衆議院

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第5号 令和3年4月13日(火曜日)

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令和三年四月十三日(火曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 永岡 桂子君

   理事 穴見 陽一君 理事 伊藤 達也君

   理事 勝俣 孝明君 理事 武村 展英君

   理事 牧原 秀樹君 理事 尾辻かな子君

   理事 柚木 道義君 理事 古屋 範子君

      畦元 将吾君    安藤  裕君

      伊藤信太郎君    小倉 將信君

      門山 宏哲君    神山 佐市君

      神田  裕君    木村 弥生君

      小泉 龍司君    佐藤 明男君

      土屋 品子君    冨岡  勉君

      中山 展宏君    西田 昭二君

      百武 公親君    福山  守君

      船田  元君    山下 貴司君

      青山 大人君    稲富 修二君

      大西 健介君    武内 則男君

      中島 克仁君    堀越 啓仁君

      吉田 統彦君    伊佐 進一君

      畑野 君枝君    串田 誠一君

      井上 一徳君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            井上 信治君

   内閣府副大臣       三ッ林裕巳君

   内閣府大臣政務官     吉川  赳君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     高田  潔君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    片桐 一幸君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    坂田  進君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    片岡  進君

   政府参考人

   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       竹内  努君

   衆議院調査局第一特別調査室長           藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  佐藤 明男君     神田  裕君

  土屋 品子君     神山 佐市君

  山下 貴司君     福山  守君

  中島 克仁君     武内 則男君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     土屋 品子君

  神田  裕君     佐藤 明男君

  福山  守君     山下 貴司君

  武内 則男君     中島 克仁君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案(内閣提出第五三号)


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     ――――◇―――――

永岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として消費者庁次長高田潔君、消費者庁審議官片桐一幸君、消費者庁審議官坂田進君、消費者庁審議官片岡進君、法務省大臣官房政策立案総括審議官竹内努君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小倉將信君。

小倉委員 自由民主党の小倉將信です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 一昨年のこの委員会の一般質疑で、私は、当時、オンラインプラットフォームというふうに言っておりましたけれども、デジタルプラットフォームの取引における消費者被害が増えていて、そこの制度的な手当てが不足をしているのではないかというような問題提起をさせていただきました。それから二年がたちまして、実際に今こういう法律ができ上がったわけでありますから、この間の消費者庁の皆様の御努力にまずは感謝を申し上げたいというふうに思います。

 他方で、この法案の策定に当たりましても、私は、自民党の消費者問題調査会の事務局長として、船田会長と一緒に議論に参加をさせていただきました。その過程で、やはり、現在の消費者法の枠組みの限界というものも感じさせられた次第であります。そういった思いを含めて、今回、質問に立たせていただきたいと思います。

 まずは、この法案の議論の過程で大きく修正が加わった点について、CツーCの取引が除外された理由、そして、法の三条が努力義務化された理由について、先週の参考人質疑でも、実際に法案の検討会に関与された先生からも詳しくお話があったと思いますけれども、今回、法案質疑の初回でございますので、改めて政府の見解をお伺いしたいと思います。

坂田政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案は、取引デジタルプラットフォーム提供者に対し、自らが提供する場で行われる通信販売取引において売主が適切に消費者保護のための責任を果たすよう、販売業者等と消費者との取引関係を支える者として一定の役割を果たすことを求めるものでございます。

 売主が非事業者である個人の場合、すなわちCツーC取引の場となる場合には、売主は消費者を保護する責任を課せられていないことから、本法案の対象に含めることはしておりません。

 次に、努力義務とされた理由でございますけれども、本法律案の対象となる取引デジタルプラットフォーム提供者の範囲は、商品、役務又は権利を提供するなど、規模や態様において様々なものが含まれるため、当事者同士の取引への関与が希薄な場合も含まれ得るものでございます。消費者保護の観点からは、規模や態様を問わず幅広く法の適用対象とする必要があるところ、今般、努力義務を課すこととしたところでございます。

 取引デジタルプラットフォーム提供者はこういった措置について開示するものとされており、努力義務であるものの、措置や開示を適切に行っていないデジタルプラットフォーム提供者は消費者から信頼を失うことになりかねないことから、おのずと積極的な取組が行われるものと考えております。

小倉委員 ありがとうございます。

 もう一つ質問させてもらいます。

 同じプラットフォームでも、SNSとか動画サイトといったいわゆる非マッチング型のプラットフォームは、今回の法律では対象となっておりません。

 一方で、こうしたプラットフォームにおける消費者被害、消費者相談も、足下、増えていると思いますけれども、こういった問題に対してどのように消費者保護を図っていくのか、消費者庁としてのお考えをお聞かせください。

坂田政府参考人 本法律案は、デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会において検討されていた多岐にわたる課題のうち、最優先課題への対応を図るものでございます。

 SNSや動画サイトなどのいわゆる非マッチング型プラットフォームにおける消費者保護に関しては、同検討会報告書では、今後、実態調査等を進めた上で、いかなる主体に対してどのような規律を設けることが消費者の安全、安心確保のために実効的であるか等について検討すべきとされているところでございます。

 消費者庁としては、消費生活相談や官民協議会での情報交換、申出など、様々なルートで寄せられる情報を基に実態を把握しつつ、鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。

小倉委員 どうもありがとうございます。

 以上の答弁にありましたように、CツーC取引が除外をされて、義務自体も努力義務化されたわけであります。他方で、非マッチング型プラットフォームも、様々な法律により手当てをしていくわけですけれども、本法の対象外ということであります。

 私も、実際にこういう法律を作るに当たっては、本来はCツーC取引をも取り込んで、より実効性の高い措置にすべきだというふうには思っておりますけれども、一方で、それが個人であっても法人であっても、特定の者に義務を課す、そういう立法を行うのであれば、法全体のバランスであったりとか、あるいは消費者法のこれまでの経緯、そういったものをきちんと踏襲をしなければならないというふうにも思っております。

 先ほどの坂田審議官の御答弁にもありましたように、現在、CツーC、消費者と消費者の取引それ自体には消費者法の規制が何らかかっておりませんし、ましてや、そういった取引の場を提供する者に対しては何ら規制も課せられておりません。

 そもそも、消費者基本法というものがございます。その第一条の目的規定に、「消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差にかんがみ、」と書いております。まさに消費者と事業者に限定された書きぶりともなっております。これからCツーC取引を本格的に消費者法の射程に取り入れるとすれば、こういったものの見直しもちゃんと考えていかなければいけないと思っています。

 加えて、非マッチング型のプラットフォームに関しては、それがBツーC取引であってもCツーCであっても、約款のようなもの、利用規約みたいなものはあったとしても、基本的に契約関係はありません。

 こういった中で、新たな問題に消費者庁が今後的確に対応するためにも、法律の枠組みそのものをこれからどうしていくかということを腰を据えて見直していく、そういった検討会とかも設けて、ちゃんと議論していく必要があると思いますけれども、この点についてのお考えをお聞かせください。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 デジタルプラットフォームを介したCツーC取引が出現し、消費者に身近なものとなってきており、今後の消費者行政は、CツーCのトラブルを始め、BツーCの周辺領域で起きる様々なトラブルにも丁寧に対応するなど、消費者が抱える様々な課題に寄り添う必要があると考えております。

 中長期の社会情勢の大きな変化の流れを見据え、消費者行政に対応が求められる社会的課題とは何かを見極め、消費者のために望ましい政策の在り方を大局的な観点から検討してまいりたいと考えております。

小倉委員 前向きな答弁だと解釈をいたします。

 CツーCだけじゃなくて、今後、BツーCに対してより高度な義務を課していく際にも、検討しなきゃいけないことはたくさんあると思います。

 先ほどの坂田審議官の答弁にもありましたように、どの程度のプラットフォーマーに対して義務を課せばいいのか。対応力のある大規模なプラットフォーマーにより高度な規制を課すべきなのか、あるいは、一言でプラットフォーマーと言っても、媒介とか仲介の度合いというのは様々だと思います。立法論から考えれば、より仲介の度合いの高いプラットフォーマーに対してはより厳しい規制を、責任を課すということは一つ考えられると思いますけれども、そのグラデーションをどう考えるか、それをしっかりやっていかないと、事業者と消費者の納得感も十分に得られないと思います。

 他方で、先週、参考人質疑の中で板倉参考人が指摘をされておりましたけれども、たとえ小規模であっても、関与の度合いが低くても、それがいわゆる極悪層であれば、ちゃんと、努力義務じゃなくて、規制を課さなきゃいけないというふうなことがありました。こういった考え方も一つだとは思いますけれども、いずれにしても、ちゃんとこういう考え方をしっかり決めていかないと、軽々に努力義務を、単純な義務化をするといっても、なかなか実効性のある措置にはならないんじゃないかと思いますので、そういったことも含めて、ちゃんと検討会で、今後、消費者庁として責任を持って検討していただきたいと思います。

 とはいえ、CツーCを含めて、実効性を高める何らかの対策はできる限り講じていく必要があると私も思います。これも参考人質疑の中で依田参考人が指摘をされておりました。

 デジタル時代のレギュレーションのやり方として、ソフトローかつ官民共同規制で対応していくということが考えられるのではないかと思います。日々複雑に進化をしていくデジタル技術でありますから、いわゆるハードローですと、新しい事象に柔軟に対応できないといった問題点が出てきてしまいます。また、政府規制だけですと、実際に執行する行政の側が必ずしも新しい技術に習熟しているわけではないといった限界もあります。そういった観点で本法を考えますと、法律の中に、指針というソフトローの手段がありますし、法定の官民協議会という共同規制のアプローチも取れるようになっておりますので、そういった点で、まさにデジタル時代にふさわしい手法を今後取り得るのではないかというふうにも考えております。

 この枠組みを、CツーCも含めて、私は利活用して、より実効性を高めることをこの場で提案をしたいというふうに思いますけれども、この点についてお考えをお聞かせください。

坂田政府参考人 委員御指摘の本法案の指針では、CツーC取引の場となるデジタルプラットフォームを対象とするものではなく、あくまでBツーC取引の場となる取引デジタルプラットフォーム提供者の講ずべき措置について、その適切かつ有効な実施に資するために定めるものでありますが、いわゆる隠れBに対する対応策も含まれ得るものと考えられます。

 また、官民協議会が必要があると認めるときは、必要と認める者を構成員として加えることができ、官民協議会の判断次第ではありますが、CツーC取引の場となる取引デジタルプラットフォームの提供者を官民協議会の構成員として加えることは考え得るところでございます。

 さらに、今後の消費者行政においては、CツーCトラブルを始め、BツーCの周辺領域で起きる様々なトラブルにも丁寧に対応するなど、消費者が抱える様々な課題に寄り添う必要があると考えております。

小倉委員 ありがとうございます。

 以上、やり取りをさせていただきましたように、なかなか、今回の法律から更に高度な規制を課すですとか対象を広げるに当たっては、様々な課題が現に存在をするのは事実です。

 これについては、やるなという立場じゃなくて、どんどんやはり消費者庁の方で議論を進めていただきたいと思いますけれども、恐らくこの法律の下で、じゃ、そういった対象外のものが対応できないかというと、私はそうは思っておりませんで、今提案を申し上げたような、官民協議会をしっかりと運用していくですとか、あるいは申出制度みたいなものを使っていくのも一つのやり方だというふうに思っています。

 そういった運用の面で、実際にCツーC取引でもたくさんの問題がありますし、特に危険商品の流通に関しては、それを提供する側が事業者だったらちゃんと取り締まれるけれども、消費者がそういったものを提供した場合には実効性のある措置ができないというのでは意味がございませんので、消費者庁の方では是非そういった運用の工夫をしていただけるとありがたいなというふうに思います。

 かように、デジタルプラットフォーマーをめぐって、近年、様々な課題が明らかになっています。実際にこうした課題を解決するために、この法律に先駆けまして、昨年、デジタルプラットフォーマー取引透明化法が成立をしまして、デジタル市場競争本部ができました。また、このデジタル時代に合わせて、個人情報保護法も改正をされました。

 他方で、先日、一般質疑の中で伊藤理事も御質問されておられましたけれども、そういった法律がたくさんできて、それを所管する組織が政府内で複数できると、今度はこういったプラットフォーマー事業者に対する規制が煩雑になって、そのコンプライアンス対応コストが増して、イノベーションが阻害されて、かえって消費者利便を損ねるのではないかということも十分懸念されると思います。実効性はもちろんきちんと確保されなければなりませんけれども、政府部内の法律とか制度、あるいは行政の執行の重複というのは、百害あって一利なしだと思います。

 その意味では、本法でも対象とされております民泊のプラットフォーマーですとか、あるいはオンラインの旅行代理店、こういったものは既に住宅宿泊事業法ですとか旅行業法によって同様の措置がなされているとは思いますけれども、こういった既存の法律と今回の新しい法律との間の重複をどのように調整しようと思われているのか、お考えをお聞かせください。

坂田政府参考人 委員御指摘のとおり、住宅宿泊事業法の住宅宿泊仲介業者や旅行業法の旅行業者など、消費者と事業者の契約の締結を媒介するプラットフォームについては今回の法律案が適用され得るわけですが、今回の法律案については、行政庁が強制力を行使する場面がなく、二重規制の問題について調整を図るべき場面が生じないことから、法律上の適用除外を設けることとはしておりません。もっとも、個別の業法を遵守している場合は、消費者の利益の保護が図られるため、個別の業法を遵守すれば足りる場合が多いと考えられます。

 そこで、今後、その旨を指針等で明らかにし、関係省庁とも協力しつつ、適切に周知を図り、個別の業法がある分野の事業者に不当な負担が生じないようにしてまいりたいと考えております。

小倉委員 ありがとうございます。

 前回の伊藤理事の質疑の中でデジタル市場競争本部の方が答弁されていました。結構、プラットフォーマー側からすれば、考えが対立をするところがございまして、多分、消費者法の領域でいえば、販売事業者に対してより情報開示を求めたりとか対応を求めたりする、いわゆる厳しい措置を取るように求めるのがその考え方だと思いますけれども、一方で、デジタルプラットフォーマー取引透明化法の方は、いわゆる下請との関係で、販売事業者に対してデジタルプラットフォーマーがその優越的な地位を濫用して厳しい措置を取らないことを求める、そういった法律でありますので、プラットフォーマー側からすれば、ある種、場合によっては相反する対応を消費者法側と競争法の側から求められることにもなりかねません。

 そういった中で、きちんとプラットフォーマーが統一的な目線で政府に対して対応できるように、そこら辺の調整というのは、もちろんこれは、この法律自体は努力義務でありますので、いわゆる法律上の所管みたいなものは発生し得ませんけれども、ただ、事業者側からすれば同じ政府ですので、そこら辺、混乱しないように是非調整をお願いしたいというふうに思います。

 それでは、最後の質問に移らせていただきます。確認的な意味合いでありますけれども、この法律の肝の一つでもあります五条に書かれている情報開示請求権について、幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 まず、先日の参考人質疑でもありましたように、この対象となる金銭債権、一定の額ということでありますけれども、逆に、そのバーが高過ぎると非常に請求しづらいものになるというお話もございました。この金銭債権の一定の額というのはどの程度になるのか。

 あるいは、これも確認的な意味合いですけれども、四条にはある免責規定が五条にはございません。五条においても、プラットフォーマー側からすれば、販売事業者の情報を開示しても、販売事業者との関係で、免責されるかどうか、免責されるという理解でよいのかどうか。

 あるいは、この五条の中で、販売事業者に、開示をしていいか確認をする規定がございます。その趣旨と、販売事業者がこれを拒絶した場合であっても、当然、消費者保護のためにプラットフォーマーが販売事業者の情報を開示できるというような理解でよいのかどうか。

 最後に、情報開示に関しては弁護士の開示請求もあると思います。それとの兼ね合いで、両方あるわけですけれども、どういった感じで、それを求める消費者側からすればその選択をすればいいのかというお考えについて、それぞれお聞かせいただきたいと思います。

坂田政府参考人 開示請求が認められる具体的な金額については、開示を受けて行われる販売業者等に対する訴訟や任意交渉等に消費者が要する費用、取引デジタルプラットフォーム提供者による事務処理の負担、取引デジタルプラットフォームを利用した取引における被害実態と取引金額の分布、他の消費者関連法令における金額設定の例などを踏まえまして、バランスを考慮して内閣府令で定める予定でございます。

 第五条の適法な開示請求を受けた取引デジタルプラットフォーム提供者には、販売業者等情報を開示する民事上の法的義務が発生しますが、法的義務に従い開示をするのであれば、それは適法な行為であり、賠償責任を負うことはございません。

 第五条第三項に基づく意見聴取の結果、販売業者等が開示を拒絶した場合であっても、取引デジタルプラットフォーム提供者は、開示請求の要件該当性等を適切に判断し、適法な開示請求と認めるときは開示に応じなければなりません。

 本法案に基づく開示請求権と弁護士会照会制度とは、異なる要件、効果の下に両立する制度であって、消費者はいずれの制度も選択的に利用することができますが、今法案に基づく開示請求権は、弁護士に依頼しなくても消費者自身が明確な要件の下で開示請求できるという観点から、活用されることが期待されるところでございます。

小倉委員 ありがとうございます。

 時間が来たので終わりますけれども、最後に、これから我が国は、デジタル化の時代を本格的に迎えます。そういった中で、もちろん、書面を通じて消費者保護を図るという考え方も重要ですけれども、どう考えても、デジタル上での取引みたいなものも増えてくるのは間違いありません。

 車が危ないから車自体を規制するのではなくて、どうやったら車を安全に運転できるかということも、是非、消費者庁には、消費者保護の面において、このデジタルプラットフォームあるいはデジタル化、デジタル取引との兼ね合いで検討していただけるとありがたいなというふうに思います。

 以上を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

永岡委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今回、デジタルプラットフォーム新法ということで、ネット上の買物、私自身も週に何度もお世話になっておりますが、元々、このデジタル化という流れの中で、ネット上での購入、お買物というのはどんどん増えている状況でありますが、その上に更に輪をかけて今回のこのコロナ禍という中で、新たな日常の中で、更にこのネット上の取引、買物というのは急激に増えているんじゃないかというふうに思います。

 あわせて、恐らくトラブルの件数も非常に増えてきているんじゃないかというふうに思いますが、まず、その辺のデータがあればお示しいただきたいというふうに思います。

坂田政府参考人 新型コロナウイルスを想定した新しい生活様式の実践例において通信販売の利用が掲げられるなど、新たな日常によって、消費者がインターネット通販を始めとするデジタルサービスを利用する機会が増加してきております。

 このような状況の中で、インターネット通販に関する消費生活相談も増加しているほか、情報商材やマルチ商法等のもうけ話といったネット広告やSNSがきっかけとなる消費者トラブルや、給付金やワクチン接種をかたる詐欺など、様々な課題があるものと認識しております。

 消費者庁では、このような状況に対応するため、消費生活相談体制の維持強化、悪質商法の取締りの徹底、消費者向け注意喚起など、様々な対策を講じてきております。

 また、本日御審議いただいている取引デジタルプラットフォームを利用する消費者利益の保護に関する法律案や、今国会に提出させていただいた詐欺的な定期購入商法への対策の強化等を盛り込んだ特定商取引法などの改正法案など、デジタル取引に係る制度整備にも取り組んでおります。

 消費者被害の防止に向け、消費生活相談等の状況も注視しつつ、機動的に対応してまいりたいと考えております。

伊佐委員 こうした具体的な事例、トラブルを示していただきましたが、様々トラブルが増えている中で、消費者庁も今いろいろな対策を講じていただいている。ところが、そこでもやはり及ばないところがあって、それが今回の法律の部分だろうというふうに思っております。

 例えば、例示として、モバイルバッテリーが発火した、家が全焼した、この販売業者に問い合わせたり抗議をしたいけれども、デジタルプラットフォームを通じて購入したので連絡先も分からない、連絡もつかないというような状況、これをどうするか。

 開示請求をプラットフォーマーにお願いしたけれどもなかなか教えてくれなかったというような事例も伺っておりますが、このデジタルプラットフォーマーが、そもそも販売事業者と消費者との間のルール、契約のルールを作っているということであって、大きな一つのシステムをつくっているというのを参考人質疑でもお話がありました。トラブルについて、どの参考人からも、プラットフォーマーが一定の役割、義務というものをしっかり果たすべきだというようなお話がありました。

 その上で、今回は、努力義務ということで、三つの措置について努力義務になっております。一つは、販売業者と消費者の円滑な連絡手段をしっかり確保する。二つ目は、苦情が出たら必要な調査をする。三つ目は、販売事業者に対して情報提供を求める。

 これが何で義務じゃなくて努力義務なんだというのは、さっきの小倉委員からの質問もありましたとおり、やはりバランス、事業者の責務とのバランスというのもあるだろうということで、そこは理解をいたします。

 恐らく、参考人で来ていただいた依田座長、座長としてまとめていただいて、本当にいろいろな意見を伺いながら、様々な意見を調整した上での今の法案だというふうには理解しております。確かに、例えばオンラインの宿泊施設などの場合は、電話とかメールとか、あるいは独自の顧客システムみたいなものを持っている場合もあって、そこをあえてプラットフォーマーが全部また重複して連絡手段を確保する必要があるのかとかという議論もあったんだというふうに伺っております。

 ただ、その上でちょっと伺いたいのは、じゃ、努力義務となったときに、本当に実効性がしっかり確保できるんですかという点、今、消費者庁はどう考えているか、伺いたいと思います。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 取引デジタルプラットフォーム提供者は、講じた措置の概要等を開示するものとされており、努力義務としての措置を講じていない取引デジタルプラットフォーム提供者は、消費者や消費者団体から低い評価を受けることになるものと考えられます。

 消費者庁としては、開示を通じて消費者が適切な取引デジタルプラットフォーム提供者を選択できるよう、消費者や消費者団体に対して必要な働きかけを行ってまいります。

 さらに、本法律案が成立した暁には、例えば、官民協議会の場における議論などを通じて十分な取組が行われているかどうかをしっかり注視し、取引デジタルプラットフォーム提供者による取組が十分でないときは、消費者利益の保護を図る観点から、法改正を含め、所要の措置を講ずることを検討してまいりたいと考えております。

