衆議院

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第6号 令和7年4月4日(金曜日)

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令和七年四月四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 井上 貴博君

   理事 勝俣 孝明君 理事 加藤 鮎子君

   理事 中谷 真一君 理事 城井  崇君

   理事 神津たけし君 理事 森山 浩行君

   理事 奥下 剛光君 理事 西岡 秀子君

      石橋林太郎君    大空 幸星君

      大西 洋平君    梶山 弘志君

      勝目  康君    加藤 竜祥君

      金子 恭之君    工藤 彰三君

      国定 勇人君    小寺 裕雄君

      小森 卓郎君    高見 康裕君

      田所 嘉徳君    谷  公一君

      土屋 品子君    西田 昭二君

      三反園 訓君    阿久津幸彦君

      尾辻かな子君    小宮山泰子君

      下条 みつ君    白石 洋一君

      津村 啓介君   長友よしひろ君

      伴野  豊君    松田  功君

      馬淵 澄夫君    谷田川 元君

      阿部 弘樹君    井上 英孝君

      徳安 淳子君    鳩山紀一郎君

      古川 元久君    赤羽 一嘉君

      中川 康洋君    西園 勝秀君

      たがや 亮君    堀川あきこ君

      福島 伸享君

    …………………………………

   国土交通大臣       中野 洋昌君

   国土交通副大臣      高橋 克法君

   国土交通大臣政務官    高見 康裕君

   国土交通大臣政務官    吉井  章君

   国土交通大臣政務官    国定 勇人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 松尾 裕敬君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    河南  健君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            伊藤 禎則君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  宮武 宜史君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  稲田 雅裕君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  平岡 成哲君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 伊藤 哲也君

   国土交通委員会専門員   國廣 勇人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月四日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     勝目  康君

  中川 康洋君     西園 勝秀君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     大空 幸星君

  西園 勝秀君     中川 康洋君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     小森 卓郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 港湾法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)


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     ――――◇―――――

井上委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、港湾法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、国土交通省海事局長宮武宜史君外八名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井上委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。加藤竜祥君。

加藤(竜)委員 おはようございます。長崎二区、自由民主党選出、加藤竜祥でございます。

 本日は、理事の皆様方を始め、このような機会を賜りましたこと、心から感謝を申し上げる次第でございます。

 時間も限られておりますので、早速本題に入ります。

 私の選挙区は、壱岐、対馬といった国境離島や、雲仙岳により形成される島原半島がございます。

 今回は港湾法の改正ということでございますので、離島、半島における港湾機能の重要性に視点を置きながら質問をさせていただきます。よろしくお願いをいたします。

 今回の港湾法等の一部を改正する法律案では、防災拠点としての港湾機能の確保、充実を図るための応急公用負担や勧告制度等を新たに創設することとされております。

 二月の予算委員会分科会の質疑においても、離島における防災拠点としての港湾の整備の重要性を指摘し、前向きな答弁をいただきました。

 能登半島地震では、陸路が寸断する中で港湾を拠点とした海上輸送が重要な役割を果たしたと認識しておりますが、具体的にどのように港湾の復旧が行われ、海上輸送で活用されたのか、教えてください。

稲田政府参考人 お答え申し上げます。

 能登半島地震によって、石川県を中心に四県二十二港湾で、岸壁の変位や破壊、岸壁背後の沈下、岸壁に至る道路の液状化などの被害が発生をいたしました。

 このため、国土交通省では、七尾港、輪島港を始めとする十港の港湾施設の応急復旧を実施いたしました。

 例えば、輪島港におきましては、石川県からの要請を受け、発災翌日の一月二日より港湾管理の一部を国土交通省において実施をし、同日には現地点検を開始するとともに、四日の日には岸壁を条件付で利用を開始して、支援船舶を受け入れたところでございます。

 これら輪島港や七尾港といった能登半島地域の港湾、いわゆる被災地域の受援側の港湾につきましては、官民の支援船舶による緊急物資、また復旧資材の搬入といった、発災直後の被災地支援や復旧復興のための海上輸送に活用されたところでございます。

 また、金沢港、伏木富山港など能登半島近傍の港湾につきましては、能登半島地域の支援に向かう船舶への補給、支援物資の積込みなど、支援側の港湾として活用されたところでございます。

加藤(竜)委員 ありがとうございます。

 道路が土砂崩れ等で使用できなかったため、緊急物資や機材等の搬入に海上輸送が大きく貢献をいたしました。まさに港湾が輸送拠点となり、復旧の最前線としての役割を担ったということだと思います。

 次に、離島、半島における防災拠点確保の考え方についてお伺いをいたします。

 先日の予算委員会の質疑でも申し上げましたが、近年の災害の頻発化、激甚化を踏まえますと、特に離島や半島などの地域では、災害時に多様な輸送モードを確保できるようにしておくことが極めて重要であるかと思います。特に、大量一括輸送が可能な海上輸送機能の確保は非常に重要であると考えております。

 これまでの港湾分野の防災対策については、背後人口の多い港湾において耐震強化岸壁の整備を行うなど、広域的な観点から防災拠点となる港湾の配置が進められてきたと思います。しかし、防災対策は常にアップデートが必要であり、能登半島地震を踏まえた昨年七月の交通政策審議会答申では、地域防災拠点と広域防災拠点を組み合わせた海上支援ネットワークの形成を推進すべきと指摘されました。

 今回の地震に見舞われた能登半島を含め、半島は急峻な地形が多いです。半島地域における港湾を防災拠点として位置づけ、災害時における拠点港として整備し、広域的に防災を考える必要があると考えます。

 私の地元島原半島には、口之津港という港湾がございます。口之津港は、一五六二年開港以来、南蛮貿易の中心地として、明治時代には三池炭鉱の石炭を輸出するための中継港として栄えました。炭鉱の閉鎖以降は、かつてのにぎわいとはいきませんが、二〇二〇年三月に口之津港ターミナルが新設されるなど、今もなお地域の海上輸送を支えております。

 口之津港は島原半島の南端にあり、災害時の拠点として整備できれば、ここを拠点に半島の西回り、東回りどちらも陸上輸送も可能となります。また、有明海の入口であり、対岸の天草諸島や熊本にも近く、広域的な防災拠点としての価値も極めて高いです。こうした良港にもう一度スポットライトを当て、整備することが、島原半島の防災・減災につながります。

 また、離島を例に挙げれば、国境離島である対馬は、急峻な地形が南北八十キロに広がる島にもかかわらず、現在は、整備済みの耐震強化岸壁は南側の厳原港に一か所だけあるのみです。災害が発生した際には、対馬の南北を結ぶ国道三百八十二号線が閉塞されることも考えられ、北側にも防災拠点が必要です。北側には、今も昔も韓国との交流の拠点である比田勝港がございます。比田勝港には耐震岸壁を設けるなど、防災拠点として整備すべきであると考えます。

 このように、いわゆる条件不利地と言える半島、離島地域においては、陸路の寸断にも備えて地域防災拠点となる港を複数配置し、必要に応じて耐震強化岸壁を整備するなど、地域の実情に応じた拠点の整備が特に重要になると考えますが、これについて、国の考え、お取組をお伺いをいたします。

稲田政府参考人 御指摘のとおり、令和六年七月の交通政策審議会答申でも示されていますとおり、支援側及び受援側の港湾が相互に連携した海上支援ネットワークを形成するため、耐震強化岸壁を核とした広域防災拠点及び地域防災拠点を確保することが重要であると認識をしてございます。

 特に、地理的条件の厳しい海に囲まれた離島、半島地域におきましては、災害時における海上支援ルートの確保が特に重要になると考えております。

 このようなことも踏まえ、例えば、長崎県対馬地域におきましては、南部の厳原港に耐震強化岸壁が整備済みであるほか、北部の比田勝港におきましては、現在、長崎県が耐震強化岸壁の整備を進めている最中でございます。

 また、口之津港のある島原半島におきましても、海上支援ネットワーク形成のための防災拠点の確保の取組は重要であるというふうに認識をしてございます。

加藤(竜)委員 政府としてしっかりとした答えを聞くことができました。是非、国が主導になって、離島や半島の安心、安全な暮らしに資する港湾の防災拠点機能の確保を進めていただきますように、よろしくお願いをいたします。

 続きまして、今般の法案においては、港湾管理者の技術職員不足に対応するため、港湾工事の国による代行制度等が措置されております。

 地方の人手不足は非常に厳しい状況にある一方で、離島や半島といった地域のインフラはまさに生活に直結しており、技術職員不足によりインフラが機能を損なわれるようなことがあってはなりません。埼玉県八潮市の事案もありましたが、インフラには適切な維持更新が求められます。

 この制度については、国は、港湾管理者における工事の実施体制等の地域の実情を勘案して、工事代行の要否を判断することとされておりますが、地域の実情として勘案する事項として、工事の実施体制のほかにどういった要素が考慮されますか。例えば、離島や半島といった地域が持つ特性についても考慮されることになるのか、お伺いをいたします。

稲田政府参考人 法案の第五十二条の二で、国土交通大臣が高度港湾工事を代行するための要件として、地域の実情として勘案するというふうにされておりますけれども、これは、港湾管理者における工事の実施体制に加え、当該改良工事を行う上での技術上の制約や、当該改良工事の緊急性なども勘案して運用していくということを想定してございます。

 御指摘のありました離島や半島地域における港湾の改良工事は、資機材の調達を始め、工事実施上の困難性が相対的に高く、また、これら地域の港湾は地域の住民生活や経済活動に不可欠なインフラであり、その機能確保は緊急かつ極めて重要であると認識してございます。こういった点もしっかり考慮をして制度を運用してまいりたいと考えてございます。

加藤(竜)委員 ありがとうございました。

 長崎県は、約四千二百キロの長大な海岸線と多くの離島、半島を有します。県内には海上輸送網の拠点となる重要港湾が五港、地方港湾が七十七港あるほか、五十六条港湾が二十二港あり、全国二位となる百四の多種多様な港湾が点在をいたします。

 一方で、技術職員の数に限りがあり、災害を始めとして、港湾管理者に即時対応を求める事象が生じた場合には国のバックアップが不可欠です。離島にとっては、港湾機能の維持が離島の住民生活の生命線です。こうした長崎県の特性も考慮の上、いざというときの工事代行を判断していただきますようにお願いをいたします。

 最後に、港湾を利用した地方への人流拡大という面から質問をいたします。

 港は物流を支えるインフラであるとともに海の玄関口であります。離島や半島部といった地域において地方創生を図っていく上で、交流人口の拡大が非常に重要と考えます。

 昨年、我が国へのクルーズ船の寄港回数は約二千五百回です。ほぼコロナ前に回復しつつあると伺っております。これまでは比較的大きな港への寄港が多かったと思いますが、こういったクルーズ船を地方港湾なども活用しながら離島や半島に積極的に誘致をし、新たな交流を生むことが地方の元気につながり、また、オーバーツーリズム解消にもつながると思います。

 このような観点から、特に離島、半島部へのクルーズ船誘致に関する国の考え、取組を伺います。

稲田政府参考人 クルーズ船の寄港は、港を抱える地域に訪日外国人旅行者を始めとする多くの来訪者を呼び込み、経済効果やにぎわいの創出など、これまでも地域の活性化に大きく貢献してきたところでございます。

 近年では、飛行機で訪日して、小型クルーズ船によって日本発着の周遊クルーズを利用するといった需要も増加し、全国で外国クルーズ船が寄港する港湾の数は、コロナ禍前に六十七港でありましたけれども、昨年は九十七港にまで増加をしてございます。

 特に、離島、半島地域に注目すると、コロナ禍前の十六港から昨年は四十六港へと大幅に増加をしているところでございます。

 インバウンド需要の増加や日本船社による新たなクルーズ船の投入などを踏まえますと、こうした寄港する港湾の多様化は、今後も継続、拡大していくことが見込まれます。

 国土交通省としましては、離島、半島を始めとした多くの港湾への更なるクルーズ船の寄港を促進するため、引き続き、各港湾におけるクルーズ船受入れ機能を強化するとともに、各自治体と連携をして魅力ある寄港地観光ツアーを造成するとか、船会社、旅行会社へのセールスなどの取組をしっかり進めてまいりたいと思います。

加藤(竜)委員 ありがとうございました。

 防災上の観点だけではなく、地方創生の観点からも、港湾のポテンシャルは大変大きいと思います。

 海洋国日本におきましては、港湾は、国民生活の生命線であると同時に、未来を形作る戦略資産でもあると思います。経済性、安全性そして防災性という多元的な視点から港湾の在り方を再構築していくことが、今後の日本にとって不可欠でございます。

 国土交通省におかれましては、海洋国家としての責任と可能性を自覚され、港湾を通じた次世代の国づくりを推進していただくことを御期待申し上げます。特に、離島、半島の地域の防災力向上、また、地方創生、交流人口の増加に資する港湾の取組を強力に推し進めていただきますことを心からお願いを申し上げまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、谷田川元君。

谷田川委員 おはようございます。立憲民主党の谷田川元です。

 中野大臣とは初めての質疑になりますので、どうぞよろしくお願いします。

 今日は、港湾法の審議なんですけれども、昨日、本当に衝撃的なニュースが読売新聞に報道されましたので、やはりこの点についてお聞きせざるを得ないので、この点からまず質問させていただきます。

 お手元に資料、届いていますね。日本空港ビルデングという会社の一〇〇%子会社、ビッグウイング社というのがあるんですが、そこが古賀誠元自民党幹事長の長男が経営するコンサルティング会社に、二〇二〇年までの十年間で約二億円の利益供与をしていた疑いがあるとの報道なんですね。

 羽田空港内のマッサージチェア設置をめぐり、ビッグウイング社がコンサルティング会社に、二〇一六年までの五年間に約一億円が支払われたが、実際のマッサージチェアの業務は下請に入った健康機器販売会社にやらせており、コンサルティング会社には業務実態がないので、ビッグウイング社は約一億円の所得隠しを東京国税局に指摘され、約三千万円追徴課税された、そして納付したと新聞には書いてあります。

 その後、ビッグウイング社は健康機器販売会社との直接契約に切り替えたものの、マッサージチェアの使用料の一部が販売会社からコンサル会社に支払われるようになり、二〇一七年から二〇二〇年の約四年で一億円近くが渡っていたとのことです。

 昨日の朝、この記事を見て、国交省は日本空港ビルに対して調査と報告を求めたということでございますが、現状はどうなっているかということと、あと、私は昨日、三時半の質問レクで、この記事、かなり詳しく書いてあるんですよね。それで、空港ビルデングの横田社長と古賀誠さんの長男が直接交渉した、ここまで書いてあるので、少なくとも、航空局から横田社長に電話して、古賀さんの長男と交渉した事実があるかどうかだけでも聞いてくれと言ったんですが、それも含めてお答えいただきたいと思います。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 本件は、空港における旅客取扱いそのものではなく、空港ビルに置かれているマッサージチェアをめぐる民間企業同士の契約に関する事案ですが、一方で、高い公益性が求められる空港旅客ターミナル事業者は、国民や利用者の信頼を損なわないよう、その事業を実施していただく必要があると思います。

 このため、昨日の報道を受けて、国土交通省より、まずは、日本空港ビルデング社に事実関係の調査を含め、適切な対応を行っていただくよう要請したところです。日本空港ビルデング社においては、既に監査等委員会が主体となって事実関係の調査を実施しており、調査結果については、調査完了次第、速やかに公表する予定であるとの報告を受けているところでございます。

 また、昨日、航空局から日本空港ビルデング社に対し、横田社長が直接、古賀自民党元幹事長の長男と交渉していたか否かを確認いたしました。日本空港ビルデング社からは、現在、監査等委員会が主体となって事実関係の調査を実施しているところであり、お答えを差し控えさせていただきたい旨、回答があったところです。

谷田川委員 じゃ、平岡局長、局長は横田社長とは面識がありますか。面識があるのであれば、少なくとも、平岡局長が横田社長に電話して、こういうことをあしたの国交委員会で聞かれるから、イエスかノーかで答えろ、そのぐらい言えますよね。

平岡政府参考人 お答えいたします。

 横田社長とは面識がございます。

 今回、航空局から日本空港ビルデング社に対して、確認は直接はさせていただいております。航空局の担当室長から日本空港ビルデング社の専務を通じまして、社長に直接確認をさせていただいた答えとして、今回御報告を申し上げているものでございます。

谷田川委員 いずれにしても、事実でなければ完全に否定するわけですよ。それすら答えないということは、疑惑は深まったと言わざるを得ません。

 それで、この新聞記事の左側の上に図式があるので。五年前に国税局は追徴課税しているわけですよね。その事実は、国交省に確認したら、把握していませんということなんですよ。普通、何千万と追徴課税したときは報道されますよね。何でこれは報道されなかったのか、これも非常に疑問が残る。

 それで、それにもかかわらず、その後、また更に五年間やっている。これは相当な力関係があるのかなと想像せざるを得ない。これは非常に根が深い問題だと思いますよ。

 そこで、大臣にお聞きしたいんですけれども、このケースは氷山の一角じゃないかという指摘もありますよ。政治家がトンネル会社をつくって、そこを経由させて利益を得るという、まさに昭和の産物としか言えないような事態が国交省の関係先で起きているというのを聞いて、私、驚きましたよ。この際、徹底的にうみを出すつもりで、関連するケースについて徹底的に調査すべきと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

中野国務大臣 空港旅客ターミナル事業を実施をする事業者というのは、高い公益性が求められるわけでございますので、国民や利用者の信頼を損なわないよう、その事業を実施をしていただく必要があるということは当然のことであるというふうに思っております。

 いずれにしましても、今回、羽田空港の日本空港ビルデングに関する報道が出たということでございます。我々としても、この事実関係の調査を含め、適切な対応をするようにということで要請もさせていただきました。そして、監査等委員会が立ち上がって、事実関係の調査を実施をしているということで報告を受けております。まずは、この調査の結果がどうなるのかということかというふうに思っております。

 その上で、現在、予断を持ってどういうことをするかということは、現段階ではコメントするのは適切ではないと思いますが、この調査結果を踏まえて、しっかりと必要な対応は検討してまいりたいというふうに考えております。

