第1号 令和6年5月10日(金曜日)
令和六年五月十日(金曜日)午後一時開議
出席委員
法務委員会
委員長 武部 新君
理事 熊田 裕通君 理事 笹川 博義君
理事 仁木 博文君 理事 牧原 秀樹君
理事 道下 大樹君 理事 米山 隆一君
理事 池下 卓君 理事 大口 善徳君
東 国幹君 五十嵐 清君
井出 庸生君 稲田 朋美君
英利アルフィヤ君 奥野 信亮君
斎藤 洋明君 杉田 水脈君
高見 康裕君 谷川 とむ君
中曽根康隆君 中野 英幸君
平口 洋君 藤原 崇君
三ッ林裕巳君 山田 美樹君
おおつき紅葉君 鎌田さゆり君
鈴木 庸介君 寺田 学君
山田 勝彦君 阿部 弘樹君
斎藤アレックス君 美延 映夫君
日下 正喜君 平林 晃君
本村 伸子君
厚生労働委員会
委員長 新谷 正義君
理事 大岡 敏孝君 理事 大串 正樹君
理事 橋本 岳君 理事 三谷 英弘君
理事 井坂 信彦君 理事 中島 克仁君
理事 足立 康史君 理事 伊佐 進一君
秋葉 賢也君 畦元 将吾君
上田 英俊君 勝目 康君
金子 容三君 川崎ひでと君
岸 信千世君 塩崎 彰久君
鈴木 英敬君 田所 嘉徳君
田畑 裕明君 田村 憲久君
高階恵美子君 中谷 真一君
仁木 博文君 堀内 詔子君
本田 太郎君 三ッ林裕巳君
柳本 顕君 山本 左近君
吉田 真次君 阿部 知子君
堤 かなめ君 西村智奈美君
山井 和則君 柚木 道義君
早稲田ゆき君 一谷勇一郎君
遠藤 良太君 岬 麻紀君
福重 隆浩君 吉田久美子君
宮本 徹君 田中 健君
北神 圭朗君
…………………………………
議員 階 猛君
法務大臣 小泉 龍司君
厚生労働大臣 武見 敬三君
厚生労働副大臣 宮崎 政久君
法務大臣政務官 中野 英幸君
厚生労働大臣政務官 塩崎 彰久君
政府参考人
(内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長) 馬場 健君
政府参考人
(出入国在留管理庁次長) 丸山 秀治君
政府参考人
(厚生労働省労働基準局長) 鈴木英二郎君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 朝川 知昭君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 伊原 和人君
政府参考人
(厚生労働省年金局長) 橋本 泰宏君
政府参考人
(厚生労働省人材開発統括官) 岸本 武史君
法務委員会専門員 三橋善一郎君
厚生労働委員会専門員 森 恭子君
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本日の会議に付した案件
出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)
出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)
外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案(階猛君外九名提出、衆法第一〇号)
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○武部委員長 これより法務委員会厚生労働委員会連合審査会を開会いたします。
先例によりまして、私が委員長の職務を行います。
内閣提出、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案並びに階猛君外九名提出、外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案の各案を議題といたします。
各案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付の資料をもって説明に代えさせていただきますので、御了承願います。
これより質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。田畑裕明君。
○田畑委員 自民党の田畑裕明でございます。
今日は、入管法並びにいわゆる技能実習生法の改正ということで、連合審査、ありがとうございます。これまでも、法務委員会で順次審議がなされ、我が党の議員の皆さんからもいろいろな質疑、やり取りがあったものだというふうに思います。ふだん私は厚労委員会中心に活動しておりますので、厚労側、また労働者というか、その視点からいろいろお話をしたいというふうに思っております。
私自身も、これまで、外国人の雇用や、それに関わっている方々とふだんからいろいろな意見交換をさせていただいておりまして、与野党問わず、いろいろな御懸念ですとか、またこの法改正に伴う効果、プラスマイナスの効果についての懸念の声があるのではないかと思いますので、そうした視点からお話をさせていただきたいと思います。
ただし、基本的にはもちろんこの法改正の趣旨には賛同するものではございます。外国人材の方々が、当然、我が国、国際的な人権の保護の基準、しっかりそのルールの下にのっとってしっかり活躍し、また我が国においてキャリアアップを含めてできる体制、これは当然しっかり取っていかなければいけないというふうに思います。そして、もちろん、我が国で生活する、働く方、全ての方々がしっかり安心して暮らせるような共生社会を当然つくっていかなければいけない、そういうような前提でお話をさせていただきたいと思います。
まず、基本的なことでございますが、やはり中小企業の方々を含めて、この法改正によって、今もいろいろな恩恵を受けている方々がかえって、当然、大がかりな法改正ということですから、まだまだ伝わり切っていないですとか、不安、懸念の声というのが聞かれるところでございます。
私は、まず、日本人の方々というか、通常勤労されている方々の職業訓練、これもそもそもきちっとやらなきゃいけない、いわゆるハロトレでありますが、やらなきゃいけないというふうに思いますし、また、外国人材の方々が、今既に働いている方々も、在職者向けの何らかの職業訓練、こうしたことについても、もっと門戸を開いて、新たな創設も含めて取り組む必要があるのではないかなというふうに思いますが、この辺の中小企業への配慮ですとか、いわゆるハロトレに関して御意見を、まずは厚労大臣の方にお聞きしたいと思います。
○武見国務大臣 昨今の我が国における労働力不足の深刻化、それから国際的な人材の獲得競争というのが大変激化している状況でございます。我が国が選ばれる国になるために、中小企業を含めて、魅力ある外国人材の受入れ環境を整備していくことが重要であると認識をしております。
お尋ねの職業訓練について、都道府県や高齢・障害・求職者雇用支援機構におきまして、中小企業等で働く方を対象として、企業のニーズを踏まえた在職者訓練を行っておりますけれども、これは、当該企業等で働く外国人材の方にも受講していただけるものでございます。また、全国のポリテクセンターなどでは、主に中小企業に対して、人材育成に関する相談から企業の要望に応じたオーダーメイド型の訓練の提供や指導員の派遣等まで、一貫した支援も行っております。外国人材を活用する事業主の方にも、外国人従業員を含めた人材育成の御相談をいただくことが可能となっております。
外国人材の受入れ環境の整備に資するよう、こうした支援策の中小企業事業主への更なる周知に取り組んでまいります。
○田畑委員 ありがとうございます。
そもそも、日本語の習得ですとか、日本語をしっかり学びながら、ちゃんと職務を遂行できるということにもウィングを広げるわけでありますし、今大臣から御答弁ありましたハロトレにおいても、今も外国人労働者の方々の職業訓練はあるということでありますけれども、なかなか周知というか、知られていないというふうに私は思うわけでありますから、この機会を含めて、まだまだ法改正が仮に進んだ後の周知期間がありますから、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
改めて、もう一点、ちょっと基本的なことの確認。これはそれぞれ法務大臣、厚労大臣にお聞きしたいと思いますが、いわゆる育成就労と特定技能、これは当然、一気通貫した一体のものとしての人材育成システムだ、制度だというふうに私は理解しておりますが、それでよろしいのかというのを改めて確認をしたいと思います。
規定では、各業所管省庁は、受入れのガイドラインですとかキャリア形成のためのプログラムを策定しなきゃいけないよということになっているわけであります。労働政策の司令塔は当然、厚生労働省だというふうに私は思うわけでございますが、業所管省庁との連携もしながら、どのような形で厚労省がイニシアチブ、司令塔機能を果たしていくのか、外国人材のキャリア形成をどう果たしていくのかというのを改めて確認をしたいと思います。
また、地方の方々、地方協議会もつくって、地方自治体も含めて一つの輪をちゃんとつくっていく、それぞれの地域の実情に応じてつくっていくということのたてつけになっているわけでありますけれども、地方自治体にも労働セクションが、大体、商工労働部というのが多いと思いますけれども、そうしたところにおいて、法務省としても、そうした地方の労働セクションのところについて、厚労行政と一緒にどのように連携してやっていくのか。
当然、今もやっているというふうにはもちろん思うわけでありますが、この改正の機会にどのようにバージョンアップをしていくのか、そこについて、地域協議会の運営のフォローも含めて、それぞれのお立場でお答えをいただきたいと思います。
○小泉国務大臣 御指摘のように、これまでの技能実習制度と特定技能制度、目的が違いました。したがって、その分野も違う。接続はしているんですけれども、そもそもの制度の趣旨が異なるというところから出発しておりましたので、必ずしも十分な接続性を明確に示せるものでもなかった。そういう反省に立って、外国人材に明確にキャリアアップの道筋を示してあげよう、そういう考え方に基づいて、この二つの制度の接続性を高めるということが、今回の改正の一つの大きなポイントになっています。
まず、対象分野をそろえる方向で調整していこうということでございます。小学校を出たら、附属小学校を出たら行く中学校がなかったということにならないように、そこは同じようにしていこうと。
それから、三年間の育成就労によって特定一号の技能水準まで押し上げていこう、こういう考え方で進めようということで今お願いをしているところでございます。
地域への定着という点についても、新しい要素が入ってきました。それは、労働行政の、今御指摘ありましたけれども、労働者としての側面と、地域住民、生活者としての側面、この両方から見ていこうと。
厚労省は、主として労働者の側面からのいろいろな行政措置があり得ますし、また、法務省としては、外国人が働くだけではなくて、生活面においても、家族形成等においても幸せになれるような、そういう住民としての、生活者としての在り方というものを見ていかなければいけない。
それを、連携しながら、もちろん地元の自治体にも入っていただいて、新しい、まあ、今、地域協議会、既にありますが、これを実質衣替えをするような、そういう意気込みで連携を果たしていきたいと思っております。
○武見国務大臣 今般の技能実習制度の見直しでありますけれども、これは、日本が外国人材に選ばれる国にするために、これまでの人材育成を通じた国際貢献の制度から、特定技能一号水準の技能を有する人材の育成と人材確保を目的とする育成就労制度を創設することとしておりまして、育成就労制度は特定技能制度と連続する制度という位置づけであります。
その上で、御指摘のとおり、今後は外国人労働者の一層の受入れ拡大が見込まれる中で、厚生労働省としても、日本の労働市場における外国人労働者の位置づけ、それから労働者としての権利の保護、それから地域や中小企業における人材確保などについて、入管庁とも連携をしつつ、従来にも増してしっかり取り組む必要があると考えております。
お尋ねにつきましては、人材育成の観点から、各業所管省庁における育成・キャリア形成プログラムなどの策定を促進していくとともに、地域の労働市場などの特性を踏まえた制度の適正な運用のために、都道府県労働局を通じて地方自治体や地方出入国在留管理局とも密に連携をいたしまして、地域協議会の運営等を行ってまいりたいと考えております。
○田畑委員 それぞれのお立場からありがとうございます。
小泉大臣におかれては、法務行政は生活者としての視点の在り方をしっかり重視をしながら連携してやっていくという力強い御答弁があったというふうに思います。厚労省は労働者をしっかり保護しながら経済活動をしっかり支えていく、この両輪を今以上にバージョンアップすることを御期待を申し上げたいと思います。
ちょっと一点、介護ですとか障害福祉現場からの声を少し、一問問いたいというふうに思います。
介護やそうした福祉現場の方々、その現場においては、今も、技能実習生の方々が雇用されていたりですとか、いわゆる在留資格、介護で働いている方もいらっしゃいます。どちらかというと、そうした事業主の方とお話をすると、できることならば、学生として、留学生として来日をされて、介護福祉士をしっかり取得をしていただいて、在留資格、介護としてお働きをいただきたいという声がよく聞かれるわけでございます。
もっとも、介護やいろいろな福祉の世界はチームで仕事をされているということでありますから、その外国人材の方々が在留資格がそれぞれ異なるということで、日本人の方々の対応が少し温度差が出るというのもいかがなものかなというふうには感じるわけでありますし、今ほど武見大臣から、やはりこの制度改正は人材確保をしっかりやるということも大変大きな眼目だというふうに理解をしていますが、御承知のとおり、福祉の現場は非常に人手不足、マンパワーが先細りをして、心配の声があるわけであります。
これは厚労副大臣にお聞きをしたいと思いますが、今回のこの法改正においても、やはり介護や障害福祉の現場の声をどれほど反映をされる、そこにどれだけ応えられるような制度改正だということが言えるんでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
○宮崎副大臣 先生御指摘のとおり、介護の分野は、特定技能、技能実習のほかに、EPAによる介護福祉士の候補者であったり在留資格の介護の方など、主に四つの在留資格で働いていただいている方がたくさんおられ、個々の介護施設等のニーズに応じて適切な在留資格を有する人材に活躍をしていただいているという状況でございます。
今般の育成就労制度が創設された場合には、介護分野においても、この育成就労から特定技能へのステップアップをして、最終的には、先生から御指摘いただいた介護福祉士の資格を取得して、在留資格、介護での就労を見据えるというキャリアアップの道筋が明確になってくるというふうに考えているところであります。
このキャリアアップをしていただくことにつきましては、これまでも、様々な研修等に要する経費を補助させていただいたり、学習支援に係る経費を助成させていただくというような形で、外国人材の方、また受入れの介護事業者の方への支援をさせていただいたところでありますけれども、今年度からは新たに、国家試験直前のときに外国人介護人材を対象とした講座を開催するなどいたしまして、資格の取得を促進をしてまいりたいというふうに思っているところです。
チームで仕事をする介護の特色なども踏まえまして、将来にわたって必要な介護サービスを安心して受けられるような担い手確保というのは喫緊の課題でございます。育成就労制度の積極的な活用を始めとして、外国人介護人材がキャリアアップをしながら長期間就労して活躍をいただける環境の整備に努めるとともに、外国人の介護人材の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○田畑委員 ありがとうございます。特に、養成校の関係者の方々のお声もしっかり拝聴していただきたいと思います。
時間の関係でちょっと言及だけしたいと思いますが、外国人育成就労機構に改めてバージョンアップをするということだというふうに思いますが、相談ですとか、情報の提供、助言その他の援助を行う業務というのが新たに追加されるというふうに認識をしています。今の外国人技能実習機構は本部と十三の支所や事務所が全国に展開をされているわけでありますが、私は、なかなか、質、量ともまだ相当貧弱であり、しっかりとした拡充やバージョンアップが必要だというふうに思います。これはあえてお伝えをしたいと思いますので、予算的なことも含めて、与党として我々もバックアップしていきたいと思いますし、バランスを取った、しっかりとした運営をお願いをしたいというふうに思っています。
それでは、ちょっと転籍について何点か確認をしたいというふうに思います。
初期費用の関係、これはいろいろな心配の声が、これまでも質疑がなされているのではないかというふうに思いますが、やはり、端的には、あらかじめ初期費用の範囲をしっかり明確にしながら、いずれどのみち民民の関係で物事が進んでいくわけでありますが、後から、払った、払わないとか、ここまでは初期費用として言っていたよね、言っていなかったよねということが往々にしてありがちになるのではないかというふうに思いますけれども、企業間の協議が難航した場合のこともしっかりケアする必要があるのではないかと思います。
その辺のスムーズな転籍が、本人希望の転籍ということを設けるということでありますから、そこの阻害要因も含めた対応についてどのように強化をするのかというのをお聞きしたいというふうに思います。これは参考人、お願いします。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
育成就労制度におきましては、本人の意向による転籍につきまして、転籍前の受入れ機関が負担した初期費用が正当に補填される仕組みをつくろうとしているところでございます。
御指摘のとおり、この補填すべき初期費用の額について、具体的金額や負担割合が曖昧な場合には、当事者間の折り合いがつかず、外国人の円滑な転籍が阻害される懸念もございます。そこで、初期費用の標準額等をあらかじめ定めて公表しておき、転籍後の受入れ機関が当該基準に沿った支払いを行う旨表明している場合には転籍を認める制度とすることなどで、可能な限り転籍を阻害しないものとすることを検討しているところでございます。
仕組みの詳細につきましては、今後、関係者の御意見等も踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております。
○田畑委員 これは私もしっかりフォローしていきたいと思いますから、よろしくお願いしたいと思います。
一点、ちょっと法務大臣に確認をしたいと思います。
これはキャリアアップをしっかりやっていくということでありまして、普通に考えれば、特定技能、特定技能の二号を目指す外国人というのも当然増えていくということになると思います。先ほどあるように、就労支援、育成支援から特定の一号と行って、普通に考えれば八年間ということも見れるわけでありますが、その先ということになります。
ちょっと私も、関係者の方からのお話で、在留資格のいわゆる技人国がありますよね、技術・人文知識・国際業務ですね、この技人国と特定二号の明確な違いとか、これをやらないと、特定一号からどこを目指すんだとか、非常に混乱する可能性があるのではないかという御指摘を聞いているところでございます。
例えば、例示として生産管理業務のことが書かれているわけでありますが、今も技人国には生産管理業務というのが規定されていますし、特定二号にも生産管理業務というのが設けられるというふうに認識をしているわけでありますが、ただでさえ、今、いわゆる不法就労助長罪の厳罰化もするということでありますから、安易に分からないままやってしまって違法状態になるということも避けなければいけないというふうに思いますが、特定二号と技人国との明確な違いについては、今後どのように整理をし、また周知をしていくのかということについてお聞かせをいただきたいと思います。
○丸山政府参考人 まず、事務当局からお答え申し上げます。
特定技能一号は、人手不足分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動を行う外国人向けの在留資格であり、特定技能二号は、同じ分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動を行う外国人向けの在留資格です。
他方、在留資格、技術・人文知識・国際業務は、学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的知識や能力を必要とする業務に従事する活動です。
特定技能制度で受け入れられた外国人のキャリアアップは、基本的には特定技能一号から特定二号への移行によって行うこととされており、同制度での実務経験を土台にして、特定技能一号から技術・人文知識・国際業務の在留資格に変更してキャリアアップを図ることは想定しておりませんが、委員御指摘のとおり、関係者の皆様が混乱されないような形で、出入国在留管理庁としても、周知、広報を含め取り組んでまいりたいと思います。
○田畑委員 御答弁がありました。私が聞くには、想定することがあるんじゃないかという現場の声をお聞きするわけでありますから、特定二号から技人国に行けることはゼロではないんですよね。ですから、そこも含めてしっかり整理をしていただきたいと思いますし、関係者としっかり議論も行っていただきたいということを付言したいと思います。
ちょっと慌ただしく行っておりますけれども、最後、もう一問だけ聞けますので、お話しをしたいと思いますけれども、監理支援機関の監査人のことについて改めて確認をしたいと思います。
外部監査人の設置を許可要件とされていますが、これはやはり、申請取次ぎ制度で認められています例えば弁護士ですとか行政書士など国家資格者に限定するということも考えられるのではないかと思いますが、その監査人の制度が形骸化しないような対応について副大臣にお聞きしたいと思います。
○武部委員長 宮崎厚生労働副大臣、答弁は簡潔にお願いします。
