第5号 令和7年4月2日(水曜日)
令和七年四月二日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 井上 貴博君
理事 勝俣 孝明君 理事 加藤 鮎子君
理事 中谷 真一君 理事 城井 崇君
理事 神津たけし君 理事 森山 浩行君
理事 奥下 剛光君 理事 西岡 秀子君
石橋林太郎君 大西 洋平君
梶山 弘志君 加藤 竜祥君
金子 恭之君 工藤 彰三君
国定 勇人君 小寺 裕雄君
小森 卓郎君 高木 啓君
高見 康裕君 田所 嘉徳君
谷 公一君 土屋 品子君
西田 昭二君 三反園 訓君
阿久津幸彦君 尾辻かな子君
小宮山泰子君 下条 みつ君
白石 洋一君 津村 啓介君
長友よしひろ君 伴野 豊君
松田 功君 馬淵 澄夫君
谷田川 元君 阿部 弘樹君
井上 英孝君 徳安 淳子君
鳩山紀一郎君 古川 元久君
赤羽 一嘉君 中川 康洋君
たがや 亮君 堀川あきこ君
緒方林太郎君
…………………………………
国土交通大臣 中野 洋昌君
外務副大臣 藤井比早之君
国土交通副大臣 高橋 克法君
防衛副大臣 本田 太郎君
国土交通大臣政務官 高見 康裕君
国土交通大臣政務官 吉井 章君
国土交通大臣政務官 国定 勇人君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 笠尾 卓朗君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 阿部 竜矢君
政府参考人
(金融庁総合政策局参事官) 若原 幸雄君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電波部長) 荻原 直彦君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君
政府参考人
(財務省主計局次長) 中山 光輝君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 古田 裕志君
政府参考人
(水産庁資源管理部長) 魚谷 敏紀君
政府参考人
(国土交通省大臣官房上下水道審議官) 松原 誠君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 塩見 英之君
政府参考人
(国土交通省不動産・建設経済局長) 平田 研君
政府参考人
(国土交通省都市局長) 内田 欽也君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 藤巻 浩之君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 山本 巧君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 楠田 幹人君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 五十嵐徹人君
政府参考人
(国土交通省物流・自動車局長) 鶴田 浩久君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 稲田 雅裕君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 平岡 成哲君
政府参考人
(国土交通省国際統括官) 田中 由紀君
政府参考人
(観光庁次長) 平嶋 隆司君
政府参考人
(運輸安全委員会委員長) 李家 賢一君
政府参考人
(運輸安全委員会事務局長) 藤原威一郎君
政府参考人
(海上保安庁長官) 瀬口 良夫君
政府参考人
(防衛省防衛政策局次長) 上田 幸司君
政府参考人
(防衛省地方協力局次長) 森田 治男君
参考人
(成田国際空港株式会社代表取締役社長) 田村明比古君
国土交通委員会専門員 國廣 勇人君
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委員の異動
四月二日
辞任 補欠選任
西田 昭二君 高木 啓君
福島 伸享君 緒方林太郎君
同日
辞任 補欠選任
高木 啓君 西田 昭二君
緒方林太郎君 福島 伸享君
―――――――――――――
四月一日
港湾法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
港湾法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○井上委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、参考人として成田国際空港株式会社代表取締役社長田村明比古君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付のとおり、国土交通省大臣官房上下水道審議官松原誠君外二十五名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○井上委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。三反園訓君。
○三反園委員 自由民主党の三反園訓でございます。
質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。
政治は、国民の生命財産、安心、安全を守っていかなければなりません。近年は、地震、津波、そしてこれまでにない豪雨により、全国各地で本当に甚大な被害、災害が発生しております。これにどう対処していくのか、まさしく今政治の責任が問われていると思います。
能登半島地震では、半島ならではの地形によりまして復旧が難しく、半島で災害が起きた場合への備えが重要だということが浮き彫りになりました。まずは道路網の整備を急がなければならないと思います。
道路は、皆さん御存じのとおり、防災の面からも必要でありまして、また、生活の面からも観光の面からも重要な役割を果たしております。しかし、地方の道路整備は本当に遅れているのが現状であります。旧態依然の道路が放置され、整備されないまま、何かあれば通行止め、そして災害が起これば集落が孤立してさあ大変だ、この繰り返しであります。今こそ早期に道路を整備しなければならないと思います。国土交通省は、この現状についてどのように認識し、どのように対応しようとしているのか、お聞かせ願えればと思います。
また、道路は国民の命を守っております。そしてまた、道路は減災・防災の面からも重要な役割を果たしているわけであります。そうした面からも、国土強靱化の予算はしっかりと確保していく必要があります。そしてまた、財源をしっかりと確保して、道路の整備を急がなければならないと思いますけれども、財務省のお考えをお聞かせ願えればと思います。
○中山政府参考人 委員御指摘いただいていますとおり、道路整備を含みます近年の社会資本整備においては、自然災害の頻発化、激甚化とともに、インフラの老朽化が進む中、国民の生命と財産を守り抜くため、防災・減災、国土強靱化の取組を進めることが国の重大な責務と認識してございます。
こうした観点も踏まえ、国土強靱化基本法改正を受けまして、国土強靱化実施中期計画を定めることとなっており、政府におきましても、国土強靱化推進会議において、本年六月をめどとした策定に向け議論を進めているところでございます。
昨日、本部におきまして素案が決定し、計画期間内に実施すべき施策について、その推進が特に必要となる施策の事業規模をおおむね二十兆円強程度を目途とすることなどが定められたところでございます。
財務省といたしましても、国交省を始め関係省庁と連携し、政府として引き続き必要な施策を実施するための予算をしっかり確保できるよう努めてまいりたいと考えております。
○山本政府参考人 委員御指摘の、道路整備が遅れている現状についての認識、並びにどう対応していくのかということについての国交省の見解を申し上げます。
道路ネットワークは、国民の安全、安心を確保するとともに、人、物の往来を支援するなど、国民生活に不可欠なインフラでございます。道路ネットワークの整備によりまして、企業立地、観光交流が進むほか、豪雨、地震などの災害時の代替性が確保されるなど、様々な効果が期待されるところでございます。
しかしながら、半島部も含めまして全国にはいまだ道路ネットワークが不足をしている地域が存在をしておりまして、災害に強い道路ネットワークの構築が重要であると考えております。
国土交通省といたしましては、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の予算も活用しながら、道路ネットワークの整備に努めてまいります。
○三反園委員 財源を本当にしっかりと確保していただきたいと思っております。というのも、道路整備を求める国民の声は本当に多いです、強いです。しかし、その声に今は応えられていないというふうに思っております。
一方で、人口が減少する中で地方の道路整備は必要ないという声もありますけれども、果たしてそうでしょうか。東日本大震災の後に整備された三陸自動車道におきましては、開通後には、新規の投資額が三千億円以上、企業立地、交流人口も進み、三百以上、そしてまた、港を利用する企業数も三十倍と大きな効果が表れるわけであります。
地方の道路を整備することによって地方が活性化するということでもあるわけであります。この効果が現在の道路整備に当たっての事業評価に十分に評価されていないという面もあるわけであります。
是非、道路整備の事業評価に当たっては、こうした人口減少対策の効果の面、そして防災の効果の面も踏まえて事業評価をする必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
道路事業については、ネットワークとしてつながることによりまして、移動時間の短縮だけではなくて、交流人口の増加によります地域の活性化、大規模災害時における避難、復旧活動の支援など、様々な効果も期待をされるところでございます。
現在の道路事業の評価におきましては、評価手法が確立をし、貨幣換算が可能な効果といたしまして、走行時間の短縮、走行経費の減少、交通事故の減少、三つの便益を計上いたしまして、費用便益分析、いわゆるBバイCを行っておるところでございますけれども、道路整備が果たす役割は広範でありまして、これらの三つの便益以外にも貨幣換算をして、多様な効果を踏まえ、評価に取り組んでいるところでございます。
また、あらゆる効果を貨幣換算化するということも、これには限界があるというふうにも認識をしておりまして、BバイCだけによらない総合的な評価の在り方、こうしたことについても検討を進めてまいりたいと考えております。
引き続き、有識者の御意見も伺いながら、社会情勢や最新の知見を踏まえまして、道路事業の評価手法の改善に取り組んでまいりたいと考えております。
○三反園委員 ありがとうございます。
BバイCだけに頼らなくて、総合的に評価しながら地方の道路整備を進めていただきたい、本当にそういうふうに思っております。
私の地元にも能登半島と同じように薩摩半島があるわけでありますけれども、この薩摩半島というところは本当に道路整備が遅れております。地元住民も、能登半島と同じように地震災害が起こったらどうなるのかと不安を抱えた中で今生活しているのが現状であります。
国道二百二十六号線、鹿児島市と先端にある観光地指宿を結ぶ道路でありますけれども、本当にたくさんの車が通る主要道路であるにもかかわらず、一方が崖で一方が海で、曲がりくねっていて、何かあればすぐに通行止め。能登半島と同じような状況にならないかという、住民は本当に不安でいっぱいであります。利用者の人たちも本当に不安を抱えながら運転しているというのが現状であります。
是非、こうした防災面での道路の必要性を加味しながら、国道二百二十六号線の整備を急いでいただきたい、そう思いますけれども、いかがでしょうか。
もう一つは、薩摩半島には横軸の道路が実はないんです。道路というのは縦軸と横軸ができて初めて効果、利便性を発揮するわけでありますけれども、災害が起こったときにどうやって逃げていけばいいのかという不安の中で生活しているわけであります。
是非、薩摩半島横断道路を早期に整備する必要があると思います。国の支援を求めますけれども、いかがでしょうか。
○中野国務大臣 二点御指摘いただいたと思っております。
委員の御地元の国道二百二十六号線、これは薩摩半島の海岸沿いを通過をいたしまして、半島内の主要な都市を結ぶ幹線道路であります。防災や交通安全性の確保の観点から重要な道路でございます。
このため、今、鹿児島市の喜入地区の延長約二・二キロを国道二百二十六号喜入防災として事業化をしたところでございます。用地の調査や公有水面の埋立てが必要な箇所に関する鹿児島県、漁協権利者との調整などを推進をしているところであります。
引き続き、早期整備に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと思いますし、今年度内は用地買収の着手を目指してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
また、薩摩半島の横断道路につきましては、災害時のリダンダンシーの確保、また薩摩半島全体の交通の利便性あるいは周遊性の向上などの効果が期待をされておりまして、これは鹿児島県が中心となりまして検討や調査を行っているものというふうに承知をしております。
国土交通省としましても、引き続き、鹿児島県や関係自治体が進める調査に対しましてしっかり必要な協力を行ってまいりたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
○三反園委員 ありがとうございます。
半島で起きた場合の備えというのは、本当に早期にやはり整備する必要があると思いますので、しっかりとよろしくお願い申し上げます。
また、能登半島地震を受けまして、道の駅を利用できるようになりまして、また、トイレコンテナを活用するということになりました。トイレコンテナが全国各地にどれぐらいあるのか、いわゆるトイレコンテナがなければそこにまた必要な効果が発揮できないわけでありますので、是非、トイレコンテナを整備する場合への支援をお願いできればな、そういうふうに思っております。
また、能登半島地震での復旧がなかなか難しかったということでありますけれども、どうして難しかったのか、様々な方に聞いてみました。災害現場に、新しい重機と、そしてまたそれを動かす人が不足していたということが指摘されているわけであります。災害現場に重機と人がいなければ、災害復旧はできないわけであります。
これは能登半島に限ったことではないわけであります。全国各地で同じような状況と今なってきているわけでありますので、こうした現状について国交省がどのように対処しようとしているのか。やはり、最低限度の人とそして重機を持った建設会社がそこになければ復旧ができないという現状があるわけでありますので、短期的そして長期的に、こうした建設会社への対応、対処をどうしていくのかということについて、お聞かせ願えればと思います。
○平田政府参考人 まず、委員のお話にございましたトイレコンテナについてでございますけれども、能登半島地震では、ライフラインから独立して使用できる可動式の防災用コンテナ型トイレが被災地の道の駅等においても活用されるなど、その有効性が確認されたところであり、今後も災害時に重要な役割を果たすものと認識しております。
建設業につきましてですが、災害時には応急対応や復旧復興を担う地域の守り手として重要な役割を担っており、先般の能登半島地震においても、地元建設業者が重機も動かしながら総力を挙げて道路啓開など復旧作業に御対応いただいたものと承知しております。
地域において災害時における対応を含む社会資本の維持管理が適切に行われることが重要でございまして、このため、公共工事品質確保法に基づき、地域要件の適切な活用を図るなど地域の実情を踏まえた対応について、公共工事を発注する国の各機関や地方公共団体等に働きかけをしているところです。
また、地域の建設企業の災害対応力を高めることも重要であり、例えば、公共工事の入札参加に当たりまして必要な経営事項審査において、災害協定の締結状況や建設機械の保有状況に応じた加点評価をするなどの後押しを行っているところでございます。
他方、建設現場を担う技能者については、近年の猛暑など屋外での厳しい労働環境の中で作業していただくことも多く、大変な御苦労があるものと承知をしております。こうした労働環境に見合った賃上げ等の取組が必要です。
このため、公共工事設計労務単価の引上げを行い、三月から適用しているほか、昨年六月に成立した改正建設業法に基づき、国が適正な労務費の基準を作成し、技能者の賃上げ原資となる労務費の確保と行き渡りを図ることとしております。
今後とも、建設業が地域の守り手としての役割を果たすことができるよう、必要な取組を進めてまいります。
○三反園委員 現場の声を本当にしっかりと聞いて対応、対処していただければ、そういうふうに思っております。
道路は、国民の命を守り、そして地方の活性化のためにも本当に必要であります。引き続き、道路整備を強く求めていきたいと思います。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、伴野豊君。
○伴野委員 皆さんおはようございます。立憲民主党の伴野豊でございます。
本日は、三十分という質問のお時間をいただきました。委員長さん始め関係各位に、まずもって御礼を申し上げたいと思います。
そしてまた、昨今、国内外で様々な災害が起こっております。被災された方々、いまだに被災されている方々、全ての方々にお見舞い申し上げたいと思います。
質問時間が限られておりますので、早速本論に入りたいと思いますが、是非とも、三十分ということでございますので、事実関係は政府参考人の方に、そして、政治的判断を伴う場合は中野大臣にお答えいただければと。手短に、できるだけ二十秒から三十秒ぐらいでお答えいただけると、ピッチ何とかロックじゃありませんけれども、よろしくお願いしたいと思います。
また、大きな項目の順番は、インフラメンテナンスについて、二つ目が通学路の安全対策、三つ目が今後発生すると予想される巨大地震について、四つ目が次期国土強靱化計画についてという、大きな項目の順番を変えるつもりはありませんが、項目の中の流れは若干変化球を投げるときもありますので、お気をつけいただければありがたいかと思います。
では、まず最初の質問として、お手元に資料もお配りしておりますけれども、「道路の陥没発生件数とその要因」というのが一枚目に出してありますが、多分、令和四年のデータが最新かと思いますが、令和四年の道路陥没事故発生件数は一年で一体何件であったか、道路局長で結構ですので、お答えいただけますか。
○山本政府参考人 お答えを申し上げます。
令和四年度の道路の陥没発生件数でございます。全国で一万五百四十八件でございます。
○伴野委員 ありがとうございます。
