第16号 令和6年5月22日(水曜日)
令和六年五月二十二日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 長坂 康正君
理事 あかま二郎君 理事 泉田 裕彦君
理事 小林 茂樹君 理事 武井 俊輔君
理事 城井 崇君 理事 白石 洋一君
理事 三木 圭恵君 理事 國重 徹君
石橋林太郎君 石原 正敬君
上田 英俊君 尾崎 正直君
大西 英男君 金子 俊平君
川崎ひでと君 菅家 一郎君
小島 敏文君 小林 鷹之君
小林 史明君 小森 卓郎君
佐々木 紀君 櫻田 義孝君
鈴木 英敬君 田中 英之君
高木 啓君 谷 公一君
谷川 とむ君 土井 亨君
中根 一幸君 中村 裕之君
古川 康君 古川 禎久君
武藤 容治君 山口 晋君
山本 左近君 石川 香織君
枝野 幸男君 神谷 裕君
小宮山泰子君 神津たけし君
伴野 豊君 馬淵 澄夫君
谷田川 元君 赤木 正幸君
漆間 譲司君 高橋 英明君
伊藤 渉君 日下 正喜君
高橋千鶴子君 古川 元久君
緒方林太郎君 たがや 亮君
…………………………………
国土交通大臣 斉藤 鉄夫君
国土交通副大臣 堂故 茂君
国土交通大臣政務官 石橋林太郎君
国土交通大臣政務官 尾崎 正直君
政府参考人
(金融庁総合政策局参事官) 新発田龍史君
政府参考人
(出入国在留管理庁審議官) 福原 道雄君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 小宮 敦史君
政府参考人
(財務省主計局次長) 寺岡 光博君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 原口 剛君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官) 山影 雅良君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 林 正道君
政府参考人
(国土交通省不動産・建設経済局長) 塩見 英之君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 石坂 聡君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 平岡 成哲君
政府参考人
(国土交通省国土地理院長) 大木 章一君
国土交通委員会専門員 國廣 勇人君
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委員の異動
五月二十二日
辞任 補欠選任
小島 敏文君 鈴木 英敬君
小林 鷹之君 山本 左近君
小林 史明君 川崎ひでと君
小森 卓郎君 石原 正敬君
武藤 容治君 古川 禎久君
石川 香織君 神谷 裕君
福島 伸享君 緒方林太郎君
同日
辞任 補欠選任
石原 正敬君 上田 英俊君
川崎ひでと君 山口 晋君
鈴木 英敬君 小島 敏文君
古川 禎久君 武藤 容治君
山本 左近君 小林 鷹之君
神谷 裕君 石川 香織君
緒方林太郎君 福島 伸享君
同日
辞任 補欠選任
上田 英俊君 小森 卓郎君
山口 晋君 小林 史明君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)
国土交通行政の基本施策に関する件
公共工事の品質確保の促進に関する法律等の一部を改正する法律案起草の件
公共工事の品質確保の促進に関する件
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○長坂委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房技術審議官林正道君、不動産・建設経済局長塩見英之君、住宅局長石坂聡君、航空局長平岡成哲君、国土地理院長大木章一君、金融庁総合政策局参事官新発田龍史君、出入国在留管理庁審議官福原道雄君、財務省大臣官房審議官小宮敦史君、主計局次長寺岡光博君、厚生労働省大臣官房審議官原口剛君及び経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官山影雅良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○長坂委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高橋英明君。
○高橋(英)委員 おはようございます。日本維新の会・教育無償化を実現する会の高橋英明でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
まずは、今回の法案はいいんですけれども、非常に実現するのがしんどいのかなというような気がしています。
元々、建設業界というのは稼げる業界だったはずなんですけれども、何でこのような状況になってしまったのかなというのがあるんですけれども、ちょっとその点で大臣の見解をお聞かせください。
○斉藤(鉄)国務大臣 建設業につきましては、高度経済成長などの建設需要拡大期に成長を続けた後、その最後のところでバブルがあったわけですけれども、そのバブルがはじけた後、バブルが終わった後の平成四年度から約二十年にわたって建設需要の減少が続き、価格競争が激化する中、採算ラインぎりぎりの受注が増加しました。
その中でも、請負契約であることを前提に、資材高騰など、着工後のリスクや追加費用を受注側が負担する商慣習は変わらず、工期途中の契約変更も認められないことで、下請企業を含め、厳しい経営環境にある、このように認識しております。
○高橋(英)委員 これは、トラックなんかだとドライバーという点なんだと思うんですけれども、建設業界は多岐にわたって職種が多いので、本当に難しいんだろうなというふうに思います。
建設業界の平均の粗利というのはどのぐらいあるんでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 令和四年度における建設業の粗利益率は約二一%で、全産業平均の約二六%を下回る状況にございます。
加えて、建設事業者が、より適正な賃金、労務費を支払ったと仮定すると、売上原価が増加し、粗利益率は更に低い水準になるものと考えられます。
こうしたことを踏まえますと、建設業が将来にわたって持続可能な産業となるためには、労務費にしわ寄せをせずとも、他産業並みの利益率を達成できる収益構造を実現する必要があると考えます。
このため、この法案では、着工後の変更も含め、受注者、発注者双方が対等な立場で工期や代金を協議できる環境を整えるべく、適正な労務費の基準に関するルール、契約前のリスク情報共有、変更協議の申出に対する誠実な対応などを定めたところでございます。
○高橋(英)委員 ありがとうございます。
やはり粗利が二〇%前後だと、恐らくほとんどもうからないですよね。三割ぐらいを見込むぐらいにならないと、なかなかしんどいのかなと思いますけれども、やはりこれは発注金額から考えていかなければいけないのかなと。今回、発注金額に関しては余り触れられていないような気がするので、労務単価はもちろんですけれども、発注金額についても今後は考えていかなければいけないのかなというふうに思います。
今、石垣とか宮古だと、型枠大工、五万円ぐらいもらえるそうなんですよ、こっちだと二万五千ぐらいらしいんですけれどもね、そういう状況でもある。こちらでも、電機だとか設備ですか、関係の業者はもう数が少なくて、ゼネコンが頭を下げて頼んでいくような状況みたいなんですね。そう考えると、本当にこれは今がチャンスなのかなという気がしますので、これはしっかり徹底してやっていただきたいというように思います。
ちょっと順番が変わってしまいますけれども、設計労務単価についてお聞きしたいんです。野丁場と町場ってあるんですけれども、これは果たして一緒くたに考えていいのかなというような気がしています、実は。中身が全然違いますのでね。この設計労務単価が、職人さんに支払われる実際の金額と余りにも乖離し過ぎていると思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 公共工事の積算に用いられる設計労務単価は、毎年秋に行われる労務費調査を通じて把握した、国、都道府県などの工事に従事する技能者の賃金に基づいて設定しております。そういう意味では、野丁場の現状に基づいて設定されている。
公共工事におきましては、これまで、入札契約適正化法の改正などを通じて、適正な価格での契約を推進してきたところですが、交渉を通じて請負額が決まる民間工事、特に中小零細企業の多い町場の工事では、依然として、厳しい価格や工期で工事を受注し、十分な労務費が確保できない場合も少なくないと承知しております。
このため、国土交通省では、技能者の賃金引上げに向け、適正価格での工事発注や、工期末の突貫工事を防止する適正な工期での工事発注を、民間発注者も含めて要請しているところでございます。
さらに、この法案では、国が適正な労務費の基準を設定、勧告する仕組みや、資材高騰に伴う代金変更ルールの設定などを定めることとしておりまして、町場など民間工事を含めて、賃金支払いの原資となる労務費が適正に確保され、行き渡るよう取り組んでまいりたいと思います。
○高橋(英)委員 これは確認なんですけれども、設計労務単価は、あくまでも、最後の、職人さんに届く単価と考えてよろしいんですか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
公共工事設計労務単価は、公共工事の発注に当たりまして、予定価格を積算する必要がございます。その際の積算に用いるときの単価ということでございます。
この単価自体は、実際に支払われている賃金を秋に調査をさせていただいた上で設定しているものでございますけれども、活用する場面は、発注に当たって予定価格を積算する場合ということでございます。
○高橋(英)委員 この単価というのは、どのような方法で算出しているんですか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
公共工事の設計労務単価でございますけれども、毎年秋の時点で、約一万件の工事を対象に、発注者側の方から無作為に抽出をさせていただいて、その抽出の仕方としましては、できるだけバランスよく必要な工種がカバーされるように、また、地域も、特定の地域に偏らないように抽出をした上で調査をしております。
全国四十七の都道府県、そして五十一の職種に分けまして、賃金のデータを、受注した企業そして下請企業にも御協力をいただいて提出をしていただき、それを調査をさせていただいた上で設定しているものでございます。
○高橋(英)委員 でも、実際には、末端の職人さんたちはこの単価を全然もらっていないので、これはもうちょっとしっかり調べた方がいいと思いますよ。本当に、全く乖離していますので、実際と。
それと、もう一点なんですけれども、令和六年、今年ですけれども、二〇二四問題で、土日休めというふうな指示が出ていますけれども、令和五年も令和六年も若干しか単価が上がっていないんですよね。土日休みにするんだったら、単価を上げないと話にならないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、建設業界で働いている技能者の方、これはいわゆる日給月給制で働いている方が大変多いわけでございます。したがいまして、現場に出る日数が減るということになりますと、今の賃金体系、賃金の水準のままでございますと、収入が減るおそれがあるということでございます。したがいまして、週休二日にすると収入が減るのではないか、こういう御懸念の声もいただいております。
これに対しましては、今回、将来の担い手の確保を図っていく上では、やはり週休二日ということは必要であるとは思いますけれども、一方で、今働いていただいておられる方の賃金ができるだけ下がらないようにするということも大事だと思います。
そのためには、賃金の水準をできるだけ引き上げるという努力をすべきだと思っておりまして、今回の法案でも、できるだけ労務費が下請業者まできちんと行き渡って、賃金の引上げにつながるようにする取組を法案で盛り込ませていただいているところでございます。
賃上げの努力を精いっぱいやらせていただくことで、現場で働いている方の収入ができるだけ減らないように努めてまいりたいというふうに存じます。
○高橋(英)委員 二〇二四問題は四月からスタートすると分かっていたわけなので、何で令和六年三月から適用の労務単価にもっと反映をさせなかったのか。もっと上げないとどうしようもないので、その辺の理由を聞かせてください。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
公共工事設計労務単価の性格でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、予定価格の積算に用いるときの単価という性格でございます。
そして、予定価格は、会計法令によりまして、市場の実勢を用いて積算をするという考え方が示されてございます。したがいまして、毎年秋の時点で実勢を調べ、それを、翌年の三月以降、実勢の価格として、予定価格の積算に用いているということでございます。
ただ、今回、労働時間の上限規制が新たに始まることによりまして、収入が減る労働者の方もいらっしゃるということで、その点については、一定の考慮をした上で、今回の設計労務単価の設定をしているということでございます。
○高橋(英)委員 時間がないので、次に移りたいと思いますけれども、いずれにしても、どう考えてもこれはつじつまが合わないので、次の改定のときには必ず大幅な賃上げの、単価を上げていただきたいと思いますので、お願いをいたします。
あと、もう一点、ちょっと腑に落ちないんですけれども、この単価なんです。例えばですけれども、私は埼玉だから埼玉を挙げますと、令和六年の、塗装工というのが三万八百円になっているんですね、この表で見ると。大工が二万八千七百円なんですね。大工の方が単価が低いんですけれども、道具代とかを考えたら、どう考えてもおかしいなと思うんですけれども、いかがですか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
労務単価につきましては、先ほど申し上げましたとおり、調査をし、それを設定に反映させているということでございまして、今御指摘になられた単価につきましても、実際に賃金として支払われている実態に基づいて設定しているということでございます。
なお、道具代というような御指摘もございました。
設計労務単価は、一日八時間労働をされた場合に支払われている賃金の平均という考え方でございます。賃金以外にも様々な経費が実際の仕事にはかかるということでございまして、そのための費用については、別途、別の積算できちんと確保するというのが全体の積算体系になっているということでございます。
○高橋(英)委員 道具代は別途、別な積算というのは、ちょっと意味がよく分からないんですけれども、分かりやすくお願いします。
○塩見政府参考人 御説明申し上げます。
公共工事の積算の体系でございますけれども、労務費、材料費、機械の損料などを組み合わせた直接工事費というものを求めます。また、それに、現場管理費や一般管理費というものを、一定の率を乗じる形で積算をしていくというのが一般的でございます。
そして、現場の例えば安全に関する経費などにつきましては、賃金とはまた別の性格を有するものでございますので、現場管理費などに必要な経費、安全対策などの経費を含めて積算をしているということでございます。
○高橋(英)委員 いずれにしても、やはりこれは役所がリードして決めていくものだというふうに思いますので、全国の平均を見て云々というお話がありましたけれども、それ以前に、役所がやはりリードしてこの単価を決めるべきだというように思います。じゃないと、労務費なんかは絶対に上がってこないと思うので。
それで、やはり現場の人間も、こういうものが示されればそれに基づいてやるんだろうから、この辺をちょっとしっかりと。どう考えても、大工なんて、丸のこだって、いろいろな高い道具がいっぱいありますからね。はけ一本でできる仕事とは違うと思うので、この辺もしっかり見ておいていただきたいなというふうに思いますけれども、ほかにも、ちょっと細かく見れば切りがないと思いますので、是非、しっかり改定のときには上げていただきたいと思います。
それと、手間請けの場合はどうなるんでしょうか。ちょっとお聞かせください。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
今回御提案申し上げております労務費の基準とその行き渡りの確保策でございますけれども、これにつきましては、いわゆる労務のみを提供する手間請けと呼ばれている形態につきましても、新しくこれから設定してまいります労務費の基準を著しく下回る契約ということについては、やめていただくべきものというふうに考えてございます。
この労務費の基準の設定の方法は、これから、法律の施行後、中央建設業審議会で御議論いただくということになりますけれども、その際、契約の当事者が労務費の交渉に活用しやすくて、また分かりやすい基準となるように努めてまいりたいと思います。
現時点では、労務費の基準というのは、材料と労務を一体で提供する場合でも、また、手間請けのように労務のみを提供する場合でも、大きく大きく変わることはないのではないかなというふうに思っております。
○高橋(英)委員 基準はこの労務単価じゃないんですか。もう基準は出ていると思うんですけれども、これから法案が通った後に考えるというのは、ちょっとどういうことなのかなと思うんですが、いかがですか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
今回の法律で規定されます労務費の基準は、公共工事の設計労務単価とはまた別でございます。
どういう計算式で労務費の基準を作るかは、これからの議論ということでもございますけれども、例えば、公共工事設計労務単価を用いまして、それに歩掛かりを乗じるという方法で作業量当たりの価格、例えば、鉄筋一トン当たり幾らというような形で設定するのが一つの方法ではないかというようなことが、今回の法案の提出に当たって改正事項を御議論いただいた審議会の中で議論され、提案された一つの手法になってございます。
例えば、そういう方法などで、作業量当たりで示すというようなことが想定されておりますので、算出の基に設計労務単価が使われるということは今の時点で想定してございますけれども、労務単価そのものとはまたちょっと違う形で設定することが想定されているということでございます。
○高橋(英)委員 町場の建て売り業者なんかも、例えば大工なんか、坪五万とか六万とかで発注されるんですけれども、極めてしんどい単価だと思うので、ちょっとその辺は十分に、建設Gメン等々も含めて見ていただきたいというように思います。
昨日、技能者実習の改正案が通りましたけれども、やはり外国人労働者を安く使っているんですよね、実際、現実は。聞くところによると、ある業種では、一万円ちょっとぐらいで平気で使っているような業種もあるので、その辺の今後の対策はどのようにお考えなのか、お聞かせください。
○塩見政府参考人 建設業界の中では、技能実習生も大変貴重な戦力として、今、作業に当たっておられます。今回の法案では、その建設作業に従事されている技能者の方全体の処遇をよくしていこうという考え方で制度の設計をしております。
したがいまして、技能実習生の方も含めまして、技能者を雇用しております下請業者にまで適正な水準の労務費が行き渡りますように、この制度の運用をしてまいりたいと思います。
技能実習生は、日本人と同等の報酬を受けることが大前提でございますけれども、その上で、この労務費の基準につきましては、現時点では、日本人か外国人かということで分けて基準を設定するという議論は想定をしてございません。
したがいまして、適正な労務費を下請まで行き渡らせ、そして、労務費を受け取った下請業者の方には、技能実習生を始めとして、技能者の処遇確保を適切に行っていただきたいというふうに考えております。
○高橋(英)委員 いずれにしても、しっかり稼げる業界になれば、国内で働いている日本人の方々も働くようになるというように思いますので、まずは稼げるようにしっかりしていただきたいと思いますし、また、現場で言っているのは、大災害が起きたら、外国人の方々は日本から逃げると言っていますから、復興なんかとてもじゃないけれどもできないというふうに言っていますので、やはり、まずは国内でしっかりと労働力の確保をするべきだというように思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、施工体制台帳というのがあるかと思うんですけれども、これに労務単価ですか、金額等々もやはり目に見えるように出させた方がいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
施工体制台帳でございますけれども、これは、多くの下請業者の方が参加する工事で適正な施工を確保するために、元請業者の方が全体の施工体制をきちんと把握をして、そして下請指導ができるようにする、これが非常に不可欠でございますので、そのために制度を設けているものでございます。
現在、見積書を作成すること自体が実は努力義務になっておりまして、その見積書に労務費の金額を書くということにつきましても努力義務という形になっております。したがいまして、この施工体制台帳に労務費を必ず書くという形にするのは、そのバランス上、なかなか難しいかなというふうに思っております。
また、仮に台帳に労務費の記載をするというルールにいたしますと、そもそも、見積書に労務費を明らかにしているというのは一部の業者しかいないということでございまして、その一部しか明らかにしていない下請業者さんのデータを集めても、ちょっとなかなか全体像が見えにくいということもあろうかと思います。
したがいまして、現時点では、この施工体制台帳で労務費の記載をするということは考えてはいないんですけれども、今回の法改正を通じまして、できるだけ見積書を作成する、義務ではありませんけれども、できるだけ作成していただく、そして、できるだけ労務費をはっきり明示していただくということをまずは徹底するところから始めたいというふうに存じます。
○高橋(英)委員 では、もう時間も来ましたので、最後に。
私、川口市ですけれども、川口市の土木の入札になると、例えば七社で入札すると、今、全員同じ単価で札入れできるそうなんですよ。これは談合なんかしていないんですよ。なぜかというと、同じ会社のソフトを全部が使っているんですね。役所も使っています。だから、みんな同じなんですね。どうやって決めるかというと、抽せんで決める。全く競争が働かないんですよ。
それで、どんどんどんどんこうやって単価なんかも決めていくと、競争が今後働いていかなくなるのでちょっと危惧しているんですけれども、その辺の大臣のお考えをお聞かせください。
○斉藤(鉄)国務大臣 今、川口の例をお示しいただきましたけれども、そういう実態については私もつまびらかにしておりませんが、実際の工事入札等の現場では、そういう競争原理が働くような形も残していかなくてはいけないと思いますし、それよりも何よりも、競争する体力そのものが非常に現場でなくなっている。そういう状況の中で、体力をつけていただく、そのために、最初におっしゃいましたけれども、稼げる業界になるということが一番だと思いますので、この法案を通じて、しっかりそういう体制をつくっていきたいと思います。
○高橋(英)委員 ありがとうございます。終わります。
○長坂委員長 次に、漆間譲司君。
○漆間委員 日本維新の会の漆間と申します。今日はよろしくお願いいたします。
今回、建設労働者の処遇改善がこれまでなされなかった要因としては、建設業界特有の重層下請構造であったり構造的課題が主な要因であり、本法案ではその対策が措置されているというところでありますが、もう一つ、先ほど高橋委員が言いました処遇改善がなされない要因として、安価な外国人労働力の供給が挙げられるんじゃないかと考えております。
建設分野に携わる外国人は、今、十四・四万人に上っておりまして、技能実習生などが事実的に安価な外国人労働力として供給され、人手不足が安易に解消されてきたことが日本人労働者の賃金の上昇を妨げる要因となったと考えております。
建設業における外国人労働者への依存度は、この十年間でどのように変化して、日本人労働者の賃金にどのように影響したと分析しているか、お伺いいたします。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
建設分野におきましては、平成二十七年度から、東京オリンピック等の建設需要に対応するため即戦力を受け入れる、こういう外国人受入れ事業が始まりまして、それに続き、平成三十一年度からは特定技能制度が開始されております。この間、その技能者全体の数は、著しい高齢化の影響によりまして減少傾向にございます。その一方で、外国人技能者の数は増加傾向にあるということでございまして、この結果、技能者全体の数に対する外国人技能者の数の割合というものは上昇する傾向にあるところでございます。
