衆議院

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第4号 平成30年4月3日(火曜日)

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平成三十年四月三日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 亀岡 偉民君 理事 菅家 一郎君

   理事 高橋ひなこ君 理事 根本  匠君

   理事 藤原  崇君 理事 山崎  誠君

   理事 小熊 慎司君 理事 高木 陽介君

      秋葉 賢也君    安藤 高夫君

      伊藤信太郎君    池田 佳隆君

      泉田 裕彦君    上杉謙太郎君

      小田原 潔君    大西 宏幸君

      金子 俊平君    神田  裕君

      木村 次郎君    木村 弥生君

      国光あやの君    小泉進次郎君

      小寺 裕雄君    古賀  篤君

      高村 正大君    橘 慶一郎君

      津島  淳君    冨樫 博之君

      中曽根康隆君    中村 裕之君

      長坂 康正君    西田 昭二君

      穂坂  泰君    細田 健一君

      堀内 詔子君    本田 太郎君

      三浦  靖君    三谷 英弘君

      宮澤 博行君    阿久津幸彦君

      岡本あき子君    日吉 雄太君

      矢上 雅義君    近藤 和也君

      階   猛君    細野 豪志君

      森田 俊和君    浮島 智子君

      中野 洋昌君    岡田 克也君

      金子 恵美君    高橋千鶴子君

      森  夏枝君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       吉野 正芳君

   復興副大臣        土井  亨君

   復興副大臣        浜田 昌良君

   文部科学副大臣      水落 敏栄君

   農林水産副大臣      礒崎 陽輔君

   経済産業副大臣      武藤 容治君

   復興大臣政務官      長坂 康正君

   外務大臣政務官      岡本 三成君

   経済産業大臣政務官    平木 大作君

   国土交通大臣政務官    簗  和生君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 米澤  健君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     加藤 久喜君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     黒田 憲司君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     小糸 正樹君

   政府参考人

   (消防庁次長)      緒方 俊則君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 筒井 健夫君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          小出 邦夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 飯田 圭哉君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           神山  修君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       鈴木 良典君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小野  稔君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    森   健君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  星野 岳穂君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            高科  淳君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            高島 竜祐君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           北村 知久君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           榊  真一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           山口 敏彦君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局公共交通政策部長)     松本 年弘君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            米村  猛君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         縄田  正君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長)           文挾 誠一君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     井東 辰晃君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     高村 正大君

  木村 次郎君     金子 俊平君

  小泉進次郎君     木村 弥生君

  津島  淳君     中村 裕之君

  本田 太郎君     西田 昭二君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 俊平君     木村 次郎君

  木村 弥生君     小泉進次郎君

  高村 正大君     伊藤信太郎君

  中村 裕之君     細田 健一君

  西田 昭二君     三浦  靖君

同日

 辞任         補欠選任

  細田 健一君     池田 佳隆君

  三浦  靖君     泉田 裕彦君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     津島  淳君

  泉田 裕彦君     大西 宏幸君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     本田 太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長文挾誠一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官米澤健君、復興庁統括官加藤久喜君、復興庁統括官黒田憲司君、復興庁統括官小糸正樹君、消防庁次長緒方俊則君、法務省大臣官房審議官筒井健夫君、法務省大臣官房司法法制部長小出邦夫君、外務省大臣官房審議官飯田圭哉君、文部科学省大臣官房審議官神山修君、厚生労働省大臣官房審議官吉永和生君、厚生労働省大臣官房審議官八神敦雄君、農林水産省大臣官房生産振興審議官鈴木良典君、農林水産省大臣官房審議官小野稔君、水産庁漁政部長森健君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官星野岳穂君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長高科淳君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、中小企業庁経営支援部長高島竜祐君、国土交通省大臣官房審議官北村知久君、国土交通省大臣官房審議官榊真一君、国土交通省大臣官房審議官山口敏彦君、国土交通省総合政策局公共交通政策部長松本年弘君、観光庁観光地域振興部長米村猛君及び環境省環境再生・資源循環局長縄田正君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。菅家一郎君。

菅家委員 おはようございます。自由民主党の菅家一郎でございます。

 質問の機会を与えていただき、厚く御礼を申し上げます。よろしくお願いいたします。

 まず、三月十二日なんですけれども、タイ・バンコクの日本料理店で開催を予定しておりました、福島県相馬沖で水揚げされたヒラメなどを提供するうまいものフェア、これが実は中止になったわけであります。タイの消費者団体から、福島の魚を食べると危険だなどと訴え、東京電力第一原発事故に伴う放射性物質のいわゆる汚染ですか、これを懸念する声が上がったためだそうです。

 ヒラメは、先月、福島県産鮮魚としては、原発事故後、ようやく、初めて海外輸出されたそうです。福島県漁連が放射性物質の検査を行い、全て検出下限値未満ということでありまして、ですから、まさに深刻な風評被害であると思います。

 その原因は、安全、安心である正しい情報が伝わっていないことが課題である、このように私は考えるものであります。

 昨年七月、自民党東日本大震災復興加速化本部の風評払拭・リスコミ強化ワーキンググループの根本座長から、風評払拭に向けて、情報発信の対象ごとに伝えるべき内容や適切な発信手段を明確化することなどについて復興大臣に申入れをしてございまして、それを受け、政府・与党が一体となって検討を進め、昨年十二月に、復興庁が中心となって、風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略を策定されたわけであります。

 それを踏まえて関係各府省庁では情報発信をして風評被害に国として取り組むことになったことは、大変心強く、期待をしているところであります。本戦略を踏まえ、政府の総力を挙げて強力に実行に移していく必要がある、私はこのように思います。

 「知ってもらう」に記載の放射線に関する知識等について、国民に正しい知識を発信していくことが極めて重要と考えますが、大臣のお考えと御決意をお示しいただきたいと思います。

吉野国務大臣 タイへのヒラメの輸出の件、実は、三月十日に相馬の原釜漁港を総理とともども視察をして、そこで、タイへの輸出を企画した社長さん、まだ三十代の若さなんですけれども、本当によくやったというお褒めの言葉を総理からいただいたところなんです。そして、三月の十二日に中止になったということで、本当に残念に思います。

 根本原因は、放射線に対する正しい理解をしていなかったということで、加速化本部の根本座長から、昨年十二月に、十二月でございません、その前にいただきました、リスクコミュニケーションの強化戦略を練るということでいただきました。そして、復興庁を中心に、昨年の十二月に風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略を策定いたしました。

 復興庁として、本戦略に基づいて、放射線に関する正しい知識等について、メディアミックス、テレビとかインターネット等を利用した、によって情報発信を一層強化してまいりたいと思っております。パンフレットも、「放射線のホント」というパンフレットもつくりました。

 この中身をいかに国民一人一人に伝えていくか、これが勝負でございますので、一生懸命取り組んでまいる所存でございます。

菅家委員 復興庁で作成している「風評被害の払拭に向けて」という冊子があるんですけれども、私は、よくまとまっているなというふうに実は思っております。

 その中で何点か、私は、資料一なんですが、この四ページですか、この資料は非常にわかりやすいなといつも思っております。

 なぜかというと、福島県は毎日空間線量をモニタリングして公表しているんですが、福島県だけの、例えば福島は〇・一七マイクロシーベルト・パー・アワー、これは二〇一七年の三月一日時点でありますが、〇・一七マイクロシーベルト・パー・アワー、これだけ見れば、国民は、数字が上がっているんじゃないかと思うわけです。やはりこのように世界との比較をすることによって、東京などは〇・〇五、パリと同じであったりするわけです。あるいは、いわき、〇・〇七であれば、北京と同じだ。郡山だって、〇・一〇であれば、まさにソウルよりも低いということになるわけですね。

 こういう比較をすることによって、ああ、福島県だって海外主要都市とほぼ同水準じゃないか、こういった情報を、やはり情報を流すにしても、せっかくこういった資料があるので、こういったものを特化してしっかりと、この情報をどのように提供するかというのが重要かと思っているんです。

 資料の二なんですが、資料の二は、いわゆるこれは放射性安全基準です。これはベクレルですから、食品における安全基準。日本とEU、アメリカ、コーデックスということで、コーデックスというのは、ここに資料がありますように、国際的な政府関係機関です。百八十七カ国が加盟している。

 日本は、ここにありますように、飲料水は十ベクレルですね。ほかは基準がありません。EUは千ベクレルですから、飲料水は百分の一。一番下の一般食品、これも、EUは千二百五十、アメリカは千二百、コーデックスは千ですから、日本は十分の一。

 これはベクレル・パー・キログラムですから、例えば、イワナにしますか、イワナの一キロをミンチにして、いわゆる精度の高いゲルマニウムの半導体検査器なんてありますから、そういったものを使って検査して、これが百ベクレル以下のものでなければ、これは表に出ない、マーケットに出ない。国の安全基準は百ベクレルだ。ですから、若干超えたとしても、世界基準とすれば安全なんですけれども、日本の安全基準が百であれば、超えるとやはり不安になりますね。ああ、これは非常に不安だということになります。

 全てが百ベクレルよりも、ほとんど検知されていないにもかかわらずに、残念ながら、こういった情報がなかなか末端まで伝わっていないのではないか。日本の国民も同じですね。

 パー・キログラム、一キロ。だから、科学的に言えば、若干基準値を超えても、たとえイワナ一匹食べても、果たして健康被害があるかどうか考えれば、私は、ほとんどないのではないかと。それだけ世界で一番厳しい基準値を採用しているということが、こういった比較、世界的な比較によって、払拭につながるのではないか。だから、この二点の資料は、この資料においてやはり特化して、この二つはわかりやすい資料なので、これらを生かしていくべきではないか、このように思うんです。

 やはり国民においてこのような情報が伝わっていない、あるいは海外においてもこのような情報が伝わっていないので、それが原因だとすれば、この点についてどのように取り組んでいかれるか、お考えをお示しいただきたいと思います。

浜田副大臣 菅家委員より、タイでの福島県産ヒラメを使ったイベントが中止されましたことを御紹介いただきました。私も、残念だと思っております。

 ただし、これを受けまして、私自身、三月十九日、バンサーン駐日タイ大使と会談させていただきまして、風評の払拭に向けて、日本とタイで協力して取り組むことを確認させていただきました。

 また、御指摘いただきました風評被害の払拭に向けてのパンフレットにつきましては、日本語版のほか、英語、中国語、韓国語版を作成いたしまして、在京大使館、在外公館、国際会議の場で活用させていただいています。

 また、昨年度、平成二十九年度には、風評払拭のための広報動画を多言語で作成いたしまして、この動画には、今、菅家委員が御提示いただきました二つのパネルのデータ、これについても示させていただいて、具体的に言いますと、福島県内の空間線量率が海外主要都市とほぼ同水準であることや、食品中の放射性物質の基準が世界でも最も厳しい水準にあることを既に盛り込んでおります。本年度は更に、特に中国、韓国、台湾、香港の人々に、これらの福島県内の空間線量率や食品中の放射性物質などの基準がしっかりと伝わるように取り組みたいと思っております。

 今後、県や関係省庁と協力して、取組を一層協力していく所存でございます。

菅家委員 なかなかこういう情報を伝えるということは大変なことでして、関係者の方は理解しているんですけれども、今回のタイの問題も、やはりタイ政府とか関係機関の方々は理解はされる、しかし、残念ながら、こういった安全基準でクリアしているということが、消費者団体、いわゆる一般、国民と言ったらいいでしょうか、タイにおける消費者まで伝わっていない。これは、我が国においても同じようなことが言えるのではないかと思っているんです。

 風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略の中に、政府全体の戦略のもとに、各府省庁が連携して統一的に取組を実施するんだというのが書き込まれている。私は、これはいいことだと思うんですよ。つまり、復興庁だけがやるのではなくて、各省庁、政府全体が同じような共通認識を持って、今のような情報も、やはり各省庁がこういった情報を共有化して、いろいろな資料の中に盛り込んで、浸透していくということも私は大事だと思うんです。

 特に、やはり今回の農林水産業の風評払拭というのは大きな課題だと思うんですね。復興庁ではこのような考え方でいこうじゃないかと思っている。ですから、農林水産省としてこの点についてどのようにお考えなのか、お示しをいただきたいと思います。

礒崎副大臣 お答え申し上げます。

 先ほどからお話のある、まずはタイの話でありますけれども、タイは、二〇一五年、三年前には、日本産農林水産物の放射性輸出に係る輸入規制については一部の野生動物を除いてほぼ全て解除したということで、割と早い対応をしてくれた国であったわけであります。

 しかるに、今回のイベントにつきましては、タイの消費団体が取扱い店舗名の公表を求めるとか、そうしたことがまたSNS、ソーシャル・ネットワーキング・サービスを通じまして拡散してしまったということで、イベントが中止になったものでございます。私としても、福島産水産物の輸出再開第一号ということで、物すごく、大変期待をしていただけに、本当に残念でなりません。

 こうしたことがないように、今後も、タイを含む諸外国については、日本大使館、ジェトロと協力いたしまして、日本産農林水産物、食品の安全性に関する正確な情報の提供、海外展示会、イベント等で、福島県産を含めた日本産農林水産物、食品の安全のPRに丁寧に対応していきたいと思います。

 また、輸入規制を講じている国につきましては、あらゆる機会を通じまして、科学的根拠に基づいて、早急な輸入規制の撤廃を強く働きかけていきたいと思っております。

 なお、国内の対策につきましては、先般、福島県産農産物の風評被害の実態調査を行ったところでございます。

 その中で、消費者からは福島県産であるという理由のクレームはほとんどなくなったというふうに聞いておりますが、一方、小売業者が、米や牛肉等について、既にほかの県産物に差しかえというか入れかえをしていますので、それをもとに戻すきっかけがなかなかつかみづらいというようなことを、率直な意見も聞いております。

 こうした実態が明らかになっておりますので、今後、そうしたことを踏まえ、風評被害の払拭に向けて関係団体への指導助言を強めてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。

菅家委員 福島県産の農林水産物の全国平均価格との乖離というようなものも示されているものですから、やはり風評的な要素があるのではないかと私は思っていますので、農林水産省としても、やはり復興庁でつくられたこういった資料を、ベクレルにおいても世界的には全く問題ない、安全基準だというような情報的なものを共有されて、ひとつ取り組んでいただきたいと思います。

 もう一つは、観光ですね。観光業の不振というのも挙げられているんです。教育旅行宿泊数が震災前と比べて六一・三%なんだということなんですね。

 これもやはり、先ほどお示しした資料の一の空間線量率の現状、世界との比較、あるいは国内においてどうなのか、こういった比較によって安心、安全につながってくると思いますので、いわゆる観光業の払拭、これに対しても、観光庁として、国交省として、今後、インバウンドの呼び込みの取組とか教育旅行を含む国内観光振興に向けてどのように支援をされていかれるのか、お示しをいただきたいと思います。

簗大臣政務官 お答えをいたします。

 菅家先生が御地元で大変に御尽力をされているこの風評被害の払拭、それから観光の振興についてでございますが、まず、先ほど来お示しをいただきました、そしてまたお話もありましたように、空間線量等についての情報発信についてでございますが、日本政府観光局のホームページにおいて、多言語により情報発信を行っておるところでございます。

 また、福島県に外国人観光客を呼び込むために、海外著名人を活用した知名度向上、メディアや旅行会社の招請等による魅力の発信に取り組んだ結果としまして、平成二十九年の福島県の外国人延べ宿泊者数は震災前の水準を初めて上回ったというところでございます。

 加えて、福島県における風評被害対策に係る観光関連事業といたしまして、花、温泉、そして日本酒等、テーマ別に観光素材を活用した広域的な周遊を促進するとともに、福島空港の利用を促進するためのプロモーションを行っておるところでございます。

 また、被災地をフィールドに、最先端の研究施設の見学や、地元の方々との意見交換等を通じて学生が対話型で学ぶ教育旅行モニターツアーやその展開などの取組に対する支援を行っておるところでございます。

 国土交通省観光庁といたしましても、復興庁や福島県としっかりと連携をして、風評の払拭、そのための情報発信の強化、観光の振興にしっかりと取り組んでまいる所存でございます。

菅家委員 今回の問題は、タイというところ、外国といいますかの事例なわけですから、海外において、こういった情報をどのように発信して、グローバルな視点で理解をしていただくかというのも大きな課題だなと思うんですね。

 そこでなんですけれども、例えば、各国に大使館がありますよね。我が国の大使館がある、あるいは関係機関があるわけで、大使館などもやはりこういった認識といいますか、こういった風評被害が我が国にあるんだという認識と、それから、その国における消費者団体、これは、輸出輸入が解禁になって受入れする国だとしても、その国の消費者までに伝わっていないと、消費者団体からのそういった問題がありますから、やはりそういった意味で大使館の役割は私は大きいのではないかと思うんですね。

 そういう認識を持って、今の資料一、資料二のような、これは国の、復興庁の公的な資料でありますから、こういったものをやはり共有して、その国における消費者、国民の方に、日本のそういった食にしても観光にしても安全なんだということを連携して取り組む必要があるのではないか、このように思うんですが、どうなんでしょう。現状と今後のあり方について、お考えをお示しいただきたいと思います。

岡本大臣政務官 お答え申し上げます。

 菅家先生におかれましては、被災地の食品等の風評払拭につきまして外務省に御指導を常日ごろいただきまして、ありがとうございます。

 原発事故を受けました海外での風評被害につきましては、政府の最重要課題の一つと認識をしておりまして、外務省といたしましても、昨年十二月に策定をいたしました風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略に基づきまして、本省のみならず在外公館におきましても全力で風評被害の払拭に努めております。

 情報発信に関しましては、関係省庁並びに自治体等とも連携をいたしまして、最新のパンフレット、DVD等を在外公館へ配付をいたしまして、政府関係者への働きかけはもちろん、SNS等での発信にも活用いたしまして、一般消費者を対象とした国外における情報発信を積極的に行っております。

 また、国内外での日本産品の食料品の安全性や魅力発信のPRイベントの開催、また、在外公館での各種レセプションや外交行事等の機会を捉えた被災地の産品の積極的な活用等に取り組んでおります。

 実際に私も、三月二十一日、バンコクを訪問いたしました際に、バンコクでのイベントが最後に中止になったことに関しまして、先方の副大臣に対しまして、遺憾の意を表明し、政府の支援も要請をいたしました。

 また、三月二十五日に河野外務大臣が香港を訪問した折には、会津若松市長とともに、会津若松の産品につきましても現場でともにアピールをさせていただいております。

 また、先ほど先生御指摘をいただきました、世界水準のファクトと比べまして基準値が非常に高い厳しいレベルだということも、外務省の海外での資料の中に入れ込みましてアピールをさせていただいております。

 さらに、国連機関を始めとする各国の国際機関も活用いたしまして、キーパーソンとの強化を図りまして、中立的な立場からのアピールにも努めておるところでございます。

 先生御指摘いただいたとおり、いまだ世界的に風評被害が残存していることは重大な問題でありますので、今後とも、在外公館を含めまして外務省の持つリソースを最大限活用いたしまして、できることは最大限取り組みたいと考えておりますので、今後とも御指導よろしくお願い申し上げます。

菅家委員 やはり各府省庁が連携して、ぜひこういった取組を加速していただけるようお願いを申し上げたいと思います。

 もう一つは、どうやってこの情報を伝えていくかということを踏まえますと、メディアミックスというのが計画にあるわけですね、メディアミックス。

 これは大変、私は大いに期待しています。やはり、テレビとか新聞とか、どのようなもので取り組まれるのかなんですけれども、いずれにしても、限られたスペース、限られた時間の中で情報を発信して、国民の方により安全、安心だという情報を理解してもらうことも重要だと思うのでありますから、今私が申し上げた資料一とか資料二を基本として、これを伝えていくだけでも違うと思います。

 この辺のメディアミックスの、具体的にどのように対応されるのか、お示しをいただきたいと思います。

浜田副大臣 菅家委員がおっしゃるとおり、メディアミックスはとても重要と思っております。

 そこで、昨年十月に策定いたしました風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略におきましては、しっかりその旨を明記させていただきまして、具体的には、まず、先月中にモデルのパンフレットを復興庁でつくらせていただきましたが、これを核にしながらも、本年度より、放射線に関する正しい知識等について、テレビ、インターネット、新聞等あらゆる媒体を活用するメディアミックスによりまして、受信者目線に立った効果的な情報発信をしていきたいと考えております。

 引き続き、専門家の皆様の意見を伺いながら、風評払拭や偏見、差別の解消が進むよう、復興庁が中心となり、関係府省庁と連携して取り組んでいく決意でございます。

菅家委員 各省庁が連携して統一的に取組を実施する、でも、やはり司令塔になるのは復興庁だと思うんですね。

 大臣を中心に各省庁が連携を図って、外務省もそうですね、ほかの省庁とも連携を図って風評被害の払拭に向けて取り組んでいただきたいし、今課題の農林水産物の受入れ、観光誘客、どうか、これが払拭されて、いい成果が上がるように取り組んでいただきたいと思いますが、大臣のお考えと御決意をお示しいただきたいと思います。

吉野国務大臣 菅家委員の御指摘のとおりでございます。

 農林水産業や観光業において今なお続く風評の払拭は、福島の復興再生の大前提となるわけであります。

 御指摘を解決するため、復興大臣が主宰をして、原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォース、これは根本大臣の時代につくったわけであります。各省庁の局長クラスをメンバーとして、各省庁一丸となって、復興庁が司令塔となって取り組んでいるものでございます。こういうタスクフォースを活用し、各省庁と連携して取り組んでまいる所存です。

 以上です。

菅家委員 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 終わります。

谷委員長 次に、高橋ひなこ君。

高橋(ひ)委員 自由民主党の高橋ひなこです。

 東北のさらなる復興に向けて質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 初めに、二〇二〇年度開催予定の東京オリンピック・パラリンピックについて伺います。

 このオリンピックは復興オリンピックと位置づけられ、既に一部の競技が被災地で行われることになっています。東北の復興の姿を世界に向けてアピールする絶好のチャンスです。

 復興庁として、東北の復興に向けてこのオリンピック、パラリンピックをどのように進めていくのか、現在計画中のことも含めてお聞かせいただきたいと思います。

土井副大臣 ただいま復興五輪の方向性について御質問をいただきました。

 私どもも、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、復興五輪として、世界から寄せられました多大な支援に感謝をあらわすことができる最大限のものだというふうに認識をいたしておりますし、被災地が復興をなし遂げつつある姿をぜひ発信をしていきたい、そういう思いで取り組まさせていただいております。

 ただいまお話しいただきましたように、その中でも、野球・ソフトボールは福島県営あづま球場、サッカーは宮城スタジアムなど、被災地での競技開催が決まっているということは、大変意義深いことだというふうに思っております。

 その上で、昨年十一月には、復興五輪を推進するため、復興庁に復興五輪推進チームを創設させていただいて、体制の強化をいたしているところでもございます。

 また、昨年十二月には、IOC調整委員会の公式夕食会を大会組織委員会、東京都とともに主催をさせていただいておりまして、その折には、三県、被災地の三県の知事さんにもおいでをいただきながら、被災三県のすぐれた農林水産物などをアピールさせていただいているところでもございます。

 今後とも、被災地の皆さん方の御意見をよくお伺いをしながら、私どもも、大会組織委員会、東京都、内閣官房オリパラ事務局等関係各所と連携を密にしながら、復興五輪の取組を推進させていただきたいというふうに思っております。

 また一方で、岩手では来年、ラグビーのワールドカップも釜石で開催されることが決定をいたしております。これも含めてしっかりと盛り上げていきたい、そういう強い思いで、できれば連携をさせていただきながら取組をさせていただきたいということで、今取り組んでおります。

高橋(ひ)委員 ありがとうございます。

 チームを復興庁の中につくってくださったということで、ぜひ、オリンピック大臣も、被災地、鈴木大臣でございます。吉野大臣、そして皆様と連携をしていただきながら、復興五輪として、お力添えを、さらなるお力添えをいただきますよう心からお願いを申し上げます。

 安倍総理は、東京オリンピック・パラリンピックの際には、福島県産のクリーンな水素を使って、今お話をした復興五輪を世界に向けて発信するというふうに明言をしております。

 原発事故で大きな被害を受けた福島では、今、土井副大臣からお話がありました県営あづま球場が野球・ソフトボールの会場となっていますが、こうしたスポーツ拠点への再生可能エネルギー導入を促進して、東京オリンピック・パラリンピックの際に未来のエネルギーの姿をいまだに風評被害で苦しんでいる福島から発信するということはその払拭につながると、地元では大いに期待をしております。

