衆議院

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第3号 令和7年4月23日(水曜日)

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令和七年四月二十三日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 牧  義夫君

   理事 石橋林太郎君 理事 黄川田仁志君

   理事 星野 剛士君 理事 有田 芳生君

   理事 下条 みつ君 理事 藤岡たかお君

   理事 西田  薫君 理事 和田有一朗君

   理事 向山 好一君

      大空 幸星君    大西 洋平君

      塩崎 彰久君    高木  啓君

      寺田  稔君    福田 達夫君

      福原 淳嗣君    松野 博一君

      松本  尚君    三谷 英弘君

      若山 慎司君    篠原  豪君

      原口 一博君    太  栄志君

      岸田 光広君    浜地 雅一君

      上村 英明君

    …………………………………

   外務大臣         岩屋  毅君

   国務大臣

   (拉致問題担当)     林  芳正君

   内閣府大臣政務官     西野 太亮君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  平井 康夫君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 石川 泰三君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  檜垣 重臣君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            岡田  大君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          源河真規子君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 赤阪 晋介君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 堤  良行君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 藤澤 裕介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山本 文土君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 柏原  裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 田口精一郎君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    岩本 桂一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 梶川 光俊君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           今井 裕一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文部科学戦略官)       松坂 浩史君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  堀野 晶三君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 上田 幸司君

   衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長          大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  小泉進次郎君     大西 洋平君

  西村 康稔君     松本  尚君

  福田 達夫君     若山 慎司君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 洋平君     小泉進次郎君

  松本  尚君     高木  啓君

  若山 慎司君     福田 達夫君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     塩崎 彰久君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     西村 康稔君

同日

 理事和田有一朗君同日理事辞任につき、その補欠として西田薫君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 北朝鮮による拉致問題等に関する件


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     ――――◇―――――

牧委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事和田有一朗君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に西田薫君を指名いたします。

     ――――◇―――――

牧委員長 北朝鮮による拉致問題等に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官平井康夫君、警察庁長官官房審議官石川泰三君、警察庁生活安全局長檜垣重臣君、金融庁総合政策局参事官岡田大君、こども家庭庁長官官房審議官源河真規子君、総務省大臣官房審議官赤阪晋介君、法務省大臣官房審議官堤良行君、法務省大臣官房審議官藤澤裕介君、外務省大臣官房参事官山本文土君、外務省大臣官房参事官柏原裕君、外務省大臣官房参事官田口精一郎君、外務省領事局長岩本桂一君、財務省大臣官房審議官梶川光俊君、文部科学省大臣官房審議官今井裕一君、文部科学省大臣官房文部科学戦略官松坂浩史君、文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官堀野晶三君及び防衛省防衛政策局次長上田幸司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。原口一博君。

原口委員 立憲民主党の原口一博でございます。

 冒頭、家族会の皆様、横田滋さんを始め、大切な家族に会うことなく天に昇られました。哀悼の誠をささげて、拉致議連の創設メンバー、今、副会長をずっとさせていただいていますが、おわびを申し上げて、質疑に入りたいと思います。

 まず、ファクトを聞きますので、これは政府委員で結構です。

 また、林官房長官、岩屋外務大臣、遅れましたが、御就任おめでとうございます。二十代の頃から切磋琢磨して、こういう形で質疑をする、大変光栄なことであります。

 まず、金融庁にお伺いします。

 今日は、お金、人の面でどういうふうにマネージしてきているのか、ちゃんと北朝鮮に対して、対話と圧力と言っていますけれども、本当にグリップができているのか、そこを聞いていきます。

 まず、金融庁に聞きます。

 北朝鮮信用組合に対して、現在、金融庁はどのような認識の下、監督を行っているかということで、これは二次破綻、三次破綻をしたわけですけれども、一兆を超える公的資金を投入し、この回収がどうなっているのか、そして、整理回収機構、RCCが有する朝鮮総連向けの債権の回収状況について、ファクトを伺います。短くお願いします。

西野大臣政務官 いわゆる北朝鮮系信用組合に対する監督の根拠となる法令はほかの信用組合と同様でございますけれども、一方で、委員御指摘のとおり、過去、十五の信用組合が十六回にわたって破綻を繰り返してきました。そういったことを踏まえまして、金融庁において、より厳正な検査監督を行っております。

 具体的には、朝鮮総連に対する新規融資が行われていないかどうか、そしてまた朝鮮総連からの経営の独立が確保されているか、こういったことについて、検査監督を通じて確認しているところでございます。

 そして、二つ目の質問だというふうに思いますけれども、次に、北朝鮮系信用組合の破綻処理をした場合の公的資金の投入実績、そしてまた回収状況についてでございます。

 預金保険機構は、法律に基づきまして、破綻した北朝鮮系信用組合の預金者保護のため、受皿金融機関に対しまして、一兆一千四百四十三億円の金銭贈与を実施しております。これは預金者を保護するためのものでございまして、その後、回収を図っていくという性格のものではございません。

 一方で、預金保険機構から委託を受けた整理回収機構が、破綻した北朝鮮系信用組合の不良債権を二千九億円で買い取っております。これにつきましては、整理回収機構が回収を着実に進めておりまして、昨年九月末の時点で、二千六百七十四億円の回収を行っております。

 そして、最後の質問でございますけれども、RCC、整理回収機構が朝鮮総連に対して債権を持っておりますけれども、その回収状況についてということです。

 朝鮮総連向け債権は約六百二十八億円ございますけれども、これまで六十二億円の債権回収を果たしているところでございます。令和七年三月末時点で、残りの債権は五百六十六億円となっております。

原口委員 政務官、ありがとうございます。

 私は、公的資金投入に大反対をしました。というのは、他の日本の金融機関と違って、当時、朝銀は、全てトップが北朝鮮の人でありました。日本人に替えたといっても、朝鮮総連と一体の組織であるということは否めないと思いますので。今、まだRCCについても一〇%しか回収できていませんね。更なる回収を要請します。

 それから、今度は財務省に聞きます。

 旧統一教会から北朝鮮に対して、一九九〇年代ですが、巨額の資金が渡ったというふうに認識をしています。どんなお金が誰に渡ったんですか、財務省。

梶川政府参考人 御答弁差し上げます。

 御質問の件につきましては、個別の団体に関する事柄でございますので、お答えを差し控えさせていただきます。

原口委員 国会法を読んだことはありますか、憲法を。ここに何のために来ているんですか。

 我が国のお金が、ミサイルやあるいは拉致の原資、もっと言うと、核開発の原資になっているかも分からない、これは国会でもう答弁していますよね、林官房長官。

 個別の団体じゃないでしょう。僕は、一般の団体について聞いているんじゃないですよ。岸田内閣から、これは反社会的なものだといって、解散命令が出ているんじゃないですか。じゃ、今も流れているということですか。

 分かりました。答えないということが分かりましたので、次へ行きたいと思います。とんでもないことだ。

 委員長、後でお計らいください。

牧委員長 はい。

原口委員 これは国会の議事録にもあるんですよ。三千八百億円流れているんです。それを統一教会は平和自動車だと言っているんですよ。

 考えてみてください。その当時の北朝鮮のGDPは一兆円ないんですよ。そこに三千八百億円流れたら、自動車会社に流れたと思いますか。こういうことをやっているから拉致の問題が解決しないんですよ。財務省はよほど反省してほしい。

 さて、今度は人について聞きます。

 今度は逆に、警察庁は、一九八〇年代から、拉致があるということを当時の政治に言っていた。しかし、政治の懈怠で、日本人を守ることができなかった。今も警察庁は頑張っていますよね。

 警察庁の統計によると、令和五年、行方不明者のうち、九歳以下の行方不明者は何と千百十五人、十八歳以下が一万七千人です。これは、行方不明になりましたよと届け出たもので、八五%は帰ってきている。だけれども、一五%は帰ってきていない。

 警察庁、少なくとも九歳未満の子供たちが何人帰ってきたかという統計は、各都道府県警を調べれば分かると思うんだけれども、どうですか。

檜垣政府参考人 お答えいたします。

 令和五年中、全国の警察に対し、生活の本拠を離れ、その行方が明らかでない者として届出がなされました行方不明者のうち、九歳以下は延べ千百十五人となっております。この九歳以下の行方不明者につきまして、都道府県の方に確認しましたところ、本年四月二十一日時点の状況ではございますけれども、千九十三人につきまして所在確認等ができているところでございます。

 なお、警察におきましては、行方不明事案を認知した場合には、犯罪の被害に遭ったり、事故に遭遇している等のおそれが想定されれば、関係機関等にも協力を求め、初期の段階からでき得る限りの捜索、捜査を徹底し、行方不明者の発見に努めているところでございます。

原口委員 官房長官、お聞きになりましたか。二十二人が九歳未満で、分かっていないんですよ。

 アメリカの例は、人身売買あるいは性的な暴力の対象になる。組織が、特に日本人は、こういう言い方をすると、ちょっと言い方があれかも分からないけれども、非常に優秀だ、だから、小さい子供たちを拉致して、そして売り飛ばす、この危険だってあるわけですよ。だけれども、今日の今日までこの数字は出ていなかったんです。

 官房長官、政府として、この子供たちの、これは今も拉致が行われていても分からないんですよ、数字をしっかり捉えませんか。

 それから、性暴力。これは家庭庁に聞きますが、性暴力については、日本の社会はこれに向き合い方が極めて足りないと思いますよ。

 この間、ロスの警察官のゆりさんが都内でチャリティーシンポジウムを行われました。たくさんの被害者、これは女性だけじゃないですよ、男性も。その被害は実父からの、相談所とかは、自分の父親からの被害が多い。あるいは、ジャニー喜多川氏ですか、その被害を受けた方々も来られて、官房長官、意外なほど男性が多かったんですよ。

 それで、よその国は二つピークがあるんですよ。六歳ぐらいのとき、つまり小学校に上がるぐらいに、本当に鬼畜の所業で性的被害を受ける、男性も女性も。それから、もう一つが十二歳ぐらいなんですよ。ところが、日本の統計には六歳ぐらいが出てこないんですよ。ということは、外れている可能性が、つまり、カバーできない可能性がある。

 その方々が口々に言っていたのは、六歳ぐらいで、何か痛かった、不快だった、嫌だった、だけれども、声を出せない、愛する親からだ、あるいは保護者からだということで泣き寝入りをして、是非これは時効をなくしてほしいという声がすごく多かったです。というのは、そのときは分からないから、何をされたかは。あのジャニー喜多川の事件でも分からなかったんです、十三歳とか十四歳で。そして、大人になってから自分を否定し始めるんですよ、自分が悪かったんだと。そして、中には自死をされていく。

 これは日本の国家が真正面から取り組む問題だと思うんですが、官房長官、国務長官として、感想をお伺いします。

林国務大臣 原口委員には本当に若い頃からお世話になっておりまして、こうして御質問にお答えすることを本当にありがたく思っております。

 前段の方でございますが、まず、犯罪の被害に遭う子供を一人でも減らせるように、政府としては、子供の安全確保にまず取り組むとともに、人身取引についても、犯罪対策閣僚会議で、人身取引対策行動計画二〇二二というのを決定しております。これに基づいて、関係省庁一体となって対策を推進してまいりたいと思います。

 後段のお尋ねでございますが、こども家庭庁からもあるいは御答弁があると思いますが、一議員としての感想ということで、六歳といいますと、小学校に上がるぐらいということで、今御質問を聞きながら、自分が六歳のとき、どれぐらい記憶があるかなと思っておりましたが、ほとんど詳細なことを思い出せる状況ではないわけでございます。

 それが、PTSDとでもいうんでしょうか、大人になってからよみがえってくるということ、この間のジャニーズの件でもそういうお話を私も聞いておりますので、これは政府、特にこども家庭庁が中心となって、そういうことがないように、また、そういうことが起こったときにはしっかりと対応していく、このことは非常に大事であるというふうに思っております。