伊佐委員 努力義務であったとしても、様々な第三者からの評価、団体からの評価というのを恐らくされるだろうという点を指摘していただきましたが、私も伺ったのは、この議論が始まったことで、大手のプラットフォーマーは独自に今回法案に盛り込まれているような措置というものに取り組み始めたということも伺っておりますので、努力義務であったとしても効果はあるんだと。

 いずれにしても、ちゃんと自分がやったかどうかは開示することになっていますので、そこも一つの評価になるだろうというふうに思っております。

 では、CツーCについて触れたいと思います。

 今回、BツーC、ビジネスと一般の個人の取引については対象になっていますが、個人、個人の取引というのは対象になっていない。その理由についてはもう小倉委員から質問していただきましたので飛ばさせていただいて、今回、確かに、一個人と個人の取引でこれがどういった責任を負うかというのは、当然、一般民事上の責任はあるわけですが、本当にこれは消費者法制かというと、なかなか難しいところはあるし、まだまだ議論も必要なんだろうというのも理解しております。

 参考人の方からもおっしゃったのは、欧州では実は余りCツーCというのはないんです、日本は非常に多いということで、だから、日本がある意味、私自身思っていますのは、CツーCが盛んなのであれば、日本が議論をリードしていくべきじゃないか。やるべきこととして、例えば個人間であってもADRの機能をどうするかとか、様々な議論はあるんだろうというふうに思っております。

 その上で、私は、優先すべき課題は何かというと、CツーCに紛れてしまっているビジネスの人たちをどうするか。いわゆる隠れBというふうに言われておりますが、こういう方々は、今回法規制をつくるので、隠さずにちゃんとBとしてこの規制の対象にしなきゃいけないというふうに思っております。

 だから、何がBなのか、何が事業者かという定義も非常に重要で、通販一般の法律であります特商法では、一つが営利の意思があるかどうか、二つは大量に反復継続して販売しているかどうかというのが特商法上でのビジネス、事業者の定義でありますが、今回の法案、新法では事業者はきちんとまた定義されるんでしょうか。

坂田政府参考人 個人である売主が本法案の販売業者等に該当するか否かの区別は、委員御指摘のとおり、営利目的であるか否か、反復継続的に同種の行為を行っているかどうかについて、その者の意思にかかわらず、客観的に判断されるものでございます。

 個人である売主が本法律案の販売業者等に該当するか否かの区別が困難である場合も考えられることから、今後、消費者庁としての考え方を明らかにしてまいります。

 その際には、ある程度幅を持ったものとせざるを得ないと考えられますが、消費者を装う悪質な販売業者を捕捉できるようなものとすることを考えております。

伊佐委員 今、審議官、ある程度幅を持ったもの、まあ、特商法自体が、営利の意思があるかどうか、大量に反復継続で販売しているかどうかということなんですが、ここをあえてある程度の幅を持ってとおっしゃった意味をもう少し教えていただければ。

坂田政府参考人 余り厳密に定義をいたしますと、そこを潜脱するような悪質事業者が出てくるということも懸念されるところでございます。そういったところも踏まえて検討してまいりたいというふうに思っております。

伊佐委員 確かに、百万円以上の販売かというと、じゃ、九十九万円で抑えて、私はCですというような懸念もあるということかなというふうに思いました。

 これはやはり難しいのは、逆もあって、隠れBじゃない逆の方も私はあると思っていまして、例えば、反復継続して販売しているんだけれども、極めて少額であったりとかして、実質的にはCツーCのケースもあって、だから、そうなるとCなので、情報開示しなさいと言われたとしても、これは法人の情報じゃなくて、ある意味、個人情報になるので、この辺もどうするかというのも非常に悩ましいところかなと思っておりますので、そこもしっかり議論していただきたいというふうに思っております。

 次に、これは素朴な疑問なんですが、海外のデジタルプラットフォーマーに効果があるのかという点です。

 このプラットフォーマーが、法人の所在も海外、サーバーも例えば海外という場合に、各国様々、いろいろな規制を、このデジタルプラットフォームに対して規制法体系を持っていると思いますが、恐らく、それぞれ凸凹もあって感覚も違うという中で、海外のデジタルプラットフォーマー、例えば、危険商品が出品されたというふうに申出があって、そうすると、内閣総理大臣はこの出品の削除を要請することになります。これが海外の場合にちゃんと実効性が確保できるのかという点も少し心配がありますが、この海外のプラットフォーマーに対しての実効性の確保について御答弁いただきたいと思います。

坂田政府参考人 取引デジタルプラットフォーム提供者の所在地については、特に限定はなく、事実上、我が国の消費者が取引デジタルプラットフォームを利用して通信販売取引を行っている限り、本法案の適用の対象になります。

 そのため、海外の取引デジタルプラットフォーム提供者が問題となるような事案にもしっかり対処していくとともに、必要な体制も確保してまいりたいと考えております。

 なお、海外の取引デジタルプラットフォーム提供者であっても、要請に応じなかったり、措置及び開示を行っていない場合には、我が国の消費者からの厳しい評価を受け、その信頼を失うことになるものと考えます。

 したがって、我が国の消費者が利用する場としてサービスを提供しようとする限り、本法案の規律に沿った取組がなされていくものと考えております。

伊佐委員 まず、当然対象になるということと、あとは、どういう対応を、じゃ、そのプラットフォーマーがしているかというのが消費者から評価されるんだという御答弁だったと思います。それであれば、私はやはり透明性は非常に大事だというふうに思っております。

 そこをしっかりとまた進めていただきたいのと、我々が恐らく日常使っているような買物サイトというのは、大手ですけれども、デジタルプラットフォーマーの連盟というのに入っていただいていて、常に日頃から連携を取っているというふうにも伺っておりますので、そこでも日頃から、官民協議会というのができますし、そこでもきちんと対応していただきたいというふうに思っております。

 今回の新法は海外のデジタルプラットフォーマーも対象ということですが、私、日本の企業がグローバル展開をしていくという意味でも、これは非常に重要な法案だというふうに思っています。

 それは、今、電子商取引、Eコマースが非常に伸びていまして、二〇二〇年の四月から十二月の統計で見ると、同期比で四二%増というふうになっています。今、日本に来るインバウンドが物すごい減っている、その中で、越境EC、国境を越える電子商取引というのがそこをカバーしているとも言えるんじゃないかというふうに思っています。

 例えば中国は、世界のEコマースの、電子商取引の三分の二を取引している、二百一兆円です。その越境ECの相手は日本が一番です。中国の方が来てインバウンド消費するのが大体一・八兆円と言われていますが、越境で物を買うECも一・七兆円、ほぼ同じ額というふうに言われておりまして、だから、こうやって日本がデジタルプラットフォーマーの義務、取組を含めて法整備をしていくということが、世界に対して、日本はきちんと環境整備していますよと。EUは二〇一八年にして、中国でも二〇一九年に法整備をしていますので、そういう意味でも、このECをより促進していくという効果もあるのではないかというふうに思っております。

 次に、大臣に伺いたいと思います。

 今回は、消費者が総理に対して申出をできるという制度があります。例えば、プラットフォーマーがちゃんと対応してくれないといって被害に遭った、プラットフォーマーに情報開示をお願いしたけれども全然対応してくれないといった場合に、内閣総理大臣に対して申出ができるということです。

 これは、ほかの法体系、法律でも、例えば特定商取引法とか食品表示法でも同様の制度があって、同じように総理に対して申出ができるというのがあります。

 これは総理になっています。これは、内閣府の長たる内閣総理大臣に申し出る、これが事務委任で消費者庁に落ちているんだというふうに思っておりますが、担当するのは、閣僚であれば井上大臣になるわけです。

 これは、法令上は、申し出たら適当な措置を取るというふうになっております。どういう措置を、じゃ、取るのか。

 逆に言えば、また、悪意を持ってこの申出制度を利用する、ビジネスを妨害するような方もいるかもしれないという中で、大臣、このプラットフォーマーに関する申出を受ければ、こうした点も含めてしっかりと対応していただけるのか、大臣のお言葉をいただきたいと思います。

井上国務大臣 消費者から申出があった場合、消費者庁において、その申出について必要な調査を行い、本法案第四条の取引デジタルプラットフォーム提供者に対する出品停止等の要請の措置、消費者などに対する情報提供、他の法律に基づく行政処分などを機動的に行ってまいります。

 そのため、消費者からの申出にしっかりと対応できるよう、庁内の体制を整えるとともに、必要に応じて、申出の様式、フォーマットや内部的な運用マニュアルを整備するなど、事務の効率化を図り、事務上の支障が生じないよう適切に対応してまいります。

伊佐委員 ちょっと参考人質疑で一つ議論になった点、一個だけ、もう一回消費者庁に確認したいと思いますが、悪質なレビュー、消費者を誘導するような、いわゆるステルスマーケティングであったりとか、今、代行業者とかコンサルタントまであって、自分の商品の価値を不当に高めようとしているというビジネスがあるという話ですが、こうした実態、消費者庁は今どのように把握して、認識をしているのか、伺いたいと思います。

坂田政府参考人 本法案は、デジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会において検討されていた多岐にわたる課題のうち、最優先課題への対応を図るものでございます。

 悪質なレビューの問題など、残された検討課題については、同検討会報告書では、今後、実態調査等を進めた上で、いかなる主体に対してどのような規律を設けることが消費者の安全、安心確保のために実効的であるか等について検討すべきとされております。

 消費者庁としては、消費生活相談や官民協議会での情報交換、申出など、様々なルートで寄せられる情報を基に実態を把握しつつ、鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。

伊佐委員 これは、今後の課題、積み残した課題というふうに認識をしておりますので、引き続き議論していただきたいというふうに思っております。

 最後、大臣に質問させていただきます。

 今回、消費者団体の代表の方も参考人質疑に来ていただいて、そこでも、私の方からも伺った消費者の啓発、教育、こういうことをしっかり国としても支援をしてほしいというようなお話がありました。

 多くの消費者というのは、デジタルプラットフォーマーというのを信頼して買物しているんだというふうに思います。恐らく、販売者の信用性だって多分調査しているんじゃないかと思って買物されていると思うんです。トラブルがあったら、相談したり、救済してくれるんじゃないかという期待感の下でやっている。ただ、法律上の責務とのギャップがあって、そこがいろいろなトラブルの元になっているというふうにも思っております。

 そういう意味では、とりわけデジタルとかインターネットに慣れない方々というのはより脆弱性が高いというような中で、今、デジタル化を国として全体として進めていく中でも、誰一人取り残さないというのが一つのキーワードだというふうに思っております。

 そういう意味では、啓発、教育というのが非常に重要だというふうに思っておりますが、最後に、消費者教育の重要性の認識、また、今後どのように取り組んでいくのかについて、大臣に伺いたいと思います。

井上国務大臣 新型コロナウイルス感染症の影響もあり、社会のデジタル化は生活の豊かさや質の向上をもたらすものである一方、デジタルサービスの広がりに起因する消費者被害のリスクもあります。そのため、デジタルサービスの仕組みやリスクを正しく理解し、賢い消費者として自立することを支援するための消費者教育がますます重要になっております。

 消費者庁では、昨年十一月に、消費者教育推進会議の下に社会のデジタル化に対応した消費者教育に関する分科会を立ち上げ、デジタル化に対応した消費者教育についても議論を進めています。

 今後、分科会の取りまとめなども踏まえ、消費生活相談員など地域で活動する消費者教育の担い手に対する支援、育成や、誰一人デジタル化に取り残さない観点からの高齢者向け消費者教育への支援などに取り組んでまいります。

伊佐委員 大臣の御決意を伺いました。

 これは本当に、この問題というのは世代が広いので、特定の世代じゃありません、子供たちがオンラインで高額課金をしてしまうとか、高齢者の皆さんがキャッシュレス決済でいろいろなトラブルに遭うとか、様々ありますので、是非広い世代で進めていただきたいというふうに思います。

 終わります。ありがとうございました。

永岡委員長 次に、尾辻かな子君。

尾辻委員 おはようございます。立憲民主党の尾辻かな子です。

 今日は、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案について質問をしてまいりたいと思います。

 何よりこの法案は、この名称のとおり、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益が保護されなければいけないと思っております。最近やはりインターネット通販による消費者トラブル、二〇一九年で二十二・六万件、二〇二〇年、昨年はコロナの流行もありますから更にこの件数が増加をしております。こうしたインターネット通販等によるトラブルを解決できるような法案になっているのか、このような視点で順次お聞きをしてまいりたいと思います。

 まず、今回、対象となる取引デジタルプラットフォーム、これはどれぐらいの範囲がこの取引デジタルプラットフォームとなるのかということなんですね。今もるる議論がされておりますいわゆるBツーC、これはビジネス・ツー・コンシューマーということで、企業から消費者に対して販売する、このプラットフォームが入るんだということです。

 なので、確認をしていきたいと思うんですけれども、アマゾンとか楽天とかは入るんだろうなと思います、ここも答弁いただきたいと思うんですけれども。あと、例示で来ていたのが、グーグルプレーという、スマートフォンに入っている、アプリをダウンロードするところとか、アップルストア、こういうところも入るということでよろしいでしょうか。

坂田政府参考人 委員御指摘のとおり、含まれるということでございます。

尾辻委員 そうすると、どこまで広がるのかということなんですけれども、私、お話を聞いていて思ったのが、これはもしかしたらウーバーイーツなんかも入ってくるのかなという感じがするんですよね。申し込んだら相手に届けてくれる、ウーバーイーツ。同じようなシステムとして、出前館というのがあります。

 この辺りは、今回のBツーCの取引デジタルプラットフォームには当たるんでしょうか。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 新法案の対象である取引デジタルプラットフォームとは、取引透明化法のデジタルプラットフォームのうち、消費者がデジタルプラットフォームにより提供される場において販売業者に対して通信販売契約の申込み等を行うことができるもの、すなわち、オンラインモールやオークションサイトなど、通信販売取引が行われるインターネット上の場を指します。

 委員御指摘の出前などのサイトが対象となるかどうかにつきましては、基本的には、まず第一に、販売業者等が特定商取引法上の通信販売業者に該当するかどうか、第二に、当該サイトにおいて商品の売買契約や有償の役務提供契約の申込みが行われるかどうかによって判断されることとなります。

尾辻委員 ということは、私これは質問通告も入れていますので、ウーバーイーツや出前館はBツーCの取引デジタルプラットフォームに当たるのかどうかということに、イエスかノーでお答えください。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 個別のケースについては、それを個々見てみないと、先ほど申し上げたとおり、デジタルプラットフォームにより提供される場において販売業者に対して通信販売契約の申込み等を行うことができるものかどうかというところで判断をさせていただければというふうに思います。

尾辻委員 私は、今回、ちゃんと例示をして、この業者が入るかどうかというのを問うたはずです。ちゃんと文書でやっておりますから、それで、なるかならないかをここでお答えできないというのは、これでは審議にならないと思います。お答えください。

坂田政府参考人 何度か申し上げておりますけれども、第一に、販売業者等が特定取引法上の通信販売業者に該当するかどうかということと、第二に、当該サイトにおいて商品の売買契約や有償の役務提供契約の申込みが行われるかどうかによって判断されるということでございます。

尾辻委員 答えていないです。いやいや、質問できないですよ。ちょっと止めてください。まず、止めて、整理してください。

坂田政府参考人 そういった観点からは、これに該当すれば含まれるということでございまして、出前館等につきましては、出前サイトということで、この契約の申込みを行うことができるものに当たるということでございます。(尾辻委員「ウーバーイーツは」と呼ぶ)ウーバーイーツもそれに当たるということでございます。

尾辻委員 消費者が分からないと駄目なんですね、これは消費者のための法律ですから。なので、しっかりと答えていただきたいと思います。ウーバーイーツ、出前館は取引デジタルプラットフォームに当たるんだということです。

 では、一般的に、今、ライブコマースというのが最近非常にはやっている。これはNHKのクローズアップ現代などでもやっておりました。このライブコマースのアプリの会社、その会社があって、そのアプリを使って販売業者が自分のところのバッグとか服とかを売っている、これを個人に売っている。これは取引デジタルプラットフォームに当たるのか。

 宿泊予約サイト、これは議論ありましたけれども、ここも入るということでよろしいですか。

坂田政府参考人 先生御指摘のライブコマースについては、もう少し具体的なところが分からないので難しいところはございますが、ライブコマースのアプリを提供し、そこで契約の申込みを行うことができるといった形になっている場合には、対象になり得るものというふうに考えております。

尾辻委員 宿泊予約サイトはどうですか。

坂田政府参考人 予約サイトにつきましても、そこで契約の申込みが行われることになっているケースについては、対象になるということでございます。

尾辻委員 あと、分かりにくいのが、私もちょっとこれはどうなのかなと思ったのが、クラウドファンディングですね。

 クラウドファンディングで、やったら、もらえますよね。例えば、三千円だったら感謝としてこの商品をお渡ししますとか、一万円寄附してくれたら今度はこういう特典をお渡ししますと。

 こういうクラウドファンディングをやっている取引デジタルプラットフォームというのは、これは今回の取引デジタルプラットフォームに当たるんでしょうか。

坂田政府参考人 クラウドファンディングにもいろいろなケースがあろうかと思いますが、購入型、いわゆる契約の申込み、契約が成立されるようなものについてはこの対象になり得ると思いますが、一方的な寄附という場合にはそれは当たらないものというふうに理解をしております。

尾辻委員 そうなんですよ。この線引き、非常にややこしいなと思うんです。

 さらに、今回はCツーC、つまりカスタマー・ツー・カスタマー、個人が個人に物やサービスを提供するモデルは除くということになりました。これは私は本当は入れるべきだと思っております。この論点はちょっと後でやりますね。

 例えば、メルカリというのがよくあります。もう皆さんもよくお使いになっている。これはCツーCに分類されていますけれども、ここに個人のふりをした販売業者、つまり隠れBである場合、メルカリは取引デジタルプラットフォーム事業者ということになるのかどうか、お答えください。

坂田政府参考人 委員御指摘のCツーC取引の場とされるフリマサイトにおいても、売主が実態としては事業者、いわゆる隠れBである場合には、当該事業者が売主として利用する範囲に限り、取引デジタルプラットフォームに当たり得るというふうに考えます。

尾辻委員 それでは、同じような形であるのが、実はアマゾンの中にもアマゾンマーケットプレイスというのがあります。これは、よく古本の転売をするときに使われて、今、柔軟な働き方みたいなところで副業という話が出たときに、せどりというんですけれども、個人が安く古本を買って、そしてアマゾンマーケットプレイスで個人にそれより高く売るというのがあるんです。

 じゃ、この今回の法律は、アマゾンマーケットプレイスを使って個人が個人に例えば古本を販売するというのは、対象にならないということですよね。

坂田政府参考人 CツーCの取引の場については、適用対象外ということになっております。

尾辻委員 そうすると、この人は対象になる、この人は対象にならない、だから、メルカリの中でも隠れBがいたり、そして、例えばこのアマゾンマーケットプレイスでもBの方がいらっしゃるわけですよね、BツーCに当たるものがあると思います。

 そうしたら、この人はBなんだということを一体誰がどういう基準で判断する、これは取引デジタルプラットフォームの事業者が判断するんですか。

坂田政府参考人 何がB、何がCというのは、先ほども御説明しておりますけれども、今後、法律を運用していく上で重要な課題というふうに考えておりますので、その辺りを明確にしていきたいというふうに思っております。

尾辻委員 誰が隠れBに当たるのかということを判断するのは、誰になるんですかね。それは、デジタルプラットフォーム事業者がやるのか、それとも消費者庁が判断するんですか。

坂田政府参考人 お答え申し上げます。

 何がBか何がCかというのは、私どもの方が官民協議会等の場で協議しながら具体的な内容について定めていくということでございます。それを基にデジタルプラットフォームが判断をしていくということになろうかと思います。

尾辻委員 今ずっと、るる議論したのは、やはりBツーCとCツーCの線引きは非常に難しいんですよね。私は、やはりCツーCもちゃんと取引の対象にしなければ、これらのトラブルの解消はしないんじゃないかと思っております。

 消費者庁の検討会論点整理では、CツーC取引の位置づけについて、「詐欺的ないし安全性に関する事案において被害を被った買主の消費者からすると、売主が個人であろうと事業者であろうと、被害を回復するために権利行使が図られなければならないことは変わりないとともに、そうした被害そのものを未然に防止する手立てが求められることも変わりないと考えられるところでもある。」ということをおっしゃっているわけです。

 なので、やはり、これは売主が個人であろうが事業者であろうが、消費者が被害を受けているのであれば被害を防止するということ、これは消費者庁がやらなければいけないんじゃないでしょうか。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 本法案は、取引デジタルプラットフォーム提供者に対し、自らが提供する場で行われる通信販売取引において売主が適切に消費者保護のための責任を果たすよう、一定の役割を求めるものでございます。

 売主が非事業者である個人の場合、すなわちCツーC取引の場となる場合は、売主は消費者を保護する責任を課せられていないことから、本法案の対象に含めることとはしておりません。

 なお、CツーC取引の場と称されるものでも、売主が実態としては事業者、いわゆる隠れBである場合には、本法案の対象となり得ます。

 売主が非事業者の個人である場合の買主の保護の責任の在り方については、場の提供者が果たすべき役割と併せて、別途、更なる検討が必要と考えております。

尾辻委員 ということは、ちょっとこれは大臣にお聞きしたいんですけれども、消費者庁がCツーC取引は今後の課題とかいうことで保護の対象にしないということになったら、CツーC取引の場を提供しているプラットフォーム提供者はどの省庁がどのように規制していくのか、そして、そこで被害を受けた消費者は一体誰が守るのか、大臣にお聞きしたいと思います。

井上国務大臣 消費者庁の検討会においては、取引デジタルプラットフォームにおける消費者被害の実態に着目して、売主が事業者であるか消費者であるかを問わず、消費者を保護するための方策について検討を重ねてきたところであり、CツーC取引の場における消費者保護は消費者行政の対象外としているわけではありません。

 しかしながら、CツーC取引の場となるデジタルプラットフォームの役割を定めるに当たっては、デジタルプラットフォームの提供者という新たに登場した存在が果たすべき役割がどのようなものであるかという点に加え、これまでの消費者行政が主眼としてきた消費者と事業者の間の取引ではなく、売主と買主の双方が消費者である取引における、売主とデジタルプラットフォーム提供者それぞれの責任の在り方という、二つの課題についての整理が必要となります。

