衆議院

メインへスキップ



第12号 令和7年5月7日(水曜日)

会議録本文へ
令和七年五月七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 井上 貴博君

   理事 勝俣 孝明君 理事 加藤 鮎子君

   理事 中谷 真一君 理事 城井  崇君

   理事 神津たけし君 理事 森山 浩行君

   理事 奥下 剛光君 理事 西岡 秀子君

      石橋林太郎君    大空 幸星君

      大西 洋平君    梶山 弘志君

      加藤 竜祥君    金子 恭之君

      工藤 彰三君    国定 勇人君

      小寺 裕雄君    小森 卓郎君

      高見 康裕君    田所 嘉徳君

      谷  公一君    土屋 品子君

      西田 昭二君    三反園 訓君

      阿久津幸彦君    岡本 充功君

      尾辻かな子君    小宮山泰子君

      下条 みつ君    白石 洋一君

      津村 啓介君   長友よしひろ君

      松田  功君    馬淵 澄夫君

      谷田川 元君    阿部 弘樹君

      井上 英孝君    徳安 淳子君

      鳩山紀一郎君    古川 元久君

      中川 康洋君    山口 良治君

      たがや 亮君    堀川あきこ君

      福島 伸享君

    …………………………………

   国土交通大臣       中野 洋昌君

   国土交通副大臣      高橋 克法君

   国土交通大臣政務官    高見 康裕君

   国土交通大臣政務官    国定 勇人君

   政府参考人

   (内閣法制局第二部長)  栗原 秀忠君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 内野 宗揮君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        平田  研君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  内田 欽也君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  楠田 幹人君

   国土交通委員会専門員   國廣 勇人君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月七日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     大空 幸星君

  伴野  豊君     岡本 充功君

  赤羽 一嘉君     山口 良治君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     小森 卓郎君

  岡本 充功君     伴野  豊君

  山口 良治君     赤羽 一嘉君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

井上委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、国土交通省不動産・建設経済局長平田研君外四名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井上委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大西洋平君。

大西(洋)委員 自民党、東京十六区選出の大西洋平でございます。

 本日は、このような貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。理事の先生方、関係者様に深く感謝を申し上げます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 本日は、マンション管理再生円滑化法について質問をさせていただきます。

 私自身、不動産会社社員として営業職に従事していたこともございまして、当時から様々なお声をお寄せいただいておりました。その当時の経験も踏まえながら、本日は質問をさせていただきます。

 マンションについては、その管理や再生について、意見集約の困難性から、これまでにも、民法の共有の特例として、区分所有法により管理や再生について決議の要件の緩和がなされてきました。今回の改正において、管理については、権利者による多数決ではなく、出席者による多数決で議事が可決できるようになっております。再生については、建て替え以外の建物、敷地の売却や除却等でも五分の四での多数決での議決を可能にしたほか、管理、再生共に、裁判所に認定された所在不明者については決議の母数から外せるようにするなど、かなり踏み込んだ内容になっております。

 マンション管理、再生を円滑化させる一方で、国民の財産権行使への過度な制限につながることのないよう、私も、改正点の確認も含め、質問していきたいと思います。

 まず、管理計画認定制度の普及拡大の必要性とアプローチについてお伺いをいたします。

 住居を購入する際に、戸建てにするかマンションにするかは大きな課題です。マンションを購入する際に、人生百年時代を迎える中で、大規模修繕、建て替え計画がどのようになされているかは、購入者の行く末を左右する大きな要素であるとともに、購入の際の大きな判断材料になってまいります。

 一方で、購入の際には、価格、広さ、間取り、駅からの距離、周辺施設の状況など、検討すべき項目も多く、大規模修繕や再生、建て替えまで具体的に見据えた上で、修繕その他の管理方法や管理に関わる資金計画について、細かに、購入者の考えだけで検討を加えることは困難な面もございます。

 こうした状況の中で、令和四年に開始された管理計画認定制度は、マンション管理適正化推進計画を作成した地方公共団体が適正なマンション管理計画を認定する制度であり、購入者が知っておくべき管理計画に関する情報が網羅的に整理をされています。

 管理計画認定の際に必要とされる事項の一部は、契約時に行われる重要事項説明の中に含まれていると伺っています。しかし、マンション管理計画が適切なものであるか否かは、契約時に知るよりももっと前の段階、購入時の検討材料とされるべきものと考えております。

 今回の改正によって、現在約三%にとどまっているマンション管理計画認定について、国土交通省は法改正施行の五年後に二〇%の目標達成を掲げています。マンション管理計画認定制度をどのように普及させるのか、また、マンション購入者が管理計画を購入時の検討材料とできるよう、どのように早い段階で目に触れさせるかの啓発の取組についてお伺いをさせていただきます。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 修繕積立金を積み立て、大規模修繕工事を適切に実施をするなど、管理組合によるマンションの適正な管理を促すため、令和四年に管理計画認定制度を開始したところでございます。

 これまで、金融支援や税制特例等により認定の取得を支援してきたところであり、認定取得の前提となる地方公共団体の計画作成が進んできたことと相まって、取得件数は毎年着実に増加をしてきております。

 これらに加えまして、本改正法案において、新築マンションを認定の対象に追加するとともに、認定取得の働きかけや普及啓発等を行うマンション管理適正化支援法人制度を創設するなどの措置を講ずることにより、施行後五年間で管理計画認定の取得割合を二〇%まで増加させることとしております。

 また、本改正法案におきましては、管理計画の認定を取得したマンションに関する表示制度を創設することとしております。

 今後は、関係団体と連携して共通の認定マークを作成し、認定を取得したマンションが当該マークを表示できるようにしたいというふうに考えておりまして、これにより認定件数の増加につなげることと併せて、マンションの購入希望者が管理計画認定の有無も踏まえて物件を検討できる環境整備を進めてまいります。

大西(洋)委員 答弁をいただきました。税制特例の話なども交えてお話をいただきました。ありがとうございました。

 今回、改正を契機として、一部事業者で行っているような、マンション管理計画認定済み、この物件であるということが一目で分かるような工夫が是非行われることを期待したいと思います。よろしくお願いをいたします。

 次に、管理における出席者による決議への変更の周知方法についてお伺いをさせていただきます。

 冒頭にも申し上げたとおり、今回、改正により、大規模修繕を含む管理や再生についての決議方法が緩和をされます。特に管理については、欠席者を決議の母数から外すことにより、権利者による多数決から出席者による多数決に変更となることになります。私自身、マンション管理組合の理事を務めたことがございますが、共働き世帯が増える中で、留守宅が多く、決議の委任状を取り集めるだけでも大変な労力となることを考えますと、今回の改正による決議方法の変更は、マンション管理の円滑化に大きく資するものと考えております。

 一方で、この決議方法の変更は、区分所有者の権利を制限することである上に、出席者による多数決で全体の結論が決まることは、熱心な出席者が極端な結論に至る可能性もあることから、マンション所有者には管理組合の会議を欠席することの意味を周知させる必要があるものと考えております。

 この点、どのように、今回、改正による決議方法の変更をしっかりと周知徹底させるのかをお伺いさせていただきます。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 マンションの適切な管理や円滑な再生には区分所有者間の円滑な合意形成が重要であり、本改正法案では、修繕等の日常の管理行為について、集会出席者の多数決によることや、建物、敷地の一括売却などを多数決決議で行うことなどを可能とする措置を講じることとしております。

 これらの措置の実施に当たりましては、十分に周知を図ることが必要と考えておりまして、様々な媒体を活用した分かりやすい広報に努めますとともに、区分所有者向けのリーフレットの作成や説明会の開催など、丁寧な周知に取り組んでまいります。

 また、法改正に伴う標準管理規約の改正をできるだけ早期に実施をいたしますとともに、それを踏まえた管理規約の改正を働きかけるなど、制度改正に対応する各管理組合の取組を支援し、制度改正の周知にもつなげてまいります。

 今後も、法の円滑な施行に向け、法務省や関係団体等と連携し、区分所有者に対して、総会を欠席することの意味も含めて、改正の趣旨や内容を丁寧に周知をいたしますとともに、区分所有者が管理組合の一員として適正に管理する責務を有しているということへの理解や管理意識の醸成にも努めてまいります。

大西(洋)委員 答弁をいただきました。

 今お話もございましたけれども、決議方法の変更によるデメリットや懸念などについてもしっかり踏まえていただいた上で、改正による変更のしっかりとした周知をお願いしたいと思っております。

 次に、管理組合と管理会社の利益相反及び管理組合へのアドバイス等の支援の充実の必要性についてお伺いをしたいと思います。

 私も経験上、管理組合が物事を決めることの多さやその多様性について、当時、改めて認識をした次第でございますが、こうした中で、円滑な管理のためには、管理会社からの協力は欠かすことができません。

 一方で、大規模修繕などの際には、マンション管理組合と管理会社の利益相反が発生するおそれがあり、今回改正で、自己取引の際には区分所有者への説明を義務化するなどの措置が取られています。

 しかし、本会議でも質問がなされましたが、自己取引に限らず、管理会社による受注の場合には、相見積りを義務づけるなどして、取引の健全性を担保する必要があるのではないかと懸念もしております。

 管理会社による違法行為があった場合については、関係機関と連携してしっかりと対応していくという本会議答弁もございましたが、管理会社による自社や関連会社への便宜提供や情報独占のようなケースのうち、違法とまでは言えない不適切行為の場合、具体的にどのように対応していくのかをお伺いをいたします。

 また、管理会社に頼り切りにならないように、管理組合にはセカンドオピニオンなどを求める存在が必要と考えますが、地方自治体や関係民間団体などとの連携強化策について、大臣の御所見をお伺いさせていただきます。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 違法とまでは言えない不適切行為のようなケースや、あるいはセカンドオピニオンのようなお話という二点、御指摘いただいております。

 まず、管理業者は、管理組合の不利益にならないように、信義誠実の原則にのっとって業務を行う必要がございます。工事の発注プロセス等に関わる場合においても、組合の利益を損なうことがあってはならないということで、管理業者が工事の発注プロセス等において、自社や関連会社への便宜供与などを行って、その結果として管理組合等に損害を与えた場合、あるいは公正を害する行為を行った場合、これは、マンション管理法に基づいて、国土交通大臣の監督処分の対象となるということでございます。

 特に、本改正法案では、管理業者が管理組合の管理者を兼ねる方式において管理業者自ら又はその関連会社が工事等を受注する場合に、その取引内容を管理業者が区分所有者等に事前説明をするということを義務づけさせていただきました。

 加えて、工事発注プロセスの透明性を確保するために、理事会方式において管理業者自ら又はその関連会社が工事を受注する場合や、管理業者が施工会社の選定業務のみを行う場合においても、工事費用の内訳やその積算根拠を管理会社が管理組合に対して説明することが望ましいということも周知を図ってまいりたいというふうに思います。

 あわせて、二点目の管理組合、確かに、マンションの管理に関する専門的な知識やノウハウを有しているとは限りませんので、第三者による支援体制を構築をするということは、委員御指摘のとおり大変重要であります。

 これまでも、マンション管理士などの外部専門家が適切に活用されるよう、ガイドラインを整備し、周知を図ってまいりました。また、関係団体と連携をして、相談窓口の設置や見積りのチェックサービスの活用の促進など、管理組合の活動を支援をしてきたところでございます。

 本改正法案では、マンション管理の適正化の推進に取り組む民間団体の登録制度を創設をいたします。地域全体で管理組合の活動を支援をする体制の構築を進めていくこととしておりますので、引き続き、関係団体等と連携をして、管理組合が、マンション管理をめぐる様々な課題に対し、外部専門家なども活用して適切に対処できるように、丁寧な支援に努めてまいりたいというふうに思います。

大西(洋)委員 大臣から御答弁をいただきました。ありがとうございました。

 民間団体の登録など、様々なお話もいただきましたし、管理組合が不利益を被らないようにということもありますし、もちろん所有者の方々にとっても不利益にならないように、引き続き、せっかく法改正を行うわけですから、どうぞよろしくお願いをしたいと思っております。

 最後に、建て替え時の隣地の権利変換を可能にするなど、多様なニーズに対応する重要性についてお伺いをさせていただきます。

 今回の改正によって、これまでは建て替え前のマンションの区分所有者のみに認められていた権利変換が、隣接地の所有者などにも認められます。隣接地を取り込むことによって容積の確保を可能にするなど、周辺住民との合意形成の選択肢が増えるとともに、マンションの価値を高めるための選択肢が増えます。

 高さ制限の特例を含めて、マンション建て替え時の多様なニーズへの対応やその重要性について、国土交通省のお考えをお伺いさせていただきます。

楠田政府参考人 お答えいたします。

 老朽化マンションの再生を円滑に進めるためには、保留床の確保などの区分所有者の負担軽減と合意形成の促進の両方に取り組むことが重要と考えております。

 具体的には、隣接地を取り込んだ建て替えについて、これまでも、十分な保留床を確保し、事業採算性を高める観点から、一定程度行われてきたところでございますが、現場の事業者等からは、隣接地の権利者が引き続きその土地で住み続けるということを強く希望される場合、補償金の支払いによる譲受けという現行の対応だけでは合意形成が難しい事例があるとの意見をいただいたところでございます。このため、本改正法案におきましては、このようなニーズにも的確に対応し、隣接地を取り込んだ建て替えがより一層進むよう、隣接地の権利を再生後マンションの区分所有権に変換する仕組みを創設することとしたところでございます。

 また、現行の制度では、特定行政庁の判断で容積率を緩和することが可能でございますが、建築基準法に基づく高さ制限により、当該容積率を十分に活用できない事例があるとの意見もいただきました。このため、本改正法案では、特定行政庁の判断で高さ制限の緩和も行うことができることとしたところでございます。

 引き続き、現場のニーズも丁寧にお伺いをしながら、老朽化マンションの円滑な再生にしっかり取り組んでまいります。

大西(洋)委員 御答弁をいただきました。

 建て替え時の隣地の権利変換を可能にする今回の改正は、土地のポテンシャルを最大限に生かす画期的な改正であり、大いに歓迎、評価をさせていただいております。

 るる質問させていただいてまいりましたが、今回の改正が適切な管理、再生の円滑化に大きく寄与することを期待しまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。

 恐らく、ここにいる多くの委員がゴールデンウィークに地元に帰り、トランプ関税への対応に多くの国民が注目しているということを聞いてきているのではないかと思っております。今回、ゴールデンウィーク明けということで、質問通告は四月の終わりでありまして、この一週間、もうちょっとありますけれども、十日近くの間に様々なことが起きました。

 質問通告、ぎりぎりになっていて申し訳ございませんけれども、まず最初に、フィリピン及びタイへの国土交通大臣訪問の折に、トランプ関税対応について協議をしたのか。特に、タイは相互関税三六%の高率であり、米国との二国間交渉のみならず、国際協調体制で取り組んで米国に向き合うことが必要であるが、訪問先の首脳と具体的にやり取りしてきたのか。してこなかったなら、危機感が足りないと指摘せざるを得ません。あわせて、国交省としての今後の対応について、大臣のお考えをお聞かせください。

中野国務大臣 トランプ関税についての対応と、フィリピン、タイ等への訪問等についてということでお尋ねがありまして、まず、トランプ関税についての対応ということで、少し現状の認識でお話しさせていただきますと、現地時間一日に行われた赤澤大臣との協議においては、日米双方との間で非常に突っ込んだやり取りが行われたというふうに承知をしております。

 この日米協議の場で、赤澤大臣からは、米国の関税措置というのは極めて遺憾であるというふうに述べられ、また、米国による一連の関税措置の見直しについて強く申し入れたというふうにも伺っております。また、協議の結果、日米間で以下の点について一致をしたものと承知をしております。

 それは、一つは、可能な限り早期に日米双方にとって利益となるような合意を実現できるように率直かつ建設的な議論を行い、前進をしたということ。例えば、両国間の貿易の拡大や非関税措置、経済安全保障面での協力等について具体的な議論を深めたこと。そして、今後、事務レベルで集中的に協議を行った上で、次回の閣僚間の協議というのを五月中旬以降、集中的に実施をすべく、日程調整をしていくことということでございます。

 今回の協議も踏まえつつ、これは引き続き関係省庁と連携をし、政府一丸となって関税措置への対応について、最優先かつ全力で取り組んでまいりたいということでございます。

 フィリピン及びタイへの訪問の際にトランプ関税について協議をしたかという御質問でありますが、大変恐縮でありますが、関税協議を行った等のお尋ねについては、外交上のやり取りであるということでお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、当然、こういう情勢の中で、日本とASEANとの間、今回訪問したフィリピン、タイとの間の、日本と両国の間の経済関係を深める必要がある、こういう認識の下に訪問をさせていただいたということでございます。

小宮山委員 国土交通省、様々な分野に通じております。例えば、車の規定などであれば、日本の国土の在り方、そこにも当然、影響もしてきております。是非、国内におきましても、また国交省としても、しっかりと日本の国益を守るために全力を尽くしていただきたいと思います。

 さて、あわせまして、今朝、電車の移動中にスマホを見ておりましたら、読売新聞のオンラインでしょうか、羽田空港子会社への不当な要求をした古賀誠氏の長男のコンサル会社の記事がありました。本当に見事な口利きというのが明確になったものでもありますが、この国交委員会での、以前の中野大臣の答弁も記事になっておりました。その後の調査の進捗について、簡潔にお答えください。

中野国務大臣 委員御指摘の報道があったことについては承知をしております。

 いずれにしても、本件、空港法第十五条第一項に規定する、空港の機能を確保するために必要な航空旅客の取扱施設に係る事案ではなく、空港に置かれているマッサージチェアをめぐる民間企業同士の契約に関する事案であるというふうに承知をしております。

 以前も答弁差し上げたとおり、日本空港ビルデング社からは、現時点では、五月の上旬頃には調査を完了し、プレスリリースを行う予定であるという報告を受け取っております。

 現状、この状況に変化はございませんけれども、いずれにしましても、この日本空港ビルデング社において、監査等委員会が主体となって今、調査を実施をしていただいておりますので、これをまずしっかり実施をしていただくということが、いずれにしても重要であろうということで考えております。

小宮山委員 そうはいいましても、これは古賀誠、当時国会議員、自民党の国会議員でありまして、その口利きで中に入ること、そして十年間で二億円ですか、億単位のマージンというものが渡されている。こういったことが結果として、一〇〇%子会社で、民民の関係かもしれませんけれども、日本の航空行政というものをゆがめ、そして不要な予算を使っているという意味においては、しっかりとこれは処罰の対象でもありましょうし、この案件だけなのか、ここだけなのか。

