衆議院

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第3号 令和元年11月26日(火曜日)

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令和元年十一月二十六日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 伊藤 達也君

   理事 小里 泰弘君 理事 小田原 潔君

   理事 高橋ひなこ君 理事 冨樫 博之君

   理事 根本  匠君 理事 落合 貴之君

   理事 谷田川 元君 理事 浮島 智子君

      あべ 俊子君    青山 周平君

      安藤 高夫君    安藤  裕君

      伊藤信太郎君    泉田 裕彦君

      上杉謙太郎君    鴨下 一郎君

      神田  裕君    木村 次郎君

      黄川田仁志君    国光あやの君

      小寺 裕雄君    古賀  篤君

      佐藤 明男君    武部  新君

      津島  淳君    中曽根康隆君

      長坂 康正君    西田 昭二君

      古川 禎久君    穂坂  泰君

      堀内 詔子君    本田 太郎君

      三谷 英弘君    宮澤 博行君

      宮路 拓馬君    小熊 慎司君

      岡本あき子君    金子 恵美君

      岸本 周平君    玄葉光一郎君

      近藤 和也君    階   猛君

      本多 平直君    矢上 雅義君

      山崎  誠君    國重  徹君

      高木美智代君    濱村  進君

      鰐淵 洋子君    高橋千鶴子君

      杉本 和巳君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       田中 和徳君

   復興副大臣        菅家 一郎君

   復興副大臣        横山 信一君

   経済産業副大臣      松本 洋平君

   環境副大臣        石原 宏高君

   復興大臣政務官      青山 周平君

   経済産業大臣政務官    中野 洋昌君

   国土交通大臣政務官    門  博文君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 村手  聡君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     石田  優君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     東   潔君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     小山  智君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     奥  達雄君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 佐藤啓太郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 谷  史郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大村 慎一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 住澤  整君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           矢野 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           蝦名 喜之君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           道野 英司君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           渡邊  毅君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    森   健君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  新川 達也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    鎌田  篤君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            渡邉 政嘉君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         江口 秀二君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         堀田  治君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            村田 茂樹君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 白石 隆夫君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        森山 誠二君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長)           文挾 誠一君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     武藤 裕良君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十六日

 辞任         補欠選任

  木村 次郎君     西田 昭二君

  津島  淳君     佐藤 明男君

  堀内 詔子君     宮路 拓馬君

  本田 太郎君     泉田 裕彦君

  阿久津幸彦君     本多 平直君

  國重  徹君     鰐淵 洋子君

  高木美智代君     濱村  進君

同日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     本田 太郎君

  佐藤 明男君     武部  新君

  西田 昭二君     木村 次郎君

  宮路 拓馬君     堀内 詔子君

  本多 平直君     阿久津幸彦君

  濱村  進君     高木美智代君

  鰐淵 洋子君     國重  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  武部  新君     津島  淳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長文挾誠一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官村手聡君、復興庁統括官石田優君、復興庁統括官東潔君、復興庁統括官小山智君、復興庁審議官奥達雄君、総務省大臣官房審議官佐藤啓太郎君、総務省大臣官房審議官谷史郎君、総務省自治行政局公務員部長大村慎一君、財務省大臣官房審議官住澤整君、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦君、文部科学省大臣官房審議官蝦名喜之君、農林水産省大臣官房審議官道野英司君、農林水産省生産局畜産部長渡邊毅君、水産庁漁政部長森健君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官新川達也君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治君、中小企業庁次長鎌田篤君、中小企業庁経営支援部長渡邉政嘉君、国土交通省大臣官房技術審議官江口秀二君、国土交通省大臣官房技術参事官堀田治君、観光庁観光地域振興部長村田茂樹君、環境省大臣官房審議官白石隆夫君及び環境省環境再生・資源循環局次長森山誠二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高橋ひなこ君。

高橋(ひ)委員 自由民主党の高橋ひなこです。

 初めに、東日本大震災の被災地を含め、広範囲に大きな被害をもたらした台風十九号により被災された方々に心からお見舞い申し上げます。

 本日、質問の機会をいただきましたので、今後の復興庁のあり方と、大震災被災地における豪雨被害などによる被災への対応についてお伺いしてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 これまで、被災地の方々からの切なる御要望をお伝えし、対応をしていただいたこと、まず感謝を申し上げたいと思います。

 昨年、復興・創生期間終了後にどのようなサポートが必要かを調査し、対応してほしいとお願いをして、前回の復興特別委員会でもお尋ねをいたしました。

 高台移転の土地の引渡しは政府が全力で二〇二一年三月までに間に合うように努力をしていただいていますが、全ての家が再建するところまではとても間に合わないと被災地の首長さんや住民の皆様が心配しておられました。

 復興の基本方針の骨子案が、先日、復興推進委員会で示され、二〇二一年三月末までの復興庁設置期限を二〇三一年まで十年間延長するとのことで、地元自治体を始め、被災された方など、全ての方々が大変安堵されております。

 そこで、復興の完遂に向けて、復興・創生期間後の復興も含めて、大臣の御決意をお聞かせ願いたいと思います。

田中国務大臣 ただいまのお尋ねにお答えを申し上げたいと存じます。

 復興・創生期間後における東日本大震災の復興の基本方針の骨子案において、復興庁の設置期間の十年間延長、内閣総理大臣を主任の大臣として、復興大臣を置くこと、現行の総合調整機能を維持すること、東日本大震災復興特別会計を継続すること等をお示しをいたしました。

 本年中の基本方針の策定に向けて引き続き検討を進め、復興に全力で取り組んでまいりたいと思います。

 どうぞこれからもよろしくお願いしたいと思います。

高橋(ひ)委員 心強い御答弁ありがとうございます。

 復興庁が復興期間後も更に存続するということは、被災地の方々にとって、大きな心の支えとなっております。

 そのような中、ことしの三月に全線開通をして被災地において大きな希望となっていた三陸鉄道リアス線は、このたびの台風被害で全線の七割がとまったままとなっています。被災箇所は九十二カ所、軌道関係では、路盤流出や土砂流入、のり面崩壊などが七十七カ所で発生し、電力、信号、通信関係では、ケーブル管路流出や信号器具箱浸水などといった被害が十五カ所で発生し、現在、バスの代行運転に大きな経費がかかっていると聞いています。

 復旧に向けて、政府としてどのようにお取り組みいただけるのか、お知らせいただきたいと思います。

江口政府参考人 お答え申し上げます。

 三陸鉄道につきましては、先月の台風十九号の影響により、現在も釜石―宮古間、田老―久慈間で運転を休止しております。これらの区間では、路盤の流出や土砂の流入などの被害が複数箇所で発生し、現在も復旧作業が進められるところでございます。

 三陸鉄道の復旧に当たりましては、技術的な支援といたしまして、東日本大震災でも支援を行った鉄道・運輸機構が、路盤の流出等の大きな被害を受けた箇所につきまして、被災状況の詳細な把握や復旧方策の検討等に対する支援を実施しているところでございます。また、復旧工事に当たりましては、三陸鉄道、東北地方整備局、東北運輸局、東北森林管理局、岩手県等の沿線自治体から成る連絡調整会議を開催し、関連する道路事業や治山事業と連携しながら、早期の復旧を図る取組を進めています。

 財政的な支援としましては、三陸鉄道など台風十九号により被災した経営基盤の脆弱な鉄道事業者が行う災害復旧事業に対しまして、一定の要件を満たす場合には、東日本大震災の際の支援と同程度に国の支援を手厚くする制度の適用を検討しております。

 国土交通省としましては、引き続き、三陸鉄道の一日も早い復旧が図られるよう必要な支援と協力を行うとともに、代替輸送の確保についても、利用者の足が確保されるよう必要な支援を行ってまいります。

高橋(ひ)委員 早期復旧に向けてのお取組をしっかりとお願いしたいと思うんですが、ちょっと確認です。東日本大震災と同等にということは、国の支援として復旧がほとんどできるということですよね。

江口政府参考人 おおむねでございますが、国と地方で二分の一ずつ、それから、地方の措置につきましても財政措置が講じられるというふうに、今、そういった方向で検討しております。

高橋(ひ)委員 ありがとうございます。

 これでほとんどが国、そして起債などで復興していただけるということだと思いますので、何とぞ、本当にみんながっかりしております、そして、これまで三陸鉄道のために尽力した方々がたくさんいらっしゃいます、何とぞお力添えをよろしくお願いしたいと思います。

 また、みんなでちょっと努力をして、岩手県に関連する方々にふるさと納税してねということなどもお勧めしていきたいと思いますので、お力添えいただければと思います。

 次に、東日本大震災で被災した青森、岩手、宮城、福島の四県二十八市町村の太平洋沿岸部およそ千キロを結ぶ自然歩道、みちのく潮風トレイルがことし六月に全線開通しました。ところが、ここも台風十九号によって甚大な被害を受けたのです。

 このみちのくトレイルは、震災後、被災地の復興や観光PRにつなげようと環境省が設定をして、復興への思いを込めて、地元の自治体などと綿密な連携のもと、三陸復興国立公園内に整備したものです。

 このみちのく潮風トレイルの早期復旧に向けて、政府としてどのようにお取り組みいただけるのか、お知らせいただきたいと思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 さきの台風によりまして、みちのく潮風トレイルを含む三陸復興国立公園の利用施設に関する被害につきましては、歩道等の崩落、それから園地内や歩道沿いでの倒木などの被害を、現時点におきまして、大小合わせて二十六カ所確認してございます。

 被害を受けた施設のうち、環境省の直轄施設につきましては、現在対応を検討しております補正予算におきまして速やかな対応ができるように検討を進めてまいります。

 また、地方公共団体の施設につきましては、自然環境整備交付金による支援が可能でありますので、関係する地方公共団体からの要望を踏まえまして、よく御相談しながら進めてまいりたいというふうに考えてございます。

高橋(ひ)委員 ありがとうございます。

 三十四カ所ある国立公園の中で、復興という文字が入っている国立公園はこの三陸復興国立公園だけです。復興への大きな流れをとめないように最大限のお力添えをいただきますよう、心からお願いを申し上げたいと思います。

 さて、インフラの復興、こちらの方はおおむね終了しつつあるというふうに感じていますが、被災者の皆さんの生活、なりわいの再建はまだまだ道半ばです。その中で、ことしの台風十九号を含め、発災から八年半の間に数回の豪雨災害に見舞われて、罹災証明を三度受けたという方もいらっしゃるんです。

 複数回にわたって被災した中小企業に対して、復興庁として、生活となりわいの再建に向けてしっかりと寄り添っていかなければならないと考えます。政府の取組をお聞かせいただきたいと思います。

田中国務大臣 これまで、東日本大震災で被災をいたしました中小企業に対して、中小企業等グループ補助金だとか専門家派遣集中支援事業等によって手厚い支援はさせていただいたところでございます。

 また、今般取りまとめられた被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケージでは、経産省において、台風十九号で被災した中小企業、小規模事業者に対して、小規模事業者持続化補助金、あるいは自治体連携型補助金等、手厚い支援を行うこととしておるところでございます。

 いずれにしましても、大変なたび重なる被災をされた方々にやはりきちっと対応していくということは一番大切なことだと思っておりますので、復興庁としても真剣な取組をしてまいりたいと思っております。

高橋(ひ)委員 大変力強い御支援のお話をしていただき、本当に皆さんが安堵していらっしゃると思います。

 例えば、グループ補助金を受けた方が、まだ実際にはお借りした分のお金を返済しているその方が、台風被害でまたその建物を崩壊されてしまった。やっと保険で、そしてやっとこれでまたというときに、また台風十九号で三回。実は、四回被災した方もいらっしゃいます。

 そういう方々に、こちらは復興予算だったとかこちらは災害だったとか、あわせて、全国の災害と同じような支援ですよと言われても、東日本大震災で本当にいろいろと大変な思いをして、そしてまだお金も返していない、そういう方々が本当にいらっしゃるという事実を受けとめていただきたいと思うんです。

 最後に、復興庁の役割の柱についてちょっとお話をして質問をさせていただきたいんですが、復興に関する国の施策の企画、調整、実施と、地方公共団体への一元的な窓口と支援というのが復興庁の役割というふうになっています。

 東日本大震災の被災地で懸命に暮らしの再建、復興に取り組んでおられる皆さんが今お話ししたように二重、三重に被災をしておられる状況をどうか真に御理解をいただき、寄り添っていただけるというのが、先ほど力強い答弁をしてくださった復興大臣です、復興に関しての各省施策の総合調整の役割を担っておられる国務大臣として、どのようなお取組をいただけるか、お聞かせいただきたいと思います。

田中国務大臣 高橋委員のおっしゃるとおりでございまして、復興庁は、復興施策に関する総合調整を担うとともに、地方公共団体の要望を一元的にお受けする役割を担っております。

 私自身、復興大臣として、東日本大震災からの復旧復興に支障を来すことのないように、被災地の実情や御要望を丁寧にお伺いし、被災地に寄り添いながら、関係省庁と連携して全力で復興に取り組んでいく所存であります。

 特に、総理も何度も重ねて言っておられることは、現場主義、そして被災者の皆さんに寄り添うということを一番重要に言っておられるわけでございまして、我々もその思いを共有し、とにかく地元の皆様のお役に立てるようにということで、真剣な取組を進めてまいります。

 自治体の皆さんとも十分協議をしてまいりたいと思います。

高橋(ひ)委員 力強い御答弁ありがとうございます。しっかり復興のために、これからもよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、伊藤信太郎君。

伊藤(信)委員 ありがとうございます。

 被災県の宮城県選出の自民党衆議院議員伊藤信太郎でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 十一月に発表された復興・創生期間後における基本方針の骨子案では、地震、津波地域において、復興・創生期間後五年間で復興事業の役割を全うすることを目指しております。しかしながら、心のケア、地域コミュニティーの形成など、被災者支援や被災した子供に対する支援など、中長期的な対応が必要なものもあるので、期間を五年間に区切るということではなく、実情に応じて柔軟に対応すべきだと思いますが、復興大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

田中国務大臣 先般公表した基本方針の骨子案では、地震、津波地域において、復興・創生期間後五年間で復興事業がその役割を全うすることを目指すという考え方をお示しいたしております。あわせて、地方創生など政府全体の施策を活用し、持続可能な地域社会をつくっていくこととしておるところでございます。

 こうした考え方を踏まえつつ、被災者支援や被災した子供さんたちへの支援等の個別事業の取扱いについては、個別の事情を丁寧に把握させていただき、適切に対応をすることとしてまいりたいと思っております。

 今、伊藤委員からもお話がございましたように、地域地域によってそれぞれの事業に違いがあるわけでありますし、また、お地元の村井知事からもそのような強い御要請もいただいているところでございまして、その趣旨を十分心得て対応をしていかなければならない、この思いでございます。

 以上でございます。

伊藤(信)委員 ありがとうございます。

 この実情に応じた柔軟な対応を必要な例というのはあるわけですけれども、非常に大事な例で、被災した子供に対する支援というものがあると思います。今でも、突然震災のときを思い出して授業に集中できない、あるいは気持ちがどうしても落ちつかない、そういう被災した子供たちが抱えるさまざまな、また困難なたくさんの例、これを鑑みますと、それぞれの学校現場の、もっと言えば、それぞれの教室の実情に応じた教職員の加配、またスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置を、この五年間に限らず、継続するための財政支援が必要だと思います。この件についてお伺いしたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 復興・創生期間の終了後の取扱いにつきましては、本年三月八日に閣議決定されました「復興・創生期間」における東日本大震災からの復興の基本方針や、先般公表されました復興・創生期間後における東日本大震災からの復興の基本方針の骨子案におきまして、復興・創生期間後も、心のケア等の支援が必要な子供に対する特別な教員加配、スクールカウンセラーの配置について、適切に対応するということとされているところでございます。

 このことを踏まえ、文部科学省といたしましては、令和三年度以降の加配やスクールカウンセラーのあり方については、原子力災害地域における、被災地域における学校等の再開支援、魅力ある教育環境づくりに向けた継続的な支援が必要であること、過去の大規模災害における取組事例等を踏まえ、心のケア等の支援が必要な子供が一定数就学している学校が残る可能性があり、支援の継続が必要であることから、被災自治体との丁寧な情報交換を行い、復興庁とも連携しながら、引き続き必要な支援に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

伊藤(信)委員 ありがとうございます。

 子供たちのために、しっかり、よろしくお願い申し上げます。

 被災した自治体においては、引き続き、被災地以外からの派遣職員や任期付職員の雇用によって人手不足を補っていく必要がございます。そのためには、震災復興特別交付税による財源手当てを含む国による支援の継続がぜひ必要であります。

 ちなみに宮城県においては、令和元年十月一日の時点で、県と市町村で合わせて千三百九十一人を必要としておりましたけれども、百六十三人も不足しております。さらに、今般の台風十九号の災害対応というのも更に必要でありまして、特に技術職員の確保が今後ますます難しくなっていく、このことが予想されるわけであります。

 国として、全国の自治体からの職員派遣など、人的支援の継続について推進していく必要があると思いますが、お伺いしたいと思います。

大村政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災の被災地方公共団体におきましては、復旧復興を進めるための人材の確保が重要な課題になっていると承知をいたしております。

 東日本大震災の被災団体において、地方自治法に基づく中長期の派遣職員の受入れや復旧復興業務への対応のための職員採用を行った場合に、その必要経費について、震災復興特別交付税により財政措置を講じております。

 復興・創生期間後における震災復興特別交付税の取扱いにつきましては、先般、復興推進委員会において示された基本方針の骨子案におきまして、震災復興特別交付制度の継続が盛り込まれたところでございまして、年内の基本方針の策定に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。

 また、中長期の職員派遣につきましては、全国知事会のスキーム及び全国市長会、全国町村会、総務省が連携したスキーム等によりまして、これまで支援をしてきたところでございます。

 被災団体においては、全国から派遣された応援職員に加え、任期付職員の採用などさまざまな取組が行われておりますが、依然、技術職員を始めとして、人員が不足していると承知をいたしております。

 このため、十一月十八日には、高市総務大臣から全国の都道府県知事及び市区町村に対しまして書簡を発出しまして、応援職員の派遣について格別の御協力を依頼したところでございます。

 引き続き、全国の地方公共団体に対して応援職員の派遣について積極的に働きかけを行うなど、人材確保に向け、継続して取組を進めてまいりたいと考えております。

伊藤(信)委員 自治体が困らないように、しっかり継続をお願いしたいと思います。

 松島町では、復興交付金事業については、期間内での事業完了に向けて鋭意努力をしております。しかしながら、高城地区などを見ると、地権者との協議に時間を大変要しておりまして、期間内での完了が無理な場合というのも想定されるわけでございます。

 その際、地方自治法の規定に基づく予算の繰越しが可能となるようにお願いしたいと存じます。また、繰越しに係る支援として、従来の復興交付金事業と同様に、特別交付税措置等の財政支援をお願いしたいと思います。この件についてお伺いいたします。

奥政府参考人 お答え申し上げます。

 復興交付金事業につきましては、御指摘の松島町の事業も含めまして、進捗管理の徹底などを行いまして、復興・創生期間内の完了を目指すことといたしております。

 その上で、仮に、やむを得ない事情によりまして復興期間内に完了しないという場合につきましては、地域の実情をきめ細かく把握をしつつ、被災地方公共団体の要望なども踏まえまして、基本方針の策定等の中で適切に検討してまいりたいと考えております。