 今回の法律案では、現行法上、売主が事業者の場合に生じる消費者保護責任に着目し、取引デジタルプラットフォーム提供者の役割を規定することとしましたが、これと同様の整理を売主が消費者である場合にも当てはめることは適当ではありません。

 したがって、CツーCにつきましては、今後、消費者保護の観点から、誰がどのような責任を負っているのかや、デジタルプラットフォームの提供者がどのような役割を果たすべきかについて検討を行い、消費者の利益の保護の観点から、必要があるときは、法改正を含めた必要な対応もしてまいりたいと考えています。

尾辻委員 大臣、必要なときは法改正も含めて対応していくということですから、やはりCツーC取引においても消費者庁こそが消費者保護を図るためにやっていくということでよろしいですか。

井上国務大臣 はい、結構です。

尾辻委員 あと、先ほどの答弁の中でも、伊佐議員でしたか、官民協議会の中にはCツーCのメルカリなどが入るというふうにお答えいただいていたかと思います。それでよろしいでしょうかね。うなずいていただければ、それで結構です。

坂田政府参考人 そういったこともあり得るというふうに考えております。

尾辻委員 あり得るというよりは、もう、あると言っていただきたいところです。

坂田政府参考人 ございます。

尾辻委員 ありがとうございます。

 それでは、法案の更に内容に行きたいと思うんですけれども、今回、取引デジタルプラットフォーム提供者による措置の実施が努力義務になった。この努力義務になったというのは、私は残念でなりません。

 というのが、やはりこうなると、努力義務ですから頑張ってくださいねとしか言いようがなくて、義務として、相手にしっかり、かけることができないわけです。要は、お願いベースになってしまうんじゃないかということ、これが非常に私は危惧をしております。

 なぜ、今回、措置の実施が努力義務になったのか。それも、原案は義務だったはずです。ところが、この原案の義務が努力義務に落ちて法案になった。これは、今日、新聞報道でも配らせていただいております。なぜ落ちてしまったのかということについてお答えください。

坂田政府参考人 本法案の検討過程におきましては、様々な手法について検討しており、その中の一つの選択肢として法的義務とすることも含め、検討していたところでございます。

 もっとも、本法律案の対象となる取引デジタルプラットフォーム提供者の範囲は、商品、役務又は権利を提供するなど、規模や態様に応じて様々なものが含まれるため、当事者同士の取引への関与が希薄な場合も含まれ得ることとなります。消費者保護の観点からは、規模や態様を問わず幅広く法の対象とする必要があるため、本法案においては、最終的には努力義務としたところでございます。

 また、委員御指摘のとおり、取引デジタルプラットフォーム提供者は場を提供することで収益を上げているということでございますけれども、その収益は、場を販売業者等に利用させることの対価として理解することも、販売業者等と消費者を仲介することの対価として理解することも可能でございます。収益の性質について定まった考え方はない状況でございます。

 したがって、収益を上げていることの一事をもって、販売業者等と同等程度に消費者の利益の保護のための責任や法的義務が発生するとまでは言い難いのではないかというふうに考えております。

尾辻委員 次の質問の答えまでちょっと読んでいただいたんですけれども。

 例えばメルカリなんかもそうなんですけれども、一〇%を販売手数料として取っていたり、どこもそうですよね。取引デジタルプラットフォームというのは、場を貸すことで、ちゃんと手数料を取っているわけです。なので、こうやって手数料を取って収益を上げている業者なんだから、やはり義務が生じるのは当然だというふうに私は思っています。

 お聞きしたいんですけれども、努力義務でどうやって実効性を担保するんですかということなんです。もちろん、大手のところはちゃんとされるかもしれませんが、例えば、板倉参考人は極悪層と呼んでおられましたけれども、こういう層は、こういうふうに、よろしくお願いしますと言ったり、官民協議会で決めたと言っても、例えば、販売者との円滑な連絡とか、必要な調査の実施とか、身元確認のための情報提供を求める、こういうのは努力義務では全く担保されないのではないでしょうか。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 取引デジタルプラットフォーム提供者は講じた措置について開示するものとされており、措置や開示を適切に行っていないデジタルプラットフォーム提供者は消費者から信頼を失うことになりかねないことから、おのずと積極的な取組が行われるものと考えております。

 また、一部の取引デジタルプラットフォーム提供者の中には、今回の法案提出を前にして自主的な取組を進めるなど、既に先取りした動きも見られるところでございます。

 委員からは、悪質な取引デジタルプラットフォーム提供者に関する御指摘があったところでございますが、取引デジタルプラットフォーム提供者の努力義務の取組状況については、官民協議会の場における議論などを通じて、十分な取組が行われているか、しっかり注視してまいりたいというふうに考えております。その上で、必要があると認めるときは、法改正を含め、所要の措置を講ずることとしたいと考えております。

尾辻委員 今、審議官は、何か、消費者が選ばない、そういう極悪なところはおのずと淘汰されるみたいな御答弁だったと思うんですけれども、そうはならないんじゃないですか。結局、努力義務だから、ここは幾らお願いしても、無視して利益を上げ続ける、実効性が担保されない。努力義務で実効性は担保されるんですか。

 ちょっと言い方を変えましょう。ある取引デジタルプラットフォームが、ちゃんと売主の住所を教えてください、消費者が被害を受けたから。でも、いや、うちは出しません、住所はと言った場合に、出させる方法はありますか。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 開示請求の件につきましては、最終的には裁判によって争うことはできるということでございます。

尾辻委員 皆さん、努力義務になるということは、最後、個人が裁判で争わないとできない。これで本当に消費者の利益に資する法案になるんでしょうか。私は、やはりこれはちゃんと義務規定にしなければ、特に、極悪層と呼ばれるようなところに対しての実効性は担保できないと思います。

 さらに、私たち、実は、この取引デジタルプラットフォームには、販売情報の定期的な確認とか、様々な、ちゃんと取引デジタルプラットフォームが講ずる措置については具体的に入れてほしいということをお願いしてきたところです。

 例えば、参考人質疑の中でも、増田参考人などは、デジタルプラットフォームにおける販売管理責任は、クレジット会社の加盟店管理責任と大きな差がないと。なので、この辺りはしっかりと指針でやってほしい。

 つまり、入口だけ、あなた、ちゃんと名前と住所とを確認しました。でも、その出店した後に住所を変えてしまうというところがあるわけですよね。そういうところをやはりちゃんと捕捉してほしいんです。

 なので、例えば、販売等情報の定期的な確認とか、文書若しくは口頭による説明を求めて、又は資料の提出を求めるということ、これを具体的にやはり指針の中に位置づけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

坂田政府参考人 委員御指摘の、販売業者等に関して、その所在に関する情報その他販売業者の特定に資する情報の提供を求めることにつきましては、第三条第一項第三号で規定をされているところでございますので、その辺りについては指針においてしっかりと手当てをしていきたいというふうに考えております。

尾辻委員 大臣にお聞きします。

 この法律が施行された場合に、取引デジタルプラットフォーム提供者が講ずるべき措置をちゃんと履行しているかどうか、実態把握をしていただきたいんですね。もし、措置を履行していない取引デジタルプラットフォーム提供者が多かったら、先ほど答弁にはありましたけれども、義務とすることの法改正の検討をお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。

井上国務大臣 今回の法案提出を前にして、大手デジタルプラットフォーム事業者を中心として自主的な取組が進められるなど、既に先取りした動きも見られるところであり、本法律案の制定を契機に、より一層積極的な取組が行われることが期待されます。

 他方で、三条に基づく措置が十分に行われているかどうかについては、努力義務であることで取組を行わない取引デジタルプラットフォーム提供者がいないかどうかも含め、官民協議会の場における議論などを通じて、取引デジタルプラットフォーム提供者の取組状況についての実態把握に努めてまいります。

 その上で、取引デジタルプラットフォーム提供者による取組が十分でないときは、法改正を含め、所要の措置を講ずることを検討してまいります。

尾辻委員 次の論点に参ります。

 次は、本法律案において、内閣総理大臣は、危険商品等が出品され、かつ、販売業者等が特定不能など個別法の執行が困難な場合、取引デジタルプラットフォーム提供者に出品削除等を要請することができるという、これも要請にとどまったんですね。

 お配りしている新聞記事、御覧いただければと思うんですけれども、そもそもこれも、本来はもうちょっと刑事罰なんかを科そうというようなことがあったわけですけれども、強制力のない要請、つまり、出品削除してくださいねとお願いするしかない法案になってしまいました。

 この要請にとどまった理由と、そして、要請ではやはり悪質業者に私は利かないんじゃないか、お願いベースでは。その辺りはいかが考えておられるんでしょうか。

坂田政府参考人 まず、御指摘の、要請にとどまった理由でございます。

 危険商品等の表示に著しい虚偽、誤認表示がある商品等の排除は、第一義的には、特定商取引法などの、販売業者等に対して義務を課す法律によって果たされるべきであると考えます。

 もっとも、これらの法律の執行が困難な場合もあるので、取引デジタルプラットフォーム提供者に一定の役割を果たすよう求めることとしておりますが、取引デジタルプラットフォーム提供者がその商品等を販売しているわけではないことに鑑みると、取引デジタルプラットフォーム提供者に販売業者等と同様の規制をかけるのは適当ではないため、要請としているところでございます。

 次に、悪質業者に関する御指摘でございます。

 本法律案の第四条の要請につきましては、第一に、取引デジタルプラットフォーム提供者にとって、危険商品等の表示に著しい虚偽、誤認表示がある商品等を排除することは、安全、安心な取引の場としての自身に対する信頼性を高めることにつながること、第二に、要請に応じた取引デジタルプラットフォーム提供者を免責する規定を設けていること、第三に、要請について公表できることとしていることから、消費者庁の要請には十分応じていただけるものと考えております。

 したがって、同条の要請の制度の実効性確保については、現時点では必要十分であると考えておりますが、本法律案の施行後、要請の実施状況について実態把握に努めるとともに、必要に応じて、更なる実効性の確保について検討を行ってまいりたいと考えております。

尾辻委員 ちょっと個別のことについてお聞きしていきたいと思うんですけれども、お手元配付の資料の二枚目のところです。ネット通販でトラブルが続出しているという、九月二十三日の、昨年の東京新聞の記事なんですけれども、これもよく言われている事例ですけれども、充電池が発火した、バッテリーが発火したんですね。それで、被害は一千万を超えた。メーカーのサイトにあった連絡先に電話をかけたけれども、つながらない。メールでやり取りできたけれども、賠償請求の話になると返信が途絶えた。結局、この方は、中国の弁護士を雇って、二年後にやっと和解が成立したということなんですね。だから、さっきの議論でやった、デジタルプラットフォームがやらなければいけない措置のところで本当にここは解決するのか。それで、次の言葉が、今も同じメーカーの商品は出品され、口コミの評価も高いまま、同じ苦労をする人がまた出ると思うと心配だ。

 こういう事故に遭った商品が今も現在売られているという状況の中で、デジタルプラットフォームに、お願いします、これを総理大臣名で出したら、こういうものは本当に止まるんでしょうか。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 本法案第四条の要請は、商品の安全性の判断に資する事項その他の重要事項として内閣府令で定めるものについて、著しい虚偽、誤認表示がある場合であって、販売業者による是正が期待できない場合等になされるものでございます。

 内閣府令を定めるに当たっては、取引デジタルプラットフォームにおける消費者被害の実態を踏まえた上で定めることにより、危険商品等の表示に著しい虚偽、誤認表示がある商品等を排除するために必要十分なものを定めることとしたいと思います。

 また、要請は、対象となる商品等及び販売業者等を特定して行うことを想定しており、消費者庁は、要請について、これを公表することができるとしていることから、消費者にも要請の対象となる商品等及び販売業者等を一見して判断することが可能であると考えられます。

 なお、本法律案の施行後、要請の実施状況について実態把握に努めるとともに、必要に応じ、更なる実効性の確保について検討を行ってまいりたいと考えております。

尾辻委員 これは多分、別に虚偽表示もしていなければ、誤認表示もしていないと思うんですね。でも、火事が起こった、これは早く止めないと、ほかのところでも同じ事故が起こりますよね。今の、著しい虚偽とか誤認ではないと思います、この商品。本当にこの商品を止められるんでしょうか。消費者にとっては、速やかに危険な商品は止めていただきたいんです。本当にこれを止められるんでしょうか。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の点につきましては、注意喚起等、消費者庁が持っている様々な仕組みがございますので、そういったものを活用しながら、消費者に届く情報提供をしてまいりたいというふうに思っております。

尾辻委員 ちょっと表示の問題に行きたいと思うんですけれども、板倉参考人から、先週の参考人質疑で、商品等の出品の停止等に係る要請に関して、非表示も表示に含めるのか、非表示であることを全体として勘案して表示であると言えるのか、いずれかの解釈が確認されるべきとの意見がありました。

 この規定を見ると、著しく事実と相違する表示、著しく優良、有利と誤認させる表示が要件となっているわけですけれども、商品の安全性の判断に資する事項を表示しないような非表示も含むものであるのかということについて確認をいたします。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 本法案第四条第一項第一号の表示と言えるかどうかは、表示上の特定の文章、図表、写真等のみから消費者が受ける印象、認識により判断されるのではなく、表示全体から消費者が受ける印象、認識により判断されます。つまり、明示的に表示された事項の内容がそれだけを見れば真実であるとしても、販売業者等が消費者にとってデメリットとなる事項を適切に表示しないことにより消費者を誤認させるものと認められる場合には、本法案第四条第一項の要請の対象となり得ます。

 したがって、例えば、商品の安全性の判断に資する事項等を表示しないような、いわゆる非表示によって消費者が誤認する場合も、本法案に基づく要請の対象に含まれ得ることとなります。

 以上の点につきましては、今後、解釈指針等で明らかにしてまいりたいと考えております。

尾辻委員 添付の資料につけさせていただきましたけれども、例えばライフジャケットなんかでも、例えば子供の救命胴衣が、結局二十秒で水没する。四枚目を見ていただきたいんですけれども、それは結局どこで売られていたかというと、楽天さんだったんですよね。そこには、結局、こういうふうに安全第一と書かれて、国交省基準のテストを使用していると書かれているわけです。

 これをいち早く止めなければいけない。これをいち早く止めるためには、やはり取引デジタルプラットフォームが出品を停止しなければ、これはできないと思うんです。それが本当に要請で可能なのかということなんですけれどもね。

 実は、強制力のある仕組みの方が、取引デジタルプラットフォーム提供者としても出品停止を行いやすいのではないかと私は思っています。実際に、新経済連盟からは、特定の商品の販売自体が違法である、出店者に販売停止を強制してよいと行政が判断してくれることが重要と意見をされているわけです。なので、これはやはり、要請ではなくて、しっかりと命令とか勧告とかをできるようにしなければいけないと思います。

 今、ちょっと答弁の中で、法改正を伴う検討をするというふうにはお答えいただけていない。要請でうまいこといかないとき、実効性がないときは、法改正も含めて検討していただきたいと思いますが、済みません、ちょっとこのことは大臣にお聞きしても大丈夫でしょうか。(発言する者あり)

永岡委員長 時間を止めてください。

    〔速記中止〕

永岡委員長 速記を起こしてください。

 井上国務大臣。

井上国務大臣 委員御指摘の経済団体からの御意見は、行政が取引デジタルプラットフォーム提供者に対し強制力を有することを求めるものではなく、取引デジタルプラットフォーム提供者が、販売業者等との間の契約上の関係を越えて、販売業者等に対し出品停止等を強制し得ることを求める趣旨のものであったと承知しております。

 本法律案の要請は、商品等及び販売業者等を特定してなされる上、要請に係る措置を講じた取引デジタルプラットフォーム提供者について、当該措置により販売業者等に生じた損害を免責することとしており、本法律案の要請は、まさに出品者に販売停止を強制してよいと行政が判断する仕組みであると考えております。

 その上で、この要請につきましては、本法律案の施行後、要請に応じない事態が発生していないかどうか実態把握に努めるとともに、必要に応じて、更なる実効性の確保について、法改正も含めて検討を行ってまいります。

尾辻委員 その検討は三年後の見直しということになっておりますけれども、デジタルプラットフォームの世界というのはめちゃくちゃスピードが速いものですから、三年を待たずに、ちゃんと実効性などを見て検討を重ねていただきたいということを要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

永岡委員長 次に、吉田統彦君。

吉田(統)委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 先日衆議院を通過しましたデジタル関連法案で、私も内閣委員会で質問させていただきました。その中で、私は、日本のデジタル利用の遅れ、特に、官公庁関係でSNSの利用がまだまだ進んでいないということ、その問題点を指摘させていただきました。また、国民の利益のために積極的にSNSの活用を進めていくべきだとも申し上げました。

 一方で、企業のSNSなどのデジタルプラットフォームの利用による取引の拡大は非常に速いスピードで進んでいるようであります。SNSで情報を提供して自社の販売サイトの誘導などによって売上げを伸ばしている企業もあるようです。しかし、我が国は今まで、明確にデジタルプラットフォームを利用した取引への規制法がなくて、消費者も、また販売業者にも様々な不都合が生じているようにも感じます。

 私も、インターネットで買物をすることが本当に多くなりました。また、インターネットオークションなども、私がアメリカに住んでいるときはイーベイをたまに利用しておりましたし、日本に帰国してからも、モバオクとかメルカリも一度ずつ利用したことがあります。最大手であると思われますヤフーオークションもしばしば利用することがあります。また、アマゾン、楽天市場、ヤフーショッピングなど、当然お世話になっておりまして、こうしたデジタルプラットフォームが消費者にとってよりよいものになることを衷心より祈念をいたしまして、その前提で質問させていただきます。

 ちょっと大臣との距離が遠いですね。何か小さく見えますけれども。

 まず、大臣、今回内閣が提出した取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案において、これは一番皆さんが質問されるところだと思うんですけれども、CツーC取引は規制の対象外になっています。そのため、BによるCへの成り済ましが極めて重要なポイントの一つです。特に問題となるのは、マーケットプレース型とかそういうものよりも、オークションサイトで個人を装って高額な商品の出店をしている業者などが特に問題になるんじゃないかと私は思っています。

 民法四百八十六条で、弁済した者は、弁済を受領した者に対して受取証書の発行を請求できると定められています。本来であれば、出品者に領収書の発行を請求できることになります。しかし、現在では、約款などによりこれを阻まれている例が多く見られます。例えばヤフーの場合、ホームページでは、ヤフーかんたん決済では領収書の発行を行っておりません、御自身でかんたん決済利用明細画面を印刷するなどして御対応くださいとされています。

 もとより、領収書の発行義務は出品者にあります。ヤフー等にはないため、領収書の発行を求めることには法的根拠はありません。しかし、取引の匿名性ゆえに、出品者の素性が分からず、出品者の責めに帰すべき事由、例えば、落札品が届かない、品物が記載内容と違う等の取引のトラブルになるケースはよく見られます。

 ところが、一旦トラブルになってしまうと、その匿名性のために相手の特定が非常に困難でして、デジタルプラットフォームに情報開示を求めて、実際に被害救済を求めようとするとなると、手間も時間も費用もかなりかかってしまって、結局泣き寝入りするケースが少なくないと思われます。

 このような事態を避けるために、例えば、一定金額以上の取引など、ある一定の要件をつくって、CツーCの取引においても、例えば、領収書の発行を購入者が希望した場合には義務づける、そして、それをデジタルプラットフォームが利用者に周知徹底させるなど、有効な手があると思います。顔と顔を合わせない取引ですから、大臣、信頼関係を構築できる環境づくりが必要で、これは私が一例として挙げたもので、このような方策を取るとトラブルが減少すると思うんですよ。

 消費者庁の見解、大臣の御見解をお伺いいたします。

井上国務大臣 CツーC取引において、売主である消費者と買主の消費者は対等の立場であり、買主保護を加重する規定は設けられておりません。このため、トラブル防止のために、売主、買主の双方共に、取引の内容やプロセスについて十分注意する必要があります。

 また、フリマサイトやオークションサイトを利用したCツーC取引においては、売主と買主がお互いの個人情報を知らせることなく取引をすることができる匿名配送が広く利用されているなど、プライバシーへの配慮の必要性も大きいと承知をしております。

吉田(統)委員 大臣、お答えになっていませんが、そうなんですよ。匿名配送、大臣がおっしゃったように、かなりそういうものもあって、これはどうも、調べてみると、割と新しくできた制度みたいですね。それまでは、お互いに住所とか個人名、連絡先を公開し合って取引していることが多かったそうです。最近になって、この匿名配送、まだここ数年じゃないですかね、そういった制度ができたんですが、基本的には、前はちゃんと個人名とかを、それが本当かどうかはまたちょっと分からないところがあるんですけれども、開示してやっていた。

 繰り返しになるんですけれども、領収書というのは、言った場合、発行の義務があるわけじゃないですか、大臣。これをちゃんとデジタルプラットフォーム側が、CだろうがBだろうが、領収書は求められた場合は出さなきゃいけないですよ、そういったことを、これは本来そうなんですから、それをしっかりと周知徹底してやらせるだけで私はこういったトラブルが絶対に減りますよということを、大臣、言っているんです。どうですか。

井上国務大臣 御指摘の点につきましては、プライバシーへの配慮、これも必要だと思っておりますので、慎重に対応していくことが必要だと考えております。

 なお、民法第四百八十六条の受取証書、いわゆる領収書についての様式は特に定められておらず、氏名や住所等を記載する必要はないという規定だと承知しています。

吉田(統)委員 分かりました。

 消費者庁さん、では審議官、ただ、領収書は発行することをデジタルプラットフォームが、ちゃんと求められた場合は出さなきゃ駄目ですよということを指導することは可能なんですよね、現行、審議官。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の民法四百八十六条の受取証書についての、デジタルプラットフォームが販売業者等に対して指導するということは一つあり得るというふうに思っております。

吉田(統)委員 大臣のお話を聞いていると、今回、買手保護の法律を作る中で、何となく売手側の立場に立っていらっしゃるんじゃないかなとちょっと印象があったので、一応ちゃんと審議官からお答えいただきました。