 五十二歳の男性がコンサル会社の経営者だと思われるんですが、やっていて、ここまで御本人の関係が出てこない。言い方はあれだけれども、このコンサル会社の、お父さんが古賀誠というなら、まだ少しは分かるんですけれども、五十二歳で、その長男としか出てこないこと自体も、これは何かこの記事というか、この案件の裏があるのか、それとも古賀誠氏が首謀者なのかと推測もしなくもありません。というか、自民党の現職国会議員が息子のためにこんなばかげたことの利権をしっかりと支援をするということ自体は、すっぱりと止めなければならないんだと思っております。

 大臣、この点に関しましては、是非しっかりと調査を、国交省についても、ここの案件ではなく、関連がほかにもないのか、こういう口利きがないのか。国交省に関して、この口利きというものは徹底してやめさせるということを、是非お誓いいただければと思います。ちっちゃくうなずいていますけれども、大臣、いかがですか。

中野国務大臣 先ほども申し上げたとおり、本件、空港法第十五条第一項に規定する、空港の機能を確保するために必要な航空旅客の取扱施設に係る事案ではなく、空港に置かれているマッサージチェアをめぐる民間企業同士の契約に関する事案であるということで承知をしております。

 そういう意味では、いずれにしても、まずは同社において、自社のコンプライアンス基本指針に照らして事実関係を確認をし、説明責任を果たすべきものというふうに認識をしておりますので、いずれにしても、同社によってこの調査がしっかりとなされていくということがまず必要であるというふうに思っておりますので、その結果をまずはしっかりと見てまいりたいというふうに思っております。

小宮山委員 大臣、是非、自民党の国会議員のやらかした案件ということでありますから、口利きはやめると爽やかにすっぱり言っていただければと思いますが、残念ながら、その言葉が出てこないということは、大変、今の政権の内部というものの利権構造というのはこのままでは変わらないのではないか、やはり、政権交代を目指して、政治の在り方、決め方というものを変え、合理的な、近代的な政治というものを私は目指していきたいと思います。

 さて、本日議題となっております、老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化を図るための建物区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律案の審議に入らせていただきます。

 本法案の改正の目的は、老朽化が進むマンションの建て替えや修繕をスムーズに進め、安全で快適な住環境を維持する、そして管理不全によるトラブルを未然に防ぐことで、今後、新築から再生まで、ライフサイクル全体を見通した変化が期待されているというものであります。

 まず最初なんですけれども、マンション大規模修繕工事をめぐる談合事件に関して、四月二十四日、本会議におきまして、我が党の長友よしひろ議員の質疑において、公正取引委員会による調査の進展、実態の解明を見守りつつ、その結果を踏まえ、厳正に対処するとともに、コンプライアンスの更なる徹底を図っていく旨、答弁をされております。問いかけの受け止めに対して、簡潔過ぎるという感のある答弁でありました。

 建設工事について、さらに、マンションの大規模修繕工事の内容について、知識を持ち合わせているわけではない住民により構成されている管理組合に対して、専門工事業者の間での談合や、コンサルタントと称する事業者の関与により不利益を生じる構図であり、極めて悪質と言わざるを得ません。

 現在、建設資材高騰、建設費高騰もあり、修繕積立金を計画に基づいて積み上げていても、実際の工事時点で不足する状況も想定される上に、管理業者やコンサル関与、専門工事業者による談合で、修繕管理費を負担する住民が不当に高額な費用を搾取される事態は許されません。

 今回の法改正により、居住者により構成される管理組合に代わって、修繕工事の発注を、管理業者が管理組合の管理者を兼ね、工事等受発注者となる場合、利益相反の懸念があり、自己取引等につき区分所有者への事前説明が義務化されてはおりますが、居住者は専門家でもなく、提示される資料を基に判断、若しくは提示されたことで説明したと処理されたら、談合されて価格が増額されても、気づかないままとなるのではないかと懸念が残ります。

 公正取引委員会による調査の進展、実態の解明を見守りつつ、その結果を踏まえと本会議の答弁でありましたが、この案件で、現状の認識を改めて答弁を求めてまいります。

 あわせて、本会議の答弁では、公正取引委員会による結果が出るまで何も行わないという意味にも取れます。この点について真意を説明いただくとともに、大規模修繕工事などの際に、居住者の不利益を生じることのないようにするため、国交省としてどのように取り組んでいくのか、答弁を求めます。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 発注者の信頼を裏切り、利益を損なう談合というのは、あってはならないものであるということで、国土交通省としては、公正取引委員会による調査の進展、実態の解明を見守りつつ、その結果を踏まえ、厳正に対処をするとともに、業界団体に対して、コンプライアンスの更なる徹底を図ってまいります。

 御指摘の答弁につきましては、今回の事案は独占禁止法の違反がまだ確定をしたものではなく、その背景や手法等が明らかでないということで、事案に関わった事業者への対応や、関係業界への今回の事案を踏まえた指導については、公正取引委員会による調査の結果を踏まえる必要があるという旨を申し上げたものでございまして、他方で、これは既に報道もされておりますし、管理組合や区分所有者の間にも不安が広がるということも懸念がされるということで、丁寧な情報提供や支援にも取り組んでいるところでございます。

 具体的には、大規模修繕工事につきまして、マンション管理士などの外部専門家の適切な活用ということで、ガイドラインの整備やその周知を図るとともに、関係団体と連携をして、相談窓口を設置をしたり、見積りのチェックサービスの活用を促進するなどの取組、今までも支援をしてきたところでございますが、今回の事案の発生を受けまして、三月に関係団体に通知を発出をしまして、管理組合に対して、相談窓口等の情報を改めて周知をするようにということで依頼をさせていただきました。

 また、本改正法案においては、マンション管理の適正化の推進に取り組む民間団体の登録制度を創設をすることとしておりまして、今後、地方公共団体が同法人と連携をして、地域全体で管理組合の活動を支援する体制の構築というものも進めてまいりたいというふうに思います。

 地方公共団体や関係団体等と連携をしまして、管理組合が、マンション管理をめぐるこうした様々な課題に対して、外部専門家等も活用して適切に対処ができるように、丁寧な支援に努めてまいりたいというふうに思います。

小宮山委員 大臣の言う管理組合というのは、管理を請け負っている会社のことなんでしょうか。事業者が、実際のマンションの、各棟のそれぞれにちゃんと伝えているとは、私は思えません。

 特に、今回の談合価格が実績となって、適正管理を判断する公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの情報では、談合かどうか調べようがなくなると推測されます。徹底して今回の談合、発注等の構造を調べ、住民に不利益を生じないように対処、対策をつくることを要請をいたします。

 さて、次ですけれども、マンションへの発電設備、蓄電池設置等の支援についてお伺いしてまいります。

 今年は、阪神・淡路大震災から三十年、東日本大震災から十四年、昨年は能登半島地震があり、日本は地震の活動期に入ったと言えます。

 被災をすると指定避難所に避難するのが一般的でしょうが、新耐震以降のマンションでは、大規模な地震災害が生じたとしても、そのまま居住可能なマンションも増えてきていることから、自宅避難、在宅避難の有効性が問われ始めております。

 建築物の構造上の耐震性に加え、近年では、免震、制震構造で、ゴム素材やダンパー等を活用して、被害を更に減少させる機能を備えた建築物の性能が販売時の売り文句となる、また、再販の際にリセールバリューとしての評価が高いと聞いております。大規模災害時にも、災害避難所や被災地の外の親族の家への避難ではなく、マンション内での避難を選択する方も多くなっているのも現実でもあります。

 国土交通省で取り組んでいるマンションストック長寿命化モデル事業として、マンションの長寿命化に資する新しい工法や材料、新機能の導入等を伴う先進的再生モデルタイプと、管理水準の低いマンションが地方公共団体と協力して管理適正化を図っていく管理適正化モデルタイプの二種類があり、補助率三分の一とされています。

 建て替えの検討、給排水管設備の改修や防災設備改修工事等の検討、建て替え、一棟リノベーション、敷地売却などの再生手法と一般的な改修工事等のコストを含めた比較検討、敷地分割事業の検討、非現地建て替えの検討などが行われる計画については、一般募集枠より高く評価される優先募集枠として扱うことも予定されております。

 今回の改正で、一棟リノベーション、建て替え等で老朽化マンションの再生の円滑化が図られると、これまで以上に、マンションにとどまって、自宅避難が増えていくことが想定されます。首都直下型地震被害では、広範囲にわたり、かつ、数日にわたる、場合によっては数か月にわたっての停電も想定がされます。

 共有部分への蓄電池設備や、非常用電源確保のため有効な設備、太陽光パネル、風力発電、LPガス発電、地中熱活用施設などが設置されていることが望ましいと考えます。また、耐震ドアや二重窓など、そもそも電力を使わず、暑さ、寒さに対応する建築物省エネに資する改修は、国土交通省が積極的に推進、実施を後押しをするべきことだと思います。

 このような施設設置に対する支援について、どのように取り組んでいるのか、御説明ください。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、マンションにおいて、災害の発生に備えて、停電時における必要最小限の電源を確保することや省エネ改修を進めることは、防災機能や居住性の向上等の観点から有効な取組と考えております。

 このため、蓄電池や非常用電源の設置などの防災改修や、窓や玄関ドアの断熱改修などを含めまして、マンションの長寿命化を進める取組に対し、予算上の支援を行っているところでございます。

 また、マンションを含む建築物について、蓄電池、非常用電源などのスペースが適切に確保されるよう、これらを設置する部分の容積率について、一定の範囲内で不算入とする特例措置を講じているところでございます。

 さらに、地方公共団体との間で災害時の帰宅困難者の受入れに関する協定を締結をしたマンション等におきまして、受入れに必要な非常用電源等の整備をする取組に対しましても、予算上の支援を行っているところでございます。

 引き続き、地方公共団体等としっかり連携をいたしまして、マンションにおける防災性の向上や省エネ化に取り組んでまいります。

小宮山委員 四月二十二日、衆議院の復興・災害対策特別委員会で質問の際に、マンション管理組合の規約の類いに、災害時の対応について規定していくことを推奨したり、防災訓練実施を推奨していくことが望ましいとして、政府の考えについて答弁を求めました。

 内閣府政府参考人からは、各マンションにおいて防災行動に関する計画等を事前に作成することは、住民の命を守り、被害を減らすために重要であるとされ、また、国交省で示されているマンション標準管理規約においても、防災に関する業務についても記載されており、防災訓練も想定されたものと承知していると答弁されています。

 内閣府参考人からは更に、防災に関する業務、防災活動で、区分所有法第三条に定める管理組合の目的である建物並びにその敷地及び附属施設の管理の範囲内で行われる限りにおいて可能な活動とか、また業務として、防災訓練の実施も含まれるものとして想定されているといった趣旨の答弁がございました。

 管理組合における防災に関する業務とは、どのような業務を想定しているか、説明をいただきたいと思います。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、マンションの管理規約のひな形であります標準管理規約においては、管理組合の業務の一つとして、マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務を位置づけているところでございます。

 この防災に関する業務の具体的な内容としては、防災マニュアルの作成や、組合員への内容の周知、防災訓練の実施、防災物資などの備蓄などを想定しているところでございます。

小宮山委員 集合住宅、マンションの住民相互の交流は希薄であると言われております。

 災害発生時の居住者との連絡、確認方法や対処方法について、管理組合内で事前に情報共有しておくことが望ましい。また、平時からの避難訓練や、飲物、食料品などの備蓄、管理をマンション内で行うことを推奨していくべきではないでしょうか。在宅避難などの防災・減災対策について規約などに定めておくよう、管理組合又は住民の責務として、業務についても推奨していくことが有効だと考えますけれども、改めて、併せて、もう一回、聞かせていただきたいと思います。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 管理組合において、いつ起こるか分からない災害の発生に備えて、平時から、災害時の対応方法などを定め、区分所有者間で共有をするとともに、避難訓練の実施など、必要な準備を行っていくことは大変重要なことというふうに考えております。

 このため、昨年六月、有識者検討会において、管理組合が平時から進めるべき防災対策として、防災マニュアルや防災用名簿の作成、周知、防災訓練の実施や防災物資などの備蓄などの取組を取りまとめますとともに、シンポジウムなど、あらゆる機会を通じて、その周知に努めているところでございます。

 引き続き、防災マニュアルの作成などに取り組む管理組合を支援をいたしますとともに、標準管理規約における防災対策の内容の充実についても検討を行うなど、マンションにおける防災対策の促進にしっかり取り組んでまいります。

小宮山委員 築年数が四十年から五十年を迎えようとしている老朽化マンションでは、五階建て程度の場合、エレベーターが設置されていない場合も多くあります。このような老朽化マンションの上層階からは居住者がいなくなった上で、安価に販売され、外国人労働者に住んでもらうための社宅として用いられる事例もしばしば見受けられるそうです。

 外国人労働者の居住世帯が多くなっているマンションなどのように、所有者と居住者が異なるなどして、居住実態が把握できにくい場合も生じている中、防災対策、避難訓練の実施などを、いかに推奨していくんでしょうか。国交省の考えを、答弁をお願いいたします。

楠田政府参考人 お答えいたします。

 マンションにおいては、賃借人や外国人も含め、様々な方々が居住をしていることから、いつ起こるか分からない災害の発生に備えて、平時から、居住実態の正確な把握に努めますとともに、多様な居住者を念頭に置きながら、避難訓練の実施を含む防災対策に取り組むことが重要であるというふうに考えております。

 このため、昨年六月に、管理規約のひな形となる標準管理規約を見直し、組合員名簿や居住者名簿の作成や、その定期的な更新に関する規定を盛り込みますとともに、名簿の作成、更新の重要性の周知に努めているところでございます。

 また、外国人居住者への対応につきましては、例えば、東京都では、防災訓練の実施など、必要な備えをまとめたマンション防災のリーフレットの外国語版を作成をしているほか、マンション管理業協会では、災害時の対応も見据えて、共用部分や駐車場の使い方などについて、多言語での文例集やピクトグラムを作成するなどの取組が行われているものというふうに承知をしております。

 引き続き、地方公共団体や関係団体と連携をいたしまして、管理規約の見直しを含め、居住者名簿等の作成、更新の重要性の周知などに力を入れますとともに、外国人なども念頭に置いた防災訓練などに取り組む管理組合を積極的に支援するなど、マンションにおける防災対策の推進にしっかり取り組んでまいります。

小宮山委員 日本国内の住宅取得に対する支援としては、住宅ローン減税などにより、戸建て住宅、集合住宅、共に新築の推進が行われてきたと言えます。高度経済成長期のやはり産物かと思いますが、新築信仰と言われるようなこの結果、僅か築二十数年とか三十年ほどで建物の価値がないに等しいような評価しかされない中古住宅が発生し、空き家も大量に発生させているというのが日本の不動産の現実ではないでしょうか。

 ここで、例えば、生命保険や地震保険に対しての税制優遇と同様に、マンションの大規模修繕のための積立金について税制優遇を行うことにより、災害に強いマンションを増やしていき、長寿命化を図ることで、また改めて環境負荷を下げられるということも考えられます。

 是非、マンションの大規模修繕のための積立金について、税制優遇について進めていただきたいと思いますが、国土交通大臣、お考えをお聞かせください。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 マンションの管理につきましては、適正な修繕積立金の積立てと、適切な頻度での大規模修繕工事の実施を促すことにより、良好な居住環境の維持とストックの長寿命化を図るということが重要であると考えております。

 このため、修繕積立金を適切に引き上げて、大規模修繕工事を実施をするなどの一定の要件を満たすマンションにつきましては、固定資産税を減額する税制特例を令和五年度に創設をいたしまして、長寿命化の取組を支援をしております。

 また、修繕積立金の積立てや修繕計画の作成に関するガイドラインの整備などのソフトの支援に加えまして、大規模修繕工事の実施などを予算面からも支援をするとともに、住宅金融支援機構が修繕積立金の積立てを促す債券の発行や共用部分のリフォーム工事への融資を行うなど、区分所有者の皆様がメリットを感じられるような支援措置を講じているところであります。

 さらに、本改正法案では、長寿命化に向けた取組がより一層円滑に進むように、適切な修繕積立金の積立て等を促す管理計画認定制度について、新築マンションを認定の対象に追加をし、また、修繕に係る決議について、全区分所有者の多数決ではなく、集会出席者の多数決によることとするほか、民間団体の登録制度を創設をし、地域全体で管理組合を支援をする体制を構築をすることとしておりますので、引き続き、税制、予算、金融、あらゆる政策ツールを活用して、大規模修繕工事の計画的な実施を促してまいりたいというふうに思います。

小宮山委員 やはり相変わらず新築優先なんだなという気がします。これは、百三十万棟からある老朽化マンションと言われるこの分野を、しっかりと長寿命化させる方がどれだけ有効なことか、これが喫緊の課題だからこそ、この法案が出ていると思います。

 そのためにも、地元の建設業や、建築廃材が出ないように、空き家の増加を減らして環境負荷が抑えられる、三方よし、売手、買手、世間よしにつながるような更なる検討、そして、できれば、大規模改修の費用というものが、実際には積立金上、減っている、足りない場合が多くあると聞いておりますので、この点は是非検討を、国交省内で研究もしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 時間となってきましたので、最後、少し飛ばさせていただいて、老朽化マンション建て替えでも都市計画の中にきちんと位置づけるべきであるということをお伺いしたいと思います。

 老朽化マンションの建て替えについて、諸外国での取組を調べると、フランスなど欧州では、根本的に新築の抑制がされており、建物の建て替え自体が余り行われておらず、建て替えのための振興策も、余り参考となりそうな情報を得られませんでした。イタリア、ギリシャなどを除く欧州の大陸諸国に地震災害が少ないことも要因としてあるのではないかと考えます。一方で、限られた土地に多くの人口を抱えるシンガポールでの事例は大変興味深いものでありました。

 今回の改正によって、日本でも、老朽化マンションそのものの建て替え、刷新をいかに行いやすいかといった観点を中心に議論され、制度化されているということが見受けられますけれども、日本においても、都市の在り方、都市政策の中、周辺環境を含めた上で、マンションがいかにあるべきかについて位置づけをし、都市政策、住宅政策の両面から捉えるべきではないかと考えております。この点に関して、国土交通大臣の見解を求めます。

中野国務大臣 御指摘のとおり、マンションの建て替えなどにつきましては、住宅政策としてだけではなく、都市政策と整合性を保ちながら進めていくということは非常に重要であります。

 都市計画においては、長期的な視点に立って、地方公共団体が地域の実情を踏まえたまちづくりの基本方針を定めた上で、当該方針に即して、地域に合った用途や容積率等について定め、それらによって、マンションを含めた建築物の立地を調整をするということが可能な制度であります。

