第15号 令和7年5月16日(金曜日)
令和七年五月十六日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 井上 貴博君
理事 勝俣 孝明君 理事 加藤 鮎子君
理事 中谷 真一君 理事 城井 崇君
理事 神津たけし君 理事 森山 浩行君
理事 奥下 剛光君 理事 西岡 秀子君
石橋林太郎君 大西 洋平君
梶山 弘志君 加藤 竜祥君
金子 恭之君 工藤 彰三君
国定 勇人君 小寺 裕雄君
小森 卓郎君 高見 康裕君
田所 嘉徳君 谷 公一君
土屋 品子君 永岡 桂子君
西田 昭二君 三反園 訓君
山本 大地君 阿久津幸彦君
尾辻かな子君 小宮山泰子君
下条 みつ君 白石 洋一君
津村 啓介君 長友よしひろ君
伴野 豊君 松田 功君
馬淵 澄夫君 谷田川 元君
阿部 弘樹君 高橋 英明君
徳安 淳子君 鳩山紀一郎君
古川 元久君 赤羽 一嘉君
中川 康洋君 たがや 亮君
堀川あきこ君 福島 伸享君
…………………………………
国土交通大臣 中野 洋昌君
国土交通副大臣 古川 康君
国土交通大臣政務官 高見 康裕君
国土交通大臣政務官 国定 勇人君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 貫名 功二君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室次長) 松家 新治君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 阿部 竜矢君
政府参考人
(消費者庁政策立案総括審議官) 藤本 武士君
政府参考人
(国土交通省大臣官房上下水道審議官) 松原 誠君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 塩見 英之君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 黒田 昌義君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 藤巻 浩之君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 山本 巧君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 楠田 幹人君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 五十嵐徹人君
政府参考人
(国土交通省物流・自動車局長) 鶴田 浩久君
政府参考人
(国土交通省海事局長) 宮武 宜史君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 平岡 成哲君
政府参考人
(国土交通省国際統括官) 田中 由紀君
政府参考人
(観光庁次長) 平嶋 隆司君
政府参考人
(海上保安庁長官) 瀬口 良夫君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 伯野 春彦君
国土交通委員会専門員 國廣 勇人君
―――――――――――――
委員の異動
五月十六日
辞任 補欠選任
石橋林太郎君 山本 大地君
田所 嘉徳君 永岡 桂子君
井上 英孝君 高橋 英明君
同日
辞任 補欠選任
永岡 桂子君 田所 嘉徳君
山本 大地君 石橋林太郎君
高橋 英明君 井上 英孝君
同日
理事奥下剛光君同月十四日委員辞任につき、その補欠として奥下剛光君が理事に当選した。
―――――――――――――
五月十五日
航空法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
理事の補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
航空法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)
国土交通行政の基本施策に関する件
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○井上委員長 これより会議を開きます。
理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
それでは、理事に奥下剛光君を指名いたします。
――――◇―――――
○井上委員長 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、国土交通省大臣官房上下水道審議官松原誠君外十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○井上委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中谷真一君。
○中谷(真)委員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
十五分と、時間がありませんので、早速質問に入りたいというふうに思います。
これは極めて悪質であります。日本空港ビルデング社、MC事案について質問をしたいと思います。
日本空港ビルデング社は、公共性の高い空港を運営している、さらには、国有地を使っているということもありまして、これは公共性が高い企業であります。その企業が、アネスト社という業務実態のない会社と不適切な関係を持っていた。国税からは、脱税ではないかということの再三の指摘を受けているにもかかわらず、構図を変えて関係を保ったりとか、また、これはマッサージチェアが指摘をされておりましたけれども、マッサージチェアだけではなく、コンサル業や、さらには広告といった違う分野にまで及んでいたということであります。
これに対して、今回、国交省は、日本空港ビルデング社に第三者委員会の設置をさせて、自主的にしたというふうに言った方がいいかもしれません、自主的にして、そして、報告書の提出を求めたということであります。
これに対しまして、国交省として、この程度でよかったのか、もっと介入して国交省自身が調査するべきだったのではないかという声があります。これに対して国交省の見解をいただきたいというのが、まず一点目であります。
あともう一つは、このことが、ほかの空港にも及んでいるのではないかということを指摘をされているわけであります。このことに対して、国交省は、今後、私は調査をすべきというふうに考えているところでありますが、これに対して、国交省の見解を求めたいと思います。
○中野国務大臣 二点、御質問ございました。
一点目、国が直接、主体的に調査を実施すべきではないかという御質問でございます。
本件は、空港法第十五条第一項に規定する、空港の機能を確保するために必要な航空旅客の取扱施設に係る事案ではなく、空港に置かれているマッサージチェアをめぐる民間企業同士の契約であり、日本空港ビルデング社のコンプライアンス基本方針に反する事案であるというふうに承知をしております。
本件の調査におきましては、会社法に基づき、取締役等の業務執行に対する監督機能を確保するために設置をされている監査等委員会において実施をされていること、この監査等委員会は弁護士や学識経験者から成る社外取締役のみで構成をされていること、そして、外部の法律事務所の弁護士九名に調査の実務が依頼をされていることから、第三者の立場により調査が行われたものと認識をしております。
また、この調査に当たりましては、関係資料の精査や関係者へのヒアリングのみならず、貸与PCや携帯電話機のデジタルフォレンジック調査など、様々な手法を用いて実施をされるとともに、報告書においてその結果が詳述、公表されており、客観性、透明性が最大限確保されているものと認識をしております。
その結果、併せて指摘をされた広告代理店契約やアドバイス業務契約も含めて、空港法に規定する、空港の機能確保に必要な施設に係る事案は確認をされておらず、また、国土交通省への働きかけといった事実も確認をされていないことから、国土交通省が直接調査を実施すべき事案とは認識をしておりません。
こうした中、本件は、空港機能施設事業に直接関わる事案ではないものの、公共性の高いインフラの一翼を担う同社が長年にわたり不適切な行為を続けてきた結果、空港利用者の信頼を損なったものであり、誠に遺憾であることから、同社に対して厳重注意を行い、再発防止の徹底を要請をしたところでございます。
同社においては、今回の事案を厳粛に受け止め、組織全体のコンプライアンス体制の見直しと経営陣の意識改革を進めながら、空港利用者の信頼回復に全力で取り組んでいただきたいと考えております。
もう一点、ほかの空港については調査しないのかという御指摘でございます。
国土交通省としましては、まず、今般の事案を受けまして、十二日に、全国の指定空港機能施設事業者等に対しまして、今後とも同様の事案が生ずることのないよう、その子会社を含めまして、コンプライアンスやガバナンスに関する取組の実効性を確保すること、コンプライアンス違反については、法令や自社のルールに従い、事実関係を確認し、説明責任を果たすなど、適切な対応を行うことを徹底をするように要請をしたところでございます。
その上で、この一環として、指定空港機能施設事業者等に対して、その子会社を含めまして、今回の事案で取り上げられた企業との取引の有無とその適正性、コンプライアンスに反する不適切な利益供与の有無を自己点検し、その結果を、おおむね一か月を目途に国土交通省に報告をするよう要請をしてまいりたいと思います。
国土交通省としましては、空港の利用者の信頼を損なわないように、各社においてコンプライアンス遵守などにしっかりと取り組んでいただきたいというふうに考えております。
以上でございます。
○中谷(真)委員 国民の信頼性を取り戻さなきゃいけないというふうに思っているところであります。国土交通省は、これをしっかりと適切に対応をお願いしたいということを申し上げたいと思います。
それでは、次の質問に移ります。
次、トランプ関税について質問したいというふうに思います。
米国の本丸は中国であるというふうには思っております。今、同盟国に対しても関税引上げを行っているところでありますけれども、今後は調整をしていくだろうというふうには思っているんですが、これはやはり相手があることですから、そう楽観はできないというふうに思っております。少なくとも、短期的には影響があるというふうに思っています。
これに対して、国土交通分野におけるトランプ関税の影響を国土交通省はどう考えておられるのか、さらに、それに対してどのような対応をしていくのかというところについて、国土交通省にお聞きしたいというふうに思います。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
四月九日に国土交通省国際政策推進本部が開催されまして、大臣から、国土交通分野への影響の精査、分析、今後の対応についての幅広い検討を行うよう指示がございました。
国土交通省におきましては、国土交通分野の企業、団体、四十三団体を通じまして、米国による関税措置の影響に関するアンケートを実施しております。
その中で、現時点で事業への顕著な影響や混乱は認められないものの、関税措置による需要動向の変化により、中長期的に事業に影響を受けるおそれがあるですとか、米国への輸送や部品調達等を通じて米国での事業を展開する企業は、今後のコスト増等の影響を懸念するなどの声が示されております。
また、副大臣、政務官によるプッシュ型の取組といたしまして、国土交通分野の企業、団体と意見交換を実施し、米国関税措置の影響に関する御意見を伺っております。
さらに、改めまして、国土交通分野の企業、団体から広く御相談をいただけるよう、国土交通省ホームページに相談窓口を設置しておりまして、事業者の状況を継続的に把握してまいります。
今後も、米国の対応状況を踏まえまして、必要に応じ、事業者の状況を把握するとともに、その結果を踏まえて、政府の、米国関税措置を受けた緊急対応パッケージに基づきまして、関係省庁が実施する資金繰り支援を、米国関税措置により影響を受ける国土交通分野の企業、団体に紹介するなど、関係省庁と連携して適切に対応してまいります。
以上でございます。
○中谷(真)委員 特に、金融支援、重要だと思いますので、これは経産省を始め、各府省としっかり連携を取りながら対応していただきたいというふうに思います。
それでは、次の質問に移ります。国土強靱化実施中期計画についてであります。
これは二十兆円強というふうにも言われていますけれども、二十兆円強というのは、二十兆だと言う人もいれば、二十五兆だと言う人もいるんですが、これは、特に物価高、さらには人件費の高騰、こういったものに対応していくものでなければいけないというふうに思っております。
ただ、これは五年間ということでありますから、だんだん物価も人件費も上がっていきます。これをどのように反映していくのかというところを、国土交通省にお聞きをしたいというふうに思います。
○古川副大臣 お答え申し上げます。
委員御指摘の点につきましては、四月の一日に公表をされました国土強靱化実施中期計画素案におきまして、「今後の資材価格・人件費高騰等の影響については予算編成過程で適切に反映する。」とされております。また、「対策の初年度については、経済情勢等を踏まえ、速やかに必要な措置を講ずる。」「次年度以降の各年度における取扱いについても、予算編成過程で検討することとし、今後の災害の発生状況や事業の進捗状況、経済情勢・財政事情等を踏まえ、機動的・弾力的に対応する。」こととされております。
御指摘のとおり、物価高騰、人件費の増大について、毎年度毎年度しっかりと対応していくことは極めて重要であると認識しております。
国土交通省といたしましては、まずは対策に必要な予算を確保すべく、関係省庁とも連携し、実施中期計画の策定に向けて、しっかりと取り組んでまいります。
○中谷(真)委員 特に工事量が減らないように、これはしっかりと措置していただきたいと思います。単年度で物価高騰分をしっかり反映するように、これは是非、国土交通省、まあ、財務省との折衝はあると思いますけれども、頑張っていただきたいというふうに思います。
次に、トラック運賃の価格転嫁についてであります。
今、この価格転嫁が進んでいないんですよね。業種別に見ますと、大体最下位はトラックであります。これに対して様々な対策を行っているというところでありますが、なかなか効果を得ていない可能性もあります。
これに対して、国土交通省として今後どうするのか、どうやってトラックの運賃をしっかり転嫁させるのかというところを、是非お聞きしたいと思います。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
トラック運送事業者が、人件費や燃油価格等の輸送コストの上昇分を転嫁して適正運賃を収受できるよう、国土交通省では、標準的運賃の周知啓発や、トラック・物流Gメンによる荷主等への監視体制の強化など、取引環境の適正化に向けた取組を進めております。
しかしながら、御指摘もありましたように、令和六年九月に中小企業庁が実施した調査では、トラック運送業は、受注者側、発注者側、いずれの立場としても、転嫁率が調査対象の三十業種中ほぼ最下位となっており、依然、価格転嫁が進んでおりません。
今国会で審議されています下請法の改正法案におきましては、荷主からの発注行為も下請法の対象になる、その上で、トラック・物流Gメンへの情報提供者も報復措置の禁止により保護されるといった規定が盛り込まれております。こうした規定を十分に活用するとともに、先月施行されました改正物流法も活用してまいります。
加えて、安全等の必要なコストをかけないで、安値で受注する悪質事業者への対応も重要でございますので、先般実施した安全違反に対する処分量定の引上げ、また、業界団体とも連携した巡回指導の強化により、しっかりと対応してまいります。
○中谷(真)委員 しっかり対応していただきたいと思います。
次に、リニア静岡工区でございます。
これは、まだ手をつけていないんですよね、リニア静岡工区。今の知事は、リニアについては賛成と聞いております。ただ、まだモニタリング調査をしているとか、いろいろ言っているわけでありますけれども、これはトンネルですから、端と端からでしか行けませんから、たかれないので、時間短縮できないんですよ。八年かかるとも言われています。一刻も早く手をつけるべきだというふうに思います。
そもそも、モニタリングするのはいいんですが、いつまでにやるとか、いつから手をつけるとか、こういう目標を立てながら、通常、業務というのは行っていくものだと思います。
これは国交省が主導すべきだと思いますが、国交省の見解を伺いたいと思います。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
未着工の静岡工区につきましては、静岡県とJR東海との対話を促して、早期に着工するということが、リニア中央新幹線の早期開業に向けて大変重要だと考えております。
国土交通省の有識者会議におきましては、水資源や環境保全に関する報告書を取りまとめ、これらの報告書に基づく対策の状況を継続的にモニタリングするための会議を昨年二月に立ち上げ、これまで六回、開催をさせていただきました。
この静岡工区モニタリング会議を通じて、JR東海に必要な対策を確実に実施させることや、当省を含む三者の実務責任者による定期的な打合せの実施により、国交省としては、静岡県とJR東海の対話の着実な進捗を促しているところであります。
また、昨年も、中谷委員からも、しっかりと国交省が前面に立ってということで御指摘もいただきました。私自身も、JR東海の丹羽社長や静岡県の鈴木知事と直接お話をさせていただくなど、国交省が前面に立って、静岡工区の早期着工に向けた環境整備に努めているところでございます。
こうした取組により、リニア中央新幹線の一日も早い開業に向けて、引き続き、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。
○中谷(真)委員 是非、国交省が前面に立ってやっていただきたいと思います。
最後に、ミッシングリンクの解消として、中部横断道の事業化についてでありますけれども、これは、長坂―八千穂間という私どもの地元がございまして、これに対して事業化を急いでほしいということであります。
これは回答を求めません。国交省への要望として、やはり高規格道路は極めて大事ですから、これを是非急いでいただきたいということを申し上げて、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、大西洋平君。
○大西(洋)委員 自民党、東京十六区の大西洋平でございます。
本日も質問の機会をいただきまして、理事の先生方、関係者の方々に重ねて感謝を申し上げます。
本日は、国土交通省所管に関します一般質疑ということでございまして、私のライフワークの一つでございます防災対策、安全、安心なまちづくりについて、るる質問させていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
まず初めに、高規格堤防事業、いわゆるスーパー堤防事業の重要性についてお伺いをいたします。
高規格堤防事業は、普通の堤防と比較して幅の広い堤防で、堤防の高さの三十倍程度の幅を確保する堤防です。堤防ののり面も宅地などに活用できますので、堤防というより、極めて大規模な土地のかさ上げ、高台事業とも言えますし、高規格堤防事業は防災事業であるとともに、都市基盤整備、まちづくり事業であることも示しています。
私の地元江戸川区は、人口約七十万人を有しておりまして、実に、陸域の七割がゼロメートル地帯でございます。ゼロメートル地帯では、一度浸水すると、水が引くまでに二週間以上かかるケースも想定されます。江戸川左岸での北小岩地区、荒川下流における平井、小松川地区で高規格堤防事業が既に実現し、区民の命と暮らしを守ってくれています。
高規格堤防は、完成すればもちろんのこと、仮に完成途上で堤防としてつながっていない段階においても、高台の少ない江戸川区においては、命の丘として、重要な退避場所として機能しております。