令和三年度が九千九百六十七、令和二年度が九千百二十四。この令和四年、三年、二年で、少しずつ増えてきております。ざくっと、現状としては一年に一万件の陥没、まあ、事故と呼べないものもあるかもしれませんが、陥没している事実がある。これを三百六十五日、そして二十四時間で割ってみますと、一・一四になるんですよ。つまり、こうしている間、一時間にも、全国どこかで道路陥没とカウントされるものが発生している、これは事実です。危険ばかりをあおるつもりもありませんが、今、我が国のインフラの現状を考える上で、これは頭に入れておかなきゃいけない数字。一時間に一件、日本全国、どこかで陥没が起きている。
ハインリッヒの法則というのを聞かれた方がいらっしゃるかと思いますが、これは元々、労働災害のときに使われていた、いわゆる法則でして、大きなことが一個起きる前に、二十九個のそれよりも小さいことが起きちゃう。さらに、もっとその先に三百個の、その手前のものが起きている。
この比率で考えると、今からお話しする、いわゆる先般起きた埼玉県の八潮のことが、一に相当しているところに来ているのか、二十九のところに相当しているかということで考えると、これは大きな事柄なんですね。それを少しずつ、ひもといていきたいと思います。
まず、先般の埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故、今、最新の情報として何をお持ちか。そしてまた、三月二十六日にも第四回のいわゆる検討委員会、家田先生を始めとする皆さん方で検討している結果も出ていると思いますので、最新の情報を手短に教えてください。
○松原政府参考人 お答えいたします。
ちょっと声が、済みません、聞き取りづらいかもしれません。申し訳ありません。
有識者検討委員会につきましては、第四回まで開催をしております。
第三回の委員会におきまして、全国の調査の在り方につきまして御議論をいただきまして、その成果を、提言を踏まえまして、三月の十八日に、全国特別重点調査の実施を要請をしたところでございます。
以上です。
○伴野委員 わざと聞こえなくしているとは思いませんが、肝腎なことなので、よろしくお願いしますね。
それで、私の方から言っちゃいますけれども、優先実施の点検も始めて、夏頃までには最初の対象、これはたしか、もう箇所づけもしていただいていると思いますけれども、その後に全国特別重点調査として、また五千キロをやるということ、これは一年以内ということです。
夏頃までといって、最近もう十月ぐらいまでは夏ですからね、多分八月ぐらいを考えているんじゃないかと勝手に思いますけれども、とにかく、少しでも早くやりましょうよ。もう今、検査、検査、検査。本当に危険なところを早く見つけないと。
ここから、もう言っちゃいますけれども、結構深いところは危ないですよ、深いところ。もう多分、委員会でも指摘されていると思いますが、土質工学的にはそうなんですよ。土が深いところ、土かぶりが深いところは危険なんです。
これは、つまり、アリの巣を考えてみてください。深いアリの巣は、壊れたとき、ぼんとでかくなる。これと一緒です。だから、八潮も結構でかい深さだったでしょう。これは、だから地下、下水道のあった位置が、十メートルとか十五メーターぐらいですよね。
それで、ここから、余りいじめるつもりはないんですが、全国のそのデータベースがまだしっかりしていませんよね。本来なら、図面レベルで全国の下水道が、霞が関の国交省の担当者がぽんと押したら出てくるようにしなきゃ、もう。十年前から、そのときも家田先生が委員長だったと思うけれども、もう言っているんですよ。
だから、群マネも大事だけれども、やはりデータベースをまずして、図面も、今はもう簡単に入力できるから、やった上で、どんどんどんどんメンテナンス、たしか大臣の所信の中にもi―Constructionとおっしゃっていたけれども、もうi―Constructionよりもっと先に進んで、アイメンテナンス、アイインフラマネジメントまでいかないと。各市町の人に対して群マネするのも、やっていただけばいいけれども、国交省の霞が関はもっとピッチを上げてやらないと、事故が起きてからでは遅いです。人が造ったもの、人工物で何かあれば、これはきつい言い方をすれば人災です。人が造ったものは人がマネジメントしなきゃ、誰もやってくれません。
その上で、ちょっと検査を早く進めて、危険箇所を早く見つけて、できたら、これは下水道だけじゃないです、国交省が管轄するインフラ、一回全部トリアージしてみてください、全部。縦系で、道路は道路、河川は河川、それから砂防は砂防とやっていらっしゃるけれども、逆に、霞が関こそ群マネして、横の技術者を集めて、集中、エネルギーも人もマンパワーも一回集中してやりましょうよ。
安全、安心な国日本を再構築するのは、もう与野党ないと思います。大臣も、お若くして大臣になられたから、三十年後まで確実に多分生きていると思いますので、絶対に三十年後、問われちゃいますから。政治家は確実に歴史の審判を受けるんですよ。偉そうなことを言っている私はどうなっているか分かりませんけれども、大臣は、逆に、生きて、そのときにちゃんと目で確かめていただきたい。
だから、下水道、深いところは気をつけてください。多分、東京大学の桑野先生も委員に入っているから、おっしゃっていると思うけれども、そこはちゃんとポイントを見つけて、地方公共団体の管理のところだから霞が関は分からないという、こんな言い訳するのはやめましょうよ。よろしくお願いします。
次へ行きますよ、次。
それで、そういう、国土交通省がインフラのメンテナンスの重要性を再認識したのは、二〇一二年の笹子トンネル事故だと思います。このときの教訓は何でしたか。これも局長でいいですから、答えてください。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
笹子トンネル天井板崩落事故でございますけれども、事故後に設置をいたしました有識者によります調査・検討委員会におきまして原因究明を行っております。
事故の原因でございますけれども、天井板をつり下げる部材の施工、あるいはその経年の劣化、こうしたことが原因であったというふうにまとめられております。
○伴野委員 そのときの報告書をよく読むと、経年劣化が先に来ていますけれども、これは逆なんですよ。元々、インフラ劣化を想定した設計になっていないんです。もっと単純に言うと、ニュートンの法則に逆らった設計になっているんですよ。
つまり、フェールセーフを欠いた設計というのは、これは多分、その当時は、コンクリート構造物あるいは接着剤等々なんというのは劣化しないと思っていた節があると思います。そうじゃないと、こんな設計にならない。だけれども、コンクリート床版を天井につるすなんということは、これはニュートンの法則に逆らった設計ですから、これが多分第一の教訓です。
だから、取っ払ったでしょう、この後ずっと、十三個あるトンネル、トンネルという数では十三だと思いますけれども。それで、一つ残っていますよね、一つ残っている。これも、余りつるし上げるつもりはありません。だけれども、これは危険ですからね。多分、御存じだと思いますけれども、いろいろな事情で、この天井を取れない。大臣も一回説明を聞かれるといい、このことについては。首都高のあれですよ。
だから、こんなきつい保守をしなきゃいけないところを残しておいちゃ駄目です。いろいろな理由があるのも分かります。だけれども、やはりこういうところは取っ払う、取っ払わないと駄目だと思います。私も今、手元にこれの解決方法を持っていない中で言っていますので、直感的に言っていますが、是非ちょっとこれは気をつけてくださいね。どこかで、そんなはずじゃなかったなんて絶対に言わないようにしましょう、お互い。私もこれはウォッチしていきます、ここは。
次に、次に行きますよ。
そして、何が申し上げたいかというと、やはり、全国、重要な構造物の図面ぐらいは、霞が関の国交省でボタンをぽちっと押したら、もう出てくるようにしなきゃ駄目です。
それで、デジタル化、ロボット化、AI化。インフラメンテナンスの技術は非常に高度です。だから、場合によっては、産業化すれば、インフラ輸出も日本の強みですが、インフラメンテナンス輸出も可能になってくる。なぜならば、ODAでやったところなんかは、多分、相談に来ると思いますよ。それから、東アジアの構造物というのは、逆に相談に来ると思います。
インフラの高齢化、日本が多分最先端を行っていて、ほかが後を追っかけるというようなことになりますから、そういう意味では、安全、安心な国をつくっていく、インフラを守り抜いて、その蓄積が結果として日本の一つの産業になる、そういう、ある面、三十年後の夢を描きながら日々の保守に当たる。
保守って、正直言って、コンストラクションに比べれば派手じゃないから、きついんですよ、その分。それで、地味です。だから、予算的にも後回しになると思いますが、でも、そんなことを言っている場合じゃありません。徹底的に、国交省の中の英知を結集して、デジタル化、それから技術促進、ロボット化、AI化、一気にここで進めていこうじゃありませんか。
そんなことを申し上げて、次のことにも行きたいですが、今の私の意見に対して、大臣、どうですか。
○中野国務大臣 大変重要な御指摘をいただいているというふうに思いながら、委員の御意見、拝聴しておったところでございます。
御指摘のとおり、インフラの老朽化が非常に進んでおります。なかなか、委員が御指摘になったような、そうした地下の埋設物が、じゃ、データベース化が進んでいないじゃないかとか、いろいろな御指摘もまた我々も受け止めながら、どうやれば効率的なことができていくのかというのは、引き続き考えてまいりたいというふうに思いますし、また、やはりインフラメンテナンス、今、全国で定期的に点検、診断をし、そして緊急度に応じて、しっかり修繕、更新を行っていく。自治体がどうしてもできない、高度な技術力が要るという場合には、国も直轄で、診断、調査や修繕の代行等も含めてやっていくというような体制で、しっかりとメンテナンス、全国的に進んでいくようにということで、今やっております。
よりよい体制づくりにつきましても、引き続き検討してまいりたいと思いますし、委員の御指摘の、そういう海外展開ということも非常に重要な御指摘かと思っております。メンテナンスも含めたインフラのシステムの海外展開、こういうこともしっかり視野に入れて、継続的な支援というのを考えていきたいというふうに思っております。
○伴野委員 繰り返しになりますが、今はもう、とにかく検査、検査、検査、それも、できるだけデジタル化、ロボット化、AI化へ進むような形でやっていただいて、構造物のトリアージを、優先順位を決めていただいて、地方には、やはり技術があるかないかと言われれば、なかなかきついところがありますので、例えば、上位一〇%の難しいものは全部、どこが今管理していようが一回国交省が吸い上げて、徹底的に危険なところを潰していくということをやっていただいて、場合によっては、人口減少社会です、ダウンサイジングや省インフラもしていかなきゃいけない時代に入っていると思います。是非、そういう大きな計画を、中野大臣の下で、ビジョンとともに作っていただければありがたいかと思います。お願いして、そして二つ目の話題へ参ります。
二つ目は、通学路の安全対策です。
これも私、ライフワークの一つにしていることで、これも資料につけさせていただきましたが、子供の命です。
残念ながら、先般も浜松で事故が起きました。本当に、子供さんの、大人の命だからということではありませんが、子供さんが亡くなられると本当に胸が痛いです。締めつけられる思いです。そうした中で、この浜松で起きたこと、色をつける、いわゆるカラーリングもされているということですから、危険な箇所だということは分かっていらっしゃったと思いますけれども、やはり、過去にもここで何回か事故が起きているようですから、こういったところは、点検箇所に挙がっていなくても、積極的に、攻めの姿勢で危険箇所を潰していっていただく、これが今求められているんじゃないでしょうか。
そうした中で、私も最近、令和五年度の二月一日の予算委員会で、当時岸田総理でしたが、このようなことを訴えさせていただいて、場合によっては、お金で済めばという言い方はちょっと語弊があるかもしれませんが、予算をつぎ込めば潰せるところは徹底的に危険箇所を潰してほしい、そういう思いで岸田当時の総理にお訴えしたところ、そういうところであれば上乗せをしていくことも十分考えると。
当時は、令和五年度内で何とか決着をつけたいというところぐらいまでは言っていただいたんですが、若干残っているようです。現在、国交省管轄の部分で、検査でピックアップされて対応しなけりゃいけないところ、どれぐらい残っていますか。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
千葉県の八街市の事故を受けまして、道路管理者で、通学路で要対策箇所、全国で約三万九千か所ございました。この三万九千か所につきましては、路面標示、注意喚起看板の設置など、暫定的な安全対策も活用いたしまして、令和五年度までに全ての箇所で対策を実施したところでございます。
ただ、一方で、これらの箇所のうち、引き続き、新たな歩道の設置あるいは交差点改良など、恒久的な対策を講ずる予定の箇所が、令和六年度末で約二千七百か所、残っているという状況でございます。
○伴野委員 その中で、多分四分の一ぐらいは、予算が足りないというのが理由だったんじゃないかと思います。
用地買収とか他の大規模事業との兼ね合いで進まないというのは、これは時間がかかることだと思いますが、どこで予算が足りないかというところで、それは国費が足りないとは言わないと思いますが、いわゆる地方の方で足りないというところも何らかの手当てをして、予算をつければ対応できるところは是非対応していただきたい。是非、大臣、そういう目で見ていただければありがたいと思います。
時間が随分迫ってきていますので、次に行かせていただきます。
何せ子供の命が懸かっていることですから、手前みそで恐縮ですが、このフレームをつくらせていただいたのは、二〇一二年の野田内閣のときです。当時、まだ各省庁の持っていたデータが突合できなくて、ばらばらの対応をしていたんですね。それを、総理官邸に集まっていただいて、このフレームをつくらせていただきました。悪夢の時代と言われる方もいますが、いいこともいろいろやっております、手前みそで恐縮ですが。
でも、その後も、政権交代して、与党さんもずっと続けていただいて、五府省庁でやっていただいた時期もあるし、それでここまで来たんだと思います。是非このフレームで続けていっていただいて、子供の命が懸かったことです、これも大人の責任だし、起きれば人災です。
一方で、昨日ですか、名古屋で起こったようなことを見ますと、なかなかハードだけでは対応できない。たしか大臣の所信の中にも、こどもまんなか社会とか自動物流道路、それから自動運転、次世代自動車の話をされている。もう多分そういう時代に入っていくんだと思います。是非それも、できるだけ早い時期に、もう人が運転しなくてもいい社会をつくるというのも、これも事故をなくす上で早道かもしれませんので、積極的にお考えいただければありがたいかと思います。
三つ目の項目に行きます。
これも、昨日発表されていたんですかね、政府の中央防災会議で、南海トラフ地震による被害想定がされていました。
私は、健全な警戒感と危機感と、いわゆる回避というのが大地震に対するポイントじゃないかと思っております。そうした中で、昨今、その発生確率の話題が出るんですが、これは、はっきり申し上げて、さいころを振る確率は、若干ちょっと、根本は一緒だと思いますが、発表されている発生確率の求め方とかというのを一生懸命読むんですけれども、知識も努力も足りないのかもしれませんが、是非、これが中学生でも分かるような表現と、それから、何を訴えるかというのをちょっと明確にしていただいて、ホームページなんかも作っていただけるといいのではないかなと。
これは回答は必要ありません、是非ちょっと再考していただければ。中学校の教科書にどう載せるかというところで、高校生で分かるというレベルだと、地学とかなんかやらない人の方が多くなっちゃいますので、是非、中学生が分かる表現。
これも、中学校の先生に教えてもらったのは、やはり、難しいことを難しく言うのは、ちょっと失礼な言い方をすれば、誰にでもできる。難しいことを分かりやすくシンプルに言うのが大事なんだと言われたことがありますので、ちょっと生意気ですが、是非、中学の教科書で十分理解できるように。
いろいろありますよね、二種類、計算方法があるとか、ポアソン分布でしたかを使う、うんだらかんだら、それが出てきちゃうと、多分、もう読むのをやめちゃうと思いますので、是非よろしくお願いします。
ここで、大臣に、国民の皆様方にもお訴えする中で、昨今、フェーズフリーということを言われていますよね。いわゆる日常と非日常を分けない生活をあえてしていくんだと。つまり、日頃から、それが非常の緊急事態にも使えるようなものを使っていくという生活、ライフスタイルだと思いますが、大臣、何かトレーニングが趣味だということも書いてありましたが、最近、この辺りの、フェーズフリーの努力を何かされていますか。
○中野国務大臣 フェーズフリー、非常に大事だというふうに思っております。私も地元で、防災訓練とか、いろいろなところへ行ったりもするんですけれども、やはり、こういうことをふだんからやることが大事だということもよく聞いております。
国交省としては、道の駅で防災用のトイレコンテナを導入しようとか、自治体で災害用井戸の活用を促進しようとか、そういうことをやっておるんですが、個人として何をやっているかということだと思いますので。
私個人で今やっていますのは、例えば、食料品とか水のローリングストックというのが今ありますので、ちょっと多めに、備蓄をするような形で水を買ったりですとか、あと、子供も今おりますけれども、キャンプ用のああいうランタンとかも、これは被災時にも使えるというふうなことで持っていたりとか、そういう意味で、できるだけ平時から、備えられるものは備えていこうということも、意識しながらやっております。
○伴野委員 是非、国民に訴える形で、どんどん、そういうのもまた大臣のお得意の動画に上げていただいて、趣味のトレーニングの動画を見せていただきました、次は是非フェーズフリーの動画の方が多分いいかな、そんなふうに思って、見ちゃいました。よろしくお願いいたします。
もう一つ、地震に関してで、やはり東京一極集中の是正というようなことで、この委員会でもいろいろ議論されてきたんですが、一向に進みませんよね、これはなかなか難しい話で。
そうした中で、都市再生緊急整備地域の支援措置というのがいまだにあります。これは二〇〇五年の小泉内閣のときの肝煎りでやったんだと思います。この当時は、やはり東京も国際都市としてもっと発展しなきゃいけないということで、このときは東京一極集中是正なんて言おうものなら大変な時期だったと思いますが、いまだに、やはり首都圏に、この支援措置だけで集まってきているとは思いませんが、もう促進する必要はないだろうと思いますので、これは多分、来年ぐらいから見直しがかかると思いますので、是非そういう辺りで検討していただければありがたい。これも、ちょっと時間がないので、お答えいただかなくても結構です。
賃上げ税制と一緒で、賃上げできるところは、もうやるんですよ。だから、これがなくなっても、来るところは来るかもしれませんが、促進する必要もないだろう。促進するために使っているお金を、もっと地震対策に使った方がいいんじゃないかという趣旨で、見直しをされる時期じゃないかなと。これも要望しておきます。