 ちょっと詳細は申し上げませんが、高さ制限ですとか、あるいは住宅建築制限等を行っているような様々な事例もあるところでございまして、こうした地方公共団体の様々な取組事例を横展開をしていくということで、長期的な視点に立った都市計画制度の適正な運用と住宅政策の連携を促し、マンションの建て替え事業などが地域のまちづくりの取組と調和をして進められるように、適切な技術的助言に努めてまいりたいというふうに思います。

小宮山委員 都市緑地法改正など、様々な投資の対象になるまちづくりでもあります。大臣におかれましては、しっかりとその点も踏まえて検討していただければと思います。

 終わります。

井上委員長 次に、尾辻かな子君。

尾辻委員 おはようございます。立憲民主党の尾辻かな子です。

 マンション管理法の質問をさせていただきたいと思いますが、まず、私の地元なんですけれども、大阪府の高槻市と島本町といいまして、大阪と京都のほぼ中間に位置しております。ベッドタウンとして発展してきた側面がございます。

 高槻市でいいますと、このような立地のよさもあって、昭和四十年代の人口が約十三万人、それが十年たった昭和五十年には約三十三万人と、全国的にもまれに見る人口急増を経験し、この時代に建てられたマンションが多くあります。

 高槻市で見ると、二〇二二年六月にマンション管理適正化推進計画を作成し、マンションの施策に取り組んでいますけれども、この計画の作成に当たってアンケート調査を実施したマンションのうち、二四・七%、約四分の一が築四十年を超えるマンションであり、今後、老朽化したマンションが区分所有者や近隣の住民の住環境に影響を与える可能性について、私も切実な危機感を持っております。

 お隣の島本町もそうですが、築四十年、築五十年を超えるマンションが点在している状況でありまして、まさにマンションの二つの老い、建物の老朽化とそして区分所有者の高齢化、ここにきちんと対応していく必要があるというふうに考えています。

 私も、本日の質疑に当たって、マンションの大規模修繕工事、談合の疑惑について、まずはお聞きをしていきたいと思います。

 四月二十四日の日経新聞によると、マンション大規模修繕工事での談合疑惑をめぐって、公正取引委員会が数次にわたり、工事会社に独占禁止法違反の疑いで立入検査を行ったとあります。

 記事によると、公正取引委員会は、談合には工事会社を選定する設計コンサルタントも関与し、各工事会社が専門知識に乏しい管理組合との取引で、長年にわたって、長年にわたって受注調整を繰り返したと見ているとされています。新聞記事も、長年の慣習かということで、こういったところを強調されているわけです。

 さて、今回のこういった談合疑惑の事案以前にも、一部のコンサルタントが、自社にバックマージンを支払う施工会社、ここが受注できるように不適切な工作を行い、割高な工事費や過剰な工事項目等の設定に基づく発注等を誘導するため、格安のコンサルタント料金で受託し、結果として、管理組合に経済的な損失を及ぼす事態が発生しているということが指摘されています。

 こういった指摘に対して、これまで国土交通省がどのような取組を行ってきたのか、簡潔にお伺いしたいと思います。

楠田政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省では、御指摘のような悪質な設計コンサルタントの存在が指摘をされていたことを踏まえ、平成二十九年一月に通知を発出をして、いわゆる悪質コンサルタントの事例を紹介し、管理組合に対して注意喚起を行ってまいりました。

 また、大規模修繕工事について、マンション管理士などの外部専門家が適切に活用されるよう、ガイドラインを整備し、その周知を図りますとともに、関係団体と連携し、相談窓口の設置や見積りチェックサービスの活用を促進するなどにより、管理組合の取組を支援してきたところでございます。

尾辻委員 結局、そういう文書の通知であったり相談窓口等をやってきたわけですが、今現状は、こうして長年の慣習が続いているということは、そういった通知が実は有効に機能していないんじゃないか、改善になかなか至っていないんじゃないか、まずその現状認識に立つ必要があるというふうに思います。

 それでは、もう少し詳しく聞きますけれども、今回の法改正で施行予定日は来年の四月一日ということになります。共用部分の管理等については、集会において出席した区分所有者及びその議決権の過半数の決議により行うことができるということで、従来より決議が行われやすくなることとなります。

 一方での、この談合疑惑の報道です。私の元には、区分所有のマンション住民の方から、例えば、住んでおられるマンションの修繕工事の業者がこの公正取引委員会の調査対象になっており、費用の妥当性に心配がある、管理組合に説明会を求めてもクレーマー扱いで取り扱ってもらえないというような声も寄せられています。マンション住民にかなり不安を与えているというのが今の状況かと思います。

 先ほどの質疑でもあったとおり、まだ全容が明らかになっていないという状況のままで、来年の四月一日からの施行ということであれば、これはやはりマンション住民はかなり不安が広がるのではないかと思います。

 この施行について、私は、これは全容解明されるまでちょっと遅らせる必要があるんじゃないかというふうに逆に考えるわけですが、大臣の御見解をお伺いいたします。

中野国務大臣 尾辻委員にお答えを申し上げます。

 発注者の信頼を裏切り、その利益を損なう談合というのはあってはならないということは再三申し上げております。

 今回のマンションの大規模修繕工事をめぐる談合事案につきましても、公正取引委員会による調査の進展、実態の解明を見守りつつ、その結果を踏まえ、厳正に対処するとともに、業界団体に対してコンプライアンスの更なる徹底というのは当然図ってまいります。

 他方で、マンションをめぐっては、築四十年以上のマンションが約百三十七万戸に上り、十年後には二倍になるという、今後、高経年のマンションの急激な増加も見込まれるという中で、これらのマンションを老朽化させないような適正な管理や円滑な再生のための更なる施策というのは少しでも早く講じることが必要となっている状況でありますし、また、いつ起きてもおかしくない大規模災害への備えとして、被災したマンションの迅速な再建を図るための措置も一刻も早く講じることが求められているところでございます。

 これらを踏まえ、本改正法案につきましては、調査結果を待つというよりは、速やかに施行させていただくということが必要なのかなというふうに考えている次第でございます。

 本改正法案におきましては、マンションの管理の適正化の推進に取り組む民間団体の登録制度も創設をすることとしておりまして、管理組合が、こうした団体の支援も受けながら、大規模修繕工事の発注などに安心して取り組める環境を一日でも早く整えられるように、法の円滑な施行に向けた準備に万全を期してまいりたいというふうに考えております。

尾辻委員 私は、その対応だけでは、この長年の慣習と呼ばれるものに本当に対応できるのか、そしてマンション住民の不安が払拭できるのか、非常に疑問が残るところです。

 そして、具体的なところでいいますと、マンションの大規模修繕工事の発注方式は責任施工方式と設計監理方式というのがあって、今回問題になっているのは設計監理方式の方でして、設計コンサルタント等が診断や設計、工事監理を行う者として管理組合をサポートする。これが大体八割を今占めているということが国交省の調査でも指摘をされています。今回の談合事件は、この設計監理方式が問題視されているわけです。

 私は、これはもうちょっとやはり踏み込むべきだと思いまして、設計コンサルタントが実施する業務実態や管理組合による設計コンサルタントの選定プロセス、こういうところで調査を行ったり、管理組合が適切な設計コンサルタントを判別しやすくする、そういう仕組みの創設をしないとこれは駄目ではないかというふうに思うわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の事案につきましては、現在、公正取引委員会が調査をしているということでございまして、現時点で、事案の背景や手法等が明らかになっているわけではなく、また、建設コンサルタントについて独占禁止法の違反が確定をしたということでも、そういう事実もないという状況であります。

 したがいまして、事案に関わった事業者、あるいは関係業界への対応につきましては、公正取引委員会による調査の結果が出た後で、その結果を踏まえて検討するということになりますが、委員御指摘のように、仮に、調査の結果、現状に課題があるということが明らかとなった場合には、国土交通省としても、必要な業務実態の調査でありますとか様々な対応も含めて、必要な方策を検討するという必要は当然あるというふうに考えております。

尾辻委員 これは結果的に、結局、修繕費用が高くなってしまう、管理組合が多く修繕費用を払ってしまうということが起こっているわけです。

 とすると、やはりこの修繕費用については、本当に妥当かどうかというのをどこかがしっかりと見る必要があると思うんですね。やはり第三者機関のようなところで、本当にこの修繕費用が妥当なのかどうか、第三者機関の設置なども私は検討すべきだと思いますが、大臣の御見解を伺います。

中野国務大臣 今回の事案につきましては、まだ現在調査中ということでありますが、一般論で申し上げますと、管理組合は必ずしもマンションの管理に関する専門的な知識やノウハウを有しているとは限らないため、第三者による支援体制を構築をするということは非常に重要であるというふうに思います。

 これまでも、マンション管理士などの外部専門家の適切な活用をということで、ガイドラインの整備やその周知、そして、関係団体と連携をしまして、相談窓口の設置や見積りチェックサービスの活用を促進するなどの、管理組合の活動を支援をしてきたところでございます。

 また、本改正法案では、マンション管理の適正化の推進に取り組む民間団体の登録制度を創設をいたしまして、地域全体で管理組合の活動を支援する体制の構築を進めていくこととしております。

 引き続き、地方自治体や関係団体等と連携をいたしまして、管理組合が、修繕費用の妥当性も含め、マンション管理をめぐる様々な課題に対して、外部専門家等も活用して適切に対処できるように、丁寧な支援に努めてまいりたいというふうに思います。

尾辻委員 では、次の質問に行きたいと思います。次、区分所有法の改正についてお伺いをしたいと思います。

 今回、法改正により、区分所有権の処分を伴わない修繕等の決議については、全区分所有者ではなく集会出席者の多数決により決議することとされています。これは、例えば集会を、お正月など、ほとんどの区分所有者が出席できない日を狙って開催をして、参加できた少数の集会出席者によって決議することも制度上は可能となるわけです。

 こういった悪用とも言える行為が起こることは想定されているのか、想定している場合、どのような対応を考えているのか、お聞きします。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、本改正法案におきましては、区分所有権の処分を伴わない決議につきまして、出席した区分所有者及びその議決権の多数で決することとしております。

 まず、前提といたしまして、招集通知は会日より少なくとも一週間以上前に発する必要があり、かつ、集会におきましては、あらかじめ招集通知で通知した事項についてのみ決議をすることができるとなっております。

 さらに、本改正案におきましては、全ての会議の目的たる事項を対象として、集会の招集通知に議案の要領を記載しなければならないということにしております。そのため、各区分所有者においては、あらかじめどのような事項が決議されるかや議案の要領を知ることができることになっております。

 その上で、議決権は書面で又は代理人によって行使することができるとなっておりますけれども、出席者の多数決の仕組みにおきますこの出席者、これには、現実に集会に出席した区分所有者のみでなく、書面又は代理人によって議決権を行使した区分所有者も含まれることとし、本改正法案におきましては、書面又は代理人によって議決権を行使した区分所有者の数は出席した区分所有者の数に、行使された議決権の数は出席した区分所有者の議決権の数に、それぞれ算入することとしております。

 したがいまして、仮に対面で集会に出席した区分所有者が少人数となった場合でありましても、委員が御懸念されているような、対面で集会に出席した者のみの多数決によって決せられることにはならないというふうに考えております。

 法務省としては、このような議決権の書面行使の仕組み等についてもしっかりと周知してまいりたいと考えております。(発言する者あり)

尾辻委員 今、ほかの委員から、一週間前ではこれはちょっと遅いんじゃないかというようなことも言われております。やはり、マンション区分の所有者にはたくさんの方がいらっしゃるわけで、そんな中で意見が対立することもあるかと思います。自分たちの議決を通すために、こうした濫用とも言えることがやはり起こり得るのではないかというふうに思いますので、ここについてはしっかりと検討をいただきたいというふうに思います。

 次に、財産管理制度の創設についてもお伺いしたいと思います。

 管理に必要な費用や管理人の報酬は所有者等が負担するということになっているんですけれども、これは、そもそも適切な管理ができていなかったり所在が不明な方というのは、やはり、費用負担がそもそもできるのかという問題が私はあるんじゃないかと思っております。こういう費用負担が不能な場合、財産管理制度はどのように運用されることになるのか、お聞かせください。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 本改正法案におきましては、裁判所は、区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない専有部分について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、所有者不明専有部分管理人による管理を命ずる処分をすることができることとしております。

 所有者不明専有部分管理人が選任された場合の管理をするための費用やその報酬については、当該専有部分の区分所有者の負担でありまして、所有者不明専有部分管理人は、所有者不明専有部分等から裁判所が定める額の費用の前払い及び報酬を受けることができることとしております。そのため、所有者不明専有部分管理人は、例えば、当該専有部分を売却した場合には、その売却代金から裁判所が定める額の費用や報酬を受けることができることとなります。

 もっとも、申立ての段階では、所有者不明専有部分管理人が当該専有部分を売却するのか、幾らで売却するのかが見通せないということがありますものですから、実務上は、裁判所は、所有者不明専有部分管理人による管理費用や報酬相当額を確保する観点から、申立人に予納金の納付を求めることになると考えております。

 そのため、所有者不明専有部分管理人は、当該専有部分を売却しない場合や、売却しても代金額が低廉で代金額から費用等の全額を支弁できない、こういう場合でも、この予納金、これを原資として裁判所から費用等の支払いを受けることができる、こういうふうに考えております。

尾辻委員 ということは、利害関係者がまず予納金を準備できるかどうかというところが大きな課題になるということでありまして、今、リゾートマンションなんかでは、やはり、そもそもこの予納金がなかなか払えないということになって、更に老朽化マンションがそのままになっていくというところがありますので、ここはまずしっかりと、どのように運用されるのか、そこでの問題点を見ていきたいというふうに思います。

 私も今回質疑をいただいて、マンションのルールの分かりにくさというのは、やはりもう少し私は整理されるべきじゃないかと思うんです。要は、法務省さんと国交省さんで両方で所管されていて、法律の制度もすごく二元的になっていて、例えばなんですけれども、用語が異なっていたりとかするわけですね。

 これは指摘にしておきますけれども、例えば、マンション所有者全員の会合が、区分所有法では集会と呼ばれますけれども、マンション標準管理規約では総会と呼ばれるというふうに、用語が違うんですよね。区分所有法では管理者と呼ばれるものが、マンション標準管理規約では理事長と呼ばれたりとか。結局、両方が所管しているから言葉も違う。管理規約の中で、管理者が理事長とするとか、ちゃんと書いてありますけれども。

 でも、マンション区分所有者というのは法律や住宅の専門家ではないわけです。その中で、これだけ複雑な制度というのは、私、どこかでやはりちゃんと整理する必要があるのかなと思うわけです、二つの老いに対する今回の法改正ですから。

 私は、元々介護福祉士でもありまして、高齢者の皆さんの支援をさせていただいてまいりました。そういう経験からいっても、やはり今回のマンションをめぐる複雑さというのは非常に心配になる部分があるということは指摘をしておきたいというふうに思います。

 ちょっと時間がありますので、先に居住支援のところをお伺いをさせていただきたいというふうに思います。ちょっと飛ばします。

 本改正案では、売却などのマンションの再生事業等が創設され、それによって引っ越しを余儀なくされる人や住居を失う人が出てくるのではないかということを私は非常に危惧をしているわけです。

 本改正案では、国及び地方公共団体は居住の安定の確保を図るために必要な措置を講じるよう努めることとされていますが、高齢の区分所有者や借地権者など住宅の確保に特に配慮が必要な方に対して、国はどのような支援を行うことを考えているんでしょうか。また、国は、そのような者に対して自治体がどのような支援を行うことを期待しているのか。これは大臣にお聞きしたいと思います。

中野国務大臣 お答えを申し上げます。

 マンションの再生等の事業を進めるに当たりましては、再生等に取り組む区分所有者等を支援をするだけではなくて、再生等に反対をされる区分所有者や賃借人など転出をされる方々がいらっしゃいます。こうした方々に対しても丁寧な対応を行うということは極めて重要であるというふうに認識をしております。

 このため、本改正法案では、こうした転出者の方々に対して、区分所有法においては適切な補償額による金銭的補償を行うということを規定をすることに加えまして、マンション再生法においては、居住の安定確保に関する取組を基本方針に位置づけるとともに、これらの取組について事業組合や地方公共団体などが努力義務を負うことを規定をするとしたところでございます。

 具体的に申し上げますと、例えば、高齢者世帯や賃借人など特に配慮が必要な方々に対しまして、地方公共団体や関係団体と連携をしまして、公営住宅等の公的賃貸住宅やセーフティーネット住宅等の活用の促進、あるいは、家賃等の債務保証制度や居住支援法人による相談対応等の利用の促進、そして、住宅金融支援機構によるいわゆるリバースモーゲージ型の住宅ローンの提供などに取り組むことにより、居住の安定の確保を図ってまいりたいというふうに考えております。

 制度や予算、税制、金融などあらゆる政策ツールを総動員をしまして、居住の安定確保等にしっかりと取り組むことにより、マンション再生の適切かつ円滑な推進に努めてまいりたいと思います。

尾辻委員 今ある制度を並べていただいたというふうに思うんですけれども、本当にこれだけで今回の様々な、家を失うような人たちが出てこないのか、そして、その方々が、特に高齢であるがゆえに次の住みかが見つからないということは十分今でも起こり得る問題が、更に私は広がるんじゃないかというふうに思っております。

 住まいの支援をどうするかというのは、ちょっと大きな課題でありますので、またちょっと今度のときにしっかりと聞きたいと思いますけれども、今の状況は不十分であるということはしっかりと指摘をしておきたいというふうに思います。

 次に、マンション管理組合、私は、やはり管理組合にどうやってしっかり支援をしていくのか、ここが非常に重要であるというふうに考えております。

 ただ、管理組合の方々というのは、やはり別に専門的な知識があるわけでもありませんし、例えば、こういう合意形成をするような会合が、元々そういう専門職の方でもないわけですから、本当にこれは難しいなというふうに思うわけです。

 今回の改正案では、地方公共団体が、マンションの管理の適正化の推進に取り組む一般社団法人等をマンション管理適正化支援法人として登録することができるようになりますけれども、この支援法人と管理組合をどのようにつなげていくのか、お伺いをします。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 マンションの適正な管理を実現するためには、地方公共団体だけで取り組むのではなく、マンション管理に取り組む民間団体と連携をし、その協力も得て、地域全体で管理組合の活動を支援する体制を構築することが重要であるというふうに考えております。

 このような観点から、本改正法案では、マンション管理適正化支援法人の登録制度を創設をすることとしたところであります。

 まずは、この制度の内容を関係者の方々によく知っていただくということが重要でございまして、関係団体等と連携をし、様々な媒体を活用した分かりやすい広報に努めますとともに、管理組合向けの説明会の開催など、丁寧な周知に取り組んでまいりたいと思っております。