今ある高規格堤防事業計画は、江戸川区に限らず、全国各地において、地盤が低地であったり、大河川に囲まれている地形など、水害の危惧を抱えている地域にとっては、なくてはならない事業です。加えて、河川の沿岸まで開発されている場所においては、堤防の浸透、浸食、越水から堤防決壊を回避できる最も有効な手法の一つであると認識をしております。
お伝えの江戸川区では、東京都立篠崎公園高台化と、区による土地区画整理事業と連動しての、篠崎地区の高規格堤防事業がいよいよ動き出します。同様に、全国において、今進められている高規格堤防事業があります。改めて、高規格堤防事業の重要性と、この事業をしっかりと推し進めていく大臣の強い決意について、お伺いをさせていただきます。
○中野国務大臣 大西委員にお答えを申し上げます。
委員御指摘の高規格堤防、これは、御地元の江戸川区を含めまして、首都圏、近畿圏の、人口、資産等が高密度に集積をしているゼロメートル地帯などにおいて、堤防決壊により多くの人命が失われることや、我が国にとって壊滅的な被害が発生することを回避するために整備を進めているというところでございます。
高規格堤防は、委員御指摘のとおり、越水、浸食、浸透による堤防決壊を防ぐことに加えまして、地震の発生時には、液状化による堤防の大規模な損傷も回避をすることができます。
また、高規格堤防は、一たび浸水すると避難も困難となるゼロメートル地帯において、重要な避難場所としての効用も発揮をするところであります。
近年でも、令和元年東日本台風など、首都圏等でも洪水による大規模な浸水被害が頻発をしております。今後も気候変動により水害が激甚化、頻発化していくことを踏まえますと、このような効果のある高規格堤防の整備はますます重要になるというふうに考えております。
江戸川区を始め、首都圏、近畿圏のゼロメートル地帯等におきましては、何よりも人命を守るという観点から、今後とも高規格堤防の整備を着実に進めてまいります。
○大西(洋)委員 大臣から力強い御答弁をいただきました。ありがとうございます。
この高規格堤防事業は、事業仕分によって一旦廃止になり、紆余曲折があった事業でございますが、一方で、二〇一一年、当時民主党政権下ではございましたけれども、それでも、重要な箇所として、当時の国交省の有識者会議で必要な箇所として百二十キロをお示しをいただいたわけでございまして、その百二十キロに、まさに今お伝えをした江戸川区も入っておりまして、当時、私も地方議員でございましたから、江戸川区と一体となって、この必要性を訴えていたわけでございます。
今、大臣の御答弁でもございました、昨今の災害対策、異常気象の水害というのは、目まぐるしく、喫緊性が増しているわけでございまして、お伝えもいただいたとおり、高台にもなりますし、特に低平地にとってはなくてはならない、命を守る水害対策、治水対策でございますので、是非、強い気持ちを持って、引き続きお進めをいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
次に、災害関連死を防ぐ避難所の整備についてお伺いをいたします。
災害による直接的な被害ではなく、避難所生活やその後の生活などに起因し、病気などで亡くなる災害関連死という言葉も、二〇一六年の熊本地震、昨年の能登半島地震を通じて、幅広く世間に浸透してまいりました。
熊本地震では、地震により亡くなられた五十名の方々の四倍以上の、二百二十三名の方が災害関連死で亡くなられています。能登半島地震においても三百六十四名に及んでおり、地震により直接亡くなられた二百二十八名の方々の約一・六倍に当たります。
災害による直接死を防ぐ防災とともに、災害関連死をいかに防ぐ備えを平時にしていくかも、防災・減災の取組であると考えております。
災害関連死の要因としては、熊本地震や能登半島地震で示されたように、寒さや被災地の高齢者率の高さなど多様な要因がありますが、大きな要因の一つは、避難所生活におけるストレスであるとされています。避難所生活のストレスとして、プライバシーが確保されないことを始め、高齢者や女性、子供、障害者など、多様な属性への適切な対応が必要でございます。
南海トラフ沖地震や首都直下型地震の懸念が高まる中で、災害関連死への平時の備えを、自治体だけではなく、国がリーダーシップを示すことが重要ではないかと考えます。
そこで、災害関連死を防ぐために、どのように避難所の整備を進めていくべきか。また、建物そのものでの機能強化が難しいならば、例えば、簡易屋内テントや段ボールベッドなどを備蓄しておくに当たり、積極的な国の支援が必要と考えますが、国の取組についてお伺いをいたします。
○貫名政府参考人 お答えいたします。
被災者の方々が避難所におきまして発災直後から尊厳を持った生活を営むことができるようにするためには、トイレ、パーティションベッド、温かい食事など、速やかに提供できる準備をしておくことが大切だと考えております。
内閣府におきましては、昨年十二月、自治体向けの指針やガイドラインにつきまして、一人当たり三・五平米の居住スペースの確保など、スフィア基準に沿った改定をしたところでございます。
また、令和六年度補正予算におきましては、新地方創生交付金による避難所の生活環境の改善に資する自治体の先進的な取組への支援といたしまして、七百八十三団体、百四十一億円の交付決定をしたところでございます。
加えまして、今後、全国のトイレカーやキッチンカーを登録するデータベースの整備を進める予定としておりまして、引き続き、避難環境の改善の取組を進めてまいりたいと思います。
○大西(洋)委員 内閣府から御答弁をいただきました。ありがとうございました。
お伝えのとおり、外部機関との連携などもしていただきたいと思っておりますし、備蓄物におきましても、例えば、避難所におきまして、今、民間企業によって、簡易トイレもそうですし、簡易シャワー、そして簡易浴槽といった、避難所においても欠かせないライフラインの様々なアイテムを、しっかり開発してくださっている民間企業が多々あるわけでございます。
それをしっかり自治体が購入をして完備させるという、もちろん、そういったことで懸命に努力をされている自治体もあるんですが、では、それで全て網羅できるかといったら、大きな課題があるわけでございますから、そこにしっかりと光を照らして、そして後押しをするのも私は国の重要な大きな役割だと思っておりますので、内閣府から御答弁いただきましたが、内閣府、そして国土交通省と、引き続き、その横串の関係をより強化をしていただいて、是非、この問題にも取り組んでいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
次に、二〇〇〇年に定められた耐震基準に基づく耐震補強、耐震検査の取組についてお伺いをいたします。
南海トラフ沖地震、首都直下型地震の懸念が高まる中で、既存建物の耐震審査、耐震補強工事をしっかり進めていくことが必要です。阪神・淡路大震災を契機として、昭和五十六年の新耐震基準に適合するように新耐震補強をすることが推進され、令和五年時点で、新耐震基準に適合する住宅の割合が約九〇%まで向上したと伺っており、近い将来をめどに、新耐震基準におおむね適合していくことを目標として、着実に進んでいることと認識をしております。
一方で、仮に新耐震基準に適合した家屋であっても、二〇一六年の熊本地震においては一定数倒壊してしまった痛ましい過去もございます。築年数そのものの違いという要素もございますが、新耐震基準と二〇〇〇年基準の建物を比べても、倒壊率で約四倍の比率の違いが見られるわけでございます。
旧耐震基準と新耐震基準における差異と、新耐震基準と二〇〇〇年基準の差異とに意味合いの違いがあることは承知をしておりますが、やはり、二〇〇〇年基準に基づく耐震補強を更に推進していく必要があると考えます。
そこで、二〇〇〇年基準に基づく耐震補強の推進のために、国としてどのような取組を進めていくか、お伺いをさせていただきます。
○楠田政府参考人 お答えをいたします。
住宅の耐震性を確保し、国民の生命財産を守ることは、住宅政策上、極めて重要な課題であり、これまで、昭和五十六年に新耐震基準を導入いたしますとともに、平成十二年には、木造建築物について、接合部の仕様等の明確化を行うなど、取組を進めてまいりました。
議員御指摘のとおり、熊本地震等においては、木造建築物の倒壊率について、新耐震基準の適用の有無によって大きな差が見られ、その有効性が改めて確認をされたところですが、一方で、新耐震基準導入後の木造住宅であっても、接合部に金具を用いていないなど仕様が不十分なものについては、倒壊等の被害も一部見られたところでございます。
このため、新耐震基準が導入された昭和五十六年から、接合部の仕様等の明確化が図られた平成十二年までの木造住宅について、所有者等が接合部の仕様等への適合状況を自分で確認できる方法を取りまとめ、その周知に努めているところでございます。
また、住宅の耐震改修の費用につきましては、防災・安全交付金等を活用し、地方公共団体と連携して支援を行っているところですが、新耐震基準導入以前の木造住宅だけでなく、新耐震基準導入後の木造住宅であっても、耐震診断により、耐震性が不十分であることが確認されたものにつきましては、交付金等の対象とし、改修を支援しているところでございます。
今後も、新耐震基準導入後の木造住宅も含めて、我が国の住宅の耐震性が全体として向上いたしますように、耐震診断、耐震改修の重要性等の普及啓発や、所有者等が取り組みやすい環境づくり、さらには、新耐震基準導入後の木造住宅も含めて、耐震改修の促進に積極的に取り組まれている地方公共団体への支援など、必要な取組に、より一層力を入れてまいります。
○大西(洋)委員 答弁をいただきました。いろいろ具体的なお話もいただきました。ありがとうございます。
阪神・淡路大震災のときは、発災して約十五分以内に、亡くなられた三分の二以上の三千人以上の方が、この十五分以内に圧死という形で亡くなっているわけでございまして、そこから耐震補強の重要性が浸透していったわけでございますけれども、お伝えしたとおり、新耐震基準には、本当に国交省のお取組もあって、かなり、九割と来ています。ただ一方で、お伝えをしたこの二〇〇〇年基準に対して、更に踏み込んで、是非、この率も上げていきたいと私は思っております。
実際に、交付金も地方にやっていただいているわけでございますけれども、今後、その交付金の比率も含めて、是非、更に踏み込んだ御検討をいただいて、この耐震化率を進めていっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
それでは、最後に、時間の関係で大変恐縮ですが、ちょっと要望にとどめさせていただきます。
内水氾濫を防ぐための排水ポンプ場の整備及び排水ポンプ車の機動的な運用の取組について、要望をさせていただきたいと思います。
先ほど申し上げたとおり、ゼロメートル地帯で浸水した場合には、水が引くまでに二週間以上かかるケースも想定されます。高規格堤防事業を始め、いかに河川の氾濫を抑えたとしても、最近の異常気象による、線状降水帯などによる大雨に起因する内水氾濫が懸念されております。ですので、先ほどもるるお伝えしました高規格堤防といった、そういった高台化も重要ですし、こういったポンプ車の排水機能など、あらゆる手段を用いて水害対策を万全にしていただきたいと思っておりますので、様々るるお取り組みをいただいていると認識をしておりますが、さらに、東京都といった全国各地の関係機関と連携しながら、ポンプ車の排水機能の強化をしっかり行っていただきたいと思います。
それを要望させていただきまして、時間が参りましたので、質問を終わります。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、尾辻かな子君。
○尾辻委員 おはようございます。立憲民主党の尾辻かな子です。
一般質問の機会を頂戴しまして、ありがとうございます。時間も限られておりますので、早速質問に入ってまいりたいと思います。
まずは、上下水道事業についてお聞きをしてまいりたいと思います。
一つは、下水道におけるウォーターPPPの交付要件化のことであります。
防災・安全交付金等を活用した下水道管の改築に当たっては、令和九年度以降、コンセッション方式やコンセッション方式への移行を前提とした方式によるウォーターPPPが要件化されています。
二月二十七日の予算委員会第二分科会において、国土交通省は、交付要件化は下水道事業を将来にわたって持続可能なものとするためと説明をし、ウォーターPPPは、民間の人材や技術力の活用により、下水道施設の維持管理や更新を長期的な観点から効果的に進められるなどのメリットがあり、下水道の基盤強化に向けた有効な施策であると説明をされています。
しかし、事業体によっては様々な方法で官民連携が行われてきた下水道事業において、官民連携の最適な在り方は一律ではないと考えられるにもかかわらず、コンセッション方式等に限るウォーターPPPを交付要件化した理由、ここをまず明確にお答えをいただきたいと思います。
○松原政府参考人 お答えいたします。
下水道事業においては、施設の老朽化、職員数の減少など、様々な課題を抱えているものと認識をしております。
これらの課題に対応していくためには、ウォーターPPPを始め、広域連携、デジタル技術の活用などにより、事業の効率化等を進めていくことが重要と考えております。
ウォーターPPPの特徴は、原則十年という長期で、かつ、施設の維持管理と更新を一体的に進める官民連携方式でございますので、老朽化対策を効果的に実施することが期待できるほか、性能発注により民間の創意工夫やノウハウを最大限生かし、デジタル技術の活用などによる効率的な事業運営にも寄与する施策であると考えております。
このため、国土交通省としては、ウォーターPPPの導入を促進すべく、令和九年度以降、防災・安全交付金等を活用した汚水管の改築に当たってウォーターPPPの導入を決定済みであることを交付要件としたところでございます。
○尾辻委員 持続可能なものとするために、なぜウォーターPPPでなくてはならないのかというところ、私は、この説明だけではちょっと不十分ではないかなというふうに思っております。結局、PFI、PPPの推進会議で方針が決まったから、もうこれはこのままやるんだというようなことでは、これは私は困るというふうに思っております。
というのが、ちょっと次の質問につながりますけれども、やはり、埼玉県八潮市の事故のことをどのように踏まえるのかということが非常に大事であると思います。
八潮市の道路陥没事故は、下水道の使用自粛要請等により約百二十万人に影響を及ぼし、一部では補償問題に発展していると報じられております。これは運営リスクが露呈したとも捉えられ、今後、ウォーターPPP事業への応札業者の減少も懸念をされるところです。
また、自治体だけではなく、民間事業者においても技術者が不足しており、官ができないから民ができるという状況でもありません。対応できる民間事業者が確保できるかは不透明であるのに、国が一律にウォーターPPPを交付要件化することにより、今後、自治体で改築費用が確保できず改築が遅れるようなことがあれば、今回の事故のように人の命に影響する事態も生じかねず、本末転倒です。今回の事故を経験した埼玉県においても、財政的支援について、ウォーターPPPを前提条件としない制度設計を求めていると承知をしております。
そこで、お伺いをいたします。
三月十四日の国土交通委員会における我が党の小宮山議員、森山議員の交付要件化の制度設計の見直しを求める質問に対し、中野大臣は、有識者委員会における議論も踏まえ、地域の実情に即したウォーターPPPの推進が、下水道施設の更新の加速化や事業の持続性の向上につながるよう、自治体の意見等を伺いながら、引き続き、よりよい制度づくりを検討する旨、答弁されていますが、よりよい制度づくりは、交付要件化の方針を撤廃することを含めて検討されているということでよろしいのか、大臣にお聞きします。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
先ほど上下水道審議官からも答弁差し上げましたとおり、下水道事業においては、老朽化の問題ですとか、委員御指摘の職員数の減少など、いろいろな課題があるということでございます。その中で、ウォーターPPPは、様々な課題を抱える下水道事業の効果的あるいは効率的な事業運営という意味では有効な施策であるというふうに考えているというのは、先ほど審議官の方から答弁させていただきました。
今後の制度づくりは今まだ検討ということでございますが、いずれにしても、国土交通省としては、委員御指摘の老朽化対策の加速化、そして広域連携など、これは事業基盤の強化の取組というものでございます。こうした取組を進めていくとともに、これらの取組とやはりしっかりと相乗効果を発揮できるように、ウォーターPPPの制度づくりというものを引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
○尾辻委員 交付要件化のところは検討されないということでしょうか。
○松原政府参考人 お答えいたします。
今大臣から御答弁ございましたように、ウォーターPPPを進めるということと、その上で老朽化対策もしっかり進めなければいけない。国土交通省として、やはり様々な課題にしっかり対応していかなければいけないという考えでございますので、老朽化対策とウォーターPPPが共にしっかりと進められるように、制度づくりを検討してまいりたいと思います。
○尾辻委員 やはり、国土交通省はウォーターPPP導入ありきで話をされている。私は、ここは一度、やはり八潮の事故もあったことですから、しっかりと立ち止まらなければいけないときに来ているんだということだと。しかし、今そういったことになっていないわけですが、ちょっとこちら、皆さんからもそのとおりだという声も聞こえてきます。
大臣、この八潮の事故を受けて、ウォーターPPP制度、導入ありきの今の交付要件化、やはりもう少し有識者会議で検討していただく必要があると思いますけれども、もう一度答弁を求めます。
○中野国務大臣 先ほどの審議官の答弁もありますが、やはり老朽化対策をしっかりやらないといけないということは一つの課題であります。他方で、下水道事業を効果的に効率的に運営しないといけないというのは、それはそれでまた一つの課題であります。
やはり、どちらかということではなく、これが共に進んでいけるような、先ほど、相乗効果を発揮できるようなということで私も申し上げさせていただきましたけれども、様々な御意見を伺っていくというのは当然でございますけれども、その上で、やはり多くの課題を抱える下水道事業でございますので、こうした対策がいずれも進んでいけるようなしっかりした制度づくりということを検討していきたいということでございます。
○尾辻委員 自治体の意見をしっかりと伺っていただきたいというふうに思います。そこの部分ですね、今うなずいていただきましたので、やはり、現場の自治体、今どういうことになっているのか、その辺りを含めてしっかりと聞いていただきたいと思います。
そして、大規模な流域下水道は、先進的な取組は東の埼玉、西の大阪と言われておりまして、まさに埼玉は小宮山議員でございましたけれども、西の大阪というのは、森山議員も私も大阪でございますので、西の大阪として、しっかりと下水道の老朽化対策に取り組んでいただきたいと思っております。
緊急点検のところ、ちょっと質問は次に回したいとは思いますが、やはり、ウォーターPPPなどを取り入れたときに、緊急点検等への対応が本当にできるのか、懸念があります。そして、ちょっとここの質問は次に飛ばさせていただいて、今やっておられる下水道管路の全国特別重点調査、こちらの人材確保や財源確保をどうされるのかということについてお伺いをしていきたいというふうに思います。
