衆議院

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第18号 令和6年5月29日(水曜日)

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令和六年五月二十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 長坂 康正君

   理事 あかま二郎君 理事 泉田 裕彦君

   理事 小林 茂樹君 理事 武井 俊輔君

   理事 城井  崇君 理事 白石 洋一君

   理事 三木 圭恵君 理事 國重  徹君

      井上 貴博君    石橋林太郎君

      尾崎 正直君    大西 英男君

      金子 俊平君    金子 容三君

      菅家 一郎君    岸 信千世君

      小島 敏文君    小林 鷹之君

      小林 史明君    小森 卓郎君

      佐々木 紀君    櫻田 義孝君

      田中 英之君    高木  啓君

      谷  公一君    谷川 とむ君

      土井  亨君    中根 一幸君

      中村 裕之君    西野 太亮君

      古川  康君    武藤 容治君

      森 由起子君    石川 香織君

      枝野 幸男君    小宮山泰子君

      神津たけし君    伴野  豊君

      馬淵 澄夫君    谷田川 元君

      赤木 正幸君    漆間 譲司君

      高橋 英明君    伊藤  渉君

      日下 正喜君    高橋千鶴子君

      古川 元久君    福島 伸享君

      櫛渕 万里君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      堂故  茂君

   厚生労働大臣政務官    三浦  靖君

   国土交通大臣政務官    石橋林太郎君

   国土交通大臣政務官    尾崎 正直君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 上村  昇君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 濱田 厚史君

   政府参考人

   (法務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           中村 功一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           斎須 朋之君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石坂  聡君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  平岡 成哲君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         田島 満信君

   国土交通委員会専門員   國廣 勇人君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十九日

 辞任         補欠選任

  小島 敏文君     井上 貴博君

  小林 史明君     金子 容三君

  佐々木 紀君     西野 太亮君

  古川  康君     森 由起子君

  たがや 亮君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     小島 敏文君

  金子 容三君     岸 信千世君

  西野 太亮君     佐々木 紀君

  森 由起子君     古川  康君

  櫛渕 万里君     たがや 亮君

同日

 辞任         補欠選任

  岸 信千世君     小林 史明君

    ―――――――――――――

五月二十七日

 建設労働者の雇用改善、担い手確保・育成に関する請願(杉田水脈君紹介)(第一五四九号)

 同(長妻昭君紹介)(第一五五〇号)

 同(湯原俊二君紹介)(第一五五一号)

 同(甘利明君紹介)(第一五五五号)

 同(伊佐進一君紹介)(第一五五六号)

 同(稲津久君紹介)(第一五五七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一五五八号)

 同(田村憲久君紹介)(第一五五九号)

 同(藤丸敏君紹介)(第一五六〇号)

 同(古川元久君紹介)(第一五六一号)

 同(山崎誠君紹介)(第一五六二号)

 同(篠原豪君紹介)(第一五六六号)

 同(屋良朝博君紹介)(第一五六七号)

 同(吉川元君紹介)(第一五六八号)

 同(笠浩史君紹介)(第一五六九号)

 同(落合貴之君紹介)(第一五八〇号)

 同(輿水恵一君紹介)(第一五八一号)

 同(平沢勝栄君紹介)(第一五八二号)

 同(道下大樹君紹介)(第一五八三号)

 同(古川元久君紹介)(第一五九六号)

 同(大岡敏孝君紹介)(第一五九九号)

 同(松原仁君紹介)(第一六〇〇号)

 同(宮路拓馬君紹介)(第一六〇一号)

 同(阿部知子君紹介)(第一六五五号)

 同(井上信治君紹介)(第一六五六号)

 同(中山展宏君紹介)(第一六五七号)

 同(萩生田光一君紹介)(第一六五八号)

 同(三ッ林裕巳君紹介)(第一六五九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一六九四号)

 同(新垣邦男君紹介)(第一六九五号)

 同(枝野幸男君紹介)(第一六九六号)

 同(笠井亮君紹介)(第一六九七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一六九八号)

 同(志位和夫君紹介)(第一六九九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七〇〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一七〇一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一七〇二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一七〇三号)

 同(宮本徹君紹介)(第一七〇四号)

 同(本村伸子君紹介)(第一七〇五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

長坂委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人都市再生機構理事田島満信君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として国土交通省住宅局長石坂聡君、航空局長平岡成哲君、内閣府大臣官房審議官上村昇君、総務省大臣官房審議官濱田厚史君、法務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官中村功一君及び厚生労働省大臣官房審議官斎須朋之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小林茂樹君。

小林(茂)委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の小林茂樹でございます。奈良一区でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。

 住宅セーフネット推進法、いわゆるそういう名前がついておりますが、正式名称は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給を促進する法ということであります。増加をする高齢者、その中でも単身者が増えている、それに対する住宅をどのように供給をしていくかという課題があるということであります。

 限られた時間でもありますので、大きく四項目にわたって質問をさせていただきます。まずは基本的なこと、そして細部に入りまして、また、ユニークな法人を一つ御紹介もしていこうと。理解を深め、法の実効性を高めるために、つなげていければと思っております。法の制定の経緯なども触れてまいりたいと思っております。

 それでは、早速質問に入ってまいります。

 まず最初は、住宅確保要配慮者の定義であります。

 言うまでもなく、住宅は国民にとって生活の重要な基盤であります。かつては、生きる三要素、衣食住とも言われたわけであります。そのうち、衣と食は、ある程度広く提供されていると言えますが、最後の住、住まいについては、いまだ満ち足りたとは言えない状況であります。

 戦後、核家族化が進み、さらに、高度経済成長下で都市への人口集中が進みました。少子化、高齢化、これは我が国の最大の社会的な課題であります。今回の法律改正の意義は、今後増加する高齢単身者の住まいを確保することにあると考えております。

 この法案の対象となる要配慮者、これは、ついつい要支援者というふうに言い間違ってしまうんですが、要配慮者というような表現をしております。また、この要配慮者の対象の中には、刑務所からの出所者なども対象としているということであります。

 単純にこれを聞きますと、ほかの入居者が不安に思われるのではないか、そういう住まいの、他の入居者が不安に思われない工夫も必要だと考えておりますが、物件の価値の低下を防ぐためにも工夫が必要であると思いますが、どのような対策が考えられるのか、こういったことを併せて、まずお尋ねしたいと思います。

石坂政府参考人 お答えいたします。

 住宅セーフティーネット法では、低額所得者、高齢者、障害者、子育て世帯など、様々な属性の方々を住宅確保要配慮者として位置づけているところでございます。

 委員御指摘の刑務所出所者につきましては、更生保護法に基づく保護観察対象者や更生緊急保護を受けている者等に該当する場合は要配慮者に含まれるほか、低額所得者や高齢者などとして要配慮者に含まれる場合もあると考えているところでございます。

 今回の改正法案では、こうした要配慮者が円滑に入居できる賃貸住宅の供給が進むよう、居住サポート住宅を創設するなど、要配慮者と大家さんの双方が安心して利用できる市場環境の整備を進めることとしております。

 このサポート住宅におきましては、入居者の安否確認や訪問等による見守りを行うことによって、入居者の生活や心身の状況が不安定になったときには必要な福祉サービスにつなぐこととしております。

 こうしたサポートについてでございますけれども、要配慮者の状況に応じて、居住支援法人が丁寧に取り組むことが必要と考えているところでございます。

 例えば、御指摘のございました出所者の方々に対応いたしまして、近隣の住民の方々とのトラブルの抑止ということにも、あるいは大家さんの不安の軽減、こうしたサポートを行うことによって軽減されるものではないかというふうに考えているところでございます。御懸念の、物件価値の低下を避けることにもつながるものではないかというふうに考えているところでございます。

 国土交通省といたしましては、住宅確保要配慮者に対しまして大家さんが安心して住宅を貸すことができるよう、地域の居住支援体制の整備や居住サポート住宅の普及拡大に向けて、丁寧な運用と周知に努めてまいります。

小林(茂)委員 ありがとうございます。

 二番目の質問でありますが、増え続ける高齢単身者世帯の現状、そして、これがどこまで増えていくのかということも含めた将来予測、この二つをお尋ねいたしたいと思います。

 まず、繰り返しますが、この法の制定の趣旨というものは二つありまして、まず一番目が、増え続ける単身高齢者の数に、提供される物件が追いつかないという住まい不足の問題の解決、そして二番目が、全国にある空き家を単身高齢者等に提供する、空き家の解消ということであります。この二点であると思います。

 社会一般で言われる高齢者と、そして賃貸住宅業界における高齢者では、定義が若干違うと思います。賃貸住宅の入居に際して大家が高齢者に対する拒否感があると聞くわけでありますが、この場合の高齢者とは一体何歳を指しているのか、お尋ねしたいと思います。

石坂政府参考人 単身高齢者の賃貸住宅への入居につきましては、居室内の孤独死や死亡時の残置物処理などへの懸念から、不安を持っている大家さんが多くおられます。国土交通省が実施した大家さん等へのアンケート調査によりますと、高齢者に対する入居の拒否感は約七割となっているところでございます。

 この調査では高齢者の年齢の定義は設けておらず、年齢別の割合は把握してございませんが、委員御指摘のとおり、一般的に、加齢に伴う身体機能の低下から、より高齢になるほど、大家さんの不安は大きくなると考えられます。

 先月公表されました将来推計によりますれば、七十五歳以上の単身高齢者世帯の数は、二〇二〇年の約四百二十万世帯から、二〇四〇年には約六百十万世帯まで増加する見通しとなっているところでございます。

 今後更に増加する年齢の高い高齢者も含め、要配慮者が円滑に賃貸住宅を確保できるよう、本法案に基づく施策を着実に進めてまいりたいと考えているところでございます。

小林(茂)委員 ありがとうございます。

 これに関連して、高齢単身者の住まい不足という課題に地域差があるのかということを考えてみました。

 空き家となる傾向が強いのは、一般的に、駅から遠い物件、そして老朽化した物件、この二つが比較的空き家となる傾向が強いわけでありますが、この法案を推進して、こういった物件に高齢単身者がお住まいになりますと、よりコミュニティーになじめずに孤立化が進むというおそれがあると思いますが、こういった課題については、問題解決の方法はあるでしょうか。

石坂政府参考人 委員御指摘のとおり、今後、単身世帯の増加等を背景として、単身高齢者の賃貸住宅への入居ニーズが高まることが見込まれる中で、入居者が孤独、孤立に至らないように対策を講じることは重要と考えているところでございます。

 居住支援法人の中には、入居前の相談や入居後の見守りだけでなく、地域とのつながりや居場所づくり等の取組を行っているところもあり、こうした取組は、要配慮者の孤独・孤立対策としても有効であると考えているところでございます。

 また、今回の法案では、市区町村による居住支援協議会の設置を努力義務化しています。協議会の設立、運営に関するマニュアル等において、各地域における交流活動や孤独、孤立に関する取組との連携についても示してまいりたいと考えているところでございます。

小林(茂)委員 居住支援法人という言葉が出ましたが、この役割について、第三点目としてお尋ねしたいと思います。

 高齢単身者は、住まいがあっても孤立化するおそれがあります。今回の改正で居住支援法人制度を強化するということでありますが、重要な視点です。

 ただ、残念ながら、歓迎されない感情を持たれるということも事実でありまして、具体的には、この拒否感というものはどのような事態を想定をしているのか、これを具体的に教えていただきたいと思います。

石坂政府参考人 住宅確保要配慮者に対する拒否感についてでございますけれども、大家さんの不安感や拒否感は、例えば、いわゆる孤独死が発生して長期間発見されず、物件に特殊清掃が必要となってしまう懸念、死亡時に残置物があり、次の人に貸せないのではないかという懸念、家賃滞納が生じるのではないかという懸念、入居後に入居者の心身の健康や生活が不安定になることなどのケースが挙げられると考えているところでございます。

小林(茂)委員 単身の高齢者に加えて、障害のある方や生活保護の対象者など、この方々への対応というのは、私は最後は善意に頼るしかないと思います。賃貸収入によって投資を回収していく、こういうビジネス感覚だけではやはり限界があると思います。

 自民党が昨年開催していたプロジェクトチームでお呼びしたゲスト、NPO法人抱樸さんというのがおられるわけでありますが、北九州には以前から抱樸という団体があります。入居者を支援をしているということでありますが、随分以前から活動をされています。

 どのような団体であるのか、この機会に是非お尋ねしたいと思います。

石橋大臣政務官 お答えいたします。

 小林委員御指摘のNPO法人抱樸でありますけれども、昭和六十三年に北九州市においてホームレスの支援活動を開始され、現在は、居住支援法人として、低額所得者や高齢者、障害者、また子育て世帯等の住宅確保要配慮者に対しまして、以下の取組をしています。相談窓口の設置や地元の不動産会社と連携した物件情報の提供などの入居前の支援、定期的な見守りや就労支援、近隣トラブルの解消など、多岐にわたる入居中の支援、そして、民間の賃貸住宅をサブリースし、見守り等の支援つきの住宅の提供などの取組を実施されていると承知をしております。

 こうした取組でありますが、今般創設いたします居住サポート住宅の参考になるものであるというふうに考えており、先進的な取組だというふうに考えているところであります。

 国土交通省におきましては、令和六年度の予算において、居住支援法人が大家さんなどと連携して行います先導的な取組に対し、国が直接的に財政支援を行うモデル事業を創設したところであります。こうした取組を全国的に普及させるためにも、財政支援とともに、先導的な事例の横展開を図ってまいりたいというふうに思います。

 引き続き、地域における居住支援のニーズに的確に対応できるよう、居住支援法人の取組を、厚生労働省とも連携をしながら、支援をしてまいります。

小林(茂)委員 質問の最後になりました。居住サポート住宅についてであります。

 今回の法改正によって、高齢単身者等を受け入れる住宅、すなわち、入居者の安否確認や福祉サービスへのつなぎを行う居住サポート住宅制度、これが創設されます。この居住サポート住宅をこれから何戸増やそうと計画をしているのか、全体の数値目標を教えていただきたいと思います。

 また、既存の住宅を居住サポート住宅に改修する際には、より快適に生活できるよう、留意していただきたいと思います。自宅で亡くなるケース、これは結構多いわけでありますが、例えば、深夜にトイレに立つでありますとか、また、脱衣所などで亡くなるわけであります。WHOでも、就寝時の室温は十八度を推奨しているということであります。健康が保たれ、かつ省エネ住宅への改修は重要であると考えますが、どのように進めるのか、具体的に教えていただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 居住サポート住宅の目標でございますけれども、十年間で十万戸を一つの目安として、これを実現することを目指したいと考えております。

 また、小林委員御指摘のとおり、断熱改修などによって省エネ性能を向上させることは、屋内の温熱環境の改善を通じたヒートショックの防止、高血圧の予防など、高齢者を始めとする住宅確保要配慮者の健康を確保する観点からも非常に重要なポイントでございます。

 このため、新たに創設する居住サポート住宅につきましては、バリアフリー化や安否確認のための設備の設置などの改修のほか、断熱改修などの省エネルギー化のための改修費用についても、国、地方合わせて最大三分の二を補助することとしております。

 これらの取組を通じまして、居住者の健康にも配慮した居住サポート住宅の推進を図ってまいりたいと考えております。

小林(茂)委員 ありがとうございました。

 この法案を機に、高齢単身者世帯向けの対応、住宅も供給されていくわけでありますが、それに対する住宅の改修も適切に行うということを期待をいたしております。

 増え続ける高齢単身者、しかし、これに対応するのは、最終的には様々な地域、民間の力であると思いますので、そういったことにも期待をしたい。また、都市と地方の人口の偏在等についても課題が引き続きあるわけでありまして、今後もできるだけ家族で共に住んでいく、地方に再び、移住をする、そういったことも長期的には重要であるなと考えております。

 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。

長坂委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。

 本法案につきましては、既に参議院の方で審議がされましたので、できるだけそれとかぶらないようなところを中心に質疑をさせていただきたいと思います。

 大家さんの入居後の課題の一つは、家賃の滞納です。これに関して、本改正案では、居住サポート住宅の家賃の納付が確かなものとなるよう、住宅扶助の代理納付の規定が創設をされています。具体的には、改正案五十三条一項によりますと、認定事業者である大家さんや支援法人が、居住の安定の確保を図るために必要があると認めるときに、保護の実施機関、つまり市役所などに通知をすれば、代理納付が可能となるようにしています。

 この点、居住の安定の確保を図るために必要があると認めるときの内容については、大家さんと要配慮者のいずれも安心して利用できる賃貸借の環境を整備するという本法案の目的、同条項の趣旨を踏まえて、できる限り広く解釈していく必要があると考えます。

 そこで、伺います。

 家賃の滞納に不安のある大家さんが、代理納付されるなら任せてもいいよと、そのように代理納付を希望する場合には、居住の安定の確保を図るために必要があると認めるとき、この要件に該当すると考えていいのかどうか、答弁を求めます。

石坂政府参考人 代理納付を希望する旨の通知に関しましては、入居者である生活保護の被保護者が実際に家賃を滞納しているときだけでなく、御指摘いただきましたように、大家さんが被保護者の方を受け入れるに当たり、家賃相当分の金銭が確実に支払われるかどうか不安を感じる場合も通知が可能であると考えているところでございます。

 この仕組みが適切に運用されますよう、厚生労働省と連携し、取り組んでまいります。

國重委員 是非よろしくお願いします。この条文の解釈を一つ明らかにすることが大事だと思いますので、質問させていただきました。

 次に、終身建物賃貸借についてお伺いします。

 賃貸借契約は財産の一部とされますので、入居者が亡くなった場合には相続人に契約が相続されまして、すぐには解除できません。また、借地借家法には、賃借人に不利な契約は無効とする旨の規定がありますので、相続人に相続されない旨を通常の賃貸借契約に規定しますと、その条項は無効になると考えられます。

 そこで、現行のいわゆる高齢者住まい法には、都道府県知事が、相続されない終身建物賃貸借について認可をする仕組みを設けております。ただ、面積基準やバリアフリー要件が厳しいので使いにくい、また、比較的元気な高齢者が入居しようとする場合であったとしても、終身建物賃貸借の認可を受けるためには、契約が成立するかどうか分からない段階でハードの整備を満たす必要があることになっていて、これをより柔軟にしていくべきではないか、こういった現場の声もいただいております。

 終身建物賃貸借について、このような現場の声を踏まえ、入居者のニーズを考慮した運営に変えていく必要があると考えます。今回の制度見直しの内容と、既存住宅を活用しやすくするための方策について見解を伺います。

石坂政府参考人 現行の終身建物賃貸借の認可手続は、バリアフリー化された住宅ごとに事前に都道府県知事の認可を求めています。一般の賃貸住宅の場合、高齢者以外の方の入居も想定されるため、終身建物賃貸借契約を締結するかどうかが不確定な状況において、バリアフリー改修を行った上で、住宅ごとに認可の手続を行うことは、大家さんにとって手間やコストとなるとの指摘がございます。

