衆議院

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第12号 令和6年5月10日(金曜日)

会議録本文へ
令和六年五月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 長坂 康正君

   理事 あかま二郎君 理事 泉田 裕彦君

   理事 小林 茂樹君 理事 武井 俊輔君

   理事 城井  崇君 理事 白石 洋一君

   理事 三木 圭恵君 理事 國重  徹君

      東  国幹君    石橋林太郎君

      上杉謙太郎君    尾崎 正直君

      大西 英男君    金子 俊平君

      菅家 一郎君    小島 敏文君

      小林 鷹之君    小森 卓郎君

      佐々木 紀君    櫻田 義孝君

      杉田 水脈君    田中 英之君

      高木  啓君    谷  公一君

      谷川 とむ君    土井  亨君

      中根 一幸君    中村 裕之君

      古川  康君    武藤 容治君

      吉田 真次君    石川 香織君

      枝野 幸男君    鎌田さゆり君

      小宮山泰子君    神津たけし君

      伴野  豊君    馬淵 澄夫君

      谷田川 元君    赤木 正幸君

      漆間 譲司君    高橋 英明君

      伊藤  渉君    日下 正喜君

      笠井  亮君    高橋千鶴子君

      古川 元久君    福島 伸享君

      櫛渕 万里君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      堂故  茂君

   国土交通大臣政務官    石橋林太郎君

   国土交通大臣政務官    尾崎 正直君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  天河 宏文君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石坂  聡君

   国土交通委員会専門員   國廣 勇人君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     東  国幹君

  高木  啓君     上杉謙太郎君

  古川  康君     杉田 水脈君

  谷田川 元君     鎌田さゆり君

  高橋千鶴子君     笠井  亮君

  たがや 亮君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     吉田 真次君

  上杉謙太郎君     高木  啓君

  杉田 水脈君     古川  康君

  鎌田さゆり君     谷田川 元君

  笠井  亮君     高橋千鶴子君

  櫛渕 万里君     たがや 亮君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田 真次君     小林 史明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 都市緑地法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)


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     ――――◇―――――

長坂委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、都市緑地法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省都市局長天河宏文君、道路局長丹羽克彦君及び住宅局長石坂聡君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大西英男君。

大西(英)委員 自民党の大西英男でございます。六年ぶりに質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 さあ、ここで思いのたけをお話しし、質問をしたいと思っておりましたら、与えられた時間は僅か十五分であります。これは議院内閣制ですから、内閣提出の閣法に対して与党の質問が少ないということについてはある程度理解できますけれども、余りにも我々与党側の発言の機会が少ないのではないか。是非、与野党の理事さんの御理解をいただきたいということを冒頭に申し上げます。

 さて、本題に入りたいと思います。

 我が国の、特に都市部における公園の率、あるいは緑というのが少ないというのは近来ずっと言われていることでありまして、国土交通省から提出をされました資料によりましても、世界主要都市の緑地の充実度、この中でも、我が東京は最低であります。また、日本の都市部は同じような傾向にあるわけでありまして、パリと比べて、これが一・一五倍、そして、ソウルと比べても一・三七倍になるわけでありますし、一番大きな差異は、ベルリンと比べても二・六倍と言っているんですけれども、国交省が示した資料は、緑地の充実度というやつなんですね。

 これは、いろいろな試算があるんだと思いますけれども、一方で、ダイレクトに分かりやすい資料に基づいていけば、例えば諸外国の都市における公園、人口一人当たり、どのぐらい違うのかということでいくと、ソウルとの差は二・五倍、一番公園が多いベルリンと比べると何と十八倍も差異があるわけですね。

 これ、充実度と一人当たりの公園面積、数字が極端に違っているわけですけれども、私どもは、ただ行政側の満足感を満たすために充実度ということでこだわることなく、思い切って、世界の主要都市と一人当たりの公園面積、はるかに、はるかに日本の都市は少ないということをしっかりと認識をしていかなければならないと御指摘を申し上げたいと思います。

 そこで、まず一番目にお伺いしたいことは、どうして、こうやって日本の都市の公園率、あるいは緑が少なくなっているのか、これのやはり総括をしていかなければならないと思っているわけでありまして、我が国の都市緑地面積、減少傾向にあることもまた事実であります。こうした問題についてどのようにお考えなのかをお聞かせいただきたいと思います。

天河政府参考人 お答えいたします。

 先生がおっしゃるとおりでございまして、都市緑地の代表である公園を見ますと、我が国における一人当たりの公園面積は、世界の代表都市に比べまして、とりわけ低くなっております。

 また、どうしてこういうことかということでございますが、緑地について申しますと、緑地が減少傾向にあるのは、やはり高度経済成長期等におきまして人口増加をいたしまして、開発に伴って緑地が住宅用地等に転化されたといったことに起因をしているのではないかというふうに考えてございます。

 国土交通省におきましては、これまでも、都市公園の充実に向けまして、民間の力を積極的に活用し、公園のリニューアルを図るPark―PFI制度の創設などに取り組んでまいりましたが、公的所有の土地を短期間で大幅に増加させることは、財政制約もありまして、なかなか難しいかなというふうに考えてございます。

 このため、本法案におきまして、いろいろと対策を講じておるわけでございますが、開発から緑地を守るという点で実効性が高い特別緑地保全地区や、世界及び日本においてESG投資が拡大傾向にあることを踏まえまして、民間事業者等による良質な緑地の供給に着目いたしまして、質と量の両面で都市緑地の一層の確保を目指すことといたしております。

 具体的に申しますと、本法案におきまして、国主導による戦略的な都市緑地の確保として基本方針の策定、貴重な都市緑地の積極的な保全、更新のための自治体向けの支援、民間事業者等による緑地確保の取組を国が認定、支援する仕組み、こうしたものの創設をしたいと考えてございます。

 こうした取組を通じまして、都市における質、量両面での緑地の確保等を一層進めてまいりたい、このように考えております。

 以上でございます。

大西(英)委員 ありがとうございます。

 少子化傾向とか、あるいは、都市への人口の集中というのは、これは世界的ですよ。東京だけの問題じゃないんですよ。そして、歴史的にやはり考察もしていかなければいけないと思うんですけれども、そういった点に対する掘り下げというのが明らかに不十分じゃないかと思うんですよ。やはり、今日の状況を生み出した今日までの経過について、しっかりとした分析を整え、そして、それらを乗り越えるための施策を、勇気を持って出していかなければならないのではないかと思うんです。

 その一環で、今回の改正案があるんだと思うんですけれども、それらについて具体的に聞いていきたいと思います。

 緑地というのを増やす、公園が増える、これは、そんなに経済が、それによって、投資によって発達するわけではない一面、こうした施策に対して、今まで国、自治体、これが後送りになってきた、そういう傾向もあるのではないかと思うんですね。

 そして、さあ、ここで世界の主要都市との差を縮め、日本が緑豊かな、快適な環境をつくっていくために、公園を増やしていこう、あるいは樹木数を増やしていこうと思っても、これは今、高い地価で、なかなかこれを国の予算や地方自治体の予算によって賄っていくというのは困難であることはよく分かっているわけであります。

 私は、常々言っているんですけれども、我が国の一番の心配は少子化傾向です。そして、今回、我が政府・自民党としても、画期的な少子化対策を行うと言いつつも、予算的な限界もあるんでしょう、今、それを受け止めるべき若い世代は、国が画期的な少子化対策を行ったなんという受け止め方をしている人はほとんどいないわけであります。

 私は、そういう意味では、都市環境を高めていくこの施策について、これは未来への大きな投資であります。そして、既に御承知のとおり、我が国は、地球温暖化傾向の中で、緑が果たす役割というのがどれだけ重要かということも分かっているわけでありまして、緑地を増やすために、ここで積極的な展開をしていくべきだと思うんですけれども、今、少子化問題で触れました、あらゆる施策について、結局、国の予算というのは大変厳しいものがあるわけでありまして……。

 十五分というのは短いですね、余り余計なことは言わないで、どんどん質問をしていきますけれども。

 多額な資金が必要であることは言うまでもありません。国の厳しい財政状況あるいは地方自治体の財政状況を考えるときに、民間活力を導入をしていくというのは必要だと思うわけでありますけれども、この法案によってどのような効果を目指しているのか、それについてお尋ねをしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 公園を直接、地方自治体が買えれば一番いいんですけれども、なかなかそういうわけにいきません。民間の投資を増やすということがまず大切だ、こういう考え方に基づいております。

 そして今、世界的にもESG投資が大切だ、こういう認識が増えつつございます。ですから、例えばこのビルは、この企業は緑地化にこれだけ貢献しているということを認定する、その認定することを見える化する、そうすることによって、そのビルの賃料が高くなる、こうすることによって、緑に投資した民間企業ももうかる、こういう形で民間の投資を促していく、こういう制度をつくることが必要ではないかというのが今回の法案の一つの考え方でございます。

 従来からの、例えば建築物に対する容積率の緩和などの施策も併用しつつ、民間事業者の取組や民間投資の促進による質、量両面からの緑地の確保、これが今回の法案の目的でございます。

大西(英)委員 今、大臣からお話があったように、これまでの国交省の取組の中で、私も目をみはるような感動した例もあります。それは大丸有という、都心の大手町、丸の内、そして有楽町、ここの再開発も今、着々と進んでいるわけですが、公園面積あるいは緑地面積を都心でも増やすことによって容積率を上げる、そういうインセンティブを与えて、林か森の中を歩いているような景観も都心で実現をしているということは高く評価するわけですけれども、そうした意味で、今後とも民間活力を導入をして、一層の御努力をお願いをしたいと思います。

 さらに、緑地の買入れを代行する国指定法人制度の創設を行うということでありますが、具体的には、どのような制度で、買入れ額はどのぐらいを想定しておられるのか、お聞かせをいただければありがたいと思います。

天河政府参考人 お答えいたします。

 今回、都市緑化支援機構というのを指定したいと考えておりますが、都市緑化支援機構が行います特別緑地保全地区に関する支援業務は、都道府県等からの要請に基づきまして、買入れ申出がなされた特別緑地保全地区内の土地を所有者から買い入れ、機能維持増進事業を行った上で、要請があった都道府県等に有償譲渡する、こうした制度となります。

 買入れや有償譲渡の価格、機能維持増進事業の内容につきましては、事業実施前に都道府県と都市緑化支援機構が締結する協定により定めることとしております。これによりまして、都道府県等が予算的な制約から買入れ申出への対応に長期間を要している状況が改善され、特別緑地保全地区制度の円滑な運用あるいは新たな地区指定につながるものと考えております。

 規模でございますが、都市緑化支援機構が年間に行う買入れ規模といたしまして、令和六年度予算におきましては、国から都市緑化支援機構に対する都市開発資金の貸付けとして三億円、これを確保しておりますが、これは、今回、法案を成立していただいて施行してということで、支援機構の活動期間が今年度は非常に短いということで三億円となっております。

 来年度以降につきましては、制度の周知を進めまして、必要な額の確保にしっかり取り組んでいきたい、このように考えております。

 以上でございます。

大西(英)委員 こういった新しい制度を創設して、年間三億円。都市の中でどれだけの用地を確保することができるのか、甚だ疑問であります。そして、今、日本、災害列島、様々なところで地震が起きています。それが、南海トラフとか、あるいは首都直下型、都市での地震がいつ起こるか分からないというような流れにもなっているわけでありまして、こういう緑のオープンスペース、私は、これが防災にとっても大きな役割を果たしていくのではないかと思います。

 これについてもお考えを伺いたいところでありますが、質疑時間が終了しましたというメモが入ってまいりました。我々与党の質問につきましても、是非、これから十分な質問ができるような時間をお与えいただくことをお願いを申し上げて、私の質問を終わります。

長坂委員長 次に、日下正喜君。

日下委員 公明党の日下正喜です。

 都市緑地法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。

 ベルリンやシドニー、ロンドン、シンガポールなど、世界の主要都市と比較して、我が国の都市の緑地の充実度は半分以下と低く、大都市部ではいまだ減少傾向であるということでございます。今後の気候変動対応としても、建造物がひしめき合うヒートアイランドではエネルギーが浪費されます。また、生物の多様性も損なわれていきます。

 一方、全国で見ると、この十年間で都市公園、自然公園などの整備が進み、国民一人当たりの面積は一割増加しています。にぎわう公園によって町に活力が生まれていると、先日、日本経済新聞に掲載されておりました。都道府県別の伸び率は、宮城県が二八%とトップで、和歌山県が二六%、岡山県が二一%と続き、こうした傾向は地方部に多く見られ、緑地化、公園化への需要は高まっていると言えると思います。

 そういった意味において、国主導による戦略的な都市緑地の確保、保全を進めようとする本改正案は大変意義あるものと思いますが、東京、大阪、名古屋、福岡など、大都市部における緑地確保の可能性、現在の緑地率がどう高まると考えておられるのか。また、地方都市やその郊外の場合、適用されるケースとしてどういうことが考えられるのか、斉藤大臣にお尋ねします。

斉藤(鉄)国務大臣 大都市部と地方都市に分けて問いがございました。

 まず、大都市の都心部などにおいては、この法案で創設される制度のうち、民間事業者などが行う緑地確保の取組や、都市の脱炭素化に資する都市開発事業に係る認定制度の活用、これによりまして、大規模な都市開発事業に伴う緑地の創出が期待されます。なぜ創出されるかというと、先ほど大西委員にお答えしたとおりの仕組みでございます。

 また、地方都市そしてまた大都市の郊外、ここにおきましては、工場や大学などの敷地における緑地確保の取組に対する認定制度の活用が期待されるほか、特別緑地保全地区での機能維持増進事業や都市緑化支援機構による緑地の買入れを通じて、良質な緑地の確保を図ってまいります。

 このように、都心部と地方都市、また郊外を分けて、このような仕組みをつくったところでございます。

日下委員 ありがとうございます。

 地方や郊外も含めた都市の緑地化でございますが、環境省が国際取決めの中で進めるネイチャーポジティブ、陸域の三〇%以上と海域の三〇%以上を健全な生態系として保全しようとする取組、サーティー・バイ・サーティーとの関連、質の確保にも取り組む考えを示されておりますが、御所見をお聞きします。

天河政府参考人 お答えいたします。

 本法案の対象となる特別緑地保全地区は、国立公園などと同様に、陸域で保全が図られるという地域として、サーティー・バイ・サーティーの目標達成に貢献するものとして位置づけられております。都市における生物多様性の確保の観点から非常に重要だと考えております。

 また、民間事業者等の取組を対象とする優良緑地確保計画認定制度につきましても、サーティー・バイ・サーティーの目標達成に貢献する緑地を評価する、こうしたことを予定しております。

 今後、本法案の施行に当たりましては、環境省と緊密に連携をすることといたしまして、これらの取組を通じまして緑地の質、量を確保し、ネイチャーポジティブの実現に寄与していきたい、このように考えております。

 以上でございます。

日下委員 ありがとうございます。

 特に生物の多様性の視点、これは非常に重要になると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、先日、このまま人口減少が続けば、二〇五〇年までに全体の四割超に当たる七百四十四の自治体が消滅する可能性があると人口戦略会議が分析を発表しました。急激な人口減少、超高齢社会にも備えなければなりません。空き家や所有者不明土地など使われない土地も増え、その上、自然災害が頻発化、激甚化しています。

 これから自治体が具体的にまちづくりを考える際、一つには、これまでの人口増加や成長と拡大を前提とした都市づくりから、人口減社会に入った今、一定の区域に無駄なく必要な都市サービス機能を集約した集約型都市構造への転換が強く求められています。二つには、防災対策として、土砂災害や液状化、内水氾濫のリスクの高い土地から安全な土地への住み替え等を促す、市街化区域から市街化調整区域への逆線引きの動きも始まっております。また、三つには、サーティー・バイ・サーティーのような生物多様性の保全や気候変動、温暖化への対応などの環境対策。

 こうした取組を進めたい各自治体が最も頭を悩ませるのは、住民を安全な土地に、また、医療や買物、学校などが集約化された町に、どうしたら移り住んでもらえるかということだと思うのです。当然、全てが当てはまるわけではないと思いますが、空いた土地を市民公園として質の高い緑のネットワークに置き換えていくことと連動できないか、この緑地法をてこに、防災上の視点や人口減社会への対応といった観点も含めるべきではないかと思うのですが、斉藤大臣の御所見をお聞きします。

斉藤(鉄)国務大臣 日下委員御指摘のとおり、防災、環境を踏まえたまちづくり、そこに緑がどのように機能していくか、この視点でのまちづくりが非常に大切だと思います。このため、今後、国が定める基本方針におきまして、防災や環境に配慮したまちづくりと連動して、緑を確保していくということを示してまいりたい、このように思っております。

 この法案では、市町村が定める立地適正化計画と緑の基本計画との調和を図る規定を新たに設けております。これによりまして、立地適正化計画に定めるコンパクトなまちづくりや防災に関する方針などとの連携が図られた緑地確保が展開されることを期待しております。

 こうした考え方に基づきまして、地方公共団体へしっかり、これらの考え方、基本方針、周知してまいります。

日下委員 先ほどの、空き家であるとか、過疎地域で、家を引き取る次の人もいないという、そういうふうなところにお住まいの方、やはり先祖伝来の土地をそのまま手放してしまうということには大変抵抗を示されるというふうに思うんですけれども、これが、市民が憩える緑地公園になる、また、特別緑地保全地区などに活用されるということであれば、また考え方も変わってくるのではないかというふうなこともございますので、しっかりと進めていただきたいというふうに思います。