谷田川委員 たしか、もう二年ぐらい前になりますかね、国交省のOBが絡む事柄がこの国交委員会でありまして、航空局ですね、そのときは斉藤大臣であられたけれども、結果的に、斉藤大臣は、国交省から上がってきた情報が違うじゃないか、俺に違うことを言っているじゃないかと叱責したということまで、この委員会でおっしゃいましたよ。

 ですから、その辺、公明党というのは英語でクリーン・ガバメント・パーティーというそうですね。きれいな政府なんですから、是非、しっかり徹底した調査を指示していただきたいということを要望したいと思います。

 それでは、次に、今日は港湾法の審議なんですが、港湾法の中に……(発言する者あり)あっ、ごめんなさい。一つ、うっかり忘れてしまいました。

 やはりこの問題は、かなり根が深い問題だと思いますので、横田社長をこの委員会に参考人招致するということを是非お取り計らい願いたいと思うんですが、委員長、いかがでしょうか。

井上委員長 理事会で協議いたします。

谷田川委員 よろしくお願いします。済みません。

 港湾法の審議でございますが、洋上風力発電を更に促進するための法改正があるんだけれども、その前提を狂わすような出来事が起こりました。

 それが、資料二、一ページめくっていただいて、二月七日付の日経新聞の記事なんですね。私もこれを見て驚きました。再評価を進めてゼロベースで検討すると中西三菱商事社長が二月六日の記者会見で述べたんですね。

 この件で経産省の担当者に確認しましたところ、二月三日に三菱商事から、秋田、千葉の合計三海域における事業の再評価を行っている旨のプレス発表があり、すぐに三菱商事に電話し、二月四日の朝に三菱の担当役員が経産省に来て事情を説明したとのことです。

 そのときは、伊藤省エネルギー・新エネルギー部長が応対したとのことですが、どういった内容だったのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

伊藤(禎)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘いただきましたとおり、洋上風力発電の第一ラウンド三海域に関しまして、選定事業者である三菱商事及びシーテック社から二月三日に、事業性を再評価する旨のプレスリリースを公表したところでございます。

 これを受けまして、翌二月四日、朝早い時間でございましたけれども、事業者からプレスリリースの内容について説明を受けるということで来省を求めまして、私から、地元関係者に丁寧な説明を尽くすとともに、文字どおり、同社のリリースにございます、洋上風力の実現に向けて取り得る様々な手を尽くす、そういったことを同社のリリースにも記載してございますので、それを強く求めたところでございます。

 それを受けまして、事業者からは、地元に対して丁寧な説明を行った上で、事業性の再評価に向けて取り得る様々な手を尽くしていく、そういう回答があったところでございます。

 引き続き、資源エネルギー庁としまして、事業者に対して、事業実現に向けた事業性の再評価とともに、地元の方々への丁寧な説明を求めてまいりたいと存じます。

谷田川委員 二月三日の三菱商事のプレス発表について、国交省にも報告があったと聞いていますが、いつ、どういう形でなされ、その内容はどうだったのか、お答えいただきたいと思います。

稲田政府参考人 個別のやり取りについての詳細は説明を避けたいと思いますけれども、三菱商事のプレス発表の内容につきまして、二月三日の発表後に港湾局の方に情報提供がございました。担当課にて内容を確認した上で、事業の実現に向けて適切に対応いただきたい旨をお伝えさせていただきました。

谷田川委員 経産省の方には三菱商事の担当役員が足を運んで説明しているんだけれども、三菱商事の役員は、国交省へ足を運んできたんですか。

稲田政府参考人 担当者が電話でコミュニケーションしたということでございます。

谷田川委員 これは三菱商事に、申し訳ないけれども、甘く見られていますよ、国交省。

 実はというか、国交委員会で何回も私、この場で洋上風力発電について質問しまして、当時の斉藤大臣は、洋上風力発電は再生可能エネルギーの切り札である、これを何度も発言されています。非常に思い入れが強かった。

 だから、この状態を、今の話を聞くと、中野大臣がどういうふうに思っているのか、ちょっと聞かなきゃいけないなと思って、改めて、私は、斉藤大臣の思いを引き継いでいますということを言っていただきたいんですが、いかがですか。

中野国務大臣 私も、洋上風力発電というのは再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札であるという同じ思いを当然持って取り組んでいるということは、発言をさせていただきたいというふうに思います。

 第七次エネルギー基本計画でもしっかりと位置づけられておりますし、また、国交省としても、これまで、促進区域の指定ですとか、事業者選定等の手続ですとか、特に基地港湾の指定や整備というのは着実に進めさせていただいたところでございます。

 本法案では、基地港湾の円滑な利用の確保に向けた中身も入っておりますし、また、浮体式洋上風力発電の大量導入に向けまして、官民が連携して、海上施工の問題がありますので、これに関する課題解決を図る取組等も国土交通省で進めているところであります。

 更に言いますと、今国会では、排他的経済水域において洋上風力発電の展開を可能とする再エネ海域利用法の一部改正案、これも提出させていただいているところでございますので、国土交通省としても、エネルギー基本計画を踏まえまして、経産省と連携しながら、洋上風力発電の導入促進にしっかりと取り組んでまいりたいと、私からも答弁させていただきます。

谷田川委員 分かりました。確認できたので、ちょっとほっとしました。

 では、これから逐次聞いていきたいんですが、三菱商事は、伊藤部長に対して説明したにもかかわらず、二月六日の記者会見で、再評価をする、ゼロベースと言っているんですよね。だから、ゼロベースというと、何となく、撤退も視野に入るとみんな思うじゃないですか。だから、それに対して、三菱商事に対して更に、いや、それは話が違うじゃないかという話を資源エネルギー庁でされたという話は聞いています。

 私の地元の銚子市、越川市長のところにも二月四日に三菱商事の関係者が訪れまして、ゼロベースでの再評価を行うという言葉を使っているんですよね。それで、越川市長が、撤退の可能性はあるのかと質問したところ、回答がなかったらしいんですよ。だから、銚子市としては、事業継続は間違いない、そういう受け止めはできない、そう言っているんですね。

 これは、東洋経済からの記事もあるんですが、同じように秋田県も、三菱商事の関係者が、御心配をおかけして申し訳ありませんと陳謝しているんだけれども、佐竹知事は、三菱商事がやめることはないと思う、やめたら信用がなくなる、そうはっきり言っています。私もそう思うんですよ。

 どうしてこういうことになるのか。元々のことを考えてみますと、皆さん、資料の三の二の「三菱商事が価格点で他社を圧倒 三海域での入札結果」とあるじゃないですか。そこで、三菱商事と他の会社がどんな形でやったか。私の地元に関して申し上げますと銚子市、これは東京電力が入札したんだけれども、結果的に三菱商事に負けた。その大きな理由は、あの当時、二百四十点満点で百二十点分、半分の要素が、価格が一番低いところに札を入れた人に百二十点満点を上げちゃうんですよね。だから、どんなに事業継続性の要素があったとしても、価格が低いところで入札した人が有利になる、そういう仕組みだったんですよ。

 これについて、当時の岡藤さんという三菱商事のエネルギー本部長は、そこに傍線が引いてありますよね、そのページ。赤字入札ではないかとの見方に対して、三菱商事の岡藤裕治エネルギーサービス本部長は、与えられた条件で必要なリターンを乗せ、ボトムアップで精査をした結果だ、赤字の事業計画を提出したら一発でアウトだ、ここまで豪語して正当性を強調したんですよね。だけれども、今回、ゼロベースで見直すなんてことを言った。

 そもそも、この大きな要因は、三菱が余りにも安い供給価格を提示したことにあると私は思うんですが、まず、資源エネルギー庁に聞きましょう。伊藤部長、そういう認識はありますか。

伊藤(禎)政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、まさに事業主体において、取り得る様々な手を尽くして事業性の再評価を行っているところであると認識してございます。

 また、昨日、三菱商事としまして、記者会見の中で、事業性の再評価時期について、夏頃までには結果を示したいと表明したと承知しております。この点も踏まえまして、まずは事業性の再評価の状況を確認させていただきたいと存じます。事業性の再評価というものにつきましては、撤退を前提としたものではないと承知してございます。

 その上で、二月三日に事業者が発表したプレスリリースにおきまして、彼らとしまして、なぜこの事業性の再評価を行うかという、この要因でございますけれども、インフレなど洋上風力業界を取り巻く事業環境が世界的に大きく変化する中、公募参画当初の想定を上回る事業環境の変化に伴い、事業性の再評価を行っている旨、記載されたものと承知してございます。

谷田川委員 何か直接的に答えてもらっていないような気がしたんだけれども、同じ質問を大臣に伺います。大臣は、そういう認識を持っていないかどうか。

稲田政府参考人 ただいま経済産業省さんから答弁ありましたが、同様でございますが、現在、事業者において事業性の再評価を進めている段階ということでございますので、その状況をしっかり確認してまいりたいと思います。

谷田川委員 大臣からやはり聞きたいと思いますよ、ちょっと今の説明じゃね。

 私は、だから、経産省が危機意識を持って三菱商事を呼び出すような行動をしているから、それはそれでいいんだけれども、国交省は何か、第一義的にはもう経産省に任せればいいんだ、我々は傍観者みたいな、そんなふうに聞こえるから、大臣、責任を持って今の私の質問に答えていただきたいと思います。

中野国務大臣 委員の御指摘の、二月の三日に三菱商事及びシーテックから、洋上風力業界を取り巻く事業環境の変化に伴い、先ほど経産省の方からも、その旨の説明はあったところでございますが、秋田、千葉の合計三海域において事業性の再評価を行っている旨が発表されたということは、私も承知をしております。

 今般の事業者の発表を受けまして、先生の御地元のお話もあったと思いますが、地元の自治体からも、事業者に対しましては、法定協議会の場などで、計画どおりの事業の完遂を求める声が上がっているということは承知をしております。

 こうした地域の声を踏まえつつ、国土交通省としても、経済産業省としっかり連携をさせていただいて、事業の確実な実現に向けた対応というものを引き続き求めてまいりたい、このように考えております。

谷田川委員 ちょっと時間がないので、また先に進みます。

 それで、私も、先ほど斉藤大臣の発言を引用しましたけれども、政府の文書にも書いてありますからね、洋上風力発電は再生可能エネルギーの切り札であると。その切り札であるこの洋上風力発電の第一ラウンドが、総取りした三菱商事が万が一にも撤退したら、洋上風力産業の三つの官民目標、この実現が一層困難になると私は思います。特に今、円安や、あるいは資材の高騰等で、なかなか風力発電の採算性が合わないとあちこちから指摘されている。

 それで、資料三の三、一番最後のページなんですが、そこに「洋上風力産業の三つの官民目標」というのがありますよね。導入目標、二〇三〇年までに十GW、四〇年までに三十から四十五GWの案件を形成する。国内調達比率目標は、四〇年までに六〇%にする。コスト目標は、着床式の発電コストを三〇年から三五年までに八から九円のキロワットアワーにする。そういう目標なんですよね。

 もし、三菱商事が撤退になると、まあ、そうならないように私は願っているけれども、もしそうなったとしたら、これは官民目標の達成は厳しいですよね。そういう認識はお持ちかどうか。

伊藤(禎)政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたとおり、現在、事業性の再評価を事業者において行っているところでございますので、まずはその状況を確認したいと存じます。

 その上で、同社のプレスリリースにおきまして、エネルギー自給率が低い日本において洋上風力はエネルギーの安定供給と脱炭素の両立という課題解決につながる重要な電源であり、当社は洋上風力発電の事業を通じ、カーボンニュートラル社会の実現への貢献を目指してまいりたい、この旨、併せて今表明しているところでございまして、委員御指摘の、案件形成、国内調達比率、そして発電コストの、この三つの目標に向けて、着実な案件形成による投資の予見性確保や、サプライチェーン構築に向けた設備投資支援等の取組を総合的に講じていくことが必要だと考えてございます。

 また、先ほど大臣からも御答弁いただきましたとおり、経産省としましても、領海内における着実な案件形成を進めるとともに、更なる導入拡大に向けて、関係省庁とともに、EEZにも洋上風力を拡大させるための法案を今国会に提出させていただいているところでございます。

 また、昨年度から、GXサプライチェーン構築支援事業において、洋上風力発電機の組立て工場の建設、また、浮体基礎製造設備等の設備投資を支援しているところでございます。

 なお、一般論として申せば、落札した事業者が仮に撤退した場合においては、再エネ海域利用法に基づく公募占用指針におきまして、公募の実施の是非を検討し、必要に応じて再度公募を実施する場合があるとしており、それに基づいて適切に対応してまいりたいと存じます。

谷田川委員 先ほどから答弁を聞いていて、三菱商事は今再評価している、だけれども、撤退は絶対ないというような答弁はありませんよね。

 私は、これは、採算が合わないからといって撤退するなんということを許したら、モラルハザードを起こしますよ。だって、これは国家プロジェクトでしょう。これはもう三菱商事が完遂する責務があると私は思っています、どういう状況にあろうとも。

 なぜそれを言うかというと、皆さん、資料三の三、今の中西社長の顔写真入りで、その下に傍線があるでしょう。そこを読みますと、「四月に社長に就任する三菱商事の中西勝也常務。今回の入札で陣頭指揮を執ってきた」というんですね。その方が社長に昇格して、今現在、社長なんですよ。昨日、トランプ・ショックで軒並み株価が暴落しました。大手五大総合商社、三菱商事を除いて、みんな下がったんです、株価は。三菱商事は自社株買いをするということを宣言したので、それでもったのかもしらぬけれども。

 三菱商事は、本当に空前の利益を出しているんですよ。皆さん、御存じですよね。二〇二三年度決算で九千六百四十億円。二〇二二年度決算では、何と一兆一千八百七億円の連結純利益を出しているんですよ。洋上風力発電で、二〇二四年四月から十二月期決算で五百二十二億円の赤字を出したからといって、秋田の二か所、銚子沖の事業を完遂させる道義的責任が私は三菱商事にあると思っているんですよ。

 まず、大臣にお聞きしましょう。中野大臣、そう思いませんか。

中野国務大臣 洋上風力発電をめぐる様々な事業環境の変化があったということ、経産省においても様々対応していただいているというのは、先ほど答弁もいただいたとおりだというふうに思っております。

 いずれにしても、私も先ほど来申し上げてきたとおり、事業者に対して、事業の確実な実現に向けた対応というものを求めてきているということもお話をさせていただきました。

 ちょっと繰り返しになるんですけれども、国土交通省としても、やはり経済産業省としっかり連携をさせていただいて、この事業の確実な実現に向けた対応というのは引き続き我々どもも求めてまいりたいというのを、改めて答弁をさせていただきたいというふうに思います。

谷田川委員 こういう不遜な言い方をして申し訳ないけれども、私がもし大臣の立場で考えた場合、最高責任者は中西社長ですよ、ましてや入札したときの指揮を執ったんだから、その社長に来てもらって、大臣が、絶対に撤退しないでください、そう強く要請するべきだと思うんですが、いかがですか。

中野国務大臣 今までも事業者に対しては、事業の確実な実現というのを求めてきたところではございます。しっかり経済産業省ともまた御相談もさせていただきまして、どういう形になるかというのは、ちょっと今ここで申し上げるのはなかなか難しいところではありますが、引き続き、これはしっかり対応を求めていきたいというのは、改めて答弁をさせていただきたいというふうに思います。

谷田川委員 ちょっと確認します。

 中野大臣御本人は、直接、三菱商事の関係者に、電話でも、あるいは会って、やってくれなきゃ困りますよと過去に言ったことはありますか、大臣が直接。

中野国務大臣 今までは、事務方の方から事業者に対して求めているところということであります。

 いずれにしても、ちょっと、どういう形にするかは、今後、関係の省庁等とも相談をさせていただきたいと思いますが、今まではそういう対応でありますが、どういう形にするか。いずれにしても、事業の確実な実現が必要だということは私も思っておりますので、しっかりとした対応を事業者には求めてまいりたいというふうに思います。

谷田川委員 是非、社長に会って伝えますと、ここで約束していただきたい。そのぐらい言わないと、本気になって国家プロジェクトを推進するんだという気持ちは伝わりませんよ。いかがですか。

中野国務大臣 繰り返しになって恐縮ですが、どういう形で伝えるかというのは、ちょっと引き続き検討させていただきたいと思いますが、私自身もそういう強い思いを持っておりますので、しっかりと事業者に対して求めていきたいということは、改めて答弁させていただきたいと思います。

谷田川委員 いや、ちょっとがっかりしますよ。だって、大臣、リーダーシップを発揮して、国家プロジェクトは自分の責任に懸かっているんだ、そういう気持ちを持てば、三菱商事の社長に直接すぐにでも電話すべきだと私は思うんですよ。

 同じことを聞いてもしようがないから、経産省はどうですか。何か、大臣は今まで会ったことがないみたいだよ。記者会見も聞いたけれども、何となく三菱商事は頑張っているからいいような発言だけれども、これは撤退することになったら大変だと思うんだよ。やはり、経産大臣から直接、社長と会って、撤退しては困るということを強く要請すべきと思いますが、いかがでしょうか。

伊藤(禎)政府参考人 お答え申し上げます。

 全ての経営判断は、まずはその事業性の再評価という作業が了してからということだと認識してございます。繰り返しになりますけれども、事業性の再評価というものは、撤退を前提としたものではないと承知をしてございます。

 その上で、どのような対応ができるかというお尋ねでございますけれども、委員の御指摘も踏まえつつ、どのような対応が取れるか、検討してまいりたいと存じます。

谷田川委員 これから検討されるということなので、もう早く対応した方がいいですよ。昨日、三菱商事の社長が、夏頃までに再評価の結果を出すと言ったんだけれども、夏というのも微妙な言い方ですよね。五月なのか六月なのか七月なのか八月なのか、最近は夏が長いから、下手したら十月も夏かもしれない。だから、早い段階で政府の意思を社長に伝えないと駄目だと私は思いますよ。