この間一貫して、外国人材を低く処遇すると日本人の技能者の処遇に切り下がるという考え方の下で、受入れに際しましては、同等の技能を有する日本人と同等額以上の報酬を受入れの要件としまして、一人一人の受入れの計画を大臣が認定するというような仕組みでチェックを行ってきているところでございます。
○漆間委員 日本人と同等ということでありましたが、民間の調査によりますと、これは民間の調査といっても厚生労働省の賃金構造基本統計調査を利用したものなんですけれども、日本人の賃金状況と併せて、令和元年から外国人の賃金状況もこれで調査しているところなんですが、二〇二一年の外国人労働者のうち建設業で働く人の年収は、建設業労働者の平均賃金水準を一〇〇としますと、その比率は五一・七%とおおむね半分程度になるとの調査結果がありますが、そこについて、見解はいかがでしょうか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
建設業に従事する労働者全体とそれから外国人労働者の年収を比べましたときに、数字上は、先生御指摘のとおり、全体を一〇〇としますと、外国人の労働者の方は五一・七になるということでございます。
これは、建設業に従事されている労働者の方とそれから外国人の労働者の方というのは、それぞれ平均の勤続年数というものが大分異なっておりまして、労働者全体の平均勤続年数は十三・四年、そして、外国人労働者の方の平均勤続年数は二・四年ということで、大分大きな開きがございます。
また、年齢を見ましても、労働者全体の平均は四十四・五歳、そして、外国人労働者の方の平均は二十九・五歳ということで、大分大きく異なっております。
このほか、職種でありますとか役職等も異なることが想定されますので、そういう前提で五一・七という数字を理解する必要があるのかなというふうに思っております。
○漆間委員 それでは、ちょっと再質問なんですけれども、同じ年齢や職種で比較した場合はどうなるんだということについては分析はされているんでしょうか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
私どもは、実際の賃金の額について調査をしておりますのは、先ほども御質疑をいただきました公共工事の設計労務単価、これについてはしっかりと調べておるわけでございますけれども、それ以外の民間工事を含めた賃金につきましては私どもの方で調査等は行っておりませんので、厚生労働省さんの方でやっておられる、今先生御指摘になっている賃金構造基本統計調査などを拝見しながら確認するしかないという状況でございますので、条件をそろえて比較したということはやったことはございませんし、ちょっと私自身もこれまでそういうのを見たことが、経験がないということでございます。
○漆間委員 実態としては、やはり、日本人が就きにくいような、本当は人手不足にならなければならないような職種に外国人労働者の方がたくさんお越しいただいているから人手不足はある程度解消されているという側面があると考えております。
この法案がここまで来るに当たっては、大臣もおっしゃっていただいたと思うんですけれども、発注者や元請も共通の危機感を感じてくださったと。発注者や元請が共通の危機感を感じたのは、やはり担い手確保に向けた処遇改善の必要性を感じたから。それは、言ってみれば人手不足をしっかりと発注者や元請も感じたから、この法案、処遇改善もやっていこうという法案が出てきたということで御説明いただいているところなんですけれども、その人手不足を感じることを外国人労働力、安価なところで供給されてきたことで、それがちょっと遅れたんじゃないかとも考えられるんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○塩見政府参考人 この間、日本人の技能者の減少というのは、高齢化に伴いまして大変顕著なペースで進んでおります。これに対しまして、外国人技能者の方の受入れというのは一定程度進んでおりますけれども、全体の大きな減少の数に比べますと割合としてはそれほど大きくないということで、やはり、総体としての減少というのは引き続き続いているということでございます。
したがいまして、先生おっしゃられるとおり、全く外国人材の方の入国がなければ、今よりは、やはりより切迫感というのは高まったということはあろうかと思いますけれども、程度としては、物すごく大きなインパクトというほどのことでもないのかなというふうに思っております。
○漆間委員 影響はゼロではないけれども、外国人労働者、十四・四万人という数は少ないので、そんなに影響は大きくはないという見解だということで御認識いたしました。
でも、今後、外国人労働者育成就労という、昨日衆議院でも通過いたしましたけれども、これを人手不足の状況で受け入れていこうと恐らく計画されていると思うんですけれども、そういった中で、外国人の方がしっかりと高い処遇で雇用されるような環境づくりもある意味必要かと思うんですけれども、そういったところは建設業の中ではしっかりと措置されているのか、確認させていただきます。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
外国人材の方を受け入れます際にその処遇を日本人よりも低くするということは、結果として日本人の処遇を切り下げることになる、こういう意識を強く持つべきだと国土交通省としては考えておりまして、現在は特定技能の技能者の受入れをやっておりますけれども、その制度の前に、東京オリンピック対応のために特別に外国人材を受け入れる仕組みを設けました際も、同様の考え方で、外国人材の方には日本人の方と同等のやはり賃金をきちんとお支払いするということが必須、不可欠である、こういう考え方の下、個々の外国人材の受入れに当たりまして、国土交通省の方で一件ずつ計画を大臣が認定をする、こういう特別な仕組みを引いて、賃金の予定などを確認をした上で入国していただけるような仕組みを取っております。
今後とも、同等の賃金という考え方は徹底をして、そのための担保措置についてもしっかりと継続をしてまいりたいというふうに存じます。
○漆間委員 できれば、受入れの際も高度な人材を受け入れるという方向性で建設業の方でも進めていただきたいと思います。
続きまして、先ほど高橋委員からも質問があったんですけれども、今法案で労務費をしっかり上げていこうということは措置されているんですけれども、出口の部分で現場の労働者の賃金が本当にしっかりと支払われて、しっかりと上がることが担保されるために、どのように国交省、今回、法案の中で働きかけて、適正な賃金が支払われているかをチェックしていくつもりか、改めてお伺いいたします。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
今回の法案によりまして導入する新しいルールでございますけれども、これは、下請取引等の適正化を図る、これによりまして、技能労働者の賃金を支払う下請業者にまで賃金原資が行き渡るようにしようとするものでございます。
こういう制度の下で適正な労務費を受け取った下請業者の方には、技能者の離職防止等を含めて、担い手確保の観点から、技能者に適正な賃金を支払っていただく必要があるというふうに思っておりまして、能力に応じた賃金支払いを強く促してまいりたいというふうに存じます。
さらに、下請契約の契約事項として、下請業者が適正に賃金を支払う旨を、あるいは、支払った賃金を開示する、そういう旨を契約条項として盛り込むように働きかけを行いまして、技能者への適正な賃金支払いというものを図ってまいりたいというふうに存じます。
また、支払っている状況の確認ということで申し上げますと、建設Gメンというものの体制を強化をいたしました。駆け込みホットラインというところに寄せられます情報を基にしまして建設Gメンが実地で調査をし、新しいルールに違反している者がいないか、いる場合には改善をしっかり求めていくというふうにしたいと存じます。
○漆間委員 その点に関して、昨日の参考人質疑で白石委員が、参考人の質疑のときに、堀田参考人の方から賃金台帳についての言及がございました。賃金台帳の開示を制度としてやっていくこと、これはいろいろな国でもなされているし、地方自治体レベルでもある、これを制度としてやっていくということについて、しんどいけれども、工夫すれば余地はあるみたいなことも堀田参考人がおっしゃっていただいていたと思うんですけれども、これについて、見解をお伺いしたいと思います。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
まず、賃金台帳というのは、個々人の方の賃金の情報が載っているという、いわば個人情報の塊でございます。したがいまして、一般的には、その開示を制度化するということについては、かなり慎重な対応を要するのではないかというふうに思っております。
その上で申し上げますと、先ほども少し申し上げましたが、今回の法改正の内容を御審議いただいた審議会の方からは、この法律改正事項以外にも幾つか御提言をいただいておりまして、その中の一つに、国が今回示す労務費の基準に即して適切な水準の賃金が技能者に支払われるということを確認するように、適正な賃金の支払いをコミットする条項、これは、下請業者の方にそういうコミットをすることを契約書に追加すべきじゃないか、こういう御提言もいただいております。これは、契約上の義務として、適切な賃金の支払いを下請業者に担保させる、賃金の行き渡りの実効性を確保するというものでございます。
こういう形で、賃金台帳の開示ということではございませんけれども、賃金の支払いということをしっかり担保することを検討してまいりたいと存じます。
○漆間委員 是非、そちらの義務化も、今後検討もよろしくお願いしたいと思います。
もう一つ、処遇改善が確実になされているかということをチェックする上で、昨日の参考人、同じく参考人質疑で、高木委員がおっしゃった、社会保険労務士の労働条件審査のような制度で、最後、出口をしっかり検査していくということもちょっと言及があったんですけれども、そういった考え方についてはどう思われますか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
私も昨日の参考人質疑を拝聴しまして、労働条件を、工事の最後の段階できちんと適法かどうかを確認する、そういう仕組みが労働行政の中にあるということをお聞きいたしました。
建設工事の現場で、当然、労働関係の法規を守っていただくということはもう当然でありますし、その徹底が図られるべきだと思いますけれども、その上で、現場で、例えば、労働時間が適切に守られているかといったことについては、やはり一義的には労働行政の中で確認をされていくべきものであろうかというふうに存じます。違反するというような事案があった場合の建設業者としての処分等についてはもちろんあると思いますけれども、一義的には労働行政の中でということではないかというふうにも思います。
ただ、建設Gメンが、いろいろこれから調査、確認をさせていただく中で、賃金とか労働時間について、これは不適切だということがやはりある場合には、その情報をきちんと労働行政の中でも活用していただく必要があると思いますので、その連携方策について検討してまいりたいというふうに存じます。
○漆間委員 労働行政の中でということでありますが、しっかりと労働基準監督署とも連携して、その点もお願いしたいと思います。
続きまして、本改正法案において、建設業法を所管する国交省と、独占禁止法を所管する公正取引委員会との具体的な連携方法や役割分担、昨日の参考人質疑でも議論があったところなんですけれども、そういったものはどのように予定されているのか、お伺いいたします。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
工事の請負契約を適正化するための、建設業法と、また独占禁止法との役割分担ということで申し上げますと、まず、建設業法の方は、適正な施工を確保するという観点から、工事費の内訳を規制をし、適正な見積りを促し、あわせて、パートナーシップの考え方から、契約変更のルールを今回構築しようというものでございます。
一方、独禁法の方は、公正かつ自由な競争を妨げる行為を規制する観点から、取引上優越的な地位にある事業者が、取引先に対して不当に不利益を与えるような行為等を規制しようというものでございます。
例えば、工事費が著しく低くて、また、価格転嫁を認めないというふうにした結果、原価割れになるというケースが考えられます。こういうケースにおきましては、通常は、建設業法で、今回新しく設けるルールに抵触をするということになろうかと思いますけれども、その原因が、発注者が地位を利用したために著しく低い価格となってしまったというような場合につきましては、独禁法の問題にもなり得るということで、公正取引委員会との連携が大事だと思っております。
具体的には、建設Gメンが調査を通じて把握した事実を公正取引委員会に提供をさせていただくということのほか、公正取引委員会での効果的な独禁法の執行が図られるように検討をしてまいりたいというふうに存じます。
○漆間委員 その上でちょっと突っ込んだ質問なんですけれども、昨日の参考人質疑では、楠参考人から、下請法というのは公取がやる分野なんですけれども、そのうちの建設業というのは公取ができなくて、基本的には国交省だったり地方自治体がやるようなものだということなんですけれども、そういった下請法で対応できない建設業法の分野でも、公取と連携して対応できるような仕組みや法規制があってもいいのではないかという言及が楠参考人の方からありましたけれども、この点について、見解はお伺いできますでしょうか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
今、先生御指摘の下請法でございますけれども、この下請法は、建設業は一応対象外となっていて、それと同等の措置は建設業法の中で講じられている、こういう法体系になってございます。ただ、その執行に当たりましては、下請法の中で様々な工夫がされていたり、いろいろなノウハウが蓄積されているところは、当然、私どももこれは参考にさせていただくということが大事だと思います。
国土交通省と公正取引委員会は、定期的に課長クラスで情報交換や協議をする場というものを必ず持つようにしております。そういう枠組みを通じまして、下請法のいいところを私どもの方でもしっかりお聞きをし、それを踏まえた的確な運用に努めてまいりたいというふうに存じます。
○漆間委員 昨日の参考人質疑では、福島委員の方から、やはり公取がにらみを利かせるとすごく利くんだみたいなお話もありましたので、しっかりと公取のそういったリソースも活用して、法の実効性を高めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
私からの質問は以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○長坂委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前九時四十七分休憩
――――◇―――――
午前十時十五分開議
○長坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。小宮山泰子さん。
○小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。
本日は、建設業法等の一部を改正する法律案の審議をさせていただきたいと思います。
今回の法改正に関しての国交省からの説明をいろいろと見させていただきましたが、この改正によって、建設業者等による不当に低い請負代金による請負契約の締結の禁止、建設業者による著しく短い工期による請負契約の締結の禁止、著しく低い額による建設工事の見積りの禁止、労働者の適切な処遇の確保に関する建設業者の責務、中央建設業審議会により建設工事の労務費に関する基準の作成、国交大臣による建設業者の請負契約の締結状況の調査と結果の公表等も盛り込まれます。
また、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部改正において、後ほど議員立法として出されるものでありますが、公共工事の発注者となる各省庁の長等に、受注者である建設会社において通常必要と認められる原価に満たない金額での請負契約を締結していたり、著しく短い工期での請負契約を締結している場合などを含む違反行為の疑われる事実があるとき、国土交通大臣に対して通知しなければならないこと等が盛り込まれるようになります。
これらの改正により、建設労働者の賃金確保に寄与することが望まれておりますが、改正案の目標、効果、KPIとして、二〇二四年度から二〇二九年度において全産業を上回る賃金上昇率の達成が掲げられております。本法案が成立することで、建設業においてどのような変化、好転を期待しているのか、国土交通大臣にお伺いいたします。
○斉藤(鉄)国務大臣 持続可能な建設業を実現するには、賃上げを実現し、建設業の将来を支える担い手を適切に確保していく必要がございます。このため、本法案のKPIでは、建設業の賃金上昇率が全産業を上回ることを目指すことといたしました。
これは、今回の改正によりまして、建設業の賃金水準が他の産業を上回るペースで上昇を続けることを目指すものでございまして、その結果、他の産業との人材獲得競争を勝ち抜き、有能な若者が喜んで入職してくれるような建設業になっていくことを期待しているところでございます。
○小宮山委員 中央建設業審議会基本問題小委員会では、標準労務費、建設工事の労務費に関する基準は、東京における標準的な仕様及び条件での歩掛かりに公共工事設計労務単価を掛け合わせて算出すると示されておりますが、このように行うのか、確認をします。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
具体的な労務費の基準の設定の仕方についてでございますけれども、今後、中央建設業審議会で議論を行っていくということでございますが、御指摘いただきました、公共工事設計労務単価に歩掛かりを乗じるという方法は、今回の法改正を御議論いただいた審議会におきまして、算出方法の一例というふうにされているものでございます。
この方法でございますと、地域とか職種の違いを反映しながら、多様な工種に応じた作業量当たりの労務費というものを算出することができます。この作業量当たりの労務費は、契約当事者の間の交渉の際に一般的に使われております。そういう意味では、使いやすく分かりやすい、そういう利点がございます。また、作業効率を上げれば受注者のメリットも大きくなるという点で生産性向上にもつながると考えますので、議論の一つの出発点になるというふうに考えております。
○小宮山委員 設計労務単価は、平成二十五年、二〇一三年以降、十二年間連続で引き上げられております。私もそのたびに質問を重ねてきておりますが、その引上げ率も各年度における他産業での賃金上昇を上回るものとなっていたけれども、実際の建設労働者の賃金には反映されていないのではないかと感じております。これまでも、民間事業にも普及するということを希望されていたようですけれども、実際には必ずしもその思惑どおりに進んでいないというのが現実で、だからこそ、今回の建設業法の改正というものが提出されていると感じております。
建設労働者の賃金は、公共工事だけでなく民間工事によるものも含まれていることもこの要因ではありますが、これまで、公共工事について、設計労務単価の上昇により賃金上昇が行われることで、民間の建設工事についても賃金上昇に結びついていくということを期待されていましたが、実際にはどうだったんでしょうか。民間工事において、賃金上昇につながる効果がどの程度あったと考えているんでしょうか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
公共工事に従事する技能者の賃金は、公共工事労務費調査によりまして十分に把握をされておりますけれども、民間工事に関しましては、同様の調査データがないというふうに認識をしております。
したがいまして、民間工事に従事する技能者の賃金動向を申し上げるということは難しいわけでございますけれども、ただ、多くの建設業者におかれましては、公共工事も民間工事もどちらも受注している、同じ社内で同一の職種の技能者の賃金について、公共工事の従事者だけ引き上げるということは難しく、したがって、公共工事設計労務単価の引上げは民間工事の受注者の賃上げにも一定の効果がある、こういうお話もお聞きしております。
公共工事設計労務単価を引き上げた十二年前、平成二十四年以降、建設業全体の技能者の賃金というものは着実に上昇しているということでございますので、民間工事も含めて建設業界全体の賃上げに一定の効果があったというふうに認識をしております。
○小宮山委員 今回の法改正後に、労務費の基準が公共工事設計労務単価に連動するものとなれば、公共工事設計労務単価の各年度での改定に伴って労務費の基準も改定される。結果として、公共工事設計労務単価と、民間工事を含めての建設労働者の賃金が連動するようになるのか、この点の御見解を、大臣、お聞かせください。
○斉藤(鉄)国務大臣 今、局長から答弁がありましたように、労務費の基準というのは、法の施行後に中央建設業審議会で御議論いただくことになります。この労務費の基準が公共工事設計労務単価と連動するものとなるかは、今後御議論いただくことではございますけれども、設定された基準は、発注者を問わず適用されることが考えられます。つまり、公共工事にも適用されるということで、自然と連動していくというようなことも考えられるのではないかと思います。
労務費の確保と行き渡りの仕組みを通じて、建設業界全体で適正な処遇が実現されるよう努めてまいります。
○小宮山委員 適正な対応に努められるという大臣の言葉、心強く感じますし、実際にそれが表れることを期待しております。
さて、建設業法等の一部改正に合わせて、今回、議員立法により、品確法等の一部改正、公共工事の品質確保の促進に関する法律等の一部を改正する法律案も行うべく、各党間で準備を進めているところであります。品確法等の一部改正では、測量業の担い手確保を行うため、測量法の一部改正も予定しております。
現実に今どうなっているのか、伺っていきたいと思いますが、実際に測量業に従事している測量士、測量士補の人数を把握する仕組みについて、御説明をいただきたいと思います。
○大木政府参考人 お答え申し上げます。
測量法では、測量業者の登録申請等の手続において、国土交通大臣に、営業所ごとの測量士及び測量士補の人数を記載した書面を提出することとされております。
令和六年五月一日現在で、この手続で把握できる、測量業者に置かれている測量士の人数は三万六千八百十九人、測量士補の人数は一万八千五十四人となっております。
○小宮山委員 測量士、測量士補は、資格試験に合格して有資格者となるほか、大学、短大、高専などで測量科目を修めるなどして測量士補となった後、実務経験を経て測量士となります。大変難しい試験でありまして、合格率も低いというふうになっているものでもあります。さらに、専門の登録養成施設で知識と技術を身につけ、測量士補となる方法もあります。
登録養成施設としては、測量士補養成施設が九校、このうち二校は測量士の養成教育も行っています。近年、測量士補養成を休止した学校一校もあり、登録養成施設の数は限られております。
そこでお伺いいたしますが、測量士の現場で使われていない測量機器など、平成十五年に定められた授業内容を用いているために、実際の現場では使えないものも用意をしなければならないという運営上の課題もあるようであります。登録養成施設の授業内容や用いる測量機器について、国土地理院においてはどのように把握していらっしゃるのか、御説明ください。
○大木政府参考人 お答え申し上げます。
測量法におきまして、御質問の養成施設につきましては、そこで行われる講義、実習を行う科目及びこの実習などに使用する実習機器は、現在、測量法において具体的に規定されております。その内容についても国土地理院では把握しているところでございます。
しかしながら、測量業務における技術の進展は著しく、そこで使われる測量方法や機器は変化してきております。現在使われていない測量方法や測量機器が法律に規定されている現状もございますので、現在使われているものに改めるといったことが考えられます。
こうしたことによって、養成施設において使われていない機器を保有する必要がなくなる、若しくは負担が軽減される、また、生徒さんたちには、技術の進展に対応した適切な講義、実習が行われるようにすることが可能ではないかと考えているところでございます。
○小宮山委員 資格を有していながら測量業に従事していない方も多数いらっしゃる背景には、賃金水準などの要因もあると伺いました。
また、昨今、自然災害など、測量士の活動は復旧には不可欠でもあります。測量士の減少というのは、復旧に対しての妨げになりかねません。後ほど審議、採決される予定ではありますけれども、品確法等の一部改正により、測量士の確保また質の向上につながることを期待しております。