 次に、緑と調和した都市環境整備への民間投資の呼び込みについて伺います。

 民間事業者等による緑地確保の取組を国土交通大臣が認定し、認定を受けた事業に対し、都市開発資金の貸付けにより支援されるとされていますが、民間事業者が開発するものには、オフィスビルやマンション、複合的なオフィス街そのものを開発する場合もございます。

 この貸付けは無利子で整備費用の二分の一とされておりますが、具体的に、オフィス街などを開発する場合、どの部分に適用されるのか、緑地確保のための土地の取得費用にも適用されるのかなど、分かりやすく説明していただければと思います。

天河政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の、都市開発資金の貸付けにつきましては、優良緑地確保計画認定制度に基づき認定を受けた民間事業者の取組に対して、無利子貸付けにより支援を行うものになります。

 本貸付けは、緑地の整備に係る事業として、樹木の植栽、芝生の整備、散水施設の設置等に係る費用が支援対象となっております。

 また、本貸付けは、民間事業者による土地取得を前提といたしまして、当該土地における緑地の整備を主眼としておりますので、土地取得費用につきましては支援対象外となっております。

 以上でございます。

日下委員 整備費用の二分の一が無利子ということですので、かなり大きな話だと思いますので、しっかりこれも展開していただければと思います。

 先ほどは緑地確保の取組に対する支援でしたが、もう一つ、都市の脱炭素化に資する民間都市開発事業への金融支援についてお尋ねします。

 分かりやすいのは、太陽光発電による自家消費によって電力を賄うというもので、例えば、今後建設されるマンションの壁面などにペロブスカイトを利用し電力を自家消費した場合、そうした発電設備そのものに金融支援が行われるということでいいのか。概要には、緑地、緑化施設の管理を効果的に行う設備、再エネ利用設備の導入費用等とも書かれておりますが、緑地、緑化にひもづくものでなければならないのか、分かりやすく説明をしていただきたいと思います。

天河政府参考人 お答えいたします。

 今回創設いたします脱炭素都市再生整備事業につきましては、都市の脱炭素化を推進するための先進的な取組を認定、支援するというものでございまして、再生可能エネルギーの導入等によるCO2の排出量の削減に加えまして、一定量の緑地を創出する大規模な都市開発事業の実施を強力に後押しし、都市の脱炭素化の拠点形成を図るものでございます。

 したがって、緑地があるものについて認定するということになると考えております。

日下委員 ありがとうございます。

 済みません、もう一回確認したいんですけれども、例えば、電力を生み出す設備そのものにも金融支援が受けられるかどうか。

天河政府参考人 おっしゃるとおりでございまして、御指摘の、自家消費用を含む再生可能エネルギーの発電設備の整備につきましても、支援対象となると考えております。

日下委員 ありがとうございます。

 目標として示されている、自治体による特別緑地保全地区の指定面積を、二〇二一年の六千六百七十一ヘクタールから、二〇三〇年度までにプラス一千ヘクタール増加するとあります。かなり大きな数字であるというふうに思うんですけれども、一方で、地方公共団体における緑地の整備、管理に係るノウハウ不足が課題とされております。こうしたノウハウ不足をいかに補い、自治体による保全地区の指定を促進していくのか、斉藤大臣の答弁を求めます。

斉藤(鉄)国務大臣 地方公共団体の緑地管理のノウハウが不足している、このことが、新たな特別緑地保全地区の指定が抑制される一因になっている、このように認識しております。

 緑地の適正な管理に向けては、樹木の伐採等を適切に実施することが重要であり、国土交通省としても、緑地の再生整備に資する事業を新たに機能維持増進事業として位置づけ、財政的、技術的に支援するとともに、この事業に先進的に取り組む地方公共団体の事例を広く周知することで、ノウハウの共有に努めてまいりたいと思います。

 また、今般新たに国が指定する都市緑化支援機構は、地方公共団体の要請に基づきまして、特別緑地保全地区の機能維持増進事業を行います。このほか、緑地の保全に関する情報を収集、提供し、必要な助言を行うこととしております。

 国土交通省としましても、支援機構と連携しつつ、地方公共団体のノウハウ不足の解消に取り組むことで、特別緑地保全地区の指定を促進してまいりたいと考えております。

日下委員 二〇三〇年までにあと千ヘクタールということで、あと六年でございますので、しっかりと地方、まず各自治体に徹底のほど、お願いしたいと思います。

 少し時間が余りましたけれども、これにて私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

長坂委員長 次に、小宮山泰子さん。

小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 さて、今回出されております都市緑地法等の一部を改正する法律案でありますが、諸外国の都市緑地と比べて充実度が低く、さらに、減少傾向であることから、都市緑地を保全するとともに充実させていくことで、気候変動対応、生物多様性確保、幸福度、ウェルビーイングの向上、またESG投資など、環境分野への民間投資の機運拡大や、都市におけるエネルギーの効率的利用の取組などを進めるために行うものと聞いております。

 法案の主なる概要としては、一つに、国主導による戦略的な都市緑地の確保、そして二つ目に、貴重な都市緑地の積極的な保全、更新、三つ目として、緑と調和した環境整備への民間投資の呼び込みと、多岐にわたっているものであります。

 ちなみに、私の住んでおります埼玉県川越市でありますが、暑いので有名な熊谷より暑いという調査を、二〇一七年の新聞記事ですが、首都大学東京三上岳彦名誉教授の研究チームが、調査を十年間にわたって、また分析もされたというものがございます。熊谷は、群馬や多治見市から、フェーン現象が影響するものであって、一方で、東京のヒートアイランドが川越への影響で暑くなるということであります。この研究チームのこれは見立てではありますけれども、これほど東京のビル街や交通が生み出す熱量は大きいという記事が出ておりました。

 これを見ながらも、本当にヒートアイランドというのは首都圏とか大都会だけの問題ではないんだなと実感をいたしますし、今回のこの法案により、様々な点において、日本が遅れているところも含めて改善されるということが期待をされるということで、この法案自体に私自身は非常に興味深く、今回質問を作らせていただいたところであります。

 まず最初に、緑地機能維持増進への取組について伺いますが、これらは、コンサルタントとか大手ディベロッパーと称される方々で十分に行えるものなんでしょうか。

 緑地の整備を行うには、植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園整備、広場工事、園路整備、水景施設整備、屋上緑化工事などが考えられます。また、関係する国家資格としては、造園技能士、造園施工管理技士、土木施工管理技士などがあります。

 日本の豊かな四季の風景や枯山水など、自然と精神文化をも表現する造園と、草花の美しさを表す英国発祥のガーデニング、また、インフラ整備としてのグリーンインフラなど、一口に緑地化、緑地整備と言っても、その趣向性は多岐にわたっております。都市緑地をデザインすることは大変に難しいですが、将来のまちづくりに大きな影響をもたらすものでもあります。

 そこで、緑地機能維持増進、さらには、都市の将来のまちづくりまでを見据えた検討に、植物の特性に熟知した専門家、造園に関する有資格者の参画が必要だと考えますが、どのようにお考えか、お聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 まちづくりにおきましては、緑地の保全や緑化の推進についても重要な要素となっているところであり、良好な都市環境の実現には良質な緑が欠かせないわけでございます。

 そのためには、国家資格である造園施工管理技士や、樹木医などの緑地の整備や管理について豊富な知識や経験を有する方のまちづくりへの参画が必要です。

 このため、国土交通省としましては、地方公共団体に対し、必要に応じ適切に専門家や有資格者の参画を得るよう促してまいりたいと思います。

小宮山委員 是非、コンサルタントであったり、今後こういった、ほかの国はたしかありますけれども、大きなランドスケープを考える、そういった資格というのも検討するべきかもしれないと考えております。

 緑地の創出や再生可能エネルギーの導入、エネルギーの効率的な利用を行うとしておりますが、効率な利用の具体的な効果について、現状の比較を含めて簡潔に御説明ください。簡潔にお願いします。

天河政府参考人 お答えいたします。

 本法案において創設する脱炭素都市再生整備事業の認定制度によりまして、緑地の創出に加えまして、再生可能エネルギーの導入やエネルギーの効率的な利用を図る先進的な取組を推進することとしております。

 具体的には、従来の建物で必要なエネルギーを五〇%以上削減する、いわゆるZEBレディーの達成に加えまして、再生可能エネルギーの導入や、事業施行段階におけるCO2排出量の削減を進めます。

 また、従来より、都市におけるエネルギーの面的利用のネットワークを拡大するための取組につきまして集中的に支援してきておりますが、本法案による措置と併せまして、引き続き強力に支援してまいりたいと考えております。

 こうした取組を総合的に推進することによりまして、都市の脱炭素化の拠点を形成し、都市全体としてのCO2排出量の削減につなげていきたいと考えております。

 以上でございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 国土交通省の答弁ですので、具体的な数値が出ないというのは何となくおもんぱからなきゃいけないのかなとは思いますが、ここも出していただけるようになれば大変うれしいと思います。

 さて、大都市の都市緑地化によってESG投資を呼び込むことも、本法案の目的の一つとしてあります。パリ協定やSDGs等を背景にして拡大している世界のESG市場は、二〇二〇年には、四年で一・五倍増、三十五・三兆米ドル、日本市場も四年間で五・八倍、約二百六十四兆円増となっております。また、二・九兆米ドル、約四百四十九兆円に拡大をしているところでもあります。これは、従来の財務情報だけでなく、環境、社会、企業統治も要素に考慮して投資されることを示しております。

 また、グリーンインフラとして多様な機能を有する都市緑地の質、量の確保も重要です。しかし、世界の主要都市の緑地の充実度の順位は、全四十八都市中、東京は四十一位、大阪は四十六位、二〇二二年時点でと、出遅れ感は否めません。地価の高い大都市においても、日本の不動産評価の在り方では、残念ながら、企業や所有者の利潤とは、緑地を置くことがつながっていません。

 今後の民間投資の対象としての評価につなげるためにも、緑地が整備されていることが評価されるような価値観に基づく不動産の新たな評価基準が出てくることが必要なのではないでしょうか。あわせて、ESG投資の市場規模の目標について御説明ください。

天河政府参考人 お答えいたします。

 不動産評価の基準に緑地の観点を加えるべきとの御指摘と思いますが、本法案で創設いたします優良緑地確保計画認定制度は、一部ではありますが、御指摘の趣旨に沿ったものかなということで考えております。

 この認定制度は、民間事業者による良質な緑地確保の取組を認定し、都市開発資金の貸付けにより支援するとともに、取組の価値が、投資家、金融機関、テナント等の様々な主体に見える化されること、これを狙っております。

 この認定の対象となった不動産につきましては、市場の中で、資金調達でありますとか賃料の上昇等、これが実現することはなかなか難しいかもしれませんが、実現することになれば、不動産の評価に緑地の価値が一部反映されたと見ることもできるのではないかと考えております。

 それから一方、ESG投資の市場目標でございますが、これにつきまして国土交通省で具体的に定めるということはなかなか難しいと思っておりますが、今後、緑地確保の取組に対する民間投資が促進されるよう、認定基準の具体化や制度の普及に努めてまいりたい、このように考えております。

 以上でございます。

小宮山委員 間違いなく今回の法案、また今後、都市計画等様々な形で、ESG投資の対象としてまた選ばれるかというのは、影響はしてくると思います。是非、国土交通省におきましても、この点、環境省の方も頑張っているとは思うんですけれども、やはり現物と、それに影響する法案がたくさんあるのは、恐らく国土交通省の方が市場規模は大きいんだと思っています。

 大臣、いろいろうなずいていただいていますが、質問通告はしておりませんが、何か決意とかがありましたら、一言いただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 今、局長、答弁申し上げましたように、今回の法案の狙いの一つが、まさに民間投資をいかに呼び込んでくるか、そのときにこの認定制度がいかに役立つかということでございます。しっかり環境省とも連携しつつ頑張っていきたい、このように思います。

小宮山委員 ありがとうございます。

 都市緑化支援機構について質問しようかと思っていたのですが、この点については後ほど馬淵委員の方からしっかりとやるということでありますので、そちらの方にお任せしたいと思います。

 それでは、引き続きまして、ヒートアイランド現象は、建物の密集やアスファルト、交通、工場、クーラーの排熱などが原因となって生じるとされ、周辺部と比べ都市部では気温が四度から五度ぐらい高くなるといった記述が散見をされます。

 私の地元も同様でありまして、駅とかは、かなり日中等は暑くなっております。先ほども最初に述べたとおり、熊谷よりも暑いのではないかというのも、その影響があると言われております。

 都市緑地の整備、保全には、物理的な気温低下への期待もありますが、それ以上に、心理的な涼しさ、安らぎ、心地よさももたらすということも必要です。地方自治体にとっては予算を大きくかけにくい施策と捉えられやすい分野でもありますが、この点に関しましてもしっかりと対応していただかねばなりません。

 そこで、お伺いさせていただきますが、本改正案では、機能維持増進事業の実施に係る手続の特例が設けられます。また、国指定法人により、都道府県等の要請に基づいて緑地の買入れが行えることとなり、地方自治体が直接買入れ実施するまでの間、最大十年間の時間的猶予が得られる点など、特に地方自治体からの期待は大きいと伺いました。これらの点に含めて、地方自治体が都市緑地の保全、更新に取り組むに当たってのメリットは何か、お聞かせください。

天河政府参考人 お答えいたします。

 本法案で創設した措置は、地方公共団体からの、特別緑地保全地区の質、量の確保に向けては財政的制約やノウハウ面での制約が課題となっているという声に対応したものでございます。

 地方公共団体の要請に基づきまして都市緑化支援機構が買入れを行うことによりまして、土地所有者からの買入れ申出に対して、買入れ待ち期間の短縮、あるいは土地の分割をすることなく対応することが可能になるとともに、買入れに関する予算の平準化が図られる、こうしたこともメリットかなというふうに思っております。

 機能維持増進事業の創設によりまして、緑地の質の向上に向けた取組に対して、社会資本整備総合交付金による財政支援、これが新たに措置されたということもございますし、都市計画の手続特例によりまして、緑地保全に都市計画税という新たな財源の活用が可能になったということもメリットかなというふうに思っております。

 都市緑化支援機構によります機能維持増進事業の実施は、地方公共団体における緑地保全に関するノウハウの不足、あるいは財源の不足、こうしたものについて対応するものだというふうに考えております。

 以上でございます。

小宮山委員 地方自治体は、昨今の人口減少や、また新型コロナの対応等でかなり財政的に厳しい、大型な災害対応をしているところもあって、財政的に厳しいところが出てきております。しかし、先ほどから言っているとおり、この緑の保全というのは大変大きな意味が国土に対してはあるわけですから、地方自治体による保全緑地の買入れに対する財政的支援の拡充というのも必要だと考えています。今後、今回だけではなく、継続的にしっかりと財政的にちゃんと確保できる、また拡充をしていくというおつもりがあるのか、その決意があれば、是非、大臣から伺わせていただければと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 これまでも国による財政支援は行ってきておりますが、その重要性はますます増加している、このように認識しております。

 今回の措置によりまして、特別緑地保全地区等の指定や買入れが増加することが予想されることから、地方公共団体からの要望を踏まえ、それらに対応した必要な予算の確保に努めてまいります。

小宮山委員 引き続きまして、都市緑地の所有者の死去に伴う相続や贈与、また特別緑地保全地区等への指定やその内定などに際して、緑地保全へのインセンティブ、優遇措置についてどのように実施していくのか、また、更に拡充は行っていくのか。国税庁との協議等もあるかと思いますが、簡潔に御説明ください。

天河政府参考人 お答えいたします。

 特別緑地保全地区に指定されております山林等につきましては、相続税の課税時の評価額が八割評価減となることが位置づけられております。

 また、固定資産税につきましては、最大二分の一の評価減となっております。

 こうした特例が、特別緑地保全地区指定に係る土地所有者へのインセンティブとなり、指定面積の増加につながっていると考えております。

 引き続き、特別緑地保全地区の指定に係る税制の周知に努め、その指定促進を図ってまいりたいと思いますが、拡充につきましては、今後必要に応じて検討していきたい、このように考えております。

 以上でございます。

小宮山委員 多くの申出があり拡充が必要だとなると私は推測しております。

 それでは、続きまして、特別緑地保全地区への指定について伺います。

 後の買取りの義務が生じるので、実際には自治体にとっても簡単な決定ではないというのが言われております。買取りが義務にはならない、より緩やかな指定エリアを増すことが、保全地区を増やしていくことにもつながるのではないかと考えています。

 数値目標とはされておりませんし、より緩やかな緑地保全の指定や取扱いについて、どのように見込んでいるのか、お聞かせください。

天河政府参考人 お答えいたします。

 特別緑地保全地区は、都市の緑地におきまして、唯一、気候変動対策あるいは生物多様性の確保に係る国家目標に位置づけられるなど、ほかの緑地保全制度と比較し重要性が高いことに鑑みまして、今回、制度の拡充を図るというものでございます。

 特別緑地保全地区は、厳しい土地利用規制により緑地の確実な保全を可能とする制度でありまして、地方公共団体による買入れ義務は、規制に対する補償という位置づけであることから、規制と一体不可分ということでございます。

 一方、風致地区でありますとか緑地保全地域といった、より緩やかな規制により緑地保全を図る制度につきましても、地域によっては有効にこれが活用できる場合もあると考えられますので、今後、国が策定する基本方針におきまして、こうした制度の趣旨あるいは効果を示すことによりまして、その活用を促進していきたい、このように考えております。

 以上でございます。

小宮山委員 本法案成立後でも、政令指定都市のように体力のある自治体であっても、特別緑地保全地区の新たな追加の指定を行うことは簡単でないということを考えれば、千ヘクタール増加という目標というのは非常に達成するのは難しいのではないかとも推測いたします。

