していきたいと思います。
○神津委員 ありがとうございます。
三千件の入札でやはり不利になってしまったという状況も是非考慮に入れていただいて、賃上げを図った企業が非常に多かったということは私も好ましいことだと思っているんですが、賃上げを行うことができなかった企業に対しても是非配慮をお願いしたいと思います。
では、次の質問に移りたいと思います。
先日、四月二十二日のデジタル行財政改革会議にて、岸田総理が以下のように発言されました。タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業に係る法制度について、六月に向けた議論において論点整理を行い、五月中に規制改革推進会議に報告をしてくださいというふうに述べられました。
私、ライドシェアを導入する上で重要だと思っているのが、消費者の利便性の向上と、それから安全面をとにかく重視して、両立させていくということが重要だというふうに思っております。
今の制度なんですが、自家用車活用事業、これが日本版のライドシェアというふうに呼ばれて、四月から始まったばかりで、まだ全く落ち着いていないような状況だというふうに私は思っております。
岸田総理がおっしゃられたのが、乗車回数が既に三千件あるから統計的なデータとしては十分だというふうに考えているようなんですが、三千件というのは、大体一人のドライバーが年間で乗せるぐらいの件数なんですよ。タクシードライバーは、私もタクシードライバーをやっていましたけれども、一回の勤務で三十回ぐらいお客さんを乗せたりするというところがありますけれども、それを一か月、大体十・五勤やるんですけれども、三十掛ける十で三百件、それを年間で考えると、大体三千六百件ぐらいは私も毎年乗せていたような計算になるんですね。
それを考えると、この三千件というのは、余りにも、まだまだ大きくない統計データだというふうに思っております。少ないサンプル数だというふうに思っております。そんな中、新たな制度について六月からまた議論すること自体が拙速過ぎるというふうに思っております。
そこで、国交省に伺いたいんですが、岸田総理が指示されたライドシェア事業に係る法制度についての論点整理について、これはどういった指示の詳細があったのか、教えていただけますでしょうか。
○鶴田政府参考人 先ほど御指摘がありましたように、一昨日、四月二十二日のデジタル行財政改革会議において、岸田総理から御指示がありました。その内容は、データを検証して地域の移動の足不足解消の状況を確認し、制度改善を不断に行ってください、あわせて、タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業に係る法制度について、六月に向けた議論において論点整理を行い、五月中に規制改革推進会議に報告してくださいという内容でございます。
これ以外の詳細な御指示は受けておりません。
○神津委員 今の指示があったというところ、ちょっと詳細は余りないようなところであると思うんですが、恐らく、総理から指示があったので、論点を出さざるを得ないという状況に今追い込まれてしまっているのかというふうに思っております。
この論点なんですけれども、どういった内容を出そうと思っていらっしゃるか、伺えますでしょうか。
○鶴田政府参考人 先ほど申し上げましたように、一昨日御指示を受けたところでございますので、どういった論点を提起していくのかということも含めて、今後検討してまいりたいと考えております。
○神津委員 ありがとうございます。
私が思うところでは、論点整理をする際には、是非とも諸外国での事例というのを含めた上で提出をしていただきたいなというふうに思っております。
例えば、ライドシェア事業をやった諸外国では、最低時給を下回っているような国が非常に多くあるというところとか、それから、マッチングを行う事業者が、最初は安く手数料というものを設定していたものが、いつの間にか、少しずつ、徐々に値段を上げていって、結果的に営業収入が上がらなくなってきたところ、それから、人口が少ない地域では営業収入が立たずに撤退してしまっているところ、やはりこれも、まさに営利目的でやっているんだ、公共交通を支えるというよりは本当に営利目的でやっているんだ、こういうところ、それから、強姦などの犯罪が発生したというところとか、こういうところを、諸外国の事例というものをしっかりと踏まえた上で、論点整理というものを出していただきたいというふうに思っております。
大臣にお伺いしたいんですが、この総理からの指示に対する大臣のお考えと、それから対応について伺えますでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 総理から、論点整理せよという御指示をいただきました。その論点整理せよとおっしゃる前に、先ほども答弁にありましたように、データを検証して地域の移動の足不足の解消の状況を確認しということでございます。
しっかりデータを検証しなければ論点も出てこないということでございます。その十分なデータ検証が必要だと私は考えております。
○神津委員 ありがとうございます。
データ検証については、恐らく、ライドシェアはまだ始まって間もないので、きちんとできないというところがあるかもしれないので、タクシー事業者以外が行うライドシェア事業ではなくて、運行管理を置いた上でのライドシェア事業を選択したというところが、やはり、そこの背景となっているデータが恐らく重要なのかと思いますので、その点、是非、検証する際にはお願いしたいと思います。
次に、またデジタル行財政改革会議についてお伺いしますが、荷物を高速道路で自動運搬する自動物流道路の導入に向け、関係閣僚に、夏までに想定ルートの選定を進めるよう指示を出す方針を固めたと報道がありました。
この指示の詳細について、まず、伺えますでしょうか。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
自動物流道路につきましては、道路のネットワークの多機能化の観点から、昨年の十月に示された社会資本整備審議会の国土幹線道路部会、これの中間取りまとめにおきまして、新たな物流形態として、道路空間を活用した自動物流道路、これの構想が提言されたところでございます。
海外におきましては、例えばスイスでは、今後の貨物需要の増加、これを見据えまして、物流専用の空間において自動輸送カートを走行させる物流システムの構築が計画されていると承知をいたしております。
我が国においても、海外の事例を参考にしながら検討を進めるため、有識者などで構成する自動物流道路に関する検討会を今年の二月に設置いたしまして、物流事業者などから幅広く御意見を伺うとともに、物流動向を分析するなど、議論を行っているところでございます。
本年夏頃を目途に、想定ルートの選定を含め、中間取りまとめ、これを予定しております。引き続き、この自動物流道路のコンセプト、また、道路空間の利活用について検討を進めていきたいと考えております。
○神津委員 今、スイスの事例が出ましたけれども、スイスの場合には、五百キロメートルぐらいのトンネルを掘って行うという、本当に大きな大事業だというふうに思っております。
この自動物流道路なんですけれども、国会では、実は、まだ誰も質問していないというふうに国交省から伺ったんですね。ということは、私、ほぼ全ての国民理解がまだ追いついていないのではないかというふうに思っております。
そんな段階で夏頃までにはルート選定を行うというのは、いささか急ぎ過ぎではないかというふうに思っておりますが、もう少し慎重に検討すべきだと思っているんですが、大臣のお考えを伺えますでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 私も最初、二、三か月前に最初話を聞いたときには、びっくり、ああ、こんな考え方もあるんだなと思ったところでございます。だからこそ、慎重にということなんですけれども、逆に、すばらしいなとも思いました。
物流問題の解決にいわゆる自動運転というのは、非常に大きな柱でございます。その自動運転を実現する一つの大きな方法だなということを考えておりまして、ある意味では、しっかり、実現性があるのか、どういう課題があるのかを見て、実現できるところについてはこれを早く実現するというのは、私はある意味では必要なことかな、こういうふうに感じております。
○神津委員 十年以内というふうに話が出ていたんですが、私、本当に構想としてはすばらしいと思うんですけれども、これから、日本は老朽化しているインフラが多い中で、非常に大きな、莫大な公共事業のコストをかけていかなければならないというところを是非考慮に入れながらも、新しい取組を積極的にやっていただきたいと思いますけれども、そういうところも御検討いただければと思います。
次に、質問の四番に移らせていただきます。
先日の法案審議の際に、積載率の目標値について伺わせていただきました。本会議の答弁では、積載率目標値、二〇二五年までに四四%とされているものの、物流大綱の目標値では、トラックの積載率の目標値は五〇%というふうになっております。これはどっちが今正しいものとなっているのか、伺えますでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 今、神津委員がおっしゃるように、二一年に設定された大綱においては五〇%を目指すというふうに書いてございます。この進捗状況につきまして、二〇二三年夏のフォローアップ会合の時点で三八・五%にとどまっており、目標達成の見通しが立っていないというのが今の正直な状況でございます。
このような状況を踏まえ、今国会に提出している法案と予算面で、実効性のある措置を講じることを前提に、施行後三年間で、全トラック輸送のうち、まず五割の車両で積載率五〇%を目指し、全体の車両で積載率四四%を目指すこととした次第でございます。
国土交通省としましては、引き続き、関係省庁と連携して、積載率向上に向けて取り組むとともに、目標値の達成状況も含めて定期的にフォローアップを行い、その上で、次期大綱策定時には、目標値について改めて検討していきたいと考えております。
○神津委員 私は、本来であればやはり修正すべきものという、物流大綱の目標値五〇%から四四%に、本来であれば注釈などを入れて修正すべきものだというふうに思います。
ちょっと時間が余りないので、次の質問に行かせていただきますが、配付資料を今日は配らせていただいております。
まず一枚目のところで、物流の標準的運賃を引き上げていくというところが、恐らく、国土交通省も、私たち委員の間でも、皆さん重要だというふうに思っていらっしゃると私は思っております。
やはり、標準運賃を考える上では、この構成要素、人件費ですとか車両費、こうした構成要素というのが非常に重要だ、これを少しずつ引き上げていくというところがやはり重要だというふうに思っております。
これは前回、参考人の方に伺ったんですが、今回、大臣にちょっと理解が、余り私の説明がうまくなかったのか、大臣に理解が浸透していなかったというふうに思うので、大臣にお伺いしたいと思うんです。
二枚目のところをめくっていただきたいんですが、まず時給のところで、二千三百四十円から二千三百三十六円に落ちているんですね。標準的運賃を全体的に引き上げているというふうに言っているんですけれども、賃金を引き下げてしまっている。
これは、ただ、前回の答弁でおっしゃられていたのが、全体の業種での平均での賃金として二千三百四十円というのは、トラックの事業者の賃金よりも少し高いから、これを採用しているから、だから余り問題ないんだ、引き上げているから問題ないんだというふうにおっしゃられたと思うんですが、ただ、これを七掛けしているというふうにおっしゃられたと思うんですよね。結局、標準的運賃を七掛けするということは、これまで、トラックドライバーの方の賃金というのは、全業種平均の一割減と言われていたものが、三割減になってしまうんですね。だから、そうした意味では、ちょっとこの時給の、もう少し引上げというものとかを、やはり引上げ方というのは考えた方がいいんじゃないかなというところがあります。
それから、燃料のところ、軽油の単価のところで、全国一律リッター百円としていたものを百二十円としているんですね。これは、実は私の、例えば長野県とかは今百六十円するんですけれども、長野県は燃料費が高いので百六十円になっているんですけれども、そういう中では結構乖離してしまっているんですね。
それで、百二十円というのは、引き上げているように見えて、実は、トラックの事業者が受け取れる金額というものは下がってしまうんですね、百円から百二十円とここに記載することによって。
燃料サーチャージについては別であったと思うんですけれども、例えば、百円の場合に百六十円一銭だったときに、百円掛ける七割掛け、それプラス、燃料サーチャージの六十円分というのがあって、百三十円になるんです。それが百二十円の場合は、百二十円掛ける〇・七で、そこに四十円を足す、そうすると百二十四円になってしまって、実は下がってしまうんですよね、これは上がっているように見えて。
だから、ここは実は、もう少し、この記載の方法というものをやはり考えるべきじゃないかなと。引き上げているように見えて、実は引き上げていないというのが、この単価の計算のところだというふうに思っています。そういうところでは、ここをまずしっかりと引き上げていただきたいというところをお願いしたいと思います。
それから、四枚目のところをちょっと見ていただきたいんですが、荷役作業の対価の収受、適正運賃の収受による賃金の引上げ分というふうにあるんですが、今回は荷役の部分について追加で料金を足すので、実質七%の賃上げ効果があるんだというふうにあるんですが、これを全体で考えると、今、荷役の部分については、料金を実はもらえていないのは三六%の企業なんですよね。