全国特別重点調査では、五年に一度の法定点検が義務づけられている箇所の一・五倍に当たる五千キロメートル程度の管路を対象に、大規模で専門的な調査が行われます。また、調査の結果、修繕や改築が必要な箇所もこれまで以上に発見されることが想定され、その対応が必要です。さらに、現在、有識者委員会において上下水道管路の点検等の強化充実などが検討されているところであり、将来的にはその対応が求められます。
これらを実施する中で、事業箇所の優先順位づけや浄化槽の活用を含むダウンサイジングの検討等も必要になると考えられ、事業者任せではない、自治体の技術力の維持が重要です。上下水道の維持管理に関する人材の育成が急務である中、コンセッション方式の導入等により自治体職員の業務が民間事業者に対するモニタリング中心となれば、職員の技術が継承されるとは言えませんし、モチベーションも上がりません。
国土交通省は、好事例として、民間委託の処理区を限定し、自治体職員が事業を行う部分を残す工夫等を紹介されていますが、これはいわば、民間任せになれば自治体内の技術が承継されないことを認めているとも言えるのではないでしょうか。また、全国特別重点調査では、調査結果を踏まえた改築についても予備費が充てられると承知しておりますが、下水道事業を自治体が責任を持って継続するためには、適切な料金の改定や補助や交付税を含む公費負担など、今後の安定的な財源の確保が重要です。
自治体の人手不足のツケ回しや、交付金を受け取る安易な手段としてのコンセッション方式を導入するのではなく、自治体において技術人材や必要な財源を確保するため、国においても取り組んでいく必要があると考えますが、国土交通大臣の御見解をお伺いします。
○中野国務大臣 委員御指摘のとおり、上下水道は生活に直結する大変重要なインフラであります。運営を担う地方公共団体において、人材の確保、財源の確保、これは大変に重要であります。
人材の確保につきましては、上下水道の現場をやはり働きやすく魅力的なものにするという意味では、地方公共団体におけるDX技術、今、この導入、実装を支援をしております。また、広域連携の推進をしております。人材の確保や技術継承が可能な組織体制づくりということを行っているところでございます。
また、様々、産官学も連携をいたしまして、こうした上下水道の仕事を将来を担う世代に幅広く伝えていくというような取組も行っているところでもございます。
そして、財源につきましては、やはり中長期的な収支見通しに基づく適正な料金、使用料の設定、住民理解の醸成に向けた地方公共団体の取組を促すとともに、そして、国の方では、やはり国土強靱化等に必要な予算の確保ということで、これも努めているところでございます。
引き続き、地方公共団体等とも連携をしながら、持続可能な上下水道の実現に向けた人材の確保、予算の確保にしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。
○尾辻委員 現場の自治体職員さんの皆さんからは、人もいなければ調査のための機材の確保もなかなかままならないんだという声が聞こえてきております。
ですので、やってくださいというだけではなくて、それを担保するものをしっかりと国土交通省としてやっていただくということをお願いしておきたいと思います。
それでは次に、社会資本の老朽化対策、道路施設の維持管理についてお伺いをしていきたいと思います。
橋梁やトンネルなど、高度経済成長期に建設された道路施設の老朽化が加速する中、今後、建設から五十年以上経過する施設は増加していきます。施設の老朽化に対しては大規模な改修等が必要な場合もありますが、改修には膨大な予算と時間を要するため、日頃からの維持修繕を着実に行い、予防保全型に転換していくことで、施設の長寿命化を図っていくことが重要だと考えます。
しかし、令和五年度の道路メンテナンス年報によりますと、例えば、橋梁について、一巡目点検で修繕が必要とされた橋梁のうち、国や高速道路会社管理の施設については、全ての施設において修繕等に着手できていますが、地方公共団体が管理する橋梁については、全体の一七%の施設について必要な修繕等にも着手できていない状況となっており、予防保全段階に移行できていないという状況が見て取れます。安心、安全の観点からも、地方公共団体が管理する道路の老朽化対策は喫緊の課題であります。
道路施設を持続的かつ適切に管理していくためには、そのための財源が必要です。道路施設に対しては、令和二年度に道路メンテナンス事業補助制度が創設され、道路施設の老朽化対策のための財政支援が行われていることは承知しておりますが、必要な修繕にも着手できていない現状も踏まえ、道路施設の多くを管理する地方公共団体の要望に応じた予算を確保し、十分な財政支援を行っていくことが重要だと考えています。
予防保全型への転換により、道路施設の長寿命化を実現することの重要性、また、そのために必要な予算を確保する必要性について、大臣の認識を伺います。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
まさに委員御指摘のとおりかと思っております。道路施設、建設から五十年が経過する施設の割合は加速度的に増加をしておりますので、委員も御指摘の予防保全型のメンテナンスへの転換、これがまさに重要であります。
平成二十六年度以降、各道路管理者におきまして、五年に一度の頻度で点検を行うこととしておりまして、平成二十六年から三十年までの一巡目の点検では、次の点検までに修繕などの措置を講ずべきとされた橋梁につきまして、令和五年度末時点で、確かに、まさに御指摘のとおり、地方公共団体では約一七%の橋梁がまだ未着手であるという状況であります。
財政的な支援としましては、道路メンテナンス事業補助制度、そして防災・安全交付金による支援を行っております。これはまた、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の予算も最大限に活用させていただき、修繕や更新が必要な橋梁などの対策を集中的にまさに支援をしているところでございますけれども、委員おっしゃるとおり、地方公共団体における老朽化対策が着実に推進をされるように、やはり予算ということでございますので、必要な予算の確保に国土交通省としてもしっかり努めてまいりたいというふうに考えております。
○尾辻委員 しっかり取り組んでいただきたいと思います。
次に、バス運転手等の人手不足対策についてお聞きをしていきたいと思います。
私は、地元が高槻市、島本町、大阪府なんですけれども、例えば高槻市は、大阪府内で唯一の市営バスがあるところであります。もちろん民間バスもありますし、非常に大事な公共交通として市民の足になっております。
ところが、例えば大阪でいきますと、南の方では、金剛バス、これが事業撤退ということになりまして、これは地域で大きな課題になりました。なぜこういうことが起こるのかというと、まずやはり人手不足だというところであります。
そこで、バス運転手確保のための取組についてお聞きをしていきたいというふうに思います。
バス運転者の人員不足、本当に、近年その深刻度を増しています。この理由は、バス運転者の長い労働時間、それに対する所得の少なさ、深夜、早朝、夜勤等の不規則運転等が敬遠され、職業として選択されなくなったものと考えられて、実際、大型二種免許の新規取得者は年々減少傾向である上、免許保有者も四十歳以下が非常に少なくなっています。特に、バスには深夜、早朝勤務が伴うことは仕方がないとして、こういう不規則勤務が伴わざるを得ないということが、運転手確保については大きな課題として存在しているんだと思います。
そして、バス運転者は、低い賃金を超過勤務で補っていたものの、令和六年四月からの時間外労働の上限規制の適用や、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準、いわゆる改善基準告示の改正が適用され、稼げなくなったとも言われており、バス運転者からの転職が増えているようであります。
こういったことが、先ほど私が申し上げた減便であったりとかバス路線の廃止ということが進んでいる原因になるんだと思います。ただ、公共交通においてバスは最後のとりでと言ってもよくて、バスが廃止されると移動困難となる人も少なくないでしょうし、バスがなくなると住民が流出し、人口減少が進み更にバスがなくなるという負のスパイラルに陥るおそれもあります。
このようなことから、運転手をしっかり確保し、バス路線を維持する必要があります。先ほども触れたとおり、職業としてバス運転者が敬遠されている原因は、長い労働時間や低賃金、不規則な勤務等が原因と考えられます。このうち長い労働時間は、先ほど申し上げた低賃金の裏返しとも考えられるわけです。
これについては、国民の最低限の移動の足の確保という観点から、例えば公共交通、特にバスの運行を確保するための必要な運転手確保に対する補助や運転者の処遇改善等のための補助など、多様な予算措置を講じていくことが重要であり、今後とも十分な予算を確保していかなければなりませんが、国土交通大臣としてどのように対応していくのか。また、あわせて、新規取得者の減少が続く大型二種免許の取得率向上を図ること、このサポートのために特例教習受講に係る経費も含めて補助していくべきであると考えますが、これも併せて大臣の御答弁をお願いいたします。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
運転者不足によるバスの減便、廃止、委員御指摘の大阪でもということで、全国各地でこういうこともありまして、やはり運転者の確保、そして処遇の改善、これが大変重要な課題というふうに私も受け止めております。
国土交通省としましては、採用活動あるいは二種免許の取得に係る費用に対する支援ですとか、運行費の補助につきましても、賃上げに資する運賃改定を行った事業者へ支援を強化をしていくということもやっております。また、キャッシュレスなど業務の効率化、省力化の取組の支援などの取組を通じまして、運転者の確保、そして処遇の改善、これを努めてきたところでございます。
委員御指摘の受験資格特例教習、これは二種免許の受験資格を緩和をして、多様な人材を運転者として採用する観点から重要でございますので、その受講の経費も補助対象として支援をしているところでございます。
国土交通省としましては、引き続き、こうした支援に係る予算をしっかりと確保させていただきまして、バスの事業者の人材の確保、そして何より処遇の改善に全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○尾辻委員 やはり、この運転手の確保、いろいろな対策が必要かと思います。これ一つでというよりは、多方面にいろいろなことをやっていかなければいけない。
例えば、質問のところでは、ちょっと時間がないので今指摘だけにしておきますけれども、やはり、どうやって女性のドライバーを増やしていくかといったような観点からの職場環境の整備、こういったところももちろん必要でありますし、そういったところをまた、整備士不足の対応もちょっとお聞きしたいんですが、これは時間があればということで、一旦飛ばして指摘だけしておきたいと思います。運転手だけじゃなくて今整備士も不足しているというバスの状況、これもやはり対応が国交省としては非常に必要ではないかと思っております。
また、バス事業者、そしてそこで働く皆さんから今聞いていることは、例えば、交通系ICカード、こういったことの新規のところにはしっかりと補助がついていたんですけれども、更新のところでなかなか困難だというところ、今回、国交省さんは新しく更新についても補助をつけるということをされています。ここも大きな課題でありますので、そこの部分もしっかりと、補助の率とか、できるようにまた対応いただきたいと思います。
そして、最後の質問に行きたいと思いますが、ちょっと毛色が変わって、まちづくりにどのようにしてジェンダー平等や女性の視点を入れていくかということ、これは非常に大事だと思っております。私、今回、質問通告で、実はマネルについてという質問をさせていただきました。大臣、マネルという言葉は御存じでしょうか。
○中野国務大臣 済みません、私も、今回委員の御指摘をいただきまして、この単語が男性だけに偏ったイベントや会議だという意味ということは今回初めて勉強させていただきました。
○尾辻委員 ありがとうございます。
例えば、パネルディスカッションの登壇者が全員男性である、こういうようなイベントを、マネル、マンだけだということでマネルディスカッションですね、パネルがマネルになるということで、これはマネルと呼ばれるんですね。
特に、やはり国土交通省の皆さんというのは、どうしても技術職とかハード面の整備の方が多くて特に男性の割合が高いということがありまして、実は、二〇二二年に国交省のまちづくり推進課主催の公務員アーバニストスクール、これがあったんですが、これの講師二十五人が全て男性だったということで、つまり、まちづくりをやっていこうというときの講師二十五人が全員男性だというときは、都市計画を作るときのやはりジェンダーバランスの配慮がない状態になったということで、かなりこれはツイッター上でも話題を呼びました。
特に国交省はこれからマネルにならない努力をすることが非常に大事だと思いますが、大臣、いろいろな指摘もありましたが、このような事象について、国交省のイベントを、今後どのように反省し、どのように生かされるのか、お聞かせください。
○中野国務大臣 御指摘のとおり、二〇二二年、講師の人選をめぐって多くの御指摘をいただいたということもございました。
これは、主催するシンポジウム等において男女共同参画の視点が反映されるようにということで努めてまいりましたし、今年の一月には、改めて省内に、シンポジウムの登壇者、性別の偏りが生じないようにということを周知徹底をさせていただきました。そして先日、省を挙げて、まさに委員の御指摘のジェンダーの主流化にやはり取り組んでいくべきだということで、私をヘッドとする体制、検討する体制についても構築をさせていただいたところであります。
しっかり、この取組を進めるとともに、登壇者の適切な人選等も含めて徹底をしてまいりたいというふうに思います。
○尾辻委員 まちづくり、しっかりと、ジェンダー平等の視点が必要だということを指摘して、終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、森山浩行君。
○森山(浩)委員 立憲民主党の森山浩行でございます。
本委員会におきましては、羽田空港ビルの利益供与問題、来週の二十三日には集中的一般というような形で質疑をすることになっておりますが、今日は中谷筆頭理事からも先ほどお話がありました。
調査報告書を見ました。動機の部分はどうかなという気がしています。何か、先生と呼ばれているんですね、議員の息子は先生と呼ばれている。報道を見ても、五十歳を超えた社長が息子と呼ばれている。これは何が問題かというと、政治的な圧力があったのではないかという部分が社会の関心になっているのではないかというふうに思っています。それに対してこの報告書でどう答えているかというと、関係性があるから断れなかったけれども、大臣が不機嫌になるとか言われたことはない。いや、言わないですよ、そんなの。わざわざ言わない。でも、首相の息子であるとか議員の息子であるというような人たちが、いろいろなことでそこに関わって、そして先生と呼ばれて、その仲介をするという事例はこれまでもいろいろありました。
今回のことについても、第三者的とおっしゃいますけれども、内部調査をやった上で出てきた報告書がこれであるならば、もう少し、少なくとも、この動機の部分、象徴的でありますけれども、きちんと調査をするべきではないかと思いますけれども、大臣、いかがですか。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
少し繰り返しになりますが、本件、空港法第十五条第一項に規定する空港の機能を確保するために必要な航空旅客の取扱施設に係る事案ではない、空港に置かれているマッサージチェアをめぐる民間企業同士の契約であり、基本的にはコンプライアンスの、日本空港ビルデング社の基本方針に反するという事案であるというふうに承知をしております。
動機のところでということで御指摘ございました。調査報告書におきましては、鷹城氏及び横田氏の証言としては、何らかの便宜を受けることを期待したからではなく、元衆議院議員の息子であり、長年の人間関係もあって、関係を断ち切ることははばかられたとされているところでございます。
併せて指摘をされました広告代理店契約やアドバイス業務契約も含めて、空港法に規定をする空港の機能の確保に必要な施設に係る事案というのは確認をされていない、また、国土交通省への働きかけといった事実も確認されていないということから、国土交通省が直接調査を実施をすべき事案とは認識をしていないということでございます。
先ほども答弁させていただきましたので余り詳細は繰り返しませんが、本件調査につきましては、いわゆる会社法に基づく監査等委員会で実施をされ、そして社外取締役のみで構成をされており、そして外部の法律事務所の弁護士に調査の実務が依頼をされていること等、これは第三者の立場による調査という認識でございますし、また、デジタルフォレンジック調査も含めて様々な手法を用いて実施をされている、こういう意味では、報告書に関しては、客観性、透明性は最大限確保されているものというふうに認識をしております。
いずれにしても、こういう空港機能施設事業に直接関わる事案ではないものの、やはり公共性の高いインフラの一翼を担う同社が、長年にわたり不適切な行為を続けてきた結果、空港利用者の信頼を損なったということは私も大変に遺憾であると思っておりまして、厳重注意を行い、再発防止の徹底を要請をしたところでございますので、同社においては、組織全体のコンプライアンス体制の見直し、そして経営陣の意識改革、これは、今回の事態を厳粛に受け止めていただいて、しっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。
○森山(浩)委員 だから、再発を防止するためには、動機がどうか、なぜ忖度が起こるのか、ここの構造にメスを入れないといけないですね。気をつけてくださいよと言って、気をつけますと言って終わるものでは恐らくないんだというふうに思います。
理事会協議事項といたしまして、子会社のビッグウイング、アネスト社、それから各空港会社、おおむね一か月後に出すんだというふうに先ほどの答弁でおっしゃいましたが、一か月たつと国会は終わっちゃうんですよ。この委員会で、きちんと御報告をいただいて確認ができる機会を持っていただきたいというふうに思います。間に合うようにお願いします。
○中野国務大臣 点検期間につきましては、羽田空港以外の空港への要請ということで、私、先ほど一か月を目途に報告をするように要請ということでお話をさせていただきました。日本空港ビルデングの調査につきましても、二か月程度の期間を要しているということでございます。
やはり、今回の事案で取り上げられた企業の取引の有無ですとか、その適正性でありますとか、あるいはコンプライアンスに反する不適切な利益供与の有無がないかというところの点検であります。
子会社も含めてそれをしっかり点検をしていただきたいということでございますので、こうした事実関係を確認をしていただくためには、必要最低限の一定の期間は必要なのではないかというふうに考えておるところでございます。
○森山(浩)委員 今回は、羽田のときと違って、アネストというような会社もはっきり名指しをできているわけですから、この会期中にできる部分を出していただきたいということで、中身は来週に譲りたいと思います。
水道の話です。下水道、埼玉県八潮市、下水管の破損の陥没問題ということでありますけれども、実は、耐用年数五十年を経過した下水道管路、平成四年度の末で総延長四十九万キロに対して七%、三万キロであったのに対して、二十年後には四〇%に当たる二十万キロに急増するというふうに見込まれています。
また、管路に起因する道路陥没、令和四年度でも二千六百件発生をしているということで、今回ニュースになったので皆さんの目に留まった、そして、こんなことが起こっているんだという国民の意識になっているのだと思いますけれども、老朽化対策についてまずお聞きします。