 できることならば、やはり目的は達成し、都市緑地保全が推進されるよう、法改正後にも、より積極的な施策についての取組を要望いたします。

 さて、実際、民間投資といっても、不動産の評価基準等が、なかなか現行では必ずしも、緑地保全というのがこれまでなかった分、進むということは難しいのかとは思います。

 そこで、海外ですけれども、アメリカでは、一九七〇年頃より、開発行為で失われる自然環境などに対して、ちょうど相殺される規模内容の緑地整備などを求めるミティゲーションの考え方が生まれ、法制化もされておるそうです。

 こうした取組は、アメリカだけでなく、カナダ、ドイツなど、ほかの国でも実例があります。

 都市部での緑地について、市街化調整区域内の緑地は、一定程度強い規制の下に置かれることから、地方自治体としても保全を行いやすいけれども、市街化区域においては、開発計画を認めないという対応が取りにくいのも現実であります。

 都市緑地の保全を少しでも行いやすくしようとするのは本法案の基本的趣旨であるはずですが、現実には、市街化区域を中心に減少傾向が続いてきたのも現実でもあります。

 日本においてもミティゲーションの考え方を導入した施策が必要ではないでしょうか。また、ミティゲーション施策導入に当たっては、緑地整備の規模内容が従前を上回るものとなった場合に、その上回り分を定量化し、ミティゲーションバンキングとして債権化するような制度も考えるべきではないか、国土交通大臣に御所見を伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 小宮山委員御指摘のミティゲーションにつきましては、開発により損なわれた生態系の価値を回復する、あるいは、損なわれる以上の価値を創出するといった規制があり、通常は、こうした規制の下、開発者が自ら自然環境の創出、復元の取組を行うことが原則であると承知しております。

 その上で、ミティゲーションバンキングにつきましては、開発者が、あらかじめ別の土地で良好な自然環境の創出、復元の取組を行っている第三者に対し、開発により損なわれる生態系の価値に相当する金銭を支払うことで代償を行ったとみなす仕組み、このように承知しております。この仕組みは、アメリカなどでは既に導入されており、生物多様性の保全に資する取組の一つであると認識しております。

 御指摘の、我が国での導入に当たりましては、規制の仕組みや技術的な生態系の価値の評価手法等、様々な論点もあり、直ちに実現することは難しい面もございますが、都市局において、関係部局とも協力しながら、内容の勉強を行ってまいりたいと思います。

小宮山委員 是非、勉強と、導入も含めての検討も進めていただければと思います。

 壁面緑化とか屋上緑化などの取組も、定量化、ポイント化、数値化していき、取組に対してメリットが生じるような仕組みに結びつけていくことが望ましいと考えます。現状の取組を含めて、国土交通省の所見をお聞かせください。

天河政府参考人 お答えをいたします。

 本法案におきましては、質、量両面での緑地の確保に取り組むため、民間事業者による緑地確保の取組を国が評価、認定する制度を創設することとしております。

 御指摘のありました屋上緑化あるいは壁面緑化につきましては、特にヒートアイランド現象の緩和あるいは良好な景観形成等に資するものと考えております。そのため、認定制度におきましても、今後の検討になりますが、評価の対象として、例えば、大きな面積のものを高く評価するということで、ポイント化とか数値化ということとはちょっと違うのかもしれませんが、大きな面積のものを高く評価することを想定しております。

 具体的な基準につきましては、現在、有識者会議で検討中でございますが、今後、有識者の意見や、国土交通省で行うことを予定しておりますフィージビリティースタディー、これは、実際に具体の緑地につきまして認定に係る審査業務を試行的に行う、こうした調査を行おうと思っておりますが、こうしたフィージビリティースタディーを踏まえまして、定めていきたいと考えております。

 認定を受けました民間事業者のメリットといたしましては、都市開発資金の貸付けあるいは補助金による財政支援を行いたい、このように考えております。

 以上でございます。

小宮山委員 本法案におきましては、再生可能エネルギー発電設備等の整備に要する費用について支援することができるものとされるということが含まれてまいります。都市緑地の管理、保全の取組の一部として、再生可能エネルギーの発電設備の整備事業も含まれ、太陽光パネル施設の整備なども含まれることになります。しかし、太陽光パネルの設置は、建築基準法並びに電気事業法の二法に基づくものであります。

 近年、地震や台風、豪雨災害など、自然災害大国とも言われる日本において、太陽光パネルの普及に伴い、太陽光パネル設備整備などにおいて、自然災害時の問題も起きております。安全性確保のために、太陽光パネルの設置に関する網羅的な基準が必要だと考えています。

 あわせて、再生可能エネルギーという場合には、太陽光だけではなく、風力、水力、地熱、地中熱を始め様々な種類もあるのも事実でもあります。自然の力を最大限活用することは、良質な都市空間をつくることにつながり、昨年議論させていただきましたSUMP、持続可能な都市交通計画なども含めて、今後の都市開発を変化させる、推進させるものだと考えます。

 本法案により、エネルギーの地産地消、特に都市部でのエネルギーの地産に対して、国土交通省の取り組んでいく道が広がるということにつながるものと期待をしております。従前の大規模な発電事業は経済産業省、資源エネルギー庁にしっかり取り組んでいただくものかもしれませんが、都市部を始め様々な場面、場所で小規模なエネルギー地産に対して国土交通省が果たせる役割は大きいものになるのだと考えております。

 そこで、太陽光パネルの設置や管理が適正に促進されるよう、環境や土地利用計画において安全の基準が設けられるよう、関連法制の見直し、法改正なども必要と考えますが、この検討も必要と考えますが、国土交通省の考えをお聞かせください。

天河政府参考人 お答えいたします。

 太陽光発電施設の適正な導入、管理に当たりましては、設備の保安につきましては経済産業省、土地の開発につきましては農林水産省や国土交通省、それから環境保全につきましては環境省がそれぞれ対応しており、まずは関係省庁が連携して対応していくことが必要であると考えております。

 このため、関係省庁におきまして、令和四年に再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会を立ち上げ、昨年成立いたしました盛土規制法を始めとした関係法令に基づく許可等の基準や運用の考え方につきまして、令和五年五月に申合せを行うなど、関係法令間での連携強化を今図っているところでございます。

 包括的に法規制すべきということでございますが、国土交通省としましては、引き続き関係省庁や地方公共団体と連携をしながら、まずは関係法令の適切な運用を通じまして安全確保に努めてまいりたい、このように考えております。

 以上でございます。

小宮山委員 時間の関係で、少し先に進ませていただきます。

 建築物省エネ法に基づいた、タワーマンションなど高層建築物自体の省エネ性能は向上していますけれども、結果として、輻射熱とか、巨大な壁面の周辺の風通しを塞いだヒートアイランド現象やゲリラ豪雨、遮風、また地震や火災への対応などや、ほかの国ではありますけれども、現在は老朽化やスラム化の問題など、タワーマンションにはいろいろな課題がございます。この点に関しましては、ほかの国では規制が入ったり等しております。

 近年、欧米では環境持続性の観点から木造建築が見直され、日本でも木造ビル建築の事例も増えてきております。環境負荷を抑えるためにも、木質というものを活用するというのは大変重要かと思っております。建築物の木造化の推進、建て替えの際も建築廃棄物の削減のできるリファイニング建設の採用、何よりも、新築信仰を捨てて既存住宅の長寿命化を、活用を基本とする方にされるべきことが、このヒートアイランド化なども抑えるものにつながるんだと思います。この点に関しまして、大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 既にある建築物を長寿命化させるということが、CO2削減、いわゆる建物のライフサイクルを考えたときに非常に大きな要素になるのではないかというお考えは、全くそのとおりだ、このように思います。

 資材等の製造から運搬、施工、改修、解体まで、ライフサイクル全体におけるCO2削減という考え方、非常に重要でございます。

 そのため、現在、有識者、関係団体及び関係省庁から成るゼロカーボンビル推進会議におきまして、建築物に係るライフサイクル全体におけるCO2削減の評価方法の構築などを進めているところでございます。

 このような取組は、建て替えに比べてCO2の削減が可能となる、既存ストックの改修や適切な維持管理による長寿命化などの促進にもつながるなど、建築物の環境負荷軽減にも寄与するものであると考えており、引き続きこの取組を進めていきたいと思います。

小宮山委員 最後になりますけれども、これまで聞いてきたのは、この法案によって行われる施策ばかりであります。この法案ができることによって何が変化するのか、どういった大きな影響があるのか、意義を是非大臣の口から一言お聞かせいただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 気候変動対策、そして生物多様性の確保、ウェルビーイングの向上という、現在の私たちが直面する課題に対応していくもの、このように考えております。

 我々、公的な側面も、そして民間も、それに協力をして、この都市の緑地化に向かって努力していきたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 この法案がその趣旨をしっかりと全うし、できれば私の地元が熊谷より暑くないという、ヒートアイランド現象が都市部において抑えられることを心から期待をいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

長坂委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 馬淵でございます。質問の機会をいただきました。

 まず冒頭に、天河局長、質問には端的にお答えいただきますよう、よろしくお願いいたします。そして、大臣、私は、事実関係、これを確認していくのは政府参考人にお願いします。大臣は、答弁書をいろいろとレクで大変膨大に用意されているとは思うんですが、大臣のお立場はよく分かりますけれども、政治家として、私は、事実関係の確認をした上での所見を述べる上で、政治家としてのお答えをいただければありがたいと思っております。

 まず、本法案でありますが、都市における緑地の重要性そして確保の必要性に関して、これはもう論をまたないと思います。全く異論はございません。積極的に進めるべきだ、このように思っております。

 ただ一方、自治体における地方財政の厳しさということを指摘しているわけですが、生活に直結する課題、介護やあるいは教育もそうですが、保育、さらには給付などなど、行政においては、生活に直結した課題の解決に、どうしても地方財政を振り向けざるを得ないんですね。したがって、緑地の買入れだとか、あるいは整備に多額の費用を要するというような状況の中で、余裕がないのは当然なんですね。したがって、自治体が買えるにしても、できる限りその予算を、負担をかけないようにするということは重要だと思います。

 その上で、今回の改正案では、買入れ制度の円滑な運用とそして新規地区指定の促進、そのための土地の買入れ、機能維持増進事業、これについて国が財政面、技術面から支援する仕組みが必要とされています。必要なことは分かっているんですが、繰り返し言いますけれども、自治体にとって重要なのは、それこそ生活に直結した課題の部分なんですね。このことを置き去りにはできません。

 その上で、この法案に仕組まれているスキームについて、私はこれについて今日はただしていきたいと思っているんです。

 今回の緑地保全等の取組を支援する公益団体、これを国が指定法人として都市緑化支援機構、このように指定をする。そして、緑地の買入れや機能維持増進事業、これを行う。特にこの業務については、国が都市開発資金の貸付け、これによって支援するということであります。このスキームが適切なのかどうか、これをただしていきたいと思います。

 局長にお尋ねしたいんですが、まず、このスキームは、緑地を売りたい地権者と自治体の間に立つ仲立ちする法人、これを指定して、買入れ業務を行わせるということであります。まず、これも非常にプリミティブな質問ですけれども、なぜこのように中抜きになりかねない法人を経由する必要があるのか。局長、お答えください。

天河政府参考人 お答えいたします。

 都道府県等は、特別緑地保全地区内の土地につきまして、所有者から申出があった場合には買い入れる必要がありますが、多くの都道府県等におきましては、財政的な制約から買入れが長期化し、制度運用上の課題となるとともに、買入れ後の管理に係るノウハウ、人手不足が課題となっております。

 今回、都市緑化支援機構は、こうしたことを集中的に解消したいということで、つくりたい、指定したいと思っております。

馬淵委員 自治体がそういった財政的な余力がないということはもうよく分かっておりますが、今のお話ですと、国が財政支援して機構が買入れを行うということでありますが、そんな回りくどいことをしないで、これは国が直接、事業としてやればいいんじゃないですか。地方公共団体に貸付けを行う、財源の手当てという方法もあるはずです。

 つまりは、自治体が財政的に厳しいからという中でいうと、このような、中抜きのような形の法人をかませる必要はないんじゃないでしょうか。いかがですか、局長。もう一度、答弁をお願いします。

天河政府参考人 お答えいたします。

 特に、公共団体からは、買入れ後の機能維持増進事業、これにつきましてしっかりやってほしいということでございます。そういうことを考えますと、この分野に関します専門知識あるいは豊富な経験を持つ都市緑化支援機構に、買入れと併せまして機能維持増進事業の役割を担わせる、こうした方が適切だと考えたものでございます。

 それから、都市緑化支援機構が集中的かつ継続的に支援を行うことによりまして必要なノウハウを蓄積するということができますので、それが効果的というふうに考えたということもございます。

馬淵委員 この緑化の機能維持増進事業、これについてまた後ほどもお尋ねしますが、普通に考えてください。地域における特緑、この特緑について地域でどういう役割を果たしているか、そして、その地域における緑地をどのような形で機能を増進させるか、あるいは危険を除去するような維持を図るかというのを、どこが一番よく分かっていますか。これは地域住民ですよ。地域住民が一番、その里山なり公園をよく理解した上で、その地域住民の声を吸い上げるのが、これは自治体なんですね。市町村ですよ。

 つまり、そこにノウハウがあるというのは、これは自治体なんですよ。また後ほど話に入れますが、新たな法人がノウハウをそこで持っている。いや、これはおかしいんですよ。その地域における最も重要性を理解している自治体が、それこそ機能維持増進というような形でこれを発注していけばいいわけですよ。そのお金がなければ、直接国が何らかの形で支援すればいいだけなんですよ。

 これは、どう考えたって、ノウハウが元々国が指定する法人に蓄積されていくというのはおかしいじゃないですか。これ、天河局長、どうですか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 自治体から機能維持増進事業をやってほしいという要望をいただいておりますので、できるところは自分でやっていただければいいんですけれども、できないところにつきまして、今回それを補いたいという趣旨でございます。

馬淵委員 自治体がどれぐらいあるんだということで、政令市、幾つか御指摘、いただきましたよ。しかし、そもそもこれは国がやるべき事業かということでいうと、やはり自治体が率先してやるべきだ、私はそう思いますよ。このような形で行うこと、国が直接その事業を仲立ち機関をつくってやること、これは本当に問題ないのかということだと思います。

 あえてその上で確認させていただきたいのは、機構をどうしても仲介させなければならない理由が何なのかということ。ここ、今のお話を聞いてもよく分からないんですよね。自治体が言っているということですけれども、全自治体が言っているわけでも何でもありません。

 そこで、このスキームについて確認をしていきたいんですが、指定法人は、国からの都市開発資金の貸付けを受けて、地権者との間で土地を一時取得、そして、それを地方公共団体に譲渡していくということですが、その場合に、この国指定法人には利益は生じますか。イエスかノーかでお答えください。

天河政府参考人 今回の業務につきましては、公共団体からの依頼によって行うものでございますので、基本的には、利益が生じるということは考えてございません。必要な経費はいただきますけれども、利益が生ずるということは考えてございません。

馬淵委員 利益は生じない。公益財団法人の指定となるのであれば、そうなるでしょうね。

 では一方で、その事務手数料、事務費、経費をいただきますということですが、この事務手数料、これは上乗せされるということになります。これは、どれぐらいの事務手数料というふうに想定されていますか。局長、お答えください。

天河政府参考人 手数料の算出方法といたしましては、想定経費を積み上げる方法、それから、実際の買入れ費用等に一定の比率を乗じる方法ということが考えられますが、いずれにしましても、今後の検討になると思いますので、具体的にはまだ、現在はお答えできません。

馬淵委員 私への説明では、オーソドックスな方法とおっしゃっていましたね。つまり、積み上げというのは当然あるでしょうけれども、なかなか、事務手数料も含めて、積み上げというのは、自治体との協定を結んで協定書に明記するわけですから、そこで決めていくんでしょうけれども、一般的に考えれば、オーソドックスな方法とは何かとお尋ねしたときには、先ほど、今局長から答弁があったように、手数料率、こういったものが考えられますと。それはおかしくないと思います。

 協定書の中に定めるわけで、協議の中で決まっていくんだと思いますが、不動産の取引で、仲介手数料というのは大体三%から五%ぐらいですよね。これも場合によります。ただ、一〇%となると、さすがにこれは高い手数料率だということになるでしょう。この国指定法人が公益財団法人という、そのような法人であれば、先ほど来お話があるように、利益、営利目的では手数料を取ることはできませんから、そんな高い、一〇%のような手数料率が設定されることはあり得ないと思います。

 では、このような法人を介して、今お話がありましたように、まだ何も決まってはいないと言うけれども、オーソドックスな方法で、手数料か積み上げ。通常考えられるのは、手数料というのは出てくるんだとは思います。緑地の機能の維持増進、ここは積み上げもあるかもしれませんが、通常、手数料と考えるべきではないかと思います。

 こういった形で買取りを行って、経費分をその法人が得る。そのときの予算、どれぐらい確保しているかですけれども、初年度の予算並びに今後数年間確保される見込みとして考えている予算、それは幾らぐらいになりますか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたが、令和六年度につきましては、国から支援機構に対する都市開発資金の貸付金として三億円を予定しております。これは、法案の施行後に法人を指定するスケジュールとなっておりまして、今年度の事業期間が非常に短いということから、予算計上額は少なくなっているということでございます。

 来年度以降につきましては、都道府県等からどの程度の買入れ要請が支援機構に寄せられるかによって変わってくるものであるため、正確に予測することが困難です。

 以上でございます。

馬淵委員 初年度三億円で、買取りの資金はそのうち二億、こういう説明を受けているので、それは、イエス、ノーで結構です。局長、そうですか。

天河政府参考人 二億円程度を予定をしております。

馬淵委員 今後はまだ分からない、当然です。しかし、これも説明では、私、大体十億程度と聞いております。そのように説明を受けました。そして、十億程度の買取りというのは、大体年間でどれぐらいになるのかというのをお聞きしました。

