衆議院

メインへスキップ



第3号 令和7年12月5日(金曜日)

会議録本文へ
令和七年十二月五日(金曜日)

    午前十時三十分開議

 出席委員

   委員長 小宮山泰子君

   理事 坂井  学君 理事 高木  啓君

   理事 福田 達夫君 理事 下条 みつ君

   理事 藤岡たかお君 理事 牧  義夫君

   理事 東   徹君 理事 岸田 光広君

      石橋林太郎君    小森 卓郎君

      寺田  稔君    中曽根康隆君

      西村 康稔君    福原 淳嗣君

      松野 博一君    吉田 真次君

      若山 慎司君    有田 芳生君

      源馬謙太郎君    西村智奈美君

      平岡 秀夫君    阿部  司君

      深作ヘスス君    中川 宏昌君

      上村 英明君

    …………………………………

   外務大臣         茂木 敏充君

   国務大臣

   (拉致問題担当)     木原  稔君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) あかま二郎君

   内閣府副大臣       鈴木 隼人君

   内閣府大臣政務官     若山 慎司君

   文部科学大臣政務官    福田かおる君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  清水 雄策君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    筒井 洋樹君

   政府参考人

   (警察庁サイバー警察局長)            逢阪 貴士君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大塚 建吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 上田  肇君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            有馬  裕君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           今井 裕一君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     田中 賢二君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月五日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     吉田 真次君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田 真次君     小森 卓郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     土田  慎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 北朝鮮による拉致問題等に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

小宮山委員長 これより会議を開きます。

 北朝鮮による拉致問題等に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官清水雄策君、警察庁警備局長筒井洋樹君、警察庁サイバー警察局長逢阪貴士君、外務省大臣官房参事官大塚建吾君、外務省大臣官房参事官上田肇君、外務省総合外交政策局長有馬裕君、文部科学省大臣官房審議官今井裕一君及び観光庁審議官田中賢二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小宮山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小宮山委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高木啓君。

高木委員 おはようございます。自由民主党、高木啓でございます。

 本日は、質問の時間をいただきまして、ありがとうございました。

 十五分という短い時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 最初に、北朝鮮に拉致された疑いを排除できない特定失踪者についてお伺いいたします。

 まず、国連リストへの対応であります。

 国連人権委員会強制失踪作業部会は、第百三十七回会合におきまして、会期中に提供された情報を検討し、我が国、韓国、北朝鮮に以下の方々に対する安否及び所在を明らかにするよう期待する旨を発表いたしました。その方々とは、敬称を略しますが、小住健蔵、大澤孝司、安達俊之、山本美保、林かな子、西安義行、矢倉富康、和田幸二、佐々木悦子、富川久子、中村三奈子、辻出紀子、以上十二名であります。

 我が国政府は、その方針のとおり、拉致被害者の認定、未認定にかかわらず、安否及び所在について独自の適切な調査及び捜査活動を行い、その結果を国連人権委員会強制失踪作業部会に報告すべきだと私は思いますが、現状の認識と、その十二名について現在どのような作業が進んでいるのか、拉致担当大臣としての木原官房長官の御見解を求めます。

木原国務大臣 今委員御指摘のように、強制的失踪作業部会は、北朝鮮及び日本を含む関係国に対して、日本人の失踪者に関する調査、捜査を要請していると承知をしており、今般の関連事案については、作業部会の手続に従い、事案に関する連絡を受けております。

 また、政府としては、拉致被害者として認定された方々以外にも、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない方が存在しているとの認識の下、関係機関と緊密な連携を図りつつ鋭意捜査、調査を進めているところです。

 政府としては、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国の実現に向けて、全力で果敢に取り組んでいく考えです。

 このような観点から、強制的失踪作業部会との間でも、関連する情報提供を含めて常日頃から緊密に意思疎通をしてきており、今後もその方針で取り組んでまいります。

高木委員 実は、この強制失踪作業部会からは、他の方のお名前も既に明らかにされています。今日は他の方については特に言及をいたしませんが、特にこの十二名については、とにかく所在を明らかにせよということで、日本、韓国、北朝鮮、この関係三国に対して国連人権委員会が是非これを作業してくれということを言ってきているわけでありますから、官房長官の手元で是非この捜査を進めていただいて、報告ができるような情報を一日も早く、まずは確認をして、国連人権委員会にも報告をし、また、こうした北朝鮮の拉致の疑いを排除できない人たちに対してしっかりとした対応を取っていただきたい、このことをお願いを申し上げておきたいと思います。

 以下、質問するわけではありませんが、ちょっと意見として申し上げておきますけれども、政府において重く受け止めていただきたいことがあります。それは、北朝鮮による拉致事件の責任ということであります。

 そもそも、拉致は、北朝鮮の、国家主権と人権をじゅうりんした重大な犯罪であることは言うまでもありませんし、北朝鮮に責任があることは論をまたないわけであります。しかし、五人の被害者以外、我が国にお帰りになった方は、二〇〇二年以降、新たな拉致被害者認定も行われておりませんで、五人の被害者の、北朝鮮に拉致されていた、いわば自由な人生を生きることのできなかった時間と人権に対する補償もされていないわけであります。救うことができなかった、また、いまだ救うことのできていないことに対して、我が国に責任はないと言い切れるのかということであります。

 また、高市総理及び木原官房長官は、この拉致問題に対してあらゆる手段を尽くして取り組む、こう表現もされておりまして、このような我が国の責任ということに対して、政府は是非重く受け止めていただきたいと思っています。

 次に、北朝鮮による日本人拉致に関する若年層への啓発活動についてお伺いをいたします。

 先ほど言及をいたしましたように、拉致被害者五人の御帰国から既に二十三年、長引く膠着状態で、認定拉致被害者の親世代は、横田めぐみさんのお母様、横田早紀江さんを残して、ただ一人となりました。私たちは、拉致問題を決して風化させてはならない、あらゆる手段で被害者奪還の機運を高める努力が必要であると考えます。

 この間、政府拉致対策本部は若年層への啓発活動に力を入れていることは、私は率直に評価をさせていただきたいと思います。

 そこで伺いますが、拉致対策本部は、この横田めぐみさんの拉致を主題にしたアニメ「めぐみ」を全国の小中高等学校に配付をしたと聞いています。いつ、どのように配付をしたのか、まずお伺いいたします。また、文部科学大臣と拉致担当大臣が全国の教育委員会にアニメ「めぐみ」を使って拉致に関する授業をするように要請をしたというふうに聞いています。その結果、具体的に全国の学校でこの教材を使ってどの程度拉致に関する授業が行われたのか、実態をお伺いをいたします。

鈴木副大臣 お答えいたします。

 アニメ「めぐみ」のDVDについては、制作当初の平成二十年度に全国の小中高校、特別支援学校、高等専門学校等に対して約四万枚配付をいたしました。また、その後はユーチューブ拉致問題対策本部公式動画チャンネルでも常時視聴可能となっており、拉致問題対策本部のホームページから無料でダウンロードをいただくこともできるほか、DVDの貸与も行っております。

 教育現場でのアニメ「めぐみ」の活用については、平成二十三年度以降、活用促進の依頼通知を繰り返し発出しておりまして、最近では、平成三十年及び令和五年に、拉致問題担当大臣と文部科学大臣の連名で都道府県知事及び教育委員会委員長等に依頼をしたところであります。

 このほかにも、毎年、内閣官房拉致問題対策本部事務局と文部科学省の連名で、各都道府県教育委員会等宛てにアニメ「めぐみ」を含む映像作品等の活用促進に係る通知を発出をしております。

 アニメ「めぐみ」を視聴した学校には任意でアンケート調査への回答を依頼しており、令和六年度は千八百四校から回答を得ております。未回答の学校もあると思われることから、実際にはアンケートの回答数よりも多くの学校で授業などの際に視聴いただいていると考えております。

 今後とも、アニメ「めぐみ」の教育現場での活用促進に向け、より一層力を入れて取り組んでまいります。

 以上です。

高木委員 今、アンケート調査で、令和六年で千八百四校、未回答のところもあるからもう少しあるんだろうという話でありましたが、これが適切な数なのか、あるいは多いのか少ないのか、それはあえて、通告もしていませんので聞きませんが、私はもう少し数が上がってもいいのかなという気はいたします。

