衆議院

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第3号 令和元年5月14日(火曜日)

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令和元年五月十四日(火曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 土屋 品子君

   理事 穴見 陽一君 理事 石原 宏高君

   理事 田畑 裕明君 理事 平  将明君

   理事 武村 展英君 理事 大河原雅子君

   理事 関 健一郎君 理事 鰐淵 洋子君

      伊藤信太郎君    石崎  徹君

      岩田 和親君    小倉 將信君

      木村 弥生君    小泉 龍司君

      小寺 裕雄君    鈴木 隼人君

      高木  啓君    高橋ひなこ君

      中曽根康隆君    中山 展宏君

      西田 昭二君    百武 公親君

      藤井比早之君    藤丸  敏君

      船田  元君    古川  康君

      堀内 詔子君    松本 洋平君

      宮路 拓馬君    尾辻かな子君

      櫻井  周君    堀越 啓仁君

      山川百合子君    山本和嘉子君

      大西 健介君    西岡 秀子君

      古屋 範子君    畑野 君枝君

      串田 誠一君    中島 克仁君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            宮腰 光寛君

   内閣府副大臣       左藤  章君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   政府参考人

   (内閣府消費者委員会事務局長)          二之宮義人君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官)    丸山 雅章君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小田部耕治君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          高田  潔君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    橋本 次郎君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    小林  渉君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    高島 竜祐君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 多田健一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     土田 浩史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           島田 勘資君

   衆議院調査局第一特別調査室長           大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  串田 誠一君     杉本 和巳君

同日

 辞任         補欠選任

  杉本 和巳君     串田 誠一君

同月十四日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     高橋ひなこ君

  小倉 將信君     中曽根康隆君

  木村 弥生君     古川  康君

  佐藤 明男君     高木  啓君

  藤井比早之君     石崎  徹君

  初鹿 明博君     山川百合子君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     藤井比早之君

  高木  啓君     小寺 裕雄君

  高橋ひなこ君     伊藤信太郎君

  中曽根康隆君     小倉 將信君

  古川  康君     木村 弥生君

  山川百合子君     櫻井  周君

同日

 辞任         補欠選任

  小寺 裕雄君     佐藤 明男君

  櫻井  周君     初鹿 明博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件

 食品ロスの削減の推進に関する法律案起草の件

 食品ロスの削減の推進に関する件


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     ――――◇―――――

土屋委員長 これより会議を開きます。

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府消費者委員会事務局長二之宮義人君、内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官丸山雅章君、警察庁長官官房審議官小田部耕治君、消費者庁政策立案総括審議官高田潔君、消費者庁審議官橋本次郎君、消費者庁審議官小林渉君、消費者庁審議官高島竜祐君、総務省大臣官房審議官多田健一郎君、厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官土田浩史君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官宮嵜雅則君及び経済産業省大臣官房審議官島田勘資君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田畑裕明君。

田畑委員 ありがとうございます。自民党の田畑裕明でございます。

 きょうは質問の機会をいただきまして、理事各位また委員の皆さんにも御礼を申し上げたいと思います。

 大臣所信ということでありまして、いろいろ多岐にわたり、私自身も取り組んでいること、また、国民の皆さんの声を反映をして質疑をさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。特に宮腰大臣はふるさとの先輩でもありまして、いろいろこれまでも御指導いただいておりますが、きょうは気持ちはもちろん、厳しく質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 それでは、一問目でありますが、障害者雇用のことについてちょっと触れたいと思います。

 今国会に提出され、現在、衆議院の厚生労働委員会で採決をされ、本会議での採決を控えているところでありますが、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案におきまして、特に公務部門の対象障害者の不適切な計上の発覚によりまして法定雇用率未達成が露見をしたところであります。国の行政機関は率先をして障害者を雇用する立場にありながらのこの実態は許されるものではありません。

 宮腰大臣は、国家公務員制度改革担当大臣、また、政府の障害者施策推進本部の副本部長もお務めだというふうに認識をしております。障害者の活躍の場の拡大に向けまして、就労移行支援機関ですとか特別支援学校、障害者職業能力開発校などとの連携にしっかり力を入れていただきたいと思いますし、希望する障害者の求職者の方々の円滑な就労定着につなげていただきたいというふうに思います。また、公務部門で既に働いていらっしゃる非常勤の職員の方々への正規職員へのステップアップの枠組みづくりにも積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 そこで、消費者庁における障害者雇用についてお聞きをしたいというふうに思います。

 政府の取決めでは、昨年度末、この三月まで、また今年度末まで入れると、消費者庁においては計七名の障害者の方々の採用予定計画というふうに承知をしているところであります。

 そこで、まず、消費者庁におけます障害者の働きやすい職場づくりですとか人事管理についてどのように行われているのか、また、この問題発覚以降どう改善されたのか、大臣にお伺いをしたいと思います。

宮腰国務大臣 国の行政機関は、民間の事業主に対し率先して障害者を雇用すべき立場にありながら、その責任を果たしていなかったことはまことに遺憾であると考えております。

 消費者庁では、障害者選考試験等を活用した採用を進めておりまして、本年五月一日現在では八・五名の方を雇用しております。また、現行の障害者採用計画において、本年末までに新たに四名を採用し、合計で十二・五名の方を雇用する予定としております。

 障害者の雇用に際しては、障害特性等に配慮しつつ、その能力を生かして活躍することができるよう、フレックスタイムやテレワークの活用を柔軟化するなど就業時間に関する規定の見直しを行ったほか、人事担当部局の職員が面談を行うなど、障害者の働きやすい職場づくりに努めているところであります。

 私といたしましても、本年四月一日に開催された消費者庁の入庁式におきまして、障害者選考試験の採用者に対して直接激励をさせていただいたところでありまして、これまでの社会人経験等も踏まえ、消費者庁において今後の活躍を大いに期待しているところであります。

 以上であります。

田畑委員 ありがとうございます。

 国の公務部門における障害者雇用、これからもこれはしっかり行っていかなければならない、特に消費者庁においても、そうした皆さん方がしっかり生き生きと活躍できる職場環境づくりに取り組んでいただくことを改めて念押しをさせていただきたいと思います。

 それでは、大臣所信につきまして質問に入らせていただきたいと思います。

 今月は消費者月間であります。本年は、SDGsの理念のもと、「ともに築こう 豊かな消費社会 誰一人取り残さない 二〇一九」というものがテーマであるというふうにお聞きをしているところであります。消費者団体、事業者団体、また行政等が一体となって、消費者問題に関する教育ですとか啓発等の事業を全国で集中的に今月は行っていくというふうにもお聞きをしているところであります。

 宮腰大臣は所信の中におきまして、まず冒頭に、就任以来、現場第一主義を信条として、最前線で実務を担う消費生活相談員や、地方公共団体の消費者行政部局の方々と意見交換を続けてきた、また、中略でありますが、きめ細やかな消費者行政を推進する必要があるというふうに考えている、特に本年は消費者庁及び消費者委員会設立十周年を迎える節目の年である、十年目にふさわしい組織としてその機能をしっかり果たせるよう、全力を尽くす旨を述べられたところであります。

 そこで、消費者庁設立十周年にふさわしい組織という発言がありますが、そのふさわしい組織とはどのような組織なんでしょうか。見解をお聞かせいただきたいと思います。

宮腰国務大臣 消費者庁設置からの十年弱で、各種法律の整備や地方の消費者行政の強化など、一定の成果が上がったものと認識をしております。

 私が考える十年目にふさわしい組織とは、まず、内容面では、架空請求といった従来からの課題に加えて、越境取引など取引形態の複雑化といった新しい課題の双方に柔軟かつ的確に対応できる組織であること、また、二番目として、体制面では、霞が関や地方公共団体の中でも消費者庁が存在感をしっかりと示すことができる組織である、そういうふうに考えております。

 消費者庁がこのような組織として機能するよう、担当大臣として引き続きリーダーシップを発揮して、消費者行政の充実にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

田畑委員 ありがとうございます。

 特に大臣は特命の受けられている任務が非常に多くて、非常に多忙だと思いますが、頻繁に消費者庁の御自身のデスクというかお部屋にも足を運んで、直接陣頭指揮をとっていらっしゃるというふうにもお聞きをしております。ぜひ、今おっしゃられたとおり、柔軟かつ存在感のある組織としての力を発揮をしていただくことを期待したいというふうに思います。

 それで、大臣は常々現場第一主義ということを指針にされているというのは私も承知をしているところでありますが、お手元の資料2を皆様ごらんをいただきたいと思います。

 ちょうど、これは大臣の肝いりなんだと思いますが、消費者行政の地方の強化のためのキャラバンを一月から精力的に行われたというふうにお聞きをしております。特に三点ですね、消費生活センターの全県的な配置のこと、「社会への扉」を活用した高校生への消費者教育の実施であったりですとか、いわゆる見守りネットワークの設置についての意見交換を中心に、また消費生活相談員の皆さんとの意見交換もされたというふうにお聞きをしているところであります。

 地方行政の消費者対策にかかわる予算ももちろん厳しい中で、それぞれ自治体が工夫をしながら展開をされているというふうにお聞きをするところでありますが、こうして現場に行かれるということ、激励を兼ね、そしてまた、みずから政務の皆さん方が率先垂範されるということは大変立派なことであり、そのことで吸い上げた意見ですとか感じたことは、当然また政策ですとか予算に反映をしていただきたいなというふうに思います。

 この一覧表を見ますと、大臣もみずから二カ所を、香川県、長野県にも行かれ、左藤副大臣、また安藤政務官においてもそれぞれ一カ所ずつ回られたというふうにお聞きをしているところであります。

 せっかくですから、それぞれ訪問された後の所感的なことについてお聞きをしたいというふうに思います。これはまず左藤副大臣からお聞きをしたいと思いますので、お聞かせをいただきたいと思います。

左藤副大臣 消費者の行政というのはやはり現場ということでございます。そういう認識のもとで地域を回りました。キャラバンでは、私は二月の二日に三重県を訪問させていただきました。鈴木英敬三重県知事との面会、そして消費者生活センター視察及び県職員との意見交換を行ってまいりました。

 感想といたしましては、現場の方は非常に熱心に取り組まれておって、知事も含めて消費者行政の充実に向けてお互いの理解が深められたことは大変有意義だった、このように思っております。また、県消費者生活センターの視察では、普及啓発のためのビデオやパンフレット等のわかりやすい教材が充実しており、有効な情報提供が行われていると実感をしたところでございます。

 ただ、一方では、キャラバンの中で幾つかの課題も抽出をできたと考えております。一例を申し上げますと、知事に要請を行った事項の一つである消費生活センターの全県的配置については、主に小規模市町村等においては、財政的な課題もあることから設置が進んでいないという状況もお聞きをしました。

 このため、広域連携も活用して取組を進めていただけるようお願いさせていただいたところでございます。一方では、知事からは、県も厳しい財政状況であることから、交付金の継続的な確保や工夫を依頼されるなど、双方でのコミュニケーションが深まったと感じております。

 今後は、キャラバンで得られた成果も踏まえながら、地方消費者行政が充実していくように引き続き努めてまいりたいと思っております。

田畑委員 ありがとうございます。

 それでは、引き続き、安藤政務官、お願いいたします。

安藤大臣政務官 お答えいたします。

 私は、三月の五日に東京都を訪問させていただきました。キャラバンでは、猪熊東京都副知事との面会、消費者生活センター視察及び東京都職員との意見交換会を行いました。

 感想としては、東京都は最も規模の大きな地方公共団体ということになりますが、消費者行政に関しても充実した取組を行ってくださっているという感想を持ちました。

 一方で、キャラバンの中で課題も見えてきたところがございます。一例を申し上げますと、副知事に要請を行った事項の一つである消費者安全確保地域協議会、いわゆる見守りネットワークの設置促進については、東京都でも設置が十分に進んでおらず、法定の協議会設置のメリットがわかりにくい、あるいは福祉との実質的な連携の方法がわかりにくいなどの課題が挙げられました。

 こうした声をお聞きできたことは大変大きな収穫であったと考えておりますし、国の施策にこれから生かしていくことが重要と考えております。

田畑委員 ありがとうございます。

 それでは、大臣、お願いいたします。

宮腰国務大臣 副大臣、政務官からも答弁がありましたので、私からは総括的な感想として申し上げたいと思います。

 消費者庁は、地方支分部局を持たない組織であることから、地方公共団体と密にコミュニケーションを図ることが重要であると考えております。このキャラバンは、消費者庁設立以来初めて、集中的に全ての都道府県を訪問をいたしました。これにより、国、地方公共団体間で顔の見える関係が構築をされ、コミュニケーションの深化を図ることができたことは非常に大きな成果の一つであったと考えております。

 私が訪問をいたしました香川県、長野県でも、県が抱える事情は異なるものの、少なくとも知事には消費者行政の推進が県政上も重要政策の一つであるということについて御理解いただけたのではないかと考えております。また、各知事の方からは、市町村における消費生活相談窓口の設置などについても前向きに取り組んでいく旨のお話があったということであります。

 ただ、現実には、センターの設置あるいは見守りネットワークの設立に向けて取り組むべき課題が多いということも事実であります。消費生活相談の現場である市町村レベルでの具体的な動きを慫慂する観点からも、消費者庁として、引き続き、都道府県と連携したさらなる取組について検討していきたいというふうに考えております。

田畑委員 ありがとうございます。

 大臣先頭に、審議官、消費者庁の幹部の皆さんも手分けをされたということですから、職員の皆さん方も非常にいい意味で刺激になり、まさに大臣言われるように、顔の見える形での業務遂行にもこれからより加速がされるのではないかと思いますので、期待をしたいと思いますが。それぞれ課題も述べていただいたとおり、いわゆる消費者庁側からこのようなセンターですとか、また見守りネットワークの構築を依頼はするが、もちろん、人的なこと、またさまざまな御事情があるというのもつまびらかになってきたのではなかろうかなというふうに思います。

 一つ、見守りネットワークのことについてお聞きをしたいというふうに思いますが、これは富山県もまだ未設置であろうかというふうに認識をしているところでありますが、もちろん、いろいろな御事情があるということは繰り返しお聞きをしたところでありますが、この設置について、まず、未設置のところを含めて消費者庁としてどのように取り組んでいるのか、参考人からお聞きをしたいというふうに思います。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年四月から施行された消費者安全法におきまして、消費者安全確保地域協議会、いわゆる見守りネットワークというのが定められておりますけれども、本年四月末日の時点で、この地域協議会が設置済みという御報告があった地方公共団体は二百十七ということになってございます。

 平成二十七年には、この見守りネットワークの設立、運営に関するガイドラインも公表いたしておりますし、地方公共団体向けの説明会も行っております。また、先行事例の設置事例集の公表といったようなことも行いまして、地方公共団体の理解促進に努めてきたところでございます。

 今、大臣、副大臣、政務官から御答弁ありましたキャラバンでございますけれども、キャラバンにおきましても、見守りネットワークの設置促進に当たって、先方から、法定の協議会設置にどういうメリットがあるかといったようなことですとか、今までどんな事例があるかといったようなことを教えてほしいというような御要望もいただいたところでございます。

 これを受けて、私ども、事務的に、この見守りネットワークの設置の手引といったようなものも作成、公表をいたしているところでありまして、引き続き、この見守りネットワークの設置がどんどん進んでまいりますように働きをかけてまいりたいと考えております。

田畑委員 ありがとうございます。

 もちろん、横展開をしっかりやっていくということ、好事例をしっかり啓蒙できるように取り組んでいただきたいと思いますが、消費者庁だけの取組だけでなくて、御答弁にも触れられましたが、見守りの構成員として福祉関係団体の方々の協力というのも当然大事になるわけであります。

 福祉の分野ではそういったネットワークもほぼつくられているというか、網の目はあるような気もするわけでありますし、きょうは厚労省の政務官にもお越しをいただいておりますが、地域共生社会の実現といった事柄、これはまさに見守りネットワークと類似のことでなかろうかなというふうに思うわけでありますが、いろいろ省庁ごとに、これをつくりなさい、あれをつくりなさいといって、実態は同じようなメンバーの方々が同じ担いを行うというのはいろいろな分野でも重複が指摘をされるところでありますが、この見守りネットワークの消費者庁としての取組について、厚労省自身はどう協力、連携体制をしていらっしゃるのか、またどのように考えているのか、お聞きをしたいと思います。

新谷大臣政務官 お答えを申し上げます。

 田畑委員におかれましては、日ごろより福祉の向上にお取組いただきまして、まことにありがとうございます。

 御指摘の、高齢者の見守りネットワークと福祉を中心としたネットワーク、この連携につきましては、高齢者の消費者被害防止の観点から大変重要である、そのように認識をしておるところでございます。

 厚労省におきましては、平成二十七年に各都道府県に通知を発出をしまして、高齢者の消費者被害への対応としまして、高齢者の見守りネットワーク等の既存のネットワークも有効活用し、対応できる関係部署、機関の連携体制の構築に努めるよう依頼をしてきたところでございます。

 この通知の中で引用しているセルフ・ネグレクトや消費者被害等の犯罪被害と認知症との関連に関する調査研究事業、この事業の報告書の中では、例えば、香川県三豊市において、高齢者虐待防止ネットワークを活用して高齢者の消費者被害に関する対応方針を検討する事例や、大阪府和泉市において、消費生活センター、地域包括支援センター、社会福祉協議会等が連携をして消費者被害対応に取り組む事例を挙げているところでございます。

 厚労省におきましては、こうした事例の紹介や自治体への注意喚起等を通じて、引き続き高齢者の消費者被害防止に積極的に協力してまいりたい、そのように考えております。

田畑委員 ありがとうございます。

 えてして、現場の特に基礎自治体において、見守りネットワークはどちらかというといわゆる市民部と言われるセクションが主に構築の中心になるのではなかろうかと思いますし、一方、今おっしゃった地域共生社会の分野は、そうした市民部の分野といわゆる基礎自治体の福祉の分野が構築の主な担い手ということになるんだと思いますが、繰り返しになりますが、やはり縦割りをしっかり排除をしながら、人的な資源でも地域によっては限られる部分もあると思いますので、そうしたことの横串を刺しながら連携といったようなことはしっかり受けとめて取り組んでいただきたいことを改めて念押しをさせていただきたいというふうに思います。

