衆議院

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第3号 令和6年4月9日(火曜日)

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令和六年四月九日(火曜日)

    午後二時五十九分開議

 出席委員

   委員長 秋葉 賢也君

   理事 小倉 將信君 理事 武井 俊輔君

   理事 中山 展宏君 理事 堀内 詔子君

   理事 青山 大人君 理事 大西 健介君

   理事 林  佑美君 理事 吉田久美子君

      井原  巧君  英利アルフィヤ君

      加藤 竜祥君    勝目  康君

      金子 容三君    岸 信千世君

      鈴木 英敬君    高見 康裕君

      中川 貴元君    永岡 桂子君

      仁木 博文君    船田  元君

      松島みどり君    三谷 英弘君

      三ッ林裕巳君    保岡 宏武君

      柳本  顕君    山本 左近君

      井坂 信彦君    石川 香織君

      おおつき紅葉君   大河原まさこ君

      山田 勝彦君    浅川 義治君

      岬  麻紀君    日下 正喜君

      鰐淵 洋子君    本村 伸子君

      鈴木 義弘君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            自見はなこ君

   厚生労働副大臣      浜地 雅一君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         大森 一顕君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            柳瀬  護君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          藤本 武士君

   政府参考人

   (消費者庁食品衛生・技術審議官)         中山 智紀君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    真渕  博君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    植田 広信君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    依田  学君

   政府参考人

   (消費者庁消費者法制総括官)           黒木 理恵君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          野村 知司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 西泉 彰雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房新事業・食品産業部長)    小林 大樹君

   衆議院調査局第一特別調査室長           千葉  諭君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  高見 康裕君     三谷 英弘君

  永岡 桂子君     柳本  顕君

同日

 辞任         補欠選任

  三谷 英弘君     高見 康裕君

  柳本  顕君     山本 左近君

同日

 辞任         補欠選任

  山本 左近君     永岡 桂子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

秋葉委員長 これより会議を開きます。

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官大森一顕君、金融庁総合政策局審議官柳瀬護君、消費者庁政策立案総括審議官藤本武士君、消費者庁食品衛生・技術審議官中山智紀君、消費者庁審議官真渕博君、消費者庁審議官植田広信君、消費者庁審議官依田学君、消費者庁消費者法制総括官黒木理恵君、こども家庭庁長官官房審議官野村知司君、総務省大臣官房審議官西泉彰雄君、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君、農林水産省大臣官房新事業・食品産業部長小林大樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。三谷英弘君。

三谷委員 神奈川八区、衆議院議員の三谷英弘でございます。

 今日は、こういった質問の時間をいただきますこと、理事の皆様、そして委員の皆様に心から御礼、感謝を申し上げたいと思います。

 ただいま私は自民党の消費者問題調査会の事務局長を務めさせていただいておりまして、様々な消費者問題についての課題解決に向けて取組を行わせていただいている、そういった観点から、本当にいろいろな消費者問題、特に弁護士でもありまして、そういった観点も含めて、しっかりと様々な課題を解決するための取組についてお伺いをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 特に今、消費者問題特別委員会のテーマとして何を伺うかといったら、やはり今一番の関心事項といえば、いわゆる健康食品の安全性についてなんだろうというふうに考えています。

 小林製薬が販売をした紅こうじの関連食品、紅麹コレステヘルプ、幾つかありますけれども、そういったものを摂取したことによって健康被害が生じているというような報道がなされております。今分かっていることというのはそのことまででありまして、紅こうじそのものが危険であるとか、あるいは機能性表示食品が一般論として危ないとかそういったことではなく、まずはその点だけが確認できていることなので、それ以降のことはこれからしっかりと調査をしていかなきゃいけないことなんだろうというふうに思っておりますが、そもそもお伺いをいたします。

 世の中には、健康によいことをうたった、いわゆる健康食品と言われるものが多数存在をいたします。その健康食品には様々なものがあり、イワシの頭も信心というような世界のものもあるように承知をしておりまして、国の制度に基づいて安全性とか効果が確認等されているものとそうでないものが、本当に、玉石混交といいますか、いろいろあるというふうに理解をしております。

 そういった観点から、こういった健康食品に関して、消費者庁はこれまでどのような注意喚起を行ってきたのかについてお答えをください。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁におきましては、消費者安全法などに基づきまして、関係行政機関や地方公共団体などから、いわゆる健康食品の健康被害を含む消費者事故等の情報を収集してございます。収集した消費者事故等の情報は、消費者被害の再発、拡大防止を図るため定期的に公開しておりますし、消費者への情報提供を行うほか、必要に応じて同法に基づく注意喚起を行っているところでございます。

 また、健康食品のQアンドAなどパンフレットを作成しまして、健康食品は薬ではなく、病気を治したりする効果が期待できるものではないこと、全ての人に同じように効くとは限らず、自分の体調をよく観察しながら使用すべきであること、また、体調不良を覚えたらすぐ使用を中止し、医師に相談すべきであることなど、健康食品の性格や摂取をする上での留意点などにつきまして、SNSでの発信や、いわゆるリスクコミュニケーションの場などにおいて、様々な機会で周知しているところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 そういった周知をしていただいているという中ではございますけれども、もちろん、本当に体に効いて、そして病気を治していくというものであるとすれば、それは医薬品という形になるんだろうというふうに思っておりまして、そうじゃない、いわゆる健康食品の中にもいろいろなものがあるというふうに承知をしております。

 その中で言われているのが、いわゆる特保と言われているものでございまして、特定保健用食品というものがございます。それから、例えばビタミン剤とか、特定の栄養を摂取するためのものとして栄養機能食品というものがある。そして、今回、紅麹コレステヘルプが含まれるものになりますけれども、機能性表示食品といったものがあるという状況にあります。

 こういった中で、機能性表示食品制度というものが今あるわけですけれども、その制度が果たす役割や意義についてちょっとお伺いをしたいんですが、いろいろな方がいろいろなことをおっしゃっております。特に、この機能性表示食品というものが、安倍政権の下でこれが導入をされたということで、本当に、どうかなと思うんですけれども、何か、安倍政権のやった業績を否定するかのごとく、無理な規制緩和によって引き起こされたんだといった論調を見ないわけではありません。

 ただ、これは、いわゆる医薬品とか特保を緩和したというものではなく、自分の理解としては、いろいろな、ごったな、先ほど申し上げたような玉石混交の健康食品の中で、それでもちゃんと根拠があるものを、ちゃんとそれを申請をさせようというようなことでできたという意味で、根拠があるものについて規制を適正化したものというふうに理解をしておりますけれども、その点について消費者庁のお考えをお答えください。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員御指摘のとおり、この機能性表示食品制度創設前は、食品に特定の保健機能を表示できる食品は、いわゆる特保と言われております特定保健用食品と栄養機能食品に限られておりました。

 このような中で、まず、特定保健用食品については行政庁による個別許可が必要でございまして、特に中小企業者にとってはハードルが高い。また、栄養機能食品の場合は、対象成分がカルシウム、ビタミンなどの栄養成分、これが限定されておりますということで、平成二十五年六月十四日に閣議決定されました規制改革実施計画などにおきまして、機能性の表示を容認する新たな方策を検討し、結論を得るということで、消費者庁の方の検討を経まして、平成二十七年に、届出制により機能性関与成分の保健機能表示ができるこの制度ができ上がったということでございます。

 この制度の意義との御指摘でございますけれども、この制度は、健康に対する消費者の関心が高まる中で、当該商品の安全性や有効性の科学的根拠などの情報が原則全て公開されます。消費者の誰もがこういった情報にアクセス可能な制度となっておりまして、まず、消費者の自主的かつ合理的な商品選択に資するという観点からは意義があるのではないかと考えております。

 また、届出事項に裏打ちされた表示であるかどうかは、行政庁が事後的な確認をしっかり行いまして、食品表示基準違反と認められる場合には、同法に基づいて適切な措置を行うことによって表示の適正化を確保するということにしております。

 この制度創設時に消費者委員会に諮問したわけでございますが、消費者委員会の答申におきましては、いわゆる健康食品がちまたであふれている中で、科学的根拠に基づく機能性を表示した商品が消費者に選択されることによって、科学的根拠のない、いわゆるイメージ広告等に対する景品表示法等に基づく行政処分などとも相まって、科学的根拠のない製品群が市場から淘汰されていくことを強く期待したい、こういった評価もいただいている制度と認識しております。

三谷委員 ありがとうございます。

 今の答弁がまさに根幹なんだろうというふうに思っていて、本当にいろいろな食品があって、いろいろな形で表示がされてきたというものを適正化する。先ほど、規制改革というお言葉をいただきました。規制改革というのは、規制緩和ではありません。規制の適正化だというふうに理解をしておりまして、そういった観点からこの機能性表示食品というものが導入をされるに至ったというふうに承知をしております。今も答弁をいただいたというふうに理解をいたしました。

 ただ、今回、小林製薬の事案で、やはりこの機能性表示食品に対する信頼性といいますか、不安というものが世の中に広がっているということも、それは否定することはできないんじゃないかというふうに思っています。不安というのは、根拠があろうがなかろうが、不安は不安なんです。だからこそ、不安を払拭するためにしっかりと対策を講じていくというのはまず本当に必要なんだろうというふうに思っておりまして、その観点から、幾つか前提の事項を質問させていただきます。

 先ほど申し上げたとおり、現在は原因究明を行っている段階というところではありますが、まず、いろいろ言われています、小林製薬が健康被害の実態を認識してから国に報告するまでに約二か月程度要したというようなことを言われておりますけれども、今回、二か月程度要したというのは、国に対して負っている法的な報告義務に違反したというような理解なのか、それとも、そういった法的な義務というものは存在していないのか、まずお答えください。

依田政府参考人 お答えいたします。

 まず、当方の機能性表示食品制度について申し上げます。

 この制度につきましては、食品表示法第五条に基づいて、食品関連事業者が食品を販売するに当たって遵守しなければならない食品表示基準に定めてございます。

 その運用の指針といいますか、機能性表示食品の届出に関するガイドライン、こちらにおきまして、健康被害の発生及び拡大のおそれがある場合には、届出者は速やかに、消費者庁はもとより、都道府県等の保健所に報告するということになっております。

 したがいまして、当方の制度におきましては、健康被害の収集体制、これを法令上の届出事項としておりまして、これが届出後も機能しているかということで、運用指針の中で報告を求めているということでございます。

 一方、法的義務ということについて、一般論で申し上げますと、これは厚生労働省さんの話ではあるんですが、食品衛生法におきまして、事業者は健康被害があった場合には保健所に報告をすることが努力義務として規定されていると承知しております。

三谷委員 今お答えいただいたとおり、そういったガイドラインという話と努力義務という話があります。それなので、じゃ、具体的に法的義務というところまではなっていなかったということなんだろうというふうに思っております。だからいい悪いとかいう話ではなく、現状はそういうことだということです。

 それからもう一つ、今回、一部製品からプベルル酸と言われるものが発見されたという情報もありまして、まだ原因が分からない前提ではありますけれども、もしかしたら製造過程の中で、あるいは原料の中で異物が混入したという可能性も否定できないわけであります。

 今回、機能性表示食品の製造過程に関して何らかの品質管理が行われているのか、また今後そういった必要性がないのかについてお考えをお答えください。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 機能性表示食品制度における法令上の届出事項としまして、製品の生産、製造及び品質の管理体制を整えること、これが届出事項にされておりまして、その際には、いわゆるGMP、製造管理及び品質管理の基準、こちらの方を強く推奨しているという状況でございます。

 このGMPは、医薬品においては義務化されておりまして、食品においては、食品衛生法第八条に基づく指定成分等含有食品についてのみ義務化されているということでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 そして、もう一つだけお伺いしますと、先週の土曜日も、この紅こうじをめぐる様々な報道がありました。その報道の中では、小林製薬の相談窓口に電話してもなかなかつながらないというような声が報道されていたわけでございますけれども、本当に、今不安に思っている方々がたくさんいらっしゃると思います。そういった不安に思っている方々に対して、消費者庁として、あるいは自ら、あるいは小林製薬に対して何か自分でやったり求めたりということがあるのかどうかについてお伺いします。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の事案発生から、消費者への情報発信ということでございますけれども、三月二十六日から二十七日にかけて、ちょうど食品衛生法上の回収命令が発せられたということでございまして、厚生労働省、農林水産省及び消費者庁連名のチラシなどを作成しまして、該当商品を購入した方に向けて、喫食の中止、あるいは身体に異常がある場合の医療機関の受診の呼びかけ、機能性表示食品摂取に当たっての注意事項などを、消費者庁のホームページあるいはLINEなどにより積極的に発信してございます。

 また、三月二十九日には、国民及び事業者からの問合せに対応するために、厚生労働省さんと一緒に連携してコールセンターを設置しております。

 引き続き、関係省庁と連携しまして、消費者に対して必要な情報発信を行ってまいりたいと存じます。

三谷委員 ありがとうございます。

 本当に今、機能性表示食品に対する不安というものが広がっているという形になるので、まだ本当は原因が分かっていないので、そもそも機能性表示食品と今回の事案が関係あるのかないのかすら分からないわけです。だから、全然関係ないかもしれないけれども、だけれども、そうはいいながらも、機能性表示食品に対する不安がこれだけ広がっている以上は何らか対応しなければいけないんだろうと私個人としてはやはり思っていて、信頼をどうやって回復をしていくのかということについて、次はしっかりと考えていかなきゃいけないんだろうというふうに思っております。もちろん、原因究明はこれからも引き続き行っていただくのは当然の前提なんですけれども。

 時間も限られてきているのでちょっと飛ばしますが、これまでのお答えを前提にいたしますと、原材料の品質管理とか製造過程における適正管理規範、GMPといった一定の基準に適合した製造管理を行ったりとか、事業者が収集した健康被害情報の報告ルールを整備すること、そういったことはやはり必要なんだろうというふうに思っております。

 そういったことをしっかりとやっていっていただきたいというふうに思いますが、自見大臣にお伺いをしたいと思います。

 そういったいろいろな声がある中で、機能性表示食品を今後どういうふうにある意味見直していくのかも含めて、消費者庁として具体的にどのように対応していくか、お答えをください。

自見国務大臣 お答えいたします。

 今回の事案を受けた機能性表示食品制度の今後の在り方等につきまして、五月末を目途に取りまとめるよう官房長官からも指示を受けたところでありまして、届出食品約七千件の健康被害情報の収集、分析の状況の確認を現在行うという、この作業も始まっているところでございます。

 機能性表示食品の製造工程における安全性の担保、信頼という言葉も委員からございました、また健康被害情報の報告のルール等につきまして、四月の一日に立ち上げました消費者庁内の検討プロジェクトチームでの検討に加えまして、専門家による検討の場も早急に立ち上げて、そして、五月末までに方向性を取りまとめるべく、スピード感を持って取り組んでまいりたいと考えてございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 専門家による検討チームを立ち上げていただくということですので、是非ともしっかりと対応を進めていっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、残された時間、公益通報保護制度について若干だけお伺いをいたします。

 もう御案内のとおり、ビッグモーターの事案ですとかダイハツの事案とか、いろいろと本当に企業の中で様々な問題が起きる中で、やはり、これまで、せっかくつくった公益通報窓口というものがしっかりと活用されていないんじゃないか、そういった声もあるところでございます。

 この公益通報に関しては、二月から順次、公益通報に関する調査が公表されておりますけれども、そこで浮き彫りになった課題は何か、お答えください。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年六月の公益通報者保護法改正によりまして、事業者には、従業員などからの公益通報を受け付ける窓口の設置ですとか、あるいは周知、教育など、体制の整備が求められております。

 消費者庁では、こうした制度に関して調査を行いまして、本年二月に就労者一万人アンケート調査、三月に企業不祥事における内部通報制度の実効性に関する調査、分析の結果を公表したところであります。なお、民間事業者に対する実態調査も実施しておりまして、四月中の公表を予定しております。

 就労者に対する調査では、約四割しか制度について理解をしていないこと、約三割しか窓口の設置を認知していないこととの結果が出ておりまして、制度の浸透が道半ばであると考えております。

 また、不祥事に関する調査では、事業者が公表した外部委員会の調査報告書におきまして、事業者の周知が適切ではなく、就労者に制度の導入意義や窓口の存在が十分に認識されていないこと、通報者の匿名性や人事上の不利益取扱いに対する懸念など公益通報を妨げる心理的要因があることなどを要因として、多くの事例において事業者の体制が実効的に機能していないことなどが指摘をされております。

三谷委員 ありがとうございます。

 もう時間もなくなりますのでこれで締めさせていただきたいと思いますけれども、本当に、まだまだ公益通報窓口というものが全然認知されていないし、活用もされていない、これでは本当に、絵に描いた餅で終わってしまいます。

 消費者庁において、公益通報窓口を設置するという業務、直接的に消費者と関わる業務じゃないかもしれないですけれども、本当に大事な役割だし、業務になりますので、法改正から三年後、これは来年が見直しのちょうどタイミングになりますので、是非とも、公益通報窓口が実効的に活用されるような体制をしっかりと整備していただくことをお願いをさせていただきまして、今日の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、鈴木英敬君。