最後に、国土強靱化計画というのが、いよいよ、またどうするんだと。与党間でもいろいろ協議をされているという話も、漏れ伝え聞きます。二十兆円だの、どうのこうのというお話も聞いています。
正直言って、私は、二〇一八年に国交省が、今後三十年間に維持管理・更新費で要るお金ということで計上した約百八十兆円のお金、三十年間で。一年間で六兆円ですよ。これは普通に平たく考えても、当然足りないだろうなと。今の強靱化計画の中にも、そんなにこの維持管理・更新費のお金は入っていない。令和八年から新しいことになるわけですが、是非、大臣、この維持管理・更新費、取りにいってくださいよ。どうですか。
○中野国務大臣 現行の五か年加速化対策の中では、老朽化対策分は、おおむね二・七兆円程度が盛り込まれている。対策を加速化をさせる、当然この予算だけではなくて、いろいろな、直轄ですとか自治体ですとか、様々な予算がある上で、加速化をさせるための予算ということで計上しているところだというふうに認識をしております。
今回、国土強靱化実施中期計画、事業規模おおむね二十兆円強を目途ということでなっておりますけれども、当然、これは現行の五か年加速化対策を上回る規模ということになっておりますので、やはりこうした加速化をするということで、老朽化対策を前倒しをするということが非常に大事だと思います。
必要かつ十分な公共事業予算の確保、また老朽化対策も、この国土強靱化実施中期計画、しっかり盛り込めるように引き続き検討してまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
○伴野委員 安全、安心な日本を取り戻すために、協力すべきところは協力したいと思いますので、どうぞ頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、津村啓介君。
○津村委員 ありがとうございます。立憲民主党の津村啓介でございます。
本日は、大きく三つのテーマについて御質問をいたします。
一つは、日本の鉄道政策における長年の懸案であります危険踏切の問題、二つ目は、今年事故後四十年を迎えます日航機一二三便墜落事故の原因究明に関する問題、そして三点目として、日米地位協定と在日米軍基地の周辺で起きている諸問題について質問をいたします。
まず、冒頭、勝手踏切の問題について質問させていただきますが、国交省鉄道局の皆さんに、第四種踏切と、それから、法的には認められていないけれども、線路の横断が日常的に行われていると見られる勝手踏切の全国における箇所数についてお調べをいただいたものを、配付資料の一ページにつけております。皆様の御地元も含め、是非数字を確認いただければというふうに思います。
先日、昨年四月に起きました群馬県高崎市での第四種踏切、遮断機がない踏切で、小学校四年生の女の子が自分の犬を追いかけて、警笛を鳴らしたか鳴らしていなかったかということが議論でございますけれども、列車にはねられて亡くなったという痛ましい事故から約一年がたちまして、先週三月二十七日、運輸安全委員会は、警報機や遮断機がない四種踏切は廃止していくことが望ましいとする報告書を公表されました。
であれば、四種踏切というのは、そうはいっても踏切として改良のプランがあるわけですけれども、より危険度の高い勝手踏切について、全国に一万五千か所以上あるという状況を国土交通省としては改善していくべきだと考えますが、国土交通大臣のこの一万五千件の数字の分析と御評価を伺いたいと思います。
○中野国務大臣 鉄道事業者におきまして、委員にも資料としても出していただきました第四種の踏切道は、統廃合や遮断機、警報機の設置などを進めているところでございます。
委員の御指摘の、いわゆる勝手横断箇所というふうに我々は言っておりますけれども、線路を横断しないように注意喚起をする看板の設置や、侵入防止のための柵の設置などの対策を講じているというふうに承知をしておりまして、こうした取組により、これらの箇所数については着実に減少しているという認識でございます。
群馬県において、昨年四月に第四種踏切道において痛ましい事故が発生したことも踏まえまして、これは県が主体的になんですけれども、関係の自治体や鉄道事業者と個別の踏切道の協議を行いまして、昨年九月に十八か所を廃止、あるいは五か所を第一種化するという方針を公表するなど、自治体で積極的な取組を進めていただいているところもございます。
国土交通省としては、この第四種の踏切道やいわゆる勝手横断箇所の廃止については、やはり鉄道の沿線の住民等の理解と協力が不可欠であるというふうにも考えておりまして、踏切道改良促進法に基づく協議会の場などがございます。地方運輸局を通じて鉄道事業者、関係自治体等に働きかけを行うなど、可能な限りの協力をしっかり行ってまいりたいというふうに考えております。
○津村委員 私、勝手踏切、ここで御質問させていただくのはもう三度目、四度目になるんですけれども、私ごとになるんですけれども、九年前、私が初めて国土交通委員会に所属したときの最初の法案が踏切道改良法案で、そのときに、日本の鉄道政策として、明治以来、長年この危険踏切を放置してきた、モータリゼーションにもかかわらずですね、そのことに大変驚き、かつ、これからしっかりとこれを解決していくのが私たち世代のテーマだというふうに考えました。
五年に一度の踏切道改良法案の審議というのがその五年後、つまり今から見ると四年前の令和三年に起きていまして、九年前は一万九千件だった勝手踏切が、四年前には一万七千件、そして足下では一万五千件ということで、一定のペースで改善はしてきているわけですけれども、踏切道改良法案が対策の長期化等もあって指定年限を外したということで、これから、その五年に一度の定点観測ということもなかなか制度化されていないという状況でもございます。
鉄道局長にお答えいただければと思うんですけれども、これからこの勝手踏切を減らしていくための対策をどのようなことを考えているのか、具体的にお答えいただければと思います。
○五十嵐政府参考人 お答えいたします。
先ほど大臣から申し上げましたとおり、いわゆる勝手横断箇所については、事業者とそれから地域の皆様が連携していただいて、可能な限り数を減らしていただくということをやっていきたいなと思っております。
それで、委員が長年この問題を取り上げていただきまして、度々国土交通委員会でも御質問いただいて、そのたびに我々も改めて調査をするなど、数を把握することによって、全体の流れがちゃんと減少に行っているのかどうか、それから、どういう箇所がいわゆる勝手横断箇所になっているかという、事業者に自覚を促すという効果もあろうかと思っております。
ただ一方で、今日、委員からお示しいただいている資料にも私ども注記をさせていただいておりますけれども、いわゆる勝手横断箇所数につきましては、勝手横断箇所の明確な定義がないということもございますので、箇所数の調査に当たりましては、ここにも書いてありますとおり、鉄道事業者として踏切道とは認めていないが、明らかに線路内を横断した形跡があるもの、又は横断していることを情報として認識しているものについて報告を受けているという形で行っております。
これらの横断箇所の確認につきましては、各鉄道事業者の現場の方々の認識している箇所を報告いただいているということもございまして、事業者によっては、これも注記してありますけれども、計上の仕方が異なることから、確定的な数値というよりは、全体の状況を示す参考として使用すべき数値だというふうに私ども認識しております。
鉄道事業者からは、箇所数を把握するために、周辺環境も含めて徒歩での目視確認を必要とするなど多大な労力を要しているなどの意見もいただいていることから、鉄道事業者の意見や事故の発生状況なども踏まえつつ、調査の手法や頻度も含めて検討してまいりたいと考えております。
また、その調査の間隔でございますけれども、今御説明しました調査方法を踏まえますと、毎年調査するということはなかなか難しいかなと今考えておりますが、三年から五年程度の間隔を空けてフォローアップをしていくことも含めまして、調査手法等について検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○津村委員 今詳細に御答弁いただきまして、大変ありがたいと思いますが、今の御答弁にこの問題の本質が隠されているというふうに思います。
そもそも、今日、勝手踏切の数をお聞きしたんですけれども、大臣は線路横断箇所数という言い方でお答えになりました。つまり、勝手踏切というものは存在しない、踏切とは言わないという法律上のワーディングを使われているわけですけれども、それが、現実に存在するものを踏切と認めないという、非常に、調査もしてこなかった、つまり、ないものとして扱ってきたということが、この問題の対応を遅らせてきたということだと思います。
鉄道局長に改めて御提案させていただきますけれども、まず、勝手踏切というものの存在を公に認めて、定義を明確にした上で、きちんと鉄道事業者及び自治体に調査をするべきではありませんか。毎年行うべきだと思います。いかがでしょうか。
○五十嵐政府参考人 お答えいたします。
調査の方法と頻度につきましては、先ほど御答弁したところの繰り返しになりますので重複は避けたいと思っておりますけれども、そもそもいわゆる踏切道として認識されておるもの以外のところの立入りにつきましては、鉄道営業法等既存する法律に対する抵触でございますので、それを正面から、先生の御指摘は分かりますけれども、いわゆる通ることが法的に前提となっている踏切として位置づけてその調査を行っていくという事柄は、私どもの、元々、鉄道の原則は踏切も全廃を目指していくという方向でございますし、それから、繰り返しになりますけれども、鉄道地内への立入りを禁止する鉄道営業法三十七条の規定に抵触する等、様々な法的抵触に当たる事柄について、これを正面からいわゆる定義をして、勝手踏切という、一種の鉄道事業法あるいは鉄道営業法で法的に位置づけるものとして措置することは困難ではないかと現状は考えております。
以上でございます。
○津村委員 今の鉄道局長の御答弁で、法律的な不備といいますか、立法上の不備が明らかになったというふうに思います。
国土交通委員の皆さん、私たちは立法者でございますので、是非この法律上の不備を議員立法その他のやり方で、勝手踏切の危険をなくしていくための措置を党派を超えて検討していきたいということを提案させていただきます。
その上で、次のテーマに移らせていただきます。
今年の八月で日航機墜落事故から満四十年を迎えます。今年四十年を迎えますこの事故について、運輸安全委員会は事故原因を断定できず、推定にとどまっております。
運輸安全委員長にお尋ねします。なぜ断定ができなかったんでしょうか。
○李家政府参考人 我が国の事故調査報告書の記載は、ICAO、国際民間航空機関のガイドラインを踏まえ、原因等の推定度合いを四段階に分類し、記載しております。
断定できる場合には、認められるという記載です。断定できないが、ほぼ間違いない場合には、推定されるという記載でございます。この推定されるという記載は、可能性が高いや可能性が考えられるといった記載よりも、ほぼ間違いがないという意味で、強い推定を表すものとなっております。
どういった場合に断定を意味する認められるという記載としているか、一概には申し上げられませんが、過去の事例で申し上げますと、機体損傷が被雷や鳥衝突によるものであったと明確に確認できた場合には、認められると記載しています。
一二三便事故については、様々な角度から解析等を行うなど調査を尽くし、専門家による審議の上、ほぼ間違いないとの結論に至ったため、強い推定を表す、推定されるを使用しております。
○津村委員 これも委員の皆さんに是非御関心を持っていただきたいんですが、資料の二ページ目を御覧いただきますと、今からちょうど十年前、日航機墜落事故ちょうど三十年目の八月十二日当日にテレビ朝日が、海中に、相模湾の海底に一二三便の残骸が見つかったというニュースを報じております。
それに関連しまして、資料を一枚おめくりいただきますと、三ページですが、私、今から六年前に当時の石井啓一国務大臣に、この残骸を引き揚げるにはどのぐらいの費用がかかるんですかということを問いましたところ、下線を引いておりますけれども、引揚げ費用につきましては、探査範囲や引揚げの難度、所要日数等によって大きく変動するということでありますが、少なくとも数千万円のオーダーが見込まれると聞いているという御答弁がございました。
さらに、二枚おめくりいただきますと、こちら、二〇一一年、運輸安全委員会は二〇〇八年に航空・鉄道事故調査委員会と海難審判庁が統合されて設置されたものでございますが、その三年後に当時の運輸安全委員会の事務局長の大須賀さんという方が、これまで航空事故調査委員会においては、御遺族の皆様に対して、必ずしも十分な説明がなされていなかったため、皆様の一二三便報告書の内容に対する御疑念に応えてこられなかったことについて、率直におわび申し上げます、航空事故調査委員会は、組織再編を経て平成二十年に運輸安全委員会となりましたが、その際に、情報提供に関して、被害者及びその家族又は遺族の心情に十分配慮し、これらの者に対し、当該事故等調査に関する情報を、適時に、かつ、適切な方法で提供することが法律上明記され、事故等調査の実施に当たっては、適時適切に被害者等の皆様に御説明を行うこととしておりますとして、三十ページ以上にわたる、報告書についての解説というものを公にされました。
その二十五ページには、こうあります。資料の下半分ですね。推定される落下物として、同機の残骸の回収状況から判断して、事故機に異常が発生した直後に相模湾に落下したと推定される同機の残骸は、表五のとおり、APUとアクチュエーターは、重い材質で強固なものであり、分散せずに沈んでいる可能性は大きいでしょうとあります。また、右側には、それが当時の技術で一から探すのは大変だということが書かれた後、できるだけ調査の空白を埋めるためには、この調査を数回繰り返す必要があるとも書かれています。
このことが書かれた後に、先ほどの残骸が発見をされました。そして、その費用が数千万円ということであれば、これは当然引き揚げるべきではないでしょうか。事務局長に伺います。
○藤原政府参考人 お答えいたします。
御指摘の報道につきましては、何らかの物体が見つかったものとは承知しておりますが、当該物体が航空機の部品、さらには一二三便関連の部品であるか否かは明らかでないと認識しております。
先ほど委員長より申し上げましたとおり、一二三便の事故につきましては、様々な角度から解析を行うなど調査を尽くし、専門家による審議の上、ほぼ間違いないとの結論に至ったため、強い推定を表す、推定されるを使用しております。このため、運輸安全委員会としては、引揚げ調査を行っていないところでございます。
○津村委員 李家委員長に伺います。
お一人では決められないと思いますので、運輸安全委員会で是非御議論をいただきたいというふうに思います。
この件、今、物体が何であるか明らかになっていないとおっしゃったわけですけれども、引揚げどころか、潜水してこの物体がどういうものかを確認するのには、そんなに大きな費用はかからないはずです。是非、調査をすることについて、するかしないかも含めて、議論をしてください。委員長、お願いします。
○李家政府参考人 一二三便事故につきましては、航空機の機体の損傷状況等に関する調査について、専門委員を任命するなどにより、機体の圧力隔壁を含め、事故原因に関する十分な物件を収集し、様々な角度から調査、解析を行った上で、航空機の運航、航空力学等を専門分野とする委員長及び委員による審議を経て、調査結果を公表しております。
国際民間航空条約上、事故調査が再開されるのは、行方不明となっていた事故機そのものが見つかった場合などの、新しくかつ重大な証拠を入手した場合とされており、御指摘の見つかった物体はこの場合に該当しないと考えております。
このため、運輸安全委員会としては、再調査を行う考えはございません。
○津村委員 今おっしゃった中の、事故機そのものが見つかった可能性があるわけですから、そこはきちんと確認をしていただきたいと思います。委員長、いかがですか。
○李家政府参考人 先ほど申し上げましたように、行方不明となっていた事故機そのものが見つかった場合などの、新しくかつ重大な証拠を入手した場合……(津村委員「事故機そのものだと言っているんです、エンジンですから」と呼ぶ)APU付近の物品ではないかということで伺っておりますけれども、これがこの航空機の事故機そのものが見つかった場合かどうかという、そういったことは該当しないと考えております。
○津村委員 明らかでないとおっしゃったのに、なぜ該当しないと言い切れるんですか。
○李家政府参考人 明らかで……
○井上委員長 運輸安全委員会李家委員長、指名してから発言してください。
○李家政府参考人 申し訳ありません。(津村委員「答えられないなら速記を止めてください」と呼ぶ)
○井上委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○井上委員長 速記を起こしてください。(津村委員「委員長に聞いています」と呼ぶ)
速記を止めてください。
〔速記中止〕
○井上委員長 速記を起こしてください。
運輸安全委員会李家委員長。
○李家政府参考人 事故機そのものが見つかったと回答いたしましたけれども、事故機そのものということで、これが事故機とは断定されないものと考えられておりますので、それで……(津村委員「確認していないのに誰が考えているんですか、そんなこと」と呼ぶ)
○井上委員長 そのまま続けてください。
○李家政府参考人 事故機といえば、航空機の形態をしたものが見つかった場合というふうに一つ判断されると思っております。
○津村委員 墜落すると損傷するわけですから、事故機そのものが完全な形で見つかることの方が珍しいんじゃないでしょうか。
委員長は昨日就任されたばかりで、まだこれからいろいろと御検討されると思いますので、今日はここまでにしますけれども、この話はしっかりと研究してください。よろしくお願いします。
次に、先般、十二月の一般質疑の際に防衛省に確認を求めておりました、在日米軍基地、赤坂プレスセンター周辺の区域制限と高さ制限の問題について防衛省に問いたいと思います。
昨年十二月十八日の段階で、防衛省は、米軍基地の高さ制限について承知していない、ですので在日米軍に確認をするということを御答弁いただきました。確認の結果を伺いたいと思います。
○森田政府参考人 お答え申し上げます。
前回の質疑以降に、赤坂プレスセンターのヘリポートにつきまして米側とやり取りを行いましたところ、米側からは、赤坂プレスセンターにおいても統一施設基準に基づき必要な表面を設定している、特に進入と離陸に関係する表面は障害物のない方向に設定されている旨の説明がございました。
また、赤坂プレスセンターにおける航空機の運用に関しまして、米側からは、基本的にビルなどの障害物がない都立青山公園側からヘリポートにアプローチしている、全ての飛行運用を安全に実施しており、国際民間航空機関のルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われている、赤坂プレスセンターの周囲にはヘリコプターが安全に進入するために必要となる空間が存在しており、全ての飛行を安全に実施している、ヘリポート周辺の政策研究大学院大学等は米軍の運用において支障になっていない、米軍は、日米安全保障条約、日米地位協定及び日米合同委員会の合意に従い、引き続き全ての航空機を安全に運航するとの説明がございました。
