衆議院

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第3号 令和4年4月11日(月曜日)

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令和四年四月十一日(月曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 長島 昭久君

   理事 江渡 聡徳君 理事 杉田 水脈君

   理事 中川 郁子君 理事 笠  浩史君

   理事 渡辺  周君 理事 美延 映夫君

   理事 竹内  譲君

      江藤  拓君    斎藤 洋明君

      櫻田 義孝君    高木  啓君

      塚田 一郎君    辻  清人君

      中谷 真一君    葉梨 康弘君

      藤井比早之君    梅谷  守君

      野間  健君    太  栄志君

      三木 圭恵君    浜地 雅一君

      鈴木  敦君    笠井  亮君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   国務大臣

   (拉致問題担当)     松野 博一君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 二之湯 智君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   防衛大臣政務官      中曽根康隆君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  岡本  宰君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 森元 良幸君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 原田 義久君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            岡野 正敬君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            船越 健裕君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     風木  淳君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    奥島 高弘君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           上田 幸司君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 大和 太郎君

   衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長          水野 真司君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  下条 みつ君     太  栄志君

  西村智奈美君     野間  健君

同日

 辞任         補欠選任

  野間  健君     西村智奈美君

  太  栄志君     下条 みつ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 北朝鮮による拉致問題等に関する件


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     ――――◇―――――

長島委員長 これより会議を開きます。

 北朝鮮による拉致問題等に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官岡本宰君、警察庁長官官房審議官森元良幸君、警察庁長官官房審議官原田義久君、外務省総合外交政策局長岡野正敬君、外務省アジア大洋州局長船越健裕君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長風木淳君、海上保安庁長官奥島高弘君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上田幸司君、防衛省防衛政策局次長大和太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

長島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。梅谷守君。

梅谷委員 立憲民主党、新潟六区選出の梅谷守と申します。

 まずは、御家族の帰国がかなわぬまま、拉致被害者家族会の代表として十四年余りにわたって活動の先頭に立たれてこられた飯塚繁雄さんが昨年十二月にお亡くなりになられたこと、改めてお悔やみ申し上げますとともに、心から御冥福をお祈り申し上げます。そして、解決に向けて、この間、全力で頑張られてこられた関係各位の皆様に深甚なる敬意を表させていただきたく存じます。

 私の方からは、テーマを本気とスクラムに据えて、大項目四問質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いします。

 まずは、解決に向けた決意についてお尋ねをしたいと思います。

 横田早紀江さんを囲む祈り会という会からブルーリボン・レポート百一が発行されておりまして、ここには横田早紀江さんが岸田総理に会われたときのコメントが掲載されています。読み上げさせていただきます。

 「先日家族会で岸田総理にお会いした時、「こんなにたくさんの大切な国民の生命が、こんなに長いこととらわれているのがわかっていながらも、何代もの総理が何もできなかった。こんなみっともないこと、日本は笑われます。よその国がばかにしますよ」と言いましたが、今回も、「誰かが本気でやっていただかないと拉致問題だけでなく、他の面でも軽く見られて、日本には何でもできると思われる。いつか大変なことが起きるかもしれないことを本当に覚えてください」というようなことを話しました。「お願いします」などという言い方ではだめだと思って、」中略「みなさんがお元気な間に必ず「良かった!」と言っていただかなくては困りますので、政治家の方にしっかりこのことを覚えていただきたいです。」このようにコメントをされております。

 そこで、まずお尋ねしますが、官房長官と、そして外務大臣にお尋ねをさせていただきます。

 この言葉とどう向き合い、そして解決につなげていくのか、決意を是非語っていただきたいですし、できれば、答弁書を読まずに、御自身の言葉で語っていただければありがたいと思います。よろしくお願いします。

松野国務大臣 梅谷先生にお答えをさせていただきます。

 昨年の十一月に、横田めぐみさんが拉致の被害に遭われた場所に、弟さんの哲也さんに御案内をいただいて、現場を視察をしてまいりました。学校から自宅までの帰り道の間に事件が起こったとお聞きをしておりますし、その間の道も閑静な住宅街でありまして、こういった閑静な住宅街であんな重大な犯罪が起こったということに衝撃を受けました。

 横田めぐみさんはちょうど私と同年配でありますから、これはもう私が被害者であってもおかしくない、そして、長い年月がもう過ぎてしまった中で、この事件を風化をさせてはいけないということを改めて感じました。

 二〇〇二年に五人の方が帰国をされてから二十年間、一人の御帰国もされていないということは、政治家として、現在担当大臣を務める者として、本当に申し訳なく思っておりますし、被害者の方も、被害者御家族の方も高齢となられ、一刻の猶予もないという意識も持っております。

 これはもう結果を出していくしかないわけでありますから、それに向けて全身全霊で取り組んでまいりたいと考えております。

林国務大臣 今官房長官からもお話がありましたが、まさに二〇〇二年以来お一人も帰ってきておられないということ、大変痛恨の極みであり、全力でこの問題に取り組んでまいらなければならないと思っております。

 この間も、海外出張から帰ってまいりまして、三日ぶりぐらいに家族と私は会ったわけでございます。当たり前のようなことだ、こういうふうに思っておりますけれども、今委員がおっしゃることを聞いて、こんな当たり前のことが被害者の家族の皆様方にとっては当たり前のことでないという状況がこんなに長く続いている、あってはならないことだ、こういうふうに思っております。

 官房長官ともしっかりと連携を取らせていただきながら、外務省として、外相として、できる限りの努力をしてまいりたいと考えております。

梅谷委員 官房長官、そして外務大臣、ありがとうございました。思いは伝わってきました。

 その上で、私は、これも言うまでもありませんけれども、拉致問題を前に進めるためには、やはり、関係者が幅広くスクラムを組んで、そして、国民一丸となって、巻き込んで前へ前へと押し込むことが鍵を握ると思っています。

 その意味で、松野大臣も国会で繰り返し、拉致問題の解決のためには、日本国民が心を一つにして、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現への強い意思を示すことが重要と御答弁されております。そのためにも、この問題にもっと集中できる体制を築くことで、解決に向けた本気度を国民に知らせることが、示すことができると私は考えています。

 そこでお尋ねしますが、現在、拉致問題担当のほかにも、沖縄基地負担軽減担当とそしてワクチン接種推進担当の兼務、これから、最優先課題と本当におっしゃるのであれば、拉致問題担当大臣を独立させ、専任のポストにすべきと考えますが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 もとより、閣僚の人事に関しましては総理がお決めになることではありますけれども、拉致問題担当大臣につきましては、政府一丸となった取組が重要である、そうした観点から、岸田総理は内閣官房長官の私に兼務をさせることとしたものと承知をしております。

 私自身、拉致問題担当大臣として、また内閣の重要政策を総合調整する者として、岸田内閣の最重要課題であるこの拉致問題に、総理を支えつつ、全力で取り組んでまいる決意であります。

梅谷委員 残念です。

 これは総理の専権事項だから、そして総合調整を官房長官として任されているから、その上でしっかりやっていきたいという御答弁だったと受け止めましたが、ですが、官房長官は東京を動けない、専任大臣となれば全国を回って国会及び国民の納得のいく説明の機会も増やすことができるんじゃないんですか。

 そして、国民の目から見ても、この体制というのは非常に違和感を覚えるに違いないと私は思いますし、何よりも被害者の御家族から見ても、どうでしょうか。

 その意味で、官房長官の職責は総理の補佐であって、人事においても助言をされる立場にあると私は認識しています。だから、人事が総理の専権事項だとしても、専任の大臣を置くべきだと総理に進言するべきなんじゃないんでしょうか。もう一度お願いしたい。

 もうこれは期間限定の課題です。先ほど、大臣からもおっしゃっていただきました。被害者の御家族の高齢化を考えれば、もう時間がないんです。だから、その中にあって、最優先とするならば、やはり専任の大臣ポストをやっていただきたい、そしてそれを増やすために法改正が必要なのであれば、是非本気で検討していただきたい。もう一度御答弁をお願いします。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 先ほど申し上げましたとおり、何をもって、どういった体制をしくことが一番解決に結びつくんだろう、その中で御判断をされたことだと思いますけれども、この拉致問題は、当然のことながら、外務省との連携が必要でございますし、また、警察、そして啓蒙活動を通じた文部科学省、こういった各省と連携し、総合力を発揮しながら取り組んでいかなければいけない問題であるというふうに認識をしております。

 先生の御提案のとおり、拉致担当大臣を独立した大臣としてすることというのがより解決に結びつくことになるのか、また、先ほど私の方からお話をさせていただいたとおり、内閣のそれぞれの所掌をしっかりと調整をしながら進んでいくことが解決に結びつくのか、そこのところは御判断があるところかと思いますが、現状において、その職を与えられている私でありますから、この立場の中で、そして、各省にまたがる総合調整の仕事をするということがこの拉致問題にとって前進する力となる、そう考えて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

梅谷委員 時間がないので、この点はこの辺りにしますが、是非御検討をしていただいて、総理に進言までしていただけたらと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、この点でまたお尋ねしますが、より大きな力を発揮してスクラムを組むには、地方自治体の協力が不可欠です。私の地元新潟県も、県民に対する啓発活動を必死にこれまで行ってきました。五人の被害者の方々が帰国されてから、間もなく二十年が経過をします。言うまでもなく、その後目立った進展がない中、今も、県は懸命に啓発活動、捜査活動を続けておられます。

 ところが、国からは、今何をしているのか、どのような見通しなのか、全く情報が入ってこない。何の進捗も情報もない中で、何年も何年も、市民、県民と向き合って、力をかしてください、風化させてはいけませんと啓発を続ける現場の御苦労が、大臣、お分かりなんでしょうか。

 極秘裏の情報収集や水面下の交渉が重要なのはもちろん理解をしています。しかし、何も答えずとは言いませんけれども、似たような答弁の繰り返しで、また、専任のポストも置き切れず、官邸を中心に限られた人間だけで問題を抱え込むことに慣れ過ぎているんじゃないんですか。

 地方自治体は、政府と肩を並べて、共に拉致対策に当たる仲間のはずです。もっと具体的な情報提供をするなど、説明責任を地方自治体に対して図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

岡本政府参考人 事実関係につきましてお答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、拉致問題解決のためには、地方自治体との連携が非常に重要でございます。広報啓発活動につきましても、地方自治体には大変いろいろとしていただきまして、私どもも連携して取り組ませていただいております。

 それからまた、政府といたしまして、拉致問題解決のためには情報収集、分析が極めて重要でございますので、逐次、平素から情報収集に努めておりますけれども、事柄の性質上、自治体にも御協力をいただいてはいるんですけれども、私どもが情報収集、分析している中身につきましてなかなか明らかにすることができないということは、自治体の皆様にも私どもの方から御理解を得るように申し上げているところです。

梅谷委員 分かりました。大臣から御答弁いただきたかったんですが、分かりました。

 今、しっかり連携を取っていきたい、言えることは限られているけれどもと、そのもどかしさは伝わってきましたので、是非、その上で、地方自治体に対しても、できるだけ丁寧に連携していただくようにお願いをします。

 続きまして、特定失踪者についてお尋ねをしたいと思います。

 本日、特定失踪者家族会の、荒木和博会長と竹下珠路事務局長が傍聴にいらしておりますので、よろしくお願いをいたします。

 まず一点目、特定失踪者家族会と総理が面会をされたことが今まで一度もございません。直近でも、官房長官が、私が対応させていただきますということで、一切総理と会わせないと言っていいのか、そういう状況にあるんですが、これはなぜなんでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 政府としては、拉致被害者と認定をされた十七名以外にも、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者の方々がいらっしゃると認識をしており、認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くしているところであります。

 拉致被害者の認定については、北朝鮮側に反論する材料を与えないよう慎重に対応しています。拉致の可能性を排除できない行方不明者の方々の御家族に対しては、拉致問題担当大臣でもある私がお会いをしてお話をお伺いをさせていただきたいと考えています。

 今後とも、情報提供や要望の聴取など御家族の皆様に寄り添い、丁寧な対応に努めていく考えであります。

梅谷委員 残念ですね。

 私、事前に事務方から教えていただいたんですけれども、国内のメディアを通じて、北朝鮮が、拉致問題というのは日本の陰謀であることが実証されたと主張したこともあるというんですよ。総理と会っていない段階でこういう主張をされる。すなわち、総理と面会していなくてもしようとも、北朝鮮はそんな主張をぶつけてくるんじゃないんですか。しかも、総理御自身が認定の有無にかかわらずと言っているのに会わないのは矛盾しているんじゃないんですか。

 北朝鮮に過度に気を遣って空気を読むのではなく、今なすべきことは、日本としてどう体制を構築して、そしてどうみんなで本気でスクラムを組んでいくか、ここが問われていると私は考えています。だから、今は日本の国内の力を結集することに力を込めるべきだと私は確信をしています。

 その上で、もう一度尋ねます。

 特定失踪者の家族の方が総理に会わせてほしいと何度も何度もおっしゃっているんです。まず会って総理が話を聞くべきでしょう。今こそ、総理に会わせてほしいという声に聞く力を持って対応すべきだと思いますが、もう一度お尋ねをします。

松野国務大臣 先ほどもお話をさせていただきましたけれども、拉致被害者の認定については、北朝鮮側に反論する材料を与えないように慎重に対応しているところであります。

 その進め方において私どもが今考えておりますのは、何が一番解決に一歩ずつでも近づいていくことができるかということでございまして、その総合的な判断の中でそういった対応をさせていただいているということで、是非御理解をいただきたいと思います。

梅谷委員 私は理解したくても、なかなかそれは、もっと御家族の方のお声に耳を傾けていただいて、そして是非総理と面会をしていただきますことを強く期待し、お願いを申し上げます。