鈴木(英)委員 自民党の鈴木英敬であります。

 今日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。どうか大臣、また政府の各参考人の皆さん、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 私は党の方で、デジタル社会推進本部や、社会機能の移転、分散、それによる国づくりの本部などの役をやらせていただいておりますので、消費者の安全、安心の確保を、デジタルと地方、そういう観点から是非今日はお伺いをしたいと思います。大きく三つの柱がありますけれども、是非よろしくお願いしたいと思います。

 まず一点目は、最近社会問題にもなっています、著名人、有名企業に成り済ました偽広告による詐欺事案についてであります。

 SNSの広告で、著名人、有名企業の名前や写真を無断で利用し、主催するセミナーや投資ビジネスへ勧誘する詐欺が多発をしています。クリックしますとSNSの友達登録になってしまったり、あるいはSNSの投資グループへの参加が促されてしまう仕組みとなっていまして、暗号資産の取引や投資目的の銀行口座への振り込みなどが求められてしまう仕組みであります。これまでに、前沢友作さん、堀江貴文さん、森永卓郎さんなどの著名人、また大手証券会社や銀行等の写真や名前が利用されており、巧妙な作りからだまされる人も多く、一部報道によれば、被害者による集団訴訟もなされる予定があるなど、被害者が増加し、深刻な状況となっております。

 そこで、著名人、有名企業の名前や写真を無断で使用した偽広告による詐欺事案について、消費者庁と金融庁それぞれに、現状認識、現在講じた対策、それから今後の対策について伺いたいと思います。

植田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、SNS関連の消費生活相談件数が近年増加しておりますけれども、その中でも、SNSなどを通じたもうけ話に関する消費生活相談の中に著名人や有名人の成り済ましと考えられる事例が出ております。このため、消費者庁においても、もうけ話を勧められたらまずは疑うこと、不安に思ったら消費生活センター等に相談することなどの注意喚起を実施しているところでございます。

 ただし、これらの多くは詐欺、詐欺が多くございまして、また、相手が不明であるといったことから、一旦被害に遭った場合には消費生活相談による助言やあっせんなどで被害を回復することが難しい事案であるというふうに認識しております。そのため、消費者被害の未然防止が重要であることから、今後とも関係省庁とも連携を図りながら、消費者庁としては、引き続き注意喚起に取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような事案につきましては、金融庁に対しても、SNSを通じて著名人をかたる者から投資勧誘を受け資金を送金したが、その後、出金できないばかりか保証金や税金等の名目で金銭を支払うよう求められたといった相談が多数寄せられており、早急に対応すべき課題であると認識しております。

 当庁といたしましては、従来から、投資詐欺対策として、当庁のホームページやSNSを利用した注意喚起に加え、パンフレットやリーフレットの発行、SNS事業者とも連携の上、SNSのページに当庁の注意喚起のリンクを張りつけ、事業者団体のホームページにおける注意喚起ページの相互リンクといった取組を行っております。

 今後とも、事業者団体やSNS事業者との連携を強化しつつ、注意喚起の取組を充実させていくとともに、今月設立した金融経済教育推進機構を中心に、投資詐欺等も含め、幅広い観点から金融経済教育を推進するなど、投資詐欺被害の防止に努めてまいります。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。

 消費者庁から、まず疑う、そして不安に思ったら相談をする、そういうふうに働きかけていただいているということと、金融庁さんから大変重要なポイント、団体の皆さん、例えば日本暗号取引業協会ですね、そういうところとかとも連携して、団体と連携して注意喚起する、それから、今度できる機構ですね、やはり若いときからリテラシーを高めるというのはすごい大事なことですから、是非機構においてしっかり取り組んでほしいと思います。

 警察庁の発表では、令和五年の一年間で、SNS等の非対面での欺罔行為、人を欺く行為によって投資を勧め金銭等をだまし取る詐欺でありますSNS型投資詐欺は、全国で二千二百七十一件認知をされ、被害額は約二百七十八億円に上ります。SNSを利用して恋愛感情を抱かせて金銭をだまし取るいわゆるロマンス詐欺も合わせれば、被害額は四百五十五億円になりまして、これは、いわゆる電話による特殊詐欺、オレオレ詐欺とかの四百四十一億円をもう既に超えているという状況です。しかも、この電話による特殊詐欺も対前年比一九%増えているという状況であります。また、一件当たりの平均被害額も一千万円を超えていまして、認知件数、被害額共に増加傾向が続いていて、対策強化は待ったなしです。

 先ほど、まさに、植田審議官から、関係省庁の連携が重要だというふうにおっしゃっていただきました。消費者庁、金融庁のみならず、警察、後に出ていただきます総務省を含めて、関係省庁の連携は大変重要だと思いますが、そこについて消費者庁の見解をお伺いします。

植田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたとおり、警察庁の発表のとおり、SNS型投資詐欺の認知件数、被害額は共に増加傾向が続いており、SNS型投資詐欺への対応強化は重要だと認識しております。

 消費者庁におきましても、各地の消費生活センター等を通じて相談を受け付けるとともに、これらの情報を踏まえ、無登録業者との外国為替証拠金取引であるとか、SNSなどを通じた投資や副業といったもうけ話などについての注意喚起を実施してきたところでございます。

 関係省庁との連携でございますけれども、このSNS型投資詐欺への対応に当たりましては、詐欺であるということ、詐欺への対応ということ、それからプラットフォーム事業者に対する取組等が必要であると考えておりますので、関係省庁とも連携しながら、引き続き取り組んでまいります。

鈴木(英)委員 僕は役人もやっていましたので、連携とよく言うんですけれども、実際できていないことは多いです。あと、ポンチ絵みたいなものに連携と書くのは多いんですけれども、両方の矢印のね、余りうまくいっていないこともあると思いますが。先ほども言いましたように、被害がかなり増大しているということから、関係省庁連絡会議みたいなものを、課長級とかでも構いませんので、是非つくっていただいて、連携を強固にするということを是非お願いしたいと思います。これは、要望、意見であります。

 続いて、総務省にお伺いします。

 今、消費者庁からもありましたが、こういう被害防止のためにはプラットフォーム事業者への対応が必要だという意見もあります。今般、総務省では、誹謗中傷の方が中心でありますけれども、インターネット上の違法、有害情報への対策を強化する観点から、いわゆるプロ責法、プロバイダー責任制限法の改正をされて、プラットフォーム事業者に対して、削除とかの対応の迅速化を図るということをやっていただいております。一方、EUでは、プラットフォーム事業者に対して、違法コンテンツの排除などの義務づけでは課徴金が導入をされています。

 一方で、プラットフォーム事業者への対応の在り方については、表現の自由の確保、これも重要でありまして、この点、総務省において本年から、デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会を開いていただいて、表現の自由を始めとする様々な権利利益に配慮した検討を専門的な見地から議論が行われていると承知をしております。

 今回質問しておりますこの詐欺事案に関連して、プロ責法改正を含めた総務省の対応と、検討会の議論を踏まえた偽広告対策の抜本強化に向けて、考え方をお伺いしたいと思います。

西泉政府参考人 お答え申し上げます。

 SNS等のプラットフォームサービス上で、本人や組織の許可を得ずに本人であるかのように加工、編集された成り済まし型の偽広告が流通しており、大きな課題であると考えております。こうした偽広告は、閲覧者に財産上の被害をもたらす場合があるほか、成り済まされた者の社会的評価を下げるなど権利を侵害する可能性もあり、特に悪質なケースについては関係省庁と連携して対処してまいりたいと考えております。

 総務省では、これまでもプラットフォーム事業者に対し利用規約等を踏まえた適正な対応を求めるとともに、当該プラットフォーム事業者に対して削除対応の迅速化や運用状況の透明化を求めるプロバイダー責任制限法の改正法案を今国会に提出したところでございます。

 こうした取組を通じて、成り済まし型の偽広告の流通への対応を図っているところでございますけれども、情報流通の健全性確保の在り方について有識者会議で討論、議論、検討を更に進めているところであり、偽・誤情報への対応を含めた主要なプラットフォーム事業者からのヒアリングを実施したところでございます。

 こうしたヒアリング結果や国際的な動向も踏まえて、更なる対応が必要かどうかも含め、制度面も含めた総合的な対策の検討を進めてまいりたいと考えております。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。

 本来であれば、広告自体が登場してこないというか消費者の目に触れないようにするというのが一番いいんですけれども、これはなかなか規制上も難しいと考えますけれども、いずれにしても、幅広い視点から是非制度の検討をしてほしいと思います。

 自民党では、明日、消費者問題調査会、それから金融調査会、デジタル社会推進本部合同でこの件について合同勉強会をしていく予定でありますので、しっかり対策強化に貢献をしていきたいと考えております。

 それでは続きまして、済みません、順番を入れ替えて、大臣に御答弁をいただきたいものですから、政府関係機関の地方移転の方から少しやらせていただきたいと思います。

 政府関係機関の地方移転につきましては、中央省庁七機関、研究、研修機関二十三機関を対象として進めています。令和四年十二月閣議決定のデジタル田園都市国家構想総合戦略に基づいて、令和五年度に、国の機関としての機能発揮や地方創生上の効果等の観点から、政府関係機関の地方移転に関する総括的評価が実施され、先月レポートが公表されました。

 まず、内閣官房にお伺いしたいと思いますが、総括的評価の全体の傾向、そしてその総括評価の中での内閣官房や有識者から見た消費者庁の取組に対する評価、そして今後の取組方針について教えてください。

大森政府参考人 お答えいたします。

 政府関係機関の地方移転については、平成二十八年三月に決定した政府関係機関移転基本方針に基づき、中央省庁七機関、研究、研修機関等二十三機関、五十件を対象として進めてきたところでございます。

 委員お尋ねの令和五年度に実施した総括的評価ですが、全体の傾向としましては、ICT等のデジタル技術の活用により地方においても政策の企画立案や施策、事業の執行などの国の機関としての機能は確保できること、また、移転先では現地雇用の創出や地域関係者との連携による技術開発、研究成果等の社会実装、地域ブランドの創出など、移転取組を契機とした地方創生上の効果が表れてきていることなどの結果が得られております。

 消費者庁の取組ですが、徳島県に移転、設置した消費者庁新未来創造戦略本部の評価については、業務の遂行時間や質、効率、職員のモチベーションについて約九割の職員が維持向上していると感じているなど、国の機関としての機能が確保されており、働くことに対する職員の満足度が高い。また、ICT等の導入による環境整備に伴い費用抑制が図られ、適切な人員配置、サポート体制が整備されている。加えて、積極的な情報発信や地域企業との連携を進めており、評価において実施したアンケートに御回答いただいた住民等の約九割が移転取組を認知、納得するなど、移転取組に対する理解醸成が進んでおり、地域内における社会的効果の創出につながっているなど、地方移転の取組が非常に進んでいる機関と認識しております。

 政府機関の地方移転に関する今後の取組としましては、総括的評価の結果等を踏まえ必要な対応を行っていくこととしており、今後も移転取組の更なる充実に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。職員も住民も満足度が高いということで、非常によい取組であるという評価でありました。

 そこで、大臣にお伺いをしたいと思います。

 消費者庁においては、消費者行政新未来創造オフィスを二〇一七年度に徳島県に開設をして、いろいろなプロジェクトを実施していただいております。この徳島県内への新たな拠点設置の成果と課題をお伺いしたいと思いますし、消費者庁のように、政府機関の移転というのは、今後三十年以内に七〇%の確率と言われる首都直下地震とか、富士山噴火とか、こういうことのバックアップという観点からも大変重要であるというふうに考えております。

 いずれにしましても、大臣から、消費者庁の今の新たな拠点設置の成果と課題、そして、機能移転に関する今後の展開をお伺いしたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 消費者庁では、二〇一七年に徳島県に消費者行政新未来創造オフィスを設置いたしまして、その検証、見直しの結果、二〇二〇年に新たな恒常的拠点といたしまして新未来創造戦略本部を設置したところであります。

 新未来創造戦略本部につきましては、委員御指摘のとおり、非常時におけますバックアップ機能を担うほか、デジタル化等による新しい課題に関する消費者政策研究を行うとともに、先駆的な取組の試行を行うモデルプロジェクトとして、見守りネットワークの先駆的モデルの構築あるいは消費者志向経営の推進などの取組を実施しているところでございます。

 具体的な成果を挙げますと、見守りネットワークにつきましては、徳島県、香川県、兵庫県におきましては全市町村で設置が済んだということ、また、消費者志向経営の自主宣言事業者数は徳島県が全国で二位となるなど、新未来創造戦略本部が拠点を置く徳島県やその近隣の地方でしっかりとした成果を上げていただいていると認識をしております。

 二〇二二年六月に閣議決定されましたデジタル田園都市国家構想基本方針におきまして、新未来創造戦略本部については「モデルプロジェクトや政策研究等を推進する。」とされているところでありまして、引き続き、この方針にのっとりまして、モデルプロジェクト等を実施し、その成果を全国展開を目指してまいりたいと考えてございます。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。

 地方においても様々な成果が上がっていると。地方にお住まいの消費者の皆さんも大変喜んでいただいていると思います。今日は消費者特委なので地方創生の観点からはお伺いしませんけれども、是非この政府機関の移転も積極的に進めていただきたいと思います。

 それでは、最後、紅こうじ関連に行きたいと思います。

 私の質問の趣旨は、地方の保健所とか消費者相談センターとか、あるいは工場とか、最前線にいる地方自治体との連携を強化した上で今回の対策をしっかりやってほしいという趣旨であります。

 三重県でも、三日時点ですけれども、相談が六件、それから受診歴がある人が四人、入院歴がある方が三人いるということで、地方自治体などからは、原因究明をしっかりやってくれ、あるいは自治体への速やかな情報提供をしてくれ、あるいは因果関係が明らかになったら被害者への補償もしっかりやってくれなどの声があります。

 そこで、二つの声について厚労省から答弁をいただきたいと思います。

 一つは医療機関です。

 地方にも受診に行く方々がいらっしゃるわけですが、地方の医療機関においては、では、起こり得る症状への対応とか、医療機関はどう対応したらいいのかというマニュアルとかQアンドAみたいなものがないので、非常に医療機関としても対応に苦慮しているという声がありますので、是非そういうマニュアルとかを作って提供していくということが必要だと思います。

 それからもう一つは、国民の皆様への情報提供です。

 私、コロナのときもリスクコミュニケーションで大変苦労しました。どういう情報までを報道機関の皆さんとかに出せばいいのか、非常に苦労しましたけれども、現在は、例えば三重県では、相談数、受診歴、入院患者数のみ公表していますけれども、報道機関とかからは、コロナのときほどではないものの、性別とか年代とか住所地の市町名とかを教えてくれという声などもあります。

 自治体で公表範囲が異なれば行政も住民も混乱すると思いますから、そういうリスクコミュニケーションの観点から、公表範囲を統一化、標準化するということが大変重要だと思います。

 そこで、厚労省に、今の医療機関への対応のことと、今のリスクコミュニケーションの観点からの公表範囲の統一化などについて御意見をお伺いしたいと思います。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 地方自治体における食品に起因する健康被害防止のための対応の指針に関して、いわゆる健康食品につきましては、平成十四年から、健康被害発生の未然防止のための体制整備や被害発生時の対応手続等について示した対応要領を取りまとめ、地方自治体や関係団体に周知をしているところでございます。

 その上で、今回の事案に関する御指摘についてでございますが、まず、医療機関における対応につきましては、現在、日本腎臓学会におきまして、今回の事案に係る病像を把握するため、学会の会員を対象とした腎障害を伴う健康被害を生じた症例に関する調査を進めておりまして、この調査結果も踏まえまして、地方自治体や医療機関等に対して必要な情報をまず提供してまいりたいと考えております。

 また、国民への情報提供についてでございますが、厚生労働省といたしましては、これまでに判明している事実について、ホームページへの掲載、関連通知の発出等を通じて公表、提供してきているところでございまして、今後とも、健康被害状況や原因等につきまして新たな事実が分かり次第、適時適切に公表していくこととしております。その際、地方自治体ともよく連携をしてまいります。

 なお、本事案に関しまして地方自治体が入手しました個人情報の取扱いについてでございますけれども、蔓延防止の観点を考慮する必要がある新型コロナウイルス感染症など感染症の場合とは事情が異なると考えられますが、その取扱いについて地方自治体から問合せ、要望等がございましたら、よくお話を聞いた上で、伺って対応してまいりたいと考えております。

鈴木(英)委員 終わります。

秋葉委員長 次に、吉田久美子君。

吉田(久)委員 公明党の吉田久美子です。

 質問に入らせていただきます。

 小林製薬の販売する紅麹コレステヘルプ等で、原因物質の特定や因果関係はまだはっきりはしておりませんけれども、健康を害して入院したり五人の方がお亡くなりになるなど、深刻な事態となっております。この後、我が党からも緊急提言、大臣の方に申入れをさせていただく予定になっておりますけれども、健康増進のために、機能性表示食品という国のお墨つきをもらっているものと信じて喫食をしたことでかえって健康を損ねてしまうという余りにも気の毒なことであり、しっかりと原因究明をするとともに、二度とこういう事案が生まれないことを消費者行政に求めていきたいと思っております。