 このため、今回の法案では、住宅ごとの認可ではなく、事業者単位で認可を行うことといたします。具体的には、実際に終身建物賃貸借契約を締結しようとする際に、その賃貸住宅について都道府県知事に届出を行うこととし、大家さんがより利用しやすい制度に改めることとします。

 また、既存住宅のことについてもお話がございました。

 既存住宅での終身建物賃貸借の利用を促進するため、平成三十年に既存住宅のバリアフリー要件を緩和し、浴室、トイレ等に手すりを備え付けることで足りることとしています。

 今後は、今回の法案による認可手続の簡素化や、終身建物賃貸借のバリアフリー要件の緩和について、関係団体とも連携して周知を図り、高齢者の方々が円滑に入居しやすい環境を整備してまいりたいと考えているところでございます。

國重委員 しっかりとした周知をよろしくお願いします。

 次に、住宅を借りようとすれば、かつては連帯保証人が必要でした。現在は、家賃債務保証契約が広がっておりまして、八割近くの契約で利用されていると言われています。ただ、この家賃債務保証業者の審査を通らずに、保証契約を拒否されることもあると聞いております。

 そこで、今回の法案では、第七十二条を新設して、居住サポート住宅に入居する方の家賃債務保証を拒まない事業者を国土交通大臣が認定する仕組みを設けることとしています。この認定家賃債務保証業者の認定要件の一つとして、第七十二条一項一号に、認定住宅の賃貸借契約を締結しようとする住宅確保要配慮者から家賃債務の保証に係る申込みがあった場合には、正当な理由なくこれを拒まないものであることという要件が挙げられています。

 保証業者にとってリスクは少し高くなったとしても、住宅金融支援機構の再保険の対象になり得るわけですので、要配慮者が広く保証を受けられるようにするべきと考えます。

 七十二条一項一号の正当な理由について、どのようなケースを想定しているのか、答弁を求めます。

石坂政府参考人 要配慮者の中には、家賃債務保証が利用できずに賃貸住宅に円滑に入居できない方がいらっしゃいます。今回創設する居住サポート住宅については、家賃債務保証を受けやすくする必要があると考えています。

 今回の法案に基づく国土交通大臣の認定を受けた家賃債務保証業者は、居住サポート住宅に入居する者の家賃債務保証を原則として拒まないこととしています。

 他方、現在事業を行っている家賃債務保証業者からは、家賃を支払う意思がそもそもないことを明言する方や、収入や資産に比べて著しく高い家賃の住宅への入居を希望する方もいるとの声もございます。

 このため、国土交通大臣が認定する際の考え方としては、正当な理由について、具体例を示して適切な運用、すなわち、できるだけ断らないようにするという観点で適切な運用を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

國重委員 よろしくお願いします。

 法案審査ですので、今、法文の文言等の解釈等についてお伺いしてきましたけれども、次は、この法案を実効性あらしめるための質疑をさせていただきたいと思います。

 今回の法改正をきっかけにして、全国各地域で、不動産関係者や福祉の関係者が連携をして、相談から入居中、退去時までを視野に入れた新たな居住支援の取組を広げていく必要があります。市区町村の住宅担当や福祉担当の役割も非常に重要になります。

 一方で、サポート住宅の認定業務や居住支援協議会の努力義務の対象となる市区町村は、これまで住宅行政というものを余り意識してこなかった、意識していないところも多いように思います。

 地域のニーズと地域の住まいの資源を持ち寄ってお互いを理解していくこと、そして、その課題を共有して、お互いができることをやっていく、そのための話合いの場が市区町村の居住支援協議会だと理解をしています。単に年に一回、形式的に開催されても意味がありませんし、他方で、開催の回数が多過ぎては、市役所や地域の関係者にとって負担になります。また、認定業務は新しい業務になりますので、この準備も簡単ではないと思います。

 こういったことを踏まえて、サポート住宅の認定業務や居住支援協議会の設置、運営について、全国の市区町村への説明や意見交換をしっかりと行う必要があると考えます。これについて、具体的にどのように行っていくのか、斉藤国土交通大臣に伺います。

斉藤(鉄)国務大臣 市区町村が担う役割が非常に重要だと思います。

 このため、市区町村が円滑に業務を進められるよう、国土交通省そして厚生労働省が緊密に連携してサポートしていきたいと思います。具体的には、居住サポート住宅の認定業務のマニュアルの作成、居住支援協議会の設置、運営に関する手引の改定、市区町村に対する説明会や、個別の訪問による意見交換や助言などを行っていきたい、このように思っております。

 今般の制度改正や関連制度の周知、先進事例の情報提供などを積極的に行い、住宅施策と福祉施策が連携した居住支援体制の整備が全国各地で進むよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

國重委員 今、自治体の後押しについて質問させていただきまして、答弁をいただきました。

 この新しい居住支援の仕組みの全国展開に向けては、自治体の担当者だけではなくて、不動産関係者、また福祉の支援者も、今回の法改正をどのように生かして、どのように動けばよいのかということが分かるようにしていくことが大事になります。私は、自治体向け、また支援者向け、不動産会社向け、この三パターンの資料が少なくとも必要になると考えています。

 そこで、斉藤国交大臣に伺います。

 今回の法案の成立後、全国の事業者にどのように普及、広報して、地域の居住支援体制の整備を進めようと考えているのか、答弁を求めます。

斉藤(鉄)国務大臣 法案が成立した際には、各関係者向けの分かりやすいパンフレットを作成、配付したいと思います。三パターンになるのかどうかはちょっと今後検討してまいりますけれども、しっかりそれぞれの立場に対応した説明になるようにしたいと思います。

 そして、各地域において、住宅と福祉の関係者が連携した居住支援体制の整備を推進するため、市区町村による居住支援協議会の設置を努力義務化することとしておりまして、こうした場を活用して地域の事業者や市区町村が円滑に連携できるよう、地方公共団体にも丁寧に説明を行ってまいります。

 また、厚生労働省など関係省庁とも連携しつつ、今般の法案の普及、広報を積極的に行い、大家さんと要配慮者が安心して利用できる市場環境の整備と地域の居住支援体制の強化を推進してまいります。

國重委員 是非よろしくお願いします。

 最後の質問にさせていただきます。

 地域の資源という意味では、高度経済成長期に多く建てられた公営住宅も地域の住宅の資源と言えます。全国には二百万戸以上の公営住宅がありまして、多くの自治体で管理運営が行われています。

 地域の要配慮者が利用できる居住サポート住宅の供給の促進に向けて、公営住宅ストックを活用することも有効と考えますが、これに関する見解を伺います。

石坂政府参考人 現在二百十三万戸ある公営住宅ストックを、従来の使い方にとどまらず、様々な取組に対して有効に活用していくことは重要でございます。

 こうした公営住宅の弾力的な活用の一環として、居住支援法人等が公営住宅などの空き室を要配慮者に対してサブリースするなど、居住支援を目的とした様々な取組において積極的な活用を図ることは大変意義のあるものと考えているところでございます。

 このため、国土交通省におきましては、公営住宅の目的外使用手続の簡略化や、公営住宅を居住サポート住宅として提供する先行的な取組を自治体へ周知し、横展開を図ることなどを通じて、公営住宅ストックの有効活用による多様な住宅セーフティーネットの取組を推進してまいります。

國重委員 是非この法案を実効あるものとするようなしっかりとした取組を進めていただくようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、枝野幸男君。

枝野委員 よろしくお願いいたします。

 今回は、いわゆる住宅セーフティーネット法と言われている法律が改正をされるということで、今次の提案されている改正で、この法律にも二条三項で定義されている民間賃貸住宅を有効活用して、住宅確保要配慮者に提供してつないでいく、そういう意味では、大きく前進をするいい改正であるというふうに思います。ただ、本当にこれが中心でいいのか、あるいは、これで解決するのかというところを私はお尋ねをしたいと思っています。

 この法律、今回の改正の対象範囲ではありませんが、二条に住宅確保要配慮者について定義が書かれています。例えば、ここで、二条一項の三号で高齢者とありますが、高齢者にもいろいろいるわけで、特に高齢者の中でも単身の高齢者、しかも、その単身でも身内がいらっしゃらない、お子さん、兄弟などがいらっしゃらない単身者は一層住宅確保が困難である。

 あるいは、障害者が四号で規定されているわけですが、これも、御高齢で障害を持ち、しかも、近い親族などがいらっしゃらないということになれば難しくなるわけです。

 あるいは、一号では収入の低い方が書いてあるわけですが、いわゆるホームレス状態の皆さんにとっては、住宅確保というのは非常に困難であるからホームレスになっていらっしゃるわけですね。

 こうした方はより一層、同じこの要配慮者というカテゴリーの中でも特に確保が困難な人たち、今申し上げたような人、あるいは外国人、外国人の中でも、いいことではありません、残念なことですけれども、例えば、文化、風習の違いが大きい、あるいは知らないということで、アジア系やアフリカ系の外国人の方は特に困難が大きいとか、この二条に規定する要配慮者の中でも特に厳しいという方が、一つのカテゴリーがあるかなと思いますし、そういう人ほど急いで住宅を確保しなきゃならないニーズが高い、緊急性も高いと思うんですが、まず、こうした問題意識について大臣にお尋ねをさせていただきます。

斉藤(鉄)国務大臣 今回、この法律では、例えば高齢者とか低所得者という書き方しかしてございませんけれども、それぞれの方の置かれた状況において、非常に深刻な場合もありますでしょうし、配慮が特に必要な場合、それぞれの場合だと思います。

 今回の法案は、それぞれの状況に応じてしっかりサポートするという意味で、今、枝野委員がおっしゃった、そういう問題意識はあるかということに対しての答えは、そういう問題意識を持っている、こういうことだと思います。

 住宅というのは、家がなければ何事も始まらない、仕事を探すにも、住所が決まっていないと仕事も探せないという状況の中で、特にそういう状況にある方に住居の提供を行う、そういう必要があるという意味で、問題意識を持っております。

枝野委員 同じ問題意識を持っていただいてありがたいと思っていますので、是非、今回の法改正はこれで大きな前進と認めた上で、まさにその問題意識に基づいて、一番必要が高い、緊急性の高い人たちに対してどうするのかということを次の段階で急いでやっていただきたいと思うんですね。

 そういう観点からすると、実は、いみじくも今日、自民党の小林先生が最初に質問されているのを伺っていた中で、これは、ビジネスでは、要するに商いとしては、それだけに頼るわけには、なかなか難しいよねという趣旨のお話がありました。まさに私はそうだと思っていて、民間の活力を使う、そのためには、規制緩和をして民間に委ねて、その民間の競争原理の中でいろいろなものを解決していこうという昭和の時代遅れの改革の枠の中にこの法案はあるんですよ。

 だから、むしろ、やはりもう民間ではなかなか貸してくれない、民間からは借りにくいという事実は客観的にあるわけですから、だとしたら、私は、公的にしっかりと住居を提供するという責任を政治が負うべきだという問題意識を持っています。

 その問題意識の下で、実際にやってくださいとお願いをして、国土交通省、作業が簡単じゃないなと分かった上で、まず、先ほど申し上げました二条に規定する要配慮者の中で特に住居確保が困難な人たち、そして住居確保の緊急性の高い人たちについて、やはりもう一段、より力強くというか、より積極的に、住居確保のために対策を打つ対象を一つカテゴライズした方がいいんじゃないか。

 多分、法律用語的には、例えば特定住宅確保要配慮者みたいなカテゴリーをつくって、上記の中で、こういう人たちについては特に重点的に急いで住宅を確保する、こういうことが次の段階で必要じゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 そういう意味では、先ほど申し上げたまさに問題意識の中にそういう観点があるということは認識を共有したところでございますが、住宅確保要配慮者の中には様々な状況の方がおられ、例えば、住まいに関する課題だけでなく、心身の状況、就労、子育てなど複合的な課題を抱えている方、それから福祉サービスによる対応が必要な方もおられます。

 このため、住宅確保要配慮者について、近親者の有無や所得水準などによって民間賃貸住宅での対応が特に困難であるか否かを一律に区分することは非常に難しい、このように考えております。

 一方で、先ほど申し上げましたように、本法案では、入居中のサポートの必要性の高い要配慮者に着目し、住宅とサポートを併せて提供し、要配慮者が住宅を確保しやすくする仕組みを創設するほか、住宅と福祉が連携した地域の居住支援体制を構築することにより、要配慮者が福祉サービスにつながりやすい環境整備を進めることとしております。

 こうした措置を通じて、住まいの確保に特に困難を抱える方に対しても、その困難の状況に応じた適切な対応につなぎ、入居時の相談から入居中、退去時までの支援ができるよう、関係省庁とも緊密に連携して、この法案による施策を着実に実施していきたい、このように考えております。

枝野委員 私も申し上げたとおり、これは定義づけは簡単じゃないと思うし、もしかすると、ある意味では抽象的な定義でやっていくしかないのかなという気もする、それはそのとおりなんですね。

 それは、もしやっていただけるならばその作業の中で考えていただければいいんですが、でも、やはり一定のカテゴライズをしておかないと、実際に今回の改正でも、そういう問題意識で、特に必要な方についての配慮をする趣旨の中身になっているわけですよね。だとしたら、やはりそれは、次の段階としては、ここは特に急ぐんですよと。

 例えば、この今の二条の要配慮者の中で、例えば高齢者といっても、高齢者でも住宅確保は全く困難じゃないし、たまたま、もちろん持家じゃない方の高齢者であれば、それは若い人よりは困難は高いかもしれないけれども、まあ借りられるよね、しかも、お子さんとかお孫さんが近くに住んでいるみたいなことで、しかも、地方だったら同じ高齢者でも全然違いますよね、先ほど言った単身で身寄りがないという方と。

 そうすると、やはり政策を打つときに、高齢者全体に向けた対策ももちろん大事だけれども、特に困難な高齢者に向けて特化した対策というのを次の段階でやっていくためには、これは一定のカテゴライズが必要なんじゃないかなというふうに思いますので、僕は、細かく、この条件がそろったらみたいなことで、その線引きで法的効果が直接的に特定の対象か否かで分かれるとなると、もしかすると厳密につくらなきゃならないから難しいかもしれないけれども、少なくとも政策ターゲットとして明確にするという意味であるならば、それならばちょっと抽象度が高くても多分法的に許されると思うので、局長がうなずいていただいているので安心をいたしました、是非検討をしていただきたいと思います。

 ちょっと、今日の質疑の中では、そのカテゴライズを前提に、今、特に必要な人たちを特定要配慮者ということで質問させていただきますが、これは多分そうなんだろうなと思っていますが、その特定要配慮者などの皆さんが今回の法改正できちっと住宅を確保できるような数字的なめどとか時期的なめどとか、そういうものが立てられているのかどうかということを確認させてください。

石坂政府参考人 今回の改正におきましては、入居中のサポートの必要性の高い要配慮者に着目し、住宅とサポートを併せて提供することで大家さんの要配慮者に対する不安感を軽減し、要配慮者が住宅を確保しやすくなる仕組みである居住サポート住宅の制度の創設を図ることとしており、おおむね十年間で十万戸確保することを見込んでいるところでございます。

 また、この居住サポート住宅でございますけれども、どちらかといえば配慮する必要が非常に重要な方々、委員御指摘のあったような方々が中心になると思いますけれども、恐らくこれは、例えば、同じ高齢者であっても、住宅の確保に対する緊急度は様々でございます。そうした方々に対応いたしますれば、今申し上げた居住サポート住宅といういろいろな仕組み、サービスをパッケージで提供するものだけではなく、例えば終身建物賃貸借制度、家賃債務保証制度、死後事務委任契約、残置物整理、生活サポート、こういったことを適宜組み合わせる、全てのパッケージじゃなくて、組み合わせることで円滑に入居可能な方もいらっしゃるのではないかというふうに思ってございます。

 そういう意味では、こうした制度を、個々の高齢者とか低所得者の更に事細かな課題の状況に応じて、結果的に全ての要配慮者が入居しやすくなる仕組み、そういったことの環境整備を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

枝野委員 目指していただいているということは大変いいことだと思うんですが、十年で十万人というのは、恐らく高齢化の進行状況を考えると、この十年で十万人分ぐらい特定要配慮者が増えるぐらいのスピードで世の中は住宅確保が困難になっていくのではないかというのがむしろ流れじゃないかなと思います。

 結局、やはり民間だけに、どんなにそれを今回の法案のようにサポートしても、民間の家主さんからすれば、それはビジネスでやっているので、採算とか経済的合理性ということをやはりどうしても優先するということになったときに、高齢化がどんどん進んでいく中だったら、どちらかというと比較的住居確保の困難でない高齢者の方から入れていきたくなりますよ、それは。家主さんからすればしようがないじゃないですか。やはりどうしても常に、一番厳しい人ほど残っていくということになる。そうすると、一番厳しい人たちから入ってもらうようなシステムをつくってこそ、本当のセーフティーネットだと思うんですよ。

 それをやるとすれば、民間の採算性とか経済合理性ということではなかなかいかない。結局、公的に提供するしかないんじゃないか。この法律でいえば、二条三項の言う民間賃貸住宅ではなくて、二条二項で言う公的賃貸住宅で特定要配慮者についてはやはり一定きちっと担保する、確保する、これをやらなきゃいけないんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 ある意味では、例えば公営住宅とか、民間を公的機関が借り上げてそれを提供するとか、いわゆる公的な賃貸住宅が全て可能であれば、それがある意味では理想とは思います。

 しかし、現実、それはいろいろな条件があってなかなか難しい、また、現実に、民間賃貸住宅という大きなストックがあって、それを利用するというのも経済原理の中で重要だ、こういう中でのバランスの問題ではないかと私自身は思っております。

 今般の改正では、利用しやすい家賃債務保証業者の認定制度の創設、居住支援法人による残置物処理の推進、それから借家権が相続されない賃貸借制度、いわゆる終身建物賃貸借の利用促進などの措置を講じて、民間賃貸住宅においても賃料確保や死亡時のリスクを一定程度受け止められるようにすることとしております。できるだけ公的な賃貸に近づけるような、そういう努力をしているところでございます。こういう努力をしていきたいと思います。

枝野委員 簡単じゃないのは分かりますが、新しく造るだなんというのは、それは税金の使い方としていかがなものかです。こんなに空き家があるんですから、やはり民間の空いているところを国が借りてしまうことによって、公的機関が借りてしまうことによって、リスクは家主さんにはないですね。そのときには、安定的に収入になるんだから、ちょっと安くしてね、これは経済的にあり得るわけですよね。そして、リスクがなければ、公的機関に貸すならば、貸す方は安心できるわけですね。

 そこで、状況に応じて、例えば、まさにホームレスの方々は最初はただでお貸しをするしかないわけだし、そういったことは幾らでもできる。その仕組みは、一般的には災害時のみなし仮設などにあるように、制度はあると聞いています。

