衆議院

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第1号 令和6年4月3日(水曜日)

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令和六年四月三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

  経済産業委員会

   委員長 岡本 三成君

   理事 小林 鷹之君 理事 鈴木 隼人君

   理事 松本 洋平君 理事 山下 貴司君

   理事 荒井  優君 理事 山岡 達丸君

   理事 守島  正君 理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    石井  拓君

      加藤 竜祥君    神田 憲次君

      国光あやの君    鈴木 淳司君

      関  芳弘君    高木  啓君

      冨樫 博之君    中川 貴元君

      福田 達夫君    細田 健一君

      宮内 秀樹君    宗清 皇一君

      山際大志郎君    吉田 真次君

      和田 義明君    若林 健太君

      大島  敦君    落合 貴之君

      小山 展弘君    重徳 和彦君

      田嶋  要君    山崎  誠君

      市村浩一郎君    小野 泰輔君

      山本 剛正君    吉田 宣弘君

      笠井  亮君    鈴木 義弘君

  環境委員会

   委員長 務台 俊介君

   理事 畦元 将吾君 理事 伊藤 忠彦君

   理事 小倉 將信君 理事 堀内 詔子君

   理事 馬場 雄基君 理事 森田 俊和君

   理事 奥下 剛光君 理事 鰐淵 洋子君

      井上 貴博君    石原 正敬君

      金子 容三君    菅家 一郎君

      国定 勇人君    笹川 博義君

      宮澤 博行君    柳本  顕君

      鷲尾英一郎君   大河原まさこ君

      近藤 昭一君    篠原  孝君

      松木けんこう君    屋良 朝博君

      杉本 和巳君    空本 誠喜君

      中川 康洋君

    …………………………………

   経済産業大臣       齋藤  健君

   環境大臣         伊藤信太郎君

   経済産業大臣政務官    石井  拓君

   経済産業大臣政務官    吉田 宣弘君

   環境大臣政務官      国定 勇人君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           浦田 秀行君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           殿木 文明君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 村瀬 佳史君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  秦  康之君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            土居健太郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           鑓水  洋君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

   環境委員会専門員     野崎 政栄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案(内閣提出第一六号)

 二酸化炭素の貯留事業に関する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――

岡本委員長 これより経済産業委員会環境委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 内閣提出、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案及び二酸化炭素の貯留事業に関する法律案の両案を議題といたします。

 両案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付の資料をもって説明に代えさせていただきますので、御了承願います。

 これより質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。畦元将吾さん。

畦元委員 自民党・無所属の会、畦元将吾です。質問の機会をいただきありがとうございます。

 時間もないので、早速質問に移ります。

 まず最初に、二酸化炭素の貯留事業に関する法律案、CCS事業法の関連について質問をさせていただきます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、今後、脱炭素化が難しい分野においてGXを実現することが課題であることは理解できます。こうした分野における化石燃料、原料の利用後の脱炭素化を進める手段として、CO2を回収し地下に貯留するCCSの導入が不可欠なことも理解できます。

 我が国として、二〇三〇年までに、民間事業者がCCS事業を開始するため事業環境を整備することとしており、公共の安全を維持し、海洋環境の保全を図りつつ、事業環境の整備をするために必要な貯留事業者の許可制度等を整備すると聞いております。

 質問ですけれども、貯留事業の許可制度や規制の創設をするとお伺いしておりますが、どのように取り組んでいくのか、具体的に教えていただけますでしょうか。お願いします。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 海域で行われるCCS事業については、海洋環境保全の観点から、廃棄物等の海洋投棄を規制するロンドン議定書の担保措置として、これまで環境大臣が海洋汚染等防止法に基づく許可等を担当してまいりました。

 今回のCCS事業法案は、海域でのCCSについて、貯留事業実施計画や閉鎖措置計画の認可を経済産業大臣とともに共管し、特定区域の指定、貯留事業の許可や事業廃止の許可については環境大臣の同意を要することとしておりますなど、事業の開始前、実施中、終了時という事業のライフサイクル全般にわたって、海洋環境の保全の観点から必要な措置を講じることとしてございます。

 こうした措置により、海洋環境の保全を大前提としつつ、環境と調和したCCS事業が円滑に実施されるよう、経済産業省と連携しながらしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

畦元委員 大臣、ありがとうございました。

 CCS事業は大変重要だと思いますし、これからすごく必要なところだと思いますので、よろしくお願いします。CCS事業が安全に効率よく進むために、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、次の質問に移ります。

 貯留事業者に対する規制の中で、モニタリングの貯留事業場の管理はどのようにするのでしょうか。

 操業中、CO2注入停止後、移管後のCO2の漏れ等の問題が発生していないか等、私も監視目的のモニタリングは重要と考えております。具体的に誰がどのような対応をするのか、教えてください。また、海外の対応はどうなっているのかも詳しく教えていただければ幸いです。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、諸外国のモニタリングの事例でございますけれども、例えばEUのCCS指令におきましては、貯留されたCO2の挙動などに関して、シミュレーションモデルを用いて事前に予測したCO2の挙動と実際の計測で分かってくる挙動との比較を行うこと、あるいはCO2の移動や漏えいの有無の確認などの義務が課されているというところでございます。

 今般のCCS事業法では、貯留事業者に対しまして、CO2を注入している期間だけではなく、CO2の注入停止後も一定期間、貯留層の温度や圧力などのモニタリングを行うことを義務づけることとしておりまして、その結果、CO2の貯留の状況が安定していて、かつ、その状況が将来にわたって継続することが見込まれることなどの一定の要件を満たした場合に限って、モニタリング業務などの貯留事業場の管理業務をJOGMECに移管することを認めるということにしてございます。

 引き続き、貯留事業者やJOGMECによるモニタリングの具体的な内容については、諸外国の動向や最新の技術的知見などを踏まえて引き続き検討していくこととしておりますけれども、こうしたモニタリングを通じて、CO2の安定的な貯留をしっかりと確保していきたいというふうに考えてございます。

畦元委員 ありがとうございました。

 モニタリングはとても重要だと思いますし、注入後、なかなか、ブームというかがちょっと落ちちゃうと思うので、注入後のモニタリングも大変重要だと思いますので、よろしくお願いします。

 また、日本のモニタリング技術が世界でトップクラスのシステムになれば、国民はもちろん安心ですし、海外への輸出の可能性も出てくるんじゃないかと思って期待しております。ちょっと違うんですが、私は放射線がメインなんですが、放射線のモニタリングという技術も日本はすごい進んでいましたので、CO2もまた同じように、モニタリング技術、これはとても大事なことなので、地味ではありますがとても大事なことなので、よろしくお願いいたします。

 では次に、低炭素水素関連について質問をいたします。

 国が前面に立って低炭素水素等の供給、利用を早期に促進するために、一、基本方針の策定、二、需給両面の計画認定制度の創設、計画認定を受けた事業者に対する支援措置や規制の特例措置を講ずる、三、低炭素水素等供給拡大に向けて、水素などを供給する事業者が取り組むべき判断基準の策定等の措置を講じると聞いております。

 そこで、こう書くとあれなんですが、もっと具体的に説明いただけるとうれしいなと思っているんですが、今言った一、二、三におけるそれぞれのロードマップ、工程スケジュール、いつまでにどうするかとか、あとは、現段階で注意すべきところなどが今あれば少し詳しく教えていただけると幸いです。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御審議の結果、水素社会推進法案が今国会で成立することとなれば、今年夏をめどに、基本方針の策定あるいは判断基準の策定といったようなものを行っていきたいと考えてございます。また、御下問の計画認定制度につきましては、今年夏頃をめどに、同じく具体的な制度内容の詳細を明らかにしたいと考えてございまして、申請受付を企業の方々から受けることになります。こちらにつきましては、計画の中身をしっかり見ながら年内から認定を始めていきたいというふうに考えてございます。

 御下問の懸念点といったような点でございますけれども、こうしたスケジュールで進めていく上では、法案の支援の活用を検討している事業者の方々が、供給、需要が一体となった事業計画の具体化、これを加速していただく必要がございます。よいものから順次年内から認定を始めていきますので、まずその具体化を図っていただきたいと思っておりますし、地方公共団体の方々にも、個々の事業者がまとまるようしっかりサポートしていただけることを期待いたしております。

 諸外国では大胆な支援措置に取り組んでおりますので、我が国としてもスピード感を持って取り組むべく、円滑な制度立ち上げ、事業者や自治体とのコミュニケーションの強化を政府としても図っていきたいと考えてございます。

畦元委員 ありがとうございました。

 タイトなスケジュールだと思いますが、エネルギーとして水素はとても大事なことだと思いますので、是非ともよろしくお願いいたします。

 次の質問ですが、水素の需要創出に向けた取組、具体的に、可能ならば具体例なども加えてお教えいただければ幸いでございます。

秦政府参考人 お答えいたします。

 水素は、利用時にCO2を排出せず、かつ、製造段階で再エネを活用することによりまして、脱炭素化に大きく貢献することができると考えてございます。

 こうした観点から、環境省では、これまで全国の十三か所におきまして、再エネ等の地域資源を活用いたしました水素の製造、貯蔵、運搬、利活用の各設備とそれらをつなぎますインフラネットワークの整備による水素サプライチェーン構築、こうした実証を通じまして、低炭素型の水素の製造や利用の促進に取り組んできたところでございます。

 具体的な事例をということでございますので、例えば山口県の周南市、下関市におきましては、苛性ソーダ製造の際に副産物として生成される未利用の高純度な水素、副生成水素、これを活用いたしました地産地消、地域連携型モデルの構築に向けた実証事業を事業者と連携をして実施してまいったところでございます。

 また、輸送の関係でございますが、これにつきまして、事業者が燃料電池を活用したトラック、バス、タクシーといった商用車を導入する際の支援、こういったものも実施をいたしております。

 環境省といたしましても、今申し上げたような取組を展開することによりまして、水素の需要創出、ひいては水素社会の実現に貢献してまいる所存でございます。

畦元委員 ありがとうございました。

 将来的に多くの使い道の夢があるということで、楽しみにしております。

 日本の持つ技術と科学、そして自治体、国と協力して、政府の支援で低炭素水素等の供給、利用を早期に促進することは、環境にとってもとても重要なことです、さっきおっしゃっていましたが。また、これは国益にも国民の生活安定にもつながると思います。その意味からも、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律はとても重要だと思っております。一日も早く実現するようにお願いします。

 最後に、一分あるので、一つだけ追加の質問をさせてもらいます。

 国民の中には、ちょっと違うんですが、水素というと、飛行船ヒンデンブルク号の爆発事件や水素爆弾などを思い浮かべ、大変危惧を持っている方もいらっしゃいます。

 そこで、水素の安全性に関して端的に少し教えてもらえますでしょうか。お願いします。

殿木政府参考人 水素等の大規模なサプライチェーンの構築におきましては、安全の確保が大前提であることは申し上げるまでもございません。

 水素は、これまでも、石油や石油化学、鉄鋼など幅広い産業において扱われており、高圧ガス保安法におきましては、水素は可燃性ガスとして位置づけられ、可燃性ガスの製造設備には、当該設備において生ずる静電気を除去する措置を講ずること、可燃性ガス中の酸素の容量が全容量の一定割合以上であるガスは圧縮をしないこと等の技術基準により安全性を確保しているところでありまして、本法案における低炭素水素等の供給及び利用の促進に当たりましても、しっかりと保安の確保を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

 また、御指摘のとおり、水素社会の実現のためには、国民の皆様に水素について正しく御理解をいただくことが大変重要である、そのように考えているところでございます。事業者を中心として、水素の実現に関わる幅広い関係者が情報発信を行っていくことが大切であると考えておるところでございますが、経済産業省といたしましても、事業者や自治体等とも連携をしながら、水素の性質や安全対策などについて分かりやすい情報発信に努めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。

畦元委員 ありがとうございました。

 時間が来ましたので、私の質疑はこれで終わらさせていただきます。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、細田健一さん。

細田委員 おはようございます。

 貴重な質問の機会をいただいたことに、委員長、また理事の先生方に心から御礼を申し上げます。

 CCSそのものについての議論は深まってきつつあると思いますので、今日はまず、CCSがエネルギー政策やあるいは産業政策に及ぼす意味合いについて考えてみたいと思います。

 石炭火力発電は環境負荷が大きいので廃止すべきだという主張があります。これは石炭火力悪玉論とでもいうべきものでしょうか、これは、我が国でもこのような主張をされる方がいらっしゃいますし、また、国際的に見てもEUはこういう主張を続けています。

 一方で、石炭は最も安価な化石燃料です。地政学リスクも低く、例えば我が国の中東依存度はゼロです。固体で取扱いも非常に容易であるという特徴があります。この結果、我が国では、近年、総発電量の三割は石炭火力が担っています。

 元々、我が国の石炭火力発電は高効率で、環境負荷も他国に比べると圧倒的に小さかったわけですけれども、先ほど申し上げたような石炭火力悪玉論というようなものが国内外でございます。しかしながら、CCSが許容範囲のコストで実用化されれば、様子は全く変わると考えております。石炭火力発電を適切なCCSと組み合わせて、温暖化ガスを極力排出しない形で運用することが可能となれば、石炭火力悪玉論は根拠を失うというふうに考えております。

 まず、このような状況を踏まえて、CCS実用化後のエネルギー政策上の石炭火力発電の位置づけについてお伺いします。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 カーボンニュートラルの実現に向け、電力の安定供給も確保しつつ、火力発電の脱炭素化を一層進めていく必要がございます。

 石炭火力は二酸化炭素の排出量が多いという課題はありますが、必要な供給量が必ずしも十分に確保されていない段階で、直ちに急激な石炭火力の抑制策を講じることになれば、電力の安定供給に支障を及ぼしかねません。

 こうした状況を踏まえ、当面は、高効率な石炭火力を活用しつつ、非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めます。さらに、二〇五〇年に向けては、CCSや、水素、アンモニアの混焼、専焼を実現していくことで、脱炭素型の火力発電に置き換えていくという方針でございます。

 CCSを用いた火力発電の普及のためには、コストの低減やビジネスモデルの構築を行って、事業化を進めていくことが必要であります。このため、二〇三〇年までのCCS事業の開始に向け、横展開可能なビジネスモデルを確立するため、火力発電におけるCCS事業を含む先進性のあるプロジェクトについて、先進的CCS事業として支援していくほか、新たな分離・回収手法の開発等を通じ、CCSのコスト低減に向けて取り組んでまいります。

細田委員 ありがとうございます。是非頑張っていただきたいと思います。

 同様に、産業政策上の位置づけについて考えてみますと、温暖化ガスを大量に排出する産業、化学産業や鉄鋼産業などですが、これも、カーボンニュートラルを達成するという観点からは、長期的に見ると、我が国から退出せざるを得ないということになります。

 しかしながら、これらの産業も、CCSが許容範囲内のコストで実用化されれば、国内に最低限必要な川上から川下までの設備を残すことが可能になりますし、また、我が国が主要な素材産業の装備をフルセットで持つということは、経済安全保障上も大変意義があるというふうに考えております。

 このように、産業政策上CCSが持つ意義、そしてそれを利用する方向性について、経済産業省の御見解をお伺いしたいと思います。

浦田政府参考人 お答えいたします。

 川上から川下に至るまで、サプライチェーンの各段階の主要な産業が一定程度の規模で国内に立地しているということは、産業間のすり合わせなどを通じた産業競争力の維持強化の観点やサプライチェーンの強靱化などの観点から、非常に重要なことだというふうに考えております。

 一方で、委員御指摘ありましたように、鉄、化学などの素材産業は、二酸化炭素を多く排出するセクターでございます。

 我が国全体でカーボンニュートラルの実現を目指すと同時にこうした多排出産業を国内に立地させていくということは、決して簡単なことではないと考えておりますが、そのためには、製造プロセスそのものの革新を進めていくということが必要となってまいります。

 既に、素材産業におきましては、水素還元製鉄など、水素などを活用した原料転換やそれから燃料転換、こうした取組が進められておりますが、こうした取組を通じても、なお二酸化炭素の排出量をゼロにすることが困難な場合もございます。