 また、所信の中で、サステナブル経営といったようなことも大臣お触れになっていらっしゃるところであります。消費者志向経営ということをサステナブル経営というふうに命名をして、より事業者の方々についても啓蒙啓発をしていこうというふうに理解をしているところでありますが、消費者をより重視をした経営を事業者が行うということ、これは従業員のモチベーションの向上ですとか働き方改革にも通じる取組でなかろうかというふうに思いますし、社会的にも大変重要であろうかというふうに思います。

 特に今、いわゆるサテライトオフィスというか、徳島県においては申請をされる企業が非常にふえているというふうにお聞きをしているところでありますが、徳島県における企業が、消費者志向自主宣言ですか、こうしたことを行っているというふうにお聞きをしているところでありますが。ここで言うサステナブル経営、こうしたことが広がることによって社会的にどのような影響を与えることができるというふうにお考えになっていらっしゃるのか、参考人にお聞きをしたいと思います。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御質問いただきました消費者志向経営でございますけれども、消費者庁では、サステナブル経営という愛称を活用いたしますとともに、事業者団体、消費者団体と連携をして、事業者の消費者志向自主宣言、フォローアップ活動への参加を呼びかけているところでございます。本年の三月末の時点で百一の事業者に御参加をいただいているところでございます。

 この取組を進めることによりまして、事業者においては中長期的な企業価値の向上や従業員のモチベーションの向上が図られるというふうに思っておりますし、消費者ニーズの商品やサービスへの反映、これによりまして消費者の満足や信頼にもつながるというふうに考えております。消費者志向経営の普及は、健全な市場の形成や経済の好循環の実現といった効果もあると思っておりますので、SDGsの達成にも資するものである、このように認識をしているところでございます。

 また、平成二十八年からは、消費者団体や事業者団体と私どもで消費者志向経営を推進するための組織も立ち上げて推進しておりますし、また、昨年度からは新たに、すぐれた取組を表彰する消費者志向優良事例表彰といったようなものも取組を進めているところでございます。

 今後ともさまざまな事業者が本取組に参加いただけるように積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

田畑委員 ありがとうございます。

 今、百一社ということでありますが、いろいろ名簿も見せていただければ、大手企業を中心に宣言をなさっていらっしゃるということ、徳島においては地場企業の方々が非常に多いというふうにお聞きをしているところでありますので、このうねりというか運動が広がることを期待をしたいなというふうに思います。

 今、徳島県庁内に設置されている新未来創造オフィスについて、一点だけちょっとお聞きをしたいというふうに思います。

 来月、この委員会の理事中心に視察に行くというふうにもお聞きをしておりますので、私も予備知識を含めながら視察にしっかり参加したいなというふうに思っているところであります。

 このオフィス、政策の分析、研究、実証実験等のプロジェクトを集中的に実施をしているというふうにお聞きをしております。今年度を目途に検証、また機能、業務の見直しの結論を得るということになっているところであります。幾つかの取組があるわけでありますが、その中で、このオフィスは一つ働き方改革というのを中心に掲げているというふうにお聞きをしておりますが、実際の取組であったりですとか上げられた成果、実際の東京の消費者庁の本庁の中においてもどのような好影響等が生じているのか、副大臣にお聞きをしたいと思います。

左藤副大臣 先生の御指摘のとおり、消費者庁では、徳島県に開設した消費者行政新未来創造オフィスを働き方改革の拠点として位置づけ、取組を進めているところでございます。具体的には、執務室のフリーアドレス化、会議等のペーパーレス化のほか、立ち会議による会議時間等の短縮、積極的な休暇の取得、テレワークの促進等を実施し、業務を効率化して超過勤務を縮減するといった成果を上げています。

 なお、これらの取組が認められ、消費者行政新未来創造オフィス担当室が、平成三十年度ワークライフバランス職場表彰の内閣人事局長表彰を受賞をしたところでございます。

 また、東京の本庁においても働き方改革の取組を積極的に取り入れています。例えば、昨年度から無線LANを導入し、職員の行政端末を執務室から持ち出して利用することを可能としたことで、テレワークや会議のペーパーレス化の促進に寄与しています。さらに、本庁でも立ち会議を導入する課、これは消費者制度課なんですが、が見られるなど、徳島の取組が東京での働き方改革にもよい影響を与えているものと考えております。

 引き続き、オフィスにおける働き方改革の成果を踏まえ、職員全体の意識改革等を行いつつ、消費者庁全体の働き方改革を進めてまいりたいと思います。

田畑委員 ありがとうございます。

 着席せずに立ったまま会議をするというお話ですよね、先ほどの表現は。これは徳島県庁にもひょっとしたらいい影響があるのではなかろうかと思いますし、働いている方々が力を発揮できるような職場環境づくりに寄与することを期待をしたいと思いますし、改めて、来月、しっかり我々も視察もさせていただきながら、現地の方との意見交換に臨んで来たいなというふうに思います。

 ちょっと時間の関係で少し入れかえますが、きょう、委員会最後に、委員長の提案によって食品ロスの法律の起草が行われるところであります。この分野は非常にいろいろな省庁横断的に消費者に対する食品ロスの意識啓蒙、教育的なことをしっかりやっていかなければいけないということでありますので、これまで超党派の方々を含めて立案された方々にも敬意を申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 そこで、ちょっと大臣にお聞きをしたいと思いますが、三〇一〇運動というのを御存じであろうかと思います。これは長野県松本市の取組が全国に波及をしていったというふうにお聞きをしているわけでありまして、宴会等での乾杯後三十分間、また終了前の十分間は離席せずに食べ残しはなくしましょうという趣旨の運動であろうかというふうに思います。

 そこで、大臣、三〇一五運動は御存じでしょうか。多くの方は、知らない方が多いと思いますので。三〇一五運動というのは、食べきり三〇一五、使いきり三〇一五の二種類の運動から構成をされております。富山県の最高峰の立山連峰の標高三千十五メートルにちなんだ運動でありまして、富山県が旗を振っており、富山県民は誰もが知っているわけでありますが、多くの皆さんは初めてだというふうに思いますが。

 乾杯後三十分、またお開き前の、ここは富山は十五分間ですね、しっかり着席をして料理を楽しもうということ。また、使いきり三〇一五というのは、毎月三十日と十五日の二日間は、自宅の冷蔵庫の中身をしっかり点検をして、期限が近いものは使い切りましょうという趣旨の運動ということでありまして、一定の、我々からすれば三千十五というのは非常に覚えやすい数字で、すっと入ってくるなというふうに考えているところでございます。

 そこででありますが、食品ロスの削減の有用性というのはここで語るまでもないわけでありますが、生産者ですとか事業者、消費者の方々の連携をしっかり図ることが何よりも重要であります。

 そこで、宮腰大臣は、これまでの政治キャリアも踏まえれば、大変、農水のエキスパートとしても、生産者の現場の状況であったりとか、まさに輸入輸出の状況についても御精通をされているわけでありまして、このようなやはり食品ロスの取組、これは消費者への大変な啓蒙啓発もそうでありますが、ひっくるめて、宮腰大臣がリーダーシップをとっていくということは、非常に私は適任でもなかろうかと思いますし、大変その思いはお強いのではなかろうかというふうに思いますが、消費者行政における、まずは食品ロスの削減に向けたと申しますか、大臣の意気込みというか思い入れをぜひお聞かせをいただきたいと思います。

宮腰国務大臣 私も、中学生のときに立山の頂上、三千十五メートル、登ったことがありますので、富山県民なら三〇一〇と言うよりは三〇一五と言った方が心に響きやすいのかなというふうに思っております。

 我が国で発生している食品ロスは依然として年間六百万トンを超える状況にありまして、生産、流通、消費のそれぞれの段階で生じているために、その削減に向けましては、委員の御指摘のとおり、生産者、事業者、消費者の有機的な連携が必要であると考えております。

 食品ロス削減に向けまして、政府としては、国会におけるさまざまな御議論を踏まえ、製造から販売の過程で生じる食品ロス削減に向けた商慣習の見直し、いわゆる三分の一ルールの見直し、食べ物を無駄にしない、もったいないという意識を高める消費者教育の充実、三〇一〇運動や三〇一五運動などを、関係業界や消費者団体等を巻き込み、省庁横断的に、そして実効ある取組を推進する必要があると考えております。

 この点、食品ロス削減につきましては社会的関心も高くなってきておりまして、SDGs目標や二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会など、国内的にもあるいは国際的にも大きなモメンタムを控え、まさに今こそ取組を更に強化していく必要があると考えております。

 食品ロス削減に関するできるだけ多くのアクターによる積極的な取組が行われるよう、担当大臣として、一層気を引き締めて職務に邁進していきたいというふうに考えております。

田畑委員 担当大臣としての答弁ということであろうかと思いますが、もちろん、一政治家としても、農水を含めたそうした分野を横断的に機能するように、力を発揮をしていただきたいことを御期待申し上げたいと思います。

 関連してでありますが、きょうは経産省の方にもお聞きをしたいというふうに思います。

 俗に言う過剰なサービス競争ですとか商慣行が、フードロスに生じるコストであったりですとか、企業の生産性ですとか、労働者の賃金ですとか、小売の関係にも、当然、連動ですとか、さまざまな影響を与え合っているのではなかろうかというふうに思います。

 その中で、小売業におけます過剰なサービス競争ですとか商慣行が小売業の生産性ですとか小売価格に悪影響を与えているのではなかろうかと私は思うわけでありますが、経産省の受けとめと申しますか分析や、またそれに対する取組をお聞きをしたいと思います。

島田政府参考人 委員御指摘の過剰なサービス競争あるいは過剰な商慣行といったようなもの、そういったものが現に世の中に存在していることは事実であると認識をしてございます。

 こういった小売業におけるサービス競争あるいは商慣行への対応については、基本的には各社が自主的に取り組んでいるところではございますけれども、経産省といたしましても、サプライチェーン全体でしっかりと対応すべきであるというふうな課題につきましては、改善のためにさまざまな取組を現在進めているところでございます。

 例えば、消費財のサプライチェーンのメーカーさんあるいは卸、小売業者で構成をされる製・配・販連携協議会というものがございます。こういったところと協力をいたしまして、先ほど大臣からも御指摘がございました三分の一ルール、賞味期限のうちの三分の一が経過した場合にはもう納品をしないというふうなルールにつきましても、一部を緩和をするということで、少しずつ、今、業界内でも広がりが出てきておるところでございます。

 そのほか、賞味期限はこれまで年月日まで細かく表示しておりましたが、それを年月、月単位での表示というふうなことに改める。これも一定の効果が出てきているものではないかなと考えてございます。こういったことも進みつつございます。

 さらには、こういった取組をしっかりと進めていただいている企業さんへの表彰といったようなことも経済産業省においてやらせていただいているところでございます。

 こういったことを通じまして、製配販の各事業者と関係省庁などと連携をしながら、小売業における競争環境の整備を進めてまいりたいと考えてございます。

田畑委員 ありがとうございます。

 あわせて、これはやはり労働者の賃金であります。我々もしっかり労働者の方々の賃金を下支えをし、もちろん、賃上げを、働いた分がしっかりまた報酬として受け取ることができる、これは当然のことで、整えていかなければいけないというふうに思っているところでありますが、厚労省として、このような過剰なサービスというか商慣行が労働者の賃金にはどのような影響を与えているというふうな認識ですとか、分析をしているのか、お聞きをしたいと思います。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 賞味期限より大幅に前に納品期限を設定するといいました、小売業における過剰なサービス競争や商慣行のあり方というものをお伺いするところでございますけれども、こういったものが、企業の経営状況や生産性を通じまして、働く方々の賃金にさまざまな形で影響を与えているのではないかというふうに考えられるところでございます。

 しかしながら、その影響を正確に把握することが難しいという面もございまして、残念ながら、厚生労働省としては、これまでお示しする形で分析はできていないということでございます。

 しかしながら、厚生労働省といたしましては、現在、過去最高の企業収益を継続的な賃上げにつなげまして、経済の好循環を確実にしていくことが重要だというふうに考えております。

 こういった観点から、生産性向上による賃金引上げに向けました働き方改革推進支援センターにおける専門家によるワンストップ型の相談支援、生産性向上に向けた設備投資やコンサルティングなどの費用助成、小売業も含めまして、介護、飲食、宿泊、医療、保育などの分野でのICTの利活用や業務改善の促進などの支援を進めているところでございます。

 引き続き、厚生労働省といたしましても、関係省庁と連携しつつ、委員の御指摘の点につきましても問題意識を持って、しっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。

田畑委員 ありがとうございます。

 答弁は残念でございましたので、分析がなされていないことはやはり少し冷静に受けとめていただきたいと思いますし、いろいろな業界、人手不足を含めて対策をしなければいけない中で、過剰なサービスは何ぞやということも、そこは論点になろうかというふうに思いますが、そうしたことがどう賃金に影響しているかというのは一定の法則的なこともあるのではなかろうかと思いますので、課題としてしっかりまた受けとめていただきたいと思いますし、今後もそのことは私も注視をしていきたいと思いますから、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、時間も少なくなりましたので、もう一点、きょうは経産省の方にもお越しをいただいていますので、ヘルスケア関係のことについてちょっと御質問したいというふうに思います。

 今、政府を挙げて健康寿命の延伸といったことに係る政策が進められているところであります。とりわけ経産省においては、ヘルスケア産業の政策を進めているというふうに認識をしております。

 お手元、きょうは資料を四枚、4、5というふうなものをつけさせていただいたところでありますが、4を見ますと、「健康保持・増進に働きかけるもの」「患者/要支援・要介護者の生活を支援するもの」に区分けをしながら、いわゆるヘルスケア産業というのは、二〇一六年では約二十五兆円規模、二〇二五年には三十三兆円規模に推移すると推計をされているところであります。

 また、5にごらんをいただけるように、ヘルスケアサービスというものは非常に多岐にわたるところでありまして、更にこれからIoTの進展によって新たな産業化も広がっていくものでなかろうかなというふうに思います。

 この中で、当然、国民の方、消費者の方々と密接な事柄ということも含まれているのではなかろうかなというふうに思います。

 その中で、今、ヘルスケアサービスの普及に向けて、このたび、経産省においては、ヘルスケアサービスガイドライン等のあり方というものが検討され、報告書が示されたと承知をしております。

 このことについてどのようなスケジュールで進んでいくことを計画、期待をしているのかお聞きをしたいと思いますし、あわせて、このガイドラインの策定が、国民生活にどのようなメリットが生まれると考えているのかをお答えをいただきたいと思います。

島田政府参考人 委員御指摘のヘルスケアサービスにつきましては、これから市場規模が大きくなっていくだろうというふうな認識をしてございます。

 そのもとに、こうした健康管理、予防に資する保険外のサービスでございますが、そういったものをしっかりと活用、促進していくべく、未来投資戦略二〇一八におきまして、品質評価の仕組みについて、業種ごとや業界横断の自主的な認証制度、ガイドライン策定などを促すといったようなことが盛り込まれたところでございます。

 これを受けまして、先ほど委員御指摘のとおり、この四月に経産省で、ヘルスケアサービスガイドライン等のあり方についての報告を公表させていただきました。

 今後、こういった内容につきまして、業界団体、あるいは、こういったサービスと一般の方をつなげます、例えば医療関係、福祉関係の団体の方々、さらには自治体、こういった方々に、この趣旨をしっかりとこの後周知を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

 そういったことを通じまして、こういったヘルスケアサービスがしっかりと、一定の品質が確保された状態で社会に実装されていくということが非常に大事ではないかと考えてございます。

 こういった中で、例えば、法令の遵守をするのは当然でございますけれども、提供するサービスが一定の基準を満たすことを担保できることを目指すべきではないかと考えてございます。

 さらに、例えば、こういったサービスの安全性ですとか、あるいは効果といったようなことの説明につきまして、その業界の従業員教育をしっかりとやっていただくということ、それとともに、こういったサービスを利用される場合に、例えば、ケアマネジャーさんですとか、あるいは、こういったサービスを紹介する雑誌の編集者さんですとか、消費者と業界を結びつける仲介的な役割を果たされる方々、こういった方々にもしっかりと品質あるいは効果について客観的な指標を理解をしていただいて、こういった方々からの信頼も醸成していくというようなことが、ひいては利用者の方々が安心して利用できるというふうな環境の整備につながっていくのでないかと考えてございます。

 こういったことで、最終的には国民の健康寿命が延伸していく、こういったことに貢献していくのではないかと考えてございます。

田畑委員 時間がまいりました。

 丁寧な答弁、ありがとうございました。これを見ますと、機能性寝具ですとか健康機能性衣服等々、消費者の方々に絡むようなことも明確に示されているところでありまして、消費者庁においても、やはりヘルスケアサービス産業分野は日本の成長産業でもあろうかと思いますので、それに生ずる、これまた負の部分が大きくならないようにしっかり対応することを御要望申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

土屋委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、消費者にとって今大変関心の高い、ゲノム編集食品についてお伺いをしてまいります。

 このゲノム編集技術につきまして、政府が、これからの主要技術と位置づけ、強く推進する一方で、消費者の間からは、遺伝子を操作することに不安の声も上がっているところでございます。

 本年三月、厚生労働省におきましては、薬事・食品衛生審議会の新開発食品調査部会で、ゲノム編集を応用した食品をめぐる食品衛生法上の取扱いにつきまして方針を決定をいたしました。