 経済産業省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

高科政府参考人 お答え申し上げます。

 再生可能エネルギーの開発、普及促進を通じて東北の経済復興へとつなげていくことは、政府としても非常に重要と認識してございます。

 例えば、政府といたしましては、福島県や関連事業者とともに平成二十八年九月に福島新エネ社会構想を取りまとめ、現在、その着実な実施に努めているところでございます。

 具体的には、再生可能エネルギーの導入を拡大するとともに、再生可能エネルギーから水素をつくり、ため、運び、使うための実証や、県内各地でのスマートコミュニティー構築など、国、福島県、関連事業者一体となって進めているところであります。

 具体的に言及いただきました福島県営あづま球場につきましては、個別の事案といたしまして、まずは福島県の御意向を踏まえる必要がありますが、一般論として申し上げれば、再生可能エネルギーの普及促進によって東北の復興を支え、またその復興の姿をさまざまな場を通じて世界に発信していくことは、東北の風評の払拭という観点からも重要であると認識しております。

 福島新エネ社会構想の中でも、外務省と協力しながら、福島の復興の姿を世界に示していくこととしております。

 今後とも、東北の復興をエネルギーの分野からもしっかりと後押ししてまいりたいと考えてございます。

高橋(ひ)委員 ありがとうございます。

 この機会だからできること、そして、ぜひやっていただきたいという要望が地元から上がってきていると思います。ぜひ政府としてお力添えをいただきますよう心からお願い申し上げます。

 次に、平成三十二年度末、西暦では二〇二〇年度末、復興期間終了後の対応について伺いたいと思います。

 現在、高台移転の土地の引渡しは、政府が全力で、三十三年三月までに間に合うように努力をしていただいていますが、全ての家が再建するというところまではとても間に合いません。被災地の首長さんや住民の皆さんが大変心配しております。

 現在は特区で優遇されているものが、復興庁がなくなった後、どうなるのか。各地域、各自治体において、高台移転だけではなく、復興期間後も、既に必要とされる制度や措置について被災自治体と政府で共有をして復興を進めていく、そういうことが必要な時期に来たのではないかと考えております。

 今までの、安倍総理を先頭に政府と与党の復興への思いを知る者の一人として、三十二年度以降についても、必要な対策は講じていただけるものと確信をしております。ですが、復興期間後の三十二年度以降について、政府として現在どのように復興に取り組んでいかれるのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

土井副大臣 今、先生御指摘をいただきました復興後のあり方につきまして、被災自治体の皆さん方が大変御心配をされているということ、また御要望もいただいているところでございます。

 しかし、まずは、二〇二〇年度までにしっかりと、地震、津波被災地域の復興をやり遂げていくという強い意思を持って全力で取り組まさせていただいておりますし、そうでなければならないというふうに思っております。

 その上で、住まいの再建につきましても、復興庁職員が直接市町村を訪れて課題の把握、相談、助言などを行っているところでもあり、一日でも早く住まいが完成するよう引き続き加速を図ってまいりたいというふうに思っております。

 なお、住宅再建や産業再建を含む復興・創生期間以降の復興の進め方につきましては、復興施策の進捗状況等を踏まえながら、しっかりと被災地の皆様方の御要望も受けとめながら、検討してまいりたいと考えております。

高橋(ひ)委員 ありがとうございます。

 御検討してくださるということで、安堵いたしますが、実は、三十三年の三月に区画整理事業の引渡しのところがたくさんあるんですね。そうすると、十年間待ちました、そこから家を建てます、商店を再開します。これまでの方々にはしっかりとした支援がある。十年間待った方々には、復興庁がなくなっている可能性もある、若しくは、継続したとしてもこれまでどおりの支援がない。待った方々が本当に不安だと思うのは当然のことだと思います。

 先ほど土井副大臣から、いろいろな要望が上がっているというふうにお話をいただき、また、被災地の首長さんたちは、吉野大臣を非常に信頼しておりまして、心温まるお話をいただいているということをお聞きしております。

 ですので、ぜひこれを機会に、それぞれの市町村が、こういう問題が三十三年の三月以降出てくる、そういう事態を共有していただいて、そして、それに対してこういうことが必要になるかもということを検討する時期に入っていると思うんですね。

 今、副大臣から検討してまいりたいというお話をいただきましたので、ぜひしっかりとお進めいただきますよう心からお願いを申し上げたいと思います。

 続いて、民生委員のことについて、ちょっとお話を申し上げたいと思います。

 全国一斉の改選、平成二十八年の十二月一日に行われました。全国の欠員率は三・七%。

 実は、民生委員は、災害対策基本法に基づき、避難行動要支援者名簿を災害発災時に活用をして避難に対する協力を求められており、東日本大震災では、その使命感から、犠牲者数は五十六名に上ったと伺っております。

 被災地での欠員率は三・六%ということで、本当に頑張っていただいておりますが、民生委員の方々が過度の負担感を感じることなく活動を行っていただけるような環境整備が必要ではないかと考えております。厚労省の御見解、お聞かせいただきたいと思います。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 民生委員の皆さんが過度に負担感を感じることなく活動できる環境を整備することは、大変重要であるというふうに考えてございます。

 このため、厚生労働省としては、民生委員の活動費や協議会の運営費に係る地方交付税措置や、民生委員制度創設百周年に合わせた広報活動の強化、民生委員の活動中の事故等に対する補償を行う保険制度の創設及び当該保険への加入に対する支援、都道府県等が行う民生委員向けの研修に対する支援などに取り組んでおります。

 これに加えまして、東日本大震災の被災地におきましては、自治体が社会福祉協議会等に相談員を配置し、仮設住宅に入居している方や災害公営住宅へ転居した方々等に対しまして日常生活上の相談支援や孤立防止のための見守りなどを行う取組を支援しております。これは、民生委員さんの負担の軽減にもつながっているものというふうに考えてございます。

 今後とも、必要に応じまして、関係省庁と連携をしながら、民生委員の皆さんが活動しやすい環境の整備に努めてまいりたいと考えてございます。

高橋(ひ)委員 本当に、民生委員の方々は全国で頑張ってくださっておりますし、被災地でも、新しいコミュニティーづくりをするなど、大変な御努力をしていただいております。

 今、いろいろな支援があるということで、大変ありがたいと思いましたが、一つ課題があるんですね。発災時の民生委員自身とその家族の安全の確保というのも大事だと思うんです。

 民生委員の仕事は非常に多い。ところが、その中で民生委員は、支援者名簿をいただいて、発災時にもしっかりとした、皆さんに逃げてくださいということをお話ししなきゃいけない。実は、これは消防とか警察にも関係することだと思うんですが、この支援者名簿の八割は民生委員に行っていますが、消防には五割しか行っていない。

 ここはやはりしっかりと、消防との連携というのも発災時は大事だと思いますので、ぜひ、民生委員自身とその御家族の安全の確保ということも今後課題にしていただいて、消防との連携などもお進めいただければと思っております。

 続いて、除染関連について伺います。

 現在、除染に伴い発生する除去土壌の仮仮置場から仮置場への移動は、市町村で行っています。しかし、今回の中間貯蔵地への移動は、大手ゼネコンが一括で行うという話が伝わってきております。

 地域の状況に精通した地元業者に発注すべきとの声が環境省へも届いているとは思いますが、ぜひ、安心できる地元の業者、地元へ任せる配慮をすべきと思います。環境省の御見解をお聞かせ願います。

縄田政府参考人 お答えいたします。

 中間貯蔵施設の事業につきましては、その施設整備と除去土壌等の輸送が密接に関連いたしますために、一体的な施行を実施しているところでございます。

 ただ、この中でも除去土壌等の輸送に当たりましては地元の業者を積極的に活用することは、安全かつ確実に輸送を実施すること、福島復興への貢献などから、非常に重要であるというふうに認識しております。

 このため、総合評価落札方式による工事発注に際し、地元業者の活用方策を評価対象にさせていただいております。

 また、このほかにも、地域別の工事発注、あるいは定期的に工事の発注見通しを事前に公表するなど、地元業者の競争参加機会の確保に努めていることとしております。

 御指摘の地元の声を踏まえまして、引き続き、地元業者の活用を促しつつ、安全かつ確実に除去土壌等の輸送を進めてまいります。

高橋(ひ)委員 ぜひ、地元の皆さんが仕事を、働く場所という意味でも必要なことだと思います。

 そして、例えば、今、発注を小まめにして地元の業者がとれるというような努力もされていると伺いましたが、地元の業者がとれないということも出てくるのではないかと思うんですね。そういうときに、被災三県、岩手県、宮城県、これから、復興のために頑張ってきた業者さんの仕事が復興したためになくなってくる、でも福島に行って手伝ってあげよう、そういう方々もいらっしゃると思うんですね。ですから、被災三県の業者、地元でしっかりとサポートをしていただきますよう、そういう形にしていただきますようお願いしたいと思います。

 そして、もう一点。

 除去土壌の仮置場から中間貯蔵地への搬出が進まずに、震災から七年以上が経過しても仮置場として使用されている農地についてはまだ営農再開ができないところが多いと聞いております。

 環境省として行う中間貯蔵施設への輸送の見通しや仮置場の原状回復の取組について伺いたいと思います。それは環境省。

 さらに、原状回復を行った農地においては農水省だと思うんですが、農業者が安心して営農再開するための支援策が必要だと考えます。

 両方の省庁のお考え、お聞かせいただきたいと思います。

縄田政府参考人 お答えいたします。

 中間貯蔵施設への除去土壌等の輸送につきましては、二〇一八年度は百八十万立方メートル程度の輸送を予定しております。二〇一九年度の輸送も含めまして、二〇二〇年度の当初までに、累計で最大六百五十万立方メートル程度を輸送することを目指しております。

 除去土壌等を搬出した仮置場の原状回復につきましては、原状回復の標準的な手順を示したガイドラインを本年三月に策定したところでございます。これにより、二〇二〇年度当初までに、仮置場から最大で六割程度の除去土壌等を搬出し、四割程度の原状回復を目指すということにしております。

 今後、できるだけ速やかに仮置場の解消ができるよう、丁寧かつ迅速に取組を進めてまいります。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省としては、仮置場の原状回復後の農地を含め、福島第一原子力発電所事故により営農の休止を余儀なくされた避難区域などにおける営農再開は、大変重要な課題であると認識をしております。

 このため、農林水産省では、環境省が原状回復を行った農地について、できる限り早く営農が再開できるよう、安全性や品質、収量を確認するための作付実証、水田の機能回復に必要な代かき、カリ質肥料の施用など放射性物質の吸収抑制対策などの一連の取組について、福島県営農再開支援事業により支援をしているところであります。

 今後とも、避難区域などの農業者が安心して営農再開できるよう努めてまいりたいと考えております。

高橋(ひ)委員 この七年間、皆さんの御努力で、確実に復興は進んでおります。さらなる復興、そして吉野大臣がいろいろお力添えいただいております心の復興も含めて、お力添えを心からお願いを申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、藤原崇君。

藤原委員 衆議院議員の藤原崇であります。

 質問の機会をいただきました。私の方からは、主に所有者不明土地の問題について御質問させていただきます。

 東日本大震災からの復興、これはいまだ道半ばであります。その中には、さまざまな要因により当初の予定が変更されている、そのような事業もございます。例えば災害公営住宅などがその一つでございますが、例えば、この災害公営住宅に関しまして、スケジュールが変更された要因、あるいは、所有者不明土地問題、これのスケジュールが変更されたことについての関係性があるのかどうなのか、その点について、まずは前提としてお伺いをしたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 災害公営住宅の当初の整備スケジュールは、具体的な設計や用地を確保する前の段階で作成した工程計画でございます。

 そのスケジュールが変更されました要因といたしましては、津波被害を受けていない土地で災害公営住宅の建設に適した土地を探すことが難しかった、そういった用地確保の課題、大規模な造成工事を行った後で住宅の工事を行った、そういった工事の工程、それから資材や人材の確保が難しかったことなどがございます。

 それから、災害公営住宅につきましては、用地取得が困難な土地については避けて整備をすることが一般的でございますが、仮に所有者不明土地などがあった場合でも、さまざまな用地取得の加速化措置などを講じまして対応を行ってまいったところでございます。

 なお、今後完成いたします災害公営住宅について確認いたしましたところ、所有者不明土地が原因でおくれたとするところはございませんでした。

藤原委員 ありがとうございます。

 当然、被災地で進む各事業につきましても、それぞれ性質が異なりますので、何か一つのことだけが問題ということではないんだろうと思っております。例えば防集であるとか災害公営住宅、今お話ありましたけれども、取得が困難な土地があるのであれば区画を変更する、そのような形で、難しいところを避けた形で設計をするということもできますので、そういう意味では、人手不足の問題であるとか、あるいは、そもそも当初のスケジュールの見通しを立てていない段階のあらあらの計画だった、やはりそういうところも一つ大きな課題になっていたのかなと思っております。

 逆に、道路であるとかあるいは防潮堤、このような事業については、基本的に区画を変更するということはなかなか難しいわけでして、例えば堤防も、一カ所だけ穴があいていればそれは全く意味がないということになりまして、この所有者不明土地、一番大きな課題になるのはこういう大型のインフラ事業なんだろうと思っております。

 この問題について、所有者不明土地に正面から取り組む必要があったと思うんですが、この点に関しては、根本大臣のときに、党本部の提言を受けて、さまざまな加速化についての措置を講じていたというふうに理解をしておりますが、その経緯と内容について、大臣の方から国民の皆様に説明をいただければと思っております。

吉野国務大臣 住宅再建・復興まちづくりについては、平成二十五年二月に、根本大臣を司令塔にタスクフォースを設置いたしました。その後、約一年間に、復興加速化、用地取得の抜本改革として、与党の提言を踏まえつつ、百近い加速化措置が講じられたところでございます。

 用地取得の加速化措置としては、財産管理制度や土地収用制度を被災地に特化する形で抜本改革し、実施体制を構築いたしました。

 工事施工の加速化措置としては、UR、国等の専門職員の投入、人材、資材不足や入札不調への対応、埋蔵文化財調査の加速化等を実施したところであります。

 この結果、防災集団移転促進事業の用地取得率は、平成二十五年十月の四九%から、翌年十月には八九%へと、約一年間で急激に上昇しました。

 また、土地収用制度の不明裁決や緊急使用を活用し、釜石市の片岸海岸や宮古市の金浜海岸の防潮堤事業等を大幅に加速したところでございます。

 以上です。

藤原委員 ありがとうございます。

 やはり、所有者不明土地あるいは工事のおくれといっても、一つの要因ではなくて、小さなことが積み重なって、その結果どんどんどんどんおくれていく。そういう意味では、今大臣にお話しいただきましたけれども、相続財産管理人制度あるいは収用制度の少しずつのスリムアップ、あるいは、もっと実務的な人手不足への対応など、細かいところで一つ一つ積み重ねていくこと、それがちょっとずつきいてきて加速化をしているんだろうと思っております。

 今、大臣からモデル事業として片岸海岸の防潮堤事業のお話がございました。この事業で、加速化措置、不明裁決等の活用でどれくらい期間の短縮ができたのか、また、所有者不明土地は実際どれくらいあって、どういうふうにやったのかというところを、これはモデル事業でやったというところですので、ペーパーでは何度か御説明をいただいているんですが、やはりそこはしっかり委員会でも数字でお示しをいただければと思っております。

黒田政府参考人 お答えをいたします。

 片岸海岸の防潮堤事業でございますが、相続人が六百名以上と見込まれる記名共有地など、所有者不明土地が複数存在しておりました。このため、当該記名共有地の取得に際しましては、土地収用制度を活用することといたしました。国の支援チームでございます用地加速化支援隊を派遣するなどの取組を行いました結果、事業認定までの期間を約一年短縮し、迅速な収用裁決に至ったところでございます。

 その他の所有者不明土地につきましても、財産管理制度を活用して用地取得を迅速化いたしました。

 これらの取組によりまして、測量、設計から用地買収までの全体の期間を、当初の見込みより約三年間短縮することができたところでございます。

藤原委員 ありがとうございます。

 一つの土地で共有者が六百名以上というのは、登記簿を見ただけで、普通、こういう大型インフラでなければちょっと嫌になる、ちょっとやめようかなというふうに売買なんかであれば思うくらい、六百名というのはインパクトがある数字だと思うんですが、そういうところについては収用裁決、非常に多くの人物のところについては土地収用を使い、あるいは少数の不明者の場合には相続財産管理人制度を使う、そういうような型分けで三年間の短縮ということだろうと思っております。

 この所有者不明土地の問題というのは、今の法律の仕組みで対応策というのは基本的にあるのかなと思っています。そもそもの所有者が誰か、相続人が誰かわからないときには権利不明裁決、あるいは、相続人の住所、名前がわかっているけれども、いないという場合には、これは相続財産管理人制度か、あるいは場合によっては不明裁決も使えるんだろうと思っております。

 そういう意味では、それぞれの法律で今手続としてあるということでございますので、重要なのは、現在ある制度が必ずしも十分に利用されていないということだろうと思っております。

 例えば、岩手県の場合、土地収用なんというのはほとんどやったことがなかったわけでありますので、そういう中でいきなり権利不明裁決をやれ、あるいは不在の明渡し裁決をやれといってもなかなか難しい。逆に、東京都の場合ですと、一年間で百二十件ぐらい、裁決の申請から明渡しまでやっているという意味で、ノウハウがある。逆に、ノウハウがないところはやはり大変なんだということだろうと思っております。

 そういう意味で、この被災地の加速化もそうですけれども、それ以外に、今後こういう問題に対応するのは、現在ある法制度、これが必ずしも利用されていない、あるいは使いづらい、そういうボトルネックを外していくことが大事だと思っておりますが、その点に関する復興庁の認識をお伺いできればと思っております。

吉野国務大臣 御指摘のとおりであります。

 当初、私も被災地域の被災者の一人でございますので、議員立法で何とかしたいという思いは持っていましたけれども、ここにおられる根本大臣の、現行制度を有効活用することによって所有者不明土地を迅速に取得することは可能であるということが証明をされたわけであります。

 そして、被災地の住宅再建・復興まちづくりでは、用地取得の加速化のため、現行の財産管理制度や土地収用制度の抜本改革がなされております。

 財産管理制度では、財産管理人の候補者の確保、これは前もって、約六百名弱なんですけれども、候補者の確保をしました。裁判所の体制面の強化もしました。家庭裁判所との連携等によって、全体の手続の大幅な短縮を図ったところです。一年以上と懸念されていた物件が、最短三週間にも短縮をされております。

 土地収用制度では、任意買収と収用手続を並行して進めることの徹底、国の職員による実務支援、所有者不明の場合の手続の簡便化等の処置を講じたところです。

 現行制度の運用面や体制面の課題を明らかにし、現場の事案に即して的確な改善策を講じたことが所有者不明土地の迅速な解決につながったと認識をしております。

藤原委員 ありがとうございました。

 私も議員をやらせていただいて思うのは、法律というのは結構いろいろなところである、あるいは、いろいろな方のお力で立派な法律をつくる、制度をつくる、だけれども、うまく使われていないということがやはりあるんですね。それは何が原因かと思うと、属人的な問題であったり、あるいは、制度がうまく現場に伝わっていないという問題であったり、やはりそういうボトルネックを解消していくということが一つ大事なんだろうと思っています。

 今回の国会で所有者不明土地の特別措置法を提出される見込みとなっておりますけれども、例えば、所有者不明、所有者の方がどこにいるかわからないというときに、どこまで捜せばいいのか、これも一つの大きな問題になっていましたけれども、やはりそういうのも、ある程度一義的な基準を原則としてつくってしまうということは、現場にとっては、際限のない探索から解放されるという意味でも非常に大事だと思っています。

 大事なことは、やはり一つ一つ、現場で運用する方がどうすればうまく制度を使えるか、そういうような制度設計をしていくことだと思いますし、この東日本大震災からの復興でも、ぜひとも、吉野大臣を始め復興庁の皆様には引き続きお願いをしたいと思っております。

 そういう中で、私の方からも一つ提案をさせていただきたいなと思っております。

 これは復興庁ではなく法務省ということになるんですが、これから相続財産管理人制度というのは非常にニーズは出てくるんだろうと思っております。

 所有者不明土地の第一義的な対策は、相続財産管理人制度あるいは不在者財産管理人制度ということになりますが、今は、原則として、例えば国が道路をつくるときにそういう土地があった場合には、これは国交省の職員さんが家裁に申請をして財産管理人をつける手続をしているという状況になっております。

 これはもちろん国交省の職員がやってもいいのでありますけれども、ルーチンで、いつもあるのであればそれなりにノウハウが蓄積されるんですけれども、たまにしかやらない場合には、なかなか、一回一回調べながらやって、自信がなかったり、差戻しを食らったりして大変だとなっております。

 そこで、私が申し上げたいのは、直接の国の機関というわけではないんですが、法テラスという団体がございまして、国ではないんですが、基本的には公営のところで、そこで、弁護士を全国で二百人以上、これは実際は国費で抱えているわけでございます。

 それらの弁護士の先生方を、例えば、国の事業で相続財産管理人制度の申請をしなければいけない、あるいは、財産管理人をつけるときも、民間の弁護士を財産管理人として選べば、当然予納金を積んでやらなければいけないというふうになって、費用がやはりかかるわけですね。そういう意味で、この法テラスの弁護士を活用していくことによってやるのが、費用や行政との意思疎通の面からも適切と思っております。

 現在、法律上の制約があり、直ちにそういう利用の仕方はできないと認識しているんですが、そのような法テラスの役割の拡大に関する法務省の見解を伺いたいと思います。

小出政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の日本司法支援センター、通称法テラスと呼んでおりますが、これは、あまねく全国において、法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会の実現を目指すという総合法律支援法の基本理念のもと、経済的な理由等から法的サービスにアクセスすることが困難な方々に法的支援を迅速かつ的確に行うことを目的として設立された法人でございます。

 そのため、法テラス及び法テラスの職員である常勤弁護士が行う業務の範囲は、総合法律支援法におきまして、資力の乏しい国民等を対象とする民事法律扶助業務等に限られているところでございます。

 委員御指摘の、所有者不明土地問題対策として相続財産管理制度等が迅速に運用されるということは、法務省としても非常に重要であると認識しているところではございますが、法テラスの業務の範囲を拡大して、法的サービスへのアクセスに困難があるとは必ずしも言えない国や地方公共団体の相続財産管理人の選任、申立て手続等の法的手続を法テラスの常勤弁護士に取り扱わせることにつきましては、今申し上げました法律の基本理念あるいは法テラスの目的との関係で難しい問題がございまして、慎重な検討が必要であると考えているところでございます。

藤原委員 ありがとうございます。

 総合法律支援法、できた当時、十年前に比べると大きく状況は変わっております。そういう中で、法テラスが二百人以上の弁護士をなぜ抱えているのか、やはりそのこともこれから問われてくる時期が来るんだろうと思います。そういうときに、やはり、復興あるいは所有者不明土地問題という問題についてもしっかりと対応していただける、そういうふうに新たな存在意義を見つけていただければということで、私の質問を終わりたいと思います。

 大変ありがとうございました。

谷委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 今回、大臣の所信に基づいて質疑をさせていただくということで、機会を与えていただいてありがとうございます。

 私も、三年間そちらの方で答弁をする側でございまして、二〇一四年九月に、経産副大臣並びに内閣府の副大臣、そして原子力災害の現地対策本部長を拝命いたしました。昨年の八月まで約三年間務めさせていただいて、二百六十日間福島に入らせていただきました。

 そのときに、復興は着実に進んでいるんですけれども、やはり一人一人の心の復興ということに光を当ててみると、まだまだであるなと。そういった意味では、吉野復興大臣始め関係機関の皆様方が今も努力されているということに敬意を表するとともに、更に加速をしていただきたいということをまず冒頭お願い申し上げたいと思います。

 その上で、冒頭、原子力災害の現地対策本部長に就任したときに、まだ避難指示の解除が田村と川内しか行われなくて、そのときに、十二の市町村、まず首長の皆さん方に御挨拶に行きました。四日間かかりました。

 そのときに、私の先代の本部長を務めた赤羽副大臣とともに、四日間、十二市町村を回って、最後に県庁を訪問いたしました。当時はまだ佐藤雄平さんが知事で、現在の知事である内堀さんが副知事でありまして、内堀さんと名刺交換をしたときに最初に言われたことが、高木さんで原子力災害の現地対策本部長は十二人目ですと言われました。びっくりしました。

 二〇一二年の十二月に政権交代いたしまして、自公政権で安倍内閣が現地対策本部長を赤羽さんにしまして、赤羽さんが二年務めた。その後、私が三年務めて、今は自民党の武藤副大臣が務めていただいております。