さて、日本国内の事業者全体のうち、約九八%ぐらいが中小零細、個人事業主が占めております。規模の小さな事業者における賃金上昇、待遇改善への取組は、大規模事業者と比較して困難を極めております。
また、規模の小さな事業者を元請として工事を発注する場合は、その発注者自体が小規模事業者であったり個人施主であるなどの場合も多くなることから、安価な工事費用となるよう求められる中、賃金を十分確保した金額内容では折り合わず、受注に至らないということも起こり得るでしょう。大規模な建設会社でないと対応しにくいという結果を招きかねません。
中小零細事業者や個人事業主、一人親方においても、賃金がしっかり確保できるようになるための支援策を検討、実行していく必要があるのではないでしょうか。国土交通省としての見解を伺います。
例えば、労務管理に対しての専門職員を置いたり、専門家との相談、アドバイスを求める場合への補助なども一考に値するかと思います。また、どうしても、事業を起こすときに行政書士の方に登録をしていただくことも多くありますが、労務管理のことでいえば社会保険労務士の方が主流になってくるということを気がついていない一人親方の方とか建設業の方も、現実にはいらっしゃいました。
いろいろな、まだまだやるべきことがあるかと思います。この点について国交省の見解をお聞かせください。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
今回の法改正により設けます労務費の確保と行き渡りにつきましては、この仕組みを有効に活用して、労務費が中小零細の事業者の方、個人事業主の方、一人親方の方まで行き渡るようにすることが極めて重要でございまして、まずは契約当事者の間で、新しいルールにのっとった価格交渉というものに努めていただく必要があるわけでございますが、零細事業者の皆様も含めまして、新しいルールを理解していただいて、使いこなしていただくということが重要だと思います。分かりやすい周知などの支援につきまして、関係の団体の御意見もよく聞いて、一緒に考えてまいりたいと思います。
また、更に申し上げれば、弱い立場の零細事業者の方でございますから、注文者に対して交渉に臨む、なかなか難しいことがあろうかと思います。これにつきましても、業界団体の方の御意見をよく聞いて、相談やアドバイスを求めることができるような体制づくり、こういうことについても検討してまいりたいというふうに存じます。
○小宮山委員 今回の法案に関しまして、ICTの活用なども掲げておりますが、職人の世界で、ICTとはかけ離れたというか、大変現場を大切にされているという現実がございますが、小規模事業者や個人事業主が工事関係資材を入れるときに、期日を守るために、スマートフォンからの通販などを、資材の購入や備品等で利用されることが多くあると聞いております。
ただし、このようなネット通販やいろいろな販売手法を使うときに、領収書の発行も、通販サイトの上からPDFファイルのダウンロードで提供される場合も多く見受けられますが、これが一定期間後、例えば半年ほどでダウンロードできなくなる事業者もあると聞いております。
確定申告の前に大変苦労されたということも伺っております。小まめに領収書のダウンロードをすればよいのでしょうが、期日が迫っている、要するに、施工して引渡しの期日が迫っている方としては、そこまでできないということも現実にあるようであります。
ネット通販サイトなどにおける領収書発行などへの対応の在り方に関して、決算時期に対応できるように一年は発行できるとか、領収書の保存義務期間に合わせるとか、あるいは初回の発行が行われるまでは期間は問わないというような、より利用者の利便性、そして納税をするときの利便性というものに資する対応が望ましいのではないかと考えますが、実態調査や改善に向けた対応などについて経済産業省からお伺いしたいと思います。
○山影政府参考人 お答えいたします。
法人、個人事業者、いずれにおきましても、適正な税務申告を確保する観点から、法人税法あるいは所得税法などの法令に基づきまして、帳簿書類を備え付けて取引を記録すること及びその帳簿書類を一定期間保存しておくことが、法人、個人事業主本人に義務づけられていると承知してございます。
その上で、インターネット通販事業者におきましては、領収書等の発行については、事業者が何らかの形で領収書を閲覧、ダウンロードができるようにしている場合がございまして、その閲覧、保存が可能な期間につきましては事業者によって様々で、異なっていると承知してございます。
他方で、先ほど申し上げたとおり、帳簿書類の保存等は、本来、サイト利用者の本人の方に義務づけられたものでございまして、そういう中で、領収書の閲覧、ダウンロード機能のサービスにつきましては、サイト利用者の利便性向上に資する対応として、インターネット通販事業者が、あくまでも営業上のサービスとして任意に行っているものと承知してございます。
経済産業省といたしましては、インターネット通販事業者が任意で行っているもの以上に、事業者に追加負担を求めることはなかなか難しいのではないかと考えてございます。
○小宮山委員 事業者はそうかもしれませんが、納税をさせる、また電子帳簿等をさせる段階において、機能的に移行できなかったり様々なことがある、問題があるということは、税理士の方が現実に、去年以降、インボイスであったり、電子帳簿の義務化であったりの中で、実際に体験をしていることでもあります。
是非、経済産業省におきましても、キャッシュレスを言うのであれば、それに対応できるように、また、納税は義務でもありますし、それがきちんとできるような体制とするよう、やはり対応していただきたいと思います。
放置とか、民間でやっているから知らないではなく、きちんとそこまで、政府としてキャッシュレスを進めているならば、責任を持っていただきたいということを指摘いたします。
さて、インボイス制度についてのお伺いをさせていただきます。
建築現場に関わるICT活用のみならず、経理、納税、見積りを始めとして、パソコンなどを駆使して仕事を行うことで、効率向上、生産性向上が期待されるとされておりますが、一人親方などでは、建築技術は一流であっても、税務処理やパソコン利用は苦手、電子帳簿への対応も厳しい、難しいと感じられている建設技能者も多くいるようであります。
十月よりインボイス制度が導入され、レシートや領収書などにも、インボイスの番号が、十三桁の数字が印刷されることも目につくようになりました。
税理士の方々からも、適格請求書発行事業者登録番号を国税庁サイトから確認する手間が省かれるものの、安易な特例に頼ってしまいがちな小規模事業者の方々に対して、大変心配もされております。
そこで伺いますけれども、インボイス制度導入に伴う旧来の免税事業者などへの負担軽減策、二割特例の当面の期間延長を行うこと。しっかりとインボイス制度などが、この短い期間で普及するとは私は考えられないし、現場からも厳しいということを伺っております。この点について、財務省より御見解をお聞かせください。検討の余地はあると思います。
○小宮政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる二割特例につきましては、インボイス制度の円滑な導入や定着を図るため、免税事業者であった方がインボイス発行事業者となった場合の各種負担に配慮する観点から、三年間の激変緩和措置として設けられているものでございます。
その適用期間が終了した後でございますが、簡易課税制度を用いることで、二割特例適用時と同様に、各事業で売上時に受け取った税額から納税額が計算できるということとなっております。
二割特例終了後における各事業者の対応につきましては、この簡易課税の活用も含めて検討がなされるものと考えているところでございます。
二割特例の延長につきましては、こうした点も踏まえつつ、慎重に検討する必要があると考えております。
○小宮山委員 簡易課税に移行できるといいますけれども、大分税率も違います。また、周知徹底等、納得をするというのも納税の大きな立場だと思いますし、また、消費税導入後というか、税制というのは、シンプルかつ公平にされるべきだと思います。ほかからも恐らく多く要望が来ているとは思いますが、是非、改めて検討していただきたいと思います。
さて、いまだに強い下請たたきについて伺っていきたいと思います。
昨日も建設産業専門団体連合会の岩田会長からもありました、総額一式契約そのものを否定するわけではないけれども、入札価格を下げなければ仕事がもらえないというマインドが建設業界上位から下請まで広がっている、それで、ダンピングというものがつくられていたということでもあります。総額一式の請負契約が慣例で、これが長らく放置されてきたということなので、やはりしっかりとここは直さなければいけないということ。
また、全建総連の方の勝野書記長からも、同様のこともありました。法改正が行われた場合でも、その実効性が確保されなければ十分な効果は得られないという指摘がありました。
また、全建総連におきまして、持続可能な建設業の実現に向けた百万人国会請願署名がなされ、その内容においても、低賃金、長時間労働、休日の少なさが入職を阻む要因になっているということ、そういったことが指摘されました。
建設業においても、賃金の適正な、安全衛生確保の必要性から、下請階層の数の制限を法制化する必要があるのではないでしょうか。国交大臣の見解をお聞かせください。
○斉藤(鉄)国務大臣 過度な重層下請構造は、今、小宮山委員がおっしゃいましたように、いろいろな弊害がございます。その是正に取り組む必要があると我々も考えております。
一方、建設業は、多種多様な専門工種を組み合わせて施工する必要があることなどから、一律の次数制限には慎重な検討を要します。
このため、今回の法案では、まず、適正な労務費の確保、行き渡りなど、早急に講ずべき施策を盛り込み、一歩前進させることといたしました。
あと、今回の改正では、労務費の基準を著しく下回る契約が禁じられるため、中間に介在する下請業者が更に下請契約を結ぼうとする際、利益や経費を差し引きにくくなるという結果、重層構造の是正に一定の効果が期待されているところでございます。
一部の大手業者では、原則二次下請までに限定した施工体制の確立に取り組んでいると承知しております。こういう事例も増えてまいります。こういう事例も踏まえつつ、重層構造の是正について議論を継続してまいりたいと思います。
○小宮山委員 重層下請構造が是正されつつあるというお話でも、正確には、下請構造が是正される事例も出てきたということだとは思いますが、元請の受注金額の半値、八掛けにより、僅か四割程度の金額で請け負わざるを得ないというような事例も、いまだに実際には起きているものであります。場合によっては、半値、八掛け、二割引きと、もっと低い場合があるという話でもあります。
これ、専門のところで、特に人件費がその大半を占める業界では、まだこれが実際には慣習として続いているということも聞いております。やはり、工事の分離発注というものも進められていくことが大切なのではないかと思っています。
この点に関しましては、是非、国交省の御見解をお聞かせいただければと思います。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
分離発注ということでございますけれども、分離発注を行いますと、発注者の立場から見ますと、直接指示をしなければならない相手方が増える、異なる工種の間の調整を発注者自身が行わなきゃいけないということになりまして、発注者の業務量が増加するという面がございます。また、工種間の工程調整がうまくいかない場合には、品質の影響にも及ぶ可能性もございます。
したがいまして、分離発注を一律に進めるということは、ちょっと慎重に考える必要があるわけですが、一方で、分離発注とすることで、いいこともあります。発注者の意向を直接伝えることができます。施工の責任や工事コストの明確化が図られる、こういう場合があります。そして、専門工事業者の育成に資する、こういう面があるわけでございますので、こういう合理性が認められる場合につきましては、発注者の体制とかコストにも考慮が必要でございますけれども、発注者として分離発注を進めるということがふさわしい、こう考えておりまして、こういう考え方を公共発注者を中心に周知をしてまいりたいというふうに存じます。
○小宮山委員 ありがとうございます。
下請から見ると、なかなか元請の方には言いづらいこともありますし、半値、八掛けでやると、かなり抜かれておりますので、その分がなければ、恐らく発注者側も安く発注できるんじゃないかということも利点であるかと思います。そして、先ほど局長が言っていたとおり、新たな受注者ということを育成するのにつながるんだと思っております。
最後になりますけれども、アスベスト除去費用の補助拡充についてお伺いしたいと思います。
アスベスト除去に関して、レベル3、形成板まで調査、除去費用も対象となる助成制度についても用意されることが望ましいと考えていますが、国土交通省の見解。また、これは引き続きしっかりと、何年も経過した後にアスベストの被害というのは明確になりますので、取り組んでいくことが必要だと思っております。
最後になりますが、大臣にこの点だけお聞かせいただければと思います。
○斉藤(鉄)国務大臣 建築物に使用されているアスベストは、飛散によって利用者の健康障害につながるおそれがあることから、その対策は極めて重要と認識しております。
国土交通省におきましては、飛散性があり、暴露の危険性が高い吹きつけアスベストなどについて、平成十八年以降、建築基準法により規制するとともに、補助事業により除去などを支援してまいりました。
今後とも、適切な除去や解体が行われるよう、厚生労働省、環境省とも連携しながら、アスベスト対策にしっかり取り組んでまいりたいと思います。
○小宮山委員 建設労働者の安全、そして適切な評価がしっかりとされることを望み、質問を終わります。ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、伴野豊君。
○伴野委員 伴野豊でございます。
今日も発言の機会、質問の時間をいただきましたことを、委員長並びに両筆頭を始め理事の皆さん方、各委員に御礼を申し上げたいと思います。
時間は二十九分ということでございますので、事実関係については、局長、端的にお答えをいただく。多分、三十秒以上必要ないと思いますので、一質問において二十秒以内で。最近、ピッチャーが投げるのも時間制限がございますので、二十秒以内でやっていただくとテンポよく、全質問こなせるんじゃないかと思います。順番は多少、御回答の内容によって、ちょっと場合によっては変化球を投げなきゃいけないので、前後することはお許しいただきたいと思います。
大臣におかれましては、ここは俺が言うぞというところは手を挙げていただいて結構でございますので、政治判断が必要な場合もどうぞ積極的に御発言いただければと思います。
先ほど来から同僚議員もいろいろ質問させていただいておりますが、今回の建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律ということで、まず、この改正に至る背景もあるでしょうし、その分析もあるでしょうし、必要性を感じられたわけですから改正案を出されたわけで、最大の目的は何かといったら、局長、何ですか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
持続可能な建設業の実現を目指す、それに必要な担い手を確保していく、これが最大の目的でございます。
○伴野委員 端的にありがとうございます。
三つのパートに分けてというか、三つの分野に分けて、いろいろ、一つは賃金の引上げ、一つは、例えば資材高騰なんかがあった場合に、いわゆる契約価格にどう転嫁させてもらうか。そして最後は、やはり二〇二四の時代ですから、先ほどから、一年ぐらいちょっと遅いんじゃないかというお話もありましたが、そこは大目に見るとして、労働時間の適正化、現場管理の効率化をしていく、それで今おっしゃられた担い手の確保をし、それが大きな目標として持続可能な建設業ということになる、こう理解をしております。
そうした中で、幾つかポイントがあると思いますが、局長、ポイントは何だと思いますか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
建設業の取引の中で長年にわたって定着してしまっている慣行を変えるということが大きなポイントだと思います。
例えば、資材の価格等が、値段が上がっても、受注者が一切の責任を負うというようになっている慣行、そして、労務費は下請に出すときに非常に削りやすいので、削って下請に出すというような慣行、こういうものに大きく立ち向かおうというのがポイントかと存じます。
○伴野委員 一つといえば、多分そうなんだと思います。
特に、今回、民間投資で、いわゆる建築系のお仕事のところもしっかり切り込んでいる。
ただ、もう一つ深掘りすると、多分、民間投資の中で、土木で、土を扱うものが一番単価が合わないんだと思います。だから、この辺りのところを是非、今後、いろいろな見直しをかけていただけるとありがたいし、まさに民の発注の方の慣行はそこまで追いついていないと思います。やっと、建築資材が上がったときに、そろそろそれを価格転嫁しないともう業者さんがなくなっちゃうというような危機感もあって、理解を今回はされていると思います。
もう一つポイントがあるとすれば、局長、何だと思いますか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
働いている方の処遇ということも大事でありますけれども、建設業全体の生産を上げていかないと、そのための原資が確保されないということでありますので、処遇の確保等が目的の一つではありますけれども、それを実現するための、やはり生産性を上げるということも大きなポイントの一つではないかというふうに思います。
○伴野委員 先ほど、たしか維新さんの委員の方も、やはり利ざやをもう少し業界として上げていかないと、なかなか単価も上がらないだろうと。私はそのとおりだと思います。
だから、例えば、逆転の発想で、結果的に利ざや三割を目指すというようなことをそろそろ試算し出してもいいんじゃないかと思います。
そうするときに一番のポイントは、まずは、業界全体、当然その空気感も変えていただかなければいけない。いわゆる三Kを新三Kにしていくという、それはすばらしいことだと思います。それで、やはり最大のポイントは、いわゆる、今回も挙げられている標準労務費、中央建設審議会さんが最終的に答申を出されるということですが、やはり、ここへの期待。ここが、いかに現場を把握して、設計図、工程、それをきちっと把握した上で、最終的には積算単価に盛り込めるかどうか。
これは難しいですよ、難しい。特に、コンストラクションよりメンテナンスの時代になってきたわけですから、これは、メンテナンスなんか、やってみないと分からないところがありますからね。当初から積算するというのは非常に難しいけれども、でも、ここは、やはり技術屋冥利というか、国交省冥利に尽きるところでもないかなと。
最近、「プロジェクトX」というのは、新しいのが始まりましたね。大臣、御覧になっていますか。私もあれを見ているんですけれども、中島みゆきさんの、最初の、いわゆる新・地上の星ということになったらしいんですが、これがヘッドライト・テールライトに変わる頃は、もう本当に、感動、感動、感動。まあ、その時代をいま一度ということを、復古調のことを言うつもりはありませんが、少なくとも、輝きはあの時代に、建設業、戻すつもりでいかないと、やはり若い方はついていけない。
だから、賃金もそうですし、働く環境、福利厚生もそうだと思います。自分は一番いいところで働いているというぐらいの思いをやはり持たせてさしあげないと、また、大人がその夢を持たせてあげないと、いつも給料を引かれているという、これではやはり、もうどんどんどんどん人材は集まらなくなってしまいます。
それで、設計労務単価、これが基準になると思います、ずっと一年ごとにやってきました。私も久方ぶりに、今、設計労務単価がどうなっているかという、ちょっと何十年ぶりというと大げさですけれども、見直しましたというか、見ました、全部。正直言って、工種が足りないものがいっぱいある。全体の建設業を把握していない。
これは、一つは、何でかなという原因を思ったんですが、やはり、今の国交省さんの、このお仕事をされている、今回の法案を出された担当のところの部署は、やはり旧建中心だったと思うんですね。そうすると、旧建設省の示方書なり積算書の在り方を基にして、多分その時代とほとんど変わっていないような感じがします。大臣も、是非一回、定義も含めて見ていただくと、かなり、土工についても、定義の仕方が、えっ、まだこんなのという、ちょっと極端な言い方をすると、役務の時代ならともかくもというような言葉まで使ってある。
だから、そういうところから見直さないと、労務単価を現場に合ったものにするというのを可能にするには、そこまで言葉を変えていかないと。もっと言うなら、国交省の現状認識を変えていただかないとという、意識改革をしていただかないと。今回の目的はすばらしいものです。だけれども、結果を出そうとすると、次の改定まで五年あるはずです、そこまで、次の五年で見直しをしてほしいと思います。ここは大臣、いかがですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 私も毎年、公共工事設計労務単価の見直しのときに、各職種、見させていただいておりますけれども、確かに今、非常に技術が進展して、新しい工種が多くなった。特に、情報化が進んでいる、また、断熱化等が進んでいる、そういう中で、昔になかった工種が入ってきている、確かでございます。
そういうものをきちんと時代時代に合わせて見直していかなきゃいけないというのは、委員御指摘のとおりでございまして、そこはしっかり進めていきたいと思います。
○伴野委員 あえて、気がつくところだけ申し上げておくと、例えば、旧運輸省が管轄であった鉄道の分野、あるいは、エネ庁が発注元であった電力系の設備の多分単価は随分ずれています。工種すらないものもある。大臣、鉄道大好きですから、そこの工事の中で一番大事な工種は何ですかという質問をするつもりはありませんけれども、列車見張り員という、一番命を守る人の工種も単価も入っていないんです。
是非そういうところは、いろいろな業界からも指摘があると思いますので、幅広に工種を、旧建に限らず取っていただいて、旧運輸、それから旧国土庁とまでは言いませんけれども、でも、国土庁もあるかもしれませんね、いわゆる多分コンサル業務なんというのは。そうすると、やはり大きな大胆な見直しを工種レベルで、これは今、たしか五十一ぐらいでしたっけ、そうでしたよね、五十一ある、もっとあるはずです。そこをしっかり現場把握をしていただいて、見直しをしていただくと、単価も見えてくるのではないか。場合によっては、Gメンの方に、半年ぐらいずつ現場に出ていただいて、実際体験して見ていただくと、勘が働くようになるんじゃないかと勝手に思っています。
場合によっては、ソフトによる積算ばかりじゃなくて、目の子で、つまり電卓で、算数でやる積算もあります。でも、これも、いつの間にか、全部ソフトの中に入っているから、初期値だけ入れれば全部出てきちゃう。さっき何か、全部一緒だという話があった。そうじゃなくて、かつては、やはり本省でもやっていたと思うんですね、チェックのために。だから、チェックのための積算を、どういう過程を踏んでやっていくかということぐらいはしっかり頭に入れておかないと、工程とか効率化とかいうことが多分捉えにくくなっちゃうと思います。
御案内のように、かつて、やはり丼勘定というのがこの業界にあったと思います、よくも悪くもね。今回の仕事で見れないから次の仕事でというのがあったと思う。ただ、今、その時代から隔世の感があって、社会的にも認められない。設計変更するなら、やはり論理的なエビデンス、そして、計算値をきちっと出してこないと駄目な時代。
だけれども、多分、大臣御案内だと思いますが、地表から下は本当にやってみないと分からないことがいっぱいあるんです、いまだに。特に土は、御案内のように、土粒子と空気と水の混合物です。ちょっとした変化によって違うし、支持層があると思って打ったけれども届かないというようなことは、間々あるというとちょっと言い過ぎかもしれませんが、どこかの何とか小学校じゃないですけれども、ごみがいっぱい出てきて、すごい金になっちゃったところがあったじゃないですか。でも、あそこまでめちゃくちゃじゃなくても、かなりそれに近い、やったら、ごみも出てきちゃって、それを廃棄するためのお金が、なかなか発注者が見てくれないということで止まっちゃった工事もあるはずです。
だから、そういうことも含めて、ちょっと全体を見直さなきゃいけませんし、そうなってくると、多分一番合わないのは、民間の土木系工事です。土を扱うところです。
建築は、工場生産したものを比較的使って、そして、それを組み立てていけば、ある程度読めるし、だから多分ポイントが資材になっていると思うんですね。セメントとか様々なそういう資材が、特に、今回のようにロシアのウクライナ侵攻のようなことで、地球規模の混乱が出てくると、やはりいろいろ単価も変わってくるんだと思いますが、でも、建築の方は、資材さえちゃんとウォッチしていれば、かなり、いわゆる、この業界でいう言葉として、受注者に見てあげる数字になってくる。