 じゃ、最後に、もう一つ質問して終わりますが、トランプ大統領が風力発電を最も高価なエネルギーと呼んで、関連した公有地の貸出しの一時停止を大統領令で指示しているんですね。アメリカは、この政府支援の縮小に動いています。ヨーロッパなんかもいろいろと撤退が進んでいるんですが、このトランプ政権の方針というのはどのような影響があると考えていらっしゃるか、中野大臣にまずお聞きしましょう。

中野国務大臣 トランプ政権による風力発電に対する政府の支援の縮小に伴いまして、例えば、洋上風力発電市場そのものがやはり縮小するということであるとか、あるいは資機材の調達、こういった点で影響は考えられるというふうには思います。

 その一方で、こうした事業環境の変化を、我が国が浮体に関する、特に浮体式の洋上風力でありますので、こうした技術開発を世界に先駆けて先導するいい機会でもあるというふうに捉えて、国土交通省としては、特に浮体式洋上風力発電の施工技術の開発についての取組というのを加速化をしているところであります。

 引き続き、洋上風力発電を取り巻く環境の変化を注視しつつ、エネルギー基本計画に掲げられた案件形成目標の達成に向けましては、経済産業省と連携の上、しっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。

谷田川委員 ちょっと時間がないので、最後、申し上げたいことを言って終わりにしたいと思うんですが、私は、地元が銚子沖で洋上風力発電をやるということで、三菱商事に任せておけば大丈夫だろう、天下の三菱商事ですから、安心し切っていたんですよ。それで、こういう状況になっている。

 私は、政府が文書の中で、洋上風力発電は再生可能エネルギーの切り札と何回も言っている、文書にも書いてある、そういう意識というか、そういう気持ちというか魂というか、それが個々の担当者にあるのかなと疑問を抱かざるを得ないんですよ。やはり、模範を示すためにも、組織のトップの大臣、経産大臣、国交大臣が、直接、三菱商事の社長に対して、この事業は我が国家の命運が懸かっています、撤退したら駄目ですよ、そういうことを絶対に示していただきたい。

 そのことを申し上げて、私の質問を終わります。

井上委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 立憲の白石洋一です。

 港湾法の質疑の前に、私が昨年三月、国交委員会において、GX法、カーボンニュートラル法の、港湾事業者の労働者の公正な移行を求める中で、直接悪影響を受けるのは労働者の方々ですから、その代表者を関係者の協議の場に招くべきではないかという質問に対して、国交省、国交大臣からは、対応について検討してまいりたい、そしてエネ庁からも、関係省庁として連携して対応してまいりたいという答弁でした。

 やはりこういう時代の流れで物事が変わっていく、それはやむを得ない、むしろやらなければならない。しかし、そこで悪影響を受けるところの話をちゃんと聞きながら進めるということは非常に大事なことであると思うんですけれども、その後、進展状況はどうなっているでしょうか。これはエネ庁さんにお願いします。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 火力発電は、電力供給を支える重要な電源であるとともに、地元雇用や地域経済に貢献している中で、休廃止による影響を懸念する声があることは承知をいたしております。そうした中で、関係者がしっかりとコミュニケーションを重ねていくことは重要だと考えております。

 石炭火力発電所の休廃止に伴う港湾運送事業及び港湾労働者への影響に対する対策につきましては、昨年九月に国土交通省が設置した、関係省庁、港運労使、発電事業関係団体も参加する連絡対策会議に、資源エネルギー庁も参画し、関係者で対応策の検討を開始をしております。

 また、資源エネルギー庁としても、港湾労働組合との意見交換を継続的に実施するとともに、発電事業者に対しては、発電所の休廃止等に際し、地域の関係者へ丁寧な説明を行うように伝えているところでございます。

 引き続き、関係者の声もお伺いしつつ、港湾運送事業を所管する国土交通省を始め、関係省庁とも連携して対応してまいりたいと考えております。

白石委員 九月に港湾労働者も含めた連絡対策会議というのを立ち上げたということで、それは評価したいと思います。これまで何回開かれて、次はいつ開かれるんでしょうか。エネ庁さん、お願いします。

山田政府参考人 お答えを申し上げます。

 会議は国土交通省が開催をしておりますものですから、ちょっと、私の知っているということで申し上げますと、昨年九月に第一回目の会合を開催しておりまして、本年一月に第二回目の会合を開催したというところでございます。

 今後につきましては、今年度開催すると考えておりますけれども、詳細はちょっと、日程につきましては、私の方は資源エネルギー庁でございますので、国土交通省の方が開催する時期を決められるというふうに考えております。

白石委員 では、国交省、お願いします。

稲田政府参考人 昨年の九月に第一回目を開催し、今年の一月に第二回目の会議を開催いたしました。第三回目の会議をこの六月頃を目途に開催したいと考えてございます。

白石委員 是非定期的に開いていただきたい。推進力は、GX法の所管はエネ庁ですから、エネ庁さんが責任を持って、そして事務局は国交省と聞いています。港湾労働者を所管しているということもありますので、これは定期的に。

 ただ、これは全国レベルなわけですね。この石炭火力の休廃止、フェードアウトというのは、地方によって、地域地域によって事情が違うわけですよね。ですから、こういった連絡会議というのは地方でも開いて、その事情に合わせたフェードアウトの在り方というのを港湾労働者の話を聞きながら進めていく。その中には補償、補償が駄目だったら代替案、こういったことも案として出てくるんだと思います。これがあるべき姿だと思うんですけれども、中野国交大臣、今後の労働者を含めた地方での意見聴取について所見をお願いします。

中野国務大臣 国土交通省としましても、労働者への影響を含めまして、委員も御指摘のとおり、個別の港湾ごとの状況を確認をするということは非常に重要であるというふうに私どもも考えております。

 昨年の国土交通委員会における委員からの御質問の後、国土交通省では、各港湾における石炭荷役への影響調査というのも実施をしたところであります。

 今までお話ありました、昨年の九月に設置しました石炭火力発電所の休廃止等に伴う港湾運送への影響に係る連絡対策会議におきましては、この調査の結果も踏まえつつ、港湾労働組合からも各港湾の事情を御報告をいただいております。その上で、関係者と議論を行っているところでもございます。また、この会議とは別に、国土交通省では、大きな影響を受けている港湾運送事業者から個別にヒアリングも行っているところであります。

 そういう意味では、引き続き、個別の港湾ごとの事情をしっかりと踏まえながら、この連絡対策会議の場において、必要な対応策等について、関係者とともにしっかり議論をしてまいりたいというふうには考えております。

白石委員 お願いします。

 それでは、港湾法案についての質問ですけれども、港湾法案についても、協働防護計画というのがあって、協働防護計画を策定する上で協議会というのが想定されているわけですね。

 協働防護というのは、この法案では高潮、高波に備えるということですけれども、当然津波というのもあり得ると思うんですね。私ども、西日本を中心として南海トラフ大地震があって、そうなったら大変大きな津波が押し寄せてくる、それでも最小限の被害にする、こういったことも協働防護計画というのは視野に入れているんだと思います。

 その中で、危険な作業、例えばコンテナのロープでの縛りつけであるとか、水門を閉めるであるとか、こういったことをやらないといけない。当然、それを実際にやる港湾労働者、主に荷役を担っている方々も含めて作業してもらわないといけない。当然、安全性というのもちゃんと見ていないといけないと思うんですけれども、この協働防護計画において、労働者、実際にそれを行う労働者の安全性について、ちゃんと指針というのは設けられる、高い水準のものがあるべきだと思うんですけれども、いかがですか。

稲田政府参考人 協働防護に関しましては、気候変動に伴う海水位の上昇に護岸のかさ上げなんかのハード対策で対応する取組だけではなくて、ソフト面の対策も適切に組み合わせて、関係者が連携して推進をしていきたいというふうに考えてございます。

 護岸のかさ上げといったハードの対策が完了すれば、要は高波、高潮が来ないので、作業をされる方々の安全は守られるというふうに思っておりますけれども、直ちにハード対策ができ上がるわけじゃないので、その間、完成するまでの間はやはりリスクが高いというふうに思っております。したがって、作業員の安全確保は大変重要な観点だというふうに認識しておりますので、協働防護計画に盛り込まれることが想定されると思います。

 気候変動によって外力が従前から増していますので、協働防護計画に基づく取組を進めることで、作業員の安全確保に関しましては、今現状よりも更に一ランクアップするような、そういう形になるのではないかというふうに考えます。

白石委員 そういう、一段と高い安全性を確保するようなものになるのではないかと思っています、こういう言い方じゃなくて、それはやはり国交省として、指針として示さないといけないんじゃないでしょうか。

稲田政府参考人 要は、協議会の在り方についての御質問かと思います。

 港湾労働者の方、港湾運送事業者、船会社、立地企業、様々な関係者が関係する協議会ということでございます。関係者の声を丁寧に伺うことが大事だと思っておりますので、今後、協働防護計画作成ガイドラインというのを作る予定でありますので、その中で、港湾管理者が判断するメンバーについて、そういう点もしっかり配慮するようにというようなことを周知してまいりたいと思います。

白石委員 ガイドラインがあって、そこで高い安全水準を確保するようにするということですけれども、そういう確認でいいですね。

 それで、この協働防護協議会に、一番命が懸かっている作業員の代表者、労働者の代表者も加えるべきだと思うんですね。これは、法文上、確認したところ、そういったことを排除しない、そういった可能性も含めるというふうには読めるんですけれども、明文上それがない。

 これは、中野大臣、やはり例示規定の中で作業員の代表者も協働防護協議会に含めて、そして計画で作業内容と安全性の確保についてちゃんと明文化されるような、そういった後押しをすべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

中野国務大臣 協働防護協議会の御質問であります。

 その構成員については、委員も御指摘ありましたとおり、港湾管理者が必要と認める者として、港湾労働者の代表を含めることもこれは当然可能となっております。

 港湾では、港湾労働者のみならず、港湾運送事業者、船会社、立地企業等、様々な関係者の方がそれぞれ重要な役割を担っているものというふうに考えております。

 協議会の構成員については港湾管理者が判断をするというものではございますけれども、先ほど協働防護計画作成ガイドラインを作成をするということで局長からも答弁あったと思いますけれども、国土交通省としては、こうした関係者の声を丁寧に伺うようにということで、このガイドラインにもしっかり記載をしてまいりたいというふうに考えております。

 なお、条文のところでという御質問もございましたけれども、港湾労働者につきましては、法律の第五十一条の七第二項第四号に当該港湾の利用者という文言がございますので、こちらに当然含まれておりますし、そうした点につきましても港湾管理者にしっかり伝えていきたいというふうに考えております。

白石委員 非常に大事な部分ですので、法文上に、解釈できるんじゃなくて、例示で入れてもいいぐらいのことだと思うんですね。ですから、これは、こういう国会状況ですから、そこを挿入するために修正してもいいぐらいですけれども、それが間に合わないということであれば、必ず、ガイドライン上、作業員の声、労働組合も含めて、ちゃんと例示して入れることを推奨していただきたいんですけれども、大臣の答弁をお願いします。

中野国務大臣 当然、当該港湾の利用者に港湾労働者、委員御指摘の労働者の方を含む様々な関係者の方が含まれていることについては、今後作成する協働防護計画作成ガイドラインに記載をしてまいりたいというふうに思っておりますし、また、様々な関係者の声を丁寧に伺うようにという趣旨についてもしっかり記載をしてまいりたいというふうに考えております。

白石委員 お願いします。

 それでは、協働防護計画で出てきたいろいろな取組があると思うんですけれども、例えば防潮堤のかさ上げであるとか、あるいは立体駐車場の設置であるとか、こういったこと、これは資金的な負担も生じるわけですね。そういったことに対して、国として事業者への経済的支援というのはどういうものがあるんでしょうか。

稲田政府参考人 協働防護の取組を進めるに当たりまして、民間事業者が自らの管理施設が直面するリスクを正しく認識をして主体的に取組を行っていただくことが重要かと思っております。

 こういった中で、二〇二二年には、東証プライム市場上場企業に対しまして、気候変動がもたらすリスク等の財務的影響を開示することが義務づけられております。これによりまして、気候変動を意識した事業活動が強く求められる状況となってきておりますし、実際に防潮堤を設置する方針を開示するなどの民間事業者の取組は加速しているものと認識してございます。

 その上で、国土交通省としましては、気候変動適応に向けた民間事業者の取組を更に後押しするように、今般の港湾法改正を前提として、協働防護協定の締結等一定の条件を満たした民有護岸の整備に対する固定資産税の特例、これは重要港湾以上で課税標準は五年間、最大二分の一の減免という内容でございますが、こういった支援措置を設けることとしてございます。

 これに加えまして、民間事業者を更に支援するため、民間事業者のリスク把握に必要な浸水想定の計算などに活用可能な協働防護計画作成補助制度、これは補助率二分の一ということですが、これを港湾管理者に対して設けるという措置を取ってございます。

白石委員 いろいろな情報的なサポート、そして固定資産税の減免、それだとまだまだ全体に必要な負担からすると少ないんだと思うんですね。だから、是非ここはいろいろなサポートをしていただきたい。

 例えば、防災無線を設置するというようなことが計画に出たら、防災無線みたいなところは国としても補助するとか、そういった補助の在り方を考えていただきたいんですけれども、もう一度お願いします。

稲田政府参考人 これから協働防護計画の作成をやる協議会も開かれますので、そういった中でいろいろなそういう御要望、お声が聞けると思います。そういうことをしっかり捉えて、必要な対応につきましては今後検討してまいりたいと思います。

白石委員 そして、固定資産税の減免は、これは地方公共団体の負担になりますけれども、そこに対しての国のサポートというのはあるんでしょうか。

稲田政府参考人 先ほど固定資産税の減免についてお答え申し上げましたが、先ほどの特例措置によって生じる地方の減収につきましては、地方交付税による基準財政収入額の算定に反映されるというふうに伺ってございます。

白石委員 要するに、それはまた総務省の方から補填される、交付税措置がなされるという確認で、うなずいていらっしゃいますけれども、いいですね。

 それでは、漁港についてなんですけれども、緊急物資等の輸送拠点としての港湾機能の確保ということで、この港湾法というのはいろいろなことを想定しています。港湾機能の確保のために、応急復旧をするとか、石材等を活用するとか、民間リソースの活用であるとか、あるいは国からいろいろな情報を提供していくということですけれども。

 こういった危機、高潮だけじゃない、津波とかいうときで、もう使える港湾は全部使うということの中に、やはり漁港も使えるんだったら使うべきだというふうに思うんですけれども、この港湾法の趣旨、漁港についても適用されるんでしょうか。

河南政府参考人 お答え申し上げます。

 漁港は、漁業の根拠地として整備が行われ供用されているものでございますけれども、これまでも、災害発生時には緊急物資等の輸送拠点として活用されてございます。具体的には、平成十七年の福岡県西方沖地震の際には、福岡県福岡市の玄界島、ここで唯一の港でございます玄海漁港が緊急物資の輸送拠点となった事例等がございます。

 災害時の緊急物資輸送における漁港の活用につきましては、今般の法改正の趣旨も踏まえまして、引き続き、港湾関係部局等と連携しつつ、しっかりと対応してまいる考えでございます。

白石委員 最後になりますけれども、水産庁は漁港も使ってくださいということですけれども、国交大臣、国として、この港湾法で国が司令塔的な情報の中枢となって指示していくということですけれども、国交省のこれからの災害対応、取組、漁港も含めて、どういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。

中野国務大臣 離島、半島等の条件不利地域を始めとして、災害時における被災地支援輸送において、海上ルートの確保は非常に重要でありますし、昨年七月の交通政策審議会の答申におきましては、当然、漁港のみの離島等もございますので、こうしたところも踏まえて、災害時の海上支援ネットワークにおける漁港の活用の重要性というのが示されました。漁港も含めた港の機能を最大限活用した災害対応のための物流、人流ネットワークを、私どもも、命のみなとネットワークと名づけまして、取組を進めております。

 昨年の七月には、島根県の出雲市で孤立集落が発生をした際に、漁港を活用して、国交省の所有する小型船舶でこうした輸送を行った事例もございますし、港湾と漁港とが連携した緊急物資輸送の訓練も各地域で実施をしているところでございます。

 関係機関と連携しつつ、漁港の活用も含めた災害時の海上支援ネットワークの形成を国土交通省としても推進してまいりたいと思います。

白石委員 お願いします。

 終わります。

井上委員長 次に、松田功君。

松田委員 おはようございます。

 能登半島沖地震で被災地で苦労されている皆さんの中で、今日お誕生日を迎えられている方もお見えになりますので、お誕生日を迎えられた皆さん、おめでとうございます。立憲民主党の松田功です。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 気候変動による港湾への被害は、最近の台風に伴う高潮被害などを見ると、確実に深刻化していると思います。早急な対策が必要であることは論をまちません。そして、本法律案で具体化しようとしている協働防護という考え方に基づいて、官民が連携してこのような気候変動による港湾被害に対処しようという方向性については、全く異論はございません。

 恐らく、この協働防護という考え方自体に異論を挟む関係者の方はいないだろうと思いますが、最初に念のため確認をいたします。

 国土交通省の感触で結構でございますので、港湾関係者などにおいて、法改正の前提となります気候変動による港湾被害の深刻化、そしてこの協働防護という考え方については実際どのように受け止められていられるのか、お示しをいただきたいと思います。

    〔委員長退席、中谷(真)委員長代理着席〕

中野国務大臣 松田委員にお答え申し上げます。

 我が国の産業活動や国民生活を支える重要な物流拠点でもあります港湾では、近年、気候変動に伴う海水面の上昇などを背景にしまして、貨物の流出など、高潮や高波による被災というのは頻発化しております。

 例えば、平成三十年台風二十一号では、浸水により、大阪湾で三日間、神戸港で二日間、港湾機能が停止をしました。令和元年の台風第十五号でも、浸水により、横浜港で四百八十三事業所が被災をするなど、各地で被害が発生をしております。

 港湾立地企業へのアンケートによれば、約半数程度の企業が海水面上昇による自社への影響を認識をするとともに、行政に対して、気候変動に関する情報の提供やハード対策への支援、関係者の調整などを求める声をいただいているところであります。