なので、実は、全体に押し延べて平均で考えると七%の賃上げ効果があるというのですが、これは、もらっていなかった企業についてはそうなんですけれども、全体の平均で考えると二・五%分ぐらいの賃上げ効果しかないんですね。だから、今日、大臣がおっしゃられた、八%の標準的運賃の引上げによってドライバーの一〇%の賃上げが図られるというところの説明は、実はちょっと難しいんじゃないか、私は、余り整合性が取れないんじゃないかというふうに思っています。
それで、私が今回何を言いたいかというと、国交省の計算のところを、もうちょっとしっかりやるべきだというところと、あとは、今回の法案の附帯決議の中では、標準的運賃の見直しについては適時適切にやっていくというふうにおっしゃられたと思うんですよね。ただ、これはしばらく、実はこれまで燃料が上がっている経緯があったにもかかわらず、上がってこなかったというようなことがあります。そうした意味では、これから、何かしら、また料金が上がったところについては、しっかりと適時に見直しを図っていくというところと、もう少し頻度を上げてやっていただきたいというところと、次回の標準的運賃の見直しのときには、是非とも、こうした賃上げの部分についても、もう少し詳細に計算をした上で、引上げがちゃんと図られるんだというところをお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 今回の標準的運賃について、各項目にわたって、こういうところがちょっとおかしいのではないかという御意見については、しっかりお伺いをいたしました。その御意見も参考にしながら、次回の標準的運賃を策定するときにはきちんと説明できるように、今でもきちんと説明できるんですが、より分かりやすく説明できるようにしたい、このように思います。
○神津委員 よろしくお願いいたします。
次の質問に移らせていただきます。
今回、第十二条第一項と第二項、四月一日以降も、契約書に記載のない荷物の積卸しというのが、ドライバーが対価を支払われずにやらされているという現状があるというのを私はよく伺っております。
それで、この荷物の積卸しなんですが、荷役作業をドライバーに無償でやらせる行為、それから荷待ちを無償でやらせる行為というのは、独占禁止法の優越的地位の濫用に当たるのか、教えていただけますでしょうか。
○向井政府参考人 お答え申し上げます。
一般論で申し上げれば、取引上の地位が相手方に優越している荷主、その荷主が取引先の物流事業者に対しまして無償で荷役作業や荷待ち作業をさせる、このような行為によりまして物流事業者の利益を不当に害するというような場合には、独占禁止法上、問題につながるおそれがあるということでございます。
○神津委員 今の答弁を簡潔に言うと、恐らく、荷役作業を無償でやらせる、それから無償で待たせるという行為は、優越的地位の濫用に当たり得るということだったと思います。これはしっかりと周知をしていただきたいというふうにお願いいたします。
荷役等待ち時間の請求なんですが、今、標準的運賃の計算では、三十分置きと、非常に大きな単位になってしまっているんですね。待ち時間が四十分だった場合はどのような金額を請求するのか、教えてください。
○鶴田政府参考人 標準的運賃は、今御指摘ありましたように、荷待ち、荷役、共に三十分置きに加算されるというものでございます。
荷待ちにつきましては、初めの三十分が当初の運賃に含まれている。それで、荷待ち時間が三十分を超える場合に、その超える三十分までごとに加算をされる。なお、荷役については、最初から三十分までごとに加算されます。
今御質問ありました、仮に荷待ちが四十分だった場合は、これは六十分と同じ料金が請求されるということでございます。
○神津委員 三十分置きという単位は非常に大きな単位ではないかというところで、是非とも、もう少し細かく、十分単位とか、そういう単位で標準運賃を定めていただきたいというふうに思います。
次に伺いますが、厚生労働省のトラック運転手の労働時間削減に向けた改善ハンドブックには、「荷主が有料道路の利用を前提とした運送を依頼しながら、有料道路利用料金の支払いを拒む場合は、下請法・独占禁止法に違反する恐れがあります。」と記載されております。
しかし、現状では、トラック事業者やドライバー負担となっているような場合が、この四月一日以降もあるというふうに伺っております。どのように実効性を担保するのか、教えていただけますでしょうか。
○鶴田政府参考人 先日、当委員会で御審議いただきました法案におきまして、元請事業者等に対して、下請行為の適正化に係る努力義務を課すこととしております。その中には、実運送事業者が適正運賃を収受できるよう、荷主等と交渉を行うことも含まれております。
この適正運賃の一部として、荷主が依頼する運送のリードタイムが短くて、高速道路を使わざるを得ないような場合、この場合には高速道路料金も荷主に請求するということになります。
また、先ほど御指摘ありましたように、標準的運賃におきまして、有料道路を利用しない場合には運転が長時間化するということで、割増し料金も設定したところでございます。
これを前提としまして、荷主等が運賃、料金を不当に据え置く場合には、トラックGメンによる是正措置の対象となり、必要に応じて公正取引委員会等の関係省庁と連携することで、実効性を担保してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○神津委員 トラックのGメン、百六十二名の方が六万五千者を見るというのは非常に難しいのではないかというふうに思っております。できる限り高速道路の利用を促進して、短い時間で売上げを上げてもらうということをサポートすべきだと思いますので、この辺、是非御考慮いただければと思います。
残余の質問については、また次回、伺わせていただきます。
ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、白石洋一君。
○白石委員 白石洋一です。
斉藤大臣、よろしくお願いします。
まず、四月十七日に発災しました豊後水道の地震についてですけれども、被害は、死者が出ないということで、本当に不幸中の幸いでありましたが、懸念するのは、これが巨大地震と関連があるんじゃないかということなんですね。
それで、巨大地震との関連性については、今、政府である仕組みとしては、マグニチュード六・八以上の地震があった場合は、評価検討委員会、南海トラフ大地震との関連性を評価するというところに特化した委員会があって、それを開催するということになっています。
今回の豊後水道の地震はマグニチュード六・六ということで、ですから、先ほど申し上げた六・八と六・六、〇・二の違いでしかないわけですね。小さいことは小さい。でも、非常に、〇・二の差でしかないということであります。
ですから、念のためにこれは精査して、その評価を公表すべきではないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 四月十七日の地震と南海トラフ地震との関連性につきましては、地震の翌日に臨時に開催された政府の地震調査委員会におきまして、今回の地震活動により南海トラフ沿いの大規模地震の発生の可能性が非常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない、このように評価されたところでございます。
その上で、気象庁では、二十四時間体制で南海トラフ沿いの地震活動等を監視するとともに、有識者による南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会を毎月開催し、大規模地震発生の可能性の高まりを評価しております。
今回の地震に関しましては、五月九日の定例の評価検討会において、地震調査委員会の評価や、より詳細に解析されたデータを基に、しっかりと検討を行い、結果について直ちに公表してまいりたいと思います。毎月行われております。六・六ということでございますので、その毎月の委員会にかけるということでございます。
今、私、委員会の報告書を、平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていないと述べるところを、非常時と答えたようでございます。平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていないということでございます。済みません。
○白石委員 平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていないという、翌日に出された地震調査委員会、これは文科省の管轄で、日本全体の地震のことを見ている。私がお願いしているのは、南海トラフに特化した国交省さんの評価検討委員会、これを念のためにしてほしいということなんですけれども、それは、直後にはしていないけれども、五月の九日、毎月行っている、そこでしっかり見て、その結果は公表していただくという答弁、確認させていただきました。よろしくお願いします。
次の質問です。JR四国の将来についてですね。
このJR四国、もちろんこれは四国の公共交通の担い手の柱であります。しかし、その経営の見通しがなかなかつかないということが原因だと思うんですね。それで、自己都合退職者が増えているということなんです。
これから六年間でリタイアする年齢の方が多くなるのに対して、採用しないといけない。でも一方、自己都合退職者が非常に増えているということで、これはやはり、経営の見通しをちゃんとつけてあげないと、働いている人にとっても不安で、やはり別の道を選んでしまう、こういうことにつながっているんじゃないかと思うんです。
今走っている経営計画、そして、それの前提となる支援パッケージというのは、令和三年、二〇二一年からのものです。これが作られたのは、その前、コロナ前に議論して作られたわけですが、やはり、今、コロナ明けとはいえ、コロナ前と比べて八割の収入しか戻っていないということなんですね。その八割ということで、営業収益、営業損益、つまり、本業のところで状況が悪いというところになっています。
お願い、質問なんですけれども、政府としても、地域公共交通の担い手であるJR四国に対しての、経営安定資金であるとか、あるいは税制であるとかで、持続可能な、見通しのつく経営支援をしていただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 JR四国は、経営自立に向けて、長期経営ビジョンと中期経営計画を策定し、それらに基づく取組を進めているところでございます。
国においては、これらの取組を促進するため、令和三年に改正された国鉄債務等処理法などに基づきまして、鉄道・運輸機構の借入れによる経営安定基金の下支えや、実質的な基金の積み増し、それから省力化、省人化に資する設備投資に必要な資金の出資などの支援を行っているところでございます。
加えて、JR四国に対する固定資産税の軽減等の税制特例についても、継続して措置しております。
国土交通省としては、JR四国の経営自立化に向けて、引き続き必要な支援を行うとともに、適切に指導監督してまいりたいと思います。
○白石委員 今大臣がおっしゃった支援は、もう決まっているものですね。決まっているものにかかわらず、必要と見れば追加的に支援を、是非柔軟に検討して、支えていただきたいと思います。
そして、見通しがつかないということの原因の一つは、新幹線のこともあると思うんですね。
次の新幹線、四国に誘致するということで、いろんな誘致活動が行われております。この四国新幹線を質問の前に、この三年間の直近の新幹線整備の事業資金というのはどういう推移だったでしょうか。
○村田政府参考人 お答え申し上げます。
ここ三年間の整備新幹線の事業につきましては、まず、令和四年九月に、九州新幹線西九州ルート、武雄温泉―長崎間が開業し、また、先月、三月十六日には、北陸新幹線金沢―敦賀間が開業したところでありまして、現在、北海道新幹線新函館北斗―札幌間について工事を進めております。
これらの事業費と国費につきましては、令和四年度から令和六年度の予算におきまして、国費については毎年約八百四億円が計上されており、また、事業費については、令和四年度は二千四百億円、令和五年度は千九百四十億円、令和六年度は二千二百七十五億円が計上されております。
さらに、現在、北陸新幹線敦賀―新大阪間及び九州新幹線西九州ルートの新鳥栖―武雄温泉間については、議論、検討を行っているところでございます。
○白石委員 国費としては八百四億円で、そして、全体としては、これは地方負担とか貸付料の整備への充当というのがあると思うんですけれども、それらを加えたものでいうと二千億円で推移しているということだと思います。
それを四国の目で見ると、この調子でいって、先ほどおっしゃった北海道、北陸、九州が終わるのを待っていたら、社会の状況は相当変わっているんじゃないかということなんですね。それが完成するのを待っていられない。
次の整備新幹線路線を決めるのであれば、早く決めて、早く着工して、国費だとか事業費は、それは前倒しになるわけですから、この金額は増えると思いますけれども、そうでなければ意味がない。早く着工し、そして使えるようにしなければ、社会が変わってしまう、地域社会が変わってしまうということを懸念しているんですけれども、大臣、その点いかがでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 私も地方出身でございますので、そのお気持ち、白石議員の気持ちはよく理解できるところでございますが、四国における新幹線につきましては、四国新幹線及び四国横断新幹線が基本計画路線として位置づけられております。この基本計画路線は全国にございます。全国から御要望をいただいているほか、各地域において様々な調査が行われ、四国におかれても熱心な議論が行われている、そのように承知しております。最近では、四県知事の意見がまとまったというようなニュースも聞いているところでございます。