原口委員 前向きの答弁をいただきました。ありがとうございます。

 それから、もう一つ、皆さんのお手元に資料を差し上げています。

 この拉致の問題は、二年前に、APPF、これは中曽根総理が立ち上げられたアジア・太平洋議員フォーラム、それに康隆さん、お孫さんらと一緒に行ってきました。そして、この四十年間のAPPFの歴史の中で二回目、拉致の文言を共同コミュニケに入れることができました。これは、改めて関係者にお礼を申し上げたいと思います。そのときに、外務大臣、官房長官、ロシアも中国も協力してくれたんです、これを入れるのに。それまでは全然入っていなかった。

 そこで、伺いますが、ロシアは敵ですか、外務大臣。

岩屋国務大臣 私も、もう四十年来の原口委員との親交に感謝申し上げたいと思います。

 今、ロシアは敵かというお尋ねですが、我が国は、基本的に敵対国というものを定めているわけではないということでございます。

 ロシアとの関係は、今非常に厳しい関係にありますけれども、それはロシアによるウクライナ侵略に起因をしているわけでございますが、隣国として話をしなければならない課題もございますので、適切に関係は維持していかなければいけないと思っております。

原口委員 ありがとうございます。

 ここに、八十年前、私の佐賀一区、これは遠縁になるんですけれども、真崎勝次さんという代議士の「隠された真相」。彼は海軍少将です。お兄さんの方が有名ですね、陸軍大将の真崎甚三郎。甚三郎氏の息子の秀樹氏は外務省の参与で、昭和の時代に天皇陛下の通訳もされていました。

 こう書いてあるんです。負けるに決まっていた戦争に突入していった、日本は戦争になぜ負けたのかということを私に聞かれる人がありますが、それに対して私はいつも言います、それよりもまず負けるに決まっている戦争になぜ突入してしまったのか。これは八十年前の文章です、戦争が終わった後に。でも、彼は、戦争が終わってからこれを言っているんじゃないんです。戦争中にもずっと言っているんです。

 ここに書いてあるそのままの言葉で言うと、シナと四年間戦争してぼろぼろになっている、近隣とは本当は仲よくしておかなきゃいけなかった、しかし、それにもかかわらず、ドイツとかイタリーというような遠く離れている国と同盟して世界を相手にして戦争をやるというんですから、正気の沙汰とは考えられないんですと。私は、この言葉を友人の二人に送りたいと思います。

 今、トランプ政権はグローバリズムと戦っています。この間も官房長官にお願いしたんですけれども、少しトランプ政権を、何か日本では変な人、わがままな人と言っているけれども、彼らがやっていることは、私の解釈ですよ、グローバリズムと戦う。

 実際に中国との貿易を見てみると、何と、中国にアメリカからの輸出は農産品なんですよ、中国のアメリカへの輸出はハイテク製品です。昔と逆転しているんですよ。発展途上国だった中国が、先進国であるアメリカにハイテク製品を、こういう時代になっている。

 そこで何が起きているかというと、中国がアメリカの土地を買いまくっている。彼らが言うには、製造なくして技術なしです。製造がないところには技術がない。技術がないところには安全保障がないんです。

 だから、昨日、石破首相は、安全保障問題と関税問題は分けて考えるとおっしゃいましたけれども、彼らはそう考えていないですよ。むしろ、安全保障問題だから、これ以上土地を買われない、日本だって、買われまくっているじゃないですか。

 岩屋大臣と、昔、国家主権と国益を守るために行動する議員連盟で国家主権三法を作りましたね。領海法の改正、それから国境離島の振興、そして土地の先買い、あなたと二人でやったはずです、一部が法律になっているけれども。

 どうですか、官房長官。少しトランプ政権に対する見方を変えてみたらどうですか。

林国務大臣 隣に外務大臣がいらっしゃるものですから、隣に行くのかなと思っておりましたが、原口委員の御指名でございました。

 変えるというと、今何かこういう考え方を持っていてそれを変える、こういうことになろうかと思いますが、やはり赤澤大臣が交渉担当としてということでこの間行ってまいりましたけれども、いろいろな接触を通じていろいろな情報を集めながら我々の対応を練る。

 これは別に戦うわけではございませんが、相手を知り己を知れば百戦危うからずという言葉があるとおり、どういう背景の下でこういう状況になっているのかというのは常に分析をしながらやっていかなければならないと思いますので、余りこの政権はこういうものであるということを、一つのステレオタイプといいますか、そういうものを持ってやるということは、必ずしも賢明な策ではない。

 これは、委員との長い間の御交誼を通じて一緒に学んだことではないかなというふうに思って聞いておりました。

原口委員 ありがとうございます。

 あなたは一を聞いて十を知る人だからもう分かっていると思いますけれども、この頃、不思議なことが起きているわけですよ。共産主義の中国が自由貿易を守れと言い、日本だってそうでしょう、共産党の方が自由貿易を、悪いとは言っていないですよ、ルールを壊すとはどういうことかと。

 その自由貿易そのものが、考え直すときに来ているんじゃないですか。自由貿易といって、公正ですか、土地が幾らでもお金に換わるところが本当に公正ですか。むしろ、グローバリズムによって、岩屋さんの大分も私の佐賀も、農業やいろいろなものがやられたんじゃないですか。

 関税自主権という言葉がありますね。明治の政府は、この関税自主権を取り戻すために、つまり国家主権を取り戻すために、大変な、戦争までしたわけですね。関税というのは悪いものだ、自由貿易こそすばらしいものだと。新しい保守は考え方を変えているんですよ。遠くまで行って、グローバル資本で貪るというのはやめようというのが彼らです。

 さて、時間がなくなりましたので、ここにいらっしゃる有田さんや多くの皆さんの御努力で、統一教会はここまで来ました。でも、大変な勇気だったと思いますよ。御本人がおられる前で言うのはあれだけれども、どれだけあれがあったか。

 私が朝銀をこうやって追及したときも、朝銀を国会で追及した人間というのは十一人しかいないんですよ、彼らは僕にこう言いましたよ。三期のときだったけれども、おまえがそんなことをやったって、どうせ自分たちは逮捕されないんだと。現に五人しか逮捕されていないですよ、三次破綻までして。言ったとおりになっただろうと。私は、これで子供たちを佐賀の家に置くことができなくなったんですよ。有田さんも、いろいろな圧力や、ひどい目に遭われてきたと思います。そういう人たちが積み重なったからここにいるんですよ。

 そこで、聞きたいんですが、僕は看過できないことがある。防衛省が、黒海で内緒で軍事演習をやっていた。日報を出してくれと言ったら、出さぬと言う。出してください。

 昨日、かつての陸将補の矢野先生にお話ししたが、日報がないなんということがありますか、あり得ませんと。岩屋さんも御存じのとおり、私は防衛一家です。自衛隊員の人たちはすごく怒っています。それは、命令されれば行きますよ。だけれども、交戦国に、しかも内緒で、五百キロしか離れていないところに行く。

 防衛省、日報を出せますか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねがございました昨年九月に実施されました多国間海上演習、シーブリーズ二〇二四につきまして、機雷除去等を内容としてブルガリアで実施され、海上自衛隊から十名、隊員が参加したものでございます。

 御指摘の訓練への参加の際に、いわゆる日報というもの、御要請がございましたが、海上自衛隊におきましては、海上自衛隊の使用する船舶に備える書類に関する訓令というものに基づきまして、船舶が参加した訓練、これについては、船舶の業務等に関する記録として航泊日誌が作成されますが、今回のように要員のみが参加した場合には、そうした記録は作成されておらず……

牧委員長 端的にお願いします。

上田政府参考人 今回の、お尋ねの日報のような日々の記録というものは作成されておりませんでしたので、委員の求めに応じまして、当該訓練に関する成果に関しては、既に提出させていただいたところでございます。

原口委員 とんでもないですね。何を勝手に決めているんだ。あなた方は、自衛隊員の命を守ろうという気持ちがないだろう。

 岩屋さん、あなたが私の後援会報に優れた文章を残してくれているんですよ、二十代の頃。ここにいる和田君らと一緒に勉強していたときに、よらしむべし、知らしむべからずという態度が一番いかぬと。同じ、僕は自民党の青年局長だった。それを変えるんだというあなたの文章が残っているんですよ。

 今の石破首相は、防衛大臣のときに情報を公開してくれました。それは、アフガニスタンで給油をしている七百回のうち、何回かがイラクに行っていたんですよ。情報、日報を開示したからそれが分かったんです。

 ちょっと努力して、お二人とも防衛大臣経験者でしょう、秘密裏にこんなことをやったら駄目ですよ。こうやって戦争に行って、負けているんですよ。だから、あなたを責めるわけじゃないけれども、こういうところを見逃していたのでは、日本はまた同じことになりますよ。

 お二人、情報開示についての基本姿勢を教えていただけませんか。

牧委員長 時間がありませんので、端的に。

林国務大臣 突然のお尋ねでございますが、情報開示については、なるべく国民の御理解を得られるように、法令に基づいてできる限りの情報開示をする、これが基本姿勢ではないかというふうに考えております。

岩屋国務大臣 林長官と同様でございますけれども、事安全保障に関しては、なかなか、すぐさまには公開できない情報もあるのかなというふうに思っております。

原口委員 もうこれでやめにしますが、今の時間取りの答弁で、かなり時間を浪費しました。

 本当は、北朝鮮に対する、ちょうど制裁措置の法案の僕は提案者です。やり過ぎたところもあるんですよ。人道的なところは少し緩めなきゃいけないところがある。それから、ウクライナ、もうこれ以上金を出すのをやめてください。遠くの同盟より近くの隣人、そのことを申し上げて、お互い頑張りましょう、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、太栄志君。

太委員 太栄志でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 一昨日、横田めぐみさんが拉致されたその現場を見てまいりました。当時通われていた中学校から当時住まわれていた御自宅の方に向かって私も歩いたんですが、本当に閑静な住宅街ですね。ああいった静かな場所で、本当にああいった悲惨な、許し難い、許せない、そういった事件が起きてしまった。

 まさに絶望で天を仰ぎ見ながら、横田めぐみさんが拉致されたのが一九七七年、ちょうど私が生まれた年なんですが、あれから四十八年間ということですね。二〇〇二年に五人の拉致被害者の方が戻ってまいりましたが、それから二十三年間、残念ながら、本当に被害者の一人の奪還もできていない、そういった状況。私も、国会で今三年半となりますが、本当に申し訳なく思いながら、現地に行ってまいりました。

 そういった中、早速質問させていただきたいと思います。

 昨年、石破政権がスタートいたしました。まず、林担当大臣に、拉致問題への石破内閣の基本姿勢ということでお伺いしたいと思います。

 昨年十一月の国民大集会において、石破総理は、もう一度、日朝平壌宣言の原点に立ち返り、二十二年前に思い描きましたそのような思いを、大局観を持っていかに実現をするかということが重要でありますと発言されました。もう一度、日朝平壌宣言の原点に立ち返りとあえて述べられたのは、これまでの政権と何か異なるアプローチがあるのか、そういったことなんでしょうか。拉致問題解決に向けた石破内閣の基本姿勢を教えてください。林大臣、お願いします。

林国務大臣 お答えを申し上げます。

 日朝平壌宣言でございますが、日朝双方の首脳の議論の結果として、日朝関係の今後の在り方を記しました両首脳によって署名された文書でございます。

 石破総理の発言について御指摘がありましたが、この発言は、日朝平壌宣言のそうした意義を強調したものでございます。したがって、我が国の方針としては、日朝平壌宣言に基づきまして、拉致、核、ミサイルという諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を実現するというものであるということは変わりがないということでございます。