○松原政府参考人 お答えいたします。
国土交通省では、八潮市の道路陥没事故を踏まえ、二月の二十一日に有識者委員会を設置いたしまして、下水道など大規模な道路陥没を引き起こすおそれのある地下管路を対象として、重点的に点検を行う対象や頻度、技術など点検の在り方、道路管理者を始めとする他の管理者とのリスク情報の共有等の在り方、今後の施設の維持更新や再構築とそれらを支える制度の在り方などについて議論をいただいているところです。
有識者委員会では、今回と同様の事故を未然に防ぐため、直径二メートル以上の大口径かつ設置後三十年以上経過している古い下水道管路を対象とした全国特別重点調査を実施すべきとの提言が取りまとめられ、これを踏まえ、国土交通省では、三月十八日に全国の地方公共団体に対して調査の実施を要請いたしました。
また、本日の午後、第六回の有識者委員会を開催し、下水道を中心とした地下インフラのマネジメントの在り方に関する第二次提言の取りまとめに向け、議論をいただく予定としております。
○森山(浩)委員 年間二千六百件起こっているけれども、今回のような事故の再発を防止すると。再発どころか、毎日のように起こっているわけですよ。
こういう状況、事態が世に知れたということについては、これは、今後、地下の埋設物は非常に大事だということを国民の皆さんに分かっていただくという意味では、非常に重要な機会であったというふうにも思いますが、今までのルールの中で未然にこれを防げなかったんですよね。それも含めて、大臣、見解をお願いします。
○中野国務大臣 埼玉県八潮市の道路陥没事故におきましては、五月の二日に巻き込まれた方が救出をされました。お亡くなりであったことが確認をされました。亡くなられた方に対して哀悼の意を表するとともに、改めて御家族の皆様に対してお悔やみを申し上げる次第でございます。
上下水道インフラ、老朽化対策は、今回の委員会でも議論をされておりますけれども、やはり予防保全をやっていかないといけないということで、下水道に関しても、しっかりと点検をした上で、しっかり予防的に保全をしていくという取組をやってきた中でこうした事案が起きたということは私も大変に重く受け止めておりますし、多くの国民の方が、今回、上下水道インフラの安全性に不安を感じられ、管路の老朽化に対しても大変御不安やそして御関心も寄せられているという状況だという認識であります。
今回の事故を教訓に、このような事故を二度と起こしてはならないという強い決意の下で、国民の安全、安心が得られますよう、今、有識者委員会を立ち上げております。この議論も踏まえまして、必要な対策を検討、そして実施をしないといけないと思っておりますし、また、国土強靱化実施中期計画、これが、最後、議論中でございますので、この老朽化対策をしっかりと位置づけて、強靱化で持続可能な上下水道の構築に向けて、しっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。
○森山(浩)委員 抜本的に、これだけお金がかかるんですよということもはっきり言うべきだというふうに思います。
一方で、水源の話。PFASの問題がこの間、発覚をし、そして議論をしてきたところでありますけれども、アメリカはゼロを目標として測定の限界値というところまで低い基準でやっていますけれども、日本における基準も決まっています。これについてお答えください。
○伯野政府参考人 お答えいたします。
米国ではPFOS、PFOAの規制値をそれぞれ四ナノグラム・パー・リットルとする飲料水規則が公表された一方、オーストラリアの現行の目標値はPFOAで五百六十ナノグラム・パー・リットルとなっているなど、飲料水の規制値に関しては、各国で多様な議論が行われているものと承知しております。
我が国におきましては、食品等から摂取するものに関する健康影響の評価を独立した立場で科学的に実施する内閣府の食品安全委員会において、各国、各機関が参照した最新の知見も含めて評価がなされ、昨年六月に耐容一日摂取量が示されております。
この耐容一日摂取量を踏まえまして、五月八日に出されました中央環境審議会答申におきまして、水質基準値につきまして、我が国の水道水の水質基準値等の設定で通常用いられています方法に基づきまして、体重五十キログラム、一日当たりの摂取量二リットル、摂取量全体に占める水道水からの寄与を示す割当て率一〇%を用いまして、五十ナノグラム・パー・リットルと算出されております。
○森山(浩)委員 ゼロじゃないけれども、独立した形で基準値を定めたよというお話でありますが。
実は、水道法におきましては、法に基づく水質基準を遵守しつつ、水源から給水栓に至る各段階で危害評価と危害管理を行うということが改めて掲げられているわけなんですけれども、今回の、今回のというか去年ですね、組織再編におきまして、水源の水質については環境省、そして、管路の維持等については国交省というような形で、これまでの水道事業では厚労省で一体であった部分が分かれるという形になりました。
当時、管理監督するところと基準を決めるところを分けることによってチェック・アンド・バランスが働くのだというような御説明をいただいたところでありますけれども、これは大きな仕事としては初めてのことだと思いますが、組織としては機能しているのでしょうか。
○松原政府参考人 お答えいたします。
御指摘のPFASへの対応につきましては、水道水質を所管する環境省と、水道事業者等への指導監督などを所管する国土交通省が連携をして対応を進めてまいりました。
具体的には、令和六年五月に、国土交通省及び環境省が共同で、水道水中におけるPFOS及びPFOAの検出状況等を把握するため、全国の水道事業者等に対する実態調査を実施するとともに、水質検査を行っていない水道事業者等に対しては、水質検査を早急に実施するように要請しているところでございます。
また、国土交通省においては、環境省と連携して、PFOS及びPFOAが検出された場合に水道事業者等が取り得る方策等に関する事例集を令和六年十一月に策定、公表するとともに、暫定目標値を超過した水道事業者等に対し、個別に必要な指導や助言等を行っているところでございます。
国土交通省として、引き続き、環境省としっかり連携をし、水道水中のPFAS対策について取組を進めてまいります。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
これで、しっかりチェック・アンド・バランスを利かせていくというようなことで、省庁が分かれたからなかなかうまくいかないというようなことにならないように、今後ともよろしくお願いをしたいというふうに思います。
続きまして、住民参加についてということで、水の民主主義というところであります。
現在、水道、下水道、私も市議会議員をやっておりましたので、そこのときに、水道は事業体であるというようなことで、事業体のための議会を別につくるわけですね。市議会とは別につくる。年に二、三回やるんだけれども、そのうち一回は人事議会であるというようなことで、ほとんど、今の状況を数字で説明をして、十分で終わる、二十分で終わるというようなことも少なくないというような形、実質的な議論というのがなかなか進めないというのが、全国のいわゆる事業体における民主的な規制ということになっているかなというふうに思います。
ましてや住民参加ということになってくると、なかなかこれは見えているところが少なく、例えば、自治体によっては、任意に構築してきた住民との直接的な関係が一定程度は実現されたというようなことを言われているところもありますけれども、パリの市水道の水オブザーバトリーのような形での意思決定への参加、あるいは経営に関する意見を聞くというようなことが組み込まれている事例、国内ではなかなか低水準であると言わざるを得ません。
二〇一八年の改正水道法の際に示されました水道の基盤を強化するための基本的な方針、これは当時の厚生労働省でありますけれども、水道の需要者である住民等は、将来にわたり水道を持続可能なものとするためには水道施設の維持管理及び計画的な更新等に必要な相応の財源確保が必要であることを理解した上で、水道は地域における共有財産であり、その水道の経営に自らも参画をしているという認識で水道に関わることが重要というような形、水道は地域における共有財産である意識を醸成することが重要というふうにも書かれております。
これは省が替わっても生きていると思いますけれども、地域の水の民主主義というものが非常に重要だと思いますが、これについてお考えをお伝えください。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
水の民主主義ということで、やはり市民の意見をしっかり聴取した上で事業を進めるべきということかと受け止めております。
やはり、委員御指摘のとおり、上下水道というのは、住民に身近な、そしてまた重要なインフラでございますので、情報の提供、そして住民の意向を踏まえた事業の実施、これが大変に重要であろうと認識をしております。
これまでも各事業者におきまして、料金の改定や中長期の計画策定などに当たりましては、住民説明会の開催やパブリックコメントの実施などを行ってこられたというふうに理解をしております。
一方、上下水道を取り巻く環境は大変に厳しさを増しているということでございますので、今、国土交通省に上下水道政策の基本的なあり方検討会を設置をさせていただきまして、その中で、住民の理解醸成など、上下水道事業への関心を高める必要性等に関しても様々御意見をいただいているところでございます。
国土交通省としましては、こうした検討会での意見も踏まえまして、事業者における住民の理解醸成、あるいは住民の意向を反映する取組というのをしっかり後押しをしていきたいというふうに考えております。
○森山(浩)委員 では、具体的な問題へ幾つか行きたいと思いますが、水道、下水道の現場から、人手不足あるいは技術の継承が難しいという訴えが続いています。これは御存じだと思います。自治体、事業体だけでなく、民間においても同様であって、民間委託をしたから人がぼんと増えるという話でもないということは御理解をいただいているかと思います。
この間の地方行財政改革における大幅な人員削減、歳出削減により、自治体事業から業務を受託している民間も含め、労働条件の改善が停滞若しくは低下していることが市場に反映をされているという状況の中で、水道、下水道の事業運営には、財政、技術、住民の理解や参加、そして事業を動かす現場の労働が必要ということでありますけれども、現場の労働を軽視してきたことが今の事業の持続性あるいは基盤強化の問題として表れているのではないかというふうに思いますが、現場の人員不足に関する認識と、そしてこれからどうしようかという意思について、大臣にお伺いします。
○中野国務大臣 委員御指摘のとおり、上下水道事業の適切な運営には人材の確保というのは不可欠でありますが、人材が大変に不足をしているというのは本当に御指摘のとおりだと思います。数字で見ましても、地方公共団体の職員数は、水道事業、下水道事業共にピーク時と比べて約四割減少しているということであります。
こうした状況を踏まえまして、一つは、やはり上下水道の現場を働きやすく魅力的なものにするということで、先ほども申し上げましたが、地方公共団体において、今まさに様々なDXの技術というものが導入そして実装、これを地方公共団体においてできるようにということで支援をしておりますし、広域連携を推進するなど、人材の確保や技術継承が可能な組織体制づくりにも努めております。
そして、こうしたインフラですとかメンテナンスのところの魅力を高める、広めるというところは、やはり産官学がしっかり連携をして、しっかりと取り組んでいかないといけないというふうにも思っております。こうした、就職活動を控えた大学生などを対象に、上下水道の仕事を紹介する取組等も含めて様々なことを行っておりますし、当然、こうした建設業も始めとして、いろいろな処遇の改善という取組は併せてやっていかないといけないということも当然あろうかと思います。
地方公共団体等とも連携をしながら、人材確保に向けた取組、持続可能な上下水道事業の実現に向けてしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。
○森山(浩)委員 一方で、料金の問題です。
これにつきましても、中長期的にはお金がかかるんだというようなことは再三再四おっしゃっていただいているし、我々もそうだろうというふうに思います。
ただ、物価高騰の折、二〇二二年から既に十五兆円以上が、ガソリンの小売価格を抑制するための補助金というような形で出ています。ガソリンと同じように、あるいはそれ以上に生活に密着した水に関して、例えば重点支援地方交付金を使うというような形があるかと思いますが、実態についてお答えください。
○松家政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの重点支援地方交付金でございますけれども、これは足下の物価高を乗り切るための当面の支援措置といたしまして、自治体が地域の実情に応じて生活者や事業者に対してきめ細かに必要な支援をお届けすることができるよう、令和六年度補正予算において追加的に措置をしたところでございます。
水道料金につきましても、本交付金を活用いたしまして、物価高対策として自治体において減免することは可能でございまして、国としても推奨する事業メニューとして明示をしているところでございます。加えまして、国土交通省からもその活用促進に向けた通知を自治体に発出し、周知を行っていただいているものと承知をしてございます。
○森山(浩)委員 活用したらどうかというふうに言っていただいているということですが、どうも活用の事例は数十にとどまると。千七百の自治体がありますからね。ここはやはりしっかり使っていただくようにというようなことで、物価対策にも使っていただきたいというふうに思います。
さて、上下水道政策の基本的なあり方検討会というようなことで、先ほど大臣からもおっしゃっていただきましたが、公費負担すべき部分と、料金、使用料で負担すべき部分を明確に区分再編、あるいは公費の導入の拡大、管路対策については地域の必需として基準財政需要に算定していくこと、これは財務省なんかも絡んでくるんでしょうか、あるいは総務省も絡んでくるかもしれません。水道法における料金の総括原価方式、あるいは地方公営企業法、独立採算制、こういったものも含めて幅広に改定に向けた議論をしていただきたいと思いますが、大丈夫でしょうか。
○松原政府参考人 お答えいたします。
今議員から御指摘ございましたように、上下水道政策の基本的なあり方検討会というものを昨年十一月に設置いたしまして、議論を進めているところでございます。
本検討会では、二〇五〇年の社会経済情勢を見据え、上下水道事業における持続や強靱化、また、水質・水循環、気候変動、社会経済活動という観点から、上下水道政策の在り方を御議論いただいているところでございます。
委員御指摘の料金ないし財源といった部分につきましては、前回の委員会で議論をさせていただきました。現下の課題に対応するために、様々対応していく中でも、料金、財源という部分は極めて重要だと思っておりますので、しっかり議論を深め、施策に生かしてまいりたいと思います。
○森山(浩)委員 今日は水の民主主義ということで、こういう観点をちゃんと市民と共有をした上で自治体あるいは事業体が運営していくべきだということで、これは大臣のお考えもいただきました。これはしっかりと進めていただきたいと思いますし、我々も啓発に努めてまいりたいというふうに思います。
ちょっと中長期に話を広げますが、二〇五六年には一億人を切る、二一〇四年には六千万人を切るというのが厚生労働省の日本の人口中位推計ということになっています。
今、全てのインフラをそのまま更新をするというような形でいろいろな計画が立っていると思います。一億二千万あるいは三千万というような中で造ってきたインフラ、これをこのまま全部維持していくということで国がもつのか、あるいは、では、山奥に住んでいる人はそのまま放っておいていいのかというような両側の問題があるかと思います。
全体として、経済界などは、一億人ぐらいはおってくれないと日本の経済は成り立たないよ、何とか移民を入れてもというような御意見もあるということでありますけれども、日本は、移民を入れなければ一億あるいは六千万を切っていくという状況の中でいうと、インフラのサイズを縮小をしていくのか、あるいは人口を維持をしていくのか、どちらかの大きな戦略というものを決めていかないと、ここから先のインフラが無駄になってしまう可能性が非常に高いと思っています。
若い大臣でありますから、ここから先の中長期のことについても、共に責任を持っていきたいというふうに思いますけれども、これは内閣の中でお話しになったり、あるいは御自身のお考え等がありましたら、大臣、お願いいたします。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
委員御指摘の点は、大変に、本当に重要な点だというふうに思っております。人口減少社会ということで、まさに突入をしておりますので、それを今後加速をしていくという中でのインフラの維持というのは、やはり今までどおりではないだろうというのは、当然そう思っております。
今、国土交通省でもいろいろな取組を進めております。例えばコンパクト・プラス・ネットワークということで、これは、当然、市街地から離れた地域は人口減少が進みますので、やはりまちづくりの在り方も、それに対応する居住の在り方を誘導するということもございます。これは、同じインフラをそのまま更新するというよりは、やはり市街地とインフラをどう再構築していくか、どうまちづくりをしていくかというところであります。
他方で、今、災害の激甚化みたいなお話もございますので、これは、人口が減っているところであるからインフラも要らなくなるというものでも必ずしもないだろうというふうなこともございます。
そういう意味では、私はやはり、人口減少がこれから加速をしていく中で、それぞれの地域が自分の将来像というものをよくしっかり踏まえていただく必要があると思っていますし、それを前提としたインフラの整備や管理をしていくという必要性が今まで以上に高まっていくんだろうというふうにも思っております。
今後、やはり、まちづくりの計画やインフラ老朽化対策の計画が、一体的に、整合的になっていかないといけないというふうに思っております。こうした自治体を、ガイドラインをやはり策定などして促していくことも必要でしょうし、当然、この地域の将来像を考えたときに必要性が乏しいというインフラについては、やはり集約、再編であるとか、様々積極的にそういう取組も行う必要があると思います。
インフラストックの適正化を進めていく中で、やはり地域の将来像に見合ったインフラの維持、更新ということが必要であるというふうに考えております。
○森山(浩)委員 ありがとうございました。
○井上委員長 次に、松田功君。
○松田委員 本日五月十六日、旅の日でございます。今日誕生日を迎えられた皆様、おめでとうございます。立憲民主党の松田功でございます。
それでは、質問に入らせていただきたいと思います。
まず、私の地元でもあります愛知県の犬山市の入鹿池に自衛隊機が墜落をしたということで、隊員の二人がまだ見つかっておりませんので、一刻も早く見つかることを祈っております。安否も気遣っております。
そんな中でありますが、この練習機にフライトレコーダーが搭載をされていないということも含めて、この犬山市、全国各地どこで墜落しても大変なんですが、ちょうど県営名古屋空港から約一分、そして二分のところで無線が途絶えたということで、私もよく行くところでありますが、国宝の犬山城があったりとか、もちろん小学校、中学校、学校もありますけれども、明治村やモンキーセンターという遊園地や、いろいろな人が集まるところがあるということで、本当に隊員の皆さんが最後まで踏ん張って、入鹿池の方かというふうにも今言われておりますが、それもまだ分からない状況になっております。
