第19号 令和6年6月19日(水曜日)
令和六年六月十九日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 長坂 康正君
理事 あかま二郎君 理事 泉田 裕彦君
理事 小林 茂樹君 理事 武井 俊輔君
理事 城井 崇君 理事 白石 洋一君
理事 三木 圭恵君 理事 國重 徹君
石橋林太郎君 尾崎 正直君
大西 英男君 金子 俊平君
菅家 一郎君 小島 敏文君
小林 鷹之君 小林 史明君
小森 卓郎君 佐々木 紀君
櫻田 義孝君 田中 英之君
高木 啓君 谷 公一君
谷川 とむ君 土井 亨君
中根 一幸君 中村 裕之君
古川 康君 堀内 詔子君
武藤 容治君 森 由起子君
石川 香織君 枝野 幸男君
小宮山泰子君 神津たけし君
伴野 豊君 馬淵 澄夫君
谷田川 元君 赤木 正幸君
漆間 譲司君 高橋 英明君
山本 剛正君 伊藤 渉君
日下 正喜君 高橋千鶴子君
西岡 秀子君 福島 伸享君
たがや 亮君
…………………………………
国土交通大臣 斉藤 鉄夫君
総務副大臣 渡辺 孝一君
内閣府大臣政務官 石井 拓君
国土交通大臣政務官 石橋林太郎君
国土交通大臣政務官 尾崎 正直君
政府参考人
(内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長) 長崎 敏志君
政府参考人
(内閣府規制改革推進室次長) 渡辺 公徳君
政府参考人
(国土交通省大臣官房公共交通政策審議官) 石原 大君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 林 正道君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 榊 真一君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 黒田 昌義君
政府参考人
(国土交通省不動産・建設経済局長) 塩見 英之君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 丹羽 克彦君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 村田 茂樹君
政府参考人
(国土交通省物流・自動車局長) 鶴田 浩久君
政府参考人
(国土交通省海事局長) 海谷 厚志君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 稲田 雅裕君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 平岡 成哲君
政府参考人
(観光庁次長) 加藤 進君
国土交通委員会専門員 國廣 勇人君
―――――――――――――
委員の異動
六月十一日
辞任 補欠選任
武藤 容治君 古川 禎久君
同日
辞任 補欠選任
古川 禎久君 武藤 容治君
同月十九日
辞任 補欠選任
小島 敏文君 堀内 詔子君
武藤 容治君 森 由起子君
高橋 英明君 山本 剛正君
古川 元久君 西岡 秀子君
同日
辞任 補欠選任
堀内 詔子君 小島 敏文君
森 由起子君 武藤 容治君
山本 剛正君 高橋 英明君
西岡 秀子君 古川 元久君
―――――――――――――
六月四日
建設労働者の雇用改善、担い手確保・育成に関する請願(木原誠二君紹介)(第一七一三号)
同(長島昭久君紹介)(第一七一四号)
同(吉田はるみ君紹介)(第一七一五号)
同(松木けんこう君紹介)(第一七六一号)
同(あかま二郎君紹介)(第一七八二号)
同(関芳弘君紹介)(第一八一九号)
同月十日
建設労働者の雇用改善、担い手確保・育成に関する請願(中川正春君紹介)(第一八九八号)
同(岡田克也君紹介)(第一九一七号)
同(末松義規君紹介)(第一九一八号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第一九五八号)
同(笠井亮君紹介)(第一九五九号)
同(穀田恵二君紹介)(第一九六〇号)
同(志位和夫君紹介)(第一九六一号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一九六二号)
同(田村貴昭君紹介)(第一九六三号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一九六四号)
同(宮本岳志君紹介)(第一九六五号)
同(宮本徹君紹介)(第一九六六号)
同(本村伸子君紹介)(第一九六七号)
同(原口一博君紹介)(第二〇八一号)
同(宮本岳志君紹介)(第二〇八二号)
国土交通行政を担う組織・体制の拡充と職員の確保に関する請願(泉田裕彦君紹介)(第二〇七七号)
同(福田昭夫君紹介)(第二〇七八号)
災害からの復興、国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願(泉田裕彦君紹介)(第二〇七九号)
同(福田昭夫君紹介)(第二〇八〇号)
同月十二日
国土交通行政を担う組織・体制の拡充と職員の確保に関する請願(青山大人君紹介)(第二二一〇号)
同(金子恵美君紹介)(第二二一一号)
同(神田憲次君紹介)(第二二一二号)
同(篠原豪君紹介)(第二二一三号)
同(白石洋一君紹介)(第二二一四号)
同(たがや亮君紹介)(第二二一五号)
同(寺田学君紹介)(第二二一六号)
同(中谷一馬君紹介)(第二二一七号)
同(西岡秀子君紹介)(第二二一八号)
同(牧義夫君紹介)(第二二一九号)
同(松木けんこう君紹介)(第二二二〇号)
同(松原仁君紹介)(第二二二一号)
同(谷田川元君紹介)(第二二二二号)
同(吉田豊史君紹介)(第二二二三号)
同(米山隆一君紹介)(第二二二四号)
同(笠浩史君紹介)(第二二二五号)
同(渡辺創君紹介)(第二二二六号)
同(荒井優君紹介)(第二三二六号)
同(おおつき紅葉君紹介)(第二三二七号)
同(大石あきこ君紹介)(第二三二八号)
同(落合貴之君紹介)(第二三二九号)
同(笠井亮君紹介)(第二三三〇号)
同(菊田真紀子君紹介)(第二三三一号)
同(斎藤アレックス君紹介)(第二三三二号)
同(長友慎治君紹介)(第二三三三号)
同(宮本岳志君紹介)(第二三三四号)
同(荒井優君紹介)(第二四六四号)
同(石川香織君紹介)(第二四六五号)
同(神谷裕君紹介)(第二四六六号)
同(穀田恵二君紹介)(第二四六七号)
同(斎藤洋明君紹介)(第二四六八号)
同(櫻井周君紹介)(第二四六九号)
同(志位和夫君紹介)(第二四七〇号)
同(末松義規君紹介)(第二四七一号)
同(道下大樹君紹介)(第二四七二号)
同(山岡達丸君紹介)(第二四七三号)
同(湯原俊二君紹介)(第二四七四号)
同(衛藤征士郎君紹介)(第二五九九号)
同(逢坂誠二君紹介)(第二六〇〇号)
同(重徳和彦君紹介)(第二六〇一号)
同(本村伸子君紹介)(第二六〇二号)
同(吉田統彦君紹介)(第二六〇三号)
災害からの復興、国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願(青山大人君紹介)(第二二二七号)
同(金子恵美君紹介)(第二二二八号)
同(篠原豪君紹介)(第二二二九号)
同(白石洋一君紹介)(第二二三〇号)
同(たがや亮君紹介)(第二二三一号)
同(寺田学君紹介)(第二二三二号)
同(中谷一馬君紹介)(第二二三三号)
同(牧義夫君紹介)(第二二三四号)
同(松木けんこう君紹介)(第二二三五号)
同(谷田川元君紹介)(第二二三六号)
同(吉田豊史君紹介)(第二二三七号)
同(米山隆一君紹介)(第二二三八号)
同(笠浩史君紹介)(第二二三九号)
同(渡辺創君紹介)(第二二四〇号)
同(大石あきこ君紹介)(第二三三五号)
同(落合貴之君紹介)(第二三三六号)
同(笠井亮君紹介)(第二三三七号)
同(神田憲次君紹介)(第二三三八号)
同(菊田真紀子君紹介)(第二三三九号)
同(斎藤アレックス君紹介)(第二三四〇号)
同(長友慎治君紹介)(第二三四一号)
同(西岡秀子君紹介)(第二三四二号)
同(宮本岳志君紹介)(第二三四三号)
同(穀田恵二君紹介)(第二四七五号)
同(斎藤洋明君紹介)(第二四七六号)
同(櫻井周君紹介)(第二四七七号)
同(志位和夫君紹介)(第二四七八号)
同(末松義規君紹介)(第二四七九号)
同(湯原俊二君紹介)(第二四八〇号)
同(衛藤征士郎君紹介)(第二六〇四号)
同(おおつき紅葉君紹介)(第二六〇五号)
同(重徳和彦君紹介)(第二六〇六号)
同(本村伸子君紹介)(第二六〇七号)
同(吉田統彦君紹介)(第二六〇八号)
安心・安全な地域公共交通を守ることに関する請願(笠井亮君紹介)(第二三二五号)
同(穀田恵二君紹介)(第二四六三号)
建設労働者の雇用改善、担い手確保・育成に関する請願(穀田恵二君紹介)(第二四六二号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第二五八八号)
同(笠井亮君紹介)(第二五八九号)
同(岸信千世君紹介)(第二五九〇号)
同(穀田恵二君紹介)(第二五九一号)
同(志位和夫君紹介)(第二五九二号)
同(塩川鉄也君紹介)(第二五九三号)
同(田村貴昭君紹介)(第二五九四号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第二五九五号)
同(宮本岳志君紹介)(第二五九六号)
同(宮本徹君紹介)(第二五九七号)
同(本村伸子君紹介)(第二五九八号)
同月十四日
国土交通行政を担う組織・体制の拡充と職員の確保に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二六八九号)
同(柴山昌彦君紹介)(第二六九〇号)
同(野間健君紹介)(第二六九一号)
同(馬淵澄夫君紹介)(第二六九二号)
同(松木けんこう君紹介)(第二六九三号)
同(吉川元君紹介)(第二六九四号)
同(新垣邦男君紹介)(第二八一三号)
同(塩川鉄也君紹介)(第二八一四号)
同(緑川貴士君紹介)(第二八一五号)
同(山崎誠君紹介)(第二八一六号)
同(山本有二君紹介)(第二八一七号)
同(神津たけし君紹介)(第三〇一四号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第三〇一五号)
同(徳永久志君紹介)(第三〇一六号)
同(中川正春君紹介)(第三〇一七号)
災害からの復興、国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二六九五号)
同(野間健君紹介)(第二六九六号)
同(馬淵澄夫君紹介)(第二六九七号)
同(新垣邦男君紹介)(第二八一八号)
同(塩川鉄也君紹介)(第二八一九号)
同(緑川貴士君紹介)(第二八二〇号)
同(山崎誠君紹介)(第二八二一号)
同(山本有二君紹介)(第二八二二号)
同(神津たけし君紹介)(第三〇一八号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第三〇一九号)
同(徳永久志君紹介)(第三〇二〇号)
建設労働者の雇用改善、担い手確保・育成に関する請願(井原巧君紹介)(第二八一二号)
同(川崎ひでと君紹介)(第三〇〇八号)
同(斎藤アレックス君紹介)(第三〇〇九号)
同(下条みつ君紹介)(第三〇一〇号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第三〇一一号)
てんかんのある人とその家族の生活を支える交通に関する請願(枝野幸男君紹介)(第三〇〇一号)
同(小林史明君紹介)(第三〇〇二号)
同(櫻田義孝君紹介)(第三〇〇三号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第三〇〇四号)
同(古川元久君紹介)(第三〇〇五号)
同(馬淵澄夫君紹介)(第三〇〇六号)
同(松木けんこう君紹介)(第三〇〇七号)
危険なライドシェアを許さず安全な公共交通を守ることに関する請願(斎藤アレックス君紹介)(第三〇一二号)
安心・安全な地域公共交通を守ることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三〇一三号)
同月十七日
建設労働者の雇用改善、担い手確保・育成に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三一一四号)
同(松本洋平君紹介)(第三一一五号)
同(伊藤俊輔君紹介)(第三二一九号)
同(大野敬太郎君紹介)(第三三七四号)
同(手塚仁雄君紹介)(第三三七五号)
国土交通行政を担う組織・体制の拡充と職員の確保に関する請願(田村貴昭君紹介)(第三一一六号)
同(西村明宏君紹介)(第三一一七号)
同(早稲田ゆき君紹介)(第三一一八号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第三二二〇号)
同(笠井亮君紹介)(第三二二一号)
同(穀田恵二君紹介)(第三二二二号)
同(志位和夫君紹介)(第三二二三号)
同(塩川鉄也君紹介)(第三二二四号)
同(田村貴昭君紹介)(第三二二五号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第三二二六号)
同(宮本岳志君紹介)(第三二二七号)
同(宮本徹君紹介)(第三二二八号)
同(本村伸子君紹介)(第三二二九号)
同(山田勝彦君紹介)(第三二三〇号)
災害からの復興、国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願(田村貴昭君紹介)(第三一一九号)
同(西村明宏君紹介)(第三一二〇号)
同(早稲田ゆき君紹介)(第三一二一号)
同(山田勝彦君紹介)(第三二三一号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第三三一六号)
同(笠井亮君紹介)(第三三一七号)
同(穀田恵二君紹介)(第三三一八号)
同(志位和夫君紹介)(第三三一九号)
同(塩川鉄也君紹介)(第三三二〇号)
同(田村貴昭君紹介)(第三三二一号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第三三二二号)
同(宮本岳志君紹介)(第三三二三号)
同(宮本徹君紹介)(第三三二四号)
同(本村伸子君紹介)(第三三二五号)
てんかんのある人とその家族の生活を支える交通に関する請願(白石洋一君紹介)(第三一二二号)
同(土井亨君紹介)(第三一二三号)
同(福島伸享君紹介)(第三二三二号)
同(谷田川元君紹介)(第三二三三号)
同(菅家一郎君紹介)(第三三二六号)
同(金子俊平君紹介)(第三三七六号)
同(中根一幸君紹介)(第三三七七号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○長坂委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、去る十二日、国土交通行政に関する実情調査のため、十二名の委員が参加し、羽田空港、羽田イノベーションシティの視察を行いましたので、参加委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。
まず、航空局長から、羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会の検討状況と、昨今相次いで安全上のトラブルを発生させた日本航空の再発防止策について説明を聴取した後、東京国際空港長から羽田空港の概況について、管制保安部長から管制業務の流れについて、それぞれ説明を聴取いたしました。
次に、管制塔運用室の階下にある管制塔統括コントロール室において、滑走路を眼下に眺めながら、羽田空港の管制業務について詳細な説明を聴取いたしました。羽田空港は四本の滑走路が井桁状に設置され、離着陸機の数も多いことから、その離着陸のタイミングに細心の注意を払い管制業務を行っているとのことでした。また、航空機衝突事故を受けた対策として、滑走路進入手前の停止位置標識の高輝度塗色が実施されておりました。
次に、管制訓練棟においてシミュレーターの説明を聴取し、実際に機器を使用して管制業務を体験いたしました。シミュレーターは、新人教育だけではなく、可能性の少ない事態についてもどのような対応が最善かという訓練を行っているとのことであります。参加委員からは、モニターには大量の情報が映し出されているため、もっと大きくした方がよいのでは、危険が生じた際のアラームをもっと目立たせたらよいのではなどの意見が出されたほか、管制官の勤務体制の妥当性や人員増員の必要性などについて意見交換がなされました。
続いて、羽田イノベーションシティにおいて、自動運転車の運行管理システムの構築など、その実用化の支援等を行っているBOLDLY株式会社及び空間情報データ連携基盤を提供する鹿島建設株式会社から、同敷地内を巡回する自動運転バスの取組について説明を聴取し、二車種の自動運転バスに、それぞれ試乗いたしました。
自動運転は、地域公共交通の維持等の社会課題の解決に資すると期待されており、我が国では特定条件下での完全自動運転とされるレベル4の普及拡大が目標となっております。
こうした観点を踏まえ、BOLDLY株式会社からは、各地域で実施している自動運転による移動サービスの取組状況、今後、更に自動運転を普及していく上での課題や必要な国の支援の在り方について、具体的な説明を聴取いたしました。
その後、事故時の対応と社会への理解の浸透、実証事業から実用化への道筋、国産の自動運転車の導入促進策、長距離輸送を含めた自動運転の将来的なビジネスモデルなどについて意見交換を行いました。
以上が視察の概要であります。
なお、今回の視察に当たり、私どもの調査に御協力いただきました皆様方に心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。
―――――――――――――
○長坂委員長 この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房公共交通政策審議官石原大君、大臣官房技術審議官林正道君、総合政策局長榊真一君、国土政策局長黒田昌義君、不動産・建設経済局長塩見英之君、道路局長丹羽克彦君、物流・自動車局長鶴田浩久君、鉄道局長村田茂樹君、海事局長海谷厚志君、港湾局長稲田雅裕君、航空局長平岡成哲君、観光庁次長加藤進君、内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長長崎敏志君及び内閣府規制改革推進室次長渡辺公徳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○長坂委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。森由起子さん。
○森(由)委員 おはようございます。自由民主党の森由起子でございます。
先月十三日に初登院させていただいてから約一か月、今回初めて委員会の質疑に立たせていただきます。大変身に余る光栄であり、自民党の理事の皆様を始め諸先輩方に心から感謝を申し上げます。
何分不慣れなゆえ、拙い部分もあるかと思いますが、精いっぱい頑張りますので、よろしくお願いいたします。
それでは、質疑に入らせていただきます。
まず、インフラの老朽化や耐震化対策に関連してお尋ねいたします。
インフラは高度経済成長期に集中的に整備されたものが多く、これらの老朽化が進行すると、本来必要とする機能を果たせなくなるおそれがあります。我々の生活を支えるインフラがその機能を果たせなくなるということは、生活や経済活動の基盤を根本から失うということであり、そのダメージは計り知れないものになりますので、何としてもそのような事態を避けなければなりません。
私の地元である四日市港の防潮堤の多くは、伊勢湾台風の後である昭和三十年代に整備されたものが多く残っており、一部では耐震性が不足している施設もあると聞いております。
そこで、四日市港では、今年度から海岸保全施設整備事業が開始されることとなり、また、令和三年度から、耐震強化岸壁を含むターミナル整備事業も始まっております。
四日市港のこの両整備事業について、事業の意義、また事業により地域にもたらされる効果について国交省の見解をお聞かせください。
○稲田政府参考人 まず、四日市港海岸についてお答え申し上げます。
四日市港の背後には、伊勢湾内の原油処理能力の約五割を占める石油コンビナートや半導体関連企業が多数立地しているほか、住宅などが密集をしてございます。
防潮堤などの海岸保全施設は、委員御指摘のとおり、昭和三十四年の伊勢湾台風を契機に整備が行われたものですが、老朽化が進行している状況であり、その対策は喫緊の課題だと認識をしてございます。
南海トラフ地震により、これらの海岸保全施設は地盤の液状化によって倒壊、そして、その後に津波が発生した場合には背後地域を浸水から防護できないおそれもございます。そのため、海岸保全施設の耐震改良とかさ上げをする直轄事業に今年度から着手をしているところでございます。
次に、四日市港国際物流ターミナルについて申し上げます。
四日市港は、完成自動車の輸送船や東南アジア向け定期コンテナ航路の船舶が就航し、我が国の産業を支える国際海上貨物輸送の重要な拠点であります。