ただ、土木は、本当に、場合よっては掘ってみないと分からない。大臣お得意の非破壊検査で随分分かるようになりましたが、しかし、試ぐい、つまり、試しに打つくいのポイントは間隔を狭めることはできませんから、だから一定間隔で、やってみないと分からないところは出てきちゃう。だから、そういうときの見直しは十分あるんだよという前提で社会の理解を得ないと、なかなか転換していけない。
それから、今回、しわ寄せということで、労務単価にしわ寄せ、最終的にそこが一番よくない行為だと思いますが、しわ寄せの中でも、工期のしわ寄せ、もっと言うならば、工程の中で、後工程のところなんかにはいろいろなしわ寄せが来ちゃうんです。具体的な例を申し上げると、先ほど電設工事と言いましたが、電設工事の最終工程です。ここはもう、最初からどんどんどんどん詰まってくるということは分かっているんですね。
だから、今回も一定限度以下の工期短縮は認められないというようなことも書いてあるんですけれども、ここもちょっと、場合によっては、工種によっては、柔軟な見方をしないときつい部分も出てくるんじゃないかと思っています。だから、こういうところを是非Gメンの方はウォッチしていただいて対応をしていただければいいと思います。
あと十三分ぐらいしかありませんので、どんどん行きます。
先ほど何が言いたかったかというと、大臣、やはり国交省自体の働き改革を隗より始めるということでやっていただかないと、なかなかこの業界にも浸透していかないんだ。つまり、国交省さん自身がそういう働き改革をした上で、やはり業界を監督指導していっていただかないといけないかと思いますが、国交省さんの働き改革は、率直にどうですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 国交省も、我々省内で働き方改革、現場からいろいろ声を聞いたり、こういうことで改善できるというような努力を進めております。その上で、国交省の働き方、国会の在り方とも非常に密接に結びついておりまして、国会の皆様の御理解もいただきながら、働き方改革をしっかり進めていきたいと思います。
○伴野委員 おっしゃるとおりで、政治家も協力できるところは協力していかなければいけない。質問レクの在り方、通告時間の在り方、こういうことはやはり、常識の範囲で、取決めの範囲で、議運がある程度仕切った範囲でやる、協力をやはり議員自らやっていかなければいけないと私は思っています。
だから、それぞれがこれだけの改革をしようとしているんですから、隗から始めないと、人には言うけれども自分の足下がそうなっていないというのは、やはり一番これはよくない体質をつくっちゃいますので、この辺り、是非見ていただければと思っております。
次に行きます。
先ほど、いわゆる担い手の話が出ました。局長、担い手、ぶっちゃけ、十年後、足りるんですか。
○塩見政府参考人 現在の技能労働者の方の年齢構成を考えますと、非常に高齢化が他産業以上に進んでいますので、今後ますますこの業界からリタイアされる方が増えていくと思います。したがいまして、このまま手をこまねいていては人手が足りなくなることは確実だと思いますので、今この法案をもって、この業界に新しく参入していただける若い方をより多く増やすための働き方改革、そして、処遇の改善を是非この機会にしっかりと行わせていただきたいと思います。
また、あわせて、適切な外国人材の活用についても考え、全体として必要な労働者の確保を図ってまいりたいと思います。
○伴野委員 とにかく、よりよき人材を戦略的に集めていただかなければいけない。昨日もそれに関する法案が通りましたけれども、結局、やはり人は育てていかなきゃいけない、どこから来ていただくにしても。質の確保もしていただかなければいけない。
そうすると、やはりどなたも、例えば、外国から来た方も、一日で帰るとか一か月で帰るということではない、多くはできたら定着していただきたい。そうすると、やはり、日々の生活のこと、そこで日本の社会がどう受け止めるか。お子さんが生まれたら子育てをしていくこと、こういうことにも関心を持って、最近は三世代目が非常に難しいという話もよく聞きます。つまり、一世は、何かあるとすぐ本国に帰されるから、なかなかやはり、自分で思いとどまる。二世は、その親のいい意味でのびびり具合を見ているから、そこそこで収まる。三世は、子供のときから日本語をしゃべれて、なのに、小学校へ行くと仲間外れにされる。こういうところまでやはりフォローした上で人を確保していかないと、絵に描いた餅になっちゃうと思うんですね。
最後はやはり賃金ですよ、賃金。これをどう査定するか。この積算というのは、かつて技術屋にとって一番面白い分野だったんですね。設計するよりも面白い、これをどう適正価格というのを見出すか。いろいろな工夫をして、こうすればここはうまく回るじゃないかとか、ここはこういう手法でやった方がいい、この工法の方が効率的だとかいってやって出してくる一つの単価、数字は、もう我が子のようですよ。でも、やはりそれを今の時代に求めるのはきついので、やれることとしたら、さっき、これは一年ごとに改定がある設計労務単価がポイントになってきます。
これは質問も、あえて求めませんけれども、たしか、これをどう算出するかというところは、多分、局長も大臣も御存じだと思いますから、そこから見直さないと。今だったら、多分、かなりの部分はアンケート頼り。つまり、各会社なりいろいろなところにアンケートを取って出てきた数字を、まあ、人を信じるというのは大事ですけれども、こういう数字はやはり裏取りもきちっとした上で、さっき言った粗利三割納税するためには、各工種の単価をどれぐらい上げなきゃいけないかというところに目標設定するやり方を考えてもいいんじゃないか。
多分、この法案をお作りになってというか、いろいろお考えになったときに、ここがポイントだということももう既に国交省さんお気づきだったから、ここの試算の在り方を、令和五年度の補正予算で要求していますよね、三億二千万も計上しているわけです。だから、ここで徹底的に勉強していただいて、できるだけ現場を把握した、そして現場を反映した、今の時代に合った、まずこの設計労務単価をつくって、それを参考にしてどう標準労務費にするか。
これは運輸のところでもあったと思いますが、最低にするのか、そうでないのかでも随分変わってきますし、どう捉えさせるかによっても変わってくると思いますので、三億二千万あります。徹底的に勉強して、また結果を教えていただければと、そんなふうに思います。ここは大臣、いかがですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 設計労務単価は、先ほど局長が答弁申し上げましたように、実勢価格を調査して、それを使うということでございますが、その中で、例えば、週休二日制を基本とするというようなことを前提に置いて、できるだけその実勢価格をベースにはしますけれども、新しいあるべき単価というものの意味、そういう意味も込めたものにしていきたい、私自身はそのように思っております。
○伴野委員 あと、十三分までですから、だんだん時間がなくなってきましたので、KPIの質問に移ります。
今回挙げていらっしゃるKPIと、これをどう見ていかれるか。局長、教えてください。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
今回の法案は、冒頭御答弁申し上げましたとおり、担い手の確保を図ろうとするものです。担い手を確保する際に一番大事なことは、一つは処遇であります。賃金であります。もう一つは、やはり休日。もうほかの産業では週休二日は当たり前と言われているときに、建設業はまだまだと。この二点を大きく目標として掲げることが一番この法案にふさわしいKPIだというふうに考えまして、賃金につきましては、ほかの産業よりも常に一歩先んじた上昇率を確保するということを目標にし、また、休日につきましては、特に遅れている週休二日、これを原則一〇〇%にするということを目標にしているところでございます。
○伴野委員 ちょっとまだ時間があるみたいですから、それに基づく、目標としていらっしゃるKPIをいま一度読んでいただけませんか。
○塩見政府参考人 それでは、読み上げさせていただきます。
一つ目は、全産業を上回る賃金上昇率の達成、これを二〇二四年度から二〇二九年度までの毎年度という趣旨です。もう一つは、技能者と技術者の週休二日の割合を原則一〇〇%、これは二〇二九年度に目標として達成するという、この二点でございます。
○伴野委員 KPI、業績評価指標と訳せばいいんでしょうか。いずれにしても、今回の法案を作ったものが、どれだけの効果があったか。つまり、五年後見直すときの一つの指標にされるんだと思いますが、先ほど申し上げた背景や取りかかりや臨むべき目標は、非常に高らかに掲げていただいているんですから、私はKPIももっと高らかに掲げて、別に二つじゃなくてもいいし、分析しやすい指標を幾つか挙げてもいいのではないかと思います。
意地悪を言うつもりはありませんが、例えば、一つ目の全産業を上回る賃金上昇率の達成、これを、全産業を上回る賃金ではなく、上昇率もつけちゃったというこの三文字、私は余分じゃないかと。あえて上昇率で逃げる必要はない。具体的に賃金をここまで上げるということで、さっきの利ざやは出てくるんですか。そういうものがないと、この業界をやっていく、つらいこともたくさんあるわけですから、目標が見えない。率だったら何とかなりそうだからというんだったら、やはりちょっとここはよくよく考えてもらいたいと思います。
それから、最近、KPIの見方としては、これはリアルタイムですからね、五年後とか三年後とか一年後とかでいいわけがない。もうこれは、法案が通ってからというと、参議院が通らなきゃあれですが、そこからこれをウォッチしていくぐらいの。できたらやはり、上昇率で逃げると言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、賃金、全産業を上回る賃金高、上昇高。だから、率じゃない。そうすると、すぐほかの、楽なところと言うと若干あれだけれども、比べがちになっちゃうので。
それから二つ目の、技能者と技術者の週休二日の割合を原則一〇〇%、これも現状を考えるとというのと、五年前と同じですよね。やはりそこの反省にそろそろ立たないと、五年前と同じもののKPIを出しておいて、なかなか達成しなくてと言われても、ちょっとやはりそのKPIの設定自体が大丈夫なのかと思ってしまいます。
だから逆に、今回臨んでいただいたことはすばらしいことなので、ちょっと細々と意地悪な指摘をしましたけれども、でも、そこまで入っていかないと今回の法律の最大目的が達成できないと思うのですが、大臣、いかがですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 今回KPIは、いろいろな議論の中で、こういう二つを掲げさせていただきました。ちょっと控えめではないかという御指摘でございましたが、それを上回るようにしっかり、まず第一歩としてこのKPIの達成に向けて頑張りたいと思います。
○伴野委員 ありがとうございました。終わります。
○長坂委員長 次に、馬淵澄夫君。
○馬淵委員 馬淵でございます。
まず、本改正案、これは、建設業を取り巻く社会経済情勢の変化等に鑑み、建設工事の適正な施工の確保を図るために、これを目的として、建設労働者の処遇改善、これを目指すということであります。いわゆる多重下請構造の中で、建設労働者の皆さん方の労務費を確保するための、発注者、受注者、元請事業者と下請、これらの皆さん方が適正な利益を得られる構造をつくらねばならないということであります。
しかし、実際は、発注者と受注者の力関係でいいますと、発注者側は、工事に対して理解が不十分であったり、あるいは、言い過ぎかもしれませんが、能力が足りなかった、設計者が無責任な対応をするなどということで、結局は受注者である元請事業にしわ寄せが行ってしまう、十分な利益を確保できないまま泣き寝入り。結局、こうした状況が多いということを、私もこの法案の審査の質疑に立つということで、全国の各地の中小建設事業者の皆さんから声をいただきました。
その中で、事業者からのヒアリングでやはり一番指摘されるのは、まずは公共事業に関して。公共工事、これは大きな問題が残っているということで、それが原因で、そもそも労務費が確保できない状況があるということが明らかになってまいりました。
まず、建設業そのものが、元請事業者の利益を十分に確保して、適正な労務費に回すことのできる構造となっているのか。これを、まず公共事業に関して確認をしていきたいというふうに思います。
平成十七年、二〇〇五年、公共工事の品質確保の促進に関する法律、品確法で、公共工事発注者の責任が明文化されました。しかし、なかなか実務に十分反映されていないというケースが多く見られ、こうしたことから、令和元年、二〇一九年の改正で、発注者の体制整備について、これが責務として示された。発注関係事務を行う職員の育成、確保等の体制整備ということで、これが明示をされたわけであります。
しかし、実際は、公共工事の設計を手がけるコンサルタントあるいは設計事務所、こうした意見をうのみにしているケースが多く見られます。体制整備が十分になされているとは言い難い現状があると私は全国の事業者の方々から伺っております。
そこで、局長に質問です。
地方自治体の公共工事につきまして、国交省として、発注者の体制整備の現状、これをどのように認識されていますでしょうか。端的にお答えください。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
地方公共団体の公共発注部門、特に土木部門の職員数を見ますと、三十年前のピーク時と比較して約三割減少しているというふうに認識をしております。
これは数字で見てもこういうことでございますが、建設業界の方からの声といたしましても、発注者の方の職員不足を指摘する声、あるいは適切な発注に対する理解が不足している、こういう声も業界の方から聞いているところでございます。
○馬淵委員 局長は、私が今申し上げたような全国の事業者の皆さんの声を十分に認識されているということだと思います。ピーク時から三割減、二八・三%減じているという土木部門の職員数、また、こういう状況の中で、減ってきて、能力不足や人員体制が整っていないということでありますが、更にお尋ねをしたいのは、じゃ、公共工事の設計、これを受注したコンサルや設計事務所において、設計が現場と合っていないことで施工の価格が合わない、施工にスムーズに入れないといった問題があるということも私は聞いておりますが、局長、これについての現状認識、どうでしょうか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
公共工事の発注において、設計やその他調査の仕事では大変重要な位置づけがあるわけでございますけれども、しかしながら、建設業団体の方から聞こえてくるお話としましては、やはり精度の高い設計に基づいた発注を是非行ってもらいたい、こういう声でありますとか、設計の不備で増額の変更が生じてしまう、工期の延長などが生じてしまうのに認めてもらえない、こういう声も聞かれているところでございます。
そういう意味で、公共工事における設計の精度には課題があるというふうに認識をしております。
○馬淵委員 そうなんですね。人材不足、人手不足、両方兼ね備えている状況。特に、建設コンサルタント、設計業者などは、二〇〇五年度末をピークにずっと横ばい状態、非常に低い推移が続いているという状況であります。したがって、十分な設計能力を持ち得ない設計会社あるいはコンサルタントが現実におられるということになります。
こうして、責任感が希薄で、そして能力が乏しいとなりますと、これはどうなるかとなりますと、ここは、でも、実際、発注者側は検査をしますね。検査、検図をして、設計図書に関して確認をします。しかし、発注者側にもそもそも十分な能力がないということで、設計内容の中に、コストに大きく影響を及ぼすような指摘事項が見つけられず、不完全な状態のままに受領してしまう。これは発注者側にも問題があり、かつ、コンサル、設計会社側にも問題があるわけです。
こうした状況で、その不完全な成果物に基づいてコストの積み上げがなされますので、これは当然ながら不適切な予定価格、すなわち、実際に必要なコストよりも低額になってしまうケースというのが、これが多々見られます。このコストの積み上げが行われる際には、品確法においても明確に違法である、このように示されていた、いわゆる歩切り、これもいまだに横行しているという報告を私は受けております。
この歩切りについては、令和三年、二〇二一年の五月に、歩切りの根絶に向けた取組として、国交省、フォローアップを実施されています。そして、その段階で、千七百八十八の全自治体団体、その中で、この歩切りを行っている団体、これについてはもうゼロだということで、歩切りの廃止が達成された、このように公表されているわけです。
もちろん、国交省の資料を見ますと、端数処理などを行っている団体も幾つかあります。しかし、歩切りはなくなった、このように言われているわけですが、これも局長にお尋ねをしていきたいんですけれども、ただ、これは本当にそうですかということですね。
今申し上げたように、不完全な設計図書に基づいた予定価格、そして、歩切りはないと言っていますけれども、じゃ、実際どういうことが起きているかというと、単価については、例えば物価版という出版物があります。この物価版に、いわゆる工事単価が全部出てくるわけですが、この物価版に掲載されていないような特殊なもの、あるいは、自治体の内部単価というのがございます。こうしたものが設定されているんですが、実際には、これは目立ちにくくて見積りもなかなか反映されてこない、見えにくいというところ、こういったところで歩切りが今も行われているという私はお話を聞いています。
単価について、どのような条件の場合にどのような単価を用いればいいのか、この判断も発注者側はできない、こういうことであります。私は、全国の事業者の方々から、実際の例をということでお尋ねをしました。なかなか渋る方も多いのは当然ですが、ある材料の単価に関して見積書をいただきました。そこでは、その単価の設定は一万四百円となっているんですね。工種は申し上げません。
しかし、これとは別に、同時に複数メーカーからの見積り、これが出ていて、一万四千円や一万三千八百円となっている。つまり、採用単価よりも高額になっている。この一万四千円の見積りを行ったメーカーは、設計協力として見積りを出した、こういうふうにおっしゃっているわけです。つまり、実際の積算は二五%も低い単価で計算されています。
歩切りは完全になくなった、そして、端数処理はちょっと残っていると言われていますが、今申し上げたように、物価版にも載っていないようなものや、自治体の内部で設定している単価、こういったものが極めて現状と乖離している、こうした状況が現実に起きていると思いますし、また、一部、依然として歩切りもあるとの声が寄せられています。これに対して、局長、認識をお答えいただけますでしょうか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
まず、歩切りについて申し上げますと、私どもが毎年定期的に行っている調査の中で、歩切りの根絶というものを確認をしているわけでございますけれども、ただ、これは、公共団体の首長さんが替わる場合に、また別の、元の形に戻るということも懸念されるところでもございます。
したがいまして、引き続き定期的に、この歩切りの実情については、しっかりと把握するように努めてまいりたいと思います。
それから、資材価格等の積算についてでございますけれども、御指摘のとおり、見積りによらないと実際の価格が分からないというものについては、これはもう全て物価版に頼ることは当然できませんので、複数の事業者の方から見積りを取った上で適切に予定価格を設定するということは、これは当然のことであろうと思います。
その見積りを徴取するときに、一定の幅がどうしても出てしまう、数が少ないサンプルの中でどうしても幅が出てしまうというのはやむを得ない面もあろうかとは思いますけれども、できるだけ実態に近い形で把握をしていただいて、その中で、発注、予定価格をつくりますときに、その価格を上回る入札はもうアウトになるわけでございますから、入札のときに困らないような適切な予定価格の設定というものをしっかりやっていただく必要があるのではないかというふうに思います。
○馬淵委員 これを見ますと、一年の間に複数回こうやって調査を、これは令和三年の五月とおっしゃっていますけれども、その前は一月にやっておられますね。こうして、また再三確認をされているんだとは思いますが、なかなかこれは確認しづらい部分があると思います。
それで、予定価格を適正な価格にさせることが、すなわち、工事費そのものを適正な価格に持っていくことができ、かつ、労務費をしっかりと確保するということにつながるわけですが、こうしたものを見つけようと思っても、今、現時点では、国土交通省は令和三年の五月から皆減で、根絶という状態が続いていますと言っているんですよ。でも、現状は、全国の事業者から私は複数、これは依然としてあると言われています。このままの状態だと、ずっと多分、皆減です、根絶していますという話は続くんですね。
局長、じゃ、お尋ねしますが、こうした実態をどのような形で吸い上げようと考えられていますか。例えばこうした実態を、我々国土交通部門、あるいは、この委員会に属する議員たちがそれぞれ具体的に耳にしたときに、これを吸い上げて確認をしていくという作業、こうしたことは本来必要じゃないですか。どうでしょう、局長。
○塩見政府参考人 お答えを申し上げます。
まず、歩切りの実態については、これは定期的に年一回、必ず確認をするようにしてきておりますし、これからもそういう方針で臨みたいと思います。
その上で、これはあくまでも自治体に対して調査をし、その回答に基づいて実態を把握しておりますので、その回答自体が不正確であるということまでは見抜けないというところがあります。
そういう意味で、直接先生方のところに届いているお声を拝聴するというのは非常に大事な機会だろうと思います。これは、ちょっと個別に教えていただけるようでしたら、お話を承って、また確認をするという作業をしっかりやりたいというふうに思います。
○馬淵委員 いらっしゃる議員の皆さん方は地元をお持ちですから、いろいろな方々とのおつき合いの中で、いろいろな情報が入ります。こうしたものを制度としてどうだということを国会で出すのは大事なことなんですが、先ほど来おっしゃるように、これはヒアリングですから、自治体の話を聞く以外に方法はないわけですよね。できて、これで全て根絶していますと言われたら、そのままになってしまう。これじゃ改善になりませんから。
是非、今局長がはっきりおっしゃっていただいた、我々からの情報収集も含めて、個別に聞かせていただきたいというのであれば、もちろん、きちっと局として対応いただきたいですが、これはどんどんどんどんとヒアリングをしていただいて、真の根絶に向けて取り組んでいただきたいと思います。
とりわけ、こうした発注者に対しては何の罰則もありませんので、このような状況がやはりどうしても続いてしまうんだと思います。これは改めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
このように、義務化、明文化されても、罰則がないということで、なかなか責任追及にまでは至りません。結局、こうした状況の影響というのは下請に全て及んでしまう。
受注者が発注者に厳しい交渉を行えるかというと、これはなかなか難しいですよ。通常では、どうしても請負側ですから、これをのまざるを得ないという状況の中で、もし仮に厳しい交渉を行った場合は、その腹いせとして、それこそ工事ごとに発注者から採点される、いわゆる技術評価点に影響してしまう、こんなことを心配されるゼネコンもたくさんいらっしゃいました。
こうした声の中で、やはりもう一つ考えていかなければならないのは、じゃ、そもそも発注者と受注者の関係性を定めている公共工事の標準請負契約約款、ここも実は手を入れていかなければならないんじゃないかと思います。これは法律事項ではありませんね、約款ですから。運用等を含めて、いろいろな見直しを図ることができると思うんです。
この約款についてお尋ねをしたいんですが、公共工事の請負で、国交省が提示している標準請負契約約款、これについて、第二十五条に、賃金又は物価の変動に基づく請負代金の変更という項目があります。これは何かというと、当然、物価の変動や、あるいは様々な要因で価格が変わる、そのときに請負代金の変更、これを行うということで両者が協議するわけですね。でも、これ、最終的に協議が定まらない場合は、決められた日数を経過した段階で発注者が決めるとなっているんですね。
このような状況で発注者が決めていく。力関係でいえば、これは当然ながら発注者が強く、受注者は弱いわけで、結局はこの二十五条、この契約約款においても片務性という状況にあるのではないかということをちょっと指摘したいと思うんですが、局長、これはいかがでしょうか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘の公共工事標準請負契約約款第二十五条でございますけれども、これは、請負代金の変更方法として、受注者と発注者の間で協議をして定めるのが原則でありますけれども、一定期間経過してもなお協議が調わない場合に、発注者が代金を決める、そして、受注者に通知するという規定になっております。
