衆議院

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第4号 令和元年6月14日(金曜日)

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令和元年六月十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 土屋 品子君

   理事 穴見 陽一君 理事 石原 宏高君

   理事 田畑 裕明君 理事 平  将明君

   理事 武村 展英君 理事 大河原雅子君

   理事 関 健一郎君 理事 鰐淵 洋子君

      伊藤信太郎君    岩田 和親君

      小倉 將信君    木村 弥生君

      小泉 龍司君    佐藤 明男君

      鈴木 隼人君    中山 展宏君

      西田 昭二君    百武 公親君

      藤井比早之君    藤丸  敏君

      船田  元君    堀内 詔子君

      松本 洋平君    宮路 拓馬君

      尾辻かな子君    川内 博史君

      初鹿 明博君    堀越 啓仁君

      山本和嘉子君    大西 健介君

      西岡 秀子君    古屋 範子君

      畑野 君枝君    串田 誠一君

      中島 克仁君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            宮腰 光寛君

   内閣府副大臣       左藤  章君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  岩尾 信行君

   政府参考人

   (内閣府消費者委員会事務局長)          二之宮義人君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            井藤 英樹君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            油布 志行君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            佐藤 則夫君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          高田  潔君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    橋本 次郎君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    高島 竜祐君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    重藤 哲郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森  和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    橋本 泰宏君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           島田 勘資君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局次長)            島  雅之君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 上田 康治君

   衆議院調査局第一特別調査室長           大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十四日

 辞任         補欠選任

  山本和嘉子君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  川内 博史君     山本和嘉子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

土屋委員長 これより会議を開きます。

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る三日、消費者問題に関する実情調査のため、委員十一名が参加して徳島県内の視察を行いましたので、参加委員を代表して、私からその概要を御報告申し上げます。

 地方創生に資するとの観点から消費者庁等の誘致を提案した徳島県で、一昨年七月から業務が行われている消費者行政新未来創造オフィスについては、二〇一九年度を目途に検証、見直しを行って結論を得るとされています。宮腰大臣も所信表明の中で、この夏に考え方を示せるよう検証、見直しを進めると述べています。

 当委員会としても、今後のオフィスのあり方を議論する上で、現状の把握、関係者との意見交換が必要と考え、視察を行ったものであります。

 まず、徳島県庁舎に消費者庁が設置した消費者行政新未来創造オフィスの視察を行い、また、同オフィスの運営を支援するため、県と各界や地域の代表者で構成される消費者庁等移転推進協議会が同じフロアに共同で設置したとくしま消費者行政プラットホームを視察いたしました。

 その後、消費者庁等の徳島移転の推進などの政策提言を飯泉知事から、徳島移転の実現を求める内容の意見書を喜多県議会議長から、同趣旨の要請文を松重消費者庁等移転推進協議会副会長からそれぞれ受領した後、今後のオフィスのあり方、徳島県の消費者行政における今後の取組等について意見交換を行いました。

 次に、豊かな自然と全国屈指の高速ブロードバンド環境を活用した企業のサテライトオフィス誘致に成功し、平成二十八年三月にテレビ会議を活用して消費者庁が試行的滞在を行った神山町において、テレビ放送や映像に関する業務を行う民間会社のサテライトオフィスであるえんがわオフィスについて、同社の隅田社長から説明を聴取し、視察しました。

 引き続き、NPO法人グリーンバレーが、新しいビジネスコミュニティーを創造して、地域発の先進的なサービスやビジネスを生み出すことを目的に運営する複数の企業の共同オフィスである神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックスを視察し、同法人の大南理事から、企業誘致等による地方創生の取組について説明を聴取し、企業誘致による地域への効果、同法人の役割等について意見交換を行いました。

 以上が視察の概要であります。

 最後になりましたが、今回の視察に御協力いただきました皆様に心から御礼を申し上げ、視察の報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

土屋委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第一部長岩尾信行君、内閣府消費者委員会事務局長二之宮義人君、金融庁総合政策局審議官井藤英樹君、金融庁総合政策局審議官油布志行君、金融庁総合政策局参事官佐藤則夫君、消費者庁政策立案総括審議官高田潔君、消費者庁審議官橋本次郎君、消費者庁審議官高島竜祐君、法務省大臣官房審議官保坂和人君、国税庁課税部長重藤哲郎君、厚生労働省大臣官房審議官森和彦君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長橋本泰宏君、経済産業省大臣官房審議官島田勘資君、国土交通省自動車局次長島雅之君及び環境省大臣官房審議官上田康治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小倉將信君。

小倉委員 皆様、おはようございます。自民党の小倉です。

 きょうは質問のお時間をいただきまして、どうもありがとうございます。

 私も、委員長、与野党の理事、委員の皆様方と一緒に、今月の頭、徳島県に行ってまいりまして、いわゆる徳島の拠点、消費者行政新未来創造オフィスに行ってまいりました。

 私、今回が最初じゃなくて、実は、二年近く前の二〇一七年の九月に一度、総務省の政務官をやっていたときに視察をしてまいりまして、自民党の消費者問題調査会の事務局長をやっておりますもので、ことしの一月にも同じように徳島県に行ってまいりました。今回で三回目ということで。

 実は、今から三年前、消費者庁の移転の話が出たときに、私は、正直申し上げまして、党内で慎重な意見を申し上げてまいりました。と申しますのも、やはり、消費者庁ができてまだ霞が関の中では日が浅い、なかなか情報発信がただでさえできていない消費者庁が地方に行ってしまうとますます消費者行政という非常に大切な政策が埋もれてしまうのではないか、こういったことを申し上げさせていただきました。

 その後、三回徳島をお邪魔をいたしまして、大分印象が変わったところがございます。やはり行くと、徳島県の方が物すごい熱意とやる気を持って地方行政に関与されているということでありまして、もちろん、県知事でいらっしゃいます飯泉知事、あるいは各県下の市町村の首長の皆さん方、財界の皆さん方、そして地域の消費者団体の皆さん方、本当に一生懸命、徳島で何か新しいことがやれないかということで頑張っていらっしゃる姿を見て、私も考え方が変わってまいりました。

 やはり、なかなか存在感が発揮できない消費者庁だからこそ、地域で消費者行政を真正面から考えて動いてくれるサポーターをふやしていくことが、回りめぐって全国において消費者行政を進化をさせていくことにつながるのではないか、今はそういうふうに考えている次第であります。

 そういう意味では、雰囲気だけではなくて、私は、この二年間で、徳島県においてさまざまな取組を手がけられ、そして、実際に成果を上げていらっしゃるんだというふうに思います。まず、消費者行政新未来創造オフィスの成果についてお話をいただきたいというふうに思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 委員お話しのとおり、消費者行政新未来創造オフィスは、二年前の七月に設置されまして、来月で二年になるところでございます。

 現在、消費者行政新未来創造オフィスは、実証に基づいた政策の分析、研究機能をベースとした消費者行政の発展、創造の拠点と位置づけられております。そして、全国展開を見据えたモデルプロジェクトや調査研究に取り組んでまいりました。消費者委員会からも、これらの取組が全国の消費者行政に展開、活用できる可能性を有する成果を上げたとの評価をいただいているところでございます。

 一定の成果が見られている具体的な例を申し上げますと、例えば、成年年齢引下げを見据えた若年者への消費者教育に関しては、徳島県内の全ての高校等、五十六校でございますが、におきまして、消費者庁が作成した教材、「社会への扉」を活用した授業が実施されました。

 この取組におきましては、県内の全高校で授業を実施するに至るまでの具体的な調整プロセスについての知見が得られたほか、職員による授業の視察や、授業を担当した教師等を招いた報告会の開催により、授業の進め方の具体的事例などについての知見も得られたところであり、同教材の活用事例集や授業の実施効果に関する調査報告書を取りまとめることができました。

 また、高齢者等の消費者被害防止に向けた、消費者安全確保地域協議会、いわゆる見守りネットワークでございますが、ネットワークの構築につきましては、徳島県が全国で初めて人口五万人以上の全市における地域協議会の設置を実現させており、また、昨年度末までに、県内全市町村でも設置が完了しております。これらの県内の取組をもとに、地域協議会の設置に関する事例集を作成することができました。

 このような成果は、同様の取組を全国展開していくに当たり、大変意義のある実績であると受けとめております。(発言する者あり)

小倉委員 どうもありがとうございます。

 ぜひ、野党の皆様、御自身の質問時間のときにそのお考えをぶつけていただければというふうに思います。

 もちろん……(発言する者あり)ちょっとよろしいでしょうか。

土屋委員長 静かにしてください。

小倉委員 もちろん、今、消費者教育と高齢者の見守りネットワーク、成果の部分を挙げてくださいました。当然、何か取組をやれば、いいところもあればなかなかうまくいっていないところもあるんじゃないかというふうに思います。

 実際に、せんだって消費者委員会の方で発表されました専門調査会の報告書の中で、幾つか指摘されている点があると思います。

 例えば、研修とかは、やはり、どうしても、特に航空のネットワークが東京あるいは大阪、名古屋を中心にございますもので、徳島まで、例えば中国地方とか九州の方々もなかなか行きづらいということもございまして、実際の数字を見ると、研修の参加者の数が伸び悩んでいるといったところも指摘をされておりますし、例えば、商品テストの実証テストフィールド、これについても、当然、徳島でいろいろお考えになってくださってはいたようですけれども、ただ、徳島県以外でやった方が、実は新しい、違う形で商品テストも行えるんじゃないかというような声もあるやに聞いております。

 こういった声に対してどのように考えていらっしゃるのか、消費者庁にお考えを伺いたいなというふうに思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、先月公表された消費者委員会消費者行政新未来創造プロジェクト検証専門調査会の報告書におきましては、研修につきましては、関西、中国、四国を中心とした一部の受講者の移動の負担軽減、オリジナル研修で受講者等など徳島県での研修実施に一定のニーズがあること等が明らかになりました。一方、受講者数は相模原事務所や他の地域に比べて少ないこと、関西、中国、四国からの受講者の一部も移動の負担が重いこと、運営の効率性、研修内容の充実性について課題が指摘されているところでございます。

 また、商品テストにつきましては、徳島県を実証フィールドとして活用できるテーマがあることが明らかになっております。一方、実証フィールド調査が必要な調査は限定的なこと、地域的特性の影響補正の必要があること、試験を県外で実施しており県内で全行程が完結しない等といった課題が指摘されているところでございます。

 これらの課題に関しまして、例えば、研修では、受講者数が少ないことについて、研修内容や研修日数の見直しを毎年度行うなど、国民生活センターでも改善を図っているところです。また、交通アクセスについては、徳島県鳴門市の協力によって無料送迎タクシーが手配されており、受講者の利便性向上に向けた取組が行われていると承知しております。

 来年度以降のあり方につきましては、同専門調査会の報告書では、研修については、今後も継続する場合には、研修事業全体の効果的、効率的な運営のために、徳島県で実施する研修の内容、場所、体制、方法、回数等の見直しが必要、テストにつきましては、商品テスト全体の効果的、効率的な運営のために、必要が生じた都度実証フィールド調査等を実施する方法によることも視野に入れた見直しが必要と指摘されていることなども踏まえ、研修事業及び商品テスト事業の全体像も含めたあるべき姿や徳島における事業のあり方について、検証、見直しを進めてまいりたいと考えております。

小倉委員 どうもありがとうございました。

 研修と商品テスト等々、足らざるところはしっかりと補っていただきたいなというふうに思いますが、例えば、研修にしても、徳島以外のところでやるようになった場合に、ぜひ、各地域で、各ブロックで出前授業みたいなものをやってもらいたいなというふうに思います。

 例えば、九州から行きにくいのであれば、九州の、例えば福岡でもいいですし、熊本でもいいですので、鹿児島でもいいですし。そういったブロックごとに研修をやることによって、その地域の消費者行政に対する意識をしっかりと植え付けていくといったこともできるでしょうし、特に、宮腰大臣、左藤副大臣、安藤政務官始め、今、地方消費者行政キャラバンということで政務三役が中心になって全国を回っていらっしゃるので、その勢いのままに、もとに戻すんじゃなくて、また違う形で、研修にしてもやってもらいたいなと思います。

 商品テストに関しては、私の選挙区は町田市なんですけれども、隣の相模原市に国センがございます。やはり徳島という拠点ができたことによって、更に相模原市の消費者行政に対する意欲が増しているなというのを隣町にいて思います。ですので、そういう相模原市のやる気もそぐようなことのないように、しっかりと支えていっていただきたいなというふうに思います。

 いずれにしても、これから見直しをして、これからを考えるんでしょうけれども、それに当たって、拡充ということを一つのキーワードにしていただきたいなというふうに思います。

 例えば、消費者庁は地方支分局がございません。いざ災害のときのバックアップ拠点も必要ですし、あるいは消費者行政を考える上での調査研究機能というものも、今の行政の中ではまだまだ弱いなというところがございます。もちろん、国際交流も重要であります。そういった今の消費者行政、消費者庁に足らないところをしっかりと補う形で、徳島拠点の拡充、充実についてお考えをいただきたいなというふうに思っております。

 もう一つ、徳島の移転の話が出てきたときに、当然、消費者行政の進化の観点が非常に重要であるわけでありますけれども、もう一つ重要なのは、移転というのは、政府挙げての地方創生という観点から取り組まれたものであるということであります。

 やはり中央官庁は必然にして東京に集中をしている。でも、本当にこの時代、デジタル化の時代、東京に全ての中央官庁がある意味があるのだろうか。地方にさまざまな国の拠点が移ることによって、やはりそこに移った職員が地方で実際に働いてみて、感じ、そして国の行政にフィードバックできるところもたくさんあるでしょうし、徳島の例をまたずに、やはり身近に国の拠点があることによって、その地域の人たちも国とのつながりをよりよく意識をしていただくことにもなるということで、そういった中で、消費者庁だけではなくて、文化庁や統計局もそれぞれの地域に移転をしたわけでありますけれども。

 そういう意味では、一つ今申し上げた中では、働き方改革というのが重要だと思います。私、三度ほど行きましたけれども、フリーアドレスということで、席を決めずに、実際に職員がいろいろなところで働けるような環境をつくっていらっしゃいましたし、立ち会議室ということで、できる限り長時間の会議をなくそうというような取組もしていらっしゃいました。

 もちろん、地方に行けば東京と違って通勤時間は短縮をされるわけでありまして、そういった中で、さまざまな地域の取組に参加をすることでありましたりとか、自己研修に使える時間もふえるということで、国家公務員全体の働き方改革の実践にも私は徳島の拠点がなっているんじゃないかなと思いますし、実際に徳島の拠点で働いた皆様方の知見を、徳島にとどまらせずに全国にいかに横展開をしていくか、あるいは霞が関にフィードバックしていくかということが重要だというふうに考えておりますけれども、その視点からぜひお考えを伺いたいというふうに思います。

左藤副大臣 お答え申し上げます。

 今、小倉先生から御指摘のとおり、消費者行政新未来創造オフィスでは、執務室のフリーアドレス化、それから会議等のペーパーレス化のほか、立ち会議による会議時間の短縮、テレワークの促進等を実施して、業務を効率化して超過勤務を縮減するといった成果を上げております。今後も、オフィスにおいて働き方改革を深掘りし、取組の成果や改善点を把握してまいりたいと思っております。

 また、東京の本庁においても、例えば昨年度から無線LANを導入しておりまして、職員の行政端末を執務室から持ち出して利用することを可能にしたことで、オフィスで行っているようなテレワークや会議のペーパーレス化の促進に寄与しています。さらに、本庁でも立ち会議を導入する課、これは消費者制度課がやっておりますが、こういうことが見られていまして、徳島の取組が東京での働き方改革にもよい影響を与えているものと考えております。

 こうした徳島オフィスにおける働き方改革の取組は、全ての府省を対象として行われた平成三十年度ワークライフバランス職場表彰というのがございまして、内閣人事局長表彰を受賞したところでございまして、他省庁にとっても参考にしていただけるような事例の共有が図れるものと考えておるところでございます。

 今後も、働き方改革に関するさまざまな実例をつくり上げながら、情報共有等を通じて政府全体の働き方改革に寄与していきたいと考えております。

小倉委員 どうもありがとうございます。

 やはり働き方改革で重要なのは上司の皆さん方の意識でありまして、上司が変わらないと部下は働き方を変えづらいというようなことがあると思います。ぜひ左藤副大臣にはリーダーシップを発揮をしていただいて、徳島拠点だけではなくて消費者庁本庁の働き方改革にも引き続き取り組んでいただければなというふうに思います。

 ことし、平成の時代が終わって令和になりました。いろいろ、我々の生活にも変化があったわけでありますけれども、そのうちの一つが携帯電話を我々が持つようになったということだと思います。平成の最初のころは普及率がわずか〇・三%ということで、千人に三人しか携帯を持っておりませんでしたが、平成が終わるころにはもう一人一台以上の時代になりました。

