衆議院

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第3号 令和4年3月16日(水曜日)

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令和四年三月十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊藤 忠彦君

   理事 亀岡 偉民君 理事 菅家 一郎君

   理事 坂井  学君 理事 野中  厚君

   理事 金子 恵美君 理事 神谷  裕君

   理事 早坂  敦君 理事 國重  徹君

      青山 周平君    秋本 真利君

      東  国幹君    井出 庸生君

      伊藤信太郎君    大西 英男君

      金子 俊平君    国光あやの君

      小林 茂樹君    鈴木 隼人君

      高階恵美子君    高木  啓君

      高木 宏壽君    谷川 とむ君

      西田 昭二君    西野 太亮君

      平沢 勝栄君    三谷 英弘君

      宗清 皇一君    八木 哲也君

      山口  晋君    山本 左近君

      若林 健太君    荒井  優君

      小熊 慎司君    岡本あき子君

      鎌田さゆり君    玄葉光一郎君

      階   猛君    馬場 雄基君

      池畑浩太朗君    一谷勇一郎君

      小野 泰輔君    浮島 智子君

      庄子 賢一君    岸本 周平君

      高橋千鶴子君    福島 伸享君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       西銘恒三郎君

   内閣官房副長官      木原 誠二君

   復興副大臣        冨樫 博之君

   農林水産副大臣      武部  新君

   経済産業副大臣      石井 正弘君

   環境副大臣        務台 俊介君

   復興大臣政務官      宗清 皇一君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     林  俊行君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     由良 英雄君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁出入国管理部長)        丸山 秀治君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   嶋田 俊之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           淵上  孝君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           坂本 修一君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           岸本 武史君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           道野 英司君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         川合 規史君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    渡邊  毅君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  黒萩 真悟君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         遠藤 仁彦君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 前佛 和秀君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長)           文挾 誠一君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     吉田はるみ君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  平沢 勝栄君     高木 宏壽君

  細野 豪志君     東  国幹君

  山本 左近君     山口  晋君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     細野 豪志君

  高木 宏壽君     平沢 勝栄君

  山口  晋君     山本 左近君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めさせていただきます。

 この際、お諮りをいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長文挾誠一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として復興庁統括官林俊行君、復興庁統括官由良英雄君、出入国在留管理庁出入国管理部長丸山秀治君、財務省理財局次長嶋田俊之君、文部科学省大臣官房審議官淵上孝君、文部科学省大臣官房審議官坂本修一君、厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長岸本武史君、農林水産省大臣官房審議官道野英司君、農林水産省農村振興局整備部長川合規史君、林野庁森林整備部長小坂善太郎君、水産庁漁政部長渡邊毅君、水産庁増殖推進部長黒萩真悟君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治君、国土交通省大臣官房技術参事官遠藤仁彦君及び環境省大臣官房審議官前佛和秀君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 質疑の申出がございますので、順次これを許します。野中厚君。

野中委員 自由民主党の野中厚でございます。

 先週の十一日で、東日本大震災から十一年が経過いたしました。お亡くなりになられた方の御冥福をお祈り申し上げ、また、御遺族にお悔やみ申し上げて、質問に入らせていただきたいと存じます。

 十一年前、私は当時県会議員でありまして、福島県の双葉町、東日本大震災で被災し、福島第一原発事故によって避難を余儀なくされた町でありましたが、その町民の方々を私の地元である廃校になった高校に避難先として受け入れるということで、市、県、そして地元の医師会、歯科医師会、商工会など団体の皆様方と本当に議論し、どうやって穏やかな生活を送ってもらうかということを県会議員として議論した記憶があります。

 その後、それまで縁のなかった双葉町、加須市は友好都市を締結いたしまして、現在は、加須市に双葉町の町民の方々が第二のふるさととして居を構えております。

 一方、住み慣れたふるさとに戻りたいという方々もいらっしゃいます。西銘大臣が所信表明でおっしゃられました、帰還意向のある住民が帰還できるよう取組を進めてまいる、まさにそのとおりであります。時間はもう十一年が経過いたしました。そして、今このときも時間が過ぎております。西銘大臣の強いリーダーシップを御期待申し上げます。

 大臣就任後、五か月が経過し、大臣として先週初めて三・一一を迎えられたわけでありますけれども、これまで大臣が取り組んでこられた取組、また、復興にかける決意についてお伺いしたいと存じます。

西銘国務大臣 三月十一日を復興大臣という立場で迎えました。改めて、被災地のことを思い、その職責の重さを実感し、本当に身の引き締まる思いであります。

 就任に当たり、総理より、現場主義に徹したきめ細やかな対応により復興に全力を尽くすよう指示されており、これまでに被災三県を十五回訪問し、七回の車座対話などを通じて地域の実情をお伺いしながら復興に取り組んできたところであります。

 こうした中で、例えば地元からも高い期待を寄せられている福島国際研究教育機構の設立に向けて、復興大臣が中心となり、政府一丸となって検討を進め、今国会に法案を提出するなど、各種の施策を着実に進めてきたところであります。

 今後とも、被災地の皆様の声をしっかりと受け止め、東北の復興なくして日本の再生なしとの強い決意の下で、司令塔としての役割を果たし、復興に全力を尽くしてまいる所存でございます。

野中委員 就任五か月で十五回訪問をされている、ほぼ毎週のように被災地を訪れているということであります。現場主義、そして被災地に思いを寄せて復興を一歩でも二歩でも前進するよう、強いリーダーシップを期待申し上げます。

 第二期復興・創生期間の基本方針という資料を拝見させていただきました。各分野の取組、その中に、ハード事業だけではなくて、被災者支援、子供の支援がございます。ハード事業というのは目に見えて復興の進捗度が分かるわけでありますが、被災者支援、そして子供の支援というのは、心のケアにも係る、心の復興の部分もございます。当時に大切な人を失った、大切なものを失った、そして大切な時間を失った方々がいらっしゃいます。

 私は、二〇一四年から党の方でケアラー議員連盟の事務局長を拝命しております。おととし、ヤングケアラーの実態調査がございまして、被災地でヤングケアラーの割合というのはどれぐらいかというふうに調べましたが、残念ながら、地域別ごとしかデータがなくて、数値というのは分かりかねました。

 しかしながら、当時から十一年が経過し、幼子が中学生、高校生になっておられます。そしてまた、十一年前に大切な御家族を失った方々もいらっしゃいます。ヤングケアラーも含めた被災地の子供の支援についてお伺いいたします。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、東日本大震災により被災された子供が家族へのケアなどの影響によりまして不安や悩みを抱えることがないよう、関係機関において支援を届けることは重要なことと考えております。

 厚生労働省といたしましては、東日本大震災により親御さんを亡くされた場合も含めまして、生活環境の激変に伴い様々な悩みを抱える子供の心身の健康に関しまして、子供やその家族に対する相談援助を行う事業を実施しておりますほか、ヤングケアラーのいる家庭も含めまして、家事、育児に不安を抱えた家庭に対しまして訪問支援員が訪問して不安や悩みを傾聴する、また、家事、育児等の支援を行う事業を実施するなどの支援策を講じているところでございます。

 東日本大震災の被災地の子供に対しまして、ヤングケアラーの視点も含めまして必要な支援が確実に届くよう、取組を推進してまいりたいと考えております。

野中委員 引き続き、心のケア、孤独、孤立させない、相談できる環境づくり、そしてまた、ヤングケアラーにおいては、同世代の子供たちと同じように学び、遊び、部活ができるなど、そのような環境整備に取り組んでいただきたいと存じます。

 続きまして、農林水産業について質問をさせていただきます。

 先日、消費者庁の意識調査で、福島県産の食品の購入をためらうというのが六・五%、これは過去最小、そして更に減少傾向が続いているということでありました。また、食品を安心して食べるために行うべきことという調査に、安全に関する情報提供、産地、産品の魅力に関する情報提供が上位を占めました。

 食品の購入をためらうというのが過去最小、減少傾向が続いているというのは、政府がしっかりと科学的根拠に基づいて安全であるということを情報発信し続けたからでありまして、時間が経過したからではないと私は思っております。引き続き、安全に関する情報提供の発信、産地、産品の魅力に関する情報提供、これは、情報を発信することによってブランドの再生、ブランドの創生につながるものであります。是非、この点についてもお願いしたいというふうに思っております。

 被災地の、今回は三県に的を当てましたけれども、農業産出額、林業、漁業の産出額について被災前と被災後の数値を見比べますと、宮城県は、農業、林業、漁業のどれも震災前の数値を上回っております。岩手は、農業産出額が上回っておりますけれども、林業、漁業はまだ回復し切っておりません。そして、福島は、農業、林業、漁業のどれも道半ばであります。

 現在、この被災三県も含めて、海外では原発事故により十四の国が輸入規制を継続して措置しておるところでありますが、被災三県における農林水産物の輸出額、これを、震災前、震災後、共に教えていただきたいというのが一つ。そしてまた、この十一年で輸入規制を撤廃、緩和された国がございますけれども、緩和、撤廃されたことによって日本からの輸出が再開した、また、新たに輸出することになった事例があれば教えてください。

道野政府参考人 お答えいたします。

 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う日本産食品への輸入規制につきましては、事故後の輸入規制を導入した五十五の国、地域のうち、昨年のシンガポールや米国を含め、現在までに四十一の国、地域が規制を撤廃いたしました。さらに、本年二月には台湾が規制を緩和し、福島県等五県産の農林水産物・食品の輸出が可能となりました。

 お尋ねの輸出額につきましては、手元に今、福島県の輸出実績がございます。事故後の平成二十四年度におきましては九千八百万円というような実績でございましたが、令和二年度につきましては九億五百万円の輸出額というふうに増加をしております。

 また、本年二月には、福島県産米を使用しましたプロモーションイベントをニューヨークで開催するなど、輸入規制の緩和、撤廃を受けた日本産農林水産物・食品の輸出機会の拡大に向けた取組を進めております。

 農林水産省といたしましては、規制が残る十四の国、地域に対して輸入規制を早期に撤廃するようより一層働きかけていくとともに、規制が緩和、撤廃された品目につきましては速やかに輸出が再開できるよう、輸出の産地や事業者にしっかりと支援を行ってまいります。

野中委員 直近では台湾の輸入緩和というのは大変明るい話題でありましたし、今、米国の話もございました。

 今後十四の国が規制緩和、撤廃することで、今、国が掲げている海外輸出農林水産物、二〇二五年は二兆、二〇三〇年は五兆だったでしょうか、非常に野心的な目標を掲げております。復興にもつながりますし、また、目標を達成する大きな力になると私は考えております。是非、それぞれのチャンネルを使って規制撤廃、緩和について取り組んでいただきたい、そのように思っております。

 続きまして、先日、双葉町の、今年の春に大熊町、葛尾村とともに避難指示が解除される、春以降に解除を目指している自治体でありますけれども、その町長と私は電話で話をさせていただきました。戻るに当たって何か不安な点はありますかということをお聞きしたところ、これから質問させていただく点について不安だということでありましたので、質問させていただきたいと思います。

 それは、特定復興再生拠点の宅地、農地のみを除染しても、帰還困難区域から雨水がため池に落ち、ため池から下流の農地に広がって、再びせっかく除染した地域が汚染されてしまうんじゃないかという心配でありました。その点について。

 ため池の除染について、そして、時間がないので森林の除染についても併せてお伺いします。森林については林業の再生にもつながります。併せてお伺いいたします。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 福島県内のため池につきましては、営農再開、農業復興に向けまして、県や市町村が実施主体となり、高濃度の放射性物質を含む底質土の除去を実施しているところであります。福島県内で対策が必要なため池、約九百九十か所のうち、令和三年十二月末時点で約八割が対策を完了しているところであります。

 お話がございました双葉町等におきましても、今後の住民の皆様の帰還及び営農の再開の支障とならないよう、農林水産省といたしましても、関係省庁や福島県等と連携し、取組に対して支援を行い、関係者の皆様方の不安の払拭に努めてまいりたいと存じます。

小坂政府参考人 お答えさせていただきます。

 原発事故により被災した福島の森林におきましては、復興庁、農林水産省、環境省、この三省庁で取りまとめました福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組等に基づき、放射性物質対策と一体となった森林整備等に取り組んでいるところでございます。

 具体的には、放射性物質を含む土壌の流出を防ぐための間伐等の森林整備と必要な放射性物質対策を行うふくしま森林再生事業、こういう事業によりまして、県内の四十四市町村が、令和二年度末までに約一万五百ヘクタールの間伐等に取り組むとともに筋工等の土砂の移動抑制対策を実施しているところでありまして、令和四年度におきましても所要額を計上しているところでございます。

 議員が御心配、御指摘の双葉町につきましては、大部分が帰還困難区域であり、現時点ではなかなか森林整備等を実施することが難しい状況でありますが、今後、政府全体の検討状況であるとか空間線量率の状況を踏まえ、対応を考えていきたいというふうに考えているところでございます。