 また、支援法人による管理組合の活動支援が具体的に進んでいきますように、令和七年度予算で創設をしたマンション総合対策モデル事業を活用いたしまして、地方公共団体が管理組合向けのセミナーの開催や相談対応、専門家の派遣などの業務を支援法人に委託するなどの取組について、積極的に支援をしてまいりたいと考えております。

 これらの取組を通じまして、管理組合が、支援法人からの支援も受けながら、マンションの適正な管理に取り組める環境の整備を進めてまいります。

尾辻委員 今回、私もマンション管理組合の理事長をされている方や理事をされている方にいろいろお話をお聞きしました。本当に皆さん苦労されているなというのが現状なんですけれども、その中で、ある理事長さんがこのようにおっしゃっていまして、例えば、働いている人が管理組合の理事長になったり、そして理事になった場合、そこに費やす時間がほとんどない、それはなぜかというと、やはり長時間労働で残業も多い中で、マンション管理に時間を費やすことができないということをおっしゃっていました。

 まさに、地域の活動、自治会の活動とか、マンション管理組合なども自治の活動でありますけれども、この自治の活動をしっかり充実をさせようとすれば、根本的にはやはり働き方の問題にしっかりここも向き合う必要があるのかなと。ここは国土交通委員会ですので、これは厚生労働の問題にもなってしまいますけれども、やはり長時間の残業をするような働き方であったり、今、例えばヨーロッパなどでは週休三日制なんということもあるわけです。そうやって時間ができてこそ、初めてマンション管理という、こういう自治の方もできるのかなということを感じる次第であります。

 そして、もう少し質問をさせていただけたらというふうに思いますけれども、最後、高さ制限のところを少しだけお聞きしておきたいというふうに思います。

 今回、マンションの建て替えということが、新たにやっていく、その中での様々な規制緩和などがあるわけですけれども、自治体は、例えば自治体でやはり高さ制限をかけたりしているわけですね。容積なんかもそうですけれども、こうして自治体で制限をしている場合があります。

 そういった場合、じゃ、今回の改正案ではどういう対応をするかというと、隣接地を含めた建て替えを行うための措置、こういうことをやっているわけですが、私の地元を見ても、周囲に隣接地がないような場合も考えられます。

 そうすると、建て替えをしても戸数が増やせないとか、各住居の面積を狭くしたり、建物の規模を縮小しなければいけないんじゃないか、こういうことも想定されるわけですけれども、今、こういう隣接地を使うということで本当に様々な問題を解決できるのか、この辺をお聞かせいただきたいと思います。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 老朽化マンションの再生を円滑に進めるためには、保留床の確保などによる区分所有者の負担の軽減と、合意形成の促進の両方に取り組むことが重要であると考えております。

 このため、これまでも、十分な保留床を確保し、事業採算性を高める観点から、補償金を支払って隣接地の譲受け、隣接地を含める形で建て替え事業を行う取組というものが一定程度進められてきたところでございます。このような隣接地を取り込んだ建て替えは、現状でも建て替え事業の約二割を占めておりまして、高いニーズがあるものというふうに認識をしております。

 他方で、現場の事業者などからは、隣接地の権利者が引き続きその地で住み続けることを強く希望される場合、補償金の支払いによる譲受けという対応だけでは合意形成が難しい事例があるというような声もいただいてまいりました。

 このため、本改正法案におきましては、このようなニーズにも的確に対応し、隣接地を取り込んだ建て替えがより一層進みますように、隣接地の権利を再生後マンションの区分所有権に変換をする仕組みを創設するといたしたところでございます。

 また、本改正法案におきましては、周囲に適地がない場合でも保留床の確保が容易になるように、特定行政庁の判断により、建築基準法における高さ制限の緩和、こちらも可能とする措置なども盛り込んでいるところでございます。

 これらの措置につきましては、いずれも現場のニーズを受けて措置をすることとしたものでございまして、その有効活用を通じまして、建て替え等の円滑な実施につなげてまいりたいというふうに考えております。

尾辻委員 時間になりましたけれども、老朽化マンションが、これから、不動産がいわゆる負動産というふうにならないように、しっかりと私もチェックをさせていただきたいというふうに思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

井上委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 今日は、委員長、理事、委員各位の御配慮により、私にも質問の時間をいただきました。感謝を申し上げたいと思います。

 限られた時間ですので、質疑に入りたいと思います。

 まず最初、区分所有法における考え方ということで、皆さんのお手元にも資料をお配りしました。これは法務省が作成した資料ということでありますけれども。

 現状の区分所有法においては、平成二十八年の東京地裁判決によると、瑕疵があった場合、この瑕疵に基づいて損害賠償を求める場合、分譲事業者から買った当初の区分所有者が、既に売却等によって新しい区分所有者に所有権が移転している場合、瑕疵に基づく損害賠償請求、これを一括して、区分所有法二十五条に言うところの管理者が行うことができない、こういう解釈でいいのか、まず法務省に確認をしたいと思います。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の前提でありますけれども、ある東京地裁の判決によりますれば、一部でも、区分所有者の一人が区分所有権を移転いたしますと、旧区分所有者に対するないしは現区分所有者に対する管理者の代理権、これが失われるという判決、裁判例がございます。この判決に従いますと、まさに委員おっしゃるように、管理者の権限、これが失われてしまう、こういうことが、現状、実務としてあり得る、こういうことでございます。

岡本(充)委員 そうしますと、瑕疵はそうだということですけれども、そうすると、不法行為による事案の場合はどうか。

 十年以内だと瑕疵で損害賠償請求というのが行われるわけでありますけれども、十年を超えて、例えば、十三年目に何か問題に気づき、そして十四年目に交渉に入った場合は、これは、不法行為を管理者側が証明しなきゃならない、若しくは区分所有者側が証明しなければならないということになりますが、証明した場合において、先ほどお話をしました元区分所有者のいわゆる代理権を管理者が行使し得るのかどうか、これについてはどうですか。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 管理者は、本改正法案の改正後の部分でございますけれども……(岡本(充)委員「いや、改正前」と呼ぶ)改正前につきましては、今申し上げたように、解釈に委ねられている、こういうことになってございます。

岡本(充)委員 今回の改正案によってその部分はどうなるのか、それをもう一度ここで聞きます。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 管理者は、本改正法案による改正後の区分所有法第二十六条第二項に基づきまして、区分所有者又は旧区分所有者が有する契約不適合責任に基づく損害賠償請求権を代理して行使することができることとしております。

 したがいまして、今申し上げたような旧区分所有者の損害賠償請求権、これは基本的には管理者が代理して行使することができる、このようなことになっております。

岡本(充)委員 これは改正後ですから、この考え方は遡及しない、本法改正前の事案については遡及しない、こういう理解でいいですか。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 本改正法案の経過規定によりますれば、施行前に管理者が選ばれている、この管理者の権限についても、今の旧区分所有者の損害賠償請求権について、管理者の代理権が基本的に失われないというこの規律は適用されるものというふうになっております。

岡本(充)委員 つまり遡及しないということですね。

 それで、私ちょっと、これは本当に不思議なんですけれども、今後もいろいろなトラブルが起こる可能性があるにもかかわらず遡及しないとなると、過去の、これまでに分譲されたものがトラブルがあったときにやはりもめ続けるんじゃないかと思っていまして、これは整理する必要があったんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま私が申し上げましたのは、この法律の改正前の管理者の権限、これにつきましても、この法律の改正によって、ある意味、旧区分所有者の有する損害賠償請求権についても代理権を有するということになりますので、委員のお言葉をかりれば、ある意味、遡及的にこの権限が拡大される、このようになっているのがこの改正法案の内容でございます。

岡本(充)委員 であれば、大変ありがたいと思います。レクで聞いたときには、遡及しない、こういう話でしたので、これはおかしいんじゃないかということを指摘したわけでありまして、そうしなければ、これは改正する効果が私は大変小さくなるんじゃないか、こう思っていましたので、そこは、じゃ、遡及するということでよろしいですね。はい。

 では、続いて、マンションの管理会社の質ということについて少し確認したいんですけれども、マンションの管理会社、いろいろなものがあって、もう本当にたくさんあって、これは玉石混交なんじゃないかと思っていますが、どうでしょう。大臣の認識はいかがですか。

中野国務大臣 玉石混交ではないかという御指摘でございます。

 マンション管理業者につきましては、法令で定める要件を満たすもののみを登録をすることとされているほか、業務の適正性を確保するために管理業務主任者の設置や管理受託契約締結時の重要事項説明等の行為規制も課せられているところでありまして、また、管理業者の法令違反が確認をされた場合には、業務停止命令等の監督処分を行い、その情報を公表をしております。

 これらの措置によりまして、マンションの適正な管理のために求められる管理業者の一定の水準は確保されているのではないかというふうには考えております。

 あわせて、マンション管理業協会が実施をするマンション管理適正評価制度におきましては、マンションの管理状況が公表をされ、高水準の管理を行う管理業者が市場で高く評価をされる仕組みとなっておりますので、こうした取組により、管理業者の質を確保するとともに、より高水準の管理を行う管理業者が区分所有者に選ばれやすくなる市場環境の整備というのを図ってまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 これはいろいろな業界の事例があると思いますけれども、一つは介護の関係の事業者の公表の仕方ですね。これはかつては、アンケート方式でやって、インターネットで公開しているからいいと言っていましたけれども、やはり、様々なもっと細かな情報、そして質の管理、やっていかなきゃいけない。

 登録制だということですけれども、許可制にするかどうかは議論があるかもしれませんが、例えば、もう一つ似たような話でいうと、派遣業者も、マージン率を公表しろと随分言って、結局、今公表することになっています。

 管理会社だって、どのぐらいの手数料を取るのか、こういうのももっと公表してもいいんじゃないか、そういうことを含めて、更に区分所有者若しくは管理者が選びやすい方式を検討してはどうかという提言であります。いかがでしょうか。

中野国務大臣 マージン率を公表していいのではないかという御提言をいただいております。

 マンション管理業者の財産の状況に関する情報開示としましては、マンション管理法に基づきまして、貸借対照表ですとか損益計算書などのマンション管理業者の財産の状況に関する書類を事務所ごとに据え置き、関係者の求めに応じ閲覧させなければならないということとしているほか、マンション管理業協会のホームページにおいては、会員社の財務状況等は公表されているところであります。

 マンション管理業者が行う業務につきまして、管理組合と締結をする管理受託契約に基づいて行われるということで、業務内容がかなり多岐にわたるほか、具体的な業務内容が個々のマンションで異なるということで、一律ではないという状況がございます。また、これらの業務も、管理業者自らで行っている場合と、一部を他の業者に外注をする場合ということもございまして、管理業者の業務実態が様々であるということ、収益の状況も様々であるということでございまして、御指摘のようにマージン率のようなものを一律に算定をして公表をするということは難しいのではないかというのが、今考えておるところでございます。

岡本(充)委員 最初は派遣業者もそう言っていたわけですよ。いろいろな業種がある、業態がある、働き方がある、だからそれは一律に公表するのはなじまないと言っていたんですけれども、工夫すればできるようになるんですよ。

 だから、やはり、すごく高い管理料を取っているのかどうか、それが分かるようにする。財務状況を公表しても、貸借対照表を見てこの会社を選ぶというのは、なかなかそれはないと思いますよ。

 やはり、どのぐらいの費用を取っているのかというのを公表することを少し検討してもらえませんか、大臣。検討してもらって、どういうことが難しいのか、またそれは整理をしていけばいいんですけれども、検討していただけるかどうかだけ、お答えください。

中野国務大臣 派遣業者等とも比べても、事務内容等も含めて、かなり具体的な内容が個々のマンションで異なっておるというふうな状況もございます。ちょっと、現状の状況を鑑みると、やはり、一律に算定、公表するということは少し難しいのではないかなというのが私の考えでございます。

岡本(充)委員 検討もしてもらえないということですか。

中野国務大臣 マンション管理業者の質の確保をするというのが非常に大事だということは確かに委員御指摘のとおりではございますが、いずれにしても、こういうマージン率の公表のようなやり方というのは、公表するのは現状を見るとやはり少し難しいのではないかというふうに考えております。

岡本(充)委員 ひどいですね。検討もしないんですね。検討すらしないというのは、やはり、知識とか、先ほどどなたかが言われていましたけれども、かなり差があるわけですね、専門家とそうじゃない人。

 もう一つ、重要な話として、タイル剥落は大事故につながると思っています。古くなったマンションでタイルが剥落して業者が直した場合に、他言しないことという和解条項が入ったりすると、結局、どこのマンションでどういうふうに剥落したか、どの業者が落としたかというのが分からない。

 これは情報収集する仕組みをつくってはどうか。落ちて人に当たってからでは大変ですよ。だから、情報収集する仕組みをつくること、検討してもらえませんか。

中野国務大臣 タイル剥落が、事故防止をする、そして類似の事故が生じないようにしていくということが重要であるということは御指摘のとおりだというふうに思います。

 建築基準法におきましては、公共性の高い建築物や不特定多数の者が利用する建築物、そして特定行政庁が指定をするマンション等の建築物につきましては、所有者等が、外壁タイル等の調査を定期的に行い、外壁落下等の事故の情報も含めて、特定行政庁に報告をするということになっております。

 それ以外の建築物も含めて、国土交通省から特定行政庁に対しましては、事故の情報を広く把握するように努めることや、事故情報を把握したときには建築物の所有者等へ再発防止等を指導することなどをお願いをしているということでございます。

 施工業者につきましては、こうした情報だけではなくて、駆け込みホットラインに寄せられた通報あるいは建設Gメンによる調査などを活用して情報収集をしております。外壁タイルの剥落等が施工不良に起因をするものである場合は、建設業法に基づいて、必要に応じ指導や監督処分を行うこととなります。

 引き続き、特定行政庁に対して事故情報の把握と再発防止に向けた指導を働きかけるとともに、施工不良等を行った建設業者に対しては適切に指導してまいりたいというふうに思います。

岡本(充)委員 現に、和解条項で他言しないことと書いていたら、これは他言できないから、特定行政庁にも情報は上がっていませんよということを言っているんです。

 だから仕組みを考えてくださいということ、これも検討していただけないということですか、それとも検討していただけるんですか。それを最後にお答えを聞いて、終わります。

井上委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、答弁を簡潔にお願いします。

中野国務大臣 御指摘の和解条項につきましては、具体的な内容というのは承知をしておりません。個別の事案に関することでもあるため、コメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 いずれにしても、外壁タイルの剥落等についての、こうした実態の把握等はしっかりと努めてまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 終わります。ありがとうございました。

井上委員長 次に、阿部弘樹君。

阿部(弘)委員 日本維新の会の阿部弘樹でございます。

 早速質問に移らせていただきますが、このゴールデンウィークに成田空港に行ったんですね。そうしますと、大臣、僕は海外に行っていないですけれども、駐車場、何時間も待たなきゃいけないんですよ。その原因は、あの駐車場、駐車予約制度があるんですよ。多くの業者がなりわいとして、その駐車予約を瞬時に行う。そして、高いもので、二万何千円の料金で売りますと。転売。だから、止められないんですよ。

 今日は予告していないからこのことは聞きません。航空法、審議に入れるかどうかは僕は知りませんけれども、不祥事だらけだから、是非とも、このことは予告しておきますよ。知らないなんて言わないで、お願いします。(発言する者あり)コメントだけでも。

 大臣、今、大臣が前回の僕の質問のときに携帯電話をいじくっていたでしょうということで、百七十万回、ユーチューブ、バズっていますよ。僕が上げたんじゃないですよ。勝手に切り取られて上げてあります。

 では、済みません、要望があるようですから、コメントだけでもよろしくお願いします。

井上委員長 質問を明確に。

中野国務大臣 済みません、通告がございませんので、ちょっと詳細な答弁は差し控えたいというふうに思いますけれども、そういう御指摘があったということはしっかりと私も受け止めてまいりたいというふうに思います。

阿部(弘)委員 NHKの報道番組でも報道されてありますので、是非ともよく調査をなさってください。よろしくお願いします。

 では、質問に移ります。

 今般のマンション管理再生円滑化等のための改正法案、おおむねいいなと思いつつも、これから、マンション所有者が高齢化してくる、そして、都市を中心に、一戸建てではなくてマンションにお住まいになる方、居住形態の変更が非常に進んでいくということは、もう法案の前提でよく御理解いただいておるところでございます。

 そもそも、この法律で損害賠償請求権というのは、住宅品質確保促進等に関する法律、十年のみの有効期限ということですから、十年を過ぎちゃうとどうなるんですか。別に、法律で守らないんですか。

井上委員長 誰に質問ですか。

 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

井上委員長 速記を起こしてください。

 法務省内野大臣官房審議官。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の損害賠償請求権、これが仮に、例えば不法行為に基づく損害賠償請求権でありますれば、今も御指摘いただきました十年以上でも、まだその権利というのは基本的には行使できる。というのは、民法の規律に基づけばそうなるということでございます。

阿部(弘)委員 民法上の要するに請求権はそのまま残っていますよというお話の御理解でよろしいですか。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 売買契約に基づく損害賠償請求権、これはまさに委員御指摘のとおり十年、こういうことになりますけれども、民法の不法行為に基づく損害賠償請求権、これはまた別途の時効期間というのが規定されておりますので、それ以上の期間も、事案によってということはありますけれども、基本的には権利がある、このような理解をしております。

阿部(弘)委員 そもそも、今審議している法律では管理者が一括して請求は行えないですよね。築三十年だったら、もうこの請求権法の十年の有効期限は切れていますから、じゃ、どうやって請求を行えばいいんですか、現法では。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 本改正法案におきましては、管理者は、共用部分等について生じた損害賠償請求権につきまして、当該請求権を有する現区分所有者を代理等することができ、また、当該請求権を有する旧区分所有者、これも基本的に代理等することができるものとして規定をしております。

 したがいまして、この旧区分所有者から別の者に区分所有権が譲渡された場合でありましても、管理者は、基本的に、旧区分所有者が分譲業者に対して有する契約不適合責任に基づく損害賠償請求権、又は御指摘のような不法行為に基づく損害賠償請求権、これにつきましても代理して行使すること等が可能となっているというのがこの法案の内容でございます。

阿部(弘)委員 ちょっと矛盾していますよね。旧区分所有権者というのは、最初に分譲したときに買った人その人だけでしょう。その後に買った人は旧区分所有者とは言いませんよね。

