衆議院

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第6号 平成29年4月11日(火曜日)

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平成二十九年四月十一日(火曜日)

    午前八時四十一分開議

 出席委員

   委員長 吉野 正芳君

   理事 亀岡 偉民君 理事 島田 佳和君

   理事 谷  公一君 理事 橋本 英教君

   理事 藤原  崇君 理事 金子 恵美君

   理事 郡  和子君 理事 高木美智代君

      秋本 真利君    伊藤信太郎君

      石川 昭政君    小野寺五典君

      大串 正樹君    勝沼 栄明君

      門  博文君    門山 宏哲君

      菅家 一郎君    小泉進次郎君

      小松  裕君    古賀  篤君

      坂井  学君    鈴木 俊一君

      鈴木 憲和君    瀬戸 隆一君

      田野瀬太道君    高橋ひなこ君

      土井  亨君    西村 明宏君

      根本  匠君    野中  厚君

      福田 達夫君    前田 一男君

      小熊 慎司君    大畠 章宏君

      岡田 克也君    落合 貴之君

      黄川田 徹君    玄葉光一郎君

      階   猛君    岡本 三成君

      中野 洋昌君    真山 祐一君

      高橋千鶴子君    畠山 和也君

      浦野 靖人君    木下 智彦君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       今村 雅弘君

   復興副大臣        橘 慶一郎君

   復興副大臣        長沢 広明君

   厚生労働副大臣      古屋 範子君

   文部科学大臣政務官

   兼復興大臣政務官     田野瀬太道君

   経済産業大臣政務官

   兼復興大臣政務官     井原  巧君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     関  博之君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     小糸 正樹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         田中 繁広君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   荻野  徹君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長)            廣瀬 直己君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     宇佐美雅樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  小泉進次郎君     前田 一男君

  古賀  篤君     福田 達夫君

同日

 辞任         補欠選任

  福田 達夫君     古賀  篤君

  前田 一男君     小泉進次郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)


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     ――――◇―――――

吉野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として復興庁統括官関博之君、復興庁統括官小糸正樹君、経済産業省大臣官房総括審議官田中繁広君、環境省水・大気環境局長高橋康夫君及び原子力規制庁次長荻野徹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小熊慎司君。

小熊委員 民進党の小熊慎司です。

 本日は、東電の廣瀬社長もお越しいただきまして、心から感謝を申し上げる次第であります。

 また、先週末、安倍総理とともに今村大臣も来県をされましたこと、たびたび来県をしていただいてその現場の現状を見ていただくということは大変結構なことではあります。

 報道によれば、きょう文科省の方から、この委員会でも質疑をさせていただきましたが、いわゆる原発避難いじめの全国調査の結果が公表される。それに先立って、報道ベースでは内訳が出ておりますけれども、震災から六年、きょうでちょうど六年一カ月が経過をいたしました。

 こうした中でも、やはり不理解におけるいじめが起きているということは、詳細にわたってはきょう発表されますが、厳然としてあるという大変残念な結果であろうかというふうに思います。この詳細をしっかりと検証していただいて、対策をとっていただきたい。

 今回の法律改正においても、いじめの防止のための対策支援をしていくということではありますが、過日の委員会でも質疑をさせていただきましたけれども、教育現場だけではなくて、NHKと早稲田大学の調査によれば、これは大人の間にも広がっていると。やはり根本的に対策をとっていくには、教育現場だけではなくて、本会議の答弁にもありましたけれども、PTA等というのがありましたが、それだけではやはり足りないと思います。社会全体とどうかかわってこれを根絶していくか、誤解を理解に変えていくかということが重要だというふうに思っています。

 法律の概要の説明書を見ても、これは教育現場のことしか言及しておりません。さらなる社会全体の広範囲な対策といったものが必要だというふうに思いますが、答弁を求めます。

今村国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、このいじめの問題は本当に深刻な問題で、いまだにあちらこちらで起きているようでありますので、この対策については、学校関係はもちろんでありますが、やはり一般社会にももう少しリスクコミュニケーションといいますか、そういったもののしっかりした情報をアピールし、そしてまた、その対策をやらなければいけないというふうに思っているところであります。

 そういう中で、今回も、以前からこういったリスクコミュニケーションの資料等はつくっているわけでありますが、できるだけわかりやすく、そして、教育現場だけじゃなくていろいろなところに、官民挙げて、とにかく大々的な広報活動、周知活動をやろうということで今計画をしているところであります。

小熊委員 方向性はそれでいいんですけれども、では、具体的にどうなんだというと、これは全国民に行き渡るような状況にはないんですね。

 先週の委員会でも非常に与野党ともにいい質疑があったなというふうに思いますが、根本委員も示されている、大臣当時につくられた「風評被害の払拭に向けて」というパンフレットも非常によくできていると思いますけれども、これが全国民の各家庭に行き渡って全部読み込まれるかといえば、そういうことでもないわけでありますから、今回、この改正法案は、教育現場についての取り組みが、防止に向けてというのがありますけれども、やはり大人がどう変わるかということで子供も変わってくる、理解が深まってくるということですから、具体的にきめ細かく、今大臣の言った方向性について、どうやっていけるか。

 今ほどお話ししたとおり、原発避難いじめというのは厳然としておさまっていないんです。具体的にどうしていくかということをお聞きしたいと思います。

今村国務大臣 委員おっしゃるとおりでありまして、実は、ここにありますが、こういった大変立派な資料をつくっていただいております。

 これは基礎的情報云々ということで、なかなかわかりやすくアピールするということにはちょっと力不足といいますか、もっとわかりやすくしなきゃいけないということで、それで、先ほど言いましたように、今つくっているのが、大体A4で換算すると四枚になるかぐらいの感じで、できるだけコンパクトにまとめて、それをまさにいろいろなところに、わかりやすく、放射能とはどういうもので、こういうことです、そして、決してそういう皆さんが誤解をしているようなことはありませんということを、まずそういった広報資料をしっかりつくって、いろいろなところに広く云々する。

 そして、場合によっては、いろいろな政府広報等々も含めて、そういった電波関係も含めて、思い切ったキャンペーンをやってみようかということも今考えているところでありまして、もう少し具体的な計画については御猶予をいただいて、できるだけ早急にやっていきたいと思います。

小熊委員 先週のこの委員会の質疑の中でも非常にいいキーワードと切り口がありました。赤羽委員におかれては、あくまでも加害者は国、東電であって、福島県民は被害者なんだと。また、玄葉委員の方からは、これは党派関係なくやってきたことでもある。

 私自身も、この六年一カ月の間、福島県内に住み、また各現場に行っている際にも、また地元の県議会、市町村議会の取り組みを見ても、党派関係なくやってきていますし、民主党政権時代どうだった、自民党のときどうだ、足りていない、足りていたという話もたびたび見受けられますけれども、私にとってみれば、一政治家として考えれば、どこまで行っても切りがない努力を続けなきゃいけない。

 というのは、原発事故災害はまだ継続中の災害ですから、どこまでやればいいという話ではなくて、永続的にやっていかなきゃいけないということでありますし、党の支持率、信頼ということであれば、どの党がいいという話じゃないと思います。政治そのものが信頼を失われていたなというふうに感じます。

 私も現場に入るときには、党の作業服とか防災服ではなくて、また衆議院、参議院といった防災服でもなくて、地元の消防団に所属していますから、消防団の服で行っていましたけれども、それは大いに評価をされた、私というかその消防団が評価されていましたから、現場に入りやすかったです。

 どの党の作業服でも、どの院の作業服でも防災服でも、政治家が来たということで、これは結構疎まれた感じも見受けられました。そういう意味では、政治そのものが信頼を失ってきているというところもありますし、これは我々国を担う責務として、しっかりとやっていかなければならないわけであります。

 そうしたさなかでのあの大臣の発言があったわけでありますけれども、これは陳謝をされたということで受けとめたいというふうに思いますが、これはぜひ検証して、ちょっとコメントを、個別になってしまうんですけれども、毎日新聞の方には、ああいう大臣の発言が、差別が助長されるんだ、それはそれとして、復興大臣は実績つくりの調整ポストだと政府首脳関係者が言っていると。

 これは安倍政権に対する誹謗中傷ではなくて、こういった報道がなされるということは、これも福島県民に対する誹謗中傷に等しいというふうに私は思います。そんな軽いポストなのかと。こんなことが世の中に固定化されるということは、福島の復興にもさお差す話でありますから、この毎日新聞の報道、ちょっと検証していただいて、しっかり正していただくなら抗議をしていただきたいというふうに思います。

 このいじめの問題というのは非常に難しいというふうには思いますし、また、今後帰還が進むという中で帰る人帰らない人というのが出てきますし、自主避難という言葉がありましたけれども、今までの帰還困難区域の方々、帰る人帰らない人、帰らない人が即時自主避難にならない、そういうくくりには入れない、カテゴリーには入れないということは復興庁で確認をさせていただいたところでありますけれども、いずれにしろ、あの事故がなければ、こうした県民の、被災者の価値判断の分断というのはなかったんですね、これは。

 県内あらゆるところで意見対立、また違う意見も出ているのも事実です。帰る帰らない、とどまるとどまらない。そういうさなかでの大臣の発言だったので重いということは、ぜひもう一度改めて認識をしていただきたいと思いますし、我々県民の中でもいろいろな意見がある中で、何とか心を一つにして復興をなし遂げていこう、この事故を克服していこうということで努力をしているところであります。

 それは、全国の方々でも本当に理解を示していただいている方もいらっしゃいますけれども、誤解から、こうしたいじめや、また風評被害というものがなくならないというのも事実であります。

 このリスクコミュニケーションについては、私、この六年間つぶさに見ていますけれども、民主党政権時も自民党政権時も、それは科学的根拠に基づいて、国だけではなくて、県でも市町村でも、またさまざまな各種団体においても情報発信はしてきたところです、さまざまなメディアを使って。でも、いじめが根絶をされない、風評被害もなくなっていないというところなんですね。

 こうしたパンフレットなんかも、これは重要なツールではあるんですけれども、もうこの手法というのはある程度、一〇〇%努力をしてきたんじゃないかなというふうに思います。安全を知らしめるためには非常に重要なツールですが、安心が醸成されていないからこうした誤解が生まれています。

 そしてまた、さらなる踏み込み、新たなアプローチが必要だというふうに思うんですね。過日に、ダイヤモンドルートという民間の方がやっているユーチューブでの情報発信の事例を示して、お渡しをさせていただきましたけれども、そうした違ったアプローチが必要だと思います。

 この六年間、復興庁を初め各種団体が努力をしてこなかったわけではありません。努力はしてきました。しかし、何割かの風評被害が残る、二百件余りのいじめが起きている。調査の上で明らかになっている。顕在化していないものもあるかもしれません、いまだに。ということを考えれば、新たな切り口が必要だと思うんです。それに対してきめ細かな対策です。

 大臣、もう一度お願いします。

今村国務大臣 確かに、今委員がおっしゃるように、いろいろな形で努力してやってきたつもりでありますが、結果として、きょうの発表のようなことが出ている、これはやはり厳粛に受けとめなければいけないと思います。

 その上で、今までやってきたことのどういうところが足りなかったのか、そういったことの検証ももう一回やって、そして今後、先ほども言いました、いろいろな広報活動等々をやっていきますが、そこのところの、今までのことの検証をもう一度踏まえて、そしてまた、いろいろな方の、国の方でといいますか役人といいますか、そういった人の考えるセンスだけじゃなくて、もうちょっと現場の実態に即した取り組みをどうしたらいいかという、そういった方の意見も聞きながら対策をこれから具体化していきたいというふうにも思っているところであります。

 そういう意味で、委員はまさに地元の議員でありますから、いろいろなこともよく御存じでしょうから、そういったことも含めて、お知恵がありましたらぜひまたおかしいただければというふうに思います。

小熊委員 そういう意味では、もう大分前の委員会になりますけれども、大臣にも言いました。我々国会議員のそれぞれ選挙区の地元も現場です、それぞれの支援者の方、福島に旅行に行こうやと。

 PTA、いまだに教育旅行は戻ってきていません。それは、みんないいよと言っても、一人二人が反対すれば校長先生は判断しない。だから行かなくなっている。これは大臣だけではなくて、本当にいろいろな委員の皆さんにも、折に触れ、地元で議論してくれと。でも、一人二人いれば、これは学校としてはやはり判断しないんですよ。それが現実です。

 その福島に行くのが嫌だ、科学的知見を幾ら説明してもだめだという人としっかり議論してみれば、どうすればいいのかというのが、またアイデアが湧いてくるというふうに思いますから、ぜひ大臣も、佐賀で遠いんですけれども、福島に後援会の人を連れてきてくださいと言って、まだ多分実現はしていませんと思いますが、ぜひそういったことも含めてやっていただくということが率先垂範、大臣としてまた信頼を回復することにつながろうかと思いますので、そういった努力をしていただきたい。

 同時に、これは党派を超えて、さまざまな国会議員には、地元でのPTAとの議論とかをしてみてくれ、現場からどういう意見が上がるのか聞いてみてくれと。福島に来て応援をするだけではないんです。全国がこれは現場ですから、福島のものを食べる食べない、これも選択なんです。そういったことを通じて、声をかける、当たってみる、直接コミュニケーションをとってみるということで現実を知る、またそこからいろいろな対策が湧いてくるというふうに思いますので、大臣のもとで、さまざまな機会に触れ、我々国会議員、いろいろな国会議員にそういった取り組みをしていただけるよう声をかけていただきたいというふうに思っています。

 風評被害については、これは私の地元福島県内でも、今、打ち切りの問題、打ち切りではないと言っていますけれども、実際、個別の営業損害については、これは事実上打ち切りじゃないかという声が高まっています。

 というのは、継続はするけれども、相当の因果関係がなければ対象にならないという説明を受けていますけれども、全体の風評被害が残っていますというのが大臣の答弁でもあるわけです。何をもって風評被害が残っていると言っているんですかね。

 個別の案件に入ると、それは風評被害じゃない、相当の因果関係が認められないので風評被害の営業損害とは認められないと説明を受ける。でも、ざっくり全体の中でいうと、まだ福島県には風評被害が残っているので農水産物に対してはこうやりますと、今回の対策にも盛り込まれているわけです。

 大くくりの中でいうと、震災前と震災後の売り上げが減っている、回復していない、風評被害が残っていると認定をされる。でも、個別の案件に入っていくと相当の因果関係と言われる。この差に対して、判断の差についてどう説明をしていけばいいんでしょうか。

今村国務大臣 私も、農林水産物の関係でいいますと、農林の関係をいろいろやっておりまして、やはり福島の農産物は本当にすばらしいというふうに思っています。農家の皆さんが汗を流して一生懸命つくっておられます。非常にいいんです。にもかかわらず、こういった風評被害ということで、値段が低いということであります。

 これについては、ちょっと前まではなかなか安全の担保というものができなかった、だから、売るにも売れない、高く売れないということがあったかもしれませんが、今はもう、米にしてもほかのものにしても、完全に安全なんですね。だから、そういったことをしっかり踏まえて、では、問題は何なのか、やはり流通に係るそういったところにもっとメスを入れなきゃいけないんじゃないかということは私は強く言ってまいりました。

 ですから、そういった意味で、今度の予算でも四十七億ですか、そういったものをつけて、しっかり、農水省も、それから土地に立つJAの関係者の皆様方も、そしてもちろん福島県も一緒になって、そしてまた、いろいろな消費者団体等の意見も聞きながら、どこに問題があるのか、そういったことをしっかりまず原因を分析して、その対策をしっかり立てようということで今回計画しているところであります。

小熊委員 済みません、私の質問の仕方が悪かったかもしれません。

 対策ではなくて、個別の補償と全体の風評被害対策の支援の中に、風評被害があると言ってやっておられるわけですけれども、個別の補償の方は相当の因果関係がないと営業損害はもう補償しないというこの価値判断の差が、やはり県内のさまざまな、これは先日の委員会でも農林水産物の話しか出ませんが、観光だってあるわけですよ。あと、製造業だって風評被害で取引停止があったわけですよ。食べ物の話だけではなくて、これは全体で捉えなきゃいけないですし、前倒しは、農林水産物は三年間ですけれども、普通の商工業は二年間ですよ。

 まだ風評被害が残っていると言っているのに個別の補償が打ち切られて、でも全体の支援はしていく、ここの差の説明をしっかりしなきゃいけないということです。

 時間がないから、これはしっかり検証して、また後日やりたいというふうに思いますけれども、そういうことを指摘していますし、風評被害というのは、農林水産物だけではなくて、観光の部分まで言及しなきゃだめですよ、大臣。会津にも来られて、わかるでしょう。農産物だけではなくて、観光の実態も見られたと思います。しっかりそれは対策をとっていただきたい。