 このように、近年の高潮、高波による被災の状況や港湾立地企業からの声を踏まえまして、今般、官民協働による対策を進めるための協働防護の枠組みを創設させていただくものでございます。

松田委員 協働防護については、総論賛成ではあっても、全体のため、自ら費用を負担して実際に対策を講じるかは、事業者によって対応が分かれると思います。

 経営に余裕があると思われる都市部の大手事業者では比較的柔軟に対応できると思いますが、一方で、地方の中小事業者におかれましては、コロナウイルス感染症の影響から回復が十分でなかったり、また、昨今の人手不足や資機材価格の高騰の影響などで、経営に余裕があるというふうではないところもあります。そういった意味で、お金がかかるからやらないという事業者もいるようにも考えられます。

 地方の港湾では、このような地場の事業者が保有する港湾施設が数多くあります。そのような施設では、老朽化も進行し、改修は待ったなしというところも多いと思います。しかし、厳しい経営状況、環境の中では、なかなか実際に改修に踏み切ることができないのが現実なのではないかとも考えられます。しかも、改修を行う場合、設置時に機能を回復するだけでなく、気候変動に対応した、設置時よりもはるかにグレードアップされた基準に合致させるようにする必要もあり、どうしても費用が多額となってしまうでしょう。その場合、そうした現状にある民間企業者に対して港湾施設の改修を促すためには、改修実施に対する何かしらのメリットが必要なことは明らかであります。

 そこで、お尋ねをいたします。国土交通省が協働防護に基づいた施設改修を促進するため、改修を実施する事業者に対してどのような優遇措置を用意をされているのか、お聞きいたします。

稲田政府参考人 協働防護の取組を進めるに当たりましては、やはり民間事業者が、自らの管理施設が直面するリスクを正しく認識をして、主体的に取組を行うことが重要だと思っております。

 その前提で、国土交通省としましては、昨今の企業の経営環境が厳しい中、気候変動適応に向けた民間事業者の取組を更に後押しするという趣旨で、この港湾法改正を前提として、協働防護協定の締結等一定の条件を満たした民有護岸の整備に対する固定資産税特例の支援措置を設けるということで考えてございます。

松田委員 いろいろな中小、地域の事業者は大変だということもありますので、税制優遇などいろいろな形で、地方の事業者に対して実際どの程度のインセンティブになっていくのか、また、国土交通省において何かモデルとなるような、また試算などがあると、御紹介いただけると、事業者が具体的にどのくらいのメリットがあるかと思います、分かりやすくなりますので、そういった意味での数値があればお示しを是非いただきたいことと、また、地方事業者が税制優遇の確実な実施を求めていると思いますので、再度の確認となりますが、優遇措置について政府として確実に実行することの、是非この場でお答えをいただけるとありがたいので、よろしくお願いします。

稲田政府参考人 インセンティブの具体例ということでございました。

 先ほど申し上げました民間事業者に対する固定資産税の特例については、固定資産税額を五年間、二分の一とするという内容でございます。

 例えば、延長が二百メートルある護岸を一メートルかさ上げするという場合、五年間で新たに一千万円程度の固定資産税の支払いが本来必要となるところ、五百万円程度にこれが軽減されるということとなります。具体例でした。

松田委員 ちょっと時間があれなので、次に進みたいと思います。

 本法律案において、港湾管理者における深刻な港湾技術者不足の現状に鑑みた、国による高度な護岸工事の代行が措置とされております。港湾管理者が市町村である場合などは、この技術者不足が特に深刻になっております。一人の職員が複数の港湾を担当したり、人手不足で技術職員が入札や契約を担当したり、また、港湾だけでなく道路や河川も併せて担当するといった状況になっております。

 今回の措置は、そのような現状からすると必要な対策であると理解をいたします。ただ、それでも、今回の措置は、あくまでも技術者不足という現状に対する対症療法にとどまるものにも見えます。もちろん、技術者不足の原因は様々で、これを措置すれば万全というような特効薬を見つけ出すことは非常に困難であるとも考えられます。

 ただ、それでも、技術者が不足しているなら、国が工事をしていこうということだけでなく、その不足している技術者の確保そして育成を考えていかなければならないことは、今明白であります。もちろん、国土交通省も港湾技術者の確保、育成は永年の課題であり、その必要性は痛感されていることと思います。

 そこで、お尋ねをします。

 我が国においては、港湾だけに限らず、どの分野でも技術者の確保、育成は大きな課題となっておりますが、国土交通省は技術者確保、育成に向けどのような取組を行っているのでしょうか。施策の狙いと、そして現状、また効果について詳しく教えていただければと思います。

中野国務大臣 委員の御指摘のとおり、港湾分野に限らず、特にインフラ関係の分野全体、技術者の確保、育成は大きな課題でございます。

 当然、建設、インフラ産業全体の魅力の向上という様々な取組をやっておるわけでございますが、例えばということで、技術者の確保に向けては、将来を担う学生などへの出前講座などを通じて、建設分野の仕事が暮らしや地域を支えるやりがいのある仕事である旨を啓発するなど、これはほかにも様々やっておりますが、例えばこうした取組を実施をしております。

 そして、港湾の分野ということでありますと、港湾管理者の職員等も対象としまして、港湾施設の設計ですとか港湾工事の施工に関する研修を実施をしております。専門知識を有する技術者の育成というのを今取り組んでいるということでございます。

 なかなか、効果ということで定量的にお答えをするのは、現状、まだ少し難しいのかなと思いますが、こうした取組により、しっかりと国土交通省としても技術者の確保、育成を図ってまいりたいというふうに考えております。

    〔中谷(真)委員長代理退席、委員長着席〕

松田委員 それで、今、人材の確保、育成の対策についてお話をいただきましたが、いろいろな形で大臣を始め国土交通省の皆さんも一生懸命対応しているということ、進められていることはよく分かりますが、私は少し別な面の問題も指摘をさせていただきたいと思っております。

 現在でも技術者の技術継承の問題が表面化をいたしております。技術者の技術の低下が危惧をされていきます。これも解決すべき大きな問題ですが、さらに、私は、今後の港湾におけるDXが進展していった場合、従来の技術と違うデジタル技術の習得も必要となるために、デジタル面での必要な技術力の不足というものが顕在化し、結果的に必要な技術を持つ人材の不足が更に拍車がかかる可能性があると考えます。DXの促進にはもちろん異論はありませんが、このような側面もあることを是非よく認識をしていただく必要があると思います。

 そして、技術人材の確保、育成についても、この点は念頭に置かなければならないと思っています。

 そこで、お尋ねをいたします。

 DXに伴うこのような危惧に対する国土交通省の見解、及び、先ほど答えていただいた確保、育成の取組にはこのような観点が欠けていないかを確認をさせていただきたいと思います。

中野国務大臣 DX人材の確保、育成ということで、大事な御指摘だと思います。

 技術系の職員の不足が深刻な状況の中で、港湾においては、ICT施工ですとか三次元データなどのデジタル技術を最大限活用することで、少ない人数で安全かつ快適な環境で働けるようにするとともに、生産性の高い建設現場を実現をするということがまさに今不可欠であります。委員御指摘のとおり、港湾のDX人材の確保、育成は待ったなしの課題であるというふうに認識をしております。

 このため、国土交通省では、港湾のDX人材の育成に向けまして、令和四年度より、国、港湾管理者及び民間企業の技術者を対象といたしまして、研修や講習会を実施をしております。令和六年度については、約九百名が参加をしたところでございます。

 引き続き、こうした取組を推進をし、港湾におけるDX人材の確保、育成をしっかりと図ってまいりたいと思います。

松田委員 ちょっと時間がありますので、一つ飛ばさせていただきまして、防災対策についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回の改正の基になりました答申、令和六年能登半島地震を踏まえた港湾の防災・減災対策では、災害時に港湾が被災地支援に円滑に機能するには、岸壁のみならず、航路や泊地、背後の荷さばき地や道路など、水域、陸域施設の一貫した健全性の確保が求められるとされております。

 これを受けて答申でも様々な提言をされ、幾つかは今回法改正という形で導入が実現をされておりますが、私は、被災時に航路の確保について少し踏み込みが足りないような気がいたしております。

 確かに答申では、取り組むべきハード面の施策として、瓦れきなどの漂流物による、ちょっと中略させていただきますが、航路、泊地の埋塞などを最小限に抑えるとともに、早急の復旧に対する事前の対策について検討すべきとされておりますが、基本は港湾管理者において行われることであるから、今回の法改正にこの関係の措置はありません。

 しかし、地震災害時には、港内は、津波で壊れた家の瓦れき、河川から流れてくる瓦れきであふれてしまう。船舶が利用できない状況となるため、速やかな航路の確保が大変重要であると考えられます。

 能登半島地震を受けて法改正をするということであれば、このことについても何らかの対策を行う必要があったのではないかと思いますし、少なくとも国において何かしらの対策を準備していると考えますが、そこで、国土交通省の大規模な地震災害時における早期の航路の啓開、しゅんせつに向けての対応をお伺いします。

中野国務大臣 委員御指摘のとおり、災害時の航路啓開を速やかに実施することは非常に重要でございます。

 実は、既に港湾法の中に、港湾区域内や三大湾等の閉鎖性の高い海域に指定した緊急確保航路において、災害時に速やかに航路啓開を行うための措置というのは規定をされているところでございますし、また、港湾法には、非常災害時に、港湾管理者からの要請を受けて、港湾施設の一部を国が管理する制度もございます。能登半島地震の際には、飯田港において、この制度を活用して航路啓開を国が実施をしております。

 国土交通省としては……

井上委員長 既に時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

中野国務大臣 港湾の事業継続計画、いわゆる港湾BCPの策定、それに基づく訓練などを通じて、港湾管理者等との連携を強化し、しっかりと津波発生時における港湾機能の確保の取組というのを進めてまいりたいというふうに思います。

松田委員 ありがとうございました。質問を終わります。

井上委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上英孝です。

 今日は、港湾法の改正ということで審議させていただきたいと思います。やはり、法案審議ですので重なる質問も多いかと思いますけれども、御容赦をいただければというふうに思いますし、稲田局長、大臣もまた答弁をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 それでは、早速入らせていただきます。

 今般の港湾法等の一部を改正する法律案では、港湾管理者の技術職員の不足を背景とした、国による工事代行制度というのを設けることが盛り込まれている。そして、私の地元でも、大阪でも、自治体の枠を超えて、広域での技術職の活用に向けて動き出しています。既に、技術職の不足という多くの自治体に共通する課題の解決にしっかり取り組んできています。

 もちろん、港湾だけに限らず、一般的な、土木もありますし、建築もありますし、様々な技術分野がありますので、やはりなかなか担い手がいてないという自治体も実際に出てきています。こういったことに関して、インフラの整備や維持管理というのは、実際に建設業者がもちろん行うということであっても、行政側がしっかりとした技術力を持っておかないと、やはり施工の管理なんかもありますし、整備した公共施設が十分に機能しなかったり、様々な問題が発生することによって無駄な費用が生じたりというような事態も懸念をされています。

 特に港湾インフラは、海中にある構造物ということで、ほかのインフラ分野ともやや異なる技術力というのが必要であるというふうにも思いますし、地方の港湾管理者は、やはりこういったところで苦労しておられるというふうに推察します。

 まずは、港湾管理者の技術職員の不足の状況や今後の見通しというのを局長にお伺いしたいと思います。

稲田政府参考人 お答え申し上げます。

 全国に港湾管理者は百六十六ございますけれども、全体の約六割に当たる百一の港湾管理者では、港湾部門に従事する技術職員が五名以下となっております。そして、全体の一割に当たる二十二の港湾管理者におきましては、技術職員はゼロ、不在という状況になってございます。

 高度成長期に集中的に整備をした港湾施設の老朽化が進行して、集中的なメンテナンスが必要となる施設が急増する一方で、港湾管理者の技術職員は減少傾向にあって、技術職員の採用も更に厳しい状況というふうに伺っていますので、港湾管理者の技術職員不足は今後更に厳しくなるのではないかという認識でございます。

井上(英)委員 局長、ありがとうございます。

 今お聞きしたように、非常に厳しいと。百六十六あって、二十二の自治体では技術職員がおられないということですね。ですから、一割を超える割合ですし、それからまた、従事者がまだ五名以下という自治体も百一ということで、非常に厳しい状況に陥っている港湾管理者がたくさんおられるということが分かりましたけれども、技術職員の採用も厳しい状況ということからも、国が困難に陥っている港湾管理者の支援を行うということは非常に大事なことだというふうに思います。

 一方で、この度、新たに創設することとしている国による港湾工事の代行制度では、港湾法が地方自治を原則としていることも踏まえて、港湾管理者の要請を前提とした制度になっておりますが、全国各地に港湾がある中で、国の人員にもやはり限界というか限りがあるのではないかというふうにも思われます。

 国と地方の適切な役割分担の下、真に、まさに必要なところに支援できるよう、要請されたら何でも工事を代行するというのではなくて、代行する工事の範囲というのには一定の基準というのが当然必要だと思いますけれども、この辺の考え方を、局長、お伺いしたいと思います。

稲田政府参考人 御指摘のとおり、国と港湾管理者の適切な役割分担の下、真に必要な支援が行われることが重要だと考えます。

 今般、新たに設ける工事代行制度は、技術職員が不足をして、港湾施設の機能確保のための港湾工事の実施が困難となっている港湾管理者の支援を目的として創設するものでございます。

 一方で、港湾法は地方公共団体である港湾管理者による港湾の管理を原則としておりますし、また、国土交通省においても人的資源には限界があるということもあります。

 この法案では、代行工事の範囲に一定の要件を設けてございます。具体的には、港湾管理者の工事実施体制など地域の実情を勘案の上、係留施設等の従前の機能を確保するために必要な工事であって、高度な技術や機械力を要するものについて、事務の遂行に支障のない範囲内で代行を行うというふうにしてございまして、真に対応が必要な場合に限定をしておるところでございます。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 やはり、この工事代行の制度、一定の範囲で運用されると。やはり条件がないと、先ほども言いました、当然、自治体にも技術職員がおられないということは、全体的に技術職員が減っているというか少ないわけですから、それを、国交省なり、また各都道府県もありますし、様々な、お互いがたて糸、よこ糸になってフォローアップをしていくようなシステムにしていかないと、また国交省ばっかりの負担が増えるということも、これも非常にしんどいことになるのではないかと思いますので、本当に国全体でこの非常に厳しい状況を乗り切っていくということがやはり大事かなというふうに思います。

 今ほど説明のあったこの工事代行制度については、やはり高度な技術や高度な機械力を要する港湾施設の改良工事というのが対象になるというふうに今局長からお答えいただきましたけれども、では、実際にこれは具体的にどのような工事というのを想定されているのか、港湾局長、お答えいただきたい。

稲田政府参考人 まず、高度な技術に関しましては、水深の深い港湾の工事、あるいは軟弱地盤の改良、供用中の岸壁や背後に建物がせり出して近接している中で、厳しい施工環境にあるような工事、そういった難易度が高い工事を想定してございます。

 また、高度な機械力を要する工事とは、例えば、港湾管理者が通常使用しないような、軟弱地盤で防波堤を整備する際に地盤の改良のために使用する地盤改良船とか、あるいは、船舶がふくそうする海域の中で、通常、しゅんせつ船というのは引き船、押し船で、台船、エンジンがついていないしゅんせつ船がしゅんせつするんですが、特にエンジンつきのしゅんせつ船、そういった日本に数隻しかないような特殊な作業船を使用する工事などが想定されると思います。

 港湾管理者から代行を要請される港湾工事が高度な技術や機械力を要するものであるかは、個別具体の判断になりますけれども、いずれにしましても、制度の趣旨を踏まえて、必要な港湾の機能が確保されるよう適切に運用してまいりたいと考えてございます。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 ちょっと細かくお聞きをしましたけれども、やはり非常に大事なことだと思うんですね。もちろん、これは港湾だけでもなくて、先ほども言いましたけれども、一般的な、土木、マリコンというんですかね、海上の工事だけではなくて、陸上の土木もありますし建築もありますし、様々なそういう技術分野というのがありますので、そういうところで本当に様々な工事というのが行われるので、しっかりとルールを決めてやっていただけたらというふうに思います。港湾インフラが将来にわたって持続的に維持できるように、この工事代行の制度もやはり適切に運用していただくようにお願いをしておきたいと思います。

 先般から、先日の一般質疑でもありましたけれども、埼玉県の八潮市において、下水道の老朽化に起因する道路の陥没事故、非常に不幸な事件がありましたけれども、インフラの老朽化というのはやはり大きな問題になっているかと思います。高度経済成長期に臨海部、工業地帯の発展というのを形作った港湾インフラ、これも当然老朽化が進んでいるというふうに承知をしています。

 港湾インフラの老朽化の今の現状、これをどのように港湾局長が認識されているのか、お伺いしたいと思います。

稲田政府参考人 御指摘のとおり、港湾インフラの老朽化が進む中で、その対策は大変重要な課題だと認識をしております。

 港湾施設の老朽化の状況ですけれども、高度経済成長期に集中的に整備をした港湾施設の老朽化が急速に進行しております。例えば、主要な公共岸壁、一般的な形態で、全国約五千を対象としますと、その設計供用期間である供用五十年を経過する施設の割合は、二〇二〇年時点で約二割であったものが、二十年後の二〇四〇年には七割に達するということが予測されております。

 また、最近、毎年、軽微なものも含め、十件以上、港湾施設の老朽化が原因と見られる事故なんかも発生してございます。こういった点にも配慮し、しっかり対応してまいりたいと思います。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 でも、先ほどもお答えいただいたように、これは港湾インフラでも、それはある程度想定内というか、やはり整備した時期が一定、同じような時期に整備をされているわけですから、当然、老朽化というのは同じようなタイミングでやってくるわけで、港湾のインフラの老朽化の現状、先ほども言われたように、二〇四〇年で七割が耐用年数を超えるということですから、しっかりと、これは上手にやっていくしかないなというふうに思います。

 我が国は、やはり四方を海に囲まれた状況です。そういう我が国にとって、港湾というのは、やはり海外との窓口として、我が国の生活を支える重要なインフラであるというふうに思っています。港湾が将来にわたって機能を発揮するためには、その健全性を適切にやはり確保するということが必要不可欠であります。