近年、四日市港では、東南アジア航路の貨物が増加をし、コンテナ船の大型化が進展をしております。地震災害においても、地域の経済活動を止めないような対応が必要であります。このため、霞ケ浦地区北埠頭におきまして、耐震強化岸壁を備えた国際物流ターミナル整備事業を令和三年度より直轄事業として実施中であります。
これらの事業を通じまして、引き続き、国民の安全、安心を確保し、また、地域産業の競争力を強化するための対応をしっかり推進してまいりたいと考えてございます。
○森(由)委員 ありがとうございます。
こういった老朽化した施設を改良し、今後も引き続き地域に安全、安心をもたらす事業は大変有益であると考えます。厳しい国家財政状況であるものの、是非推進していただき、地域の不安を解消していただきたいと思います。
また、このような取組は、政府が推進している国土強靱化にも合致しているものと思います。政府の国土強靱化基本計画に基づき、国土交通省では、令和二年度から令和七年度の五か年で、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に取り組んでいるところと承知しております。
そこで、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の現在の進捗状況、また、計画期間が令和七年度までとなっておりますが、その後の国交省における国土強靱化対策の方針あるいは方向性についてお尋ねいたします。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
国土交通省におきましては、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に基づき、あらゆる関係者が協働して行う流域治水や道路ネットワークの機能強化、インフラ老朽化対策など、五十四の対策を重点的かつ集中的に実施しているところでございます。
進捗状況ですが、例えば、一級河川における戦後最大洪水等に対応した河川の整備率は、五か年加速化対策完了時の目標値を約七三%としておりますところ、令和元年度末時点で約六五%であったものが、令和四年度末時点では約六九%にまで進捗しております。
また、高規格道路のミッシングリンクの改善率につきましては、五か年加速化対策完了時の目標値を約三〇%としておりますところ、令和元年度末時点におけるミッシングリンク約二百区間のうち、令和五年度末時点で四十六区間、約二三%が改善若しくは解消するなど、進捗が図られているところです。
今後でございますが、昨年の法律改正で国土強靱化実施中期計画が法定化されました。これにより、五か年加速化対策後も、継続的、安定的に国土強靱化の取組を進めることが可能となったと考えております。
国土交通省といたしましては、今後とも関係省庁と連携し、実施中期計画の策定に向けて、今般の能登半島地震の経験も踏まえながら、これまでの施策の実施状況の評価を進めるなど、国土強靱化の取組をしっかりと進めてまいります。
○森(由)委員 ありがとうございます。
国土強靱化の取組は、令和七年度で終了ということではなく、継続的に取り組むべき課題であると考えます。
また、一方で、国土強靱化政策について予算が確保された上で、実際にインフラの整備を行うのは建設業の方々であります。ところが、建設業は、就業者の高齢化、若手を中心とする人材確保難、原材料費、燃料費の高騰と、大変厳しい状況に置かれております。国土強靱化の担い手である建設業が今後衰退してしまっては、結果的に、地域住民の生活や地域産業が成り立たなくなってしまいます。
そこで、建設業が今後も継続的に業を営み、国土強靱化の担い手として機能し続けるために、建設業を所管とする立場として行っている対策と、それにより建設業の将来をどのように見通しているのか、御見解をお尋ねいたします。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
まず、建設業でございますけれども、災害のときには応急対策の現場を担っていただいておりますし、また、平時は、御指摘の国土強靱化など、必要な社会資本の整備、管理、こういうものを担っている、大変重要な役割を果たしているところでございます。
こうした大切な役割を将来にわたって果たし続けられるようにするために、国土交通省では、担い手の確保に必要な処遇の改善と働き方改革などに取り組んでおります。
具体的に申し上げますと、まず、技能者の賃上げの原資となります労務費が適切に確保されますように、最新の実勢価格での契約ということを関係者に広く求めております。また、契約後の資材高騰によりまして労務費がしわ寄せを受けるということのないように、価格転嫁を適切に行うように働きかけてまいりました。
また、長時間労働を前提としない適正な工期の確保に向けまして、工期の基準というものを作り、その徹底に取り組んでまいりました。
こうした取組を制度面からも後押しするために、今般成立をいたしました改正建設業法におきましては、国が労務費の基準というものをあらかじめ定め、これを著しく下回る額での契約を禁止いたしました。また、資材高騰分の転嫁のルールというものも定めまして、適正な労務費の確保、行き渡りを図ることにしております。
また、受注者による工期ダンピングも、これを禁止いたしまして、無理な工期による長時間労働、これも排除してまいります。
こうした施策によって目指す将来の姿ということでございますけれども、今、建設業、非常に他産業に比べて賃金が低い、これを他産業以上の賃金にしたいと思いますし、また、働く時間につきましても、週休二日など適正な時間で働ける職場、これを実現をする、さらには、将来の見通しや希望が持てる、若者にとって魅力的な産業、これを目指してまいりたいというふうに思います。
○森(由)委員 ありがとうございます。
先般の改正建設業法の成立を受けて、労務費や資材費の高騰分の価格転嫁についての基準やガイドライン作りに向けての議論が始まると聞いております。これまでも、こういった価格転嫁の問題は、常に受注者を悩ませてきた課題かと思います。今回の改正案で適正な労務費の目安を明示するに当たり、どのような方法で基準を作っていくのか、そのプロセスについてお尋ねいたします。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げました労務費の基準でございますけれども、大切なことは、基準を作りました後に、契約の当事者であります受注者と注文者、これは契約の当事者でございますから、この双方が新しく作った労務費の基準を十分に踏まえて契約上の労務費を定める交渉を適正に行っていただく、これが一番大事だと思っております。
この契約の交渉におきまして、労務費の基準が実効性をきちんと確保できますように、今後、中央建設業審議会が行うこととなります検討は、ある意味、利害が対立する発注者、元請、専門工事業者、こういった多様な関係者の御意見を丁寧に伺い、そして、合意を得ながら、検討を進めてまいりたいと思います。そうすることで、契約の当事者の納得感がある基準作りというものを目指してまいりたいというふうに思います。
○森(由)委員 ありがとうございます。
発注者と受注者が同じテーブルに着いて議論をするというのは大変画期的な試みかと思います。是非とも、現場の実態をしっかりと反映できるような仕組みづくりをお願いしたいと思います。
最後に、国土交通大臣に対し、お伺いいたします。
今回訴えさせていただきましたとおり、インフラ老朽化対策を含めた国土強靱化は、私の地元としましても、大変重要なテーマであると身をもって感じているところであります。今後、国土強靱化の更なる推進に対する大臣の決意についてお尋ねいたします。
○斉藤(鉄)国務大臣 森由起子議員の初質問に答弁させていただくこと、大変光栄でございます。ありがとうございます。
これまで、年々深刻化する自然災害などに対しまして、五か年加速化対策も踏まえて、事前防災、そして減災対策を重点的かつ集中的に講じ、全国各地で着実に効果を発揮してまいりました。
一方で、今後、大規模地震の切迫や、自然災害の更なる激甚化、頻発化が予想されております。そして、インフラの老朽化がこれから一気に進むという状況にもございます。こういう状況の中で、国土強靱化の取組を更に一層進めていかなくてはならないというのは、まさに私も森委員と同じ認識でございます。
また、社会資本整備、維持管理の担い手、地域の守り手として、建設業の将来の担い手確保、育成を図ることも重要な課題でございまして、先ほど、その点が御質問の中で浮き彫りになってきたかと思います。
国土交通省としては、今後とも関係省庁と連携し、改正法に基づく実施中期計画の策定に向けて、今般の能登半島地震の経験も踏まえながら、これまでの施策の実施状況の評価を進めていくなど、国土強靱化の取組、そして、今、森委員がおっしゃいましたインフラ老朽化対策というのも非常に重要であるという点もしっかりと踏まえながら、この国土強靱化の取組をしっかりと進めてまいりたいと思います。
○森(由)委員 大臣、大変ありがたい御答弁、ありがとうございました。
今回の質疑のために御調整いただきました皆様に心より感謝を申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、小林史明君。
○小林(史)委員 自由民主党の小林史明です。
森さん、初当選おめでとうございました。
私も国交委員会で初めての質問ですので、温かく聞いていただけたらというふうに思いますし、とはいえ、時間が十五分なので、端的に答弁をお願いしたいと思っております。
今日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
今日は、今後の人口減少と高齢社会、そして、インバウンド六千万人時代を見据えた移動手段の確保をテーマに、昨今話題のライドシェア事業の考え方について、賛否の論点を整理しながら議論していきたいと思います。
おととい、決算行政監視委員会でも話したんですが、タクシーに限らず、どの業態でも、やはり将来、大体二割程度人手不足になるということで、いわゆる八掛け社会というのを我々は乗り越えていかねばなりません。実際に、タクシーもこの五年で二割以上の運転手が減少しています。
一方、コロナが明けて、経済も好転してきたということに加えて、さらに、空前のインバウンドということで、移動手段が足りないということで考えますと、直近、やはりライドシェアの導入というのは必要なんだろうというふうに考えています。
時折、自動運転社会がすぐ来るから大丈夫だみたいな御意見があるんですが、実際にレベル4で、我々が、要は運転席に座らなくてもいいみたいな自動運転が来るのは、どんなに早くても二〇二七年以降。かつ、しかも、恐らく一般車両で使えるのは高速道路からということになりますので、地方の足を担うにはまだまだ時間がかかるということであります。
ただ、この議論をすると、どうしてもタクシー事業者の方々が悪者にされがちなんですけれども、タクシー事業者の方々も時代遅れの規制によって身動きが取れない状況になっています。
なので、これまで、反対派、推進派の意見、両方聞くと、私としては、世界のちゃんとした情報を基に議論すれば、誰もがプラスになる、そして、ドライバーも所得が上がる、そういう結論が導けるというふうに思っていますので、論点整理していきたいと思います。
まず、一つ目でありますが、今、皆さんのお手元にお配りした資料の一枚目と裏面、二枚目ですね。これは、全国ハイヤー・タクシー連合会が各議員に配った資料なんですね。これを見ると、まさにタクシー事業者の皆さんの不安が列記されているということになっています。
その中でも共通した認識になってしまっているのは、何だか今回のライドシェア新法というのは、完全な白タクが、ただマッチングされて、縦横無尽に走り回るのではないかということを、全国のタクシー事業者の方々が誤解をしているということであります。
規制改革会議の議論を聞いていても、全くそういう議論にはなっておらず、むしろ、タクシーとライドシェアの共存共栄の姿であったりとか、様々な性犯罪対策の必要性であったり、いろいろな、丁寧な議論がなされていると認識をしています。実際、どんな議論がなされているか、規制改革会議から答弁をお願いします。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
二点、御質問があったかと認識しております。一点目はタクシーとの共存共栄、もう一点目は安全確保対策、なかんずく性犯罪対策であります。
まず、共存共栄につきましては、内閣府と国土交通省によりまして、令和六年五月三十一日付のライドシェア事業に係る法制度についての論点整理というものがございますが、こちらにおきまして、現時点で想定される論点として、タクシーとの公平な競争条件の確保を挙げられております。また、五月三十一日の規制改革推進会議の答申におきましては、タクシー業との共存についても一定の配慮を行う必要があるとの考えの下、例えば、タクシー事業者の事業の継続が困難となるような場合には、緊急的にライドシェア事業の運営を中止する仕組みの導入などの意見が盛り込まれているものと承知しております。
次に、安全確保策、なかんずく性犯罪対策について申し上げます。
先ほど申し上げました論点整理におきまして、やはり、現時点で想定される論点として、実効性のある性犯罪対策が挙げられております。また、規制改革推進会議のワーキングというものがございますが、こちらにおける議論では、事前のドライバーのスクリーニングの観点から、犯罪歴や事故歴の確認を事業者だけで行うには限界があるとの考えで、日本版DBSのような性犯罪歴等を確実にチェックする仕組みが必要なのではないかとの意見が委員からあったものでございます。
さらに、先ほど申し上げた答申におきましては、デジタル技術を活用した遠隔での運行管理や安全対策により、最高水準の安全を確保することが制度の根幹であるという考え方の下、例えば、車内ドライブレコーダーの設置の義務づけ等による乗車中の安全確保や、性犯罪対策、事故防止の事前審査などの意見が盛り込まれておりまして、今後とも、安全対策、安全確保を前提とした法制度の議論がなされるものと承知しております。
○小林(史)委員 このように、かなり丁寧な議論がなされているということだと認識をしていますが、このような資料が全国タクシー・ハイヤー協会から全国の地方のタクシー事業者に配られている、情報提供されているので、かなり誤った認識が広がっているというのがもったいないところだと思うんですね。やはり正確な情報を基に議論をしていけば、多くの不安は解消できると思っています。
そして、これまでの議論を整理をして、私の方で作った絵を三枚目の資料としてお配りしました。
現状のタクシーと自家用車活用事業と新法のイメージですけれども、新法の方を見ていただきますと、ライドシェア会社がちゃんと運送責任を持つということになることが想定をされていますし、先ほどあったように、性犯罪対策であったり、一般車両にちゃんと追加装備をつける、場合によってはタクシーにない義務も求める、さらには、犯罪歴や事故歴とか、あと稼働時間の上限管理等も必要ではないか、こういうことが議論されています。
さらに、このようにライドシェア会社が運送責任を持って安全管理を行うということになると、一番この事業に参入しやすいのは既存のタクシー会社なんですね。既存のタクシー会社の方がライドシェア事業も運営しながらやっていく。これは実際に、地域のタクシー事業者とお話をすると、実際にやりたいとおっしゃる方も何社もいらっしゃいます。なぜなら、タクシーの車両はたくさん持っているけれども、運転手はその四割、五割しかいない、そうしたら、残りの五割の車をうまく動かせるならば、それはそれでプラスになるよねということもお話があります。
もう一つは、二種免許がないとやはりタクシーというのは運転できないわけですね。でも、ライドシェア事業が始まると、一種免許で二時間、三時間で運転ができる。その中で、人を運ぶことのよさ、意義を感じた方が、そのまま、じゃ、本当にプロのタクシードライバーになりたい、こういう道筋も出てくるわけですね。私なんかも、喫茶店とか飲食店でアルバイトしてみて、あっ、ここで働きたいかも、こういう就職のルートだってあるわけですけれども、タクシーの場合はそれが全くなかったわけです。これが、今まで触れられなかった、いわゆるライトな層の方々にもこのタクシー事業に関心を持っていただくきっかけにも私はなると考えていますし、実際そのような声がタクシー事業者から上がってきています。
あわせて、今、規制改革会議からDBS、性犯罪対策の件がありましたが、今もタクシー事業者さんによっては面接のときに確認をするということをやられている、性犯罪履歴とか大丈夫かということを確認されているということはあるみたいですが、やはり確認し切れないというお話があります。であるならば、今回を機に、しっかりデータベースを整理して、タクシー事業者の方にも、ライドシェア事業者の方にもちゃんと使えるようにする。これは、こども家庭庁の法案の方で日本版DBSができたわけですから、これの応用で十分対応できるのではないかと考えています。
では、続いて、タクシー事業自体の規制緩和の論点について共有したいと思います。
道路運送法上、運行管理者を営業所ごとに置く必要があるんですけれども、これはデジタルで複数拠点を見ることが可能なのではないか。
さらに、営業所ごとに整備管理者も置かなきゃいけないということで、整備士が二時間だけ働いて、あとはずっとその場にいるということが起きて、これも非常にもったいないですね。今は整備士をシェアするみたいなサービスも出てきていますので、こういった既存のやはりアセットをうまく活用するということが重要ではないか。
さらに、タクシーメーターが一台一台高いという問題があって、これはスマートフォンを活用してGPSで距離を測れば、十分メーターの活用ができるという話もあります。
こういった規制緩和をするということも同時並行でやるべきと考えますが、国交省、いかがですか。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
三点、御質問があったかと思います。
まず一点目に、デジタルツールの活用による運行管理業務の合理化でございます。こういったアプローチは非常に重要であると考えておりまして、例えば令和四年四月から、遠隔からの点呼などを可能としたところです。一方、日々の運行を踏まえた運転者への指導監督など、引き続き、運転手が所属する営業所において運行管理者が行うべき業務もあることから、営業所ごとの選任というのは必要であると考えております。今後とも技術の進歩に応じて、適時適切に活用してまいりたいと思います。
二点目に、自動車の整備でございますが、これは整備士を有効活用するということが非常に重要であると思います。一方で、いわゆる出張整備につきましては、例えばオイル交換など軽微なものは現在でも行われておりますけれども、例えばブレーキを取り替えるとか、そういうものは専用の設備が必要ということもあって、様々な観点からの御意見もありますので、それをよく踏まえて勉強してまいりたいと思います。
三点目に、タクシーメーターですけれども、これは、いわゆるソフトメーターにつきまして、令和五年度に検討委員会を開催しまして、検討を進めています。今年度におきましては、距離計測の正確性を担保するための実証実験を実施するなど、前に進めてまいりたいと考えております。
○小林(史)委員 スピーディーに進めていただきたいと思います。どの業界も人手不足ですから、昔は整備士業界がちょっと懸念を示すというのはあったと思いますけれども、今はもうそこも人手不足であります。
タクシーメーターについては、既存の企業と、それを技術認証している国交省の機関があると思いますが、そういった人たちの理解もちゃんと得て、時間をかけないように是非お願いしたいと思います。
その上で、配車アプリというのが今タクシーでも、はやっています。大変便利だなということなんですが、大雨でなかなかつかまらないときはプレミアム料金みたいなのを払うんですね。この料金というのは、実は、ちゃんと調べると、ドライバーにもタクシー会社にも行かないんですね、アプリ事業者だけにお金が行く。大雨が降って大変なときに汗をかいているのは誰か。タクシー事業者とドライバーですよ。なのに、この手数料はアプリ事業者だけが取る。
今後、様々なアプリ事業者が出てきますし、ライドシェアも出てきたときに、やはり、寡占的になって、プラットフォームだけが利益を得るみたいなことになってはいけないと思います。そういう意味では、早めにこの手数料の在り方とかを整理すべきだと思いますが、国交省、問題意識はいかがですか。
あと、あわせて、アプリの方が稼げるからか分からないんですけれども、楽だからか、人手不足だからか分からないんですが、電話で呼ぼうとする高齢者が電話では呼べないという状況も発生してきています。そういう意味では、アプリだけを振興すると、取り残される人が出てくる。これに対しての問題意識はいかがでしょうか。
○鶴田政府参考人 二点、御質問があったかと思います。
まず、二点目でございますけれども、タクシーの利用方法は様々でございます。事前予約なしで、駅や病院などの乗り場で乗車する場合もありますし、流しのタクシーに乗車する場合も、また、事前に電話や配車アプリで予約する場合、それぞれのニーズに応じて多様な手段が確保されていることが重要だと考えております。