 一点目ですが、今回、小林製薬に危害が届けられたのは、診たお医者さんが紅こうじについて若干知識があり小林製薬に連絡したことに端を発しているというふうにお聞きしました。一月中旬には小林製薬は健康被害の原因が製造した紅こうじであるかもしれない情報に触れていたにもかかわらず、国や大阪市に届けられるまで二か月もかかってしまっています。

 健康被害に関わること、ましてや人命に関わることについては、原因が特定できなくても、自治体また保健所への報告義務を課し、販売停止、喫食禁止措置、そして、国の研究機関等で総力を挙げて原因究明等の対応に当たるべきではなかったか。今報道でも様々情報はありますけれども、今回問題になった小林製薬の紅こうじサプリの件について、政府としてはどう対処されているのか。

 まず、食品衛生法を所管する厚生労働省として、この案件を知ってからこれまでの経緯、現在の状況、また今後の取組の方向性についてお伺いしたいと思います。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 機能性表示食品でございましても、他の食品と同様、食品衛生法上は、健康被害が発生した場合、事業者から自治体への報告に努めることとされておりまして、委員御指摘のとおり、今回の事案については、厚生労働省を含め関係機関に対して小林製薬から迅速な報告がなかったことは誠に遺憾でございます。

 今般の事案への対応でございますけれども、先月二十九日の紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会議におきまして、官房長官より、当面の対応として、国立医薬品食品衛生研究所と連携し、引き続き原因物質の特定、分析を進め、その結果の速やかな公表及び原因究明を図ることや、五月末をめどに食品による健康被害等に関する情報収集体制の見直し及び国の関与の在り方について検討するよう御指示があったところです。

 厚生労働省といたしましては、現在、国立医薬品食品衛生研究所と連携をしながら、原因究明に取り組んでいるところでございます。今後、関係省庁とも連携しながら、再発の防止のために食品衛生法体系においていかなる施策が必要か検討してまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 同じく食品衛生法そして機能性表示食品を所管する消費者庁として、同じく、この案件を認知してから現在までの経緯と取組、今後の方向性についてお伺いします。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁の対応でございます。

 まず、今回、小林製薬の紅こうじを含む食品に由来する健康被害が生じていることを踏まえまして、消費者庁では、この食品が機能性表示食品だということでございますので、まずは三月二十二日に、小林製薬に対しまして、紅こうじ原料を含む機能性表示食品八商品につきまして、安全性に関する科学的根拠を再検証の上、二週間後の四月五日までにその結果を報告するように求めた次第でございます。

 また、三月二十六日から二十七日、実際に回収命令が出た直後でございますけれども、消費者への情報発信として、厚生労働省、農林水産省と連名でチラシなどを作成しまして、該当する商品を購入した方に向けて、喫食の中止や、身体に異常がある場合の医療機関の受診の呼びかけ、機能性表示食品摂取に当たっての注意事項などを、消費者庁ホームページあるいはLINE等により発信してございます。

 また、三月二十七日には、消費者庁及び食品安全委員会の間の情報共有、連携強化のため、自見大臣を議長といたします紅麹使用食品への対応に関する消費者及び食品安全関係連絡会議を開催いたしまして、リスク評価機関との情報を共有して対応していくことを確認した次第でございます。

 また、本件は機能性表示食品の安全性に対する深刻な疑念を抱かせる事案だというふうに受け止めておりまして、三月二十八日には、現在機能性表示食品として届けられている七千件の届出製品について、健康被害の情報の有無などを確認の上、四月十二日までに回答するように求めているところでございます。

 さらに、三月二十九日には、国民及び事業者からのお問合せに対応するために、コールセンターを厚生労働省と共同で開設いたしました。

 また、同日開催されました紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会議におきまして、官房長官の方から、本事案を受けた機能性表示食品制度の今後の在り方について五月末を目途に取りまとめるように御指示を受けたところでございまして、四月一日付で庁内に、消費者庁次長をヘッドとします、食品表示担当と、四月から厚生労働省から移管された食品衛生基準行政担当から成る検討チーム、名称は機能性表示食品の在り方検討プロジェクトチーム、こちらを立ち上げまして、庁内の対応体制を整備したところでございます。

 最後になりますが、小林製薬からの科学的根拠に関する再検証結果や、届出食品約七千件の健康被害情報の収集、分析状況の確認結果なども踏まえまして、五月までに本事案を受けた本制度の今後の在り方の方向性を取りまとめるべく、スピード感を持って取り組んでまいる所存でございます。

吉田(久)委員 この事件を通じて、食品の安全については不安とまた関心が大変高まっております。ほかの食品にも甚大な影響が及んでおります。様々な名称の食品があって、そもそも国民は、その制度が示すものの差がほとんど認知をされていないと思います。

 特保と言われる特定保健用食品、栄養機能食品、そして今回の機能性表示食品、いま一度、その違いを明確に、分かりやすく示していただきたいと思います。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、食品表示法に基づく食品表示基準第九条第一項第十号におきまして、特定保健用食品、機能性表示食品及び栄養機能食品、この三種類の食品を健康機能食品と定義して、保健機能食品以外の食品が特定の保健の目的が期待できる旨を示す用語等の表示を禁止してございます。

 まず、特定保健用食品、通称特保につきましては、健康増進法第四十三条第一項に基づきまして、特別用途表示の許可を要する食品の一つで、定義としましては、食生活において特定の保健の目的で摂取する者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品と定義されております。許可に当たりましては、その食品自体に保健目的が期待できる旨の表示であることから、その食品自体の保健機能について、食品ごとに、安全性や効果について、原則は、最終試験の対象としましたヒト試験のデータなども踏まえまして個別に審査を行い、内閣総理大臣の委任を受けました消費者庁長官が許可を行うものでございますが、安全性や効果については、法人情報に該当することから、原則非公開ということになります。

 一方、今回問題になっております機能性表示食品につきましては、食品表示法に基づく食品表示基準におきまして、機能性関与成分について、健康の維持及び増進に資する特定の保健の目的が期待できる旨を科学的根拠に基づいて表示をする食品と定義されております。特定の機能性関与成分の保健機能について、事業者が安全性及び機能性の科学的根拠等を販売前に消費者庁に届け出ることによって表示ができるということでございますが、届出された科学的根拠などの情報は、原則として、全て消費者庁のウェブサイトに公表されるものでございます。

 最後に、栄養機能食品につきましては、カルシウム、ビタミンCなどあらかじめ食品表示基準に定める二十の栄養成分につきまして、その補給を目的として摂取する者に対し当該栄養成分の機能を表示する食品であって、食品表示基準に定めた一日当たりの上限、下限値を含み、所定の摂取上の注意事項を表記すれば、行政庁への許可申請あるいは届出などは要さず、いわゆる自己認証で表示できる制度というふうになっております。

吉田(久)委員 一回聞いたぐらいじゃちょっとよく理解できない、難しいと思いますけれども。

 二〇一五年に始まった機能性表示食品、届出制ということでありますけれども、先ほどありましたように現在七千点に及んでいるということで、この制度によって大きな経済効果を生んだことは間違いないと承知しております。

 そもそも、機能性表示食品という表示が、先ほどの答弁にあったとおり事業者の届出だけで成り立つものであるということ、また国も、健康食品のGMP、適正製造規範認証を受けることが望ましいとガイドラインは示しておりますけれども、罰則があるわけではなく、当然責任を持って守ってくださいねというもので、消費者庁が個々に表示の取消しなども出せない仕組みであることは、ほとんどの国民は知らないというふうに思います。

 その上で、あえて四つお聞きします。

 機能性表示食品の摂取が原因で健康被害と断定されたものは、二〇一五年、この制度のスタート以来どのくらいあるのか。それと、表示された機能はあっても、一方で健康を害する副作用があって販売差止めとなったものはあるのか。また、特保で安全性が認められなかったにもかかわらず、機能性表示食品として販売されているものはあるのか。四つ目に、表示されている機能性において、科学的根拠がないということが明らかになって届出の撤回をされたものがあるのか。それぞれ、現認しているものを示していただきたいと思います。

依田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の一点目と二点目をまとめた形での御回答になりますが、まず、一点目と二点目で、消費者庁が把握している限りにおきまして、機能性表示食品が原因で重篤な症状を引き起こした事例は今回が初めてでございます。また、販売を食品衛生法に基づいて差し止められた事例も承知しておりません。

 また、特保、特定保健用食品において許可に至らなかった食品の特定の成分を機能性関与成分として、機能性表示食品として届出された事例は一件ございます。こちらにつきましては、まず、特保の許可の食品安全委員会の諮問の過程でデータ不足という認定が行われたということでございます。一方で、機能性の方につきましては、長期投与試験あるいは過剰摂取試験といったヒト試験などにつきまして十分な安全性を確認しているということでございまして、機能性表示食品としての要件は満たすということで販売を認めたということでございます。

 また、消費者庁では、基本的に届出制の機能性表示食品の表示の適正性を担保するために、事後チェックに係る様々な事業を行っております。機能性関与成分の分析方法の検証、あるいは、買い上げた製品中の機能性関与成分の含有量を確認する買上げ調査を行っておりまして、この検証事業を行うことによって、品質管理の質が向上し、適正な表示による消費者への情報提供がなされるというふうに認識しております。この事後チェックの結果、問題のあった届出につきましては、届出者に対して届出資料の修正などを求めております。

 そういう意味では、その都度、表示の適正性に疑義があった場合には確認行為を行っておりまして、届出の自主的な撤回の数自体、ちょっと私どもはカウントしておりませんけれども、相当あると認識しております。

吉田(久)委員 ほとんどがありませんという答弁でしたが、また、事後チェックとかはしっかりやっていただいているということで一定の安心はいたしましたけれども、正直、全貌は分からないというのが真実ではないかと思います。

 日本の機能性表示食品の基になるような制度が、アメリカのダイエタリーサプリメント制度、一九九四年から始まったDSHEAという制度では、発売後三十日以内に健康効果があると企業が判断をすれば、FDAに通知するだけで機能性が表示できる制度で、この結果、市場は二十年でおよそ六倍の三百五十億ドル、日本円で五兆円超の規模となり、アメリカでは六万種類のダイエタリーサプリメントが売られて、成人の方の半分が使用していらっしゃるという状況だそうです。

 ですが、この制度の欠陥もあらわになってきており、事業者提出の研究でFDAのガイドラインに一致したものは五百五十七研究のうち一つもなかった、科学的根拠が不十分だったと分かったということで、重篤な健康被害が出た場合の報告義務を課した二〇〇八年以降では、一一年までの三年で何と六千三百七件の報告があって、千八百三十六人が入院をし、八十人以上が死亡していることが判明をしております。因果関係が必ずしも証明されたわけではありませんけれども、ダイエタリーサプリメントの喫食が原因かもしれないと疑われている事例が多数起こっております。

 今回の紅こうじの問題も、原因究明をしっかりと進めた上で、消費者庁として、消費者を守る上で、必要な改革、例えば、健康被害等が疑われるときの報告の義務化、義務違反の罰則規定を設けたり、また、事業者以外の第三者によるGMP、適正製造規範の認証を必須にするなど、製品の安全性が担保できるよう法改正を含めて検討していただきたいと思いますけれども、大臣の御答弁を求めたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 安全性に問題のある食品の販売を規制する食品衛生法の遵守は大前提でございますが、機能性表示食品の製造過程におけます安全性の担保あるいは健康被害情報の報告ルール等につきまして、四月一日に立ち上げました我々消費者庁内の検討プロジェクトチームでの検討に加えまして、この度立ち上げる予定でございます専門家による検討の場、こういったものを活用しながら、委員からいただきました個別具体的な問題意識もしっかりと踏まえまして、五月末までに方向性を取りまとめるべく、スピード感を持って取り組んでまいりたいと存じます。

吉田(久)委員 健康被害に遭われた方の家族の方からお声が寄せられております。

 八十代でとても元気に生活をされていらっしゃったわけですけれども、五年前から紅麹コレステヘルプを定期購入して服用されていた。昨年十一月頃から体調不良になり、急激に悪化をしてしまった。血液検査でも数値の異常が出て、腎機能の悪化と診断をされ現在治療中とのことで、ニュースで紅こうじのことを知り、小林製薬のホームページに記載されている健康相談受付センターに何度電話してもつながらず、消費者庁のコールセンターで教えてもらった電話番号にかけて、やっと小林製薬と話ができた。ただ、対応としては、手元にある商品を送ってください、その分は返金しますと言うだけで、体調や通院の有無などの聞き取りはなかったそうであります。

 いまだ原因が特定されていない中でもあり、成り済ましの心配もありますし、相当数の電話が小林製薬の方には殺到している状況で、回収に追われていることは理解はできるところでありますけれども、企業姿勢として、小林製薬側には定期購入者の履歴もあるでしょうし、患者としての認定や登録といったスキームを早く設置するように、コールセンターの体制拡充を小林製薬に消費者庁として指導してほしいというお声だったと伺っております。ちなみに、その方は、長期購買者であることを証明できる納品書また医者の診断書などは出す準備はできているそうでございます。

 この点について、消費者庁また厚生労働省としてどう指導していかれるのか、お聞きしたいと思います。

依田政府参考人 まず冒頭に、先ほど私の答弁で、保健機能食品と言うべきところを健康機能食品というふうに発言してしまいました。訂正しておわび申し上げます。

 その上で、委員からの御指摘でございますけれども、まず、健康被害に遭われた方への対応につきましては、一義的に、事実あるいは因果関係を踏まえまして、小林製薬において適切に対応する必要があるというふうに認識しております。

 消費者庁におきましては、厚生労働省と共同で、三月二十九日に、国民及び事業者からの問合せに対応するためのコールセンターの設置、あるいは消費者への情報発信として、厚生労働省、農水省との連名でチラシ等を作成しまして、当該食品を購入した方に向けての喫食の中止などの呼びかけを行っているところでございます。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 今消費者庁からも答弁がございましたけれども、私ども、相談への対応ということでは、一義的には小林製薬が責任を持って対応すべきと考えておりますが、先ほどもありましたとおり、厚労省と消費者庁と合同で、三月二十九日に、幅広く国民の皆様と事業者の方からの不安にお応えするためにコールセンターを設置し、夜九時まで土日祝日も含めて対応しているということと、あと、小林製薬におきましても、関連する製品に関する健康相談を受けるための相談窓口を三月二十二日に設置をし、二十九日からは受付時間を夜九時まで延長していると聞いてございます。

 厚生労働省としては、引き続き、関係省庁と連携をいたしまして、コールセンターにおきまして、お問合せに対し丁寧に対応してまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 質疑時間が終わりましたので、以上で質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党の大西健介です。

 時間もありませんので、早速質問に入りたいと思います。

 まず、旧統一教会被害者救済法の施行状況を検証するための検討委員会の設置についてお伺いをしたいと思います。

 配付資料の会議録を御覧いただきたいと思いますけれども、令和四年十二月七日の本委員会で、河野大臣は、法の見直しに向けて、消費者庁に何らかの形の検討会をつくりまして、そこでしっかり状況を見ながら議論をしていかなければならぬというふうに思っておりますと、何度も、この不当寄附勧誘防止法見直しについて、検討会の設置というのを明言をされています。しかし、いまだ設置をされておりません。これは、早急に検討会を設置して、見直しに向けた検証作業を行っていただきたいというふうに思っております。

 国会答弁で大臣が約束したことでありますので、これがほごにされるようであれば、こうやって我々が幾ら委員会で議論して、大臣から答弁をいただいても、それは無駄になってしまうということになってしまいますので、自見大臣、この約束、是非履行していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 法の規定の検討につきましては、不当寄附勧誘防止法附則第五条に基づき、法律施行後二年を目途として、それまでの施行状況等を勘案しつつ、所要の検討を加えることとなり、まずは一定の運用実績を確保する必要があると考えてございます。よって、今は、不当寄附勧誘防止法の趣旨の周知啓発に取り組みつつ、引き続き、法の運用について厳正かつ着実に積み重ねをしてまいりたいと思ってございます。

 何らかの検討会という河野前大臣の御答弁は私も承知をしておりますが、背景には、法の施行状況や社会経済情勢の変化をしっかり確認していくという趣旨のほか、関連情報を収集する重要性なども含まれているものと認識をしているところであります。

 いずれにいたしましても、私といたしましては、国会における御審議はもとより、参議院の決議も踏まえつつ、多様な者の意見を聞くことを含めまして、法の附則第五条に係る対応について、十分に検討の上、適切かつ着実に進めてまいりたいと存じます。

大西(健)委員 今の答弁は全く不誠実だと思うんですね。国会の会議録に何度も、検討会をつくる、こういうふうに大臣は言っているんですよ。それは、これまでの、この法律を作るときの検討会を衣替えしてでも、今すぐ始めるぐらいのことを言っていますので、これは会議録に残っていますので、しっかりそのとおりにやっていただきたいというふうに思っております。

 実際、消費者庁は、公益通報者保護法の附則に五年の見直しというのが書いてあるにもかかわらず十四年放置した、こういう前科があるんです。ですから、そういうことが起こらないように、是非お願いをしておきたいというふうに思います。