 私の地元の大阪でも、今後、臨海部の特色を生かしてどんどん活性化させていく、そのようなときに港湾インフラがやはり老朽化してぼろぼろでは、言われている人流、物流、またにぎわいの創出の面でも問題が生じてまいります。

 一方で、DXの活用など新しい技術も出てきておりますが、このような状況の中で、国土交通省として、港湾インフラの老朽化対策、どのように進めていくかというのは難しい課題ではありますけれども、大臣、お答えいただけますでしょうか。

中野国務大臣 井上委員にお答え申し上げます。

 老朽化の現状は、先ほど港湾局長から答弁をしたとおりでございますけれども、この老朽化の対策、当然、港湾を含むインフラの老朽化対策でありますが、喫緊の課題、まさに委員の御指摘のとおりかと思います。

 国土交通省におきましては、これまで老朽化対策事業というのは交付金という形でやっていたんですけれども、令和四年度に、老朽化対策を集中的に支援する個別の補助化という、補助制度というものにいたしまして、老朽化対策を加速化していこう、こういうことをしております。

 ライフサイクルコストの縮減や、機能の集約及び転換、また、委員も御指摘ございましたDXを含んだ新技術の活用などを港湾施設の維持管理計画に盛り込むために、補助制度、これも創設をさせていただいたところであります。

 また、あわせて、港湾管理者の業務の効率化及び縮減に向けまして、例えば、港湾施設の老朽化に関する情報を電子化をして、一元的なアクセスを可能とする、サイバーポートと呼んでおりますが、この構築や、新技術の活用によりまして点検を合理化をしていく、こういうことも推進をしております。

 引き続き、これらの施策にしっかりと取り組むとともに、今般新たに設けます工事代行制度、先ほど御質問もございました、これも適切に運用しまして、港湾インフラの老朽化対策を計画的、戦略的に推進をしていきたいと考えております。

井上(英)委員 大臣もありがとうございます。

 大臣も地元は尼崎で港もありますし、うちの徳安委員も同じ尼崎で、私は大阪ですけれども、阪神港という考え方で、大阪、神戸、それからまた兵庫県のそれぞれの港、大阪府の港というのがあります。もちろん、大阪は阪神港だけではなくて京浜もありますし、港湾局としては是非しっかりとそれぞれの港を支えていただくようにお願いをしたいと思います。

 工事代行など一時的に国がサポートする制度とともに、やはり、こういったDXなどを活用しながら、将来にわたって持続可能な維持管理体制というのを是非構築していただきたいなと思いますし、先ほど大臣が言われた点検ですね、この点検がやはり非常に難しいのかなと。今回の八潮の陥没もそうでしたけれども、気づければいろいろな手を打てれたということもありますので、是非お願いしたいと思います。

 やはり、日本全体で人口が減っていっています。そういった中でもインフラに関わる技術者をしっかりと、これも先ほど来質疑がありましたけれども、確保していかないと、インフラの整備や老朽化対策、また災害時の対応というのも必然的に難しい状況となってくるわけですので、この人材確保自体も重要であると考えます。

 これは、やはり、我々は教育の問題でもあるかなと思います。港湾分野に限らず、建設業界全体として、インフラに関わる仕事の重要性だとかすばらしさというのを若い人たちにどんどんどんどん伝えていくような取組というか環境というのが重要ではないかなというふうにも思いますし、また、各地域の建設業の皆さんが安心して働けるような環境づくりというのがやはり大事だというふうに思います。国交省におかれましても、こういったことも踏まえて、持続可能なインフラ確保、是非積極的に展開していただきたいと思います。

 そして、次に、国際コンテナ戦略港湾政策についてお伺いしたいと思うんですけれども、大阪、阪神港も国際コンテナ戦略港湾でありますけれども、やはりこういった選択と集中をしっかりとやって、集貨、創貨、競争力強化というのを是非進めていきたいというふうに思います。

 大阪港においては、インド・ムンバイなんかは、これはビジネスパートナーシップというのもあって、ビジネスパートナーシップシティーですかね、というのもあって、そういったアジアからの広域な集貨というのにしっかりとトップセールスをしたり、食の輸出を増加させる取組をしたりと、それなりに努力をしてくれているというふうにも大阪から聞いています。

 また、今度は、万博もある夢洲コンテナですね、その夢洲のコンテナターミナルにおける貨物の取扱量というのを増やしていく。今、大阪で大体二百万TEUぐらいですね。東京で四百万、上海で四千七百と聞きましたので、四千七百万ということになると東京でさえも一つ桁が少ないわけですから、やはり頑張らないけないなと改めて思いますけれども、そういうところからもしっかりと様々な取組を進めていただきたいと思います。

 一方、先ほど言ったDXですね、DXの進みが、世界ではやはり進んでいます。でも、日本ではちょっと進みが悪いというふうに聞いていますけれども、国交省の認識についてお伺いしたいと思います。

稲田政府参考人 我が国港湾の競争力強化や労働力不足に対応するため、国土交通省では、人を支援するAIターミナルの実現や、港湾関連手続等を電子化するデータプラットフォーム、サイバーポートの利用促進を進めているところであります。

 この取組の一環としまして、御地元の大阪港夢洲コンテナターミナルにおきましては、昨年、令和六年三月から、コンテナターミナルゲート前の混雑緩和を目的としたコンテナ来場予約システム、CONPASの運用を開始いたしました。

 また、令和六年度には、ターミナルゲートにおけるカメラを活用した遠隔からのコンテナダメージチェック、こういったターミナルゲートにおける作業効率化に対する支援も行ってきてございます。

 こういった取組に加えまして、令和五年度には港湾技術開発制度を創設をして、コンテナターミナルの更なる生産性向上や労働環境改善につながる新しい技術開発を推進しているところでございます。

 国土交通省としましては、引き続き、これらの支援や新技術の横展開などを通じまして、国際コンテナ戦略港湾におけるDXの取組を推進してまいりたいと考えております。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 少し時間も詰まってきたので、DX、CONPASですね、これもやはりスケールメリットが出るように、たくさんの利用者が出てこないとなかなかしんどいと思いますので、是非進めていただきたいと思います。

 そしてまた、この法案で協働防護計画制度というのが今回創設をされるということで、この趣旨を、港湾局長、手短にちょっと御答弁いただけたらというふうに思います。

稲田政府参考人 協働防護計画制度の趣旨でございますが、我が国の産業活動、国民生活を支える重要な物流拠点である港湾は、その特性上、水際線に面しており、近年、気候変動に伴う海水面上昇等を背景に、高潮、高波による貨物の流出など、港湾の被災が頻発化をしてきているところであります。

 場所によっては、二〇四〇年に計画上の護岸の高さを一メートル程度引き上げる必要が生じると予測されるなど、将来的に港湾機能に大きな影響が生じることが懸念をされております。

 港湾には官民の多様な主体が立地をしておりまして、この状況に対応するためには、関係者の連携と協働によって切れ目のない防護ラインを形成する協働防護の取組が有効であることを踏まえ、今般、協働防護の取組を促進するための計画、協定制度を創設するものでございます。

 これによって、関係者間の合意形成を促し、協働防護の取組の促進、ひいては、気候変動による海水面上昇等からの港湾の保全に資するものと考えてございます。

井上(英)委員 局長、ありがとうございます。

 協働防護、これは官民の連携というのがやはり必要不可欠でありますし、先ほど来もありましたように、特に民間企業の自発的な取組というのを促していくということが重要ではないかなというふうには思います。

 ただ一方で、やはり、資材なんかも高騰もしていますし、様々な値上げもあって、民間が所有する護岸というのをかさ上げしたりするというのは費用も非常にかかりますし、また、民間企業からすると、お金を生まない施設に投資はしにくいというような問題もあるかと思います。

 そういった中で、やはりこの計画というのを最適化してやってもらう事業ということで、どういう想定をされるかというのは、港湾局長、答弁はいいので、よろしくお願いしたいと思います。先ほどカーボンニュートラルもちょっと聞けなかったんですけれども、カーボンニュートラルも、国際港湾をする上において、どんどんどんどんセールスをしていくのに大事なことですから、しっかりと進めていただけたらと思います。

 最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、やはりこういった協働防護の取組というのは、ハード対策とソフト対策というのを組み合わせて行うということが大事だというふうに思います。先ほども述べたように、国際コンテナ戦略港湾というのがしっかりとできるように。

 大阪では、関空の橋に船がぶつかったりしたような台風の高潮被害というのもありました。是非しっかりと、その辺の決意を大臣にお聞かせいただけたらと思います。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、平成三十年の台風二十一号の際には、大阪湾ではクレーンの倒壊もございましたので、大変に、大規模災害時においても、やはり企業のグローバルなサプライチェーンを維持するという観点からも、国際コンテナ戦略港湾の機能の維持をするということは極めて重要であると考えております。

 委員御指摘の耐震強化岸壁の整備など、当然、ハード対策に加えまして、ソフト対策ということで、複数の港湾が相互に連携をして、コンテナ貨物等の代替輸送などを行うための計画、広域港湾BCPの策定など、こうした対策を一体的に推進をしてきたところでございますので、今回、また、協働防護の取組ということを更に推進をすることで、ハード、ソフト一体となった防災・減災、しっかり深化をさせまして、国際コンテナ戦略港湾の国際競争力をしっかりと強化をしてまいりたい、このように考えております。

井上(英)委員 ありがとうございました。質疑を終わります。

井上委員長 次に、西岡秀子君。

西岡(秀)委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 今日も、質疑の時間をいただき、ありがとうございます。

 早速質疑に入らせていただきます。

 港湾法の一部を改正する法律案でございますけれども、先般の道路法、また議員立法でございますけれども半島振興法、それぞれ能登半島地震、この教訓を踏まえた法改正であると認識をいたしております。能登半島地震におきましては、輪島港、飯田港など地方の港湾施設が甚大な被害を受けております。半島振興法におきましても半島防災の理念が盛り込まれたところでございますけれども、全国の地方港湾、この災害対策強化、急務だというふうに考えます。

 現在の港湾BCP、また先ほども議論でありましたけれども広域BCPの策定状況、どのようになっておりますでしょうか。現状についてお伺いをいたします。今後、このBCPを不断に見直し、その実効性を高めることが大変重要だと考えますし、定期的な訓練も同時に必要であるというふうに思います。今後の方針について国交省にお伺いをいたします。

稲田政府参考人 お答え申し上げます。

 港湾の事業継続計画、いわゆる港湾BCPにつきましては、現在、重要港湾以上の全ての港湾に加え、一部の地方港湾でも策定をされてございます。また、広域港湾BCPにつきましては、伊勢湾、大阪湾など全国十七地域で策定をされているところでございます。

 能登半島地震の教訓も踏まえた令和六年七月の交通政策審議会答申におきましては、港湾BCPを地方港湾でも策定するとともに、複数の港湾が相互に連携をして緊急物資輸送等を行う計画、いわゆる広域港湾BCPを策定するべしということが示されているところでございます。

 御指摘のとおり、BCPの実効性を高める取組は重要であり、国土交通省としましても、港湾BCPや広域港湾BCPの策定に加え、各BCPに基づく不断の見直しや定期的な訓練の実施を通じまして、離島、半島地域も含めた我が国港湾の災害対応力強化をしっかり図ってまいりたいと考えております。

西岡(秀)委員 今の答弁で、地方港湾においても一部策定が進んでいるということでございましたけれども、やはり地方港湾においてもしっかりBCP策定を進めていくことが大変重要だというふうに思いますので、国交省の、ここをしっかり取り組んでいただくことをお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、気候変動適応策について質問いたします。

 IPCC第六次報告書によりますと、気候適応策、この実装は待ったなしの課題であるというふうに考えております。施設設計をしていく上では、外からどの程度影響があるのか、外力があるのかということをしっかり加味した中でこの設計を進めていかなければならないというふうに思いますけれども、今般、この実装方針の中で、これまでは考慮されなかった外力の経年変化を考慮する設計を導入することとされております。

 南海トラフ、首都直下型地震、日本・千島海溝地震など大変リスクの高い大規模自然災害の被害想定も踏まえて、ハード面、ソフト面、両面での取組を進める中で、この適応策、どのようなデータを基に進めていくのかということが大変重要だと考えております。今後の方針についてお伺いをいたします。

稲田政府参考人 港湾における気候変動適応策につきましては、港湾における気候変動適応策の実装に向けた技術検討委員会におきまして、令和六年三月に実装方針が取りまとめられ、これを受けて、同年の四月に港湾の施設の技術上の基準、これは国交省の告示でございますけれども、これを改正をして、外力について気候変動の影響を勘案する旨を規定したところでございます。

 今般の改正によって、外力の設定に際しましては、従来から規定している台風等を考慮した外力に加え、気候変動の影響も考慮するというふうになりました。

 お尋ねの気候変動の影響を考慮する具体的な方針としましては、文部科学省及び気象庁から示されている日本の気候変動二〇二〇や、文部科学省気候変動リスク情報創生プログラムから示されている地球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベース、こういったものを活用して、将来の風、潮位、そして波浪を見通して設計するということを基本としてございます。

西岡(秀)委員 様々なリスクを加味した中でしっかり進めていただくことを要望させていただきたいと思います。

 次の質問を一旦後回しにさせていただきまして、その次の質問に入らせていただきます。

 能登半島地震の教訓を踏まえまして、災害時の海上ネットワークの維持は極めて重要な課題であります。港湾は、陸路からの支援が困難となった場合に、地域の防災拠点としての機能、大変重要でございますし、災害時においても幹線物流を維持する、この意味でも大変重要だと考えております。

 被災地近くの物資を受け入れる港湾となる場合や後方支援する側となる港湾となる場合、いろいろな局面が想定されるというふうに思いますけれども、いずれも耐震強化、荷さばきスペース、緑地、備蓄倉庫等を備えておく、このことが不可欠であるというふうに考えます。

 今後どのようにこの整備を進めていかれる方針かということについて、国交省にお伺いをいたします。

稲田政府参考人 御指摘いただきましたとおり、支援側及び受援側の双方の港湾における防災拠点機能の確保のためには、船が着く岸壁に加えて、そこで荷降ろしした貨物を内陸に輸送するための臨港道路、物資の荷さばきのための岸壁背後の用地や緑地、備蓄倉庫など、一連の施設の健全性を確保することが重要だというふうに認識しております。

 そのため、これまでも進めてきた耐震強化岸壁や臨港道路の改良などのほか、今般の改正案におきましては、港湾施設の応急復旧に他人の土石等を使用できるとする措置、あるいは、災害対策拠点としての機能確保に資する民間施設を災害時に活用できることとする協定制度の創設などの措置を盛り込んでいるところでございます。

 国土交通省としましては、これらの取組を進めることで、港湾における防災拠点機能の確保を通じた被災地支援の円滑化をしっかりと進めてまいりたいと考えてございます。

西岡(秀)委員 先ほど申し上げました、大変なリスクの高い、今様々予測されております自然災害を含めて、どこでいつ災害が起こるか分からないということを踏まえますと、しっかりこの整備、全国でしっかりと進めていただくことが大変重要だと思いますので、要望をさせていただきます。

 続きまして、先ほど加藤委員からもお話がありました長崎県の離島、この港湾の防災拠点強化の重要性について質疑がございました。

 災害発生時には、離島や半島、条件不利地域の場合、迅速な応急復旧や啓開、また、そのために必要な資機材、これを運ぶための複数のルートを維持、確保していくことが不可欠です。

 陸路からのルートが困難となるケースが想定されるために、特に離島の場合、港湾を拠点として、作業船を確保して、この作業船を活用する体制を構築しておくことが大変必要だと考えております。

 今日お配りしております資料にもございますけれども、近年、作業船が著しく減少いたしております。このことについて、国交省としてどのように取り組んでいかれる方針であるかということをお伺いをさせていただきます。

稲田政府参考人 委員御指摘のとおり、作業船は、港湾工事はもとより、災害発生時の復旧作業に必要不可欠な船舶であります。これまでも、東日本大震災での航路啓開や能登半島地震での応急復旧、こういった場合に重要な役割を果たしてまいりました。

 このため、業界団体と協定を締結をしていまして、災害発生時に作業船を含む資機材等や人員を確保する体制を構築してございます。また、平時から業界団体と共同で訓練を実施するなど、災害対応力の確保も図っているところであります。

 一方、作業船の数でございますが、二〇〇三年から二〇二三年、この二十年間で隻数は約六割に減少しております。作業船の確保も喫緊の課題でございます。

 このため、船舶買換え時の税制特例措置とか、あるいは、発注の積算に用いる単価の適正な設定に加えまして、作業船を保有する建設業者に対する総合評価落札方式における加点の実施、こういった作業船を確保するためのインセンティブ、こういう取組を進めているところであります。

 引き続き、業界団体の意見なども伺って、災害時に作業船を確保できる体制を確保してまいりたいと考えてございます。

西岡(秀)委員 作業船については、業界団体を含めて様々御協力をいただかなければいけないところだというふうに思いますけれども、是非、今お取り組みいただいている様々な施策を強力に進めていただきたいというふうに思いますし、GPSを搭載する中で、効率的な応急復旧ということも、パートナーシップ協定の中で、私の地元長崎県も取り組んでおります。しっかりこのような取組も進めていただきたいというふうに思います。

 続きまして、二〇二四年問題に対応しまして、陸上輸送から海上輸送へのモーダルシフト、これは大変重要な課題だと思いますけれども、なかなかその進展が見えていない状況があるというふうに認識をいたしております。災害時の緊急輸送手段としても大変重要であるとともに、脱炭素化の施策としては、特に平時からの取組を加速していくことが大変重要だと考えております。

 現在の取組状況と、今後、モーダルシフトを進めていくためには、船舶の大型化、この要請がこれから求められてくると予想されておりますけれども、そうなりますと、現状においても船員不足は大変深刻な状況でございまして、一層の船員の育成、確保、これが喫緊の課題であると認識をいたしております。そのためには様々な総合的な施策が必要であるというふうに思いますけれども、私の地元からは、船員養成教育機関の入学定員を拡大してほしいという御要望等もいただいているところでございます。