野中委員 共に双葉町はこれからだけれども、それまでの除染をしっかり行っているということでありました。引き続きしっかりと継続していただいて、その後に双葉町を、非常に町民の方が不安でいらっしゃいますので、払拭していただくようお願い申し上げまして、質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、庄子賢一君。

庄子委員 公明党の庄子賢一と申します。

 先日、三月十一日をもちまして、東日本大震災から十一年ということになりました。改めて、犠牲となられました全ての皆様に哀悼の意を表し、また、御遺族の皆様、被災されました全ての皆様方に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 まず、質疑の一点目は、先ほどもございましたが、心の復興ということについてお尋ねをさせていただきます。

 復興庁が震災の翌年に設置されまして、設置期限が既に十年延長され、二〇三一年まで存続するということになっております。

 復興庁の今後の取組につきましては、福島の復興再生ということが中心になってこようかと思います。

 具体的には、一つ、福島第一、第二原発の廃炉に向けた着実な取組、二つ、帰還困難区域の避難指示解除と住民帰還の促進、三つ、創造的復興とその中核機関としての国際教育研究拠点の整備になろうかというふうに思います。この点は是非、今後も司令塔として役割を果たし、進行管理をお願い申し上げたい、そう思います。

 その上で、原発事故の被災地域、更に加えて地震、津波の被災地域、この二つの地域に共通する大きな課題は、いわゆる外見では分からない心の復興という問題であろうというふうに思います。

 私の地元宮城県あるいは岩手県の地震、津波被災地域におきましては、ハード面での復興はおおむね完了しました一方で、孤独と孤立化ということが大きなリスクとして今顕在化しています。心身のケアを含む被災者支援は、むしろ今後強化すべき点だというふうに認識しております。こうした課題に国、自治体と民間支援組織が連携し、生きがいを実感でき、つながり合える地域社会の構築を果たすということを通じて、被災されたお一人お一人の心の復興を創出すべきだというふうに思います。

 そして、いまだ避難生活を余儀なくされている原子力事故災害被災者の皆様には、丁寧な聞き取り等を継続しながら帰還のための取組を加速することはもちろん、個々の多様なニーズに対応し、国が前面に立って解決に当たる姿勢を明確に示していくこと、最後の一人まで徹して寄り添い続けるという強い姿勢を国、復興庁が堅持し続けること、このことが心の復興には欠かせないというふうに私は思います。

 まず冒頭、大臣に、心の復興について、御自身のお考えと取組についてお尋ねをいたします。

西銘国務大臣 東日本大震災から十一年となり、被災者の状況が多様化しております。それぞれの状況に応じた支援を行うことが極めて重要だと考えております。

 このため、復興庁では、被災者支援総合交付金を通じて、災害公営住宅で暮らす高齢者に対する見守り、コミュニティー形成等の支援を実施するほか、心の復興事業として、農作業等を通じた交流により被災者が人と人とのつながりをつくり、生きがいを持って暮らしていけるような機会を提供する取組を支援しております。引き続き、被災者に寄り添った支援を推進してまいりたいと考えております。

 岩手県や宮城県でも、花の香るまちづくり事業等々の具体的な取組も進展しております。しっかりと対応してまいりたいと考えております。

庄子委員 是非お願いを申し上げます。国が忘れていないというメッセージを常に出していくということが最も大事だというふうに思います。よろしくお願いしたいと思います。

 次に、今後の福島原発の廃炉に向けて不可避でありますALPS処理水の対応についてお尋ねをしてまいります。

 廃炉を安全かつ着実に実施し、福島の復興と、その先にあります未来のために避けて通れない課題が、ALPS処理水の処分だというふうに思います。政府が引き続き前面に立ち、責任を持って万全の対策を講じていく必要があろうかというふうに思います。

 今年二月十四日から十八日にかけまして、IAEA、国際原子力機関の関係者と国際専門家で構成されますタスクフォースが来日をされました。福島原発における処理水の安全性に関するレビューが行われたわけであります。これは、昨年七月に署名されました東京電力福島第一原子力発電所ALPS処理水の取扱いに係るIAEAとの協力の枠組みに関する付託事項、これに基づいて行われたものというふうに認識をしております。このミッションを通じて、タスクフォースが国際安全基準に照らして処理水の海洋放出の安全性を評価するというふうに認識しているところでございます。

 そこで、お尋ねをいたしますけれども、今回のミッションや、あるいは今後発表されます報告書が今後の処理水対策にどのような影響を与えていくというふうにお考えでしょうか。また、今後IAEAの研究所で放射性物質の濃度分析を独自に行うということを合意されたと伺っておりますけれども、このことが持つ意味をどのように受け止めていらっしゃるか、御所見を伺います。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 ALPS処理水の処分につきましては、IAEAに専門的、客観的な立場から評価、その結果を透明性高く発信いただくことを通じて、国内外に我が国の対応への理解を広めていくことが重要と考えております。

 先月のレビューでは、IAEAが定めている国際的な安全基準に基づきまして、処理水の安全性についての評価が行われております。また、東京電力により処理水の測定が適切に行われているかということを確認する目的で、IAEAが自ら分析するためのサンプル採取も行われております。測定につきまして国際的なダブルチェックがなされるということに意義があると考えております。

 経済産業省といたしましては、今回のレビューにより、IAEAの調査団に処理水の海洋放出に向けた計画や準備について厳正に評価をいただけるものと認識しております。引き続き、処理水の安全確保の取組が適切に評価されるように、IAEAによるレビューに全面的に協力してまいります。

庄子委員 IAEAの評価は我々がコントロールはできませんけれども、その評価結果についての広報ということについては十分に周知をお願い申し上げたいというふうに思います。

 また、福島第一原発の処理水への対応について、海洋生物の飼育試験ということが公表されておりまして、海水、普通の海の水と海水で希釈した処理水、これで海洋生物の生育の比較を行うということが示されております。

 私は、難解な専門用語で説明をされる以上に、安全な水なのか、安全でないのかということを一般の方々にも分かっていただく非常に理解しやすい手法だというふうに思っておりまして、歓迎を申し上げたいと思っておりますが、問題は、この飼育試験を人為的な介入あるいは不正行為などが起きないように厳しく監視する、透明性を確保する、そういうことが大事ですし、分析結果については外部の専門家によって公正な評価を示して国民に公表することが必要だというふうに思いますが、どのように臨まれるでしょうか。

文挾参考人 それでは、お答え申し上げます。

 まず、福島第一原子力発電所の事故から十一年が経過いたしましたが、今なお福島県の皆様を始め広く社会の皆様に大変な御迷惑と御心配をおかけしておりますことを、改めて深くおわびを申し上げます。

 それでは、先生の御質問、海洋生物の飼育試験についてお答えを申し上げたいと思います。

 飼育は、先生が今御指摘のとおり、通常の海水と海水で希釈いたしましたALPS処理水の双方の環境の下でヒラメ、アワビ等の海洋生物を飼育いたしまして、その育成状況の比較を行ってまいります。地域の皆様を始め社会の皆様の御不安の解消や御安心につながるよう、その状況を分かりやすく丁寧にお示ししたいというふうに考えてございます。

 具体的な情報発信の手段といたしましては、飼育状況をホームページやSNSを通じてお示しいたします。また、御指摘のありました人為的な操作の介入が入らないよう、二十四時間のウェブカメラ中継での公開によりまして透明性を確保していくという計画でございます。

 また、飼育した海洋生物の生体内のトリチウム濃度の客観性、透明性につきましては、第三者による分析も行いまして、有識者の意見も頂戴しながら、それを評価した上で社会の皆様へお伝えしてまいります。さらに、客観性、透明性を確保するため、学術機関、研究機関との連携などについても今後検討してまいりたいと思います。

 以上でございます。

庄子委員 しっかり厳正に行っていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。

 福島の帰還困難区域の環境整備について伺いますが、まず富岡町での準備宿泊について伺います。

 福島県の富岡町では、四月十一日から特定復興再生拠点区域での準備宿泊がスタートすることになっております。対象者が千四百三十一世帯、三千五百五十三人のところ、現在、五十二世帯が準備宿泊を希望しているというふうに伺っています。

 来年春に帰還困難区域の一部とはいえ避難指示解除を目指す上で非常に大きなステップだというふうに思いますが、準備宿泊中の皆さんへ、様々な生活上の相談を伴走型で行うべきだというふうに思っておりまして、この点、どのように対応されるか。また、現時点で準備宿泊を希望されなかった皆さんに、宿泊をしていらっしゃる方々の感じた要望、課題などを情報提供すべきだというふうに思いますが、どのように対応されますでしょうか。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 富岡町の特定復興再生拠点区域でございますけれども、御指摘がございましたように、来年春頃の避難指示解除を目指して、四月十一日から準備宿泊を開始する予定でございます。準備宿泊が開始された後は、宿泊されている方々を戸別に御訪問させていただきまして、実際に生活されて感じた要望や課題などを丁寧にお聞きし、関係機関とも連携して対応を検討してまいります。

 実は、これまでも準備宿泊の際には戸別訪問を実施しておりまして、そこで解除後の環境整備に資する貴重な御意見を多くいただいたことも踏まえまして、今回も同様に実施してまいります。

 さらに、戸別訪問でいただいた御意見、対応状況などは、住民説明会の機会なども活用して、準備宿泊をされていない住民の方々にも情報提供をしてまいります。

 政府としては、引き続き、特定復興再生拠点区域の避難指示解除に向けて、住民の方々の御意見を丁寧に伺いながら、着実に環境整備に取り組んでまいります。

庄子委員 一方で、双葉町のことですが、先日、町長にも、三月六日、お会いをしてまいりましたけれども、特定復興再生拠点地域から外れた帰還困難区域の九つの行政区長さんから、帰還困難区域全域での除染などを求める要望書、これが、三月二日、町長に提出をされたというふうに聞いております。

 実は、九つの行政区のうち七つの行政区が行いました住民アンケートによれば、戻りたいと考えているという回答をされた方が四八%に上っておりました。アンケートの回収率は七七%でございましたが、これは非常に重く受け止めていくべきだというふうに思います。

 国として、今後、復興拠点以外の帰還困難区域の除染を含めまして、帰還の推進についてしっかり取り組んでいただきたいというふうに思いますが、どのようにお考えでしょうか。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘の要望書とアンケートについては私どもも承知をしております。こうした御意向を念頭に置きながら対応を進めてまいります。

 今回の取組については、帰還意向をしっかりお聞きするということが重要であると考えております。来年度から予定されている帰還意向の確認の際には、丁寧さとスピード感を両立しながら進めてまいります。特に、すぐに帰還について判断できない住民の方々がいらっしゃると思いますので、その事情にも配慮して、意向確認は二〇二〇年代をかけて複数回実施していくことを想定しております。

 今後の意向確認の実施に際しても、住民の方々の御意向がしっかり反映されるように、事前に調査内容についての説明の場を設けるなど、丁寧に取組を進めてまいりたいと考えております。

庄子委員 以上で質疑を終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 野党のトップバッターとして質問する時間をいただきました。御配慮に感謝を申し上げます。

 十一年前、私は地元が茨城県ですけれども、茨城県も震災で三県と並ぶ大きな被害を受けました。ようやく十一年たってそれなりに復興はしてまいりましたけれども、一番心配なのは、やはり、先ほどもございましたALPS処理水の処分の問題であります。いまだ茨城県産の農林水産物も貿易に関する規制がかかっている部分がございますし、大変な憂慮を持って地元では受け止められております。

 昨年四月の基本方針では、今後二年程度後にALPS処理水の海洋放出を開始ということになっていて、本当に、当時、梶山大臣、まさに地元の大臣だったんですけれども、大きな決断だったと思います。私自身、サイトのところへ行くと、あの立ち並ぶタンクを見ていると、どこかで何らかの決断はしなければならないだろうなと。その重要な判断をされたことには心から敬意を表したいと思います。

 しかし、この間、私も地元の漁業者などと話しておりますと、全くこの放出に納得をされているような状況にはないと思っております。ヒアリングなどの努力もされているようでありますが、どうもなかなか、誠意がないのか、誠意が伝わっていないのか分からないんですけれども、いついろいろな質問を投げかけても、同じような、官僚的な答弁しか返ってこないというような状況であります。

 誰が処分を決めるのかというのも実は曖昧じゃないかと思っておりまして、基本方針を読んでも、処分の実施主体は東京電力とあるんですけれども、最後、決めるのは国と考えていいんですか。経済産業大臣ですか、総理大臣ですか、復興大臣ですか、それとも規制委員長ですか。誰がこの処分の最終決定をされるんでしょうか。お答えください。

石井副大臣 経済産業省でございますけれども、今、御質問がございました。

 この件に関しましては、政府一丸となって対応していくということでございまして、もちろん私ども経済産業省もその責任の重大性を十分認識しながら、全体としては国が前面に立って取り組んでいかなきゃいけない、このように考えております。