一方で、今後の新幹線整備につきましては、まずは、北海道新幹線、北陸新幹線、九州新幹線、まだ整備を進めているところでございます。各整備計画路線の計画の整備にめどを立てることをまず優先させていきたい、この方が優先すべき課題である、このように考えております。
国土交通省としても、幹線鉄道ネットワーク等に関して調査を行ってきており、全国の各地域から御要望をいただいている基本計画路線を含む幹線鉄道ネットワーク等の今後の方向性について、引き続き調査検討に取り組んでまいりたいと思います。
○白石委員 今やっている北海道の工事をやり上げて、北陸、九州のめどをつけてからと。このめどをつけてから、このめどのところの基準をもっと下げていただいて、せめてもう一、二年のうちに決めていただかないと、四国だけじゃない、ほかのところからも要望が出ている。BバイCもずんずん変わっていっていると思うんですね。ずれていっていると思います、多分、下の方に。
だから、社会が変わらないうちに見通しをつけて、そして、ここで生活していく将来像がイメージできるうちに決めて、着工していただきたいと、改めてお願い申し上げます。
次の質問です。
これは、JRのエレベーターの設置から端を発しているんですけれども、バリアフリー化です。
駅の乗り降りに階段を使わないといけないというところが全国にまだたくさんあると思いますけれども、それがやはり障害者の合理的配慮からして問題ですし、年配者が増えてきている地方にとっては、電車に乗りたくないということになりかねません。
そこで質問なんですけれども、このバリアフリー化のために、例えば、エレベーターじゃなくて駅の改良によって、スロープなどを使って、構内踏切も一つの解消手段としてあるんじゃないかと思うんですけれども、それに対する政府の支援も同時にやはりするべきだと思うんですけれども、政府、いかがでしょうか。
○村田政府参考人 お答え申し上げます。
鉄道駅のバリアフリー化でございますけれども、全ての人が安心、安全に鉄道を利用できるようにするために大変重要な施策でございます。
バリアフリー化の推進のため、国土交通省では、鉄道駅のバリアフリー施設の整備に対しまして補助を行っておりまして、補助率は事業費の最大三分の一が基本となっており、バリアフリー法に基づく基本構想を作成した市町村の鉄道駅に対しましては、最大二分の一まで拡充しているところでございます。
今先生御指摘の、地域の実情に合いましたバリアフリー対策、これは様々ございますので、こういったものについても現在支援の対象としておりまして、まずは地域の関係者間で協議をいただくことが重要と考えております。
国土交通省としても、その検討状況を踏まえつつ、必要な協力や助言を行っているところでございます。
○白石委員 ちょっと明確にしたいんですけれども、バリアフリー法で対象としている、すぐエレベーターというふうに結びついてしまっているんですけれども、私が申し上げた構内踏切も、先ほどおっしゃった、上限三分の一、基本構想があれば二分の一、この対象になるというふうに捉えていいんでしょうか。確認です。
○村田政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど、ちょっと不十分なお答えだったかもしれませんが、今先生御指摘の構内踏切、こういったものによる段差解消につきましても支援の対象ということで私ども取り組まさせていただいております。
○白石委員 承知しました。よろしくお願いします。
だんだん高齢者が増えてきて、でも、やはり電車に乗って遠くに行くということはありますので、そういった配慮、加えて障害者の社会活動にも資する形で駅というのを改良する支援をお願いしたいと思います。
次の質問です。海運についてです。
トラックの代替手段として、モーダルシフト、海運を活用する、あとはJR貨物も含まれますけれども、このモーダルシフトによって今後十年間で倍増をするんだという目標を政府は掲げていますし、そもそも、内航海運というのは、カボタージュ、つまり、自国船籍によって内航海運は賄うんだ、運航するんだという方針があります。
一方、それが不安視されるその一つは、内航船の船員不足です。この内航船の船員不足に対して、政府はどのような打ち手を持って実行されていますでしょうか。
○海谷政府参考人 委員御指摘のとおり、物流二〇二四年問題への対応といたしまして、内航海運にはモーダルシフトの受皿としての役割が期待されていると認識してございます。
国土交通省におきましては、令和三年に、海上運送法等の一部改正法、いわゆる海事産業強化法によりまして、より内航海運を入職しやすい職場にするという観点から、船員の働き方改革、あるいは、内航海運の生産性向上等を図る、こういった観点から、船員の労務管理の適正化、荷主への勧告、公表制度の創設、引継ぎや操練の時間を労働時間の上限規制の例外としないこととする等の措置を講じたところでございます。
最近十年間を見ますと、若年船員は、数、割合とも増えていまして、全体として内航船員の数も増加しているということではございます。
ただ、この船員の働き方改革等の影響もありまして、また、船員がより労働環境の整った事業者への就労を志向する、こういった傾向も相まちまして、個別には内航船員の不足感を感じている事業者も存在しているものと受け止めております。ただ、内航海運全体の輸送需要は全体としては現在のところ漸減傾向にありまして、現時点においては国内物流に大きな支障が生じる状況にあるとは認識しておりません。
しかしながら、今後、一層の生産年齢人口の減少が見込まれる中で、内航海運が、安定的な国内物流の確保のためにその機能を十分に発揮し、モーダルシフトの受皿としての役割を果たすためには、内航船員を確保するための対策にこれまで以上にしっかりと取り組んでいくことが重要であると考えておりまして、国土交通省といたしましては、独立行政法人海技教育機構などの船員養成機関におきまする安定的な内航海運の船員の養成の推進、それから内航海運事業者における船員の雇用、育成に対する支援、これは今までも講じておりますけれども、これを着実に実施していくことに加えまして、通信環境の改善、あるいは作業の効率化等の労働環境の改善、荷主との関係改善を通じた内航海運事業者における船員の雇用や労働環境改善の原資を確保するための対策、これらを一層進めること等を通じまして内航海運の船員の確保に取り組んでまいりたい、以上のように考えてございます。
○白石委員 局長、今のところは足りている、これからも着実にということですけれども、先ほど冒頭申し上げたように、モーダルシフトをこの十年間で倍増させるんですよね。それに足らないんじゃないかということを申し上げているんです。それを倍増させるんだったら、打ち手も相当力を入れないといけないというふうに思うんですね。
先ほどおっしゃった内航船員確保事業、これは年間三千七百万円ということなんですけれども、非常に少ないと思います。やはりここを充実させて働きやすい環境にするということと、あとは、やはり船員の資格を持って卒業する大学、専門学校への支援、授業料無償化、これは一般の大学以上に無償化、あるいはその生活費とか、そういったところも含めて支援していった方がいいんじゃないかなと。でなければ、十年間で倍増できないんじゃないかということを申し上げさせていただきます。
次の質問です。砂防堰堤ですね。
大雨が頻発していますから、そのときに土砂崩れを防ぐのが砂防堰堤です。砂防堰堤というのは、住民の人がなかなか見づらい。これが川だったら、堤防から見て、川底が上がっているなとか、草が生えている、ぼうぼうだ、木まであるぞということで通報しやすいんですけれども、砂防堰堤はやはり住宅地からちょっと山の方にあるから見づらいということで。でも、私も、住民の方からの相談があって行ったところは、砂防堰堤が満杯になっていたところがありました。
そこで、私は質問するんですけれども、政府の方でこの砂防堰堤をどのように管理しているのか、管理システムといったものは機能しているのか、確認させてください。
○廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省では、砂防堰堤の維持管理を効率的かつ計画的に行うため、「国土交通省河川砂防技術基準維持管理編(砂防編)」を策定し、定期点検等において砂防設備の堆砂状況の把握を行い、施設の機能を確保するために必要な場合は除石を行うこととしております。
また、堰堤の堆砂状況や施設の損傷状況などの点検で確認するべきポイントをまとめた、「砂防関係施設点検要領(案)」を策定し、都道府県に通知しております。この点検要領では、堆砂が進んでいる堰堤について、定期点検の頻度を上げて実施することを記載しております。これらを基に、管理者である都道府県が適切に施設管理を行っていると承知しております。
また、豪雨により多数の土砂災害が確認された場合には、その都度、土砂災害警戒情報が発令された都道府県などに臨時の点検を実施するように通知をしているところでございます。
今後とも、これらの取組を徹底してまいりたいと思います。
○白石委員 この定期点検と臨時点検があって、それでパトロールしてもらっているということなんですけれども、実際、この前の豊後水道地震でも点検していただきました。
私がお願いしたいのは、この点検のトリガー条項、トリガーとなるものを明らかにして、先ほど土砂災害警戒情報などというふうにおっしゃいましたけれども、もっと明確な累積雨量であるとかで、一定以上になったら必ず見るというふうにし、それのハードルを下げて、パトロールの頻度を上げていただいて、そして土砂災害を防ぐということを徹底していただきたいと思います。多分、この点検要領というのも昔作ったんだと思いますけれども、この大雨が頻発する時代に合わせて、その強化というのを図っていただきたいと思います。
次は、愛媛県なんかは、特殊土壌といって崩れやすい土砂で覆われているんですね。そういった地域、まだほかにもあります。主に西日本を中心にあるんですけれども、そういったところに対しての予算等の配慮というのはあるんでしょうか。
○廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。
特殊土壌地帯で砂防堰堤等を新設する場合には、後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律の対象となり、事業費に対する国の負担割合を引き上げているところでございます。
堰堤の除石については、管理者である都道府県が実施する際に、緊急浚渫推進事業債を活用することが可能です。また、大規模な自然災害が発生した場合には、緊急災害対策派遣隊、いわゆるTEC―FORCEが堰堤の臨時点検を行うなどの支援を行っているところでございます。
国土交通省としては、崩れやすい特殊土壌地帯を有する地域における堰堤の整備や管理にしっかり取り組んでいく必要があると認識しており、引き続き、各県に対して土砂災害を防止するための必要な支援を行ってまいりたいと思います。
○白石委員 造るときは特別扱いがあるということなんですけれども、特に私が心配している維持管理、満杯になったらちゃんと採石するというところについても特段の配慮、特殊土壌地帯については配慮を予算づけのときにしていただきたいと思います。これは制度になっていなくても、それは政府の方で毎年予算を策定するときにできるでしょうから、お願いしたいと思います。
次の質問は、老朽危険空き家です。
老朽危険空き家、廃屋が出て、どうしようもないときになってから相談する、慌てふためいて、どうしようかということになって、でも、そのときには、相続人がもう何十人にもなっていて、居場所も分からないし、彼らはやる気もないということで、ずっと放置されてしまっているということになって、じゃ、特定空き家に指定して、行政代執行をするかというと、なかなかそこまで踏み切れないというのが現実だと思います。
それで、除去に対して所有者が、これを除去しようと、意思と能力、意思と多少の資金負担ができるという人に対しては、積極的に除去、更地化を進めていくべきだと思うんですね。それに対しての国交省としての予算づけ、そして、もうキャンペーンにして、あらかじめ空き家を防ぐために除去、除却、更地化を進めましょうということを進めるべきだと思うんですけれども、政府はいかがでしょうか。最後の質問になります。
○長坂委員長 石坂住宅局長、答弁は簡潔に願います。
○石坂政府参考人 お答えいたします。
昨年改正されました空き家対策特別措置法のほかに、空き家対策総合支援事業、あるいは、税制によって空き家の除却等に対して支援を行っているところでございます。
こうした取組により、空き家の除却や修繕等の実績は、平成二十七年から令和五年三月までの累計で、十七万件となってございます。
税制、空き家対策特別措置法、支援事業、こうしたことを総合的に行うことによって、地方公共団体と協力しながら、引き続き、空き家所有者に対する除却等の取組を促してまいりたいと考えているところでございます。
○白石委員 予算増を是非お願いします。
終わります。
○長坂委員長 次に、漆間譲司君。
○漆間委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の漆間と申します。
まずは、密集市街地対策から質問させていただきます。
国は、地震等に著しく危険な密集市街地ということで、平成二十四年にこれを公表して、そういった地域がどこにあるかということも把握して、これを令和十二年までに解消しようということで対策を立てているところでありますが、一方で、今年の能登半島地震では、輪島市で大規模な火災が発生いたしました。新聞報道では、路地が狭く、燃えやすい建物が集まる木造密集地であり、地震で建物が壊れたことで更に燃えやすくなったと指摘もされているところです。