 次に、紅こうじのサプリによる健康被害の問題について質問いたします。

 冒頭、お亡くなりになられた方々、また、被害に遭われた全ての方々に、お悔やみと、そしてお見舞いを申し上げたいと思います。

 健康になりたいという思いでこのサプリメントを摂取していた人が、健康被害に遭って、現時点で五人もの方が貴い命を落とすというのは、これは本当に深刻な問題だというふうに思っています。

 現在、厚生労働省と自治体が食品衛生法に基づく回収や立入検査を行っていますけれども、問題となった製品は、先ほど来指摘があるように、消費者庁が所管をする機能性表示食品です。この機能性表示食品の制度については、安全性や機能性の科学的根拠について疑問があるものであっても受理されてしまうとか、制度の発足当時から、全国消費者団体連絡会を始め、様々な関係者から不信の声が上がっており、国会でも指摘がされておりました。

 資料の二ページ目に会議録をつけておきましたけれども、線を引いてありますが、当時の山口大臣が繰り返し、やはり、しっかりと事後チェックの制度を機能させていくというのは、ある意味、この制度の肝なんだろうと思います、こういうふうに答弁をしています。

 先ほども指摘がありましたけれども、次のページにガイドラインをつけておきましたけれども、この消費者庁のガイドラインには、右側の赤線の部分ですけれども、健康被害の発生及び拡大のおそれがある場合には、消費者庁食品表示企画課へ速やかに報告することということが書かれています。それから、左の方を見ていただくと、線を引いておきましたけれども、入手した情報が不十分であったとしても速やかに報告することが適当であるというふうに書かれています。

 ところが、本件では、繰り返しになりますけれども、この事後チェックの機能が機能せずに、このガイドラインに反して、症例が報告されてから二か月以上報告がなかった。報道でも、摂取をやめれば回復した例が報告されています。ということは、もっと早くこのことがちゃんと報告されていれば、被害がここまで拡大しなかった可能性がある、このことが最大の問題だと思います。

 消費者庁は、今、約七千件の機能性表示食品の届出製品について、医療従事者から一件でも健康被害情報を受けたことがあれば報告しろという緊急点検をやっていますけれども、今頃やっていて、これは泥縄じゃないですか。

 大臣、事後チェックが肝、こういうふうに大臣が国会で答弁しておきながら、それができていなかったことで五人も死者が出た、このことの責任を、まず、消費者庁、大臣としてどう受け止めておられるか、御答弁いただきたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 機能性表示食品制度におきましては、届出事項の一つといたしまして、健康被害の情報収集体制を内閣府令に規定をいたしまして、表示の適正性を図る観点から、その運用について届出ガイドラインに規定をしているところであります。

 届出ガイドラインにおきましては、健康被害の発生及び拡大のおそれがある場合は、届出者は速やかに、消費者庁はもとより、保健所に報告することとしてございます。こうした届出後の事業者の対応、具体的には、事業者が健康被害の発生の未然防止や拡大防止のために情報収集をし、報告を行う体制を事業者の責任においてきちんと運用していくということが重要だと考えてございます。

 それから、安全性に問題のある食品の販売をする、食品衛生法の遵守は大前提でございますが、現在、厚生労働省におきまして、小林製薬が製造した製品に係る健康被害の原因となった物質と、また、当該物質が製品に含有されるに至った原因の特定の取組を進めていただいているところだと承知をしてございます。

 現在、原因の特定に至っていない中で、予断を持ってお答えすることはできませんが、厚生労働省とも連携しながら、エビデンスに基づき、再発防止のために食品表示法の法体系においていかなる施策が必要か、しっかりと検討してまいりたいと存じます。

大西(健)委員 今の答弁も全然駄目ですよね。私は責任をどう感じていますかと言ったのに、責任について一言の答弁もなかった。しかも、ガイドラインの答弁がありましたけれども、ガイドラインが守られていないんですよ。そのことによって死んでいるんですよ、人が。今の答弁でいいんですかね、本当に。

 機能性表示食品制度が参考にした米国のダイエタリーサプリメント制度でも、有害事象発生時は事業者がFDAに対して速やかに通告を行う義務が課されており、我が国でも健康被害に関して罰則つきの報告義務を課すべきだと私は思います。これは、先ほど公明党の委員からも同じ意見がありました。

 追加で、今日、資料として今朝の朝日新聞の朝刊を配りましたけれども、これを読むと、消費者庁は、健康被害の因果関係が明確でない場合でも保健所などへ報告することを内閣府令の食品表示基準で義務化して、違反した場合には機能性表示食品として販売できなくすることを検討しているとありますが、自見大臣、こういう方向で検討しているということで間違いありませんでしょうか。

 ただ、私は、これは販売できなくするだけでは全然甘いと思いますし、政令では強制力が弱いと思います。先ほど自民の委員からも、これは今はガイドラインに違反しているだけなので違法にはならないわけですから、内閣府令で定めても法律違反ではないわけですから、やはり政令では私は弱い、これは法律で義務化をするべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

自見国務大臣 委員御指摘の届出後の健康被害情報の収集、評価、報告に関する事項につきましては、食品表示法第五条に基づき、食品関連事業者等が食品を販売するに当たって遵守しなければならない食品表示基準の運用について定める、機能性表示食品の届出に関するガイドラインで規定をしているところでございます。

 消費者庁といたしましては、届け出た科学的根拠や表示内容と商品の内容の整合性に疑義がある場合において、届出者に再検証を求めるほか、あるいは、健康被害の情報につきましては、収集した情報を基に健康被害の評価を求め、そして、評価の結果、届出食品による健康被害の発生及び拡大のおそれがある場合には、速やかに保健所と消費者庁に報告を求めることとしております。

 委員も御指摘いただいておりますように、ただし、入手した情報が不十分であったとしても速やかに行政機関に報告することが適当である旨もガイドラインに明記をされているところでございます。仮に、届出後の機能性表示につきまして、食品表示法に基づく食品表示基準に接触することを確認した場合には、同法に基づきまして措置を行うことになるということでございます。

 いずれにいたしましても、官房長官からも五月末の取りまとめを御指示をいただいておりますが、食品衛生法の法体系の中でどのような取組があるかということも武見大臣も申し上げているとおりでございますが、我々もしっかりと、食品表示法の法体系の中で何ができるか、努めて考えてまいりたいと存じます。

大西(健)委員 今の答弁の中でも、健康被害情報が寄せられたらまずそれを評価して、また、その確認を求めるとかという話がありましたけれども、そもそも被害情報がガイドラインどおり上がってこないわけですから、ですから、消費者庁としては何もできないわけじゃないですか。だから、そこをちゃんとやるべきだと私は思いますし、そして、先ほど来、官房長官の指示で五月末と言っていますけれども、事は命に関わる話ですよ。ですから、最低でも今国会中に報告の義務化、この道筋を私はつけるべきだと思いますけれども、これは余りにも私は消費者庁の危機感がなさ過ぎると思いますが、今国会中にやるということでよろしいですか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 食品表示法に基づきます食品表示基準におきましては、機能性表示食品としての届出事項といたしまして、安全性及び機能性の根拠に関する情報、また生産、製造及び品質の管理に関する情報ということを求めてございます。

 委員からも問題意識がございましたけれども、機能性表示食品の届出に関するガイドラインの中で、サプリメント形状の加工食品について、GMPに基づく製造工程管理を強く……(大西(健)委員「全然違う答弁を読んでいるんですよ」と呼ぶ)ちょっとお待ちください。サプリメント状況の加工についても、GMPに基づく製造……(大西(健)委員「それは次の質問なんだけれども」と呼ぶ)大変失礼いたしました。ちょっとお待ちください。(大西(健)委員「ちょっと、委員長、止めてください。これはめちゃくちゃですよ。次の質問の答弁だから、今の」と呼ぶ)お答えさせていただきます。大変失礼いたしました。機能性表示食品の届出に関しましてのガイドラインで様々なことを書かせていただいているところでございます。

 今、幅広く問題意識をいただいているところでございますので、私どもといたしましても、食品、機能性表示食品の所管をいたします我々どもといたしましても、この制度の中でどういったことができるのかということを真正面から考えてまいりたいと存じます。

 失礼いたしました。

大西(健)委員 私が言ったのは、口に入れるものですよ、五人死んでいるんです、だから、もう早くやってくださいということを言っているんですね。

 大臣が読んだのは次の答弁なんです。それは、今回、健康被害の原因物質としてプベルル酸の可能性が指摘されていますけれども、まだ原因物質は特定できていません。一方で、紅こうじ自体は我が国では伝統的な食品や色素として広く使用されてきたものであって、紅こうじが危ないといった、こういう風評被害が広がることは注意が必要だと思います。

 本件では、製造工程において想定とは異なる物質が混入した疑いが指摘されています。そこで、これからさっき答弁していただいた話になるんですけれども、この点、機能性表示食品に関しては、導入時の議論においても、製品中に含まれる成分にばらつきが生じたり、極端な例では、先ほど買上げ調査という話がありましたけれども、製品の中に原料そのものが入っていないケース、こういうのも指摘されているんですね。ですから、適正製造規範、GMPの重要性というのが指摘をされていました。本件でも、小林製薬がもしGMPをちゃんとやっていて、ロットごとに分析して品質管理をやっていれば、健康被害が出ているロットの問題にもっと早く気づいた可能性があると思います。

 このGMPについては、米国では法律で義務づけられていると聞いています。それから、先ほど、強く推奨していると消費者庁の答弁がありましたけれども、これは、事後チェック、事後チェックと言うのであれば、我が国もこのGMP認証を推奨ではなくて法的に義務づけるべきじゃないか、これを検討すべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 食品表示法に基づきます食品表示基準におきましては、食品、機能性表示食品としての届出事項として、安全性及び機能性の根拠に関する情報並びに生産、製造及び品質の管理に関する情報等を定めております。

 GMPでございますけれども、製造管理及び品質管理の基準のことでございまして、委員御指摘いただきましたように、医薬品においては義務化をされております。一方、食品では、指定成分等含有食品についてのみ義務化をされているところでございます。

 食品全体のことにも関わることでございますが、様々な問題意識を受けまして、緊張感を持って取り組んでまいりたいと思います。

大西(健)委員 まだ原因は分からない、原因物質も分からないし原因もよく分からないわけですけれども、ただ、指摘をされているのは、例えば、大阪の工場がひどく古くて、それが和歌山に移転する直前にこの問題のあるロットが生じていると。それを考えると、やはり、このGMPというのをちゃんとやっていればこういうことにならなかったんじゃないかなということが指摘をされていますので、これは非常に重要な問題だと思います。先ほども話があったように、別に紅こうじ自体が悪いわけじゃない、途中で何かが入っちゃった、そこに問題があるわけですので、ここはしっかり議論していただきたいなというふうに思います。

 それでは、次に、改めて確認ですけれども、これは短く答えていただければいいんですけれども、機能性表示食品の届出に関して、消費者庁は実態には踏み込まずに形式的な確認しかしていない、こういうことで間違いありませんか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 機能性表示食品は、機能性関与成分によって健康の維持増進に資する特定の保健の目的が期待できる旨を表示するに当たって、その機能性のみならず、その機能性関与成分の安全面の科学的根拠も含め、事業者の責任において明らかにすることを求めているものでございます。

大西(健)委員 答えてほしいのは、出された届出の中身に踏み込むんじゃなくて形式だけ検査しているんですよね、形式が整っていたらそれを受け付けて、認めるわけですよね。そこをイエスかノーかで。

自見国務大臣 形式でございます。

大西(健)委員 資料の最後につけたんですけれども、消費者庁が令和五年の六月三十日に、さくらフォレストの機能性表示食品について、景品表示法に基づく優良誤認での措置命令を下しました。その中で、届出表示の裏づけとなる根拠が合理性を欠くとの判断から届出表示そのものを不当表示と判断したことが、届出の科学的根拠に踏み込み、違反としたものとして、業界内で大きな話題となりました。

 ちょっと分かりにくいですけれども、何を言っているかというと、科学的根拠がないものをあるかのように言っていること自体が景品表示法違反だと。つまり、科学的根拠には踏み込まないで、形式が整っていたら受け付けるというふうに消費者庁は言っているんだけれども、これは科学的根拠に踏み込んでいるんじゃないかといって業界内がざわついたわけですよ。

 これを受けて、さくらフォレストに、じゃ、その科学的根拠をもう一回確認しろと言ったら、結局、届出を撤回してきたんです。さっき、届出の撤回は相当数あるけれども、分からないと言いますけれども、撤回してきたんです。消費者庁が同一の研究レビューを使用した同種の届出八十八件について科学的根拠を確認したところ、ほぼ全てで撤回の申出がありました。

 つまり、この結果というのは何を示しているかというと、届出時点で一定の科学的根拠の実質的審査をしないと、根拠がない表示が広く世の中に出回って、それを信じた消費者がそれにお金を払って、そして根拠のない食品を長期にわたって口にしてしまうという現実を示している。つまり、届出の形式審査しか行わないという制度ではやはり限界があるということを消費者庁自身が景品表示法の措置命令を出すことによって認めているんじゃないか、私はこういうふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 消費者庁は、令和五年六月三十日、さくらフォレスト株式会社に対しまして、同社が供給いたします、きなり匠と称する機能性表示食品、及び、きなり極と称する機能性表示食品の表示のうち、中性脂肪の低下効果をうたうDHA、EPAについてはそれらの含有量が不十分であったということ、あるいは血圧低下効果をうたうモノグルコシルヘスペリジン及びLDLコレステロールの減少効果をうたうオリーブ由来のヒドロキシチロソールにつきましては、根拠となる論文と、そして表示で標榜する効果が適切に対応していなかったことなどから、これらに対しまして、「血圧をグーンと下げる」などの表示につきまして景品表示法第五条第一号の優良誤認に該当する違反行為が認められたといたしまして、同法第七条第一項の規定に基づきまして、当該表示を取りやめるとすることなどを命ずる措置命令を行ったところでございます。

 食品表示法第十四条は、「この法律の規定は、不当景品類及び不当表示防止法の適用を排除するものと解してはならない。」と規定をしております。機能性表示食品は、表示される機能について国が個別に許可しているものではなく、客観的な試験結果に基づき実証されていないといった、表示の裏づけとなる科学的根拠が合理性を欠くと認められる場合には、その表示は景品表示法上の不当表示等に当たるおそれがあるとしてございます。

 この事案を受けまして、消費者庁といたしましては、既に届出、公表されている機能性表示食品について科学的根拠の再検証を随時行うよう、関係事業者、団体に対して文書で指示をいたしました。

 また、本事案におきまして措置命令の対象となった二商品と同一成分であった、科学的根拠が同一である他の届出について、科学的根拠として疑義があるといった点を指摘し、事業者から合理的な回答があるかどうかの確認を行ったところでございます。その結果、確認の対象となった八十八件については、いずれも撤回の申出がなされてございます。

 また、委員の問題意識も受けてかと思いますが、消費者庁では事後チェックというものも行ってございまして、買上げ調査も行っていることでございます。

 こうした検証事業を行うことによりまして、事業者における品質管理の質が向上し、そして適切な表示による消費者への情報提供がなされるものと認識をしてございます。

大西(健)委員 今の答弁、聞いていただいたと思いますけれども、科学的根拠がないものが結局そのまま広く出回っているんですよ。そして、それを消費者庁自身が駄目だと言っているわけですよね。

 さっき自民の委員からも規制改革云々の話がありましたけれども、これは、経団連の会長が、最初から安全性を犠牲にしてビジネスを優先するという大胆不敵な考えではなかったと思う、人の健康に関わる問題だから、もう少し厳しく慎重にやるべきだったと思う、問題が起これば速やかに見直すべきだ、もう少し厳しく慎重にやるべきだったという声が起こってくるのはそのとおりだと思うとおっしゃっているんですよ。

 ですから、これはちゃんとやらなきゃいけないと思います。今日だけでは時間が足りませんので、是非、厚労委員会との連合審査も含めて、再びこの機能性表示食品の見直しについて議論の場を設けていただくことをお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

秋葉委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 紅こうじサプリによる健康被害について伺います。

 今や、商品に紅こうじが入っているだけで買ってもらえない、中には機能性食品じゃない方を下さいと言うお客さんもいるというふうに聞いております。紅こうじやこうじなどの発酵食品、また、真面目に安全性を確保している機能性表示食品に対する風評被害が広がらないように、政府には特段の対策を冒頭お願いしたいと思います。

 本日は、紅こうじのことではなくて、機能性表示食品の法制度そのものについて議論いたします。

 まず、大臣、基本的な質問ですが、この機能性表示食品の制度は法改正により始まったのか、政省令の改正によって始まったのか、経緯の説明は不要ですので、端的に事実確認をお願いいたします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 機能性表示食品は、食品表示法第四条に基づく食品表示基準、内閣府令に規定されており、同法第五条にて、食品関連事業者は食品表示基準に従った表示がなされない食品の販売をしてはならないと規定されております。

井坂委員 要は、法律ではなくて内閣府令を変えることによって始まったのがこの機能性表示食品制度であります。国会で決めたのではなく政府内で決めた制度でありますから、遅ればせながら国会でしっかり議論をして改正をする必要があると考えております。