 このため、こうした分野におきましても脱炭素化を進めていくという観点から、CCSは大変重要な選択肢であるというふうに考えているところでございます。

細田委員 ありがとうございます。

 産業の脱炭素化とともに、今申し上げたように、いわゆる川上から川下までフルセットで設備が残るという方向で是非頑張っていただきたいというふうに思います。

 それでは、せっかくの連合審査ですので、環境省にお伺いしたいと思います。

 私、いつも不思議に思っているんですけれども、非常にプリミティブな質問ですが、地球全体の温暖化ガスを排出するという観点から考えてみますと、世界全体の国別の排出量を見ますと、二〇二〇年で、まず、中国が断トツの一位で、世界全体の三割を占めています。以下、二位がアメリカの一三%、三位がインドの六%強、四位がロシアの約五%、そしてここで、五位、日本、三・二%ということになるわけです。世界全体で見ますと、日本は、中国の排出量の十分の一で、インドの約半分ということになります。

 したがって、地球全体の温暖化ガス排出を抑制するという観点から見ると、もちろん日本も頑張らなければなりませんけれども、ある意味、それ以上に、今後、中国、インド、あるいはブラジルといった新興国の排出をどのように抑制していくかということを考えるということが大変重要だと思います。

 元々、日本は世界最高レベルのエネルギー効率を誇っているわけでして、温暖化ガスを削減する限界費用は、中国やインドなど新興国の方が当然ながら圧倒的に低いと考えられます。中国は政治的になかなか難しいところがあると思いますけれども、インドやブラジルの排出抑制を我が国にプラスになるように進めなければならないというふうに考えます。

 具体的には、制度の詳しい説明は省きますけれども、例えばこれらの諸国とのJCMを可及的速やかに進めていくべきではないかと思いますが、環境省の御見解をお願いします。

秦政府参考人 お答えいたします。

 世界全体の脱炭素化におきましては、御指摘の主要排出国における排出削減が重要であります。こうしたことから、我が国といたしましても、首脳級、閣僚級含めまして、様々な形で協力や対策の働きかけを進めてきたところでございます。

 委員御指摘の二国間クレジット制度、JCMにつきましては、二〇三〇年までに累積で一億トンのCO2削減量、これを確保する、また、二〇二五年を目途にパートナー国を三十か国程度とするということを目指しまして、現在二十九か国ですが、関係国との協議を加速しておるところでございます。

 御指摘のインドでございますけれども、最近の動きといたしまして、今、首脳間でJCMの構築に向けました議論の継続を確認しまして、昨年の三月にはJCMの構築に向けた意向を確認するという文書の署名を行ったところでございます。

 また、ブラジルとは、二〇二二年七月に、JCM関連を含む二国間の環境協力に関する宣言書、これに署名をいたしまして、直近でもバイ会談を通じまして意見交換を継続しておるところでございます。

 引き続き、JCM等を通じまして、優れた我が国の脱炭素技術の普及や日本企業の海外展開、こうしたものを促進して、併せて世界の脱炭素化に貢献してまいりたいと考えてございます。

細田委員 ありがとうございました。是非、世界に目を広げて、世界全体の削減に我が国のプラスになるような形で貢献をいただければと思います。

 最後に、齋藤大臣に質問を差し上げたいと思います。

 振り返りますと、大臣が初当選時に齋藤事務所のスタッフとして私を採用していただいたわけでございますけれども、本当に、私がこの世界に入る最初の扉を開けていただいたということで、改めて御礼を申し上げたいと思っております。

 あれから十五年近くたったわけでございます。当時、私も選挙に出ようかと思っていましたけれども、今と同様に、当時も今も全く後ろ盾のない素浪人のような立場でしたから、このような形で齋藤大臣と一議員として相まみえるというのは、ある意味、深い感慨を覚えるところでございます。

 本日、大臣に問題意識を共有いただきたいのは、近年、経済産業省の予算が急激に膨らんでおります。これはGX、事業再構築など中小企業支援、あるいは半導体支援といった分野がありますけれども、この執行の体制について更なる工夫があり得るのではないかというふうに思います。

 これらは、私が見ておりまして、本省で執行する、あるいは既存の機関に基金を設置して執行するというような工夫が行われていますけれども、元々人数が少ないところにこういう新たな業務が追加をされて、結構大変な状況になっているという話はお伺いするところでございます。

 特にGXは、今後継続的に巨額の予算が措置されます。予算の執行や監視のため、例えば専門知識を有する人に集まっていただいた専門機関を新たに設置をして、予算を執行管理するということも視野に入れてお考えになっていただいてもいいんじゃないかと思っております。この点についての大臣のお考えをお聞かせください。

齋藤(健)国務大臣 まず、細田委員は、かつて通産省で一緒に仕事をし、なおかつ、私の事務所で一緒に汗を流した仲であります。その後、私もそうですが、余りなじみのない地元で大変御苦労されて、選挙を勝ち抜いて、そして今日、こうして私も大臣になり、そして細田委員もこうやって質問をされるということに私も感慨深いものがあります。願わくは、いつの日か細田経産大臣に私が質問する機会があればなというふうに思っております。

 予算規模が膨らむ中で、会計法令や予算執行上の各種ルールに基づいて適切性、透明性を確保しながら事業を進める、これは大前提であります。その上で、可能な限り効率的な予算執行となるように、事業ごとの性質に応じて執行体制を確保、工夫すること、これが重要であることは御指摘のとおりです。

 特に、二十兆円というかつてない規模のGX予算は、次世代太陽電池や浮体式洋上風力など、将来世代の我が国の稼ぎの源泉となるような重要分野への国家としての投資であります。初期の執行段階のみならず、その後のフォローアップも含めて、これまで以上に緊張感を持って取り組まなくてはいけないと思っています。

 その際、外部の専門機関の活用は重要な手法でありまして、そういった知見を有するNEDOなどの外部機関の知見や経験も最大限活用しながら進めていきたいと思っています。

 他方で、今回のGXの重要な目的の一つであります産業競争力強化、これを実現するには、産業政策的な視点が極めて重要だと思っています。まずは、担当部局が産業政策上の強い問題意識を持って予算執行に当たることが大前提でありますが、その上で、外部の専門機関とこの産業政策の視点を中長期的に共有して、歩調を合わせて執行体制を構築すること、これが可能か、可能とすれば具体的にどのような体制になるかといった点については重要な点だと思っていますので、委員の問題意識を踏まえながら、引き続き検討を深めたいと思っています。

 いずれにせよ、将来の成果につながるような予算の執行でなくては意味がありませんので、しっかり取り組んでいきたいと思います。

細田委員 大臣、エールをいただきまして、ありがとうございました。私も精進してまいりたいと思います。御活躍を心からお祈りしております。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、鰐淵洋子さん。

鰐淵委員 おはようございます。公明党の鰐淵洋子でございます。

 本日は、連合審査での質問の機会をいただきました。感謝を申し上げたいと思います。

 今回提出されました水素社会推進法、またCCS事業法は、いずれも、気候変動対策、二〇五〇年ネットゼロの達成のために不可欠な法案と認識をしております。これまで、経済産業委員会におきまして、参考人質疑も含めて熱心に議論が展開されておりますけれども、本日は、重なる点もあるかと思いますが、確認も含めて質問させていただきたいと思いますので、齋藤大臣、伊藤大臣、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。

 まず、水素社会推進法について質問させていただきたいと思います。

 燃焼時にCO2を排出しない水素は、脱炭素社会の実現には必須であると思っております。エネルギー政策における水素の重要性、利活用のための環境整備の必要性は、かねてより言われてまいりました。

 私自身、福島県浪江町に立地します国内最大級の水素製造施設、福島水素エネルギー研究フィールドへ、二〇二〇年二月、三月の稼働に先立ちまして、公明党の水素社会形成推進小委員会で視察をさせていただきました。東日本大震災で大きな被害を受けました福島県そして浪江町の復興を後押しし、また、この地を水素社会の先駆けにするという思いで造られた施設でございますが、水と太陽光発電の電力で水素を製造する水電解装置や、水素をためてトレーラーで運ぶための施設を見せていただきました。

 ここで行われておりました実証実験での技術が実用化されれば、エネルギーを生み出し消費する過程で一切CO2を排出しないということで、脱炭素の好循環が生まれるものと期待が高まったことを覚えております。

 これまで、我が国におきましても、水素社会の推進に向けまして、水素の国家戦略を作るなど、水素の活用に取り組んできたかと思います。また、国際社会におきましても、水素の活用につきまして様々な動きが出てきていると伺っております。

 そこで、総論になりますが、齋藤大臣にお伺いしたいと思います。

 今回の法案によりまして具体的に何ができるようになるのか、そして、なぜ今の時期なのか。法制化するに至った背景、法案のポイントにつきまして、エネルギー政策を担う経済産業省、齋藤大臣にお伺いしたいと思います。

    〔岡本委員長退席、務台委員長着席〕

齋藤(健)国務大臣 二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けましては、鉄鋼や化学といった脱炭素化が難しい分野において低炭素水素等を活用したGXを推進していくことが、これはもう不可欠であります。

 現在、低炭素水素等の確保に向けたグローバル競争がもう始まっています。米国のIRAやEUの水素銀行構想など、海外では低炭素水素等のサプライチェーン構築に向けて大胆な支援措置を講じようとしている、そういう現状があります。

 水素、燃料電池分野で世界をリードしてきた我が国といたしましても、諸外国に負けることなく、低炭素水素等のサプライチェーン構築を推し進めていくことが必要であります。このため、今国会に水素社会推進法案を提出させていただいたわけであります。

 本法案におきましては、低炭素水素等と既存の化石燃料との価格差に着目した補助、いわゆる価格差に着目した支援と、低炭素水素等のタンクやパイプラインといった共用設備に対する補助、いわゆる拠点整備支援といった支援措置などを盛り込んでいます。

 本法案によりまして、低炭素水素等が手に入らないから需要も生まれず我が国での水素関連投資が萎縮するという、いわば、鶏と卵、どっちが先かという状態から脱却をして、官も民も共に一歩前に出て、日本の技術を取り込んだ大規模、強靱なサプライチェーンの構築に取り組んでいきたいと考えています。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 三月二十九日の参考人質疑の中で、橋本参考人が次のようにおっしゃっておられました。我々の目的は、ただ単に液化水素運搬船を造る、あるいは燃料電池車を造るということではなく、水素社会をつくる、つまり、多くの人が参加して、多くの人に利用していただける環境をつくることになります、このようにおっしゃっておりまして、この法案が、水素社会をつくる上で、この実現に大きく広がるもの、つながるものということで期待しておりますので、是非とも、齋藤大臣のリーダーシップの下、力強くお取組を改めてお願い申し上げたいと思います。

 次に、伊藤環境大臣にお伺いしたいと思います。

 今回の法案につきまして、今、齋藤大臣の方から、法制化する背景だったりポイントをお答えいただきました。環境省も一部関与する形で提出されていると理解をしております。

 そこで、本法案におきまして、水素社会推進に当たりまして、環境大臣がどのように関与していくこととなるのか、また、法の施行に当たりまして、どのように経済産業省と連携を図っていくのか、伊藤大臣にお伺いしたいと思います。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 水素は、利用時にCO2を排出しないことに加えて、製造段階で再エネを活用すれば、脱炭素化に大きく貢献することができると考えております。

 こうした観点から、環境省としては、これまで、再エネ等の地域資源を活用した水素サプライチェーンの構築や、燃料電池を活用したトラック、バス等の導入支援等に取り組んできたところでございます。

 今般の法案でございますが、今般の法案は、低炭素水素等の供給及び利用に関する基本方針の策定など、水素社会に向けた基盤となる内容を規定するものでございまして、二〇五〇年ネットゼロを目指す上で大きな意義があると考えております。

 本法案には、基本方針の策定や事業計画の認定に際して、環境大臣への協議、また、経済産業大臣と環境大臣の緊密連携等が規定されてございます。環境省としても、これまでの知見を生かして、本法の施行、そして水素社会の実現に貢献してまいりたい、そのように考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 水素に関しましては、伊藤大臣の方からもございましたけれども、製造、移送コストの低減、水素を利活用する需要の創出、貯留、移送といったサプライチェーンにおける安全面の課題が存在する一方で、これが解消されればCO2を一切排出せずにエネルギーを地産地消することも可能となるため、早期の実用化、全国展開は必須と考えております。

 伊藤大臣から、今、これまでの環境省のお取組も御紹介いただきました。その中で、再エネ等の地域資源を活用した水素サプライチェーンの構築、この御紹介もしていただいたところでありますが、地域におけるサプライチェーンの構築、ここが大変に重要であると考えております。

 地域の脱炭素化を重視します環境省といたしまして、具体的にどのように進めていくのか、お伺いしたいと思います。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 脱炭素型の水素社会の実現には、再エネ等の地域資源を活用した水素サプライチェーンの構築が重要でございます。環境省では、これまで全国十三か所において地域水素サプライチェーンモデル構築の実証事業に取り組んでまいりました。

 委員御指摘の福島県浪江町においても、令和二年度より、福島水素エネルギー研究フィールドで製造した水素の需要創出の取組として、貯蔵された水素を宿泊施設や介護施設、こちらに運搬して、温浴設備の熱源や施設の電気として利活用するなどの実証事業を実施してございます。

 また、二〇五〇年カーボンニュートラルを二〇三〇年度までに前倒しして達成する脱炭素先行地域においても、民生部門の電力を中心に水素の利活用を行う計画が複数選定され、取組を進めております。

 こうした取組は国内での水素の需要創出に資するもの、そして、本法案に基づき実施する水素の拠点整備などの支援と地産地消型の水素利活用の支援によって、地域全体で面的なサプライチェーンを構築して、地域での脱炭素を実現してまいりたい、そのように考えてございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今大臣の方からも、地域全体での面的なサプライチェーンの構築ということでお話しいただきました。繰り返しになりますが、大変に重要な点だと思っておりますので、環境省におきましては、地域の脱炭素化を重視するということで、これから環境省の果たす役割もますます大きくなってくるかと思います。是非とも、環境省におきましても、この部分はしっかりと、重要課題ということで、お取組を重ねてお願い申し上げたいと思います。

 ここまで、水素そのものの位置づけや政府の取組について質問させていただきましたが、今回の法案におきまして、CO2削減への寄与が期待されますCCS事業法につきまして、以下質問させていただきたいと思います。

 政府は、再エネの最大限導入、また安定供給を大前提としつつ、できる限り化石電源比率の引下げを進めていくと説明をしております。二〇三〇年までに温室効果ガス四六%減、二〇五〇年ネットゼロの達成のために待ったなしの取組でありまして、排出する温室効果ガスの量をとにかく削減することが重要でございます。

 経済産業省では、火力発電の脱炭素化のため、CCS技術の本格導入に向けて様々な取組を進めてきたと承知をしております。

 一方で、CCSは環境政策としても重要でございまして、実用化、確立が急がれる技術と考えております。改めまして、これまでの環境省としての関わり、取組についてお伺いをいたします。

土居政府参考人 お答えいたします。

 CCSは、二〇五〇年ネットゼロの実現に当たりまして重要な技術の一つと認識しておりまして、環境省といたしまして、環境に適切に配慮されたCCS事業が進むよう取組を進めてきたところでございます。

 具体的に申し上げますと、CCSの早期の社会実装を進めるため、CO2の分離・回収、輸送、貯留及びモニタリング手法につきまして、環境保全効果やコストの低減などの検証を進めてきたところでございます。

 また、海底下で実施しますCCS事業につきましては、海洋汚染等防止法に基づき海洋環境への影響を審査してきたところでございまして、この法律に基づく許可の下で、北海道の苫小牧におきましてCCSの実証事業が行われているというところでございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今、最後の方で、苫小牧での事業ということで御紹介していただきました。ちょっとこの事業のことについて伺いたいと思いますが、この事業は、海洋汚染等防止法の許可を受けて実施されたということで今御説明がございました。技術を実用化していく前の実証事業の段階と理解をしております。

 海洋汚染等防止法の許可制度の運用を通じて見えてきました法的、技術的課題が何なのか、また、今回の法案によりましてその課題にどのように対処していくのか、環境省の視点から御見解をお伺いしたいと思います。

土居政府参考人 昨年度、中央環境審議会におきまして、現行の海洋汚染等防止法に基づく許可制度における課題とその対応につきまして検討いただいたところでございます。

 その結果といたしまして、法的課題につきましては、二酸化炭素を貯留する限り最長五年ごとに許可を更新し続ける必要があるという点が挙げられました。この点につきましては、諸外国での法制度の進展等も踏まえ、海洋環境の保全を大前提としつつ、二酸化炭素の圧入開始から事業終了に至るまでの事業全体を許可対象にすることや、事業の終了に向けた仕組みを創設することで対応すべきという答申をいただいております。