○宮崎副大臣 先生御指摘のとおり、本法案二十五条一項五号で、外部監査人の要件といたしましては、職務の執行の監査を公正かつ適正に遂行することができる知識又は経験等を有することを要件として掲げております。
この外部監査人につきましては、労働関係法令や監査業務など一定の知見を有することが必要でありますので、御指摘のように、弁護士、社会保険労務士といった国家資格者であることを要件とすることを検討しているところでございます。御指摘もしっかり踏まえながら、今後、関係者の御意見を丁寧に伺って要件設定してまいりたいと考えております。
○田畑委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○武部委員長 次に、勝目康君。
○勝目委員 自由民主党、京都一区の勝目康でございます。
私も厚労委員でありまして、本件につきまして連合審査という形で質問の機会を頂戴したことに心より感謝を申し上げます。
田畑先生に引き続きまして、早速質問に入ります。
まず、在留外国人と社会保険についてお伺いをしたいと思います。
おとといだったかと思いますが、法務省さん、永住許可申請者のサンプル調査の結果として、審査を終えた一千八百件余のうち、一二・八%に相当する二百三十五件、公租公課の未納があったというふうに公表をされたものと承知をしております。ほとんどは国民年金保険料の未納だったということであります。日本の年金というのは賦課方式でありますから、永住許可を得ようとするのであれば、やはりこれはお支払いいただきたいなというのが率直なところでございます。
今般の法改正では、永住許可の要件として、公租公課の支払い、これを追加するとともに、在留資格の取消し事由として、故意による公租公課の支払いをしないことが明記をされたところでございます。永住を許可するに当たっては、租税はもとより、やはり社会保険料の納付を通じて、日本社会の安定を確保するために不可欠な社会保障を支えていただく、このことを要件とすることは、分断を心配する国民の皆様の納得感につながるだろう、こう考えるところでございます。
また、任意規定ではありますけれども、在留カードとマイナンバーカードの一体化、これも図られることになります。現在進めておりますマイナンバーカードと保険証の一体化とも相まって、不法滞在者も含めて、外国人の保険証の成り済ましなどの不正利用の抑止と、あと、そのことに伴って保険料の適正納付の促進、こうしたものが期待されるんじゃないか、こう考えるところであります。
厚労省さんとして、在留外国人の皆さんにも、我が国の基盤である社会保障をお支えいただくことを進めるために、今申し上げた点に関しましてどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○伊原政府参考人 お答えいたします。
今先生から御紹介いただきましたように、今般の永住許可の適正化は、永住許可要件に公租公課の支払いが含まれることを明確にするとともに、故意に支払わない場合には永住者の在留資格を取り消すことができる、こういう規定が設けられると考えております。
こうしたことは社会保険を運営していく意味では非常に重要なことだと考えておりまして、厚生労働省としましては、まずは、永住者等の方も含めまして、保険料納付の勧奨、相談の取組を引き続きしっかり運用いただくよう、各保険者に周知徹底してまいりたいと考えてございます。
また、現行の保険証は、券面には氏名、生年月日、性別は記載されておりますけれども、顔写真がなく、医療機関を受診する際に資格確認において成り済ましのリスクがあるとかねてから指摘されているところでございます。
現行の保険証につきましては、今年十二月二日に終了しまして、永住者の方を含めまして、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行することとしております。マイナ保険証につきましては、オンライン資格確認を実施することによりまして、顔写真を用いて顔認証を行ったり、あるいは四桁の暗証番号を入力する、こうした措置が講じられることになりますので、成り済ましを防ぎ、電子的かつ確実な本人確認を行うことが可能と考えてございます。
こうしたマイナ保険証へ移行することにつきましては、これも、永住者の方を含めまして、周知、広報の取組を行って、この利用促進に積極的に取り組んでいきたいと考えてございます。
○勝目委員 しっかりやっていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
続きまして、技能実習制度の廃止と育成就労制度の導入について伺っていきたいと思います。
まず、この両制度における労働者保護についてでありますけれども、技能実習生は、平成二十一年度の改正によって労働者として位置づけられ、労働法制の適用を受けることになった、そして、平成二十八年改正で技能実習法が制定されたわけでありますけれども、この二十一年改正によって、実習生と称しつつ実質的には労働力として活用されていたという実態を踏まえた法整備がされたわけでありますけれども、転籍制限があることで、なお弱い立場に置かれて、そのことが技能実習生に対する人権侵害を誘発していると指摘をされてきたところであります。
失踪者も、直近ではもう一万人近くということでありまして、その要因は様々だとは思いますけれども、やはり労働者保護が実態として十分じゃなかったんじゃないか、そのことが表出したんじゃないか、こう考えられるところであります。
まず、この二十一年改正によって技能実習生の就労環境というのはどの程度改善されたのかということ、失踪者の推移も踏まえて、政府としての認識をお伺いしたいと思います。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
技能実習制度は、平成五年に制度を開始いたしまして、これまでも、問題事案の発生など、指摘を受けてまいりましたが、御指摘の平成二十二年施行の改正入管法によりまして、従来、一年目は研修という在留資格で、労働者としての労働法令の適用を行っておりませんでしたが、これを一年目から原則労働関係法令の保護が及ぶようにいたしました。このことによって、例えば一年目から給料の不払いであるとかそういったことが行われたときに、労働保護法令の適用がなされるようになったところでございます。
失踪者の推移につきましては、御指摘のような規模で、約九千人の失踪者が直近発生しているところでございますが、一方で、これは、こういうことで安心をするということでは決してございませんけれども、こういった在留資格管理制度の一つとして見ました場合に、失踪率は比較的低く運営できているというようなことも国際的には指摘されているところでございます。
こういった点も念頭に置きながら、引き続き、この技能実習制度、それから新しい育成就労制度がしっかりした役割を果たしていけるようにしてまいりたいと考えております。
○勝目委員 分母が増えた中ではということなんだろうと思いますけれども、どういう形でどの程度改善されたのかということを把握するのは、これまた、今回、育成就労を入れた中でどうなのかということをまた問われると思いますので、是非、その実態把握にも努めていただきたいと思います。
それで、この育成就労制度の新設によりまして、今回の制度の中で、労働者保護の観点から何か新しい措置というのはあるのかということを伺いたいと思います。
この育成就労が技能実習よりも就労環境が改善されるという根拠というかメカニズムというか、そこについて教えていただければと思います。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
まず、本法案におきまして、育成就労計画というものを認定する仕組みとしてございますが、この中で、育成就労外国人に対する報酬の額が日本人が当該業務に従事する場合の報酬の額と同等以上であることその他育成就労外国人の待遇が主務省令で定める基準に適合していることという要件を設けまして、育成就労外国人の待遇の確保を図ることとしております。
また、今回の見直しにおきまして、転籍に関しまして、あらかじめ示されていた労働条件と実態に一定の相違があった場合など、やむを得ない事情がある場合の転籍の範囲を従来よりも明確化し、また範囲を拡大し、手続についても柔軟化を図ってまいりたいと考えております。
さらに、就労期間など一定の要件を満たしました場合には、本人の意向による転籍も認め、かつ、就労期間の制限が一年を超える分野では、昇給その他待遇の向上等を図るための仕組みも併せて盛り込んでいくというようなことを考えておりまして、これらの措置によって、育成就労外国人の待遇向上や労働関係法令の遵守をこれまで以上に図ってまいりたいと考えております。
○勝目委員 これまでも言われていることでありますが、やはり、転籍、これがしっかり機能をして、育成就労外国人の方が一定のいわばバーゲニングパワーを持てるようにすることで人権侵害というものを防ぐようにというのが、これがメカニズムの基本なんだろうと思います。それに加えて給与面での規定もあるということなんだろうと思います。
では、この転籍をいかに実効性を持たせるかというところでありまして、先ほど田畑先生からの質問にもありました機構の体制というのが非常に重要になってくると思います。今、監理支援機関、現行の監理団体でありますけれども、三千を超えてある。ここが、ほとんどが監理支援機関になりたいということで、許可の申請をまとめて持ってくるということになるんだろうと思います。
許可申請の審査、これを形骸化をさせずにその実質をちゃんと見極めていかないといけないということがまずあって、そして、法制度が施行された後は、当然、モニタリング、これにも実効性を持たせないといけないということで、やはりこの機構に必要な体制が備わっているかということが問われるんだと思います。監理団体も、新たな基準にちゃんとのっとって、質を高めて、そして監理支援機関として申請をしていただかないといけないわけですし、これは国として、あるいは機構としてそうしたことを促していかないといけないということであります。
つまり、この法案は、施行は三年後ということになっていますけれども、それより前の準備段階から、いかに準備を整えて、体制を整えて、そして現場とコミュニケーションをしてその意向を伝えていくかという、ここからもう勝負は始まっているんだというふうに思っております。
今、機構の定数は五百人ぐらいかと思いますけれども、派遣の方を入れればもっといらっしゃるかもしれませんが、想定される監理支援機関の数も念頭に、体制整備の方針、方向性を伺いたいと思います。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
育成就労制度の適正運営のためにも、監理支援機関の質の向上、また許可後の適切な指導監督が重要という御指摘と受け止めております。
御指摘のとおりでございまして、監理支援機関につきましては、改正法がなされました場合には、新しい基準に基づいて許可を取っていただかないと新法に基づく育成就労に関する監理支援業務はできないという仕組みとしているところでございまして、その許可申請を施行までの間に準備期間を設けてきちっと処理をしていくということがまずは機構の重要な役割の一つとなってまいります。
また、当然のことながら、許可された後の監理支援機関の業務遂行につきましてもしっかりしたチェックを行う、これは、機構それから労働基準監督署や地方出入国在留管理局との連携なども含めまして的確に行っていくこともまた新しい機構の重要な役割となってまいります。
それに必要な体制につきましては、これはまた法案成立をさせていただきましたならば具体的な詰めを行ってまいりたいと考えておりますが、必要な体制の整備はきちんと図ってまいりたいと考えておるところでございます。
○勝目委員 体制整備につきましては、これも先ほど田畑先生からありましたけれども、やはり必要な予算を取っていくことが極めて重要であります。我々与党としてしっかり後押しをしていきたい、このように思います。
また、転籍に当たっては、外国人のニーズあるいは能力と、それから新たな育成就労実施者側のニーズと、ここのマッチングをしっかりやっていかないといけないわけであります。一義的には監理支援機関がそれを行うということでありますが、そこを超える転籍については、これも機構が人材派遣、紹介業を新たに行うということになるんだと思いますし、また、支援機関のモニタリングというものもしないといけない、これもまた人材紹介のノウハウが機構にないといけないんだと思います。なので、まず、この機構の人材紹介の面での体制整備、人材育成につきまして、ハローワークとの連携の在り方も含めてお伺いをしたい。
あわせて、今回、民間の紹介事業者というのは、当分の間、排除をする方針であります。悪質なブローカーを排除するということで、そこは分かるわけですけれども、マッチングの機会をより広げるという意味では、民間の力を使っていくということも一つ方向性としてはあり得るんじゃないかと思います。悪質なブローカーを排除しながら民間の力を生かすという意味で、今の取扱い、当分の間の取扱いというのはいつまで続けるつもりなのか、その御意向について、お考えについてお聞かせいただきたいと思います。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
まず、機構の職業紹介業務に関しましてでございますが、育成就労制度におきましては、外国人育成就労機構が有する情報を活用しつつ支援することにより円滑に転籍が進むよう、監理支援機関のみならず機構にも、職業紹介業務を行える、こういった形にしているところでございます。この点につきましては、受入れ企業の一覧などの情報を機構からハローワークに提供するといった情報連携を行うことも含めて、ハローワークにおける円滑な職業紹介とセットで進めていきたいと考えております。
また、機構に関しましては、これは新しい役割ということになりますので、これを着実に果たすことができますよう、厚生労働省や出入国在留管理庁との人材交流、職業紹介に関するノウハウの共有なども含め、どのようなやり方で必要な体制整備を図っていくべきか、しっかり検討してまいりたいと考えております。
また、民間職業紹介事業者の扱いでございますが、御指摘のとおり、今回、転籍に関する新たなルールを育成就労制度に関しまして設けます中で、過度な引き抜き防止などの観点から、当分の間、民間職業紹介事業者の関与を認めないルールと考えているところでございます。
今後につきましては、これは、転籍の新しいルール、本人意向による転籍の制限期間について、当分の間、受入れ分野ごとに一年から二年までの範囲内で設定をするという新しいルールそのものが当分の間の措置であり、新制度を運用してみて様々な観点から施行状況を検討するといった中で、その先のことを検討してまいりたいと考えておりますので、具体的に何年後ということではなく、まさに当分の間と今のところ考えているところでございます。
○勝目委員 体制整備の方は人材紹介の方でもしっかりやっていただきたいと思います。
あわせまして、事業者側の不安ですね、転籍を通じてどんどん大都会であるとかあるいは大企業、大手の方に流れてしまうというようなことがないように、過剰な引き抜きを防止をして定着を促すような仕組み、これもしっかりと導入をしていただきたいと思います、運用していただきたいと思います。
これは全部ミクロの話でありますけれども、マクロ経済政策との接続、整合性というのも図らないといけないと思います。
育成就労制度を導入することで、かえって日本人の労働者の賃金の抑制の要因になってしまうんじゃないか、下押しの圧力になるんじゃないか、こういう御懸念、心配もあるところであります。賃上げをしっかり図っていって、デフレから脱却をし、そして持続的、安定的な経済成長につなげるという観点で、こうした懸念に対してどのようにお応えされるのか、教えていただきたいと思います。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、外国人労働者の受入れ制度を検討するに当たりまして、国内労働市場への影響というのは非常に重要な論点の一つでございます。
育成就労制度におきましては、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材確保をすることが困難な特定産業分野に限って受入れを行うということとしており、また、人手不足の状況などを適切に把握した上で受入れ見込み数を設定する、また、必要に応じて、国内の経済環境の急激な変化などがありました場合に臨機に受入れの停止措置を講ずることもできるような仕組みを設けるといったこととしておりまして、こういったことを通じて、国内の雇用安定に影響を与えないということもしっかり見てまいりたいと考えております。
○勝目委員 ありがとうございます。
これまでミクロ、マクロ両面でお伺いをしてきましたが、最後に大臣にお伺いをしたいと思います。
この法律、完全に共管になっております、法務省と厚労省ですね。役所によくあるのが、何か事案が起こったときに、お見合いをして、ぽてんヒットが落ちる。こうなってはいけないわけでありまして、法律だけではなくて、実際の運用も一体的に行っていかなければならないということであります。その意味で、一体運用そして法の適正運用について、大臣の御決意を最後に伺いたいと思います。
○武見国務大臣 近年の我が国の労働力不足の深刻化というもの、それから国際的な人材獲得競争の激化、これは極めて激しいものがございます。
現行の技能実習制度で指摘されている制度目的と運用実態の乖離ははっきりしてきましたし、人権保護などの観点からの課題もあります。これらを解消することで、外国人にとって魅力ある制度を構築して、長期にわたって我が国の産業を支える人材を確保することを目的とした本改正になっております。
御指摘のとおり、本法案が成立した場合には、今回の見直しを実効あるものとすることが重要でありますから、厚生労働省としても、外国人の労働者としての権利の保護や人材の育成、保護が適切に図られるよう、ハローワークや労働基準監督署等も関与しながら、出入国在留管理庁と緊密に連携をして、適正な運用にしっかり取り組んでいきたいと思います。
○勝目委員 よろしくお願いいたします。
終わります。
○武部委員長 次に、日下正喜君。
○日下委員 公明党の日下正喜です。
私は法務委員でございます。入管法及び技能実習法の改正について質問いたします。
我が国における急激な人口減、労働力不足にも対応したこの度の技能実習制度の抜本的見直しは、大きな、待ったなしの課題でございました。本法案は、外国人を真正面から働き手として、そして日本社会の一員として迎え入れる第一歩であると私は捉えております。
先日の法務委員会の参考人質疑の際、原参考人からは、技能実習制度といった個別的な制度の見直しの前に外国人基本法を制定すべきという御意見もいただきました。また、それに関連しますが、日本国際交流センター執行理事の毛受敏浩氏も、外国人の受入れをめぐる政府の対応に関して、公明新聞紙上でこう述べておられます。
政府は、実質的には定住を前提とした政策にかじを切り、外国人の受入れ体制の整備を急ピッチで進めている。国際基準で見れば移民政策にほかならないが、それがステルス的に進められている。これでは、一般国民の意識が変わらない。人手不足だから仕方がないと非常に後ろ向きな中で、外国人の流入が進んでいる。一方、外国人の側も、自分たちは一時的な労働者、そのうちに母国に帰ると思っているから、日本語を学ぶ意欲も低い。そうした帰国前提の外国人が、実は、なし崩し的に定着し、その子供たちが増える中で教育や就労の問題が生じている。例えば、公立学校において日本語指導が必要な外国籍の児童生徒は二一年までの十年間で一・八倍に増えている。また、大学などへの進学率も日本人に比べて極めて低いとのデータもあるとし、なし崩し定住が進めば、将来、外国人と日本人の間の乖離や分断につながり、いずれ限界に達するだろう。外国人の増加が不可避である以上、受入れの基盤となる在留外国人基本法が必要だ。外国人の受入れに対する国の方針を国内外に発信すべきだというふうに述べられて、また、そのアナウンス効果についても、海外の投資家にとって、人口減少が進む日本は中長期的な視点では魅力的な国だと思われていないが、外国人との共生社会は、間違いなく日本のイメージアップになる、明治初期の文明開化のように、そもそも日本は歴史的に異文化を取り入れて、それをてこにイノベーションを起こし発展してきた国柄だとも述べられております。
こうした重要な指摘も踏まえ、本法案の意義、そして在留外国人基本法の必要性についてどう感じておられるか、小泉大臣の御所見をお聞かせください。
○小泉国務大臣 委員御指摘のとおり、労働力不足の深刻化、他方で国際的な人材獲得競争の激化、その二つの要素の下で選ばれる国になろうというのがこの法案の目指すところでございます。
技能実習生制度ができたときには、外国人が来てくれるのは当たり前だ、それが前提で始まった制度でありますけれども、そこがもう状況は逆転していて、努力しなければ来てくれない、そういう状況も踏まえながら様々な手を打とうということでございます。
しかし、おっしゃるように、選ばれることが最終目的でありますから、情報を発信せずして選ばれることはないわけでありまして、どんなにいい制度をつくってみても、それが伝わらなければ、もちろん国民も含めてでございますが、この制度は実際は目的を達成することができない、非常に重要なポイントだと思います。
そして、この制度は、外国人が関わる制度でありますから国際的制度なんですね。日本国でつくる日本の法制でありますけれども、それによって規律が及ぶのは、外国人の方々にも当然及ぶわけでありますから、国際的な制度。そういう観点からも、国際的な視野に立った情報発信は非常に大事だと思います。
また、具体的なことをこれから詰めなければいけないのですが、その中で一つ感ずるのは、我が国特有の縦割り、先ほどからも御議論がありましたが、縦割りで物事を受け止め処理をしてきているために、全体像を示すのがなかなか難しかった面もあると思います。
