第14号 令和6年5月17日(金曜日)
令和六年五月十七日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 長坂 康正君
理事 あかま二郎君 理事 泉田 裕彦君
理事 小林 茂樹君 理事 武井 俊輔君
理事 城井 崇君 理事 白石 洋一君
理事 三木 圭恵君 理事 國重 徹君
石橋林太郎君 尾崎 正直君
大西 英男君 金子 俊平君
菅家 一郎君 黄川田仁志君
小島 敏文君 小林 鷹之君
小森 卓郎君 櫻田 義孝君
田中 英之君 高木 啓君
谷 公一君 谷川 とむ君
土井 亨君 中根 一幸君
中村 裕之君 古川 康君
牧島かれん君 武藤 容治君
石川 香織君 枝野 幸男君
小宮山泰子君 神津たけし君
伴野 豊君 馬淵 澄夫君
谷田川 元君 赤木 正幸君
漆間 譲司君 堀場 幸子君
伊藤 渉君 日下 正喜君
高橋千鶴子君 古川 元久君
福島 伸享君 たがや 亮君
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国土交通大臣 斉藤 鉄夫君
国土交通副大臣 堂故 茂君
国土交通大臣政務官 石橋林太郎君
国土交通大臣政務官 尾崎 正直君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 林 正道君
政府参考人
(国土交通省不動産・建設経済局長) 塩見 英之君
国土交通委員会専門員 國廣 勇人君
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委員の異動
五月十七日
辞任 補欠選任
小林 史明君 牧島かれん君
佐々木 紀君 黄川田仁志君
高橋 英明君 堀場 幸子君
同日
辞任 補欠選任
黄川田仁志君 佐々木 紀君
牧島かれん君 小林 史明君
堀場 幸子君 高橋 英明君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)
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○長坂委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房技術審議官林正道君及び不動産・建設経済局長塩見英之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○長坂委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。中村裕之君。
○中村(裕)委員 おはようございます。自由民主党の中村裕之です。
質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げながら、早速質問をさせていただきます。
建設業の担い手確保のためには、いわゆる三K、きつい、汚い、危険という状況から、新四K、給料がよく、休暇が取れて、希望があり、格好いいという新四Kの建設業に転換をして、魅力を高めていく必要があります。その意味では、労働基準法の完全適用に併せて、本法が果たす役割というのは非常に大きいというふうに思っています。
ゼネコン関係者の話を聞きますと、今一番人件費が上がっている地域は北海道だということであります。法案では、労務費の基準を国土交通省が示すとされておりますけれども、設計労務単価があれば、五十一職種の単価が示されているところでありますが、職種も多く、地域によって状況も違う中で、受発注者共に分かりやすく示す必要があるというふうに思います。労務費の基準をどのように示していくのか、見解を伺います。
○塩見政府参考人 お答えを申し上げます。
建設業の将来を支えます担い手を確保していくために、現場で働いておられる技能者の方々の処遇の改善、これは必要不可欠でございます。賃金原資となります労務費の適正な確保と行き渡りを徹底させる必要が非常にあるわけでございます。
このため、今回の法案では、先生御指摘の、労務費の基準を国が示して、これを物差しとしながら、著しく下回る積算であるとか契約を禁止するということにしております。
ここで、先生お尋ねの労務費の基準でございますけれども、中央建設業審議会におきまして、発注者、元請、専門工事業者、それぞれ必ずしも利害が一致するわけではございませんけれども、こういう関係者が意見をしっかりと出して、丁寧な合意を図りながら設定をしてまいりたいと思っております。