内野政府参考人 御指摘の意図を正確に理解しているかどうかはあれなんですが、私が今申し上げましたのは、今回の法案におきます管理者、これは、現在の区分所有者の持っている損害賠償請求権、これについて代理等することができるということと、旧区分所有者が、先ほど御指摘のように権利があるのであれば、その権利についても基本的には代理等することができる、このようなことを申し上げた次第でございます。

 ですので、今委員御指摘の事案でいきますと、分譲時に区分所有権を取得した方、この方が譲渡をすれば、私の御説明の中では、それは旧区分所有者という御説明として理解をいただければと思っております。

阿部(弘)委員 だから、伝統的民法の考え方からすると、分譲業者かもしれませんけれども、説明を受けてそこで納得した人たちに権利があるんですよ。そして、二代、三代と、区分所有が替わった人たちは何も説明も受けていない。そんな人たちが伝統的継承者と民法上なるんですか。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、分譲業者に対して売買契約を結んでいるのは、最初の分譲において取得した旧区分所有者でございます。したがいまして、その方が分譲業者に対して有している損害賠償請求権、これは、その方が次のいわゆる新しい区分所有者、このやり取りの中では現区分所有者という言葉遣いになっておりますが、この方にその売買契約上の損害賠償請求権などを譲渡しない限り、それはまさに委員御指摘のとおり、当初、旧区分所有者が権利者としてい続ける、このような理解になるかと認識しております。

阿部(弘)委員 ですから、法制審議会の議論は、伝統的な所有者、継承はないということを言っておきながら、いや、管理人契約を変えれば、財産権の侵害などについて管理者として代理権を執行できると言ってある。

 それはそれでいいんでしょうけれども、いずれ、私が懸念するのは、今、マンションを購入するのは日本国籍の人だけじゃないですよ。地域によっては、外国人の人が多数を占めることもある、あるいはそこに住まない方もある。住まない方は、管理人の理事会になんか、あるいは総会になんか出席しないですよ。

 そうすると、出席しない、あるいは通知を送っても母国語じゃないから分からない。特に地域によっては様々ですよ。だから所在者不明土地がマンションの中に存在している。ぽつぽつぽつぽつ存在していく。だから、管理組合だけの権限ではそういうものが解決できないのに、管理組合規約を変えればそういう民法上のあやふやなところも解決できるとおっしゃってある。本当にできますか。

 これから、外国の人たちは、権利主張は母国で裁判を起こしますよ。母国で裁判を起こされたときに、権利の侵害を受けた、そんなときに管理組合がその対応ができますか。特に、もう法務省の方は御存じと思いますが、共用部分の話は、何ら区分所有法、契約とは関係ないですよ。さっきの外壁のモルタル落下なんというのは全然関係ない。だって、それは区分契約者に帰属しないでしょう。帰属しないものを契約したって、そんなものは請求できるわけないじゃないですか。

 でも、管理組合の規則を変えることでできるんだとおっしゃる。法律を変えればできるんだとおっしゃる。参加する人だけで決めていいんだとおっしゃる。そうしたら、外国の方々はそれを唯々諾々と承諾されますか。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 区分所有法におきましては、共用部分の管理に関する事項は規約で定め、また集会の決議で決することができることとされております。区分所有者は、そのような規約の定めや集会の決議に拘束されるということになります。

 共用部分について生じた損害賠償請求権につきましては、委員からもまさに御指摘がございましたけれども、その個別的受領を制限し、共用部分等の修復に用いるとして、その使途を定めること、これは、共用部分の管理に関する事項に当たると考えられるため、規約で定めることができるものと考えております。

 ただ、これは当該規約を定めたときの区分所有者でございますので、この方が規約で定められる前にその区分所有権を他者に譲渡をするということになりますと、この方は今申し上げた規約では拘束することができない、こういう結論になるところでございます。

阿部(弘)委員 まあ、そうやって法律ができてくればいいんでしょうけれども、また問題は先送りされていきます。

 そもそも、法制審議会で、共用部分の分割処分は禁止しているじゃないですか、あるいは随伴性はないとおっしゃってあるのに、管理組合の規則を変えればこれはできるんだみたいなことは、それは矛盾していませんか。結果、区分所有者の持分部分でもない共用部のエントランスや廊下、外壁、完全な修復ができないことになっていきやせぬですかね。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、規約による拘束はできない区分所有者、御指摘の事案では旧区分所有者となりますけれども、これが生まれますと、マンションの実情によりまして、場合によると、その瑕疵を修補するための費用が足りないということが起き得るということは御指摘のとおりかと思います。

 この場合につきましては、例えば、現実問題といたしましては、現区分所有者が一旦その瑕疵の修補のための費用を負担をいたしまして修補はされるということが起こり得るというふうに考えております。

 この場合の現区分所有者、その拠出した費用をどのように回収するのかということが次に問題になり得るわけでございますが、この場合につきましては、これはあくまでも法律上、制度上ということでありますけれども、現区分所有者が旧区分所有者に対して、その共用部分の損害賠償、瑕疵に基づく損害賠償請求権があるということで求償をしていく、こういうことによって全体の負担の公平が図られていく、これもあくまで制度上の問題でございますが、なっていくものと考えております。

阿部(弘)委員 この委員会の議論で、私も法律の専門家じゃありませんけれども、ただ、法制審議会のあれを読み込むと、伝統的な民法の所有の考え方は変えていないじゃないですか。変えていないのに、管理組合の規則で決めればいいんだ、あるいは参加者だけで決めればいいんだと。そうすると、なかなかそういう論法だけで、外国人所有者や、あるいは行方不明の方々の相続者、そしてもう築何十年もたてば旧所有者は死んでいることも考えられますので、そういう中での理論的な組立てだけでマンション管理というのができていくのかというのが非常に不安でなりませんけれども。

 話はこれで終わりたいと思いますが、まだまだ、この法律というのは、いろいろな法律が全部重なっているんですね。すごいなと思って、道理で法案が厚いなと思って、読み込むのも大変だなと思いながらも考えていました。

 では、次の質問に移りますよ。

 衆議院の二百一国会、令和二年改正のときの附帯決議。附帯決議というのは積み残しの議論ですから、非常に、そのときに議論して、まだまだ問題点としてあるということで、当時の委員会、国会議員の皆さんが考えたことですから、お聞きします。

 ちょっと読み上げますよ。もう既に、この法案でほぼ終わっているなと、終わっているなというか済んでいるなというところもありますので、それは省略いたしますが、この令和二年の法改正ですね、本法により新たに定められた管理計画認定制度や敷地分割事業制度等が円滑に活用されるよう、施行までに十分な準備期間を確保した上で、地方公共団体、管理組合等に対して、制度の周知を図ること。

 これは、この五年間でどのように制度を充実させていかれましたかね。お答えください。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘の附帯決議への対応状況についてでございますけれども、管理計画認定制度等につきましては、十分な準備期間を確保するために、施行日を令和四年四月一日といたしますとともに、関係団体等と連携をいたしまして、地方公共団体や管理組合向けの説明会の開催やポータルサイトの開設等により、制度の周知徹底を図ってまいったところでございます。

 また、金融支援、税制特例等によりまして認定の取得を支援してきているところでございます。認定取得の前提となる地方公共団体の計画策定が進んできているということと併せまして、取得件数は毎年着実に増加をしてきているところでございます。

 これらの取組に加えまして、本改正法案におきまして、新築マンションを認定の対象に追加をいたしますとともに、認定取得の働きかけや普及啓発等を行いますマンション管理適正化支援法人制度を創設するなどの措置を講ずることといたしております。

 これらによりまして、管理計画認定制度の更なる普及を図ってまいりたいと思っております。

阿部(弘)委員 随分昔ですけれども、私は小さな町の町長をしておりましたけれども、役場の中に技術者というのは余りいらっしゃいませんでした。では、町村というところでは、どのような御指導、特に管理計画認定制度の普及のためにどういう努力をされましたか。どうぞ。

楠田政府参考人 お答え申し上げます。

 マンション管理法につきましては、管理計画の推進、作成につきましては市が一応担当しておりまして、町村の部分につきましては都道府県の方の担当になっておりますので、県と市に対していろいろな働きかけ、支援を行ってきたということでございます。

阿部(弘)委員 是非とも、職員も少ないし、専門家も専門技術者もいない町村がほとんどでございますから、都道府県によく働きかけをしていただいて。今般のマンションの管理規約の普及についても、それは三%とか五%しかまだ普及していませんというんじゃ話にならないですよ。絵に描いた餅で、何も法改正が普及していかないということで、困りますので、是非とも普及をさせていただくように、住宅局長、ちょっとまた頑張ってくださいよ。意気込みをお願いします。最後は大臣に意気込みを聞きますので。

楠田政府参考人 管理計画認定の普及を進めていく、大変大事なことだというふうに思っております。令和四年四月にスタートをして、今三%ということでございますが、着実に増えてきておりますので、更に取組を強化いたしまして早期に普及を、更に二〇%という普及の目標に向けて、実現にしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

中野国務大臣 全体的な議論を通じての最後の決意ということで御質問いただいたと思っております。

 今、マンション、建物も区分所有者も、二つの老いが進行しているということで、平成二年にもマンション管理法、建替え法も改正をしたんですけれども、やはり政策の強化は絶えず検討していかないといけないというふうに思っております。

 法務省と今回連携をしまして、二十年ぶりの区分所有法の改正も含めまして、これは現場からの様々な御意見も伺いながら、検討を積み重ねて法案の取りまとめに至ったというところでございますが、先ほど住宅局長からも答弁がありました、様々、現場で実際にこういう取組を浸透させていくということも非常に大事でございますし、この改正によって、良好な居住環境の確保を図る、そして老朽化マンションの損壊などから国民の生命財産をしっかり守るという取組を全力で更に前に進めてまいりたい、このように決意をしているところでございます。

阿部(弘)委員 大臣が答弁するのがちょっと早かったですね。僕、もう一つ聞きたかったんですよ。

 この附帯決議の四番目ですね。今後、マンションの老朽化による課題、更に顕在化することが見込まれると。老朽化ですね。マンションの安全性について継続的に把握するとともに、再生を進める、資力の乏しい区分所有者の負担軽減を含めて、必要な検討を行うということですが、住宅局長、この五年間で行われましたか。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘の対応につきましては、管理組合の運営状況やマンションの安全性を含めました管理状況などを継続的に把握をするということで、五年に一度、マンション総合調査を実施いたしているところでございます。

 また、この改正法案におきましては、地方公共団体から、マンションの管理状況などを把握し、再生等の働きかけを能動的に行いやすくなるような法的措置について御要望がございました。そういったことも踏まえまして、地方公共団体が管理組合に対して報告徴収等を行える措置などを講ずることといたしております。

 また、老朽化マンションの再生等を円滑に進めるためには、再生に係ります区分所有者の負担軽減等を図るということも大変重要だということで、これまで、建て替えの実施等に対する予算的な支援、金融支援等を行ったところでございます。

 また、資力の関係でございますが、特に収入面で不安を抱える高齢者の方々などに対しましては、住宅金融支援機構において、毎月の返済額を金利負担のみとするリバースモーゲージ型の融資を行うことなどによって負担軽減を図ってきたところでございます。

 この法案の措置、しっかり活用することによりまして、更なる取組を進めてまいりたいと考えてございます。

阿部(弘)委員 もう大臣の意気込みは聞きましたので、結構でございます。

 これで終わります。ありがとうございました。

井上委員長 次に、西岡秀子君。

西岡(秀)委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 今日は、老朽化マンション管理改正法でございまして、時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 国民の一割が居住するマンションの建物と居住者、この二つの老いが進んでいる現状に対応するための法改正であると認識をいたしておりまして、新築から再生までのライフサイクル全体を通じて管理、再生を図るための法改正でございます。

 築四十年以上のストックマンション、これは、二〇二三年のデータでは百三十七万戸、十年前から三倍となっております。四三年度末には四百六十四万戸まで増えることが見込まれております。

 このことに対応するための法改正であるというふうに認識をいたしますけれども、この法改正の前提となる対策としては、管理組合の区分所有者名簿、この管理の徹底をすることや、外国人の居住者や投機目的の所有によって居住しない方々が増加をしていること、この現状を踏まえて、所有不明の方を生じさせない取組や、決議に無関心な人をなくしていく方向性、この取組も、この法改正の前段階として大変重要な取組であるというふうに考えますけれども、現状の取組と今後の方針について、まず国交省にお尋ねをいたします。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の、居住実態等の正確な把握や管理意識の醸成はマンション管理の基本でございまして、適正な管理を実現する上で必要不可欠な重要な取組であるというふうに考えてございます。

 このため、昨年六月に標準管理規約を改正をいたしまして、組合員名簿や居住者名簿の作成、定期的な更新に関する規定を盛り込んだところでございます。

 引き続き、その周知や管理規約の見直しの働きかけ等に取り組みまして、所在不明者の発生防止に向けた取組を促してまいりたいというふうに考えております。

 また、区分所有者はマンションを適正に管理する責務を有しておりますけれども、その意識を醸成することが総会への出席率の向上等にもつながりますので、引き続き、地方公共団体や関係団体等と連携をいたしまして、区分所有者向けのパンフレットの作成、周知やシンポジウムの開催等に取り組み、管理意識の醸成に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

 さらに、本改正法案におきましては、マンションの管理の適正化の推進に取り組む民間団体の登録制度を創設をすることといたしております。今後は、この法人の協力も得ながら、マンションの適正な管理を促す啓発活動等を強化をしてまいります。

西岡(秀)委員 啓発、管理の徹底ということで今御答弁がございましたけれども、なかなか大変厳しい状況があるからこそ、今回の法改正に至っているというふうに思います。修繕等の決議については、現行、全区分所有者の多数決であったものを、集会出席者の多数決によるものとすることや、また管理不全の居室等を裁判所選任の管理人が管理するというふうなことがこの法改正に盛り込まれております。

 先ほど申し上げましたように、外国人の居住者ですとか投機目的の所有というのが増えているこの状況を踏まえまして、外国人の所有状況ですとか転売状況も含めました現在のマンションの入居状況につきまして、国交省としてどのようなデータを把握されているかということについてお伺いをさせていただきます。

楠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 マンションの入居状況に関するデータについてでございますけれども、お尋ねをいただきましたような外国人の所有状況等につきましては、そのもののデータというわけではございませんけれども、現在、国内に住所等を有しない区分所有者の数の割合などについて、鋭意分析を進めているところでございます。

 また、令和五年度マンション総合調査によりますと、所有者が分からない、又は所有者に連絡がつかない居室があるマンションの割合は三三%というふうに推計をしているところでございまして、マンションの築年数が増加するほど、この割合が高くなる傾向が見られるところでございます。

西岡(秀)委員 今日お配りしております資料によりますと、外国人の取得割合でございますけれども、これは千代田区、港区、渋谷区に限ったデータになっておりますけれども、二割から四割が外国人が所有しているというデータもございますので、外国人の所有状況につきましても、国交省としても私は把握をしていく必要があるというふうに考えますので、このこともしっかり今後、取組を強化をしていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、本改正の中で、建て替え以外の新たな再生方法の創設が盛り込まれました。

 建て替えと同様に、建物、敷地の一括売却、一棟リノベーション、建物の取壊し等、これを多数決決議、五分の四によって可能とすることが盛り込まれております。一方で、耐震性の不足の場合は四分の三と、より要件を緩和されるということが盛り込まれております。

 一方で、マンションの所有者は、先ほども二つの老いが進行しているというところでも述べさせていただいておりますけれども、マンションの所有者が高齢化をしていることに加えて、経済力や年齢、生活事情、まさにマンションの居住者の方々は多様でありまして、合意形成をすることが極めて難しく、これらの要件緩和によって、果たして再生へ向けた取組が進むかどうか、実効性について懸念の声が多くございます。このことに対して、国交省の御見解をお伺いをしたいと思います。

楠田政府参考人 済みません。先ほどの答弁の中で、令和五年度マンション総合調査の数字を御紹介をさせていただきましたが、三三%と申し上げましたが、正しくは三・三%でございます。申し訳ございません。修正をさせていただきたいと思います。

 それから、御質問をいただいた件でございます。御指摘のとおり、マンションの区分所有者は、その経済力、年齢、生活状況など様々でございます。老朽化マンションの再生を円滑に進めるためには、区分所有者の負担軽減というものも考慮をしながら合意形成の促進を図っていくことが大変重要だというふうに考えております。

 このため、マンション再生の計画や実施に対する予算の支援でありますとか、高齢者を対象といたしました、住宅金融支援機構による、いわゆるリバースモーゲージ型の住宅ローンの提供などの支援について引き続き実施をいたしまして、区分所有者の負担を軽減してまいりたいというふうに思っております。

 また、本改正法案におきましては、耐震性が不十分等の場合の多数決要件の更なる緩和でありますとか、所在不明者の決議の母数からの除外などの措置を講ずることにより、合意形成を促進してまいりたいと考えております。

 さらに、この法案におきましては、建物、敷地一括売却や一棟リノベーションなど新たな再生手法を創設をいたしますとともに、これらの手法の決議に対応した事業手続等を整備をすることによりまして、合意形成から事業の実施まで円滑に実施できる環境を整えてまいりたいというふうに考えております。

 引き続き、関係団体等とも連携をいたしまして、新たな再生手法等も有効に活用しながら、現場の状況に応じた適切な再生等の選択と円滑な意思決定が実現いたしますように、しっかりと取り組んでまいります。

西岡(秀)委員 再生へ向けた選択肢が増えたということは一定評価をいたしますけれども、一方で、今後の方針を決めていく場合に、大規模修繕、長寿命化を図っていくのか、建て替えを図っていくのか、売却も含めて考えていくのか、これは財政的なことというのが一番大きな課題であるというふうに思いますけれども、いろいろな選択肢の中で、住民がこれを決めていくときの目安となる指針ですとかガイドラインというのが必要ではないかというふうに考えます。

 適正な選択が円滑に進むような取組につきまして、中野国交大臣にお伺いをさせていただきます。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、マンションの新たな再生手法等につきまして、やはり判断の目安となるようなガイドラインなどを整備をすることにより、大規模修繕工事により長寿命化を図るのかどうかも含めて、やはり管理組合の適正な選択や円滑な合意形成を促していくということが重要であると思います。

 こうしたガイドラインの整備につきましては、制度の運用主体である地方公共団体からも御要望をいただいているところでございまして、国土交通省としてもしっかり対応してまいりたいというふうに考えております。

 具体的には、現行の「マンションの建替えか修繕かを判断するためのマニュアル」などについて、本改正案の内容を踏まえ、建物や敷地の一括売却や建物の除却などの新たな再生手法にも対応する形で見直しを行うことを予定をしているところでございます。