 最後の大項目に移らせていただきます。広報活動の在り方についてお尋ねをさせていただきます。

 これも、拉致問題の解決のためには、国際社会で日本の立場を理解し、応援してもらうことはもちろん必要であるとともに、やはり大事なのは、これまでずっと粘り強く取り組んでこられた国内における世論喚起、そしてその力を、協力していただくこと、ここが重要です。

 新潟県に確認したんですけれども、年間通じて情報提供数というのはもちろん限られてはいるんですが、やはり啓発週間を行うと情報提供数がちょっといつもよりも寄せられたりとか、また、チラシの集中配布というんですかね、チラシを配布されたりすると、やはりそういう提供数が増える傾向にあるというふうに伺わせていただきました。だから、広報はやはり意味があるんですね。ですが、そのやり方に改善の余地があるのではないかという問題意識の下でお尋ねをさせていただきます。

 皆さんがこれまで、事務方の方、大臣を始め皆さんが本当に頑張っている、一生懸命頑張ってこられたのに申し訳ないんですけれども、例えば内閣府の、これは今配っている資料ですね、拉致問題の理解促進・情報発信に係る最近の取組についてという四枚のペーパーがあります。今こんなことをやっていますよというペーパーですね。

 この中の一つに、拉致問題を知るひろばというのが内閣府にあると書いてあったので、私、先日行ってきたんです、うちの政策秘書と。そうしたら、あれは別にみんなが入れるわけじゃなく、入ろうと思えばもちろん入れるんでしょうけれども、一般の方が気軽に立ち入れないところに小さなコーナーを置いて、誰に何を知ってもらう効果があるのかというのは、正直私は疑問に思いました。

 また、同じく、ここの三ページに書いてある、「拉致問題解決を求める国際社会の声」という五十八分強のメッセージの映像ですね、動画を見せていただきました。これは本当にとても勉強になるし、教科書としては非常によい。ただ、これが本当にいろいろなところに広がっていく訴求力があるのかといえば、私はこれに対してもすごく疑問に思っています。これは、興味がある人や、私たちのように知らなければならない人たちにとっては非常にありがたい素材だけれども、でも、興味のない人とか、今最も啓発対象として広げなければならない若者に対して、そういうところにまで本当にベクトルがこれは合っているのかどうかという疑問を私は抱いています。

 そして、今これを配布している最中にもかかわらず、そのビデオの中で出てくるのが、菅前総理とそして加藤前官房長官。代替わりしたんだから、やはりせめて作り直して、そしてやるべきなんじゃないかなと率直に私は思います。

 ほかにも、ユーチューブ動画もたくさん上げられていますよね。たくさんというか、幾つか上げられています。これも、視聴者数が致命的に少ないと私は思っています。例えば、五か月前の配信済みのものは二千三十二回視聴、四か月前に配信済みは九百九十一回視聴、三か月前は八百五十二回視聴で、これは英語版のも発表されていますから、六百四回視聴。そして、三か月前配信済みは八百九十三回視聴、一か月前のものは三百八十八回視聴。

 もちろん、視聴者数の大小で全てが測られるというわけではないとは私も思っていますけれども、でも、本当に広げていきたいと考えるんだったら、やはりこれはもっと工夫が必要なんじゃないかなと思います。

 そして、コメントも全部オフにしているんですね。コメント、全部オフ。こっちも書けない、向こうも見られない。これ、表示は非表示にしてもいいと思うんです。でも、コメントは受け付けられるようにするべきなんじゃないですか。そして、動画が訴求力を持って配信で広がっていく、そしてそこからコメントをいろいろなものをいただく。中には、意図的な世論調査であったり、また玉石混交もあるでしょうから、公開することはなじまないかなとは思いますが、少なくとも、コメントをいただいて、その中からしっかり情報収集をする、それこそが、また次の情報収集、分析、そして管理につながっていくと私は確信しています。

 そこで、長くなりましたが、質問させていただきます。

 若い世代はもとより、世界中に訴求力のある動画や情報を発信し、拉致問題に対する理解と興味を深めるとともに、得られた情報を効果的に活用するなど、広報の在り方を改善するべきと考えますが、いかがでしょうか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 いろいろと御指摘いただきまして、ありがとうございました。

 まず、拉致問題を知るひろばにつきましては、確かに、限られた空間で広報してもどれほど効果があるのかというのは、全くそのとおりだと思います。

 ですから、私ども、ウェブ上の広報媒体を使いまして、拉致対ホームページですとか、それから最近は、ユーチューブ、拉致問題公式動画チャンネルですとか、それを開設したり、あるいはツイッターのアカウントを作ったりしております。

 それから、確かに、動画の中で、菅総理それから加藤大臣の動画を昨年までは掲載していたんですけれども、年末に国際シンポジウムを行いまして、そのときに、松野新大臣の演説の模様ですとか、昨年の十一月の国民大集会で岸田総理の御挨拶の模様とか、そういうのも収録できましたので、今年に入ってリニューアルをさせていただいているところです。

 それから、コメントについて、確かにユーチューブの方では受け付けない形にしているんですけれども、ツイッターはやはりコメントを受け付ける形にした方が結構かと思いますので、ツイッターの方は、非表示ではなくて表示するようにさせていただいております。

 いずれにしましても、ただいまいただきました御指摘も踏まえまして、引き続き、広報啓発の強化のためにどのような方法が最も効果的なのか、いろいろと検討させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。(梅谷委員「じゃ、最後に」と呼ぶ)

長島委員長 じゃ、時間が来ておりますので、簡潔に。

梅谷委員 はい。

 国民が一丸となるためには、こういった大事なこと、細かいことも、一つ一つの積み重ねが非常に重要になると思いますので、政府の本気が見える取組を心から期待し、お願い申し上げ、質問を終わりとします。

 ありがとうございました。

長島委員長 次に、野間健君。

野間委員 立憲民主党の鹿児島三区選出の野間健と申します。

 私の地元は、ふるさとは、鹿児島県の日置市の吹上浜を抱える地域であります。

 今からもう四十四年前になりますけれども、市川修一さん、増元るみ子さんが拉致をされました。昭和五十三年の八月十二日でありました。今日まで本当に半世紀近くがたっておりますけれども、今更ながらなんですが、今までどういう捜査をされて、どういう事実が判明しているか、教えていただきたいと思います。

二之湯国務大臣 お尋ねの事案につきましては、昭和五十三年八月十二日、鹿児島県日置郡において、市川修一さんが増元るみ子さんを誘って吹上浜に夕日を見に行くと言って外出したまま帰宅しなかったといったもので、同十四日に吹上浜のキャンプ場付近で、市川さんの車両がドアロックされたまま発見されたというものでございます。増元さんも、家の者に市川さんと吹上浜に夕日を見に行くと言って外出したまま消息を絶ったということでございます。

 お二人が標的となった理由については必ずしも明らかではございませんが、本件が発生した昭和五十三年には、国内数か所の地点でアベックの拉致事案が連続して発生したところでございます。

野間委員 この地域に、何らか兆候なり、当時の動き、おかしい不審な動き、そういったものは当時なかったんでしょうか。

二之湯国務大臣 警察では、拉致容疑事案が発生する以前から、北朝鮮による対日諸工作に関する情報収集及び分析に努めていたわけでございます。違法行為には厳正な取締りを行ってきていたものと私は承知をいたしております。

 なお、お尋ねの件につきましては、警察の情報収集に関わるものでございまして、これを明らかにすれば今後の警察活動に支障を及ぼしかねないということで、詳細なお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

野間委員 そういうお答えしかできないのかもしれませんけれども。

 いまだに、私もこの地域を日頃回っておりますと、かつてそこでお店をしていた方とか、そういえば、当時、髪が黒くて目が黒い、東洋人なんだけれども言葉が通じない人が、この吹上浜の沖八キロに久多島という無人島があるんですけれども、何か夜になると光がそこでついている、小舟が来ている、時には吹上浜に上陸してきて、お店に来てお金を払わないで物を持っていったり、そういうおかしな人たちが時々現れていた、あの人たちは恐らく半島の方から来たんだろうな、そういう話を今でも聞きます。ですから、当時からもう少し警戒していただいていたら、まあ、今更言ってもしようがない話なんですけれども。

 それで、私が非常にいつも疑問に思うこと、それは、なぜ北朝鮮は日本人の拉致を行ったか。

 これは、よく、小泉総理が訪朝されたとき、二〇〇二年、金正日総書記が、特殊機関の一部の妄動主義者らが英雄主義に走ってかかる行為を行ったんだと。何のために日本人を拉致したのか。一つ目は、特殊機関で日本語の学習ができるようにするためなんだ、二つ目に、他人の身分を利用して南、韓国に入るためだ、こう言っているんですが、もっともらしいんですけれども、本当にそうなんだろうか。

 これは、金丸信元自民党副総裁、金日成、キム・イルソン主席とも会っているわけですが、その息子さんが、次男の信吾さん、この人も当時の金日成さんとは七回会っているんですが、九二年に訪朝したとき、日本人が拉致されている、それを主席はどう思うかと。いや、それはおかしい、日本の報道を見たけれども、拉致は工作員の日本人化教育のためとなっているけれども、しかし、ここには、北朝鮮にはですね、日本で生まれ育ち、我が国に忠誠を誓った同胞が多く住んでいる、教育はその人たちに頼めばいいんだ、危険を冒して日本人を拉致する必要はない。

 確かにそうなんですよね。日本語ができる人、日本語世代の人、日本から帰った人、いっぱいいますから、何で日本人を拉致しなきゃいけないのか、この辺のちょっと根本的なことが正直解明されていないんですね。その辺、どういうふうに分析、今となってはですけれども、されているんでしょうか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 金正日国防委員長、委員からも御紹介いただきましたけれども、十四年九月に行われた日朝首脳会談におきまして、日本人拉致の目的について、一つ目は、特殊機関で日本語の学習ができるようにするため、二つ目は、他人の身分を利用して南、韓国に入るためであると説明されました。

 また、よど号犯人の元妻は、金日成主席から、革命のためには日本で指導的役割を果たす党を創建せよ、党の創建には革命の中核となる日本人を発掘、獲得、育成しなければならないとの教示を受けた田宮高麿から、日本人獲得を指示された旨を証言しております。

 これらを含めて諸情勢を分析いたしますと、拉致に関する真相は必ずしも全てが明らかになっているわけではございませんけれども、拉致の主要な目的は、北朝鮮工作員が日本人のごとく振る舞えるようにするための教育を行わせることや、北朝鮮工作員が日本に潜入して、拉致した者に成り済まして活動できるようにすることのほか、金日成主義に基づく日本革命を行うための人材獲得にあると見られると考えられます。

野間委員 そうなりますと、例えばその金日成主義で日本で革命を起こす人材、あるいは教育をさせる人材、これは一定の何か資格といいますか、ただ単にそこにいた人をさらってきただけではこれはできないと思うんですよね。そういう資質のある人、そういういろんな能力のある人ということになりますと、そういう人をやはり選別して、この人を拉致しよう、この人をつかまえよう、こういうことで、ただ単にそこを歩いていたから連れていくということではその目的を達しないと思うんですけれども、どうお考えですか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 日本人を拉致した目的につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございますけれども、どうしてその拉致被害者となってしまわれた方々を選別したのかということにつきましては、私どもではちょっと承知しておりません。

野間委員 やはりそういったところに彼らの意図、動機、犯罪はやはり動機の解明が必要でありますので、言えないこともあるのかもしれませんけれども、そういったところまでやはりこれは深く見ないと、例えばその人の戸籍を利用するといっても、じゃ、その人に犯罪歴があったり、そういった人の戸籍を利用しても無理なわけであります。

 そして、北朝鮮による拉致は、今判明しているものについては一九七〇年代の後半から八〇年代に集中しているわけでありますけれども、当時の国際情勢や東アジアの情勢、これと深く関連しているのではないかと思われますけれども、その辺の分析について教えていただきたいと思います。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、一九七〇年代から一九八〇年代にかけて、北朝鮮により多くの日本人が拉致されました。

 当時の国際情勢と拉致問題との関係について、断定的にお答えすることは困難ではございますが、例えば、冷戦という国際情勢の構造的な要素の中で、南北間で一定の対話等はございましたが、やはり南北間で厳しい軍事的な緊張が続いていたという状況はあったと存じます。また、一九八三年には、当時のビルマの首都ラングーンで、北朝鮮による韓国政府要人に対する爆弾テロ事件が発生するなどの動きがあった。このような国際情勢があったものと承知しております。

野間委員 そうですね。ですから、当時、これは金日成氏が金丸さんに言ったごとく、こういったことが表面化すれば、当然、日朝関係が非常に悪くなるということが分かっていながら、これをやった。その意図がどこにあったのか、そして国際情勢との関係がどうだったか、これはもっと深く考究、分析をしていただければと思います。

 北朝鮮は、小泉総理が訪朝されたときからも、それ以前からも、非常に経済的に厳しい、苦しい、苦境にある。九五年、六年には、大変な大洪水や災害、ソ連の崩壊等があって、苦難の行軍ということで、三百万人もの人が餓死をしたという時代もあったわけですけれども、今もよく出る論調として、北朝鮮は非常に経済的に苦しいんだ、だから、日本人の拉致被害者を帰還させることで日本から経済的な援助を引き出すんだ、引き出そうとしているんだ、それをてこに日本は拉致問題について交渉するべきじゃないか、したらいいんだという観測があるわけですけれども、これは政府がお持ちの一つの観測でしょうか。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮の意図につきまして、政府として断定的にお答えすることは差し控えたいと考えますが、まさに委員御指摘のとおり、北朝鮮は現在も、新型コロナの影響や経済制裁さらには食糧難という、三重苦と言われておりますが、非常に厳しい経済状況に直面していると考えられております。