 この提言を踏まえまして、CCS事業法案におきましては、事業の実施状況の定期報告、二酸化炭素を圧入する井戸の閉鎖措置の実施、その結果につきましての主務大臣の確認、その後の貯留区域の管理についてはJOGMECへ移管をするという措置が盛り込まれております。

 貯留区域におきます管理業務がJOGMECに移管されることで事業者への規制は終了いたしますが、その後もモニタリング結果を環境大臣に通知する仕組みになっておりまして、事業環境の整備と海洋環境の保全の両立を図ることとしております。

 また、技術的課題といたしましては、法令上、二酸化炭素の分離・回収方法が特定の技術に限定されているという点につきまして御指摘をいただいております。今後、CCS事業法案の政省令等におきまして対応することを考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 法的課題、技術的課題ということで、今回の法案によりましてしっかりとまた対処していただけると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 これからCCS事業化をしていくに当たりまして、事業環境の整備に加えまして、地元関係者との合意形成が大変に重要になってくるかと思います。

 昨年六月にJOGMECにおきまして、先進CCS事業七案件が採択されておりますが、海域でのプロジェクトも多く想定されております。海洋環境の保全を図りつつ事業を進めていくことが、漁業関係者を始めとする地元の理解にもつながるかと思っております。

 海洋環境の保全とCCSの推進を環境省としてどのように両立させていくつもりか、経済産業省ともしっかりと連携していただきましてCCSの取組を進めていくことが、ネットゼロの達成や海洋環境の保全にも重要と考えております。

 伊藤大臣に、取り組む決意をお伺いしたいと思います。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 このCCS、二〇五〇年ネットゼロの実現に当たって非常に重要な技術の一つと認識してございます。他方、このCCS導入のために地域の海洋環境の保全がおろそかにされてはならない、このように考えております。

 このため、CCS事業法案の検討段階では、海底下でのCCSについて、そのライフサイクル全般にわたって、環境大臣の同意や経済産業大臣との共同認可など、海洋環境の保全の観点から必要な措置を講ずることになってございます。

 環境省としては、引き続き、経済産業省と連携しつつ、海底下でCCSが海洋環境の保全と調和する形で実施されるよう、しっかりと取組を進めてまいりたい、そのように考えてございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今、伊藤大臣の方にもお伺いいたしましたが、齋藤大臣、御答弁は結構でございますが、要望させていただきたいと思っております。

 今質問申し上げました海洋の保全とCCSの事業の推進、この両立は大変に重要でございまして、是非とも、海洋環境の保全、これをしっかりとやった上で、地元の方の御理解も含めた上で進めていただきたいということで、改めて要望させていただきたいと思います。

 また、最後、少し時間がありますので、これも要望にさせていただきたいと思いますが、齋藤大臣に要望させていただきたいと思います。

 こういったエネルギー政策だったり気候変動対策、特に、これからの日本社会、国際社会を担っていく若い方、子供たちの意見をしっかりと受け止めていくことが重要ではないかと思っております。

 私たちも、若い方だったり、そういった様々な団体の方から、こういったエネルギー政策だったり気候変動対策、御意見をいただくことがあります。自分たちがこれからどう担っていくのか、大変に責任感も強く、いろいろな思いを持っていらっしゃいまして、やはり直接意見を聞いてもらいたいとか、そういった思いも持たれている方もたくさんいる中で、これは環境大臣の方に公明党としても要請させていただいて、様々な機会で意見を聞いていただく場も設けていただくということでお願いをしているところであります。

 是非、経済産業省におきましても、いろいろ難しい点もあるかと思いますが、繰り返しになりますが、これからの日本社会、国際社会をつくっていく上で、この気候変動問題、エネルギー政策、大変に重要になってまいりますので、そこで、若い方、また女性を含めて多様な方、そういった方の御意見をしっかりと受け止めていただいて反映していただく、そういった体制もつくっていただいて、これからもしっかりと、エネルギー政策、気候変動対策を、大臣の下、進めていただきたいということで御要望させていただきたいと思います。

 もし何か感想がございましたら、答弁は結構と申し上げたんですが、もし何か感想をいただけるようでありましたらお願いしたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 やはり、子供たちにすばらしい環境を残していくということは、私は、全ての政治家が心がけなくちゃいけないことだと思っています。

 一方で、エネルギーの安定供給というのも非常に重要な面がありますので、そういった全体像を是非子供たちに知ってもらうように、大いに意見交換していきたいと思っています。

鰐淵委員 大臣、最後、突然申し訳ありませんでした。

 以上で終わらせていただきます。大変にありがとうございました。

務台委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 立憲民主党の近藤昭一でございます。

 今日は、経済産業省、そして環境省の連合審査ということで、質問の機会を得ましたことを感謝申し上げたいと思います。

 と申しますのも、私は今、立憲民主党の衆議院議員として活動させていただいておりますが、最初に所属をしましたのは新党さきがけという政党でありました。武村正義さん、亡くなられましたけれども、武村さんが提唱しておられた「小さくともキラリと光る国・日本」、これは石橋湛山さんの小日本国主義にもつながるわけでありますけれども、決して軍事大国にはならない、環境を大切にする、環境を重視をするということであります。

 ただ、決して縮小していく縮こまり思想ではなくて、環境主義そして平和主義を大事にして、広く商業も推し進めていく、そういう中で日本が光っていくんだ、こういう考え方だと私は理解しています。そして、そういう中でやはり環境を大事にしなくちゃいけない。

 残念ながら、経済成長を優先をして、その中で環境がないがしろにされてきた、そういうところがあったと思うんです。そういう中で環境庁ができ、そして環境省になった。環境国会という国会もあったわけでありますが、そうした活動が行われてきた、そして、それに私は共鳴をしてきたということであります。

 そういう意味で、今回、水素の促進、そしてまたCCSの活用、こういうことであります。私は、そういう意味では、環境をしっかりと維持しながら、環境を大切にしながら、しかし、経済成長も、経済も発展をさせていく、成長をしていく、やはりこのことが大事だと思っていまして、そういう意味で、冒頭申し上げましたように、今日、連合審査があるということで、本当に感謝をしております。

 そして、そういう中で、私は今環境委員会に所属をしておりますので、特に環境の面から少し質問をさせていただきたいと思います。

 今回の法案でありますが、水素社会推進法、そしてCCS事業法案ということでありますが、私が今申し上げたように、世界的に環境が非常に打撃を受けている、そして気候変動、気候変動も気候変動危機と言われていて危機的な状況なんだ、こういうことで、既に経済発展したところ、これから発展をしていくところ、今発展途上にあるところ、それぞれ主張がぶつかり合うときもあるわけでありますが、しかし、世界が、やはり、まず少なくとも一・五度以内に上昇を抑えようということで話し合ったわけであります。そして、そういう中で、世界が協力して、日本も活動しているわけであります。

 さて、日本の状況でありますが、日本は二〇一三年以降にCO2は削減傾向にある、こういうふうなデータは出ているわけでありますけれども、これは何なのか、どういう要因によるのかということであります。

 政府は、今申し上げたように、削減経路をたどっているということでありますが、どのようにこの傾向を分析していらっしゃるのか、お話を伺いたいと思います。

秦政府参考人 お答えいたします。

 我が国は、パリ協定の一・五度目標と整合的な形で、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度四六%削減、こういった目標を掲げておりまして、二〇二一年度には、二〇一三年度、基準年に比べまして約二〇%の削減を達成するなど、着実に実績を積み重ねてきておるところでございます。これには、国民の皆様、事業者の皆様を始め、関係者の皆様方のたゆまぬ御尽力があったものと認識をいたしてございます。

 御指摘の、二〇一三年度と比べて我が国の温室効果ガス排出量が減少している主な要因といたしましては、まず一つには、省エネルギー、これが更に進展をいたしまして、エネルギー消費量が、これは電力に限らず、それ以外の部門においても減少をしてきたこと、そして、再生エネルギーの拡大等による電力の低炭素化に伴う電力由来のCO2の排出量の減少等が主な要因として挙げられると考えてございます。

近藤(昭)委員 この間、日本としても様々取り組んできた、こういう中で、減少の傾向、そういうところにあると。そうしておっしゃるところではありますけれども、少しG7の各国との比較で申し上げたいと思うんですが、今御説明にあった、そうした省エネ、そして、そうした中の削減努力というものが来ているということでありますけれども、日本は、オントラック、そういう状況の中にあるんだということでありますが、一部、海外からは、そのようになっていないのではないかと。ブルームバーグの記事なんかを見ていると、G7諸国に後れを取っているのではないかと。

 そういう中で、米国トップ気候公使であるジョン・ポデスタさんが、アジア諸国を訪問した際、日本は再生可能エネルギーの展開を加速をし、洋上風力などの技術に注力すべきだと述べたことを伝えているわけであります。

 また、そうした比較の中で、日本は削減途上にあると言っているわけですが、G7それぞれのスタート時点を考えると、一九九〇年なり二〇〇〇年なり、それぞれ違うところがあって、こうしたことをそろえて、一緒にしてきちっと比較すべきではないかと。私は、全く減ってはいないとは、決して、順調に減っている、こういうふうには思えないわけでありますが、いかがでありましょうか。

秦政府参考人 お答え申し上げます。

 温室効果ガス削減目標の基準年につきましては、これはパリ協定でも認められておるわけでございますが、各国がそれぞれの事情に基づいて定めることができるということになってございます。

 その上で、我が国の、先生御指摘のオントラックにつきましては、二〇一三年度から二〇二一年度までの排出削減の実績が、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けまして、二〇一三年度の基準年の実績値、それから二〇三〇年の四六%削減目標、そして二〇五〇年のカーボンニュートラルをつなぐラインに沿いまして、着実に減少しているということを表したものでございまして、直接各国との比較の中で論じておるものではございませんが、少なくとも直近の数年間におきまして着実な減少を見ておるということだと認識をいたしてございます。

近藤(昭)委員 そうした傾向にある、そういう数値が出ているということは承知をしているわけでありますけれども、私が危惧をしているのは、じゃ、本当にそれで大丈夫なのかということであります。

 二〇一三年以降、今御報告があったように、減少傾向にある。ただ、二〇二一年には前年に比べて一千万トン増加をしているわけであります。これは、コロナが五類に移行して、経済活動が復活をしたということであると思うんです。

 ただ、もう一方で、再生可能エネルギーの導入は必ずしも増えてはいない。二〇二〇年以降にも石炭火力は多数稼働しております。今後の国内排出量はこれまでと同じようなペースで減る、こういう見通しは描けないのではないか、こういうふうに思っています。

 そして、今環境省から御報告がありましたけれども、今後、四六%から五〇%の高みを目指した削減に今の状況で進めるのかと大変危惧をしておりますが、いかがでありましょう。

秦政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げたとおり、この数年間はオントラックで進捗してきたわけでございますけれども、今委員から御指摘のあったように、コロナによります社会活動の活性化等によりまして前年度比二%の増加となるなど、引き続き予断は許さない状況であるというふうにも認識をいたしてございます。

 二〇三〇年度の目標の達成に向けましては、政府一丸となって地球温暖化対策計画、エネルギー基本計画に基づく対策や施策を着実に実行することに加えまして、昨年七月に閣議決定をいたしましたGX推進戦略に基づく取組、これも進めることといたしてございます。

 環境省といたしましては、気候変動対策全体を取りまとめる立場から、地球温暖化対策計画に基づく各省庁の取組の進捗管理、フォローアップを通じまして政府全体の対策を継続的に前進をさせていくとともに、自らも地域や暮らしの脱炭素化に取り組みまして、目標達成の確度を高めてまいりたいと考えてございます。

近藤(昭)委員 今、そうして取り組んでいく、こういうことでお話があって、そういう取組の中で今回の法案等々もあるんだと思います。もちろんこの法案だけではなく、様々、国土交通省、農水省、それぞれの委員会でも、関連するというか、議論がされていると思うんです。

 ただ、今もありましたように、予断を許さない状況であるというのは私は間違いないと思っていて、そして、そういう中で危惧をしておりますのは、先ほど、冒頭申し上げました、経済成長も大切、そして環境保護も大切、こうしたことを、まあ、両輪といいましょうか、一挙両得というか、しっかりと両方やっていかなくちゃいけない。

 そういう中で、今回の法案。私は、水素は日本がリードしているところもあると。

 私は、COP3のときを思い出します。一九九七年、あの頃、日本はまさしく環境立国日本をつくっていくと。京都会議があって、京都に世界中の人が集まって、環境重視をしていく、そうしたことが非常に熱を持って語られて、そして、日本はそういう中で、環境も保護しながら経済成長もしていくということで、かなり世界的にもリードをしていたと思うんですね。それに、いわゆる風力発電があったし、太陽光発電があったし。

 しかし、残念ながら、そうしたトップランナーであった分野が、今、風力発電、風力の羽根というんですか、あれはもう日本では造っていないという状況であるわけであります。そして、太陽光発電のパネル、これも、全く日本で造ってはいないということではないと思いますし、個人の家庭の屋根に載っているものは日本製が多いのかもしれませんけれども、でも、全体でいうと、やはり、この太陽光パネルの製造そのものもトップランナーではなくなっている。

 今後、ペロブスカイトの開発、こうしたことに対する推進の補助というか支援ということも出てくると思うんですが、こうしたところが、トップランナーであったにもかかわらず、そうでなくなってきたこと。もちろん、そういう中で今回水素のことが出てきているんだと思いますが、そういう意味では、私は、水素のことをしっかりと進めていただくことは大事だと思っています。

 ちゃんと進めていただくということは、その開発と、また利用の仕方と、これも先ほどから出ていますように、グリーン水素をしっかりと作っていく。グリーン水素をしっかり作って、それをどう活用していくかということなんですが、ただ、そうしたことをしっかりとする一方で、気になっておりますのは、是非政府におかれましては取り組んでいただきたいと思うんですけれども、やはり、齋藤大臣も、再生可能エネルギーの不安定性のことはよく指摘をされます。私もそれを全く否定するものではありません。しかし、再生可能エネルギーの持つ課題をどう克服するかということに対する支援が、私はもっとあるべきではないかというふうに思っているんです。

 そして、そういうものがなかなか見通せない中で、実はやはり再エネ投資の金額というのは減っていると思うんですけれども、そのところは、私は、再生可能エネルギーの安定と促進に政府がもっと予算の配分と、あるいは制度の問題で取り組んでいただきたいと思うんですが、これは明確に、ちょっと質問通告していないんですが、齋藤大臣、いかがでありましょうか。

齋藤(健)国務大臣 とにかく、我々には二〇五〇年カーボンニュートラルという目標があります。その目標を達成するためにあらゆる選択肢を追求するということが必要だと思っていますし、その中で、再生可能エネルギーというのは一つ主力の分野でありますので、実現に向けて最大限努力をしていくということに尽きるんだろうと思っています。

 私、一つ希望が見えてきたと思いますのは、委員御指摘のように、かつては、環境のために対応しようとしますと、設備投資にもお金がかかるしランニングコストもかかる、いわば経済と環境というのは二項対立だということだったんですけれども、最近は、水素は全世界で導入しなくちゃいけないとか、CCSも全世界でやらなくちゃいけないということになってきたので、その全世界でやる事業を日本が取っていくということで、成長につながっていくというものが今芽生えてきているわけであります。

 そういうものをしっかり取り組むことによって、要するに、環境が経済にマイナスだということではなくて、プラスに転じていきながら、再生可能エネルギーもできるだけ増やしていくという方向に力を尽くしていきたいなというふうに思っています。

近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。同様の認識を持っていただいているということであります。

 ただ、もう少し、私が危惧をしているのは、やはり、再生可能エネルギー、不安定性を解消するための蓄電池、これは、いわゆる再生可能エネルギー、太陽光発電の事業者への支援と、また、やはり個人ですね。個人への支援というのはなかなか難しいところはあると思うんですが、やはり圧倒的に、再生可能エネルギー、特に太陽光発電、私は、自然破壊して、大規模に行って、自然災害さえ引き起こす、ああいうのは問題だと思っているんです。でも、だからこそ、逆に、公共の建物とか、あるいは、東京都が始めていますが、個人の建物の屋根にもっと。