 二〇一二年の三月の十一日に、震災、そして原子力のあの事故、原発の事故があって、当時の政権、一年九カ月間で現地対策本部長が十人かわった。一年九カ月で十人かわるということは、申しわけないですけれども、なかなか現場に入らない。そうなりますと、もちろん、自治体である県及び被災地であった十二市町村、それ以外の自治体も含めて、誰と話をすればいいのか、もっと言えば、被災者の皆さん方は誰を頼ればいいのか、こういう状況であったと思います。

 これは批判するわけではなくて、やはり大切なのは、被災者一人一人に寄り添っていくということ、これを肝に銘じながら、これは政府の人たちだけではなくて、私たち復興特の委員一人一人がそれを感じながらやっていかなければいけないな、そのように自分でも決意をしておりますし、副大臣を終わってからも、毎月一回、福島に入るようにさせていただいております。

 そんな中で、震災から七年がたちました。先ほど申し上げたように、復興は着実に進んでいますが、まだまだのところもたくさんございます。そういった中で、何点か確認をしながら、そして今後の方向性を問うていきたいと思います。

 まずは、イノベーション・コースト構想の現状についてでございますが、福島の場合は、あの東京電力福島第一原子力発電所の事故で国が強制的に八万人を避難させた。それによって生活がなくなってしまった。そして今、順次解除をしながら被災者の皆様方が帰還をしている。しかしながら、なりわいがないね、仕事がないね、これはもう生活にとってみれば大変重要な問題でございますので、何とかしなければいけない。

 それまで、あの浜通り地域は、農業と水産業と林業を中心にした町であったと思います。原発を誘致して、それにある意味では依存しながら生きてきた町でもあったと思います。そういった中で、原発があれだけの事故を起こした、廃炉作業が四十年かかると言われている。

 そんな中で、何を糧にしながら、どういう目標を持ちながらやろうかといったときに、私の前の赤羽副大臣がイノベーション・コースト構想というのを打ち出した。私も引き継がせていただいて、そして、さまざまな形で、ロボットや廃炉、特に廃炉に関しては、先ほど申し上げた四十年かかるわけでございますから、この四十年の間に、いまだかつて世界で誰もやったことのない廃炉作業をやる、それにはさまざまな技術革新が必要であろう、ロボットも必要であろう。

 そういうところから、逆にピンチはチャンスだということで、このイノベーション・コースト構想というのが生まれ、そして今現在、進行中でございますが、そのロボットや廃炉等、これは企業が来て初めてなりわいが成り立ってくるという観点からいうと、この企業誘致については今現状どうなっているか、お聞かせ願いたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 福島イノベーション・コースト構想の実現に向けましては、高木委員が経済産業副大臣の在任中にお立ち上げいただきました福島県への企業立地促進プロジェクトを中心にいたしまして、浜通り地域への企業誘致を積極的に進めているところでございます。

 構想の対象であります十五市町村における企業立地等につきましては、企業立地補助金を通じてこれまで三百十四件を支援しておりまして、三千八百人以上の雇用創出効果が見込まれております。

 十五市町村における研究開発につきましては、二十八年度は四十四件、平成二十九年度は、新たに三十二件を含めまして、継続案件も含めて六十七件の支援をしておりまして、中には研究開発から企業立地につながった事例も出てきております。

 また、企業マッチングの取組でございますけれども、官民合同チームと連携いたしまして、進出企業と地元企業との新たなビジネスの創出の機会に向けましてマッチングイベントを開催しております。これまでに、南相馬市、楢葉町、田村市、富岡町におきまして四回ほど開催しておりまして、延べ三百七十名の方が御参加をいただきました。

 地元の市町村の方々からは、さらなる企業の呼び込みということで期待をいただいているところでございますので、このため、昨日、四月の二日でございますが、昨日から体制を更に拡充いたしました福島イノベーション・コースト構想推進機構を中核にいたしまして、今後とも、企業誘致、マッチングにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

高木(陽)委員 今御答弁ありましたように、三百十四件誘致されてきて、三千人の雇用が生まれてきた。これが多いか少ないかというのは、また捉え方によって違うと思います。ただ、今までゼロだったものがそうやって前進をしているという事実、これは大切なことだと思うんですね。

 これを更に加速してもらいたいし、今、マッチングの話が出ました。大切なことは、外から企業を呼んできて雇用を生むということも大切なんですが、やはり、もとから中小のさまざまな企業がある、それとのマッチング、これがうまくかみ合って、帰還をして事業再開をしても、よし、これなら生きていけるな、こういう希望をつくっていくことが大切だと思うんですね。

 そういった意味では、さまざまな補助金を駆使しながらやっていただいているということに感謝申し上げるとともに、更にこれを加速していただきたいということを御要望申し上げたいと思います。

 その上で、今、ロボット、廃炉だとか、そういう技術革新の話をしました。これは産学官の連携ということで大切なんですが、もう一つ、ここで学というところが重要な役割をなしてくるんだろうなと思っています。

 というのは、このイノベーション・コーストの推進会議ということで、浜通り、十五の首長の皆さん方と、大体二月に一回ぐらいですか、協議会を開いてまいりました。そのときに、早く解除をした地域はさまざまな誘致がしやすい、しかしながら、今現在、まだ解除されていない大熊、双葉、よく浜通りの中四町と言われる、富岡、浪江は去年の四月に解除されましたが、やはり差がついているということで、私のところにそういう拠点が来ないのかとか、いろいろな話がありました。

 そのときに私も申し上げたのは、これは一年、二年の話じゃありませんよ、イノベーション・コースト構想、先ほど廃炉の問題をしっかり捉えながらやるということでいえば、四十年間にわたるこのイノベーション・コースト構想になりますね。そうなってまいりますと、例えば原子力の問題、原子力工学ですね、さらには、廃炉するためにはさまざまな技術が必要。これは何も企業だけではなくて、学の部分が大変重要になってくるであろう。そうなってくると、今、いわき高専ですとか、小高産業高校ですとか、そういうところもあるんですが、もう一歩進んで、大学又は大学院研究所等、それがこの浜通り地域にしっかり移ってきて、拠点となって、若い世代も一緒になってこの浜通りを活性化する、もっと言えば廃炉を着実に進める、そういう流れをつくっていかなければいけないし、将来はそうなるんですよという希望的観測のもとで、私も首長の皆さん方に申し上げてきました。

 現地の方々は、小中高、あとは保育園、こども園等々が順次再開しておりますけれども、高校はさっき申し上げたようにまだなかなか厳しい状況で、未来学園が広野にある、南相馬にも高校が再開をしてきた、ところが、やはりまだまだ高校がない。もっと言えば、その次の大学となると、みんな福島に出たり東京に出てきたり、そうなってきますので、やはり全国から学生が集まる、そういった意味での高等教育機関というのが必要なんだろうなというふうに私は考えておりますが、この高等教育機関の誘致等に関してはどのように考えているか、お聞かせ願いたいと思います。

神山政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のとおり、福島イノベーション・コースト構想を具現化していく上で、知の拠点である大学等が果たす役割は大きいものと認識をしてございます。

 一方で、浜通り地域におきましては、高等教育機関が少なく、持続的に先進的な知見の集積に向けた取組を推進していくことが重要と考えているところでございます。

 このため、福島県からの要望を受けまして、全国の大学等が有する復興に資する知を浜通り地域等に誘導、集積すべく、今年度より新たに、大学等の復興知を活用した福島イノベーション・コースト構想促進事業を実施することとしております。

 具体的には、本事業におきまして、大学等が組織的に実施する地域の課題解決などに資する教育研究活動を支援することによりまして、地域コミュニティーの再生や人材育成を促進するとともに、このような取組を実施する大学や研究者の交流、ネットワークづくりを促進し、知見の集積を図っていくこととしているところでございます。

 文部科学省といたしましては、このような大学等への支援を通じまして、引き続き、福島イノベーション・コースト構想の推進に貢献してまいりたいと考えております。

高木(陽)委員 このイノベーション・コースト構想は福島特措法にしっかりと位置づけられました。法律に基づいてやっていこうということでございますから、これは文科省、しっかりやっていただきたいとともに、大臣、これはお答えは要らないんですけれども、やはり将来は、大学そのものが来なくても、まさに原子力工学の研究所なり、又は大学院の研究室なりがしっかりとこの浜通りに構えて、第一原発の廃炉に関してはそこと、しっかりと産学官共同しながらやっていくという流れをつくることが必要だと思いますので、この点も復興庁、しっかりと意識をしながらやっていただければと思います。

 さて、続きましてもう一つは、なりわいの再生の大きな柱となっている官民合同チームですね。これは福島相双復興推進機構という形でできて、官民が一緒になってそれぞれの事業者を再生させていこうと。

 先ほど申し上げた、十二の市町村で八万人が強制的に避難された。事業者は八千者です。八千者が、何の悪いこともしていないのにここを出ていけと言われて、そしてそれぞれ避難をした。それぞれ避難したところで事業を再開した方もいらっしゃいますけれども、なかなかそう簡単にはいかない。いよいよ解除が進んでいく中で、やはりふるさとには帰りたい、帰りたいけれども仕事をどうしよう。

 そんな中で、やはりもともとあった事業をしっかりと再生していこうということで、この相双復興推進機構ができまして、官民合同チームとして個別訪問を開始した。五千者以上、全国各地に散った被災事業者を個別訪問する。これは今まで霞が関の発想になかったと思うんですね。霞が関というのは偉いですから呼びつけるんですね。何か相談があったら来い、相談窓口があるから来いと。そうじゃないんだ、みずから足を運んで、被災者に寄り添うというのはそういうことなんだということで、これが動き始めた。これは画期的だったと思います。

 その上で、ようやく、いろいろな補助金、アドバイス又はコンサルティング、いろいろな形をとりながら事業再生が一歩ずつ進んでいる中で、やはり今課題となっているのは人手不足。人手をどうするか。事業を再開したはいいけれども、働き手がいないんだ。そういう意味での人材マッチングについてもいろいろと手を打たれている。

 さらには、まちづくり。いよいよこれが本格化していく中で、なかなかそれぞれの自治体が独自にこれをやっていくというノウハウを持っていない中で、UR等も応援はしているんですけれども、逆にまちづくりの面的な支援にも取り組んでいるというふうに伺っておりますので、その件についてお聞かせ願いたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもは官民合同チームと連携をいたしまして、被災事業者の方々の人材確保につきましては、これまでに約五百事業者に対してマッチング支援を実施しておりまして、累計で約三百八十人の採用につながっているという実績がございます。

 また、平成二十九年度からは被災自治体に専門家を派遣いたしまして、商業施設やあるいはまちづくり会社の創設、運営、企業誘致に係る戦略策定などの支援を開始しております。これまでに五つの市町村に対する支援を開始したところでございまして、残る市町村につきましても順次進めてまいる所存でございます。

 引き続き、官民合同チームとしっかりと連携をいたしまして、事業者の方々お一人お一人に寄り添いましたきめ細かい支援とともに、事業環境の改善に向けた面的な支援にもしっかりと取り組み、なりわい、事業の再建を後押ししてまいりたいと思います。

高木(陽)委員 さまざまな形で支援をしていただいているんですが、これはちょっと全然復興とは違う角度で、経産省というのは、中小企業庁という中小企業をしっかり支援する組織を持っております。そうなりますと、僕は、中小企業庁の仕事もこの官民合同チームにしっかり倣って、ある意味では個別訪問するぐらいの発想をしないといけないんじゃないかなと。

 やはり、さまざまな補助金がある、そうすると、商工会議所や商工会、さまざまな形を通じて説明会をやる、ところが、事業者というのは千差万別、一社ずつみんな違うので、そうなりますと、その補助金は私はちょっと使えない、どうしたらいいんだろうと。

 こういうのは、全国各地の中小企業者、小規模事業者がある中で、官民合同チームはまさに寄り添っていますから、そこで、いや、この補助金を使えなければ、では、ほかの役所のこういう形がありますよ、販路についてはこういう角度がありますね、そこまでアドバイスをする。

 もちろん、それぞれの分野でいろいろなアドバイスをするシステムというのはつくっているんですけれども、やはりそういうのを統括的に中小企業庁というのは全国展開した方が、まさに日本経済を支えている中小企業を活性化することができるのではないかなというふうに、この三年間経験させていただいて思いましたので、またちょっと御検討もいただければと思います。

 さて、そういった一歩ずつ進んでいるんですが、なかなか苦しいのは風評被害。これは先ほど自民党の菅家議員の方からも質問がありました。この風評被害につきましては、農水省が、農産物等物流実態調査、一体どういうふうになってこの風評被害となっているのか実態を調査しよう、これをやっていただきまして、これについて、今後の具体策も含めまして、お答えいただければと思います。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 福島県農産物等の風評被害実態調査につきましては、昨年五月に施行された改正福島復興再生特別措置法に基づき、昨年度初めて実施いたしまして、この三月二十八日に公表したところでございます。

 調査では、福島県内のほか、首都圏、関西圏を中心にいたしまして、米、畜産物、青果物、キノコ、水産物、合わせて計二十品目について、生産者、卸売業者、小売業者、それから外食、中食業者等にヒアリングを行ったということ、それから、消費者に対しましてもアンケート調査を行ったということでございます。

 調査結果といたしましては、価格水準につきましては震災前の水準まで回復していないということ、それから、消費者からは福島県産という理由でのクレームは現在ほとんどないということ、小売業者からは、一度ほかの県産物に切りかえた米ですとか牛肉、これらにつきまして、福島県産に戻す理由それからきっかけが見出しづらいという意見があるという実態が明らかになってございます。

 こうした実態に即しまして、福島県産の米、牛肉では品質面で値ごろ感が強まっているということでございまして、外食、中食等の業務用の需要が強まっている。したがいまして、仕入れ価格が固定するために取引価格の上昇が見込みにくいといった課題も挙げられてございます。

 農林水産省といたしましては、今回の調査結果を踏まえまして、関係省庁と協力いたしまして、小売業者、仲卸業者、卸売業者等へ丁寧に指導助言等を行っていきたいと考えております。

 それから、他県産に切りかえた取引先へのマーケティング、消費者ニーズに合った産地づくりなど、関連する対策を取りまとめて周知したいと思っております。こうした対策につきまして、早急に講じてまいりたいというふうに考えてございます。

高木(陽)委員 まず、調査をやっていただいたことに関しては感謝と御礼を申し上げたいと思いますが、問題はその後なんですね。

 何のために調査したかというと、この風評被害、いわゆる福島県産の農産物がほかのものと比べたら安くなっている、風評被害ですね、これをちゃんともとに戻すということが大切で、そのために、では指導助言はどうやってやるのか、ここをもっと詰めてもらいたいと思うんですね。

 それで、農水省にやってもらいましたけれども、復興庁と私たち内閣府の支援チームと連携しながら、これは何とかならぬかなということで、実は、去年、おととしに、現地で、とにかく原因を究明しようよと。

 例えば、よく言われていたのは、福島県産の米というのは出荷量では震災前は全国で四番でした、四番。一番が北海道、二番が宮城、そして新潟、そして福島だ。ところが、この震災を経て、七位に落ちた。いわゆる出荷できなくなったわけですね。それで出荷量は七位に減った。それでも七位です。

 それで、そのときどうなったかというと、スーパー等の棚は、大半が、いわゆる福島県産の米がなくなった。それぞれのスーパー等と小売の方ではどうしたかというと、他県産に切りかえる。頭を下げて、そこを何とか仕入れて、そして埋めたわけですね。それが二年、三年、四年、五年となったときに、いよいよ福島が米を生産し始めた、復興し始めた、そのときに、その棚が、他県産があるからどいてくれという、なかなかこれが難しい、こういう現状があります。では、そこをどうするかというのを考えなきゃいけない。これは農水省だけの話じゃないと思うんです。

 更に言えば、福島県産ということで買いたたかれるという風評があった。どこで買いたたかれるのか、これを明確にしようよ。

 これは、JAの福島の単協の理事長たちと一緒に会いました。そうすると、これははっきりしようと言ったときに、ちょっと口ごもった。それはなぜか。バイヤーが、ずっと長年つき合っているから、買いたたかれても、ある意味でいうと、それをちゃんと取引してくれる、この人間関係を崩したくないという思いがあったのかもしれません。それは、そのバイヤーをたたくためにやるんじゃないんだよ、どこで安くなっちゃっているのかを明確にした上で、これをはっきりさせて、では、それをたたくというやり方じゃなくて、どうすれば修正できるかを明確にしようねということで、この調査をしようということで、JA等々にも御理解をいただいてスタートを切った。

 問題は、その後に、ただ単に指導しますだとか、そういう話で解決するんだったらもう解決していますよ。そうじゃないんだ。ここをどうすればいいかということを農水省も深刻になって考えてもらいたい。これはもちろん県だとかJAの当事者の人たちも考えてもらいたいし、一方で、買う方の側に問題があるなら、それをどうするか。漠然と風評被害、風評被害といって、大変だ、大変だ、何とかしてくれと言ったって、何ともならないんだ。

 問題は、民間でいえば、何が問題かを明確にして、その阻害要因を取り除くということが大切なので、これについては、まさに復興大臣、中心になって、農水省にしっかり指導というか、連携をとりながらやっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、時間もわずかになってきたので、放射性物質の問題、厚労省、ごめんなさい、またこの次の機会に聞きます。

 今、福島の話をずっとしてきました。実は、先週、二日間にわたりまして、公明党の復興加速化本部として、岩手、宮城の沿岸部、被災地を、井上幹事長、公明党の加速化本部長になりますが、一緒にずっと回ってまいりました。さらに、福島の方は、今週の土曜日にまた改めてお伺いをする予定でございますが、その中で、津波被害でかなり高台移転等が進み始めているのは確かです。インフラの整備というのは大分なされてきました。問題は、ソフトの部分をどうするかということ。

 例えば、具体例を挙げますと、女川の向学館。これは、被災者のお子さんたちを放課後の授業みたいな形でいろいろとケアをしてくれている。さらに、石巻のからころステーション。これは、まさに心のケア、例えば、復興住宅に移った、孤立化している、それをどうフォローするか、こういうことをいろいろやっていただいている。これはそれぞれ、文科省の緊急スクールカウンセラー等活用事業ですとか、又は復興庁の被災者支援総合交付金等々でやっておられる。

 問題は、皆さん心配していたのは、復興期間が終わった後、これはどうなっちゃうんだろうと。まさに、復興公営住宅等にどんどん移り始める、問題はそこから始まっているわけです、孤立化するだとか。又は、お子さんたちも、これはさまざまな課題を抱えて今学校に通っている。十年たって、この復興期間が終わったら、では、その支援は終わるのかといったら、これは終わらないと思うんですね。終わらない。

 コミュニティーの再生というのはやはりさまざまな角度からやらなきゃいけないので、インフラ復旧はした、ところが、その後のソフトの部分というのは、これはかなり長期にわたると思うんですね。

 そうなりますと、今検討されていると思いますし、与党としても、今後、与党提言第七次をしっかり取りまとめて、今後の復興庁のあり方又はその予算のあり方、こういうのも提言をしなければいけないと思っておりますが、やはり、形態はどうあれ、こういった一人一人に寄り添っているソフトの事業というものを継続させていく必要性が大変重要であるというように思っておりますが、この点について大臣はどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。

吉野国務大臣 おっしゃるとおりであります。復興の担い手は被災者自身なんです。この被災者の心が折れたままでは、復興の担い手にはなり得ません。そういう意味で、被災者の心のケア、心の復興、これがいかに大事かというところを私自身感じておるところであります。

 仮設住宅から新たな住まいに転居された被災者の孤立防止やコミュニティーづくりは重要でございます。このため、自治体と連携して、被災者の見守りやコミュニティーの形成に向けた取組を実施しているところでございます。特に、ひとり暮らしの方や高齢の方が、人とのつながりをつくり、生きがいを持って暮らしていただけるよう、NPO等とも連携し、心の復興を進めていくことが極めて重要でございます。

 また、アルコール依存症等の精神疾患や心の不調を訴える被災者に対しては、専門職による相談支援、訪問支援等を実施しているところです。

 復興・創生期間中においては、関係省庁や自治体とも連携し、これらの活動に対して支援をしてまいる考えでございます。

 心のケアの取組は引き続き必要であるというふうに考えております。その後のあり方については、施策の進捗状況等を踏まえ、検討してまいりたい、このように考えているところです。

高木(陽)委員 今大臣から、心のケアが必要だという最後のお話をいただきましたし、まさに一人一人に心の復興をしていく、これが復興の本来の意味であると思いますし、そういう意味では、事業ごとで大分温度差、進捗状況は違うと思うんです。ただ、やはりきめ細かな、一人一人に寄り添う作業が必要でありますので、例えば、創生期間、復興期間が終わったとしてもここはしっかりと継続できるように、私たち、これは委員会、国会としても、しっかり予算を含めて検討して、政府とともに、連携をとりながらやっていきたいということ、これをお誓い申し上げまして、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、山崎誠君。

山崎委員 こんにちは。立憲民主党の山崎誠でございます。

 本日は、貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、東京電力福島第一原発事故被災者の対応についてお聞きをしてまいりたいと思います。

 先立ちまして、一言だけ、森友学園の問題。

 復興庁も、財務省とは常にいろいろと連携をとりながらお仕事されていると思います。その財務省において、組織ぐるみの決裁文書の改ざんが起こりました。これについての御所見を一言お聞かせください。

吉野国務大臣 財務省における書換え問題は、行政に対する国民の信頼を大きく失墜したところでございます。

 今後、このようなことがないようにするためにはどうすればいいかという議論を深めていきたいと思っています。

山崎委員 ぜひ、原因究明から吉野大臣にもリーダーシップを発揮していただきたいとお願いを申し上げます。

 では、本題に行きます。

 さきの三月二十二日の参議院の震災復興特別委員会で、共産党の岩渕委員の御質問に対して、吉野大臣は次のように答弁されています。引用します。

 避難者も大きな被災を受けた方々という理解で、私は、避難者も被災者も同じく支援していきたい、このように考えています、特に、区域外避難者を含めて避難者の実態を把握することは重要なことと認識しておりますと。東京都、新潟県、山形県の三県の実態調査において、友人、知人とのつながりが薄くなっている、また、避難先自治体に引き続き生活する予定である、また、生活資金に困っている、心身の不調を感じている等の回答をしている方が多いと伺っております、被災者が抱える課題が個別化、複雑化している中、避難先自治体等とも連携して、それぞれの方の御事情に応じた生活の再建が果たせるよう、被災者支援にしっかりと取り組んでいく所存でございますという答弁がございました。

 これはついこの間の答弁ですから、今も同じ思いをお持ちだと思います。

 きょうは特に区域外避難者の皆さんのお話をしたいんですが、今、本当に被災者の皆さんは、それぞれ個別の事情、さまざまな複雑な事情を抱えて大変苦しんでいらっしゃいます。この問題は、ロジックや理論とか、あるいは法律とか制度とかそういう問題ではなくて、私は、政治の判断として今手当てが要る緊急事態だと思っております。そういった考えに基づいてお話をしていきたいと思います。

 まず、区域外あるいは自主避難者の実態について当局にも質問をします、そうすると、東京都、新潟県、山形県の調査に基づいてこういう結果ですという話が返ってきます。また、では、例えば生活支援の実態はどうなっているんだとお聞きをすると、支援団体ではこういうお話を聞いていますと、支援団体の話を出してきます。例えば、さまざまな施策の実施について細かくお聞きをすると、それは福島県を経由して実施をしています、福島県はこういうことをやっているなどと聞きます。

 私は、残念なんですが、復興庁が主体的に動いているという実感を全く感じません。

 吉野大臣、いろいろな被災者の皆さんのお話を聞いていらっしゃるのはよく存じ上げています。復興庁として、国としてきちっと被災者の皆さんと向き合う必要が今こそあると思うんですが、御所見をお聞かせください。

吉野国務大臣 いわゆる自主避難者の方々は、復興庁と福島県が一体となってやっておる事業でございます。ですから、国がこうやる、県がこうやるという形ではなくて、国と県が一体となって、特に二十六カ所のよろず相談所、生活支援拠点、私、二十六カ所のうち約十八カ所は回っておりますけれども、これからも回っていろいろな御意見を賜っていきたいと思っております。

 そういう意味では、国がどうだ、県がどうだじゃなくて、一体となって、一番大事なのは被災者の皆様方の生活再建をこれからどうしていくかというのが一番の目的でございますので、そこに今一生懸命取り組んでいるところでございます。

山崎委員 大変重要な、まさにおっしゃるとおりでございまして、被災した皆さん、避難している皆さんお一人お一人が今どうお暮らしで、この先どうなるかというお話が最も大事でございまして、福島県だ、国だと言っている場合ではありません。

 三月三十一日です、この間の土曜日、区域外の避難者の皆さん、十一人の方々と直接お話をしまして、今の実態をお聞きしてきました。私は、今の吉野大臣の答弁と残念ながら大きな隔たりがある、大変な危機感を持っております。