そんな中で、やはり原因究明のためにもフライトレコーダーというのは非常に重要だということも含め、航空機全般を見たときに、ちょっと調べさせていただいたら、対象としては、航空機は、平成十七年、全部に搭載をするということになっておりましたが、その前は五・七トン以下は搭載するのが対象外だったとあったので、平成十七年一月一日以降は全機が搭載することを義務づけられているということであります。
しかしながら、ヘリコプターの方は、二・二五トン以下のものに関してはフライトレコーダー、ボイスレコーダー等々が対象外となっておりますので、自衛隊機に限らず、いろいろな航空機を扱う国土交通省の中で、やはり事故が起きることは望ましいことでもありません。また、仮に起きてしまったら、その原因はしっかりと究明をすることで安全をより確保していくことが重要であることは大臣もお分かりかと思います。
その中で、海上保安庁も所管をしておりますので、海上保安庁の航空機、そしてヘリコプターも持っております。昨年には羽田空港での事故もありました。そういった状況の中で、このフライトレコーダーの設置に関しては、これは全ての航空機に設置をすることは必要でないかというふうに考えておりますが、大臣の御答弁をいただければと思います。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
私どもは民間の航空機を所管しておりますので、民間の航空機についてお答えをさせていただきたいというふうに思っております。
航空機につきましては、国際的に製造され、流通、利用されるものであることから、その安全基準につきましてはICAOが統一的な基準を定めており、我が国もこれに従って国内基準を定めているということでございます。
ICAOにおきましては、事故時の被害の甚大性等を考慮の上、全世界統一的な基準を定めている、我が国もこれに従って国内基準を定めているというところでございます。したがいまして、委員御指摘のとおり、小型の回転翼については現在義務づけが行われていないというところでございます。
一方で、国土交通省におきましては、小型航空機の事故発生時の原因究明等に資するものといたしまして、いわゆる完全なフライト・データ・レコーダーではございませんけれども、比較的簡易に搭載可能な簡易型の飛行記録装置の搭載を推奨しておりまして、取付け時の留意点等を盛り込んだガイドラインの策定等により、その普及を進めているところでございます。
今後とも、国際動向を注視しつつ、必要に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。
○松田委員 海上保安庁にもありますので、そういったことも含めて、大臣の方からも、今回の事故を含めた中で一言いただきたいと思います。
〔委員長退席、中谷(真)委員長代理着席〕
○中野国務大臣 今回、愛知県犬山市における航空自衛隊の所属機の墜落事故というものがございました。
今、愛知県の犬山市の入鹿池周辺に墜落をして、現場周辺におきまして搭乗員及び当該機の捜索中であるというふうに承知をしておりますので、一刻も早い搭乗員の救助を願っているところでございます。
今、局長からの答弁につきましては、いわゆる民間機の話であります。当然、我々、海上保安庁ということで、自らも航空機を保有をするということもございます。そうした様々な観点から、やはり空の安全、安心の確保というのは極めて重要な課題であるというふうにも思っております。
今回の事故に関しましては、防衛省において事故の原因究明というものを進めているものというふうに承知をしておりますが、国土交通省として、これに可能な限り協力をするとともに、教訓として学ぶべきところについてはしっかり学んでまいる等、やはり空の安全、安心を所管する省庁としてしっかりと対応してまいりたいというふうに思います。
○松田委員 空の安全を確保して、いざ事故が起きると大変大きな事故になってしまうのが航空事故ですので、是非その旨、しっかりとまた御対応いただければというふうに思っております。
それでは、次の質問に入らせていただきたいと思います。
本日は、電気自動車やEV走行が可能なハイブリッド車の接近を歩行者などに音で知らせる車両接近通報装置につきまして、視覚障害者の方々の御意見を踏まえまして質問をさせていただきたいと思います。
各国では地球温暖化への対応が進められており、我が国においても、二〇五〇年までのカーボンニュートラル実現に向けて様々な取組が進められているところでございます。
政府は、二〇三五年までに新車販売で電気自動車などの電動車を一〇〇%とする目標を掲げており、今後、電気自動車やハイブリッド車の更なる普及が見込まれます。この環境性能に優れた電気自動車やハイブリッド車の魅力の一つとして静音性が挙げられておりますが、一方、この静音性が特に視覚障害者の方にとっては危険と感じる場合がございます。
この問題につきましては、平成二十一年から二十二年にかけまして、学識経験者や視覚障害者団体、メーカー団体などから成る検討委員会が設けられて検討が行われました。その結果、電気自動車などについては、発進時から車速二十キロまでの速度域などにおいて自動車走行状態を想起させる音を発することが適当とされ、視覚障害者を含む歩行者などの道路歩行時のリスクを軽減するため、音による対策が講じられることとなりました。
その後、平成二十八年に国内法令が改正され、電気自動車などに対し、疑似エンジン音を発生させる装置である車両接近通報装置が義務づけられ、令和二年十月以降に生産される全ての新車にこの車両接近通報装置の搭載が義務づけられております。
視覚障害者の方々の意見を踏まえて進められた電気自動車などへの音づけ対策により、視覚障害者の方を始めとした歩行者などの安全、安心の取組が進められていると認識しておりますが、更なる安全、安心のためにも、もう一歩踏み込んだ音による対策が必要であると考えます。
大臣にお伺いをいたします。
大臣は、町中を移動しているときに、電気自動車やハイブリッド車の車両接近通報装置の音をお聞きになったことはございますでしょうか。音を聞いて何か感じたこと、思ったことがあれば、お聞かせをください。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
委員から御質問をいただきまして、車両接近通報音はどんな音だったかなということで、改めてちょっと思い返してみたんですけれども、私は自宅の車も事務所の車もハイブリッド車でございますので、そういう意味では、今は特に余り意識もしないというか、当たり前の音だなと思っておるんですが、思い返しますと、最初にハイブリッド車が出たときの印象が、物すごく音が静かだなというふうな印象を持ったことを思い出しました。やはり、あれは音が、車両接近通報音がないと近づいているかどうか分からないというふうなことかという、最初そういう印象を持ったということも思い出したところでございます。
今後、電動車も含めて一層増えていくということでありますので、視覚障害者の方も含めて、やはり歩行者の安全確保という意味では、車両の接近を知らせる通報音というのが非常に重要な安全対策であるなということで、改めて感じたところでございます。
○松田委員 そこで、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。
電気自動車などによる、音による対策を導入するに当たっては、パブリックコメントも実施をされ、電気自動車の利点でもある静音性を求める声など、反対する意見もありました。そのような中でも、音による対策を導入することとされましたが、その理由についてお聞かせをください。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十二年に車両接近通報装置の要件をガイドラインとして策定しました際のパブリックコメントにおきましては、静音性という利点を理由に反対の意見があったことは事実でございます。
しかしながら、国土交通省としましては、ハイブリッド車や電気自動車では、運転者が細心の注意を払っていたとしても、歩行者側が気づかないことによる事故が起こり得ることから、当該装置の基準化に取り組んできたものでございます。
○松田委員 車両接近通報装置の音については、現在、各メーカーにおいて様々であります。
この音については、どのような基準が定められておりますでしょうか。
○鶴田政府参考人 車両接近通報装置は、平成二十二年に国内でガイドラインを作成し、このガイドラインを参考に各国政府と協力しながら、平成二十八年に国連基準を策定いたしました。
国内のガイドラインの策定の検討におきましては、視覚障害者の皆様に実際に試作音を体験していただいて、御意見をいただきながら議論を重ねてまいりました。
また、国連基準の策定に当たっては、世界盲人協会からの御意見をお伺いしつつ、議論を重ね、国際基準を成立させたところでございます。
その議論の結果、音に関しましては、全体音圧レベルが車両前進時に五十デシベル以上、後退時に四十七デシベル以上、また、複数の周波数帯を有し、そのうち一つは高齢者にも聞こえるよう千六百ヘルツ以下の低音域であること、また、車速に応じて音域を変えること、メロディー音は使わないことなどが規定されております。
○松田委員 音による対策は、電気自動車などの接近などを歩行者などに気づかせるための方策であり、まず、聞こえるということが一番重要であります。その上で、視覚障害者の方々は音だけが頼りです。その音が車であるということも認識ができるようになれば、今まで以上に安全が確保されると思います。
自動車ユーザーや自動車メーカーにとっても、メーカーごとの音の違いは車を選ぶ上での重要なポイントの一つでもあり、またセールスポイントでもあると思いますが、視覚障害者を始めとした歩行者などの命を守ることを第一に考え、この音を統一すべきではないかと考えます。
車両接近通報装置の音については、これまで統一に向けた取組は行われてきたのでしょうか。また、統一できない理由についてもお聞かせをください。
○鶴田政府参考人 先ほどお答え申し上げましたとおり、音につきましては、全体音量、周波数、車速に合わせた音の変化に関する規定のほかに、メロディー音を使わないことが規定されております。
更なる音の統一に向けましては、事故の実態、国際議論の動向を注視しながら、その必要性も含め検討することが必要と考えております。
○松田委員 今日は、日本視覚障害者団体連合の方もおみえになっております。是非、いろいろな形で検討を進めて、やはり実行していただくことは重要であると考えております。
そこで、車両接近通報装置の音を統一し、それが車の音であるということを視覚障害者を含む全ての人が認識できるように安全を確保することが非常に重要です。日本自動車工業会など関係する団体などにも協力を呼びかけ、音の統一に向けた働きかけを行うべきと考えますが、統一に向けた大臣の御決意をお伺いします。
○中野国務大臣 お答えを申し上げます。
電動自動車の普及におきましては、視覚障害者を含めた安全の確保が非常に重要であるというのは、それは私もそのとおりだというふうに思っております。
先ほど来、局長の方からも、車両接近通報装置、これを作製するに当たって、様々、視覚障害者の皆様に御意見をいただきながら議論をしてきたというふうなことも、るる答弁をさせていただきました。
そして、更なる音の統一についてということの御質問でございます。
これは先ほど局長からも答弁がありましたとおり、事故の実態や国際議論の動向などを注視をしながら検討することが必要と考えておりますが、継続して障害者の皆様のお声もしっかりとお伺いをしながら、そして、自動車メーカーとも、その必要性も含めて検討してまいりたい、このように考えております。
○松田委員 是非検討をしていただきたいということで、まだまだ電動二輪車の方の質問もこの後ありますが、よく答弁を聞いていると、健常者の目線から視覚障害者の対策をという形に感じることが多いんです。つまり、実際我々が見えているから、人間として本能的によけられるものがあるわけです。先ほど大臣もお話をされたように、音を聞き慣れちゃうというのは、実は我々は視覚でも確認できるので、優先順位が変わっている状態なんですね。
だから、そういった意味において、視覚障害者の本当にその立場になって考えていただくという、そこの部分をもっとよく考えていただいて進めていただけるといいなと今思っているところであります。
それでは、次の質問に移ります。
カーボンニュートラルの実現に向け、二輪車についても電動化が進んでいくことが想定をされます。しかし、現状では、電動二輪車については、自動車のように車両接近通報装置の搭載が義務となっていません。
なぜ電動二輪車については車両接近通報装置の搭載が義務化されていないのでしょうか。その理由についてお聞かせください。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
二輪車は、ライダーからの死角が少ないこと、また、車体が小さく歩行者との距離が取りやすいことなどを理由としまして、車両接近通報装置の義務づけを求めておりません。
同様の理由から、国際基準でも対象外とされており、諸外国においても義務づけは行われていないと承知しております。
○松田委員 ちょっと後でまとめて言います。
先ほど申し上げたとおり、電動二輪車への車両接近通報装置の搭載は義務化されておりませんが、車両接近通報装置をオプションで搭載することができる車両もあると承知をいたしております。
そのような、現状、電動二輪車に搭載することができる車両接近通報装置の機能や性能については、どのような基準があるのでしょうか。また、基準があるとしたら、自動車の車両接近通報装置の基準との違いはあるのでしょうか。お答えください。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
電動二輪車に搭載される車両接近通報装置に関しましては、基準がないというのが現状でございます。
なお、海外におきましても、承知している範囲では、同様に基準がないというふうに承知しています。
○松田委員 少し話は変わりますけれども、令和五年七月一日から、電動キックボードなどに関する改正道路交通法が施行されました。
それまで、電動キックボードは、いわゆる原付バイクや自動車と同じ扱いで、運転免許が必要でした。それが、道路交通法の改正により、一定の基準を満たす電動キックボードは特定小型原動機付自転車と定義をされ、十六歳以上であれば免許がなくても運転ができるようになりました。また、時速六キロメートル以下であるなど要件を満たした電動キックボードについては、普通自転車など及び歩行者など専用の道路標識が設置される歩道も走ることができるようになっております。
しかしながら、電動キックボードは、二輪車と比較しても、走行音がかなり小さく、視覚障害者の方が接近に気づかず接触してしまうおそれがあります。
そのため、歩道を走行することができ、接触の危険性がより大きい電動キックボードについては、自動車と同様に車両接近通報装置を導入する必要があると考えます。御見解を是非いただきたいと思います。また、道路交通法改正時や現在において、電動キックボードに車両接近通報装置を導入することについての議論がなされているのかについても、併せてお伺いをいたします。
○中野国務大臣 お答えを申し上げます。
少し事実関係でもし補足がありましたら、局長の方からも答弁していただければと思いますが、電動二輪自動車、そして電動キックボードにおきましても、安全確保は最重要課題であるというふうに私も考えております。
先ほど、二輪車のお話もございましたが、二輪車や電動キックボード、これは当然、車両の特性でございますとか、装置の必要性を踏まえた基準の整備というのが必要であるというふうにも考えておりますので、国土交通省としましては、視覚障害者の皆様のお声もしっかりとお伺いをしながら、また、あわせて、事故の実態でありますとか、あるいは国際議論の動向なども注視をしながら、車両接近通報装置の必要性などについては継続的に検討をしてまいりたいというふうに思います。
○鶴田政府参考人 事実関係について補足をさせていただきます。
電動キックボードの保安基準を策定しました際に、その骨子案を審議した検討会におきましても、この点についても議論がなされまして、その結果として、電動キックボードは二輪車と同様に車体が小さいということ、また、諸外国においても電動キックボードに対してこのような装置の設置を義務づけている例はないということなどから、その後、海外の例も参考にしつつ、必要に応じ基準を検討していくということとされております。
○松田委員 電動キックボードに関する懸念は先ほど申し上げたとおりですが、やはり自動車であるか二輪車であるかを問わず、歩行者の保護の観点を優先して考えなければなりません。
電動二輪車、電動キックボードへの車両接近通報装置の搭載義務化は、視覚障害者の方だけでなく、ひったくり防止などにも資すると思います。こうしたことから、電動キックボードも含めたナンバープレートを装着している自動車については全て車両接近通報装置の搭載を義務化する必要があると考えますが、御見解をお願いします。
○中野国務大臣 お答えを申し上げます。
四輪、二輪を問わず、電動キックボードということもありましたけれども、繰り返しになりますが、安全確保を最優先として普及を進めていくということが何よりも重要だということは答弁差し上げたとおりでございます。
いずれにしても、その考えを基に、国土交通省としては、視覚障害者の皆様のお声も継続してしっかりと伺ってまいりたいというふうに思いますし、二輪自動車や電動キックボードも含めて、車両接近通報装置の必要性を含む安全対策、これをどうしていくかということについては、継続的に当然これは検討してまいりたいというふうに思います。
○松田委員 先ほどいろいろ答弁を聞いていて思うんですけれども、確かに、運転する側が安全確保をするためによけるということもあるんですけれども、よけやすい代わりにすり抜けやすいということも言えて、多分、皆さん運転されて、電動キックボードが車の横でさっと抜けていくこともあったと思うんですけれども、結構怖いなと思われて体感されている方はたくさんみえると思うんですよ。乗っていて、運転している人は囲われてもおいおいと思うぐらいなんだから、そのことの認識が余りにもなさ過ぎるんだよね。
現実的には、視覚障害者の人は見えていないんですよ。我々は見えているから、はっと気づいたときに横に側溝があってもすぐそれもよけられますけれども、視覚障害者の方は、横によけようと思ったって、横に側溝があったらこけますからね。そういう優しいところがちょっと欠けているんですよ。この辺は、世界がどうだとかじゃなくて、日本から是非発信をしていっていただきたいと思っております。
最後になりますけれども、視覚障害者の方にとって、周囲の状況を把握するために、音は大変重要な役割を果たしております。横断歩道を渡ろうとするとき、その音が聞こえたら車が近づいてきていると分かる、歩道のない細い路地を歩いているとき、今まで気づくことのできなかったバイクに気づくことができる。このようなことが積み重なることで、今後起きてしまうかもしれない視覚障害者の交通事故を減らすことができると思っております。
誰もが安心して暮らすことのできる社会をつくるためには、健常者の視点だけでは気づくことができないことについても把握し、改善していくことが必要であります。そのためには、視覚障害者の方からの意見を伺いながら、車両接近通報装置の音の統一や自動二輪車に関する基準新設が必要であると考えます。
日本は、国連の自動車基準調和世界フォーラムの副議長を務めていたり、自動車の国際基準の策定に関わる議論を主導いたしております。世界中の電気自動車の低速時の音の統一がされ、電動二輪車への車両接近通報装置の搭載が義務化されれば、世界中の方々の安全性も高まります。
まずは、日本での統一を図るとともに、搭載の義務化を行い、その取組を世界に広げていくことが必要であると考えますが、今後に向けた大臣の決意をお伺いいたします。
○中谷(真)委員長代理 時間が超過していますので、答弁は端的にお願いします。
○中野国務大臣 答弁申し上げます。