 これは、以前から言われていても、残念ながら余り進んでいないというのが実情ではないかと思います。学校、小学校、中学校とか、こうしたところには、多分、一〇%か、二〇%もいっていないのではないか。非常に少ない。それも、パーセンテージであっても、いわゆる太陽光発電パネルというのはこういうものだみたいな、サンプルというか、授業の中で使われるような、いわゆる実用ではなくて、そういうもので置かれているとか、そういうのがあるんですね。

 私は、大臣も共有していただいているように、水素活用とかこうした新しい技術で、やはり、残念ながら日本がかつてトップランナーであったけれども今そうでなくなったものではなくて、ある意味、日本がトップランナーで走っていくと。でも、同時に、先ほども環境省から話がありましたように、目標を達成するためには予断を許さないし、そして一方で、再生可能エネルギーの導入は私はもっとできるんだと思います。そして、その課題は、今申し上げた、公共の建物とかに、そして、そこにも蓄電池とかを、もっと予算を投入するとか、そういうことが大事なんですが、どうでしょう、大臣、もう一度、何か。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、再生可能エネルギーを導入していくに当たって、光と影の影の部分もしっかりアドレスしなきゃいけない。

 そういう意味では、蓄電池については、一つには、家庭用も含めまして、導入支援を抜本的に拡充しております。特に、系統用の蓄電池については、今年度から、新しい補正予算の中で、今まで一年間しか使えなかったところを複数年度も活用できるようにいたしまして、当初予算でございますけれども、支援の拡充を図っていきたいと思います。

 加えまして、この電池については、その補助金に加えて、新しい需給調整市場などなどの電力市場が整備されてきておりますので、こちらで新しいビジネスモデルを構築するという動きも出てきてまいりまして、様々な事業者が活用しようという形になってきております。

 現在、データの集計中ですが、こういったものも使いながら、元々、固定価格買取り制度だけがメインでしたけれども、ここのところ、FIP、新しい制度に移行していくという事業者も非常に増えてきているという足下の状況でございまして、こうした取組もしっかり進めていきたいと考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。再生可能エネルギー、私はもっとできると思っていまして、是非進めていただきたいと思います。

 さて、非効率の石炭火力のフェードアウトの問題であります。委員会でもやり取りをされているところでありますが、改めて確認をしたいと思います。

 電源構成は、現状で、石炭火力発電の割合は約三〇%。現行のエネルギー基本計画では、二〇三〇年の石炭の割合が一九%ということになっており、また、具体的には、非効率石炭火力のフェードアウトを進めると明記はしてあります。

 それで、確認です。

 この非効率石炭火力発電のフェードアウトには、非効率石炭火力発電にアンモニアを混焼するものを含んでいるのかどうか、確認をしたいと思います。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 石炭火力につきましては、非効率な石炭火力のフェードアウトを進めつつ、水素、アンモニアやCCUS等を活用して脱炭素化を推進していく方針でございます。

 非効率な石炭火力につきましても、アンモニア混焼が進み、将来的にアンモニア専焼に近づけば、非効率な石炭火力は減少するという意味において、フェードアウトに寄与するというふうに考えてございます。

 なお、現状では、アンモニアに関するサプライチェーンが形成されていないことに加え、アンモニア混焼のためには追加の設備投資が必要となるため、既に経年化が進んでいる非効率な石炭火力においてアンモニアを混焼するという判断を行う事業者は、現実には多くないというふうに考えてございます。

近藤(昭)委員 ちょっと分かりにくいんですけれども、今お話があったところでいうと、非効率石炭火力、これにアンモニア混焼をすることに設備投資をする事業者は余り多くないというような言葉が最後ありましたけれども、ただ、一方で、非効率石炭火力にアンモニアを混焼することも今回の水素社会推進法の支援の対象として想定されているのかどうかということを改めて確認したいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 水素社会推進法案における支援の対象でございますが、別途定めた必須条件と評価項目を通じて選定していくこととなります。

 その上で、本法案を通じた支援では、SプラススリーEに加えまして、GX実現、こうした観点から評価項目を定めていく方針でございまして、例えば、経済的に合理的かつ効率的な手法で脱炭素資源が活用されること、あるいは、鉄、化学といった代替技術が少なく転換困難な分野、用途における波及効果などを評価していくということになってございます。

 そのため、支援対象の選定は、電力の利用用途も踏まえた上で総合的に勘案されますけれども、売電目的に限って申し上げれば、一般的には、非効率石炭火力でのアンモニア混焼は、効率の高い石炭火力発電所での利用に比して、経済合理性に鑑みて、支援対象選定時の評価において劣後するというふうに考えてございます。

近藤(昭)委員 そうすると、劣後するということであるから、そうした非効率なもの、数値の十分でないものについては支援の対象とするのか、しないのか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 具体の計画が出て、評価項目に従って支援するかどうかを決めていくということになりますが、先ほど申し上げたとおり、評価項目に従って見ていくときに、経済合理性に鑑みて、支援対象選定時の評価において劣後するというものについては採択しないということでございます。

近藤(昭)委員 ちょっと確認をしたいんですが、経済合理性というのはどういうものなのか。私は、大切なのは、やはりきちっとCO2を削減できるかどうかだと思うんですね。そうした観点から支援をしていくかどうかだと思うんです。

 先ほど来から申し上げていますように、技術開発をしてCO2を削減をしていく、技術開発あるいは技術支援をしていくことは大事だというふうな前提を申し上げつつ、しかしながら、既に確立をしていて、先ほど来からやり取りしておりますように、再生可能エネルギーのことでいうと、もっと蓄電池等々を活用すれば、今の言い方で言うと、経済効率が決して低くない中で、再生可能エネルギーをもっと増やしていけるのではないか。そういうところにもっと予算を配分していくのではないか。そうあるべきなのに、何か、今いろいろと条件はおっしゃいましたけれども、結局、非効率の石炭火力のフェードアウトの問題も、ちょっとお答えもよく分からなかったわけですね。

 そうした非効率な、CO2を排出する石炭火力は、アンモニア混焼をしたとしても減らせないものはフェードアウトさせる、そして、そうしたところには支援はしないということでいいんでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 評価項目に当たって、先生御指摘のとおり、CO2がちゃんと減っていくということは非常に大きな評価項目でございます。こうした観点から、非効率な石炭火力と高効率な石炭火力であれば、圧倒的に高効率な石炭火力の方が優先順位が高いということでございます。

 加えて、経済合理性の観点からも、非効率な石炭火力というのは、新たにアンモニアの燃焼を可能にするような設備投資を行ってまで売電目的でやっていくのかというと、その点でも評価が劣後する可能性が高いということを申し上げております。

 そういった意味で、非効率石炭火力にアンモニア混焼をする、これが本法案の支援対象になるかどうかは、アプリオリにしないということは申しにくいんですが、評価項目に従って検討をしていく中ではもちろん劣後することになるというふうに考えております。

近藤(昭)委員 そうすると、劣後するものはフェードアウトさせるということですね。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 非効率な石炭火力についてはフェードアウトを進めていくという方針でございます。

近藤(昭)委員 やはり、CO2削減をしっかりと進めていかなくてはならないわけでありまして、そして、非効率なものはしっかりとフェードアウトさせていくという上で、と申しますのは、技術開発等々で前向きにいくことは大事なんですけれども、アンモニア混焼を三〇%、五〇%してもやはりCO2の削減は、五〇%してもLNGと同じぐらいでしょうかね、CO2の排出が。あるいは、これが実現をしていくのがまだ、先般私もJERAの碧南火力発電所に参りましたけれども、これからということであって、それが五〇%になるのも先なわけですよね。

 そうしたことを考えると、一刻も早くCO2削減をしていくという上では、私はもっともっと、繰り返しますけれども、再生可能エネルギー、今ある技術、技術の開発も大事、でも今ある技術で現実的にやっていくことを是非もっと進めていただきたい、こんなふうに思うわけであります。

 さて、低炭素水素等の定義についてちょっとお伺いをしたいと思います。

 低炭素水素の定義について、これまで法案審議の中でも答弁されておられますが、水素一キログラム当たり三・四キログラムCO2としておるわけでありますが、今年の八月頃から施行されるつもりでいらっしゃるのか、確認をしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 水素社会推進法案でございますが、水素と水素化合物を対象としておりますが、水素化合物については省令で定めることとしておりまして、アンモニア、合成メタン、合成燃料を規定することを想定いたしております。

 本法案の施行のタイミング、先ほど、この国会で成立いただければという前提ですが、本年夏をめどにと考えておりまして、その水素化合物を定める省令もそのタイミングで施行できればと考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 さて、水素以外に、アンモニア、合成メタン、合成燃料などが挙がっているわけですが、まずは最初の施行時点で具体的にどの物質について定めるつもりなのか、確認をしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 本年夏の施行のタイミングで、アンモニア、合成メタン、合成燃料の三つを施行していきたいと考えてございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 それでは、それぞれどのような炭素集約度にするつもりでいらっしゃるのか、具体的な数字で教えていただけるとありがたいです。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案の対象となる低炭素水素等の基準につきましては、現在、海外の制度も参考にしながら、審議会において有識者に御議論いただいているところでございます。

 有識者からは、まず水素でございますけれども、炭素集約度につきまして、水素一キログラムの製造に係るCO2排出量が三・四キログラム以下としてはどうかという御意見をいただいております。この場合、今までのグレー水素と比較して、製造に係るCO2排出量は約七割減という形になります。

 また、アンモニア、合成メタン、合成燃料についても現在検討中でございますけれども、一点、やはり水素よりも製造プロセスが複雑になるということを留意する必要がございます。また、これを踏まえて、国際的に参照できる支援制度の基準例というものもなかなかばらつきがあるように見えております。

 また、諸外国の考え方や低炭素水素における基準値の考え方、先ほど、水素につきましては、グレー水素と比較して、製造に係るCO2排出量は約七割減という方向で検討いただいておりますけれども、こうした低炭素水素における基準値の考え方も踏まえまして、今後、有識者と更に議論を深めていただきたいというふうに考えてございます。

近藤(昭)委員 これからということで、少し不安を感じますけれども、是非とも、有識者会議でも、水素より小さい数字でということが出ているということで、そこはしっかりとお願いをしたいと思います。

 今ちょっと、ただ、その後に、製造方法が複雑であるということがあり、少し不安を感じるようなところがあるわけでありますけれども、私は、複雑だからということではやはりいけないと思うんですね。いけないというのは、繰り返しますけれども、こうしたことも大切だ、しかし、再生可能エネルギーがもっと進められるように、もちろんこれに見方はいろいろとあるかもしれませんが、私はそう思っているんです。

 大臣、どうでしょうか、この数字の問題については。

齋藤(健)国務大臣 今まさに説明ありましたように、有識者の皆さんと議論をしていただいている最中であるというふうに認識していますので、私の方から予見を与えるようなことは申し上げにくいわけでありますけれども、近藤委員の問題意識は私も共有するところがございます。

近藤(昭)委員 委員会で審議をするというところではありますけれども、やはり国として決定していくわけですし、大きな国際公約を実現するためには、私はやはり、政府として、大臣として、しっかりとリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 さて、ちょっと時間がなくなってまいりましたので、少し順番を変えさせていただくことをお許しをいただきたいと思います。

 CCSについて質問したいと思います。CCSの二〇五一年以降の状況、姿ということであります。

 CCSについては、経済産業省のCCS長期ロードマップ検討会の取りまとめなどに、CCSの導入拡大イメージを示しております。二〇三〇年にはCCS事業を開始し、その後、約六百から一千二百万トンずつ年間貯留量を増やし、二〇五〇年には一・二億トンから二・四億トン貯留するという、私はなかなか現実的ではないと思うんですが、そうした絵が描かれていますが、二〇五一年以降は全く示されていません。二〇五一年以降をどのように想定しておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二三年三月に策定したCCS長期ロードマップにおいては、二〇五〇年時点の日本のCCSによる想定年間貯留量の目安を、一・二億トンから二・四億トンと、御指摘ありましたとおり、推計してございます。これは、需要見通しではありませんけれども、CCSに関する有識者の議論や政策的な検討を行うために、一つの材料としてお示ししたものでありまして、現在の我が国のCO2排出量の約一ないし二割に相当するものでございます。

 二〇五〇年に焦点を当てているのは、我が国のカーボンニュートラルの達成時期を二〇五〇年というふうに想定していることを踏まえたものでございます。その先はという御指摘もございましたけれども、将来のCCS導入の目安につきましては、将来の産業構造、あるいはエネルギー需給の変動による影響を受けることが見込まれます。

 こうしたことから、まずはCCS事業のビジネスモデルを確立しつつ、脱炭素化の進展の見通しなどを踏まえて、今後、必要に応じて見直してまいりたいというふうに考えてございます。

近藤(昭)委員 CCS事業の賛否、難しさみたいなのは、これまでも経済産業委員会でも議論されているところだと思いますけれども、私は、しっかりと二〇五〇年を目指してやっているわけでありますから、何か、その後のことはまた今後みたいな、そういうことがあってはならないというふうに思っております。

 さて、もう本当に時間がなくなってまいりましたので、ちょっとお聞きしたいのは、今後、本当に再生可能エネルギーにこだわるわけでありますけれども、九州電力の出力抑制のことがよく言われるわけじゃないですか。九州では太陽光発電が大変に伸びてきている、しかし、出力制御というか、抑制といいましょうか、そうしたことが行われている。齋藤大臣も再生可能エネルギーの課題ということでおっしゃっているわけですが、しかしながら、こういう状況があるということは、やはりもっとやり方があるんだと思うんですね。

 今後、九州電力でこういうふうに出力抑制、出力制御をしている、こんなことはなくなっていくんでしょうか、この法案を作って。

齋藤(健)国務大臣 この法案でということにはならないと思うんですが、おっしゃるように、再エネの出力制御は、電力の安定供給を維持しながら再エネの最大限の導入を進める、こう考えると必要な措置なんだろうと思っていますが、これによって、委員御指摘のように、再エネの導入自身の妨げになってはならないというふうに思っています。

 したがいまして、経済産業省では、再エネの更なる導入拡大に向けて、この出力制御量というものを最大限抑制をしていかなくてはいけないということで、昨年末に取りまとめた出力制御対策パッケージというのがございますので、それに基づいて包括的な対策をしっかり講じていくというのが基本的なスタンスであります。

 具体的には、電気料金についても、デマンドレスポンスを推進をして、昼間の太陽光発電を最大限活用するために、電力会社の取組状況を公表して比較できるようにして、ピアプレッシャーみたいなものもあるでしょうし、それから、料金メニューの多様化を推進をしたりしています。

 御指摘の九州エリアですけれども、九州電力では、再エネを最大限活用するために、四月から昼間の電力料金単価を割安にする新たな料金メニューを提供しているということもあります。

 こういうことで、いろいろな工夫をしながら、この出力制御をできるだけ少なくしていきたいなというふうに思っています。

近藤(昭)委員 是非、大臣の決意をお聞かせいただきましたので、お願いをしたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、再エネの設備投資が必ずしも増えていないという現状の中に、やはり、太陽光発電しても九州だと抑制されてしまっているとか、ほかのところでも、これまでも送電線の空き枠の問題なんかもありましたけれども、様々ちょっとあるんだと思います。そういうところだと思います。

 最後に、伊藤大臣にお伺いしたいと思います。

 そうしたCO2の排出削減、きちっとした環境レビューというのを昔環境省を中心にやっていました。今、環境レビューは行われていなくて、事業者の報告になっています。これをやはり復活させる、あるいは、今それぞれの事業者がやっているところに、もっとやはりいい意味で、経済成長の部分等、きちっとこちらで環境省が規制をしていくというかチェックしていく、このことが大事だと思うんですが、大臣、いかがでありましょうか。

秦政府参考人 議員御指摘の、電力事業レビューということかと思うんですけれども、こちらにつきましては、二〇二〇年の七月に現時点で最後のレビューをやったわけでございますけれども、その後、非効率石炭火力のフェードアウトを進めるとともに、アンモニアやCCUS等を活用した脱炭素型の火力に置き換えること、こういった新たな政策というのが出てきまして、大きく進展したと思っております。

 こうした状況の変化を踏まえつつ、御指摘のような電力部門の脱炭素化に係る評価、検証につきましては、これは地球温暖化対策計画のフォローアップの一環といたしまして、経済産業省に設置されております審議会において毎年度行われております。この審議会に環境省も参加をいたしておりまして、引き続き、電力部門の脱炭素化に向けた進捗状況の確認をいたしております。