 単に携帯を持って我々はいつでも通話ができるようになったというわけではなくて、それがネットとつながることによって更に大きな可能性が広がったわけであります。知らない単語に出くわせばスマホで検索をし、そして、しばらく会っていない友人と連絡をとりたいときも、SNS上でスマホを使ってつながれるようになりました。欲しいものがあればネットで注文することもできますでしょうし、あるいは、スマホを使って、あいた時間を音楽や映画、ゲームを楽しめるようにもなりました。

 そういう意味では、スマホを使って、我々、非常にやれることが広がったわけでありますけれども、今、政府あるいは私どもの自民党で議論されておりますのは、いかにその副作用、弊害を取り除いていくかということであります。

 GAFAに代表されるような巨大なプラットフォーマー、現行の法制度ではなかなか捕捉し切れない、彼らがたくさん集めている個人情報やプライバシーにかかわる情報、こういったものをいかに我々のもとに取り戻していけるのか、こういった観点から政府でも御議論をいただいていると思いますし、先日、いろいろ報道されております未来投資会議におきましても、例えば、デジタル・プラットフォーマー取引透明化法をつくるですとか、あるいはデジタル競争市場本部をつくってしっかりと監視や監督をするというような、そういうことも考えているような、そのような報道がございました。

 例えば、独占禁止法上の観点から、優越的な地位の濫用を事業者だけではなくて個人にも情報収集に際して適用できないかということも御検討いただいているやに聞いております。ただ、そもそも独占禁止法というのはイの一番に消費者利益の保護でありまして、まさに独占禁止法並びにそれを所管をする公正取引委員会の考え、それ自体が消費者保護なのであります。

 そういった意味では、この議論を、私は、内閣府や内閣官房、あるいは公正取引委員会や経産省、総務省にだけ任せるのではなくて、やはりこの問題、デジタル化時代に合わせていかに消費者を守っていくかというような考えを消費者庁こそ真剣に考えていただいて、具体的に動いてほしいというふうに考えてございます。

 そういう意味では、消費者庁ではオンラインプラットフォーマーとおっしゃっているようですけれども、このプラットフォーマーの台頭に対してどのような行政を考えていらっしゃるのか、お考えを伺いたいなというふうに思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 インターネット上のショッピングモール、フリーマーケットサービスなどのプラットフォームが介在する取引の規模が急速に拡大しており、関連する消費者トラブルの発生を抑止し、消費者の利益の擁護、増進を図っていくことは重要な課題であると認識しております。平成三十一年四月の消費者委員会のプラットフォームについての提言においては、そうした観点から、適切な情報提供を進めることを始めとして、行政機関の果たすべき役割が示されていると理解しております。

 既に消費者庁においては、平成三十一年三月及び同年四月に個人間の取引でオンラインプラットフォームを利用する際の留意点を周知しており、また、国民生活センターにおいても、令和元年五月に注意喚起をしております。

 消費者庁としては、今後も適切に国民向けの注意喚起等を行うほか、現在、政府部内や諸外国においてさまざまな検討が行われていることから、それらの状況を注視し、どのような対応が必要となるか検討を深めてまいります。

小倉委員 どうもありがとうございます。

 まずは注意喚起からということなんでしょうけれども、実際に、消費者委員会の専門調査会で、オンラインプラットフォームにおける取引のあり方に関する報告書が出されています。この報告書を見ると、かなり具体的に、法制度の不十分性も含めて議論がされております。

 例えば、特定商取引法におきまして、反復継続をして販売をするような人であったりとか、あるいは一遍にたくさんのものを出品をされる方に対して、事業者だけではなくて、個人に対しても住所とか氏名の開示が求められております。

 ただ、CツーCの取引がこれだけいっぱいふえている中で、例えば個人の方の情報をそこまでつまびらかに公表することを特商法上求めていいのかというような、そのような懸念の意見がこの報告書でも書かれておりますし、ちょっとマニアックですけれども、電子消費者契約に関する民法の特例というものがございまして、誤タップですね、間違って申込みをしちゃうものに関しましては、通常の場合は、誤タップをしないような適正な措置を事業者に求められてございます。

 ただ、CツーCの場合はその対象外でございますし、CツーCの取引を介在をするプラットフォーマーに対しても直接的なそのような規制がないというような、そのような声も実際に委員からは上がっているわけですね。

 だから、ぜひ、注意喚起だけじゃなくて、法律に、独占禁止法は違うところかもしれませんけれども、消費者契約法にしても、今挙げた特定商取引法にしても、消費者庁の所管なわけでありますから、こういった法の不備あるいは不十分さに関して、もうちょっとプロアクティブに議論を重ねて、前進をしていくような、そういう姿勢をぜひ消費者庁にはお示しをいただきたいなというふうに思います。

 あともう一つは、このオンラインプラットフォームという取引に関して、問題の一つはやはりクロスボーダーの取引がふえるということでありまして、実際に政府全体の議論におきましても、幾つかの我が国の法律は域外適用ができないというような、例えば観光業法もそうですけれども。そういった中で、日本国内の事業者は日本の法律に規制され、そして取り締まられるにもかかわらず、海外の事業者は同じことをやっていても法の対象外だし、あるいは、もう一つの問題として、仮に法の対象内になったとしても、適正に執行されない、執行できないというような問題があるんじゃないかなというふうに思っております。

 消費者被害において、海外の企業によってもたらされるもの、これについてどうやって消費者被害を未然に防ぎ、あるいは回復をするかということについて、今の消費者庁の姿勢についてお伺いをしたいなというふうに思います。

橋本(次)政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のような問題に対処するため、国民生活センター越境消費者センター、いわゆるCCJでございますけれども、海外の消費者相談機関等との連携体制の拡充強化に向けて積極的に取り組んでいるところでございます。現時点で、提携機関数は十三機関、それから、提携機関が管轄する国、地域の数は二十四となっております。

 海外オンラインショッピングに伴う消費者トラブルは今後も世界的に増加が予想されており、これに効果的に対応するには、各国機関との連携が重要となると考えております。今後も積極的に海外の消費者相談機関等に働きかけてまいりたいと考えております。

 最近では、昨年一月には、スペイン、南米十一カ国を対象としたオンライン紛争処理機関でありますODRLAと、それから、昨年六月には香港消費者委員会と提携しているところでございます。

 引き続き、各国機関と連携できるようにするため、ことしの一月にも欧州の機関に消費者庁事務方が欧訪しておりまして、今後も積極的に海外の消費者相談機関等に働きかけてまいりたいと考えております。

小倉委員 どうもありがとうございます。

 実際に、消費者被害の平均額は大体五万円ぐらいということですけれども、やはり、この被害を回復をするために、国際訴訟を起こして被害を回復をする、しかも、その事業者がどういう事業者か、国内の消費者には全然わからないという中で、なかなか、現に被害が発生をしてもそれを救済することは難しいと思います。

 今CCJを挙げていただきましたけれども、そういうグローバルなネットワークの中でお互いの国の消費者を保護していくというような取組はこれからますます重要になるでしょうし、また、例に挙げられたオンラインの救済手段、ODRと言われているやつですね、これについても更に仕組みを精緻化をしていく必要があるんじゃないかと思います。

 ODRについても、どちらかというとEUは政府主体で、それでアメリカの場合は民間主導で、ODRによる救済が図られているというふうに聞いております。そういった中で、いろいろなデジタル経済関係の議論に出てくるんですけれども、国が主導がいいのか、あるいは民間も組み合わせた方がいいのか、こういったこともぜひ検討していただきたいと思います。

 というのは、やはりデジタル化に伴うさまざまな問題、消費者問題だけではなくて、これまでのように、法律で一々規定をして、そして行政がそれを監督をして、違反があれば執行するというような枠組みが時代の変化に追いつかなくなっている部分があるんじゃないかと私は思っております。

 なので、こういうデジタルプラットフォーマーを始めとするデジタル化に起因をするさまざまな行政課題の解決に際して、今議論がなされているのは、官による規制だけではなくて、民間の自主規制、あるいは官民の共同規制を組み合わせて、より実効性のある法の枠組みをつくっていけないかというような議論が進んでいると思います。

 例えば、シェアリングエコノミーに関しては、シェアリングエコノミー協会さんが認定団体制度をつくって、自主規制と、あるいはそれに乗っかった形での政府の規制を組み合わせて、うまく、シェアエコというような日々サービスも進化をして新しいサービスが生まれるような取組に関して、弊害を防ぎつつ産業として、サービスとして地方にまで波及をさせていこうというような取組もされております。

 そういう意味では、私のこれは私見でありますけれども、消費者問題こそ、結構これは合っているんじゃないかと思うんですね。よく消費者問題については企業バーサス消費者という観点で捉えられがちですけれども、やはり重要なのは、消費者バーサス企業じゃなくて、消費者バーサス悪質な事業者であるというふうに思っております。

 ですので、きちんと自分の企業の中で消費者問題にしっかりと取り組んでいらっしゃる事業者に対しては、自主規制に委ねられるところは委ねて、そして、残るリソースをむしろ悪質な事業者に対してそれを取り締まるものに向けていただくというような、そういう方向性が消費者行政についても一つあり得るんじゃないかというふうに思っております。

 この点について、もし今でもこれに近しい、あるいは同じ方向でやっていらっしゃる取組があれば、ぜひ御紹介をいただきたいというふうに思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 消費者保護のためには、法規制に加え、事業者による自主的な対応を促し、消費者自身の判断力を高めることで、相互に補完し合うように各種の取組を進めていくことが重要と考えております。

 例えば、デジタルエコノミーに関しましては、消費者庁では、インターネット上の取引に関して、新たに発生しつつある課題を共有し関係者に対応を働きかけていくため、インターネット消費者取引連絡会を定期的に開催し、関係行政機関、事業者団体等による情報交換や意見交換を行っているところでございます。

 今後とも、事業者、消費者との情報交換や注意喚起などのさまざまな手段によって、インターネット取引などの消費者保護に努めてまいります。

小倉委員 どうもありがとうございます。

 まだ緒についたばかりだというふうに思いますけれども、ぜひ私が先ほど申し上げた観点についても御検討をいただければなというふうに思います。

 今申し上げたような、私は、デジタルエコノミーに伴うさまざまな消費者保護の問題というのは、幾つかある、おかげさまで今国会で食ロスの削減法案も野党の皆さん方にも御協力をいただいて成立をさせていただきましたけれども、この食ロスとか、あるいは今申し上げましたデジタルプラットフォーマーの問題、あるいは高齢化に伴う消費者被害の問題、これはやはり高齢化が進む我が国にある知見というのは非常に大きいものがあると思います。

 こういったものを、今月徳島に行ったときに、九月にG20の消費者政策会合を徳島で開くのを非常に徳島の皆さんは楽しみにしていらっしゃいました、まさに日本の消費者行政を世界に発信をする非常にいい機会だというふうに思っておりますので、今申し上げたような観点でも議論をしていただいて、そして、場合によっては日本が議論をリードするようなこともしていただければありがたいというふうに思います。

 これは意見のみにとどめさせていただきまして、質問を一問飛ばしまして、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。

 ネットやテクノロジーを組み合わせたさまざまな技術という意味では非常にいい面もあるというふうに思っております。

 一つは、私きょうも、一八八の電話ダイヤルのバッジをつけさせていただいております。イヤヤンですね。正確に申し上げたいと思います。失礼いたしました。

 三桁のダイヤルになったことによりまして非常にかけやすくなったという点はあると思いますが、ただ、近年に問題になっている若者の消費者被害、若い人たちはそもそも、なかなか電話をかけないというようなことがあると思います。そういう意味では、若者がよく使うようなSNSの相談窓口を設けることも、やはりイヤヤンと同じく重要なのではないかというふうに思っております。

 この点について、まず消費者庁でどのような検討をしているのかお伺いしたいのと、あともう一つは、PIO―NET、これも非常に重要なビッグデータになっていると思いますけれども、さまざまなやはり現場の職員の皆様方の手数といいますか労力は割かれているというふうに思っております。

 今、行政のいろいろなところで、例えばRPAを使って省力化をするとか、AIを使って人手を使わずにやれるような仕組みというものが普及をし始めようとしておりますけれども、このPIO―NETのさまざまな業務に関して、私は、RPAとかAIを使ってできる限り手数をかけずに行い、その分、消費者相談にしっかりと乗れるような体制をつくることが重要だというふうに考えておりますけれども、この点についてもあわせてお考えを伺いたいなというふうに思います。

高田政府参考人 まず、SNSの方からお答え申し上げます。

 消費生活相談は、主に電話を用いて消費者から聞き取りを行い、双方向のやりとりを通じて問題の所在を把握し解決を図ることが基本です。まずは、消費者ホットライン一八八の周知を図り、若い世代も含めて利用を促進することが重要です。

 一方、メールによる相談を導入している自治体もあり、時代の変化に応じて、消費者が適切に相談を行える環境を整備する必要があります。若者はSNSを日常的なコミュニケーション手段としていることから、若者が消費生活相談をしやすい環境を確保する観点から、消費者行政新未来創造オフィスにおいて、三月から有識者による研究会を開催しており、本年冬ごろを目途に取りまとめを行う予定です。

 今後は、SNS相談の試験導入も行いながら、課題やその対応策を検討してまいります。

小倉委員 前向きに御答弁をしていただけたものというふうに思っております。

 実際に、SNSを使った相談というのは、実験的にやっているところが幾つかございまして、私が聞いたところだと……

土屋委員長 小倉君、高島審議官からも、そのプラスですか、今のお話の。

高島政府参考人 PIO―NETの業務効率化の方についてお答えを申し上げます。

 PIO―NETにつきましては、国民生活センターが開催しましたPIO―NET刷新検討会におきまして取りまとめられましたシステム改修の基本方針というのがございます。これにのっとりまして、現在、二〇二〇年を目途に刷新に向けた作業を進めているところでございます。

 お話もございましたRPA、ロボティクス・プロセス・オートメーション、これに関しましては、AIを活用しようということで、この検討会におきまして、以下の二点ほどについて優先的に取り組もうということで議論をされているところでございます。

 第一に、消費生活相談員の入力負荷軽減を目的として、AI技術を活用しまして相談内容のキーワード候補を表示させる、そういう機能を追加することが第一でございます。

 第二に、成年年齢の引下げを見据えまして、若年者の消費者被害の防止を目的といたしまして、若年層が気軽に相談できるように対話形式で情報提供をする環境を整備するということに向けまして、AI技術を活用したチャットボット機能の追加、こういったことを検討しているところでございます。

 消費者庁といたしましても、PIO―NETの業務の効率化は非常に重要だと考えておりますので、国民生活センターと連携をして推進してまいりたいと考えております。

小倉委員 どうもありがとうございました。改めて、両審議官から前向きな答弁を頂戴したのではないかというふうに思います。

 RPA、AIに加えまして、SNSによる相談窓口、先ほどちょっと言いかけましたけれども、幾つか先行事例がございまして、私が聞いた話だと、長野県の青少年に対するいじめ相談窓口、これをSNSで開設をしたところ、電話による相談の一年間の件数の倍以上の相談件数がわずか二週間で来たというような、そういうこともございました。ぜひ、若者に対する消費者被害の拡大を防いでいくという観点から、迅速にこの取組、検討を進めていただきたいなというふうに思います。

 そろそろ時間が参っておりますので、最後の質問に移らせていただきます。

 きょうは何の日かというと、チケット不正転売禁止法の施行日でございます。

 チケットの不正転売に関しましては、もちろん、興行主やアーティストの皆様方にとってみても、本当は自分たちが売っている価格の何倍もの価格で売ってしまわれるというような、そういう観点の問題もございますれば、あるいは消費者の観点からしても、もっと適正な価格で、つまりは安い価格で買えたのに、不正転売がオンライン上で行われることによって、何倍もの値段で買わされてしまうということもあります。

 聞くと、チケット販売に関するトラブルが一年で倍以上にふえたというような国センの公表もございましたようでありますけれども、そういった意味では、チケットを買ったはいいけれども、入場できない可能性があるということを知らずに買ってしまったとか、注文をしたけれどもなかなか届かないとか、そのようなことも実際にあるやに聞いております。

 そういう意味では、文化庁と並んで消費者庁がこの法律の所管、共管になっている意義というのは、いかにチケット不正転売に関して被害を未然に防止をしていくかというような取組を責任を持ってやってもらうということだというふうに思っております。きょう施行されますチケット不正転売禁止法につきまして、消費者庁の取組について最後にお伺いをしたいなというふうに思います。

左藤副大臣 今先生御指摘のとおり、本日六月十四日に施行されたチケット不正転売禁止法では、国及び地方公共団体に対して、いわゆるチケット不正転売に関する相談体制の充実、国民の関心及び理解の促進を図る努力義務を課しておるところでございます。

 消費者庁といたしましては、地方公共団体と協力し、消費生活センター等の窓口において、チケット不正販売に関する消費者からの相談に適切に対応できる体制を整備することとしております。具体的に、四月に相談員用にQアンドAを配付をしておりまして、また、五月からは相談員向けに本法の研修を開始をしているところでございます。

 また、トラブルを避けるために、チケットは正規販売ルートから購入するよう、五月十五日に消費者庁公式アカウントにてツイッターに掲載し、六月六日に国民生活センターにおいても注意喚起を行ったところでございます。今後、当庁ホームページでも注意喚起を実施する予定でございます。