 十億程度について、イエスかノーか。年間何件程度か、これは数字を端的にお答えください。

天河政府参考人 お答えいたします。

 公共団体からどれぐらい支援要請が来るかによって変わってくるものであるため、なかなか正確に申し上げるということはできませんけれども、大体、今でいいますと、令和四年度におきましては、特別緑地保全地区等の買入れが、事業費が全国で三十億となっています。そういったことを考えますと、大体十億ということもあり得るかなというふうには思っておりますが、それは確定ではございません。

 それから、件数としましては、大体数件から十件程度、この辺りを考えてございます。これも、今後分かりませんけれども、今の考えでございます。

馬淵委員 御説明をいただいたとおりの答弁をいただきました。十億程度が想定じゃないかということと数件程度、これぐらいで果たして全国の緑地の買取りを、これを全て解決できるかというと、なかなか難しいのではないかと思います。

 その上で、この指定法人、これは公募によって一法人のみが指定されるとなっています。

 そこでお尋ねをいたします。

 指定法人の候補として応募がある法人数をどれぐらいと考えておられますか。局長、お答えください。

天河政府参考人 お答えいたします。

 都市緑化支援機構の指定対象としては、都市における緑地の保全や緑化の推進を目的とする一般社団法人又は一般財団法人であることとされております。こうした活動を行っている法人は複数存在いたしますが、今回創設する支援機構の業務の性質上、応募数はかなり限定的になるのではないかと推測をしております。

 以上でございます。

馬淵委員 限定的だということで、私、これは説明を聞いております。では、もう一つ聞きましょう。

 限定的である国指定法人になり得る、この公募に応募するであろう法人名をお答えいただけますか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 それは法人の意思で応募していただきますので、私どもからお答えすることではないと思っております。

馬淵委員 極めて少数であり、法人名は答えられないということも私も承知をしております。

 その上で、私には説明をいただきました。一つは、内閣府所管の公益財団法人の都市緑化機構、もう一つは、同じく内閣府所管の公益財団法人の日本生態系協会。これは公募ですから、いずれはっきりすることです。分かることです。

 この法人について、内閣府で確認いたしました。都市緑化機構というのは、その定款の中の「目的」に、「良好な緑化空間の創出、植栽植物の育成及び管理その他都市の緑化を推進する事業を行い、」「公共の福祉を増進することを目的とする。」法人。職員数は二十一名です。

 そして、もう一つの日本生態系協会、「生態系の保全並びに自然環境と調和した国土利用に関する調査研究、」そして、主な事業としてはビオトープなどの整備普及、こういったものに力を入れている法人で、職員数は四十九名です。

 これら二つのうち、本法案で定められる国指定に、事業目的から見ても、まあ、通常考えれば、元々の所管は都市局、国交省が所管してきたのがこの都市緑化機構。そして、日本生態系協会、これは環境省の所管だった法人です。今は共に内閣府の所管です。これは事業目的から見ても、都市緑化機構になることは、どう考えても明らかですよね。二つの法人しかない。私がこの質問をした上で、どこか一生懸命頼み込んで三つにするかどうか分かりませんけれども、いずれにせよ都市緑化機構。

 では、この都市緑化機構というのがどういう法人か。

 これは、今は公益財団法人都市緑化機構です。かつて、二〇一一年四月一日に、財団法人都市緑化技術開発機構と財団法人都市緑化基金、これが合併して成立しました。二〇一〇年度までは全国都市緑化フェアを主催していた、これが財団法人の都市緑化基金であります。全国の都市緑化フェアは、現在の公益財団都市緑化機構の主要な事業の一つでもあります。これは定款を見れば分かります。

 前身組織である財団法人都市緑化基金時代には、これも総務省で調べた結果を拝見いたしました。総務省の資料を見ますと、各府省からの再就職者が五代以上続いている独立行政法人、特殊法人、公益法人、そこに名前が出てきます。これは平成二十一年十二月四日の総務省の調べです。五代連続で、都市緑化基金は、専務理事と常務理事、これが全て国交省の元役人が就いているということで指摘をされています。

 二〇一一年度、合併して成立した都市緑化機構の専務理事は、元国交省都市局公園緑地課長で元大臣官房審議官でした。そして現在も、この都市緑化機構の常勤の業務執行理事兼専務理事は、元国交省都市局公園緑地・景観課長で元大臣官房審議官だったんです。また、この法人の役員の名簿の中には、同じく国交省都市局公園緑地・景観課長が、これは天下りの定義には入らない形で再就職された後、その会社の役員として理事に入られています。

 都市緑化機構というのは、結局、内閣府所管ですが、職員数は二十一名です。令和六年の収支、これを見ますと、事業費と管理費の給料手当が一億五百四十万ですから、まあ二十人程度と考えれば、おおむねそんなものでしょう。小さな組織だと思います。事業費は、事業収益が、これが一億七千四百八十一万、これだけの規模ということです。大きい小さいはあえて言いませんが、まあこういった規模です。

 それで、事業費一億七千万程度のこの法人に、先ほどお話があったように、今後、十億程度の買取りのお金が入ってくる。そしてこれを執行していく。手数料率三%で、これは三千万ですよね。ざくっと三名以上の新たな職員の雇用が可能でしょう。様々な事業費にお金もかかるのかもしれませんが。

 つまり、こうした法人にお金を流すスキーム、これをつくらんがためにこのようなスキームを描いているとしか、このようにお金を流す仕組みをつくらんがためにこのような形をやっているようにしか、私にはこれは見えないんですね。

 それで、都市緑化、環境、SDGs、これはもう誰もが反対しないようないい話ばかりなんです。私もこのことは否定しません。でも、大臣、これは二〇〇〇年初頭から、私たちは野党でしたけれども、徹底して、いわゆる政官業の癒着の天下り問題をただしてきたわけですよ。そして、私たちが政権のときには、これを厳しく正すということで、再就職監視委員会も含めて、その精度を高めてきた。でも今、我々が下野して、申し訳ないですが、今の与党の政権の皆さん、こういう形で、天下り法人とあえて申しませんが、実態としては変わらない状況で、また中抜きの団体にお金を流す仕組みをつくろうとしているじゃないですか。おかしくないですか、これ。

 大臣も、公明党でいらっしゃって、こういった問題には厳しく取り組んでこられた政治家でいらっしゃいます。大臣、私が今申し上げているのは事実関係のみですが、大臣はどのようにお感じですか。お答えいただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 今回、都市緑化支援機構、こういう仕組みを設けましたのは、先ほど局長が答弁いたしましたように、地方自治体、おっしゃるように、地域住民に最も近い地方自治体が直接買入れをする、またその後のメンテナンスや樹木の維持管理を行っていくというのがベストでしょうけれども、そのノウハウがない、そういう中で地方自治体から強い要請があって、今回のこの支援機構をつくったものでございます。

 その支援機構をどのようにスタートさせていくかということで、今回、こういう仕組みで、今後、公募をすることになっております。

 その過程におきましては、先ほど馬淵委員からありましたような透明性等、そして、今回の事業の性質から考えられる、利益を生むというようなことがあってはならないし、ましてや余分な組織をつくるということがあってはならない、その透明性を十分高めて運用していきたい、国土交通大臣としてしっかりそこは監視していきたい、このように思っております。

馬淵委員 とんでもないお金を流していくというような事業ではないのはよく分かっています、私もいましたから。都市局の中で、公園の事業というのは本当に小さな予算でやっておられるんですね。

 でも、やはり重要なのは、そんな小さな予算の中の小さな組織の話だからで、これは済ませられないんですよ。結局、政治が厳しい監視の目を向けなければ、役所というのは本当にゾンビのようにまた再び同じことを繰り返していくんです。そういう体質があることも踏まえて、だから、選挙で選ばれた政務三役が省の上に就いて厳しく監視をするんですよ。国会も行政の監視機能でありますが、政務三役である皆さん方も同じく、行政の責任者であり、監視機能を果たさなきゃならないんです。この当たり前のことを私は申し上げているんですよ。

 こんな組織、要らないですよ、はっきり言って。国から直轄でお金を出せばいいんです。自治体への貸付けだって構わない。国には相続土地国庫帰属制度というのがあるんですよ。これによって申請すれば、相続土地の帰属制度で、国からお金が出ます。こういった制度の活用が可能なんですよ。

 大臣、こうした制度の活用をも含めて、この組織が、私から見ればいかにずさんなといいますか、規模が小さいので放漫とまでは言いませんけれども、このようにお金を流すためだけの組織づくりということに精を出しているような組織になっちゃ困るということを申し上げているんです。

 大臣、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 その点は、馬淵委員がおっしゃるとおりだと思います。

 ただ、先ほど来申し上げておりますが、今回、地方自治体からは、買入れだけではなく、緑地としての魅力を保ちながら維持増進していく、そのためのノウハウが自治体にはない、そういうことをしっかりやっていただく組織と連携してやっていきたい、こういう強い要請があった上での今回の法案でございます。この点は御理解いただきたいと思います。

 その上で、しっかりとその監視をしていきたい、このように思います。

馬淵委員 先ほども冒頭申し上げましたが、緑地の機能維持増進、これについて、何度も言いますけれども、国が、霞が関の二十人程度の組織が物すごいノウハウを蓄積している、あるいは蓄積できるわけがないんですよ。

 繰り返しますよ。私の地元でも、いろいろな里山があったり、特緑があります。そこは、自治会単位で、地域の方々が憩いの場所として、それこそ林道をつけたり、山道をつけたり、中を伐開して、その上で、ある程度広場を造って、住民が憩える場所をつくる、そこに市や県も多少なり関わりながら補助もする。地域が一番分かっているんですよ。霞が関の二十人足らずの組織にノウハウなんかあるわけないじゃないですか。この当たり前のことを役所でちゃんとチェックしなきゃ駄目ですよ。

 これはもう与党審査が終わった法案で、我々も、ここで質疑が終局したらその後賛否が問われて、ちゃんとそこで賛否を明らかにしますけれども、だから、私もこれ以上は言えないんですけれどもね。これ以上私が言っちゃうと話が変な方向になっちゃうので、これが限界なんですけれども。

 でも、こういうことを監視するのが、大臣、あなたの役割ですよ。都市局の局長を私は責めているんじゃないですよ。これは先輩の方々からずっと引き継いでやってきた事業を局長のレベルで、自分が局長になって変えられないですよ。変えることができるのは政務の大臣にしかできないんです。

 大臣、もう一度、最後に私、申し上げます。こんな緑地の機能の増進維持が、中央の霞が関のこんな法人にあるわけないんですから、そんなことをお題目のように唱えていたら、これは笑われますよ。

 大臣、最後にもう一度確認します。決意をお述べください。

斉藤(鉄)国務大臣 今回、地方自治体からの強い御要請は、自分たちだけでは都市の緑を維持増進し、そして魅力を増進、生物多様性という観点からも踏まえて、これを是非手助けしてほしい、買入れプラス維持増進、こういう御要請があったところでございます。そういう機能を果たせるようなところを、しっかりと我々としては支援機構として指定をしたいと思っております。

 その上で、今、馬淵委員から御指摘のあったような点も踏まえて、透明性をしっかり確保する。このことはしっかり政務三役としてやっていきたい。今ここに政務三役が来ております。しっかりやってまいります。

馬淵委員 終局後にまた私、ちょっと何か読まなきゃいけないので、そういう意味では、今の御決意というのを改めて受け止めたいと思います。

 繰り返し申し上げますが、この国指定法人だけではない、国の直接買取りも含めて、追加の制度というものをちゃんと議論していかなきゃ駄目です。そういう形で進めていくことによって、無駄な法人づくりや、あるいは無駄な公金の流れというものを止めていく。本来の必要な税金の使い方ということをしっかり監視していただくことをお願い申し上げて、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、高橋英明君。

高橋(英)委員 おはようございます。日本維新の会・教育無償化を実現する会の高橋英明でございます。

 今日は、五月十日、実は六十一回目の誕生日なんですけれども、昨年の五月十日も質疑をやっていましたね。どういう巡り合わせか分かりませんけれども、五十日(ごとおび)ということで忙しい日に生まれちゃったなと思いますが、本当に一年が早いですね、大臣。あっという間に死んじゃうなという気がしますけれども、人生楽しまにゃいけないなと思いますので、今日もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず簡単に。大臣、この改正は必要なんでしょうか。ちょっとこの必要性について確認させてください。

斉藤(鉄)国務大臣 この法案は必要でございます。その必要性は、先ほど来議論がありますように、都市の緑地が日本において非常に低下している、世界的に見ても貧しい状況にある。都市の魅力。そして、これはある意味で、都市の世界間の都市競争の一環でもあると思います。そういう意味で、今回の法案は必要であります。

 これらの課題に対応するために、今回の法案におきましては、基本方針の策定、そして自治体向けの支援、そして、民間事業者が行う取組を国が認定、支援する仕組みなどの措置を講ずるものでございます。

高橋(英)委員 都市緑地法は以前からありますけれども、なかなか遅々として進んでいなかったんだと思うんですけれども、これは要は、自治体にとって負担なんじゃないんですかね。

斉藤(鉄)国務大臣 自治体にとっては負担になると思います。その自治体を国として支援する。また、自治体また国だけでは足りないところを民間の皆様の取組も巻き込んで緑地化を進めていく、こういうふうに考えております。

高橋(英)委員 やはりこれは負担になるんでしょうけれども、これをどんどん増やしていくという話で、あともう一つは充実度を増すという話なんですけれども、どっちに重きを置いているんでしょうか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 どちらも追求していきたいと考えております。充実させて量も増やしていきたい、中身も質も高めていきたい、このように考えております。

 以上でございます。

高橋(英)委員 いずれにしても自治体の負担は増えてくるので、増やすことに関してうまくいくのかどうか、非常に懸念はしているんですけれども、これは、改正して予算というのはどの程度膨らんでくるんでしょうか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 本法案に関連する令和六年度予算としましては、都市緑化支援機構による特別緑地保全地区の土地の買入れや、優良緑地確保計画認定緑地の整備に対する貸付けのため、国から支援機構に貸し付ける都市開発資金として、三億円を計上しているところでございます。

 また、荒廃した緑地の更新を目的として、地方公共団体が実施する機能維持増進事業について、今年度から新たに社会資本整備総合交付金の対象とすることとしております。

 以上でございます。

高橋(英)委員 先ほどから三億ということで、全く読めていないんだろうなというふうには思っているんですけれども。

 これから、馬淵委員とちょっとダブってくるかもしれませんけれども、まず、今、市民緑地契約制度というのがあるかと思うんですけれども、これをもっとうまく利用できないんですかね。

天河政府参考人 市民緑地につきましては、固定資産税がかなり軽減される、低くなるということで、利用価値はあると思いますけれども、市民緑地契約制度を活用して、公共団体で無償で貸借、貸すということで、土地所有者が支払う固定資産税、これについては非課税となりますけれども、保有コストが軽減されるということはありますが、実は、特別緑地保全地区の買入れ申出は、相続を機に発生することが多いというふうに伺っていまして、それは、やはり、相続税を払うために土地を売りたい、あるいは、代替わりしまして、お父さんの代は持っていたけれども自分は持ちたくないということがございますので、固定資産税が減ることによりますもちろんメリットはあるんですけれども、特別緑地保全地区の買入れ規模をそれで減らすということについては、若干ちょっと疑問があるかなというふうには思っております。

 以上でございます。

高橋(英)委員 いや、ちょっと違うかなと思うんです。私の地元でこれを利用したところがあるんですけれども、そこも特別地区だったんですけれども、崖で竹林なんですよ。市と契約して、当然市に貸与したんですけれども、固定資産税はかからない、維持管理も市がやるんですね。十年後に市が買い取るという契約をして、十年後、市が買い取っているんですよ。

 これを考えたら、機構は要らないんじゃないですか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 公共団体からは、やはり、機構に代わりまして、買い取ってくる主体が欲しいということの要望をいただいておりますので、要らないということはないかと思っております。

高橋(英)委員 都市緑化支援機構も、一時的に所有権を持つわけですよね。維持管理費というのは、そこの地方行政から取るわけじゃないですか。地方行政がお金ができて、できたら買い取るわけですよね、今度。そうしたら、同じじゃないですか、要らないじゃないですか。

 さっき言ったけれども、十年間、それは契約の内容によるんですよ。この市民契約制度は五年以上かな、だから、五年以上、十年でも、多分二十年でもいいんでしょう。その間ずっと地方自治体が維持管理をしてくれるんですよ、固定資産税も要らなくて。契約で、十年後なら十年後に、それなりの金額で市が買い取ってくれるという契約もできるんです。そうしたら、もう支援機構は要らないですよね。

天河政府参考人 ちょっと趣旨を正確に理解しているかどうか分かりませんけれども、市が買い取ってくれる場合はいいと思うんですが、なかなか、市にお金がないとか、お金がないので順番待ちをしなきゃいけない、そういった事態がありますので、今回の制度を仕組もうと思っておりますので、市が買い取れる場合につきましては必要ないかもしれませんけれども、実際、市が買い取ることが難しいということの状況がございますので、今回の制度を創設したいと考えております。

高橋(英)委員 これは都市緑地ですよね。それなりの自治体ばかりだと思いますし、だから、すぐに買い取れないから十年という契約を市はしたんだと思うんですよ。

 要らないと思うんですけれども、いかがですか。

天河政府参考人 そういった契約があるということはあるかもしれませんが、全てにおいてそういった公共団体が買い取るという契約ができるかといえば、そうではないというふうに思っておりますけれども。