車両接近通報装置の音の統一等々も含めまして、多くの御指摘をいただいたところでございます。
御指摘のとおり、我が国は、自動車基準調和世界フォーラム、WP29の副議長を務めておるところでもございます。
御指摘いただきました様々な点、また、これまでも視覚障害者の皆様の御意見も踏まえて対策を講じてまいりましたが、本日いただいた御指摘も踏まえまして、継続的にこうした御意見をお伺いをしながら検討してまいりたいというふうに思います。
○松田委員 終わります。ありがとうございました。
○中谷(真)委員長代理 次に、高橋英明君。
○高橋(英)委員 日本維新の会の高橋英明でございます。
国交委員会、一年ぶりの質疑になろうかと思いますので、大臣、よろしくお願いを申し上げます。
まず、二〇二四問題、去年の四月からスタートをしていますけれども、これは一年たちましたけれども、この現状と、今政府の思惑どおりにいっているのかどうか、大臣、お聞かせください。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
高橋委員御指摘のいわゆる物流の二〇二四年問題、これは、昨年四月からトラックドライバーへの時間外労働の上限規制の適用がされまして、一年がたったところでございます。
当初、物流の深刻な停滞が大変懸念をされておりましたが、政府全体で様々な政策パッケージというのもやりまして、積載効率を向上させるでありますとかモーダルシフトの推進、あるいは再配達を削減をするといった、これは官民での取組の成果がございまして、二〇二四年度の一四%輸送量が不足するというところがカバーをされているということであります。
そういう意味では、何とか物流の機能維持ができているのではないかという認識ではありますけれども、他方で、荷待ちや荷役の時間については、二〇二〇年度と比べて、これは変化がない、約三時間、そういう状況だということで、これは本年四月から改正物流効率化法で荷主等への規制というのが施行されておりますので、これを着実に執行するなど、短縮に向けた取組を推進をする必要があるというふうに考えております。
輸送能力の不足というのは年々深刻化をしてまいりますので、国土交通省としては、これはやはり荷主を所管する関係省庁と連携をしながら、こうした取組を強化をして、必要な輸送能力の確保というのはしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。
〔中谷(真)委員長代理退席、委員長着席〕
○高橋(英)委員 では、おおむねうまくいっているというような感覚でよろしいんですか。
○中野国務大臣 当初懸念をされていた物流の深刻な停滞といったようなことは何とか起きずに維持はできているんですけれども、まだまだ様々な課題があるところだろう、そういう認識でございます。
○高橋(英)委員 分かりました。これからちょっといろいろ質問させていただきますけれども。
まず最初に、外国人の特定技能のドライバーの受入れ等々も始まっているというように思いますけれども、これは運送業者の方に言わせると、当初、外免切替えですか、何となく、私が外国人の話をすると、出ていけというようなイメージを持っている方々が多いように思いますけれども、決してそうではなくて、ルールにのっとって我が国の発展にしっかり寄与していただける方はもうウェルカムなんですけれども、当初、外免切替えするときに二、三か月待たされる、予約が混んでいて、そういう状況下が続いていて、ここに来て新たな仕組みをつくって、そういった方々には特定の枠組みで外免切替えが行えるようになったというように聞いておりますけれども、現状、ちょっと確認のために聞かせていただきたいのと、今そういった予約の混雑状況は解消されているのかどうかも含めて、お願いいたします。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
特定技能外国人として自動車運送分野の業務に従事するために必要となる日本の運転免許の取得や研修のため、特定技能の在留に先立って、特定活動として、トラックについては六月、タクシー及びバスについては一年を上限とした在留が別に認められているものと承知しております。
この期間内に、多くの場合、今御指摘のございました外免切替えによって日本の免許を取得することになるものと承知しておりますが、近年、この外免切替えの申請が増加していることから、予約待ちにより、一連の手続に要する期間が長期化している例も見られるところでございます。
こうした状況を踏まえまして、本年三月、都道府県警察に対しまして、自動車運送業に係る特定活動の在留資格を有する外国人から外免切替え申請があった場合は、在留期間の上限が設定されていることを踏まえ、優先的な申請受理及び迅速な審査機会の付与に努めるよう、指示をしたところでございます。
今後とも、交通の安全を確保しつつ、自動車運送分野における特定技能外国人の円滑な受入れが図られるよう、国土交通省と連携し、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
また、外免切替えそのものにつきまして、今申し上げましたとおり、一連の手続に要する期間が長期化している例も見られるところではございますが、都道府県警察におきましては、申請受理及び審査体制の強化、自動翻訳機器の導入などの取組を進め、所要の日数の短縮に努めているところでございます。
○高橋(英)委員 とにかく、運送会社の方はドライバーとして雇っているわけですから、免許がないと仕事にならないわけで、今度、育成就労になると一年で職を替えられるような、ちょっとわけの分からない制度になっているんですけれども、たった一年で替えられたらこれはとんでもないことになるので、一日でも早く、これは仕事ですから、免許を取得できるように、しっかりとお願いをしたいというように思います。
次に、先ほど、二〇二四問題、順調に、まあ、まだまだちょっと懸念もあるというような話がありましたけれども、これは走行距離だとか、運転時間、拘束時間等々がもう決められていて、なかなか賃上げ、値上げにつながっていっていないという実情を聞いているんですけれども、その点はいかがですか。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
運賃の収受状況ということで、例えばスポット運送契約に係る代表的なマッチングサービスがありまして、WebKITというんですけれども、この指数によりますと、令和六年度の成約運賃指数の平均、これは令和五年度と比較して約九%上昇ということでありますので、運賃の収受状況はやや上昇しているのかなという状況かという認識でございます。
また、ドライバーの運転時間や拘束時間について、これは全日本トラック協会がアンケート調査を行いました。三千者の運送事業者が回答があったんですけれども、ちゃんと守れていますかということで、アンケートでございますが、時間外労働の上限規制を全ドライバーが遵守できる見通し、又は、大多数のドライバーが遵守できる見通しという回答をした割合は約九割でございまして、改善基準告示の全ての項目を守れていますという回答については約七割ということでございました。
そういう意味では、運賃の収受状況、やや少し上昇しているというデータと、運転時間や拘束時間は遵守できているのではないかという回答が多かったということではあるんですけれども、しかし、トラックドライバーの年間賃金を見ますと、全産業平均と比べましても依然として一割ほど低いという状況でありますので、賃金の引上げの原資となる適正運賃を収受できる環境の整備というのは非常に重要だというふうに思っておりますので、しっかりと、こうした取引の適正化や労働環境の改善に取り組んでまいりたいというふうに思います。
○高橋(英)委員 私の地元、埼玉県川口市なんですけれども、まあまあの運送業者なんですけれども、一次下請か二次下請ぐらいのポジションにいるところなんですけれども、そこが言っていましたけれども、これまでは東京―岡山まで往復で三日間だったのが、今は規制されて大阪までしか行けない。そうすると、二万五千円ぐらい稼げなくなると。当然、運賃の値上げを各社に要請したところ、まあ、これは具体的に分かりやすいので、二〇%アップを要請したそうです。そうしたら、日本郵便は二・八%しか上げてくれなかった。
今日も、何か、配送部門は三百何十億円の赤字だというのが出ましたけれども、そういった、やはり、国の目が届くような企業がこういう状態だということに関して、大臣はどう思いますか。
○中野国務大臣 済みません、ちょっと、個別の事業の取引についてのコメントというのは差し控えさせていただければと思いますけれども、いずれにしても、適正運賃を本当に収受できているのかというのは、今、そうした下請の価格の取引の転嫁がちゃんとできているのかというのは、国の方でも様々調査もさせていただいておりますし、しかし、トラックについては、やはりこうした価格転嫁がまだまだなされていないというふうな現状にもあるというふうな、調査の結果でもそうなっております。
現場では、トラック・物流Gメンですとか、いろいろな現場をチェックをするような体制もやらせていただいているんですけれども、適正運賃の収受できる環境というのは、やはり、まだまだこれから更に後押しをしていかないといけないということは、私自身もよく思っているところでございます。
○高橋(英)委員 先ほどからちょっと気になっているんですけれども、大臣、適正運賃という言葉を使っているんですけれども、そもそもこれは、去年、標準運賃というのでスタートしていたと思うんですけれども、何が違うんでしょうか。それで、いつの間に標準運賃という言葉ではなくて適正運賃という言葉を使うようになったんですか。
○中野国務大臣 適正運賃を収受していこうというのは、やはり適正なコストであるとか賃上げの原資であるとか、そういうものをしっかりと価格に転嫁していかないといけないですねということで、これは一般的に、よくトラックの業界の中でも適正運賃の収受をさせてくださいということで皆様使われている言葉、一般的によく使われている言葉であるというふうに思っております。
委員が御指摘の標準的運賃というものは、トラック運送の法律の中で、トラック運送事業者が法令を遵守しながら持続的に運営を行っていく際の参考指標として示させていただいている、そういう運賃だということでございます。
○高橋(英)委員 いや、そもそも二〇二四問題のときに、国交省はこの標準運賃という言葉にやたらこだわっていた記憶があるんですけれどもね。
ということは、今後は国交省もこの適正運賃という概念でいくということでよろしいんですか。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
今大臣から申し上げましたとおり、適正運賃という固有の何か制度的な言葉があるわけではなくて、一般的な言葉として用いているということでございます。
他方、標準的運賃は、これは法律に定めのある言葉で、七年前の議員立法で導入された制度、この制度のことを指すときには、昨年の法改正の審議も含めて標準的運賃というふうに申し上げて、一般的に適正な運賃という意味で申し上げるときには適正という言葉を使っているということでございます。
○高橋(英)委員 では、制度名のときには標準運賃で、実際の現場で考えるときには国交省も適正運賃だという概念でいいんですね。そういうふうに理解させていただきますので、よろしくお願いします。
実運送体制管理簿、これはびっくりしたんですけれども、これも現場で声を聞いたんですけれども、結構な大手の荷主はもちろん、一次下請もそうですけれども、全然聞いていないよというふうに言われたんですよ。これは、周知徹底はどうなっているんですか。
○中野国務大臣 実運送体制管理簿につきまして、多重取引構造の可視化を目的といたしまして、昨年の法改正において、新たに作成が義務づけられたものでございます。
事実関係で申し上げますと、国土交通省では、本年四月一日から改正法が施行されておりますので、これは全日本トラック協会や関係省庁と連絡をいたしまして、トラック事業者や荷主向けの説明会を全国で開催をさせていただいております。本年三月までに約五千名の関係者の方に御参加いただいたほか、四月以降も引き続き全国各地で説明会を実施をさせていただいております。
このほか、当然、ウェブサイトですとか各種のパンフレット、チラシの配布等の周知も取り組んでいるところであります。
委員から、周知徹底がなされていないのではないかというお声は、当然それは受け止めさせていただきまして、実運送体制管理簿の制度は、多重下請の取引構造の是正を図るために大変大事な制度であるというふうに思っておりますので、丁寧にトラック事業者への周知を実施をしてまいりたいというふうに思います。
○高橋(英)委員 これは、ちゃんと免許を持っている運送業者の方々なんですから、やはり、通知か何か出したり、きちんとしないとこれは徹底できないと思いますし、恐らく、これは軌道に乗るまで結構時間がかかるんじゃないかなというふうに思っています、去年見たら結構面倒くさそうでしたので。これがきちんと回ってこないと、労働環境の可視化ができないわけですから、これはしっかりとお願いをしたいというように思います。
そして、ちょっと飛ばしますけれども、ちょっと二〇三〇年問題について聞かせていただきたいんですけれども、そもそも、これは国土交通省の大失敗だと思いますけれども、規制緩和をして、業者が増えて、運賃がダンピング状態になったというのがありますけれども、これははっきり言って、今のままだと多くの運送業者は淘汰をされていくと思うんですけれども、これは、去年も言ったかな、国交省としては適正な数まで運送業界を再編をしたいというふうに思っているんじゃないでしょうか。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
二〇三〇年に向けて、まだまだドライバーの逼迫状況は深刻化する一方でございますので、しっかりその対策を打っていくということでございますが、その際、大変重要なのは、トラック事業者が生産性を上げる、つまり、同じ仕事をして、より稼げるようにするということがポイントであると思っております。
その中で、再編を目指しているとかということではなくて、運送業界全体の生産性が上がるように、これは荷主とも協力しないとできないことでございますので、そこを関係省庁とも連携して、しっかりと、短い時間働いても、より稼げる産業にしていくということだと考えております。
○高橋(英)委員 だから、結局再編なんだというようにこれは思いますけれどもね。
では、本当にお聞きしたいですけれども、どうすればトラックドライバーがしっかりと稼げるようになるのかどうか。具体的な案はあるんでしょうかね。
○鶴田政府参考人 お答え申し上げます。
今生産性の向上というふうに申し上げましたが、別の言葉で言えば、効率化を進めていく。つまり、少ない輸送力の中でもより多くの荷物を運べるようになる。これが、しっかり、運んだ荷物の量に見合った運賃を収受するということにつながっていくと思います。
去年一年間、二〇二四年度で申しましても、トラックの荷待ち、荷役の時間がまだ短くなっていないというのは先ほど大臣が御答弁申し上げたとおりですけれども、一方で、積載率は想定したよりも向上しております。これは、一台のトラックが一回走ったときにより多く運んでいるということなので、まだまだそれが成果として十分になっていくには時間がかかるとは思いますけれども、第一歩として、そういったより効率が上がってということが始まっています。これは荷主の協力もあってのことでございます。
こういったことをしっかりと深めていくということが大変重要ではないかというふうに考えております。
○高橋(英)委員 さっきも言いましたけれども、現場では実際、二万五千円稼げないとか、そういうのが当たり前になっているので、これはやはり根本的には、今の荷主と運送会社の立場を逆転させるしかないと思いますよ。そう考えると、やはり再編が必要ですし、二〇三〇年まで、あと五年か、やはり国交省がやることは、これは言い方が悪いかもしれないですけれども、軟着陸をさせて荷主と運送会社の立場を逆転するような構造をつくっていけば、これは運賃は上がってきますよ。だから、そういったソフトランディングの方法もちょっと考えていった方がいいと思いますよ。
大体、私は、絶対にこれは国交省は再編を考えているというように、去年からというか、思っていますし、働き方改革、五年猶予があって、これは六年目なわけですよね。はっきり言って、六年目ですよ、いまだにこういった運賃が全然上がらないというか、今までより全然稼げなくなっているわけだから、絶対これは再編にならざるを得ないというように思うので、ソフトランディングをやはりきちんと考えていった方がいいと思いますので、その点、ちょっと大臣、考えを聞かせてください。
○中野国務大臣 お答えを申し上げます。
トラック運送事業者がなかなか価格転嫁ができないのはなぜなのかということで、いろいろな議論が今までされてまいりました。当然、荷主の立場というのが強いというのも、いろいろなお話もありましたし、多重下請構造で、これは相当な下請まで出すというふうなこともあろうかと思います。
その中で、我々は、何とか運賃をしっかりと取れないかということで、いろいろな制度改正をしてまいりました。その中で、先ほど申し上げました標準的運賃のような、価格交渉でこういうものを使えば、国もこれを参考指標で出しているということで、価格交渉が進むんじゃないかということもありまして、こういうこともやらせていただいております。
当然、こうした取組をしっかりと続けていくということもございますし、また、昨年、検討会も開始をしたんですけれども、やはり多重取引構造の中で、非常に、要は悪い条件で、価格交渉したら、いや、もっと安いので運んでくれる人がいるからいいよというふうに言われてしまう、そういう事業者もいて、なかなかこの構造が改善しないというふうな指摘もあったところでございます。
こうした状況も踏まえながら、更に様々な方策は講じる必要があるというふうに思っておりますので、これは関係者の御意見もしっかりと踏まえながら、引き続き検討してまいりたいというふうに思っております。
○高橋(英)委員 ありがとうございます。
多重構造をつくったのは国交省の失策なので、この失策をきちんと埋めるためにも、やはり二〇三〇年までにしっかりとした着地点を考えていっていただきたいというように思いますし、あと、私は、安易に外国人の労働力に頼るべきではないというふうに思います。やはり、自前、自国で、やはりそういう再編をしていくわけだから、労働力というのもそんなに今よりも必要ではなくなってくるんだろうというように思いますので、安易に外国人の労働力に頼ることはするべきではない。
これは建築業界にも言えるんですけれども、私、何度も言っていますけれども、大手ゼネコンは、今本当に首都圏で大きな災害があったら絶対に復興はできないと言っているんですね。その理由は、外国人労働者が多いから、外国人労働者が帰っちゃう。これは東日本の震災のときを見ても明らかだというんですよ。そうすると、復興どころではない。だから、やはり日本の自前の労働力、これをしっかりと確保していかなければいけないというように思っていますので、その辺は本当にしっかりとやっていただきたいと思います。
もう時間がないので最後にしますけれども、今度、高速道路、七月からでしたか、深夜割になるという話なんですけれども、深夜割になると、荷主から安い深夜に走れと強いられるようになってくると結構ドライバーは懸念をしているんですけれども、その点はいかがでしょうか。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
深夜割は、比較的交通量が少ない夜間の利用を促そうということでやっているんですけれども、現行制度は、ゼロ時から四時の間に少しでも通れば深夜割だということで、今何が起きているかと申しますと、料金所を通過する時間を調整をしようということで、ゼロ時前後に料金所前のスペースなどでかなり滞留をしているという問題が生じているということで、物流事業者の意見や有識者の委員会でも議論をしていただきまして、今度の新しい制度は、割引が適用される時間帯の走行分のみが割引の対象なんですけれども、割引の適用時間帯は二十二時から五時まで拡大をしよう、長距離を利用した場合に料金を逓減させる制度にしようという、こうした見直しの方針を公表させていただいたところでもございます。