 だから、さっきの、特定してカテゴライズも大事だと思っているんですよ。何でもかんでも公的住宅でやりましょうなんて言うつもりはありません。民間で回る高齢者は対応してもらう、民間で回る障害者の住宅確保はやってもらう。でも、なかなか一番民間では難しくて、民間で困難な人に貸してあげましょうという気持ちのある方でも、なかなか貸しにくい、それだけ確保しにくい、特に困難の高い人たちの部分だけでも。

 ですから、要するに、三LDKとか一戸建てとかは要らないわけですよ。恐らく、一LDKのアパートでいいわけですよ。単身者がほとんどだと思うんですよ、この特定の対象になるような人というのは。そういうところについて借り上げてしまって、そしてそこに貸し、貸主は公的機関になる。

 もう一点だけ、もう時間がないので。これは、自治体にお任せして地域の事情でというのは、半分分かるんだけれども僕は半分難しいと思っていて、特に重要な、私の言う特定要配慮者の所在というのは、地域差が物すごく大きいじゃないですか。

 恐らく、過疎地域というのは、高齢化が進んでいるところは、元々の地域の人のつながりとかが深いから、身近な知り合いは山ほどいるわけだから、本当に単身で、何かあっても誰も、例えば遺体の引取りにも誰も来てくれないみたいな、こんなことは過疎地域にはほとんどないわけです。それは、大都会だと山ほどあるわけですよね。

 それで、自治体の側の立場に立ってみても、公的機関ですから、その葛藤の中で頑張ってくれるとは思いますが、自治体も。でも、やはり、特に困難の高い人たちというのは、住居確保以外にもたくさんサービスを提供しなきゃいけないわけです、地方公共団体は。都市部なんかにおいては、できれば余り本当は自分の地元にいてほしくないという心理が働くのは否定できないと思うんです。でも、やはり公的な責任だから、ちゃんとやらなきゃというその葛藤の中でされていると思うんですよ。

 だから、やはり、住宅を失った、今所在している近くのところで、元々ずっと東京で過ごしてきた人が東京でホームレスになったら東京で住宅を確保しないと、次、仕事をして立ち直ってといったって、なかなか困難ですよね。いきなりどこか知らない地方に行ってくださいとはいかないですよね。

 でも、東京はそういう人たちが山ほどいるわけで、自治体に何とかしてくださいといったって、自治体も、住居を確保している住民の、その中の貧困対策とかでも大変なわけですから、やはり国が一定程度関与して、国も金は出すし、一定の責任を負うから、ちゃんとあなたの地域の例えばホームレスや独居高齢者の住宅を確保するとか、それはちゃんとやってくださいねということは、かなり国が積極的に公的住宅を提供させる、そのためのインセンティブというよりは責任と財源を負担する。

 こういう構造がないと、本当に特定要配慮者の住宅確保は困難である状況は続くし、結局、そうなると、それはどんどん増えていくと心配をしています。大臣、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 枝野委員がおっしゃる特定要配慮者について、国がある一定程度の責任を持って、ある意味で、公的賃貸住宅というような形で提供すべきではないかという御意見、これは一つの御意見としてお聞きをいたしました。ある意味で、そういうものも一つの解決策の方向かと思います。

 今回の法案はそういう方向ではなく、今ある民間賃貸住宅の中で、そして、ある意味でストックとしてはたくさんある、そういう中でいかに大家さんに安心して提供していただくかということを目指した法案でございます。

 そういう意味では、枝野委員がおっしゃったものとは少し違う形で、要配慮者への、そして、いわゆる特定要配慮者への住宅提供を容易にしようというものでございますけれども、今日お伺いした枝野委員のお考えは、お考えとしてしっかり受け止めさせていただきました。

枝野委員 ありがとうございます。

 私は、今回の法律はいいんですよ、多分、この四十年ぐらいこの国は、できるだけ民間の力を生かして、いろいろな公共的サービスを提供しよう、その流れの中では最大限の努力をされていると思いますが、もう民間に任せればいいやという昭和の改革は時代遅れなので、きちっと、一番大事なところは公的に提供するというところに、是非今日の議論を踏まえて検討していただければとお願いして、終わります。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、谷田川元君。

谷田川委員 おはようございます。立憲民主党の谷田川元です。

 今日は、いわゆる住宅セーフティーネット法案の審議でございますが、その前にちょっとお許しをいただいて、ちょうど一週間前、大臣と議論させていただいた成田空港の問題ですね。私が成田空港の騒音問題は解決すべきだという質問をしましたところ、大臣からは、その問題意識は非常に私も共有するところでございますと、非常にという形容詞を入れていただいたので、大臣は空港の騒音問題解決に向けて頑張るんだ、そういう意気込みを示していただいたと私は受け止めております。

 そこで、私は一つ提案したいんですが、せんだってベトナムに行かれたときに成田空港を利用されて、田村社長と懇談されたと聞いております。ただ、大臣に就任されてもう二年半ぐらいたちますが、第三滑走路ができる現場とか、成田空港の視察というのはまだされていないようでございます。その現場を見ていただくとともに、地元周辺自治体の関係者とか、住民の方との対話の場を設けていただきたい、そのことを是非検討していただきたいんですが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 空港づくりは地域づくりという考え方に基づいて、国土交通省は施策を行っております。地域との共生、共栄を深めてきた経緯を踏まえ、地域の声をよく聞き、真摯に受け止めることは非常に重要であると考えております。

 現地視察や地元関係者との意見交換につきましては、国土交通省所掌の様々な分野において、全国各地より要請をいただいているところでありますが、公務のスケジュールが許せば、成田空港を訪れてみたいという気持ちはございます。

谷田川委員 ありがとうございます。是非実現していただきたいと思います。

 それでは、法案の審議に移りたいと思うんです。

 先ほど枝野委員から、やはり、民間に任せるんじゃなくて、できるだけ公が責任を持つべきだと。そうだと私も思うんです。やはり一番いいのは、公営住宅が増えればいいと思うんだけれども、平成十七年の時点で二百十九万戸あったのが、令和三年の時点で二百十三万戸と、六万戸も減っているんですね。

 今の時代、公営住宅を増やすというのは、やはり民業圧迫ということもありますので、なかなか現実的じゃないというのは私も思います。ただ、公営住宅は、都心あたりだと、何か東京あたりではもう倍率が十数倍だそうですね。全国でも大体三倍から四倍という話もあります。

 そうすると、大切なのは、低所得者層だとか、そういう恵まれない人が入りやすい住宅ということを考えますと、やはり家賃を低くしなきゃいけないわけですよね。

 そのために、二〇一七年に家賃低廉化等の補助制度が創設されたんです。地方自治体が必要と認めた補助を実施する場合に、国もその二分の一を補助します。しかし、補助を実施している自治体は、残念ながら五十五にとどまるんですね。全国で千七百余りの自治体がありますから、僅か三%の自治体しかやっていないんですよ。これは、自治体の負担分が交付税措置されているんですよ。この実施状況だと普通交付税措置の意味がないんじゃないか、私はそう受け止めています。

 そこで、実は、私も、三十歳のときに県会議員になったときからこの三十数年、ちょっと誤解していたことがありまして、それは交付税の仕組みなんですよ。特別交付税と普通交付税、一緒くたに考えていたけれども、違うんですよね。それを今日は皆さんにもお分かりいただくために総務省に来ていただいていますので、以下質問しますので、分かりやすくお答えいただきたいと思います。

 特別交付税では、地方自治体が負担する補助部分が後から特別交付税として自治体に戻ってくるという理解でよいか。二つ目、普通交付税では、地方自治体が負担する補助部分が既に算入されているため、当該補助制度を実施しているかしていないかにかかわらず、交付税が自治体に配分されるという理解でよいか、お答えいただきたいと思います。

濱田政府参考人 お答えいたします。

 まず、普通交付税でございますが、普通交付税の基準財政需要額の算定におきましては地方団体の標準的な経費を積算しており、これは、各地方団体の補助事業の実施状況にかかわらず措置されるものでございます。

 一方で、特別交付税において国庫補助に係る地方負担を算定項目としている場合には、その地方負担額に対して特別交付税を算定することとなっております。

 以上でございます。

谷田川委員 ちょっと、逆に、長いと一般国民の方が分かりにくいので、先ほど私が言ったことで間違いないかどうか、イエスかノーかで答えてください。

濱田政府参考人 おおむねそのとおりでございます。

谷田川委員 ちょっと待って。おおむねなんて言われると、どこが違うんですか。おおむねなんておっしゃったから。ちょっと答えてください。それはちょっと許せないです、今の答弁は。

濱田政府参考人 お答えいたします。

 御質問の方では、特別交付税として自治体に戻ってくるという御質問でございましたけれども、私ども、先ほど答弁いたしましたとおり、特別交付税におきましては、国庫補助に係る地方負担を算定項目としている場合には、その地方負担額に対して特別交付税が算定される、こういうことになっているということでございます。

谷田川委員 分かりました。言い方の違いだと分かりましたので、おおむね分かりましたよ。

 それで、大臣、地方自治体が千七百あるにもかかわらず、僅か五十五、三%の自治体しかこれをやっていないというのは、やはり大きな問題だと思うんですよ。これは、やはり地方交付税、特に普通交付税の仕組みが、あらかじめ各自治体に配られるわけですから、だから、自治体にしてみれば、もらったものをやるがやるまいが自治体の勝手だといって、だけれども、これじゃ地方交付税措置の意味がないので、やはり家賃低廉化の補助制度ができた以上はこれが市町村に使われるような、何かインセンティブというか、そういうものをしっかり検討すべきと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 セーフティーネット住宅の家賃低廉化の取組に対しては、地方公共団体が大家さんに補助する額の二分の一を国が補助している、まず、これは直接補助です。そのほか、普通交付税が措置されております。

 まずは、地方公共団体に向けて、補助制度の内容だけでなく、普通交付税も措置されている旨も含めて、しっかりと周知してまいりたいと思っております。

 また、地方公共団体が家賃低廉化補助を実施するに当たり、補助対象や補助期間をどのように設定するかといったことを検討する際の参考となるように、子育て支援などの政策目的に合わせて一定期間家賃を低廉化する取組や、福祉部局による生活サポートなどと連携して家賃を低廉化する取組などの先進的な事例の周知を行うとともに、現場の意見や課題を聞きながら、制度の普及、改善に努めてまいります。

 谷田川委員がおっしゃるように、まだ五十五にとどまっているというのは、我々としても非常に残念です。

谷田川委員 是非、積極的に市町村に補助制度を実施するよう働きかけていただきたいと思います。

 それで、次に移るんですが、今回の法案の質疑、居住支援法人の役割が非常に重要だという議論がされておりますけれども、私の地元にも一つ、その居住支援法人の認定を受けたところがあるんですよ、一か所だけ。

 そこにヒアリングしたんですが、国交省が令和四年度に行った調査だと、五割を超える居住支援法人が赤字と回答しています。私がヒアリングしたその社会福祉法人、福祉楽団という名前なんですけれども、そこは今年の二月に認定を受けたそうです。今、補助金を申請している段階なんですが、過去の実績等を踏まえて補助金が支払われるということで、多く見積もっても大体二百万円ぐらいじゃないかと言っていたんですが、これだと、居住支援をする専任を一人雇うことも難しくて、居住支援のニーズに十分対応できないのではないかと危惧しています。

 参議院の質疑でも、居住支援法人の活動に対する補助事業の期限を令和十年度まで延ばすという答弁をされておりますけれども、それプラス補助内容をやはり充実させることが私は必要だと思うんですが、石坂住宅局長、答弁を求めます。

石坂政府参考人 この法案に基づく措置を着実に実施するためにも、地域の居住支援の担い手である居住支援法人が、安定的、自立的に活動することは重要と考えてございます。

 今委員御指摘ございましたように、予算制度につきましては十年に延長するとともに、予算額として十・八億円を確保したところでございます。

 御指摘のように、居住支援法人は大変多く指定されて、活動していただいているところでございます。そうした観点から、なかなか十分にこの補助金が行き渡らないということについては、大変申し訳なく思っているところでございますけれども、今般、厚生労働省との共管とさせていただくことも契機といたしまして、居住支援法人の中には、厚生労働省による生活困窮者や高齢者向けの公的な福祉サービスを受託し、居住支援を行っている場合もございます。

 こうした事例ですとか、あるいは、国交省におきましても、居住支援法人が家賃債務保証業者、様々な事業主体と連携して、このモデル的な取組、先進的な取組をやっているケースについては、モデル事業の制度も創設したところでございます。

 こうした様々な制度を活用いたしまして、必要な予算の確保に引き続き努めてまいりたいと思ってございますし、また、居住支援の全国団体とも連携しつつ、様々な支援制度や事例の情報収集を通じて、各地の居住支援法人の取組を支援してまいりたいと考えているところでございます。

谷田川委員 前向きな答弁、ありがとうございました。

 それで、先ほど話した社会福祉法人福祉楽団では、少年院とか少年刑務所を出所した人を二名雇っているんですね。出所した後、親元に帰れない人が全国で約三百人いると聞いています。そのような親元に帰れない人が、いわゆる闇バイトに手を出し、特殊詐欺に加担するケースがあるというんですね。こういったことを防ぐためにも、やはり、いかに出所した人が安心して住まいを確保できるか、雇用の場を確保できるか、それが非常に大切だと思うんですが、福祉楽団では、雇用する二人の元受刑者の住居を法人名義で借りて住まわせています。

 こうしたケースに国の補助があれば、もっと少年刑務所元受刑者等を受け入れることができると言っているんですが、こうしたケースの補助金創設を検討すべきだと思いますが、法務省の答弁を求めます。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 法務省におきましては、現在、協力雇用主のための支援策として、刑務所出所者等を実際に雇用し、就労継続のための指導等を実施してくださった場合に、年間最大七十二万円を支給する刑務所出所者等就労奨励金支給制度や、就労時の身元保証人を確保できない保護観察対象者等について、民間事業者が一年間身元保証を行い、雇用主に業務上の損害を与えた場合に見舞金をお支払いする身元保証制度などを実施しております。

 議員の御指摘も踏まえまして、現在実施しております各種支援策につきまして、実施状況やその効果を検証するとともに、協力雇用主の負担の実情を踏まえた支援の充実について検討してまいりたいと考えております。

谷田川委員 ありがとうございます。

 是非、しっかり検討していただいて、何とか一人でも多くの出所者が安心して住める場所、そして雇用の場を確保するにはどうしたらいいか考えた上で、いい結果を出していただきたいと思います。

 それで、今回の法案の中に、残置物処理と聞き慣れない言葉を、私も今回初めて知ったんですけれども、私もちょっとイメージが湧かなかったので、国交省を通じて、この残置物処理を専門に行っている業者に支払う費用というのは大体幾らか聞いてくれないかと言いましたら、皆さん、幾らぐらいだと思いますか、ほぼ引っ越し費用と同じだというんですね。

 でも、今、引っ越し費用も高いんですよね。びっくりしました。ワンルームで大体十万から十五万円、二DKだと二十万から三十万円だそうですよ。非常に高いですよね。あと、特殊に清掃する経費なんかが入ると百万を超えるケースもあるというんですよね。これはばかにならない経費なんですよ。

 それで、先ほど、私がヒアリングした福祉楽団は、今まで残置物処理は遺族の人のお手伝いをしたと。ビジネスとしてやるという感覚が全くないんですよ。やはり福祉法人ですから、いかに困っている人に寄り添うか、そういう感覚でやるから、残置物処理にお金を取ろうなんて感覚はなくて、お手伝いしたと。やはりこの感覚は非常に大切だと私は思うんですよね。

 一方で、やはり、法律に規定した以上、残置物処理を行う業者がビジネスとして成り立つのも必要だと思いますよ。だけれども、果たしてお金だけでいいのかという問題もあります。私は、これはどっちがいいという議論じゃなくて、やはりバランスが必要だと思うんですよ。

 石坂局長、私は、朝日新聞で去年の九月に拝見しましたよ。石坂局長は何と、介護保険の関係で当初二年間厚労省に出向されていたんですよね、だけれども、まだ住宅と福祉の連携でやり残したことがあるということで、一年間延長して三年間厚労省に行かれた、そう聞きましたよ。

 まさにこの法案は石坂局長の肝煎りの法案だと思っています。ですから、この残置物処理業者の基準を作るということでございますけれども、その際の考え方をちょっと、石坂局長、答弁していただきたいと思います。

石坂政府参考人 御指摘の基準は、今回新たに居住支援法人の業務として追加する残置物処理業務などに関し、法人の経理的、財産的基礎などの基準として定めるものでございます。その具体の基準につきましては、今後、省令において定めることを予定してございます。

 御指摘のとおり、居住支援法人の中には、福祉事業など関連するほかの事業を行いながら、こうした居住支援業務を現在行っている団体も多いと考えてございます。こうした団体がこの指定基準を満たさなくなることで、従来行っていた地域密着のそうした居住支援の取組が行われなくなる、これは全くあってはならないことだというふうに考えているところでございます。

 こうしたことから、省令で基準を定めるに当たりましては、既存の居住支援法人の業務運営の状況など、実態を十分に踏まえて検討を行ってまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。

谷田川委員 非常に誠実に御答弁いただきましたので、石坂局長のその答弁を心から信頼したいと思います。

 それでは、この法案がしっかり実行されることを心から期待しまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、神津たけし君。

神津委員 立憲民主党の神津たけしです。

 本日は、住宅セーフティーネット法案について質問させていただきます。質問通告二番目から始めさせていただきたいと思います。

 今回の法改正では、国交省が単独で住宅セーフティーネットに取り組むのではなくて、住宅要配慮者に密接に関係する厚生労働大臣が第一条に記載されて、厚労省の関与が明確になったというのは非常によかったと私は思っております。

 ただ、これまで国交省と厚労省が一緒にやっている事業、特にサ高住ですね、サ高住では問題点が指摘されているので、ちょっとそこについて指摘させていただいて、今回の居住サポート住宅制度において同じようなことが起きないかということを確認させていただきたいと思います。

 具体的には、サ高住の入居費用を引き下げてまずは入居者を呼んでくる、それで入居者を囲い込んで系列の介護サービスを利用してもらい、さらには、入居者の介護等級というものを実際より引き上げて区分支給限度額いっぱいまで全額利用する介護を行っているような実態があると伺っております。そして、病院や診療所に高いテナント料を支払って入居してもらって、過剰診療を行うことで利益を上げていくようなビジネスモデルもあるというふうに伺っております。

 こうした介護保険、医療保険が過剰に使われてしまって保険料の引上げになっているような、引き上げてしまうような要因になっておりますので、今回の居住サポート住宅制度では、住宅要配慮者の囲い込みによって、介護保険、医療保険が過剰に使われない制度となるのか、確認させてください。