高橋(英)委員 何かイフの話をしているようなんですけれども、ほとんど、都市緑地だったらそれなりの自治体だと思うので、ある程度の年数があれば買い取れるようにはなると思いますけれどもね。

 きちんと事前に契約をするわけだから、もうウィン・ウィンじゃないですか。地主もいいし、国はお金を出す必要もないし。都市緑化支援機構か、そんなのにワンクッション入れる必要もないし。どうですか、これは。

天河政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから申し上げているんですけれども、買い取れる場合はそれでいいと思うんですけれども、買い取れない場合がありまして、買い取れない場合について助けてほしいという声が公共団体からございますので、今回、それに対応した制度をつくりたいと思って、考えております。

 以上でございます。

高橋(英)委員 じゃ、ちょっと流れで申し訳ないですけれども、買い取れないような都市、自治体というのは、具体的にどんなような自治体になるんですかね。

天河政府参考人 お答えいたします。

 今回の制度につきましては、例えば千葉市でありますとか川崎市、それから横須賀市、そういったところから、こうした制度が是非必要だというお声をいただいております。

 以上でございます。

高橋(英)委員 結構な自治体だなと思いますけれども、まあ、具体的に聞けてよかったですけれども。

 じゃ、質問を変えますけれども、この支援機構の必要性、ちょっと聞かせていただけますか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 特別緑地保全地区は非常に厳しい規制がかかった緑地でございまして、その反対として買入れの義務がございます。

 買入れをしようとしたときに、例えば、複数の方から同時に買入れの申出が来る、あるいは、大きな土地を買い取ってほしいというお話がございます。そうしますと、少し待ってほしいという状況もございます。そうした場合に、すぐに買い取れるようにして、地権者との間で円滑に交渉を進めるという必要性がございます。

 それと併せまして、先ほどから申し上げていますけれども、機能維持増進事業、これをしっかりやってほしいという要請もございますので、それに対応するものとしてやっていきたいというふうに思っております。

高橋(英)委員 じゃ、確認ですけれども、この機能維持増進事業、具体的に中身を教えていただけますか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 長期間にわたりまして適正な管理が行われず、ナラ枯れ等の病害虫被害や台風等による倒木が発生し、防災上の支障が生じている事例、あるいは、成長が早い竹に覆われ、樹林の生物多様性が低下する事例、こうした事例が見られます。

 今回創設する機能維持増進事業は、このような樹林の一部を伐採し、萌芽更新等による樹林の再生を図るほか、竹を全面的に伐採し、雑木林へと再生する、こうしたことを考えております。

高橋(英)委員 それは、この支援機構が直接やるんですか。

天河政府参考人 直接というのは、要するに、具体的な作業という意味でしょうか。

高橋(英)委員 じゃ、ちょっと言い方を変えます。

 多分、どこかに発注するんでしょうけれども、この発注業務というのは、これは機構が契約するのではなくて、自治体にやらせちゃった方がいいんじゃないですかね。発注業務について、ちょっと聞かせてもらえますか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 自治体ができる場合は自治体がやっていただければいいと思いますが、できない場合があるので、機構がお助けをするという制度になっております。

高橋(英)委員 だから、やはり自治体がやるんですよね、これは。ですよね。済みません、これはさっきも出ちゃったから。私ももう団体が決まっているものだと思っていますけれども、くれぐれも出来レースみたいなことはやめていただきたいと思います。

 これは、東京でやるんですよね、この団体というのは。言えるわけないか、言えるわけないですね、まあいいや。

 その決まった団体が仮に東京でやるとしますよ。そうしたら、北海道とか九州のこういった特別緑地の維持管理というのはどうやってやるんですか、これは。

天河政府参考人 お答えいたします。

 業者とのネットワーク、あるいは学識経験者とのネットワーク、こうしたものを活用して、しっかりやっていきたいと考えております。

 以上でございます。

高橋(英)委員 めちゃくちゃ無理があるのかなというふうに思いますけれども。

 その団体というのは、業者とのネットワークが全国にしっかりとある団体なんですか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 基本的には、全国に持っておるというふうに理解しております。(発言する者あり)全国的に持っているというふうに理解しております。

 以上でございます。

高橋(英)委員 何かもう、やはり決まっているような今言い方だったんですけれども。これはきちんと公募でやるんですよね。

天河政府参考人 公募で行いますので、そうした団体を指定したいと考えております。全国的なネットワークを持った団体を指定したいと考えております。

高橋(英)委員 その団体の維持管理費というのは、さっき言った指定した、地方公共団体から依頼を受けた者が維持管理して、経費をもらって運営していくわけですよね。

天河政府参考人 お答えいたします。

 必要な経費につきましては、いただくことになると考えております。

高橋(英)委員 だったら、やはり、さっき私が言った市民契約制度、これは一緒ですよね。結局、お金を払うのは地方自治体ですよね。機構にお金を払うのか、自分のところで維持管理をしていくのか。これは間違いなく、地元の業者がやるはずなんですよ、これは当たり前の話でね。何のためにこの機構があるのか、私にも全く理解できないんですけれども。

斉藤(鉄)国務大臣 地方公共団体が行う特別緑地保全地区等の買入れ、その後の機能維持増進事業の実施等への支援を図る上では、地方公共団体において、財政的制約のみならず、専門的な知識を有した職員が足りず、ノウハウが不足している状況を踏まえた制度とすることが必要でございます。

 この点に関し、地方公共団体からは、特に買入れ後の機能維持増進事業についてのノウハウを補ってほしいという声を聞いているため、この分野に関する専門知識と豊富な経験を持つ都市緑化支援機構にその役割を担わせる方が、個別の緑地の状況等に応じた専門的かつ柔軟な対応が可能になり、より適切と判断したものでございます。

 また、都市緑化支援機構が集中的かつ継続的に地方公共団体の支援を行うことにより、必要なノウハウの更なる蓄積やその効果的な提供も可能になるものと期待しております。

高橋(英)委員 さっき具体的な都市名が出てきたんですけれども、千葉市とか川崎市がノウハウがないとは思えないんですが。

天河政府参考人 専門的な職員の方がいらっしゃらない、少ないということを伺っております。

高橋(英)委員 どこを指定するか分かりませんが、その指定した団体にはそういった専門的な職員がたくさんいるんですか。

天河政府参考人 そうした専門知識を持った職員を有するような団体を指定する方向で考えたいと思います。

高橋(英)委員 そうしたら、先ほど馬淵委員が言っていたところは何か当たらなくなってくるのかなというふうにも思えてくるので、よく、公明正大によろしくお願いしたいというふうに思います。

 あと、この都市緑化支援機構、これを監督管理するのは国ですよね。

天河政府参考人 そのとおりでございます。

高橋(英)委員 これは一つしか選ばないわけですよね。そうすると、これは罰則規定もあったんですけれども、指定取消しになったらどうするんですか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 都市緑化支援機構につきましては、指定に当たり、支援機構としての業務を適切かつ確実に実施できる能力、体制を有しているか否かを厳正に審査することとしておりますので、指定を取り消さなければならないような事態が生じることは基本的に想定しておりません。

 仮に指定を取り消さなければならないことになったとしても、支援機構の業務や財産は、新たに支援機構として指定する法人に引き継ぐこととしております。(発言する者あり)

 新たな法人が決まらないことは想定しておりませんが、いずれにしましても、地方公共団体の緑地保全施策に支障が生じないように、国として適切に対応してまいります。

 以上でございます。

高橋(英)委員 ちょっと局長、苦し過ぎる答弁なんですけれどもね。これは、もし指定が取消しになりました、次が出てくるまで、この間というのはどうするんですか。

天河政府参考人 基本的に指定が取り消されるということは想定しておりませんので……(発言する者あり)ですが、新たな指定法人にしっかり引き継がれるようにしたいと思います。

 以上です。

高橋(英)委員 ちょっとさすがにしんどいなというふうな気がするんですけれども。この後、福島委員もいますので、託したいなと思います。これはやはりちょっと無理があり過ぎますよね、本当にこの機構のシステムというのは。

 やはり、地方自治体でやるのが当然だと思うので、予算を渡して任せちゃった方が絶対いいと思いますけれども、いかがですか。

天河政府参考人 繰り返しになりますけれども、できるところはそこでやってもらえばいいと思いますが、できないところからやってほしいと要請があったということでございます。

 公共団体が、自分でできるところにつきましては自分でやっていただければいいと思いますけれども、自分でできないところにつきましてやってほしいという要請がありましたので、今回制度を創設したいと考えております。

 以上でございます。

高橋(英)委員 これはみんな使うわけじゃないんですか。違うんですか。

 じゃ、原則、先ほど私が言ったような仕組みでいいんですか、市民契約制度みたいな考え方で。

天河政府参考人 市民緑地契約を使うところは使っていただければよい、そのように考えます。

高橋(英)委員 だったら、やはり振出しに戻っちゃうんですけれども、要らないのかなという気がしてどうしようもないんですけれどもね。

 ごめんなさい。千葉市、川崎市と、さっき具体的にもう名前も出ちゃっているので、何だろう、千葉市、川崎市にそんなノウハウがないとも思えないし、何かほかに、それを指定することによって何か国からの仕事が増えるのかなとか、何かそんな変な詮索までしてきちゃうんですけれども、これは答弁しないで結構です。

 でも、先ほど言った罰則規定ですか、あれはもうちょっとしっかりしていただかないとこれはどうしようもないというふうに思いますので、お願いをしたいと思います。

 あと、民間緑地確保事業者、これは、具体的なメリットをお願いいたします。

天河政府参考人 お答えいたします。

 民間事業者のメリットといたしましては、認定を受けた取組に対する都市開発資金の貸付けや補助金による財政支援を行うこととしております。

 以上でございます。

高橋(英)委員 それだけですか。何か、認定をすると、例えば会社のイメージアップにつながるとか、そういった広報的な部分はないんですか。

天河政府参考人 もちろん、CSR的に充実されるということはあると思いますが、例えば、当該認定制度によりまして、民間事業者による良質な緑地確保の取組の価値が、投資家あるいは金融機関、テナント等の様々な主体に見える化され、資金調達の優遇や賃料の向上等を通じた民間投資の呼び込みにもつながること、これを期待しております。

 以上でございます。

高橋(英)委員 あと、確認ですけれども、機構に対しての国からの融資というのは、これは金利はないんですよね。

天河政府参考人 今は指定法人がございませんので、融資はございません。現段階において指定法人はございませんので、現段階において融資はございません。(高橋(英)委員「現段階では」と呼ぶ)ですから、指定法人に対して融資が……

高橋(英)委員 違います、ごめんなさい。都市緑化支援機構。

天河政府参考人 都市緑化支援機構はまだ指定されておりませんので、そこに対する融資はございません。

高橋(英)委員 それは現段階でですよね。これは指定した後にはどうなるんですか。

天河政府参考人 指定した後には、先ほども申し上げたとおり、六年度で三億円の都市開発資金の貸付けを行うこととしております。(高橋(英)委員「利子は」と呼ぶ)都市開発資金の貸付条件は無利子、償還期間は十年以内で、うち据置期間が四年ということになっております。

高橋(英)委員 無利子は融資というんですか。ちょっと聞きたいんですけれども。

天河政府参考人 無利子貸付けは融資だと思いますが。融資と考えております。

高橋(英)委員 はい、分かりました。

 先ほど馬淵委員からもありましたけれども、これは、地方公共団体が買うときには、まさかどこかワンクッション入れるなんということはないですよね。

天河政府参考人 地方公共団体からの依頼に基づきまして、支援機構が直接買い上げることとなります。

高橋(英)委員 くれぐれもワンクッションなんて入れないようにお願いをいたします。そうすると、またいろいろな手数料等々が発生してくるんだというように思います。

 私は、本当につくづくいつも思うんですけれども、国というのはちょっといろいろなことをやり過ぎじゃないかなというふうに実は思っていまして、もうちょっと地方公共団体に予算を渡して、できることはどんどんどんどん地方行政にもう任せちゃった方が絶対いいと思うんですよ。じゃないと、国の仕事量というのは半端な量じゃなくなってきます。予算をちゃんと渡せば地方行政は意外にしっかりやると思いますので、そういった考え方は、大臣、どうですか。

天河政府参考人 繰り返しになりますが、地方公共団体が自分でできないということで、今回の支援制度を立ち上げたいと思っておりますので、できるところにつきましては御自分でやっていただければよいので、そういったところにつきましては、国の社会資本整備交付金で支援していきたいと考えております。

高橋(英)委員 ちょっと私が聞きたかったのとは違うんですけれども。違うんです、ごめんなさい、ちょっと戻っちゃいますけれども、何か局長の顔を見ていたら支援機構の話に戻したくなっちゃうんですけれどもね。この支援機構なんですけれども、さっき言った発注は、どのように業者に発注するんですか。予定でいいです。

天河政府参考人 発注の方法につきましては今後ということになると思いますが、恐らく、地域、自治体と協定を結びますので、自治体との情報交換をしながら発注をしていくということになると考えます。

高橋(英)委員 結局、やはり地方の自治体なんだと思うんですけれども、これは、どうなんだろう、入札か何かをするようなイメージなんでしょうかね。それとも、出来レースじゃないけれども、どこかに直接頼むイメージなんですかね。そこまでは分からないと思いますけれども。

天河政府参考人 お答えいたします。

 やはり、随意契約というよりも入札をやった方が好ましい、透明性があるというふうに考えております。

高橋(英)委員 是非そういった管理監督をしていただきたいというように思います。

 繰り返しになりますけれども、東京に団体があって全国をやるわけですから、くれぐれもそういった組織を選んでいただきたいんですけれども、あるんですかね。

天河政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから申し上げていますけれども、今回、業者とのネットワーク、学識経験者とのネットワーク、こうしたものを活用してやっていただきたいと思っておりますので、指定できるというふうに考えております。

高橋(英)委員 じゃ、登録調査機関についてちょっと一点だけお聞かせ願いたいんですけれども、この具体的な業務内容ですか、これをお聞かせください。

天河政府参考人 お答えいたします。

 登録調査機関は、優良緑地確保計画の認定のための審査に当たり、国に代わって技術的な調査を行うことができることとしております。

 具体的に申しますと、専門的な知見に基づき、民間事業者等から申請された計画の各項目が、国土交通大臣が定めた緑地確保指針における基準にかなうかどうかを確認する業務を行うこととしております。

 例えば、植栽する高木の樹種等に応じたCO2の吸収、固定量がどうか、ヒートアイランド現象の緩和に資する風の道を形成する樹木等の配置、多様な動植物が生息、生育できるような高木、低木、草地等の階層構造の形成等を確認することを考えております。

高橋(英)委員 先ほどの支援機構と一緒で、これは、経費等々はどこから生み出すんですか。

天河政府参考人 基本的には、その認定を受ける方からいただくことになると考えております。

高橋(英)委員 こちらも国が管理するでよろしいんですか。

天河政府参考人 法律に基づきまして国が監督するということになると考えます。

高橋(英)委員 済みません、確認なんですけれども、こちらも罰則規定はあるんですか。

天河政府参考人 ございます。あります。しっかり監督していきたいと思います。

高橋(英)委員 結局、じゃ、指定取消しもあるということですね。

天河政府参考人 登録でございますので、登録取消しはあると考えております。

高橋(英)委員 さっき大臣に聞きたかったのは、別にこの法案だけではなくて、やはり、仕事量が非常に多岐にわたっていてしんどいと思うんですよね。ほかにもやるべきことはいっぱいあると思うし、やはり、これから本当にお金もない状況ですから、もう少し、選択と集中じゃないけれども、取捨選択をして、地方公共団体に、これは任せられるというのがあったら、予算を渡して、地方公共団体にどんどんどんどん仕事を渡していくという考え方というのは、大臣、どう思われますか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほどの質問のときにちょっと手を挙げかけたのは、まさにそういう御質問に対してお答えしようと思ったからでございますが、地方分権につきましては、十五年前だったでしょうか、地方分権推進法の議論のときに大きな議論がございました。その議論を経て今の形になっているんだろうと思います。しかしながら、基本的なそのときの考え方は、まさに、地方にできるものについては地方でやっていただくという考え方だったと思います。

 今回の法案もそういう趣旨にのっとりまして、地方にやっていただくことは地方にやっていただく、ただし、できないということについては、こちらからこの法律にのっとって支援をさせていただく、こういう考え方でやっていきたいと思います。

高橋(英)委員 本当、国が仕事を抱え過ぎて、どんどんどんどん膨らむ一方なんだというように思いますので、できることはどんどん地方行政にお任せをした方がいいというふうに思いますし、そして、この支援機構みたいなのも、また改正するんだろうと思いますので、もう一回考えていただければというふうに思います。

 以上で今日の質問は終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

長坂委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 今回の都市緑地法改定案を閣議決定した本年二月十三日、政府が今年度新たに創設した脱炭素都市づくり大賞、国土交通大臣賞を森ビル株式会社の麻布台ヒルズが受賞いたしました。

 斉藤大臣に伺います。

 この麻布台ヒルズのような取組を典型として推奨して、大臣が評価、認定をして、国が支援しようというのが、今回の法案ということなんでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 脱炭素都市づくり大賞は、優れた脱炭素型の都市の開発事業を表彰し、脱炭素型の都市づくりを促進することを目的として、環境省と共同で創設した表彰制度です。令和六年二月に、有識者による審査も踏まえ、特に優れた事業として、麻布台ヒルズが国土交通大臣賞を受賞したところです。

 麻布台ヒルズは、良質な都市の緑地を大規模に創出するとともに、最新技術を活用し、エリア内でエネルギーを融通し合うことで、エネルギーの効率的な利用を高い水準で実現しており、総合的に特に優れた取組であると評価されました。