その際に、先生がおっしゃるような公共工事の設計労務単価との関係で申しますと、労務単価は都道府県別かつ五十一の職種別になっているわけでございますけれども、労務費の基準につきましても、地域とか職種によって事情が異なるというふうに考えられますので、地域差や工種の違いを考慮して、先生がおっしゃるような分かりやすい設定を基本に、中央建設業審議会で御議論いただくようにしたいというふうに存じます。
○中村(裕)委員 是非工夫をして、分かりやすい基準を示していただきたいと思いますが、地域によっては、大きく変動する地域もあるわけです。急速に一定の工種の賃金が上がったりしているような場合がありまして、労務費の基準が逆に賃上げの足かせになるようではいけないというふうに思うわけです。その意味では、更新の頻度が非常に重要になると思いますけれども、その点、どのようにお考えか、お伺いいたします。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
この法律に基づきます労務費の基準でございますが、適正な労務費を確保して、これを、技能者を雇用する下請業者まで行き渡るようにするということが目的でございます。
労務費は、市場におきまして変動し得るものでございます。一旦設定をしました労務費の基準を定期的に見直しをするというふうにしていきませんと、市場の動きからの乖離というものがどうしても出てきてしまいます。
したがいまして、市場の動きに合わせて、労務費の基準についても改定していく方向で、今後、中央建設業審議会で、その設定の仕方を御議論いただきたいというふうに思います。
その際は、実際の労務費が上昇しているような局面では、より迅速に改定することがやはり強く求められるんだろうというふうに存じます。その点について明示的に論点を提示して御議論をいただくようにしたいと思いますし、その中で、改定する頻度についても御議論いただきたいというふうに思います。
こうすることによりまして、労務費の基準が適切に改定をされていくということを想定しておりますけれども、更に申し上げますと、定期的な改定をしても、なお反映し切れないような急激な変動ということもあり得ると思います。そういう場合でも、労務費の基準を定めることが、かえって賃上げの足かせにならないようにしなければならないと存じますので、工夫をやはり考えてまいりたいと思います。
例えばですけれども、公表の頻度が高い統計指標と連動させるようなことなどが例えばアイデアとしては考えられると思いますけれども、そういうようなことも組み入れながら、定期的な改定、さらには、その定期的な改定を補うような労務費の基準の設定の仕方、こういうことを考えていく必要があるというふうに存じます。
○中村(裕)委員 足かせとならないような、そういった改定を進めていただきたいと思います。問題意識を共有しているようですので、よくよく検討していただければと思います。
次に、契約変更協議について伺います。
法案では、民間契約において、工期や請負代金などの変更について受注者が発注者に申し出た場合であっても、発注者には協議に応じるという努力義務しか課されていないわけであります。この努力義務にどのように実効性を持たせるかが本法案の鍵になるというふうに思っています。
建設業界からは、努力義務だけでは、例えば、マンション開発ディベロッパーや洋上風力発電事業者など、これまでの商慣行を考えると、優位な立場にある発注者に協議に応じてもらうのは難しいという声が上がっています。特に洋上風力の場合は、ヨーロッパなどの例を取って、それを日本に適用しようという動きがあり得ますので、そうした心配が強いんだというふうに思っています。
注文者の地位の優越によって、建設業者が一方的にリスクを負わされるような、そういうことがないように、実効性を高める必要がありますが、公正取引委員会とも連携をして、実効性のある対策を講じていただきたいと思いますが、どのように考えていらっしゃるか、大臣の所見を伺いたいと思います。
○斉藤(鉄)国務大臣 変更協議に参加することの努力義務、その実効性が大事だという、まさしく、ある意味でこの法案の一つのポイントかと思います。
まず、現状でございますが、民間工事の約六割では、契約書に変更条項自体が盛り込まれていない、受注者である建設業者が変更協議を申し入れても門前払いされるケースが多い。初めの契約に変更条項がないという状況でございます。