法務省は、最終的には、総合調整機能、外国人の受入れ環境整備に関する総合調整機能というものをいただいておりますので、そういうものを積極的に駆使しながら、厚労省とも連携して全体像を示していく。それが中長期にまた及んでいくことができれば、委員御指摘のように、基本法という発想も具体化することが可能になる段階を迎えることができるかもしれない。大きな御示唆をいただきましたので、しかと対応を検討したいと思います。
○日下委員 ありがとうございます。
基本法については国民的議論が欠かせないというふうに思いますが、今後、しっかりと検討を進めていただきたいと思います。
これも先日の参考人質疑の折に複数の参考人から、外国人が行き先を決める第一の要件は高い賃金だという話がございました。円安が続く中、大変耳の痛いお話でしたが、一方では、日本人自体の賃上げ、特に若い人や女性の待遇改善も最重要の課題になっております。
長年、日本は、多くの企業で年功給が取られてきましたが、こうした外国人への対応や若い日本人への賃金アップを考えると、やはり、個人が持つ技能やサービス能力の見える化や職務給の導入を具体的に進めていくことは喫緊の課題であると考えます。と同時に、そこから漏れてしまう人もいますので、リスキリングや転職支援など、十分なセーフティーネットを設けておくことも欠かせません。
この度の育成就労制度への移行も踏まえ、厚労省として、今後の労働雇用政策をいかに進めていかれるのか、御所見を伺います。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
今般の法改正は、人材育成と人材確保を目的とする育成就労制度を新たに創設するものでございますが、これに限らず、生産年齢人口が減少する中で、労働力の確保、人手不足に対する適切な対応が重要な政策課題となっているものと承知をしております。
厚生労働省といたしましては、今般の育成就労制度の創設に加え、女性や高齢者などの活躍促進、賃上げの実現や生産性向上、リスキリングを含む三位一体の労働市場改革など、関連施策を関連省庁とも連携しつつ推進することにより、個々人一人一人の方がその能力を最大限に発揮し、そのことによって持続的に賃金が上がっていく構造、こういったものを目指してまいりたいと考えているところでございます。
例えばでございますが、具体的には、スキルの向上が処遇に結びつく仕組み、それから、スキルを生かした労働移動ができる環境の整備に向けた職業情報や労働者のスキルの見える化を進めること、また、無料の公的職業訓練や教育訓練給付など、リスキリング支援の環境を整備すること、ハローワークにおけるきめ細かな就職支援を更に進めていくこと、こういったことに取り組んでいるところでございます。
○日下委員 また、今回、技能実習制度が育成就労制度、すなわち人材確保の制度として生まれ変わるに当たり、昨年四月の法務委員会でも指摘いたしましたが、人材の受入れ枠については、産業界側のアプローチとは別に、各自治体の関与も重要だと考えます。どの市町のどの分野にどれだけ外国人材が必要か、受入れに当たっては独自のサービスを用意している自治体もあります。また、送り出し国と地方自治体の間で協定を結ぶMOUの動きも始まっております。
真の共生社会を実現するためには、外国人を単なる労働者と見るのではなく、日本人と分け隔てなく、地域社会の一員として迎えることが大切だと思います。外国人に向けての行政サービスや日本語教育支援、子供たちの教育環境も含め、地方自治体の役割は極めて重要であり、むしろ積極的に地方自治体に関わっていただく必要があると考えます。
今回の法律案にも地域協議会が設置できるとの規定がありますが、育成就労制度の下での地域協議会の役割はどのようなものと考えているか、法務大臣の御所見をお聞きします。
○小泉国務大臣 外国人材が日本に求めるものというのは、まず相応の水準の給与であり、また、自分がレベルアップできる技術、そういうものを求めて来られますが、しかし、実習生の方々と話をしてみるともう一つあるんですね。それは、日本という国の仕組み、日本という国のコミュニティー、社会、こういうものを学びたいという声も非常に強くございます。そして、学ぶべきコミュニティーの姿は東京じゃなくて地方にあるんだというようなことをおっしゃる方もおりました。
したがって、地域がそれを受け止めて、そして、今おっしゃったように、労働者としてだけではなくて仲間の住民の一人として受け止めて、その環境整備を図っていくということは非常に重要であります。
したがって、現行法においても地域協議会がございますけれども、これは情報共有ということが主たる眼目であるんですが、今度新しくそこに地方公共団体も入っていただいて、積極的な環境整備の提案をしてもらう、検討をしてもらう、情報の共有だけではなくてアクションを起こしてもらう、そういう方向性を向いた地域協議会を発足させたい、このように思っております。
○日下委員 ありがとうございます。
技能実習制度が育成就労制度と変わる際に、新たに育成就労の対象となる産業分野が定められることになりますが、これまで技能実習制度の下で対象となっている職種はそのまま認められるのか、また、追加される分野はどういうものかと各所から不安と期待の声が届いております。
例えば、リネンサプライ、訪問型の介護事業、警備業、さらに自動車部品に係る製造業など、これらの見通しも含め、対象職種の選定に当たり、どのような基準を持って、どのような手順で決定されていくのかお示しください。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
育成就労制度は、人手不足分野における特定技能一号への移行に向けた人材育成を目指すものであることから、受入れの対象分野につきましては特定技能制度における特定産業分野に限ることとしております。
その上で、育成就労制度では、基本方針において分野の選定に関する基本的な事項を定めた上、分野ごとに定める分野別運用方針において各分野の受入れ見込み数を定めるものとしており、これらの方針を作成する際には、育成就労制度に関し知見を有する者の意見を聞かなければならないものとしております。
御指摘のリネンサプライ等を含めて、現在、特定産業分野となっていないものについて、現時点でその見直しの方向性をお答えすることは困難でございますが、当該分野も含め、育成就労制度における対象分野及び見込み数の設定につきましては、法改正後、速やかに有識者等から成る新たな会議体を立ち上げて議論を行い、その意見を踏まえて判断する予定でございます。
なお、具体的な手続としましては、特定産業分野が生産性向上や国内人材確保のため取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野であることを踏まえ、まずは、各業所管省庁において業種ごとの特性や事情などを踏まえた検討、精査を行い、その後、法務省において厚生労働省等の制度所管省庁とともに検討を行った上で、新たな会議体において議論を行うことを想定しております。
○日下委員 ありがとうございます。
特に人手不足が深刻な介護分野において、特別養護老人ホームや老健施設においては外国人実習生が認められている一方、有料老人ホームやサービスつき高齢者向け住宅の多くは訪問介護事業所とセットで運営され、特養などと同様に施設内で介護サービスを行っておりますが、実習生は認められていません。
こうしたことも見直していく必要があると考えますが、厚生労働省の御見解をお伺いします。
○朝川政府参考人 お答えいたします。
訪問系サービスへの外国人介護人材の従事につきましては、有料老人ホームやサービスつき高齢者向け住宅におけるものも含めまして、これまで在留資格、介護等の分野に限って認めてきましたが、それを拡大することについて、外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会において議論を重ねてきています。
今年の三月の二十二日に開催した検討会では、これまでの議論を踏まえた見直しの方向性として、介護職員初任者研修を修了した有資格者等であることや訪問介護事業者等に対しコミュニケーション等の研修の実施や一定期間の同行訪問などの遵守を求めることでケアの質を担保することを条件に、技能実習や特定技能の外国人介護人材にも訪問介護等に従事することを認めることをお示しした上で議論を進めました。
お示しした見直しの方向性につきましては多くの委員に御理解をいただいたと認識しておりますが、その際にいただいた意見も踏まえまして、取りまとめに向けて更に整理を進めてまいります。
○日下委員 先日の法務委員会において、監理団体が実習先から受ける監理費についての議論がありました。私も、複数の実習実施者から、監理費が高いとの訴えを聞いてきました。中には、建設業、水産業など、それとは別に手数料、監理費が徴収されるケースもあり、実施者からは、負担が重い、一体何に使われているのかなどの声もお聞きしました。
今後、安定的に発展を遂げようとするならば、監理費の標準的な目安やガイドラインを示すなど、透明性を高めることが必要だと思いますが、厚生労働大臣の御所見を伺います。
○武見国務大臣 御指摘の、監理団体の透明性の確保は極めて重要な課題であると思います。
現行の技能実習制度では、監理団体は、監理事業に通常必要となる経費等について、実費に限り、あらかじめ用途及び金額を明示した上で監理費として実習実施者から徴収することができることとしております。
育成就労制度の監理支援機関についても、この実費徴収原則を踏襲することとしておりますが、これが徹底され、そして適正な費用徴収が担保されることが重要でございます。このために、監理支援機関が徴収する監理支援費の算出方法や基準を明確化し、ホームページなどで公開することを主務省令等で監理支援機関に義務づけることや、費用の算出方法に係る考え方を運用要領などで明確化することなどによって費用を透明化すること、それから、外国人育成就労機構による実地検査による確認それから指導などを徹底いたしまして、過大な監理支援費を徴収するなどの悪質な監理支援機関に対しては行政処分等の厳格な対応を行うことなどにより、適切な運用を図ってまいりたいと考えております。
○日下委員 ありがとうございます。
一昨年の十月にも法務委員会にて質問させていただきましたが、監理団体から機構への届出、報告に係る申請書類が煩雑であると指摘させていただきました。
その後、一定の改善は見られたものの、三六協定や介護施設の指定通知書など有効期限がある書類の提出や技能実習計画の申請手続に関するオンライン申請は使い勝手が悪く、むしろ窓口で申請した方が早いという声もございます。また、機構本部と地方事務所、そして地方事務所ごとに、さらに担当者によっても対応が異なり、困っているとの指摘もありました。一方ではある書類の提出を求められ、一方では不要と言われるなど、監理団体側が振り回されている感があります。査証申請に関しても、度々指摘があるとおり、入管ごとに審査期間が大きく異なり、円滑な入国、就労の大きな妨げになっております。
新たな外国人材就労機構への移行を機に、一度フロー全体の問題点を洗い出し、申請手続の合理化、統一化、適切なデジタル技術の活用など、是非利用者の視点に立った早急な改善を要望いたしますが、厚生労働大臣の御所見をお聞きします。
○武見国務大臣 御指摘のとおり、外国人材育成就労機構における申請手続の合理化や統一化、それから適切なデジタル技術の活用というのは、監理支援機構などの利用者の利便性の向上のためにも重要であると認識をしております。
このため、育成就労制度におきましては、手続全般の簡素化、合理化を進めた上で、優良な監理支援機関等に対しましては更に簡素化等の措置を講ずることとしております。さらに、育成就労計画の認定申請に係る手続等のオンライン化に向けて、今後、制度の見直しも踏まえつつ検討を進めるところでございます。
このほか、利用者の利便性向上のためにもどのような改善ができるか、今後、関係者からの御意見もしっかり伺いながら検討してまいりたいと思います。
○日下委員 よろしくお願いします。
最後に、四月二十四日の法務委員会における我が党の大口委員の質疑の中で、公租公課の支払い等をめぐる永住者の在留資格の取消し等について、これは、つまり、原則は取消しではなく変更ですという小泉大臣の答弁とともに、永住者の我が国への、これまで定着してこられたという点に配慮し、一般的には、ほとんどの場合、定住者になると思われます、また、その家族についても、我が国への定着性に十分配慮して、適切に制度を運用していく旨答弁がございました。
改めまして、職権で永住者の在留資格を定住者等に変更する場合の考慮事項及び取消し事由に該当する悪質なケースとはどういうものか、そして、在留管理の対象外である特別永住外国人には適用されないことも併せて確認させていただきます。
○小泉国務大臣 まず、取消し事由に該当する場合としては、例えば、公租公課について申し上げますと、支払い義務があることを認識しながら、あえて公租公課の支払いをしない場合を想定しております。実際には個々の事案ごとに具体的状況に応じて判断されますが、一般論として申し上げれば、本人に帰責性があるとは認め難く、やむを得ず公租公課を支払えないような場合にはこれに該当しないものと考えております。
また、取消し事由に該当する場合であっても、即座に在留資格を取り消して出国させるのではなく、永住者の我が国への定着性、長く住んでおられた、働いておられた、活動しておられた、そういう定着性に配慮しまして、一部、当該外国人が引き続き本邦に在留することが適当でないと認める場合を除いて、法務大臣が職権により永住者以外の在留資格への変更を許可することとしております。
したがって、結果として、ほとんどの場合は定住者の在留資格への変更を許可することになると考えております。
なお、特別永住者の扱いでございますが、特別永住者は、平和条約の発効により本人の意思にかかわりなく日本の国籍を離脱した者で、終戦前から引き続き我が国に在留している者及びその子孫であり、歴史的経緯を背景とした法的地位であるため、そもそも在留資格取消し制度の対象とはされておりません。
○日下委員 ありがとうございました。
時間が参りましたので終わります。ありがとうございます。
〔武部委員長退席、新谷委員長着席〕
○新谷委員長 次に、阿部知子君。
○阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。
本日は、厚生労働並びに法務委員会の合同審査の質疑のお時間を頂戴いたしまして、ありがとうございます。
では、早速質疑に入らせていただきます。
開発途上国等への技術移転を通じた国際貢献を目的に平成五年に創設された技能実習制度は、その後、人権侵害等が指摘されて平成二十八年に改正をされ、技能実習法が成立しております。一方、特定技能制度は、深刻化する人手不足に対応するため、平成三十年の入管法改正を経て平成三十一年四月から開始となっており、今年で五年となります。政府は今後、次の五年間で特定技能の受入れを八十二万人と倍増させるという計画もございますが、課題は山積していると思います。
まず、一問目の質問でありますが、私はこれまで厚生労働委員会で、技能実習生を始めとする外国人労働者に関しての質疑を三回ほどさせていただきました。一点目は、平成三十年十一月の厚労委で、福島で除染作業に技能実習生が使われておりまして、ただ、放射能についての知識もなく、そこで技能実習と称して被曝をするという事案がありましたのでこれを取り上げさせていただき、次いで、翌年平成三十一年には、妊娠あるいは出産をきっかけに継続が不可能になる、当然ながら帰国を迫られる、あるいは堕胎を迫られるなどの例がございましてこれを取り上げ、また、令和二年の十二月の厚生労働委員会では、港区にございます日新窟というベトナムの方々の駆け込み寺、ここに行きまして、様々御意見を伺ってきて、どういう状態で技能実習の継続が困難になるかというようなことも伺ってまいりました。
そして、現状、お手元にお示ししましたように、外国人労働者の数は二百万人を超え、一枚目が全体で二百万人のプロフィール、二枚目には、特に特定技能と言われる方、現在では二十万人以上となっておりますが、この各々の方が抱える問題について指摘をさせていただこうと思います。
まず、政府の関係閣僚会議でございましたが、ここで、いわゆる技能実習制度や特定技能制度の在り方に関する有識者会議というものが令和四年十二月から十六回開催をされまして、この間の問題を総括しながら次へ向かうということがスタートをいたしております。
そして、この有識者会議の報告を受けまして、先ほどの関係閣僚会議を経て法案提出に至っておりますが、そもそもこの有識者会議でどのようなことが総括されたのか、触れられていない点も多数あると思いますが、まず有識者会議の担当部局からの御答弁をお願い申し上げます。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
現行の技能実習制度につきましては、人材育成を通じた国際貢献という制度の目的と実態の乖離や、特定技能制度との分野の不一致といった課題に加え、原則として転籍はできないことや、不適正な受入れ機関や監理団体の存在など、人権保護等の観点からの課題が指摘されているところ、我が国が魅力ある働き先として選ばれる国になるためには、人権侵害等の予防や是正を図ることは重要な課題と認識しております。
この点、有識者会議におきましては、外国人の人権に配慮しつつ、我が国の産業及び経済並びに地域社会を共に支える一員として外国人の適正な受入れを図るといった観点に立って、精力的に御議論をいただいたところです。
具体的には、転籍の在り方、新たな制度における監理団体の監理、支援、保護の要件の見直し、家族帯同の在り方などについて御議論いただき、やむを得ない事情がある場合の転籍の範囲を拡大、明確化するとともに手続を柔軟化すること、本人の意向による転籍を一定の要件を満たした場合に認めること、監理団体の要件を厳格化し、独立性、中立性を高めること、家族帯同は育成就労と特定技能一号では認められないことといった内容の提言をいただいているところでございます。
○阿部(知)委員 人権について有識者会議の基本的認識はあるという御答弁でありましたが、しかし、具体的に議事録等々を拝見いたしますと、個々の事案について掘り下げがほとんどないのだと思います。
皆様のお手元、開いて三ページ目に、これは移住者と連帯する全国ネットワークという支援団体の方々がまとめた有識者会議への評価でございますが、今御答弁にありました転籍の在り方とか、あるいは監理団体のありようとか、そのことについて、また家族の帯同についても触れられたということでありますが、例えば家族の帯同が言及されておりますのは、第五回の令和五年の四月十日と第十二回十月の十八日、ある意味で、のみでありまして、そのほかに、強制帰国、低賃金、賃金不払い、暴力、パワハラ、妊娠、出産への制約などについては、ほとんど、抽象的に人権侵害という言葉では出てまいりますが、多発しております事案を個別具体的に十分受け止めているとは思えないところでございます。
その上にのっとって今回政府の関係閣僚会議でこの法案を出されておりますが、これから小泉大臣に御質問いたしますが、開いていただいて四枚目、これは政府の対応についてということをまとめたペーパーでありまして、外国人の人権保護というところでは主には転籍問題が話されて、ほぼそれに、申し訳ないが終始をしておる。
大事です、職業の自由ですから。でも、転籍問題というところのボリュームが多く、そして、今申し上げたようなパワハラや暴力や妊娠、出産について、これは人権侵害事案ですけれども、その他のところで現行制度下でも迅速に対処となっておりますが、なかなか迅速に対処されませんで、実習生が逃げ出さなければならないとか、カエルを食べていたとか、いろいろな事案があったわけでございます。
大臣として、この有識者会議を受けて今回法案の提出に至られましたが、十分に、技能実習生並びに特定技能の皆さん、もっと広く言えば外国人労働者の人権という観点では、今回の法案提案はどのような配慮があり、また意味がございますでしょう、御答弁お願いします。
○小泉国務大臣 外国人材から選ばれる国になろうというところに原点がございます。そのための仕組みを整えていこうということであります。その中で、やはりマイナス部分、人権の侵害であったり労働条件の様々な厳しい問題、そういった個々の外国人の労働者が負う負担、そういったものもやはり最終的にきちっと我々は手当てをしなければいけないというのは、委員御指摘のとおりだと思います。
まずその第一歩として、基礎の部分として、転籍制限、こういったものを緩めていこう、監理支援機関ももう一度許可を取り直してもらおう、条件を厳格化していこう、そして、送り出し機関に支払う手数料、こういったものも不当に高額にならないようにしていこう、様々な観点から、一人一人の外国人労働者の在り方が守られるように、人権侵害が防止されるようにやっていこう、そういう制度の仕組みを今つくろうとしているところであります。
したがって、この制度ができたから、じゃ、全て完成するということでは、それはもちろんなくて、この制度があることによって、本当に一人一人の労働者が、海外からの人材が、人権が守られ、また生活が安定できる、そういうところを目指して、それがもう一つの我々の柱である共生社会の実現ということでございます。
まだまだ不十分かもしれませんが、ロードマップを作り、こうした法制を作ると同時に、令和四年から、今度は積み上げるように、細かい措置がたくさん出てまいりますけれども、一つ一つ積み上げながら、労働者となって働いてくださる外国人材を守れる、そういう共生社会、それをやっていこう、二本柱、二輪車で、両輪で走っているところでございまして、御指摘もしっかり踏まえながら、努力をしていきたいと思います。
○阿部(知)委員 転籍制限は最初の一歩だという御答弁でありました。もちろん労働者の権利ですから大事なことだと思い、否定もいたしません。ただ、労働者は、労働者である前に人間であります。
そこで、私が今日取り上げたいのは、技能実習生にしろ特定技能の皆さんにしろ、半数近くは女性で、それも、妊娠、出産ということに最も適齢期にある女性たちで、その方々にとって、その権利や、あるいは、当然お子さんも生まれますから、家族帯同ということもどうなっているのかということを、特に、私は小児科医でありますから、その観点から御質疑をさせていただきたいと思います。