 今法案においては、民間事業者等による良好な都市環境整備に向け、優良緑地確保計画の認定制度と脱炭素都市再生整備事業の認定制度の、二つの認定制度を創設することとしております。

 優良緑地確保計画の認定制度は、気候変動対策、生物多様性の確保、ウェルビーイングの向上に資する良質な緑地確保の取組を国が認定するものです。

 脱炭素都市再生整備事業の認定制度は、一定規模以上の緑の創出や再生可能エネルギーの導入、エネルギーの効率的な利用等に取り組む大規模な都市開発事業について、国が認定するものでございます。

 麻布台ヒルズのような取組を認定するかについて御質問がございましたけれども、認定の基準は今後作成していくものであることから、現段階で認定の見込みについて申し上げることはできません。

笠井委員 良質な都市の緑地を大規模に創出する、認定の基準はこれからだということになるとおっしゃったわけですが、この麻布台ヒルズは、都市再生特区、国家戦略特区を活用した巨大再開発プロジェクトで、高さ三百メートルの超高層ビルを中心にしたコンパクトシティーということを銘打って、敷地の三割を緑地化するということですが、千四百戸の住宅は最高一室二百億円以上とされて、超富裕層しか住めない。

 この地区は、かつては多くの住民が肩を寄せ合って暮らしていた下町であります。それを森ビルが三十年の歳月をかけてじわじわと買い進めて、住民を追い出して、空き地が広がって荒廃化をしたというのが実情です。私自身も、この目で十数年にわたり、その変貌ぶりを目の当たりにしてまいりました。

 森ビルの辻慎吾社長は、今年三月二十八日付の日本経済新聞で、目指すまちづくりについて、世界では都市間競争が激しく、世界中から人、物、金、そして情報が集まる町にしなければならない、こう言われております。斉藤大臣も同じ認識で、こうした取組、やはりお墨つきを与えるというつもりをお持ちでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 優良緑地確保計画の認定制度や脱炭素都市再生整備事業の認定制度について、麻布台ヒルズのような巨大開発プロジェクトの取組にお墨つきを与えるのか、そういう御質問がございましたけれども、認定の基準は今後作成していくものであることから、現段階で認定の見込みについて申し上げることはできません。

笠井委員 今回の法案には、民間投資による緑地確保の取組に対する国の評価、認定制度が盛り込まれております。

 国交省に設置された、民間投資による良質な都市緑地の確保に向けた評価の基準に関する有識者会議、この第三回会議、二月十六日では、対象とする緑地の要件としてどんな案が提示をされたか、この条件を都内の緑地に当てはめると全体の何%が該当するということになるんでしょうか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の有識者会議では、事務局の規模要件案として、緑地割合二〇%以上かつ緑地面積が千平米以上を提示し、有識者の御議論をいただいたところでございます。

 この規模要件案につきましては、仮に、令和四年度における東京都の緑化計画書制度に基づき届出のあった緑地に当てはめた場合、一二・九%がこの要件を満たす結果となると考えております。

笠井委員 この要件でいくと、都内緑地でいえば実に一三%近くに及ぶ。まさに今後も大規模再開発を認定をして、その取組が都市開発資金の無利子貸付けを受けることができるように支援するというものであります。

 今回の法改正に向けて、森ビルを始め不動産ディベロッパーなどから成る公園緑地公民連携研究会は、昨年三月の、オープンスペースの一体的活用に関する提言の中で、道路占用、道路使用、保健所、屋外広告物等、それぞれの協議に時間がかかる現状へのいら立ちを表明をして、一体的活用による安定的財源確保の仕組みづくりまで行政に要求をしている。

 斉藤大臣に伺います。

 本法案では、ディベロッパーが国お墨つきの緑地確保の取組を組み込むことで投資家からの投資を呼び込んで、都市部再開発を一層進めやすくしようというものなんでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今回の優良緑地確保計画の認定制度においては、あくまで緑地に着目し、緑地確保指針に適合する取組となっているかについて個別に審査していくものであり、再開発という事業形態にとらわれるものではございません。

 また、今回の脱炭素都市再生整備事業の認定制度は、大規模な都市開発事業が行われる場合に、一定規模以上の緑の創出などを求めることにより、都市の脱炭素化を進め、居住環境の向上等を通じて都市開発の質の向上を図るものでございます。

 したがって、本法案の認定制度により、再開発そのものが進めやすくなるというものではないと考えております。

笠井委員 再開発そのものを進めやすくするものではないと言われたんですけれども、先ほど紹介した提言を受けて、同年二〇二三年、昨年六月の、民間投資による良質な都市緑地の確保に向けた評価のあり方検討会の中間取りまとめでは、事業や規制だけでなく、市場の原理で良質な緑地の保全整備が進むよう、民間の投資や活動を誘導するという観点が必要と、それで、国際的な都市間競争の激化に言及をしています。

 この検討会のメンバーには森ビルの管理職も入っているわけで、そういう経過の中で、こうした事業者のための法案ではないかということは非常に明確になってくると思います。

 そこで、斉藤大臣に伺いますが、あくまで緑地の大規模な創出ということ、これが目的と言われるわけですが、緑地なら何でもいいのかということが問われてきます。

 国交省は、今回の法改定の背景、必要性の冒頭に、世界と比較して我が国の都市の緑地の充実度は低く、また減少傾向、こういうふうに述べて、横浜市の緑被率の推移を挙げております。

 これに対して東京都は、ここにあるんですけれども、未来の東京戦略二〇二四で、大規模開発が続く都心三区、千代田区、中央区、港区で緑が増加しているということで、緑被率アップを挙げているわけですね。

 国交省も、緑地の減少傾向を脱して緑の増加に転じるには、やはり都心三区のような大規模開発、これが進めばいいという認識をお持ちなんでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省では、都市機能の高度化と都市の居住環境の向上を図るため、様々な形で都市の再生を推進しているところです。

 都市の再生に当たっては、御指摘いただいた東京都の、未来の東京戦略二〇二四で言及がある、都市の国際競争力の強化の観点はもちろん、地方都市も含めて、緑地の質、量両面からの確保や、都市の脱炭素化を促進していくことが必要であり、大都市から地方都市まで、都市の緑地の確保や脱炭素化にしっかり取り組んでいかなくてはならない、このように考えているところでございます。

笠井委員 都市の脱炭素化にしっかりということであります。そして、国際的にも比べてという話があったわけですが、パリ、ワシントンDCを始めとして、欧米等の主要都市では、気候変動やヒートアイランド現象の激化を受けて、一定面積に占める樹木の葉が地表を覆う、この比率、樹冠被覆率、これを重視をして、向上の目標を掲げています。芝生や低木ではなくて、枝や葉が生い茂る樹冠が広がると、強い日差しを遮る範囲が広がって、緑陰効果が大きくなるということであります。

 例えば、ニューヨーク市では二〇一〇年の二一%から三〇年までに三〇%、オーストラリアのメルボルンは二〇一二年の二〇%から四〇年までに四〇%の目標を掲げているわけです。

 斉藤大臣に伺いますが、世界と比較するというのであれば、日本も緑被率、これは一つのメルクマールになると思うんですが、それだけではなくて、この樹冠被覆率、欧米諸国で、都市で先進的にやっているところも重視をして、この目標を明確に持つということが必要なんじゃないかと思うんですが、この点はいかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 今、緑被率と樹冠被覆率の話がございました。

 緑被率は、航空写真や衛星データから、樹林地、木や林が立っているところ、森、森林ですね、樹林地や草地等を推定し、その割合を算出するものであり、緑地の量を示す一つの指標として活用されております。

 御指摘の樹冠被覆率は、土地の面積に対して樹木の枝や葉が茂る樹冠が占める割合であり、高木に覆われる日陰の範囲を把握できる一方、対象が樹木に限定されることなどから、指標としての有効性が限定的な面はあると考えられます。例えば、草地や農地が対象に含まれないため、都市全体の緑地面積の評価には向かないといった点でございます。

 いずれにいたしましても、緑に関する指標については、評価する目的や計測範囲の広さ等によって、適切に選択されるものと認識しております。

 なお、樹冠被覆率は、暑熱環境の改善などに資する、高木による緑陰面積を評価する場合には非常に活用できる、このように考えております。

笠井委員 そういう面では活用できると最後におっしゃったわけですよ。両方やったらいいと思うんですね、本当にやろうと思ったら。

 国交省は、気候変動対応等の課題解決に向けて、緑地が持つ機能に対する期待の高まり、これを法案の背景、必要性に挙げながら、そういう点では両方やったらいいのに、こっちの方がいいんだというふうになって、じゃなくて、本気度がやはり問われてくると思います。結局、緑地確保を口実にして、国が前面に立って、事業者の再開発を推進、応援するための仕組みづくりと言わざるを得ないということが出てくると思うんです。

 そこで、大規模再開発のために緑地を創出する一方で、今ある樹木の大量伐採による緑の破壊が大問題になっているのが東京の現実であります。

 千代田区の日比谷公園では、周辺開発と一体の再整備計画で、一千本の樹木伐採のおそれが指摘をされています。江戸川区の葛西臨海水族園でも、新施設整備によって千四百本の樹木が危機にある。同区内の都立篠崎公園でも、スーパー堤防と一体に高台まちづくりが進められて、三千本の樹木伐採と移植が一昨年から始まっております。

 都民から今強い批判が沸き起こっているのが神宮外苑再開発です。三千本の樹木が伐採される計画で、イチョウ並木も危機に瀕しています。音楽家の坂本龍一さんや作家の村上春樹さん、浅田次郎さん、漫画家のちばてつやさんらも声を上げて、サザンオールスターズは思いを込めた楽曲を発表しております。私自身も、超党派、自民党を始めとして共産党までですが、この国会議連の発起人の一人であります。

 斉藤大臣に伺います。

 今回の法案は、こうした樹木の大量伐採に歯止めをかけるものなのか、樹木を守ることに役立つものなのか、この点はいかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 本法案は、都市における緑の充実を主眼に、これを扱う都市緑地法の改正を軸として、国の基本方針を定め、地方公共団体への支援策の創設等を行うものでございます。

 本法案に基づいて、公共、民間、双方において計画的な緑地の確保の取組が進むことを期待するものですが、個別の事業の是非を取り扱うものではない、このように考えております。

笠井委員 樹木を守ることに役立つ法案かどうかを私は伺っているんですが。

 外苑の再開発は、施行地区面積が十七・六ヘクタールにも及ぶ巨大開発であります。この再開発で緑地はどうなるか。緑被率と緑の体積について、事業者自身が東京都に提出した環境影響評価には、こう記載されています。「工事の完了後には、新たに植栽された緑地が加わることにより、緑被率は一九・六%となり、現況の一六・〇%を上回る。緑の体積は三十三万一千四百六十六立方メートルとなり、現況の三十四万六千二百八十四立方メートルを下回る」と。

 こういうふうに事業者自身が出しているわけですが、大臣は、当然このことは承知されていますね。

斉藤(鉄)国務大臣 御指摘の記述があることは承知しております。

笠井委員 外苑の再開発で事業者自身が認めているように、緑被率は増えても、ほかの指標、緑の体積は減るということであります。

 樹木研究の第一人者で、日本庭園学会会長も務めた藤井英二郎千葉大学名誉教授は、朝日新聞のインタビュー、二〇二二年四月三十日付で、こう言っております。「枝葉が育った樹木を伐採し、若い木を植えるので、緑の体積は減ります。緑被率は上がると言っても、樹冠被覆率でみると直射日光を遮るレベルまでにはすぐにはならない。一番大事なのはそこで、平面的な面積や本数ではないのです。」そして、この外苑再開発について、「あれだけ豊かな緑地で、何も問題なく育っている樹木をなぜ大量に伐採するのか。言葉はきついかもしれませんけど、私にとっては暴挙とすら映ってしまいます。」こう語っております。

 大臣、このような樹木の大量伐採には歯止めをかけるべきではないか、このことはどうですか。

斉藤(鉄)国務大臣 都市計画の作成におきまして、今回、東京都が住民の皆様の御意見も伺いながら、東京都の事業として進められている、このように考えております。都市計画の権限と責任を有する東京都において適切に判断されたものだ、このように考えております。

笠井委員 東京都が適切に判断と言われました。住民の意見を伺いながらとおっしゃったんだけれども、そうなっていないんですね。

 外苑再開発は、巨大開発でありながら、都市再開発法に基づく四者、三井不動産、明治神宮、伊藤忠商事、日本スポーツ振興センター、JSCの、個人施行方式で事業認可されました。個人施行の再開発事業は、都市再開発法では必ずしも都市計画決定をする必要はなく、実際にその手続が踏まれず、住民にも知らされていない。

 大臣、これほどの大規模再開発であれば、工事内容が住民に知らされて、是非も含めて住民合意の手続を経て進める、これは必要ですよね、先ほど住民の意見を聞きながらと言われたんだから。そこが大事だと言ったのは、そのとおりですよね。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほども少し申し上げましたが、都市計画の作成においては、早期の段階から住民等の参加の機会を設け、意見を聞くことは、都市計画の確実な実現を図る観点から重要です。

 このため、都市計画法では、都市計画案の縦覧、意見書の提出に加え、計画の原案作成において必要があると認めるときは、公聴会、説明会の開催等、住民の意見を反映させるために必要な措置を講じることとされております。

 また、良好な都市環境の保持など、都市計画上の見地から影響が大きいと認める都市計画においては、原案作成前の構想段階から住民等の意見を聴取していくことが望ましく、国が示す都市計画運用指針においても推奨しているところでございます。

 神宮外苑について言えば、東京都がこのプロセスにのっとって適切な計画を遂行されている、東京都の責任でされている、このように考えております。

笠井委員 今、東京都の責任と言われたんですけれども、外苑再開発では、今大臣が言われたような、計画の段階から住民の意見を聞いて反映してというふうなことでやっていないんですよ。それは、こういう形で、個人施行方式で事業認可するということで、抜け穴を通ってやっているからなので、今必要なのはやはり、こういうことに対してもきちっと、今大臣がそのことを大事だとおっしゃるんだったら、そのことを貫徹するような法制度にしていかなきゃいけないということになると思うんですね。

 本来なら、今必要なのは、緑地保全のための規制強化です。ところが、本案は、民間事業者による緑地の機能維持推進事業で、都市計画決定や事業認可の手続を簡素化して、住民の関与を逆に弱めて、規制緩和を進めるものになっています。これは重大だと思います。

 今回の法案は、都市緑化で国が前面と言いながら、再開発と一体の緑の創出だけではないか、結局のところ、緑地確保に名をかりた再開発応援法案だと、私、今の質疑を通じても痛感いたしました。

 改めてこの問題はきちっとやはり徹底審議をして、廃案を求めて、今日の質問を終わります。

長坂委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 法案の質疑に入る前に、ちょっと一点だけお伺いしたいと思います。

 先日、政府は、高速道路の渋滞緩和のために、料金を特定の時間帯などで変えるロードプライシング、これを来年度から全国で本格的に導入する方針、そうした報道があちこちでなされておりますけれども、この報道内容は、これは事実でしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 このような報道があったことは承知しております。

 高速道路料金につきましては、これまでも有識者の意見などを伺いながら、対距離制を基本としつつ、政策課題に応じて、時代に即したものとなるよう努めてまいりました。

 令和三年八月の社会資本整備審議会国土幹線道路部会の中間答申においても、「交通需要の偏在等による混雑の緩和を図るため、特定の時間帯や経路の料金の割引や割増を行う料金を本格的に導入すべき」とされているところでございます。

 時間に応じて料金を変動させる制度の本格的な導入について、現時点で、具体的な時期や箇所など、決まっているものはありませんが、四月二十二日に第五回デジタル行財政改革会議において岸田総理からいただいた御指示、二〇二五年からETC専用化を踏まえ、渋滞緩和や地方振興の観点から、デジタル技術を活用した高速道路料金体系の見直しについて具体的な検討をせよ、こういう御指示を踏まえ、地域の合意形成を図りながら、検討を進めてまいりたいと思います。

古川(元)委員 分かりました。

 高速道路は、この間、国民のお金で整備してきた、大事な我が国にとっての社会的なインフラであって、それを最大限有効に活用するということは非常に重要なことであって、料金体系、それをいろいろな観点から見直していく。今も、総理の指示にあった地方活性化、そういうところから見直すということ、そうした取組は私もすべきだと思います。

 そういった意味では、是非いろいろ検討していただきたいと思うんですが、検討するのであれば、この委員会で私何回か提案しております定額制、これも検討のやはり一項目に入れていただいて、是非この機会にやっていただく。

 つい先日、法案質疑があった二拠点居住、これを推進していくためにも、やはりそこに行く移動のコストをどう下げるかということが非常に大事であって、そういった意味では、高速道路を定額制にするということは二拠点居住を推進することにもつながっていくんだと思います。

 そういった意味では、このロードプライシングだとか、そういうことに限らず、是非その検討の中で定額制についても検討していただいて、試験導入でもいいですから、是非やっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 この問題については、何度か古川議員とここでやりました。基本的に、我々は対距離制を基本としているということは、これまでも御答弁申し上げてきたとおりでございます。

 委員御指摘の定額制を導入した場合、長距離利用の料金が安くなるというメリットがある一方、他の交通機関への影響が生じること、短距離利用の料金が高くなることで一般道路の渋滞が発生すること、それから、料金の設定によっては安定的な債務返済が難しくなることといったデメリットが生じる懸念がございます。

 したがいまして、このメリット、デメリットをよく考えながら、定額制の導入については、試験導入であったとしても慎重な検討が必要だ、このように考えております。

 いずれにいたしましても、高速道路がより利用しやすい料金体系となるよう、引き続き、有識者などの意見も伺いつつ、また先ほどのロードプライシングの議論も踏まえつつ、高速道路会社と連携した上で、社会情勢の変化も踏まえながら、継続して検討してまいりたいと思います。