このような取引実態を踏まえ、本法案においては、まずは、注文者が変更協議のテーブルに着くよう強く促すべく、価格高騰に伴う請負代金の変更方法を、契約書の法定記載事項として明確化したということでございます。協議に応ずる法律上の努力義務を課すことといたしました。
その実効性確保については、まずは、協議を申し出た受注者が不利益な取扱いを受けた場合や、誠実な協議が行われていない場合に、国土交通省に設けた駆け込みホットラインに受注者が相談を持ち込めるよう、改めて周知をいたしたいと思います。
また、建設Gメンが必要な実地調査を行って、強く改善を求めてまいりたいと思います。
さらに、協議が行われたものの、民間発注者が優越的な地位を利用して必要な契約変更を行わなかったことで、結果として原価割れ契約になり、これは建設業法に違反するわけですので、建設業法に違反することも考えられます。
こうした発注者の行為が独禁法上の不公正な取引方法に該当する場合には、独禁法上の適当な措置が取られるよう、公正取引委員会との連絡体制を強化し、緊密な連携を進めてまいります。
これらの取組を通じ、立場の弱い建設業者が価格高騰に伴う不利益を一方的に被ることのないよう努めてまいりたいと思います。
○中村(裕)委員 請負契約というのは、請け負け契約と書くんですよね。工事を請ける方がどうしても弱いような、そういうような商慣行だったというふうに思いますけれども、ホットラインとかGメンとか、また公取との連携とかで是非実効性を高めていただいて、適正な契約変更が行われるようにお願いしたいと思います。
その上で、請負金額の変更協議に注文者が応じるように徹底するということでありますけれども、やはりそれは、民間の模範となるように国土交通省が対応していく必要があるというふうに思っています。
何を申し上げたいかというと、スライド条項ですね、公共工事の発注に関してのスライド条項を適用しているわけですけれども、その際に、受注額の一定割合を受注者が負担をしなければならないという現行制度について、この制度自体に発注者の優位性を感じるとか、何か納得感がないとか、そういった声が建設業界からは聞かれるわけです。こういったところを改めていく必要があると思うんですね。
国土交通省自ら模範となって、民民の契約でも適正に契約変更が行われるように、こうした制度については改めていく必要があるというふうに思うわけですが、所見を伺います。
○林政府参考人 お答えいたします。
国土交通省が発注する直轄工事では、学識経験者、発注者、そして建設業者で構成される中央建設審議会における、合理的な範囲を超える価格変動を契約当事者の一方のみに負担を負わせることは適当でないとの議論に基づき策定された公共工事標準請負契約約款を踏まえ、スライド条項の負担率を設定しております。
このスライド条項は、物価上昇局面だけでなく、下落局面でも発動されるものであり、物価上昇局面では、受注額の一定割合を受注者に負担いただく一方、下落局面においては、受注者は一定割合を超えた分を返金するということになっております。
御指摘のように、資材価格の高騰による影響を緩和するために、スライド条項の負担率軽減について御要望があることは承知しているものの、負担率の低減によるスライド条項適用件数の増加に伴う事務手続の増大、そして、下落局面での受注者の負担増なども懸念されております。
国土交通省では、資材価格の高騰による影響を緩和するため、最新の実勢価格を予定価格に反映するとともに、契約後の価格変動に対しては、スライド条項の適切な運用に努めてきているところでございます。
引き続き、関係する方々の御意見をしっかり伺い、適切な請負代金の設定が行われるよう、環境整備に努めてまいります。
○中村(裕)委員 確かに、資材価格が下落した局面でもこれが適用されるという面がありますので、一方的に、上がったときばかりのことを言うのはおかしいというのはそのとおりだと思いますけれども、現状を見ると、下落した変更というのは多少の例はあるにしても、資材価格高騰の方がずっと適用例が多いわけでありまして、こうした中で、その負担を何となく納得感のない形で請負業者に負わせるというのはやはり適当ではないというふうに思いますし、民民の方で、民間事業者に対しても、発注者に対して請負代金の変更を求めていくという中で、国土交通省の今のこの制度は、どうも説得力がないというのはやはり事実であるし、業界からもそういう声があるというのも、おっしゃるとおりだと思います。