 また、本改正法案では、マンションの管理の適正化の推進に取り組む民間団体の登録制度を創設をすることとしております。

 こうした民間団体や地方公共団体が、先ほど申し上げましたマニュアルも活用していただきながら、きめ細かな助言を行うことが有効であるというふうに考えておりまして、管理組合が長寿命化や再生を適切に選択をして、円滑に合意形成ができるように、地域全体で管理組合の活動を支援をする体制の構築にもしっかり取り組んでまいりたいと思います。

西岡(秀)委員 マニュアルの作成に取り組んでいくという御答弁が今ございましたけれども、しっかり、やはりその判断に資する、適正な選択ができるために資するマニュアル、分かりやすい、判断ができるマニュアルを是非作成をしていただくことをお願い申し上げたいと思います。

 先ほどの質問の中で、耐震性が不足しているマンションについての、その耐震については要件がより緩和をされたということについて質問をさせていただきましたけれども、耐震不足マンションへの対応について質問をさせていただきます。

 今後、首都直下型地震や南海トラフ、東海地震など、大規模地震の発生が高い確率で想定されている地域もある中で、マンションの耐震化の推進、これは重要な喫緊の課題だと認識をいたします。

 まず、耐震化を進めるためには、耐震診断を受けるということが大変前提として必要だというふうに考えますけれども、国交省が五年ごとに調査を行っておられると承知をいたしておりますが、旧耐震基準で建てられたマンションのうち、どれくらいのマンションが耐震診断を受けているのか、その現状について国交省に御説明をお願いいたしたいと思います。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 令和五年度マンション総合調査によりますと、旧耐震基準のマンションのうち、耐震診断を行ったマンションは三割程度と推計をいたしているところでございます。

西岡(秀)委員 今、耐震診断を行ったものが三割程度というお話がございました。やはり、これから耐震の改修をするにしても、まずこの耐震診断というものをしっかり受けていただく、これを実行していただくということが大変重要な課題であるということは、今の数字からも明確であるというふうに思います。

 このことをしっかり、また、耐震診断を受けていただく、その体制づくり、これにも国交省としてしっかりお取り組みをいただきたいというふうに思いますし、耐震対策、これについては、やはり耐震改修を含めて様々な選択があるというふうに思いますけれども、まずこの耐震診断を行っていくということも踏まえて、やはりこれは法改正も含めて、旧耐震基準によって建てられたマンションについて耐震診断を義務づけることも含めた法改正が必要ではないかというふうに思いますけれども、中野大臣の御見解をお伺いをさせていただきます。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 大地震から国民の生命財産を守るためには、やはり、多くの方が居住をするマンションにおいても、耐震診断やそれを踏まえた耐震改修をしっかり進めていただくということは重要でございます。

 特にマンションは、区分所有形態という性質上、耐震診断や耐震改修の実施に当たり、管理組合内の合意が不可欠であります。本改正法案には、合意形成の円滑化を図る措置を盛り込んでいるところであります。

 具体的には、耐震診断に当たって必要な費用の拠出に関する決議について、全区分所有者による多数決ではなく、集会の出席者による多数決での実施を可能とすることにより、合意形成の円滑化を図ることとしております。

 また、耐震改修につきましては、耐震改修促進法において、地方公共団体が耐震性不足であることを認定したマンションを対象に、管理組合での決議要件を緩和する措置が講じられているところでございますが、これも、耐震診断と同様に、本改正法案により、集会の出席者による多数決での実施を可能とすることにより、合意形成の円滑化を図ることとしております。

 さらに、所有者の負担軽減のための支援措置としては、耐震診断について補助を行うとともに、耐震改修については、合意形成に労力等を要するマンションの特性を考慮し、通常よりも高い補助率での支援を行っているところでございます。

 地方公共団体としっかり連携をして、マンションの耐震化に向けてしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。

西岡(秀)委員 耐震改修へ向けた取組は大変重要だというふうに思います。

 今大臣の方から様々なお取組について御答弁がございましたけれども、耐震化をしっかりしていくことは、当然、マンションの住民の皆さんの生命財産をしっかり守ると同時に、やはり、倒壊による周辺の方への被害、また、災害時に倒壊した場合には、倒壊をしたという建物が救出のやはり大きな壁になるということも含めて、この耐震化は大変重要な課題だというふうに思っておりますので、しっかり法改正も含めた御検討もお願いをさせていただきたいと思います。

 残り少なくなりましたけれども、共用部分の瑕疵に対する損害賠償請求権についてお伺いをさせていただきます。

 先ほどからも議論があっておりますけれども、本改正においては、マンションの共用部分に瑕疵があった場合、分譲後、マンションの区分所有権の売買が行われた場合も、旧区分所有者にも損害賠償権が帰属することを前提として、管理組合の理事長は、共用部分の損害賠償請求権について、旧区分所有者についても代理ができるということを規定をいたしておりますけれども、一方で、管理者が共用部分の瑕疵に対する損害賠償請求権を一括行使をしたとしても、旧区分所有者が特段の意思表示をした場合は、旧区分所有者に帰属する分は改修費用に充てることができず、結果として、必要な改修費用を確保することができない事態が生じるのではないかということの懸念の声がございます。

 本法律案の立法趣旨であるマンションの円滑な維持管理に支障を来し、改修が困難となるということも想定をされるわけでございますけれども、このことに対する見解を法務省にお伺いをいたします。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点につきましては、実務上の対応といたしまして、各区分所有建物におきますマンションの規約又は集会の決議におきまして、旧区分所有者は、共用部分について生じた損害賠償請求権の管理者による代理行使について、改正法案の区分所有法第二十六条第二項に規定する別段の意思表示をすることができないものとすることや、旧区分所有者は共用部分について生じた損害賠償金について個別に受領することはできず、管理者が代理受領した損害賠償金は建物の瑕疵の修補のために用いられるものとすることが可能であると考えております。

 あらかじめ、このような規約の定め又は決議をしておくことで、旧区分所有者は別段の意思表示をすることができなくなり、また、管理者が受領した損害賠償金を、瑕疵の修補のために当該損害賠償金を用いる義務を負うことになりますことから、御指摘の御懸念に対応することができるものと考えております。

 このような規約の定め等についての周知、広報というものも国土交通省と協力、連携して進めてまいりたいと考えているところでございます。

西岡(秀)委員 時間となりましたので、引き続き、共用部分の瑕疵に対する損害賠償請求権については議論を深めていきたいと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

井上委員長 次に、中川康洋君。

    〔委員長退席、中谷(真)委員長代理着席〕

中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。

 今日も質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 今日、私、質疑者の中で唯一、大臣を指名をしておりませんので、この後も三名ほどシャープな質問が続きますから、もしよろしければ、この間にお手洗い、今委員長も行かれましたので、行っていただければというふうにも思いますので、そういった配慮をしながら、私、質問をさせて、大臣、行くのが早いですね、行っていただければというふうに思います。

 今日は、マンションの管理、再生の円滑化等の法律案ということで質問をさせていただきたいというふうに思っておりますが、私は三重県の四日市の出身なんですけれども、駅前には結構マンションがあるんですが、私は結構、市街化調整区域内に住んでおりまして、田舎の者なものですから、マンションには住んだことがございません。そういった意味においては、ちょっと今回は感覚的に分からないところもあるわけでございますけれども、しっかりと法案の審査ということで質問等をさせていただければというふうにも思います。

 最初に、管理計画認定制度のKPIについて質問をさせていただきます。

 我が国初と言われます民間分譲マンションの誕生から約七十年が経過をし、令和五年末現在でのマンションストック総数は約七百四万戸とされております。中でも築四十年以上の高経年マンションは約百三十七万戸存在し、今後も急増していくこと、これが見込まれるというふうに言われております。また、マンションの適正な管理を促すためには、いわゆる新築時から適切な長期修繕計画や積立金の額を設定する必要があるというふうに思いますが、残念ながら、一部のマンションでは十分行われているとは言い難い、こういった状況がございます。

 そこで、今回の改正案では、適正な管理を促す仕組みとして、新築時から適切な管理や修繕が行われるよう、まさしく、分譲事業者が管理計画を作成し、管理組合に引き継ぐ仕組みの導入が盛り込まれており、私もこの取組については、今後のマンションの管理の適正化に向けて、これは必要なものだというふうに感じております。

 また、国交省におきましては、この管理計画認定の取組割合のKPI、資料によると令和六年度段階で約三%だったものを法施行後五年間で二〇%に引き上げる、こういった目標を設定をいただいております。

 そこで、まず初めに、今回、この管理計画認定の取組割合の目標を二〇%と置かれたところの根拠、これをお示しいただきたいと思いますし、また、マンションの老朽化及び今後のマンションの適正な管理を考えた場合、それらを解決する目標として、この二〇%の目標は妥当な数字と言えるのかどうか、この点も併せて国交省の御見解を伺いたいと思います。

楠田政府参考人 お答えをいたします。

 修繕積立金を積み立て、大規模修繕工事を適切に実施するなど、管理組合によるマンションの適正な管理を促すため、令和四年に管理計画認定制度を開始をしたところでございます。

 これまで、金融支援や税制特例等により、認定の取得を支援をしてきたところでございまして、認定取得の前提となります地方公共団体の計画作成が進んできたことと相まって、取得件数は毎年着実に増加をしてきております。

 これらに加えまして、本改正法案において、新築マンションを認定の対象に追加をいたしますとともに、認定取得の働きかけや普及啓発等を行うマンション管理適正化支援法人制度を創設するなどの措置を講じることを踏まえまして、施行後五年間で管理計画認定の取得割合を二〇%まで増加させることをKPIとして設定をしたところでございます。

 取得割合が二〇%になりますと、マンションの購入希望者が認定を受けたマンションを候補の一つとして検討できる状態になるというふうに考えておりまして、まずはこの目標の達成を目指して、関係者とも緊密に連携し、管理計画認定制度の普及をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 これは努力規定ということで、義務規定ではないという認識があるわけですけれども、五年間で二〇%という流れ、ちょっと私は低いかなと思うんですが、しかし、尻上がりに上がっていくということも想定すると、まずは五年で二〇%をしっかりと行っていくということ、それと、今もお話がありました、管理計画がしっかりと組まれているということが、いわゆるお住まいになる方が検討される中での安心材料、さらには、ある意味、ブランド化というか、管理計画があるということが一つの判断材料になるというところだと思いますので、この取組をしっかりと進めていただきたいと思います。

 続きまして、管理業者管理者方式、これは何人かの方も御質問されておりますが、ここの点について御質問をさせていただきます。

 最近のマンションの居住者の状況は、まさしく、高齢化の進展でありますとか、夫婦共働きの家庭の増加、こういった状況の中で、管理組合の役員の引受手が不足している、こういった状況があります。ゆえに、その管理については、マンション管理業者による外部管理者方式が行われている、こういった事例があるというふうに伺っております。

 それで、この方式については、管理業者が管理者になることで区分所有者の負担を軽減し、専門的な立場からマンション管理を行う、こういったメリットがある一方で、運営方法によっては管理組合と管理業者のまさしく利益相反が生じる、こういったおそれも言われているところでございます。

 そこで、今回の改正案では、管理業者が自己又は密接な関係を有する事業者との取引を行うときは、区分所有者に対して自己取引等の前に説明会を開催をし、取引相手や取引内容等を丁寧に説明することが義務づけられております。

 私は、このような自己取引等を行う場合、こういった義務づけは大変に重要だと思うんですけれども、それに加えて、例えば、自己取引ではあるんだけれども複数社への見積りを行うとか、さらには積算根拠の提示を行うなど、マンションの居住者に対して更に信頼性とか安心感を高める手法、こういったものを盛り込むべきではないかというふうに思いますが、この点について国交省の見解を伺いたいと思います。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 マンション管理業者が管理組合の管理者を兼ねる方式、いわゆる管理業者管理者方式は、専門的知見を有する管理業者による機動的なマンション管理を実現し、区分所有者の負担軽減につながることが期待をされます。今後とも、高齢化等による管理組合役員の担い手不足の情勢は続くものと想定されておりまして、この方式は、マンション管理方式の選択肢の一つとして活用を図っていくことが必要と考えております。

 他方で、この方式は、管理業者が修繕工事等の発注者としての立場を有することになるため、自社や関連会社と直接取引を行うことが可能となり、区分所有者の利益に反する事態が生じるのではないかとの懸念が指摘されているところであります。

 このため、本改正法案におきましては、管理業者が自社又は関連会社との取引を行う場合には、総会決議に先立ち、区分所有者に対して取引相手や取引内容等を事前説明することを義務づけ、管理業者がこうした義務を適切に履行しない場合には、国土交通大臣は、マンション管理法に基づきまして、管理業者に対して業務停止命令等の措置を講じることとしております。

 また、取引金額やその積算根拠、相見積りの内容、相見積りを取らなかった場合にはその理由などについても管理業者が区分所有者に対して事前説明をすべきと考えておりまして、これらについても事前説明事項として省令で規定をする予定でございます。

 これらによりまして、区分所有者が取引の可否を判断するための十分な情報を得ることができ、区分所有者の利益に反する不当に高い金額での取引等を防ぐ機会が確保され、区分所有者が管理業者管理者方式をより安心して活用することができるようになるものと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 やはり昭和四十年代とか五十年代のマンションにおいて、高齢化しているというのは事実だと思います。やはり七十を超えている方は多い。そして、若い方々は、やはり今、共働きという状況があると、なり手不足というのは、都市部だけじゃなくて地方部でもそういった状況が生じている。それゆえに、管理業者が管理するという方式、これは私はありだと思うんですけれども、しかし、様々な修繕、更新の中で、やはり今言ったような状況が生じる部分があると思います。

 今、相見積りとか、積算根拠が示せない場合についてはその理由を記すといったことを省令でというふうに言いましたけれども、私はやはり、それは最低限やるべきじゃないかなというふうにも思っていますので、できない理由を示せばいいというものではないのかなというふうにも思っています。

 また、加えて、こういったところの違反があったら業務停止命令という話がありましたが、私は、そこに至るまでの状況においての日頃からのコミュニケーション、これがどう図られているのかという、これはなかなか法文とか省令には書きづらいかもしれませんが、そういった状況をどうつくり出していくのかということも含めて、今回の改正の意図、さらには、やはり居住者の安心感を更に高める方式として御検討いただきたいというふうに思いますので、ここの点は要望させていただきたいというふうにも思います。

 三点目において、今度はちょっと法務省さんの方にお伺いしたいと思うんですが、最初に、裁判所による所在不明者の認定についてお伺いをいたします。

 それで、マンションの管理不全が進行した場合の修繕等の対応を行うことは重要でありますけれども、これまでの区分所有建物では、区分所有者が所在不明の場合や集会に不参加の場合は、集会での決議において反対者として扱われるために、円滑な管理が阻害される、こういった事例があったというふうにも伺っているところでございます。

 そこで、本改正案では、一歩踏み込んで、裁判所が認定した所在不明者を全ての決議の母数から除外する制度が創設されるところであり、この必要性については私も理解するところでございます。

 しかし、この制度が管理組合の管理者等にとって結果的に使いづらい制度であっては、これは意味がありません。

 そこで、私は、この制度については、管理者等にとって活用しやすい制度とするために、例えば、対象者に対して丁寧に周知を行うことや、所在不明者の探索の簡素化等を始めとした手続の簡略化、さらには、手続から決定までの期間を極力短くする、こういったことが重要というふうに考えますが、こういった具体的な部分について、法務省としてはどう考えるのか、ここを答弁いただきたいと思います。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 本改正法案におきましては、御指摘のとおりの制度が盛り込まれているところでございます。

 今回の法改正の目的であります区分所有建物の管理及び再生の円滑化の観点から、所有者等、不明区分所有者がいる場合にも決議を円滑に行うことができるようにするためには、委員御指摘のとおり、所在等不明区分所有者を決議の母数から除外する制度を活用しやすいものとすることが重要であると考えております。

 実際の裁判の期間、これは、裁判所の運用ないしは個別の事案に係るものでありますので、一概に申し上げることは困難なところではございますけれども、法務省といたしましては、委員からは重要な御指摘をいただいたと考えておりますところ、その御指摘の観点を踏まえつつ、この制度が活用しやすいものとなるよう、関係団体の協力、こういうことも得ながら、本制度の趣旨、内容、また具体的な手続等について、十分な周知、広報に努めてまいりたいと考えているところでございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今回、所在不明者をしかるべき手続によって母数から外すというのは、私は必要だと思っているんです。しかし、これが、やはり結果的に使いづらい状況で、結局活用されないというのでは、今回の法改正の趣旨が生かされませんので、その点、またよろしくお願いしたいと思います。

 もう一点、法務省に伺います。財産管理制度による管理人の選任についてお伺いをいたします。

 今回の改正案では、マンション等に特化した形で、管理不全の専有部分とか共用部分を、区分所有者に代わって裁判所が選任する管理人に管理をさせる、まさしく財産管理制度、この内容が創設をされたところでございます。

 中でも、管理不全の専有部分の管理については、その所有権などの問題などから、これは弁護士というところから選任される、これは適当だと思うわけですけれども、しかし、共用部分の管理については、これは例えば、日頃から、国家資格を持つマンション管理士が、管理組合からの相談に応じ、管理組合に真摯に寄り添いながら適正な管理を実現をしているために、この裁判所からの共用部分の管理の選任については、管理組合からも信頼のあるマンション管理士を管理人として選定すること、これが適切な管理を実現する上で有効であるというふうに私は考えるわけでございますが、この点、法務省の見解を伺いたいと思います。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論といたしまして、管理不全共用部分管理人は、管理不全共用部分管理命令の対象とされた共用部分等を適切に管理することを職務とするものであり、その職務内容に照らしてふさわしい者を選任することになると考えております。

 個別の事案におきまして、どのような者を管理不全共用部分管理人として選任するかは、裁判所が管理人の行う具体的な職務内容を勘案して判断することとなるため、一概にお答えすることは困難ではございますけれども、管理組合の運営に関わる問題や、建物構造上の技術的問題等に対応することが必要となる事案などにおきましては、その職務内容やマンション管理士の業務内容に照らしまして、委員御指摘のような、そういった点に知見を有しておられるマンション管理士である方、この方を選任することもあり得るものと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今の答弁を聞くと、マンション管理士等の選任もあり得るというふうに理解をいたしました。やはり法務省さんの答弁はなかなか全般的に堅いなと思いながら伺わせていただいて、しかし、内容を聞くと、これを是としているじゃないかというのも理解しながら、今回の法改正については、次回も質問の機会があるかというふうにも聞いておりますので、また観点を変えて、引き続き質問をさせていただきたいと思います。