太委員 この後ちょっと詳しく述べたいと思っておりますが、今まさに、北朝鮮をめぐる、取り巻く戦略環境というのは大きく変わったというふうに思っております。

 トランプ大統領の誕生、また、北朝鮮もどんどん核開発を進めていく、そしてロシアと北朝鮮も接近していくという中なんですが、林大臣、こういった中でもやはりこれまでどおりの方針でやっていく、そういった認識でよろしいんでしょうかね。そこをちょっと教えてください。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、この問題、一時帰国を果たされた皆様が御帰国してからも、それ以前からあったわけですが、既に二十三年が経過をしておるということでございます。

 そうした中で、先ほど申し上げたような、これは本当に基本的な方針ということでございますが、日朝平壌宣言、これを両首脳が署名しておりますので、これに基づいて、拉致、核、ミサイルという諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を実現する。これは、環境はその都度、この二十三年間だけを取ってみても変わっておりますが、一貫してこうした方針で臨んできたところでございます。

太委員 分かりました。それでは、核、ミサイル、拉致、これをしっかり包括的にやっていく、拉致問題の優先順位が下がったということではないということで理解いたしました。

 そういった中、外務大臣にお伺いしたいと思いますが、石破政権の、拉致問題に対して、少し私としては、ちょっとトーンダウンしているんじゃないかということを危惧しておりまして、といいますのも、前の岸田総理は、自ら直轄で、先頭に立ってということで力強く意気込みを述べられていたんですが、それであらゆる対応策を取られていたと思います。

 そこでお伺いしたいのが、今年の一月、石破総理はインドネシアを訪問されました。インドネシアという国は、もう言うまでもないですね、北朝鮮と国交があります。今、僅か十三か国ですね、平壌に、北朝鮮内に在外公館を持っているという国、そういった本当に貴重な国だと思っておりますが、我が国として、外交をしていく上で。過去には、曽我ひとみさん一家の再会がジャカルタで実現したということもあります。

 そこでお伺いしたいのが、これまで、安倍、菅、岸田、それぞれの内閣で、インドネシアとの首脳会談のたびにしっかりと拉致問題に関する協力を確認してきたはずなんですが、今年一月の首脳会談、ここでちゃんと拉致問題をインドネシアに対して要請していたのかどうか。その点、外務大臣、お答えください。

岩屋国務大臣 まず、石破政権になって拉致問題に対する取組がトーンダウンしているということは当たらないということは申し上げておきたいと思います。総理も、政権の最重要課題だというふうに当初から申し上げているところでございます。

 お尋ねのインドネシアとの首脳会談におきましては、安全保障協力、経済面、地域、国際情勢の幅広い分野において率直な首脳間の議論を行っております。

 拉致問題については、このときの会談では取り扱わなかったんですけれども、これはインドネシアとの間で、昨年十月の外相電話会談を含め、これまでの二国間会談やASEAN関連会合を始めとするマルチの会合を通じて、拉致問題に関する日本の立場をしっかりと説明し、理解と支持を得ているということを踏まえたものでございます。

 今後とも、各国からの支持と協力を得ることが極めて重要でございますので、様々な機会を捉えて働きかけを行ってまいりたいと思います。

太委員 大臣、やはりこれは取り上げていなかったんですよね。是非とも、今後しっかりと、昨日、事務方に聞いたら、時間的な制約もあってできなかったというようなことを言っていましたが、これでは最優先じゃないですよ、全然。そういったことというのはあってはいけないことだと思っておりますので、どうか大臣、しかもこれは首脳会談の中ですので、相当致命的な、意識が相当抜けているんじゃないかと思っておりますので、その点、引き続き御認識をお願いいたします。

 担当大臣、これ以上はないので、よろしいでしょうかね。

 それでは、次に移ります。

 米朝交渉に関して、先ほど言いましたように、もう戦略環境が変わりました。トランプ誕生、そういった中で、米朝の首脳会談というのがいつ起こってもおかしくないんじゃないかということを思っております。

 今、ウクライナで停戦協定が進んでおりますが、これがうまくいかなかったときに、トランプ大統領は、まさに自らのレガシーのために、北朝鮮と既に三回目の首脳会談をやっておりますが、次に動くんじゃないかと思っているんです。

 その点に関して、外務大臣はどういった御認識を持っているのか。その点、まず教えてください。

岩屋国務大臣 米国との間においては、拉致、核、ミサイル問題を含む北朝鮮に対する対応について、平素から緊密に連携をしてきております。

 先般の日米首脳会談におきましても、拉致問題の即時解決について、石破総理から引き続きの理解と協力を求め、トランプ大統領から全面的な支持を得たことは大きな成果だったと思います。私はそこに同席しておりましたので、一部始終を拝見しておりました。

 今後あり得べき米朝間の交渉において拉致問題が米側から提起されるということは、拉致問題の解決に大きく資するもの、寄与するものであるというふうに考えております。

 したがって、今後とも、石破総理とトランプ大統領、また、私とカウンターパートのルビオ国務長官の間を始めとするお互いの信頼、協力関係の下に、拉致、核、ミサイル問題を含む北朝鮮への対応において緊密に連携していきたいと考えております。

太委員 大臣、ありがとうございます。

 私も、今回の米朝首脳会談というのは、これは何とか実現してほしいというふうに思っております、実を言うと。

 その点、一番大事なのは、拉致問題が置き去りにされちゃいけないということだと思っておりまして、これまで二十三年間、一歩も前進はないですね。この現状を何とか打開する。それには、これは安倍総理も相当御尽力されたと思っておりますが、かなわなかった。だからこそ、今回、私は、逆に米朝首脳会談というところをしっかりと、トランプ大統領の突破力を活用するぐらいの発想で我々としては臨んでいくべきじゃないかというふうに思っております。

 ですが、その際に一番大事なのは、先ほど大臣もおっしゃったように、しっかりと我が方の思いというのを伝えていく、日本の立ち位置を、特に拉致問題。それをやっていかなきゃいけませんし、それを二月七日の首脳会談でちゃんとやった、これは私は大きかったと思っておりますが、ですけれども、まだ足りない部分がありまして、トランプ大統領は、今年一月の就任式のときに、同じ日だったと思います、北朝鮮に関して、核保有国だということを言及されました。その後、ヘグセス国防長官も同じような趣旨の、核保有ということで発言していると思うんです。

 では、二月七日の日米首脳会談、大臣も同席されていた会談で、この点に関してはどういった御指摘をされたのか、していないのか、教えてください。

岩屋国務大臣 御指摘のトランプ大統領や米国要人の発言については承知をしておりますが、北朝鮮による核・ミサイル開発は、我が国及び国際社会の平和と安全を脅かすものであって、断じて認められるものではございません。

 そして、お尋ねの二月の日米首脳会談のときには、北朝鮮の完全な非核化に対する確固たるコミットメントを確認しておりますし、私が出席した二月及び今月の日米韓外相会合においても、同様に北朝鮮の完全な非核化に対するコミットメントを確認しているところでございます。

太委員 大臣、その都度、我が方としては北朝鮮の完全な非核化だということでお話をされているというのは分かるんですが、やはりこれはトランプ大統領に言わなきゃいけないと思うんですよね。

 そこが伝わっていなかったというのが本当に私は残念だったと思っておりまして、米朝首脳会談を活用していく上でも、やはりここは、北朝鮮の核保有というのを認めてしまうと、もちろん、どんどん米朝の中でこの核問題が、特にアメリカまで届くICBMに関して、長射程に関してこれを認めてしまうという流れにもなってしまいかねませんし、さらに、そうなってしまうと、拉致問題のつけ入る隙がなくなってしまうんじゃないかというふうに思っています。

 ここは是非とも、大臣、引き続き、これは妥協しちゃいけないところだと思っておりますので、しっかり進めていただきたいということと、やはりその際大事なことは、では、我が方としてどういった東アジアの、核問題を含めた安全保障戦略をしっかりと示していくか。その中でトランプ大統領とも交渉しなきゃいけないと思っています。

 その際、私は、やはり一つ大事なことは、今、トランプ政権も中国に対して大分強硬な布陣にもなっていますし、ウクライナから中国の方に、対中に重点を移していっている。そういった中で、やはりこの北朝鮮の核問題で、我々の意識が、米国と日本が意識がずれてしまうと、中国に対しても、日米の協力体制というのが問題を生じかねないということも含めて、しっかりと、大きな安全保障の戦略の中で是非ともお伝えいただきたいというふうに思っておりますので、その点、どうかよろしくお願いいたします。

 次にお伺いしたいと思います。

 やはり対話と圧力、圧力の部分、この点のグリップが利かなくなっているというのが現状だと思っております。というのも、安保理で、ロシアがウクライナ侵略後、相当、北朝鮮にとって大分有利な状況になっているのが現状だと思っております。

 そういった中、日米韓が主導して、二〇二四年、昨年十月に、十一か国から成る国連制裁の履行を監視する多国間制裁監視チーム、MSMTを立ち上げました。これは十一か国ですね。この目的というのは、まさに情報の共有とか発信とかそういったことだと思っておりますが、これをもっともっとしっかり活用して、我が方としては、北朝鮮に対する制裁逃れを許さないという姿勢を見せるべきだと思っております。

 このMSMT、公開する報告書の内容、時期、更新頻度など、そういったことの見通しを、大臣、持っていらっしゃいますか。どういうふうに我が国として制度設計をしていくのか、その点に関する大臣の御見解をお聞かせください。お願いします。

岩屋国務大臣 委員御指摘のように、これまで安保理決議の実効性を向上させるために重要な役割を果たしておりました専門家パネルが、ロシアの拒否権行使によって、昨年四月に活動を終了しております。

 これを受けて、昨年十月に、今御指摘の日米韓を始めとする同志国によって、多国間制裁監視チーム、MSMTを立ち上げたところでございます。この二月に、ワシントンDCにおいてMSMT運営委員会第一回会合を開催しております。参加国は、国連安保理決議を完全に履行するという共通の決意を再確認し、こうした点に言及した共同声明を発出いたしました。

 今後とも、このMSMTの参加国を含む国際社会と緊密に連携しながら、国連安保理決議の完全な履行を求めていきたいというふうに考えているところでございます。

太委員 是非とも、引き続き、大臣、共同制裁指定、このことも含めて強力に進めていただきたい。大臣のリーダーシップが必要だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、北朝鮮の不正サイバー活動。幾つか通告していましたが、ちょっと省かせていただきます。

 二〇二三年のキャンプ・デービッドの日米韓の首脳共同声明の中で、新しく北朝鮮の不正サイバー活動に関するワーキンググループを立ち上げることになったということで、米国、日本及び韓国は、北朝鮮のサイバーアクターに対する制裁を科すことに取り組むと明記されました。

 では、北朝鮮のサイバーアクターに対して、具体的にどのような制裁措置を今検討しているのか。その点、お願いいたします。

柏原政府参考人 お答えいたします。

 我が国としては、関連する安保理決議に基づく措置に加えた我が国独自の対北朝鮮措置として、今委員から御質問のありました点でございますけれども、ラザルス・グループ等を指定してきております。これは、北朝鮮当局の下部組織とされ、暗号資産関連企業及び取引所等を標的にしているというふうに指摘されているグループでございます。

 また、御指摘の日米韓の外交当局間の会合を始め、北朝鮮のサイバー脅威に関しましては、北朝鮮による暗号資産窃取や北朝鮮IT労働者を含む北朝鮮のサイバー脅威に対する各国の取組、あるいは今後の日米韓協力等について緊密に意見交換を行ってきているところでございます。

太委員 どうもありがとうございます。

 どうか引き続き、外務省としても、外務大臣としても、この不正サイバー活動に対するしっかりとした対策ということを進めていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 さて、時間になってしまいましたが、改めて、この二十三年間何も進展がないということ、これをどう打開していくのか。そういった意味で、まさに今、大切な局面だと思っておりますので、この点、これは与党、野党関係ないことだと思っておりますので、オール・ジャパンで取り組んでやっていく、そういったことで、引き続き、大臣の御尽力をお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