 機能性表示の制度は、日本だけでなく、アメリカ、EU、中国、韓国、ASEANなど世界各国に存在します。各国の制度で国の関与の仕方は大きく三つに分けられます。一つは、国が作った規格基準に基づいて決められた表示が可能な規格基準型、二つ目が、製品や原料ごとに国が評価をする個別評価型、そして三つ目が、企業が自ら安全性や機能性を評価して国に届け出る届出型。

 参考人に伺いますが、この機能性表示に関する国の関与の仕方が届出制というのは、日本とアメリカ以外にどこか存在するでしょうか。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、冒頭に、我が国のいわゆるヘルスクレーム制度につきましては、届出制の保健機能食品だけではなくて、許可制の特保ということでございます。

 その点だけ押さえた上で、各国のヘルスクレームにおける国の関与、委員御指摘のとおりでございます。自己認証型、あるいは届出、あるいは許可型、大別して三つあるのかと思っております。

 その上で、私ども、済みません、全世界の状況を網羅的に確認はしてございません。

井坂委員 当局もおっしゃるとおり、私も、知る限り、国が機能性や安全性に直接関与しない届出制というのは、日本とアメリカだけだというふうに思います。この両国は、機能性表示食品について、ルールが企業任せという意味では、最も緩い国と言えるわけであります。

 小林製薬の紅こうじサプリの実際の届出書類を見てみました。安全性の評価方法は、こう書いてあります。「喫食実績の評価により、十分な安全性を確認している。」、ここにチェックされていて、安全性の根拠は、こう書いてあります。当該製品と類似処方の製品を二〇一八年から二年間、二十万食以上販売しているが、本製品が原因と示唆される重篤な健康被害は報告されていない、これが安全性の根拠にされて記載されているわけであります。

 製品そのものでなく、類似処方のものでよいのかとか、欧米では二十五年間が求められる食経験、喫食経験が僅か二年で安全と評価できるのかとか、本製品が原因と示唆されるとはどの程度の関連性を指しているのかとか、重篤でない健康被害はあったのかなど、突っ込み出したら切りがないわけであります。

 参考人に伺いますが、特に最後、機能性表示食品の届出情報に、重篤な健康被害は報告されていないと企業が自ら記載した場合、その企業に果たして本当に報告は届いていないのかどうか、あるいは、重篤な被害なのに重篤でないと企業が勝手に判断したことはないのか。こういう客観性は一体どのように担保されているんでしょうか。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 この機能表示食品制度につきましては、事業者の責任において、安全性や機能性に関する科学的根拠に関する情報などを販売前に消費者庁に届出することによって機能性表示を可能とするものでございまして、一義的に事業者の責任において適切な表示が行われるということでございます。

 一方、我々行政の方は、その届出内容について事後チェックをしていくということでございます。委員御指摘のような、いわゆる虚偽の届出などが発覚した場合には、当然、食品表示法に基づいたしかるべき措置を行っていく、こういうことになろうかと思います。

井坂委員 大臣にもお伺いしますが、通告どおりですけれども、仮に企業がちゃんと報告を上げてきたとしても、消費者庁に健康被害の報告があっても、機能性表示食品と健康被害の因果関係が明らかにならない限り、原因と思われる機能性表示食品の例えば銘柄が公表されるというようなことはないというふうに伺っているんですが、そのとおりでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 安全性に問題のある食品の流通規制は食品衛生法により行われており、健康被害情報の報告を事業者が受けた場合は、管轄の保健所や厚生労働省に情報提供を行っているところであります。

 今般の事案につきましては、三月二十六日に厚生労働省から、小林製薬が製造した三商品について、食品衛生法第五十九条に基づき廃棄命令の措置を講ずるよう大阪市に通知をし、これを受け、大阪市において翌二十七日に廃棄に向けた回収を命じていることにより、委員御指摘の機能性表示食品の銘柄については公表されているものと承知をしてございます。

井坂委員 済みません、確認ですけれども、要は、この機能性表示食品の法律に基づいてではなくて、いわゆる一般の、広く一般の食品全て含む食品衛生法に基づいて、健康被害がある、そこまでいけば、そっちの法律に基づいて銘柄まで公表される、そういうことですか。

自見国務大臣 そうでございます。

井坂委員 ありがとうございます。この点については後ほど議論をしたいというふうに思います。

 安全性試験、企業が機能性表示食品で安全ですという根拠として自ら記載をしている安全性試験についても非常に問題があると考えております。

 安全性試験というのは、同じ試験でも、試験方法とか、あるいは試験の期間、あるいは試験の対象とした人数とか、あるいはネズミなどの動物の数、やり方、いろいろなやり方によって試験の信頼性というのが大きく変わってまいります。だからこそ、OECDは、化学物質の安全性を評価するために、国際的に合意された試験方法をガイドラインにまとめているわけであります。

 ところが、今回小林製薬が紅こうじサプリの届出に記載した安全性試験は、対象とするマウスや人の数、あるいは投与する量などなど、OECDの世界的なガイドラインから大きく逸脱した、一言で言えば信頼性の低い安全性試験だったということが専門家から指摘をされております。

 参考人に伺いますが、単に、機能性表示食品の、企業が書いている、何々試験で安全性を確認しましたと試験名だけ書いて、中身は実は信頼性が低い試験を、これを安全性の根拠として記載をさせるというのはむしろ有害であって、OECDテストガイドラインに沿った試験しか記載できないというように、一定の検査の質を担保すべきではないでしょうか。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のOECDテストガイドライン、こちらにつきましては、化学物質やその混合物を対象としまして、物理化学的性質、生態系への影響、生物分解及び生物濃縮、さらにはヒト健康影響などに関する知見を得るための国際的に合意された試験方法を規定しているものと認識してございます。

 一方、機能性表示食品の対象食品につきましては、サプリメント形状の加工食品はございますけれども、半分程度はサプリメント形状の加工食品以外の一般の加工食品あるいは生鮮食品なども含む食品全般でございまして、こうしたOECDテストガイドラインが対象としてございます化学物質やその混合物に即した対応まで求めるのはちょっとやり過ぎではないかというふうに認識してございます。

 したがいまして、当方としましては、機能性表示食品の届出に関するガイドラインにおきまして、安全性評価に関するフローチャートを示した上で、届出をしようとする食品の安全性につきましては、まず食経験の評価を行うこと、さらに、食経験に関する情報が不十分な場合には既存情報により安全性の評価を行う、さらに、食経験及び既存情報による安全性の評価でも不十分な場合には安全性試験を実施して安全性の評価を行う、こういったルールを規定しているところでございます。

 いずれにしましても、五月末を目途に取りまとめる制度の在り方の方にスピード感を持って取り組んでまいりたいというふうに考えております。

井坂委員 今、まず食経験をもってということで、その話もちょうどしたいところでありますが。

 先ほど、日米、この二か国だけが届出制じゃないかというお話をいたしました。アメリカは、届出制ではあるんですが、ただ、安全性ということについては日本より相当厳しいルールが張り巡らされております。先ほどの食経験も、二十五年以上ずっと食べられていますよということでない限りは安全とはみなされず、なおかつ、二十五年以上食べられていたとしても、サプリのように摂取頻度や量が多くなるような場合には、重ねて動物実験やヒト実験が、しかもOECDガイドラインに沿った形で求められるというわけであります。また、先ほど議論があった品質確保のための製造指針、GMPも、アメリカでは義務化をしています。

 要は、国が基準も決めず審査もしないというのが届出制ですけれども、この届出制という、そもそも非常に緩いルールが日本とアメリカだけ。しかし、そのもう片方のアメリカは、少なくとも安全性については日本よりも本当にはるかに厳しいルールがあるという現実を見たときに、大臣、これは通告どおりですが、日本のこの機能性表示食品の安全確認ルールは、残念ながら世界一緩いのではないでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 機能性表示食品は、食品としての安全性については食品衛生法及び同法に基づく各種基準を遵守することを前提に、特定の機能性関与成分の保健目的を強調表示するに当たって、その安全性と有効性の科学的根拠を事業者の責任において届出、公開するものであります。

 委員の御指摘がございましたが、機能性関与成分の安全性につきましては、届出、販売開始には、食経験や安全性に関する既存情報の調査、又は動物や人を用いての安全性試験の実施、医薬品との相互作用の評価を求めており、届出後は、健康被害情報の情報収集、評価を求めているところであります。

 また、我が国の制度は、全ての機能性表示食品の届出情報を公開しており、科学的根拠を含む製品情報について透明性の高い制度となっており、科学的根拠に疑義がある場合には、表示の根拠を届出者に確認をし適正表示の確保を行っており、安心面で世界一緩いとの御指摘は必ずしも当たらないと考えてございます。

井坂委員 いろいろおっしゃったんですけれども、私はシンプルに、そもそも届出制というのが相当緩い制度ですよねと。アメリカは、その中で安全性は、やはり法律ができてから長い歴史の中で何回か見直しをして、今かなり厳しくなっているんです。日本はそれがないので、まあ普通に考えたら、日本が一番、世界一緩いというのは言い切って差し支えないかなと思うんですけれども。日本以上に緩い国はあるんですか。

自見国務大臣 必ずしも全世界の制度を承知しているわけではございませんので、適切にお答えすることができないということでございます。

井坂委員 要は、ないということなんですよ。本当にないということなんですね。

 これは別に批判したいわけじゃなくて、やはり、今からこの議論が始まるわけなので、現在地はきちんと虚心坦懐に認識すべきだというふうに思います。世界一緩いからとんでもないと言いたいわけじゃなくて、残念ながら今世界最下位の安全性確認ルールしか持っていないという現実を見据えた上で、これからどういう安全性確認のルールをこの上に構築をしていくかということが極めて大事だというふうに考えております。

 通告どおり、次に行きますけれども、先ほど大西議員も質疑しましたが、次の答弁を読まれて、結局答弁がなかったので、通告どおり伺います。

 政府は、答弁で繰り返し、まずは原因などを徹底的に調べて、科学的根拠に基づいて今後の対処方針を考えると答弁をしておられます。しかし、少なくとも、小林製薬の報告が二か月も遅れたということ、また、それが現状、違法でも何でもないというこの緩いルールについては、これは少なくとも、五月まで徹底的に調べるまでもなく、速やかな法改正が必要なのは明らかであります。

 大臣に伺いますが、今回の事件の原因や科学的根拠を五月末まで徹底的に調べるのは、それはそれでやっていただくとしても、健康被害の報告義務化については先行して今国会中に法改正をすべきではないでしょうか。するのかしないのか、お答えをいただきたいと思います。

自見国務大臣 済みません、まず、先ほどの答弁で、世界一のところでありますけれども、安全面と言及すべきところ、安全面と言うところを安心面と言っておりました。訂正させていただきます。失礼いたしました。

 お答えいたします。

 今国会中に法改正すべきではないかというお尋ねでございます。

 安全性に問題のある食品の流通規制は食品衛生法により行われておりまして、現在、厚生労働省を中心に、今般の健康被害の原因となった物質と当該物質が製品に含有されるに至った原因の特定の取組が進められているところでございます。

 この原因の特定に至っていない中で、予断を持ってお答えすることができない状況ではございますが、委員の問題意識もしっかりと受け止めながら、関係省庁とも連携をしながら、エビデンスに基づき、再発防止策のために食品表示法の法体系においていかなる施策が必要か検討してまいりたいと思います。

井坂委員 全体のことを今国会にと言っているのではなくて、まさに、報告が遅れた、しかも、それが違法でも何でもないという、ここはもう本当に、直す以外ないという部分だと思いますから、そこは今国会中にやっていただきたいし、我々もやりたいというふうに考えております。

 次に、日本は、要は、企業が健康効果をアピールする機能性表示の部分だけがここでは制度化されていて、安全性とか品質は食品衛生法など既存の法律で取り締まっているわけであります。

 しかし、通常の食品と異なり、サプリは、特定の成分だけを濃縮して摂取する、しかも、毎日三食、何か月も同じものを摂取するということで、食品と同様の安全性だけではまさに今回のような問題が起こるということは当初から指摘をされてきたことであります。

 大臣に伺いますが、医薬品でも一般食品でもない今回のサプリのような中間的な存在について、安全性を取り締まる新しいルールが必要ではないでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 安全性に問題のある食品の販売規制措置は食品衛生法により行われており、同法で規制対象となる食品は、医薬品等を除く全ての飲食物とされており、サプリメント方式のものもこの定義に該当すれば食品でございます。

 他方、食品表示法においては、食品表示法が対象とする食品については、消費者が食品を摂取する際の安全性及び自主的かつ合理的な選択の機会の確保に資するため、当該食品の状況を消費者まで伝達するために、販売に当たっての表示規制措置を講じているところでございます。

 先ほどの、他方、食品表示法においては、食品衛生法が対象とするというふうに訂正をさせていただきます。

 委員もおっしゃっておりますが、食品表示法に基づく食品表示基準においては、機能性表示食品の販売に当たって、当該食品の安全性に対する事項を消費者に伝達するための義務事項としているところでございます。

 また、機能性表示食品では、販売に当たって、健康被害情報の収集体制を整備することを求めておりまして、その運用に当たっては、機能性表示食品が、医薬品と異なり、その摂取が限定されるものではないということから、万が一健康被害が発生した際には急速に発生が拡大するおそれがあることから、入手した情報が不十分であったとしても速やかに行政機関に報告することが適当である旨を届出ガイドラインに記載をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、与党からも御指摘を受けております、しっかりと五月末までに方向性を取りまとめるべく、スピード感を持って取り組んでまいりたいと存じます。

井坂委員 立憲民主党では、機能性表示食品の見直しPT、プロジェクトチームを立ち上げて、私は事務局長として、政府に対する申入れや、あるいは法案提出を近々行う予定にしております。政府として是非真摯に受け止めていただけるようにお願いをして、終わります。

 どうもありがとうございました。

秋葉委員長 次に、石川香織君。

石川(香)委員 立憲民主党の石川香織です。どうぞよろしくお願いいたします。

 私も、先に小林製薬の紅こうじ問題から質問させていただきたいと思います。

 今まで議論してきた中で、委員の皆さんはこの議論についていけている部分はあると思うんですけれども、やはり消費者の方は今回何が問題なのかというところを少し混乱されているのかなと感じることがあります。食品の安全性の問題、つまり、紅こうじそのものが悪いのではないかと勘違いされている方もいらっしゃいますし、紅こうじそのものの風評被害が発生しているということもあります。それから、機能性食品の制度の問題。それから、今までも議論になっておりました、報告の義務をするべきではないかとか。

 いろいろな問題が混在してしまって何が問題なのか分からない方もいらっしゃるのではないかなと実感しましたのが、先週、地元で、必ずこの紅こうじの話題になるときに、例えば、アイシングクッキーというかわいい色味をしたクッキーがあるんですけれども、これに着色のために紅こうじが入っているということがあって、親御さんたちが子供たちに食べさせていいんだろうかという話をされていたり、あと、ネットショッピングを見ても、この製品は小林製薬の紅こうじは使っていませんと表示が書いてある。そして、買物をするとき、コンビニに立ち寄ったときに、梅のおにぎりの裏を見ますと紅こうじと書いてあって、えっ、これは大丈夫なのと話している方もいらっしゃるということで。

 一旦、これは何が問題であるかということをきちんと整理する必要があると思いますけれども、改めて、今の状況を含めて確認させてください。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現在、厚生労働省におきまして、国立医薬品食品衛生研究所と連携しまして、今回の事案についての原因究明に向けて取組が進んでいるところでございます。委員御指摘の風評被害を防止するためにも、今般の健康被害の原因となった物質と当該物質が製品に含有されるに至った原因の特定が進むことが望まれるところでございます。

 また、三月二十八日に、厚生労働省におきまして、薬事・食品衛生審議会の調査会が開催されました。小林製薬が直接紅こうじ原料を卸している企業などに対しまして、自主点検を行いまして厚生労働省への報告を依頼した結果、回収命令の対象となった三製品以外に、新たに対応が生じる製品の報告はなかったということでございます。

 厚生労働省が公表するこれらの情報を、消費者庁といたしましては、適時適切に情報発信していくことがまずは消費者の皆様の懸念の払拭につながるものだと考えておりまして、厚生労働省、農林水産省と連携しまして、政府一丸となって食の安全確保に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

石川(香)委員 必要以上にパニックにならないように、しっかりとアナウンスをしていくということが重要だと思います。

 そして、東京商工リサーチによりますと、消費者庁がウェブ上で公開している機能性表示食品のデータベースがありますが、これは半年に一度、企業の、内容の更新を要請しているにもかかわらず、約一五%の企業がこの情報の更新をしていなかったということが明らかになったということです。

 届出をしている会社は千六百七十一社あるということで、その七割が一億円未満の会社であるということですけれども、今や七千億円規模の市場になっている機能性食品ですから、これはきちんと、やはり企業の情報を含めて整理する必要があると思います。企業のモラルそのものも問われているのではないか。自見大臣も先日の会見の中で、このデータベースの早急な改善も検討する必要があるということを述べられておりました。