これらの声をよく聞いていただいて、いろいろな行政手続ですとか、業者側の手続の手間ということもあるでしょうけれども、もう少しいい制度になるようにしていただく必要があるというふうに思います。
今回の法改正で、人件費に決してしわ寄せをさせないという中で、しっかりと建設業の担い手が確保されていって、そして、給料がよくて、休暇が取れて、希望を持てて、格好いい建設業として、多くの担い手が定着してくれることを祈ります。
国土強靱化を進めていまして、トンネルや橋を丈夫にしても、その地域を災害から守る建設業がその地域にいなくなっては、私は強靱な地域とは言えないと思っています。是非、この法律を成立させていただいて、夢を持てる建設業に転換をしていくことを祈りまして、私からの質問とさせていただきます。
ありがとうございます。
○長坂委員長 次に、國重徹君。
○國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。
人手不足が極めて深刻な建設業を持続可能なものにしていく、そのためには、現場の技能者の皆さんに、仕事に見合った適正な賃金をきちんと行き渡らせていく必要があります。
我が党といたしましても、本年二月に、持続可能な建設業の実現に向けた提言を斉藤大臣に申し入れさせていただくなど、処遇改善を始めとした施策の充実について取り組んでまいりました。
今般の改正案では、先ほど中村委員の方からもありましたとおり、労務費の基準、標準労務費を新たに作成をする、これまで目安がなかったところに新たな目安をつくる、そして、下請契約を含めて労務費をきちんと確保できるようにする、そのための措置を規定しています。魅力ある職場環境に向けて大きな一歩となる改革だと思います。
そこで、斉藤国交大臣に、改めて、標準労務費を新たに設けることにした背景また意義についてお伺いします。
○斉藤(鉄)国務大臣 建設業界では、長年にわたり低価格での受注競争が繰り返されて、技能者の賃金にしわ寄せが及び、処遇改善に努める企業が現れても、競争上不利となるため、他産業より低い賃金水準が改善されない状況が続いてまいりました。その結果、技能者数がピーク時の三割減にまで落ち込み、担い手確保が発注者や元請にとっても事業の継続を左右しかねない待ったなしの重要課題となっております。
こうした危機的な事情を背景に、従来は意見が一致しなかった発注者、元請企業、専門工事業者の間で、担い手確保に向けた処遇改善の必要性が共通課題として認識され、今般、新たな仕組みを設けることとなりました。
具体的には、国が適正な労務費の基準をあらかじめ示し、これを著しく下回る見積りや請負契約を下請取引も含めて禁止するという新たなルールを導入することとしております。
新ルールにのっとり適正な見積りと契約を行っていただくことで、適正な労務費の確保と行き渡りを図り、建設業の担い手確保を実現してまいりたいと思います。
○國重委員 大臣も今触れられましたとおり、本法案では、標準労務費について、これを著しく下回る積算見積りまた請負契約については、下請契約も含めて禁止をすることとしています。
そこで、伺います。この建設業法の改正案二十条二項の、著しく下回るの内容については、具体的な数値の基準を示して明らかにしているわけではありません。著しく下回るという規定にした趣旨について伺います。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
本法案におきましては、先生御指摘のとおり、国が示す労務費の基準を著しく下回る見積りとか契約、これを禁止をし、勧告とか監督の対象にしております。
労務費の基準を著しく下回るというふうになるかどうかは国土交通大臣や知事が判断するということになりますが、仮に、著しく下回るという形ではなくて、具体的な数値をもって勧告をするとか監督をするというような形で規定をいたしました場合は、これは、実際には日々契約当事者間で労務費の交渉が行われているわけでございますけれども、その労務費の交渉で、具体的に示した数値の下限に張りつくような労務費の妥結ということを誘発することになる心配があるというふうに思っております。このように、下限に張りつく価格設定となるというのは、今回の法律が目指す適正な労務費の確保という趣旨に合わないというふうにも考えます。