なお、これ以上の詳細につきましては、米側から、運用に関するものであり、明らかにできないとの説明を受けているところでございます。
○津村委員 今、森田次長から、全ての飛行運用を安全に実施しており、国際民間航空機関や日本の航空法と整合的な米軍の規則に従った運用をしているという御答弁をいただきましたが、これまでの委員会での議論も含めて、実際には日本の航空法に反した運用がなされているのではないかという疑念を拭うことができません。また改めてその件については確認させていただきます。
次の質問でございますが、全国六つの米軍飛行場及び赤坂プレスセンターにおきまして、飛行場周辺で一定の高さを超える物件を設置する規制というものを講じる法的根拠は日本にございますか。
○森田政府参考人 お答えを申し上げます。
日米地位協定第二条の規定によりまして米軍が使用する飛行場につきましては、航空法の特例法によりまして、航空法の一部の規定が適用を除外されております。一定の高さを超える物件の制限等を定める航空法の規定が適用されておりません。
他方で、米軍の活動に当たりましては、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払うということとされております。
防衛省としましては、米軍機の飛行の安全確保に関する事項を含めて、日米間で様々なやり取りを行っており、そうした中で、米側から各飛行場における米軍機の運用に当たり、飛行場周辺の物件に関しまして安全上の懸念が示される場合には、関係者と調整を行い、必要な対応を取っているところでございます。
また、飛行場周辺の物件の設置に関しまして事業者などから相談を受けた場合には、事業者と米軍との間で必要な確認や調整を行っているというところでございます。
○津村委員 次の質問に移ります。
全国に六つ存在する米軍飛行場と赤坂プレスセンターの周辺では、先ほどから議論させていただいております建設許可ないし高さ制限に関する相談件数、そして騒音の苦情についても数多く寄せられているところでございます。
数字を事前に防衛省さんに確認させていただいたものが、資料の七ページでございます。
これが、令和六年度の数字もいただいたんですけれども、十二月末までの集計で九か月分となっておりますので、トレンドを正確に見ることが難しくなっております。
一月から十二月までの暦年で見た令和六年の各数字を御答弁いただきたいと思います。
○森田政府参考人 お答え申し上げます。
米軍の飛行場周辺における構造物等の設置に関連し、令和六年に全国の地方防衛局等で受けた相談や確認の件数につきまして、現時点で把握しているものを申し上げますと、三沢飛行場十件、横田飛行場二十一件、木更津飛行場三十六件、岩国飛行場四件、嘉手納飛行場八件、普天間飛行場十七件、赤坂プレスセンターでゼロ件となっております。
また、米軍機と思われる苦情で地方防衛局に寄せられた件数は、現時点で把握している範囲で、令和六年一月から十二月までの間で、三沢飛行場百五十七件、横田飛行場二百五十八件、木更津飛行場ゼロ件、岩国飛行場三十八件、嘉手納飛行場百十八件、普天間飛行場百十六件、赤坂プレスセンター、ゼロ件となっております。
○津村委員 一番人口密集地域であります赤坂プレスセンターの数字がいずれも小さくなっていることに、私は大変疑念を抱いております。今日は時間がございませんので次回の質問に回させていただきますが、よく精査をしていただきたいと思います。
最後のテーマにありますけれども、皆さんに九ページのところを御覧いただければというふうに思います。
米軍ヘリが日本の航空法の例外となっているわけでございますけれども、しかし、九九年の日米合同委員会の合意で、これの二番で、在日米軍は、国際民間航空機関や日本の航空法により規定される最低高度基準を用いており、低空飛行訓練を実施する際、同一の米軍飛行高度規制を現在適用しているという合意がなされました。
これについて、四年前、赤羽大臣に、米軍ヘリは、都心部においては、建物から換算した高度三百メートル以下で飛ぶことはできないというルールになっているということでよろしいですねと問うたところ、そのとおりですとお答えになっています。中野大臣も同じ認識ですか。
○中野国務大臣 米軍機につきましては、日米地位協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律に基づきまして、最低安全高度の規定などの航空法の規定の一部についてはその適用が除外をされておりますが、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動することが当然の前提になっているものと認識をしております。
委員御指摘の赤羽元国土交通大臣の答弁は、米軍の飛行は、ICAOのルールや航空法と整合的な米軍の規則に従い、安全を最優先に配慮して行われているとの実態についてお答えをしたものというふうに承知をしております。
○津村委員 端的に伺いたいんですけれども、米軍のヘリコプターにはこの九九年合意というのは適用されるんですか。
○中野国務大臣 一九九九年の御指摘の日米合同委員会合意を含む米軍の飛行に関する日米間の合意等の解釈につきましては、外務省の方が解釈の権限を有すると思いますので、そちらにお尋ねをいただければというふうに思っております。
○津村委員 赤羽大臣のこの御答弁を認めることができないということですか。赤羽大臣は明確に答えていらっしゃいますが。
○中野国務大臣 繰り返しになりますが、米軍の飛行は、ICAOのルールや航空法と整合な米軍の規則に従い、安全を最優先に考慮して行っているというふうに、米側の説明としては我々も外務省等から聞いておりまして、その実態についてお答えをされたものだというふうに承知をしております。
○津村委員 質問時間があと一分なので次回に回しますけれども、委員の皆さんに是非共有させていただきたいのは、この九ページですね、米軍ヘリが低空飛行ができないのかどうかということについて、国交省と外務省が意見が必ずしも一致していない。そして、最後に、当時の茂木大臣は、赤羽大臣は実態としての理解をおっしゃったけれども、厳密な法律論とは違うということを示唆されています。
そして、もう一枚おめくりいただきますと、十ページですけれども、こちらは毎日新聞の方の取材ですけれども、在日米軍は、この低空飛行の合意、ルールは、ヘリコプターは適用されないと言っているんですね。しかし、国土交通省と当時の外務省の担当者は、航空機の種別を問いませんと。在日米軍とこの外務省、国交省の見解が分かれているので、私は、それはどっちなのかということを問うているんです。
外務省さんに伺いますが、ヘリコプターは九九年合意に含まれるんですか、含まれないんですか。端的にお答えください。
○藤井副大臣 御指摘の平成十一年の在日米軍による低空飛行訓練に関する日米合同委員会合意において、航空機につきましては、航空法第二条のような定義が置かれているわけではございません。
その上で、米側とは平素から様々なやり取りを行っておりますが、米側からは、飛行に当たっての安全確保は最優先であり、米軍の飛行は、ICAOのルールや航空法と整合的な米軍の規則に従い、安全を最優先に配慮して行われているとの説明を受けているところでございます。
○津村委員 定義が書かれていなかったら、何も該当しないということですか。ヘリコプターも普通の飛行機も、定義が書かれていなかったらどちらも対象にならないということになってしまいます。
ヘリコプターは含まれるのか含まれないのかを端的に聞いています。
○藤井副大臣 先ほど申し上げましたけれども、平成十一年の在日米軍による低空飛行訓練に関する日米合同委員会合意において、航空機について、航空法二条のような定義が置かれているわけではございません。
米軍につきましては、日米地位協定の実施に伴う航空法特例法により、民間航空機の円滑な航空交通を確保することを目的とした規定を除き、最低安全高度の規定などの航空法の規定の一部について、その適用が除外されておりますが、米軍の飛行は、ICAOのルールや航空法と整合的な米軍の規則に従い、安全を最優先に配慮して行われていることを法的に整理して答弁させていただきます。
○津村委員 次回また聞きますので、イエスかノーか、はっきり答えを用意しておいてください。
終わります。
○井上委員長 次に、長友よしひろ君。
○長友(よ)委員 立憲民主党、長友よしひろです。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
さきの予算案の審議時の分科会で、水道施設の耐震化事業についてを一部取り上げた経緯がございます。そのときに、いろいろな前向きな答弁をいただいた次第です。その答弁を受けまして、今日は、更に、事業の推進、進捗を求めて何点か質問をしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
私の地元は、神奈川県相模原市、愛川町、清川村というところなんですが、近代水道発祥の地といえば横浜というのは多くの方が御存じだと思います。実は、その取水を始めた場所が、まさにその相模原市、現在の緑区、津久井地域、三井という地元でございます。
この工事が始まったのが、明治十八年、一八八五年、百三十年前ということです。その二年後に給水が開始されたんですけれども、今では津久井湖と城山ダムというものが残っております。そこからは取水はしていませんけれども、今でも脈々と、その水源から横浜を始め神奈川、一部は東京に至るまで水の供給をしている地域であります。
つまり、日本の近代化を支えていた地域でもありますし、山と緑、水、すなわち命の源を守り続けてきた地域の一つであるということを踏まえた上で、以下質問に入りたいと思います。
水道法第十五条には、水道事業者は、当該水道における給水を受ける者に対し、常時水を供給しなければならないと、当たり前の話ですね。第二条の二には、国は、都道府県及び市町村並びに水道事業者等に必要な技術的及び財政的な援助を行うよう努めなければならないとあります。
しかしながら、政府も自治体、事業者も、鋭意取り組んでいるとはいえ、現在、管路の耐震化、適合化という言い方でしょうか、更新率は経年劣化率の上昇には全く追いついていないどころか、経年劣化が増えているけれども進捗率は下がる一方であります。その数値は、何と年〇・六四%の進捗率しかないわけです。さきの分科会のときも答弁いただいたんですけれども、終了するまでには、単純計算でいくと、あと百五十年かかる計算になるという衝撃な時間軸が示されたわけです。
先ほど申し上げましたとおり、近代水道の着手が始まってから百三十年です。この後百五十年かからないと耐震化ができないというのは、先ほどの水道法の、当たり前なんですけれども、常時供給する手だてとして、本当に危機迫る状況ではないかというふうに思います。
水道耐震化に係る新たな補助要件として、加速化要件が令和六年度、昨年度ですね、補正予算より加わったことは承知いたしております。事業主体である自治体の経営努力により耐震化を加速、促進させている地域への支援の拡充と見込まれています。具体的には、補助率が四分の一から三分の一へと上がるなど、自治体の負担や利用者、つまり住民の、国民の負担が軽減されるということが期待されているんだと思います。あるいは、管路の耐震化が一層進むということが見込まれているんだろうと思います。
そこで、現在の状況と今後について、どのような見通しを立てられているのか、これについて伺いたいと思います。
○松原政府参考人 お答えいたします。
水道施設の耐震化につきましては、令和五年度末時点で、送水管の耐震適合率が四七%、浄水施設の耐震化率が四三%にとどまるなど、耐震化が十分に進んでいない状況でございます。
そのため、全ての水道事業者等に対して、対策が必要となる上下水道システムの急所施設、すなわち、その施設が機能を失えばシステム全体が機能を失う最重要施設や、避難所などの重要施設に接続する上下水道管路等について、上下水道一体で耐震化を推進するための上下水道耐震化計画の策定を要請し、この計画に基づき、水道施設の耐震化を計画的、集中的に推進できるよう、必要な技術的、財政的支援を行っているところでございます。委員御指摘の加速要件もその一つでございます。
今後の耐震化につきましては、現在、本年六月をめどに策定されることで作業を進めております国土強靱化実施中期計画の中にその施策ないし目標を位置づけまして、その達成に向けまして取組の加速化を図ってまいる所存でございます。
○長友(よ)委員 この耐震化の進捗、従前の一・五倍以上に加速させるということがこの中でも入っているんですね。
先ほどの国土強靱化の中期計画については後ほど触れたいと思うんですけれども、一・五倍に加速させる、非常に重要な、現実的な話だと思うんですが、でも、仮に全部の、全てのところが一気にやって一・五倍にしようと言ったとしても、それは百五十年が百年になるわけですね。それでもすごいことなのかもしれませんが。これについて伺おうと思ったんですけれども、そういうような基準値でしかないということを改めて認識をしなければいけないと思います。
そこで、次なんですけれども、小規模な水道事業者ほど実は原価割れをしているということが明らかになっています。
今回の加速化の中にも、料金回収率が一〇〇%を超えるというのが前提条件になっておるんですけれども、この料金回収率が高いのは給水人口が多いところなんですね、統計的に見ると。全体として原価割れの状況を改善するには、現状、それぞれ事業者は努力していますけれども至っていない中で、この一〇〇%というのはなかなか厳しいところもあるんじゃないかと思います。もちろん、努力している事業者についてのインセンティブは、それは大いに、更にやっていくべきだと思うんですけれども、この小規模な事業者の原価割れの部分についての見解を伺いたいと思います。
○松原政府参考人 お答えいたします。
地方公営企業年鑑によれば、今委員御指摘の料金回収率につきまして、給水に係る費用を給水収益で賄っている割合でございますけれども、これが一〇〇%以上である水道事業、これは令和四年度で全国で約四割。
一方で、給水人口が例えば一万人未満の小規模な水道事業に限ってみますと、これは約八割、ごめんなさい、割れている方ですね。ですから、超えている方は二割。ですから、委員御指摘のように、小規模な水道事業者ほど経営状況が厳しく、原価割れをしている、割れている方が八割です、済みません。
その主な原因につきましては、やはり水道施設の整備、維持管理等に必要な費用を少ない利用者からの水道料金で賄わなければならないということなどが考えられるところでございます。
私たち国土交通省といたしましては、小規模な事業における経営基盤の強化を図るために、まず、適切な水道料金の設定を促していくとともに、経営の統合でありますとか水質検査業務の共同委託など広域的な連携、さらには官民連携やデジタル技術の活用など、これらにつきまして技術的、財政的にしっかり支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
○長友(よ)委員 適正な料金という言葉がございました。
いろいろな技術革新だとか、御尽力いただいていることは承知した上で申し上げるんですけれども、では適正な料金というのが一体幾らなのかという議論につながっていくと思います。今日は時間がありませんのでそこには踏み込みませんが、自治体が努力をしたとしても、それは住民負担が増えていくわけですから、一定の負担はあったとしても、ここの部分は、先ほどの数値を見て分かるとおり、小規模ほど原価割れをしている、この実態を踏まえた上で、加速化の補正予算については大いに賛同するところでありますけれども、更なるものを目指していかなければいけないんじゃないか、こういう主張でございます。
その上で、先ほども少し答弁があったんですけれども、地震対策で緊急点検を実施されました。それを踏まえて上下水道の耐震化計画の策定を自治体に要請していると。急所箇所、避難所、重要施設ということですね、ここのところの耐震化を目的としていく計画なんです。
これが重要なのは、もちろん当たり前です。もうそれはよく分かります。そこからやっていくのもよく分かります。がしかし、それ以外のところはどうされるんですか。あるいは、どうされようと考えられていますか。
○松原政府参考人 お答えをいたします。
委員御指摘のように、上下水道耐震化計画におきましては、急所施設、それから避難所などの重要施設に係る管路、これらをしっかりと進めていくということで、支援制度もそのように構築をしているところでございます。
一方で、委員御指摘のこれに該当しない施設につきましては、予防保全型の施設管理を推進する観点から、老朽化対策を進めていく中で耐震管への更新を進めてまいりたいと考えております。
○長友(よ)委員 能登半島の被災を受けて新しい取組もされている、その一つに革新的技術実証事業、分散型システムというのがありました。
報道等によりますと、先般、これの事業者が決まったとありました。この分散型というのは、さっき言った意味では小さい方ですね、給水人口が大きい話じゃなくて小さくなるんですね。その方が、分散型であれば、特に山間部についての給水をしっかり確保できるという利点があるということだと理解をしています。
ちょっとここで、さっきの料金回収の整合性との話なんですね。でかい方が料金回収率が高い、それはよく分かります、スケールメリットがあるから。でも、小さい方が給水としては安定性があるという地域もある中で、やはり一〇〇%の回収率との整合性というのは問われてくるんじゃないかなと思います。簡単に見解を述べていただければと思います。
○松原政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の分散型システムにつきまして、今後の人口減少社会への対応や、災害に強く持続可能な水道施設の整備を進めていくといった観点から、今後検討を進めていかなければならないという認識でございます。
その中で、今回、能登の方で技術実証を行うわけでありますが、この中で、技術的な側面、処理性能の信頼性や維持管理の在り方に加えまして、料金設定の考え方などにつきましても検証を行ってまいりたいというふうに考えております。
我々国土交通省といたしましては、こうした取組を踏まえ、これまでの水道システムと分散型システムを適切に組み合わせることで、強靱で持続可能な水道システムを構築できるよう取り組んでまいります。
○長友(よ)委員 そこの料金との話というのはどうしても出てきてしまうわけですね。そこをしっかり考えていただいているということでありますので、また検証結果について報告がいただければと思います。
この分散型の一つのスタイルとして、現行でいうならば、簡易水道というのはそれに比較的近いのではないかというふうに感じております。簡易水道への対応も急務なわけですよ。当たり前なんですね。これについての見解を伺いたいのと、それと、特定簡易水道というのがございます。特定簡易水道という名前であってもこれは簡易水道であるわけですから、でも、こっちは補助がないわけですよね。これについて、やはり耐震化の補助をつけていくべきだという思いを持ちながらこれを伺いたいと思います。