この規定には実は続きがございまして、約款の五十九条というところで、発注者から通知された代金の額に不服がある場合には、紛争処理の手続でその解決を図るということになっております。そういう意味では、先生御指摘の二十五条というのは、発注者が決定する代金の額ということではあるんですけれども、いわば暫定的な決定というふうに理解することができるものかと思います。
こういう規定になっておりますのは、ちょっと、やや事務的で恐縮でございますけれども、代金の変更が定まらない宙ぶらりんの状態ですと、紛争手続に持っていこうにも持っていけないということから、暫定的にでも代金の額を変更して決定しておこうという発想で、この規定が設けられたものでございます。
○馬淵委員 局長、そんな答弁は、全国の事業者、本当にがっかりしますよ。
先ほど私、物価変動ということも含めて、価格の変更ということで申し上げましたが、そもそも発注者に能力的な問題があるということを最初、私、冒頭申し上げました。つまり、受注側は、ある意味、何も瑕疵がない中で、現実に起き得るんですね。
先ほど申し上げましたように、設計図書が相当に正確であることが前提の工事なんですね。ところが、コンサルも含めて、とにかく減ってきている。土木従事者も、自治体、三割減ですよね。とにかく、こういう状況の中でずさんな設計図書が出され、発注者側もこれを十分に判断できないままにそれを受けて、受領してしまう。
それで、結果がどうなるかというと、現場に行くと、図面と現場、不一致。工事の受注者である施工者の責任で確認してくださいねと発注者から言われ、これは膨大な時間と労力が必要になるわけですよ。
こうした状況の中で、価格の変更ということが出てくる。それで、価格の変更といっても、最終的には発注者が決定できるということであれば、先ほど局長、紛争処理があるとおっしゃいましたけれども、先ほど、私、その前に申し上げたように、実際に受注側というのは弱いですよ、力関係で。これに対して、あっせんだとか、あるいは調停だとか仲裁等のトラブル、これになったら、これはもうその後、技術評価点や、あるいはそんな話じゃなくて、指名すら受けられないような状況になり得るということを、それは危惧しますよ。つまり、この片務性によって、事業者、中小ゼネコン、何も言えなくなってしまっている。これが私は現状だと思っていますよ。
では、訴訟なんか起こしたものなら、本当に指名停止措置だってあり得るわけですよ。これは、現実にこの約款があるからということで、一言で終わらせていいんでしょうかね。
これは、あくまでも公共工事で、本法案とは離れているという御指摘があるかもしれませんが、でも、結局は根底、一緒なんですよ。発注者に強力な権限があるので、この片務性というのは非常に問題がある。ここをもう少し踏み込んで、今の標準工事契約約款、これを少し見直しするという検討を始めるべきじゃないでしょうか。
大臣、今、局長の答弁、やり取りを聞いていただいていたと思いますが、私、何か物すごくずれたことを言っているとは思っていないんですが、やはりこの標準工事契約約款、もちろん公共工事だから、これはきちっと進めなきゃいけないんでということで、暫定的だというふうにおっしゃっていますけれども、現実にはそれでやらざるを得ない。そうなりますと、のみ込んで泣き寝入りですよ。下請に対しても、十分な労務費を確保するような形が取れなくなる。これは民間事業も同じ形態になっていくんです。
大臣、どうでしょうか。公共工事の契約約款、標準工事の契約約款、これを見直すというところ、一度これは前に踏み出していただけないですか。どうですか、大臣。
○斉藤(鉄)国務大臣 確かに、紛争処理のプロセスに行くというのは、発注者と受注者の力関係からいって、現実的ではないと思います。私も、もう古い話で、五十年前になりますが、学校を卒業して、建設会社に入りました。その最初の新入研修、現場に行ったんですが、その新入研修で最初に教わったのが、黒板に大きく請負と書いて、我々は請負業だ、この負いは、ウケオイと、オイと読むんじゃないんだ、マケと読むんだ。こういう教育を、これはもう五十年前ですから、今の状態とは全く変わりますが、しかし、そういう状況から今変わりつつある。今はパートナーシップで、発注者も、受注者がいなければ自分たちの存在さえ危うくなっている、今、こういう状況の中で、受注者と発注者がパートナー、対等の立場で話し合うということは本当に必要だと思います。
そういう意味で、約款二十五条及びその後のプロセスというのは、確かに、お互いパートナーシップでいくべきだという考え方からは離れているなと。そういう意味では、見直しが必要なのではないかなと私自身は思います。
○馬淵委員 ありがとうございます。大変貴重な答弁をいただきました。
大臣おっしゃるように、パートナーシップであるべきなんですよ。しかし、先ほど申し上げたように、発注者側の技術者、三割減ですよ。そして、設計コンサルタント企業も、二〇〇五年度をピークにしてずっと横ばいで、低い水準。つまり、発注者側も、また発注者から事業を受ける設計コンサル事業側も、能力がないというのは言い過ぎかもしれませんが、十分に手が回らない状況で、結局、設計図書そして現場を丸投げせざるを得ない。これはパートナーじゃないんですよね、実態が。だから私は申し上げているんですよ。工事契約約款というのをもう一度現場に即した形で見直す、これは国交省の役割として私は果たすべきだと思います。
個人的には思いますと言っていただけたので、ここは是非、これについての見直しということを検討していただきたいと思いますが、大臣、イエス、ノーでお答えいただけますか。
○斉藤(鉄)国務大臣 個人的にはと申し上げましたけれども、国土交通大臣として御答弁申し上げました。パートナーシップでいくように、しっかりと全体の体制を整えたいと思います。
○馬淵委員 そこで、大臣、私からの提案なんですが、今のような問題を抱えても、結局、事業者は何も言えないんですね。結局、これは民間事業に置き換えても、受注側というのはなかなか物が言えないんですよ。こういったものに対して、総論的な法の概念とか理念でやっても、これは余り意味がないんですね。実務のフローが必要だ、私はそう思っているんです。その実務フローを国交省が担うべきじゃないでしょうか。
お手元にお配りした実務フローの提案ですけれども、こうした問題が発生したときに、両者で協議して、何日以内で決められなかったら発注者が決めるよみたいな話になってしまっていたら、絶対に、そもそも協議になんかならないんですよ。だから、問題が発生したときに、実務的に経緯を発注者、受注者双方から書面により聴取。そして、これらを、公共事業ということでいえば、それを所管する地整で類似事例を紹介し、協議の継続を促す。協議の経過についてはフォローをする。そして、最終的な協議の結果を記録として保存する。ここ重要ですよ。つまり、経過を含めて、結果どうなったかということが記録として保存されれば、行政にそれだけノウハウが蓄積されるわけです。そして、これを他の類似事例の参考とすることで、ローリングさせていくことで問題解決につながる、私は具体的な方策になると思いますよ。
法律で概念や理念を幾ら書いたって駄目なんです。実務上、こういったものが必要じゃないかと私は思っているんですが、大臣、いかがでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 約款等は、また省令や政令も含めまして、法律に書かれた理念を実現するべきもの、このように考えておりますので、法律で理念を、大きな方向性を出すのは非常に大切です。それがあるからこそ、その下に位置するいろいろな約束事も意味があるわけで、そういう今回の法律の理念にのっとって見直ししていくことは必要だと思います。
○馬淵委員 こうした実務フローを是非省内で検討してください。私は必要だと思っています。
もう残り時間が余りありませんので、入管庁と厚労省を呼んでおります、建設労働者の確保とその賃金について、済みません、参考人のお二方、端的に答えていただけますでしょうか。
令和十年度の建設産業の必要人数は三百十万人で二十四万人の不足。在留資格別の外国人受入れは、技能実習生約八万九千人、これは二〇二三年で、最も多く、全体の六割ということでありますが、技能実習制度から育成就労制度に移行することによって、建設産業に従事する外国人労働者の人数をどのように見込まれているか。これは端的に、つらつらと長い答弁は要りませんので、決まっていないなら決まっていない等も含めて、端的にお答えください。
○福原政府参考人 お答えいたします。
育成就労制度におきましては、特定技能制度と同様、分野ごとの受入れ見込み数を定め、これを受入れの上限として運用することを予定しておりますが、当該見込み数につきましては、労使団体や有識者等で構成する新たな会議体において議論を行い、その意見を踏まえて政府が判断する仕組みとする予定であります。そのため、現時点で当該見込み数をお答えすることは困難であります。
○馬淵委員 ありがとうございます。
では、改めて更問いです。局長、これはイエス・オア・ノーでお答えください。
では、技能実習制度に比べて、育成就労制度を外国人が利用して建設産業に従事する際、これはハードルは高くなるんですか、低くなるんですか。高くなるんじゃないですか。イエス・オア・ノーでお答えください。
○福原政府参考人 お答えいたします。
育成就労制度におきましては、特定技能一号への移行要件として技能検定試験三級や一定の日本語能力試験の合格が必須となるなど、外国人にとって新たな要件を課す部分はございます。ございますけれども、他方、育成就労制度におきましては、より適正かつ段階的な育成のための要件が受入れ機関に課せられていること、また、転籍の要件が緩和されていること、また、送り出し機関に支払う送り出し手数料については外国人の負担が軽減されることなど、外国人にとって制度の魅力が向上する部分もございます。
○馬淵委員 これはハードルが高くなるんですよ。したがって、今後、建設産業に従事する外国人が増えていくのかどうかも含めて、これは極めて不透明な状況に陥りはしないかということを私は大変心配しております。
最後に、厚労省。では、その場合の育成就労制度における賃金水準、どのように設定されるか。これも短くですよ、もう時間がないですから。
○原口政府参考人 お答えいたします。
受入れに当たりましての報酬の額でございますけれども、育成就労計画の認定におきまして、育成就労外国人に対する報酬額が、日本人が当該業務に従事する場合の報酬の額と同等以上であることを要件とし、適正な待遇が確保されるようにしてまいります。
○馬淵委員 低賃金で要は失踪問題が起きたりしてきたわけです。日本人より同等額以上という今答弁がありましたが、本当にそうなるのか。そして、育成就労制度の外国人がどれぐらいになるか、まだ見込みも全く分からない状況の中で、人手が足りない、担い手不足の中での解決策という部分においては、今後も十分によく大臣に留意していただきたいということを指摘して、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、たがや亮君。
○たがや委員 れいわ新選組の一人親方、たがや亮です。本日もよろしくお願いをいたします。
早速質問に入らせていただきます。
まさに昨日、このタイミングで財政制度等審議会が意見書を鈴木財務大臣に提出しました。この内容にびっくりしました。人口減少などを理由に、社会資本整備費に関して、どちらかというと予算を圧縮すべきという内容が示唆されていました。
国交省で建設業界を救おうという法案がまさに審議されるさなかに、財政審は、財務省に予算を圧縮する方向性を示すという矛盾。
ことわざに、牛の角を矯めて牛を殺すとあります。幾ら牛を高く売ろうとして、角を立派に見せようと削ったところで、角には血液が流れているので、削り過ぎて牛が死んでしまっては元も子もないという意味です。幾ら財政を健全化しようとも、我が国の重要な産業である建設業を衰退に追いやるような財政運営は愚の骨頂ではないかと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。
大臣、建設業界にとっての血液とも言える公共事業費を増やすこと、すなわち、業界へのお金の供給が何よりも特効薬だと思いますが、斉藤大臣のお考えをお伺いします。
○斉藤(鉄)国務大臣 まず、社会の発展において、社会インフラの整備、また、予防保全が非常に大切であるということは、委員おっしゃるとおりでございます。
その上で、建設現場で、社会資本の整備の現場で働く方々の処遇を改善し、また、この業界に入っていこう、こういう将来が見通せるということも非常に大切でございまして、そういう意味では、いわゆる将来見通しのつく予算、そのための予算の確保というのは非常に大切だ、このように思っております。
○たがや委員 大臣、ありがとうございます。
まさに本法案では、建設業に人が従事したくなるという新四K、先ほど、いいねと、そうだと言っていただいた中村先生もこの間おっしゃっていましたが、すなわち、給料がよく、休暇が取れ、希望があり、格好がいいを目指しているのですが、それに立ち塞がるのが、大変恐縮ですが、財務省四K、すなわち、巧妙に、公共事業を削って、中小企業を切り捨てる。
どれだけ巧妙に公共事業費が削られてきたのかを見てみたいと思うのですが、資料一を御覧ください。
公共事業費がピーク時の一九九八年の十四・九兆円と比べると、二〇二二年は八・一兆円、およそ四五%削減されております。当初予算ベースで見ても、九兆円から六・一兆円と三三%減です。人間の体に例えると、三三%の血液を失えば致死量です。
この失われた血液をどれだけ輸血できるか、するか、すなわち、九兆円の当初予算ベースにどこまで戻せるのか、問われていると思いますが、斉藤大臣の熱い思いをお聞かせください。
○斉藤(鉄)国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、国民の安全、安心の確保、また、防災対策、国土強靱化等、社会資本整備を行う公共事業は極めて重要でございます。その際、現下の資材価格の高止まりの状況などを注視しながら、労務費も併せて適切な価格転嫁が進むよう促した上で、必要な事業量を確保していかなければならないと思っております。
国土交通省としては、今後とも、必要かつ十分な公共事業予算の安定的、持続的な確保に向けて、全力で取り組んでまいります。
○たがや委員 大臣、ありがとうございます。
大臣、この資料一、御覧いただければ分かると思うんですけれども、上が国交省の資料、下が財務省の資料なんです。
これは、一九九八年、平成十年、その次に、財務省の作った資料によると、二十五年まで飛んでいるんです。これは何でかといったら、二十五年から毎年予算を増やしているような雰囲気にしているんですね。これはひどいですよね。恣意的ですよね。国交省のはまともですよね。これを比べると一目瞭然なんです。こういうことをやるんですよ、財務省さんは。
この五年間、予算を頑張って増やしている、令和五年度も二・二兆円、予備費を積む、補正予算を組むといって、二千億円増やしたと豪語しているんですけれども、ほぼ横ばいなんですよ。
こういうことを財務省はやるということで、財務省にお伺いしたいと思うんですが、能登半島地震を鑑みると、今後の災害対策や日本の公共インフラを支える建設業界が衰退しないよう、平時には無駄とされがちだが、災害などの有事の際には役に立つという、すなわち、リダンダンシーの観点からも、公共事業費の、持続可能な業界になるような上積み予算が必須だと思います。
財務省は、昨日の財政審の答申を受けて、今後、公共事業費を増やしていく方針なのか、減らしていく方針なのか、明確に答弁をお願いします。
○寺岡政府参考人 お答え申し上げます。
近年の公共事業関係費につきましては、防災・減災、国土強靱化の推進などを中心に必要な費用を計上しており、令和五年度補正予算においては前年度から一千九百九十六億円増の二兆二千九億円、令和六年度予算においては前年度から二十六億円増の六兆八百二十八億円を計上してございます。
お尋ねの、今後の公共事業関係費でございますが、災害の激甚化、頻発化を踏まえた防災・減災対策の必要性のほか、我が国の人口動態や社会資本の整備水準が既に相当程度に達していることなど様々な観点を踏まえ、毎年の予算編成過程において検討し、国土交通省を含む関係省庁とも十分な調整をしながら、我が国の社会資本整備に必要な予算を計上してまいりたいと考えてございます。
○たがや委員 ありがとうございます。
財務省、典型的な答弁四K、きれいに巧妙に結論を煙に巻き、まとめているけれども結局明確にしない、お見事です。改めて議論したいと思います。
資料五を御覧ください。
建設業界の担い手不足を加速させる要因の一つとして、昨年十月からのインボイス制度の導入が挙げられます。ベテランの一人親方の廃業が日本各地で相次ぎ、若い人材は職業の選択肢として敬遠し、技術の継承は絶望的。インボイス制度導入は建設業界に悪影響を及ぼしていると認識しているか、国土交通省の認識をお伺いいたします。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省といたしまして、このインボイス制度導入に伴う影響を評価するのはなかなか立場上難しいわけでございますが、私どもの業界団体が行いました調査によりますと、インボイスの導入をきっかけとして収入が減るなら廃業するという声でありますとか、インボイスの手続が面倒なため廃業する、こういう声が一定割合あり、また、二回にわたって行われた調査で比較しますと、その数字が一年前に比べて増えているというような統計があることも確認をしております。これは一つの大事な事実として受け止めるべきだと思っております。
○たがや委員 局長、ありがとうございます。
このアンケート結果は七千人で結構なボリュームがありますので、建設業のことも、この深刻さもここに表れているので、是非、委員の皆様、御覧いただければと思います。
ありがとうございます。質問を終わります。
○長坂委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時五十二分休憩
――――◇―――――
午後二時開議
○長坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。古川元久君。
○古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。
私たち国民民主党は、給料が上がる経済の実現、これが我が国の経済の好循環を実現するための鍵になる、こういうことを他党に先駆けてずっと主張してきたわけでありますけれども、今、岸田総理も賃上げが一番大事だというふうに言われているので、とにかく経済をよくするためには賃上げが最重要、そうした認識が日本の社会全体で共有されるようになって、官民挙げてその実現に向けた動きが始まってきている、そういう状況にあると思います。
今回の法案も、建設業における賃上げ、その実現につながることが期待される内容でありますので、そういった意味では、私どもも、この法案に賛成をいたしたいと思いますし、是非、早く賃金が上がるような状況をこの法案が通されて実現してもらいたいというふうに思っていますが、ただ、現実は、やはり建設業を取り巻く状況というのは相当深刻で、とにかく建設労働者の処遇改善や担い手の確保など、今、本当にすぐに思い切ってやる、ようやく法案が通った、これから何年かかけてやっていきますというようなそんなスピードじゃなくて、もう今すぐやるというようなことで大車輪でやっていかないと、近い将来、必要な建設工事、これがなかなか進まないという状況が起きるんじゃないか。
かつて私はアメリカで生活していたことがありますけれども、アメリカは結構いろいろなところで例えば道路工事とかやっている、形は、車線で止まって、何か工事の、ちょっと置いてあるんですけれども、ちっとも進まない。ですから、三車線、まあアメリカはやはり道路が広いから、一車線ぐらい止めてやってもというのはありますけれども、ちっとも、ずうっと工事の状況で、何かやっているのかやっていないのか、ほとんど人もいなくて、進んでいるのか進んでいないのか、そういった状況で、それこそもう半年も一年もみたいな、そういう光景というのは結構やはり見かけたんですけれども。そういう光景が、このままいくと、日本でもあちこち近い将来見かけるようになってしまうんじゃないかと。それぐらいこの建設業を取り巻く環境は厳しいというふうに私は思っております。
それで、政府においては、これは強い危機感を持って、今日の質疑にも出てきていますけれども、これは内容はいいんですけれども、本当にこれがちゃんと実効性を伴って、ちゃんと現場、特に建設業というのは中小零細、それこそ一人親方とかそういう方もいらっしゃいますから、そういうところもやはり、いかに早く、そして広く浸透できるかということが大事でありまして、そのことに本当に全力を尽くしていただきたいということをまず最初に申し上げて、質問に移りたいと思います。
そもそもこの法案が前提としているところの想定についてお伺いしたいと思いますけれども、建設技能者の不足について、去る三月に出された建設分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針、そこにおける推計では、令和十年度には建設技能者が二百八十六万人まで減少して、産業需要の見直し等から推計される令和十年度の目標人数三百十万人との差額分、二十四万人が不足するというふうに推計されておりますけれども、この推計は、まさに今年度からスタートしている働き方改革の、今までの時間外労働の上限規制など、その例外を、とにかく建設業を認めないでやるんだという、ちゃんとこの働き方改革の中身は完全に実行される、実行に移されている、そういう前提の下でちゃんと推計された数字なんでしょうか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
今先生御指摘の数字でございますけれども、令和十年度に必要となります技能者数の推計を行います際に、建設業の一人当たりの労働時間というものを基に計算をしております。
現在、直近令和四年度ですと、建設業は二千二十一時間、年間働いているということですが、一足早く、五年早く、この時間外労働の規制が適用されている、ある意味では完全に定着している製造業は、千九百七十二時間年間働いているということであります。建設業でも千九百七十二時間しか働けなくなる、そうすると、その分だけ人の数が実質的に減るということを考慮いたしまして、この試算を行っております。
このほか、他の産業を上回るような高齢化が進行しているということにつきましても加味した上で、二十四万人という数字を推計しているところでございます。
○古川(元)委員 そういう意味では、じゃ、これはかなり堅めの数字と。むしろ、最大二十四万人、そういうふうなイメージで思ってもいいんですか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
この二十四万人の数字につきましては、国内人材がある程度急速に減っていくということも見込んでおりますし、また、今申し上げているとおり、時間外労働による労働時間の削減についても見込んでおります。
ただ、国内技能者の数の減り方については、これから更に加速するということについても心配はしなければいけないというふうに思いますので、今得られる最新の、かつ客観的なデータに基づいて試算をしたつもりではございますけれども、予断を持つことなく、心配しながら、これからも見ていく必要があるというふうに思っています。
○古川(元)委員 人口の中位推計の見直しがこの前行われたので、前の推計のときよりも人口減少のスピードが少し緩くなったと。実はそれにはからくりがあって、何でかといったら、外国人がこれくらいずつ必ず入ってくる、そういう外国人が入ってくることを算定に入れたので人口減少の幅が少なくなったというふうに見えると。
さきに示された人口の中位推計なんかでも、そういう話がありましたけれども、この推計をするときに、まあ後でちょっと聞きますけれども、外国人については、コンスタントに今入ってきているというか、これから増えていくみたいな、その外国人なんかの労働者はこの中に入っているんですか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
現時点におきましても、技能実習生の方々が国内に約九万人働いているという情報の統計があります。これについては数字に含んでおりますけれども、八万人、特定技能分野、特定技能の外国人として受入れを見込むという試算をする際には、一旦、特定技能外国人については推計の外に出した上で、ほかの努力によって、それでもなおカバーできない分を特定技能外国人の受入れによってカバーするという考え方で、八万人の受入れを見込むということにしております。
したがいまして、技能実習生については一定数を見込んでおりますけれども、特定技能外国人については、計算の外に出した上で推計をしております。