福島委員 誰が判断するんですか。漁業者を官邸に呼んで、当時の菅総理が申し渡したわけですよ。最後は総理と考えてよろしいですか。

須藤政府参考人 ALPS処理水の処分方針、基本方針、政府としての基本方針は、廃炉・汚染水・処理水関係閣僚等会議において決定をしてございます。その場には菅総理も御参加をいただきまして、全閣僚参加の下で決定をしたということでございます。実施主体は、放出の実施は東京電力が行いますけれども、国として責任を持って進めてまいります。

福島委員 という答弁を、須藤さんは私のかつての上司で尊敬する方でございますけれども、官僚が答弁していることが問題なんですよ。

 漁業者の心に寄り添えるのは、残念ながら、私も官僚をやっておりましたけれども、官僚じゃありません。なりわいをやっている人に寄り添えるのは政治家しかいないんですよ。その誰が決めるかという判断すら政治家ができないから、漁業者の皆さんは本気でやると思っていないんですよ。国は前面に立ってやると言っているけれども、最後は、答弁を須藤さんにさせて、政治家は逃げているわけじゃないですか。

 私も、実は原発の立地に携わっていました。地元で大変厳しい御意見をいただいたこともありますけれども、今の私の少なくとも地元の漁業関係者の反応は、どんな原発立地の反対の強い自治体の住民の皆さんよりも強いものがありますよ。これね、来年に放出するなんて絶対できません。だから、誰が判断するかと言っているんですよ。最後、漁民の心が分かるのは政治家以外いないんですよ。

 副大臣、知事の経験もおありですけれども、平成二十七年の八月二十五日に、東電の広瀬社長が、当時のですけれども、福島漁連の野崎会長に回答したときに、関係者の理解なしにはいかなる処分も行わないと。東電社長の言葉です。国として、漁業関係者の合意がなければ処理水の放出は行わないですね。明言いただきたいと思います。

石井副大臣 今御質問いただきました方針につきましては、しっかりと政府全体として受け止めをさせていただいているところでございまして、漁業者の皆様方とのやり取り、これはしっかりと重く受け止めながら、とにかく誠心誠意、現場に足を運んで、漁業関係者の方々のみならず、関係者の皆様方としっかりと、処理水の問題の安全性、そして、着実にこれを進めていくということにつきまして理解を深めていくように、これからも全力で取り組んでいくように、我々も政治家としてしっかりと現場に強く指示をしてまいりたい、このように考えております。(発言する者あり)

福島委員 なぜよしなのか分からないですけれども、とても政治家としての言葉には思えません。心が動かないと駄目ですよ、漁業者の人の。今の官僚もどきみたいな答弁だったら、現場に立つ人の心が動くとはとても思えません。

 もう一度答弁願いたいんですけれども、漁業者が納得するまでは絶対処理水は放出しませんね。イエスかノーかで答えてくださいよ、政治家として。答えられないんだったら答えられないでいいですよ。でも、来年の放出に向けて政府が頑張っているんだったら、今、ちゃんと努力するんだから漁業者の了解なくしては放出しないという、イエスかノーかで是非お答えください。

石井副大臣 政府全体といたしまして先ほど申し上げました関係の閣僚会議で方針を決めているところでございますから、まずはその方針に沿って取り組んでいくということが基本になります。行動計画も昨年末に取りまとめているところでございまして、これらを実行していく、そのためにも、漁業者の皆様の御理解が少しでも前に進んでいくように政府一丸となって全力で取り組んでいくということで、これからも頑張ってまいりたいと思っております。

福島委員 なぜ聞くかというと、基本方針には誰が判断するという主体とプロセスがないんですよ。政府全体でと言うときは、大体、みんなで責任を回避する、逃げるところだから言っているんです。

 なぜ私がそれを言うかというと、私の地元の茨城県は一九九九年にジェー・シー・オーの事故があって、そのときに大変な風評被害を被りました。県内最大の交通会社、茨城交通ですけれども、これが破綻をしました。その後、二〇一一年の三・一一東日本大震災でも、多くの私の友人の企業も含めて風評被害で潰れていきましたよ。水産加工の会社、お土産の会社、観光関係の皆さん。もう風評被害はうんざりなんですよ。失業する人がいっぱい出ているわけですよ。そういう人たちに対して、今みたいな答弁というのは全く私は通じないと思いますよ。

 私たちの地元の漁業者は、ようやく震災前まで魚価は回復したし、漁獲高も何とか戻ってきた。でも、これで更にALPS処理水が放出されてまたあのしんどい思いをするのか、人生で一回きりでもいいような、死んだような思いを今まで二回もしてきたのにまたやるのかという思いだから、こうして私は聞いているんですよ。

 基本方針では、風評被害に対応するため、福島県及びその近隣県の水産業を始めとした産業に対しては販路拡大、開拓等の支援を講じていくと。何げなく書いて、ああ、支援ですか、ありがたいと思うけれども、地元の受け止めは違うんですよ、それは。我々は政治家だから官僚の文章で判断してはいけない、この文章から伝わる雰囲気をどういうふうに伝えるかというのを考えなきゃならないんです。

 令和三年八月のALPS処理水の処分に伴う当面の対策では「風評に打ち勝つ、強い事業者体力の構築」と。こういう表現が一番頭にくるんですよ。何で自分たちが頑張って強くならなきゃならないんですか。処理水を流さなければ、そのまま平穏無事でいるのに、風評被害に打ちかて、頑張れとかね。苦しんでいる人に頑張れというのが一番きついわけですよ。(発言する者あり)人ごとなんです、おっしゃるとおりなんです。

 処理水さえ流さなければ何の問題もないのに、一方的に流すわけですよ、国や東京電力は。それに対して他人目線、上から目線で、おまえら頑張れ。風評被害の対策のメニューも、あなたたち、何か頑張ったら補助を出しますよというメニューなんですよ。そんなのを言われたら、僕らの周りは要りませんと言います。流さないでくれ、補助なんて要らないから流さないでくださいというのが実際になりわいをやっている人の思いですよ。

 だから、私は、風評被害対策というのは支援であってはいけないと思うんです。国がやれという話なんです。国が自らやってくださいよ。県とか漁業者とか市町村が風評被害対策にPRなどをやればそれの補助をするというんじゃなくて、国自らが行ってくださいよ。国自らが行う姿勢を見せなければ理解なんてあり得ないと思いますけれども、副大臣、いかがでしょうか。

石井副大臣 風評対策でありますけれども、まずは風評被害というものを起こさせないということが極めて重要でありますので、IAEAによります確認、こういった第三者の立場からしっかりと国内外に発信をしていくということ、さらには、先ほど申し上げましたとおり、生産者から消費者に至るまで、我々は一丸となって、できるだけ多くの方々に理解をいただくということで説明を重ねてまいります。

 一方で、御質問がございました、漁業者の方々等が安心してこれからも事業を継続することができるようにということも極めて重要な対策でございますので、設備投資などの生産性向上に向けた取組とか、これは水産庁の御協力をいただきながらやってまいります。販路開拓もしっかりと支援をしてまいります。

 そして、それでもなお生じる風評に備えまして、基金を今回設けまして、賠償等のセーフティーネットの制度設計を今急いでいる、こういう状況でございまして、とにかく風評を生じさせない、そして風評には打ちかつ、このことを政府一丸となって、我々経済産業省が先頭になって取り組んでまいりたいと思っております。

福島委員 風評というのは人間の心の中で起きるんですよ。政府や権力者が風評を起こさせないなんというのはできないんですよ。プーチンが反戦の世論をロシアで抑えるのと同じようなことを今言っているわけですよ。そういう上から目線のことを言っちゃいけないと思いますよ。

 あと、設備投資とか販路開拓をしたら支援と言うけれども、みんなそのために借金をさせられるわけですよ。それに、何で新しく努力をしなきゃならないんですか。それをみんな怒っているわけですよ。私の質問の趣旨は、そうした人の支援じゃなくて、国自らやってくれということなんですよ。是非そのことを検討していただきたいと思うのであります。

 もう一点は、地元のことなんですけれども、当然海はつながっておりますので、特に漁業者が一番、私の地元では不安に思っております。北茨城と福島というのは接していますし、実際に操業では福島県沖にも行きますし、魚に県境はありませんから、当然移動するわけですね。恐らく、放出したら立ち所に魚価は落ちていくし、また同じ苦しみになるんですよ。

 これまで、何度も茨城県の漁業関係者にも政府の皆様方は説明にいらしていただいていると思います。今日お配りした資料も配って説明したそうなんですけれども、例えば、ここを見ると、福島県では対象だけれども茨城県では対象じゃないとなるんですね。例えば、(オ)の次世代の担い手となる新規就業者の確保、育成。福島では原発事故の影響もあって新規就業者の七割を漁家子弟が占めているけれども、茨城県は漁家以外が占めているから対象じゃないとかね。こういうひどい言い方が一番みんな頭にくるんですよ。

 恐らく説明のときは、漁業者はそんなに激しく反発していないと思うんです。なぜかといえば、茨城県民は奥ゆかしいので、私のようにですね、よそ者に対してはっきり表現をしないということもあるかもしれないけれども、ただ、もう一方は、風評被害対策などに安易に乗ったら放出を認めると思われるから積極的に対応できないんですよ。それを、あいつらが何も言ってこないからやらないという受け身の態勢じゃいけないんですよ。

 みんな、ジレンマなんですよ。風評被害が起きたら大変だから、その支援は受けなきゃならないんだけれども、それに乗っちゃったら認めることになるから積極的に議論できない気持ちなんですよ。だから、国から積極的に、これだけはやりますと用意して。

 相手の御要望を聞きますと言っても、出てきませんよ。御要望を聞きますと言った途端に、ずっと不満を持ちながら、納得しない、納得しないと言うんですよ。ですから、こうした水産関係の支援策についても、福島県だけじゃなくて茨城県、宮城県も含めて、同等の措置を初めから国として用意するということをやっていただけないでしょうか。水産庁さん、いかがでしょうか。

武部副大臣 福島県の漁業の状況をちょっと御説明させていただきますと、昨年四月に試験操業を終了しまして、ようやく本格操業に向けた取組に大きくかじを切ったところです。長期的に試験操業が続いておりましたので、福島県の漁業生産を支える人材は被災前に比べて大幅に減少しています。

 このように、福島県においては被災された他県と比べて状況がちょっと異なっておりまして、漁家子弟か否かにかかわらず、研修等によって操業再開に必要な人材を確保できるように支援することとしているところであります。

 もちろん、漁業の次世代を担う人材の確保というのは全国的な重要課題であると認識しておりますので、船舶免許の取得講習の受講等については、茨城県においても漁家子弟も含め支援しているところです。

福島委員 ちょっとだけ時間をいただきます。

 国は、だって、放出をさせたいんでしょう。茨城県の漁連が反対したらできませんよ。何でそんな後ろ向きな回答をするんですか。政府一体としてやっているんだったら、もっと前向きな答弁をしてくださいよ、できるはずですよ。官僚答弁を読み上げない。

 私は、この件は、今日はほかの大臣はいらしていないですけれども、経済産業大臣や農水大臣なども交えたこの委員会での集中的な審議が必要だと思いますので、そのことをお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございます。

伊藤委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 国民民主党の岸本周平です。

 本日は、質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。

 今、私の同僚議員である福島委員から、現場の声を代弁する、本当に熱い御質疑がありました。

 私も実は、この復興特に参加をさせていただいて以来、ALPS処理水の問題をずっと質問させていただいておりました。

 そんな中で、実際のいろいろなスケジュールが、できるだけ現場の声を聞いてくれという私だけではなくて復興特の大勢の委員からの声もあって、かなりスケジュールも、当初の大変タイトなスケジュールから、やはりできるだけ現場の声を聞こうということで後ろ倒しになって今日に至っているということでありますので、是非、今そちらに座っていらっしゃる政府の関係者の皆様は、福島委員が申し上げた現場の声をしっかりと聞いていただいて、政策に反映をしていただきたい、そのように思います。

 ただ一方で、そうはいうものの、今私たちが置かれている状況は、これ以上どんどんどんどん処理水をためていって、際限なくためていくということも、これは現実的にはなかなか難しいということでありますから、本当に、我々が、与野党関係ないと思います、私たちは現場の声を聞きながら、しかし一方で全体の行政を進めていかなければいけない、本当につらい決断を我々はしていかなきゃいけない。行政もそうでしょうし、我々立法府としても。立法府としても、ここで十分な審議をしながら何とか前に進めていく。本当に与党も野党もないと思います。

 その上で、やはり一番大事なのは今申し上げた福島委員の言う現場の声。しかし、これは何といっても風評被害をどうするかということに帰着するわけでありますけれども、これこそ本当に難しい。

 私は福島さんと一緒で、経済官庁におりました。経済政策とか、これはかなり理屈で割り切れるところがあります。ですから、経済産業省とか財務省の経済政策の面では非常に割り切った政策もできるんですけれども、風評被害というのは、これは、今、福島委員も心の問題とおっしゃっていましたけれども、本当に難しいと思うんです。実際、風評被害はいろいろな場面で起きています。今回限りにおいて風評被害が起きないというようなことはなかなか想定し難い。その一方で、政府としては風評被害を防ぐためにできる限りの努力をしていかなければいけないということだろうと思います。