伊藤(信)委員 二〇二〇東京オリンピック・パラリンピック、これは、復興五輪として復興を世界にアピールする、この意味合いもございます。

 復興五輪の官民共同の事業として、JR東日本高輪ゲートウェイ駅構内をメーン会場として計画されている、東北ハウスというプロジェクトがございます。このプロジェクトは、内外からの復興支援に対する感謝の気持ちを表明し、復興に向けて着実に歩んでいる元気な東北をお見せし、魅力あふれる観光地、東北、新潟をアピールし、東北、新潟のさまざまな魅力を体験する機会を提供することで東北、新潟への訪問意欲を喚起し、東北、新潟エリアでの観光、交流人口を拡大し、消費拡大、風評の払拭、これを図る狙いがございます。

 この東北ハウスの被災地復興に向けた情報提供、そしてまた、復興施策の理解促進のための展示への支援をお願いしたいと存じます。

石田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、御質問いただきました東北ハウスは、世界から寄せられた支援に対する感謝の伝達、また、復興に向けて着実に歩んでおられます元気で安心な東北の発信などを目的とされるものと承知しております。

 中でも、感謝ゾーンというものが設けられますが、その中で、復興支援への感謝、復興現状を伝達することを目的とした内容も設置されると聞いており、復興五輪に際しまして復興の状況、被災地の魅力や情報の発信を進めます当庁の取組にも非常に資するものがあるというふうに理解をしております。

 詳細の内容は、実施主体であります「東北ハウス」実行委員会で現在まだ調整中と聞いておりますが、引き続き、その調整状況を伺いながら、具体的にどのような協力が可能か、検討させていただきたいと思っております。

伊藤(信)委員 宮城県利府町にあるスタジアム、グランディ・21では、オリンピック、パラリンピックのサッカーの試合が行われます。

 利府町では、利府駅からグランディ・21までの人の歩く道に十カ所の催し物や休憩所を設置する十の符事業を計画しております。この事業への支援をお願いしたいと存じます。

石田政府参考人 復興庁といたしましては、お話のありました利府町など被災地におきます競技の開催、またその機会を活用しました復興の情報発信などの取組が円滑に進み、東京大会が復興五輪として被災地の皆様を勇気づけるものとなることが重要であると考えております。

 このため、復興副大臣と被災三県などから構成されます復興五輪連絡調整会議等を活用して、被災地におきます競技開催の準備状況、また会場周辺での情報発信の検討状況などについてお話を伺い、意見交換を行うなど、被災地の取組が円滑に実施されるよう後押しをさせてきていただいております。

 御指摘の十の符事業につきましては、利府町において、今現在、宮城県等と調整中と聞いております。その内容をよく伺いながら、相談に対応していきたいと思っております。

伊藤(信)委員 被災した塩竈市、ここは水産業、水産加工業が主産業でございます。しかしながら、震災以降、マグロの水揚げの減少、原材料の確保難と価格の高騰、人手不足、販路の喪失、風評被害、電力料金の値上げと運賃、資材等の高騰により、現在大変困難な状況にあります。

 これを打開するには、やはり新たな取組が必要でございます。青物等への水揚げ魚種の拡大や輸出を含めた流通システムへの新たなチャレンジが求められております。その実現のためには、冷凍施設の新設と冷蔵庫や凍結庫の増設等がぜひ必要であります。

 震災で疲弊し、懸命の努力をしている水産業、水産加工業がもう一度元気になり、復興を推進していくためには、これらの事業についての支援がぜひ必要です。支援をお願いしたいと思います。

菅家副大臣 塩竈市の復興には、主要産業である水産業の復興が極めて重要、このように考えております。

 塩竈市においては、サバ等のまき網漁船を誘致するような水揚げ魚種の拡大に必要な冷凍施設等の整備を水産庁に要望されている、このように承知をしているところであります。こうした高度な衛生管理に裏づけられた水産物の品質確保の取組は、被災地の水産業の復興に欠かせないもの、このようにも考えております。

 また、被災地の水産業の復興には、水産物の販路の回復、開拓が重要であり、復興庁としても、昨年度、塩竈地域における輸出の取組等を支援したところであります。

 今後とも、塩竈市を含む被災地の水産業の復興に向けて、水産庁と連携しつつ、しっかりと支援してまいりたい、このように考えております。

伊藤(信)委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 これで質問を終わります。

伊藤委員長 次に、上杉謙太郎君。

上杉委員 皆様おはようございます。ありがとうございます。自民党の上杉謙太郎でございます。

 きょうは質問の機会をいただきまして、諸先輩、先生方に感謝申し上げたいと思います。

 復興のお話の前に、台風十九号がございました、被災された皆様にお見舞いを申し上げたいというふうに思いますし、この台風十九号につきまして幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。

 また、この台風十九号でありますが、私どもの福島県も相当な被害がございました。各省庁さんがすぐに現地入りをしていただいて、また、県そして自治体、また消防団の方々も、いろいろな方が復旧復興に当たったというところであります。

 そういった中で、復興庁さんは、復興が担当でありますので、この台風に関してはそこまで前面に立ってやる省庁ではないのかもしれませんけれども、この台風十九号について、復興庁さんでどう取組をされたか、御対応されたか、教えていただけますか。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず初めに、今回の台風十九号等でお亡くなりになられました方にお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた方々へのお見舞いを申し上げます。

 復興庁では、大臣の指示のもと、台風第十九号が上陸する前の十月十一日に情報連絡室を設置し、上陸後の十三日には情報連絡室を復興庁災害対策本部に格上げをして、被害状況の情報収集等に万全を期したところでございます。

 また、大臣においては、台風等により大きな被害を受けた地域に早期に足を運び、その被災状況も確認をさせていただきました。

 復興庁といたしましては、東日本大震災からの復興に支障を来すことがないよう、被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケージを執行します関係府省庁と密に連携をして取り組んでまいりたいと考えております。

上杉委員 ありがとうございます。

 そうですね、復興庁さん、私どもこの復興特においては、やはり、八年前の震災があって、今皆さんがそれぞれ復興を一生懸命頑張ってこられているわけであります。八年がたった。その中で、今回、台風という形でまた被災をしてしまった。二重苦なわけであります。細かく言うと、地震、津波、原発、また台風、浸水などで四重苦であるわけであります。そういった中で、農林水産業もそうでありますし、商工業もそうであります、各施設、社会福祉関係の施設も学校も、いろいろなところで被災をしたわけであります。

 きょうは特に、その中でも、中小企業さんですとか工場、また小規模の店舗さん、そういったところ、今回非常に被害をこうむったわけであります。私の選挙区、福島県の県南地域もそうでありますし、根本先生の郡山、二区もそうであります。いろいろなところが相当数の被害があって。

 今回、私ども議員も、省庁さんもそうでありましたし、みんな現地に入っていただいて、地元の皆様の声を聞いて回ったわけであります。ここは本当に、我々政治家側も役所の皆さんも、本当に地元の人たちに寄り添って、声を聞いて、施策をつくってきたというふうに思っております。

 我々自民党、公明党、与党もいろいろ会議を開きましたし、例えば私ども自民党福島県連であれば、根本先生はちょうど会長でありますが、国会議員も、また県議の先生も、みんなで手分けして歩いて、さまざまな分野でいろいろな話を聞いてきました。決壊した場所なんか、私なんかも翌日に入っておりますし。

 そういった中でやっていって、自民党福島県連で緊急要望という形、こうやって出させていただきました、政府にも。また、自民党の方でも、災害の会議において提言を取りまとめていったという経緯があります。

 特に、中小企業また大企業、小規模の事業者さんに対しては、根本先生は中小企業調査会長でありますし、非常に率先してやってくださって、いろいろなパッケージを取決めをしていったという経緯があります。

 今回、経産省の方で、最終的に、激甚指定もありましたし、ちょうどお手元に資料を配らせていただきましたが、企業さん向けにさまざまなパッケージをつくってくださいました。これは非常にいいなというふうに思っております。ちょうど私の後援会長が福島県の商工会連合会の会長でもありますので、被災の後、細かく具体的に、今事業者さんはこんなに大変なんだということを教えていただきました。随分盛り込んでいただいております。

 この中で特に、一番の中小企業等グループ補助金、また、二番の小規模事業者持続化補助金、これはすばらしいなというふうに思うんですけれども、一つ、まずこの中小企業グループ補助金について御説明いただけますか。

中野大臣政務官 上杉先生の御質問にお答え申し上げます。

 御指摘のグループ補助金でございますけれども、今回の生活・生業支援パッケージに盛り込まれております。特に被害の大きい宮城県、福島県、栃木県、長野県におきまして、被災事業者がグループで工場、店舗などの復旧を行う際に、原則として、その費用の四分の三を補助する制度でございます。

 これまで、グループ補助金は、東日本大震災や熊本地震、平成三十年七月豪雨といった、いわゆる本激が適用される災害におきまして、サプライチェーンが毀損すること等により我が国経済が停滞をする懸念があることなどを踏まえ、特別に措置をされてまいりました。今般も同様の考え方のもと、措置をさせていただいたところでございます。

 今回、台風十九号に際しましては、先生御指摘のとおり、発災直後から経済産業省の職員も約七十名被災自治体に派遣をさせていただき、被災地、被災事業者のニーズを丁寧に把握をさせていただきました。そして、先生御指摘の御要望やまた御提言もしっかりと踏まえながら、こうした被災状況の把握を踏まえて、今月七日に公表されたパッケージにおきまして、グループ補助金を含め、国が最大限全力で支えてくれると被災事業者にはっきり伝わる対策を数多く盛り込み、その中で、グループ補助金についても措置させていただいたものでございます。

 引き続き、被災事業者の一日も早い事業再開に向けまして、全力で取り組んでまいります。

上杉委員 ありがとうございます。ぜひ、引き続きよろしくお願いしたいというふうに思います。

 また、小規模事業者さんの方、持続化補助金、この二番の方ですけれども、こちらについても御説明いただけますでしょうか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 小規模事業者持続化補助金につきましては、小規模事業者が変化する経営環境の中で持続的に事業を発展させていくため、商工会、商工会議所と一体となって経営計画を作成し、計画に基づいて行う販路開拓などの取組を支援するものとして、通常は、原則上限五十万円、補助率三分の二の措置を講じているところでございます。

 今回のパッケージにおきましては、被災した小規模事業者向けの支援といたしまして、例えば、機械設備や業務用車両の新規購入、店舗改装、事業再開時の広告宣伝など、さまざまな費用につきまして、被害の大きかった宮城県、福島県、栃木県、長野県では上限二百万円、その他災害救助法適用地域がある被災十都県では上限百万円まで、上限額を引き上げて措置することとしております。

 当該補助金につきましては、平成二十五年九月に開始した中小企業政策審議会小規模企業基本政策小委員会の議論を通じ、平成二十五年度の補正予算において措置した事業であり、これまで六年間、七百億円措置、約十三万件を支援してきたところでございます。

 また、これまでも災害時におきまして、平成二十八年熊本地震、平成二十九年九州北部豪雨、平成三十年西日本豪雨、北海道胆振東部地震、本年の台風十五号などの被災中小事業者向けに追加的に支援措置を行ってきているところでございます。

上杉委員 ありがとうございます。あと、販路拡大とかもそうですよね。よろしくお願いをしたいというふうに思います。

 冒頭申し上げましたが、東日本大震災で被災をして、八年間頑張ってきたわけであります、企業さんたちは。その中で、また今回こうやって被災をしてしまった。その中で、やはり政府として、八年前被災をした方々で、また今回被災をした方々というのは、やはり特別だというふうに思うんですね。ですので、その人たちには、もっとより一層というんですか、支援を手厚くするべきだというふうに思います。

 この一番、二番のグループ補助金も持続化補助金も、そういう意味では、前回といいますか八年前に被災した方々に対してはちょっと厚くしてくださっているというふうに思うんですよ。そこの部分をちょっと御説明いただけますか。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 今回の生活・生業支援パッケージにおきましては、今回特に被害が甚大な地域である宮城県、福島県、長野県、栃木県については、グループ補助金を措置し、また持続化補助金については、四県の補助上限額を百万円から二百万円に引上げ措置を講じたところでございます。

 その上で、今回の災害が東日本大震災の被災地を直撃したということに鑑みまして、宮城県、福島県につきましては、これまでにない例外的な対応として、震災からの復興途上にありながら特に甚大な被害を受けた事業者が、実質的に負担のない形でなりわい再建に取り組めるよう、一定の要件のもと、グループ補助金については五億円まで、持続化補助金については補助上限額の二百万円までの定額補助を行うことを特別な支援制度の枠組みとして措置したところございます。

 このように、円滑に事業継続や事業再開を進められるよう特別の支援措置を講じたところであり、被災事業者の皆様に活用していただけるよう、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

上杉委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 また、商工会議所さんですとか商工会さんに、その部分はより丁寧に御説明をしていただきたいというふうに思います。まだ理解されていない方もいらっしゃいますので、よろしくお願いします。

 また、八年前に被災した企業さんですとか店舗さんとか、また東京から企業立地補助金等で進出してきてくださった企業とかは、役所の方でリストがあるはずであります。そのうちどの企業が被災したというのはわかりますものね。だから、そこで、ここの企業は対象になるんだと、しっかり復興庁さんの方で、経産省さんかもしれないですけれども、把握してもらって、手厚く支援をしていただきたいというふうに思います。

 もう今、復興、もうすぐ来年で十年が来るわけであります。その中で、せっかくもとに戻そう、より一層よくしていこうとやってきた企業さんでありますから、ぜひ支援を続けていただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。

 続きまして、復興の件でありますけれども、復興庁の継続に関してであります。

 先ほどもう既に質問されておりましたので、復興庁は継続されるということで御承知をいたしました。自民党の第八次提言の中でも、今の復興庁の形をそのまま継続しようというふうに提言をさせていただいて、政府の方でもその形をとってくださったということで感謝を申し上げます。

 この質問は飛ばさせていただいて、じゃ、その復興庁であるんですけれども、最初の五年間が集中復興期間で、今が復興・創生期間であります。十一年目からの復興庁というのはどういうことをやっていくべきかということについては、この前も復興庁さん、資料を持ってきてくださって御説明いただいたんですけれども、やはりこれからは新しい東北をつくっていくべきだというふうに思うんです。

 復興庁さんの資料の中で、これはちょっとお配りはしていないんですけれども、新しい東北の創造に向けてというカテゴリーをつくってくださっていますよね。むしろ、この新しい東北の創造というのは何をしますかということなわけであります。

 復興庁は、これからどういう方向で東北の復興を実現していくのか、復興と復興のその先にあるすばらしい東北地方をどういうふうにつくっていくのかというのをこれから議論していくべきであるというふうに思います。

 なので、復興・創生期間後の次の五年、十年というのは、新しい東北の創造ということをコンセプトに掲げて、例えばその下に、イノベーション・コースト構想があったりですとか、今までやっていらっしゃって、これからも継続する施策をのせていく。また、前回の復興特でもちょっと御質問しましたけれども、例えば水素エネルギーフィールド、近未来のエネルギーは水素だ、じゃ、それを発展させていこう、そこも項目に入れていくとか。なので、新しい東北の創造ということを、次の五年間なり十年間なりに掲げるというのはいかがですか。お答えいただければと思いますが、大臣、よろしくお願いいたします。

田中国務大臣 お答えをいたしたいと思います。

 復興庁の組織の継続については、上杉委員も大変御尽力、御努力をされました。与党からいただいた第八次提言というものも非常に重要な視点になっておりますことに、いろいろと感謝をしておるところでございます。

 さて、東日本大震災からの復興に当たっては、町に人が戻ることを目指すのみならず、被災地外からも多くの方々が訪問をしていただく、あるいは移り住んでいただくような新しい、魅力あふれる地域を創造することを目指しておるところでございます。

 復興・創生期間後においても、年末に決定する復興・創生期間後における東日本大震災からの復興の基本方針に基づいて、新たな、魅力あふれる東北の創造に向けて、御指摘の施策などを含め、鋭意取り組んでまいりたいと思っております。

 先ほども少しお話をしましたけれども、地元に貢献することはもちろんでありますけれども、世界から見ても国内から見ても非常にすばらしいものである、非常に見事なものである、このようなことをやはりイメージしながら取り組んでいくということが非常に重要だと思っておりますので、上杉委員におかれましても、更にお力添えをお願いしたいと思っております。

上杉委員 大臣、力強いお言葉を本当にありがとうございます。感謝申し上げたいというふうに思います。

 まさにおっしゃられた、世界ということでありますけれども、ちょうど次の質問以降が世界の風評払拭ですとか復興をPRしていこうというテーマでありますけれども、ちょうどこの前、ラグビーワールドカップが大成功に終わりました。釜石においても試合が行われました。

 復興庁さんの取組の中で、オリンピック、パラリンピック、またこのラグビーワールドカップを通じて復興の姿をPRするというふうにうたっておられたと思うんですけれども、では、ラグビーワールドカップが終わって、復興庁さんはどのような支援をされたか、教えていただけますか。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 ラグビーワールドカップの九月二十五日の鵜住居復興スタジアムでのフィジー・ウルグアイ戦におきましては、国内外から一万四千人の方が釜石を訪れられたところでございます。

 この釜石開催に向けましては、岩手県及び釜石市において設けられました実行委員会に復興庁も参加させていただいて、大会の準備を支援しますとともに、市内で最大の被災地でありました鵜住居地区の小中学校跡地に整備されました復興スタジアムの整備に当たりまして、事業費約三十九億円のうち約十六・五億円の支援をさせていただいたところでございます。

 釜石の開催を契機に被災地が更に復興を遂げられるよう、引き続き後押しをさせていただきたいと思っております。

上杉委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 質問の時間がどんどんなくなってきてしまいましたので、じゃ、お願いさせていただきますが、来年オリンピックがありますので、今回のラグビーワールドカップでのいろいろな課題点とかもあったというふうに思うんですね。ぜひそれを、次はもう復興オリンピックでありますから、生かしてもらいたいというふうに思います。東北地方に外国人の来訪者も随分ふえてきておりますし、どうやったら東北に人が来てくれるか、インバウンド含めて、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 そのインバウンドでありますが、風評払拭・リスクコミュニケーション戦略において、来てもらう、食べてもらう、知ってもらうと、施策を進めてきております。これは国内もそうでありまして、海外もそうであるというふうに思うんですね。

 この対海外というんですかね、訪日外国人客を福島以北のこの東北にどのように呼び込んでいくのか、今やっていらっしゃることを教えていただけますか。

奥政府参考人 お答え申し上げます。

 訪日外国人宿泊数というものにつきまして、令和二年までに百五十万人泊とする目標を掲げまして、平成二十八年を東北観光復興元年と位置づけまして、取組を強化してきたところでございます。

 具体的な施策といたしましては、東北の魅力の発信を強化すること、WiFiや多言語表示の整備の推進、キャッシュレス導入支援などの、訪日する外国人の方の旅行者を呼び込むための取組を種々支援しているところでございます。

 昨年、平成三十年の外国人宿泊者数について見ますと、震災前の二倍を超える約百二十八万人泊となるなど、堅調に推移をしているところでございまして、引き続き、百五十万人泊の目標の達成に向けまして、関係機関と連携をいたしまして、東北の観光復興の取組を推進してまいりたいと考えております。