 東電の社長が来ておられますから、次に移ります。

 本来であれば、高木経産副大臣とずっとこの件については議論してまいりましたけれども、第二原発の廃炉、我々は廃炉法案も提出をさせていただきました。一日も早い審議を求めたいというふうに思います。

 そういったさなかで、この第二原発の廃炉は県民の総意です。しかしながら、なかなかこれが判断をされない。東電とも重なっていますが、政府の答弁の中では、これは東電の福島第一原発の廃炉のバックアップ機能を果たしているんだと言うんですけれども、明確な答弁が今までなされてきたとは思いません。そこでタンクをつくっている、土地だったら別にそこじゃなくたっていいわけです。人員というのも、別にそこにいなきゃいけない話ではなくて、ちゃんとした知見と経験を持った人が確保されればいいわけですから、第二のあの施設の絶対的な条件となっている説明がなされていません。

 過日の二月の予算委員会の分科会で、高木経産副大臣はモックアップ機能も果たしていると言うんですけれども、これは炉型が違いますからモックアップたり得ないと思うんですよね。

 そのことも含めて、まず井原政務官にお聞きいたしますけれども、第二が第一の廃炉のバックアップ機能を果たしているということについて明確な理由をお示しください。

井原大臣政務官 お答え申し上げます。

 高木副大臣とこの議論をされているというふうにお聞きいたしておりますが、原則は、現行法ということで、先生が御案内のとおり、第二原発についての直接的な廃炉の指示の権限は政府は有していないということでありますけれども、その中で、しかし、東京電力が地元の皆さんの声に真摯にとにかく向き合わなきゃならないというメッセージを常にお話しさせていただいております。また、心情を察すると、他の原発と同列には取り扱うことができない。

 それで、バックアップの件でありますけれども、同原発の現在の役割としてお聞きしているのが、私どもが東京電力から聞いているのは、そのバックアップ機能として、人材とかを配置して、今その役割を果たしているということをお聞きしているというのが今の現状でございますから、東京電力から、バックアップ機能を今第一原発のために果たしているということをお聞きしているということでございます。

小熊委員 だから、今御質問させていただいた、施設そのものが絶対的にそれが必要だという説明にはなっていないんですね。

 廣瀬社長、これは説明にあります、第一の廃炉のために第二が必要なんだと。でも、施設そのものの必要な理由、お答えください。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先生の御質問は施設ということだと思いますが、例えば港湾設備等々については大変使わせていただいています。それから、施設そのものではないかもしれませんけれども、御存じのように、やはり十二キロしか離れていない、極めていい場所にございます。

 したがって、そうしたことで、便利な場所としては非常にありがたいと思っていますし、また、そこには、先生御指摘のように、技術的な能力を持った要員がたくさんおりまして、彼らはそこに事務所を構え、そこに常駐しております。そうしたことも本当に助かるところだと思っています。

 いずれにしましても、福島第一は、御存じのように、まだ宅配便も来ないという場所でございます。したがって、第一に資機材を運んでいくというためにも、第二、これは地点と先生はおっしゃるかもしれませんけれども、そうした機能も大変重要な役割として使わせていただいているところでございます。

小熊委員 港湾などの説明で、廃炉にしたって港湾は残るんです。別に廃炉にしない理由にはならないんですね。

 廃炉にしない、判断をしない理由として、第一のバックアップなんですという説明なんです。それが今もなされていません。第二が廃炉になったって港湾は残りますから使えます。廃炉にしたからといって、十二キロ地点がどこかに移動するわけでもないから、それは理由になっていないんです。

 第一のために廃炉にしない理由、何に使っています。廃炉のバックアップ機能、炉心そのものがどういうふうに役割を果たしているんですか。

 高木副大臣はモックアップ機能と。それは炉型が違いますから、モックアップにはならないんですよ。モックアップ施設は楢葉に新たにつくったわけですから、これも代替がきくんです。絶対的条件がわからない。説明がされていない。

 第二を廃炉してほしい。でも、それは第一の廃炉のためにしないんですという説明をしているんですよ。これは県民の総意である第二の廃炉に対しての説明になっていませんから、もう一度お答えください。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 今ほど申し上げましたのは、これまで現実にバックアップ機能として二Fが果たしてきた役割を申し上げました。

 もちろん、御存じのように、一Fの汚染水対策、廃炉に向けた安定化対策等々は、本当にこれから毎日毎日のスケジュールがどうなっているのかというのは、なかなかここで明確に判断するのは非常に難しいところだと思っています。もとより、溶接タンクをあそこで組み立てるなどというようなことは、我々、もともとは、正直なところ、考えておりません。

 ただ、そうした中で、一Fの廃炉や安定化を進めていく中で、その便利な機能としてあそこを使っていくということは間違いなくこれからもあると思っていますので、そうしたことも幅広く考えながら二Fの今後については考えていかなければいけないと思っているところでございます。

小熊委員 敷地に関しても、何も否定していません、港湾施設とかも。

 炉心そのもの、あれがどう役割を果たしているのか。だって、それを理由にして廃炉を決断していないという理由も言っているんですよ。理由になっていませんということです。説明がないということです。今言ったことは土地の話です。原子炉そのものが第一のバックアップというのは、どういうふうに役割を果たしているのか説明がいまだにありません。

 どう果たしているんですか。そこを答えてください。人員でもなく、土地でもなく、港湾でもなく。社長、お願いします。

廣瀬参考人 繰り返しになりますけれども、これから一Fの安定化対策、これは最優先で私ども今やるべき機能だと思っていますので、それについてどういうふうな、万が一のときにどういうことを使っていかなきゃいけないかということを今なかなか限定的にここで列挙するのは難しいですし、それで決めてしまうというのもなかなか難しいところだというふうに考えているところでございます。

小熊委員 いずれにしても、二月の分科会でも高木副大臣が明言をしていただきました。四十年、もう間もなく第二の第一は迎えます。いろいろな検査とかを含めると、あと一年ぐらいでこれをどうするかは東電としても判断をしなければなりません。高木副大臣は、四十年の前に廃炉にするかどうかは判断をしなければいけないと明言をしていただきました。今後、順次これは廃炉に向かって四十年を迎えていきます、一号機から四号機にかけて。しかも、一号機はあと一年ぐらいで判断をしなければならない。早急な判断を求めたいというふうに思います。

 最後に大臣にお聞きしますけれども、これは同列に扱えない、これは政府答弁です。でも、過日の予算委員会の分科会でも、同列の扱いは、心情だけで、法律上は同列だと高木副大臣も言いました。これでは、この説明はやはり福島県民は納得しません。気持ちだけは同列じゃないから、法律では同列なんだ、だから廃炉にできないんだと。では、何とか法律を変えたら、そういう発想で我々も法律をつくったんです。

 これは大臣、確認しますけれども、同列には扱えないといいながら、現実的には同列ですよね。高木副大臣は同列だと言いました、法的には。そういうことですよね。

今村国務大臣 法律のたてつけとしてはそういうことになっているんでしょうが、現実問題として、これだけの被災をして、そして、福島県の皆さん方の心情を考えるときに、事実上、やはりこの第二原発の問題については、そう建前どおりにはいかないだろうというふうに私は考えております。

小熊委員 その考えを具体的に実行するのはどうしたらいいんですか。我々は法律をつくりました。違う手だてはありますか。

今村国務大臣 この問題につきましては、第二の個別に限った対応にするのか、あるいは一般論としての廃炉の取り組みにかかわっていくのか、ほかのところもいろいろありますから、そういった全体の中で、特にこの福島の第二についてはしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。

小熊委員 時間が来ましたから終わりにしますけれども、同列に扱えないと言葉を発するのであれば、行動が欲しいです。

 ぜひ、政府としても、大株主ですから、東電にしっかり廃炉を促す、そういったことでやっているんだという答弁を聞きたいというふうに思います。ぜひ、そういった観点で行動をお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

吉野委員長 次に、金子恵美さん。

金子(恵)委員 民進党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 今回、我がふるさと福島の復興に特化した福島復興再生特措法の質疑ということでございますが、その前に、復興に水を差す、妨げになるような、そういう残念な事件が起きてまいりましたので、それを指摘し、再発防止策を含めた復興大臣のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思っております。

 前回の当委員会では、福島環境再生事務所の専門官が収賄容疑で逮捕された件についても質問させていただいたところでございますが、今回は、農林水産省東北農政局発注の震災復興事業などで談合が繰り返されていた、そしてまた、天下りした農水省のOBが談合に関与していた疑いがある、そういう報道がされ、そして、公正取引委員会が立入検査に踏み切ったということであります。

 復興のために真面目に取り組んでいる、頑張っている人たちがいる一方で、被災地が無法地帯になっているかのように、このような事件が次々に発生してくるというのは極めて残念でなりません。被災地に群がるハイエナがうようよしているような、そういう印象がありまして、被災地を食い物にするようなことがないように、本当に被災地に寄り添った形での復興をぜひ進めていただきたいというふうに思っているわけなんですが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

今村国務大臣 この件につきましては、私も報道等で承知をしているわけでありますが、もうはっきり言って大変遺憾なことだというふうに思っております。本当に国民の皆さんが、何とか頑張ってくれ、そして立ち上がってくれ、一日も早く元気になってくれという思いでやっておる、そこに本当に水を差すようなことでもあります。

 今後、何でこういうことが起きるのかも含めてよく検証をしてもらって、これは事業官庁、直接的には農林水産省になりますが、そして二度とこういったことが起きないように、その仕組みの問題等々も含めてしっかり対応させていかせます。

金子(恵)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 そして、今村大臣は、この週末八日に、安倍総理と一緒に福島を訪問されました。楢葉町の蛭田牧場を視察、富岡町の復興の集いに出席し、浪江町のまち・なみ・まるしぇに立ち寄り、そして南相馬市小高小学校のロボット・ドローン教室を見学されたということで、その後、同じ小高で食事をされたというような御日程だったというふうに思います。

 今回の福島の視察先で何を得ることができたのか、何を感じてこられたのか、今回の福島視察の成果というものはどういうものであったか、お聞かせいただきたいと思います。

今村国務大臣 今回は、三月三十一日そして四月一日の避難指示解除を受けての初めての訪問でありました。総理も、ぜひ行って、とにかく現状を見て、そしてみんなを元気づけようじゃないかということで、総理が行くということなので私もついていったわけであります。

 行って、私、ちょうど桜の花も咲きかけでありましたけれども、皆さんが本当に明るい顔で、大変喜んでおられました。いろいろなイベントもありましたが、何か新しい息吹といいますか、復興再生へ向けての、そういった皆さん方のエネルギーといいますか、そういったものを感じたところでありまして、私もそれを受けて、いや、これは本当に今まで以上に福島の復興再生のために力を入れなきゃいけないなということで、大変感激し、また決意を新たにして戻ってきたところであります。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 私がいただいた日程表には、詳細なる時間の割り振り等が書かれていませんでした。ですので、一カ所にどれぐらい滞在されたかとか、そういう情報はございませんが、実際に地元の皆様といろいろな御意見を交換する、あるいは本当に言葉を交わす、そういう機会はおありだったんでしょうか。

今村国務大臣 私もずっと一緒でありましたから、よくそこは存じております。

 ヨーグルトを一緒に食べて、そして、御苦労された話とか、今もまだまだ遠くから通って面倒を見ている、そういう話とか、それから、まるしぇのところでも、本当に皆さん方がこうやっていろいろなものをつくって、そして頑張っておられる。

 それで、どういう問題があるんだと、商工会の人なんかもおりましたし、総理も本当にざっくばらんにいろいろなお話を聞いてこられ、そして小学校でも子供たちとも一緒になって自分でドローンを操縦したりということで、大変そういう意味では、コミュニケーションといいますか、皆様方のお気持ちも伝わったし、総理の気持ちも伝わったんじゃないかなというふうに思います。

 短かったけれども、私はよかったと思っています。

金子(恵)委員 実は、やはりこの復興というものには光と影の部分がある。

 いろいろなお考えが皆さんおありだというふうにも思います。もちろん、総理がおいでになって大臣がおいでになるということであれば、福島県民は本当に心温かい人たちでありますので、歓迎をされたかもしれません。そのような形をとっていただいたかもしれません。でも、残念ながら、私の耳に入ってくるのは、足早に去っていかれたその後ろ姿に大変残念でならないという思いを持ちました、そういう声もありました。

 福島を訪問した安倍総理は、今村復興大臣が原発事故による自主避難は自己責任だとの発言をしたことについて、私からも率直におわびを申し上げると謝罪されたということでありますが、このことは地元でも大きく新聞でも取り上げられ、ニュースにもなりました。

 そのそばで、今村大臣御自身のお言葉というのを聞くことができなかった、なかった、そういうふうに私のところに情報が入ってきていますが、それはいかがだったんでしょうか。

今村国務大臣 今の件は最後の記者会見のところのことだと思いますが、これは二問ということで、大変短く総理に対しての質問でありまして、私は、そういう中で、そこに私を挟んでということができなかったものですから、そのままでありました。

 以上です。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 それでは、もしその場でお時間をいただけた、時間を差し上げることができたということであれば、どのようなお言葉を発したのか、お聞かせいただきたいというふうに思うんですが、内堀知事は、今村復興大臣から直接謝罪を受けたということを記者会見で明かしていらっしゃる。

 我々県民からいたしますと、なぜオープンな場で県民の皆さんに謝罪をしなかったんだろうなと本当に不思議に思うんですが、それはいかがでしょうか。

今村国務大臣 今申しましたように、私もいろいろ総理と一緒に行って、そういった記者会見的なことではありませんが、皆さんともいろいろお話はさせていただきました。

 それで、公式に云々という、そういった場面というのが設定されなかったんです。ですから、そういうことを言う機会がなかったということで、何かありましたら、私もしっかりこうやっておわびをして、そしてまた福島のために頑張りますという決意を表明することになったかと思っております。

金子(恵)委員 それは、もしお気持ちがあるのであれば、御自身で設定をされることではないかなと思うんです。ぜひ福島県民の皆さんにみずから言葉をちゃんと伝えていきたいとか、そういうことを大臣御自身が決定されてよろしいんじゃないかなと思うんです。

 これまで復興に本当に真摯な気持ちで取り組んでいただいていたのであれば、誤解をされるようなそういう言葉をやはり発するべきではなかったというふうに私は思うんです。これまでも、被災者の皆さんの感情を逆なでするような、そういうことをずっと発言されてこられました。

 例えば、昨年の十一月二十五日には、福島県産品の風評被害の解消に生産者の努力がまだまだ必要なのではないかと考えます。もう努力し続けているんです。そしてまた、一月の二十八日、福島復興再生協議会では、福島の復興はマラソンに例えると三十キロ地点。これは私も予算委員会でも取り上げさせていただきました。そのときに安倍総理は、御自分だったらば、そういうマラソンに例えるようなことはなさらないというふうにおっしゃっていたと思います。三月の十二日、NHK「日曜討論」、ふるさとを捨てるのは簡単だが、戻ってとにかく頑張っていく気持ちを持ってもらいたい。自主避難あるいは県外避難をするということはふるさとを捨てることでしょうか。四月の四日、そして今回、本人の責任でしょう、裁判でも何でもやればいいじゃないかという発言、本当に残念です。冷たい発言だったというふうに思います。

 このような発言を続けていらっしゃることによって、国と地元との信頼関係を引き続き持続していくということができるのかどうか、本当に不安でなりません。特に大臣に対しての信頼感というのは失われてしまったのではないかというふうに思うんです。

 私は、この四月の八日、総理が福島に入るということは随分以前から新聞報道もされておりましたので、そのときに本当にいろいろな交流をしていただけるんだろうなと、実はある意味楽しみにもしておりました。でも一方で、今回の四月四日の今村大臣の発言があって、少し形が変わってしまったような気がします。

 ですけれども、八日のその段階では、私たちも求めてまいりましたけれども、ぜひ福島県民に直接謝罪をしていただきたい、そして、あるいはこのおっしゃった言葉を撤回されるのであれば、明確に撤回するというように直接おっしゃっていただきたかったというふうにも思います。

 あるいは、自主避難をされている方々は全国各地に今お住まいでいらっしゃいます。ですので、記者会見等を通し、いろいろな形で、その形は幾らでも大臣でいらっしゃればおつくりになれると思いますけれども、しっかりとそれぞれの自主避難をされている方々に謝罪あるいは発言の撤回、それをしていただけるように私たちは求めてまいりましたけれども、その求めに対してどのように真摯な対応をしていただけるのか、もう一度お聞かせいただきたいと思います。