 あくまで一般論として申し上げますと、当然、北朝鮮が今後国際社会への関与を考えていく上で、もちろん、経済的な要因というのはあろうかと存じます。

 同時に、金正恩委員長は、例えば昨年の一月の第八回党大会におきまして、やはり、コロナの中、今後の経済計画の核心は自力更生と自給自足であるということも同時に言及していることは事実でございます。

 我が国といたしましては、日朝平壌宣言に基づきまして、拉致、核、ミサイルという諸懸案を包括的に解決して、不幸な過去を清算し、国交正常化を目指すという考えが基本的な考えでございますが、その日朝平壌宣言におきましては、日朝間の国交正常化がそのような形できちんと実現すれば経済協力を行うことになる旨記載されているところでございます。

野間委員 経済的な三重苦ということですけれども、あれだけ大変な、大陸間弾道弾とも言われるようなミサイル・核開発をして、これは平壌の一部かもしれませんけれども、科学者の町、とんでもない高層ビル街をつくって、その資金は一体どこから来ているのか。三重苦なのかもしれませんけれども、それが二十年、三十年続いていますよね、崩壊せずに。

 一九九九年に金正日当時の総書記がテポドンを打ち上げた。そのときの朝鮮日報に、これは一発打ち上げると三億ドルかかる、三百億ぐらい、だけれども、国民は食うや食わずだけれども、国家の尊厳を守るために自分は開発しているんだ、資金を全部これに投入しているんだと。こういうことがずっと、何十年続いていますね。ずっとその間、持ちこたえているわけです。

 こういった彼らの戦時経済といいますか経済体制、どこから資金が来て、こうやって核開発やミサイル開発をやっているのか。いつもいつも、苦しい、苦しいという答弁を聞くんですけれども、どうもそれでは解し得ない状況がずっと生まれていますので、我々がそういった前提を持って交渉に臨むというのは、ちょっと誤った判断になるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の北朝鮮による核、ミサイルの開発の動向の資金的な詳細につきまして、事項の性質上、詳細にお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じますが、平素から政府としても高い関心を持って、情報収集、分析に努めているところでございます。

 その上で、まさに御質問いただきましたように、四月二日、国連の安保理北朝鮮制裁委員会の専門パネルの報告書におきまして、まさに委員御指摘いただきましたとおり、北朝鮮がまず石炭や鉱物資源、繊維製品等を不正輸出していること、これは、特に石炭の場合は二〇一七年以降輸出が禁止されておりますが、それ以前は輸出が行われておりましたことでございまして、そうしたものは当然資金源になっていたとは想定されます。

 さらに、昨今では、この安保理の報告書によりますと、金融機関や暗号資産取引所へのサイバー攻撃等を通じて、暗号資産を窃取し、資金洗浄をしているというところも記述されておりますし、これも、昨今、安保理決議によりまして相当、いけないということになっておりますことでございますけれども、中国、アフリカ、東南アジア、ロシアにおきまして北朝鮮の労働者の雇用が継続しており、そこからの送金ということについても、安保理の制裁委員会の専門家パネルの報告書におかれまして記載されているところでございます。

 我が国といたしましては、まさにこうした国連安保理決議に基づく措置を着実に実施していくことが重要であると考えておりまして、我が国自身の措置としても厳しい措置を取っているところでございます。

野間委員 是非、資金源の問題、そういった、食うや食わずだけれども、これだけの資金をどこからか捻出している問題は、深く追求していただきたいと思います。

 せっかく松野担当大臣もお見えでありますので、これは通告していることではないんですけれども、提言として御感想をいただきたいと思います。

 安倍総理の時代からも、以前からも、北朝鮮のトップとは前提条件をつけずにいつでも拉致問題については会談するんだ、話合いをするんだということをよく言われます。そして、御家族の横田早紀江さんを始め、早くトップ同士で会って話をつけてほしいと。

 今いろいろ、世論の盛り上がり、そういったことの話もありましたけれども、北朝鮮にいた人、あちらで住んでいた人の話を聞けば、北朝鮮には国会はあってないようなもの、議論もない、世論も何もないんですね。結局、あるのは、トップの、その周りの、独裁体制の中の人たちの意見だけで全てが決まるわけであります。ということは、やはりトップが会って話をするしか、この拉致問題の解決はないと思います。

 これはちょっと漏れ聞いた話で真偽不明ですけれども、安倍総理がトランプ大統領に会って、拉致問題、何とか、あなたも金正恩に会うんだから、頼む、お願いしたい。晋三、分かった、俺も言うけれども、晋三、あなた、直接電話してみたらどうか、金正恩に、電話番号はこれだよと。あなた、自分の問題だろう、自分で直接電話したらどうかと。

 トランプさんなら言いかねないようなでき過ぎた話でありますけれども、それぐらいしないと、岸田総理、向こうの外務省なり政府機関の電話は御存じだと思いますので、一発電話されたらどうですか。岸田です、金正恩、あなたに会いたいんだ、時間をつくってくれと。それぐらい、電話して世界に公表すればいい。今日俺は電話しましたよ、どこかの時間をつくってくれと頼んだと。

 それぐらいしないと、向こうは下から役人で積み上げてどうのこうのという国じゃないと思います。馬賊のような国家ですから、そうやってトップに直接電話する、トランプさんのような、よくも悪くもリーダーシップがある人はそういったことを考えたんだと思いますけれども、松野長官、どうでしょうか。やはりそれぐらい大胆なことをしていただけないでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 拉致問題の解決に当たりましては、野間先生から今御指摘があったとおり、トップ同士による間での解決しかあり得ないのであろうと思います。かの国におきまして、その意思決定ができるのは私もお一人なんだろうというふうに思います。拉致問題解決に向けてのトップ会談の環境をつくっていくために、私どもも不断の努力を続けております。

 では、個々具体的にどんな努力、アプローチをしているのかということでございますけれども、これは本当に事柄の性質上差し控えさせていただきたいと思いますが、目指しているところは、先生御指摘をいただきましたトップ会談をしっかりと実現をしていく、その方向に向けて努力を続けているという状況でございます。

野間委員 努力はされていると思うんですけれども、なかなか国民には見えません。是非、向こうの耳目をぱっと見開かせるような形で呼びかけをしていただかないと解決しないのではないかと思いますということを要望させていただいて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

長島委員長 次に、太栄志君。

太委員 神奈川十三区の太栄志でございます。

 本日は、初めての拉致特での質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、本日の委員会の開催に当たりまして、委員長を始め、与野党の筆頭理事の皆さん、また関係者の皆さん、開催に当たりましての御尽力に心からの感謝を申し上げます。

 そして、ウクライナ戦争、本当に今深刻な状況が続いております。そういった中で、林外務大臣、また松野官房長官を始め政府関係者の皆さん、連日の御奮闘に心からの敬意を表します。

 先ほど、我が党の鹿児島出身、野間健議員からありました。私も鹿児島出身でありますが、拉致被害者の増元るみ子さん、本日は、増元さんの弟さんの増元照明さんからいただきましたこの拉致バッジをつけて、私、質疑に立たせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 今、国際情勢が激変しております。そういった中で、我が国は今、三正面からの脅威にさらされております。中国、ロシア、そして北朝鮮。北朝鮮、相次ぐミサイル発射、そして今週中にも再度核実験を行う、そんな情勢にも、そういったことも言われておりますが、北朝鮮との問題で一番の問題はまさに拉致問題であります。

 北朝鮮の国家としての犯罪であり、そして我が国の主権が明確に侵害される、さらには人道的にも人権侵害が行われているこの問題、現在政府が認定しているだけでも十七名の方が被害者としており、また、警察庁が北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者としている方が八百七十三名、そのうち帰国を果たしたのは僅か五名。まさに、これだけ多くの自国民が救出されずにいる状況、これが今、我が国の現状であります。

 私は、国会議員の責務は、国民の生活を守ること、命を守ること、そして国家の主権を守ることだと思っております。だからこそ、本日も、この国会における活発な拉致問題の議論を通して、北朝鮮に対する強いメッセージを発すること、また、国内、そして国際社会にもしっかりとした我が国の立ち位置を示していかなきゃいけないというふうに思っております。それはまさに、日本は必ず拉致被害者を取り戻す、この確固たる意思、国家意思を示すことだというふうに認識をしております。

 そして、拉致問題、与党、野党は関係ありません。まさに総力を結集してオール・ジャパンで取り組んでいく、そういったスタンスから本日質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、官房長官、松野担当大臣にお伺いいたします。

 今年は、横田めぐみさんを始めとする最初の拉致事件から四十五年です。そして、小泉訪朝から、二〇〇二年でした、二十年。残念ながら、この二十年間は特に、いまだに誰一人として帰国、救出できておりませんが、そういった中で、まず、この間の総括もそうなんですが、ちょっと時間がありませんので、大臣から、今後の具体的なロードマップ、この拉致問題に取り組んでいく上でのロードマップ、そして期限、ここに関して教えていただきたい。これは家族会の中からも、しっかりとそこは政府に示してほしいと先月の時点で出ておりますが、その点、今後の見通しに関して教えてください。お願いいたします。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 まず、期限をというお話でございます。これが何年までとここで明言ができるような状況ではないということに関しては御理解をいただきたいと思いますが、先ほどもお話をさせていただきましたとおり、被害者の方々も、そして御家族も御高齢になられています。その状況の中にあって、一刻の猶予もならない、そういった時期に来ている、差し迫っている、そういう意識は政府が全員が持っているところでございます。

 今後の、どういった進め方を考えているかということでございますけれども、先ほど来の質疑、御議論の中にもありましたとおり、最終的に、北朝鮮において、この問題を解決する、その決定ができる人間はお一人、トップのみであります。ですから、岸田総理も、前提条件をつけずにトップ会談をと再三表明をされておりますし、その状況をつくっていくことがこの解決に結びつくことだと思います。

 その状況づくりに向けて、岸田総理も、私も、また各閣僚も、海外の要人、また会議において、必ずこの北朝鮮の問題に関してお願いをさせていただいておりますし、先ほど来御指摘をいただいておりますとおり、まず日本国民が、必ず拉致された方々を取り戻すんだという強い意思を心を一つにして示し続けることが大きな力になる、そういった思いで啓発活動にも取り組んでいるところでございます。

 先生からお話をいただいたとおり、この問題、与野党なく国民全員で取り組んでいくという問題でございますので、拉致を必ず解決していくという問題に関して、その意識を高めるために是非御協力をいただきたいと思います。

太委員 大臣、ありがとうございます。

 ただ、残念ながら、これだと家族会の皆さんにも全く説明になっていないと思っております。大変厳しい状況だというのは重々承知しておりますが。

 ここで、通知した順番とちょっと変わりますが、今大臣もおっしゃいました日朝首脳会談。

 この二十年間、首脳会談が北朝鮮と行われていないのは、近隣諸国では日本だけです。南北、行われました。米朝も行われました。もちろん、中朝、ロシアと朝鮮は行われていました。二十年間、見事に我が国だけができていないこの状況。先ほど少し御説明されましたが、まさにこれも家族会の皆さんからも同じ要望が出ております、早期に日朝の首脳会談を実現をしてほしいと。

 先ほど、残念ながら、期限等、全く見えてきませんでしたが、もう一度この点、これはもちろん、相手のあることです、簡単なことじゃないです、ですけれども、今どういった状況で進んでいるのか。そこら辺、お話しいただける範囲で、こちらは外務大臣でしょうか、御返答いただきたく、お願いをいたします。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたように、外務省といたしましても、まさに、北朝鮮に対しまして、拉致、核、ミサイル問題の包括的解決のために様々な働きかけを行っているところでございます。

 また、岸田総理御自身、条件をつけずに金正恩総書記と向き合うという決意を明らかにされている中で、そうした点も踏まえまして、北朝鮮に対して様々な働きかけを行っているところでございます。

 なお、残念ながら、まだ、そうした日朝首脳会談等については、決まっていることはございませんが、今後とも引き続き努力をしていきたいと考えております。

太委員 できれば政治家の方からお願いできますでしょうか。外務大臣、どうかお願いいたします。

林国務大臣 状況は、今、事実関係、局長から答弁したとおりでございます。

 先ほどの委員の御質問にも御答弁したとおり、二〇〇二年五月以来御帰国がかなっていないというのは本当に申し訳ない思いでいっぱいでございますが、あらゆる機会を捉えて、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

太委員 本当に残念な状況だと思っております。二十年です。我が国だけです。これは相当深刻に受け止めていただいて、もちろん、簡単ではないですが、やはり、この局面をどう打開していくのか、この後また具体的に述べさせていただきたいと思っておりますが、是非とも大臣、ここはリーダーシップを発揮していただきたい。どうかお願いいたします。

 次に移りたいと思います。日米で、拉致問題への取組ということで、これはもうトップ同士で、今年も昨年も様々、累次の機会で拉致問題の情勢等を確認されていると思っております。

 それで、私が今回問いたいのは、韓国とどういった形で北朝鮮問題、協議が行われているのか、その点を教えていただきたいと思っております。

 もちろん、首脳同士では、昨年も今年も、昨年の文在寅大統領と、また今年も、尹新大統領、間もなくの、とのトップ会談、様々行われているというふうには認識しておりますが、具体的な、今度は韓国と実務間での両国間のやり取りに関して教えていただけますでしょうか。これは大臣じゃなくても、どうぞお願いいたします。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から、実務間のやり取りも含めてという御指示でございましたので、私から失礼申し上げます。

 拉致問題解決のために、我が国の取組に加えまして、韓国との緊密な連携も極めて重要であると考えております。

 例えば、これは首脳レベルでございますが、昨年の十月に行われました日韓首脳会談におきまして、岸田総理から拉致問題について文在寅大統領に対して支持と協力を求めて、また、文在寅大統領から日本の立場への支持が示されました。