 御努力は御努力として大変多とするところはあるんですが、やはり今、五人の被害者がお帰りになってから既に二十三年という年月がたっていて、それ以降にお生まれになった若年層の方々、私などは被害者の方が帰ってきたあのシーンが今でも非常に脳裏に焼き付いておりますが、若い人たちは知らないという現実があります。

 ですから、是非、更にこれを進めていただいて、若年層の皆さんに対する啓発、これを特に重点的にやはり取り組んでいただきたいと思います。そうしないと拉致問題が風化をしてしまうという危機感を非常に強く持っていますので、是非これからも努力をしていただきますようにお願いしたいと思います。

 次に、田口八重子さん拉致を主題としたコミック「母が拉致された時 僕はまだ一歳だった」は既に出版をされているわけでありますが、家族会、救う会は、それを使ってアニメを作ってほしいと政府拉致対策本部に要請したことがあると聞いています。その結果、アニメはできなかったんですが、コミック「母が拉致された時 僕はまだ一歳だった」の電子版を無料で貸出しできるようにしたということであります。それはどの程度利用されているのでしょうか。

 また、若者への啓発を強化するために、私は、今からでも、このコミック「母が拉致された時 僕はまだ一歳だった」のアニメを作ることを検討すべきではないかと思いますが、政府の見解をお伺いいたします。

鈴木副大臣 お答えいたします。

 もう一問用意していただいていると思いますので、早口で御回答させていただきます。

 御指摘の電子版コミックの無料貸出しは令和四年六月から実施しており、令和六年度までの約二年半で全国の小中高校等に対する貸出件数は四千四百九十件となっております。

 同コミックにおいては、令和五年四月に拉致問題担当大臣と文部科学大臣の連名で全国の教育委員会等に発出した通知や、毎年、拉致問題の対策本部事務局と文部科学省の連名で発出している通知において、アニメ「めぐみ」と同様に、啓発素材の一つとして教育現場で積極的に使用いただくよう協力を要請しております。

 更なる活用の在り方につきまして今御提案をいただきましたが、こちら、大いに参考にさせていただきながら、検討させていただきたいと思います。

 以上です。

高木委員 鈴木隼人副大臣の御配慮に大変感謝を申し上げますが、是非検討していただいて、横田めぐみさんの事件を扱ったものだけでいいと思わないでほしいということなんです。ほかにもたくさんの事例がありますから、それを是非、これからどんどん世に出していく検討をしていただきたいと思います。

 最後に、中学生サミットや作文コンクールの参加者の中から、自発的に拉致問題に取り組む中学、高校生が出てきており、それらの生徒らが国と地方公共団体などが主催する拉致の集会で作文を朗読をしたり活動報告したりする事例が多くなってきていると聞いています。どのような事例があるのか、具体的に紹介していただきたいと思います。

鈴木副大臣 お答えいたします。

 時間の関係もあると思いますので、また早口で答弁させていただきます。お許しください。

 政府では、拉致問題の理解促進を図るため、平成二十年度より地方公共団体等と共催で全国において国民の集いを開催しており、近年は、中高生を対象とした作文コンクールや令和五年度から開始した中学生サミット参加者に国民の集いにも参加いただき、作文コンクールに応募した作品の朗読や中学生サミットでの活動報告等をいただいております。

 昨年度は、作文コンクール参加者一名、中学生サミット参加者五名、その他、教員を目指す大学生を対象とした講座に参加した大学生等にも国民の集いに参加いただき、若い世代による意見発表をいただいたところであります。

 今年度も、全国において計六回の国民の集いを開催予定であり、全ての開催において、中学生サミット参加者等、若い世代による意見発表をいただく予定です。

 以上です。

高木委員 自発的にというところが大事なんだろうと思いますから、これからもこういう試みを是非続けていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、拉致問題を絶対に風化させない、そして、一人でも多く、一日も早く拉致被害者を救出をし、そして日本にお帰りをいただく、そのことを是非改めてお願いをし、また、特定失踪者の状況解明も是非お願いをいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

小宮山委員長 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 立憲民主党の平岡秀夫でございます。

 時間がないので、早速質問に入ります。

 今回の委員会における大臣所信発言の中で、木原大臣は、高市総理は就任直後から各国首脳に対し理解と協力を求めています、私自身も、訪日する外国要人の方との面会等の機会を活用したいと思いますというふうに言い、外務大臣は、あらゆる外交の場面において、拉致問題に関する日本の立場を説明し、理解と協力を求めてまいりますというふうに言っておられます。

 他方、石破政権時代には、昨年の十一月十五日の日中首脳会談で拉致問題について意見交換をしたということが外務省の記者発表の中にありますけれども、その意見交換の中では、日本側は中国に対し、どのような協力を求めているんでしょうか。また、その後どのようにそれが進展しているのか、御説明いただきたいと思います。

木原国務大臣 まず、二〇〇二年に五人の拉致被害者の方々が帰国されて以来、一人の拉致被害者の御帰国も実現していないということ、この現実につきましては、政府の立場として大変申し訳ない思いでございます。

 政府としては、北朝鮮情勢に関する情報収集、分析や国際社会との連携を行いながら、拉致問題を含む北朝鮮に対する対応について、あらゆる選択肢を排除せず、何が最も効果的かという観点から不断に検討をしてきているところです。

 その詳細については、今後の対応にも影響を及ぼすおそれがあることから、明らかにすることは差し控えさせていただきますが、引き続き、政府としては、あらゆる手段を尽くして取り組んでまいります。

平岡委員 今の答弁は、私の質問に全く答えていないじゃないですか。日中首脳会談でどういう要請をし、そして、その後それがどのように進展しているかを聞いているんです。何か全く違う答弁をしていて、ちょっと時間稼ぎになっちゃっているんじゃないですか。

 これは、外務大臣、どうですか。外務大臣、日中首脳会談の話ですから、外務大臣も関係すると思いますけれども。

茂木国務大臣 今、木原官房長官・拉致担当大臣の方からもお話がありましたが、この拉致問題は、まさに人道そして国家主権に関わる問題、そして、拉致された方が北朝鮮にいるという中で、その人命を救わなければいけない、こういう問題であります。極めてセンシティブな問題でありまして、どうしたらいいかという中で、具体的にこういうやり取りをしていますということを申し上げること、これは最優先課題であります拉致問題の解決に向けて支障になりかねない、このことは委員もよく御案内いただけるんじゃないかな、そういう趣旨で答弁を申し上げているところであります。

平岡委員 聞きたいことはこれじゃないので、このぐらいにしますけれどもね。

 日米首脳会談とかそういうところでは、どういうことを言ったのか、どういうことを頼んだのかというようなことがかなり明確に示されているにもかかわらず、日中の関係についてはそういうものが示されないというのは、私としてはちょっと承服いかないんです。

 ただ、質問は、高市内閣でも多分、北朝鮮と密接な関係を持っている中国に対しては、この拉致問題についても協力を求めていかなければいけない、そういう立場だと思うんですけれども、高市内閣としては、中国に対してどういう要請をするとか協力を求めていくのかということについては、どのようにお考えになっていますか。

茂木国務大臣 これまで、高市政権が発足してからも、日米の首脳会談、日韓の首脳会談、さらには日中の首脳会談、こういうものも行われてきましたが、その際に、拉致問題に対して協力を求める、こういう発表をしておりますが、具体的に、では、そのやり取りを、どういうことをしてほしいとかそういったことについては、それぞれの会談について対外的に発表したことはない、このように承知をいたしております。

 この拉致問題、もちろん日本として主体的に取り組む問題でありますけれども、それ以外の、国際社会に訴えかける、様々な国からも支援、協力をいただく、こういったことは極めて重要だと思っております。

 私は、二十年ぐらい前、二十年ちょっと前、二〇〇二年から二〇〇三年にかけて、外務副大臣を務めておりました。当時から、この拉致問題、これについて、日本として極めて深刻なそして重要な課題である、こういう認識の下で、様々な会談等におきましても拉致問題を取り上げたわけでありますけれども、当時、アブダクションイシュー、こういう言葉を使って……(平岡委員「端的に答弁を言ってください」と呼ぶ)では、簡潔にいたします。