今村国務大臣 私が思っていることがうまく伝わらない、それで誤解を生んでいるということであるかと思います。

 生産者努力云々というのがありますが、これも、せっかく福島の皆さんが一生懸命つくったおいしいものを、汗水垂らしてつくられた、それがなぜこうやって風評被害に遭っているのか、もう少しそこのところは流通の関係をもっと見据えなきゃ、そういうことを言ったつもりでございます。

 それから、三十キロ云々は、風評、風化の戦いで、時間との勝負だからということで、急ぎましょう、そういったことであります。

 それからNHKの関係も、人が減っていけばやはり町や村は廃れるから、とにかく皆さん戻りましょう、そうしないと本当にふるさとは倒れますよというようなつもりで言った。いずれにしろ、そういったことのコミュニケーションが、私の力不足ということで大変皆さん方に御心配あるいは御迷惑をかけているということについては反省をしているわけであります。

 今後とも、福島にかける思いというのは私は誰にも負けないと思っておりますので、それをぜひ、実績が上がるように今後とも頑張っていくということであります。

金子(恵)委員 思いはおありだということを私は信じたいというふうにも思います。

 先ほどもお話がありましたけれども、復興は本当に党派を超えてしっかりと進めていかなくてはいけない。しかし、残念ながら、今大臣もおっしゃいましたけれども、誤解の生じるようなそういう発言をずっと続けてきたことによって、どうしてもその信頼感というのが失われてしまったということを私は極めて残念だというふうに思っているんです。

 そういうところの信頼感を構築しないと、せっかくこの復興特措法を改正されたとしても、復興が進まない部分が出てくるんです。帰還困難区域のあり方でも県内にも賛否両論ある。財源の確保の問題でも賛否両論ある。でも、国が前面に立ってしっかりとやっていくんだ、だから信じてみようということで福島県民はついてきてくれるんだというふうにも思いますし、いろいろな意味で心を一つにして復興のゴールに向かっていけるんだと思います。それができない状態に今あるんです。

 御存じの川俣町議会、議長の発信ということでありますけれども、今村雅弘復興大臣の発言に対する抗議及び辞任要求、この文書は大臣のもとに届いていますでしょうか。

今村国務大臣 これは、たしか総理宛てということも含めて、私も伺っております。

金子(恵)委員 安倍総理宛てと復興大臣宛てでございますが、この抗議及び辞任要求、どのように受けとめていらっしゃいますか。

今村国務大臣 これについても、先ほど言いましたように、私の真意がよく伝わっていないということであると私は思います。

 そういう意味で、これからも丁寧に、先ほど言ったようなことを含めて、皆さんのところに御理解を賜るようにこれから頑張っていきたいというふうに思っております。

金子(恵)委員 時間の都合上、全て読み上げることはできませんけれども、前橋地裁の判決にもこの文書の中では触れられているわけです。

  すなわち、この判決は、自主避難者が避難したことや避難を継続していることは、自己責任ではなく、国に法的な責任があることを認めています。我が国は、三権分立によって成り立っている民主主義・自由主義国家です。三権分立の下では、行政府は、司法によって具体的な事件を通じて国民の権利利益を擁護すべき判断が下されたときは、その判断を真摯に受け止める必要があります。今村復興大臣の発言は、三権分立の理解に欠けているものと言わざるを得ません。更に、今村復興大臣の「裁判でも何でも、やれば良いではないか、やったではないか。」との発言は、その直後に、「それなりに国の責任もありますねと言った。しかし、現実問題として、補償の金額はご存知のとおりの状況でしょう。」と述べています。明らかにこの判決を念頭に置いた発言です。このような発言は、自主避難者が裁判に訴えなければならなかった事情を全く知らないが故の極めて軽率な発言であるとともに、自主避難者を侮辱するものであります。よって本町議会として怒りを持って厳重に抗議し復興大臣の速やかな辞任を要求するものであります。

福島県の伊達郡川俣町議会からでございます。

 ちょうど三月の三十一日に、川俣町の山木屋地区の避難指示が解除されました。避難をされている方々が、これからふるさとに戻るのかどうかということを含めて、悩み苦しんでいる人たちもいるかもしれないということであります。そういう状況の中で、本当に、今村大臣に対してこのようなことをおっしゃらなければいけなかったその思い、どんな思いだったか、どんな苦しい思いだったかということを察すると、私も本当に、また悲しくもあります。

 大臣にお伺いします。

 避難指示区域が解除されました。そして、しばらく避難をされない方々、自主避難者ということになるのでしょうか。

今村国務大臣 前段の話でありますが、これも私は、こうやって、ふるさとの環境を整備しています、最終的には、いろいろな御事情はある中で、帰るか帰らぬかを決めるのはやはり御本人の自主的な判断なんでしょうというつもりで言ったわけです。裁判のことについても客観的に申しましたつもりです。

 ところが、それがいつの間にか、避難したことも、原発事故が原因なのに、それでも避難したのは御本人たちが悪いような、そういうふうに何か途中から伝わってしまっているところがありますので、そこは、いろいろ報道ぶり等もあるかもしれませんが、もう少し私の発言の真意をわかっていただければというふうにも思うわけであります。

 その上で、今言われました、もう一回ちょっと確認させていただきますが、帰還困難区域の、解除された場合の、その後の扱いということでいいんですか、今避難されている方の。ちょっと済みません。

金子(恵)委員 避難指示区域が解除されました。しかし、しばらく、やはりふるさとに戻ることはできない方々がいます。その方々は自主避難をしているということになりますか。

今村国務大臣 自主避難者という言葉が一般的に使われているわけでありますが、これは、避難指示区域にいた方については、そういう言葉は使っておりません。避難指示区域以外の方について使っているということです。

金子(恵)委員 その部分について、これから明確にしていかなくてはいけないと思うんです。

 なぜならば、避難指示区域が解除されて、今、国が主に、あるいは自治体が主にやっていることというのは、帰還促進支援の事業なんです。しかし、取り残されてしまうかもしれない、つまりは、国や自治体が取り残してしまうような、そういう方々が出てはいけないというふうに思います。

 いつかはふるさとに戻りたいというふうに思っているけれども、すぐさま直ちにそれを決断することができない、多くの思い悩んでいる方々がいるということは御存じのとおりです。それは意向調査などの数字でも示されています。そのような方々に対して、自主避難であるのかどうか、あるいはそういう方々に対してどのような支援をこれからしていくのかということを、やはり国は明確にしていかなくてはいけないというふうに思います。

 今までの自主避難者と同じような冷たい対応をもし国がするとしたらば、私は、これは全く間違いだというふうに思っておりますので、明確にお示しいただきたいと思います。

今村国務大臣 それは、今委員がおっしゃるように、避難指示区域から避難した方、これが解除されて、それをどうするんだということについては、やはりそこはしっかり重きを置いて、丁重に、より丁重に対応していくことが必要だというふうに思っています。

金子(恵)委員 もう一度繰り返させていただきます、明確に。

 避難指示区域から避難をされていた方々、今、避難指示区域は解除をしましたけれども、まだ戻られない方々は、自主的な避難、自主避難者ではないということですか。

今村国務大臣 ですから、先ほど丁寧にやると言ったように、例えば仮設住宅の提供等々は、そのまま継続するわけです。

金子(恵)委員 今までの自主避難者に対する冷たい対応ということではなく、ぜひしっかりと対応していただきたいというふうに思っているところであります。

 今回、川俣町議会からこのような抗議及び辞任要求というものが出ているわけです。このことについて、本当にどのような形で大臣は受けとめ、そしてこれからその復興に取り組んでいくのか、お聞かせいただきたいと思うんです。

今村国務大臣 先ほどから言っていますように、私の発言、例えば先般の記者会見等々もよく見ていただければわかると思いますが、そういったことをしっかりまた知ってもらって、そして、ぜひ理解を深めていただきたいということで、場合によってはこの議長さんにもお話をして、そういったことは理解を深めていきたいというふうに思っています。

金子(恵)委員 大臣は、自主避難者の、自主避難をするということは自己責任であるということについては撤回をされた、その発言については撤回をされたというふうに理解をしてよろしいのかということを一点。

 記者会見では、最終的にそのことについて撤回したのかと記者に聞かれたときに、そのように理解していいという言い方をされていて、明確に御自身の言葉で、この発言を撤回しますというようなことをおっしゃったようには我々には届いていません。ですので、そこをちょっと確認したいということと、それから、裁判でも何でもやればいいではないかというこの発言については撤回をされませんでしょうか。

今村国務大臣 これも先ほど言いましたように、真意が伝わっていないからこういうことにということでもあるわけでありますが、いずれにしても、それは私の責任でありますから、そういう意味で、ぜひ御理解願いたいと思います。

 それから、この裁判云々については、全くこれは一般的な話、これもよく見てもらえばわかりますけれども、いろいろな物事の折り合いがつかないときには、最終的には司法の方に持っていくということになりますねと。これは、どうしてもだめだったときにはどうするんだという記者の方の問いに対して、どうしてもだめなときには、それは一般論として司法の場に持っていくしかないですよねと言ったわけであります。

 それが、報道では何か裁判に訴えろと非常にぶしつけな言い方になっているというふうに思っているわけでありますが、そこは手順をよく踏んだ上での最終的な対応はこういうことだということで、これは別に私が何かどうだこうだというより、一般的なことを言っているということで御理解していただきたいと思います。

金子(恵)委員 大臣の思いはそうだったかもしれませんが、あの大臣の発言をされている御様子を拝見されている全ての人たち、みんな、そのようにとることができないんですよ。本当に投げ捨てたような言葉だったというふうに思うんですね。

 いじめの問題について、先ほども小熊議員から質問があったんですが、四月の六日、あの報道がされておりましたけれども、復興大臣の発言に便乗した避難者に対するいじめがあったということでございました。

 今村大臣の、本人の責任などと発言したその翌日なんですが、新潟市の避難者の支援施設に、大臣の会見を見た、自主避難者は帰ればいいという電話があったということがわかったということが報道されました。男性の声で、今村大臣の発言を報道で知ったと前置きし、自主避難者は勝手に避難している、毎日遊んでいるのに何で避難しなければならないんだと繰り返し主張したそうです。悲しいことです。

 大臣の発言によってこれだけ大きな影響があるということを御理解いただきたいと思うんです。ですので、大臣には慎重な発言をしていただきたい。そしてまた、そもそも、誤解を受けるような、そういう御発言を控えていただくしかない。そして、そういう発言をされたときは、やはり謝罪をしっかりとし、それも、その対象となる相手の方々にしっかり届くような形で謝罪をし、そして、間違った発言、あるいは誤解を受けるような発言であれば撤回をすべきだというふうに思うんです。

 もう幾度となく、先ほども申し上げましたように、誤解される発言があった。その都度、大臣御自身は御説明をしなくてはいけない。それでも届かないことがある。であれば、撤回します、その言葉だけで私はいいのじゃないかというふうに思うんですが、なぜそれを今回もされないんでしょうか。

今村国務大臣 何度も言っておりますように、私の発言といいますか、表現の仕方が結果的にこういう迷惑をかけているということについては十分反省をしているということは先般の委員会等でも申しているわけでありまして、これを今後いろいろな形で、福島のために、あるいはそういった避難されている方のためにしっかり教訓として生かしていくということが私のやはり一番今やるべきことじゃないかなというふうに思っておりますので、今後とも、そういった発言あるいは表現ぶりについては慎重にやってまいりたいと思います。

金子(恵)委員 慎重に、そして今まで、もし本当にいまだに誤解されているような、そういう発言があるんであれば撤回していただきたいと思います。

今村国務大臣 先般も言いましたけれども、私は今言ったようなことで十分意を通じていると思いますし、そしてまた、撤回されるのか、そのようにとってもらってもいいですよとちゃんと言ったつもりでございます。

金子(恵)委員 特措法という大切な法案の審議ですので、いじめの問題、引き続き質問させていただきたいと思うんです。

 今ほど申し上げたように、大臣の発言一つで新たないじめが発生してしまうということであります。先入観や偏見というものの中で、恐らく県外に避難をしている多くの方々が今までも苦しんでいらっしゃったということだと思います。

 ここのところ報道されてきたのは子供の教育現場でのいじめでありましたけれども、本法案には、実際には大人を含めた被災者全般に対する心のケアについて法定化されないということでありましたけれども、今後、やはり、大人もさまざまないじめに遭っているということがわかっているわけですので、心のケアを必要とするのではないかというふうに思っています。

 いじめ対策とそしてまた心のケアという部分では、しっかりと一体となってやっていかなくてはいけないわけですけれども、避難されている方々に対する、子供のいじめ防止対策に限らない、偏見、差別をなくすことをどのように徹底して進められるということでしょうか。偏見、差別をなくすことをしっかりとやっていく必要があるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

今村国務大臣 学校のいじめの問題については、本日、そういった調査の結果も出ることになっていると伺っております。

 その上で、やはりその一つの報告をベースにして、どういうところに問題があるのかという原因を調査分析しながら、しっかりとまた、改めてといいますか、原点に立ち返って対策をやっていかなきゃいけない。

 もう一つ、やはり学校だけじゃなくて、いろいろな意味で放射能に対する誤解といいますか、そういったものが一般社会にもあるような気が私はしておりますので、先ほどの委員にも答えましたが、できるだけわかりやすく、資料をつくり、いろいろなメディアを使い、そして大々的にこれをやって、社会全体としてこういった風潮をなくすように頑張ってまいりたいと思います。

金子(恵)委員 本法案では、官民合同チーム、福島相双復興推進機構に国の職員を派遣することができるとされているわけなんですが、国の身分を保有した職員を派遣することについて、チームの業務にどのようなメリットが期待されるのかということは本当に明確にこれからも示していただきたいというふうに思っています。

 その上で、派遣される職員に対しては、差別、偏見、いじめについての認識をしっかりと持っていただきたい、そういう心構えをしっかり持って、しっかりと取り組む覚悟で福島入りしてほしいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

吉野委員長 今村復興大臣。

 時間が経過しております。簡潔に。

今村国務大臣 もちろんおっしゃるとおりで、しっかりこれは教育といいますか、心構えをしていって行くようにさせていただきます。

金子(恵)委員 終わります。ありがとうございます。

吉野委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 法案の質疑を前に、やはり、今村大臣が福島第一原発事故による避難指示区域外からの避難者について、本人の責任だ、裁判でも何でもやればいいと発言したことについて初めにただしておきたいと思います。

 この発言があった記者会見は、本法案、福島特措法改正案を本会議で質疑する日でありました。国の責任をどう果たすのか議論すべきまさにその日に、大臣は、区域外避難を本人の責任と発言されました。やむにやまれず避難している実情を全く理解していないものと断じざるを得ないと思っています。

 そもそもは、原発事故が原因です。原発事故がなければ、誰もが平穏な生活を送ることができました。

 今、住居の提供などを行っている自治体が各地にあります。私の地元北海道では、道営住宅の無償供与や、民間賃貸住宅や雇用促進住宅での家賃補助を行っています。ですが、大臣が避難は本人の責任とするならば、このような自治体の取り組みは不要ということになりはしませんか。自治体がこのように行っている住宅提供などについて、大臣はどのように認識しているのでしょうか。

今村国務大臣 はっきり申しますが、私は、こうやって避難されたことが本人の責任だなんとは一切言っておりません。戻るか戻らないか、それは、それぞれ皆さん方の個々の事情があるから、それは最終的には御本人の判断です、そういう意味で言っているんです。

 ですから、今言われたように、こういった原発事故によって避難されているということの責任は我々も感じているわけですから、だから、そういったいろいろな、住宅の提供等々をちゃんとやっているということであります。

畠山委員 もう一度。私がお聞きしたのは、自治体が今行っている住宅提供についての大臣のお考えを聞きました。御答弁ください。

今村国務大臣 ですから、自治体もそうでありますし、国としても、原発事故の責任といいますか、そういったことがあって、全面的にそういったことのサポートをしているということなんですね。

畠山委員 いろいろな自治体によって取り組みはさまざまではありますけれども、避難を自己責任とすることによれば、このような各自治体が行っている取り組みにブレーキをかけることになりはしないかと私は危惧します。

 北海道に週末で戻ったときに、避難された方から声もいただきました。直接御紹介しておきたいと思います。一部の抜粋です。

 安倍首相と今村大臣は、きょう福島県内で、行かれたときのことですけれども、今回のことについて謝罪をしました、ですが、本来であれば、政府の言う自主避難者へ直接謝罪があるべきだと思います、避難者に寄り添ってきたというのなら、ぜひ一度、自主避難者と会ってお話をしてほしいです、特に、東京の避難者には、住宅支援の打ち切りによって家賃が生活に重くのしかかっています、そして、福島で生活している人たちも、必ずしも安全だと思って住んでいるわけではないこと、福島で、水や食べ物に気をつけ、洗濯物も外に干さない、子供たちの外遊びの時間を制限するなど、気をつけて生活している人が今もいます、帰っている人もいるじゃないかと今村大臣は言いましたが、安全だと思って帰っているわけじゃない、今回の施策の打ち切りで追い込まれて帰っているんですと述べています。

