衆議院

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第17号 令和6年5月24日(金曜日)

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令和六年五月二十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 長坂 康正君

   理事 あかま二郎君 理事 泉田 裕彦君

   理事 小林 茂樹君 理事 武井 俊輔君

   理事 城井  崇君 理事 白石 洋一君

   理事 三木 圭恵君 理事 國重  徹君

      石橋林太郎君    尾崎 正直君

      大西 英男君    金子 俊平君

      菅家 一郎君    小島 敏文君

      小林 史明君    小森 卓郎君

      佐々木 紀君    櫻田 義孝君

      田中 英之君    高木  啓君

      谷  公一君    谷川 とむ君

      土井  亨君    中根 一幸君

      中村 裕之君    古川  康君

      武藤 容治君    石川 香織君

      枝野 幸男君    小宮山泰子君

      神津たけし君    伴野  豊君

      馬淵 澄夫君    谷田川 元君

      赤木 正幸君    漆間 譲司君

      高橋 英明君    伊藤  渉君

      日下 正喜君    高橋千鶴子君

      古川 元久君    たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   厚生労働副大臣      宮崎 政久君

   国土交通副大臣      國場幸之助君

   国土交通副大臣      堂故  茂君

   国土交通大臣政務官    石橋林太郎君

   国土交通大臣政務官    尾崎 正直君

   政府参考人

   (内閣官房水循環政策本部事務局審議官)      片貝 敏雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 竹谷  厚君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宮本 新吾君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通政策審議官)     石原  大君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官)            藤原威一郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房上下水道審議官)       松原  誠君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         林  正道君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            榊  真一君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        廣瀬 昌由君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石坂  聡君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  村田 茂樹君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  稲田 雅裕君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  平岡 成哲君

   国土交通委員会専門員   國廣 勇人君

    ―――――――――――――

五月二十三日

 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)(参議院送付)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

長坂委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房公共交通政策審議官石原大君、大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官藤原威一郎君、大臣官房上下水道審議官松原誠君、大臣官房技術審議官林正道君、総合政策局長榊真一君、国土政策局長黒田昌義君、不動産・建設経済局長塩見英之君、水管理・国土保全局長廣瀬昌由君、道路局長丹羽克彦君、住宅局長石坂聡君、鉄道局長村田茂樹君、港湾局長稲田雅裕君、航空局長平岡成哲君、内閣官房水循環政策本部事務局審議官片貝敏雄君、外務省大臣官房審議官竹谷厚君及び大臣官房参事官宮本新吾君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小宮山泰子さん。

小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。

 本日も質疑の方、よろしくお願いいたします。

 さて、私自身は、当選以来、水に関することの質疑等、いろいろ携わってまいりました。下水道であったり浄化槽であったり、また地下水などに携わってきまして、水制度改革議員連盟の、超党派の議連の方の副会長もさせていただいております。

 水ビジネスの市場規模というのは、二〇二五年には約八十七兆円になると予想されております。この成長の背景には、世界的な水不足があります。産業用水の需要増加や水源の汚染、地球温暖化の影響など、様々な要因があります。また、水ビジネスの事業領域には、上下水道の設備インフラや海水の淡水化プラントなどが含まれております。日本の水関連企業は高い技術力があると言われ、その多くが国土交通省所管に関係し、今後成長させるべき産業分野の一つと考えております。

 今年度から水道行政が国土交通省に移管され、上下水道一体で整備、管理が始まっています。これまでの流域治水から流域総合水管理へ進化をし、水循環政策担当大臣として、この方針に基づき、本年夏をめどに水循環基本計画を改定するべく検討を進めてまいりますと、四月二日、国土交通大臣としての会見で述べられております。

 まず最初に、上下水道行政の国土交通省所管化に関して質問していきます。

 この春より、上水道についての所管が、厚生労働省より国土交通省に移管されました。旧来から国土交通省が所管してきた下水道において、下水道の持つ熱を利用する、下水汚泥の利用を進めるなど、下水道に関して様々な先駆的取組が実施されております。

 農業肥料は輸入に多くを頼っておりますが、平成二十年並びに令和四年、国際価格が上昇したこともあり、国内調達可能な肥料材料について必要性が高まっているところです。

 下水処理場の沈殿汚泥から、リン酸の濃度が高く、肥料原料として利用することが期待され、埼玉県では、全国自治体で初めて下水道汚泥の燃焼灰を菌体リン酸肥料として登録をしております。

 菌体リン酸肥料は、国内資源である下水汚泥から作られる肥料の利用促進のため、令和五年十月に農水省で策定した新しい肥料規格であり、農林水産大臣の確認を得た品質管理計画の下で肥料生産するもので、肥料成分が保証され、肥料会社が肥料の原料として利用することができます。下水汚泥の有効利用には大いに期待されているところでもあります。

 そこで、埼玉県で初の菌体リン酸肥料に伴い、今後の各自治体での取組について国交省としてどのように期待しているのか、見解を求めてまいります。

松原政府参考人 お答えいたします。

 リン酸成分を多く含む下水汚泥資源を肥料として活用することは、持続可能な食料システムの確立や資源循環型社会の構築の観点から大変有意義であると考えております。

 委員御指摘のとおり、埼玉県では本年四月に、全国の自治体で初めて下水汚泥の燃焼灰を菌体リン酸肥料として登録したところです。

 この菌体リン酸肥料は、ほかの肥料との混合が可能であることから、リン酸成分を補うための肥料原料としても使用することができ、下水汚泥資源の利用可能性が広がることが期待されます。

 国土交通省としても、下水道事業者に対し、下水汚泥中の肥料成分や重金属の分析、汚泥肥料の流通経路の確保に向けた検討などを支援するとともに、自治体向けの検討手順書や事例集等を通じて先進的な取組の横展開を図っているところです。

 引き続き農林水産省とも連携し、菌体リン酸肥料の登録を始めとする下水汚泥資源の肥料利用拡大に向け、しっかり取り組んでまいります。

小宮山委員 平成二十年のときは、やはりリン酸を抽出して使おうとしたけれども、結果として、海外の価格がすぐに下がったということで、なかなか出回ることがなかったんです。今後、安定した供給ができる体制というのも、是非、農水省ともいろいろ検討して続けていただければと思います。

 さて、河川の上流から海に流れるまで、それぞれの段階において、ダム貯水池での堆砂による機能低下、海岸浸食、河床の材料の粗粒化による影響など、時の経過とともに機能の低下が生じてまいります。

 特に、河川での問題について取り上げてまいります。河川において堆積した土砂への対応について御説明ください。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 河川に土砂が堆積することで洪水が流れにくくなることや、水門などの操作に支障を来すことなど、土砂の堆積が河川管理上支障となることがございます。

 そのため、日常的な巡視や定期的な点検などにより河川の状態を適切に把握し、河川管理上支障が生じる場合には、環境にも配慮しつつ土砂を撤去するなど、適切な河川管理に努めているところです。

 また、地方自治体が管理する河川の土砂撤去に対しては、国土交通省として技術的助言を行っており、財政的には緊急浚渫推進事業債を活用することが可能となっております。

小宮山委員 令和元年におきます台風におきまして、私の地元川越市におきましても、また上流においても大きな水害がありました。入間川流域緊急治水対策プロジェクトの進捗及び多重防御治水の工事状況について説明をいただきたいと思います。

 あわせて、令和元年の水害被害部分の改修などが進んでおりますけれども、川越市内など下流部分では、新たに草木が生え、樹木が育ち、河川の堆積土砂が川幅を狭めております。今後、豪雨が起きたときの被害が拡大することへの心配は、地域住民の関心事でもあります。

 防災・減災、治水対策は政治の基本でもあり、被害が起きてからの対処ではなく、被害を未然に防ぐための対応も求めてまいりたいと思います。この点に関しまして、国土交通省に御見解を伺いたいと思います。大臣からもお願いいたしたいと思います。

廣瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 入間川流域緊急治水対策プロジェクトは、令和元年東日本台風により甚大な被害が生じたことを踏まえ、この台風と同規模の洪水に対して、堤防から越水しないように堤防整備、河道掘削を行うことに加えて、遊水地整備、土地利用、住まい方の工夫など、関係機関が連携して重層的に実施する流域における対策を取りまとめたものでございます。

 これまで国において、入間川の河道掘削、樹木伐採や越辺川の堤防整備を完了しており、現在は、都幾川における堤防整備、越辺川、都幾川における河道掘削、遊水地の買収等を実施しているところでございます。

 更なる治水安全度の向上のため、今後、河川整備計画に基づき、河道掘削、樹木伐採などを更に実施していくとともに、入間川におきましても、先ほど申し上げましたとおり、河道の適切な土砂、樹木の管理にも努めてまいりたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 小宮山委員から、事前防災が大切であるというお話がございました。まさしく私も同感でございます。雨がこれから激甚化、頻発化する、水災害が激甚化、頻発化することが予測されていることを考えますと、被害を未然に防ぐための事前防災対策は極めて重要でございます。

 防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策予算も活用し、上流、下流のバランスを確保しつつ、入間川河川改修の推進も含めまして、この事前防災対策、しっかり取り組んでまいります。

小宮山委員 災害が起きるとかなりの巨額な費用が発生しますが、被害を抑えるための事前防災をしておいた方が、結果として、人命もそうですし、物損等も減るということもあります。

 あわせて、今後、やはり町の在り方とか、そういったところにおいてもゾーニングを厳しくせざるを得ないかと思います。是非、引き続き国交省におきましては、その点に関して地方自治体が判断がしやすいように、そして、リスクを回避できるまちづくりに関しての議論も進めていただければと思います。

 さて、二〇一四年に制定されました水循環基本法では、水を国民共有の貴重な財産であると位置づけた上で、流域に係る水循環について、流域として総合的かつ一体的に管理されなければならないと打ち出しました。

 そのことは、制定に至るまで、多くの議論が重ねられてきたところであり、これまでの水施策において、水行政の分立や、水質、水量をめぐる水問題、河川、水源開発などで行政と地域住民が対立してきたことを踏まえて、それらを乗り越えていくことを目指したものであります。

 今回の見直しで流域総合水管理を進めるとしたこと自体は望ましいんですが、この統合管理というんでしょうか、総合管理は、地域の実情や、それに合わせて水道、下水道を始めとする現場での調整する力が発揮されていくことが前提でなければなりません。

 そうでなければ、共有の貴重な財産とした理念を、地域から醸成し、発展させていくことにはなりません。水をめぐる自治実施と国の責務が相まってこそなし得る施策のはずだと考えています。

 流域の一体的な水管理、治水対策には、何より対立から対話が必要とされるのであり、そのためには、一九九五年の河川法改正以来、水行政に求められてきた住民参加の実効的な施策が必要であります。

 今回の見直しについて、こうした住民参加施策を推進していくという方向が余り見受けられません。この何よりも必要な施策の進め方について、どのような考え方なのか、お聞かせください。

片貝政府参考人 お答えいたします。

 現行の水循環基本計画におきましても、流域の総合的かつ一体的な管理は、流域において関係する行政などの公的機関、有識者、事業者、団体、住民等の様々な主体により連携して行われるべきものであるとされております。

 引き続き、住民を含むあらゆる関係者と連携することは重要と考えておりまして、計画の見直しに当たりましても、この考えを計画に明確に位置づけて、施策の充実を図ってまいります。

小宮山委員 二〇一八年に水道法改正でコンセッション導入可能とされた際、法案国会審議では、コンセッション導入に係る多くの問題点、疑問点が議論され、国会ではそれらは解明されず、対立立法のまま成立しております。

 法成立の際の附帯決議では、その決定は厳に地方公共団体が住民の意思を十分に踏まえた上での自主的な判断に委ねられるべきであることを大前提であることを始め、多くの考慮されるべき点が示されております。

 改正水道法による基本方針でも、水道の需要者である住民等は、将来にわたり水道を持続可能なものとするためには水道施設の維持管理及び計画的な更新等に必要な相応の財源確保が必要であることを理解した上で、水道は地域における共有財産であり、その水道の経営に自らも参画しているとの認識で水道に関わることが重要であると示されております。住民の意思の尊重と参加の重要性が改めて示されたものでした。

 この間、政府の水道、下水道施策においては、コンセッション推進が予算措置も行うなど強力に進められてはおりますが、コンセッションの問題点の検証は行われず、住民参加を具体化するための施策の方向性なども示されていないのが現実ではないでしょうか。

 そこで、ウォーターPPPの取組推進は、そもそも、こうした大前提についての姿勢が明らかにされるべきと考えます。見解を伺わせていただきます。また、コンセッション導入の問題点や検証はどのように行われているのかも御説明ください。

松原政府参考人 お答えいたします。

 上下水道事業は、地方公共団体が責任を持って実施すべきものでありますが、民間の創意工夫や経営ノウハウ等を活用することにより、事業運営や施設の改築更新を効率的に進められる等のメリットがあると考えており、ウォーターPPPなどの官民連携は、上下水道の基盤強化に向けた有効な選択肢の一つと認識をしております。

 委員御指摘のとおり、住民の日常生活を支える上下水道事業において、地方公共団体が地域の方々とコミュニケーションを取って、その理解を得ながら進めていくことは重要であると考えております。

 特に、コンセッションにおいては、民間事業者に裁量を与え、公共施設の長期的な運営を委ねることを前提としていることから、事業開始前の住民への丁寧な説明が重要であると考えております。例えば、水道事業において、平成三十年の水道法改正時の附帯決議も踏まえ、水道事業における官民連携に関する手引きにおきまして、住民への丁寧な説明が重要である旨、留意すべき事項として盛り込み、地方公共団体に周知を図っております。

 また、コンセッションの検証につきましては、国土交通省において、地方公共団体等が公表したモニタリングの結果を確認するほか、コンセッション実施中の地方公共団体と個別に意見交換を行い、コンセッションの課題等の把握を行っております。

 例えば、宮城県の上工下水一体型の先行事例におきましては、運営権者によるセルフモニタリング、県によるモニタリング、第三者機関である経営審査委員会によるモニタリングの三段階でモニタリングを実施しており、経営審査委員会では、そのモニタリング結果を運営権者にフィードバックをし、必要に応じて運営方法の見直しを求める体制を構築されております。

 令和四年四月の事業開始以降、これまでに大きな問題は生じていないと聞いており、事業が適切に実施されているものと認識をしております。

 国土交通省といたしましては、官民連携における住民参加の重要性について引き続き周知を図っていくとともに、官民連携の先行事例を通じ抽出した課題や留意点を踏まえ、官民連携の推進に取り組んでまいります。

小宮山委員 結局のところ、問題点というのはほとんど示されていないというふうに思います。フランスのパリ等では、コンセッションにしたけれども、結局、独占的になったとき、ほかの者が排除されたときには値上がりをし、結果として民営化から行政に戻しています。そういった事実があるから多くの自治体が導入をしないという、その現実をしっかり見ていただかないと、それでなくても上がっていくという水道料金でありますので、ここに対しては苦言を申し上げて、指摘をさせていただきます。

 さて、最後になってまいりますが、今回、水循環基本計画を改正することになりましたけれども、この夏に出すといいますが、これは本来であれば来年の夏に出すはずでありました。何でこんな短期間に、四月二日に発表して、短期間に基本計画を改正することになった理由、背景について簡潔にお聞かせください。

片貝政府参考人 お答えいたします。

 水循環基本計画につきましては、水循環基本法に基づき、おおむね五年間で変更することになっております。

 令和二年度に現在の計画変更を行い、施策を進めてまいりましたけれども、令和六年能登半島地震における水インフラの重大な被害の発生、それを踏まえました上下水道一体の取組強化の必要性など、本年に入りまして水循環をめぐる情勢の変化がございました。

 これを受けまして、政府一丸となり、速やかに具体的な施策等の充実を図るため、水循環施策全体を俯瞰する水循環基本計画について、一年前倒しで変更を行うものでございます。

小宮山委員 海外における総合的な流域の水管理は、IWRM、インテグレーテッド・ウォーター・リソーシズ・マネジメントに相当するものと考えますが、短期間で新たに整理、提言を作るのは、また、網羅すべき地下水や治水、生態系配慮なども漏れる可能性もあるのではないかと心配をしております。短期間でまとめるのは、かなりのチャレンジングなことと思っています。