 遺伝子組み換え食品が出回り始めて約二十年になります。遺伝子を操作する生命科学が進んで、遺伝子の組み換え技術は、より効率的な技術としてゲノム編集技術が登場してまいりました。昨年から、ゲノム編集食品というこれまで聞きなれない言葉が報道等で取り上げられまして、ゲノム編集食品とは一体何なのか、安全なのか、どのようなものなのか等々、消費者から声が上がっているところでございます。

 この技術は、遺伝子の狙った部分を操作をして、効率よく品種改良ができるというものであります。狙った改良を正確に、しかも簡単に行うことができる、遺伝子組み換えとは大きな違いがあります。

 アメリカやヨーロッパでは、企業や大学がこぞってこの技術を使った商品開発に取り組んでおります。我が国でも、昨年六月に閣僚会議で決定された政府の総合イノベーション戦略が、このゲノム編集技術を特に取り組むべき主要分野と位置づけまして、ゲノム編集食品について今年度中に取扱いを明確化するということを打ち出して、今回の議論が始まりました。

 まず、基本的に、ゲノム編集技術を応用した食品とは一体どういうものなのか、遺伝子組み換え食品とどう違うのか、ゲノム編集食品が出てきた背景についてお伺いをいたします。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 ゲノム編集技術とは、一般的に、外部から遺伝子を組み込むのではなく、標的とする遺伝子を切断することで遺伝子改変を行うことが可能な技術とされておりまして、この技術を利用して品種改良を行う食品がゲノム編集技術応用食品でございます。これは先生御指摘のとおりでございます。

 昨今、このゲノム編集技術を用いて品種改良された農産物等が開発され始めているため、こうした食品の食品衛生法上の取扱いについて議論をすることが必要とされてきております。

 このため、こうした食品等について、食品衛生法による安全性確保措置の必要性を検討するため、薬事・食品衛生審議会の部会等におきまして、平成三十年九月以降、合計八回の議論を重ねてきたところでございまして、その後、パブリックコメントの結果も踏まえ、平成三十一年三月二十七日に報告書が取りまとめられたという経緯でございます。

古屋(範)委員 このゲノム編集食品、従来の育種技術、突然変異を誘発した技術があるとすると、対局に、いわゆる遺伝子組み換えの食品がある。その間に三つのタイプがあるということであります。

 まず、タイプの一は、標的とするDNAを切断をして、自然修復の過程で生じた変異を得ていく。タイプ二は、標的とするDNAを切断をして、あわせて導入したDNAを鋳型として修復をさせて変異を得ていく。タイプスリーは、標的とするDNAを切断をして、あわせて導入した遺伝子を組み込むことで変異を得るということで、一口にゲノム編集技術と言っても、このような三つのカテゴリーがあるということであります。こういうことも、実際、消費者の側は余り知らされていないというのが現状ではないかと思います。

 今局長が言われましたように、ゲノム編集食品の報告書が取りまとめられたわけなんですが、従来の品種改良や自然界でも起こり得る範囲の改変なら、遺伝子組み換え食品のような厳格な安全性審査は不要である。改変した食品が健康に悪影響を及ぼさないということは、開発者が確認をする。また、国は、改変した食品に関する情報を販売前に届けるよう開発者に求める。

 しかし、海外の対応はいろいろ分かれておりまして、例えば推進派のアメリカなどでは、ゲノム編集で生まれた農産物は規制をせず、企業の独自判断に任せています。アルゼンチン、チリなど南米諸国では、外来遺伝子がないことが確認される、先ほど言った一、二のタイプについては規制の対象外とする。また、規制派のEUでは、ゲノム編集など新たな遺伝子改変技術を使ったものは、全て遺伝子組み換え食品として規制をする。ニュージーランドも同じ対応をとっております。

 この三月に、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の新開発食品調査部会で決定をした方針の内容、ポイントについて、簡略にお伺いをしたいと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員からお話がありましたお話が大変詳しくて、ちょっと繰り返しになってしまって恐縮なところもございますが、報告書におきましては、従来の品種改良技術を用いた食品と比べた安全性等の観点からゲノム編集技術応用食品というのを見ておりまして、そのうち、自然界又は従来の品種改良技術でも起こり得る範囲の遺伝子変化により得られるものは、安全性審査を義務づけることまではせず、食品の開発者等から届出を求め、公表するという取扱いです。

 一方、自然界又は従来の品種改良技術を超える遺伝子変化により得られるものは、基本的に安全性審査の対象とするということにされています。

 さらに、報告書では、ゲノム編集技術応用食品等に関する消費者の十分な理解を深めるためにリスクコミュニケーションを推進すること、あるいは、ゲノム編集技術応用食品等に関する公衆衛生上、食品安全上の調査研究を推進すること、それから諸外国における取扱いの検討状況を注視するとともに、調査研究により新たな科学的知見が得られた場合は、必要に応じ、届出制度の取扱いを見直すことが提言されているところでございます。

古屋(範)委員 ただいまの報告書のポイントについて御説明をいただきました。

 厚労省が、食品として流通をさせていくということが果たして妥当なのか、食品衛生法上の扱いについて決定をされたんですが、問題となっているのはやはりその安全性であると思っております。ゲノム編集技術を政府がこれからの主要技術と位置づけて強く推進する一方で、消費者の間からは遺伝子を操作するということに不安の声も上がっております。

 例えば、もともとある遺伝子を改変しただけの場合は審査不要となぜ判断できるのか。また、ゲノム編集食品は長期的な影響が国際的にまだ十分にわかっていない、想定外の事態が起こる可能性も考えなくてはならないのではないか。また、国民の命、健康に深くかかわる問題だけに、安全性への疑いが否定できない場合は商業化を認めないという予防原則に立った対応が求められるのではないか。審査不要とした食品が健康に悪影響を及ぼさないかは開発者が確認をするとした点も疑問だと。受益者になり得る開発者に判断を委ねてどうやって安全性を担保するのかなどなど、さまざまな意見がございます。

 欧州司法裁判所におきましては、ゲノム編集は遺伝子組み換え作物の規制の対象とすべきとの判断を示しました。欧州が危険であると判断した食品をなぜ日本は大丈夫なのか、実証された科学的根拠も示されなければいけないのではないかと思っております。報告書では安全性の審査は必要ないとされておりますが、その理由、また、届出の実効性は確保できるのか。国民が納得できるようにするためにも、食品が安全だとするその根拠をしっかりと示すべきだと考えます。この安全性についてお伺いをしてまいります。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘のありましたさまざまな意見、我々も検討の過程で、審議の過程で、さまざまな団体の方から、また、パブリックコメント等でもいろいろ御意見をいただきました。それらも踏まえまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、ゲノム編集技術応用食品のうち、自然界又は従来の品種改良技術を超える遺伝子変化により得られるものは基本的に安全性審査の対象とすることとしております。

 一方、自然界又は従来の品種改良技術でも起こり得る範囲の遺伝子変化により得られるものにつきましては、実際に従来の品種を掛け合わせて選抜していく過程を経て食品として流通するものであることも踏まえれば、自然界又は従来の品種改良技術と同程度の安全性は確保されているものと考えられることから、安全性審査を義務づけることまでは要しないこととされたところでございます。

 それにつきまして、届出でございますが、届出につきましては現時点では法的義務とはしていないところでございますが、消費者等の不安に十分配慮する観点から、今後、届出項目や届出方法等の具体的な内容を検討し、実効あるものにしていきたいというふうに考えているところでございます。

古屋(範)委員 その安全性とともに、大事なのは消費者の安心ということだと思っております。

 今、食卓に一番先に上がるかもしれないと言われているのがトマトです、この技術を活用したトマトだとも言われております。血圧上昇を抑え、また、ストレスを軽減をするアミノ酸、ギャバを大量に含むトマトが開発をされているということでございます。

 そうすると、安全性とともに、このトマトを食べることによってどれほど効果があるのかなというのも、実際、消費者にとっては聞きたい点でもございます。また、毒のないジャガイモとか肉づきのよいマダイなども今開発をされているということでございます。料理をする者からしますと、毒のないジャガイモというのはあると便利かなという気もしないではないんですが、消費者にとって安心ということが最も重要になってくると思います。

 遺伝子組み換え食品は買わないと決めている消費者も多いと思います。厚生労働省、専門家が、遺伝子組み換え食品よりもゲノム編集食品の方が安全だとしているんですが、どれくらい国民が納得をしているのか。ぜひとも、消費者への周知徹底ですとか、また、この内容を発信をしていくということが重要ではないかと思っております。国民の健康にかかわる問題、技術への不安がまだ残る中で新たな品種が市場に出てくれば、消費者の反発また混乱があるかもしれません。政府は丁寧に消費者の意見を酌み取っていく必要があります。

 ゲノム編集食品は新しい技術だけに不安も多い、また、集めた情報を消費者にわかりやすく届けて、食べるかどうか判断を自分で決められる環境も整えていく必要があると思っております。どんな情報が提供されれば消費者が安心をするのか、国としてルールを運用しながら見直していくこと、こうした柔軟な対応が必要と考えますが、いかがでしょうか。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、安心ということも大変、委員御指摘のとおり重要でございまして、先ほどの報告書でも御紹介しましたが、食品に対してリスクコミュニケーションを十分進めていくということが一つ重要だと思います。

 それから、安全ということで申し上げますと、先ほどの報告書も踏まえて、厚生労働省では、厚生労働科学研究等を通じてゲノム編集技術応用食品等に関する公衆衛生上あるいは食品安全上の調査研究を推進しますとともに、諸外国における食品衛生の観点からの取扱いの検討状況についても注視していくこととしております。

 そうした中で、ゲノム編集技術について、今後、国内外の安全性に関する新たな科学的知見が得られた場合には必要に応じてルールを見直すことも視野に入れ、ゲノム編集技術応用食品の安全性確保に向けた取組を継続していきたいと考えております。

古屋(範)委員 しっかりと消費者に向けた正しい情報発信、また、柔軟なルールの改変ということも取り組んでいただきたいと思っております。

 最後の質問になります。農水分野に大変詳しい宮腰大臣にお伺いをしてまいります。

 ゲノム編集普及に向けて、ゲノム編集食品を正しく選んでいく、その体制づくりが欠かせないと思います。明確な表示ルールというものがなければ、消費者がゲノム編集食品かどうか判断ができないということが起きてまいります。今後焦点となってくるのが表示のあり方であると思っております。

 自然界で起きている突然変異と同じであるとはいえ、安全性を審査しない以上、ゲノム編集技術で生まれた食品が消費者にそれとわかる、これはゲノム編集技術を応用しているということがわかることが必要なのではないかと思っております。適切に商品を選ぶためにどういう表示が必要なのか、丁寧な議論を進めてほしいと思います。

 消費者庁は、正しい情報を伝える表示のあり方について真摯に検討して、明確なルールづくりをしていただきたいと思います。大臣の見解をお伺いいたします。

宮腰国務大臣 ゲノム編集技術を用いた食品の表示のあり方については、厚生労働省における食品衛生上の整理を踏まえ、消費者庁において検討を進めております。

 委員御指摘のとおり、この問題につきましては、社会的な関心も高いことから、消費者委員会食品表示部会において、食品安全委員会の委員も務めるゲノム編集技術に関する専門家の科学的な御意見も踏まえた上で、ゲノム編集技術応用食品への懸念や表示のあり方など、さまざまな御意見を委員から伺う予定となっておりまして、これらも参考にして消費者庁において責任を持って検討を進めたいと考えております。

 検討に当たりましては、今後の流通可能性の把握に努めるとともに、消費者の意向、表示制度の実行可能性、表示違反の食品の検証可能性、さらには国際整合性を十分考慮する必要があると考えております。

 その上で、消費者庁において責任を持って検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 これまで、突然変異誘発技術を使って、従来の育種技術で突然変異を誘発して、それを何代も何代も繰り返しながら、長い間かけて、さまざまな品種改良というものは日本で努力を重ねてまいりました。それが効率的に行えるよというのはすばらしいことだというふうに思います。

 こうした技術を応用していくということは大変重要なことでありますけれども、一方で、やはり、それを食べる、消費していく消費者の側の安心というものをしっかり確保していく、これが重要だと思っております。しっかり、大臣におかれましては、消費者の安全、不安を払拭する努力を続けていただきたい、このことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

土屋委員長 次に、尾辻かな子君。

尾辻委員 立憲民主党・無所属フォーラムの尾辻かな子です。

 きょうは大臣所信に対する質問ということでありますけれども、たしか、大臣所信を聞かせていただいたのが三月二十八日だったかと思います。きょうは五月十四日ということで、かなり時間があいたなというふうに思います。

 消費者行政、刻々といろいろな課題がある中で、やはり適時適切に委員会を開いて消費者行政についてお聞きしていくことは非常に大事なことだということを、まず申し上げておきたいと思います。

 そして、大臣所信の中で、大臣は、地方消費者行政の充実強化は喫緊の課題であるというふうに述べられております。昨年、私は十一月にも地方消費者行政についてはお聞きをしたんですけれども、そのことについて引き続ききょうもお聞きをしていきたいと思います。

 私の問題意識は、自治体の消費者行政がどんどん縮小されていっているのではないかという懸念です。その理由は交付金の減額にあるわけで、これによって自治体が消費者行政に取り組まなくなるのではないかという不安があるかと私は思います。

 まず最初に、今年度の地方消費者行政強化交付金の予算、そして、それにプラスされるであろう昨年度の二次補正予算の予算額、また、その強化交付金の中で推進事業と強化事業に分かれている、その内訳をまず教えていただければと思います。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 地方消費者行政強化交付金でございますけれども、平成三十一年度の当初予算につきましては、二十二億円を措置したところでございます。一方、平成三十年度の第二次補正予算におきましては、十一・五億円を措置したところでございます。

 平成三十一年度の当初予算の二十二億円の内訳といたしましては、推進事業に十九億円、強化事業に三億円でございます。平成三十年度の第二次補正予算の内訳といたしましては、推進事業に六億円、強化事業に五・五億円としてございます。

尾辻委員 これで大体この交付金が推進事業と強化事業にどれぐらい使われているかということがわかるわけですけれども、昨年度、二〇一八年度は、自治体が本当に悲鳴を上げた当初予算額、推進の方ですけれども、これが十六億円ということ、そこに強化事業から推進事業に五億円を移して二十一億円ということだったわけです。

 ところが、今回、推進事業は更に二億円少なくなっているということで、推進事業を見ても、これは二億円も減らして大丈夫なのかなということが本当に気になるところです。

 補正予算も含めて計算をすると、二〇一八年度の推進事業が、当初予算二十一億円と前年度の補正の十二億円のうち、推進事業分十一億円で、三十二億円が二〇一八年度。二〇一九年度、今年度は、当初十九億円に、前年の補正予算を六億足しても二十五億円ということで、やはり、補正予算を足しても七億円の推進事業の減少ということになります。

 私のこの計算で合っていますかね。確認をしておきたいと思います。

高島政府参考人 お答えいたします。

 今委員の方からお話しいただきました数字に加えまして、従前の基金でまだ使用期限が来ていない部分がございますので、平成三十一年度の推進事業については、あと、先生からおっしゃっていただいた金額に、さらに、基金の残っている部分が三・五億円ほどあると考えております。

尾辻委員 ただ、三・五億円足しても、やはり前回よりは三億円以上減少ということになりますので、これだけ減額をしてしまえば、自治体、自治体担当者が消費者庁に対して何でこんなに減らしてくるんだということで不信感を募らせて、積極的に取り組まなくなるんじゃないか、そういう心配があります。

 さらに、これは参議院の消費者の特別委員会でも議論がありましたけれども、地方消費者行政強化事業について、補助率の引下げをことし一月にされたということで、今まで二分の一の補助率でやってくださいということ、残り二分の一は自治体からの自主財源確保ということでしたけれども、今回、条件をつけたんですね。条件が整えば二分の一、でも、その条件を満たさない場合は補助率をいきなり三分の一にするという通知を出されたということです。

 その条件は、聞いたところによると、二〇一八年度の当初予算における自主財源額を前年度比三%増加していること、交付金依存度が一五%以下、この二つの条件がないとだめだということなんですね。

 二〇一八年の創設時には、補助率は二分の一で三年間活用可能だと消費者庁は言っていたものが、どうして一年もたたずにこういう条件を変えるのか、自治体の予算編成が終わっている一月の時期にこのように交付率を変更したのはなぜでしょうか。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御案内かと思いますけれども、地方消費者行政は、消費者安全法によりまして、原則的に地方公共団体の責任において取り組むべきものというふうにされているところでございます。そのために、地方の自主財源による取組を促していくということが大変重要でございます。

 そこで、国から交付金措置を三十一年度もいたしておりますけれども、それと同時に、地方自治体における自主財源化への取組を加速させるというために制度面の変更も同時に行うべきだという趣旨で、強化交付金の補助率の一部につきまして三分の一を導入することを決めたということでございます。

尾辻委員 一月にこれをやるというのは私は非常識だと思うんですね。自治体はもう予算編成が終わっているわけです。本当に一月の時期にやったというのは私は問題だというふうに思うわけです。

 後でこのことについて大臣にお聞きしたいと思いますが、まず、これによって都道府県、市町村の対象自治体はどれぐらいの数に及んでいるのかを聞かせてください。

高島政府参考人 数字ですので私の方からお答えを申し上げたいと思います。

 補助率三分の一の影響を受けた自治体の数ということかと思います。三分の一の補助率の適用になるという条件に当てはまった自治体数は、全部で二百十一でございます。内訳といたしましては、県が八つ、市区町村が二百三となってございます。

尾辻委員 結構自治体に、大臣、影響が出ているんですね。

 日本消費者新聞が紹介している自治体担当者の声としては、先ほど私が申し上げた、市町村の予算編成が終わった段階で補助率削減はあきれ果てるとか、補助率二分の一で三年間活用できると説明していたのではなかったのか、安定しない施策を提示されたのでは市町村に説明のしようがない、交付金が削減される中で、それでも二分の一の自主財源を確保し頑張ろうとしている小規模自治体が苦境に陥っているのはおかしい、来年は四分の一にするんじゃないかというようなことが出ているわけです。