 次に、では、先ほど申し上げた高額商品取引というと、偽ブランド品や偽物の販売が多いと思います。ネットオークションとかネット通販などで購入するときは現物を確認できませんね。現物が送られてきた後で気づく場合が多い。数年前に発生したグルーポンを利用したお節のネット販売などは、お節そのものは送られてきたけれども、そのクオリティーが非常に、見本に到底及ばなかった。フェイク販売とこれも言ってもいいと思います。お節の場合は景品表示法違反で改善を求める措置命令が出されたと承知していますが、これは、たまたま全国的なニュースになったので、翌年以降は被害を聞かなくなっただけだと思いますよ。

 通常の場合、やはり措置命令だけでは十分とは言えません。こういった場合、偽物などに気づいた時点から遡及的に、遡って刑事罰を適用して処罰できるようにする必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

井上国務大臣 デジタルプラットフォームを介したネット通販を含む通信販売については、特定商取引法に基づいて行政処分や刑事罰の対象となっております。

 実際、大手デジタルプラットフォーム事業者が提供するオンラインマーケットプレースにおいて、例えば、過去に偽ブランド品を出品して販売していた通信販売業者十三事業者に対して、令和二年四月に、消費者庁として、特定商取引法違反を認定し、業務停止命令等の行政処分を行っております。

 なお、販売業者が特定できない等の理由により処分が困難な場合には、新法案に基づく利用停止の要請を行うことなどによって消費者保護を図ることとしております。

 今後とも、特定商取引法に違反する行為に対しては迅速かつ厳正に対処することに加え、新法案が成立した暁には、新法案に基づく制度を活用すること等により適切に対応してまいります。

吉田(統)委員 大臣、ありがとうございます。

 大臣、犯人というか被疑者が分からなかった場合ということを今おっしゃられた、答弁。それはどうして分からなかったかということを、大臣じゃなくても、審議官でもいいですから、ちょっと教えていただけますか。どういうケースでそうなっちゃったんですか。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 個別事案につきましては、法執行の関係でございますので、お答えを差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

吉田(統)委員 個別事案じゃないですよ、例示してくれればいいんですよ。何を言っているんですか。何が原因でと聞いた。個別事案なんか聞いているわけじゃないでしょう。

 ちょっと審議官、さっきからちょっと答弁を聞いているとむちゃくちゃですから、ちゃんと答えてください。どういうケースでという例示をしてくれと言っているんです。個別の話を聞いているんじゃないですよ。何を言っているんですか。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 表示内容が虚偽といった場合ですとか、そういった場合に当たろうかというふうに思います。(吉田(統)委員「聞こえない、もう一回」と呼ぶ)偽ブランド品を出品していたというケースなど、表示が偽りだったというケースがそれに当たろうかと思いますが、実際、事業者が、販売業者等が間違った住所等を登録していたという場合には特定できないということがあり得るということでございます。

吉田(統)委員 最初からそうやって答えればいいじゃないですか、大臣の答弁に対して聞いているんだから、大臣に恥をかかせちゃ駄目ですよ、本当に。

 じゃ、次へ行きますよ。

 次の質問ですが、一定期間、偽物を売りまくって退会して逃げちゃって、また違うショップ名で出品を繰り返す、こういった業者もたくさんいるんですよ。こういったBないしCに対してデジタルプラットフォームが、今の話じゃないですけれども、追跡する義務を課すこと及びデジタルプラットフォームの被害者に一定の補償の仕組みの構築をすることが必要だと思いますが、大臣の見解を求めます。

井上国務大臣 新法案第五条の開示請求は、販売業者等が取引デジタルプラットフォームから既に退店している場合であっても対象となり、取引デジタルプラットフォーム提供者は消費者による開示請求に応じる義務があります。

 このため、新法案第三条では、取引デジタルプラットフォーム提供者が販売業者等の正しい身元情報を取得、保有しておくよう、必要に応じ、販売業者等に対し、所在情報等の提供を求める措置について努力義務を課すこととしております。今後、新法が成立した暁には、当該措置が十分機能しているか、官民協議会などを通じ、確認してまいります。

 一方、補償につきましては、当事者間の交渉の余地や制度の運用方針によっては、必ずしも被害を受けた消費者の救済に効果的でない場合も考えられるほか、補償財源を誰が負担すべきかという問題もあり、一律の義務化は難しいと考えています。

吉田(統)委員 そこが問題なんですよね。義務化していかないと、デジタルプラットフォームはいつまでも他人事になっちゃうんですよね、当たり前ですけれども、大臣。

 テクニカルな話ですから坂田審議官に聞きますけれども、じゃ、今の答弁を受けて、努力義務ということですが、何をもって所在地とかを確認していくんですか。会社の登記簿とかそういうものなんでしょうか。どうやってちゃんとその確認をしていくのか、教えてください。

坂田政府参考人 公的な、例えば免許証ですとか、そういったところで確認をするということになろうかと思います。

吉田(統)委員 免許証ですか、自動車の免許証で一律に確認をするんですか。それ以外はないんですか。本当に大丈夫ですか。今の答弁にちゃんと責任を持たれた方がいいですよ。免許証だけですか。

坂田政府参考人 失礼しました。

 個人事業主であれば免許証などということになりますし、法人であれば登記事項証明書などということになろうかと思います。

吉田(統)委員 審議官、大丈夫ですか。ちょっと御答弁、非常に不安定です。大臣もびくびくして座っていらっしゃるんじゃないかと思いますよ、こんなんじゃ。あえて大臣に私は恥をかかせないように審議官に今聞いて、だって、それはテクニカルな問題だから、大臣は分からないだろうから。それなのにこんな答弁じゃ、ちょっと大臣がかわいそうですよ。かなり細かく僕はレクしてありますからね。一字一句、ほぼ僕は読み上げてレクしてありますから、ちゃんと答えられるはずです。

 じゃ、次に行きますね。次に、オークションサイトにおける取引の保護についてのシステムの規制について伺います。

 まず、我が国のオークションサイトにおいて、時間延長による価格の不当なつり上げが起こっているということがよく指摘されています。

 アメリカのイーベイは、オークションに時間の延長はないんですよ。それまでに、決められた時間の中で最も多くの金額を入札した人が落札できる、入札者が落札できる、いわゆる買手に有利な条件となっています。

 また、二〇一七年の八月に、イーベイの担当者は、利用者から自動延長を導入すべきとのコミュニティーサイトでの意見に対して、自動延長があると終了時間が決まっていないので、画面上に延々と張りつかざるを得なかったり正当な競争が担保されなかったりすることなどが問題だとして、混乱を招くため、自動延長を導入しないことを明言しています。これは至極もっともな意見です。

 しかし、日本、例えば、ちょっと例示して申し訳ないんですけれども、ヤフーオークションとかだと、終了五分前以降に入札があると、その度に五分の延長が発生します。更に入札があれば更に時間延長が発生と、延々とやっていくんです。もし入札が止まらなければ、際限なく自動延長がされて落札金額がつり上がる制度となっています。これは、出品者にとっては非常にありがたい制度かもしれませんが、価格がつり上げられること、そして、イーベイが指摘するように、終了時間が決まっていないので、画面上に延々と張りつかざるを得なくなったり正当な競争が担保されないおそれがあって、消費者保護の観点から非常に問題であると考えます。

 こうした時間延長による価格のつり上げに関して、今回の法案では対処できないように思いますが、大臣、何らか規制するお考えはありませんか。

井上国務大臣 まず、個別の企業が提供するサービスの是非について、この場でお答え申し上げることは適当ではないと考えております。

 その上で、一般論を申し上げれば、一般的には、オークションとは出品者が契約交渉の相手方となる落札者を選ぶ手続であり、実際に契約が締結されるかどうかは落札者の決定後の当事者同士の交渉に委ねられます。このように、落札後の契約交渉からの消費者の離脱を不当に拘束するものでない限り、オークションの具体的な設計については主催者の裁量の範囲内と考えられます。

 御指摘のように入札時間が自動延長される仕組みについては、入札を諦めれば離脱は可能なのであって、落札後の契約交渉からの離脱を制限するものではなく、直ちに不当であるとは言い難いと考えています。

吉田(統)委員 いやあ、この法律を出してきて今の大臣の御答弁では、これは余り消費者保護をする気がないというふうに判断されちゃいますよ。大臣は役所が作った文章を読まれているだけだと思いますけれども、これはひどい答えですね。いやあ、びっくりしました。これは本当に大きな問題だと思いますよ。こういうところに対応しないから、今回の法案は不備がいっぱいあると言われちゃうんですよ。

 坂田審議官、今の大臣の答弁でいいんですか。全く、じゃ、今の大臣の話を簡潔に申し上げると、もうサイトにお任せ、オークションサイトにお任せだから好きなようにやってちょというふうに聞こえるんです。坂田審議官、それでいいですか。これは大事な問いですよ。

 私は、ヤフーだけの話をしているんじゃないです。システムとして、大臣じゃなくて審議官、これは大丈夫ですか、個々の具体的な話を言っているんじゃなく、私は例示しているだけなんです。ただシステムとしての例示なので、そういうシステムがいかがかと聞いているんです。坂田審議官、本当にこれは適正ですか。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 消費者側からとすれば、何としても落札しようと熱くなって消費者が意図せず高額で落札してしまう事態を防止することは、委員御指摘のとおり、重要なことというふうに理解しております。

 今後、必要に応じまして、オークションの主催者による仕組みの透明性の確保や消費者による節度ある利用などについて、呼びかけを官民協議会の場などを通じて行ってまいりたいというふうに考えております。

吉田(統)委員 大分ましな答弁でしたね。

 大臣、ちょっとこれは、今の審議官の答弁と大臣の御答弁、整合性を取ると、立派な大臣で私は尊敬していますけれども、大臣はこの法案に興味ないんじゃないかというように取られちゃいますから、しっかりとお願いします。

 じゃ、次も審議官に聞きますが、何でこういった問題を提起するかというと、さっき、くしくもおっしゃいましたけれども、熱くなっちゃう人がいるわけですよ。その中で、今回も問題になっている成り済ましがいっぱいいるんですよ。自動延長システムで、売手が入札者に成り済ますケースなど、散見されるんですね。つまり、売手ないし売手の関係者が入札者に成り済まして、終了直前に少しだけ高い価格を入れて、それを繰り返す、落札価格のつり上げ工作をしている例がある。これはもう有名な話ですよ。

 ネット上でも、自分が最高値をつけ、あとは終了時間を待つだけというときに、別の人に高値をつけられてしまい、かなりいらっとした、そこで、競争心が芽生え、ついつい熱くなってしまって、更に高値で入札する、気がつけば予定外の高い価格で落札してしまったと。

 確かに、大臣がおっしゃるように、自己責任と言ってしまえば、冷たくそう突き放してしまえばそれでいいと思うんですけれども、ただ、こうした売手やその関係者による入札、これも成り済ましなわけですね。こういったものも指導やデジタルプラットフォームによる自主規制などが必要と考えますが、審議官、どうですか。

坂田政府参考人 一般論として申し上げますと、出品者が価格をつり上げるため自身が出品したオークションについて入札を行うこと、いわゆるつり上げ行為は、基本的にはどのオークションサイトでも利用規約上の禁止行為とされており、オークションの主催者は、こうした行為を排除し、取引の場としての信頼性を高めるため、日々、創意工夫を生かして取り組んでおられるものと理解をしております。

 一方で、オークションサイトでは、日々、膨大な数の取引が行われている中で、出品者が第三者に依頼して入札させるなど巧妙な手口を用いるなどの場合もあり、不正であるかどうかの判断には困難が伴うことも多いのではないかと考えられます。

 このように、各オークションサイトが共通して定めている禁止行為を巧妙にすり抜ける悪質な出品者への対処については、関係者が共同して対処することが有効な場合もあるものと考えます。

 消費者庁といたしましては、不正行為の広がりや消費生活相談等の状況を注視するとともに、構成員からの提案があれば、官民協議会でも取り上げていくといったことも検討してみたいというふうに考えております。

吉田(統)委員 審議官がおっしゃるとおりで、ちゃんとやってほしいんですけれども、膨大な量があって、なかなかそれは難しいんですよ。だから、終了時間をイーベイみたいに終わらせちゃえば、こういう問題は発生しなくなるわけですよね、つまり、システム上はね。システムエラーなんですよ、これはシステムエラー。

 ですから、私は、個別具体的なことを申し上げているんじゃなくて、そういうところ、一般論としてこういう問題が起こっているところに関しても消費者庁がちゃんと対応していったらどうかという話をしているんです。

 だから、結論として、そういうシステムエラーがある場合に関しては、消費者庁はちゃんと指導された方がいい。だから、例えば、こういう延々と時間が延長していくシステムに関しては、今おっしゃった、サイトでも禁止されているような行為が起こる要因となり得るから是正したらどうかとか、そういうことを消費者庁が指導したらどうかという趣旨のことを言っているわけですが、審議官、どうですか。

坂田政府参考人 委員御指摘のことも踏まえまして、官民協議会の場等々で取り上げてまいりたいというふうに考えております。

吉田(統)委員 審議官、ちゃんと取り上げて、しっかり御検討いただくということでいいですね。うなずいていただければ結構です、そこで。はい。深くうなずいていただきました。ありがとうございます。

 次に、もう少し。では、要は、本当に日本のオークションサイトは、全体的に見ていて、私も今回すごく調べたんですけれども、知らないことがいっぱい出てきたんですが、取消し機能というのにも問題があるんですよね。

 例えばヤフオク、例示しちゃって申し訳ないんですけれども、代表的なサイトですからお許しいただいて。出品者サイドは、出品取消しシステム利用料五百五十円を払うことで、入札者がいても出品取消しができるシステムとなっているそうです。一方、入札者による入札取消しに関しては、入札者が出品者に依頼し、出品者がその旨を承諾することで取消しができますが、実際に出品者が取消しを承諾するかどうかは出品者の判断にかかっていますと。

 こうした売手が優遇される傾向が強いオークションサイトのシステムは、例えば、売手の希望額に届かないと終了直前に突然オークションの取消しを行う売手や、あるいは入札者に成り済ました売手などが散見されるんですが、こうしたシステムに対して、これは明らかに不公平な状況になっているようなんですね。私も今回初めて知ったんですが、こういった部分に関しても、やはり消費者保護という観点からすると問題じゃないですか。指導とか、大臣、行われませんか。

井上国務大臣 個別の企業が提供するサービスの是非について、お答え申し上げることは適当でないことについては既に申し上げたとおりでありますが、一般論として申し上げれば、出品者の場合、入札者とは異なり、商品の現物を用意する必要がある上に、商品の破損や紛失などにより、やむを得ず取引が不可能となる場合もあると考えています。

 このように、出品者と入札者では事情が異なることを考えると、取消しのポリシーが異なることについて、一概に不合理であるとまでは言えないと認識しています。

吉田(統)委員 かわいそうだと思いますよ。入札者は何らかの事情があってもできなくて、売手の方はもう、破損したのかどうかも分かりません、何も明示せずにできちゃうわけですよね。明らかに不公平。

 だから、別に売手がいつでも取り消せる制度は構わないかもしれないけれども、では、買手の方もいつでも取り消せるようにしてあげないと不公平だと思いますが、審議官、どうですか。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 落札は契約そのものではございませんけれども、特定の出品者から特定の商品を購入することを希望して入札する以上、落札者となった場合には取引の成立に向けて行動する一定の信義則上の義務を負うということでございますが、そういった誤った入札により利用者間のトラブルが相次ぐようであれば、消費者やオークションサイトの主催者に対して適切に注意喚起を行うといったことも考えてまいりたいというふうに思っております。

吉田(統)委員 おっしゃるとおり、オークションも、成立しちゃえば契約が成立したとみなされるんですよね。入札しただけの時点の話をしているんです。だから、クーリングオフみたいなものです。クーリングオフより、より前段階ですよね。ただ、そこでも入札を取り消さないということはおかしいんじゃないかということですよ。

 審議官、もう一回私の話をよく聞いていただいて。落札した時点でそれを取り消すじゃないですよ。入札して、まだ入札時間が残っている中で、やはりやめた、何らかの事情があった場合にやめるということに関して、これはちゃんと細かくレクしてありますよ、それを取り消せないのは非常に不公平であり、さっきの出品者の大臣の答弁と比べると非常に、消費者、買手側の保護にもとるのではないかと、審議官、言っているんですよ。

坂田政府参考人 委員御指摘のとおり、オークションサイトの透明性の確保というのは非常に重要な御指摘というふうに思っておりますので、そういった観点から、必要に応じて、官民協議会の場でも御議論をさせていただければというふうに思っております。

吉田(統)委員 審議官、しっかりしてください。消費者庁さんがこういったところに目を向けてあげなかったら、誰が目を向けるんですか。消費者庁さんは正義の味方ですよ、消費者のために力を尽くす。井上大臣はその長ですよね。だったら、ちゃんと私が言っているようなことを、私が言っている話というのは消費者側の立場で申し上げていることですから、それをちょっと頭から否定をするような答弁をしたりするということは、消費者保護という思いがないというふうに思われてしまいます。聞いている人は、多分そう思っていますよ。ですから、気をつけてください。

 しっかりと対応する、官民協議会で対応してくださるということなので、審議官、本当にしっかりやってくださいよ。そうせよと言っているわけじゃなくて、ちゃんと議論をして、目を向けてくださいという話をしているわけですから。ちゃんとやってください。

 では、次に行きます。次に、CツーC取引において事業者と判断される売主、いわゆる隠れBの諸問題ですね。

 本法案がCツーC取引を対象にしないのは、もう皆さんがおっしゃっているところであります。消費者や予算委員会分科会でも、CツーC取引において、売主が個人であっても、反復継続して事業を行うなど、個人事業主に当たる場合があり、その場合には法の適用になるとしていますね。

 この隠れBは、消費者庁、経産省が策定したインターネット・オークションにおける「販売業者」に係るガイドラインでは、一、過去一か月に二百点以上又は一時点において百点以上の商品を新規出品している場合、落札額の合計が過去一年間に一千万円以上である場合には、特定の事情がある場合を除き、販売業者に該当すると考えられるとされています。

 消費者庁は、隠れBをデジタルプラットフォーム事業者が明確に判断できる新たな基準が必要としていますね。どのような判断基準を検討しているのでしょうか。大臣、御所見を伺います。(発言する者あり)

永岡委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

永岡委員長 筆記を起こしてください。

 井上国務大臣。

井上国務大臣 販売業者等に該当するか否かの区別は、営利目的であるか否か、反復継続的に同種の行為を行っているかどうかについて、個別具体の事情を総合的に考慮して判断をされます。

 消費者庁としては、本法律案が成立した暁には、販売業者等の該当性についての考え方を整理、公表するとともに、官民協議会の場を活用し、考え方の共有等を図っていくこととします。

吉田(統)委員 ちょっとずれちゃっていますよ、大臣。

 だから、官民協、図っていくはいいんですけれども、そもそも消費者庁は、隠れBをデジタルプラットフォーム事業者が明確に判断できる新しい基準を必要としている、そういうことなので、どのような判断基準を検討しているのかということを聞いているんです。

 これから検討で、じゃ、何も決まっていないんですか、審議官。

坂田政府参考人 委員御指摘のとおり、特定商取引法上の通信販売を行う販売業者の解釈指針として、インターネット・オークションにおける「販売業者」に係るガイドラインが存在しております。このガイドラインは、平成十八年に、当時のインターネットオークションの特性や消費者トラブルの状況等を踏まえて策定されたものということでございます。

 今般の考え方を検討するに当たっては、当時からの状況の変化や取引デジタルプラットフォームの特性を踏まえつつ、しっかりとした検討を行ってまいりたいというふうに思っております。

吉田(統)委員 もう一回、審議官、これは大事な話なので確認しますが、現時点ではまだ確たるものは定まっていないということですか。これから全部検討ですか。この法案が通ってから検討ですか。何か決まっていることはないんですか。

坂田政府参考人 先ほど大臣からも御答弁さしあげましたけれども、販売業者か否かというところの区別は、営利目的であるか否かということと、反復継続的に同種の行為を行っているかどうかについて、個別具体の事情を総合的に考慮して判断されるということでございます。

吉田(統)委員 委員長、全然答えていないですよ。

 審議官、僕は文章をほぼ読んであげてレクしているんです、答えやすいように。大臣に恥をかかせたくないから、大臣にしっかり答えてほしいから、私はほぼこの文章を読み上げてレクしてあげているんですけれども、どうしてこんなに答弁が不安定なんですか、本当に。ひどいですよ、今のも全然ずれちゃっているし。もうここを議論してもまた同じ答えでしょうから、ちゃんとやってください、それも。

 最大規模のヤフーオークションを例に取って質問させていただきましたけれども、私自身も使いますし、より消費者に寄り添ったデジタルプラットフォームになってほしいという思いを込めて、別に個別の企業を批判するわけではなくて、例示としてさせていただいたわけです。ヤフーオークションを含めて、全てのデジタルプラットフォームが消費者に寄り添っていただくことと、発展も祈念を私はしておりますので。

 では、次に行きたいと思います。時間がなくなっちゃったので、じゃ、これにします。Cに成り済ますBの問題の一つとして、契約申込みの撤回又は契約の解除の問題をお伺いします。

 まず、前提として、訪問販売のクーリングオフ制度というのは、国民生活センターのホームページによると、「いったん契約の申し込みや契約の締結をした場合でも、契約を再考できるようにし、一定の期間であれば無条件で契約の申し込みを撤回したり、契約を解除したりできる制度です。」とされています。訪問販売や電話勧誘販売など不意打ち性の高い取引では、つまり、こういったもの、不意打ち性の高い取引で冷静に判断されないまま契約してしまうことがあり、そのような取引から消費者を保護するものだと承知しています。

 一方で、通信販売にクーリングオフはありませんね。しかし、特商法十五条の三の対象となって、契約の申込みの撤回又は契約の解除は可能と承知しています。

 そこで、両者の制度は何が異なっていて、どうしてそうなっているのかをお答えください。(発言する者あり)