今回、輪島市は、この危険な密集市街地、地震等に著しく危険な密集市街地には実は含まれてはおりませんでした。こういったことを踏まえて、国は、地震等に著しく危険な密集市街地に限らず、輪島市のような密集市街地が全国にどの程度あるか把握しているか、また、解消に向けてどのような取組を行っているのか、お伺いいたします。
○石坂政府参考人 御指摘の点、著しく危険な密集市街地のみならず、その他の密集市街地についても対策をすべきという点で御質問いただきました。
まず、著しく危険な密集市街地でございますけれども、密集市街地の中でも、特に延焼危険性、避難困難性が高い地域、こうした地域では、最低限の安全性が確保されていない地域でございます。
こうした地域につきましては、平成二十三年時点で、全国で約六千ヘクタールありましたが、令和十二年度末までにおおむね解消するとの目標を定め、その整備改善に取り組んできたところであり、そうした危険な密集市街地は、令和五年度末時点で四千八十三ヘクタール減少し、残りが千六百六十二ヘクタールとなっているところでございます。
一方で、御指摘ございましたけれども、輪島のような、その他の密集市街地についても、地震や火災等の被害は想定されているところでございます。そうした地域についても、災害に強い市街地へと改善する必要がございます。そのため、危険密集市街地以外の密集市街地につきましても、住宅市街地総合整備事業により、多くの地方公共団体で整備改善に取り組んでいただいているところでございます。
具体的には、約二万ヘクタールほどの密集市街地で今事業を進めていただいているところでございます。
なお、輪島市の大規模火災につきましてでございますけれども、現在、火災に関する調査結果等を検証し、今後取り組むべき火災予防や防災まちづくり等の在り方に関する検討会を行っているところでございます。そこでの結果も踏まえまして、地方公共団体への注意喚起や整備改善を図る事業の促進を進めてまいりたいと考えているところでございます。
○漆間委員 今回の輪島市の火災においても、犠牲者も発生しておるということですので、今、危険でないところの密集市街地も二万ヘクタールあるということで把握しているということですので、是非、これも進捗を確認しながら、しっかりと対策を取っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
続きまして、危険な密集市街地についてなんですけれども、令和三年度末時点で、全体の四割以上が大阪府内に存在することが分かっております。平成二十四年に公表されたデータと見比べますと、この十二年で解消された地区もあるものの、依然として多くの地区で危険な密集市街地が残っております。一方で、愛知県では百ヘクタールを超える危険な密集市街地がこの十二年で全て解消されております。
危険な密集市街地の解消には地域によって差があり、現在の施策が効果的でない地域に危険な密集市街地が残り続けているのではないかと考えますが、現在、危険な密集市街地の解消に向け、どのような対策を行っているのか、また、このような地域において、危険な密集市街地が解消できていない要因やボトルネックとなっている点は何か、さらに、現在の施策を今後も続けることの妥当性について見解をお伺いいたします。
○石坂政府参考人 まず、危険な密集市街地が解消できていない要因といたしましては、狭小な敷地や接道していない敷地が多いこと、地権者の高齢化が進んでいること、借家、借地などの権利関係が複雑であること、結果として地権者の合意形成や建て替え意欲の醸成が進んでいないことなど、様々な点が挙げられているところでございます。
このため、延焼を抑制し避難路となる道路の整備、避難場所となる公園や空き地の整備、老朽建築物の除却や延焼防止性能の高い建築物への建て替え等を推進する必要がございます。
こうした取組は、地元住民の皆さんの理解を得ながら地道に少しずつでも進めていく必要がございます。このため、防災マップの作成や避難訓練の実施など、ソフト対策の支援につきましても、防災・安全交付金等により、地方公共団体の取組を支援してきたところでございます。
こうした取組を今後ともしっかりと進めてまいりたいと考えているところでございます。
○漆間委員 再質問なんですけれども、ちなみに、その理解を深めるためのソフト対策は令和何年頃から始まったんでしょうか、いつ頃から始まったんでしょうか。
○石坂政府参考人 お答えいたします。
ソフト対策の支援につきましては、令和四年度から対策として実施しているところでございます。
○漆間委員 令和四年度からということで、本当に直近で、近々で始まったということが理解できました。
先ほど御説明いただいた地道な対策と併せて、令和十二年度末にしっかりと解消していくためには、更なる財政的支援を含めた支援措置の強化が必要ではないかと考えますが、見解をお伺いいたします。
○石坂政府参考人 密集市街地の整備につきましては、密集市街地ごとに地区の状況は様々でございます。例えば、住宅の密集の度合い、空き家率、住んでいる方の高齢化率、借地借家人が多いかどうか、あるいは、長屋の木造の建物が多いかどうかとか、様々な状況がございます。こうした状況を、つぶさに、地区ごとにまずは整理する必要があると考えてございます。
こうしたことから、事業主体となる地方公共団体におきまして、きめ細かく国からもサポートできるように、具体的な取組内容あるいはスケジュールを見える化した地区カルテ、これを各地区ごとに作成していただきまして、国と地方公共団体と一体的な進捗管理を行うことや、取組状況や課題についての意見交換、こうしたものを実施しているところでございます。
引き続き、地域の実情に応じて、地方公共団体による密集市街地の整備改善、これを、住宅市街地総合整備事業等によりましてしっかりと支援してまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。
○漆間委員 自治体支援、是非よろしくお願いいたします。
続きまして、下水汚泥資源の肥料利用についてお伺いいたします。
政府は、食料安全保障の強化に向けた生産資材の国内代替転換などが重要課題であるとして、令和四年に改定された食料安全保障強化政策大綱では、二〇三〇年までに下水汚泥資源の肥料利用量を倍増し、肥料の使用量に占める国内資源の利用割合を、リンベースで四〇%まで拡大することとしております。
このような背景を踏まえ、国土交通省は、今後の発生汚泥の処理に関する基本的な考え方について通知を自治体に出しており、同通知では、「下水道管理者は今後、発生汚泥等の処理を行うに当たっては、肥料としての利用を最優先し、最大限の利用を行うこととする。」とされています。
これを受け、各地域において下水汚泥資源の肥料利用のための取組が行われており、例えば佐賀市では、下水汚泥資源を年間一千四百トン肥料化し、毎年完売となっているとの報道もございます。
一方で、市街化が進展し、農地が少ないなどの理由により、そもそも肥料の需要が多くない地域においては、流通経路を確保することが難しいケースも想定されます。
下水道事業は、使用料金を前提とした独立採算制を原則としておりますが、このような地域において肥料の在庫が大量に発生した際の管理コストは、下水道事業を圧迫するおそれがないのか、肥料の需要が多くない地域において、下水汚泥資源の肥料化を行った場合の収支の見込みについてお伺いしたいと思います。
あわせて、国土交通省などは、汚泥処理施設等の施設整備、計画策定、調査検討、そして肥料の利用拡大と、各段階に支援事業を設けておりますが、大綱の目標達成に向け、更なる下水汚泥資源の肥料利用を促進するためにも、下水汚泥資源の肥料化から流通経路の確保まで、一体型の支援パッケージが必要だと思います。その必要性について、見解をお伺いいたします。
○松原政府参考人 お答えいたします。
下水汚泥資源を肥料原料として活用することは、持続可能な食料システムの確立や資源循環型社会の構築の観点から有意義であると考えています。
事業の収支という点でございますが、下水汚泥の肥料化については、汚泥の適切な処理処分の一環として行われるものであり、肥料化する場合としない場合の費用を考慮しながら、肥料化に取り組む必要があると考えております。また、下水道事業者だけで肥料化を進めるのではなく、農業関係者などと連携した流通経路の確保と併せて検討を進める必要があると考えております。
事業の支援という点につきましては、肥料化の推進に向けて、国土交通省において、自治体が肥料化に取り組みやすくなるよう、下水汚泥の重金属、肥料成分の分析支援を行うとともに、肥料化施設のコスト低減等に資する技術開発などを進めております。
また、先ほど申し上げましたが、肥料利用の拡大には、流通経路の確保、これが極めて重要でございますので、下水道事業者における汚泥肥料の出口戦略の検討でありますとか、農業関係者の理解促進を図る案件形成の支援を実施しております。
あわせまして、農林水産省と連携をし、下水道事業者、肥料メーカー、農業従事者等から成るマッチングフォーラムを地方ブロック単位で開催するなど、関係構築を進めているところでございます。
引き続き、農林水産省と連携をし、下水汚泥資源の肥料利用拡大に向けて、しっかりと取組を進めてまいります。
○漆間委員 各段階の取組は本当にしっかりとやっていただいているとは思っておるんですけれども、自治体に、一貫して、一気通貫で支援できるような一体型パッケージでお願いしたいんですけれども、その一体型パッケージについての御検討はいかがでしょうか。再質問です。
○松原政府参考人 お答えいたします。
まず、今申し上げましたような案件形成の支援でありますとか、これが、計画段階におきます、まず、下水道管理者から最後の出口のところまで、これをまさに一気通貫で検討するための支援というふうに考えております。
今後、そのような案件が充実してきました際には、委員御指摘のようなことも含めまして、検討を深めさせていただければというふうに思います。
○漆間委員 日本全国で、農地が少なくて、ほぼ住宅地のようなところ、いわゆるベッドタウンのところはたくさんあると思いますので、是非、取組をよろしくお願いいたします。
続きまして、水道管路の耐震化事業に関わる交付金の要件についてお伺いいたします。
水道管路の耐震化事業に関わる交付金の要件には、大きく二つあると考えております。
一つが資本単価というものでして、資本単価とは、二十年の水道事業の整備費用である資本費を、二十年間の総有収水量で除して得た水一立方メートル当たりの費用の額を指しており、これは簡単に言うと、ちょっと認識を間違えていたら申し訳ないですが、どれだけ水道管の配管にお金をかけているかということだと思っております。
もう一個の交付金の要件として大きくあるものが、料金回収率というものがありまして、料金回収率とは、給水に係る費用などがどの程度給水収益で賄えているかを表す指標、これも簡単に言いますと、しっかり水道料金を取っているか、黒字かどうか、この二つがあると認識しております。
これらの採択要件について、資本単価については九十円・パー・立方メートル以上、そして、料金回収率は一〇〇%、しっかり黒字でやっていないといけないということがあるんですけれども、この二つのそれぞれの根拠と、多くの自治体からこれは要望が上がっているかと思いますが、資本単価や料金回収率のそれぞれの要件の撤廃や緩和することへの見解、以上、二点についてお伺いいたします。
○松原政府参考人 お答えいたします。
水道事業の経営に要する経費につきましては、水道料金収入により賄うことが原則であり、長期的な観点から収支の見通しを作成し、水道施設の計画的な整備や更新を行うことが重要と考えております。
その上で、地形や水源等の条件により施設整備費が割高となるなど、経営条件が厳しい水道事業者等を対象に、施設整備に要する費用について財政支援を行っているところでございまして、その支援に当たって経営状況を判断する指標として、資本単価や料金回収率等の要件を設けております。
国土交通省といたしましては、引き続き水道事業の円滑な実施が図られるよう取り組んでまいります。
○漆間委員 それぞれの要件の撤廃や緩和することへの見解についてはそんなに意見がなかったかと思うんですけれども、ここで料金回収率に関して言いますと、ここ近年はコロナや物価高の影響で一〇〇%を切っている自治体も多いと思うんですけれども、こちらは、政府は把握しておるんでしょうか。
○松原政府参考人 お答えいたします。
令和二年度以降、料金回収率が一〇〇%を下回った水道事業者があることについては把握をしております。なお、新型コロナウイルス感染症等による水道事業経営への悪影響を回避するため、令和四年度から六年度の事業については、令和元年度の料金回収率を適用することを可能としたところでございます。
○漆間委員 そういうコロナ対応ということで、その際には、近々においては、令和元年度の、コロナ前の数字を適用しているという対応も取っているというところであります。
この料金回収率は、毎年ごとの料金回収率を要件としているということで、自治体にとっては、コロナだったり災害だったり、急な物価高、資源価格の上昇で、こういうのが一〇〇パーを切ることも多いと予想されております。そういうことも結構あると思っております。
自治体がこれから水道管の耐震化を計画的に、長期的にやっていこうという中で、こういう毎年の要件がある、毎年の料金回収率があるというのは、かなり自治体にとって厳しい条件であると思いますが、こういったことも踏まえて、料金回収率の緩和だったり、例えば複数年度で見るとか、コロナのときに対応したように、そういったことについての見解はいかがでしょうか。
○松原政府参考人 お答えいたします。
国土交通省といたしましては、先ほど御答弁申し上げました水道事業に対する財政支援の趣旨を踏まえつつ、水道事業の持続的な経営を確保していくための対応について、引き続き検討してまいりたいと考えております。