この点は、近年は、電話で配車の申込みをした場合であっても、従来の無線システムに新たなデジタル技術を組み合わせまして、これによってアプリ対応車両が配車される、そういったシステムも出てきておりますので、引き続き、こういったシステムの導入を支援してまいりたいと思います。
もう一点、御質問のありましたタクシーの配車アプリの利用料金ですけれども、現在は、旅行業法に基づく手配料金として定められております。
国交省としましては、日本版ライドシェアのバージョンアップを行う一環としまして、新たなダイナミックプライシングなど、タクシーの運賃・料金の多様化について検討を開始することとしておりまして、この点、配車アプリの利用料の在り方につきましても、この中でしっかり検討してまいりたいと思います。
○小林(史)委員 ありがとうございます。
先ほど、何か病院とか駅とかという話があったんですけれども、そもそも、名古屋駅とか病院とか伊丹空港とか、特定のタクシー事業者しか入れないみたいなローカル規制も横行しています。これもフェアじゃないと思うんですね。こういうものもきちっと見直していかないと、タクシー事業者にとってもアンフェアなルールだし、新しい人たちにとってもアンフェアだと思っています。
いずれにせよ、規制の議論というのは、ただ規制を緩和する議論ではなくて、ちゃんとみんながプラスになるように規制をデザインする議論でなきゃいけない。そして、反対者の不安に寄り添ってこそ議論が進められるというふうに思っていますので、是非、正しい情報を規制改革会議及び国交省がちゃんと提供いただきたいと思います。
最後に、ごめんなさい、時間が過ぎますから、もう一言申し上げますが、知事会が何か反対の意見を出しに来られたんですけれども、お二人とも運輸省出身の知事会で、国交委員会だけの知事会での決議で出しに来ている。こういうことに時間を使っている場合じゃないと思うんですよね。ちゃんと全体像、バス、タクシー、公共交通、全て併せて地域の足を守る、そういう議論をお願いしたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、馬淵澄夫君。
○馬淵委員 馬淵でございます。
早速、質問といいますか、議論させていただきたいと思います。
さきの五月の二十四日の一般質疑、高速道路等のネットワークの評価に関して、調査中でまだ工費も具体的に決まっていないものを事業再評価の中でのBバイCに組み込むのはおかしいのではないかということを指摘いたしました。そのときに大臣がおっしゃったのは、「対象区間の事業評価、その便益は、やはり、最終的に調査中区間もつながった形で、高規格道路として全体がつながったときに、その全体のベネフィットはどうなるんだろうかということを考えるのは、ある意味で当然ではないでしょうか。」このようにおっしゃったんですね。
この全体のベネフィットを考えるということ、個別事業のいわゆるBバイC、費用便益、これを精査するということと、これは全く別物です、別次元である。このようなものを一体化してしまうことによって、ある意味、予算の膨張を正当化するということになりかねないということを今日は検証、議論していきたいというふうに思っております。
まず、ネットワークにおけるベネフィットということについて、委員の皆様もよく御承知だと思いますが、改めて確認をしていきたいと思うんですが、例えば、ネットワークを決めていくとき、いわゆる上位計画と呼ばれるもので、道路網、これはネットワークです、これを決めていくときには、まずルートを決めていくんですけれども、海寄りの都市部を通過するルート、これなどを決定すれば、当然、都市部ですから利用交通量は多くなる、便益は増加します。都市部を避けて、場所はどこか特定していませんが、海寄りの都市部を通るのではなくて、山合いの山間部、こういったところを抜けていくということにすると、利用交通量は少なくなって、便益は減少します。つまり、ルートの設定によって便益というのは変わっていくということです。
じゃ、一方でコスト、費用はどうか。これも、ルートや構造、これによっていろいろ変わるわけですが、今お配りをしている資料、これは前回もお配りをしましたが、既事業化区間でもコストというのはどんどん膨れ上がっていっているんですね。まず減るというのはまれです。
お配りした資料は私の事務所で作ったもので、前回もお配りをしましたが、2の日沿道などは、三十一番のこの事業なんというのは三六二%、こうした大変な増加率。つまり、1の資料を御覧いただいても、二の事業二八七、十二の事業二九四など、三、四倍にも膨れ上がるというようなリスクを抱えています。
こうした状況で、調査中区間というものの事業算出、これを、いわゆる類似工事、こういったものを参考にしてということでありますが、単価も何もはっきりしていない状況で、用地単価すら決まっていない状況で費用の見積りを行うというのは、これは相当なぶれが生じるということになります。
つまり、このネットワークBバイCというものをつくって取っていくということにどれだけの意味があるのか。本来であれば、事業評価というのは、その事業化区間において、ある意味、精緻化したBバイCを取っていくということで再評価もなされていくわけですから、このネットワーク一体化の議論というのは、実は無尽蔵に予算を膨らませていくことになりはしないかということを私は前回指摘をさせていただいたわけであります。
そこで、このネットワークというものであります。今申し上げたように、計画段階で様々な費用や便益というものが出てくるわけですけれども、局長に端的にお願い申し上げたいと思いますが、ネットワークの計画策定、これに当たってはBバイCは根拠にしてきましたか。答弁ください。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる国土計画とかのルート選定に当たっては、そもそも、どういうルートを通るのか、構造がどうなるのかということでございますので、BバイCは算出はしておりません。
○馬淵委員 つまり、ネットワークのルート計画というところではBバイCというものは算出をしない、すなわち、様々な要件を決めて、それに基づいてルーティングというのを設定していくわけです。
今、BバイCは評価の決定段階では使わないということでお話がありました。つまり、このネットワーク計画策定という中でいうと、BバイCというのは事業評価のものであって、本来、計画策定において、これは別次元の評価軸、BバイCというのは別次元の評価軸だということでよろしいでしょうか。局長、御答弁ください。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
BバイCは、本当にルート、構造が決まって事業化する段階に算出するものだということでございます。
○馬淵委員 ありがとうございます。
このように、BバイCというのは、事業化においてこれは使用するものだということであります。
ところが、前回も申し上げましたが、二〇一七年、事業再評価時に、一体となって効果を発揮する道路ネットワークとして評価を行うことができるという規定が、これは課長通達で出てまいりました。これによって、個別事業のBバイCで事業再評価を行ってきたものに対して、これを、一体的な道路ネットワークの評価、これも加えることができるとなって、ネットワークBバイCというのが併記されるようになったわけであります。
お手元の資料の1、2にも、前回もお伝えをしましたが、BバイC変更後、右から二つ目の縦のカラムでありますが、これを御覧いただきますと、角括弧で囲っているところがネットワークBバイCであります。これらの事業一から三十六までは全て、BバイC、この再評価は一を切っていますが、ネットワーク評価をしたものはいずれもBバイCが上がっています。特に、一を切っているものが、一を再び上回るというような数値も見られるわけであります。
そこで、改めて確認をしていきたいと思うんですが、こういうような状況でネットワーク評価を行うことが事業再評価の中でできるとなっていくわけでありますが、一方で、調査中区間ということでありますから、まだ事業化にもなっていません。こうした調査中区間が評価に組み込まれるということ、あるいは組み込まれていないものもあります。これは、なぜこの二つがあるのか、これも端的にお答えいただけますでしょうか。局長、お願いします。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
ネットワーク評価に加えているというものについては、これは計画段階評価、また都市計画決定をしているもので、ルート、構造がもう決まっているというものであります。
調査中でネットワーク評価に入れていないものというものは、まだルート、構造が決まっていないということで入れていないということでございます。
○馬淵委員 今、局長の答弁にありましたように、計画段階評価、これによって、工種あるいは様々な工法も確定して、そして事業費も積み上げられているということから、ある意味、もう事業化ができる段階にまで行っているという意味での、その判断でネットワークのBバイC対象区間ということにしているということです。
一方、都市計画決定を打ったということであれば、この決定によって同じようなレベルだということでありますが、しかし、それでも概算です。あくまでも見積り、概算の費用。しかも、先ほど来申し上げているように、既事業化中区間でも三、四倍にも膨れ上がるような状況の中で、概算で入れているということになっています。
一方で、この調査中区間の中でも、いわゆる計画段階評価に至っていない、あるいは都市計画決定がなされていないものについては、BバイCをそこでは計算しないということになっています。
この欠けている区間を組み込まないで評価するということは、これはありますか。どうですか。局長、お答えいただけますか。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
委員御提出の資料の3というものについて、真ん中にあります調査中区間というのが四角四つでありますけれども、これについては、ルート、構造が決まっていないということでありまして、一体評価をやる場合は、並行する現道に交通が流れるということで算出をいたしております。
○馬淵委員 つまり、調査中区間でもBバイCの計算の中に組み込まれないといいますか、現道を走るわけですから、本来のいわゆる効用が生まれないところということになります。ここは現道を走るわけですから、BバイCの計算に入ってこないということになります。これもお配りした資料の3でも、いわゆる一体評価のところには丸がついておりません。つまり、ここは入れていないということになります。
このような状況が、つまり、組み込まれないものもあるのにもかかわらず、大臣、これはネットワーク一体評価だと称しているんですよ。大臣がおっしゃったのは、確かに、つながっているということを前提に評価するのは、これはあるんじゃないかとおっしゃいましたが、事業の評価を行う中で、つながってもいないところまで含めてネットワークと称して一体評価しているんですね。もちろん、計算に入らないところも含めてです、これは。こういう状況で、果たしてこれがネットワーク評価と称していいんだろうかということを、私は大変これは疑問に思っております。
そこで、今日はお配りする資料を用意できなかったんですが、昨晩ちょっと私も見て、調べておりましたら、令和五年、二〇二三年、昨年の三月の十五日にも、社会資本整備審議会道路分科会の第二十三回事業評価部会の参考資料というのを見つけました。ここでは、費用便益分析の対象区間ということで、幾つかの区間を参考資料として出されているんですね。
これはお配りをできませんが、ここでは、例えば山陰近畿自動車道、城崎道路というのがあります。ここは、豊岡北ジャンクションから宮津天橋立インターチェンジにつながっていく、総延長約五十四キロの道路であります。この道路、これはどうなっているかというと、全体五十四キロのうち、調査中区間として、これは全くまだ決まっていないので、実に三十・二キロ、五六%がこのBバイCの対象になっていないんですが、それでもこれはネットワーク評価として、一体評価としてBバイCを出しているんですね。
大臣、つまり、調査中区間でも、入れられるのと入れられないのがあると言っている。入れられない部分が五六%もあるにもかかわらず、これは一体評価として、ネットワーク評価としてBバイCを出しているんです。現状の事業化区間を今、新規事業化の候補としてBバイCを計算していますが、ここでは〇・二なんです。ところが、つながってもいない、半分以上つながっていないところをネットワーク一体評価と称してBバイCを計算したら、これは一・四になっているんですよ。これは、全体がつながっているから何となく実感としてそういう評価も正しいんじゃないかという話じゃないはずですよ、大臣。
私は、このネットワーク評価というものが、結局はネットワークを評価しようとしているのではないんじゃないかという、私、そんな、この資料を見て、感じ出しているんですね。
今日これを細かくできませんが、更に遡っていくと、どうもBバイCが、既存事業も含めて軒並み工費が上がって、これが下がり出している。私は、そこを恣意的に膨らまそうとしている可能性があるんじゃないかということを、ずっと気にして見てきたんです。
私が少なくとも国交省にいた時代には、このネットワーク一体評価なんというものはありませんでした。これを二〇一七年に突如として出してきた。そして、その後、見てみると、ネットワーク一体で評価といいながらも、いいとこ取りの、つまみ食いしているんですよ。結局、計算に入れない部分が半分以上あっても、ネットワーク評価だとして、BバイC一・四なんという数字を出そうとしているんですね。
私は、これは結局、こういうことを繰り返していくと、事業をきちっと、予算、進捗管理も含めて、本来であれば莫大な工費を使う事業でありますから、それが形骸化してしまうのではないかということを、これは大変問題ではないかというふうに思っているんですが、大臣にはまだ質問しません。そこで、局長に改めてお尋ねをします。
私がこうした一連の質問をしているということで、ネットワークそのもの、全国の既事業中のネットワーク、これは相当数あると思ったんですが、どのようなネットワークBバイCとなっているかというのを、これを調べておられたようです。
これに関して、百七十六、全国、既事業化のネットワークがあります。私が先ほど申し上げたように、個別の事業は一を切っているんだけれども、ネットワークで評価したら軒並み一を超えていくというようなことが、つまみ食いで出てきてしまってはいないかということで、どうなっているんだということを何度も道路局の方にも尋ねました。それで、全事業を調べていただけたようです。局長、これの数字をお答えいただければと思います。
およそ百七十六のネットワーク、このネットワークBバイCを再評価したということですが、一体、何%が個別事業評価BバイCよりネットワーク事業評価が高くなっているか、お答えいただけますか。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
今、一体評価の方が事業化区間より大きい方ということであります。一体評価をやったのは百七十六でありまして、一体評価の方が大きいものは百事業ということで、全体の五七%ということになっております。
○馬淵委員 約六割がやはり高くなっているんですね。全体的に高くなる、そうなると思います。
先ほど申し上げたように、まだ何もできていないところも含めて、含めてというか、計算には入れませんけれども、つながっている前提で、それを無理くりBバイC一体評価として取り入れていくわけですから、もう既に事業が、供用開始部分まで入れていくと、それは上がりますよ。
このような状況で、大臣、私、繰り返し申し上げてきたのは、大臣は前回の質疑のときにも、私が時間がない中で申し上げた中では、全体がつながったときの便益を考慮することはおかしいことではないのではないか、私はこう思いますとおっしゃいましたが、これはやはり問題じゃないでしょうかね。
無理に、これほどまで無理にBバイCを上げるがためのようなネットワーク一体評価を行うというのは、何の意味があるんですか。本来であれば、個別事業を精査していく、それで、再評価のときに一を切っているものに関しては、これはやはり事業継続が問題だとされてきたわけです。しかし、残りの残事業、残事業BバイCが大きく一を上回っているから、これはまだ継続する、いわゆるサンクコストにはさせないようにというようなことで、ずっと事業は継続してきました。
こういう状況で、これは前にも言いましたが、残事業BバイCも、使った分だけ工費を上げていけば、ずっと一は維持できるので、ある意味、ずっとこの残事業BバイCというのを一以上に保つことができる。これも技術的には可能です。そんなことはやっていないんだろうと私は思いますが、それでも、結局は、今、道路評価の仕組みの中でいうと、どんどんどんどん緩んでいっているんですよ。
私が少なくとも国交省にいた大臣時代、副大臣時代を含めて、厳しくこれは評価しようということで、計画段階評価を作ったり、あるいは、今日は触れませんが、いわゆる交通需要推計も、これは徹底的に見直しました。
これによって、ただただ道路の需要推計、すなわち交通量が増えるなんというばかな推計は、もう出てこないように今はなりつつあるように私は思っていますが、でも、このネットワーク一体評価、やはりおかしいですよ。今申し上げたように、大臣、これはつながったときの便益を考えるのが当然だというのはおかしくないですか。
繰り返しますが、事業再評価とは、その事業が適切な、BバイC一以上にあるかどうかを確認する作業ですよ。それなのに、一体評価をこうして出してくる。おかしくないですか。大臣、お答えいただきたい。
○斉藤(鉄)国務大臣 道路のBバイCのやり方の基礎につきましては、馬淵委員が副大臣、大臣時代にその基礎をつくっていただいた。これは本当に敬意を表しております。
その中で、平成二十九年に、これは有識者の委員会の答申も踏まえまして、道路が全部つながったときの便益のネットワーク評価も入れるべきだという御意見もあり、現在はその二つ、短い、今回つながる区間だけのBバイC、プラス、全体がつながったときのBバイC、両方出すようになっております。
前回以来、馬淵委員と議論をさせていただいて、まだ私、分からないところがあったので、個人的に、ちょっとこれはどういう意味ですかというふうに馬淵さんにも聞いたりして、問題点は二つあると思います。
一つは、そのネットワークBバイCにどういう意味があるのかという、まさに今の質問。それからもう一つ、やはり馬淵委員の根底にあるのは、事業化することは決まったけれども、まだ全く工事が始まっていないというものについて、本当に粗い、それもまた甘いコスト算定になっているのではないか、結果的にそれがBバイCを押し上げることになっているのではないか、この二つの馬淵委員の問題意識ではないかと思います。
その最初の方につきましては、やはり私は、道路は、本当であれば、ここからここまで全部つながったものを同時に着工できて、一体として同時に完成すれば一番いいわけですけれども、なかなかそれも財政的な制約、人員的な制約があってできない、一つ一つ区切りながら工事していかなきゃいけないという中で、その短い区間の工事だけのBバイCだけで評価していいんだろうか、やはりつながったときのベネフィットというのも考えてしかるべきではないかというのが前回の答弁です。
しかし、二番目の問題意識、つまり、事業化は決まったけれども、まだ工事が始まっていない区間について、いいかげんなコスト算定になっているのではないか、これは大変重要な御指摘だと思います。その点は今後、どうあるべきかということはしっかり検討していきたいと思います。
○馬淵委員 事業評価の話を私はしているので、ベネフィットだけではないんですね。これはコストも加えなければ駄目なわけですよ。
大臣おっしゃるように、全てつながったときのベネフィット、これを見るのは大事だ、そのとおりなんですが、繰り返し言いますけれども、計画段階では、少なくともネットワークのBバイCというのはないんです。だから、個別の事業で判断していくんですよ。つながったときのベネフィットというのは、これは、そのときにどういう形ででき上がっていくかということで、想定はできますけれども、あくまでもこれは、計画段階では要件でしか定義できていないんです。
それで、事業が始まりました。ならば、その事業は、途中で切れている道路なんかないですから、必ず現道とつながっていますので、だから、その事業がきちっとBバイCを維持できているかというのをチェックしなきゃいけないんです。それがこの再評価の仕組みなんですよ。それが形骸化してしまうのではないかと申し上げているんです。
大臣、そこはどうですか。もう一度。
○斉藤(鉄)国務大臣 つながっていないところは、現道が現在に存在して、それも含めたBバイCということも考えるべきではないかという御意見。それから、先ほどの一点目、二点目については、特に二点目につきましては、しっかりとコストについても、これを厳しく評価するということを今後やっていかなきゃいけない、このように思います。