副大臣、自治体の長もやられていて、在職中には簡易水道事業もやられていたところでございますから、いろいろな現場の声、現場のことが分かっていると思いますし、労苦も経験されていると思います。是非見解を伺いたいと思います。
○高橋副大臣 簡易水道事業における水道管の耐震化状況につきましては、例えば送水管の耐震適合率が二七%にとどまっておるなど、簡易水道事業を含む全水道事業の送水管の耐震適合率は四七%と今なっておりますので、非常に遅れている状況であります。
このため、簡易水道事業者に対しましても、上下水道耐震化計画を策定するように要請をいたしまして、これに基づき水道施設の耐震化を計画的、集中的に推進できるように必要な支援を行っているところでもあります。
具体的に申し上げますと、簡易水道事業における水道管の耐震化への財政的支援につきましては、従前、一定の要件を設けていたところでもありますが、令和六年度予算より、避難所等の重要施設に接続する水道管の耐震化につきましては、これによらずに支援できるように拡充をしたところでもあります。
国土交通省としては、全国簡易水道協議会としっかりと連携をいたしまして、本事業の積極的な活用を促すなどによって、引き続き、簡易水道の耐震化を進めてまいりたいと思っております。
特定簡易水道事業については、審議官の方からお答えいたします。
○井上委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いしたいと思います。
○松原政府参考人 特定簡易水道事業について御指摘ございました。
この特定簡易水道事業というのは、事業経営者が同一の水道事業や簡易水道事業が近隣にあるにもかかわらず統合ができていない簡易水道事業でございます。
当時、厚生労働省でございますけれども、平成十九年度以降、簡易水道事業につきましては、期限を区切って統合を推進してまいったところであります。よって、令和二年度以降、特定簡易水道を統合できていないところでございますが、これは国庫補助の対象としておりません。
ただし、この特定簡易水道につきましても、今後統合を進めることによって特定簡易水道でなくなれば、引き続き補助の対象になりますので、国土交通省といたしましては、地域の声もお聞きしながら統合を進められるように、技術的にしっかりと支援をしてまいりたいと考えてございます。
○長友(よ)委員 時間になりましたので、終わります。
統合しなければいけないというところも、そうじゃないと、そうじゃないようにしてほしいということです。よろしくお願いします。
○井上委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 よろしくお願いいたします。
局長がそろっていないですけれども、質問させていただきたいと思います。不動産特定共同事業についてお伺いしたいと思います。
まず、私の地元であります福岡県水巻町における不動産特定共同事業についてお伺いしたい。
バナナの苗の栽培をしている不動産特定共同事業がございます。実態が全くございません。農林水産省の答弁でも、生産実績は福岡県水巻町にはないという答弁を得ています。利益を上げているようには全く見えません。
一方で、宣伝では、百二十万本の苗からスタートして、年間一千万本作るところまでやりたいということを言っていて、資金調達も、正確なところは分からないですが、二百億円弱集めていると言われております。見ていて恐怖を覚えるレベルです。不動産特定共同事業法の分別管理がどうなっているのかと、疑問で疑問で仕方がないです。不動産特定共同事業法どころではない問題を抱えているのではないかと私はおそれを持っています。
一方で、質問主意書を出したところ、事業者の許可行政庁がこれを見るべきなんだというふうに言っていますが、先般、尾辻議員から質問がありましたとおり、許可行政庁である大阪府知事、大阪府は、見に行くことは人的リソースからして事実上不可能だというふうに言っております。
国土交通省平田局長にお伺いしたい。全て許可行政庁である大阪府知事の責任だというふうに思われますか。
○平田政府参考人 お答え申し上げます。
不動産特定共同事業につきましては、契約に際して、事業者に対し、重要事項説明など不動産の仲介等に近い業務を行わせることから、宅地建物取引業法と同様に、一の都道府県内のみ事務所を設置する事業者については都道府県知事の許可に係らしめており、監督についても、許可を与えた都道府県において行うこととしております。
監督の際には、不動産特定共同事業者に対して書面によって報告を求めたり、監督する都道府県内にある事務所で聴取を行うことが多いため、都道府県において監督を行うことは一定の合理性があるものと考えております。
他方、不動産特定共同事業には様々な商品が存在するため、その内容いかんによっては、より注意を払いながら監督に当たるべきものもあるものと承知をしております。
制度を所管する国土交通省としましては、共管の金融庁とともに、都道府県に対して、不動産、金融両面の内容から、逐次監督上の留意事項の通知等を行っているところでありますが、特にこうした場合には、個別に技術的助言を出したり、国から能動的に情報提供や助言を行うなどの対応を行ってきたところであり、今後とも、都道府県による監督が適切に行われるよう、必要な協力を行ってまいります。
○緒方委員 つまり、大阪府知事がこれをしっかりと監督すべきだということですね。局長。
○平田政府参考人 一義的には監督権限を持っております都道府県が対応することになりますけれども、私どもとしても必要なサポートをしてまいりたいと考えております。
○緒方委員 この中に大阪府の関係の方は多いと思います。この福岡県水巻町でやっているバナナの苗の事業、これに何か起こったら大阪府知事の責任だと言っているわけですよ。制度としてまともだと思いますか、皆さん。おかしいと思いますよ。この点、問題を指摘して、次の質問に移っていきたいと思います。
同じ事業者が千葉県成田市小菅地区で不動産特定共同事業をやっております。今日、田村社長、お越しになっておられますが、先般、尾辻議員の質問で、この不動産特定共同事業について、今、土地の造成で土地を貸しておられるわけですが、これについて、資金の調達計画が不動産特定共同事業だということは承知していなかったというふうに答弁がありました。
もし事前にこれが不動産特定共同事業だと知っていたら、賃借を行いましたでしょうか。田村社長。
○田村参考人 当社は、この土地造成事業の資金が、委員御指摘の不動産特定共同事業によるものではないということは確認をしておりますけれども、もしという仮定のお話についてはお答えを差し控えさせていただきます。
○緒方委員 まあ、いいや。次に移ります。
土地を賃借する際、千葉県が農地転用の許可を出し、そして成田市が開発計画に許可を出しているということで、これについてお伺いしたところ、成田国際空港株式会社は許認可の事実の確認のみを行ったと言っています。
この事業の適正性の判断は全て千葉県と成田市に委ねているということでよろしいですか。社長。
○田村参考人 当社は、賃借人からの申出を受け、当該計画を他の土地所有者や周辺地区が受け入れたこと、それから、成田市としても活用されない騒音区域が有効利用されれば大きなメリットがあるとの考えに基づき、成田市が地区計画を決定したこと、さらに、賃借人が成田市より都市計画法、千葉県より農地法及び森林法に基づく許可を得たこと等を確認した上で、当社としても、賃借人の土地造成事業に係る法令許可申請に使われた事業計画や資金計画等を確認し、必要な社内手続を経て、造成工事を目的とした土地賃貸借契約を締結したものでございます。
○緒方委員 では、御社で判断された事業計画というのは適正だというふうに判断をしたということでしょうか。社長。
○田村参考人 土地造成事業を継続できるということについては判断をしたということでございます。
○緒方委員 もう一度。
判断をしたということでしたが、適正だと判断をしたということでよろしいですか。社長。
○田村参考人 先ほども申し上げましたが、全体として、地区が受け入れ、県が許可を出し、市が許可を出し、そういう事業について、建設の経緯もございますから、地域との関係というのは非常に大事にいたしております。その上で、成田市が、是非協力をしてくれ、こう言っていただいている事業について、今のような、申し上げたような審査を経て、この造成工事に協力をしよう、こういうことでございました。
○緒方委員 よく分からないですね。成田市が判断をしたから自分たちは受動的に受け入れたんだというふうにも聞こえるんですが、しかし、先ほどの答弁では、社内の手続を経てやったというふうに言いました。
社内の判断として、この土地造成事業は適正だと判断をしたということでよろしいですね。社長。
○田村参考人 繰り返しになりますけれども、様々な行政手続を確認した上で、当社としても、賃借人の諸々の計画等を確認して、必要な社内手続を経て、土地賃貸借契約を締結したものでございます。
○緒方委員 委員長、もう一回、正確に答えさせてください。
事業が社内で適正だと判断をしたということでよろしいですね。社長。
○井上委員長 成田国際空港株式会社田村代表取締役社長、的確に答えてください。
○田村参考人 地域に協力するということが必要であるということで、そういう手続をしたということでございます。
○井上委員長 では、速記を止めてください。
〔速記中止〕
○井上委員長 速記を起こしてください。
それでは、成田国際空港株式会社田村代表取締役社長、的確にお答えできますか。
○田村参考人 造成工事を目的とした土地賃貸借契約を締結することは適正であるという判断をしたということでございます。
○緒方委員 しかし、この事業者、元々の賃借契約前に行政処分を受けていて、資金調達計画もかなり脆弱と言っていいんじゃないかと思います。そして、事業は変更に次ぐ変更で、この間尾辻さんからもありましたが、進んでいないんですね。全体像がかなり明らかになってきた状態で、令和五年には賃借を更新しています。そして、質問主意書答弁では、この時点、令和五年の時点においても、計画が不動産特定共同事業であるということを確認していないんですね。しかも、昨年ももう一回行政処分を受けています。
一昨日、成田国際空港株式会社は、この土地の賃借を十一月三十日まで延長するということを決定しています。成田市に責任を押しつけることなく、成田国際空港株式会社自体の判断の根拠をお伺いをいたしたいと思います。社長。
○田村参考人 賃借人との土地賃貸借契約につきましては、その期限が本年三月三十一日まででしたところ、その期限を今御指摘のように本年十一月三十日までとする土地賃貸借変更契約を締結しております。
期間の変更に当たりましては、賃借人が取得した都市計画法に基づく開発許可などの必要となる許認可が現時点で継続される予定であるということを確認するとともに、賃借人が造成工事の残工事に必要な資金を確保していることにより造成工事の継続能力があるということを確認し、顧問弁護士とも相談の上、現時点においては賃借人との契約を終了すべき事由も特段見当たらないということから、契約期間を変更することとしたものでございます。
○緒方委員 ほとんど事業は進んでいないわけですよね。そして、資金調達計画もかなり脆弱だと思いますし、これで賃借を継続しているというのは極めて違和感があります。
それを指摘した上で質問させていただきたいんですが、ところで、田村社長、この不動産特定共同事業者とその親会社である開発会社の社長と会食をしたことはございますか。そして、成田国際空港株式会社の取締役、成田市議会議員、そして、この土地造成の開発をしている会社の方で継続的に協議をしているというふうにお伺いをしておりますが、その実績についてもお伺いしたいと思います。社長。
○田村参考人 お答えいたします。
まず、今御質問の会食の件でございますけれども、日付を調べてみましたところ、二〇二三年七月十九日に、知人からのお誘いで多人数が参加する会合にお伺いしたことがございます。事前に参加者について聞いておりませんでしたけれども、会合の場に行ってみると、十人前後の参加者の中に柳瀬社長がおりました。なお、当日、柳瀬社長とは挨拶をした程度で会話を交わしておりません。
それからもう一つ、今、うちの役員との協議の関係でございますけれども、当社では、契約の相手方を含め、周辺市町の御担当者等のステークホルダーの方々と業務上必要となる打合せ等を適宜実施しておりまして、委員御指摘の協議につきましても、取締役が単独で実施したものではなくて、業務上必要な打合せとして実施したものと承知をしております。
○緒方委員 それらを踏まえると、決して地元から要望があったから貸したという単なる受動的な貸し手とは言えないと思うんですよね。成田市が開発許可を出しているからそれに応じているというレベルを超えていて、事実上、この事業全体の当事者じゃないですかね、成田国際空港株式会社は。いかがですか、社長。
○田村参考人 私どもは土地の賃貸人という立場でございまして、事業に参画しているものでも、最終的な全体のものについて同意しているものでもございません。
○緒方委員 まあ、いいや。これは、私は質疑時間がそんなにないので、今の質疑を受けてまた誰かが質問されると思いますが。
ここで、不動産特定共同事業法の問題について御指摘させていただきたいと思います。
こういった土地をベースとした開発型では、土地の価格が著しく安いにもかかわらず、資金集めのときには言い値でつけた何百倍もの価格をつけて資金調達することが可能になっています。結果として、開発当初は形式的な分別管理は行えると思いますけれども、収支の均衡といったところまでは絶対できないはずです。ここにポンジ・スキームが入ってくる仕組みがあるのではないかと思いますが、平田局長。
○平田政府参考人 不動産特定共同事業法におきましては、契約締結前書面を交付することを事業者に義務づけており、この中では、事業者は対象不動産の価格、当該価格の算定方法、不動産鑑定評価の有無等を記載し、土地の価格の妥当性について投資家に十分に説明する必要があります。
また、利害関係人取引についても、契約締結前書面において、取引の内容などを説明することを事業者に義務づけております。
投資家においては、これらの情報とともに、事業者に問合せを行ったり、周辺の公示地価などといった公表情報も適宜確認しながら、例えば商品に不明な点がある場合には投資を見合わせるなど、慎重に投資判断をいただくことが重要と考えております。
不動産特定共同事業におきましては、投資しようとしている商品がどのようなものであるかについて、事業者から投資家に説明させる義務を通じて、投資家の保護を図っていくことが重要と考えており、引き続き、その適切な運用に努めるとともに、その充実などについてもよく検討してまいりたいと考えております。
○緒方委員 ちょっと悠長だと思うんですよね。
これは、投資家、三万八千人です。そして、投資の規模、二千億円です。これだけの状況で、投資家保護が明らかに不十分です。今局長が答弁されましたけれども、契約時の交付書面とか財産状況の記載書類の備付けとか閲覧とか、そういった話です。しかも、仕組み全体が匿名組合で、極めて透明性が低いです。ほぼ交付書面や記載書類などを参照することなく、利率だけでネットで応募している方がたくさんおられるんですね。ここにまさにポンジ・スキームが入ってくる余地があるのではないですか。局長。
○平田政府参考人 不動産特定共同事業法におきましては、事業者に対し、契約締結前書面の交付を義務づけておりまして、この中で、対象不動産の内容、取得価格、主要なテナントの状況や利害関係取引の有無などの情報が投資家に提供される仕組みとしているところです。
不動産特定共同事業は、リスクを伴う投資商品であり、投資家御自身の御判断において投資を行っていただくことが前提となります。投資家においては、契約締結前書面などで提供される情報などをよく確認していただき、御自身が投資しようとしている商品がどのようなものであるかをよく理解していただいた上で、投資判断を行っていただくことが重要と考えております。
他方で、制度の適切な運用を図ることはもちろんのこと、昨今は一般投資家の参加も増えていることから、注意すべきポイントがより投資家に伝わるようにすることですとか、一般投資家に向けた情報開示の充実などにつきましてもよく検討してまいりたいと考えております。
○緒方委員 真っ当な事業であれば、真っ当にしっかり運営されている事業であったらそうなんですよ。けれども、私はそんな話をしていないんです。ポンジ・スキームが入りやすい仕組みですよねと。それに対して、また今も自己責任みたいな発言をされているんですよ。
中野大臣にお伺いしたい。
先般、尾辻議員からポンジ・スキームが入りやすい仕組みじゃないですかと問うたところ、それに対して、中野大臣は、自己責任という言葉を使いました。今の不動産特定共同事業は、金商法に比べて規制が緩いと思います。ポンジ・スキームが十分だというふうに思われますか。大臣。
○中野国務大臣 以前から議論させていただいております不動産特定共同事業法、金融商品取引法共に、投資家保護が目的だというふうに思います。例えば、不動産特定共同事業法には、金融商品取引法にはない不動産取引に関わる規制を設けるなど、規制内容というのは対象とする商品の性格によって異なる点もあるのかなというふうにも思っております。
なので、双方の規制のどちらが強くてどちらが弱いかというのを一概に論じるというのは困難なところもありますが……
○井上委員長 既に時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
○中野国務大臣 はい、分かりました。
引き続き、国土交通省と金融庁が連携をして適切な運用の確保に努めるとともに、やはり時々の状況に応じて制度の充実等を図っていくことは重要なことであると思います。不動産特定共同事業においては、一般投資家の参加も増加をしております。有識者などから構成をする検討会を設けさせていただきました。開示情報の充実等を検討するところとしたところでございます。
こうした検討などを通じ、不動産特定共同事業がより充実した制度となるよう、金融庁とも連携しつつ取り組んでまいりたいというふうに思います。
○緒方委員 最後にもう一問だけ。
ポンジ・スキーム規制が今の不動産特定共同事業法の中で十分だというふうに思われますか。大臣。
○中野国務大臣 不動産特定共同事業法の運用に当たっては、国交省と金融庁も連携をさせていただいております。逐次、不動産、金融両面から、監督上の留意事項の通知等を行うなど、適切な運用の確保に努めてきたところでもございます。
ただ、いずれにしても、先ほど、検討会を設けたという話もさせていただきました。今後、開示情報の充実等、また検討させていただき、金融庁とも連携しながら取り組んでまいりたいというふうに思います。
○緒方委員 終わります。
○井上委員長 次に、阿部弘樹君。
○阿部(弘)委員 日本維新の会の阿部弘樹でございます。
最初に、周辺水域の警備状況等について、海域の安全について御質問させていただきます。