 海外からも一目置かれるような計画にしていただきたいと思いますが、この夏の計画はどのような位置づけになるのか、また、計画発表後の更新、進化などあり得るのか、お聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 水循環政策担当大臣として御答弁申し上げます。

 五年ごとの計画を一年前倒ししたということにつきましては、その理由は今事務局から申し上げたとおりでございます。能登半島地震、そして、今回、国土交通省が上下水道を一貫して担当することになったこと、この二つが大きな原因でございますけれども、前倒しすることによって漏れがあってはいけないという、ただいまの御指摘はそのとおりだと思います。

 見直しに当たりましては、これまで講じてきた水循環施策の効果の評価を行うとともに、地下水、治水、水環境など様々な分野の専門家から成る有識者会議から御助言をいただき、しっかり議論、検討した上で、計画の改定に生かしていきたいと思っております。

 その上で、改定後の計画に基づき、今後施策を推進していく中で、水循環に係る情勢の変化などが生じた場合には、必要に応じて計画変更を検討することとしております。臨機応変にやっていきたいと思っております。水循環基本法の理念に基づき、水循環施策の総合的かつ計画的な推進が図られるよう取り組んでまいります。

小宮山委員 是非、多くの方々の意見を聞いて、よりよいものを作っていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 馬淵です。

 決算行政監視委員会の分科会からの続きをやります。この国土交通委員会の皆さん方には、初めてこの課題について審議を聞いていただくことになります。

 四月十日から一か月ほどかけまして、私の事務所で、事業区分が直轄、高速道路会社で、かつ高速自動車国道、一般国道、これの令和四年度再評価結果箇所一覧、これが全百二十三事業、これについて、北海道の九事業、沖縄の六事業を除く百八事業、及び、同じ事業区分で、二〇二三年度全百十七事業につき、北海道四、沖縄六、これらを除く百七事業、合わせて全二百十五事業の再評価結果を調べて、BバイCが一を下回る三十六事業の一覧表を作りました。

 これについては、十三日、決算行政監視委員会の分科会で、直轄道路事業の当初事業費の見積りが再評価の際の事業費と乖離しているということを指摘をしました。全二百十五事業ですから、これらのうち三十六事業、約一七%、これらがBバイCが一を下回る結果になっているということになります。

 お手元に1、2で配付した資料、これが全三十六事業です。黄色でハイライトしているところ、これが、当初のBバイCが、再評価、すなわち事業の見積りがまた変わるということですね。これで一を切っているものが、このハイライト、黄色でマーカーしたところです。これが、御覧いただいたら分かるように、一を切っています。その下には、角括弧で二段になっておりまして、これは後ほど取り上げますが、ネットワークで評価した場合という数字です。

 これを御覧いただいたら分かるように、この増加率というのも大変高いものになっている。2の、例えば日本海沿岸東北自動車道、いわゆる日沿道ですね、これは三六二%。上位十、この増加率の多いものを見ても、大体二倍ぐらいに膨れ上がっています。

 この公共事業の再評価、大体これは、全事業を国交省でまとめておりますが、プラスマイナス一〇%、これはマイナスと書いてありますけれども、実際はマイナスなんかほとんどないんです、増えるばかりです。それが一〇%以内の事業は全体の六割を占める。三倍以上というのは、もう異常な数字です。

 こういう状況があることに対して、私は局長に対して、この増額、こうしたものに対する認識を問いました。

 そのときの道路局長の御答弁は、調査や工事が進んで課題が分かってきた、地元や関係機関との協議を踏まえて追加の対応をした、あるいは、資材などの物価上昇があった、これで事業費が増えた、なお、これらの事業費が増えたことに関しては、有識者委員会で事業費の増加や事業の妥当性を審議してもらっています、こう述べられているんですね。加えて、こうしたことに対処するためにチェックリストを作成して、令和四年の三月、このときに各地方整備局に対して、精度向上、これをしっかりやりなさいよと指示をしていますという話だったんです。

 私は、このときに局長に問うたのは、そもそも当初事業費が再評価のときに膨れ上がっている、そしてBバイCが一を切るという、この乖離についての認識はあるのかと問うたときの御答弁が残念ながらこれでした。

 今日は、丹羽局長、改めて問います。

 このような乖離に対して、事業費が膨らんでBバイCが一を切っている、こうしたものが二割近くに及んでいるという現状に対して、国交省は自らの課題だと認識していますか。端的にお答えください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、当初事業費を適切に算出していくということは極めて重要な課題だというふうに思っております。

 この実態が物すごく増えているということにつきましては、やはり……(馬淵委員「聞いていない」と呼ぶ)はい。

 まず、我が事のように考えているかということでありますが、当然のことながら、この事業費の増ということはいろいろなところで影響してまいります。我々の事業の事業管理とか、そういうことにもいろいろ関係してまいりますので、当然、人ごとではなくて、我が事としてこれについては対応していきたいと考えております。

馬淵委員 端的にお答えくださいね。

 今、我が事のようにというか、我が事なんですよ、これは。有識者の審議会で審議していただいていると言うけれども、ここに出していく事業評価の仕組みや、あるいはマニュアルを含めて、あるいは様々な工法も含めて、これは全部国交省で決めているんです。それで、地元関係者との協議、これは世間の話じゃないんですよ。自らのこととしてこれを受け止めなければ、こんなことが続くんですよ。

 改めて確認をしていきたいと思いますが、チェックリストも私は拝見しました。細かなことが書いてあります。項目としては、地整に対して、それぞれの工種、用地買収、橋梁、トンネルなどの事業と、あと工種ですね、基礎工、下部工とか、こういったものが、四十項目のチェックリストがあります。しかし、このチェックリストでは、実は防げないんですね。なぜならば、チェックリストは、あるものをチェックするだけです。

 このような事業が増加している要因というのは、想定していなかったことが起きているということに、ほぼほぼ、ほかならないはずなんですよ。もし分かっていたら、これはとんでもないですからね。したがって、このようなチェックリストを作っても意味がなく、フィードバックする仕組みが必要だということ、このことを私は申し上げてきたつもりです。

 今、局長からは、認識しているということでありましたが、その質問の当日に、局長の御答弁の中にはもう一つありました。こうした状況の中、重要な課題ということで、引き続きの改善に向けて、有識者委員会を本日スタートさせることといたしましたと。令和六年度の第一回公共事業評価手法研究委員会、これが立ち上がった。どうやったら精度を上げられるかということを議論する。大臣からも、当日、御答弁をいただきました、夏をめどに一定の方向性を示す、こういうことでありました。

 私は、そのときに、四月の初めから事務所で二百十五事業を調べ出して、連休明けに国交省に私が作ったこの資料を投げて、見解を問うたんですよ。その頃ぐらいに、これは質問されるのでということで立ち上げたのかな、アリバイづくりぐらいかな、こう思いつつも、大臣からは、委員会で再三真摯な御答弁をいただいていますから、夏をめどに事業費算定の改善方策について一定の方向性を示す、このようにおっしゃっていただいて、私は評価させていただきますというふうに答えたんです。

 しかし、その後、この委員会をちょっと調べました。どんなものかということでありますが、これは公共事業全般の事業評価に関する制度論を議論するところです。したがって、具体的な問題解決の、その解決策策定の場ではありません。本来であれば、解決方法というのは、事業ごとに異なる将来のリスクをどのように当初事業費に反映させるかですから、今回の研究会、これは実は、先生方が頑張っておられますから、余り意味はないとまでは申し上げませんよ、しかし、私が指摘したことの解決策には、これはつながらない。

 そして、そもそもこの委員会はどんなものかというと、これもお手元の資料にありますが、そもそも、これは二〇〇八年に開いて、その後九年間、ずっとやらずに、二〇一七年に二回、二〇二〇年に二回、昨年二回、十五年間で七回行われただけの研究委員会です。

 私からすると、申し訳ないが、今もこのように、事業費の乖離、増額、こうしたものに対するアリバイづくりの研究会を開き出したというふうにしか見えないんですよね。こういうことがあってはならないということを私は重ねて申し上げてきたつもりです。

 局長に改めて答弁を求めますが、二〇〇八年より、断続的ですよ、これが、詰めて詰めて詰めて何か再評価の仕組みをつくった、そういう委員会じゃありませんから。それで、この委員会によって道路評価手法に何らかの抜本的な修正が加えられましたか。イエス・オア・ノーでお答えください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 この研究会でございますけれども、技術指針に関しまして大きく変更は、この委員会で研究された成果というのは技術指針には反映されていないというふうに承知をしております。

馬淵委員 そうなんですね。反映されないんですよ。指針は国交省で作り上げるものなんですね。だから、これが解決策じゃないんですよ。なので、こういう状況の中で道路事業評価というものが、私からすると、真剣に取り組まないと、この評価結果は意味を成さないんですよ、大臣。

 大臣は、事業費の算定の改善方策についてということで、先ほど、お示ししたいというふうにおっしゃいましたが、この委員会で決まるんじゃないんです。しっかりと国交省の中で、これを真剣にもう一度見直すということを取り組まなきゃならない課題なんですよ。大臣、どうお考えいただけますか。

斉藤(鉄)国務大臣 決算委員会でこの議論をさせていただきました。そのときにも御答弁申し上げたところでございますが、公共事業評価手法研究委員会で、公共事業評価をどうするかという基礎的な議論はしっかりしていただき、そして、馬淵委員の御指摘もいただいて、当初の予定から途中で大きく増額をする、そういう案件が非常に増えている、このこと自体は国土交通省としても真剣に考えなくてはいけない。そのことも、客観的に学識者の目から、社会状況も含めて御提案をいただき、その上で、国土交通省自身の問題として、この途中増額の問題に対してどのように対応していくかということをしっかり我々のこととして検討していきたいと思っております。

 その基礎ベースを、この夏をめどに、この研究委員会からその基礎となる考え方を学識経験者としてお示しいただくわけですが、それはあくまでも参考として、国土交通省自身の問題として考えたいと思います。

馬淵委員 繰り返しますけれども、この研究委員会は全体の公共事業を見ているわけですね。道路事業だとか、そういった細かなことではなく、社会的割引率だとか大きなところを見ていますから、ここでは解決しないんです。

 繰り返しになりますけれども、この道路事業評価というものを省内でしっかり、このような、当初事業が再評価のときに大きく乖離することのないような解決策、あるいはそれに対しての防止策、これを行うべきなんですね。これをまずつくっていただくしかないと思いますけれども、大臣、端的に、それをつくるべきだと思いますが、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 実は、この評価手法研究委員会は、そういう意味では大きなベースでの議論をお願いしているところで、前からある委員会でございますが、今回の途中増額の件に関しては、委員の御指摘もございまして、ある程度の評価をしてくださいというふうにお願いしてございます。その結果も踏まえながら、そして、先ほど申し上げましたように、最終的には、国土交通省として、その意見も踏まえながらしっかりと対応していきたいと思います。

馬淵委員 そこは今、前向きな答弁をいただきましたので、是非お願いしたいと思います。

 私の方から、三点提案があります。

 この事業費の改善策としては、基本は、再評価の結果を反映させることというのが一番なんですが、例えて言えば、地質の影響を受けるトンネルやあるいは基礎工事、こういった工種に関しては、過去の新規評価時点の事業費と最終の再評価の事業費の平均増加率、これは、先ほど申し上げたように、減るのはほとんどないです、平均増加率というものを考慮するという手だてを加える、あるいは、用地の買収や工事費に関しては直近の価格上昇率を考慮する、そして三つ目は、地元調整による事業費の上昇率、こういったものを考慮していくという中で、膨大なデータが国交省にあるんですよ、過去の事業の中で。

 ですから、こういったものを使って増加率はどれぐらいになるかということを、かなりきつめきつめに積み上げていくことによって、当初事業費が安易に低く抑えられて、そして再評価のときには事業費が増額になって、三倍以上の事業費になっているという、こんなばかなことを起こさせないようにできる可能性があるんですから、是非これは取り組んでいただきたいというふうに思います。これは私からの提案です。局長にも、よく御議論、検討いただきたいと思います。

 もう一つ、ネットワーク評価についてお尋ねします。

 ネットワークで道路事業評価を行っている。私は、これを聞いたときに、ううんと、こう思ったんです。というのは、私が国交省にいたとき、高速道路をネットワークで事業評価そのものを取るということは行っていませんでした。

 局長、これは端的に。ネットワークとしての高速道路の事業評価が始まったのはいつからですか。

丹羽政府参考人 委員の言われているネットワーク評価というものは、高規格道路、大規模バイパスなど、複数の区間が一体となって効果を発揮する道路ネットワークの評価でございます。今、一体的評価と言っておりますが、これについては、平成二十九年度の新規事業化から導入しております。

馬淵委員 二〇一七年からなんですね。私が大臣をさせていただいたとき、当時、当然ネットワークというものを勘案しながら、定性的にはネットワーク効果というのを見ますが、事業そのものは、単一の、個別の事業として事業評価していたんです。それが、ネットワーク全体で事業評価をする。

 お配りした資料、この黄色のハイライトの下に、角括弧と言うらしいですけれども、角括弧で、例えば一番上であれば、〇・八が、下は角括弧で一・三となっていますね。つまり、ネットワークで評価すると上がるんですよ。もちろん、全て上がっているかというと、少しそうではないものも散見された部分はあります。でも、ほぼほぼ上がっていますかね。

 これを見ていただくと、とにかく、ネットワーク評価をすれば上がるんですね。当たり前ですが、当たり前のところは後で言いますが、ネットワーク評価で上がっている。BバイCが一を切っているものに対しては、このネットワーク評価で評価するということが許される仕組みに変わったんです。

 お手元の資料の4で、これが、先ほど言われた、二〇一七年の三月十五日、このような形で変わりました。

 このようなネットワーク評価の中で、お手元の資料の6に、ネットワークの評価区間の考え方というのが示してあるんですが、上にハイライトで赤で引いていますが、道路ネットワークとしての機能を踏まえ、ちょっと分かりにくいことが書いてあるんですけれども、高規格道路、大規模バイパス等の起終点間を基本として設定する、ただし、評価対象の特性に応じて、効果把握に要するコスト等を踏まえた区間とすることができるとして、区間設定に当たっては、第三者委員会等において意見を聴取するとなっているんです。

 下にイメージ図がありますが、ネットワークということで、調査中区間というのが、緑で点々々と、起点から終点の間に途中入っています。この調査中区間も、新規事業採択時も、そして再評価のときにも丸がついているように、これは事業評価の中に入るんですね。

 普通に考えれば、調査中区間ですから、工費も工種もそして構造も、さらには細かな設計が決まっているわけではないんです。それを、ネットワーク評価のときに算入していいとなっているんですよ。おかしくないですか。ここはある意味、概算みたいなものですから、膨れ上がりますよ、この部分は。概算で下げることもできるわけですから、BバイCが上がる、上げようと思ったら上がるんですよ。これが、こんな曖昧なことしか書いていないんですね。

 私は、これはおかしいだろう、どんな事例があるのかということで、お手元の資料7です。

 中九州横断道路の大分―犬飼間。ここでは、事業費二千二百億から二千四百億、二百億の幅があります。これは、感度分析みたいな形で、二百億も幅がある。今、これだけ厳しい財政状況の中でいろいろ言われている、それでも幅でぼんと計算しているんですよ。じゃ、算出の考え方はどうなっているんだと聞くと、構造別に近年の類似工事の実績から単価を設定して算出、このようになっているんですね。

 局長、こうした形で、類似工事の実績から単価を計算していると言っていますけれども、類似工事、私にはこういう紙が来たんですが、これは一体、この事業の場合、何年の、どこの類似工事の実績を参考にして単価を出したんですか。お答えください。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 類似工事というものは、まず、年度的に言うと直近の五か年、あとは、例えば九州でやるものであれば、その近隣地域、それの類似工事を取ってきております。

 例えば、橋梁について申しますと、橋種がどうだ、橋脚高がどうなのかといった、それが同程度の工事を抽出して、そこから単価を出してきている。また、トンネルにつきましては、その近隣の直近の五年の断面の大きさが同程度の工事を抽出して、そこから単価を出して、それを基に算出しているところでございます。

馬淵委員 結局、曖昧なんですよ。

 確かにここの、お配りした6のところでは、調査中区間、この資料の中で、星マークで二というところを見ると、計画段階評価、都市計画決定が完了している区間をと書いていますが、都計が打たれてというところであれば、かなり詳細なところまで詰めているはずですが、じゃ、全てそうかというと、マニュアルそのものには細かくそれを規定していないんですね。つまり、これは恣意的に、いかようにもできる可能性があるわけですよ。私が申し上げたいのは、こういったところをきちっと詰めておかないと、いかようにもできてしまう仕組みになっているんです。