古川(元)委員 メリット、デメリットというんだったら、ロードプライシングだってメリット、デメリットがあるんだと思いますよね。完全に全てを距離制で統一するんだったらまだ分かりますけれども、いろいろなバリエーションが今入ってきているし、またそのバリエーションを増やそうとしているんですから、是非、そういった意味では、試験的な導入でもいいですから、やはりちゃんと定額制を検討項目の一項目に加えていただいて、是非やっていただきたいということをまた再度お願いしたいと思います。

 それでは、この法案についてちょっとお伺いしたいと思いますが、そもそも論として、今回のこの法改正の背景には、世界の主要都市と比較して日本の大都市の緑地の充実度が低いということがあるとされております。

 私は名古屋生まれ育ちでありますが、名古屋もかつては白い町と言われて、緑が少ないというふうに言われました。そういうところで生まれ育ちまして、また、ちょうど三十年前の今頃は私はアメリカ・ニューヨークに、コロンビア大学に留学しておりまして、ニューヨークに住んでおりました。ニューヨークは本当に大都市でありますけれども、セントラルパークという広大な緑地公園があって、そういうところで生活したこともありますので、そういった意味では、名古屋のような緑の少ないと言われた日本の都市と、そして緑地の多い世界のニューヨークのような都市、その緑地の充実度の違いというのは私自身も体感をしております。

 そもそも、なぜ日本は都市の緑地の充実度が世界と比較して低い、これはどういうところに原因があるかというふうに政府は認識しているんでしょうか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 戦後の経済発展に伴いまして、都市への人口や産業の集中が急激に進んだことにより、都市において、人口密度の高い、稠密な土地利用が行われてきました。

 この際、都市の緑地は一般的に収益につながらないことから、緑地が住宅用地等へ転化したことなどに起因し、減少傾向にあると考えております。

 以上でございます。

古川(元)委員 その人口増加や都市部への流入というのもあると思いますが、これはやはりきちんと計画を、最初からちゃんと都市計画を立てていれば、そういうことにはならなかったんじゃないか、むしろ、やはり世界の都市というのはちゃんとそういう計画を立ててきた、そういうことがなされてこなかったことが、私は、やはり外国との違いではないかと。何か今の局長の話を聞いていると、もうこれは仕方がなかったんだということかもしれませんが、これはやはり政策的にきちんとやっていれば、それは外国の、欧米の都市のように緑地を維持することもできたんじゃないかと思うんですね。そういう、やはりちゃんと反省に立っていただきたいと思っています。

 また、戦後、そういう中でありますけれども、緑が減ってきて、それこそ、さっき申し上げました、名古屋なんかは白い町と言われましたけれども、小さい頃はそれをよく言われたんですけれども、最近は余りそういうふうに言われないんです。局長も同じ名古屋ですから分かると思いますけれども、余り言われなくなったんですね。

 この間、都市の緑地の保全とか緑化は重要という、そういう認識で様々な取組が行われてきた。でも、データを見ると、数字を見ると、やはり緑地の減少傾向が続いているんですね。

 さっきから申し上げている私の地元の名古屋も、体感的には緑が増えているというか、白い町と言われなくなったなと思っているんですけれども、しかし、緑被率のデータを見ると減っているんですね。

 では、どうして、この間も緑地の保全とか緑化が重要だという認識で努力を続けてきたのに減ってきたのか。その原因、理由については、政府としてはどのように認識しているんでしょうか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げたとおり、一般的に収益につながらないことから、人口増加時代において、開発等に伴い、緑地が住宅用地等へ転化したことなどに起因して減少傾向にあると考えておりますが、緑地行政につきましては、これまでも様々な施策を、住民に身近な市町村を中心に取り組んでまいりましたが、自治体におきましては、どうしても財政制約、あるいは緑地の整備、管理に係るノウハウ不足等の課題もございました。

 また、最近は民間事業者によりまして緑地が生み出されておりますけれども、元々、緑地確保の取組につきましては、収益につながらないということで取組が限定的だった、こうした状況にあったことによりまして、減少してきたのではないかと考えております。

 以上でございます。

古川(元)委員 要は、やはりこれは自治体に任せてきた、大事だといっても任せてきた、それを、今回の法案で国が前面に立ってと。そういった意味では、これまでの緑地の保全や維持、そうした管理、こうしたものを、地方任せから、これからは国が責任を持ってといいますか、それでやろう、それがこの法案の趣旨だという、そういう理解でよろしいんですか。

天河政府参考人 そのとおりでございます。

古川(元)委員 ただ、これは、その意気込みはよしとしておきますけれども、さっきからの質疑を聞いていても、本当に大丈夫なのかなと。大臣の答弁を聞いていても、ちゃんと国が主導してやる気があるのかなという懸念を持たざるを得ないところもあるんですが、例えば、これは私も、この法案の中身を見て感じた一つの疑問点でありますけれども、都市緑地支援機構が買い入れた緑地の保有というのは、これは一時的で、都道府県等に譲渡するということが予定されていますけれども、これは実際にどれくらいの期間を持って、そして譲渡することを想定しているんでしょうか。

 これは、いろいろ考えると、この間も財政制約とかがあってなかなか買入れも進んでこなかった、今度はそこに国税で手当てするようなことが検討されているようですけれども、実際には、買い入れた緑地の多くというのは、ずっと機構が保有して、そして機能維持増進事業を行う、そういうことになってしまうんじゃないかなというふうに懸念しますけれども、その点はいかがですか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 個別の事業における保有期間につきましては、事業実施前に、都道府県等と都市緑化支援機構が締結する協定の中で定めることとなります。

 本法案におきましては、支援機構の保有期間については十年を超えない期間と定められておりまして、議員御指摘のように、支援機構が長期にわたり保有を続けるといった事態は生じないと考えております。

古川(元)委員 大体、最初はいつもそうやって定めるんですけれども、十年たっても見つけられないとまた延期するということが、よくある手法でありますよね。そういうことにならないのかなということを懸念するわけであります。

 また、今回、優良緑地確保計画の認定に当たって、その評価の視点として、気候変動対策、生物多様性の確保、幸福度の向上というのが挙げられているんですけれども、気候変動対策や生物多様性の確保というものについては、これは評価するに当たって客観的な指標があると思いますが、このウェルビーイング、幸福度の向上というやつですね。

 そもそも、幸福度をどのような指標で判断するか、これはなかなか難しいところがありまして、私は政権にいたときに幸福度の研究というのを内閣府の研究所でちょっとやってもらったことがあったんですが、なかなかやはり、幸福度って、どういう基準で判定するかというのは難しいんですよね。今考えているこの幸福度の向上というのは、具体的にどのような指標で評価するということを、それを考えているんですか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、幸福度の向上につきましては、多様な観点を有するものであると考えておりますが、例えば、心身の健康の増進につながる散策路の整備、住民参加による花壇の整備など、地域コミュニティーの形成に資する事業者の取組、あるいは市民への公開性、バリアフリーの確保、こうしたものを評価することを考えております。

 これらの具体基準につきましては、現在、有識者会議で検討中ですが、今後、有識者の意見や、国土交通省で行うことを予定しているフィージビリティースタディーを踏まえまして定めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

古川(元)委員 何か、今聞いた項目で、本当に幸福度の向上というものにつながるのかなと。やはり、幸福度って、かなり主観的なものですからね、この点のところ、字面で書くのはいいんですけれども、かなりこの辺の評価の視点として、幸福度の向上というのが本当にうまくできるのか、そういう懸念があります。

 もう時間がなくなってきましたので、ちょっと締めたいと思いますけれども、様々、この方向性、思いはよしと思います。ただ、細かいところを詰めていったりすると、本当にこれで、ちゃんと緑地の減少傾向というのに歯止めがかかって反転させるような、そういうことができるのかなと。理念や思いは分かりますし、それはそのとおりであるなと思いますが、本当にちゃんとそういう効果が出てくるのかということについては、かなり、ちょっとクエスチョンを持たざるを得ないというところがあります。

 この点、大臣、この間ずっとやってきた、しかし、ずっと減少してきた、それが今回の法改正によって減少から増加へ反転する、そうした自信はありますか、大臣。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど局長が答弁しましたように、減少の一つの要因として、自治体、そして民間、この取組があるという答弁をいたしました。自治体においては、財政制約や緑地の整備、管理に係るノウハウ不足、それから民間事業者においては、緑地確保の取組は収益を生み出しづらいという認識、それらによって取組が限定的であったということでございます。

 こういう状況の中で、近年、気候変動対策や生物多様性の確保、ウェルビーイングの向上などの課題解決に向けて、都市緑地の持つ機能への期待が高まっております。また、ESG投資などの世界的な広がりにより、市場の中で、緑地確保が進むよう民間投資を推進する機運も拡大しております。

 こういう状況を踏まえまして、今回こういう法案を、自治体向けの支援、そして民間事業者における取組の促進ということを前面に打ち出した法案を提案させていただいたところでございます。まずこれをしっかりやって、緑地が増えるような取組、必ず生み出していきたい、このように思っております。

 また、今日いろいろ御指摘いただいたことも踏まえながら、今後も当然改良すべき点は改良して、今後明らかになってくる点については改良していかなくてはいけないかと思いますけれども、是非実効が上がるように全力を挙げていきたいと思います。

古川(元)委員 理念はいいんですけれども、やはり結果を出すことが大事ですから、しっかりそこは覚悟を持ってやっていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 まず、都市緑地法の改正について質問させていただきます。

 茨城県の特別緑地保全地域を指定しているのは水戸市だけでありまして、資料一というのがありますけれども、この白い枠で囲ったのがその地域なんです。これは見づらいんですけれども、一番左側が私の行っていた水戸一高という高校で、お城の跡にあります。水戸市というのは、この那珂川と、上に切れている千波湖、桜川沿いの馬の背状の台地にお城ができて、城下町ができて発達してきたんですけれども、この那珂川の河川敷に、ずっと崖になっておりまして、歴史的にも由緒のあるところですが、そこの一帯を特別緑地保全地域に指定しております。

 これは崖沿いなので、土地所有者だけじゃなくて、行政の皆さんも専門性がないため、下草刈りや倒木の処理などの維持管理が困難な状況になっておりまして、次のページの裏の方を見ますと、ちょっと鮮明じゃない写真もありますけれども、本当にひどい状況になっていて、緑地というよりは単なる荒れ地のような状況になって放置されているのが今現状であります。

 今回、法案について、地元の水戸市にもいろいろ意見を伺ってまいりましたけれども、先ほどから都市緑化支援機構について議論があって、本当にこの法案はもつのかなとも思いましたけれども、自治体の皆さんは都市緑化支援機構に対して非常に期待しているということで、この法案の期待、ニーズがあるということも私は確かだと思いますので、基本的には、この法案の方向性には私は賛成の立場であります。

 幾つかの点によって確認させていただきたいんですけれども、まず一つは、機能増進維持事業というのが、改正都市緑地法第四条第二項第六号で、「緑地の有する機能の維持増進を図るために行う事業であつて高度な技術を要するものとして国土交通省令で定めるもの」となっております。水戸市の皆さんがおっしゃっているのは皆伐とか択伐じゃなくて、下草刈りとか倒木の処理とか、もうとにかく荒れ地を急傾斜で整備しなきゃならないんですけれども、そうした事業はこの国土交通省令で定められるのかどうか、その点、お伺いしたいと思います。

天河政府参考人 お答えいたします。

 機能維持増進事業の内容は、低木の伐採や下草刈りなどの通常の維持管理ではない、温室効果ガスの吸収源や生物の生息、生育空間等としての機能を発揮するための高度な技術を要する事業となります。

 例えば、約二十年に一回の頻度で行う萌芽更新のための樹林の一部の伐採のほか、雨水貯留浸透地帯としての効用の増加や湿地の再生のために行われる土地の掘削等を国土交通省令において定めることを想定をしております。

 御指摘の下草刈りや倒木の処理につきましては、通常の維持管理に含まれ、一般的には機能維持増進事業には含まれないものと考えます。

 一方で、本法案との関係では、今回創設する都市緑化支援機構が行う特定緑地保全業務において、支援機構が行う土地の管理の一環として実施することは可能であると考えております。

 以上でございます。

福島委員 ありがとうございます。

 今答弁があったように、特定緑地保全業務として今回の都市緑化支援機構の支援の対象になるということであるんですけれども、問題は、この改正都市緑地法第十七条の二第一項では、特定緑地保全業務は、前条第一項の申出があった場合においてと書いてあって、前条第一項というのは、都道府県等による土地の買入れがあった場合なんですね。

 恐らく、先ほど来聞いていると、都市緑化支援機構が必要なのは二つ理由があって、一つは財政的な制約、もう一つは、なぜこの都市緑化支援機構が必要かというのは、一番のところは、機能維持増進事業のノウハウ不足というところもあったと思うんですね。この機能維持増進事業のノウハウ不足とか、管理についてもノウハウ不足なんですね、自治体は。その部分というのは、新しく買った土地じゃない、これまで買った土地にも同じようなニーズがあるし、むしろ自治体はそのニーズのことをおっしゃっているんじゃないかと思うんですけれども、なぜ今回、この支援ができるのは新たに土地を買い入れるときだけなのか。その点、その理由についてお答えください。

天河政府参考人 お答えいたします。

 今回、新たに都市緑化支援機構による支援業務を創設する主眼は、都道府県等におきまして財政的制約から特別緑地保全地区の買入れが長期化しているという課題に対応することにあります。このため、土地の買入れから機能維持増進事業、都道府県等への譲渡までの一連の業務を特定緑地保全業務として法案に位置づけ、支援対象としたものでございます。

 以上でございます。

福島委員 さっきから理由がころころと変わるんです。あるときは財政的と言って、あるときはノウハウが不足していると言って、変わるんですよ。ノウハウ不足のために、先ほど来、答弁で何度も行き詰まっていましたけれども、都市緑化支援機構が必要だと言っていて、ノウハウが必要なのは、新しく買い入れる土地も、これまで買入れした土地も、全く変わらないはずなんですよ。

 大臣、ちゃんとこれまで買い入れた土地も、この都市緑化支援機構が支援できるようにすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど都市局長から答弁したとおり、法律に規定される特定緑地保全業務には該当しません。しないですが、都道府県等が、都市緑化支援機構に指定された法人に対し、機能維持増進事業のみを委託することは可能であると考えております。

 この場合も、社会資本整備総合交付金による支援対象となることから、都道府県等の要望を踏まえ、財政支援を行ってまいります。

福島委員 ありがとうございます。

 本当にそれはありがたい答弁なんですけれども、問題は法律上の裏づけでありまして、この法案の第七十条各号に、都市緑化支援機構の業務が列挙されておりますけれども、この各号の中で、どこでそれは読めばいいんでしょうか。局長、答弁をお願いします。

天河政府参考人 法律に基づく業務としてではなく、法律外の業務として、支援機構として指定された法人に委託をすることが可能だと考えております。

福島委員 それはなぜ可能なんですか。だって、指定するのはこの業務を行う法人だから指定するのであって、この機構が支援を行えるというのはどこにもないわけです。国が指定する場合の条件でもないわけですけれども、なぜそれができるのか、もう一度、それは任意でやるんだったら普通の造園屋でやればいいのであって、先ほど来、馬淵さんや高橋さんがおっしゃるように、必要ないじゃないですか、それだったら。特定の能力があるからここで支援するんだから、ちゃんと法的な裏づけが必要なんじゃないですかね。

天河政府参考人 支援機構はそうした能力を持っておりますので、公共団体から見た場合に、支援機構に委託をしようということになるというふうに考えます。

福島委員 でも、ちゃんとそこには、先ほど大臣がおっしゃったように、財政支援も講じられるわけでしょう。だから、そこは何かにきちっと規定しないと、そういう仕組みにならないと思うので、答弁だけじゃなくて、しっかりとした制度として、そうしたものを位置づけていただきたいんですが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 まずは、私の答弁として、それを根拠に使っていただければいいと思いますし、これをきちっとした制度の中に入れ込むということについては、検討させていただきたいと思います。

福島委員 是非よろしくお願いします。

 先ほど来議論を聞いていると、国土交通大臣が指定する都市緑化支援機構というのは、やはりこれは物すごい不安ですよ。認定基準が経理的基礎、技術能力があることというのが第一号で規定されて、第二号で、なぜか、兼業の場合、本業があってもちゃんとこの業務ができるようなことというような規定があって、三号で、前二号に掲げるもののほか、支援業務を適正かつ確実に実施することができるものとして、国土交通省令で定める基準に適合すると書いてあって、国土交通省令で定める基準というのが分からないんですね。

 ここで、相当、実際に全国各地に、水戸市にもあれば都会の千葉とか川崎とか、さっき言った都市部にもあれば、気候も、北海道もあれば沖縄もあるわけですよね。それによって植生も変われば地形も変わる。それに対応できる能力は、私は、さっき馬淵さんがおっしゃったようなところに、その能力があるとは思えないんですよ。

 だから、この省令で定める事項によっては、どこも法人は該当なしとなる可能性だってあるわけですね。この国土省令で定める基準に、そうしたきめ細かく対応できるようなことを定めるべきだと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の国土交通省令で定める基準の内容につきましては検討中でございますが、例えば、業務の公正かつ適確な実施を確保するために必要な体制が整備されていることということが考えられます。

 都市緑化支援機構の指定に当たりましては、こうした指定基準に基づきまして、委員御指摘のとおり、特別緑地保全地区等が各地にあることも踏まえまして、機能維持増進事業や管理等の業務を行うのに必要な体制等を有しているか否かを厳正に審査した上で指定したいと考えております。