実は、私は、九州の地元で金刀比羅神社というところの宮司をしております。九州で最初に金刀比羅神社ができまして、江戸時代には海難救済の絵馬がたくさん奉納されてありまして、嵐に遭ったときに船がどういう作法でその海難を免れるかという絵馬もございます。まず帆を畳む、次に荷を捨てる、そして最後はまげを切る、まげを切った後はひたすら神仏に祈るという姿の絵馬がございます。
でも、時代は進みまして、四国の琴平町にあります金刀比羅神社が音頭を取りまして、海難救済ということについては非常に近代の技術が進んで、様々な海難救済の組織や、あるいは手続も進んできたことだと思っておるわけでございます。
現在の海難救助の仕組みというものは大まかにどのようになっているか、答弁いただければありがたいと思いますが、全国十一管区ある地区の救済はどのようになっておりますでしょうか。お願いします。
○瀬口政府参考人 お答えをします。
海上保安庁におきましては、全国各地に設置しております海上保安部署、それから航空基地に巡視船艇及び航空機をそれぞれ配備し、所要の体制を整えているところであります。加えて、救助のスペシャリストであります特殊救難隊を羽田に、また各航空基地に機動救難士を配置し、日本周辺海域で発生する海難に迅速に対応できる体制を整えているところであります。
○阿部(弘)委員 海難救済の救急通報の番号というのは一一八番。一一八番というのは、海の上で様々な事故、SOSを求めるときに電話をかけられる方々が連絡する番号。ちょうど一一九番や一一〇番に相当するような番号ではないかと思いますが、これについてはどういう通信の仕組みで行われてまいりますか。
○瀬口政府参考人 委員御指摘のありました一一八番、緊急通報用電話番号でございます。これにつきましては、全国の管区本部で二十四時間体制で海難あるいは事故の情報を受け付けている状況でございます。
○阿部(弘)委員 船に乗ってある方々、あるいはそういう通信システムを持ってある方々は、当然そこに連絡は行くわけでございます。
一方、遊漁船などで瀬渡しで岩場で釣りをしている、こういう方々が海に落下したときには、そういう一一八番に連絡しようにも連絡しようがない。そういう方々が救いを求めるときには、どのようにすればよろしいんでしょうか。
○瀬口政府参考人 お答えをします。
海上保安庁では、事故当事者からの携帯電話による一一八番通報のみならず、幅広く事故に関係する情報を入手するため、漁業者や海事関係者を始め広く国民に対し、海上保安庁への情報提供がなされるよう周知啓発を行うなど、海難情報の早期入手に努めております。
また、ライフジャケットの常時着用のほか、家族へ目的地や帰宅予定時間を伝えておくことなど、自らの命を守るための具体的な方策についても周知啓発を行っております。
その上で、海難が発生した場合には、警察、消防等の救助機関や民間救助組織と緊密な連携協力体制を確保し、必要な対応を迅速に行っております。
引き続き、海難救助に迅速的確に対応し、国民の安全、安心の確保にしっかりと努めてまいります。
○阿部(弘)委員 長官、何も答えになっていないですよ。海上に落下した方々、知床遊覧船でもそうですよ、あの方々は携帯電話が通じないところで海上の中に放り込まれたんですよ。みんなお亡くなりになられたり、救助された方々は僅か。これは江戸時代と変わらないじゃないですか、あなた。何もやらないつもりですか、今後とも。
○瀬口政府参考人 お答えします。
繰り返しになりますが、事故当事者からの一一八番通報のみならず、幅広く事故に関係する情報を入手するため、漁業者や海事関係者を始め広く国民に対し、海上保安庁への情報提供がなされるよう周知啓発を行うなど、海難情報の早期入手に努めております。
また、ライフジャケットの着用のほか、家族へ目的地や帰宅予定時間を伝えておくことなど、自ら命を守るための具体的な方策につきましても周知啓発を行っているところであります。
○阿部(弘)委員 長官、もっと気の利いた回答があると期待していましたよ。
例えば、今の時代、知床周辺は、陸上や離島、僻地は、携帯電話が通じるような仕組みを総務省が考え始めている。あるいは、湾岸についても、沿岸についても、そういう仕組みを考え始めている。
しかし、そこは総務省に聞きますけれども、Nシステム、NTTのNを取ったシステムでしょう。でも、これはヘルツ数がちょっと大き過ぎる。だから、携帯電話には向かないんですよ。
もっともっと、国民がプレジャーボートに乗ったりあるいは遊漁船で岩場に行ってそこで落下したときの仕組み、例えばGPSをつけたライフジャケットをどんどん普及させる、そんなものはサービス会社にすればいいじゃないですか。飛行機だって、ブラックボックスがあればすぐにレコーダーを解読できる。GPSをライフジャケットにつけるなんて今は簡単ですよ。そうすれば、いち早く、行方不明者の、あるいは漁民の行方が分かるじゃないですか。そういうことを考えようなんて、何度も私が質問しても、同じ回答をするつもりですか、この委員会で。お答え願いたい。
○瀬口政府参考人 お答えします。
海上保安庁におきましては、一一八番通報以外にも、世界中のどこの海域からであっても衛星等を通じて救助を求めることができるよう、二十四時間体制で遭難警報に関する海難情報の受付を行っているところであります。
これらにつきましては、衛星を活用した通信、こういったものもしっかり活用しているところでございます。
○阿部(弘)委員 長官、それはN―STARのことを言っているんでしょう、静止衛星のことを言っている。静止衛星は、先ほど言ったように、周波数が非常に大きいから、固定電話でしか対応できないんですよ。携帯電話で対応できるようには、どうしたらいいんですか。総務省、来ていますか。
○荻原政府参考人 お答え申し上げます。
携帯電話につきましては、陸上からおおむね十キロから二十キロメートル程度の沿岸部では一般に利用可能となっておりまして、各携帯電話事業者は、海上も含めたエリアマップを公表しております。
一方、陸上に基地局がない地域ですとか、あるいは地理的、技術的な制約により電波が届かない海域もある、そういうふうに承知してございます。今後、そういった海域につきましては、携帯電話の不感地域の解消に向けまして、自治体等からの御要望をいただければ必要な検討を行ってまいりたいと考えてございます。
○阿部(弘)委員 電波が届かない区域というのは、離島や半島、あるいは海上はもちろん、そういうところをサービスする、利用者が非常に少ないわけですから、そういうことは想定されていないというふうに考えます。
私は、前回、有事のことをお話しさせていただきました。有事の際に、対馬丸事件、対馬丸が沈没した、疎開の子供たちがたくさん死んだ海難事故というのは、海上保安庁の長官、御存じですか。
○瀬口政府参考人 いわゆる対馬丸事件については、詳細につきましては承知をしておりません。
○阿部(弘)委員 勉強会のとき言ったじゃないですか、調べてくださいと。都合が悪くなると、詳細のことは知りませんと。歴史の教科書に載っていますよ、そんなもの。疎開の子供たちが、機雷か魚雷か、沈められて、多くの子供たちが死んだ。
そういう子供たちを救うための方策というのは、海上保安庁、考えていないんですか。
○瀬口政府参考人 海上保安庁につきましては、早期に海難情報を入手するとともに、海難が発生した場合には、警察、消防、自衛隊、こういった関係機関としっかり連携し、迅速に救助してまいります。
○阿部(弘)委員 オウム返しの答弁をするためにこの委員会へお越しになるんだったら、あなた、来なくていいですよ。私、大臣に直接聞きますから。今日は大臣に通告していないから、大臣に聞きませんけれども。
あなた、有事の際にどういうふうな想定をするかというのは、国を挙げて、内閣府、様々な取組を始めているんですよ。海上保安庁も、そういう海難事故、それも有事の際の海難事故も含めて、しっかり考えていただきたい。
総務省が今日お見えですから、ちょっと総務省にお伺いします。
あなた、N―STAR、静止衛星で、どこまでカバーできると思っているんですか。もっと、スターリンクみたいな通信衛星のことを想定されたらいかがですか。有事の際は、移動型衛星で大容量を通信、運んで、そして鉄塔などが要らなくて済むような仕組み、特に雲なんかを、水蒸気があっても大容量を飛ばせるような仕組みというのはいろいろあるわけじゃないですか。あなた方がN―STARの話をされてから、ちょっと二十年遅れだなと思って。
もう少し新しい技術革新の考えはないんですか。総務省にお伺いします。
○荻原政府参考人 お答え申し上げます。
今お話ございました衛星コンステレーション、いわゆる低軌道を回ります衛星を活用したインターネット回線サービスも最近普及をしております。例えば、スターリンクに関しましては、今では公海上でも御利用いただけるようになっていますので、高速のデータ通信が可能になってございます。
今、携帯電話事業者の方では、スマートフォンと直接スターリンクと通信ができるようにするためのサービスを検討しておりまして、まだ当面は文字のみの送信しかできないそうですが、いずれは音声等もサービスを検討しているということも聞いております。
また、先ほどお話のありましたN―STARに関しましては、確かに、使用できる地域は海上二百海里という範囲と承知しておりますけれども、一一八番を使えるという意味では、衛星通信サービスの中では数少ないサービスかというふうに承知してございます。
○阿部(弘)委員 ちょっとこのことで時間を取り過ぎていますので、海上保安庁、次の項目に移ります。
大和堆の海外の違法操業について、これはずっと毎年訓練をやっていましたが、令和六年はやっていないんですか。インターネットで調べても、訓練の様子が出てこないんですけれども、海上保安庁と。
○瀬口政府参考人 お答えします。
水産庁とは緊密な連携を図るため、例年、巡視船と水産庁取締り船による違法操業外国漁船への対応を想定した合同訓練を実施しております。昨年も実施しております。
○阿部(弘)委員 ホームページを更新してくださいよ。更新されないものだから、やっているのかどうか分からない。
もちろん、二〇二一年、中国船籍はうちの船じゃないと言い張って、その船は無国籍船ということで、放水などでの対応を行ってあるそうですが、直近のホームページでは、令和何年だったかな、一年間に三十八件の外国船に退去警告を行ったということですが、直近の一年は、その件数は減ったんですか、増えたんですか。
○瀬口政府参考人 お答えします。
昨年は、五月下旬以降、大和堆周辺海域に近づこうとする北朝鮮漁船延べ七隻に対し、退去警告を行い、我が国排他的経済水域の外側に向け退去させております。
○阿部(弘)委員 その前の年が三十八件だったから、八件というのは非常に減ってきていますね。
例えばイカ釣りなんというのは、一度出たら四十日ぐらい操業して、北へ北へ追っかけるそうですが、なかなか、四十日も保管できる魚というのはイカぐらいしかないのかなと。ただ、イカというのは非常に大切なもので、私の地元の福岡県沖ノ島周辺でも、イカというのはたくさん捕れるわけでございます。
そういう外国船の違法操業が漁獲高に影響しているんじゃないかというおそれなどもあるわけでございますが、そういった点はいかがですかね。
○魚谷政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の外国漁船の操業状況につきましては、韓国については平成二十八年七月以降、中国については平成二十九年六月以降、それぞれの国との漁業協定に基づく交渉が合意に至っていないため、現在は、これらの外国の漁船は我が国の許可が必要な水域では操業できないという状況にございます。
また、外国漁船の違法操業を防止するため、水産庁においては、漁業取締り船を配備をいたしまして、監視、取締り活動を行っているところでございます。
今後も、海上保安庁と連携をして、外国漁船の監視、取締りに当たるとともに、我が国漁船の安全な操業の確保に万全を期してまいります。
なお、スルメイカの不漁についてでございますが、この原因につきましては、産卵場の水温上昇などの環境が不安定化し、卵、幼生の発生量が減少したこと、産卵期の遅れにより冬季の厳しい環境の影響を受けやすくなり、生き残りが悪化したこと、日本海における分布域が変化をし、我が国以外の水域における外国漁船による漁獲が増大したことといったところが、資源量の減少が継続しているということが、この不漁の主な原因と考えられているところでございます。
○阿部(弘)委員 時間が迫っています。なので、次の質問に移ります。JRの新駅構想について。
私は福岡県四区というところを選挙区としておりますが、福岡市と北九州市の中間に位置します。この地域というのは、非常に人口が増加し、トヨタの工場があったり、あるいは九州の中でも比較的元気な地域でございます。
元気な地域で人口も増えてくると、当然、駅を新設してくれという要望、あるいは工場関係のアクセスを増やしてくれということもあるわけでございます。その一つが、山陽新幹線の博多駅、小倉駅の間に、中間地に駅を新設してくれ、あるいは、鹿児島本線の、北九州市、福岡市の中間である宗像市というところに、東郷駅、赤間駅の間に駅を新設してほしいという要望があるわけでございます。
そういう要望も、もちろん地元の期成会なども今後できるというふうに報道されてはありますが、そういった点の要望というのは、どのようにして駅ができていくのか、その点についてお答えいただければ。
○五十嵐政府参考人 お答えをいたします。
鉄道の新駅の設置についてお尋ねがございました。
鉄道の新駅の設置につきましては、基本的には鉄道事業者の経営判断に委ねられているところでございまして、鉄道事業者と沿線自治体を始めとする関係者との間で、需要の見通しや費用負担の在り方などについて協議を行っていただくことが必要であると考えております。
委員から御指摘のありました新駅設置の構想につきましても、まずは、関係する鉄道事業者や沿線自治体との間で様々な検討を進めていただくことが重要である、このように考えております。
以上でございます。
○阿部(弘)委員 もちろん、地元の熱意が非常に高まったら是非とも。
許可をするのは国土交通省ではないんですか。
○五十嵐政府参考人 お答えいたしますが、新駅設置に係る鉄道事業法の手続についてお尋ねがあったというふうに理解をして、お答えをさせていただきます。
駅の施設につきましては、鉄道事業法に基づきまして、事業基本計画に記載をすることになってございますので、事業基本計画の変更の認可というものを御申請いただきまして、私どもの方で必要な審査をした上で、まず認可をする。それから、建設に当たりますと、鉄道施設の変更についても認可という手続がございますので、実際に事業基本計画の変更認可をした後に、鉄道施設の変更の認可申請をいただきまして、鉄道施設が安全なものになっているかどうかということを審査した上で認可をさせていただき、その後、新駅の工事に入ります。新駅の工事が終わりましたら、工事の完成検査というものも、これも鉄道事業法でする必要がございますので、これの完成検査で、安全上等、基準に問題がないと合格いたしましたら、新駅の営業になるという手続でございます。
以上でございます。
○阿部(弘)委員 そういう申請があったら、是非とも温かく申請を受け付けてください。
一方、高速道路も、やはり……
○井上委員長 時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。
○阿部(弘)委員 はい。
スマートインターチェンジの設置の要望が上がっておりますが、高速道路のスマートインターチェンジについては、どのような手続が必要になってきますか。
○井上委員長 いや、時間が経過しておりますので、終了してください。
○阿部(弘)委員 はい。
では、終わります。
○井上委員長 次に、鳩山紀一郎君。
○鳩山(紀)委員 国民民主党・無所属クラブの鳩山紀一郎でございます。
本日は、一般的質疑ということで、私が交通分野の研究者として議論をしてきたような、そういう話題から幾つか取り上げて質問をさせていただきたいと思っております。
一つ目の話題は、超小型モビリティーというものについてであります。
国土交通省の定義によりますと、超小型モビリティーというのは、一人から二人乗り程度の小型で低速な電動車両で、都市部や地方での近距離移動を効率的に行うためのモビリティーというふうにされております。今、配付しております資料にもございますように、トヨタですとかホンダ、日産といったようなところの車両が有名でございます。
こういった車両を特に地方の都市などに置いて活用するということで、高齢者の方ですとか子育て世代の方々のモビリティーを高めることができるというその可能性が指摘されて久しいところでございます。
そこで、中野国土交通大臣にお伺いしたいんですが、大臣として、このような超小型モビリティーの活用可能性については、現時点でどのように受け止められていらっしゃるか、お聞かせいただけますでしょうか。
〔委員長退席、中谷(真)委員長代理着席〕
○中野国務大臣 鳩山委員にお答え申し上げます。超小型モビリティーについて御質問いただきました。
軽自動車のうち最高速度が低く、サイズの小さい自動車でございます超小型モビリティー、これは、環境に優しい、そして高齢化社会における地域の足の確保の観点からも有効な乗り物ではないかというふうに考えております。
このため、国土交通省では、一つは超小型モビリティーの特性を踏まえました車両基準の整備でありますとか、自治体による運転者への教育等の措置を講じることを条件として一部の車両基準を緩和をいたしました超小型モビリティーの認定制度の創設、こうしたことによって普及を支援をしているというところでございます。
国土交通省では、こうした取組を通じまして、市場のニーズも踏まえつつ、今後も超小型モビリティーの普及を支援をしてまいりたい、このように考えております。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。
活用の可能性については一定程度御理解をいただいているというふうに理解をいたしました。
超小型モビリティーの特徴を改めて整理をさせていただきますと、まず一つ目としては、車幅が狭いんですね。そのために、空間の占有面積が小さくて済むので、これは要は表面積が大きいと当たる確率が高いということで、実は事故が発生する確率も低い。それから二つ目は、軽量であるということですね。そのために、エネルギー効率がいい、先ほどおっしゃってもいましたけれども。また、事故が起きたときの加害性、当たったときにけがをさせてしまう、そういった加害性も低いというような特徴がございます。また、三つ目としては、実は時速も六十キロぐらいまで出るということで、それなりに速くて車の流れに乗ることもできる、そういうようなところが特徴として挙げられますけれども、実は問題点もありまして、こちら、資料の表を御覧いただきたいと思うんです。
これは、普通自動車以下の車両の規格をまとめたものですが、従来の超小型モビリティーは、先ほどもおっしゃっていましたけれども、軽自動車扱いである、車検も保有のためのコストも軽自動車と変わらない、にもかかわらず、二人乗りだったりとか高速道路に乗れないとか、そういうデメリットも多いわけです。特に、先ほどおっしゃっていた認定車に関しては、その自治体の中でしか走れないといったような制限もございます。そのため、なかなかはやっていかない、そのようなところが問題としてあります。