牧委員長 次に、西田薫君。

西田(薫)委員 日本維新の会の西田薫でございます。

 いまだにこの拉致問題は全面解決に至っておりません。私たち日本の政治家として、全ての政治家が反省をし、そして、拉致被害者並びにその御家族の皆さんにおわびを申し上げないといけないというふうに思っております。そういった観点から質問をさせていただきます。

 私は、昨年十月まで大阪府会議員をさせていただいておりました。現在、大阪府内には約千名の地方議員の方がいらっしゃいます。その中で三百三十名の皆さんで、北朝鮮の拉致問題、私たち地方議員でも何かをしていこう、行動を起こしていこう、そういった思いから三百三十名の同志が集まりまして、大阪拉致議連という議連がつくられております。全国最大規模の議連であります。そしてまた、全国唯一の超党派の議員連盟であります。

 私は、その議員連盟の会長をさせていただいておりました。幹事長は、自民党の大阪市会議員さんでありました。副会長には、公明党の府議の方、そして共産党の大阪市議の方、また維新の府会議員、そして維新の市会議員も副会長をやっていただいておりました。

 そういった中、昨年の九月ですが、大阪府議会、そしてまた大阪市会におきまして、万博に関連をしまして、万博の開催中、是非この万博の会場内に拉致問題の啓発ブースを設置をしていただきたいという意見書が全会一致で採択をされました。

 昨年、臨時国会のときにこの拉致問題の委員会が開催されましたが、その大阪府の意見書というのは審議されずに、継続審議になりました。

 そこで、私は、昨年度の一月です、もう万博が開幕が迫っているという中で、政府に対しまして質問主意書を提出させていただきました。

 内容としましては、万博会場に拉致問題啓発ブースを設置いただきたい、この大阪市会、大阪府議会の意見書の内容であります。そして、それがかなわないのであれば、万博というのは八月一日から十二日までが人権と平和デーというテーマウィークにもなっている、その期間中だけでもそういったブースが設置できないか、あわせて、万博に向けて海外から多くの外国人の方も来阪される、来日される、そういった中で、大阪の主要駅、主要ターミナルにポスターの掲示等々、拉致問題に関する掲示をしていただけないかという政府に対する質問書を提出させていただきました。

 すると、その二週間後です、政府の方から答弁書、回答書というのはいただいたんですが、非常に残念な回答書でありました。その三つの質問に対して、一つ、三行にまとめたような形で答弁が出たわけであります。

 しかし、それから拉致対策本部の皆さんと協議を重ねる中で、今回、大阪の主要駅であったり大阪のターミナル駅、そこで拉致問題の啓発のポスターであったりデジタルサイネージ、こういったことをやっていきますということも報告をいただきました。

 そして、現に、拉致対のホームページにももう掲載されているかと思うんですが、まずは、今回、万博に合わせて大阪の主要ターミナルに、啓発活動をしていただいております。その経緯と内容について、簡単で結構です、簡潔に御答弁いただければと思います。

平井政府参考人 拉致問題の解決のためには、我が国自身の主体的な取組に加えて、国際社会との連携が重要であります。

 そのような観点から、国際広報としては、これまでパンフレットの多言語化、外国紙への広告記事の掲載、海外向け番組の制作、放送などを行ってきております。

 今般、大阪・関西万博期間中の拉致問題の広報につきましては、大阪府議会、大阪市会の意見書や議員からの質問主意書での御指摘も踏まえつつ、何が最も効果的かという観点から検討を進めてきておりましたが、今般、万博会場周辺の鉄道駅や空港において、英語版のポスターの掲示やデジタルサイネージでの啓発動画の放映、そして外国人向け観光情報窓口での広報資料の配架を実施することといたしました。

西田(薫)委員 今回、そういった取組をしていただいたということに関しましては感謝を申し上げます。

 そこで、大臣、この大阪市会、大阪府会の意見書にも記載をされているんですが、万博会場内で啓発ブース、ここを設置いただきたいというのが意見書のそもそもの内容でありましたし、私も、やはり万博の会場の中で拉致問題の啓発ブースを置くということが、我が国政府も真剣に取り組んでいるという内外に対するアピールになるんじゃないかなというふうに思うんですね。

 そこで、私は、万博会場内、私の政府に対する質問主意書にも記載させていただいていたんですが、せめて八月一日から十二日、これは人権と平和のテーマウィークとなっておりますし、せめてその期間だけでもそういった啓発活動をしていただきたいというふうに思っております。

 是非大臣から、所管の経産大臣若しくは万博協会に対しても強く働きかけていただきたいというふうに思っておりますが、大臣の御所見をお伺いします。

林国務大臣 委員が出されましたこの質問主意書の二のところに、八月一日から十二日までは、平和と人権のテーマウィークと位置づけられている、常設がかなわなければ、この期間中だけでも、こういうふうに書かれているということを今拝見をしておるところでございます。

 まさに今事務方からありましたように、委員が中心となっていろいろな御要望をされたことを踏まえまして、ポスターの掲示、デジタルサイネージということで、いろいろな広報をやることにさせていただいたところでございます。

 広報というのは、やはり必要となる費用とか効果、これを勘案しなければならないということで、会場内ではなくて、会場周辺の駅、空港での広報を行うということにしたところでございます。

 引き続き、何が最も効果的かという観点から拉致問題に関する啓発の取組を推進していく考えでございまして、今日、委員がこうやって御質問されたということも踏まえながら、引き続き検討していきたいというふうに思っております。

西田(薫)委員 御答弁ありがとうございます。

 具体的にやっていきますというような御答弁ではなかったと思うんですが、是非これは検討いただきたいなというふうに思っております。

 ちょうど四月の十五日の産経新聞に記載されていたんですけれども、イギリス政府は、十五日、二〇二五年大阪・関西万博に出展する同国パビリオンで、ロシアの侵略を受けるウクライナの支援を呼びかけるフォーラムを開催したと新聞で掲載されておりました。

 なかなか万博会場に政治的なメッセージをというのは抵抗があるということも、部局の方も、言われる方はいらっしゃいました。しかし、イギリス館において、こういったフォーラムを開催されているんですよね。この新聞にも記載されているとおり、国際問題の解決につながる場として活用する動きが加速しそうだ、これはあくまでも新聞社、記者の話ではあります。イギリスの担当者の方も、万博を通じ、世界に私たちのメッセージを伝えたいというふうにも言われておりますし、万博は、各国が重視するメッセージを伝え、広げるプラットフォームになるというふうに説明したというふうにも書かれております。

 是非絶好の機会だと捉えて、もちろん、万博会場に入られる方、その周辺の大阪の主要ターミナルに通行される方であれば、その主要ターミナルに通行される方の方が多いかもしれませんが、やはり万博の会場の中でやるというのが我が国政府のしっかりとしたメッセージにつながるんじゃないかなというふうに思っております。まだ時間はありますので、万博も始まったばかりです、残り百七十日ありますので、是非御検討いただきたいということを強くお願いを申し上げます。

 次の質問なんですが、少し順番を変えさせていただきます。

 次は、ブルーリボン訴訟について質問させていただきたいと思います。

 四月の十日です、いわゆるブルーリボン訴訟の最高裁判決が出ました。このブルーリボン訴訟の話を私が詳しく説明してしまうと時間がなかなかありませんので、簡単に説明させていただきたいとは思うんですが、ある裁判の法廷において、ブルーリボンをつけている方々がその裁判所に裁判を傍聴しようとしたところ、裁判官から、ブルーリボンを外せ、メッセージ性のあるバッジだから外せということを言われた。

 実際、その外せと言われた人の中には自民党の市会議員さんもいらっしゃったという中で、そういった皆さんが、これはおかしい、歴代の内閣そして総理大臣も、拉致問題というのは我が国の最重要課題だとずっと歴代言われておりますし、これは単なるメッセージ性のあるバッジではないということから、今度は、そういった皆さんが裁判所に対して、バッジを外させるというのは不当だということで国を提訴したというのがブルーリボン訴訟なわけですよね。その結果が四月十日に出まして、残念ながら、原告側が敗訴をしたということなんです。

 私は、非常にこの裁判結果というのは残念に思っておりますし、多くの皆さんが、やはりブルーリボンをつけている皆さんは、単なるメッセージ性のバッジじゃないという下で、何とかこれを解決したいという思いでこのバッジもつけていると思うんですよね。

 今回の最高裁の判決というのは非常に私自身残念に思っているんですが、その裁判結果を受けて、大臣の御所見をお伺いしたいと思っております。

林国務大臣 今委員から御紹介いただきましたこの判決については承知をしておりますが、これは裁判所の判断でございますので、政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。

 その上で申し上げますと、拉致問題の解決は、日本国民が心を一つにして全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現への強い意思を示すことが重要であり、ブルーリボンは、拉致被害者の救出を求める国民運動のシンボルでございます。私自身も着用しておるところでございます。

 引き続き、国民の皆様から拉致問題に関するより一層の理解と支援を得るために、様々な形で取組を進めてまいりたいと思っております。

西田(薫)委員 今大臣から御答弁をいただきましたが、少し答弁を差し控えるという御答弁もありましたが、これはもう裁判は終わっているわけですからね。ただ、国を相手に訴えた裁判ということですから、なかなか大臣も御答弁しづらいのかなというふうには思うんですが。

 ただ、私は、今回の判決というのは、その前段として、バッジをつけ合うというのが一つ争い事になっていた。そういったことから、このバッジはつけるべきじゃないというような判決であろうというふうには認識しているんですね。

 決してブルーリボンの意義であったりとかブルーリボンの思いを否定しているというのが裁判の結果、最高裁の判決じゃないというふうに思っているんですが、よければ、大臣、同じ思いかどうか、御答弁いただきたいと思います。

林国務大臣 本訴訟は、個別の事案における大阪地方裁判所の法廷警察権の行使について争われたものでございます。

 判決自体について、先ほど申し上げたように、政府としてコメントすることは適当ではないというふうに思っておりますが、私自身のお話として先ほど申し上げましたように、これはこの運動のための大事なシンボルでございますので、その思いはいささかも揺るぎのないところでございます。

西田(薫)委員 ありがとうございます。

 私も原告団の皆さんとお話をさせていただきました。実際、私はその裁判も傍聴に行っているんですよね。

 原告団の皆さんは、和解案を提示をしていた。国が勝っても負けても誤ったメッセージを北朝鮮に発信してしまう、であれば、最終的な判決を得るまでもなく、和解ということも原告団の皆さんは考えていた。ところが、和解には至らなかった、最終的に判決になってしまった。そこも私は非常に残念じゃないかなというふうに思うんですね。

 ブルーリボンに関することは、国が負けてしまってもやはり大きなダメージがあるでしょうし、一方で、原告団が負けてしまうというのも、ブルーリボン自体を否定されるような話になるということですから、本来、和解で終わるべきだったというふうに思うんですが、これは済んだ話であります。

 担当大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

藤澤政府参考人 お答えいたします。

 一審原告の方々から和解の申入れがあったということは承知しております。

 お尋ねの事項につきましては、個別の訴訟における国内部の訴訟方針の検討状況に関わるものでございますので、お答えを差し控えさせていただきます。

西田(薫)委員 これはもう済んだ話ですので、今更言っても仕方がない話なんですけれども、やはりこういった問題というのは本当に大切だと思うんですよね。

 やはり今回の裁判というのは、裁判所が裁判官を守るような裁判だったんじゃないかなというふうに思っておりますが、決して今回の裁判の結果がブルーリボン自体を否定されているものではないというふうに思っておりますし、今そういった活動をされている皆さんも、決してそうじゃないんだ、ブルーリボンを否定されているものじゃないんだということをもう一度再認識しながら皆さんも活動されていますので、今後、こういう裁判はもうないかとは思うんですけれども、しっかりと御対応いただきたいというふうに思っております。