○馬淵委員 時間になりましたので終わりますが、大臣、もう一度きちっと申し上げておきたいんですが、必ず、事業評価というのは、その現道云々関係ないですよ。その事業区間の中で判断しなければならないものですから、その仕組みは変えていないんですから、そこを守るということをしっかりと頭の中に置いておいていただきたいと思います。
終わります。
○長坂委員長 次に、白石洋一君。
○白石委員 白石洋一です。
今日は、愛媛県と広島県を結んでいる西瀬戸大橋、いわゆるしまなみ海道の通行料について質問したいと思います。
このしまなみ海道ですけれども、一九九九年五月に開通した。それをもって、それまで離島であった大三島、伯方島、大島、そして広島側の向島、生口島、因島、離島から解除されました。
その後、愛媛県側でいえば、その三島にあった村もそうですし、町が、これが旧今治市と合併して、そして陸地部と一緒になったんですね。それは広島県も同じで、尾道にそれぞれの島が合併して、一緒の市になったという事情があります。
そして、合併した後、これは二〇〇五年ですけれども、どんどん行政サービスが陸地部から提供を受けるということになって、さらには、生活面でも、例えば病院だとか学校だとかあるいは買物だとかの陸地部への依存がどんどん進んでいっているんですね。
そんな中で、やはり、そこの島にお住まいの方々の生活としては、これだけ行政サービスだけではないいろいろな生活面で陸地部への依存が進んでいたら、過去の離島と同じじゃないか、隔絶性があるんじゃないか、料金次第によっては、やはり隔絶性、条件の不利性というのが残っているんじゃないかという声が非常に強いんですね。
そんな中で、これをどうしたら解決できるのか、斉藤大臣にも過去質問したことがありますけれども、そんな中で、国土交通省が平日朝夕割引の見直しをしようじゃないかということが報道されました。この平日朝夕割引を通勤パスに移行する、これは、私、今回のしまなみ海道の通行料金に使えるんじゃないかなというふうに思うわけであります。まず、この移行の見通しについて、政府の概要説明をお願いします。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
現在、NEXCOが管理いたします地方部の高速道路では、並行する一般道の混雑緩和のため、平日の朝六時から九時、また、夕方の十七時から二十時に多頻度利用する車両を対象に、料金を割引する平日朝夕割引を適用しているところでございます。
このような中、昨今、時間帯にとらわれない多様な働き方が広がっていることから、通勤パスとして、利用者が事前に登録した区間の通行を、時間帯や曜日を限定せずに、最大五割引きとする試行を昨年の四月から石川県で開始いたしまして、今年の四月からはこの試行箇所を北海道、新潟、山梨、香川、長崎に拡大し、石川県を含めた全国六か所で実施をしているところでございます。
この取組では、高速道路を利用する時間帯の分散、また利用回数の増加などの効果が見られておりまして、移動時間の短縮などによって、経済活動の生産性の向上につながることが期待されているところでございます。
今後の通勤パスの効果の検証を行った上で、平日朝夕割引に代えて、令和八年度より本格展開することを目指しているところでございます。
○白石委員 平日朝夕割引、やっているのを随分拡充するということで、今の制度というのは、事前登録は必要ないんですけれども、この通勤パスについては、事前に指定した区間、そこに登録しないといけないんですね。私は思うに、この登録の対象として、当然本四架橋も含まれるというふうに考えるんですけれども、いかがでしょうか。
○丹羽政府参考人 これから、令和八年度の本格実施に向けてどこの路線を対象とするかということについては、今後検討していくことになります。
○白石委員 これは是非含めていただきたい。斉藤大臣、ここは大事なところですから。
それともう一つ、今の平日朝夕割引、NEXCOは、つまり、本体部分のところは、五回から九回までは三割引き、そして、これは月当たりですけれども、十回以上使ったら五割引きとなるのに対して、本四のところは一割引きでとどまっているんですね。
これは、通勤パスになる本四も対象としていただきたいんですけれども、本四も対象になった場合、一割引きでとどまるというのは、これは低過ぎると思うんですよ、やはりほかのところが三割さらには五割ということですから。ここはやはり一割というのを見直していただかないといけないんですけれども、いかがでしょうか。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
しまなみ海道の本四高速の料金水準につきましては、高速道路ネットワークをより一層有効活用するために、平成二十六年の四月から十年間、全国の料金収入、これを充てながら、引下げ措置を実施してきておりました。今年の四月から更に十年間これを継続するということにしております。
委員御指摘の、この本四高速の平日朝夕割引については、先ほど御説明いたしました引下げ措置前の通行料金から、これの最大五〇%割引になっているところでございまして、これを更に拡充するということについては、新たな財源の確保、また、公平性の観点、他の交通機関への影響などを考慮する必要があることから、慎重な検討が必要だというふうに考えております。
○白石委員 大臣に質問ですけれども、こうやって、国交省の道路局というのは、道路行政の観点からいろいろお話をされるわけです。しかし、私、一番最初に申し上げたように、架橋はされた、島がつながって離島から外された、しかし、その料金次第によっては隔絶性というのが残っているわけです。ましてや、その後、陸地部と合併した、広島側もそうです、尾道側もそうです、そのことによって行政サービスが依存され、そして、一つの島当たり五千人、六千人の人口になってきたら、やはりどうしても陸地部に依存せざるを得ないですよ。そこに対して道路行政として手を差し伸べる。
もうこれは、離島はちょっと置いておいて、社会政策として、さっき言った、渋滞緩和のためにとかいうんじゃなくて、こういったところで生活している人のために、ETCを使って技術が進んできている、ETCを使って割引制度を拡充する、こういうふうにすべきだと思うんですけれども、斉藤大臣、いかがでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 まず初めに、今度新しく通勤パス制度にします。それも是非しまなみ海道も対象にすべきだという御質問がございましたけれども、今後検討するということでしたけれども、当然これまでもいわゆる平日朝夕割引が適用されているわけでございまして、当然それが通勤パスになるので、これは当然しまなみ海道も対象になるんだろうと、私、個人的には思っております。
その上で、今の、もう少しこれを新しい技術を使って下げるべきではないかという御主張でございますけれども、高速道路料金につきましては、観光振興や沿道環境の改善など、政策課題の解決のための割引を導入しております。
高齢者や妊産婦、子育て世帯などの一部島民に限定した割引のように、地域において独自に取り組む料金割引については原則として地方自治体の負担の上で実施していただくことが基本であると認識しておりまして、例えば、現在、愛媛県今治市においては、島嶼部に在住の子供を持つ世帯などに対して、保健医療の受診などに要する通行料金の助成を今治市が行っていると承知しております。
いずれにいたしましても、高速道路料金の在り方については、引き続き、地域の方々の意見なども踏まえつつ、不断の検討を進めてまいります。
○白石委員 先ほどおっしゃった、高速道路網は高速道路網で、そして、地域の政策課題についてはその地域でと。今治市とかもやっています、恐らくは尾道市もやっているんでしょう。でも、この制度というのはどういうものかというと、本当に予算も限られていますし、島の通行料金のレシートを取っておいて、それを集めて、それで後から、自分はそういう、例えば妊産婦でありますよだとか、あるいは、子供を持つ世帯でありますよという証明等のコピーと、そして申請書を持って、支所だとかあるいは市役所に行かないといけないんです。とても煩瑣な、面倒な手続でもって、小さな予算でやっているんです。それじゃ駄目だということが私のこの趣旨です。
これだけETCの精度は技術が進んでいるんですから、ETCでもってそれをやっていく。もし地方からある程度拠出してほしいということであったら、やると思います、断言できませんけれども。それぐらい、ETCでもって、こういった社会的弱者、政策課題を解決するためにこの高速道路網というのは使えるんじゃないかということを申し上げたいんです。大臣、いかがですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 いろいろ技術が発達してくればいろいろなことができるかと思います。ただ、ETCで、今カード式ですと、例えば、その個人を限定するというわけにはなかなかいきません。そのカードを使っていろいろな人が通行できるわけでございますので、そういう意味では、技術的にもなかなか難しいところがあるという認識はございます。
その上で、先ほど申し上げましたような地域のいろいろな課題、特に社会福祉的な側面につきましては、その地域の福祉政策との関係もございますので、全国一律に国土交通省若しくは道路会社で手を打つべきというものにはなじまない、そういう面もあるのではないか、このように思います。
○白石委員 おっしゃるとおり不正対策は必要です。これは、社会的弱者、政策課題ということであれば不正対策も同時に講じないといけないと思いますけれども、それも講じた上で、このETCという技術を使って、そこにある程度地方からの負担も公平性の観点から必要だということであれば、それも講じた上で、まさにこれは島民割引と同じなんです。
島民割引というのは、離島で、そしてそのインターチェンジで一般の車両が出入りできないところについては島民割引。そこは、本四が三五%、そして地域、地方自治体が四五%、そして利用者さんが二割、これでやっているわけです。これと同じようなことができるんじゃないかというふうに思いますので、是非この技術開発、不正対策も講じた上でやっていただきたい。
これは一歩進んだところで、それよりも一番最初にやってほしいのは、まずこの通勤パスが本四も適用され、さらに、その割引率が一割だけじゃなくてもっと更に、これはほかのところは五割ですから、五割に近い形でやるべきだ、これは回数だけですから不正対策とか別に問題ないので、これをまず大臣、やっていただきたいということを申し上げたいと思います。この点、いかがですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 この点に関しましては、先ほど丹羽局長から答弁申し上げましたとおり、元々しまなみ海道区間は本来の料金から大幅に割引がされております。今回のこの朝夕割引もその本来の料金から五割の割引ということで、それが結果的にその割り引いた額に対しては一割になっているということでございます。
したがいまして、この割引制度をダブルで使うということがどういうことなのかについても検討しなくてはいけませんけれども、現在のところではそれはなかなか難しい、割引制度を二重に使うというのはなかなか難しいというふうに認識しております。
○白石委員 その面もある程度は分かります。でも、今の五割であっても、ほかのところは、だって、一キロメートル当たりの料金が高いところも五割適用されているというところもあります。
そして、私が言っているのは、こういうふうに行政サービスが陸地部に依存しているところでいえば、これはやはりしまなみ海道です。ほかのところ、淡路島のところに三市ありますけれども、それは島の中で完結しているわけですね。そこはまた一つの考え方があると思います。やはり行政サービスが陸地部に依存している尾道市、そして今治市、この面については、特に配慮、考えを巡らせていただきたいと思います。
そしてもう一つ、質問は、離島指定なんですけれども、先週、離島指定検討部会の報告で、指定解除の基準について決定がされたというふうに聞きました。そのレクも受けたんですけれども。
その中で、離島地域の指定解除の原則の妥当性、これの検討結果で、3に何を書いているかというと、架橋整備による離島特有の条件不利性の解消は、有料橋、無料橋によって実質的な差はなく、両者を区別する必要性は見出し難いという、私が今ずっと言っていた話と全く正反対のような検討結果が記述されているわけですね。有料橋、無料橋によって実質的な差はなく、両者を区別する必要性は見出し難いと。
では、これのバックアップは何なのかということで、探してみても特になく、私がいただいたのは、今治市側、旧越智郡のところですけれども、それよりも、むしろ、生活利便性のところでいえば、自家用車の場合、橋の通行料金が発生することから、まだ離島ではないのかという意識もあるということとか、あるいは、合併前であれば島が自治体であったが、合併したことで、同じ市民なのに橋の通行料がかかることへの不満がある、こういった記述があるのに、これはヒアリングメモですからね、そこには真実が書かれているというふうに前提として考えれば、なぜ、こんな記述がある上に、検討結果としては有料、無料で実質的な差はないというようなことになったのか。ここを、政府にお願いします。
○黒田政府参考人 お答えいたします。
離島振興対策実施地域の指定解除基準、これは、委員御指摘のところでございますが、令和四年十一月の改正離島振興法の成立に際しまして、附帯決議で、離島と本土等の間の架橋が整備された際には、当該地域の実情に配慮しつつ、離島振興対策実施地域の指定が直ちに解除されることのないよう同地域の指定解除の基準について検討することというふうにされたものでございます。
この附帯決議を踏まえまして、昨年の五月に、国土審議会の離島振興対策分科会におきまして架橋に伴います指定解除の在り方につきまして、離島指定検討部会に検討の付託がされまして、離島指定検討分科会の委員の方々には、架橋後に指定解除された地域、大三島、伯方島、大島も含めまして、赴きましてヒアリングを行うというようなことをやっていただいたところでございます。
その検討の結果といたしまして、先週の六月十四日開催をされました国土審議会の離島振興対策分科会におきまして報告がなされまして、架橋が行われた場合の指定解除の原則を維持するということ、また、指定解除時期の明確化、あと、指定解除の猶予条件の追加ということを内容とする指定解除基準ということが離島振興対策分科会におきまして決定をいただきました。
原則を維持するということはどういうことかと申しますと、やはり離島特有の条件不利性、これは架橋によって解消したというふうに見るべきではないか。また、真に離島振興が必要な部分というのは、やはりそうしたところにしっかり支援が行き届くようにすべきである。あと、二つ目の、離島解除基準の時期の明確化というのは、これは留保条件なんですが、直ちに解除するのではなくて、あらかじめ準備期間を考慮して、架橋後の、開通後の翌年度末まで指定を継続をし、翌四月一日付をもって指定解除する旨を指定解除基準に明確化をするとか、あと、猶予条件の追加ということは、例えば、陸上交通が確保されない集落が存在する場合には指定解除を猶予するとか、公共事業が未完の場合には、当該事業の完了まで指定解除を猶予するなどの留保条件をつけながら慎重に手続を取っていくというような基準をお決めいただいたということでございます。
○白石委員 斉藤大臣も、このことについて、昨年の二月二十日の、佐藤公治衆議院議員、広島の代議士からの質問で斉藤大臣は、有料道路の架橋によって指定解除された島々が置かれている状況について、有料道路の負担ということも含めまして、実情を伺いながら、実態把握に努めてまいりたい、こういうふうに答弁されているんですね。
私が、実態把握、そこの島に行った、声を聞いたら、有料道路の大三島から今治まで片道千五百円ですよ。これが本当に重いんだということしか私は聞かないんですけれども、先ほど局長が言っていた、橋が架かったことによって、そのことは、離島ではないんだということの一点張りなんですけれども、ここを大臣、どのように、広島の議員、政治家として見ていらっしゃいますでしょうか。これで最後の質問になります。
○斉藤(鉄)国務大臣 私も、対岸の広島県の側でこういうお声をよくお聞きしているところでございます。そういうお声も踏まえながら、今回は、国土審議会の離島振興対策分科会で、現地に行ってお声を聞いた上でこういう結論が出ておりますので、それを尊重しながら、しかし、そういうお声にも耳を傾けながら、今後もしっかり見ていかなくてはならないと思っております。
○白石委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
○長坂委員長 次に、山本剛正君。
○山本(剛)委員 日本維新の会の山本剛正でございます。
久しぶりに国土交通委員会に戻ってまいりまして、入った瞬間に、空気感がいいですね。本当にホームに戻ってきたような感じなんですけれども、皆さんの視線を見る限り、ちょっとアウェーだなという思いを持ちながら今日は質問させていただきたいというふうに思います。
ちょっと質問の順番を入れ替えて、総務省の、総務副大臣の渡辺副大臣においでいただいておりますので、ちょっと質問の順番を入れ替えさせていただいて、今日は、離島振興、離島航路の確保それから維持について、どういうふうに考えられているかということを中心に聞きたいなと思ってここにやってきたんですけれども、それに付随をして、ふるさと納税のことについてちょっとお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。
ふるさと納税、都市部の皆さんから言わせると、税収が少なくなってけしからぬというような思いを持たれている方もいらっしゃるかもしれませんが、これは、やはり地方にとっては非常に重要な財源でございまして、これからもいろいろなところで活性化のために活用していきたいという自治体が非常に多い中で、その経費の中に運賃が実は含まれていて、この運賃が、副大臣も北海道の方でいらっしゃいますから、例えば、北海道から大阪に送るのと、愛知から大阪に送る、若しくは九州から東京に送るのと、九州の離島から東京に送るのと、それから、例えば宮城から東京に送るのでは、運賃に大きな格差があるんですけれども、それが経費の中に入ってしまっているんですね、認められる経費の中に。そうすると、残念ながら返礼品は削らざるを得ないという状況があって、やはり私は、運賃は、全国各地いろいろある中で、やはり遠いところが不利になりますから、私は経費の中から除外をするべきだなというふうに、前も、以前の金子総務大臣にもその話をさせていただいたんです。
是非、同じ土俵でやはりやっていこうというべきものをつくっていくために、この経費の考え方を副大臣にお尋ねをしたいというふうに思います。
○渡辺副大臣 山本議員、もう十二分にふるさと納税のことについては御承知のことと思いますけれども、ふるさと納税は、ふるさとやお世話になった地方団体への感謝の気持ちを伝え、さらには、その税の使い道を自分の意思で決めることができる、可能とする制度でございます。
現在、ふるさと納税のいわゆる指定制度の下では、法令におきまして寄附金の募集等に係るルールが設けられており、その一つに、お話がありましたが、返礼品の調達費や送料を含む算定費用の総額を、一年間に受領する寄附金額の五割以下とするという基準が定められております。これはもう御存じのことと思います。
それを受けまして、ふるさと納税は、その地域を応援したいという納税者の思いに応えるためには、寄附金のうち、少なくともやはり半分以上が寄附先の地域のために活用されるべきという考え方に基づくものであり、この考え方は全ての地方団体において当てはまるものと考えております。
地方団体から御指摘のような御要望をいただいた際にも、この考え方を丁寧に説明してまいりたいと思っております。
○山本(剛)委員 いや、副大臣、そうおっしゃるんだったら、地域を応援したいと思うんだったら、運賃を外すべきだと思いますよ。今言っていることはちょっと、かなりとんちんかんで、その地域において、そこの地域に住まわれている方たちが返礼品として出しているわけですから、経費は逆に大手の運送会社とかに行くわけですから、それはきちっと当然払わなければいけないものですから、払うというのが大事だと思いますけれども、今の観点で地域を応援したいというふうにおっしゃられるんだったら、是非、その運賃は経費の中から除外をしていただきたいということを強く申し述べて、この質問は終わらさせていただきますので、もうお時間もありましょうから、どうぞ御退席いただいて結構でございますので、ありがとうございました。
今後の離島航路の維持についてちょっとお尋ねをしたいと思いますが、まず、現状の認識を、認識といいますか現状をちょっと教えていただきたいんですが、どのような船舶が、いろいろ、大型、小型、あると思うんですけれども、用いられているのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○海谷政府参考人 お答え申し上げます。
離島航路で用いられている船舶でございますけれども、島民人口、あるいは観光需要、島の地理的条件や港湾事情等に応じまして、二十トン未満のいわゆる小型旅客船から一万トン以上の大型旅客船まで、多種多様な船舶が就航しております。令和五年四月現在で、全国二百八十三の離島航路に合計五百二十七隻が就航しておるところでございます。