 そこで、きつい言い方をすれば役人の作文では風評被害は阻止できないということにはなるんですけれども、しかし、そんなに私たちは賢くないので、魔法のつえはないわけでありまして、これをやれば風評被害が抑えられるなんということはできないわけですから、ともかく、できることはこつこつと、小さなことでもこつこつとやっていく以外にないのではないかと思っています。

 その上で、正確な情報発信が必要であるということは政府も再三いろいろな方針でおっしゃっているわけですけれども、まさに日本政府が大丈夫ですよと言ったって、国民は申し訳ないけれどもなかなか信じてくれません。そこで、第三者的な機関が重要になってくるわけですけれども、一つは、原子力規制委員会。たてつけとしては、原子力規制委員会の審査結果というものをしっかりと公表していく、説明していく、納得していただくということだと思いますけれども。

 まず、委員会の今後の審査等におけるスケジュール感、それから具体的な内容について、これは環境副大臣に御質問したいと思います。

務台副大臣 お尋ねのALPS処理水の海洋放出に係る実施計画については、独立性の高い三条委員会である原子力規制委員会が審査を行うものであり、環境省に御質問をいただきましたが、当方としてお答えする立場にないということは御理解いただきたいと思います。

 なお、公知の事実からあえてお答えするとすれば、昨年十二月二十一日に東京電力から原子力規制委員会に当該実施計画の許可申請がなされ、現在、公開の審査会合を週一回の頻度で開催し、積極的に審査が行われているものと承知しております。

 また、今月の二十一日からは、IAEAによるALPS処理水の取扱いに関する規制レビュー会合が実施されるものと承知しております。

 なお、原子力規制委員会による審査結果が説得力を持つとの岸本委員の認識自体については、私も全く同じ見解でございます。

岸本委員 済みません、私の言い方が悪かったのは、原子力規制委員会の審査結果が一〇〇%説得力を持つと言ったんじゃなくて、説得力を持たせるようにしっかりと説明してくださいということを申し上げたわけであります。その上で、やはり、国際的な専門機関であるIAEAのモニタリング情報というものも、これは、きちんと説明をして、かみ砕いて国民の皆さんに納得していただくように、どのように説明していくのかということが大事だと思いますけれども。

 しかし、最も権威があるのは、中立的な、国際的な機関であるIAEAがありますから、先ほどの自民党の委員の質疑でもありましたけれども、二月にレビューのミッションがありました。今後、本年内にも、できる限りIAEAとの協力関係を密にしていただいて、情報発信もしていただきたいんですけれども、今後のIAEAのモニタリングの具体的なスケジュール、内容等について御質問したいと思います。

石井副大臣 御指摘をいただきましたとおり、ALPS処理水に含まれます放射性物質につきまして、IAEAなどの信頼に足る第三者機関がモニタリングを実施してその結果を公表するということは、科学的根拠に基づく情報発信の一つといたしまして、風評対策としても有効であると認識をいたしております。

 こうした認識の下、先月、IAEAが自ら分析するための処理水のサンプルを採取したところでありまして、今後は、東京電力が行っております分析を検証するために、IAEAの研究所においてそれを使って放射性物質の分析が行われる、こういう予定と承知しております。

 また、昨年十一月には、IAEAの研究所、韓国、ドイツ、フランスの分析機関の専門家が来日をされまして、福島第一原発の近傍の、今度は海水ですね、これをサンプル採取いたしました。我が国の海域モニタリングデータの信頼性を評価するために、それぞれの機関において個別に分析が行われておりまして、今後、報告書が公表される予定であります。

 IAEAなどの第三者機関がモニタリングを実施して、その結果を国内外に公表していただくということでALPS処理水の安全性に関する正確な情報発信が行われるもの、このように認識をしておりまして、今後とも、関係省庁とも協力いたしまして風評の払拭に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

岸本委員 これは、政府としてやれることは限られている中で、原子力規制委員会による説得力ある説明や、IAEAを使った国内外への情報発信ということを強くお願いするわけであります。それは本当に一生懸命やっていただきたい。

 しかし、なかなか難しいですし、関係者は、一生懸命それを見ますし、これじゃ足りない、もっとやってくれ、ここはおかしい、そういうことのキャッチボールができるんでしょうけれども、まさに風評被害を起こすであろういわゆる一般の消費者、福島県産、あるいは今の茨城もそうですけれども、魚介を購入する人たちは専門家でもありませんし、日々の生活に追われて、わざわざ政府が配った広報のチラシを読んだりもしてくれません。テレビコマーシャルだってできるわけじゃないし、そこの情報伝達については本当に頑張っていただきたいと思います。

 ただし、国際的には、国際的な情報発信というのは元々日本政府は決して上手ではないですけれども、これを一生懸命やっていただくことも強く要請いたしますが、これはなかなか難しいと思います。

 先ほど、風評被害でもないですけれども、三・一一以降の各国の輸入規制について緩和が行われてきたという御答弁がありました。せっかくこれまでずっと皆さんの努力、私たちの努力で各国の輸入規制が緩和されてきたんですけれども、ここでALPS処理水が放出されますと逆に戻るんじゃないでしょうか、だから輸入規制をかけますよということになりはしないでしょうか。それを多分、漁業関係者、流通関係者が一番恐れていらっしゃるのではないかというふうに思います。

 せっかく今まで時間をかけてやってきたわけです。しかし、ALPS処理水を放出すれば、これは元へ戻る可能性が非常に高いと考えざるを得ません。これについて本当に政府としてどういう対応をされるおつもりですか、経産副大臣。

石井副大臣 輸入規制に関しましての御質問をいただきました。

 科学的な観点からまず申し上げますと、ALPS処理水の処分に当たりましては、国際的な考え方、その下で定められました国内の規制基準を厳格に遵守するということにしておりまして、こうした対応を適切に行う限り人体や環境への安全は確保されるもの、このようにまず認識をいたしております。

 風評の観点からでありますが、国内外に対しまして科学的根拠に基づく丁寧な情報発信を行うということで、風評をまず生じさせないということに取り組むことが重要と思います。

 具体的には、先ほどもお答え申し上げましたが、第三者の立場からIAEAの確認を得ていく、もちろん原子力規制委員会の審査も並行されるわけでありますけれども、その結果を国際社会に透明性高く発信していく、それから、輸入規制を継続する国、地域がございますけれども、処理水の放出は日本産食品の安全性に影響を及ぼさないということについて科学的な根拠を持って説明を丁寧に行っていく、いろいろな機会を捉えましてしっかりと各国のそれぞれの方々に御説明を申し上げるということにも努めてまいりたいと思いまして、こういったことで安心感を醸成して風評を生じさせないという対策をやってまいりたいと思っております。

 御案内のとおり、今現在でも十四の国、地域が輸入規制を継続しておりますけれども、昨年にはシンガポール、米国が輸入規制を撤廃し、今年二月には台湾が輸入規制の大幅緩和を行いました。今後とも、輸入規制を継続しております十四の国、地域に対しまして、引き続き、関係省庁と協力をいたしまして、残された輸入規制の撤廃に向けまして粘り強く働きかけを行ってまいりたい、このように考えております。

岸本委員 それをどうやって国際的にアピールしていくのかというのは、特に日本政府は対外的な情報発信が決して上手ではない。

 民主党政権の時代も、首相官邸に特別な、国際的な広報部隊を民間の専門家を入れてつくりました。恐らくその後も、政権は替わりましたけれども、同様のことは行われていると思いますけれども、例えばALPS処理水に係る風評被害を止めるだけのチームをつくっていただきたいぐらいです。特別のチームをつくって、海外的な広報のできる専門家を民間から募って、政府と一体として、是非、特別なチームをつくっていただきたいと思います。それは復興大臣が総理に対して是非お願いしていただきたいということを、強くお願いしたいと思います。

 その上で、余り申し上げるのは気が進まないんですけれども、一生懸命やる、努力をする、しかし風評被害を、なかなかこれを、心の問題ですから、止めることができなかった場合、福島委員が言ったように、本当に漁業関係者、流通関係者が納得するまで十二分な説明をして、そのことがある意味風評被害をなくすことにもつながると思うんですね。関係者が、そうか、そこまでやってくれるのかと思うところまで、是非これは時間をかけてもやっていただきたい。

 しかし、一方で、どんどんどんどんタンクがいっぱいになってくる、これ以上待てないといったときに何がしかの決断をされる、政府ですから。それは政府の、政権与党の、しようがないです、責任としてやる、やった結果、風評被害が起きた、考えたくないですけれども。そのときに、やはり損害賠償ということもきっちりと用意をしていただかないといけないと思うわけであります。

 これも、まだ具体的によく分からないんですね。損害賠償をしますよというようなことは、基金をつくります、いろいろなことは言っておられますけれども。是非、需要の減少への対応、風評被害への損害賠償について、具体的な施策の枠組みを早急に作成するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

石井副大臣 お答え申し上げます。

 先ほど来申し上げておりますが、まずは安全対策を徹底、そして科学的根拠に基づく情報発信、こういったことで風評を生じさせない対策を徹底するということが大前提であります。

 その上で、御質問の、万が一風評が生じた場合に備えまして、水産物の需要減少への対応を機動的に実施するための基金、それから風評被害への被害者の立場に寄り添う賠償、こういったセーフティーネットを充実させるということも取り組んでおります。

 基金につきましては、令和三年度補正予算で三百億円措置をいたしまして、御案内のとおり、水産物の需要創出のための企業の食堂等への提供や多様な販路拡大の取組への支援、あるいは漁業者団体等によります水産物の一時的な買取り、保管、需要開拓の取組等への支援、これに加えまして、風評影響を防ぐためのALPS処理水の安全性に関する理解醸成の取組、こういったことを実施すると決めておりますけれども、現在、その執行体制の整備を進めているという段階でございます。

 賠償につきましては、昨年の八月に東京電力が風評被害の賠償の枠組みを公表しておりまして、その後、政府と東京電力は、福島及び隣県の事業者団体等に説明を行って、賠償に関する御意見、御要望の聴取を行っております。

 昨年の十二月の行動計画では、これから一年間の取組といたしまして、漁業、水産加工・流通業、農業、商工・観光業等の業種別の賠償方針を具体化するということ、風評被害の推認や賠償額の算定に関わる調整を進め、それぞれの地域、業種の実情に応じた賠償基準を取りまとめる、このようにしているところでございまして、東京電力を指導するだけではなく、国が自ら前面に立って、風評被害を懸念される皆様方に寄り添って、迅速かつ適切なる賠償の実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと存じます。

岸本委員 損害賠償については、徐々に進んでおられることは理解していますけれども、もう少し早めに具体的に進めていただかないといけませんし、漁業でいうと、実は、試験操業がある程度順調に来て漁獲量も増えました。増えたといっても、震災前に比べると一割とか二割とかということなんですね。損害賠償をするときにいつの基準でどうするのかというようなことも明快にしていただくことによって、漁業関係者もある程度心にゆとりが出てくるということもあるかと思います。そこが物すごく大事だと思うんですね。どういう基準で、どのように賠償があり得るのかということについて、早めに早めにお願いしたいと思います。

 以上、本当に、漁業関係者、流通関係者も含め、地元の思いをしっかりとお聞きいただきながら、しかし、どこかで、どこかのタイミングで決断をしなければいけないということでありましょうから、それまでに最善の努力をしていただきたいと思います。

 最後になりますけれども、復興大臣に一つ、別の話題で聞きたいと思います。

 この一般質疑の後、恐らく復興再生特別措置法の改正の審議になると思いますけれども、私どもは十分にこの委員会で審議をしたいと思っています。

 特に、国際研究拠点の設立に向けた基本構想というのが今月中に出るとお聞きしております。この基本構想の中身を私たちは一番大事だと思っていますので、この基本構想が出ない限り我々は審議をするつもりはありません。当然、基本構想を見て、それを基に審議をしないと審議は深まりませんので。

 この基本構想の検討状況がどのようになっているか、お答えいただきたいと思います。

西銘国務大臣 福島国際研究教育機構につきましては、現場、地元に足を運ぶたびに、極めて強い高い地元の期待があることを感じております。福島を始め東北の中長期の課題、ひいては世界共通の課題の解決に資する、国の内外に誇れる、世界に冠たる研究開発等を推進することが重要であると考えております。

 岸本委員御指摘の基本構想については、今現在、復興庁を中心に、関係府省庁等が協力し、機構の研究開発の内容や研究成果の産業化、人材育成、さらには国際連携等について、具体化に向けた検討を進めてきているところであります。

 こうした検討を取りまとめ、機構の具体的な姿を示す基本構想の今年度中の策定に向けて、現在、鋭意精力的に作業を進めているところであります。今年度中の基本構想の策定に続いて、夏頃をめどにする研究の基本計画につながっていくものと考えております。