 やはり国を挙げて拉致問題を何とか解決していかなきゃならないという思いを裁判所は持っていただきたいですし、法務省の皆さんもしっかりそこの認識を持っていただきたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 次は、舞台劇「めぐみへの誓い」の実施状況、この事業についてお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。

 この「めぐみへの誓い」は、私は四回ほど見に行っております。毎回涙が止まりませんし、何かむなしい気持ちといいますか、本当に悔しい気持ちをいつも感じているわけなんですね。

 今年は堺市でも開催されました。三階席まで満席になっておりまして、その光景を見るだけで私は涙が止まらなかったんですね。

 堺市長というのは、永藤市長も非常に拉致問題というのは強い関心を持っていただいておりまして、いつも胸にブルーリボンをつけている大阪府内の市長の一人でもあるんです。

 ただ、ほかにも、この舞台劇をうちの自治体でもしたいという希望を言っておられる首長さんは結構いらっしゃろうかと思うんです。

 そこで、今年度もこの事業はされるかと思うんですが、何か所ぐらいの自治体が希望されて、そして、今年は何か所ぐらいを予定されているのか、御答弁願います。

平井政府参考人 政府では、日頃から地方公共団体と連携しながら拉致問題の啓発活動に取り組んでおりまして、令和七年度の拉致問題啓発舞台劇公演につきましては、各地方公共団体の希望する開催日程や、特定の地域に開催が集中しないよう、地理的なバランスを考慮し、調整を行った結果、八か所で実施をする予定としております。

西田(薫)委員 八か所ですね。

 これは、もっともっと希望に沿うような形で、希望があったところは全て実施するというふうにはしていただきたいんですよね。

 ただ、予算ももちろん関係があるでしょうし、出演されるキャストの皆さんのスケジュールというのも考えないといけないということなんですが、ここは、大臣、希望する自治体全てにおいてこの舞台劇を実施していただきたい。そのためには、やはり財源というか予算も必要でありますので、是非担当大臣から財務大臣に対しても、こういった予算はしっかりつけてもらうというような要望をしていただきたいというふうに思っておりますが、大臣の御所見をお願いします。

林国務大臣 まさに委員から御指摘があったように、国民が心を一つにして拉致問題の解決のために強い意思を示す、これは非常に大事なことでございますので、こうした認識の下で、拉致問題に関する啓発活動、こういうことを行っておるわけでございます。

 そうした中で、大変厳しい財政事情の中ですが、令和七年度予算についても増額を認めていただいておるところでございます。しっかりと予算を確保して、この大事な広報啓発活動を更にできるように頑張ってまいりたいと思っております。

西田(薫)委員 これは、例えば今年度、三十か所、四十か所の希望の自治体があれば、それ全てに応じるというぐらいの思いを持っていただきたいと思うんですよ。

 本当にもう時間がないんですよ。来年度もこれぐらいの多くの自治体が、要望を受けるかもしれないから、今年は少し縮小しておくかという考えはないとは思うんですけれども、もう本当に時間がないので、今できることを本当にやっていただきたいなというふうに思っておりますので、是非よろしくお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 間もなく時間ということですよね。

 もう一点、アニメ「めぐみ」の視聴状況について、これは通告はさせていただいておりましたが、時間がありませんので、今日は割愛させていただきます。文科省の方も来ていただいているかと思うんです、済みません。

 ただ、これは私は文部科学委員会で質問させていただきました、所属は外務委員会なんですが。そこで質問させていただいて、大阪府というのは、府立学校、全ての生徒、学校に、アニメ「めぐみ」を全員が視聴しているということをやっておりますので、これを是非全国に広げていただきたい。

 これは是非また大臣から文科大臣に対しても、アニメ「めぐみ」の活用をしっかりやってほしいということをお願いをしていただきたいということを申し上げて、私の質問を終了とさせていただきます。

牧委員長 次に、向山好一君。

向山(好)委員 国民民主党の向山好一でございます。

 時間がないので、早速質問させていただきます。

 私の選挙区は神戸市です。拉致認定被害者十七名のうちで、有本恵子さん、そして田中実さん、このお二人が神戸市在住ということです。特に、有本恵子さんは私の以前の選挙区の中に住んでおられまして、お父さんの明弘さん、そしてお母さんの嘉代子さんとは何度もお会いし、行動を共にして、そして、御自宅にもお邪魔して、恵子さんの思い出話とか、あるいは政府に対する憤りとか、そういうものを数度お聞きしてきました。しかし、残念ながら、嘉代子さんは令和二年の二月にお亡くなりになり、そして、今年の二月には明弘さんまでお亡くなりになられました。まさに断腸の極みでございます。

 その明弘さんが、奥さんの嘉代子さんが亡くなられたときに、記者に答えて、会見をされました。そのときの言葉が私には忘れられなく、脳裏に残っております。涙は出るけれども、言葉が出ないと。母親として娘を、一生懸命やったけれども、助けることができなかった無念さ、それをおもんぱかった言葉だというふうに思います。

 恵子さんが北朝鮮に拉致されたのが昭和五十八年、四十二年間の長きにわたり、どのような思いで御家族は過ごしてこられたんでしょうか。同じように娘を持つ親として、本当に心が張り裂けて、私も言葉が出ない、こんな気持ちでございます。

 歴代総理は、全ての拉致被害者の一日も早い帰国に向けて総力を挙げて取り組む、これは決まり文句のようにおっしゃっておられますけれども、平成十四年の五名帰国から二十三年間、事態は全く変わっておりません。それだけではなくて、拉致被害者に関する新たな情報というのも全く我々には伝わってきておりません。

 有本明弘さんに成り代わって質問させていただきたいと思います。

 政府は、今どのような取組をされているのでしょうか。あるいは、これからどのような外交努力で一日も早い解決というのを目指されようとしているのか、改めてお伺いしたいと思います。

林国務大臣 拉致被害者、そしてその御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題、これはひとときもゆるがせにできない人道問題であるとともに、その本質は国家主権の侵害であります。あくまで我が国として解決すべき政権の最重要課題であるということでございます。

 有本明弘さんには、私もこの仕事を担当してから特に、何度もお目にかかって、お話を聞いてまいりました。気骨のある方で、時々活を入れてもらったわけでございます。その御存命の間に恵子さんの御帰国を実現できなかったというのは、本当に委員がおっしゃったように、断腸の思いでございます。

 まさに我が国自身の措置を含む北朝鮮への対応について、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向けて何が最も効果的かという観点から常に検討を続けてきているところでございます。全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するために、北朝鮮との諸課題を解決するため、総力を挙げて、最も有効な手だて、これを講じてまいりたいと思っております。

向山(好)委員 有効な手だてを講じてまいりたいということの中身が全く伝わってこないんですよね。

 政治というのは、やはり結果じゃないですか。結果を伴うようなプロセスというか、答弁というか、そういうものを私たちは求めているし、一番求めているのは国民じゃないかというふうに思うんですね。是非ともそういったものをもう少し明らかにしていただきながら、共に取り組んでいけたらなというふうに思っております。外交問題なので、機微に触れる部分はなかなか言い出しにくいのはよく分かりますけれども、少しずつでも、少し私たちにも伝えていただきたいと思います。

 それで、もう一つ、今、明弘さんがお亡くなりになられた状況の中で、帰国がまだかなっておられない十二名のその御両親、存命な方というのは横田めぐみさんのお母さん、横田早紀江さんただ一人となりました。しかし、早紀江さんも、今八十九歳になられております。

 私の母親早紀江が健在なうちに拉致された被害者本人と再会が果たせないことになれば、私たちは日本政府に対してこれまで以上の北朝鮮への独自制裁強化を具体的に求めます、この言葉は、今、家族会の代表をされておられる横田拓也さんが、一年前にこの拉致特の委員会で述べられた言葉なんですね。

 有本さんの無念さに応えるためにも、そういった家族の皆さんの思いというのを政府も受け止めるべきだというふうに思います。今、原口委員から、ちょっと制裁をやり過ぎたんじゃないかというような話もありましたけれども、是非ともこの拓也さんのお言葉を受けて、独自制裁強化、こういったことは政府はどのように、メニューを持っておられるのか、あるいは、それ以外でもやるべきことというのはいろいろありますから、全てをやるべきじゃないかというふうに思いますけれども、先ほどおっしゃった答弁の中での取組のもう少し具体的な中身、そういうことについてお答えください。

林国務大臣 この横田拓也さんの御発言は、私も直接、官邸にお見えになったとき等を通じてお聞きをしておるところでございまして、今年の二月に家族会、救う会の今後の運動方針というのが決定をされておりますが、これにも反映されているということでございます。

 被害者の即時帰国に向けた御家族や救う会の方々の強い思いの表れということで、大変真摯に受け止めているところでございます。その発言をされるときの拓也さんの表情も、本当にぎりぎりの苦渋というのがにじんでおるような表情でおっしゃっておられて、その思いも含めて受け止めさせていただいているところでございます。

 政府として、我が国自身の措置、これを含む北朝鮮への対応につきまして、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向けて何が最も効果的かという観点から不断に検討してきておりまして、石破総理の強い決意の下で、総力を挙げて、最も有効な手だてを講じてまいります。

向山(好)委員 結局、最も有効な手だてを講じてまいりますという同じ答弁の繰り返しなんですけれども。

 今御紹介しました家族会の方々は、毎年、大会をやって、運動方針というのを決めていらっしゃるんですね。その運動方針も、ここに及んだら、やはり方針も変えなきゃいけない。要するに、制裁強化だけではらちが明かないので、拉致被害者が帰国できることになるのが前提で、制裁というのもいろいろ緩めていくという手段もあるんじゃないかというような方針に変えているんですね。要するに、いろいろ変化球も投げながら、北朝鮮の動きというのを我々は促していくべきじゃないかというようなお気持ちだというふうに思うんですね。

 最終的にこの拉致問題の解決は、石破総理と金正恩の首脳会談の実現以外にはございません。それ以外ではちょっと方法は見出せないんですけれども、それに向けて、やはり政府もいろいろなメッセージというのを、国会答弁とかあるいは政府の広報とかでやっていかないと、全く物事が進まないというふうに思うんです。

 そういったことというのは政府としてあり得る話なのか、そういうことも考えていらっしゃるのか、その辺りというのは政府の中でどうなっているんでしょうかね。一回御答弁願います。

林国務大臣 先ほど申し上げたとおり、何が最も効果的か、この観点から不断に検討してきておると申し上げましたけれども、当然、様々なルートを通じて先方とのコミュニケーションを図っているということは常々申し上げてきたところでございます。

 委員御自身がお触れになっていただいたように、外交関係があるわけではございませんが、相手がある話であり、皆様御承知のとおり、いろいろなこちらの動きをつぶさに向こうは見ておるという認識を持って当たらなければなりませんので、なかなかもどかしく感じられているということは私も重々承知でございますが、この問題を解決していかなければならないという一心で取り組んでおるということだけは申し上げておきたいと思います。

向山(好)委員 それでしたら、しっかり御期待申し上げながら、次の質問をさせていただきたいと思います。

 今申しましたように、神戸在住では、田中実さんも神戸市の住民でございます。近年になって、当時、北朝鮮から田中実さんと金田龍光さんの生存が知らされ、北朝鮮から、返してもいいよというような旨の提案があったにもかかわらず、日本政府はこれを断ったということが明白になっております。

 この件は何度も国会で質疑が行われておりまして、国家間の交渉とはいえ、お二人を十年以上も放置している政府の責任というのは非常に重いんじゃないかというふうに思います。お二人は既に七十歳の半ばを迎えておりまして、もしもこの間に命が途絶えてしまったら誰が責任を取るのか、こういったことにも発展するんじゃないかというふうに思います。

 北朝鮮政府に被害者の一括帰国を求めるのは当然、当たり前ですけれども、それでも、被害者が高齢を迎えている、あるいは命がいつまであるか分からない、そういう状況の中で、取り戻せるところから取り戻すべきというような御意見もございます。