これは何かいい方法はないかということを考えたときに、ここの一番左に書いておりますミニカーに新規格をつくるというのが実はベストなんじゃないかというような議論が専門家からは出てきております。
具体的には、ミニカーの規格のままで、最大乗車定員を一名から二名に増やすというようなアイデアがございます。つまり、高速道路を利用できないけれども、近場に、夫婦ですとか親子二人、子供だったら二人乗っけて三人ということもあり得るかもしれませんが、それで出かけられるような、車検も車庫も必要ないような、そういう規格をつくるということであります。車検なしというのが、ひょっとすると安全性上問題だということになるのであれば、車検に代わる簡易的なメンテナンスの制度を設けてもよいのではないかと思っておりますが。
ここでお伺いしたいんですけれども、ミニカーの道路交通法上の最大乗車定員を現行法の一人から二人に変更するというのはすぐに可能なんでしょうか。それとも、変更するためには、クリアしなければいけない条件などあるんでしょうか。それを具体的にお教えいただければと思います。
〔中谷(真)委員長代理退席、委員長着席〕
○阿部政府参考人 お答えいたします。
今御指摘ありました、いわゆるミニカーでございますが、道路交通法上、一般原動機付自転車に該当せず、普通自動車に該当し、かつ、総排気量〇・〇五リットル又は定格出力〇・六キロワット以下の原動機を有するものでございます。その運転には、普通自動車免許を要する一方で、お尋ねの乗車人員につきましては、ミニカーに適用される制限がございます。具体的には、一般の普通自動車の乗車定員につきましては、その自動車検査証等に記載された乗車定員になるのに対しまして、ミニカーにつきましては、道路交通法第五十七条第一項に基づく同法施行令第二十二条第一号において、乗車定員が一名と規定されているところでございます。
したがいまして、ミニカーの乗車定員を二人とするためには、この道路交通法施行令の見直しが必要となります。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。
技術的には、近年、エンジンの性能向上も踏まえれば製造可能でありますし、実際に、資料の一ページ目の左下、こちらにお示ししたような車は、NNCモビリティというところが試作したもので、規格自体は満たしているということでございまして、また、二人目を加えたことによって事故が起きやすくなるのではないかみたいなことは基本的にはないということを考えますと、先ほどおっしゃったようなところを変えていくということができればいいのかというふうに私としては解釈をいたしました。どうもありがとうございます。
このようないろいろなポイントをクリアをした上で、これからどのようにミニカーに関する規制に関して緩和というか改正をしていくかというところについても、具体的に相談をさせていただきたいというふうに思っております。どうもありがとうございます。
次に、ETC二・〇についてお聞きしたいと思います。
ETCについては、多くの方が既にお使いだというふうに思います。当時、高速道路の料金所渋滞というものが深刻化していた中で、二〇〇一年に導入が開始をされまして、今やほぼ全ての高速道路利用者がETCを利用するようになりまして、料金所渋滞の解消に大きな役割を果たしたところであります。
そのETCの進化版がETC二・〇ということで、こちら、資料にもお示ししておりますけれども、従来の料金徴収の機能に加えまして、広域の交通渋滞情報とか安全情報というのをカーナビに提供したりもできるんですが、その代わりに、車両の走行履歴それから挙動履歴、これを車載器が一旦収集をいたしまして、それで、高速道路や一般国道に設置されたITSスポットというものがございます、路側機なんですが、そこの横を通行するとそのデータが吸い上げられる、回収される、そういった仕組みでございます。いわゆるビッグデータということで、その活用可能性については、私も含め研究者たちが大いに期待したところであります。大体、二〇一八年頃の話です。
しかし、このデータを実際に研究として使用してみようとしますと、例えば地方都市においてはデータが少ない、率直に申し上げて使用しにくいデータであるということが分かったりいたしまして、使用するのを諦めた研究者も私も含めていたというふうに記憶をしておるところです。
そこでお伺いしたいんですが、このETC二・〇に対して、これまでどの程度の国費が投入されてきたのかということであります。なかなか調べてみても数字が分かりませんので、分かる範囲で教えていただければと思っております。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
ETCにつきましては、まず、開発の段階、これは官民共同で研究開発を行ってまいりました。そういった経緯がありますので、その開発に当たって要した費用は、なかなか正確な算出が困難でございます。
あと、車載器につきましては、これはETCの車載器でございますので、基本的に利用者の御負担で購入をいただいているということでございます。
委員のお話にありました路側機につきましては、これは道路管理者で設置をしてきております。現在の高速道路と直轄国道の上に合計四千二百基設置をしております。一基当たり大体一千万円ぐらい費用がかかりますので、掛け算をいたしますと、この整備に要する費用、約四百二十億円ほどこれまで投じてきたということになります。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。分かりました。
設備投資という意味だと思いますが、それだとそれぐらいということで、もちろん四百二十億、それも安くはありませんけれども、ETC二・〇を導入するための研究開発費を含めますと、相当な国費が費やされてきたんだろうなということは間違いないのではないかなと思っているところではあります。
いずれ具体的な数字も伺えればとは思いますが、ここでかなり国費が投じられてきたという前提でお話をしますけれども、ETC二・〇の現在の普及状況、これについても教えていただきたいと思います。
高速道路利用者を分母とした利用率については、こちら、資料にも最後のページにお示ししたとおりで、令和七年の一月段階で、全体でETCは九五%使われていて、ETC二・〇は三六・五%ということですが、ちなみに、中型車以上のETC二・〇利用者は七二・六%と高いのは、貨物の運送事業者に対する料金優遇措置などがあるためだというふうに考えられます。
では、一般道を走る自動車を全体として見た場合には、どの程度の混入率になるのか、また、地方部と都市部での差というのはどんな感じなのかということを教えていただきたいと思います。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
車載器をセットアップされた数を地域別の状況で見てみますと、セットアップをされた台数をそれぞれの地域の自動車保有台数で割ってみた数字でございますけれども、全国では約一六%、首都圏の一都三県では約二九%ということでございますので、地方部に比べて都市部での普及が進んでいるということが言えるかというふうに思っております。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。
自動車の様々な動きを把握するという分析をするためには、全国で一六%、首都圏二九%ということですので、地方部だともっと低いということだと思いますので、特に地方部での普及にはまだまだ課題があるように思っております。
この普及率を今後上げていくためには、何らかの創意工夫が必要になるのではないかと思いますが、その一つの可能性として、データのオープン化というものがあるのではないかと思っています。少なくとも、令和三年の末の段階におきまして、社会資本整備審議会の道路分科会の基本政策部会では、データのオープン化について議論がなされたように見受けられますが、現在の状況というのはどのようになっておりますでしょうか。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
ETC二・〇のデータ、非常に貴重なデータであるというふうに思ってございます。
このデータについて、これをオープン化していくということについて、民間企業と共同研究を実施をしてまいりました。平成三十年度から令和四年度まで実施をしてまいりました。プライバシーの保護だとかセキュリティーの確保に留意をしつつ、具体的にどういった配信サービスに活用できるのか、そういったことを検討してきたということでございます。
ただ、この共同研究の中で、民間企業あるいは地方公共団体へのヒアリングを実施をいたしましたけれども、先ほど委員御指摘がありましたように、このETC二・〇のデータについて、プライバシーの確保の観点から情報の一部を秘匿化をしている、例えば、どの車のデータか分からないように処理をするとか、あるいは起終点の五百メーター以内のデータは消去してしまうとか、そういったことをやっております。また、地域によってデータの量が少ないというようなことでありますとか、あるいは、データが来るまでに、路側機の下を通らないといけないということがありますので、リアルタイム性というところに劣るというような課題も指摘をされておるところでございます。
今、国土交通省では、こうした課題も踏まえながら、こういった課題にどう対応していくのか、そういったところについて検討を進めているところでございます。そういった課題を克服しながら、できるだけ早く早期のオープン化に取り組んでいきたいというふうに思っております。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。
早期のオープンデータ化というのはなかなか難しそうだと思いますが、グーグルが個人データを取っているにもかかわらずオープン化していませんので、国土交通省のETC二・〇のデータが出てくると、それはいろいろなビジネスだとかサービスが生まれてくることにつながると思うので、是非進めていただきたいと思います。
ここまでの議論を踏まえて、最後、中野大臣にお伺いしたいんですが、鳴り物入りで今回導入されたETC二・〇ですけれども、現時点での受け止めとして、失敗だったと評価されるか、それとも成功と評価されるか、又は、今後どういうような新たな展開というのがあるというふうなお考えか、お伺いしたいと思います。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
様々、専門的な観点からも今日御指摘いただきまして、ありがとうございます。
ETC二・〇、受け止めと今後の展開ということで、ETC二・〇は、料金収受機能に加えまして、ドライバーへ情報を提供するという機能と、また、あと、走行履歴のデータの収集機能、これが活用できるところだと思っております。
今の取組ですと、走行履歴を把握できるETC二・〇の搭載車を対象のサービスとして、例えば、道の駅の休憩施設等へ一時退出をするときにターミナルチャージを取らないということであるとか、圏央道でも迂回をするときの割引などをやったりですとか、あるいは、ドライバーへ渋滞情報等を提供したり、そして、走行履歴データを収集するということで、いろいろな渋滞などの対策、こうした対策に活用したり、災害時においては、この道が通れる、そういうマップを作ったり、あるいは、希望される物流事業者へは、自社車両の位置情報の提供……
○井上委員長 既に時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
○中野国務大臣 様々やっているところでございます。
今後の活用ということで、例えば、観光施策の取組の支援に活用したり、あるいは、運転特性に応じた保険ですとか、こうしたサービスとの連携、更なる利活用も期待されるというところでございますので、こうした新たな活用方法も含めて、このETC二・〇の機能を最大限発揮できるように、利用の拡大に取り組んでまいりたいと思います。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。
せっかく多額費用をかけて導入したので、何かいい活用方法はないか、引き続き議論をさせていただきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
○井上委員長 次に、赤羽一嘉君。
○赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
今日は、与えられた時間は十五分という短時間でございますので、観光立国政策について絞らせて御質問させていただきたいと思います。
観光立国、改めて申し上げるまでもなく、我が国の、例えば地方創生という観点では切り札だと思っておりますし、これからの我が国の成長産業という意味でも、国が進めていかなければいけない大変大事な政策だというふうに思っております。
現実には、二〇三〇年、インバウンドでいいますと六千万人、そして十五兆円の消費額という大きな目標は掲げられておるわけでございますので、この目標の達成についての責任者というのは総理大臣であるわけでありますけれども、現実には具体的な戦略を立てていくのは国土交通省を挙げて取り組まなければいけない、そういう観点で今日は質問させていただきたいと思います。
その中で、我が国の観光資源にとって大変重要な観光地であります能登半島の和倉温泉の復興について、まず端的に御質問させていただきますが、和倉温泉につきましては、二十一軒の旅館がございますが、今、営業できているのは小さな四軒だけということでございまして、ほぼ、まだ営業が復活できていないという状況です。二十一軒のうち、建て直しをしなければいけないのが十軒でありますけれども、公費解体が着手できているのは四軒のみ。この公費解体の四軒のうち、公費解体が終わっているのは一軒だけということでありまして、これは大変長い、先が見えないというか、将来展望がなかなか見づらい。
他方で、地元では、令和六年の、昨年の六月二十三日から、和倉温泉創造的復興まちづくり推進協議会という、青年会ですとかまちづくりの皆さんが一緒になりまして、復興ビジョン、和倉温泉復興プランも立てて、まさに、「能登の里山里海を“めぐるちから”に。和倉温泉」というスローガンで、立派な報告書も出ているわけでございます。しかし、この報告書を実現していくためには、かなり長い道程がかかっているのではないかということでございます。
当初、私自身足しげく通う中で、和倉温泉周辺の護岸の所有権が様々な所有形態になっておりまして、この護岸の整備というのは大変難しいんじゃないか、漁業組合の問題もありますし、所有者の利害相反もありますので。
しかし、これは国交省の港湾局を中心に非常に堅実にやっていただいているというふうに承知をしておりますので、現在の護岸の復旧工事の進捗状況について、簡潔にお答えいただければと思います。
○稲田政府参考人 和倉温泉は、能登復興の拠点として必要不可欠な地域であるとともに、極めて重要な観光資源であると考えております。
和倉温泉の被災した海沿いの護岸の復旧、再整備につきましては、委員御指摘のとおり、阪神・淡路大震災におきまして被災した民有護岸を公共帰属した事例を参考にして、旅館を営む事業者が所有していた民有護岸を公共帰属した上で、国土交通省が一括して工事を進めることとしております。
現地の復旧につきましては、昨年の十二月に全面的な着工をしまして、先月三月十九日からは海上工事を開始するなど、工事を本格化しているところでございます。旅館の営業再開を踏まえつつ、令和八年度中を目途に、できる限り早期に復旧を完了できるよう、地元関係者とも緊密に連携しながら、鋭意取り組んでまいります。
○赤羽委員 この問題というのは、とかく漁業組合との損害賠償とかが出がちなんですけれども、これは当初から漁業組合もパートナーとしてやっていったとか、港湾局長自ら陣頭指揮に立ったということは大変大きかったというふうに思っておりますし、地元の観光業界も、この護岸の問題が一番順調に進捗している、これからの復旧復興は大変だけれども、心強いということを言っておりましたので、余りめったに褒めないんですけれども、今日は褒めさせていただきたいと思います。
もう一つは、地元で今一番大変だと思っているのは、やはり従業員の確保、ただでさえ人手が不足しているのに従業員の確保ということで、雇用調整助成金の一年間の再延長は決まりましたが、地元の認識は、もうこれ以上の延長はないというふうに思っているところでございます。
ただ、雇用調整助成金というのは、景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた場合には、その雇用する対象労働者の雇用の維持を図るために、労使間の協定に基づき雇用調整を実施する事業主を支給対象とするとなっておるので、こうした災害で事業が継続できないというのは、不可抗力でこうなった場合には、私は当然、再延長ということも視野に入れないと、これはせっかく建物が建っても、実際、人手がなくて営業はできない、観光立国にとって大変大きなダメージになってしまうということがあるので。
多分、雇用調整助成金を預かる厚生労働省は、コロナで大変な状況になってしまったという、非常に保守的だというふうに私は思っておりますけれども、これは、観光庁がやはりしっかり腰を据えてこのことについて交渉をして、責任を持ってこの雇用調整助成金に係ることについては手当てを尽くすということは、地元に発信するということは私は大事だと。
ここが、何というか、先行きの見通しができないので大変不安に思っているのが現地の状況でありますので、ここは観光庁の責任ある答弁をいただきたいと思います。
○平嶋政府参考人 能登地域におきまして、今後の復興復旧に取り組んでいくためにも、被害を受けた観光地で働かれる人材の確保というのは非常に重要であると考えております。
観光庁としましては、これは全国の取組になりますけれども、宿泊事業者の採用活動の支援、求職者に対する宿泊業の魅力発信に取り組むとともに、和倉温泉の魅力ある再生に向けての取組、全般としてですけれども、令和六年度補正予算を活用した支援事業を通じまして、専門家派遣等の支援を行っているところでございます。
今委員からお話がございました雇用調整助成金につきましては、措置が継続して実施中のものであり、また、制度の運用に関しては所管する厚労省の方での話となるため、当方からはお答えがちょっと難しい面はございますけれども、被災した旅館の復旧状況など、現場の実情というのを丁寧によくお聞きしながら厚労省に伝えていき、また、関係省庁と連携して、被災地の声にしっかり耳を傾けながら、被災地の旅館の観光復興に向けて全力で、人材の面も含めて取り組んでまいりたいと考えております。
○赤羽委員 まあ、この委員会の場で、所管じゃないところについて回答ができないというのは、それは役所の立場としてはそうであっても、やはり雇用を守らなければ再開はできないんだから、私の思いは、もし雇用調整助成金で調整ができなかった場合でも、観光庁の予算として何らかの手当てをするという決意を持って臨んでいただきたいということを強く求めておきたいと思います。
この和倉温泉については以上で終わりますが、次に、私たち公明党は、各地で今、観光立国推進議員懇話会ということを展開をしております。これは、観光立国を進める上で、やはり様々な課題がある。地方誘客をしていかなければいけないとか、地方は地方の問題があるという思いで、先日も山形で観光立国推進議員懇話会をやってまいりました。その山形から言われた要望について、手短に、簡潔に質問したいと思います。