 引き続きしっかりと取り組んで、今年度中の基本構想策定をお示しできるように頑張っていきたいと考えております。

岸本委員 できるだけ早急に基本構想を出していただけましたら、私どもは、その基本構想を基に充実した審議をさせていただきたいと思います。

 これで終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉光一郎です。

 十一回目の三・一一、二時四十六分は、福島県の主催する追悼式で手を合わせてまいりました。

 私も、二〇一一年の三・一一は、福島県出身かつ選出で、閣僚でかつ与党第一党の政調会長という立場で三・一一と向き合ったものですから、当然ながら今の立場でも与党も野党もなく責任を持った対応をしたいという思いで、この問題に向き合っております。

 それで、どうしても、私たちというか私が心配になることがたくさんございます。全体として申し上げると、息切れが心配です。特に、福島の復興の大前提は、言うまでもないことでありますけれども、一F、福島第一原発、事故炉の着実な安定した廃炉ということになります。

 まず、改めて確認をしたいと思いますし、念を押しておきたいと思うのは、やはり廃炉にはお金がかかるんですよね。通常の廃炉とは違います。事故炉の廃炉です。もちろん、仕組みは、自分もいわば関わってつくった仕組みです、今の原賠機構とかはですね。だから、よくよく承知しておりますけれども、やはり心配は尽きないんですね。

 今の東京電力がどんどん廃炉のための資金を毎年三千億ぐらい積み立てていく仕組みになっているわけですけれども、さて、これから年々三千億で本当に大丈夫なのだろうかとかですね。デブリを取り出し始めたら結構お金がかかりますよね、予想もできないところもありますよね、さて、そのくらいのお金で大丈夫なんだろうか。もっと言えば、東電の経営自体がそれだけの資金を生み出せるような経営にこれからなっていくんだろうか。いろいろ心配は尽きないのでありますけれども、この資金の問題、担当大臣、いかがでしょう。

石井副大臣 東京電力は、賠償や除染などの原資を捻出して、福島の責任を貫徹するためにコスト削減努力も含めた様々な経営改革を進めているところではありますけれども、福島第一原発の廃炉等が必要な資金の不足によって進まないということ、これはあってはならないということであります。

 このため、御存じのとおり、二〇一七年に原子力損害賠償・廃炉等支援機構法を改正いたしまして、東電に対して廃炉等に必要な資金の積立てを義務づける制度、これを創設いたしまして、中長期にわたる福島第一原発の廃炉等に要する資金が確保されるよう、国として措置を講じております。

 また、廃炉等を進めるための制度整備に必要な資金の規模感でありますが、原子力損害賠償・廃炉等支援機構による有識者へのヒアリング等に基づきまして、一定の蓋然性を有するものとして八兆円とお示ししております。

 福島第一原発の廃炉作業は世界にも前例のない困難な取組でありまして、安全かつ着実に作業が進められますように、引き続き、体制も含め、しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

玄葉委員 仕組みはもちろんよく承知をしているのでありますけれども、やはり私が心配なのは、例えば、予定している再稼働が進まなかったとかいろいろなことが東電にもあり得るし、あるいは、廃炉作業そのものにも予想よりも、先ほど八兆円という話がありましたけれども、コストがかかる可能性もあるわけです。つまりは、積立不足が生じる可能性、リスクというのが常にあるということをやはり危機管理をする側は考えておかないといけないし、国会としても、立法府としてもきちっと監視をしていかなければならないというふうに思うんです。

 そういう意味で、積立不足が生じた場合にどうされるか、それについてお尋ねをいたします。

石井副大臣 廃炉費用の見通しについてでございますけれども、先ほど申し上げたとおり、八兆円という見通しについて、一定の蓋然性を有したものとしてお示ししているところであります。

 今後の費用見通しは様々なことも想定されるわけでありますけれども、議員御指摘のとおり、デブリの性状とか分量の把握ということが今できない段階でございまして、このことの具体的な費用見通しを現在申し上げるということは困難であるということも御理解いただきたいと思います。

 そういった事情でございまして、もちろん、東京電力に対しましても国としてしっかりと、経営状況を含めまして、これからもしっかりと調査をし、事情聴取をして、そのことも念頭に置きながら対策を講じていく必要があるということは重々承知いたしております。

玄葉委員 西銘大臣、お聞きになったと思いますけれども、一言で言えば、経産副大臣を責め立てるつもりはないのでありますけれども、残念ながら今の政府の仕組みだと積立不足が恒常的に生じた場合の対処法はまだ決められていないんです、簡単に言えば。やはりこれは大臣として認識をしていただいて、経産大臣、官房長官、総理とある段階で次のステップに進まなきゃいけない、そういう側面が課題としてあるということを是非知っていただきたいなというふうに思うんです。

 というのは、結局、もちろんコストカットは大事なんですけれども、三千億円を積み立てなきゃいけないからコストカットするぞみたいなことになっていくんですけれども、結局、火が燃えているのに、火事が起きているのに、消防の水が足りなくて火事が消せないみたいなことがあり得るんですね。つまりは、事故に対してしっかり対処しなきゃいけないのに、当然ですけれどもいろいろなところでコストカットしなきゃいけないからといって、いわば事故のために使うコストを節約し過ぎて、事故に対して十分な手当てができない、対処ができないみたいなことを、私らのような地元の立場はとても心配するんです。

 ですから、消火活動に十分な水がきちっと使えるような、そういう仕組みをやはりもう一段考えていかないといけないかな、将来の積立て不足が生じたときの対処法も含めてしっかり考えておかなきゃいけないな、そういう思いで念押しで申し上げている。西銘大臣、一言、いかがですか。

西銘国務大臣 今、玄葉委員と石井副大臣のやり取り等を聞いておりまして、そういう課題が将来出てくるのかなという思いでお話を聞いておりました。復興庁、復興大臣としましても、経済産業大臣やあるいは官房長官等ともこういうことを、委員のお話を含めて検討しないといけない時期が来るのかなという思いで聞いております。

 今、消火に必要なというお話を聞いておりまして、首里城が焼失したときのことを少し思い出しました。あのときには消防がなかなか入れないような状況もあったということも思い起こしながら。

 私の職責は、復興に向けて全力で取り組むという立場ですから、その立場を見ながら関係大臣としっかり話し合っていかないといけないなという思いで聞いておりました。

玄葉委員 是非、復興の大前提が一Fの着実な安定した廃炉なので、担当大臣とは違うかもしれませんけれども、やはり、常に関心を持ってもらって、経産大臣とよく連絡を取り合ってもらいたいと思います。

 あと、今も議論になっておりました処理水の問題なのでありますが、私は科学的な安全性を信用している方だと思っておりますが、やはり、風評被害が出ることはほぼ間違いないだろうというふうに思っています。なかなか合理性だけでは判断できないのがこの種の問題だというふうに思っています。

 特に、通常の原発から出るトリチウムは、私はもちろん安全だと思っておりますし、これまでも、これからもそれでいいと思っているんですが、今回の一Fの場合は、どうしてもそこと違うのは、溶けた燃料デブリに触れてしまった水だということで、幾ら科学的な説明ができたとしても、残念ながら、何ていうのかな、通常の原発とは違うよねということになってしまうということで、やはりいろいろなことを私たちは追求しなきゃいけないんだろうというふうに思っています。

 そのうちの一つは、トリチウムの分離というものが本当にできないんだろうかということなんです。これは何回も聞いていて、私はもちろん十分これまでの経緯を承知しているつもりであります。どうも、子細にフォローしていくと、かなりの程度、いいところまで来ているなというふうに考えているんです。

 間違った解釈をしていただきたくないのは、仮にトリチウムの分離技術が活用できるものになったときに通常の原発にも使えと言っているわけでは決してありません。通常の原発は今までどおりでいいと思います。そうじゃなくて、やはり、風評被害対策として、福島の原発には使えるとなったら使っていくということを真剣に考えてもらいたいんです。

 これは何がいいかというと、希釈するわけですよ、薄めるわけですよね。薄めると膨大な量になっちゃうわけですよ。膨大な量になるから、予定どおり海洋放出ができたとしても、風評被害を続けながら、三十年、四十年とかかっていくんです、処分するのに。仮に分離の技術が使えれば、ほとんど薄めなくていいわけです、希釈しなくていいわけですね。そうすると、あそこの敷地もあっという間に片づいちゃうんですね。いろいろな評価はもちろんあると思うんですけれども、もっと真剣に活用方法を考えてもらいたいなと思っていますが、いかがでしょうか。

石井副大臣 まず、一般的に、トリチウム分離技術ということでありますけれども、これは水からトリチウムを完全に除去するという技術ではございません。高濃度の水と低濃度の水に分離する技術であるということでありまして、仮にALPS処理水の分離技術の実用化ができたといたしましても、トリチウムを含む水を処分するということは避けられないという点、このことをまず留意する必要があるかと思います。

 他方で、現在、東京電力によってトリチウム分離技術に関わる公募が行われているところでありまして、今月、将来的に実用化に向けた要件を満たす可能性のある十一の技術、これが選定されたと承知をいたしております。

 これらの技術はいずれも直ちに実用化できる段階ではございませんが、今後、これらの技術の提案者を対象といたしまして、技術、実証データの精度、信頼性を高めていくとともに、原子炉等規制法等の国内法令への適合性、あるいは福島第一原発で運用する上での敷地制約への適合性といった、実用化に向けた詳細について具体的な検討を行う、こういったことなどを目的といたしましたフィージビリティースタディー、これを実施する予定であると聞いております。

 こうした取組を通じまして、実用化を妨げている課題、あるいはそれらを解決するに当たって発展が必要となる技術の特定、これを行うなど、実用化に向けました取組を続けていく、このように承知をいたしております。

 政府といたしましても、技術の進展に期待をしております。引き続き、東京電力の取組の状況も含め、最新の技術動向を注視してまいりたいと存じます。

玄葉委員 石井副大臣、実は、もちろん濃いトリチウムは残るんですけれども、場合によってはそれを固化形にしちゃったっていいわけですよね。いろいろな方法があり得るので。やはり、いろいろ考えていくと、私も詳しいですから、ずっと勉強していたので、どうもできそうな気がしますね。

 文挾さん、東電、来ていますね。東京電力で、今御説明があったような技術の公募をしています。ただのアリバイづくりでやってはいけませんよ。これはとても大事なことだと思っていて、是非、どこがどんな技術を提案しているのかも含めてオープンにやってもらいたいと思いますが、いかがでしょう。

文挾参考人 それでは、お答え申し上げます。

 技術動向の調査に関しましては、透明性を確保するために、今、公募により技術の提案を受けているということでございます。その公募を受ける提案をした中で、今答弁がございましたように、十一件は二次評価を通過いたしまして、これからフィージビリティースタディーをしていくという段階にあります。

 こういう方たちの公表につきましては、実は、現段階では公表に同意しない個人の方とか組織の方という方がいらっしゃいますので、今現在非公表になってございますが、この方たちとまた御相談をしながら公表に向けては考えていきたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

玄葉委員 公開、透明性、とても大事なことで、そうすると、文挾さん、どのような専門家がどのような基準で評価をされているのか。これも私は全く分からないです、調べても。こういうことも含めて、例えばプラント関係者は入っているのかとか、これはいかがですか。

文挾参考人 それでは、お答え申し上げます。

 現在、透明性を確保するという意味では、国際的な技術調査会社でありますナインシグマ社という会社を選定させていただきまして、ここで五月から国内外を問わずトリチウムを分離する技術の公募を実施してございまして、一次評価につきましてはこの会社に行っていただくということをさせていただいてございます。

 二次評価につきましては、一次通過した方々の提案内容をよくよく吟味をするということで、論文を確認したり、原理の検査を慎重に行うということもさせていただきまして、当社の方で二次の評価の方はさせていただいているという状況であります。

 以上でございます。

玄葉委員 ですから、ナインシグマが評価をしているのは知っています。公表している情報です。ただ、どういう専門家がどういう基準で判断しているのかということを聞いています。

文挾参考人 お答えをさせていただきます。

 公募に当たりましての条件といたしましては幾つかございます。その条件に対しましては、トリチウムの処理の後が処理前の千分の一以下であるとか、そういうことを確認させていただきまして、ナインシグマ社の方で評価をしているというふうに認識してございます。

 以上でございます。

玄葉委員 もう質問時間が終わっちゃったので終わりますけれども、今私が聞いているのは、ナインシグマがやっているのはよく分かっている、どういう人が、どういう判断基準で、どういう専門家が入ってやっているのかということを公開してくださいと。

 公開はとても大事なので、改めて申し上げて終わりますけれども、この技術がもし活用できるようになったら、積極的に活用してほしいんです。そうすると作業が早く終わります。早く終わっちゃうので、是非これは、地元としては大変大事なこととして申し上げているので、そのことを改めて東電としても認識して、オープンにやるということも含めて申し上げておきたいと思います。

 最後に何かあれば。

伊藤委員長 時間がないので、手短にお答えください。

文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。

 今先生から御指摘いただきました点を十分考慮いたしまして、これから、透明性を図るという意味で検討してまいりたいと思います。

 以上でございます。

玄葉委員 どうもありがとうございました。

伊藤委員長 階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 今日は、被災地の人口流出と空き地・空き家対策について主に伺いたいんですが、先ほど来、ALPS処理水の問題が議論されております。私、岩手なんですが、岩手の漁業関係者の皆さんからも、処理水の問題について、そもそも、余り政府から説明の場がないというような指摘もあります。