○漆間委員 料金回収率についてはかなり厳しいということで、いろいろな自治体から要望があるかとも思いますので、是非、緩和に関しての御検討をよろしくお願いいたします。
ちょっと時間もなくなりましたので、質問の通告を何点か飛ばして、北陸新幹線についてお伺いしたいと思います。
北陸新幹線が新たに開通、三月の十六日に敦賀まで開通をいたしました。これは、東京から見ると、敦賀までは一本で行けるということで、ああ、よかった、万歳ということなんですけれども、一方で、中京圏だったり関西から見ると、今まで、福井や金沢は一本で、特急「サンダーバード」だったり「しらさぎ」で行けていたのが、敦賀で乗り換えてから行かなきゃならなくなった。
これに関して、かなり、私の地元は大阪なんですけれども、関西圏からは、福井だったり金沢が、乗換えと、あと料金増もある、その割には時間は三分ぐらいしか短縮しないとかで、どうなんだ、ちょっと金沢や福井が遠くなったみたいな意見があって、また「サンダーバード」だとか「しらさぎ」を復活してほしいみたいな意見もあるところなんです。
あと、それと併せて、乗り継ぎ、これが六分で乗り継ぎをしなければならないんですけれども、こういったものもすごく不便だということで、乗り継ぎだったり料金増、料金もちょっと上がるということで、そういったことへの今後の対応だったり特急の復活に関して国交省の見解を、これまで様々な議論があってなっていると思うんですけれども、見解をお願いいたします。
○長坂委員長 村田鉄道局長、答弁は簡潔に願います。
○村田政府参考人 お答え申し上げます。
今、たくさん質問をいただきましたので、簡潔に申し上げたいと思います。
まず、乗り継ぎの件でありますけれども、敦賀駅では、今御指摘のとおり、乗換えが必要となったということでありますけれども、可能な限り円滑な乗換えができるよう様々な対策は行っておりまして、具体的には、敦賀駅で新幹線ホームの直下に在来線特急のホームを設けまして、水平移動が不要となるような構造としております。
また、敦賀駅のコンコースにおきましても、駅員や警備員を配置する、あるいは、分かりやすい乗換動線を示す案内表示を設ける、こういったことで乗換えの利用者がスムーズに乗車できるような様々な取組を行っております。
また、料金設定につきましても、例えば、大阪や名古屋と北陸方面との間では、正規の運賃・料金と比較して低廉な割引価格による切符が販売されておりまして、一定の配慮がされているというふうに承知をしております。
また、時間短縮、あるいは在来線特急の話でございますが、乗換えを含めましても、今御指摘のように、所要時間は、例えば、金沢で二十分、富山では二十分から二十九分、こういったことになっておりまして、北陸地域内外の交流が一層活性化されるものと認識しております。
御指摘の在来線特急の件でございますが、北陸新幹線の整備に際しましては、並行在来線である北陸本線はJR西日本から第三セクター会社に既に経営移管されておりまして、御指摘の在来線特急の運行ということに関しましては様々な課題があるものと認識をしております。
○漆間委員 今、関西の方からではちょっと遠くなったという意見もあるので、実際それが結果となって出てしまった場合には、しっかり対策の方をよろしくお願いいたします。
以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、三木圭恵さん。
○三木委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の三木圭恵でございます。
今日は、発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
今日は、国道四十三号線についてお伺いしたいと思います。
国道四十三号線は、私が住んでいるところでは非常にメイン道路として有名なんですけれども、少し説明をさせていただきますと、大阪―神戸間の交通インフラの一翼を担う道路で、国道二号線と、これは電車なんですけれども、阪急の神戸本線、阪神の本線、JR西日本東海道本線などと並走する、東西に走る道路でございます。その上に阪神高速三号神戸線というのが高架で走っています。これは、阪神大震災のときに、阪神高速が倒壊いたしまして、テレビなどで非常に映像として流れて有名にはなったところではあります。起点は大阪市の西成区の花園北交差点から実走三十キロメートル、主な経由市は尼崎市、西宮市、芦屋市と続いて、神戸市で二号線へと合流する国道なんですね。三十キロメートルのうち十二キロメートルが兵庫県の範囲ということになります。
ここの国道が、資料の方の三ページ目を見ていただいたら分かると思うんですけれども、写真で私が撮ってまいりました。これは片側三車線、両側で六車線の非常にきれいな道路なんですけれども、これは質問通告で一番目に通告しているんですが、この道路が四十キロ制限なんですね。この道路、四十キロ制限でありまして、覆面パトカーとか白バイとかネズミ取りなんかも非常に多いところなんです。
いろいろな背景がございまして、五十年以上前に公害があったりとか騒音対策があったりとかして、標識のところは四十キロと書いて、下に環境対策というふうにきっちり書かれているんですけれども、この環境対策で、通告で一番目をちょっと飛ばさせていただきまして、順番が変わってしまうんですけれども、国交省の方で、車線数を減らしたりとか、緑地帯を設けたりとか、最高裁の判決を受けて、住民起訴ですね、公害の起訴があって、平成七年に受忍限度を超えているというような判決があって、通行を止めるということは棄却されたけれども、やはり国としてきっちり公害対策をしていかなきゃいけないよということで、対策をされていると思うんですけれども、その対策についてお伺いしたいと思います。まず、国交省から。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
国道四十三号の騒音に係る道路構造による対策につきましては、尼崎市から神戸市の灘区までの約二十キロにつきまして、一部の橋梁部で凍結防止対策が必要な箇所を除きまして、平成九年から平成十五年にかけまして低騒音舗装の敷設工事を行っております。
また、昭和三十八年開通当初は十車線でありましたけれども、その後、阪神高速の神戸線の開通を踏まえまして、平成十年の三月からは六車線に車線を削減しまして、生み出された空間を利用いたしまして、沿道騒音の低減を図るために、植栽帯の整備、また遮音壁の設置等を行っているところでございます。
これらの対策を実施することによりまして、騒音の環境基準を下回り、沿道環境が改善されているということを確認をしているところでございます。
○三木委員 ありがとうございます。
非常に、私も、四十三号線沿いに住んでいたこともあって、昔からよくなじんでいる道路ではあるんですけれども、歩道もすごく広いし、緑地帯も設けられているし、遮音壁もあって、低騒音のアスファルト対応もしていただいているということで、非常に騒音対策や環境対策を万全に期してきたという道路でもあります。
資料の一番目、一枚目を見ていただきたいんですけれども、こちらは、環境省の方から飛びまして、国立環境研究所のホームページより引っ張ってきたものなんですけれども、済みません、私、地元なので余り詳しく書いていないんですけれども、一番下の線が四十三号線になります。それで、一番目のところの赤くなってきているところからが二号線に合流しているところなんですね。ですから、四十三号線、上が夜間、下が昼間の環境基準ということで、見ていただくと、ほとんど、八〇%以上環境対策できていますよということで。
二ページ目が騒音の方になりますけれども、騒音もほとんどない。一番下の線の方に黄色の丸とか青い丸とかがありますけれども、これをずっと拡大していくと四十三号線から少し外れた道路で騒音が起きているんですね。
ですから、四十三号線、ほとんど騒音も起きていないということになるんですけれども、今の国交省の御答弁の中でも、様々な対策をしていただいた成果がこのように表れていると思いますが、警察庁の方にお伺いしますけれども、最高速度というのは見直しを図られていると思うんですけれども、四十三号線の最高速度の見直しについてはいかがでしょうか。
○小林政府参考人 お答えいたします。
最高速度規制につきましては、交通の安全と円滑を図り、道路交通に起因する障害を防止するために実施されるものでありますが、同時に、交通実態等を的確に反映し、国民に守られる合理的なものでなければならないと認識しております。
警察庁におきましては、これまでも最高速度規制について点検し、見直しを行うよう各都道府県警察に対し指示をしてきたところであります。
平成二十三年には、片側二車線以上の道路で五十キロ以下の最高速度規制を行っているものについて、御指摘の国道四十三号線も含め、見直し対象としたところでありますが、国道四十三号線が大型車の流入が多いなどの実態を踏まえ、環境対策等の観点から、引き続き四十キロ規制を維持したものと承知しております。
その後、最高速度規制の見直しが行われておりますけれども、国道四十三号線については、引き続き、時速四十キロ規制の変更はなされていないところであります。
○三木委員 トラックの交通量が多いということなんですけれども、その後に、環境対策を取られて、いろいろ様々なことをされている後に、阪神高速五号湾岸線というのができているんですね。そちらの方にトラックなどはなるべく行くようにという表示も、四十三号線のところに出ていたりとかいたします。交通の量も、新しくもう一本南の方に東西に走る湾岸線ができることによって、交通量も少なくなっているはずですし、先ほど申しましたように、環境面、環境基準もクリアしている、騒音もクリアしている。
それと、二号線に比べてどうなのかということを私もちょっと調べさせていただきました。警察庁の方からも資料をいただいております。事故数も、国道四十三号線は、令和三年で、三百六件、国道二号線は千二百五十四件、令和四年で、国道四十三号線は三百二件、国道二号線は千三百二件、令和五年で、国道四十三号線は二百七十三件、国道二号線は千百五十件。
国道二号線は二車線で五十キロ制限なんです。このように、四十三号線がいつまでも四十キロ制限でいくということが、果たして本当に、交通で車を運転している人の利益であるとか周りの住民の方の御意見なのかというと、私はそうじゃないというふうに思っているんですね。
実際に、覆面や白バイなんかが非常に多いんです、四十三号線は。ちょっと油断すると捕まってしまうんですね。皆さん、車を運転されていたら分かると思うんですけれども、四十キロから超えないように車を運転するって、非常に難しいんです。
三ページ目を見ていただいたら分かると思うんですけれども、私、これは撮影してきました。私は住民としてここに住んでいるんですけれども、これは高架になっているんですね。阪神甲子園球場があって、甲子園球場に行く人たちのために四十三号線が高架化になっています。坂の頂点のところで左手に大きく阪神甲子園球場と見えてくるんですね。阪神タイガースの選手の横断幕であるとかいろいろなものがあって、その頂上で、これは阪神甲子園球場やんとかといって周りの方が見たら、ブレーキを踏むのを忘れて、この下り坂のところで白バイとか覆面とかに捕まってしまうという事案が、私も何度も目にしてきているんですね。
また、名神高速から坂道で下りると、勢いよく四十三号線に入ると、他府県から来られた方は、四十キロ制限なんて、こんな立派な道路が四十キロ制限と分かりませんから、そこでもかなりの数の人が捕まっているんですね。
だから、こういうことは非常に、私が今日ここにこういう質問をさせていただいているというのは、ネットとかにもいろいろ書かれておりまして、覆面パトはここ数年では白色二台、銀一台のT社の高級車三台を同時運用している。あちこちに覆面の方がいる。白バイもいる。平日はもちろんのこと、日祝日となるとほぼ例外なく出動している。三台同時で出動して、終日取締りを行うこともあり、停車場所が少ないため流出口などで二台同時に取締りを受けている光景を目にすることもある。一度でも捕まったことのあるトラウマ持ちのドライバーは、バックミラーに注意しながら左側レーンを五十キロから六十キロで忍耐強く走る習慣が身についており、何も知らずに右側レーンを疾走する車や既に捕まっている車を哀れみのまなざしで見送ることが一種の快感と化していると書いてあるんですね。
確かに、私も本当に、捕まっている方が法令違反をしているということなんですけれども、日曜日や祝日なんかで御家族でどこかお出かけしようかなというようなファミリーカーが日曜日の午前中なんかに捕まっているのを見ると、本当に気の毒だなというふうに思うんです。
四十三号線の四十キロの標識の下に環境対策と明記されているんですけれども、環境面は、先ほどお伝えしたとおり、ほぼクリアされています。事故数も圧倒的に五十キロ制限の国道二号線の方が多いですし、国道二号線と四十三号線は並行に走っている阪神間の国道であって、四十三号線との比較対照とされることが多いんですけれども、二号線ではほとんど白バイとか覆面とか見たことがないんですよ。ネズミ取りもしていません。
ですので、私、こういう言い方をしたら失礼なんですけれども、警察の方が捕まえやすいから四十キロ制限のままにしているんちゃうかなというふうに邪推をしてしまうわけでございます。
こういったことがありますので、是非とも、四十三号線を四十キロ制限を外していただいて五十キロにしていただいて、阪神高速の三号も、六十キロ制限なんですけれども、普通に八十キロ制限にしていただきたいなというふうに思っております。
二〇二四年問題で、国交省の方では、トラックの制限速度を九十キロに上げたりとかしておりますから、今見ても、阪神高速三号とか四十三号線は非常に渋滞をしています。これは制限速度の関係もあるんじゃないかと思います。