上杉委員 時間が来てしまいましたので、最後、風評払拭も含めて、復興庁さんが独自でやられるだけでなくて、しっかりと外務省さんと連携をして、外務省さんとともに、対外において施策を進めるべきだというふうに思いますので、そこだけ教えていただいて、質問を終わりたいと思います。お願いします。

伊藤委員長 小山復興庁統括官、簡潔に答弁をお願いします。

小山政府参考人 委員御指摘のとおり、風評払拭のためには、復興庁だけではなく、外務省を始めとする関係省庁との連携は大変重要だというふうに考えております。政府といたしましても、原子力災害による風評を含む影響への対策タスクフォースにおいて、政府一丸となって取り組んでいるところであります。

 多くの事例につきまして外務省と連携をして実施をしてきているところでございますが、今後とも、外務省を含めた関係省庁の連携をより一層強化し、世界各国、地域における被災地の風評払拭及び魅力の発信について全力で取り組んでまいりたいと考えております。

上杉委員 ありがとうございました。質問を終わります。

伊藤委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。

 きょうは、私、この委員会で初めての質問となります。どうかよろしくお願いいたします。

 東日本大震災の発災から八年八カ月が経過いたしまして、復興・創生期間も残すところ一年四カ月となりました。総力を挙げて復旧復興に取り組んできた結果、岩手県、宮城県といった地震、津波被災地域においては、ハード面の復旧が復興・創生期間におおむね完了する見通しとなっております。

 一方で、残された課題はソフト面、心のケアであります。心の復興には人と人とのつながりが欠かせませんが、震災によって新たな環境での生活を余儀なくされた方々の中には、孤立してしまう方もいらっしゃいます。中でも、仮設住宅から震災公営住宅に移り、住まいはよくなったんだけれども、仮設住宅で構築した人間関係から離れてしまった、もといた場所と仮設住宅との二度のコミュニティーの崩壊に直面をした、こんな声が現場から届いております。独居の高齢者の方も数多くいらっしゃいます。

 先日の田中大臣の所信でも心のケアに触れられておりましたけれども、これからの復興のステージにおいては、心のケアの問題、とりわけ高齢者等を孤立させないための支援というのがより一層重要になります。

 この点に関する政府の今後の取組をお伺いいたします。

横山副大臣 お答えいたします。

 高齢者を始めとする被災された方々に対し、避難生活の長期化や災害公営住宅等への移転など、復興のステージに応じた切れ目のない支援が必要でございます。

 具体的には、高齢者への見守りや心身のケア、自治会設立等のコミュニティー形成支援、生きがいづくりのための心の復興等の自治体等の取組を、被災者支援総合交付金により幅広く支援してきたところでございます。

 私も先週、大阪で県外避難者の支援をしていらっしゃる方たちのブロック会議に参加をさせていただきました。県外避難者の人たちの多様な課題に対して丁寧に対応していただいていることに本当に頭の下がる思いで、意見交換をさせていただいたところでございます。

 こうした心のケア等の被災者支援は、被災自治体からも継続の要望をいただいております。先日公表した、復興・創生期間後における東日本大震災からの復興の基本方針の骨子案において、復興・創生期間後も一定期間対応が必要な事業として位置づけております。その支援の具体的なあり方については、今後、施策の進捗状況や効果検証、被災自治体の要望等を踏まえて検討し、適切に対応してまいります。

國重委員 ぜひ、地域の声を聞いて、多角的な支援をよろしくお願いいたします。

 一方で、いまだ生活再建の途上にあるのが福島であります。その福島において復興の切り札となるのが、福島イノベーション・コースト構想であります。一番苦労した地域の方々が一番幸せになる権利がある、必ず福島の未来をつくる起爆剤にしていく、赤羽国交大臣が経済産業副大臣時代に発したこの言葉からスタートしたのが、福島イノベーション・コースト構想であります。原発事故によって産業が失われた浜通りで、新たな技術、新たな産業を生み出し、世界に発信する。かつては夢物語に思われておりましたけれども、今着々と進みつつあります。

 そして、この構想においてキーになるのが人材であります。これに関して、現在、国内外の人材を結集する国際教育研究拠点のあり方、そこにおける人材育成、教育のあり方が有識者会議で検討をされております。

 教育のあり方につきましては、さまざまな形が検討されてきましたが、その一案として示されていた浜通り地域への大学、大学院の誘致については見送る方向で議論されていると伺っております。そのように判断されている理由は何なのか、お伺いいたします。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘いただきました福島浜通り地域の国際教育拠点に関する有識者会議につきましては、本年の七月に設置をされまして、これまで六回にわたりまして、国際教育拠点のあり方、また人材育成のあり方について御議論をいただいているところでございます。

 その会議の中では、浜通り地域に高等教育機関が必要だという御意見もある一方で、少子化に伴って学生の確保が課題となっております地方大学の現状等を見ますと、直ちに新しく大学をつくることは困難ではないかとの意見が現状多数を占めているという状況にあるところでございます。

國重委員 私の選挙区は大阪でありますけれども、これまで党の福島県担当議員として、何度も福島の方にも足を運びまして、また、現場の声を聞いてまいりました。今回の質疑をするに当たりましても、福島県の地方議員の声を伺ってまいりました。

 その中で強い要望をいただいたものの一つが、この浜通り地域への大学、大学院の誘致であります。地元の若者に夢を持ってもらいたい、地元の復興を担う人材に育っていってほしい、そのために一番必要なのは、キャリアパスを描けるようにすることだ、浜通り地域に高校卒業後も含んだキャリアパスが描けるようにすることだと。このキャリアパスが描けないから、地域に子供たちがいる世代がなかなか住みにくい、こういった現状がある、このような問題意識を強く持たれております。

 地元の人材を育て、地域産業を元気にし、復興をなし遂げる、福島イノベーション・コースト構想の理念はそういったところにあったんじゃなかったのか、いま一度その原点に立ち返ってもらいたい、これが地元の本音、願いとして届いております。

 田中大臣は、先日の所信質疑におきまして、現場主義を徹底し、被災者に寄り添うとおっしゃいました。また、関係自治体と緊密に連携していくともおっしゃいました。有識者会議の意見、これはもちろん大切でありますけれども、その上で、こういった地元の声にも真摯に耳を傾けていただいて、被災者に寄り添っていただきたいと思います。

 今すぐに、でなかったとしても、ぜひ大学、大学院の設置を見据えた取組を今後も進めていっていただきたいと思いますけれども、田中大臣の見解、決意をお伺いいたします。

田中国務大臣 お答えをいたしたいと思います。

 国際教育研究拠点のあり方については、中間取りまとめや、来年夏ごろまでに示される最終報告をもとに、検討を進めることを基本に考えておるところでございます。

 前回の会議で議論がなされました中間取りまとめの案についてでございますけれども、まずは研究所を設置し、そこに大学院生等に対する教育機能を付加し、大学、大学院の設置は今後の検討課題とすることとされておるところでございます。

 大学、大学院の設置を希望される地元の声があることは十分承知をしております。定住人口等の拡大だとか生活環境を整えながら、将来的に大学等の設置に結びつくように、本拠点及び教育機能の具体化について取り組んでまいりたいと思っております。

 先ほど来よりお答えをしておりますけれども、やはり、地元の貢献ということが非常に重要であります。一方においては、やはり、世界に胸を張って、きちっと対応できる、さすがにすごいな、こういうふうなイメージもつくっていかなければならないときに、今、國重委員のおっしゃることはごもっともな御意見だというふうに思っておりまして、今後の課題として取り組んでいくことができればと思っております。よろしくお願いしたいと思っております。

國重委員 力強い答弁、ありがとうございます。

 将来を見据えたしっかりとした取組を、ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、この福島イノベーション・コースト構想が力を発揮していくためには、産業界への一層の周知が必要であります。多様な企業に理解を促し、関心を持ってもらって、積極的に参加してもらえるようにしなければなりません。そして、企業を呼び込むためには住民の理解が進むことが大切であります。

 先日公表されました福島県政世論調査では、福島イノベーション・コースト構想の名前だけ知っている県民の方は五二・八%、そのうち、内容まで知っている方はわずかに一五・七%という結果が出ました。

 福島イノベーション・コースト構想が今後の復興の切り札になるのであれば、細かな内容はさておき、この構想が何を目指し、それによってどのようなことが起こるのか、こういった骨太の内容は共有されるべきでありますし、また、若者が興味を持てるようなものにしていくべきだというふうに思います。

 地域外から浜通りへ、イノベーションを起こしていこう、浜通りで頑張っていこうという企業が来ようとしても、やはり住民の理解がなければ立地が進みません。住民の皆さんが福島イノベーション・コースト構想のメリットを理解して、これは福島の未来にとって大事なことなんだ、みんなで進めていこうという意識が共有されること、直接かかわる浜通りの地域の皆さんのみならず、福島県民全体としてこの構想を支えていこうという機運が醸成される、これは大きな力になります。

 これまでもさまざまな周知活動を政府が行ってきたことは承知をしておりますが、まだ十分に産業界、住民に理解が広がっているとは言えない現状がございます。これまでの取組を踏まえて、今後のさらなる普及活動にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

須藤政府参考人 お答え申し上げます。

 イノベーション・コースト構想の名前の認知度、先生御指摘のとおり、五二・八%と半数を超えておりますけれども、具体的な内容までの認知は一五・七%と、限定的であると認識しております。

 これまで政府では、福島県や福島イノベーション・コースト構想推進機構と連携し、県内外への情報発信を行ってきました。

 例えばでございますけれども、取組や成果を紹介するシンポジウムを平成二十八年度から毎年開催しております。また、浜通り十五市町村で開催されるイベントに積極的にブースを出展しています。また、御指摘ありましたように、若手が構想に参加をして活躍する様子というのを取り上げたパンフレットを一万部作成をして、県内の教育機関などに配布といった取組を行っているところでございます。

 また、認知の向上には、何より構想を身近に感じていただくということが本筋かと思っております。このため、多くの方々がプレーヤーとして構想に参画いただくこと、あるいは、構想によるプロジェクトから新しい仕事やサービス、商品を生み出していくということに力を入れていきたいというように思っております。

國重委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、福島県の観光振興についてお伺いいたします。

 観光振興もこれからの福島にとっては重要であります。しかし、世界ではいまだ福島イコール原発事故というイメージが拭い切れていない、こういった面もございます。来年はいよいよ復興オリンピックがあり、風評払拭に向けたチャンスの年でもあります。世界から寄せられた支援に感謝の思いを伝えるとともに、東北は、そして福島はここまで復興したということを世界に力強く発信していかねばなりません。

 この点、今年度末を目指しているJR常磐線の全線開通、これもまた大きなチャンスであることは間違いありません。現場からは、これに合わせて大きなプロモーションを打ってほしい、あらゆる工夫を凝らして、まずは足を運んでもらって、復興した地域を実際に見てほしい、そこに普通に暮らしている人々を見てほしい、こういった要望が届いております。

 JR常磐線全線開通という大きなチャンスに、政府としても自治体、関係機関等と連携してPRに打って出るべきと考えますが、これに対する見解をお伺いいたします。

門大臣政務官 お答えさせていただきます。

 初めに、東北地方全体、そしてまた特に今御指摘がありました福島県の復興については、観光振興による交流人口の増加が大変重要であると考えております。

 委員御指摘のとおり、現在、JR常磐線については浪江駅―富岡駅間でいまだ不通となっておりますが、本年の年度末までに帰還困難区域のうちの特定復興再生拠点区域の一部が先行して避難指示解除されるのに合わせて、運転再開が見込まれているところであります。

 これを機に、JR東日本においても、全線開通後、沿線でのイベントと連携し、多くの方に常磐線を利用していただけるよう、事前に広告掲示をしているということであります。

 私も、去る十月の一日、双葉駅を中心にして双葉駅西側第一地区における復興再生拠点整備事業の起工式に参加をさせていただきました。

 まさに、今委員御指摘のように、現場に行けば、どんどん復興されているというその姿を目の当たりにすることができます。そして、地元の方々も、この全線開通を契機に力強い復興の一歩を踏み出したいという決意を我々にも伝えていただきました。

 国土交通省といたしましても、この全線開通を福島県への観光再生への絶好の機会と捉えて、福島県や復興庁、そしてJR東日本、関係機関としっかり連携して、これからこのことに積極的に取り組んでまいりたいと思います。

 そしてまた、今、海外のことも御指摘いただきました。

 政府といたしましては、福島県を含む東北六県の外国人延べ宿泊者数を、二〇二〇年、まさに来年までに百五十万人泊にするという目標を掲げております。東北観光復興対策交付金を創設し、さまざまな地域の取組を支援するとともに、JNTOによる集中的な訪日プロモーションと、東北、特にまた福島に特化して、海外主要都市に向けデスティネーションキャンペーンを実施してまいりたいと思っております。

國重委員 ぜひよろしくお願いします。

 別の角度での観光政策として、例えば、小名浜港を玄関口とするクルーズ船の誘致を求める声もございます。政府としても、地元と協議しながら取組を後押ししていくことが大切と考えますが、政府の見解についてお伺いいたします。

門大臣政務官 この小名浜港は大変立派な港が整備されておりまして、ところが、今先生が御指摘いただきましたように、クルーズ船においては、東日本大震災以降しばらくクルーズ船の寄港が中断しておりました。平成二十八年からクルーズ船の寄港が再開されましたけれども、現在、国内クルーズ船の寄港にとどまっておりますし、寄港実績は年間一、二隻というような状況であります。

 このため、福島県では、平成三十年九月に市や地元の観光関係者から成る小名浜港クルーズ船誘致連絡会を設置して、今度は海外のクルーズ船の誘致に今積極的に取り組んでいただいているところであります。

 国交省といたしましても、東北クルーズ振興連携会議を通じて海外のクルーズ船社へのPR支援をするとともに、東北観光振興対策交付金を活用して、福島県が実施するモニターツアー等も支援しているところであります。

 ただ、最近、クルーズ船はあちこちに寄港していただいていますけれども、寄港がふえたけれども余り地域に対していろいろな影響が少ないんじゃないかという御意見もありますので、寄港回数をふやすことと、そして、その寄港していただいた方々が地域と触れ合って、地域にいろいろなお金を落としていただくような努力も、国と地域と連携して取り組んでまいりたいと思います。

國重委員 地域の要望を聞きながら、ぜひ適時適切な支援をよろしくお願いします。

 あと二問残しておりましたけれども、最後に一問で終わらせていただきたいと思います。

 食品に対する風評も根強く残っております。ことし三月に消費者庁が公表した、風評被害に関する消費者意識の実態調査の結果によりますと、食品中の放射性物質を理由に福島県産の食品の購入をためらう人は、いまだ一二・五%いることが明らかになりました。風評払拭に向けた粘り強い取組が引き続き必要であります。

 とりわけ、福島県の漁業については、まだ試験的操業、販売の状況であります。主要魚種の出荷制限も解除になり、これから水揚げ量が上がってくると期待される中で、売上げも順調に上がってくるかどうか、本格的な操業の再開に向けた大切な時期にあります。しかし、残念ながら、福島県産は売れ残る、クレームをつけられるといった懸念から、福島県産の取扱いに消極的になる小売業者の厳しい反応にさらされ、現場は疲弊をしております。

 消費者に対しても業者に対しても、水産業に関する風評を払拭するような取組を一層促進していくことが大切と考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 福島県産水産物の風評の払拭に向けましては、現在、県が行います水産物モニタリング調査の支援を行うとともに、その成果を含めまして、消費者や関係事業者に対して、福島県水産物の安全性に関します正確でわかりやすい情報提供の実施に努めているところでございます。

 また、東京、埼玉、宮城の大型量販店十店舗におきまして、福島県産水産物を福島鮮魚便という形で常設で販売をし、専門の販売スタッフがおいしさと安全、安心をPRする取組、これを支援をしているところでございます。

 さらに、今年度からは、首都圏の外食店で、ふくしま常磐ものフェアということで、福島県産水産物を使いましたオリジナルメニューの提供に対する取組への支援というものを始めたところでございます。

 今後とも、関係府省、自治体とも連携しながら、この風評払拭の対策に全力で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

國重委員 以上で終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 共同会派に所属をしております玄葉光一郎です。

 大臣が新たに就任をされたわけでございます。ぜひともおっしゃるように現場主義で頑張っていただきたいと思いますが、かつて何度かこの場で指摘をさせていただいたテーマでもありますけれども、新たに御就任ということもありますので、重ねてきょうは要請をしたいということが一つございます。それは森林の問題でございます。さらには財源の問題、また放射線の副読本の話を、きょうは限られた時間でありますけれども、させていただければと思います。

 まず森林再生事業でございますけれども、これは私も三・一一の深い傷跡についていろいろと考えさせられるのでありますけれども、特に傷跡を残しているのは、この森林でございます。

 今回の台風十九号でも大変な土砂が流れたんですけれども、実は、多くの人が指摘をしたのは、この台風十九号で流れた土砂によって、また放射線物質が流れ出ているのではないか、こういうふうに指摘をされるんですね。かなりの程度なくなってきたのでありますけれども、山の除染というのは実はほとんど行われていないがゆえに、そういう問題がまた起きるんですね。ですから、この山の問題が最終的に解決しないと、復興は成ったというふうには残念ながら言えないなということを感じるんです。

 私自身も、もう長い間、国会議員二十六年目になるんですけれども、選挙区に帰るたびに山のものをいただく、山菜とかキノコをいただいたりすると、本当に都会にはない豊かさというものを実感するんですね。でも、その山菜とかキノコは今もらえないんですよ。マツタケだっていただいていたんですけれども、もらえない。出荷制限が出ていて、だめなんですね。会津まで行ったって出荷制限が出ているんですからね。それが実態でございます。

 その実態を、改めて大臣には御認識を強く持っていただいて、私がきょう改めて申し上げたいのは、この間で非常に効果的だなと思っている事業は森林再生事業、冒頭申し上げたように、その事業でありまして、間伐をしながら除染をする、除染をしながら間伐をする。この事業は、始まったばかりなのでありますけれども、全額国費で行われておりまして、これは大変私は福島県の復興には効果があるという認識を持っております。

 ぜひこの事業について、田中大臣には強い後押しをしてもらって、避難指示が出た地域だけではなくて、今申し上げたように出荷制限が出ているのは県内全部でございますので、県内全域を対象にこの事業を力強く推進をするということをおっしゃっていただきたいと思います。

田中国務大臣 お地元の、一番お詳しい玄葉委員の経験に基づいて、また現実に現場をよく知っておられるお立場からの御指摘でございまして、私の方もひとつ重く受けとめてまいりたいと思っております。

 また、先般、地元の森林組合の皆様方からも適切な御要望を頂戴しておりまして、そういうことも参考にしてまいりたいと思っております。

 もう委員御承知のとおりでございますが、福島県の森林・林業の再生に向けては、復興庁としては、農林水産省と連携をして、福島県が実施するふくしま森林再生事業への支援に取り組んできました。

 先般、復興推進委員会でお示しをした復興の基本方針骨子案では、原子力災害被災地域に関する復興・創生期間後の復興施策として、放射性物質の影響を受けた森林・林業の再生を盛り込んでおるところでございます。