 引き続き、文部科学省を始めとする各関係省庁とも連携をしながら、チケット不正転売対策に取り組んでまいりたいと思っております。

小倉委員 以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。

左藤副大臣 販売と言ったようですが、チケット不正転売対策に取り組んでまいります。

土屋委員長 訂正でございます。

 次に、鰐淵洋子君。

鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。

 冒頭、土屋委員長からも御報告がございましたが、六月三日、私も徳島の方へ視察をさせていただきました。お世話になりました皆様に改めて心から感謝を申し上げたいと思います。大変にありがとうございました。

 これまでも、この委員会におきまして、徳島オフィスのあり方につきましてさまざま議論もございました。そういった中で、私は初めて現地の方に行かせていただきまして、本当に短時間で、もう少しいろいろお話が伺えたり、また視察をさせていただきたいという思いもあったんですが、いずれにしても、現地に行かせていただいて直接皆様からいろいろお話を伺う中で、行かせていただいて本当によかったなと思っております。

 その中で、時間も限られておりますので、何点か、消費者行政新未来創造オフィス、これが徳島に開設されて二年ということで、ことしが検証、見直しの時期ということで、まずちょっと消費者委員会の方にお伺いをしたいと思っておりますけれども。

 平成二十八年の政府決定に基づいて、このオフィスの取組について検討を行い、先日報告書が取りまとめられたと承知をしておりますけれども。そこで、このオフィスの取組について、特にこれまで東京で十分に実施されてこなかったとされている調査研究のプロジェクトにつきまして、この点に絞って少し伺ってまいりたいと思いますが、どのような成果またどのような課題があると分析、評価をしているのか、まずお伺いをしたいと思います。

二之宮政府参考人 お答えいたします。

 専門調査会の報告書で、消費者行政の進化等の観点から検証した結果のうち、御質問の調査研究プロジェクト、基礎研究プロジェクトに関しまして、まず成果として例えば次のような点が指摘されています。従来の消費者行政において十分に着目されていなかった分野の知見、データや、調査対象者の特性に応じて効果的にアンケートを実施できるように工夫した過程等から得られたノウハウなどを提供する点で、今後の消費者行政の施策の立案、実施に当たり参考になること。プロジェクトにおいて作成された、だまされやすさをはかる心理傾向チェックシート等の啓発資材は、その活用を全国的に展開することにより、啓発の効果を向上させることなどが期待できること。

 他方、課題につきましては、調査結果において徳島県等の地域的特性が影響している可能性もあることから、より精緻化するためには、大都市圏等の別の地域における調査結果と比較することなどにより、そのような影響を補正することが必要になること、今後徳島県内での新たな取組を実施する場合には、当該取組に関する有用な人材や組織が県外に存在する場合にその協力が得られるかなどといった点が指摘されてございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 私も現地の方でオフィスの職員の方からも伺いましたが、今御報告もいただきましたが、調査研究につきましては、これまで余り収集されてこなかったデータや知見を得ることができたということで、そのように伺いました。これはこのオフィスでの成果の一つだと思っております。

 改めて消費者庁に伺いたいと思いますが、調査研究について、このような結果を出すことができたことにつきましてどのような御見解をお持ちか、お伺いをしたいと思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、消費者行政新未来創造オフィスにおいては、調査研究についても、今後の消費者行政の基礎となるような一定の成果を上げることができたと認識しております。

 例えば、障害者の消費行動と消費者トラブルに関する調査では、徳島県及び岡山県に御協力いただき、アンケートやヒアリング調査を実施することで、障害者の方の消費行動に関するデータや消費者トラブルの事例を取りまとめることができました。この調査では、平仮名版のアンケートなど複数の回答用紙を用意するなどの工夫を施し、知的障害、精神障害、発達障害の方を対象に、支援者のみならず、障害者の方御本人にも直接アンケートを実施しました。その結果、障害者の方の買物の仕方など、これまで具体的な調査がなされていなかったような消費行動が明らかになり、専門家からも高く評価いただいていると認識しております。

 また、若者の消費者被害の心理的要因からの分析については、関西方面の有識者を含め多様な有識者にも御参画いただいて検討会を実施し、報告書を取りまとめたほか、分析結果に基づいた啓発資料も公表することができました。

 また、分析に当たって実施した一万人規模のアンケート調査のデータをもとに、若者向けの啓発資料として、リスキーな心理傾向をはかるチェックシートも作成しており、データの裏づけがあるチェックシートとして専門家からも高い評価を得ていると認識しております。

 このように、調査対象フィールドとして、徳島県の協力のほか、周辺地域の協力が得られたことや、徳島県の協力もあって人的な体制が組めたこともあり、こうした成果を上げることができたと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 多岐にわたりまして研究調査をしていただいて、また、今、御答弁の中にもありましたが、やはり、徳島県の皆様の大変に熱心な力強い御協力がありましてここまで積み上げることができたと私も実感しております。ぜひとも、こういった調査研究が、これからの地方消費者行政、この発展にも、また、国全体の消費者行政の発展にもつながっていくものと確信しておりますので、更に充実をしていただきたいと思いますし、一方で、これも先ほどもお話がございました、課題があるのも事実でございます。研修の参加者が少ないとかそういった課題もある中で、しっかりとそこも、課題が明確になっておりますので、充実をしていく、そういった中で、徳島で行われていく意義をしっかりとまた示していただきたいとも思っております。

 その上で、改めて確認をさせていただきたいと思いますが、今後どのようなスケジュールで、このオフィスのあり方、検討が進められるのか、お伺いをしたいと思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 消費者庁としては、これまでのオフィスの成果や消費者委員会の報告書も踏まえながら、二〇二〇年度以降のオフィスのあり方について現在検討を進めているところでございます。

 本年八月末に二〇二〇年度の予算や組織に関する考え方を示す必要があるため、その時点までには検証、見直しの結果を反映した要求案をお示しできるよう検討してまいります。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 繰り返しになりますが、本当に、今回徳島に行かせていただいて、知事を始め関係者の皆様の熱意、消費者行政に取り組む熱意に大変に感動いたしました。そこを感じられただけでも、徳島で開設をされたという意義は本当に大きいなということも実感をしておりまして、地方消費者行政、これを強化していく上でも、しっかりと徳島オフィスの充実を更に図っていくことも重要であると思いましたので、これは私の意見でございますが、最後、述べさせていただきたいと思います。

 次の質問に入らせていただきたいと思いますが、食品ロス削減の取組について質問させていただきたいと思います。

 五月三十一日に食品ロスの削減の推進に関する法律が公布をされました。この法律の成立を目指しまして、我が党も竹谷参議院議員を中心に率先して取り組んでまいりましたので、大変にうれしく思っております。

 食品ロスの問題は、法律の前文にも明記されておりますが、国際的にも重要であり、大量の食品を輸入し、食料を多くの輸入に依存している我が国として、真摯に取り組むべき課題でございます。今後、この法律をもとに、食品ロス削減が国民運動として大きな流れになることを期待しております。

 法律の施行まで、さまざまな取組、準備が必要と思いますが、法律の施行に向けた今後の対応につきましてお伺いをしたいと思います。

橋本(次)政府参考人 お答えいたします。

 法律の円滑な施行に向けまして、政令の準備などの必要な手続を関係省庁と連携して進めることとしております。

 このため、先週七日金曜日でございますが、宮腰大臣にも御出席いただきまして、食品ロス削減の推進に関する関係省庁会議を開催いたしまして、今後の対応について認識を共有したところでございます。

 具体的には、食品ロス削減推進法につきまして、法律の施行は食品ロス削減月間であります十月を目指すこと、それから、基本方針につきまして年度内の閣議決定を目指すことということを共有いたしまして、これに向けて関係省庁が連携協力して取り組んでいくことを確認いたしたところでございます。

 引き続き、法律の円滑な施行のため準備を進めるとともに、食品ロスの削減に向けた取組の充実が図られるよう、関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございます。

 関係省庁、また、地方自治体、事業者、国民、消費者、それぞれの役割を明確にしながら、しっかりとまた連携をとりながら着実に進めていただきたいと思いますが、いずれにしても、消費者庁が重要な役割を果たしてまいりますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思っております。

 皆様よく御存じだと思うんですが、我が国で発生している食品ロスは、二〇一六年度で六百四十三万トンでございます。このうち、事業者が三百五十二万トン、家庭からが二百九十一万トンということで、家庭から廃棄されているものが全体の約四五%ということでございます。また、全体の食品ロスを国民一人当たりに換算しますと、毎日お茶わん約一杯分の御飯を捨てている、そういった試算も出ております。このため、各家庭、各個人におきまして、言うまでもなく、食品ロスの削減に向けた取組をしっかりと実践していく、これが大変に重要になってくるかと思います。

 先ほどの徳島オフィスなんですけれども、モデルプロジェクトの一環として、家庭における食品ロス削減の取組について実証実験が行われたと伺っております。この徳島県で実施をされました実証実験の結果と、それを踏まえた啓発の内容についてお伺いをしたいと思います。

橋本(次)政府参考人 お答えいたします。

 徳島県における実証では、県内のモニター家庭、約百世帯でございますが、これを食品ロスの計量のみを行うグループとそれから計量に加えて削減の取組を行うグループに分けまして、それぞれの食品ロスの量を比較することにより、削減の取組の効果を把握いたしたところでございます。

 この結果、計量のみのグループでは約二割、計量に加え削減の取組を行ったグループでは約四割の食品ロスが減少したという結果が得られました。削減の取組を行ったグループだけでなく、計量のみのグループでも食品ロスが減少する結果が得られたことが特徴的でございます。これは、食品ロスを計量することにより、みずからが発生させている食品ロスに気づき、自発的に行動が改善されたことが要因ではないかと考えております。

 この成果をもとに、まずは食品ロスをはかってみるということをテーマに、家庭での食品ロスの削減につながる取組を記載した啓発資料を作成しておりまして、地方公共団体など希望する方々に配付を行っております。

 今後とも、家庭における食品ロスの削減に向けて、全国的な取組の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今、徳島での実証事業の結果をお伺いをしました。その中で、具体的に御報告いただきましたが、計量するだけで約二割削減できたという。ですから、意識を持つだけで結果に結びつくという、大変に重要なことであると思います。

 そういったことからも、しっかりと、更に具体的に、意識を変えた上で具体的に取り組む中で、着実に前に進めることができるかと思いますので、ぜひとも国民の皆様に、どのように取り組めばいいのか、イメージを持って取り組んでいけるような、そういった具体的な情報提供も重要になってくるかと思います。

 そのほか、最近も大手コンビニ会社におきまして、食品ロス削減に向けた取組が具体的に実施をされるということで発表もございました。

 いずれにしましても、事業者、消費者がそれぞれ食品ロス削減に向けて動き始めている中で、しっかりと、食品ロスを削減する、また、食品ロスを生まない、そういった取組を消費者庁の力強いリーダーシップのもと着実に進めていただきたいと思っております。

 改めて、大臣に取り組む決意をお伺いをしたいと思います。

宮腰国務大臣 先月、法案が衆議院、参議院ともに全会一致で可決されまして成立したことは、食品ロスに対する社会的関心の高さのあらわれであると感じております。

 法案の審議と時を同じくして、一部の民間企業において、食品ロス削減のための実証実験や賞味期限の延長などの動きも見られております。まさに食品ロスの削減に向けて社会が大きく動きつつあるというふうに実感いたしております。

 政府としても、この法律を追い風として、取組を加速していく必要があると考えております。

 消費者庁では、法案が成立した五月二十四日に、食品ロス削減に関する新たな提案を受け付ける「提案の扉」を消費者庁のウエブサイトに開設をいたしました。

 また、関係省庁におきましても、SDGs達成に向けた削減目標の設定や、学校給食における取組、電子タグを活用した在庫管理など、さまざまな取組が展開されております。

 先週七日に立ち上げました食品ロス削減の推進に関する関係省庁会議におきまして、私から各省の幹部に対し、関係業界や関係団体など多くの方々の協力が得られるよう積極的に取り組んでいただくことを直接要請をいたしました。

 私は、法律が施行されれば、食品ロス削減推進会議の会長となります。食品ロスの削減に向けた国民運動が実効性のあるものとなるよう担当大臣としてしっかり取り組んでいきたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 ぜひ、大臣のもと着実に前に進められるように、私たちも含めて一緒に頑張ってまいりたいと思います。

 皆様御存じだと思うんですが、日本にはもったいないという言葉がありまして、以前ノーベル賞受賞者のワンガリ・マータイさんが日本に来日されたときに日本にはすばらしい言葉があるということで、このときはスリーR、リデュース、リユース、リサイクル、これを一言であらわせる言葉ということで大変に関心を持たれておりましたけれども。

 やはりこのもったいないという言葉は、そのほか、食料や物に対して、資源に対して慈しむというか大切に思う、そういった感謝の心を込められたすばらしい言葉でもあると思いますが、もともと日本には、こういったもったいないという精神というか心を持っていますので、ぜひとも、何のためにやるのかというところも明確にしながら、意義づけもしっかりと訴えながら着実に進めていきたいと思いますので、ぜひとも大臣には、お世話になりますけれども、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 最後にまとめて、済みません、廃プラスチック問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 昨今、世界全体でプラスチックごみが海洋に流出しているということで、このままでは二〇五〇年までに魚の重量を上回るプラスチックが海洋環境に流出されることが予測をされております。地球規模で環境汚染が懸念をされております。

 御存じの方も多いと思いますが、打ち上げられた鯨の体内からプラスチックごみが大量に見つかったという、こういった具体的な問題も顕在化をしております。

 そういった中で、政府におきましても、例えば先日もお話がありましたワンウエープラスチックの、プラスチック製容器の包装であるレジ袋、この有料化義務化などの取組、こういった話も出てきている中で、まずは、私たち消費者の生活に深くプラスチックはかかわっておりますので、そういった意味でも、先ほどの食品ロスと同じなんですけれども、私たち消費者、国民の意識変革、これをしっかりと取り組んでいかなければいけないと思っております。これは、地球環境問題につながるということ、また、私たちのもちろん健康問題にもかかわりますし、重要な問題だということで、しっかりと意識変革を持って取り組んでいくことが重要であると思います。

 この点についてどのように消費者庁としてお考えかということをお伺いしたいと思いますし、あわせまして、繰り返しになりますが、消費者のライフスタイルにかかわる見直しをしていくことにもつながりますので、そういった意味では、子供から大人まで、教育と言いますが、どのように取り組んでいけばいいのか、そういったことをしっかりと知っていただくことも重要かと思っております。これも具体的な事例を紹介しながら実践に結びつけていくことが重要かと思いますが、この取組につきまして、二点お伺いをしたいと思います。

高島政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、海洋への流出など、プラスチックによる地球規模での環境汚染は大変懸念をされております。そのため、政府といたしましても、プラスチックの資源としての循環を総合的に推進するため、プラスチック資源循環戦略を策定したところでございます。これを解決し、持続可能な社会を実現するためには、SDGsのゴール十二に使う責任というのが掲げられておりますけれども、消費者のライフスタイルの変革などの行動、これが重要であると思っております。

 消費者庁といたしましても、自身の消費行動が環境にどのような影響を与えるかを自覚して行動できる消費者を育成するための消費者教育、これが重要な課題であると捉えているところでございます。

 二番目の御質問とかかわりますけれども、一人の消費者が主体的に判断し行動することができるようになるためには、委員のお話にもありましたと思いますけれども、単に知識を得るだけではなくて、子供から大人まで全世代にわたった実践的な教育が重要であるというふうに考えております。

 消費者庁では、地方公共団体や民間団体の方々と連携いたしまして、さまざまな世界の課題を解決する方法を考えることを狙いとした講座を開催しております。その中では、海を守るという課題も盛り込んでいるところでございます。

 また、身近な商品を例として、その商品が生産され、流通し、廃棄されていく過程を考えていただく、身近なことから消費者として取り組めることがあるということに気づいていただく、そういった構成の講座も開催をしておりまして、その中では、ペットボトルを再利用した衣料品ですとか使い捨てではないストロー、こういったことも盛り込んでいるところでございます。

 子供というところでは、学校教育が重要なわけでございますけれども、学校教育の中でもこういった教育が充実されますように、地方公共団体からの御依頼に基づきまして、民間団体の御協力も得て、教員の方々向けの研修などの実施に向けても取り組んでいるところでございます。

 こういった消費者教育の重要性について多くの教育の担い手の方々などの御理解を得つつ、積極的に取組を進めてまいりたいと考えております。

鰐淵委員 以上で終わります。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。立憲民主党の初鹿明博です。

 私も、先日の三日の徳島視察に一緒に参加をさせていただきました。まずは、企画をして段取りしていただいた委員部の皆さん、ありがとうございました。また、消費者庁の皆様も本当にありがとうございました。

 この問題については後ほど質問させていただくとして、先に幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 大臣、お忙しい毎日を送られていると思いますが、昼、コンビニで何かお弁当を買ったりとか、そういうことはありますか。余りないですか。例えば、そういう加工食品を買うときに、成分を気にされて表示を見たりということは大臣はされますか。