今回、見直すことによって、深夜割引をする割引対象車両が増えたり、あるいは、車両の滞留、待っているという、改善ができるということで、これはトラックの業界団体にも御理解をいただいているんですけれども、引き続き、高速道路がより利用しやすい体系となるように、高速道路会社と連携をしながら、これは物流事業者などの利用者の御意見もまたしっかり伺いながら、継続して検討してまいりたいというふうに考えております。
○高橋(英)委員 時間が来ましたので終わりにしますけれども、いずれにしても、この問題、全ての、最初の失策は国土交通省にあるというのは、これは明確ですので、しっかりとした対応をお願い申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、西岡秀子君。
○西岡(秀)委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。
本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。
限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきます。
まず、昨年元日には能登半島地震が発災をいたしまして、その支援に向かっていました海上保安庁の航空機と着陸した日本航空の旅客機が羽田空港滑走路で衝突するという重大な航空事故が発生をいたしました。
海上保安庁の航空機に搭乗されておりました五人の職員の方が亡くなるという大変深刻な事故となりました。改めて、亡くなられた職員の方の御冥福をお祈りを申し上げたいと思います。
この事故を受けまして、二度とこのような事故が起こらないよう、再発防止に向けまして、航空法の改正案が今提出をされておりまして、次回の委員会で質疑が行われる予定となっております。再発防止へ向けてしっかりと議論をしてまいりたいというふうに思っております。
本日は、私、今の国際情勢を踏まえまして、海上保安庁における海上保安能力の機能強化についてお伺いをさせていただきます。
まず初めに、現在の海上保安庁の職員数の推移につきましてお伺いをさせていただきます。
先般、報道では、二〇二四年の若年層の職員の自己都合による離職、このことによって初めて定数が減員となったということが報じられました。このことを踏まえて、現状について御説明をお願いいたします。
○瀬口政府参考人 お答えをします。
我が国周辺海域の情勢が一層厳しさを増していることを踏まえ、海上保安庁では、海上保安能力強化に関する方針等に基づき、平成二十八年度から令和七年度までの間で、定員が約千四百人増員され、令和七年度末の定員は一万四千八百八十九人となっております。
一方で、この間、実際の職員数については、令和五年度末までは増加しておりましたが、少子化や社会の価値観の変化に伴い、若年層の自己都合退職者が増加するなどの要因で、令和六年度末には前年度末より六人減少をしております。
○西岡(秀)委員 今長官から御説明をいただきましたけれども、この自己都合でございますけれども、その理由というのは、状況というのは把握をされておりますでしょうか。これは直接通告をいたしておりませんけれども、もしお答えができればお願いをいたします。
○瀬口政府参考人 転勤ですとか、あるいは体調不良ですとか、そういったことでの離職者が増えております。
○西岡(秀)委員 今長官からお話がありましたように、初めて定員が減員となったということでございます。
私も、実は、二〇二三年でございますけれども、国民民主党の当時の安全保障調査会の役員で、海上保安庁石垣海上保安部にお伺いをいたしまして、尖閣列島周辺の領海警備の状況を視察をさせていただきました。尖閣専従体制の一翼を担っている巡視船「たけとみ」に乗船をさせていただきまして、機能の御説明をお伺いをいたしました。また、同時に、海上保安庁石垣航空基地にお伺いをして、航空基地の主な任務である海難救助と離島からの急患輸送の状況についても御説明をいただきました。また、機動救難士による訓練の様子も視察をさせていただきました。
まさに、海上保安庁は、日本の平和で豊かな海を守り、領海、EEZを守る治安の確保、また、海難事故の未然防止や救出活動を通じて人命救助に取り組むなど、多岐にわたって海の安全を三百六十五日守っていただいております。この御活動に、私も現地で視察をさせていただいて、改めて心から敬意を表したいというふうに思った次第でございます。
特に、近年、尖閣諸島周辺の接続水域では、ほぼ毎日、中国海警局の船舶が確認されるなど、領海侵入の状況が繰り返される、大変憂慮される事態が起こっております。今、この状況につきましては、先般、五月からもこの事例が多発をいたしておりますけれども、現在の状況につきまして御説明をお願いいたします。
○瀬口政府参考人 お答えをします。
尖閣諸島周辺海域においては、接続水域において、ほぼ毎日、中国海警局に所属する船舶による活動が確認をされ、領海侵入も相次いでおります。
また、近年では、尖閣諸島周辺の領海内における中国海警局に所属する船舶による日本漁船へ近づこうとする事案が繰り返し発生しているほか、本年五月三日には、中国海警局に所属する船舶の搭載ヘリコプターが尖閣諸島周辺の我が国領海の上空を飛行する事案が発生をしております。
これに対し、海上保安庁では、我が国領海に接近する中国海警局に所属する船舶に対し、領海に侵入しないよう警告を実施するとともに、領海に侵入する中国海警局に所属する船舶に対しては、領海からの退去要求や進路規制を繰り返し実施し、領海外へ退去させております。
また、日本漁船に近づこうとする事案の場合には、日本漁船の周囲に巡視船を配備し、安全を確保しているところです。なお、中国海警局に所属する船舶の搭載ヘリコプターの飛行に対しては、当該ヘリコプターに対する退去警告等を実施をしております。
さらに、尖閣諸島周辺海域において領海に接近する外国漁船に対しては、領海に侵入しないよう警告するとともに、違法操業の疑いがある外国漁船を確認したときは、退去警告を行い、領海外へ退去をさせております。
○西岡(秀)委員 今長官からも現状について御説明をいただきました。
日々、大変切迫した状況も生まれるというような状況でございますけれども、これらの領海監視活動の対応を行う上で、やはり、十分な体制の整備、また海上保安能力の強化は、我が国の喫緊の課題だと考えております。
職員の方々の業務量が大変増す中で、現状、人員も含めて十分な体制となっているとお考えであるのかどうか、海上保安能力向上に向けての海上保安庁長官の御見解をお伺いをいたします。
〔委員長退席、中谷(真)委員長代理着席〕
○瀬口政府参考人 尖閣諸島周辺海域を始め、我が国周辺海域をめぐる情勢が一層厳しさを増していることから、新たな国家安全保障戦略等の策定に合わせ、令和四年十二月に海上保安能力に関する方針が決定をされました。
この方針に基づき、海上保安庁では、大型巡視船等の大幅な増強、無操縦者航空機等の新技術の活用などを推進するとともに、人材の確保、育成も含めた業務基盤の整備などを行うこととしております。
特に、少子化や社会の価値観の変化が進む中、人材の確保、育成は重要課題であると考えており、海上保安官の募集活動の強化、教育訓練施設の拡充、職場環境の改善などを進めてまいります。
引き続き、海上保安庁では、我が国の領土、領海を断固として守り抜くという方針の下、海上保安能力を一層強化し、領海警備に万全を期してまいります。
○西岡(秀)委員 ありがとうございます。
職員の方々の安全確保、これも大変重要な課題だと思います。今、海警局の船舶が大型化、武装化をしているということも踏まえて、しっかり安全強化、職員の方の安全もしっかり守っていく、このことも併せて大変重要なことだというふうに思います。
今の長官の御答弁を受けまして、中野大臣から、保安能力の機能強化につきまして、一言、御発言をお願いいたします。
○中野国務大臣 西岡委員にお答えを申し上げます。
私自身も、本年の二月に、領海警備の最前線であります石垣海上保安部及び石垣航空基地を視察をさせていただきました。大変に士気高く領海警備に当たっていただいております海上保安官の皆様に、直接お話をさせていただき、また激励もさせていただきました。
この視察も通じまして、私は、大変に絶え間ない緊張感の下、大変厳しい環境の中で本当に崇高な使命感を持って業務に当たっていただいております海上保安官の皆様の任務の過酷さというものは、改めて認識をしたところであります。
海上保安庁を所管する国土交通大臣として、我が国の領土、領海、これを守り抜くために、海上保安能力の強化を着実に進めるとともに、海上保安官の勤務環境の改善や処遇の向上、先ほど来様々な御質問もいただいておりますが、こうしたことも重要であると痛感をしておりますので、これらについても引き続き取り組んでまいりたいというふうに思います。
○西岡(秀)委員 今大臣からも、人材確保、職員の待遇改善ということについて御言及をしていただきました。
現在の取組と今後の方針について、改めて長官にお伺いをいたします。
○瀬口政府参考人 現在、海上保安庁におきましては、海上保安大学校及び海上保安学校の採用試験の試験科目などの見直し、SNS、進学、就職情報サイトなどを活用した募集活動の強化、定年退職者等の再任用の促進、中途採用、再採用の拡大など、あらゆる方策により人材確保に努めているところであります。
また、社会の価値観の変化などにも対応できるよう、巡視船のネット環境の整備や居室の個室化、宿舎の居住環境の改善や女性施設の整備などを進めるとともに、船艇職員も含め柔軟な勤務時間を選択可能にするなどのワークスタイル改革により、家庭と仕事が両立できる働き方を推進し、職員の職場環境や処遇の改善を図っております。
さらには、令和六年十月に、海上保安庁の次長を本部長とする海上保安庁カイゼン推進本部を設置し、全庁一丸となって、より一層の職員の勤務環境や処遇の改善に取り組んでまいります。
海上保安庁では、引き続き、優秀な人材の確保に努め、国民の負託に応えられる海上保安官を育成し、多様化、複雑化する海上保安業務に適切に対応してまいります。
○西岡(秀)委員 ありがとうございます。しっかり職員の待遇改善を進めていただきたいというふうに思います。
本日はありがとうございました。長官には、これで退室をしていただいて。本日は御答弁ありがとうございました。
続きまして、観光産業につきまして質問をさせていただきます。
観光立国である我が国にとって、観光産業、これは成長戦略であり、まさに地域活性化の柱でございます。私の地元長崎県も観光立県でございまして、この観光産業の課題というのは地域の課題と言っても過言ではないというふうに思います。
コロナ禍において人の移動が制限されるという事態の中で、観光産業は大打撃を受けたわけでございますけれども、やっと回復基調になってきております。
ただ、コロナ禍で多くの観光産業に携わっていただいた方々が離職をされたという中で、なかなか人材が戻っていない。少子高齢化という社会の情勢もありますけれども、観光産業における人手不足、これが大変極まって深刻な状況だと認識をいたしております。
現在、賃上げの流れが一昨年から出てきておりますけれども、観光産業に従事しておられる方々の賃金水準、これは依然として他産業に比べて低い水準にとどまっておりまして、また、適正な価格転嫁もなかなか進んでいない産業でございますので、この厳しい現状を踏まえまして、観光人材の育成、確保、この取組への一層の支援強化が必要だと考えますけれども、このことについての観光庁からの御見解をお伺いをいたします。
〔中谷(真)委員長代理退席、委員長着席〕
○平嶋政府参考人 宿泊業を始めといたします観光業はサービス産業でございます。現場でサービスを提供される従業員の方々の存在なしには成立しないところでございます。
コロナ禍後、我が国の観光需要は着実に回復し、多くの観光地で活気が戻っております。また、特にインバウンドにつきましては好調な状況でございます。
一方、宿泊業では、コロナ禍により極めて大きな影響を受けまして、これに伴い、従来から指摘されていた収益性、賃金水準の低さ、人手不足といった構造的な課題が顕在化しているところでございます。特に従業員数につきましては、コロナ前の水準まで回復していない状況にございます。
宿泊業のこうした課題を解消しまして、稼げる産業への変革を推進していくという観点から、適正なサービスの対価を収受しながら、また、従業員の働き方を効率化、省力化しまして、人手をかけるべき業務に人材を集中投下できるような、そうした環境をつくっていくということが重要でございます。
観光庁では、例えば宿泊業につきましては、自動チェックイン機、予約等管理システムといった設備投資に支援を行っているところでございます。
また、こうした取組に加えまして、観光庁において、ユニバーサルツーリズムの促進に資する宿泊施設、観光施設の改修、それから宿泊施設における省エネ設備等の導入、こういった幅広い取組の支援も講じているところでございます。
引き続き、こうした宿泊業を始めとします観光業の稼ぐ力の回復、強化のために必要となる支援をしっかり行っていきたいと思っております。
○西岡(秀)委員 今、平嶋次長からお話がございましたけれども、この観光人材の育成、確保につきましては、一段の支援が必要だというふうに思っておりますので、一層の支援を是非引き続きお願いを申し上げたいと思います。
観光産業につきましては、先ほど次長からもございましたインバウンド需要、これは大変好調な状況がありますけれども、ただ一方で、オーバーツーリズムの状況も大変深刻化をいたしております。
その意味でも、今まだまだ需要に結びついていない地方の、地域への誘致というのが大変重要ではないかというふうに考えておりますけれども、この取組について、御見解と方針についてお伺いをさせていただきます。
○平嶋政府参考人 観光需要が堅調な成長軌道にある中、観光客が集中します一部の地域、時間帯において、過度な混雑、マナー違反による地域住民の生活の質への影響等が生じていると認識しております。
このため、観光庁では、一昨年に決定されましたオーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージに基づきまして、各地域における、観光客向けの移動手段などの受入れ環境の整備、増強、また、混雑状況の可視化など、需要の分散、平準化、マナー違反の行為の防止、抑制といった様々な取組への総合的な支援を進めているところでございます。
我が国には、各地に様々な魅力的な観光資源が数多くございます。こうした中、必ずしも集客に結びついていないこうした魅力的な地域にインバウンドを誘客してまいりますことは、日本各地への観光客の分散化につながる有効な取組だと考えております。また同時に、地方創生の観点でも非常に重要だと考えているところでございます。このため……
○井上委員長 既に時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
○平嶋政府参考人 このため、観光庁では、誘客促進に向けて、体験コンテンツの造成支援など様々な取組を行っているところでございます。
観光庁としまして、引き続きこうした取組を継続しまして、持続可能な観光立国の推進に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○西岡(秀)委員 時間となりましたので、残りの質問はまた次回に回させていただきます。
本日はありがとうございました。
○井上委員長 次に、たがや亮君。
○たがや委員 れいわ新選組のカンピューターつきトラクター、たがや亮と申します。
先ほど、立憲の松田委員から今日は何の日的な話が出まして、旅の日だということで、毎回毎回そういう、今日は何の日のネタを披露して、誕生日おめでとうございますと言われるものですから、もう気になって気になってしようがないので、私も今日は何の日かというのを調べたんです。いろいろあるんですね。大手すしチェーンはトロの日、それから美容業界はいい色髪の日、国連は平和に共存する国際デー、十六茶の日、様々あって、あしたは十七日ですから大谷翔平の日という、まあ、どうでもいいことを私も調べていて、何を俺は調べているんだろうなと思いつつ、時間もないので質問に入らせていただきたいと思います。
今日は、本当は消費者特別委員会等の質問になろうかと思うんですけれども、どうしても物流にも絡んでくるということもあるので、送りつけ詐欺ですね、要は、代金引換の送りつけ詐欺に関してちょっと質問をさせていただきたいと思っております。
皆さん、委員の中でも、知らないものが届いて代金引換で払ってしまったという方はいらっしゃらないですかね。実は私はありまして、去年、代引きで三万八千円ぐらいかな、というものが嫁さん名義で来て、ついつい払ってしまったんです。嫁さんが帰ってきて、中を開けてバッグかなんかが入っていたんですけれども、ちょっと安っぽいバッグが入っていたんですけれども、三万八千円とは見えないようなバッグが入っていて、こんなの頼んだ覚えがないということで、そのショッピングサイトが大手だったので返金はしてもらえたということでよかったんですけれども、意外とこういうことが増えていまして。
もっと言うと、私の友人の元参議員は干し芋が大好きで、しょっちゅう干し芋を通販で買っていたらしいんです。そうしたら、あるとき、干し芋という名目の箱が届いて、自分が頼んだのかなと思って開けてしまったと。郵便局から届いたらしいんですけれども、実際は自分のいつも頼んでいるものじゃないということに気づいて、すぐ郵便局に電話して、これは返金してくれ、その場でお金を払っちゃったけれども返金してくれと。なかなか応じてくれない、そういうことになって大変なことだったということなんですけれども。
要するに、何が言いたいかというと、宅配業者がそういう詐欺の受け子役にさせられている、そういうことが今起こっているんですね。
やはり巧妙なのは、さっきの元参議員の友人は、干し芋が好きじゃないですか。多分、アルゴリズムで、この人は干し芋が好きなんだ、だから干し芋を売りつけちゃえということになろうかと思うんですけれども、そういったことがありまして、消費者特別委員会では、私は二点改善点を要望したんですね。
一点目は、宅配業者と契約している販売業者が悪徳業者と判明した場合は、速やかに各関係省庁が情報共有をして、悪徳業者との代引き契約の解除ができる法整備をしていただくということ。二つ目は、うっかり代金を支払ってしまった消費者が被害者とならないよう、即時決済をさせず、まずは、クーリングオフと同じく八日間は宅配業者が現金を預かって返金可能などの措置を取り、悪徳業者か見極める期間を設ける、宅配業者も返金の措置ができるといった法整備をしていただきたいというお願いをしました。
担当大臣の伊東大臣からは、「極めて妥当なものであろうというふうに思うところであります。消費者保護を徹底していくためにも、御指摘のように、宅配事業者が悪質な事業者に利用されないよう、関係省庁、警察も含めて連携を密にして取り組んでいくことが重要である、このように感じております。」、また、「関係省庁による不正利用による被害を防止するための取組と連携を更に密にして対応してまいりたい」との答弁をいただいております。
そこで、今日は、国交省もこういうことを知っていただいて、他省庁との連携を更に強化していただきたいという思いで質問をさせていただきます。
宅配業の即時決済を悪用した送りつけ商法について、運送業者が受け子の役割を担わされている。送りつけ商法の被害防止について、消費者庁は、国交省を始めとする他省庁との情報共有を行っていると思うんですが、どのような連携を図っているのか、お伺いをしたいと思います。
○藤本政府参考人 お答えいたします。