 当時はそんなに広い理解を得られていなかった。今は、アブダクションといったら、誰も、どういう問題であるか、こういったことについてよく御理解いただいていると思います。

平岡委員 時間がないので、次の質問に移りますけれども。

 高市総理は、いろいろなことを言っておられるんですけれども、木原大臣の所信の中では、高市総理自身、金正恩委員長との首脳会談に臨む覚悟もできている旨を述べていますという言葉だけにとどめているんですけれども、高市総理自身は、今年十一月の三日に開催された集会で、既に北朝鮮側には首脳会談をしたい旨、お伝えをいたしておりますというふうに言っているんですよね。

 自らこんなことを言うのもちょっとどうかなとは思いますけれども、自らここまで言われているということを踏まえると、いつ、どのようなルートで、どのような条件を付して、あるいは付さないでこういう首脳会談を申し入れておられるのかということを明らかにしていただきたいと思います。

茂木国務大臣 高市総理が、この拉致問題について、金正恩委員長と首脳会談に臨む覚悟がある、これを明確に表明しておりますが、これは、例えば安倍元総理も、岸田元総理も、条件をつけずに金正恩委員長と向き合う思いがある、様々に表現は違いますけれども、そういったことは対外的に表明されていると思います。

平岡委員 別に、対外的に表明しているのは、木原官房長官の中でも、そういう覚悟を示しているということを言っているわけですから、いいんですよ。

 私が聞いているのは、既に首脳会談をしたい旨、お伝えをいたしておりますというふうに高市総理自身が言っておられるんだから、何らかのルートでそういう首脳会談をしたいということを申し入れているというふうに考えるんですけれども、それは、いつ、どういうルートでやっているのかということを聞いているんです。

茂木国務大臣 簡潔に申し上げますが、北朝鮮に対しては様々なルートで働きかけというのを行っておりますが、事柄の性格上、そのタイミングも含めて、お答えは差し控えたいと思っております。

平岡委員 そこまで言われるなら、高市総理がそういうふうに、既に北朝鮮側には首脳会談をしたい旨、お伝えしていますというようなことを言うのは、ちょっと差し控えるべきじゃないかというふうに思うんですけれどもね。そこまで言うんだったら、もっと国民に対して明らかにすべきだというふうに思います。まあ、それはそれとして、時間がないので。

 木原大臣が先ほども、何が最も有効かということはずっと検証していきたいというような話をされました。石破総理も、総理時代の昨年十月の十七日の総理官邸での面会の際に、これまでの経緯等、もう一度検証し分析し、何が最も有効であるかという手だてを講じてまいりたいというふうに発言されているんですけれども、これまでの経緯等をもう一度検証して分析して、我が国としてこれから何をなすべきかを考えるべきということについては、高市内閣も同じような考え方でしょうか。

木原国務大臣 基本的には同じ考え方の下で、この拉致問題、最重要課題の解決に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

 委員御指摘の検証であるとか分析、そういう御指摘もありました。

 まさに、この問題は、過去の問題ではなくて現在進行形の問題ということで、その検証とか分析、そういった今後の対応に影響を及ぼすようなことは残念ながら差し控えさせていただきますが、あらゆる手段を尽くすということは申し上げておきます。

平岡委員 検証、分析というのは、私が使った言葉ではなくて、石破総理が使われた言葉ですからね。それはよく理解していただきたいというふうに思います。

 その意味で、過去の経緯の検証、分析として重要だと思われるのは、横田めぐみさんのものと言われた遺骨のDNA鑑定問題だと思います。この問題については、私も、十数年前にも質問をさせていただいております。

 この問題について言えば、資料をちょっと出していますけれども、資料二のところに細田官房長官の記者発表した内容、それから資料四と五、四には二〇〇四年に発表された政府文書の内容、資料五には町村外務大臣の委員会での答弁の内容、それから資料三、戻りますけれども、二〇〇五年の朝日新聞の内容が、それぞれ資料としてつけられています。

 私、これらを見て思うのは、細田官房長官が当時、本件については横田めぐみさんのものであるという結論は出なかった、あっ、ごめんなさい、細田官房長官が、ちょっとごめんなさいね、記者発表では、北朝鮮側から先般これが横田めぐみさんの遺骨であるとして渡された骨は、鑑定を実施してまいりましたが、主として帝京大学医学部研究室のDNA鑑定結果でございますが、本件については横田めぐみさんのものではないという結論が出ましたと断言しているんですけれども、その断言の内容は必ずしも正確ではないというふうに思います。

 本来であれば、正しくは、本件については横田めぐみさんのものであるという結論は出なかったと表現すべきであったというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。

木原国務大臣 平成十六年の十一月九日から十四日までの間、北朝鮮において開催された第三回日朝実務者協議の際に、北朝鮮から日本政府代表団に提供された横田めぐみさんの遺骨とされるものについて、新潟県警が委嘱して行ったDNA型鑑定については、警察庁等が過去に答弁しているとおりでありますが、DNA型鑑定の知見を有する専門家が、DNA型を検出できる可能性のある骨片十個を慎重に選定し、帝京大学及び警察庁の科学警察研究所においてそれぞれ五個ずつDNA型鑑定を行い、その結果、科学警察研究所ではDNA型検出には至らなかったけれども、帝京大学では骨片五個中四個から同一のDNA型が、また、他の一個から別のDNA型が検出されて、いずれのDNA型も横田めぐみさんのDNA型とは異なっているとの鑑定結果を得たものと承知しています。

 委員の御質問に対する答えとすると、細田元官房長官の発言については、以上、私が説明した鑑定結果を受けて説明されたものと承知しています。

平岡委員 今の説明でも、その骨が横田めぐみさんのものではないという結論は出ないんだと思うんですよね。横田めぐみさんの骨であるという結論が出るものではなかったというような位置づけのものだというふうに思うのですけれどもね。この発言がその後の日朝間の不信感につながって、拉致問題の問題解決への道が閉ざされたという面があると思うんです。

 当時、警察庁は、これを鑑定をした帝京大学の吉井さんについて、吉井氏は科捜研の方に行ったわけですけれども、着任して間もないため取材は受け付けないというふうに言っていましたけれども、当時の事実関係をもう一度検証し、分析して、真の事実関係に基づいた日本政府の行動が必要ではないかと思うんですけれども、どうでしょうか。

木原国務大臣 鑑定書におけます鑑定結果の具体的な記載内容については、これは捜査中の事件に関することでもあります。

 いずれにしても、鑑定結果については、先ほども御説明したとおりでございます。

平岡委員 時間が来ましたので、終わります。

小宮山委員長 次に、有田芳生君。

有田委員 有田芳生です。

 先ほど高木委員からお話がありましたように、拉致問題が風化してしまうおそれがあるというお話がありました。まさしくそのとおりで、一九七七年に新潟県から拉致をされた横田めぐみさん、もう皆さんにとっては当たり前のお名前ですけれども、今の若い人たちにとっては、横田めぐみって誰という、そういう世代が出てきている以上、本当に深刻な、時間のない状況だというふうに思います。

 私は、今日、短い時間で、外務省そして茂木大臣に期待をし、提言を行いたいというふうに思っております。

 先ほどお話がありましたけれども、今年の十一月の三日に、平河町の砂防会館で拉致問題解決のための国民大集会が行われました。そこで、高市総理が、これまでの総理とは違った、恐らくこれは御自分で書かれたんだろうなという一文がありました、私は手段を選ぶつもりはありませんと。手段を選ぶつもりはない、その大事なことを、今日、茂木大臣にお話をしたいというふうに思っております。

 その後段で、高市大臣は、もう既に北朝鮮側には首脳会談をしたい旨、お伝えしておりますと。

 先ほどの質問にもありましたけれども、これは、安倍さんの時代、菅さんの時代、岸田さんの時代に、水面下で、例えば岸田さんのときには、タイのバンコクで政府関係者が北朝鮮側と二回にわたって水面下の接触を行った。それで前に進む局面があったんだけれども、残念ながらそれが進まなかった。