斉藤(鉄)国務大臣 新たに創設する居住サポート住宅の制度が、御指摘のような、入居者のニーズを超えた過剰な医療、介護やサポートなどを提供して不当な利益を上げる、いわゆる囲い込みの場にならないようにするということは非常に重要な視点でございます。

 そのため、居住サポート住宅の認定に当たりましては、不当な利益を得ることを防ぐ観点から、住宅の家賃やサポートの対価が法令に定める基準に従い、適正に定められていることなどを要件とすることとしております。

 また、この制度は、厚生労働省と共管の仕組みといたしまして、認定の主体を、福祉事務所を設置する市区町村等とするなど、市区町村の福祉部局とも適切な連携を図りつつ運用することとしております。

 居住サポート住宅の制度が、御指摘のような囲い込みに利用されることがないよう、厚生労働省や地方公共団体と緊密に連携してまいりたいと思います。

神津委員 よろしくお願いいたします。

 次に、家賃低廉化制度についてお伺いします。

 配偶者が先に亡くなって世帯の年金が減ってしまい、これまでと同じ場所に住み続けたいんですが、家賃の支払いが難しくなっている単身高齢者世帯が増加しております。

 何らかの事情で月額の世帯所得が十五・八万円以下となってしまった場合、既に借りている住居に家賃低廉化の支援を受けることができるような制度設計になっているのか、それとも新たに借りる場合にしか家賃低廉化措置を受けられないのか、確認させてください。

石坂政府参考人 セーフティーネット住宅の家賃低廉化事業においては、新たに入居する方のみならず、既に入居している方についても、地方公共団体の賃貸住宅供給促進計画等に位置づけていること、当該入居者の住宅困窮度が高いと認められることなどの要件を満たす場合は、家賃低廉化補助を受けることが可能な仕組みとなっているところでございます。

神津委員 非常に重要な答弁だと思います。家賃低廉化、余り要件を設け過ぎずに、是非、住み続けたいと思った方々、所得が減ってしまった方が利用できるような制度にしていただきたいと思います。

 次に、住み替えを行いたい方々がいたときに、貸す側が、大家が受け入れるかによってこの入居の可否が決まりますので、その点についてちょっと質問させていただきたいと思います。

 まず、配付資料一を見ていただきたいんですが、住宅要配慮者に対する大家の意識、それから入居制限の理由が記載されていますが、七割の大家が、高齢者が入居することに対して拒否感を持っている。そして、九割の方は、入居制限の拒否理由には、居室内での死亡事故等に対する不安を入居拒否の理由に挙げております。

 大家にとっては、事故物件になってしまえば次から大幅に家賃を下げざるを得ない、経済的に不安定で、死後の残置物や家賃滞納のリスクを解消しなければ貸すのが難しくなってしまうというような実態があります。そして、ほかの調査を見ると、家賃の滞納、また認知症などにかかることによる心配をされている方も多くいらっしゃいます。

 今、大家のリスクを解消して、安心して貸すことができる制度設計を行うことが重要だとも思っております。特に、安定した家賃収入、瑕疵物件になってしまうリスク、残置物リスクは今回の法改正で解消されるのか、伺わせてください。

斉藤(鉄)国務大臣 大家さんの不安を解消するために、具体的には次のような施策を取っております。

 一つは、居住サポート住宅の認定制度を創設し、生活保護受給者が入居する場合に住宅扶助費の代理納付を原則化するほか、ICTを活用した安否確認や訪問による緩やかな見守り、入居者の状況の変化に応じて、介護保険サービスなどの福祉サービスへのつなぎを行う仕組みの創設、それから、利用しやすい家賃債務保証業者の認定制度の創設、三番目に、居住支援法人による残置物処理の推進、そして四番目に、借家権が相続されない賃貸借制度、いわゆる終身建物賃貸借制度の利用促進、こういった措置を講ずることによって、大家さんの不安をできるだけ少なくしているということでございます。

神津委員 その点について、御返答いただいたところについて、もう少し詳しく確認させていただきたいと思います。

 家賃が支払われないという点は、家賃債務保証制度の充実が重要だと私も思っております。今回の法改正で、五十三条では、おっしゃられたように、生活保護の受給者が入居した場合、住宅扶助の代理納付の原則化が図られた。第七十二条では、家賃債務保証業者の認定制度が設けられる。第八十条では、住宅金融支援機構が家賃債務保証業者に対する再保険を行うということが記載されております。

 大家が守られているというところは理解したんですが、一方で、借主が守られているかというところについて、ちょっと確認させてください。

 家賃債務保証業者の中には、悪質な取立てを行っているような事業者もいらっしゃいます。法案施行後は、認証や登録を行わずに家賃債務保証を行うことは禁止されるのでしょうか、また、認証を受けずに家賃債務保証事業を行った場合には罰則はあるのでしょうか。

石坂政府参考人 今般の認定保証業者制度は、家賃債務保証業者の中から一定の要件を満たす者を国土交通大臣が認定するものであり、この認定を受けなかったとしても、家賃債務保証業を行うことは可能であり、罰則の適用もないところです。

 一方、御指摘のとおり、悪質な取立てを防止することは重要と考えており、国土交通省では、平成二十九年に家賃債務保証業の登録制度を創設し、保証業者に対する報告徴収や改善指導なども行い、家賃債務保証の業の適正性の確保に取り組んでまいりました。

 全国的に家賃債務保証の利用が年々広がる中で、全国の消費生活センター等に寄せられた家賃債務保証をめぐる消費者からの相談件数は、登録制度創設以降、減少傾向にございます。

 国交省としては、新たな認定の仕組みを着実に実施し、利用しやすい家賃債務保証を提供するとともに、登録制度の的確な運用を継続することにより、家賃債務保証業の適正な運営に努めてまいります。

神津委員 認定を受けなくても家賃債務保証を行う、事業を行うことは可能だという答弁でした。私は、これはもう少ししっかりと法制度化すべきだというふうに思っています。やはり、悪質な事業者の取立て、こういう方々から消費者を守っていくには法制度化をすべきだというふうに思っております。

 更問いでちょっと伺わせていただきたいんですが、家賃債務保証業者が倒産した場合は、借りる側が新たな家賃債務保証業者を探し、新たにもう一度家賃債務保証料を支払わなければならないのか、伺わせてください。

石坂政府参考人 仮に家賃債務保証業者が倒産し、その業務を承継する保証業者がいる場合には、賃借人との保証契約が引き継がれることになりますが、御指摘のように、業務を承継する保証業者がいない場合も考えられます。

 このため、認定保証業者につきましては、その業務が安定的、継続的に実施されることは重要と考えており、今回の法案においても、認定保証業者の認定の申請は、一定の財産的基礎を要件としており、また、毎年度、財務状況等の報告を求めることとしており、必要な指導監督を行うことができることとしています。

 加えて、認定保証業者の保証リスクを軽減するため、住宅金融支援機構が保証業者に対して提供する保険について、その内容を拡充することとしているところであります。

 このように、認定保証業者につきましては、その業務が安定的、継続的に行われる仕組みとしているところですが、万が一、認定保証業者が何らかの事情で事業を継続することが困難な場合につきましては、国交省といたしましても、ほかの保証業者に協力を仰ぎ、家賃債務保証業を是非引き継いでいただけるように、しっかりと働きかけを行ってまいりたいと考えているところでございます。

神津委員 家賃債務保証事業者が倒産した場合でも、もう一度家賃債務保証料を支払わないでいいような仕組みをしっかりとつくっていただきたいと思います。

 次に、今回の法改正によって、第五章、居住安定賃貸住宅、第四十条ですね、居住サポート住宅が新設されます。居住サポートは、借りる側にとっては、何かがあったときに連絡が行くので命を守ることにつながるかと思います。そして、貸す側にとってもリスク軽減となるため、非常に重要だと考えますが、居住サポート住宅の定義が私は曖昧だというふうに思っております。

 居住サポート住宅とはどのような住宅をいうのか、それから、毎月幾らくらいの費用を入居者は支払うことを想定しているのか、伺わせてください。

石坂政府参考人 今般の法改正で新たに創設される居住サポート住宅は、高齢者、低額所得者、障害者など、様々な要配慮者が入居することを想定しており、そこで提供されるサポートとしては、ICTを活用した安否確認や訪問等による緩やかな見守り、福祉サービスへのつなぎを行うこととしてございます。

 制度が曖昧ではないかという御指摘につきましては、要配慮者の個々の状況に応じて提供されるべきサービス、例えば、見守りの頻度、安否確認の頻度あるいは状況、そうした福祉サービスへのつなぎ、これはやはり個々の状況に応じて様々だと思います。そういう観点からも、運用について適切なやり方を示してまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。

 また、サポート費用につきましては、基本的には入居者が負担することを想定してございますけれども、その対価につきましては、現在取り組まれている類似の事例を参考といたしますと、例えば、簡易な見守りであれば、比較的所得の低い方でも負担できる程度として、月額二、三千円程度に設定されることを想定しているところでございます。

 また、訪問等による見守りを行う地域の法人が、生活困窮者や高齢者などを対象とする公的な福祉サービスの一部として居住支援を行っている場合もございます。入居者の生活や心身の状況が不安定になったときには、こうした事業を利用することも有効であり、厚生労働省と連携して運用してまいりたいと考えているところでございます。

神津委員 個々の状況に応じてサービスを提供するメニューが違うので、価格を決められないというところだと思います。一定程度というところでは二、三千円というふうな話があったと思います。後で、この点についてはもう一度、ちょっと質問させていただきたいと思います。

 次に、残置物処理等の負担を軽減するという話がありました。今回の法改正では、第六十四条で居住支援法人の業務の一つに残置物処理が追加されておりますが、残置物処理については、契約のモデル条項というものが策定されております。このモデル条項の解説には、残置物処理を行う契約を生前に行ったとしても、損害賠償リスクがある判決の事例が示されております。

 今回の法改正によって、入居者の死亡後の残置物処理を居住支援法人が行ったとしても、民法九十条、消費者契約法第十条によって違反として無効となる、それから、残置物処理を行った大家に対して損害賠償請求がなされる心配はなくなるのか、伺わせてください。

石坂政府参考人 今回の法案では、居住支援法人の業務に入居者の死亡時の残置物処理を追加し、民事法を所管する法務省と協力して策定した、残置物の処理等に関するモデル契約条項を活用した残置物処理を推進することとしています。

 残置物処理は、入居者の生前の意思に従って受任者が事務を行うものであるため、居住支援法人が賃借人の相続人等から損害賠償を請求される可能性は低いと考えてございます。むしろ、今回、法務省と協力して策定したものであるということでございますし、また、このモデル契約条項に基づいて適切に運営していただく、そこが大変重要であるというふうに考えているところでございます。

 そうしたことを、しっかりとモデル契約条項の正確な理解を広げて、そうした損害賠償の訴訟リスクというのが低くなるように今後とも努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

神津委員 損害賠償請求の可能性が残ってしまうのであれば、大家の心配というものは解消することができないと私は思っております。入居者と居住支援法人の二者による残置物処理に係る契約の実効性が担保されて、契約どおり残置物処理を実施した場合には損害賠償請求を受けない制度が実現するように、先ほど、法務省とは既に連携しているというふうにおっしゃったと思うんですが、消費者庁とも一緒に連携して検討をするようにお願いいたします。

 次に、居住支援法人の話を伺います。

 今、居住支援法人は全国で八百五十一法人、居住支援協議会は百四十二協議会があると伺っております。地域によっては、居住支援法人のサポートを受けられない地域が余りにも多過ぎるのではないかというふうに思います。

 配付資料の二枚目を見ていただくと、都心部にやはり集中しているというところがあるかと思います。地方でも、居住支援法人のサポートを受けられるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

石坂政府参考人 委員御指摘のように、居住支援法人の指定数は都道府県ごとに大きな差があるところでございます。また、同じ都道府県内においても、地域的な偏在というんでしょうか、そうしたことがあるということについては承知しているところでございます。

 このため、国土交通省におきましては、これまでも居住支援法人の立ち上げに資するよう支援を実施してきているところでございますし、また、今年度予算におきましても、居住支援法人の活動に対する補助事業の期限を令和十年度まで延長するなどの措置を講じたところでございます。

 引き続き、地域における居住支援のニーズを的確に把握できるよう、居住支援法人の取組を、厚生労働省とも連携しながら支援してまいりたいと考えているところでございます。

 また、こうした居住支援の取組でございますけれども、居住支援法人のみならず、例えば、地域の社会福祉協議会さんとか、そうしたところとも連携することによって、居住支援の役割を果たしていただきたい、そういうふうに考えているところでございます。

神津委員 居住支援法人が地方で増えないという理由の一つには、やはり、居住支援法人がどうやって収入を確保すればいいのかというところが分からないところだと思います。半数の五二・六%の居住支援法人が、事業が赤字だというところでもあります。

 配付資料、三枚目のところを見ていただきたいと思いますが、居住支援法人がどのようにして、各項目で幾らの売上げを上げていくことを想定しているのか、教えてください。

石坂政府参考人 居住支援のビジネスモデルでございますけれども、御指摘のとおり、半数が赤字というのは事実でございます。

 居住支援法人は、元々本業といたしまして、例えば不動産事業、あるいは福祉に関する事業の取組を行っているところがございます。そうした中で、事業全体として居住支援に取り組んでいただいているものと承知しているところでございます。

 国土交通省でも支援制度を創設しているところでございますが、必ずしも十分な補助ができているところではないという現状を踏まえますと、今回、厚生労働省と共管になったことを契機といたしまして、例えば、厚生労働省による生活困窮者や高齢者向けの公的福祉サービスを受託し、居住支援を行っている場合もございますので、こうした公的支援の取組を周知していく、あるいは、法人自らが行っている福祉や不動産の事業も適切に組み合わせて、安定的に自立的な活動をしていただくことを目指す、そうしたことを周知してまいりたいというふうに考えているところでございます。

神津委員 持続的な仕組みというところをつくっていくためには、サポートをそれぞれ行った場合には、それぞれ大体幾らぐらい収益が上がっていくかというところをやはり示していくべきなのかなと私は思っております。

 先ほど、不動産系と福祉系の両方の法人があるというふうにおっしゃられたんですが、この配付資料の中で、上の方が、入居前のところが不動産系の方々がやるところ、大まかに分けると、下の方が福祉系の方々がやるところだというふうに理解しております。そうした意味でも、是非持続可能な制度に変えていただきたいと思います。

 時間が来てしまいましたので、ちょっとここで質問を終わらせていただきますが、是非、今後とも、実情は刻々と変わってくるかと思いますので、実情に即した法改正を継続的にお願いしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

長坂委員長 次に、赤木正幸君。

赤木委員 皆さん、おはようございます。日本維新の会・教育無償化を実現する会の赤木正幸です。会派を代表して質問をさせていただきますので、本日もよろしくお願いいたします。

 本日は、皆様同様、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律案について質疑させていただきます。

 私は、元々が不動産業界に携わっていた人間として、要配慮者問題というのは、まさに今までの委員の先生たちのお話にもありましたけれども、やはり日本の不動産ビジネスのひずみとかしわ寄せが表れている、なおかつ、結構複合的で、本当に相当難易度の高い問題と認識しています。特に、政府の皆さんとか自治体の現場の皆さんは、本当に要配慮者の方と不動産事業者さんのはざまに挟まっていて、非常に御苦労されているのを見てきております。

 ですので、今日はいろいろとちょっと問題点とか課題を指摘させていただくことになりますが、決して責めているわけではなく、心から実は応援して、課題解決に迫りたいと思っています。

 また、とても個人的な問題になるんですが、実は、私は独身でもう四十九歳、五十歳手前なんですけれども、このままいくと、独居老人として要配慮者になる可能性が非常に高いですので、私だけではなく、団塊ジュニアの同志のためにも、この要配慮者問題を何とかしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、住宅確保要配慮者とセーフティーネット住宅、居住サポート住宅について質問させていただきます。

 住宅確保要配慮者、今後は要配慮者とちょっと略して言わせていただきますが、要配慮者の状況と今後の見通しについて政府の見解を教えていただければと思います。特に、今後、外国人の方も増えますし、そもそも生活保護の皆さんが要配慮者に含まれているかといった点についてもお願いいたします。

 あと、先ほども話がありましたが、要配慮者の種別ごとの対応策みたいなものも考えられているのかという点について、併せてお答えいただけますでしょうか。

石坂政府参考人 住宅確保要配慮者についてお答え申し上げます。

 御指摘の外国人の方につきましては、要配慮者として位置づけられているほか、生活保護受給者につきましては、低額所得者として要配慮者に含まれております。外国人につきましては、令和五年現在で三百四十一万人、生活保護受給者につきましては、令和五年末現在で約百六十五万世帯となっているところでございます。

 外国人や生活保護受給者以外の要配慮者として、例えば、高齢者を始めとする単身世帯が増加しており、また、持家率も低下する中、今後、高齢者などの賃貸住宅への入居ニーズが高まることが想定しているところでございます。

 住宅確保要配慮者の種類ごとの対応策ということでございますけれども、現行の住宅セーフティーネット制度におきましては、こうした様々な属性の要配慮者が民間賃貸住宅に円滑に入居できるように、要配慮者の入居を拒まないセーフティーネット住宅の登録や、入居中の支援を行う居住支援法人の指定制度といった措置を設けています。

 また、こういった措置に併せまして、セーフティーネット住宅の改修事業におきまして、バリアフリー改修とか子育て世帯向け改修といったような支援対象に応じた補助メニューを用意するとともに、居住支援法人の中には、ホームレスや外国人、障害者に特化して支援を行っている居住支援法人もございます。それぞれの要配慮者のニーズに応じた対応を行っているところでございます。

赤木委員 先ほど枝野先生からもありましたけれども、要配慮者を一くくりにすることではなかなか対応できないので、今お答えいただいたように、徐々に個別な対応も進んでいるということを理解させていただきました。

 次に、セーフティーネット住宅に関して、登録方法とか、その登録に関する支援策について教えていただきたいんです。

 これは何でかというと、基本的にウェブ申請しかないと私は認識しているんですが、結構高齢な大家さんがいらっしゃって、とても難しくて、セーフティーネット住宅の登録をすることにもう疲れ果てたみたいなことも聞いたりしていますので、ちょっとその点について教えていただけますでしょうか。

石坂政府参考人 国土交通省におきましては、賃貸住宅事業者がオンラインによって登録申請が可能なセーフティーネット賃貸住宅情報提供システムを平成二十九年十月より提供してございます。

 御指摘がございますように、なかなかオンラインの申請が難しいという方もいらっしゃる、今承りました。

 今回のセーフティーネット登録住宅でございますけれども、幅広く登録を呼びかけていく、幅広く登録していただくことは本当に重要なことだというふうに考えてございます。

 そうしたことから、実は、制度の最初、スタート当時は、登録料、登録するために大家さんがお金を払わなきゃいけなかった状況だったものを無料化にする取組を進めたりとか、あるいは登録に関する申請書類を削減するなどの取組をこれまで行ってまいりました。