 是非、復興大臣、リーダーシップを取っていただいて、こうしたことについて岩手でも取り組んでいただきたいと思います。簡潔に、通告していませんので、この件について御答弁をお願いします。説明の場を設けていただきたいということです。

西銘国務大臣 風評払拭に取り組む立場からいたしましても、漁業者の関係者の皆さんにしっかり説明をしていくということは重要だと考えております。

階委員 では、よろしくお願いします。

 それでは、本題に入ってまいります。

 一ページ目の資料を御覧になっていただきたいんですが、被災三県の年齢別転入・転出超過数ということで、日本人だけの数字なんですけれども、人口流出が進んでいるということですね。特に若い世代の人口流出が進んでいるわけです。

 上の方に、ゼロ歳から二十四歳、十一年間の平均でマイナス一万五百六十九人が人口流出しているわけです。十一年間、掛け算しますと、これだけで十一万人ぐらい被災三県から若い人がいなくなっているということなんですね。ということは、結婚や出産が減って次の世代も減る、そして人口減少が加速する、こういう悪循環に陥っていくわけです。

 そうした中、土地区画整理事業でかさ上げした土地の空き地が増えています。二ページ目の左側の表を見てください。特に岩手県では、土地区画整理事業でかさ上げした土地、一番上の表が住居系、五十地区で行われていますけれども、岩手県では活用されているのが五六%、半分近く活用されていない、また、非住居系に至っては活用されているのが四六%で、半分以上が活用されていない、こんな状況です。

 一方、空き家の方なんですが、災害公営住宅の空き家率、入居率、これを見ていただきたいんですが、三ページ目の上の段の表を見てください。福島県と岩手県、空室率が非常に高くなっている。福島は一二・九%、令和三年九月末時点の数字でございます。岩手県も八・八%。宮城県は、仙台近郊も多いということで少し低いんですが、それでも四・三%ということです。さらに、これから、高齢の独り暮らしも多いので、ますます空室率は高まるのではないかというふうに言われております。

 空き地・空き家対策の詳細を伺う前に大臣にお尋ねしたいんですが、被災地の復興なくして日本の再生なしというふうにずっと言われていますけれども、被災地の復興が成し遂げられたと言えるためには、この十一年間、巨額の国費を使って進められた土地区画整理事業の空き地、そして災害公営住宅の空き家、こういったものを極力なくす必要があると私は考えます。大臣の考えをお聞かせください。

西銘国務大臣 土地区画整理事業や災害公営住宅につきましては、被災自治体において被災者の意向を踏まえながら整備を進めてきたところであります。しかしながら、階委員御指摘のように、被災者の意向の変化等により空きが生じてきているのも事実でございます。

 土地区画整理事業における造成宅地の活用率は約七一%、災害公営住宅の入居率は約九三%となっております。しっかりとした活用をしていかなければならないと考えております。

 土地区画整理事業による造成宅地につきましては、土地バンクなどの取組に関するノウハウや事例を整理したガイドブックを復興庁で作成し、周知をするとともに、復興庁の職員が現場に出向き、きめ細かく対話、サポートを行うなどのハンズオン支援を行っており、着実に土地活用が進められているところでもあります。

 災害公営住宅につきましては、自治体の判断で被災者以外の方を入居させたり、一定の条件下で公営住宅以外の用途に使用することが可能であることから、復興庁においても、災害公営住宅の有効活用を図るためのガイドブックを作成、周知し、必要な助言等を行っております。空いている部屋の有効活用が図られていくように全力で取り組まなければならないと考えております。

 復興庁としましては、造成宅地の活用及び災害公営住宅の安定的な管理運営が推進されるよう、引き続き、関係省庁と連携しながら、その取組を後押ししてまいる所存でございます。

階委員 どのように後押しするんですか。

 今、土地のマッチングの話がありました。二ページ目の右側に取組の実績ということが挙げられていますけれども、これによると、陸前高田市などでは、売りたいとかという希望が五百四十六件寄せられている中で、マッチングできたのは二十八件、まだ、残り五百十八件。面積ベースだと三十一万五千八十六平米、これだけの膨大な土地が余っているわけです。ほかの地域でも、岩手、宮城、そして福島、たくさん、マッチングしたいけれどもできていないところがあるわけです。

 一方、空き家の方ですけれども、災害公営住宅について、今大臣がお話しされました、いろいろな用途の拡大もされているんだけれども、それでも、さっき言ったような空室率が目立っています。後押しするといっても、具体策がなければ全く意味がありません。どういうふうに後押しするんですか。

西銘国務大臣 三県での取組を見てみますと、マッチングの成約は、ゼロから百筆余りのものまで幅があります。

 例えば、昨年度から取組を開始したいわき市の事例では、約百五十筆の物件が登録され、宅建業の業界団体とも連携し、必要に応じて取引を仲介する宅建業者の紹介も行っており、これまで約六十筆のマッチングが成立をしております。

 先般、車座の集会で現場の方からのお話を伺う機会がありましたが、空き家を買い取ってリフォームして、更に貸し付けていくというような取組もやっている事例を聞きました。

 災害公営住宅の空き家あるいは造成宅地の未利用部分については、民間の活力を生かしながら、何とか利活用ができるようにという思いで後押しをしてまいりたいと思っております。

階委員 私もこの委員会ではいろいろ提案しておりますので、是非そうしたことも参考にしていただければと思います。

 ここに来て、ウクライナの避難されている方々の問題が取り上げられてきました。

 私も、先日、三月十一日、陸前高田市に行って、戸羽市長とお話をする機会がありました。その中で、戸羽市長からは、住む場所がたくさんあるので、ウクライナから避難されてきた方を受け入れたいというお話がありました。私もそれはいいことだということで賛同したわけですけれども、翌日の朝、岸田総理にも会われて、そうしたことを話されていたようです。

 また、同じ岩手の宮古市長、山本さんも、震災で世界中から支援していただいたので恩返しをしたいということで、避難者の受入れを表明していらっしゃいます。

 被災地でのウクライナからの避難者の受入れは、全く震災、津波あるいは原発事故と原因は違うけれども、同じ、家族や住まい、なりわいを失った人同士の交流を生むということで、お互いに特に気持ちの面でプラスになるのではないかというふうに思います。空き地、空き家といった問題が数多くある中で、被災地での避難された方々の積極的な受入れ、これをやるべきではないかというふうに思います。

 総理も、今日の朝日新聞で、昨日の発言ということで載っていましたけれども、避難民の就労や就学、定住などの支援体制の整備を指示した、滞在先の確保や生活用品の支給のほか、日本語教育や就労、定住支援などについて自治体や企業と協力し、対応策の詳細を詰める方針だということを述べたというふうに書かれておりました。

 前向きな発言だと思いますが、ここで官房副長官にお伺いしたいと思います。今言ったような岸田総理の発言があったわけですけれども、いつまでに詳細を詰めて、実行に移すのでしょうか。お答えください。

木原内閣官房副長官 まず、今回のロシアによるウクライナへの侵略、まさに主権と領土の一体性を侵す暴挙でありますので、我が国はウクライナとの連帯を示していくということが非常に重要であろうというふうに思います。その一つとして、一環として、ウクライナから第三国に避難された方々の我が国への受入れを進めていく、こういう方針でございます。

 ウクライナからの避難民を受け入れるに当たっては、何よりも大切なことは、やはり政府全体として対応していくということであろうというふうに認識をしております。こうした観点から、私ども内閣官房が司令塔となって、法務省、外務省等の関係省庁と連携をして取り組んでいきたい、このように思います。

 その上で、今、階委員から御指摘いただいた点でありますが、具体的には、当面の滞在先の確保や生活用品の給付、さらには、日本語教育、就労、就学、定住支援など、我が国への避難を希望される方の御要望を、まず大切なことは、しっかり踏まえるということであろうと思いますので、踏まえながら、どのような支援ができるか、受入れの協力を表明された企業、そして、今委員からも御指摘いただいたとおり、この間総理が被災地に訪問された際も市長等から受入れの協力の表明があったと理解をしておりますので、こうした自治体とも連携をしつつ、期待に応えられるよう、受入れをしっかり早急に検討してまいりたいというふうに思います。

階委員 いついつまでにという具体的なスケジュールのめどは立っていないんでしょうか。

木原内閣官房副長官 今申し上げましたとおり、受入れに当たっては政府全体で取り組む、こういうことでありますので、まず内閣官房がしっかり司令塔機能を果たしてまいりたいというふうに思います。

 その上で、いつまでにどのようなと、こういうことでありますが、これはやはり、受け入れていくウクライナの皆さん、どのような方がどういう御希望を持っているのか、そういったことが分からなければなかなか検討は進まないというふうに思いますので、まずはそうした御要望をしっかり踏まえながら早急に検討してまいりたい、このように思います。

階委員 受入れ側の自治体の立場を申し上げますと、さっき言ったように、もう岩手県でも手を挙げているところはあるのですが、一方で、定住支援ということになりますと、様々な行政サービスを提供する上で、財政負担が生じてくるわけですね。そうした財政負担、ただでさえ被災地は厳しい状況ですから、なかなか自力ではできない。よって、政府による財政支援というものが不可欠ではないかと考えますが、この点について、政府の方針をお聞かせください。

木原内閣官房副長官 財政負担のお話がございましたが、今この場で私が明確に答弁するのはなかなか難しいということは御理解いただきたいと思いますが、ただ、先ほど私が申し上げたとおり、受入れの協力を表明していただいている企業、そして自治体とも連携しながらやっていく、こういうことでありますから、それぞれの御要望をしっかり踏まえて対応させていただきたい、このように思います。

階委員 これは要望があると思うんです。これについてはしっかり対応していく方向だというふうに承ってよろしいでしょうか。

木原内閣官房副長官 繰り返しで大変恐縮ですが、政府だけでできることではないというふうに理解をしております。したがって、受入れを表明していただく企業、そして自治体の皆様と連携をしていくということが非常に重要でありますから、その御要望はしっかり承り、対応できるものは対応してまいりたい、このように思います。

階委員 今、政府が財政支援すべきではないかということを言っているので、政府だけでできることをお尋ねしているわけです。なのに、政府だけでできることではないというのは、ちょっと答弁が違うと思うんですが、政府でできる財政支援、やっていただけますか。

木原内閣官房副長官 まさに、今後、内閣官房が中心となって、関係省庁含めて対応を協議させていただきます。

 私が先ほど、政府だけでできるものでないと申し上げましたのは、政府だけで就労が確保できるわけではありません、政府だけで居住の場が確保できるわけではありませんので、そういう場については企業、自治体にも御協力をお願いしていくということでありまして、その場合には、お願いをする、あるいは協力を表明いただいている企業、自治体の皆さんの要望をしっかり踏まえるということは当然であろうというふうに思いますので、しっかり対応してまいりたいと思います。

階委員 是非、そうした財政支援の要望にも応えていただきたいと思います。

 ところで、今官房副長官からもお話があった定住支援ということもやっていくということなんですが、ということは、一時的な避難ではなくて、長期的な定住ということも視野に置いた支援を行っていくということで、確認ですけれども、よろしいわけですよね。

木原内閣官房副長官 最初の答弁でも申し上げましたが、大切なことは、避難を希望される方の御要望にしっかり寄り添っていくということであろうというふうに思います。短期の滞在を御要望される方もおられるでありましょうし、それよりもやや長期の滞在を希望される方もおられると思いますので、そうしたニーズ、御要望に沿って対応させていただきたいと思います。

階委員 法務省に伺いますけれども、定住支援を行うということなんですが、ウクライナからの避難されている方は、どういう在留資格で定住させることになるのかということをお答えいただけますか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、総理が受入れを表明されてから日本に避難されてきた方は、今、短期滞在という資格で入られてございますけれども、昨日法務大臣から表明しましたとおり、御希望があれば、就労可能な特定活動の一年の在留資格を認めるという方針でおります。

 また、特定活動の在留資格を許可した方につきましては、ウクライナの情勢が改善していないと認められる間は、申請があれば、在留期間の更新も認めるという方針でございます。

階委員 では、御本人が希望するだけじゃなくて、ウクライナの情勢を見つつ更新を認めるということになるんでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、最終的に期間更新を認めるかはウクライナの本国の情勢等を見ながら判断してまいりますけれども、そこは、できる限り、日本を希望される方については配慮していきたいというふうには思っております。

階委員 その辺を曖昧にしたままだと、受け入れる自治体の方も、どこまで支援したらいいのかというのがはっきりしなくなると思うんですね。

 日本は難民認定率が低いという問題がずっと言われてきておりまして、今回のウクライナからの避難された方は条約上の難民に当たるかどうかというのは微妙なところだと思っています。