○長坂委員長 総務副大臣、どうぞ退席していただいて。
○山本(剛)委員 ありがとうございました。
多種多様な船舶がある中で、僕はジェットフォイルと言ってほしかったんですけれども、実は、離島航路の中にジェットフォイルというものがありまして、皆さんも御案内のとおりだと思いますが、御存じない方もいらっしゃるかもしれませんので、ちょっと御説明をさせていただきたいと思いますが、ジェットフォイルというのは、海を飛ぶ船と言われて、船体を水中翼を用いて海面から浮上させて、ジェットエンジンを使って進む船で、これは、最高時速、何と八十キロ以上出るわけでございます。
これは離島の住民の生活のためだけではなくて、観光や医療など、地域の足としては非常に欠かせないものとなっているわけでございますが、これは今現在、一都四県で十八隻実は運航をされております。このジェットフォイルの耐用年数、三十五年から四十年程度と言われているんですけれども、何と、この十八隻就航されているうちの十七隻が三十年を実は経過をしているということです。
私も、実は博多にいて、私の母が実は壱岐という島の出身でございまして、幼い頃から壱岐によく行く中で、昔は本当に、玄界灘、波が大変厳しいので大変な思いをして行っていたんですけれども、ジェットフォイルができて、波が高いときはジェットフォイルは運航できないんですけれども、スピードも非常に、一時間で壱岐まで結べるということで、非常に利便性の高いものとなっているんですけれども、これは、三十年以上たっている船がほとんどだという中で、じゃ、何で更新が進んでいないのかといえば、やはりコロナ禍と建造費の高騰というものがございます。
現在就航しているその十七隻、十八隻のジェットフォイル、買ったときの値段というのが大体二十五億円程度だったというふうに聞いております。それで、二〇二〇年に、二十五年ぶりに、東京都の東海汽船というところが新造したんですけれども、これは何と、三十年前に二十五億円だったものが五十億円になっているんですよ、二〇二〇年ですね。今、二〇二四年、現在実はこれは七十億円にまで膨れ上がっています。
これは実は、川崎重工さんがアメリカのボーイング社が開発したジェットフォイルを、技術を引き継いでいるわけでありますけれども、この膨大に増えた建造コストの要因は、やはり、ラインを維持するために、下請業者も含めて、技術を維持していくコストが非常にかかるそうなんです。十八隻しかありませんから、やはり常に動いているわけじゃないんですね。やはり、三十年以上前に、一か所に集中していますから、これは、ラインを維持していくといってもなかなか難しいというのはもう今説明したとおりです。そういった中で、やはり、更新が長期間に及ぶとそうした関連コストも膨らむから、建造費は巨額になっていると。
コロナ禍で旅客数が激減して、船会社自体が経営難に陥っているというところもあるわけですね。例えば、二〇二二年、二年前に、佐渡と新潟を結ぶジェットフォイルを運航する佐渡汽船というところは、関東や東北のバス会社などを傘下に持つみちのりホールディングスというところの子会社となっているということでございます。
例えば、私の地元の福岡市に九州郵船という会社がございますが、長崎の壱岐、対馬と博多を結ぶジェットフォイルなんですけれども、これも、それぞれ二隻持っていて、建造から三十二年、三十八年、もういっぱいいっぱいなんですね。更新は待ったなしの状況でございます。
ただ、七十億円もの建造費がかかるということになると、やはり企業単独でこのお金を調達するというのは非常に困難でございます。東海汽船はどういうことをやったかといいますと、五十億円の建造費の半分を、二十五億円を東京都が拠出しているんです。でも、東京都の財政規模だからそれができるのであって、やはり、よその地域は大変苦しくて、そこまで、しかも建造費が非常に上がっているということを考えれば、難しいというのは私は間違いないというふうに思います。
実は、東海汽船が五十億で更新したという後に予定をされていたのは、佐渡汽船のジェットフォイルだったんですね。だけれども、佐渡汽船、残念ながら経営難というものが絡んで、やはりその更新のタイミングが残念ながら捉えにくくなっている。そうすると、更新のタイミングが捉えにくいということは、やはり、川崎重工さんも、これはいつ来るんだろうということでまた経費がかさむという悪循環になっているわけでございます。
今、九州郵船では、JR九州高速というところが所有していた釜山と博多を結ぶジェットフォイルが三隻ありまして、そのうちの一隻を購入して、部品取りをしているんです。それで、これを部品を取って活用して、延命というか、何とか長く使おうという努力をしているわけであります。
これは、壱岐じゃなくて、同じ長崎県の五島を結ぶジェットフォイルを運航しているのは九州商船というところなんですが、これも二隻保有しているんですけれども、二隻とも三十三年、三十四年を迎えているというのが現実でございます。それでやはり、じゃ、これから部品取りをしていくのかとかということを今考えられているというふうに思います。
大臣、離島を抱える我々九州からすると、やはりこの航路の維持というものはいろいろな観点から非常に重要になります。
例えば、今、離島からどんどんどんどん人口が流出している、その中で、いや、ジェットフォイルなんかもういいんだよ、人口も流出しているし、もうこんな航路を維持する必要なんかないんだというような部分が国から見えてしまうと、これはやはり、中国とか北朝鮮とかアジアの国々から、ああ、日本はやはり離島を大事にしていないんだと。離島に対するプレゼンスを示さなければ、これは、要するに、観光とかそういうことじゃなくて、やはり我が国の姿勢を海外の諸国がどういうふうに思うかというところに思いをはせていただきたいんです。
結局、じゃ、尖閣諸島はどうなりましたか。以前人が住んでいて、人が住まなくなったら、途端に中国から様々な妨害を受けるような事態になっている。
そういった、今、五千五百、六千ぐらい離島が日本の中にあるという中で、有人離島は四百強ですよ、四百二十ぐらいでしたかね。非常に少ない有人離島の中で、その有人離島一つ一つを守っていくことが私はこの国の未来につながるというふうに考えておりますが、そうなると、このジェットフォイル、更新時期を迎えている中で、大臣、国がやはり大きな支援を、この国を守っていく、海域を守っていく、領海を守っていくという、そして、世界に対してプレゼンスを示すという観点から、私は支援をするべきだというふうに考えますが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○斉藤(鉄)国務大臣 私も、御質問を受けまして、勉強させていただきました。現在、十八隻が運航中、その中で、船齢四年というのが一隻あるだけで、あとは全部三十年という中で、こういう技術を継承していくこと、また、これらの古い船が一斉に更新期を迎えたときにどのような生産体制でこれを補充していくのかということが非常に難しいなというのを改めて認識したところでございます。
現在、国土交通省では、離島振興法改正の趣旨も踏まえて、関係自治体、旅客船事業者や造船事業者とジェットフォイルの更新に向けた費用負担の在り方や更新スケジュールなどについて意見交換を重ねているところでございます。
ジェットフォイルの更新や、それに対する国の支援について、就航する各地域の方々の期待が非常に大きいことも承知しております。国土交通省としては、こうした地域の方々からの声にしっかり耳を傾けながら、後継船の建造が円滑に進むよう、スピード感を持って取り組んでまいります。
一時期に固まることがないよう、常時、建造が続いていく、そのことによって技術と技術者が守られていく、次世代につながっていくというような体制をどうやってつくるかということも含めながら、検討をさせていただきたいと思います。
○山本(剛)委員 ありがとうございます。
これは本当に、十七隻しかないということも、非常にやはり、更新が計画的にといいますか、継続して進まない、その技術の維持が難しいというところにつながっているんだと思います。これは、例えば三十隻、四十隻あればまた違うフェーズだったのかなというふうに思いますが。
ここで、私は、今七十億かかる、金額云々は別にして、やはりその半分ぐらいは国がもう本当に、例えば三年なら三年で、各会社に更新計画を立ててもらって、集中して、一隻につき三十億ぐらい出して、これは、建造のためにというよりは、国を守るために、離島へのプレゼンス、我が国はこれだけ離島を大事にしているんだという国家の姿勢ですよ。だから邪魔するんじゃないぞ、余計なことを考えるんじゃないぞ、そういった姿勢を、国の姿勢を見せていただきたいんです。
その中で、更新が進んでいって、これから向こう三十年、四十年もつわけですから。四十年後は、もしかしたらジェットフォイルじゃないかもしれない。その猶予期間を与えるという意味でも、国が観点を変えて、離島振興も国境離島法もありますけれども、いろいろやっていただいているのは分かっていますが、残念ながら、人口減少、人口流出という新たな局面を迎えて、私は、離島振興の見方をやはり変えていく必要があると思います。ただ単に振興するだけでは駄目だ。ただ単に離島の生活を支えるというだけでは駄目だ。
国家の意思をそこに示すという新たな価値観を、私は、斉藤大臣のリーダーシップで政府を主導していただいて、ジェットフォイルの更新に力を尽くしていただきますことを心から念願をいたしまして、出張ってやってまいりました私の質問に代えさせていただきます。
今日はありがとうございました。
○長坂委員長 次に、漆間譲司君。
○漆間委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の漆間譲司です。
早速質問に入らせていただきます。
陸運局、運輸支局についてお伺いします。陸運局、運輸支局等が国民一般の方々にとって使いづらいものではないかということについて、ちょっとお伺いさせていただきます。
例えば、車の譲渡による名義変更手続は、オンラインで変更申請ができることをホームページでうたっているんですけれども、申請書はオンラインで作成できても、添付書類、譲渡証明書が電子化されておらず、持ってこいという前提で、最低二回は運輸支局、陸運局に足を運ばなければならないということになっております。一方で、法務局では、土地登記手続に関しては郵送で受け付けるなど、局に出向かなくてもよいように、利便性向上に努められております。
陸運局、運輸支局におけるオンライン化、DX化や窓口業務改善など、国民一般の方々にとって使いやすい陸運局を目指す上での現状認識や課題、解決策などを教えていただきたいと思います。
○鶴田政府参考人 車検登録の手続におきましては、申請はオンラインでできても、一部の添付書類を原本で持ち込む必要があるという場合がございまして、これがオンライン申請の阻害になっているということで、この改善を順次進めております。
例えば、御指摘のありました、自動車を譲渡する際の名義変更ですけれども、今年度から、これまで原本の提出を求めておりました譲渡証明書を電子化する、この実証実験を行う予定でございます。また、電子化した添付書類をメールで送信する、これも可能とするなど、申請者の負担軽減の方向で進めてまいります。
加えまして、窓口の使いやすさ向上ということで、申請書の自動作成機を導入するですとか、あと、車検証をユーザーが自由に受け取れるスマートロッカーの導入、こういったものも進めているところでございます。
引き続き、利便性の向上に向けて取り組んでまいります。
○漆間委員 現状を認識して、いろいろと改善策を取られていることはよく分かりました。
今後は更に、様々に課題があると思うんですけれども、抜本的に変えていくための総合的な計画といったものも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省では、新規登録、また車検手続におきまして、オンライン利用率の引上げに係る目標を定めておりまして、令和七年度末までにオンライン利用率七〇%を目標としております。これに向けて様々取り組んでおります。
例えば、昨年一月には車検証を電子化しました。指定整備事業者や行政書士が車検証の有効期限等を書き換えることができるという仕組みを導入したところでございます。これによりまして、車検手続において運輸支局等に来訪する必要がなくなるということで、オンラインで完結した手続が実現したところでございます。
また、二輪車につきましても、オンライン申請が可能となるよう準備を進めているところでございます。
引き続き、目標達成に向けて、計画的に進めてまいりたいと考えております。
○漆間委員 事業者の方だけじゃなくて、一般の方々にも使いやすいような仕組みを目指して、予算措置も併せて頑張っていただきたいと思います。
続きまして、大阪国際空港の遅延便対策についてお伺いさせていただきます。
私の地元、大阪国際空港では、騒音などの環境対策として、夜九時以降の離発着が原則認められておりません。地元から、夜九時を遅延した遅延便について対策を強く求めているところであるのですが、コロナ後に遅延便が増えているとお聞きしておりますが、現状推移と対策についてお伺いいたします。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
大阪国際空港における遅延便数でございますけれども、新型コロナウイルス感染症拡大により一時期減少いたしたものですけれども、コロナ後の復便に伴いまして、令和四年度は過去最高となる百三十二件を記録しているというところでございます。
このため、大阪国際空港におきましては、運営権者である関西エアポートが航空会社と一体となって、ダイヤの見直しや運航管理の強化などの遅延便対策を実施しているところであります。これによりまして、令和五年度は百十六便となりましたけれども、なお高い水準にとどまっているところであります。
国土交通省といたしましては、引き続き、周辺住民に配慮した対策がなされるよう、関西エアポートなどと連携しつつ、しっかりと遅延便対策に取り組んでまいりたいと考えております。
○漆間委員 遅延便の原因として地元の方からよく聞く、航空会社だったり、そういったところから原因として聞かれるのが、悪天候が多くなっているから、だからしゃあないんですということを言われているんですけれども、そもそも悪天候というのは、これから増えていくことがトレンドとして認識されているところです。
例えば、IPCC、政府間の気候変動のパネルでは、これから二〇五〇年にわたって、例えば気候変動対策を人類がしっかりと行ったとしても、これからもどんどんと増えていく、産業革命前の二倍以上に急激な気候現象が増えていくということが言われている中で、悪天候だから仕方がないというのは、これから遅延便が増えていくことはもう仕方がないと言われているに等しいと思うんですけれども、そもそも悪天候が増えていくことを前提とした対策を取るべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
委員御指摘のとおり、大阪国際空港における遅延便につきましては、その大半が悪天候事由によるものであると承知しております。
航空は天候の影響を受けやすい交通モードであり、悪天候の場合には、定時性よりも安全性を優先した対応を取らざるを得ないことは御理解をいただきたいというふうに思います。
その上で、悪天候の対応といたしましては、例えば、遅延を吸収させるため、ダイヤに大きく余裕を持たせることなどが考えられますが、この場合には、利用可能となる便が減少するなど、利用者の利便性を損ねる側面もございまして、利便性と定時性のバランスを考慮する必要があるというふうに考えております。
今後とも引き続き、利便性と定時性のバランスを取りながら、遅延便の抑制に向けて様々な取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
○漆間委員 様々な取組ということでありますので、とにかく、悪天候が増えても遅延便は減っていく方向で、対策をよろしくお願いしたいと思います。
続きまして、万博アクションプランというところで、万博を目指して国交省は様々な取組をされておりますが、その中で、自動運転の一層の推進というものがございますが、その進捗についてお伺いいたします。
○鶴田政府参考人 自動運転移動サービスの実現は、交通事故の削減や地域公共交通のドライバー不足の解消に向けても大きく貢献し、高齢者の移動の足の確保につながることが期待されております。
御指摘のありました万博アクションプランには、新大阪駅及び大阪駅から万博会場までの間及び舞洲駐車場から万博会場までの間のルートでの自動運転が盛り込まれています。
これにつきましては、関係省庁、関係部局が連携をしまして、令和五年度から車両の開発、購入、経路の設定、インフラ側の整備に対する補助を行うとともに、自動運転車が安全かつ確実に運行するための技術的な助言等を行っているところでございます。
引き続き、安全の確保を前提としつつ、大阪・関西万博での自動運転走行の実現に向けて、大阪府市を始め関係者とも連携、協力して進めてまいりたいと考えております。
○漆間委員 一部区間では、いわゆる高度なレベル4を含む自動運転がなされるというふうに聞いております。でも、その以前は自動運転のレベル4ではないということですので、運転者が乗った状態で自動運転レベル4が達成されるということなので、これは乗っている人からしたら分かりにくいと思うので、是非、自動運転になった時点で、運転者が、御安心ください、私は運転しておりませんみたいな感じで、何かそんな分かりやすい、アピールできるものをやっていただきたいなと思います。
これがしっかりとレガシーとして実装されていくためには、歩車分離などの自動運転走行区間の在り方だったり、事故が発生した場合の責任の所在など、社会的なルールの整備が必要だと思っております。
それで、五月に予定されていた検討会の取りまとめなど、国交省における進捗状況や認識をお伺いしたいと思います。
さらに、自治体が走行環境整備をするための、そういう財政的な補助も普及に向けては必要かと思いますけれども、その辺の認識を是非お伺いしたいと思います。
○鶴田政府参考人 デジタル庁のデジタル社会推進本部に、御指摘のありましたモビリティワーキンググループが設置されまして、ここで自動運転や交通全体の安全性確保に資する歩車分離等の走行空間の検討、また、これも御指摘がありました、自動運転車による事故発生時の事故調査や責任関係の在り方などを盛り込んだ、モビリティ・ロードマップ二〇二四の案が取りまとめられたところでございます。
これを踏まえまして、国土交通省では、二〇二六年と見込まれる自動運転タクシーの実装に向けて、ビジネスモデルに対応した規制緩和等に取り組むとともに、認証基準等の具体化による安全性の確保、また、運輸安全委員会における自動運転車の事故調査体制の確保を通じた再発防止などについて検討を開始して、結論を得たものから順次制度化を推進してまいります。
また、もう一点御質問のありました、社会実装に向けて必要となる走行環境の整備につきましては、自治体からの要望に応じまして、社会資本整備総合交付金による重点支援を行っているところでございます。
今後も、現在進めている走行空間の在り方等を検討する実証実験の結果も踏まえまして、社会実装に向けた必要な支援を行ってまいります。
○漆間委員 先ほど小林委員の方から、自動運転は早くても二〇二七年、三年ぐらいはかかるだろうということなんですけれども、やはり万博を通じて皆さんが実感してみることで、国民の意識が変われば、これは着実な推進、そして三年というところもまた早くなるかとも思いますので、是非とも普及に向けた取組をよろしくお願いします。
続きまして、空飛ぶ車なんですけれども、これはちょっと順番を後に回させていただいて、デジタルツインのところをお伺いさせていただきます。
万博アクションプランの国交省関連の、熱中症や高潮浸水の高解像度シミュレーションによる早期の情報提供について、現在の社会実験の進捗や開催期間中の運用方針などをお伺いしたいと思います。
また、これはレガシーとして、建設現場の熱中症対策であったり、高潮対策を防災・減災に生かせると思うんですけれども、その辺の認識についてもお伺いいたします。
○林政府参考人 お答えいたします。
国土交通省では、業務の効率化や施策の高度化に向けて、インフラデータの連携基盤である国土交通データプラットフォームを使って、現実空間を仮想空間に再現する、いわゆるデジタルツインの検討を進めています。
その具体的な取組の一つとして、大阪・関西万博会場を仮想空間に再現し、会場内の熱中症や会場周辺地域の高潮に関する高解像度物理シミュレーションを実施し、その結果を日本国際博覧会協会に提供すること等を予定しております。この取組は、二〇二五年大阪・関西万博アクションプランにも位置づけられております。
お尋ねの、現在の社会実験の進捗状況につきましては、シミュレーションに活用するモデルの構築が概成しております。今後、万博会場内やその周辺において気象観測を行い、シミュレーション結果の精度について確認する予定となっております。