 この高市総理の発言というのは、もう既に首脳会談をやりたいと伝えているというんだけれども、私が調べた結果では、これまでの北京ルートであるとか、北京大使館とかモンゴル大使館とか、そういうルートで北朝鮮側に接触をしたのではなくて、ある第三国から高市政権では首脳会談をやりたいということであって、私の理解では、水面下の接触があったとか交渉がある、そういう現状にはないと思う。だからこそ、今、大事なのだと思います。

 それはなぜかといえば、昨年の三月二十六日に、金与正朝鮮労働党の副部長、金総書記の実の妹さんが、これは岸田政権のときなんだけれども、日本側とはもう接触も交渉もするつもりはないと、ここから状況は変わっていないんですよね。だからこそ、今、大事な局面にあると思います。

 まず、質問をしたいのは、二〇〇二年九月十七日に、小泉当時の総理が訪朝され、北朝鮮側が初めて拉致を認めました。五人生存、八人死亡。

 まず、ちょっと細かいことで恐縮なんですけれども、この間、国家公安委員長の大臣所信を聞いていて、かねてからそうなんだけれども、計十三件十九人を拉致容疑事案と判断している、これは前からそうおっしゃっているんだけれども、政府がこれまで言ってきたのは、政府認定拉致被害者は十七人ですよね。なぜ、警察庁は十九人なんですか。

筒井政府参考人 お答えをいたします。

 警察におきましては、北朝鮮による拉致とは、国内外において本人の意思に反して北朝鮮当局により行われた、主として国外移送目的拐取、その他の刑法上の略取及び誘拐に相当する行為と考えております。

 警察では、これまで捜査、調査を通じて積み上げました客観的な証拠や関連情報を総合的に判断した上で、日本人が被害者である拉致容疑事案十二件十七名と、朝鮮籍の姉弟が日本国内から拉致された事案一件二名、これを合わせまして、合計十三件十九名を北朝鮮による拉致容疑事案と判断しているところでございます。

有田委員 政府認定拉致被害者は十七人だから、そこは統一した方がいいと思うんですよ。前からそう思っている。今日はそのテーマじゃないので、次に行きますけれども。

 政府にお伺いしますけれども、政府認定拉致被害者十七人、だけれども、二〇〇二年に日本に戻ってきた五人、そして死亡とされる八人、合計十三人だけれども、では、政府認定拉致被害者の十七人のうち、あと四人というのは誰で、具体的に今何歳なんでしょうか。お答えください。

清水政府参考人 お答えします。

 お尋ねの四人の方々につきましては、事案発生順に、本日現在で、久米裕さん百歳、松本京子さん七十七歳、田中実さん七十六歳、曽我ミヨシさん九十三歳となっております。

有田委員 田中実さんというのは、どういう方ですか。政府、お答えください。

筒井政府参考人 お尋ねの件につきましては、個人のプライバシーに関するため、詳細まで申し上げることはできませんが、田中実さんにつきましては、神戸市内の飲食店に出入りをされていた昭和五十三年六月、北朝鮮からの指示を受けた在日朝鮮人の甘言により、海外に連れ出された後、北朝鮮に送り込まれたという事案でございまして、警察としては引き続き、本事案の解明に向け、捜査に全力を挙げてまいりたいと考えております。

有田委員 私は、参議院の予算委員会で安倍総理に当時聞きました、田中実さんというのはどういう方ですかと。ラーメン店員ですと安倍さんは当時お答えになりました。

 神戸の小さなラーメン店に勤めていたんだけれども、店主の工作員に唆されて、一九七八年六月六日に、成田からオーストリアのウィーンに行った。オーストリアの北朝鮮の情報機関の手によって、陸路でモスクワに行って、そして平壌に入った。

 大事なのは、その平壌に入った、今、政府認定拉致被害者の田中実さんは、初めは嫌だったんだけれども、向こうで結婚をして、その相手が日本人の女性なんですよね。一人の男の子が生まれている。では、この政府認定拉致被害者の田中実さんと北朝鮮で結婚した日本人女性は一体誰なのか。これは、ひょっとしたら拉致されている人かも分からない。大事な話ですよ。私は、松本京子さんかも分からないと思っている。だから、田中実さんというのは大事なんだけれども、次に行きます。

 外務省にお伺いします。斎木昭隆さんというのは、拉致問題でどういうお仕事をされてきたでしょうか。

大塚政府参考人 斎木昭隆元外務事務次官でございますけれども、アジア大洋州局参事官を務めておりました二〇〇二年当時、拉致問題に関する現地事実調査の団長を務め、五人の拉致被害者の御帰国に同行をいたしております。また、その後、アジア大洋州局審議官あるいはアジア大洋州局長として、日朝間の協議あるいは六者会合に出席をし、拉致問題を含む諸懸案に関するやり取りに携わった者でございます。

有田委員 斎木さんは、二〇一四年、日朝のストックホルム合意のときには事務次官でした。そして、そのストックホルム合意、二〇一四年の十月に、北朝鮮側は日本政府に対して、政府認定拉致被害者の田中実さん、さらには同じラーメン店で働いていた金田龍光さんは平壌で生きていると通告してきている。二回通告してきているんですよ。だけれども、安倍政権は、そんなことは一切知らないという、全く答弁してくれなかった、今に至るも。

 だけれども、これは非常に大事な話で、実は、小泉訪朝から二十年になる二〇二二年の九月十七日、朝日新聞が一面を使って、この田中実さん、金田龍光さんについて記述があるんだけれども、政府は田中さんが生存しているというのは認めたという記事なんですよね。だけれども、その日、同じく二〇二二年九月十七日、朝日新聞のデジタルでは、斎木昭隆さん、ストックホルム合意のときの外務次官がこう答えている。北朝鮮からの調査報告の中にそうした情報が入っていた、つまり田中さん、金田さんが生きているという情報が入っていたのはそのとおりです、ただ、それ以外に新しい内容がなかったので報告書は受け取りませんでしたとお答えになっている、斎木さんが。

 茂木さん、このことをお認めになりますか、外務大臣。

茂木国務大臣 認める認めないという話でなくて、これは、御指摘の田中さんを含めて、北朝鮮によります拉致被害者や、拉致の可能性を排除できない方については、平素から情報収集に努めておりますが、先ほどもお話ししましたが、この問題、今後どう解決していくか、そういったことにも関わってくる、支障を来す可能性がありますので、一つ一つの発言等につきましては、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

有田委員 政府認定拉致被害者、久米裕さんはもう百歳ですよ。田中実さんも七十七とおっしゃいましたよね。本当に時間がないんですよ。

 ましてや、さっきも言いましたけれども、結婚相手は日本人、これは誰なのということがあるんだから、日本政府はやはり担当者を平壌に派遣して、本人の意向を聞くべきなんですよ。あなたの奥さんは誰なのですか、拉致された人ですか、ここから進んでいくじゃないですか。そういう交渉をやってほしいんですよ。

 だから、茂木大臣には、外務大臣として、ここではお答えできないと思うんだけれども、やはり、日朝交渉を進めていく、大きな人道問題、人権問題として、高市総理に、進めた方がいいんじゃないですかということを進言していただきたいんです。

 私は、安倍さんの時代にこのことが進んでいれば、安倍政権の大きな成果だったと思うんですよ。さらに、そこで拉致問題は終わるわけないですよ。横田さんたち、田口さんたち、有本さんたち、まだ残っているじゃないか、まだ次やりましょうよということになっていく。だから、当時の外務省の幹部も、一つ一つ解決していくことが大事だという思いがあったけれども、政治の方でそれを拒否されたから、今に至っている。

 これは、人権問題、人道問題ですよ。横田さんが生存しているという伝達があったら飛んでいくでしょう、当たり前でしょう。何で田中さんだったら行かないんですか。そこを聞きたいんですよ。

茂木国務大臣 有田委員は拉致問題にも長年にわたって携わってきて、大変お詳しい、そのように承知をいたしております。

 御提案をいただきました。そのことに対しては受け止めさせていただきます。

有田委員 二〇二二年の一月十一日に、当時の岸田総理が安倍元総理とパレスホテルの和田倉で食事をしながら話を、拉致問題はどう解決すればいいのかというお話をされているんですよ。安倍元総理は、当時、拉致問題というのはどこかで決着をつけなければいけないというふうにおっしゃっている。だけれども、非常に難しい問題だから一つ一つ解決しなければいけない、そういう禅問答も含めてあったんだけれども、だから、具体的に田中さんの問題、金田さんの問題をどうするのか。