 環境省としても、気候変動対策全般を所管する立場から、二〇五〇年ネットゼロに向けての電力部門の取組状況を引き続き厳しくチェックするという姿勢には変わりはございません。

近藤(昭)委員 環境省がしっかりやってきたレビューでなくて、今審議会ということになっているので、いささか私は今、頑張るとはおっしゃっていましたけれども、懸念を持っているんですよ。

 伊藤大臣、しっかりと、我々もしっかりと応援していくというか一緒にやっていきますので、頑張っていただきたいと思います。

 今日はどうもありがとうございました。

務台委員長 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 こんにちは。馬場雄基でございます。会派を代表し、質問いたします。

 まず、水素についてでございます。

 昨年まで経済産業委員会におりまして、重点的に取り上げさせていただき、その際も経産省の皆様には大変お世話になりました。

 水素の国産目標、現時点では、ありません。昨年十一月八日の経済産業委員会にて私も質疑させていただいた際、当時西村大臣でしたけれども、国内の導入目標の設定含めて検討を行ってまいりたいというような答弁をいただきました。

 今どうなったのか、齋藤大臣にお伺いしたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 結論から言うと、目標が定まりましたということではないんですけれども、第六次エネルギー基本計画では、水素供給量を二〇三〇年に最大三百万トン、二〇五〇年には二千万トン程度に拡大、これを目指しているものですが、現時点で国内での水素の製造目標を定めてはいません。

 これは、国内での水素の製造目標の検討には、再エネ発電のコストの見通しですとか、国内の再エネ導入のポテンシャルですとか、水電解装置のコスト低減による効果ですとか、あるいは需要動向、こういったものを複合的にしっかりと分析する必要がありますので、まだこういったものの見極めができない段階において今目標として掲げることは難しいということでありますが、ただ、こういった課題の調査検討を行うことによりまして、国内での水素の製造目標についても検討をこれから深めていきたいとは思っています。

馬場(雄)委員 そろそろ結論を出していただきたいというふうにも思いますし、そもそも、水素基本戦略が作られた当初は、やはり、我が国のエネルギー安全保障を高めていくためにもこの水素に着目したというのが、あのとき以来の経産省の思いだったというふうに思います。この点抜けて水素基本戦略はないと私は思っていますので、そろそろ結論を出していただければというふうに思っております。

 今回の新法、画期的な点があります。規制緩和です。高圧ガス保安法あるいは港湾、道路占用に対して特例を設けていきます。社会実装に対して、いよいよ政府を挙げて本気になってきたというふうに評価できる点が多分にあると思います。

 一方、危惧する点は、総花的になっている点でございます。水素も水素などとし、アンモニア、合成メタン、合成燃料まで指していることが見受けられます。水素の色もグレー、ブルー、グリーン、様々ありますが、さらに、水素の利用方法も発電、運送、産業、民生業務等々、もはや全てありというような状況になっているのが懸念している点でございます。

 これは、今日はちょっと時間もないので指摘にとどめさせていただければと思うんですけれども、金融関係の方々からも、政府がやはり本気になって社会実装に行くんだと言わない限り、我々は本気を出してそこのリスクを取れませんということを言われております。総花的にならざるを得ない政府の立場は一見理解はしますけれども、本当に取りたい世界観があるならば、リスクをかけてでもそれを提示し、世界全体、国際社会、あるいは国内の産業全体に対して鼓舞していくようなメッセージを私は出していただきたいというふうに思います。是非とも、齋藤大臣、その点は、今後で構いませんので、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 本日は連合審査でございますので、CCS、二酸化炭素貯留事業について、主に環境大臣に、いつもお世話になっていますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今回の連合審査につきまして、そもそもなぜ私たちがお願いを申し上げたのか、その理由をどのように受け止めているのか、伊藤大臣にお伺いしたいと思います。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 二〇五〇年のネットゼロへ向けて、二酸化炭素を回収、貯留するCCS技術は温暖化対策として非常に重要だとまず認識しております。

 環境省では、経済産業省と連携し、CCSの社会実装に向けた取組を進めてまいりました。加えて、海底下でのCCSについては、環境省が海洋汚染等防止法に基づく許可制度を運用して、苫小牧で実施している実証事業についても同法の許可の下で進められてきました。

 本法案の目的の一つには、海洋環境の保全というものがあります。環境委員会の先生方も参加するこの連合審査の場で御議論いただくことは、環境政策上も大変有意義というふうに考えております。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 まさに、このCCSについては、不安な声が上がっていることは既に皆様も御存じのとおりだと思います。

 改めて資料をお配りをさせていただきました。

 懸念に対する1、2でございますが、それぞれ、1に関しては二酸化炭素地中貯留技術研究組合様からいただいたものの抜粋であり、2に関しては経済産業省さんからいただいた資料の抜粋でございます。

 この点、CCSの懸念点をまとめられていますが、地質的不確実性、貯留層からのCO2漏えい、誘発地震、輸送方法の安全性など、危険性が存在することが数多く明記されている状況でございます。もはやこれは想定外ではなく、想定内という話でございます。環境省が主となって動いていくことには大変意義が私はあると思っております。

 これらの不安に対してどう応えていくかが一番大事です。特に、一月にもありましたけれども、地震。大丈夫ですというふうに一般的に言われていますけれども、能登半島で起きたような地震、かなりな地層の変化がございましたし、もしかしたらこれは小学生、中学生が聞いているかもしれませんけれども、理科の教科書等々にも地層のずれというのは多分に大きく、写真つきで示されていることが数多くございます。大丈夫だと言えるのか、伊藤環境大臣、よろしくお願いします。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 IPCCの知見によれば、二酸化炭素の貯留地点を適切に選択して管理した場合、二酸化炭素が漏えいする確率は長期にわたって非常に低いとされております。

 ただし、委員御指摘のように、万が一貯留した二酸化炭素が海洋中に漏れ出た場合、今度は海底付近に生息する生物に影響が生じる可能性があると認識しております。

 これまでも、海洋汚染等防止法に基づき環境大臣が海洋環境への影響について審査し、海洋環境の保全上の障害が生じていないことを確認してございます。また、地震のリスク、これについても、プレート構造や活断層の存在、大規模な地震の履歴等を確認した上で海洋汚染等防止法の許可を行っているところでございます。

 今回のCCS事業法案においても、貯留地点や管理方法が適切かどうか国が確認することとしており、これらにより、海洋環境に悪影響を与えるリスクを低くするために、また低くなると認識しております。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 このCCSの事業に関しては、もはや海洋だけではなく、陸地そのもの含めて考えていかなければならない状態だと思いますので、そこも含めて考えさせていただければと思います。

 これらの声は今に分かったことではなくて、もう既に前から分かっていたことだと思いますけれども、そのために環境省内で具体的にどんな話合いの場を設けて、そしてどのような議論をし決着をつけていったのか、ここは、済みません、時間上、簡潔にお願いしたいと思います。

土居政府参考人 お答えいたします。

 CCSの環境保全に関しましては、海洋汚染等防止法を所管します水・大気環境局と、地球温暖化対策としての事業を実施するという観点の地球環境局、この両局が中心となりまして、環境影響評価法を所管する総合環境政策統括官グループ、自然環境に関する知見を有します自然環境局が一体となりまして議論を進めてきたというところでございます。

馬場(雄)委員 私が今回ここでお伺いさせていただきたかったのは、結果的にこれでアセスの対象にはならなかったということでございます。話した上で、検討に検討を重ねた上でアセスの対象にならなかったという点が、どうも違和感が残ります。

 思い出していただきたいのは太陽光パネルの話でございますけれども、当初これは余りアセスの話にはならなかったわけですけれども、二〇二〇年四月に一定規模以上のものについては対象に入るようになりました。

 正直、太陽光パネルの環境影響は当初想定は余りされていなかったんだと思いますが、やっていくうちにこれは大変だというふうになったんだと思いますけれども、しかし、このCCSは初めから、環境影響がある、そしてその懸念があるということをほとんどの方が予想しているわけでございます。にもかかわらず、アセスの対象にCCSを入れないということでございますが、それはなぜなのでしょうか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 この貯留事業の実施に当たっては、本法案において、事業許可や貯留事業実施計画の認可などに加え、事業実施中も事業者のモニタリングの義務を課すなど、貯留層からの二酸化炭素の漏出を防止するための対策が取られることとなっております。

 今委員御指摘いただきましたけれども、委員御指摘の環境影響評価法、これは、土地の形状の変更や設置する工作物の規模が大きく、当該工作物の設置に係る工事や供用開始後の事業活動による環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業を対象としてございます。

 今後事業化が進んでいくCCSについては、現段階では、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるかどうかの知見が、国のみならず、事業者においても十分ではございません。

 今後、環境影響評価法の対象にする必要があるか否かについては、今後のCCS事業の動向を注視し、本法案における規制的措置を踏まえつつ検討を深めてまいりたい、そういうふうに考えております。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 定まらないからというところが理由であったというふうに思いますけれども、定まらないから入れなくていいというわけにはならないと思いますし、今まさに大臣からいただいた、検討を重ねていくというお言葉を御期待申し上げたいというふうに思います。

 なぜここを私が注視するかというと、アセスはお金も時間もかなりかかってくることになりますが、CCSが民間のビジネスとして思い切りもうけられる事業ならば、そこまで心配はしないんです。ただ、このCCS事業、まさに経産省のステップワンの資料でもありましたけれども、CCSのビジネスモデルということが本当に成り立つのかというところを極めて不安視しております。市場の循環でこのCCSのビジネスモデルが成り立ち得るのでしょうか。そもそも、もうけられるものではないと思うんですよね。まさに、これから炭素税とかの話も含めてそういう話を持っていくということになると、純粋な経済の仕組みではなく、政策的誘導をもってこのCCSのビジネスモデルを確立しようとするふうに考えているということでいいですよね。オーケーですよね。そういうことなんです。

 それで、加えて、一般的に考えられているのは、二酸化炭素が安定化していく、固定化していくまでにかかる年数は現時点で百年ぐらいかかるとも言われておりますよね。老舗企業になるわけです。この百年企業が本当に存在していくことができるのか、めちゃめちゃもうけている企業であればそうできるのかもしれませんけれども、そもそも、政策誘導でしか成り立たないCCSのビジネスモデルに対して、ちゃんと安定化まで責任を持ってやり遂げられる事業体というのが本当に存在できるのかということ、ここをお伺いさせていただければと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 このCCSのビジネスモデルに関しましては、現時点ではまだ十分確立していないということは事実でございます。

 ただし、経産省では、そういうまさに横展開可能なビジネスモデルを確立すべく、先進性のあるプロジェクトの開発及び操業を予算で後押しをしているところでございます。具体的には、令和五年度に先進的CCS事業でCO2の回収源、輸送方法、CO2の貯留地域の組合せが異なる七つのプロジェクトを採択しまして、民間事業者による事業性調査などの取組を支援しているところでございます。

 全体としては二〇三〇年に民間事業者によるCCS事業の開始ということを目指しているところですけれども、このためには、二〇二六年頃を目途に事業者がさっきおっしゃった収支の見通しを得て投資決定を行う必要がございます。こうした時間軸を踏まえて、予算、税、クレジット、カーボンプライシングなど、諸外国でも様々な支援措置でCCS事業が成り立っておりますので、そういうものを参考に、率先して事業リスクを取る事業者の円滑な参入、操業を可能とする支援制度の在り方について検討をしていくところでございます。

 また、非常に長きにわたる事業でございます。これをずっと企業に責任を負わせるということですとなかなか民間事業は成り立たなくなるということがございますので、今回の法律では、CCSのモニタリングの業務を、一定の要件を満たす場合にはJOGMECに移管するという制度を設けておりまして、民間事業者が負うべき責任を明確化することなどを通じて適切な運営を確保していくということとしてございます。

馬場(雄)委員 予算は財政でして、必要なのは市場です。そこを間違えちゃいけないというふうに思いますし、その点を間違えると恐らくうまくいかなくなるんじゃないのかなというふうに思います。

 時間がなくなりましたので、最後に行かせていただきたいと思います。

 齋藤大臣に再度お伺いさせていただければと思いますが、水素が七兆、CCSは四兆かかっていく問題になります。正直、このお金の規模があれば、例えばですけれども、子供たちの給食費の無償化、普通にできる予算帯になります。それを、それではなく、それでも水素でありCCSだというふうにかけていくならば、必ずここで実を取っていく成果を出していかなければいけないというふうに思います。

 そうした中で、まさに政治家が水素、CCSの道にかけるというならば、本当に経済産業省そのものの存在が問われるほどの覚悟が必要だというふうに私は思っています。その覚悟というものをお示しいただきたいのと、そして最後に、是非とも一つお約束いただきたいのは、都合のいい数字ばかりを並べるのではなくて、都合の悪い数字が出てきたとしても、それをもって我々は追及するとかしないとかそういうことはしませんので、都合の悪い数字も含めてお伝えしていただいて、議論させていただく環境を齋藤大臣にはつくり続けていただきたいということを、是非とも、最後、お願い申し上げたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 二〇五〇年カーボンニュートラルは、これは実現をしなくてはいけない目標なんです。そのためにCCSは必要なんです。ビジネスモデルがなかなか構築を現時点でできていないとかいう御指摘はありますけれども、やっていかなくてはいけないんです。そういう強い決意でやっていきたいと思います。

馬場(雄)委員 決意をいただきました。どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

務台委員長 次に、奥下剛光君。

奥下委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の奥下でございます。

 まず冒頭に、先ほど起こりました台湾での地震、亡くなられた方、まだ全容は出ておりませんけれども、お悔やみ申し上げ、避難されている方にお見舞い申し上げるとともに、沖縄にも津波の心配が出ておりますので、避難されている方にはお見舞い申し上げたいと思います。

 では、質疑に移りたいと思います。

 今回の法案が上がってくるということで、昨年、苫小牧の方に視察に行ってまいりました。技術的にはしっかりしているものだなというふうに実感しております。今日は、環境の立場から質問していきたいと思っております。よろしくお願いします。

 まずは、ちょっと質問がかぶるところもあるんですけれども、地下貯留の影響についてお尋ねしますが、主要なCCSプロセスの一つである二酸化炭素の地下貯留は、地層の安定性や封入層の透過性に影響を及ぼす可能性が考えられます。これにより、地下水の質や地表近くの環境に悪影響を及ぼす可能性が言われておりますが、環境省若しくは経産省の見解をお願いいたします。

    〔務台委員長退席、岡本委員長着席〕

土居政府参考人 お答えいたします。

 専門機関でありますIPCCの知見によりますと、二酸化炭素の貯留地点を適切に選択して管理した場合におきましては、二酸化炭素が漏えいする確率は長期にわたって非常に低いというふうにされておりますので、この選択、管理をするというのが重要でございます。

 今回のCCS事業法案におきましては、事業開始前の事業許可や実施計画の認可、事業実施中のモニタリングなど、貯留した二酸化炭素を適切に管理するための措置が設けられております。

 特に海洋におきましては、海洋環境の保全の観点から、環境大臣による同意や経産大臣との共同認可も位置づけられておりまして、環境保全に支障がないように努めてまいりたいと考えております。

奥下委員 確かに、漏れることは、見に行ってきたので、確率は少ないなと思いますけれども、高濃度の二酸化炭素が密閉された状態でたまると空気中の酸素濃度が低下して窒息する、これは普通に考えられることなので、昨日、生物多様性の法案も通ったことですので、そちらの観点からもきちんと今後も対応していっていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、エネルギー消費と排出についてお尋ねします。

 CCSプロセスには二酸化炭素の捕捉や圧縮などのエネルギーが必要でありますが、この過程に伴う燃料消費や二酸化炭素の排出による環境負荷が考えられます。CCSの導入が新たなエネルギー需要で環境負荷を増す可能性について、経産省の見解をお尋ねいたします。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的なCO2の分離・回収技術を利用した場合、発電所におけるCO2回収に必要なエネルギーにより生じるCO2は、発電に伴い発生するCO2の一五ないし二五%程度と言われておりまして、裏を返せば、CO2の回収を行う工程から生じるCO2に比べて四倍ないし六倍程度のCO2を回収することが技術的には可能というふうにされてございます。

 さらに、その上で、発電に伴う廃熱を有効回収する検討、あるいはCO2回収に必要なエネルギーを低減するためのシステムや材料などに関する研究開発を国としても支援してございまして、これらを通じて、よりエネルギー効率の高い分離・回収技術の導入や普及を進めているところでございます。