また、もう一つ考えられますのは、労務費の原資をきちんと確保しないと行き渡りが難しいわけでございますけれども、その労務費の原資、これは価格の転嫁の浸透状況に応じても変わってくると思います。原資の確保状況も踏まえながら弾力的に勧告や監督をするかを判断する、こういう必要もあろうかと思いまして、具体的な数値という形ではなく、著しく下回るという形で規定を設けさせていただいたものでございます。
○國重委員 数値を明確にするとかえって下限に張りついてしまう可能性がある、本法案の趣旨を没却してしまうことになりかねない、これは理解できます。
一方で、本法案二十条七項によって、著しく下回るような請負契約を締結した発注者については勧告や処分の対象としていますが、この判断権者は国土交通大臣又は都道府県知事とされています。どの程度であれば著しく下回ると言えるのか、特に都道府県知事らの場合はその判断に困ってしまうんじゃないか、その結果、勧告や処分にちゅうちょしてしまって、かえって本改正案の実効性が確保できなくなってしまうこともあるんじゃないか、そのように思われます。
そこで、この規定を適切にワークさせていくためにも、判断の参考となるような、より具体的なメルクマールを内部的に各都道府県とも共有をして判断のサポートをしていく必要があるのではないかというふうに考えます。これに関する国交大臣の見解を伺います。
○斉藤(鉄)国務大臣 国土交通大臣や都道府県知事が判断することになるわけですが、各都道府県において勧告処分に係る事務を的確に行っていただくためには、著しく下回るとの規定に該当するかどうかの判断の目安を設定し、共有しておく必要があると考えられます。事例集の作成を始め、どういうふうに目安を設定し、共有するか、検討させていただきます。検討いたします。
これによりまして、制度の統一的な運用を確保しつつ、適正な労務費が計上されていない契約に対する是正措置の実効性を確保してまいりたいと思います。
○國重委員 よろしくお願いします。
その上で、今、都道府県知事でしたけれども、やはり、一般の発注者に対しても、下限に張りつくというようなことがあってはなりませんけれども、一定の予見可能性を確保するという観点から、どの程度であれば著しく下回るに該当するのか、その目安や事例などについて、バランスを取りながら何らかの対応を考えていくということも必要ではないかと思います。これに関する国交省の見解を伺います。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
勧告するなり監督をするなりの基準を数値で示してこれを対外的に示すときの弊害については先ほど申し上げたとおりでございますが、一方で、発注者が違反とならないような契約を進んでやっていただくということのためにも、具体的な数値ではございませんけれども、どの程度であれば適切なのか、違反にならないのかということが、ある程度判断できるような情報提供というのは大事であろうというふうに思います。
そのために、勧告とかあるいは監督処分の対象となったような違反の事例をお示しをしたり、また、事例ではございませんけれども、違反のおそれがあって警告を受けかねない、そういうケースを事例集のような形で整理をし、行政外の方々にも分かりやすく周知をしていくことを考えたいというふうに存じます。
○國重委員 是非工夫した取組をよろしくお願いします。
本法案では、資材高騰に伴う労務費のしわ寄せ防止についても規定を設けています。資材価格高騰分の転嫁状況としまして、全て契約変更できたというのは僅かに二割。そもそも、契約書に契約変更条項を盛り込めている取引は約六割しかなく、多くの受注者が、資材高騰に伴う契約変更について、門前払いの扱いを受けています。
そこで、今回、まずは、資材高騰に伴う請負代金等の変更方法について、契約書にしっかりと書き込むようにする、義務化する。これは、交渉のテーブルに着きやすくするための第一歩だというふうに思います。
その上で、本法案では、二十条の二、四項によりまして、受注者に対しては、資材価格の高騰等に関するおそれの情報について注文者へ通知する義務を課しています。この義務を怠りますと、この法律に基づいては契約変更の交渉ができないということになるわけですが、このおそれ、リスク情報の通知義務はどういった内容までを通知しなければならないと想定しているのか。これは、現場が困らないよう、これについてもその内容を分かりやすく示したガイドライン等が必要と考えますが、見解を伺います。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の、資材高騰リスクの情報を契約前に通知する義務、これは、目的は、事前にそういう情報を共有しておくことで、実際に資材が高騰した場合の協議をより円滑にするということを目的としております。