宮腰国務大臣 成分よりも、賞味期限といいますか、それと原産地、これはやはりしっかりと見ることにいたしておりまして、今はちょっと違ってきましたが、あるときなどは、同じところで買ったちょっと価格の安いのはお米の原産国名が書いていなくて、ちょっと高い方はお米の原産国名が書いてあった。今は両方ともしっかり書いてあるんだそうですけれども、やはりその辺の違いは見ることにしております。

初鹿委員 やはり多少は気にされているということですよね。

 私も、年齢が五十を過ぎまして、子供たちから、将来介護をしたくないから、ちゃんと健康に気を使ってくれということを言われて、なるべく表示を見るようにしているんですね。成分がどうなのか、なるべく糖質の低いものにしようとか。

 下のコンビニでしばしば買うことがあるんですよ。皆さんも結構コンビニでお弁当を買われる方がいると思うんですが、こちら、たまたまきょうはこの商品を持ってきましたが、コンニャク麺サラダで、ああ、コンニャクはいいなと思って、では成分はどうなのかなと思ったら、ないんですよね。下にあるんですよ。こう見なきゃならないんですよね。これはうっかりこういうふうにしてしまって見ると、もうぐちゃぐちゃで戻せませんからね。

 それで、これはどうなのかなと思って消費者庁さんに確認をしたら、お手元に、皆さんのところに資料を配らせていただいておりますが、平成二十七年内閣府令第十号、食品表示基準というところの第八条の表示の方式というところで、「容器包装を開かないでも容易に見ることができるように当該容器包装の見やすい箇所に表示する。」となっているわけですね。

 もう一枚めくっていただいて、今度は「食品表示基準Q&A」というものをこちらに出させていただきましたが、ここに加工と弁当というところで該当する箇所を載せていただいておりますが、下線を引かせていただいたので見ていただければわかるとおり、上の方ですと、「商品をひっくり返して表示を確認することは見にくいだけでなく、特に店頭でパックするような品物では商品を傷めることにもなり、好ましくありません。」下の弁当の方も、「ひっくり返して表示を確認することが困難な商品であるため、原材料名の別途表示、「おかず」表示等を活用し、義務表示事項については、基本的には商品の表面や側面等の見やすい箇所に表示することが必要です。」と書いてあるわけですよ。

 下のコンビニだけじゃなくて、大手コンビニに全部行ってみましたけれども、全部じゃないですけれども、裏に表示が書いてあるところの方が多かったです。

 さっきも言ったように、こうやってひっくり返して、字が細かいですから、私も老眼なのでこうやって見ないと見えないんですけれども、そうすると、やはり戻しづらいですよね。そうなると、手にとって見たら、確認したら買わなきゃならないということなら、結局、確認できないで買うか、こんなになってこうやって見るかですよね。

 これはやはり、この表示の基準にもはっきり言って反しているわけですから、是正させるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

橋本(次)政府参考人 今御指摘にありましたとおり、加工食品の表示につきましては、食品表示基準第八条第二号の規定によって、「容器包装を開かないでも容易に見ることができるように当該容器包装の見やすい箇所に表示する。」というふうにされているところでございます。

 そして、食品表示基準の解釈を示しております「食品表示基準Q&A」におきまして……(初鹿委員「今、読みましたからね、私」と呼ぶ)わかりました。

 そういったいろいろな規定がございますけれども、基本は、消費者にわかりやすく情報提供するという観点から、食品の容器包装への表示というものは、その内容を確認することが容易な表面又は側面に表示することがやはり基本であると考えております。

 したがいまして、そういったことがなされていないような場合については、注意喚起などを行うこともあり得ると考えております。

 注意喚起を行うことにつきましては、事業者が裏面表示を行う背景、理由なども含めて実態をきちんと把握した上で、必要に応じて、事業者に対して効果的な啓発の方法などを検討してまいりたいというふうに考えております。

宮腰国務大臣 ちょっと見せていただければなと思うんですけれども。

初鹿委員 はい、ぜひ。完全に裏ですので。側面につけられないわけではないんですよね。

宮腰国務大臣 例えば、内容物が見えなくなるので、例外的に底にラベルを張るということは認められているということでありますが、今拝見した例では必ずしもそうではないというふうに思っておりまして、底にラベルをわざわざ張っているというのは少し腑に落ちないというふうに思います。

 なので、こういう例がどれぐらいあるのか少し調べさせていただいて、指導すべきはしっかり指導していきたいというふうに考えております。

初鹿委員 どうもありがとうございます。

 これは大手のコンビニですから、やはり大手が率先してこういう表示の問題とかに取り組まないと、これは広く広がっていかないと思いますので、やはりルールにはきちんと従わせるようにさせるべきだと思いますし、それが消費者にとっての利益になると思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次に、また資料を見ていただきたいんですけれども、香りの害の香害について質問をさせていただきます。

 最近、特に柔軟剤が香りをずっと継続できるような商品が出てきて、香害の被害というものが非常に多くなっております。

 先般、消費者庁にまとめていただきまして、この香り、特に衣料用の洗剤や柔軟剤によって、PIO―NETに載っている、各地の消費生活センターなどに相談が行った件数を月ごとに出していただきました。二〇一三年から二〇一八年までの間に、二〇一三年が多くて二百八十九件ですが、平均的に百件以上ずっと続いているわけです。

 もう六年続いていて、もう七年目になるんですけれども、六年も続いているんですけれども、この間、国民生活センターは情報提供という形で情報の発信はしたんですけれども、消費者庁として、香りの害である香害について具体的に何の行動も起こしていないんですよ。

 ここでまずお伺いしたいんですけれども、五年以上、百件以上ずっと同じ相談が来ているのに、何ら消費者庁が、注意喚起だとかメーカーに対して何らかの要請をするとか、そういう具体的な行動を全くとらなかった例というのは今まであるんですか。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁には、全国の消費生活センターを通じまして、柔軟仕上げ剤又は洗剤の香りに関連して健康被害を訴えた相談が、平成三十年度でいいますと百十五件寄せられているところでございます。一方で、全国の消費生活センターを通じた消費者相談のうち、危害・危険情報というのは平成三十年度で約一万四千件程度寄せられております。対応を検討するに当たりましては、件数のほかにも、被害の程度、拡大可能性などを勘案して総合的に判断をしているところでございます。

 その上で、件数の観点から申し上げますと、例えば、健康食品や化粧品を使用して体調が悪くなったなどといったようないわゆる香害よりも多数の相談が寄せられている案件もございます。これらにつきましては、柔軟仕上げ剤又は洗剤の香りに関連した相談と同様に、特定の製品ではなく、商品群の総計で相談件数が多くなっていること、影響の出方や感じ方に個人差が大きいこと、さらに、製品と体調不良の因果関係が必ずしも明らかになっていないものも含まれているものというふうに考えております。

 これらを踏まえまして、消費者庁といたしましては、引き続き、全国の消費生活センターを通じた消費者相談の情報を収集し、必要に応じた対応について検討してまいりたいと考えております。

初鹿委員 質問に答えていないんですけれども、私は、百件以上の相談が五年以上継続しているのに何にも対応していないようなことはあるんですかということを聞いたわけですよ。

 やりとりしている中では、消費者庁は基本的にそういうことはしっかりやっているから、百件も続いて五年も続いていたら、大概の問題は何らかの対応をされているんですよね。残念ながら香害についてはそれが十分にされていないということなので、私は、ほかの健康食品でもちゃんと具体的なものについてきちんと啓発とかしているじゃないですか、同じように、特に柔軟剤ということが大分絞り込まれているんですから、きちんと調査するなりしていく必要があるんじゃないかというふうに思うわけです。

 その上で、きょうは厚生労働省にも来ていただいているんですけれども、五月二十二日の日に参議院の消費者問題特別委員会で福島みずほ議員が質問をしているのに回答されているんですけれども、これは経産省も同じような答えをしているんですけれども、香害について、原因が、香りが関与しているのかどうか、どのような症状があらわれるものなのか、どのような体の中の変化がこの症状を引き起こすかなどが明らかではなくて、科学的な知見に基づく実態解明がまだ進んでいないという状況だというふうに理解していますという、そういう答えをしているんですよ。実態がわからないと。

 わからないからこそ私は調べるべきだというふうに思うんですよ。わからないから、わからないですねで終わっていたら、被害を訴えている方は、では、これはいつになったらわかるんだ、それで我々の訴えはいつになったら解消できるんだというふうに思うわけですから、わからないからこそわかるようにする必要があると思います。

 ですので、香害の原因が特定の化学物質にあるのか、例えば柔軟剤の製造の過程の中に問題があるのか、また使用方法なのか、そういうことをきちんと研究していく必要があると思うんですが、厚生労働省は科研費もありますし、それ以外の予算でもいいと思いますが、使えるものがあるならそれを使って香害の原因をしっかり解明していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 委員今御指摘のように、いわゆる香害につきましては、現時点で原因や病態、発症機序が不明であるというふうに認識しております。香料に含まれます化学物質によって頭痛や吐き気等の症状を来すという主張があることも承知をしておりますが、香害の原因が化学物質であるかどうかの実態を解明するためには、まず、その病態がどのようなものであるかということを明らかにすることが必要であるというふうに考えてございます。

 一方で、現在、厚生労働省では、いわゆる化学物質過敏症、線維筋痛症、慢性疲労症候群等、さまざま、種々の刺激によって多様な症状を来す疾患に共通しているというふうに考えられております中枢神経感作と言われる病態の解明につきまして研究を進めているところでございます。

 化学物質過敏症と香害の関係というのが現時点では明らかではございませんが、こういう研究を踏まえて、その進捗を踏まえまして、いわゆる香害と化学物質との間に因果関係が疑われるという場合におきましては、その詳細な調査を検討してまいりたいというふうに考えてございます。

初鹿委員 現状だと、中枢神経感作の研究ということで、患者さんの側の方の研究をされているということですよね、症状が出ている方がどうしてこの症状が出るのかと。

 私が求めているのは、商品の方の物質に何らかの影響があるんじゃないかということを調べてほしいということを言っておりますので、ぜひ、症状の方の研究の結果がそろそろ出てくると思いますので、それを踏まえて厚生労働省としてもしっかり取り組んでいただきたいということをお願いをさせていただきます。

 ただ、香害被害を訴えている方々がいろいろなことを調べていて、もう大分原因が絞り込まれてきているわけですよ。

 最近の傾向は、香りが長もちするような商品というのが売れている。香りが長もちする原因は何なのかというと、マイクロカプセルという小さいカプセルですね。本当に小さいカプセルの中に香りの成分を詰め込んでいて、それが、カプセルがずっと衣服に残っているので香りが持続する。そのカプセルが破裂をしたりして、それがまた、そのカプセルの中には有害な物質もあるんだということが指摘をされているわけですが、そういうことによって周りの人に影響を及ぼしているということなわけです。

 そこまで大分解明されてきているわけですから、では、マイクロカプセルというものについての調査なり研究なりということは私はもうする必要があるのではないかというふうに思いますが、このマイクロカプセルについて、これが飛散をして他者についてしまうとか、また、それが本当ににおいをまき散らすような要因になっているのかとか、そういうことをしっかり調べていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高島政府参考人 お答えを申し上げます。

 香りが長もちするような工夫を凝らした柔軟仕上げ剤などの製品が市場に流通しているということは承知をいたしております。また、今御指摘ございましたように、香りを長もちさせるために製品にマイクロカプセルが使用されているのではないかという御指摘があるということも承知をいたしております。

 一方、現在、多種多様な製品が市場に流通している中で、個別の製品に使用されている成分を特定して、香りそのものや効果の発現のメカニズムについて解明をするということは困難であると消費者庁として認識をしております。

初鹿委員 やる気がないんですかね。困難であると勝手に決めつけないで、調べてもいないのに困難であるということにはならないと思いますよ。

 そもそも、このマイクロカプセル自体、人体だけではなくて環境にも非常に大きな影響を及ぼすんじゃないかということで、五月十日付で、日本消費者連盟を始めとする複数の団体で、経産大臣、環境大臣、厚生労働大臣に宛てた「G20に向け 家庭用品へのマイクロカプセルの使用禁止を求める緊急提言」というものを行っております。

 今、皆様のもとに資料をつけさせていただいているんですけれども、こちらを詳しく読んでいただければ、後でゆっくり読んでいただければわかりますけれども、ここで、私が先ほど申し上げたとおり、マイクロカプセルが柔軟剤に使用されていると。裏面に、提言の理由のところでは、柔軟仕上げ剤の約六〇%には、香りつきビーズ等を含んでいるけれども、このマイクロカプセルというものが使用されている。このカプセルの素材の中にはいろいろな化学物質があって、中にはイソシアネートという極めて危険な物質が入っているんじゃないかということが指摘をされているわけですね。

 そこで、ちょっとこの提言について環境省に伺いますが、この提言では、まず、マイクロカプセルの使用を禁止すべきだ、その上で、マイクロカプセルについて、今後の削減計画をプラスチック資源循環戦略に盛り込むべきですということが書かれております。それと、海洋漂着物処理推進法及びプラスチック資源循環戦略におけるマイクロプラスチック対策にマイクロカプセルが含まれていることを明記すべきですということが書かれているんですが、一つ確認は、まず、マイクロプラスチック対策の中に、マイクロカプセルというのはマイクロプラスチックの中に含んでいるのかどうかということをまず一つ確認をさせていただくのと、それと、資源循環戦略に盛り込むべきだということでありますので、ぜひ環境省としても独自にマイクロカプセルの状況というのもちゃんと調べていただきたいと思うんですよね。

 五月二十二日の福島議員の質問に対してどう答えているのかというと、「マイクロカプセルを含むマイクロプラスチックについては、その環境影響など未解明の部分も多いことから、環境省としても、最新の科学的知見や国際的な動向等に関する情報収集に努めてまいりたいと思っております。」と。情報収集に努めるとは言っているんだけれども、自分たちで調べますよと言っていないんですよね。

 ぜひ、マイクロカプセルが、多分、環境だけではなくて、今言ったように柔軟剤で使われているということは人体にも影響を及ぼしている可能性があるのですから、きちんとどういう影響があるのかということを独自に調べていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 海岸漂着物処理推進法の基本方針において、マイクロプラスチックについては、微細なプラスチック類のことで、一般に五ミリ以下のものをいうとの定義を用いており、御指摘のマイクロカプセルについても、これがプラスチックであれば含まれ得るものと考えております。

 マイクロカプセルを含むマイクロプラスチックについては、その環境影響など未解明の部分が多いことから、最新の科学的知見や国際的な動向等に関する情報収集に努めるとともに、日本周辺海域や河川におけるマイクロプラスチックの分布状況の調査についても実施してまいりたいと考えております。

初鹿委員 ぜひマイクロカプセルについてきちんと調べていただきたいと思います。

 その上で、もう一回消費者庁に指摘というか提言をさせていただきますが、資料の六枚目を見ていただきたいんですが、先日、元消費者庁長官の阿南さんからお話を伺った際に、消費者庁の使命、消費者庁の行動指針というのがあるということで、教えていただきました。

 こちらはホームページに載っていたものを抜粋させていただいたんですが、非常にいいことが書いてありますよね。「消費者・生活者の視点に立ち、国民全体の利益を考えます。」というところから始まって、特に、一番下を見てください、「困難な課題であっても、できる方法を考え、挑戦し続けます。」と書いてあるんですよ。「消費者庁は、消費者の立場から、各省庁の所管を越えた、新しい、多くの困難な課題に取り組まなければなりません。そのため、従来の行政の発想にとらわれるのではなく、前向きに、できる方法を考え、解決に向かって、全力で、積極果敢に挑戦し、一歩ずつでも前進し続けます。」そう書いてあるんですよ。

 前向きに、できる方法を考え。先ほどの答弁は何ですか。大臣、あれでいいですか。前向きでできる方法を考えているように思えないんですよね。

 そこで、私からは、今の段階では実態がよくわからぬということですので、まず消費者庁としてやれることをぜひやってほしいと思うんですよね。

 例えば、使用の方法をきちんと注意喚起をするということはできるんじゃないかと思います。柔軟剤は香りがいいからということで、本来の適量よりもたくさん使っている方もいるんだと思います。そういう適正な使用を求めるとか、また、きちんと量を使っていても、周囲の人からすると、そのにおいが嫌いという人もいるわけですから、そういう周りにもきちんと配慮しましょうということを注意喚起をするとか、そういうことはできると思いますが、まず、それはいかがかということ。

 もう一つ、先ほども指摘をしましたが、柔軟剤の一部の商品には、先ほど言ったようなイソシアネートという有害な物質が入っているんじゃないかということが指摘をされているわけですから、きちんと買う側が選択できるように表示をすることだと思うんですよ。

 現状は、表示がされているとしても香料としか書いていないわけですよね。この香料にはいろいろな物質がまざって香料になっているわけで、そのまざっている物質が何なのかということもきちんと表示をしてもらいたいというのが消費者団体や被害を訴えている方々の要望なわけですから、こちらもぜひメーカーに求めていただきたいと思いますが、この二点、いかがでしょうか。