国交省の方では、先ほど申し上げましたとおり、非常に努力をしていただいておりますので、是非これを四十キロ制限から五十キロ制限に、阪神高速を六十キロから八十キロにということを、国交省、国交大臣の方から警察庁の方にも言っていただけないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 国道四十三号においては、これまでに、騒音や大気汚染物質の排出差止めなどの訴訟の和解条項に基づき設置された連絡会での議論等を踏まえ、道路管理者である国土交通省としても、関係機関と連携し、低騒音舗装や遮音壁の設置などの様々な騒音対策を行ってきたところでございます。低騒音舗装は、騒音のレベルと速度との関係というのも、ある一定の関係がある、このように思っております。
国道四十三号の速度規制につきましては、交通流の状況や沿道環境、交通事故の発生状況などを勘案して、警察において決定しているものと承知しておりますが、道路管理者としましては、過去の経緯を踏まえつつ、引き続き、関係機関と連携し、良好な沿道環境の維持に努めてまいりたいと思います。
○三木委員 ありがとうございます。
お答え、意見表明なんかはしづらいと思いますけれども、こういう状況があるということを是非とも御理解いただいて、警察庁の方によろしくお願いをいたします。
それで、国道四十三号線のスピード違反での検挙数、兵庫県で何件ぐらいあるのか、年間。また、何キロオーバーで検挙されているのか、最も多いスピード帯はどのスピード帯になっているのか、お伺いします。
○小林政府参考人 お答えいたします。
個別の路線別の速度違反の検挙件数や、その超過速度別の検挙件数については、警察庁では集計していないため、お答えができません。
○三木委員 冷たい御答弁、ありがとうございます。
時間が来ましたので、兵庫県警では把握していると思うので、ちゃんと実数を報告してほしいと思うんですね。やはり実数を把握しないと事故の分析もできませんし、今後、これが四十キロ制限を外すべきなのかどうなのかということもきっちりやらないといけないと思いますので、ちゃんと実数を報告してほしいと思うんですけれども、この場でなくても、後ほどで結構ですので、お願いできますでしょうか。
○長坂委員長 警察庁小林長官官房審議官、答弁は簡潔に願います。
○小林政府参考人 お答えいたします。
都道府県警察におきましても個別の路線ごとの集計はしておらないということを把握しております。ただ、今後どのような形ができるか、ちょっとそれは検討させていただきたいと思います。
いずれにしましても、国道四十三号線につきましては、地域住民の取締り要望とか交通事故の実態を踏まえて、速度違反の取締り重点路線に指定しておりまして、引き続き、安全、環境を守るために、警察としても力を尽くしてまいりたいと考えております。
○三木委員 質問時間が終了しましたので。
警察官も人の心を持っていらっしゃるので、大体二十キロオーバーまでに抑えて捕まえるんですよね。この広い快適な道路で六十キロはすぐに出てしまう速度です。覆面もそれぐらいのスピードで走っています、四十キロで走っていないです。だから、七十キロ出たら、三十キロオーバーで減点が六点で……
○長坂委員長 申合せの時間が経過をしておりますので、御協力願います。
○三木委員 六か月以下の懲役で、又は十万円以下の罰金になりますので、是非とも、是非ともここを見直していただきますようよろしくお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、高橋千鶴子さん。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
先ほども質疑がありましたけれども、二十二日のデジタル行財政改革会議において岸田総理から、タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業に関わる法制度について、論点整理を五月の規制改革会議に報告をと発言がありました。大臣はどのように受け止めたのか、伺います。
○斉藤(鉄)国務大臣 高橋委員御指摘のとおり、一昨日、デジタル行財政改革会議において岸田総理より、データを検証して、地域の移動の足不足解消の状況を確認し、制度改善を不断に行ってください、あわせて、タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業に係る法制度について、六月に向けた議論において論点整理を行い、五月中に規制改革推進会議に報告してくださいとの御指示があったところでございます。
総理の御指示を踏まえ、六月に向けた議論において、データを検証して、今、四月からいろいろな試み、二号、三号、いろいろの試みを行っております。このデータを検証して地域の移動の足不足解消の状況を確認し、そしてその上で、論点整理を丁寧に進めていきたいと思います。
○高橋(千)委員 質問は、どのように受け止めたのかということでありました。総理から指示されたので、やるしかないなということでよろしいんでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 総理からの指示でございます。岸田政権の閣僚として、その総理の指示に従い、論点整理を行いたいと思いますが、そのときの姿勢として、データを検証して、しっかり行っていきたい、このように思っております。
○高橋(千)委員 いささか残念だなと思っております。
四月から始まったばかりですから、来月までに論点整理を出せというのは余りに早いと一言おっしゃればよかったんじゃないでしょうかと思います。
四月から始まった自家用車活用事業、これは既に一万人以上のドライバーの応募があったという報道がありました。また、十五日までに都内で三千回の利用があったという報道もありました。内容について、分かっていることを御報告いただきたいと思います。
○鶴田政府参考人 既に事業を開始しております三地域、東京、神奈川、京都の合計で、四月二十一日現在ですけれども、許可事業者が九十者、稼働台数が千三十七回、運行回数が六千九十六回。ドライバー数は、これは四月十五日現在ですけれども、五百二十一人という実績でございます。
○高橋(千)委員 では、応募があったという報道はあったけれども、実際にドライバーとして採用というんでしょうかね、実働してもらったのはこの人数、五百二十一人だという理解でよろしいんでしょうか。
○鶴田政府参考人 実際に路上に出て走ったドライバーの数の延べ人数が五百二十一人ということでございます。
○高橋(千)委員 確認しました。
ちょっと、数だけ、最初報道された数字だけ見ると、そんなに応募があったのかというふうになってしまいますので、幾ら何でもちょっとあり得ないのかなというふうに思いました。
それで、今回、タクシー特措法に基づく報告を受けました。改めて確認したいんですが、特定地域というのは、タクシー事業が供給過剰であると認められる地域である。なので、新規参入、増車は禁止とされていると思います。また、この特定地域が二地域であるということ。それから、供給過剰のおそれがある地域として指定される準特定地域は、新規参入が許可制、増車も許可制となっておりますが、これに該当するのが百四十四地域とのことであります。
それで、特に準特定地域がほぼ減っておらず、車両数ベースでは全国の約八二%を占めるということなんですが、なぜなんでしょうか。
○鶴田政府参考人 特定地域と準特定地域におきましては、日車営収の改善が認められる一方で、今般の国会報告の対象期間、これは令和四年度末まで、つまり一年ほど前までの期間でございます。
この期間におきましては、新型コロナウイルスの影響を受けて輸送需要が減少していて、日車営収などの各種の指標を平成十三年度、これが基準でございます、この平成十三年度と比較すると、多くの地域で依然として低い水準となっている。こういったことから、指定地域が余り減少していない状況になっているというふうに認識してございます。
○高橋(千)委員 指定地域が減少しておらないというのは、それはですから、日車営収が余り改善していないという意味で今お答えになったと思うんですが、逆に言うと、供給過剰な状態にあると思うんですが、それでも減らないということだと思うんですが、それは、この今の理由だけでよろしいんですか。ほかに何かありますか。
○鶴田政府参考人 地域指定は、あらかじめ定めてある基準、各種指標に基づく基準で行っておりますので、その指標が、令和四年度末までの期間においては地域指定を解除する状況には至っていないということかと思います。
○高橋(千)委員 もう少し具体的におっしゃってくださればよいかなと思うんですが。
それで、ちょっと中身に入っていきますけれども、例えば需要喚起策として、配車アプリの導入促進とかキャッシュレス化など、取組を進めてきましたと報告があります。タブレットとか、もう大概のタクシーについておりますけれども、様々な機器の導入というのは大変運転手にとっても負担だと思います。
それで、二つの角度から、まず、いろいろな機械の維持経費というのは運転手に負担させないということで徹底できているのか。それから、いろいろな機械があり過ぎて、一定、年配の運転手にとっては、もう覚えられない、説明できない、あれもこれもやらなきゃいけなくてとても負担だということがあるわけですね。それに対する対策というのは取られているのか。二つ伺います。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
その前に、先ほどの地域指定の話につきましては御指摘のとおりで、日車営収がまだ基準に達するほど上がっていない、そのためにまだ地域指定が解除されていないということでございます。
それから、今の御質問に関しましては、タクシー事業に要する経費をドライバーに負担させるという慣行につきましては、タクシー特措法の改正の際の附帯決議におきまして、事業者は見直しに努めるということとされております。
これを踏まえまして、今二つ御指摘がありました、タブレット等の維持経費、それから研修の費用、こういったものも含めまして、タクシー事業に要する経費をドライバーに負担させている慣行がある場合には、国土交通省が行います監査など様々な機会を捉えまして、改善されるように働きかけをしておりまして、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 私、乗るたびにいろいろ聞きますので、そうすると、やはり、もちろん会社がちゃんとやっているよというところもあれば、そうでないところもありますので、現実は、そのように指導されていると言っても、そうなっているかというのを踏み込んで調べていただきたい、徹底していただきたいということを重ねてお話ししたいと思っております。
そこで、仙台市については、実は昨年十一月に本委員会で紹介をしまして、全国の主要都市の中でも規制緩和の影響が最も強く出た都市として紹介しました。どういうことかというと、規制緩和を行った平成十三年を一〇〇とすると、平成十八年は、実在車両数、延べで一四七、一〇〇に対して一四七、実働車両数は一三六ということで、全国の中で一番多い。明らかに過剰だったと思います。駅前を見ると一目で分かるわけなんですけれども。
それが現在、どのくらいになっているのかということと、なぜ今も、供給過剰のおそれありとして準特定地域に指定されている十都市ですかね、国交省はライドシェアの導入を認めているのか。二つ伺います。
○鶴田政府参考人 まず一点目でございますが、仙台市において、平成十三年を一〇〇としますと、令和四年度におきまして、実在車両数は一〇三、延べ実働車両数は七四となってございます。
それから二点目でございますけれども、タクシー特措法に基づく地域指定につきましては、タクシードライバーが十分にいるということを前提にしまして、そのタクシーの車両数が供給過剰状態にあるかどうかという観点で、指標に基づいて地域指定を行ってございます。
現在、この仙台を含めまして、タクシー特措法の指定地域におきましても、地域や時間帯によってはタクシー不足が生じております。これは、タクシー運転者、ドライバーの不足により生じているものでございます。
具体的には、指定地域におきましては、タクシー事業者が保有するタクシー車両、車両数は供給過剰又はそのおそれがある状態だ、しかし、タクシードライバーの不足によって実際には稼働していない車両が多数ある、こういったことで、利用者の立場からはタクシーがつかまらないという状態が発生してございます。
したがいまして、タクシー特措法による措置と自家用車活用事業の実施が矛盾するものではございませんけれども、国交省としましては、コロナ禍で急減したドライバーの回復にしっかりと取り組んで、地域の皆様がタクシー不足によって移動で困ることがないように対応してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 令和四年度で、先ほどの、平成十三年を一〇〇としたときに実働車両数が七四ということを今おっしゃって、当時私が紹介した平成十八年は一三六だったわけですから、本当に実働しているわけじゃないんだということがよく分かったと思うんですね。
同時に、適正車両数で見ますと、令和四年度で、千八百三十三に対して二千二百六十九、一二三%ということで、今、車両がまさに余っているというか、過剰なのはそのとおりなんじゃないのかな、ドライバー不足ということも大きな問題になっているなということが分かると思うんです。
それで、四月二日付の河北新報によれば、仙台市の郡和子市長は、移動手段確保のため導入した方がいいという状況には市内は至っていないと述べたといいます。ですから、見出しは「慎重」という表現になっておりますし、全国知事会の会長も、村井宮城県知事でありますが、国交省を訪ねて意見を交わしたと聞いております。やはり、なり手不足対策、地域の足確保のはずが、逆に地域経済を壊しかねないという懸念からではないかと思っております。