 また、韓国の大統領選挙を受けまして、先般当選されました尹錫悦次期大統領との間でも電話会談を行い、緊密な連携を確認しているところでございます。

 また、外務大臣の間でも、二月にホノルルで行われました日米韓外相会合におきまして、ブリンケン長官、鄭義溶外交部長官からも支持を得たところでございます。

 以上に加えまして、実務レベルでございますけれども、私と韓国の魯圭悳朝鮮半島問題特別本部長との間でも頻繁に、また、ソン・キム・アメリカの特別代表を含めて三国間でも頻繁に、緊密に協議を行い、拉致問題についての連携を確認しているところでございます。

太委員 前半の部分はもう了解しておりますので、後半部分で。

 実務間でのまさに情報収集、また共有ですね、まさに韓国というのは一番情報を持っています。韓国も、五百十六名以上ですか、拉致されているという状況です。もう少し、どういった情報共有をされているのか、そこがポイントだと思っておりますので、もう一度教えてください。お願いいたします。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 実務レベルでの外交的なやり取りにつきまして、詳細をつまびらかにすることは差し控えさせていただきたいと存じますが、実務レベルにおきましても、例えば核・ミサイル問題につきましては、国連安保理での制裁、さらには独自制裁等について緊密に意見交換を行っているところでございます。

 また、拉致問題につきましては、委員御指摘のとおり、韓国にもそうした問題がございます。そうした中で、韓国政府にも引き続き協力を求めておりますし、御案内のとおり、首脳レベルでも、南北首脳会談で韓国から北朝鮮に対して拉致問題を提起したという例もございます。

 引き続き、緊密に協力していきたいと考えております。

太委員 なかなか言えない部分はあると思います。

 そういった中、尹新大統領、間もなく政権が、来月ですか、スタートする中で、先週、これはメディア報道ですが、岸田総理のイニシアチブで尹政権との両国関係を改善する具体策を検討するチームを立ち上げるということで、これがスタートしたと思うんですが、これは拉致問題は入っているんでしょうか、こちらに。お答えいただければ。

船越政府参考人 委員御指摘につきましては、報道に基づいて御質問を頂戴したと想定いたしますが、その報道については、若干事実関係と異なるところは多うございます。

 ただ、同時に、今後、韓国の新政権移行チーム、もう引継ぎ委員会というのが立ち上がっておりまして、そこに外交、安全保障の担当者の責任者というのはもう既に指名されております。そうした方々との間で、北朝鮮政策、核、ミサイル、拉致問題も含めて、緊密に協議、連携していきたいと考えております。

太委員 はい、分かりました。

 いずれにしましても、新しい政権がスタートします、保守政権。北朝鮮に対して融和的じゃない、そういった対応をしてくれると思いますので、まさに我が国としてはいろいろな意味でチャンスだと思っておりますので、それを是非とも生かしていただいて、あと、日米韓での連携も含めて、何とかこの拉致問題というところを林外務大臣のリーダーシップで進めていただきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 ちょっと時間がないので、次に移ります。

 今、様々説明もいただきました。我が国として、アメリカを含め、韓国ほかの友好国にも様々協力を呼びかけてやっていくということだと思っておりますが、では、担当大臣からもお話がありましたが、まずは、もちろん我が国がどう主体的にやっていくか、これがやはり基軸だと思っております。

 そういった意味でも、ここでお伺いしたいのは、朝鮮総連に対して我が国として更に厳しい対処というのが必要じゃないかというふうに思っております。朝鮮総連は日本において北朝鮮公館の役割を担っています。そういった中で、日本政府として、朝鮮総連の幹部や朝鮮総連の傘下団体に対して、外為法に基づく資産凍結措置をするべきだと思っておりますが、外務大臣、御見解をお願いいたします。

林国務大臣 政府といたしましては、現時点において、朝鮮総連が外為法上の要件の下で資産凍結等の措置の対象として指定すべき者に該当するものというふうには認識はしておりませんけれども、朝鮮総連については、今お話がありましたけれども、北朝鮮当局と密接な関係を有する団体である、そういうふうに認識をしておるところであります。各種動向について、引き続き、関係省庁間で連携しながら、重大な関心を持って情報収集等を行ってまいりたいと考えております。

太委員 大臣、ありがとうございます。

 ただ、先ほどから言っています、様々、今外交交渉を進めていますが、二十年間何もなかったです。進展ゼロです。そういった中で、どう今のこの局面を打開するか、そう考えたときに、やはり私は、今こそ我が国としてしっかりとした強い国家意思を示さなきゃいけないと思っております。

 そういった意味でも、これは適当に言っているのではなく、まさにアメリカでは、既に二〇一七年、五年前に、これはトランプ政権発足直後でした、大統領令で、北朝鮮政府と労働党、金正恩総書記も含んで資産凍結を行っております。その一年後に起こったのは何かというと、シンガポールでの米朝首脳会談。

 やはり、我が国として、何らかの形で、首脳会談をしっかりと見据えた動き、今、北朝鮮は、様々苦しい状況、先ほどの質問でもありました、こういった状況だからこそ、私は今こそ資産凍結をやるべきだと思っておりますし、先ほど言いましたように、アメリカとか韓国に拉致問題であらゆる要請をしているにもかかわらず、日本国内で金正恩氏を賛美するような団体が存在すること自体が、やはりこれはおかしいです。

 明確な国家意思を示すためにも、朝鮮総連への断固たる措置、まさに解体が必要だと思っておりますので、どうか、外務大臣、この点、もう一度御見解を教えてください。お願いいたします。

林国務大臣 政府の立場、先ほど申し上げたとおりでございまして、繰り返しになって恐縮でございますが、今委員がおっしゃったように、朝鮮総連については、北朝鮮当局と密接な関係を有する団体、こういう認識をしておりますので、まさに御指摘のように、各種動向について、引き続き、関係省庁間で連携しながら、重大な関心を持って情報収集等を行ってまいりたいと考えております。

太委員 どうか引き続きお願いいたします。

 最後に、もうこれはずっと、今日私が強くお伝えしたいのが、今のままじゃ、やはり駄目です。今の状況、局面を転換するために何かしなきゃいけない。そういったときに、本日もいらしています、特定失踪者問題調査会代表の荒木和博氏もいらっしゃいますが、御主張を私もいろいろと勉強させていただいているところなんですが、やはり、我が国としての強い国家意思を示すためにも、自衛隊の活動というのが私はあってしかるべきだと思っております。

 これは、自国民が拉致された場合、奪還のために軍事行動を起こすことは国際法上問題ないのかどうか、こちら、防衛省、政務官でしょうか、どうか御見解をお願いいたします。

船越政府参考人 御質問いただきましたのが国際法上の見解ということと御理解いたしまして、私の方から御答弁申し上げます。

 海外におられる邦人の命をどのように守るかということにつきましては、国家にとって極めて重要な課題であると考えております。平和安全法制により、海外の邦人を守るための制度の充実を図ってきたところではございます。一方で、在外自国民の保護、救出は、一般的には領域国の同意又は要請を得て行われているというものでございます。

 また、こうした国際法上の観点に加えまして、我が国憲法上の制約があり、自衛隊の活用ということについては限界があるということも事実ということは、これまで御答弁を申し上げているとおりでございます。

 いずれにせよ、拉致問題は、岸田内閣の最重要課題であるとともに、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題と認識しておりまして、一日も早い拉致被害者の方々の帰国の実現のために何ができるか、不断に検討を継続してまいりたいと存じます。

太委員 まさに、政権としての最重要課題であれば、様々な制約を何とか乗り越えて、私としては、強い意思を示さなきゃいけないと思っております。

 国際法上、様々な人質の救出作戦が行われてきました。米軍によるパナマ侵攻、イスラエル国防軍によるエンテベ空港奇襲作戦、ドイツ国防軍によるアルバニアの自国民保護でも用いられました。そういった意味で、何とかここ、いろいろあると思います、そこを何とか乗り越えていく。

 そういった法的な問題と別に、自衛隊に与えられた任務に拉致被害者の救出は規定されていないというのが今現状。この奪還作戦の実行は大変厳しいです、今現状では。ですけれども、そこを何とか邦人保護のためにも人質救出、奪還作戦の実行を可能とするために必要な措置を講じてほしいと思っておりますが、こちらは防衛省の方からお願いいたします。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま外務省から説明ございましたように、まさに、我が国自衛隊による活動につきましては、国際法上の観点あるいは我が国憲法上の制約がございます。

 そうした中、平和安全法制を整備する際に、まさに先ほど御説明いたしました、自衛隊による在外邦人等の救出や警護などの保護措置が新たに実施できるように規定されたところでございます。

 こういった国際法あるいは憲法上の制約の中で、自衛隊法で与えられた任務につきまして、自衛隊としてそういった措置が適切に実施できますように、能力維持向上を図るための訓練を継続的に実施してまいりたいと思っております。

太委員 いずれにしましても、とにかくあらゆる可能性を探っていくことだと思っております。米軍との共同作戦ということも想定しなきゃいけないと思っております。そういったことを是非とも進めていただきたいと思っております。

 今朝、NHKを見られた方がいらっしゃると思いますが、拉致被害者の蓮池薫さんがこの二十年間を振り返っておっしゃった言葉。今この局面を打開するには、腹をくくった政治家が出てくれるかどうか、結局そこかなと思う、腹が決まれば、やる手だては生まれてくるだろうし、交渉のパイプも出てくるだろうということでありました。物すごい重たい言葉ですが、何とか私自身も微力を尽くしてまいりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

長島委員長 次に、三木圭恵君。

三木委員 日本維新の会の三木圭恵です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 まず初めに、拉致被害者家族会の前代表、飯塚繁雄さんの御冥福を心よりお祈りいたしますとともに、拉致された田口八重子さんと生きている間にお会いできなかったということを、心中をお察しいたしますと、無念の思いというのがいかばかりなのかと、本当に痛恨の極みでございます。私も一人の国会議員として籍を置かせていただいておりますので、この拉致問題の解決に向けて、微力ながら邁進していきたいと存じます。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、拉致問題の啓発活動についてお尋ねをいたします。

 拉致対策本部は、これまで啓発活動として、アニメ「めぐみ」を作成したり、先日の報道にあったように、先ほどの拉致被害者の田口八重子さんの御長男、一歳のときに母を奪われて、飯塚繁雄さんに引き取られて、それから拉致被害者の家族を公表するに至ったまでの経緯、こういった飯塚耕一郎さんの半生を描いた漫画の電子書籍化の啓蒙活動をしてまいりましたが、ほかの被害者や御家族についても同じように取組を広げていただきたいと思います。いかがでしょうか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 アニメ「めぐみ」につきましては、政府から全国の教育委員会等に対しまして通知を毎年度出しておりまして、教育現場において活用していただくようにお願いしております。

 それから、令和四年度におきましては、ただいまも御紹介いただきましたけれども、アニメ「めぐみ」に加えまして、飯塚耕一郎さんのお母さんの田口八重子さんを題材とした電子版コミック「母が拉致された時 僕はまだ一歳だった」、これを教育現場に無償貸与しようということで、新規事業として実施することとしております。

 それからまた、地方自治体におきましても、地元の拉致被害者に焦点を当てた啓発コンテンツを作成していただいておりまして、具体的には、鳥取県は松本京子さんを題材とした漫画、熊本県は松木薫さんを題材とした小冊子を作成していただいておりまして、政府拉致問題対策本部のホームページにもこれらを掲載しておりますとともに、教員等研修においても教材として活用させていただいております。

 さらに、本年三月には、鳥取県が松本京子さんを題材としたDVDを作成し、また、兵庫県におきましても有本恵子さんを題材とした啓発ビデオを制作中というふうに承知しておりまして、これらにつきましても、政府拉致問題対策本部のホームページからリンクを張ることとしております。

 引き続き、拉致問題に関する理解と支援を得るために、地方自治体とも連携しながら、拉致問題に関する啓発活動に力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。

三木委員 地方自治体が独自に取り組んでいるという事例を今御紹介いただきました。確かに兵庫県も、有本恵子さん、いらっしゃいます。二十三歳で英国で拉致されて、先ほど、二〇二二年の一月十二日に六十二歳のお誕生日を迎えられたということで、私も兵庫県で何度も有本さんの御両親にお会いをしてまいりました。そして、本当に残念なことながら、嘉代子さんは一昨年にお亡くなりになられてしまいました。九十四歳でした。今、恵子さんのお父様は九十三歳でいらっしゃいます。

 こういった拉致被害者の家族の方々が次々と御高齢になられてこの世を去っていかれる中で、やはり拉致被害者の方々に、その地域で生まれて、育って、こういった人生があって、その人生を突然奪われたという事実があるわけでございます。それをやはり自治体任せにするのではなくて、きっちりと四十七都道府県で、そういった方がいらっしゃるのであれば、そういった啓蒙活動を政府が主体となってやっていくべきだと思いますが、それについて、御答弁いかがでしょうか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 拉致問題は、北朝鮮にとらわれている日本人を北朝鮮から取り戻すということによって初めて解決する問題ですから、これをできるのは政府ということになります。地方自治体には外交がございませんので、私どもが何とか北朝鮮から取り戻さなければならないわけですけれども、北朝鮮から取り戻すために、北朝鮮を動かすためには、日本人の皆様、国民の皆様が心を一つにして、北朝鮮に対して、日本人拉致被害者を返せという、その意思を示していただくことが非常に重要でありまして、その点につきまして、全国の地方自治体に御協力をいただいておるところでございます。

 決して地方自治体任せにするのではなくて、政府拉致問題対策本部としまして、政府拉致対、自治体と共催なんですけれども主催して、国民の集いとか各種集会、イベント、啓発イベント等を開催しておりまして、それらを通じて広報啓発活動に取り組んできているところですし、引き続き取り組んでまいりたいと思います。