 改めてこの二人の帰国というのを求めていくべきじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

岩屋国務大臣 今お話のあった田中さんや金田さんを含む北朝鮮による拉致被害者や拉致の可能性を排除できないという方々については、平素から情報収集に努めておりますが、今後の対応に支障を来すおそれもありますので、その具体的内容の一つ一つについてお答えすることは差し控えてきているところでございます。

 政府としては、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、全力で取り組んでまいりたいと存じます。

向山(好)委員 具体的な取組内容はなかなか言えないというのはある程度理解いたします。

 認定の有無にかかわらずという大臣の御答弁がございましたけれども、しかし、認定されて、ホームページに載って、そして全国のいろいろな広報誌にお名前が載るかどうかというのは、やはり大きな違いがございます。そして、この認定にはいろいろな基準というのがございまして、それに合致するかどうかという判断基準もあろうかと思います。

 そこで、ちょっとお聞きしたいんですけれども、金田龍光さんは、もう既に北朝鮮に住んでいらっしゃるということは明らかです。御本人の意思かどうかというのは確定しているわけではございませんけれども、北朝鮮にいるということでございまして、日本国籍じゃないんですね。ですから、政府認定の被害者というのは対象にはなりませんけれども、それならば、同じ事情の高敬美さん、あるいは剛さん、小さなお姉さんと弟さんが同じように北朝鮮に拉致されております。そして、警察庁はその方々を認定被害者だというふうに指定しておりますけれども、この金田龍光さんも同じ状況じゃないかというふうに思います。

 なぜこのような違いが今できているのか、その理由と、そして、今後はどうすべきだというふうに思っていらっしゃるか、その辺りをお答えください。

石川政府参考人 お答えいたします。

 警察といたしましては、北朝鮮による拉致とは、国内外におきまして本人の意思に反して北朝鮮当局により行われた、主として国外移送目的拐取、その他の刑法上の略取及び誘拐に相当する行為というふうに考えているところでございまして、これまで関係警察における地道な捜査、調査を通じて積み上げてまいりました客観的な証拠や関連情報を総合的に判断をした上で、先ほど委員からお話がございましたけれども、高敬美さん、高剛さんのお二人を含めまして、十三件十九名の方々について、北朝鮮による拉致容疑事案というふうに判断をしているところでございます。

 一方、金田龍光さんの事案につきましては、これは北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案といたしまして、これまで拉致の可能性も含め、事件や事故など、あらゆる可能性を念頭に所要の捜査、調査を継続しているところでございますけれども、これまでのところ、警察として、北朝鮮による拉致容疑事案と判断するまでの証拠などを得るには至っていないものでございます。

 引き続き、全容解明に向けまして、関係機関とも緊密に連携を図りつつ、捜査、調査を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

向山(好)委員 もう時間が過ぎましたので質問はやめますけれども、今の本人の意思に反してというのは、本人に確認するしかないじゃないですか。だから、いろいろな状況の中で、本当に本人の意思に反してということも十分あるわけですから、もっと踏み込んでやはりそういったことに取り組んでいただきたいし、最重要課題というふうにおっしゃるんですから、しっかりと、私は、やはりもっと国民に対してメッセージを発信するべきだというふうに思います。

 そのことを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

牧委員長 次に、上村英明君。

上村委員 では、れいわ新選組を代表して、上村英明です。よろしくお願いします。

 まず、拉致問題の解決の道筋を一度確認したいんですけれども、何度もおっしゃっていますが、日朝平壌宣言の重要性、そして、日朝国交正常化という重要課題の道筋の中でこうした問題を解決したいということは、何回も確認されているというふうに思います。

 他方、今日の質問なんですけれども、二〇一〇年四月に高校授業料の無償化、それから就学支援金制度がありまして、今年の四月から就学支援金の拡充政策も始まっています。

 そういう中で、日本は教育予算が外国に比べても少ないということがあったので、大変期待をされたこの制度なんですけれども、この制度は、国内の外国人学校やインターナショナルスクールも対象としている点が高く評価されておりました。

 ところが、こうした中で、全国の朝鮮学校が対象から外されたのですが、これはどういう背景だったかといいますと、二〇一二年の十二月に、安倍政権の下で、当時の文部科学大臣が、拉致問題の進展がないことから、指定には国民の理解が得られないという記者会見をされ、朝鮮学校を排除するということを前提にした省令改正が二〇一三年二月に行われたというふうに理解しております。

 別の委員会でも構わないんですけれども、文部科学省の担当者に拉致問題の委員会でこの辺の背景を聞くことは大変重要だと思いますので、この公式な理由を一度お伺いしたいと思います。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の高等学校等就学支援金制度におきましては、法令上、支給対象である学校に通う生徒が日本国内に在住していれば、国籍を問わずに支援対象となりますが、朝鮮学校につきましては、法令に基づいて定められた審査基準に適合すると認めるに至らなかったため、高等学校等就学支援金制度の対象に指定されていないところでございます。

上村委員 ありがとうございます。

 そういうふうな公式見解が返ってくるんですけれども、これはそういうふうな基準に改正されたというふうに理解しておりまして、ある意味では、政策というのは、どういうふうに自分たちがつくったかと同時に、それがどう見られているか。先ほど林官房長官の方からも、常に我々は見られているというお話がありましたように、自分がどうかと同時に、どう見られているかという中で、特に、この問題を扱うこの委員会のような、外交に関わる問題というのは重要かなと思います。

 この点、朝鮮学校の無償化政策からの排除は、誰であれ、先ほど言ったように、元々は大変よい政策として始めようという政府の意気込みがあったんですけれども、残念ながら、特定の政治的理由を背景に朝鮮学校の子供たちを排除したというふうなことの理解が広がっているという状況であります。

 これは、子どもの権利条約という国際的な人権条約の問題、あるいは、もう皆さんに私からここで言うまでもないんですけれども、日本の社会では、子供は社会の宝というのは誰でもおっしゃる普遍的な価値観だと思います。多分、子供はどうなってもいいよなんということを政治家が言おうものなら、それはもう政治家として失格と言われるぐらいの、子供たちの重要性というものを考えたときに、こうした排除が日本の中で行われたということをどうお考えなのかというのを、ある意味では、今日考えていただきたいと思います。

 先ほどから出ておりますけれども、私も仕事の都合上、川崎に住んでいたものですから、横田さんとはいろいろな機会があったんですけれども、拉致被害者家族連絡会の代表を務められ、残念ですけれども二〇二〇年に亡くなられた横田滋さんは、「めぐみへの遺言」という本の中で、拉致を理由に朝鮮学校に補助金を出さないのは筋違いだと思います、単なる嫌がらせですというふうに書かれています。

 拉致と教育は別問題とする、こうした意見というのは、ある意味で広がっていると思うんですけれども、林官房長官に、こうした意見についてどういうふうにお考えかというのをお伺いしたいと思います。

林国務大臣 経緯については、先ほど文科省から答弁があったとおりでございます。

 そして、令和元年でございますが、五月二十一日の参議院の文教科学委員会におきまして、朝鮮学校を高等学校等就学支援金制度における支給対象としなかったことにつきまして、当時の柴山文部科学大臣が、生徒の国籍や政治、外交上の理由から制度の対象外とするものではない、こういうふうに答弁をしております。

 文科省において、この高等学校等就学支援金制度については引き続き適切に運用していくもの、そういうふうに考えております。

上村委員 では、もう一点、外務大臣も今日いらしていますので。

 この問題は、二〇一三年四月に国連の社会権規約委員会の審議で取り上げられました。五月にこの委員会の総括所見がまとめられたんですけれども、その第二十七段落の中で、こうした排除というものに対して国際社会は懸念するという言及をいただいております。人権条約は政府の管轄が及ぶ空間に住む全ての対象者に適用されるということになっていますので、当然、こうした適用が非難されるというのは、国際社会の常識からいうと当然かなというふうに思います。

 先ほどからお話ししましたように、政府は、国際協力の必要性はおっしゃっております。そして、一番最初の段階で確認したように、将来的にも、北朝鮮との交渉の中でこの問題を解決するというのも、皆さんの合意のところだと思います。そういう意味でいけば、こうした国内的な問題が、国際的な交渉をしていく上でマイナスになるというふうには外務大臣はお考えにならないでしょうかということをお伺いしたいと思います。

 残念ながら、国際社会においては、多数を占めるグローバルサウスの国々がございます、そうした国々は、ある意味では植民地問題にとても敏感であるということも事実だと思います。その意味でいけば、どういう具体的問題があるかの背景の中で、日本が旧宗主国であり、北朝鮮との間にもそうした関係が成り立つということも頭の中に入れながら交渉を進めていくということがなければ、こうした国際的協力を広く取り込むということは難しいのではないかなと思います。

 四月四日に石破総理と能動的サイバー防御のことでお話をした際に、総理がおっしゃられたんですけれども、体制が違っても話合いができないということはないというふうにおっしゃいました。その意味では、同盟国、同志国だけではなくて、やはり話合いで物を進めたいということを総理もおっしゃっていただいたというふうに思っています。

 そうした話合いで物を進めたいと思ったときに、国内でどうかはともかく、こういうふうに見られている政策が進んでいるということに対して、どういうふうにお考えかということをお伺いしたいと思います。岩屋外務大臣、もしよろしければ林官房長官も、よろしくお願いします。

岩屋国務大臣 本件については、先ほど文科省からもお答えしたとおりに、決して政治的、外交的な理由によって判断されたものではないということでございます。

 法令に基づく学校の適正な運営という審査基準に適合すると認められなかったということを理由としているものでございますので、委員御指摘のように、この問題の解決は、もちろん我が国が主体的に行うべきことではあるものの、国際社会の理解と協力というのは不可欠だと思いますので、そういう御指摘に対しては、今言ったような説明も丁寧に尽くして、国際社会の理解と協力を得ていくことが重要だと考えております。

 私も、全てのバイの会談では必ず拉致問題を取り上げて、理解と協力をお願いしておりますけれども、これからも丁寧に我が国の立場というものを説明してまいりたいと考えております。

林国務大臣 私の好きな言葉に、愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶという言葉がございます。

 我々がどう見られているか、先ほどの文脈はちょっと違った文脈でございましたけれども、一般的に、我々がやっていることがどう見られているのかというのは常に意識すべきだということは当然のことでございまして、今、外務大臣がおっしゃっていただきましたように、しっかりと真意が伝わるように説明をし、理解を得る、この努力は常に怠ってはならない、そういうふうに思っております。

上村委員 また別の機会があればお話をしたいと思います。

 今日は、どうもありがとうございました。

牧委員長 次に、石橋林太郎君。

石橋委員 自由民主党の石橋林太郎です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、委員長、また理事の先生方、委員の皆様、本当にありがとうございます。

 私も、実は最初の質問で、先ほど維新の西田先生が御質問されましたけれども、ブルーリボン訴訟のことをお伺いしようというふうに思っておりました。私も、衆議院に来る前は広島で県議会議員をさせていただいておりまして、その折から、拉致問題にも関心を持ってといいますか、解決を望んで取り組んできた一人であります。

 ただ、ブルーリボン訴訟につきましては、先ほど西田先生から概要の御説明がありましたので、最初の質問はちょっと飛ばさせていただきたいと思います。

 そして、二問目なんですけれども、実は、私も先ほどの西田先生と全く同じ懸念を持っておりました。といいますのは、理由は別としても、結果として、法廷の場においてブルーリボンの着用が否定されたというふうに取られかねないということであります。それが外形的に見たときにどのようなメッセージを国民の皆さんに、また北朝鮮に対しても与えてしまうかということに対する懸念を持っていました。分かりやすく言いますと、要は、我が国の政府として、裁判所も国の一機関でありますので、我が国として、拉致問題の解決にしっかり取り組んでいないんじゃないかというようなメッセージが送られてしまうようなことを危惧しておりました。