 そして、今の問題でいえば、一九四二年の二月三日に山口県の長生炭鉱で百八十三人の方がお亡くなりになったんだけれども、そのうち朝鮮半島出身者が百三十六人なんです。その遺骨も、もう見つかっている。韓国政府は物すごく今積極的なので、北朝鮮にいる被害者の遺族も見つかっているので、そういう人道問題を進めていくことによって、日朝問題の風穴を空けていただきたいということを茂木大臣に期待をしまして、もう時間が来ましたので、質問を終わらせていただきます。

小宮山委員長 次に、東徹君。

東(徹)委員 日本維新の会の東徹でございます。

 前回、十二月二日のこの拉致問題の特別委員会で、木原官房長官の方から、二〇〇二年に五人の拉致被害者が帰国されて以降は、一人の拉致被害者の御帰国も実現していないことは、誠に申し訳ない限りですというふうな所信がありました。

 私は一国会議員ではありますが、私も同じ思いをいたしております。恐らく木原大臣は、一議員のときからずっとこの問題にしっかりと取り組んでおられたというふうなことも聞いておりますので、その中で今回、担当大臣になられたわけですから、しっかり是非取り組んでいただきたいなというふうな思いをいたしております。

 また、国民大集会、先ほどからもお話が出ておりましたけれども、私も何回か出たことがありまして、御家族の顔を見るたびに申し訳ないという思いをいたしております。

 今年の四月二十九日から五月二日まで、超党派の拉致議連、牧先生も一緒させていただきましたけれども、拉致議連と家族会、そしてまた救う会の三団体でワシントンDCに訪問し、ホワイトハウスにも訪問し、高官とも意見交換をしてまいりました。横田めぐみさんの弟さんである横田拓也さん、そして田口八重子さんの長男である飯塚耕一郎さんとも一緒に活動をしてきてまいりました。また、国会議員の事務所にも訪問をさせていただきました。米国政府高官との意見交換では、何か手応えを感じるようなところもあったわけでありまして、今回、十月二十一日に高市内閣が発足して、二日後には、二十三日には拉致被害者御家族と面会をすぐされた。そしてまた、十月二十八日にはトランプ大統領、マルコ・ルビオ国務長官とも面会をしていただいておりました。

 そんな中で、拉致問題、これはもちろん我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、国際社会の協力、とりわけアメリカの協力というのが必要であるというふうに思うわけでありますが、今回、トランプ大統領とルビオ国務長官が十月に訪日された際に、拉致被害者の御家族の皆様とお会いされたときに、その場で両氏は、拉致被害者、拉致問題の早期解決に向けた日本への支持を改めて表明してくれたと言われておりますけれども、まず、トランプ大統領からどのような発言があったのか、報道でも出ておりますけれども、お聞かせいただきたいなと思います。

茂木国務大臣 御指摘の、十月のトランプ大統領訪日の際の、まず日米の首脳会談におきまして、トランプ大統領そしてルビオ国務長官と拉致被害者の面会がこの首脳会談の後に行われたわけでありますが、そこに高市総理と私が同席をさせていただきました。

 まず、首脳会談におきましては、拉致問題の即時解決に向けて、高市総理から引き続きの理解と協力を求め、トランプ大統領から全面的な支持を得ました。そして、部屋を変えまして、拉致被害者御家族と面会をさせていただきましたが、トランプ大統領は、その場で、御家族に対して、米国はいつも心を寄せている、こういう発言がありまして、拉致問題の即時解決に向けた全面的な支持、改めて表明をしていただきました。大変温かい言葉をかけていただいた、そんなふうに私は感じました。

東(徹)委員 ありがとうございます。

 大変心強い言葉だったというふうに思いますし、そしてまた、ルビオ国務長官からはどんな発言があったのか、この辺もお聞かせいただければと思います。

茂木国務大臣 マルコ・ルビオ国務長官は、上院議員、フロリダ州選出で務めておりましたが、その当時から、アジア問題、そしてさらには、そこの中でも、拉致問題を含みます北朝鮮の人権問題について精力的に活動してこられまして、国務長官就任後も、拉致問題の即時解決に対する力強い支持をいただいているところであります。

 十月、トランプ大統領訪日の際に、私、ルビオ長官との間で外相会談を行いましたが、拉致問題を含みます北朝鮮への対応において協力をしていこうということで一致を見たところであります。

 先ほど申し上げた拉致被害者の御家族との面会におきまして、ルビオ長官は、トランプ大統領と高市首相が退室された後も残られまして、私も一緒でしたが、そこで、横田代表を始め、訴えに耳を傾け、そして印象に残っていますのは、その後一人一人と、話を聞く、こういった非常に丁寧な対応をしていただいた、こんなふうに思っています。

東(徹)委員 大変丁寧な対応に私も感謝をしたいというふうに思います。

 そんな中で、先ほどからも、繰り返しになりますが、拉致問題を解決していくのは、我が国が主体的に動いていくというのは当然でありますが、やはり米国との連携、これが極めて重要となってきます。

 政府として、アメリカ政府に対して拉致問題の解決のためにどのようなことを求めていくのか、また、それに対して米国側はどのような対処をしてくれるというふうになるのか、伺いたいと思います。

茂木国務大臣 拉致問題の即時解決のためには、まずは我が国が主体的に取り組むということが重要でありますが、米国を含みます国際社会との連携が極めて重要だと思っております。

 先ほど、トランプ大統領との首脳会談の話、さらには、その後、拉致の御家族とお会いしたときの話の一端について御紹介をさせていただきましたが、それ以上の細かいやり取りにつきましては、大変先ほどからの答弁で恐縮なんですが、今後の問題解決の支障になってはいけないということで、是非、コメントを控えさせていただくということを東委員にも御理解いただければと思います。

東(徹)委員 続いて、木原官房長官に御質問させていただきたいと思います。

 先ほども申し上げましたように、官房長官になる前から、ずっとこの問題に対して取り組んできておられたというふうに聞いております。

 拉致問題を内閣の最重要課題として高市政権でも取り組んでいくことになるわけですから、二十三年間、お一人も実現できていないという状況のある中で、木原官房長官としての、もう一度、繰り返しになるかもしれませんけれども、これからどのように取り組んでいくのか。これまでの課題も積み上げてきたというふうに思いますので、そのことを踏まえて御発言いただければと思います。

木原国務大臣 委員もおっしゃるように、二〇〇五年以降は、五人の拉致被害者の方々が帰国されて以来は一人の拉致被害者も御帰国されていないという状況、これは政府の立場としては大変申し訳ないと思っております。

 私自身も、今の職責をいただく前から、あるいは議員になる前から、一市民としても啓発活動、署名活動などに従事してまいりました。その立場として今の拉致問題担当大臣という職責をいただきましたので、これまでのその思いを今の担当大臣という仕事に結実していきたいというふうに思っております。

 私が最後の拉致問題担当大臣になる、そういう決意を持って、この最重要課題に取り組んでいく覚悟でございます。

東(徹)委員 是非、最後の拉致担当大臣ということになられるように、我々もしっかりと後押しをしていきたいと思います。

 続いて、拉致問題の啓発活動について質問させていただきたいと思います。

 皆さんのお手元に、舞台公演と、それから映画の案内をお配りをさせていただいております。これは本来はカラーになっておるんですけれども。

 各地でこういった舞台劇とか映画の上映会が開催されておりますけれども、今年度、令和七年度でそれぞれ何件ぐらい予定しておるのか、伺いたいと思います。

若山大臣政務官 お答えいたします。

 政府としては、限られた財政事情の中で、地理的なバランスを考慮しながら調整を行っておりますが、令和七年度においては、実施済みのものも含め、全国において舞台劇は八回、映画上映会は二十回の実施を予定しております。

 引き続き、広く拉致問題についての関心と認識が広がるように、あらゆるコンテンツを活用して、拉致問題に関する啓発の取組を推進してまいりたいと考えております。

東(徹)委員 舞台劇が八か所、八回、そして映画が二十回というお話でありましたけれども、これは非常に少ないなというふうに思うんですね。やはり、もっともっと多くの方にこの舞台とか映画を見ていただきたいと思います。