また、万博開催期間中の運用方針につきましては、例えば熱中症対策について、国土交通省から提供するシミュレーション結果を基に、日本国際博覧会協会において、来場者の休憩場所への誘導などに活用していく予定と聞いております。
万博での取組結果も踏まえて、他の地域でも引き続き活用できるようデータの充実などを図り、万博開催以降についても、建設現場における熱中症や高潮対策において活用できるよう取組を推進してまいります。
○漆間委員 これは報道でも、毎日、万博期間中は、五メートル四方エリア、五メートルごとに、どこが熱中症になりやすくて、例えば高潮のときは被害を受けやすいかというのが、全部のこの地域、万博のエリア全部で毎日3Dか何かで示されていくということで、これはすごい技術だと思いますので、こういったことを建設現場の熱中症対策だったり防災に是非生かしていただきたいと思います。
続きまして、建設現場の熱中症対策ということで、温暖化による影響で建設現場の熱中症患者は増えておりますが、暑さを考慮した真夏の工期設定は、民間工事、特に死亡事故の起きやすい小規模現場を含めて、全ての現場でなされるべきだと思いますが、基準の見直しなど、国交省はどのように取り組み、実効性の確保に向け、どのような課題を認識しているか、お伺いいたします。
○塩見政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、建設工事の現場は屋外でございますので、特に猛暑日の屋外作業は、現場で働いていらっしゃる労働者の方の安全を左右することにもなります。このため、猛暑日には現場作業をしなくても済む工期をあらかじめ設定をするということが大変重要でございまして、全ての工事関係者にそれを求めているところでございます。
具体的に申し上げますと、本年三月に、受注者、発注者、両方が守るべき工期に関する基準というものを改定をいたしました。この中で、工期の設定、見積りに当たりましては、猛暑日は作業不能日として考慮するということを明記したところでございます。
先般成立いたしました改正建設業法におきましては、工期ダンピングが、これまでの注文者だけでなくて、受注者につきましても禁止ということになります。先ほど申し上げました基準を徹底して周知をし、猛暑日を考慮した適正な工期が確保されますように、引き続き取り組んでまいります。
その際、建設Gメンが現場の実地調査などを行いまして、猛暑日が考慮されていないような著しく短い工期で契約をされているという場合が分かりましたら、必要な改善をしっかりと求めてまいりたいと思います。
○漆間委員 しっかりとお願いいたします。
続きまして、鉄道ダイヤについて、ちょっとお伺いします。
コロナ禍において鉄道のダイヤの減便や終電繰上げが行われたものが今もそのままで、特に終電の繰上げについては見直しを求める声を多くいただいております。鉄道ダイヤの編成については、事業者の専権事項であることは重々承知しておりますが、特に声の多い終電繰上げの見直しについて国交省としてできることはないのか、お伺いさせていただきます。
○村田政府参考人 お答え申し上げます。
現在も、多くの鉄道事業者におきましては、輸送需要はコロナ前の水準にはまだ回復しておりませんことから、輸送力につきましてもコロナ前の水準まで戻していない状況が多いものと承知をしております。
一方、夜間に行う保線作業等におきましては、終電の繰上げによりまして作業時間が拡大し、着実な保線作業等の実施につながっているとの報告を鉄道事業者から受けているところでございます。
国土交通省といたしましては、鉄道事業者に対しましても、安全で安定的な運行を確保しつつ、需要に応じた運行ダイヤの設定など、引き続き、利用者の利便に配慮するよう働きかけてまいりたいと考えております。
○漆間委員 これは特に声が多いので、国交省としてできることも限られているかと思いますが、是非よろしくお願いしたいと思います。
最後、空飛ぶ車、たくさん聞きたかったんですけれども、あと残り一分というところで、せっかく今日は内閣府の石井政務官にお越しいただいておりますので、空飛ぶ車、ちょっと質問をばあっと飛ばして、最後に、万博で、これは空飛ぶ車ということで、従来の乗り物と違って、これが新しい乗り物なんだということをしっかりとアピールしていただきたいと思いますけれども、その意気込みについてお伺いさせていただきます。
○石井大臣政務官 漆間委員の御質問に答えさせていただきます。意気込みということで、そう捉えていただければありがたく存じます。
空飛ぶ車は、従来の航空機と異なり、電動化、自動化といった航空技術や垂直離着陸などの運航形態によって実現される、利用しやすく持続可能な次世代の空の移動手段であります。将来的には、都市内や都市間の、そして離島や山間部を結ぶ移動手段、そして観光客が利用する周遊飛行、あるいは急病人の搬送など、身近な空の移動手段として様々な実用可能性が考えられているところであります。
このことから、空飛ぶ車は、大阪・関西万博のコンセプトである未来社会の実験場、「いのち輝く未来社会のデザイン」の中の実験場を体現する重要なプロジェクトの一つと認識しております。
政府としては、万博において空飛ぶ車の遊覧飛行や二地点間運航を実現すべく、地方自治体、運航事業者とともに具体的運航計画を検討しているところであります。
万博の場で、来場者の方々に空飛ぶ車が実際に飛行している姿を御覧いただき、未来の空の交通を実感していただけるよう、引き続き官民一体で取り組んでまいります。
○漆間委員 空飛ぶ車が、あっ、これはヘリとちゃうやんけ、これは俺らの生活を変えるすごいものやとなるように、しっかり、私も含めてみんなで頑張っていきたいと思います。
ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、高橋千鶴子さん。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
ダイハツ工業などで相次いだ自動車の認証不正問題を受け、国交省が指示した自動車メーカーへの調査について、現時点で、トヨタを始め自動車メーカー五社、三十八車種で不正があったと報告がありました。約五百万台に上ると言われております。二〇一六年には三菱自動車やスズキの燃費不正事件もあり、なぜ同じようなことが繰り返されるのでしょうか。極めて重大であり、許し難いと言わなければなりません。
世界のトヨタを始め、裾野の広い自動車産業を支える多くの業界、労働者、ユーザーに対する信頼を傷つけるだけではなく、何度も問題があったにもかかわらず、不正事案を防げなかった監督官庁としての国交省の責任も免れないと考えますが、大臣の認識を伺います。
○斉藤(鉄)国務大臣 型式指定申請における不正は、自動車ユーザーの信頼を損ない、かつ、自動車認証制度の根幹を揺るがす、あってはならない行為であり、極めて遺憾でございます。
国土交通省では、現在、不正の報告があった各社に立入検査を実施し、不正行為の事実関係等について確認を行っているところでございます。その結果を踏まえ、道路運送車両法に基づいて厳正に対処してまいります。
また、過去の不正事案を受け、これまでもその対策を強化してきたところでございますが、近年相次いで不正行為が確認されていることを踏まえ、不正行為を根本から防止するための更なる対策を講じることが必要と認識しております。
このため、本年四月に外部有識者も招いて検討会を設置し、不正事案の抑止、早期発見のための手法について幅広く検討を行っているところでございます。その結果を踏まえた対策をしっかりと講ずることにより、監督官庁としての責任を果たしてまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 責任を免れないと思いますがという質問に対して、果たしていきたいと。それは当然だと思うんです。責任を果たしていきたい。だけれども、これまでのことに関しての責任はあるということでよろしいですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 二度とこういうことが起きないように、しっかりと体制を整えることによりまして、監督官庁としての責任を果たしていきたいと思います。
○高橋(千)委員 ちょっと微妙な言い回しでありますが、なかなか言いにくいということなのかなと。しかし、それはやはり何度も繰り返しているわけですから、ここはしっかりと、大臣、受け止めて発言していただきたいな、こう思うんです。
豊田会長が、ブルータス、おまえもかと言ったのは、自分で自分のことを言うかというので、本当にあきれてしまいました。国交省も同じ立場になってはいけないわけです。会長は、私も含め認証に関わる業務の全体像を把握している人は自動車業界に一人もいないと思うと開き直りました。私は、これはやはり、事実かもしれないけれども、言っちゃいけないと思うわけです。
型式指定制度は、大量生産を可能とする仕組みなわけですから、基準への適合性と品質管理体制をチェックすることになるわけですが、現在、国連基準として、世界六十一の国と一地域が参加する百七十の規則、乗用車においては四十三、これを日本も基準としているわけです。一部には、基準より厳しい開発試験のデータを採用しているのだから問題ないじゃないかという意見もあります。しかし、これは違うんだということをはっきりとお答えください。
○鶴田政府参考人 我が国の型式指定制度は、国連の自動車認証制度の枠組みと調和したものでありまして、試験方法につきましても国連基準の規定に沿った取扱いとなっております。
この国連基準におきましては、試験条件が厳密に決められておりますので、認証に当たっては定められた試験条件をしっかり守っていただくことが前提となります。
また、一般論としまして、一つ一つの試験において、多岐にわたる項目を組み合わせて試験条件を設定しており、例えば試験台車の重量など一部の項目の違いだけを見ても、試験全体として、より厳しい条件となっているかどうかというのは分からないものでございます。
これらの観点から、今般、基準の定めと異なる条件で試験を行ったことについて、申請者から説明がなかったことについても問題があるというふうに認識しております。
国交省としましては、現在、不正行為の報告があった各社に立入検査を実施しております。今申し上げた様々な点を含めまして、不正行為の事実関係等について確認を行ってまいります。
○高橋(千)委員 確かに、いろいろな工程を組み合わせて審査をするにもかかわらず、一部のものが厳しい基準でやったんだからいいんだ、これは勝手な自分の解釈なわけですよね。それはやはり排除されなきゃいけない、あってはならないということだと思います。
それで、厳しい条件でやったのだから問題ないという議論は決して主流ではない、主流だというふうには言い切れないと思うんですね。業界紙などを見ても、きちっと書いているところもある。また、そういう案件ばかりでもない、ほかにもあるというふうに思うんです。
それで、資料の二枚目に、トヨタが、まだ調査中ではあるけれども、今分かっている六つの不正について発表しています。例えば、クラウンとシエンタについて、これは既に生産は終了しているわけですけれども、台車重量の問題が、規定と異なるということで書かれておりますよね。これは報道でもあるように、千百キロで済むところを千八百キロ、北米基準でやったというふうにあるわけです。
トヨタの会長は、仕向け先にもよると説明している。つまり、海外での取引が多いからと言いたいんだと思うんですね。とりわけ北米では、今、レクサスなどが増産を図っているということもあって、重量のある車両が主流になっていて、基準が日本よりも、より重いというのは分かるんです。だけれども、なぜ日本で販売するための型式指定なのに、わざわざ北米基準を使うんですかと、素朴な疑問なわけですよね。だから、逆に言うと、北米のデータを日本のデータとして使っているのかしら、テストでやったものを、とさえ思ってしまう。そんなことはないと言えるんでしょうか。
改めて伺いたいんですね。日本で販売するのに、北米基準を使った理由は何でしょうか。
○鶴田政府参考人 今御質問のありました、クラウンとシエンタの後面衝突試験でございますが、トヨタ自動車からは、試験は国内の試験場で実施したものであるというふうに報告を受けております。
いずれにしましても、先ほど申し上げました立入検査の中で、この点も含めまして、不正行為の事実関係について確認を行ってまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 ここはやはり、なぜかということをはっきりとさせていただきたい。立入検査を今やっている最中だという答えですから、その理由が大事だと思っているんです。多分、テストを二回やりたくないですとか、様々なことがこれまでも言われてきたということがあると思います。
例えば、レクサスの六つ目の、レクサスは一番下で、項目とすると六つ目になるわけですが、エンジン出力について、トヨタの宮本カスタマーサポート推進本部長は、狙った出力が得られませんでしたと認めており、狙った出力が得られるようにコンピューター制御を調整し、再度のテストでのデータを使用したと説明しています。
これは結果に数値を合わせた改ざんであると、確認したいと思います。
○鶴田政府参考人 トヨタ自動車からの報告では、エンジン出力試験において、予定していた出力値が得られるようにエンジンの制御ソフトを書き換える不正行為があった、これが確認されたというふうに報告を受けております。
この不正行為につきましては、試験車両を不正に加工して、量産予定の仕様とは異なる仕様にする行為であったというふうに認識をしております。
○高橋(千)委員 さらに、エアバッグをタイマーでと、これは一番最初のところに、クラウンの最初のところと、それからアイシスのところにもあるわけですが、これが私すごい疑問なのは、マツダでも同じように、タイマーで着火というのが報告書に出ております。それから、昨年のダイハツの不正でも同様のものがありました。
ですから、なぜ、このエアバッグという同様のものが各社でやられているのかというのも謎なわけです。これは、厳しい基準でやったからでは説明がつかない不正そのものだと思いますが、どうでしょうか。
○鶴田政府参考人 トヨタ自動車とマツダからの報告では、衝突試験におきまして、本来は加速度センサーによって衝突を検知してエアバッグが作動するわけでございますが、これをタイマーで作動するように加工する、こういう不正行為があったというふうに報告を受けております。
この不正行為につきましては、先ほどと同様に、試験車両を不正に加工して、量産予定の仕様とは異なる仕様にするということで、御指摘ありましたように、より厳しい基準で試験を実施したという事例ではなくて、また違う種類の不正だというふうに考えております。
○高橋(千)委員 不正だということはお認めになったと思うんです。しかも、より厳しいという話ではないと。
問題は、なぜそういうことが社を超えてやられているのかということを、やはり、そこも背景があるんだろうということをしっかりと示していただきたいということを、重ねて要望したいと思うんですね。
三菱自動車は、二〇〇〇年及び二〇〇四年にリコール隠しがありました。また、二〇〇八年から二〇一二年にかけて、リコールの実施が大幅に遅れるなど、度重なる不正がありました。にもかかわらず、二〇一六年の燃費不正、虚偽報告の問題があったわけです。
当時の国会の答弁を見ますと、繰り返し国交省は、自動車メーカーとの信頼関係を前提に、自動車メーカーが提出するデータについては特段のチェックを行わず使用してきたと答えているわけです。
私は、それを議事録で読んでいるから、ちょっとびっくりして、どういうあれで答えているのかなって思ったわけですが、そこで資料の一を見ていただきたいんですが、それを受けて検討会が行われ、自動車の型式指定審査におけるメーカーの不正行為を防止するためのタスクフォース最終取りまとめが出されたわけです。ここでは審査の厳格化をしたと思うんですが、特段のチェックを行わずということの反省から変えたことがあると思うんですが、具体的に示してください。
○鶴田政府参考人 国土交通省では、今資料でお示しいただきましたタスクフォースを平成二十八年、二〇一六年に設置をして、最終取りまとめをしたところでございます。
その中では、今御指摘の点につきましては、自動車メーカーが提出するデータの測定時に独立行政法人自動車技術総合機構の職員が抜き打ちで立ち会うなどによってチェックを行う。また、不正が発覚したときは、当該申請の却下、法令上の不利益処分、罰則の適用など厳しい制裁措置を取るとともに、不正を行ったメーカーに対しまして、一定期間、自動車技術総合機構の職員が立ち会う審査を増やすなど、以後の型式指定審査を厳格化する。またさらに、国が行う監査におきまして、型式指定後も不正の有無や法令遵守に対する体制、制度が機能しているかなどを確認する。こういった対策を講じているところでございます。
○高橋(千)委員 例えば、一番にある、「一定の頻度で抜き打ちでの試験への立ち会い等によるチェック」とありますが、どのぐらいやられていたのでしょうか。
○鶴田政府参考人 抜き打ちで立会いを行った頻度は、令和五年度の実績で申しますと、一社当たり約十件程度となっております。
○高橋(千)委員 一社当たり十件程度って、初めて今この数字を出していただきました。これがどれだけの効果を生むかということが問われると思うんです。
それで、ダイハツ事案を受けて、今年四月から始まった、自動車の型式指定に係る不正行為の防止に向けた検討会、これは議事要旨しかないわけですが、五月二十七日の第二回会議では、自動車メーカー複数社からヒアリングを行っています。
今回不正事案を発表したメーカーのうち、どこが参加をしていたでしょうか。それから、国交省は、この自動車メーカーに対して、元々五月末までに調査報告を求めておりました。その直前の二十七日なわけですよね。当然、聞く方も聞かれる方も、頭の中には、これはもう少しで出すよという報告書の中身があったと思うんです。何か聞いたでしょうか。
○鶴田政府参考人 国土交通省におきましては、先ほど御指摘ありました五月二十七日の第二回検討会におきまして、自動車メーカー等における不正防止の取組状況や課題を把握するために、自動車メーカー等複数社に対するヒアリングを実施しました。
この検討会につきましては、平成十一年の閣議決定や情報公開法の規定に鑑みまして、ヒアリングを行った具体的な企業名について非公開としておりまして、この御回答は差し控えさせていただきたいと思います。
なお、今申し上げましたとおり、このヒアリングは、自動車メーカー等における不正防止の取組状況や課題を把握するために行ったものでございますので、今回の不正行為の有無に関する調査報告に対する各社の調査状況については聴取をしていないところでございます。その内容につきましては、今国が行っている立入検査の中で明らかにしてまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 これはおかしいと思うんですよね。全部のメーカーに対して調査報告を求めているわけですよね。部品などの末端のメーカーに対しても出しているわけですし、今回公表されているわけです。だけれども、その途中のヒアリングでは、それをどこが参加したかも言えないって、それはやはり違うんじゃないかと思うんです。
やはり、こういうときにメーカーと国交省との関係性が問われると思うんです。本来なら、命を預かる乗り物として一台一台をチェックすべきところを、物理的にそれはできないよということで、量産の保障としてやっている型式指定なんです。ここを厳密に行うことは、ユーザーの命、安全に直結する、その自覚が足りないんじゃないでしょうか。だからこそ、国交省との緊張感が絶対に必要だと思っております。
残念ながら時間が来てしまったんですが、一言、要望だけで終わります。
昨年の十二月に発表されたダイハツの第三者委員会の調査報告書では、やはり短期開発の副作用という表現をしているわけですね。やむにやまれぬ強烈なプレッシャーの中で追い込まれた従業員が不正行為に及んだんだけれども、責められるのはダイハツの経営幹部であるということを認めて、それで、二月に公表された再発防止策では、認証部門の人員を七倍に増やすこと、それから、開発に要する期間を四割増やしたと。これは、本当に言ったことをやるというんだったら大きな意味があると思うし、それを全メーカーにやはりやらせなきゃいけないと思うんですね。その点でのやはり国交省との関係性、遠慮してメーカーの名前も言えないよではなくて、きちっとそこを明らかにしていただきたい。そのことを重ねて要望して、残念ながら、終わります。
○長坂委員長 次に、西岡秀子さん。
○西岡委員 国民民主党・無所属クラブ西岡秀子でございます。
本日は、古川委員の時間をいただきまして、質問の機会を久しぶりに国交委員会でいただきました。委員長を始め委員の皆様に感謝をいたしながら質問を始めさせていただきたいと思います。
全国どの地域におきましても少子高齢化が深刻な速度で進展をしておりまして、地域の住民の生活の移動を確保する、これは我が国にとって大変極めて重要な喫緊の課題であると認識をいたしております。
本日は、持続可能な地域公共交通の在り方について質問をさせていただきます。
まず初めに、路線バスの相次ぐ減便、廃線の状況における路線バスの維持についてお伺いをさせていただきます。