高島政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、第一点についてでございますけれども、全国の消費生活センターから寄せられる情報相談によりますと、柔軟仕上げ剤や洗剤を使用している本人ではなく、その周辺の方が影響を受けているケースが多く、周辺への配慮などのマナーの普及啓発についても非常に重要であるというふうに考えております。

 先ほど、厚生労働省から健康への影響について、環境省の方からもマイクロカプセルについて御答弁がありましたけれども、委員から御指摘がございました香害への対応については、それ以外にも多様な側面があろうかと考えております。

 消費者庁といたしましては、現に、香害について、全国の消費生活センターから寄せられている相談情報、消費者の生の声を適時適切にこれまでも関係省庁と共有してきたところでございますが、その上で、今後とも、関係省庁における本件の検討に資するように、必要に応じて関係者間で意見交換を行うなど、関係省庁との密接な連絡に努めてまいりたいというふうに考えております。

 それから、第二点でございます。

 柔軟仕上げ剤を製造、販売している事業者におきましては、使用する製品に関する詳しい情報を求める一般消費者の御要望あるいはグローバルな情報開示の動向を考慮しまして、香料を含む対象製品の適切な成分表示を開示することの検討を進めているというふうに聞いております。

 事業者による自主的な取組が進めば、香料に関する成分情報の開示を求める消費者の要望等にも沿うこととなると考えられますので、消費者庁としては、関係省庁とともに事業者の取組の推移を注視していきたいというふうに考えております。

初鹿委員 もう一回、皆さん、消費者庁の使命をちゃんと読みましょうね。

 今の答弁は、関係省庁と連携を密接にとりますということと、表示の方については業界団体の取組を注視しますと。全然主体性がないじゃないですか。大臣、これでいいんですか。省庁と連携するだけじゃなくて、ちゃんと消費者に対して使い方はきちんとしましょうということを注意喚起するということは消費者庁の役割だと思いますよ。

 それと、表示についても、業界がどうやるかを待つんじゃなくて、消費者庁としてきちんと表示するように求めるということが、私は、消費者の利益にかなうものであり、消費者への使命だと思いますが、いかがですか、大臣。

宮腰国務大臣 まずは事業者による自主的な取組を注視しつつ、例えば、各地の消費者等から寄せられている香りに関する御意見、御相談などのうち、事業者が取組を進めていく上で有益と考えられる情報があれば、必要に応じてそれらを事業者に提供していくことも検討したいと考えております。

 この消費者庁の使命、今年度、ことしの九月に設置十年という節目の年を迎えるということでありますので、これから原点に立ち返って、しっかりと、消費者庁の使命をどうすれば果たしていけるのかという原点に立ち返っていろいろ検討させていただきたいなというふうに思います。

初鹿委員 ぜひ大臣、しっかり取り組んでいただきたいので、お願いいたします。

 では、ちょっと時間がなくなってきたんですが、徳島の移転について何点か私から指摘をさせていただきたいと思います。

 私も現地に行って、徳島県が非常に熱心で、この熱心な徳島県だからできていることはたくさんあるなというのは感じました。ただ、地元が熱心であるということと、消費者庁本体が全部そこにオフィスを設けて全体が移転をしてということとは全く別問題だというふうに考えます。

 その上で、こちらの報告書で気になるところが二つほどあるんですよね。二つほどというか、この二つにもう尽きるんだと思うんですが、「おわりに」という概要の最後のページを資料でつけさせていただきましたが、消費者庁についても国民生活センターについてもこう書いてあるんですよ。「上記各事項を実行する上で、中央組織としての東京の消費者庁の体制・機能強化が必要となると考えられ、その場合には対応を検討すべき」。国民生活センターについても、「中央組織としての東京・相模原の国民生活センターの体制・機能強化が必要となると考えられ、その場合には対応を検討すべき」と。

 つまり、どちらも、徳島に一部機能を置く、また全体が移転をするということになったとしても、東京の方の体制と機能の強化をしなければなりませんよと。これは人員の増も含むんですかと言ったら、そういうことも含むんだということですよ。これでは、皆さん、行革どころか焼け太っていっちゃうじゃないですか。ここまでして本当にやる必要があるのか。私はないと思います。

 特に国民生活センターの方は、研修についても、交通の便を考えたらやはりここに残すべきじゃないと思います。商品テストについても、実証フィールド、いろいろやりましたけれども、それは必ずしも徳島じゃなきゃできないことではないので、私は、徳島でやることがあってもいいけれども、ほかの地域でやってもいいわけですから、これについても国民生活センターの人間を置いてまでやることじゃないと思いますので、消費者庁はともかくとして、特に国民生活センターはもう徳島からは撤退をする必要があると思いますが、いかがですか。

土屋委員長 高田審議官。簡潔にお願いします。

高田政府参考人 お答えいたします。

 オフィスにおける商品テスト事業については、徳島県のモニター家庭を活用し、フィールド調査の結果に基づく先駆的な商品テストを実施するなど、一定の成果が得られたと認識しております。

 他方、委員御指摘のとおり、商品テスト事業についても、消費者委員会の報告書においてさまざまな課題が指摘されているところでございます。

 こうした御意見も踏まえ、国民生活センターの徳島における業務のあり方、ひいてはオフィスのあり方について全体的に検討を進める中で、御指摘の点についても検討を進めたいと考えております。

初鹿委員 時間になりましたので終わりますが、相模原の方の商品テストを見てきましたけれども、本当にすばらしいですよ。むしろ相模原を充実した方が私はいいということを最後につけ加えさせていただいて、質問を終わります。

土屋委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 委員長、理事の先生方にお許しをいただき本委員会で発言をさせていただけますことに、まず感謝を申し上げさせていただきたいと思います。

 きょうは、不正な融資によって多くの善良な市民に被害を与えた、深刻かつ甚大な被害を与えたスルガ銀行、スマートデイズ問題について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、国税庁さんに来ていただいております。

 本年五月十五日にスルガ銀行が発表した「シェアハウス向け融資およびその他投資用不動産融資に関する元本一部カットについて」という表題の文書の中に、「税務上の取扱いについては、当社」、当社とはスルガ銀行ですね、スルガ銀行「の不正行為によりお客さまの資産に生じている損害の補てんとして元本一部カットを実施する場合には、原則として、お客さまに所得税が課税されないことを確認しております。」と記述がございます。

 国税庁さんに教えていただきます。

 一般論として、このような場合には所得税は課税されない、被害の回復における元本カットについて所得税は課税されないということでよろしいでしょうか。

重藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、債務免除が行われた場合の課税関係につきましては、一般的には個々の事実関係により異なりますので、一概に申し上げることはできないわけでありますが、一般論として申し上げますれば、不法行為その他突発的な事故によって資産に加えられた損害に対する損害賠償金あるいは相当の見舞金の支払いを目的として債務免除が行われた場合、これは原則として非課税になるということでございます。

川内委員 金融庁さんに伺います。

 この元本一部カットという言葉でございますが、もともとの債権額の一〇%カットとか二〇%カットとか三〇%カットとか、さらに五〇パー、六〇パー、九〇パー、九九%、いろいろな一部があると思うんですけれども、どんなパーセントであってももともとの債権額の元本一部カットという理解でよろしいでしょうか。

油布政府参考人 お答えいたします。

 スルガ銀行に確認いたしました。個別事案の状況によるものでございますけれども、この一部カットというものは、何がしかのキャップがはまっていてこれ以上は超えられない、そういう性質のものではないということでございます。

川内委員 この元本一部カットについては、被害者の方からは、今回のスルガ銀行さんの発表は一歩前進ではある、しかし、自分たちが受けた被害の大きさから見ればまだまだ不十分である、こんなことでお茶を濁されちゃたまらないという声もあるというふうに聞いております。

 金融庁さんとしては、被害者の理解、納得を十分得られるように、スルガ銀行に対して、被害者の皆さんとのさらなる話合い、協議をちゃんとやってねということについて、最大限の監督、指導、モニタリング等を行うべきというふうに考えますが、いかがでしょうか。

油布政府参考人 お答えいたします。

 金融庁といたしましては、昨年、業務改善命令を発出しておりまして、その中には、個々の債務者に対して適切な対応を行うための態勢の確立というものを求めております。

 私どもといたしましては、スルガ銀行が、本件元本一部カット基準に基づく対応を含めまして、個々の債務者に対して、可能な限り顧客の理解と納得を得て解決することを目指し、適切な対応を行っているかどうか、そこを引き続きしっかりとモニタリング、指導してまいりたいと思っております。

川内委員 金融庁さんは、スルガ銀行さんに対して、この問題が発覚する事前に検査にも入っていらっしゃる。抱き合わせでつくらされていたカードローンなどについては、カードローンに特化した検査もしていらっしゃった。しかし、それでも発覚するまではわかりませんでしたわという状況なわけでございます。

 このスルガ銀行さんの問題が発覚して以降、全国の地方銀行に対する不動産融資の状況等についての検査もしていらっしゃる。この前、報告書も読ませていただきましたけれども、全体としては大きな問題はないよという報告書であったわけでございますけれども、いつも、こういう問題があると、問題が起きてから、いや、わかりませんでしたということになるんです。

 非常に低金利の状況の中で、地方銀行さんも収益を上げにくいという環境でございますので、こういう不正融資の再発防止ということについて、しっかりと指導監督、検査などをしていただきたいというふうに思いますが、再発防止についての御見解を、副大臣にも来ていただいておりますので、お聞かせいただきたいと思います。

田中副大臣 金融庁といたしましては、これまでも、スルガ銀行のこの案件も踏まえて、今、アンケート調査というものを大々的に行ったところであります。その結果も踏まえて、一部の金融機関に立入検査も含む詳細な実態把握を行っております。引き続き、必要な行政対応を機動的に講じてまいりたいと思っております。

 そして、このスルガ銀行の問題に対しては、反省も踏まえた上で、検査・監督の改善の方向性というものを今出しているところであります。昨年十月に公表いたしましたコンプライアンス・リスク管理基本方針にしっかりと盛り込んだところであります。

 具体的には、金融機関の事業の拡大、変化等を察知してリスク分析を行う体制をまず整備する、また、当局に寄せられた苦情相談等を分析する際に、個別の内容にとどまらず、類似の情報とあわせた傾向も考慮するということ、また、前回の検査から期間が経過しているなど、当局の予見が困難な問題が生じている可能性が高まっている場合には、検査の実施を優先的に検討するということを掲げております。

 金融庁としては、これらを着実に実践して、検査監督の質の向上に不断に取り組んでいきたいと考えております。

川内委員 よろしくお願いします。

 宮腰大臣、スルガ銀行あるいはスマートデイズ問題というのは金融機関の問題であると同時に、消費者行政にとっても重大な問題であるというふうに私は思います。

 消費者性があるのかないのか。しかし、全体として見れば、家賃も何年保証するから大丈夫ですよ、もう何にもしなくていいですからと、金融商品のようにしてパッケージとして売っていくということが行われて、その中にいろんな改ざん、偽造が行われておったわけですけれども、消費者行政にとっても重大な問題であるこういう問題について、金融大臣とともにしっかり注視をして、問題解決のために担当大臣としても力を尽くしていただきたいというふうに考えますが、大臣としての御所見をいただきたいと思います。

宮腰国務大臣 今ほどの金融庁からの答弁のとおりでございますが、御指摘のスルガ銀行などの件につきまして、当事者間の協議の進捗状況などを含め、政府部内では、まずは銀行法を所管する金融庁において適切にモニタリングがなされるものと理解しております。

 その上で、一般論として申し上げれば、スルガ銀行の件に限らず、サブリース契約については、契約期間中に契約が解約されるなどのトラブルが発生いたしておりまして、トラブルの発生抑止のために、こうしたリスクを含め、契約に際してオーナーの方々が説明を十分に聞いていただき理解していただく必要があると考えております。

 そのため、サブリースをめぐる問題全般において、金融庁、国土交通省等との連携を確保し、情報共有を図るとともに、リスク等を慎重に判断すべき旨、機会を捉えて注意喚起を実施してまいりたいと考えております。

 消費者庁としては、消費者保護の観点や所管法令との関係で問題が生じることのないよう、当事者間や金融庁における対応をしっかりと注視していく考えであります。

川内委員 金融庁さんの場合は、金融業界を所管していらっしゃるので、どうも業に寄ってしまって、消費者あるいは預金者というところの保護という意味において、事件が起きてからという後手に回ってしまう嫌いがある、そこをどうみんなで守っていくかということだろうというふうに思うんです。

 最後に一問、最近話題の金融庁さんの老後二千万円ためておいてね報告書問題ですね。平成二十八年四月十九日に金融審議会に諮問されているわけですが、金融庁設置法の第七条、「金融審議会は、次に掲げる事務をつかさどる。」と書いてあって、七条一項一号、「内閣総理大臣、長官又は財務大臣の諮問に応じて国内金融に関する制度等の改善に関する事項その他の国内金融等に関する重要事項を調査審議すること。」こう書いてあります。内閣総理大臣、金融庁長官、そして財務大臣が諮問権者である。

 今回、金融担当大臣は、内閣総理大臣から権限の委任を受けて金融担当大臣が諮問していらっしゃるわけですが、その法的効果。法律上は内閣総理大臣が諮問している、したがって、法律上、最終的に答申を受けるのは内閣総理大臣になる。法的効果は内閣総理大臣に帰属するという法律の解釈、理解でよろしいかということを内閣法制局に教えていただきたいと思います。

岩尾政府参考人 金融庁設置法第七条第一項に基づく金融審議会の諮問に関する事項の専決につきましては、金融審議会を所管する金融庁でお答えすべきところではありますが、一般論で申し上げれば、専決とは、特定の行政庁の権限に属する事項について、その内部委任を受けて、特定の補助機関が内部的な意思決定をその補助機関限りで行う仕組みでありまして、この場合、その受任者限りで決定したとしても、法的には、当該事項は当該行政庁が行ったものと扱われるものでございます。

川内委員 いや、委任の専決のことを聞いているのではなくて、最終的な法的効果は、法律上に内閣総理大臣と書いてあれば内閣総理大臣に帰属するということでよろしいかということを聞いているんです。

岩尾政府参考人 法的効果が帰属するという意味での効果の帰属というのがややわかりにくいところがあるんですが、受任を受けたものが決定したとしても、法的には、その事項については、委任をしたもともとの権限のある行政庁が行ったものとして扱われるということでございます。

川内委員 聞いたことに答えていただけないことが大変残念だということを申し上げて、終わらせていただきます。

土屋委員長 次に、関健一郎君。

関(健)委員 国民民主党の関健一郎でございます。

 委員長におかれましては、質問の機会をいただきまして、御礼を申し上げます。

 また、視察も行かせていただきました。働き方改革という御指摘が、さきの質問された委員からありましたけれども、私もそう思います。ですから、いつかこの委員会の場で、スカイプか何かで徳島から参考人の方に答えていただくというような、ITを活用した質疑というのをぜひできればなということを思いました。

 それでは、早速質疑に入らせていただきます。

 今回は、金融サービスの商品についてお尋ねをさせていただきます。

 消費者庁にお尋ねします。

 消費生活センターに寄せられた金融・保険サービスについての相談件数、これは年数ごとの推移も含めてお答えください。

高田政府参考人 お答えいたします。

 全国の消費生活センター等に寄せられている金融・保険サービスに関する消費生活相談は、二〇一六年度は六万七千二百十八件、二〇一七年度は六万四千八百七十六件、二〇一八年度は六万三千七百四十三件となっており、一定の数の御相談が寄せられているところでございます。

関(健)委員 ありがとうございます。

 消費者の皆さんにとって、三年ですけれども、一定割合の方が金融・保険サービスについての相談をされているということが改めて明らかになりました。

 それでは、金融庁にお伺いをいたします。

 今後、政府として、個人の投資というのはふえることを見通しているのか、また、現役世代であれ老後の世代であれ、預貯金を投資へ促していこうというのは、これは政府として促していく方針なのか、基本的な姿勢をお伺いします。

井藤政府参考人 お答え申し上げます。

 貯蓄から投資についてでございますけれども、これは金融庁がかねてから取り組んできたテーマでございます。家計資産の過半が現預金となっている現状にございまして、個々人のニーズに応じてより有効な運用ができるように制度を整えていく、そうしたことが重要と考えてございます。

 そうした観点から、金融庁におきましては、例えば、NISAですとか、つみたてNISAの導入、拡充、普及などに取り組んできているところでございます。

 金融庁といたしましては、個々のニーズに応じた資産形成が進むよう、今後とも取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

関(健)委員 ありがとうございます。

 これは別に今に始まったことではなくて、私もうちの両親がNISAについて勉強していましたけれども、個人がしっかりと投資をして備えるというのは、それぞれがしっかり責任を持ってやらなきゃいけないことというのはもともと変わらないことだと思いますけれども、政府として、個人の投資というのがこれからふえてくることを想定して、また政策として促していくということが確認をされました。

 その中で、今後、多くの方が投資をするときに、知らず知らずに、思わぬ高いリスクの金融商品だとか、そういうことを買わされるリスクというのが当然ふえるということは想像にかたくありません。私の地元の愛知県田原市というところでも、結構ここでたくさんの人が被害に遭った、被害というか多大な損失を負って、今訴訟にもなっているんですけれども、そのことについてお話をさせていただきます。