 先ほど、限られた予算の中でというふうなお話がありましたけれども、ただ、やはり、もう時間がないわけですから、ここはしっかりと、予算を更に増やしてでも、こういった舞台、映画を多くの、また若者の人たちにも見ていただきたいなというふうに思いますので、是非そのような形にしていただければというふうに思います。

 私も見ましたが、非常に、やはり見ると、すごく、何か大変重たい、つらいというふうなのが実感として分かりますので、多くの方に是非見ていただけるようにしていただきたいと思います。

 続いて、国連での活動についてお伺いをしたいと思います。

 国連総会で人権問題を扱う第三委員会では、EUが提出した、北朝鮮の人権問題を非難し、全ての拉致被害者の即時帰還を求める決議案について、日本や韓国など六十か国以上が共同提案国に名を連ねた上で、十一月十九日に多数の支持を得て無投票で採択されたということであります。

 この採択、二十一年連続ということでありますが、この決議の内容について説明をしていただきたいと思います。

有馬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘のあったとおり、十一月十九日、国連総会第三委員会におきまして、EUが提出し、我が国が共同提案国となった北朝鮮人権状況決議案がコンセンサスで採択されております。本決議案は、今後、国連総会本会議において採択に付される予定です。

 本年の決議案では、北朝鮮に対して、拉致被害者及びその御家族の声に真摯に耳を傾け、速やかに被害者の御家族に被害者の安否及び所在に関する正確、詳細かつ完全な情報の誠実な提供をすることを強く要求するとともに、全ての日本人拉致被害者の即時帰国の実現を改めて強く要求するとするなど、拉致問題に関してしっかりと記載されております。

 拉致被害者やその御家族も御高齢となる中、人命に関わる拉致問題は、一刻も早く解決しなければならない人道問題であるとともに、国家主権の侵害であり、政権の最重要課題でございます。引き続き、国際社会とも緊密に連携しながら、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するため、あらゆる手段を尽くして取り組んでまいりたいと考えております。

東(徹)委員 国連の総会で人権を取り扱う第三委員会で二十一年連続こうやって決議されているのは、本当に感謝したいというふうに思います。

 この拉致問題は我が国がやはり主体的に解決していかないといけない問題でありますから、私は、本来なら、こういう決議こそ国会でもう毎年のようにやらないといけないのではないのかなと。この委員会での決議ではなくて、本会議での決議を是非やっていかなくてはならないのではないのかなというふうに思っております。

 また、この拉致問題は与野党関係なく取り組んでいかないといけない課題でありますので、是非、皆様とともにこの問題の解決に向けて力を合わせていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

小宮山委員長 次に、岸田光広君。

岸田(光)委員 国民民主党の岸田光広です。

 私は、国会議員となる以前から拉致被害者の救済活動に取り組んでまいりました。被害者御家族の高齢化が進む中、拉致問題はまさに一刻の猶予も許されない課題であります。

 そのような中、高市総理は、国民大集会において、拉致問題を我が国への主権侵害と明確に位置づけ、この任期中に必ず解決の糸口をつかむと、強い覚悟を示されました。さらに、あらゆる選択肢を排除せず、時には手段を選ばぬ覚悟で臨むとの踏み込んだ言葉は、国民にも大きな期待を生んでいます。私自身も、高市総理のこの強い決意に大いに期待しており、総理のこの明確な覚悟が実際の進展を生むと確信しております。

 本日は、その観点から、三大臣に順次質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、まず木原大臣に対し質問をさせていただきます。

 拉致問題の解決のためには、拉致は決して許さないという国民の意識を高め、内外に強い姿勢を示すことが不可欠です。その土台となるのが啓発であり、若い世代も含め、幅広い国民に拉致の事実を知ってもらうことが、遠回りのようであっても最も重要な取組だと考えます。この啓発の重要性について、大臣の見解を伺います。

木原国務大臣 二〇〇二年に五名の拉致被害者が御帰国されてから、もう既に二十三年がたっております。若い世代が拉致被害者のことを知らないということも先ほどの、前の委員の質問にもありましたけれども、若年層啓発というのは、委員のおっしゃるように、決してこれは遠回りな取組ではないというふうに私も思います。世代を超えて国民が心を一つにして、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現への強い意思を示すことが、解決に向けた力強い後押しとなると思います。

 そのために、特にこれまで拉致問題に触れる機会の少なかった若い世代の理解、関心を高める取組を強化をしております。例えば、作文コンクールや中学生サミットの開催、中学生が考案したアイデアを基にした動画の発信、また、若者向け解説素材の制作などにも取り組んでいるところです。

 国外に対しても、これまでパンフレットの多言語化や外国紙への広告記事の掲載、海外向け番組の制作、放送、国連シンポジウムなどを通じて、拉致問題に関する我が国の立場を発信してきております。

 政府としては、国内に限らず、拉致問題について関心と認識を深めるために何が最も効果的かという観点から、有効な方策を不断に検討しつつ、啓発活動に引き続き積極的に取り組んでまいります。

岸田(光)委員 ありがとうございます。

 啓発という点で、政府の意思を最も分かりやすく、広く国民に伝えられるタイミングの一つが、組閣時の官邸での集合写真だと考えます。全閣僚がブルーリボンバッジを着用していれば、内閣として拉致問題を最重要課題と位置づけていることを、国民にも、そして国際社会にも強く発信ができます。

 前担当の林大臣には委員会で質問をいたしましたが、検討するというお答えにとどまっております。内閣として強い意思を示すためにも、次回の組閣時には全閣僚がブルーリボンバッジを着用することを検討いただけないか、大臣の御見解を伺います。

木原国務大臣 ブルーリボンでありますが、拉致被害者の救出を求める国民運動のシンボルであり、ブルーリボンバッジを着用することによって、一日も早い全ての拉致被害者の帰国実現に向けた日本政府としての強い意思を示す意義があるものと考えています。

 御指摘の組閣時の集合写真の際は、着用について、組閣直後でありましたから統一をしておりませんでしたが、高市内閣においては、その後、私からお願いをして、今は全閣僚が常時着用するようにしているところであります。

 より一層理解と支援を国民に得るためには、ブルーリボンの着用を含めて、様々な形で今後も取組を進めてまいる所存です。

岸田(光)委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 本当に、林前大臣からは、前回委員会で質問させていただいたときは、閣僚ごとにはそれぞれ所管のバッジがあって一律の着用は難しいというようなお答えでしたが、私もそのとき、それがブルーリボンの着用を妨げる理由にはならないと考えました。実際に、高市総理も、そして片山財務大臣も、以前から、日頃から一貫して着用されていて、本当に内閣時の写真でも明確に意思を示されていると私も感じました。本当に、総理の強い決意の象徴であると思いますし、他の閣僚の方々も同じ姿勢を示すことが政府全体のメッセージとして極めて重要だと考えております。是非、高市総理にお伝えいただければと思います。

 この問題ですが、質問とさせていただいていたんですけれども、前向きな御答弁をいただきましたので、これを飛ばさせていただいて、本当にこの拉致問題を最重要課題と位置づけるのであれば、政府としての意思を今後もしっかりとこのブルーリボンの着用によって示していただきたいと思います。組閣時の写真は、必ず報道され、多くの国民の目に触れることから、是非ともこの取組をお願いしたいと思います。

 次に、茂木大臣にお伺いしたいと思います。

 大臣は、政界屈指のタフネゴシエーターとして、実利を確実に引き出す交渉力に定評があります。しかし、今回の相手は国際常識が通じない北朝鮮であり、粘り強く、厳しい二国間交渉が必要だと考えます。高市総理は既にトップ会談を申し入れたと述べていますが、私も、最終的には、決裁権限を持つ金正恩総書記との直接対話が不可欠だと考えております。

 先ほど平岡委員の質問があり、一部重複するところもあるとは思いますが、大臣の御経験と交渉力を踏まえて、どのようにトップ会談へ道筋をつけていくのか、答えられる範囲で結構ですので、お考えをお示しいただければと思います。

茂木国務大臣 日朝平壌宣言、これが合意に至ったのも小泉総理の訪朝によるものでありまして、核、ミサイル、拉致、諸課題を包括的に解決し、不幸な過去を清算し、国交正常化を図っていく、こういう道筋をつけたわけであります。