永岡委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

永岡委員長 筆記を起こしてください。

 坂田審議官。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 特定商取引法は、販売業者等が通信販売等の特定商取引を行う際に適用されるルールを定めた法律でございます。販売業者等に該当するかどうかは、個別の事案に応じて客観的に判断されるものでございます。客観的に販売業者等である場合には特定商取引法が適用されるため、例えば、事業者ではないと成り済ましている場合であっても、事業者が消費者と特定商取引を行った場合には法律の適用を受けることとなります。

 通信販売の相手方が事業者であるにもかかわらず、事業者としての法律上の義務を履行していない場合には、消費者庁としては、特定商取引法に規定された広告の表示義務違反や虚偽広告等に該当するものとして厳格に行政処分を行うとともに、通信販売のサイト等に関わるモニタリングや消費者のトラブル状況等を常時把握し、必要な場合には迅速に是正の指導を行っているほか、ホームページやツイッター等を通じて、消費者が通信販売を利用する際には特定商取引法に基づく表示等を確認することの重要性を普及啓発することにより、消費者被害の防止等を図ってきたところでございます。

 また、近時、取引デジタルプラットフォームを介した通信販売に係る取引も増加しているところであり、現在国会で審議をお願いしている取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案等の枠組みも活用いたしまして、取引デジタルプラットフォーム提供者とも緊密に連携しながら、こうした成り済まし事業者による消費者被害が発生しないよう、適切な取組を行ってまいりたいというふうに考えております。

吉田(統)委員 内容は分かるんですけれども、私が聞いたことには答えていませんよね、委員長。大丈夫ですかね。

 ちょっともう少し聞いていきますけれども、今回の法案で規定される取引デジタルプラットフォームを利用する取引は通信販売ですね。とすると、特商法十五条の三の対象になって、契約の申込みの撤回又は契約の解除が可能になることになります。しかし、同条は販売業者が申込みの撤回又は解消の対象とされているために、BがCに成り済ますと同条の適用対象外になるという問題が生じますね。

 このような問題に対して、じゃ、消費者庁は規制の必要についてどのようにお考えになっているわけですかね。(発言する者あり)

永岡委員長 筆記を止めてください。

    〔速記中止〕

永岡委員長 速記を起こしてください。

 坂田審議官。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 取引デジタルプラットフォームを介して通信販売を行っている事業者であれば、特定商取引法の対象になり得るということでございます。

 さらに、今回、今御審議いただいている法律案等の枠組みを利用して、プラットフォーム提供者とも緊密に連携しながら、成り済まし事案に対して適切な取組を行っていきたいというふうに考えております。

吉田(統)委員 ちょっと今、時間の確認をしていたので、ごめんなさい、しっかり聞けなかった部分があったんですけれども、じゃ、ちょっとごめんなさい、そこを前提で、例えば、BのCへの成り済ましが、審議官、後で判明した場合は、契約の撤回や解除の期間が経過してしまって消費者が損害を被る可能性もあると思うんですけれども、そういった場合は、消費者庁はどうやって消費者保護を図っていくお考えなんでしょうか。(発言する者あり)

永岡委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

永岡委員長 筆記を起こしてください。

 坂田審議官、恐れ入ります、時間でございますので、手短にお願いいたします。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の、BのCへの成り済ましが後から分かった場合につきましても、それが事実であれば、成り済ましの前に遡ってこの法律が適用されていくということでございます。

吉田(統)委員 そうですよね。時間が来ていますのでまとめますけれども、そうですよね、審議官。どうしてこれに答えがお詰まりになっちゃうんですか。この法案の審議、これだと採決とかできないですよね、こんな御答弁が続くようでは。だって、私が今確認したことって……

永岡委員長 時間でございますので、手短にお願いいたします。

吉田(統)委員 ええ、終わりますけれども、まだ本当はちょっとあると思うんですけれどもね、止まっているので。

 ちゃんとしっかりとこれは対応してください。そして、もう少しちゃんと委員からの質問に的確な御答弁を最後にお願いしまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

永岡委員長 次に、堀越啓仁君。

堀越委員 立憲民主党の堀越啓仁でございます。

 今回は、デジタルプラットフォーム取引に関する消費者の利益の保護に関する法律案についての質疑でございますけれども、まず冒頭、先日行わせていただきました一般の質問に対して、大臣から、消費者教育、特にエシカル消費、アニマルウェルフェア、動物への配慮等々について、重要な課題であるというふうに認識しておりますということで御答弁をいただきました。このことについてまず感謝申し上げるとともに、このエシカル消費に関わる普及啓発のチラシ、次期改定には動物の配慮ということを入れていただけるということで消費者庁の方からも御答弁いただきました。このことについて感謝申し上げるとともに、大臣の方から、さらに、ウェブサイトにも記載をしていくということを御答弁いただいております。

 かなり多くの国民の皆さんからも、一歩前進したねということで声をいただきました。ウェブサイトの更新等々については時間もコストも余りかからないというふうに思いますので、是非早い段階で更新をしていただけることをお願いして、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案についてなんですけれども、これも委員の方々、皆さんから御指摘あるように、この新しい生活様式、コロナ禍の中でオンラインを利用してのショッピングというのは、かなり多くの方々、今まではちょっと現物を見てから買った方が安心感があるなという方々もいらっしゃったと思います。私も実はそういう口でありましたけれども、しかし、いわゆるプラットフォーム事業が拡大していく中で、非常に利便性が高いということを認識した上でこれを利用されておられる方々、非常に増えてきているというふうに思っていますし、やはり便利ですよね、本当に便利だと思います。私も利用させていただいています。

 そんな中で、しかしながら、やはり消費者トラブルというのも増加傾向にありますし、デジタルプラットフォーム事業者における係争予防や解決に関する自主的な取組が、大手を中心にして一定程度行われているというふうに私は承知しておりますけれども、まだまだこのデジタルプラットフォーム事業をされておられる方々に対する消費者保護は、これは強化していかなければいけないというところでありますので、この法律案については非常に有益な部分も非常に多いとは思います。

 その上で、売主と買主が取引を行う場を提供しているこのデジタルプラットフォーム事業者の積極的な消費者保護の役割が求められるというところだと思います。

 まず、この場の提供者であるデジタルプラットフォーム事業者が果たすべき役割ですとか責任の在り方について、井上担当大臣の基本的な御認識を伺いたいと思います。

 あわせて、デジタルプラットフォームに出店している販売業者等や、利用者である消費者に期待される役割や責任の在り方についても、御見解を伺いたいと思います。

井上国務大臣 インターネット上の場である取引デジタルプラットフォームでは、取引に不慣れ又は悪質な販売業者などが紛れ込みやすいという特徴も相まって、消費者問題が発生しやすい環境が生じています。

 このため、取引デジタルプラットフォーム提供者は、場の提供者として、場を利用して行われる通信販売取引の適正化と紛争の解決の促進に関し、一定の役割を果たすべき立場にあります。

 本法律案は、このような基本的な認識に立って、取引デジタルプラットフォーム提供者が果たすべき役割を定めるものです。

 また、取引デジタルプラットフォームを利用して販売を行う販売業者等は、通信販売に係る事業者として、特定商取引法などの通信販売取引に関係する法令を遵守する義務を負っております。

 一方、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者については、本法律案及び特定商取引法などの関連法によって保護される立場にあるが、技術革新が激しい分野でもあることから、消費者基本法第七条に規定されているとおり、自ら進んで、必要な知識を習得し、必要な情報を収集することなどが期待されております。

堀越委員 今お答えいただいたように、デジタルプラットフォーム事業に関しては、もうかなり急速にいろいろな進化を遂げているところでありますし、新たなビジネスも生まれてきているというところで、先ほど大臣の御答弁にあったように、取引に不慣れな消費者というのは、これはいつ何どきでもいらっしゃると思いますし、コロナの渦中で利用者が増えているのは、これは今までオンラインでショッピングをされておられた方々だけではなく、世代を超えて、高齢な方々も、当然ですけれども、そういったものを利用されておられるというふうに思いますので、このデジタルプラットフォーム事業者にやはりその紛争解決の責務が私は求められるんだということがまず大前提で行われなければいけないというふうに思います。

 それと併せて、消費者教育ということも、エシカル消費、この間も質問させていただきましたけれども、この観点もやはり重要になってくるんだろうというふうには思っております。この辺りについては、ちょっとこの後質問をさせていただきたいと思います。

 次に、消費者庁が開催したデジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会で、今年の一月に取りまとめられた報告書において、「必要に応じて法令や指針を機動的に見直すことができるよう、消費者庁においては、必要な人材の確保その他の組織体制の充実を図るべきである。」とされております。

 やはり組織体制の強化、必要人材の確保、これも喫緊の課題だと私は思っておりますし、先日行われました参考人質疑の中でもそういった御指摘があったところであるというふうに思っています。

 仮に本法案が成立した際には、消費者庁は、指針案の策定であるとか利用停止等の要請、官民協議会の運営、消費者からの申出があった案件の調査という業務を、また多く担うということになると思います。

 デジタルプラットフォームは技術革新が激しい分野で、消費者を取り巻く環境も急速に変化をしていますし、消費者問題も非常に多岐にわたるというようなところでありますので、この対応を負う消費者庁、やはり組織体制の更なる拡充が私は必要だというふうに思っています。

 そこで、この法案が成立した場合、消費者庁がどのような専門的な人材等を確保して組織体制を強化拡充していくのか、今後の見通しを伺いたいと思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 消費者庁においては、従前より、多様な人材にその専門的な知見を生かして活躍いただいているところでございます。

 本法案が成立した暁には、法の運用がしっかりなされるとともに、適切に残された検討課題を検討できるよう、人事戦略という観点でも、より一層十分な対応をする必要があると理解しております。

 そこで、人事交流、研修の充実、職員の採用などの様々な手だてを活用して、組織として専門的な知見のある人材の確保に努めるほか、必要な体制の充実に取り組んでまいります。

堀越委員 御答弁いただいたとおり、そのとおり進んでいくことを私もお願いをしたいと思いますが、消費者庁、ただでさえ、かなりの仕事量がある中で、極めて小さい省庁になってしまっているというふうに思います。

 消費者は国民の皆さん、国民は全てが消費者とも言っていいわけでありますので、消費者に該当しない、完全自給自足でやっておられる方々というのはほとんど国民の中にはいませんので、そういった意味では、多くの国民の皆さんの権利をしっかり守るために消費者庁はもっと力をつけていただきたいという応援をさせていただきたいという立場から、この新たな人材の拡充と組織体制の強化、これは図っていただきたいというふうに思っております。

 そして、若干視点を変えて、先ほどの消費者教育の点についてのお話になると思いますが、デジタルプラットフォーム事業者に消費者保護の取組の強化を求めるのは、当然必要だというふうに先ほどからお話をさせていただいておりますが、やはり利用者の側、消費者の側も、このデジタルプラットフォーム上で取引を行う際には、必要な知識、情報、あるいは何かトラブルがあった際、あるいは疑問があった際の対応ですね、これを自ら取得することもやはり重要であるというふうに思っております。これは、消費者の教育の、啓発と教育というのが何よりも重要なんじゃないかというふうに思っているわけです。

 消費者庁は、消費者のデジタル化への対応に関する検討会を開催して、昨年の七月に、デジタルプラットフォームを介した取引の利用者向けガイドブックを作成するとともに、報告書を取りまとめております。

 報告書には、デジタル化に対する消費者の向き合い方の視点も重要で、デジタル技術の円滑な社会実装は消費生活の質の向上の観点からも是非後押しすべきであり、消費者がデジタルサービス等を賢く利用するために留意するべきことを分かりやすく発信し、伝える方策を考えなければいけないというふうにされております。

 そこで、伺いたいんですが、デジタル社会に対応した消費者教育の必要性について、消費者庁はどのように認識しており、今後どのように取り組んでいくのか。あわせて、来年四月からの成年年齢引下げを踏まえて、特に高校生等に関してはより実践的な消費者教育は必須でありますし、さらに、新しい生活様式として現在利用が拡大している高齢者に対しても、同様に消費者教育は必要であるというふうに思っておりますので、今後の取組について伺わせていただきたいと思います。

片岡政府参考人 お答えをいたします。

 社会のデジタル化につきましては、生活の豊かさや質の向上をもたらすものである一方、デジタルサービスの広がりに起因する消費者被害のリスクもございます。そのため、デジタルサービスの仕組みやリスクを正しく理解をし、賢い消費者として自立することを支援するための消費者教育が、ますます重要になってきているというふうに認識しているところでございます。

 消費者庁では、これまで、被害防止の観点からは、インターネット通販等の利用に当たって消費者が注意すべき事項について啓発資料を作成して注意喚起を行ってきているほか、現在、デジタル取引サービスに関連する最近の消費者トラブルの具体的事例をまとめた高等学校、大学等向けの啓発資料の作成も進めており、近日中に公表を予定しているところでございます。

 また、昨年十一月に、消費者教育推進会議の下に社会のデジタル化に対応した消費者教育に関する分科会を立ち上げて、消費者が身につけることが望ましい内容等について議論を行っているところでございまして、この分科会の議論をも踏まえて、今後、若年者、高齢者等を対象とした消費者教育の推進にも引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

 なお、特に若年者への消費者教育につきましては、令和三年度は成年年齢引下げ前の最終年度に当たりますことから、若者に対する消費者教育を更に強化するため、成年年齢引下げに伴う消費者教育全力キャンペーンを先般決定したところであり、関係四省庁とともに、消費生活上の契約、家計管理等に関する教育や、消費者被害防止に資する教育の取組など、地方公共団体、大学等、あるいは関係団体、メディア等を巻き込んだ取組を実施していきたいというふうに考えてございます。

堀越委員 若年層向けの具体的なところは出てきたんですけれども、高齢者に対する具体的なところは、もしお答えいただけるものがあれば、済みません、お願いします。

片岡政府参考人 お答えいたします。

 高齢者等に向けましては、既に地方公共団体などでも高齢者向けの支援をしているところはございますので、こういう取組の支援をさせていただいたり、あるいは、消費者庁の地方消費者行政強化交付金の中で、高齢者向けの消費者教育についても取組を支援していくというふうにしたいというふうに考えてございます。

堀越委員 高齢者向けの対応は、これはもう本当に急務だというふうに思っています。地方では買物難民という言葉が今増えてきている中で、オンラインを利用しての買物というのも、コミットされる方々、高齢な方々を中心にあるわけですね。

 しかし、消費者トラブル等々も、当然ですけれども、巻き込まれやすくなるし、詐欺の対象になってしまうであるとか、そういったこともありますので、御高齢な方々は、詐欺に遭っていること自体に気づいていないという方々も調査の中ではあるというふうに確認をしておりますので、是非、消費者教育の観点からも、高齢者への対応策、これはやはり必要なんだろうというふうに思っています。

 これはSNSもやはり同様で、インターネットをかなり我々は使うようになってきていますが、先日の参考人質疑の中でも、京都大学の経済学研究科の科長さんであります依田高典さんがおっしゃっていましたけれども、配付された参考資料の中に、私はなるほどなというふうに思った言葉があって、フリーランチは存在しない、いわゆるそんなおいしい話なんというのはないんだよということが書かれておりました。その中で、一番最後の方の資料にありましたが、無料メッセージの真の価格は月六百三十八円だと。

 今、フェイスブックやメッセンジャー、インスタグラム、ツイッター、いろいろなSNSツールがあって、我々議員もそれらを使っているわけですけれども、実際、その利用によって、あれは無料で登録できて無料で使える、それは何かをやはり対価として支払っているから無料で使えるわけで、そこはやはり個人情報を切り売りしているということにこれはつながっているということですね。

 これは、ある意味では、個人情報を切り売りしながら便利さを得ているというこの価格を試算するところによると、個人の情報漏えいの実質価格は月四百九十九円、個人情報提供の実質価格は月百三十九円で、合わせれば六百三十八円というふうになるわけですが、実際、無料とは言いつつ、それだけ、ある意味では、広告が出てきて、そこでターゲットに、自分で購買意欲をかき立てられるような広告を出してくる、そこでビジネスを回しているという実際があるわけですね。

 私も、完全に私ごとなんですけれども、今乗っている車が平成元年の車で、もう次は車検を通らないと言われているぼろい車なんです。なので、ちょっと車を買わなきゃいけないなと思って、グーグルで中古車を検索する。そうすると、フェイスブックのニュースフィードに車の中古車情報が載ってくるんですね。一回もフェイスブック上でそれを検索したことがないのに、そういうふうに広告が上がってくる。そうすると、やはり、よさそうなものがあるとそこでタップするわけですよね。そうやって情報をいわゆるネットの世界では収集をして、それを利用してビジネスを行っている。

 実際、フェイスブックでニュースフィードというのがありまして、それをばあっと検索していて、興味ある記事とか写真があると、ぴたっと指を止めるじゃないですか。あれでもAIは判断をして、この人はこういうものが興味があるんだなということで、次から新しいそれに関連した情報が入ってくるような仕組みというのが既にあるので、このビジネスの世界、デジタルプラットフォームも同様に、消費者側に対するメディアリテラシーという、ちゃんとした適切な情報をしっかり把握できるのかどうかという教育というのは本当に重要なことだと思っています。

 特に、これから、今、テレビを見ている時間がインターネットをする時間よりも短いという世代は、これはまだいいんですけれども、高齢な方々や、あるいは私たちから少し上の、四十代から少し上の世代の皆さんには、やはり、実はそういう対応策が自分の中でも求められるという、それを知った上で利用するということが非常に重要になってくると思うので、これは消費者庁も挙げて、是非取り組んでいただきたいと思います。

 私の友達で谷口貴久という環境活動家がいて、日本全体を回りながら今の気候危機の状態を伝えている。その中で、今気候変動が起こっているか起こっていないか、これもメディアリテラシーの観点から、いや、気候変動なんか起こっていないんだ、そういうことも情報としてはばあっとたくさん出てくるんですね。しかし、その情報があふれている中で、自分が適切にその情報を処理して、客観的なデータに基づいて答えを導き出すということが非常に求められているんだと思うので、この谷口貴久というのは、メディアリテラシーを鍛えようという勉強会を開催していたりもするんです。結構多くの方々、特に、私も三人の子育てをしていますが、子供たちにやはり受けてもらいたいなという勉強会で、実際、反響を得ているわけですが、そういうところも本当に求められるということだと思っております。

 なので、消費者庁、是非、消費者教育、頑張っていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、またちょっと戻りますが、やはり、これもかなり多くの委員の皆さんから指摘があるように、CツーC取引における、いわゆる隠れBの問題についてであります。

 本法案というのは、BツーC取引を対象としていて、CツーC取引は対象としていないということでありますけれども、やはり現状の消費者トラブルの実態から考えても、非常に大きな私は欠陥を抱えているというふうに思っています。いわゆる先ほどから上がっている隠れBも、判断する基準というのが、消費者、販売業者、取引デジタルプラットフォーム提供者にとっても重要になると考えております。

 今現在、消費者庁の方ではそうした具体的な枠組みについて検討をしていかなければいけないということでの答弁がありましたので、重ねて私の方では質問をさせていただくことは差し控えさせていただきますが、ここをしっかりしていかないと、また新たな被害を生むことにもなるし、消費者側も、それこそCもBも混乱するということにつながりかねないので、是非ここはしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 また、実際、消費者が被害に遭っているような例に関しては、特定商取引法に基づいて厳しく行政処分をすることは当然ではありますが、ちょっと視点を変えて、私が関心を持っているのは、近年、シェアリングエコノミーというのが新たなビジネスとして注目が集まってきています。

 このシェアリングエコノミーというと、代表的なのは政府が今現在進めている民泊などが有名でありますけれども、私、しつこいようにアニマルウェルフェア、動物福祉ということを言っているんですが、その観点からでいうと、旅行や仕事でペットを預けなければいけないというときに、ペットを預かってくれる身近なシェアリングエコノミーというのもあるんですね。ドッグハギーという団体の皆さんからもお話を伺わせていただいたりもしましたが、そういうサービスがあるんです。

 そこで、今問題となっているというか、要望として上がっているのは、預かってくれる個人ホストの方が反復継続的に業務を行っている場合には、そういう方々も特定商取引法に基づいて自分の本名や住所を表示しなくてはならないのかという問題点が指摘されております。これに対してシェアリングエコノミー協会の方は、「プラットフォーム事業者においてトラブルの防止・解決のために一定水準のサポート体制を整備しているような場合には、シェアリングサービスにおける提供者個人について特定商取引法上の氏名等表示義務を適用しないことを明確化して頂きたい。」と消費者庁に対して要望していると承知しています。

 特定商取引法上の表示義務を個人が負う場合には、個人情報がさらされることとなり、このシェアリングエコノミーに対する萎縮、そういったことが懸念されているという観点からなんでしょう。シェアリングエコノミーを含めたCツーC取引の発展が阻害されるんじゃないかという側面もあるというふうに言われております。

 そこで、今後、このような経済発展に資する新たなビジネス展開を阻害しないような観点からも、隠れBの事業者性を判断する必要性も出てくると考えておりますが、消費者庁の見解を伺いたいと思います。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 今後、消費者庁として、委員御指摘のとおり、デジタルプラットフォームは今後ともイノベーションを生む可能性のある成長市場であることを踏まえまして、新法案の施行に向けて、関係各方面の意見を聴取しつつ、事業者、非事業者の区別の考え方について具体的に整理するとともに、施行後も、官民協議会の場を活用し、情報交換や協議を通じて考え方の共有等を図っていくこととしたいと存じます。

堀越委員 具体的に、整備、当然これはしなければいけないところだと思いますが、このシェアリングエコノミーの問題は、やはりシェアリングエコノミーの観点からすると、この隠れBに該当する事業者、個人事業者というのは、確かに反復継続的に行っている上で、更に信頼感を得ようとするならば、あえてそこは個人情報というか、しっかりと、例えばペットを預ける先を探すときに、どこの誰かも分からない人にお願いするということは基本的にはしないとは思うんですよね。

 なので、そこは、例えばそれでも反復継続的に利用されている個人の方がいるのであれば、それは、例えば自分の仕事に責任を持つであるとか、そういった観点からも個人情報を、名前を開示して、そしてしっかりと行っていくという力のベクトルは私は働くんじゃないかなというふうに思っておりますので、そういった観点と、あとは、確かにシェアリングエコノミー協会がおっしゃっているように、プラットフォーム事業者においてトラブルの防止、解決のために一定水準のサポート体制を整備しているような場合には、個人情報について氏名等の表示義務を適用しないことというのは、私は双方向で進めていくべきなのではないかなというふうに思っているんですね。