三木委員 もちろん、当然のことだと思います。政府主導でそういった啓発活動に取り組んでいくのは当然だと思うんですけれども、こういった拉致被害者のそういった人生について、もっと啓発を進めていくべき、分かりやすく。分かりやすく言えば、子供たちにも、小学校、中学校で、中学校ぐらいですかね、中学校ぐらいでやはり人権教育の一環としてこういったことを取り入れていくべき。

 というのは、地方自治体が、今、さっき私が聞いたのは、ビデオとか電子書籍の漫画とか、そういったものを作ってはいかがですかということを申し上げましたけれども、やはり各被害者に対して作っていくべきだということを政府が主導してやっていけないかということをお尋ねしたのであって、政府が全く何もやっていないということを言っているわけではないんですね。

 政府が主導してやっていくということは、そこに予算もつけなければいけないし、人員も配置していかなければならないということをお尋ねをしているわけでございますので、そういった点について、大臣、いかがお考えでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 まず、この拉致問題の啓発活動に関して御協力をいただいております地方自治体の皆様に感謝を申し上げます。

 今、政府参考人の方から、啓発活動について、政府がいかに重く重要だと考えているかということについてはお話をさせていただきました。どういった形がより効果的にこの拉致問題解決に向けた啓発活動になるのかよく考えて、今後も研究、適切に対応してまいりたいと思います。

三木委員 飯塚繁雄さんが、絶対に諦めないと繰り返しおっしゃっていらっしゃったということは、その絶対に諦めないという意思をやはり国民が引き継いでいかなければならないと思います。そのために啓発活動があるのだということをしっかりと受け止めていただいて、是非とも政府の方からも、こういった地域地域に合った、人権教育に合ったコンテンツを開発していただくように要望をさせていただきます。

 質問を続けさせていただきます。

 対策本部の方は、ユーチューブやツイッター等のSNSも若い世代に向け発信していると承知しております。実際の利用者からはどのような感想が寄せられているのか、具体的に御紹介ください。

 また、先ほど取り上げていただいたアニメ「めぐみ」は英語を含む八か国語の翻訳又は字幕つきで提供されておりますけれども、海外の視聴者からの反響などが寄せられているか、併せて教えてください。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず最初に、アニメ「めぐみ」の海外での活用についてから先にお答えさせていただきますけれども、在外公館などでアニメ「めぐみ」の上映会を開催しておりまして、それでは、在外公館の方を通じて、アニメ「めぐみ」を見て拉致の非情さであるとか早期解決の重要性について認識を深めたというふうに、上映会に参加していただいた各国の方々からそのようなお話を承っているところです。

 それから、加藤大臣のときなんですけれども、ブリュッセルで欧州議会と政策対話を実施したときに、ブリュッセルでやはり横田拓也さんや飯塚耕一郎さんも参加して、アニメ「めぐみ」の上映会をいたしました。その点についての報道によりますと、その上映会へ参加したEUの外交団の方々の間では、涙を流して御覧になられて、非常に、私たちEUとして何ができるのかというようなことを言ってきてくれるというようなことだったと聞いております。

 それから、済みません、よろしいですか。申し訳ございません。

三木委員 海外の方からもやはり、拉致被害者、拉致という国家の犯罪ですよね、北朝鮮の国家の犯罪と言えると思うんですけれども、国家犯罪についてです。やはり強い非難や、拉致被害者に対する、一日も早く家族と会ってほしいというような思いが伝わっていると思うので、そういった国際的な場でも是非とも日本の立場を強調していただいて、解決に向けていただきたいと思っております。

 ちょっと時間がございませんので、次の質問に移らせていただきます。

 前回の委員会での、警察の取組について二之湯国家公安委員会委員長より、現在、警察においては、日本人が被害者である拉致容疑事案及び朝鮮籍の姉弟が日本国内から拉致された事案、計十三件十九人を拉致容疑事案と判断するとともに、拉致の実行犯等として、北朝鮮工作員等、計十一人について、逮捕状の発付を得て国際手配をしているところだ、また、これらの事案以外にも、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案があるとの認識の下、関係各位と緊密な連携を図りつつ、鋭意所要の捜査や調査を進めていますという御発言がありました。

 具体的には、拉致被害者認定のためにどのような捜査や調査を行っておられたのか、教えてください。

二之湯国務大臣 警察におきましては、これまで、拉致被害者と判断された以外の方にも北朝鮮による拉致の可能性が排除できない方が存在しているとの認識の下、捜査、調査をしているところでございます。

 加えて、警察庁の外事課におきまして特別指導班を設置いたしておりまして、真相解明に向けた警察の取組を強化しております。

 また、広く情報提供を求めるために、御家族からの御同意を得て、都道府県警察及び警察庁のウェブサイトに事案の概要等を掲載するなどして、事案の全容解明に努めているところでございます。

 今後とも、御家族のお気持ちを十分に受け止めて、事案の全容解明に向け、関係機関と緊密に連携を図りつつ、捜査、調査に全力を挙げるように警察を指導してまいりたい、このように思っております。

三木委員 こういった場で公表できることということ、事案が少ないのはもう承知おきをしておるんですけれども、拉致問題、拉致被害者が拉致されてから四十五年、五名の方が帰ってこられてから二十年、拉致と認定される事案以外にも、それが疑われる方々が八百七十三名いらっしゃるという中で、今の御答弁では、やはり、何も動いていないんじゃないか、どういった進展があるんだと国民の皆様方に思われても仕方ないのじゃないのかなという、私も、何も聞かせていただけないのであれば、これは発展しているのかな、何か進んでいるのかなという疑いのまなざしが、やはり国民の皆様から寄せられていると思うんですね。そういったことをやはり解消していくためにも、政府一丸となってやっていかなければならない。

 警察の方の御努力には敬意を表しますけれども、八百七十三名の方の行方が分からない中で、北朝鮮に拉致された疑いのある事案でございますから、それが一名もどのような結果も出ていないというのは、やはり非常に重く受け止めなければならないと考えますが、いかがでしょうか。

森元政府参考人 お答え申し上げます。

 警察が行っている努力ということでございますけれども、先ほど大臣の答弁にもありました、平成二十五年三月、警察庁外事課に特別指導班を設置してございます。

 この特別指導班ですけれども、具体的に申し上げますと、関係者からの事情聴取の状況等の詳細な事項につきまして、捜査、調査に当たる都道府県警察の担当官に直接指導したり、必要に応じ、事案の現場実査をするなどしております。また、複数の都道府県にまたがる事案につきまして、都道府県警察間の協力体制を構築しておるところでございます。

 そうした努力がございまして、平成二十五年三月にこの特別指導班を設置して以降、国内において発見をし、その後の捜査、調査の結果、北朝鮮による拉致の可能性を排除した方の数は二十七名に上っているというところでございます。

三木委員 質疑時間が終了してしまいましたので、質問は終わらせていただきたいと思います。

 産経新聞の中に、「国民の声が大きくならない限り政府は動かない。」という一文がございます。これはどなたの発言かというと、拉致被害者の増元るみ子さんの弟の照明さんの発言になっております。国民の声が大きくならない限り政府は動かない、これが今の一般の日本人の、拉致被害者の方々の家族の方々の、そして一般の国民の多くの方々が思っていらっしゃることではないかと思います。

 首相が最重要課題として取り組むというのであれば、今までの御質問されていた委員各位への御答弁に関しましても、議員は厳しいことを言うけれども政府が甘過ぎるというような感じ方がされないように、やはりきっちりと政府の方々も一丸となって、もっと強い態度で、この日本の国の、国家の尊厳とそして日本人の生命を守っていただきたく、そして日本人を取り戻していただきたく、よろしくお願いを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

長島委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延映夫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今回、先ほど三木議員からるる質疑がありましたので、私からは、対話と圧力の圧力の部分、いわゆる経済制裁に絞って質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 先月の二十四日、北朝鮮はICBM級弾道弾を、ミサイルを発射いたしました。また、報道によると、核実験再開の兆候まで見せております。

 先ほどもお話がありましたように、国連安保理の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルは、四月一日、対北朝鮮制裁の履行状況に関する年次報告書を公表し、同国が、暗号資産の取引所への攻撃や、石炭などの禁止鉱物の輸出などで得た資金で、核・ミサイル開発を続けているということが明らかになったと指摘されております。

 例えば、北朝鮮は、寧辺の核施設の実験用軽水炉で外部の工事を完成させ、内部の改装を続けており、二〇二一年七月には原子炉の稼働の再開が確認されたとしています。また、液体燃料ロケットに極超音速滑空体を組み合わせる弾道ミサイル新技術の導入や、短距離弾道ミサイルを潜水艦発射弾道ミサイル、SLBMとして海上でも配備できるようにする改造も確認されたとしています。

 今回の国連安保理の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルの報告書の内容も踏まえた上で、対北朝鮮制裁の履行状況について、林外務大臣の御見解を伺います。

林国務大臣 これはニューヨーク時間の四月一日でございますが、公表されました国連安保理の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルによる報告書、ここには、経済的に厳しい状況にあっても北朝鮮が核・弾道ミサイル計画を継続をしていること、そして、石油精製品、石炭、その他の禁制品の取引は瀬取り等の手段により継続していること、北朝鮮が金融機関や暗号資産取引所等へのサイバー攻撃を継続して、暗号資産を窃盗して資金洗浄を行っていること等が指摘をされておると承知をしております。

 我が国は、北朝鮮による関連安保理決議違反が疑われる活動について、平素から情報収集、分析に努めておりまして、その一環として、例えば瀬取りについては、米国や関係国と連携しまして、航空機による警戒監視活動、これを行うとともに、艦艇による洋上での警戒監視活動も行っておるところでございます。

 また、累次の安保理決議の実効性、これを担保するためには、各国が講じた措置や決議違反に関する情報等の検討、これが極めて重要になってまいるわけでございます。

 そうした観点から、我が国は、今後とも、安保理北朝鮮制裁委員会や同委員会の専門家パネルの作業に積極的に協力するとともに、関係国に対して決議の完全な履行を働きかけ、安保理決議の実効性の向上に取り組んでまいりたいと考えております。

美延委員 北朝鮮の外貨獲得を目的としたサイバー攻撃を実行していると見られますが、こうした情勢を踏まえた上で、警察のサイバー攻撃に対する対策はどのようなものでしょうか。大臣、お願いいたします。

二之湯国務大臣 北朝鮮による機密情報の窃取や社会機能の麻痺等を目的としたサイバー攻撃が国内外において多数発生しておりまして、サイバー空間における脅威が極めて深刻な情勢となっているものと認識をいたしております。

 北朝鮮につきましては、外貨獲得等を目的として、そして様々な形でサイバー攻撃を行っていると見られており、米国を始めとする諸外国等も明言をいたしているところでございます。

 こうした情勢を踏まえまして、警察におけるサイバー事案への対処能力を強化するために、先ほど、警察庁にサイバー警察局、関東管区警察局に、重大サイバー事案を取り締まる、いわゆる特別捜査隊を設置したところでございます。

 今回の組織改正によりまして、サイバー事案の厳正な取締りや実態解明、さらには、国内外の関係機関との連携を更に推進して、サイバー空間における国民の安全、安心の確保をしっかりと図るように警察を指導してまいりたい、このように思っております。

美延委員 二之湯大臣、そこはしっかりお願いいたします。

 もしこの制裁が十分成果を上げていないとするならば何が原因だと考えられるか、林外務大臣の御所見を伺います。

林国務大臣 我が国といたしましては、国連安保理決議に基づく特定品目の輸出入禁止措置、また資金移転の防止措置等に加えて、我が国自身の措置といたしまして、北朝鮮との全ての品目の輸出入禁止等の措置を取っておりまして、北朝鮮への人、物、金の流れを厳しく規制する措置を実施してきております。こうした対北朝鮮措置の効果を一概に申し上げることは困難でありますが、北朝鮮の厳しい経済状況と併せて考えた場合、一定の効果を上げていると考えております。

 その上で、先ほどの、御指摘のありました国連安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネルによる報告書においては、北朝鮮による制裁違反、回避が疑われる事例も報告されておりまして、こうした中で、引き続き、関連安保理決議の実効性を確保するとともに、我が国として取っている措置の実施、これを徹底してまいりたいと考えております。

美延委員 大臣も先ほど瀬取りについて御答弁されましたけれども、この瀬取りの対策も十分に今成果を上げているのかどうか。もう一度、大臣、御所見をお願いします。

林国務大臣 我が国としては、対北の安保理の制裁決議がしっかりと履行されるということが重要だと考えておりまして、北朝鮮による関連安保理決議違反が疑われる活動について、重大な関心や懸念を持って平素から情報収集、分析に努めております。航空機や、艦艇による洋上での警戒監視活動、先ほど申し上げたとおりでございます。

 瀬取りについて、我が国は、二〇一八年の一月以降、瀬取りの実施が強く疑われる二十四回の行為、これを公表すると同時に、決議違反が強く疑われる瀬取り行為、これを確認した場合には、安保理北朝鮮制裁委員会等への通報、また関係国への伝達を行ってきております。

 こうした取組の結果、例えばですが、日本が通報した船舶のうち五隻の船舶が二〇一八年に国連安保理制裁委員会によって新たに制裁対象に指定されるなど、具体的な措置が取られてきております。

 一方、瀬取りを行う船舶は非常に巧妙な手口を用いておりまして、瀬取り行為を完全に防止するに至っていないということも事実でございます。

 我が国としては、全ての国連加盟国が瀬取りの防止を徹底していくように、米国を始めとする関係国と連携して対応を強化していきたいと考えております。

美延委員 今大臣からも御指摘がありましたように、瀬取りに関してなんですけれども、この瀬取りで、例えば日本国内の企業とか個人で疑われる事案というのはあるのでしょうか、ないのでしょうか。