 これは金融庁としても監督官庁として既に処分をされていますが、アーツ証券というところの話についてです。レセプト債というものなんですけれども、これは結構被害が深刻で、これをなぜここで質問させていただいたかというと、今後、一部の投資家がやるというものだったら消費者特別委員会にはなじまないと思ったんですけれども、今後、多くの、定年退職終わりました、退職金をもらいました、さあどうしようかしら、こういう投資機会がますますふえてくるわけですね。こういう人たちが突然知らず知らずのハイリスクに陥らないための質疑なんですけれども。

 そのレセプト債というのは、海外のレセプト債だから元も子もないんですけれども、どういう誘い文句だったかというと、これは国が、政府が関与しているから絶対安心の商品なんですよということを言って、老後の、例えば五千万円の蓄えを、これをもう丸ごとそれに任せちゃったとか。

 あとは、こういう証券会社というのは、人間のあれをくすぐる当たり前の口上かもしれませんけれども、人気だからなくなっちゃうよ、今のうちに買っておきなさいよと。じゃ、あなた、今こうやって証券会社の人が言っているから買っておきなさいよと家族に振ったりして、僕が調べた方は、一族で八千万円投資しちゃったと。でも老後どうしようと。

 自己責任というのはもちろんそうなんですけれども、そうはいっても、いきなり、リスクがあるなし、証券会社の人がいいと言ったからこれはいいと思って投資したのにという人の気持ちも酌んであげる必要があるのかなと思ってお尋ねします。

 このレセプト債について冒頭申し上げます。既に金融庁は監督官庁として処分をしておられると思いますが、どういう話なのか、御説明をお願いします。

井藤政府参考人 レセプト債に係る問題についての御質問でございますけれども、レセプト債と申しますのは、発行によって調達した資金によりまして、病院等から診療報酬債権等を割り引いて買い取り、実際に受け取る診療報酬等をもとに元利払いを行うという債券でございます。

 平成二十七年以降、証券取引等監視委員会がこのレセプト債を販売しておりました複数の証券会社に対して検査を実施いたしましたところ、勧誘等に問題が認められたということでございまして、行政処分を求める勧告が行われてございます。

 これを踏まえまして、管轄する各財務局などが各社に対して業務改善命令等を発出しております。この業務改善命令におきましては、顧客に行政処分の内容を十分に説明すること、レセプト債について、破産手続の状況を適切に把握し、顧客に必要な対応をとることなどを行うよう求めており、当局としては、その対応状況につき、引き続き確認等を行っているところでございます。

 いずれにせよ、このレセプト債の問題につきましては、販売会社においては、発行会社の運営状況の実態を十分に認識していなかった状況が認められたというところでございました。

関(健)委員 販売会社が発行会社を適切に調べていることができなかった、だから適切な正しい状態を購入者に対して説明することができていなかったから、しっかり説明しなさいよという勧告をしたということですよね。ですから、これはまさに投資家の皆さんがどういう状況だったかというと、国の関係のやつだから大丈夫だよと証券会社に言われて、それじゃ大丈夫だねと老後の資金をやってしまったという話なんですね。

 その人たちの、被害者の方々の話を聞きました。そうしたら、やはり、投資家として、それは皆さんわかっているんですよ、自己責任だというのは。ただ、証券会社のプロがいつもいいと言っているから信じたのに、これはもう何を信じていいんだかわからないと。それこそ、政治家じゃないですけれども、いつも何もないときに、元気ですかとお茶を飲みに来ている証券会社の人たちがそうやって言うから、みんな信じちゃうわけです。

 今後、投資を促していくに当たって、先ほど、個人の多彩な投資を促していく環境を政府としてつくっていくという御答弁がありましたけれども、今回のように、リスクの高い商品を証券会社の勧誘に乗ってやってしまうという可能性は今後更に高まっていくわけです。いきなり、じゃ、農業をずっとやっていて引退しました、五千万ありますから、これを全部やってしまおうというときに、これも、どんなリスクの低いものか、高いものなのかわからない状況で投資してしまうリスクもあるわけです。これは、金融当局が何らかの評価をしてほしいという一般の人の声もありますが、認識を伺います。

井藤政府参考人 お答えいたします。

 金融庁といたしましては、個人の投資判断について具体的な指針とか指標を示すということはしておりません。ただし、金融庁では、投資家が、例えば、投資詐欺に遭う、あるいは意に反して極めてリスクの高い金融商品を購入させられるといったことは非常に問題だと考えてございまして、金融庁のホームページなど、注意喚起を積極的に行うよう取り組んでいるところでございます。

関(健)委員 ありがとうございます。

 じゃ、証券会社が訴訟になってどういう主張をしているかというと、いやいや、私たちもだまされたんですという主張をするわけですね。まあ、そうなんでしょう、わかりませんけれども。被害者、投資家の人にしてみると、いや、だまされたじゃ済まないでしょう、あなたたちのことを信じて投資したのよ、老後のなけなしの資金を、こういう話になっているわけです。

 それで、伺います。

 証券会社が、そういう自分の投資先、金融商品の購入先、そういうものに対して、これは危険ですよとか、リスクが高いですよとか、そういうことをアラートとして鳴らすとか、そういうことがあり得るのかというのと、また、そういうふうに証券会社がだまされた場合に、一般の消費者の損失の一定を補填するとか、そういうことというのはあり得るんですか。

井藤政府参考人 この事案を受けまして、日本証券業協会におきましては、社債等の私募等の取扱いに関する規則というものを制定してございまして、現在、証券会社では、この規則にのっとりまして、商品内容や発行会社等を審査する必要があるということになってございます。

 また、証券会社には、これに加えまして、顧客に対する誠実義務や虚偽告知の禁止などの規制がありまして、みずから販売を行う金融商品に関しましては商品内容や発行会社を審査していないことが、こうした規制にかかわっている問題だという可能性もございます。

 したがいまして、私どもとしては、証券会社がみずから販売を行おうとする金融商品の審査等を適切に行う必要があるというふうに考えてございます。

 その上で、証券会社が例えばだまされたという案件において損失を補填する仕組みはないかという点に関しての御質問でございますけれども、一般論で申し上げますと、金融商品取引法上、損失補填は原則として禁止されてございます。他方、本件のような法令上の事故に起因して生じた顧客の損失を補填するために行う場合は禁止されてございません。

 ただ、実際の損失補填が可能かどうかは、当然、取引の際の背景や事情等を踏まえて、証券会社の責任を踏まえて検討される必要があるということでございますので、当事者間の協議又は民事紛争解決手段等に判断が委ねられることになるというふうに考えてございます。

関(健)委員 ありがとうございました。

 最初の質問から、消費生活センターには、金融・保険サービスに関する問合せというのが一定割合あるということがわかりました。そして、政府の方針として、今後、個人の資産を投資、運用する姿勢というのを加速させていく方針だということもわかりました。

 ということは、今後、個人の投資家がふえていく中で、プロは当たり前ですけれども、個人の皆さんが思わぬ高いリスクの商品を購入してしまう、こういうリスクは高まってくるわけです。であれば、そのリスクをまず感じ取るリテラシーですね、それと、あとは、これまでもやっておられると思いますけれども、しっかりとそういう証券会社なり金融機関を監督をしていく、これは政府だから安心ですよなんて、やはり発言として非常にアウトなわけです。

 ですから、金融庁に最後にお尋ねしますけれども、一般のそういう投資家の皆さんにやはりある程度そのリスクについて学んでいただく必要もあると思います。その一方で、そういう証券会社への監督も厳しくしていく必要があると思いますが、今後更にこのリスクが高まる中でどういう対応を練っているか、お願いします。

井藤政府参考人 お答えいたします。

 先生から今御指摘いただいた点につきましては、いずれも金融庁として大変重要な点だというふうに考えてございます。

 まず、証券会社等の金融機関につきましては、販売する際に当たって、事前説明義務が求められているところでございます。具体的には、あらかじめ、契約の締結に際しまして、その概要とかリスク、手数料、こういったものを顧客の知識、経験等の水準に応じてしっかり説明するということが必要でございまして、この点については、私どももしっかりとモニタリングを行い、問題と認めた場合には、法令にのっとりまして、厳正に対処していきたいというふうに考えてございます。

 もう一点、先生おっしゃいましたように、金融トラブルの防止のためには、利用者の金融知識、リテラシーの向上というのは非常に重要だというふうに考えてございます。

 このため、例えば、金融庁、財務局におきましては、ホームページなどによる注意喚起はもとより、こうしたものに加えまして、金融トラブルの防止をテーマとしたものも含めまして、例えば、年間千件超の出前講座やセミナー等を開催するなど、金融経済教育の強化に取り組んでいるところでございます。

 金融庁といたしましては、こうした規制監督上の措置や金融リテラシーの向上といった政策を通じまして、利用者が安心して投資を行うことのできる環境整備に引き続きしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

関(健)委員 遠回りと見せかけて、やはりリテラシーをしっかり学んでいただくということと、官庁の引き続き監督をしていくということこそが、リスクをより下げるということにつながるんだと思います。

 引き続きの努力をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党、西岡秀子でございます。

 本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 まず、先ほどからも議論があっております、五月三十日に発表されました消費者行政新未来創造プロジェクト検証専門調査会報告書についてお尋ねをいたします。

 二〇一四年度、政府は、まち・ひと・しごと創生総合戦略を閣議決定をし、それに基づいて、二〇一六年に、政府関係機関の地方移転にかかる今後の取組を決定をいたしました。その中で、二〇一七年七月に徳島県に消費者行政新未来創造オフィスが開設をされました。政府は、この取組について、三年後、つまり、ことしを目途に検証、見直しを行い、結論を得ることといたしております。今回のこの報告書は、その検証の一環であると理解をいたしております。

 また、宮腰大臣も、今国会の所信表明において、「今後のオフィスのあり方については、夏に考え方をお示しできるよう、検証、見直しを進めてまいります。」と述べられております。

 一方で、この報告書が提出される以前、五月十二日に、新オフィスの恒久的な設置や規模の拡大が行われることは既に決まっているという趣旨の発言を元担当大臣が徳島県でされたという報道がなされました。

 私も、地元が長崎県であり、中央省庁の地方移転については全く異論を唱えるものではございません。ただ、このような結論ありきの報道が出ること自体、徳島への移転が最初から結論ありきで進められていたのではないかという疑念をやはり持たざるを得ないということが危惧をされます。事実、報道を裏づけるかのように、六月十一日のまち・ひと・しごと創生会議において、徳島オフィスの恒久化やその拡充についての方針が出されたと聞いております。

 担当大臣として、宮腰大臣の、この一連の報道も含めて、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

宮腰国務大臣 委員御指摘の報道は、先月中旬のものであろうと思いますが、この報道については承知をいたしております。

 しかし、その時点では、オフィスのこれまでの実績等につきまして消費者庁として議論を行っていたところであり、当時、今後の方針が決まっていたという事実はありません。

 いずれにせよ、オフィスのあり方につきましては、先月末に取りまとめられた消費者委員会の報告書や関係者の御意見も踏まえつつ、担当大臣である私のもと、検討を鋭意進めていきたいというふうに考えております。

西岡委員 それでは、大臣、六月十一日のこの創生会議については、消費者担当大臣としての御出席ではなかったのかもしれませんけれども、御出席をされておりますでしょうか。

宮腰国務大臣 もちろん、この本部の会議には出席をいたしております。

西岡委員 そこで提案と申しますか、そのような方針が表明をされたということについては、今までの検証をしながら進めていくということと矛盾をするのではないかということにちょっと疑問を私自身は持っております。

 次に、この報告書につきまして、これまでも委員会質疑の中で、研修事業については我が党の大西委員が委員会質疑を通じて再三質疑をいたしておりますけれども、国民生活センターの徳島県での取組については、相模原やほかの地域で実施されたものと比較して、受講者数、また運営の効率性、研修内容の充実などの面で大変問題点が多いということが今回の報告書でも指摘をされております。

 平均受講者数、定員充足率はかなり低い数字であり、先ほどもございましたけれども、四国などの近隣から参加する場合であっても相模原の方が利便性がよいという現状がございます。また、現在行われております研修のための無料送迎タクシーの取組については、これからの持続可能性の面で問題があるという指摘もなされておりますけれども、この報告についてどのような受けとめをされているかについてお尋ねをいたします。

高田政府参考人 お答えいたします。

 国民生活センターの研修事業につきましては、委員御指摘のとおり、消費者委員会の報告書においてさまざまな課題が指摘されております。

 来年度以降のあり方につきましては、消費者委員会の報告書も踏まえつつ、研修事業の全体像も含めたあるべき姿や、徳島における事業のあり方について検討の上、見直しを進めてまいります。

西岡委員 そのことを踏まえまして、配付をさせていただきました資料でございますけれども、先ほど初鹿委員からも御指摘がございました。最後のまとめのところで、消費者庁についても国民生活センターについても、中央組織も含めた機能強化、拡充をすべきであるという報告書のまとめの欄に、それぞれ消費者庁についても国民生活センターについても記述がございます。

 この記述を見ますと、先ほど焼け太りではないかという御指摘もありましたけれども、組織の肥大化につながり、当初の出発点である事業の進め方についても、また、地元徳島県の目指すべき方向とも違ってくる報告書の内容ではないかと考えますけれども、まず、報告書取りまとめをされた、このまとめをされた文言の趣旨、その意味するところについて、消費者委員会にお尋ねをいたします。

 また、そのお答えを受けまして、宮腰大臣にその所見をお尋ねいたします。

二之宮政府参考人 お答え申し上げます。

 報告書では、まず、消費者庁について、今後、徳島県での取組の成果を全国的に展開、活用することに向けた取組などを進めることが重要であると指摘されています。

 その上で、専門調査会の検証時点における東京の消費者庁とオフィスの役割分担を前提に、全国展開を中心的に担う中央組織としての東京の消費者庁の各既存の体制、機能を強化していくことが必要になると考えられ、その場合には対応を検討すべきであると指摘されたものです。

 また、国民生活センターについては、研修事業に関して、全国各地での研修の充実等を踏まえた見直しが必要であること、商品テストに関して、調査結果への地域的特性の影響の補正等を行うことが必要であることと指摘されています。

 その上で、これらのことに対応するに当たって、専門調査会の検証時点における東京、相模原の国民生活センターとオフィスの役割分担を前提に、東京、相模原の国民生活センターの各既存の体制、機能を強化していくことが必要となると考えられ、その場合には対応を検討すべきであると指摘されたものでございます。

西岡委員 それでは、宮腰大臣に、今の報告書のことも含めまして、見解をお尋ねいたします。

宮腰国務大臣 委員御指摘の消費者委員会の報告書につきまして、全体として見れば、徳島オフィスのあり方について検討する過程で発生した問題意識であると認識しております。

 具体的には、徳島における成果の全国展開や、徳島に限らず、全国各地での研修の充実等を踏まえた見直し等に当たりまして、仮に消費者庁及び国民生活センターの体制、機能の強化が必要となった場合に、その具体的な内容を検討すべきという趣旨の御提言であると理解しております。

 一方、この報告書を受けて、徳島のオフィスのあり方に関連づけて、消費者庁及び国民生活センターにおいて東京や相模原の人員増員の方針を固めた事実はないということをまず申し上げておきたいと思います。

 そうした前提のもと、まずは、オフィスがこれまで果たしてきた役割やその評価について検証すべきであると考えております。

西岡委員 それでは、今の大臣のお話からしますと、組織の肥大化であるとか、指摘の焼け太りということではないという理解をさせていただきます。

 それでは、当初より、徳島移転につきましては、消費者団体から、消費者行政の後退につながるのではないかという懸念の意見が出されておりました。

 徳島での取組によって得られた結果については、政府関係機関の地方移転の取組の効果とは別に、本来の消費者行政の進展、機能強化に資するかどうか、消費者保護の立場からも今後のあり方がしっかりと議論、判断されるべきではないかと考えますけれども、宮腰大臣のお考えをお願いいたします。

宮腰国務大臣 一昨年の消費者行政新未来創造オフィスの設置は、東京以外にオフィスを有していなかった消費者庁が、全国の消費者に裨益することを目指すモデルプロジェクトや、今後の消費者政策の基礎となり得る調査研究プロジェクトに取り組むことができたという意味で、消費者行政にとっても大きな一歩であると思っております。

 こうした背景を十分踏まえつつ、全体として見れば、徳島のオフィスの存在そのものやオフィスが果たしてきた役割が消費者行政の進化にどのような貢献を果たしてきたかという、より大きな視点で今後の検討を進める必要があるものというふうに考えております。

西岡委員 大臣、ありがとうございます。

 徳島オフィスの今後のあり方について、消費者庁として、先ほどから、結論がまだ出ているものではないという大臣のお話がございましたけれども、これからどのように最終的な結論、判断をされるのか。所信においてはこの夏にという言及もございましたけれども、どのような日程で決めていかれるのかということについて、大臣にお尋ねをいたします。