 この方は私もよく知っていますけれども、福島にいる方々の思いも踏まえつつ、北海道へ避難した方々とも連絡をとり合って、支え合うことを大事にされてきた方です。どの選択をするか、ぎりぎりまで迷い、悩んだあげくにそうせざるを得なかったという声も寄せられました。

 大臣、このように、実際に避難されている方の声をどのように受けとめますか。

今村国務大臣 先ほど来言っておりますように、避難したことが本人の責任だなんて私は言っていないんですよ。

 それを踏まえた中で、何回も言いますが、こうやって、いろいろな問題を抱えながら避難されている方については、できるだけ御相談に乗って住宅等の手当てもしながら、多分まだまだ十分じゃないかもしれませんが、そういったことでやってきたつもりでありまして、ぜひ、これからもそういった、丁寧にやっていくことを、これはしっかりとお約束をしたいと思います。

畠山委員 丁寧にされていくことをお約束するとおっしゃるのであるならば、避難指示区域外からの避難者に会って現状を聞く必要はないのでしょうか、復興庁として。私は、こういう避難者から話を聞く機会をつくるべきだと。いかがでしょうか。

今村国務大臣 ですから、先ほどから言っておりますように、皆さん方のお声は一番身近な福島県の人が対応していただいているわけでありますが、そういった方からの話もちゃんと我々のところにいろいろな形で伝わってきております。

 それについて、では、国としてどうやってそれをサポートするかというようなこともやっているわけでありまして、そういう意味では、決して、避難者の方とお話をしていない、コミュニケーションがないということではありません。大丈夫です。

畠山委員 いや、それならば、なぜ先ほど私が紹介したような声が出るのかということですよ。この間ずっと議論されていますが、深い不信が生まれているわけです。

 大臣に対してもですが、この発言に対して、同時に、そもそも国の根本的な姿勢があらわれたのではないかとも言っていますよ。先ほどの方も、今村大臣の問題ですが、この発言は大臣だけの考えではないというところが一番の問題なんだと思っています、こう受けとめて述べておられます。

 避難者の声をしっかり聞いてほしいというのは、私は北海道でも聞きましたし、改めて要求しておきたい。

 大臣、復興庁として、このような避難された方々の話をきちんと聞く機会をつくるべきだ、もう一度要求しておきますが、どうですか。

今村国務大臣 復興庁の皆さんも一生懸命やっております。

 それで、例えば、具体例を言いますと、この間、支援団体等が実施される説明会とか交流会等がありますが、一例を言いますと、復興庁職員も、もう百八十回、二百回近くそういうところに行って、いろいろな説明もしてちゃんと寄り添っているということは御了知願いたいと思います。

畠山委員 重ねて、避難者から強い要望があることを要求しておきます。発言の謝罪と撤回はもとより、国として、被害が今も続いている現状を直視するよう求めておきます。

 本法案の質疑もしなければなりません。改正福島特措法案についての質問を行います。

 本改正案の特徴の一つは、特定復興再生拠点区域での除染や廃棄物の処理費用を国が負担するということです。私は、東電の負担ではなく国費で進めるという方針の転換全体について問うておきたいと思います。

 この方針は、昨年十二月二十日に閣議決定された、原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針に基づくものです。除染は東電に求償しないということです。

 本委員会では、この福島特措法改正案を審議していますが、経済産業委員会では、今、原賠機構法改正案が審議されています。そちらの方では、東電改革提言をもとに、賠償二・四兆円のうち新電力なども〇・二四兆円を負担する、国民負担としています。

 原賠機構法では賠償でも過去分として国民負担とし、こちら、福島特措法改正案においては除染で拠点にかかる分を国の負担とする、こういうことでよろしいんですよね、間違いありませんね。

小糸政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案、昨年十二月の基本指針に基づきまして、今回改正案を策定したところでございます。

 具体的には、改正法案の第十七条の十七第五項に規定されておりますが、特定復興再生拠点区域における除染の費用は国の負担としているというところでございます。

畠山委員 それで、根本のところで、原賠機構法の話も今しましたけれども、東電を免責していくことになりはしないかという点で、根っこの同じことについて質問したいと思うんですね。

 先週五日に、経済産業委員会で、私は、原発で裨益していた国民の過去分から賠償を負担するという問題を取り上げました。東電と消費者とでそんな契約はしていないのに、過去に使った分として新たな請求をするのかという質問をしたんです。

 この委員会でも御紹介しておきたいと思うんですが、その際、東京電力から資料を提出してもらいました。それによれば、過去分とする一九六六年度から事故前の二〇一〇年度までの合計で、株主の配当収入は二兆五千六百三十三億円、メガバンク等金融機関の借入金の利息収入が六兆七千二百三十億円、合わせて九兆二千八百六十三億円にもなりました。社債の利息を含めたら、実に約十六兆円にもなりました。

 東電や利害関係者へ責任に応じた負担を求めるのでなく、契約もしていない国民に過去分としてツケを回すようなことをして、納得できない、東電が賠償するのが当然ではないかと経済産業委員会で私は質問をしたんです。

 そこで本改正案です。本案でも、拠点における除染費用も国の負担とすることとしています。先週のこの委員会でも、東電の責任を免れる、免責することになるんじゃないかと厳しい議論がありました。根本は、先ほど述べた、私も同じ議論だと思います。

 改めて福島特措法を読みますと、九十六条に、事業者責任については求償を妨げない旨の規定があります。国費でなく東電に求めるべきが筋ではありませんか。

今村国務大臣 今回の特定復興再生拠点区域の考え方につきましては、もう御存じかと思いますが、新たなステージといいますか、そういったことに対応してやるものであります。

 御案内のように、帰還困難区域については、将来にわたって居住を制限することを原則とした区域としておって、それについて東京電力がそういった賠償等をやってきたわけでありますが、今回は、そういう意味で、まさに、先ほど言いましたように、新たなまちづくりをやっていくんだということでの政策的な判断ということでありますので、それは、国がそういうことを政策判断するなら、国の負担でこの除染をやりましょうということになるわけであります。

畠山委員 新しいステージで政策判断であると。新しいと名がつけば東電の責任が消えるかのようなことがあってはならないと思います。納得できません。

 先ほど言った、根っこでつながっている東電の責任を免れていく、免責するものではないかということについては、さまざまな批判の声が上がってきています。東京新聞、ことしの二月九日付ですが、城南信金吉原毅相談役が、先ほど紹介した過去分の国民負担とあわせて、このような厳しい批判をしています。「ひとえに原子力に絡む利権グループの保身以外、何物でもない」、こういうような厳しい批判を上げて、成り立たないのに無理に民間にやらせようと、原発事業についてさまざまやってきたことの矛盾が生じているということをここで述べています。

 つまり、大原則は、東電に責任がある、これをはっきりさせなければいけないし、今回は、拠点で、国で負担をするのは新しいステージであり政策判断と言いますが、結局、根っこのところで東電を免責することにつながらないかということについては、厳しく指摘しておきたいというふうに思います。

 後半で除染のあり方についても聞いておかなければいけませんので、時間をとって少し、環境省にきょうは来てもらっていますので、ただしておきたいと思います。

 今回も、拠点における除染については国直轄で行うこととしています。しかし、除染については、過去にも不適正な除染がありました。環境省も、事業者に厳しい処分をするとしてきました。県民で除染を願っている方もいる中で、根底から信用を失うようなことがあってはもちろんなりません。

 しかし、新たな偽装除染が発覚した問題についてただしておきたいと思います。

 判明した場所は、浪江町上ノ原行政区。偽装の中身は、一次下請企業が、ずさんな作業で汚染された土を十分に回収できなかったため、別の農地の土を無断で削って数合わせを指示していたというものでした。

 この事実については環境省も把握しているはずですが、まず概要を説明してください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 今御質問のあった事案でございますけれども、平成二十八年の四月十五日に、除染を担当している事業者から報告があったものでございます。

 具体的には、浪江町上ノ原行政区内にある農地でございますけれども、そこの除染から出た除去土壌を別の農地から発生したというような偽りの説明をしたと。また、その当該行政区の農地では、五ないし七センチの表土の剥ぎ取りということが契約の内容、指示であったわけでございますけれども、一部の農地で指示どおり施工が行われていなかったという事例が確認をされてございます。

 環境省といたしましては、本件につきましては、事業者の報告を受け、平成二十八年の四月二十二日に、事業者に対して口頭で厳重注意を行っているところでございます。

畠山委員 今ありましたように、厳重注意は行われておりますが、その処理について、またその情報が本省と福島県の環境再生事務所でどのようにされていたかということは、確認しなければならないと思います。

 汚染土を十分に回収できずに、ほかの農地から土を集めてきたということであれば、簡単に言えば、きちんと除染ができていなかったということになります。ほとんど除染ができていない場所もあったとも聞いていますが、これは環境省として、現地に足を運んでどのように調査されたんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の上ノ原行政区の除染現場につきましては、受注者からの報告を受けまして、現地において環境省の福島環境再生事務所の職員が状況の確認を行っているところでございます。

畠山委員 それはいつからいつの期間ですか。

高橋政府参考人 職員がこの報告を受けて現地を確認したのは四月二十八日というふうに報告を受けております。

畠山委員 除染のごまかしについては、今言ったように、現地に足を運んだというのがあります。

 同時にこれは、先ほど述べたように、別の農地から土を持ってきたという問題があります。簡単に言えば、窃盗にならないのか。この点はどのように地権者を含めて解決がされたのでしょうか。

高橋政府参考人 予定よりも厚く、多く削り取ってしまったというところにつきましては、まず地権者に対する御説明でございますけれども、線量は十分に低減をしているということは説明してございます。個別に説明をさせていただきました。

 地権者の方からは特段御意見、御質問はなかったというふうに聞いてございます。

畠山委員 それはいつですか。

高橋政府参考人 地権者の方々に御説明をしましたのは、これはちょっと報道がされた後ということでございますけれども、本年三月三十日から四月四日にかけて、地権者の方々に個別に説明をさせていただきました。

畠山委員 今ありましたように、昨年この事案が起きていたけれども、実際に地権者に説明を行ったのはことしになってからということでありました。

 もう一つ、事実の確認をしたいと思います。今言った事案について、環境再生事務所から本省へはいつ報告がありましたか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 本省に報告がございましたのは本年三月十六日でございます。

畠山委員 つまり、一年間、環境再生事務所としては、そのまま言ったことを真に受ければ、本省へは報告をしていなかったということになります。

 あわせて、地権者についての説明も、報道は地元紙などでもされていましたが、それがあった後に地権者に対しての話をしたというのが経過の事実ということになります。

 本省へ報告があった三月十六日というのはどういう日かといいますと、実は、この問題というのを我が党のしんぶん赤旗で報道した日なんです。日曜版といいますが、木曜日に版が出ますので、それで社会的に明らかになるまで本省には報告をされなかったということに今の答弁ではなるかと思います。

 環境省として、今回の除染については、会見やさまざまなものでは、不適正なものではない、後から除染したから問題もないと。そして今、事実経過も明らかにしましたが、本省に報告も一年間なかった、これでも問題がなかったと言うんですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 本件につきましては、冒頭申し上げましたとおり、契約内容に合わない工事をしていたということと、除去土壌のフレコンの、出た場所について虚偽の報告をしていたということで、そういう面では適切ではなかったわけでございますけれども、放射性物質汚染対処特措法の違反があったかといいますと、そういうことではなかった。それから、周囲の環境を汚染するおそれがある、そういう意味での不適切な除染ではなかったということで、特に公表等は行っておりませんでした。

 ただ、あと、地権者の説明ということにつきましては、一点補足いたしますと、その後、現地を確認して、フレコンの数が少なかったところについては、十分線量が下がっていないところがあったということで、そこは追加除染を指示いたしました。追加除染をする際には、その追加除染の対象となる地権者の方々には当然説明をした上でさせていただいてございます。

 そういうことで、今回については、法令違反ということではなく、また、その周辺への悪影響があるというものではなかったので、あえて本省まで報告がございませんでしたけれども、今後、やはり地元の信頼をしっかりと得ていくという意味で、本省への報告の仕方についてもしっかりとまた改めて検討していきたいと思っております。

畠山委員 根本的な除染の信頼にかかわる重要な問題だと思います。実態は、やるべき除染が行われず、偽装されていたことではないんですか。

 なぜこの問題を今取り上げているかというと、本法案でも、国直轄で、新しく拠点とする、これを除染するというふうになりますが、そもそも除染については過去から環境省においてさまざまな問題があり、二〇一三年一月十八日には、いわゆる手抜き除染が明るみになった後で、環境省除染適正化推進本部で除染適正化プログラムをまとめました。

 改めて、私、これを読み直したんです。冒頭にこう書いてありました。「除染は、地域住民の信頼の上で成り立っているものである。このことを再度、全ての除染に携わる者は認識し、避難されている方々の期待を裏切ることがあってはならない。」こうあるんですね。

 こういう立場で、そのプログラムには環境省の対応についての総括もされていました。福島環境再生事務所から本省に情報が上がっておらず、本省が把握していなかったのではないかとの問いを立てて、除染に関して多くの質問や苦情が寄せられているという認識を持っていたが、福島環境再生事務所において当時適切な対応がとられていると認識していたと書いてある。そこから、本省においては、情報を区別して対応を判断する担当者が不明確だったと当時総括をしています。

 しかし、今回の事案も結局は本省に報告されていないとの答弁でした。

 本省は環境再生事務所に任せて、環境再生事務所は元請に任せているということになっていないのか。このプログラムをまとめてから四年間でまた過去と同じようなことに戻っていないのか。

 そこで聞きたいわけですが、本省で把握したのがことし三月十六日だと先ほど答弁しましたが、それ以前に本当に情報は本省に入っていなかったんですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 本案件については、本省が報告を受けたのは、先ほど御答弁しましたとおり、本年の三月十六日でございます。

畠山委員 重ねて申し上げておきますが、今回の法案に係る拠点の除染も国直轄です。うそやごまかしが当然あってはいけません。

 当時のそのプログラムをもとに、不適正な除染について環境省の除染情報サイトがホームページでできていますが、そこから通報できる仕組みもつくられました。その資料によれば、そのプログラムの二〇一三年当時から昨年十二月末まで、不適正除染の通報は累計九十八件ありました。うち国直轄の分は四十件ありました。

 これは事実の確認ですが、四十件のうち、通報どおりの事実として確認されたのは何件だったのでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 御質問ございました不適正除染一一〇番でございますけれども、これは平成二十五年一月から一般の方からの通報を受け付けてございますけれども、二十八年十二月末の時点で九十八件の通報があり、そのうち直轄関係は四十件ということでございます。

 これはさまざまな内容の通報がございます。例えば作業員がくわえたばこをしていたとか、そういうことも含めてさまざまございますけれども、その中で、いわゆる不適正除染ということで確認をできたものは二件でございます。

 一件は、除染作業で発生した可燃物を破砕しない状態で土のう袋に入れないまま穴を掘って埋めていたという通報がございまして、これは事実が確認できたため、施工管理等の徹底や体制強化を図るとともに、受注者や下請、関係会社を厳正に指名停止ということで処分をいたしました。

 もう一件は、除染で発生をした土壌等と廃棄物であるその資材のこん包のひも、こういうものが混在してフレキシブルコンテナに入れていたという通報がございまして、これも事実関係が確認をできたために、受注者に対しまして内容物の分別を徹底するよう指導を行ったという経緯がございます。

畠山委員 通報内容を私も読みましたが、かなり具体的な通報もあります。しかし、今答弁があったように、その通報どおりの事実を確認できたのは二件でした。

 もちろん、三十八件の残りの通報が正しくなかった可能性はありますが、先ほどの上ノ原行政区の例を考えれば、環境省の言い分をそのまま額面どおりに受けとめるわけにはいきません。しっかり除染されたのか。県民の不安に応えるため、この上ノ原行政区を含めて、先ほどの通報三十八件分、本省として再調査すべきではありませんか。この点を最後に伺います。

高橋政府参考人 再調査ということでございますけれども、この四十件のうちの三十八件につきましては、その通報があった時点で直ちにその事実関係の確認を行っております。その中で、もちろん確認ができないものもございますけれども、全てその時点で三十八件についても確認を行っておりますので、その時点で不適正除染に相当する事実は確認できなかったということでございます。そういうことでございますので、新たな事実が出てこない限り再調査は必要ないというふうに考えております。

畠山委員 国直轄の、足元で不適正な除染が行われていたら根本から信頼がもちろん損なわれることになります。こういう事態が発覚して、安心して帰還せよと言えるのでしょうか。