○古川(元)委員 分かりました。
じゃ、ちょっと、その二十四万人を、足らない部分を補足するための人材について伺いますが、令和十年というとあと四年しかないんですね、今六年ですから。あとわずか四年で国内人材で一万人追加的に確保するというふうにしているんですが、とにかく今、生産年齢人口はどんどん減っています。今、どの産業でも人の取り合いになってきています。
その中で、昨日の参考人の皆さんからのお話を伺っても、建設業というのは、やはり労働環境も、ほかの産業に比べると厳しい中での労働を強いられていることが多いですし、また、給料も決して高くない。そういう中で、本当に、この一万人の国内人材というのがあと四年で追加的に確保することができるのか。どういうシナリオでこれは追加、一万人確保するというふうに見込んでいるんでしょうか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
現在、建設業に新規学卒者で入職される方というのは大体四万人ぐらいおられるわけですけれども、その恒常的な四万人の入職者以外に更に追加的に国内人材を確保する努力をするということでございます。この一万人の中には、新規学卒者を更に拡大するというものと、さらには、中途の入職者や女性の入職者で、従来のペースを更に上回るような入職をしていただける方についても、この一万人の中で見込ませていただいております。
そのためには、やはり何といいましても、更なる賃上げと働き方改革が必要でありまして、労務単価の見直しでありますとか、労働時間の縮減など、これまで行ってまいりました取組に加えて、今回の法案で導入いたします労務費の確保、行き渡り、そして適正な工期の設定で長時間労働を是正していくということについても、この一万人を達成する上で寄与するものとなっております。
○古川(元)委員 あと四年しかないんですよね、四年もないですよ、もう今は令和六年ですから。
その間に、今言われたようなところが本当にできるのかなと。今、新しく入っている四万、そこに更に上乗せの一万というのは、相当これはやはり厳しい、普通に考えると。ほかのところも、どこの業種も今足らないし、どんどんこれからも足らなくなるので、ますます獲得競争が厳しくなっていく中で、よっぽど建設業は、もう魅力をぐっと上げて、しかも大至急やらないと、なかなかこれは絵に描いた餅になってしまうんじゃないかと思うんですね。
もう一つ、さっきちょっと外国人の話をしましたけれども、今回、第一号の特定技能外国人の受入れで八万人を賄うこととしていますけれども、今、この受入れを想定しているであろうアジアの国々の人材というのは、これはほかの国との取り合いになっていて、今の現状でも、だんだん取り負けをしているような状況になりつつあるんですよね。今後、更にほかのこうした国との人材獲得競争というのは激しくなっていくと思いますし、また、これは足下の円安、そういうものが進んできていることも加わって、やはり、日本で働く外国人からすると、日本で働くことの魅力というのは前に比べて相当低下しているんです。
しかも、じゃ、これから円高に動くか円安に動くかというと、やはり、いろいろと全体的に見ると、もちろん、短期的に見ればまた円高に戻るところはあるかもしれませんけれども、しかし、ぐんとそんなに円高に、じゃ、戻るかというと、そういう可能性は低くて、逆にもっと円安になる可能性の方が高いという指摘をされているような、そういう状況の中で、国内人材一万人と同様に、わずかあと四年足らずで八万人という数の外国人労働者、これは本当に受け入れることができるんですか。
○塩見政府参考人 外国人材の方、これから最大八万人の受入れをしたいということでございますけれども、そのためには、これまでのような賃金が高いから来ていただけるという時代はもう既に終わっているという認識に立った上で、それでも、日本人と同等の魅力ある処遇が得られるということがまず大事でありますし、また、日本はきちんと安全を大事にする、サンダルとTシャツではなくて、きちんと安全帯を着けてヘルメットを着ける、そういう安全を大事にする国であるということを分かっていただく。さらには、中長期にわたって自分が成長して活躍していける、そういう見通しを持てるようにするということも、来ていただく上では非常に大事だというふうに思います。
報酬の面、安全対策の面、そして、中長期に活躍が見込めるというキャリアパスを提示して、自分が活躍している絵姿を想像していただく。さらには、生活の面につきましても、日本の社会で共生をして、社会の一員として自分が役立っている、そういう実感を持っていただけるような、そういう受入れの仕方というものが非常に大事だと思います。
八万人という目標は大変高い目標でありますけれども、こういった取組をしっかりやりまして、受入れに万全を期してまいりたいと思います。
○古川(元)委員 局長がいみじくも今お認めになりましたけれども、本当に高い目標なんですね。ただ、この高い目標を実現しないと、本当に足らなくて、さっき私が申し上げた、工事、やりかけて全然進まないという、そうした状況は、本当にすぐ数年先に、もう起きるんじゃないか。ですから、大臣、よっぽどこれ、数字もそうですけれども、本当に相当厳しめに見ていかないと、余り希望的なところだけで、ここで確保できるんだから大丈夫ですよなんていうふうじゃなくて、やはりこれはなかなか難しい。
であれば、本当に、じゃ、これを数字をと言うなら、さっきの話にあるように、よほどやはりこの建設業が魅力があって、まあ、賃金だけじゃないと言いました、安全だという話ですけれども、これは、みんなで作った建設職人基本法なんか、ああいうのを作っても、でも、まだ今でもやはり建設現場で亡くなる人って、一日一人以上、やはりそんな状況はあるわけですよ、これは。そうであれば、とにかく建設現場で亡くなる人、ゼロですと言えるぐらいの安全、そこまでやるとか、やはり、そこまでやらないと、本当にこれは大変なことになると思いますけれども、大臣、どうですか、これは。
○斉藤(鉄)国務大臣 その危機感は私も委員と共有をしております。そのためには、先ほど局長から答弁がありましたように、日本社会の中で、我々日本人とともに生きていく、そういう、社会として受け入れて一緒に生きていくという環境と、それからもう一つ、やはり、建設業そのものが非常に魅力的なものであるということ、そのためには、処遇改善や働き方改革、現場管理の効率化などに加えまして、建設現場のオートメーション化による省人化を目指すi―Construction二・〇の推進など、国土交通省が所管する各種施策を総動員していく必要がございます。
このような人材確保の計画、絵に描いた餅とならないように、しっかりと進めていきたいと思います。
○長坂委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○長坂委員長 速記を起こしてください。
古川元久君。
○古川(元)委員 是非、じゃ、今度はちょっと大きくなり過ぎるので、ちょっと小さい声でしゃべらないといけない。なかなか私は声のコントロールをするのが難しくて。
大臣、しっかり、これは本当に危機感を持ってやっていただきたいと思います。
次に、建設キャリアアップシステムについてお伺いしたいと思います。
これは、昨日も参考人の皆さん方から、やはり、建設労働者の処遇改善や適切な処遇を実現するためには非常に大事なものだというお話がありましたけれども、ただ、では、実際にこの建設キャリアアップシステムを導入されたことによって、現場でこのCCUSによって処遇改善や適切な処遇が実現したと実感できるところまで行っているかというと、昨日、話を聞いても、まだそこまでは行っていないというところが現状のようなふうに昨日の参考人のお話だと受け止めましたけれども、そうした認識でよろしいですか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
キャリアアップシステムにつきましては、まず、システムに登録される情報を一定程度確保しないと、このシステムに基づいた処遇ということができないということもありまして、これまで登録の拡大ということをまず優先して進めてまいりました。おかげさまで百四十万人を超える技能者の登録がされておりますけれども、その一方で、まだ就業履歴の蓄積自体が余り進んでいないという課題もございます。
また、今先生御指摘のとおり、このキャリアアップシステムを活用することで、技能者の方にメリットを実感していただく、あるいは、事業者の方にメリットを実感していただくというところにはまだ十分至っていないという認識でございます。これから、量的な拡大がある程度進んだことを踏まえて、その次のステージに進むべき段階であるというふうに認識しております。
○古川(元)委員 これはやり方が逆だったんじゃないかと思うんですね。登録するのにいろいろ登録料とかお金もかかるとか、何か負担が、コストがかかる割に、メリットがこれからという。やはり、本当は、最初にちゃんと、これ、登録したらちゃんとメリットがありますよと、きちんとメリットを約束して、そういう形にすれば、もっと早く、広く登録とか普及が進んでいたんじゃないかと思うんです。
ですから、これは今からでも遅くないです。一応レベルワン、レベルツーで金額を示すというところまではいっていますけれども、ただ、あれは、ちゃんとそれが保障されるというものじゃないので、やはりちゃんと、本当にこれを、CCUSを普及させていこう、それによって建設労働者の処遇を改善して、本当に魅力的な、そして、技術とか何かがきちんと、あるいは経験が評価される、そうした仕組みにしていこうというのであれば、やはりもっとそのメリットの部分を早く、そしてよく見える形で、ちゃんと確実に実現するというところを、北風より太陽政策がやはりこれは大事だと思いますけれども、大臣、いかがですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 北風政策より太陽政策でという今の御指摘、本当に重く受け止めました。これまでが北風政策だったというわけではありませんけれども、メリットがしっかり実感できるような形で今後拡大に向けて頑張っていきたい、このように思います。
○古川(元)委員 是非しっかりやっていただきたいと思います。
もう時間がだんだんなくなってきてしまったので、最後に一点、建設現場のトイレ環境の改善について伺いたいと思います。
災害対策の一環として、災害時の避難所のトイレ環境の改善というのは、これは喫緊の課題だという認識は大臣もされておられると思いますけれども、そういった意味では、私は、建設現場のトイレ環境の改善を進めて、大体、建設現場って仮設トイレですから、この仮設のトイレを災害になったら災害地に持っていって避難所のトイレにするということになれば、避難所のトイレの環境改善にも資するんだと思います。
この間、国交省は、建設現場において快適トイレというものの導入を推進してきておりますけれども、現状、快適トイレの普及はどれくらい進んでいるんですか。
○林政府参考人 お答えいたします。
国土交通省の直轄工事では、建設現場において働きやすい職場環境とするため、洋式の便器や臭いが逆流しない機能などを備えた、誰もが活用しやすいトイレを快適トイレとして、平成二十八年度に標準仕様を定め、導入を進めてきたところです。
直轄工事における快適トイレの導入状況については、平成二十八年度は約三四%でしたが、令和四年度は約八四%まで進展しております。
○古川(元)委員 直轄工事だけじゃなくて、幅広くそうしたものの導入を進めていくということは、建設現場で働く人たちの環境改善にもなりますし、また、それを災害のときには使えるということにもなると思うんですね。むしろ私なんかは、災害時の、使えるという視点から、そっちをむしろ重点にして、そのためにも建設現場でという、そういう逆の発想の方が、むしろ建設現場でのこうした意義、快適なトイレのような、そうしたトイレの普及も広がって、建設現場の環境改善も進むんじゃないかと思うんです。
ですから、今の快適トイレでもいいんですけれども、より一歩進むと、これは、大臣も副会長で一緒に活動していただいている医療・防災産業創生推進議員連盟、ここではコンテナ型トイレ、こうしたものを、いざ災害になったときに使えるんじゃないかと。日常は、ふだんは道の駅に行っていますけれども、道の駅だけじゃなくて、平時におけるコンテナ型トイレの利用拡大の一環として、一定規模以上の建設現場で、大きなところであれば大勢の人も働いているわけですから、そういうところにはコンテナ型トイレ、これを建設現場のトイレとして使うようにする。そうすると、それが、いざ災害になったときには被災地に持っていける。
ですから、快適トイレもいいんですけれども、より一歩進んでコンテナ型のトイレ、こうしたものを一定規模以上の建設現場には導入を進める、そういうふうにしてはどうかと思いますが、大臣、大臣としても、同時に議連の副会長としてのお立場でも、御見解をいただきたいと思います。
○斉藤(鉄)国務大臣 国土交通大臣として立たせていただいておりますので、国土交通大臣として答弁させていただきますが、身の回りにある物やサービスを、日常時はもちろん、非常時にも役立つようにデザインしようというフェーズフリーの考え方は、平時から計画的に災害時への備えを進める上で、大変重要と認識しております。
建設現場における活用事例ではありませんが、今回の能登半島地震でも、平時は九州地方整備局管内の道の駅に設置している防災用コンテナトイレを、被災地の道の駅に派遣し、活用いただいた事例もございます。
コンテナトイレの活用に当たっては、例えば、導入コストが従来の快適トイレより高くなるのではないか、あるいは、様々なトイレ需要が発生する災害発生時に、被災自治体などが計画的に活用できるかなどの課題もあるものと考えております。
国土交通省としましても、こうした事例や課題も踏まえつつ、建設現場へのコンテナ型トイレの導入拡大と災害時の活用について、積極的に推進してまいりたいと思っております。
○古川(元)委員 災害時にも活用できるのですから、それは、コスト分ぐらいそれを補助したっていいんだと思うんです。
是非、建設業というのは、それこそ災害があったときの復旧のためにも大事な産業です。やはり、そういった意味でも、本当に深刻な危機にある建設業に明るい未来が生まれて、そして、新しい人たちが入ってくる、そうした状況をつくるために、是非、国としても、そして大臣としても、御尽力いただきたいということを改めてお願いして、質問を終わります。
どうもありがとうございました。
○長坂委員長 次に、高橋千鶴子さん。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
昨日の参考人質疑でも、今回創設される標準的な労務費について、賃金の引上げ、安定につながると期待が大きかったと思います。
そこで、総価一式の請負契約という建設業の特徴がある中、下請、孫請まで標準労務費の水準が届くことが求められますが、大臣の決意を伺いたいと思います。
○斉藤(鉄)国務大臣 持続可能な建設業を実現するには、現場を担う技能者の処遇確保が極めて重要であります。適正な水準の賃金確保は、危機感を持って今取り組まなければならない喫緊の課題と認識しております。
今回の改正案では、国が適正な労務費の基準をあらかじめ示した上で、個々の工事においてこれを著しく下回る見積りや請負契約を、下請取引も含めて禁止する新たなルールを導入してまいります。これは、これまで繰り返されてきた労務費を原資としたダンピング行為を認めないとするものでございます。また、長年、総価一式の下で契約後のリスクを全て受注者に負わせてきた商慣行を、パートナーシップの考え方に沿って改めようとするものでございます。
適正な労務費が下請業者まで行き渡るよう、強い覚悟で取り組んでまいります。
○高橋(千)委員 強い覚悟を示していただいたと思います。
それで、資料の一枚目、昨日からも、今日もまた随分議論がありましたけれども、建設キャリアアップシステムについてです。
まず、上段にその概要が載っております。この写真と技能者情報を読み込んだカード、マイナカードに似ておりますが、現場入場の際にピッとするというシステムでございます。これによって、現場の経験が履歴として積み上がり、それが年数によって、また資格試験などを受けて、四段階にレベルアップをしていくというものであります。
それで、その資料の二枚目が、昨日、岩田参考人が、CCUSレベルに応じて年収を示したんだと、これも初めてのことでありますが、その内訳が書いてあるんですね。
まさにこの仕事を始めたばかりの新人さんはレベルワンで大体三百七十四万から五百一万余というところから、それからレベルフォーになれば七百七万から八百七十七万とあります。もちろんこれが頭打ちという意味ではなくて、平均ということになるわけですが、その下の段には、技能に応じてレベルフォーの年収はこれこれですよというふうに示されておるわけです。
それで、なるほどと思ったんですが、よく見ると上の段に説明が書いてあります。「公共工事設計労務単価が賃金として行き渡った場合に考えられるレベル別年収を試算」とあるので、だから、これは今がそうなんだというわけではなくて、ある意味、目標だと思うんですね。それで、現場の実態とどの程度乖離していると思うのか、まず伺いたいと思います。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
昨年六月に公表しましたCCUSのレベル別年収でございますけれども、これは、技能者の経験に応じた処遇と、それから若い世代がキャリアパスの見通しを持てるというようにすることを目的に公表させていただいたものでございます。
その計算の仕方は資料にございますとおりですが、公共工事の実態を踏まえて試算をしたということでございまして、具体の金額は、例えば技能評価レベル一の場合には、中位値で大体五百万ぐらいというふうになっております。
公共工事については、これまで、適正な価格での契約推進等を行ってまいりましたけれども、民間工事は、なかなか厳しい工事もあると伺っております。その意味で、公共工事と民間工事では賃金に差があるということでございまして、こういう民間工事も含めた賃金の統計によりますと、技能者全体の平均年収は四百三十二万円というふうになっております。そういう意味での差が考えられるということでございます。
国土交通省としましては、今回の法案によりまして、民間工事も含めて処遇改善を進めてまいりたいというふうに存じます。
○高橋(千)委員 技能者全体の収入が、平均が四百三十二万円という、それしか今比べるものがないということなわけですが、それは、だからレベルワンの中に入っているわけで、そうするとやはり、現実にはなかなか、技能を積んで経験を積んでいっても、それが評価されないような仕組みになっているということをおっしゃったんだなと思います。
それで、先日、建設業の事業主の方々とお話しする機会がありました。最初に言った標準労務費を作るんだという問題については、必要だと皆さんおっしゃいました。実効性が担保されるかということには不安だという声があるわけですけれども、ただ、今お話ししているCCUSについては、それは自分もやっている、けれども、その意味を感じない、何のためにやっているのか分からない、だって、その分加点されるわけじゃないし、増えるわけじゃないしというふうに思っているということが言われたんですね。
なので、それがやはり、レベルが上がっていったら賃金も上がるんだということが実感できればインセンティブになると思うんですが、ただし、そのためには原資が必要なわけで、適切に流れてくるかというのが問題だと思いますが、どのように仕組んでいこうとしているのか、伺いたいと思います。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
建設技能者の方が、御自身の経験とか技能を高めていただいて、その情報をキャリアアップシステムに蓄積をする、そしてこの蓄積情報を基に能力レベルのアップをさせるという場合に、その能力にふさわしい処遇改善が実現するというのが、このキャリアアップシステムの目指すところでございます。
現状から申し上げますと、元請業者の中に、レベルに応じて手当制度を用意しているところがあり、レベルを高めていただいた場合にはその対象となって処遇が改善するという面があります。また、レベルアップした技能者の方が、元請業者の垣根を越えて広くその能力が認められまして、施工に従事する機会が拡大するなどの、相応の処遇を受けやすくなるということも考えられるところでございます。
こういった、レベルに応じた処遇改善を技能者の方々に実感をしていただきますように、賃金の支払いでありますとか手当の制度のようなメリットの拡大に努めてまいりたいと存じます。また、今回の法案による賃上げについても、併せて進めてまいりたいと存じます。
○高橋(千)委員 今、面白いことをおっしゃったんですが、元請の垣根を越えてとおっしゃいましたよね。やはり、そういう取組をしているところがあるというお話だったと思うんですが、もうちょっと詳しくお話ししていただきたい。
○塩見政府参考人 建設キャリアアップシステムは、建設業界の共通の制度インフラとして今構築を進めているものでございます。特定の元請の下で仕事をする機会が多い技能者の方であっても、その積んだ経験、能力をこのキャリアアップシステムに登録をいたしますと、他の元請の事業者の方からも、こういう優秀な人材がいるんだということがそのシステムを通じて見ることができるようになります。
そういう方を、是非現場で働いてもらいたいというふうに声をかけるということで、その会社の手当制度の対象になるとか、仕事の機会が増える、こういうことを業界共通の制度インフラの中で実現していけると、頑張ったかいがあるという建設業界になるのではないかというふうに思っております。
○高橋(千)委員 よく分かりました。次の質問に関係しているということが分かりました。
分野別の、今見ている表の一番最初に書かれているのが電気工事なわけですが、ゼネコンの一次、二次の下請に入って、ビルの受変電工事などを扱っている方の事業所を先日お邪魔しました。私もちょっとそれまで知らなかったんですが、電気工事を扱う人というのは全員が国家資格を持っている。一種、二種と様々種類はあるんですけれども、国家資格を持っていない人はこの中にいないということが分かったんですね。
つまり、そもそも、電気を扱うというのは大変危険な仕事であるし、用途によってケーブルの太さなどが全然違うし、重いし、だから、感電とかしないように、それをカバーする、また大きなケース、ケースというか、ケースのようなケーブルがあるわけですが、本当に大変だと思いました。もちろん、このキャリアアップシステムに入っています。
それぞれが技能を持っているわけなんですが、その方が、最初に私が言ったように、入っている意味が分からないと訴えているんですね。これは本当にもったいないことだと思うので、大臣、是非、聞きおきしていただきたいと思います。
それで、今、元請の垣根を越えてというふうにおっしゃいました。ゼネコンが元請で、その工事に自分たちが一次、二次の下請として入るためにはCCUSが必須だとおっしゃっています。もちろん、国交省の説明によると、それは一人一人の加入であって任意なんだというんですけれども、実際には会社として申し込むわけですので、結局、条件となっていて、従業員の分を全部入力するわけであります。
ただし、入力するのはCCUSのサイトではなくて、その方の場合はグリーンサイトだとおっしゃいました。グリーンサイトが、二〇一九年からCCUSが始まっているけれども、それより前にもう始まっていて、当たり前だと思っていたわけですね。ところが、こっちもできて、グリーンサイトに入力した内容、ですから、雇用保険の番号ですとか、そういうのも全部入力しているわけですよね、それが共有されているということなわけです。何でそうなんだろうと。
昔からあって、ゼネコンによってその種類が幾つかある。例えば、グリーンサイトというのは大林組ですけれども、竹中工務店はウィズダムというのがあると思うんですよね。
それで、ゼネコンがそれぞれ運営するサイトというのがどのくらいあって、それぞれの役割に違いがあるのか。また、なぜCCUSとゼネコン運営のサイトと両方に入る必要があるのか。これを伺いたいと思います。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
大きなゼネコンごとに、自社の現場管理のためのシステムというものがこれまで構築されてきておりまして、大きな元請会社が主導しているということでございます。こういったシステムは少なくとも十以上はあるというふうにお聞きをしておりますけれども、小さいものも含めてということになりますと、全てまではちょっと把握し切れていないという状況でございます。
このシステムにおきましては、施工体制の管理でありますとか入退場の管理、工程の管理、そして安全衛生書類の管理、こういったことを基本的な機能として、ターゲットとするユーザーに応じまして、契約発注などのその他の機能を備えている場合があるというふうに承知をしております。