 今回、御指摘のオンラインの対応が難しい大家さんがいるということにつきましても、例えば、地方公共団体に対して、そういう方々に対しても丁寧に対応して、積極的な登録を進めるよう、働きかけを進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

赤木委員 手数料も取らないようにされているというのは、とてもすばらしいことだと認識しております。

 例えば、手数料を取っていないにもかかわらず、行政書士さんとかにお願いすると、またそこはコストがかかってしまう。そもそもが、セーフティーネット住宅自体が賃料が低い中で、なかなかビジネスに乗らないというまさしくジレンマがあるところを何とか対応、御検討いただけているというのは非常にありがたいと考えております。

 次に、このまさにセーフティーネット住宅なんですけれども、実は、登録もちょっと大変なんですが、登録基準がかなりシビアというか、ハードルが高いと認識しております。

 これは、ちょっと大臣に対しては細かい質問になってしまうんですけれども、登録基準の概要とか、そもそも登録基準を定める目的を教えていただきたいんですね。特に、床面積とか耐震性の基準がかなりハードルが高くなっているんですが、ここを緩和するような方針があるのかないのかについても教えていただけますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 登録基準の目的ということでございますが、安全性や居住水準を確保するということでございまして、耐震性能や床面積、設備などの基準を定めているところでございます。

 耐震性能の基準は、住宅確保要配慮者の生命を守る観点から、緩和することについては慎重であるべきと考えております。

 しかしながら、一方、床面積の基準につきましては、原則二十五平米以上としていますが、基準を満たす住宅のうち住宅確保要配慮者が負担可能な家賃の物件が限られている状況も見られることや、特に都心部では比較的規模が小さい賃貸住宅が多いこと、また、居住者の生活実態などを踏まえ、一定の居住機能を確保しつつ、床面積の基準の引下げを検討してまいりたいと考えております。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに床面積のハードルが結構高くて、もちろん、自治体さんごとにそこは下げてはいるんですが、やはり国として二十五平米というのが出てしまうと、なかなかそこが難しいというのがあります。

 参考までに、私の地元の神戸市の状況を、参考資料をお配りしていますが、一ページ目を御覧ください。いわゆる大手のポータルサイトのSUUMOさんで、実は、神戸市で要配慮者の方が住まわれるときというのは四万円以下を探されることが多いんですけれども、四万円以下で神戸市で探すと、大体二万六千四百四十件ぐらい出てきます。

 二ページ目を御覧いただければと思うんですが、こちらはセーフティーネット住宅を検索できるシステムなんですが、同じ神戸市で四万円以下で検索すると、三十八部屋しか出てこないという部分があって、かなりこのセーフティーネット住宅自体も、先ほど石坂局長からもありましたけれども、まだまだやはり幅広に登録が必要な状況にはなっています。

 いい物件というか、広くて新しい物件は、正直なところ、やはりビジネスという、もうけを考えると、どうしてもリスクの高い要配慮者じゃなくて、そうではない方に行ってしまうというのも事実です。

 あと、耐震性に関しては、国として要配慮者は旧耐震に住まわすというのはなかなか言えないとは思うんですけれども、実は、結構やはり旧耐震の物件の方が安く設定されていることもありますので、難しいとは思うんですけれども、補強の補助をつけるとか何かをしながら、もうちょっと幅を広げていただければなと考えております。

 次に、居住サポート住宅、本法案で認定制度が創設されますが、どういった住宅をこの居住サポート住宅に認定すると想定しているのかをお答えいただけますでしょうか。これは、セーフティーネット住宅がそもそも居住サポート住宅になっていくのか、それとも、空き家とかまた別の新たな物件を想定しているのか。結構現場の方も気にされていますので、よろしくお願いいたします。

石坂政府参考人 居住サポート住宅につきましては、現在、賃貸住宅の空き家、空き室が相当数あること、また、要配慮者の中には低廉な家賃の住宅を必要とする方もいることから、新規に供給された住宅が認定を受けることを妨げるものではございませんが、主に既存の民間賃貸住宅ストックを活用することを想定しているところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 これは、KPIで、十年間で十万戸の居住サポート住宅を認定されると。見たときに、相当腹をくくって高いハードルを設けられたなと思われたんですが、まさにこの辺りというのが、新たな仕組みがうまく回って要配慮者の問題が解決するかどうかの試金石にもなりますので、是非よろしくお願いいたします。

 次に、要配慮者に対する賃貸住宅問題全般に質問を移らせていただきます。

 居住支援法人の指定数の推移、この居住支援法人の属性、例えば、不動産事業者が支援法人を兼務しているのか、そもそも支援だけをしている法人なのかということをお答えいただけますでしょうか。

 あと、自治体に協力不動産会社というのがあるんですが、もしその数とかも分かれば、併せてお願いいたします。

石坂政府参考人 居住支援法人につきましては、令和六年三月末時点で八百五十一法人が指定されています。

 法人属性別でございますけれども、株式会社が三百六十九法人、NPO法人が百六十二法人、一般社団法人が百二十五法人、社会福祉法人が九十一法人となっています。また、令和四年度に居住支援法人に対して行った調査では、居住支援法人の主たる事業として、住宅、不動産関連事業と回答した法人は、約二割となっているところでございます。

 また、御指摘の協力不動産会社の仕組みでございますけれども、国交省においてちょっと把握しているデータはございませんが、例えば、大分県においては、住宅探しに困っている住宅確保要配慮者に寄り添った対応を行ってくれる不動産会社、こうした登録制度を行っていると承知してございます。

 各地において、こうした協力不動産会社の取組というのは大変重要だと考えてございますので、地域の不動産会社など様々な関係者が連携して、居住支援法人の取組を、支援を広げていくことが大変重要と考えているところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 居住支援法人に助成限度額一千万円の助成があるんですけれども、この補助というか助成の対象となる費用とか、そもそもどれぐらい助成金が支払いをされているかという実績についてお聞きしたいと考えております。これはなぜかというと、支援法人さんから、やはりなかなか満足に活動できる費用を確保するのが難しいという声もお聞きしていますので、実際にどれぐらいなのか。

 あと、助成限度額を、一千万をもうちょっと上げる方針があるのかということについてもお答えいただけますでしょうか。

石坂政府参考人 国土交通省におきましては、これまでも、居住支援法人の立ち上げに資するよう、補助事業による支援を実施してございます。

 補助対象費用としては、居住支援法人が行う相談窓口の開設や不動産店への同行等の入居前支援、見守りや生活相談等の入居中支援、残置物処理や死後事務委任等の死亡、退去時支援などを対象としており、支援の実績としては、令和五年度は、四百四十法人に対して支援を実施いたしました。また、補助額でございますけれども、平均的に言いますと、二百四十万円程度となっているところでございます。

 そういう意味では、上限額が一千万円に対して、必ずしも十分な補助金が配れているわけではないところでございますけれども、引き続き、こうした取組について、必要な予算の確保に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

 また、上限額を上げることにつきましては、現状でもなかなか十分に上限まで配れていないということを考えますと、なかなか、その上限をアップすることについても慎重に検討してまいりたいと考えているところでございます。

 また、経営状況につきましては、厚労省と今回共管にさせていただくことを契機といたしまして、自立支援事業ですとか高齢者の事業、こうしたものを活用できることについてもしっかり周知してまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。

赤木委員 ありがとうございました。

 元々、支援の対象が、立ち上げ支援の予算だったという経緯があるとは思うんですけれども、今まさに運営費として必要とされていますので、そこについても勘案していただければと考えております。

 次の質問なんですけれども、ちょっと答えづらい質問になってしまうかもしれないんですが、要配慮者が住宅を借りられないパターンというのが、大きく分けて三つあるんですね。

 まず、オーナーの問題なんですけれども、後ほどちょっと話しますが、要配慮者はやはり事故率が高いんですけれども、そもそも事故率の高い要配慮者に貸すことを嫌がるオーナーがいます。あとは、やはり低価格帯が多いということがあって、仲介料の金額も低いということで、要配慮者にそもそも物件を紹介したがらない不動産会社というのも存在します。あとは、家賃保証会社なんですが、やはり事故率が高い要配慮者を保証することを嫌がる保証会社がいると私は個人的に見ているんです。

 それぞれに対して、政府の見解というか、現状認識を教えていただけますでしょうか。

石坂政府参考人 委員御指摘のように、居室内の孤独死や死亡時の残置物処理などの入居後に生じる課題への懸念から、大家さんが単身高齢者の入居を拒むこと、また、家賃債務保証業者に断られ入居できないケースがあることなど、様々な理由により、賃貸住宅市場において、住宅確保要配慮者の円滑な入居が進んでいない実態があることは、まさに課題と認識しているところでございます。

赤木委員 ここは、誰が決定的に悪いかというのはなかなか言えないところで、ビジネスの、お金もうけというか、利益を最大化するというのを考えれば、ちょっと致し方ない部分はあるんですけれども。

 実際、一旦滞納が起きてしまうと、滞納の家賃はもちろんなんですけれども、先ほども話が出ていました残置物の撤去費用、あとは、それをすぐ捨てられないので保管費用、この後、私もお聞きしますが、訴訟費用も出てきたりとか、一見すると、一般的には想定されていない、その後ずっと脈々と続いていって、最終的に出ていっていただくまでにかかる費用というのは相当かかりますし、当然、その間の手続をするときは人件費としてのコストがかかっていきますので、なかなかちょっと難しいというか、複雑な状況だと思います。結局、バランスを取らなきゃいけないという部分でいくと、我々のような政治家が判断する部分はあると思うんです。

 こういった状態、状況を踏まえて大臣にお聞きしたいんですけれども、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給に対して、どこに問題があると考えられていて、今後、政府としてどういった対策を取られるかについて、ちょっと改めてなんですけれども、お答えをお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、どこに問題があるかという御質問でございますが、孤独死や死亡時の残置物処理、それから入居中に生活や心身の健康が不安定となることへの不安から、大家さんが入居を拒むことがあること、それから、家賃債務保証契約が円滑に受けられないことがある、こういう課題があると認識しております。

 こういう状況に対応していくためには、これまでの国土交通省の対応にプラスして、厚生労働省と一緒になって、地方自治体の住宅部局、福祉部局、連携促進が必要と考えております。

 この問題に対する対応ということに対しての御質問に対するお答えですが、居住支援法人による残置物処理の推進、それから利用しやすい家賃債務保証業者の認定制度の創設、居住サポート住宅の認定制度の創設、地方自治体による居住支援協議会の設置の努力義務化といった措置を講じているところでございます。

 一応、御質問の、問題とそれに対しての今回の法案による対応をちょっとお答えさせていただきました。

赤木委員 ありがとうございます。

 今お答えいただいたように、やはり貸してからの、借りている最中の入居者の方のサポートなんかは、正直、不動産会社さんになかなかできない部分がありますので、そこで生活を安定したりとか、言い方は悪いですけれども、きっちり家賃分のお金は残さなきゃいけないよとかということをサポートしていただくというのは今まで実は余りできていなかったことだと思いますので、今回の改正法案に加えて、やはり厚労省さんとの連携というのは非常に私も期待していますので、是非よろしくお願いいたします。

 次は、家賃債務保証制度についての質問に移らせていただきます。

 配付資料の三ページ目なんですけれども、国交省さんが家賃債務保証サービスをすごく分かりやすくまとめられていますものをお配りさせていただきました。

 実は、保証会社によって、多分、ここにいらっしゃる委員の先生方は、若い頃に家を借りられたときは連帯保証人で借りられていて、家賃債務保証の世界は意外に結構最近の話なんですけれども、どういった、保証対象に何を保証するかとかは結構まちまちだったりします。保証料に関しても、結構会社さんによって違う体系を取られていたりするんです。

 ここでちょっと質問になりますが、今お話ししましたいわゆる昔ながらな連帯保証人の利用とこのような家賃債務保証会社の利用について、この割合が今どうなっているかというのと、今後、どういった推移をするように想定されているかをお答えをお願いいたします。

石坂政府参考人 国土交通省が行った調査では、賃貸借契約のうち、連帯保証人のみを利用している割合と家賃債務保証業者を利用している割合、それぞれ数字を出しているところでございます。平成二十二年には、連帯保証人のみが六割、一方、家賃債務保証は四割だったところが、これは令和三年度には逆転してございまして、連帯保証人のみの場合が一割、家賃債務保証業者を利用している割合は八割と、家賃債務保証業者を利用する賃貸借契約の割合は増加しております。

 今後、単身世帯の更なる増加が見込まれることも踏まえますと、家賃債務保証業者の利用ニーズというのは今後も大きいものと見込んでいるところでございます。

赤木委員 今は、ほぼほぼ家賃債務保証会社を使うような形になっています。

 要配慮者の事故の実態についてお聞きしたいんですが、これはちょっと国交省さんにデータがあるかどうか、非常に難しいと思うんですけれども、要配慮者とそれ以外の方との事故率の違いですね。例えば、事故というのはいろいろな事故があって、家賃滞納もあれば、明渡し訴訟に至るまでもあれば、そもそも回収不能になってしまう場合、あと、住んでいる最中であれば、騒音トラブルとか住民トラブル、そういうトラブルもあります。孤独死とか夜逃げみたいな形で、放置事故というものもあると思うんです。

 こういった要配慮者の事故率の違いについて、情報をお持ちでしょうか。お答えをお願いいたします。

石坂政府参考人 お答えいたします。

 要配慮者とそれ以外の方の事故率の違いでございますけれども、こちらについてはデータはございません。家賃債務保証業者への聞き取りによりますと、低額所得者や高齢者の方などにつきましては、入居中の家賃滞納、あるいは残置物が、円滑に行われないことで、次の方に貸せないといった懸念、緊急連絡先に親族等を確保できない場合に引受けを拒むことがあると聞いてございます。

 また、家賃が収入に対して著しく高く、入居中の家賃滞納が生じるおそれが高いと見込まれる方についても保証を拒む場合があるというふうに聞いているところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 こういった複雑な問題に対応するには、言い方は悪いですけれども、やはり敵を知ることが非常に重要だと考えておりますので、こういった事故率のデータも、どうやって吸い上げるのが適切かはちょっと私も答えはないんですけれども、是非継続して、定期的にこういったことを調査していただければなと考えております。

 ちなみに、私もちょっと知り合いの保証会社からヒアリングをしたんですけれども、一般の方の事故率が大体一・五パーから二パーぐらいというふうに把握されているんですが、要配慮者になると大体五%ぐらいで、やはり倍以上の事故率があるようです。

 一方、この後また話しますが、保証料というのは、保険と違って、リスクの高い方に対して、例えば高齢者の方は高い保証料を取るということをされている保証会社というのは、余りというか、多分ほぼないので、結局、車の保険なんかだったら、事故を起こすと保険料が上がって、そこで経済合理性が成り立つというのはあるんですけれども、保証は保険ではない部分があるので、なかなかここの難しさはあるのかなと考えております。

 そういう意味では、保険と同じような話でクレジットとかカードのローンの事故率、いわゆる信用情報の問題になるんですが、個人のクレジットカードとかローンに関しては、そういった事故情報とか信用情報を共有する、例えばシー・アイ・シーとかJICCのようなものが、データベースがあって活用されているんですが、これと同様のもの、家賃滞納に関する信用情報を収集している機関とか、それを普及とか活用している状況について教えていただけますでしょうか。

石坂政府参考人 家賃滞納に関する情報については、家賃債務保証業者を構成員とする団体が、賃借人から同意を得て、家賃債務保証業者間でその情報を共有する仕組みを整備していると承知しています。

 その団体には、十五の家賃債務保証業者が参画しており、その数は、過去五年間でほぼ横ばいであると承知しています。

赤木委員 ありがとうございます。

 家賃滞納のデータは、大体各会社さんごとに把握されていて、そこで対応されているということなので、事故を起こした方が違うところに移ったときに、それが、言ってみれば白紙化されて、リセットされてしまうという問題が結構大きな問題と考えております。お金とかクレジットのように、返済とか支払いを遅延してしまうとブラックリスト化されて、もちろん、それを起こさないように、事故に気をつける方が多いんですが、家賃に関してはちょっとそこがない部分が今の話になるんですけれども。

 一方で、家賃保証料は、事故を起こそうが起こしていまいが変わらないので、例えば、五十年間ずっと家賃を払い続けていた方が高齢者になって家を移るときに、それまでの実績は一切無視されて、家に入れないというようなことが実際起きています。私も、二十年後はその可能性が、身に降りかかってくる可能性があるんですけれども。

 これはちょっと大臣にお聞きしたいことになるんですが、家賃に関する信用情報のようなものを整備して、家賃滞納のブラックリストを共有して、金銭債務の滞納者がお金を借りられなくするような形で、例えば家賃債務の滞納者もちょっと家を借りづらくなるようにする、そういった考え方も一方ではあるとは思うんですけれども、これについて、大臣としてはどう考えられるか、ちょっとお答えをお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、前段の債務保証料が変わらないことについての見解でございますが、家賃債務保証業者からの聞き取りによりますと、保証料は、保証の範囲によって増減することはありますが、滞納歴など賃借人の属性に応じて変化するケースは承知していないということだそうでございます。

 賃借人の属性に応じて保証料を変化させることも考えられますが、その場合、低額所得者など家賃滞納のリスクが高い方ほど保証料が高くなり、その金銭を負担できずに家賃債務保証を利用できないことも想定されます。

 このため、賃借人の属性に応じて保証料を変化させることについては、要配慮者が家賃債務保証を利用することの支障とならないかなどについて、十分な配慮が必要と考えております。

 そして、御質問後段の事故によるブラックリスト化でございますけれども、住まいは生活の基盤であり、誰もが安心して暮らすことができる居住環境を整備することが重要です。

 何らかの事情で家賃を滞納した方であっても、その後、その滞納分の支払いを終えているような場合などに、過去の滞納歴を理由として住宅に円滑に入居できないといった事態は避けなければならないと考えます。

 国土交通省としましては、家賃債務保証業者に対して、住宅金融支援機構がその保証に対する保険を行うことができることとしております。その上で、この法案において認定家賃債務保証業者が居住サポート住宅の入居者の保証を引き受ける場合には、保険金による補填割合を七割から九割に引き上げることにより、保証業者のリスクを軽減できる制度を設けております。

 いずれにいたしましても、国土交通省としては、利用しやすい家賃債務保証制度の構築に努めてまいりたいと思います。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに大臣がおっしゃられたみたいに非常に悩ましい世界で、お金の場合は、もちろんお金を借りないと生きていけない世界はあると思うので、家は借りられないと生きていけないですし、住まいがないと仕事も見つからないという意味では非常に重要な住まい、まさしく住まいですので、ここのバランスをどう取るかというのは非常に難しいと考えております。