 今村大臣、これが今、福島での現実の一端です。大臣は記者会見で、国はやるべきことをやっている旨の発言をしていますが、除染一つ見ても、このような疑惑があります。国の責任よりも避難者の自己責任を押しつける大臣は、復興行政を担う資格に欠けると言わざるを得ません。今村大臣の辞任を求めて、私の質問を終わります。

吉野委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 四月四日、本会議で福島法の審議入りをしたその日、私自身も質問に立ったわけでありますけれども、朝の閣議後の記者会見で、今村大臣の自主避難者は自己責任論が飛び出しました。夕方のニュースでそれを見て、本当にびっくりしました。本会議で、ふるさとを捨てるのは簡単だがという発言について大臣に責任をただした後でありました。

 私は、改めて、大臣の認識にやはり大きな問題があるんだろう、謝罪をしたといっても、それは根本のところが変わっていないのではないか、こう思ったわけであります。

 六日の本委員会でも、郡委員などに質問をされて謝罪はしたものの、撤回はされなかったと思います。翌日の七日の記者会見で撤回したと報道されました。どうしてそうなったんでしょうか。

 改めて、発言は撤回したのか、確認をします。

今村国務大臣 この発言は、先ほども言いましたように、避難したことが自己責任だというふうに言われておりますが、私はそういうことは一切言っておりません。

 要するに、こういったいろいろな環境整備を進めていく中で、そして、今度また避難解除もこうやって進んでいく中で、それぞれ皆さん方がいろいろな御家庭の事情等々を勘案して、そして自主的な判断でもって帰っていただくかどうか決めていただくことになるんですよということを入れて言ったつもりであります。それがいつの間にかそういうふうに、避難したのも自己責任だということで言われて、それが報道され、いろいろな意味で不安を与えているわけであります。

 そういう意味で、言葉の使い方ということがまずかったという点は、ある意味では、そういうことを私も言われているわけでありますので、そういったところの反省はしっかりしているつもりであります。

高橋(千)委員 結局、言葉の使い方の話にしているんですよ。そうじゃないんです。

 八日付の佐賀新聞のインタビュー、大臣、地元の記者さんなので本音を告げられたのかなと思って読んでおりました。

 インフラの復旧などで帰還できる環境は整いつつあるが、戻るかどうか、それぞれが抱える事情に応じて判断されること、国が強制するものではなく、みずからの判断が尊重されるべきだという意図だった、これは先ほど来言っているわけですよね。さらに避難のきっかけさえも本人の責任と誤解された、そこは原発事故が原因で国や東電に責任がある、一人の記者に問い詰められかっとなってしまったという反省だと思いますが、私は、そういうときにこそ本音が出る、そう思います。

 私自身は、原発事故直後から、福島県内外で避難者の方々の声を聞き、取り上げてきました。また、いわゆる自主避難と呼ばれている方たち、またその方たちを支援する方たちが国会内で何度も集会を開き、たくさんの声を届けてくださいました。その声を受け、国連の原則にもあり、避難する権利を認めよと求めたのは、二〇一一年の十二月六日の本委員会であります。また、賠償のみならず、各地の避難者支援センターへの援助なども求めてきました。

 翌二〇一二年六月に成立した子ども・被災者支援法には、本会議でも触れた基本理念、移動及び帰還についての選択をみずからの意思によって行うことができるよう、被災者がそのいずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならないと明記されました。

 この理念と、今大臣がおっしゃった自主的な判断、みずからの判断が尊重されると言ったんだとおっしゃるのであれば、絶対、自己責任なんて言葉は出てくるはずがないんです。本来、自主的な判断が尊重される、それは避難する権利なんですよ。だけれども、それを自己責任とは呼びません。違いますか。

今村国務大臣 先ほど佐賀新聞の話が出ましたが、ここには、極めて、私が記者会見でやったいきさつ等々もよく調べてくれていまして、大変正確に書いてくれているというふうに思います。それは今委員が言われたとおりであります。

 その上で、先ほども言いましたが、あくまでこうやって、戻るか戻らないかということ、これはそれぞれ皆さんの事情に応じて判断されることなんです。これは国が強制、強要するものではないわけですから、そういう意味で自主判断ですよと言ったんです。

 あえて言いますと、もう一つ言いますと、記者会見の発言をよく見ていただければわかりますけれども、自己責任と言ったのは、記者の方が先に言われたんですよ。

高橋(千)委員 自己責任ですかと聞かれて、そのとおりと言ったじゃないですか。同じことですよ。

 これは、大臣、私、あえて佐賀新聞の出だしのところだけを読んだんですよ。続きがあります。

 テレビや会合での過去の発言にも問題があったと指摘する声もありますねと言われたときに、大臣はこうおっしゃいました。口下手と言われても仕方ないが、思っていることや、やってきたこと、正論でもそれを相手に届くように伝えることが大切だと感じている。

 正論だ、伝え方の間違いだ、そう思っているんですか。自己責任ですかと聞かれて、そのとおりと言った、それを自主判断と同じ意味ですなんて、通用するわけがありません。もう一度。

今村国務大臣 これは言葉の問題でもあるかもしれませんが、自主判断をする、自分で判断をするということは、それは当然責任が伴うわけでありますから、そういう意味では、私は、その議論の流れの中で理解をしていただきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 やはりわかっていないんだと思います。自己責任と述べたこと自体、認めたこと自体を撤回したのではないのだと。私は、改めて、大臣の職は辞すべきである、このように思います。

 六日に、山形県の吉村美栄子知事が記者会見でこう言っています。避難者は警戒区域の中であろうと外であろうと全員が被害者だ、こう述べています。避難者はショックだと思う、ショックというのは大臣の言葉に対してですよ。一日も早く平穏な生活を迎えられるよう、できる限りのことをしていくと話されました。やはりこういう立場に立たなければならない、重ねて指摘をしたいと思います。

 本当は辞任するべきだと思っておるわけですが、質問をしなければならないということで、改めて大臣の姿勢をこの後の質問でただしていきたい、このように思います。

 まず、本法案の五十八条、いじめの防止のための対策支援が盛り込まれました。昨年、横浜市や新潟市の小学校に通っていた児童が、避難していることを理由にいじめを受けていたことを訴え、表面化をしました。この児童はとても勇気があると思います。

 でも、まず確認したいんですけれども、まさか、この子たちが訴えるまで、いじめということが起こっていなかったと思っているわけではないと思いますが、その認識はありましたか。まず一つ、これを大臣にだけ伺います。

今村国務大臣 私も、そういうことはいろいろ聞いてはおりました。しかし、はっきり、きょうまた後ほど説明があるかもしれませんが、学校、教育現場で調査をした中で具体的な数字も出てきて、大変私も、これはいかぬな、ショックであるというふうに思っております。

高橋(千)委員 このいじめの問題は、親に対する問題でもあるんですね。それがやはり、大臣の発言を撤回されないことと深く結びついていると言わなければならないと思います。

 資料の三枚目を見ていただきたいんですが、三月二十二日付朝日新聞。これは、前橋地裁の判決の中で、十八歳未満だった原告五十一人のうち五人が、避難先の学校などで嫌がらせやいじめがあり、精神的苦痛を受けていたと報じています。しかも、そのうち二人については、判決で賠償を求めているんですね。祭りの日に、誘ってないよ、クラス全員、誰も一緒に行かないよ、そう決めていたからと言われた、あるいは、気持ち悪い、近づくな、吐き気がすると書かれたメモがかばんに入れられていたなど、判決の是非云々の前に、こうした事実が語られていた、気づくチャンスがあった、こう思うんですね。

 文科省は、通達を十二月十六日に出しました。でも、やはり待ちの対策ではなくて、自主避難者の団体、ずっと、さっき言ったように、院内集会にもいらしています。私は、その言葉をそのまま国会で取り上げたこともあります。支援のネットもあります。あるいは、先ほど山形の知事の紹介をしましたけれども、山形県内でもたくさん自治体が取り組んでいる支援センターがあります。

 こちらから出向いていって実態をつかむべきだと思いますが、いかがでしょうか。これは大臣と文科省に、それぞれ伺います。

田野瀬大臣政務官 お答え申し上げます。

 東日本大震災または原子力発電事故により避難している児童生徒のいじめにつきましては、昨年十二月、文部科学省から被災児童生徒を受け入れている学校に対して、当該児童生徒がいじめを受けていないか確認を行うよう依頼をさせていただいたところでございます。

 そして、本年三月、各学校が確認した結果等についてフォローアップ、確認を行い、本日、いみじくも本日なんですけれども、その結果を閣議後の記者会見で大臣から公表をさせていただいたところでございます。

 その内容を少し御説明させていただきますと、平成二十八年度におきまして福島県から避難している児童生徒に対するいじめは、全体で百二十九件認知されており、また、被災直後の平成二十三年度に福島県から転校した直後に受けたいじめも含む平成二十七年度以前のいじめにつきましても、七十件認知をされておるところでございます。

 事案の中には、福島県から避難している児童生徒が、放射能がうつる、もしくは福島に帰れなどと言われた者もあり、いじめの背景には、放射線に関する理解不足や、避難を続ける方々へのつらい思いに関する理解不足が存在するものと考えておるところでございます。

 文部科学省といたしましては、各教育委員会そして学校に対して、いまだ故郷に帰れず、不安の中過ごしておられる被災児童生徒に対して、心のケアなど日常的に格別の配慮を行うこと、そして、児童生徒が放射線に関する科学的な知識を身につけるとともに、理解を深めることができるよう、放射線に関する教育の充実に努めることなどの対応を求めておるところでございます。

 引き続き、被災児童生徒に対するいじめにつきまして、各教育委員会に対する必要な指導、助言を行うとともに、福島県教育委員会とも連携をいたしながら、いじめの防止に努めてまいりたいと思っております。

 以上です。

今村国務大臣 ただいま政務官からお話がありました。私もぜひ、文部科学省の取り組み、一体となってこれからしっかり取り組んでいきたいと思います。

高橋(千)委員 ちょっと突っ込みたいことがいっぱいあり過ぎて困っているんですが、先ほど文科省が報告いただいた調査については、けさの新聞に既に載っておりました。

 ただ、私が質問したのは、もう既に、もっと早くつかむチャンスがあっただろう、訴えていただろうということを言いたかったんです。そのことに対しての認識は、お二人ともおっしゃいませんでした。

 そして、私が聞いたのは、もっと、要するに、通達を出して、教育委員会を通して調査をしろと言うだけではなくて、それは今のいじめ防止法そのものにそういうスキームがありますから、それだけではなくて、こちらからつかむ努力をしてほしいと質問をしたわけです。

 それに対して、いかがですか。

田野瀬大臣政務官 お答え申し上げさせていただきます。

 いじめにつきましては、もう委員御指摘のとおり、これは犯罪であるんだという認識のもと、文科省といたしましても、いじめの調査というのは断続的に行わせていただいておったところでございます。

 先ほど御答弁申し上げさせていただきましたのは、その中におきましても、十二月に、横浜の案件、新潟の案件がマスコミ等から明るみになったということを踏まえさせていただきまして、特に福島から避難された児童生徒に対しての調査をさらに掘り下げ実施すべきであるという認識のもとで行わせていただきまして、そして、この三月に取りまとめ、フォローアップをさせていただいた、その結果ということでございます。

 以上でございます。

高橋(千)委員 ですから、結果は新聞に書いていると言ったじゃないですか。全く決意が伝わらないんです。

 それと、ふるさとに帰れずとおっしゃいました。ですから、この五年間、六年間どうだったのかということを指摘したのはそういうことなんですよ。つまり、表面化したのは避難した児童の問題だった、でも、それだけじゃないはずなんですね。この記事の三段目にもありますが、群馬県から福島県に戻った男子生徒が、戻ってきたのか、逃げていったんだろうと言われた。つまり、戻ってもそういうことがあるんですよ。別の男児は、福島君と呼ばれていたとあります。

 私自身も二〇一一年の質問のときに、一時避難、本当に一時的な避難だったんだけれども、福島に戻ってから子供がいじめられた、そういう事例を紹介しています。これは、国会に何度も届けてくださる、当事者や支援者の方たちが集めてくれたアンケートなどに、もう実態はつづられていたんですよ。

 だから、もっともっとそういう立場でやらなければ、今から、避難している人たちだけというのではなくて、もう大分帰った方もいらっしゃるんです、その方たちの追跡も踏まえてしなければなりません。

 そのときに、戻った人をいじめた人が悪い、そういう単純な話ではないんですね。避難した方も、とどまった方も、これでよかったのかと親たちは悩み続けていました。親たちも悩み、あるいは、その親が自分の親から、親を捨てて逃げた、だからもう帰ってくるな、そう言われるなど、居場所を失い、夫婦で意見が合わず離婚に至ったなど、大変な道のりでした。また、そういう親を見ているからこそ、子供だって、自分が置かれている今のいろいろな事情を言えずにいたかもしれません。

 その点では、やはり避難した先だけを視野にした調査ではなく、帰還された方々の話を聞く機会を持つことも必要なんです。

 大臣は六日の委員会で赤羽委員の質問に対して、「本当に、自主避難をされている方々の心にもしっかり立ち入って、そして寄り添いながら、丁寧な対応を、国として、そしてまた福島県と一緒になってやっていきたい」と決意を述べておられます。

 まず、述べたことを実際の姿勢で示してもらいたい。いかがですか。

今村国務大臣 戻られた方についてのそういったいろいろな問題があるということ、これは、我々もそういったことは聞いております。

 ですから、いろいろな相談センター等々もちゃんと福島の方にも充実してやっておりますから、できるだけ、我々もまたそういった実態を踏まえて福島県と一緒になってサポートしていきたいというふうに思っています。

高橋(千)委員 続きの話になりますが、三月三十一日で災害救助法に基づく応急仮設住宅の無償提供が打ち切りになりました。本会議でも質問しましたが、具体的なことは何一つ答えていないと思います。それどころか、事前に、本会議の前にレクをしましたけれども、そのときに、復興庁自身が避難者の住まいの確保について全く掌握をしていません。なぜか。災害救助法は内閣府の担当です、そういうことを言うわけであります。

 だとすれば、大臣がこれまで委員会で、しっかり後方支援しますと言ってきたことや、きょうも答弁がありましたけれども、丁寧に進めていきますなどと答えていたことも、口だけだったと言わざるを得ないんです。

 せめて、自前の数字がなくても、福島県に問い合わせをして説明に来るのが筋ではないですか。そうやって認識を一致させる、それすらもできていないということをちゃんと自覚していただきたいと思います。指摘をします。

 それで、もう一度伺います。

 三月三十一日で借り上げを含む応急仮設住宅の無償提供が打ち切りになった対象者が何人で、その方たちの住まいの確保がどのようになされましたか。

関政府参考人 お答えいたします。

 福島県によりますと、三月末で災害救助法に基づく応急仮設住宅の無償提供が終了になった対象者の人数ですが、平成二十八年十月末時点で、二万六千六百一人と承知をしております。

 四月一日以降も応急仮設住宅の供与が続く方は、平成二十八年十月末時点の避難者、六万一千六百十七人ということでございますので、そちらは約六割の三万五千十六人という数が出ております。

 福島県におきましては、自主避難者に対する民間賃貸住宅の家賃補助、公営住宅の確保などに取り組みますとともに、避難者向けの相談拠点を設置するなど、避難者に対する支援事業を実施しております。

 復興庁も、住宅確保に関して、雇用促進住宅での受け入れを関係団体に協力要請し、住宅の一部提供が行われることになったほか、国土交通省とも連携しながら、公営住宅への入居円滑化の支援を実施しております。

 県の意向調査の結果によりますと、大部分の避難者の方々は、県の支援措置なども踏まえまして、四月以降の住まいの確保がなされていると伺っているところでございます。

高橋(千)委員 なぜそこだけ大部分というアバウトな数字になるんでしょうね。三月の参議院の委員会では、二百二十七名がまだわからないというふうな答弁もあったと思うんですが、そのこと自体をつかんでほしいということを言っているんです。

 資料の一枚目が福島県から県外への避難状況。これは福島県の数字が入っておりませんが、改めて、ことしの三月の時点でも全国四十七都道府県全てに避難していることがわかると思います。

 そして、二枚目に応急仮設住宅の供与の状況があります。先ほど言ってくださった二万六千六百一人というのは、避難指示区域外からの避難ということで、いわゆる自主避難と言われる方たちがこれだけいるということであります。

 それで、今お話の中にもあったんですけれども、県は二年間に限った家賃補助を二千世帯分用意していたと思います。これの活用はいかがでしょうか。

関政府参考人 お答えいたします。

 今お話ございましたように、福島県では、避難指示区域外から避難されている方への帰還・生活再建に向けた総合的な支援策を策定しまして、民間賃貸住宅などへの家賃補助を実施しております。