私の地元長崎市におきましても、沿線地域の人口減少や、特にコロナ禍を経まして、大変経営が厳しい状況になりまして、令和四年度から長崎県営バスと民間の長崎バスが独占禁止法特例法に基づきまして、共同経営方式によって、互いに運行事業の一元化、また、需給バランスを踏まえた運行本数の適正化等に取り組まれております。今年四月からは新たなエリアでこの一元化に取り組んでおられるところでございます。
そのような大変厳しい状況の下で、そもそも、これまでも最低限の人員でやりくりしていた現場であったわけでございますけれども、今般の、二〇二四年、いわゆる二四年問題、働き方改革によりまして、ドライバー不足が大変深刻な状況になりました。
このことによって、ドライバー不足によって、採算が大変厳しい路線におきましても、走らせたいんだけれども、ドライバーがいらっしゃらないという中で、仕方なく路線の廃止が決定をされた地域が多くございます。当然のように、通勤そしてまた通学、高齢者の方の通院、また、買物に大きな問題が生じておりまして、特に、高齢者の移動が困難になるということは、高齢者の健康上も大変大きな影響がある事態でございますし、学生が通学することが大変困難になっているこの状況は、何としても改善をしていかなければいけない問題だというふうに認識をいたしております。
そのような環境の中で、大前提として、各産業が全て人手不足という中で、人材の取り合いというのが行われているわけでございますけれども、バスドライバーの方々の賃金が平均賃金よりもやはり二割ほど賃金が安い、その待遇改善というのが大前提として必要であり、急務であるというふうに私自身考えております。
また、様々な二種免許に係る費用の負担軽減等、様々な支援の拡充というのも当然併せて行われなければいけないというふうに思っておりますけれども、交通政策基本法第二十一条にも地域公共交通従事者の待遇改善を含む人材確保への支援というものが盛り込まれておりますし、国会の附帯決議においても明記をされていることから、この待遇改善を講じることについては国としても責務があるというふうに考えますけれども、今後の方針につきまして、斉藤大臣にお伺いをまずさせていただきたいと思います。
○斉藤(鉄)国務大臣 バス運転者の待遇改善、極めて大事だと思います。
全業種で人手不足という状況の中ですが、例えばタクシードライバーなどは、収入がここ一、二年上がってきたら運転手は増えてきた、ドライバーが増えてきた、こういうこともございます。バス運転者の待遇改善、そのために、これまでも、運賃改定の迅速化や運賃算定手法の見直しなどを行ってまいりました。
こうした取組もありまして、昨年のバス運転者の平均年間所得は前年に比べまして約一四%改善されてきたところでございますが、依然運転者不足でございます。このため、運行費補助について、賃上げに資する運賃改定を行った事業者への支援強化、それから、採用活動や二種免許取得に係る費用に対する支援、キャッシュレスなどの業務効率化、省力化の取組や支援など、しっかり国土交通省としても支援を行い、必要な人材を集め、地域住民や観光客にとって必要な移動手段の確保、万全を図っていきたいと思います。
○西岡委員 今、大臣から、様々な取組を進めていただいていること、また、一四%改善をしているというお話もございましたけれども、まだまだドライバー不足、これは大変深刻な状況であると考えております。
今、大臣からも運賃改定の御答弁をいただきましたけれども、コロナ禍で大打撃を受けた後、今も長期化しておりますけれども、燃料油、エネルギー価格の高騰の長期化、これも大変大きな影響がございます。
一定、人流は今戻っている状況でございますけれども、経営が厳しいという中で、今政府は、パートナーシップによる価格創造のための価格転嫁円滑化施策パッケージに基づく対応を推進しておられます。
乗り合いバスの運賃につきましては、上限運賃が適用されております関係で、なかなか価格転嫁が難しいという現実がございます。経営の安定化、そして賃上げの原資にも資するという意味でも、これは利用者の方々の理解を得ることも大変重要ですけれども、柔軟な賃金を設定できる新しい制度も必要なのではないかという声もお聞きをいたしておりますけれども、このことについて、国交省の御見解をお伺いをさせていただきます。
○石原政府参考人 お答えいたします。
乗り合いバスは、人々の日常生活や社会経済活動に不可欠な最も身近な公共交通機関であることから、利用者利益の保護や事業者による安定的な輸送サービスの確保等を図る必要があり、こうした観点から、委員御指摘のとおり、一般乗り合いバスにおいては、運賃規制として上限運賃の認可制を取っているところでございます。
他方、委員御指摘のとおり、バス事業者の経営の安定や賃上げの原資確保、これもまた必要なことでございまして、このため、国土交通省としましては、運賃改定の迅速化に加え、将来のDX、GXといった設備投資費用も見込んだ上で運賃改定率を算定する、このような仕組み、制度見直しを実施いたしまして、バス事業者の経済的負担を適切に運賃に転嫁できるよう取り組んできたところであり、これまでに主要なバス事業者のうち約七割程度がこの運賃改定の手続を行っているところでございます。
国土交通省としては、引き続き、運送収入を原資としたバス事業者の持続的な事業運営に向けて、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
○西岡委員 引き続きのお取組を是非お願いを申し上げたいというふうに思います。
続きまして、今、様々質問させていただく中で、大変厳しい経営環境、そしてドライバーが不足しているという厳しい環境の中でございますけれども、今年七月には新しい紙幣が発行されるということが決定をいたしておりまして、このことにつきましては、その新しい様々な機器を導入するというタイミングで、キャッシュレス決済のみを対応とする機器に替えるというような事業者も多くあるというふうに聞いているわけでございますけれども、バス事業者にとりましても、それに対応するための運賃箱の改修というものが大きな負担となっております。
あわせまして、バスターミナル等の拠点における対応ということも求められることになるわけでございますけれども、私の地元におきましては、過去、新五百円玉に替わったときにつきましても、改修の費用の負担が大変大きいことから、民間のバス事業者でございますけれども、その対応につきましては、ドライバーが両替をしながら今も対応しているという実態がございます。
このキャッシュレス化への対応につきましても、地域によって格差もありまして、この新しい紙幣ですとか新硬貨への対応に要する費用について助成措置が必要であるのではないかというふうに考えておりますけれども、このことについての国交省の御見解をお伺いをしたいというふうに思います。
○石原政府参考人 お答え申し上げます。
キャッシュレス対応のほか、新紙幣や新硬貨に対応するために運賃箱を改修するための費用、委員御指摘のとおり、バス事業者にとって大きな負担になっているものと認識しております。このため、運賃算定手法の見直しで、将来の運賃箱の改修などに係る費用についても運賃改定時に考慮できるというふうにしたところでございます。
このほか、国土交通省では、運賃箱の改修の際に、キャッシュレスサービスを新たに導入する場合や利用者利便の向上につながるような機能改善を行う場合、その改修経費について支援を行っているところでございます。
国土交通省としては、これらの取組を通じて、バス事業者の新紙幣や新硬貨対応、キャッシュレス化等を支援してまいりたいと考えております。
○西岡委員 この新紙幣への対応について、DXの加速が進むのではないかという期待もあるわけでございますけれども、事業者の現場のやはり今の状況というものをしっかり踏まえた中での是非御支援を、お願いを申し上げたいというふうに思います。
続きまして、ライドシェアについてお伺いをさせていただきたいと思います。
私が質問をさせていただく立場といたしましては、今のタクシー不足、大変深刻な状況でありますし、移動手段の確保というのは我が国にとっての喫緊の課題であると認識をいたしております。ただ、都市部また観光地、地方、特に過疎地域における需要というものはそれぞれ大きく違う、異なるというふうに思っておりまして、やはり地域の需要に応じたきめ細やかな施策というものが私は必要だというふうに考えております。
また、同じ地域におきましても、時期ですとか季節、そしてその地域での、例えばイベントや大きな観光行事を含めて、様々な環境の下でその需要の状況が大きく変わるという中で、地方においては、官と民、そして多様な主体が連携して取り組むということが地域公共交通では大変重要だという視点に立ちまして、このライドシェアについて私の質問をさせていただきたいというふうに考えております。
まず、道路運送法第七十八の第三号に基づきまして、四月から、タクシー会社の運行管理の下で、タクシーが不足する地域や時期、時間帯に限って個人が有料でお客様を運ぶことが認められる、いわゆる日本版ライドシェアの制度がスタートをいたしております。
四月からこれまでの取組を通じて得られた課題、問題点又は成果もあったというふうに思いますけれども、そのことにつきましてまずお伺いをして、その上で、大臣として、この四月からスタートした日本版ライドシェア、どのように今の時点で評価されておられるかということにつきましてお聞きをしたいというふうに思っているわけでございますけれども、今のこの状況につきまして、まず国土交通省から御回答をお願いをいたしたいというふうに思います。
○鶴田政府参考人 今御質問がありました、いわゆる日本版ライドシェア、自家用車活用事業でございますが、現在、全国の約八百の自治体において実施又は検討されているところであります。このうち、既に二十地域で許可を行って、十三地域で実際に運行がスタートをしております。
これは、開始したところでございますので、地域交通における担い手、それから移動の足の不足解消状況を確認するためには、適切な期間で定量的に丁寧な評価を行って、適時適切に改善を不断にしていく必要があるというふうに考えております。
また、日本版ライドシェアのほかにも、御指摘がありました全国の様々な実情に合わせた移動の足の確保を図っていくためには、いわゆる公共ライドシェア、自家用有償旅客運送、これも含めた普及拡大が必要でございますので、この点にも注力してまいりたいと思います。
その上で、日本版ライドシェアが導入された地域について見ますと、タクシードライバーの増加も相まって、昨年度と比較してタクシー不足の状況はおおむね改善しております。
ただ、雨天時など一部時間帯ではなお不足という状況も見えておりますので、これについても対策を講じるべく、日本版ライドシェアのバージョンアップの一環として検討してまいりたいと考えております。
○西岡委員 今、四月から導入された日本版ライドシェアにつきましての、国交省としての、結果も踏まえた御回答をいただきました。
このライドシェア事業に関する新たな法制度、これが、六月には新法をという流れもあったわけでございますけれども、このことにつきましては、五月三十日に、岸田総理と斉藤大臣、河野大臣の間で意見交換がされまして、会談がされまして、三つのポイントについて合意をされたというふうにお聞きをいたしております。自家用車活用事業等についてのモニタリングと検証をまず進めていくこと、そして、その検証の間、タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業についても、法制度も含めて事業の在り方を並行して議論すること、そして、現時点では法制度の議論やモニタリングの実施に特段の期限を設けない、この三つのことについて合意をされております。
私自身としては、やはり、この六月にも新法へ向けてという流れにつきましては、実際、日本版ライドシェアが四月から導入されてたった二か月の中で、これは先ほども申し上げましたけれども、時期についても、この二か月という中で私がさっき申し上げた様々な観点があるわけでございますので、とてもこの二か月でこのことを検証したということは言えないのではないか、この中で拙速に新法ということは、私自身としては大変乱暴な議論であるということを思っておりましたので、斉藤大臣の御尽力によって、今回、このような三つのポイントについて合意をされたということについては、大臣に敬意を表したいというふうに私自身は考えております。
このライドシェアについての議論は、先ほど申し上げたように、様々な地域によっても大きく異なる中で、昨年施行されました改正地域公共交通法におきまして、地域の自治体や公共交通事業者など、地域の多様な主体など、多様な関係者の共創による地域公共交通のリデザインの取組というものが盛り込まれまして、そして、自治体又は公共交通の担い手の事業者の方々につきましては、国に対して再構築協議会の設置を要請するということが可能となりました。
そのようなことが、活用が、今まさに全国で取り組まれている中で、その議論とは別に、拙速にタクシー事業者についてだけライドシェアの全面解禁の議論が進んでいくということにつきましては、地域公共交通の在り方に大きな影響を及ぼすこととなりますし、この改正地域交通法や交通政策基本法との関係におきまして、このことをどのように整理していくのかということをまずお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
また、今回の、合意された三つのポイントの中では、期間を設けずに慎重に議論するというふうにされましたけれども、改めてライドシェアの全面解禁に対する基本的な国交省の考え方につきまして御質問をさせていただきます。
○鶴田政府参考人 今御指摘のありましたとおり、地域における公共交通の在り方につきましては、交通政策基本法、また改正地域交通法を踏まえまして、地域の関係者が地域の実情に即して当該地域の公共交通全体としてどのように対応していくのか、これを総合的に議論することが求められているところでございます。
このため、日本版ライドシェアや公共ライドシェアに関しましても、当該地域の鉄道、バス、タクシーなどの地域公共交通を効果的に補完できるように、その活用方策を検討していくことが重要と考えております。
また、先ほど御指摘がありましたとおり、五月三十日には、岸田総理、河野大臣、斉藤大臣の議論の結果、三点が合意されたところでございます。
これらを踏まえまして、ライドシェア事業の議論に当たりましては、安全、安心の確保を大前提としまして、総合的な交通政策の観点、また、日本版ライドシェア等の適切な期間をかけた定量的で丁寧なモニタリング、検証結果、これらを踏まえまして、丁寧な検討を進めてまいりたいと考えております。
○西岡委員 今、丁寧な検証、丁寧な議論というお話がございましたけれども、やはり総合的な、地域公共交通をどういうふうにこれから持続的なものにしていくかという議論の中でしっかり考えていく課題であるというふうに私自身は考えております。
次の質問に移りますけれども、ライドシェアがプラットフォーマー等に全面解禁された場合の課題につきまして、斉藤大臣は、利用者の安心、安全、また、事故が起きたときの責任の所在、働く方の労働条件、ワーキングプアを生むような制度になってはいけないということをお話しになっておられまして、この三つの観点については河野大臣も共有しておられるというふうに認識をいたしております。
大変、いずれも重要な課題、観点だというふうに思っておりますけれども、先ほど国交省の方からもございました利用者の安心、安全、これを守っていくことは大変重要なことでありまして、タクシー事業者のみならず、公共交通に携わってこられた方々につきましては、これまで、道路運送法ですとか二種免許の制度等によりまして、利用者保護の観点から様々な努力を積み重ねてこられた歴史がございます。
この中で、地域公共交通の事業を監督している官庁である国土交通省、この国土交通省が果たすべき役割、安心、安全を守っていくところで果たすべき役割が大変重要だというふうに私は認識をいたしております。
性犯罪を含めた犯罪防止の観点も含めて、利用者の安心、安全の確保、これは国交大臣である斉藤大臣が責任を持って守るべき課題であるというふうに考えておりまして、大臣もその思いで取り組んでいただいているというふうに私は認識をいたしておりますけれども、今後、大臣がどのような方針で取り組んでいかれるのかということにつきまして、お伺いをさせていただきます。
○斉藤(鉄)国務大臣 先ほど西岡委員から言っていただいた三点、これが非常に重要だ、これをベースにずっとこれまで議論をしてまいりました。
このため、日本版ライドシェアでは、ドライバー教育、運行管理、車両整備管理、それから任意保険加入を含め事故が起こった際の責任負担、それから労務管理を行うことによる適切な労働条件の確保をタクシー事業者が行うことで安全、安心を確保しております。
引き続き、日本版ライドシェアや大幅な制度改善を行った公共ライドシェアを全国に展開することによりまして、先ほど申し上げた三点を前提として、地域交通における担い手や移動の足の不足解消に努めてまいりたいと思います。
そして、一言つけ加えさせていただきますと、西岡委員がおっしゃるように、地域公共交通をどうするのかという全体観に立った議論が必要だというのは、まさしくそのとおりだと思います。
○西岡委員 今大臣からお答えをいただきましたけれども、このライドシェアの問題は、タクシー事業者だけの問題ではなくて、当然、バス、電車を含めて地域の公共交通事業者全てに大きな影響を与えるというふうに考えておりますので、その全体像をどういうふうに組み立てていくか、その中で、喫緊の課題というところもありますので、今困っておられるところにどのように対応していくかということも必要な議論だというふうに思っております。
その中で、今、日本版ライドシェアを進めているわけでございますけれども、プラットフォーマーも含めて全ての事業者にライドシェアが解禁された場合に、果たして、今、過疎地域におきまして移動困難者となっておられる方々、今まさに移動に困っている地域の住民の方々の足を確保する、本当に移動の確保につながるのかということも、大変、私自身は疑問、懸念を持っているところでございまして、今は公共交通として担っていただけている中で守っていただけるところなんですけれども、バスもタクシーも撤退せざるを得ない地域の住民の足をいかに守っていくかということが大変大きな私たちの課題であるというふうに認識する中で、プラットフォーマー等がライドシェアに参入した場合、この事業者が、必然的に人が集まる地域で営業するということが予想されまして、利益の上がらない過疎地では事業を展開する見込みがないのではないかということ、このことが大変懸念をされるところなんだというふうに私自身は考えておりますけれども、このことについて斉藤大臣の御見解をお伺いをしたいというふうに思います。
○斉藤(鉄)国務大臣 今回の議論のまさに根本は、移動の足の不足、これをどう解消するか。そして、最も大きな困難に直面しているのがまさに過疎地でございます。そういう意味では、過疎地がどうなるかというのが非常に大きな視点だと思います。
バスもタクシーも撤退せざるを得ない過疎地などにおいては、自治体、NPO法人などが実施主体となる自家用有償旅客運送、いわゆる公共ライドシェアの活用が有力な手段となります。
この公共ライドシェアは、実装、実施しやすくなるよう、昨年十二月及び本年四月に大幅な運用改善を行ったところです。町の外に出ちゃいけないとか、そういう非常に大きな制約があったわけですが、それらを大幅に改善する、今、そのバージョンアップを行っております。一部地域においては、改善後の制度を活用し、社会実装が進んでいるところです。
国土交通省としては、引き続き、この制度の社会実装を支援して、地域交通の担い手や移動の足の不足の解消に努めてまいります。
まさしく過疎地の足をどうするかというのが今回の議論のスタートだったということは忘れてはならないと思います。
○西岡委員 今大臣から力強くお話をいただきまして、次の質問も今大臣からお答えをいただいたというふうに思っておりまして、今まさに移動に困っておられるところにどのように対応していくかということも含めて、総合的な公共交通の在り方についてしっかり議論を進めていく中で、緊急性を要するところをどのように対応していくか、このことも含めて、慎重に、また時間をかけながら、関係者の方々の御意見も聞きながら進めていただくことをお願いを申し上げたいというふうに思います。
続きまして、次の質問につきましては飛ばさせていただきまして、もう時間がほぼありませんので、最後に、西九州新幹線の全線フル規格の開通につきまして質問をさせていただきます。
現状、西九州新幹線につきましては、二〇二二年九月二十三日、まさに半世紀の時を経まして、部分開業という形で開業いたしました。
その中で、武雄温泉駅から長崎駅の間につきましてはフル規格の新幹線として先行開通された中で、今、武雄温泉駅から新鳥栖間、この部分が未整備区間となっておりまして、ここにつきましては、「リレーかもめ」という中で、フル規格新幹線との対面乗換えということで、今、暫定開業をしているという状況でございます。
この未整備区間が長期化するのではないか、対面乗換えが長期化するのではないかということを大変懸念をしているわけでございますけれども、この未整備区間が存在しているということにつきましては、私自身は、長崎、佐賀の問題、九州の問題というよりは、国としての、ここが未整備のまま長期化しているということが国として大変私は損失であるというふうに考えているわけでございます。