 そのようなことも含めて、今後どのように取り組んでいく方針であるか、総合的な視点に立って、中野大臣にお伺いをさせていただきます。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 海運は、モーダルシフトの推進に当たっては大変に重要な役割を有しているというふうに私も考えております。

 国土交通省としましては、令和五年六月に物流革新に向けた政策パッケージ、同年十月に緊急パッケージを策定をいたしました。これに基づきまして、荷主の行動変容を促すためのフェリー等の積載率の公表を通じた空き状況の見える化、内航フェリー、ローロー船ターミナルの機能強化、国内海運における輸送量の増加に対応するためのシャーシ等の導入支援などを今進めているところであります。

 また、モーダルシフトの受皿として海運が機能を発揮するためには、委員御指摘のとおり、船員の確保、育成の対策をしっかり取り組むということも必要であると考えております。

 昨年十二月に海技人材の確保のあり方に関する検討会の中間取りまとめを行いまして、ここで示されました、例えば、海技人材の養成ルートを強化をしていくでありますとか、海技人材確保の間口の拡充等の施策などを着実に進めることで、船員の新規就業者の増加に向けて取り組んでまいりたいと思います。

 引き続き、各種施策を総動員をして、官民挙げて海運へのモーダルシフトを推進をしてまいりたいと考えております。

西岡(秀)委員 今大臣からお話がございましたように、様々総合的な施策が大変重要だと思いますけれども、まず、子供の頃から海に親しむことを含めて、体験乗船など様々なお取組もございますけれども、その中で教育機関、入口のところでしっかりやはり養成する、希望する学生さんたちがしっかり学べる環境、ここを拡大していくことは大変重要な課題だというふうに思っておりますので、是非引き続きのお取組をお願いを申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、この脱炭素に関連いたしまして、ちょっと順番は前後いたしますけれども、カーボンニュートラルポートにつきまして質問をさせていただきます。

 カーボンニュートラルポートの形成、これは大変重要な事業であるというふうに思いますし、今全国でそれぞれ様々な港湾がございます。この港湾の特性に合った形で、今カーボンニュートラルポートの形成が進められていると認識をいたしております。

 その中で、今般、カーボンニュートラルポートにおきまして、水素、アンモニアといった次世代燃料を扱う施設というのがこれから増えていくことが予想されておりまして、この防災対策の中でこのことをどのように位置づけていくのかということにつきまして、国交省にお伺いをさせていただきたいと思います。

稲田政府参考人 カーボンニュートラルポートにおきましては、今後、水素やアンモニアの活用というのが想定されていくところであります。

 水素やアンモニアにつきましては、それぞれ引火性や毒性等の物性を持っておりまして、その観点から、港湾において安全に取り扱うことができる環境を整備することは重要でございます。

 これらの物質の取扱いにつきましては、関係省庁が所管する法令等で、災害対策の観点も含めて必要な規定がなされているところであります。

 一方で、目的が異なる複数の法令等の規定を踏まえる必要があるため、取組を進める港湾管理者や民間事業者がそれを正確に把握をして検討を進めていくということが必要なんだろうというふうに思います。

 このため、国土交通省港湾局としましては、これら関係法令等を踏まえた上で、港湾において水素、アンモニア等の安全かつ効率的な取扱いに資する施設配置等の検討手順等を包括的に示したガイドラインの作成を進めておりまして、三月二十四日にこの中間取りまとめを公表したところであります。

 引き続き、安全対策も含めて適切に取組の検討が促進されますよう、関係省庁とも連携して対応してまいりたいと考えております。

西岡(秀)委員 今、安全対策もしっかり加味してという御答弁がございましたけれども、カーボンニュートラルポート、今、港湾脱炭素化推進協議会が全国で九十七の港湾で設置をされておりまして、その推進計画が三十四の港湾で作成が済んでいるというふうにお聞きをいたしております。

 私の地元長崎県においても、先般、長崎港の推進計画が策定をされたところでございまして、しっかりやはりカーボンニュートラルポートの推進、各地域でそれぞれの港湾の特性を生かした中で進めていけるように、しっかり国交省からの御支援、また様々な情報提供も含めてお願いを申し上げたいというふうに思います。

 そろそろ時間となりましたので、これで私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、西園勝秀君。

西園委員 公明党の西園勝秀です。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私は、国土交通省に港湾技官として二十八年四か月務めてまいりました。港湾法は、私自身、事務方としてその改正作業に何度か携わってきたことから、大変思い入れのある法律です。本日は、その港湾法改正の質問に立たせていただく貴重な機会ですので、有意義な議論が行えればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、協働防護について質問させていただきます。

 東日本大震災では、宮城県気仙沼港の石油タンクが津波によって流され、大規模な火災が発生しました。全国各地の港に設置されている石油タンクは主に民間企業が所有しており、それを保護する護岸も同時に民間が管理するケースが一般的です。近年、地球温暖化の影響による海面上昇に伴い、津波や台風時の高波が護岸を越え石油タンクに直撃するリスクが高まっています。そのため、官民が連携し、協働防護の考え方の下で計画を策定し、護岸のかさ上げを進めることは本法律案の重要な意義の一つです。

 また、海面上昇への対策としては、護岸のかさ上げだけでなく、コンテナの流出を防ぐ防護柵の設置も検討すべきです。

 二〇一八年の台風二十一号では、大阪港、神戸港において一九六一年の第二室戸台風を超える過去最高の潮位が観測され、最大瞬間風速は毎秒四十メートル以上に達しました。その結果、両港で六十個以上のコンテナが漂流する事態となりました。

 私の地元静岡を代表する清水港でも多数のコンテナがヤードに保管されており、万が一津波や高波によってコンテナが流出した場合、背後の住宅地に大変な被害が及ぶことを危惧されております。

 これは全国的な課題だと思いますが、今般新たに講じる協働防護により、内陸へのコンテナの流出などを防止する取組は進むのでしょうか。政府の御見解をお聞かせください。

稲田政府参考人 協働防護でございますが、これは、気候変動に適応した防護水準の確保を促すことで、港湾における災害を未然に防ぎ、物流機能や産業機能を維持するとともに、港湾近傍に立地する企業群の資産防護、すなわち港湾背後地の防護に資する施策でございます。

 委員御指摘の内陸へのコンテナの流出防止も、これは重要な観点だと考えておりまして、具体的な取組としましては、胸壁の設置や電源設備のかさ上げ、流出防止柵の設置や貨物の固縛などなど、様々な対策が想定されるところであります。

 清水港を始めコンテナターミナルを抱える港湾におきまして、これらの対策を含めた協働防護の取組が進められれば、内陸へのコンテナの流出防止も図られるものだというふうに考えてございます。

西園委員 御説明ありがとうございます。

 これからの時代のキーワードは、官民が連携して取り組む協働防護だと思います。政府におかれましては、各港における協働防護計画の策定と最適化事業の着実な実施をお願いいたします。

 次に、港湾のしゅんせつ事業について伺います。

 私は、これまで全国各地の港を視察してきましたが、最近特に気になるのが、港湾の海底を掘るしゅんせつが十分に行われていないことです。海流によって海底の土砂が運ばれ蓄積していくため、適宜しゅんせつする必要がありますが、しゅんせつの不足により既定の水深を確保できず、満潮を待たなければ船を出せないようなケースが出ていることです。

 しゅんせつ不足は、港を利用する貨物船やフェリー、漁船等、全ての船舶の運航に支障を来す要因となっています。特に小型の船ほど港湾の埋没の影響を受けやすく、潮の満ち引きを考慮しながらの運航を余儀なくされています。これにより、貨物の受渡しに遅延が生じ、漁業の操業時間が制限されるなど、地域経済にも大きな影響を与えています。また、離島と本土を結ぶ航路では、しゅんせつ不足で水深が浅くなるとフェリーの運航に支障を来し、住民の生活や観光業にも悪影響を及ぼしかねません。

 港湾の適切な水深を維持するためのしゅんせつは港湾管理者の重要な責務ですが、その多くを担う地方自治体では、財政的な制約から十分な対応が難しくなっています。結果として、必要なしゅんせつが後回しとなり、航行の安全性や物流の効率が低下するという悪循環に陥っています。

 一方、河川では、令和二年度から緊急浚渫事業債を活用したしゅんせつが可能となり、一定の効果を上げています。同様の仕組みを港湾にも適用し、国として地方自治体を財政面で支援することが求められています。加えて、技術職員の確保やしゅんせつ計画の効率的な推進にも国の積極的な関与が必要です。

 ついては、政府におかれましては、港湾管理者への財政支援を含めたしゅんせつ事業の強化に向けて今後どのように取り組まれていくのか、具体的に教えていただければ幸いです。

稲田政府参考人 お答え申し上げます。

 港湾が経済や産業活動、国民生活を支えていく基盤としてこれからもやっていくためには、船舶が安全に航行するための所定の水深を確保することは、これは大変重要なことであります。

 委員御指摘のとおり、航路や泊地などの水域施設は、まずは港湾管理者におきまして適切に維持管理いただくことが前提となりますけれども、その上でなお埋没対策が必要な場合におきましては、防災・安全交付金による支援も可能となっております。

 そのほか、交付金事業の対象とならないような小規模なものに関しましては、長寿命化対策としてのしゅんせつであれば、公共施設等適正管理推進事業債の対象となってございます。

 国交省としましても、こういったいろいろな仕組みを活用いただきながら、引き続き、港湾機能を確保するための港湾管理者の支援、これを行ってまいりたいというふうに思っております。

西園委員 御説明ありがとうございます。

 防災・安全交付金、公共施設等適正管理推進事業債のスキームは、港湾管理者にとって大変ありがたいものです。問題はその予算の額ですので、海難事故を起こさせない、また災害時の早期復旧の観点からも、日頃からしっかりとした整備が行えるよう、十分な財政支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、土砂処分場の問題に移らせていただきます。

 昨今の土砂災害の増加を受け、安全な土砂の管理が喫緊の課題となっています。令和三年七月に発生した熱海市の土石流災害を契機として、静岡県では、盛土規制条例が制定されました。この条例により、盛土として受け入れる土砂に有害な重金属が含まれていることを確認された場合、その処理責任を受入れ業者が負うことが明確化されました。

 この規制の強化に伴い、静岡県内において、公共工事などで発生する残土の受入先が減少するという課題が生じています。特に内陸部における残土の処分が難しくなっており、その影響が公共工事の円滑な進行にも及びかねません。

 さらに、今後想定される南海トラフ巨大地震の発生時には、大量の災害廃棄物が発生することが見込まれます。この災害廃棄物の適切な処理、処分体制を確保することは、迅速な復旧復興を進める上で不可欠です。しかし、現在の状況では、これらの廃棄物を受け入れる処分場の確保が十分に進んでいるとは言えません。

 このような状況を踏まえ、持続可能な廃棄物処理体制の構築において、国が主導して海面処分場の整備を進めることが極めて重要であると強く訴えたいと思います。海面処分場の整備は、公共残土の受皿としての役割を果たすのみならず、大規模災害時に発生する災害廃棄物の適正処理にも貢献するものです。大規模災害に備えた廃棄物処理体制の強化並びに公共残土の円滑な処理を可能とするため、国が主導して海面処分場の計画を推進する必要があると考えますが、政府の御見解をお聞かせください。

稲田政府参考人 静岡県内の国際拠点港湾や重要港湾におきまして、現状、港湾計画の中で公共残土等の受入れが可能な海面処分場は、残念ながら位置づけられていない状況でございます。

 静岡県内の港湾に限らず、新たに港湾計画に海面処分場を位置づける場合におきましては、自然条件や港湾の利用状況等を考慮して、港の内外から発生する土砂の量を踏まえ、各港湾管理者でしっかり検討されるものだというふうに承知をしております。

 委員御指摘のとおり、災害発生土や公共残土等の土砂処分場の確保につきましては、これは重要な課題だというふうに認識をしてございます。国土交通省といたしましても、港内において土砂の受入先を確保する場合には、港湾計画の検討段階から港湾管理者と緊密に連携をして、必要に応じて技術的な支援も行ってまいりたいというふうに考えてございます。

西園委員 御説明ありがとうございます。

 港湾計画を改定するには数年かかります。災害はいつ起こるか分かりませんので、発災後の迅速な復旧のためにも、まずは港湾計画に海面処分場の用地を位置づけていただくようお願いいたします。

 次に、能登半島地震を踏まえた港湾の防災対策について伺います。

 能登半島地震では、海底の隆起で港が使えなくなる事態が発生しました。これまで港の防災対策は、耐震強化岸壁を整備するなど特定の港の耐震性を上げることで物流の機能を維持してきましたが、海底の隆起という事態には対処できていません。

 私は、国土交通省の役人時代に港湾の建設の技術基準を策定する委員会の事務方の取りまとめ役を務めてきました。その際の委員長である早稲田大学名誉教授の清宮理先生に、能登半島地震発生後、現行基準ではカバーしていない港の海底の隆起の問題についてお考えを伺いました。清宮先生は、あくまでも御自身の見解ですがと断った上で、個々の港の耐震強化だけでなく、複数の港が連携し、相互にバックアップできる体制を構築する視点が重要だと指摘されました。

 私もこのお考えに全く同感です。大規模災害時には、広域的な港湾ネットワークを整備し、被災後の物流機能を維持する体制が不可欠です。そのため、政府が主導し、全国の主要港の役割を明確化し、災害時の緊急物流ルートを確保する必要があります。

 こうした観点から、海底の隆起により港が使えなくなる事態を想定し、今後の港湾の防災拠点機能をどのように確保すべきとお考えでしょうか。中野大臣の御見解をお聞かせいただければと存じます。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 西園委員におかれましては、様々専門的な御経験から御指摘賜りまして、ありがとうございます。

 能登半島地震では、輪島港の地盤が隆起をいたしまして、水深が一・五メートル程度浅くなりましたが、水深七・五メートルの岸壁を水深六メートルとして運用することで、船舶による支援物資の輸送や給水支援に活用されたところであります。

 一方で、やはり一定の水深が必要な防衛省のPFI船などの船舶については、耐震強化岸壁を有する七尾港に着岸をし支援活動が行われるなど、能登半島地域の複数の港湾が補完し合うことで、円滑な被災地の支援輸送が行われたところでございます。

 まさにリダンダンシーということで、委員からも御指摘ございましたが、この教訓を踏まえまして、災害時には、耐震強化岸壁を核とした防災拠点に加え、その他の利用可能な岸壁も最大限活用した海上支援ネットワークを形成をするということによりまして、被災地の支援機能の確保、こうしたことを図ってまいりたい、このように考えております。

西園委員 中野大臣、御丁寧な説明、ありがとうございます。南海トラフ巨大地震を始め、甚大な災害を想定する中、被災地支援の観点からも港湾のネットワーク構築が極めて重要であると考えます。

 最後に一言、港湾法に対する私自身の思いを述べさせていただきます。

 港湾法が成立したのは昭和二十五年、GHQの指導の下で戦後の日本の港湾政策の方向性が決定づけられました。ロンドン港やニューヨーク・ニュージャージー港におけるポートオーソリティー制度に倣い、港湾管理者である地方自治体が独立採算で港の運営を行うことが基本とされ、国の関与は著しく制限されました。これは、旧河川法が明治二十九年、旧道路法が大正八年に成立され、国と地方自治体による公物管理の在り方が確立していた河川、道路と大きく異なるところです。

 高度経済成長期には、港湾で大型船舶を受け入れる大水深岸壁が必要になってきました。その建設には高度な技術力が必要であることから、国が整備を行い、工事完成後に港湾管理者が管理をするやり方が取られてきました。施設の維持管理は、本来、設計、施工を行った者が行うのが合理的ですが、そのような時代背景から、国が整備した岸壁については自治体の港湾管理者に維持管理が任されています。

 しかし、この制度では、いざ岸壁の不具合があった場合にも、技術者が不足する自治体は改修工事を国に依頼して行わなければならず、不合理です。能登半島地震後の復興においても、自治体から国への権限代行の手続に時間を要しました。災害現場で人命救助や緊急物資の搬送に一刻を争う状況を考えると、命の道や港は国が責任を持って管理すべきであると考えます。

 経済においても、日本の貿易貨物は重量ベースで九九・七%が港で取り扱われています。まさに港が日本経済を支えています。港に関わる全ての皆様が安心して働ける環境をつくることが日本経済の再生につながっていくと確信いたします。

井上委員長 既に時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。

西園委員 港の元気は日本の元気です。日本の元気を取り戻すため、私自身、港湾の専門家としてできる限り汗をかいていく決意です。

 以上のことを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。

井上委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組の潜水艦、たがや亮です。

 今日は、潜水艦ですので、たがやをちょっと潜水させて、れいわらしくびしっと頑張りたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 今回の港湾法の一部改正では、技術系職員が不足している港湾管理者である自治体の支援策として、国による高度な港湾工事の代行制度が設けられています。

 地方港湾の修繕、更新などに関しては、自治体からの申出に基づき国交省が代行できる制度を新たに設けることは、技術系職員確保に苦労している地方公共団体にとっては朗報と言えるかもしれません。

 一方、港湾以外の地方のインフラも同じように老朽化しており、先日の道路法改正の審議においては、道路の修繕、更新などについても国交省が代行できるようにしてはどうかと尋ねましたが、橋やトンネルなど以外の道路については想定していないとのことでした。

 では、高度な港湾工事の国による代行制度について、そもそも全ての市区町村のうち、二五%では技術系職員がゼロであり、インフラ更新の専門職がいない状況です。人員不足は、港湾に限らず、インフラ全般にわたっていますが、今回、高度な港湾工事の国による代行制度を設けた趣旨についてお伺いをいたします。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 委員が御指摘のとおり、地方自治体のインフラ分野に携わる人員の不足というのは、港湾に限らず、どのインフラも共通のものと認識をしております。

 岸壁や防波堤などの港湾インフラについては、海上の施工や軟弱地盤対策など、港湾特有の高い専門知識が必要になりますが、港湾管理者の技術職員の数は約二十年間で二割以上減少しているということでございまして、専門知識を有する職員の確保に大変苦慮しているという現状でございます。