 それには、CツーCの取引や隠れBの問題等々にも発展してくるわけですが、やはり隠れBの具体的な整備というのは、これは確実にやらなければいけないことだというふうに思います。

 シェアリングエコノミー、これは私は環境の側面からも進めていかなければいけないことだと思うんですね。個人一人一人が物を何か有していなきゃいけないという時代から、物をシェアする時代に今だんだんと変わってきております。そうすることによって、生産するためのいわゆる環境に対するインパクトというのは最小限に抑えることができるということもあると思いますので、このシェアリングエコノミーの観点からすれば、こうした隠れBの事業者、事業者性を判断する必要性、これは確実にあるというふうに思っておりますので、ここも、大変だとは思いますが、消費者庁のお力だと思いますので、どうか進めていただきたいというふうに思っています。

 それから、これも先ほどからもお話が出ているので重複してしまって大変恐縮なんですけれども、取引デジタルプラットフォーム提供者は、取引デジタルプラットフォームを利用して行われる通信販売に係る取引の適正化及び紛争の解決の促進に資するため、措置を講ずるよう努めるものとしています。これは残念ながら努力義務というふうになってしまっているわけです。

 では、努力義務であったとしても、この自主的な取組を講じさせるために消費者庁は動かなきゃいけない話だと思いますので、そのデジタルプラットフォーム提供者に対して、消費者庁はどのようなことを努力義務と言っている範疇の中で行っていくのかということと、また、今回、努力義務になっておりますけれども、本来であれば、この措置は、私は義務として取引デジタルプラットフォーム提供者に課して施行していかないといけないというふうに思っているわけですが、消費者庁が勧告や命令といった行政処分を行っていく、そうすることで消費者が安心、安全に取引デジタルプラットフォームを利用できる環境が整っていくのではないかというふうに思っています。このような形で取引デジタルプラットフォーム市場を適正化していくことが、今後、消費者庁に求められる役割ではないかと考えておりますが、その辺りの見解を伺いたいと思います。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 取引デジタルプラットフォーム提供者は講じた措置について開示するものとされており、努力義務であるものの、措置や開示を適切に行っていないデジタルプラットフォーム提供者は消費者から信頼を失うことになりかねないことから、おのずと積極的な取組が行われるものと考えております。

 消費者庁としては、例えば、官民協議会の場における議論などを通じて十分な取組が行われているかどうかをしっかり注視し、取引デジタルプラットフォーム提供者による取組が十分でないときは、消費者利益の保護を図る観点から、法改正を含め、所要の措置を講ずることを検討してまいりたいというふうに考えております。

堀越委員 まともにやっていないところは信頼を失っていくので淘汰されていきますよということなんだろうと思いますが、信頼を失うまでにも被害を生む可能性だって十分あるわけです。

 また、法改正云々等は、これは時代が大きく変わったり、それこそ、デジタルプラットフォーム、デジタルの世界というのは急速に物事が変化していきますから、その時代に合った法律に改正するということからいえば、法改正していくというこの姿勢は、これは当然必要になると思います。

 なので、先ほど来の議論を聞いていても、この法案の不備等々はやはり指摘せざるを得ない部分がたくさんありますし、消費者庁は消費者の保護の観点で法整備を行わなければいけないということから考えると、やはりこの努力義務であるとか措置というところについては、まだまだ不十分な点があるのではないかなというふうに私たちは考えているところでありますので、ここの点についてはしっかり受け止めていただきたいというふうに思っております。

 これも先ほど尾辻議員の方からもありましたけれども、CツーC取引はやはり消費者問題の温床になりやすいという側面を持っているんですね。例えば、企業側が何か製品を作って売り出すとなったときに、リコールが生じた商品については、すぐそれを回収したり、停止させたりということが、処置ができるわけですけれども、このCツーC取引の中ではそれがやはり難しい部分というのが出てくる。例として先ほど尾辻さんも挙げていましたけれども、浮かない救命道具みたいなのが普通に売られる、これは命に関わる大問題ですよ。

 例えばアメリカであれば、シートベルト、チャイルドシートの一部分でリコールがあって交通事故が発生した場合には大きな裁判になってしまうような、そういう状況もありますし、これは人の命に関わるということについては、CツーC取引であったとしても、リコールが出ているものなのかどうなのかということは、デジタルプラットフォーム業者にその是正がやはり求められるんだと思っています。

 メルカリ等々については、リコール対象品の出品者や購入者を特定して注意喚起をしたり、対象製品が出品されている場合には削除したりするという自主的な取組を進めておりますけれども、私の知る限り、このような自主的な取組を行っているデジタルプラットフォーム事業者はほとんどないというふうに思うんですね。

 CツーC取引は、今回、本法案の対象とされていないので、内閣総理大臣が商品等の出品の停止等を要請することができませんけれども、重ねて言いますけれども、やはりCツーC取引において危険な商品等が流通して消費者の被害が拡大することを防ぐために、今後、消費者庁としてはどのように取り組んでいくのか。先ほどからお話しさせていただいているように、命の危険を生じるような製品もあります。このことについて消費者庁はどのように対応していくのか、伺いたいと思います。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 CツーC取引に限らず、危険な商品等の流通による消費者被害の拡大を防ぐことは重要な課題であると認識しております。

 そのため、各種の製品の規格基準等を所管する省庁において、安全の確保に向けた施策を推進しているところでございます。例えば、お尋ねのライフジャケットであれば、国土交通省で用途に応じた適切な使用に関する取組を行っていると承知しております。

 また、消費者庁においても、定期的な事故情報の公表、リコール情報サイトにおける情報提供等を通じ、御指摘のような危険な製品に関する情報を発信してきております。

 これらの取組によりまして、危険な商品等の流通による消費者被害の防止を進めていきたいというふうに考えております。

堀越委員 救命道具のことに関して言うと、私も、スタンドアップパドル、SUPというのをやるので、湖や海や川なんかにボードで浮いていることがあるんですけれども、そのときに救命道具を身に着けていなきゃいけないというものがありますから、製品を、例えばデジタルプラットフォームで見ていったりするわけですよね。

 そうすると、日本のいわゆる法律上はこの基準で認められているんだけれども、それよりも更に強力なものというのは日本の規格外になるわけです。それは、はっきり言って、アメリカの方から入ってくるような救命道具がそこで売られているわけですね。実際、それが一般的に割と出回っているんですよね。

 その中には、効果があるのかないのか、これは確かに、自分で判断してくれと言われればそうなのかもしれませんけれども、はっきり明確にしてもらった方が消費者としては分かりやすいというのも、これはやはりあると思いますので、CツーC取引の中で生じてくる危険な商品のものについては、もちろん、これはもう全てこうあるべきだというふうにかちっと決めるわけにはいかないという部分はあるとは思いますが、やはり具体的にしっかり取締りをしていただかないと、こういう問題というのは解決しないんじゃないかなというふうに思っております。

 時間的に最後の質問になってしまうと思いますが、いわゆる開示請求権の実効性についてになるんですが、本法案において、消費者が損害賠償請求等を行うために、取引デジタルプラットフォーム提供者が所有している販売業者等の連絡先などの情報開示を請求できる制度を、内閣府令で定める金額を超えるものに限り設けることとしております。

 昨年の四月、消費者庁が、アマゾンが提供するオンラインショッピングモールにおいて販売業者が偽ブランド品を本物であるかのように表示して販売していたことから、特定商取引法に基づいて行政処分を行おうとしたところ、成り済ましたり、身元情報を変更したり、身元の割り出せない決済手段等々、あらゆる手段を講じて逃げてしまった。消費者庁も、これはあらゆる手段を行使して調査したんだと思いますけれども、身元調査できなかったというような残念な例があります。

 今回、販売業者情報の開示請求権を設けたとしても、このような事態が私は発生してしまうんじゃないか、効果が薄いのではないかというふうに思っております。

 それを受けて、八月に、特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会報告書では、追跡可能性の確保をするために特定商取引法の見直しを含めた所要の方策を検討するべきであるというふうに言っていますが、この辺りについて、具体的にどのように対応していくのか、教えていただきたいと思います。

片桐政府参考人 お答えいたします。

 特定商取引法においては、通信販売を行う販売業者等は、広告に、その氏名、住所、電話番号などを表示する義務があり、違反した場合には、行政処分の対象となります。これらの表示義務は、デジタルプラットフォームを経由して行う通信販売についても及ぶものであります。

 御指摘の点については、政府部内で検討した結果、今国会に提出させていただいている特定商取引法等の改正法案におきまして、法執行権限を強化しているところでございます。

 消費者庁としては、こういった権限も用いて、引き続き厳正な執行を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

堀越委員 質問を終わりますけれども、トレースができるように強化をお願いいたします。

 ありがとうございました。

永岡委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案について伺います。

 四月九日の参考人質疑の際にも、各参考人から指摘された大変重要な点が、取引デジタルプラットフォーム提供者は単なる場の提供者ではない、責任を果たすべきだという御意見でした。取引提供者であり、同時に当事者でもあるという声もありました。消費者は、デジタルプラットフォーム提供者の利便性を認め、信頼して利用しているということです。

 消費者庁のデジタルプラットフォーム利用者の意識、行動調査でも、売主が直接販売するサイトよりプラットフォーム上の通販サイトを選ぶという消費者は七六・六%。理由は、信頼性や安心、安全面、確実性、慣れや利便性が挙げられているということです。

 そもそも、法律が、消費者の利益の保護を規定する法律なわけですから、消費者の立場で考えなければなりません。今日では、悪質なデジタルプラットフォーム提供者が存在をしておりまして、これへの対策が必要です。この間も、ヤフーオークションの裁判の事例もございました。

 そこで伺いますが、取引デジタルプラットフォーム提供者は単なる場の提供者ではないという御意見に対する井上大臣の御認識はいかがでしょうか。

井上国務大臣 インターネット上の場である取引デジタルプラットフォームでは、取引に不慣れな、又は悪質な販売業者等が紛れ込みやすいという特徴も相まって、消費者問題が発生しやすい環境が生じております。このような点に照らすと、取引デジタルプラットフォーム提供者は、何ら役割を負わない単なる場の提供者ではなく、場を利用して行われる取引の適正化と紛争の解決の促進に関し一定の役割を果たすべき立場にあります。

 本法律案は、このような認識に立って、取引デジタルプラットフォーム提供者が果たすべき役割を定めるものです。

畑野委員 河上参考人からは、Yというオークション、これはつまりヤフーオークションのことですが、の御紹介がございまして、名古屋高裁は、利用者が詐欺等の被害に遭わないように、犯罪的行為の内容、手口あるいは件数などを踏まえて、利用者に対して、時宜に即して、相応の注意喚起の措置を取るべき義務、これを負うんだということを述べてくださいました。

 そこで、次に伺います。第三条のデジタルプラットフォーム提供者の努力義務についてです。

 通常のデジタルプラットフォーム提供者の中には、既に、販売業者との連絡や、苦情を受けた際の調査などを実施しているところも当然ございます。今求められているのは、いわゆる極悪層と呼ばれるデジタルプラットフォーム提供者への対策だと思います。努力義務では措置を講じない、自主的取組が促進されない悪質なデジタルプラットフォーム提供者です。

 本法案が広く網をかけて悪質事業者の抜け穴を塞ぐようなものにするには、この極悪層について直ちに実態把握、そして検討がなされるべきだと思います。

 その点で、消費者利益の保護を十分に図るためには義務とするべきではないかと思いますが、その点、いかがでしょうか。

井上国務大臣 本法案の対象となる取引デジタルプラットフォームには、取引の対象、規模や態様において様々なものが含まれ、当事者同士の取引への関与も多様であります。消費者保護の観点から、規模や態様を問わず、幅広い取引デジタルプラットフォームを法の適用対象とする必要があるため、今般、努力義務を課すこととしました。

 取引デジタルプラットフォーム提供者は講じた措置について開示するものとされており、努力義務であるものの、措置や開示を適切に行っていないデジタルプラットフォーム提供者は消費者から信頼を失うことになりかねないことから、おのずと積極的な取組が行われるものと考えております。

 本法律案が成立した暁には、例えば官民協議会の場における議論などを通じて、十分な取組が行われているかどうかなど、取引デジタルプラットフォーム提供者の取組状況についての実態把握に努めてまいります。その上で、取引デジタルプラットフォーム提供者による取組が十分ではないときは、消費者利益の保護を図る観点から、所要の措置を講ずることを検討してまいります。

畑野委員 依田参考人、板倉参考人、増田参考人からも含めて、この問題が言われてきたわけです。自主的にやるところはいいんですよ、そうならないでしょう、協議会にも出てこないでしょう、そういうところを直ちに対応する必要があるということを、それぞれ参考人の皆さんは懸念をされ、訴えておられたということを申し上げたいと思います。

 悪質なデジタルプラットフォーム提供者として、例えば、情報商材だけを扱うデジタルプラットフォーム提供者があります。情報商材というのはいろいろありまして、インターネットの通信販売を通じて、お金のもうけ方や異性にもてる方法など、様々なノウハウを提供すると称するものです。国民生活センターのホームページでも、トラブルが多いと注意喚起がされております。

 この悪質な商法というのは、メディアの中でも、もう十年以上も前から被害が問題になっていることです。こうした商法であることを知りながら、この販売業者を集めてデジタルプラットフォームを提供している、これは情報商材の商法に加担しているのと同じである。参考人質疑でも、板倉参考人からは、どう考えても、その存在自体が極めて害悪であると厳しく指摘されておりました。

 なぜ、こうした消費者被害が食い止められないのか。悪質なデジタルプラットフォーム提供者に対しては排除や処分をしてほしいという声が現場の相談からも寄せられているということです。この点について、勧告、命令、罰則は必要ではありませんか。いかがでしょうか。

井上国務大臣 第三条の努力義務について、一部の取引デジタルプラットフォーム提供者の中には、今回の法案提出を前にして自主的な取組を進めるなど、既に先取りした動きが見られるところです。

 他方、悪質な取引デジタルプラットフォーム提供者という指摘がありましたが、取引デジタルプラットフォーム提供者の努力義務の取組状況については、官民協議会の場における議論などを通じて、十分な取組が行われているかどうか、しっかり注視してまいります。

畑野委員 この間の検討会でも実態把握や検討が十分でなかった、そうした極悪層というのは、今の努力義務では、彼らは基本的には効果はないわけです、守る気もないでしょうし、協議会にも参加しないでしょうからという参考人からの御意見があるわけですね。ですから、これはしっかりとした対策を考えていく必要があるということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 情報商材で、FXの、PIO―NETの話をこの間いたしました。二〇二〇年度でいっても、二〇二〇年十二月三十一日現在で相談件数が八百二十八件で、前年同期四百七十四件に比べ三百五十四件も増えているという紹介もいたしましたけれども、これは大問題になっているということです。私が言ったのは、FXだけでこれだけの相談が来ているということです。増田参考人に伺いましたら、現場での対応は本当に大変だというお話もされたところでございます。

 第四条について伺います。利用停止要請と表示等についてです。

 消費者庁のデジタル・プラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会、先ほどから言われている検討会、座長は先日来られた依田参考人です。そこでも議論になったのが、危険商品の流通です。海外製モバイルバッテリーから発火した例、先ほどもお話がございました。これは自宅が全焼したという大変な事例です。

 本法案では、これほど危険な商品が出品された場合でも、販売業者が特定不能な場合に限っており、さらには、直ちに利用停止や出品削除をしなければならないではなくて、これらを要請することができるというものです。

 これでは、デジタルプラットフォーム提供者が要請しなくて、さらに、販売業者から拒否されても、何も問題ないということになるのではありませんか。その結果、危険商品がそのまま流通し、消費者被害が継続する可能性もある。これで果たして実効性があるのか懸念が大きい、こういうことが参考人からも発言されました。危険な商品については取引停止措置、商品回収をすることを即座に販売店に伝え、デジタルプラットフォーム上での販売をすぐに排除していただきたいとの参考人の御意見もありました。

 本来はこれらの指摘が盛り込まれるべきですけれども、少なくとも表示について、確認です。安全でないということが書かれていないということを捉えないと、この条項は機能しないと思います。つまり、書かれていないことは、つまり非表示だということを含むものであるということを明らかにすべきではないでしょうか。いかがですか。

井上国務大臣 本法案第四条第一項第一号の表示と言えるかどうかは、表示上の特定の文章、図表、写真等のみから消費者が受ける印象、認識により判断されるのではなく、表示全体から消費者が受ける印象、認識により判断されます。つまり、明示的に表示された事項の内容がそれだけを見れば真実であるとしても、販売業者等が消費者にとってデメリットとなる事項を適切に表示しないことにより消費者を誤認させるものと認められる場合には、本法案第四条第一項の要請の対象となり得ます。

 したがって、例えば、安全でないことを記載せず、商品の安全性の判断に資する事項等を表示しないような、いわゆる非表示によって消費者が誤認する場合も、本法案に基づく要請の対象に含まれ得ると考えています。

畑野委員 しっかりそれも入れていく、含まれ得るではなくて、含まれていくというふうにしていただきたいと思います。

 それで、その第四条なんですが、利用停止については強制力のある仕組みにするように検討していただきたい。法改正を含め必要な措置を講ずるべきではないかと思いますが、いかがですか。

井上国務大臣 本法律案第四条の要請については、取引デジタルプラットフォーム提供者にとって、危険商品等の表示に著しい虚偽、誤認表示がある商品等を排除することは、安全、安心な取引の場としての自身に対する信頼性を高めることにつながること、要請に応じた取引デジタルプラットフォーム提供者を免責する規定を設けていること、要請について公表できることとしていることから、消費者庁からの要請に応じていただけるものと考えています。

 したがって、同条の要請の制度の実効性確保については、現時点では必要十分であると考えておりますが、本法律案の施行後、要請の実施状況について実態把握に努めるとともに、必要に応じて、更なる実効性の確保について検討を行ってまいります。

畑野委員 悪質なものについての調査そのものが不十分だというふうに言われてきたわけですから、それは当然なんですが、そういったことも含めて、既にちゃんとやれるところはできている、だから法律にも書き込むことができるのではないかという参考人の御意見は、私は大事な御指摘だというふうに思います。

 次に、第五条です。販売業者等情報の開示請求権についてです。

 消費者に損害が出て賠償請求を行う場合、デジタルプラットフォーム提供者が販売業者に情報の開示を請求するわけですが、その際の要件が、内閣府令で定める額、一定の金額以上と限定されております。

 そもそも、通信販売の取引額は少額で、その少額な被害について、消費生活センターに多くの相談が寄せられている点に配慮すべきだと思うんですね。とても裁判にはできないという方たちの相談なんです。

 少額の被害なら泣き寝入りせよというようなものではありませんか。一定の金額以上とした理由について伺います。

井上国務大臣 消費者の権利行使の実効性の確保という開示請求の趣旨からは、消費者が開示請求を行った後に訴訟や任意交渉等の具体的な権利行使のための行動を取ることが合理的と思われる金額とするのが相当です。加えて、取引デジタルプラットフォームを利用した通信販売取引の当事者ではない取引デジタルプラットフォーム提供者の事務処理負担が生じることにも鑑み、一定の金額の基準を設けることとしています。

 開示請求が認められる具体的な金額については内閣府令で定めることとなりますが、開示を受けて行われる販売業者等に対する訴訟や任意交渉等に消費者が要する費用、取引デジタルプラットフォーム提供者による事務処理の負担、取引デジタルプラットフォームを利用した取引における被害実態と取引金額の分布、他の消費者関連法令における金額設定の例、こういったことを踏まえて、バランスを考慮して定めてまいります。

畑野委員 現場からの意見がありましたように、高いとこれは行使できない法律になってしまう、十分に低廉にするべきだと思いますが、そのお考えはありますか。

井上国務大臣 取引デジタルプラットフォームを利用して行われる取引における消費者被害の実態に照らし、必要十分な、消費者が開示請求制度を利用できるよう、適切な額を設定してまいります。

畑野委員 是非、消費者の立場に立って決めていただきたいというふうに思います。また、御意見も聞いていただきたいと思います。

 特に問題なのは、デジタルプラットフォーム提供者が、開示するかどうかについて販売業者等の意見を聞くとしている点です。そもそも、特商法では、販売業者は住所などの連絡先を表示する義務を負っています。これが虚偽であったりすれば特商法違反になるということです。

 なぜ、違法な事業者に対して、情報を開示するかどうか聞かなくてはならないのでしょうか。

井上国務大臣 意見聴取手続を設けた趣旨は、販売業者等の手続保障という点、また、取引デジタルプラットフォーム提供者による開示の可否の個別具体的な判断に資するという点にあります。

 なお、第五条第三項に基づく意見聴取の結果、販売業者等が開示を拒絶した場合であっても、取引デジタルプラットフォーム提供者は、開示請求の要件該当性などを適切に判断し、適法な開示請求と認めるときは開示に応じなければならないと考えています。

畑野委員 ならないと考えていらっしゃるなら、そういうふうな法律にしていく必要があると思います。

 特商法で定められているわけですから、販売業者にきちんと表示をさせたり、虚偽の情報が表示されないように身元確認を厳格にすれば、消費者が開示請求する必要はなくなるはずなんですね。内閣総理大臣が策定する指針に盛り込む必要があると思います。

 しかも、現状からいいますと、相談員から販売業者に連絡した場合、大手の取引デジタルプラットフォーム提供者であっても担当者の対応やレベルがまちまちだという話を増田参考人からも伺ってまいりました。表示義務や開示請求について周知徹底をし、現場でしっかり運用されるように、担当者への教育、また取引デジタルプラットフォーム提供者への指導が必要だと思いますが、いかがですか。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 特定商取引法における通信販売業者等の表示義務につきましては、法令に違反する行為に対しては厳正に行政処分等を行うとともに、その制度の内容については消費者庁のホームページ等で周知を図っているところでございます。引き続き、周知徹底を図ってまいります。

 また、本法案に基づく販売業者等情報の開示請求権につきましても、本法案が成立した暁には、ガイドライン、逐条解説等によってその解釈基準等を明らかにしつつ、本規定の実効的な運用を図るべく、官民協議会の枠組みも活用しながら制度の周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