岡野政府参考人 御指摘の瀬取りの総数について、日本政府として網羅的にお答えすることは困難でございますけれども、政府としては、二〇一八年一月以降、これまでに、安保理決議で禁止されている瀬取りの実施が強く疑われる二十四回の行為を公表するとともに、安保理北朝鮮制裁委員会等への通報や関係国への伝達を行っているところであります。

 また、北朝鮮制裁委員会専門家パネルの報告書、ここでは、北朝鮮の主張するEEZ内やその付近での北朝鮮籍タンカーとの瀬取りの具体的な事案が幾つか紹介されておりますけれども、網羅的な回数は記載されていないというところでございます。

美延委員 私が聞きたかったのはそうじゃなくて、日本の企業でそれを疑われている企業とか個人があるかどうか、それを聞きたかったんですけれども。あるかどうかで結構です。

岡野政府参考人 瀬取りそのものが、国連のパネルの報告書の中で、日本の企業が問題を起こしていると直接に書かれた事例は、そのものについては承知しておりません。

美延委員 承知していないということで、もしあるということになったら、例えば、これは調査だけではなくて、当然、外為法違反という問題が出てくると思うんですけれども、瀬取りを含めて、こういうことに関してやはりしっかり捜査すべきだと思うんですが、二之湯国家公安委員長の御見解、いかがでしょうか。

二之湯国務大臣 対北朝鮮制裁の措置に関係する違法行為の厳正な取締りは、当該措置の実効性を確保するために非常に重要な問題だとして認識しておりまして、警察ではこれまで四十一件検挙をいたしております。

 これらのうち、不正輸出事件におきましては、近年、二か所を経由させる二重迂回の手口が非常に用いられるなど、犯罪の手口は年々悪質、巧妙化いたしております。

 こうした傾向も十分に踏まえつつ、関係機関と緊密に連携しながら、対北朝鮮措置に関係する違法行為に対して厳正な取締りを推進するよう、警察を指導してまいりたいと思っております。

美延委員 それは、是非厳正に取締りをしてください。

 瀬取りの、ちょっと公表について一問聞こうと思っていたんですけれども、もう時間がありませんので、こういうのをちょっとつけさせていただいたんですけれども、これはちょっと質問できないので、また後日させていただくとして、最後に、やはり、例えば、報道によると、二〇二一年十月四日の専門家パネルですと、二〇二〇年九月から二〇二一年八月までに、六十四回に分けて、北朝鮮産の石炭五十五万二千四百トンが中国に輸出された。それから、KOTRAや韓国統一部の推計によると、北朝鮮の主要貿易相手国は、中国が一位、八八・二%、ロシアが二位で四・九%となっています。二〇一七年十二月に採択された国連安保理決議第二千三百九十七号では北朝鮮労働者の二年以内の本国への送還が義務づけられているにもかかわらず、中国やロシアに出稼ぎに出た北朝鮮労働者が期限を超えて両国に滞在し続けているということも指摘されております。

 中国やロシアによって対北朝鮮制裁の抜け道が発生していることに対する政府の見解を伺いたいと思います。また、政府はこれからどのような対応を取るのか、そして、中国、ロシア両国から北朝鮮へ支援がなされるという事実は確認されているのか、併せてお伺いいたします。

林国務大臣 今委員から御指摘のあった中国とロシアでございますが、この両国は、北朝鮮に対する累次の安保理決議に賛成をしてきたということでございます。

 今御紹介いただきましたように、北朝鮮が緊密な経済関係を有するこの両国による安保理制裁の履行というのは大変重要であるわけでございます。外交上の個別のやり取りについての詳細は差し控えたいわけですが、両国には様々な機会を通じてそれぞれ働きかけを行ってきております。

 北朝鮮へのこの両国からの支援一般についての実態、これは十分明らかでないところがありまして、断定的にお答えすることは難しいわけですが、例えば中国について言いますと、昨年五月に、王毅国務委員兼外交部長が、李竜男在中国北朝鮮、括弧つきで大使でございますが、と面会した際に、力の及ぶ限り援助を提供したい、こう述べたと承知をしております。

 また、今年の一月でございますが、中国政府は、中朝双方の協議を経て、中国と北朝鮮を結ぶ貨物列車の運行が再開をされた旨、これを明らかにしたと承知をしております。

 また、ロシアですが、例えば、ロシア政府は、二〇二〇年十月に総重量五万トンのロシア産小麦の北朝鮮への提供が完了した旨を明らかにしたと承知をしておるところでございます。

美延委員 ありがとうございました。終わります。

長島委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 国民民主党の鈴木敦でございます。

 皆さん、お疲れさまでございます。三大臣がおそろいになるのは大変だと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 私、生まれも育ちも神奈川、川崎でございます。官房長官、外務大臣、そして国家公安委員長、どういう町だかお分かりですね。横田めぐみさんの御家族が御在所の場所です。その場所の代表としてこの場所をおかりしている以上、是非この内容を触れなければいけないと思って、半年間温めてまいりました。

 通常国会が始まって四か月たちましたけれども、ようやくこの機会をいただき、大変光栄に思っております。是非よろしくお願いいたします。

 私には、今回、九分間もございます。しかし、特定失踪者の皆様や拉致被害者の皆様、そしてその御家族の皆様には一分一秒もございませんので、早速質問に入らせていただきますが、この拉致問題について政府側は、窓口として、拉致対策本部を設けておられます。改めて、直近の協議内容についてお伺いします。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 直近の拉致問題対策本部は、平成二十六年十一月二十八日に持ち回りで開催され、同年の臨時国会において、北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律の一部を改正する法律が議員立法により成立したことを報告するとともに、拉致被害者、家族に対する総合的な支援策の改定を承認いたしました。

 この支援策の改定は、帰国された拉致被害者の方々が日本で安心して生活できる環境を柔軟かつきめ細かく整備するための関係省庁における議論を踏まえて行われたものです。

 なお、拉致問題対策本部は、同本部において議論すべき事項が生じた場合に開催することとしており、平成二十六年十一月以降、開催しておりませんけれども、拉致問題解決に向けては、本部以外においても、平素より関係省庁が緊密に連携して取り組んでいるところでございます。

鈴木(敦)委員 その御説明ですと、議題に上るものが何もないという説明に聞こえます。それでは誤ったメッセージになると私は思います。

 その上で申し上げますが、今まで何度も何度も何度も何度も何度も、今、五回言いましたけれども、それ以上、歴代の政権は、政権の最重要課題だとおっしゃってまいりました。であれば、毎度毎度の閣議においては、せめてお話に上がっていると思いますけれども、長官、いかがですか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 閣議において、拉致問題がどのように取り上げられているかという御質問でございますけれども、閣議内容に関しては、その了解事項、決定事項等はオープンにされておりますので、もう先生も御承知のとおりでありますが、閣議決定若しくは了解が必要な事項であれば、そこで協議をされるということでございます。

鈴木(敦)委員 では、お伺いします。

 同様の国際法違反の人権侵害につきましては、ロシアのウクライナ侵略も当然、同じカテゴリーに入ると思いますが、今現在、閣議で、ロシアについて、あるいはウクライナについて、議論には上りますか。

 長官、お願いします。

松野国務大臣 先ほどと同様でございますけれども、例えば、今回のロシアのウクライナ侵略に対して、制裁事項があります。その制裁事項において、閣議了解等が必要な場合には、了解として取り扱われているということでございます。

鈴木(敦)委員 今現在の現状についても、そのお話はされていると思うんですね。拉致の問題についても同じですし、この際、御提案申し上げたいんですが、一般的な企業において、あるいは協議体、様々ありますけれども、会議の規模が大きくなればなるほど、そして、そのランクが高くなればなるほど、かつ、大きなプロジェクトであればあるほど、その進捗状況が余り動いていなくても、報告をする必要が出てくるはずなんです。かつ、申し上げれば、その会議の主宰者である代表者は、その進捗状況について常に把握をするために、会議で何度も何度も聞くはずなんですね。

 せっかく、閣議の主宰自体は総理大臣ですが、その司会進行は官房長官がされておられますね。ですから、今、議題の中に上っておられます一般案件ですとか政令とか人事に加えて、拉致問題という項目をつけて、是非毎回御報告いただいた方が、それは政府が動いているというメッセージにもなりますが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 拉致問題に関しては、日々、拉致対策本部も外務省もそれぞれ、また各所において、毎日これは取り組んでいることでございますが、閣議において、閣議決定、閣議了解が必要なことが生じましたら、そこで適切に対応しているということでございます。

鈴木(敦)委員 なぜこれを申し上げるかといいますと、今、国会の中でも、この委員会の中でも、三大臣がそろうのはなかなか大変ですから、大臣がいなくても委員会を開いて議論しましょう、参考人を呼びましょう、議会側はそういう対応をしていきたいと思っておりますので、政府側においても同じように対応していただかないと、北朝鮮に対してのメッセージが誤ったものになると私は危惧しております。

 最後の質問になりますけれども、岸田総理大臣は今まで、条件をつけずに金委員長と向き合う覚悟です、こうおっしゃっておられますが、向き合うにしても、彼が向いている方向がこちらではないんですね。向き合う覚悟がこちらにあるのは当然ですが、金委員長がこちらに向き合う状態にならなければならないと思います。

 まず、官房長官は先ほどから、外国の会談で議題に上げたり、あるいは国内の世論啓発をとおっしゃいました。あるいは、外務大臣は、あらゆる手段を逃さずとおっしゃっておられました。

 まず、官房長官に、どのように今後動かしていくか。外国に訴えるのは分かりました。国内世論の啓発も分かりました。そこからどういうステップでこちらを向かせていくのか。そして、外務大臣には、あらゆる手段を逃さないのであれば、逃さずにどういうテクニックで彼を議場に引きずり出すか。この決意をいただきたいと思います。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 拉致問題の解決に向けては、米国を始めとする関係国と緊密に連携をしつつ、我が国自身が主体的に取り組むことが重要であります。

 これまで、岸田総理自身、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意を述べてきているところであります。政府として、北朝鮮にはこれまでも様々な働きかけを行ってきています。交渉内容や現在までの状況などは、今後の交渉に影響を及ぼすおそれがあるため、明らかにすることは差し控えさせていただきますが、いずれにせよ、我が国としては、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決をし、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を目指す考えであります。

 拉致被害者御本人も御家族も御高齢となる中、全ての拉致被害者の一日も早い帰国の実現をするため、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で行動してまいります。

林国務大臣 ただいま官房長官からお話があったとおりでございますが、岸田総理自身、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意を述べてきているということでございます。

 私はこれからこういうテクニックとかこういうやり方でやろうと思っているとここで委員に申し上げれば、それは先方にも伝わってしまうということでございますので、そのこと自体がワークしなくなる、こういうことも御理解をいただける、こういうふうに思います。

 予断を持って、そういう意味で、お答えすることは差し控えたいと思いますが、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で行動してまいりたいと考えます。

鈴木(敦)委員 一言だけ。

 外務大臣、それを教えるのが大事なんですよ。こっちは何を持っているんだというのが大事なんです。

 そして、官房長官に申し上げますが、今、ロシアによるウクライナ侵略がありましたけれども、日朝平壌宣言にしても、ストックホルム合意にしても、あるいはロシアのブダペスト覚書にしても、ああいう国に対しては、紙切れは何の意味もないんです。是非、新しく考えていただきたいと思います。

 終わります。

長島委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 この間、家族会の代表を長く務められて、当委員会で私自身もしばしば話を伺いました飯塚繁雄さんが、田口八重子さんと再会を果たせないまま、亡くなられました。実の子として育てられた飯塚耕一郎さんは、生きて被害者と会えない家族がこれ以上増えることは許容できないと、全ての被害者の一刻も早い帰国に向けた政府の具体的な取組を強く求められておられます。日本政府の役割は重大だ。

 そこで、伺います。

 北朝鮮は、三月二十四日、新型ICBM級ミサイルを発射して、日本の排他的経済水域に着弾しました。弾道ミサイル関連のあらゆる活動を禁じた国連安保理決議違反であり、我が党は厳しく非難し、抗議いたします。

 今、ウクライナ侵略で、プーチン・ロシア大統領の核先制使用の恫喝に世界中から厳しい抗議の声が上がっております。核実験とICBM試射は停止するとの約束を一方的に破る今回の発射は、核兵器廃絶を求める世界の世論への挑戦であり、決して許されるものではない。

 そこで、林外務大臣、この間の北朝鮮による度重なる弾道ミサイル発射に対してどのような所見をお持ちか、また、国連安保理ではどんな議論がされて、日本政府はどんな対応をしているのか、端的にお答えください。

林国務大臣 三月二十四日に北朝鮮がICBM級の弾道ミサイルを発射し、我が国のEEZ内に落下をいたしました。この一連の北朝鮮による挑発行為は、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であり、また、国際社会が、今委員からもお話がありましたように、ロシアによるウクライナ侵略に対応している中、この間隙を狙ったものと見られ、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦であり、到底看過できない暴挙であります。

 我が国としては、北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議するとともに、我が国の更なる対北朝鮮措置として、北朝鮮関連の安保理決議で禁止されている核・ミサイル開発に関与した四団体、九個人を外為法に基づく資産凍結等の対象として追加指定することにいたしました。

 国連安保理においては、三月二十四日の北朝鮮によるICBM級弾道ミサイル発射を受けて、現地時間二十五日、公開会合が開催されました。この会合では、米英仏を含む多くの理事国が今次発射を非難し、米国からは新たな安保理決議案を今後提示する旨、表明がありました。石兼国連代表部大使からは、我が国の立場についてしかるべく表明するとともに、米国が新たな安保理決議案を提示することを歓迎をいたしました。

 また、この会合の終了後に、日米韓、そして安保理内有志国及び全てのG7諸国等が共同でステートメントを発出し、今次発射への最も強い言葉での非難、及び、安保理による更なる行動等に言及いたしました。