 以上で公明党の質問を終わります。大変にありがとうございました。

中谷(真)委員長代理 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組の管理人、たがや亮です。

 時間の関係で、通告していた質問を幾つか割愛をさせていただきたいと思います。

 また、マンションの部屋の持ち主である区分所有者のことを、便宜上、所有者と呼びますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、区分所有法が最初に制定されたのは昭和三十七年、六十年以上も前。当時のマンションは、非常に付加価値、いわゆるステータスが高く、相当高価で、外資系の社宅やお金持ちが買っている印象。その当時、家は人生最大の買物であり、一生住み続けるとの意識が強かったのではないでしょうか。

 しかしながら、最近では、比較的若い層や外国人などもマンションを購入できるようになり、一昔前の価値観は変化して、住まいに対する考え方も多様化しています。マンションも、ついの住みかではなく、気軽に住み替えたり、実際に住居するためだけではなく、投資目的でマンションを購入する人たちも多数います。

 外国人投資家による購入も激増しているということも鑑み、時代が変化し、価値観が変化する中、果たして今回のマンション法の改正が時代に即しているのかという観点から質問をさせていただきたいと思います。

 四月九日の一般質疑で、マンションの外壁等の共用部分に欠陥がある場合の損害賠償請求権の帰属について質問し、マンションの管理規約で損害賠償金を修繕費用に充当する旨を定めればよいとの答弁がありました。

 まず初めに伺いますが、これは、分譲時にそのような管理規約が定められていないと、財産権を移転できるという規約改定は後からできないのでしょうか。

 二番目に、管理規約の改正が、マンションを最初に購入した元の所有者の権利を、今現在、管理組合が勝手に侵害しているということにならないのか。

 三番目に、私が問題にしているのは、今現在そのような管理規約のないマンションの住民が適切な時期に適切な修繕をする場合には、この改正法案では不十分であり、管理規約に任せっ切りにするのではなく、将来起こり得る損害賠償請求権等の財産権を、区分所有者の売買時に元の所有者から新しい所有者に自動的に移転する、当然承継の視点に立った法改正が最も実効性があると思いますが、以上三点、いかがでしょうか。

    〔中谷(真)委員長代理退席、委員長着席〕

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 本年四月九日の衆議院国土交通委員会におきまして、委員の御質問に対しまして、共用部分に生じた損害賠償金について、各区分所有者又は旧区分所有者が個別に受領することを禁じ、その使途を建物の瑕疵の修補のために用いるものとする旨を集会の決議で決し、又は規約で定めておくことが可能であり、あらかじめこのような集会の決議又は規約の定めをしておくことで、管理者は、区分所有者又は旧区分所有者を代理して受領した損害賠償金を、決議又は規約の定めに基づきまして、旧区分所有者に渡さずに、建物の修補費に充てることが可能となると考えている旨申し上げたところでございました。

 この共用部分について生じた損害賠償金を、共用部分等の修復に用いるとして、その使途を、分譲時でなく分譲後において規約で定めること、これは、共用部分の管理に関する事項に当たると考えられるため、規約で定めることができるものと考えております。

 このような規約が定められた場合には、その規約の定められたときが分譲時でなく分譲後でも、その時点で区分所有者であった者は当該規約で定められた義務を負い、それ以後に区分所有権を譲渡してもその義務を負うことになりますものですから、そのような旧区分所有者との関係では、管理者が受領した損害賠償金を修補費に充てることができる、これを申し上げたところでございます。

 これに対しまして、この規約が定められる前に区分所有権が譲渡された場合には、旧区分所有者が規約等で定められた義務を負うことにはならないため、管理者が受領した損害賠償金について制約を受けることがないというふうに考えております。

 続いて、自動的に権利移転するという法改正についての指摘がございました。

 分譲業者から購入したマンションの共用部分に瑕疵があった場合には、買主であります区分所有者は、それが売買契約の契約の内容に不適合であるとして、当該売買契約の契約不適合責任に基づき、分譲業者に対し、その瑕疵を修理するために必要な費用相当額の損害賠償請求権を有するところでございます。

 この損害賠償請求権は、売主である分譲業者と買主である区分所有者との間の契約関係により、買主が取得する損害賠償請求権でありまして、区分所有権や共用部分に係る持分権とは別個の債権でございます。

 このような区分所有権等とは別個の債権につきまして、御指摘のように、区分所有権等の譲渡に伴い、区分所有者の意思にかかわらず、その処分や移転を一律に強制する特別の規律を設けることは、財産権の保障等の観点から特に慎重な検討が必要であると考えております。

 また、仮にこのような規律を設けるといたしますと、例えば共用部分に瑕疵があった場合、ひとまず管理組合において修繕を行うことも多いものと承知しておりますが、修繕費用を負担した旧区分所有者から現区分所有者に当該損害賠償請求権が移転をしてしまい、修繕費用を負担した旧区分所有者が損害賠償金からの回収ができないという、著しく不合理な事態が生じかねないといったようなことも考えられるところでございます。

 そのため、本改正法案では、区分所有権の譲渡がされた場合に、その譲渡人が有していた共用部分等に係る損害賠償請求権を譲受人に当然に移転させる、こういった規律を設けることはしていないところでございます。

たがや委員 るる今法務省さんが述べられておりましたけれども、区分所有法は民法の特別法です。共有について分割を前提とした民法の理論ではなくて、共有部分の分割を前提としない、あるいは分割ができないとする立場に立つ区分所有法の共有の在り方を重要視すべきだと思います。

 また、元の所有者が修繕費用を負担した場合に、損害賠償請求権が新しい所有者に自動的に移転すると不合理な事態が生じかねないとの答弁ですが、区分所有権、つまり、マンションの部屋の売買時に共用部分に瑕疵があることが分かっているのであれば、損害賠償が認められた場合、その額を前の所有者に返金する旨を売買契約に盛り込めば済む話ですので、特段の不合理は生じないと思います。売買した後に瑕疵があることが判明した場合の不合理を解消できないことが私は問題だと思っております。

 冒頭でも申し上げましたが、投資目的の購入者にとっては、将来、転売した後でも請求すれば損害賠償金の金銭支払いを受けられるということであれば、管理規約の改定に賛成しないのではないでしょうか。管理規約の改定には、所有者の四分の三以上かつ議決権の四分の三以上の賛成が必要な特別決議が必要で、ハードルが高いのではないかと思います。

 実際に住むのではなく投資を目的とする購入者が多いマンションでは管理規約が改定される可能性は低くなると思いますが、これに関して大臣の見解をお伺いします。

中野国務大臣 たがや委員にお答えを申し上げます。

 マンションには、委員御指摘の外国人など投資目的での購入者の方も含めて、様々なニーズを持つ方が居住をしております。こうした方々の合意形成を図りながら、管理規約の見直しを含め、適切な管理を行っていくことが必要だというふうに考えております。

 令和五年度マンション総合調査によりますと、管理規約を定めている管理組合のうち、九割以上の管理組合が管理規定の見直しを行ったことがあるとされておりまして、必要な管理規約の改定については広く行われている状況が見られるところもございます。投資目的の所有者がいることによって管理規約の改定が困難になっているとは必ずしも言えないのではないかと考えております。

 また、本改正法案では、管理の一層の円滑化を図るために、管理規約の見直しを始めとした日常の管理行為については、全区分所有者の多数決によるのではなく、集会出席者の多数決によることを可能とする措置を講じたところでありますので、これまで区分所有者の集会への出席率が低くて規約改定が困難であったマンションなどにおいても、今後は必要な管理規約の見直しなどがより一層行いやすくなるものと考えているところでございます。

 今後とも、法務省や関係団体と連携をしまして、必要な管理規約の見直しが円滑に進むように、改正法の周知も含めてしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 冒頭に申し上げたとおり、マンションは住むためのものから投資の対象としてお金を生むものにも変化を遂げているので、投資目的のマンション購入者は、少しでも高く売却すること、自分の利益を最大化することを考えていますので、損害賠償請求権は、修繕に使われるのではなく、自分たちの、元の所有者にお金で支払われる方を選択するんじゃないか。これは元の所有者からマンションを買った新しい所有者も同じで、規約改定に反対する可能性はゼロではないと思います。権利の主張を惜しまない人々が生み出す大混乱必至の状況を想定しておくべきだと思います。

 次の質問に参りますが、これからの質問は、これまでに既に転売されている場合、あるいは、今後も管理規約改定がなされる前に転売された場合を前提にお伺いします。

 四月九日の委員会でも例に挙げましたが、欠陥マンションの損害賠償請求で、元の所有者に損害賠償金の一部が流れてしまい、修繕費用が足りなくなって現在の所有者たちが修繕できない状態で、例えばタイルが落下して通行人がけがをした場合、通行人に対して責任を負うのは現在の所有者たちであって、元の所有者は責任を負わないという答弁でした。

 修繕費を得られなかった新しい所有者は責任を負い、もらう必要もない利益を得た元の所有者が責任を負わないというのは不公平ではないでしょうか。その解決法についてどのように考えているか、お伺いをいたします。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 共用部分について生じた損害賠償金について、各区分所有者が個別に受領することを禁じ、あっ、失礼しました。大変失礼いたしました。

井上委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

井上委員長 速記を起こしてください。

内野政府参考人 申し訳ございません。

 委員御指摘のとおり、本年四月九日の衆議院国土交通委員会におきまして、マンションの外壁タイルが落下して通行人にけがを負わせた場合におきまして、一般論として、その時点でマンションを占有も所有もしていない旧区分所有者は、当該通行人に対して、民法第七百十七条第一項に基づいて損害賠償責任を負うことはないものと考えられること、また、一般論として、現区分所有者は、マンションを占有又は所有していると解されますので、民法第七百十七条第一項に基づいて損害賠償責任を負う可能性があることを答弁させていただいたところでございます。

 御指摘のような外壁のタイルに瑕疵があるようなマンションの事案については、現区分所有者は、費用を負担した上で、区分所有建物の修繕を行うことが考えられるところでございます。そして、その修繕費用については、現区分所有者は、区分所有建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があるような場合には、特段の事情がない限り、マンションの設計、施工業者に対して、不法行為に基づく損害賠償請求をすることができると考えております。

 また、現区分所有者は、法律上、制度上は、旧区分所有者に対して……

井上委員長 端的に答弁してください。

内野政府参考人 旧区分所有者との売買契約の内容に不適合があるとして、損害賠償請求をすることができると考えております。

たがや委員 ありがとうございます。

 今の答弁、民法改正前の瑕疵担保責任である契約不適合責任として、修繕費相当額、例えば、持分十分の一で、修繕費用が百万円だとしたら、修繕費用のうちの十万円を新しい所有者が元の所有者に請求できるということです。

 私が言いたいのはそういうことじゃなくて、修繕費用が足りずに修繕できない状態でタイルが落下してけがをした人に対して、現在の所有者が不法行為責任に基づく損害賠償請求として例えば一千万円を支払った場合、この不法行為責任による損害賠償金については、施工業者や元の所有者に求償、つまりは請求できるのか、そういうことです。

 いずれにせよ、裁判を起こす必要があるなら、新しい所有者にとっては大きな負担になると思います。通告していませんけれども、法務省、この今の私の考えはどうですか。

内野政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま申し上げましたとおり、修補費用につきましては、前者、つまり売主に対して求償していくということが考えられるところがございます。

 また、今委員の御指摘の中には、通行人に対してした損害の賠償、こういったものについての求償もどうなるのかという点が含まれていたかというふうに考えております。この点につきましては、現区分所有者が、こういったけがをしたような通行人の損害につきまして、民法七百十七条第一項に基づく損害賠償責任、これを負った場合には、通行人の損害について、現区分所有者は、その原因について建設業者に責任があるときには民法七百十七条第三項に基づいて建設業者に対して求償権を行使する、こういうことはできるものと考えているところでございます。

たがや委員 もう時間が、思った以上に法務省の答弁がすごく長くて、あと何問も質問したかったんですけれども、またの機会にしたいと思います。

 中野大臣、今回の問題について、安心、安全なまちづくりのために、法務省に対しても強いリーダーシップを発揮していただきたいなと思いますので、また次回の質問にいろいろさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 終わります。

井上委員長 次に、堀川あきこ君。

堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。

 今回、この法案の前提となる、この間のマンション管理に関する政府の政策とその認識についてお聞きをしていきたいと思います。

 区分所有マンションは、区分所有者全員で管理組合をつくり、共同管理することが基本になっています。専門的な知識を持たず、多様な価値観を持つ区分所有者が集団的に建物を管理するということは、困難な面が多いことは当然だと思います。特に高経年マンションでは、区分所有者間での合意形成がより困難となり、管理不全マンションとして近隣住民が危険にさらされるなどの社会問題となっています。

 こうしたことを受けての今回の法改正になるというふうに認識をしていますが、政府は、二〇〇〇年のマンション管理適正化推進法や二〇〇二年の区分所有法改正及びマンション建替え円滑化法の制定など、この間も管理適正化や建て替え要件の緩和を行ってきました。当時から、建て替えの困難性やマンション管理の複雑さ、これは認識しておられたというふうに思いますが、いかがでしょうか。

中野国務大臣 お答えを申し上げます。

 二〇〇二年の当時の認識ということで、当時におきましても、マンションは、都市における住まいの形態として広く普及をしてきている一方で、老朽化したマンションの急増が見込まれており、都市の再生と良好な居住環境の確保を図る観点から、建て替えの円滑化が重要な課題となっておりました。

 また、マンションの管理につきましては、当時の区分所有法では適正な管理を行う上で十分に対応できていないこと等が指摘をされておりました。

 このような建て替えの円滑化や管理の適正化に関する指摘などを踏まえまして、二〇〇二年当時、マンション建替え法案や区分所有法及びマンション建替え法の改正法案を政府として提出をし、建て替えの実施の円滑化や管理の充実などを図ったところでございます。

堀川委員 資料の一、二を御覧いただきたいんですけれども、ただいま大臣から答弁もあったように、二〇〇二年のマンション建替え円滑化法案の提案理由で、当時の扇千景国交大臣は、今後、老朽化したマンションが急増することが見込まれており、マンションの建て替えの円滑化が重要な課題となっていると述べておられます。また、同じ年の区分所有法及びマンション建替え円滑化法改正案の提案理由については、現行の法で適正な管理を行う上で十分に対応できないことが指摘されておりますというふうな表明がなされておりました。

 こうした認識の下、対策が講じられてきたというふうなことですが、マンションの建て替えの実績はどうなっているでしょうか。国交省、お願いします。

楠田政府参考人 お答えいたします。

 これまでのマンションの建て替えなどの実績につきましては、事業継続中の案件なども含めまして四百七十二件となっております。

堀川委員 結局、建て替えが進んだのは、ごく一部のマンションにとどまっているというふうなことだと思います。

 建て替えの困難さを認識しながら、一方で、同じ時期に、大手ディベロッパーの要望に応えて、超高層ビル建設のための容積率や利用規制を大幅に緩和をしてこられました。二〇〇〇年には容積率の移転、売買を可能にする特例容積率適用区域制度を創設をし、二〇〇二年に都市再生特別措置法、二〇一三年には国家戦略特区法を制定をし、都市部における大規模開発、これが可能になってきました。

 一連の制度改正、いわゆる規制緩和が超高層マンション、タワマンの建設増加につながっているというふうに考えていますが、大臣の見解をお聞かせください。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 我が国の活力の源泉でもあります都市の魅力や国際競争力を高めることなどを目的としまして、民間事業者による都市整備を進めていくということについては重要なことであるというふうに考えております。

 そして、長期的な観点に立ったまちづくりに際しましては、様々な都市計画制度などを活用するなど、自治体がそれぞれの将来像に合わせて創意工夫を図りながら推進をしているものと考えております。

 その中では、マンションの新規の立地を制限をしている自治体も見受けられます。例えば、神戸市では、商業や業務機能の集積とバランスの取れた都心の居住を誘導するため、マンションを含めた住宅の建築等が制限をされているところでもございます。

 いずれにしましても、マンションの立地を含めまして、まちづくりにつきましては、地域の実情を踏まえて、自治体が適切に判断をし、実施をすべきものであると考えております。各地方自治体に都市計画制度の適切な運用を促してまいりたいというふうに考えております。

堀川委員 お答えになっていないかと思うんですけれども。

 資料三に、タワマン建設数の推移を示しております。二〇〇〇年代の規制緩和後にタワーマンションの建設が急増をしているわけですね。

 規制緩和はタワマンの建設に関係ないと言えないというふうに思うんですが、大臣、このことを認めますか。もう一度答弁をお願いします。

中野国務大臣 例えばで申しますと、都市再生特別措置法により大臣認定をされた優良な民間都市開発プロジェクトにより供給をされた分譲住戸数につきましては、例えば、東京都内のマンション販売の戸数に占める割合は、令和元年から令和五年までの五年間で見ても平均で二・五%程度ということで、非常に低い数字でございます。全体的なマンション建設戸数への影響というのは限定的ではないかというふうに考えておる次第であります。

堀川委員 規制緩和後にタワマンが急増しているのは事実なんですね。幾ら否定されても、このことは否定できないというふうに思います。

 そして、タワーマンションの老朽化や管理不全も避けられない問題になっているわけです。

 二〇一九年、社会資本整備審議会住宅宅地分科会マンション政策小委員会の取りまとめにおいても、マンションの大規模化について、マンション規模が大きくなるほどマンション管理に係る区分所有者の合意形成の困難さが増大する傾向にあるというふうに指摘をされています。

 こうした指摘にどう応えるのか、お答えいただきたいと思います。

中野国務大臣 令和五年度マンション総合調査によりますと、超高層マンションと一般のマンションとで、総会の参加割合や理事会の開催の状況、必要な修繕積立金の積立状況などに大きな違いはないものと承知をしております。

 また、同調査によりますと、超高層マンションと一般のマンションとで、直近の大規模修繕工事に要した床面積当たりの費用にも大きな違いはないという状況であります。

 他方で、超高層マンションは特有の設備を有しているという面もあることから、現在、修繕項目などに関する更なる実態調査を進めているところでもあります。その結果も踏まえまして、ガイドラインの見直しなど必要な取組を行ってまいります。

 本改正法案では、修繕等の日常の管理行為については集会出席者の多数決での決議を可能とするなど、更なる管理の円滑化に向けた措置を講じることとしておりますので、これらの措置も有効に活用しながら、引き続き、超高層マンションも含めたマンションの管理の適正化をしっかり推進してまいります。

堀川委員 もう一つ指摘を紹介したいと思うんですけれども、齊藤広子横浜市立大学教授のタワーマンションを対象にした調査によりますと、六割のマンションで分譲時に設定された修繕積立金を見直して、約八割のマンションで段階的な値上げが予定されているにもかかわらず、三割のマンションで大規模修繕の費用が足りない可能性というのが示唆をされています。