この際、提供していただく情報の範囲でございますけれども、まず受注者側が把握している範囲で提供していただければ足りるということで、新しく調べてまでやる必要はないというふうに考えております。
また、可能性があるものを全て膨大なリスク情報のリストとして提供するということも想定しておりません。そのような形で膨大なものを発注者側に渡しても、その通知というのは非常に形式的になってしまいまして、お互いに協議をする際に円滑になる材料にならないのではないかというふうに考えるところでございます。
したがいまして、通知していただくべき情報の範囲とか内容というのは、転嫁の協議を円滑にする上で一番いい形で判断していく必要があると思っておりますので、そういう趣旨を踏まえましてガイドラインを策定をし、その制度趣旨にかなうような情報提供の在り方を分かりやすく提供するようにしたいというふうに存じます。
○國重委員 何でもかんでも全てのリスク情報をまずは通知しておくんだというようなことになるのでは、これは全くもって形骸化して、この条項の意味がなくなりますので、是非その点は踏まえた取組をよろしくお願いします。
本法案では、受注者に対してはリスク情報の通知を義務とする一方で、そのリスク情報の通知を受けて、協議の申出を受けた注文者に対しては、誠実に協議に応じる努力義務としています。
これについては、先ほど中村委員の方からもありましたけれども、一部から、注文者についても義務とすべきではないか、一方が義務で、一方が誠実に協議に応じる努力義務というのはどうなんだというような御意見もありますけれども、あえてこれを努力義務としたのはなぜなのか、その趣旨について伺います。
○塩見政府参考人 お答えいたします。
現状は、先ほどの大臣の答弁にもありましたとおり、民間工事の六割で当初契約に変更条項自体がない、したがって、資材が高騰した場合でも門前払いというのが非常に多い実態にありますから、今回はまずこの現状を一歩前に進めさせていただいて、当事者が協議のテーブルに着く、これを最大の目的にしたいというふうに存じます。
仮に、先生御指摘のように、注文者に協議に対応することを義務というふうにすることを考えますと、現状、契約上の義務すらない六割もの民間契約の注文者に、法律上の義務という非常に強い形で協議に応じさせるということになるわけでございます。
多くの方がまだそういう実態にないということを踏まえまして、いきなり法律で強い義務を課すことに伴う現場の混乱、こういうものを招かないように、まずは努力義務という形で現場の実態を改善させていただいた上で、その上で、次なる対応については考えてまいりたいというふうに存じます。
○國重委員 よろしくお願いします。
では、誠実に協議に応じる努力義務を履行しなかった、あるいは、協議に応じたんだけれども、結果的に変更に応じなかった、変更したけれどもその内容が不十分だった、これによって、資材高騰に伴って、結果的に原価割れになった、不当な受注額となってしまった。こういったケースについては、先ほど中村委員のこれも質問がありましたのであえて求めませんけれども、これが独禁法上の不公正な取引方法に該当する場合には、しっかりと公取と連携を取って、適切な措置を講じていくというようなことだったというふうに思います。是非、関係省庁とも連携をしながら、この取組を進めていっていただきたいと思います。
今回、公共だけではなくて、民間も含めた労務費の基準を作る、多くの受注者がそもそも交渉のテーブルに着けていなかった資材高騰の転嫁についても、交渉を持ちかけやすいような環境をつくっていく、大事な、そして大きな一歩だというふうに思います。
建設業の皆さんの処遇改善が着実に進むような引き続きのお取組をよろしくお願い申し上げまして、私の質問といたします。
ありがとうございました。
○長坂委員長 次回は、来る二十一日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前九時三十一分散会