 全てはお話しできませんが、一部を御紹介します。

 例えば、南相馬の原町区から東京に避難している、国家公務員宿舎東雲住宅に住んでいますと。三つ子の子供と一緒に避難をしてきている、収束宣言が出て、夫は福島に帰る、東雲住宅については退去を迫られています、世帯要件などがあって都営住宅にも移れない、働けば働くほど状況が逆に悪くなる、所得がふえると都営住宅に入れなくなる、どのようにして住まいを確保すればいいのか、生活の基盤が揺らいでいる、子供たちも今、中学三年生、お金もかかるでしょう、途方に暮れていますと。五年、十年というスパンで何とか生活を見てほしい、無償でということではありません、なぜこうなったかを考えてほしい、好きで東京に来たわけではない、原町区の場合は、被災の直後、自衛隊の皆さんが一軒一軒訪ねて、避難しなさい、そういう話を聞いたんだ、それで出てきたんですというお話でした。

 別な方、同じく東雲住宅に移っていきます。不安で睡眠薬を飲まないと眠れない、東雲住宅に来て七年になる、東京都には非常に感謝している、でも、親子とも安定した職がなくて家賃も払えない、今いるところに住んでいることによって誰かに迷惑をかけているだろうか、このことによって福島県や東京都が何か困ることがあるだろうか、車は最近処分した、何とか東京をついの住みかにしたい、新しい土地に来て生活をすることは本当に苦しい、難しい、心の安定は住まいからだ、一日も早く安定できる生活をしたい、都営住宅にもしっかりと入りたいと。

 郡山から避難している方です。東久留米の国家公務員住宅に入られています。福島県から、国家公務員宿舎セーフティーネット使用貸借契約というのが送られてきましたと。金銭的なことについては了解をする、でも、その他の契約に納得がいかないことがたくさん書かれている、例えば、築四十年、大変古い建物で、トイレの壁が崩れている、そういう建物で、例えば地震で外壁が崩れたときに下で通行人がけがをしたらその責任は住民の皆さんにある、そういう契約書を書かれている、納得ができない、交渉するけれども、全国一律の規定なので福島県は取り合ってくれない、こういうお話。

 さらにまた、昨日の夜です、連絡をいただきました。追い打ちをかけるような通知が福島から来ています。東雲住宅に避難している方々は、四月から家賃と駐車場代値上げ、合計一万円上がります。一万円です。

 京都の自主避難者に対しては、今住んでいる宿舎の家賃が八月から今の倍になるという話が来た。住み続けたければ、使用貸借契約、使用賃貸契約書に署名捺印して四月九日までに提出せよと通告がある。その第四条には何と書かれているか。契約は来年、三十一年の三月三十一日まで、再契約、貸付けの延長は行わないものとすると。さらに、貸付物件を明け渡さない場合は二倍の損害金を請求すると、ここまで書いているんですよ。こんな厳しい状況に置かれている方が少なからずいらっしゃいます。それにこんな追い打ちをかけるようなことをやっています。

 これが適切な対応と言えますか。吉野大臣が言っている支援というのはこういうことなんですか。こういうものを見逃すのが、皆さん、復興庁のやることなんですか。御意見を聞かせてください。

吉野国務大臣 応急仮設住宅の供与終了後の国家公務員宿舎の対応については、福島県が講じる住宅支援策の一つとして、福島県から、平成三十年度まで有償での継続入居を認めていただくよう、今、財務省が要請を受け、実施しているところでございます。

 国家公務員宿舎に入居している自主避難者については、復興庁として、今後も、福島県の意向を伺いながら、関係省庁と連携し、対応してまいる所存でございます。

山崎委員 言うまでもありません。生活再建の基礎は、何といっても住まいです。住まいが定まらなければ生活は成り立ちません。

 東京都の調査で、住宅の無償提供が打ち切られた後、六七%の人が避難を継続している。福島に帰りなさいというのはとても言えません。最低でも今の暮らしを守らなければならないと思います。

 これは緊急課題です。住まいは、子供たちの学校の問題とも密接にかかわり合います。職場や仕事の問題とも密接に絡み合います。期限を切って移れるものではありません。簡単に引っ越しを迫ることはできません。

 大臣がおっしゃっているように、まさに被災者が抱える課題は個別化、複雑化している、そういう状況に即した対応が必要ではないですか。引っ越しとなれば、子供たちは転校を迫られることになります。福島の子供たちは、常にいじめにおびえているんです。これ以上、子供たちを苦しめないでください。

 どうか、この住まいの問題、復興大臣、お願いします、他人任せにしないで、吉野大臣の責任で解決することをここでお約束ください。これは政治の決断だと思います。法律や制度やそんなものを通り越した決断があれば、避難している方々は、被災者です、被害者です、助かるんです。吉野大臣、どうぞお願いします。

吉野国務大臣 今、発災からもう七年を経過したところです。初期対応のステージ、そして七年後のステージ、各ステージ、ステージに応じて支援の仕方は異なってくる、こういうふうに考えます。今のステージは、生活再建をどうしていくかというところが一番の目的でございます。

 そういう意味では、住まいの確保等々、本当に困っておられる方々に対して、福島県と国が一体となっていろいろなアドバイス、相談業務を行っております。例えば、お仕事がないといえば就労の支援等々の施策も行っているわけであります。

 関係省庁とそういう意味の連携をとりながら、一人一人がさまざまな課題を抱えておりますので、一人一人に寄り添った施策をこれから進めていきたい、このように考えています。

山崎委員 お約束いただけないんでしょうか。これでは、私、先へ行けません。今お話しになっている、ステージ、ステージと言いますが、七年間、福島で被災をして東京に来ている方々は、あの三・一一がずっと続いている、毎日が三・一一だ、そういうお話をされていますよ。

 先ほどの福島県からの通知、これはどういうことですか。これはどう考えたって追い出しですよ。来年の三月三十一日までに出なさい、それ以上居残るんだったら倍の家賃を取るぞと。おどしじゃないですか。これを見逃して、どういう施策をやるつもりですか、吉野大臣。

吉野国務大臣 繰り返しになりますけれども、生活再建が今のステージでは一番大事でございます。

 一人一人の課題、例えば、お仕事がなければお仕事のお世話、あっせんをする、また、手に職がなければ手に職をつけるあっせんをする、そういう一人一人のきめ細かい支援を県と国が一体となってこれから進めてまいりたいと思っています。

山崎委員 今、お話を聞いている方々は、皆さん一生懸命仕事していますよ。仕事がないわけじゃありませんよ。二つも三つも仕事をかけ持ちして、子供たちのために朝から晩まで仕事をしているんですよ。でも、今、厳しいですよ。月の収入二十万円未満の方がたくさんいるんですよ。そういう方々は、どうするんですか、では民間の家賃を払えるんですか。

 大臣、今、住まいがないという。生活再建の基礎は住まいだと思いませんか。それから、今追い出されたら生活再建できないと、皆さん悩んでいるんですよ。大臣の言っている施策は、では、いつ、今苦しんでいる方々のところに届くんですか。来年の三月三十一日までに生活再建ができる、その保証があるんですか。

吉野国務大臣 避難を余儀なくされている方々にとって、住まいの確保、これは最重点でございます。

 例えば、福島県では、民間のアパート等を借りた場合、自主避難者の方々に対して家賃補助をしております。

 例えば、山形県のよろず相談所に伺いました。福島県の申請は役所の申請ですから、かみ砕いたわかりやすい申請書に、ここはこういうふうに書きなさいという、家賃補助の申請書の書き方まで、かみ砕いたものを山形県のところは出しておりました。これは、全国の二十六拠点の方々にすぐ回して、水平展開をしているところです。

 そういう形で、まず住まいの確保、そこに福島県、国一体となって御支援を申し上げているところです。

山崎委員 もう先へ行けません。

 京都の事例を先ほどお話ししました。京都の事例は、福島県から指示が来ているんですよ。家賃が八月から倍になるという話ですよ。こういう指示が飛んでいることと今の答弁は全然かみ合わないんですけれども。

 もう一度、こういう京都の事例についてはどうお考えですか。これは間違いですか。

吉野国務大臣 福島県とも実態把握をした上でこの問題について検討していきたい、このように考えます。

山崎委員 私は一番初めに申し上げました。復興庁がもっと前面に出て、主体的に責任をとるべきです。この後お話ししたかったけれども、原発の訴訟でも、国の責任が次々と認められている。

 福島県と一緒にやる、聞こえはいいけれども、福島県に丸投げじゃないですか。福島県は勝手なことをやっているじゃないですか。大臣の言っている答弁の内容と全然違うことを福島県がやっていますよ。現場に行けばすぐわかるよ。それで今の答弁は納得いかないですよ。

 もう一度、政治の責任としてこの住まいの問題を解決すると、一言言ってください。

谷委員長 山崎君にお伝えいたします。

 申合せの時間が経過しておりますので、御協力を願います。

吉野国務大臣 福島県とも実態調査をよくしてこの議論をしていきたい、このように考えております。

山崎委員 大変残念です。

 終わります。

谷委員長 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)委員 立憲民主党の岡本あき子でございます。

 質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 私は、昨年の十月まで仙台の市会議員を務めておりました。震災から七年、この間、ずっと被災地そして現場の声を聞きながら、震災の復興のために尽力をしてきたつもりでございます。今回、復興大臣に吉野大臣、副大臣に土井副大臣、同じ東北の被災地、現場の声を聞く立場として、ぜひ、被災者に寄り添った、被災地の現場に寄り添った行政運営に努めていただきたいと思いますし、ともに協力をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 そして、冒頭に、けさ、ちょっと残念なニュースで、G20の関係閣僚会議、東北一丸となってということで、仙台市に関係閣僚会議を誘致しておりましたが、残念ながら、東北それから沿岸部ということでは、関係閣僚会議も含めて選ばれませんでした。

 復興のシンボルとして、先ほどタイの風評被害もございましたけれども、世界に向けて、やはり現場を見ていただきたい、復興に努力している姿を見ていただきたいという思いからすると、残念ながら東北の地がG20の関係会議に選ばれなかったということは大変残念に思いますし、ぜひ、このことも教訓に踏まえて、より世界に向けて、安全だ、復興に努力をしているという姿は発信していただきたいと思います。

 お時間があればちょっと最後にこのことはお聞きしたいと思いますが、進ませていただきます。

 発災時から政府並びに立法府を挙げて、特に自衛隊や警察、消防関係機関、それから全国の地方自治体、NGOやNPOなど、国内外のありとあらゆる機関が全精力を傾けて災害対応並びに復興に御尽力いただいていることに、私自身、東北出身の議員として改めて感謝を申し上げたいと思います。

 しかしながら、復興はなお途上であり、今なお七万人もの被災者が仮設住宅等で避難生活を余儀なくされているとともに、大津波によって壊滅した市街地、集落の再建や事業活動の復興についても多くの課題が残されており、依然として、住宅再建、生活再建、まして事業の再建にハードルを抱えている方が多くいらっしゃいます。

 一つ目に、事業の再建として欠かせないグループ補助金について伺わせていただきます。

 今国会の冒頭に、二重ローンの対策法の延長が決まりました。土地のかさ上げなど基盤整備の事業がおくれる中、もう一度事業を再建しようとする被災者にとって、なくてはならない制度です。あわせて、グループ補助金についてもやはり同様にニーズが続いて、それに応えていくべきだと思っています。

 制度の使い勝手の改善も努力をしてくださっていますが、新たなニーズをどう把握し、今後どう応えていくおつもりなのか、お答えください。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員からお話のありました中小企業等グループ補助金でございますが、これは、被災した中小企業の施設設備の復旧を支援する目的でこれまでずっと行ってきたものでございまして、既に、累計で七百五のグループ、一万一千四百七の事業者に対しまして、国費、県費を合わせまして五千四十一億円の支援を行ってきたところでございます。

 現在、震災から七年が経過している中で、被災地の状況の変化を踏まえまして、今委員からもお話がございましたように、さまざまな取組を行ってきているところでございます。

 第一に、やむを得ない事情により期間内に復旧事業を完了できない事業者に対しては、再交付決定という手続をとるようにいたしております。

 それから、資材などの価格の高騰によって復旧工事契約ができない、そういう中小企業の方がいらっしゃいますので、そういった事業者への増額措置という措置もとってきているところでございます。

 また、新分野に進出をしたい、今までのそのままの事業をそのままの形で再開するのではなくて、新しい分野で事業を再開したいというような場合にはその分についても支援をするといったように、被災地の実情を踏まえながら柔軟な対応を行ってきたところでございます。

 今後でございますが、平成三十年度当初予算においても百四十九億六千万円を計上いたしております。これを活用いたしまして、今後とも、被災地の実情を十分踏まえながら、関係省庁とも連携をいたしましてしっかりと対応してまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 新分野の取組に途中から運用を拡大してくださっているということについては評価をさせていただきますが、残念ながら、これは、既にもう適用になった方々に対しては遡及にはなっていないんですね。

 時代の流れで事業を更に地元で頑張りたいと思っている方々についても、やはりそういうニーズもしっかり踏まえていただきたいと思いますし、あと、先輩議員の今までの委員会でのやりとりの中にもございましたが、土地のかさ上げ自体もおくれていて事業の再建自体を延ばさざるを得ない、その間に二〇二〇年を迎える可能性もあるということも踏まえて、ぜひ、さらなるニーズに応えていくということは指摘をさせていただきますし、そのことも念頭にとめておいていただきたいと思います。

 ただ、本人の、あるいは事業者さんの努力だけでもどうにもならないという状況も、今直面をしています。

 資料でお配りをしていますが、沿岸自治体、もう既に十七万人の方々、人口が減少しています。二〇一五年から後でも、これは新聞記事ですが、矢印の部分ですが、更に減少がとまらない。これは、事業者にとっては消費者がいないということにもつながりかねません。

 それから、二ページめくっていただいて、カラーで資料を出させていただいております。東北経済産業局の評価では、東北地域で四五%の事業者が震災前の水準まで回復していると書いていますが、逆を言うと、半分以上の方々が震災前まで回復していないことになります。

 回復しているのは建設業、運送業なんですけれども、この二業種に関しては、どうしても、やはり復興事業、復興需要に応えての事業に応えている結果として景気がよくなっているということになりかねません。

 一方で、一番業種が多い卸売、サービス業につきましては、業種の中でも七割の方々が震災前にすら戻っていない、そういう状況があります。これは、事業者が努力してできることではなく、やはり手厚く支援をしていくことが求められているんだと思います。

 既存の事業分野で頑張るだけじゃなく新たなニーズに応えていくという意味では、新分野に対応する、グループ補助金の対象にするということは評価をさせていただきますが、販路の拡大ですとかマーケティングですとか、復興に伴ってもう一回チャレンジをしよう、そしてしっかりと震災前まで売上げを回復できるように頑張ろう、そういう意欲を持っていただくためにもさらなる支援が必要だと思いますが、どのように取り組んでいかれるのか、お聞きいたします。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 被災地で、先生が御指摘のとおり人口減少が進む中、単に震災前の状態に戻しただけでは売上げの回復は困難でございます。被災地以外の新たな販路の開拓、顧客ニーズに合った新商品の開発など、新たな付加価値を生み出す取組が必要であるというふうに考えてございます。

 このため、復興庁では、経験豊富な専門家の派遣、大企業とのマッチング事業等により、被災地事業者の付加価値の高い商品の開発や新たな販路の開拓を支援してございます。

 特に、沿岸部の主要産業の一つである加工業に対しては、商談会の開催支援あるいはモデル的な販路開拓等の取組の構築を後押ししてございます。

 また、中小企業基盤整備機構でも、被災地事業者の商品の販売展示等の支援を行ってございます。

 これらに加えまして、今年度から、被災地事業者によるクラウドファンディングの活用を支援し、自立的な資金調達や競争力のある新商品の開発等を後押ししてまいります。

 こうした取組によりまして、今後とも、被災地の事業者の新たな商品開発や販路の開拓への取組を支援してまいりたいというふうに考えております。

岡本(あ)委員 今、復興という形でいろいろな付加価値をつける支援をいただいております。これで、できればやはり売上げを震災前まで回復していただきたいと思いますし、もう一回、事業者の方々が事業を続けよう、できれば次の世代にも事業承継もしていこう、そういう自信につながるように取組を進めていただきたいと思いますし、その成果と検証もしっかりしていただきたいと思います。

 大臣、これは復興だけの話ではないと思うんですね。復興というのは、急激に人口減少、過疎化、高齢化が進んできましたけれども、今、日本が長期的に、長期的にといいますか、目の前に迫っている、日本全国のどちらかというと過疎地と言われている地域が、より急激に同じ現象が進む可能性があります。

 ぜひ、復興庁での取組がほかの自治体にとっても参考になるように、特に、地元の事業者がやはり元気が出る、そういう創意工夫というところを、付加価値をつける、その取組がほかの中小企業の、全国の自治体にとってもモデルになるような形で蓄積をしていただきたいと思いますし、そういう目標を持ってまずは復興の事業を進めていただき、そしてそれを全国に広げていく、自信につなげていただきたいと思いますが、その意気込みについてお聞かせください。

吉野国務大臣 先生のおっしゃるとおりです。地方創生とこの復興は、ある意味では通ずる、共通点がございます。復興をなし遂げること、これがイコール地方創生にも通ずる。

 例えば、ハンズオン事業というのがあるんです、復興庁で。これは、民間の方々が復興庁に来ていただいています。この民間の方々が被災地に入って商品開発をして、どうその商品をつくればいいかという、つくる体制まで考えて、そして販売までをやっていくという、まさに従来の品物が物すごい付加価値を持った商品に生まれ変わるわけでございます。

 そういう事業を通じて復興を今やっているんですけれども、この手法はまさに地方創生のためにも役立つ手法かな、このように考えているところです。

岡本(あ)委員 復興庁の取組は東北被災自治体だけのものじゃない、これが全国に展開できる、他省庁にも、同じ課題を抱えていると広められる、そういう取組としてぜひ進めていただきたいと思いますし、その先陣を切っての復興庁なんだという思いを持っていただきたいと思います。

 あわせて、経産省中小企業庁にも伺います。

 今のやりとりを聞いていただいて、やはりこれは参考になる、ちょっと付加価値を高めるためにはこういう手だてというのが効果がある、そういう検証も同時並行で見ていっていただきたいと思いますし、採用できるところはどんどん採用していっていただきたいと思いますが、お答えいただけますでしょうか。

高島政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員からお話がございました販路拡大でございますけれども、全国の中小企業にとりまして、全国的に人口減少により市場が縮小する中で、全国の中小企業共通の重要な課題であるというふうに認識をしております。

 特に、市場の縮小が著しい被災地域でありながら販路開拓支援を通じてうまく売上拡大に至ったというような事例は、私ども中小企業庁といたしましても、今後の全国の販路開拓支援に関する施策の検討に当たって大変参考になるものではないかと考えております。

 これまで中小企業庁といたしましても、例えば小規模事業者持続化補助金でありますとか、あるいはふるさと名物応援事業といった事業におきまして、中小企業、小規模事業者の販路開拓を支援してきているところでございまして、実際うまくいった事例も出てきておりますけれども、今のお話もございましたので、今後、被災地において販路開拓に成功した中小企業の事例に更に学びまして、全国の中小企業の販路開拓支援の施策に生かしてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 人口減少というのは、今生まれているお子さんの数から見ても避けては通れない全国的な課題ですので、復興庁がまず先陣を切ってしっかり再生を果たしていくこと、それが参考になる、全国に展開できる事業につながっていくということを望みたいと思います。

 時間が押してきましたので、ちょっと子供の点もお聞きしたかったんですが、先に災害関連法に関してのところを伺わせていただきます。

 震災当時、私、仙台の自治体におりまして、被災者の支援を行わせていただいておりました。現場にいて非常に感じていたのは、一つは、災害関連法の中で、現物給付の限界です。特に応急仮設住宅が顕著でしたけれども、仮設住宅ができるまで待たなきゃいけない。結果としては、後から遡及適用になりましたけれども、みなし仮設の適用についても、ある意味行政の平等性というところもあるんですが、手続に非常に時間がかかりました。

 現物給付という発想自体が、災害の、すぐに対応しなきゃいけない、家を失った、生活するものを失っている、その目の前に突きつけられている中ではやはり限界があるのではないかと思いますが、より実効に合った法改正についてどのように取り組まれるのか、お聞きいたします。

米澤政府参考人 御指摘の災害救助法でございますが、災害救助法につきましては、災害に際して応急的に必要な救助を行うことを目的とした制度でございます。

 この救助は、災害による混乱によりまして生活に必要な物資が欠乏し、あるいはその調達が困難になる状況、すなわち、被災者がみずから金銭で物資を購入することなどができない状況下で行うものでございます。

 したがいまして、現に救助を必要とする被災者に対しまして住まいを提供し、物資や食事等が行き届くよう、現物によって救助を行うという考え方になっているところでございます。

 その趣旨を踏まえますと、御指摘のような、直接現金を給付することは困難であるというふうに考えてございます。

 しかしながら、一刻も早く被災者の住まいを確保することは重要でございます。東日本大震災及び熊本地震におきましては、現金給付ではございませんけれども、被災者みずから物件を探し、地方自治体へ応急仮設住宅として申請する方式を認めるなど、工夫をしてきたところでございます。現物給付の運用の改善に努めまして、一定の成果を上げたものと考えております。

 いずれにいたしましても、東日本大震災のような大規模災害時に被災者の住まいをどのように確保するかは非常に重要な問題であるというふうに認識してございます。その一環として、一時的な住まいの提供のあり方につきましても、どのような方法が有効であるかにつきまして、救助の実施主体でございます都道府県を始めとした自治体との意見交換なども重ねながら幅広く研究をしてまいりたいと考えてございます。

岡本(あ)委員 みなし仮設はワンステップなのかなと思いますけれども、空き家がこれだけ問題になっている現状において新たにプレハブをつくらなきゃいけない、そういうことも含めて、時代に合っているのかどうか、ぜひ検討を進めていただきたいと思います。

 もう一つ、権限移譲はどうでしょうか。

 地元仙台でも、ずっとこの間、要望を続けてまいりました。政令市、自力がある程度ある、あるいは被災が軽い自治体については、まず自力でやれるところは自力でやる、そして県がそれ以外のところをしっかりサポートする、両方力を発揮するということが、災害時の権限移譲でも効果的だと思います。

 大臣、ぜひ権限移譲についてさらに加速をするべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。

米澤政府参考人 災害救助法は内閣府が所管しておりますので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 御指摘の権限移譲につきましては、現在都道府県が災害救助法の実施主体となっているものにつきまして、政令指定都市につきましても実施主体になれないかという検討の件だというふうに考えてございます。

 内閣府におきましては、災害救助に関する実務検討会におきまして、昨年十二月に、最終報告として、都道府県との連携体制が確認された政令市に限りまして、新たに災害救助法における救助主体とするという提言を行ったところでございます。

 この内容につきましては、政令市側からは賛同が得られたところでございますが、都道府県側からは、指揮命令系統が二元化し、資源配分が政令市に偏るおそれがあるなどの御意見がございまして、内閣府では引き続き議論を続けることとしておりました。本年二月から、大規模・広域災害時の災害救助事務の連携強化に関する協議の場を開催いたしまして、都道府県、政令市、住宅産業関係者等も参画した上で、都道府県等の実情も伺いながら実務的な検討を深めてきたところでございます。

 内閣府といたしましては、引き続き、関係者の御意見を丁寧に伺いながら検討を続けてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 ぜひ、現場現場での状況をしっかり聞いた上で検討を進めるということでしたので、速やかに判断をしていただければと思います。

 最後に、憲法に関して一点、大臣にお聞きしたいと思います。

 東日本大震災を例にして、元防衛大臣が、憲法に国の緊急権の規定がないために、国が住民に直接指示、命令する権限がないとして、緊急事態条項の必要性を強調された過去がございます。

 ただ、資料の最後につけておりますとおり、被災自治体に対するアンケートでは、多くの自治体が、逆に自治体に権限が欲しかったと。出された例について、瓦れきですとかそういう部分についても、現行法で対応できた、あるいは特措でできた、そういう答えが出ています。福島県の原発の自治体でも、やはり現場に権限が欲しかったという声の方が多いです。唯一、女川原発を抱えている女川町だけが、必要だと答えておりました。

 東日本大震災の現場にいた私たちにとっては、東日本大震災があったからこの緊急事態条項が憲法改正で必要だと言われること自体に対しては、全く逆だと現場では思っている声が多いと思います。

 吉野大臣は、防災、憲法の担当ではないですけれども、でも、東北出身、そして被災自治体の現場を見ていらっしゃる、この間の復興の状況も見ていらっしゃる。そういう立場で、県民の負託を受けた政治家として、震災に絡めての緊急事態条項の必要性が出ているということに対して御意見をお聞かせいただきたいと思います。