まず、この問題に関して、技能実習困難時届出という、実習が継続できないときの困難時届出という制度がございまして、これは、二〇二一年に我が党の牧山ひろえ参議院議員が、技能実習実施困難時届出で、妊娠、出産を理由にしたものが二〇一七年十一月から二〇二〇年十二月までの三か年でどれくらいあるかをお尋ねして、六百三十七件という御答弁をいただきました。
その後、この数も増えておると思いますし、伺いましたところ、二一年度の末までの集計を後ほどお答えいただけると思いますが、その困難事案というか継続できなかった事案の中で、果たして、技能実習の継続意思を有する、そして再開ができたというものがどのくらいあるのか、妊娠、出産して、困難として届出を出す、でも、働き続けたい、でも、結果はどうであったかということについて、担当部署からお願いいたします。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
技能実習実施困難時届は、実習実施者や実習生等の事情により技能実習の継続が困難になった場合に必ず提出するものでございます。また、出産を希望する技能実習生については、実習実施者等がその旨の困難時届を提出すれば、技能実習を中断し、出産の後に技能実習を再開することができることとしております。
お尋ねの提出状況でございますが、技能実習法が施行されました平成二十九年十一月一日から令和四年三月三十一日までの間に、妊娠又は出産を理由に技能実習が困難になったとする技能実習実施困難時届出書が提出されたものの数が一千四百三十四件ございます。そのうち届出時点で技能実習生が技能実習の継続意思を有していたと確認できたものは百三十四件、さらに、そのうち実際に技能実習を再開する技能実習計画の認定が確認できたものは、令和四年九月三十日時点で二十三件でございました。
○阿部(知)委員 今教えていただきましたように、令和四年三月三十一日までのデータですが、千四百三十四件困難届出があって、うち百三十四件は継続したいと、一割くらいでしょうか。そのうち実際に継続できたのは二十三件しかないと。日本で働き続けられない、希望しながら、いられないという実態が生じていると受け止めるべきなんだと思います。
私は、なぜ困難なんだろうということを考えて、これ以上詳しいデータがあるのか、例えば、お子さんの在留資格であるのか、その後の出産、育児、お金がかかりますから、お金等々であるのか、そういうことをもう少し、状況を詳しく調べていただきたい。具体的に言えば、特定活動で赤ちゃんが残ったのがどのくらいあるのか、あるいは、出産一時金の受理がどの程度であったのか、産休が取得できたのかなど。
これは、労働者の権利でありますから、当然、調べられてしかるべきと思うのです。でも、基礎データがありません。続けられなかったという事実だけがここにあるのでは、改善がされないと思うのです。
武見大臣、急に振って恐縮ですが、女性が働き続けるときに、今、日本は子供、子育て支援で総力を挙げているわけです。それは、その方のルーツによらず、我が社会に生まれる子供たちをしっかり受け止めて育てるということであると思うのですが、現状、法務省の調べでは、こういう、子供たちがどうなったか、産休は取れたのか、一時金はもらえたのかなど、調べられておらないことについて、法務省と御協力の上調査をしていただきたいが、いかがでしょう。
○武見国務大臣 御指摘のとおり、妊娠、出産に関わる情報をこれから育成就労などで来日する外国人に適切に周知することは極めて重要であります。
こうした周知啓発に加えて、過去におけるこうした事案に関して、技能実習生、これが、妊娠等を理由とした解雇であるとかあるいは帰国の強制といった不適正な取扱いがあってはならない問題であるわけでありまして、こうした取扱いの禁止について、まず、積極的にこれは、現時点においても周知をしっかりとして、そして、こうした事案を把握して、その上で、こうした外国人の技能実習機構において適切な指導を行うということを、まずは現時点においてやるべきだろうと考えました。
○阿部(知)委員 それも最初の一歩なんだと思うのですよね。
私は、より具体的に踏み込んで、さっき、赤ちゃんが生まれたらその子の在留資格はどうなるんだろう、あるいは、赤ちゃんがもし障害をお持ちだったらこれは育成医療等を利用できるということも伝えてあげなくてはいけませんし、未熟児では養育医療が使えます。こういう情報も伝わっておらず、そもそもです、資料の六枚目を開けていただきますと、これは、技能実習生が妊娠、出産に係る不適正な取扱いをどの程度受けているかの出入国管理庁の実態調査でありますが、今、武見大臣が御答弁いただきましたが、例えば、日本では妊娠、出産を理由とした解雇等の不利益な取扱いは法律で禁止されていますよということを御存じの実習生は五割ちょっと、六割には欠ける。これは非常に、国の送り出し機関の方が出産したらもう研修を続けられないよと言っているケースも含めて、非常に深刻な実態がございます。
次のページの資料も見ていただきたいんですけれども、これは国別で調べた場合にどうなるかということでございますが、ここにもかなり差がございます。例えば、ページ七の資料で、図の二は、日本では妊娠、出産を理由とした解雇等の不利益な取扱いは法律で禁止されているということを知っているかということを聞くと、フィリピンなどではよく御存じでありますが、最も今多いベトナムでは五五・七%、ミャンマーは三七・一%。すなわち、この国に来るときから、日本では産んではいけない、妊娠してはいけないと思い込まされて来る方々が多いということなんだと思います。
武見大臣に御質問をしたいですが、私は、先日、今年の一月の共同通信の報道で、ベトナムで送り出し機関が女性たちに避妊を、避妊具を入れることを強制いたしまして、九人のうち四人は断ったけれども、五人は実施したと。その理由は、日本では産めないんだと言われて、そういうことを実施されたという報道でございます。
これまでも、技能実習生が妊娠、出産、孤立した中で赤ちゃんを殺してしまったり、いろいろな事案もありましたが、そもそもがきちんとした情報が伝わっておらない。このことについて、是非、大臣は国際派でいらっしゃいますから、今、ここ日本に来ている各国の御出身の国があるわけです。より綿密に、日本における働くということはどういうことか、妊娠、出産も労働者の権利であるとして認められているということを二国間の協定の中でより踏み込んで、今までも表面は伝えていると思うのですけれども、結果的に半数以下、三割とか四割では話にならないと思うので、大臣の二国間協定へのお取組の決意を伺いたいと思います。
○武見国務大臣 御指摘のとおり、妊娠、出産に関する情報を育成就労で来日する外国人に適切に周知することは重要であります。
このため、厚生労働省及び出入国管理庁におきまして、送り出し国においても正しく情報を周知啓発していただけるように、昨年の一月に、送り出し国政府に対しまして、出入国在留管理庁が実施した妊娠、出産に係る不適正な取扱いに関する実態調査の結果を情報提供するとともに、技能実習生向けに妊娠、出産に関する権利や制度をまとめたリーフレットを添付をし、不適正な取扱いの禁止に係る要請も実施をいたしました。
今後、育成就労制度の施行に向けまして、送り出し国と協議をする際にも、送り出し国において妊娠、出産に関する事項を十分に認識、周知していただけるように、送り出し国との間でもしっかりと協議を進めていきたいと思います。
○阿部(知)委員 私は、こうした次々起こる事案の一番の根っこには家族帯同を認めていない日本の仕組みがあると思いますが、それを一たびおいておいたとしても、正しい情報が伝われば悲しい事案は減ると思うのです。
例えば、昨年の三月に最高裁で判決が出ましたが、熊本で、二年ほど、もう三年になりますか、赤ちゃんの死体の遺棄事件ということで、一審、二審で負けて、最高裁判決で無罪になったお母さんがありました。また、昨年の四月、これは東広島市で、これも赤ちゃんの遺棄でしたが、死体の遺棄で、この方は有罪になりました。今年に入っても二件ございまして、二月、ベトナム人技能実習生が死産をして、その赤ちゃんをごみ箱に放棄した疑いで、この人は、そうやった理由は、監理団体などから妊娠したら帰らせるしかないと言われていて、誰にも相談できずにごみ箱の上に置いたということで、本当に悲しい事案です。また、同じ今年の二月です、先ほど大臣が徹底したとおっしゃってくださっていますが、今年の二月もまだ起きておりまして、今度はインドネシア人の技能実習生が死産をされまして、これもまた、独りで暮らすお部屋の中にその御遺体と一緒にいたと。しかし、これは罪は問われませんでしたけれども、いかに苦しかったか、つらかったかと私は思うわけであります。
十分知らしめても知らせ過ぎることはないと思いますので、武見大臣には是非御尽力いただきたいし、小泉大臣にも、監理団体も同じような対応を取っておることが多いわけでありますので、ここをまず今回しっかりとしていただきたいと思います。
引き続いて、技能実習生の管理手帳というものがございます。手帳ですから持ち歩けるという利便性がございますが、この管理手帳を見ていただきますと、資料の九枚目なのですが、一応は妊娠、出産したときの働く女性、男性のための出産、育児に関する制度という周知がございますが、これは武見大臣に伺いたいんですけれども、私はもっと具体的に、例えば、妊娠したら母子手帳を取りに行ってください、それが自治体への届出のスタートになります、もろもろのサービス、健診も受けられます、一時金も受け取れます、お母さんも妊娠中を元気に過ごせます、でも、このずらずらずらっと書いた中を見ても、まず最初に何をすればいいのかが、ここには浮かんでこないのです。
是非、あなたの住んでいる自治体の窓口に母子手帳を取りに行ってくださいと。このことは、実はリーフレット、ペラでは周知というか、配りましたと担当部局に言うと言われるんですけれども、さっきも言いましたように、手帳というのはずっと基本的に持っておられるものなので、その手帳の一丁目一番地に、まず母子手帳を取りに行ってくださいということを追記、追加していただきたい。
私は、大臣にいつも母子手帳のことばかり聞いて恐縮ですが、パレスチナでもそうでした。子供が生まれるときに一番守りになるもの、お母さんの守りと子供の守り、日本が編み出した世界に誇るツールと思いますので、まず、ここの管理手帳に書いていただきたいが、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 御指摘の母子手帳、母子の健康手帳の取得方法について、技能実習生手帳には、現在、確かに記載はしておりませんけれども、我が国で出産、育児を行う上で、これは極めて重要な情報だと考えます。今後、追記する方向で検討します。
○阿部(知)委員 ありがとうございます。
今、言語も多国化されておりますし、お母さんたちが見て、だって、今、妊娠したら五万円もらえるんですからね。お金も大変です。それも在留資格とかに関わりなくもらえるんです。きちんと、どんなお母さんでももらえるんだということの始まりは母子手帳ですから、よろしくお願いをいたします。
そして、今、技能実習生のことを問題にしましたが、この間の有識者による見直しの中で、ほとんどボリューム的にも触れられていない特定技能という方たちの中でも、実は、今、妊娠による雇い止めが多発をいたしております。
最後の資料を見ていただきますと、これはベトナム人の女性が、千葉で働いていた特定技能の一号という方ですが、一年間の育休を取った後に復帰したいということでありましたが、勤務先から、妊娠したらここでできないというふうに言われました。しかし、これでは育休も取れません。本当に、特定技能で、今、介護現場ではすごく活躍してくださっています。妊娠、出産して権利としての育休を取ったら、それでは継続されないというのでは、これは余りだと思います。
そこで、小泉大臣には、先ほど、特定技能についてではなくて技能実習については、出入国管理庁の実態調査、特に妊娠、出産に関わる実態調査をされています。是非、特定技能についてもこの調査をしていただきたい。
というのも、日新窟に駆け込む女性たち、四十人おられましたら、そのうち妊娠の継続が困難だという特定技能の方が大変多くおられたということであります。特定技能の女性たちは、いわゆる、今後、この法改正によって、外国人実習機構の窓口、今度は育成就労機構の窓口に相談ということにはなっておりますが、現在ではありません。つまるところ、民間団体の窓口に逃げ込んで、駆け込んで、その問題を今把握されるという状況です。
是非、政府が、特定技能の方たちの妊娠、出産、現状、課題について調査し、是正していただきたいが、大臣、いかがでしょう。
○小泉国務大臣 確かに、特定技能の方、技能実習生も含めて、若い女性の方が多くいらっしゃいます。そして、本当に、はつらつとして働いてくださっている姿を私も拝見してきました。そういう方々が苦境に陥らないように、まず、我々は実態をしっかりと把握する必要があると認識をしております。
今日御指摘をいただきましたので、どういう調査方法があるか、これは具体的に検討を進めたいと思いますが、必ず何らかの形で把握できるように努めたいと思います。
○阿部(知)委員 前向きな御答弁をありがとうございます。
子どもの権利条約九条によれば、子は親とともに過ごす権利を持っております。また、親も家族を構成する権利を持ってございます。
我が国は、子どもの権利条約を批准した国でございます。しかし、我が国は、技能実習はもちろんのこと、特定技能の一すら家族帯同は認められません。この国で産んだ場合のみ、最初は赤ちゃんの六か月の特定活動という在留資格、そして、親御さんが特定技能である間は最長五年の延長ということでございますが、しかし、この特定技能、一年ごとの契約なので、先がつながっていくかどうか。さっきの雇い止めもございます。
是非、日本が開かれた国として、親子の幸せな姿がこの国で見られるように、両大臣の今後の御尽力に心より期待して、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございます。
○新谷委員長 次に、西村智奈美君。
○西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。
今日は、入管法それから技能実習法の改正案ということで、連合審査で質問をさせていただくことになりました。私は、厚生労働委員ということでもありますので、主には労働者としての保護について質問をしていきたいというふうに思っております。
働いている人という位置づけになっている技能実習生でありますけれども、今回は、育成就労制度というふうに制度自体は変わるということなんですが、これまで、やはり技能実習生については様々な問題が指摘をされてまいりました。本当にいろんな問題が発生をしてきておりますけれども、いわゆる労働法制によって技能実習生がいつから保護されるようになってきたのか、これについてまず確認をしたいと思います。
○武見国務大臣 技能実習制度は平成五年に制度を開始をいたしまして、当初は、一年目の在留資格である研修の期間は労働関係法令の適用がなく、二年目ないしそれ以降の在留資格である特定活動、技能実習は、労働関係法令の適用があるという形でございました。
その後、平成二十二年施行の改正入管法によりまして、在留資格、技能実習を創設をし、一年目から、基本的に、全期間にわたって労働者として労働関係法令による保護が及ぶようにしたところでございます。
○西村(智)委員 平成二十二年から、一年目の技能実習生に対しても労働法制による保護が適用されることになったということでありました。
しかし、そういった目線で見ましたときに、やはり技能実習生の労災の発生率が高いというのは非常に気になるところでございます。
死傷年千人率という表し方でありますけれども、日本人を含めて全ての労働者の労災の発生率の千人率が二・三二であるところ、技能実習生は三・七九ということで、これはやはり際立った高さではないかというふうに思います。
労災に含まれるかどうかはそれぞれの個別事情はありましょうけれども、例えば自殺をされる方もいらっしゃるということで、本当に深刻なことだと思うんですけれども、労災の発生率が高い理由については、これはどういうふうに分析しておられますか。
○武見国務大臣 原因についてでありますけれども、技能実習生が労働災害の発生率が高い製造業それから建設業などの業種で就労する割合が高いこと、それから、技能実習生は経験年数が短くて、一般的に経験年数が短い労働者ほど労働災害が多く発生している傾向があるということ、それから、作業を行う現場における言語の制約から、技能実習生が危険な作業を行う場合のリスクの理解や周囲の労働者とのコミュニケーションが難しい場合もあること、こういったことが原因としてあるのではないかと考えております。
○西村(智)委員 今大臣がおっしゃったとおりのところはあると思うんです。つまり、特定のカテゴリーの方々、労働者に対して特定のある分野の仕事をしていただけば、やはりそこで労災の発生率というのが高くなってしまう。
これはやはり、ある意味、そのカテゴリーの方々、労働者に対する差別構造のようなものが私はあるというふうにも言えるのではないかというふうに思っています。そういったところを自覚しなければ、今後の技能実習の育成就労への転換ということもうまく仕組みとしてつくれないのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 先ほど申し上げたような原因を踏まえた上で、労災の発生が多いことが直ちに差別的な取扱いをしているということではないだろうとは思います。
その上で、差別的な取扱いということでなかったとしても、日本を実習先として選んだ技能実習生が日本で労災に遭ってしまうことを防ぐ取組が重要であることはもう言うまでもありません。
現行の技能実習制度におきましても、入国後の講習での安全衛生教育の実施であるとか、それから、技能実習計画上、安全衛生教育を必須業務として、定期監査や実地検査を通じて確認するなどしているところでございます。
技能実習生が安全に業務に従事できるよう、これからも引き続きしっかりと取り組んでいきたいと思います。
○西村(智)委員 取り組んでいただくことは必要なことですし、是非やっていただきたいと思うんですけれども、今後、日本が本当に選ばれる国になるために、また共生社会をつくるために、ここのところはよくよく心しておかなければいけないところだと思いますので、ちょっと具体的に今後も聞いていきたいと思っております。
先ほど、阿部委員が技能実習生及び特定技能の方の妊娠、出産に関する質問をされました。両大臣からは、非常に前向きな御答弁があったということで、うれしく思っております。私からも、追加のようになるんですが、改めて、データということでちょっとお伺いしたいんです。
令和四年の十二月二十三日、ここで「技能実習生の妊娠・出産に関する制度の更なる周知と不適正な取扱いの確認について」という注意喚起、これがなされているんですけれども、ここでちょっと気になったのが、不適正な取扱いというふうに記載をされているんですね。我が国には、男女雇用機会均等法という立派な法律がありまして、そこでは、第九条で、妊娠、出産による不利益な取扱いをしてはいけないというふうになっているわけなんです。これはなぜ不適正な取扱いという書き方になっているんでしょうか。
○武見国務大臣 厚生労働省においては、従前より、出入国在留管理庁とともに、妊娠などを理由とした技能実習生に対する不利益取扱いの禁止について累次にわたって周知、指導を行ってまいりました。
その上で、御指摘の通知は、監理団体等に対しまして、技能実習生に妊娠、出産に係る制度を説明することや、送り出し機関と技能実習生との間に妊娠したら仕事を辞めるなどの不適正な内容を含む契約がないか確認を求めるなど、更なる取組を依頼したものでございます。
この通知においては、事業主だけではなくて、監理団体や送り出し機関における取扱いも対象としているために、男女雇用機会均等法において禁止している事業主による不利益取扱いに加え、今ほど申し上げた送り出し機関における不適正な事案等を含めて広く注意喚起を行う趣旨で、不適正な取扱いという用語を使わせていただいたという経緯があります。
○西村(智)委員 送り出し国との関係については、先ほど、MOCの作成に当たって、きちんと交渉で、まさに不適正な取扱いなどがないようにということで周知していただけるということで答弁がありました。是非それはやっていただきたいと思います。
他方で、日本国内の側ですね、これについては我が国でどうにかなる話ではないかというふうに思うんですよ。監理団体あるいは事業者側による不利益な取扱い、せめてこのくらいはデータが取れるんじゃないかというふうに思うんですけれども、どのくらいあったのか教えていただけますか。
○武見国務大臣 技能実習の実施者を含む事業主について、男女雇用機会均等法において妊娠、出産を理由とした不利益取扱いが禁止されておりますが、これに係る是正指導などのうち、技能実習生や監理団体等に関する件数のデータは実は把握がされておりません。
他方、技能実習制度については、実習実施者や監理団体、送り出し機関による妊娠、出産に関する不適正な取扱い実態を把握することを目的に、技能実習生に対するヒアリングを通じた実態調査を出入国在留管理庁が実施をいたしまして、令和四年十二月に公表しているものと承知をしております。
同調査において一定の不適正な取扱いの存在が確認されたことから、先ほど御指摘のあった通知などを通じて、不適正な取扱いの禁止について一層の周知などを図ってきたところでございます。
外国人技能実習機構において、実習実施者や監理団体に対して定期的に実施している実地検査において不適正な取扱いがないかを確認しておりまして、不適正な事案について技能実習法違反が認められる場合には、認定取消しも念頭に置いた厳正な対処を行うこととしております。
○西村(智)委員 その厳正な対処というのは、今までどのぐらい行われてきたんでしょうか。それは、今回の法改正で含まれているものということですか。