 ネットワークを評価すること自体は正しいんじゃないか、そのように言われる、感じる方もいらっしゃるかもしれません。ネットワークを全体で評価しようとすること自体は一見確からしいというふうに見えるかもしれませんが、ここで考えなければならないのは、本来求められている事業の基本的な目的に合った評価、これに合致しているかということなんです。

 つまり、ネットワークを含めて事業をつくっていくときに、その目的は、交通安全なのか、あるいは渋滞解消なのか、こういったものをはっきりとさせていって、その事業目的の下に事業評価を行うというのが本来の姿。ネットワーク全体でという話になると、それこそ、現道利用であったり、あるいは、今申し上げたような、ほかの方法で解決できることもあるにもかかわらず、ネットワーク全体で事業評価しましたとなると、個別の事業区間は全部BバイCが一を超えていくという仕組みになってしまう。

 かつては、ネットワーク事業評価なんということはしなかったんです。定性的にネットワークを見るということはしました。なぜならば、ルートを、どこを通るかということによって工費が大きく変わっていくので、ネットワーク全体を定性的に見る、参考的には見ました。だけれども、二〇一七年に事業評価の仕組みにまで入れちゃっているんですよ、工費も決まってない事業区間を。これはおかしくないですか。

 大臣、これをどうお考えになられますか。

斉藤(鉄)国務大臣 前回の決算委員会でも、この点が馬淵委員と私の意見が異なったところでございます。

 まず、今の事業評価、コストと便益評価の基本的な手法は、馬淵国土交通大臣時代につくっていただいたものでございます。その点につきましては、心から敬意を表したいと思います。

 その上で、二〇一七年に、先ほど申し上げましたように、ネット評価という考え方も入れたわけでございますが、例えば、馬淵委員のこの6の資料で、対象評価区間を赤で書いてございますが、この区間の事業評価をするときに、その隣が調査中区間である、それで、この対象区間の事業評価、その便益は、やはり、最終的に調査中区間もつながった形で、高規格道路として全体がつながったときに、その全体のベネフィットはどうなるんだろうかということを考えるのは、ある意味で当然ではないでしょうか。

 そういう意味で、一七年に入れさせていただいたところでございます。この点が異なっているところです。

馬淵委員 もう時間がないので短く言いますが、そのことと、工費が何も決まっていないのに事業評価に入れることは全くおかしいでしょうと私は申し上げているんですよ。

 ネットワークで評価すること自体はやっていました、定性的に。だけれども、事業評価の中に、何一つ工事が正確に、工費も積み上がっていないのに事業評価で入れてしまえば、これは低く下げられることを見積り上してしまえば、BバイCは上がりますよ。一を切っている事業が平気で継続可能になりますよ。そこはおかしいでしょう、大臣。私はそれを言っているんです。

 もうこれで終わりますが、大臣、私の指摘と、これはかみ合っていませんよ。考え方の問題じゃないですよ。決まっていない工事を入れるのはおかしいでしょうと言っているんです。どうですか。

斉藤(鉄)国務大臣 ただ、この決まっていない区間、確かに決まってはいませんが、標準的に考えて、この程度のコストはかかるだろうということで、全体がつながったときの便益を考慮するということはおかしいことではないと私自身は思います。

馬淵委員 終わりますが、決まっていない工事費を入れて計算するなんて、これはあり得ないことだと私は改めて申し上げますよ。このことは引き続き取り組ませていただきます。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 今回も、斉藤国土交通大臣、よろしくお願いいたします。

 まず、公共交通、運輸、建設など人手不足分野の待遇改善について伺います。

 以前の質問で、タクシー運転手の処遇を取り上げました。日常生活にとって必要不可欠な仕事に携わる方々、いわゆるエッセンシャルワーカーの待遇を改善すべきという指摘が数多くございますが、一向にこの待遇が改善されていません。今働いている方々にとっても、そしてこれから働こうとする方々にとっても、非常に深刻な問題です。特に、公共交通や物流、建設など人手不足と言われる分野は、多くの人に選んでいただける仕事とするためにも、待遇の改善は喫緊の課題です。

 まずは、それぞれの会社あるいは業界全体の取組が必要であることは理解をしていますが、それにも限界があります。国が公共交通や物流等を支えるエッセンシャルワーカーの待遇改善を後押しできないかというふうに考えます。

 そこで、実際の数字で皆様に確認をいただきたいと思います。資料一枚目を御覧ください。

 令和六年三月二十七日に公表されました国による調査、令和五年賃金構造基本統計調査に基づいて、百四十五の職業別の時間給を金額順に並べました。これは、二〇二三年十一月八日付のニューズウィーク日本版で教育社会学者の舞田敏彦先生が寄稿された、「人手不足が叫ばれるエッセンシャルワーカーの、深刻な「悪」待遇」に掲載されている表を最新データで更新をしたものであります。

 最新の令和五年の調査結果によりますと、百四十五職業のうち、一位は航空機操縦士、いわゆるパイロットで九千九百五十円、二位は医師で六千五百六円でした。いわゆる公共交通機関や物流を支えるエッセンシャルワーカーは、バス運転手が百十位で一千九百七十一円、営業用大型貨物自動車運転者が百十三位で一千九百八円、タクシー運転手が百十八位で千八百四十七円、大型車を除く営業用貨物自動車運転者が百二十五位で千七百四十六円となっています。前年の令和四年の調査結果でも、ほぼ同じです。

 このように、国の調査で見ても、公共交通機関や物流等を支えるエッセンシャルワーカーの給与は高くありません。

 大臣、どのようにお感じになりますか。大臣の受け止めと認識を聞かせてください。

斉藤(鉄)国務大臣 改めて、この表を見させていただいて、エッセンシャルワーカーと言われる人たちの給与が低い。ここにはありませんが、長時間労働という面もございます。改善していかなくてはいけない、国が後押ししていかなくてはいけない、このように心から思いますし、そのために、今回、法案を提出させていただき、御審議をいただき、衆議院を通過させていただいたところでございます。しっかり頑張っていきたいと思います。

城井委員 今、長時間労働是正についても大臣から言及いただきましたが、労働時間と年収について比較したデータもございます。

 資料二枚目を御覧ください。

 国による調査、この令和五年賃金構造基本統計調査に基づいて百四十五の職業別の労働時間と年収を比較したところ、営業用大型貨物自動車運転手や大型を除く営業用貨物自動車運転手は、推定年収が平均よりも低く、月の労働時間が百四十五の職業の中で最も長い。これは、令和四年のデータを比較しても変わっていない傾向でした。

 業界や国土交通省、それぞれの取組は理解をしておりますし、先ほどの、今後の、法案の取組ということも理解をしながらなんですが、業種間の格差はこの時点では改善していないという深刻な状況です。

 営業用大型貨物自動車運転手や大型を除く営業用貨物自動車運転手などの人手不足と言われるエッセンシャルワーカーの待遇を改善するためには、賃金そのものを上げる取組も重要なんですが、ほかの業種と比較した場合の推定年収も、月の労働時間も、できる限り平均に近づけるための取組が必要であるというふうに考えます。

 国が行うべき取組について改めて検討すべきだと考えますが、大臣の考えをお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 御指摘のように、労働時間とそして適正な賃金、これが両立する社会をつくっていかなくてはならないと思います。

 そのために、特に、この表では物流事業者の例を取られましたけれども、例えば、物流事業等では、トラックGメンによる荷主等への是正指導の強化、業界ごとの自主行動計画の作成、実施、元請事業者に対する多重下請構造の是正に向けた取組の義務づけなど、先日公布された物流の改正法による規制的措置なども組み合わせて、適正な労働時間と年収の増加が両立する環境をつくってまいらなければならないと決意しております。

城井委員 大臣、数字は正直だと思っています。こうした収入の部分、労働時間との比較を含めたこのデータ、引き続き注視をしてまいりたいというふうに思います。

 選ばれる仕事になるように、引き続きの改善、処遇改善の努力をお願いしたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 次に、羽田空港における民間航空機と海上保安庁機の衝突事故について伺います。

 本年一月二日、日本航空五一六便と能登半島地震被災地に向けて支援物資を輸送する業務中であった海上保安庁機が羽田空港のC滑走路で衝突した事故、大変残念な事故でございましたが、再発防止の観点から、大臣に伺います。

 この事故で、海上保安庁の乗員五人の貴い命が失われました。かけがえのない命だと思います。その海上保安官とそして御遺族を思いつつ、改めて心から御冥福をお祈りしたいと思います。

 一方で、乗務員の冷静かつ的確な判断に基づく緊急脱出や、空港関係者、医療関係者など多くの方々の支援と協力によって、日本航空五一六便の乗員乗客三百七十九人の命を守ることもできました。

 また、衝突事故によって羽田空港C滑走路が閉鎖となった、その結果、多くの航空便が欠航となりました。多くの利用者にも影響がございましたが、全国の航空関連産業で働く皆様による奮闘で空港関連業務が安全に遂行されたことに対しては、心から敬意を表したいと思います。

 さて、この事故につきまして、まず運輸安全委員会の調査について伺います。

 航空事故は、徹底的にその原因を追求し、再発防止をできる限り早く講じることが極めて大切です。運輸安全委員会による調査が行われ、そして、現場検証や関係者への聞き取り、日本航空機、海上保安機のフライトレコーダーとボイスレコーダーの回収、解析、事故原因の究明が進められていると聞いております。

 ただ、事故の原因究明は、責任の追及というところよりも、むしろ再発防止が第一義であるというふうに考えます。

 現時点における運輸安全委員会による事故原因の究明の進捗、そして再発防止の徹底に対する考え、大臣からお示しください。

斉藤(鉄)国務大臣 運輸安全委員会に確認したところ、羽田空港航空機衝突事故につきましては、事故発生の当日、一月二日から事故調査官六名を現地に派遣し、現在までに、事故機の残骸の確認、関係者からの聞き取り、飛行記録装置の記録の解析などを行ってきたと聞いております。

 運輸安全委員会において事故原因をしっかりと究明していただき、報告書が取りまとまりましたら、その内容に従い、再発防止のための取組を徹底してまいりたいと思います。

城井委員 現在進行中のこの航空事故の調査、責任追及ではなく、再発防止を第一義にすべきだということを改めて申し上げたいと思います。

 犯罪捜査と事故調査は、そもそも目的が違います。

 国際民間航空条約の第十三附属書では、事故又はインシデント調査の基本目的は将来の事故又はインシデントの防止である、罪や責任を課すのが調査活動の目的ではないとされています。

 犯罪捜査は強制力に裏づけられていることから、関係当事者への萎縮効果が働きます。

 二〇一二年三月には、運輸安全委員会業務改善アクションプランにおきまして、的確な事故調査の実施に係る重点的な取組項目として、「責任追及とは独立して事故調査を実施する。」という方向性が示されています。

 犯罪捜査が事故調査に重大な影響を与える可能性があることを踏まえて、再発防止のために関係者の積極的な協力が得られるよう、事故調査を第一義にするべきだと考えます。大臣のお考えをお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 運輸安全委員会が行っている事故調査と、刑事責任の追及を目的とする犯罪捜査とは、それぞれの公益を実現するために独立した立場で行われているものであり、どちらかが優先するというものではないと考えております。

 なお、運輸安全委員会に確認したところ、これまで、警察による捜査の可能性があるため関係者から必要な協力が得られず、事故原因の究明に支障を来すようなことは特になかった、このように聞いております。

城井委員 事故調査報告書についても、今ほどの指摘、再発防止を唯一の使用目的とすべきだということを申し上げたいと思います。

 事故調査報告書には、国際民間航空条約上も、裁判証拠としての使用には厳しい制限が課せられています。事故調査報告書は、刑事裁判などの証拠としては使用せず、再発防止を唯一の使用目的として制限を設けるべきだと考えます。大臣の考えをお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 運輸安全委員会に確認したところ、これまで、運輸安全委員会の報告書が刑事裁判などの証拠として使用される可能性があるために関係者から必要な協力が得られず、事故原因の究明に支障を来すようなことは特になかったと聞いております。

 このため、御指摘のような使用目的の制限につきましては、特に必要であるとは考えておりません。

城井委員 この点は、今までなかったからこれからどうかという点については厳しく見ておいていただきたいという趣旨でお願いをしていますので、御理解いただければと思います。

 さらに、運輸安全委員会の事故調査機関としての機能を強化すべきとの観点から伺います。

 運輸安全委員会は、事故調査報告までに時間を要しています。現状では、事故発生から国土交通大臣への経過報告までにおおむね一年、事故調査報告書の公表までにおおむね一年半から二年を要している状況です。この状況を踏まえて、早急に予算と人員規模を拡充して、再発防止を唯一の目的としての体制と機能の強化をすべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 ありがとうございます。

 運輸安全委員会につきましては、これまでも、事故調査に必要となる予算及び定員を毎年度要求し、必要な体制の確保を図ってきたところでございます。

 今後とも、運輸安全委員会の事故調査が迅速かつ的確に行われるよう、必要な予算及び定員の確保に努めてまいりたいと考えております。

城井委員 一年半から二年、最終的に報告書までかかっているという現状を縮めるためには、やはり、体制や機能の強化は必要だ、今の取組以上に必要だということは申し上げておきたいというふうに思います。

 続きまして、運輸安全委員会の事故調査に関する機能と権限を強化して、独立性の確保を図るべきとの観点から伺います。

 運輸安全委員会は、外局であるものの、国交省の下に設置された機関であることから、管制官や行政システムなど、国交省内部に対して十分な事故調査ができるのかという点で課題がある、こうした指摘があります。現状では、犯罪捜査が事故調査に優先しているというふうに受け止めています。

 これを改めて、運輸安全委員会に他の機関に優先する調査権などの強い権限を与えて、事故調査を犯罪捜査に優先させる仕組みや枠組みをつくるべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 運輸安全委員会に確認したところ、これまで警察と委員会との間で適切に調整が行われ支障なく調査が実施されてきたとのことであり、事故調査を優先させる枠組みが必要であるとは考えておりません。

城井委員 航空現場からの意見を踏まえての御指摘でありますので、受け止めていただければと思っています。

 次に参ります。

 航空事故再発防止へ、航空安全情報自発報告制度の活用について伺います。

 二〇一四年度から国土交通省航空局の航空安全プログラムが開始されたことに伴い始まった航空安全情報自発報告制度、こうした制度があります。この制度は、航空活動に直接携わっておられる方々から、自ら経験又は視認した航空の安全上の支障を及ぼす可能性があったと思われる事象、いわゆるヒヤリ・ハット事象について報告を収集し、業務実施者間で情報を共有するとともに、それらの情報を分析して必要と思われる改善を提案することによって航空の安全向上に寄与することを目的として、公益財団法人航空輸送技術研究センターにより運営されています。

 具体的事象は、「フィードバック」という形で年に数回ウェブサイトに掲載されていますが、大臣、航空関係者の間でどれぐらい活用されているか、確認されているでしょうか。例えば、ウェブサイト自体の閲覧数やあるいはウェブ掲載の共有情報、「フィードバック」のダウンロード数、把握していらっしゃるでしょうか。この航空安全情報自発報告制度自体は積極的に活用して、ヒヤリ・ハット事象の関係者間での共有やそれを踏まえた改善を促進すべきだと考えますが、大臣の認識と考えを聞かせてください。

斉藤(鉄)国務大臣 航空安全情報自発報告制度、VOICESというのは、先ほど城井委員おっしゃったような目的で二〇一四年度より運営されております。

 この制度により収集された情報は、有識者による分析を経た上で、ウェブサイトなどを通じて関係者に共有されておりまして、例えばウェブサイトでは、年間約一万七千件の閲覧があると承知しております。また、ダウンロードの方ですが、分析結果をまとめた冊子、「フィードバック」のダウンロード数は、運営委託先より、システム上把握できない、このように聞いております。

 国土交通省としては、これまでも、制度の趣旨や目的などに関する説明会を行うなど、関係者に対する周知に取り組み、この制度の活用を促進してまいりましたが、今後も、事故防止の優良事例集を新たに作成するなど、この制度の活用を促進するための取組を進め、航空の安全の確保を図っていきたいと思っております。