 最終的に、この問題を解決するためにはトップ会談が必要だと私も考えております。高市総理は、そんな意味で向き合う覚悟というのを明確に示されている。大変心強いと思っているところでありますが、そこに持っていくプロセス、これは先ほどからお話を申し上げておりますが、どんなルートで始めるか、さらにはどういう形で進めるか、そのプロセスについても、今後の交渉の進展に支障を来すおそれがあるということで、答弁については先ほど来控えさせていただいている、このことは御理解いただければと思います。

岸田(光)委員 力強い御答弁、ありがとうございます。

 次に、二〇二六年四月の平壌マラソンに日本人が参加するとの報道があります。拉致問題が未解決のままである現状を踏まえれば、日本人の渡航は北朝鮮に対し誤ったメッセージとなり得ると懸念しております。米国は厳格な渡航制限を課していますが、日本としても、安全確保、危険管理の観点から一定の対応が求められる局面ではないかと考えます。

 外務省として、渡航自粛の更なる周知など、取り得る対応について御見解をお聞かせください。

茂木国務大臣 政府としては、関係省庁が連携して、旅行であったりとかイベントへの参加も含めて、我が国から北朝鮮への渡航自粛要請等の措置を取ってきております。外務省としても、海外安全ホームページ等を通じて渡航の自粛というのを呼びかけているところであります。

 本日、委員の方から御質問いただきましたので、この機会に改めて国民の皆さんに対して北朝鮮に渡航しないようにお願いをしたい、改めて呼びかけたいと思っております。

岸田(光)委員 ありがとうございます。前向きな御答弁をいただきました。更なる周知の方、よろしくお願いいたします。

 最後に、あかま国家公安委員長にお伺いをいたします。

 北朝鮮は、国家ぐるみの暗号資産窃取、サイバー攻撃によって外貨を稼ぎ、その資金が核開発や工作活動を支えています。特に、ラザルスなどのサイバー組織は、日本に対する直接的脅威であり、私たちの経済、安全保障にも深刻な影響を与えています。これらの行為を放置すれば、結果として北朝鮮の強硬姿勢を助長し、拉致問題解決への圧力も弱まってしまうと懸念しております。

 サイバー捜査能力を強化し、日本から北朝鮮への資金流出を徹底的に摘発することが、拉致問題解決に対する実効的な圧力になると考えます。この点に関しまして、あかま委員長に御見解を伺います。

あかま国務大臣 御指摘のとおり、北朝鮮を背景とするサイバー攻撃グループによって、外貨獲得が目的と見られる暗号資産詐取が行われているというふうに承知をしております。

 このような国家を背景としたサイバー攻撃の対策においては、攻撃主体の検挙のほか、攻撃者を公表し非難することで抑止をするということ、パブリックアトリビューション及びこれに伴う事業者等への注意喚起も重要だというふうに考えております。

 拉致問題解決に資するためにも、引き続き、関係省庁や暗号資産関連事業者等と連携して被害防止対策を推進するとともに、サイバー人材の確保、育成、これらを推進するなど、サイバー捜査能力の向上に努め、パブリックアトリビューションの実施を通じたサイバー攻撃の抑止と法令に基づく取締りを徹底するよう警察を指導してまいりたい、そう考えております。

 以上です。

岸田(光)委員 しっかりした対応の方、よろしくお願いいたします。

 最後に一言申し上げます。

 私の地元、埼玉には、田口八重子さんを始め、特定失踪者として、佐々木悦子さん、藤田進さん、そして北朝鮮の工作員と知らずに結婚させられた渡辺秀子さん、そのお子さんである高敬美さん、当時六歳です、高剛さん、当時三歳です、がいらっしゃいます。私たちが目指すべきは、認定の有無を問わず、全ての拉致被害者、特に特定失踪者の帰国です。そのためにも、是非、高市総理には、拉致認定を受けていない家族の声も直接聞く機会を早急に設けていただきたいと強く要望いたします。

 また、政府が行う短波放送「ふるさとの風」とともに、民間の「しおかぜ」は、被害者家族の切実な声を北朝鮮に届ける、人道上極めて重要な生命線です。現在、八俣送信所の放送料値上げにより運営が厳しい状況と伺っております。国として、この活動が継続できるよう、特定失踪者問題調査会に寄り添った支援を強くお願いを申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございます。

小宮山委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。

 早速質問に入らせていただきます。

 近年、北朝鮮を取り巻く国際環境は大きく変化をしております。先日の報道では、北朝鮮が核弾頭を最大百五十発保有しているということですが、とりわけ、ロシアや北朝鮮の軍事協力の加速、中国による影響力の行使の変化、国連安保理の停滞、さらに、日米韓の協力体制の新たな段階への進展など、これらは、単なる周辺状況の変化ではなく、北朝鮮が国際社会の圧力と向き合う構造そのものに変化をもたらしていると思います。

 こうした国際環境の変化を踏まえ、日本として、拉致問題及び核開発、ミサイル開発の解決に向け、北朝鮮への戦略の強化、これが必要ではないかと考えるところであります。特に、日米韓の新しい安全保障連携を拉致問題にどう結びつけていくのか、そして欧州諸国やインド太平洋のパートナーなど第三国との協働をどのように強化していくか、北朝鮮への働きを強化するための戦略的再設計の方針について、茂木外務大臣にお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 中川議員御指摘のように、今、国際情勢、加速度的な変化を遂げている、御指摘のあった点、確かに非常に重要な問題だ、こんなふうに捉えております。

 拉致問題、そして核・ミサイル問題、この解決のためには、もちろん拉致問題については日本が主体的に取り組むことが必要でありますが、国際社会と緊密に連携していく、このことが極めて重要だと考えております。

 日米韓でありますけれども、十月の日米韓外相会合におきましては、特に、北朝鮮への対応であったりとか、経済安全保障を含む安全保障分野における協力、こういったものを一層進展させるべく確認をした上で、北朝鮮をめぐる問題について、あらゆるレベルで意思疎通を一層強化していくことを改めて確認をしたところであります。

 御指摘のように、ウクライナ、ロシアによります侵略が始まって四年近くがたとうとしております。そして今、北朝鮮が、兵士であったりとか弾薬をロシアに提供する、その見返りに様々な機微な情報や技術を手に入れて、核・ミサイル技術を向上している、極めて深刻な問題だ、こんなふうに捉えております。

 そして、高市政権発足後、様々な国際会議等もございました。ASEAN関連の首脳会議、トランプ大統領の訪日、APECの首脳会議、閣僚会議、G7の外相会合、こういったそれぞれの機会を捉えて、各国との間で、核・ミサイル問題及び拉致問題を含みます北朝鮮への対応についてかなり時間を割いて協議、意見交換を行ったところであります。

 さらに、国連の関係で申し上げますと、昨年十月には、同志国とともに立ち上げた多国間の制裁監視チーム、これは、国連安保理決議の履行状況の監視強化、さらに、実効性向上の観点から極めて重要な役割を果たしている、このように考えております。

 我が国としては、引き続き、国際社会、これは米国はもちろんでありますが、韓国、さらにはグローバルサウスも含めて、様々な国々と連携をしながら、安保理決議の完全な履行に向けた取組を進めて、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄を引き続き求めていきたいと考えておりますし、また、米国そして韓国を始めとする関係国と緊密に連携をして、韓国にとっても拉致問題は自国の問題でもあるわけでありまして、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現すべく、あらゆる手段を尽くしてまいりたい、こんなふうに考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 今の大臣の決意のままに、更に具体的な戦略をお願いしたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。

 北朝鮮は、拉致問題は解決済みとの虚偽の主張を繰り返しておりまして、国際社会に向けて情報操作を展開しております。これは、単なる外交上の言説ではなく、日本の主張の正当性を弱めようとする戦略的な情報戦でありまして、放置すればこれは国際世論形成そのものに深刻な影響を与えかねません。

 現代外交におきましては、SNSやオンライン報道、また研究者ネットワークなど、情報が国境を越えて瞬時に広がる時代であります。こうした環境を踏まえまして、政府には、より体系的で積極的な情報発信、これが求められると思っております。