畑野委員 デジタルプラットフォーム提供者が講じた措置について情報開示が求められるわけですが、デジタルプラットフォーム上で消費者が分かりやすい場所に分かりやすく提示してほしいという御意見が参考人からありました。これは直ちに実施すべきだし、また技術的にも可能だと思いますが、いかがでしょうか。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 取引デジタルプラットフォーム提供者は、開示する情報を当該取引デジタルプラットフォームを利用する消費者にとって分かりやすい場所に示すことが望ましいと考えます。

 そこで、開示に関する指針においては、開示の在り方等について参考となるべきものを定めることを想定しており、消費者にとって分かりやすい開示を促してまいりたいと考えております。

畑野委員 これは消費者教育にもなるし、大事だという御意見がございました。

 次に、本法案では、先ほどから議論になっておりますが、CツーCが対象とならずに、課題として残されたということが参考人からも言われました。依田参考人からもおっしゃっていただきました。

 確認ですけれども、先ほどから議論になっていますが、隠れBは適用となるということでよろしいですね。

井上国務大臣 結構です。

畑野委員 確認ですけれども、そうすると、メルカリの場合はどういうふうになりますか。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 CツーC取引の場と称されているものであっても、売主が実態としては事業者、いわゆる隠れBである場合には、本法案の対象となり得るということでございます。

畑野委員 そこで、その基準については先ほどから議論になっていたと思うんですが、そもそも消費者には、Bなのか、Cなのか、隠れBなのかなどの情報をあらかじめ知ることは困難ですよね。判別もつきません。

 参考人の方からは、相談業務の中でも、ガイドラインを活用したことはないというお話がございました。それは別のガイドラインですが。この状況で、膨大なCツーCは対象外として残され、消費者被害は広がることになると思います。

 今後、対象とすべき検討を行う、法改正を含めた必要な措置を講ずるべきではないかと思いますが、いかがですか。

井上国務大臣 本法案は、取引デジタルプラットフォーム提供者に対し、自らが提供する場で行われる通信販売取引において消費者保護がなされるよう、販売業者等と消費者との取引関係を支える者として一定の役割を果たすことを求めるものです。

 売主が非事業者である個人の場合、すなわちCツーC取引の場となる場合には、売主である消費者と買主である消費者は対等の立場であることから、本法案の対象に含めることはしておりません。

 なお、CツーC取引の場と称されているものでも、売主が実態としては事業者、いわゆる隠れBである場合には、本法案の対象となります。

 その上で、売主が非事業者の個人である場合の買主の保護の責任の在り方については、場の提供者が果たすべき役割と併せて、別途、更なる検討が必要と考えています。

畑野委員 やはり消費者の立場で、この対応をしっかりとしていく必要があるというふうに思います。

 デジタル広告について伺います。消費者利益の保護の観点から措置を講ずるべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 デジタル広告の問題などの残された検討課題につきましては、検討会の報告書では、今後、実態調査等を進めた上で、いかなる主体に対してどのような規律を設けることが消費者の安全、安心確保のために実効的であるか等について検討すべきとされております。

 消費者庁といたしましては、消費生活相談や官民協議会での情報交換、申出など、様々なルートで寄せられている情報を基に実態を把握しつつ、鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。

畑野委員 これは消費者庁が注意喚起した例ですけれども、昨年、二〇二〇年十月七日の事案です。これは、楽天で安く購入したものをアマゾンで高く売ることで利益が出るというもうけのノウハウを伝える情報商材を販売した二社に対して、消費者庁が消費者安全法に基づき公表し、注意喚起をした。セレブリックとトヨマルという会社です。約六億二千万円を売り上げた。一日三十分で月収プラス十万円を可能にするとうたったが、利益を上げた客は確認されていない、こういうことですね。

 ですから、やはり、最初に申し上げたように、この間出ている大手のデジタルプラットフォームに対する信頼というのが国民の中にあるわけです。だから、そういうのを使って、もうかりますよと、こういう悪質なものが出てくるわけですね。それが今、SNS、国民生活センターでいったら、もうスマホでどんどん来ると。コロナの中で、みんな、どうしようというので、この間も言いましたけれども、副業とかもうけ話とか、もうそれに頼らざるを得ないという消費者の実態があるわけです。これをしっかり進めていく必要を求めたいと思います。

 最後に、特商法における契約書面の電子化について、この間、議論をしてまいりました。参考人質疑の中でこういう御意見がございましたので御紹介し、井上大臣の御所見を伺いたいと思います。

 板倉参考人からは、「日弁連も反対の意見書を出しておりますし、」「元々の規制改革会議の議論は、要するにオンラインで全部完結する英会話のようなものについて御意見があったということですが、なぜか法案が出てきたら全部になっている。今、増田参考人からもあったように、情報商材のマルチみたいな、悪魔合体みたいなものがデジタルで全部できますと。それに、成人年齢の引下げですよ。ひどくなるのはもう誰が見たって明らかなわけであります。」「是非、こちらは特商法等の審議もされると思いますが、慎重な議論をよろしくお願いいたします。」という意見です。

 増田参考人からは、「対面で勧誘をする訪問販売であるとか、それから成年年齢引下げを目前にした若者に対する連鎖販売取引については、このオンラインでの書面交付というのは一番懸念されるところだと思います。相談現場で非常に混乱が起きるというふうに思っております。」こういう御意見です。いかがですか。

井上国務大臣 特商法の書面交付義務、これは消費者にとって重要な制度でありますが、社会や経済のデジタル化を踏まえ、書面でなく電子メールなどにより必要な情報を受け取りたいという消費者のニーズにも応えるため、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の記載事項の電磁的方法による提供、例えば電子メールでの提供を可能とするものです。

 消費者団体などから、高齢者などデジタル機器に必ずしも慣れていない面もある方々への対応や、悪質業者に利用されるのではないかなど、不安の声が寄せられていることは承知しております。

 消費者庁としては、消費者団体などの御意見も十分に踏まえながら、決して消費者にとって不利益になることがないよう、政省令、通達などの策定過程において詳細な制度設計を慎重に行い、消費者の利便性の向上や消費者保護の観点から万全を期してまいります。

畑野委員 井上大臣からはそういう御答弁しかしようがないんですが、しかし、慎重な意見をということについては、それはせざるを得ないと思いますね。

 依田参考人がおっしゃっていたのは、「今後、デジタル化、オンライン化が、日本のデジタルトランスフォーメーションが進んでいく中において利益と費用を慎重に比較考量することが求められていて、よいところは伸ばし、悪いところは潰すという今後の方針で、より慎重に臨んでいきたいと思います。」というふうにおっしゃっているのは、本当に大事だと思います。

 慎重な対応を求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

永岡委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十九分開議

永岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一です。

 本日、大阪がついに千人を超えてしまうということだそうでございまして、本当に蔓延防止が機能していく必要があるかと思うんですが、店舗でお客さんに帰ってもらうのが大変難しいということがあるんですけれども、学校のとき、下校の音楽というのがありまして、政府が、何か音楽を決めていただいて、営業時間が十分ぐらいになったらその音楽を流してくれというようなことをすると、お客さんは帰らなきゃいけないなというふうに思うんじゃないかなというふうに思いますので、是非検討していただきたいなと思います。まあ、これはちょっと余談でございます。

 それでは、今日の取引デジタルプラットフォームの法案の質問をさせていただきたいと思うんですが、やはりこれは、消費者を保護するという点で前進をしているということで、私としては、いい法案として考えておりますし、消費者保護になるんだろうなと思うんですけれども、そのためには、やはりこの法案が消費者にとって自らを守る武器になるんだということを認識してもらわなければならないんだろうと思います。

 先ほど尾辻委員からも当てはめの質問をされましたのは、やはり消費者が、自分が今やっている取引がこの法案で守られているものに該当するのかどうかということが分かることが必要なんだろうと思いますので、質問の前提としてちょっと言葉の定義を確認させていただきたいと思うんですが、ここの条文の中に販売業者というのが出ていますけれども、販売業者というのはどのように定義されているんでしょうか。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 本法案の第二条第四項になりますが、「この法律において「販売業者等」とは、販売業者又は役務の提供の事業を営む者(自らが提供する取引デジタルプラットフォームを利用して商品若しくは特定権利(特定商取引に関する法律第二条第四項に規定する特定権利をいう。次条第一項第二号及び第四条第一項において同じ。)の販売又は役務の提供を行う場合におけるものを除く。)をいう。」ということでございます。

串田委員 先ほど冒頭で申し上げましたように、自ら消費者が、この法律は守ってくれるものかどうかということで、販売業者と個人、今回は販売業者なんだ、BツーCなんだということなんですけれども、今ちょっと定義を聞いてもよく分からないと思うんですが、普通、販売業者というのは営利の目的を持って反復継続して行う者というふうにいうんですけれども、今言った簡略的な説明でおおむね間違っていないでしょうか。

坂田政府参考人 委員の御指摘のとおりでよろしいかと思います。

串田委員 ここで言う営利の意思の営利というのはどういう意味でしょうか。

坂田政府参考人 営利目的であるかということでございます。反復継続的に同種の行為を行っているかどうかといったところになろうかと思います。

串田委員 営利は何かという質問なんですけれども、利益を得るでよろしいですか。

坂田政府参考人 御指摘のとおりだと思います。

串田委員 今、利益を得るということでありました。

 要するに、何でこんな質問をしたかといいますと、この法案は販売業者と消費者なんだ、消費者対消費者は今回は入らないんだという説明を受けているわけですが、その販売業者というものの国民のイメージが何かということなんですけれども、そうしますと、営利の意思を持って反復継続して販売した場合には、法人ではない個人もこれに該当するということで間違いありませんか。

坂田政府参考人 そのとおりでございます。

串田委員 先ほどメルカリの話が出ていましたけれども、メルカリというのは、使ったものとかいろいろなものを個人が販売しているんですけれども、これで、営利を目的として反復継続してメルカリで出品する場合には販売業者に入るんですか。

坂田政府参考人 販売業者等に入るということでございます。

串田委員 ですから、一般的に、販売業者というと、法人とか会社とか、こういうイメージがあると思うんですけれども、個人も、営利の目的を持って、メルカリは有償ですからね、利益を得るわけですよ、そして、反復継続というのは一回こっきりじゃなくて何回かメルカリに出店すれば、これは販売業者になるということになるのかなと、今の答えですと。

 それで、プライバシーの権利で消費者対消費者を入れないという話がありましたが、これは、情報を取得をする側だけではなくて、自らの情報を収集されないと思う人間に、予想に反して個人情報を求められるということも、やはりこれは気をつけなきゃいけないんだろうなというふうに思うんですよ。そうすると、メルカリの中で、販売業者は情報を収集されるけれども、メルカリに出店している個人は情報を収集されないんだと思われてしまっても、実はあなたは販売業者なんだよ、そういうふうに認定されることもあるわけですよね。

 メルカリを見ると、販売する個人も自分の自宅は知られたくないというような思いを持っている人はたくさんいるんですが、そこで、メルカリはどういうページを書いているかというと、らくらくメルカリ便を使うと双方の住所を知らせないでできますよというふうになっているわけですよ。

 そうすると、メルカリを利用する人は、出品者ですよ、出品者も、個人の情報は取得されないんだな、そして、販売業者と個人で、今回の法案は販売業者だけが対象であって個人は対象じゃないんだというふうにこれを公表していくと、実は、かなりの人たちが販売業者に認定されて、情報を開示しなければならない者になるのではないかという私は懸念を持っているんですが、その点については御検討されているでしょうか。

坂田政府参考人 情報開示の件につきましては、先生御指摘のとおり、個人事業者の場合は個人情報に当たるということもありますので、その辺りについてはしっかりと検討の範囲に入ってくるというふうに考えております。

串田委員 政府は簡単に個人事業者の場合はと言うんですけれども、自らが個人事業者だとは思っていないから私は申し上げているのであって、メルカリというのは、たくさんの人たちが利用していて、そして、一回こっきりということではなくて、何回も使っている人が私は結構多いと思うんですよ。そういう人はみんな、販売業者に該当する可能性が非常に高いから、そのときに、情報を開示しろと言われたらば、そんなつもりはなかったというトラブルが発生するのではないかということを私は懸念しています。個人事業者とか個人事業主と思っていないんじゃないかなと。

 ですから、相当この法案ができた後の公示に関しては気をつけていただきたいというか、そういうDPFに関してもしっかりと告知をしていただいて、勘違いが起きないようなことを業者にも申入れをしていただきたいというふうに思っております。

 ところで、出品業者が虚偽の連絡先を掲載することはあると思うんですが、これは避けられますか。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 販売業者等は、取引デジタルプラットフォームを利用して販売する場合であっても特定商取引法上の表示義務を負うことから、名称や住所、連絡先等に偽りの表示をした場合には指示や業務停止命令といった行政処分の対象となります。同法に違反する行為に対しては、引き続き、迅速かつ厳正に対処してまいりたいと考えております。

 また、本法律案では、新たに、取引デジタルプラットフォームの提供者は、自らが提供する場に身元を隠したり偽ったりする販売業者等が参入することを防ぐため、必要な措置を講じるとともに、講じた措置について開示するものとされております。これらは努力義務であるものの、措置や開示を適切に行っていないデジタルプラットフォーム提供者は消費者から信頼を失うことになりかねないことから、おのずと積極的な取組が行われるものと考えております。

 さらに、本法律案が成立した暁には、例えば官民協議会の場における議論などを通じて、十分な取組が行われるかどうかをしっかり注視してまいりたいと考えております。

串田委員 情報開示するに当たって、DPFに関しては虚偽であるかどうかというのはなかなか分からないと思うんですけれども、取りあえず、開示をするということでこの法案に関してはプラットフォーマーはその責任を免れるという理解でよろしいんですか。それとも、虚偽であるということに関しては、真正なものであるということを開示することの責任というものがDPFにあるという理解でよろしいんでしょうか。

坂田政府参考人 本法案の第五条に基づく開示請求は、取引デジタルプラットフォーム提供者が保有する販売業者等情報について認められるものであり、取引デジタルプラットフォーム提供者は、自らがその時点で保有する販売業者等情報を開示すれば足りることになります。

 仮に取引デジタルプラットフォーム提供者が本法案第五条に基づき開示した販売業者等情報が虚偽であった場合、その時点でほかに販売業者等情報を保有していなければ、第五条に基づく開示義務に違反することにはなりません。

 しかしながら、消費者が虚偽の情報のために販売業者等と連絡が取れないとなれば、当該販売業者等の身元を確認する必要があるものとして、当該取引デジタルプラットフォーム提供者は、本法案第三条第一項第三号に基づき、身元確認のための情報提供を求めることとなります。

 一方で、開示された情報が虚偽であって販売業者等と連絡を取ることができない消費者は、取引デジタルプラットフォーム提供者が身元確認の結果、販売業者等に関する真正な情報を取得したのであれば、改めて販売業者等情報の開示請求をすることが可能となります。

串田委員 今、虚偽の質問をさせていただいたんですが、場合によっては、虚偽ではない、だけれども電話が全くつながらない、よく、混み合っていて電話がつながりませんというアナウンスがあって、しばらく、いつまでたってもつながらない場合があるかと思うんですが、こういう、どの程度で連絡がつくような状況になるのかというのは、ある程度ガイダンスみたいなのがないと、虚偽ではないから示したんだというだけで、その連絡を受けないということもあり得るのではないか。

 何か、連絡が取れた場合には必ずそれに応対をするような結果が担保されないと、虚偽でないものだけを掲示するだけになってしまうのではないかと思うんですが、その点についていかがお考えでしょうか。

坂田政府参考人 本法案の第三条第一項第一号では、取引デジタルプラットフォームの努力義務として、「当該取引デジタルプラットフォームを利用して行われる通信販売に係る取引について、消費者が販売業者等と円滑に連絡することができるようにするための措置を講ずること。」というふうにされておりますので、委員御指摘の点につきましては、第一号の努力義務として取引デジタルプラットフォーム事業者が果たさなければいけないものというふうに考えております。

串田委員 今、まとめますと、虚偽であった場合にも、そして連絡がなかなか取れない場合にも、DPFの方がある程度その点についてしっかりと対応していかなければならないという法案であるということなんです。

 ところで、この条文の中で、苦情を寄せられた場合と書いてありますが、この苦情というのは、どういう場合であると開示をしなければならないという要件になるんでしょうか。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 消費者による販売業者等情報の開示の請求が本法案第五条に基づく適法な開示請求と認められるためには、第五条第一項本文及び第二項の要件を満たし、かつ第五条第一項ただし書の不正の目的によらないものである必要がございます。そのため、消費者から取引デジタルプラットフォーム提供者に対して販売業者等に関する苦情が申し入れられたとしても、当該苦情の申入れが第五条の要件を満たすものでない限り、取引デジタルプラットフォーム提供者は販売業者等情報を開示すべき義務は発生いたしません。

 なお、消費者の販売業者等に関する苦情が販売条件や役務の提供条件の表示に関する苦情である場合には、取引デジタルプラットフォーム提供者は、第三条第一項第二号に基づいて、当該苦情に係る調査その他の表示の適正確保のために必要と認める措置を講じることとなります。

串田委員 今、まとめますと、条文上、苦情という非常に抽象的な概念になっているのでお聞きをしているんですが、表示に関しては明確な対応がありそうなんですけれども、それ以外の場合には、不当な目的というふうに今御指摘されたんですが、不当な目的というのはどういう場合でしょうか。

坂田政府参考人 例えば、個人の事業者を不当に陥れる目的で情報開示を請求するような場合でございます。

串田委員 そうしますと、そういうことを立証するのも非常に問題でしょうから、消費者が何らかのクレーム、日常用語で言うとクレームがあった場合には、一般的には情報を開示するということになるという理解でよろしいですか。ここは、きっとトラブルが起きやすいと思うので、明確にお答えいただきたいと思います。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 第五条では、まさしく、消費者が売買契約又は役務提供契約に係る自己の債権を行使するためにといった限定がついております。

 さらに、そういった行使のために、当該販売業者等の氏名ですとか名称、住所その他の当該債権の行使に必要な販売業者等に関する情報として内閣府令で定めるものの確認を必要とする場合に限りといった限定がついておりますし、さらに、第二項では、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載し、又は記録した書面又は電磁記録を提出し、又は提供しなければならないとなっておりまして、その第一号では情報の確認を必要とする理由、それから、第二号としてその販売業者等の情報の項目、第三号で不正の目的のために利用しないことを誓約する旨といった文書等を提出する必要がございます。

串田委員 今、そうしますと、情報を求めるときには、何らかの書面をもって、それを情報開示してもらうためにはこういう理由が必要なんだとか、そういったものが必要になってきて、その中に不当な目的でないということが消極的な理由として入っているのかなとも思うんですけれども、そういう理解でよろしいんですか。

坂田政府参考人 御指摘のとおりでございます。

串田委員 開示をするときの理由というのは、具体的に言えば、何らかの、当該商品に対する欠陥とかあるいは問題点とかというものも指摘していかないといけないという理解なんですか。

坂田政府参考人 先ほど、第五条の第一項のところで申し上げましたけれども、売買契約又は役務提供契約に係る自己の債権ということでございますので、例えば商品を使っていてけがをしたといったような事実など、そういった債権に関わるところがあるということを取引デジタルプラットフォーム事業者が確認をするということがあろうかというふうに思います。

串田委員 実際は運用の中で蓄積していくしかないのかなと思うんですけれども、この法案ができた後、どういうことによって開示できるのかどうかというのが、例えば届くのが遅かったとか、商品の問題ではなくて、あるいは対応が非常に悪かったとか、そういう商品にまつわることではないサービス面においてのクレームというのも随分聞くわけですが、そういったようなことに対して開示ができるのかどうかというのは今のお答えだとちょっと分かりづらいんですけれども、そういったようなことのガイドラインとかというものを示しながら、これをうまく運用していただきたいなというふうに思っているわけでございます。

 先ほど、DPFの定義というものがどういうものであるのかというときに、ネット上の申込みで成立をするということを何度かお聞きをしました。その中で、解約という問題がネットで出てくるときに、解約だけは、ネットだとかメールではできなくて、電話でしてくださいというのもあるんですね。これはどういう事情なのか。

 まあ、いろいろトラブルが起きないようにという趣旨なのか、電話をするというのはかなり精神的にプレッシャーがかかるので解約しにくくなるという部分もあるのかなというふうにも思うんですけれども、電話でしか解約ができないというようなことというのは、これは、この法案との関係ではどのように対応したらよろしいでしょうか。

坂田政府参考人 先ほど第三条の第一項第一号について御紹介いたしましたが、「プラットフォームを利用して行われる通信販売に係る取引について、消費者が販売業者等と円滑に連絡することができるようにするための措置を講ずること。」ということでございますので、その具体的な内容については指針で定めますが、先生御指摘のような点についても当然関係してくるかというふうに思います。

串田委員 済みません、最後がちょっと聞こえなかったので、マイクに向かってもう一度。

坂田政府参考人 先生御指摘の点については、指針で具体的に努力義務について定めるということでございますので、その際に、当然、先生が御指摘されたような点についても指針で関係してくるものというふうに考えております。

串田委員 ネット上で契約をすることというものに重きを置いているのであれば、契約を終了するときにも同じ手続で行わせるということが私はやはり基本なのではないかなと。障害者の方もいらっしゃいますので、電話でしかできないというようなのはやはりこれはおかしいんじゃないか、申込みをするのがネットでできるんだったら終了するのもネットでできないと、そのときだけは話をしないとできないというのは私はおかしいんじゃないかなと思うので、そこの部分もしっかりと対応していただきたいなと思います。

 ところで、依田参考人に質問をさせていただきました。大変貴重な御意見をいただいたんですが、行動経済学から見れば、プラットフォーマーと消費者との間には圧倒的な差があるということでございました。そこで、大臣、この差を補う手段というのはこの法案でどのように満たされているのでしょうか。

井上国務大臣 御指摘のとおり、事業者である取引デジタルプラットフォーム提供者と消費者との間には情報、交渉力の格差があり、例えば、消費者は、利用規約をよく理解しないままに囲い込まれてしまう事態も生じます。