 具体的には、一定の所得以下の方を対象に、平成二十九年一月分から平成三十一年三月分までを対象といたしまして、平成二十九年一月から平成三十年三月については毎月最大三万円、平成三十年四月から平成三十一年三月については毎月最大二万円の家賃補助を行うこととしております。

 福島県で、住まいの意向調査において民間賃貸住宅等を希望し、かつ避難先での避難の継続を希望した世帯の割合ですとか、収入要件を満たす世帯数の割合を踏まえまして、お話ございましたように、約二千世帯分の家賃補助の予算額を計上しているところでございます。

 福島県に対し、本年三月末現在で約九百件弱の交付申請がなされ、さらに、このほかに事前審査や問い合わせなども多く来ているというふうに伺っております。交付申請がなされたものにつきましては、現在、福島県におきまして交付決定の審査を実施していると伺っているところでございます。

高橋(千)委員 資料の四枚目に、今の紹介いただいた支援制度の内訳があります。

 二千件用意をしていたんですが、まだ九百件というところ、期限がもう既に過ぎているのにそういう状況だ。それはなぜかなと考えると、やはり今、一番右下の(4)にあるんですけれども、一年間、家賃等の二分の一、しかも最大は三万円です。次の一年間は、三分の一、最大二万円です。これでは、とてもじゃないけれども、残りの家賃を払っていくのはとても大変だし、また、期限があと二年と限っている、だったら、やはり無理だということを判断せざるを得ない、そういう状況に置かれていると思うんですね。

 多くの方は、既に避難先を七回、九回というようにかえて今のところにいるわけです。最初に親戚や首都圏にいる我が子を頼ったりした方もいました。でも、そのこと自体が、逆に身近だからこそつらいということで転々としていたわけですね。

 今、現時点でホームレスみたいになっている人はいません。だけれども、そのことによって、とりあえず親類縁者を頼ったかもしれないけれども、解決したとは決して言えないわけなんです。表に見えていないからこそ事態が深刻だと思います。

 大臣にお願いします。

 その後の住まいの確保状況について追加把握をすること。そして、今言った家賃助成は、やはり余りにも規模が小さくて、また期限も限られています、これについて拡充をしていくべきではないでしょうか。公営住宅に入っても、家賃支払いというのはだんだん上がっていきますから、非常に困難な方もいます。福祉部局とも連携をして、しっかりとした体制をとるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

今村国務大臣 先ほど統括官から話があったとおりでありますが、できるだけそういった方々に寄り添って、どういうふうにこれを乗り越えていくか、いろいろな、例えばおうちを借りるにしても、こういうところもありますよ、こういうところもありますよ、そういった提供をしながら、生活にできるだけ悪影響が及ばないような、そういったアドバイス等も含めて、丁寧に対応していきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 家賃の助成などについては一切ないですか。

今村国務大臣 御案内かと思いますが、あくまでこれは、県が窓口になってやっている、そしてまた、そういったことをしっかりと我々がサポートするということでありますから、そういったことを御理解の上で今後の対応を考えていきたいと思います。

高橋(千)委員 サポートをすると言っているわけですから、県の取り組みに上乗せをしていく、応援していくということを検討していただきたい、このことを要望しておきたいと思います。

 さて、四月一日に解除をされた富岡町ですが、三月の末に公設民営のショッピングセンターがオープンをしました。隣町の川内村や楢葉町からもお客さんが来て、大変にぎわいました。また、八日は、大臣も行かれた桜祭りが行われて、総理も大臣も行かれて、皆さんの笑顔が映っておりました。

 たくさん来て、みんな喜んでいたよと教えてくれた富岡町の区長さんは、その後にこう言いました。来年で賠償が打ち切られるのは本当かと。知らなかったんですね。三十年で打ち切られるのはと言って、三十年というのは平成三十年で来年のことだ、周りの人が言っているけれども、本当ですか、こう言われたわけですね。

 これは、解除後一年で賠償打ち切りというのは、一昨年の与党提言を具体化したものであります。実は、前にも同じようなことがあったんです。富岡町じゃなくて、先に避難を解除されたところの住民の方たちに、一年で賠償がなくなるの、知らなかったと言った方がたくさんいらっしゃいました。

 長いこと居住制限区域だった地域、これだって、帰還困難区域ではなくても、やはり二十ミリシーベルト以上あった地域なわけですよね。本当に帰れるかどうかと悩んだ地域、同じなんです。まさか一年で賠償を打ち切られるとは知らなかった、暮らしていけないと声がある。これは理解が得られていると思いますか。もう少し見直しをする必要があると思いますが、いかがでしょうか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 避難に伴います精神的損害の賠償につきましては、平成二十五年十二月の中間指針第四次追補、また平成二十七年六月の閣議決定を踏まえて、お支払いの対象となる期間といたしまして、解除の時期のいかんにかかわらず、事故後六年にさらにいわゆる相当期間の一年を加えた七年分をお支払いするという方針が、これは平成二十七年の八月に示されてきております。

 こういった賠償の中身につきましては、政府及び東京電力から、累次、あらゆる機会を捉えまして、自治体あるいは住民の皆様方に対しまして御説明をしてきたところでございます。本年四月までの各市町村におけます避難指示解除に向けたプロセスにおきましても、地元の方々と丁寧な議論をあらゆる場で重ねてまいりましたけれども、そういった折にも、こういった賠償方針について、必要に応じてまた御説明をし、一定の御理解をいただいているものと考えております。

高橋(千)委員 御理解をいただいているものと。だから、御理解いただけていない実態をお話ししました。もっと議論をしていただきたいと思います。

 ようやく一歩を踏み出したときだから、さっき言ったショッピングがオープンして、解除も進んで、一歩を踏み出したときだからこそ、もう少し応援してもらいたいという声なんだということを重ねて指摘したいと思います。

 六年間というのは大変大きいです。高齢の夫婦で、荷物もやはり六年間でたまりました。その夫婦だけの力で引っ越しもままならないと言っているんです。

 現実に戻った方はまだ一割未満ですし、楢葉町などでも、これまで解除されたところも入れても一三%。本会議で、解除されただけで復興と言えるのかと私は質問しました。極端な質問に聞こえたかもしれませんが、解除後の住民が暮らしを続けていけるかどうかは、本当に深刻な問題です。戻る人がいなければ商売も続けていけないわけですから。このことを、やはり、もう決まったことだと言わずに、議論を続けてほしいと指摘をしたいと思います。

 それで、質問は、そういう意味で暮らしを支えていくということができていくのかということで、拠点という考え方は、実は、今回の法案が最初ではなくて、資料の五にありますように、被災十二市町村がそれぞれ復興拠点の整備に取り組んでいます。国はどのように支援しているのか、伺います。

今村国務大臣 これにつきましては、帰還困難区域ではない地域におきまして、復興拠点という名称のもとにいろいろな取り組みをしております。それぞれの自治体によって状況は異なっているわけでありますが、例えば、名称も、中心拠点と呼んだり、それぞれの自治体で対応しております。

 葛尾村では、コチョウランの栽培施設、あるいは農業倉庫、あるいは復興交流館、これには直売所も含むわけでありますが、そういうことをやっておられるし、また、先ほどお話がありました富岡町では、まさに、さくらモールと言われる複合商業施設をやって、先般オープンしたところであります。それから、町立の診療所、これも、三百六十五日二十四時間対応の救急医療センターの整備に今取りかかっております。

 そして、もう一つはJR富岡駅の再開ですね。これは多分ことしの十月ごろになると思いますが、また、それに合わせた駅前ホテルの整備等もやっているわけでありまして、こういった既に前向きに取り組んでおられる施策について、復興庁としてもしっかりと支援をしてまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 資料の六枚目を見ていただきたいと思うんですね。

 これは二〇一五年の国勢調査、五年前との比較の人口ですけれども、ここで、もうニュースになったから皆さんも御存じだと思いますが、大熊、双葉、富岡、浪江の四町は、国勢調査で人口がゼロとなりました。避難指示が出ているわけですから、当たり前といえば当たり前なんですが、大変な衝撃をもって受けとめたわけであります。被災十二市町村、いずれも人口は減っており、総務省は、平成十三年の三宅村の全村避難のときと同様に、特例措置で交付税を措置しております。

 しかし、解除を決断する自治体から見ると、やはり、こういう中、すぐに住民が戻るとは言えないけれども、今解除しなければ、あるいは、国がいろいろ、旗を振ると言えば語弊があるかもしれませんが、イノベーション・コースト構想など支援策を、今この瞬間、一緒にやると手を挙げなければ、町がなくなるんじゃないか、そういうぎりぎりの選択があったと思うんです。やはり、このことをしっかりとどめておく必要があるかな、こういうふうに思います。

 それで、要するに、解除をしたところも、これからが本当に重要だということを指摘しておきたい。

 拠点の中で重要なのが、医療、介護などの体制をつくれるかどうかというのが、これは帰還の決断にも大きく影響があるわけですが、資料の七枚目をつけております。

 これは、地域包括ケア体制をつくるんだというわけです。私、これは厚生労働委員会でいつもやっている問題で、ポンチ絵もほぼ同じなんですけれども、小学校区単位をイメージして、医療や介護が行き届く体制だと。

 しかし、どこでも医療や介護の社会的インフラは十分ではありません。まして、この人口がまだまだ戻らない地域でつくっていくのはさらに大変なことであって、やはり国の強力な支援がなければだめだと思うんですが、どのようにやっていくのか、お願いします。

古屋副大臣 私も、福島県の相双地域に二度参りまして、現地の自治体、医療・介護関係者から直接御意見を伺ってまいりました。

 福島県において、地域包括ケアシステムの構築に向けて、医療・介護施設の再開のための施設整備や人材確保の支援等による医療、介護のインフラ整備が重要な課題であるということを認識いたしております。昨年、厚生労働省内において、このための省内の連携プロジェクトチームを設置したところでございます。

 医療分野におきましては、医療機関の再開、新設に係る施設整備等に係る支援、また、医療従事者の養成確保を図ることが重要だと考えておりまして、これらに必要な予算を計上しております。福島県、また福島県立医大等と連携をしながら取り組んでまいりたいと思います。

 また、介護分野におきましても、震災で被災した特別養護老人ホーム等の施設の復旧、また、福島県外から相双地域の介護施設等への就労の促進といった介護人材の確保などにも財政支援を行っております。

 今後とも、引き続き、福島県と連携しつつ、一日も早い被災地の復興に取り組んでまいりたいと思います。

高橋(千)委員 相双地域には、民間のドクターやスタッフが本当にいろいろな形で支援をしているのも私も承知をしておりますし、やはりこれは、国が、県が懸命に描くプランに対して応援するというだけではなくて、人の派遣や制度も含めてしっかりと寄り添っていかなければ難しい問題であろうと思いますので、これは引き続きよろしくお願いしたい、このように思います。

 さて、帰還困難区域の復興再生拠点の問題であります。

 六日の本委員会でも民進党の岡田委員が厳しく追及をしておりましたが、改めて、なぜ汚染者負担の原則があるのに東電に求償しないのかということは、私も疑問を持っております。

 聞かれたことだけに答えていただきたいんですが、まず、現在の帰還困難区域に再編されたのはいつで、その定義を述べてください。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 帰還困難区域の定義は、平成二十三年十二月二十六日に原災本部が定めております。その中で、帰還困難区域は、「長期間、帰還が困難であることが予想される区域」とされ、「具体的には五年間を経過してもなお、年間積算線量が二十ミリシーベルトを下回らないおそれのある、現時点で年間積算線量が五十ミリシーベルト超の地域」とされております。

 この定義を踏まえて、平成二十四年四月から平成二十五年五月にかけまして、七市町村において帰還困難区域を設定したところでございます。

高橋(千)委員 資料の八枚目に、今紹介いただいた平成二十三年十二月二十六日の原子力災害対策本部の考え方をつけておきました。

 「具体的には五年間を経過してもなお、年間積算線量が二十ミリシーベルトを下回らないおそれのある、」まず、「五年間を経過してもなお、」というキーワードがありました。五年もたっちゃったわけですよね。まずそれが一つと、「将来にわたって居住を制限することを原則とし、線引きは少なくとも五年間は固定することとする。」ということであって、これは絶対帰らないという意味ではない、これを読めばそういうふうに思います。確認をしたい。

 その上で、除染についてはどのように規定をしたのか、伺います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 定義については先ほど申し上げたとおりでございまして、将来にわたって絶対帰れない区域とされているわけではございませんけれども、帰還困難区域は、長期間、帰還が困難であることが予想される区域であり、将来にわたって居住を制限することが原則とされておりますし、さらには、バリケードを張るという形での出入りの管理を行う、あるいは除染についても、これはもう当面実施をしないという方針がしっかりと打ち出され、かつ、故郷に長期間戻れないことを前提とした賠償を行うなど、いわゆる緑あるいは黄色の地域とは著しい対照をなす扱いになっていたということでございます。

高橋(千)委員 聞かれたことだけに答えてください、順番に聞いておりますので。

 絶対帰らないという意味ではないということをまず確認したわけです。

 それで、除染についてはどのように規定したかというのに対して、今ちょっとアバウトな表現をしたんですね。当面実施をしないというふうなことを言いました。

 では、除染特措法において国直轄で除染を行う除染特別地域には、帰還困難区域も含まれているはずです。まず、環境省に確認します。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 除染特措法におきましては、条文上は、除染特別地域から帰還困難区域を除くということはされてございません。

 ただし、同法に基づきまして、国直轄除染の計画として特別地域内除染実施計画というものをつくってございますけれども、この計画につきましては、これまで居住制限区域及び避難指示解除準備区域についてのみ策定をしてございまして、帰還困難区域についてはこの計画における実施対象区域には含まれていないということでございます。

高橋(千)委員 今おっしゃったことは、除染特別地域には帰還困難区域も入っていて、除いていないということだとまず確認できたと思うんですね。ただ、計画が今はないということだと。

 これは、平成二十四年の一月二十六日の除染特別地域における除染の方針の中で、おおむね年間積算線量五十ミリシーベルト超となる地域については、除染技術の確立及び作業員の安全性の確保のための除染モデル実証事業の結果等を踏まえて除染等の措置等の方法を検討する、等が多いですが、措置の方法を検討するということで、今は計画がないということだけれども、検討するというふうに入っていたのではないかと思います。

 ということでは、帰還困難区域も除染特別地域に入っている、技術やタイミングについては課題とされたものの、将来にわたってやらないと言ったわけではない。そうすると、やはり復興再生拠点のみ東電に求償しないという理由にはならないと思うんですね。

 帰還困難区域は最もひどく汚染され、強制避難のために住民が最も苦しめられた地域です。新たなスタートだからといって、それに東電が責任を持たなくてもよいというのはおかしくはありませんか。

今村国務大臣 ただいま、帰還困難区域云々についての決めた当時の状況等、話があったわけでありますが、それを前提としながら今日まで進んできた。しかし、ここに来て、やはりこのままではいけない、何とかふるさとを取り戻そうじゃないかということで、新しいステージとして新しいまちづくりをやっていこうと。

 そうなってきたときには、今までの前提を少し変えて、そういったところについては、やはり国の施策として、そして政策判断としてそういったことを取り組んでいこう、ついては、この除染の費用も、そういう意味で国が負担するのが妥当だろうということで判断をしたところであります。

高橋(千)委員 全く答えになっていないと思うんです。

 新しいスタートに国が応援するのは、さっき、帰還困難区域でないところに対しても、拠点がありますよねというのに対して、国が応援していきますとおっしゃったじゃないですか。まちづくりに国が責任を果たすのは当然のことなんですよ。

 だけれども、これから除染もやるとなった以上は、最も汚染されたところに、その原因者である東電に責任を求めないというのはおかしくないかと言っているんです。

今村国務大臣 これも、私が口が下手なのか知りませんが、意は伝わっているのかもしれませんが。

 要するに、今まで決めてきた一つの過程があります。それに、今回は、先ほどから言っているように、新しいまちづくりをやろうじゃないかということで来たわけですから、それまでの前提をここで変えようと。これは、国が政策判断としてこうやってやるんだから、だから、その分は国が除染についてはやろうということで御理解を願いたいと思います。

高橋(千)委員 絶対理解できません。絶対説明になっていないと思いますね。

 こればかりやっていられないので続きをやりますけれども、やはり、拠点をどのくらい設けるか、自治体によって違うと思いますが、拠点のみでなく元居住エリアは同時に除染してほしいというのが強い要望なわけであります。