 今大臣がお答えいただきましたけれども、認定制度を使うと保険が使えるようになるということなんですが、現状の保険は、これからちょっと変わっていくとのことなんですが、保険料が高い割には、保険の対象範囲が家賃のみで、例えば原状回復費用とかまでカバーされていないという部分があって、なかなか使いづらい保険になっていますので、そこも含めて変えていただければ、より要配慮者のメリットになると考えております。

 次に、家賃滞納が起こってからの話なんですが、これは配付資料の四ページ目、ちょっと見づらい資料になっているんですが、御参照ください。

 家賃が入ってこなくなったら、支払いをしてくださいよとお願いして、契約を解除して、その後、明渡し訴訟をして、判決が出て、強制執行の申立てをして、強制執行で出ていっていただくということなんですが、これはヒアリングをすると、大体、最低でも六か月、場合によっては十か月ぐらいかかるのが通常とお聞きしています。これは非常に長い戦いですけれども、裁判としては、基本的に滞納の事実があればほぼほぼ勝ってしまう裁判をお金と時間をかけてやらなきゃいけない世界なんです。

 これは質問になるんですけれども、こういった明渡し訴訟の数とか推移、平均期間、あとはオーナーがどれぐらい勝率があるかということについて、データをお持ちでしょうか。

石坂政府参考人 お尋ねいただきました建物明渡し訴訟の件数などにつきましては、お示ししているデータはございませんが、御指摘の家賃滞納に限らず、賃貸住宅を明け渡し、次の入居を円滑に行っていくことは課題と認識しているところでございます。

 家賃滞納時の建物明渡し訴訟につきましては、私どもの関係団体へのヒアリングを通じ、状況や実態の把握に努めてまいりたいと考えているところでございます。

赤木委員 先ほどの要配慮者の事故のデータと同様なんですが、この出口の部分に相当時間がかかって、そもそも解決できないんじゃないかというおそれで、やはり貸さないとか保証しないということが非常に起きていますので、ここについても、是非何らかの形でデータを取っていただければと考えております。

 時間がだんだん迫ってきていますので、最後の質問になります。

 要配慮者が住宅を借りる場合、今の仕組みを使うと、やはり家賃保証があるかないかというのが非常に大きな要因になっています。一方、家賃保証会社にとって、言葉は悪いですけれども、要配慮者はもうからないどころか、どっちかというと赤字になる相手と考えられていると思います。

 だったら、いっそのこと、家賃債務保証業者に対して、要配慮者に対する保証料の補助を直接行ったりとか、家賃保証業者に対する何らかの補助制度を創設することも一つの方策ではないかなと考えていますが、この点、大臣の御見解をお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 家賃債務保証業者による保証料の低廉化の取組に対しては、地方公共団体が支援する場合に、国土交通省としても補助を行っているところでございます。これにより、地域の実情に応じた支援が可能となるほか、地方公共団体により家賃債務保証業者が適切に業務を行っているかどうかというチェック機能が働くことが期待されます。

 しかしながら、こうした支援を実施している地方公共団体は、令和五年八月時点で三十自治体と、依然として少ない状況でございます。

 この補助制度がしっかり普及するよう、地方公共団体や事業者に対する説明会などにおいて、周知を図ってまいりたいと思います。

赤木委員 ありがとうございます。

 その制度は、実は私も不勉強で、昨日教えていただいたので、私も普及にも力を尽くしますので、引き続き要配慮者の問題について解決をよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

長坂委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 住生活基本法第六条に基づき、二〇〇七年、住宅セーフティーネット法が成立しました。

 国交省が全国の不動産関係団体と会員事業者に行ったアンケート調査によれば、高齢者単身世帯の入居制限を行っている、五%、条件付で制限している、三九%、合わせれば四四%に上ります。その理由の第一が、孤独死などの不安、八二%、第二位は、保証人がいない、保証会社の審査に通らない、四三%と、厳しい実態が浮き彫りになっています。必要な支援策として、見守りや生活支援、死亡時の残存家財の処理が六割以上になっていたことからも、そこに応えたのが本法案だと受け止めています。

 まず、住宅確保要配慮者居住支援法人の業務規程に残置物処理等業務規程が追加されました。これは、貸借人が入居者死亡時の残置物処理に関する契約を結ぶわけですが、終身建物賃貸借契約とセットで効果を生むという理解でよろしいでしょうか。

石坂政府参考人 今回の法案では、居住支援法人の業務に入居者が亡くなった後の残置物処理を追加し、令和三年に国交省と法務省が協力して策定した、残置物処理等に関するモデル契約条項を活用した円滑な残置物処理を推進することとしています。

 入居者がお亡くなりになった後も賃貸借契約が有効である場合には、入居者の相続人がその物件を使用、収益することができるため、家財等を置き続けることができ、また、第三者は住宅内に立ち入ることができないこととなってしまいます。

 このため、モデル契約条項では、残置物処理に関する条項に加えて、死亡時の賃貸借契約の解除を委任する条項も併せて示しているところでございます。

 なお、終身建物賃貸借を利用する場合は、入居者がお亡くなりになった際に賃貸借契約が終了することになります。したがいまして、モデル契約条項の利用促進に加え、御指摘のような終身建物賃貸借の利用を促進することで、残置物の円滑な処理、進めていきたいというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 最初の読み方、また間違えました。賃借人の話でした。

 賃貸借契約は死亡時で解除という終身建物賃貸借契約は、その後の面倒な相続問題がないということで、両者の安心につながるのではないかと思います。

 また同時に、残置物処理は、生前、賃借人がこれはどこどこへやってほしいなどというように指定した残置物以外は処分するんだけれども、換金できる残置物があった場合の扱いが、結局、相続人を探すとなれば、居住支援法人にとっても大きな負担になると思いますが、どのようにされますか。

石坂政府参考人 まず、残置物の処理をするに当たりまして、賃貸住宅物件内にあった金銭や残置物を換価して得た金銭でございますけれども、残置物処理等の費用に充当した上で、残額を入居者の相続人に返還することになりますが、相続人の存否や所在が明らかでない場合には供託していただくことになると考えています。

 また、御指摘のように、相続人を探すかどうかという点についてでございますけれども、モデル契約条項を活用する場合は、賃借人から残置物処理等の事務を委任した居住支援法人には、賃借人死亡後、その事務を実行するに当たり、戸籍調査のような相続人の積極的な探索までは求められるものではないというふうに考えているところでございます。

 したがいまして、居住支援法人にとって相続人の探索による過度な負担は生じないものと考えてございますが、国土交通省といたしましては、モデル契約条項の正確な理解を広げるということで、周知をしっかり図ってまいりたいと考えているところでございます。

高橋(千)委員 過度な負担にはならないようだということが分かりましたけれども、万が一、非常に大きな、換金できる大きな財産が見つかってしまったというようなときに混乱が生じないように、しっかりと事前の取決めをしておくことが大事なのではないか。それでまた、相続人ですと突然名のり出てくるというようなことがあっては非常に困るなということがあって、それは大震災の後などでも大変自治体の皆さんが苦労した問題ですので、そこは整理していただきたいなと思っております。

 そこで、居住支援法人の業務規程には債務保証業務規程というのもあるわけですけれども、家賃債務保証業者を今回認定制度としてつくった、それとの関係はどうなるでしょうか。

石坂政府参考人 御指摘の債務保証業務規程につきましては、都道府県知事の指定を受けた居住支援法人が適正に家賃債務保証業務を行うことを担保するものであり、都道府県知事は、求償権の行使方法が適正であるかなどを確認し、認可することとしています。

 仮に、認可を受けた規程に基づかずに家賃債務保証を実施した場合には、指定の取消しの対象となります。

 今回の法案で創設する認定家賃債務保証業者については、緊急連絡先として個人の連絡先を求めないなどの基準を満たす者を国土交通大臣が認定するものでございます。

 認定保証業者は、要配慮者の家賃債務保証を行うことから、家賃債務保証業務を適正に行うことができると認められる者に限り申請を行う必要があるため、家賃債務保証業務規程の認可を受けた居住支援法人と、国土交通大臣の登録を受けた家賃債務保証業者がその申請を行うことができることとしているところでございます。

 このような取組を通じて、家賃債務保証の適正な運営の確保とともに、要配慮者でも家賃債務保証を利用しやすい環境の整備を図ってまいります。

高橋(千)委員 今の、個人の連絡先を求めないというのは、言ってみれば連帯保証人という、それでいつも苦労するわけですが、そこがなくて、それを、居住支援法人、認可を受けたところが引き受けるという理解でよろしいですね。

石坂政府参考人 認定家賃債務保証業者につきましては、これはいわゆるサポート住宅に限らず、緊急連絡先について、個人ではなく、例えば法人、居住支援法人ですとか社協さんですとか、そういった法人でもいいということにすることによって、身寄りのない方でも入居しやすくなるということで、今回創設するものでございます。

高橋(千)委員 非常に大事なことだと思います。

 そこで、今話題になった居住サポート住宅のことなんですけれども、生活保護世帯の場合は、原則、家賃は代理納付にします。住宅扶助費よりも家賃が安い場合は、多分その額を代理納付ということになると思うんですが、問題は、家賃の方が高い場合、どのようにするでしょうか。厚労省に伺います。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、生活保護受給者が居住サポート住宅に入居する場合に、保護の実施機関が住宅扶助費を賃貸人に直接支払う住宅扶助の代理納付を原則化することとしております。

 住宅扶助の代理納付を適用しない場合につきましては、省令で規定を整備することとしておりますが、例えば、住宅扶助基準額を超える家賃の住居に居住している場合につきましては、一般生活費に充当すべき生活扶助費を家賃に充当することとなります。生活保護法の趣旨に照らしますと適切ではないことと考えられますので、住宅扶助費の代理納付を適用することはなじまないというふうに考えております。

 なお、家賃の満額の住宅扶助費が支給される場合につきましては、家賃が口座振替により納付される場合等を除きまして、代理納付を適用することを想定しているところでございます。

高橋(千)委員 つまり、代理納付が原則なんだけれども、家賃の方が住宅扶助費よりも高ければ、それができないわけなんですよ。今、理由でおっしゃいましたように、一般扶助費を家賃に充当するのはなじまない、生活保護の要するに趣旨からいって。だけれども、それができないような、家賃が結局高過ぎるというか、逆に扶助費が安過ぎるんですね。東京二十三区の単身世帯でも五万三千七百円、大阪市では四万円、北九州市では二万九千円、これでとても賄えるはずがないじゃないか、これを何とかしなきゃいけない、そういう認識に立っていただきたい。

 そこを踏まえて答えていただきたいと思うんですが、コロナ等で住居確保給付金の要件が緩和され、活用が増えたと思います。最大時の給付件数と現在の件数がどのくらいか。それから、要配慮者が増えている現状から見ると、もっとこの住居確保給付金の要件緩和と拡充が必要と思いますが、いかがでしょうか。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 住居確保給付金の年間給付件数につきましては、コロナ禍で要件緩和を行っておりましたが、最も多かったものは、これは新規決定件数と再支給決定件数の合計数でございますが、令和二年度の十三万九千七百四十件、現在把握しております直近の数字で申し上げますと、令和四年度の三万七千七百九十件となってございます。

 住宅確保給付金の支給に当たりましては、原則三か月、最大九か月の支援終了後に自ら家賃を支払って生活していくことができるよう、求職活動等の増収に向けた活動を行うことを要件としているところでございます。

 現行の給付金が自立を促進するための制度であるという趣旨を踏まえますと、求職活動の要件を撤廃して、生活に困窮していることをもって対象とすることはなかなかなじまないというふうに考えておりまして、引き続き、就労を通じて生活の安定を目指していただくことが重要ではないかというふうに考えております。

 その上で、先日公布されました生活困窮者自立支援法の改正によりまして、令和七年四月一日から住居確保給付金を拡充することとしております。具体的には、収入が著しく減少し、家計改善のために転居により家賃負担等を軽減する必要がある生活困窮者に対しまして、家賃の低廉な住宅への転居のための初期費用を補助することでその自立を促進することとしており、この転居費用の支給に当たりましては、求職活動を要件としない予定でございます。

高橋(千)委員 求職活動を要件としないということで、今回、法改正がされたということでありました。最大時から、今、十万件はもう利用、活用の対象になっていないわけですけれども、じゃ、十万件が何事もなく今無事に暮らせているかということも、思いを致さなきゃいけないと思うんですね。

 そういうことを含めて、大臣に伺いますが、住宅確保要配慮者を断らない賃貸住宅の登録は九十万戸を超えたといいますが、そのうち、どれだけ要配慮者を受け入れているのかのデータがないとお答えであります。家賃低減策などがセットの専用住宅は六千戸弱という程度にとどまっており、これを増やさなければ住宅セーフティーネットとは到底言えないと思うんですが、どのように増やしていくのか、伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 セーフティーネット専用住宅は、入居者の資格を要配慮者に限定している住宅でございまして、今年三月末時点で約五千九百戸が登録されております。

 一方、専用住宅以外のセーフティーネット住宅は、大家さんにとって専用住宅よりも入居者を確保しやすく、セーフティーネット住宅としての登録に理解を得やすいことから、その数は増加傾向が続いておりまして、結果として、要配慮者の方々の入居機会も拡大しているのではないか、このように認識しているところです。

 また、今回の法案では、要配慮者がより円滑に住まいを確保できるよう、いろいろな、例えば、ICTを活用した安否確認とか訪問による緩やかな見守りなどでございますけれども、居住サポート住宅制度を創設することとしておりまして、改修費や家賃低廉化の支援を実施することとしております。

 こういう形で、要配慮者が入居しやすい体制をつくっていきたい、これが今回の法案でございます。

高橋(千)委員 ですから、断らないということで門戸を広げていても、結局、家賃の低減がなければ、肝腎な方に入っていただけないわけですよ。純粋に言っても、五万円未満の家賃のところは二割くらいしかないという実態でありますので、実際には、本当に必要とされている方が入れないという状況なんだ。ここを思い切って増やしていただきたい。重ねて指摘をしたいと思います。

 時間の関係で質問をちょっと飛ばして、今日はURにも来ていただいておりますので、一言伺います。

 UR賃貸住宅の中で、セーフティーネット住宅、専用住宅のスキームを取っている団地数と戸数がどのくらい今あるか、今後増やしていく考えはないのかということを伺います。全国のURの入居世帯数と、そのうち独居老人世帯がどのくらいか、それと併せてお答えください。

田島参考人 お答えいたします。

 お尋ねの、セーフティーネット住宅の団地数と戸数でございますけれども、私どもUR賃貸住宅におけるセーフティーネット住宅の専用住宅の団地数と戸数は、令和五年度末時点で十五団地二十七戸になります。

 私どもUR賃貸住宅は、民間賃貸住宅への入居を拒まれやすい世帯の受皿として、住宅セーフティーネット機能の一翼を担ってございます。セーフティーネット住宅を更に増やしていくこと、充実させていくことにつきましては、国土交通省との連携の下、今後とも、地方公共団体への働きかけを進めてまいる所存でございます。

 また、もう一点お尋ねの、UR賃貸住宅の入居世帯数と独居老人世帯数でございます。入居世帯数が約六十四万世帯、そのうち六十五歳以上の高齢単身世帯、独居老人世帯になりますけれども、URが令和二年に実施いたしましたUR賃貸住宅の居住者定期調査の結果から、約十五万世帯と推計しているところでございます。

 以上でございます。

高橋(千)委員 専用住宅の一翼を担っていく、また増やしていくというお答えをいただいたんですが、そうはいっても、十五団地二十七戸というのは余りにも少ない。十五万世帯が独居老人世帯であるということをお話しいただいたことと比べても、やはり問題じゃないか。とても残念だと思うんですね。

 だから、今いる人たちが、やはり、それは安心できる専用住宅なんだよというふうに位置づけていくこと、それが必要なんじゃないかと思いますが、もう一言お願いします。

田島参考人 お答えいたします。

 今いらっしゃる方も含めて、居住者の方に対してどういうサービスができるかということにつきましては、先ほどもお答えいたしましたとおり、国土交通省との連携の下、今後とも、地方公共団体の方に積極的に申入れを行っていきたいというふうに考えているところでございます。

 以上であります。

高橋(千)委員 残念ながら時間になってしまいましたので、ここは、大臣に質問を用意していましたが、要望としたいと思います。

 それで、居住支援法人が、今、八百五十一法人がいるうちの半分が赤字だという話がるるされているんですけれども、やはり、アンケートを見ますと、その理由が、そもそも、相談を受けてもマッチングする住宅がない、安い住宅がないと答えているわけなんですよ。年間二十件も相談を受けられない、それは住宅がないからなんです。それじゃもう本末転倒であるということで、やはり本気で専用住宅だとか家賃の補助そのものに取り組んでいく必要があるんじゃないか。

 だから、自分自身が賃貸物件を持っている不動産屋だけが逆に今度の法案でビジネスとして利益を上げていく、それだけでは本来の趣旨とは全く違うんじゃないかということを指摘して、終わります。

長坂委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 今年の元旦に起きた能登半島地震で、建物、住んでいた家が崩壊した多くの方がいらっしゃって、本当にそうした方々、まだ大変不自由な避難生活を送られている。やはり住まいを失うというのは本当に大変なことであって、一日も早くこうした方々にちゃんとした安心して寝られる住まいを提供していく、これは政府としてもしっかり支援して、取り組んでいただきたいと思います。

 私も、いろいろな、各地の災害が起きた現場をこれまで回ってきました。よく、避難所に行って避難している皆さんにお話を伺うと、大体、皆さん、異口同音で口にするのは、一日も早くちゃんと安心して寝られる家が欲しいという、やはり住まいの確保なんですね。

 衣食住という言葉があります。これは人間の基本的ニーズで、衣と食と住。そういった意味では、住まいというのは、これは生きていく上で必要欠くべからざる重要なものであって、やはり、人間として生きていくために必要な最低限のニーズ、これをきちんと満たしていくというのが、これは政治の大きな役割だと思います。

 今の日本社会、今回の法案は、そういった意味では、身寄りのない高齢者や、一人親家庭とか、障害者とか、なかなか住む家を借りられない住宅弱者、この法案では住宅確保要配慮者の皆さんですけれども、こうした人たちが家を借りやすくするという、こうした今回の法案というのは、今後、今の日本の人口動態を見ていれば、間違いなく、単身の高齢者はどんどん増えていきます、そこだけ見てもですよ、今のままの制度だと。しかも、これからの単身世帯というのは、本当に、兄弟も少ないとか、関係がなくて、なかなか借りにくいのは、その借りる人以外に何か保証人みたいなのが要るとか、そういう身寄りとかがない人たちがやはり借りにくいところがあるわけですから、そういった意味では、本当に、今回みたいな、きちんと、そういう人でもちゃんと住宅が借りられますよという制度を今のうちにしっかり整備をしていかないと、今後ますます、住む場所を見つけられない。