 道路分野及び河川分野においては、高度な技術力を要する工事についての国による代行制度というのは既に法律上設けられているところでありますが、港湾分野については同様の規定がないということで、このため、港湾インフラの適切な機能確保を図ることを目的といたしまして、今般、港湾管理者の要請に基づいて、国が高度な技術等を要する工事を代行する制度などを創設をするとしたものでございます。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 技術系職員不足の根本的な解決に向けて、特に高い専門知識が必要な港湾についての技術系職員の確保について、国としてどのように具体的に取り組んでいるか、お伺いをします。

稲田政府参考人 御指摘のとおり、岸壁や防波堤など港湾インフラの設計や工事には、海上施工や軟弱地盤対策などに関する港湾特有の高い専門知識が必要とされます。

 このため、港湾管理者の職員におきましても、専門知識を有する人材の育成、確保を図るため、国土交通省では、港湾施設の設計や港湾工事の施工に関する研修を実施しているところであります。

 港湾管理者におきましても、専門知識を有する技術系職員がこういった研修を通じて確保できますよう、人材育成を進めてまいりたいと考えております。

たがや委員 ありがとうございます。

 それでは、国が行った港湾に関する研修の具体的な内容と成果をお伺いします。

稲田政府参考人 具体的には、国土技術政策総合研究所という機関が横須賀、久里浜にございますが、ここにおきまして、港湾管理者の職員等も対象とした港湾施設の設計あるいは港湾工事の施工に関する研修に加え、港湾における防災や維持管理に関する研修などを行っております。

 直近、令和六年度におきましては、十三コースを設けておりまして、延べ百五十人の港湾管理者の職員がこれに参加をされ、港湾に関する高い専門知識を習得されました。

 引き続き、研修を通じて、港湾管理者の職員の技術力の向上に努めてまいります。

たがや委員 ありがとうございます。

 短期的には、工事の代行により港湾インフラの維持管理に資すると思いますが、中長期的には、自治体の職員の採用、育成にはつながらず、技術系職員の不足についての根本的な解決にはつながらないんじゃないのかなというふうに思うんですが。

 それでは次に、緊急時の国民保護や災害に備え、平時から自衛隊や海上保安庁の船舶が利用できる特定利用港湾に関して伺います。

 国による高度な港湾工事の代行制度については、特定利用港湾の制度による軍事利用と関連があるのではないかとの懸念があります。

 そこで、防衛省に伺います。

 特定利用港湾を使用する自衛隊の訓練は、現在どれくらいの頻度、内容で実施されているんでしょうか。また、今後どのように予定されているのか、お伺いをいたします。

伊藤(哲)政府参考人 お答え申し上げます。

 特定利用港湾における自衛隊の訓練については、例えば、輸送艦などによる国民保護のための避難や部隊の人員、物資等の積卸しのための訓練、護衛艦による離岸、接岸の訓練等を想定しております。

 訓練での利用頻度につきましては、基本的にはそれぞれの港湾につき年数回程度を想定しております。特定利用港湾となったことによって、常時自衛隊の部隊がそこで訓練を行っているというようなことにはなりません。

 なお、実際に港湾を利用した訓練を行うに当たっては、自衛隊が優先利用するものではなく、あくまでも港湾法等の既存の法令に基づき、港湾のインフラ管理者としっかりと調整を行った上で実施してまいります。

たがや委員 武力紛争での民間人の被害をできる限り減らすことを目的としたジュネーブ諸条約では、軍事目標以外への攻撃を禁止しています。自衛隊が特定利用港湾での訓練を行うことで、その港湾が軍事活動に資する施設と判断され、軍事目標として武力攻撃を受ける危険性はないのか、外務省に端的にお伺いします。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 ジュネーブ諸条約第一追加議定書第五十二条には、実際に武力紛争が生じた場合において、「攻撃は、厳格に軍事目標に対するものに限定する。軍事目標は、物については、その性質、位置、用途又は使用が軍事活動に効果的に資する物であってその全面的又は部分的な破壊、奪取又は無効化がその時点における状況において明確な軍事的利益をもたらすものに限る。」と定めております。

 そのため、軍事目標に該当するか否かについては、特定利用港湾であるか否かによって形式的に決まるものではなく、実際に武力紛争が生じた場合において、その時々の状況に照らして個別具体的に判断する必要があり、一概にお答えできないものと認識しております。

 その上で申し上げれば、特定利用港湾において設けられる円滑な利用に関する枠組みは、平素における港湾の利用を対象としたもので、有事の利用を対象とするものではないと承知しております。

たがや委員 ありがとうございます。

 外務省さん、実際に紛争が起こらないと分からない、それはそうなんですけれども、想定ぐらいしていないとしたらびっくりなんですが。

 いずれにしても、実際に攻撃される危険性が高まるということは間違いないと思いますので、それで実際想定もしていないとかということになると、国防になるのか。

 これは通告していないんですけれども、防衛省さんも同じ認識なんでしょうか。ちょっとお伺いしたいんです。答えられたらで結構です。

伊藤(哲)政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに外務省さんがお答えになられたように、特定利用港湾であるか否かによって実際に武力紛争が生じた場合において軍事目標になるか、該当するか否か、それは、その時々の状況に照らして個別具体的に判断する必要があるものと考えております。

 以上でございます。

たがや委員 それでは、角度を変えて伺います。

 アメリカ軍から特定利用港湾を使用したいとの申出があった場合、日米地位協定等の国際条約の上で、日本政府はアメリカ側からの申出を拒めるのか、端的にお伺いします。

熊谷政府参考人 お答え申し上げます。

 特定利用港湾において設けられる円滑な利用に関する枠組みでございますが、これは、自衛隊、海上保安庁による利用を対象として、あくまで関係省庁とインフラ管理者との間で設けられるものでありまして、米軍が当該枠組みに参加することはないと承知しております。

 その上で、一般論として申し上げればですが、特定利用港湾であるか否かにかかわらず、米軍船舶につきましては、日米地位協定第五条に基づき、我が国の港湾に出入りするということが認められております。

 ただし、実際の使用に当たりましては、米軍は、民間船舶による港湾使用への影響が最小限にとどめられるよう、港湾管理者と所要の調整を行うということになっております。

たがや委員 ありがとうございます。

 ということは、アメリカ軍の入港を認められるということの認識でよろしいですよね。答弁は求めませんけれども、うなずいていただければ結構です。それでよろしいですね、はい。ありがとうございます。

 参考までに、新聞記事などを資料一、二としてお配りしておりますので、御参照いただければと思います。

 さらに、私の手元に、内閣官房国家安全保障局の総合的な防御体制の強化に資する取組についてという資料があります。この資料のよくある御質問コーナーには、特定利用空港・港湾となることで米軍も利用することになりますかとの問いに対して、この枠組みはあくまでも関係省庁とインフラ管理者との間で設けられるものであり、米軍が本枠組みに参加することはありませんとの回答ですが、それはそうでしょう。日米地位協定では、米軍はいつでも、今答弁ありましたとおり、特定利用港湾に限らず、それ以外の港湾も利用できるわけですから、米軍が、本枠組みですね、本枠組みに参加することはないとの書きぶりは、ある意味、質問に答えておらず、極めて不誠実な回答だなというのはこの質問コーナーで思いました。

 最後の質問になりますけれども、緊急時に国民の生命財産を守る拠点となる特定利用港湾が、一方では武力攻撃の対象となり、国民の生命財産を危険にさらす可能性や、近隣諸国との緊張関係を高めてしまう可能性があります。

 これらのジレンマを回避するバランスをどう取っていくのか、港湾を所管する中野大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 特定利用港湾とは、総合的な防衛体制の強化の一環として、自衛隊、海上保安庁が平素から必要な港湾を円滑に利用できるように、港湾管理者との間で円滑な利用に関する枠組みが設けられた港湾のことでございます。

 この円滑な利用に関する枠組みが設けられた後も、自衛隊、海上保安庁による平素の利用に大きな変化が起こることは想定をしておらず、そのことのみによって当該施設が攻撃目標とみなされる可能性が高まるものとは言えないものと承知をしております。

 むしろ、自衛隊や海上保安庁の船舶が必要な港湾を平素から円滑に利用できるように政府全体として取り組むことは、我が国への攻撃を未然に防ぐための抑止力や実際に対応するための対処力を高めるものであり、我が国への攻撃の可能性を低下させるものであります。ひいては我が国国民の安全につながるものであるというふうに承知をしております。

 政府の一員といたしまして、このような考え方や取組について、広く関係者や国民の理解を獲得するよう努めてきたところであり、引き続き丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 今、武力のためではないとか、危険はないという、攻撃されることは想定されていないということなんですけれども、一方で、今大臣が口にしたのは、抑止という言葉が出たということで、やはり武力に関連するということが分かったと思います。

 高度な港湾工事の国による代行制度という耳触りのいい言葉でごまかして、実際には軍事利用のための整備を進めようという目的があるのではないかという疑念が深まりました。れいわ新選組としては、この法案に反対せざるを得ません。

 質問を終わります。ありがとうございます。

井上委員長 次に、堀川あきこ君。

堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。早速質問に入らせていただきます。

 本法案は、港湾の老朽化、陳腐化が進む中、インフラ機能の確保のために支援が必要という背景から、国による工事代行制度の創設などが新たに盛り込まれています。

 この港湾の老朽化対策についてなんですが、老朽化していくということは予測できたことだというふうに思うんです。この間、国交省として取り組んできた老朽化対策について、先ほどの井上委員の答弁と重なる部分があるかもしれませんけれども、この間の対策と実績について答弁をお願いします。

稲田政府参考人 港湾施設の老朽化対策につきましては、将来にわたってその機能を発揮できるよう予防保全型の維持管理への本格転換を図るため、老朽化した施設の機能集約を行う再編や、新技術の活用などに取り組んできてございます。

 令和四年度には、これまで交付金で行っていた老朽化対策のための事業を集中的に支援する個別補助化を行いました。また、ライフサイクルコストの縮減や、機能の集約及び転換、DXを含む新技術等の活用などを港湾施設の維持管理計画に盛り込むための補助制度も創設をいたしました。

 さらに、港湾施設の老朽化に関する情報を電子化して、一元的なアクセスを可能とするサイバーポートの構築や、新技術の活用による点検の合理化などの取組も推進してきてございます。

堀川委員 今述べられたことなんですけれども、これはインフラ長寿命化計画に基づいてやってきたことという認識でよろしいですよね。確認です。

稲田政府参考人 そのように捉えていただいて構わないと思います。

堀川委員 ありがとうございます。

 この法案でも強調されているように、ただ、老朽化は今後急速に進む、しかし、そのための工事が困難になっているという事態が指摘をされています。

 この間の老朽化対策、今述べられたことなんですけれども、国交省としてどう評価しているのか、十分だという認識なのか、認識を問いたいと思います。

中野国務大臣 先ほど港湾局長から、港湾の老朽化対策の取組ということで、今やっていることを紹介をさせていただきました。国土交通省では、老朽化対策に係る様々な取組を推進をしてきたということでございます。

 他方で、やはり港湾施設の整備というのは、高度経済成長期に集中的に整備をしたものが多うございますから、老朽化は急速に進行しているというのが現状でもございます。老朽化対策の推進というのは、引き続き、喫緊の課題である、そういう認識をしております。

 そういう意味では、引き続き、例えば予防保全型のメンテナンスへの転換、あるいは、先ほども少し御紹介させていただきましたDXを含む新技術の活用などもしっかり活用して、更に戦略的そして計画的に老朽化対策を推進をしていきたい、このように考えております。

堀川委員 余り、ちょっと評価という中身がなかったような答弁だと思うんですけれども、やはりこれだけ技術系職員が減ってきている、そのことによってメンテナンスの工事が困難になってきている。やはり、この間の職員の削減あるいは地方交付税の削減など、根本的な国の政策を見直すべきだと私は思います。そのことは指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 今、先ほど、港湾の技術系職員が不足している、そしてゼロの自治体もあるということで、その自治体数が二十二の自治体というふうに井上委員の質問の中でも答弁がありました。そうした港湾技術の職員がゼロの自治体、これは今どうやって港湾の維持管理をされているのでしょうか。

稲田政府参考人 つぶさに情報を得ているわけではございませんが、事務系の方しかいないという中で、多分、民間コンサルタントの方等の力をかりながら、発注図書を作成し、工事に当たるというような取組をされているものと推察してございます。

堀川委員 多分ということではなくて、しっかり実態を把握するべきだというふうに思います。

 次の質問なんですけれども、今回、そういった事態もある中で、国による工事代行の制度が創設をされているということですが、あくまで応急措置だというふうに思うんですね。一方で、国の港湾職員の体制も限界がある。この間、人員体制が確保できないと、工事代行というふうに言われてもなかなかそれに対応できない、こうした声も聞こえてきています。

 港湾の維持管理というのはやはり高度な技術が必要だ、人材の確保、育成というのはやはり大きな課題だというふうに思います。国の体制も限界があるという職員の声がある中で、やはりこういう声に対して、国の港湾関係の人員増、体制強化に踏み出すべきだというふうに思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 地方自治体においては、先ほど局長からも答弁ございましたが、全国百六十六の港湾管理者のうち、全体の約六割に当たる百一の港湾管理者では技術職員は五名以下で、先ほどありました全体の一割に当たる二十二管理者では技術職員は不在という状況でございます。

 一方で、委員御指摘のとおり、国の港湾関係の技術職員も確かに減少傾向にはございます。他方で、一定規模の職員数を国は有しているものでございますから、今般の代行制度を創設をするものでありますが、港湾施設の老朽化が進行し、計画的、戦略的な老朽化対策が必要となる施設が急増する中で、国の職員の体制強化も引き続き必要であるというふうに認識をしております。

 国土交通省としては、採用活動の強化による技術職員の確保や、港湾管理者の職員等も対象とした港湾施設の設計、施工に関する研修により、港湾に関する専門知識を有する技術職員の育成を行うなどの取組を行っているところであります。

 国土交通省として、引き続き、港湾関係技術職員の確保と育成に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

堀川委員 体制強化は喫緊の課題だというふうに思いますので、是非取り組んでいただきたいということを重ねて求めたいというふうに思います。

 続いての質問なんですけれども、もう一つ、この老朽化対策に関する予算措置についてです。

 最初の質問で、インフラ長寿命化計画(行動計画)について触れたんですけれども、この計画では、維持管理・更新費の将来推計を国交省が出しておられました。港湾の場合なんですけれども、港湾は二〇一九年度から二〇四八年度までの三十年間の維持管理・更新費、これは幾らと推計しておられたでしょうか。

稲田政府参考人 平成三十一年にこれを出させていただいていますが、三十年間の維持管理・更新費の推計、全体百八十から百九十兆円のうち、港湾は約六から八・三兆円というふうな数字が出ていると思います。

堀川委員 この計画の中には、五年後、十年後、二十年後、そして三十年後、その維持管理・更新費というのも刻んで出されているんですね。五年後、つまり二〇二三年度になるんですけれども、二〇二三年度は三千億円というふうな記載がありました。

 これは、実績はどうなっているか分かりますか。

稲田政府参考人 先ほど申し上げた数字は、港湾管理者さんの地方単独費だとか、いろいろな数字が混ざった数字として公表されております。

 一方で、我々の方の予算、直轄事業や補助事業、そういった中で、維持管理にそれがどのくらいかかったか、更新にどれくらいかかったかというのを、そこだけ取り出して数値化するというのが難しいことがありまして、現時点ではどの程度必要になったのかを把握はできておりませんし、することも困難かというふうに思っております。

堀川委員 国交省が取った港湾管理者の意見の中、地方自治体の様々な意見の中に、この港湾工事の維持管理、予算不足という意見が多数あったというふうに聞いております。

 先ほど、技術系職員が一人もいない自治体の港湾の維持管理についてお聞きをしましたけれども、こういう自治体、先ほど答弁があったように、民間のコンサルだったりとか外部業者に委託をするということがあると。ただ、その委託料も負担になっているというふうな意見も中にはあったかというふうに思います。国交省が設置した検討会の中でも、この予算不足というのが指摘をされています。

 昨今の物価高もあって、資材高騰もあって、二〇一八年度に立てた将来推計というのが今なかなかちょっと通用しないものになってきているというふうに思うんですけれども、今後、インフラの老朽化、港湾だけでなく全体が進んでいくというふうな見通しを国交省は持たれている中で、この将来推計というものを見直すべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

中野国務大臣 国土交通省のインフラ長寿命化計画においての推計、先ほど来議論をしてまいりました。この推計につきましては、DXなど新技術やデータの積極的活用等、効率化が図られる、そういう減らしていくという要因もあるとともに、当然、御指摘のような資材価格が高騰する、労務費が上昇する、上昇をするような要因もあるところだと思っております。

 国土交通省インフラ長寿命化計画の計画期間というのは令和七年度までとなっておりますので、維持管理・更新費の推計につきましても、次期計画の策定に合わせて見直しを検討してまいりたい、このように考えております。

堀川委員 インフラの老朽化対策ということで、この国土交通委員会でも今後も議論になっていくと思うんですけれども、国交省としてこれに対してどういう対策を行っていくのかというビジョンを是非示していただきたいですし、示すべきだというふうに思います。

 最後の質問なんですけれども、今回の法案の中で、非常災害時の場合における土地の一時使用等で、他人の土石等を活用できるというふうになっています。新設するその条項の第二項の中で、災害で被害を受けた荷さばき地の応急復旧のために、他人の土地を一時的に使用、収用できるようにするというものです。

 他人の土地、建物、つまりこれは私有財産ということになるわけなんですけれども、所有者の了解なしに使用することを認めるという異例の措置だというふうに思うんです。

 憲法二十九条は、「財産権は、これを侵してはならない。」というふうに規定をしています。国交省の説明によりますと、その三項で、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」というふうな規定から、非常災害時の利用は公共のための利用として説明をされています。しかし、災害時とはいえ、これは憲法上の疑義を感じる国民がいるというのは当然のことだというふうに思うんですね。