結局、データがないんですよね、これまで監理団体や事業者側が不利益取扱いを行ってきた件数などについて。また、紛争解決の援助、それから是正指導、あるいは調停、こういったものがどのくらいあったのか分からないのに、今後どうするとか改善するとかというふうに言われても、これはなかなかやはり、本当に働く人たちを守っていこうと言えるのか、私はすごく疑問なんですね。
ここで議法の提出者の方にお伺いをいたしますけれども、私はやはり、閣法でこのような、本当に労働者としての保護は、実際には、今までもデータすら取っていないという状況ですから、これまでも不十分であったし、今回の法改正でも、結局、法律を見ても、どこにそういったことが具体的に書いてあるのか分からないという状況なんです。
議法提出者には、労働者保護の観点から、議法の目的や理念について伺いたいと思います。
○階議員 お答えいたします。
労働者保護という観点から、今先生からは、技能実習時代からの変化ということを、果たしていい方向に変化しているかどうかという問題意識からお話しされていたと思います。
そもそも、技能実習の時代は三つほど大きな問題があったと思っていまして、一つは、制度の目的として人材育成を通じた技能移転による国際貢献ということを言われていたわけですが、国際貢献という美名の下に安価な外国人労働力を大量に雇い入れていた。これはさすがに今回の法改正で技能実習という制度はなくなりましたけれども、まだ二つ問題が残っていると思います。
二つ目の問題は、技能実習の下では、やむを得ない事情がある場合のみ転籍が認められたということなんですが、このやむを得ない事情というのは極めて狭く解されることによって、実際には、転籍が認められず、人権侵害がある職場にもとどまらざるを得なかった。
そして、三点目は、送り出し機関が、人材紹介手数料ということで法外な手数料をその外国人労働者からいただく、そのために、外国人労働者の方は日本に来てからも、借金を背負って、その借金を払うために意に沿わないような働き方もしなくてはならなかった。
この二番目、三番目の問題は、なお今回の法案でも残っていると私どもは考えております。
そこにちゃんとメスを入れたのが私どもの法案で、目的とか理念というところは、そこだけ見ても分からないんですが、具体的なところで差異ははっきりしていると思っております。
○西村(智)委員 そもそもの骨組みのところが異なるということで、今、議法の三点の特筆すべき点について御説明をいただいたというふうに思っております。
次に、転籍についてはちょっとまた時間があれば質問したいと思いますけれども、派遣の問題について質問したいと思います。
有識者会議の最終報告書では、派遣については、認めることを検討するということで、認めるというふうに断定的には書いていなかったんですよね。それが突然、法案の中に条文として入ってきたわけなんです。しかも、労働者派遣法に規定する派遣による就労を通じて育成就労させるということのようなんですけれども、厚労大臣に伺いますが、労働者派遣法による派遣というのは、そもそもどういう労働者の派遣というのを想定しているんでしょうか。
○武見国務大臣 これは、農業や漁業といったような自然的要因による業務の繁閑がある分野では、企業努力を尽くしても、就労を通じた人材育成を単一の事業主の下で通年で行うというのはかなり難しいものがあると思います。このため、今般の育成就労制度では、特定技能制度でも農業それから漁業分野に限り労働者派遣が認められていることを踏まえまして、こうした分野に限り、労働者派遣を活用し、派遣元と派遣先が共同で育成就労を行わせる類型を設けることとしたところでございます。
したがって、こうした仕組みで受け入れる労働者は、育成就労外国人として、農業、漁業分野において就労するために来日した外国人を想定しております。
なお、これは、有識者会議の最終報告書や政府方針におきまして、季節性のある分野について、業務の実情に応じた受入れそれから勤務形態を認めることを検討するとされたことを踏まえて、こうした特定技能における取扱いも考慮をし、政府において具体的な方策を検討したものでございます。
○西村(智)委員 ちょっと違う答弁書を読んでいただいたような気がするんですけれども。
私、育成就労という考え方も、実はあちこちで矛盾のある制度だと思うんですけれども、ここに派遣というものが更に入ると、更にその矛盾の度合いが増すように思うんですよね。
特定技能制度、ここに派遣が入る。特定技能制度は人材確保が目的であります。そこに入るだけではなくて、育成就労制度、これは人材育成と人材確保を目的にする制度です、ここにも派遣が入るということなんですけれども、人材育成に派遣が認められるというのは、これはどういう理由によるものなんでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
人手不足分野における人材確保を目的とする特定技能制度では、繁閑期の労働力の確保や複数産地間での労働力の融通といったニーズに対応するため、農業、漁業分野で労働者派遣を活用した外国人の受入れを認めております。
一方、育成就労制度は、人材育成及び人手不足分野における人材確保を制度目的としていることなどに鑑みまして、自然的要因による業務の繁閑がある分野に限り、一貫した人材育成を担保するための特別な枠組みを設けた上で、労働者派遣を活用した受入れを認めることとしようとするものでございます。
○西村(智)委員 私は、なぜ育成就労制度にも派遣を認めるのですかというふうに聞いたんですけれども、今のは全く理由になっていませんね。ただ、そういう状況だから入れます、入れることにしましたという制度の説明をしていただいただけで、意図的に答弁をずらされているというふうに思います。私は、やはり育成就労の派遣というのはちょっとまずいんじゃないかと思うんですよ。
しかも、答弁の中にもありましたけれども、一貫した人材育成を担保するための特別な枠組みを設けて、人材育成にも労働者派遣を認めるということなんですけれども、じゃ、この一貫した人材育成を担保するための特別な枠組みというのはどういうものなんでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
本法案におきましては、派遣形態で育成就労を行う者は、労働者派遣法上の労働者派遣事業の許可を受けた派遣元事業主及びその派遣先に限定しており、育成就労法上の規制はもとより、労働者派遣法の各種規制に服することになります。
また、育成就労外国人の受入れに当たりまして、季節ごとの就労先や業務内容を含めた三年間の育成就労計画をあらかじめ作成することとしており、無制限に就労先を変更することは認めないこととしております。
さらに、労働者派遣形態の育成就労の場合、複数の事業者の下で異なる事業所において育成就労に従事させるという労働者派遣形態による受入れの性質や、派遣元と派遣先の事業所のそれぞれで必要な体制や事業所の設備等が異なり得ることも踏まえ、単一の事業者による受入れの場合の通常の認定基準とは異なる要件を定める必要があるものと考えております。
具体的には、育成就労に係る労働者派遣による業務を管理監督する育成就労の実施に関する責任者の選任を求めること、受入れ人数枠の算定に当たっては派遣元の職員の総数及び派遣先の職員の総数をそれぞれ勘案する必要があることなども要件として定めることとしております。
○西村(智)委員 今政府参考人が説明された特別な枠組みの担保というのは、条文上のどこに書いてありますか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
条文上は、第二条の「定義」というのがございまして、その中に監理型育成就労という項目がございます。その中に、労働者派遣等のことについて触れたところがございます。
○西村(智)委員 特別な枠組みについて御説明をいただいたんですけれども、結局、その組織の在り方、管理者をつけること、あるいは人数の制限をつけること、せいぜいでこのくらいでありまして、私は、これではやはり育成就労の派遣についてすごく不安が大きいです。なし崩し的にこれが行われていくのではないかという心配があります。ここは是非もう一回考え直してもらいたいところであります。
ちょっと、監理団体の在り方について伺います。
高額な監理費、こういったものがずっと問題になってまいりました。アンケート調査などによれば、初期費用で大体三十四万円くらい、定期的に毎月三万円ぐらいですかね。どちらもかなり高いなというふうに思います。
今回は、監理支援団体ですか、ここの中立性を確保するということが盛り込まれるようなんですけれども、これによって監理費を安くするということは可能になるんでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
本法案では、現行制度で一部の監理団体がその役割を適切に果たしていない旨の指摘がされていることなどを踏まえまして、監理支援機関の中立性や果たすべき役割の実効性を担保する観点から、役員の監理支援事業に係る職務の執行の監査を行うことを職務とする外部監査人の設置を義務化することや、受入れ機関と密接な関係を有する役職員による業務関与を制限することとしております。
また、監理支援機関においては、現行の監理団体同様に、監理支援事業に通常必要となる経費などについて、実費に限り、あらかじめ用途及び金額を明示した上で監理支援費として育成就労実施者から徴収することができることとしております。
その上で、外国人育成就労機構による実地検査による確認、指導等を徹底し、過大な監理支援費を徴収するなどの悪質な監理支援機関に対しては厳格に対応を行うことなどにより、適切な運用を図ってまいりたいと思っております。
○西村(智)委員 先日、法務大臣が、監理費用の適正化というのは必要だというふうに答弁をされておられました。押しつけになってもいけないし、過大な請求をしてもいけないということだったんですけれども、そこで、この過大な監理費というのが一体幾らくらいなのか、ここはこの法案審議の中で示していただきたいなというふうに思うんです。また、加えて、実地検査、外国人育成就労機構による実地検査、これまでは年一回程度行われてきたということですけれども、本当に過大な監理支援費をどのくらいと設定するのか、また、実地検査というのがそれに見合った頻度で行われなければいけないのではないかというふうに考えますけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
現行の技能実習制度におきましては、外国人技能実習機構が、監理団体に対して一年に一回、実習実施者に対して三年に一回、定期的に実施する定期検査と、技能実習生からの申告や各種情報に基づき技能実習法違反が疑われるものに臨時、随時に実施する臨時検査を行っております。
育成就労機構におきましては、詳細は今後具体的に検討することとなりますが、現行制度における実地検査の運用状況や育成就労制度下での受入れの規模感なども踏まえながら、監理支援機関や受入れ機関に対して適切に定期的又は臨時の実地検査を行うこととしております。
技能実習制度では、監理団体は、監理事業に通常必要となる経費等について、実費に限り、あらかじめ用途や金額を明示した上で監理費として実習実施者から徴収することができることとされており、現在、監理団体が受入れ機関から月ごとに徴収している監理費は、このうち定期費用でございますが、技能実習一号及び二号では、技能実習生一人当たり平均して三万円程度と承知しております。
育成就労制度の監理支援機関についても、技能実習制度における実費徴収の原則を踏襲することとしているところ、監理支援費は個々の監理支援機関やその監理支援事業の内容次第ということになるため、どの程度の監理支援費が過大であるかという点について一概に申し上げることは困難でございます。
他方、監理支援費の適正性を確認し、不適正な事案に対する指導等を行うことは重要であると認識しており、育成就労制度におきましては、監理支援機関が徴収する監理支援費の算出方法や基準を明確化し、ホームページなどで公開することを主務省令などで監理支援機関に義務づけ、費用を透明化すること、費用の算出方法に係る考え方を運用要領などで明確化すること、外国人育成就労機構の実地検査による確認、指導等を徹底し、過大な監理支援費を徴収するなどの悪質な監理支援機関に対する厳格な対応を行うことなどにより、適切な運用を図ってまいりたいと思います。
○西村(智)委員 透明化はいいことだとは思うんですけれども、過大な監理費と言われたからには、やはりこの法案審議の中で大臣の言葉で明らかにしていただく必要があると思うんですけれども、どうでしょうか。
○小泉国務大臣 これは、基本的には民間団体が一つの契約の中で取り決める金額でありますので、公定的な基準というものがあるわけではないわけですが、様々な形で業務の適正化を図ってまいります。つまり、無駄な業務はしない、あるいは、不当にかかってしまう費用は制限する。様々な形で業務の適正化が行われれば、まず、方向としては、それがやがて監理費用の低減に反映されていくということもあります。
それを後押しするために、算定方法とか、今御説明しました基準、算出方法、これをホームページで公開をし、また監理支援機関にそれを義務づける、費用の透明化を義務づける、また機構による確認もここに行う、また悪質なものに対しては厳格な対応を行う、こういったものを重ねていくことによって適正な水準に行くということをしっかりと我々は図っていきたい、こういうふうに思いますが、民間団体が決める金額でありますので、これを超えると不当だということは、ちょっとにわかには判断ができないと思います。
○西村(智)委員 それは、実地検査を行って、必要であれば厳格な対応をするというふうに答弁がありましたよね。厳格な対応をするとまで言い切っておられるのであれば、やはり少しばかりの、デュープロセス的な、過大な監理費の考え方についてぐらいは述べる必要があるというふうに思っております。
これはちょっともう押し問答になっちゃってどうしようもないので、先に進ませていただきますが、そこは今後の質疑の中でも是非明らかにしていただきたいと思っております。
解雇のところも質問したかったのですが、少し、永住許可の問題について一点だけ聞かせてください。
永住者に対しては、入管法上の義務を遵守しないこと、故意に公租公課の支払いをしないこと、一定の罪により拘禁刑に処せられたことで在留許可取消し事由が追加になるということのようです。これも最終報告書には書いてなかったんですけれども、突然法案の中に入ってきたということでありました。
もうこの委員会でも何度も話が出ていますけれども、サンプル調査によりまして、公租公課の未納が千八百二十五件のうち二百三十五件あったということなんですけれども、この中で、本当に故意に支払わなかったものというのが一体どのくらいあるんだろう。つまり、故意に支払わなかった方が取消し事由に当たるということですが、一体どのくらいあるんでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
今委員から御指摘ございました今回の調査は、永住を許可された者の許可後における公租公課の支払い状況を把握する目的で行ったものでございます。
入管庁におきましては、永住者の子として出生したことにより本邦に在留することとなった外国人から永住者の在留資格の取得の申請がされた際は、その許否判断のため、その外国人を扶養する永住者の公租公課の支払いを含む公的義務の履行状況を提出された納税証明書等により審査しておりますが、一般に、公租公課の支払いがなされていないことについて、その経緯や理由の調査は行っていないため、この調査結果の中で、故意に支払われなかった者の割合までは把握できていないことは御理解いただきたいと思います。
○西村(智)委員 つまり、分からないんですね。データがないんだけれども、これを含めるということなんですね。
八日の法務委員会で、こちらにいらっしゃる鎌田委員に政府参考人が答弁しておられて、未納があるかどうかということは、地方自治体等関係機関から入管に御連絡をいただいたところから手続が開始いたしますので、当然、連絡する前には、それぞれの部署において必要に応じた対応をしていただけるものと考えておりますというふうに答えていらっしゃるんです。
それまでに必要に応じた対応をしていたという、この必要に応じた対応というのは、これは一体何のことを指すんでしょうか。日本国籍者と同様に、督促ですとか差押えですとか、行政罰、刑事罰、こういった一定のペナルティー、こういったものが必要に応じた対応ということでよろしいのでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の答弁につきましては、国又は地方公共団体の職員が、故意に公租公課の支払いをしないことに該当すると思料する外国人を知ったとして入管庁に通報するまでには、御指摘のとおり、公租公課の支払いをしていない永住者に対し、関係法令に従って必要な対応を行っているものと考えることをお答えしたものです。
その上で、永住者の公租公課の支払い状況については、個別の事案に応じて異なるため、国や地方公共団体の職員がどの時点で通報するかは、御指摘のような税金等の徴収手続で一概に区別し得るものではないと考えております。
なお、入管庁におきましては、国又は地方公共団体の職員が通報の要否を検討する際に参考となる事例を示す必要性があることは理解しており、施行までに、故意に公租公課の支払いをしないことに該当するとして、その在留資格を取り消すことが想定される事例につきまして、ガイドライン等として公表することを予定しているところでございます。
○西村(智)委員 故意に公租公課の支払いをしないことが今回は永住許可の取消し事由として追加されたんですけれども、先ほど答弁がありましたように、それぞれいろいろ、督促とか差押えとか、いろいろなことをやってきているんですと。やってきた中で、更に、どこの段階かは分からないけれども、取消し事由を追加しますよということなんですけれども、法令に従って適切に対応してきたら、追加事由による永住許可の取消しというのは本当に想定し得るんだろうかと私は思うんですけれども、これはどうですか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
委員の御質問が、国、自治体、担当の部署が差押え等の法令に従って適切に対応しさえすれば、永住者の在留資格を取り消すことができる制度を設ける必要はないのではないかという御趣旨と理解して答弁をさせていただきますと、今回の永住許可制度の適正化は、一部において、入管の永住許可の審査において必要とされる期間だけ税を納付し、その後、再び滞納するなどする事案があるとの指摘があるところ、かかる永住許可後の行為は、永住許可制度の趣旨に反するものであることから、永住者の在留資格の取消し事由として追加しようとするものでございます。
すなわち、法務大臣が適切な在留管理の観点から在留資格を取り消すことができるとすることと、国や地方公共団体が税金等の徴収のために差押えなどを行うことは、異なる機関が異なる目的で行うものであり、両立することから、差押え等がなされるからといって、永住者の在留資格を取り消すことができる制度を設ける必要がないとは考えておりません。
○西村(智)委員 データも取っていない、ですから立法事実が確認できない、極めて摩訶不思議な取消し事由の追加であり、私は賛同できないということを申し上げて、質問を終わります。
以上です。
○新谷委員長 次に、足立康史君。
○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
今日、朝、出勤をしてきましたら、厚生労働省から御連絡をいただきまして、今日、足立議員の質問時間に大臣をちょっと外させてくれと。いや、全然いいんです。それで、今日、座っていたら、法務省も、さっき控室の方がいらっしゃって、足立先生の時間にちょっと大臣を外させてほしいんですけれどもと。多分、立憲の議員よりも頼みやすいんだと思いますが、私、絶対、そうやって役所からちょっと大臣がという話があったら必ずいいよということを答えていますので、これからも是非気楽に言っていただいたらと思います。
ただ、そういうふうに申し上げている理由は、大臣がいることが大事なんじゃないんですね、それは形式ですから。そうじゃなくて、やはり答弁ですよ。だから、形式ではなくて実質なので、両大臣、本当に自由にしていただいて結構ですが、今日いただいた時間で、とにかく実質的な、だから、答弁書は、格好つけなあきませんから最低限のものは用意していますが、私は、答弁書に書いてあることはもう要りません。だって、そんなこと、事務所で聞いたら分かるじゃない。だから、答弁書をベースにしながら、プラスアルファの付加価値がこの質疑でできるかどうか、こういうことでお願いしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
早速、厚労大臣はもう自由にしてください。ほんまに、嫌みじゃなくて、どうぞ。大丈夫、大丈夫。全然嫌みじゃなくて。
まず法務大臣にですが、小泉大臣、まず一つ目は、私、厚生労働委員会から、外からこの質疑を、法務委員会を拝見して、もう全部拝見しました、動画とか議事録とかですね。それで、やはりよく分からないのが、いわゆる移民政策ではないという話です。
もう形式的な話はいいんですけれども、政府・与党が、今回の法案も含めて、これは移民政策ではないんだと強弁しているわけですけれども、それって何なんだろうというのが、よく分からない。何を否定しているのか。何かを否定しているわけですね、何かではないと。何かを言いたいから、まあ批判されたくないんだと思うんですけれども、でも、今回、育成就労、それから特定技能一号、二号と、これでパスが完成するわけですよ。入国から永住までパスが完成しますよね。私は、これはどう考えても移民政策だと思うんです。
ただ、ここで大臣に、移民政策ではないってどういう意味ですかと聞いたら、またその辺に落ちている答弁が出てくるわけですから、もうそれは要りませんから。だから、大臣に改めて伺いたいのは、いわゆる移民政策ではないというその言葉は一体何のためにあるんですかね。それを否定することによって、一体何を議論したいのか分からないんですよ。質問の意味は分かりますね。何が言いたいんですか。ちょっとお願いします。