こういったグリーンサイトなどのシステムと別に、キャリアアップシステムのサイトに入る必要性ということでございますけれども、このゼネコンごとのサイトは、まさに元請企業ごとに縦割りで管理をされている技能者の方のデータベースというようなことになりますけれども、業界を通じて、その技能者の方がどういう経験を持ち、どういう資格を持っているかということが分かるように、いわば、元請単位の縦割りではなく、技能者単位の横断的なデータベースとして活用することができるようにするためには、元々ある民間のグリーンサイトなどとは別に、それをつなぐ、横断するような機能を改めて付加するという形が一番効率的ではないかという判断から、元々ある民間のサイトとは別に、横断するサイトを別途つくったということでございます。
○高橋(千)委員 縦割りではなくてというのは、私、それが本来の姿だと思うんですよ。
安全衛生と入退場と全部記録されていくわけですよね。それで、健診情報、血圧、もちろん、運転士さんがアルコールチェックをするのと同じように、血圧が一定の数字を超えたら入場できませんとか、そういう決まりがあります。だけれども、それだけの情報を蓄積してしまうと、それはやはりほかのゼネコンさんのところには行けないよねと、囲い込みといえば言葉が悪いかもしれないけれども、ああ、そうなっちゃうよねと思ったんですよ。
それを、今、垣根を越えてと言ったわけだなと思うと、そもそも、垣根を越えてCCUSの制度をつくったわけです。今ここにあるように、手数料があるわけですよね、IDの一当たり一万一千四百円とか事業者管理料というのがあって、料金は両方取られているわけです。グリーンサイトも取られているし、CCUSも取られている、だけれども情報は共有されている。やはりこれはおかしいと思うんですよね。整理できないですか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
費用面につきましては、今、別のシステムとして稼働しておりますために、それぞれで負担がかかっているというのはおっしゃるとおりでございます。少しでもその負担が軽くなるように、助成金の活用などについても積極的に進めているところでございます。
整理ができないのかとの御指摘でございましたけれども、民間のサイトが十以上あり、それぞれ独自の判断で運営されているものでございます。そういった全てのサイトと全ての合意を図った上で業界横断的なシステムをつくるということは、大変な苦労と時間がかかるのではないかという判断をいたしまして、それぞれのサイトはそのままにした上で横をつなぐ機能をつけ加えた。その代わり、機能としては、両方のシステムの間で共通するものについては自動的にそのデータをやり取りするという形を取って、申請される方、使われる方の事務負担についてはできる限り削減する、こういうシステムの設計をしているということでございます。
○高橋(千)委員 だから、事務負担があるから、垣根を越えようとすると、また一からやり直さなくちゃいけないんですよ。そういうこともあるし、手数料は両方取られているわけだし、ここは一遍に、どっちかだけをなくすというのは難しいのかもしれない。でも、やはりこれは議論していただきたいと思います。これは要望が上がっているはずですから、お願いしたいと思います。
それで、法案に戻りますが、国交大臣が請負契約の適正化及び従事者の適正な処遇の確保に関して調査、公表、中建審に報告するということが創設されました。これもとても大事だと思います。請負契約の中で著しく低い見積りや著しく短い工期などを是正するために、直接国が関与するという理解でよいでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 この法案では、取引適正化と処遇改善を図るため、国が請負契約の締結状況などを調査するということとしております。この規定に基づきまして、建設Gメンが、労務費の基準を著しく下回る契約はないか、工期ダンピングが行われていないかなどのルール違反を、広く実地調査してまいります。
この調査によって、違反につながるおそれがある事案が判明した場合は、Gメンが、まずは注意喚起など緩やかな改善指導を行いつつ、悪質な事案を洗い出していきます。そして、改善されない場合や悪質なルール違反の疑いのある建設業者には、国と許可権者である都道府県知事とが連携して、強制力のある報告徴収や立入検査を行って、最終的には監督処分につなげてまいります。
加えて、この調査の結果は、公表するとともに、中央建設業審議会に報告し、施策の分析、改善に役立ててまいります。
○高橋(千)委員 決意のこもった答弁だったと思うんですが、やはりそれを担保する体制がどのようになるのか、現状ではなかなか厳しいのではないかと思います。
あと、調査のタイミングとか、どの程度の規模の工事かとか、何か決めていることがあれば伺いたいと思います。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
今回のこの調査でございますけれども、従来からの、建設Gメンというふうにこの委員会でも御説明しているものがございますが、この建設Gメンが、この新しい法の規定に基づいて調査を行っていくということを考えてございます。
この体制でございますけれども、昨年度は約七十名体制であったものを、今年度からその約倍の体制に拡大をさせて、これから本格的な対応をしていこうと思っております。
このGメンは、実地調査に入って契約の状況などを確認をするということでございますけれども、特定の規模の工事だけに限定するとか、時期を限定するといったことは考えておりませんで、幅広く業界全体を対象に調査を行っていこうと思っております。
ただ、効率的に調査を行っていくということはやはり必要だと思いますので、国土交通省で設けている駆け込みホットライン、こういうところに寄せられる通報などを端緒情報といたしまして、違反のおそれがあるものなどを優先しながら実地調査を行い、制度の実効性を確保してまいりたいというふうに存じます。
○高橋(千)委員 Gメンを倍にするということでありましたので、実効性ある体制が取れるかということをまず期待しておきたいと思います。
そこで、私が厚労委員だったときに、二〇一三年の四月なんですが、国交省と厚労省がタイアップして取り組んで、社会保険の未加入の対策を、推進キャンペーンを質問したことがありました。
当時の議事録を読みますと、ちょうど十年前ですので、雇用保険、年金、医療、この三つの社会保険に加入している業者の割合は、一次下請で五五%、二次で四四%、三次で四四%にとどまっていました。これは、一気に加入させるというキャンペーンをやっていたのと同時に、下請指導ガイドラインを出して、五年たっても加入しない未適用事業所は排除する、これを明確にしていたんですね。
あれから十年、建設業者の社会保険への加入状況はどうなっているか、伺います。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
これまで、社会保険の未加入対策といたしまして、平成二十四年以来、関係業界を挙げて推進するための協議会を設けるなど、強く加入を働きかけてまいりました。令和二年には、任意での加入促進が一定程度進捗したということも踏まえまして、社会保険加入を建設業許可の要件化するということにも取り組んだところでございます。
この結果、令和五年十月時点で社会保険の加入率は、企業単位で見ますと九九・二%でございます。また、労働者単位で見ますと九二%ということでございまして、取組を始めた当初から比べますと、大きな改善が見られている状況でございます。
○高橋(千)委員 改善が見られた分、一人親方が増えたのではないでしょうか。
○塩見政府参考人 一人親方の人数については、直接統計で把握しているものはございませんけれども、労災保険の特別加入制度の対象者が近年増加をしております。その原因は、不明な点はございますけれども、国土交通省が行った聞き取り調査によりますと、できれば雇用労働者として働きたいのに取引先から一人親方で働くようにというふうに言われているというような回答もあったところでございます。
実態が雇用労働者であるにもかかわらず、一人親方化するというケースにつきましては、技能者の処遇改善の観点からも、また、公正な競争環境の観点からも課題であると思っております。このため、実態が雇用労働者であるのに一人親方として従事しているということが疑われる場合につきましては、適切な雇用契約を締結することと、社会保険に加入することを指導しているところでございます。
厚生労働省とも連携して、一人親方の適正化を進めてまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 とても重要な答弁をいただいたと思います。実態が雇用労働者なのに、結局、払えないから一人親方になってもらっている、そういう現状が、やはりかなりあるということなんですね。ですから、そこが本当に解決して、文字どおり一人親方だよという人は別ですけれども、本来は雇用者でありながら、そうなっているということがない状態にして、初めてこの建設業法の改正の趣旨が行き渡ると言えるのではないかなと思います。
それで、あわせて、最後の一問ですが、社会保険料は請負代金の中に別枠で含まれているのが基本だと思いますが、どうなっているでしょうか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
社会保険料の事業主負担分、いわゆる法定福利費でございますけれども、これを、下請事業者がその原資を確保できますように、下請事業者から注文者に対して見積書を出す際に、法定福利費を内訳明示をした状態で見積書を出すようにということを呼びかけてまいりました。
この結果、公共事業の元請・下間では約七割、そういった状況にございます。また、ちょっと数字が低い民間の二次以下の下請の場合でも、四割の取引で、法定福利費を内訳を明示して見積書が活用されているという状況にございます。これによりまして、法定福利費の確保が一定程度進んでいるというふうに思っております。
さらに、今回の法改正で、労務費の行き渡りの仕組みを設けますけれども、これを労務費だけでなく、法定福利費についても同様に行き渡りを確保することができないかについては、ちょっとこの後、また検討してまいりたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 ありがとうございました。
社会保険料が見積りの中に確かに入っているんだけれども、それを抜いた賃金が、結局、若干少なかったら、同じなわけですよね。そういうことも含めて、やはりちゃんと確保されたというふうになるように、今、これから検討もするというお答えでありましたので、しっかりと必ず確保されて、やむなく一人親方になるんだとか、我慢しているということがないように取り組んでいただきたいと思います。
ありがとうございました。終わります。
○長坂委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 よろしくお願いいたします。斉藤大臣、よろしくお願いいたします。
まず、法案審議ということで、塩見局長、よろしくお願い申し上げたいと思います。
この法律、いい法律だと思うんですけれども、幾つか疑問点がありますので、質問させていただきたいと思います。
複雑な下請構造の中で、下請企業の労務費に当たる費用が、実は元請企業の方では労務費として扱われていない可能性があるんじゃないかと思うんですね。結果として、その辺りが、この法律で定めているようにきちっと区別できなくて、そして、結果として下請の労務費が著しく削られてしまうんじゃないかという懸念を持つわけでありますが、塩見局長、いかがでしょうか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
今回の制度におきましては、元請企業が工事の総合的な管理監督を、主たる役割を担っておりますので、専門的な工種の詳細な積算までは、十分認識していないということが確かに考えられるところでございます。
このため、適正な労務費の確保策におきましては、まず、受注側である下請に適正な労務費の基準を踏まえた見積書を作成をしていただき、これを注文者側である元請に提出をしていただきます。
そして、元請企業は、下請から出てまいりました見積書に記載された労務費を前提として、労務費の基準を著しく下回るような変更を求めてはいけないという規定のされ方になっております。すなわち、元請が見積書に労務費だということで出した場合に、それを、基準を下回るような額への変更を求めてはいけないということでございますので、必ずしも詳しい工種について認識をされていない元請がおられる場合であったとしても、一定の制度の運用は可能ではないかというふうに思っております。
○緒方委員 そもそも、下請企業では労務費として実際支出をしているんだけれども、下請に出すときに、そういう費目でなくて、何か全く別物で出している、一括でがさっと出しているというケースがあるんじゃないかということを危惧しているわけですが、局長、もう一言。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる技能者の方の労務費については、下請企業の方から労務費としてきちんと見積書に提出していただくということだと思いますが、例えば、下請企業が事務の職員の方を派遣で雇い入れているというようなケースはあるかもしれません。そういうものについては、労務費ということにはならず、また別の、本社経費の一部として、そういう意味では、労務費という切り出しがされずに、下請が負担する経費、人件費というものもあるのは事実でございます。
今回の仕組みは、まさに技能者の方の賃金になる労務費を対象としておりますので、そういう派遣で事務の方を受け入れているための経費というのは、今回の制度の対象にはなっておらないということでございます。
○緒方委員 この法律の鍵は、事実関係の把握であろうと思います。しかしながら、不当な扱いを受けた事業者が通報して、国土交通省が検査とか調査に入ると、誰が名のり出たかが一目瞭然になってしまう。それによる将来的な不利益を恐れて、通報とかそういうことをしてこない。村八分に遭うからということで、そういう可能性があると思うんですね。
つまり、国土交通省の調査の入り方、先ほど、Gメンとかいろいろな話がありましたけれども、そういう入り方が重要になると思うんですね。通報があったから調査に入りましたということがばればれになるような形では、単に国土交通省が、むしろ、この法律を推進していった結果として、地域に害悪をまき散らす可能性があるんですね。
そういうことを察知させないための工夫が必要だと思いますが、これは、斉藤大臣、答弁いただければと思います。
○斉藤(鉄)国務大臣 通報者の保護、極めて重要な観点です。
通報窓口として各地方整備局に設置している駆け込みホットラインでは、通報された情報に基づいて、違反が疑われる建設業者の調査を行いますが、調査を行う前に、必ず通報者が秘匿を希望するか否かを確認し、秘匿を希望する場合は、調査方法の工夫に、特に努めております。
余り詳細に言うと手のうちを明かしてしまいますので、詳細は控えますが、例えば、この工夫としては、通報の直後に個別に調査するのではなく、定期的に行う一斉調査の機会に調査する、あるいは、調査を行う際、通報のあった契約以外の契約も対象として調査するなども考えられるところでございます。
引き続き、通報者が通報をちゅうちょせずに済むような環境づくりに努めてまいりたいと思います。
○緒方委員 よろしくお願いいたします。
続きまして、前回の一般質疑でやりました不動産特定共同事業法関連で幾つか質問させていただきたいと思います。
まず、今日、金融庁にお越しをいただいておりますが、複数回処分を受けた公認会計士が監査を担うことで消費者被害を拡大しているケースというのがあるように見受けられるんですね。私、これは問題だと思うんですね。こういうのを防ぐべきだと思うんですけれども、金融庁、いかがでしょうか。
○新発田政府参考人 お答え申し上げます。
あくまで一般論としてということでのお答えになりますけれども、企業財務情報の信頼性の確保について重要な役割を担うべき公認会計士が、仮にその職責を果たさず適正な監査を行っていなかったということであれば、公認会計士法に基づいて業務停止や登録抹消といった懲戒処分の対象になると考えてございます。
また、処分の量定の検討に当たりましては、過去に行政処分を受けたことがあるかといったことも勘案しておりまして、そういった場合には加重する、そういった取扱いになってございます。
いずれにいたしましても、金融庁としては、公認会計士に関し、仮にそのような問題がございますれば、関係省庁ともよく連携をして、厳正に対応してまいりたいというふうに考えてございます。
○緒方委員 続きまして、平岡航空局長、よろしくお願いいたします。
騒特法に基づく成田空港株式会社保有の土地の一部は、水はけに課題があり、地盤が脆弱であるとの指摘がございます。成田空港株式会社がこれらの土地を何らかの開発に供する場合はしっかりとした軟弱地盤対策を講ずることを条件とすべきだというふうに思いますが、平岡局長、いかがでございますでしょうか。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
一般論としてお答えをさせていただければというふうに思いますけれども、成田空港株式会社保有の土地を第三者に貸し付けて大規模な開発に供する場合には、都市計画法に基づく開発許可が必要となります。
都市計画法に基づく開発許可に当たりましては、地盤の改良等の安全上必要な措置が講ぜられるように設計が定められていることなどの基準がございまして、開発許可権者が必要に応じ軟弱地盤対策が取られることを確認する、こういうたてつけになっているものと承知しております。
成田空港株式会社では、開発許可権者においてこうした確認が行われることを受けまして、自社保有の土地を第三者に貸し付ける際には、都市計画法に基づく開発許可等、必要な行政機関による許認可を取得していること等を確認しております。さらに、契約に当たりましては、都市計画法も含め関係法令等の遵守を条件として求めているというふうに承知しております。
これによりまして、法令等で求められている軟弱地盤対策の実施も含めて、条件として求めているものと承知しているところでございます。
○緒方委員 続きまして、この不動産特定共同事業は、各都道府県の許可で行うということになっております。しかしながら、各都道府県のサイトを見ていると、宅建業関連の部局が担当していることが多く、本件で必要な金融面からのチェックが必ずしも十分でないのではないかという懸念があります。何らかの改善を図るべきではないかと思いますが、塩見局長、いかがでございますでしょうか。
○塩見政府参考人 不動産特定共同事業の担当部局が宅地建物取引業法を担当している部局になっていることが多いというのは、御指摘のとおりでございます。
どの部局で担当するかは自治体の御判断ということもありますが、恐らくは、不動産特定共同事業の許可に必要となる宅建業の免許の事務を所管しているところが両方同時に扱う方が効率的であるという御判断であったり、また、不動産の仲介についての規制の内容に近い側面がこの不特事業の制度にはございますので、両方やった方が効率的だという御判断でやっておられるものと思います。
この中で、どの部局が担当されるにせよ、金融面からのチェックということについては、やはり適切に行っていただく必要があるというふうに思います。この不特事業におきましては、金融庁さんと国土交通省の連名で、監督に当たっての留意事項というものを定めて通知をさせていただいております。この中で、高齢者を始めとする投資家の知識や経験などに応じた投資勧誘を履行するように、あるいは、短期取引などの投機的取引については抑制するようにといったような取組を求めているところでございます。
このほか、この監督指針以外にも技術的助言を発出したり、あるいは、特に県からのお求めがなくても能動的に助言を行うといった形で都道府県の事務の遂行をサポートしているというところでございます。
○緒方委員 そういう中、この不動産特定共同事業の募集を行う際、これは二〇一七年の法改正によってウェブでも募集を行うことができるようになっているわけでありますが、市場金利に比べて極めて高い利回りを保証する宣伝を行い、かつ、例えば抽せんとか、そういう仕組みを導入することによって著しく射幸心をあおるやり方で募集しているというのは、これは私は結構問題が多いのではないかと思うんですね。
こういう射幸心をあおるやり方で投資の募集を行うことは問題ないのでしょうか、塩見局長。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
例えば、不動産特定共同事業の商品の出資を募集した際に、対応できる出資の口数があらかじめ限られていて、応募されてきた方の数の方が多いというケースにおきまして、募集が集まった場合に、抽せんの方式でどの出資者の方に出資口を割り当てるかということを選ぶということは、一般的に考えられるということであると思います。そういう意味で、直ちに抽せん方式ということが問題ということでもないのかなというふうに思います。
ただ、投資家の方におかれては、やはり商品への出資に際しまして、どのような募集形式であれ、商品について開示されている情報を十分に確認をしていただいて、慎重に投資判断を行っていただくということが重要であると思います。
○緒方委員 まさに今情報をきちっと確認することが重要だということだったんですが、不動産特定共同事業を行う者の中には、ウェブ上で投資を募集する際に、対象不動産の住所を明らかにしていない社があるんですね。
私、実は、ちょっとある社のものを見に行こうと思ったんですけれども、それというのは分からないんですよね、途中までしか住所が書いていなくて。これというのは、まさに今局長が言われた、情報を正しく見極めてと言いましたけれども、情報が正しく見極められないわけでありまして、これは問題ではないかと思いますが、局長、いかがでしょうか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
不動産特定共同事業法におきましては、インターネット上で商品の契約の締結の申込みをさせようという事業者につきましては、投資家が対象不動産を特定できますように、地番などの必要な事項をインターネット上で閲覧できる状態に置かなければいけないというふうにしております。
このため、このような事業者がインターネット上で対象不動産の地番等を示していないという場合につきましては、法令に違反する可能性があるというふうに認識しております。
○緒方委員 今の質問を組み合わせると、募集するときにウェブで募集できます、住所は書いていない、利回りは高い、そして、むちゃくちゃ射幸心をあおる、こうなってくると、だんだん何かちょっと問題なんじゃないかなというふうになるわけでありまして、是非これは不正につながらないように、非常に市場が大きゅうございますので、気をつけていただければというふうに思います。
続きまして、同じく不動産特定共同事業においてですが、開発計画とか事業計画とかを頻繁に変更する場合、実際に募集したときと全く異なる事業が行われている可能性がございます。こういうことになると、当然投資家は、募集したときに、こういう事業を行いますからというので投資を行うわけですけれども、実際目の前で進んでいくものを見ていると、ああ、全然違うものに行っちゃったねということで、期待感が裏切られたり、もしかするとそれで収益が変わったりするということもあり得るわけですよね。
これに対して、投資家保護の観点から対策を講ずるべきだというふうに思いますが、塩見局長、いかがでございますでしょうか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
不動産特定事業契約の対象となる不動産の取引に関しまして、その取引の内容が広告における内容と異なる場合には、著しく事実に相違する広告、あるいは、著しく人を誤認させる広告を禁止する規制に抵触するおそれがございます。
また、契約の締結の勧誘におきまして、契約に関する重要事項につき故意に事実を告げず、不実のことを告げることを禁止する勧誘禁止規定にも抵触するおそれがあると思っております。
仮に、これらの規定に抵触する場合には、必要な指導監督を行うことで、投資家の保護を図ってまいりたいと思います。
更に一つだけつけ加えさせていただきますと、不動産特定事業者が契約に際して投資家に説明をした計画の内容と変更後の計画の内容が大きく異なるという場合には、これは投資家との間で結んだ契約に違反をするという面もあろうかと存じます。
○緒方委員 最後の質問にしたいと思いますが、投資の募集を大規模に行って、そして高い利回りを約束しつつ、事業そのものがほとんど進まないというケースがあるとしましょう。このような場合も、全てが悪いというわけではないのかもしれませんけれども、少なくとも募集してから実際に事業が利益を生むまでの間の部分は、そこで利回りを保証しているのであれば、それは投資のリターンでない可能性が高いんですね。投資のリターンでないもので利回りを保証するということになっている可能性が高い。