 私、昨年二月の予算委員会で、富岡町の居住制限区域と帰還困難区域が道路一つ隔てている地域、これは片っ方だけ解除されても片っ方が全然除染されていないとだめですよという指摘をして、町からの要望もあって、境界線から五十メートルまで除染をしてくれた、そういうことを年末に確認してまいりました。これは、桜祭りも、だからこそできたんだろうと思うんですね。

 やはり、考えてみたら、拠点というのはどうしたって飛び地になるわけですよ。だけれども、そこは人が行き交うわけなんですね。

 だから、私がまず今主張しているのは、その居住エリアは少なくとも一体的に整備すべきではないでしょうか。居住エリアというのは、元居住エリアですよ。今拠点になるところと元居住エリアは、飛び地にしないで一体的にやったらいいんじゃないですか。

長沢副大臣 お答えさせていただきます。

 先生今御指摘になったのは、富岡の夜の森地区だというふうに思います。もともと住宅地域で、道路で線が引かれているというところを、もうちょっと深く除染をしてくださいという御要望もあって、五十メートルという除染をされている地域でございます。

 その夜の森地域を例えば例にとりますと、あそこはほかのところとつながっているからいいんですけれども、帰還困難区域の中に飛び地的に拠点を整備するということは、そこに人が住んだりする、あるいは新たに人が外から来たりする、コミュニティーをつくるということですので、コミュニティーをつくるということになれば、その具体的なコミュニティーをどう利用するかという利活用の問題が当然ありますけれども、そことのアクセスも、避難指示が解除されている地域と結ぶ道路、こういうところについては、安心して通行、利用できるようにしなければならないというふうに考えておりますので、その際、除染がなされていない道路であれば、それは計画に位置づけて除染を行うことがあると思っております。

高橋(千)委員 確認をしました。

 それで、さっき、どうしても東電に求償しないんだという議論がありましたけれども、そうすると、予算の範囲内という考えが働くわけですね。

 帰還困難区域が面積の八割を占める浪江町の馬場町長が、国費を投じる公共事業となると必ず費用対効果の議論が持ち上がる、人が戻らない、戻る人数が少ないと事業を行わないということになり、結局、全エリアの除染が行われない可能性が高いと、三月七日付の毎日新聞ですが、指摘しているのは、やはり私はそのとおりだと思うんです。

 これは最後の資料ですが、朝日新聞の二月六日付に、帰還困難区域、解除は五%にすぎない、面積が、こういう大変衝撃的な記事が載りました。

 復興庁に言わせると、そんなことを言った覚えがないというふうに言うわけですけれども、ただ、非常に記事は根拠があるんですよ。試算が出る前提として、もともとなかった予算、さっきから言っているじゃないですか、位置づけていなかったと言っているわけですから、予算がなかったわけです。では、どこから捻出するのか、あるいは捻出できる範囲となればおのずと面積も限られてくるだろう、そういうふうに想像がつくわけなんですね。

 そういう意味で、復興予算、あと四年で、全体六兆五千億円と言われておりますけれども、そういう中で、まして復興庁もあと四年です。誰がここに責任を持つんですか、大臣。

今村国務大臣 この件は、まだこれから特定復興拠点をどういうふうにつくっていくかということ、これは、地元の皆さん方とよく話をしながら一番いい方法を選んでいこうじゃないか、そういうことで進めていくわけであります。

 ですから、それに沿った対応で予算も、お金の面といいますか、そういったものも必要なものは見ていくということであるわけでありますので、ぜひ、そういった魅力のあるまちづくりを進めていかれるように、また我々もいろいろなアドバイスをしながらやっていきたい。

 予算の面では、そういったことで、その趣旨に沿った、本当にいい拠点づくりができるように、我々もしっかりと確保してまいりたいというふうに思います。

高橋(千)委員 責任が持てないのに、責任をとるという話ばかりしていると思います。極めて問題だと指摘をして、終わります。

吉野委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦です。

 本日も、お時間をいただきまして、ありがとうございます。

 質疑を始める前に、ちょっとお話しさせていただきたいんです。

 四月に入って、いよいよ帰還が本格的に始まり出したということなんです。

 前回にも私ども日本維新の会がやっている活動というのをお話しさせていただいたんですけれども、簡単に言うと、今の国会議員が毎月一人頭十八万円ずつ出し合って、それを党に寄附した形にして、党から被災地の方々のところに寄附という形で届ける。人数が少ないので、大体毎月五百万円程度にしかならないんですけれども、そういう形でお届けしているということをさせていただいています。

 二月だったと思うんですけれども、二月に、富岡町の方々が避難されているところに行ったんですね。避難されていて、今度四月になったら帰るというふうに言われていた方々、たくさんの方々とお話をしてまいりました。そのときのことをちょっと時間をいただいて話をさせていただきたいんです、だからどうこうしろというふうな話じゃないんですけれども。

 それは何を言われたかというと、十人にも満たないぐらいの方々と話をしたんです。そしたら、ずっといろいろなことを言われていて、四月からこういうふうな形で帰るよとか、あとは、今の生活がどうだとか、そういう感じのことをいろいろと皆さん言われるんですね。積極的に話される方々もいらっしゃるし、全くしゃべらない方もいらっしゃるんですよ。

 ずっとしゃべっていると、最後に、全くしゃべらない感じの、非常におとなしい感じの女性が、一言、ちょっと一つだけ話させてほしいんですというふうに言うんですね。何を話すのかな。どうぞどうぞ、ぜひ皆さんからお話が聞きたいのでと。

 そしたら、何を言うかというと、今度四月から帰ります、今までもいろいろな行政の方が来られて、要は、どういう不安があるのかと。富岡町の方も来られるし、政府からも来るし、いろいろ聞く、どういう不安があるのか、不満があるのかというふうなことを言う、それから、住民説明会みたいなことも開かれる、そういったところでは、皆さん、積極的に手を挙げて、話す方は結構いらっしゃるんです、私、きょう初めて話したんですと。そこの時点で、もう泣きそうになられているんですよね。

 みんな言うのは、やはり不安を口にされる。今度から、帰るときにどうなるんだろう、今はもう大分生活が何とかやっていけるようになった、非常に便利なところもある、皆さんに助けていただくこともある、たくさん、いろいろあるし、ただ、帰ったら何があるかわからない、ちゃんとした除染ができているのかどうか、どこの地域に立ち入らないようにしなきゃいけないのかとか、あとは、公共の施設がやはり離れているところにあるので不安だとか、いろいろなことを言うんです、みんなそういうことを言う、私も、やはり聞いていて不安になりますと。

 不安になるんだけれども、ずっと言いたくて我慢していたことがあるんです、それは何か、それは不安はあるでしょう、不満もあるでしょう、でも、そのかわり、私はあそこに帰って頑張りたいんだ、頑張らないと、私みたいに思っている人がふえていかないと、あそこの町はもう一遍もとに戻らないんだ、だからそういうふうなことを考えているんだ、でも、そんなことは今まで一回も言ったことはない、でも、一回最後に言いたかったんだというふうに言われたんですね。もう泣きじゃくっていました、自分の言っていることに。こんなこともしゃべったこともないし、声も出したことがなかったと。

 それを聞いていて、人それぞれ考えることはいろいろあると思います。だから、こういう人たちがもっと不満を、不安を感じさせないようにするためにやることが私たちのやはりやることなんだろうな、何ができるのかはそこから考えていかなければならないなというふうに思ったんです。

 わざときょうはここでそれを言わせていただきました。というのは、そういう人たちの声というのは、やはりいつも我慢されているからどこにも届かないんです。こういうところで私がかわりに言わせていただくことというのが重要なんだろうなと思ったので、大分時間を使わせていただきましたけれども、ぜひとも、皆さん、お心にとめていただきたいなと思いましたので、お話しさせていただきます。

 それでは、きょうのお話をさせていただきたいと思います。

 きょうの話は、そんなことを言いながら、一つだけなんです。

 これは、四月の六日にこの法案質疑、委員会で始まりました。そのときに民進党の岡田前代表が質問されていたことがあるんですけれども、私は、それがほぼほぼ、いろいろなことはあるけれども、それが一番中心だろう。さっき高橋千鶴子さんもお話しされていたことなんですけれども、要は、特定復興再生拠点区域、これが帰還困難区域の中から選ばれてというのかチョイスされて、復興させていく、集中的に、まず拠点としてやっていく。そのときに、責任の範囲ですね。いろいろな、責任という言葉が今飛び交っているのであれですけれども、まさしくこれは責任の範囲をどこに設けてどうしていくか。今回の法案の中では、国が全てやっていこう、除染費用も含めてというような感じのことでした。

 岡田前代表が言われていたのは何かというと、東電が実際に除染費用は全体的に持つけれども、特定復興再生拠点区域、何でここについては国がやるのか。まちづくりも含めて全部をやる、その中で、除染についても含まれている。これは特例なんですか、それとも新たな枠組みをつくっているんですか、どういう位置づけなんですかという感じのことを言われていたんですね。

 これは漠としたことをお答えされるとあれなので、ちょっとそれぞれからまず言わせていただきたい。さっきの高橋千鶴子先生の話とも重なるんですけれども、まず最初に、除染は、ここは変わりないと思います、除染費用は一義的には東電の負担をするものです。ここは私が言わせていただいていいかと。

 では、帰還困難区域の除染、将来的にどうなるかわかりません。いつ、どうなるかわからない。帰還困難区域の除染費用は、これはどこが負担するんですかね、今の枠組みの中。今どういうふうな枠組みになっているか、お答えいただけますか。

小糸政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正法案の帰還困難区域における復興拠点の費用負担、除染の費用負担、これについて国の費用で行うということを規定しておりますが、復興拠点外も含めた帰還困難区域の取り組みですとかその費用負担、除染の費用負担については今後の検討課題であるというふうに承知をいたしております。

木下委員 今後の検討課題ということは、これは決まっていない、どこが負担するのか決まっていない。これは、原発事故を起こした事業者か、それとも国かということが明確に決まっていないということですかね。それをもう一度。

小糸政府参考人 復興拠点外については決まっていないというふうに承知をいたしております。

 除染費用の負担につきます法的責任につきましては、除染特措法に基づく措置についてのみ、同法に基づいて東京電力が負担するという法的責任を規定しているものでございまして、同法に基づかない除染について、法的責任というのは定めていないというふうに承知をいたしております。

木下委員 そういうことですね。私、これが全てだと思っているんです。

 というのはどういうことかというと、普通に今まで除染されてきたところ、これについては法律で決まっていて、基本的には東電が負担するという形になっていました。帰還困難区域についてはまだ決まっていない。まだ決まっていないようなところから一つをチョイスして、一つというのか、ある特定の地域をチョイスして、そこの部分について費用をどうするか、そういうふうなことを今回考える。だから、その新たに考えるところだから、それが国の負担でやるよ、今のことを整理するとそういうことだということになると思うんです。

 だから、一義的に東電が除染については負担するというふうに言っているところに当たらない、除染は一般的に東電がするというふうにして決めているけれども、今回のケースは、もともと東電が負担するというふうなところを考えていたところには当たらないから、新たにこの法律で決めるんだ、こういう理解でよろしいですかね。

小糸政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、今回、新しい政策決定に基づいて、除染については、新たなまちづくりの一環として、政策的な判断のもとに、国の負担で行うということにいたしました。

 新たなまちづくりと申しますのは、特定復興再生拠点区域の整備という形で行われるわけでございますが、これは帰還困難区域全域の原状回復ではなく、利活用の見込みのある区域を選択して、集中的に整備を行うということでございます。また、当該区域内におきましても、帰還される方のみならず、新たに立地する事業者やそこで働く新しい住民なども加えまして、新しいコミュニティーを形成していくということでございます。

 このように、単なる原状回復を目的として行われるものではなく、新しいまちづくりの一環として、公共事業的観点を有するものであるということから、今回、除染費用について国の負担とするという政策的な判断を行ったところでございます。

木下委員 今の、私、そういう答えをされるかなと思っていなかったですね。

 ここはやはり、今言ったところが全てだと思うんです。それが本当にいいのと、今、後ろからも言われていました。そのことをちゃんと書いてないじゃないかというふうなことも言われていた。本来は、ここが中心になった議論がちゃんとやはりやられていかなきゃいけないんじゃないかなと思ったんです。

 というのは、この法案、やはり特定復興再生拠点区域、これをどうにかしようという部分では非常に賛同できる部分もある。でも、これをやったら、今言われていた、そもそも発災した後に決めていた枠組みと違う新たな枠組みをつくっていくようなことになるということなんですよね。

 帰還困難区域の一部の部分だというふうにしても、では、そうしたら、今度は帰還困難区域についてどういうふうにするかというと、まだ決まっていないとおっしゃる。ただ、まだ決まっていないけれども、ここについてはやるんだよと。まだ決まっていなくて、もう一つ、どっちがいいかわからないです、でも、これをやってしまったがために、これから先、帰還困難区域がいざ除染というふうになったときには、私の考え方でいうと、全部これは国が負担するんじゃないかなというふうに思ってしまいます。

 やはりその理屈を、何で、誰が責任を持って、どういう理由でやったのかということが、前の質疑でも言っていないんですけれども、どこにもちゃんと明確化されていないと思うんですけれども、これは明確化されていると大臣はお思いですか。お答えできる範囲で結構です。

今村国務大臣 この間の経緯については説明は省略させていただきますが、まさに今回は、こういった帰還困難区域において、やはりひとつ手がかり、足がかりをつくってやってみようじゃないかということなんです。

 そのときに、どういうところをどういうふうにつくるかという議論も経ながら、今後の、それでうまくいきそうだということになれば、また新たな展開ができるでしょうし、しかし、足がかりをつくってやろうとしたけれどもどうも難しいということになれば、やはりそのままというようなこともあるわけですから、その辺がまだ見きわめがつかないので、当分、まず、これは今も検討中、検討課題でおくということであります。

    〔委員長退席、谷委員長代理着席〕

木下委員 わかるんです。それはすごくよくわかるんですよ、やはり決まっていないところが多いから、これは特別的にやるんだと。それをどう捉えるかなんですよね。本当に特別的なのか。ただ、今の流れでいくと、今まで考えられていた枠組みを責任という部分では根底から覆してしまう可能性があるということなんですよね。

 だから、では、その責任についても、これは特例だというふうなものなのかというふうにして、これは実際に、特例なのかというふうに岡田前代表が前のときに聞かれていたんです。でも、特例かというふうに聞いたら、誰も特例というふうに答えられなかった。それが不安を感じる要素なんですよ。まさしく、特例だったら特例というふうに言っていたら、私も理解できたんです。

 そうなると、責任をどう分けているのかが全くやはり私には理解できなかったので、それで、あえて、よその党の人たちが言っていたことだけれども、納得できるなと思って、ちょっと違う視点だとは自分では思っているんですけれども、質問させていただいているんですね。

 だから、やはり、もう時間がほとんどないのであれですけれども、今後、もうここまで来ていますのでといいながら、これで見逃してしまっていいものかどうなのかということが、余計ちょっと不安を感じ出しているんです。

 やはり責任の分岐点、特に、復興、それだけじゃない、原発の事故に関しての責任の分岐点というのはしっかり明確化していかなきゃいけない。

 というのは、今、経産委員会でも逆のことをやっているんですよね。要は、東電にちゃんと廃炉・汚染水対策をやらすための積み立てを、計画をしっかりつくっていく。しっかりといいながら、その計算根拠がまたちょっといいかげんだったりするんですけれども、そういうことをやろうとしている。

 そういうことをしっかりやっていかなければ、これから先、何年もかかる、何十年もかかる中で、その責任がどこだということを引き継いでいかなければ、後でまたややこしいことになると思っていますので、それを念頭に置いていただいて、この問題、それからここに関連する問題も含めて、中でもうちょっと検討していただきたいな、これから先、特定区域をどこにするかということも決めていくわけですから。よろしくお願いいたします。

 時間がちょっと余りましたけれども、以上にて終了させていただきます。ありがとうございます。

    〔谷委員長代理退席、委員長着席〕

吉野委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。木下委員に続き、よろしくお願いをいたします。

 私からは三点。

 まず最初に、除染にかかわる地域の進捗状況、除染が終了するまでの見込みというもの、これはおさらいですけれども、ちょっとお聞かせをいただけたらと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 除染の進捗状況あるいは見込みということでございますけれども、環境省が実施をいたします除染特別地域、いわゆる直轄除染でございますけれども、これについては、計画されておりました面的除染につきましては、対象十一市町村全てにおいて、平成二十九年三月末までに、予定していた除染作業を完了いたしております。

 また、福島県内の市町村除染、三十六市町村ございますけれども、これにつきましては、住宅や公共施設等、日々の生活の場における除染作業がおおむね完了してございます。

 それで、平成二十九年度以降も県内の十二市町村ほどは継続して除染を実施することになってございますけれども、そのうち多くの市町村では、本年の秋ごろを目途に順次完了していく見込みであるというふうに聞いてございます。