それで、GOアプリのドライバー募集の要項を見ますと、宮城県も今後の実施予定にもう既に入っております。それで、「一般のドライバーが自家用車を使って有償で他人を送迎する「日本型ライドシェア」が二〇二四年四月から始まるにあたり、タクシー事業者が新しい働き方として「ライドシェアドライバー」の募集を開始します。」その後です。「特別な資格は必要なく、普通自動車運転免許を取得して一年以上経過している、車の運転がお好きな方なら幅広くエントリー可能なお仕事です。」「タクシーが不足しているエリアや時間帯での運行となるので、非常に社会貢献性が高いお仕事となります。」と。
これは、本当にそんなに気軽に始められる仕事でしょうか。最初の、大臣が試乗したときの記事が一斉に載ったときに、社会貢献が高い仕事だと思ってやっていますという声もありました。もちろんそういう方もいらっしゃるでしょうし、あるいは、そもそも経験がある方も中にはいらっしゃいますので、いろいろな方がいるというのは分かるんです。だけれども、一年以上経過していれば十分ですよと、そんな簡単に言っていいのかということを本当に思わざるを得なかったんですね。やはり、ライドシェアといえども、一般のお客様を乗せるという緊張感があるのではないかと思うんです。
今年一月二日のJALと海保の事故があったとき、都内のタクシー事業者に一斉に招集がかかった。お客様が急に飛べなくなったとか、そういうので夜間に招集がかかったということを聞きました。大変でしたねと声をかけたときに、我々は公共交通だからと、返事がこう返ってきたんですね。やはり、そういう自覚と誇りを持って働いているタクシー運転手さんたちに思いを致す必要があるのではないか。そういう、気軽に始められますよということを言っていいのかということを重ねて言いたいなと思うんですが、大臣、一言ありましたら。
○斉藤(鉄)国務大臣 今回の自家用車活用事業の基本的な考え方は、タクシー不足の時間帯、そして地域に限って行うということでございます。そして、その大前提として、車やドライバーの安全性、事故が起こったときの責任、適切な労働条件でなくてはいけない。このことが日本の雇用を破壊するようなことがあっては絶対にいけない、このように思います。この三点を十分考慮した制度でなくてはならない、このように思っております。
○高橋(千)委員 やはり、最初ですから、そうなるんですよね。確かに、大臣がおっしゃることは、私は非常に大事だと思っているんです。だから、安全じゃなきゃいけない、適切じゃなきゃいけないとなって、じゃ、どこが違うのとなったら、むしろ、だったら今までの運転手さんに働いてもらう条件をちゃんとつくることが大事なんじゃないかとどうしても思うんですよ。
それで、今回の自家用車活用事業は、タクシー事業者が管理するんだけれども、二種免許を持たないドライバーが、今言ったように、一年しかたっていない人でもいいということになっているわけですよね。だけれども、運賃はタクシー運賃と同じだ。これはやはりどう考えてもおかしいんじゃないか、本来事業と違いが分からなくなると思いますが、いかがですか。
○鶴田政府参考人 今回始めました自家用車活用事業でございますけれども、これは先ほど大臣から申し上げた三点、これを大前提として、タクシーが不足する地域、時間帯等を特定して、その不足する分についてタクシー事業を補完するものとして行う、タクシー事業者の管理の下で運送サービスを提供するというものでございます。
具体的には、タクシー事業者が、自家用車活用事業のドライバー教育、運行管理、車両整備管理を実施します。また、利用者との契約におきましても、タクシー事業者が運送主体となる、すなわち、事故が起きたときの責任主体ともなります。同様に、今御指摘ありました運賃につきましても、タクシー運賃と同額にするという制度にしているところでございます。
○高橋(千)委員 鶴田局長、ワーキンググループの検討会に何度も出席されて説明をされて、御苦労されていると思うんですけれども、結局、ライドシェアを進める側の人しか参加していませんよね、悪いけれども。その方たちが、不足するところと言っているけれども、そのカウントの仕方が正しいのかと何度も局長に迫っているじゃありませんか。
例えば、アプリの配車率で見ていくといったときに、何回も何回も断られたのを一回とするのかとか、そういう細かいことを聞いて、もっと実態はニーズがあるはずだという議論になっていくわけですよ。そうすると、結局、不足している時間帯とかいったって、やはり、ああ、だったらもっと広げてほしいな、あるいはもっと稼ぎたいな、そういう議論になっていくわけですよ。だから今がすごく大事だということを重ねて指摘したいと思うんですね。お答えがあれば、次の質問と一緒に答えていただければと思います。
それで、さっきから言っている、車が余っているというので、タクシー会社の余剰の車を使うということもあるわけですよね。緑ナンバーは隠さないわけです。ライドシェアとここに掲げるということなんだけれども、それは流しはないですよ、ライドシェアは流しはないですけれども、でも、やはり区別がほとんどつかない状態になっていると思うんですが、そこをどのように区別するのか、お願いします。
○鶴田政府参考人 まず、先ほどの件に関しまして、本当に、真に不足する分に限ってやるというのが非常に重要という御指摘だと思います。そのことを肝に銘じて進めていきたいと思います。
それから、今御質問ありました、タクシー会社の遊休車両、遊休タクシー車両でございますけれども、今回の自家用車活用事業におきましても、この遊休車両の活用は可能としてございます。既に一部の事業用自動車、タクシー車両を活用して運行が実施されている場合もあるというふうに承知しております。
この区別ですけれども、これは、ナンバープレートはそのままでございますが、表示灯、いわゆるあんどん、それから、フロントガラスにあります、空車、実車、回送などを車外に表示する装置ですとか、それから、文字でタクシーと片仮名とかアルファベットで書いてある、こういったものは取り外したり、若しくは覆い隠すということでタクシー車両ではないというふうに、タクシー車両と区別するというふうにしてございます。
○高橋(千)委員 何とも悲しい話だと思うんですよね。緑ナンバーは隠さないけれども、あんどんを隠して、どう考えても見た目はタクシーなんだけれども、これはタクシーではありませんといって走るわけですよね。突き詰めていくと、やはりおかしいよね、ライドシェアそのものの解禁だよねという議論になっていかざるを得ないんじゃないかとどうしても思うんです。
それで、最初の質問に戻るんですが、五月に論点整理を出せというのは、やはり初めからライドシェア導入ありきだったと言われても仕方がないと私は思うんです。そういう意味で、大臣の確固とした、データをちゃんと見てとおっしゃっていましたけれども、姿勢が求められると思いますが、いかがでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 総理からの御指示は、一定の時期に結論を出すようにという御指示ではありません。論点整理をしろという御指示でございます。
今行っている二号、三号のいろいろな試み、自家用車活用事業もございますけれども、それらの検証をしっかりした上で、論点整理、しっかりしていきたいと思っております。
○高橋(千)委員 様々指摘させていただいたことも、しっかりと踏まえていただきたいと思います。また続きをやりたいと思います。
ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、櫛渕万里さん。
○櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。
本日は、ゴールデンウィークを前にして、インバウンドとオーバーツーリズム対策について質問いたします。
四月十七日に発表された訪日客数では、三月は、一月として初めて三百万人を超えました。去年三月と比べると、何と約一・七倍。コロナ前の二〇一九年三月と比べても約一一%も増え、インバウンドは既にコロナ前を超えています。
観光庁の集計で、今年一月から三月期の訪日外国人による消費額は一兆七千五百五億円、過去最高額を更新しました。一人当たりの消費額は約二十一万円。平均の宿泊日数が増えていることに加え、円安の影響は大きいと思います。
余りにも急激に増えているため、いわゆるオーバーツーリズム対策が各地で課題となっています。
オーバーツーリズム対策といえば、昨年、この国交委員会の海外調査の際には、長坂委員長にも御指導いただきながら、私も会派を代表して同行させていただきました。世界遺産であるクロアチア・ドブロブニク市の取組はとても先進的で、勉強になりました。
現市長が就任された二〇一七年まで、ドブロブニクは既にオーバーツーリズムの町として知られ、メディアからネガティブな印象を受けていたそうです。しかし、その後、主として持続可能な観光のための取組、これを過去六年進めたという話を聞きました。中でも印象的だったのは、問題は、観光客の数そのものではなく、訪問客の日程や行動計画であるということが分かったという点でした。ウェブやITを活用した分散化や、情報提供のシステムを駆使して観光の質をいかに高めていくのか、ここに注力をされていっていたということなんですね。
日本の場合でも、昨今の傾向として、訪問者が買物にお金を消費することに加えて、娯楽やサービス、つまり地域の文化や日常生活を観光資源と捉える人々が増えており、それが地域住民の生活空間との摩擦を引き起こすことが考えられるわけです。
また、今深刻なのが、外国人向け値段の設定で、多くの国民の物価、これが引き上げられてしまうことです。最近、ホテルが高い、レストランで食事ができない。ただでさえ物価高に賃金が追いつかないのに、更に格差が開いて苦しむのは日本の国民だとすると、これは本末転倒と言わねばなりません。
政府もさすがに、オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージを出しており、それに基づいて、三月二十六日には、持続可能な観光推進事業の一次公募結果が発表されました。先駆モデル地域として、東京では唯一、浅草のある台東区が選定され、隅田川を挟んで、スカイツリーのある墨田区にも大いに影響のある事業となります。
ここで掲げられている混雑を解消するための分散化や交通インフラの整備、マナー違反の対応や地域住民との協働、これはいずれもやらなければならない政策だと考えます。
まず、大臣、この事業について国がしっかりとバックアップするということを確約いただけませんでしょうか。観光庁の事前レクで聞いたところ、これは令和五年度の補正予算、これで手当てされているんですね。今年度の予算措置はないということなんです。せっかく現場がやる気になって事業を始めても、どの自治体も一回限りの単発の応援では不安だと思います。来年度の予算は財務大臣をねじ伏せてでも獲得するとお約束いただけませんか。いかがですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 国内外の観光需要の急速な回復に伴い、多くの観光地がにぎわいを取り戻す一方で、一部の地域や時間帯においては、混雑やマナー違反による地域住民の生活への影響や、旅行者の満足度の低下といった懸念が生じております。
こうした課題に対処するため、昨年十月の観光立国推進閣僚会議におきまして、オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージが決定されたところです。
これを受けて、令和五年度補正予算、オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業ということで、この補正予算において、住民の方々を含めた地域の関係者による協議に基づく計画の策定や、具体的な取組の実施を総合的に支援することとしており、先月二十六日には、先駆モデル地域として二十地域を採択したところです。
しっかりと予算を確保して、引き続き令和六年度以降もやれという今の御質問の趣旨でございますが、これはしっかり対応していきたいと思います。
まずは、令和五年度補正予算、しっかり対応してまいります。
○櫛渕委員 目指すのは、住んでよし、訪問してよし、こうした訪問者の満足度を上げながら、地域経済の発展と住民の生活環境を維持するための観光地マネジメント、そして人材育成だと思います。予算の見通しは重要ですから、是非、お願いいたします。
ところで、大臣、この事業の選定は、直接的に国交省ではなく、博報堂が行ったと聞いています。事実でしょうか。東京オリンピックの談合事件で警察から罰金二億円が求刑されている企業です。これは問題だと思うんです。事務局を選ぶプロセスや幾らで発注したかはまるで分かりません。先駆モデル地域で二十、一般型で五十一が選ばれていますが、まさか博報堂やその関連会社がこうした事業に関係していないか、確認したいと思いますが、いかがでしょうか。簡潔にお願いします。
○斉藤(鉄)国務大臣 この選定におきまして、博報堂、もちろん国土交通省として指定したわけですけれども、事業者としての博報堂と相談したことは事実でございます。
○櫛渕委員 申し上げたとおり、まるで、事務局の選定、そして事業者との関係、分かりませんので、これは是非、調査していただきたいと思います。国がこうした問題を起こした会社と取引しているだけでも国民は心配です。発注に至った経緯と、そして選定事業者などとの関係の有無を調査し、公開してください。
委員長、お取り計らいをお願いします。
○長坂委員長 理事会で協議いたします。
○櫛渕委員 お願いいたします。
さて、オーバーツーリズム対策について施策を行っていくことは、もちろん重要です。しかし、今日大臣と議論したいのは、もう少し基本的な政策なんですね。それは、日本は何のために外国人観光客を積極的に呼び込むのか。国は、観光客ばかりを見て、受入れ体制を考えていないのではないかという点なんです。