 この非常災害時の利用ということは極めて慎重な判断が必要だというふうに思いますが、その点についてお伺いしたいのと、また、日頃から地権者、その関係者への説明など、周知徹底する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

中野国務大臣 御指摘の応急公用負担規定につきましては、御指摘のとおり、一定の財産権の制限につながるものでございますので、その発動条件は、緊急物資輸送のために港湾施設の応急復旧を緊急に行う必要があり、ほかに手段がないと認める場合に限定をさせていただいております。

 その上で、既存の応急公用負担の制度と同様に、損失が生じた場合の補償の規定も設けることとしております。

 本制度の施行に当たりましては、港湾管理者向けの説明会や通知等の発出により、損失を受ける可能性のある関係者との平時からの関係構築や、本制度について関係者の理解を得ておくことの重要性を周知をすることで、適切な制度の運用を図ってまいりたい、このように考えております。

堀川委員 質問を終わります。ありがとうございました。

井上委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 まず冒頭、今回の審議時間、三時間十二分という微妙な時間で、少数会派にも配慮いただき、十五分の質問時間をいただいたことを感謝申し上げますが、やはり総時間数が少ないと思うんですね。

 次は航空法ということでありますけれども、これは、能登の地震を受けての羽田の事故の話でありますし、先ほど谷田川議員からもあった、羽田空港のターミナルビルの、自民党元幹事長の長男への利益の話などもあるわけですから、次の航空法はしっかりとした時間を取っていただけるように改めてお願いして、質問に入りたいと思います。

 まず一点目は、洋上風力発電への対応でありますけれども、第七次エネルギー基本計画、今年の二月に閣議決定されましたが、そこで、洋上風力は、「今後コスト低減が見込まれる電源として、我が国の電力供給の一定割合を占めることが見込まれ、急速なコストダウンと案件形成が進展する海外と同様、我が国の再生可能エネルギーの主力電源化に向けた「切り札」である。」というふうにされております。

 先ほど谷田川議員からも話がありましたけれども、一方で、二月六日には、三菱商事は、洋上風力発電で五百二十二億円の減損処理、インフレを超えるコスト増加が押し寄せたと、ゼロベースで今後の方針を検討するということをやっています。

 これは決して日本だけじゃなくて世界でもそうした状況で、洋上風力最大手のデンマークのオーステッドという会社は、人員を八百人削減して、ノルウェーなど三か国から撤退し、二〇二四年第四・四半期には二千六百億円の減損処理、三菱商事以上の影響を受けているわけですね。RWEというドイツの会社はフランスのトタルエナジーとの共同事業から撤退とか、あるいは、ヴァッテンフォールというスウェーデンの会社はスウェーデンの大型プロジェクトを棚上げといったことが相次いでいて、洋上風力のコスト増というのは世界的な傾向です。

 しかも、プラントのほぼ全てを海外に依存する日本は円安がそれに輪をかけているということで、当初のエネルギー基本計画の、今後コスト低減が見込まれる電源とか、急激なコストダウンと案件形成が進展する海外と同様という状況じゃなくなっているんじゃないかなと思うんですね。

 日経は、昨年十一月の記事で、過去一年の撤退、延期計画は、二〇二三年に世界で新規導入された発電容量の五割、つまり、前年の半分分はもう撤退しているんだというふうに言っているわけですね。三菱商事以降の第二ラウンドや第三ラウンドで落札したコンソーシアムも、三菱商事の動きを注視しているといって、そもそも陸上風力より高くつく洋上風力は採算性確保が難しい事業だ、そこへ来てコスト上昇は追い打ちだというふうにしておりまして、三月十七日の自民党の議連で日本風力発電協会は、複合的要因により風力発電の事業性が著しく低下しており、持続可能性に疑問符がついているというふうに業界団体もおっしゃっている。

 そして、なおかつ、トランプ大統領が今年大統領になって、掘って掘って掘りまくれと言って、バイデン政権のときには、岸田・バイデン会談では、日米両国は、気候危機が我々の時代の存亡に関わる挑戦であることを認識し、世界的な対応のリーダーとなる意図を有するといって、日米で気候変動に立ち向かおうと言っていたのが、二月七日の石破・トランプ首脳会談での共同声明では、米国の低廉で信頼できるエネルギー及び天然資源を解き放ち、要するに化石資源を解き放ち、双方に利のある形で、米国から日本への液化天然ガス輸出を増加することにより、エネルギー安全保障を強化すると、まるっきり反対の政策になっているわけですね。

 先ほどの、デンマークの最大手のオーステッドは米国の大型プロジェクトから撤退しているということで、この法案の前提として、国土交通省の資料には、更なる案件の増加に伴い基地港湾の混雑が予見、それが立法事実となっていますけれども、こうした世界的な状況を見て、当面、洋上風力というのはそんなに増えるのかと思うんですね。第二ラウンド、第三ラウンドで落札したところも三菱商事の行方を見て足踏みをしている状況でありますし、その後の入札で果たしてやるところがあるかといったら、根本的に条件が変わっているように思うんですけれども、その点、エネ庁の見解はいかがでしょうか。

伊藤(禎)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘いただきましたとおり、洋上風力発電につきましては、インフレの影響を受けまして、世界的にも一部でプロジェクトの中断等が発生していると承知しております。国内外で洋上風力が厳しい環境に直面しつつあるという認識を共有させていただいております。

 したがいまして、こうした中で、国内の洋上風力プロジェクトについて、事業が完遂されるための環境整備を整えていくことが重要と考えておりまして、この観点から、入札後の物価変動リスクに対応して価格を調整する仕組みの導入でありますとか、また、撤退や遅延を抑止するための保証金の増額など、関係審議会におきまして公募制度の見直しを行うこととし、次回の公募プロセスから適用することとしているところでございます。

 また、本制度見直しにおきましては、事業者選定済みのプロジェクトについても、保証金の増額を含む今般の制度見直しを受け入れる事業者については、将来の物価変動等を反映する仕組みを適用することとしております。

 こうした事業実施の確実性を高めるための環境整備に加えまして、排他的経済水域への設置を可能とする制度整備や、技術開発、また企業への設備投資支援などを総合的に講じていくこととしております。

 こうした環境をしっかりと整えつつ、政府の掲げる案件形成目標達成に向けて着実に取り組んでまいりたいと存じます。

福島委員 一年入省が上の伊藤先輩の答弁、ありがとうございます。

 ただ、物価変動に対応するとか価格を調整する仕組みは、全て再エネ賦課金で賄われているわけですね。ある意味、需要家の負担によって、消費者の負担によって賄われているわけですから、第七次エネルギー基本計画を作ったときは、こうした事態は余り想定していなかったか、軽く見ていたはずなんですね。ですから、私は、そこは第七次エネ基に拘泥することなく、柔軟な、世界のエネルギー情勢、そうしたものに合った見直しをすべきだと思っております。ただ、ここはエネルギー政策を議論する場ではないので、これぐらいにとどめておきたいと思います。

 その上で、その環境の一環としてこの法改正を行うんでしょうけれども、果たして、それがビジネス上の実態に即しているのか。私は、落選中、この洋上風力のまさに入札とかそうしたものの仕事を手伝っておりまして、ある程度、いろいろなビジネス感覚というのは多少は持っているつもりなんですけれども。

 法案第五十五条の二の二で、港湾施設の貸付許可を既に受けている事業者が別の港湾施設を新たに利用を希望するときに協議を求める制度が規定されている。つまり、後から来た事業者が先の事業者に、ちょっと横を貸してよという、そうした制度なわけですね。しかし、先発事業者にとっては、後発事業者に譲ってしまったら、その分工期が遅れる、それだけでコストがかかるんです。ただでさえコストが厳しいときに、工期が遅れるような、そんな協議をするインセンティブは先発事業者には何もないんですね。

 そこで、法案第五十五条の二の二第五項では、「通知を受けた者は、正当な理由がある場合を除き、当該通知に係る事項の協議に応じなければならない。」というふうになっております。では、この正当な理由とは何ぞやと。例えば、事業が遅れてコストがかかっちゃうから協議には応じませんというのは正当な理由になるのか。この正当な理由というのは何かということについて、政府参考人、御答弁をお願いいたします。

稲田政府参考人 利用調整協議会において協議を行うときは、あらかじめ、協議対象となる埠頭の貸付けを受けている許可事業者に協議事項を通知しなければならないこととし、正当な理由がある場合を除いて……(福島委員「それは私の質問です。短く」と呼ぶ)はい。

 この正当な理由でございますが、例外的な場合に限定されるものであります。御指摘のように、当該一時利用によって事業の遅延等の損害が生じることが確実であって調整の余地が全くないような場合、この場合が正当な理由に該当するものと考えております。

福島委員 随分、昨日のレクから見ると厳しく、全くないとか、そうは言っていなかったんですけれども。随分、前日のレクを受けて答弁を調整したのかもしれませんけれども、正当な理由は、経済的な損害とかも認めるということを、全くかどうかは別にして、そこは確認いたしました。

 では、協議に応じなかった、嫌だといった場合に何らかの罰則はあるんでしょうか。

稲田政府参考人 港湾法の中とか他法でもいろいろ協議会の規定がございますが、同種の協議会の例に倣って罰則は設けてございません。

福島委員 だから、罰則がないわけですから、何が正当な理由かというのは、協議に応じない人の言い分が大分通りやすい仕組みだというのは確かだというふうに思います。

 その上で、法案第五十五条の二の二第七項で、利用調整協議会において協議が調った事項については、利用調整協議会の構成員は、その調整結果を尊重しなければならないといいますけれども、協議に応じたけれども、今度は協議が調わないということになったらどうなるんでしょうか。

稲田政府参考人 改正法五十五条の二の二の第七項の規定ですが、協議会構成員に対して協議結果の尊重義務を規定してございます。法律上の義務を設けることで協議会の実効性を高める効果があると考えてございます。

 さらに、協議結果としての一時的な利用を確実に担保するため……(福島委員「読んでいる答弁書が違うんですよ、それは」と呼ぶ)大変失礼をいたしました。撤回します。

 利用調整協議会において協議が調わない場合、当該基地港湾を一時利用することはできないため、一時的な利用を希望する許可事業者において、他の基地港湾の使用や基地港湾の利用期間の見直しも含め、対応策を検討することになるものと考えてございます。

福島委員 ありがとうございます。そうなんですね。

 洋上風力をめぐる環境は国際的にも厳しくなっておりますし、そうじゃないときも、やはり工事の遅延というのは物すごいコスト増になるんです。それだけで利益が吹き飛んでいくんですね。期間というのは物すごく重要だから、先発事業者は後発事業者を入れるメリットというのは何もないんですよ。

 今の程度の強制力しかない、強制力がほとんどない、嫌だと言ったらほぼ通ってくる中で、一日を争う事業の中で、それをやる人なんて私はいないと思っておりまして、ある意味、風力の発電業界というのは生き馬の目を抜く世界なんですね。そこで民間事業者がこの制度を使うなんてことは想定されない。

 羊頭狗肉という言葉を通告では出させていただきましたけれども、これは余り役に立たない、ビジネス実態に合わない制度じゃないかなと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の本制度につきましては、昨年夏、発電事業者へのヒアリングを実施をしたところ、今後、基地港湾の利用がタイトになることが想定をされ、あらかじめ関係者との調整ができるようなルールが必要という意見が複数寄せられたということもございまして、こうしたニーズも踏まえ、基地港湾を利用する発電事業者などの関係者が基地港湾の一時的な利用に関する協議を行うための枠組み等を構築をするというものでございます。

 委員も様々、実態からの御指摘をいただきました。

 国土交通省としては、本制度を活用いたしまして、発電事業者のみではやはり困難な基地港湾の利用調整というものを国が主導して行うことによって、洋上風力発電の導入の促進を図ってまいりたいと考えております。

福島委員 失礼ながら、余り意味のある、役に立つ制度とは思われません。

 最後に、協働防護の話を一問だけ質問したいと思います。

 この協働防護計画、この制度自体の必要性は大いにあると思っております。ただ、ぱっと見て、さっきの風力のやつはほぼ強制力のない制度なんですけれども、この協働防護計画に定められた最適化事業の実施主体は、その全員の合意により、当該最適化事業に係る特定港湾施設の整備又は管理に関する協定を締結できるとなって、この協定は法案第五十一条の九で認可が必要だとなって、行政の関与の度合いが強いんですね。なおかつ、法案第五十一条の九第三項第四号で、防護協定に違反した場合の措置というのを定めるとされておりまして、こちらはかなり強制力が強いと思うんですね。

 でも、民間の人たちにそこまでの義務を背負わすのは過重じゃないかとも印象を持てるんですけれども、なぜこの法案第五十一条の九の協働防護協定の締結には認可が必要なのか、そして、協働防護協定に違反した場合の措置というのは具体的にどのようなものを定めるのか、その点について港湾局長の答弁を求めます。

稲田政府参考人 お答え申し上げます。

 この協定は、私人間の契約であるため、本来なら、その当事者の自由な契約の下に置かれるものでありますが、今般の改正案に規定される協働防護協定は、施設所有者が変わった後にもその協定の効力を引き継いでいただく、いわゆる承継効という特別の法的な効力が付与される仕組みでございます。

 この承継効を付与することが合理的であることを公的主体が確認するために、他の承継効を有する協定制度も参考としながら、港湾管理者の許可に係らしめたものであります。

 また、違反した場合の措置ということでありましたが……

井上委員長 質疑時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

稲田政府参考人 はい。

 当事者間の合意に基づいて、当事者間で定められる性質の内容でありますので、協定に定められた取組が行われないなどの場合においては、是正措置の請求、それに従わない場合の裁判所への提訴などについて定めることが想定されると思います。

福島委員 承継によるもので認可というのは明確になったと思います。

 是非、実際の運用面において、そう民間に重い負担を課するものじゃないということを明確にしていただければと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

井上委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

井上委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組のたがや亮です。

 会派を代表して、今回の港湾法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論いたします。

 反対する理由は、先ほど質疑でも述べたとおり、一つ目には、国による高度な港湾工事の代行制度が、不足している技術系職員の中長期の確保に結びつかないこと。

 二つ目には、代行制度という耳触りのいい言葉の裏に、実際には軍事利用のための港湾整備を進める目的があるのではとの懸念があるからです。

 今回の法案では、港湾管理者である自治体の技術系職員の不足を、法律の改正が必要な背景の一つに掲げられています。そもそも、技術系職員の不足の原因は、公共事業を減らし、予算を削り、役所の職員を削減し続けてきた国の姿勢にも責任があると思います。先ほどの質疑でもありましたが、国が専門的な研修を行ったところで、技術系職員が増えるとはとても考えられません。そもそも研修を受けるべき技術系職員がいないからです。

 国による港湾工事の代行は、一時的には港湾施設の維持更新についてメリットがあるかもしれませんが、自治体が自前の技術系職員を確保しなくても済んでしまい、採用や育成が遅れることで、中長期的には港湾の維持管理について国への依存度を強め、港湾管理者としての自主性を縛ることになるのではと危惧します。

 そして、国が影響力を強めることで、緊急時の国民保護や災害に備えて平時から自衛隊や海上保安庁の船舶が利用できる特定利用港湾を、アメリカ軍も含めて使用する体制づくりにつながるのではないでしょうか。特定利用港湾は、北海道と九州、沖縄に集中しています。一部の港湾関連の労働組合や自治体からは、特定利用港湾が武力攻撃に巻き込まれるのではとの懸念の声が上がっています。

 れいわ新選組は、耳触りのいい法案にも厳しく目を光らせ、法案の審査を行っております。

 技術系職員の不足に対して根本的な解決策が提示されず、背後に武力攻撃の危険をはらんでいる今回の法律案に反対であることを申し述べ、反対討論を終わります。

井上委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

井上委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、港湾法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

井上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

井上委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、勝俣孝明君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。森山浩行君。

森山(浩)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。

    港湾法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 協働防護計画に基づく最適化事業を円滑に推進するために、民間事業者に対する税制支援のみならず、協働防護協議会に対し、ガイドラインの作成、知見やノウハウの提供、人材支援といったソフト面での支援や助言を十分に行うこと。また、協働防護計画の作成に当たり、港湾管理者の組織体制や人材育成等の充実のための支援を強化すること。

 二 協働防護計画の作成に当たっては、政策決定を優先するのではなく、民間事業者が無理なく参加できるような計画となるよう港湾管理者に対し指導すること。また、計画の検討に際し、港湾施設を所有する民間事業者からの意見を十分聴いて、その趣旨を最大限尊重するとともに、特に中小事業者の置かれた厳しい経営環境や所有する港湾施設の現状等について十分配慮するよう、港湾管理者に対し指導すること。

 三 協働防護の主要関係者として、協働防護協議会への港湾労働者の代表の参画を確実に働きかけること。

 四 港湾管理者における技術職員不足に対しては、国による港湾工事の代行措置の実施と併せ、技術系職員の確保・育成及び定着のための施策に努めるとともに、賃金等の労働条件の改善が図られるようにすること。

 五 港湾施設の老朽化の進行に対し、港湾管理者の人員・予算の不足により港湾施設の維持管理が不十分となることがないよう、人員・予算の確保に努めるとともに、港湾施設の点検の効率化や適切なメンテナンス体制の在り方を検討し、持続可能な維持管理体制を実現すること。また、港湾施設の点検・整備におけるデジタル技術の導入を促進し、作業の効率化に向けた環境整備を図ること。

 六 海洋再生可能エネルギー発電設備等取扱埠頭の一時的な利用については、一時的であっても長期・広範囲の埠頭の占用を伴うことから、埠頭の貸付けに当たっては一般の利用者の利便を妨げることがないよう十分留意すること。

 七 災害発生時に港湾施設の復旧作業に従事する人員の確保策の実効性について十分に検討を行うこと。特に、発災時は復旧作業に従事する者も被災者であるという視点に立ち、これらの者が無理なく復旧作業に従事できる体制の構築と、必要な環境の整備を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

井上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

井上委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣中野洋昌君。

中野国務大臣 港湾法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝を申し上げます。

 今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 誠にありがとうございました。

    ―――――――――――――

井上委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

井上委員長 次回は、来る九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十四分散会


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