 大臣、これではもう本当に地方で自治体がやってくれなくなると思いますが、こういう声、そしてこういった今の現状を大臣はどのように把握されているでしょうか。

宮腰国務大臣 変更を伝えた時期が一月に入ってからということに関しましては、もっと早く丁寧にお伝えする必要があったのではないかというふうに考えております。

 その上で、地方消費者行政関連予算につきましては、これまでも何度も申し上げてきておりますが、地方公共団体における自主財源に裏づけられた消費者行政を推進するという基本的な考え方のもと、例えばインバウンド対応など、国レベルで取組を進める必要がある事項については強化交付金による支援を行っているところであります。

 この点、今回の措置は、強化交付金について、二分の一の補助率を基本としつつも、自主財源化の充実への取組が不十分な地方公共団体に対し、一部、三分の一の補助率を導入することとしたものであります。これは、自主財源の充実を進めるきっかけとなるよう取り組んでいただきたいとの思いのもと、措置したものであります。

 消費者庁といたしましては、地方消費者行政予算の基本的な考え方、制度変更について、地方公共団体の御理解を得られるよう、引き続きしっかりと説明をしてまいりたいというふうに考えております。

尾辻委員 今の説明の中で、一月だったということ、なぜ一月にこういったことをしたのか、この理由についてもう少し詳しく教えてください。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 政府予算案の編成作業をいたしますその過程で制度の変更が決まったということでございまして、決まったのが当然政府原案の決まる年末ということでございますので、決まった後、できるだけ速やかに通知をしたということでございます。

尾辻委員 今後こういうようなことはないようにしていただきたいんですね。だって、一月はもう予算が自治体だって決まっているわけです。これは後出しじゃんけんですよね。

 大臣、そこをもう一度お聞きしたいんですけれども、私はこれは明らかに不適切だったと思います、一月になってからこうやって二分の一だったものを三分の一にいきなり条件を変えるというのは。これは今後はやらないということを大臣にお答えいただきたいと思うんですが、いかがでしょう。

宮腰国務大臣 事務方で、例えば制度の具体的な要件だとか、そういうことを詰めていたという説明を聞いております。

 その上で、やはり、自治体の予算編成に間に合うように早くお伝えをするということは国の責務であると考えております。

尾辻委員 ぜひ、こういうことがもう二度とないようにしていただきたいというふうに思います。

 この強化事業の交付金については、やはり使いづらいという声が自治体から出ているんですね。さっきのように勝手に条件を変更されたりもしますし、自主財源も必要ですし、また、メニューが限定されているということも言われているわけです。例えば高齢者向けにはこれを使えないとか。

 これはもう少し自治体の現状に合わせて柔軟に使えるようにするべきだと思いますが、大臣、いかがでしょう。

宮腰国務大臣 柔軟に使えるようにというお考えもわかるわけでありますが、一方で、そういった場合に、総額を確保するということも重要であります。あれもこれも使えるようにメニュー化した結果、結果として額はそれぞれの分野で小さくなったということがないように基本的にはしていく必要があるのではないか。

 使い勝手についてはいろいろな考え方があろうかと思いますが、そういうことも踏まえつつ、全体として活動費総額をどう確保していくかということを考えていきたいと思っております。

尾辻委員 総額の確保も今できていない状況だと思いますので、しっかりとやっていただきたいというふうに思います。

 次に、推進事業の交付金のことについてお聞きしていきたいんですが、十一月に私が大臣にお聞きしたときに、推進事業の交付金が減額された影響を調べてほしいということを申し上げたところ、大臣からは、状況も見ながら検討してまいりたいというお答えをいただいております。この検討はどうなったでしょうか。

宮腰国務大臣 推進交付金を含めた地方消費者行政に係る予算の現況につきましては、毎年実施しております地方消費者行政の現況調査において、ほかの項目を含めた状況を把握することとしているほか、キャラバンや各地域で開催される意見交換などの場を通じて把握することとしております。

 御指摘の推進交付金に係る調査につきましては、現況調査あるいはキャラバンの活動を通じて把握しているところでありまして、地方公共団体にとっての調査負担も考慮して、単独で調査することは現時点では考えておりませんが、さきに申し上げた状況把握の中で足らざるところがあれば、状況を見ながら検討していきたいと考えております。

 今回のキャラバンにおいて、自治体の職員の皆さん方とも意見交換をしてまいりまして、活動内容やその中に占める交付金の問題、あるいは自主財源を強化する問題等々についていろいろな意見交換をしてまいりましたので、大方の把握は大体できてきているものではないかというふうに考えております。

尾辻委員 私は、まだ現況調査だけではなかなか今回の影響というのは見にくいんじゃないかなというふうに思っています。

 消費者委員会も、三月に、消費者基本計画工程表の改定素案に対する意見でも、この影響とそれを踏まえた財政支援の取組の検討をというふうに要請されていますので、再度、この交付金が削減された自治体への影響をしっかり把握するように求めておきたいと思います。

 皆さんのお手元には、公益社団法人全国消費生活相談員協会の会員実態調査報告書の一部を持ってまいりました。

 交付金の見直しに対してどういうことが現場で起こったかということですけれども、これで見ると、国民生活センター主催の研修なんかも、予算がとれなくなったとか、回数が減ったとか、今年度までだと言われているとか、地方公共団体主催の研修もほとんどの相談員が研修に参加できなくなった。センター独自の研修、司法書士によるアドバイザー制度がなくなった。こういった話や、消費者教育・啓発、(3)ですけれども、啓発物作成も困難で、今年度からゼロとのことだった。啓発用のパンフレット等の作成は今年度で終了となる。交付金が削減されたため、専門家による小中学生対象の大変評判のよい講座の対象学校が大幅に削減された。(4)相談体制を見ても、困難事案を相談していたスーパーバイザー二人が交付金減により退職したとか、相談員が二人削減され、基本的に一人体制となったとか。勤務条件、時間外手当がなくなった。(6)資料等の購入、書籍購入費も認められず「くらしの豆知識」すら購入できないため、必然的に自費で購入するようになった。こういうことが出てきているわけです。

 私も、実はゴールデンウイークに大阪市の消費生活相談員の方々と意見交換をしてきました。ゴールデンウイークでもクーリングオフのこともありますし、皆さん勤務をされているわけです。やはり同じように、大阪市でも、国民生活センターの研修の日数減や大阪府の相談員研修に参加できなくなった、情報誌購入をやめた、弁護士会との研修がなくなった、こういう大きな影響が出ているわけです。

 大臣はキャラバンでいろいろお話を聞いたというふうにおっしゃっていますが、これを見て、大臣、いかがでしょうか、まさに今地方行政はこういった形で、交付金削減によってこういったことが現実に起こっているということについてお聞きしたいと思います。

宮腰国務大臣 御指摘の実態調査につきまして、私も概要を拝読いたしました。現場で御苦労されている相談員の皆さんの声であろうというふうに考えております。

 何度も申し上げておりますけれども、地方消費者行政は自治事務とされていることから、相談員の皆さんのさまざまな活動経費は、まさに地方公共団体による自主財源に裏づけられたものが望ましいというふうに考えております。

 先ほどの田畑議員の資料にも一ページ目にありましたけれども、既に、消費者庁設立時九十億円であったものを、現在、二百七十億円、三倍増で地方財政措置を行っている。地方の自主財源としては相当手厚く措置されているのではないかというふうに考えております。

 国としては、実態調査にあるような相談員の皆さんの声も踏まえつつ、地方公共団体に対する働きかけを更に強化していきたいと考えております。

 現実的に、三月まで実施しておりましたキャラバンでありますけれども、特に知事始め都道府県の幹部の皆さん方には、県だけではなくて市町村にも財源といいますか地方交付税措置がある、措置されているということも踏まえて、市町村における相談員の設置、配置、あるいはその活動経費の問題についてもしっかりと声をかけていただくように、それぞれ要請をしてまいりまして、一定の御理解をいただいているところであります。

 特に、ある程度の人口のある市町村で設置がされていない、あるいは研修の旅費も出ないなどといったことがないようにぜひ働きかけをしていただきたいというふうにお願いをさせていただいておりまして、まずは、自治事務である、財源はしっかりと措置されているということを踏まえて、各県なり市町村なりでしっかりと財源を確保していただきたいというふうに考えております。

尾辻委員 そう言われているわけです。

 強化キャラバンについても、田畑委員の方から出ているように、大臣はお忙しいということで、二県回られた、副大臣は一都ということで、政務官も一県ということで、これが多いと見るのか少ないと見るのかというのは私自身はあるかなというふうには思っております。

 ここで総務省さんに聞いておきたいんですけれども、先ほどから自治事務だ、自治事務だということをおっしゃっております。地方消費者行政は自治事務だ、基準財政需要額の中で地方消費者行政の分は算定しているので大丈夫だということをおっしゃっています。

 基準財政需要額で算定したことがそのまま予算として反映されることになるのかどうか、総務省さんにお聞きしたいと思います。

多田政府参考人 お答えいたします。

 地方団体が実施をいたします消費生活相談員の設置や消費者啓発事業の実施など、消費者行政の推進に要する経費につきましては、普通交付税の算定に当たりまして、地域振興費などにおいて措置をしております。

 地方交付税につきましては、地方交付税法第三条第二項におきまして、「国は、交付税の交付に当つては、地方自治の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。」とされておりまして、地方交付税の交付を通じて各地方団体の予算を制約するといったようなことはできないものとされております。

尾辻委員 ですので、基準財政需要額でやったとしても色もついていませんし、これは実質支出する予算の額ではないということでよろしいでしょうか、確認です。基準財政需要額というのは予算の額ではないということ。

多田政府参考人 お答えいたします。

 交付税につきましては、交付に当たって、条件をつけ、又はその使途を制限してはならないとされておりますので、交付税の交付を通じて各団体の予算は制約されないということでございます。

尾辻委員 そうなんですよね、ここがいろいろ問題じゃないかなというふうに思うわけです。

 ことしの二月十四日の消費者委員会の本会議第二百九十一回でも、東洋大学の沼尾教授が、基準財政需要額のことについて、「例えば地方消費者行政で幾らと出てきたものがそのまま地方消費者行政の予算になるとは考えないほうが良いと思います。」というふうにも答えておられます。交付税は色がついていませんから、これが消費者行政になかなか回ってこない、シーリングが課されているからなかなか増額は困難、こういった自治体の声もあるわけです。

 これは自治事務ということで切り捨てるんじゃなくて、例えば、消費相談を受けて相談情報をPIO―NETへ登録することとか、国に対して重大事故情報を通知することとか、国に関連した事務もあるわけなんです。なので、私は、やはりこれは国が一部負担する事務に変えていくべきではないか。そうしないと、どこに住んでいても一定の質の高い相談、救済が受けられる、安全、安心が確保される地域体制にはならない。恒久財源化が必要であるということを強く求めておきたいと思います。

 さらに、来年度からは、自治体の相談員の方々は会計年度任用職員に変わります。この影響も非常に気になるところですので、処遇、継続雇用の担保、しっかりこの状況も把握していただきたいということをお願い申し上げて、私の質問としたいと思います。

 ありがとうございました。

土屋委員長 次に、山本和嘉子君。

山本(和)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの山本和嘉子でございます。きょうも質問の機会を頂戴いたしましたこと、心から感謝申し上げたいと思います。

 きょうは、大臣所信への質疑ということでございまして、主に公益通報者の保護について質問をさせていただきたいと思います。

 最近よく言われている企業の不祥事の発覚は、内部通報によるものが多いと思います。きょう提出させていただきました資料一をごらんいただきますとわかるように、企業の不正の事件は、その多くが通報を契機として発覚しているということでございます。先週の七日にも、内部通報によって、業務用の厨房機器大手のホシザキの販売子会社六社で不適切な取引が発覚したということでございました。

 しかし、最近の企業不祥事には、内部通報制度が機能しないで、事業者の自浄作用が発揮されなかった事案というのがあるということでございまして、事業者が内部通報などの行為に反感を抱いて、業務上の必要性とは無関係に、例えば配置転換を行った事案などによって、ちょっとした紛争なども発生しているということでございます。このため、公益通報者保護制度の実効性を向上させることは、日本の企業のコンプライアンス重視を決定づけて、また、国際的な信頼を回復するためにも大変重要なことだというふうにも思います。

 組織による不正を隠すための情報の隠蔽や改ざんは日本の行政機関でも繰り返されて、最近も問題になったということでございますが、今や国の信用にかかわる事態だと思います。

 公益通報者の保護法は、まさにこうした企業や行政などの不正を抑止して、コンプライアンスを重視させ、信頼される社会や経済の仕組みを維持する上でも大変重要なものであると思います。日本におけるこの法律の意義や今の状況を、大臣の方から御説明いただければと思います。

宮腰国務大臣 公益通報者保護法は、第一条の目的規定にその趣旨が規定されておりますが、通報を理由とする不利益取扱いから通報者が保護されるための要件を明確に定め、不利益取扱いを争う訴訟における主張、立証の対象を明確にすることにより、公益のために通報しようとする労働者の不利益取扱いへの懸念を払拭し、適切な通報を促し、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令の規定の遵守を図ることに意義があるものです。

 消費者庁におきましても、法の制定後、周知、普及を進めるとともに、各種のガイドラインを策定し、事業者や行政機関の取組を促しております。

 このような取組により、事業者や行政機関を中心に、通報に対応する制度の整備が進められ、制度が労働者を含めて広く認知されることで、通報を通じた規制違反行為の是正事例が見られるなど、公益通報者保護法は一定の機能を発揮しているものと考えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 一方、EUでは、二〇一九年四月十六日、ことしの四月十六日、先月ですけれども、EUの公益通報者保護指令が採択されたということでございます。本指令はEU各国における公益通報者保護の最低基準を定めるものでありまして、今後のEUにおける基準となるものだと思います。

 米国においては、公益通報を行った者に多額の報奨金が払われるとか、通報によって公金が回収できた場合、その一〇%から三〇%の報奨金が出る仕組みである。通報者にモチベーションを与えて内部通報を促進する仕組みになっているということでございます。米国では、内部通報によって規制当局が情報を得ることを重要だと考えているということでございます。

 EU指令は、米国の仕組みとは運用方法は違いますけれども、その成立に当たって、多方面にわたって体系的にしっかり議論がなされているということでございます。日本の制度を考える上でも大変に参考になるのではないかなと思うんですが、このEU指令について政府はどのように捉えて評価をされているのか、御見解をお聞きできればと思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 EUにおきましては、昨年四月に欧州委員会で公益通報者保護に関する指令案が策定された後、本年四月に欧州議会で同指令案に対する意見が採択されており、今後は、欧州理事会における審議など、EU指令の成立に向けた検討が進められるものと承知しております。

 消費者庁といたしましては、EUにおける立法動向も参考にしつつ、制度の検討を進めてまいります。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 きのう質問のレクを受けた際に、EU指令が採択されたことというのはその担当者の方は御存じなかったので、そういう意味では余り共有されていないのかなというふうには思いまして、つまり関心がないのかなというふうにも思いました。

 しかしながら、EU指令はEU各国の基準になっていくものなので、国際社会に対する影響は大変大きいものだと思います。日本の方がおくれていれば、それだけ国際的な信用にも影響すると思いますので、ぜひそういったものを参考にしていっていただきたいと思います。

 次に、EU指令においては、保護すべき通報者の範囲について、提出資料二枚目を見ていただければわかるように、たくさん項目を定めておられるんですけれども、逆に言うと、守るべきという意味で、報復される可能性のある者を広く認めていると思います。

 一方で、我が国の公益通報者保護法においては、現状、通報者として保護されるのは労働者というふうにされています。EU指令と比べると狭過ぎるのではということで、退職者や役員についての議論がされているところだと思います。

 狭過ぎるということで、通報の可能性を下げるというばかりではなくて、事業者側に通報者を特定されやすくなるというリスクを高めているとも思います。我が国の法が通報者を大変限定的にしていることについて改善するなどの動きなど、政府はどのように評価されているのか、お聞きしたいと思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 昨年十二月に出された消費者委員会の答申においては、通報者の範囲として退職者、役員等、取引先事業者などを含めることについて、それぞれ検討がなされました。

 退職者につきましては、公益通報者の範囲に含めるべきとしつつも、保護の対象とする退職者の範囲について、退職後一定期間内の者に限定する場合、法制的、法技術的な観点から整理を行い、実態等に照らして合理的な期間を設定すべきと提言されています。

 また、役員等については、公益通報者の範囲に含めるべきとしつつも、保護の対象とする役員等の範囲について、法制的、法技術的な観点から整理を行い、合理的な範囲を設定すべきと提言されています。

 他方、取引先事業者については、契約自由の原則が妥当する事業者間取引において、不利益取扱いの判断が困難であることや、保護の対象とする取引先事業者の範囲を画する合理的な基準のさらなる検討が必要であることから、今後、必要に応じて検討を行うべきと提言されています。

 消費者庁としては、そうした提言や意見募集において寄せられた御意見などを踏まえつつ、検討を進めてまいります。

山本(和)委員 ぜひ検討を進めていっていただきたいと思うんですけれども、EUの保護対象が広がっているということに関しましては、企業の活動範囲が広がっているということと、情報力というのも膨大になるということで、影響を及ぼす範囲もかなり拡大しているということが考えられると思います。それは日本でも同じことだと思いますので、そうである以上は、日本でも保護する対象を拡大する必要性が今後出てくると思いますので、そうした点を踏まえて制度設計をしていっていただければと思います。

 次に、我が国の公益通報者保護法においては三種類の通報がありまして、まず、一号通報の保護要件は、通報対象事実が生じ、又は生じようとしていると思料する場合としておりまして、また、二号通報については、通報対象事実が生じ、又は生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合、真実相当性ということでございますけれども、一号通報よりも厳格な立証責任を通報者側に負わせているということでございます。