 この件も御質問しようと、そのことに対して政府の見解をお伺いしようと思いましたけれども、これも先ほど林官房長官から、個別のことなので具体のコメントは差し控えるけれども、林官房長官個人としては、当然、拉致問題の解決は目指していくものであるし、ブルーリボンをつけることの意味も変わるものではない、拉致問題の解決を願う私たちがつけているブルーリボンはその象徴的なものである、その意味合いは何ら変わるものではないというような趣旨の御答弁をいただいたと思っておりますので、大変恐縮ながら、この二問目も飛ばさせていただきたいというふうに思います。

 そこで、次の質問に入ってまいりますけれども、拉致問題の啓発活動について、私は何点かお伺いをしたいというふうに思うところであります。

 先ほど申し上げましたとおり、私は以前、広島県議会議員をしておりました。広島市内の安佐南区というところの選出だったんですけれども、御承知の方も多いと思いますけれども、横田めぐみさんが新潟にお引っ越しをされる前は、茂さんは日銀広島支店にお勤めだったということで、広島市に在住をしていらっしゃいました。

 実は、そのときの小学校の同級生の方が、お名前は控えますけれども、いらっしゃいまして、今も広島で、広島の救う会の皆さんと一緒に拉致問題の解決に向けた取組を進めていらっしゃいます。

 先般も、広島市内のある会場で、その方は女性なんですけれども、その方も出てこられて、来場者の方と一緒に映画を見たんですが、来場者の方々に、彼女は横田さんのことをヨコと呼んでいたそうなんですけれども、当時小学生だったヨコの元気な姿、山の上にある学校なんですけれども、そこの学校に上がる階段にある手すりに、元気な小学生の女の子らしく、その手すりにスカートを乗っけてみんなで滑り降りたりして、そういう楽しい思い出、元気なヨコの笑顔が今でも忘れられませんというようなお話をしてくださいました。

 そうした広島から来ておるわけですけれども、ただ、実は、自分のことを振り返りますと、残念ながら、私自身が小学生、中学生、高校生の頃に余り拉致問題を意識したことはなかったなというふうに思うわけであります。政府が認定する以前の話でありますので、どれほど政府が、当時はまだそんなに政府の方で、また学校現場で子供たちに拉致問題を教えるということもなかなかなかったのかなと思うので、それ自体は致し方ないかと思うわけでありますが、今はもう状況が違うわけであります。

 先ほど来、各先生方から御質問があったとおり、拉致問題というのは、当然許してはならない北朝鮮による国家犯罪でありますし、また総理も、また林担当大臣もおっしゃるとおり、その本質は国家主権の侵害でありまして、これは当然のことながら、子供たちにもしっかりと教えていかなければならないし、また、国家主権の侵害ということを思えば、本来、領土、領海、領空と同様に、力をもってでもその侵略を防ぎ、守るということもしなければならない。そうした事態が今私たちの目の前にあるんだということも、これもまたそれぐらいの重要なことだということを、将来の主権者である子供たちにも伝えていかなければならないのだというふうに思うわけであります。

 その観点から、二点まずお伺いをいたしたいと思いますけれども、まず一点目は、肝腎の学校現場で子供たちに指導する先生たち、教員の方に対しての、教員の方の養成課程における拉致問題の取組について、一点お伺いをしたいと思います。

 まず最初に、教員の養成課程での拉致問題の取組をお答えいただきまして、その後に、今度は、今の学校現場でどのように拉致問題を取り扱っているかということを順にお答えいただければと思います。

堀野政府参考人 お答え申し上げます。

 大学での教育課程の中で、御指摘の拉致問題につきましては、中学校社会と高等学校公民の養成課程では、教科及び教科の指導法に関する科目ということで、学習指導要領について学ぶ際に取り扱われることとなります。それ以外の養成課程においても、大学が独自に設定する科目等において、人権教育の一部として拉致問題を取り扱う大学があると承知をしております。

 文部科学省としても、学校における拉致問題に関する教育は重要であると考えておりまして、関係省庁等とも連携の上、教育課程を設けている大学に対し、拉致問題に関する教育に資する教材や資料集の提供や、説明会等の場を活用した周知等に取り組んでまいります。

松坂政府参考人 お答えいたします。

 北朝鮮当局による拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であります。文部科学省といたしましても、その解決に向けて、若い世代に一層の理解促進を図るため、各学校における取組を促しているところでございます。

 例えばですが、小中学校、高等学校の学習指導要領の解説におきましては、拉致問題に関する記載がございます。小中学校の社会科や高等学校の公共の教科書におきましては、拉致問題が取り扱われております。各学校におきましては、こうした記載に基づいて指導がなされているところと承知しています。

 また、文部科学省といたしましては、各学校でのこのような取組を促すために、アニメ「めぐみ」等の映像作品の活用の促進、また、教育委員会や学校における人権教育に関する研修の実施の促進、また、拉致問題を含む人権教育の好事例の普及などを実施しているところでございます。

 これらの取組を通じまして、今後とも内閣官房拉致問題対策本部事務局と連携しながら、各学校における取組を促してまいります。

石橋委員 御答弁ありがとうございます。

 今ちょうど、アニメ「めぐみ」の促進もしていただいているということでありました。

 今日はちょっと通達をしていないのでお答えは後日で構わないんですけれども、先ほど西田先生からも同様の質問がありましたけれども、実際、「めぐみ」が学校現場でどれほど活用されているのかというのを、もし分かれば、また後ほど教えていただければと思います。ここでのお答えは結構です、済みません。

 なぜこれを言うかといいますと、以前に、DVDだったと思うんですけれども、各都道府県教委を通じて、学校等々に一枚ずつお配りをしていただいているというふうに思います。結構な予算もかかっているんだと思うんですけれども、私が以前、広島県議会のときにお伺いをすると、上映実施の、上映の実態はあるんだけれども、必ずしも子供たちに見せていなくて、教員の方の研修で使ったとか、そういうものも一カウントされていたという事実がありました。

 ですので、実際の視聴状況のことと併せて、費用対効果の検証をしているかということもちょっとお伺いしたいものですが、これはまた後ほど、よろしくお願いいたしたいというふうに思います。

 それと、今お二人からの答弁で、拉致問題を取り上げてくださっているということは分かりました。しかしながら、大きい人権というくくりの中の一項目という感覚がどうしてもちょっと拭えないところがございます。

 これは法務省ですかね、我が国の人権課題という中で、十二月の人権週間なんかでも、例えば女性の権利、子供の権利、高齢者、障害者、アイヌの人々、外国人、同和問題、HIV感染者、ハンセン病回復者、刑を終えて出所した方等々あるわけでありますけれども、この並列の中で、十三項目あるうちの十二項目めに、北朝鮮当局による拉致問題等というのが今並べられておりますが、冒頭申し上げましたとおり、拉致問題というのは、その本質は国家主権の侵害であるわけでありまして、内政的な人権課題の問題とはレベルの、次元の違う問題であるというふうに捉えるべきじゃないかというのが私の問題意識であります。

 ですので、今すぐにということではないんですけれども、やはり教員の方を育てる課程において、また、学校現場で子供たちを教える課程においても、もしかすると、今日のブルーリボン裁判になぞらえれば司法修習の場などでも、こうした内政的な人権課題とは一個別次元で、国家主権の侵害なんだということをしっかりと特出しをして、打ち出しをして、研修であったりとか指導であったりとかをしていただきたいなということもお願いをさせていただきたいというふうに思うところであります。

 これは、私自身が小中高で学んでくる中で、そういう意識を持たずに来てしまったという反省も込めて、是非、これからの日本国民、大きくなる皆さんに、そうした思いをしっかりと持っていただきたい。それをしなければ、今、若い世代がなかなか拉致問題への関心が薄いからということで、様々な啓発に取り組んでいただいていますし、また、中学生のサミットも私は非常にすばらしい取組だと思うんですけれども、ほかの問題と並列ではないんだという肝のところをやはり押さえなければならないと思いますので、そのことは是非お願いをしたいというふうに思います。

 その上で、十二月の四日から十日が人権週間になっておりまして、それに続く十日から十六日は、北朝鮮人権侵害問題啓発週間というのが毎年設定をされております。

 そこで、この十二月の人権週間及び拉致問題週間の啓発活動について、政府として取り組んでいる事例を御紹介いただきたいのが一点と、もう一点、続けまして、最初の方は法務省さんにお答えいただきまして、次の方、今からのものは内閣官房の拉致対の方にお伺いしたいんですけれども、北朝鮮の人権侵害問題啓発週間における啓発活動について、どのようなことをしていらっしゃるのか、少し事例を御紹介ください。

堤政府参考人 お答えいたします。

 法務省の人権擁護機関では、北朝鮮当局による人権侵害問題に対する認識を深めようを啓発活動強調事項の一つとして掲げ、毎年十二月四日から十日までの人権週間や、十二月十日から十六日までの北朝鮮人権侵害問題啓発週間を中心に、各種人権啓発活動を特に強化して行っております。

 具体的には、拉致問題に関するシンポジウムや講演会等の開催、インターネット広告の配信、鉄道主要路線における車内広告の実施、全国の地方新聞紙への広告掲載のほか、関係府省庁や地方公共団体に依頼して、全国各地でポスターの掲出を行うなどの活動を実施しております。

 法務省としましては、引き続き、関係府省庁等と連携しながら、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題に対する国民の認識を深めるため、これらの活動にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

平井政府参考人 毎年十二月十日から十六日の北朝鮮人権侵害問題啓発週間におきまして、多くの方々に拉致問題に対する理解を深めていただき、一日も早い拉致被害者の帰国実現への後押しとすることを目的として、平成十八年度以降、政府拉致問題対策本部主催にてシンポジウム等を開催しているところでございます。

 近年、これまで拉致問題に触れる機会の少なかった若い世代の理解、関心を高めることが重要な課題となっていることから、昨年度のシンポジウムでは、拉致被害者等御家族の方々からのお訴えや有識者による講演に加え、中高生を対象とした作文コンクールの表彰式や、中学生サミットに関する報告等を実施したところでございます。

 政府といたしましては、こうしたシンポジウムの開催を含め、広く拉致問題についての関心と認識を深めるために何が最も効果的かという観点から、有効な方策を不断に検討しつつ、拉致問題に関する啓発活動を引き続き推進してまいりたいと存じます。

石橋委員 ありがとうございます。

 様々な取組も進めていただいていることは本当にありがたいというふうに思います。私も地元で、自治体さんもそうですし、民間、また一般の方とも協力しながら様々に、街頭活動もやっていますけれども、署名活動なんかも続けていきたいなというふうに思うところであります。

 啓発をする点で、私は、一番簡単に、誰もができるのがブルーリボンの着用だというふうに思っています。今日も皆さんもブルーリボンをつけてくださっていますけれども、必ずしもバッジ型のものでなくても、シールを貼ったりすることもできると思っています。

 何でこんなことを申し上げるかといいますと、可能であれば、是非、各省庁、大臣、副大臣、政務の方々は皆さんブルーリボンも、バッジもつけていらっしゃると思うんですけれども、各省庁の職員さんも、例えば幹部以上の方とか、どなたまでが幹部か分かりませんが、幹部以上の方には、全省庁をまたいで、政権の最優先課題でありますし、国家主権が侵害されているという重大問題でありますので、日本政府全体としてこの問題を常に考えているんだ、解決をしようとしているんだという意思表示をするためにも、全省庁の一定以上の職員さんにブルーリボンをつけていただけないかなということを思っております。

 必ずしも、さっき申し上げたとおり、バッジじゃなくてもいいと思うんです。今もネームカードをつけていらっしゃいますけれども、そこにブルーリボンの形のシールを貼っていただいて、それを来庁者、ふだん皆さんも見られる。それだけでもメッセージとしては非常に強いですし、そういったメッセージを常に出し続けるために、公務員として、また、政治家として働いている面もあると思います。