 こうした方針のもと、今後とも、森林・林業の再生が進められるよう、施策の効果検証等をしっかりと行いつつ、現場の要望を受けとめて対応してまいりたいと思っております。

 お話がありました間伐等の適切な森林の整備も取り組んでまいりたいと思いますし、さらに、移動抑制対策ということや、また、破砕等の実証についても対応をしておるところでございます。

 今後とも、御指導のほどよろしくお願いしたいと思います。

玄葉委員 大臣、一言で結構ですので、この事業を、避難指示が出た十二市町村以外、県全体を対象に推進を力強くしていく、これに対して、そうしますというのかどうかだけ答えてください。

田中国務大臣 県内全域で実施するということでございまして、復興・創生期間後の事業の進め方については、政府内でもしっかりと議論をし、現場の声を尊重して対応してまいりたいと思っております。よろしくお願いしたいと思います。

玄葉委員 十二市町村以外も推進していく、復興・創生期間後も現場を重視してということでいいですね。イエスかノーかだけ。

田中国務大臣 地元の声をしっかりと受けとめながら、県内全域を対象にして、いろいろと考えてまいりたいと思っております。

玄葉委員 大臣、ありがとうございます。

 財源でございます。

 これも教えていただきたいのは、私も三・一一発災のときに財源をつくる側にもおりましたので、当時は所得税の二・一%の上乗せを二十五年間やったりして十兆円の財源をつくったのでありますけれども、まず一つお聞きしたいのは、復興・創生期間の取組のために確保した財源は三十二兆円だと聞いておりますが、来年度末に終わるわけですけれども、残余の金額は幾らになりますか。

田中国務大臣 お答えをいたしたいと思います。

 三十二兆円程度の復興財源フレーム対象経費のうち、三十年度末までに支出済みとなったものは二十八兆七千億円でございます。

玄葉委員 わかりました。

 となると、大臣の所信にはこの復興の財源については実は言及がなかったのでありますけれども、この所信にあったのは、たとえ長い年月を要するとしても、全てを避難指示解除するんだ、責任を持って取り組むんだというふうにお話をされておられますので、当然、もとに戻すべきは戻しながら、創造的な復興を実現するまで財源は確保するということだと思いますが、これはどのように財源を確保しますか。増税ですか、あるいは、その年々の剰余金などを確保して財源を確保するんですか。どうですか。

田中国務大臣 期間後も必要となる財源については、先般公表した復興・創生期間後における東日本大震災の復興の基本方針の骨子案において、当面五年間の事業規模を整理し、所要の財源を手当てすることといたしておりまして、必要な復興事業を確実に実施してまいりたいと思っております。この方針をお示ししたところでございます。

 今後、年末に決定する基本方針を踏まえ、復興・創生期間後も引き続き復興に全力で取り組んでまいりますし、財源の確保は当然のことだと思っております。

玄葉委員 ありがとうございました。

 最後に、放射線の副読本でありますが、この間、私、二回質問をして、とにかく、風評対策の究極は、放射線について正しく恐れるということだと思いますし、リスコミなんですね、リスクコミュニケーションがきちっとできるかどうかだと思います。放射線の副読本を配っていただいたのはいいんですけれども、残念ながら使われていないという現状がこれまであって、きちっとフォローアップをしてほしいと言ってきたんですが、ことしじゅうにフォローアップを終えるということでございましたが、どうなっていますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の放射線の副読本につきましては、各教育委員会に対して、指導主事の会議などさまざまな機会を通じて、今回の放射線副読本の改訂の趣旨、すなわち、横浜で起きましたいじめの事件などを踏まえて改訂されたものでございますが、そういう趣旨をしっかり周知するなどして、各学校における副読本の活用を促すとともに、調査に関する事務負担にも配慮しつつ、その活用状況や活用に当たって工夫した点などを把握するためのフォローアップ調査を年内に行う予定でございます。

 本調査につきましては年度内を目途に結果を取りまとめる予定でございまして、文部科学省といたしましては、今後、取りまとめた結果や調査を通じて把握した副読本の効果的な活用事例について、各都道府県に対して周知等を行い、各学校における副読本のさらなる活用を促していくことを考えているところでございます。

玄葉委員 やはり委員会で指摘しないとこういうふうになっちゃうんですね。今まではことしじゅうと言っていたんですよ。でも、今回指摘しなかったらやらなかったんじゃないかと思って、やはり心配になっちゃうんですよね。今年度中というふうにおっしゃって、必ずやはりやらないとだめですよ、文科省。これは本当に、指摘しないとサボっちゃうんですよ。

 学校現場の大変さはよく理解しています。でも、やはりポイントを絞ってでもいいから教えていかないと、リスコミは進みませんよ。指摘されないとやらないというようじゃだめなので、今年度中と今おっしゃったので、必ずやってくださいね。

 以上です。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、階猛君。

階委員 共同会派所属の階猛です。本日はよろしくお願いします。

 まず、復興大臣にお尋ねします。

 先ほど来、大臣のお話も出てきております復興の基本方針の骨子案の中から、私も抜粋したものを持ってまいりました。資料の一ページ目をごらんになってほしいんですが、先ほど答弁の中でも触れられた復旧・復興事業の財源というくだりがございます。

 この中で私が気にしているのは、復興特別交付税という制度がございますが、現在の復興・創生期間においては、復興交付税による措置が地元負担の九五%までだということで、五%は地元負担になっているということなんですね。これが導入されたときも、それまで一〇〇%国に面倒を見てもらっていたものを変えられるということで、かなり地元からは問題視する声がありました。

 これから先、新たな基本方針ができるという中で、この地元負担分が更にふえるようなことがあってはならないと思っておりますが、基本方針、年内にはまとめるということなんですが、前回の例を踏まえると、財源の地元負担の問題については、多分、来年の夏前には固まってくるんだろうと思います。

 いずれにしましても、田中大臣の在任期間中にはこの地元負担の問題をどうするか結論を出すわけですが、大臣の地元負担についての考え、今までのやり方を踏襲するのか、それとも地元負担をふやすのか、気になるところですので、お答えください。

田中国務大臣 現在、復興・創生期間後の復興事業のあり方について、関係省庁と連携しながら検討を進めております。

 期間後の自治体負担についても、これまでの復興施策の総括、被災地方公共団体の要望、国と地方の適切な役割の分担、過去の大規模災害の例等を踏まえながら、期間後も対応が必要な事業を確実に実施できるよう適切に検討していかなければならない、このように思っておるところでございます。

階委員 大臣のお考えを聞いておりますけれども、復興庁というのは、ほかの省庁よりも一段上の立場に立つわけであります。財源をどうするかということについても主導権を持って決められる立場だと思っておりますけれども、大臣のお考えは、この地元負担をどうされるのか、お答えいただけますか。

田中国務大臣 今もお答えを申し上げましたように、期間後も対応が必要な事業を確実に実施できなければならない。特に、私どもも先ほど来よりお話ししておりますように、これは総理がいつも言っておられることでありますが、現場主義に基づいて頑張る、被災地、被災者の皆さんの心に添って努力をしていく、こういうことでもございまして、あわせて、私たちは、この事業をとにかく完成をさせていく、地元の皆さんとともに頑張っていく、こういう思いで財源のことも議論をしてまいりたいと思っております。

階委員 えんきょく的ではありますが、そうすると、地元負担についてはこれ以上ふやすことはないということで理解してよろしいですか。うなずいておりますけれども、いいですか。

田中国務大臣 階委員からのお尋ねでございますけれども、今の時点では、私が精いっぱいお答えをさせていただいているということで、御理解をいただければと思っております。

階委員 これ以上やりませんけれども、ぜひそこは、大臣のイニシアチブでしっかり地元への配慮をお願いしたいと思います。

 さて、先ほど別な議員からも御指摘がありました三陸鉄道の件ですけれども、国交省の方からさっき答弁がありましたので繰り返しお尋ねすることはしませんが、懸念されていました大変な経営状況にある三鉄の負担はどうやら避けられそうだ、また、地元自治体の負担も後から交付税で措置されそうだということで、地元の負担も最終的にはなくなりそうだというふうに理解しましたけれども、そういうことで今検討中だということで、確認だけです、結論だけ端的にお答えください。

江口政府参考人 お答え申し上げます。

 今我々の方で検討しておりますのは、国二分の一、地方二分の一でございます。

 それから、地方の負担につきましては、これはほかの災害を受けた施設と同様でございますけれども、起債が一〇〇%充当、これに対して、一般の交付税で九五%充当ということを今検討しているところでございます。

階委員 わかりました。最終的には地元負担は半分のうちの五%、二・五%ということで考えているということですね。

 そこで、東日本大震災のときは、恐らくここは復興交付税だったと思いますので、一〇〇%国が最終的には負担するということだったと思いますが、これも確認ですけれども、それでよろしいですか。

江口政府参考人 今お答えしましたとおり、地方の負担分についてでございますか。

 地方の負担分については、繰り返しになりますけれども、起債が一〇〇%充当、それに対して、元本償還の九五%について普通交付税が措置される方向で今調整をしている……(階委員「ごめんなさい、東日本大震災のときどうだったか」と呼ぶ)東日本大震災のときには、一〇〇%特別交付税で措置されたと承知しております。

階委員 それで、今確認したとおりでありまして、東日本大震災のときには、地元負担が最終的には全くなかった、一〇〇%国の負担だったということなんですね。今回は、二・五%であるけれども地元に負担が生じるというふうに、少し変化しているわけです。

 ところで、さっき大臣が読み上げられましたけれども、前回の復興・創生期間の基本方針では重要なことを書いていると思っていまして、「今後の復興・創生に当たっては、「まちに人が戻る」ことを目指すのみならず、被災地外からも多くの方々が訪問し、あるいは移り住むような、魅力あふれる地域を創造することを目指す。」先ほど大臣もこの部分を読み上げられました。

 その上で、被災地を結ぶ三陸鉄道のような施設というのは非常に重要だと思っておりまして、私は、本来、国交省にこの復旧を任せるのではなくて、この復興の基本方針のまさに範囲内の事業であるということで、復興庁がまさにワンストップ機能を発揮してこれをやるべきではなかったかと。

 したがって、東日本大震災の被災時と同じように、一〇〇%国が面倒を見るということでもよかったのではないかと思っておりますが、この点、大臣、いかがでしょうか。

田中国務大臣 私もせんだって三陸鉄道の現場の状況について視察をさせていただいて、社長始め関係者の皆さんからも丁寧な御説明をいただいたところでございます。

 三陸鉄道の役割についても階委員が御指摘のとおりだと思いますし、早く復旧ができるように、国交省とも、また関係省庁ともしっかり努力をしてまいりたいと思っております。

 復興予算云々ということについては、完成をした後に実は残念ながらこれだけの水害があってこのような状況になっているということを、私も復興大臣としては、十分承知して、多分階委員もお尋ねだと思います。

 いずれにしましても、関係省庁と協議をしながら対応していく、こういうことで御理解をいただきたいと思っております。

階委員 大臣がおっしゃりたいことは、一回でき上がったものがまた被災した場合は、復興庁の事業から外れるということなんだと思うんです。

 しかし、復興の大目標というのは先ほど大臣もおっしゃったところにあるわけですね。その目標にとって必要なものであれば、復興庁がイニシアチブを持って進めるということが私は大事だと思いますよ。これができないんだったら、ワンストップということが全く絵に描いた餅になると思います。ワンストップを貫徹していただきたいですし、また今回の基本方針もこうした大目標を掲げるべきだと思っています。

 骨子案の中には、先ほどの復興・創生の基本方針にあったような大目標、単に人が戻ってくるだけではなくて、多くの人が来て、移り住むような、魅力あふれる地域を目指すといったようなことはございません。ちゃんとした大目標を立てた上で、それに沿うような事業を復興庁がワンストップで進める、こういうことをやっていただきたいと思います。

 大臣の見解をお願いします。

田中国務大臣 もう一般論の話は申し上げません。

 復興庁としては、東日本大震災からの復旧復興の進捗にできる限り支障を来さないことを重要に考えておりまして、関係省庁と密に連携をとりながら努力をさせていただく、こういうことで御理解をいただきたいと思っております。

階委員 本当に、基本方針を年内にまとめるということなので、しっかりと、何をやるかという羅列だけではなくて、何を目指すのか、ゴールを書いてください。それをお願いします。

 あと、具体的なことを二つほどお尋ねしたいと思います。

 復興事業で造成した土地を今回の台風で被災した方々の住宅の再建に利用するということをやってみてはどうかということを、地元の方々からも聞いております。そして、現在、津波で被災された方のために造成した土地に余りがあるような状況もあるわけです。この空き地を埋めるということ、そして、台風で被災された方々がまた同じところに住んで被災されないようにするためにも積極的な空き地の活用をすべきではないかと思いますが、大臣の見解をお願いします。

田中国務大臣 防災集団移転促進事業で造成した区画での住宅再建を移転対象者が希望しない場合、あきが生じておるわけでございますが、台風による被災者も含めた一般の方への分譲、賃貸することは可能であるというふうに考えます。この場合、分譲価格だとか賃借料については自治体の判断によって設定されることが妥当であろう、このように思っておるところでございます。

 なお、土地区画整理事業によって造成した区画の大部分は民有地でありまして、所有者の意向を尊重する必要があろうと思っております。自治体によっては、土地の所有者と利用者の、買い主、借り主とのマッチングを行っているところもございまして、このような取組の活用も考えられるのではないかと思っておるところでございます。

階委員 その点についても、もともと住んでいたところの買上げも含めて検討していただきたいと思います。

 最後に、被災された方の住宅再建に関して、以前、これは河野大臣が防災担当大臣のときに、被災者再建支援制度の拡充について議論したことがありまして、河野大臣からは、保険制度をより活用してもらうようにということを力を入れるべきだというような答弁がありました。資料の三ページ目につけております。きのう、レクのときに、この点どうなっているんだというふうに役所の方に聞いたところ、余り保険制度の活用ということは進んでいないようでした。

 ここから質問ですけれども、最後のページ、保険でカバーできていれば災害損失ということが余り広がらないわけですけれども、保険の活用状況もよくわからないという中で、税法上、災害損失控除というものを認めて、災害でこうむった損失については、人的控除、配偶者控除とか扶養控除、こういったものの後に災害損失控除というものを行う、これを十年間繰越しを認めていくことによって、税負担を軽くして、住宅再建にもプラスになるようにしていったらどうかということが、東北税理士会を中心に、全国の税理士会から要望が来ております。

 最後に、この点、財務省から検討状況をお聞かせいただけますか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 税理士会からの御提言は私どもも承知いたしておるところでございます。

 それで、災害の損失でございますが、これに関しましては、今御指摘がありましたように、基礎控除などの人的控除より前に引かれる控除といたしまして雑損控除という控除がございまして、これによって所得控除ができ、三年間の繰越控除が可能とされております。

 また、この雑損控除のほかに、災害減免法という法律がございまして、雑損控除との選択適用によりまして、所得金額に応じ、税額の全額免除でありますとか軽減などの措置が受けられることになっております。

 また、平成二十九年度の税制改正におきまして、住宅ローン控除の特例を始めといたします災害関連税制の常設化ということが行われておりまして、災害の頻発する状況への対応ということを税制としてはこれまで行ってきているところでございます。

階委員 更に一歩踏み込んだ対応をお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、山崎誠君。

山崎委員 皆様、こんにちは。立憲民主党、山崎誠でございます。

 貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。短い時間ですので、早速質問に移らせていただきたいと思います。

 毎回、いろいろ福島の原発の災害についてずっと取り上げております。きょう、一問目は特定復興再生拠点区域整備のお話でございまして、一点、私、昨年現場も見せていただいて、非常に心配しているのが除染なんですよ。やはり大変汚染が厳しいから今まで手つかずで残っていたところを、今除染をされていると思います。私は、やはり今までの除染の経験を生かしながら、この今厳しい環境の除染を進めていかれるのが当然のことだと思うんですね。

 なので、まず一つは、今までの除染を通して、やはりいろいろな課題があったり教訓があったり、あるいはいろいろな、例えば労基署が入って指摘された事項とか作業員の皆さんの健康管理だとか、課題があったと思うんですよ。そういう課題をどう把握をされて、今回のこの特定復興再生拠点の除染に対して、どういうふうにその方針をより進化させて対応されているかという点をちょっとお聞かせいただきたいんですが。

田中国務大臣 特定復興再生拠点についてお答えを申し上げたいと思います。

 帰還困難区域における復興及び再生を図るために二十九年に法定化され、六町村で整備が進められておるわけでございます。

 これら六町村における住民意向調査の結果では、戻らないと回答される方もいらっしゃいましたけれども、一方で、戻りたい又はまだ判断がつかないとして、今後戻る可能性がある方も四割から七割程度存在をするということがわかったところでございます。

 復興庁としても、これらの方々の要望を踏まえて、拠点区域の避難指示解除に向けた家屋等の解体、あるいは除染やインフラ復旧、さらには、生活に必要な環境整備等を関係省庁、地方自治体と連携して引き続き実施していくところでございます。

 いずれにしても、これらの意向を、住民の皆さんの意向を大切に対応してまいりたいと思っております。

山崎委員 済みません、質問に答えていただけていないので。

 除染をどういうふうにやっていくのか、方針をどういうふうに変更して、より危険な地域に対応しているのかを聞いています。

石原副大臣 お答え申し上げます。除染を環境省が担当しておりますので。

 従来から、除染についてでありますけれども、行っておりますが、特定復興再生拠点区域内の家屋等の解体、除染作業については、作業員の放射線障害を防止するために、労働安全衛生法令に基づいて、受注者は、作業場における外部被曝の測定、作業員に対する特別教育、また必要な防護措置等を実施することとされております。

 環境省としては、こうした労働安全衛生のための措置が確実に行われるよう、受注者に対して、法令遵守を求めることはもとより、放射線管理を指揮監督する者の設置を義務づけているところであります。加えて、福島労働局や福島県と合同で除染現場のパトロールを実施して、適切な安全管理が実施されていることを定期的に確認を行っております。

 このような取組により、これまで法令に定める被曝線量を超えた作業員は確認されておらず、引き続き適切な安全管理を実施してまいりたいというふうに考えております。

山崎委員 ちょっと時間もないので余り突っ込めませんが、労基署のいろいろな指導とかも以前見せていただきました。やはり安全管理、健康管理について指摘を受けているところが多い。ぜひそれを、やはり、今までの抜き打ちのそういう検査ではなくて、例えば全体を網羅したような管理だとか、強化していただかないといけないと思います。ぜひともここは、私は大事なところで、除染をきちっとやった上で、次どういうふうに進めていくのかということを本当に現場に即して対応いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 環境省はここで、構いませんので、よろしくお願いします。

 二問目、田中大臣にはここからが本番でございまして、お聞きをしたいんですが、私は、自主避難者の状況についてずっと御質問をしてまいりました。これは残念ながら不本意でございまして、なかなか自主避難者の皆さんの生活再建が成らないということで、ずっと続けて質問せざるを得ない状況でございます。

 今、どういうふうになっているか。いろいろな側面はあるんですが、一番問題になっているのが、国家公務員の宿舎に入られている、東雲住宅に入られている方、ずっとお話をしてまいりました。十一月一日現在で四十三世帯の方が残られています。