 そこで、北朝鮮の虚偽の主張に対しまして、拉致問題について日本の主張の正当性を国際社会に浸透させるために、政府としてどのような総合的な情報戦略を構築しているのか。誤情報対策、海外メディア、研究者、NGOとの連携、そしてSNSやデジタル媒体を活用した最新の広報外交についての取組をお伺いさせていただきたいと思います。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの拉致問題に関します国際的な情報発信でございますが、これまでパンフレットの多言語化、外国紙への広告記事の掲載、海外向け番組の制作、放送などを通じまして、北朝鮮側の主張の問題点の説明を含む拉致問題に関する我が国の立場を発信してきております。

 一つの例といたしまして、先般の大阪・関西万博開催期間中は、国内外から多数の方が来場する機会を捉えまして、広く拉致問題についての関心と認識を深めるため、空港や地下鉄における英語でのデジタルサイネージ放映やポスター掲示、万博会場内における英語版を含むパネル展示等を行いました。

 また、拉致問題に関するオンライン国連シンポジウムを毎年六月頃開催し、拉致被害者御家族から直接国際社会に訴えていただくとともに、海外の専門家やNGOの代表によるパネルディスカッションも行っております。

 政府といたしましては、国内に限らず広く拉致問題につきまして関心と認識を深めるため何が最も効果的かという観点から、有効な方策を不断に検討しつつ、拉致問題に関する情報発信や啓発の取組に引き続き取り組んでまいります。

中川(宏)委員 北朝鮮が拉致は解決済みとの虚偽の主張を広めている現状は明らかに情報戦でありまして、我が国として正面から対抗していくことが極めて必要ではないかというふうに思っております。

 今、政府としての取組を進めていること、これについては理解をしたところでございますけれども、更に、情報の分析ですとか、また多言語発信など、こういった強化、より踏み込んだ体制整備、これからもしっかりとお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 最後の質問になりますけれども、未認定事案を含む国内調査におきましては、科学技術の進歩を積極的に取り入れていくことで新たな可能性が広がると私は考えるところであります。

 そこで、警察庁、自治体、海上保安庁、内閣府など関係機関が保有する情報を高度に連携をさせて科学的根拠に基づく調査を進める仕組み、これを整えていくことも重要であるかというふうに思っております。関係機関連携の強化等を通じまして、今後、どのように未認定事案などの国内の調査を進めていくか、最後にお伺いをさせていただきたいと思います。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣に設置されました拉致問題対策本部の事務局におきましては、平素から各省庁と連携し、拉致問題に関する対応を協議し、総合的対策を推進しております。

 その一環であります調査でございますが、具体的な情報収集、分析や捜査、調査の内容につきましては、今後の活動に支障を来すおそれがあることからお答えを差し控えさせていただきますが、関係機関が捜査、調査により得た情報につきましては、必要な情報を必要な関係機関と共有しながら対応を進めているところでございます。

中川(宏)委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

小宮山委員長 次に、上村英明君。

上村委員 れいわ新選組の上村英明です。よろしくお願いいたします。

 まず、北朝鮮に対する基本的な外交政策の枠組み、いわゆるパッケージ論について質問したいと思います。これは、拉致と核そしてミサイル問題を包括的問題として扱うというものです。特に、大臣の所信的発言、あるいは先ほどの発言でも、茂木外務大臣が明確に述べておられます。

 これに対して、本拉致問題特別委員会の二〇二四年十二月二十三日の質疑で、岩屋外務大臣に私は、外交環境が動きそうな時期なので、パッケージ論を見直してはどうかと申しました。当時、十二月ですから、アメリカは第二次トランプ政権の直前で、また、韓国は尹錫悦前大統領のいわゆる戒厳令が失敗したばかりでした。これに対して、岩屋外相の御回答は、まだ未確定な部分が多いので様子を見たいというものでありました。

 現在、第二次トランプ政権が二〇二五年一月に発足し、韓国でも、北朝鮮と話合いの道を探るとした李在明政権が二〇二五年六月に誕生しました。既に外交環境は大きく変化しました。高市総理も、先ほどから出ておりますけれども、就任後すぐに両首脳と緊密な連絡を取られ、北朝鮮に対し、首脳会議開催への希望も伝えられたと聞いております。

 茂木大臣にお尋ねいたします。

 二〇〇二年に合意された日朝平壌宣言のパッケージ論にこだわらず、これを解体して、高市政権では、拉致問題を文字どおり最優先にする、パッケージではなく文字どおり最優先にするとして、話合いを進めるべきではありませんか。御意見を伺います。

茂木国務大臣 上村委員の方からパッケージ論、こういうお話があったんですけれども、一般的にパッケージ論と言うときは、その三つの要素がそれぞれに、三つであったりとか五つの要素がそれぞれに絡み合っていて、その関係でパッケージでないと解決できないというときに、パッケージ論、こういう言葉を私は使うんだと思っております。

 御指摘の日朝平壌宣言、これは拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決をするということを言っております、解決が必要な問題でありますから。そして、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化、これを実現するというものでありまして、中でも、拉致被害者やその御家族も御高齢となる中で、人命に関わりますこの拉致問題、これは一刻も早く解決をしなければならない人道問題であるとともに、国家主権の侵害でありまして、高市内閣の最重要課題であると考えております。

 その上で、拉致、核、ミサイル、諸懸案については、あくまでこれらを包括的に解決する、こういう方針でありますが、その中でも、拉致問題は、今申し上げたような認識に立って、特に我が国が主体的に取り組まなきゃならない、こういう課題である、こんなふうに考えております。

上村委員 時間がありませんので、手短にお願いいたします。

 もう一点は、日朝国交正常化という視点を設定した場合の、朝鮮高校への差別の問題の解消があります。

 文部科学大臣政務官、福田さん、ちょっと簡単に現状を教えてください。

福田大臣政務官 文科省の施策についてお問合せがございました。

 現行の高等学校等就学支援金制度では、法令上、支給対象である学校に通う生徒が日本国内に在住していれば、国籍を問わずに支援対象としております。

 しかしながら、朝鮮学校については、法令に基づいて定められた審査基準に適合すると認めるに至らなかったため、高等学校等就学支援金制度の対象には指定されておりません。

上村委員 ありがとうございます。

 今年の先ほど十一月二十八日に、参議院の拉致問題特別委員会で、同僚の伊勢崎賢治議員が質問いたしました。国連の人権機関、二〇一〇年の人種差別撤廃委員会、二〇一三年の社会権規約委員会の勧告で、この無償化の除外が差別だと指摘されたということ、そして、子供の権利を政治で否定すべきではないという発言をされました。これに対して茂木大臣から、日本からも十三歳の子供が拉致されていると返答がありました。この回答は、国際法を所管し、マルチの外交を担当する外務大臣としては極めて不見識であると指摘したいと思います。

 いわゆる安保三文書では、日本は先進民主主義国であり、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配という普遍的な価値を重視する国と自らうたっています。国連人権機関の勧告は、普遍的価値を重視する日本でこうした差別的政策が取られるのはなぜか、それは恥ずかしくないのかというふうに読まれるべきなのです。

 茂木外務大臣は、あたかも中世のあだ討ちのような意味で発言をされたことは、日本の価値をおとしめると思います。撤回されてはいかがですか。

茂木国務大臣 全く発言を変えるつもりはありません。

 先週の私の答弁、参議院の拉致問題特別委員会で、北朝鮮に関して、人道問題、この質問がありまして、私外務大臣に対して質問がありましたので、拉致問題、これは、人道上極めて深刻、また人権の侵害に当たる問題である。十三歳の少女が何の罪もない中で拉致をされる、このことが人道問題じゃないという方が私はおかしいのではないかなと思います。

小宮山委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力お願いいたします。

上村委員 最後です。

 木原官房長官がいらっしゃるので、今の議論をお聞きになった上で、日朝国交正常化についてどのようにお考えか、現政権でどういうふうにお考えかということについてお伺いしたいと思います。

木原国務大臣 北朝鮮に対する政府の基本方針を繰り返しますが、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決して、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を実現するというものであり、外務大臣の答弁のとおりであります。

上村委員 どうもありがとうございました。これで終わります。

小宮山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.