 政府としては、今後、安保理が一致してその責任を果たすことを期待しております。我が国は、引き続き、北朝鮮への対応に係る安保理の動向を強い関心を持って注視していくとともに、米国を始めとする国際社会と協力しながら、安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化の実現を目指してまいります。

笠井委員 北朝鮮は、核開発と関連活動を直ちに停止して放棄すべきだ。国際社会は、六月の核兵器禁止条約第一回締約国会議に向けて結束をして、日本政府は参加して核兵器廃絶を強く働きかけるべきだと申し上げておきたいと思います。

 そこで、松野官房長官、拉致問題や北朝鮮による核・ミサイル開発、日本による植民地支配などの過去の清算といった日朝間の諸懸案の包括的解決を目指した日朝平壌宣言に基づく対話による問題解決がいよいよ重要になっております。

 去る三月八日の拉致問題担当大臣としての所信の中では言及されなかった日朝平壌宣言の今日的意義について、どのようにお考えでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 日朝平壌宣言は、日朝双方の首脳の議論の結果として、日朝関係の今後の在り方を記したものであります。両首脳により署名された文書であり、北朝鮮側も否定はしていません。

 拉致問題は、岸田内閣の最重要課題であります。岸田総理自身、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意を表明をしています。日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決をし、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指す考えに変わりはありません。

 引き続き、一日も早い全ての拉致被害者の帰国を実現すべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で行動していく考えであります。

笠井委員 大変重要だと思うんです。

 そういう中で、今、日本の外交努力が求められている中で看過できないのは、新たなミサイル阻止力なるものが唱えられていることであります。

 北村滋前国家安全保障局長が、文芸春秋二〇二二年五月号、今年五月号に寄稿をして、年末の国家安全保障戦略の改定に向けた有識者ヒアリングで自らの意見を開陳したとする中で、北朝鮮などを挙げて、こう述べております。我が国に対するミサイル攻撃を実効的に阻止するためには、新たなミサイル阻止力、すなわち、敵のミサイル発射能力や指揮中枢そのものを直接打撃し、減衰させる能力を保有することが必要になってくる、そして、我が国がこのようなミサイル阻止力を保有するという意思を相手に示すことにより、我が国に対してミサイル攻撃を行えば反撃を受けると認識させることがミサイル攻撃そのものの抑止につながる。そして、こうも言っています。それは米軍の能力を補完するものでもある。

 松野大臣、岸田政権として、このような新たなミサイル阻止力の保有というのを是とするんでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 御指摘の北村氏の寄稿について、政府としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、政府としては、急速なスピードで変化、進化しているミサイルなどの技術に対しても、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのか、憲法及び国際法の範囲内で、日米の基本的な役割分担を維持しつつ、現実的に検討しているところであり、検討の結果を予断することは差し控えたいと思います。

笠井委員 私が伺ったのは、岸田政権が改定を目指している新たな国家安全保障戦略の策定に関する有識者ヒアリングでの北村氏の意見についてなんですけれども、決して個人の寄稿論文の話ではない。

 なぜ答えられないのか、新たなミサイル阻止能力の保有を是としないとはっきりおっしゃれないのか。私は、岸田総理自身も同じ考えだからではないかと考えます。

 総理になる前の昨年三月二十六日、ツイッターで、安全保障上の喫緊の課題について、衆議院議員岸田文雄という文書がアップされております。その第一の柱がまさに新たなミサイル抑止力であります。直接的かつ喫緊の脅威は中国や北朝鮮のミサイルとして、こう述べています。我が国に対するミサイル攻撃を実効的に阻止するためには、相手領域内でのミサイル阻止能力、すなわち、敵のミサイル発射能力そのものを直接打撃し、減衰させることができる能力を保有することが必要です、そして、我が国がこのようなミサイル阻止力を保有しているという意思を相手に示すことが、ミサイル攻撃そのものの阻止につながりますと。

 私は、見て、文芸春秋とそっくり同じ、北村氏と同じ意見をここで岸田総理自身が総理になる前にこうやってアップをされて公表されていたんじゃないかと思うんですけれども、松野大臣、いかがでしょうか。

松野国務大臣 いずれにせよ、今般の検討について現時点で具体的な内容等をお答えできる段階にはありませんが、急速なスピードで変化、進化しているミサイルなどの技術に対しても、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのかどうか、憲法及び国際法の範囲内で、現実的に検討していくという考えであります。

笠井委員 この間、あらゆる選択肢を排除すべきではないということも含めて憲法、国際法ということを繰り返し言ってこられましたけれども、この岸田文書というのは、あらゆる選択肢を排除すべきでないという主張ではなくて、相手国、相手領域内でのミサイル阻止能力、これを保有することが必要ですと言い切っている話なんですね。それを松野大臣が是としないと言えずに、否定をされないということであります。

 この新たなミサイル阻止能力というのは、結局のところ、ミサイルを一発撃つという話ではない、相手国の領域に乗り込んで、レーダーや対空ミサイル、指揮中枢をシラミ潰しに破壊するというものであります。こういう能力を持って、軍事対軍事ということで、危険な道に引き込んでいくということになると、これは、私、岸田政権が最重要課題だとされている拉致問題の解決にとってもマイナスではないか、障害になっちゃうんじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣、どのようにお考えでしょうか。

松野国務大臣 先ほど来御答弁をさせていただいている内容が、現状の政府の考え方でございます。

笠井委員 憲法、国際法の範囲内と言われますけれども、新たなミサイル阻止能力というのは、日本が持つとすれば、岸田さん自身が主張されているわけですけれども、武力による威嚇又は武力の行使を禁じた、放棄した憲法九条とは相入れないと思うんですけれども、その点はいかがですか、こういうミサイル阻止能力という点について。

松野国務大臣 政府としては、従来から、誘導弾等による攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置を取ること、例えば誘導弾等による攻撃を防御するのに他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、憲法上、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能と考えているということでございます。

笠井委員 これは、誘導弾などの攻撃が行われたという、攻撃があった場合という話じゃないんですよ。自衛の話じゃないんですね、こちらからそういう新たなミサイル阻止能力を持って相手をたたくという話なんですから。そういうこと自体が憲法九条と相入れないということだと思うんです。

 一刻も早い拉致問題解決のためにも、憲法九条を生かした平和の外交戦略を持って、さっき大臣もおっしゃられました日朝平壌宣言ですが、これを基礎に据えたプロセスが前進するように積極的に関与すべきだ、それこそ拉致問題の解決につながる、家族会や、あるいは拉致と認定されていない特定失踪者の方々の御家族もいらっしゃいますが、そうした願いに応える道だということを強く主張して、質問を終わります。

長島委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 十五分、時間をいただきました。この北朝鮮の拉致問題特別委員会、実質に審議をさせていただいて、私も久しぶりに質問をさせていただくわけでございます。

 ですので、ちょっと基本的なところから今日は確認をさせていただきたいと思うんですが、当然、この北朝鮮の拉致事案、我が国に対する主権の侵害でございますし、また、被害者、御家族に対しては許されない重大犯罪であることは間違いのない事実でございます。しかし、この拉致が国際法上どう位置づけられているか、ここを今日はまず確認をしたいと思っています。

 そこで、この拉致事案は、明確に国際法上の犯罪と認定をされているのか、まず外務省にお聞きをしたいと思います。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 拉致を国際法上の犯罪と規定する国際法規について、網羅的にお答えすることは困難でございますが、例えば、強制失踪条約や国際刑事裁判所に関するローマ規程において、関連し得る規定が置かれているところでございます。

 強制失踪条約につきましては、拉致を含め、人の自由を剥奪する行為であって、失踪者の所在を隠蔽すること等を伴い、かつ、保護の外に置くことを強制失踪と定義するとともに、強制失踪の自国の刑事法上の犯罪化及び処罰を確保するための法的枠組み、国際法に定める特定の場合には人道に対する犯罪を構成すること等について定めているところでございます。

 また、国際刑事裁判所は、国際社会全体の関心事項である最も重大な犯罪を犯した個人を訴追、処罰するための刑事裁判機関でございます。ICCローマ規程上、ICCが管轄権を有するとされている人道に対する犯罪としては、文民たる住民に対する攻撃であって広範又は組織的なものの一部として、そのような攻撃であると認識しつつ行う行為であり、その一つとして、人の強制失踪も規定されているところでございます。

 なお、いずれの条約についても北朝鮮は締結しておらず、また、締約国に対する効力の発生後に発生した行為についてのみ効力を有するとされているところでございます。

浜地委員 ありがとうございます。

 国際法上、明確にこれは重大犯罪というふうに認定をできるわけでございますが、ただし、先ほどの答弁にありましたとおり、北朝鮮がこの強制失踪条約に加入をしていない、また、国際刑事裁判所に服することを承諾をしていないということで、かつ、最後にありましたとおり、遡及効がないのでという答弁がございました。ここで私は逃げては駄目だと思います。

 しっかりと国際社会に対して、強制失踪条約に入ること、また、国際刑事裁判所に関する規程に服することこそが、将来的にも同じような犯罪が繰り返されないこと、抑止することにつながりますし、仮に遡及効がないとしても、こういった条約に入る、特にこれは主要国も入っておりません、そういったことを我が国が、拉致問題を通じて、こういった強制失踪条約やICCに加盟していくことを働きかけることによって、拉致問題の国際社会の中における世論形成を私はしていくべきだと思っています。

 今、ロシアにおいても、ロシアもICCへ入っておりませんが、今、我が国、また世界では、プーチン若しくはロシアに対する、国際犯罪というものに非常に重要なフォーカスが当たっているわけでございまして、そういった時期だからこそ、この強制失踪条約の意義や国際刑事裁判所に対する意義を、拉致をやはりしっかりと国際社会にもう一度アピールする私はチャンスだというふうに思っておりますので、北朝鮮始め主要国に対して、改めてこの強制失踪条約や国際刑事裁判所に服するように働きかけを行うことが大事だと思いますが、もう一度外務省の答弁をいただきたいと思います。

岡野政府参考人 強制失踪条約は、強制失踪を自国の刑事法で犯罪化し、処罰を確保すること等により、このような犯罪が繰り返されないよう抑止すること等を目的としております。

 現時点で締約国数は六十八か国にとどまりますが、北朝鮮による拉致のような問題が二度と起こらないよう、世界規模で対応すべきとの観点から、日本は、強制失踪条約の普遍化に向けて、条約の早期締結を各国に対して求めてきているところでございます。

 ICCのローマ規程は、国際社会の全体の関心事でもある最も重大な犯罪を行った者が処罰を逃れることを終止させ、もってそのような犯罪の防止に貢献することを目的としております。

 現時点での締約国数は百二十三か国・地域でございますが、日本としては、国連総会本会議、ICC締約国会議等の機会に、ICC側、各国に対して、ICCにおける普遍性の促進を呼びかけてきており、今後とも、このような取組を進めていきたいと考えております。

浜地委員 是非、国際社会での働きかけをお願いしたいと思っています。

 国連人権理事会ハイレベルセグメント等ありますけれども、アブダクションという言葉を使って非難をしておりますが、私が知る限りによりますと、日本のステートメントのときに、強制失踪条約またICCへの加盟というのを力強くやはり政府レベル若しくは大臣レベルで訴えているというのが少し弱いと思っておりますので、その点も是非指摘をしておきたいというふうに思っております。

 続きまして、先ほどから、ミサイル、北朝鮮のミサイル発射もございましたので、この点についても簡単にお聞きをしたいというふうに思っています。

 三月の二十四日、ロフテッド軌道で、六千キロ、七十一分間、北海道の渡島半島百五十キロ沖、これは最もこれまで高度が飛んで、長時間にわたって、そしてEEZ内、非常に近いところに落ちたということでございます。通常弾道で撃てば一万一千キロ飛んでいますので、ニューヨーク、ワシントンを優に射程に捉える、こういった弾道ミサイルの発射だったわけでございます。

 軍事は意思と能力と言われます。そこでまず、能力の点について、特に今回の発射について、大気圏の再突入技術、要は、核弾頭を積んでいても、その再突入のときの熱に耐えられずに燃えてしまうような技術であれば、これはまだまだ北朝鮮のミサイル開発は完成していないということでございますが、特に大気圏の再突入技術について、防衛省はどのように把握をされているのか、御答弁をいただきたいと思います。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、北朝鮮は、三月二十四日、新型のICBM級と考えられる弾道ミサイルを一発発射いたしました。このミサイルは、最高高度約六千キロメートル以上、飛翔距離約千百キロメートルで飛翔し、北海道の西方百五十キロの日本海上、我が国の排他的経済水域内に落下したものと推定されます。

 このミサイルについては、いわゆるミニマムエナジー軌道、すなわち、最小のエネルギーで飛翔距離が最大となるように発射した場合、今回の飛翔軌道に基づいて計算すると、弾頭の重量等によっては一万五千キロを超える射程となり得ると見られます。この場合、米国東海岸を含む米国全土が射程に入ることになります。

 その上で申し上げますが、一般に、兵器としてのICBMの実現には、五千五百キロメートル以上の長大な射程、核兵器の小型化、弾頭化、そしてお尋ねの大気圏再突入技術などが必要と考えられます。

 大気圏再突入技術については、発射されて大気圏外に一旦出た弾道ミサイルが再び大気圏内に突入する際に発生する熱から弾頭部の変形や破壊などを防ぐ熱防護技術が特に重要であります。この点につきましては、一般に、再突入する弾頭部に生ずる熱は長射程のものであるほど高温になり、要求される熱防護技術も高度なものになるとされております。

 北朝鮮は、二〇一七年にICBM級弾道ミサイル火星14や火星15を発射した後、再突入環境における弾頭の信頼性を立証した旨発表しております。しかしながら、実際に北朝鮮がこうした技術を確立したかなどについては、引き続き慎重な分析が必要と考えます。