やはり、どの地方都市、観光都市も、外国人の誘客をするためには、地方空港の問題、これは大事だということであります。もちろん、山形は山形の空港に直接、国際便のダイレクトという思いはありますけれども、まずはやはり、東北地方の主要空港である仙台空港の国際便の拡充について強く求められました。これは、事前に確認したところ、グラハンの問題もないし、スロットのスペースもあるということであるので、恐らく、これはトップセールスをして仙台空港に誘致する、そういう働きが必要だと思います。
これもある意味では観光庁の仕事なのかもしれませんが、そうした意味で、観光庁、まあどちらでもいいんだけれども、国交省として、この仙台空港の国際便の拡充というものを、増えるように、それは、どちらが先かは分からないけれども、地元から、観光業界からそういう要請があれば、しっかり国交省として取り組んでいただきたいと思いますので、御答弁をいただきたいと思います。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
二〇三〇年訪日外国人旅行者数六千万人の達成に向けましては、首都圏空港といった主要な空港のみならず、地方空港を活用した誘客が大変重要であるというふうに認識をしているところでございます。このため、地元自治体においてもトップセールス等に取り組んでいるほか、国土交通省におきましても、JNTOを通じた東北地方の観光プロモーションなどを実施しているところでございます。
こうした取組もございまして、現在、仙台空港の国際旅客定期便数につきましては、コロナ前、二〇一九年十月末は週二十九便であったところ、二〇二五年三月末では週三十七便ということで、コロナ前を超える水準に増加しているという状況でございます。
今後とも、地元自治体としっかり連携をいたしまして国際旅客定期便の増加に取り組んでいくとともに、国土交通省といたしましても、空港がボトルネックになってはいけませんので、空港業務における人材確保や業務効率化等の受入れ環境整備に引き続きしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○赤羽委員 地方空港の国際便が増便しているというのは、先日の委員会でも同じような答弁を局長からもらいましたけれども、まだスロットに余裕があって地元の要請がある、地方誘客を進めていかなければいけないという課題というのはあるわけで、国交省としてしっかりと取り組んでいただきたいということを強く求めます。
次に、やはり二次交通の問題がある。例えば、酒田港に国際クルーズが入った場合に、営業区内のタクシーではとても足りない。ですから、これは営業区域を越えてそれを認めてほしいという要望がありました。
私は、今回の関西の万博についてもそうですし、札幌の雪祭りのときもそうした措置は取られていると思う、だから可能ではないかということをその場ではお答えしたんですけれども、もう一度ここでしっかりと確認させていただきたいと思いますので、自動車局からの御答弁をいただきたいと思います。
○鶴田政府参考人 御指摘ありました大型クルーズ到着時などの移動需要の高まりに適切に対応していくことは、大変重要でございます。
道路運送法では、原則としまして、タクシーは発地と着地のいずれもが営業区域外に存する旅客の運送をしてはならないとされております。
その上で、例外としまして、一時的な需要増加が見込まれる地域で運送サービスの提供が困難な場合に、地方公共団体、タクシー事業者や住民等の関係者間で協議が調えば、営業区域外での運送を行うことができるとされております。
こうした仕組みを活用しまして、地域の関係者間で情報共有と協議をして、御指摘のようなタクシーによる運送を含めて、移動需要に適切に対応してまいりたいと考えております。
○赤羽委員 ありがとうございます。
これは、山形県の県のタクシー協会の会長自らの要望ですので、しっかり東北運輸局と連携を取っていただきたいと思います。
この二次交通の問題で、やはり自動走行をしっかりと、実証だけではなくて本格化操業をしていかなければいけないと私は思っておりまして、四国の伊予鉄グループで、松山観光港から高浜駅まで、自動運転レベル4の路線バス事業が、国のプロジェクトとして国の予算一〇〇%で展開されました。
伊予鉄グループに確認しましたら、これは大変ありがたいんだけれども、やはり一台についてとかワンショットの支援だと、一〇〇%いただいても、例えば具体的に言うと、遠隔監視システムを入れた、しかし、入れた以上、本格的にやるには五台とか十台オペレーションしたいけれども、一台分の助成しかないから一台しかない。
そうすると、恐らく、一年間終わると、何もそれは実際に役に立たなくなってしまうというようなことが私は危惧されると思いますので、これはやはり、そうした意味で、国家プロジェクトとする以上、もっと、今年は百億になると聞いていますけれども、しっかりと予算を措置するということと、実証実験で終わらせない、そういう取組が必要だと思いますので、こうした思いについて、局長からお答えいただきたいと思います。
○鶴田政府参考人 委員御指摘の自動運転移動サービスは、地域の足や観光の足の確保のほかに、ドライバー不足解消にも資するものでございます。
このため、国土交通省では、自動運転移動サービスの導入を目指す地方自治体の取組を、御指摘のありました事業により支援をしているところでございます。
今御紹介ありました松山の取組につきましても、この事業によって支援をしたもので、昨年十二月に運転者を要しないレベル4の運行を開始したところでございます。
今後は、御指摘も踏まえまして、全国的な視点で見て優良と言える事例に対して重点的に支援をしていくことで、観光地を含めて、自動運転移動サービスの全国的な、また継続的な展開に取り組んでまいります。
○赤羽委員 もう間もなく時間になりますので、もう質問はしませんが、最後に一言。
この山形で言われたことは、山形というのは、蔵王の樹氷は物すごく観光資源で、今、スキーシーズンということで大変なお客さんが来ている、しかし他方で、この樹氷の木が枯れ木化している、だから、樹氷がなくなってしまうんじゃないかということで、地元の大変大きな課題になっております。
このことについて、やはり、これまではどうしても、そうしたものは地元でやるべきだとかという話ですけれども、これは高付加価値化事業で国が予算を入れて面的な整備をずっと進めているわけですね。ですから、国の投資を入れて観光立国のベースをつくっているんだから、そのことについて、これは私的なパブリックセクターだからといって国が関与しないということではなくて、日本にとっても大変大事な樹氷をどう守るのかというのは、やはりこれは……
○井上委員長 申合せの時間が来ております。
○赤羽委員 政府を挙げてやらなければいけないと思いますので、是非、観光庁、環境省と連携を取りながら、地元の対応をよくしていただきたいということを強く求めまして、私の質問を終了させていただきます。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、堀川あきこ君。
○堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。
北陸新幹線の延伸計画についてお聞きをしていきたいと思います。
先日、三月二十五日に京都市内で自治体向けの説明会が開催をされました。非公開での開催ということでしたが、その後、二十八日、ルート上にある南丹市の市議会では、着工を認めないという決議が全会一致で上がっています。自然環境、景観破壊のおそれ、地下水への影響、巨額の地元負担金への懸念など、実に多くの重要な問題をはらんだルートであると考えるとした上で、地域住民及び本市議会の一定の理解を得られるまで、本市内の工事着手は認めないという内容です。
この二十五日の説明会に参加をしていた南丹市の西村市長は、概略を聞いただけで、影響が何%などと言われても分からないと。京都市の松井市長は、京都市から四つの懸念ということで、トンネル工事による地下水への影響など四つの懸念が示されていたわけなんですが、それが払拭されたとは思わないというふうに述べたということが京都新聞で報じられております。
そこで、国交省、鉄道・運輸機構の説明が妥当なのかを調べるために追加資料を要求したんですけれども、その提供が困難だというふうな回答でした。私が求めた資料は、一つは、東西線地下水位観測業務委託その八、観測業務その一からその八、総合解析報告書、これは地下鉄東西線工事の地下水への影響に関する資料です。
この提供困難だという理由を、国交省は、京都市作成の資料なので、情報提供の可否について国交省が最終判断を行うのは困難だ、京都市に問い合わせてほしいということだったんですね。そこで、私が事務所の方で京都市に問合せをしたところ、鉄道・運輸機構から入手してもらって結構というふうに確認をしています。国交省はなぜ資料を提供できないのでしょうか。
○五十嵐政府参考人 お答えいたします。
先生の事務所との議論のやり取りの中で、今先生から御指摘がありましたデータ、資料、報告書の提出ということはございましたが、鉄運機構及び鉄道局が入手しておりますのはこの報告書の一部だけでございまして、現にいただいておりますのは。先生の事務所からいただいている御要請は全体を提出せよという御指示でございましたので、現に全体を持っていない鉄道局から出すことについて判断することはできないことから、先生が先ほど御紹介されたように、鉄道局として、情報提供の可否について最終判断、文書作成者でない我々は判断できないという理由で提出できない旨を昨日御連絡したところでございます。
以上でございます。
○堀川委員 一部のみ、この資料のことですよね。しかし、この資料とそれ以外の資料に基づいて、国交省はある結論を出されていると思うんです。そのことを後ほど質問したいというふうに思うんですけれども、なぜその結論を出したのかということの資料を開示できないというのは、余りにもおかしいんじゃないかというふうに思います。
もう一つ提供が困難だとされた資料が、ボーリング調査に関する資料です。
この資料は、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律、これにおける法人文書に該当し、開示請求があれば、鉄道・運輸機構は開示の義務があるはずです。これはなぜ提供が困難なのでしょうか。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
北陸新幹線敦賀―新大阪間につきましては、鉄道・運輸機構におきまして、令和五年度より、北陸新幹線事業推進調査の一環として、敦賀―新大阪間の全線でボーリング調査等を実施をしております。
その上で、鉄道・運輸機構において、ボーリング調査で得られた地質のデータも活用し、地下水への影響についての分析や駅施設の概略設計などの検討を進めておりまして、その検討結果について、沿線の自治体に情報提供をするとともに、公表をしているところでございます。
他方、ルートの公表前に行われるボーリングの調査につきましては、整備新幹線の他の線区におきましても、事業の円滑な遂行に支障を及ぼすことなどを考慮して、ルートを公表する前の段階では公表をしていないものでございます。また、公表するには地権者の同意も必要と考えております。したがって、現時点では、この公表については慎重に検討すべきと考えております。
○堀川委員 提出できないとして、やり取りの中で、工事実施計画の認可前であるということをおっしゃっておられました。このボーリング調査は、通常、工事実施計画の認可が下りてからやるべきもののはずが、認可前にやるというルール違反をしておいて、資料を求めたら認可前だから提出できないというふうなことをおっしゃっているんですね。これは余りにも御都合主義じゃないかというふうに思うんです。
委員長、お諮りをお願いしたいんですけれども、この東西地下水位観測業務委託、観測業務総合解析報告書と、ボーリング調査の詳細な結果に関する資料を、当委員会に提出を求めたいと思います。取り計らいをお願いいたします。
○井上委員長 理事会で協議いたします。
○堀川委員 よろしくお願いします。
続いて、京都市営地下鉄東西線の工事による井戸補償の件と地下水への影響に関して質問をいたします。
資料二について御説明をしたいと思うんですけれども、これは二十五日の京都市内の説明会で使用された資料ですが、京都の地下水の水量と水質への影響として、京都市営地下鉄東西線の施工事例が示されています。四角の囲みの中の三つ目の丸のところで、二条駅―太秦天神川駅間のシールド工事区間について、「周辺井戸への影響はほとんどなく、補償件数はゼロであった」というふうにされています。
しかし、我が党の市会議員団が改めて京都市に求めた資料によると、二条駅から御陵駅間の工事で井戸の補償件数が二百九十か所にも及ぶということが分かりました。その数字を駅区間ごとに資料に記載をしています。
二条―太秦天神川駅間の井戸の補償件数は確かにゼロなんですけれども、二条駅よりも東の路線工事では相当数の井戸の補償があったということ、これは当然説明されるべきだと思うんですが、この井戸の補償について国交省は確認していたのでしょうか。確認していたのであれば、なぜその記述がここにないのでしょうか。お答えください。
○五十嵐政府参考人 お答えをいたします。
委員から御指摘がありました井戸補償が発生した地下鉄東西線の蹴上駅―二条駅間の工事につきましては、京都市交通局作成の京都市高速鉄道東西線建設小史によれば、工区ごとにシールドトンネル工法又は開削トンネル工法のいずれかの工法が採用されており、二つの工法が併用されている区間でございます。
あわせて、京都市交通局に提供を受けた施工時の地下水位変動を示す資料から、蹴上駅―二条駅間において、開削区間を中心とした地下水位の変動が見受けられる一方、シールドトンネル区間を中心とした変動は見受けられないことから、シールドトンネル区間の地下水位の低下は、隣接する開削区間の影響が及んだことによるものと考えております。
また、同建設小史におきましては、京都市営地下鉄東西線の工事のうち、二条駅―太秦天神川駅間の工事については、シールドトンネル工法が採用され、補償件数はゼロであったという記載がされているところでございます。
これをもちまして、説明会では、括弧書きで、建設小史に書いている文言として出したものでございます。
それから、先生御指摘がありました井戸の補償件数につきましては、私ども、報道では承知しておりますが、報道が出た後も京都市交の方に確認を求めておりますが、現時点で京都市交からの御協力が得られていないものですから、私どもで、この数字等が正しいかどうかの確認は現状できておりません。
以上でございます。
○堀川委員 京都市交通局が出している資料です。きちんと確認をお願いいたします。
開削区間の地下水位低下の影響がシールド区間にも及んだというふうに結論づけたいんだと思いますけれども、それは京都市も同じ結論なのでしょうか。
○五十嵐政府参考人 本件につきましては、京都市と突っ込んだ御議論をしたことがございませんので、現状で京都市がそのような認識であるかどうかは、お答えをできません。
○堀川委員 京都市は、地下鉄東西線の工事による地下水の低下について、これは検証がなされていないので、はっきりした結論を持っていないはずなんですね。
資料の二つ目の丸について、このことについて先ほど答弁があった中身について、妥当かどうかを確かめるために私は資料要求をしたわけですが、それをまともな理由なく拒否をされました。
きちんとした情報を開示せずに、国交省の出した結論だけ信じろというのは、余りにも横暴だと言わなければなりません。自分たちにとって都合のいい情報は出して、都合の悪い情報は隠すというそしりは免れないというふうに思います。その姿勢を根本的に改めるべき。
引き続き、この問題は取り上げていくことを予告しまして、質問を終わります。
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○井上委員長 次に、内閣提出、港湾法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣中野洋昌君。
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港湾法等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○中野国務大臣 ただいま議題となりました港湾法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明を申し上げます。
港湾は、海上輸送と陸上輸送の結節点であり、災害時における緊急物資や救援部隊の輸送拠点として重要な役割を担っております。
しかしながら、令和六年能登半島地震においては、港湾施設の被災、応急復旧に必要な資材の不足等により、一部の港湾において緊急物資等の円滑な輸送に支障が生じました。これを踏まえ、災害時において港湾が緊急物資等の輸送拠点としての機能を確実かつ迅速に確保できるよう体制を強化する必要があります。
また、近年、気候変動に伴う海水面上昇等の影響により、港湾における高潮等の被害が激甚化しており、今後この影響は更に深刻化することが懸念されています。これに対応するためには、港湾施設所有者等の協働に基づく護岸のかさ上げや貨物の流出防止対策等といった取組を促進する必要があります。
さらに、港湾管理者における技術職員不足が深刻化する中、港湾機能を適切に確保するため、国が港湾管理者を支援する体制を強化する必要があります。
加えて、洋上風力発電の導入を促進するため、港湾施設の効率的な利用を図る必要があります。
このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、緊急物資等の輸送拠点としての港湾機能の確保を図るため、非常災害により被災した港湾施設の応急復旧を緊急に行う必要がある場合における土石の収用等に係る措置等を講ずることとしております。
第二に、気候変動に伴う海水面上昇等に対応した港湾の保全を図るため、港湾管理者が協働防護計画を作成することができることとするとともに、同計画に定められた事業に係る協定制度の創設や、工事の許可の特例等の措置を講ずることとしております。
第三に、公共岸壁等の適切な機能確保を図るため、港湾管理者が管理する港湾施設について従前の機能を確保するために必要な改良工事を国土交通大臣が代行することができる制度を創設することとしております。
第四に、海洋再生可能エネルギー発電設備等拠点港湾における港湾施設の効率的な利用を図るため、発電事業者による一時的な利用の調整に関する協議会制度を創設することとしております。
その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案を提案する理由です。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
○井上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時九分散会