 どういう支援をしているのかということで、これは個別にいろいろと確認をさせていただきました。きのうですか、数字をいただきましたが、この数字を見ると、何らか住居を案内していて未確保の方が十六世帯ということになっています。四十三世帯当たり、住居を案内できている世帯は十六世帯。公営住宅を案内できているのが四世帯で、民間の賃貸住宅を案内できているのが十二世帯。まだ、でも、この中から家が決まっているところはございません。

 よろしいでしょうか。四十三世帯のうち、案内ができている世帯は十六世帯、案内ができていない方々が二十二世帯。半分以上の皆さんには、残念ながらいろいろな、新しい住まいの御案内ができていない、御相談ができていないということです。これ以外に、訴訟を提起して請求対象になっている方というのが五世帯おります。これも大きな問題ですが、今こういう状況です。

 大臣、これは予算委員会でも私どもの本多平直議員が御質問をしておりますので、この自主避難者の皆さんの問題については認識おありだと思います。質問の中でも、これは復興庁のやはり責任として寄り添って対応していただかなければいけないということで、大臣もこのように答弁されています。

 避難指示区域以外に避難をしておられます皆さん、全ての避難者の支援は、国においては復興庁が当然担当している、引き続き、福島県あるいは自治体、全ての皆さんとも密に連携をしながら、避難者の方々の生活再建を支援しております、これからもそのようにしてまいりたいと思いますという御答弁があります。

 今の御答弁を受けて、今のこの支援の状況、四月から住宅支援が基本的に打ち切られ、六カ月以上たっていますが、半分の方々には住宅のさまざまな提供もできていないという状況でございます。この状況を、大臣、どのように認識をされているか、ちょっと手短にお話をいただきたいと思います。

田中国務大臣 今もう既に委員から具体的な数字をもって御説明、お話があったわけでございますが、私どもの方も、住居を案内していない住居未確保者の方が二十二ある、こういう状況についても承知をしておるところでございます。

 いずれにしましても、いろいろなケースがあるわけでございますので、私たちも当然責任を持って対応しなきゃなりません。福島県の対応、特にいろいろな対応を福島県もしておるわけでございまして、きめ細かく把握し、住まいの確保等に向けて更に努力をしてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

山崎委員 大臣、ありがとうございます。

 努力をしていただく。予算委員会の答弁でも、「被災者の皆さんの心にも日々の生活にも寄り添っていく、そして、常に現場主義を徹底する、」というお話もいただいておりまして、今お話があったとおり、これからも努力をされていく、取り組みますというお話でございます。

 そうであるならばなんです、今、この国家公務員の住宅にお住まいになって出ていけていない方、自立ができていない方々、それぞれに理由があって、大臣も御存じだと思います。健康的にやはり問題がある方、あるいは生活、いろいろな、職業の問題、その場を離れると大変厳しいというような方々が大勢いる中で、今お話しになったような責任がある中で、今一番問題になって、一番被災者の皆さんを苦しめているのは、家賃の二倍請求というお話なんですよ。四月から家賃をいきなり二倍請求ということで、損害を与えているから二倍にするということが福島県から言われて、この点、本当に皆さん苦しんでいます。

 財務省、これは、実は今、福島県に二倍請求をしているとも聞いています。要するに、福島県の責任だけではなくて、国としても、財務省の資産ですから、そこからの家賃請求は福島県に行くわけですが、財務省からも二倍請求が行っている、それを受けて、福島県も二倍請求という流れになっています。この二倍請求をとめない限りは、私は、やはり、福島県の皆さん、落ちついて次の住まいの再建について取り組む、そういう気持ちにもならないのではないかと思います。

 先ほどお話しした人数の中で、二十二名の方は住居を、提示もうまくできていなくて未確保の方々がいます。この方々の思いというのは、とてもとても、二倍請求をされて、早く出ていきなさいと言われる方々と話ができない、話がしにくい、話したくない、そういう方も大勢いらっしゃいます。私も、十月の二十六日に集会などありまして、被災者の皆さんが大勢いらっしゃいました。そういう方々も、本当に切実です、精神的にも追い詰められている。この二倍請求、何とかなりませんか。

 これは福島県が請求しているだけではありません。財務省、国が福島県に請求をして、その請求を被災者の皆さんに投げているんです。大臣がお話ししたとおり、国も責任があって、今この方々の支援を一生懸命なさっている最中でございます。

 被災者の皆さん、損害を与えようと、国に、あるいは福島県に何か迷惑をかけて損害を与えるために居座っているわけではありません。出たくても出られないんです。二倍でなければ家賃も払う、そう言っているんです。そういう中で、この二倍請求をとめることというのは、私は国の責任としてやるべきだし、できると思いますが、大臣、いかがですか。

田中国務大臣 国家公務員宿舎からの未退去のいわゆる自主避難者の方々について、福島県は、生活保護世帯等に対しては例外的措置として貸付けを継続し、その他の方々については二倍の家賃相当の損害金を請求している、このことでございまして、承知をしておるところでございます。

 福島県は、いずれの方々に対しても、相談対応によって状況をきめ細かく把握しながら、住まいの確保等に向けて適切に対応していると承知をしておるところでございまして、委員のお話、今承りましたので、そのことも十分私も重く受けとめながら、今後、福島県とも相談をして、対応してまいりたいと思っております。

山崎委員 大臣、ありがとうございます。重く受けとめていただいたということで、ぜひともここは何とか助けてあげてください。

 本当に今努力しているんです。何もしていないわけではありません。福島県の担当者の方々も一生懸命努力をされている。復興庁の皆さんも一生懸命努力をされているんですよ。それでもなかなか決まらない。もう残りは本当にわずかと言うと被災者の皆さんには失礼ですけれども、本当にもうお一人お一人が見えてきている、そういう段階でございますから、ここはぜひとも二倍請求というのはとめて、そして、もう一回皆さんが心を割って相談できる環境をつくって、残りの方々の支援を徹底してください。

 最後、残り時間わずかですが、私は、復興・創生期間後の基本方針の骨子案を見ていてすごく不安になったことがあります。

 六ページに、これまでの課題についてまとめているところがあるんですね。その中には、「原子力災害被災地域等からの避難者について、避難生活の長期化等の事情を踏まえた丁寧な支援の継続」と書いてあるんですよ。「原子力災害被災地域等からの避難者」と書いてあって、等という言葉が入っている。私は、この等の中に、今お話ししたような自主避難者の方も含めて、やはり広く被災された方々、避難されている被害者の方々が入っている、それが今後も長期的に支援が必要だという課題が挙がっているというふうに認識をしましたが、今後の方針のところを見ると、これは十二ページになるんですが、済みません、「原子力災害被災地域」と切ってしまっていて、ここに等という言葉が、この以降に出てこないんですよ。

 この等がなくなることによっての影響というのが私はあるんじゃないかと。どうお考えか、最後、確認をさせていただきたいと思います。

石田政府参考人 お答えを申し上げます。

 原子力被災地域自体の定義につきましては、各施策との関係で、やはりエリアが広くなったり狭くなるところがございます。

 今までも、被災者支援、避難者支援に関しましては、御指摘のような自主避難者も含めて対応してきているところでございまして、そのときの我々の理解としては、原子力被災地域からの避難者ということで、その方々の対応をしてきているところでございます。

山崎委員 終わりますが、ぜひこれは広く、まだまだ、どんな被害が、これから例えば健康被害も含めて心配がありますので、ぜひとも切り捨てられる方々がいないようにお願いをしたいと思います。

 以上です。終わります。ありがとうございます。

伊藤委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 立国社共同会派の金子恵美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 台風十九号等の被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、犠牲となり、お亡くなりになられました方々に哀悼の意を表します。

 東日本大震災、原発事故からの復興再生に向けて前進してきた被災地でありますけれども、今般の台風の甚大な被害を受けまして、現在、大変厳しい状況にあることは大臣も御存じのとおりでございます。

 私の地元の福島県におきましても、いわき市、郡山市、本宮市など、避難所での生活を余儀なくされている方々が大変多くおいでになりまして、そして、生活再建のめどが立っていない状況にあるということであったり、またさらには、なりわいの再生のハードルが大変高いということから、大変厳しい、苦しい状況にいる方々も多くいらっしゃるということであります。本当に、ここまで来ますと、またかという声があちこちで聞かれる状況であります。

 今回のこの災害で、私たちは少しだけ立ちどまってしまったかもしれません。しかし、絶対にふるさとを諦めない、そういう思いで前進をしていきたいというふうに思っておりますので、ぜひこのことを御理解いただきまして、引き続きのお支えをいただきますようお願いを申し上げたいと思います。

 そこで、今ほど山崎委員からもありましたけれども、まずは、自主避難者の皆様を含めての県外避難者の方々の支援についてお伺いさせていただきたいと思います。

 大臣には御認識いただいていると思います。自主避難をされている方々の支援は復興庁の所管でございますので、これまでも大臣は、十一月の八日には生活再建支援拠点Aブロック会議ですか、そちらに参加されているということと、また、十一月の十四日には東日本Bブロック会議に参加されているということでありますが、あくまでも生活再建支援拠点でありますので、自主避難をされている方々を含めて県外避難者の方々を支援する立場の方々と面会をされているということでもあります。

 ただ、そこでいろいろなニーズについてはもちろん知識を得ることができたというふうに思いますので、ぜひ、どのような形で今後支援を引き続きなさっていくのかということをお伺いしたいと思います。

田中国務大臣 お答えをいたしたいと思います。

 原子力災害被災地域等からの避難者については、避難生活の長期化などの事情を踏まえた丁寧な支援が継続されることが一番重要である、このように認識をしております。この点について、先日の生活再建支援拠点ブロック会議において、拠点の皆様からいろいろと御要望をいただいたところでございます。

 先日公表した基本方針の骨子案でも、長期避難者への支援等を引き続き進める旨を示しておりまして、復興・創生期間後においても引き続き支援に取り組んでまいりたいと思っております。

 八年八カ月が過ぎ、被災地の皆さんも、遠方に行って生活をしていらっしゃる方も多々あるわけでございます。沖縄県などにもたくさんの方がおられるわけでございまして、いろいろな細かいお話も聞いてみますと、一つ一つのケースがいっぱい、いろいろな形であるようでございますので、私たちも、福島県とも、あるいは、被災をされた方たちが行っておられる自治体の皆さんとも協議をさせていただきながら、きめ細かい対応をしてまいりたいと思っております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 大臣から今ほど御決意をいただいたというふうに思います。

 きめ細やかに、しっかりとお支えしていただけるということでありますので、くれぐれも福島県任せではなくて、国が前面に出ていただきまして、子ども・被災者支援法という法律もありますので、それに基づきながら自主避難者の方々、県外避難者の方々を支え続けていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 骨子案を見ていますと、どうも復興・創生期間後における基本方針の中には、どのような支援をするかということが見えていないというか、ぼやっと書かれているだけのような気がするんですね。ですから、今、明確に継続ということでいいのかということでありますけれども。

 たしか、十一月の八日の生活再建支援拠点Aブロック会議ですか、そちらの方の意見交換の後で、現場の皆様からの声といたしましては、やはり復興・創生期間後における拠点事業を含めた避難者支援施策の継続ということについてお話がございましたというふうに、記者会見で、ぶら下がりで大臣もおっしゃっておられて認識をされているということから今のような御決意が出たというふうに思っていますので、現場主義ということで、ぜひこれからも御支援をいただきますようお願いしたいと思います。

 続きまして、私は、先ほどもありましたけれども、イノベーション・コースト構想についてお伺いしたいと思うんです。

 私も注目していますのは、十一月の十九日に今年度の福島県県政世論調査の結果が発表されたわけでありますけれども、その中で、福島・国際研究産業都市、イノベーション・コースト構想の認知度を調べておりまして、ちょっと逆な形で私申し上げさせていただきますと、名前も内容も知らないが四六・三%、名前を聞いたことがあるが、内容は余りよく知らないは三七・一%でありまして、合計八三・三%に上るわけです。

 つまり、福島県民が知らない、八三・三%の方々がイノベーション・コースト構想を知らないと答えている、そういう状況なんです。

 これを考えると、たしか、このイノベーション・コースト構想は、やはり被災自治体を支えるために新たな産業をしっかりと構築していくんだということで進めてきたはずなんですが、それを被災地の県民が知らないという状況でありまして、県民の多くが知らないということは、何のための、誰のための事業なのかというふうに私は疑問に思います。そして、多くの県民の皆さんもきっと疑問に思っていると思います。

 この調査をすることによって認知度が上がるということもあるかもしれませんけれども、大変残念な数字でありますので、まずはこのことについての御見解、そしてまた、さらに、どのようにイノベーション・コースト構想を進めていかれるのかということも含めまして、御答弁いただければと思います。お願いいたします。

田中国務大臣 私も調査の数字の結果を見まして、もっと私たちが努力して、きちっと県民の皆さん、御関係の皆さんに正しく知っていただかなければならないな、つくづく感じておるところでございまして、これからも頑張ってまいりたいと思っております。

 福島イノベーション・コースト構想については、復興・創生期間後の復興の基本方針においてもさらなる推進を図ることを明記しておりまして、具体的には、この構想を基軸とした産業発展の青写真を経済産業省や福島県とも取りまとめていく予定としておるところでございます。

 青写真の中では、幅広い業種において、地域的な産業の集積を図って、経済効果が浜通り地域等において着実に広がった上で、県全体にも波及することを目指すこととしておるところでございます。

 情報発信についても、これまで経済産業省だとか福島県と連携をして、各種パンフレットやウエブによる情報提供、シンポジウムの開催等によって普及啓発を図っておりますが、今後も積極的に実施してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 先ほどのほかの委員からの質問の答弁とほぼ同じだと思うんですが、復興庁の内部においても、復興庁行政事業レビュー公開プロセスが六月七日に実施されているということであります。この中での行政事業レビューでも外部有識者からの指摘があったということで、補助金の投入額と効果の大きさを適切に評価できるような指標、雇用への寄与、域内の人口の増加、特許出願件数等を多面的に検討すべきとあります。そのような御意見というものも出ている。

 私、ここで注目したいのは、やはり雇用への寄与というのはどうなっていくんだろうということです。

 これだけ県民の皆さんが御関心を余り持っていないということであれば、やはり自分たちの雇用の場につながっていくんだとか、そして本当に地域経済の発展につながっていくんだということが明確にわかっていくことによって、もっともっと注目をしていくんだと思います。若い人たちも手を挙げて、そこで働きたい、だから頑張る、そしてこういう学校に行きたいんだ、そういういろいろな夢というものを抱くことができるのではないかと思います。

 でも、今の段階だと、一部の企業の方々は頑張っていらっしゃると思いますし、一部の高校生の皆さんも頑張っているということはあるにしても、全体像の中で、県民の皆さんが、どのようにそこで自分の夢をかなえることができるかとか、利益を得ることができるか、そういうところはなかなか見えにくいんだというふうに思います。

 ですので、そういうことをしっかりと発信できるような仕組みというものもつくっていただきたいというふうに思いますし、私は、このイノベーション・コースト構想というのは、ただ単に諸外国から例えば学者の方が来て、そこでいろいろな事業を展開して研究してそれで終わるとか、そういうイメージではなくて、そこでしっかりと人材育成もできて、そして世界に発信できる、そういうすばらしい福島県民がそこにいるんだということも含めて発信していきたいという思いがあるんですけれども、大臣、いかがですか。

田中国務大臣 金子委員から本当に丁寧にいろいろと御指摘があったわけでございまして、私も、地元に御理解をいただける、そして地元の皆さんが希望していらっしゃる思いをきちっと実現ができるようにしていくということのやはり大切さというものを、私もしっかりと対応していくことができなかったら意味がないと、はっきり言って思っております。

 その上で、今おっしゃっているように、世界的であったり、いろいろなことがあるんだろうと思っておりますので、私も今御指摘の点は十分踏まえて今後対応してまいりたいと思っております。

 ありがとうございました。

金子(恵)委員 ちょうど二十四日の地元の新聞の一面に出ていたのがイノベーション・コースト構想の中でも福島ロボットテストフィールドで、来年八月、ワールドロボットサミットが開催されるのでというようなことで、そういう関連した記事が載っていたわけなんですね。

 それは本当に望ましいことだというふうに思っていますが、地元の中小企業十一社でつくる南相馬ロボット産業協議会開発研究会が頑張っている様子、今回のサミットにもインフラ・災害対応部門に出場するというようなことでありまして、ここに小高産業技術高校、テクノアカデミー浜の生徒さんたちもチームに入って頑張るというようなことの記事でした。

 とてもいいことだと思うんですが、こういうことをしっかりともっと発信していかなくてはいけないというふうに思いますね。私も地元の人間としてしっかりさせていただきますので、ぜひ国もお願いしたいというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。

 「これまで蓄積した復興に係るノウハウを関係行政機関等と共有し、活用する機能を追加」するということに、骨子案の一番最後のページに、十六ページなんですけれども、あります。

 組織として、復興庁は設置期間を十年間延長するけれども、今申し上げたような、これまでの蓄積したノウハウを共有し、活用する機能を追加とあるんです。

 それで、ちょっとここで、このノウハウとか、今までこの骨子案の中にもいろいろなところにこの文言が出てくるんですけれども、ノウハウや教訓と出ていますので、それはどのようなものなのか教えていただきたいと思います。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 ノウハウに関しましては、これまで八年数カ月の間、我々の方のやってきたもので蓄えてきたものとして、例えばでございますけれども、生活再建の支援やコミュニティー形成など、生活の状況に応じた支援をどういう段階でどうやっていくかというようなノウハウ、また、住宅再建に向けて、住まいの復興の工程表をつくり、いろいろな加速化措置を各段階でやってまいりました。

 そういった住宅再建に向けたいろいろな施策の促進に関するノウハウ、またNPOやボランティアとの協力に関しての仕組みのつくり方、またその運営関係についての協力の仕方、そういったノウハウなどが、我々の方で、ある意味では培ってきたものと思っておりまして、これを整理して、今後の災害に備えて、関係するところとある意味では共有し、その活用を図れるようにしていきたいということでございます。

金子(恵)委員 時間がないので簡潔に申し上げると、このノウハウを改めて、共有するとか、そしてそれを活用する機能というのは、今までなかったから改めて言うのかということを申し上げたいと思うんです。

 私は、確かに、この復興庁の設置法の中では総合調整機能なんだということを言っていますけれども、今までも司令塔として、各省庁に横串を刺して頑張ってきた、そういう復興庁でありますので、既にいろいろな情報というのは共有しているというふうに思っていました。

 そういう理解でいいということですか。大臣、お願いします。

田中国務大臣 これまでに蓄積してきた復興のノウハウ等を取りまとめて、関係行政機関と共有して活用するということでございまして、金子委員の指摘されたことと同様ではないかと思います。

金子(恵)委員 次の質問に行きます。

 農業被害が今回、大変甚大になったんですけれども、やはりこれまでも、福島県におきましてもそうですけれども、東日本大震災、原発事故からの被害を受けて、本当に営農再開に向けて歩んできた人たちがたくさんいて、やっとここまで来た。農業復旧、営農再開、いろいろな課題を乗り越えながら頑張ってこられた方々が、ここに来てまた更に大きな被害を受けました。