城井委員 大臣、その共有情報、「フィードバック」、ちらっと御覧になりましたか、中身。

斉藤(鉄)国務大臣 済みません、見ておりません。

城井委員 実は、私も初めて直近のものも含めて見たんですが、一番直近に公開されたもので何と七十七ページもありまして、なかなかに分量があります。

 先ほどの一万七千回の閲覧数ぐらいですと、年に三回出されているとしたら、それを割る三で見ていただいているというふうに仮に思ったとしても、これで十分かなというところ。とりわけにダウンロードで見るということはかなり意識的に見に行かないと見れないということだと思いますので、ここは、実際収集している情報が本当に細やかに収集されているのは確認をしたんですが、これが当事者にきちんと届く形になっているかという点はいま一度確認いただきながら、ここの徹底を是非検討いただきたいということをお願いしたいと思います。

 さて、次に参ります。

 管制官による監視体制の強化について伺います。

 この度の衝突事故を受けまして、国土交通省は、航空会社及び管制機関への基本的動作の徹底及び管制指示を受けた場合の確実な復唱など安全運航のための手順の徹底を指示し、一月六日には羽田空港において滑走路への誤進入を常時レーダー監視する人員を配置した上で、一月八日に羽田空港のC滑走路の運用が再開をされました。

 この管制官による監視体制の強化について、その後国土交通省においてどのような取組が行われているか、大臣から答弁願います。

斉藤(鉄)国務大臣 抜本的な対策としては、最初申し上げましたように、抜本的には、運輸安全委員会の報告書が出て、それまでの間、有識者による検討委員会、今議論いただいておりますが、もうじき中間取りまとめが出ますけれども、それを受けて対応していきたいと思います。

 それまでの間のまた緊急対策として、先ほど城井委員からありましたような監視体制の強化について行っているところでございます。この監視体制、羽田空港に一月六日に配置いたしました。加えて、羽田空港以外の主要七空港、新千歳、成田、中部、伊丹、関西、福岡、那覇にレーダー監視担当を配置し、滑走路誤進入に対する監視体制を強化しているところでございます。

 また、こうした緊急対策に加えて、一月十九日より、今、先ほど申し上げました検討委員会での議論を進めております。

城井委員 報告書が出るまでは一年半か二年ということでありまして、中間取りまとめという言及もございましたが、その間までの緊急対策が重要だというふうに思います。

 実際に、今日はちょっと、ニュースが直前でしたので通告までできていないんですが、一昨日の読売新聞によりますと、福岡空港で今月、日本航空機が滑走路手前の停止線を越えた問題で、日航機側から滑走路手前で停止という指示の復唱がなかった点を管制官が復唱確認で指摘していなかった、こうしたことが分かったとの報道があったところです。また、二十三日には、羽田空港で旅客機同士の接触もありました。国交省が本日臨時の監査を行うという報道もございました。

 大臣、この二つを見ても、やはり一事が万事と捉えての再発防止の徹底、再徹底が必要なんじゃないか。これまでの一月六日以降のお取組については今ほど説明いただきましたが、再徹底が要るんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 昨日の接触事案、そして福岡空港での事案と、大変危機感を持っております。ということで、日本航空に今日臨時の監査を行うということで発表させていただきました。

 航空安全に向けてしっかり取り組んでいきたいと思います。

城井委員 是非再徹底をお願いしたいと思います。

 そのために必要な点を一点確認をと思います。

 安全な航空交通利用を維持するために必要な航空管制官等の定員について伺います。

 航空管制官等の定員は、約二十年間で二割減少など、減少傾向にあります。新管制方式やシステムの習熟など、一人一人の管制官の技量向上に対するインセンティブが働くような仕組み、また、効果的な人事ローテーションなどを検討すべきだというふうに考えます。

 特に、最近は管制のルール変更もあって、手順がなかなか浸透していない現状もあるかというふうに思いますが、大臣、この管制官の定員増加、増強、大臣の考えをお聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 御指摘のように、職員が使命感とやりがいを持って働くことができるよう、技量向上に対するインセンティブや効果的な人事ローテーションを検討すること、非常に重要だと思っておりますが、二十年間で二割減少する、減少傾向にあるということでございます。

 しっかりと今の現状を我々も把握し、今は逆に増やしている状況でございますけれども、しっかりと人員の拡充に取り組んでいきたいと思います。

城井委員 羽田空港を始め、過密が進む空港は幾つもあります。とりわけに管制に対する負担は大きくなっているというふうに思いますので、この点、更に目配りをお願いしたいと思います。

 最後に、航空需要の変化に的確に対応し、全ての利用者が必要なときに必要な空域を使用できる協調的な空域利用を推進すべきとの観点からも伺います。

 日本の空域管理、航空管制には、民間空域は国土交通省、自衛隊空域は防衛省、米軍空域は米軍というように、それぞれの機関がそれぞれの管轄している空域を管理しているという特徴があります。そのため、民間の航空路、自衛隊、米軍の訓練、制限空域が密接することになりまして、民間の航空路が制約を受ける形となっています。

 成田空港の件は後ほど谷田川議員からもあろうかというふうに思いますが、安全性を高めながら全ての利用者が必要なときに必要な空域を利用できるような協調的な空域利用を目指して、航空会社、国土交通省、防衛省、米軍の連携強化、これは国土交通省が役割を発揮すべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 委員御指摘のとおり、我が国の空域については、国土交通省が管制業務を行っている空域のほか、防衛省及び米軍が管制業務を行っている空域があり、両者との連携が必要不可欠でございます。

 こうした認識に基づき、国土交通省としては、空域の適正な利用や安全かつ円滑な航空交通の確保を図る観点から、航空事業者や防衛省等と相互に緊密に連携し、防衛省などの訓練空域において、訓練の実施がない場合は民間航空機のための同空域を飛行できる短縮経路を設定する、民間航空機の円滑な交通に影響を与えないよう防衛省等の訓練時間を調整するなど、飛行経路の設定や交通量の調整などを行っているところでございます。

 国土交通省としましては、引き続き、航空事業者、防衛省及び米軍と連携強化を図りつつ、空域を有効に活用し、今後の航空需要の変化に的確に対応してまいりたいと思います。

城井委員 大臣のリーダーシップを切に期待して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、谷田川元君。

谷田川委員 立憲民主党の谷田川元でございます。

 斉藤大臣、よろしくお願いします。

 今日は、まず私の地元の成田空港のことについて触れたいと思います。

 成田空港は、昭和四十一年、佐藤内閣のときに閣議決定されて、開港するまで約十二年、いろいろな問題がございました。そして、開港から四十六年が経過しました。

 本当にこの間、不幸な歴史がございました。皆さん、三里塚闘争という言葉をお若い方も聞いたことありますよね。政府と住民の間に大きな分断が生み出されました。特に、警察官三名が強制執行のときに殉職する、そういう痛ましい事件もありましたし、それから、当初、昭和五十三年の三月の三十日開港予定だったのが、過激派が管制塔に侵入し、そして計器を破壊して、その結果、約二か月遅れる、そういうことがございました。

 そして、分岐点になったのは、やはり、強制収用を国がもう行わない、そういう方針を決めて、住民との対話、シンポジウムだとか円卓会議等が行われました。その結果、うたわれたのが空港と地域の共生という考え方なんですね。

 それで、おかげさまで、成田空港、二〇二九年の三月までにいわゆる機能強化、新たに三本目の滑走路を造る、そして今のB滑走路、二千五百メートルですけれども、それを更に一千メートル延長して三千五百メートルにするということで、大臣、今の空港よりも、これは二倍の面積になるんですよね。それで、この間、私、地元の小泉市長とじっくり話す機会がありまして、まさにこれは成田空港にとって第二の開港である、そういうことを小泉市長もおっしゃっていました。

 ただ、やはり成田空港というのは内陸空港なんですよ、皆さん御承知のとおりね。ですから、騒音問題をいかに解決するか、この宿命を背負わされていると言っても過言ではないと思っています。

 度々大臣にはこの質問をしておるんですが、平行滑走路の飛行上の谷間の地域、東和泉地区と新川地区、この二つの地区は、元々、成田空港が閣議決定する前から住民の方が住んでいらっしゃるんですよね。成田空港ができたことによって、もう騒音で苦しめられているわけですよ。残念ながら、移転対象地域にならないので、移転希望を出しても国が面倒を見てくれない。だけれども、周りのところだけがどんどん移転されて、まさに孤立集落になっているんですよ。

 ですから、今の法律でできないというのじゃなくて、発想の転換で、こういった、もう空港の開港を決定する前から住んでいる人たちのためを思って、その人たちを救うために、どういう知恵を出せば移転できるか、そういう住民に寄り添う政治判断というのが私は必要だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 この問題は、谷田川委員から何回もといいましょうか、三回目ではないかと思いますが、御質問をいただいているところでございます。その問題意識は非常に私も共有するところでございます。

 A滑走路とB滑走路の飛行経路のはざまにある東和泉地区や新川地区につきましては、法律に基づく移転補償の対象ではありませんが、いわゆる成田方式として、住宅防音工事への助成など、きめ細やかな対策を実施しているところでございます。

 一方、成田空港では滑走路の新設などの更なる機能強化を進めており、これに伴う用地取得等の業務に伴い、成田空港会社は土地利用ニーズに関する多くの情報に接します。委員御指摘の地区に関する土地利用ニーズがあれば関係者に情報提供を行うよう、成田空港会社に促してまいりたいと考えております。

谷田川委員 以前の答弁よりもちょっと一歩前に進んでいるのかな、そういうふうに私は今思いましたが、この問題については、四者協議の場で小泉市長が取り上げると言っておりますので、是非、国の前向きな対応をお願いしたいと思っております。

 そして、もう一つの問題、この間の十一月の国交委員会で私は取り上げましたが、下総の高倉地区の問題なんですね。

 皆さん、お手元の資料一を見ていただきたいんですが、高倉地区というのは、緑のところの先っぽの方にちょっと丸いところがありますよね、ここが高倉地区です。

 二千五百メートルの延伸時のとき、この高倉地区の皆さんは、自分たちの自宅を売って移住したんですね、転居したんですね。それで、このときに、もし最初から三千五百メートルの計画だということであれば、この赤いところ、ピンクのところ、ここに農地があれば、移転したときに一緒に買ってもらえたんですよ。ところが、二千五百メートルの延伸のときは、ここに土地を持っていても買ってもらえないんですよ。だから、三千五百メートルの延伸が決まった段階で売れば、一緒に買ってもらえるんですよ。そうすると、最初から、じゃ、協力しましょうといって先に売っちゃった人は、三千五百メートルの延伸時まで待てば買ってもらえたんだけれども、自宅を移転してしまったら対象にならないんですよ。だから、私は非常に理不尽だと思っているんです。

 簡単に言いますと、資料二を見ていただいて、簡単にその経緯を申し上げますと、皆さん御承知のとおり、二〇〇二年のワールドカップに、目指すために、当初、成田空港というのは、三本の滑走路、A滑走路、B滑走路、そして横風用の滑走路と、三つあったんですよね。ところが、横風滑走路はこれはなしになって、それでB滑走路の二千五百メートルを造ろうとしたんだけれども、しかし、残念ながら、南側の方の住民が買収を拒否したもので、なかなか二千五百メートルの滑走路ができないということで難儀して、暫定的に、二千百八十メートルでB滑走路の供用が始まったんですね。

 でも、二千百八十だとちょっとやはり短い、何とか二千五百にしてくださいということで、高倉地区の住民の皆さんは、空港から頼まれたらしようがないなと思ったんだけれども、そのときに、二千百八十メートルから二千五百になったんだから、また二千五百から更に北側の方に延伸されるんじゃないですか、そういう質問をしたというんですよね。それに対して空港会社は、いや、これ以上の北伸の計画はありませんとはっきりおっしゃったんですよ。

 去年の十一月に私はこの問題を取り上げて、平岡航空局長は、成田空港会社にその経緯を聞いたけれども、住民にそういったやり取りをしたという認識がない、空港会社は、そうおっしゃったんだけれども、私は改めて成田空港会社の担当者に聞いたら、空港会社が国交省に回答したのは、もう十数年前の話なので、当時の担当者は記憶がありませんと言ったんですよ。認識がないというのと、記憶がありません、微妙に違いますよね、ニュアンスが。

 それで、私は、今の経緯を説明したように、二千百八十メートルから二千五百メートルの延伸が実施されたので、住民から二千五百メートルの延伸の段階で更に北側に延ばす計画はないのかと聞かれれば、空港会社の人は、ありませんと答えるのは当然ですよね。その時点で計画がなかったんだから。だから、住民の皆さんが結果的に空港会社からだまされた、そう思うのはやむを得ない、仕方ないと思うんですけれども、平岡航空局長はどう思われますか。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 B滑走路の三千五百メートルへの北側延伸は、二〇一三年十一月から開催いたしました交通政策審議会首都圏空港機能強化技術検討小委員会において国としての検討を開始したものであり、二〇一八年三月に四者協議会において合意したものでございます。

 このことから、高倉地区の住宅の移転を行っていたとき、これは二〇〇八年五月から二〇一二年三月でございますけれども、このときにB滑走路の三千五百メートルへの北側延伸は計画されておりませんでしたというのが事実関係ということで思っております。

 しかしながら、成田につきましてはこれまでの長い歴史と経緯があり、地域の方々が様々な思いを抱いている点につきましてはしっかりと受け止めさせていただきたいと思います。

 国土交通省としては、引き続き、地域の皆様の声をよく聞き、真摯に受け止めながら、空港の発展と地域の生活環境の保全との両立に取り組んでまいりたいと考えております。

谷田川委員 丁寧に答えているようで、中身は余り言っていないような気がするんだけれども、今のは。

 正直言って、大臣はお目通しいただいたか分からないんだけれども、平成三十年の一月に、高倉地区の住民の皆さんが当時のNAAの夏目社長に対して要望書を提出しているんですよ。その文書の中にこう書いているんですよ。これだけの大規模な計画、つまり三千五百メートルの延伸ということですよね、私たちと交渉する中において、既定路線であったと思われます。そのことに全く触れず、小出しに対策を打ち出し、私たちを地域から追い払うようなやり方に対し、これまで築かれてきた空港会社との信頼関係も根底から崩れ去りましたと。こういう強い表現で住民の皆さんは批判しているんですよね。

 私は、だから、さっき申し上げたように、空港と地域の共生がうたわれた以上、こういう感情を住民に持たれること自体、私はおかしいと思うんですよ。

 そこで、小泉市長とこの間会ったときに、二〇一八年の三月に四者協議会で合意した、四者協議会というのは国と県と地元市町村と空港会社、この四者協議の場で、空港機能強化について是非合意いただきたいということで、二〇一八年三月に同意されたんですね。小泉市長は、この高倉地区の問題を分かっていれば、この四者協議の場で、最初から三千五百メートルの延伸であった、そういう計画に基づいてやってもらいたいという条件をつければよかったと、そう後悔されているんですよ。

 私は、ある意味でこれはもっともな考えだと思うんですが、斉藤大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法、長い法律ですが、いわゆる騒特法に基づく土地の買入れ制度は、航空機の騒音障害を防止するため、地区内の農地などの土地の存在が住宅の地区外への移転の妨げとならないようにするために設けられた制度であります。この騒特法の趣旨に鑑みれば、委員御指摘のように、既に住宅が地区外に移転している場合において、地区内に残っている農地を買い入れることは困難であると考えております。

 一方、成田空港では滑走路の新設などの更なる機能強化を進めており、これに伴う用地取得等の業務に伴い、成田空港会社は土地利用ニーズに関する多くの情報に接します。委員御指摘の地区に関する土地利用ニーズがあれば関係者に情報提供を行うよう、成田空港会社に促してまいりたいと考えております。

谷田川委員 ちょっと正面からお答えいただけなかったと私は思うんだけれども、この問題も四者協議の場で小泉成田市長が取り上げると言っておりますので、先ほどの東和泉、新川地区の問題と、ほかにも地区はあるかもしれないけれども、それからこの下総の高倉地区のような問題、これは是非、四者協議の場でしっかり議論して、小泉市長が言うような要望が実現するように私は尽力いただきたいということを重ねて強く要望させていただきます。