 消費者庁のこのデータベースでありますけれども、企業の情報更新、最低限行ってもらう必要がありますけれども、今の段階での改善点、それから今後のスケジュールなども教えていただければと思います。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 この機能性表示食品制度につきましては、るる申し上げているとおり、事業者の責任において、安全性や機能性に関する科学的根拠に関する情報などを販売前に消費者庁に届出することによって機能性表示ができるということでございますが、この届出情報をまずは消費者の皆様に全て公開するということが制度の要諦だと考えております。

 その意味で、委員御指摘のように、届出をしたまま廃業した事業者がいることや販売状況についてのデータが更新されていないということについては、非常に大きな課題だと考えております。

 機能性表示食品の届出情報データベースにつきましては、令和七年度から新たなシステムに移行する予定でございまして、この際に、改善すべき事項については検討していきたいというふうに考えております。

 また、今回点検中でありますので、その結果も踏まえつつ、早急に対応できるものについては新たなシステムへの移行を待たずに改善するよう大臣から指示をいただいておりまして、先日、いわゆるホームページが非常に、最初の、消費者庁のホームページの表から探しにくいというような御指摘もありましたので、それをトップページに持ってくるとか、そういうできることから始めたいと思っております。

石川(香)委員 具体的に、令和七年度の、届出のシステムの改修があるというお話もありましたけれども、届出された企業の中には、倒産したり、そもそも商品がなくなってしまったものもあるそうなんですけれども、消費者が何かあったときに連絡を取ろうと思っても連絡がつながらないということがあってはいけませんので、この辺りの運用をしっかりしていただきたいと思います。

 そして、再三ほかの委員からもありましたけれども、やはり今回の事案は機能性表示食品のチェック体制の問題ということが最大の論点だと思います。特に、被害が発覚してから報告までに二か月を要してしまったというのは大変大きな問題だと思っております。健康被害の報告義務、ガイドラインだけの努力義務にするのではなくて、きちんと法律事項として義務化をするべきではないか。

 これは大変重要な論点なんですけれども、これまでの国会の審議の中でも、事後チェックの機能の重要性について当時の消費者担当大臣から答弁もあったということ。それだけではなく、経団連の会長もコメントがありましたし、過去は、二〇一五年、機能性食品がまさにスタートしたときに、この制度の見直しを求める主婦連合会、意見書も出しておりまして、今のこの問題の本質を非常に見抜いていらっしゃる意見書になっています。今年の一月にも日本弁護士連合会の意見書が出されているということで、いろいろな方面から心配をされていたことがこのような事態になってしまったというのは、大変やはり重い事態だと思っております。

 今、大西委員や井坂委員からもありました、五月末までにとは言わずに、今国会での報告義務のルール作りというのは改めてやはり必要ではないかと思いますし、厚労委員会との連合審査の話もありました。

 大臣、三回目の質問になりますけれども、是非、このことについて踏み込んだ答弁をいただきたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 安全性に問題のある食品の流通規制は食品衛生法により行われていることから、機能性表示食品制度を含むルールの在り方につきましては、関係閣僚会議での官房長官の御指示も踏まえまして、厚生労働省と緊密に連携をして議論を進めていくということは非常に重要であると考えてございます。

 また、今回の事案を受けまして、機能性表示食品制度の今後の在り方につきまして、この指示をいただいて、今現在、届出食品の約七千件の健康被害情報の収集、分析情報、こういったものも確認を行いつつ、様々な、皆様から問題提起、御意見をいただいておりますことを謙虚に受け止めまして、そして、四月一日に立ち上げた消費者庁の中での検討チームでの検討に加えまして、専門家による検討の場を早急に立ち上げ、そして、五月末までに方向性を取りまとめるべく、スピード感を持って取り組んでまいりたいと思います。

石川(香)委員 是非、この健康被害の報告義務化について、本当に早期に取り組んでいただきたいと改めてお願いを申し上げたいと思います。

 これまでも、科学的根拠の質の低さは度々問題視をされておりまして、消費者庁が二〇一五年度に実施した研究レビューに関する調査事業というもので、委員長を務めた東京農業大学教授の上岡洋晴さんが、二〇一九年に、いわゆる機能性の立証に対するレビューですけれども、再調査を実施したところ、前回よりも更に質が悪化しているということが判明したということだそうです。こんな簡素化された記述でも受理できるのかと考えた事業者が過去の研究レビューを安易に模倣するような悪循環が生まれたかもしれないと指摘をされております。

 これは厚労省の管轄の部分であったり消費者庁の管轄であったりといろいろと複雑であるわけですけれども、これまで消費者庁が実施した調査の中でもこのように質の低さがきちんと指摘をされているのであれば、やはりこれもしっかりスピード感を持って、早期に健康被害の報告義務化について取り組んでいただきたいと思います。

 では、次の質問に参ります。インターネットの広告について伺います。

 二〇二二年三月三十一日には、インターネットの広告について、消費者庁は、届出後の事後的なチェックを行いまして、百三十一商品において、その表示、広告に問題があると改善指導を行ったことを公表いたしました。

 行政指導は年間数百件に上るということですけれども、商品名は公表されず、事業主に公表の義務はありません。行政処分になりますと年間数十件あるということですけれども、いずれも広告の表示と実態の乖離があるという点が問題視されるということなんですけれども、まず、この行政処分と行政指導、景品表示法においてどのように違いについて判断をしているのかということについて教えてください。

真渕政府参考人 お答えいたします。

 景品表示法では、事業者が、自己の供給する商品又は役務の内容について実際のものよりも著しく優良であると示す表示ですとか、商品又は役務の取引条件につきまして実際のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示を禁止しております。

 この法律に基づいて個別事案を処理する際に、行政処分と行政指導のいずれを取るかにつきましては、個別の事案ごとに、法律上の要件を満たすか否かを調査の中で得られた証拠に基づき検討した上で、要件を満たす場合には行政処分たる措置命令ですとか課徴金納付命令を、違反のおそれにとどまる場合には行政指導をそれぞれ行っているということでございます。

石川(香)委員 今いろいろな問題点をいただきましたけれども、インターネット広告は一万数千件、非常にたくさん数があるということで、調査官の方が数十人いらっしゃるんですけれども、監視をしながら行政指導や処分を行うということで、非常に仕事がこれからも多くなるのかなと感じます。

 最近、ナンバーワン表示というものをよく見かけます。このナンバーワン表示、何の根拠をもってナンバーワンになったのかというこの根拠の部分をつくるためにリサーチ会社にデータの収集を求めるという会社があるわけですけれども、このデータがでたらめであっても最後には広告主の責任になるということで、今このナンバーワン表示が増えているということに対しての調査、それから、結果的に根拠のないデータを扱うリサーチ会社を採用してしまわないようにするためにはこのリサーチ会社の見極めというものが重要になってくると思いますけれども、この点についてお願いいたします。

真渕政府参考人 お答えいたします。

 最近、委員御指摘のように、満足度ナンバーワンなどとうたう宣伝広告がございますけれども、中には、事業者が客観的な調査に基づかないナンバーワン表示を行ってしまって、景品表示法ですとか特定商取引法に違反するとして消費者庁が行政処分を行うケースがございます。令和五年度におきましては、そのようなケースは十四社に上っているところでございます。

 これらの事件の多くは、調査会社、リサーチ会社ですけれども、そこが広告主と同業他社のウェブサイト等のリンクを列挙したものを消費者に示して、商品やサービスの利用経験というフィルタリングをかけることなく、消費者に対して商品、サービスのイメージを尋ねた結果をもって満足度ナンバーワンと表示するなど、およそ客観的な調査に基づくものとは言えないものであったということでございます。

 こうした状況を踏まえまして、消費者庁といたしましては、ナンバーワン表示に関する実態調査を開始したところでございます。具体的には、調査会社などへのヒアリング調査のほか、実際のナンバーワン表示広告に関する実態の調査、あるいは、消費者が商品やサービスの選択や利用においてナンバーワン表示をどの程度参考にしているかといった観点からの消費者への意識調査、こういったものを行うことを予定しております。

 広告主として気をつけるべき点についてもお尋ねがございましたけれども、調査会社による調査結果を安易にうのみにするのではなくて、表示との関係で調査手法が合理的なものか否かにまで踏み込んでチェックいただくということが肝要ではないかというふうに考えているところでございます。

石川(香)委員 今調査が行われているということですので、いいかげんな広告にならないように、しっかりリサーチ会社の実態も明らかにしていただきながら、徹底をしていただきたいと思います。

 それでは、ちょっと順番を変えまして、ゲノム編集の質問に移らせていただきたいと思います。

 今、ゲノム編集の品種開発が続けられておりますけれども、既に流通している品目を教えてください。

中山政府参考人 お答えします。

 これまでに流通することを目的として届出がなされたゲノム編集技術応用食品は六品目でして、例えば、ギャバの含有量を高めたトマト、可食部である筋肉量を増やしたマダイ、早く成長するトラフグなどがあります。

 以上です。

石川(香)委員 まだ六品目ということで、数は多くないんですけれども。

 次の質問を大臣にお伺いしたいと思うんですが、この委員会でも再三出ております表示の問題です。

 安全性については、このゲノム食品、遺伝子のカットアウトだから問題ないという点と、それから、最終的にゲノム食品かどうか後から追えないということもあって表示義務を課していないということなんですけれども、やはりこれは、何度考えても、ゲノム食品とそうではないものぐらいは消費者に選ぶ権利があるのではないかと思います。

 私の選挙区、農林水産業が非常に盛んな地域ですけれども、いろいろと厳しい条件の中で、生産者は誇りを持って農林水産物を作っている。まさに政府も付加価値をつけてもっと頑張ってくださいと答弁をされているところで、生産者が育てた作物と、ゲノム編集の作物、これはこれで大変な努力でできているとは思いますけれども、これが一緒くたになってしまうということは、やはりこれは私は非常に違和感があると思います。同じトマトであっても、腐りにくいものと、自然のもので当然腐っていくわけですから、見た目がきれいなものを手に取る人が多いということで、自然のものが見た目で劣るなんて言われてしまっては、やはり本末転倒ではないかと思います。

 国民に選択肢が増えることは決して悪くないはずで、表示を別々にするということ、これはしっかり義務にする必要があると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 一般論といたしまして、付加価値をつけた農産物等については、その付加価値の内容を事業者が積極的に消費者に対して訴求しているものと考えられます。

 ゲノム編集技術応用食品のうち、安全性審査の要否に関する整理におきまして、遺伝子組み換え食品に該当するものについては、食品表示基準に基づく遺伝子組み換え食品に関する表示制度に基づき表示の義務づけをしているところでございます。

 また、安全性審査の要否において、遺伝子組み換え食品に該当しないものとして届出をされ市場に流通しているゲノム編集技術応用食品については、食品表示基準による表示の義務はないものの、ゲノム編集技術を利用したことについて、消費者に対する情報提供に自発的に取り組んでいただいている状況でございます。

石川(香)委員 確かに、自主的に表示している企業もありますので、それであれば、販売元にしっかり表示義務を課せばいいのではないかということを指摘させていただきます。

 全国消費者団体連絡会が二二年に調査した調査では、八割が、ゲノム食品について、聞いたことがあるが内容は知らない、聞いたことはないと答えました。どちらかといえば悪いというふうに答えた方々の理由は、不安ですとか、安全とは思えないということが上位だったということで、改めてこの表示の義務について訴えさせていただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、岬麻紀君。

岬委員 日本維新の会、岬麻紀でございます。

 皆様、お疲れさまでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、本年は、消費者基本法の抜本的改正から二十年、そして、消費者庁及び消費者委員会設立から十五年となる節目の年を迎えているということでございます。

 消費者を取り巻く問題というのは、時代の変化に伴って、これまで想像もしなかったような被害が起こってみたり、原因究明や再発防止ということを繰り返しながら、消費者の安全な暮らし、健康を守っていかなくてはいけません。

 そこで、消費者問題に関する大臣の所信表明を中心としまして、本日は質疑をさせていただきます。

 まず、近年注目をされている問題として一つ、食品ロスに関する問題があります。食品ロスの削減目標に向けた施策について伺います。

 今後、食品ロス削減を更に推進するに当たりまして、例えば、フードドライブであるとかフードバンクといった活動が盛んに行われています。規模はこれからもますます拡大していくと思われます。

 令和五年、二〇二三年十二月二十二日に取りまとめられました食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージの内容では、二〇三〇年までにこの食品ロスを半減させていくという目標を掲げていらっしゃいます。食品ロス、推進等の支援としましては、地方消費者行政強化交付金において、フードバンクやフードドライブ活動を支援するということも明記されていました。

 そこで、消費者庁としては、具体的にどのような内容をどのように進めて実現させていく、目標を達成していくということを考えられているのか、大臣、お願いいたします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 令和五年十二月二十二日に開催されました食品ロス削減推進会議におきまして、食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージを取りまとめをさせていただきました。

 この施策パッケージにおきましては、従来から進めている食品廃棄物の排出削減の促進に加えまして、食品寄附の促進といたしまして、食品の期限表示の在り方の検討、そして、食品寄附への社会的信用向上のための食品寄附ガイドラインの策定、そして、フードバンク団体等を介した食品提供円滑化の強化支援等の施策を盛り込むとともに、外食時の食べ残し持ち帰りの促進といたしまして、民事及び衛生に関するガイドラインの策定を盛り込んだところでございます。

 消費期限の見直しや関係ガイドラインの策定を始めとして、今回盛り込まれた施策は、いずれも大変幅広い関係者の御意見を丁寧にお聞きする必要がある、そういった課題が多いため、本年度、早期に官民の協議会を立ち上げる方向で準備をしているところであります。

 消費者庁といたしましては、お示しをいたしましたこの施策パッケージに盛り込まれた関係府省庁の施策の着実な実行を推進いたしまして、本年度末を目途に予定をしております食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針の見直しにしっかりと反映させてまいりたいと考えてございます。

岬委員 ありがとうございます。

 是非実現していけるように、取組を引き続きお願いいたします。

 また、農林水産省においても、食品ロス削減の緊急対策事業としまして、フードバンク等に対しての輸配送費であるとか、また、倉庫や車両のいろいろな経費がかかってくるわけですね、そのような取組に必要な経費の支援を行っているとお聞きしております。

 フードバンクに寄せられている、寄附をされてくるものというのは、大体が、食品の安全はもちろんでございますけれども、包装が破損しているとか、過剰な在庫があるとか、印字にミスがあったということで流通に出すことができない食品を企業等が寄附をするということが認識をされております。

 一方で、課題も考えられるのではないでしょうか。例えば、それを振り分けたり扱ったりする人手不足であるとか、運営費が不足している、また、ノウハウが不足しているために円滑な運営ができていないであるとか、知識が不足している、行政との連携がうまくいかないといったことが挙げられます。

 このような課題をどのように今認識をされていて、対策として、解決に向けて動いていらっしゃるんでしょうか。政府参考人でも構いません。

小林政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省は、平成二十八年の十一月に、フードバンク活動における食品の取扱い等に関する手引きを作成しまして、関係者間のルール作りでありますとか、提供食品の品質、衛生管理、情報の記録等に関する手引として、関係者にお示ししているところでございます。

 この手引の中では、食品の提供等における原則として、消費期限や賞味期限を過ぎた食品は譲渡しないということは明記をしているところでございます。

 この手引の中では、食品提供事業者がフードバンクに対して賞味期限間近な食品を提供すること自体は問題としていないわけでございますけれども、こうした賞味期限間近な食品につきましては、賞味期限が到来するまでの間に、短期間のうちにフードバンクが受取先に配付するといったような対応が必要となるなど、食品提供事業者とフードバンクとの事前の調整が重要になるというふうに考えております。

 このため、この点について、手引の方では食品提供事業者とフードバンクとの間におけるルール作りについて明記しておりまして、具体的には、食品提供事業者が、フードバンクの希望を考慮して、提供する食品の種類や量などを検討し、提供するといった内容を参考にして合意書を作成、保有するというようなことも記載しておるわけでございます。

 農水省といたしましては、食品提供事業者とフードバンクとの間で未利用食品の寄附が適切になされるよう、引き続きこういった手引の内容を関係者にしっかりと周知徹底していく考えでございます。

岬委員 お答えいただきましたけれども、課題の認識をどのように解決していくかということなので、今のですと、手引でというだけのことで、余り、具体性には欠けているのかなというふうに感じます。

 また、寄附をされたものを振り分けていく一つの先として、子供食堂が食品ロスの、貢献をする側面も持っていると考えられます。

 子供食堂、今やもう全国的に増加をしています。いろいろな、内容も様々であったり、運営も様々です。また、無料のものから有料のものまでありますし、私の選挙区の地域でもいろいろな試みをされています。これは、そもそも子供の貧困対策であるとか、子供の居場所づくりであるというふうに聞いてはおりますけれども、最近は、子供に限らず誰でも参加できますよという呼びかけも増えているように感じます。

 しかし、現状はといいますと、地域の有志であるとか住民の方々の御厚意によってこれが運営されているということが非常に大きな課題でもあるわけです。だんだん負担になってくるであるとか、安全性の確保であるとか、告知の問題、情報提供の問題というふうに様々です。