谷委員長 吉野大臣、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

吉野国務大臣 憲法の改正については、政府の一員として、答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、一般論として申し上げれば、大規模な災害が発生した際には、人命救助を始めとする災害対応を的確かつ迅速に実施することが最優先であるというふうに考えております。この観点から、大規模災害等が発生した非常時に、国、地方を通じた関係機関が持てる力を最大限に発揮できることが重要である、このように認識をしております。

岡本(あ)委員 国と力を合わせるのは当然必要です、自治体においても。実際に東日本大震災で国に権限があった方がいいかのような前提で議論が進められるということについては、今申し上げましたアンケートの結果にも基づき、事実に基づいて議論をしていただきたいということを申し添えて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、阿久津幸彦君。

阿久津委員 立憲民主党の阿久津幸彦でございます。

 まず初めに、震災関連死関係のデータ等について質問させていただきたいと思います。

 阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震における、それぞれの直接死者数、行方不明者数、震災、災害関連死者数及びそれぞれの震災、災害関連死を含む死者・行方不明者の総数について伺いたいと思います。

加藤政府参考人 復興庁から、東日本大震災についてお答えをいたします。

 東日本大震災の死者数は、平成三十年三月一日の時点で、災害関連死を含みまして一万九千六百三十名、行方不明者数は二千五百六十九名でございます。

 震災関連死者数は、最新の公表数字でございます平成二十九年九月三十日時点で、三千六百四十七名でございます。(阿久津委員「総計すると」と呼ぶ)

谷委員長 阿久津君、指名の後、発言を願います。

阿久津委員 総計すると幾つになりますか。

加藤政府参考人 御発言が、済みません、よく聞き取れなかったんですけれども。

谷委員長 では、一旦戻ってください。

阿久津委員 死者・行方不明者の総数ですね。つまり、震災関連死を含む死者・行方不明者の総数は何人になりますか。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 死者数と行方不明者数を合わせまして、二万二千百九十九名でございます。

阿久津委員 そのほか、阪神・淡路大震災、熊本地震のデータはいかがでございますか。

緒方政府参考人 お答えをいたします。

 阪神・淡路大震災におきます死者数は六千四百三十四名、行方不明者数は三名となっております。

 また、熊本地震におきます死者数は、本年の三月十三日時点ですが、二百五十九名、行方不明者数はなしでございます。

阿久津委員 この東日本大震災復興特別委員会の委員の方々はお気づきになったと思うんですけれども、それぞれの大きな災害においても、直接死者数、災害の一撃で亡くなってしまう方々の数と行方不明者数、震災関連死によって亡くなった方々の数、それから全体の総数が、そう簡単に一つのところにまとまってぱちっと出てこないんですね。

 これは私は、災害にこれからしっかり対応していく意味で、ちょっと我が国の整備の部分で欠陥というか課題だと思いますので、そこのところだけ、お答えは必要ないんですが、吉野大臣にぜひ御理解いただければと思います。

 次に伺います。震災関連死の定義をお願いいたします。

加藤政府参考人 お答えをいたします。

 復興庁では、東日本大震災における震災関連死の死者数の調査を各都道府県を通じて行ってございます。

 この調査における定義については、建物倒壊や津波による直接的、物理的な原因ではなく、震災による負傷の悪化や避難生活等の身体的な負担による疾病により死亡し、災害弔慰金の支給対象となった方というふうにしてございます。

阿久津委員 それでは、続きまして、東日本大震災、熊本地震における震災関連死には震災起因の自死は含まれているかどうか、お答えいただきたいと思います。

加藤政府参考人 これも先ほどと同じでございますけれども、各都道府県を通じて市町村に照会をし、回答を得てございますけれども、この調査におきまして死因の内訳等の詳細な情報までは報告を求めてはおりませんけれども、東日本大震災に関連する自殺者も含まれているというふうに伺っているところでございます。

阿久津委員 それでは、阪神・淡路大震災ではどうでしょうか。自死は含まれているでしょうか。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 消防庁におきましては、災害の被害状況を、市町村からの情報をもとにいたしました都道府県からの報告によって把握いたしておりまして、そのうち人的被害につきましては、死者、行方不明者、負傷者に分けて報告を受けております。

 そういったふうなことでございまして、自死といった観点での数字は把握していないところでございます。

阿久津委員 阪神・淡路大震災のときは、実は、新しい概念としては、震災起因のストレス死みたいなものを初めて認めたということがございます。その延長線上で震災関連死というものが今きちっと把握されるようになって、その意義は大きいと思うんですが、現状、このように、統一して直接死や震災関連死あるいは自死について把握している部署がどこにもないということでございます。

 そんな中で、復興庁が、東日本大震災からの復興に向けて、震災関連死の定義を定めて、統計もとり公表しているということは大きな進展だと思うんですけれども、その理由、意義について大臣に伺いたいと思います。

吉野国務大臣 東日本大震災に関連してお亡くなりになられた方々がいらっしゃることは、本当に心が痛む思いでございます。

 復興庁としては、被災者の孤立防止や心身のケアに取り組んでいるところでございますが、これらの施策を行うに当たって、震災関連死者数を把握するということは重要でございます。そういうふうに認識をしております。

 今後とも、関係自治体等と連携しながら、被災者の生活再建のステージに応じた切れ目ない支援を行ってまいりたい、このように考えております。

阿久津委員 東日本大震災を風化させてはならないというのは、私たち共通の大きな思いだと思います。

 そのためには、災害で亡くなる方々を一人でも減らすということです。政治の立場でいえば、国民の生命財産を守るというのは当然のことでございます。

 まず第一に、災害が起こったときに守るのは、災害の一撃で亡くなってしまう方々の命だと思います。だから、直接死というものを数字としてきっちり把握していなくちゃいけないということでございます。

 その後に、命からがら助かって、大きな災害であれば、避難所に移って当座の生活を送ることになると思うんです。

 この避難所の期間では、守るべきこと、ルールとか、さまざまなものがあります。最近では、NGOを中心に、スフィアスタンダードとかコアヒューマニタリアンスタンダードみたいな、世界の人道支援の基準を復興庁とも知識を共有してやっているというふうに聞いておりますけれども、ここで残った命を、今度、生き残った命を、一人も亡くさせないぞぐらいのつもりで震災関連死を減らしていく努力を今復興庁はまさにされてきたんだと思うんですね。

 そのことについて、ぜひ、コメントは結構ですけれども、復興庁として、意義があった、だから震災関連死をきっちり把握すること、まして自死は絶対にさせないぞみたいな強い意思を持って取り組んでいただきたいと思います。

 次に移ります。復興庁の出口戦略について伺いたいと思います。

 二〇二〇年度末で復興庁は、集中復興期間に続き復興・創生期間も終了して、設置期限を迎えるわけでございます。一方で、心の復興などソフト面の取組や、原発事故によって多くの方々がふるさとを離れた福島の原子力災害被災地域の復興再生には中長期的な対応が必要と、大臣は繰り返し発言されてきました。

 復興庁が廃止された後の支援体制について、その後の検討状況はいかがでございますでしょうか。

吉野国務大臣 二〇二〇年の、復興庁がなくなった後、いわゆるポスト復興庁については、実は平成二十八年から復興・創生期間が始まっております。この間で基本方針というものが定められております。この基本方針の中に三年後見直し規定というのが入ってございます。ですから、二十八、二十九、三十、まさに今年度が見直し規定が該当する年でございますので、ここで今までの進捗ぐあい等々を見ながら議論を始めていきたい、このように考えています。

阿久津委員 大臣は、いろいろなインタビュー報道等で、福島は終われないというような思いのたけも述べられているんですけれども、その前に、岩手、宮城については、二〇二〇年度末で復興庁の取組は完了するというふうにお考えでしょうか。

吉野国務大臣 まずは、残り三年で岩手、宮城は復興を終わらせるという決意のもとで取り組んでいきたい、そういう決意で取り組んでまいります。

 でも、特に心の復興等々に関しては継続をしなければならない点があると思います。そういうことも含めて、見直し規定の中できちんと議論をしていきたい、このように考えています。

阿久津委員 私は、NGO時代に、岩手、宮城をある程度終えて、福島に特化して支援するという福島シフトというのを実際にやったことがございます。そのNGOは総額七十億円ぐらいの支援、援助をしていたんですけれども、そのときに、やはり岩手、宮城にも、とはいっても、多くの課題が残るんですね。

 私は、今後、福島にシフトするというのは仕方ないことですし、福島がそれだけ課題が多いわけですけれども、一方で、岩手、宮城についても、できれば特定課題、さっき大臣がちょこっと心の復興とかおっしゃったと思うんですけれども、そういうものについて、ぜひこういうところは残すという形で言っていただければと思います。

 最後に確認したいんですが、ポスト復興庁に当たる後継組織の設立について、具体的に検討状況を伺いたいと思うんです。

吉野国務大臣 先ほども申し述べましたけれども、基本方針の中で三年後見直し規定がございますので、まさに今年度から議論を進めていきたい、このように考えています。

 そして、どういう組織であるのか、どんな施策が残っているのかということも含めて、これから、具体的なものは今議論しておりませんので申し上げられませんけれども、今年度からきちんと議論を開始していきたい、このように考えています。

阿久津委員 なかなか、大臣自身の思いもあると思うんですけれども、語ってもらえませんでしたけれども、私は、かじを切っていくのは、相当復興庁は慎重にゆっくり切っていかないと、復興庁の持っている例えば支援の金額でも、民間からすれば物すごい大きな額になりますので、民間からすると復興庁にずっといてほしいという思いも強いと思いますので、できるだけ早目早目に予告をしていった方がいいと思うんです。

 その意味では、本当は、今回のこの所信の中にも検討するということすら入っていないんです、検討するということはぜひ伝えていただきたかった。それは過ぎましたけれども、大臣は、いろいろなインタビュー等ではもうちょっと踏み込んだ御意見もおっしゃっているようです。

 ぜひ、公式答弁の中で、こういうふうになりました、こういうふうになりましたということを少し出し入れしながら、この復興庁の出口戦略について語っていただきたい。それは、やはりまだまだ課題が多いし、東日本大震災を風化させてはならないという大臣の、私たちの共通の思いからでございます。

 終わらせていただきます。

谷委員長 午前中の質疑はこれにて終了させていただきます。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時四分開議

谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小熊慎司君。

小熊委員 希望の党の小熊慎司です。

 まず初めに、震災、原発事故から丸七年が経過をして、昨年の追悼式の際には、総理の追悼の言葉の中には原発事故災害が入っていなかったということで、福島県を始め、多く議論を巻き起こしました。

 ことしに入って、吉野大臣が記者会見で、これはちゃんと総理に言うということで、直接言ったって、閣議で言えばいいんですけれども、事務方を通して言うということで、実際、ことしの追悼の総理の言葉を見れば、入ってはいましたが、改めてこの追悼文に対して大臣の御所見をお伺いいたします。

吉野国務大臣 原発事故のために避難を余儀なくされている方々への思いは、片時も私は忘れたことはございません。

 七周年追悼式の総理の式辞において原発事故に言及していただき、改めて、福島の復興なくして東北の復興なしとの考えのもとに、復興の加速化に取り組む決意を強くしたところでございます。

小熊委員 進んでいる部分も言及しながら、しかしながらということで、いまだに避難者が多い、見通しが立っていないということに言及していただいたことに関しては、私も評価をするところであります。

 大臣、ちょっと通告していないんですが、私も、福島の方の祈念式典に出ていて、国立劇場でやった追悼式を見ていて、ほかの県民の皆さんとも毎年議論しているんですけれども、国の方は七周年と書いてあるんですね。

 これは、一部新聞でも、もう何年か前にも、やはり周年というのは、別にどういうものでも使われるというのが一般的な解釈ですが、国語辞典の幾つかの中には、これはやはりお祝い事で使うのが一般的であるという解釈をしている国語辞典もあったり、また、数年前においては、阪神・淡路のときに、兵庫県が二十周年というのをもう使うのをやめたんですね。被災者の方からやはり、今までひっかかるものがあったけれども、普通に二十年としてもらって、やっと胸のつかえが取れたと。

 私たちも、映像でこの最初、冒頭の追悼式七周年というのを見ていて、何かこうひっかかるものがあって、これ、大臣としてはどうですかね。言葉の、周年というのは何でも使えるというのが一般的な解釈ですが、現実論としては、ほとんどお祝い事だけで、こういったものには使わない、使っているケースもありますけれども、使わないのがほとんどだという指摘もあります。実際、阪神・淡路では、兵庫県が二十周年のときに二十年というふうに改めたというのが、それは被災者のことをおもんばかってという当時の県の判断でした。

 この件については、大臣、何か周年と言われるとひっかかるものはなかったですか、どうですか。

吉野国務大臣 ただいまの小熊委員の御提案、本当に心して受けとめていきたい、このように考えています。

小熊委員 だから、福島県の祈念式典では何周年とは書いていません。例えば国でやっている終戦のやつも、追悼式というだけで、何周年とかは書いていないということで、広い意味では、それは時間をあらわす言葉ですから使えるんですけれども、ただ、一般的な心証としてはやはりひっかかるものがあるというのは、ちょっと今後も議論の課題にしていただきたいなというふうに思っています。

 次に移ります。

 これもことしの予算委員会でやりましたけれども、原子力災害の賠償について、ADRで和解案が示されて、それを東電側も受け入れてはいただいていますけれども、今の現状について、経産省、ちょっとお願いします。

武藤副大臣 小熊委員から、損害賠償の紛争の和解の現状についてということで御質問いただきました。

 先般、今、小熊先生おっしゃられたように予算委員会で、まず、この冒頭でちょっと御訂正をさせていただきたいと思います。

 二月九日の衆議院の予算委員会におきまして、ADRセンターの処理済み件数を二万三千件、和解成立件数を二万一千件とそれぞれ世耕大臣から答弁をさせていただきましたけれども、実績として、処理済み件数は二万一千件、そして和解成立件数は一万七千件となっているところであります。この場をかりて訂正をさせていただきたいと思います。

 なお、三月二十三日現在で、ADRセンターの全処理済み件数二万一千七百九十五件のうち、和解成立件数は一万七千八百十三件ということで、八割以上の件数で東京電力は和解案を受け入れているところでありますけれども、他方で、二割が和解に至っていないのも事実であります。この点については真摯に受けとめてまいりたいと思っております。

小熊委員 武藤副大臣、ありがとうございます。

 大事な数字を間違えたというのは本当に大変なことなんですけれども、今の武藤副大臣の答弁というのは、私、非常に大事だというのは、これまで、七割、八割和解しているんですよというような雰囲気の答弁だったんですよ。これじゃだめなんですよね。確かにそれは七割、八割だけれども、まだ二割も残っている、そういう心持ちがまさに被災者に寄り添うということになるわけです。

 今までの答弁、大臣であろうと、副大臣であろうと、政務官であろうと、官僚の皆さんであろうと、何割も和解成立していますということばっかりで、まだ二割も残っているという、その心構えがなかったなと思いましたが、今回の武藤副大臣の答弁というのは今までになかった視点だというふうに思いますし、それがまさに被災者に寄り添う視点だというふうに思いますので、その視点でしっかりやってもらわなきゃいけない。

 東電にお伺いしますけれども、皆さん、震災直後は、三つの誓いとか五つのお約束といって、和解に応じていきます、率先してやりますと書いてはいるけれども、このとおりなんですよね。だから、言葉とかその場の方向性は言っていても、実際はまだ二割も三割も残っている。

 何で受け入れてくれないんですか。和解案ですよ。和解案を何で受け入れられないのか。まして、対象人数が多い浪江町のやつなんかは、もう全然ナシのつぶて。東電の皆さん、どうですか、これ。

文挾参考人 東京電力ホールディングス副社長の文挾です。本日はよろしくお願いいたします。

 今御質問いただきました件についてお答えをさせていただきたいと思います。

 先生から御指摘ありましたとおり、和解案につきましては、その和解案の尊重ということで、これまでもお約束に沿いまして和解の早期成立に向けまして対応してきたところでありまして、この考え方につきましては今後も変わることはございません。

 ADR手続が簡易な手続によりまして早期解決を目指す場であるということは、十分認識をしてございます。

 和解案の尊重の観点から、歩み寄りを志向してございまして、今経産副大臣から御回答がありましたとおり、ほとんどの事案については解決をしてございますが、まだ二割につきましては残っているということでございました。和解案にこれから真摯に対応してまいりたいというふうに思います。

 ただ一方、和解案が提示された後、和解に向けて和解内容を調整していただく事案があるのは事実でございます。そうしたケースにおきましても、原子力損害賠償紛争解決センター、いわゆるADRセンターですが、ADRセンターの進行にのっとりまして真摯に対応させていただいているところでございます。

 今後も、和解案の尊重の趣旨を踏まえつつ、引き続き真摯に対応してまいりたいと思いますので、御理解のほど、よろしくお願いいたします。

小熊委員 文挾さんが今言い足りていないのがあるんですね。それは、三つの誓いのうちの一つはそれです。和解案を尊重しなんですけれども、五つのお約束の中には、被害者の方々の立場に立ちとなっているんですね。単に和解案を尊重じゃないんですよ。

 今言ったのは、和解案を尊重して真摯に対応していくということですけれども、被害者の方々の立場に立ちとお約束しているんですけれども、その視点が今欠けていますが、その視点からもう一度答弁をお願いします。

文挾参考人 お答えさせていただきます。

 おっしゃるとおり、新々総特におきましては三つの誓いを立てさせていただきました。その中で、被害者の最後の一人まで寄り添いながら、被害者の方の事情を一つ一つ確認をさせていただき、それで、寄り添いながら一つ一つ賠償の方を対応させていただいているところでございます。

 今後もその姿勢は変わることなく一生懸命取り組みたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

小熊委員 これは予算委員会でも言いましたけれども、私が全員のアンケートをとっているわけではありませんが、私がふだん活動している中でいろいろな声を聞く中でも、予算委員会でも言いましたとおり、電話対応も非常にビジネスライクになっている、何回もたらい回しになってしまう。今、文挾さんが言ったようなことを被災者の人たち、いろいろ提訴している人たちが感じている言葉はほとんど聞かないです。

 今ここで取り繕う言葉を言ったとしても、実行に移っていない。まして、和解案を示して受け入れられないのがずっと続いている、時間が経過をしている。これは、国として、この和解案を受け入れるようにしっかり推進していかなきゃいけないとは思いませんか。大臣、どうです。大臣だって聞くでしょう、これは。

吉野国務大臣 ADRセンターは、個別事情に応じた公平かつ適正な賠償が迅速に実現されるよう、中立公正な和解案を提示しているというふうに承知をしております。

 東京電力が賠償を実施するに当たっては、個別の事情をよく伺って丁寧な対応を行うこと、これが重要でございます。復興庁として、経済産業省に東京電力に対する指導の徹底を求めてまいりたい、このように考えております。

 昨年の五月十八日に、新々総合特別事業計画が認定をされました。この中で、「和解仲介案を尊重する。」という文言が書かれております。ここも含めて、きちんと経済産業省を通じて対応してまいりたい、このように考えております。

小熊委員 大臣だって、これは福島県にかかわる国会議員みんな陳情を受けていますけれども、浪江の件に関しても。

 今、経産省を通じてと言いましたけれども、武藤副大臣、何かありますか。

武藤副大臣 吉野復興大臣の御指導のもとで、しっかりと対応させていただきたいと思います。

小熊委員 公平中立な和解案なんですよ、大臣が言ったとおり。それを受け入れられないというのは何があるのか、公平中立なのに。

 これはしっかり対応しなきゃ、その受け入れていない理由もしっかり説明しなきゃいけないと思いますよ、それを訴えている方が納得するかはどうかとして。こういったことの説明がないんじゃないですか、ちゃんとした説明がですよ。文挾さん、どうですか。

文挾参考人 ただいまいろいろ御意見を頂戴しました。改めるべきところは改め、被災者の皆様に寄り添いながら、一つ一つ御事情をお伺いし、お一人お一人の御事情を確認をとりながらしっかりと賠償の方は進めてまいりたいと思いますので、御理解の方よろしくお願いいたします。

小熊委員 言葉と行動が伴っていません。この五つのお約束の中でも「紛争処理の迅速化に積極的に貢献する」と言っているのに、これですよ。大臣だって、大臣になる前から、浪江の方々から陳情を受けているじゃないですか。

 だから、時間が経過することもよくないんですよ。裁判で争っているわけじゃないですよ、和解案ですよ。これは国としてもちゃんとやらなきゃいけないと思いますよ、しっかり受け入れるように。これは、裁判で争っている案件で、その答えが出ていないとかまだ係争中ですということじゃないんですから。しかも、大臣が言ったとおり、中立で公正な案なんですよ。

 これはしっかり、東電はこんな感じですし、言っていることとやっていることが違うので、これは信なくば立たずで、だから東電の信頼性というのは福島県民にとってはないんです、いろいろなことに関して。これを考えたら、もっと真摯に、しっかり和解案どおりに対応するということが大事なことだと思いますし、いろいろな、廃炉作業とか、これから復旧復興に向けても、東電の皆さんにも汗をかいてもらうためにも必要なことですから、これはしっかりやっていただきたい。

 これ以上やってもこれは水かけ論になりますから、次に移りますけれども、県内の原発の全基廃炉についてです。

 丸七年たつのを前に、野党の各党で共同して、東電の福島第二の廃炉法案を提出させていただきました。本来であれば、これは福島県民の思いを受ければ、全党一致でやりたかった案件ではありますけれども。

 いずれにしても、これは何回もやっていますけれども、予算委員会でもやりました。結局、第一の廃炉のためのバックアップ機能ですといっても、これは東電のホームページを見ても、バックアップ機能ではありません。土地は使っています。港湾も使っています。でも、あの原子炉施設そのものは使っていません。あそこである絶対的な理由はないんです。だから、廃炉にしたって、土地は別にどこかに行くわけでもないし、港湾がどこかに行くわけでもないし、人員をどういうふうに確保するかだけやれば、別に第二が廃炉を決定したって第一のバックアップというのには問題ないわけですよ。

 そうですよね、文挾さん。あの原子炉そのものを使ってバックアップ機能になっているだけじゃないですよね。

文挾参考人 お答えいたします。

 福島第二につきましては、福島県並びに県内の多くの自治体の議会の皆様から廃炉決議がなされているということも承知しておりますし、吉野復興大臣から御要請を受けているということもあります。当社としましても、大変重く受けとめているところでございます。

 今御質問ありましたように、福島第二発電所は、福島第一の近距離、十二キロ圏内にあるということもありまして、港湾を有しているということと技術的な要員が常駐しているということなどがございます。地点及び人的リソースの両面から重要な地点であるということは今までも申し上げてきたとおりでございます。

 ただ、これまでも申し上げていますとおり、福島第二の扱いにつきましては、福島第一の廃炉のための後方支援機能のみをもって判断するものではございません。時間を要していて大変申しわけございませんけれども、会社といたしましては、地元の意向を踏まえつつ、エネルギー政策の動向等、多方面から総合的に検討を進めております。会社として大変大きな判断ということになることから、しっかりと検討を進めてまいる所存でございます。

 以上でございます。

小熊委員 これまでいろいろやりましたけれども、いろいろな立場の人が、政府答弁は、これは事業者の判断と言っています。ただ、ほかの原発とは同列に扱えないと言っています。

 でも、この間の予算委員会の質疑では、国のエネルギー政策の動向を見計らってと言っていますけれども、今、エネルギー基本計画も多少見直しがなっていますが、国として、原発をベースロード電源として二〇から二二とか、もうちょっと先になると、今度は数字を示さないで再生可能エネルギーをふやそうという方向に変わりつつありますけれども、これは、国として、第二の部分も含めているんですか、このベースロード電源で動かそうとしている原発に。

 東電は、国のエネルギー政策の動向を見計らってと言っているんですよ。国としては、それは入っていないから別にいいよと言わなきゃいけないんじゃないですか。入っているんですか。

武藤副大臣 エネルギー基本計画の見直しですけれども、現時点で、個別の原発のものについて、再開ということは眼中に入れておりません。

小熊委員 福島のこの県内の原発、同列に扱えないというのは、具体的にどういうことですか。心情的なもので、具体的には、今言ったとおり、何も言えないということの確認でよろしいですか。