ただ、先般、五月十三日、長崎県知事、佐賀県知事、JR九州の社長が、三者で初めて会談を持たれました。このことは、会談が行われたということは大変有意義なことだというふうに思っておりますけれども、佐賀県としても、費用面ですとか、様々な在来線の課題を抱えておられて、佐賀県の御理解をいただくということが大前提ということは認識をいたしております。
最後に、フリーゲージ、これは断念をしたということが今回の西九州ルートの今の状況につながっているということも踏まえると、もっと国が主体的に、佐賀県の費用負担の軽減も含めて、リーダーシップを持って、早期全線フル規格開通へ向けまして取り組んでいただきたいという強い思いがございますけれども、最後に斉藤大臣の御見解をお聞きをして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○斉藤(鉄)国務大臣 フル規格で整備されれば、大きな効果が出てくると思います。
国土交通省としては、佐賀県との間で、これまで様々なレベルを通じて協議を重ねてきており、令和二年からはいわゆる幅広い協議を七回にわたって行い、最近でも、昨年十二月に鉄道局次長が佐賀県副知事と協議し、フル規格で新幹線ネットワークを整備する意義について説明するなど、あらゆる機会を活用して議論してまいりました。
一方で、佐賀県からは、フル規格で整備した場合の在来線の取扱いや地方負担について懸念を示されていると承知しております。
御指摘の費用負担につきましては、全国新幹線鉄道整備法に基づいて負担のルールが定められておりますが、いずれにしましても、国土交通省としては、こうした御懸念、御指摘も踏まえながら、新幹線整備の必要性、重要性について御理解をいただけるよう、佐賀県との議論を粘り強く積み重ねてまいりたいと考えております。
○西岡委員 時間となりましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
○長坂委員長 次に、福島伸享君。
○福島委員 有志の会の福島伸享でございます。
この国会、恐らく最後の質問になると思いますけれども、斉藤鉄ちゃん大臣に、今日も鉄道のことを質問させていただきたいと思います。今日は地元から傍聴に後援会の皆さんが来ているので、答弁にも特段の御配慮をいただけると幸いに存じます。
さて、まず最初の問題なんですけれども、平成二十四年の笹子トンネルの天井板崩落事故を受けて、翌年、道路法が改正されて、点検基準というのが法定化されました。道路管理者は、五年に一回、近接目視による点検を行うということが義務づけられました。多くの自治体で問題となっているのは、線路をまたぐ橋、跨線橋の点検費用が高過ぎるということです。
資料一を御覧ください。
済みません、資料のところ、いろいろ理事会で御意見があったとお聞きしておりますけれども、これは、京都府のある自治体の跨線橋の点検のときの見積書でございます。大体三千万円近くで、橋梁の点検で二千四百五十万円、附帯経費とか管理費とか電気工事関係とかで、合わせると三千二百万円という総額が出ております。
これは、もう既に点検に関する積算というのが国土交通省の中にありまして、道路局の道路橋定期点検業務積算資料というのがあって、それに基づいてやると、この該当の橋と同じ橋の点検を行う場合、資料二でありますけれども、左側で、大体四十五万円、それが、跨線橋、鉄道をまたぐことになると、消費税を除くと二千九百万円ということで、二桁も違う、そうした価格になってしまいます。
確かに、鉄道をまたぐ橋ですから、鉄道が走っていない時間に集中してやらなければならないとか、あるいは、河川とかがありますから、それに対応しなければならないとか、様々な事情はあるんですけれども、それでも、この三千万円、これだけの、二桁も違うというのは、ぼったくり過ぎだと思うんですね。
今日は筑西市の皆さんが来ているんですけれども、この筑西市でも、五年に一度、跨線橋の点検をするために、税金から二千七百万円が出されております。下館と玉戸という駅の間に五十号線をまたがった橋があるんですけれども、単線の線ですけれども、これ一本を点検するだけで五百万円かかっております。ほかは、私鉄なんかでは、線路をまたぐときであっても自治体自身が検査をできたりとか、あるいは、私鉄自身でやるときであっても、大体一桁ぐらい少ないというふうに聞いております。
私がヒアリングをした幾つかの自治体では、この資料一のような、JRから出てくる見積書とか出来高確認書というのは同じ様式でありまして、橋梁点検代と書いてあるんですけれども、なぜそのような価格になるのか、どういう内訳なのかというのは全く分からずに、一方的に通知されるだけだというふうに聞いております。
さて、ここでお伺いするんですけれども、この改正道路法に基づく跨線橋の定期点検について、全国でJR等が代行して行う点検が、どういうふうなプロセスで行われて、幾らぐらいで、どういう内訳でされているということを、国土交通省はしっかりと把握しているんでしょうか。御答弁をお願いします。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
跨線橋の点検でありますけれども、鉄道事業者からの要請で、跨線橋については鉄道事業者の方に点検をしていただいているところでございます。
それで、平成二十年の国土交通省と鉄道事業者の申合せで、工事施工協定書の締結時に、その費用の内訳を確認をするということになっております。
それで、どれぐらいの費用がかかるかというのは、国で全体は把握しておりません。跨線橋の各管理者において、点検費用がどうなっているのかというのを把握しているものと考えております。
○福島委員 そうなんですよ。大臣、把握していないんですね。国は幾らかというのは把握していないんですね。
例えば、鉄道事業者の要請から鉄道事業者で行っているとありますけれども、今、様々な新しい技術があって、スマホとか3D技術を使ったり、赤外線サーモグラフィー法とか、いろいろなやり方でやるやり方があって、そういうやり方も、恐らく、鉄道事業者が自らやると言っているから、やっていないんですね、これだけの値段になってしまうというのは。そうしたことを進めるということは、もっと推進した方がいいと思うんですけれども、局長、どうでしょうか。
○村田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、委員御指摘のように、鉄道営業線での近接工事におきましては、列車の間合いや夜間等の限られた時間帯での作業となることや、電車線等の高圧部分との接触の回避、また、列車見張り員の配置や、駅、指令等の関係機関との連絡など、鉄道事業者が保有する特別な技術や体制が必要ということになっております。
御指摘の、跨線橋の点検に係ります新技術の活用につきましては、ドローン技術や赤外線サーモグラフィー法を用いました画像診断等の導入によりまして、作業時間の短縮に寄与する効率的な手法の活用も進められつつあると承知をしております。
国土交通省におきましても、計測車両に搭載したレーザーの活用など、省人化や省力化に資する新技術を活用した効率的な施設の点検、こういったものにつきまして、技術開発を支援するなど、引き続き推進をしてまいりたいと考えております。
○福島委員 ちょっとずれているんですね。進められていると承知していると言っておりますけれども、実際やらないんです。なぜかというと、跨線橋を点検するには鉄道会社と協議して様々な調整をしなければならなくて、自治体は五年に一回やる義務があるんですよ。やるのに、準備から、協議から、二年ぐらいかかるらしくて、そのうち五年間には一度必ずやらなきゃならないわけですから、片方に義務がかかっていて、しかも、請け負うのは鉄道会社だから、鉄道会社が協議をするから、圧倒的に競争条件が不平等なんですね。私は、これは足下を見てJRが値段をつり上げているという可能性もあると思うんです。自治体側も、結局、最後は税金ですから、まあ、高くてもしようがないよと。民間だったらもっと安くしようと努力をするけれども、そうしないから、結局ばかを見るのは納税者なんですね。
だから、私は先ほど、価格とかどうなっているのか、どういうプロセスで決められているかというのは、分かっていない、把握していないということですから、この際しっかりと、何を協議すべきなのか、どういう情報を開示するべきなのか、ほかにいい方法、安い方法、効率的な方法があるんだったら、それを示した上で協議するとか、そうしたガイドラインを作って、JRの言い値で、JRのやりたい放題の言い値で決まるような検査のやり方というのはやめた方がいいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 まず、仕組みとしては、先ほど局長が答弁申し上げましたように、まず国土交通省と鉄道事業者が申合せをして、道路管理者、例えば県とか市とか、道路管理者と鉄道事業者の間で費用の内訳をよく確認するようにという仕組みはつくりました。仕組みはつくって、その上で、平成三十一年三月に、申合せ文書どおりやるようにということを、再徹底のその事務連絡も各地方整備局に対して行ったところでございます。
今、福島委員の質問は、そういう申合せ事項でそういう確認をしているにもかかわらず、実質それが機能していないのではないかということが質問の御趣旨ではないかと思います。そういう意味で、先ほどまた局長が答弁申し上げましたように、最終的には、例えば、道路管理者、市なら市と鉄道事業者の間で最終的には契約されるべきものですが、それらの中でこの申合せが徹底されるように国として指導する、これはやってまいりますけれども、ここが機能しているのかどうか、もう一度しっかりチェックしていきたいと思います。
○福島委員 それが、大臣、駄目な答弁を渡されているんですよ、役所から。
申合せを作ったのは平成二十一年で、道路法の改正がなされる前なんですよ。点検というのは、恐らく点検費だけでいいんですよ。この申合せに従って、鉄道事業者と自治体はやっているんですよ。ただ、橋梁点検幾らだけで、橋梁点検の内訳を出せなんということは、ここにはどこにも書いてないんです。ですから、改正道路法の点検のやつに合わせて、点検費であれば止めるのに幾らとか、もっといろいろな、どういう項目があるのか、技術的には、詳しくは分かりませんけれども、もっと細かくやった方がいいし、協議をする場合も、必ず代替の方法というのがあるんですよ、もっと効率的にやる方法とか。そうしたことをしっかり協議させるようなルールにすべきだと思うので、大臣、もう一度、いかがでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 基本的には、先ほどの申合せも、よくそこを、実際の道路管理者と鉄道事業者の間でよく意思疎通するようにというのがこの申合せの基本的な考え方です。それが現実、機能していないということだと思うんです。そこはしっかり機能するように、国土交通省からも、各自治体及び鉄道事業者等にも徹底したいと思います。
○福島委員 五年に一度の義務化をされたことによって、交渉力は圧倒的に自治体が弱いですから、そこを配慮したルールを作っていただければと思います。
次の問題に行きます。
次は、資料三で、「中速鉄道で、都市間交通を大変革」という大きな記事を載せております、山形新聞。私の地元ではないんですけれども、在来線を今よりはるかに高速で走る中速鉄道という構想があります。真ん中の方に黄色い線を引いておりますけれども、「「中速鉄道」とは「低速鉄道」と「高速鉄道」の中間の鉄道を指し、日本では最高時速百三十キロ超、二百四十〜二百六十キロ未満の鉄道。」ということです。「高速鉄道の技術を持つ国で日本だけ、この技術がない。」これは右側で、丸山さんという人が、「中速鉄道の整備は、」陸羽西線まで、山形から酒田の方まで中速鉄道を造ろうということなんですけれども、そうしたら、「陸羽西線に限らず、在来線を活用し高速化を図れる手法」とか、いろいろ書いてあります。
例えば、私の地元、水戸から東京の間は特急「ひたち」というのが走っているんですけれども、最高速度は確かに百三十キロですが、表定速度、大体、平均すると九十キロぐらいですので、一時間二十分ぐらいかかります。これだと通勤通学ができませんから、大体、大学に入ると、子供たちが実家を出ていって、就職を東京でするともう二度と戻ってこなくて、残っているのは高齢の老いたお父さん、お母さんということ、私の同級生の実家なんて回っていると、みんなそういう家ばかりです。
仮にこれを、在来線を使って最高速度二百キロ、例えば表定速度百五十キロとかにできれば五十分程度ですから、わざわざ大学に行くために独り暮らしをすることもないということになりますし、二地点居住、これは、先ほどこの国会でも議論しましたけれども、そういうことを進める上でもいいと思うんですね。
そもそも、昨年の国土形成計画でも、シームレスな拠点連携軸ということで、中枢中核都市等を核とした広域圏の自立的発展、日本海側、太平洋側二面活用等の広域圏内、広域圏間の連携強化ということで、地点地点の連携強化というのがうたわれていて、こういうのに私は中速鉄道というのが大事だと思います。
昨年夏、私はインドに行ったんですけれども、インドからタージ・マハルのあるアグラまでは、大体在来線を百五十キロ以上のスピードでばあっと走る鉄道がもうインドでもできておりまして、恐らく国際的にも、これから新幹線もあるでしょうけれども、在来線の高速化というのはどこの国でも通用する技術なんだと思います。
環境を見てみると、北海道新幹線の札幌までとか、敦賀以降の北陸新幹線とか、先ほど西岡さんがお話があった九州新幹線の西九州ルートが完成すれば、整備新幹線は一通り終わります。その後、基本路線というのがあって、四国とか山陰とか盛り上がりがちですけれども、私はここで立ち止まって考えた方がいいと思うんですね。
石破さんも、私は整備新幹線をこれ以上進めることは懐疑的、むしろミニ新幹線的なもの、今の狭軌のまま、狭い線路のままでいいから、速度を百五十キロまで上げるとか、日本の鉄道は時速三百キロ出るフル規格の新幹線と、最高でも時速百二十キロぐらいしか出ない在来線と両極分化していって、その間がない、だから百五十キロも出ればいい、並行在来線問題も発生しない、工期も工費も格段に安く済むと言って、これを推しているんですね。
大臣、どうでしょうか。この在来線を活用した中速鉄道、この意義をどのようにお考えでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 中速鉄道網ができればすばらしいことだと思います。
今の日本の鉄道網は、明治初期から昭和の初期にかけて、取りあえず線路を引こうといって引いた、いわゆる狭軌の鉄道網、これが在来線で、基本的にそれが変わっていません。その上に新幹線ということで、非常に大きなギャップがあります。
ただ、その中間、今、石破さんが狭軌のままで中速とおっしゃいましたが、これは技術的に非常に難しいと思います。やはり、中速にするには今の在来線狭軌を標準軌にする。山形新幹線もそうです、秋田新幹線もそうです。そういう意味では、すばらしいことなんですけれども、大きな政策転換が必要になる、このように思います。
○福島委員 ありがとうございます。鉄ちゃん大臣らしい愛情のこもった、質問にありがとうございます。ただ、山形新幹線だと標準軌でも百三十キロしか出せないんですよ。
私は、これはJRのOBの方、技術者の方から聞いても、狭軌でも可能だという声が上がっております、十分技術的に可能だと。そうしたことをやるために、やはり技術開発が必要なんですね。低重心、低車高、軽量な車両を開発するとか、あるいは、踏切とか騒音対策をやるというのも必要でしょうし、インフラを整備するために、例えば、上下分離で、整備新幹線のように国費を投入してやるやり方といった制度的な対応も必要だと思うんですよ。
JRは、あえて在来線に大きな設備投資はしないんですね。独占ですから、そのままほっといても「ひたち」号なんてみんな乗るわけです、常磐線は。だから、あえてしないんですけれども、しかし、まさにこの国土政策の観点からは、こうしたことが必要になると思うんですね。
ですから、ある程度の公的な対応もしなければならないと思うんですけれども、中速鉄道実用化のために、国費投入のための仕組みとか、あるいは技術開発の支援とか、そうしたことを行うべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○村田政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘の、幹線鉄道のネットワークの高機能化、こういった取組でございますけれども、今御指摘の狭軌での二百キロメートルの中速鉄道、こういう手法もございますし、また、高速化や時間短縮を図るためには、在来線の活用、様々な手法も考えられるところでございます。
この必要性や費用負担などの課題もございますので、それぞれの地域の実情や鉄道事業者の意向も踏まえまして、御指摘の技術的な観点も含め、長期的な視点に立って検討を進めてまいりたいと考えております。
○福島委員 是非、様々な可能性を模索していただければと思います。
私は、ずっとこの間、国土交通委員会に入って、JRの問題を訴えてきて、水戸線の新治駅のトイレのない駅とか、ホームから時計が消えたとか、あるいは、たがや議員がやった京葉線の廃止の問題とか、あるいはみどりの窓口の混乱とか、いろいろなことが起きているのを見るにつけ、特に民営化して以降、JRの公益性というのがすごい失われてしまっていると思うんですね。やはり、鉄道である以上、民間事業である以上に公益的な役割を果たしていただかなきゃならないんです。
そう見たときに、今の鉄道事業法というのは、公益性を担保するための条文が何もないんですよ。公益性がないからこそ、駅から勝手にトイレをなくしたり、みどりの窓口で客があふれていてもほったらかしになっているわけですね。駅は駅としての役割で公的な役割があるし、線路も線路として、例えば、中速鉄道を走らせるにしても、その設備投資を行う責務が本来は鉄道事業者にもあるはずなんですけれども、それを担保する条文が全くありません。
例えば、私がかつてやっていた電気事業法では、新たに設備投資を行う場合は、供給計画というのを作って届け出て、それに対して、広域的運営推進機関という、法律に基づいてつくられた機関が適正かどうか意見を言い、必要に応じて経済産業大臣が勧告を出して、もっと設備投資しろとか、あるいは、これは重複の投資だからやめろというようなことをやる、そうした権限が法律上あるんですね。あるいは、災害時の対応とか燃料調達に関するものなど、いろいろ公益性を保つための規定があるんですよ。
昔は、かつては国鉄だったから、言わずもがなで公益性を果たすものとされていたんだけれども、JRになって、そうした民間企業としての経営をやったときに、やはり私は、そうした公益的な役割を果たすということを法律で位置づけることが必要だと思います。
そもそも、公益特権というのがあって、税制上の優遇とか土地の利用に関する様々な特権がJRや電力会社やガス会社にはあるんですね。ですから、私は、JRが公益的な役割を果たすようなことを義務づけるように、そうした条項を鉄道事業法の中にも入れるなどの、法律に基づく公的な役割を果たす義務を負わせるべきだと思うんですけれども、いかがでございましょうか、大臣。
○斉藤(鉄)国務大臣 現在でも、いわゆる公共交通の基幹を成す鉄道が大きな公共性を有している、これは当然のことでございます。
したがいまして、鉄道事業法においても、運賃や輸送の安全の確保に関する必要な規制、これはかなり、先ほど、今、電気事業法の話をされましたけれども、それに匹敵するぐらいのいろいろな規制を設けているところでございます。
他方で、鉄道事業においては、可能な限り経営の自由や主体性を尊重することが、利用者ニーズに弾力的に対応する観点などからも重要であると考えておりまして、ダイヤの設定やサービスの在り方などの鉄道運営に関する詳細な事項について、鉄道事業者から国や地方公共団体へ事前協議を行うよう義務づけることは慎重に検討すべき、このように考えております。
国土交通省としては、鉄道事業の運営に当たって、鉄道事業者が地元自治体などとコミュニケーションを取りながら、利用者の声を踏まえるとともに、鉄道事業への御理解が得られるよう努めていくことが重要であると考えておりまして、こうした観点から、鉄道事業者を引き続き指導してまいりたいと思います。
○福島委員 ありがとうございます。
最後にちょっとまとめますけれども、事業計画の認可とかありますけれども、認可基準には公益性は何もないんです。運行計画の届出は、届出だけで、何も要件はないんですね。だから、私はちゃんと法律に規定すべきだと思います。上下分離じゃない国、鉄道の線路自体も民間でやっている国というのは、恐らく多くの主要国では日本だけですから、それに合った公益性を担保する制度の必要性を私は訴えて、質問とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○長坂委員長 次回は、来る二十一日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十四分散会