 この辺りの、子供食堂の意義であるとか、どのような課題があるというふうに考えているか、そして、これからの本来あるべき子供食堂の在り方というのはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 子供食堂でございますが、御指摘のように、様々な目的とか、あるいは運営方法、スタイルで行われていると承知をしております。

 それら子供食堂、いずこにおきましても、やはり、地域の中で子供たちに対して無料あるいは安価で栄養のある食事や温かな団らんなどを提供する場として機能しているというか、活用していただいているものと承知をしております。

 その子供食堂を利用される方々ですけれども、確かに、これもまた御指摘のように、低所得世帯の子供などに限らず、誰でも参加できるような場所も多くなってきているように承知をしておりまして、その機能としては、食の支援にとどまらず、子供の居場所であったり、あるいは食育推進の場としての機能を持っていたりとか、あるいは、それこそ親御さん同士の情報交換とか、子育てに関する助言をお互いにやり合うとか、そういった場としての機能もしているというのは承知をしております。そういう意味では、そういった様々な機能、役割を持つ子供食堂についての取組というのを支援をしていくことが重要だと考えております。

 こども家庭庁といたしましては、子供の居場所としての子供食堂について、それをどう立ち上げるのかとか、あるいはそれをどう運営していけば、より効率的にといいましょうか、効果的に回っていくのかということについて支援をしていくことが必要かなと思っておりますので、今、補助事業とかも用意しておりますので、そういった補助事業を通じて支援をしていくことと併せまして、そういった子供食堂を運営する中で見つかった支援を必要とする子供ないしは家庭といったものに対して、早期発見、早期対応につなげていくような取組というのも組み合わせてやっていくのが課題かなというふうに思っております。そうした組み合わせた形で、地域こどもの生活支援強化事業という事業を立てまして、ちょっと面的に広げられないかなということとかも考えておるところでございます。

 引き続き、食ということでもありますので、消費者庁さんであるとかあるいは農林水産省さんなど関係省庁とも連携しながら、子供食堂の取組といったものがより効果を発揮できるように頑張っていきたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 ただ、先ほどのお話で、賞味期限が切れたものはもちろんフードバンクなんかでも扱わないんだけれども、賞味期限が近いものがかなり子供食堂に押しつけられてしまっているという現実があったりですとか、企業が商品のPRの場に使ってしまうであるとか、ファストフードであるとかスナック菓子を配るというような、到底ちょっと食育からは遠くなってしまう、健全な子供の育成であるとか、本来の意味から大分外れつつある場面も見受けられますので、その辺りの対策もしっかりと進めていただきたいと考えております。

 次に、企業における食品ロス削減に向けた取組もかなり盛んに行われておりますが、この辺りの現状の把握であるとか取組の支援、その辺りはどのように進んでいるんでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省では、毎年十月三十日の食ロス削減の日に向けまして、食品企業における食ロス削減等の取組事例を把握して、公表しているところでございます。

 こうした食ロス削減に取り組む企業を拡大するためには、優良事例をできるだけ多くの企業に横展開するといったこと、それから、新技術の活用などによりまして食ロス削減に向けた新たな取組をつくり出していく、こういったことが課題になっていると考えております。

 このため、食品企業を対象としました優良事例を説明するセミナー等を開催いたしましたり、優良事業者を募集して顕彰する食品産業もったいない大賞というようなものもやっております。これは毎年やっております。それから、食ロス削減のための民間事業者の新たな取組に向けて、調査とか実証、こういったものの支援、こういったことも行っております。

 また、新たに、昨年十月からは、民間団体、事業者、消費者、行政で構成します食品廃棄物等の発生抑制に向けた取組の情報連絡会、こういったものも設置しまして、企業の取組事例を幅広く共有しているところでございます。

 農水省としましては、引き続き、こうした取組を通じまして、食ロス削減に取り組む食品企業の拡大、こういったものを進めてまいりたいと考えております。

岬委員 すばらしい取組だと思いますので、どんどんそれを波及拡大できるようにお努めいただければと思います。

 例えば、私が調べたものによっても、コンビニエンスストアにフードドライブボックスを設置するであるとか、あと、牛丼チェーンは、牛丼の中にタマネギがたくさん入っているんですが、タマネギが毎日大量に消費されるんですけれども、その芯であるとか使えない端材の部分、これの処理に年間二百五十トン以上上がっている、そういったものをこれからうまく再利用して、ごみを減らすことにもなるということの取組があるということで、こういったことを調べてまいりますと、新たなビジネス展開にもなりますし、是非これを盛んに行っていくことが、また食品ロスを削減することにもつながっていくのではないかと考えます。

 次に、消費者庁におけます食品の安全性に関するリスクコミュニケーションについて伺います。

 食品の安全性、今日も多くの質問が出ておりますけれども、情報が大変複雑であるということ、一般の消費者では理解がしにくいであるとか、情報をもっと分かりやすく伝えていくことも求められるのではないでしょうか。また、食品の安全性に関する情報があふれているということも考えられます。消費者はどのように正しい情報を判断していいのか。

 科学的に正しい情報を伝える取組として、リスクコミュニケーションを推進していくのは大変重要なことであると思います。より多くの消費者がリスクコミュニケーションに参加できる機会を提供するべきと考えますけれども、消費者庁はどのような取組を行っていらっしゃるんでしょうか。

中山政府参考人 お答えします。

 消費者庁では、食品の安全性に関する正しい理解が広がるよう、様々なテーマに関しまして、科学的な知見に基づくリスクコミュニケーションに取り組んでいるところでございます。

 具体的には、関係府省と連携しまして、食品の放射性物質に関する安全性をテーマとした消費者や大学生を対象とする意見交換会、そして、食中毒予防の啓発を目的とした子育て世代の消費者やその子供たちを対象としたイベント、さらに、消費者からの相談に対して科学的に正しい情報が伝えられるよう、消費生活相談員などを対象とした研修などを実施しております。

 また、消費者の方々により多くのリスクコミュニケーションの機会を提供できるよう、地方公共団体等と連携いたしまして、農薬、食品添加物、遺伝子組み換え食品等をテーマとした意見交換会のほか、消費者の身近で食品に関する科学的な情報の提供ができる人材、いわゆるリスクコミュニケーターの養成などを実施しているところです。

 今後とも、関係府省や地方公共団体と連携いたしまして、科学的な知見に基づく食品安全に関するリスクコミュニケーションの取組の推進に努めてまいりたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 このリスクコミュニケーションと併せまして、消費者を取り巻く取引環境における消費者の教育という部分に今度は注目をしたいと思います。

 消費者被害は未然に防止することが最善であると考えます。そのためには、所信表明にもありましたように、消費者力という力をつけていくという必要性があるのではないかと思います。

 その育成、強化のため、消費者庁は、消費者教育に関して、今ちょうど年度が替わりまして四月、新しい生活、新しい環境で、消費者教育が大変有効な時期ではないかと考えますが、どのような取組を行っていらっしゃるんでしょうか。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 霊感商法などの悪徳商法、悪質商法の事案を踏まえまして、消費者被害の未然防止のためには、委員御指摘のとおり、消費者が気づく、断る、相談するなど、被害防止に必要な実践的な消費者力を身につけることが重要と考えております。

 このため、今般、消費者庁は、消費者力の育成、強化を図ることを目的として、VR動画などを活用した体験型教材を作成し、本年四月四日に公表したところであります。

 この教材では、世代ごとに遭いやすい最新の消費者トラブル事例、例えば偽装サークルですとか催眠商法を扱った動画などによりまして、具体的な手口や気づくべきポイント、断り方などの対策を自分事として学べるようなことができます。また、臨場感のあるVR動画で疑似体験ができるほか、対処法をシミュレーションして学ぶことができます。

 今後、この教材が様々な場で活用されることなどを通じまして、気づく、断る、相談するなどの消費者力アップにつながるよう、消費者教育の一層の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 つまり、今のお話、三つのポイントがあったと思うんですが、ちょっとおかしいんじゃないかな、これは大丈夫かなと察知する能力だと思うんですね。それと、次に、断る、私は要りませんであるとか、今回はそれは必要ありませんというような断る力。そして最後に、万が一のときには気軽に相談したり対策を考える力ではないかと思うんですね。

 では、その力が必要だということは周知できたとしても、それは実際にはどうやって養っていかれると効果があると思いますか。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、教材を作ったわけですけれども、やはりこれをなるべく多くの方に見ていただいて、まさに体験できるようなVR動画になっていますので、これを体感していただくということが極めて重要だと考えております。

 本教材は、こうした観点から、スマートフォンによる視聴を想定した形式で当庁特設サイトに掲載をしまして、消費者庁SNSで発信するなど、スマートフォンによる自学により、多くの消費者に活用いただけることを目指しております。

 また、関係省庁や地方公共団体、関係団体などにも周知をしまして、地方公共団体や関係団体によります講座、研修、それから展示、体験コーナーやイベント、あとは、大学生協連とも連携をして、大学におけるオリエンテーション、さらには、高校、大学、あるいは事業者に向けた出前講座、こういった場で活用を促進してまいりたいと考えております。

 なお、主に消費者団体や地方公共団体職員などの消費者教育の担い手を対象としまして、今月十一日及び十二日に、VRの体験会を開催予定です。また、来月、五月十三日には、消費者教育コーディネーター会議で紹介する予定であります。

 このような取組を通じて、学校、職場、地域における活用を図ってまいりたいと考えています。

岬委員 いろいろ御紹介いただきました。そのような機会があるということは非常に重要だと思います。

 私たちも、経験、皆さんあるかもしれませんけれども、小さなミスで、ああ、あのとき、ああすればよかったなとか、小さなつまずきで、リカバリーができればいいんですけれども、最近は、気づいたら大きな損害であるとか被害を被ってしまって、なかなかリカバリーができないという、一発アウトになってしまうような状況に陥ることもありますので、この先、途中で気づいたときにどうしたらいいのか、そのリカバリー方法みたいなことも盛り込んでいただくとよろしいのではないかと考えます。

 それでは、次ですけれども、最後の、今回の柱となります、若者、若年層、それは小学生も含めますけれども、デジタル活用に伴う問題について触れていきたいと思います。

 日本経済新聞社の調べによりますと、国民生活センターには、子供が無断でオンラインゲームに課金をしてしまった、相談件数は年間で四千件に達しています。平均の決済額、ちょっと私は驚きましたが、三十三万円。また、百万円を超すというケースも伺います。例えば、子供が知らず知らずやってしまって、請求が来たお父さん、お母さんはびっくりすると思うんですよね。

 そういった被害がある中で、デジタル化に伴って、SNSをきっかけとしたトラブルであるとか被害が生じているということは、もう皆さんも御承知のとおりだと思います。

 このような相談、消費者庁としてどのように対応しているのか、大臣、見解はいかがでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 デジタルの進展に伴いまして、消費者を取り巻く環境は著しく変化をしており、デジタルに伴う消費者トラブルへの対応も重要な課題と認識をしてございます。

 例えば、SNS関連の消費生活相談は近年増加傾向にございまして、二〇二二年には約六万件寄せられております。

 主な相談といたしましては、SNSで広告を見て注文したが詐欺サイトだったという、SNSでの広告がきっかけとなるケース、あるいは、SNSで勧誘され投資してしまったという、SNSでの勧誘がきっかけとなるケース、また、SNSで知り合った人との個人間取引でトラブルが生じたケースなど、様々ございます。ほかにも、委員言及してくださったように、オンラインゲームへの子供による無断課金等の消費者トラブルも生じているところであります。

 これらの様々な消費者トラブルに対しまして、課題に応じて、例えば、総務省や文部科学省と連携をいたしまして、e―ネットキャラバンを通じて注意喚起するなど、随時、注意喚起等を行っているところであります。

 デジタルに関する消費者トラブルの対応はますます重要になってくると考えておりまして、引き続き、関係省庁とも連携しながら、注意喚起等の対策を進めてまいりたいと存じます。

岬委員 ありがとうございます。

 今年の三月十八日に、日経新聞の電子版でも同じような記事がございました。国民生活センターによる注意喚起の記事も載ってはいるんですけれども、消費者庁にオンラインゲームに関する相談件数が非常に増えているというものなんですが、これで驚くのが、小学生、中高生というグラフが出ているんですけれども、中高生と小学生が大体半々なんですね。つまり、中高生と同じ分ぐらい、小学生がこのようなオンラインゲームの相談になっているということで、非常に低年齢化が問題なのではないかなと感じています。

 民法によりますと、保護者の同意がなく未成年者が結んだ契約を解除できる未成年者取消権を定めています。また、子供が勝手にゲームで課金した場合、決済情報を持つアプリストアの運営会社に申し出て契約解除を求めることもできるということですけれども、ここでの問題が、スマホというものを使ってのゲームの取消しはすごくハードルが高いということなんです。

 例えば、親御さんのお使いになっているスマホを子供たちがいじりながら、今、子供の中での情報で、暗証番号を変える設定ができるであるとか、子供の方がこういった端末に非常にたけてしまっているわけです。そうなると、保護者のアカウントでログインをして、端末で課金をしてしまうと、保護者が決済したのではないかとなるので、非常にこの取消しが難しい。

 この辺りの対策も今後非常に問題点なのではないかと申し伝えまして、今日の質疑を終了したいと思います。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 小林製薬の紅こうじ配合サプリメントを摂取した方から健康被害の訴えが相次いでいる問題について、私も質問をさせていただきたいというふうに思います。

 厚生労働省のホームページには、四月七日時点のものですけれども、五人の方がお亡くなりになり、入院治療を要した方は二百十二人、そして、医療機関を受診されている方は千二百二十四人ということでございます。亡くなられたお一人お一人に、心から哀悼の意を申し上げたいと思います。そして、健康を害してしまわれた方に、心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 この小林製薬の紅こうじの原料は、まず最初に、何社に卸され、何社に販売されたのか。そして、そこからまた先、関連する企業は何社なのかということをお示しをいただきたいと思います。また、回収対象となっている紅麹コレステヘルプ、そして、ナイシヘルプ+コレステロール、ナットウキナーゼさらさら粒GOLDは、いつから、どのくらいの数が販売されていたのか。まず、基本的なことでお示しをいただきたいと思います。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の紅こうじ原料につきましては、小林製薬が直接この原料を卸している企業が五十二社、これら五十二社から小林製薬の紅こうじ原料を入手している企業が百七十三社と把握しております。

 また、当該製品の販売施設、すなわち小売店は、小林製薬の本社を所管する大阪市を含む百二十九自治体の調査により、四月一日時点において約二万三千店舗と把握されております。

 また、御指摘の三製品について小林製薬に確認したところ、令和三年二月から令和六年二月の間に約八十六万個が販売されていると承知をいたしております。

本村委員 ありがとうございます。

 それで、この三つの回収対象の商品なんですけれども、国立医薬品食品衛生研究所では、問題があると疑われている商品を入手して分析をしているのかという点、今回の紅こうじの原料だけではなくて、問題の時期の紅麹コレステヘルプなどの現品を入手をして分析をしているのかという点をお示しをいただきたいと思います。厚生労働省、お願いします。

鳥井政府参考人 現在、国立医薬品食品衛生研究所では、プベルル酸が同定されたロットを含めまして、小林製薬から提供を受けた様々なサンプルについて、プベルル酸に限らず、網羅的に化合物を検索するなど、原因究明に向けて取り組んでいるところでございまして、原因究明の進捗状況については、新たな事実が分かり次第公表する予定としております。

本村委員 済みません、問題になっている時期の商品そのものを入手してしっかりと分析をしているのかという点を副大臣にお願いしたいと思います。

浜地副大臣 お答えをいたします。

 先ほど事務方からも御答弁いたしましたが、現在、国立医薬品食品衛生所におきまして、今回の、まず原因究明にしっかりと取り組ませていただいているところでございます。そして、小林製薬から、プベルル酸が同定されたロットを含め、様々なサンプルにつきまして提供を受け、現在、原因究明に向けて取り組んでいるところでございます。

 この様々なサンプルというところをちょっと酌み取っていただきたいなというふうに思っているところでございますけれども、まずは、この原因究明、大事でございますので、しっかりと、新たな事実が分かり次第公表する姿勢で、現在取り組んでいるところでございます。

本村委員 酌み取れということですので、現品が入っているというふうに認識をさせていただきたいというふうに思います。

 プベルル酸のことを今指摘されているんですけれども、ほかの物質についても指摘をされている方もおられるわけで、まだ原因究明がされていないという中で、やはりこの原因究明は、企業に任せるだけではなく、企業任せではなく、国立医薬品食品衛生研究所を始め第三者で行うべきだというふうに思いますし、検出した全てのものを明らかにするべきだというふうに考えますけれども、見解を伺いたいと思います。副大臣、お願いします。

浜地副大臣 お答えいたします。

 本村先生の認識どおり、今回は非常に被害の事例、死亡事例もございます。ですので、当然、ここは企業任せということでなく、国、そして厚生労働省がしっかりと前面に立って原因究明に取り組んでいくべきだということであることは当然であろうというふうに思っています。

 具体的には、先ほども申し上げましたけれども、国立医薬品食品衛生研究所と連携をしまして、プベルル酸を含む原因となり得る物質を網羅的に検索するなど、国が主導して原因究明に取り組んでいるところでございます。