 じゃ、次の横田空域について質問させていただきます。

 せんだっての月曜日、決算委員会で、私、斉藤大臣ともやり取りをさせていただきました。皆さん、資料三を見てください。

 過去に私、二年ほど前から、二〇〇八年の六月の当時の冬柴国交大臣の下の鈴木航空局長は、全面返還に向けて関係省庁と協議して努力してまいりますと、はっきり全面返還という言葉をうたっているんですね。ところが、二〇〇八年の九月に第八回目の横田空域の返還が行われて以降、政府は全面返還という言葉を使わなくなったんですよ。おかしいじゃないですか。私が質問主意書を出しても、何ら変わりないということだったので、この間、決算委員会で指摘したんですが、その結果、一応、政府の統一見解というのが資料三に出てまいりました。

 いわゆる横田空域については、全面返還という文言は、あたかも当該空域を米側に提供していると誤解を与えかねないため、政府として、当該空域を一元的に管制できるようにという文言を用いるようになったと。

 これはある意味で、私は、政策変更と認めたんですよ。表現は違うといっても、やはり大きいですよ。皆さんもそう思いませんか。全面返還というのと一元的管理を目指しますというのは、何となくトーンダウンしたと思いませんか、皆さん。まさにこれは政策変更ですよ。でも、こうやって統一見解を出していただいたのでいいんだけれども。

 それで、ちょっともう時間がないので、今日は外務省の方、おいでいただいたんだけれども、時間があれば最後にやるけれども、大臣、政府の方針に何ら変わりないとこの間おっしゃったけれども、大臣は正直に、大臣就任以来、アメリカ政府高官と何回か会談しているけれども、横田空域について話題にしたことはないと。話題にしないこと自体、私は、何か方針が変わってしまったと思うんですよ。少なくとも、全面返還に向けて努力する、やはり、たゆまぬ努力が必要だと思うんですよ。英語で、たゆまぬ努力はノンストップエフォートと言うそうですよ。残念ながら、二〇〇八年の九月に返還されてから何か努力がストップしてしまった、私はそういう認識なんですよ。

 もう一つちょっとつけ加えると、三ッ矢憲生衆議院議員、御存じですよね。運輸省にお勤めで、自民党の衆議院議員だった方、あの方がこうおっしゃっているんですよね。月刊日本という雑誌の三月号に、「日本の空であるにもかかわらず米軍の指示に従わなければならないということは、アメリカに空を占領されている」「ことであり、日本の主権が侵害されているということです。日本人は戦後、アメリカから独立したと思い込んでいますが、実はいまも占領状態が続いているのです。」ここまではっきりおっしゃっているんですよ。恐らく、自民党の議員の方も同じような思いをされている方は多いと思いますよ。

 だから、大臣、二〇〇八年当時と政府の方針に何ら変わりないというのならば、やはり国交省の総力を挙げて、横田空域、返還してもらうためにはどうしたらいいか知恵を絞るべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 国土交通省は、一貫して、この横田空域を含む空域の管制を一元的に管理する、国土交通省が一元的に管理する、その方向を目指して頑張っているところでございます。

 三ッ矢委員の記事も、論文ですかね、御指摘いただいたので読ませていただきましたけれども、これは三ッ矢委員の御見識だと思います。

 全面返還というのは、要するに一元的管理を日本がするということでございますので、この一元的管理に向けて努力していきたいと思います。

谷田川委員 残念ながら、どうも国交省の方、外務省に言われると何か遠慮しちゃう、そういう気がしてならないんですよ。今日は外務省の方が来ているけれども、結構外務省が大きな壁になっている、そんな気がしてならないんですよ。三ッ矢さんも、この文書の中で、アメリカに駐在したとき、この横田空域に関する問題は、あえて大使館を通さずに直接、当時の運輸省か国交省に連絡したというんですよね。外務省に連絡すると邪魔されるんじゃないか、そんなことも書いてありますよ。

 ですから、是非、問題意識を持っている役人の方は多いはずだ、そう三ッ矢さんはおっしゃっている。国交省の中で、横田空域を本当に返してもらいたい、そう思っている人はたくさんいると思うんですよ。そういう人たちを集めて、組織でもつくって検討させる、そういうことまでやってもらいたいと思いますよ。

 ちょっと時間がないので、最後の質問に行きたいと思うんですが。

 去年でしたよね、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律を改正する件で、要はローカル線の存続問題なんですけれども、その法律の附帯決議の中で、いわゆる再構築協議会、そのメンバーについてこのような附帯決議がなされているんですよ。「再構築協議会の構成員については、地域の実情に応じて住民、労働者、物流事業者等を含めることとし、多様な意見が反映されるようにすること。また、少数意見等の反映されない意見等を継続的にくみ取るための更なる仕組みづくりについて検討すること。」こうあるんですね。これはもう全会一致で、附帯決議が可決されました。ですから、この委員会の総意ですよ。

 それで、芸備線の再構築協議会というのが設置されましたけれども、構成員の中に住民や労働者が含まれているかどうか、大臣に答弁いただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど谷田川委員からございましたように、この委員会においての附帯決議を尊重し、基本方針におきまして、沿線住民、高齢者や障害者を含む地域公共交通の利用者、学識経験者、労働者等の主体が考えられ、地方公共団体や鉄道事業者の意見を聞きつつ、地域の実情を踏まえて選任する、このように基本方針に書いたところでございます。

 芸備線再構築協議会の構成員は、この基本方針に基づき、国において沿線自治体の意見を聞いた上で、国のほか、岡山県、広島県、新見市、庄原市、広島市、三次市、JR西日本、岡山、広島両県のバス協会、警察本部、学識経験者としております。

 御指摘の住民や労働者といった立場の方は構成員に含まれておりませんが、基本方針においては、利用者のニーズを把握する方法として、公聴会、ヒアリングを行う、又は別途住民説明会を行うなど、地域の実情に応じて適切な方法を選択することとされております。

 今後の協議に際しましては、住民や労働者の方々も含め、関係者の意見を適切に把握できるよう取り組んでまいりたいと思います。

谷田川委員 是非よろしくお願いします。

 ちょっと一分ぐらい時間があるので、せっかく宮本大臣官房参事官が来ていただいているので。

 東京都が毎年、要望書を政府に提出しているんですよ。その中で、横田空域に関して、日米両政府による横田空域全体のあり得べき返還に必要な条件の検討結果を明らかにすること、こう毎年毎年要望しているんですけれども、本当にナシのつぶてだそうですよ。これはやはり検討結果を明らかにすべきだと思うんだけれども、メインはやはり外務省だと思うので、宮本参事官、答弁をお願いします。

宮本政府参考人 御質問にお答え申し上げます。

 まず申し上げますのは、一般論といたしまして、日米地位協定の運用を含む日米間の様々な外交上のやり取りについては、相手国との関係はあるものの、国民の皆様に丁寧に説明を申し上げるという観点から、公表できるものは公表する、そのために努めていくということが望ましいというふうに考えております。

 二〇〇六年のロードマップに関しましてですけれども、御指摘いただきましたが、このロードマップに基づく横田空域全体のあり得べき返還に要する条件に関する日米間の検討につきましては、既にしかるべく完了してございます。

 他方、この検討に関しましては、日米の間で、民間及び軍事上の所要の将来の在り方を満たすような、関連空域の再編成や航空管制手続の変更のための様々な選択肢に関する包括的な検討の一環と位置づけられておりまして、軍事上の所要にも関わることから、この結果をお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。恐縮でございます。

谷田川委員 そのような答弁だろうと思っておりましたけれども、先ほど言ったように、政府の統一見解、やっと出てきましたけれども、これは明らかに私は政策変更と認めますよ。質問主意書の回答に対して、何ら変わりないというのは、私はおかしいなと思いますよ。

 もう少し、議員が言ったことに対して、質問に対して正面から答えていただくことを心から要望しまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

長坂委員長 次に、高橋英明君。

高橋(英)委員 おはようございます。日本維新の会・教育無償化を実現する会の高橋英明でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 まずは、今日はETCのことからお聞きしたいと思います。

 政府もこのETCの普及には力を入れていると思いますけれども、特にバイクなんですけれども、高速道路会社が、補助金ですか、やっていると思うんです。去年、おととしと補助金を出しているんですけれども、今年はまだ何か回答が出てきていないらしいんですけれども、是非、政府は普及に力を入れているので、高速道路会社に働きかけをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今年度におきましても、ETC車載器購入助成につきまして、高速道路会社において検討を進めております。

 国土交通省としても、ETC専用化によるキャッシュレス化を計画的に推進しているところであり、引き続き高速道路会社と連携して、ETC利用率の向上に取り組んでおります。

 これまでも、年度途中からのスタートとなりました。今回も、今検討を進めておりますが、年度途中からのスタートになるかと思いますけれども、しっかりそうなるように高速道路会社に指導してまいりたいと思います。

高橋(英)委員 是非お願いします。

 それと、この助成金の額なんですけれども、自動車は室内に車載器を入れるので、雨だとかそういうのに当たる問題はないんですけれども、バイクだと、外部につけるので、雨とかほこりとかをもろに受けるんです。そうすると、同じETCの車載器でも、自動車とバイクでは金額が違うんですね。

 ですので、自動車と助成金の金額が同じというのはちょっと不公平だというふうに思いますので、是非、バイクに関しては、ちょっと助成金を自動車よりも多めに見直していただきたいと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 ETCの車載器助成でありますけれども、最大一万円ということで昨年度は助成させていただいています。

 今大臣から御答弁を申し上げたとおり、今年度の車載器助成について、対象車種とか、その内容また適用条件について、高速道路会社において現在検討を進めていると認識をいたしております。

高橋(英)委員 これは、金額が何か三倍以上違うらしいので、この辺の不公平感があろうかと思いますので、是非これは強く働きかけをお願いしたいというように思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、次に移りますけれども、外国人の住宅取得についてお聞かせ願いたいんです。

 これは私の地元の川口なんですけれども、四万三千人以上、外国人がいるんですね。これは在留資格を持っている人数のみなんですけれども、恐らく、仮放免だ不法滞在者とかを入れると、多分、六万人近くいるんじゃないかと言われているんですね。川口は人口が六十万人なんですけれども、一割が外国人という現実があるんですね。

 そして、以前も言ったかもしれませんけれども、駅から徒歩圏内の新しい建て売りとかができると、ほとんど中国の方が買うんです。駅から徒歩で行けないような離れたところを日本人が買うんですね。どんどんどんどん不動産価格が値上がりしちゃっているんですよ、建て売り価格ですね。その原因は、中国の方々がお金を持っているというのがあるんですけれども。このままでいくと、本当にえらいことになるなというふうに思っているんです。特に、駅近の小学校とかは、半分以上外国人という小学校が二つも三つもできているような状況なんですね。

 この点、大臣の意見をお聞かせ願いたいんです。

斉藤(鉄)国務大臣 外国の方の住宅取得という観点からの御質問かと思いますけれども、我が国が人口減少や少子高齢化に直面する中で、外国人の増加が見込まれるなど社会経済情勢は変化しつつありますが、住宅政策としては、外国人を含めて住まいの確保を図っていくことが重要だと思っております。

高橋(英)委員 中国の住宅は、もちろん日本人は買えないんですけれども、でも、日本の住宅は中国人の方が買えるというのは不公平だというふうに思うんですけれども、これは、何か規制等々はできないんでしょうかね。

斉藤(鉄)国務大臣 外国人の住宅購入の規制ということでございますが、先ほど申し上げたような、住宅政策としては、外国人を含めて住まいの確保を図っていくことが必要でございます。

 こうしたことを踏まえますと、外国人の住宅購入の規制については、適切な手段かどうか、慎重に検討する必要があると思っております。

高橋(英)委員 条約等々もあるんだと思いますけれども、条約は、見直しというのはできないんですか。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げれば、外国人又は外国企業によるサービス貿易や投資に関連いたします土地取得について内外差別的な規制措置を取る場合には、我が国が締結しているサービスの貿易に関する一般協定、これはGATSと申しますけれども、あるいは、その投資関連協定といった国際約束が規定する内国民待遇義務との関係において問題が生じる可能性のあることに留意する必要があると考えております。

 ただし、外国人又は外国企業によるサービス貿易や投資に関連する土地取得に対する規制措置であっても、内外無差別的な形で導入や実施されます場合には、我が国が締結しております国際約束との関係では基本的に問題が生じるものではない、このように考えております。

高橋(英)委員 国家の三原則の一つですよね、国土というのは。余りにも外国人に対する売買に対してハードルが低過ぎる。低過ぎるというか、これはハードルがないですね。というふうに思うので、是非前向きにこれは考えていただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 幅広い検討の中で、外国人の土地取得の問題等についての高橋委員の問題意識はよく理解をできます。

 ただ、住宅という狭い範囲で考えたときに、例えば住宅取得について、外国人だからということで取得制限を設けるというのは、私は慎重に検討すべきものだと、これは国土交通大臣としてではなく、個人の感想でございますが、そのように感じます。

高橋(英)委員 慎重でもいいので、検討していただきたいと思います。これは、実際に一度暮らしてみるとよく分かると思いますけれども、結構すごい状況かなというふうに思いますね。町会活動とか町内会にも支障が出始めるというように思いますので、是非これは前向きにお願いをしたいというように思います。

 次に、ちょっと順番を変えます。

 先日、おとといですか、設計労務単価について質問したんですけれども、余りにも実態と乖離し過ぎているという話をさせていただきました。これは、地元の業者にも聞いたんですけれども、例えば普通作業員は、私は埼玉なので、これを見ますと、二万四千三百円なんですね、単価が。実際、どのぐらい払われていると思いますか。これはもう昨日言ったからあれだけれども、大体一万五千円だそうです。二万四千三百円が、一万五千円が相場だそうです。これは余りにもかけ離れているというふうに思うんですね。それは抜き過ぎだろうと言ったんですけれども、そうしたら、いや、この単価でもう目いっぱいだと言うんですよ。なぜかと聞いたら、要は、歩掛かりがやはり合っていない工事が多々あると言うんですね。

 ちょっとお聞きしたいんですけれども、この歩掛かりは何を根拠に出しているのか、お聞かせください。

林政府参考人 お答えいたします。

 予算決算及び会計令第八十条では、予定価格は取引の実例価格、需給状況等を考慮して適正に定めなければならないとされており、国土交通省では、設計労務単価や土木工事標準歩掛を用い、発注工事の予定価格を算出するとともに、これらの単価や歩掛かりを自治体にも参考送付しているところです。

 土木工事標準歩掛については、毎年、国、都道府県等の工事を調査し、標準的に用いられる機械、労働力、材料等の規格や所要量などを百二十四工種ごとに設定しているということになってございます。

 適正な賃金水準を確保するために適切な価格で発注することは重要であると考えておりまして、引き続き、最新の実態が反映されるよう、丁寧に調査を行い、標準歩掛かりの見直しを行ってまいります。

高橋(英)委員 これは、ある意味、労務単価なんかよりも、こっちの方が重要だと思うんですよね。これは本当に、全国平均じゃないですけれども、労務単価、ピックアップして聞けばいいという話じゃないと思うので、この歩掛かりは。しっかりと現場を見て、本当にこの工事にはどのぐらい、何人工かかってというのをやはり出さないと、これはどうしようもないと思うんですよね。実際にやって、三十人工かかるところが二十人工しか見なかったら、幾ら労務単価を上げたって無理ですよね。この業界の賃上げですか、これは両方でやっていかないと絶対駄目ですよね。労務単価と歩掛かり、これは常にきちんと見ていただきたいんですけれども、この点、大臣、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 この間もまさにこの点で議論させていただきましたけれども、私の認識では、公共工事の設計労務単価は、国、若しくは、いわゆる公共工事の実際の工事から調査をしておりますので、実態に近いのではないか、このように思っております。

 ただし、この間もございましたように、町場の民間工事においてかなり乖離がある、こういう認識は我々も持っております。そういう乖離を防ぐためにも、今回、建設業法の改正をお願いをさせていただきましたけれども、この法律を徹底することによりまして、施行することによりましてその乖離をなくしていきたい、このように思っております。

 公共工事につきましては、そんなに、町場ほどの乖離はないというのが私の正直な認識です。

高橋(英)委員 大臣、公共工事の業者に聞いたんですね、一万五千円というのは。これが実態なので、本当に公共工事がこの業界を引っ張っていっていただかないと町場は続けませんので、是非これはしっかりと見直しをしていただきたいと思います。両方見ないとこれは絶対駄目なので、是非お願いいたします。