奥下委員 次に、生態系への影響についてお尋ねします。

 CCS施設やパイプラインの建設、運用、メンテナンスに伴う土地利用変化や騒音、あと光害の影響が生態系や野生動物たちに与える可能性が考えられます。これらの影響を最小化するためにも環境への配慮が必要であり、これらの環境への影響を適切に評価し軽減するためにはCCSプロジェクトの計画段階から環境影響評価を実施し、適切な管理とモニタリングが行われることは承知しておりますが、地域住民や環境保護団体との協力や透明性を確保することも環境保護とCCS技術の両立を図る上で重要と考えますが、経産省の見解をお尋ねいたします。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 CCS事業の実施に当たっては、御指摘のとおり、地元あるいは利害関係者などの皆様の理解を得ながら進めていくことが重要でございます。今回の法案では、関係する自治体や地域住民などの関係者の皆様の御意見を踏まえた上で貯留事業に関する許可、不許可の判断を行う、これを担保するために、経産大臣が貯留事業に関する許可を行う際の手続として、関係都道府県知事との協議あるいは利害関係者からの意見募集に関する規定を設けているところでございます。

 その上で、実際に事業を行う際には、事業者に対して、自治体や地域住民の皆様に丁寧に説明を行うなど理解を得るための取組を進めていくことを求めてまいります。また、国としても、関係の皆様に対してCCSの政策的意義や負担、安全性などを丁寧に説明して、事業の透明性を確保してまいりたいというふうに考えてございます。

奥下委員 是非、二〇三〇年を目標にやられているということですので、操業する企業を含めて、真摯に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、恒久的な貯留を確保するため、貯留CO2流の漏出防止の監視、監視記録の保存、所管官庁への定期的な報告、漏出の際の措置などの管理責任が貯留の操業者に求められると思いますが、これらの管理責任については海洋汚染防止法が定められていますが、一方、回収や輸送における操業中の環境配慮に関する責任は定められておりませんが、今後検討していく予定はあるのでしょうか。

土居政府参考人 お答えいたします。

 回収や輸送時の二酸化炭素の漏出防止に関しましては、導管輸送につきましては本法案で対応したい、また、その他の輸送方法や分離・回収につきましては必要に応じ既存の法令において規制されると認識しております。

 その上で、回収、輸送における環境配慮につきましては、今後の事業の実施状況、また実態、諸外国での動向を踏まえつつ、必要に応じて検討を進めていきたいというふうに考えております。

奥下委員 是非積極的にやっていっていただけたらなというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 次に、CCSは、一つに、地層構造を利用する恒久的なCO2貯留という、従来の環境法にない技術であること、次に、汚染防止と気候変動防止の両方の環境配慮が必要なことなどの理由から、既存の環境法との整合性も必要になってくると考えます。

 CO2流には回収の過程で有害物質や不純物が含まれるため、CO2流の組成に関する基準が必要になってくると思いますが、CO2流が既存の環境法における廃棄物や大気、水質の汚染物質に該当するのかどうか、CCS指令や米国の安全飲料水法、UICプログラムでも曖昧な点が残されているように思うのですが、環境省の見解をお願いいたします。

土居政府参考人 お答えいたします。

 回収されました二酸化炭素そのものにつきましては、廃棄物処理法上の廃棄物であるとか大気汚染防止法、水質汚濁防止法上の規制対象物質には該当しないという整理でございます。

 一方、現行の海洋汚染等防止法につきましては、海洋環境の保全を目的とするロンドン議定書の担保措置といたしまして、海底下に貯留するガスの組成に関しましても基準を設けて確認をしてきたところでございます。

 CCS事業法案におきましても、海洋環境への影響を踏まえまして、特に海域に貯留する二酸化炭素につきましては、貯留することができる二酸化炭素の基準を決めたいというふうに考えております。具体的な基準につきましては、現行の海洋汚染等防止法の基準や最新の分離・回収技術の動向も踏まえまして、適切に定めてまいりたいというふうに考えております。

奥下委員 ちょっとこれは通告をしていませんけれども、今の答弁に対してですけれども、いつまでとかともう期限を決めておられるんでしょうか。

土居政府参考人 CCS法案に基づきます事業で海底下のCCSができる基準につきましては、この施行に合わせて定めていきたいというふうに考えておりますし、また、専門家の会合におきましても、こういう技術があるのではないか、こういう観点で基準を定めていくのではないかということを御指摘いただいておりますので、それを踏まえて施行に間に合うように対応していきたいというふうに考えております。

奥下委員 ありがとうございます。

 不透明な点がまだ多々残っておるところですので、先ほどの馬場さんもおっしゃっておられましたけれども、決めたはいいが、手を挙げる民間企業がなければ全く話にならないので、民間企業はやはりそういった不透明なところが多いと判断しかねるところが多いので、是非なるべく明確な基準でいち早く決めていただけたらなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、恒久的なCO2の封じ込めや環境配慮の重要な論点について不明瞭な点が残されているわけですけれども、例えばEUのCCS指令では、長期的責任の内容やCO2流の基準について具体的には定められておりません。構成国の国内法化の過程で議論となっている経緯はありますけれども、米国においても長期的責任の取扱いやCO2流の基準について定められておりません。

 特に長期的責任の取扱いはCCSを実施する上で重要かつ困難な論点であり、責任が不明瞭であれば操業者のリスクも大きいと考えます。長期的責任、管理責任と賠償責任についてどのようにお考えでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、このCCSに関しましては、欧米でも今実績を積み上げている段階でございますので、長期的な管理、モニタリングの内容あるいはガスの基準については統一的な定めは設けられていないというふうに承知してございますけれども、EUあるいはアメリカの一部の州におきましても、大枠としては、CO2の注入停止後、一定期間が経過した後は、貯留したCO2のモニタリング義務などの貯留事業の管理業務を国などに移管する措置を講じているということが一般的であるというふうに理解してございます。

 こういう諸外国の事例も踏まえながら、我が国としても適切な管理、モニタリングの詳細については今後検討してまいります。

 また、賠償責任についても御指摘がございましたけれども、今回の法案では、万が一、貯留のための土地の掘削、坑水の放流などの行為により損害が生じた場合には、適切な被害者救済を図る観点から、そうした損害が発生したときの貯留事業者に無過失責任を、当該損害が発生したとき既にJOGMECに業務移管がなされている場合には、業務を移管する直前に貯留権を有していた貯留事業者の方に無過失責任を課すということとしてございます。

 今回の法案で貯留事業者の責任の範囲をしっかり明確化することで、民間事業者が参入可能な制度の整備、運営を目指していきたいというふうに考えてございます。

奥下委員 ありがとうございます。

 やはり最悪の事態を想定して動かれるのが民間ですので、ここもきちんと民間の声を聞きながらやっていっていただけたらなというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 次に、CCSの回収及び輸送の環境配慮や回収、輸送、貯留の一体的な評価が不十分であると考えます。

 EUや米国の環境に配慮した地下層貯留の法的枠組みは貯留を主な対象にしており、回収や輸送に対する環境配慮や法的責任は限定的であります。

 CCS指令は既存の指令の改正により回収や輸送に適用されておりますが、輸送については、第三者アクセスの規定や環境影響評価に関する規定がパイプラインに対してのみ適用されている程度です。また、EUのCCS指令は、回収、輸送、主にパイプラインですね、貯留の各プロセスを対象に環境影響評価を求めていますが、回収、輸送、貯留を一体的に評価することまでは求めておりません。

 この点に関して、環境影響評価手続ではありませんけれども、米国の大気浄化法のBSERやBACTにおける技術基準の判断では、発電所に対してCCS技術の適用実現可能性を判断する際に、環境影響、エネルギー効率、経済性の観点から回収、輸送、貯留を一体的に評価しようとする動きが見られます。

 環境に配慮した地層貯留の法構造では、貯留プロセスの環境配慮に重点が置かれておりました。しかし、CCSは、回収、輸送、貯留の一体的プロセスによってCCSを処理するのであって、この一体性の考慮が十分でなかったことがEUや米国におけるCCS事業の頓挫の要因ではないかなというふうに考えております。法構造の欠陥であったと考えるんですけれども。

 これらを踏まえて、従来の環境に配慮した地層貯留ではなく、環境に配慮したCCSの法モデルを検討する必要があると思いますが、経産大臣、環境大臣のそれぞれの御見解をお聞かせいただけたらと思います。

齋藤(健)国務大臣 委員、米国の例を御指摘されましたけれども、二〇〇九年からエネルギー省がCCSプロジェクトの支援を行ったんですが、完了に至らなかったという案件がございます。この点について、米国会計検査院が作成しました報告書によりますと、経済的な実現性がなかった点を理由として挙げております。その後、アメリカでは、二〇二〇年のインフレ削減法案によりまして、CO2の貯留量に応じて税額控除を拡充するなど、政策の見直しを行ってきていると承知しています。

 経済産業省としても、米国同様に、CCS事業は貯留が事業の中心になるものと考えています。ただ一方、委員御指摘のとおり、回収、輸送、貯留のバリューチェーン全体で、一体的に環境への配慮の観点、これを含める形でビジネスモデルを構築していくことには意義があるというふうに認識をしています。

 そのため、先進的CCS事業におきまして、模範となるプロジェクトの開発及び操業を支援しておりまして、回収、輸送、貯留を一体としてビジネスモデルを構築するに当たり、環境配慮についても検討を促していきたいと思っています。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 大変重要な御指摘をいただいたと考えております。

 このCCSの実施に当たっては、二酸化炭素の回収、輸送、貯留の各段階で環境配慮を図ることが極めて重要だと思います。

 本法案では、特に二酸化炭素の貯留の部分を中心に、諸外国の法制度等を踏まえて事業環境を整備するとともに、国際条約の担保を含め、海洋環境の保全に支障が生じないように必要な措置を盛り込んでいるところでございます。

 さらに、御指摘もございます、環境省では、二酸化炭素の分離・回収、輸送、貯留及びモニタリングについて、環境保全を図るための検証等を進めております。こういうことを通じて、環境に適切に配慮したCCSが進むように経済産業省と連携して取組を進めてまいりたい、そういうふうに考えております。

奥下委員 こういった技術はトライ・アンド・エラーを繰り返していくしかないと思いますので、エラーが起きたときの対応だけ、きちんと責任を持ってやっていただける官庁を決めておいていただけたら、民間も手を挙げやすいのかなというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。

 時間なので終わります。ありがとうございました。

岡本委員長 次に、守島正さん。

守島委員 日本維新の会の守島です。

 早速質問に入らせていただきます。

 これまでの委員会のやり取りで、水素、アンモニア等に関して、燃料等で産業用途として活用する方向性は、議論の中で、技術の進展次第で大きく期待できるのかなというふうに感じているんですけれども、電力部分での活用となると課題も多くて、自立を目指すまでのハードルというのは非常に高いと感じていて、この点は、立憲の田嶋委員であったり、先日参考人でお越しいただいた浅岡委員も指摘しておりましたが、先日、朝日新聞においても、水素、アンモニアの発電への貢献は将来的にも限定的で、脱炭素への寄与度が低いという想定を京大の研究グループがしたという記事も出ておりました。

 そもそも、現状でいうと、サプライチェーンが構築され切れていないので、水素とかアンモニアの混焼はコストの割にCO2削減効果が乏しい中、二〇三〇年断面における電源構成というのは、エネルギー基本計画では、水素、アンモニアは一%という状況で位置づけられています。

 双方を比較すると、特にアンモニア混焼というのは発電効率が低くて、天然ガスより高いCO2排出になる見通しですし、専焼の技術も確立していない上、水素と比べると汎用性が高くないというか、発電部門以外での産業の用途で燃料として活用できる用途が限定されているのかなというふうに感じていて、この際、改めて、本当にこの政策を積極的に推し進めるべきなのかというのを維新としても確認しておきたいと思います。お願いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、GX実現の観点からは、鉄、化学といった、代替技術が少なく転換困難な分野、用途におきまして、新たな設備投資や事業革新を伴う形で水素、アンモニアを活用して、原燃料転換を進めることが極めて重要であるというふうに考えております。

 他方、そうした分野での二〇三〇年時点での利用規模はまだ限定的というふうに見込まれておりまして、大規模かつ強靱なサプライチェーン形成に向けましては、発電等の安定的で大規模な水素、アンモニア需要を取り込む必要もあるかなと考えてございます。

 したがいまして、鉄、化学等の分野、用途での活用、これは極めて重要でございますけれども、発電等の大規模需要の取り込みも、双方、先行的で自立可能なサプライチェーン形成に向けて重要でございまして、着実に取り組んでいきたいと考えてございます。

守島委員 ありがとうございます。

 多産業への有効利用ということで重要ということですけれども、やはり規模の経済を考えると、発電を含めたサプライチェーンを構築しないと厳しいという中で、特に混焼でいうと、混焼することでも先ほどの議論からいう経済合理性というのが低い中で、これが専焼となると、将来展望、これは極めて厳しいんじゃないかなと思っています。

 だから、浅岡参考人は、再エネ比率を増やすべきだ、もう再エネにするべきだと言っていましたし、その前の、CCSの参考人で来られた本庄参考人なんかは、やはり、発電においてはLNGが一番安定していて安価なので、二〇五〇年断面でもLNGを中心とした化石燃料はなくならないだろうという話もされていまして、僕自身も、それが一定、今の見通しというか正しい解なのかなというふうに思っています。だからこそ、低炭素水素等の利用を拡大しても、火力発電を残す以上はCCSとセットで考えなければならないというふうな話に帰結するというふうに思っています。

 なので、今のところ、CO2の分離・回収コストを下げようとすると、二〇五〇年断面の技術ではIGCC・CCSが最も安いとされていると思うんですけれども、実際にIGCCの実装見通しを確認したいのと、その場合、従来型の、非効率な火力発電と先ほど話がありましたが、石炭だけの火力発電と比べて発電効率というのがどうなのかというのをちょっと確認したいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるIGCCは、従来の石炭火力、例えば超超臨界圧、USCと比べますと、発電効率を約二割向上させ、CO2排出量も約二割削減できるという、現時点では最先端のレベルの技術でございます。

 二〇一二年度から二二年度まで、このIGCCにCO2の分離・回収設備を併設した実証実験、これを広島県大崎上島で行っております。その結果、新設商用機において、CO2を九〇%回収しつつ、発電効率四〇%程度を達成するという見通しを得たところでございます。

 この実装の計画ということなんですけれども、現時点では、このIGCCとCO2の分離・回収を組み合わせた民間事業者による具体的な計画は明らかになっておりませんけれども、国としては二〇三〇年までに火力発電を含めたCCS事業の開始を目指しております。

 また、電力分野のトランジションロードマップにおきましても、電力分野の脱炭素化に向けて、CCSを二〇三〇年代から実装、導入するという見通しが明らかになっているところでございます。

守島委員 大崎での経験を踏まえて、仮にIGCC・CCSという流れがうまくいって、安価なCO2分離・回収方法が確立したとしても、これは全ての発電所にCCSを附帯するかというと、貯留地などの問題も含めて、それが適地か否かという課題も出てくると思います。

 なので、現在は、様々な取組に幅広く、カーボンニュートラルに向けて取組をいろいろしているんですけれども、今後、じゃ、炉の建て替えをいつするかとか、この炉は水素、アンモニアの混焼は何%までするのかとか、CCSを実際に附帯するのか、こうした各発電所における具体的な計画というのが必要になってくると思うんですけれども、どのタイミングでどういう技術を実装していこうと考えているのか、そういう検討状況とかスケジュール感があれば教えてください。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 カーボンニュートラルの実現に向けて、電力の安定供給も確保しつつ、足下で電源構成の七割を占める火力発電の脱炭素化を一層進めていくという必要がございます。

 具体的には、非効率な石炭火力のフェードアウトを進めつつ、水素、アンモニアやCCUS等を活用して脱炭素化を推進していく方針でございますけれども、個別の火力発電所における脱炭素化に向けた投資につきましては、今御質問いただきましたような技術の進展状況や利用可能性、経済性、発電所の立地環境、地元住民の理解なども踏まえて、各事業者において判断がなされていくというふうに承知をしております。