武藤副大臣 心情といいますか、個別の原発の稼働については、エネルギー基本計画の中では想定していないということであります。

小熊委員 まあ、曖昧な答弁、後ろから言われているけれども、指示する人に。とにかく、入っているか入っていないかもわからないということですよ。

 吉野大臣、そういうことですよ、国は結局。同列に扱えないといったって、では明確に、どうなのと言ったら、入っているかもしれないし入っていないかもしれない。事業者の判断じゃないですよ。事業者も、どうするか決めていない。国も、言葉だけ、同列に扱えないと言うだけで、エネルギー政策として明確に、福島のものは入っているかもしれないし入っていないかもしれない、どちらだかわからないというブラックボックスのままですよ。そのことが福島県民を苦しめるというのは、大臣、よくわかりますよね。

 大臣は、この件に関しても、あの答弁を受けて、私の質問のときの当日も、この点も含めて経産大臣等々とよく議論していきたいと。その後、議論されましたか、大臣。

吉野国務大臣 世耕経産大臣と、閣議の前で、きちんと福島県の声を伝えているところです。

小熊委員 個別の案件にやらないということは、結局入っているということです、裏を返せば。違うの、後ろでううんと言っているけれども。じゃ、入っていないと言えばいいんじゃないの。

 入っているか入っていないかは明言しないということですか。入っていないということは個別には言えない、入っているとも言えないということ。ということは、入っているということじゃないの、それは。入っていないということを言えないということは。

武藤副大臣 済みません、先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、現状では、二F、いわゆる福島の全基の問題につきまして、二Fを再稼働するということについては触れておりません。

小熊委員 ということは、これまでの答弁、事業者の判断ではなくて、国としても決めていないと言わなきゃいけないんですよ。

 大臣所信でもいろいろな政治家が言います、政治が前面に立つ。それはちゃんと枕言葉を入れておかなきゃいけないんですよ。東電の福島県内の原子力発電所のこと以外は政治は前面に立ちますよと言ってください。これは政治が前面に立っている話じゃないんですよ、これまでの答弁だと。大臣、そう思いませんか。

吉野国務大臣 第二については、福島県知事また県議会等々から廃炉の要請を受けているところです。

 でも、基本的には、一義的には東電の判断でございますので、私は、東電の社長さん、新経営陣が大臣室に来られたときにも、判断を急いでください、こういう要請をしたところです。また、双葉郡内で夏祭り等々がございます。そこのところにも経営陣の方々がお見えになった、その場でも、判断を急いでくださいという要請をしておるところでございます。

小熊委員 これは二月に我が党でも、東電の第一原発、玉木代表を先頭に、いさせていただきました。そのとき、東電の皆さんにも真摯に対応いただきましたが、この点を聞くと、何とも言えないというか、ああ、ちょっと一緒に行かれましたけれども、だから、では動かすということですかと言うと、動かさないのであれば、動かさないとはっきり言えばいいんですよ。その諸手続はまたいろいろ、それはお金もかかることですから、いろいろな努力が必要ですから。言わないということは、動かす可能性があるから言わないんでしょうと言うと、黙っちゃうんですよね。

 動かすということに私は想像力を働かすことができません。多分、皆さんもそうだと思います。福島県内の原発を動かすということは誰も想像できないと思うんですけれども、何で、決めていないということは、可能性を残しているということですよ。

 それで、ちょっと視点を変えて言いますけれども、東電の福島第二の第一号機は、一九八四年の四月二十日に運転開始ですから、あと四年後に四十年を迎えます。これは、四十年で延長するのかどうかというのをもし仮にやったとしても、一年間ぐらい検査期間はあるし、今のままで動かせるわけないから新基準に合わせて工事する、一年以上かかるということを考えれば、いろいろな会社の経営のことも考えれば、あと一年ぐらいで判断しなきゃいけないということですよ。でも、一年後だってそんなに状況は変わっていないんだから、今判断してもいいじゃないですか。

 まして、経営陣の判断判断と言って吉野大臣は頑張っているけれども、早く決定してくれと言っているけれども、吉野大臣だって、これは四十年来ればどうせやめるんだからということを待っているということじゃないですよね。確認させてください。

吉野国務大臣 事業者の判断ですので、判断を、一日でも早く判断をしてほしいというのが私の要請の中身でございます。

小熊委員 これはずっと続くわけじゃないので、今大臣が、早く判断しろ、こういうふうに言っているわけですから、まして、これは客観的にも、あと四年後に四十年を迎える、いろんなことを考えれば、もうここ一年以内には判断をしなきゃいけないというのは、これは事実ですよね。

 文挾さん、そうですよね。四年後にいきなり、延長してくださいということはできないわけですから。新基準に合わせなきゃいけないし、その前の準備とか検査を受けなきゃいけないんですから。あと一年ぐらいで経営判断しなきゃいけないでしょう。二年後、三年後じゃないですよ。だって、検査もあるし、もし延長するのであれば、それなりの、直さなきゃいけないところはあるし。あと一年ぐらいで判断のときが来るんじゃないですか。これは事実ですよね。

文挾参考人 今御質問ありましたとおり、福島第二の一号機につきましては、二〇二二年の四月に四十歳になるということでございますけれども、答弁が繰り返しになりますけれども、現時点で判断時期をお答えする状況にはございません。会社としてこれからしっかりと検討してまいる所存でございますので、御理解のほど、よろしくお願いいたします。

小熊委員 判断の時期については聞きません。

 じゃ、検査期間、あと直す期間を考えれば、二、三年は必要ですよね、何日間とは言いませんけれども。四年後じゃないでしょう、判断するのは。数年前には、これは検査期間も考えれば、まあ来年とは言わず。

 四年後ではないですね、判断するのは。その前には判断しておかなきゃいけないというのは、そうですよね。

文挾参考人 お答え申し上げます。

 検査期間等につきましては、我々は検査を受ける側でございますので、規制委員会の所管事項でございます。お答えの方は差し控えさせていただきます。

小熊委員 吉野大臣に頑張っていただいて、これは早く決定していただきたい。

 大事なことは、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック、これは復興の姿を世界に示すと言っています。

 御承知のとおり、福島県は新しいエネルギーで復興を果たしていくということですし、内堀知事も、全基廃炉を目指していると。新しいエネルギーで福島県が復興を果たしていくときに、まだ動かすか動かさないかわからない原発が存在しているというのは非常に皮肉なことですよ。全部、廃炉も決まっている、本当に新しいエネルギーで福島は世界に向けて情報発信していくというときに、これは東電の経営とは関係ないかもしれないけれども、世界発信という意味では、皆さん言っているわけでしょう、復興の姿を見せる、福島の元気な姿を見せると。そのときに決まっていないというのは、これはさお差します、復旧復興に。福島の復興にさお差す。県民の心を傷つける。

 そういう意味では、やはり早期に判断をしていただく。判断はもう、一つしかないですよ。動かすなんという判断はないんですから、選択肢は。だったら、気持ちよく廃炉とやれば、福島県民だって、東電の人のその判断にあっぱれと言いますよ。やらないから、何をやっているんだ、東電と。いつまでも心の溝が埋まらない。

 そういうことを指摘して、その点を踏まえて大臣には頑張っていただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、階猛君。

階委員 希望の党の階猛です。

 本日は、先日の大臣の所信について何点かお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、所信の中でこういうくだりがありました。人と人とのつながりをつくり、生きがいを持って暮らしていただくための心の復興にも力を入れてまいります。

 心の復興、最近よく耳にする言葉でもありますが、改めて、この心の復興とはどういう意味なのか、これを大臣からお答えいただけますか。

吉野国務大臣 これからの復興は、日常生活を取り戻すことというふうに私は考えております。

 震災から年数が経過する中、被災者が抱える課題は個別化、多様化しており、被災者一人一人の置かれた状況を踏まえた、きめ細やかな支援が必要でございます。

 特に、被災者の心のケアや、ひとり暮らしの方や高齢の方が、人とのつながりをつくり、生きがいを持って暮らしていただけるような支援が必要と考えており、被災者の心の復興として今取り組んでいるところでございます。

階委員 冒頭のところで、日常生活を取り戻すことが心の復興だというお話を伺いましたけれども、先ほど私が読み上げたところを見ますと、人と人とのつながりをつくり、生きがいを持って暮らしていただくための心の復興ということで、「ための心の復興」ですから、心の復興というのは、人と人とのつながりをつくり、生きがいを持って暮らしていただくことの手段というふうに国語的には読めるわけですね。

 私は、確かに、人と人とのつながりをつくり、生きがいを持って暮らしていただくということは非常に大事であって、むしろここが究極の目的であるということについては全く賛同いたしますけれども、逆に言いますと、むしろ、人と人とのつながりをつくり、生きがいを持って暮らしていただくことイコール心の復興という言い方の方が私はぴんとくるんです。

 もう一度確認しますけれども、心の復興というのは、大臣の考えでは、日常生活を取り戻すことだというふうにお考えだというふうに受けとめてよろしいですか。

吉野国務大臣 復興の担い手は被災者自身なんですね。ですから、復興を担っていく方が心が折れた状態では、担い手になり得ません。

 そういう意味で、心の復興、心のケアを通して、折れた心をもとに戻して、復興の担い手、すなわち日常の暮らしを取り戻すこと、これが復興行政の究極の目的に私はなるというふうに考えております。

階委員 日常生活を取り戻すこと自体、私も全く異議はございません。ただ、やはり、人と人とのつながりをつくったり、生きがいを持って暮らしたりということが究極の目的としてあるべきではないかと思っています。

 そういう意味で、心の復興なり、私が今申し上げました、つながりであるとか生きがい、こういったことに対する、政府として成果指標をどこに置くべきかということを考えなくちゃいけないと思うんですが、この点について、大臣のお考えをお聞かせいただけますか。

吉野国務大臣 心の復興は、被災者一人一人の心の内面に関係するものでございますので、それぞれで事情が異なり、的確な成果指標をお示しすることは難しいところでございます。

 しかしながら、人とのつながりをつくり、生きがいを持って暮らしていただくという観点で考えると、多くの被災者や地域住民が参加することが望ましいと考えております。このため、復興支援に係る施策の推進に関する政策評価の事前分析においては、心の復興事業の参加者数を指標として設定しているところでございます。

階委員 ちょっと、その参加者数というところだと、私は余り的を得ていないんじゃないかなという気がします。むしろ、被災者の孤独死であるとか自殺といったことをなくしていく、これを目標として、成果指標として掲げるべきではないかというふうに考えます。

 ところで、現時点で、復興庁の方でそうした孤独死や自殺の実態というのを定量的に把握していらっしゃいますか。お答えください。

吉野国務大臣 委員御指摘の孤独死については、地域とつながりがあっても独居で亡くなられた場合の取扱いなど、明確な定義は難しく、一律に把握するのは難しいと考えております。

 また、自殺の多くは、多様かつ複合的な原因及び背景を有しており、さまざまな要因が連鎖する中で起きるものでございますので、東日本大震災に関連する自殺者数については、関係省庁において把握し、公表されているところでございます。

 被災者の孤独死や自殺を防止するための対策は重要でございます。復興庁では、自治体等と連携して、心のケア、コミュニティー形成、生きがいづくりなど、さまざまな支援を実施しているところでございます。さらに、日常生活で継続的な支援が必要な方に対しては、自治体が展開している保健福祉サービスの活用につなげるなど、きめ細かな対応が行われていると承知をしております。

 委員御指摘の孤独死や自殺の防止については、さまざまな取組によって効果があらわれるものと理解をしております。このため、これらを心の復興の成果指標として整備することは難しいと考えておりますが、関係省庁や自治体と連携しながら、その防止に向けて取り組んでまいる所存でございます。

階委員 孤独死や自殺の防止に対して取り組むということについては同じ方向性だということなんですけれども。

 先ほど、午前中の質疑で、阿久津委員が、震災関連死に自殺は含むのかというようなことを取り上げていたと思います。

 私は、今、数字を把握するのは困難だということを言われましたけれども、少なくとも、関連死の中で自殺した方とかあるいは孤独死された方、こうしたことであれば把握できるんだと思うんですね。

 取組が効果を上げているかどうかということをしっかり検証するためにも、数値は可能な限り把握すべきだというふうに思いますけれども、今私が御提案申し上げました、まずは、関連死の中で孤独死とか自殺というのはどのぐらいあるのかということは至急調べていただいて、お示しいただけませんでしょうか。

加藤政府参考人 先ほど大臣から御答弁ありましたけれども、孤独死については、明確な定義は難しくて、一律の把握は難しいということでございますけれども、自殺された方の数につきましては、関係省庁の方で把握をしてございまして、例えば平成二十九年でございましたら、全国合計で男女で二十六名の方がお亡くなりになっているというような数字は把握をしているところでございます。

階委員 孤独死という定義はなかなか難しいというのはわかると思うんですけれども、震災関連死ということを認定する中で、その方がどういう暮らしの状況をされていたか、一人で暮らしていたのか、御近所のつき合いはどうだったのかとか、そういうことも付随的にわかってくると思うんですね。

 そうしたことで、孤独死というとちょっと定義の問題になりますけれども、孤独な状況にあったのかどうかということを把握していただいて、そういう数字も教えていただけるとこれは今後の対策に役立つのかなという気がしますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 そこで、私はきょう、ある新聞記事を持ってきたんですけれども、これは私の地元の岩手日報の三月十一日の記事で、お手元に、資料の一ページ目にその写しをつけさせていただいております。

 上の方に、「最後だとわかっていたなら」ということで、詩が書かれてあります。これは外国の方なんですが、十歳の息子を亡くした経験をもとに書かれたものだということです。

 長いので、最後のところだけ読ませていただきます。後半三分の一ぐらいのところに、

  そして わたしたちは 忘れないようにしたい

  若い人にも 年老いた人にも

  明日は誰にも約束されていないのだということを

  愛する人を抱きしめられるのは

  今日が最後になるかもしれないことを

  「ごめんね」や「許してね」や「ありがとう」や「気にしないで」を伝える時を持とう

  そうすれば もし明日が来ないとしても

  あなたは今日を後悔しないだろうから

ということで、後で最初のところからぜひお読みいただければと思うんです。

 私は、今回、三・一一を通じて、震災で直接被害を受けなかった方も、きょうという日が当たり前ではないんだということは痛感したと思うんですね。親しい人、家族などと今こうして一緒にいられるのは特別なことなんだということを実感したと思うんですね。

 そういうことを踏まえて、この岩手日報では、記事の下のところに、三月十一日を、全ての人が大切な人を思う日、全ての人ですから、被災者だけじゃなくて全国民ですね、が大切な人を思う日にしようではないかという提案をされています。これが被災者の孤立や震災の風化を防ぐ、ひいては、先ほど私が孤独死とか自殺のことも言いましたけれども、心の復興にもつながるのかなという気がしています。

 三・一一について、震災から七年を経て、やはり全国民について言えば風化というものは進んできている中で、この岩手日報の提案というのは私は非常に意義のあるものではないかなと思うんですが、ぜひ大臣にこの件について前向きな御答弁をいただければと思うんですが、いかがでしょうか。

吉野国務大臣 私は、三月十一日を涙を流す日と決めています。残り三百六十四日は、前を向いて、涙は流さないというふうに自分に言い聞かせております。

 私にとって一番大切な人、友人ですけれども、高校の同級生なんですけれども、津波で亡くなってしまいました。追悼式のそのときに、岩手県、宮城県、福島県の遺族の方々が献花をしたんですけれども、その献花の姿を見て、もう涙がとまりませんでした。ですから、私にとって三月十一日という日は、本当に友人を思う日という形で決めております。

 今、階委員から、大切な人を思う日とすることにつき御提案をいただきました。

 災害は必ずやってまいります。防災、減災をしなければならないわけでございます。被害を経験した者として、教訓を風化させずに伝えること、これが重要でございます。

 復興庁として、記憶、教訓の伝承の場として、被災三県で国営追悼・祈念施設の整備や震災遺構の保存、伝承施設の整備への支援などを行っております。二月十七日に、東京都と宮城、岩手、青森、福島県が、風化防止イベント、復興応援・復興フォーラム二〇一八イン東京、都知事と宮城県知事、私も参加をさせていただきましたけれども、等を開催し、私も参加をいたしました。

 記憶を風化させてはならない。今後とも、風化防止のために発信を続けるつもりでございます。

階委員 私がこの記事を見てはっとしたのは、大臣がおっしゃるように、風化を防ぐための取組は政府としてもいろいろされているんだと思いますけれども、ただ、これはやはり被災地のことを忘れないようにしましょうという趣旨なんですね。

 そうではなくて、国民一人一人が自分のこととしてこの三・一一を捉えるということで、一人一人が自分にとって大切な人を思う日にすれば、結果、やはり被災地の方にも寄り添うことになるということで、私は、この発想というのはちょっと視点が違って、より多くの国民が被災地を自分事として考えて、そして震災の記憶の風化を防ぐということにもつながると思いますので、これまでの取組を否定するものではありませんが、ぜひこうしたことも一つの風化への取組ということで取り組んでいただきたいと思うわけですけれども、もう一度、大臣の方からこの件について御答弁をお願いできますか。

吉野国務大臣 御提案の日を大切な人を思う日とするかについては、被災者の方々のお気持ちはさまざまでございます。多様な論点があり、今後、幅広い議論が必要というふうに考えております。

階委員 それでは、ぜひさまざまな声に耳を傾けていただいて、風化を防ぐために何ができるかということで一つの提案を申し上げました。ぜひ前向きに御検討いただければということをお願い申し上げます。

 それでは、次のテーマですけれども、かさ上げ地と移転元地の活用についてお尋ねしたいと思います。

 大臣の所信の中で、こういうくだりがありました。「高台移転地と災害公営住宅は、今年度末までに九割が完成、平成三十年度末でほぼ全てが完成する見込みとなっております。」ということなんですが、これ自体はそのとおりでしょう。ただ、ここから抜けているのが、高台移転の元地、それから区画整理でかさ上げされた土地、こちらについて利用が余り進んでいない。

 特に、移転元地については、危険区域ということもあって、まだ全然利活用の方向性が見えてきていないところがほとんどなんだと思います。

 また、区画整理してかさ上げされた土地の方も、陸前高田市とか大槌町、私も行ってまいりましたけれども、まだまだ空き地があって、今後の利用がはっきりしないところも多々あるというふうに伺っています。

 そこで、かさ上げ地と移転元地の活用についてお尋ねしたいんですけれども、改正後というか、済みません、今国会で審議予定だと思うんですが、都市再生特別措置法の改正案、これによる低未利用土地権利設定等促進計画というのが、私の資料で二ページ目にその法案の概要が書かれていまして、そこの中で、下線が引いてある、真ん中の左の方ですね、ここに今申し上げた低未利用土地権利設定等促進計画の説明があります。これを空き地が目立つかさ上げ地で利用できないのかということなんです。

 というのも、空き地が点在していて、そのままでは景観上もよくないですし、なるべく集約していくことによっていろいろな活用の幅も広がってくるということで、せっかくこういう法案が、今国会で政府として成立を目指すのであれば、この仕組みを被災地でも直接利用できるようにすべきではないかと思うんですが、どうも事務方から聞いていますと、利用が即座にはできないような話を聞いているんですが、この点について大臣の御見解を伺います。

吉野国務大臣 質問通告では、復興特区制度とこの新法との違いという形で通告を受けていたんですけれども、これは、ちゃんと、きちんと計画をつくれば受けられるということでございますので……(階委員「済みません。今の質問は」と呼ぶ)

谷委員長 ちょっと大臣、お待ちください。

 質問者は間違えたんですか。

階委員 そうですね、今の点は、ごめんなさい、国交省に通告していましたね。大臣、失礼しました。

 もう一回お願いします。

榊政府参考人 お答えをいたします。

 我が国では、地方都市始め多くの都市において、空き地、空き家などの低未利用地が時間的、空間的にランダムに発生する都市のスポンジ化が進行しており、コンパクトなまちづくりの推進に重大な支障となっております。

 このため、低未利用地の集約による利用促進等の施策を総合的に講じる、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案を今国会に提出したところです。

 この法案に盛り込んでおります御指摘の低未利用土地権利設定等促進計画は、行政が土地所有者と利用希望者のコーディネートを行い、必要な権利の設定、移転を促す制度であり、市町村が立地適正化計画を作成した場合、居住誘導区域内及び都市機能誘導区域内において活用可能なものとなっております。

階委員 今、事務方からの答弁で、法律上は立地適正化計画というのを定めないとこの仕組みは使えないということでありました。

 ところで、復興特区法という中で、規制の特例措置というのが認められるということになっていると思うんですが、先ほど申し上げましたように、かさ上げ地の土地の利用をより活性化するためにも、私は、かさ上げ地で、先ほど言った低未利用土地権利設定等促進計画なるものを利用できるようにして、土地の集約とかを迅速に進めるようにしたらいいんじゃないかと思うんですが、済みません、大臣、改めてお伺いします。

吉野国務大臣 国交省の法案における計画については、市町村が作成すれば、税制等の特例措置が講じられるものと承知をしております。一方、復興特区、復興推進計画ですけれども、これは、特例を受けるためには、市町村が各特例について計画を策定し、総理大臣の認定を要します。

 このように、国交省の法案における計画は、復興特区に比べて手続がより簡素化されているところです。

 この制度に関して自治体から相談があった場合には、国交省とも相談して、丁寧に対応、支援をしてまいる所存でございます。

階委員 より手続が簡便な方がいいと思いますので、今の御説明だと、必ずしも復興特区だからといって手続が簡便というわけではないということだと思いますので、そこら辺は事務方の方で、よりよい方法で、被災地のニーズに応えていただければというふうに思います。

 それから、次の資料のページには、所有者不明土地の利用の円滑化法案、これも今国会で提出している新しい法案なんですけれども、この中で、法案の概要の一の1というところで「公共事業における収用手続の合理化・円滑化(所有権の取得)」というのがあります。

 これは、土地収用に反対する地権者が存在する場合であっても利用できるのかどうか、これを、事務方で結構ですので、教えてください。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 今国会に提出させていただいております所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案におきましては、先生御指摘の、公共事業のために所有者不明土地を収用する場合の手続の合理化に関する制度を盛り込んでございます。

 これは、反対する権利者がいない、また、簡易なものを除いて建築物がなく現に利用されていない所有者不明土地を公共事業のために収用する場合に、収用委員会にかわって都道府県知事が裁定することなどによりまして、手続の合理化を図るものでございます。

 委員御指摘のとおり、反対する権利者がいる場合には本制度は適用できませんで、現行の土地収用法による不明裁決などを活用していただくことになります。

階委員 反対する地権者が存在する場合は利用できないということでした。

 それからもう一つ確認したいんですが、この法案で、所有者の探索を合理化する仕組みということで、法案の概要の二に書いています。「所有者の探索において、原則として登記簿、住民票、戸籍など客観性の高い公的書類を調査することとするなど合理化を実施。」というのがあります。

 この仕組みは、移転元地にある買上げ対象土地で、権利者不明であるものについては利用できるのかどうか、これも事務方で結構ですので、教えてください。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 移転元地でありましても、必要な事業を行う場合には、この制度を使えることになってございます。

階委員 所有者の探索を合理化する仕組みというのは、移転元地で権利者不明の場合に使えるというのは私は前進だと思いますけれども、ただ他方、その前に伺った、反対者がいる場合は使えないというところはなお改善の余地があるのではないかということで、買上げに反対する方がいる場合について、移転元地がモザイク状になる一つの理由ではないかというふうに思っています。

 そのモザイク状になっている土地で、行政側がここを活用するための復興事業をやりたいというときに、それを迅速に進めるために新たな法制度が必要ではないかということで、先般、野党六党で共同提出した特区法の改正案、これを資料の四ページ目につけております。

 異議申出がない場合、ある場合で分けておりますけれども、異議申出がない場合は、用地委員会に対し補償金を予納すれば、直ちに使用裁決を経て明渡しということなんですが、異議申出がある、真ん中の左側の方ですけれども、この場合であっても、権利取得裁決ができる。そして、各筆の土地ごとの、個々の権利者の持ち分はわからなくても、それに見合う補償金を納付すれば、明渡しを受けて工事に着工できるということであります。

 反対者がいる場合でも適用できるという意味では、政府の先ほどの案よりも更に一歩前進ということで、私はこれをやるべきではないかというふうに考えますけれども、この点について大臣のお考えをお願いします。

吉野国務大臣 今国会に国交省から提出された新法に基づく新制度は、反対する地権者がいない場合に限り活用できるものである、このように承知をしております。

 住宅再建・復興まちづくりに当たっては、現行の土地収用制度を抜本改革し、土地収用の手続を大幅に簡素化、短縮をしたところでございます。これは、主に所有者不明土地への対応を想定したものでございますが、用地取得が難航する収用手続においても活用されております。

 引き続き、これらの制度を的確に活用していくことが重要である、このように考えておる次第であります。

階委員 ごめんなさい。最後に今の点だけ確認しますけれども、反対者がいる場合ではこの新しい制度は使えないということなんですけれども、更にそれを一歩進めて、野党の提案しているようなことについて取り組むべきだと私は考えますけれども、この点についてはどういうことなんでしょうか。