 その中で、やはり、今、農業復旧とか営農再開支援の事業、補助事業等が示されているけれども、それでは十分ではないというようなことから、大規模農業経営体の自己負担が大変大きく、完全な営農再開には不安が残るという声が聞こえているところでありまして、そうであれば、西日本豪雨のときにも使うことができたグループ補助金を農業分野にもしっかりと対応できるような形にしてはどうか、そういう要望が現場から上がっているところでもあります。いかがでしょうか。経産副大臣、お願いします。

松本副大臣 まずもって、今般の災害で被災されました皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 その上で、今般措置いたしましたグループ補助金でありますけれども、台風十九号で被災した中小企業、小規模事業者向けの支援といたしまして、特に被害の大きい宮城県、福島県、栃木県及び長野県におきまして、被災事業者がグループを形成して工場、店舗などの施設や機械設備などの復旧を行う際、原則としてその費用を四分の三補助するものであります。

 御指摘の、大規模経営者がいわゆる農業法人である場合でありますけれども、資本金十億円以上の農業法人を除きまして、グループ補助金の対象といたしているところでもあります。

 政府としては、被災事業者が一日も早く事業を再開できるよう、しっかりと後押しをしてまいりたいと思います。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 まだ詳細については現場には届いていないということでありまして、交付要綱がこれからしっかりと示されていって、現場での説明もなされていくんだと思いますが、心配されているのは、西日本豪雨災害において、農家の方々もその支援対象にはなったんですけれども、その中身が軽トラックとかフォークリフトだったということで、これでは今は十分ではないというような御要望もあります。

 ですので、それぞれのしっかりとしたニーズに合わせましての対応をしていただきますようお願いしたいのですが、副大臣、いかがでしょうか。

松本副大臣 今回のこのグループ補助事業に関しましてでありますけれども、今申し上げましたように、農業分野についてもということであります。現場の声をしっかりと受けとめながら、これらの運用に努めてまいりたいと思います。

金子(恵)委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 そして、最後に大臣にも、農業者の方々の被害、農業被害は大変厳しい状況にありますけれども、最後に御決意をお伺いしまして、終わりたいと思います。

田中国務大臣 今回の台風十五号、十九号、そして大豪雨とずっと連続した被災地、そして被災者の方々に、我々が今努力しております復興事業におくれがあってはならないという視点から最善の努力をして、各省庁、関係者と対応してまいりたいと思っております。努力させていただきます。

金子(恵)委員 御努力いただくのは、もう本当に、私は当然のことだというふうに思っていますけれども、さらに、現場をしっかり見ていただきまして、まだまだ営農再開のめどが立っていない方々がたくさんいるということを御理解いただきまして、ぜひ御対応いただきたいと思います。しっかりと司令塔として御発言をいただきたいと思います。

 それでは、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

伊藤委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 立国社の小熊慎司です。

 まず、田中大臣にお伺いをいたします。

 先日の所信、大臣の発言の中で、インバウンドに関しては堅調に推移をしているという発言がありましたけれども、これまでもこの委員会でも、私は外務委員会にも所属していますので、このインバウンドに関して質問させていただいていますが、堅調に推移と、ざっくりすればそれは伸びていますけれども、御承知のとおり、日本全体でいえばもう三倍になっているわけです、十年前の。でも、これは、東北各地区を見ていくと福島県はやっと震災前の水準ぐらいになってきているということがありますし、背景としては、このインバウンドの七割近い、七割前後、年によって違いますけれども、これが中国、香港、台湾、韓国です。この地域と国々は、いまだに科学的根拠のない規制をはめている国と地域でもありますから、やはり、イメージとしても、福島県に来ていないということがそれにも関連しているのかなと思っています。

 だから、堅調に推移していないんですね。それは戻りつつはあるけれども、三周おくれですよ、三倍からいえば。十年前の、ほかのところは三倍ですから。伸び率も、宮城や岩手、ほかの東北各県よりも福島県は伸びていないんです。この資料はもう前の委員会でもやっていますから。

 大臣がかわるたびにこうやって説明しなければいけないというのも情けないし、数年前に福島県知事も、時の復興大臣や環境大臣が来られたときに、毎回、一から説明しなきゃいけないと。本当に復興ということを考えるのであれば、それは適任者が数年やるということがやはり大事だと思うんですよ。窓際ポストじゃないんですから、復興大臣は。

 この質問も、だから、田中大臣じゃなければ、こういうふうに質問しなくてもよかった質問です。まして、職員の皆さんは、私がこうやって質問してきて、その後、地域ごとに丁寧な対応をしますとか見ていますというのは、また再答弁もいただくんですけれども、また書くと、こんな作文が出てきてしまう。この永田町自身が風化をしていると言わざるを得ません。

 大臣、もう一回、この堅調に推移しているというのを言い直してください。

田中国務大臣 御指摘のとおり、今、震災発災前の平成二十二年と比べると、福島県の外国人宿泊者数の伸び率は、全国や他の東北各県に比べて低い水準にとどまっていることは事実であります。復興庁としてもこれらの課題を認識しておりまして、二十八年に、東北観光復興元年と位置づけて、インバウンドの誘致の取組を強化してきたところであります。

 福島県においては、風評払拭の取組はもとより、魅力の発信強化だとか旅行商品の造成、教育旅行の誘致等、他の東北各県にも増して観光復興に力を入れて支援をしてきたところでございますけれども、これらの取組があって、今、小熊委員からはいろいろな御意見がありましたけれども、取組強化前の平成二十七年と比べると、全国や他の東北各県を上回る伸び率の数字が出始めておるところでございます。台風十九号の被災地域についてはふっこう割が実施されておりますし、今後とも、こうしたことも含め、関係省庁ともしっかり連携して、福島の観光復興に全力で取り組んでまいりたいと思っております。

 インバウンドについては、やはり外国のメディアあるいは外国の方々が正しく認識していただくということも非常に重要なことでございますので、私も、各在京の大使館等にも訪問させていただき、お話をさせていただいておりますし、機会があればいろいろなことを捉えて、今まで以上に取り組んでまいりたいと思っております。

小熊委員 これはどうやって比べたか、去年と比べての伸び率で言っているんでしょうけれども。だから、もう全国は十年前と比べたら三倍になっているんですよ。それから比べたら、去年と比べたらそれは少しずつ伸びているから、ほかのところは大体もう高どまりになっているんでしょう。そういう見方をしなきゃだめですよ、大臣、しっかりと。

 あと、これも指摘だけしておきますけれども、実は、東アジア地域の地方空港の結んでいるのが西高東低にありますから、これも影響しているというふうに思います。そういう意味では、国を挙げて東日本の地方空港とこうした国々の直行便を結ぶという支援もしてもらわないと。

 実は、震災直後は福島県と秋田県がマイナスになっているんです。秋田県、震災の影響というのは、実は直行便がなくなったというのがありますから。

 インバウンドを考えるときに、今、何も大都市に来てそこから回るということじゃなくて、海外の観光客でも、地方から入って地方から出ていくというのもありますから、こうした就航への支援もお願いしたいなというふうに思います。

 この風評被害とかといったものは、まさにこれは先ほど玄葉委員もリスクコミュニケーションの話をしましたけれども、安全だということを言っていてもだめだと思います。安心がなければだめです。安全と安心が分離しています。

 トリチウム水の話ですけれども、これは、前の環境大臣がああいうふうに言いましたけれども、それは科学的な話だけであって、安心の話は一切していない。これを間違えてしまう。安心の話をすれば、まだまだこれは難しい問題です。よく、あと数年でというけれども、これは東電に聞きますけれども、今、タンクを敷地内に増設していますが、今のペースでいうとどのぐらいでその敷地は埋まりますかね。

文挾参考人 よろしくお願いいたします。

 それでは、お答えをさせていただきたいと思います。

 処理水の発生量でございますけれども、これは当然、降雨量の影響によりまして変動します。一概に申し上げるところではございませんが、現在、計画中でありますと、約百三十七万立米のタンク容量があれば、二〇二二年夏ごろまではタンクが足りるというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

小熊委員 もうあと少ししかないんです。だけれども、僕はほかの委員会でも言いましたけれども、これは、敷地外、国が責任を持ってやれば、タンクは増設できるんですね。時間を区切って、福島県民を追い込むようなことはやめてほしい。

 大臣、どう思いますか、このトリチウム水に関しては。

田中国務大臣 トリチウムを含む処理水の取扱いについて、これはもう小熊委員が一番よく御存じかもしれませんが、ALPS小委員会において、いろいろな観点から、風評被害など社会的な観点も含めて、総合的な議論が進められておりまして、私たちも、この議論を踏まえて、しっかりと検討されて対応していくということが重要である、このように考えておるところでございます。

小熊委員 ぜひ、大臣、お聞きしたいんですけれども、大阪の市長が大阪湾にと言いました。現実的な話かどうかは別として。大臣のところにも川崎の海がありますよ。ここにと想像してみてください。でも、それ言えますか。科学的に大丈夫であればオーケーじゃないですか、どこに流しても。実際、世界じゅう、どこの原発だって流しているんですから。

 そんな、流すと言わなくてもいいですけれども、そうした発想について、御自身、どういうふうな考えを持ちますか。

田中国務大臣 トリチウムを含む処理水については、いろいろなお話が出ておりますが、いずれにしましても、地元の皆様方の風評被害を助長するようなことになってはいけないわけでございまして、当然これは慎重にやはり議論をALPS小委員会でなされている、このように認識をしておるところでございます。

 以上でございます。

小熊委員 大臣がどう思うかということは、要するに、所管の委員会では、この間、外務委員会でも確認しましたけれども、敷地外も選択肢に入れると言いましたから、当分はそういうふうになっていくと思いますけれども、大臣自身がどう考えるか。被災者に寄り添う、被災地に寄り添うとはそういうことですよ。風評被害、どうなんだと。

 ただ安全だと言っていたってしようがないんですよ。まず自分のところに流してみたらどうなるかということを想像したら、とてつもないことだということが実感できるはずです。自分の選挙区でも言えないでしょう、大臣。復興大臣が率先してこれを引き受けますよなんて。言えませんよ。まあ大阪市長は言ったけれども。

 みんな、大臣だけじゃない、福島県以外の皆さんが自分たちの海や川に流せるかという話なんですよ。難しいですよ、それは。だから、安全だけで福島の海とかと言ってもらいたくない。これが風評被害の実態なんですよ。

 東電においても、風評被害、相当の因果関係が認められない限り賠償しないともうなっちゃっているけれども、この目に見えない得体の知れないものと我々は闘っているんですよ。相当の因果関係は証明できないかもしれないけれども、その影響があるということは重々承知してもらいたい。

 大臣、トリチウム水は、じゃ、これはまた次の機会に譲りますけれども。

 放射性廃棄物、減容化して三十年後ということで、三十年後って、環境大臣も三十年後って、もう三十年なんか過ぎているんですよ。起点はどこですか、これ。二〇一五年じゃないですか。そうしたら、もう三十年じゃないんです。あと三十年じゃないんです。ちょっと、そこだけ確認させてください。

石原副大臣 そうですね、二〇四五年の三月まででありますので、今、二〇一九年の十一月ですから、二十六年だと思います。

小熊委員 だから、時間が進んでいるために、三十年じゃないんですよ。これ、大臣に言っておいてください。三十年後なんという話じゃないんだ。危機感がない。そういう中でやっています。

 これ、減容化するんですよ。東京ドーム何十個分が全部県外じゃなくて、減容化していって、今、きれいになった土は実証的に建設資材で使おうとしているというけれども、実証実験、今、福島県内だけですが、県外でも対象だということを前の委員会で確認しました。

 大臣、大臣のところでまずその実証実験をやってみませんか、この建築資材として、土を、きれいになった土を。

 だって、将来的には、福島県だけで使うんじゃなくて、全国区が対象になりますということは、僕は役人答弁で確認していますよ、委員会で。大臣、どうですか。それがまさに風評被害に立ち向かう大臣として功績を上げると思いますよ。

田中国務大臣 いずれにしましても、この放射能の汚染問題というのは、当然地元の皆様には大変な御迷惑をおかけしているということを私たちは深く認識をし、全ての復興事業の根底になっておるところでございまして、今後とも、地元の皆様方の御意向に沿う形で、最善の努力をしてまいりたいと思っております。

小熊委員 まあ、これが実態ですよ、言えないんだもん。

 皆さん、トリチウム水はまだ処理が決まっていないけれども、この減容化した土に関しては、全国で使えるのが対象ですから。使うとなったときに、どんな住民の意見やどんな風評被害が起きるか、想像できる人もいると思います。もしこれが県外じゃなくて全部福島県ということであれば、それを我々県民が全て抱えるということです。これが風評被害と闘っている県民のまさに苦労です、苦悩です。皆さん自身が引き受けようと思ってもなかなか難しい。でも、我々はもう実態として引き受けざるを得ないでいる。この闘いなんですよ。

 だから、簡単に被災者に寄り添うと言うんだったら、土を持っていってくださいよ、きれいになっている土なんですから、大丈夫だとうたっているんですから、国が。リスクコミュニケーションをちゃんとやっていますよって、やれていないじゃない、そんなの、引き受けられなかったら。大臣だったらそのぐらいの覚悟で、建築資材の実証実験をやるよと言うぐらいだと福島県民の被災者の心をつかむと思いますよ。ぜひ検討してください。

 これは東電に言います。東電もホームページで、福島復興への責任について、これはいろいろなことをやって、福島県におわび行脚を続けてもらっていますけれども、今言ったとおり、今の状況というのは、安全がどうだというのはしっかりホームページでも、たまに情報漏れがあって、これまた東電の体質だから早く改善してほしいんですけれども。

 これは、安全だというものはいいけれども、やはり安心のところはどうなんだと。ここが、だから、一番問題なんですよ、風評被害とかいろいろな意味で。この安心の部分を醸成していく、広く国内外に発信をしていく努力というのは、東電、これからどうやっていきますか。

文挾参考人 お答えさせていただきます。

 今、委員が御発言のとおり、情報発信というのは非常に大事だというふうに認識しております。特に、海外に対する情報発信というのは大事というふうに考えております。

 ですので、ホームページ、それを通しまして情報発信をするということと同時に、在日の大使館を通じまして情報を提供させていただいております。と同時に、海外の方を福島第一原子力発電所に招きまして、実物を見ていただく、感じていただくという取組をさせていただいております。

 そういうことを通じまして、安心、安全というものについて広く社会の皆様にも発信してまいりたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

小熊委員 ぜひこれは、安心のところで努力してください。

 私、たびたび言っていますけれども、かたい情報発信じゃなくて、ソフト的なアプローチが必要だと。映画やドラマやバラエティー番組、旅番組、これをどんどんどんどんつくっていかなきゃいけない。ぜひ、東電がスポンサーになって、海外でそういう番組をつくってくださいよ、映画をつくってください。そのぐらいのことをこれから考えてください。

 田中大臣、最後に言いますけれども、真剣にこの大臣を務めるのであれば、まさに自分の地元にそういうものを引き受けるかどうか、まず想像してみてください。実際やるかどうかは別ですよ。そこをぜひ自分の中で心に刻んでいただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)委員 立国社共同会派の岡本あき子でございます。

 今般の台風及び豪雨被害に遭われた皆様、犠牲になられた方に哀悼の意を、そして、被災者の方々にお見舞いを改めて申し上げたいと思います。

 被災地は、復興道半ばに加えて、先月の台風でございました。犠牲になった方々の半数以上が福島県、宮城県の方々です。震災に続けて二度被害に遭ったという方、二度以上被害に遭ったという方々もいらっしゃいます。改めて、被災者に寄り添った支援を求めたいと思います。

 基本方針の骨子案で、気になる文言、先輩議員も質問されましたけれども、福島以外ですと五年をめどにと受け取られかねない文言がありますが、決して五年ありきではない、五年が終わりではない、常に復興の進捗状況に合わせて取り組んでいただきたいということを冒頭申し上げたいと思います。

 私から、まず、人材不足について二点お伺いさせていただきます。

 一つ目は、やはり復旧復興で欠かせないのが技術職の職員です。

 先般の台風被害で、更に人手不足の状況に陥っております。先ほど、応援職員の体制については御答弁をいただきました。継続をしていく、それから必要経費の措置も御答弁いただきましたけれども、私は、そもそも、市町村合併や行財政改革の名のもとに、ここ二十年間、市町村の自治体職員数自体が二割ぐらい減っております。特に技術職、土木部門は二七%、三割近い減少でございます。結果、日ごろのメンテナンスやいざというときの対応が追いついていないというのが、今般頻発する災害への対応に備えられていないということではないかと思います。

 局所的な豪雨、広域的な台風に備えるための教訓として、ぜひ復興庁の今までの教訓を生かして、平時に技術職員の地方自治体職員定数増に取り組むべきだと考えますが、いかがでしょうか。これは総務省にまずお答えいただくことになるんですかね、お願いします。

大村政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体におきましては、適正な定員管理によりまして、総職員数を抑制する中におきましても、防災関係職員は平成六年に比べ約三倍に増加するなど、社会経済情勢の変化に対応して必要な人員を図ってきているところと認識をいたしております。

 その上で、近年、災害が頻発化、広域化している状況を踏まえれば、地方公共団体が災害対応のため一層の体制整備を図ることは大変重要であると認識をいたしております。

 特に、御指摘の技術職員につきましては、地方公共団体において不足が見られることは認識をいたしておりまして、どのようにその確保を図るべきか、地方公共団体の意見を踏まえながら検討を進めているところでございます。

岡本(あ)委員 今、検討を進めていると伺いました。

 災害が起きる都度に、昨年の西日本豪雨災害もそうでございました、やはり復旧復興のために技術職の職員が足りないんだと。その都度に総務省を中心に応援体制を組んでくださっていることは感謝を申し上げたいと思いますが、やはりこれだけ頻発をしているということを踏まえると、平常時ということをぜひ念頭に置いて、自治体からの御希望をしっかり聞いていただきたいと申し上げさせていただきます。

 そして、人材確保の二点目、これは文科省になるかと思います。

 先ほども、教職員、それからスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーのお話がございました。御答弁の中で、被災されたお子さんが一定数いるところについてはというような御答弁だったのかなとちょっと受けとめたんですが、私は、地震であれだけの長い時間の揺れで、もうほとんどの、大人の私ですら大変な恐怖を覚えた中で、子供たちの状況はどうだったんだろうと思うと、例えば罹災証明を受けているお子さんがどれだけいるかとか、そういうことではないと思うんです。

 先ほどの御答弁いただいたところについて、もう一度、私とすれば、限定をするような配置ではないという前提でのスクールカウンセラー、ソーシャルワーカーの増員配置継続を求めます。御答弁をお願いします。

蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。

 震災から八年以上を経過する中で、現在でも、震災を突然思い出して、気持ちが落ちつかなくなることがある子供たちでありますとか、あるいは避難先での生活を余儀なくされている児童生徒、更に言えば、八年前ということでございますので、ちょうど避難生活をしている間に幼少期を過ごしたような子供さんなどがいらっしゃいます。