浦野委員 本年秋ごろに完了だということですけれども、これからまだまだとはいうものの、市町村でこことかやってほしいというのも恐らくちょろちょろと、ちょろちょろという言い方はあれですけれども、出てくる可能性もあるということはおっしゃっていましたけれども、この除染した物質を今現在中間貯蔵のところにどんどん仮置きをしていっていますよね。

 きょうの大きな一つの質問の中身は、この除染物質の最終処分について、これまでもいろいろとこの委員会でも議論は当然あったことだと思いますけれども、今現在その議論がどれぐらいまで進んでいるのか、もしあればお聞かせをいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 除染で生じました土壌等の最終処分につきましては、法律によりまして、中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずるということが規定されてございます。この規定は、地元で中間貯蔵施設を受け入れていただくに当たりまして非常にこの法制化を強く求められたものでございまして、この規定を盛り込むことを前提に、中間貯蔵施設の建設受け入れの御判断をいただいたということでございます。

 こうした経緯も踏まえまして、現在、その最終処分に向けたさまざまな検討を進めているところでございますけれども、この県外最終処分の実現に向けましては、減容技術等の活用によりまして除去土壌を処理し、再生利用の対象となる土壌を可能な限りふやしまして、それを利用することで、最終処分をしなければならない量の低減を図るということが大変重要かと思ってございます。

 そのため、除去土壌等に関する減容処理技術の開発、再生利用の推進、あるいはその最終処分の方向性の検討等の中長期的な方針といたしまして、昨年四月、中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略及び工程表というものを取りまとめてございます。

 この技術開発戦略及び工程表に沿いまして技術開発、再生利用などの取り組みを着実に進めることで、県外最終処分の実現につなげていきたいというふうに考えております。

浦野委員 検討はいろいろしていっているけれども、最終処分をどこでどうやってやるかということは決まっていないということで、これは確認ですけれども、よろしいですね。

高橋政府参考人 具体的な最終処分の方法、場所等はまだ決まっておりません。

浦野委員 この三十年以内というのが平成二十八年の三月から平成五十八年の三月だということをお聞かせいただいているんですけれども、県外で最終処分ということは、まず、その最終処分の物質を受け入れるところを選定しないといけないと思うんですけれども、その選定というのはどういう方式でやっていくのか。例えば、都道府県に手を挙げてもらうのか、それが市町村、都道府県、わからないですけれども、自治体に手を挙げてもらうのか、それとも国が責任を持って調整をするのか、そこら辺のところは今どういう議論になっていますか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 先ほど若干御答弁いたしましたけれども、現段階では、技術開発戦略及び工程表によりまして、平成三十六年度までに、技術開発の状況等を踏まえまして、最終処分場の構造でございますとか必要な面積、あるいは実現可能と考えられる選択肢、こういうものを提示しなきゃいけない。そのために、どれだけの減容化、再生利用が進むのかという、まずその技術開発をやっているところでございます。

 したがいまして、現段階では、具体的な場所の選定方法、そのプロセス等についてはまだ検討がされていない。それは今後、技術開発と並行しながら検討していかなきゃいけないというふうに考えております。

浦野委員 これは、発災後、福島県のそういう第一原発関連のものではなかったですけれども、大阪府と大阪市は、その当時、瓦れきの処分の受け入れを表明して、処分をお手伝いさせていただきました。

 あのときは、たしか、各自治体、手を挙げていただいて、受け入れ先を決めていっていたという記憶があるんですけれども、日本全国で、もちろん高性能な炉でないとそれが処分できないという制限もありましたけれども、それでも、持っている自治体で手を挙げて協力をしたのは本当に数える程度でした。

 その受け入れたところも、大阪なんかは地元で反対運動が起きまして、大阪は岩手県のものを処分するために運んだわけですが、放射能汚染とかそういうのも全然大丈夫なレベルなのにもかかわらず、しかも岩手県のものですから、それでも、当時、この国会にもいらっしゃる政党の方々も含めて、えらく反対をされた政党もありました、残念ながら。それはなぜか。大阪府民の健康被害がふえるとか、そういうことを言って反対したわけですよ。でも、実際に、その当時、大阪府庁の知事室の方が線量が高かったという落ちもつきましたけれども。

 そういう風評被害を、地方自治体もそれを一生懸命否定しながら、そういった震災復興のために日本全国が協力をして今の復興をなし遂げていっているんだという、私は非常にいい取り組み、まあ当たり前といえば当たり前の取り組みですけれども、そういったことを大阪もやってきました。

 私が心配しているのは、福島県の皆さんは、やはり県外で処分をしてもらえたら、それはもちろんそう思うでしょうし、我々も、協力できることがあるならば、各都道府県、各市町村、精いっぱい協力をしていこうという気持ちはもちろん持っています。ただ、本当に、しようもない風評被害が今既に、これもよく問題になっていますけれども、そういったことを口にする方々が残念ながら多くいらっしゃいますし、この最終処分の受け入れというのは非常に難しい、ハードルの高い話だと思うんですね。どこかでは国が責任を持ってしっかりと決めていただけなければならないんですけれども。

 次の三番目の質問にもかかわる話なんですけれども、要は、そういったものの最終処分が決まっていない、ではどうするんだという不安というのもある部分があって、福島県になかなかやはり若い人たちが戻ってこない。

 戻っていかれる方々は、やはり、もうずっとそこで生まれ育って生活をしてきて、最後ぐらいは故郷でという方もたくさんいらっしゃるでしょうし、ついの住みかとして自分の故郷を選ぶという気持ちも非常にわかります。比較的年配の方々が多い、若い人たちがなかなかやはり戻ってきてもらえないという状況があるというふうにもお聞きしています。

 若い人たちが何で戻ってこないかという一つの原因が、やはり、そういった最終処分をどうするのかというのが決まっていない現状で、自分たちの子供たちの時代にその地域がどうなっているのかというのを描き切れない、決まっていないから描き切れないというのがあると思うんですね。

 私は、だから、そこは非常に難しい、これは乗り越えるには非常に高い壁ですけれども、ここはしっかりと国が責任を持ってやっていかないと、なかなかクリアできない。安心と安全は違うという議論もありますけれども、やはりそこは、安心も安全も今はまだそういう意味では担保できていない話ですから、議論を早期に、いつまでにというのは恐らくまだ答えられないかと思いますけれども、でも、これはやはりいつまでにそれを、三十年以内に県外で最終処分ということは、少なくともそれより以前、大分前に、どこでどうするかというのを決めないとだめだと思いますので、それはやはりきっちりと議論をしていただきたいと思います。

 若い人たちが戻ってこないというのは、やはり将来に不安を持っている。今いてるところで、例えば、もう六年たってしまいましたから、震災当時に生まれた子供たちも、もう今度は小学校に行ったりとかする世代になっています。やはり、それだけそこで大きくなると、子供たちにとっての地元、ふるさとというのは、福島ではなくて今住んでいるところがふるさとというふうに子供たちにはなってしまいますし、そんな状況で福島に帰っていくというのは、地元に、もとのところに戻っていくというのは、子供たちのことを考えると、保護者のお父さん、お母さんもやはりなかなか判断しにくい。

 とはいうものの、やはりこれは、若い人たちが戻ってきてもらって、その地域を復興していっていただかないとだめなんですね。三十年以内にということですけれども、三十年たったら、今、五歳、六歳の子供たちも、もう三十五、六歳になって、次は自分たちの子供を育てるようになる、子育て世代になるわけですね。

 私は、やはりそういった世代のことを考えたら、地域に子供が帰ってきてもらえるような環境づくりというのは、国も考えて、あらゆる手を打ってもらえたらと思うんですね。

 一つ提案というか、こうしたらいいんじゃないかというのが、幼児教育の無償化をぜひその地域で行ってもらいたいな。もちろんこれは、大きな方向では、幼児教育の無償化というのは、国も方向性は全く向いていますし、やることに関して異論はないとは思うんですけれども、ただ、その地域だけ特別にというのは、私は、復興のための政策の一つとして、そこだけでもいいじゃないかと思いますけれども、やはり、各都道府県、市町村並びで、なかなか難しいということをおっしゃるところもありますから、地域の、市町村とかが、無償化をやります、保育園、幼稚園、無償化しますという手を挙げたら、国が責任を持ってしっかりと予算をつけていくという仕組みをつくってもらえたらどうかなと思っているんですけれども、その点について御検討されますか。

橘副大臣 お答えを申し上げます。

 子育て世帯の帰還促進というのがこの地域の復興にとって大変重要な課題であるというふうに、委員のお話のとおり、認識をしておるところであります。

 避難指示が出されていた区域内の保育所や幼稚園なんですけれども、現在、その多くが運営を休止している状況でありまして、避難指示解除の進展を踏まえ、まず、三十年度において区域内での運営再開を目指して、保育士の確保を初めとする再開の準備が今進められている状況であります。このため、まずは、避難指示解除区域における保育所、幼稚園の再開に向けて、保育所、幼稚園などの施設の整備など、これを復興庁としても全力で支援することとしたいと考えております。

 なお、若い世帯の家族の帰還促進策の一環として、保育園、幼稚園の無償化をしてはいかがかという御提案であったわけでありますが、これも議員御指摘のとおり、国全体としても、今、一人親世帯等、あるいは二人以上の子供がいる多子世帯について、一定の所得を下回る世帯を対象として、保育園や幼稚園の無償化などの負担軽減を行っているところであります。

 そしてまた、被災地域のこの地域においても、所得制限なく無償化に取り組むような自治体も出てきているわけでありますが、今、問題は、まずその設備をしっかりさせること、そして保育士さんをしっかり確保すること、これがないと、無償化しても、待機児童ということになっても困るわけであります。

 このあたり、しっかり踏まえながら、また被災地域の状況を勘案しながら、魅力ある子育て環境の整備に努めていきたい、このように、議員の提案も含めて、考えております。

浦野委員 もちろん、今、橘副大臣がおっしゃったように、施設の整備から、特に保育士人材の確保というのは、被災地、福島県ならずとも、全国、待機児童が多い都市部では非常に大きな問題になっています。そういったところはもちろんクリアをしっかりしていただいたその上で、福島県の将来を担う子供たちを万全の体制で受け入れることができるように、幼児教育の完全無償化というものもしっかりと検討の俎上に上げていただけたらと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、質問を終わります。

吉野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。畠山和也君。

畠山委員 私は、日本共産党を代表して、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論を行います。

 本法案は、福島原発事故による避難指示区域のうち帰宅困難区域について、復興拠点とすべき区域を指定するとともに、その復興再生に向けた環境整備を図るため、新たに、東電の負担ではなく、国による負担で除染等を実施すること、その他、被災事業者のなりわいの復興再生を担う組織の体制強化、福島県浜通り地域の新たな産業基盤の構築、福島県産農林水産物等の風評払拭等の規定を設けるとしています。

 反対理由の第一は、特定復興拠点を整備するための除染や汚染廃棄物処理に要する費用は、原因者負担の原則に基づき、東京電力が責任を持って果たすべきであることです。

 新たに国が費用を負担することは、除染特措法第四十四条において東京電力の負担のもとに実施するとしてきたことを真っ向から踏みにじるものであり、原因者である東京電力の責任を免罪するばかりか、国費によって救済しようとするものであり、断じて認めることはできません。

 また、国費を投じる公共事業となると、費用対効果の議論が持ち上がり、人が戻らない、戻る人が少ないとなれば、事業の縮小、廃止へとつながり、全てのエリアの除染が行われないことにつながりかねません。

 反対理由の第二は、法案の内容が、本法の基本理念である、安心して暮らし、子供を生み、育てることができる環境を実現するための改正とはほど遠い点です。

 福島の現状は理念が目指すものとはなお大きくかけ離れており、国と東電の明確な責任のもと、避難指示区域外からの避難者の生活確保、原発事故時に人が住んでいたエリア全域の除染、事故の影響に対する完全な賠償などが求められています。

 改正案は、道路の新設等の国による代行、立地企業に対する課税の特例ほか、福島・国際研究産業都市構想を法的に位置づけるなどを主要な内容としているにすぎません。県民の総意である福島県内全ての原発の廃炉を国の責任で速やかに進めることを明確にすべきです。

 以上のことから、本法案については反対せざるを得ないことを表明し、討論を終わります。

吉野委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、亀岡偉民君等三名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。金子恵美さん。

金子(恵)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

 一 政府は、帰還困難区域については、たとえ長い年月を要するとしても、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除し、復興・再生に責任を持って取り組むとの決意を表明した以上、その実現に向けては、被災自治体の意向を十分に尊重するとともに、除染を含む特定復興再生拠点区域の整備を国の負担の下で行うことについて、広く国民の理解を得るための、より丁寧な説明を継続して行うこと。

 二 特定復興再生拠点区域の認定に当たっては、拠点区域の柔軟な設定を認めるなど、市町村の実態を踏まえた運用を図った上で、拠点整備の前提となる除染及び廃棄物の処理等を国が責任を持って対応すること。また、拠点整備を迅速に進めるため、計画策定段階から市町村を支援し、国による事業代行制度の活用を十分図るとともに、より多くの事業者が課税の特例等の適用を受けられるよう配慮すること。

 三 避難指示解除は復興の出発点であり、JR常磐線早期全線復旧やインターチェンジ新設を含む常磐自動車道四車線化の早期実現等のインフラ整備、地域医療・介護・福祉等の人材確保、魅力ある教育環境など、帰還する住民に不可欠となる生活環境の整備を加速化するとともに、避難指示解除後に生じる新たな課題にも迅速かつ確実に対応すること。また、被災十二市町村における地域公共交通を確保して児童生徒も含めた住民の円滑な帰還につなげるため、交通事業者の安定的な事業運営が可能となるよう配慮すること。さらに、福島の復興再生の前提である、中間貯蔵施設及び特定廃棄物の埋立処分事業について、国が責任を持って着実に実施すること。

 四 被災十二市町村の事業・生業の再建及び営農再開への支援については、法定化される公益社団法人福島相双復興推進機構を通じて福島県や市町村等と連携しながら一層強化すること。また、被災十二市町村の官民一体となった復興まちづくりを推進するため、帰還環境整備推進法人制度を積極的に活用して、市町村に寄り添った支援を行うこと。

 五 浜通り地域の再生のための「福島イノベーション・コースト構想」の具体化に当たっては、政府全体での一層の連携強化を図るとともに、国・県及び産学官の連携推進、地元企業の参画促進、国内外の専門家の受入れ並びに人材育成などの各種取組等を進めるとともに、国内外の産業界、学術機関等への周知や協力要請、財政上の措置を含め総合的な支援措置を講ずること。

 六 根強く残る福島県産農林水産物の風評被害払拭のため、国が行う流通実態調査について、福島県や地元関係団体等と緊密に連携して取り組み、その結果を踏まえた効果的な措置を講ずるほか、生産から流通、消費に至るまでの総合的な対策を確実に実施すること。また、東日本大震災から六年が経過し、未曾有の複合災害に見舞われた福島の記憶を風化させないための必要な施策を継続的に講ずること。

 七 震災から六年たった今、改めて放射線リスクについての正確で分かりやすい情報発信と理解の促進が重要となっており、これまでの取組を総点検しつつ、風評被害の払拭やいじめ防止などにも資するリスクコミュニケーション対策を抜本強化すること。

 八 福島の子どもへのいじめの実態を調査し、その調査結果に基づいて、いじめ防止のための必要な対策を速やかに講ずるとともに、全国的な放射線教育を適切に実施すること等により、子どものみならず原発事故避難者全てに対する偏見や差別の払拭を徹底すること。

 九 福島復興再生基本方針を変更するに当たっては、地元の意見を丁寧に聴き、これに寄り添った対応をとること。

 十 原子力災害が長期に及ぶことを踏まえ、今後生じる様々な課題の解決に必要な施策を講ずるため、長期かつ十分な予算を確保すること。また、今なお約八万人が避難している福島の状況を踏まえ、被災三県の心のケアセンター間の連携強化等を図るとともに、専門的な心のケアの充実強化に努めること。

 十一 被災自治体ではマンパワー不足が常態化している中で、避難指示解除後の本格復興の推進に当たり業務量が更に増えることから、被災自治体の人的資源確保への支援措置を強化すること。

 十二 住民の長期避難によりイノシシなどの野生鳥獣被害が更に深刻化していることから、現状に即した鳥獣被害対策をより一層確実に実施すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

吉野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉野委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。復興大臣今村雅弘君。

今村国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を十分に踏まえつつ、福島の復興及び再生を一層加速してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

吉野委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

吉野委員長 次回は、来る十三日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十四分散会


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