政府はなぜインバウンドに力を入れているのかがよく分かるのが、この図です。
パネル一を御覧ください。
定住人口一人当たりの年間消費額百三十万円は、旅行者の消費に換算すると、外国人旅行者八人分、国内旅行者二十三人分、日帰りの七十五人分に当たるとあり、要は、人口が減るから何とかしなければいけない、そうだ、外国人旅行者を八人増やせば人口一人の減少分を補えるはずだという、何とも情けないそろばん勘定的な発想に見えるんですね。
去年の第四次観光立国推進計画でも、観光は成長戦略の柱、地域活性化の切り札と書かれています。日本に外国から旅行者が来ることは、それ自体よいことだと思います。しかし、国の政策の柱とか切り札とかと位置づけるのは、さすがに違うんじゃないでしょうか。
総理は、今年の施政方針演説で、二〇三〇年に訪日客六千万人、消費額十五兆円を目指しますと言いました。二〇二三年は二千五百万人、五・三兆円ですから、一年ごとに五百万人、一・四兆円ずつ増やしていくことになるんですね。
この十五兆円の目標、極めて大きな額です。日本の主力産業は、今自動車ですが、去年の乗用車の輸出額が十五兆円であることを考えると、いかに壮大な計画であるかが分かります。
十五兆円になる観光というのは、その資源と能力について、どんな調査と根拠に基づいているんでしょうか。自動車産業は、国を挙げて、法律を作ったり、投資をしたり、人材育成に力を入れるなど、国も会社も社会も総動員で、長い時間の努力をかけて今に至っています。
訪問客というのは、そこに魅力があるから来るわけであり、一見さんでは終わらせず、今からあと五、六年で、三倍の規模の観光資源の魅力をどう広げ、受入れ体制をどうするのか、そういう問題です。
これほどのハイペースでインバウンドを受け入れるだけの力が本当にあるのか、そもそも、足下のインバウンドの急増でどのような影響が出ているのか。政府は、分析及び対応をしてきたから、この数字を掲げているのかということを確認していきたいと思います。
まず、観光に関わる産業と、そこで働く人々の実態です。
最初に、宿泊業を見ていきます。
資料一を御覧ください。
民間ゼロゼロ融資の返済状況を調べた中小企業庁の資料がこちらです。赤い文字を見ていただきたいんですね。「宿泊業については、据置期間中と条件変更の比率が高くなっている。」と特記事項がつくほど憂慮すべき深刻な状況となっていることが分かります。
これを受けて、宿泊業は、完済と借換の比率が最も低い。つまり、ゼロゼロ融資が残っている率が最も高いということになります。このゼロゼロ融資の返済開始の最後のピークは、ちょうど今月なんですよ。まさに、今この瞬間でも、宿泊業の方は、金融機関と厳しい交渉をしているはずです。
もう一つ重要なのは、資料二を見てください。
観光に関わる宿泊業と飲食業、借入れに依存する割合が、他の業種と比べて圧倒的に高く、依存度は九七・八%です。資本金一千万未満の事業者で、インボイスの影響も心配です。
ゼロゼロ融資の返済を乗り切ったとしても、積み上がった借金で首が回らない。しかも、日銀はこれから利上げをしていく予定ですから、状況はどんどん暗くなるばかりでしょう。
一方、賃金です。パネル二を御覧ください。
宿泊業は、業種として構造的に不景気が続いていることから、そこで働いている人の賃金もずっと低いまま。このデータもそうですが、コロナ以前から、全産業と比べて三割も低い。月十万円以上も賃金が低いんです。さらに、非正規雇用の比率が全産業より一七ポイントも高い。そこには女性と外国人が多いことは御存じのとおりです。
これからインバウンドが増えれば大丈夫、雇用環境も変わるから、そんな期待もあるかもしれませんが、甘いと思いますよ。
観光白書のデータを見ると、確かに、日本ほどひどくはないですが、アメリカでもスペインでも、労働分配率がやはり低い。海外はチップの文化がそれを補填していますけれども、日本はそれはありません。
また、インバウンドへの期待は、感染症など不測の事態で急激に落ち込むことがあるわけで、不安定過ぎて、国の政策の柱や切り札にはなり得ない。それがコロナの教訓ではないでしょうか。
また、冒頭で触れたように、苦しいのは働く人だけではありません。多くの国民です。
二〇二三年度の消費者物価指数によると、総合は前年度比で三・二%ですが、宿泊費は、何と二五・五%も上がっています。外国人観光客はそれでも泊まることができるかもしれませんが、実質賃金が二十三か月も落ち込んでいる日本人には、この値上がりはきつ過ぎます。
現実に、国内旅行を今後どうするのかを聞いた、日本旅行業協会の調べ。次、パネル三です。
旅行は増えないと答えた人の理由のトップが、宿泊料金の上昇、二番目が、生活にゆとりがないとなっているんですね。インバウンドが増えたのはよいことかもしれませんが、それによってホテル代が上がって、国内旅行の伸びを抑えつけている、そんな実態が見えてきます。
インバウンドは、現状、表の数字は上がっていたとしても、現場を支える宿泊業にとって、そして、そこで働く人々にとって、好循環をもたらしていないばかりか、料金が上がって日本に住む人々の国内旅行が伸びない、こう分析できると思います。
飲食業はどうなのか、見ていきます。
日本の食文化の象徴とも言えるおすし屋さんの状況はどうか。豊洲に行くと、インバウンド丼といって、一万八千円の海鮮丼があるそうなんです。でも、おすし屋さん全体で景気がいいかというと、全く逆。東京商工リサーチが二月に発表したデータだと、すし屋の倒産が増えて、コロナ禍以来の数字になっているとのこと。インバウンドの恩恵が受けられるところはいいですが、ネタや米、光熱費が上がって、普通のすし屋には大変な負担になっていることがうかがえます。
もう一つの国民食と言えるラーメン屋はどうなのか。一杯五千八百円のオマールエビラーメン、これはテレビで話題になって、私も見ました。さぞやもうかっているかと思えば、そうでもないんですね。そして、去年二〇二三年のラーメン屋の倒産は、何と過去十五年間で最多だそうです。すし屋と同じで、食材の高騰に音を上げているのが普通のラーメン屋さんの状況です。
飲食店全体で見ても、去年の倒産は七割増。飲食店は元々入れ替わりが激しい、そういう声もあるかもしれませんが、去年のデータで驚いたのは、開業三十年以上という老舗の飲食屋さん、その倒産が三分の一に達しているということなんです。
れいわ新選組は、積極財政で失われた三十年を取り戻すと訴えていますが、この間三十年で頑張り続けた飲食店、こうしたところが次々に倒産し始めている、これが今の実態です。
去年十月からはこれにインボイスが加わっていることも大変な影響です。同じく東京商工リサーチのインボイス制度に関するアンケートでは、免税事業者との取引を中止、縮小するとの回答は飲食店が二六%と業種別で最も高かったわけで、政府の間違った政策が追い打ちをかけていることは明白です。インボイスは廃止してください。
働いている人の賃金は、先ほどの宿泊業と同じく、飲食も全産業の中で一番低い。非正規が多く、やはり女性が多いのが特徴です。
以上、政府は、インバウンドの増加を目指し、自治体の仕組みづくりを支援するのはいいのですが、それを支える宿泊業や飲食業、そして、そこで働く人々はとても受入れ体制ができているとは言えないように思います。
大臣、お聞きします。この現実、どう御覧になりますか。
○斉藤(鉄)国務大臣 宿泊業を始めとする観光産業につきましては、コロナ禍により極めて大きな影響を受け、これに伴い、従来から指摘されていた収益性の低さ、賃金水準の低さ、人手不足といった構造的な課題が顕在化しているところでございます。
インバウンドを始め、今後更なる増加が見込まれる観光需要を着実に取り込み、観光による経済効果を全国各地に波及させる必要があります。そのためには、受皿となる観光産業が抱える構造的な課題を解消し、稼げる産業への変革に取り組むことが重要であると考えております。
このため、国土交通省としましては、観光地、観光産業の再生、高付加価値化事業や、各地域における特別なコンテンツの創出、外国人材の活用も含めた人材の採用活動支援や、業務の効率化や省力化に資する設備投資への支援等の総合的な人手不足対策に取り組んでおります。
これらの対策によりまして、観光地、観光産業の稼ぐ力の回復、強化を図り、収益力を高めることで従業員の待遇改善等を図る好循環を生み出す、このことを通じまして、人手不足の解消、さらには、観光産業が持続可能で稼げる産業へと変革していくことを目指してまいりたいと思います。
○櫛渕委員 大臣、これからに期待するというお話だったと思うんですけれども、残念ながら、問題は、コロナの前、インバウンドが増えた時期でさえ、ほとんどの期間が全産業を下回ってマイナスだという数字になっているんですね。ですから、楽観はできませんし、決して先行きは明るくないというつもりで取り組んでいただきたいと思います。
そして、これは今回、外国人旅行者が増えたことで、従来から存在した問題が顕在化したということだと思うんです。大臣も構造的な問題とおっしゃいましたけれども、三十年の経済成長をしないこの経済状況、パネル四を御覧ください。
三十年も経済成長せずに賃金が下がっているのは、先進国で日本だけです。そこにコロナと物価高が押し寄せ、国民生活の三重苦を放置したまま、政府は更に増税と国民負担を求めています。一方、倒産の増加率は、過去三十年で昨年は最も高い。
パネル五を見てください。
税金や社会保険料を滞納したことによる倒産件数、去年は前の年と比べて一・五倍になっています。特にきついのが、何といっても消費税、国税庁のデータによると、滞納額のトップがずっと消費税なんです。令和四年度は法人税に比べて消費税は実に三・八倍も滞納が多い、その消費税の滞納は全体の五割を占めるんですね。現場の人々の状況がよくなるはずがないんです。
大臣、これでは、せっかくのインバウンド需要の現場がもちません。国民の六割が求めている消費税の減税、せめてこれを大臣から総理に提言していただけませんか。
○斉藤(鉄)国務大臣 消費税に関しては国土交通省所管ではございませんし、また、これまで大変な国民的議論を経て現在の制度がある、このように思います。
○櫛渕委員 このままいったら、宿泊業や飲食業だけではないんです。
例えば、浅草と上野の間にあるかっぱ橋道具街、調理器具店などが並んでいるエリアですけれども、買物袋を提げているのは外国人旅行客ばかりなんですね。日本製の包丁は特に評判だそうです。また、ノリ巻きや卵焼きに使う巻きす、御存じでしょうか、ありますよね。竹製の道具で、すだれを小さくしたようなものですけれども、これは伝統技術で作ったものと薄利多売品では全然違うんだそうです。
職人さんが言うそうです。日本人は見るだけ、百均に行けばそろっているし、お金もない、外国人旅行者に頼るしかないんだ。多くの日本人がいわゆる本物を求められる経済状況にないということを、職人さんやお店も分かっているというんですね。余りにも悲し過ぎませんか。
今は観光客で成り立っていますけれども、その技術は廃れていってしまいかねない、そうした危惧を感じます。中小・小規模事業者を支えて、人材を育て、大企業だけでなく全ての国民所得をまずはしっかり底上げしていくことが持続可能な観光の基本的な土台であると考えます。
大臣、これを御覧ください。パネル六です。
国連の世界観光機関が定義している持続可能な観光の考え方、一、二、三とあり、どれも大切なんですけれども、今求められているのは、産業も人も地域も追いつかない急激なインバウンドの拡大ではなく、持続可能な観光、サステーナブルツーリズムの特に三番目だと考えます。その土台となるのが、安定した雇用と収入の確保で、公平な経済を実現することです。
大臣、主幹産業となった自動車分野では、法律や税制、投資、人材育成、あらゆる政策的資源を動員して産業を育ててきました。一方、観光庁では、持続可能な観光推進モデル事業といいながら、令和五年度の予算は一億五千万円、これはオーバーツーリズム対策とは別ですね。国民当たり約一・二円の僅かな額でしかないんです。そして、何と今年度予算は一億円、これは減っているんですよ、去年から。サステーナブルは口だけで、数の拡大のみを最優先してしまえば、地域経済も、伝統文化も、環境、そして働く人々も、守ることができません。
最後に大臣に、国が責任を持って、この国に生きる人々に、公平で、障害のある人も楽しめる、ユニバーサルで、そして持続可能な観光を推進する決意をお聞かせください。簡潔にお願いします。
○斉藤(鉄)国務大臣 昨年三月に閣議決定した観光立国推進基本計画におきまして、三つの戦略の一つとして、観光振興が地域社会、経済に好循環を生む持続可能な観光地域づくり戦略に取り組むこととしております。
簡潔にということですので、今、これから具体的なことを言おうと思いましたが、省略しますけれども、この持続可能な観光地域づくりにしっかり取り組んでいって、観光はこれから特に、日本で今人口が減少している地方で大きな可能性を秘めております。この持続可能な観光地域づくりに取り組んでいきたいと思います。
○櫛渕委員 大臣、時間の御配慮ありがとうございます。
中央も地方も両方大事です。経済的利益で数字をよく見せるために働く人々が苦しむのでは、訪問客の消費額、これが五兆円だろうが十五兆円だろうが国民の生活はよくなりません。
私はかつて、仕事で世界八十か国ほど訪問してきましたけれども、先進国でも途上国でも、人間の生活こそが経済活動の礎であり、そして、それが文化や伝統であり、希少な観光資源だったんですね。そして、自然遺産を守るのも人間です。積極財政でそのような人材を育成し、自治体を支援し、観光の質を高めていくことがその観光地に住む人々の生活の質も上げていく、このような公平な経済を目指すということを是非政府のインバウンド対策には取り入れていただきたいということを強く申し上げ、私の質問といたします。
終わります。
○長坂委員長 次回は、来る五月八日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十分散会