 国民の生命財産を守るのが政府の、国家の仕事でありますので、そういったことを、そういったバッジの着用というものを御検討いただけないかということを最後にお伺いして、質問を終えたいと思います。お願いします。

平井政府参考人 全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現するために、毎年十二月十日から十六日までの北朝鮮人権侵害問題啓発週間の前に開かれる閣僚懇談会では、日本国民が一体となって拉致被害者を取り戻す強い意思を示す機会にするために、拉致問題担当大臣から全ての閣僚に対して、ブルーリボンの引き続きの着用の協力を呼びかけているところであります。

 また、北朝鮮人権侵害問題啓発週間の前に拉致問題対策本部事務局から各府省庁に対しまして発出する依頼文書において、各府省庁の副大臣及び大臣政務官の皆様にはブルーリボンの引き続きの着用の協力を呼びかけるとともに、各政府職員の皆様に対してもブルーリボンの着用の協力を広く呼びかけているところでございます。

 引き続き、国民の皆様から拉致問題に関するより一層の理解と支援を得るために、ブルーリボンの着用も含め、様々な形で取組を進めてまいりたいと存じます。

石橋委員 ありがとうございました。

 大臣の所信にも、日本国民が心を一つにして、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現への強い意思を示すことが問題解決に向けた強い後押しになるというふうに書かれてあります。強い意思を示すことは、私たちがブルーリボンをつけることでできると思っておりますので、是非、御協力をよろしくお願い申し上げまして、質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

牧委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 今日、私は最後の質疑者でございまして、十五分、質問をさせていただきます。

 私からは、いわゆる北朝鮮向けの短波放送、この委員会でも何度も取り上げられました「しおかぜ」の運営方針について、るる質問をしてまいりたいというふうに思っております。

 ここにいらっしゃる委員の方ももう当然御存じのことでございますが、国内唯一の外国向けの短波放送の施設でありますKDDIの八俣送信所の送信機を使いまして、「しおかぜ」というものが運営をされているわけでございます。

 二〇〇五年からこの「しおかぜ」が運営をされておりますけれども、北朝鮮にいらっしゃる拉致被害者、そして特定失踪者に向けて、日本政府が皆様方の救出に最大限努力していること、まずこれを伝えられております。したがいまして、当委員会での質疑におきましても、しっかりと皆様方の救出に向けて日本政府が一丸となって取り組んでいる姿勢、これが伝わるわけでございますので、引き続き真剣に取り組んでまいりたいと思っております。

 また、拉致被害者や特定失踪者の皆様方への呼びかけでありますとか、また、家族からのお手紙、こういったものを通しながら、北朝鮮にいらっしゃる拉致被害者、特定失踪者の皆様方への様々な情報を、日本語、朝鮮語、中国語、英語の四か国語を使って、皆様方の努力によってこれが運用されているところであります。

 ただ、これはKDDIが所有権を持っておりますが、NHKがラジオの国際放送としてこの八俣送信所の送信機の七つを借り上げております。そして、「しおかぜ」についても、NHKから、又貸しの形ではないんですが、要は、NHKに優先使用権がございますので、NHKの国際放送の空き時間であるとか、又は空き周波数を使って現在放送がされているというところでございます。

 ただ、現在、「しおかぜ」が運用しております百キロワットの送信機につきましては、一九八六年設置のものでございまして、老朽化が進んでおります。今年の一月からアンテナのつなぎ替え工事を行い、その工事が終わりますと、現在「しおかぜ」が使っております百キロワットの一号機、二号機は廃棄をされるという段取りになっております。

 したがいまして、ほかの三百キロワットの送信機を使ってこれから「しおかぜ」を運営していくわけでございますが、何が問題かというと、この二機ある百キロワットの送信機、これは二機同時に放送しないと、周波数を送らないと意味がないということであります。なぜかというと、北朝鮮からのジャミング、電波障害がございますので、一つの送信機だけで送信をしておりますと、電波障害に遭い、北朝鮮に届かない。したがいまして、二送信機を同時に運用することが大事であるというふうに皆様方から聞いているところでございます。

 したがいまして、この二つの百キロワットの送信機につきましても、一気に廃棄をするのでなく、順次、二機体制が整うように、是非、三者協議をNHKや、またKDDIと行っていただきたいというような要望をしてまいりました。

 二〇二五年の一月から四月までは二機体制を維持するということで協議が調っていると聞いておりますが、この五月から工事が終わるであろう十月、十一月までの二機体制の放送体制について、また協議が行われると聞いております。

 そこで、総務省にお伺いしたいんですが、二機体制での「しおかぜ」の放送体制、五月以降も維持されると聞いているのか。三者協議の中身について、皆様方、報告を受けていらっしゃると思いますので、御答弁をいただきたいと思います。

赤阪政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘ございましたとおり、「しおかぜ」の送信設備に係る工事期間、これの前半に当たります本年一月から四月頃につきましては、特定失踪者問題調査会、KDDI、NHKの三者による協議によりまして、「しおかぜ」を安定的に継続して運用できる体制というのが維持されているというところでございます。

 お尋ねの本年五月以降の工事期間でございますが、これにつきましても、NHKからは、NHKの業務に支障がないことを前提に、「しおかぜ」を安定的に継続して運用することができるよう三者間で協議を進めているところというふうに聞いているところでございます。

 政府といたしましては、「しおかぜ」の担う重要な役割等を踏まえまして、引き続き、三者間における協議の状況を注視いたしまして、拉致被害者等に向けた情報発信に支障が生じないよう、適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

浜地委員 ありがとうございます。

 当然、NHKの国際放送、いわゆる報道の自由、編集の自由というところがありますので、そういった総務省としての御答弁にとどまるわけでございますが、ただ、先ほど言いましたとおり、特定失踪者問題調査会の皆様方が、まさに二十年間、血のにじむ努力でこの放送を運営されております。まさに民間団体がやっている北朝鮮向けの放送でございますので、これはやはり特別な事情があろうかと思っております。しっかりと二送信機体制を維持できるように、今後も総務省としてもしっかり注視をしていただきたいというふうに思います。

 ただ、先ほど言いましたとおり、現在まで「しおかぜ」が使っておりました百キロワットの送信機については、アンテナのつなぎ替え工事が終わると、老朽化により廃棄をされる。先ほど言いましたとおり、次は三百キロワットの出力の出る送信機に移行して放送を行うわけでございます。当然、出力が違いますので、使う電気料も違う、施設料も違います。

 先ほど言いましたとおり、NHKに優先使用権があるわけでございますけれども、そうなりますと、使用料とか電気料、これが引上げになる可能性があるわけでございます。そうしますと、これまでどおりの「しおかぜ」の運営がなかなか困難になるのではないか、そういう懸念があるところでございます。

 そこで、政府は、これも皆様御案内のとおり、政府自身が運営する「ふるさとの風」という放送があります。これは、特定失踪者問題調査会の皆様方に業務委託をして、政府が特定失踪者問題調査会の皆様方に業務委託料を払う形で運営をされているわけでございます。

 したがいまして、今後、百キロワットから三百キロワットに更新されたときに、賃料若しくは電気料、施設使用料が増えてくるわけでございますが、そうなると、政府の運営する「ふるさとの風」の業務委託費について、特定失踪者問題調査会に対する委託費用について、それに見合う分の費用をお支払いし、結果、安定的に「しおかぜ」が運営できるようにすべきだ、私はそのように思いますが、御見解を頂戴いたします。これは拉致問題対策本部にお伺いいたします。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮域内への情報伝達手段が限られている中で、拉致被害者を始め、北朝鮮市民や北朝鮮当局に対して、日本政府や日本国民、さらには国際社会からのメッセージを伝達する手段として、北朝鮮向けのラジオ放送は極めて効果的であります。

 このような考えから、政府としては、今委員のお話にありましたとおり、北朝鮮向けラジオ放送「ふるさとの風」及び「日本の風」を自ら運営するとともに、特定失踪者問題調査会との間の業務委託契約を通じて、調査会が運営する北朝鮮向けラジオ放送「しおかぜ」の放送枠の中でも別途「ふるさとの風」の放送を行っているところでございます。

 御指摘の「ふるさとの風」の委託放送につきましては、予算措置を講じまして、今般の送信費用増加に対応する形で調査会との間で業務委託契約を締結したところでございます。今後とも、調査会とも連携しつつ、ラジオ放送による北朝鮮内への情報発信を積極的に行ってまいりたいと存じます。

浜地委員 ありがとうございます。

 今、今後の賃貸料や電気料の上昇に見合う分というふうな契約内容に更新したというような御答弁だったと思いますので、しっかり、この点も引き続き、「しおかぜ」の運営主体でございます特定失踪者問題調査会の皆様方との、御意見も聞きながら進めていただきたいというふうに思うところでございます。

 続きまして、先ほど言いましたとおり、外国向けの短波放送の唯一の施設が、KDDIが所有する八俣送信所であるわけであります。

 ウクライナ戦争では、ネット環境がやられました。ネット環境がやられ、サイバー攻撃を受け、その後フェイクニュースが流れて、いわゆる認知戦、これにロシアがまず勝利をする形で、いわゆるデュアルユースの形で戦争が始まったわけであります。

 このときに、もう一度見直すべきは、要は、アナログ的かもしれませんが、いわゆるネット環境につながっていない短波放送というものは、様々、正しき情報を日本有事においても発出できるものであります。当然、朝鮮半島有事又は台湾有事というのが想定されるわけでありまして、このときに海外にいらっしゃる邦人の皆様方に対する正確な発信手段として、実は短波放送というのは今、見直されるべきではないかというふうに私は思っております。

 しかし、先ほど何度も申し上げましたとおり、現在、七機しかない送信機体制で、二機はもう廃棄予定であります。残り五機であります。例えば、台湾は十一台の短波放送機を国として所有をしている状況でございます。

 私は、今後の拉致問題、特定失踪者問題に限らず、様々な国外での有事事案に関して、邦人保護のために、もう少し政府としてもこの短波放送の放送機を確保しておくべきじゃないか、そのような問題意識を持っております。ここは外務省に御見解を頂戴いたします。

岩本政府参考人 今御指摘いただいております短波放送の関係でございますと、まず、今、緊急時に全世界向けに短波放送を実施しているNHKと連携して対応する体制を構築してきております。

 また、北朝鮮との関係で申し上げますと、今申し上げたNHKの国際短波放送に加えて、政府が運営しております短波放送の「ふるさとの風」、そして「日本の風」、こういった番組を通じて安全情報を発信することもございます。

 そして、政府としましては、緊急事態への備えとして、短波放送の受信機の準備を海外の皆様にしていただくよう、ホームページ等を通じて呼びかけもしております。一方で、残念ながら、短波放送の受信機がなかなか普及していないというのも事実でございます。

 したがいまして、私どもとしましては、短波放送に加えて、できる限りほかの手段を確保することも重要ではないかと考えております。そうした観点から、具体的には、FMの送信機、そして衛星携帯電話、そしてさらには無線機、こういった連絡手段も政府として可能な限り確保し、必要な在外公館にも配備を進めているところでございます。

 こうした様々な取組を通じて、在外邦人との連絡体制に万全を期したいと考えております。

浜地委員 ありがとうございました。

 私の問題意識に応える形で、短波放送の受信機の問題も答えていただきましたし、また、その他の通信手段のことも認識があるということでありますので、若干安心をしたところでございます。

 まさに有事においては認知戦というのが重要ですし、情報も大事でございますので、しっかりこの辺りは、当然、拉致被害者の皆様方、特定失踪者の皆様方に対する放送というのが第一の主眼でございますが、全体の邦人保護ということの観点も持って今後整備をしていただきたいと御要望して、質問を終わりたいと思います。

 以上でございます。ありがとうございます。

牧委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時七分散会


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