 マスコミなどを対象とした三号通報は更に厳しい要件を課しているということでございまして、本法律は、いずれの通報を最初にすべきとの規定はありませんけれども、事実上、まず一号通報をするようしむける仕組みにはなっているかと思います。

 専門調査会は、真実相当性の要件が厳し過ぎることが通報者が通報をちゅうちょする要因の一つということでございまして、二号通報の真実相当性の要件を緩和すべきということでおおむね合意をしていると思いますが、調査会の報告書では、緩和方法は法制的、法技術的な観点から整理を行うべきと述べるにとどまっておりまして、具体的には示しておりません。

 二号通報の対象である行政機関はそもそも守秘義務というものを負っていると思うんですが、行政機関への通報は公表を前提としたものではないということから、一号通報と二号通報の間に保護要件の差を設ける必要はないと思いますけれども、そのあたり、いかがでしょうか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 現行法上、二号通報は一号通報に比べて真実相当性の要件を加えております。これは、公益通報によって労務提供先等の正当な利益が不当に害されないようにするため、事業者外部への公益通報については、単なる臆測や伝聞等ではなく誤信したことについての相当の資料や根拠が必要との考え方によるものです。

 消費者委員会の答申におきましては、二号通報に関する真実相当性の要件を他の要件に置きかえるか、又は一定の事由に該当する場合には真実相当性を不要とすることとし、その具体的な緩和の方法は法制的、法技術的な観点から整理を行うべきと提言されております。

 消費者庁といたしましては、そうした提言や意見募集において寄せられた御意見などを踏まえつつ、検討を進めてまいります。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 公益通報者保護のためには、真実かどうかということも大事だと思うんですが、公益に資するかどうかということもまず問われることだと思いますので、公益性があれば通報者を保護するという考え方の方が大切だと思います。そうした考えも踏まえて検討をまた進めていっていただきたいと思います。

 続きまして、守秘義務について伺いますが、複数の通報者に接せられた弁護士さんの話をいろいろお聞きしましたら、日本では、せっかく通報しても、その会社から自宅待機や配置転換や解雇などの不利益を受けたケースが多いということでございます。公益通報の社内窓口が守秘義務を守らず、通報者の個人情報を他部門や経営者に報告したという結果だと思うんですが、そのような前例が多くて、とても怖くて通報できないという状況だそうです。

 日本では、通報者の保護策が不十分であると思いますし、通報すれば不利益を受ける可能性が高い、通報を断念しているということも多いと思います。一号通報を促進するには、通報者保護の前提条件である守秘義務について、抑止効果のある罰則を設けることが大事だと思いますけれども、日本の法においては守秘義務についての具体的な規定がないということでございます。

 専門調査会では、通報受付担当者に守秘義務を負わせると萎縮効果が働くということで、今後の検討課題にとどめているということでございますが、守秘義務に関しての何らかの罰則を設ける必要があると思いますが、そのあたり、いかがでしょうか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 消費者委員会の答申におきましては、通報窓口担当者に守秘義務を課すことは担当者に萎縮効果が働くこと、通報者の秘密の保護は担当者個人ではなく事業者の問題であること等のさまざまな意見があるため、今後必要に応じて検討を行うべきとして、まずは、事業者における内部通報体制の整備義務の一環として、通報者を特定可能な情報の共有を必要最小限の範囲にとどめる運用を求めると提言されております。

 消費者庁といたしましては、そうした提言や意見募集において寄せられた御意見などを踏まえつつ、検討を進めてまいります。

山本(和)委員 通報者に対して不利益な処分がなされないためにも、罰則規定をしっかり設けるなど、検討をぜひ進めていっていただきたいと思います。

 残り時間が少なくなりましたのでちょっと飛ばしまして、公益通報者保護法の利用がなかなか進まないという理由に、この法律の中身が余り知られていない、利用方法がわかりにくい、実際使おうとすると、今まで申し上げたような課題にいろいろ直面するということがあると思うんですけれども、平成十六年のこの法案ができたときの附帯決議で、「本法の立法趣旨や各条項の解釈等について、労働者、事業者、地方公共団体等に十分周知徹底すること。」としまして、また、「公益通報を受けた事業者及び行政機関は、公益通報者の個人情報を漏らすことがあってはならない」などが記載をされています。それは、それなしにこの法律が十分に機能しないというふうに考えたからだと思います。

 しかしながら、この法案の状況を考えると、この周知徹底はその後十分には行われてこなかったのではないかと思いますけれども、政府は、公益通報者保護法の中身をもっと国民全般に伝わるようにしていくにはどうしたらいいかと考えられますでしょうか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

宮腰国務大臣 政府といたしましては、公益通報者保護法の普及啓発のため、附帯決議にありますように、法の立法趣旨や各条項の解釈等について、公益通報者保護法の逐条解説の編さん、通報窓口の整備、運用や、通報対応に関する事業者及び行政機関向けガイドラインを策定、改正、事業者向け説明会を開催してその周知を図るとともに、行政機関の連携体制の構築といった取組の推進といった具体的な取組を進めてきたところであります。

 このような取組を通じて、大企業を中心として法制度に関する認知度は向上してきているものの、中小企業や労働者の認知度についてはまだ取り組むべき課題が残されているというふうに考えております。

 政府といたしましては、引き続き、公益通報者保護法の普及啓発を図り、しっかりと制度の実効性の確保を図ってまいりたいというふうに考えております。

    〔委員長退席、平委員長代理着席〕

山本(和)委員 この法案が成立するときに、附則には、施行後五年をめどとして必要な措置を講ずるというふうに記されていると思います。しかしながら見直しはおくれているのではないかなと思うんですが、今国会に法案提出もされなかったということでございます。

 昨年末に、専門調査会がさまざまな課題を報告書にまとめていると思います。意見募集もされているということも先ほど来からありますけれども、早期に改正法案を出すべきではないかと思いますけれども、ここまで法案提出がおくれている理由がどこにあるのか、提出時期の見込みなどを聞いていきたいんです。

 去年の末の記事に岡村長官の意見が載っているんですが、今後の改正法案提出について、検討を要する事項が非常に多くて、法制化については関係者間で粘り強い意見調整が必要だとして、提出は困難というふうにおっしゃっておられます。一方で、大臣は所信の中で、「公益通報者保護制度の実効性の向上を目指し、取組を強化してまいります。」というふうにもおっしゃっていると思います。

 少しずれも感じますけれども、今後、法案の提出に向けての見込みなどがわかれば、ぜひ検討されている内容などを教えていただければと思います。

平委員長代理 宮腰大臣、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

宮腰国務大臣 昨年十二月、消費者委員会の専門調査会において、公益通報者保護法の見直しに関する検討結果が報告書として取りまとめられました。

 先ほど事務方の方からも答弁を申し上げましたけれども、論点によっては積極的な立場と慎重な立場の意見の隔たりがなお大きく、また、意見が集約された論点の中で、具体的な内容について法制的、技術的な観点から検討すべきとされたものもありました。

 今後、消費者庁において具体的な検討を深めた上で、関係者間の意見調整など必要なプロセスを経て、適切な時期の法案提出を目指してまいりたいというふうに考えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 このまま放置というか、そういう言い方がいいのかわかりませんが、そういうことなく、さまざまな組織の中で働く人々が不正を目撃しても黙って働き続けるのか、それを見過ごしていいのか、そうではなくて、それらを守っていくことや正していくことが政府の役割なのではないかなと思いますので、そのことが社会を浄化することにもつながっていくと思いますので、ぜひ積極的に取組を進めていっていただきたいと思いますと申し上げて、終わります。

平委員長代理 次に、大西健介君。

大西(健)委員 国民民主党の大西健介でございます。

 我が党は持ち時間三十分ということですけれども、きょうは私が質問させていただくことになりました。関理事を始め同僚議員に深く感謝申し上げたいというふうに思っています。

 最初に、消費者庁が昨年の十二月に十五カ月の業務停止命令を出したWILL株式会社によるテレビ電話のレンタルオーナー商法のマルチ取引、これに関してお聞きをしたいというふうに思うんですけれども、皆さんのお手元に資料をお配りしております。

 この「取引形態」というポンチ絵を見ていただきたいんですけれども、これはどういうビジネスモデルかと申し上げますと、同社のテレビ電話、ウィルフォン、これの八台分、そこに値段が書いてありますけれども、八個セット五十九万六千百六十円、これを購入すると、ライセンスパックと呼ばれる携帯電話のSIMカードみたいなものが送られてきます。これをレンタル依頼申込書とともに開封しないで送り返すんですね。そうすると、毎月二万円の賃貸料が三年間振り込まれるということがこのビジネスモデルになっています。

 この会社は、ハワイ招待旅行だとか大物演歌歌手を招いての温泉旅館等での大会、セミナー、こういうものを派手に開催しておりまして、一人紹介すると四万円、さらにその人が一人紹介すると一万円、月に十人紹介するとマネジャーになって特別ボーナスがもらえるという、いわゆるこれはマルチ商法を展開してきたということであります。高齢者を中心に多くの相談も寄せられておりまして、相談があった中での最高契約額は六千万円というふうになっています。

 このビジネスモデルの肝は、テレビ電話とかライセンスパックというものに専用のUSB、さっき言ったライセンスパックというやつですね、これをかませているということです。預託法ではレンタル商法を規制しているんですけれども、政令で指定した商品にしか適用できないということで、テレビ電話だとか専用USBは預託法では取り締まることができない。

 そこで、消費者庁に確認したいんですけれども、今回の業務停止命令というのは、いわゆる連鎖販売取引、マルチ商法、これがだめだということで、マルチ商法を処分しているということですので、マルチの形態、連鎖販売取引の形態をとらなければ、このレンタル電話商法というのは、この会社がやっている商法というのは続けられるということで間違いないかどうか、これをまず確認させていただきたいと思います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 消費者庁は、委員御指摘のとおり、昨年十二月、特定商取引法に基づき、WILL株式会社について、同社が連鎖販売取引により顧客に販売した上で賃借していたUSBメモリーの個数に比べて、同社がUSBメモリーに組み込んで第三者に賃貸していたウィルフォンと称するテレビ電話の台数が著しく少なかったといったことの重要な事実を告げずに勧誘していたこと等の重大な違反を認定した上で、同社に対しまして、特定商取引法に基づく処分としては過去最長となる十五カ月間の……(大西(健)委員「聞いたことだけについて」と呼ぶ)はい。連鎖販売取引に関する取引の一部停止命令を行いました。

 今回のWILL社に対する特定商取引法に基づく取引等停止命令は、同社が行った連鎖販売取引に係る取引の一部等を停止するよう命じるものでありますので、連鎖販売取引に該当しない事業を行うことまで禁止するものではありません。

 なお、一般論として申し上げれば、勧誘時の不実告知や重要事実の不告知につきましては、特定商取引法に基づき、訪問販売など連鎖販売取引以外の規制対象取引類型においても禁止されておりまして、業務停止命令等の行政処分や刑事罰の対象となるものでございます。

大西(健)委員 いろいろ答弁されましたけれども、要は、マルチ取引が処分を受けたのであって、マルチの形態をとらなければ、このウィルフォンというのを貸し出すというレンタル商法自体は続けられるんですね。実際にこの会社は続けています。続けていて、そして、説明会等で何と説明しているか。処分の対象になった大倉会長は、ネズミ講のようなやり方が悪いと指摘されたので別のやり方に変える、こういうふうに説明しているんです。

 一方、今御答弁の中にもありましたけれども、ここの図の中にも書いてありますけれども、右側の方、貸し出している、賃借している専用USBメモリーは五十三万五百六十個、ただ、第三者に賃貸されているウィルフォンの台数は九千三百五十台と、著しくかけ離れています。一・八%にすぎない。

 これについて、処分の際の記者会見で、消費者庁の佐藤取引対策課長はこういうふうに言われているんです。現時点でこの会社はおおむね会員への支払いは履行しているため、被害は顕在化しているわけではないが、ビジネスの仕組みなどから継続可能性については疑義があり、消費者の利益を著しく害するおそれがあると考えていると。

 つまり、貸しているはずのものが食い違っている、自転車操業になっている可能性があるんじゃないかということをちゃんと消費者庁はわかっているんです。わかっているにもかかわらず、今言ったように、この事業は続けられています。まさに、消費者庁は消費者を守ることが仕事であって、そして、自転車操業になっていることをわかっていて、消費者の利益が著しく害されるおそれがあると言っているのに、何もしないで放置していていいんでしょうか。

 大臣、この点、いかがお考えでしょうか。

宮腰国務大臣 先ほど事務方から説明したように、消費者庁は、WILL株式会社が御指摘のような業務実態に関する重要な事実を顧客に告げずに勧誘していたこと等の重大な違反行為を認定した上で、特定商取引法に基づき、昨年十二月、同社及び同社の取締役ら六名に対し、過去最長となる十五カ月間の連鎖販売取引に係る一部業務停止命令等の厳正な行政処分を行いました。

 また、消費者庁は、全国の消費生活センター等と連携し、同社の顧客である消費者等への情報提供や相談対応を行うとともに、適格消費者団体等に対し、同社の顧客である消費者への情報提供や解約、返金請求の支援等の要請を行っております。

 具体的事案の行政処分後の対応につきましては、今後の取締りに支障を生じるおそれがあるため詳細は差し控えますが、その上で、一般論として申し上げれば、消費者庁は、行政処分後においても、事業者の対応状況等を注視し、必要に応じ、関係機関と連携しつつ、法と証拠に基づき厳正かつ適切に対応してまいります。

大西(健)委員 大臣ちょっと、私の質問をちゃんと聞いていただいていましたか。

 最初に言ったように、マルチの取引はとめられているけれども、十五カ月、でも、今もこの商法は続いているんです。しかも、消費者庁は何と言っているかというと、貸し出しているはずの数が見合っていないということを認定しているんですよ。それなのに、何もしないで放置していて、注視していてもどんどん被害は拡大していくじゃないですか。全然消費者を守っていないんですよ。これが私は最大の問題だと思っていて、大臣に本当は聞いてもいいんですけれども、聞いても答えが返ってきそうにないので。それで何でこれが憤りを感じるかというと、これはジャパンライフと全く一緒なんですよ。全く教訓が生かされていない。

 ジャパンライフに対して消費者庁は四度行政処分をやりました。やりましたけれども、結局かわされかわされ、そのために業務形態を変えて。まさに、だから今回はマルチでやったけれども、マルチはやめますといって違うことにした。今度は訪問販売でやろうとするというようなことをさっき言っていましたけれども、また多分違う形態に変えます。それでかわされるんです。そして、結局、ジャパンライフの場合には、被害者の申立てによって東京地裁の破産手続が開始決定されるまで被害をとめることができなかった。これが現実なんですよ。

 連鎖販売取引で業務停止命令を受けたWILLは、現在は連鎖販売ではなくて業務委託契約という形で事業を続けています。何と言っているかというと、消費者庁の処分は不当であり、不服審査請求、処分の取消しの訴えを提起するという文書を会員向けに送っているんです。これもジャパンライフと全く一緒なんです。消費者庁の処分はでたらめだ、彼らは間違っているという文書をジャパンライフも送っていました。全く同じことをやっている。

 さらには、新たに総合代理店なる会社を設立して、その下に五つの販売会社を置くという、こういう組織改革をやっているんですけれども、これは多分、訪問販売取引の今度は業務停止命令をかけられるということを予測して、先回りしてそういうことをやっているんです。もう完全に消費者庁はなめられている。

 ジャパンライフを始め繰り返されるこうした消費者被害に共通しているのは、破綻するまで被害が顕在化しないこと、そして、一定の相談が積み上がってから立入検査をして、そして処分をしたころには既に被害が拡大してしまっていて、取引形態ごとの行政処分、今でいうとマルチ取引を処分する。でも今度は、今やっている業務委託契約取引を処分する、訪問販売を処分するとやっても、どんどんすり抜けられて、そして結局被害の防止ができない。これは私、現行の法制度が完全に穴があると思っているんですよ。ですから、これは預託法の見直しであったりとか新法の検討が必要というふうに思います。

 日弁連さんも、例えば集団的投資スキームの考え方を使って、金商法の世界で金融庁にやってもらった方がいいんじゃないかみたいな提案もしていますけれども、今の現行法では、これは消費者庁がサボっていると言っているだけではなくて、現行法に穴があって、今のこの法体系ではこういった商法を取り締まることができない。だから、新法なり何かこの穴を塞ぐことが必要だと私は考えますけれども、大臣はそれをどう考えているのか。

 あわせて、当面の被害防止という点では、違法行為が認められたら迅速に刑事告発をして警察の手に委ねるべきだ。ジャパンライフも今ごろになって警察が捜査に入ったなんと言っていますけれども、被害者にとったら泣くに泣けないですよ。

 だから、消費者庁の手に負えないんだったら早く刑事告発して警察の手に委ねるべきだというふうに思いますけれども、新法が必要かということと早く警察の手に委ねるということについて、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

    〔平委員長代理退席、委員長着席〕

宮腰国務大臣 そもそもコンプライアンス意識が乏しく、法規制を潜脱しようとする悪質事業者に対しましては、さまざまな端緒情報を分析し、法違反行為の証拠を収集した上で、可能な限り迅速かつ厳正な法執行を行うとともに、関係機関と連携しつつ、消費者への正確な情報提供に努め、顧客である消費者の解約、返金請求等の正当な権利行使を促していくことが重要であると考えております。

 消費者庁は、特定商取引法等の所管法令に基づき、違反行為に対しては可能な限り迅速かつ厳正に対処しており、御指摘のWILL株式会社についても、昨年十二月、被害が顕在化していない状況のもとで、過去最長となる十五カ月間の連鎖販売取引に係る一部業務停止命令等の厳正な処分を行うとともに、関係機関と連携しつつ、消費者への正確な情報提供等を行っております。

 現時点で現行法令に具体的な改正の必要があるとは考えておらず、引き続き、関係機関とも連携しながら、所管法令を厳正かつ適正に執行することにより、消費者被害の防止にしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