宮腰国務大臣 オフィスのあり方につきまして、これまで消費者庁内で検討を進めてきたところでありますが、今後、総理を本部長、全閣僚をメンバーとする、まち・ひと・しごと創生本部の決定を経て、月内にも、まち・ひと・しごと創生基本方針二〇一九が策定される予定であります。そこに記載された方向に沿って検討を加速させたいと考えております。

 具体的には、本年八月末までに二〇二〇年度の予算や組織に関する考え方を示す必要があるため、その時点までには検証、見直しの結果を反映した要求案をお示しできるよう、担当大臣である私のもとで検討してまいりたいと考えております。

西岡委員 最後に、国民生活センターの体制については、現在の相模原の体制が消費者行政推進の面からも妥当であると考えるということを申し上げまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

土屋委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 消費者委員会が、五月三十日に、消費者行政新未来創造プロジェクト検証専門調査会報告を公表いたしました。

 この報告書は、「徳島県でこれまで実施されてきた、消費者庁の各プロジェクト及びオフィスでの働き方改革に関する取組、並びに、国民生活センターの研修事業及び商品テストを検証の対象とした。」というふうに述べております。

 私は、昨年の十二月、当委員会で、国民生活センター相模原事務所での商品テストの機能や宿泊施設を完備した研修機能などについて質問いたしました。

 そのときに宮腰光寛大臣は、昨年度、二百十一件の商品テストを行い、事故の未然防止を図る必要があると考えられる場合には積極的に情報提供を行った、宿泊施設を完備し、複数日にわたってじっくりと研修することで研修生同士が意見交換を行うことが可能となるなど、研修の効果を高めることにもつながっております、このように、相模原事務所は、消費者行政の推進に具体的な形で貢献する重要な業務を担っている機関だと御答弁されました。

 そこで伺いますが、今回の専門調査会がまとめた報告書では、国民生活センターの商品テストと研修事業に関する検証結果はどうなったのでしょうか。

二之宮政府参考人 お答えいたします。

 専門調査会の報告書で、消費者行政の進化等の観点から検証した結果のうち、御質問の国民生活センターの徳島県での取組につきましては、まず成果として、研修事業において徳島県において研修を実施することについて一定のニーズがあること等を明らかにしたこと、商品テストにおいて徳島県を実証フィールドとして活用できることを明らかにしたことなどの点で消費者行政の進化に寄与するものと言えるとしています。

 もっとも、研修事業については、受講者の数、運営の効率性及び研修内容の充実性については課題があり、特に受講者数との関係では成果としては不十分と言わざるを得ず、また、商品テストについては、実証フィールドの活用が必要なテーマが限定的であること、調査結果の地域的特性の影響の補正が必要であること、商品テスト全体の効率的な運用への影響が懸念されることといった課題があるため、それぞれ見直しが必要であるとしています。

畑野委員 今後どういうふうにすべきだという、方針はどうですか。

二之宮政府参考人 お答えいたします。

 専門調査会が個々の取組について検証したものであり、先ほど述べましたような成果、課題を踏まえて、国民生活センターの方で御検討いただきたいということになっております。

畑野委員 お話がありましたけれども、私もこの報告書を読まさせていただきました。

 ほかの委員からもお話がありましたけれども、例えば研修については、関西、中国、四国地域の対象者を想定しているにもかかわらず、平成二十九年度及び平成三十年度の相模原事務所と徳島県内の会場の一講座当たりの受講数を比較すると、徳島県内の会場については、滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、広島県及び山口県の受講者は、平成二十九年度及び平成三十年度の双方あるいは一方が相模原事務所の場合と比べて少なく、また、徳島県内の会場の一講座当たりの受講者数のうち徳島県の受講者数は、平成二十九年度十九・二人から、平成三十年度十・〇人で減少している。徳島県内の会場までの移動の負担の重さが研修への派遣の障害となっている地方公共団体が多いことなどが言われておりました。

 それから、商品テストの問題でも、国民生活センターからは、オフィスは商品テスト業務の中でもフィールド調査と事務作業に終始し、それらの業務も相模原事務所の業務ラインの中で相談や指示を仰ぐ必要があり、オフィスのみでは完結しなかったということや、アンケート調査会社が東京に集中しており、アンケートに係る業務負担が大きかったこと及び相模原事務所における商品テスト業務量を踏まえると、オフィスに職員を常駐させることは効率的でないこと等の課題が指摘されている。

 あわせてお話があった、補正が必要だと。つまり、徳島の例を大都市圏などでやった場合に、補正が必要になってくるということなども言われております。

 つまり、商品テスト全体の効率的な運用への影響が懸念されるといった課題があると言われているわけですね。ですから、先ほどあったように、東京、相模原の国民生活センターの各既存の体制、機能を強化していくことが必要になるというふうに言われているというふうに私は読みました。

 そこで伺いたいのですが、六月十一日のまち・ひと・しごと創生会議基本方針案では、徳島オフィスについて、「機能の充実と規模の拡大を見据え、消費者行政の発展・創造のためにふさわしい機能と規模を備えた新たな恒常的拠点を二〇二〇年度に発足させるために必要な調整を進め、」と述べられておりますが、この点について宮腰大臣は、どういう意味を示しているのか、どのようにお考えになりますか。

宮腰国務大臣 まち・ひと・しごと創生基本方針案は正式な決定前でありますが、その前提で、私が理解する範囲で申し上げれば、オフィスの時限を撤廃をし、今後は、新しい機能、役割を果たすこととし、それに見合った人員や体制を整備する方向で検討を進めていくものというふうに考えております。

 ただし、基本方針は案の段階でありまして、総理を本部長、全閣僚を構成員とするまち・ひと・しごと創生本部における決定を経る必要があります。月内に基本方針が策定されれば、この方針に沿って、具体的な姿をしっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。

畑野委員 全国から全面移転反対という声があり、ここでの取組なども検討されてきたと思うんですが、消費生活相談に当たっている方々も、徳島県だからということではなくて、全国どの都道府県でも消費者保護行政を充実させてほしいという訴えを伺ってまいりました。

 ですから、今回の報告書の中でも、中央組織としての東京の消費者庁の各既存の体制、機能を強化していくことが必要だというふうに指摘されているのはそのとおりだというふうに思っております。相模原事務所の機能が後退するなどということがあってはならないことは言うまでもありません。

 公益通報受付窓口の設置について伺いますが、全国どのようになっていますか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 全国の地方公共団体における、まず、内部の職員等からの通報窓口の設置状況は、平成二十九年度末の時点において、都道府県では一〇〇%、市区町村では五五・一%となっております。また、外部の労働者からの通報窓口の設置状況については、同じく平成二十九年度末の時点において、都道府県では一〇〇%、市区町村では三四・二%となっております。

畑野委員 それでは、直近で、全国の消費生活相談件数はどのようになっていますか。

高島政府参考人 お答えを申し上げます。

 二〇一七年に全国の消費生活センター等に寄せられた消費生活相談の件数は九十一・一万件となっております。この十年間を見ますと、おおむね年間九十万件前後と、依然として高水準で推移しております。

畑野委員 相談件数がずっと高い水準なんですね。しかし、予算措置は横ばい状態ということです。自治体によっては、国民生活センターの研修への参加人数を絞り込んだり、また、消費生活相談に必要な啓発活動のリーフレットの作成や配布ができない、各地への出前講座の実施も十分にできないなどの実情も聞いてまいりました。

 私は、国から地方への直接の財政支援の拡充を行うべきではないかと思いますが、宮腰大臣、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 地方消費者行政は自治事務とされておりまして、地方公共団体において安定的に取り組むには自主財源の確保が重要であります。

 このため、地方消費者行政強化キャラバンを実施をいたしまして、この一月から三月にかけて四十七都道府県を全て訪問いたしまして、知事等に対して、地方交付税措置がなされているということも踏まえて、消費生活相談体制の整備に係る経費等についてしっかり確保していただくよう要請をし、一定の御理解をいただいてきたところであります。

 御参考まででありますが、平成二十年度の約九十億円から、現在約二百七十億円まで地方交付税措置がなされているわけであります。

 一方で、消費者庁では、これまでに地方消費者行政推進交付金等を通じて消費生活相談窓口等の立ち上げの支援をしてまいりました。また、平成三十年度からは地方消費者行政強化交付金を創設し、これまでに整備された体制を維持するとともに、国として取り組むべき重要消費者政策に対する支援を行っているところであります。

 今後とも、地方公共団体とも連携しながら、全体として地方消費者行政の推進に必要な額が確保されるよう取り組んでまいりたいと考えております。

畑野委員 資料の三枚目につけさせていただきましたけれども、地方交付税そのものが減らされて、そして、消費者庁の交付金そのものも縮小しているということなんです。ですから、自主財源を確保しろと言っても、なかなか地方は大変だと思います。そういう点で、地方交付税措置そのものの限界があるということですから、ぜひ予算の拡充を重ねて求めておきたいと思います。

 最後に、私、公益通報相談窓口の全国実態を伺いましたけれども、そもそも公益通報者保護制度に不備がある、公益通報者保護法の問題があると言わなくてはなりません。もう施行されて十三年がたちました。

 本年五月八日に公益通報者保護専門調査会報告書に対するパブリックコメントが言われておりますが、刑事罰について、不利益扱いをした事業者の問題でどのような意見が寄せられていますか。

高田政府参考人 行政措置と刑事罰とあわせてお答え申し上げます。

 昨年十二月になされた消費者委員会の答申においては、通報を理由として通報者に不利益な取扱いをした事業者に対する行政措置として、助言、指導、勧告、また、勧告に従わない場合の公表を導入すべきと提言されており、命令制度及び刑事罰の導入については、今後、必要に応じて検討を行うべきと記載されております。

 本年三月末にかけて実施した意見募集においては、不利益な取扱いをした事業者に対する行政措置、刑事罰について、答申の内容に賛同する御意見、さらに、命令制度や刑事罰まで導入すべき旨の積極的な御意見、行政措置の導入の是非や導入時期は慎重に検討すべき旨や刑事罰の導入には反対する旨の御意見などが寄せられたところでございます。

 消費者庁といたしましては、積極的な立場と慎重な立場の御意見の隔たりがなお大きく、関係者間の丁寧な調整を実施する必要があるものと考えており、答申の内容や意見募集において寄せられた御意見などを踏まえつつ、引き続き検討を進めてまいります。

畑野委員 そういう態度だから全国の窓口だって進まないですよ。三四・二%、これが外部からの労働者の通報、相談窓口設置率ですよね。

 ですから、そういう点では、私、刑事罰について言いますと、積極的な意見というのは多いですよ。慎重という意見もあって、反対もあるんだけれども、その慎重の人たちの中でもそういったものを進めていくべきだという声ですよね。

 私は、勇気を出して不正を訴えた労働者が勤め先からどんな不利益をこうむるかわからないという危うい状況が放置されたままで公益通報制度がうまく機能するはずはないと思います。これはしっかり進めていただきたい、十三年も放ってきたわけですから、結論を出していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

土屋委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田でございます。ありがとうございます。

 まず、徳島の視察を行かせていただきました。土屋委員長には大変感謝をさせていただきます。

 私としては、大変おもしろかったというか、勉強になりました。特に地方の活性化に関しては、地方の中で消費をサークルをしていくということの中で、形から入るのではなくて、文化だとか芸術だとかを持ち出したことによって自然に地方が活性化していくというような取組というものが非常にわかりましたし、これからサテライトオフィスなどをふやしていくには、やはり5Gの利用というのが重要なんだろうなというのを実感したわけでございます。

 きょうは時間が短い中で二つのことを質問させていただきたいと思うんですが、一つは、他の委員からも既に質問がかつてございましたゴルフスタジアムという事案について、信販会社のありようというものをちょっとお聞きをしたいと思うんです。

 この事案は今集団訴訟が行われているんですけれども、レッスンプロがソフトを購入させられて、三百万から一千万ぐらいの負債を負って自己破産をしたりしている人もいるという中で、負債を負う理由としては、練習生を呼び込むホームページを無料でつくりましょうと。無料の理由というのは、そこにCMというか広告を掲載させてもらう、そこの部分で帳消しになるので無料になりますよということで同意をして、そのかわり形だけはソフトを購入するということで、CD版のような、DVDなのか、そういったようなソフトを三百万から一千万ぐらいをかけて信販会社とローンを組む。その返済に関しては、最初のころだけはそれを持ち込んできた会社が払っているんだけれども、結局は倒産をしたというような事案でございます。

 こういったようなDVDが三百万とか一千万とかというような商品として契約をする。それも、封もあけていない、本当に映画のDVDみたいなパッケージなんですね。それが三百万から一千万ぐらいする、そういうような商品を契約をする人間が何百人もいるわけですよね。

 そういうようなことを信販会社が契約をするということ自体は、通常、不審に思うんではないかと思うんですけれども、こういうようなことで、こういう社会現象が起きているときに、信販会社に対する指導というのは行われていないものなんでしょうか。

島田政府参考人 委員御指摘のゴルフスタジアム関係の件につきまして、本件に関しましては、当事者間で今、まさに先生おっしゃるとおり、民事訴訟が提起をされて争われているという状況でございます。

 係争中の案件でございますので個別のコメントは差し控えさせていただきたいと思ってございますが、ただ、一般論といたしまして、信販会社の関係でございますので、割賦販売法という法律が関係がございます。ただ、この割賦販売法は、消費者の利益保護を目的とするという法律でございまして、営業のため若しくは営業として締結をする契約というのが適用除外になってございます。したがいまして、個人事業主が営利を目的として商品購入などの契約を締結した場合は、割賦販売法の適用除外になるということになってございます。

 ただ、その上で、一般社団法人の日本クレジット協会は、本年四月に、傘下の信販会社に対しまして、個人事業主に対する適切な与信審査等を図るための自主的な取組というふうなことで、クレジット契約に際し適切な与信審査を実施する、あるいは、加盟店の初期審査において主な取扱商品、販売方法等を調査するというふうなことを要請をしているというふうに聞いているところでございます。

串田委員 今、回答が、まさに盲点といいますか、抜け道をうまく利用されているわけでございまして、一般の消費者に対しては法律によって守られているんですが、事業者は守られていない。

 こういう今回のケースも、話を持ち込んできたときに、ホームページをただでつくってくれるんだったらそれはありがたいということで、契約をしようと思ってレッスンプロが名前を書こうとすると、いやいや、個人名で書かれると困るので、個人名で書かれるのではなくて、会社名というか事業者名で書いてくださいというような話なんですね。

 これは法の趣旨としてはわからなくはないんですよ。一般消費者と事業者というのは、規模も違えば、いろいろな商品の取扱いについても熟知している、そういうような事業者と一般消費者とは違うというのはわかるんですが、ただ、世の中には、このレッスンプロのように、ただ単に一人しかいないのに事業者というような形で登録をしているというような人がごまんといるわけですよね。その方々は全く消費者と変わらないんだけれども、まさにそういうような形で事業者として契約の書面に名前が書かれると、途端に保護されなくなってしまう。これを利用されて、全て事業者として契約をさせられているわけです。

 そして、信販会社が電話をすると、ソフトを購入されましたねと言うと、いやいや、そんな大金のソフトなんて買うつもりはないよと言って一旦電話を切る。そうすると、そこの持ち込んできた人が、いやいや、そういう回答をしてもらうと困るんだよ、ソフトは、これは形だけだから、買ったという返答にしてくださいと言って、すぐにまた電話がかかってきたときに、そうです、買いましたという話になる。これは、何百万とかすごい金額の購入をするときに、信販会社が、すぐ前に買うつもりはなかったと返答しているのに、その後電話をかけたら、買うつもりはありましたというようなことであるし、事業者も、レッスンプロのように本当に消費者と限りなく変わらないような状況の中で、形式論だけで事業者であり、買うと言ったということだけで信販会社がそのまま信販として、契約として有効であるということになると、今後もこういう消費者契約というのは続くと思うんですよ。

 何か方策をとらなきゃいけないと思うんですが、そういうようなことを検討することは考えないんでしょうか。

島田政府参考人 繰り返しで恐縮でございますけれども、本件に関しましては、現在の割賦販売法では適用が除外されている、あくまでも事業者同士の契約の問題であるというふうな認識をしてございます。

 さらに、それぞれの事業者間でまさに司法の場で個別に事実関係等の争いがされている案件でございますので、個別のコメントにつきましては差し控えをさせていただきたいと思ってございますし、割賦販売法の今後の運用もしっかりと努めていきたいと思っております。

串田委員 この集団訴訟を起こしている人たちは、みんなそんなソフトを買うつもりはないということで起こしているわけで、封もあけていないわけですよ。それが証拠としても出ているわけで、何百万も買うソフト、封もあけていないものが現存しているということ自体を、やはりこれを放置していたら、法律はそうだからということであれば消費者問題の委員会としての意味がないと思うので、ぜひともこれは委員会としても取扱いを検討していただきたい、また、皆様方からも質疑をこれからもしていただきたいと思いまして、二番目の質問に移りたいと思います。

 二番目は、高齢者事故がずっと続いておりまして、私は昨年から、高齢者には自動停止装置つき車両の限定免許をずっと提唱させていただいて、法務委員会でも質疑をさせていただいております。