 児童生徒に対するきめ細かな心のケア等の支援というのは、継続的に取り組むことが極めて重要だというように認識をいたしているところでございます。

 文科省といたしましては、被災地との丁寧なやりとりをさせていただきながら、復興庁とも連携をしながら、具体的にどういった形で配置をしていくかということについては考えていきながら、今後も、各地域におきますスクールカウンセラーそれからスクールソーシャルワーカーの配置に対する支援に努めてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 阪神・淡路大震災の教訓もございます。二十年たっても、やはり今なおケアを必要とする方がいらっしゃる。あるいは、時間の経過とともに家庭の環境も変化をしてくる、経済状況も変化をしてくる。それにしっかり寄り添うという前提で、きめ細やかにケアをお願いしたいと思います。

 骨子案では、五年で役割を全うすることを目指すと明記されていますが、これこそ五年どころではない、そういう認識で配置の継続をお願いしたいと思います。

 次に、グループ補助金の継続と、途中での破綻者の負担軽減について伺わせていただきたいと思います。

 グループ補助金制度、震災からなりわいの復興をなし遂げる意味でも効果の高い事業だと考えています。本日も、さまざま議論がございました。地域経済が回らなければ、決して地域の再生にはつながらないからです。

 今回の台風被害においても適用を決めていただき、この事業の効果の高さを示しているものだと私は評価をしておりますが、ただ、今回、台風被害については適用地域が限定をされているということについては課題があることは指摘をさせていただきたいと思います。

 さて、復興の取組延長に伴ってグループ補助金延長が期待をされていますが、骨子案を見ていきますと、ここにも重点化という表現が入っております。対象地域を重点化するという意味は、土地区画整理や高台移転が進んでいない事業が対象で、そこだけに限定をしていくんじゃないかという心配があります。

 ただ、グループ補助金、この間になかなか資金繰りのめどが立たずに踏み込めなかった方、あるいは、後継者がなかなか決まらずに申請の判断ができなかったなど、土地の条件だけが理由ではない方もいらっしゃると思います。

 エリアを限定するという意味での重点化はいかがかと思います。時間軸での評価も含めて、本当に必要な方には適用するという姿勢で継続を求めたいと思いますが、ちょっと区切って質問させていただきます。

 まず、この重点化という表現が入った部分について、必ずしも限定をしないでほしいという点、お答えいただきたいと思います。

奥政府参考人 私からお答えさせていただきます。

 グループ補助金の重点化についての御質問でございまして、この部分につきまして御答弁させていただきます。

 グループ補助金の復興・創生期間後の扱いについてでございます。

 委員も御指摘のとおり、復旧に必要な土地造成が復興・創生期間の最終年度に完成するなどといった事例、骨子案においても挙げさせていただいておりますけれども、私ども、最終的な年内の基本方針決定の中で検討を続けているところでございますけれども、この延長に際しましては、事業者の責めに帰さない外的な要因といったような事由に基づきまして延長を求める地区や事業者につきまして支援を継続するべく、関係機関と調整をいたしているところでございます。

岡本(あ)委員 事業者の責めに帰さないということですけれども、私は、このグループ補助金の目的というのは、やはり地域で事業がもう一度再開ができて、地域でなりわいが成り立っていく、それが結果として地域の再生につながっていくことに大きな寄与があるんだと思っておりますので、ぜひその点で個々の事情にきめ細やかに対応していただきたいと思います。

 あと、もう既にグループ補助金を利用した事業者が、頑張ってはみたものの人手不足がままならない、販路回復が思わしくないなど震災後の課題に直面して、残念ながら事業縮小、諦めざるを得ない、そういう方も、現実、出てきております。財産処分をしようにも定まらない、譲渡先が決まらない等の課題も出てきています。補助金の返還義務も一律ではなく、個々の事情に寄り添った適用を求めたいと思います。

 ここは、大臣、お答えいただけますか。

田中国務大臣 グループ補助金の扱いについては、今も答弁をいたしましたけれども、事業者の責任でない外的な要因に基づいて延長を求める地区だとか事業者について支援を継続するべく、関係機関とは調整をしておるところでございます。

 いずれにしましても、創生期間後の扱いについては、私たちもいろいろなケースがあると思っておりますので、いろいろと丁寧に取扱いをしてまいりたいと思っております。

岡本(あ)委員 残念ながら、ちょっと、骨子案を見ると、なるべくなるべく絞っていって、対象者を、自立したとみなしていこうという思いが見え隠れするような表現が見受けられますので、そうではない、しっかり再生を果たすところまで努力をするんだという形で案をつくり上げていただきたいと思います。

 次に、災害公営住宅を中心に、コミュニティーの再生、維持について伺わせていただきます。

 宮城県では、災害公営住宅、ことしの四月で全て完成しましたけれども、高齢化率四一%でございます。そして、収入超過で家賃の割増しとなり、退去せざるを得ない、そういう方々の動きが出てきております。この収入超過で出ざるを得ない方は現役の子育て世帯が中心であって、本来であれば、こういう世代の方々が、災害公営住宅においてのお世話役、見守り役、そういう担い手になるべき年齢層の方々が出ていかなきゃいけない、更に高齢化率が高まっていく。この明渡し努力義務、あるいは収入超過の、家賃十五万九千円とか、そういう家賃も現実ございます。

 今申し上げたコミュニティー再生、あるいはそういう自治会育成の方針と逆行しているように見受けられますが、それについては、大臣、いかがお考えですか。

田中国務大臣 災害公営住宅の家賃については、家賃が上昇しないように、自治体の判断で柔軟に対応ができる制度にもともとなっておるわけでございます。私ども、国の財政制度上も、こうした対応が可能な手厚い措置となっております。各自治体において地域の実情に応じて居住の安定が図られるように、今後とも自治体とも相談をしてまいりたいと思っております。

 自治体によって、民間賃貸住宅などの住宅事情だとか、あるいは公営住宅の応募状況、倍率なども踏まえて対応を判断されるという一面もあることだということは認識しておりますけれども、各自治体がひとつ柔軟に、弾力的に対応ができる制度、このように認識しております。

岡本(あ)委員 ちょっと私が間違っていたら逆に指摘をしてください。

 復興公営住宅、災害公営住宅、三年をめどに、収入超過の方々については、いわゆる公営住宅法を原則に適用していくような流れになっていると思っておりましたけれども、それを今、復興大臣は、そことは違うよ、災害公営住宅は、被災者という意味でいくと、この家賃超過の部分も、公営住宅法にのっとるのではなく、被災者という立場であれば、国として手厚い措置を講じるよということをお約束されているということでよろしいですか。

田中国務大臣 災害公営住宅の家賃については、もうとにかく家賃が上昇しないように、自治体に権限が与えてあるわけでございますので、自治体の判断で柔軟に対応できる制度、このようにしてございますので、御理解をいただければと思っております。

岡本(あ)委員 ちょっとそこはもう少し私も研究をさせていただきたいと思います。

 国の方の方針が一定程度あるという前提で今やりとりをさせていただきましたが、国としてはそれはないということ、それから、手厚い措置は講じているということですね。もう一度確認させてください。

東政府参考人 事実関係について御答弁申し上げます。

 手厚い財政措置でございますが、具体的には、通常の公営住宅ですと、建設費の二分の一の補助、それを家賃で回収していくという形でございますが、東日本大震災を起因としてつくられました災害公営住宅につきましては、八分の一だけ地方が負担すればいい、その八分の一の部分を家賃で回収していく、そういう意味で、通常の公営住宅と比べて非常に手厚い財政支援をしているということでございます。

 ですから、つくるときに非常に大きな財政支援をしているというのが主なものでございます。もちろん、家賃低廉化事業とかそういうのもございますけれども、一番最大の大きなところはそこでございます。

岡本(あ)委員 そこを収入超過の方々に家賃として認めているよということとはちょっと違っているんじゃないのかなと思います。

 もしそうであれば、建設費を減免している分、家賃については柔軟な対応、特に、私が申し上げているのは、現役世代の方々が抜けるということは、災害公営住宅の見守る方々がいなくなる、自治会長を引き受ける方もいなくなっている、その方が退去せざるを得ないという事例が起きているという現実に対して、やはりそういう部分については、建設費を、自治体負担が少なくなった分はそういうところに充ててもいいんだよということを国として示しているということでよろしいですか。その確認をさせてください。

伊藤委員長 申合せの時間が経過しておりますので、簡潔に御答弁をお願いします。

東政府参考人 お答え申し上げます。

 そういう財政支援で自治体の公営住宅の管理に余裕ができますので、その分をいろいろな減免措置等に充てられる、あとは、入居収入基準を上げたりとか、いろいろな工夫ができる、そういうことになっているということでございます。

岡本(あ)委員 以上で終わります。また確認をさせていただきたいと思います。

伊藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十二分開議

伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 時間の関係で、早速質問に入ります。

 資料の一番目を見ていただきたいと思います。原発事故の避難者が避難先で台風十九号や二十一号により浸水被害を受けたことが少なくとも三百十五世帯あることがわかったという、十一月十日付の河北新報の記事であります。

 記事によりますと、ことし四月に一部で避難指示が解除された大熊町と、浪江町、富岡町、楢葉町、葛尾村、飯舘村の少なくとも七町村が実態を調べての数字だと言っております。もともと、避難者が多いのは、役場機能が仮の事務所を置いていたいわき市や郡山市などがあると思うんですが、これらはいずれも台風十九号で最も被害を受けた地域でもあると思います。

 国としても、早急に実態把握をし、避難先、避難元の自治体、両方と連携を図りながら、復興公営住宅の住みかえなどさまざまな配慮を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

田中国務大臣 お答えをいたします。

 福島第一原子力発電所事故による避難者の方々が避難先でも安心して生活ができるよう環境を整えることは、極めて重要であります。しかしながら、台風第十九号等により、福島県において八百人を超える方々が避難をされている状況と承知をしておるところでございます。

 これらの方々に対しては、各自治体において意向等の確認をしていただき、順次、災害公営住宅の空き家や応急仮設住宅への入居等が行われていくこととなると承知をしておるところでございます。その際、避難指示区域や避難解除区域からの避難者で住宅に困窮された方は、復興公営住宅への入居も可能でございます。

 今後とも、被災者の方々の一日も早い生活再建に向けて、被災者の方々の声に耳を傾け、関係省庁や自治体とも連携をしながら進めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

高橋(千)委員 今の答弁について、参考人でも構いませんけれども、八百人を超える方々がとお話をいただきました。実態把握をしてほしいということを私は質問をしておりまして、この記事にもあるように、県ではまだつかんでいないということがあったわけです。なので、これはつかんだ上でこうなんだというお話なのか、その途中なのか、そこをはっきりしていただければありがたいと思います。

石田政府参考人 済みません、お答えさせていただきます。

 さっきの八百人を超えると申し上げましたのは、今現在、福島県内での避難者数、全体数でございます。その中で、先生御指摘のとおり、どういう方々かというのは、今避難をされている、現在避難されているところの市町村において、その把握等はまだ途中段階であるかと思っております。

高橋(千)委員 確認しました。そこは曖昧になっておりましたので、実態調査をお願いしたいと思うんですね。

 富岡町の区長さんに伺ったんです。二年前に富岡の自宅にいわきから戻った方です。このたびの台風で、富岡町に辛うじて家が残っている方は、避難先のお宅が、例えば中古住宅とかを買っていて、でもそこが浸水したので戻ってこざるを得なかった。ただ、車が水没して、足がない人もいるわけですよね。また、そもそも、解体除染をしていて家がない人は、もう戻るにも戻れない、しようがないから公営住宅を申し込むしかない、こういうふうな状態になっているんだと。

 そもそも、今避難者と言いましたけれども、その今の住みかにたどり着くまで、何度も、首都圏など、親戚のところなど、何回も避難をして今ここにいて、そしてまた被災をしているんだ、そういう特別な事情。戻った人も戻らない人も、心折れそうな状態の中で今頑張っているんだと。そこをよく踏まえていただいて、今答弁をいただきましたので、体制をしっかりとっていただいて、実態に合わせて対応していただきたい。重ねて指摘をさせていただきたいと思います。

 そこで、次に、資料の二枚目を見ていただきたいんですけれども、そうした人たちの被災の実態のことなんですけれども、浸水被害の認定について。

 これは、東日本に限らず、どこでも言われることで、長野でも言われることではあるんですけれども、この左のちょっと上の方の図ですね、床上一メートル未満であれば半壊だ、一メートル八十センチ未満であれば大規模半壊である、それ以上であれば全壊であるという、この目安が内閣府から示されました。

 聞きたいのは、それが厳密に、つまり、一メートル八十センチならよくて、七十九センチだとだめだみたいな、実際にそういう話があるんですよ。畳の厚さで一メートル七十六センチだった、それでもう大規模半壊にされてしまった、そういう方たちが現実にいるわけなんですね。どこに違いがあるんだという声が上がっています。

 そういう、かっちりやるのが本当の目的ではないと思うし、被害の実情に応じて柔軟に対応すべきだと思いますが、お答えをお願いします。

村手政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府では、市町村が被害認定調査を迅速かつ的確に実施できるように、災害に係る住家の被害認定基準運用指針を定めております。

 御指摘の浸水深による判定は、罹災証明書を早期に交付するという目的で、第一次調査として実施する簡易な判定方法だというようなものでございます。被災者からの申請により、先生の資料にもございますように、第二次調査というものを、第二次調査等として実施する、家屋内へ立ち入って詳細な調査を行うことで、被害の実情に応じた、より正確な判定を行うことを可能としておるところでございます。

 なお、この点につきましては、被災自治体を対象とした説明会や、累次にわたる事務連絡により周知してきたところでございますが、直近では、資料にもございますように、十一月二十一日にも、具体的な広報の方法等も含めまして再度周知を図ったところでございます。

 今後も引き続き、被災者に寄り添いながら災害対応に努めてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

高橋(千)委員 資料の今見たところの右側の方に、今お答えいただいた十一月二十一日の事務連絡をつけておきました。三行目のところから、調査結果がその後の被災者支援の内容に大きな影響を与えるものであることに鑑みと書いてありますので、やはり前向きな意味で捉えたいと思うわけなんですね。

 当然、それは被災者生活再建支援法の支援金だけではなくて、義援金の配分ですとか、あるいは市の見舞金ですとか、いろいろな減免制度ですとか、全部に響いてくるわけなんですから、本当に、さっき言ったように、四センチの違いって物すごく、何十万も違いがあったということは、やはり本来あってはいけないことだと思うんですね。

 実はこれ、この間、国土交通委員会で赤羽大臣も、一メートル八十センチと、その一センチ違うのと、やはり違ってはおかしいんじゃないかというようなこともありました。やはりそういう意味を含んでいただきたいと思うんです。

 ただ、現実には、現場で、あそこのうちは全壊なのに、うちは半壊よと、同じ町の中で同じ被害を受けておきながら住民が分断されている、そういうことが起こっています。なので、そこをよく踏まえて、千曲川でやったような一括認定ということもありますので、できるだけそういうことをやっていただきたいと思うんです。

 その上で、もう一度伺いますけれども、再調査をちゃんとやるんだよと通知を出していただきました。ところが、これは名誉のために、どこの町とは言いませんけれども、ある自治体で、罹災証明書が届きました、半壊と書いてありました。ところが、それに同封されてきたお手紙がありまして、そのお手紙の中に、再調査をすると認定が軽くなる可能性もあります、例えば半壊が一部損壊になるかもしれませんとわざわざ書いて、それに黄色でアンダーラインを引いて、こっち側じゃないんですよ、そうやって来た。それを見たら、しかもそれが最後の結果になりますからね、一次調査の方がいい結果だったからそっちにするわというのはもうだめよというのもちゃんと書いてあるんです。

 そうしたら、やはり怖くて頼めないじゃないですか。現実に、それで再調査を頼んで窓口に行って、同じことを言われて、再調整をやると専門家がいるから逆に低くなるかもしれませんよと言われて、本当にがっかりして、傷ついて帰ってきた方もいるんです。そんな意味じゃないんだよということを徹底していただけますか。

村手政府参考人 被害認定調査は、経済的損失がその財産価値に対してどのような割合で被災をこうむっているかどうか、損害割合を正確に見ていこうというものでございます。

 その中で、先生からもお話ありましたように、第一次調査というのはやはり簡易に迅速にと、罹災証明を出すことが一番いろいろな支援策のもとになるものですから、そのもととなる罹災証明を早く出すために、迅速かつ効率的にということで第一次調査をやっているということでございます。

 それによって、判定しなかった方とか、また、それにちょっとという方については、第二次調査で正確に、損害割合を住居内に立ち入ってきちんと判断していく、正確な判定をしていくという趣旨でございまして、そういった趣旨を適切にきちんと住民の方々に、被災者の方々に伝えるべきだというように考えてございます。

高橋(千)委員 ぜひ徹底をしていただきたい。せっかく、再調査できるんだよ、影響あるからね、ちゃんとやれるんだよということを通知を出しておきながら、やれば大変なことになるよみたいなことになっては困るわけ。そこを重ねてお願いをしたいと思います。

 それで、本当は内閣府にもう一問お願いをしていたんですけれども、時間の関係で、残り、エネ庁にお願いをしたいと思います。

 資料の3を見ていただきたいと思います。ちょっと見出しがなかなかセンセーショナルな感じで、「第一原発処理水の海洋放出 年間線量三千三百分の一」、減りますよというのが、これは福島民報の十一月十九日付。それから、「トリチウム年最大百六兆ベクレル減」というのが河北新報の十一月十九日付。同じことを言っているんだけれども、いずれにしても、かなり減りますよという印象を与える見出しであります。

 これは、福島第一原発のトリチウム処理水について、一年間で全量放出したとしても影響は小さいとの試算をエネ庁が発表をしたものであります、小委員会で。

 そもそも、最初のトリチウム水タスクフォースでは、前処理なしなら海洋放出は実現困難だ、要するに、基準を超えてしまうということで実現困難としていたのに、なぜそれが可能になり、しかも影響が少なくなるのでしょうか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 トリチウム水タスクフォースにおきましては、規制基準を遵守することを前提に検討を行っております。この中で、前処理なしでの海洋放出は、トリチウム濃度が告示濃度限度を下回ることが難しいため、実現困難と評価したものでございます。

 今月十八日に開催した政府の小委員会においても、規制基準を満たす、すなわち、希釈等の前処理を実施する前提でタンクに貯蔵しているALPS処理水を一年間で全て処分した場合の被曝線量を評価し、お示しをしたものでございます。

 その結果、評価を行った海洋放出と大気放出につきましては、いずれであっても、自然被曝による影響である年間約二・一ミリシーベルトと比較して、千分の一以下の影響でございました。

 ALPS処理水の取扱いにつきましては、政府の小委員会において、生活圏への科学的影響が出ないことを前提として検討を行っており、丁寧な検討、議論の上に、政府として結論を出していく所存でございます。

高橋(千)委員 小委員会の議論の中で、トリチウム処理水の話をしているはずだったのに何か放出の話ばかりしているんじゃないかというような趣旨の発言がございました。この記事を見ても、海洋放出若しくは大気放出、これはスリーマイルの事故原発で実績があると。というか、五つの案があったけれども、実績があるのはこれだけなんですね。

 そのことだけに今議論がされているように思っているんですが、そのほかにも、本当は地層処分などがありましたよね、二千五百メートルの地層の中にはめ込むんだと。ただし、その地層は、まだ世界じゅうどこにも見つかっていないということで、全く現実的じゃないことを幾つも並べて議論を始めたわけです。