吉野国務大臣 この点については国会で大いに議論をしてほしい、このように考えております。

階委員 時間が来たので終わりますけれども、最後につけておりますのは、被災地で生産年齢人口以下で人口減少が進んでいるということで、予算委員会でも同じものを出しました。この部分について、やはり復興を進める上で大きなメルクマールとして取り組んでいくべきだということを最後に申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 無所属の会の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 三月十一日、南相馬市の追悼式に参列させていただきました。御遺族の皆様は、丸七年たっても消えることない悲しみを持ちながら、それでも前向きに生きていらっしゃると思います。

 被災地と言われるその地域、私たちのふるさとでは、インフラ整備が進んでいます。インフラが、あるいは一つの成果物ができれば、明るい話題だ、明るいニュースだというふうにも言われます。ある意味、地元の方々とはそれを喜び合いたいとも思います。

 しかし一方で、私たちが本当に目を向けなくてはいけないのは、あるいは光を当てなくてはいけないのは、この復興の前進、歩みの中で取り残されてしまっている人たち、あるいは取り残されそうになってしまっている人たち、そしてまた、取り残されると恐怖感を抱きながら生きている人たち、そういう方々への支援だというふうにも思います。

 福島県の原発事故からの再生というのは、本当に長い道のりを歩んでいかなくてはいけません。その上で、今、復興大臣も、地元ということで本当に頑張っていらっしゃるそのお姿を拝見していますけれども、復興庁という組織、もっともっと生かしていかなくてはいけないというふうにも思いますし、また、本来は、各省庁に横串を刺して、本当の意味での司令塔にならなくてはいけない。でも、それが本当になし遂げられているかというと、そうではないという状況です。残念でなりません。

 それでも、私は、復興庁がこれからもやはり今申し上げたように必要な組織として存続していくのかどうか、今議論を重ねていらっしゃるというふうには思いますけれども、どのような議論を重ね、どのような検討をなされ、そしてどのような形でこの組織というものを残していくか、ふるさとの復興再生のために残していくか、このことについてまずお伺いしたいというふうに思います。

 三月九日、地元紙の福島民報が記事を出していたんですが、県内全五十九市町村長を対象に実施したアンケートで、二〇二〇年度末に設置期限を迎える復興庁の後継組織のあり方というのを聞いています。そして、それに答えているんですが、全ての首長が、設置期限とともに終了する復興・創生期間後も国による震災と原発事故への対応を求めているということでありますし、復興庁の設置期限の延長を求めたのは二十四で最も多く、次に、福島に特化した新組織をつくるべきだと答えたのは二十一というふうになっています。

 繰り返しお伺いいたしますが、復興庁の設置期限後のあり方について、大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。

吉野国務大臣 復興庁が設置されている間は、できることは全てやり遂げるという気概を持って、被災地の復興に全力で取り組んでまいる決意であります。

 復興庁設置期間経過後の組織のあり方については、復興施策の進捗状況等を踏まえ検討してまいりたい、このように考えております。

金子(恵)委員 大臣、それでは、検討してまいりたいというのは、これからの議論ということですか。

吉野国務大臣 復興・創生期間の、平成二十八年ですけれども、基本方針をつくりました。その中で、三年後見直し規定が入っております。二十八、二十九、三十でありますから、今年度がまさに見直しの開始の時期になるわけでございます。

 ですから、今年度、まだ始まったばかりでございますので、これからいろいろな資料、データを集めながら議論を進めていくわけでございます。

金子(恵)委員 吉野復興大臣、閣議後の記者会見で、三月九日の記者会見でありますけれども、福島については、総理は国が前面に立ってという御発言がありますから、福島はあと三年で復興が終わるわけはありませんので、ただ、岩手、宮城は、先ほど私が申しましたように、土地はつくられてもこれからなんです、やっと土地ができた、なりわいの再生をしていくためにはこれからなものですから、復興をつかさどる後継組織は、福島だけでなくて、そういう地域もきちんと支援できるような後継組織をつくっていきたい、このように考えているわけですとおっしゃっています。最後には、どういう形になるかはこれからの議論ですけどねというふうにもつけ加えていらっしゃる。

 今おっしゃったこと、そうなんだと思いますけれども、私は、例えば、地元紙がアンケート調査を市町村長にされた、そしていろいろな御意見というのが出てきているということでありますけれども、もうこういう時期であれば、復興庁がしっかりと地元の声というものを聞いて、いろいろな調査をしているべきだというふうに思うんですね。

 これからの課題なのか、これからの議論なのか、これからの検討なのか。私はちょっと遅いと思うんですが、いかがですか。

吉野国務大臣 議論の前提として、いろいろなデータ、資料、これが必要でございます。

 原子力被災十二市町村でございますが、一月中旬からヒアリングを行ってまいりました。各市町村の中長期計画の進捗状況及び今後の見通し、また生活環境整備や特定復興再生拠点等の進捗状況などについて、一通り、ファクトベースを中心にヒアリングを終えたところでございます。今後、これまでのヒアリングも踏まえ、各市町村に加え、福島県庁からも考えを伺う予定にしてまいります。

 そして、県内のヒアリングが終われば、今度は岩手、宮城のヒアリングもして、どういう事業が三年後も続くのか、そういうファクトを集めていかないと議論は進まない、このように考えていますので、そういうところは着手をしているところです。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 着手というよりは、常日ごろから進捗状況等のそういう情報は手元にあるというものだと私は理解しています。

 私も、以前、復興の政務官をさせていただきましたので、本当にそれは、流れるように日々日々変わっているかもしれないけれども、全部知っている。でも、どういうニーズがこれから発生するか、そういうことも含めて恐らく未来形でもおっしゃっているんだというふうにも思いますので、ぜひ丁寧に、いろいろな情報を収集しながらも、しかし、やはり必要なものは必要だということで、しっかりとした組織づくりをしていただきたいということ。

 本来の司令塔としての機能があったこの復興庁、復興庁の長というのは内閣総理大臣なんです。ですので、それぐらい大きな組織であったはずですから、今現在は、本当に地元を知っている吉野大臣が大臣でいらっしゃるから動いているということだと私は理解していますけれども、でも、ほかの大臣、各省庁の各大臣、全ての大臣が復興大臣なんですよね、本来は。そういうことです。ですけれども、どうしても、いろいろなやりとりをほかの委員会等でもしていますと、人ごとのように答弁があったり、どうもこの内閣は、東日本大震災、原発事故の問題を風化させていると思うんです。

 ぜひ、吉野大臣、頑張っていただきたいと思います。一言、何かありますか。

吉野国務大臣 四月一日も、富岡町のふたば医療センター附属病院が開院をいたしました。ここには加藤厚労大臣も出席をしております。武藤副大臣もいろいろ福島に入られて、政府の皆さんは本当に、福島、岩手、宮城、被災地に何度も足を運んでおるところでございます。

 閣僚全員が復興大臣である、これは総理から大臣を任命するときに全閣僚が言われている言葉でございますので、復興大臣だという気持ちで政府挙げて復興に取り組んでいるところを御報告したいと思います。

金子(恵)委員 全閣僚、全大臣が復興大臣なんだということでありますけれども、実態とは違っているということを申し上げなくてはいけないのは極めて残念です。

 三月の二十日に、福島県内の、避難区域が設定された十二市町村以外のモニタリングポスト約二千四百台の撤去について、原子力規制委員会が、空間放射線量の低い地域から作業を始め、二〇二一年の三月末までに完了させる、そういう決定をしたということでございます。

 この撤去については、県内の首長の皆さんからも、測定というものを継続すべきだという声があったり、あるいは、やはりこの体制縮小を疑問視する意見が出ているということです。身近な方々の声を聞くと、モニタリングポストがあったから、安全だけではなくて安心の確保ができていた、学校や公共施設の周りにモニタリングポストがあって、大丈夫ということを確認しながら過ごすことができたというような声もあります。

 福島市内の小学校、中学校では、除染で剥ぎ取った表土が埋められているわけで、二〇一八年度から順次仮置場に搬出する方針なんですけれども、この作業をする上でもやはりモニタリングポストが必要で、作業中に周りに影響がないということを確認しながらこの作業を進めるためにもモニタリングポストが必要だというような意見があったり、あるいは、会津若松でも放射線に不安を感じる市民の方々がいるということ、そしてまた、観光客の方々にしっかりと原発前の水準に戻っているということを示すためにもモニタリングポストが必要じゃないか、そういう声を出していただいているようでありますけれども、このことについて大臣はどのように受けとめていらっしゃいますか。

吉野国務大臣 リアルタイム線量測定システムの配置の見直しに当たっては、住民の方々が不安を抱かないよう、原子力規制庁は地元の方々への丁寧な説明や情報発信に努めることが重要でございます。

 復興庁として、原子力規制庁に対し、住民の方々に対する丁寧な対応を求めております。私からも、特に学校関係者、校長先生等ときちんとお話合いをして、丁寧な説明をお願いしているところでございます。

金子(恵)委員 例えば、教育現場の先生方に対してはどなたが説明をされますか。

吉野国務大臣 ちょっと私、耳が遠いものですから、ごめんなさいね。

 規制庁の職員がきちんと、規制庁の職員が出向いて丁寧な説明をするようにというふうに、私は、お願い、指示をしたところです。

金子(恵)委員 もちろん所管は規制庁であるかもしれませんけれども、先ほど来申し上げているこのことについては、原発事故からのさまざまな課題を乗り越えるということについては、福島の我々県民にとっては、まさに復興を目指す上で最も重要な課題なわけです。これは復興庁の課題なんです。ですから、復興庁のどなたか、大臣でも結構ですから、きちんと地元に説明をしていただきたいと思います。いかがですか。

吉野国務大臣 その点は、私も福島県民の一人であるし、モニタリングポストがあることが当たり前の今の状況でございます。

 ただ、本当に十分に低い線量、もう長期的に低い線量のところは撤去していくというお話を規制庁から聞いたわけでありますので、即座に丁寧な説明をせよという、規制庁に対して要請をしたところです。

 復興庁としても御説明せよというのであれば、それは私みずから、いろいろなところを回っておりますので、こういうわけでモニタリングポストを撤去するよというお話は、もう何回もしているところです。

 ただ、これから学校再開をするところがございます。そこにない場合もございますので、そこはきちんと、これから学校再開をしていくところにはモニタリングポストを移設するというようなお話も伺っておりますので、そういう意味で、帰還が十分進むように配慮していきたい、このように考えています。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 何度もお伺いいたしましたのは、あえてお伺いいたしましたけれども、やはりあえて復興庁がしっかりと地元に寄り添っているという姿勢を見せていただきたいということです。

 このように、モニタリングポストの件でも不安に感じる方々がたくさんおいでで、これはある意味大きなストレスになるというふうにも思います。そのように、被災地では、トラウマを抱えている人たちも多かったり、あるいは、心のケアを長期にわたって行っていかなくてはいけないという状況にありますけれども、特に福島は、原発事故が収束していないということから、ストレスとなるような新たな課題というのがどんどん出てくるということです。ですから、これから、心のケアを必要とする人が減るというよりは、ふえていく可能性がある、そういう認識をお持ちになっていただいた上で私は対策を講じるべきだというふうにも思っています。

 もちろん、岩手、宮城も、先ほどもお話がありましたけれども、例えば、仮設住宅から新しい住まいに移り住んでも、その新しいコミュニティーになじめなかったり、高齢者の方々が孤立化したり、そういう事態も発生しています。

 見守り活動の継続はもちろん必要でありますけれども、しっかりとした心の復興を目指す心のケアというものを、専門家の方々の支援体制をきっちりとつくり上げて進めていかなくてはいけないというふうに思いますが、取組をお聞かせください。

吉野国務大臣 私自身が、約一年くらい前から、津波の映像をテレビで見たくなくなっちゃったんです。ですから、大臣に就任してから、今こそ心のケアというものが、六年もたったんだからもういいだろうという御意見もございますけれども、私自身がそういう心のケアが必要だというふうに、そういう症状があらわれておりますので、今こそ心のケアが大事なんだという形で、私が大臣に就任してから、心の復興、心のケア等々を充実させてきているわけでございます。

金子(恵)委員 ぜひ期待したいと思います。よろしくお願いいたします。

 この心のケアを必要とする人たちというのは、住民の皆さんだけではなくて、心のケアを必要とする住民の皆さんを支える被災自治体の職員の皆さんも必要としているということなんです。

 原発被災自治体職員の皆さんに対する支援についてお伺いしたいと思いますが、ちょうど自治労福島県本部が、地方自治総合研究所の協力のもと、原発事故で被災、避難した十自治体、双葉郡の八町村と南相馬市、飯舘村でありますけれども、その自治体の職員の生活環境や意識などを明らかにする目的で、質問紙調査を、二〇一七年、昨年の十一月から実施したということで、ことしの三月の二日にこの結果が発表されたところでございます。

 結果のポイントを見ますと、避難指示解除後の生活環境というところでは、単身、遠距離通勤が続いて、もとの居住地に戻れる環境にないということであったり、また、働く上でのストレス、多くの職員が職務上の知識、経験不足や多忙、職員不足を感じている、三つ目には、原発事故、復興に対する意識ですが、復興のあり方について多くの職員が疑問を覚えているということで、大きく分けましてこの三点が言えるわけなんです。

 働く上でのストレスについては、多くの正職員が職務上の知識、経験不足と感じているということで、八二・四%の方がそのように感じています。二十五歳以下の方だけを引っ張りますと九五・四%。これは、いろいろな意味でお若く、まだまだ経験不足ということもあるかもしれません。経験に乏しいということもあるかもしれません。

 しかしながら、一方で、五十歳以下の全てでも八割を超えているということなので、そういう意味でいいますと、本当に厳しい状況の中で、この原発事故の対応というのは我が国で誰も経験したことがないものですから、もちろん我が国の全ての人たちを見ても誰も経験したことがないもの、それを今、頑張ってふるさと再生のために働いているという状況の中で、こういう数字が出ている。

 もっと申し上げますと、定年まで働くつもりの正職員は四八・八%、低いです。職員間の支え合い感や仕事の充実感が低いほど、定年前の退職意向が高いということもわかっています。七八・四%が多忙、職員不足と感じている。

 まずは、このような数字も今申し上げましたけれども、福島県の被災自治体職員が大変疲弊している状況であるということをどのように御認識いただいているか。そしてまた、このような自治体職員の皆様方が本当に頑張ってはいるけれども、一方で私たちが懸念しているのは、マンパワーの減退というものが復興への足かせとなっているのではないかということです。国による長期的な支援というものが必要になってくるのではないかと思いますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

吉野国務大臣 発災当時、楢葉町がいわきに最初避難していたんですけれども、会津美里に移るということで、バスで移動しました。私も会津美里の体育館に参りました。昼間だったんですけれども、雪がしんしんと降っていました。本当に体育館の中は寒かったんです。でも、役場職員の方々は、寒い体育館であっても、ストーブの火を消して歩いていたんです。何で消しているんだと私は文句を言ったんですけれども、灯油が本当に足りなかった時期でございましたので、昼間は何とか我慢できる、夜のために昼間ストーブを消して歩いていたこの姿を見て、本当に、涙を流しながら役場職員の方々はストーブの火を消して歩いていたんだなと今思います。

 そういう意味で、被災自治体が対応すべき業務は本当に多岐にわたっております。そういう意味では、過重な負担が職員の方々にかかっている、そういう認識をしております。このため、被災自治体のマンパワー確保が引き続き重要である、このように認識をしております。

 そして、マンパワー確保のために、全国の自治体から職員派遣や、被災自治体による任期つき職員の採用等に要する経費について、引き続き、全額国費で支援をしておるところでございます。また、全国知事会等さまざまな機会を通じて、職員派遣の継続、協力の要請や、任期つき職員採用の支援を行っております。加えて、復興庁でも、一般公募により採用した国家公務員の非常勤職員等を被災市町村へ駐在させ、人材確保に努力をしております。

 今後とも、総務省等の関係省庁や県等とも連携し、さまざまな形で地域の実情に応じた人材確保に取り組んでまいる所存でございます。

金子(恵)委員 総務省のスキームもあります。そしてまた、さらに、自治体が独自で職員の方を確保するということもあるというふうには思うんですけれども、今おっしゃっていただいたものは、任期つきであったり非常勤であったりということで、今、通告はしていないので、どれぐらい被災地に平均して派遣されているかということはわかりませんけれども、それはわかりますか。わかれば教えてください。

吉野国務大臣 被災三県の調べによれば、三県の市町村からは、今月、三月一日時点で二千七百十五人の人的支援の要望がございます。これに対し、全国の自治体からの派遣職員などによって二千五百十二人の職員が確保され、充足率は九二・五%となっております。

 引き続き、総務省等の関係省庁や県等とも連携し、被災自治体の人材確保に取り組んでまいる所存でございます。

金子(恵)委員 済みません、私の聞き方が悪かったと思うんですが、充足率とかそういうことではなくて、そういう派遣されている方々が、どれぐらいの期間、それぞれの自治体のために働いているかということです。

 私がここで申し上げたいのは、それぞれの自治体のニーズというのをしっかりとまずは知ることから始まって、そして仕事をされていくんだと思うんです。それで、この復興の道のりというのはとても長いです。特に福島の問題というのは、なれたなと思ったらばすぐ交代ということになってしまってはいけないわけです。ですから、任期つきとか非常勤とかそういうことではなくて、きちんと正職員を間違いなく確保できるような、マンパワーをしっかりと得ることができるような仕組みづくりとか、そういう意味でのそれぞれの被災自治体を支援するという方策を考えていかなくてはいけないというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

吉野国務大臣 今手元に、何年勤めたかという資料がございませんけれども、今の御意見を踏まえまして、これから各自治体と、やはり仕事になれた方がどうしても我々にとっては必要でございます。でも、善意で派遣をしてくれている自治体にとっては、ある一定期間ではやはり家族のもとに戻してやらねばならない、こういうこともございますので、これから各自治体を通じて検討していきたい、このように考えております。

金子(恵)委員 そうであれば、もう一回、先ほどの自治労の調査の数字を思い出していただきたいと思います。人手不足で苦しい、そういう数字も出しているわけです。

 今のこういう派遣の現状、もちろん、おいでいただいて、それぞれの皆さんはありがたいというふうに感謝をしているというふうに私は思いますが、一方で、それだけでは全く現場は機能していないということだと思います。

 ですので、もちろん、職員定数の問題等もあります、そういうものをしっかりとクリアできるような新たな仕組み、新たなスキームというのを考えていかないと。これからますます、この福島の復興のゴールに向かうためにはさまざまな業務というものが発生してくるというふうに思います。それに対応するマンパワーをしっかりと確保できるように、ぜひ大臣にはお考えいただきたいということを申し上げさせていただきまして、私の時間を終わりたいと思いますが、最後に、大臣、何かありましたらお願いいたします。

吉野国務大臣 マンパワーの確保は、これは本当に被災自治体にとって大事な大事なことでございます。被災自治体にとっても、また被災の民間の企業、これのマンパワーの確保も大事な要件でございますので、しっかりと取り組んでまいりたい、このように考えております。

金子(恵)委員 終わります。

谷委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 復興特別委員会が昨年の通常国会終了後全く開かれておらず、七年目の三・一一にも間に合わなかったのはじくじたる思いがあります。課題は山積しており、ぜひ、本日の所信質疑の後も、被災地への視察や参考人も含め、委員会を動かしていただきたいと思います。これを一言要望しておきます。

 きょうは、期限のある問題について幾つか質問いたします。

 被災者生活再建支援制度の加算支援金の申請期限は、被災自治体の要望を受け、おおむね二〇一九年四月十日までと、延長されています。

 例えば、気仙沼市では、二〇一九年度に事業完了が見込まれている土地区画整理事業の区画内においては、住宅再建が当然それ以降になってしまうわけですね。住宅再建を目指している人が利用できなくなることがあってはならないと思います。

 ぜひ申請期限については配慮してほしいと思いますが、いかがでしょうか。

米澤政府参考人 お答えいたします。

 被災者生活再建支援金の申請期間につきましては、やむを得ない事情により被災世帯の世帯主が申請期間内に申請することができないと都道府県において認めるときは、都道府県の判断におきまして延長することは可能となっているところでございます。

 住宅の被害程度に応じて支給する基礎支援金、また住宅の再建方法に応じて支給する加算支援金のいずれにつきましても、今後の地域の実情を踏まえまして各県において適切に判断されるものと考えております。

高橋(千)委員 三月六日付の岩手日報によると、一月末現在でまだ七千七百五十八名が仮設住宅に住んでいる。岩手日報社が実施したアンケートでは、当初思い描いていた退去時期は震災後三年半と答えているそうです。退去できない理由は、四六・九%が宅地造成のおくれであること。

 今、答弁の中で、県の判断で適切にやるということをおっしゃっているわけですけれども、毎年毎年要請しなければ延長しないではなくて、やはりよく事情をつかんで、これは漏れることがないようにお願いしたいんですね。基礎支援金もとおっしゃいましたけれども、ことしの四月十日で期限を迎えるところもございます。そうしたところも含めて、しっかりと対応していただきたい。お願いをいたします。

 次に、復興公営住宅の家賃の問題なんですけれども、東日本大震災特別家賃低減事業によって、政令月収八万円以下の世帯に対する家賃補助がこれまでされていました。六年目から、段階的に補助が減額をされる。被災者にすれば、値上げになるわけです。補助が減る分、値上げになる。十一年目に通常家賃になります。また、収入基準を超える方の家賃は、収入超過者と呼ばれていますが、入居後三年以上で近傍同種家賃へと引き上げることになります。

 家賃の減免を引き続き望む声が多く、資料の一枚目につけておきました、復興庁が昨年の十一月二十一日に、自治体の独自減免を認める趣旨の、私が言った二つの方、低所得者の場合と収入超過者の場合、どちらも自治体の判断で減免できるということを通知していただいています。

 では、被災三県で、どのくらいの自治体が独自減免に取り組んでいるのでしょうか。

黒田政府参考人 お答えをいたします。

 三十年四月、今月から家賃が上昇する可能性のある自治体は、低所得者につきましては七つございます。その全ての自治体におきまして独自の家賃減免が既に行われているという状況になってございます。

 例えば、石巻市では、東日本大震災特別家賃低減事業と同水準の減免を六年目から十年目まで続け、十一年目から二十年目にかけて減免額を縮小していく。また、大船渡市では、東日本大震災特別家賃低減事業の五年目までとおおむね同水準の減免措置を創設済みとなってございます。

高橋(千)委員 昨日、復興庁から、県、自治体の実情をつかんでいますかということで資料をいただいたわけなんですけれども、四月二日付の実情だということで資料をいただいて、今その一部を紹介していただいたんですけれども、実は、資料の二枚目につけたのは、復興特別調査室に調べていただいたものなんですね。これは三月の資料なんですけれども、復興庁が調べてくださったやつよりも詳しいかな、まあ、こう言っちゃ失礼ですが。もう少し実態をつかんでいただきたいなというふうに思うんです。

 例えば、岩手県の場合は、そもそも低所得者の基準自体を、今私が最初に言った八万ではなくて六万九千円以下に下げていることや、近傍同種家賃に合わせる、これを最もまともにやっちゃうと十四万何とかというふうな額になっちゃう。それを、釜石のどこどこ地域の一番安いところを探して七万七千円というふうにしている。基準そのものを安くしている。そこからスタートしていますので、補助もかなり身近な額になってくる。

 そういうふうな取組をしていて、県がやっているので市町村も、見ていただくとわかるように、宮古市、大船渡市、陸前高田市、釜石市というふうな形で、県と同じ中身の支援をしているということがわかると思うんですね。

 残念ながら、宮城県は県営住宅を持っておりません。県の復興公営住宅をやっていない。そのために、やはりばらつきが非常に大きいです。石巻や仙台市が十年目まで今と同じ水準で家賃補助を延長するということを決めてくれたことは本当にありがたいと思っているんだけれども、こうして見ていただけると、かなりばらつきがあると思うんです。

 また、収入超過者に対しての支援が仙台市などはまだないということであります。

 だけれども、仙台市では、三千九十世帯のうち、三千九十というのは復興公営住宅に入っている世帯、そのうち減免を受けている世帯は千九百六十六、そのうち月収ゼロ円の特一区分にいる方が四割を超えている、こういう状況なんですね。被災者の本当に深刻な状況に対応していかなければならないと思うんです。

 今、八十歳のおばあちゃんが、五千円の家賃を何とか国民年金から払っているといいます。けれども、あと五年で一万五千円になっちゃう、もうこれは絶対国民年金から払っていけない、その年になって公営住宅を出なきゃいけないのかと不安でたまらない、そういう声を上げているんですね。