送りつけ商法の被害防止につきましては、全国の消費生活センター等で受け付けました消費生活相談情報をPIO―NETというシステムに集約をしております。こちらは他省庁からも直接情報を見ることができるというものになっております。送りつけ商法に関する相談状況等を他省庁とも連携して確認することで、消費者トラブルの状況の把握等を行っているところです。
こういった取組を通じまして、消費者保護を徹底すべく、関係省庁と連携を密にして取り組んでまいりたいと考えています。
○たがや委員 ありがとうございます。
続いて、国交省にお伺いします。
国交省所管の宅配業者を受け子とするような詐欺行為である送りつけ商法に加担する悪質な通信販売業者についての情報共有や、被害の防止に向けての対策や啓発は、国交省と宅配業者の間ではどのように行われているのか、お伺いします。
○鶴田政府参考人 お答えいたします。
いわゆる送りつけ商法による被害の防止に関しましては、今も答弁ありましたように、消費者庁を中心に取組を進めているものと承知しております。
なお、宅配事業者における現状について大手三社に確認しましたところ、代金引換の商品については、受取人が荷物の受取又は代金の支払いを拒否した場合には配達を行わない、また、代金を収受した場合には返金を行わない、そういう取扱いが現状でございます。
国土交通省としましては、消費者庁を始めとした関係省庁としっかり連携を密にしながら宅配事業者への周知などを行っておりますが、必要に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。
○たがや委員 ありがとうございます。
関係省庁と連携を図るということですので、国交省の側だけでもできる準備をしていただきたいなと思うんですけれども、例を挙げるなら、大量の返品や苦情の多発、成り済ましの住所など、明らかに不自然な配送依頼を繰り返す販売事業者についての情報共有を行うため、宅配業界のガイドラインや注意喚起の制度化を宅配業者とともに進めていただきたいと思います。
送りつけ商法の被害防止のために、代引き支払いの際に即時決済をさせず、一定の期間は決済を保留する措置を取って、消費者に不利益が生じず、宅配業者が受け子とならないような制度の可能性について、消費者庁の御見解をお願いをいたします。
○藤本政府参考人 お答えいたします。
特定商取引法が一番近い法律になりますけれども、こちらは事業者と消費者との間における取引に適用されるものでありまして、取引の相手方ではない宅配事業者や郵便事業者と消費者との間の金銭の授受、あるいは、こうした事業者と、出し元ですね、店舗との金銭の授受等については定めるものではないというのが現状ではあります。
ただ、消費者庁といたしましても問題意識は高く持っておりまして、送りつけ商法につきましては、令和三年七月に施行されました改正特定商取引法によりまして、消費者は送りつけられた商品を販売業者に返還せず、直ちに処分できるということとする措置を講じたところであります。
繰り返しになりますけれども、消費者庁といたしましては、関係省庁との連携を行いまして、消費者被害の防止に向けて、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○たがや委員 ありがとうございます。
消費者庁は販売業者と消費者との間に入るということですので、宅配業者と消費者の間の制度は国交省の担当ということになると思います。今回の質疑に際しての質問通告では、金融庁は代引き支払いの制度の変更については関係していないということでしたので、国交省は心置きなく、代引き支払いの際に即時決済を生じさせない方法について是非対応をしていただきたいと思います。
特に総務省管轄の郵便局、郵政というのは総務省が大株主になっていますので、ある意味、総務省の関係の郵便局員が受け子の役目をさせられるというのは非常に恥ずかしい話になると思いますので、是非とも早急に対応していただきたいな、そのように思っております。
次の質問に参ります。
NEXCO東日本の、とあるパーキングエリアにおける点字ブロックについてお伺いします。
これは支援者の視覚障害者の御家族の方から相談を受けたものなんですけれども、資料一を御覧ください。点字ブロックの延長線上に柱が立っている事案について、バリアフリー、ユニバーサルデザインの観点から問題があるように見えますが、この点字ブロックと柱について、その意味をお伺いしたいと思います。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
まず、点字ブロックの意味するところでございますけれども、歩道等に用いられます視覚障害者誘導用ブロック、いわゆる点字ブロックの形状については、JIS、日本産業規格で規定をされております。大きく二つの形状がございまして、一つは、歩行の方向を示す目的で用います線状のブロック、もう一つは、危険の可能性などを注意喚起するために用います点状のブロックでございます。
御指摘の写真の点字ブロックにつきましては、点状の突起が配列をされております点状のブロックとなっておりますので、危険の可能性などについて注意喚起をするために設置されたものとなります。
この写真を見て、この点字ブロックの右側が休憩施設になるかと思います。それで、左側が駐車場、車が通る場所ということになっておりますので、一般的に、NEXCO東日本に確認をしたところ、休憩施設の通路と車が通る車道の境界の部分、ここの部分に、視覚障害者の方がふいに車道の方、駐車場の方に踏み出さないように注意喚起するために、こうした視覚障害者用の点状のブロックを設置するという設計の要領を定めておるということでございますので、これに基づいて、こうした点状ブロックを設置したというものであるというふうに考えられるというふうに思っております。
○たがや委員 ありがとうございます。
では、建物の完了検査の際にも問題視をされなかったということでよろしいでしょうか。
○楠田政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘の点状ブロックにつきましては、平成二十二年に建築物が建築をされた際には敷設をされておりませんで、令和三年六月に敷設されたものというふうに承知をしております。
建築基準法に基づきます完了検査は建築物の工事が完了した際に実施をされるものでございまして、御指摘の点状ブロックにつきましては、建築物の工事完了時には存在をしておりませんでしたので、完了検査の対象にはなっておりません。
○たがや委員 ありがとうございます。
ということは、注意喚起の目的の点字ブロックは柱の位置とは関係なく設置したということですかね。歩道と車道の位置関係を示すといえども、途中に柱が入ったりというのは余りにもちょっと雑過ぎるんじゃないかという印象を持ちました。
写真を見れば、誘導用のブロックは敷かれておりません。注意を喚起する目的のブロックなので、通路を示す誘導用のブロックではないのだから、お役所の手続上は問題がないということかもしれませんが、視覚障害者にとっては実質的には誘導のためのブロックになっていると思います。視覚障害だけでなく、健常者やお酒に酔った方など、点字ブロックに沿って歩く場合も多く、そういうとき柱にぶつかっちゃうと思いますので、その辺も考慮していただければなというふうに思います。
時間が来たので終わりますが、最後に、資料二の下にある段差識別マークを御紹介したいと思うんですが、黄色のマークが階段に貼ってあることで、視力の弱い方など……
○井上委員長 時間が経過しておりますので、終了してください。
○たがや委員 はい。
段差を認識しやすく、安全に階段を上り下りできるそうです。こういった取組も是非考えていただければと思います。
質問を終わります。ありがとうございます。
○井上委員長 次に、堀川あきこ君。
○堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。
今日は、北陸新幹線の延伸計画について質問をしたいと思います。
四月の二日に、委員会でこの質問をさせていただきました。懸念となっている地下水への影響について、この間、鉄道・運輸機構、国交省は、京都市の地下鉄東西線の地下工事での地下水位低下についての分析を示した上で、地下水に影響がないというふうな根拠にしています。
そこで私は、本当にそうなのかということで、地下鉄東西線の井戸の補償について尋ねました。資料の一の二を、二ページ目のところを見ていただきたいんですけれども、これは四月二日の会議録未定稿です。マーカーで引いてあるEの部分ですね。私が、二条駅よりも東の路線工事では相当数の井戸の補償があったということ、これは当然説明されるべきだと思うんですが、この井戸の補償について国交省は確認していたのでしょうか、確認していたのであれば、なぜその記述がここにないのでしょうかというふうに聞いています。
これに対して、五十嵐鉄道局長は、次のマーカーのところ、Fの部分なんですけれども、御指摘がありました井戸の補償件数につきましては、報道では承知しておりますが、報道が出た後も京都市交の方に確認を求めておりますが、現時点で京都市交からの御協力が得られていないというふうな答弁をされました。これはまるで京都市が非協力的だと言わんばかりの口ぶりだというふうに思うんですけれども、続いて、資料の二を御覧いただきたいです。
これは、この質問の後日、国交省からのレクでいただいた資料です。
二ポツの、「井戸の補償実績に関する資料について」の下から二つ目のところ、下線を引いてあるんですけれども、「二〇二五年一月十七日、京都市より機構北陸局へ、メールで資料を提供」というふうに書いてあります。つまり、一月十七日に、京都市は鉄道・運輸機構の北陸局に資料を提出していたということなんですね。
この四月二日の局長の答弁は明らかに誤りです。この答弁を撤回して、京都市に謝罪すべきではないでしょうか。局長、お願いします。
○五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の井戸の補償実績に関しては、鉄道局におきまして、昨年八月の報道を受けまして、鉄道・運輸機構を通じて、報道に記載されていた、京都市が京都市議に提出した資料の提供を京都市に依頼をいたしましたが、京都市が京都市議に提出した資料そのものを提供することは難しいとの連絡を受けておりました。また、鉄道局におきまして、今年一月の報道を受けて、再度、鉄道・運輸機構を通じて京都市へ情報提供を依頼しましたが、鉄道局は関係資料を受領するに至りませんでした。
したがいまして、先日、四月二日の答弁時点までにおきましては、鉄道局は現に井戸の補償実績に関する資料を持ち合わせておりませんでしたので、本日議員が資料としてお示しされている議事速報、Fのとおり答弁をしたというところでございます。
議員からも御紹介ありましたけれども、この答弁の翌日以降も、本件につきまして、議員及び議員事務所と鉄道局で何度もやり取りをさせていただいておるところでございます。
その中で、当該資料について改めて事実関係を確認したところ、京都市から鉄道・運輸機構北陸局に対して本年一月十七日に情報提供され、同日に鉄道・運輸機構北陸局から鉄道・運輸機構本社へ資料が提供されていたことが分かりました。
また、鉄道・運輸機構本社の担当者から鉄道・運輸機構北陸局へ、一月十七日に受領した資料について、提供資料は京都市議へ提出されたものなのかとの確認を行い、一月二十日に鉄道・運輸機構北陸局より鉄道・運輸機構本社へ、提供資料は京都市議へ提出されたものとの回答がなされたと聞いております。
京都市から鉄道・運輸機構に提出された資料については、数十ページに及ぶ原データでございましたこともありまして、鉄道・運輸機構の本社担当者は、依頼の当初から、報道で掲出された集計表のような資料をイメージしておりましたので……
○井上委員長 答弁は端的にお願いいたします。
○五十嵐政府参考人 はい。
このようなやり取りを経た後も、引き続き、井戸の補償実績を入手できていなかったものと誤認していたというふうに聞いております。
したがいまして、当該資料につきましては、京都市から鉄道・運輸機構に対して情報提供されておりましたが、鉄道・運輸機構から鉄道局に対して、答弁の時点で情報提供はされていなかったということが確認をされました。
四月二日の答弁当時においては……(発言する者あり)
○井上委員長 端的に答弁をお願いします。
○五十嵐政府参考人 現時点におきまして、京都市から鉄道・運輸機構に対しては当該資料が提供されていることが確認をされましたので、先日の答弁のうち、現時点で京都市交からの御協力が得られていないという部分については、正確ではなかったと認識をしております。
以上でございます。
○堀川委員 最後の部分だけを答えていただけたらよかったんです。十分しかないんです。御協力をお願いします。
誤りだったというふうなことを認めるのであれば、これは撤回すべきですし、京都市に謝罪するべきだというふうに思うんですね。長々と経過を説明していただきましたけれども、まるで仕方がないような答弁なんですよね。
結局は、そちらの鉄道・運輸機構と国交省のところでの連絡共有体制に不備があったというふうなことなんですけれども、それはそちらの不手際であって、責任ですよね。京都市には何も関係ないことなんです。今回、京都市はちゃんと運輸機構の求めに応じて協力はされていたということなんです。
これはきちっと撤回するべきであり、京都市に謝罪すべきである、これをやってください、局長、もう一度答弁をお願いします。
○五十嵐政府参考人 先ほど御答弁したとおりの事実でございましたので、京都市からの協力は得られていたという事実でございますので、議事録、お示しいただいている議事速報に載っております、京都市交の協力が得られなかったという部分に関しましては、撤回をいたします。
それから、京都市へ謝罪するべきではないかというお尋ねでございますが、本件については、そういった事実を確認した以降でございますけれども、四月の下旬に鉄道局の審議官が、私の部署でございますけれども、京都市役所を訪問し、御迷惑をおかけし申し訳ないと謝罪をしているところでございます。
以上でございます。
○堀川委員 では、謝罪したというふうに答弁していただければよかったのではないでしょうか。
もう一つ指摘したいのは、この井戸の補償件数の確認だけではないんです。
地下鉄の東西線工事の地下水への影響に関する報告書についても、必要な確認をされていなかったということが明らかになっているんですね。
資料の一の一を御覧いただきたいんですけれども、時間の関係で紹介はちょっと省略はしますけれども、四月二日の議事録の未定稿です。
ここで、鉄道・運輸機構が入手しているのは、この報告書の一部だけであって、全部ではないから提供できないという趣旨の答弁がありました。資料二に、この資料についても、四月十七日、鉄道・運輸機構において、保有している資料が報告書全体であることを確認したというふうになっているんですね。
これは何で四月二日までに確認しなかったのか、お聞きしたいんですが、いかがでしょうか。
○五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。
事実関係として、長くならないようにいたしたいと思いますけれども。
先生のこのお示しされている資料、これは、四月二十二日に私どもから先生の事務所にお出ししたものでございます。
ここにありますように、四月二日の答弁時点までにおいては、機構におきましても、保有している資料が全体か否かという認識がなかったという前提でございましたので、四月二日については、私も、鉄道局はその時点で現に報告書の一部しか持っていないということは事実でございまして、鉄運機構も同様であろうと認識しておりましたので、議事録でお示ししたような答弁をしたところでございます。
これにつきましても、その後の事実として、ここにございますけれども、十七日に、機構が保有しているものが全体であるということが分かりましたので、この部分について、鉄運機構及びと、鉄運機構も一部しか持っていないというふうな答弁を申し上げた私の答弁は正確ではなかったと認識をしております。
○堀川委員 余りにもずさんだというふうに指摘をしたいと思います。
最後、大臣にお聞きしたいんですけれども、こんなずさんな確認の在り方で、先日の委員会で局長は不確定な答弁を、誤りだった答弁をしたわけです。こんなこと、許されるのかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○中野国務大臣 事実関係につきましては、先ほど来、鉄道局長から答弁をしたところでございますけれども、鉄道局と鉄道・運輸機構との間での情報共有が徹底されていなかったということによるものと認識をしております。
今後、このようなことがないように、連絡共有体制につきまして、より一層密にしてまいりたいというふうに思います。
○堀川委員 地下水の懸念に関しては、京都全体に広がっている、本当に深刻な懸念なんです。一つ一つの対応を京都の方たちが見ています。
こんなずさんなやり方で、北陸新幹線の延伸計画に不信を抱いている方々の不安は絶対に払拭されないということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
――――◇―――――
○井上委員長 次に、内閣提出、航空法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣中野洋昌君。
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航空法等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○中野国務大臣 ただいま議題となりました航空法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明を申し上げます。
昨年一月二日に、羽田空港において航空機衝突事故が発生をし、海上保安庁の職員五名が亡くなるという痛ましい結果となりました。このような事故を二度と起こしてはならないとの決意の下、管制業務の実施体制の強化などの対策と併せて、空港における滑走路の安全対策の強化や、パイロットのヒューマンエラーの未然防止を図るための制度的な措置を講じ、航空の安全、安心対策に万全を期する必要があります。
また、昨年一月一日に発生をした能登半島地震による能登空港の被災を通じて、空港管理者が被災自治体等である場合には、応急の災害復旧工事などが十分に実施できないことがあるという課題が明らかになりました。そのほか、高度な技術や機械力を要する工事については、地方管理空港等の空港管理者では、技術者の不足により実施できないおそれがあります。このような状況に鑑み、空港の機能を適切に維持できるようにするための措置を講ずる必要があります。
このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、空港における滑走路の安全対策を強化するため、空港等を管理する際に遵守すべき空港等の機能の確保に関する基準に、滑走路への誤進入を防止するための施設の維持管理及び改修に関する事項を追加することとしております。
第二に、パイロットのヒューマンエラーの未然防止を図るため、パイロットに対し、頻繁に離着陸が行われる空港等において離着陸する場合などにあっては、事前にコミュニケーション能力やタスク管理能力を向上させるための訓練を修了しておくことを義務づけることとしております。
第三に、地方管理空港等の機能を適切に維持するため、応急の災害復旧工事や、高度な技術を要する滑走路等の大規模な改修工事などについて、国土交通大臣が地方管理空港等の空港管理者に代わって行うことができることとしております。
そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願いを申し上げます。
○井上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十一日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時九分散会