 結局これは、海洋放出と大気放出に絞られているというふうな理解でよろしいんでしょうか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 トリチウム水タスクフォースにおきましては、御指摘のように、五つの方法につきまして検討しております。地層注入、海洋放出、水蒸気放出、水素放出、それから地下埋設の五つでございます。これに加えまして、貯蔵のあり方、貯蔵継続のあり方という点につきましても検討を進めております。

 いかなる方法でこのALPS処理水を取り扱うかということにつきまして、ALPS小委員会におきまして、現在、慎重に検討していただいているところでございます。

高橋(千)委員 今のはどういう意味ですか。絞っているんじゃないということですか。

新川政府参考人 御指摘のとおりでございます。

高橋(千)委員 だとすれば、一つ一つがいかに非現実的かというのを議論しなくちゃいけないんです。ただ、時間がないので、きょうは海洋放出の話だけをさせていただきたいと思います。

 四ページの、資料の4のところに海洋放出のイメージ図があるわけですけれども、これは、海水を取り込んで希釈をして、そしてまた戻すんですね。どう考えても理解できないんです。薄めても結局海に戻すんだから、何が違うのかというのはどうしても理解ができないんですね。その薄め方に一定の、七十倍だとかいろいろな割合があって、幾つかのパターンがあるんですけれども、次のページに、途中で何かがあればアラームが鳴るよとか、サンプルタンクで比較をしますよというふうなことをやると言っているんですけれども、最初に実現困難と言ったところから始まって、希釈するという案が出てきたわけですよね。

 だけれども、後の小委員会にはこう書いてあります。この図を見ながら聞いていただきたい。放流水が直接取水されることのないよう取水ピットと放流口の間を岸壁等で間仕切る場合には、費用が増加する。つまり、出したけれども、また取り込んじゃうかもしれないという。

 これ、間に岸壁、やるんですか。それこそ費用が増加どころの話じゃないですよね。現実的じゃないですよね。だって、どこまで岸壁をつくるんですかということなんですよ。やはりそういう非現実的なことを議論しているんだと言わなければならない。それだけの、今回の原発事故の処理の重みということが言えるんじゃないのかなと思います。

 きょうは時間がないので指摘にとどめます。続きをやりたいと思いますが。

 例えば、漁協の皆さんが前に言っていたことを私は忘れられないんですよ。福島の漁協が決めたと言われるのがつらいと。例えばサブドレーンのときに、あれだって、別に、処理する前の水だからきれいだと言われて、苦渋の決断でしたよ。でも、その決断をしようとしたときに、実はデータが間違っていたということがわかったりとか、そういうことが繰り返し行われて、受け入れたとしても、それはあんたたちが受け入れたと言われる。でも、拒否すれば、あんたたちのせいでできないと言われる。なぜ自分たちの県だけの問題とするのか、余りにも背負う荷は重過ぎるとおっしゃっていた。私はそのとおりだと思うんです。だって、海はつながっているんですもの。ちょっと行けば、すぐ宮城に着きますよ。

 それに対して、一部の漁協の皆さんに判断を仰ぐということではなくて、もっと関係の方たち、いろいろな立場の方たちに説明をして、わかってもらう。その上で判断をしていくのでなければ、到底納得できません。こんな、岸壁どうのなんて話では、誰も納得できないと思います。

 そのことを指摘して、きょうは終わりたいと思います。ありがとうございます。

伊藤委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳であります。

 最後の質問者でありますが、冒頭、高橋議員からもありましたが、台風十九号、それから豪雨等で亡くなられた方々、また、改めて、東日本震災で亡くなられた方々、また、今なお行方不明の方々の捜索、御冥福を祈りつつ、不明の方々が一日でも早く発見されることをお祈り申し上げたく存じます。

 さて、きょうは、ちょっと、財界の鞍馬天狗と言われた中山素平さんが言われた言葉で、問題は解決されるために提起されているという言葉がありまして、この東日本震災からの復興等もやはり問題で、解決すべきものであるということで、前向きに質疑をさせていただきたいと思いますし、決してネガティブな、変な質問はするつもりもありませんので、御協力をお願いしたいと思います。

 それで、きょうは現場主義とか、あと処理水の問題、人材交流といったテーマで、時間の限り質問をさせていただきます。

 それで、東日本震災、改めて私、思い出しましたが、二〇一一年の三月十一日、八年八カ月と十五日前ですね、時刻は気象庁発表で十四時四十六分であったということです。当時、大臣は野党でいらっしゃって、与党は民主党政権、連立政権でありましたけれども。

 それで、私は与党側にいさせていただいて、当初、私は一回生議員でございましたので、党幹部からは、当座、党の方から指示が出ない限り現場に入るなという指示がありまして、それで待っておったんですけれども、なかなか指示が出てこないという状況の中で、私ごとで恐縮ですけれども、一週間しない前後で、秋田まで飛行機で入って、そこから秋田新幹線で盛岡に行かせていただいて、盛岡から手配してくれた元議員二人と一緒にトラック一台で自己完結型で山田町に入らせていただいて。

 それで現場を、今、写真をちょっと見てみたんですけれども、思い出しますと、郵便局の上に漁船が上がっている、それから、三階建てぐらいだったと思うんですが、老人ホームというか、特養だと思いますけれども、施設の上にポルシェの車が乗っかっている、それから、リアス式なので、細い海岸線の中で、随分上の方まで水が、津波が上がったという証拠だと思うんですが、一番高い木の上に冷蔵庫がひっかかっているというのが印象に残っていますし、御遺体が発見された建物についてはバツのマークがしてあって、それで、どなたも見つからなくて無事だった施設というのは丸のマークがしてあったというような記憶がございます。

 それで、田中大臣は、選挙が非常に強くていらっしゃって、有権者の機微を非常につかむのが上手でいらっしゃると私は敬意を表しているんですけれども、これからが大事だと思っているんですね。今まで、小泉さんみたいに、何度行きましたかといって何回行ったとか、いつも十一日に行っているとか、そういうことを伺うのではなくて、これからまさしく、もう八年八カ月と十五日たって、時間がたった中で、お言葉の中で総仕上げみたいな言葉もあったと思うんですけれども、まさしく細かく寄り添って、復興に向けてというか、気持ちも含めて、大臣が大活躍いただく必要が、別にお世辞じゃないんですけれども、そういう意味で、お願いしたいなと思っているんですけれども。

 所信のところの発言で、大臣は、私は、被災地の生活を守り、発展させるため、復興大臣として、現場主義を徹底し、被災地に寄り添うとともに、関係自治体と緊密に連携しながら、復興の司令塔としての役割をしっかり果たし、東日本震災からの復興に全力で取り組んでまいりますとお言葉がありました。

 改めて、もう現場に入られて、知事さんにお会いになられたり、むしろ現場の人の声を聞かれていると思いますけれども、直近感じていらっしゃる思い、特に最大の問題というのは今どういうふうに思っていらっしゃるか、改めて教えていただければと思います。

田中国務大臣 今、杉本委員から具体にお話がございましたけれども、八年と八カ月がたち、また、この時点で、私たちは心新たに問題意識を持って対応していく、その必要があると思っております。

 私も、まあ、現場主義ということの前提になるわけでございますので、就任後十四回被災地に足を運んで、県庁はもちろんでありますが、四十五の市町村で、知事、市町村長等との意見交換をさせていただき、現地の視察を行ってまいりました。

 被災者の心のケアだとかコミュニティーの形成、産業、なりわいの再生、風評被害がなかなかございましてその対策など、それぞれの地域に応じたきめ細かい対応が必要だと、つくづく、現地を歩いてお話を伺って感じたところでございます。

 特に、原子力災害被災地域では、復興は総じて道半ばでございまして、復興の進捗に地域差があることも改めて認識をしたところでございます。

 今後も、現地に足を運んで、現地の実情や課題をしっかりと丁寧に把握し、一日も早い復興に向けて全力で取り組んでまいりたい、この思いでございます。

杉本委員 ありがとうございます。十四回も運ばれているということで伺いました。

 特に、ちょっと今感じたのは、ちょっと例として正しいかどうかわからないんですが、上皇陛下が北海道を視察されているときに、ソフトクリームという旗が立っていて、予定になく、あれ、ちょっと食べたいなとおっしゃって、ちょっと北海道警が困ったんだけれども結局それに寄られたというようなことがあるんですけれども。

 いわゆるお役所がセットした視察ルートというのではなくて、ぜひ、まめに、多分、機微を捉まえるのが大変得意でいらっしゃる大臣と私は拝察させていただいていますので、ちょっと寄ってみるような、あるいはちょっとこの方の声を聞いてみるというところにまたヒントがあるかもしれないなと今御答弁を聞きながら感じましたので、十四回も行っていただいていて、かなり、就任されてからそう日付がたっていないのにすごいなとは思いましたけれども、そういった、きめ細かいとおっしゃいましたけれども、ちょっとルートにないようなところで機微をつかんでいただければというふうにお願いを申し上げます。

 次に、大臣の所信の中に、やはり、復興の総仕上げという段階だというお言葉がありました。これをいかなる定義と解釈したらいいのかということで、お役所の方からは、津波と地震についてのことと原子力のことは別なんだよということで御回答いただいてはいるんですけれども、それぞれについて、どういう見識でいらっしゃるかというか、認識でいらっしゃるか、改めて伺えればと思います。

田中国務大臣 地震、津波被災地域においては、住まいの復興やインフラ整備が順調に進んでおりまして、産業、なりわいの再生も着実に進展していることから、復興期間の総仕上げに向けた段階を迎えている、このように申し上げたところでございます。

 一方で、被災者の心のケアなど、一定期間の対応が必要な課題がまだあると認識もしておるわけでございます。また、台風の十九号等被害によって東日本大震災からの復旧復興に支障を来さないように、私どももやはり最大の注意をしていかなければなりませんし、関係省庁との連携をしっかりと行って、政府一丸となって対応をしていかなければいけない、このように思っております。

 いずれにしても、現場主義を徹底して、被災者の復興に全力で取り組んでまいりますし、原子力発電所の事故による地域については、もちろん、多くの自治体がございますので、それぞれの自治体によって差異はございますけれども、私は、道半ば、このように申し上げて、これからとにかく集中的に対応を、努力をしていかなければならない、このような思いでございます。

 以上でございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 今御答弁の中にも台風十九号の被害ということも御言及がありましたけれども、細かく市町村を見ますと、それこそ丸森町のことが言えるかと思うんですけれども、復興の計画を立てていたけれども、やはり、順調に進んでいた復興の計画が、ある意味でこの台風によって後ろずれさせざるを得なくなったというようなところもあるかと思いますので、その点については、市町村ごとにきめ細かく見ていただくということが必要かなと。もう十分認識されていると思いますけれども、そのことをお願いしたいと思います。

 それと、もう一点は、原発の地域について、道半ばというお言葉がございましたけれども、正直、大臣も私も生きていないぐらい、まあ百年時代なのでお互い生きているかもしれませんが、私も結構年なので自分はもういないと思いますけれども、本当に福島の原発の処理というものが完了するというのは大分先ということで、まだ道半ばも行けていないというぐらいの認識でないと、逆に更に後ろずれしていく可能性があるということだと思いますので、そういった点も共有いただければとお願いを申し上げます。

 そこで、今高橋議員からも、処理水の問題で漁師さんのお話もありまして、おっしゃるとおりだなと思いました。しかし一方で、冒頭申し上げた、問題は解決されるために提起されているということで、政治はやはり問題を解決して次のステップに行かないといけないですし、話はそれるかもしれませんが、我が国の問題というのは、やはり、OECDのチーフエコノミストが直近、数日前か何かに指摘していますけれども、我が国の政治のあり方というのが、財政政策と金融政策のポリシーミックスでは、もう日本だけではないんですが、各国ともに、構造的な問題にメスを入れないと、もはや経済の成長なりはなし得ないのではないかというような指摘がありますので。

 東北が最たるそういうことなのかもしれないんですけれども、人口減少だとか高齢化とか、そういった問題にも対処しなきゃいけないですし、ちょっと話がそれましたけれども、問題を解決していく必要があるということで認識をしております。

 それで、次に、高橋さんが取り上げられた処理水の問題について、先週ですが、二十日の経済産業委員会で、我が党同僚議員の足立康史議員がトリチウム関連の処理水の質問をいたしまして、海外のフランスの事例、韓国の海洋放出の事例、それから国内では青森六ケ所村の海洋放出の事例を確認させていただき、政府の風評被害対策となる広報の拡充を求める質疑があったと記憶しておりますが、そんな中で、つい最近あった福島第一原発の処理水の扱いを検討している政府小委員会の十八日の会合で評価結果が出たやに伺っております。

 それで、その評価結果の概要をちょっと教えていただければというのと、特に、私はテレビのニュースで拝見したんですが、福島大学の先生だったかと思いますが、風評被害の対策についての発言があって、この点が不十分だったやな発言があったと思うんですけれども、そういった発言に対する捉まえ方を政府としてどうされておられているのか、またどう対処していく予定なのかを教えていただければと思います。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 今月十八日に開催をいたしました政府の小委員会におきまして、タンクに貯蔵しておりますALPS処理水を一年で全て処分をした場合の被曝線量を評価してお示しをしております。

 自然被曝による影響は年間約二・一ミリシーベルトでございますが、これに対しまして、海洋放出では年間約〇・〇〇〇〇五二ミリシーベルトから〇・〇〇〇六二ミリシーベルト、大気放出では年間約〇・〇〇一三ミリシーベルトという結果になり、いずれも千分の一以下の影響でございました。

 また、小委員会では、風評被害について、食品の検査体制や空間線量等について正確な情報を国際的に一段と積極的に発信すべき、わかりやすく丁寧な情報発信の一環としてモニタリング結果をもっと活用すべき、動画投稿サイトを活用した情報発信も検討すべき、放出の開始時期や期間が風評の観点で重要であるといった御意見をいただいております。

 これらの風評被害に関する御意見、いずれも重要なものと理解をしております。まずは小委員会で議論を尽くすことが重要であり、今後、小委員会での丁寧な検討、議論を行った上で、必要な風評被害対策を含めて政府として結論を出していく所存でございます。

杉本委員 御答弁ありがとうございます。

 るる伺いました。それで、今、最後、結びのところで新川さんがおっしゃられた、小委員会、議論を尽くしてまいりますというようなお言葉だったんですが、やはり議論は尽くしていただかなきゃいけないし、また風評で、先ほどの福島の漁業の関係の方々、福島県だけなんじゃ困るよ、言われたら従わざるを得ないよみたいな御質疑がございましたけれども、どれもきちっと、きめ細かくお願いしなきゃいけないのはあると思います。

 しかし、その一方で、やはりスピード感を持って解決に向かっていかなければならないという点もあるので、議論は丁寧に尽くしていただきたい一方で、やはり小委員会の開催頻度とかを早めるとか、回数をふやすとか、そういった努力をしていただいて、やはりどんどん福島の第一原発、F1の中は、現場も見ましたけれども、タンクがどんどんふえていくというのが実情であって、周辺の土地を考えればまだまだいけますよという考え方もあれば、東電さんの敷地はもういっぱいになると。

 新たに、逆に放射性物質をたくさん持っている中核のものを処理していくためには場所が必要なので、全体を進めていくためには処理水の問題を早く解決しなければいけないというのが我々維新の考え方でございます。

 どなたか申し上げたかもしれませんが、やはり大阪も、具体的にどうのということは現実的かどうかは別として、心意気としては、維新の発祥の地である大阪のサイドの首長もそんな発言をしておりますので、そんな意味で、やはりスピード感を持って、処理水の問題も、丁寧な対応も必要ですけれども、スピード感もあわせてお願いをしておきたいということで、大臣もうなずいていただいていますが、よろしくお願いを申し上げたく存じます。

 もう時間もなくなってきましたが、ちょっと復興の現状で人的被害の状況を確認しようかと思いましたけれども、ここは特に質疑で取り立てるということよりは、次の内容の質問に移りたいと思います。

 やはり、ちらっと申し上げました我が国の課題というのが、構造的な課題は社会保障費の増大なんですけれども、その社会保障費の増大というのは実は人口減少であり、少子高齢化の問題が横たわっているということで、ちょっと日銀の、デフレの元凶は何だというところで、前の白川総裁は、やはり今申し上げた少子高齢化が実はデフレの元凶であって、量的緩和が効果があるかどうかみたいな話も文中の行間にかいま見られるような本を、「中央銀行」という本を書かれていたりするんですが、その典型的なと言ったら御無礼かもしれませんが、まさしく問題を抱えているのが東日本の震災の地域、東北の地域ではないかというふうに拝察をしております。

 そんな意味で、ちょっと数字の確認をさせていただきたいんですが、人口の減少の状況、人口動向、これを、大震災前の数字と大震災後の最も直近の数字というのを各県ごとに教えていただければ、改めてですが、お願いをしたいと思います。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 震災前の平成二十二年と本年の比較で申し上げますと、全国では一・五%の減少でございますが、岩手県では百三十三万人から百二十三万人と七・八%の減少でございます。宮城県は二百三十五万人から二百三十万人へと一・九%減少でございます。福島県は二百三万人から百八十四万人と九・一%の減少となっているところでございます。

杉本委員 改めて教えていただきましたけれども、全国平均マイナス一・五のところ、宮城については全国平均に近い数字ですけれども、福島のマイナス九・一、そして岩手のマイナス七・八、大変大きなマイナスの数字で、これは、東北の復興、東日本の復興と考えると、人口動向といったものをやはり我々は大きく捉まえて何らかの策を打っていく必要があると思います。

 そこで、ちょっと二つ伺いたいと思っております。

 もう時間もなくなってきましたので、答えをいただける範囲で結構なんですが、復興支援員というのがございますね。これは地域おこし協力隊みたいなものの関係と似通った分類になるかもしれません。この復興支援員の活動事例、特に成功したような事例、どういったものがあるか、教えていただければと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 復興支援員制度は、東日本大震災の被災地方公共団体が被災地域内外の人材を復興支援員として委嘱をしまして、被災者の見守りやケア、地域おこし活動の支援等の復興に伴う地域協力活動を通じてコミュニティーの再構築を図るという仕組みでございます。

 先進的な事例を示すようにというお尋ねでございますが、例えば岩手県の釜石市におきましては、復興支援員が釜石リージョナルコーディネーター、釜援隊と称しまして、災害公営住宅における自治組織の運営支援、また漁業や林業の後継者の育成など、幅広い取組を市内のNPO法人等と連携を強化して行っていただいております。復興支援員が、まちづくりにかかわるさまざまな人や組織をつないで、官民一体の復興まちづくりに向けた調整役となっている事例でございます。

 また、福島県におきましては、県で委嘱をした復興支援員を県外九都県に配置をし、県外に避難されている方に対しまして戸別訪問等による見守りケア活動を行うことで、個々の避難者に対してきめ細やかなサポートを広域で実施をしているというような例もございます。

 各被災地方公共団体において、こうした取組を参考にしていただけるように、今後も事例の周知に努めてまいります。よろしく御指導をお願い申し上げます。

杉本委員 時間となりました。

 復興支援員の活発な活動をお願いしたいと思いますし、もう一点、ちょっと質問できなかったんですけれども、自治体間の交流といったものもぜひ進めていただいて、東北の、東日本の復興というのに皆さん御尽力いただければとお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五分散会


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