 町場という話が出たので、ちょっと町場の話をしたいと思うんです。

 施工体制台帳、これは七千万以上の工事から作るようになっているかと思うんですけれども、例えば、建て売り業者だとかハウスメーカーだとかは、結構な規模で開発しますけれども、一戸当たりを見ると、土地代を含まないから、七千万なんていかないんですよね。でも、全体の工事というのはすごいですから、きちんとハウスメーカーなり建て売り業者にもこの台帳は作らせた方がいいというふうに思うんですが、いかがですか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 施工体制台帳の作成は、下請業者を多く使う工事において、元請業者が二次以下の下請業者も含めまして施工体制の全体をきちっと把握していただく、それを下請指導に生かしていただくというために作成をしていただくことにしているものでございます。

 先生が今おっしゃられた建て売り住宅の開発などを行うような建設工事の場合は、工事の発注が一戸一戸されているのか、全体で一つで発注されているかにもよると思いますけれども、複数まとめて全体が発注されているという場合には、それが一つの建設工事の契約ということになりまして、その一つの工事の契約をどれぐらい下請業者にお願いをしているか、その下請業者にお願いしている金額が七千万円を超えるという場合であれば、台帳の作成義務があるということでございます。

 したがいまして、今先生がおっしゃられた複数の建て売り住宅を一つで契約しているという場合には、通常は施工体制台帳を作成する義務のある対象になるのではないかというふうに思われます。

高橋(英)委員 聞いたことがないんですね、施工体制台帳を作っているというのは。町場では、私はちょっと聞いたことがないので。

 やはり戸建て住宅でも職種は多いですからね、はっきり言って。いろいろな職種が入ってくるので作った方がいいし、また、どのぐらいの金額で請け負わせているのかという、台帳に金額も明示した方がいいと思いますけれども、この点はいかがですか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅等の工事においてはいろいろな工種が入るというのはおっしゃるとおりだと思います。元請の立場から見て、下請業者の把握が容易か容易でないかというところで施工体制台帳の作成の義務が生ずるかどうかを決めているということでございます。通常、一つの戸建て住宅を造る場合には、その比較的狭い範囲で、元請が把握が容易にできるということが想定をされますので、下請の金額が余り多くない場合には施工体制台帳作成の義務までは課していないということでございます。

 それから、金額の記載ということでございますけれども、現在も、元請業者と一次の下請業者の間で結ばれている契約につきましては、これは元請業者として、自分が契約の当事者でございますので、その金額については当然把握をしておりますし、台帳の中の添付書類の中にも必ず位置づけていただくということでございます。

 逆に、二次以下の契約を全て元請の立場から確認ができるようにするということにつきましては、例えば、一次の業者が幾らで二次にお願いしているかということが分かり、結果として、一次の業者がどれぐらいの利益を上げようとしているかということが元請の方から丸見えになるということになって、そうしますと、一次下請業者に対して、もっと利益を少なくしてもいいんじゃないかというような、そういう働きかけがあることを非常に心配する業界の声もありまして、現在は、二次以下のところは金額は対象にしないということにしているところでございます。

高橋(英)委員 建て売り業者だと、発注者イコール元請みたいなものなので、これは二次下請まで恐らくいかないですよ、安過ぎるから。これは手間の金額をきちんと上げていくというのが目標なんだから、やはり金額をしっかり台帳に記載をすれば、台帳を見れば分かるわけだから、是非その辺は推し進めていただきたいというように思います。

 もう時間が来てしまいましたので今日の質問はこれで終わりにさせていただきますけれども、とにかく、外国人の土地取得、よろしくお願いします。

 以上です。

長坂委員長 次に、三木圭恵さん。

三木委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の三木圭恵です。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。斉藤大臣、よろしくお願いいたします。

 早速質問に入らせていただきます。

 国家安全保障戦略では、総合的な防衛体制の強化の一環として、自衛隊、海上保安庁による国民保護への対応、平素の訓練、有事の際の展開等を目的とした円滑な利用、配備のため、自衛隊、海上保安庁のニーズに基づき、空港、港湾等の公共インフラ整備や機能を強化する政府横断的な仕組みを創設する、あわせて、有事の際の対応も見据えた空港、港湾の平素からの利活用に関するルール作り等を行う、これらの取組は、地方公共団体、住民の協力を得つつ、推進すると記載されています。

 これを受けて、二〇二三年八月二十五日には、何かすごく長い会議の名前なんですけれども、総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備に関する関係閣僚会議の第一回会議が開催され、二〇二四年四月一日には第四回目、これは持ち回りで開催されているようなんですけれども、五空港及び十一港湾について、インフラ管理者との間で円滑な利用に関する枠組みとして、確認事項を確認するに至ったことから、これらの空港、港湾を特定利用空港、港湾に指定することが確認されたと承知しています。

 まず、お尋ねしたいのは、指定された空港、港湾に関して、自衛隊、海上保安庁が利用しようとした場合、空港の場合は滑走路長が十分に確保されているのか、港湾の場合は岸壁長や深さが十分に確保されているものかどうか、また、今後の整備方針についてもお伺いしたいのと、あわせて、今後、五空港十一港湾にとどまらず拡充していく、数を増やしていくという予定等があるのかについてお尋ねしたいと思います。

 空港の利用に関しては、長崎、福江、宮崎、那覇、北九州と、南西方面に限っているように見えますが、今後の展開などを教えていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、国家安全保障戦略におきましては、総合的な防衛体制の強化の一環として、自衛隊、海上保安庁のニーズに基づき、空港、港湾等の公共インフラの整備や機能を強化する政府横断的な仕組みを創設することとされております。

 これを踏まえまして、自衛隊、海上保安庁が平素から必要な空港、港湾を円滑に利用できるよう、インフラ管理者との間で円滑な利用に関する枠組みを設けた特定利用空港、港湾において、民生利用を主としつつ、必要な整備や既存事業の促進を図っていくこととし、本年四月、五つの空港と十一の港湾、合計十六を特定利用空港、港湾としたところであります。

 今後、これらの空港、港湾においては、民生利用を主としつつ、自衛隊、海上保安庁の円滑な利用にも資するよう、空港の滑走路延長やエプロン整備、港湾の岸壁整備や航路整備などに加え、それぞれの既存事業を促進することによって、空港、港湾の利便性の確保や機能の強化を図ってまいります。

 また、議員の方から、今後の計画でございますけれども、これにつきましても、今後また政府内で検討してまいりたいというふうに承知をしております。

三木委員 計画をしようとしているということで、また今後拡充されていくということでよろしいんですか。

藤原政府参考人 はい、今後、その点も含めまして、政府内でまたしっかりと議論してまいりたいと考えております。

三木委員 特定空港、特定港湾に指定する中で、よく聞かれる御意見なんかがあると思うんですけれども、有事において、特定空港、港湾に指定されることによって攻撃目標となってしまうのではとかと心配されることもあると思うんですけれども、この枠組みを設けることによって、自衛隊、海上保安庁の平素の利用に大きな変化はなく、このことのみによって攻撃目標とみなされる可能性が高まるとは言えない。民生利用を主としつつ、自衛隊、海上保安庁の艦船、航空機の利用にも資するよう、必要な整備又は既存事業の促進を図るため、予算を優先的につけるということ、それにより今後の航空需要の回復や増大に寄与すること、整備がなされることにより安全、安心が確保されること、一定規模の空港、港湾は、国民保護の観点から国民の避難にも利すること、また災害にも強い地域とつながること等、しっかりと自治体や地元住民に御説明くださることを要望といたしたいと思います。

 こういった説明や広報が住民の安心につながって、そして、訓練などが順当に行われて国の守りを堅固なものにしていくと思いますので、防衛省と協力しながら鋭意取り組んでいただきたい、これは国交省に対する要望とさせていただきます。

 通常、空港の利用は条例などで決められており、夜間使用は許可制となっていますけれども、それ以外は届出制が採用されているため、管理者たる自治体には、最終的には拒否する権限があるわけではないけれども、自治体の政策として自粛要請などを出して、これに応じずに利用すると、なぜ自粛要請を無視するのかと問題視される傾向があります。

 必要な平素の訓練や有事の際の展開等は国民保護の観点からも重要であると考えますけれども、国交省の見解をお伺いします。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 一般論として申し上げますけれども、空港につきましては、空港法におきまして、公共の用に供する飛行場と定義されており、不特定多数の者の使用が想定されているというところでございます。

 このため、空港管理者等が、管理上の理由により、一定の航空機の利用形態を制限する場合もございますが、原則としては、空港管理者等に対して届出をすれば使用することが可能ということになっております。

三木委員 空港以外に港湾の方も御説明いただけるというふうに思うんですけれども、港湾の方はいかがですか。

稲田政府参考人 港湾につきましても、空港と同じように、原則は同様でございます。

三木委員 国が管理している空港というのは、国交省が空港管理者となっているわけでございます。今回の五空港のうち四空港は国の管理下にある空港ですので、国交省は、空港の施設の円滑な利用に関する確認事項に基づいて適正な管理をしなければならないと思うんですね。

 この確認事項は、空港における空港の施設の円滑な利用に関する確認事項として資料に上がっておりますけれども、空港の空港管理者である国土交通省は、平素において自衛隊、海上保安庁の運用や訓練等による空港の施設の円滑な利用について、空港法その他の関係法令等を踏まえ、適切に対応する、また、国土交通省は、国民の生命財産を守る上で緊急性が高い場合又は航空機の飛行の安全を確保する上で緊急性が高い場合、武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態を除く、であって、当該空港の施設を利用する合理的な理由があると認められるときに、民生利用に配慮しつつ、防衛省、海上保安庁と緊密に連携しながら、自衛隊、海上保安庁が柔軟かつ迅速に施設を利用できるよう努める。国交省がこれは主語になっているんですよね。

 国交省が主語になっているんですけれども、これを軍事利用していると非難があったりとか、自衛隊が訓練をしたら、自粛要請がされているのになぜ訓練するんですかとかということは、主に防衛省がやはり責められていると私は思うんですけれども、でも、この確認事項の中では国交省が主語になっているので、こういうことに対して国交省はどのように対応していくというふうにお考えなんでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 自衛隊による空港、港湾の利用が円滑に進まなかったということにつきまして、今般の総合的な防衛体制の強化に資する公共インフラ整備の取組におきましては、インフラ管理者と国との間で円滑な利用に関する枠組みを設けることとし、これら枠組みを設けた空港、港湾を特定利用空港、港湾としているところでございます。

 この枠組みによりまして、自衛隊や海上保安庁とインフラ管理者との間で柔軟かつ迅速に施設を利用できるよう、国土交通省が調整して、利用できるように努めていくということになります。

三木委員 やはり海上保安庁が利用するというのと自衛隊が利用するというのでは、大分受け止め方が違うんですよね。だから、防衛省の方が、一生懸命、訓練のため、国民の保護、安全のためやっていると言っても、結構やはり非難、住民の方から不安の声が出たりとか心配の声が出たりとかということがあると思うんですね。

 ですから、これは国交省の方で、大臣の方で頑張っていただいて、住民の方に理解をしていただくように、また、自治体とも円滑にできるような確認事項も結んでおられるので、是非とも国交大臣としてしっかりと取り組んでいただきたいと思うので、もう一度決意の方を改めてお伺いしてもよろしいでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今回の決まりました十六の特定利用空港、港湾のインフラ管理者との連絡調整体制の構築、それから整備事業を進めるなど、引き続き、自治体等との調整を丁寧に行い、公共インフラ整備の取組を進めてまいりたいと思います。

 先ほど来局長が答弁しましたように、基本原則は、公共の用に供するということで、みんなが使えるということになっておりますが、管理者の了解を得ないで使うということは現実的には非常に難しい場合があって、なかなか自由に使えないという事例もあると聞いております。

 そういう中で、これらの空港、港湾に責任を持っております国土交通省が、しっかり自治体と、また自衛隊との間の連絡調整も行わせていただきながら、今回の新しい体制の精神にのっとって頑張っていきたい、このように思っております。

三木委員 ちょっと三番目の要旨とかぶってしまうんですけれども、自治体自体が軍事利用禁止を掲げて、緊急時以外使用を認めないというスタンスを取っているところがあったりとか、自治体ではなくても、各種団体との関係から迷彩機の利用を拒否するとか、事実上、平等な利用が妨げられるということが、円滑な利用に関して起こっているという事象があると思うんですね。

 国交省、これはどのように今後対応していくのか。今、国交大臣の方から、きっちりやっていくというふうにお伺いしたんですけれども、一つには、やはり地方自治体の、平素の枠組みであるこの取組に対して理解が深まっていないんじゃないかなと思うんですね。

 これは、武力攻撃事態等が認定される場合というのと全く状態が違うわけでございますから、武力攻撃事態等が認定される場合というのは、特定公共施設利用法の適用となるので、国管理以外の空港、港湾の管理者に対して政府が優先利用の要請を行う枠組みが存在しているわけですけれども、平時の枠組みであるこの取組では、やはり国交省の力を発揮していただいて、円滑に利用が促進されるようにお願いをしたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 次に、青函トンネルの輸送についてお伺いをします。

 北海道と本州を貨物輸送する場合には、青函トンネルの通過が必須になってきます。これによらない場合は空輸又は海上運送となるわけでございますが、貨物の運送の重要性というのは常々大臣もよく御存じのことと思います。

 青函トンネルを利用する場合は、国交省の通達で、火薬類の輸送が厳しい基準で制約されている、事実上、ほぼ輸送できない状況にあるというふうに聞いております。青函トンネルの危険品貨物運送約款には、北海道から本州、九州に貨物が燃料や弾薬を運ぶ際、火薬、弾薬、揮発油、鉱油、原油に非常に厳格なルールが付されている。

 確かに、青函トンネルは長いトンネルでございますから、安全のために、火災が起きては絶対にいけないという慎重な対処を取ることは致し方ないこととは思うのですけれども、有事においてまで同じ規約で、通達でよいのかというふうに考えますが、国交省の見解をお伺いします。

斉藤(鉄)国務大臣 鉄道における火薬類の運搬に関しては、火薬類運送規則におきましてその基準を設けておりますが、青函トンネルにおいては、長大な海底トンネルという特殊性を踏まえ、安全確保を万全なものにするため、この規則に加えまして、より厳しい内容を求めております。

 このような厳しい内容を求めているのは、万一の事故などが発生した場合、トンネルの構造に回復不能な損害を与えるおそれや、人命の安全性が著しく阻害されるおそれがあるためでございます。したがって、仮に輸送制限の緩和を検討するに当たっては、これらの安全性に関する懸念を払拭する必要があると考えております。

 いずれにいたしましても、国土交通省としては、仮に有事となった際の火薬類の輸送の在り方については、先ほど述べたような安全性に関する懸念も踏まえつつ、防衛省と連携して対応してまいりたいと考えております。

三木委員 随分前向きなお返事をいただいたというふうに考えております。

 今、台湾有事に備えて、自衛隊というのは南西方面に重きを置いている状態だとは思うんですけれども、北方においても、オホーツク海の辺りにロシアの艦船があったりとか、そういったことは確認されていると思いますので、何が起きるか分からないという状況にあるのは事実だと思うんですね。

 武力攻撃事態等の際には、そういった特例みたいなものを設けることも必要ではないかと思います。武器弾薬は機密情報だから、どこにたくさん備蓄されているかということは分からないと思いますので、仮に有事となった際に、貨物で武器や弾薬を素早く運ぶ必要性というのは出てくると思いますので、是非そこら辺のことを検討をいただきたいと思います。

 今、防衛省と鋭意相談をしながら検討していくというふうなお返事だったんですけれども、もう一歩踏み込んでお返事をいただけたらと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 もう一歩踏み込んでということでございますが、先ほど申し上げましたように、安全性に関する懸念がございます、また、一旦事故が起きると、その影響も非常に甚大だということもございます。そういうことも踏まえつつ、防衛省と連携して対応してまいりたいと考えております。