 このため、どのタイミングでどの技術が選択されるかという点について、現時点で一概に申し上げることは難しいというふうに考えてございますけれども、政府として、水素、アンモニア等のサプライチェーンの構築、先進性のあるCCSプロジェクトに支援を行う、併せて、長期脱炭素電源オークションなどを通じて、脱炭素投資が進む事業環境についてしっかり整備してまいりたいというふうに考えてございます。

守島委員 水素、アンモニアは、特にサプライチェーンの構築がまだということで、その構築次第というか、コスト見合いだと思うんですけれども、火力発電所の在り方に関しては合理的な判断をしていただきたいというふうに思っています。

 仮に、CO2の輸送コストとか貯留キャパシティーの問題が解消できるのであれば、IGCCとかCCSの技術を高めれば、火力発電において一定CO2が発生しても、先ほど回収率が九〇%とかいう話をされていたので、そこは許容範囲になるのかなというふうに思っていて、そうなると、水素、アンモニアの混焼割合はどこまで目指すのかなというのが議論になると思います。

 混焼割合を高めて専焼まで目指すというのはいいんですけれども、単純に時間と投資をすれば比例して利用割合が高まるかというと、そうではなくて、どちらもタービンへの負荷が莫大であったり、水素であれば安全性とかサプライチェーンの問題が出てきますし、アンモニアであれば、NOxの問題であったり、燃焼、火力が弱いという問題もあったり、専焼に近づけば近づくほど、解消困難な問題というのがより出てくるんじゃないかなというふうに思っていて、実装のハードルは格段に上がってくると思っています。

 これは一般論なんですが、僕も、製鉄業以降も部品加工業とかにいまして、歩留り一〇〇%とか不良率〇%を目指すというのは簡単なんですけれども、九九と一〇〇の間には、これは大きな壁があるので、専焼となるとまた一段と話が変わってくるのかなというふうに思っているんですが。

 これからも火力発電所を動かすことを前提に二〇五〇年のカーボンニュートラル実現をするためには、CCSとかCCUSとかほかの技術開発がありきであれば、この水素、アンモニアの専焼にたどり着かなくても目標に近づくことはできるんじゃないかというふうに僕自身は思っていまして、カーボンニュートラルに向けて、確率が低い投資をしてもオーケー、まあ、カーボンニュートラル、先ほど大臣が二〇五〇年に向けて絶対やらないといけないという話はしていて、それはそうだと思うんですけれども、その期待値というか、投資に対する期待値が低いところをあえて選ばなくてもいいのかなというふうに僕は感じてはいるんですが。

 専焼まで目指すというのは、投資に対する期待値、正味現在のリターンというのは低いんじゃないかなという感じがするんですけれども、大臣の率直な見解を教えてください。

齋藤(健)国務大臣 まず、二〇五〇年にカーボンニュートラルを実現するためには、まだまだ実現可能性が不確かなものがたくさんあるわけですね。ですから、仮にCCSが順調に進んで、たくさんキャパシティーができたらとか、そういうふうな仮定が置ければ絵を描くのは易しいんですけれども、今そういう状況にはないので、先ほど御答弁で申し上げましたけれども、あらゆる可能性、選択肢を探りながら現実的に進めていくということにならざるを得ないんだろうと思っています。

 それで、今御指摘の水素及びアンモニアの混焼や専焼に向けた技術開発ですけれども、これは、それぞれの技術の性質に応じて課題ですとか熟度は異なっているわけでありますけれども、二〇三〇年をまず目指して、専焼化を見据えた技術開発、この点については、我々はまだ順調に進捗しているというふうに評価をしているところであります。CCSにつきましても、二〇三〇年の事業開始に向けて、発電分野からのCO2回収を含む複数のプロジェクトを支援しております。

 一方で、コスト低減や、先ほど議論がありました、ビジネスモデルの構築ですとか支援制度の在り方の検討なども進めていかなくてはいけません。

 冒頭申し上げましたように、一概に、どの脱炭素化技術に特化したらどうなるかという前提で今物事を進められる状況ではないわけでありますので、水素、アンモニア、CCSを含め、あらゆる選択肢を活用しながら脱炭素化を推進していくというのが、現時点で我々がやらなくちゃいけない道ではないかなというふうに考えています。

守島委員 大臣、ありがとうございます。

 もちろん、大臣がおっしゃるとおりで、どれが成功するかというのは今見えていない中で、例えば、逆に、CCSも駄目だみたいになって、水素、アンモニアのサプライチェーンが構築されて、コストががんと下がるという未来もあり得るかといったら、あり得ると思いますので、こうしたばらつきがあることは前提として、それを新たな技術で解消していって、従来僕は質問させていただいているんですけれども、やはり柔軟に、そこはより合理的な技術を選んでいってほしいという意味で、この質問をさせていただきました。

 やはり、投資に対しては、期待値というか、ばくちではないので、出口戦略とかほかの道を進むという戦略も当初から考えることも肝要だというふうに思っていて、昨日、たまたま、予算委員会の中央公聴会でも参考人で来ていただいた佐藤主光教授と話す機会がありまして、政府投資に対する効果検証の指標というのは何がいいのかと相談させてもらったんですけれども、それは、単純に言うと、全要素生産性を産業別に見るのが一番いいんじゃないかという話を受けて、やはり投資対効果を純粋な経済成長で評価するのが重要だというふうに思った次第です。

 質疑時間が終了したので、次の質問、あさって私、登壇もありますので、また大臣に続きは質問して、そういう合理的な判断、出口、入口両方、投資対効果をしっかりと定量的に評価して、これからもGX投資を進めてほしいというふうに思っています。

 以上です。ありがとうございました。

岡本委員長 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 三月二十九日の経済産業委員会参考人質疑で、昨年末のCOP28にも参加された気候ネットワークの浅岡美恵理事長から、世界はここでも一・五度を目指すと確認した、ここで合意をしたことは二〇五〇年カーボンニュートラルだけではない、そこに至る道筋が大事だ、二〇三〇年にどこまでできているのかが問われている、これが国際社会の認識という発言がございました。

 そこで、伊藤環境大臣に伺います。

 環境省のホームページを拝見しますと、COP28の結果について、世界全体の温室効果ガス排出量を二〇三五年までに六〇%削減する必要があることが改めて認識されたとした上で、今後とも日本としては、一・五度C目標実現にとって勝負の十年と述べております。

 今後十年間、二〇三五年までの日本の削減目標というのは幾らというふうになっていますか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 我が国は、一・五度目標と整合的な形で、二〇三〇年度四六%削減、さらに、五〇%の高みに向けて挑戦を続けるという目標を掲げております。二〇二一年度には、二〇一三年に比べ約二〇%の削減を達成するなど、着実に実績を積み重ねておりまして、引き続き対策、施策をしっかり進めてまいりたいと思います。

 その上で、二〇二五年までに提出が奨励されている次期NDCについては、三年ごとの地球温暖化対策計画の見直しに係る検討や、IPCCによる科学的知見、排出削減の実績等を踏まえつつ、環境省が中心となって、関係省庁とも連携しながら検討を行ってまいりたいと思います。

笠井委員 検討していくということは、今持ち合わせていないということです。

 電力分野は、日本全体の削減量の約四割を占めております。そこで、伊藤大臣それから齋藤大臣、両大臣に伺いますが、今回の水素、CCS関連二法案によって、今後十年間、二〇三五年までに排出量をどれだけ削減できるというふうに見込んでいるんでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 今後、この水素社会推進法案で措置する価格差に着目した支援の支援対象が決定をして、またCCS事業法案により事業環境が順次整備される中で、今回の両法案による低炭素水素等やCCSの利用に伴う排出量の削減量が次第に明らかになってくるものなんだろうと考えています。

 将来の具体的なCO2削減量につきましては、どういう産業分野ごとに導入見通しが、めどが立ってくるかということに左右されるわけでありまして、支援状況やイノベーションの進展状況などの影響を受けるため、現時点で精緻な見通しを行うことは困難であろうと思います。

 今後、技術開発の進捗や民間事業者の取組の動向、こういったものが明らかになってくれば、それに伴う排出量の削減効果等も踏まえるということで導入を進めていきたいと思います。

伊藤国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 二〇三〇年度の削減目標の達成に向けて、昨年六月に改定された水素基本戦略では、電源構成の一%程度を水素、アンモニアによる発電で賄うこととしてございます。また、昨年三月に取りまとめられましたCCS長期ロードマップでは、二〇三〇年までの事業開始を目標として、発電を含めたCCS利用全体で二〇三〇年までに年間貯留量六百万トンから千二百万トンの確保にめどをつけるということを目指すとされてございます。

 これらの方針や今般の二法案によって、二〇三五年までに発電による排出量をどの程度削減できるかを今この瞬間に一概にお示しすることは困難でございますが、二〇三〇年度以降の取組については、地球温暖化対策計画の見直しに係る検討の中で、経済産業省等の関係省庁と連携しながら議論を行ってまいりたいと思います。

 いずれにいたしましても、二〇五〇年ネットゼロに向けて、水素、アンモニア、CCS、CCUS等の活用により、脱炭素型の火力に置き換えていく取組を促進してまいりたいと考えております。

笠井委員 政府、そして環境省が勝負の十年ということで言っているので私は伺ったんですが、二〇三五年までの削減目標はもとより、今回の法案でどれだけ削減効果があるのかということについても言えないと。およそ勝負の十年にふさわしくないどころか、新たに排出する石炭火力発電を温存するという法案になっている。勝負の十年というなら、今ある技術を最大限、遺憾なく活用して、徹底した省エネとともに、電力分野で削減効果が抜群の再エネにこそ注力すべきだということを申し上げたいと思います。

 次に、CCS事業における国の役割に関わって伺います。

 まず、伊藤環境大臣に伺いますが、現行の海洋汚染防止法、海防法で規定されているCO2の海底下廃棄において、事業者によるモニタリングの期間はどのように設定されているでしょうか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 現行の海洋汚染等防止法における海底下廃棄の許可制度では、圧入した二酸化炭素ガスを海底下に貯留する限り、継続して許可が必要であります。これに伴い、許可廃棄者は、事実上無期限に海洋環境のモニタリングを実施することとなります。

笠井委員 その無期限というのは、なぜ無期限というふうになっているんでしょう。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 現在の許可制度は、海洋投棄を規制するロンドン議定書の改正により海底下におけるCCSの実施が解禁されたことを踏まえ、議定書の国内担保措置として平成十九年に設けられたものでございます。

 この制度を創設した当時は、諸外国でもCCSに関する法制度が整備されている途上であったことから、知見の集積が図られるまで、海洋環境の保全に支障が生じないように、モニタリングの終期について特段の定めを置いていなかったところでございます。それによって、現時点では無期限となっているところでございます。

笠井委員 海洋汚染防止法では、期限を切らず無期限にモニタリング監視の実施を事業者の責任として求めているということであります。

 一方、CCS事業法案ではどうか。海洋汚染防止法におけるCO2の海底下廃棄に係る許可制度は、今回の法案に一元化した上で、海洋環境の保全の観点から、必要な対応について経済産業大臣と環境大臣が共管するとされています。

 そこで、齋藤大臣に伺いますが、CCS事業法案では、事業者のモニタリング義務を、一定の期間、要件を満たせばJOGMECに移管できるとされていますが、なぜでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 まず、貯留事業は、CO2の注入を停止した後もモニタリングを行うことが必要となるなど、事業期間が長期間にわたることが想定されます。

 こうした中、仮に貯留事業場の半永久的な管理を民間事業者に求めるということをした場合、民間事業者による貯留事業への参入意欲が阻害されて、我が国におけるCCS事業が円滑に進まないおそれがあります。

 この点、EUや、米国の一部の州を含む諸外国においては、CO2の注入停止後、一定期間が経過した後は、貯留したCO2のモニタリング義務等の貯留事業場の管理業務を国などに移管する措置を講じていることが一般的であると思います。

 このため、今般のCCS事業法案では、民間事業者の貯留事業への参入を促進するとともに、貯留事業終了後においても引き続き貯留事業場をしっかり管理するための措置を講じることとしたわけであります。

 具体的には、CO2の注入停止から一定期間が経過した後、CO2の貯留の状況が安定しているなどの一定の要件を満たす場合には、モニタリング等の貯留事業場の管理業務をJOGMECに移管することができる制度を創設することとした次第であります。

笠井委員 齋藤大臣、今最後に言われたところに関連して伺いますが、法案の説明資料には、この移管の要件として、「貯留したCO2の挙動が安定しているなどの要件」と記載されている。大臣もそのことを言われましたが、それは具体的にどれぐらいの期間ということになりますか。

齋藤(健)国務大臣 先ほど答弁したとおり、今般のCCS事業法案では、CO2の注入停止から一定期間が経過した後、CO2の貯留の状況が安定しているなどの一定の要件を満たす場合には、モニタリング等の貯留事業場の管理業務をJOGMECに移管することができる制度を創設しているということですが、委員御指摘のJOGMECに管理業務を移管するまでの期間につきましては、CO2の貯蔵の状況が安定するまでに必要な期間を省令で定める予定でありますが、例えば、諸外国の例を見ますと、英国やノルウェーでは、CO2の圧入停止後原則二十年間で、CO2の安定性が確認されれば短縮可能であるとか、米国のノースダコタ州ではCO2の圧入停止後少なくとも十年間、こういうことにされていると承知しています。

 このため、今後、こうした諸外国の動向や貯留したCO2の安定性に関する最新の科学的知見なども踏まえながら、引き続き検討していきたいというふうに考えています。

笠井委員 諸外国の動向等なども言われましたが、CCS事業による安全上や経済上のリスクなどに照らせば、負担を軽減するためとして、事業者の長期にわたるリスク管理責任を曖昧にしてはならないと思います。一定の期間、要件を満たせばJOGMECに移管して国と国費で面倒を見るんじゃなくて、最後までその点では事業者に責任を果たさせるべきだと思います。

 更に伺います。

 伊藤大臣、現行の海洋汚染防止法では、CO2の海底下廃棄に係る許可の期間というのは何年というふうに定めてありますか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 現行の海洋汚染等防止法では、二酸化炭素を海底下に廃棄する者に与えられる許可の有効期間は最長五年間としており、有効期間が満了するたびに許可を再取得することを求めております。

笠井委員 齋藤大臣に伺います。海底下CO2貯留を一元化した今回の法案に許可の期間の定めはありますか。

齋藤(健)国務大臣 この法案におきましては、貯留事業の許可の有効期間については、特段の定めを置いておりません。

笠井委員 なぜ期間の定めがないんですか。

齋藤(健)国務大臣 伊藤大臣からも御指摘ありましたが、ロンドン議定書におきまして、「許可は、監視の結果及び監視計画の目的を考慮して定期的に再検討されるべき」、これがロンドン議定書に決まっていることであります。

 その上で、今般のCCS事業法案におきましては、CO2の安定的な貯留を確保するため、貯留事業者に対しまして、貯留したCO2のモニタリング義務を課した上で、その結果を主務大臣に報告することなどを義務づけています。そして、これらの義務が適切に履行されていない場合には、主務大臣が、貯留事業の停止を命令したり、貯留事業の許可を取り消すことができることとしています。

 このため、CCS事業法案では、貯留事業の許可の有効期間については、先ほど申し上げましたように特段の定めを置いてはいないものの、貯留事業者を監督する中で、その事業者が貯留事業者として適切であるかどうか、しっかりと確認ができる仕組みとなっています。

笠井委員 伊藤環境大臣によれば、現行の海防法では、最長五年の期間で、その都度許可申請と審査が繰り返されることによって長期間の監視を担保する仕組みになっているわけですが、それを事業開始前に終了時も見据えて評価、許可をするとなると、やはり長期の監視など全く担保されなくなる。

 今最後に大臣が言われたけれども、それでできるのか、推進ありきでチェックができなくなるという仕組みに変わるじゃないかということを言わざるを得ません。

 最後に、伊藤大臣に伺います。

 三月二十二日の経済産業委員会で、朝日環境大臣政務官は、CCSにつきましては、本法案の成立後、事業化が進んでいくものであり、現段階で、環境影響の程度が著しいものであるかどうか、その知見が十分でないことから、環境影響評価法の対象とする必要性については、今後のCCS事業の実態を踏まえた上で検討を深めてまいりたい、このように山崎誠委員に答弁いたしました。

 大臣、どのような知見がないとこの環境影響評価法の対象とする必要性が検討できないということなんですか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 環境影響評価法は、土地の形状の変更や設置する工作物の規模が大きく、当該工作物の設置に係る工事や供用開始後の事業活動による環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業を対象としてございます。