 ただ、我々も、昨年法案を提出していますけれども、補完的保護対象者ということで、こういう戦争からの避難されてきた方というのは定住者として受け入れる、それは十分あり得るのではないかと思うんですが、その点について、法務省としてどのように考えていますか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 先般、政府の提出した入管法の改正案の中にも、今回のような方が、内戦か戦争から避難される方につきましては、補完的保護というような制度を設けようと考えておりました。その方たちについては、定住者という在留資格を念頭に考えておりましたので、こういう状況が何年ぐらい続くかということもございますけれども、そこは、避難されてきて、ある程度定着されてくれば、在留資格を定住者に変えるということも現行制度の中でも十分あろうかと思っております。

階委員 ここでまた官房副長官にお尋ねしますけれども、今の議論で分かったとおり、法律、入管法を変えないと、本来の意味での定住者としての受入れは難しいわけですよ。一年ごとに情勢を見ながら更新ということだと、来ていただいた避難者の方も、受け入れる自治体の側も、あるいは企業の側も中途半端な状況に置かれてしまうということで。

 入管難民法の改正、昨年はいろいろ問題があって成立しませんでしたけれども、やはり、見直すべきところは見直した上で、現下の情勢に鑑みて、入管難民法の改正を急ぐべきではないかと考えます。政府の方針として、いかがでしょうか。

木原内閣官房副長官 私、官房副長官ですから、担当は法務大臣だというふうに認識をいたしますので、法務大臣からしかるべく答弁をするのが筋だというふうに思いますが、私どもの役割は、今の現行法の中でできることを最大限やっていくということ、これをまずはやらせていただきたいと思います。

 その上で、何が足りて何が足りないのかということについては、関係省庁の中としっかり調整をしていく、こういうことであろうというふうに理解をいたします。

階委員 内閣の中枢にいらっしゃる木原官房副長官にも、定住支援というのであればどこに問題があるかということを御認識いただきたくてこういうお話をしましたので、是非よろしくお願いします。

 あともう少しだけ官房副長官にはおつき合いいただきたいと思います。

 被災地の人口流出を食い止めて、人口増加につなげ、そして、空き地・空き家対策、これを進めていく、実効性あるものにしていくためには、学生や若者が被災地に希望を抱いてとどまったり集まったり、そういうプロジェクトが必要だと私は考えております。

 そういう意味で、今日、四ページに挙げておりますけれども、国際リニアコライダー、ILCという次世代の直線型加速器、ここを岩手の方に誘致することによって、世界中からトップクラスの研究者や技術者が集まってきて、十年、二十年と研究を続ける国際研究拠点としていく、これによってより被災地が活性化していくというふうに考えております。

 この点について、この四ページの右側に岸田総理が地元マスコミのインタビューに答えたものが載っております。誘致に対する考えはということで、巨額の経費を要するプロジェクトで、文科省を中心に対応していきたいというような答えが真ん中辺りに載っております。

 文科省を中心に対応ということですけれども、文科省、来ていただいていますが、文科省として現在どのように取組を行っているのか、お答えください。

坂本政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省においては、有識者会議を本件の検討について設置されておりまして、本年二月に行われました有識者会議の報告書において、このILC計画の今後の進め方について御指摘をいただいたところでございます。

 その御指摘を基に、研究者コミュニティーから御提案をいただきながら、次世代の加速器開発に向けた重要技術課題に係る研究開発を文部科学省としても検討してまいりたいというふうに考えております。

階委員 前向きなのか後ろ向きなのか全然分からないんですけれども、どういう方向なんですか。前向きなんですか、後ろ向きなんですか、教えてください。

坂本政府参考人 お答え申し上げます。

 ILC計画につきましては、研究者コミュニティーから現在準備研究所というものが提案されておりますけれども、その前提として、日本政府がILC本体の日本への誘致に関心を表明するということが求められております。

 準備研究所段階に入るために日本誘致を表明するということについては、関係国の、特にヨーロッパ、アメリカでございますけれども、国際的な費用分担の見通し、そういったものが明確にならなければ国民の支持を得ることは困難という見解が示されております。したがいまして、現在、準備研究所の段階に入ることは時期尚早であるという見解が有識者会議において示されております。

 ただ、素粒子分野は日本の科学において非常に重要な分野でございますので、次世代加速器の技術開発を進めていくということについては検討するという方針が出ているところでございます。

階委員 本体の研究所をつくるのが時期尚早で、そのために準備研究所をつくるということなんだと思うんですね。準備研究所をつくることすら時期尚早だというのは意味が分からない。

 よく費用分担とか巨額の経費がかかるということを総理もおっしゃっていますけれども、今回、別なところで国際卓越研究大学制度というものをやられるようなんですが、お話を聞いておりますと、この国際卓越研究大学は、全国で五校から七校ぐらい選んで、そこに毎年毎年五百億から六百億ぐらいお金を投入するということなんですね。

 ILCをつくった場合は、毎年大体四百億ぐらい、十年間、建設にかかると言われております。半分を日本が負担して、あとは国際費用分担するという前提ですけれども。

 そういう中で、国際卓越研究大学は五百から六百億、巨額なお金がかかります。かつ、こちらは、そういうお金を投じて何か決まったプロジェクトをするわけでもなくて、毎年毎年このお金を投じれば、優秀な人たちが集まってきて、いい研究ができるだろうという漠たる見通しになっているわけですね。

 もちろんこうした取組も否定するわけではありませんけれども、ここに五百億から六百億投じるぐらいであれば、より目的が明確で、かつ、この国際卓越研究大学に選ばれるのは恐らく地方ではなくて都市部でしょう、都市部の大学にこれだけお金を投じて人を集めようとすれば、ますます被災地などからは若い人が流出して、人口減少が加速化するわけです。

 こうしたことを考えた場合に、文科省として、このような国際卓越研究大学をつくるだけではなくて、地方で行う、より目的が明確で波及効果も期待できるようなところにも同等のお金を使うべきではないかというふうに思うわけですよ。文科省として、もっと積極的にこのプロジェクトを進めるべきではないですか。お答えください、文科省。

坂本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、大学ファンドについてでございますが、近年、我が国の大学の研究力は諸外国と比較して相対的に低下している状況にあります。その一因は、特に、欧米のトップレベル大学において、数兆円規模の基金を造成し、その運用益を活用することにより、年間数百億円を超える豊富な資金を得て、最先端の研究を切り開くための体制整備、あるいは若手研究者の育成への投資を充実しているところにある、こういうふうに考えられております。

 今般の大学ファンドの創設は、こうした欧米のトップレベル大学との資金力の差をファンド運用益において埋める、それによって世界トップレベル大学に並ぶ高度な研究環境体制を構築するという目的で行われるというものでございます。

 一方、今御指摘がございましたとおり、我が国の大学の研究力の底上げには、全国の大学が個々の強みを伸ばし、各大学のミッションの下、多様な研究大学群を形成することも必要となっております。したがいまして、大学ファンドからの支援に加えて、総合振興パッケージによる、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学の機能強化などの支援策も同時に講じることとしております。

 さらに、大学研究力の強化には、その基盤となる若手研究者の厚みを我が国全体として拡大していくことが不可欠でございます。したがいまして、大学ファンドにおいても、トップレベルの研究大学への支援のみならず、全国の優秀な博士課程学生への支援も実施することとしております。

 このほか、科学研究費補助金等の既存の施策も全て動員いたしまして、しっかりと全国の大学の研究力を支えていきたい、強化していきたいというふうに考えております。(階委員「全然答えになっていないよ。ILCの話を聞いているんだろう」と呼ぶ)

 ILCにつきましては、先ほど申し上げましたとおり……

伊藤委員長 手短にしてください。

坂本政府参考人 はい。

 先ほど申し上げました有識者会議の諸課題の進捗に関する検討を踏まえた報告書、これに基づきまして、国内外の研究者コミュニティーの今後の動向にも注視しながら、しっかりと、御提案を受けて技術開発の検討を進めてまいりたいと考えております。

階委員 時間が来ましたので終わりますが、総理のインタビューの中で、省庁横断的に取り組むべきではないかという問いに対して、指摘をしっかり受け止め、今後あるべき姿を考えていくといったような答えもされています。

 是非、官房副長官、そして復興大臣におかれましては、この問題は、文科省任せにしておくと、今の答弁をお聞きになったとおり、中途半端な話になってしまいますので、是非ここも、問題意識を共有していただいて、一緒に取り組んでいただければと思います。

 終わります。

伊藤委員長 鎌田さゆり君。

鎌田委員 立憲民主党・無所属会派の鎌田さゆりでございます。

 十六年ぶりに国会に戻ってまいりました。執念でもって戻ってまいりましたので、そのつもりでもって、宮城県仙台市から選出されている一人として伺ってまいります。

 この委員会には宮城県からは、ベテランの伊藤さん、先ほど質問なさった公明の庄子さん、また、比例で入られた四区の早坂さんと宮城一区の岡本さん、私と、宮城からは五名います。東北比例では、ほかにもいらっしゃいます。

 大事なこの復興特別委員会です。復興庁の設置もまた延びましたから、少なくとも最低あと九年は存在し続けるわけですよ。あたかも復興は一区切りとか一旦終わった的な報道や、あるいは自治体の長の発言もありますけれども、先に申し上げておきます、全く終わっていませんので。途中です、まだ途上です。

 そこで、今回、大臣、復興大臣と併せて原発事故の再生総括担当、それから沖縄及び北方対策の特命担当大臣と、非常に忙しいと思います。でも、復興をまず第一になさっていただきたい。私の宮城県では、亡くなった方は関連死を含めて一万五百六十八人、いまだ行方不明の方は千二百十五人です。

 是非、大臣、先頭に立って汗をかいていただく、その覚悟をまずお聞きしたいと思います。

西銘国務大臣 しっかりと、鎌田委員御指摘のように、全力で、全身全霊を懸けて取り組んでまいりたいと思っております。

鎌田委員 頑張れという声援もありましたから、頑張ってくださいね。お願いしますよ、頼みますよ。

 そこで、私の宮城県は原発の立地県でもあります。女川というところに原発があります。福島第一原発の事故は、お隣の福島県で起きた事故ではないんです。本当にもう私たちの、我が身のことです。あのとき、福島から避難されてきた方々を宮城県の南部の自治体が、もちろん私たちの仙台でも受け入れて、でも宮城県に避難するだけでは安心できないからと、山形に避難する人が非常に多かった。山形自動車道だけは何とかつながっていた。その自動車道を使って、どれだけ多くの人を山形に避難させることをお手伝いしたか、今思い出しています。

 そこで、大臣も御存じだと思いますが、ALPS処理水の海洋放出の課題、先ほど来問題視されていますけれども、今日は資料として、理事会でもお許しをいただいて、配付をさせていただいております。資料の一と二、一緒にジョイントしておりますので御覧をいただきたいと思うんですけれども、全国の小中学校の副教材にチラシとして、自治体によっては、学校によっては挟んだか、別にして渡したか分かりませんけれども、これを配られています。

 この資料なんですが、一枚目の右下に、経済産業省、エネ庁さんですね、そこがつくった、問合せはここですと書いてありますね。二枚目の右下は、今度は復興庁と書いてありますね、作成の責任者というか、お問合せですね。これが教育現場に配られたわけですよ。非常に問題だと私はまず指摘をした上で、事実関係を伺っていきます。

 これ、幾らかかりましたか、経費として。そして、財布は、文科省からは、経産省からは、復興庁からは。財布の出どころ、そして幾らかかったか、お示しいただけますか。分かりますか。

由良政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、費用としては、印刷とそれから配送の、二つの費用がございます。

 そのうち、配送につきましては、文部科学省が放射線副読本を全国三・六万か所の小中学校に配付いたしております。このため、これに同封する形で、復興庁が一括して、このチラシ、二つを同じ配送事業者の方に委託して、同封して配送をしていただいております。その費用は、復興庁の被災地復興に向けた情報提供と復興施策の理解の促進に必要な予算として六百四十万円を使いまして配送をお願いしたところでございます。

 また、チラシの印刷につきましては、チラシの作成ではなくて印刷のところに経済産業省がこの二つのチラシをまとめて予算を支出したと承知しております。

 以上でございます。

鎌田委員 経産省の方は分からないですか。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 まず、チラシの制作費でございますが、これは内製してございますので、追加の費用はかかっておりません。

 印刷費につきましては、今ほど復興庁から御紹介がありましたとおり、三百万円。これは、復興庁と経産省とで役割分担をいたしまして、およそ三百万円使っております。

 以上でございます。

鎌田委員 ありがとうございました。

 済みません、作成に当たって、文科省も含めての協議の場というものはあったんでしょうか。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 放射線教育の重要性ということにつきましては、様々な意見交換の場で、その強化を求める意見がございました。その関係の中で、文部科学省が、事前に教育委員会を通じて全国の小中学校に配付の希望を調査した上で希望する学校に対して毎年配付している放射線副読本にALPS処理水の説明を追加するということとともに、より深く理解をいただけるようにということで、今御紹介がございましたように、経済産業省と復興庁、それぞれで作成したチラシを副読本に同封してお送りしたという経緯でございます。