大西(健)委員 今の答弁は、私は完全に矛盾していると思いますよ。消費者庁は、可能な限りのことをやっている、これまでにない最長の処分をやったんだと言っているけれども、繰り返し言っているように、被害は今も拡大しているんですよ。処分をやったからいいんじゃなくて、被害の拡大がとまらないと意味がないじゃないですか。それをとめられないのが、消費者庁がサボっているからではなくて、法に穴があるんだったら、法の穴を塞がなきゃいけないんですよ。それが私は国会の仕事だと思いますよ。

 大臣、これはぜひ真剣に考えていただきたいというふうに思います。

 それから、このWILLは、さっき言ったように、業務停止命令を受けた後も勧誘を続けています。四月に入ってからは、これまでにない割引キャンペーンを実施して、四月十四日に韓国で三千人規模の世界大会を開催するといって招待客を募っているという情報もあります。

 先ほど消費者庁は、処分の後もずっと注視をして、見守っているんだということを言いましたけれども、じゃ、こうしている間にも被害が拡大しているんですけれども、消費者庁は、今私が言ったような情報をちゃんと把握していますか。いかがですか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 消費者庁において具体的に把握している情報につきましては、今後の法執行に影響を及ぼす可能性がありますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、今御指摘いただいたような情報が報じられているということについては承知しております。

大西(健)委員 ぜひ、ちゃんとこれは見守っていただきたいと思うんですけれども。

 あわせて、ジャパンライフの教訓が生かされていないと私は言いましたけれども、それどころか、WILLにはジャパンライフの関係者が多く入ってきている。昨年四月に月二十億円程度だった売上げが九月には五十億円程度と急激に伸びているんですけれども、これにもジャパンライフで使われた名簿等が活用されているんじゃないかということが言われています。また、WILLで相談役を務めている新間寿氏、取締役の赤崎達臣氏は、いずれもジャパンライフでも役員を務めた人物と言われています。

 消費者庁はこのWILLとジャパンライフの関係をどのように見ているのかについて、御答弁いただきたいと思います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 消費者庁としまして、個別の企業の役員の状況とかあるいは企業間の関係等についてはお答えする立場にないというふうに考えておりますので、ここではお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

大西(健)委員 それでは、私は、本当に被害の拡大を防止することできないと思っています。

 マルチというのは、やった人がまた違うところでやるんですよ。これはまさに典型的な例だというふうに思うんですね。

 何でこういうことを聞くかというと、マルチをやった人はマルチを繰り返すからです。

 ジャパンライフの山口隆祥会長は、かつてジェッカーチェーンというマルチ商法を展開して、当時国会に参考人招致までされたんですよ。

 今回、消費者庁が取締役以上の支配力を有するとしてあえて処分の対象とした、会長を名乗っている大倉満氏というのは、ワールドイノベーション社の代表を務めていますけれども、前身のドリームバンク社は、二〇一一年に、詐欺罪などで神奈川県警から家宅捜索を受けています。ウィルフォンの取締役には、このドリームバンク社設立当時からのメンバーが複数名、名を連ねているというふうに言われています。

 そこで確認なんですけれども、二〇一五年ごろ、このワールドイノベーションが、タイガーポリス活動と称して、山口県警のうそ電話詐欺撲滅のキャンペーンに協力していたという話があります。ネット上には、この大倉氏と初代タイガーマスクとともに、当時の藤村県警本部長や警察関係者が一緒に写った写真もアップされています。WILLの広報誌にも山口県警との関係がたびたび掲載されて、消費者の信頼を得るために利用されたという話がありますが、これが事実だとすれば私は不適切だと思いますけれども、警察庁、事前に通告をして事実関係を確認するようにお願いしていますけれども、いかがでしょうか。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの件につきましては、山口県警察として、御指摘の人物やその関係企業から同県警察の広報活動に協力を受けた事実はないものと報告を受けているところでございます。

 また、御指摘の写真につきましては、平成二十七年に、山口県内で県下出身の著名人を招致して、県、市、県警察や関係団体の共催で行われました地域防犯イベントにおいて撮影された当時の山口県警察本部長とイベント関係者らが写った写真を、御指摘の企業が山口県警察に無断で自社の広報活動に使用していたものと報告を受けているところでございます。

 山口県警察におきましては、本件写真の無断使用を把握した後、同社に対して、同県警察関連の画像等の使用を中止するよう申入れを行っているものと承知しております。

大西(健)委員 利用されたと言っているんですけれども、これもジャパンライフとすごく似ているんですね。ジャパンライフも、中央官庁のOBを役員に迎え入れたりとか、あるいは、私、予算委員会でやりましたけれども、加藤勝信一億総活躍担当大臣との会合についての説明資料を会合でおじいちゃん、おばあちゃんに見せて、こんな立派な人が応援してもらっているんですよ、だから大丈夫なんですよ、こういうふうに使っているわけです。

 こういうところも似ているので、先ほども言いましたけれども、ジャパンライフとこのWILLの関係、消費者庁もしっかり把握していると思いますけれども、その辺もしっかり把握しながら、これ以上被害拡大がしないように早く手を打っていただきたいということを重ねてお願いをしておきたいというふうに思います。

 次に、消費者庁の徳島オフィスの三年目の見直しについて伺いたいと思いますけれども。

 資料の二ページ目ですけれども、三月の二十九日の消費者委員会の専門調査会でこの資料が配られたんですけれども、国民生活センターが徳島県で実施している研修の受講者が、この右のちょっと囲みをしてある部分ですけれども、見ていただくと、三年目の昨年度、一講座平均二十七・三人と過去最低になったということなんですね。

 実は、徳島での研修については、二〇一七年から何と無料送迎タクシーまで運行している。それにもかかわらず、一講座平均二十七・三人。対して、相模原の方を見てもらうと、一講座当たり六十・三人ですから、もう徳島でのこの研修が失敗だったというのは、私は明らかだと思います。

 国センは、この徳島での研修を実施するために、正規職員を二名、非常勤職員を一名、徳島県の鳴門市に常駐させていますけれども、これは非常に大きな負担になっているということが国民生活センター側からも伝わってきています。

 本年度も徳島県で十四講座の実施を維持する予定と聞いていますけれども、これは意味があるんでしょうか。私は、潔く撤退を決断すべきであって、これでもし徳島移転を強行するようなことがあれば、これはもうとんでもないことだというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 消費者行政新未来創造オフィスのあり方につきましては、二〇一六年のまち・ひと・しごと創生本部決定に基づきまして、二〇一九年度を目途に検証、見直しを行い、結論を得ることになっております。

 これに基づきまして、消費者庁では、現在オフィスのあり方について検討を行っておりますが、これと並行して、消費者委員会においても、国民生活センターが徳島県内で行った研修事業についても議論が行われていると承知をいたしております。

 いずれにせよ、本年夏には二〇二〇年度の予算案や組織に関する考え方を示す必要があるところでありまして、それに向けて引き続き検証、見直しを進めてまいりたいというふうに考えております。

大西(健)委員 二〇二〇年末に予算ということですけれども、もう夏の概算要求は目の前になっているわけです。だから、そういう意味ではもう結論を出さなきゃいけない時期に来ていると思いますし、見れば、もう失敗は明らかなんです。

 これは、だから、検証していただいて結論を出していただきたいと思いますけれども、これでやはり徳島でやりますと言ったら、何のための検証なんだという話になりますよ。ですから、これはしっかり、潔い撤退をお願いしたいというふうに思います。

 次に、先ほど立憲の山本委員からも公益通報者保護法の話がありましたけれども、私も大臣の所信を聞いていて、これはブラックジョークかと思いました。

 先ほどもありましたけれども、平成十八年施行の法律には五年後の見直しというのが書いてあるんですけれども、既に十二年半が経過をしている。その間に時代は平成から令和に変わっているんですよ。

 法律上の見直し期限、多少、三年後の見直しと書いていたのが五年たっちゃいました、五年後の見直しと書いてあったのが六年、七年たっちゃいましたならわかりますけれども、五年後の見直しが十二年半経過する、これは、合理的期間を超えて法律に定められた見直しを行わないということが許されるのか。これじゃ、附則に見直し時期を書いた意味なんてないというふうに思いますけれども、こういうものが出てくると、何のために附則に我々、例えば立法をするときに見直し時期を書くのか。

 五年が十二年半で許されるなんてことは、私はないと思いますけれども、これは改めて、先ほどとちょっと違う観点ですけれども、五年が十二年半って、大臣、これは許されるんですか。

宮腰国務大臣 平成十八年に施行された公益通報者保護法の附則を踏まえ、法の施行状況について検討を加えるべく、平成二十二年から通報対象事実の範囲、外部通報の要件及び外部通報先の範囲を始めとした点について消費者委員会において審議が行われ、平成二十三年二月に、法改正を必要とする課題の有無等を把握すべきと提言がなされました。

 これを受けまして、消費者庁では、公益通報者保護制度の運用状況に関する実態把握を進めるとともに、制度の実効性の向上に関する検討を進め、通報窓口の整備、運用や、通報対応に関する事業者及び行政機関向けガイドラインを策定、改正することや、事業者向け説明会を開催して、その周知を図るとともに、行政機関の連携体制の構築といった取組を進めることといった具体的な取組を進めてきたところであります。

 また、昨年一月に公益通報者保護法の規律のあり方や行政の果たすべき役割等について消費者委員会に諮問をいたしまして、改めて御議論いただいた上で、昨年十二月に答申をいただいたところであります。答申を踏まえ、引き続き検討を進めるなど、不断の取組を通じて制度の実効性の向上を図ってまいりたいというふうに考えております。

大西(健)委員 今、運用実態の把握ということがありましたけれども、運用実態把握に何年かかるんですか。

 じゃ、その運用実態の把握について聞きたいんですけれども、法律施行以降、これまで十三年間で、この公益通報者保護法が適用されて通報者が保護されたケースというのは何件あるか、教えてください。

高田政府参考人 お答えいたします。

 消費者庁として、公益通報者保護法により通報者が保護された裁判例は二件把握しております。

大西(健)委員 二件と胸を張って言われましたけれども、十三年間で二件なんです。だから、いかにこの法律がざる法であるか。裏を返して言えば、抜本的な法改正が必要だということを私は物語っているというふうに思います。

 この法の不備によって、内部告発者は、同法によって守られることなく、いまだに解雇や配置転換、いじめなどに苦しめられている。やはり通報者に対する不利益取扱いを行った者への勧告、公表、命令等の行政処分や刑事罰の導入というのを検討すべきだと思います。

 この点については法案が出てきたらしっかりやらせていただきたいと思いますので、先ほどもありましたけれども、早く国会に法案を提出してください。これは重ねてお願いをしておきたいというふうに思います。

 次に、きょうも、私もつけてきましたけれども、委員部の皆さんだとか消費者庁の皆さんもつけておられますけれども、イヤヤンのバッジが先日この委員会でも配られましたけれども、先日、岡村消費者庁長官は記者会見で、これまでアブナイカモを積極的に御活用くださっていた方とも、今後はイヤヤンを一緒に育てていく形を図りと述べて、消費者庁は、一つの省庁に二つのキャラは要らないということで、アブナイカモの使用をやめて、イヤヤンへ一本化するということを決められたというふうに伺っています。

 資料の次のページ、これがアブナイカモなんですね、アブナイカモ。

 このアブナイカモなんですけれども、その次のページに、アブナイカモに使った費用の一覧という、これは出してもらいました。もちろん、総額としてはそんなにすごい費用ではないですけれども、例えば着ぐるみをつくったりクリアファイルをつくったりとかやっているんですけれども、例えば着ぐるみ三号は、つくられたのは平成二十九年度、この間ですよ。八十万円かけてつくっているんです。

 これはやはり、思いつきのようにキャラをつくったり廃止したりするのは無駄遣いにもつながると思いますので、今回、アブナイカモをやめて、イヤヤンに一本化するという決断に至った理由を国民にわかりやすく大臣から御説明いただきたいと思います。

宮腰国務大臣 お尋ねのアブナイカモにつきましては、消費者庁において「子どもを事故から守る!プロジェクト」のキャラクターとして昨年度末まで使用してきたと承知をいたしております。

 他方で、消費生活相談は取引、表示、安全といった消費者政策の全ての分野の基礎をなすものでありまして、今後は、このプロジェクトも含めた消費者政策全般を代表するものとして、消費者ホットライン一八八のキャラクターであるイヤヤンを使用しながら、子供の安全も含めた各種の消費者に対する啓発活動を推進してまいります。

 これまでアブナイカモを用いて子供の安全に関する各種の啓発活動を行ってきましたが、その成果も十分に踏まえつつ、一層の取組を図ってまいりたいと考えております。

大西(健)委員 一本化すること自体はいいんですけれども、思いつきみたいなことでやるというのは避けていただきたい。ちゃんとイヤヤンを育てていただきたいと思います。

 最後になりますけれども、資料の最後につけているんですけれども、適格消費者団体から、人気テーマパークUSJのチケットについて、一定の期間ならキャンセルを認めた上でキャンセル料を取るのは理解できるんですけれども、日付等を間違って購入した場合であっても原則転売やキャンセルができない、こういう利用規約になっている、これは厳し過ぎるんじゃないか。高額転売を防止する目的なら、転売サイトを独自に設けるとか、ほかの手段によっても目的を達成できるんじゃないかというような申出があった。しかし、USJ側はこの申入れを拒否しているということなんです。

 一般論で結構なんですけれども、日付の変更も転売もキャンセルも全くできない、例えば旅行であったら、一週間前のキャンセルだったら五〇%とか、前日のキャンセルだったら八〇%とかいろいろなものがあると思いますけれども、日付の変更も転売もキャンセルも全くできないというような規約を消費者に対して一方的に押しつけるということが、一般論として消費者契約法違反に当たる可能性があるかどうかについて、消費者庁から御答弁いただきたいと思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 適格消費者団体である消費者支援機構関西がUSJに関して差し止め請求を行っていることは承知しておりますが、個別の事案の内容についてはコメントを差し控えます。

 一般論として申し上げれば、消費者契約法では、消費者の権利を制限し又は義務を加重する条項であって、消費者の利益を一方的に害するものについては無効と判断されますが、御指摘のような規約が無効となるかにつき、一概に申し上げることは困難です。

 いずれにせよ、消費者契約法は民事ルールであるため、最終的には個別具体的な事例に関し、裁判所において判断されます。

大西(健)委員 遠方からUSJに行かれる方は、この十連休もあったと思いますけれども、本当に楽しみに予定を立てられていると思いますけれども、小さいお子さんが急に熱を出すとか、急に予定ができるとか、いろいろなことがあると思いますので、余り厳し過ぎる条件を、みんな行きたいんですから、一方的に押しつけるというのはやはりいろいろ問題があるんじゃないかなというふうに思っております。

 時間が来ましたので、最後に申し上げますけれども、本年の九月、消費者庁は創設十周年を迎えます。私は本委員会で、消費者庁創設十周年、消費者庁が真に消費者の保護のための省庁としてこれからもしっかり発展していくように委員会決議を行ってはどうかというふうに思っていますけれども、委員長にこのことを一言いただいて、私の質問を終わりたいと思います。

土屋委員長 その件につきましては、理事会の方で相談させていただきます。

大西(健)委員 ぜひ理事会で前向きに検討していただくようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

土屋委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 昨日五月十三日、内閣府が公表いたしました三月分の景気動向指標、速報値について伺いたいと思います。

 景気の基調判断の特徴は何でしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日公表いたしました本年三月の景気動向指数、CI一致指数の基調判断につきましては、悪化ということになっております。

畑野委員 これは何年ぶりのそういう判断でしょうか。

丸山政府参考人 六年二カ月ぶりの判断でございます。

畑野委員 簡単で結構ですけれども、その特徴的な内容を少し御説明いただけますか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 景気動向指数、CIは、生産や雇用など景気に関する景気指標を統合して指数化したものでございまして、その一致指数の基調判断につきましては、指数の動向をあらかじめ決められた表現に機械的に当てはめて公表いたしております。

 本年三月の景気動向指数、CI一致指数につきましては、その内訳となる鉱工業生産指数や投資財出荷指数などが低下したことにより、一致指数の前月差がマイナスかつ一致指数の三カ月移動平均が三カ月以上連続して低下ということになりまして、これを機械的に基調判断に当てはめますと、悪化という判断になったということでございます。

畑野委員 景気判断、悪化。これは資料にもつけさせていただきましたが、グラフが、ずうっと赤い一致指数が下がっている。二枚目の資料のところでは、判断としては、最も悪いという悪化ということです。まさに六年二カ月ぶりの基調判断の悪化ということですね。

 私、消費者の、また国民の暮らしにとってどういうふうにしていくのかと。消費税増税が言われていますが、この経済情勢のもとでこれは中止すべきじゃないかという声が高まり、私も強く消費税増税の中止を求めたいというふうに思っているんです。

 それで、消費者庁が四月二十四日に発表した、二〇一九年の四月物価モニター調査結果速報というのがあります。これは、消費者庁が調べていただいている全国の物価モニター二千人の方の声をまとめたものですね。四月の結果なんですけれども、価格上昇幅が前月比一%以上というのが、これは手元にあるんですけれども、見させていただきました。上昇幅が大きいものから、私、並べかえて申し上げますけれども、ヨーグルト三・六%、牛乳三・一%、生中華麺二・七%、食用油二・三%、アイスクリーム二・〇%、カップ麺一・三%、この品目なんです。

 それで、暮らしぶりはどうか、日々の家計のやりくりについてどのように感じているかという質問について、余り余裕がない四一・五%、余裕がない二〇・六%、合わせて六二・一%。六割以上の物価モニターの方が、余裕がない、あるいは余りないというふうに答えている、こういう今の現状にあるわけです。