三木委員 すごくいいお返事をいただいているので、有事の際はそうだということなんですけれども、平時も、これはちょっと私は欲を出してお願いをするんですけれども、火薬は十キロ以下、弾薬は五キロ以下、揮発油は百リットル以下、鉱油、原油は五十リットル以下というふうに非常に厳格に、厳しい、少ない量しか運べないということになっているので、これはもう少し緩和していただくということはできないんでしょうか。これは別に政府参考人の方でも結構です。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 平時におきましては、先ほどから大臣がお答え申し上げているとおりでございまして、このような特殊性に鑑みまして、特に厳しい安全の内容で貨物輸送を求めているところでございまして、有事の際はこれをどうするべきかということについては、別途、防衛省とも議論をしてまいりたいというふうに考えております。

三木委員 それはそうなんですけれども、余りにも厳しいと、やはり平時のときにも支障が起きるのかなというふうに私は考えます。

 また、新聞のニュースなんかにも、ラピダスが半導体の工場を北海道の方に誘致しようとしても、この半導体の会社が使っている薬品とかそういったものがこういう危険品にひっかかってしまう、だから、日通なんかは、それを踏まえて航路を開発したりとかしていこうという動きがあると思うんです。

 やはりちょっと厳し過ぎるのはどうかなというふうに思いますので、北海道の発展のためにも、是非とももう少し緩和をしていただけたらなというふうなことを要望いたしまして、質疑時間が終了いたしましたので、終わらせていただきたいと思います。

 斉藤大臣、前向きな御答弁をありがとうございました。

長坂委員長 次に、菅家一郎君。

菅家委員 自民党の菅家一郎です。

 質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 大臣がいないのは残念ですけれども、副大臣、よろしくお願いします。

 まず初めに、資料の一枚目、首都直下型地震の被害想定、これは平成二十五年十二月、内閣府の資料ですが、これを見て愕然としましたね。

 予想は、マグニチュード七・三、全壊・焼失家屋、最大六十一万棟、死者、最大で二万三千人、要救助者、最大七万二千人、避難者、最大七百二十万人、物資の不足、食料、最大約三千四百万食、これは一週間延べ数というわけでありますから、やはりこれは深刻な我が国の課題だ、このように思います。

 やはり一つは分散ですね、一極集中を是正するということが重要だ。これは国土形成計画の中にも、三つの柱の一つに、安全、安心な国づくりに位置づけされている。

 三枚目は、それを踏まえて、国交省として、東京一極集中の是正、地方と東京とのウィン・ウィンの関係の構築。この中には、人口や諸機能が分散的に配置される国土構造の実現、政府機能等の中枢管理機能のバックアップの強化などが示されているわけです。

 ただ、なかなか是正が進んでいない。逆に、一極集中が進んでいるということが今の現状だ。この点についてと、もう一点は、やはりこれだけの災害が予想されるに当たって、今からしっかりとそれに備えていく。火災においても、六十一万棟、どうするのか。亡くなる方よりも要救助者七万人、これは医療関係でしょう、どうするのか。避難者、これは七百万人ですよ。食料もそうです。こういったものを今からしっかりと、一極集中是正と、これへの備えをすべきであるが、国交省としての所見を伺いたいと思います。

國場副大臣 東京への人口や諸機能の過度な集中による弊害として、地方の活力喪失や首都直下地震等の巨大災害時の甚大な被害リスクが挙げられます。

 昨年七月に閣議決定された国土形成計画においても、こうした東京一極集中の弊害に鑑み、国土全体にわたって、広域レベルでは人口や諸機能が分散的に配置される国土構造を目指すとともに、人口減少下において地域の持続性を高めるため、高次の都市機能から、生活に身近な地域のコミュニティー機能まで、重層的な生活、経済圏域の形成を図ることとしております。

 このための国土構造として、各地域の生活、経済圏の階層ごとに、諸機能を多様な地域の拠点に集約し、各地域の補完、連携関係を強化し、質の高い交通やデジタルのネットワーク強化を通じて結びつけていく、シームレスな拠点連結型国土を位置づけております。

菅家委員 備える点ですね。これは、先ほど申し上げたように、医療であったり食料であったり、その辺の対応について伺ったわけですが、いかがですか。これも含めての今の答弁なのかどうかですね。

國場副大臣 委員御指摘のように、総合的にしっかりと対策を進めてまいりたいと考えております。

菅家委員 ということを踏まえますと、じゃ、首都直下型地震は今後三十年間で起きる確率は七割だと言われている、公式的な見解ですね、今起きてもおかしくないんですよ。今の副大臣の答弁で、本当に大丈夫かと私は大変危惧しますよ。

 次のページで、地震動予測地図の資料がありますね。真っ赤なところは確率が高い。黄色のところは確率が低い。まあ、地震がないわけではないですね、能登もありますからね。

 ただ、これを見ますと、この黄色の部分、首都圏域とか、私は、このエリアというのは極めて関心があって、何とか具体的な、東京を震災から守るためのバックアップ的な、バックヤード的な役割をここで担う必要があるのではないかという問題意識を持って、そして、自民党の首都直下型地震対策バックヤード構想推進研究会を立ち上げて、今まで研究してきた経過があります。

 次のページで、我々のイメージ、さいたま市、宇都宮市、郡山市、新潟市、高崎市、先ほどの黄色いエリアがここになるわけです。特に那須地域などは、岩盤が硬くて、国会移転等における候補地の一つになったこともあるわけで、科学的にあるわけですから、このエリアの優位性というのは、極めて大地震の確率が低いという面と、それから東京圏に隣接している、物の搬送から救助からやはり地の利がありますよね、首都圏から近いという。

 もう一点は、ここは高速道路で環状線につながっている。物流ですね。さいたま、つまり大宮に物流拠点を設ければ、ここを起点に、東北全体からの物流、これはここだけでは賄い切れませんから、先ほどの三千四百万食、七百万人とか、無理ですから、全国でやるしかないわけです。ただ、このような拠点を設けて、今から具体的な計画を練っていく必要があるのではないか、このような視点で考えたわけです。

 鉄道も、東北新幹線と上越新幹線。残念ながら、ミッシングリンクは磐越西線なんですが、これは再構築の新たな法案もあるわけですから、地元の前向きな要望、要請があれば、地元で負担するということであれば、高速化における国からの支援も受けられるし、また、ミニ新幹線を目指そうという動きがあって、地元で負担するということであれば、国の方で法律でしっかり支援できる制度もあるわけですから、これは地元の熱意ですよね。これを考えれば、新幹線の環状線も実現する可能性もある。

 そういうところに、やはり今の首都直下型地震を踏まえて、だから、これは東京を守る、災害から一人でも犠牲者を減らしていく、災害をいかに少なくしていくかというのが目的なんですよ。それで、この地域は、中核市、政令指定都市も分散しているから、こういうところに分散していく。いつどのような災害が起きるのか分からないので、ここも分散していったらどうかというような考え方ですね。

 ですから、今、国で示されている考え方をより具体的に、そして、この地域の、地元からやはり計画を作って備えていく、いざ有事のときにはしっかりと迅速に対応していくということを、しっかり我々としては関わっていきたい、このように考えているわけですが、このような考え方についての御所見を伺いたいと思います。

國場副大臣 菅家委員が、首都直下型地震対策バックヤード構想推進研究会の会長として、この構想を練り上げ、また提言したことに対して敬意を表したいと思います。

 この構想の提言の中でも、首都直下型地震の発生時における国家中枢機能の維持や、代替機能を担うことができる体制の整備の必要性について、総合的に示されているものと認識をしております。

 こうした観点は、国土形成においても非常に重要であることから、新たな国土形成計画では、東京に集中する人口及び諸機能の分散、中枢管理機能のバックアップ体制の整備等を進めることとしているところであります。

菅家委員 それから、国土形成基本計画の中で、今後、広域地方計画を取りまとめることになるわけですね。是非、そういった意味で、我々が提言している今のバックヤードを、首都圏、東北圏、この地域において、我々が今副大臣に申し上げてきた考え方を、やはり整備局を中心に、この地域の知事とか地元と連携、組んで、しっかりと計画に盛り込む必要があると思いますよ。物流はどうするのか、医療はどうするのか、避難者をどう受入れをするのかも、やはり地の利もあるわけですから、そういったものを地元からしっかりと前向きに考えてもらって、計画に盛り込んでもらうのは必要だと思いますよ。

 そういう働きかけというか、広域地方計画をこれから作るわけですから、そういった対応が私は必要なのではないかと思いますが、御所見を伺いたいと思います。

國場副大臣 広域地方計画では、全国計画を基本として、全国八つの圏域ごとに、方針、目標、主要な施策等を国土交通大臣が策定する計画です。昨年七月に策定された第三次全国計画を踏まえ、現在議論が行われているところであります。

 首都直下地震への対応についても、東北圏、首都圏を始め、各圏域で検討されているところであり、令和五年七月に公表いたしました基本的な考え方においても、東北圏において、首都直下型地震等の大規模災害時のバックアップ機能の強化、首都圏において、首都機能のバックアップにより首都圏全体の被災時の復元力を向上等の記載がある等、それぞれの圏域における防災力の強化についても検討が行われております。

 首都直下地震への対策の必要性など、菅家委員の御指摘の問題意識を共有するところでもありますので、今後とも、全国計画を踏まえ、東北圏、首都圏を始め、各圏域においてしっかりと広域地方計画の検討、策定作業を進めてまいります。

菅家委員 前向きな答弁と受け止めておきますが、いつ地震が来るか分からないんですよ、本当にこれでいいのかと。しっかりと迅速かつ的確に、そういう、国交省でより具体的な対策を講じなくちゃならないじゃないですか、これだけの。三千四百万食ですよ、一週間で。七百二十万人ですよ、避難者。これはどうするんですかという問題意識を持つべきじゃないですか。

 我々は、やはり今のような科学的な根拠を基にして、首都圏から近いし、こういった提言をしているわけですよ。ですから、広域地方計画ですか、ここは重要だと思いますよ、副大臣。我々が言っても、それは地元の県知事とか地元がそういう意識になってしっかりと計画を立てていかないと、絵に描いた餅になるわけですよ。

 ですから、私は、こういう広域地方計画の中に、我々が提言している中身を踏まえて、しっかりと位置づけしていくことが、いざ災害のときに東京で一人でも多くの方を救うことになる、これを目指すべきだと思いますが、再度お考えをお聞きしたいと思います。

國場副大臣 菅家委員の御指摘をしっかりと踏まえて、緊張感を持ちながら、また使命感を持ちながら、しっかりと対応していきたいと思っております。

菅家委員 そして、もう一つは、やはり東京一極集中是正と、本当に国交省としては大きなテーマで具体的に政策を位置づけしている、これは分散ですよね。それで、リスクを少しでも下げるということになるわけですから。ところが、一極集中が進んでいるわけですよ。これは本気になって分散していく流れを、まさにしっかりと取り組んでいく必要があると思いますよ。今のままでは、分散どころか集中ですよ。

 ここも危機感を持って国交省は具体的に示されて、文言はいいですよ、じゃ、これは具体的にどうするのか。具体的な政策をしっかりと推し進めていくべきだと思っておりますが、御所見を伺いたいと思います。

國場副大臣 さきの、法案成立もいただきましたけれども、二地域居住等も含めて、やはり、国土交通省の持つ様々なリソースをしっかりと具現化すべく、また、菅家委員の御指摘を形にできるように努めてまいりたいと思っております。

菅家委員 時間になりましたので終わりますが、是非、ひとつ危機感を持って、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、櫻田義孝君。

櫻田委員 櫻田義孝でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 質問に入る前に、まずは、本年一月一日に発生しました能登半島地震により犠牲になられました皆様に、心から哀悼の誠をささげたいと思います。被災地の皆様へ、我々も一致結束して、全力で御支援をさせていただくことを、冒頭、申し上げます。

 まさに、平成二十三年の東日本大震災、平成二十八年の熊本地震においても、地域の皆様が力を合わせて、地域の復興に尽力をされてまいりました。その中でも、インフラや住宅などの再建に主導的な役割を果たしてこられたのは、建設職人、現場で働く皆様のお力によるところが極めて大でありました。

 私は、現在、衆議院議員として国政に従事をさせていただいておりますが、私は元々、国会議員の中で唯一、足場作業主任者としての資格を持つ、根っからの職人であります。独立した若い頃は、現場で朝から晩まで働いておりました。こうした経過を踏まえ、今日は、建設職人の代表、全国三百五十万人の建設職人の一人として、仲間の声を代弁し、御質問させていただきます。

 私が若い職人として現場に出ていた頃には、病気とけがは自分持ちといった慣習がまだまだ色濃く残っておりました。現在でも、中小零細の建設職人は、大手のゼネコンなどの圧倒的な優位な元請に対しまして、ほとんど交渉力を持ち合わせておりません。実際、現場で働く建設職人は、いつ彼らから仕事を切られても文句を言えないような極めて弱い立場にあります。

 私は、個人的な経験としても、また、現場にいた人間であるからこそ、そのような弱者である建設職人の立場を、他の国会議員の皆様よりも、誰よりも理解していると自負しているところでございます。

 まさに私は、こうした問題意識から、約七年半前の平成二十八年末に、超党派で、いわゆる建設職人基本法を議員立法で成立させることができました。危険な現場での死亡事故などを撲滅し、現場の皆様の処遇を改善し、官民格差の是正を果たしていきたいというのは、私の政治家としての悲願であります。

 前置きが長くなりましたが、質問に入ります。

 最近の建設労働者は、死者数、死傷者数とも減少傾向にあると聞いておりますが、最近の五月二十日厚労省発表の速報資料によりますと、五月の工事繁忙期に入り、急激に死亡者が増加しており、減少傾向に急ブレーキがかかっている感じがございます。

 その原因は様々と思われますが、事故類型別の発生状況から見ると、足場などからと思える墜落、転落事故が二十三人から二十九人へと、昨年同期から二六%も増加しております。

 足場などの安全工事については、前述のいわゆる建設職人基本法に基づき、安全衛生経費として位置づけられております。この足場などの点検費を含む経費をしっかりと確保し、現場で働く皆様の生命身体の安全を確保する体制を整備することが重要であろうかと思います。

 国交省は、こうした足場の安全点検など安全衛生経費を下請まで十分行き渡らせるために、どのような方策を検討されておりますでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 現場における安全は大変大事でございまして、特に、先生御指摘の建設職人基本法に基づいて、安全経費をきちんと積算をして、行き渡らせるということが大事でございます。このために、二段階で取組を進めております。

 まず、第一段階でございますけれども、安全経費に含まれるべき作業の内容というものが漏れ落ちのないように、具体的に洗い出しをいたしまして、これを一覧表の形式でまず整理をいたします。そして、その安全衛生関係の作業をこの一覧表に整理したものを基に、個々の下請契約を結びます際に、どの作業を下請側で行うのか、あるいは元請側で行うのかということを明確化する仕組みというものをまず導入してまいります。

 これは、いわば安全経費の見える化と呼び得るものでございまして、これまでに、足場の工事を始めとして、十七の団体で既にこの一覧表というものが作成されております。

 続いて、第二段階ということでございますけれども、下請が行うというふうに見える化された作業に見合う実施の経費というものが、下請契約の中で確実に盛り込まれるということが必要でございます。下請側から出す見積書の中に、安全衛生経費を特出しして内訳を明示する、こういう取組を進めてまいります。

 個々の専門工事業者の方が内訳明示を的確に行うことができますように、参考となります標準見積書あるいは内訳額の算定の手順書、こういうものを工種ごとに作成していただけるように専門工事業者の団体にお願いをしておりまして、足場工事についても御検討いただいている、こういう状況でございます。

櫻田委員 御説明ありがとうございます。

 建設現場での安全対策が不十分であれば、建設産業を目指す若者も更に少なくなってしまいます。是非、国交省と事業者、業界団体が一丸となって、迅速な対応をお願いを申し上げます。

 続きまして、令和四年三月の委員会で同様の質問をさせていただきましたが、首都圏の交通に重要な課題であることから、今回も質問させていただきます。

 私が柏市議会議員の頃から、国道十六号については大変な混雑と渋滞で困っております。特に、私の地元の千葉県北西部では、人口増加に伴い、様々な道路建設が進んでおりますが、一向に渋滞の解消にはつながっておりません。また、令和元年九月の大雨でも、利根川も非常に増水しまして、柏市、我孫子市を通る農業道路が冠水して、交通に大変な支障が起きました。また、冒頭申し上げた大地震などもいつ起こるか分からないことから、こうした災害発生時に緊急車両の通行にも支障が出るおそれがあります。