そうなってくると、このような事業については、やはり予防的に行政が介入をしていくということ、これが求められると思います。そうでないと、もしこれがうまくいかなかったというのがあるときに、特にポンジ・スキームとかがそうですけれども、ポンジ・スキームというのは、破綻する直前までうまくいっているんだけれども、破綻してしまったときにはもうお金が残っていないということになるので、国土交通省として、こういう、投資の募集を大規模に行って利回りを保証しているんだけれども、事業そのものがほとんど進んでいないケースについては、予防的に介入をしていくべきではないかというふうに思いますが、塩見局長、いかがでしょうか。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
不動産特定共同事業の商品は、投資商品でございます。投資家の方が自ら出資した商品の運用を、どのような状態になっているかということを把握をして、適切に判断できるような環境を確保するということがまず重要であると思います。
投資家の方にとりまして、不動産の取引によって生ずる利益、例えば配当原資となるような賃料収入でございますけれども、これが将来にわたって安定的に支払われるかどうかということは非常に大きな関心事だと思います。先生がおっしゃるような、事業が余り進んでいないということになりますと、将来の収入が安定的に続くかどうか分からない、そういう意味では、非常に重要な関心事だと思います。
このため、対象不動産で予定されている事業の進捗につきましては、投資家の求めに応じて、きちんと説明がされるべき項目の一部であるというふうに思います。こうした投資家への説明義務を通じまして、投資家の保護を図るというのが基本だと思っております。
その上で申し上げますと、不動産特定事業の商品、これは投資商品でありますから、どのような商品でありましても、一定のリスクというのはやはりあると思います。事業が進まないで賃料がうまく入らなくなってくるというリスクもあれば、また、事業者が倒産するというようなリスクも、いろいろあるかと思います。そういう意味で、様々なリスクがある中で、事業が進んでいないということ一事を捉えて行政が介入するというふうになるかどうかは、少し慎重に検討しなければいけないということだと思っております。
いずれにいたしましても、事業が進んでいないといいましても、商品によっていろいろな事情がありますので、どのような場合に法に基づく措置を命じていくかということは、個別に判断してまいりたいと存じます。
○緒方委員 終わります。
○長坂委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○長坂委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○長坂委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○長坂委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、小林茂樹君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及びれいわ新選組の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。小宮山泰子さん。
○小宮山委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。
趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。
建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。
一 建設技能者の賃金水準の向上の観点から、その実態把握に努め、建設工事の労務費に関する基準を適切に設定するよう図るとともに、民間発注者からの理解を得た上で下請事業者まで適正な労務費が確保されるよう、積極的に働きかけ、周知徹底を図ること。また、そのために、建設業者による材料費等記載見積書及び労務費の基準の活用を促進すること。
二 デジタル技術の活用などによる建設技能者への支払賃金を確認する仕組みの検討を進め、建設技能者の賃金水準について、可及的速やかに全産業平均並みの引上げが達成されるよう、必要な措置を講じること。
三 労務費へのしわ寄せを防ぐ観点から、建設業者による労務費等の内訳明示や適切な価格転嫁のための請負代金額等に影響を及ぼすリスク情報の通知といった新たな取組が進むよう、発注者から下請事業者まで建設工事請負契約の当事者に理解しやすく制度の周知を図るとともに、雛形やガイドラインの策定等により円滑に導入できる環境を整備すること。
四 注文者の地位の優越により、立場の弱い建設業者が価格高騰等に伴う不利益やリスクを一方的に被ることがないよう、独占禁止法上の適切な措置を講じる等、実効性のある対策を講じること。
五 著しく低い労務費見積りによるなどのダンピングや賃金上昇の妨げとなる不適切な契約を是正するため、建設Gメンの機能や体制を強化するとともに、関係する公正取引委員会や厚生労働省、中小企業庁と連携し、監視や指導を強化すること。
六 労働者の有する知識、技能等についての公正な評価に基づいた建設業者による適正な賃金の支払いを実現するよう、労働者の適切な処遇の確保のために講じられた措置の実態を広く把握した上で公表し、必要に応じて指導するとともに、建設キャリアアップシステムの就業履歴の蓄積や能力評価判定を推進するための必要な施策を講じること。
七 建設現場で働く技術者及び技能者が週休二日を確保できる工期の設定が民間工事においても実現されるよう、下請事業者の実態や契約変更を含む建設工事の請負契約の締結状況を十分に調査し、その結果を踏まえ、工期に関する基準の在り方の見直しなど必要な施策を講じること。特に、後工程を担う設備工事業等にしわ寄せが及びやすい実態に鑑み、前工程で工程遅延が発生し適正な工期が確保できなくなった場合には、当事者が対等な立場で遅延理由を明らかにし、工期や請負代金の額の変更を協議できるよう必要な対策を講じること。あわせて、週休二日の確保が賃金に与える影響を把握し、収入の減少につながらないよう必要な取組に努めること。
八 本法の施行に伴い適正な工期や請負代金額の設定が図られることにより、工期の長期化や金額の負担増が生じ得ることについて、国民全体の理解を得る取組を推進すること。また、取組に当たっては、産業界や労働界といった実務に携わる者の意見を広く聴取すること。
九 技術者の専任要件については、建設工事の適正な施工が確保されることを前提にしつつ、建設工事に関する技術の進展や関係団体の意見も踏まえて、必要に応じて見直しを行うこと。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○長坂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○長坂委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣斉藤鉄夫君。
○斉藤(鉄)国務大臣 建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。
今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
ここに、委員長を始め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。
誠にありがとうございました。
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○長坂委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○長坂委員長 次に、国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房技術審議官林正道君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○長坂委員長 公共工事の品質確保の促進に関する法律等の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、古川禎久君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、有志の会及びれいわ新選組の七会派共同提案により、お手元に配付してありますとおり、公共工事の品質確保の促進に関する法律等の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。古川禎久君。
○古川(禎)委員 本起草案の趣旨及び内容につきまして、提出者を代表して御説明申し上げます。
建設工事やその前段階に当たる調査及び設計の担い手である建設業等は、社会資本の整備及び管理の担い手であるとともに、災害時における地域の守り手であり、地域にとって不可欠な存在です。
しかし、厳しい就労条件を背景に建設業の就業者の減少が深刻化し、また、本年度から建設業への時間外労働の上限規制が適用されているなど、その担い手確保や地域建設業等の維持、生産性向上が急務となっています。さらに、公共工事等の発注者側においても発注関係事務に携わる職員が減少しており、発注体制の強化が課題となっています。
このような状況を踏まえ、まずは公共工事の取組から、これらの課題への対策を加速化し、民間工事を牽引していくことによって、将来にわたる公共工事の品質確保の促進を図るとともに、持続可能な建設業等を実現する必要があります。
本起草案は、このような趣旨から提案することとしたものであり、その主な内容は次のとおりであります。
第一に、担い手の確保のための働き方改革及び処遇改善に資するよう、公共工事の品質は、公共工事等に従事する者の休日等の労働条件等の適正な整備について配慮がなされることにより確保されなければならないことを基本理念において定めるとともに、公共工事に従事する者に対する賃金の支払いや休日の付与の実態に関して国が調査を行うよう努めなければならないこととしています。
また、適切な価格転嫁対策として、発注者の責務に、価格変動時のスライド条項の設定、その運用基準の策定及び適切な請負代金額の変更に係る規定を設けています。
さらに、担い手の中長期的な育成及び確保のため、国及び地方公共団体が、職業訓練を実施する者に対する支援や、高等学校等と民間事業者等との間の連携促進、外国人を含む多様な人材の確保に必要な環境整備の促進について必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととしています。
第二に、地域建設業等の維持に向けた環境整備を図るため、発注者の責務として、地域の実情を踏まえた競争参加資格等を設定することとともに、災害からの迅速な復旧復興に資する事業のために必要な能力を有する民間事業者と地域の民間事業者との連携及び協力のために必要な措置を講ずることや、公共工事の目的物の被害状況の把握に関し、当該目的物の整備等について必要な知識及び経験を有する者の活用に努めなければならないこととしております。
第三に、新技術の活用等による生産性向上を図るため、新技術の活用推進を基本理念や受発注者の責務として位置づけるとともに、脱炭素化の促進や技術開発への国の支援等について規定を追加することとしております。
第四に、公共工事の発注体制を強化するため、職員の育成支援のための措置や発注関係事務の実態の調査に基づく助言に係る規定を設けるとともに、公共工事の入札及び契約の適正化に係る指針において、必要な体制整備に関することを定めるものとし、国土交通大臣、総務大臣及び財務大臣への報告を踏まえ、同指針に照らして必要な勧告又は助言等をすることができることとしております。
第五に、測量業の担い手確保のため、測量士及び測量士補となる資格の要件や、測量に関する専門の養成施設の登録要件を柔軟化するとともに、測量法に資格の在り方の検討規定を追加することとしております。
以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。
何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
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公共工事の品質確保の促進に関する法律等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○長坂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
本件について発言を求められておりますので、これを許します。高橋千鶴子さん。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
五年ぶりの改正ということで、発議者の皆さん、御苦労いただきましてありがとうございます。
気になっているのは一点なんですね。
品確法改正案で新設される第二十一条の、競争が存在しないことの確認による随意契約について伺いたいと思います。
第二十一条は、発注者は、その発注に係る公共工事等に必要な技術、設備又は体制等から見て、その地域において受注者になろうとする者が極めて限られており、当該地域において競争が存在しない状況が継続すると見込まれる公共工事等の契約について、当該技術、設備又は体制等及び受注者となることが見込まれる者が存在することを明示した上で公募を行い、競争が存在しないことを確認したときは、随意契約によることができるというものです。
ちょっとややこしい文章でありますけれども、随契についてはこれまでも規定があったと思うんですが、あえてここで盛り込んだ理由と、具体的にどのような事態を想定してこれを書いたのか、お願いします。
○三木委員 第二十一条で想定している方式は、担い手が減少している地域における維持工事で応札者が一者の状況が続くなど、競争参加者が極めて限られているケースでの契約を想定しているものです。
地域の建設業者が減少しており、道路などのインフラの維持管理が困難な状況になっていると聞いています。
また、全国建設業協会が実施したアンケートでも、業界の先が見えず、後継者不足も重なって、当代で廃業を考えている企業が、特に地方、地元業者に多く見受けられ、災害対応業者がいない空白のエリアが既にできつつあるという回答があると承知しています。
さらに、国土交通省からも、例えば、東北地方整備局管内の維持工事で応札者が一者となるケースが近年多発していると聞いています。
以上です。
○高橋(千)委員 会計法の二十九条の三では、契約担当官及び支出負担行為担当官は、売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、第三項及び第四項に規定する場合を除き、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない、これが原則であって、契約の性質又は目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合及び付することが不利と認められる場合においては、政令の定めるところにより、随意契約によるものとすると。
今、私、これを読んだのは、災害復旧における入札契約方式の適用ガイドラインということで、国交省が二十九年に出したものであります。そういう点では、発災直後に急いで契約を結んで応急復旧をやらなくちゃいけない、道路を啓開しなくちゃいけない、そういうことのために随意契約というのはあり得るんだということで、ただし、それは、ずっとそうではなくて、最初の段階だけは随契だけれども、その後は競争入札ということで、できてあったと思うんですね。だから、それでも駄目だという理解でよろしいんでしょうか。
○三木委員 今の現状では、やはり、建設業者の方が減少してきている現象がございますので、そういった事情で、この二十一条の改正案を出したということになっております。
○高橋(千)委員 私も地方の出身なので、建設業者が全くいないとか、そういうことはよく分かっております。その上で、やはりこれが逆に恣意的に利用されては困るという思いで質問させていただきました。
当委員会で城井委員も取り上げたことがあるわけですが、先ほど使った配付資料の三枚目なんですけれども、日本経済新聞の今年二月二十日付の記事であります。国発注の東北復興工事で、入札を経て契約すべき新規工事費を既存工事の費用に上乗せする変更契約が、東北地方整備局内で少なくとも五件あったとして、会計法などに抵触する可能性があると報じています。
これについて、四月二十四日の当委員会での斉藤大臣の答弁は、施工中の工事との一体性の観点から契約変更により工事を追加したということで、その例として、柱田トンネル工事を挙げていました。
この工事に追加された工事というのは、福島県の東北中央自動車道の伊達桑折インターチェンジ近くに跨道橋の橋台を造るという工事なんですね。トンネル工事の現場からは、実は七キロも離れていて、とても一体性があるとは思えない。それでも国交省は、これらの工事が適法だったと考えているのか、これは国交省に伺います。
○林政府参考人 お答えいたします。
東北地方整備局が発注した復興工事において、報道がありました五件の工事内容を変更しております。
このうちの東北中央自動車道の掛田トンネル工事について、調整の結果、トンネル工事に伴い発生した土砂運搬先を、より近傍の工事現場へ変更可能となったこと等を踏まえて、施工中の工事との一体性の観点から、土砂運搬に関する工事等を追加しております。
このように、これら五件はいずれも施工中の工事との一体性の観点から契約変更により工事を追加したということで、会計法の趣旨には反するものではないというふうに考えております。
なお、契約手続の透明性を確保することは大変重要と考えておりまして、これまでも契約変更内容を原則インターネット公表するなど、取組を進めてまいりましたが、今後、さらに、手続の透明性の確保のため、契約変更前に発注者と受注者以外の第三者から意見を聞く、意見聴取を行うことも含め、具体的な取組について検討を進めていくということにしております。
○高橋(千)委員 済みません、私、一つ読み方を間違えて、最初に読むのは掛田のトンネルであった、後の方が柱田だったと思います。
それだけではなくて、五件の工事と、日経新聞に載っているのは五件なんですが、二件については、一度は入札を実施して、応札者がなかったということで、後に変更契約という、つまり、一つの工事として追加というふうな扱いにしたわけですね。やはり、それは最初からそうではなくて、この二件については入札にかけるべき新規工事と認識していたということになると思うんですね。ところが、応札者がいないということで、急に一体性を言い出してきた。そういうやり方。じゃ、なぜ最初からそう言わなかったのかということもあるわけで、こうした対応に疑問は感じないでしょうか。発議者に伺います。
○城井委員 お答え申し上げます。
国土交通省が発注した二件の工事についてお尋ねがございました。
御指摘の点については、問題意識を共有するところであります。公共工事における契約変更の透明性の確保、また、適正性の確認は重要だというふうに認識をしております。
先ほど政府参考人からも答弁がございましたが、変更契約前に発注者と受注者以外の第三者から意見聴取を行うなどの取組をしっかりと国としても進めていただきたいというふうに思っています。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
国交省の対応は、ある意味、御都合主義になるんじゃないかと思うんです。東北復興の工事は、会計法違反の疑いがあると同時に、発注者側の勝手な解釈によって、応札者のない工事を、既に契約している工事への変更契約による追加工事として請け負わせることで、発注者である自らに助け船を出したことにもなるわけであります。
だから、同様に、最初に質問している二十一条も、幾つかの条件をつけているとはいえ、随意契約を可能とすることで、発注者である国などを安易に救済する、そのように利用される可能性はないのか。また、ないのであれば、その根拠を示されたいと思います。お願いします。
○國重委員 お答えいたします。
お尋ねのあった品確法第二十一条は、例えば、参加者が極めて限定されている地域において、二十四時間体制での速やかな対応が求められている維持工事で、過去に一者しか競争に参加していない状況が継続している場合などの条件を満たす工事を適用対象と想定をしております。
さらに、条文にもあるとおり、公募を行い、競争が存在しないことを確認した上で契約を行うことができることとしております。
このため、本条文の適用対象は限定されておりまして、かつ、公募の手続を必須としているため、安易に随意契約ができる制度ではないと考えております。
○高橋(千)委員 しっかりと今の答弁が議事録に残りますので、安易に利用されることはないのだ、限定的に運用していくんだということが確認をできたので、今後もしっかりと注視をしていきたいと思います。
今日はありがとうございました。
○長坂委員長 これにて発言は終了いたしました。
これより採決いたします。
公共工事の品質確保の促進に関する法律等の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付してあります草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○長坂委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○長坂委員長 この際、小林茂樹君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、有志の会及びれいわ新選組の七会派共同提案による公共工事の品質確保の促進に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。伴野豊君。
○伴野委員 ただいま議題となりました決議、公共工事の品質確保の促進に関する件につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
なお、お手元に配付してあります案文の朗読をもって趣旨の説明に代えることといたします。
公共工事の品質確保の促進に関する件(案)
政府は、公共工事の品質確保の促進に関する法律等の一部を改正する法律の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。
一 公共工事の契約変更手続きの透明性を確保するため、まずは国土交通省直轄工事において契約変更前に必要に応じて受発注者以外の第三者が適正性をチェックし、その意見を反映、公表する新たな仕組みを導入すること。あわせて、それ以外の公共工事における個々の契約変更についても導入を検討すること。
二 令和六年能登半島地震を踏まえ、災害対応に不可欠な地域建設業を維持するため、地方公共団体において適切な競争参加資格や発注単位の設定が行われるよう必要な措置を講じるとともに、その担い手を確保するため、予定価格や工期の適正な設定等の諸施策が効果的に実施されるよう、発注関係事務の実施実態及び公共工事に従事する者への賃金の支払いや休日の付与の状況の把握を進め、必要な措置を講じること。
三 地域建設業者が災害時の地域の守り手としての役割を果たしていくためには、担い手を確保し建設機材を維持することが必要であることに鑑み、過疎地域等を含めた地方公共団体に対する公共事業の施行についての支援等を検討すること。
四 民間事業者等による新技術の研究開発を促進するとともに、公共工事等においてその活用を推進すること。特に、脱炭素化に対する寄与の程度等の総合的に価値の最も高い資材や工法等を適切に採用するため、ガイドラインの作成や取組事例に係る情報収集等を行うこと。
五 国の総合評価落札方式における賃上げ加点措置について、公平性や地域建設業等の維持の観点からその影響を調査し、他制度との兼ね合いを考慮しつつ運用を検討すること。
六 測量士等を中長期的に確保するため、就業状況の実態把握を行うとともに、更なる資格制度の改善について早期に検討を進めること。
右決議する。
以上であります。
委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
以上です。
○長坂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○長坂委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。
この際、ただいまの決議につきまして、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣斉藤鉄夫君。
○斉藤(鉄)国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、努力してまいる所存でございます。
○長坂委員長 お諮りいたします。
ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る二十四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時四十四分散会