○小泉国務大臣 これまで、一般に移民政策というのは、諸外国の例を念頭に、期間の定めを置かず、家族帯同で、そして移り住んでいただいて、その国に定着をしていくという形、これがヨーロッパで多く見られた形であります。移民政策という言葉を国民が聞いて思い浮かべるのはその姿だと思います。
その姿と今回の措置の結果生ずる、まあ今回の措置も、おっしゃるように、門戸をより開き、そしてもっと長くいていただく、開き、時間も長くする、入口も広くする、そういう意味で、国を開く新しい措置であるわけです。ただ、ヨーロッパで起こっていることと我々が今やろうとしていることは、細かくなって恐縮ですが、分野が限られている、上限がある、家族帯同については慎重な検討を進める、そういう、ヨーロッパとはかなり違うと私は思いますね。これまでの日本国よりは開かれますけれども、ヨーロッパと比べるとやはり。その誤解を生ずることを否定したいわけですよ。
○足立委員 ヨーロッパだって、どんどん政策変更しているわけですね。だから、一体何と比較しておっしゃっているのかよく分からないんだけれども。例えば、今おっしゃった特定技能二号、家族帯同できますよね、それから、更新制ですけれども制限はないですね。それが、育成就労から一号、二号とパスが完成するじゃないですか。どう考えても、私は、入国から永住までのパスが完成する今回の法案で、まさに、いわゆる移民政策ではないという強弁にほとんどもう意味はなくなったんだと思うんですよ。こだわりますか。だからもうそこは、こだわらないと言ってください。
○小泉国務大臣 それは、一定の就労をしていただいて、スキルアップしていただければ、最終的に永住者になるという道は開かれているわけです。それは、今までも開かれていたわけです。そこが少し広くなったということはあろうかと思いますが、最終的にはそこへ行ける道はあったわけでして、今度も、それはつながりましたけれども、ヨーロッパで起こっているような、さあどうぞ、どんどん来てくださいという道ではなくて、やはり八年間の修練が要るわけですよね。八年間の努力があって、技能がアップし、日本語能力も上がってきて、どうぞと、こういう仕組みでありますので、やはり本質的に意味するところが違う、同じとは少なくとも言いづらいものがありますね。
○足立委員 小泉大臣、では、こう言ったらどうですか、日本版移民政策、ヨーロッパとは違うんだ、日本型の移民政策なんだと。
私は、移民政策って、ここで何か一本取りたいとかいうことじゃないんです。ただ、移民政策ではないとかあるとかいう議論自体が不毛だと思うので、いわゆる移民政策ではないという答弁を繰り返すことに、問いも愚問だけれども、答弁も愚かな答弁だ、もうそういう議論はやめませんかと言っているんですよ。
○小泉国務大臣 いや、問われるから。問われるので。問わないでいただければ、もうこれは終わりなんですね。
○足立委員 いや、だから、もうやめましょうよ、そういう議論を。維新の会は、もうそういう愚問はしません。立憲はするかもしれませんが、我々はもうしませんので、だから、そういう何か不毛な言葉遊びに時間を取るのではなくて、実質的な国の在り方、これを議論していきたいと思います。
そのときに、例えば、さっきもあった、受入れ上限があるという議論がありますね。上限というか、でも、だって、あれでしょう、この春、三月には三十四万五千人を八十二万人に増やしましたよね。これは、上限が三十四万五千人だったのに、人手不足だから増やしたんでしょう。上限じゃなくて目標じゃないですか。
○小泉国務大臣 目標であり、上限であります。この五年間における推計値に基づく上限であり、目標値でありますね。
○足立委員 だから、人手不足が深刻化するとその数字は増やすわけですよ。実際、三月に閣議決定で増やしました。それは上限じゃないんです。三十四万五千人という上限だったら、上限を外したらあかんじゃないですか。それは人手不足の状況に応じてまた増やしているわけでしょう。それは上限と言わないでしょう。それは目標と言うんですよ。あるいは見込み数です。見込み数とおっしゃっています。
だから、上限というのはまた言葉遊びで、何か意味のない言葉で遊んでいませんかと。もう上限と言うのはやめてください。どうですか。
○小泉国務大臣 確かに、海外人材がどんどん来てくれるという時代における感覚が少し入っているかもしれませんね。今はむしろ、本当に日本を選んでもらえるかどうか。したがって、上限と言ってみてもそこに到達できるんだかどうだか、そういう状況の変化はあります。
この三年間で様々な状況が変わり、円安も進み、したがって、それは上限であるんですけれども、いや、それはもうそんなこと言っていられない、目標だろうという御議論も、それは当然あり得ると思います。
○足立委員 三十四万五千人が八十二万人に増えた。それは五年間たって増えた。また五年後、生産年齢人口はどんどん減っていく。だから、この八十二万人の、上限と僕はもう言いませんけれども、そういう見込みは当然また閣議決定で五年後増やしていくわけですよ。もっと前倒しされるかもしれない。それは、生産年齢人口の減少に伴って受入れの枠は当然増えていく。否定しませんね、増えていく、そうですね。
○小泉国務大臣 この三十四万人が八十二万人でしたかに、ほぼ倍増以上になっているのは、個々の業種ごとに積み上げをしている結果ですね。そして、個々の業種によってはIT化による生産性の向上が期待できるところも出てくるかもしれない。また、国内人材が多く集められる収益性を確保できるところも出てくるかもしれない。そういったものを五年間の中でもう一度よく精査をして、五年後に新しい数字が出たときに今回よりも増えている、その可能性は私は高いと思いますが、必ずこういう理由で論理的に増えますというところまでは申し上げられないわけです。
○足立委員 そう、今大臣がおっしゃったように、増える可能性が高い。高いどころか、絶対増えますよ。だって、増えてきているんだから。
それをちゃんと認めれば、もう上限とか、しょうもない、いわゆる移民政策ではないとか、いや、これは上限だとか、そういう言葉遊びをしながら、冒頭大臣は、上限があるから移民政策ではないんだと言う。もう聞かないですからいいですけれども、そういう実質的な国会討論をしていきたい、こう思います。
今回の政策、我が党は全面否定ではありません。基本的にあり得る政策だと思っています。ただ、ずさんだし、計画性がなさ過ぎると思っています。だから、さっきみたいに将来のことを分かっているのに言わないとか、先ほど公明党の日下正喜委員が、公明新聞の引用だったかな、何かステルス移民政策みたいな話もありましたが、まさにそういう面があって国民も辟易しているわけです。正面からやはり議論をしていきたいと思います。
そのときに、私たち維新の会は、やはり人材の層、外国人労働者についてはもっと高度な人材も入れていったらどうかと。
ところが、例えば在留資格、今日も議論があった、いろいろな在留資格がありますが、例えば高度人材。かつて、これは目標値があったんですけれども、今、目標値を達成した上で、その目標値のアップデートはしていないですよね。うなずいていらっしゃいます。過去にはあったんですよ、高度人材の受入れ目標が。なぜ、あった目標が今はないんですか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
高度外国人材の受入れの目標としましては、令和二年七月十七日に閣議決定されました成長戦略フォローアップにおいて、令和四年末までに四万人を目指すとされていたところです。目標には到達しなかったものの、令和四年末時点では、高度外国人材として認定された者は約三万八千人となり、令和五年末時点では四万人を超え、四万七千人となっております。
御指摘の点を含め、引き続き、高度の専門的な能力を持つ外国人の受入れ促進に向けまして、必要な措置は講じてまいりたいと思います。
○足立委員 大臣、聞かれましたか。これはかつてあったんだけれども、実際に四万八千、五万近く行っているわけです。すばらしいですよね。まさに、日本が開かれた国、そしてイノベーションを起こしていける国、日本が繁栄をしていくために高度な人材にどんどん入ってきてもらったらいいですよ。
大臣、是非これは目標を、目標の期限には到達しなかったんだけれども、実質的にはほぼ達成していますよ。だから拍手ですよ、すばらしい。じゃ、次は十万人だ、そういう目標ぐらい、僕は簡単につくれるというか、つくった方がいいと思うんですよ。大臣、つくるということで。
○小泉国務大臣 私もそう思いますね。インバウンドの目標値をつくる、そういう時代でありますから、我が国にとって必要な高度人材として認めていただいている、多くの国民の理解もあるわけですから、経済成長率についても目標があるわけですから、検討したいと思います、目標値の設定。
○足立委員 ありがとうございます。
次に、ここからは厚労大臣に移りますので、法務大臣は自由にしてください。
武見大臣とは厚労委で何度もやっているわけですが、特に、在留外国人の増加が年金財政とかその給付水準にどういう影響を与えるか、これをまず御答弁いただけますか。
○武見国務大臣 我が国の公的な年金制度というのは、もう御存じのとおり、国籍にかかわらず、外国人も日本人と同様に年金制度に加入することが原則です。このため、我が国に居住する外国人が増加すれば、年金制度の支え手の増加につながって、年金財政や将来の給付水準にプラスの影響があると考えています。
○足立委員 実際に、そういう人口推計、今、厚労省は、子供は減ったけれども外国人が増えるから、だから給付水準はこうなるんだ、そういう人口推計に基づいた、今度また財政検証がありますけれども、こういうのをやっていくわけです。
だから、実は、在留外国人の増加は、年金財政に足下ではプラスになる。でも、これはニュータウンと一緒で、わあっとある働き世代の方が来て、永住者になって、同じような世代の人たちがわあっと来て、日本はいずれ、それでちょっと入れ過ぎた、ストップということになると、高齢者ばかり、ニュータウンがそういうのがありますよね、世代が全部上がっていって高齢者ばかりの町になるということがありました。
これは計画的に、国の五十年、百年の未来を見据えた外国人の受入れをしていかなければ同じようなことになりかねないと思っていますので、単に、足下で、外国人の増加は年金財政、給付水準にプラスなんだ、丸ということでは駄目だと思いますが、どうですか。
○武見国務大臣 先生御指摘のとおり、外国人の労働者に国内でどのように活躍していただくかということについては、やはりしっかりとした計画性がなければいけないだろうというふうに思います。
一般論としては、日本人や外国人にかかわらず、働き手の減少というのがあれば年金制度の支え手の減少につながって、年金財政にとってはマイナスの要因になるのはもう御指摘のとおりなんです。そのため、日本人、外国人にかかわらず、働き手を確保していくことが年金制度の安定性との関係で重要だ、こういう考え方になります。
ただ、取りあえず働き手として外国人を増やしたとしても、その外国人の方々が年を取って引き続き日本におられるということになれば、高齢者になれば、今度は年金の受け手とかということになっていきますので、これをどう計画的に設計をして、例えば年金制度の中での安定性を考えるかというような議論もそこでまた必要になってくるだろうと思います。
○足立委員 そうしたときに、先日、おとついかな、自民党の藤原先生かな、例のサンプル調査というか、永住許可申請の千八百二十五件のうち、一二・八%の二百三十五件、税等の未納があったという御答弁がたしかあったと思います。これは報道でも、永住者、未納は一割と報道があります。
これはとても重要な数字だと思って、ちょっと考えてみたんですが、ただ、これはちょっとごめんなさい、通告できていなかったので、年金局長、すぐ聞きませんから、日本人というか、全体の、外国人だけじゃなくて日本全体で年金あるいは国民年金の未納率というのは、僕はたしか一%ぐらいだったと思うんですけれども、それをちょっと確認しておいて、それは答弁できますね、通告していないけれども。
これを見てください。一昨日の話は一割というんですけれども、これは税ですから、いろいろなものが全部含まれているんですけれども、内訳をおっしゃっていました。ほとんどは国民年金なんですよ。二百三十五件のうち二百十三件が国民年金ですよ。すなわち、その一昨日の答弁をそしゃくすると、永住外国人の世帯とか、個人か世帯かちょっと分からないんですが、サンプル千八百二十五のうち二百十三が国民年金未納なんですよ。これは一割以上ですね。
さて、それで、年金局長、今、外国人のサンプルでは一割を超えているわけです。千八百二十五分の二百十三、国民年金未納なんですよ。一〇%以上です。日本人というか、全体というか、国民年金制度あるいは年金制度で未納率というのは何ぼですか。
○橋本政府参考人 令和四年度の国民年金の加入・保険料納付状況の調査結果によりますと、令和二年度分の保険料の最終納付率、これは国籍を問わないものでございますけれども、八〇・七%というふうになっているものと思います。
○足立委員 八〇・七%だけれども、ごめんなさい、いわゆる未納率、未納率という言い方はしないのか、未納率をお願いします。
○橋本政府参考人 今申し上げました数字につきましては、納付対象月数の中で納付された月数がどれだけに当たるかということでございますので、納付対象月数の中には法律に基づいて免除を受けた部分というのは含まれない形になりますので、八〇・七%ということは、二割弱ぐらいの方が未納であるということでございます。
○足立委員 そんなにでかかったっけ。ああ、そうですか。ちょっと私のロジックが破綻したんですけれども。そんなにでかいんですね。
とにかく、これはサンプル調査ですよね、この実態把握をちゃんとすべきだと思いますが、これは厚労大臣、ちゃんとやっていただけますか。
○武見国務大臣 先ほど申し上げたとおり、我が国の公的年金制度というのは外国人も日本人もこれに加入するということが原則でありますから、同様にきちんとこれを確認をして、調査をしていくことにいたします。
○足立委員 今大臣から調査をするという御答弁がありましたが、今していないですよね。
要は、今日話しているのは、社会保障、まあ年金とかもそうだし、それから生活保護も、今日はちょっともう時間が限られているので生活保護の話はちょっと、まあやってもいいんですが、いずれにせよ、生活保護から年金、医療、介護まで、一体、社会保障について外国人がどれだけ保険料を払っているのか、それから給付を受けているのかですよね。特に、医療保険等については議論があるし、生活保護についても議論がある。その実態を厚生労働省は、これは年金局長だけでは答えられないと思うけれども、どれだけ把握できているんですか、今。
厚生労働委員会でこの質問を度々すると、いや、把握していませんという答弁が大体多かった。していないですよね。
○橋本政府参考人 公的年金の加入に当たって国籍要件というのは課されておりませんので、納付の状況ということにつきましても、また受給の状況ということにつきましても、国籍を分けた形での把握ということは基本的にしておりません。
そこら辺の今後の取扱いについては、また今後どんなことができるのかということは引き続き検討していきたいと思います。
○足立委員 大臣、これはとにかくしていないんですよ。する仕組みになっていない。
生活保護の話もちょっと一言だけしたいんですが、在留外国人の増加が生活保護に与える影響、これについても通告をしていますが、育成就労から特定技能一号そして二号の中で、在留外国人の増加が生活保護に与える影響はどうなんだと質問すると、一応、応答要領は、いや、知りませんよ、私は知りませんけれども、応答要領は、育成就労から特定技能ビザは生活保護の対象ではありませんという答弁ですね。
ところが、さっきあったように、特定技能二号のその先には永住があるわけですよ。そうであれば、今回、入国から永住までのパスが完成することによって外国人の生活保護は増えていくと思いますが、大臣、どうですか。
○武見国務大臣 これは、日本国籍を持たない方の居住者が増えていけばいくほど御指摘のような傾向が出てくることになるだろうと思います。
したがって、生活保護の対象者というのは、外国人であったとしても実際に準拠して適用対象になるものですから、御指摘の傾向は推測できるのではないかなと思いますね。
○足立委員 すると、先ほど大臣が答弁くださった、それをちゃんと調べるよというふうに御答弁いただきました。
これは大臣、万般なんですよ、社会保障全体。だから、年金だけではありません、医療、介護という社会保険、それから更に言うと、例えば、コロナのときに、生活福祉資金貸付がありましたね、社会福祉協議会で、大変な数が出た。そういうことも含めて、これから、こうやって連合審査会でやっているんだから、この法案が、我々、立憲よりは前向きですから、今回の法案、だから私たちも協力しますよ、いろいろな意味で、制度をよくするために。
だから、そのときに一番大事なのは、今回の法案で入国から永住までパスができ上がる、法務大臣とずっと議論して、でき上がるんです。でき上がるこの機に、厚生労働省の、特に社会保障ですよ、社会保障分野にどういうふうに影響を与えるのかというのを常にチェックをしていくというか把握をしていく、見える化をしていく、これはもう必要最小限の制度インフラだと思います。
これは、でも、大臣、簡単におっしゃるけれども、大変だよね、事務方。(武見国務大臣「すぐにはできない」と呼ぶ)すぐにはできない。どれぐらいの時間をかけてやってくれますか。やはり、これはちゃんと、だって法案を施行するんだから、しっかりやってくださいね。ちょっと決意のほどを。
○武見国務大臣 この問題に関しては私も非常に深い認識を持っていまして、これから人手不足の中で、外国籍の労働者の数はもう間違いなく増えていく、そして、増えていくことによって日本に居住する外国籍の方の数も確実に増えていくわけであります。そういった方々の中には当然社会保障の適用対象になる方々が出てくるわけでありますから、実際にそういう方々についてのデータというものをやはり正確にきちんと把握しておくことは、将来的に確実に必要になります。
そのために何が必要かといえば、こうしたデータに係るデジタル化であります。我が国におけるこのデジタル化の遅れというものを、この際、とにかく徹底的に改革をして推進をし、そして、御指摘のような情勢を的確に把握するということが私はやはり必要だと。だから、すぐ簡単にはできませんよということをちょこっとさっき申し上げたわけであります。
○足立委員 武見大臣は困ったらデジタルに逃げ込むんだけれども、いや、厚労委員会でも必ず困ったらデジタルなんですよ。いやいや、デジタルの重要性を私と認識を共有していただいているから、もうそれは大歓迎なんだけれども、でも、だからといって、十年、二十年というわけには、この話は、だって、統計整備だけなんだから。ちゃんと把握する枠組みをつくれば、僕は、来年から、再来年から、できると思いますよ。えっ、できない。
事務方もちょっと、できないですか。できない理由を教えてください。
○朝川政府参考人 生活保護を担当しております。生活福祉も担当していますが、生活保護について、例えば外国人の人数であれば、世帯数ですね、外国人が世帯主である世帯数、そういうのは把握しているんですが、何回かありましたけれども、医療扶助の給付が分かっていない、外国人の分が。それは、レセプトが外国人と日本人で区別されていないので分からないということですから、それを把握するようにするには結構やはり時間がかかる、そういう性質のものでございます。
○足立委員 いや、だから、もうちょっと教えて。何が難しいの。決めたらできるよね。
○朝川政府参考人 レセプトに外国人か日本人かというのを記載するルールにはなっていませんので、それを幾ら集計しても外国人、日本人の区別は出てきませんので、やろうとしますと、福祉事務所に最終的に集まってくるデータ、それを、このレセプトデータは日本人のものなのか外国人のものなのか突合していかないといけませんので、それで福祉事務所に事務負担がかかりますから結構大変だ、そういうことになります。
○足立委員 しかし、これをやらなければ、共生社会なんて絵に描いた餅です。大臣、お願いします。
○武見国務大臣 実は、私がある程度時間がかかりますよと申し上げたのは、統計を取るときに、各地方自治体の御協力が確実に、社会福祉協議会などを通じて必要になるわけです。
そういったことで、実際に現場の負担がどの程度かかってくるかということも、私ども、ちゃんと考えながらやらないと、すぐできますというふうには言えないということなんです。
○足立委員 しかし、まさに行政実務ですから、行政実務の整理が要ると思いますが、でも、それは迅速にやると。だって、この法案ができちゃうんだから、迅速にやると。
○武見国務大臣 でき得る限り迅速にやるよう努力するということではないかと思います。
○足立委員 期待をいたします。
もう時間になってきましたが、再び小泉大臣に最後に一問戻りますが、実は、十年近く前というか、八年ぐらいかな、入管法改正のときに検討条項を修正しました、私たちが、維新の会が。そのときに何を入れたかといったら、マイナンバーカードと在留カードの一体化ということを入れてもらいました。
でも、そこからもう五年、八年、十年かかって、ようやくその一体化の議論ができるんだけれども、私もちょっとうかつだったのは、これは、昨日役所の方と、このマイナンバーカードと在留カードの一体化の話をもう一回教えてもらいました。これは本当に一体化するだけなんですよ。要は、在留カードはなくならないんですね。
だから、幾ら一体化しても、まず外国人は水際で在留カードを与えられるわけです。その後、住居を定めて、市町村に行って、マイナンバーが住民基本台帳でセットされて、そしてマイナンバーが振り出され、マイナンバーカードがもらえる。そのときに、特定在留カードだっけ、一体化したものも選べますよという、何かどうでもいいレベルの話になっちゃっているんです。
私はやはり、水際でちゃんとマイナンバーを与えたらいいじゃないかと。いやいや、それは住民制度ですから、これは自治体の業務でして、入管行政と関係ないんですというのが現状なんです。