 ですから、それでも、今でもネットカフェなんかを転々とする人とかが出ていますけれども、そういう人たちがどんどん増えたり、あるいは、最悪の場合にはホームレス生活を強いられるような、そういう人も増えてくる。そうしたことさえやはり懸念されるわけでありますから、そういった意味では、こういう措置を取るということは極めて大事なことだと思います。そういった意味では、この法案には我々、賛成であります。その立場で、その上で、今日、御質問したいと思っています。

 まずは、今申し上げたように、この法案には賛成でありますし、こういうことをやっていかなきゃいけないというふうに思うんですけれども、この間のいろいろな政府の取組、私も長くこの政治の世界にいて、国ではこういう制度をつくりました、それで、それをちゃんとうまく、本当に幅広く利用されていればそれなりに問題は解決しているはずが、実は、制度はつくったけれども、その制度が十分に使われていない。そういうものは本当に、国交省関係だけじゃなくて、どこの役所もみんな、たくさんあるんですよね。ただ看板だけ見ると、こんなにちゃんと、困ったときにはとかありましても、実は余り使われていない。

 使われていない一つの理由が、そもそも、そういう制度があることを使う必要がある人とか関係の人たちが分かっていないという場合が多いんですね。いろいろ探せばあるんですけれども、そういう方々は、やはりなかなか探すところまでいかなくて、困っている。

 だから、やはり、本当に困っている人たちとか、今回この法案、通った後ですけれども、施行されるとなったら、ちゃんと、こういうことになりましたということが、本当に必要とされる人たちにどういうふうに周知徹底されていくのか。大家さんなんかも、やはりなかなか、貸すことに対しては今までちゅうちょがあったのが、じゃ、こういう制度が、こういうふうになるんだったら貸そうというふうになるのか。それは、相当ちゃんと周知徹底をしっかりやっていかなきゃいけないと思いますけれども、それは、どんなふうに今やっていこうというふうに考えておられるのか、お教えいただけますか。

石坂政府参考人 今回の法案につきましては、より多くの住宅確保要配慮者や大家さんに、この法案による新しい制度を知っていただくよう周知徹底に取り組むことは重要と考えているところでございます。

 このため、要配慮者に対しましては、市区町村の居住支援協議会の設置等を通じた地域のネットワーク機能の強化による情報提供、大臣が認定する家賃債務保証業者や市区町村等が認定する居住サポート住宅の仕組みについて、ホームページを通じた情報提供、さらに、今回、厚生労働省と共管になったことを踏まえまして、福祉の関係団体を通じた情報提供などを進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 また、大家さんに対しましても、分かりやすいパンフレットを作成、配付し、関係団体と連携した事業者向けの説明会を行い、大家さんの理解、こうしたことも進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 いずれにしましても、様々な機会、特に今回は厚生労働省と共管になったことを踏まえまして、福祉の関係の団体、こうした方々にも十分にセーフティーネット制度を周知することが大事だと考えてございますので、そういったことから、関係省庁とも連携しながら進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 福祉の関係者のところ、そういうところはいいと思いますけれども、さっきの、ホームページとかパンフを作りましたというのは、これは、ホームページに載せた、パンフを作ったというところで終わっちゃう。よく役所の作るパンフは、作るんですけれども、山積みにされて、ほとんど使われていない。

 ですから、本当にそれが末端までちゃんと届いていく、そこまでよく確認していただく。作ったところで終わりじゃなくて、ちゃんと大家さんたちに届いているかどうか、そういうところも確認する、フォローアップする、そういうことまで是非やっていただきたいと思います。

 次の質問に行きたいと思いますけれども、今回の法案の中身というのは、民間賃貸住宅の活用を中心とするものでありますけれども、民間の賃貸住宅だけじゃなくて、本来は、公営住宅、これはまさに、そういう住宅を確保しにくい人たちのためにというのが、元々の、本来の目的の一つであったんだと思いますね。

 公営住宅は、今、かなり多く老朽化して、そろそろ建て替えないとという、そういう時期を迎えてきているものも多いわけでありますから、こうした老朽化した公営住宅なんかを建て替えする、そういうことによって、民間ももちろん、今、空き家、空き室が多いですから、そこを活用するのももちろん大事なんですけれども、それだけじゃなくて、やはり公営住宅、公的な賃貸住宅の充実、こうしたものも同時に行っていくべきではないかと思いますが、いかがですか。

石坂政府参考人 公営住宅を始めとする公共賃貸住宅は、住宅に困窮する低額所得者等の居住の安定を確保する住宅セーフティーネットの根幹を成すものでございます。

 老朽化した公営住宅につきましては、長寿命化や建て替えを進めることは重要であり、地方公共団体において、人口減少など地域の今後の人口動向や厳しい行財政事情を踏まえつつ、公的賃貸住宅ストックの状況等を勘案し、改修や建て替えを行っていただいているものと考えているところでございます。

 国交省といたしましても、引き続き、老朽化した公営住宅の建て替え等に対しまして、社会資本整備交付金等により重点的に支援をするとともに、改めて地方公共団体に対しまして、地域の実情を勘案した上で、公的賃貸住宅と民間賃貸住宅のそれぞれの利点を踏まえた役割分担の検討を促し、住宅政策と福祉政策が連携し、官民一体となった住宅セーフティーネットの充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 そこで、大臣、公的賃貸住宅、公営住宅なんかを建て替えるときのアイデアとして是非ちょっと考えていただきたいなと思うんですけれども、私、国家戦略担当大臣時代に、国家戦略会議というのをつくって、その下にフロンティア分科会というのをつくりまして、その中で四つの分科会があって、一つの分科会、幸福についての分科会の中で、住まいを通じて新しい形の家族をつくっていったらどうか、そういう議論があったんです。

 それはどういうことかというと、同じ住まいのところに、それこそ、高齢の独り暮らしの人とか、あるいはシングルマザー、シングルファーザーとか、あるいは学生だとか、いろいろな人たちが住んで、血のつながりはないんだけれども、一緒のところに住んでいるというので新しいコミュニティーをつくって孤立しないでいくような、住居というのは、実はそういう意味でいろいろなやり方があると思うんです。

 例えば、私がそれを聞いていたときに思ったのは、よくヨーロッパなんかに行きますと、中庭方式で、外から見るとずっとこう、あれなんですけれども、真ん中の方が空いていて、中庭があって。だから、そこに住んでいる人たちは、いろいろな経緯のある方、老若男女、そういう人たちが、中庭だったらある種安心できる部分があって、そこをみんなが一緒に使う。そこで、お互いに見守りだとか、そういう形で、血のつながった家族ではないけれども、ある種、新しい家族のような形態、一つのコミュニティーですね、そういうものを住まいを通じてつくっていく。そういう議論があったのを覚えているんです。

 だから、今度、公営住宅なんかを建て替えするときに、従来と同じようにとんとんとなるんじゃなく、ちょっと形とか何かを考えて、そこに住んでいる人たちがそれぞれ、隣は誰か分からないじゃなくて、お互いにおつき合いがあるような、そして、そこへ入る人も、今回のようなこういう要配慮者だけじゃなくて、学生だとか、いろいろな人たちをバランスよく入れていくことで、そういう新しいコミュニティーというか、そういうものが住まいというのをてこにしてできるんじゃないか。だから、そういうものをやはり公的住宅なんかを建て替えるときは考えたらいいんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 まさしく今の住生活基本法に基づく住生活基本計画はその考え方で、これまで家族が担ってきた役割を社会全体で担っていこうという考え方に基づいて、この基本計画は立てられていると思います。

 したがいまして、公営住宅につきましては、高齢者や子育て世帯などの多様なニーズに応じた住宅の整備、供給を進める、また、建て替えを行う際には、高齢者施設、子育て支援施設などの福祉施設を併設することを原則化するなど、そういうコミュニティー形成を促進するような住宅にしていくという考え方に基づいて実行している、このように思います。

 その考え方は非常に重要でございまして、その考え方に基づいて公営住宅等も考えていきたい。そして、民間賃貸住宅につきましても、そういうふうな形が進むような制度にしていきたいな、このように思います。

古川(元)委員 私、先日、二地域居住の法案のときにも申し上げましたけれども、例えば、今回、能登なんかがそういう候補としてということで進むような話も報道されていますけれども、例えば、ああいうところに造る住宅、新たにそういう公営住宅を造って、そこに、今まで住んでいた方だけじゃなくて、そういう住宅があるからというので、例えば東京圏から向こうに移りませんかみたいな、そうやって、いろいろな形で、やはり住まいを活用して、かなり、それこそ、今の東京一極集中だとか人口減少に対応する、そういう方策ができるんじゃないかと思うんです。是非そこは、住まいをうまく活用するということを考えていただきたいと思います。

 最後に、今回の法案、これは住宅セーフティーネットということで、先ほどからお話があるように、国交省だけじゃなくて厚労省も含めてという、そういうところで取り組んでいくということなんですが、そういった意味では、住まいというのが非常に、今まで以上に、社会保障的な観点というのは考え方として出てきていると思うんですけれども、これをもう少しはっきり。

 今、社会保障というのは、かつては社会保障は三分野と言われて、年金、医療、介護の三分野だったのが、民主党政権時代に、社会保障・税一体改革のときに、年金、医療、介護、そして子育てという、子育ても社会保障の四分野に入れました。是非、この住まいというのも社会保障の一分野である、そういうふうにはっきり位置づけることで、より、ちゃんと住まいを国として全ての人に確保していくんだ、そういう環境を整えることにつながるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 そういう方向に進んでいると思います。

 まだ、医療、年金、介護、子育て、住宅というところまでは行っていませんけれども、例えば、昨年十二月に閣議決定された、全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋におきましては、住まい政策を社会保障の重要な課題として位置づけ、必要な制度的対応を検討していく、このように文書に書かれているところでございます。この中で、住宅セーフティーネット機能の一層の強化に資する必要な制度改正の実施に向けて、更なる検討を深めることとされておりまして、これを踏まえて、この度のこの住宅セーフティーネット法の改正案を提出させていただきました。

 今後も、厚生労働省とも連携しながら、住宅の重要性について、社会の中でこれをしっかり位置づける、この方向で頑張っていきたいと思います。

古川(元)委員 是非、住まいも社会保障の一分野、年金、医療、介護、子育て、住宅と言えるような状況をつくっていただくことをお願いして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

長坂委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享です。

 先週、五月二十二日に、もう一つ所属している厚生労働委員会で能登半島の被災地に視察に行ってまいりました。資料を出していますけれども、これは二十二日の時点なんですけれども、倒れたビルはそのままですし、この右下の家のような、瓦れきが、ぐちゃぐちゃに壊れた家は、そのまま、まだ放置されております。

 私たちは、珠洲市の宝立小中学校にある一次避難所というのに行ったんですけれども、上の段の真ん中の写真、これは、五か月たって、段ボールで間仕切りした、段ボールベッドで、ほとんどプライバシーがありません。昼になると炊き出しの行列に並んでいて、瓦れきもそのまま。五か月間この段ボールのところに住まうというのは、非常に精神衛生上もよくないですし、現に二月頃にはかなり感染症なども広がったというような話を聞いておりまして、ちょうど同じ頃に台湾で地震があった、その避難所と比べての余りの違いに私はショックを受けて、本当に日本は先進国と言えるんだろうかと思いました。

 次のページ、二ページに行きますと、珠洲市の状況とありますけれども、応急仮設住宅も確かに着工は始まっているんですけれども、完成戸数はまだ低いですし、公費解体はまだ、申請で、始まっていないような状況にあります。

 次の三ページ目を見ると、過去の様々な災害を比べてみると、中越地震、このとき私も長岡にボランティアで一か月ぐらい入ったことがあるんですけれども、仮設住宅が完成したのは発災二か月後です。あの大規模な東日本大震災のときも、大畠国土交通大臣などが、もう前例を無視してどんどんやれという指示もあって、悪夢の民主党政権と言われながら、発災五か月後には、もう全ての仮設住宅が岩手県では完成しております。糸魚川の大火、それは二週間後。ちょっと熊本地震は遅れておりますけれども、私は、余りにもこれは遅過ぎるんじゃないかと思いますけれども、なぜこんなに公費解体とか応急仮設住宅の建設が遅れているんでしょうか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 避難所での生活が長期化する中、被災者の命と健康を守るため、避難所の良好な生活環境を確保することは重要な課題と認識しております。

 内閣府におきましては、避難所に関する指針を示すなどにより、避難所の生活環境の確保に向けて自治体の取組を促しているところでありますが、その具体的な取組方法については、各自治体の判断により行われており、テントを設置した事例や段ボール製のパーティションを設置した事例など、避難所によって違いが生じているものと承知しております。

 また、仮設住宅につきましては、能登半島地震では、石川県として、すぐにでも応急的な住まいを提供できるよう、当初の計画を前倒しして、これまで、この約五か月の間に六千百九十戸着工し、うち四千二百四十五戸が完成済みとなっております。熊本地震の際は、おっしゃいましたように、約七か月で四千三百三戸完成しておりまして、完成戸数ということでは熊本地震のときを上回るペースでの整備が行われているものと承知しております。

福島委員 遅かった事例と比較してもしようがないと思うんですね。やはり、悪夢の民主党政権より遅いということは自覚をされた方がいいんじゃないかと思います。(発言する者あり)悪夢と言われた、実はいい夢だったんですよ、あっちの方がね。そのときの官房長官がいらっしゃいますから。

 それで、避難者の多くは、八十代以上の高齢者。家を再建できずに、仮設住宅で人生を終えてしまう可能性もないわけじゃないんですね。石川県は、従来のプレハブ型より耐久性が高くて、長期生活が可能な、一戸建て風の木造仮設住宅を石川モデルとして推進しているんですけれども、これは、ある意味いいこともあるし、でも、それを造っているから遅れちゃっているんじゃないかなと思います。

 先ほど内閣府からの答弁で、指針があって、良好な生活環境といいますけれども、この段ボールのここに五か月間いることを、大臣、考えてくださいよ。私は、これは憲法二十五条に定める健康で文化的な最低限度の生活に明らかに反しているというふうに思いますから、これはスピードがやはり大事だと思うんですね。

 マニュアルを見直した方がいいし、これは国交省所管じゃないということは十分存じているんですけれども、大臣、この状況を見て、最近石川県に行かれているか分かりませんけれども、是非、おせっかいでもいいから、もうちょっと国交省としても、道路の復旧とかは本当に国交省さんは一生懸命やってくださっていて、進んでいるのは分かるんですけれども、この住環境についても是非おせっかいを発揮して、プッシュ型で支援できないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 遅れている部分があることは私も感じておりますし、一生懸命頑張ってやりたいと思います。

 ただ、今回、いわゆる仮設住宅としての役割を終わった後も、その地域にその住宅で住み続けたい、木造住宅で、地域の集落に建ててほしいという強い要望がございました。これは熊本で、ある意味で成功している事例もございましたので、その場合、やはり、じゃ、どこに建てるか、所有者の方の御了解を得る等々で大変時間がかかったということは、是非御承知おきいただきたいと思います。

 できるだけ地域の要望に沿った形で、是非、この木造住宅、ずっとその地域に住み続けられる住宅という形でやりたいと思います。

 そのほかも、プッシュ型で一生懸命やっております、細かいことは言いませんが。

福島委員 是非また、近々、見に行ってみてください。

 次に、法案に関連したことなんですけれども、私が行った一・五次避難所のいしかわ総合スポーツセンター、これは写真で左上なんですよ。ちゃんと一戸建てのテントで、この中に段ボールがあって、ここは民間が運営しているんですね。金沢市はこの状況で、珠洲市は右の状況なんですよ。ここは、もう八十一人しか避難者は残っておりません。ほとんどのテントが空いているんだから、このテントを珠洲に持っていけばいいんじゃないかと思うけれども、先ほどの内閣府みたいに自治体ごとの判断だというから、格差が生じちゃうんですね。

 ここは、支援が必要な方が八十一人今残っておりますが、多くが二次避難所を見つけたり仮設住宅に入ったりする見込みがあるんですが、何人かは、現地のケースワーカーの話を聞いたんですけれども、身寄りも財産もなくて、これから先どこに行くか決まっていないというんですね。その最大の要因が、この法改正で取り上げている家賃債務保証制度が使えないということをおっしゃるんですよ、ケースワーカーさんは。

 この法案は、こうした被災地の方に本当に役立つ法案なのかどうか、御答弁お願いいたします。

石坂政府参考人 住宅セーフティーネット法におきまして、被災者は住宅確保要配慮者として位置づけられているところでございます。

 低額所得者等が家賃債務保証を円滑に利用できる環境を整備することは、住まいの確保のために重要であると考えてございます。

 このため、家賃債務保証業者による保証料の低廉化の取組に対して、地方公共団体が支援する場合には、国交省としても補助を行っているところでございます。しかしながら、こうした支援を実施している自治体、地方公共団体は、令和五年八月末時点で三十自治体と、依然として少ない状況でございます。

 この制度がしっかりと普及するよう、地方公共団体や事業者に対する説明会などにおいて周知を図ってまいりたい、そのように考えているところでございます。

 また、本法案によって新たに創設いたします居住サポート住宅でございますけれども、これは、居住支援法人が要配慮者の方々に対しまして入居中のサポートを行うものであり、御指摘のような身寄りのない方々、こうした方々に対する居住の安定にも大変寄与するものであるというふうに考えてございます。

 住まいの確保というのは非常に重要でございまして、福祉部局と住宅部局が連携し、被災者の個々の事情に寄り添って対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

福島委員 ありがとうございます。

 保証料を低廉化するための自治体への支援措置がある、だけれども、まだ使われていないということですので、まず直近は、能登半島の被災者が一番この適用が必要な人たちだと思いますので、法律の施行を待たずして、国交省からプッシュ型で積極的に、こういう制度が使えるよということを是非、被災地の方に、自治体にもお伝えいただければと思います。

 やはり話をいろいろ聞くと、この保証料が一番問題なんですね。先ほど赤木委員の資料で、家賃の半分ぐらいとありましたけれども、これは大体、ほかに身元がある人は半分ぐらいなんですよ。ないと一か月分ぐらいになったり、つまり、民間の営利事業ですから、リスクに応じた保証料になっているんですね。

 今回の法改正で、改正住宅セーフティーネット法七十二条で認定家賃債務保証業者というのをやりますけれども、この業者は、正当な理由がなく住宅確保要配慮者からの申込みを断れないとか、あるいは、住宅確保要配慮者の親族等関係者の連絡先の提供を求めないと規定していますが、これは事業をやる方にとってみたらリスクを高めることだから、そうすると保証料を上げなきゃならないんですね。その代わり、住宅金融支援機構による家賃債務保証保険をやると言っていますけれども、この制度を入れたために保証料が上がってしまったら元も子もないし、支援制度を入れているとしても駄目なんですね。