福島委員 是非、指定する法人に合わせて基準を作るんじゃなくて、基準を作ってから、合わないものがあったら、もう該当なしとするぐらいの意思を持って、しっかりとした基準を定めていただけたらと思います。

 次に、都市再生特別措置法の改正法なんですけれども、今回、改正都市再生特別措置法で、都市の脱炭素化の促進のために、民間都市開発事業における再生可能エネルギーの導入等を支援する趣旨には賛同しますが、しかし、状況は、エネルギーマーケットの条件を踏まえたエネルギー政策との整合性とか、官民の適切な役割分担とか、官の関与の在り方に、私は留意が必要だと思います。

 今回、民都機構のメザニン融資の支援がつくことになりますけれども、これは、こうした公的支援を受けて発電した電気は、余剰電力をFITやFIPで売ることができるんでしょうか。

天河政府参考人 基本的には、事業敷地内における電力需要に対応するものでと考えておりますが、余った場合に例外的にそれを外に売電するということはあり得ると考えておりまして、その場合にFIT、FIPを活用するということも、場合によってはあり得ると考えます。

福島委員 昨日の経済産業省の説明と違うんですけれども、それでいいんですか。今日、経済産業省を呼んでいないですけれども、昨日は経済産業省はFIT、FIPの対象にはしないと明確におっしゃっていたんですけれども、今の答弁でよろしいんでしょうか。全然議論の前提が変わっちゃうので。

天河政府参考人 FIT、FIPの対象となるものにつきましては、金融支援の対象とすることはしないと考えております。

福島委員 分かりました。要するに、金融支援の、この民都機構のお金が入った分はFIT、FIPの対象にしないということなんですよね。だから、公的支援を得るためにはFIT、FIPの対象にしないんです。

 ただ、なぜFITやFIPをつくったかといったら、それは、金融的な市場のメカニズムの下で資金を調達して事業ができるという前提で、FIT、FIPというのはできているわけです。

 私はどんどんFIT、FIPで売ればいいと思うんです。しかも、今回、オフサイトで造る発電施設にも公的資金を投入し得る余地があるんですよ。むしろ、そんなの、公的資金を投入するんじゃなくて、堂々とFIT、FIPで売って、自分たちのところにも電気を送るということにすればいいし、そもそも、今、多くの需要家が、今後の電力の高騰に備えて再生可能エネルギーを自家発電に利用している事例というのはありますよ。でも、それはほとんどがこんな公的な金融支援を受けておりません。

 なぜなら、電気というのは価値があるものなんですね。価値があるものであって、しかも電気代というのは必ず入るものでありますから、ファイナンスがつくものなんですよ。私、浪人中、アルバイトでそういう仕事をやっていたんですけれども、大体がつきます。

 あえて、しかも、メザニン融資という金融で特別のやり方で、これはある程度のハイリスクのものに対して活用される金融手段なんですね。それは、メザニンじゃなくて普通の融資で、自家発電だってつくはずのものを、あえてFIT、FIPを使わない場合だけにそれを入れるなんというのは、普通の経営者であったら、そんなものを使うものがないと思うんですね。

 これまでの都市再生特別措置法に基づくメザニン支援というのは、例えば、公共的な施設とか、その施設に関する情報の提供施設といった市場外部性があって、マーケットメカニズムでは成り立たないものについてメザニンの融資を行うという趣旨だったんです。

 今回の再生可能エネルギーは、生み出すものは、財としての価値があって、市場性があるものであって、しかも、FIT、FIP制度の対象のものにあるものを、あえてそれの対象にならなければやるなんというのは、私はこれはニーズがないと思うんですよ、それは。

 だから、非常に私はこの点に違和感を持ったし、あと、エネルギー政策もゆがめることになると思うんですね。FIT、FIPというのは、市場メカニズムの下で再生可能エネルギーを導入して、その市場性が上がるとともに、どんどん支援を縮小していって市場化していくという仕組みになっているときに、そこに変な公的な関与がある、こうした特典がある制度ができると、ゆがむ可能性があると思うんですけれども、大臣、これはおかしいと思いませんか。いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今の御議論を聞きながら、ただ、今回は、FIT、FIPにつきましては、再生可能エネルギーを推進するためのものですが、ある意味で、また、利益を目的としたものでもございます。

 今回は、支援の対象とするのは、自分の敷地の中で使うエネルギーが対象でございます。外部への売電を主たる目的とするものは支援対象と考える、これも一つの考え方だと私は思います。

 また、事業にはいろいろな面があることから、必要な資金の全てを民間金融機関から調達することが困難な場合が想定され、民間都市開発推進機構による金融支援を通じて、取組を後押しすることが効果的でございます。

 事業の認定、支援に当たっては、特に、地方都市における面積要件の緩和等を図ることで、大都市のみならず、地方都市における事業の実施を積極的に促し、我が国全体の都市における脱炭素化を強力に推進してまいりたいと思います。

福島委員 非常に苦しい答弁だと思います。

 脱炭素化を国で進めるのであれば、再生可能エネルギーを買っていただければいいだけなんですよ。わざわざそんな、パネルに張る。しかも、自家発電でやる人は皆、自己資金でやっておりますから、こうした制度はおかしいということを申し上げて、質問とさせていただきます。

 ありがとうございます。

長坂委員長 次に、櫛渕万里さん。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 大臣、この法案の狙いは、都市の緑を質と量の両面で確保を進めるものですよね。しかし、東京都は明治神宮外苑の樹木を伐採して再開発を進めるとし、ユネスコ諮問機関のイコモスは計画撤回を求めるなど、社会問題、国際問題になっています。そのほかにも、都内でまるで逆の事態が進行しているんですね。

 例えば、パネル一を御覧ください。

 江戸川区の都立篠崎公園。写真のように、緑があふれる公園でした。ところが、スーパー堤防を造るという名目で大量の木が伐採されています。その数、何と三千本。右側の写真は昨年十一月末の写真ですが、もう見る影もありません。

 さらに、パネル二を御覧ください。

 国の施設である国立天文台の三鷹キャンパスでは、北側ゾーンの敷地を三鷹市に売却、そこに小学校や図書館、カフェなどを中心とする再開発計画を進められているんです。この図のピンク色で囲われた範囲がその敷地でありますが、面積はおよそ四万七千八百平方メートル、東京ドームよりも広い大きさです。

 詳細はこれからのようですが、ある市民団体が推定したところ、約四割の敷地が切り開かれ、約一万四千本の樹木が伐採される可能性があるそうなんです。そこには、準絶滅危惧のオオタカや、絶滅危惧2類の植物も生きています。樹木を切ってまた植林すればいいという話ではありません。

 都市の緑地を守るとされる本法案の審議に当たって、このままこの計画を進めていいのか、そういった問題意識から質問していきます。

 そもそも、国立天文台はなぜ敷地を売るんでしょうか。調べてみると、研究や教育の充実のための財源確保が理由ということなんです。つまり、国立天文台は運営費や研究費が不足しているから、緑あふれる敷地を売却するということなんです。

 では、なぜ研究費や運営費が不足するのか。国立天文台の財政を見ると、運営費交付金が年々減らされ続けていることが分かります。運営費交付金を絞ったことでどんな影響が出てくるかというと、例えば、岡山の分室にある望遠鏡が壊れていて観測ができないままになっているというんですね。びっくりしました。研究に必要な大型な望遠鏡、それさえも修理ができなくて、お金がない、自由にできない、そういった状況であるということです。

 一方で、日本の天文学は世界的に見ても高い評価を得ています。お手元の資料を御覧ください。他の研究分野と比べて、宇宙科学分野は、世界で引用されている論文の数が突出して高い。大きな成果を上げていることが分かります。これをリードしているのがここの国立天文台なんですね。

 お金が足りないのに頑張って成果を出している、それなのに国からは運営費を更に減らされる、これが実態です。だから、苦肉の策として緑あふれる敷地を売らなければならない。科学技術の振興の面でも、都市の緑化を守る面でも、これで本当にいいんでしょうか。

 もう一度パネル二を御覧ください。この敷地の緑の現状について、右側です。

 三鷹市は、北側ゾーンについて、緑の維持管理の一部に課題があるとしています。しかし、老朽化など課題があるから売って開発していいという話にはなりません。むしろ、緑地に課題があるなら、きちんとした保全が行われるようにしなければならない、それが今回の緑地法の改正の趣旨ではありませんか。

 大臣にお伺いします。

 政府が緑地法を改正して都市の緑地を充実させようとしている一方で、きちんとした成果を上げている国立の研究機関が研究費や運営費の不足のために貴重な緑地を売却してしまう、政府の中で、緑地に関するアクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものに見えます。もちろん、国立天文台の所管は文科省ですから所管外です。しかし、ここ以外にも、広い敷地を持つ国立大学法人や研究機関で同じようなことが起きかねません。

 都市部にある国立の機関が緑の多い敷地を売却する際には、緑地法を主管する国土交通大臣の意見を聞くという仕組みが最低でも必要であると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今回の法案は、都市緑地の持つ様々な機能に着目し、自治体や民間事業者への支援を充実させるなどの措置を講ずるものでございます。

 御指摘の事例、国立天文台、三鷹市の事例につきまして、詳細を把握しているものではございません。三鷹市も、この地域に学校の建設を予定している、このようには聞いておりますけれども、これらは教育環境や防災等の要素も考慮しつつ検討を進められていると理解しております。

 各地のそれぞれの事業につきましては、施設の管理者や自治体等において、地域の課題や実情等に応じ、適切に御対応いただくものと考えております。

櫛渕委員 是非詳細を見ていただきたいと思うんです。住民からは大反対の声が出ています。学校の統廃合を進めるな、こうした住民の声をしっかりと受け止めた緑地の保全ということが必要だと思うんですね。

 今回のケースの背景にある大学や研究機関の運営費交付金についても、特に大都市部に立地している場合は、緑地が持つ多面的な効果を考え、交付金の予算を増やすよう、大臣から文科省に申し入れることが必要だと思います。

 衆議院の文部科学委員長の経歴をお持ちで、さらに、清水建設時代には宇宙構造物にも関わられ、公明党の宇宙開発・利用の委員長も歴任されている大臣なら、御理解いただけるのではありませんか。縦割りでは、日本の科学技術も都市の緑地も守れません。

 もう一点、最後にお聞きいたします。日本の都市緑化を守る予算、どれぐらいでしょうか。端的に教えてください。

斉藤(鉄)国務大臣 国においては、社会資本整備総合交付金などによりまして、地方公共団体の都市公園の整備や緑地保全等の取組を支援しております。

 令和六年度予算でいいますと、社会資本整備総合交付金約五千六十五億円及び防災・安全交付金八千七百七億円の内数でございます。

櫛渕委員 まだまだ少ないと思います。

 大規模な都市開発を前提とした都市緑化ではなくて、都市の緑を保全するための財政支援こそ積極財政で必要です。

 アメリカのバイデン大統領は、都市の緑化に特化して、国として一千五百五十億円を財政投資することを表明したそうです。猛暑はアメリカに十五兆円規模の損害を与える、だから、都市の気温を低下させるためだとしています。都市の緑化だけに特化した、こうした予算を組むべきだと思います。

 先日、渋谷区は、住民の声によって、玉川上水緑道の樹木を伐採する方針、転換しました。今後は維持管理が課題だそうです。先ほどの三鷹市の例も、緑の維持管理の一部に課題があるとありました。やはり財政支援なんですよ、緑を守るための、これが本質だと思います。神宮外苑にしても、江戸川区の都立篠崎公園にしても、三鷹の国立天文台にしても、今回の緑地法改正によって樹木が守られ、都市の緑を守れるものでなければ意味がありません。

 世界全体が気候変動で苦しむ中、人類の遺産でもある都市の緑、こうした都市の森は、植物だけでなく様々な生態系が守られる資源でなければならず、人間もその一部です。

 緑地法には本来、その本質こそ守る責務がある、そのことを申し上げ、私の質問といたします。ありがとうございます。

長坂委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、都市緑地法一部改正案に反対の討論を行います。

 第一の理由は、民間事業者の緑地確保の取組に国がお墨つきと資金援助を行うことで、開発事業を一層進めやすくするための仕組みづくりとなっていることです。

 今、都内でも商業地を中心に超高層ビルの建設ラッシュになっていますが、開発ゾーンに一定の緑地を確保することが国際的なスタンダードとなっています。

 法案は、緑地確保事業者が作成する優良緑地確保計画を国土交通大臣が評価、認定する制度を創設するとともに、認定を受けた取組について、都市開発資金の無利子貸付けを受けることができるようにするものです。従来の開発事業に国のお墨つきのついた緑地確保の取組を組み込むことで、国際的な評価を高め、投資を呼び込み、都市部の開発を一層進めやすくしようというものです。一部のディベロッパーを優遇し、東京一極集中を更に推し進めるものと言わざるを得ません。

 第二は、国の基本方針、都道府県の広域計画は、市町村が策定してきた緑の基本計画を国等の言いなりにゆがめ、市町村の自主性を損ないかねないことです。

 現行法が緑の基本計画の策定の主体を市町村としてきたのは、住民に身近な市町村が担うことがふさわしいとされてきたからです。

 本法案は、市町村の緑の基本計画にかぶせるように、国に基本方針の策定を義務づけ、都道府県に広域計画の策定ができるようにしようとするものです。これまで住民本位のまちづくりの一環として自主的に行ってきた市町村の取組が、国や都道府県に縛られることになりかねません。

 しかも、国の基本方針は、リニアや新東名高速道路などの大型開発を推進する国土形成計画との調和を保つこととされており、市町村の基本計画が、そうした国が目指す方向にゆがめられかねません。

 第三は、民間事業者による緑地の機能維持増進事業として実施するための都市計画決定や事業認可の手続を簡素化することは、当該手続における住民の関与を弱めることになるからです。

 公告縦覧して住民からの反対意見の提出がなければ、都市計画審議会への付議を要しないということになります。現行の手続では、計画案を公告縦覧して反対意見がなくても、都市計画審議会に付議することになっています。それは、都市計画案に住民の意見を反映させる重要なプロセスだからであり、変えるべきではありません。

 最後に、今東京で住民が厳しく批判しているのは、神宮外苑再開発です。樹木を大量伐採する事業に何の歯止めにもならない本法案が、幾ら緑地確保をうたってもむなしいだけです。ディベロッパーの利益最優先ではなく、地域住民が望む緑地確保へ政策の転換を求め、反対討論を終わります。

長坂委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、都市緑地法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

長坂委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、小林茂樹君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。馬淵澄夫君。

馬淵委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。

    都市緑地法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 国の基本方針を定めるに当たっては、気候変動対応、生物多様性確保、幸福度の向上などの観点に基づく定量的な指標等を盛り込み、今後の目指すべき都市緑地の姿について具体的に示すこと。また、取組の進捗状況について定期的な把握とその評価を実施するとともに、必要に応じて目標達成のために追加的施策を講ずること。

 二 特別緑地保全地区等内の緑地の買入れに当たっては、都市緑化支援機構が国から都市開発資金の無利子貸付けを受けて実施する制度に加え、地方公共団体への支援の拡充とともに、国が直接買入れを実施する制度についても追加を検討すること。

 三 機能維持増進事業の実施に当たっては、防災上危険な場所で優先的に実施すること、事業実施後も緑地の状況変化に応じた継続的な対応が求められる可能性があること、地域をよく知る地域住民や有識者などの声に丁寧に対応することなどにも留意しつつ、都市と地方それぞれの地域の実情を踏まえた取組を行うよう、また、都市緑化支援機構が実施する場合においては、これらを踏まえた業務実施協定が締結されるよう周知すること。

 四 都市緑化支援機構による機能維持増進事業の対象に、新たに都道府県等が買い入れる土地以外の既に指定されている特別緑地保全地区等も加えるよう検討すること。

 五 都市緑化支援機構の指定に当たっては、全国での緑地の買入れや機能維持増進事業の実施を行う法人として独占的地位が与えられることを踏まえ、その指定手続過程の透明性を図ること。また、指定を受けた法人が、いわゆる新たな天下り先となることを防止する観点からも、経営体制等の情報公開などを積極的に行うよう指導監督を徹底すること。

 六 都市緑化支援機構に対する都市開発資金の無利子貸付けに当たっては、その要望額の根拠となる機能維持増進事業等に要する費用の透明性や妥当性について十分検証を行うとともに、全体の事業量を確認し必要十分な予算の確保に努めること。

 七 都市緑化支援機構や地方公共団体に限らず、都市緑地の維持管理を行う者として重要な役割を担っている地域のボランティアやNPOなどに対しても、持続可能な活動を行うための財政的支援を講ずること。

 八 優良緑地確保計画について、認定手続の透明性を確保するため、開発に見合った必要な緑地の割合を示すなど認定審査の基準を明確化すること。また、民間事業者等による緑地確保の取組も重要であることを踏まえ、認定制度の効果的な活用が図られるよう、認定を受ける具体的なメリットを十分に周知すること。

 九 都市開発により損なわれる生態系の価値と同等の土地等を確保するミティゲーション制度等の取組について、調査研究や導入の検討を進めること。

 十 都市緑地は、その立地状況から相続時に宅地開発事業者などに売却されることが多いことを踏まえ、都市緑地の維持や保全を図る観点から、相続時の納税猶予制度の創設や民有緑地の物納許可の拡充など税制面での負担軽減措置について検討を行うこと。

 十一 民間都市開発推進機構による再生可能エネルギー発電設備等への金融支援は、他の再生可能エネルギー事業との公平な競争に配慮して、民間資金では実現しえないもの等に限定して行うよう努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

長坂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

長坂委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)国務大臣 都市緑地法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

長坂委員長 次回は、来る十五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


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