でも、先ほど武見大臣もおっしゃったように、こういうことをやっているから、いつまでも日本は、合理的で、本当に国の繁栄につながるような制度体系にならないんですよ。だから、結局、在留カードはなくならないんですよ、一体化と胸を張っているけれども。
大臣、在留カードはなくならない、そうですね。それだけ、まず、なくならないかどうか。
○小泉国務大臣 在留カードの機能はなくならない。
○足立委員 事務方でいいですよ。在留カードはなくならないですね。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
引き続き、在留カードは残ります。
○足立委員 大臣、そうなんですよ。私も、だって、機能は大事ですよ。だけれども、もうマイナンバーでちゃんと管理したらいいんですよ。でも、在留カード番号だって残るし、在留カードは残るんです。何でかといったら、全ての外国人は水際で在留カードを持つんですよ。これは、これからも変わらないんです。変わらないですね。うなずいていただいた。変わらないんですよ。
だから、結局、私も十年越しでマイナンバーを推進してきた。いろいろ今、河野大臣も御苦労されているけれども、私たちはこれをやるべきだと言っているんです、次の時代を開くために。選挙で票が減っても、それをやるべきだと言っているんです。これに反対しているのが共産党ですよ。
もう時間が来ましたので終わりますけれども、だから、これはとても深刻なテーマだと思うんですね。だから、先ほどの武見大臣のところの統計の問題、それから在留カード、不正が多い在留カード、これをどうしていくか、引き続き課題があるということを御指摘して、質問を終わります。
ありがとうございます。
〔新谷委員長退席、武部委員長着席〕
○武部委員長 次に、北神圭朗君。
○北神委員 有志の会の北神圭朗です。
今日の法案は、物すごく大きな社会的影響、経済的影響を、恐らく我々が思っている以上に、将来にかなりの影響を及ぼす重大な法案だというふうに思います。
一つは、はっきりと法案の条文から、労働需給の調整の、調整弁として使わないという条文が削除されて、歴々とした外国人労働者として認めると。
それから、先ほど話があったとおり、三年たったら、育成就労から特定技能一号、それから、さらにまた、五年後には第二号、十年たつと永住権の対象にもなっていくと。そういう意味では、私も、これは事実上の移民政策をかなり明確にしたんだと、もう既に始まっていましたけれども。
私の立場を言うと、私は全部反対ではございません。当然、背に腹は代えられないということで、労働人口が減少する中で必要だと思います。ただ、相当丁寧にやらないと、これは生身の人間でありますので、非常にそこのところを今日は問いたいというふうに思います。
一つは、人手不足ということを理由に経営者が低賃金労働をどんどん入れる、こういうことにならないように、やはり、ほかの国では労働市場テスト、難しい言葉ですけれども、要は、どこかのAという会社の営業の係長のポストに外国人労働者を受け入れたい、そのときには事前に、一定の期間、国内の日本の労働者に募集をかける、それで、なければ外国人労働者を入れるという、こういう手続を、例えば、アメリカとかシンガポールとか韓国とかが行っています。こういうことを日本ではやるんでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御質問がありました、いわゆる労働市場テストのような仕組みにつきましては、育成就労の制度でございますとか特定技能の制度では設けられていないところでございます。
○北神委員 いや、だから、そういうことを私はやらないと、非常に、本来日本の労働者がそこで仕事をできるにもかかわらずちょっと安いからといって外国人を入れる、こういうことになってしまいます。
総論的に言うと、要は、みんな人手不足、背に腹は代えられない、労働者が必要だということで、もう、ただただできるだけ規制を緩和して受け入れようとしている。しかし、いろいろなことをやはり考えていかないといけない。やはり、私は日本の労働者を最優先にすべきだと思います。そうですよね。だから、そういう意味では、何らかのそういう市場テストみたいなものを設けるべきだと私は思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 企業ごとにという形ではないわけでありますけれども、業界ごとに、国内での労働力の確保、あるいは生産性向上の余地がないかどうか、国内で労働力を確保できる道がないかどうか、それをやってもなお人手不足である業界についてという条件で進もうとしているわけでございます。
もっと細かいセグメントでそれをやるというのが労働テストですよね、ヨーロッパでやっている。そこまでやる考えは我々はありませんが、しかし、どんな制度もそうですけれども、進んでみて、そこに、実態にその制度を置いてみて、何が起こるか、それはよく注視をしなければならないし、その中でそういうことが必要になってくるという状況も全て否定するわけではありません。その可能性も念頭に置きながら。
○北神委員 是非そういうことを早くやっていかないと、日本の労働者が駆逐されるということを私は心配しています。
もう一つは、駆逐されるまでもいかなくても、私の資料の裏側の二ページの三ポツ、外国人労働者の賃金というのがありますけれども、これはリクルートワークス研究所のホームページから取ったので、なかなか政府の統計を調べてもよい統計がなかったんですが、この黒い方が外国人の賃金水準、それからちょっと明るい方の棒グラフの方がいわゆる日本の労働者の賃金水準で、大体三割ぐらい、平均すれば、業界によっては異なりますけれども、三割ぐらいは外国人の労働賃金の方が安い。これは常識にかなっていると私は思います。
しかし、こういう人たちをどんどん入れると、これは内閣府にお聞きしたいと思いますけれども、岸田政権としては、物価に負けない賃金を上げるんだ、こういうことをおっしゃっていますよね。だから、その政策に矛盾するんじゃないかと。どんどん入れてくると、当然これは日本の労働者の賃金水準にも波及するわけですよ。ですから、そこを内閣府に、その辺の整合性について伺いたいと思います。
○馬場政府参考人 お答えいたします。
育成就労制度の運用に当たりましては、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材確保が困難な状況にある産業上の分野に限って受入れを行い、これが重要でございますが、外国人の報酬が日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上であるということを育成就労計画の設定時等に確認していく。さらに、人手不足の状況などを適切に把握した上で受入れ見込み数を設定し、必要に応じて臨機に受入れの停止措置を取るなどとしており、国内の雇用の安定に影響を与えないよう十分な配慮を行う運用がなされるものと内閣官房としては承知しております。
したがいまして、御質問の御趣旨でございます国内の労働市場に与える影響を考える上でも、今申し上げました制度趣旨を踏まえた対応を講じていくことが重要でございまして、主務官庁や業の所管官庁において適切に制度を運用していただくことによりまして、育成労働制度で入国した外国人労働者が技能を学び、スキルアップを図ることにより、日本社会で活躍し、経済成長に寄与していただくようにしていくことが重要であるというふうに考えてございます。
○北神委員 だから、そういう制度の前提で、あたかも国内の賃金水準は影響を受けないというふうにおっしゃっていますけれども、内閣府は是非そういう視点からもちゃんとこれを見ておいて、そうならないと私は多分思いますよ、そんな、制度がうまく機能して日本人と同等の賃金水準とかといっても、恐らく最低賃金ぐらいで収まると思いますよ。だから、そういった意味では私はかなり影響を受けると思いますけれども、それを是非ちゃんと見ていただいて、やっていただきたいというふうに思います。
ハーバード大学で、経済学者でボージャスという方がいるんですけれども、「移民の政治経済学」という本を書いております。是非お二方に読んでいただきたいと思いますけれども、これは、移民を入れると、労働力、労働市場の中で一〇%入れると、確かに経済はよくなるんですよ。ところが、その中の富の移転というものがどういうふうになるかというと、国内の労働者から国内の経営者に行くだけの話なんですよ、富の移転が。だから、そこで格差というものが生じてくると。
もっと言うと、みんな、恐らく今の日本の人たちは労働者ばかり考えていますけれども、これは、さっきの話、生活保護にも関わるし、医療保険にも入りますし、財政負担にも入りますよ。治安の問題も出てきます。これも物すごくお金がかかります。だから、総じて見ると、もしかしたらプラス・マイナス・ゼロとか下手するとマイナスとか、そういった観点からやはり考えていくべきだというふうに私は思います。
今回は、だから、移民の話は一回、予算委員会で小泉大臣として、小泉大臣、自分の考えを非常に強くお持ちで、言葉も雄弁ですけれども、身ぶりも雄弁なので、私、いつもそれに惑わされちゃうんですが、移民の議論はもうどうでもいい。ただ、永住者というのは、世界的に言うと普通は移民なんですよ。
これが非常に増えているという状況の中で、私は特に心配しているのが、最後この資料を御覧いただきますと、一ページの一番目ですけれども、在留外国人の犯罪率、これは警察庁はもっとちゃんとした統計を取るべきだと思いますけれども、我々の事務所も工夫をして、こういう数字を一応推計をいたしました。日本人の中では、大体、刑法犯の割合というのは、〇・一四%おられます。在留外国人というのは〇・二八%、大体二倍ぐらいです。これに、特別法犯、これは出入国管理法の違反の方なんですが、これを入れると〇・四二%に上がりまして、大体三倍ぐらいです。さらに、不法残留者を入れると十倍ぐらいに増えると。
だから、やはり差別じゃないんです。私は統計に基づいて話をしているんですよ。よくこの移民の犯罪の話をすると、いや、日本人だって犯罪をするんだよとか、こんなことを言いますけれども、比率からいってもこういうものが出ておりますので、やはりここのところをもう少し我々は考えていかないといけない。
そして、この二つ目の、資料の下の方を御覧いただきますと、国籍別に言うと、一番がベトナム人なんですね。これは、総検挙件数それから総検挙人員からいっても、ベトナム人が一番多い。その次は中国ということです。
くしくもこの二か国は、例えば、商社でもいい、大きな日本の会社でベトナムで数か月以上滞在をする、仕事をする、そういったときには、さっきの話、犯罪経歴証明書というものを提出しないといけないんです。義務づけられております。ベトナムもそうですし、中国もそうです。
我が国はこういうことをやるんでしょうか。いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 まず、我が国に上陸しようとする外国人に本国等で一定の犯罪歴がある場合には、上陸拒否事由にも該当し得るところでありまして、外国人の犯罪歴等について適切な方法で確認する必要がある、これは基本だと思います。
また、委員御指摘のとおり、在留資格、定住者に係る告示において、日系人及びその家族については、素行が善良であることとの要件を設け、在留資格認定証明書の交付申請の際に犯罪経歴証明書等の提出を求めるなどにより、これを確認をしております。
その上で、育成就労制度の創設に際しては、二国間取決め、MOCを新たに作成する予定であり、御指摘の点も含めて、きちっとした対応が図れるように検討していきたいと思います。
○北神委員 これはたしか、ブラジルの、昔、日系人が来られるときには、彼らに対してだけ何か犯罪証明書というのを義務づけておられますけれども、それもちょっと制度としていびつだというふうに思いますので、是非、検討だけじゃなく、本当に実行しないと、これは後々痛い目に遭うと思います。
私が申し上げているのは相互主義ですから、バイデン大統領はおっしゃいましたけれども、何も日本だけが排外的なことをやろうとしているわけじゃなく、ベトナムも中国も日本の労働者に対してやっていますので、全然堂々とやられたらいいというふうに思います。
○小泉国務大臣 御指摘を踏まえて、実施に向けて検討したいと思います。
○北神委員 ありがとうございます。
最後に一言だけ言いますけれども、スイスの文学者がこう言っているんですよ。スイスも移民が多い国です。我々は労働者を求めていたけれども、来たのは生身の人間であったと。つまり、みんなもうこうなっちゃって、もう労働者、労働者が必要だ、共存共栄。いやいや、それはいいけれども、やはり国民を大事にしないといけないですよ。治安も大事です。賃金水準も大事です。就職も大事です。
こういったことを、私が心配しているのは、法務省はもうただただ形式的要件を、与えられた要件をどんどん処理をする。でも、お二方はよくよくお分かりだというふうに私は思っていますので、是非、警察関係、内閣府、そういったところを全部総合して、これは移民政策ですから、もう名前は何でもいいですよ、名前は何でもいいけれども、本当にこれはちゃんと管理して、国益を損なわれないように、是非お願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○武部委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。
今日は、転籍制限について質問をしたいと思います。
有識者会議の最終報告書でも、「様々な人権侵害を発生させ、深刻化させる背景・原因となっている」、こう指摘されているわけです。
二〇二二年のアメリカ国務省の報告書でも、技能実習制度の下での人権侵害が指摘され、全ての外国人労働者が雇用主、業種間の変更を含む転職を可能とするよう、こういう勧告がされたわけであります。
基本的な認識を法務大臣にお伺いしますけれども、転職を可能とすることが人権侵害を防止するために重要である、こういう認識はございますか。
○小泉国務大臣 これは国際的にも指摘されていることでありますし、また、アメリカの今の御指摘の報告書にも、本人意思による転籍を認めるルートをしっかりつくれ、こういう勧告もありました。
もちろん、そういうことを踏まえて、我々も同じ考えでございます。転籍制限を緩めて労働者としての権利をしっかり確保しよう、こういう考え方で、今回の措置は取ろうとしているところでございます。
○宮本(徹)委員 その転籍制限の緩め方が全く不十分じゃないかと言わなければならないと思うんですね。
昨年の十月十八日の最終報告のたたき台案では、一年を超えたら転籍可能という方針が出されていたわけであります。そして、関係閣僚会議の決定の中でも一年という言葉が出てくるんですね。人材育成の観点を踏まえた上で一年とすることを目指しつつとされていますが、ここで一年という数字が出てくるこの根拠についてお伺いしたいと思います。
○小泉国務大臣 本人意向による転籍については、計画的な人材育成の観点から、三年間を通じて一つの受入れ機関において継続的に就労を続けることが効果的であり望ましいものの、労働法制上、有期雇用契約であっても一年を超えれば退職可能であることなどを踏まえて、政府方針においては、一年、人材育成の観点を踏まえた上で一年とすることを目指しつつとしたものでございます。
○宮本(徹)委員 労働法制上、一年で退職できることになっているということなわけですよね。
何で労働法制に合わせないのか、目指しつつになってしまうのか、ここが大変問題だと思うんですけれども、今日、厚労大臣にも来ていただいておりますが、改めて、労基法のコメンタールも資料でお配りしております。
労働基準法附則第百三十七条は、期間の定めのある労働契約を締結した労働者は、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができると規定しているわけですね。
この規定の趣旨とは何なのか、また、この規定は外国人にも適用されるのか、お伺いしたいと思います。
○武見国務大臣 この規定ですが、平成十五年の労働基準法改正において有期労働契約の契約期間の上限が一年から三年に延長された際に、そのことによって労働者が自由に退職できない状態が長期化することへの懸念が指摘されたことを踏まえまして、衆議院での法案修正で設けられたものでございます。(宮本(徹)委員「外国人」と呼ぶ)本条は、労働者の国籍を問わず適用されます。
○宮本(徹)委員 当然、外国人も含めてこれは適用される。それで、先ほど大臣の答弁がありましたように、自由に退職できない状態が長期化することへの懸念が指摘されて、これは国会の側から修正をして入れた条項なわけですよね、与野党を超えて。一年以上退職できない期間があるというのはまずいだろう、不当な人身拘束の懸念があるということで修正して入れた法改正だったわけですよ。ところが、これを一年を超えてを認めるということに今度の法案はなっているわけですね。
ちなみに、コメンタール、今、資料の一につけているコメンタールは、これは厚労省の労働基準局のものですよね。元々本条の、十四条の方の趣旨は、長期労働契約による人身拘束の弊害を排除するためというので上限を設けたという、これは三年の意味の話なんですけれども、さらに、裏面に別の、民間のコメンタールもつけておきましたけれども、一年から三年への緩和を行った二〇〇三年の労基法改正においては、身分的拘束への懸念から、議員提案に基づき附則百三十七条が挿入されたということで、議員立法で、やはり身分的拘束、人身拘束、これを懸念するという国会の側の意思で入れたわけであります。
じゃ、何で労基法の趣旨を踏まえて一年にしないのか、何で最長二年まで転籍制限を認めるのか。自由に退職できないことが、どんどん長期化を認めてしまうわけですよね。これは問題じゃないですかね。大臣、いかがですか。
○小泉国務大臣 このスキームを全体として見渡してみると、外国人労働者のほかに、育成就労実施者というものがまた一つの主体としてあるわけであります。その実施者の経営が成り立つのかどうか、そういった観点もこれはやはり視野に入れる必要がある、このスキームは入れる必要がある、そういう点がございます。
ですから、労働者として適切に権利保護していく、制度の魅力を向上させる、そういう観点に立てば一年を目指すのが相当であり、それは委員がおっしゃったとおりでありますが、人材育成上の懸念、途中で期間が過ぎてしまって、転籍によって本当に人材育成が中断しないのかどうか、受入れ機関の人材流出への不安、こういったものに対応する必要があるとの判断から、激変緩和のための措置として、当分の間、受入れ対象分野ごとに、二年までの範囲内での転籍の制限を認めることにしたものであります。外国人の権利保護やこれによる制度の魅力向上という観点と、人材育成上の懸念や受入れ機関の人材流出への不安への対応という観点、この両方のバランスを取った内容でございます。
ただ、一年を超える期間を設定する場合には、一年経過後には転籍の制限を理由とした昇給その他待遇の向上等を義務づける形にしております。
○宮本(徹)委員 人材流出への実施者の懸念とのバランスを考えたという答弁なんですけれども、人権というものはそういうものとのバランスで考えるものなのかと、私は今の答弁は大変疑問なんですよね。
もう一つ配付資料をつけております。三ページ目ですね。昨年八月九日、技能実習生及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議の追加のヒアリングに際してILO駐日事務所が提出した資料で、転籍制限の緩和について、こう言っているわけですね。期間、内国民との雇用機会均等の観点から、民法及び労働法の規定との平仄を保ち、最長一年間、ただし、やむを得ない事由がある場合には契約解除可とすることには、一定の合理性がありそうであるというふうにしているわけですね。逆に言えば、一年を超えての転籍制限を設けるということには合理性がない、本法案には合理性がないというのがILOの考え方ということになるわけですよね。
外国人労働者に内国民との均等の雇用機会と同等の権利を保障しない本法案というのは大変差別的なものと言わなければならないと思いますが、大臣、いかがですか。
○小泉国務大臣 これは、一定の条件の下で、外国人材に日本で働きながら学んでいただく。今までの技能実習よりも更にその性格は強いと思います。成長していただく、ステップアップしていただく。そういう過程において、実習実施先の協力も必要であります。全体としてのスキームの継続性、そういったものも必要であります。もちろん、その中で人権の確保、労働条件の確保、それが最重要であることは論をまちませんが、全体のスキームの持続性、そういった観点もやはり我々は考慮したわけでございます。
○宮本(徹)委員 スキームの持続性のために人権を制約していい、こういう理由には私は絶対にならないと思うんですよね。
大体、憲法で職業選択の自由というのは保障されていますよね、当然。憲法の職業選択の自由は外国人にも当然保障されるものですよね。
○小泉国務大臣 人権を守り得るその範囲の中で、スキームの継続性というものに配慮したわけでございます。この研修先がなくなってしまえば、外国人労働者を受け入れることができない。彼らも日本に来ることができないわけです。その継続性というものは、やはり、人権確保という大きな枠組みの中に存する限りにおいては、考慮要素として認められるべきものだと思います。
○宮本(徹)委員 いえいえ、それは、外国人の実習先がなくなるとか、そんな話にはならないんじゃないですか、転籍の自由を認めたからといって。私たちの社会は人手不足であることは間違いないわけで、外国人の皆さんに選んでもらわなければならない側の社会に今立ち至っているわけですよね。多くの方々に来てもらわなきゃいけない。だったら、日本人と同等の権利を保障しよう、こういう考え方に私は立つのが当然だと思うんですよね。
先ほど来、スキームの継続性、継続性と言うわけですけれども、いろいろな団体から、最終報告書のたたき台が出た後に働きかけがあったわけですね。