 消費税前に既に景気が悪化し、賃金が下がり、年金も減らされて、一方、食品などの値上げラッシュが起きている、こういう状況の中でどう消費者、国民の生活を守っていくか、その先頭に立つべきが、私は、消費者庁だし、宮腰光寛担当大臣だというふうに思うわけですね。

 それで、まず伺いたいんですが、政府の方は、「消費税の円滑かつ適正な転嫁のために 一〇%引上げ対応版」というのを出してこられました。資料の三枚目につけているものなんです。これは、「一〇%引上げ対応版」ということで、私が手元に持っているのはことしの三月のものです。多少、日付を変えたものを出しておりますが。

 実は、八%に消費税が上げられた二〇一四年に、同じ表紙で、省庁が若干変わっていますが、青い表紙のパンフレットを出しております。

 そのときに、便乗値上げという項目がございます。資料の四枚目です。当時、便乗値上げについてどのように書かれていましたか。

高島政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十六年の四月、今委員が当時とおっしゃった平成二十六年の四月に消費税率が五%から八%に引き上げられた際に、私どもを含めた関係省庁でパンフレットを作成をいたしました。その目的といたしましては、国民に消費税の円滑かつ適正な転嫁についてわかりやすく説明をするためでございます。

 そのパンフレットには、消費税率の引上げに当たっては、個々の商品などの価格が新たな税負担に見合った幅で上昇することが見込まれており、事業者が他に合理的な理由がないにもかかわらず税率の上昇に見合った幅以上の値上げをする場合、便乗値上げである可能性があるという旨を記載をしております。

 また、一般に、個々の商品などの価格は、自由競争のもとで市場条件を反映して決定されるために、実際にどのような場合に便乗値上げに該当するのかを判断するに当たっては、税負担の変化による上昇幅を超えているかどうかという点、それのほかに、商品などの特性、需給の動向、コストの変動、そういったさまざまな要因を総合的に勘案する必要があるという旨も記載をしているところでございます。

畑野委員 肝心なところを言っていただきたいんですが、資料の四にもつけました。まずこの七というところですが、表題は何ですか。そして、一番最初に言っている、大きな文字で書かれている、その部分をお読みください。

高島政府参考人 お答えをいたします。

 大きな文字で、まず、バッテンをつけて「便乗値上げは、いけません。」というふうに書いてございます。その次に、「便乗値上げとは」ということで、るる先ほど申し上げたようなことが書いてあるところでございます。

畑野委員 そのとおりです。「七 便乗値上げ」と明確に表題に書き、おっしゃっていただいたようにバツ印が赤く大きく書いてあって、「便乗値上げは、いけません。」その下に「消費者の生活に好ましくない影響を与えることが懸念されます。」こういう注意喚起をしていたわけですね。

 その当時、では、どのようなこれに対する情報が消費者庁に寄せられ、それが各担当の省庁に徹底されたのかということについて伺います。

高島政府参考人 お答えを申し上げます。

 私ども消費者庁に設置した便乗値上げの情報相談窓口がございます。この窓口に、平成二十六年四月、電話がかかってきた件数は千五百五十五件でございます。

 このうち、細かく内訳を申し上げようと思いますけれども、消費者から寄せられた情報は一千二十九件でございまして、それを関係する省庁に提供してございます。その数は、経済産業省が四百五十八件、農林水産省が二百二十九件、厚生労働省が百六十七件、国土交通省が百二十件、総務省十五件、警察庁十五件、財務省十件、環境省八件、金融庁四件、国税庁三件となっております。

 また、消費者ではなく事業者の方から寄せられた情報というのは全部で二十七件でございまして、これも内訳を提供した省庁ごとに申し上げますと、厚生労働省十件、農林水産省七件、経済産業省五件、国土交通省四件、警察庁一件となってございます。

畑野委員 便乗値上げについて多くの情報が寄せられたということです。

 今後、消費税一〇%増税を進めようとする政府のもとで、消費者庁は先ほどのパンフレットを新たに発行し直しました。そこでは便乗値上げについてどのように規定しているのか、まず伺って、その上で、前回と変えている部分について宮腰大臣に伺いますが、なぜ、何に基づいて記載内容を変えたのか、伺います。

高島政府参考人 まずは記載内容についてお答えを申し上げます。

 今年の三月に出しましたパンフレットにおきましては、従来、消費税率の引上げを理由として、それ以上の値上げを行うことは便乗値上げとして抑制を求めてきたところでございますけれども、これは消費税率引上げ前に需要に応じて値上げを行うなど経営判断に基づく自由な価格設定を行うことを何ら妨げるものではないという旨を明確化したところでございます。また、それとともに、需給の動向やコストの変動など、合理的な理由があれば便乗値上げには当たらない旨を記載してございます。

 なお、税率上昇に見合った幅以上の値上げを行う場合には、通常のタイミングで値上げを行う場合と同様ですけれども、事業者において、値上げの理由を消費者に丁寧に説明できるようにしてくださいという旨も従来どおり記載をしているところでございます。

宮腰国務大臣 昨年六月のいわゆる骨太の方針では、本年十月に予定されている消費税率の引上げに当たり、需要平準化に向けた価格設定等の方策について検討することとされました。

 これを踏まえ、昨年十一月、消費者庁を含む関係省庁によりガイドラインを作成し、消費税率の引上げ前後を通じた価格設定として、需要動向等を踏まえた合理的な理由に基づく場合は便乗値上げではない旨を明らかにしたものです。

 今示されたパンフレットでありますが、その内容はガイドラインに沿ったものであり、政府における一連の検討とそごを来すものではありません。

畑野委員 二〇一四年のときと二〇一九年、四枚目とそして六枚目に資料をつけましたけれども、もうスタンスが全く違うんですよ。平準化という名のもとに、では事前に上げてくださいねと言わんばかりのことをやったら、これは暮らしは大変になりますよ、当然ですよ。

 消費者庁の出された物価モニターですけれども、一年前と比較して家計の負担が特に高まったと感じる項目は何ですかと。生鮮食品が五〇・〇%と最も高い。次いで、ガソリン、灯油料金が四二・四%。三つ目が、食料品、生鮮食品を除くが三七・九%で、今後どのような品目に対して特に支出をふやしたいかとも聞いたら、貯蓄、ローン返済等を含むが四六・五%で最も高くなっているんですよ。

 だから、こういう消費者の、国民の暮らし、これは宮腰大臣、物価モニター、そういう声が出ているんですけれども、いかがですか。

高島政府参考人 私の方からお答えを申し上げます。

 四月の最新の物価モニター調査、私どもで行っております物価モニター調査の結果は、今委員から御紹介をいただいたとおりでございます。

 引き続きまして、この物価モニター調査は毎月行っておりますので、この調査結果その他も活用いたしまして、物価の動向については注視をしてまいりたいと考えております。

畑野委員 宮腰大臣、御所見なんですが、こういう消費者の今の暮らしの実態をどんなふうに思われますか。物の値段が上がって大変だということについては、大臣としてはどんな思いでいらっしゃいますか。

宮腰国務大臣 物価に関しては、例えば人件費が上がるといった原因があります、人手が不足をする。やはり賃上げをしないと人が集まらないというようなこともあります。また、働き方改革の中で過剰な労働をなくしていくということもあります。それは当然、自然とやはり今コストの中に占める人件費、これが上がっていくというのは、やむを得ないことではないかというふうに思っております。

 いろいろな要素があって、物価に関しては、人のコストの問題、あるいは季節変動の問題等々いろいろあります。仮にそれが全部だめだということになれば、人件費も上げられない、原材料費も出てこないという分野も実はあるわけでありまして、適正な価格の引上げというのは、業界によっては、あるいは物によってはやはり必要な部分も当然あるのではないかというふうにも思っております。

 でありますから、一概に全て、物価が上がって苦しくなった、だからこれはおかしいということにはならないのではないかなというふうに思っております。

畑野委員 時間が参りましたけれども、宮腰大臣も、やはり物価が上がると生活が苦しい、それは市民の、国民の感覚ですよね、消費者の感覚。それをぜひやはりしっかりと受けとめて対応していただきたい。

 私は、公益通報者保護制度について質問しようと思ったんですけれども、時間が参りましたので、これはまた次の機会に質問したいと思いますけれども、こういう状況の中で本当に消費税一〇%増税をやっていいのか、やめてほしいという声が上がっているということを大臣に伝えたくてきょうは質問をいたしました。

 以上で終わります。

土屋委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田でございます。

 きょうは、遺伝子組み換えと食品添加物について質問させていただきたいと思います。

 きょう、前に古屋委員からゲノム編集に関しては大変詳しい質問がありました。遺伝子組み換えとゲノム編集というのは大変わかりづらい部分でございまして、遺伝子組み換えの場合には、特定の遺伝子を組み換える、組み入れるというのが遺伝子組み換え。ゲノム編集というのは、特定の遺伝子までは一緒なんですけれども、編集するというところだけが違うようなんですが。

 ただ、ゲノム編集に関しても、古屋委員から細かく説明がありましたけれども、三つの段階があって、最後の段階になると、これはもう遺伝子を中に入れるというような編集の仕方ということになりますと、これは遺伝子組み換えとほとんど変わらないというようなことなんだろうと思います。

 そういう意味では、ほかの国が、これを差別をつけていないというような意味で、安全性というものを同じように確保しているというのも、あながち間違っていないのかなというふうに思っているんですけれども、我が国におきましては、かなりここら辺を明確に区別しているような感じです。

 特に、表示方法に関しては、二〇二三年から遺伝子組み換えに関しては厳しい基準を用いるということが発表されましたけれども、ゲノム編集に関しては、本年四月二十六日ですか、消費者庁が内閣府の消費者委員会食品表示部会に表示の仕方を要請して、五月から公開の審議が始まるというようなことで、遺伝子組み換えに関しては、もう二〇二三年ということで、厳しい表示をするということを決めていますけれども、ゲノム編集に関しては五月から公開の審議が始まるというようなことで、はっきりと区別をしているということなんですが、ここら辺についての問題意識というのはもう少し持っていかなきゃいけないのかなと思っているんです。

 現在、どのような基準でこの遺伝子組み換えというのは表示されているんでしょうか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 まず、遺伝子組み換え食品の表示でございますけれども、遺伝子組み換え食品の輸入が平成八年から開始されておりまして、その後、遺伝子組み換え食品に関する表示を求める声が高まりまして、食品衛生法及びJAS法に基づきまして、平成十三年度から、五農産物及びこれらを原材料とする二十四加工食品群に表示が義務化されております。そして、その後、義務表示の対象が追加され、現在では、八農産物及びこれらを原材料とする三十三加工食品群が義務表示の対象となっているところでございます。

 そして、現在でございますけれども、平成二十七年の食品表示制度の一元化に伴いまして、食品衛生法及びJAS法に基づいて定められていた遺伝子組み換え食品の表示に関するルールが、食品表示法に基づく食品表示基準に統合されている、そういう状況でございます。

串田委員 きょうは遺伝子組み換えの質問をするということで、私のところにも、アレルギーを持っている子供などもいるということで、大変注目をしている消費者というのはたくさんいらっしゃるようなんですが、この表示の仕方は、今度二〇二三年に厳しくするということで、後でちょっと質問をさせていただきたいんですが、諸外国に関しては、この遺伝子組み換えの表示というのはどんなような形なのか、我が国との比較という形で説明をしていただければと思います。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 アメリカでは、まず、検出可能な改変された遺伝物質を含有するバイオ工学食品について、情報開示に関する法律に基づきまして、パッケージに文字、シンボルマーク、デジタルリンクなどを用いて、バイオ工学食品であることを情報提供するということになっております。例えば、デジタルリンクなどの表示でもいいという意味で、我が国とは異なっているというふうに考えられます。

 それからあと、EUでは、遺伝子組み換え食品及び飼料に関する規則及び遺伝子組み換え食品等の表示、トレーサビリティー規則に基づきまして、食品、加工食品においては、個々の原材料について、遺伝子組み換え農産物を〇・九%以上含むものに表示を義務づけております。

 我が国では、不分別あるいは五%以上含むものについて表示が義務づけられておりますので、そういった点で違いがあると承知しております。

串田委員 それに関連することで、先ほど古屋委員からも質問がありましたんですが、そのときトマトを例に挙げられましたが、マッシュルームというのもよく挙げられている中で、色が普通であったら茶色くなっていくのが白いままにできるというような意味で、消費者が購入しやすい状況を長く維持できるというようなことのゲノム編集というものが行われているというようなことだとか、あと、静かに泳ぐマグロとか、そんなようなこともあるそうなんですけれども。その中で、先ほど自然界で突然変異的に行われている場合には安全なんだというような話なんですが、自然界で突然変異で行われたものはなぜ安全と言い切れるんでしょうか。

 諸外国は、そういう意味では、いずれにしても、ゲノムの編集が行われた食べ物に関しては、安全性については遺伝子組み換えと同じような基準を持って取り組んでいる国がある中で、我が国は、自然界というものを一つの分岐点として、その自然界で突然変異で生じ得るものに関しては安全だというふうにもう決めつけているところに、何となく私、聞いていて違和感を感じていたんですけれども、何か理由とかというのはあるんですか。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 自然界の突然変異というか、今までの育種技術で交配させるとか、あるいは、遺伝子に放射線を当てて改変するとか、そういうような編集技術の流れの中で、今回のゲノム編集技術というのも、新たな遺伝子を組み換えるような形で導入するのではなくて、カットして、一部分削除してとか切断することによって一定の効果を得るというようなことは、従来の技術と比較して、安全性が同等だというような考え方で判断しているというところでございます。

串田委員 自然界で突然変異で起きた場合には安全だと。突然変異というのが、言葉からすると、今までの流れから変わったものが発生したということなんだと思うんですね。それだと、安全だと言い切るということ自体の、消費者からするとちょっと違和感を感じるんじゃないかなと思うので、その点については、ゲノム編集と遺伝子組み換えというのはそんなに大きな違いがないんだということの意識を日本も持っていかなきゃいけないのかなというふうにちょっと思っておりますので、要望しておきたいと思うんです。

 遺伝子組み換えに関して、八つの作物、大豆やトウモロコシなどがあるんですが、どうしてこれは八つに限っているんでしょうか。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、遺伝子組み換え表示の義務対象となっている農産物は、御指摘のとおり八つの農産物で、大豆、トウモロコシ、バレイショ、菜種、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイヤでございます。

 これは、食品衛生法に基づく安全性審査を経て、国内での流通が認められているものということでございます。遺伝子組み換え表示は、安全性審査を経たものであっても、遺伝子組み換え食品であるかどうかの情報を知った上で商品を選びたいという消費者ニーズに基づいて、消費者の自主的かつ合理的な選択の機会を確保するための制度として設けられております。このことから、国内で流通が認められたものを表示義務の対象農産物として設定している、そういう考え方でございます。

串田委員 そうしますと、確認しますと、遺伝子組み換えのものというのは八つしかないんだと、流通できるのは、という理解でいいわけですね。

 この場合に、GMというものを、遺伝子の頭文字を入れたものがGMなんですが、GMであるのにGMでないと表示してしまったときには、どういうペナルティーがあるんでしょうか。

安藤大臣政務官 お答えいたします。

 遺伝子組み換えの義務表示制度は、分別生産流通管理をして遺伝子組み換え農産物を区別している場合は遺伝子組み換え等、分別生産流通管理をせずに遺伝子組み換えのものとそうでないものを区別していない場合は遺伝子組み換え不分別等と表示するというものです。

 義務表示が必要な場合に義務表示をしなかったり、遺伝子組み換えでない等と表示をした場合は、食品表示法違反となります。同法に基づき、表示の是正を求める指示を行い、指示に従わなかった場合には指示に従うよう命令を行い、指示、命令が行われた場合には、その旨が公表されます。さらに、命令にも従わない場合には、罰則が設けられています。

串田委員 その罰則の中で、今後さらに、改正案は、不検出じゃない限りはGMではないという表示はできないと。パーセンテージで何%までなら許されるということではなくて、不検出でなければGMではないと表示してはいけないんだ、こういうようなことなんです。

 その場合、輸入するときに、我が国で不検出であったかどうかの確認をするのか、それとも輸出国で確認をしたことを我が国は信用するのか、この点について確認したいと思います。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 遺伝子組み換えでない旨の表示は、分別生産流通管理をして、遺伝子組み換え農産物の混入がないと認められる場合にすることができるというものでございます。この表示は任意表示でございまして、遺伝子組み換えでないという表示をするかしないかは事業者が判断することになります。

 それで、事業者が遺伝子組み換えでないと表示する場合は遺伝子組み換えの混入がないことを事業者自身が合理的な根拠に基づき確認することになりますけれども、なお、事業者が独自に科学的検査を実施して遺伝子組み換えの混入がないことを確認したとしても、行政が行う科学的検証及び社会的検証の結果において原材料に遺伝子組み換え農産物が含まれていることが確認された場合には、遺伝子組み換えでないとの表示は不適正な表示ということになります。

串田委員 わかりました。

 だから、輸入するときには、輸出国の、相手国の事業者がどれだけ信用できるかどうかというのを輸入業者が考えて、信用できるとする場合には、場合によってはそれでGMではないと表示をすることもあると。ただし、それは、輸入する業者が自己責任というようなことなのかなと思うんですが、そういったような理解でよろしいでしょうか。

橋本政府参考人 表示はまさに事業者が自主的判断をしますけれども、それが正しいかどうかということについては、先ほどの繰り返しになりますけれども、行政が行う科学的検証及び社会的検証の結果において原材料に遺伝子組み換え農産物が含まれているということが確認されれば、遺伝子組み換えでないという表示は不適正な表示になる、そういうことでございます。

串田委員 次に、食品添加物について質問させていただきたいと思うんですが、消費者が大変わかりづらい中に、無添加と不使用という二つの言葉があります。無添加と不使用、何となく同じかなと思うんですけれども、違いがあるようなんですが、その違いを説明していただきたいと思います。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 食品表示基準におきましては、食品添加物につきましては無添加と不使用の表示に関する規定は設けられていないところでございますけれども、違いはないものというふうに考えているところでございます。