 利用規約は消費者契約であり、取引デジタルプラットフォーム提供者は、消費者契約法第三条に従って、消費者の権利義務その他の内容が明確かつ平易なものになるよう配慮するよう努めなければならないとされており、これが果たされるよう周知してまいりたいと考えています。

 さらに、巨大なプラットフォームに対抗する上での市場機能の活用について申し上げれば、本法律案は、取引デジタルプラットフォームを利用して行われる通信販売取引の適正化及び紛争の解決の促進に資するために取引デジタルプラットフォーム提供者が行う措置について開示させることにより、消費者の選択を可能にし、これによって取引デジタルプラットフォーム提供者による消費者の利益の保護の取組を促進させることとしております。

串田委員 質疑時間が終わりました。このように、紙をこうやって送っていただくのも営業で大変いいかと思うんですが、終了の音楽の方がまろやかじゃないかなと思いますので、御検討いただきたいと思います。

 ありがとうございました。

永岡委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 国民民主党・無所属クラブの井上一徳です。

 本日は、取引デジタルプラットフォームに関する法案について質問をさせていただきたいと思います。

 先週の金曜日に、依田参考人、河上参考人、板倉参考人、増田参考人から大変貴重な意見を伺いまして、基本的にはそれを基に議論をしたいと思います。

 特に、依田参考人は、政府の検討会の報告書を取りまとめられたということで、大変苦労されたというふうにお伺いしております。改めて敬意を表したいと思います。

 それでは、最初ですけれども、これはまず大臣に、基本的な認識として、新聞でもいろいろ報道されていますけれども、国民生活センターによると、二〇二〇年度のネット通販に関する相談は二十六万件を超えて、前年度を三万件以上上回ったということ、それから、今年は新型コロナウイルス禍の外出自粛で更に増える可能性がある、そういうような指摘もされています。いろいろなトラブルはあると思いますけれども、このデジタルプラットフォーム上の取引におけるトラブルについて、大臣としては、現状についてどのように認識されていますでしょうか。

井上国務大臣 取引デジタルプラットフォームは、情報通信技術の進展に加えて、新しい生活様式の下で、消費者の日常生活に不可欠な取引基盤としての地位を確立しつつあります。

 しかしながら、取引デジタルプラットフォームでは、誰もが売主として容易に参入できるという特性も相まって、危険商品が流通したり、販売業者が特定できず紛争解決が困難となるといった消費者トラブルも発生しております。

 例えば、消費生活相談におけるインターネット通販が占める割合は、二〇一九年には約二十万件と、全体の二割を超えています。そのうち、オンラインショッピングモールにおける相談事例には、商品が届かない、模造品であったなどの売主の債務不履行に関する相談や、発火、発煙した充電器や電化製品などの事故のおそれがある出品に関する相談、売主と連絡が取れないなどの事例が見られます。

 本法案は、こうした状況に鑑み、取引の場の提供者である取引デジタルプラットフォーム提供者に対し、消費者保護のために必要な措置等を実施することを求めるほか、危険商品の排除等に関し、内閣総理大臣が要請する仕組み等を設けることとするものであります。

井上(一)委員 ありがとうございました。

 デジタルプラットフォーマー、楽天とかアマゾンとか、よくそういった大手の名前は聞くんですけれども、では、実際に、取引デジタルプラットフォーム提供者、これを法案の対象としておりますけれども、この取引デジタルプラットフォーム提供者というのは現在どの程度存在しているのか、把握している範囲でお答えしていただきたいと思います。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 本法律案の対象となる取引デジタルプラットフォームには、オンラインモールやオークションサイトのほか、BツーC取引が行われる場合のフリマサイト、シェアリングエコノミーのプラットフォーム等といった様々な業態がございます。また、食料品、衣服、電気製品など物販を総合的に取り扱う場であるもののほか、アプリの販売、家事代行などのサービスの提供のような、特定の商品やサービスの取引に特化したものなどがございます。

 なお、デジタルプラットフォームの裾野は広く、今や様々な商品、役務、権利の取引に利用されているものが存在すること、また、本法律案の取引デジタルプラットフォームとは、サービスの一形態でございます。必ずしも取引デジタルプラットフォームの提供を専業としていなくとも、様々な事業者がこれを提供し得るものであること等から、事業者数については一概にお答えすることは残念ながら困難でございます。

井上(一)委員 できれば、イメージしやすいように、大体何百社とか何千社、そういった答弁もしていただけないかというふうにお伝えしたんですけれども、それもなかなか難しいというぐらい裾野が広がっているということだと思います。

 これはもう質疑の中でも出たかと思いますけれども、CツーCですね。今回の法案では、売主が事業者である場合を対象としておりますけれども、売主が消費者である場合には対象となっていない。メルカリなど、フリマアプリを介した取引においても消費者トラブルが発生していることを考えると、CツーCについても対象とする方向性も考えられたと思いますけれども、この点に関してはどういう検討がなされたのでしょうか。

坂田政府参考人 本法案は、取引デジタルプラットフォーム提供者に対し、自らが提供する場で行われる通信販売取引において売主が適切に消費者保護のための責任を果たすよう、販売業者等と消費者との取引関係を支える者として一定の役割を果たすことを求めるものでございます。

 売主が非事業者である個人の場合、すなわちCツーC取引の場となる場合には、売主は消費者を保護する責任を課せられていないことから、本法案の対象に含めることはしておりません。

 なお、CツーC取引の場と称されるものでも、売主が実態としては事業者、いわゆる隠れBである場合には、本法案の対象となります。

 売主が非事業者の個人である場合の買主の保護の責任の在り方については、場の提供者が果たすべき役割と併せて、別途、更なる検討が必要であると考えております。

井上(一)委員 法案では、事業者に対して、必要に応じて身元確認のための情報提供を求めること、これを取引デジタルプラットフォーム提供者の努力義務としております。ここは私も、努力義務ではなくて是非義務化してほしいという思いで、この間、四人の参考人にお聞きしました。

 依田参考人は有識者会議の検討会の座長で、本当に取りまとめに苦労されたと思いますけれども、依田参考人からは、「これでよかったという思いが半分ある一方で、これでよかったのだろうかという思いも他方で残り、じくじたるところもございます。」と、非常に取りまとめに当たって苦労された思いが吐露された発言だったと思います。

 そして、板倉参考人は、これは日弁連で検討した内容ということで、紛争解決という観点からは、やはり、身元確認についてちゃんとできていない人とは契約を結ばないということについて、勧告、命令、罰則というものを入れてはどうかという意見を組織としては出しているということでした。

 それから、増田参考人、消費生活相談員協会理事長ですけれども、このように言っておられます。

 特商法で定められている事業者の所在確認、所在を常に明らかにしておいて連絡がつくようにということは最低限やるべきことですので、その所在が分からないということは、それ自体はあってはならないというふうに思います。プラス、代表者の個人の住所などについては、やはり、請求の根拠などを確認した上で教えるかどうかというものはもう既にここに書かれていますので、そういうことであれば、それは義務になったとしても余り問題にならないのではないかというふうに思っております。

 ということで、この間の参考人の御意見も踏まえますと、やはり私は、もう一歩踏み込んで、情報提供については義務化する、そういったことについて措置した方がよかったのではないかと思うんですが、いかがお考えですか。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 本法律案の対象となる取引デジタルプラットフォーム提供者には、規模や態様において様々なものが含まれ、個別の取引への関与の程度も様々でございます。

 一方、今般の法律案は、消費者保護を目的としていることから、多様な取引デジタルプラットフォームを幅広く法の適用対象とする必要があるため、義務ではなく、努力義務を課すこととしたところでございます。

 ただ、努力義務であっても、取引デジタルプラットフォーム提供者にはそれに沿って措置を講ずることが求められ、その実施状況等について消費者に開示することとなっております。

 これにより、措置や開示を適切に行っていないデジタルプラットフォーム提供者は、消費者から信頼を失うことになりかねないことから、努力義務に沿った取組を促進できると考えております。

 なお、今回の法案提出を前に、大手デジタルプラットフォーム事業者を中心に、情報開示などにおいて自主的な取組が進められるなど、既に先取りした動きが見られ、こうした動きも注視してまいりたいと考えております。

井上(一)委員 事業者が信頼を失うというのは、これは当たり前なんですけれども、一番大事なのは、やはり被害に遭わないということなんですよね、消費者が。そこをやはり原点にすると、情報提供の義務、これはやはり検討してもよかったのではないかなと思います。

 まずは努力義務からスタートするということだったと思うんですけれども、この点については、是非、次の見直しのときには義務化、これについて真剣に検討していただきたいと思います。

 法案では、販売業者に対して、必要に応じ身元確認のための情報提供を求めるというふうになっているんですけれども、努力義務にするとしても、この必要に応じという言葉は、これは削除してもいいのではないかと思うんですけれども、どうですか。

坂田政府参考人 法律案第三条第一項第三号において、取引デジタルプラットフォームの提供者は、場の提供者という立場からの補完的な役割として、自らが提供する場に身元を隠したり偽ったりする販売業者等が参入することを防ぐため、必要な措置を講ずることが求められます。

 もっとも、取引デジタルプラットフォームには膨大な数の売主が存在する中で、消費者被害を発生させている売主は割合としてはごく一部にすぎず、それにもかかわらず、膨大な数の売主の全てについて身元確認の義務を課すと、消費者被害の防止のためとはいえ、著しく過剰であり、これに応じることができる取引デジタルプラットフォーム提供者はごく限られるものとなると考えられます。

 販売業者等が行う身元に関する情報の表示について、消費者や行政からの情報提供や自らによる監視活動などを通じて表示内容に疑義があることを把握した場合などにおいて、身元の確認を行うことが合理的であり、このような場合を念頭に、必要に応じ、確認のための措置を実施すべきことを努力義務としたところでございます。

井上(一)委員 この身元特定という観点で、板倉参考人、弁護士の先生ですけれども、この間の委員会ではこういう提言もしていただきました。

 現行の権限として、日本に対して、日本の消費者に対して継続して取引をするんだったら、登記義務があるわけです、登記をしてくれると、ほとんどのことは解決するんです、民事訴訟も起こせる、行政処分も出せるということで、これは頑張ってやってほしいと思いますということで、外国の企業に対して、とにかく登記をしてもらえれば、それによって身元が特定できるので、登記を頑張ってほしいという提言だったんですけれども、実際、登記については今現状どうなっているか、御説明していただきたいと思います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の外国企業、会社法では外国会社というふうに申します。会社法上、外国会社は、日本において取引を継続してしようとするときには、日本における代表者を定めなければならないということとされております。また、外国会社が日本における代表者を定めた場合には、三週間以内に外国会社の登記をしなければならないというふうにされております。外国会社は、外国会社の登記をするまでは、日本において取引を継続してすることができないとされておりまして、これに違反して取引をした者に対しては、過料という制裁がございます。

 会社法が定めるこの登記義務を遵守しないで事業を行っている外国会社が存在するのではないかという御指摘があることについては、法務省としても承知をしておるところでございます。

 ただ、登記をしないままで我が国で事業を行う外国会社の実態というのを把握することについてはなかなか困難を伴うものでございまして、今後、関係省庁と連携して、外国会社の登記義務の内容を周知するなど、その履行を促すための取組について検討してまいりたいと考えております。

井上(一)委員 なかなか実態を把握するのは難しいとは思うんですけれども、周知をして、やはり外国の会社に対しては、登記をしなければならないんだという、その情報をぜひ伝えていただきたいと思います。

 それから、板倉参考人は、もう一つの提言として、特商法の越境執行協力、外国の当局とのやり取りの条項が今度の特商法の改正では入る予定になっておりますので、これを使いこなしてほしいという提言もいただいています。この点についてはいかがですか。

片桐政府参考人 お答えいたします。

 越境的な電子商取引の取引規模は拡大をしておりまして、外国の販売業者等と日本の消費者のトラブルについても増加している中で、外国執行当局との情報交換がますます重要になってきてございます。

 このような状況を踏まえ、現在国会に提出している、消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案において、特定商取引法等について外国執行当局への情報提供に関する規定を新設することといたしております。

 これによりまして、消費者庁から外国執行当局へ情報を提供するとともに、外国執行当局との間で相互主義を確保して、外国執行当局からも情報の提供を受けられるようにするものでございます。

 今後は、このような改正法の仕組みも活用いたしまして、外国執行当局との連携を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

井上(一)委員 販売業者に係るガイドラインについて質問させていただきます。

 消費者庁と経済産業省で策定して、百点以上の商品の新規出品、それから一月の落札額の合計が百万円以上、落札合計一千万円以上であれば販売業者に該当するというふうに考えられますが、これからガイドラインを策定して、明確に判断できる基準を作られるというふうに承知していますけれども、どんな判断基準を考えておられますでしょうか。

坂田政府参考人 個人である売主が本法律案の販売業者等に該当するか否かの区別は、第一に、営利目的であるか否か、第二に、反復継続的に同種の行為を行っているかどうかについて、その者の意思にかかわらず、客観的に判断されるものでございます。

 もっとも、当該区分が困難である場合も考えられることから、今後、消費者庁としての考え方を明らかにしてまいりたいと考えております。

 その際には、ほかの消費者保護法の適用を受けるかどうかの判断にも共通し得るものであることや、法の潜脱を招きかねないことを考えると、ある程度幅を持ったものとせざるを得ないと考えられますが、消費者を装う悪質な販売業者を捕捉できるようなものとすることを考えております。

井上(一)委員 ちょっと時間がありませんので、質問を幾つか飛ばして、検討会の報告書では、「消費者庁においては、必要な人材の確保その他の組織体制の充実を図るべきである。」というふうに言われております。

 デジタルの分野は変化の激しい分野であり、技術に関する知識も必要となります。国がデジタルを進めている中にあって、消費者庁としても、人材の確保その他の組織体制の充実を図っていく必要があると思います。

 依田参考人はこうおっしゃいました。消費者庁において、専門人材の不足、これは確実に言える。特に、これから、消費者庁が発足して十年以上たちますが、リアル、オフラインからデジタル、オンラインの世界に移行はますます進んでいきますので、この消費者問題はますます増えていくであろうということで、やはり、専門人材、これを活用することが重要だという御指摘をされておりますけれども、組織の充実について、大臣、どういうふうにお考えですか。

井上国務大臣 消費者庁においては、従前より、多様な人材にその専門的な知見を生かして活躍いただいているところです。

 本法案が成立した暁には、法の運用がしっかりなされるとともに、適切に残された検討課題を検討できるよう、人事戦略という観点でも、より一層十分な対応をする必要があると理解しています。

 そこで、人事交流、研修の充実、職員の採用などの様々な手だてを活用して、組織として専門的な知見のある人材の確保に努めるほか、必要な体制の充実に取り組んでまいります。

井上(一)委員 特にデジタルに強い人材の確保をしっかり図っていっていただきたいと思います。

 では、最後の質問です。

 官民協議会、この官民協議会の役割は極めて重要になってくると思っているんですが、河上参考人がこうおっしゃっているんですね。プラットフォーマーを中心とした、取引のネットというかシステムを構築して、それをある程度支配し、影響力を行使しているような人たちには自らの責任を分担すべき義務があるんだという、ここから出発するんだということで、私は、やはり、官民協議会の中でも特に民の方々に、しっかり自覚を持って、責任感を持って、取引が円滑にいくように進めていってもらいたいと思っているんですが、この官民協議会、どのような役割を期待して、どのぐらいの頻度で開催していくか、その点についてお答えしていただきたいと思います。

井上国務大臣 取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益を保護するためには、官民の主体が連携して取り組むことが必要です。

 そこで、本法案においては、内閣総理大臣、取引デジタルプラットフォーム提供者を構成員とする団体、消費者団体などにより構成される官民協議会を組織することとし、悪質な販売業者等に関する情報の交換や、消費者の利益の保護のための取組に関する協議などを行うこととしております。

 官民協議会は、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護のための取組を効果的かつ円滑に行うという目的を果たすために、機動的に開催するとともに、様々な課題の検討にも官民協議会という枠組みを最大限活用してまいります。

井上(一)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

永岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 この際、本案に対し、柚木道義君外一名から、立憲民主党・無所属及び日本共産党の二派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。柚木道義君。

    ―――――――――――――

 取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柚木委員 ただいま議題となりました取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 今日、デジタル化が進む中で、新しい取引の場における消費者被害も生まれているという状況の中、取引デジタルプラットフォームを対象とする法律を制定すること自体は、一定の意義のあるものと考えます。

 しかしながら、政府案は、取引デジタルプラットフォームの取組について、努力義務にとどまり、また、内閣総理大臣による利用の停止措置も要請にとどまるなど、現実に、取引デジタルプラットフォームが消費者被害防止のために果たすべき役割の重要性に鑑みれば、不徹底な面があると言わざるを得ません。

 そこで、デジタル化による利便性と、消費者被害拡大の余地を広げないという観点を両立させるべく、本修正案を提出するものでございます。

 次に、本修正案の内容を御説明いたします。

 本修正案は、第一に、取引デジタルプラットフォーム提供者が講ずる措置について、努力義務規定を義務規定とし、その措置について販売業者等に関する情報の定期的な確認等の例示を追加し、取引デジタルプラットフォーム提供者が講じた措置の開示に係る勧告及び命令並びに罰則に関する規定を設けることとしております。

 第二に、内閣総理大臣による取引デジタルプラットフォームの利用の停止等について、要請から勧告とし、勧告に係る措置を取らなかった場合における命令及び罰則に関する規定を設けることとしております。

 第三に、政府は、この法律の施行後一年を目途として、以下の四点について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする旨の規定を追加しております。

 一点目は、販売業者等以外の個人が通信販売と同様の行為をする場合における消費者の利益の保護に関する制度の在り方、二点目は、この法律その他通信販売に係る規制における売主等が事業者であるかどうかを判断するための基準の在り方、三点目は、売買契約等における債務の不履行に伴い消費者に被害が発生した場合等における損害の補填に係る取引デジタルプラットフォーム提供者の役割、四点目は、外国法人等が提供する取引デジタルプラットフォームを利用して行われる通信販売に係る取引の適正化及び紛争の解決の促進に関する制度の在り方でございます。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同を心よりお願い申し上げます。

永岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入りますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、柚木道義君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

永岡委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決をいたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

永岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

永岡委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、穴見陽一君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本共産党、日本維新の会・無所属の会及び国民民主党・無所属クラブの六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。尾辻かな子君。

尾辻委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 売主が消費者(非事業者である個人)であるCtoC取引の「場」となるデジタルプラットフォームの提供者の役割について検討を行い、消費者の利益の保護の観点から、必要があると認めるときは、法改正を含め所要の措置を講ずること。

 二 本法第三条で、取引デジタルプラットフォーム提供者が努力義務として講ずるべきとされている措置等の実施状況について実態把握に努めるとともに、必要に応じ、消費者の利益の保護の観点から、更なる実効性の確保について検討を行い、必要があると認めるときは、法改正を含め所要の措置を講ずること。

 三 本法第四条の取引デジタルプラットフォームの利用の停止等に係る要請等の実施状況について実態把握に努めるとともに、必要に応じ、消費者の利益の保護の観点から、更なる実効性の確保について検討を行い、必要があると認めるときは、法改正を含め所要の措置を講ずること。

 四 本法第四条第一項第一号の著しく事実に相違する表示等の解釈については、商品の安全性の判断に資する事項等を表示しないことをもって消費者が誤認する場合を含むものであることを明らかにすること。

 五 本法第四条第一項第一号の「商品の性能又は特定権利若しくは役務の内容に関する重要事項として内閣府令で定めるもの」については、取引デジタルプラットフォームにおける消費者被害の実態を踏まえたうえで定めること。また、消費者被害の実態や情報通信技術の発展を踏まえて適宜検討を加え、必要に応じ機動的に内閣府令の改正を行うこと。

 六 本法第五条第一項の「内閣府令で定める額」を定めるに当たっては、取引デジタルプラットフォームを利用して行われる取引における消費者被害の実態に照らし、必要十分な消費者が開示請求制度を利用できるよう、適切な額とすること。

 七 デジタルプラットフォームに利用される情報通信技術は急速に進展し得るものであるため、本法第五条第一項の販売業者等情報を内閣府令において定めるに当たっては、消費者が自己の債権を行使するために必要かつ十分な範囲の情報が開示請求の対象となるようにするとともに、必要に応じ機動的に内閣府令の改正を行うこと。

 八 いわゆる情報商材等を取扱う販売業者等が参加する取引デジタルプラットフォームや、SNSを利用して行われる取引における消費者被害の実態の把握を行い、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずること。

 九 デジタル広告、不正又は悪質なレビュー、パーソナルデータのプロファイリングに基づく表示等の課題について、消費者の利益の保護の観点から検討を行い、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずること。

 十 外国会社との消費者被害の解決を促進させるため、関係省庁が連携して会社法第九百三十三条第一項第一号の定める外国会社登記における代表者登記義務を周知するとともにその履行を促すこと。また、関係省庁が連携して販売業者等又は取引デジタルプラットフォーム提供者たる外国会社の事業が不法な目的に基づいて行われた事案の把握に努め、そのような事案を把握したときには、会社法第八百二十七条第一項の定める取引継続禁止命令の申立てを検討すること。

 十一 CtoC取引を含めたデジタルプラットフォームにおける取引に関する紛争を効率的・実効的に解決するためのオンラインによる手続が可能な裁判外紛争解決手続(ODR)の提供について検討を行い、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずること。

 十二 本法の制定趣旨や各条項の解釈等について、消費者、取引デジタルプラットフォーム提供者、販売業者等、関係行政機関などに対して十分な周知徹底を図ること。

 十三 消費者が取引デジタルプラットフォームを適切に利用できるよう、デジタル社会において身に付けるべき知識を習得するための消費者教育を充実すること。特に、令和四年四月からの成年年齢の引下げの影響を受ける若年者や、「新しい生活様式」として利用が拡大している高齢者に対して積極的に取り組むこと。

 十四 デジタルプラットフォームに利用される情報通信技術の急速な進展に伴う消費者被害の複雑化・多様化や、海外の行政機関との連携の必要性に鑑み、消費者庁その他の関係省庁の予算、機構・定員を十分確保すること。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)

永岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 それでは、採決をいたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

永岡委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。井上国務大臣。

井上国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいります。

    ―――――――――――――

永岡委員長 それでは、お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

永岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十一分散会


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