配付資料四ページ目、五ページ目には、NAGOMiという団体の資料をつけておきました。これは、武部委員長のお父さんである武部勤元自民党幹事長、元農水相が会長を務める業界団体ですね、外国人材共生支援全国協会。転籍制限について、三年間を基本とすべき、少なくとも二年、こういうふうに提言をされている。
あるいは、自民党のグローバル人材共生推進議員連盟も、三年間を原則とすべき、こういう提言をしているということなわけです。
こういう中で、元々一年にしようという話が、最長二年ということになってしまったわけですよね。結局、不当な人身拘束から外国人の人権を守ろう、こういうことよりも、業界団体の利益を優先したというのが事の本質ということなんじゃないんですか。
○小泉国務大臣 これはちょっと繰り返しの御説明になって恐縮でありますけれども、このスキームは、やはり実習実施者、育成就労実施者、そして外国人労働者、また様々な機関、そういったものによって構成されている、それによって稼働していく、それによって継続性を持ち得る、そういう制度でございます。人権を守ることはまず一番であります。韓国や台湾よりも緩やかな転籍制限になっております。また、期間を延ばした分はちゃんと経済的に補填しましょう、こういう規定も置いているわけでございます。二重、三重に我々は大事にそれを守りながら、制度全体の継続性ということにもそれは一定の配慮をすることが適切、不適切ではないと思っております。
○宮本(徹)委員 私は、人権というのは、そういう後回しにしていい問題だとは思わないですよ。
それで、先ほど韓国や台湾よりはましなんだというお話を、転籍制限が緩いんだというお話をされましたけれども、資料の最後の六ページ目に、これは法務省、出入国在留管理庁が作っている外国人労働者受入れ制度の概要版というものを載せておきましたけれども、韓国、台湾よりは柔軟なものだというわけですけれども、じゃ、ほかの国と比べてどうですかと。アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、どこも転職は可、可と書いているところがほとんどですよね。こうした欧米諸国と比べると、結局、大変厳しい制度になっているということなんじゃないですか。何で韓国、台湾とだけ比べるんですか。選ばれる国にするんだったら、やはり進んでいる、もっと外国人の労働者の人権を守る国と比べる必要があるんじゃないですか。
○小泉国務大臣 これは各国それぞれ事情があり、制度の違いがあり、歴史の違いもあり、国民性の違いもありますが、私が先ほど韓国、台湾と申し上げたのは、そのエリアにいる外国人材にとって、この三つの、少なくとも日本、韓国、台湾、これは競争上の存在になるんですよね、どこに行くこともできる、東南アジアの若い方々にとっては全て選択可能なマーケット、労働マーケットでありまして、我々が少なくともまずその中で選ばれなければならないという意味を持ってその二つと比べたわけでありますが、基本的には、ヨーロッパ、アメリカを見ると、おっしゃるように、転籍制限がないと思われる制度ももちろんございます。それはそれぞれの国の歴史が成すべきものだと思います。そういうふうに御理解いただきたいと思います。
○宮本(徹)委員 それぞれの国がということでおっしゃるわけですけれども、韓国と台湾とだけ比べるというのは大変御都合主義だと私は思いますし、韓国、台湾と比べるんだったら、手数料の問題も比べなきゃいけないじゃないですか。手数料、韓国に比べて日本は大変高い状況にあるのは、これは大臣も御存じのことですよね。こういうところだけで韓国と台湾の名前を出すというのはいかがなものかというのを申し上げておきたいと思います。
その上で、激変緩和措置ということが言われているわけですけれども、一年を超えて転籍制限を認めることについて、最終報告書では経過措置で当分の間とされたわけですね、関係閣僚会議の決定でも当分の間とされたわけですが、しかし、この当分の間という表現すら法案には盛り込まれていない、期限も明示されていない。これはこのまま恒久化されるんじゃないですか。
○小泉国務大臣 これは、本年二月の関係閣僚会議で決定した政府方針、その中で、一年とすることを目指しつつも、当分の間の措置であるということを明確にしております。条文には含まれておりませんが、明らかに立法意思としてここには明記をされています、政府の方針として。国会で御議論いただいて、その上での話でありますけれども、法案が成立した際には、これはしっかりと立法意思として記録され、また我々もそういう考え方で進んでいこうということでございます。
○宮本(徹)委員 法律の中に当分の間と書いてあっても、明治からずっと続いているものというのはあるんですよ。私、昔ある委員会で議論して、内閣法制局に調べてもらったら、法律の間に当分の間と書いてあるのに、ずっと戦前から変わっていないものもあるんですよ。
今回の法律は、法案にすら当分の間と書いてないんですよ。それで恒久化されない担保というのはどこにあるんですか。
○小泉国務大臣 これは、この委員会でも、また法務委員会でも、この点を含めて様々な御指摘、御議論がありました。それは非常に貴重なものであって、法案を成立させるに当たって重要な議論としてこれは国会にも引き継がれ、我々もそれを忘れることはありません。
○宮本(徹)委員 引き継がれて忘れることがなくても、そのまま見直さないということはよくある話なんですよ、残念ながら。当分の間と書いてあって、そうなってしまうんですよ。期限を区切って書かない限り、こういうものが恒久化されない保証というのはないんですよ、それは。
絶対に、これは何年か後に、五年後の見直しで変わりますと言えますか、言えないでしょう。
○小泉国務大臣 制度というのは、一度つくったら未来永劫、恒久不変のものではありません。どんな制度でも改正が行われます。そういうふうに思われても、実際は、制度というのは不断の見直しが行われ、様々な議論が常に行われ、開かれた国会の場で、政府も含めて、これだけの方々が見守っている法案でありますから、それが見過ごされて、政府方針にあるものが忘れ去られる、むしろ、それこそ考えにくいことだと私は思います。
○宮本(徹)委員 国会答弁が無視されたことなんていっぱいあるんですよ、残念ながら。例えば、日本学術会議の任命の問題だってそうじゃないですか。当時の中曽根総理が、この任命は形式的なものだと答弁したにもかかわらず、それを覆したのは誰ですか。皆さんじゃないですか。今の自民党政権じゃないですか。
恒久化されない保証があるというんだったら、ちゃんと法律に書かなきゃ駄目ですよ、そのことを。そう思われませんか。
○武部委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。答弁は簡潔にお願いします。
○小泉国務大臣 今日のこの議論も、まさに未来永劫、恒久的に記録に残されます。重要な御議論をいただいたということで、我々はしっかりそれを真摯に受け止めて、不断の見直し、不断の検討を行っていきたいと思います。
○宮本(徹)委員 時間になりました。
終わります。言いたいことはいっぱいあったんですけれども、また次回と言いたいですけれども、次回はないようなので、終わります。
○武部委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党、田中健です。
最後の質問となります。よろしくお願いします。
今回の技能実習制度の変更は、これまで原則的に変更不可とされてきました実習先の変更を認めていこうというものであろうかと思っています。
一方、地方においては、そうは言っておられず、農業、漁業、製造業や介護も含むあらゆる各種サービスにおいて技能実習生が大変重宝されてきたということが現実です。これらの業種は、幾ら募集をかけても応募者が集まらない、外国人材しかいない、選択肢が技能実習生の受入れしかないということであろうかと思います。
人口減少で若者が流出する地方圏、こういったところこそが外国人の労働者を求めているのに、今回、一年から二年の労働者制限がなくなるということで、都市圏への流出は抑えられないという、現実、懸念の声が上がっているのは確かであります。
今も議論がありました外国人労働者の人権保護と地域の労働市場のニーズ、このバランスをどう取っていくのかということだと思うんですが、今回の法改正によって、いわゆる外国人材の地方への誘導機能を果たしてきたと思うんですけれども、これを維持することが果たしてできるのかというところから大臣に質問したいと思います。
○小泉国務大臣 それは本当に様々な議論が行われてまいりましたし、この委員会、国会でもずっとその議論も行われています。一番重要なポイントであり、また難しい部分かもしれません。
幾つか細かいことになるかもしれませんが、まず、転籍を認めることにしつつも、これは同一業務区分の中で考えましょう、どこへ、垣根を越えてもいいですよということにはなりませんし、今まさに御議論ありましたけれども、同一の受入れ機関において一定の期間を働いていく、超えていくということが要件となっていて、無制限に転籍を認めるものでもありませんし、また、転籍先の受入れ機関についても制限があります。例えば、転籍先に在籍している育成就労外国人のうち、本人の意向により転籍してきた者の占める割合が一定割合以下であることなど、一定の要件を設けるということにしています。
その上で申し上げたいのは、様々な要件を課しつつも、転籍制限を緩めていかないと、地方から都市へ流出する以前に、海外から人材が来てくれなくなる、そもそも日本に来てくれなくなるということもやはりあるので、転籍制限の緩和ということは必要だということも御理解をいただきたいと思います。
○田中(健)委員 これまで移民のまさに送り出し国であったアジア諸国も、もはや、高齢化も進み、そして経済発展もしておりますので、今まさに大臣おっしゃってもらったように、もう、私たちが選ぶというよりも、外国人材にとって魅力的な選択肢を示さないと選んでもらえないというのが現実かと思っています。
先ほど外国人基本法の議論がありました。また、移民の話もありましたけれども、どういうふうに地方に外国人の人材を入れていくのかというのは、また違った意味で私は議論が必要だと思っていますし、また、今日、国民的議論も必要だという声もありましたので、是非そちらの制度設計も議論を深めて、また進展していっていただければと思います。
その上で、私は、幾つか大事な点があると思っています。今回の就労育成制度では、目的を日本の人手不足分野における人材確保、人材育成としました。人材育成とうたっているならば、やはり育成期間を経て特定技能に移行した際には、その技能や知識を生かした職務に就けることができる、それに見合った賃金が支払われると。
先ほど、日本人と同じような労働環境、賃金体系という話もありました。法務省の調査によりますと、失踪した外国人実習生の七割は、低賃金を理由に挙げています。これで定着しない、また失踪してしまうということでありますので、やはり今回、実習機関に作成が求められる育成計画というのはありますが、これと併せ、それが終わったならば、将来の職務と処遇をセットとして盛り込んで、あらかじめ行く先を見せる、制度利用を希望する者に提示させるということも併せて行うことで、地域で働いていても、しっかり三年やれば、こういった処遇は受けられる、仕事に就けるというようなことで、私、一つ一つ防ぐ要因ができるんじゃないかと思っておるんですが、考えはいかがでしょうか。
○小泉国務大臣 外国人材の方に将来のキャリアアップの道筋を明確に示すということは非常に重要なことであり、本人のやる気をまたもたらしてくれると思います。育成就労制度と特定技能制度の整合性を高めるというのも、そういう目的を持って今回行おうとしているわけでありますが、それに加えて、今後、業所管省庁が、業界団体等と協力して、育成就労制度及び特定技能制度の育成・キャリア形成プログラムを策定することなども予定をされております。
これによって、育成就労外国人が当該受入れ機関での三年間の就労を通じた育成のイメージを抱いて、具体的にイメージを描いていただくという効果を狙っているわけでございます。しっかり努力したいと思います。
○田中(健)委員 いや、キャリアアッププログラムはお話を聞いて分かりますし、また、イメージというのはあるんですけれども、やはりイメージではなかなか食っていけないわけでして、しっかり三年後にこういった職種に就ける、また、しっかりと処遇改善も、処遇、待遇もこのぐらいだということもセットに、併せて提示するぐらいのことが必要かと思っています。今のままではなかなか、三年間の形成された技能というのが何に発揮できるのかというのが分からない、これは以前の技能実習のときも同じでありましたが、その課題はまだまだ拭えないと思いますので、そこは徹底して行っていただきたいと思っています。
また、転籍支援も大事だと思っています。監理支援機構が今回中心となって行うこととなりますけれども、現行の技能実習制度において、受入れ企業や監理団体との間のトラブルが生じた場合を聞きますと、なかなか、監理団体は相談というよりむしろ退職に追い込むような事例もありますし、また、外国人技能実習機構や入管なども監理団体任せで、実習生の救済と相談というにはほど遠い状況であります。
今回、本人の意向による転籍が認められるようになったとしても、受入れ企業が所属する監理団体がなかなか親身になって転籍支援を行うのは難しいんじゃないかと考えております。そうした意味では、厚労大臣に聞きますが、ハローワークのような行政機関、ハローワークでなくても、第三者の立場で情報提供、支援を行うということは、今回の制度の中で位置づけられるのか、そういうことは可能なのかどうか、お聞きします。
○武見国務大臣 育成就労制度において、外国人育成就労機構も、転籍希望の申出をした育成就労外国人に対して必要な情報の提供、助言、職業紹介その他の援助を行うこととしているほか、ハローワークにおきましても、機構と情報連携を図りつつ、ハローワークの窓口に相談に来る育成就労外国人に対して職業紹介等の支援を行うこととしており、実際、ハローワークには外国人対象の窓口がもう既にございます。
様々な関係機関が連携して対応することによって、円滑かつ迅速にこうした転籍が行われるようにしてまいりたいと思います。
○田中(健)委員 今あるという話だったんですが、なかなか、技能実習生がハローワークで相談をしているということは聞いておりません。窓口を開いていても、やはり、今ですと、自分たちの対応をしている監理団体やまた就労先ですね、そこでの相談になってしまうということでありますが、今回の育成就労に転換する中で、ハローワークの機能は、今あるからもうこれで用意はしているということで、大臣としては十分だということでよろしいんでしょうか。
○武見国務大臣 まさにこの育成就労の制度、これから始まってまいりますので、その中でしっかりと、こうしたハローワークの機能の充実強化を図り、かつまた、こうした制度、仕組みがあるんだということを周知徹底させるということを私どもとしては行っていきたいと思います。
○田中(健)委員 ハローワークにおいては、この問題だけでなく、様々な今お仕事が降りかかってまいりまして、また、非正規の問題も含め、様々な課題がありますので、しっかりとした措置をしていただいて、この制度が、本当の意味で、外国人の労働者がハローワークで相談ができるんだということが当たり前になれるような環境を整えていっていただければと思っています。
また一方、有識者会議の最終報告書を踏まえた政府の対応においては、日本人と外国人が互いに尊重し、安全、安心に暮らせる共生社会の実現を目指し、最終的に、日本が魅力ある働き先として選ばれる国になるとあります。これは、滞在の長期化、定住化が進む外国人を、ホスト社会、日本へ包摂していこうという、多文化の共生政策であります。
一方、技能実習制度というのは、この政策とは全く別の文脈でこれまで運用されておりまして、元々は法務省所管の研修制度から始まり、そして、労働者の側面から厚労省が共同運営をしているという理解をしていますが、多文化共生政策という観点からは、今回の育成就労制度というのはどういうふうに位置づけられて、そして、現行の技能実習制度とはどう変わっていくのか、そして、いわゆる政府が方針として掲げる共生社会というのに近づけるのかという大臣の考えをお聞かせいただきたいと思います。
○小泉国務大臣 なかなか重要な、でも、なかなか難しい御指摘、問題提起をいただいたと思います。
しかし、大きく捉えれば、共生社会の実現、技能実習も特定技能も労働力の確保というところからきているわけです。今回、それを少し取り払って、もっと長く日本にいていただく、そして、日本に日本人として定着、日本に定着していただく、そういう道筋を開こう、したがって、そこで共生社会というものが一つの目的地として浮かび上がってくるわけであります。
これまでは労働政策だったんですが、令和四年に政府が作った共生社会のロードマップ、これと今回の法案はやはり考え方がそこで接続をしていくということになるというふうに思います。
そして、地方にやはり定着をしてもらうということも非常に重要なことでありまして、地方の協議会、これをつくって、労働者だけではなく、生活者として定着をしていただくという側面にも我々は配慮していこうと思います。これも共生社会としての側面を持ち始めていく、そういう考え方であります。
厚労省とよく連携しながら、関係省庁とも連携しながら、法務省が共生社会の在り方についての総合調整機能をいただいているということをフルに生かしながら、全体像を更に描いていきたいと思っております。
○田中(健)委員 まさにもう移民政策そのものかと思うんですけれども、単純な労働者は受け入れないという、これまで長らく建前で続けてきました政府でありますけれども、一方で、包括的な移民政策というのも掲げていないということで、在留資格による外国人の管理というものに重きを置いてきたと思うんですけれども、今まさに大臣がおっしゃってもらったように、労働者であり地域住民であり生活者である、地域に入っていくということであろうかと思いますので、これは大きな転換となりますし、私たちも、そういう法改正なんだということを理解しないといけないなと思っています。
実質、非熟練の労働者というのを受け入れる、そしてその人たちが一緒に住んでいく、それが本当にこの日本で実現できるのか。まだまだ、これからということでありますが、課題は多いと思っています。
そんな中で、育成就労制度と特定技能の見直しの中で、他の在留資格はどうなるのかということであります。最終報告書では、他の外国人人材の受入れ制度についても、必要な見直しや改善に向けた検討を行うことの期待というのが示されています。政府としてはどのように検討を進めていくのでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
本法案では、昨今の我が国における労働力不足の深刻化や、国際的な人材獲得競争が激化している状況に鑑み、我が国が魅力ある働き先として選ばれる国になるため、新たに育成就労制度の創設等を行うものです。
その際に、他の外国人材の受入れ制度との整合性にも十分に配慮する必要があると考えており、今後必要な検討、見直しを行ってまいりたいと存じます。
○田中(健)委員 今後検討というだけでありましたけれども、やはり、留学生ですとか、様々な働き方をしている人もいますし、どういうふうに外国人を位置づけるかというのは大変重要なテーマだと思いますので、進めていただければと思います。
最後に、足立委員からもありました、マイナンバーカードなんですけれども、これは在留カードが大変に、不法就労、不法滞在する外国人が増加して、偽の、偽造の在留カードも増えているということであります。大変大きな問題になっています。
私も、今回、マイナンバーカードと一体化すればそれもなくなるのかなと思ったら、先ほどの議論の中で、しっかりと在留カードはある、マイナンバーカードもあるということでありますので、本来ならマイナンバーカードが在留資格だというふうに一本化を、本当の意味での一本化、一枚にするということが私は必要だと思っています。それについてはできないのでしょうか。
○丸山政府参考人 お答え申し上げます。
今般の一体化につきましては、既存の在留カードとマイナンバーカードを一枚のカードに搭載するもので、両者の法律上の性質を変えるものではございません。
したがいまして、番号利用法上、マイナンバーカードは申請主義とされていることから、今般、外国人に一体化したカードの取得を義務づけることはしておりません。
その上で、入管法上、中長期在留者は、新規上陸後、市町村の窓口におきまして住居地の届出をすることが義務づけられていますので、出入国在留管理庁としましては、この届出手続の際に多くの中長期在留者に特定在留カードの申請をしていただけるよう、適切な周知、広報に努めてまいりたいと思っております。
また、偽変造の観点でございますが、特定在留カードにつきましては、マイナンバーカードをベースに作成することを予定しているため、券面には現行マイナンバーカードと同等の偽変造防止対策が講じられる予定でございます。
また、本法案により、在留カードの券面記載事項は全てICチップに記録されることとなるため、在留カード読み取りアプリケーションによる確認も偽変造防止対策として引き続き推奨してまいりたいと思います。
○田中(健)委員 是非、私は在留カードを一本化して、マイナンバーカードが外国人の証明書だというふうにしていただけるように、申請主義であるならそれを変えればいいわけですから、是非そこは多くの皆さんの賛同を得て進めていければと思っています。
終わります。ありがとうございました。
○武部委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。
これにて散会いたします。
午後四時三十四分散会
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〔参照〕
出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案
出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案
は法務委員会議録第十四号に掲載
外国人一般労働者雇用制度の整備の推進に関する法律案は法務委員会議録第十七号に掲載