 タワーマンションが修繕費不足に陥って管理不全に陥ってしまえば、周囲への影響は甚大だと考えますが、どんどん増え続けるタワマンの管理、どうするおつもりなのか、お聞かせください。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほど答弁申し上げました調査等も踏まえて、超高層マンションと一般マンションとで、総会の参加割合あるいは理事会の開催状況、そして必要な修繕積立金の積立状況など、管理に関する状況に大きな違いはないというふうに承知をしております。

 したがって、様々、規制緩和等を行ってきた結果、こうした建設が促進をされているのではないかという御指摘もございましたが、こうした規制緩和の妥当性の判断に影響を与えるような状況にはないということを認識をしております。

 他方で、マンションは国民の一割以上が居住をする重要な居住形態であります。建物と区分所有者の二つの老いが進行し、外壁の剥落等の危険や集会決議の困難化などの課題が顕在化しておりますので、こうした状況も踏まえて、今回、改正法案を提出をさせていただきました。

 超高層マンションも含めたマンションの適正な管理や円滑な再生に向けて、引き続きしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。

堀川委員 その認識で、果たしてこのままでいいのかということは改めて指摘をしておきたいというふうに思います。

 六番目の質問は指摘にとどめておきたいのですが、やはり法案では有効な対策が全く講じられていないというふうに思うんですね。中低層のマンションの管理不全や老朽化問題すら深刻さを増しています。この状況が改善されないまま、管理や建て替えがより困難なタワマンの建設を進めるのは余りにも無責任だと言わなければなりません。無秩序な大規模開発はやめるべきだというふうなことを指摘をしておきたいと思います。

 続いて、この間のマンションの管理政策の無計画さを指摘してきたんですけれども、以前、住まいを確保することが困難な方々、住宅確保要配慮者に関する質問もさせていただきました。今後こうした方々が増えていくということは国交省も認めておられますが、安定した住まいの確保のための政策が、住宅セーフティーネットでもマンション居住でもやはり大きく不足しているとしか言いようがないと思うんですね。富裕層しか手が出せないようなタワマン建設を推進してきた政府の政策は見直すべきだというふうに強調をしたいと思います。

 マンションは、適切な管理がなされれば百年はもつというふうに言われています。これまでの政策を見直して、新たにタワマンばかりを建てるのではなくて、既存のマンションの修繕を優先する長寿命化政策を抜本的に強化すべきだというふうに考えますが、大臣の見解をお聞かせください。

中野国務大臣 お答えを申し上げます。

 規制緩和の妥当性がどうだったのかということにつきましては先ほど答弁申し上げたとおりでございますが、長寿命化のための政策を強化していくべきという指摘でございます。

 マンションについては、修繕積立金の積立てと大規模修繕工事の実施を適切に行い、ストックの長寿命化と良好な居住環境の維持を図るということは重要でございます。

 このため、修繕積立金や修繕計画に関するガイドラインの作成、大規模修繕工事を実施した場合の固定資産税の減額、大規模修繕工事の実施に対する補助、住宅金融支援機構による融資など、支援措置を講じているところでございます。

 さらに、本改正法案では、長寿命化に向けた取組がより一層円滑に進むように、管理計画の認定対象に新築マンションを追加をし、修繕に係る決議を集会出席者による多数決とするほか、民間団体の登録制度を創設をし、地域全体で管理組合を支援する体制を構築するなどの措置を講じることとしております。

 引き続き、税制、予算、金融など、あらゆる政策ツールを活用して、大規模修繕工事の計画的な実施などの、マンションの長寿命化に向けた取組を推進してまいりたいと思います。

堀川委員 税制について説明されましたけれども、その税制の活用の要件として、管理計画認定マンションであるということが要件に挙がっていると思います。ただ、先ほど来からも指摘がありますように、その認定を取得している割合というのがかなり低くなっているというのが現状です。

 二つの老いが深刻化しているマンションではこうした支援制度を活用する力さえないというのが実態だと思いますが、今後も大規模に発生する老朽化マンションの長寿命化にそれらの施策で対応し得るのか、そうお考えなのか、最後、お聞かせください。

中野国務大臣 マンションの維持管理は非常に重要であります。マンションは区分所有者の私有財産でございまして、まず区分所有者に管理の責務があることを認識をいただき、適切な維持管理に努めていただくということは大切でございますが、一方で、区分所有形態という特殊性、あるいは、管理不全となった場合、大変に周辺に影響が大きいということで、地方公共団体等と連携をして、適正な維持管理等に取り組む管理組合をしっかり支援をしていくということが重要であると考えております。

 先ほど来、ガイドラインの整備などのソフト支援、予算、税制特例などの支援などを講じてきたということを申し上げましたが、本改正法案では、地方公共団体が、マンションの管理状況などを把握し、再生などの働きかけを能動的に行いやすくなるように、報告徴収などを行える措置を講じるほか、マンションの管理の適正化の推進に取り組む民間団体の登録制度を創設をして、地域全体で管理組合の活動を支援する体制の構築を進めていくこととしております。

 こうした地方公共団体あるいは関係団体と連携をして、管理組合がマンションの管理をめぐる様々な課題に適切に対処できるよう、丁寧な支援に努めてまいりたいと思います。

堀川委員 地方公共団体と連携してというふうなお話でした。

 私、地元京都ですけれども、京都市が、管理不全マンションを出さないようにということでかなり頑張っておられます。しかし、その体制は、たった四人で、しかも、ほかの任務と兼務ということなんですね。なかなか行き届かないという実態があると思います。

 質問を終わりますが、引き続きこの点については議論をしていきたいと思います。

 終わります。ありがとうございます。

井上委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享です。

 今般のマンション管理の再生の円滑化のための手続等の合理化を図るという趣旨には賛同いたしますけれども、幾つかの懸念事項とか、あるいは関係者の皆様方から様々な意見をいただいておりますので、確認の意味で、その点について質問したいと思います。

 まず、一つの大きな柱、今回の法案で集会決議の円滑化のための様々な改正が行われております。区分所有権の処分の伴わない修繕等の決議を全区分所有者の多数決から集会出席者の多数決にしたり、裁判所が認定した所在不明者を決議の母数から除外する制度というのは、これは妥当なものだと思います。

 先ほど西岡委員が配った資料と同じですけれども、千代田、港、渋谷区での外国人取得、所有の割合、これは民間の調査でありますけれども、このピンク色のところ、三割ぐらいの比率ですけれども、それは三〇%以上四〇%未満がもう外国人が持っているというマンションでありますし、この緑色の部分を見ますと、七・七%のマンションは、既に戸数の過半数を外国人が購入しているマンションということであります。

 先ほど西岡委員の質問に対して、こういうのを調査しているのか、我が会派の北神議員も、何度も何度も予算委員会や国土交通委員会、分科会などで質問してきましたけれども、今年の二月二十八日の予算委員会分科会では、中野大臣は北神委員に対して、さらに、データの分析、例えば登記の情報の把握などを通じた分析なども進めてまいりたいとおっしゃっております。

 今、具体的に、どのような方法で、何をやっていて、いつ頃結果が出るのか、その点について教えていただけますでしょうか。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、不動産取引の動向を把握する観点から、法務省から定期的に所有権の保存及び移転登記の情報を入手し、その分析を行っているところです。

 委員御指摘の、国内に住所等を有しない区分所有者数につきましては、近年の保存、移転登記を基にして、不動産取引のフローベースでの分析を現在進めているところであります。

福島委員 いつ頃まで。

平田政府参考人 現在、入手しましたデータの分析、精査を進めているところでございますけれども、その数値につきましては、その精査が済み次第ということになります。

福島委員 何か頼りなさそうですけれども、本来これは法案を出す前にやるべきことだと思いますよ。北神委員だってやっているのは、去年の質問で言っているわけですから。これは早く出すようにお願いをいたします、ここで時間を取られたくないので。

 過半数を外国人が所有して、しかも、その大半が投資目的の所有と先ほど来議論がありますけれども、国内にいないという事例も既に多く存在すると思います。これまでのように、区分所有者全員の過半数の議決となると、決議が困難になる事態というのはあると思います。

 例えば、過半数を占める外国人所有者が選任した管理人を通じて、これは過半数をもう占めちゃっているわけですから、日本人のためにならないような決断をその代理人がする場合だってあるわけでありまして、様々な、これまで想定していない、そうした事態が出てくると思うんですね。

 今回の区分所有法改正法第六条の二第一項で、代理人を出すということができるようになっていますけれども、これはできる規定じゃなくて、するものとするという、もっと拘束力のある規定にした方がいいと思うんですけれども、なぜできる規定にしたのか、法務省の説明を求めます。

内野政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、国内に住所等を有する者のうちから国内管理人を選任することができるという制度になっているところでございますが、この点については、国内に住所を有しない区分所有者が一律に連絡を取りにくい状況になるとも言い難く、一律に国内管理人の選任を義務づけて国内管理人による管理を強制すること、これはやはり過剰な制約になるのではないかと考えております。そのため、法律によって国内管理人の選任を義務づけるということまではしておりません。

 もっとも、本改正法案では、区分所有権の処分を伴わない決議につきまして、出席者の多数決により決することとしているため、海外に居住する区分所有者も、議決権を行使しなければ自らに不利な決議がされて、これに拘束されるというおそれがあります。

 こういった不都合を避ける観点からは、海外に居住する区分所有者には、国内管理人に議決権を行使させ、国内管理人の制度が活用されることになるのではないかと考えているところでありまして、また、そのようになるように適切な周知、広報というものも行ってまいりたいと考えております。

福島委員 恐らく、もっともの後の方が私は大事な論点だと思っておりまして、今回、欠席者は議決に加われないことにしたことによって、外国人から仮に訴訟等のリスクを背負わないように、もう事前に代理人を置ける、そうした規定を設けているんだから、それをやればいいわけで、やらなかったら、そのやらなかった人に瑕疵があるわけだから、そういう意味での規定と私はむしろ積極的に評価したいと思いますので、是非そういうふうに説明して、今うなずいておられますけれども、いただければと思っております。

 今回の法改正では、所在等不明区分所有者を裁判所の認定によって決議の母数から除外できることとなっております。法案の第三十八条の二第一項では、区分所有者を知ることができないとか、区分所有者の住所を知ることができないとなっておりますけれども、先ほど中川委員からもありましたけれども、使いづらい法案じゃ駄目なんですね。どの程度やれば区分所有者を知ることができないのか、ずっと調べなければならないか、どこまでやればそうなのかということを答弁いただけますでしょうか。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 「区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき」とは、必要な調査を尽くしても、区分所有者の特定ができず、又は所在が不明であることを意味していると考えております。

 最終的には個別の事案に応じて裁判所が判断することになるものでありますが、例えば、通常アクセスし得る公簿、例えば住民票上の住所等を調査しても所在が明らかでない場合、区分所有者が死亡しているが、その相続人の存否が不明である場合、こういったような場合は、「区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき」に当たり得ると考えております。

 法務省としては、今申し上げたような区分所有者の所在等が不明であることの意義等につきまして、マンション法を所管する国土交通省との緊密な連携の下、説明会や公刊物などを通じて、改正法の施行までの間にその趣旨、内容が正しく理解されるよう、適切かつ十分な周知、広報にしっかりと努めてまいりたいと考えておるところでございます。

福島委員 必要な調査を尽くしてもと言うと、どうしても法務省の答弁は堅苦しく見えますから、本当に公開情報でできる範囲でも分からなかったらいいんですよというのを分かりやすくガイドラインなどで示していただければと思います。

 その次に、今回の区分所有法の六十四条の二で、建て替え決議があったときの賃貸借の終了の規定というのを設けています。要するに、マンションを所有している人から借りている人が、通常生じる損失の補償金を受け取って六か月以内に出ていかなければならないということになっております。賃借人は区分所有者じゃありませんから、議決に賛成することができません。さっき言ったように、外国人が過半数のマンションが、その過半数の外国人が決議して、おまえ、出ていけと日本人に対して言うことだってこれはでき得る規定なんですね。

 なぜこんな決議を設けたのか、まず、その理由について簡潔に答弁をお願いします。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の区分所有法においては、建て替え決議がされた場合でも直ちに当該賃貸借契約が終了するわけではなく、賃貸借契約は継続し、ある意味、その契約が当然に終わるということではないということがあります。こうなりますと、建て替え工事の円滑な実施が困難になるおそれがあるということが言えます。

 区分所有者でも、建て替え決議に賛成せず、参加しない場合には、売渡し請求がされて区分所有権を失うことになり、このような区分所有権についての権利調整の在り方との均衡等に照らせば、建て替え決議があった場合に一定の補償の下で賃貸借を終了させることも許されると考えております。

 そこでこの制度を設けておるわけでございますが、まさに今委員から御指摘ございましたように、その終了に当たりまして通常生ずる損失の補償金も支払われることとしておりますし、補償金の支払いと専有部分の明渡し、これは同時履行というふうにもしておりますので、こういったことによりまして、建て替えを望む区分所有者と賃借人の利害調整、これを図っているものでございます。

福島委員 ちょっとびっくりして、冷たい答弁だなと思って。そこに住所を持って生活している人がいるんですよ。でも、工事の円滑な実施に支障があるから、おまえ、出ていけと。私は、それは政治家として見て余りにも冷たい理由じゃないかなと思うんですね。

 しかも、所有者じゃないから議決権が一切ないんですよ。しかも、所有者であれば、区分所有法の第六十三条の第六項で、生活上著しい困難を生ずるおそれがある場合は、裁判所による建物の明渡し期限の延長とかという激変緩和措置があるのに、借受人はないんですよ。例えば、お年寄りでもう行く病院が決まっている人に出ていけとか、高齢者でほかにもう引っ越しする体力もないという方もいれば、寡婦の方、旦那さんが亡くなって高齢の奥さんが一人で住んでいてとか、いろいろな場合があると思うんですけれども、それに出ていけというのは私は冷たいんじゃないかなと思うんですよ、大臣。

 しかも、今回、同じように、区分所有法改正第六十四条の六で建物敷地売却決議とか、あるいはその七の建物取壊し売却決議とか、取壊し決議が五分の四でできるようになっております。五分の一が反対しても、それは出ていけと言われて、確かにそのときは補償の措置はあるけれども、同じようにやはり五分の一の人にとって、その人は隣の病院に行くからそのマンションに住んでいるかもしれなくて、変わるというのは決定的に生活環境が変わることになるわけですよ。これは、私は憲法十三条の幸福追求権とか憲法第二十二条の居住権を侵すことにもなると思っておりますよ。

 先ほど法務省が答弁したのは経済的な利益ですよ。経済的な利益のためにこの権利を制限する合理性はあるか。私は、この五分の一の反対する人の理由が重い場合もあるというふうに思いますし、なおかつ、先ほどのように、所有者が過半数が外国人で、住んでいるのは借りている日本人となった場合、日本人の権利が害されるわけですよ。(発言する者あり)そう、住まいは権利なんですよ。

 だから私は、今回、こんな五分の四の多数決でやる利益というのはどこにあるんですか。それほどの利益があって判断するか、その点をどう考えるか、大臣のお考えをお聞かせください。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 現在も、高経年マンションの増加というのは、大変に増えて、見込まれているところであります。外壁の剥落など、こうした課題もまさに顕在化をしている。その中で、居住者は当然なんですけれども、周辺地域の住民も含めて、やはり安全、そして良好な居住環境を守るという公益性の観点から、マンションの管理と再生に関する新たな仕組みをしっかり整備をしていくということは重要であるというふうに考えております。

 先ほど申し上げたのは、マンションは区分所有形態ということで、管理組合内の合意形成が不可欠でございます。こうした公益性の観点から、厳格な手続を踏んだ上で多数決で意思決定をできるようにするということは、権利の制限として妥当であり、許される範囲内のものではないかというふうに考えておりますが、他方で、御指摘のような転出される方々が住まいの確保に困ることのないように事業を進めていくということは、当然それは極めて重要であるというふうに考えておりますので、本改正法案におきましても、適切な補償額による金銭的補償を行うことに加えて、居住の安定確保にもしっかり取り組むということにしております。

 転出される方々も含めて、居住の安定をしっかり確保しながら、老朽化マンションの再生を適切に推進をしてまいりたいというふうに思います。

福島委員 本当は区分所有権と損害賠償権のことを議論したかったんですけれども、今の答弁がちょっと気になるので更に聞かせていただきます。

 建て替えの権利も分かりますよ。でも、居住する個人の権利だってそれなりに重いんじゃないですか。大臣、国土交通大臣として本当にそういう考えでいいんですか。私は、確かに、金を渡すから、おまえ、出ていけと言うだけじゃない重さというのを、残念ながら今の答弁では余り感じないんですよ。

 建て替えは分かりますよ。建て替えたら建て替えた後に、また同じ場所に住む場所があるからいいんですよ。でも、今回は取壊しをやったわけでしょう。逆に言えば、建て替えの決議はあったけれども、取壊しとか敷地の売却に対しては全員の同意が必要だというのは、私はそこの重さがあるから対応を分けていたのにもかかわらず、今回それを改正するわけですよ。それを改正することに伴って人生が決定的に変わる可能性があることに対して、いや、損害賠償を渡せばいいんだとか、あるいは、居住の確保というのは何ら法的な担保もないままやっていいのかと私は言っているんですよ。

 どうですか、大臣。もう一度答弁をよろしくお願いしますよ。

中野国務大臣 少し繰り返しになりますが、老朽化マンションの損壊などから居住者あるいは周辺地域の住民がしっかり守られていく、安全と良好な居住環境が確保されるということは、やはりそうした公益性の観点というのは必要なことであるというふうに考えております。

 その中で、先ほど申し上げたような、転出される方々も含めた住まいの確保と居住の安定確保ということは、当然にしっかり取り組んでいかないといけないというふうに思っておりますが、そうした皆様、転出を余儀なくされる方々がいらっしゃるというのは、それは当然私もその思いにしっかり寄り添わないといけない、そして、関係者と連携をしながら、そうした方々の居住の安定確保に全力で取り組まないといけないというのは、それは当然のことであるというふうに思っておりますけれども、しかし他方で、そうした中で適切にこの老朽化マンションの再生ということも推進をしていかないといけない、そういうことであるというふうに考えております。

福島委員 およそ人の血の通っていない答弁じゃないかなと私は思います。

 本来であれば、そこはちゃんと法的な担保をしなければならないんです。努力規定でも何でもいいから、やはりその居住に対する権利というのは、これは憲法上の権利なわけですから、そこは明確に何らかの法的措置をやり、業者というか民間の人任せにしては私はいけないということを申し上げて、時間が来ましたので、質問を終わりにいたします。

井上委員長 次回は、来る九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.