 国としての支援を継続するべきと思うが、いかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答えをいたします。

 東日本大震災の災害公営住宅につきましては、その整備に際しまして、激甚災害の場合と比べましても整備費あるいは家賃の低廉化の補助というものを大幅に拡充いたして、自治体に対しまして特段の負担の軽減を図ってまいったところでございます。したがいまして、自治体が今後も家賃の減免を継続するということで入居者の負担を引き続き軽減していくことは可能な状況となってございます。先ほども申し上げたとおり、今月から家賃が上がる可能性のある自治体では、低所得者向けの対策を既に実施済みとなってございます。

 今後とも、復興庁といたしましては、自治体に対して、家賃の減免を継続できる、そういったことについて丁寧に説明を行い、入居者の居住の安定が図られるように努めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 少し確認します。

 今後もという中で、十年を超えても自治体の判断ではまず減免が可能なのだということが一つ。

 それから、もう一つは、特段の軽減をやってきたんだから、それでいいんだというお話をされました。それで、自治体の補助ができるんだという理屈だったわけですけれどもね。それだけの規模の災害であった。だからこそ特段の支援を国会としてみんなで決めたわけでありますし、そして、現実にこうして全く資力のない人たちが、五年、十年たったら追い出されるんだろうか、そこを心配しているわけですから、自治体の実情もよく聞きながら国として一定の方向性を出していくことの方が、やはり独自の努力もするけれどもそこに合わせていく、それはばらつきを少しでも減らしていく方がいいと思う、そういう趣旨で質問していますので、お願いいたします。

黒田政府参考人 お答えをいたします。

 まず、十年後以降もでございますけれども、特に公営住宅の家賃につきましては、御案内のとおり、各自治体で独自に対応することが可能なもともと仕組みになってございますので、十年後以降も自治体の判断で軽減をしていくことが可能な仕組みとなってございます。

 それから、今少し申し上げましたが、もともと公営住宅の家賃といいますのは各自治体が条例によりまして設定をする、そういう仕組みになってございますし、先ほど来申し上げたような特段の財政措置もとっているところでございます。

 したがいまして、復興庁としては、自治体に対して、家賃の減免を継続する、そういったことについて丁寧に説明を行ってきたところでございますし、各自治体において適切に御判断いただいてきているものと思っております。今後も、各自治体において地域の状況というものを踏まえて適切な対応が行われるように、相談を始めさまざまな取組を行ってまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 まず、前段は可能であるということを確認させていただきました。後半の方はなかなか難しい答えだったかと思いますが、丁寧に自治体の実情を聞きながらとおっしゃっていただきましたので、よくそれは相談していただきたい、このように思います。

 次に、高台移転が進むとやはり交通が不便になるわけなんですね。自動車がないと買い物も通院もできないという状態があります。どこのうちにも車一台くらいあります。だけれども、仮に車を持つ人が出勤してしまうと、残されたお年寄りとかあるいはひとり暮らしの方は買い物にもどこにも行けなくなるわけですから、絶対に足の確保は必要なわけです。

 私は、震災の年からコミュニティーバスのことを取り上げてきました。このことを最初に取り上げたきっかけは、御遺体の安置所を幾つも幾つも捜し歩いている被災者の方を見たときに感じたことなんです。鉄道が被災したこともありました。小さな個人タクシーが乗り合いタクシーという形で少しずつ走り始めた、そういう話題も広がっていました。そのときに、やはり瓦れきの中でもバスだったら走れる、ミニバス、個人タクシー、乗り合いタクシー、こういう形だったら始められるということを求めて、それに対して被災地特例という形でこの制度ができたのではないか、こういうふうに思っております。

 資料の三枚目を見ていただきたいんですけれども、特定被災地域公共交通調査事業という形でずっと続いておりまして、ピークのときは三十二の交付自治体。対象地域が三十九市町村あるんですけれども、そのうち、ピークでは三十二自治体まで広がったということなんです。ただ、今は二十二まで落ちているということで、それが必要なくなってこうなった、円滑にほかに移動したというのであればいいんですけれども、そうでなかったら困るんですね。

 何が言いたいのかといいますと、実は、上の方を見ていただきますと、この補助対象事業は仮設住宅を回ることを要件としています。ですので、定額補助なんですけれども、仮設住宅の箇所数、六十カ所以上だと六千万円が上限だけれども、三十カ所未満だと三千五百万円と、はなから仮設を回ることを想定しているわけなんです。これはやはりおかしいと思うんですね。

 震災から七年たって、もちろん残っているところはありますから、それは必ず回るべきですよ。だけれども、実際にそれが公営住宅にかわっている。そういう実情を見れば、当然そこに変えていかなければならない。駅前や役場、病院前に建っている復興住宅もあります。だけれども、郊外にぽつんと、店も何にもないところに建つ復興公営住宅、防集移転団地なども要件にしてよいのではないでしょうか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、東日本大震災の被災地の生活交通を確保するため、復興特会による地域公共交通確保維持改善事業の被災地特例において、応急仮設住宅等と病院、商店等の間のコミュニティーバスなどの運行を支援してきたところでございます。

 復興特会による地域公共交通確保維持改善事業の被災地特例については、引き続き応急仮設住宅等を経由する運行を支援してまいりますが、現在までの被災地の状況に鑑みれば、多くの運行が災害公営住宅も経由するものとなっております。

 また、応急仮設住宅等が解消された後、応急仮設住宅等を経由せずに災害公営住宅を経由する場合であっても、一般会計による地域公共交通確保維持改善事業において、交通不便地域の移動確保等を目的とした支援の対象となり得るものと考えております。

高橋(千)委員 本当に残念な答弁なんですよね。せっかく被災地特例をして、しかも、今おっしゃっているように、いずれは解消されるということを想定に置いていて、何でそれが急に一般会計になるのか。しかも、これは三十二年度までの事業なわけですよね。その間だけでもやればいいじゃないですか。

 先日、気仙沼市の高台移転に行ってきました。十メートルくらいの擁壁の上に住宅が建っているところもあったんですね。それだけ土地の確保というのは大変だと思った。それと、公営住宅が並んでおります。

 コミュニティーバスが来るのかなと思ったら、そうではなくて路線バスが来ている。それはいいことだねと思って、すぐ近くに県立高校がありまして、ああ、ここにバス停があるから、そこで回ってくるのかなと思ったら、四月でその学校は統合されました。今、被災地はそういう状況なんですよ。

 そういう状況で、一般のやり方でいいって、それは違うでしょう。やはり被災地の状況に応じて特例でやってきたわけですから、せめてこの措置をしている間だけでも、それにかわる、仮設住宅でなくても公営住宅、そういう条件が厳しいところは見ていくということでやったらいかがでしょうか。もう一回。

松本政府参考人 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、全てを網羅的に調べたわけではございませんけれども、この調査事業がこの二、三年で終了した自治体において、例えば福島県の須賀川市や川内村では、応急仮設住宅はなくなりましたけれども、一般会計による地域公共交通確保維持改善事業によって災害公営住宅の足の確保を行っているところでございます。

高橋(千)委員 それは、そういう対象になっていないから、やむを得ずそうしたんでしょう。やむを得ずやっているということを見て、本当に必要じゃないのかということを見ていけばいいんですよ。今の補助制度の中だって、ドライバーが確保できないとか補助上限が厳しいとか、本当は悲鳴を上げているんです。そういう中でも被災者の足を確保しようと頑張っているんですから、もう少し前向きに検討していただきたい。重ねて指摘をしたいと思います。

 もう一つ、期限のある問題でお話ししたいと思うんですが、震災から七年たちまして、災害援護資金の返済が、六年の猶予期間を経て、昨年あたりから始まっております。

 内閣府からいただいた資料によりますと、二十二年たつ阪神・淡路の被災者は五万七千四百四十八件の貸付件数があったそうですけれども、件数で一六・八%、額では一〇・八%の百四十三億何がしの未償還金が残されているというわけで、二年前、ようやく東日本大震災と同等の無資力要件を加えて、免除の要件を緩和いたしました。

 私は、東日本の被災者が同じ道をたどるのではないかと心配をしているんです。

 東日本大震災の援護資金は、二万九千四百八十五件、五百十九億九千六百八十四万円の実績があります。この要件の資料は後ろの方につけておいたわけでありますけれども、今後、やはり無理のない少額返済を認めていく、あるいは、それでも厳しい被災者にはやはり免除の要件、無資力要件というのがあるわけですけれども、これが非常に曖昧なために、自治体負担になってしまう可能性もあるわけなんですね。

 保護の方たち、あるいはやむなく破産をした方たち、それと同等の方たち、そういう形で一定緩和を必要とすると思いますが、いかがでしょうか。

米澤政府参考人 お答えいたします。

 災害援護資金につきまして、少額償還と免除の二つの点を御質問いただいたと考えております。

 東日本大震災におきます災害援護資金につきましては、御指摘のとおり償還が開始されたところでございます。貸付けを受けた方が疾病、負傷等、その他やむを得ない理由により支払い期日に償還金を支払うことが著しく困難になったと認められるときには、市町村は償還金の支払いを猶予することができることとなってございます。

 御指摘の少額償還につきましては、この支払い猶予が認められた上で先送りされた債務につきまして、通常の年賦又は半年賦ではなく、例えば毎月少しずつ返済をしていただくものでございます。

 少額償還によるかどうかにつきましては、東日本大震災の被災市町村におきまして債務者の個々の事情を丁寧に勘案し、適切に判断されるべきものと考えており、その旨、関係県を通じて市町村の状況をしっかり把握してまいりたいと考えてございます。

 次に、免除要件につきましては、支払い猶予以上に債務者間の公平性の確保が重要であると考えてございます。

 東日本大震災の災害援護資金では、最終支払い期日から更に十年経過した後においてなお無資力等である場合に市町村が免除できることとなっております。

 いずれにいたしましても、東日本大震災の災害援護資金の債権管理が適切に行われますよう、関係自治体によくその事情を伺ってまいります。

高橋(千)委員 時間がなくて大臣に質問できなくなってしまったんですが、言いたいことは、これまで何人かの方がお話ししていたように、やはり復興庁の存続の問題です。いろいろな問題が、十年でやはり復興庁とともに区切りをつけたいという姿勢がすごく感じるんですね。

 そうではないんだ、必要があるんだ、被災地の実態はまだ続いているんだという立場に立てば、やはり復興庁が、期限で、はい終わりますというわけにはいかないだろうということで、大臣がまず発信していただきたいということを重ねて要望いたしまして、質問を終わります。

谷委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 私が議員を目指した大きなきっかけとなったのが、七年前の東日本大震災でした。東北へボランティアにも行かせていただきましたが、ただただ自分の無力さを感じ、途方に暮れたことを今でも鮮明に覚えています。

 政治家を目指し、七年かかりましたが、このたび初当選をさせていただきました。党から衆議院のどの委員会を希望するかと聞かれたときには、真っ先にこの委員会を希望しました。そして、本日、この場で質疑をすることができることとなり、本当に感謝をしております。今後とも御指導のほどよろしくお願いいたします。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 平成二十三年三月十一日、未曽有の大震災のあの日から七年がたちました。しかし、ふるさとからの避難を余儀なくされ、いまだに戻ることができない方々が全国に約七万一千人、福島県では約五万人おられます。帰還を願っていても、既に新しい移住先で、子供の学校など、生活が前に進んでいて、帰還を諦めた方々もいらっしゃいます。福島第一原発事故による帰還困難区域は、帰りたくても帰れない地域です。そこに家があり、町があっても、帰ることができないのです。

 先般、百二歳で自死された方の判決が出ました。高齢だった大久保さんにとって、村に帰還できず最期を迎える可能性が高く、耐えがたい苦痛を与えたとし、ふるさとへの思いを酌んだ判決だったと思います。

 地震と津波という自然災害が発端だったとしても、これまでの自然災害とは異なる放射性物質の拡散により、ふるさとに帰れなくなってしまった方々への自立のための支援は今後どのようにしていくつもりなのか、復興庁に伺います。

小糸政府参考人 お答えいたします。

 復興庁といたしましては、帰還される方、ふるさとへの思いを持ちながら地元を離れて生活する方など、さまざまな被災者に対して必要な支援を行っております。

 具体的には、避難されている方が帰還される際には安心して生活できるように、医療、介護、買物環境、教育などの生活環境整備をしっかりと支援してまいります。

 また、地元を離れて生活する方々が生活再建を果たされますよう、生活再建の相談支援を行う拠点の設置などの施策を実施いたしております。

 また、心のケアの取組も重要でございまして、平成三十年度に、双葉郡への新しい拠点の設置や、被災者支援に携わる方々に対する支援を充実させているところでございます。

 今後とも、被災者の方々の声に耳を傾けながら、できる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 私の地元選挙区の京都にも、東北からの避難者の方がおられます。三月十五日に京都地裁で判決がありました。原発事故に伴い、福島、茨城、千葉などから京都府に避難した五十七世帯百七十四人が、国と東電に対し、計約八億五千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決です。京都地裁は、国と東電に対し、原告のうち百十人に約一億一千万円の賠償を命じました。

 原発避難者の集団訴訟は、これまで前橋、千葉、福島、東京地裁で判決が出され、今申し上げた京都地裁の判決後も、三月十六日に東京地裁、二十二日に福島地裁いわき支部でも判決が出されています。いずれも、国の原子力損害賠償紛争審査会の指針を超える賠償が認められています。これらの判決は重く受けとめなくてはならないと思います。

 生活再建支援拠点においての今後の支援について伺います。

 福島から県外へ避難を余儀なくされている方々に対して相談支援などを行っている生活再建支援拠点が、全国に二十六カ所あります。震災から七年が経過し、避難者の抱える課題も多種多様化しております。このため、それぞれの避難者の方々の悩みを十分理解し、それぞれに合ったきめ細かな支援が求められると思います。

 吉野復興大臣は、これらの拠点の半分以上をみずから視察されたと伺っております。各拠点においてどのような相談がなされているのか具体的にお聞きになられたと思いますが、どのような声が多かったのでしょうか。そして、それに対して大臣はどのようにお感じになられたのでしょうか。また、今後、これらの拠点において具体的にどのような支援を行っていくこととしているのか、お聞かせください。

吉野国務大臣 全国に設置をしております生活再建支援拠点、いわゆるよろず相談所でございますが、NPO等の支援者の方々が相談支援を実施しておりますが、避難者の生活再建を目指して一生懸命支援活動を行っております。心から感謝を申し上げたいと思います。

 私はこれまで、生活再建支援拠点を訪問いたしました。全部で二十六カ所のうち、十八カ所を回っております。支援に直接携わっている方々と意見交換をしております。

 現場では、避難者が抱える課題が個別化、複雑化をしております。何度も避難者の話を傾聴し、いわゆる傾聴、耳を傾けるという傾聴、こういう形で耳を傾け、避難者との間に信頼関係を築いておられる事例等を伺うとともに、避難者の課題に的確に対応するために支援者の心のケア等が必要となっている、こういうことを実感しております。

 このため、平成三十年度予算では、支援者に対する心のケア、いわゆる支援者の支援というところを強化しているところでございます。

 また、生活再建支援拠点では、住宅、自治体の支援策等に関する相談などをいただいております。例えば、住宅については、関係自治体等とも連携し、公営住宅の情報などを提供していると伺っておるところでございます。

 復興庁として、引き続き福島県を始め関係自治体と連携して、それぞれの方の御事情に応じた生活の再建が果たされるよう、被災者支援にしっかりと取り組んでまいる所存でございます。

 以上です。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 大臣が直接お聞きした被災者の皆様の思いが一日も早くかなえられるよう、全力で取り組んでいただきたいと思います。

 次に、帰還に向けた政府の支援策について伺います。

 避難指示が解除された地域では、この四月から、新たに五町村で小中学校が再開されます。町に子供が戻ってくることは、町の復興再生の大きな一歩となると思います。

 しかしながら、このような子育て世代が町に戻ってくるためには、しっかりとした生活環境の整備とともに、働く場が必要です。

 政府は、帰還した就労希望者に対し、具体的にどのような支援を行っているのでしょうか。また、雇用創出のため企業誘致などが求められると思いますが、その取組内容と実績もお伺いいたします。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 復興庁といたしましては、二十九年度から、就労希望者の若者や専門人材等を被災地に呼び込むとともに、企業の人材獲得力の向上を支援する人材確保対策を実施しているところでございます。

 また、厚労省におきましては、ハローワークにおいて、きめ細かな職業相談、職業紹介等の実施、被災求職者の雇入れ費用の助成、職業訓練への支援等の取組を行っているところでございます。

 被災された方々は今もなお、生活の根幹である就労、住まい、健康的な暮らしなど、さまざまな課題を抱えていらっしゃることから、関係府省庁の取組の連携を強化すべく被災者の生活再建に向けた関係府省庁会議を設置し、二月七日に第一回会議を開催したところでございます。

 こうした取組を通じまして、帰還した就労希望者が就労できるように全力で取り組んでまいります。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 雇用創出は大変重要な課題でありますので、しっかりとお願いしたいと思います。

 福島イノベーション・コースト構想の進捗状況について伺います。

 政府は、福島イノベーション・コースト構想を積極的に推し進め、廃炉やロボットに関する研究開発拠点の整備、先端農林業ロボットの研究開発などにより、浜通りに新たな産業基盤の構築を目指すとしています。大臣も、先日の委員会の所信表明で、福島イノベーション・コースト構想を推進し、産業、なりわいの再生を図ってまいりたいと説明されました。

 将来、十年、二十年先にどの程度雇用が見込まれると考えているのか、またどの程度の方々が県外から来ていただけるのか、福島の産業、さらに我が国の将来の経済社会にどのような効果をもたらすと見込んでいるのか、現時点での見通しを可能な限り具体的にお教えください。

小糸政府参考人 お答えいたします。

 御指摘がありました福島イノベーション・コースト構想は、浜通り地域などに新しい産業を創出し、また同時に、御指摘がありました雇用の創出にもつながる取組でございまして、福島復興の切り札であるというふうに政府として位置づけているところでございます。

 昨年の改正福島特措法に本構想を位置づけまして、関係閣僚会議ですとか、あるいは同法に基づく分科会を開催するなど、ナショナルプロジェクトとして推進するための体制を強化したところでございます。

 また、個別のプロジェクトにつきましても、楢葉町、富岡町、大熊町において廃炉関連の拠点が整備され、既に開始をいたしております。また、南相馬市と浪江町では福島ロボットテストフィールドの整備が進められておりまして、この夏までに一部が開始をする予定でございます。

 さらに、今後、産業集積の実現のために、産業団地の整備、企業立地促進、進出企業と地元企業のマッチング等々も進めております。

 御指摘がありました今後のそういった企業の目標ですとか、あるいは産業集積の目標、そういったものはまだ具体的な数字について設定しておりませんが、こういった各種施策を通じまして、まさに浜通り地域の新しい産業集積につながりますように、政府一丸となって、地元自治体、関係機関とも連携をしながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。

加藤政府参考人 先ほど、企業誘致の件について答弁をちょっと失念しておりましたので、追加をさせていただきます。

 平成二十五年から津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金によりまして、平成二十八年度以降は、自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金によりまして、福島県の十二市町村を対象に、工場等の新増設を行う企業を支援してございます。

 自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金ではこれまでに六十二件の案件を採択し、これにより六百四十一名の雇用が予定をされているところでございます。平成三十年度も所要の予算を確保し、現在公募を実施しているところでございます。

 今後とも、関係省庁と連携しつつ、被災地の雇用の受皿となる企業の新規立地を後押ししていく所存でございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 次に、東北の観光復興について、被災地のインバウンドについて伺います。

 政府は、平成二十八年を東北観光復興元年として、東北の外国人宿泊者数を平成三十二年には百五十万人泊とすることを目標とし、観光復興を実現すべく、観光客の誘致に向けてさまざまな取組を行っていると承知をしています。

 大臣も、先日の委員会での所信表明で、観光復興について、東北の魅力の発信強化、交流人口の拡大に向けた官民連携での取組強化などを行っていくと説明をされました。

 資料をごらんください。

 本年二月に観光庁が公表した宿泊旅行統計調査によりますと、平成二十九年に東北六県のホテルや旅館に泊まった外国人の延べ人数は約九十四万六千人で、被災前の平成二十二年比で一八七・一%となり、その中での青森県の伸び率は四〇四・七%で、群を抜いて高くなっています。新幹線の開通や、青森県は県を挙げて中国など近隣国の誘客に取り組んでいると聞いております。

 政府においては青森県の躍進の理由をどのように分析しておりますでしょうか、国土交通省からお答えをいただきたいと思います。

米村政府参考人 お答えを申し上げます。

 青森県におきましては、青森空港からの空からの観光客誘致や、一昨年三月二十六日に開通いたしました北海道新幹線の開通による東京方面や北海道方面からの陸の観光客誘致などに取り組んでおられるところであります。

 特に、チャーター便や直行便の就航に伴うプロモーションに力を入れました結果として、青森―天津間は昨年五月以降、週二便の定期便が運航いたしておりますし、青森―ソウル線は昨年十月に、週三往復から五往復に増便されております。さらに、台湾と青森を結ぶ初の定期チャーター便が昨年十一月に就航しているところであります。

 こうしたことなどによりまして、青森県における昨年の外国人宿泊者数は、おっしゃったとおり、速報値として約二十四万人泊でありまして、震災前の六万人泊と比較して実に約四倍となっているところということでございます。

 以上でございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 時間がありませんので、次の質問に移らせていただきます。

 風評払拭のためには、実際に東北を訪れ、観光してもらうことが一番だと思います。

 政府は、昨年十二月に風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略を策定しました。放射線に関する正しい理解と誤解の払拭はとても大きな課題です。ぜひとも粘り強い取組を継続していただければと思います。

 この戦略の中で、関係府省庁においてメディアミックスによる情報発信を実施するとしています。放射線に関する正しい理解の促進においては、メディアの活用は私も有効な手段だと思います。

 更に進んで、外国人観光客の誘客のためにメディアをもっと積極的に利用することも重要ではないでしょうか。映像などを用いて効果的に東北のよさを伝えることができれば、旅行客の一層の増加につながると思います。

 そのためには、ぜひとも、インターネット、テレビ、SNSなどを最大限活用し、海外の方の心に迫る戦略的な取組が求められますが、具体的にどのような活動を行っているのか、そして現時点での手応えをどう感じているのか、お聞かせください。

小糸政府参考人 お答えいたします。

 御指摘がありましたように、昨年十二月に政府として風評払拭リスコミ戦略を取りまとめたところでございまして、現在、これに基づきまして、関係府省庁連携をして、一丸となって風評払拭に取り組んでいるところでございます。知ってもらう、食べてもらう、来てもらうというような三つのカテゴリーに沿いまして、それぞれ関係省庁、できることをしっかり発信していこうということでございます。

 特に、御指摘がありましたメディアミックスにつきましては、本年度のまさに目玉事業として、今後、具体的にどういう取組をしていくのか。テレビ、インターネット、さまざまなメディアをうまく使いながら対外的に発信をしていこうということで、今後、有識者の意見も聞きながら、具体的な対策を検討してまいるところでございます。既に、外国人向けに動画を作成したりですとか、あるいは観光庁におきましても、これまでいろいろな形で対外的な発信もしているところでございます。

 そういった意味では、福島の観光客も発災以前の水準より上回るところまでやっと回復してまいったところでございまして、一定の手応えを感じているところでございますが、今後も更にそういう取組を進めて、関係府省庁連携して強化してまいりたいというふうに考えております。

森(夏)委員 やはり被災地の復興のためには、長期、短期にかかわらず、人の流れを東北以外から呼び込むことが大変重要であると思います。

 例えば、一昨年、宮城県石巻市においてポケモンGOと連携したイベントが開催されました。これは、県外からも大勢の人が集まり、大盛況でした。報道によれば、約十万人の観光客が石巻市を訪れ、約二十億円の経済効果があったとのことです。

 このように、東北のよさをもう一度確かめていただくため、ぜひとも多くの皆さんに被災地に来ていただくことが必要だと思います。そこでいろいろなことを体験していただき、見ていただき、そしてそれを全国に広げていただくことが一番かと思います。若い方々のインスタ映えする写真の場所をつくることも一つの方策ではないでしょうか。

 そこに行くまでのんびり三陸鉄道に乗ってもらえば、すばらしい景色を見ることができます。また、東北にはおいしい食事、歴史、文化もあります。大人から子供までが東北に行ってみたいという気持ちになり、そして実際に東北に足を運んでいただき、また訪れるといった流れをつくっていくことができるよう、私も微力ですが全力でお手伝いをしたいと思っております。

 時間となりましたので、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十九分散会


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