串田委員 そうしますと、不使用というような表示がなされているけれども保存効果がある添加物が使われている商品があるという指摘があるんですが、これは事実なんでしょうか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 保存料とは、食品の微生物による腐敗、変敗を防止することにより、食品の保存性を向上させる目的で使用する添加物と。一方で、保存料不使用とされているものについて、長期の保存性を与えるものではなく、保存料と性質が異なるいわゆる日持ち向上剤が使用されることがあるといったことは把握しております。

 ただし、保存料不使用と表示しまして、あたかも添加物を使用していないかのように消費者を誤認させることがないよう、使用した添加物は表示のルールに従って適切に表示されなければならない、そういうふうに考えているところでございます。

串田委員 時間になりましたが、ただ、報道ベースでは、無添加というと添加物が入っていないと言えるんですが、不使用というと添加物が入っている場合があるらしいんですよ。そういったようなことを、消費者としては大変紛らわしいので、今定義がないというよりは、しっかりとそこら辺の言葉を明確に消費者庁の方もしていかなきゃいけないんじゃないかなということを要望しまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

土屋委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 社会保障を立て直す国民会議の中島克仁です。

 時間をいただきましたので、質問いたします。

 最後の質疑者でございますので、おつき合いをいただきたいと思います。

 私からは、質疑冒頭、田畑委員からも御質問がございましたが、昨年発覚した中央省庁を中心とする障害者雇用の水増し問題に関連して、消費者庁の障害者就労支援に対する姿勢、また考え方についてまず御質問したいと思います。

 障害者雇用の旗振り役である官公庁が障害者の自立や社会参加を阻む、阻害する障壁になっていた事実、この報道に多くの国民が衝撃を受けました。消費者庁においても不適切な算定が行われていたことがわかり、政府全体の取組に連動して対応がなされていると、先ほど田畑委員の御質問の中でも消費者庁の取組ということはお聞きをいたしました。

 この水増し問題について第三者委員会が指摘したのは、長年のずさんな障害者雇用の算定、障害者や家族、障害者差別、根底には排除の意識があったのではないかと大変不信感を募らせた。

 まず宮腰大臣にお尋ねいたしますが、昨年の障害者雇用の水増し問題、不適切な算定が長年において続けられてきたことを指摘された現実、これに対する受けとめ、さらに、今後、障害者就労支援にどのように取り組まれるつもりなのか、今後の決意とともにお尋ねをしたいと思います。

宮腰国務大臣 先ほど田畑議員の御質問にもお答えをしたわけでありますけれども、国の行政機関は、民間の事業主に対し率先して障害者を雇用すべき立場にありながら、その責任を果たしていなかったことはまことに遺憾であります。

 消費者庁におきましては、障害者選考試験等を活用した採用を進めておりまして、本年五月一日現在では八・五名の方を雇用しております。また、現行の障害者採用計画において、本年末までに新たに四名を採用し、十二・五名の方を雇用する予定であります。

 年内に目標とする障害者採用については、しっかりと実現をしてまいりたいというふうに思っております。

 消費者担当というよりも公務員制度担当としては、昨年十月に決定された公務部門における障害者雇用に関する基本方針に基づきまして、内閣人事局では、非常勤職員として勤務した後、選考を経て常勤職員となることを可能とするステップアップの枠組み、それから、常勤職員として採用予定の障害者の方々が採用前に非常勤職員として勤務できるプレ雇用を導入するとともに、障害のある職員の人事評価に関する留意事項、あるいは非常勤職員として雇用する場合の雇用の安定確保等に関する運用指針、公務部門における障害者雇用マニュアルを策定し、各府省にお示しをしているところであります。

 引き続き、障害のある方が意欲と能力を発揮し、活躍できる環境の整備にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 なお、入庁式の後、新採の皆さん方と大臣室で意見交換をさせていただきました。障害者の方々の中には、社会経験もあり、実際にいろいろな能力を持っておいでになる方々がおいでになります。ぜひ、そういう経験を生かして、しっかりと消費者行政の前面に立って頑張っていただきたいということも激励で申し上げたところでありまして、期待をさせていただいているところであります。

中島委員 今、大臣から、公務部門の担当としても、具体的な取組、今後の内容についても、また、具体的に話された内容についても御答弁いただきました。

 障害者就労支援に対して、先週まで厚生労働委員会で、この問題を受けた障害者雇用促進法改正案が審議をされておりまして、私もたびたび質問に立ちました。数合わせではなくて、そして、障害者が各省庁で、中央省庁で働く意義というもの、やはり障害者の目線で政策立案にかかわること、そういった具体的な目標を持って障害者雇用に取り組んでいただきたい。

 そういう意味で、就労支援、中央省庁で働く意味と、さらには、今回は公務部門のことでございましたが、公務、民間も含めて、なかなか働くことができない障害者施設におられる方、また、在宅におられる方、就労支援継続A、Bで働かざるを得ないような状況の方もおられるわけでございます。

 続いて、私からは、いわゆる障害者の就労を支援していくために、雇用率も大事なわけですが、実際に、先ほど言ったように、公務部門、民間でも働くことができない障害者の方々の就労を支えていく、そういう観点も非常に大事ということでございまして、障害者優先調達推進法、これは平成二十五年に施行されましたが、この目的は、障害者就労施設や在宅で就業する障害者の経済的な自立を進めるため、国や地方公共団体など公的機関が物品やサービスを調達する際、障害者就労施設から優先的また積極的に購入することを推進する目的で制定されたものです。

 資料の一枚目でございますが、これは国の機関における障害者就労施設からの調達実績です。

 平成二十八年、直近の数字が出ている平成二十九年との比較でございますが、平成二十八年度、二十九年度において消費者庁は実績が大きく下回っております。目標を達成していないという結果になっておりますが、改めてお尋ねします。この調達方針の目標が達成できていなかった理由についてお尋ねしたいと思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 障害者優先調達推進法に基づく基本方針においては、障害者就労施設等の調達に関し、前年度を上回る目標を設定すること等を定めております。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、消費者庁における平成二十九年度の調達実績は前年度を下回るものとなっております。

 これは、主に、前年度に実績のあったこん包、発送等、役務の調達が減少したことによるものでございます。

中島委員 資料の二枚目を見ていただくと、二十八年度と二十九年度でも大きく下回っておるんですが、さらに、前年度、平成二十七年の消費者庁の実績を比較すると、更に大きく下回っている。平成二十七年度は二百八十五万四千円、二十八年度が百十七万七千円だった。二十九年度は四十二万二千という、更に実績が下がっておるということでございますが、平成二十七年度と二十九年度でこれだけ大きく下回った理由、これもお答えいただけますでしょうか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 いずれの場合におきましても、こん包、発送、あるいは印刷、製本等の実績が大きく減っているところでございます。

中島委員 先ほど、障害者雇用促進、法定雇用率の件で、大臣から強い決意を就労支援について、消費者庁としてという御決意も込めていただいたというふうに思いますが、これは障害者就労施策の車の両輪だというふうに私は考えておって、もちろん雇用も大事ですが、公務部門が率先して物品、役務を障害者就労施設から調達していく。

 これは法の理念でもあるわけでして、今お答えいただいたように、前年度あったこん包等がなかった、そういうお答えだったと思うんですが、そもそも、この調達方針、一枚目の資料の一番右側にありますが、消費者庁の調達方針については、物品及び役務の種別毎に前年度の実績を上回ると。

 これは、実は消費者庁だけではなくて全省庁なんですが、これでは、今お答えいただいたように、前年度あったものがなくなったら下がってしまう。そして、一旦下がったものは少しずつ前年度を上回ればそれでいいや、そういう方針になってしまっておる。

 先ほど、昨年の水増し問題を受けて大臣からも御決意をいただきましたが、本当にこのような調達方針で法の趣旨に沿っておるというふうに考えるんでしょうか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 消費者庁の障害者就労施設等からの物品等の調達を図るための方針は、障害者優先調達推進法の規定に基づき、就労施設等からの物品等の調達の推進に関する基本方針、平成二十五年四月二十三日閣議決定、に即して策定されたものであり、適切なものと考えておりますが、今後とも必要に応じた見直しを行ってまいります。

中島委員 時間がないので先に聞きますが、それでは、消費者庁の全物品役務経費のうち、障害者就労施設に調達している割合はどのくらいですか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年度における消費者庁の全物品役務契約のうち、障害者就労施設等からの調達割合は、調達件数で〇・二六%、調達金額で〇・〇四%でございます。

中島委員 大臣、〇・〇四%ですよ、実績からいったら。

 この法の趣旨も時間がないので繰り返しませんが、障害者の方の自立と社会参加を促すために我々公務部門が率先して調達をしていくという法の趣旨、これは全く沿っていないじゃないですか。

 これは消費者庁だけではないんですが、特に、各省庁を見比べていくと、消費者庁の下がり方そして割合は、厚生労働省でさえ〇・八六%なんです。消費者庁は、今お聞きをしましたら、〇・〇四%。これはもっと工夫できるんじゃないですか。大臣、どうお考えですか。

宮腰国務大臣 委員の御指摘でありますが、確かに、件数、金額を見ても、全体として毎年度増加してきているという中で、消費者庁だけではありませんけれども、特に消費者庁については残念ながら件数が減ってきている、金額も下がってきている。これはやはり工夫しなきゃいかぬのではないか、あるいは、消費者庁の発注する側の方にもっと意識改革が必要なのではないかというふうに思います。

 他の省庁における好事例を参考にいたしまして、例えば、調達に係る見積書の徴取先として障害者就労施設等を積極的に加えることを改めて庁内に周知するなど、障害者就労施設等からの調達を積極的に推進してまいりたいというふうに考えております。

 方法はいろいろ考えられるのではないかというふうに思っておりまして、御指摘も踏まえ、誠実に対応してまいりたいというふうに考えております。

中島委員 大臣からはそのように御答弁いただきました。

 先ほど来、消費者庁ができて十年と。他の省庁は、前例踏襲というか、そういったものを引き継いできている省庁もたくさんあると思います。そんな中で、消費者庁が率先してこういう問題、先ほど御答弁いただいたように、調達方針はもちろん基本方針に沿って、閣議決定ですが、この調達方針に関しては各省庁が独自に決められる、そういうことですよね。

 であるならば、まさに各省庁が一律に、前年度を上回る。各自治体は、先進的に取り組んでいる滋賀県、長野を始め、具体的に数値目標をつけております。先ほど言った、前年度あったこん包がないから下がっちゃったとか、そういうことではなくて、ちゃんと、割合でもいいです、何%に設定するでも構いませんし、毎年毎年拡充していくという明確な目標をぜひ消費者庁として立てていただきたい。

 このことを強く申し上げて、ちょうど時間になりましたので、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

土屋委員長 次に、食品ロスの削減の推進に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得ました。

 本起草案の趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。

 我が国においては、まだ食べることができる食品が年間六百万トン以上廃棄されていると推計されております。このような食品ロスは、食品関連事業者や消費者の負担、廃棄物処理に係る環境負荷、市町村の処理費用の増大などにつながります。

 食品ロスの削減は、国際的にも重要な課題となっており、また、世界には栄養不足の状態にある人々が多数存在する中で、とりわけ、大量の食料を輸入し、食料の多くを輸入に依存している我が国として、真摯に取り組むべき課題となっております。

 本起草案は、このような状況を踏まえ、食品ロスの削減を総合的に推進しようとするものであり、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、前文を設け、法律制定の趣旨を明記し、これを踏まえ、国民運動として食品ロスの削減を推進することを宣言しております。

 第二に、食品ロスの削減の定義として、まだ食べることができる食品が廃棄されないようにするための社会的な取組をいうものと規定しております。

 第三に、食品ロスの削減に関し、国、地方公共団体及び事業者の責務並びに消費者の役割を規定しております。

 第四に、食品リサイクル法等の法律に基づく食品廃棄物の発生の抑制等に関する施策を実施するに当たっては、この法律の趣旨及び内容を踏まえなければならないこととしております。

 第五に、国民の間に広く理解と関心を深めるため、十月を食品ロス削減月間として定め、特に十月三十日を食品ロス削減の日としております。

 第六に、政府は閣議決定により基本方針を定めることとし、また、都道府県及び市町村は推進計画を定めるよう努めなければならないこととしております。

 第七に、基本的施策として、普及啓発、食品関連事業者等の取組に対する支援、実態調査等の調査研究、フードバンク活動の支援等について規定しております。

 第八に、消費者及び食品安全担当の内閣府特命担当大臣を会長とする食品ロス削減推進会議を内閣府に設置し、基本方針の案の作成等を行うこととしております。

 なお、本法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

    ―――――――――――――

 食品ロスの削減の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

土屋委員長 本件について発言を求められておりますので、これを許します。畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 ただいま提案されました食品ロスの削減の推進に関する法律案について、意見を表明いたします。

 本法案をまとめるに当たって努力されてきた関係議員の方々に、心から敬意と連帯の意を表します。

 日本では、まだ食べることのできる食品が日常的に廃棄され、その量は、二〇一六年度で約六百四十三万トンとされています。一方、世界では食料不足や貧困が広がり、国連世界食糧計画は、世界の飢餓人口が約八億人、九人に一人に上ると警鐘を鳴らしています。

 二〇一五年九月、国連は、持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダを採択し、二〇三〇年までの飢餓ゼロと、一人当たりの食料廃棄の半減を目標として位置づけました。とりわけ、カロリーベースで六割以上の食料を海外に依存し、その生産流通過程で消費された水、エネルギー等も輸入していると言える日本は、地球環境の面からも食品ロス削減に取り組むことが求められています。

 本法案は、大量の食料を輸入している我が国が真摯に取り組むべき課題として、国、地方公共団体、事業者、消費者等が連携して食品ロス削減を推進するものです。

 本法案では、食品の生産、製造、販売等の各段階における食品ロス削減についての食品関連事業者等の取組、また、食品ロス削減の効果的な推進のために、食品関連事業者等による相互の連携強化の取組に対し、国と地方公共団体が必要な支援を講ずることが盛り込まれました。それは、食品ロスの要因の一つとして関係者から指摘されている、業界特有の三分の一ルールという商慣習や、大手コンビニ業界にある独自の会計システムなど、業界のさまざまな課題を積極的に見直すよう、国や地方公共団体が支援、働きかけをするということです。

 また、本法案では、未利用食品等を提供するための活動の支援等も規定されました。これは、フードバンクなど、民間の団体への国や地方公共団体の支援を位置づけるものであり、重要です。

 今後、食品ロス削減を具体的に前進させるために、引き続き各党協力して取り組んでいきたいと思います。

 以上、意見表明といたします。ありがとうございました。

土屋委員長 これにて発言は終了いたしました。

 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

土屋委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土屋委員長 この際、平将明君外六名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、日本維新の会及び社会保障を立て直す国民会議の七派共同提案による食品ロスの削減の推進に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。堀越啓仁君。

堀越委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    食品ロスの削減の推進に関する件(案)

  政府は、多様な主体が連携し、国民運動として食品ロスの削減を推進するため、「食品ロスの削減の推進に関する法律」の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 国が策定する基本方針において、国、地方公共団体、事業者、消費者等が食品ロスの削減の推進に向けて取り組むべき課題を明らかにした上で、それらの諸課題の達成に向け、国の施策の方向性を示すとともに、基本方針を踏まえて地方公共団体が策定する「食品ロス削減推進計画」の分かりやすい指針となるよう、必要事項を具体的に提示すること。

 二 地域の特性に合わせて食品ロスを削減する取組を強化できるよう、地方公共団体における「食品ロス削減推進計画」の策定を促進するとともに、計画策定等に伴い生ずる新たな事務負担が軽減されるよう必要な支援を行うこと。また、地方公共団体に対する財政支援、職員の研修機会の提供など適切な支援を行うこと。

 三 小売企業等による加工食品の納品期限に関する商慣習(いわゆる三分の一ルール)が食品ロスの発生の要因の一つであることに鑑み、当該商慣習の緩和について、我が国の食品流通業界全体で徹底できるように、必要な措置を講ずること。

 四 有り余るほどの量の宴席料理、終了時間まで補充されるブッフェサービス、品切れのないメニューを望む消費者の意識に配慮して、飲食店等が過剰に料理を準備したり食材を仕入れたりせざるを得ないことが、食品ロスの発生の要因の一つであることを十分に考慮した上で、事業者だけでなく、消費者の意識を変えるための啓発活動に取り組むこと。

 五 飲食店等における料理の食べ残しが食品ロスの発生の要因の一つであることに鑑み、食べ残し料理の持ち帰りが、消費者の自己責任を前提に促進されるよう、事業者及び消費者に対して、国が作成した「飲食店等における『食べ残し』対策に取り組むに当たっての留意事項」の一層の周知を図るなど、必要な措置を講ずること。

 六 食品関連事業者等から未利用食品等の提供を受けて貧困、災害等により食べ物の支援が必要な者に提供するための活動(フードバンク活動)の社会的意義に鑑み、その活動の促進に向け、フードバンク活動を行う団体に対する財政支援や、提供した食品により食品衛生上の事故が生じた場合の食品関連事業者等及びフードバンク活動を行う団体の法的責任の在り方について、本法成立後速やかに検討すること。さらに、こうした事故が生じた場合に、食品の最終受給者が支援を受けられるよう、必要な措置を検討すること。

 七 持続可能な開発目標(SDGs)の趣旨を踏まえて、国内のみならず、世界の飢餓の救済や栄養不足の解消につながるよう、本法の趣旨を生かすため、食品ロスを削減する取組と併せて、食料の多くを輸入に依存している我が国の食料自給率を向上させる取組を行うこと。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

土屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

土屋委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。

 この際、ただいまの決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。宮腰国務大臣。

宮腰国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、関係省庁と連携させていただきながら努力してまいる所存でございます。

土屋委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十八分散会


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