 そういう中で、今、報道ベースですと、このような限定免許も政府が検討を始めたかのようなものもあるんですが、一番問題なのは、今CMなどを見ると、自動停止装置つきという言い方ではなくて、衝突障害軽減ブレーキというような言い方になっているわけですね。これは表現がちょっと変わっただけかと思うんですが、非常に重要なことでありまして、自動停止というと、これは停止するかしないかということですから、はっきりと客観的に区別できるんです。

 ところが、衝突の損害の軽減という言い方だと、どれだけ軽減するかということははっきりしていないわけです。一〇%軽減する場合もあれば、五〇%軽減する場合もあれば、九〇%軽減する場合もあるんですね。

 こういうような表現でこれから車両が販売されるということになると、御家族も、あるいは高齢者も、免許は返上はしたくないんだけれども、運転はどうしても必要だから、自分がなかなかできないところは車がとめてもらいたいと思って車両を選ぶという高齢者もふえると思うし、家族も、もうやめてもらいたいけれども、どうしても乗るんだったらこの車にしてちょうだいということで、そういう車を選ぶんだと思うんですが、軽減という表現であると、どれだけの機能であるのかということがはっきりしないと思うんです。

 そういう意味で、これを販売するに当たっては、何らかの基準、例えば何キロで走っていればどのぐらいの衝突軽減が行われるのかという基準を設けていかないと、メーカーに野放しでこういうような宣伝で販売していくということになると、消費者が選別をするのに大変困ると思うんですが、その点についての検討状況をお聞かせいただきたいと思います。

島政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の高齢運転者の事故防止対策としましては、衝突被害軽減ブレーキでございますとか、ペダルの踏み間違い時加速抑制装置などの先進安全技術を搭載しました安全運転サポート車、いわゆるサポカーSにつきまして、官民挙げて普及啓発を図ることによりまして、その促進に取り組んでいるところでございますが、今まさに御指摘の衝突被害軽減ブレーキにつきましては、前方を走行する自動車のみを認識するもの、それから、横断する歩行者も認識できるものといった対象物の違いでございますとか、車両が低速で走行している場合のみ作動するもの、高速走行時においても作動するものといった作動速度域の違いもございます。

 また、対象物の検知方法につきましても、車両前方に備えられました電波レーダーにより検知する方式でございますとか、カメラにより検知する方式など、複数の種類が存在してございまして、メカニズムがシステムごとに異なるというふうに承知してございますが、国土交通省としましては、ユーザーが、自分が運転する自動車に装備されております衝突被害軽減ブレーキの性能、機能を正しく理解できるよう周知に努めているところでございます。

 基準につきましてでございますが、まさに国際基準の策定に向けまして、国連の自動車基準調和世界フォーラム、これはWP29と呼んでございます、その傘下の専門家会議の議長を日本が務めまして、これまで議論をリードしてきたところでございますが、本年一月に国際基準案が合意されたところでございます。

 今後は、この本基準案は、まさに今月の下旬、国連のWP29の本会議において審議を受けまして、採択されれば二〇二〇年一月ごろに発効する見込みでございまして、本基準案の発効を受けまして、この基準、国内での技術的な対応状況を把握しながら、搭載義務化に向けた検討を進めているという状況にございます。

串田委員 今、免許はオートマ限定とマニュアル車というのがこれははっきりしているんですね。これからそういうサポート車限定免許というのは本当に喫緊の課題だと思っているんです。そのためには、その限定であることの条件が明示されていないと免許としてつくれないわけで、横串を刺していかないとだめなんですね。

 ぜひともこの条件関係を明確にしていただきたいとともに、法務省にお聞きをしたいんですが、こういう自分の能力がだんだんだんだんと低下しているということに対しては、みずからがそれを補うような車両を装備していくということが本当は求められている。それは、今回、限定免許になる前に、そういうような意識がある人間はそういう装置を備えないと、場合によっては過失に問われるんだというような考え方というのは私は必要なんじゃないかと思うんですが、法務省として、これは法律解釈としてあり得るのかどうかの御答弁をいただきたいと思います。

保坂政府参考人 刑事責任に関してお尋ねでございますが、死傷事故が発生した場合には過失運転致死傷罪という成否が問題となり得るわけでございますが、同罪におきます過失、つまり注意義務違反が認められるかどうか、そしてどのような注意義務の違反が認められるかどうかにつきましては、捜査機関が収集した証拠に基づいて個別に判断される事柄でございますので、一概に申し上げることは困難でございます。

 あくまで一般論として申し上げますと、お尋ねの、ある意味、一定の性能を有しない車両を運転したことについて注意義務が認められるかどうかにつきましては、これも、やはり個別の事案ごとに、道路交通あるいは車両に関する法令におきまして、どういう場合にどのような車両を運転すべき、あるいは運転してはならない、そういう義務が課されているかどうかを踏まえつつ、事故の際におきます運転者の具体的な注意力、判断能力、操作能力、あるいはその事故の発生の状況等、さまざまな事情を考慮して判断されるべきものと考えられるところでございます。

串田委員 場合によっては過失が問われるんだ、過失がないという答弁ではないというのはきのうの通告からもありましたが、場合によっては問われる可能性も否定はされていないということでございますので、積極的に高齢者の方は、若いころとは違うんですから、みずからの能力を過信せずに、自主返納をするなり、あるいは車両に対しては軽減装置を備えるような車両を選択するなりして、車がとまるというような状況を積極的に進めていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 社会保障を立て直す国民会議の中島克仁です。

 時間をいただきましたので質問いたします。最後の質疑者ですので、おつき合いいただきたいと思います。

 私からは、依存症対策と消費者庁の役割、また今後の進め方についてまず質問をさせていただきたいと思います。

 昨年、ギャンブル等依存症対策基本法が成立、また施行され、ことし四月にはギャンブル依存症対策推進基本計画が策定をされました。

 改めて、基本的なことでございますが、消費者庁として、ギャンブル等依存症対策にどのような観点で具体的にどのように取り組まれているのか、また、今後どのように取組を進めていくのか、まずお尋ねをしたいと思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 消費者庁においては、御指摘のギャンブル等依存症対策基本計画の策定を待つことなく、消費生活相談員向けの対応マニュアルの抜本見直しを始めとして、知識の普及、相談支援等の取組を推進してまいりました。

 今後も、基本計画に基づき、ギャンブル等依存症に関連すると考えられる多重債務問題に係る相談への対応に際してのマニュアルを国民生活センターの研修において普及し、相談支援における対応力強化を図るほか、毎年五月のギャンブル等依存症問題啓発週間の機会を含め、正しい知識の普及のための取組を進めてまいります。

 また、今後、同計画に基づき、ギャンブル等の消費行動の実態把握や施策の認知度の把握のための調査を行うこととなっており、そのための準備も進めてまいります。

中島委員 基本計画の策定、示される前から取り組んでおられたということで、この基本計画の中、これは各省庁横断的にそれぞれ取り組んでいくという基本法、また基本計画になっておるわけですが、基本計画の中では、総合的な情報提供、また包括的な連携協力体制という内容が、この基本計画、厚い中に組み込まれております。

 この中で、特に青少年に対する普及啓発について、これは文部科学省との連携強化の中で取り組まれるというふうに承知しておりますが、改めて、青少年に対する普及啓発について具体的にどのように取り組まれておられますか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 ギャンブル等依存症により不幸な状況に陥る方が一人でも少なくなるよう、知識の普及の取組を進めることは非常に重要と考えておりますが、特に、ギャンブル等依存症対策基本法案の附帯決議等を踏まえ、新たに大学生となった方、新入社員となった方への対応が求められていると理解しております。

 消費者庁においては、先般のギャンブル等依存症問題啓発週間に先立ち、平成三十年十一月に青少年向けの啓発用資料を公表したところですが、当該資料を含めギャンブル等依存症に関する各種の啓発資料を活用し、大学、専修学校、経済団体、大学附属病院などを通じた周知を進めたところでございます。

 また、ギャンブル等依存症問題啓発週間と消費者月間はいずれも五月であることから、大臣のリーダーシップのもと、消費者月間のシンポジウムの会場にギャンブル等依存症問題の周知を図るための展示スペースを設けたところです。

 引き続き、消費者庁においては、啓発週間の期間に限らず、ギャンブル等依存症により不幸な状況に陥る方が出ることのないよう、多様な手段を活用して知識の普及に関する取組を積極的に推進してまいります。

中島委員 今、内容をお答えいただきまして、その内容については評価したいと思います。

 ただ、青少年に対する普及啓発は、ある程度予防的な観点が強いのかな。

 一方で、スマートフォンまたタブレットなど、コミュニケーションツールとして、インターネットの普及も伴って、ギャンブル性の高いオンラインゲーム依存、この問題は昨今大変注目されておるというふうに承知しています。

 オンラインゲーム依存と申すかギャンブル依存への入り口が、スマートフォンまたタブレット等々で射幸性の強いゲーム、また、課金制度によって、そのゲームで強くなっていくために、アイテムを購入するためにお金が必要になり、また、当初は無料だったものが有料に変わっていく。こういったいわゆる一般的にはギャンブル依存症の初発年齢というのは十九歳ぐらいと言われておるわけですが、やはり、昨今のオンラインゲーム依存の状況からいくと、この依存症、ギャンブル依存の低年齢化というのは非常に危惧される、懸念されるところであるというふうに思います。

 先月、スイスのジュネーブで第七十二回のWHO総会で、いわゆる国際疾病分類、ICD11最新改訂版が採択をされて、ゲーム障害が正式に追加承認をされました。発効は二〇二二年一月ということでありますが、きょう厚生労働省さんにも来ていただいております。確認としてお伺いをしたいと思いますが、このWHOの正式な承認を受けて、今現在、ゲーム障害、オンラインゲーム依存といいましょうか、この実態をどのように把握、認識されておられますでしょうか。

橋本(泰)政府参考人 今御指摘いただきましたように、ゲーム障害の対策というのは大変重要な課題と私どもも認識をしております。ゲーム障害等の依存症が疑われる方の相談支援につきまして、現在、都道府県や政令市が設置する精神保健福祉センターでの取組が始まっているところでございます。

 また、ゲーム障害につきましては、正しい知識の啓発ですとか、あるいは相談窓口の設置、人材の育成、あるいは診断や治療法の開発など、大変多岐にわたる対応を要しますので、現在実態調査を進めているところでございます。

 この調査でございますが、十歳から二十九歳までの約九千人の方を対象にいたしまして、ゲームの使用の状況ですとか、あるいは生活習慣や心身の状況に関するアンケート調査をことしの一月から三月に実施いたしました。現在その結果の検証等を実施しておるところでございまして、ことしの秋ごろを目途に公表したいと考えております。

 今後はより幅広い年齢層を対象とする実態調査も行う予定でございまして、私どもといたしましては、これらの実態調査の結果も踏まえて、関係省庁とも連携しながら、必要な対応について検討させていただきたいと思っております。

中島委員 実態調査はもうそろそろ出るということでございます。

 これも確認ですが、WHOの正式な承認を受けて、厚生労働省というか政府として、ゲーム依存を今後依存症としてその対策の中に明確に盛り込んでいくという理解でよろしいでしょうか。

橋本(泰)政府参考人 御指摘いただきましたように、ICD11の中でこれが一つの疾病分類の中の一つというふうな位置づけをされたということもございますし、そういったことも踏まえまして、しっかりとした対策を立案していきたいと考えております。

中島委員 しっかりした対策をということでございます。

 従来から、いわゆる業界の方は、教育的、治療的、娯楽的な価値があり、世界で二十億人を超える人々が安全に分別を持って楽しんでおるというふうに主張しておりまして、疾病分類に規定することに反発してきた経緯もあります。一方で、WHOの採択に先駆けて、ソニーのCEOは、我々は、ゲーム障害が疾病分類に承認されることを念頭に、真摯に受けとめ、対策をとる必要があると発信をしています。具体的な内容については触れていないわけでありますが。

 この状況を踏まえて、先ほど答弁いただきましたが、改めて大臣に、WHOでの正式な承認を受けて、我が国として考え方を整理をして、厚労省などと連携をして、端的に言うなら、オンラインゲームの適正なマニュアルであったりとか、場合によったらアクセス制限も含めて、適正がどこにあるのか、そういったことを具体的な対応として示していく必要があると思いますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

宮腰国務大臣 今ほど厚生労働省から実態把握の実施状況などについて答弁があったところでありますが、各地域の消費生活センターにも、ゲーム障害を背景としているかは不明であるものの、オンラインゲームの決済トラブルについての相談が寄せられてきていると承知をいたしております。そのため、これまでに、国民生活センターにおいて、オンラインゲームの決済トラブルに関し、子供にかかわる消費者トラブル防止のための啓発の一環として注意喚起を行ってまいったところであります。

 今後とも、特設ページを消費者庁ウエブサイトに新設するなど注意喚起の取組を進めるほか、ギャンブル等依存症対策の一環で作成したマニュアルをゲーム障害への対応でも参考に活用することを促し、相談支援の対応力向上を図るなど、対策を進めてまいります。

 私は、消費者担当大臣のほか、ギャンブル等依存症対策の推進も担当させていただいております。四月には基本計画を閣議決定をさせていただいたわけでありますが、その前に、本年一月には、依存症の治療実務の状況を把握するために、さきに厚労省から御紹介のあった実態調査を実施しております久里浜医療センターを視察をいたしまして、ギャンブル、インターネット、ゲームなど、さまざまな依存症対策に取り組む現場も拝見をしてまいりました。

 特に、ここ最近はネットゲームの依存症の相談が急激にふえてきているということでありまして、この問題にも的確に対応していく今がその大事なときではないかということを痛感をしてまいりました。

 種類やその性格は異なりますが、のめり込みを防止をするという観点ではギャンブルとも共通する部分もありますので、関係省庁、ギャンブル依存症対策本部なども含めて、厚労省あるいは関係するところと消費者庁としっかり連携して、特に若者のネットゲーム依存症を防止するための努力をしっかりやっていく必要があると考えております。

中島委員 担当大臣としてしっかりという御答弁でございました。

 三大依存症、薬物、アルコール、ギャンブル、そして、今回ゲーム障害が正式にWHOで承認をされたということ。やはり、薬物、アルコールは身体的な影響が非常に、いわゆる疾病としてのつながりがあるわけでありますが、ギャンブルは、今ギャンブルとゲーム障害を関連づけてお話ししましたが、私も何件か相談を受けています。

 例えば、家庭内で、子供が夜中に寝たはずが、ずっと朝までゲームをしていた。そして、お金が必要になり、親のお金を盗んでしまう。こういうケースが、先ほどギャンブル依存の低年齢化と言いましたが、見えないところで、しかも表に出てきていない。久里浜医療センターの樋口先生のお話も出ましたが、結果、それを繰り返すことで脳が萎縮してくる、そういうエビデンスも確立されてきています。ぜひ先頭に立って取り組んでいただきたいと思います。

 依存症に関連してもう一点、先ほど申しましたが、三大依存症の一つである薬物、特に、二〇一四年前後に社会問題となりました危険ドラッグの現状についてちょっとお尋ねをしたいと思います。

 二〇一四年、議員立法でいわゆる危険ドラッグ禁止法が施行されました。その後、店舗型の販売店はなくなり、事件も激減したというふうに承知しておりますが、インターネットを見ても怪しげな販売サイトはまだまだあります。

 まず、消費者庁として、危険ドラッグに対する取組状況はどんな状況になっておるのか、お尋ねしたいと思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 危険ドラッグを含めた薬物乱用の根絶のため、政府では、平成三十年八月に策定した第五次薬物乱用防止五カ年戦略に基づき、関係省庁が連携した総合的な対策を推進しているところでございます。

 消費者庁としても、この戦略に基づき、ウエブサイトにおける危険ドラッグの危険性の周知、都道府県等の消費者行政部局を通じた啓発などを行っております。また、平成二十七年三月には、特定商取引法の表示義務に違反した危険ドラッグの通信販売サイトの運営業者に対し行政処分を行いましたが、引き続き、違反行為に対しては法律に従って適切に対応してまいります。

 さらに、新たな入手ルートがあれば、消費者庁としても、関係省庁と連携しつつ注意喚起を行うなど、必要な対応を行っていきたいと考えております。

 危険ドラッグは非常に危険な薬物であるということを国民に正しく認識していただき、これを根づかせていくことが重要と考えております。今後とも、関係省庁と連携し、危険ドラッグを含めた薬物乱用の根絶に取り組んでまいります。

中島委員 時間ですので終わりますが、今お答えいただいたように、この議員立法は私も実務者としてかかわらせていただき、その後、非常に効果的に実効をもたらしているということは承知しております。

 一方で、仮想通貨を使った手口であったりとか、SNS、インスタグラムを使ってたびたび働きかける。薬物依存も同様でございますが、なかなか、いろいろな手口を使いながらやり方が変化してくる。これは、二〇〇六年の旧薬事法の改正の後、一時期本当に減少したのが、ばあっと危険ドラッグがまた湧き出してきた、そういう背景もあります。

 ぜひ消費者庁として、他の機関と連携して、手を緩めることなく継続的に監視をしていただきたいと思います。

 質問を終わります。

土屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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