 しっかりと、この原因究明の進捗状況についても、新たな事実が分かり次第速やかに公表してまいりたい、そのように思っております。

本村委員 分かる前にも、いろいろな健康被害が出ているわけで、自覚症状がなくても、今回のサプリの利用者の方の血液検査、尿検査、健康被害が分かる可能性もあるわけですから、この尿検査、血液検査を是非無料で進めていただきたいというふうに思いますけれども、お願いをいたします。

浜地副大臣 今回の事案におきまして、自覚症状がある方だけでなく、委員御指摘の無症状の皆様方に対する検診ということも大変重要であるというふうに思っております。

 したがいまして、無症状の患者に対する診療、これにつきましては、喫食歴等から医師が必要と判断し実際に診察を実施した場合には保険適用の対象というふうにしております。加えまして、厚生労働省と消費者庁が合同して設置をいたしましたコールセンターにおいても、身体に明らかな異常がない場合であっても、小林製薬による回収の対象となっている製品を摂取した等の理由で何らかの不安等がある場合には、医療機関の受診又は最寄りの保健所に相談いただくよう御案内をしているところでございます。

 このような取組を通じまして無症状の患者の皆様方に対する不安を取り除くことを厚生労働省としては行っておりますので、具体的にはこうした取組を進め、現時点では、血液検査や尿検査を無料で実施することは今は考えていないということであります。

本村委員 是非、このサプリを利用した方に関しまして血液検査、尿検査をやっていただき、健康被害がある場合は早期に対応できるように、治療に入れるように、自覚症状がない病気でもあるかというふうに思いますので、是非、その点、進めていただきたいというふうに思っております。

 この機能性表示食品制度というのは、御存じのように、二〇一五年四月から始まった制度でございます。それ以前からあった特定保健用食品、特保は、食品ごとに食品の有効性や安全性について国の審査を受け、許可を受ける必要がある。しかし、安倍政権のときに、二〇一三年、成長戦略第三弾スピーチということで、健康食品の機能性表示を解禁するというふうに宣言をし、やはり企業にとっては特保ではお金も時間もかかるという中で、国に届けるだけでよい制度をつくるということになってしまったわけです。当時も、私ども日本共産党、穀田恵二衆議院議員が批判をしていたわけですけれども、つくられてしまったと。

 今日の答弁の中でも、情報はホームページで全て公開されているというふうにおっしゃっていましたけれども、やはり消費者の自己責任では駄目なんだ、どなたが飲んだとしても安全という状況をつくっておかなければ駄目なのだというふうに思っております。

 そして、届出などに問題があったときに報告義務もない、重大な問題があってから後で対応ということで、やはり、これは命や健康を軽視していると言わざるを得ないというふうに思います。

 そもそも、届出だけでいいという機能性表示食品の制度を、国会に法案を出すとかではなく内閣府令だけで決めたことはやはり問題だったのではないかというふうに思いますけれども、消費者担当大臣、お答えをいただきたいと思います。

自見国務大臣 お答えをいたします。

 食品表示基準における機能性表示食品制度の創設に当たりましては、安全性に問題のある食品の販売を規制する食品衛生法の遵守は大前提とした上でございますが、消費者の自主的かつ合理的な商品選択に資するものとなるよう、食品の新たな機能性表示制度に関する検討会におきまして、平成二十五年十二月から計八回にわたりまして検討が行われたと承知をしてございます。本制度につきましては、こうした回数を重ねた議論を踏まえて内閣府令に規定されたものでございます。

 なお、今般の健康被害の原因物質等の特定の取組が厚生労働省において現在進められているところでございますが、本事案を受けた機能性表示制度の今後の在り方につきましては、様々な論点をしっかりと踏まえまして、五月末を目途に取りまとめるべく、しっかりと緊張感を持って取り組んでまいりたいと存じます。

本村委員 やはり国が命や健康を軽視している姿は、機能性表示食品の事後チェックに関してもそう感じるわけです。

 そこでお伺いしますけれども、事後チェックはどのように行っていたのかという点と、時間がないのでまとめてお伺いしますけれども、機能性表示食品の検査予算額というのは、施行後、推移、どういうふうになっていたのかという点、お示しをいただきたいというふうに思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 消費者庁では、事後チェックに係る予算事業といたしまして、機能性関与成分の分析方法の検証や買い上げた製品中の機能性関与成分の含有量を確認をいたします買上げ調査を行ってございます。こうした検証事業を行うことによりまして、事業者による品質管理の質が向上し、適正な表示による消費者への情報提供がされるものと認識をしてございます。

 機能性関与成分の分析方法の検証は、機能性関与成分等の分析方法を検証することにより届出資料の質の向上を図ることを目的としてございます。また、買上げ調査は、販売されている製品中の成分の含有量の分析、検証を通じまして、事業者の品質管理の質向上を図るとともに適正な表示に係る消費者への情報提供がなされることを目的としてございます。こうした事後チェックの結果、問題のあった届出につきましては届出資料の修正等を求めているところでございます。

 また、二点目、併せてお答えをいたします。予算でございます。

 消費者庁では、事後チェックに係る、先ほど申し上げた機能性関与成分の分析方法の検証や買い上げた製品中の機能性関与成分の含有量を確認する買上げ調査というものを行ってございます。この予算額でございますが、一千五百万から二千万円程度で推移をしてございます。

本村委員 大臣、少しごまかしがあったのかなというふうに思うんですけれども。二、三年前は二千万円だった、でも、今年度は一千五百万円に減らされているというふうに伺っております。この点でも、やはり命や健康を軽視している、責任が問われているというふうに思っております。

 そして、毎年毎年どのくらい検査ができるのかという点、お示しをいただきたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 平成二十九年度から令和四年度までの公表実績に基づく数値になりますが、買い上げた製品中の機能性関与成分の含有量を確認する買上げ調査につきましては、六十品目から百品目を調査対象といたしまして、これまでに四百品程度について調査を行ったところであります。令和五年度については八十品目程度を目標としておりまして、令和六年度も令和五年度と同規模を予定しているところでございます。

 なお、適正な表示の確保を図るという本調査の趣旨に鑑みれば、調査対象となる可能性が高い食品とそうでない食品について事業者の対応の差が生じるといった状況を避ける必要があるため、調査対象の重点について情報提供を行うことは適切ではないと考えてございます。

 他方で、機能性表示食品の届出件数が増加していることを踏まえた検査手法の検討は不断に進めていき、本調査を効果的に実施してまいりたいと存じます。

本村委員 たとえ百件だとしても、七十年かかっちゃうわけですよ、全部チェックしようと思ったら。やはり、この姿勢も本当に命と安全を軽視しているというふうに思います。機能性表示で人々に購入を誘導し、買わせ、問題が起こってから対応する仕組み、それさえ不十分であるというふうに思います。やはり国が余りにも無責任だと思います。

 届出だけの機能性表示食品、この制度は、私どもはやめるべきだというふうに思いますけれども、最後に御見解を伺いたいと思います。

秋葉委員長 短く、自見大臣。

自見国務大臣 お答えいたします。

 関係省庁とも連携をしながら、エビデンスに基づき、再発防止策のために食品表示法体系においていかなる施策が必要か、しっかりと検討してまいりたいと存じます。

本村委員 是非、命や健康を重視していただきたいということを強く強く求め、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 初めて消費者問題の特別委員会に配属されまして、今後ともよろしくお願いいたします。

 では、早速質問に入りたいと思います。

 古くは、ある法学者が、欧米は契約書を重視しているのに対して、日本は契約内容が曖昧で話合いでの解決を重視する見方を示している。ある同じような識者が、我が国の企業間取引における契約実務が、日本特有の契約成立についての考え方の影響を受け、大企業を中心に、取引関係の実質を重んじ契約を丁寧に交渉する一方で、不確定なものについては契約の成立や契約条件の確定を曖昧にすることを許容する特有の慣行が形成されてきたというふうにうたっているんですね。

 日本型契約慣行の研究の中では、欧米流の契約成立の認定基準が申込み、承諾型であるとすれば、日本のそれは、事実関係を総合判断で捉えて契約の成立を認定する方法であると評価することができる。そもそも、申込みと許諾についての契約法の規定の置き方は極めて簡素である。日本の民法五百二十二条一項は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示に対して相手方が承諾をしたときに成立するというふうに定めてあるわけですね。これは口頭契約でも書面での契約でも、大臣も釈迦に説法になるんですが。それ以上の具体的な運用指針を民法の条文からは十分に見出すことはできないとこの識者の方は述べているんです。

 今まで、消費者問題、消費者契約法が平成十二年からスタートしていろいろ対応されてきたのは承知しているんですけれども、結局、日本は契約社会なんだというふうに言われているんですけれども、契約行為自体の認識が、言葉は適切じゃありませんけれども、なあなあな商習慣で今日まで、長い間ずっとそれで来たんだと思うんですね。この根本的な認識を変えない限り消費者問題の解決にならないんじゃないかという考え方です。

 要するに、何かトラブルがあったらお互いで話合いをすれば解決できるだろうという前提に基づいて、結局、いろいろな契約事が、民法で規定していることもそうだし、いろいろな各法で、書面で契約を結びなさいとか説明責任をきちっとしなさいと言いながらも、前提がきちっとされていない中でいろいろなトラブルがやはり起きているんだと思うんです。その根底にあるのは、日本社会は契約社会なんだという前提でやっているにもかかわらず、書面で契約書を交わしていないことがいっぱいあると思うんですね。だから、その問題というより、考え方をやはり根底から変える時期に私は来ているんじゃないかなと思っています。

 一つの案なんですけれども、いろいろな消費者問題で苦情が上がってきたときに、これは制度の欠陥なんだというふうに思ったところから、まず、実態を把握するために、証拠として、トラブルになった商行為を順次書面化するということを義務づけるということです。そうしないと、結局、証拠が残らないんですね。そういうふうにしていくことで、例えば、今問題になっている下請いじめだとか中抜き、違う法律では、運送業に関わる者は書面で契約するように義務づけをする法律の改正が出てきています。

 大臣は、今日は消費者問題担当の大臣ですけれども、公正取引委員会担当の大臣は兼任されていると思うんですね。そういった日本社会の商習慣を変えていく考えがおありかどうか、まず大臣の御所見を伺いたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 消費者問題の解決のため、トラブルになりやすい契約については契約書の作成を義務づけるべきではないかという委員の問題意識だと承知をしております。

 契約書の作成を義務づけることは、確かに、消費者被害を減らすための一つの方法であるとは思いますが、事業者と消費者が結ぶ全ての契約について書面化するというのは、消費者の利便性という観点から難しく、また、全ての消費者が膨大な契約書や契約の内容についてしっかりと確認するということがなかなか難しいという問題もありまして、契約書の有無だけが消費者被害の原因ではないというふうに考えてございます。

 他方、委員からも御指摘いただきましたとおり、超高齢化やあるいはデジタル化の進展等、消費者を取り巻く取引環境は現在大きく変化をしてございます。高齢者や若者などのいわゆる脆弱性を持った消費者が弱者として消費者被害にさらされることはあってはならないと考えてございます。また、事業者の問題意識も御披露いただいたとおりでございます。

 また、今回、消費者庁といたしましては、現在の消費者の脆弱性への対応を基軸といたしまして、生活者としての消費者が関わる取引を幅広く規律する消費者法制度のパラダイムシフトについて検討を進めているところでございまして、大局的な観点から、必要な検討を進めていきたいと考えております。

鈴木(義)委員 何をもって弱者かというのは難しい定義があるんですけれども、例えば、未成年とか御高齢でなかなか自分で思うような判断がつかない人との契約は、そこでトラブルというんですかね、詐欺までいかなくても、それに近いような消費者相談みたいなものがあったときには、逆にプラスアルファで厳罰を科すぐらいなことをやらないと、弱い立場の人を食い物にして商売をする人が後を絶たないんじゃないかと思うんですね。

 だから、是非研究を、今検討されているということであれば、そういった罰則も含めて、やはり、一般の方とはちょっと違う、弱者に対してどう対応するのかというのも検討の中に入れていただければなというふうに思うんです。

 では次に、違う質問に移りたいと思います。

 一つは、今年の三月に、国民生活センターの資料で、相談員に対して攻撃的な態度を取る相談者や、一方的に話し続けて相談員の話を聞かないなど円滑なコミュニケーションが取れず相談員が相談対応に困難を感じる対応困難者が増加していると資料から読み取れるんですね。

 この対策として、アンケートをいただいた中では、一番は、例えば、対応困難者の対応を拒否できる明確な基準やガイドラインの作成を、国が基準をきちっと示してほしい、こういうアンケートの結果が出ているんです。次の三番にも絡んでくるんですけれども、やはり相談員が疲弊してしまったのではどこから情報をいただけるかというのは、次の話になっていくんですけれども、それにつながっていく問題だと思うんです。

 そこのところを、基準を示す考えがあるのか、お尋ねしたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 消費生活相談におけます対応困難な行為につきましては、これにより、相談員の精神的な疲弊や、他の相談者の相談機会が失われるなど、地域の相談機能の低下にもつながる大きな課題と認識をしてございます。

 消費者庁では、二〇二一年に、対応困難者への相談対応標準マニュアルを策定をいたしました。説明を尽くしても同じ主張を繰り返す、罵声などを浴びせられる、話が進展しない場合に相談を終了するということ、また、相談員から職員への引継ぎ、そして、必要に応じて警備員や警察に連絡するなど、組織として対応することなどの標準的な対処の流れを示してきたところでございます。

 今回の国民生活センターの調査におきましても、七割以上の消費生活センターでこのマニュアルを活用いただいているとの回答があったところであります。また、通話の録音機能を活用している現場もあると承知してございます。

 引き続き、こうした情報提供を行いますとともに、国民生活センターの研修の中で、相談員のメンタルケアを含めた対応困難者への対応の研修を実施する、あるいは、地方消費者行政強化交付金を通じまして、相談員のメンタルケアの取組を支援するなどの体制を含めた取組を進めてまいりたいと考えております。

 対応困難者の問題は相談員が一人で抱え込むべきものではなく、デジタル技術も活用しながら、相談員の方々が十分に力を発揮できる環境づくりを進めてまいりたいと存じます。

鈴木(義)委員 今の御答弁、お聞きしていますと、現場で頑張ってねという言い方なんですね。

 現場で頑張れないから国で基準を。だから、ガイドラインを作って示すのは結構な話なんですけれども、それで現場でその相手方、相談者が引き取ってもらえれば一番それにこしたことはないんですけれども、そうじゃないから困っているわけですね。

 カスハラという言葉が、世の中でこの何年か前からカスタマーハラスメントということが議題になっていますけれども、ここまでやったらそれ以上はちょっと強要罪になっちゃうんですよというところをきちっと示さないと、やはり、必ず上の方で、いろいろなことを、物を決めていくんですけれども、現場で対応しろ。これは行政でも企業でもそうですね、現場の対応がなっていないからと。そうすると、いつも現場は、自分たちで考えて判断しなくて、全部、上に上に上に上げていって、結局、判断を仰ぐ。こういうことをこれから先も同じようにやっていたのでは問題の解決にならないんじゃないかなというふうに思います。

 もう一点。消費生活相談からの情報、いろいろな形で上がってくると思うんですね。それを精査するところは消費者庁がやらざるを得ないと思うんですけれども、そこから、これは法律を改正せざるを得ないとか、法律と違う形で対応しなくちゃいけないというところを、責任を持って各省庁にその情報を伝えているのか、伝えた後その結果がどうなったのか、何点か事例を挙げて御説明いただければと思います。

植田政府参考人 お答えいたします。

 消費者からの消費生活相談につきましては、国民生活センターと各地域の消費生活センターとをオンラインネットワークで結んだシステムに情報を集約しております。このシステムは、全国消費生活情報ネットワークシステム、通称PIO―NETと呼んでおります。

 PIO―NETには年間約九十万件の相談情報が登録されておりまして、地域の現場における地方公共団体の職員や消費生活相談員等が参照して相談対応を行うほか、消費者庁を始めとする国の行政機関も活用しておりまして、法令の執行や政策の企画立案、実施、また注意喚起などに利用をしておるところでございます。

 御指摘の点でございますけれども、消費者庁といたしましても、各省と連携して様々対応しているところでございますけれども、消費生活相談に関する情報共有を関係省庁と行いながら、例えばでございますけれども、ビッグモーターの不正事案を受け、同社に関する消費生活相談情報の分析結果を国土交通省や金融庁等と共有するとともに、消費者庁においても、中古自動車の購入、売却等のトラブルへの注意喚起を実施するなど、事案に応じて関係省庁と情報共有をしながら対応を行っておるということでございます。

鈴木(義)委員 時間が来たので終わりますけれども、そういったホームページに載せただけで国民が全部そこに見に行くかといったら、ほとんどの場合、ないと思うんですね。じゃ、載せなくていいのかといったら、載せて、なおかつ、やはりプレス発表するなり周知徹底をするのが大事なのかなというふうに思いますので、今後の御活躍を御祈念申し上げたいと思います。

 終わります。

秋葉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三分散会


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