 このような条件の下で、果たしてやる人はいるのか。そして、結局、保証料が上がるというようなことにはならないのか。その辺りについて御答弁をお願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 まさにそのために、今回の法案では、住宅金融支援機構の家賃債務保証保険につきまして、居住サポート住宅の入居者に係る補填割合を七割から九割に引き上げる。九割きちっと補填します、保険で払いますという形にして、居住支援法人などによる入居者の見守りや残置物処理を推進することとしておりまして、こうした取組によりまして、保証リスクの軽減にも資する。したがって、積極的にやっていただきたい、このように考えています。

福島委員 問題は、利用者にとっての保証料が上がるかどうかで、保険を掛けると保険料をこの業者は払わなきゃならないから、その分が保証料に上乗せされちゃったら意味がないんですよ。絶対に保証料は今までどおりで上がらないようにする工夫というのは、何かされるんでしょうか。政府参考人でも結構ですので。

石坂政府参考人 御指摘の点につきまして、保証料そのものについて細かい規定を置くものではございませんけれども、保証料も含めて適切であるかということを踏まえまして、認可ということをしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 また、御指摘の点でございますけれども、今回、住宅金融支援機構が九割補填ということでありますと、ほとんどの費用が補填されるところでございます。そういうことから、是非、保証業者の方には、余り保証料を上げずに、かつ、困難な方でも保証を引き受けていただきたいという思いで今回やってございますけれども、そこは、保証業者の方に、認定を受ける際にそうした趣旨をしっかり我々からも理解していただくようにお願いして、御指摘のようなことに対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

福島委員 是非そうした姿勢で、適切に運用していただければと思います。

 残り時間が少なくなって、あと一問なんですけれども、改正高齢者居住安定確保法案の第五十二条だか第五十七条等で、終身賃貸事業の事業認可が合理化されて、住宅ごとの認可から事業者の認可となっておりまして、五十七条二項で、これまで認可基準にあった賃貸住宅の規模並びに構造及び設備は、届出でいいとされております。

 ただ、これは届出だけだと、本当に適切か、確認できないんですね。六十九条には改善命令があって、七十条には事業認可の取消しがあるんですけれども、その前に、それがいいかどうかというのは、例えば立入りしないと分からない場合がありますよね。でも、この法律には立入検査の権限はないんですね。

 果たして、届出制になった後に、ちゃんとこの基準を満たしているかどうかというのはどのように確認されるのか。その点について確認したいと思います。

石坂政府参考人 今般の法案におきましては、事業者単位で認可を行うこととし、実際に終身建物賃貸借を契約しようとする際に、その賃貸住宅について都道府県知事に届出を行うこととし、大家さんがより利用しやすい制度に改めることとしています。

 この届出の際に、間取り図ですとか設備の概要が分かる書類等を添付させるということを想定しているところでございます。これらの書類をもって法令に定める基準に適合するかどうか確認することを想定しているところでございます。

 なかなか立入検査までは難しいかもしれませんけれども、こうした書類等におきまして、しっかりとそうしたバリアフリー対応の措置が講じられていることを確保していきたいというふうに考えているところでございます。

福島委員 書類だけだと、悪意を持って、例えば改装しちゃったりする場合もあるわけですから、確認できないので、法律に基準はなくても、定期的に巡回するとか、何かそうした基準を示した方がいいんじゃないかなと思います。

 私は、この法案は非常にいい法案だと思います。まずは能登半島の皆様方に、法律の施行前でも、住宅を支援するために、この法案の趣旨を踏まえた対応を自治体などにも呼びかけていただきますことをお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、櫛渕万里さん。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 この法案は、一見しますと、弱い立場にある人のための住宅政策が前に進むかのように思われるんですが、実際は、住まいを確保する公的責任、特に公営住宅の強化を曖昧にし、高齢者や低所得者層にも、住まいは自分で探せという市場万能論、自己責任論を更に強化しかねないと危惧をいたします。よって、反対の立場から質問いたします。

 まず、法案の目指すべき目標についてです。

 国交省は、住宅の供給戸数を施行後十年間で十万戸としています。しかし、こうした何戸の住まいを整備したという供給者目線、大家目線ではなく、何人の困っている人が住まいを確保できたのかという需要者目線、困窮者目線の目標が必要ではないでしょうか。

 足下の状況を見てみます。インターネットのセーフティネット住宅情報提供システムを開きますと、全国の総登録戸数は九十万七千二百八十戸と、それなりにあるように見えるんですね。

 しかし、本当に困った人が使えているのか。例えば、資料一。東京都は、五万二千三百五十二戸と結構多いですけれども、現在、空き室は千五百八十三戸と一気に減り、そこから、セーフティーネット専用住宅に絞り、お風呂やトイレに手すりのあるバリアフリーで、さらに連帯保証人不要とする、こうした条件で探すと、何とゼロ戸なんです。つまり、高齢者で、困窮者向けのバリアフリーで、連帯保証人不要の住宅は、五万軒以上登録されている東京都ですら一軒も空いていないんです。

 実際、法案の質疑に関して、生活困窮者を支えるNPOの方と意見交換をしましたが、登録戸数は多いが、空いていないので実質的に使えないという声がありました。全国居住支援法人協議会が二〇年度に行った調査でも、法人が支援をした入居先を見ると、登録住宅は僅か一・二%です。八割以上は一般の民間賃貸住宅が占めているんですね。

 今のセーフティーネット住宅が余り機能していないのに、さらに、居住サポート住宅の供給戸数を十年間で十万戸という目標を立てても、それは机上の空論で、現実的に意味がありません。

 需要者目線であるかどうかについて、大臣は、参議院の質疑でこう述べています。大家さんは要配慮者であるかの確認を行っていない、国交省としても報告を求めることは困難、だから入居者数は分からないと答弁されています。

 大臣にお伺いいたします。

 少なくとも、十万戸という目標を掲げ、税金で改修費も出す居住サポート住宅については、どれだけの要配慮者が入居できたか把握する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 居住サポート住宅においては、ICTを活用した安否確認や訪問による緩やかな見守り、福祉サービスへのつなぎを行うこととしております。

 国土交通省としては、十年間で十万戸を一つの目安として、これを実現することを目指したいと考えております。

 この十万戸の考え方は、老朽化による借家の建て替えや配偶者の死別によって居住等が必要な高齢者など、今後住まいの確保が困難になる要配慮者のうち、大家に入居を断られる割合や入居中のサポートが必要な方の割合を考慮して推計したものでございますが、このような推計をして把握をしていきたい、こう思っております。

櫛渕委員 問題は、誰のための法案なのかということだと思うんです。目の前に困っている人がいる、住まいに入れなくて困っている人がいるから助けましょうというのが法案の趣旨ですよね。それなのに、その数を把握したり検証したりしないというのは、法案の根本が成り立たないのではないでしょうか。

 国交省は、登録事業者に報告を求められるのですから、どれだけ困っている人がセーフティーネット住宅に入れるのか、それを把握すべきです。生活困窮者の支援団体からも口々に言われているのは、これまでの検証が十分になされていないという声であり、それよりもむしろ公営住宅を増やすべきという指摘に対して、しっかり耳を傾けていただきたいと思います。

 公営住宅については、前回、二〇一七年の法改正のとき、参議院国土交通委員会では以下のような附帯決議が付されています。「本法による住宅セーフティネット機能の強化と併せ、公営住宅を始めとする公的賃貸住宅政策についても、引き続き着実な推進に努めること。」こう付されているんですね。

 しかし、資料二、現状を御覧ください。

 右側、全国の公営住宅の新規供給数を見ると、今から三十年前、一九九五年には二万四千戸だったのが、二〇二一年はたった三百八十五戸、何と一・六%に激減しています。新規供給が減っているばかりか、全体の戸数ですら減っている。これは、公営住宅への入居希望が減っているからではありません。左側、実際、東京都では、公営住宅の応募倍率は十六・九倍と、非常に高くなっています。経済無策による三十年、そして賃金も上がらない、そんな中で、公営住宅が減らされているからですね。

 しかも、附帯決議があったにもかかわらず、全国の二〇一七年の公営住宅管理戸数は約二百十六万二千戸だったのに対して、二〇二一年は約二百十三万三千戸と、逆に三万戸も減少しています。

 大臣にお伺いします。

 なぜ新規供給を大幅に減らし、全体の戸数も減らしているのか、御説明ください。また、前回法改正の附帯決議に従っていると言えるか、併せてお伺いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほどの、初めの質問についてでございますが、そういう形で全体を把握していきたいと思いますが、一つ一つ正確に把握することがなぜ難しいかといいますと、今回、このセーフティーネット登録住宅は要配慮者であることを理由に入居を拒まない賃貸住宅であることから、大家さんとしては、入居時にあえて要配慮者であるかどうかの確認をすることができないためでございます。このことは御理解をいただきたいと思います。

 そして、先ほどの質問でございますが、公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者の居住の安定を確保する住宅セーフティーネットの根幹を成すものでございます。

 全国の地方公共団体が管理している公営住宅の総戸数は、令和四年三月末現在で約二百十三万戸であり、平成十七年度の約二百十九万戸をピークとして、少しずつ減少している傾向にございます。

 地方公共団体においては、人口減少など地域の今後の人口動向や厳しい行財政事情を踏まえつつ、公営住宅のストックの状況等を勘案し、改修や建て替えを含めて適切に公営住宅の整備、管理を行っていくもの、このように考えております。

櫛渕委員 大家さんが要配慮者を把握していないから、だから国交省が登録事業者に報告を求めてくださいと申し上げているんですね。

 三十年の経済不況、そしてコロナと物価高、また高齢化を考えれば、公営住宅の果たす役割は大きくなる一方なんです。なのに、公営住宅が減っている、この現状を深く反省していただきたいと思います。

 次に、資料三を見てください。

 欧米と比べて、日本だけ、住宅分野の公的支出はGDP比〇・一%に届かないレベルで推移し、この三十年、日本だけ、まるで地をはうように低いことがこのグラフで分かります。恥ずかしくありませんか、大臣。

 そのために何が起こっているか。住まいの貧困で家がない、行き場がない、そういう方々が増え、生活困窮者のNPOがずっとサポートを続けていますが、カンパの額も人も追いつかない状況が生まれています。本来行政がやるべき仕事を民間に押しつけているというのが実態です。

 れいわ新選組は、公約で住まいは権利を掲げています。市場中心に、民間賃貸住宅に居住するのを支援するのではなくて、公営住宅の拡充にかじを切り、国や自治体が自ら住居を確保して、この国に生きる人々を救う、これが政治の責任じゃありませんか。憲法二十五条、健康で文化的な最低限度の生活を保障しています。公助は一体どこに行ったんだ。それは、このグラフからも明らかじゃありませんか。まず、住まいを確保する公的責任を明確にしていただきたいと思います。

 なお、問題はいろいろありますが、最後に、家主側の問題についてもお伺いします。

 法案では、居住サポート住宅に生活保護受給者が入居する際、家賃の代理納付が原則、居住支援法人の業務に残置物の処理が追加となりました。

 厚労省にお伺いします。

 生活保護受給者が何らかの理由で月の途中で支給停止になった場合、残りの期間の家賃相当分を家主から自治体に返還する必要がありますか。また、家主が残置物の処理を行ったとき、その費用の弁償を自治体などに求めることは可能でしょうか。同様の問題は無料低額宿泊所でも発生していますので、併せてお答えください。

長坂委員長 三浦厚生労働大臣政務官、時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

三浦大臣政務官 お答えいたします。

 二点いただきました。

 生活保護受給者の保護が停廃止になった場合には、居住サポート住宅や無料低額宿泊所に入居していた場合を含め、生活保護受給者が家主との賃貸借契約等により停廃止後の家賃を負担する必要がない場合には、家主に代理納付された住宅扶助費のうち停廃止後の家賃については、家主から返還していただくことが想定されます。

 一方で、生活保護受給者が家主との賃貸借契約等により停廃止後の家賃も負担する必要がある場合には、一か月分という限度内において家賃を受け取ることができるということになっております。

 また、残置物につきましては、残置物の処理については、保護費を受給することに関して、処理をすることはできないということになっております。

櫛渕委員 何らかの理由で支給が停止された場合には、家主の負担はあるというお答えでした。大家さんの安心も十分に確保できていないじゃないですか。

 それも含めて、重ねて、住宅を確保する、その公的責任を強く求め、私の質問を終わります。

長坂委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。櫛渕万里さん。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 会派を代表して、今回の住宅セーフティーネット法の一部改正案に反対の立場から討論いたします。

 反対する理由は、先ほどの質疑の中でも述べたとおり、住まいを確保する責任、特に公営住宅の強化を曖昧にし、高齢者や低所得者層にも、住まいは自分で探せという市場万能論、自己責任論を更に強化しかねないからです。

 今回の法改正ですが、肝腎の立法事実はどうなっているんでしょうか。今日の質疑で明らかになったのは、セーフティーネット住宅への要配慮者のこれまでの入居者数という、この法案の存在意義に関わる重要な数字すら政府は把握していない事実でした。

 また、現行のセーフティーネット住宅は、要配慮者が求めている条件を満たす物件はほとんど空いていません。現場で奮闘しているNPOからも、空いていないので実質的に使えないとの声が上がっています。

 要配慮者の入居者数が分からず、登録が多いだけで空いていないセーフティーネット住宅の現状を放置したまま、さらに、居住サポート住宅十万戸という目標を掲げることは、まさに供給者目線でしかなく、肝腎の需要者、困っている人を置き去りにしているとしか言えません。

 そもそも、前回の法改正のとき、公営住宅の推進に努めることとの附帯決議がついたはずです。しかし、公営住宅の戸数は、当時より逆に減少しています。このことを考えれば、この附帯決議は守られていません。国権の最高機関を愚弄するばかりか、国民、特に要配慮者の意思を無視している政府に、法改正を提案する資格はありません。

 この二十五年で、所得の中央値は百三十一万円も低下しています。日本の貧困率は一五・四%、六人に一人が貧困状態。コロナ前ですら、生活が苦しいと答えた人は五四・四%、一人親世帯では八六・七%に上ります。そこに、戦争による物価高が追い打ちをかけ、実質賃金は二十四か月連続で減少。この状況で、住まいは自分で探せ、政府は民間を支援するとして、国の責任から逃げ、自己責任論を更に強化するのは、憲法二十五条の生存権の侵害です。

 れいわ新選組は、住まいは権利を公約として掲げています。国際的に見て極端に低い住宅分野への支出を積極財政で増やし、減らされ続けてきた公営住宅を拡充する政策に転換、さらに家賃補助を行うことで、国民の生存権を守るべきだ、そのことを申し上げ、それが含まれない今回の法改正には明確に反対であるということを述べまして、反対討論を終わります。

長坂委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

長坂委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、小林茂樹君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。神津たけし君。

神津委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。

    住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 国の責任において国民の住まいが保障されるよう、地方公共団体も含めた住宅部局や福祉部局、住宅確保要配慮者に対して民間賃貸住宅への円滑な入居の支援や福祉サービスの提供を行う者等の関係者間の連携を強化しつつ、主体的に住宅確保要配慮者に対する居住支援の取組を進めるとともに、その充実が図られるよう、所要の措置を講ずること。

 二 住宅確保要配慮者は住宅だけではなく複合的な課題を抱えている場合も多く、その居住支援に当たっては住宅と福祉の双方に関する知識が求められることから、居住支援に携わる者、特に、新たに居住支援に携わることとなる福祉関係の専門職種の者等に対する各種制度の周知を図ること。また、福祉関係の相談機関における研修の充実等が図られるようにすること。

 三 住宅確保要配慮者のニーズに対応した賃貸住宅の供給や居住支援サービスの提供を図る観点から、ニーズや実態を十分かつ客観的に把握するとともに、その情報が賃貸住宅の賃貸人や住宅確保要配慮者の居住支援に携わる者等の間で適切に共有されるよう、所要の措置を講ずること。

 四 低額所得者等にあっても本法に基づく制度が円滑に利用できるよう、利用者の経済的負担の軽減に資する家賃や家賃債務保証料の低廉化補助等について、支援措置の更なる拡充や運用の一層の柔軟化等、賃貸住宅の活用を推進するための措置を講ずるとともに、新たに関連することとなる福祉制度や地方公共団体の取組等が居住支援の現場において十分に活用されるようにするための所要の措置を講ずること。

 五 居住安定援助計画の認定制度がいわゆる貧困ビジネスなどに悪用されることがないよう、省令で定めることとなる認定の基準等については、有識者や現場関係者等の意見を十分に踏まえ、適切なものとするとともに、地方公共団体における計画の認定やその取消しを含む認定事業者等に対する監督が厳正かつ適切に実施されるよう働きかけること。

 六 居住安定援助賃貸住宅又はサービス付き高齢者向け住宅について目的外使用を行う場合の省令で定めることとなる入居者を確保することができない期間については、本来入居対象となっている住宅確保要配慮者等の円滑な入居を妨げることがない適切な期間とすること。

 七 住宅確保要配慮者居住支援法人の業務の拡大に伴い省令で定めることとなる指定の基準等については、既存の居住支援法人の業務運営に支障を来すことがないよう、その業務実績等を十分に踏まえ、適切なものとするとともに、住宅確保要配慮者のニーズに応じた居住支援サービスの充実化に向け、居住支援法人に対する国による支援措置の強化について検討すること。

 八 残置物処理を居住支援法人の業務として法的に位置付けるに当たり、これまで残置物処理を行ってきた専門業者等との間で業務実施のための過当競争により、残置物処理の質が損なわれることのないよう、所要の措置を講ずること。

 九 認定家賃債務保証業者の省令で定めることとなる認定の基準等については、入居後の過度な取立て等が行われることのないよう、適切なものとするとともに、国土交通大臣による認定家賃債務保証業者に対する認定やその取消しを含む監督が厳正かつ適正に実施されるよう努めること。

 十 市区町村による住宅確保要配慮者居住支援協議会の設置やその運営体制の確立が円滑に進むよう、必要な支援を行うこと。あわせて、居住支援協議会には、高齢者、障害者などの住宅確保要配慮者の意見や要望が反映されるよう、多様な者が構成員として参画が図られるようにすること。

 十一 我が国の住宅セーフティネットの根幹である公営住宅を始めとする公的賃貸住宅政策について、本法による住宅セーフティネット機能の強化と併せ、引き続き着実に推進するとともに、その充実に努めること。また、十分に活用されていない公的賃貸住宅等のストックの積極的な活用を図るとともに、そのために必要な改修費等の財源の確保を図ること。

 十二 UR賃貸住宅について、セーフティネット登録住宅として活用が可能とされていることから、その役割を果たすために住宅確保要配慮者向けにも空き住戸の積極的な提供が図られるようにすること。あわせて、独立行政法人都市再生機構法に規定されている家賃の減免措置について、経済的負担軽減のために実施されるよう、強く働きかけを行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

長坂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

長坂委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)国務大臣 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 誠にありがとうございました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

長坂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十分散会


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