 いずれにいたしましても、防衛省としては、核兵器、弾道ミサイルの開発動向を含め、北朝鮮の軍事動向について、引き続き、米国などとも緊密に連携しながら、情報収集、分析及び警戒監視に全力を挙げ、我が国の平和と安全の確保に万全を期してまいります。

浜地委員 ありがとうございます。詳しく答弁をいただきました。

 最後のところは、しっかりと万全を期すということでございますが、EEZ内に飛んできていますので、弾頭、これは回収できるはずでございますし、恐らく回収もされているんだろうと思っています。しっかり分析をしていただきたいというふうに思っています。これを表に出すかどうかというのは、当然防衛上のことでもございますが、しっかりとここは分析をしていただきたいと思います。これが完成しますと、北朝鮮はますますミサイルによる力をつけていくということでございます。

 次に、やはり軍事で大事な意図、意思ですね、間違いなく今回の弾道ミサイルは米国に対する抑止力を発揮するためであることは分かりますけれども、これは外務大臣に、我が国に対する、今回の発射、北朝鮮の意図について、意思ですね、どのようにお考えになるか、御答弁をいただきたいと思います。

林国務大臣 北朝鮮側の意図について、日本として断定的にお答えすることは差し控えたいと思いますが、この三月二十四日の北朝鮮のICBM級の弾道ミサイルの発射、今委員から御指摘があったように、我が国のEEZ内に落下させたということは、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であり、また、国際社会がロシアによるウクライナ侵略に対応している中で、この間隙を狙ったものとも見られ、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦であり、到底看過できない暴挙であると考えております。

 また、北朝鮮が二〇二一年の一月の党大会におきまして、ICBM級関連事業の推進に言及をしているということなども踏まえますと、引き続き弾道ミサイルの長射程化を追求する姿勢であることに変わりはないというふうに見られます。

 いずれにいたしましても、今回のような、事態を更に緊迫させる弾道ミサイル発射を含めて、一連の北朝鮮の行動は、日本、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できないと考えます。今後とも、日米、日米韓で緊密に連携するとともに、国際社会とも協力しながら、北朝鮮の完全な非核化を目指してまいります。

浜地委員 ありがとうございます。

 まさに意思と能力の把握ということが重要だと思っておりますので、林大臣には、その点、十分に認識を今後もしていただきたいと思っています。

 最後の質問になりますが、経済制裁、様々な制裁について聞きます。

 物品等は全面的に輸出入禁止になっておりますが、アメリカは、資産凍結の対象を二百二十団体、百九十個人やっております。しかし、我が国は、百二十九団体、百二十個人に対して資産凍結をしているわけでございます。アメリカは核、ミサイルの問題を抱えている、日本は核、ミサイルに加えて拉致を抱えているのであれば、私は、最低でも、この米国が行っている二百二十団体、百九十個人に対する資産凍結が我が国の姿勢を示すためにも大事だと思っておりますが、なぜこれは、百二十九団体、百二十個人とアメリカよりも対象が少なくなっているのか、最後に外務省に御答弁いただきたいと思います。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、我が国が行っております独自制裁につきましては、核・ミサイル開発に加えまして、北朝鮮から拉致問題解決に向けた具体的な動きが示されていないということも踏まえて、対象となる個人、団体への資産凍結を含め、厳しく規制する措置を実施してきているところでございます。

 御指摘いただきましたとおり、我が国が取っておりますこの資産凍結の措置につきまして、アメリカと完全に同一なものにはなっておらないところでございますが、四月一日には、我が方の更なる措置として、安保理決議で禁止されている核・ミサイル開発に関与した四団体、九個人を新たに追加指定するとしたところでございます。

 その上で、全体として申し上げますと、現在、日米両国は、国際社会において最もと言っていいほど厳しい対北朝鮮措置を全体として取っているところと考えております。

 また、米国は、先般の北朝鮮によるICBM、弾道ミサイルの発射等を踏まえ、今後、新たな安保理決議を安保理に提示するということを表明しておりまして、我が国として、こうしたアメリカの対応を歓迎しているところでございます。

 我が国としては、北朝鮮に対する我が国の措置を含め、北朝鮮への対応につきまして、アメリカとも緊密に連携しながら、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて、何が最も効果的かという観点から不断に検討してまいりたいと存じます。

浜地委員 もう時間でございます。終わります。

 ありがとうございました。

長島委員長 次に、中川郁子君。

中川(郁)委員 自由民主党の中川郁子です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございました。

 一昨日の九日ですが、安倍元総理が、福井県小浜市において地村保志さんと対談をし、二十年がたち、拉致問題を風化させないことが大切である、岸田総理の日朝首脳会談については、そういう状況をつくるために頑張っていきたいと述べておられます。

 今日お許しをいただきました資料でありますけれども、南日本新聞、最後に書いてあります。国家犯罪にどう向き合うのか、日本政府の国民を守る気概が試されている、私もこのように思います。

 そして、今日質問させていただくに当たり、私は、夫、中川昭一が拉致議連の会長に就任をさせていただいた二〇〇二年十月四日から二〇〇九年十月四日に亡くなるまでの七年間にわたり保存していた資料二冊、とても重いものなんですけれども、じっくりと読んでまいりました。

 保存しておくことの大切さ、非常に痛感をしたところでありましたし、これは、拉致議連の先生方とのやり取り、また政府の皆さんと打合せのときのメモ、そしてお手紙、そして家族会を始めとする関係の皆様方との打合せの資料など、びっしり手書きで書き込んでおりました。

 改めて、拉致問題の全面解決、被害者全員の早期救出のため、今日は渾身の思いを込めて質問をさせていただきたいというふうに思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 家族会の要望に対する政府の対応についてです。

 家族会は、一九九八年以降、総理、外務大臣などと面会を重ね、政府はその際の発言内容を記録、保存しているのでしょうか。また、拉致問題対策本部発足以降の面会記録があるのでしょうか。また、記録があるとすれば、私、拉致問題対策特別委員会の委員として閲覧を希望した場合は可能なのでしょうか。お答えいただきたいと思います。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 家族会の皆様は、ただいま委員御指摘のとおり、これまで総理大臣始め関係大臣等と面会し、要望書を提出するなど、全ての拉致被害者の一日も早い帰国の実現を政府に強く求めてこられておられまして、政府といたしましては、要望書が提出された機会を含め、面会の場における家族会の皆様の御発言についてはできる限り記録にとどめることとしておりまして、その記録については、内閣官房行政文書管理規則に基づき、適切に管理しております。

 また、適正な手続に従って閲覧の申請がなされれば、開示可能な部分について閲覧することは可能でございます。

中川(郁)委員 ありがとうございます。では、閲覧を希望させていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 家族会の皆さんから、日本政府の在外公館において、当該地域にある北朝鮮の在外公館に対し、拉致被害者の帰国を要請する電話や要請を月に一度でもよいので続けてもらいたいと要望されたというふうに承知しています。

 この件について、一昨年、当時の菅総理大臣や外務省幹部との面会の際にも同様の申入れをされたと伺いました。政府の対応を聞かせていただきたいと思います。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 拉致問題の解決に向けまして、我が国自身が主体的に取り組むことが重要であると認識しております。

 そのような観点から、岸田総理や、外務省について御指摘いただきましたが、林外務大臣も、累次の機会に、全ての拉致被害者の一日も早い帰国の実現を北朝鮮に求める旨、対外的に発信しているとともに、全ての拉致被害者の帰国に向け、北朝鮮に対して様々な形で働きかけを行っているところでございます。

 北朝鮮とのやり取りの手段や内容につきましては、具体的にこれまでもお答えを差し控えさせていただいており、これ以上の詳細について明らかにすることは差し控えさせていただきたいと存じますが、政府といたしましては、北朝鮮への働きかけの対応を含めて、北朝鮮をめぐる対応について、何が最も効果的かという観点から不断に検討し、引き続き北朝鮮に対して働きかけを行ってまいりたいと存じます。

 在外公館について御指摘を頂戴いたしましたので、在外公館についても、私ども、拉致問題の解決に向けて非常に努力をいたしておりまして、拉致問題の啓発活動に努める中で、拉致問題のパンフレットを七か国語で作成して配付しているほか、アニメ「めぐみ」等の上映の実施や現地におけるイベント等を行ってきているところでございます。

中川(郁)委員 ありがとうございました。

 様々な啓発活動を在外公館でも行っていただいているということでありますが、是非、直接電話や要請を月に一度でも続けてもらいたいということでありますので、私からもお願いしたいというふうに思います。

 次の質問に移りたいというふうに思います。

 今日は、海上保安庁の奥島長官に、お忙しいところおいでをいただいております。

 北朝鮮による拉致被害発生海域の警戒体制についてお伺いします。

 過去に能登半島沖、九州南西沖で起きた不審船事案も忘れてはならないというふうに思っています。これら事案は北朝鮮による拉致事件に直結するものでありますが、当時、自衛隊、海上保安庁、警察などの機関が連携して対処したと記憶しています。

 当時と大きく異なる状況として、日本海側のみならず、尖閣諸島海域では中国海警局所属の船舶が我が国領海内を徘徊、漂泊する事案が発生しておりますし、現在も繰り返されています。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻が行われている現在、ロシア軍が我が国の周辺においても活動を活発化していると八日の岸田総理の記者会見でも懸念を表明しています。先ほど公明党の議員の方からICBMの弾頭の回収の話がありましたけれども、この回収も海上保安庁の仕事であるというふうに思います。

 こうした状況にあって、例を挙げれば、東京都を管轄区域とする警視庁は約四万四千の警察官が首都の守りについていますが、海上保安庁の定員は一万四千人しかいらっしゃらないという状況にあります。年々増員されているとは聞いておりますが、我が国は海に囲まれた島国でありますので、国民の生命財産を保護するためには、十分な人的体制の確保が必要であると考えています。

 人員は十分足りているのか、海上保安庁の人材確保策についてお伺いしたいと思います。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 海上保安庁では、日本の周辺海域をめぐる厳しい情勢に適切に対応するため、平成二十八年十二月に関係閣僚会議において決定されました海上保安体制強化に関する方針に基づき、体制強化を進めているところであります。

 この方針を踏まえ、定員につきましても増員を図っているところであり、平成二十八年度と令和四年度を比較いたしますと、一万三千五百二十二人から一万四千五百三十八人と約一千人の増員となっている状況でございます。

 一方、人材確保につきましては、海上保安学校の採用人数を平成二十六年度に四百人から約六百人に、また、海上保安大学校の採用人数を平成二十八年度に約四十五人から約六十人にそれぞれ増やすとともに、インターネットを活用した募集活動を強力に推進するなど、学生の確保を図っているところでございます。

 このほかの取組として、大学卒業者を対象とした海上保安官採用試験の新設、海上保安学校学生採用試験の受験者の範囲拡大、定年退職者等の再任用の推進、こういった人材確保の取組も進めているところでございます。

 引き続き、優秀な人材の確保に努め、国民の負託に応えられる海上保安官を育成し、多様化、複雑化する海上保安業務に適切に対応をしてまいります。

中川(郁)委員 ありがとうございました。

 海上保安庁の仕事は大変なことだというふうに思いますけれども、是非、しっかりと人員を確保し、日本の海を守っていただきたいというふうに思います。

 最後の質問になります。

 曽我ひとみさんでありますけれども、かつて大集会で次のように発言したことを記憶しています。超党派の議員による訪朝の際、やっと私たちは日本政府に救出してもらえる、私たちを迎えに来てくれる、こう思っていたものの、拉致について何の言及もなかったことがあった、そういうことが繰り返され、いつしか期待が諦めに変わってしまった、こうおっしゃっていました。

 先ほどから各委員の御指摘の中に、拉致被害者家族の皆さんの高齢化、そして被害者御自身の皆さんも高齢化しているというふうに思います。是非、政府として、今北朝鮮にいらっしゃる被害者の皆さんに呼びかけていただきたいというふうに思います。この部屋のすぐ外で被害者の皆さんが聞いているという前提で呼びかけをお願いしたいと思います。

宮路大臣政務官 御指摘の曽我ひとみさんの御発言については承知をしておりまして、拉致被害者の方々にとって、もはや一刻の猶予も許されない切迫感を感じております。

 先月十二日、「あきらめない 飯塚繁雄さんお別れ会」が開催をされまして、私も参列し、献花をさせていただきました。お別れ会の冒頭で上映されたビデオでは、昨年十一月の国民大集会で最後の挨拶をされた飯塚代表が、何度も、諦めないと繰り返されておられました。

 また、先月十三日に家族会、救う会が決議された今後の運動方針では、この飯塚前代表の御遺志を受け、「私たちは決して諦めない!」をスローガンとして掲げられていると承知しております。

 この今後の運動方針は、先月十六日に岸田総理に伝達され、総理は、諦めないとの切実な思いを直接受け止め、金正恩委員長と直接向き合う決意を改めて述べました。

 拉致被害者やその御家族の切実な思いを胸に刻み、全ての拉致被害者の一刻も、一日も早い帰国を実現すべく全力で取り組んでまいりますとともに、長年にわたり北朝鮮で救出を待っておられる拉致被害者の方々に対しても、この私の訴えをお伝えしてまいりたいと考えております。

中川(郁)委員 宮路政務官、力強い御答弁をいただきまして、大変ありがとうございました。

 今日私が胸につけているブルーリボンは、初期の運動の頃のものでございます。みんなでリボンを作って、そして、この青に込められた思いというのは、青い海の向こう側には私たちの家族がいる、青い空でつながっている。こういう思いをしっかり、風化させることなく、運動を続けていきたいというふうに思います。

 今日はどうもありがとうございました。

長島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時七分散会


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