 私は、この国道十六号千葉区間に、混雑緩和と地域の産業育成の観点、そして防災・減災機能の付与という観点からも、千葉北西連絡道路の建設を強く訴えておりますが、ずばり、現在の検討状況と今後の方向性についてお尋ねいたします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 千葉北西連絡道路でございますけれども、千葉県の野田市から印西市を結ぶ高規格道路でございます。この道路の整備によりまして、国道十六号の慢性的な交通渋滞の緩和による物流の効率化、また、豪雨などの災害時の代替性の確保による防災機能の強化など、交通面、防災面での効果が期待されております。

 このような状況を踏まえまして、千葉北西連絡道路につきましては、国土交通省において、令和五年度より計画段階評価に入りまして、ルート、構造の検討に着手をしているところでございます。今年の二月に、国、千葉県、茨城県を始めとする関係自治体、学識者で構成される検討会を設置いたしまして、地域を取り巻く状況、また道路の交通課題、整備効果などについて検討を現在進めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、関係自治体と連携いたしまして、この計画の具体化に向けた検討をしっかり進めてまいりたいと考えております。

櫻田委員 ありがとうございます。

 この道路建設につきましては、一都三県の住民の命をつなぐ、まさに命の道であると思います。国と千葉県そして関連する自治体との協議をしっかりと進めていただきたいと思います。費用便益的な観点からも極めて高い効果を発揮することからも、迅速な計画推進をお願いする次第であります。

 次に、東京から茨城に通じるつくばエクスプレスについてお伺いいたします。この質問については、前回御質問させていただきましたが、この二年でも沿線地域での住宅建設も進み、私のところにも特に地元からの要望が強い課題であることから、お伺いさせていただきます。

 現在、この鉄道では六両車両が基本であるところから、運営会社も、混雑緩和の観点から、八両編成への計画を打ち出しております。現在、一部の駅では、八両化に向けたホーム延伸工事が開始されておりますが、工事期間が夜間に限られるなど、工事の進捗も、もう少し早くできないかと思います。

 例えば、全区間で一気に八両化するのは時間がかかるとしても、特に混雑の激しい秋葉原駅から八潮駅については、先行して一部の列車を八両化するなど、工夫ができないものでしょうか。特に八潮駅では、電留線を用いた秋葉原駅との区間運行が、現在でも朝夕のラッシュ時間帯に運行されていることから、一考の余地があると思いますが、こうした工夫を是非、国交省と事業者で検討していただけないでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 つくばエクスプレスの八両編成化事業につきましては、現在、事業主体でございます首都圏新都市鉄道株式会社におきまして、二〇三〇年代前半の運行開始に向けまして、必要な設備関係工事等に取り組んでいるところでございます。

 これまで、秋葉原駅、新御徒町駅、浅草駅、南千住駅、青井駅及び六町駅の、六駅のホーム延伸工事が完了しておりまして、今年度は北千住駅の工事に着手する計画であると承知しております。

 今後、ほかの駅のホームの延伸工事や、総合車両基地の留置線の延伸工事を引き続き進めていくこととなりますけれども、委員御指摘のとおり、工事が終電から始発までの限られた時間となることでありますとか、また、全線が地下又は高架区間で作業スペースが限られていることなど、工事の物理的制約があると承知をしております。

 また、秋葉原と八潮間を含めまして、一部区間を先行して八両化して運行することにつきましては、総合基地の中での留置線や車両の検査や点検のための設備の整備の必要もあるというような課題があるとも聞いております。

 国土交通省といたしましては、この八両化の事業の円滑な進捗が図られますように、鉄道事業者より具体的な相談をいただいた際には、技術的な助言を含めまして、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

櫻田委員 平成二十八年の四月に公表された国の交通政策審議会答申でも、つくばエクスプレスの東京延伸について可能性が指摘されております。また、私の地元の柏市長を始め周辺自治体の首長からも、是非、東京延伸、さらには羽田空港への延伸なども期待されております。

 この計画の検討状況についてお伺いいたします。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 常磐新線の延伸につきましては、今御指摘のとおり、平成二十八年四月の交通政策審議会答申におきまして、国際競争力強化の拠点であるつくば国際戦略総合特区を含む常磐新線沿線と都心とのアクセス利便性の向上などに意義があるプロジェクトと位置づけられております。

 あわせまして、この答申では、課題といたしまして、都心での事業となるため、関係地方公共団体、鉄道事業者等において、導入空間に係る事業費等を踏まえた事業計画等につきまして、十分な検討が行われることが必要であるとされております。

 このため、まずは、自治体、事業者を始めとする関係者が連携して、需要の見通し、収支採算性、事業スキームなど、具体的な事業計画の検討を行うことが必要であると考えております。

 国土交通省といたしましては、地域における検討状況を踏まえつつ、制度面や技術面の観点から、必要な協力や助言を行ってまいりたいと考えております。

櫻田委員 時間ですので、質問したいことはまだあるんですけれども、終了させていただきます。

 ありがとうございます。

長坂委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時四十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時十九分開議

長坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今年の四月十一日、JRグループが精神障害者割引制度を来年四月一日から導入すると発表しました。

 資料の1に、国交省にまとめてもらった公共交通機関における障害者割引状況について盛り込んでありますので、見ていただきたいと思います。

 第一種は、本人単独ですと片道五割、これは普通乗車券のみでありますが、介護者を伴う第一種の場合は、定期券、回数乗車券、普通急行券なども五割になります。

 私がこの問題を初めて取り上げたのは、二〇〇八年の六月です。きっかけは、てんかん患者の皆さんの請願集会で訴えられたことでした。私にもてんかんの持病のある友人がいたので、理解をしていたつもりでしたが、てんかんが精神障害に区分されているということはそのとき初めて知りました。てんかんは、発作による交通事故のリスクもあることから、その後もいろいろな事件があって、運転免許を持つこと自体が制限をされていったので、公共交通が頼りという切実さは本当に伝わりました。

 その後、衆参での請願採択や障害者の権利条約の批准、九州ですが、行政評価局からの勧告、地方での補助などの様々な取組、これが後押しになったと思います。また、二〇一二年、国交省が一般乗合旅客自動車運送事業標準約款、これはバスのことですが、改正を行ったことも大きな後押しになったと思います。

 二枚目には、二〇一一年に出した資料と比較して、各事業者の割引状況の表をつけておきました。タクシー業者や路線バスなど、見ていただければ、一目でどれだけ広がったのかが分かると思うんですね。

 小さなところも頑張っているのに、JRが、大手が導入していないのが問題と何度も主張してきました。JRは、割引は国鉄時代にやっていたので、これは、やるんだったら国がやるんだ、そういう答弁を繰り返していたわけなんですね。そして、今回の決断になるわけです。

 この進展状況を見て、大臣、どのように感じますか。率直に感想を伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 率直な感想ということでございますので。

 国土交通省も、国土交通委員会での様々な、与野党を超えた皆様の御意見を踏まえ、これまで鉄道事業者に対して要請を行ってまいりました。

 これを踏まえて、鉄道事業者において検討が進められ、過去一年間においても、京浜急行、南海、名鉄等で新たに導入され、本年四月一日現在で百十八事業者において導入されております。

 さらに、本年四月十一日には、JR六社及びこれまで導入していなかった大手民鉄事業者において精神障害者割引を導入する旨が発表され、この結果、来年四月までにはJR旅客全社及び大手民鉄全社での導入が実現することとなり、状況が大きく進展するものと考えております。

 障害者運賃割引については、鉄道事業者の経営判断に基づいて実施されるものでありますが、国土交通省としては、今般この進展は画期的なことと受け止めており、高く評価するとともに、委員各位の皆様のいろいろな御意見、本当にありがとうございました。感謝しております。

 以上でございます。

高橋(千)委員 JR全社と大手民鉄全社ということで、画期的なとおっしゃいましたけれども、本当にそうだと思います。それがまた全体に波及する力もあると思うんですね。大手とJRがやっていないじゃないかと言ってから十六年たちましたが、ここまで来たと思って、本当にうれしく思います。

 それで、厚労省の宮崎副大臣にもお出ましいただいているので、伺いたいと思います。

 JRは第一種、第二種という表現をしておりますが、これは精神障害者保健福祉手帳の一級、二級と同じと理解してよいのでしょうか。また、三障害に差をつけないこと、国連障害者の権利条約における移動の自由から見ても保障すべきと取り上げてきましたが、厚労省としての感想も伺います。そして、その上で、今後の課題は何でしょうか。

宮崎副大臣 まず最初に、一種、二種のお尋ねの件でございますが、運賃割引の種別についてはJRの判断に基づいて決定されるものでございますが、国土交通省を通じて伺っているところによりますと、精神障害の障害等級一級の方を第一種、二級又は三級の方を第二種とする方針であるというふうに伺っているところでございます。

 厚生労働省としての受け止めでございますが、率直に言えば、よかったなというふうに思っているところでございます。障害者の質の高い自立した生活の支援の一環として、身体障害者及び知的障害者の方と同様に、精神障害者の方にも運賃割引について導入されるように、国土交通省と意見交換を行いながら働きかけを行ってきたところでありますので、それが結実をしたということについて、率直に喜んでいるところでございます。

 今後の課題でありますけれども、来年四月の運賃割引の導入をJRさんが予定されているということでありますが、そこに向けて、精神障害者保健福祉手帳の記載事項について所要の手当てを行う必要がございます。可能な限り速やかに国土交通省などと調整を進めて、自治体などへの周知も必要でありますので、努めてまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 二級又は三級、三級というのはなかなか持っていても役に立たないんじゃないかという話題があるわけですので、そこも入るというのはすごく大事な情報かなと思うんです。手帳に一種、二種という印をつけなくちゃいけないので、そこが本当に徹底されるということを望みたいと思います。

 それで、歓迎するとともに、一刻も早くという声も国会の私の部屋にも届いておりますが、ただ、問題は、百一キロメートル以上が条件なんですね。これは、ほぼ隣の県まで行かないと使えません。仙台市からだと福島県の郡山市へ行くくらいで、ですから、日常的な通院とかそういうものにはほぼ当てはまらないというのが、残念ながら現実だと思うんですね。

 障害者雇用促進法で精神障害も義務づけられたこともあって、通勤というニーズも多くなっているわけなんです。もう少し緩和できないかという声も多いです。更に働きかけてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 この障害者割引につきましては、常時介護者の付添いが必要である重度の障害者の方々を対象に、障害者御本人と介護者の方をそれぞれ二分の一の割引とし、合わせて一人分の運賃となる割引制度として旧国鉄において導入されました。その後、運賃が高額となる百一キロメートル以上の移動については、利用者の負担軽減を図る観点から、障害者の方が単独で乗車する場合であっても二分の一の割引とする制度とされたものと承知しております。

 百キロメートル以下の単独乗車を割引の対象とすることについては、基本的に鉄道事業者の経営上の判断ではありますが、国土交通省としては、引き続き、委員の御意見や障害をお持ちの方の御意見を鉄道事業者にもお伝えしてまいりたい、このように考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 一覧表を出しているように、路線バスとか、それからタクシーなども百一キロではないわけですよね、もっと短い距離なわけですから。やはり少し段階を分けるという形、もっと短い距離のところと、それは割引率が少し少なくなるかもしれないけれども、そういう形で、やはり日常使いができるということが本当のニーズであって、要望活動をずっと続けてきたということがありますので、そのことを是非お願いしたいなと思うんです。宮城県内で以前から民鉄やバス会社などに運賃割引を求めて行動していた精神障害当事者は、このことを、とにかく喜んでいるんですが、百一キロの壁があるということも指摘をされています。

 それで、高速バスの運行会社も、JRが動けば検討するとこれまで言われてきたと言っています。今後、高速バスについても働きかけと、それから調査を検討していただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。

石原政府参考人 お答えいたします。

 高速バスを含めまして、乗り合いバスにおける精神障害者に対する運賃割引につきましては、身体障害者や知的障害者への割引と同様に、その導入を促進していくことが重要である、このように考えております。

 このため、国土交通省では、各事業者の経営判断を前提としつつも、高速バスを運行している事業者も含むバス事業者全体に対しまして、割引の導入について理解と協力を求めるとともに、毎年、この導入状況についても調査を行ってきたところでございます。

 国土交通省としては、今後とも、高速バスを含む乗り合いバス事業における精神障害者割引が一層広がりますよう、しっかり取り組んでまいります。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 是非、今度は分けて表を作れるようにお願いしたいと思います。

 それで、これまで質問したときの答弁が、これはJRが言っているのと同じせりふなんですけれども、割引をした分はやはりほかの乗客に負担させることになるから、そこまで簡単ではないということをよく言われてきたわけです。しかし、先行している二つの障害は割引になっているのに、何で三障害が一つになったのに精神だけ駄目なんだ、そういう議論をずっとしてきたわけなんですよね。だから、ここまで進んだことは本当に評価できると思うんです。

 その上で、この間、地域公共交通の危機については、赤字ローカル線、路線バスの廃止、タクシー会社の倒産など、極めて深刻な事態が進んでいること、この委員会でも随分議論をしてきました。また、特にコロナ禍のときは、正直、運賃割引のことを取り上げるのをちょっとためらったこともありました。でも、国交省が今は本気で支援を考えるときではないか、こう思うんです。

 例えば、地域公共交通の支援メニューの中に運賃割引も含むことができる、こういうことがあってもいいんじゃないか。それから、各地で進んでいる地方自治体の割引制度、ここに間接的に支援をするとか、そういう知恵を出すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 障害者に対する公共交通機関の運賃割引につきましては、事業者の自主的な判断により行われている中で、精神障害者割引についても、機会を捉えて、公共交通事業者に対し、理解と協力を求めてきたところです。

 運賃割引の減収分について、自治体を通して国が補助するべきとの御提案につきましては、障害を持つ方々に対する支援の問題であることも踏まえ、社会福祉政策の観点や地域公共交通確保の観点などから、関係省庁と連携しつつ、どのような対応が可能か検討してまいりたい、このように考えております。

高橋(千)委員 検討してまいりたい、関係省庁とということです。

 これまでも補助すべきだという要望があったりとか、取り上げてきたこともあったんですが、やはりそろそろはっきりとさせた方がいいのかなと思っているんです。やはり自治体の取組が進んでいるということもあって、間接的な補助という形でやることができるんじゃないか。しかも、これだけ地域公共交通ということが言われているわけですので、やり方はもちろん研究していただきたいんですけれども、今、検討すると答弁をいただいたので、それをしっかり形になるように期待をして、今日は、みんなが待った分だけ早く終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

     ――――◇―――――

長坂委員長 次に、内閣提出、参議院送付、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

    ―――――――――――――

 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

斉藤(鉄)国務大臣 ただいま議題となりました住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 単身世帯の増加、持家率の低下等が進む中、今後、高齢者や低額所得者などの住宅確保要配慮者の賃貸住宅への入居に対するニーズが更に高まることが見込まれます。

 一方、賃貸人の中には、住宅確保要配慮者の賃貸住宅への入居について、居室内での死亡事故や死亡時の残置物処理、家賃滞納等に対して懸念を持っている方が多くいます。

 こうした状況を踏まえ、住宅確保要配慮者に対して入居前や入居後の支援を行う居住支援法人などの地域の担い手の協力を得ながら、住宅確保要配慮者が安心して居住できる環境を整備する必要があります。

 このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、住宅確保要配慮者が賃貸住宅に円滑に入居できる市場環境を整備するため、終身建物賃貸借の利用を促進する観点からその認可手続を見直すとともに、都道府県知事が指定する居住支援法人の業務として賃借人からの委託に基づく死亡時の残置物処理を追加することとしています。

 第二に、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居に資する家賃債務保証を行う事業者の認定制度を創設することとしています。

 第三に、居住支援法人などが住宅確保要配慮者に対して訪問や福祉サービスに関する情報提供など入居中のサポートを行う賃貸住宅について、福祉事務所を設置する地方公共団体がこれを認定する制度を創設するとともに、この賃貸住宅に入居する生活保護受給者については保護の実施機関による住宅扶助の代理納付を原則とする措置などを講ずることとしています。

 第四に、住宅に関する施策と福祉に関する施策が連携した、地域における総合的、包括的な居住支援体制の整備を推進するため、国土交通大臣と厚生労働大臣が共同で基本方針を策定するとともに、市区町村による居住支援協議会の設置を促進することとしています。

 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由です。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

長坂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十八分散会


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