 CCSについては、今後、本格的に事業化が進んでいくものでございまして、現段階で、工作物の設置に係る工事や供用開始後の事業活動による具体的な環境影響について、その程度が著しいものとなるおそれがあるかどうかの知見が十分でないということでございます。

 環境影響評価法の対象とする必要があるか否かについては、今後、CCS事業の動向を注視し、本法案における規制的措置を踏まえつつ検討を深めてまいりたい、そのように考えております。

笠井委員 今大臣が言われました環境影響評価法は、規模が大きく、環境影響の程度が著しいものとのおそれがある事業に対して環境影響評価の実施を求めるものでありますが、おそれがあれば行わなければならないのに、知見が十分でないから現段階で必要性が判断できないというのはどういう意味なんですか。

伊藤国務大臣 要は、おそれがあるかどうか自身についても知見が十分じゃないという認識だと思います。

笠井委員 おそれがあるということについても知見がないと言われたわけですが、環境基本法の第四条は、環境の保全は、科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障が未然に防がれることを旨として行われなければならないと定めております。

 知見が集まったときには手遅れだったというわけにはいかない、未然に防がれるということを旨とするわけですから、おそれがあればアセスは必要というのが環境影響評価法の第一条の目的であります。

 環境省のCCS長期ロードマップには、CCSは、二〇三〇年までの事業開始に向けた事業環境を整備というふうにあります。CCS事業の開始までにアセスの適用の要否も判断できないということなんですか。

伊藤国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の環境基本法第四条、環境の保全は、科学的知見の充実の下に環境保全上の支障が未然に防止されることを旨として行われることを求めてございます。

 また、本法案において、二酸化炭素の漏出時に海洋環境への影響が懸念される、海域における貯留事業の実施に当たっては、環境基本法第四条の趣旨にのっとり、事業許可や貯留事業実施計画の認可など、あらかじめ貯留層からの漏出を防止するための対策が取られるということになっております。

笠井委員 何のための環境影響評価法なのか、環境基本法なのかということが問われてくると思うんですよね。これだけおそれがあるということについても、知見がないからといってやらないということになると、環境影響評価法が適用されて、環境大臣、それから住民、地方自治体が意見を述べる手続が明確化されてしまうと、住民合意が得られなくなってCCS事業が進められなくなるから対象としていないのではないかと思わざるを得ないんですけれども、そういうことなんですか、大臣。

伊藤国務大臣 委員とは見解を異にします。

笠井委員 いや、見解を異にするじゃないので。

 これは、本当に環境影響評価というのは重要な問題で重大な問題ですから、きちっと答えていただきたいと思うんですけれども、これが適用されると、環境大臣はもとより、住民、地方自治体が意見を述べる手続が明確化されます。そういうことになってくるということで、きちっとそういうことでチェックしていくというシステムがやはり何重にもあるわけですよね。ところが、そうやっちゃうと、適用しちゃうと住民合意はなかなか大変だよね、そうするとCCS事業は進められなくなっちゃうね、だから、ちょっと知見がないということにして、やらないという話になるという意見も出てきますよ、これ。

 きちっとこの問題は答えてもらわないと、見解が異なるじゃ済まないんじゃないですか。

岡本委員長 伊藤環境大臣、笠井委員との申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

伊藤国務大臣 意見が異なると言った部分は、事業が進まなくなるからそうしなかったという意見と異なるという意味で申し上げたわけです。

 御指摘のとおり、例えば苫小牧の実証事業の例からも、自治体や関係者等の地元の御理解は非常に重要だというふうに考えてございます。

 一月に公表された今後の海底下のCCSに係る海洋環境の保全の在り方に関する中央環境審議会の答申においても、事業の対象となる地域の状況に応じて、関係者との対話を通じて信頼関係を構築することは非常に重要だというふうにされてございます。

 また、海洋投棄を規制する国際条約であるロンドン議定書のガイドラインにおいて、市民による審査及び参加のための機会が設けられることが推奨されるということを踏まえ、現行の海洋汚染等防止法の許可制度においても、広く国民からの意見の提出の機会を設けているところでございます。

 こうしたことを踏まえて、今国会に提出されているCCS事業法案においても、利害関係者の意見の提出や自治体への協議の規定を設けてございます。これらを通じて、引き続き、自治体や関係者等の、地元の御理解の下で事業を進めることが重要というふうに考えてございます。

笠井委員 時間が来たので終わりますが、カーボンニュートラルを名目に掲げながら、住民の安全や環境保全よりも事業化ありきで進めるというようなことが絶対あってはならない、このことは断じて認められないということを申し上げて、質問を終わります。

岡本委員長 次に、鈴木義弘さん。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 久しぶりに、環境委員会というよりも、環境大臣にお尋ねする機会をいただいて、感謝を申し上げたいと思います。

 今回の水素関連法案とCCS法案に対して、事前に環境省として見解を述べておられたんだと思うんですね。それで今日の合同審査になったと思うんですけれども、環境省としてどのような見解を経産省の方に求めてきたのか、それを簡潔にお聞かせいただきたいと思います。

伊藤国務大臣 このどちらの法案も、二〇五〇年ネットゼロの達成に向けて重要であるというふうに考えております。これまで環境省では、水素サプライチェーン構築の実証事業やCCSの社会実装、海洋汚染等防止法による海底下のCCSの許可制度の運用を取り組んでまいりました。

 委員御指摘のCCSの環境リスクについては、定量的に算出することは困難でございますけれども、IPCCによれば、二酸化炭素の貯留地点を適切に選択して管理すれば、二酸化炭素の漏えいする確率は長期にわたり非常に低いとされているところでございます。

 しかし、何事にも絶対的な安全というものはありません。海洋環境保全への支障が生じないように、最新の科学的知見に基づき、適切にCCSが実施されることが重要でございます。

 環境省としては、本法案に基づき、経済産業省とも連携を図って、環境に配慮したCCS事業を進めてまいりたい、そのように考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 私は鉱山学を習ってきたわけじゃないんですけれども、例えば日本の領海というのは五海里までだと思うんですね。例えば、それが領海から出るところまで貯留できているといったときに、排他的経済水域でいう、EEZが使えるんだということもあるんでしょう。そうすると、自分の国土の中とか領海の内側に関しては自分たちの法律が有効になると思うんですけれども、そこの外にどうしてもガスが行ってしまったときに誰が責任を取るんだといったとき、日本の環境省なのか経産省なのか、責任を取るということでよろしいんですか。

土居政府参考人 お答えいたします。

 本法案に基づきまして、事業者の実施計画などを両省で連携して認可するということによりまして、適切な対応ができるように担保していきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 お尋ねしている意味が、今言ったように、国土があって、領海があるわけです。これは五海里だよね。昔は三海里だったんですけれども、今は五海里まで幅を広げさせてもらって、ここが日本国が管理できるよというところなんですけれども、地下に入っていったときに、ずっと動いてしまうわけですよ。じゃ、そこの線から出たところは誰が責任を持つのかという、それをお尋ねしているんです。今の答弁だとちょっとそこのところがあやふやなんですけれども、日本政府が持つというんだったら、それを答弁してもらえばいいだけの話。

土居政府参考人 お答えいたします。

 環境面も含めまして、事業者、また許可をします国がどのような対応ができるのかという、実施計画になっているかどうかを見させていただいて、責任の所在が明確になるようにしていきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 押し問答してもしようがないんですけれども、今アドバイスをもらって、私が勘違いしていて、五海里じゃなくて十二海里なんだそうですね、随分の幅があるんでしょうけれども。

 そういったことも計画の中でもしやったときに、やはり何か所ボーリングすればそれが分かるのかというのはいまだ未知数ですよね。だから、そこがあやふやなところで、じゃ、どこまでの責任を日本政府が持つのかということになるんだと思います。

 それで、結局、環境リスクは何%あるのかというお尋ねに対して、低いんですよという答弁を今大臣されたと思うんですけれども、そういったこともやはり、例えば、大きな建物を造るとか大規模な開発をする、森林を伐採してそこにいろいろなものを作ります、そのときに、面積要件で、環境アセスを取りなさいと。まあ、事業対象の種類によっても環境アセスの条件が変わってきます。やる前にやるんですけれども、やった後の環境アセスはほとんど聞かない。だから、許可を出して、環境アセスをやって、物によっては一年、二年とか三年かかるものもあると思うんです。やった後、じゃ、本当に環境に影響がどのぐらいあったのかというのは、やはり検証しないと駄目だと思うんです。その知見を積み上げていって、今これなら大丈夫でしょうというふうにやらないと、単発で終わって、それで後は検証しない、こっちもそう、そのやり方をずっと、まあ、環境省がやってきたのか自治体がやらなくちゃいけないのかというのはあるんですけれども。

 ですから、二問目に入るんですけれども、環境省は、公害事案を含めて、産業界にいろいろな規制をかけてきたと思います。その検証を、今申し上げました環境アセスもそうなんですけれども、検証してきたのかということですね。

 問取りのレクに来てもらったときに、瀬戸内の海がきれいになっていいんですけれども、海がきれいになり過ぎちゃったがために、海藻だとか小魚が生息できなくなってしまった。じゃ、それはよかったのか悪かったのか。行き過ぎた規制をかけ過ぎちゃうと、うまくいかない。逆に、環境に負荷がかかるということもあり得るということなんですね。

 やってみないと分からないといえばそうなんですけれども、じゃ、その後、どうモニタリングするのか、調査をするのかというのが大事だと思うんですけれども、具体的な事例があったらお示しいただきたいと思います。

土居政府参考人 お答えいたします。

 環境汚染問題に関しましては、水質汚濁防止法や大気汚染防止法等による規制を講じてきたところでございまして、その内容につきましては、進捗状況等を把握しながら適宜見直したところでございます。

 具体例を申し上げますと、今委員御指摘の瀬戸内海における水質汚濁防止が例としてございますが、まず、赤潮による大規模な漁業被害が生じたということを背景に、水質汚濁防止法等によりまして、排水中の汚濁物質の濃度をまず規制をし、さらに、続いて、その総量も規制するということによりまして、水質が改善されてまいりました。その後、漁業者等から、瀬戸内海の一部海域におきまして栄養塩類の不足等によりまして水産資源が減少しているという御指摘もあったことから、制度的な検討を行いまして、令和三年に瀬戸内海環境保全特別措置法を改正いたしまして、計画に基づき、栄養塩類を供給できるような仕組みへと変えたということもございますので、進捗に応じて対応してきたところでございます。

 このように、引き続き、環境の状況を適切に把握するとともに、自治体、住民、産業界などの関係者の意見も踏まえつつ、環境の保全と必要な対策、これを両輪として進めていきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 そうしますと、今回の、冒頭大臣にお尋ねした水素関連法案とCCSの法案に対して、何かトラブルが起きたときに、CCSでいけば、CO2がどこからか漏れてしまうという事態になったときに、どうそれを改善できるのか。

 例えば、海底の中からぼこぼこぼこぼこ二酸化炭素が噴き上がってきちゃったときに、それはさっきから条約がどうだとか法律があるからといったって、実際にもし漏れちゃったときにどう対応するのかということですね。まだ陸上にあって、工場排水だとか家庭の雑排水を、規制をかけて、ここが特定だというふうにいって、そこの事業者なり個人に勧告を出したり罰則をかけたりして対応するのはできたとしても、実際やり始めて、海の中からぼこぼこぼこぼこ二酸化炭素が噴き上がっちゃったときにどう対応するのか。そういう問題は対応できるのかどうか。

 陸上の施設から圧入をしていって、陸上の施設で何かトラブルがあったというなら、それはいいんですけれども、入れてしまって海からぼこぼこしたときに誰がどう対応するのか。ちょっと、大臣が答えることなのか担当者になるか、それはお任せしますので。

土居政府参考人 お答えいたします。

 まず、モニタリングの仕方でございますが、大きく分けますと二方面ございまして、一つは、海洋環境といたしまして監視をするということで、実際の海域におきまして海水などを取る、また、生物などの生息状況を確認するということで監視をするというのが一点ございます。また、事業としてきちんと実施がされているかということで、圧入する量であるとか圧入する際の圧力、これの変化が見られるかどうかということを監視し、適切な圧入が行われているかどうかを監視します。

 実際、何かの変化が起きたという際には、通常監視から懸念時監視、異常時監視という形で、状況の把握、また対応の状況の監視、こういったものを行うということを今、海洋汚染防止法でも行っておりますし、その内容につきましては、新しいCCS法案でも引き継いでまいりたいというふうに考えております。

 実際の対応につきましては事業者が行うということになりますが、過不足があれば、環境大臣、経産大臣から命令を行って、適切に対応していかせるという仕組みになっております。

鈴木(義)委員 じゃ、そうしますと、海の状況のところ、陸上もあるんでしょうけれども、その監視をするのは環境省が責任を持ってやるということでよろしいんですか。大臣、どうでしょう。

土居政府参考人 モニタリングという行為そのものにつきましては事業者の義務でございますが、その結果につきましては、この法律に基づきまして、大臣に報告をし、我々がチェックをするという仕組みでございます。

鈴木(義)委員 じゃ、最後に一点だけ、時間がもう幾らもないので。

 これは経産委員会でも去年も質問したんですけれども、環境省が年間のCO2の排出量十一億トンというのを試算して出しているわけですね。それを政府全体の一つの指標にして、菅元総理の時代に、二〇三〇年までに四六%カットして、二〇五〇年にゼロにするんだという目標を立てたんですけれども、一億一千万トンCO2が出ているんですといいながら、私の生活スタイル、私の会社がどのぐらいCO2を出しているのか、いまだ全然分からない。経産委員会で経産省の担当にお聞きしても、今研究中ですと言うわけですね。

 だから、今回の、一番最初にお尋ねした水素だとかCCSもそうなんですけれども、国全体で、国民も事業者も協力して二〇五〇年にカーボンフリーにしていくとなったときに、環境省が率先して、あなたはこういうライフスタイルではどのぐらい出しているんです、こういう品物を作っていればこのぐらい出ているんですといって違うライフスタイルに変えてもらうように誘導していかないと、あと六年しかない中で四六%カットできるんですか。それもできないのに二〇五〇年にゼロにできるのかといったら、あと二十六年しかない。最後に、大臣、そこをお尋ねしたいと思います。

伊藤国務大臣 大変重要な御指摘をいただいたと思っております。

 私は、環境問題というのは、究極的には、価値観、哲学の問題に必ず帰結すると思います。戦術的にはいろいろやりますけれども、次世代に継続可能といいますか、地球環境を残していくためには、一人一人の人間がどういう価値観で行動をするかという、その行動変容というものが必要だと思いますし、例えば、一人一枚プラスチックバッグを使えば、日本全体で一億二千万、地球全体で八十億になります。ですから、そういう意味において、地球全体で、やはり同心円の問題だと思います。個人、地域、国、地球ということであります。したがって、環境問題は、やはり一人一人にとって、自分事として、そしてまた地球全体のこととして御理解いただいて、行動に移してもらうことが重要だと思います。

 その上で、現実の暮らしの中で何ができるか。例えば、住宅の断熱化とか省エネ化の導入もあるでしょう。また、エコバッグを使うということもあるでしょう。いずれにしても、削減につながる脱炭素型の製品、サービス、ライフスタイルを取っていくということは極めて重要だと思いますし、そういうふうになってくれば、そういう商品、ビジネスがこの地球上に残るということになります。そういう意味で、健康面や生活面のメリットはあると思いますし、そういう意味で、よりよい暮らし、脱炭素の社会の実現の両立を目指す、それが必要だと。

 環境省はデコ活というちょっとなじみづらい言葉を使っておりますけれども、国民運動をしていくことも必要だと思いますし、まさに個人の行動変容、地域社会、国全体、それがやはり産業の状況や物事の在り方を変えていくと思うんですね。そういうことも含めて、具体的な施策を含めて、脱炭素、そしてまた地球環境が、未来に持続可能な形のために全力を挙げてまいりたい、そういうふうに考えております。

鈴木(義)委員 時間が過ぎたんですが、環境省と経産省で、どういうライフスタイルをしたらどのぐらい下がるのかという見える化を是非やっていただきたいと思います。

 終わります。

岡本委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後零時四分散会

     ――――◇―――――

  〔参照〕

 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案

 二酸化炭素の貯留事業に関する法律案

は経済産業委員会議録第三号に掲載


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