 なお、副読本と併せてチラシを配付することにつきましては、昨年八月の関係閣僚等会議で決定をいたしました当面の対策にも記載がされておりまして、それに基づきまして配付が行われているということでございます。

鎌田委員 昨年の八月で既にもう決まっていたからという御答弁だったんですけれども、そして、より深く理解をしていただくためにという御答弁もありました。

 ですが、皆様のお手元に配付していただいたのはモノクロなんですけれども、印刷費用もかかるので、実際はカラーで、裏表版で、こういう二枚が副読本に挟まれているか、渡されているかなんですね。

 中身を見ると、先ほど来出ている議論、みんなで一生懸命このことについて考えなくちゃいけないと言っているときにですよ、偏向し過ぎていますよ、この内容。ALPS処理水、飲んでも大丈夫、食べても大丈夫、問題ありません、それを小中高校生、小学校にも。

 教育行政に経産省と復興庁は何をやっているの、私はそのようにまず申し上げておいた上で、それぞれの各省庁に地方からいろいろな御意見やら、クレームなども含めてですけれども上がってきていると思います。どんな御意見が上がってきていますか。伺います。

由良政府参考人 お答え申し上げます。

 県あるいは市区町村の教育委員会から復興庁の担当者に対し、チラシの趣旨や内容などについて十数件の問合せがございました。これについて個別に御説明をさせていただいたところでございます。

 あわせまして、チラシには配付の趣旨や取扱いについて記載した送付・事務連絡を併せて送付しておりましたので、その内容等を御説明いたしております。

 以上でございます。

鎌田委員 その送付・事務連絡は配送した日と同日ですよね。伺います。

由良政府参考人 おっしゃったとおり、チラシと事務連絡と、共に同じ箱に入れてお届けをいたしております。

鎌田委員 同じ配送日に事務連絡の通知を同じ箱に入れてというのは、雑ですよ。

 少なくとも、私の宮城県の、公式に報道もされていますから申し上げますが、私の地元の宮城県の県の教育長は、直接学校へ配付されたことで混乱を招いていることは問題だ、国に対して学校への配付物については事前の情報提供を行うよう求めると、公式に取材に応じて答えているんです。これだけの問題意識をお持ちですか。

由良政府参考人 先ほど経済産業省からも答弁がございましたように、文部科学省が送付しております放射線副読本、これの送付に併せて送付をさせていただきました。したがって、直接各学校にお届けをいたしましたというところでございます。

 以上でございます。

鎌田委員 ちょっとね、余りにあれだったので、私のボリュームも高くなって、きつく聞こえたかもしれませんので、優しく言っていきますから。

 あのね、約束してもらいたいんですよ。この復興特別委員会のこの場所で、今後、こういう雑な、皆さんに説明なく、まして地方の各教育委員会に事前に説明なく、そして現場が混乱する、そういうようなことはもう二度と起こさないということを約束してもらいたいの。本当に心から約束してもらいたいんですよ。

 みんなで、このALPS処理水の課題は、さっきから出ているじゃないですか、本当に真面目に議論していかなくちゃいけない、それなのに、この件で一気に百歩戻った、そのような認識も持ってもらいたいし、小中学校に対してですからね、二度とこういうことをやらないでいただきたい。ここで約束してもらえませんか。伺います。

須藤政府参考人 お答え申し上げます。一部重複する部分がございます。

 これまで、ALPS処理水の国民理解を広げていくという意味で、放射線教育の強化については強い御意見をいただいているところでございます。

 先ほど、復興庁と経産省とで協力してやっておりまして、私から回答を申し上げておりませんでしたけれども、経済産業省に対しまして教育委員会等からお問合せがあった件数はおよそ十件でございます。

 今後の情報発信の方法についてでございますけれども、関係省庁と連携をして、より丁寧なやり方というのをよく検討していきたいと考えてございます。

鎌田委員 西銘大臣、伺います。これは政治家としての政治判断が求められる話です。教育現場に、文部科学の委員会では教育行政に土足で入ってきたのではないかという質問も出ているはずです、これからはこういうことが起きないように大臣としてきっちり指導監督をしていくとお約束いただけませんか、大臣、政治家として。

西銘国務大臣 現場の各県教育委員会への説明が足りなかったことで、一部に混乱を招いた面もあると考えております。教育委員会始め教育関係者あるいは自治体には、チラシ配付の趣旨等について丁寧に丁寧に説明をしていかなければならないと考えております。

 復興大臣を拝命するに当たって、総理からの指示も、現場に出向いて、現場主義に徹して、あるいは被災自治体に寄り添ってという指示も受けておりますので、現場の混乱を招いたという面はしっかり踏まえて、今後対応してまいりたいと考えております。

鎌田委員 これからは二度とないと約束してください。もう一回伺います。

西銘国務大臣 丁寧に丁寧に、現場が混乱しないように事前に十二分に説明して、何かあったら鎌田委員御指摘のような方法でしっかりと対応していかなければならないと考えております。

鎌田委員 これだけ言いましたから伝わったというふうに、私は広い心を持って大臣の今の言葉を信用しますので。是非丁寧にやって、二度とこういうことが起きないようにしていただきたいと思います。

 次になんですけれども、昨晩、福島県内の民放のテレビ局でオンエアーされたニュースがありました。

 そのニュースについて、急遽、済みません、筆頭理事始め理事会の皆様、ありがとうございました、お許しをいただき。環境省から、原発事故のときに決めた基準を基に八千ベクレル以下に減衰した土壌を公共施設に使おうということを自民党政権さんの下でお決めになっているんですけれども、ここを何かほごにする、そのときに取決めしたことを破るような回答が環境省から出ていたというニュースが、昨日、福島県内でオンエアーされました。

 内容としては、コンクリートや金属など、八千ベクレル以下を事実上の基準としていたということについて、それをリサイクルでまた再利用する際に、環境省が、空間線量を基に放射性物質の量を判断しているという回答をなさっていることがオンエアーされました。それに対して、専門家であるとある大学の准教授ですけれども、表面の線量を測定して空間線量と相違ないということをチェックするだけでは、恐らくクリアランス基準が求めているような精度には当然達しない、管理とは十分言えない、そういう問題提起をしています。

 環境省は、リサイクルするコンクリートをどのような状態で測定しているかについては業者に確認しているというのが昨日の夜の時点での回答でありました。

 このことについて、環境省さん、済みません、急にお願いをしましたけれども、御答弁はございますか。

前佛政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘のありました報道につきましては御承知しているところでございます。

 環境省におきましては、福島県内で処理を進めております、旧警戒区域を含みますが、対策地域内の廃棄物につきまして、放射性濃度一キログラム当たり八千ベクレル以下を再利用基準、再利用の基準ということにはしておりません。まず、それを述べさせていただきます。

 あと、福島県の対策地域内の公共工事におけますコンクリート、アスファルトなどの再利用につきましては、平成二十五年十月に関係府省庁におきまして、福島県内における公共工事における建設副産物の再利用等に関する当面の取扱いに関する基本的な考え方として定めておりまして、この内容を踏まえ安全に実施しているものと考えております。

 この考え方におきましては、アスファルトやコンクリートなど再資源化した資材につきましては、放射性濃度が一キログラム当たり百ベクレル以下であれば工事の制約なく使用可能とすることを基本としております。また、これに加えまして、当面の間の措置として、表面線量率が毎時〇・二三マイクロシーベルト以下であれば福島県浜通り及び中通りにおける屋外の公共工事での使用を可能としているというところでございます。

 報道等にございました、今委員からも御指摘もありました、業者の方に確認をしているということにつきましては昨日お問合せを受けたところでありまして、現在確認をしているところでございます。

鎌田委員 二つ伺います。

 当面の間ということは、どういう意味なんでしょうか。

 それからもう一つは、これは委員長にお取り計らいをいただきたいんですが、今、確認中だという答弁がありましたので、確認した結果をこの復興特に、これは復興の課題に大きく関わりますので、紙として確認した結果を出していただく。そのことをお取り計らいいただきたいと思います。

 二点です。

伊藤委員長 まず、環境省の前佛大臣官房審議官。

前佛政府参考人 お答えを申し上げます。

 通知でありました、当面の間の措置とありますが、具体的にいつまでというものは定めておらないところでございます。

伊藤委員長 それから、ただいまの鎌田さんの御発言につきましては、後ほど理事会で協議をさせていただきます。

鎌田委員 ありがとうございました。では、是非理事会で御協議をお願いいたします。

 先ほどの御説明が、丁寧にいただいたんですけれども、ちょっと、前半のところがよく分からなかった部分もあるので、私は時間が来たので改めて質疑をいたしますけれども、はっきり、すごく分かりやすく言えば、例えばですけれども、ここに排せつ物があります。この表現にとどめますけれどもね。この排せつ物の中にある菌の状態、何の状態、いろいろな成分をこの辺から臭いを嗅いで、これは何ぼだと言っているのと同じようなことなんですよ。それでは、科学的な裏づけというか、皆様に合理性、納得性をいただけるものではないと思いますので。

 昨日の福島県内で流れた放送で混乱をされている、あるいは心配をされている福島県民の方も多いと思いますので、是非ここのところは確認を急いでいただいて、私たちにその情報を公開していただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 金子恵美君。

金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 東日本大震災、原発事故から丸十一年が過ぎました。三月十一日、私も地元に戻りまして、福島県主催の東日本大震災追悼復興祈念式に参列させていただきました。二時四十六分、黙祷をおささげし、本当に心から犠牲となられた皆様方を悼み、哀悼の誠をおささげしました。改めて、今もなお避難を余儀なくされている皆様方にお見舞い申し上げますとともに、御遺族の皆様にも本当にお悔やみ申し上げたいと思います。

 これからなんです、まだまだたくさんの課題があります。西銘大臣には、復興大臣という役目と沖縄及び北方対策担当大臣という重要なお役目もあるということで、日々日々大変お忙しい時間をお過ごしになられていることだというふうに思っていますが、両方大切です、どちらも大切です。もちろん、どちらも手を抜かずに頑張っていただいていることだと思います。

 今回、復興特に付託される国際教育研究拠点をつくる福島復興再生特措法、これからしっかりと、重要な案件でございますので審議をしたいというふうに思っていますが、その前に、今回は所信に対する質疑でありますので、丁寧な御回答をいただきたくお願い申し上げます。

 西銘大臣におかれましては、三月十一日に残念ながら被災地に入ることができなかったということであります。ある報道によれば、今年から政府主催の追悼式がなくなった影響もあるのではないかとも言われています。衆議院の方では全ての委員会が止まりました。参議院の予算委員会もあったということで、もちろん予算審議も重要です。そこで、閣議後の記者会見で復興大臣は、出席できないことを済まないと思うと御発言もされていると承知しております。

 考えたところ、全ては政府の追悼式を開催しなくなってしまったというところが問題なのではないかというふうにも思いまして、私は極めて残念なことだと思います。私たちは日々日々、風化と風評、この二つの風と闘っている状況であります。東日本大震災のことはどうでもいいのか、そうなったのか、そう思われても、そういう印象を被災地の皆さんに与えてしまっても仕方がない状況だと思うんです。

 でも、大臣は、十二日には福島入りをしてくださった。葛尾村復興交流館あぜりあ、川内村のかわうちワイナリー、郡山市の産総研、福島再生可能エネルギー研究所を視察されたというふうにも伺っております。それも含めまして、今私が申し上げたことも含めまして、大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

西銘国務大臣 私も、正式に招待状をいただいておりまして、何としても追悼式に参加をしたかったのでありますが、国会で答弁もしないといけないという立場で、本当に残念で済まないなと思っております。

 その代わりとは言えませんけれども、政務で手分けをしまして、冨樫副大臣が宮城県東松島市の追悼式、新妻副大臣が岩手県、大槌町合同の追悼式。総理は福島県の追悼式に出席されて、翌日、岩手、宮城を回ったと承知しております。

 思いは全く変わらずに、全力で復興行政に取り組んでいかないといけないなという思いでおりますので、どうか御理解を賜りたいと思います。

金子(恵)委員 大臣、どうか、これ以上風化させないでください。お願いいたします。

 三月の五日、福島県から首都圏に避難されている十一名の方々と意見交換されたということも伺っていますが、福島県から自主避難をされている方々も含めて、県外避難者の方々の生の声を聞かれたことだというふうに思います。十一名ということで、限られているわけなんですけれども。

 福島から県外避難をされている方々というのは二万六千人以上、二万七千人近くいらっしゃるということで、全ての都道府県に避難されているという状況なわけです。実際に、拠点として全国に二十六か所、生活再建支援拠点というのがありまして、そこの機能をしっかりと強化していかなくてはいけない時期にも来ているというふうにも思うんですけれども、まず、避難をされている方々とお会いして、どのようなニーズを把握できたでしょうか。お聞かせください。

西銘国務大臣 金子委員御指摘の避難者との対話集会は、東京周辺の方を含めて十一名の参加、そのうち二人の方が自主避難という方で、年齢層からしますと六十代、七十代、八十代、自主避難された方で四十代の方もいました。

 生活再建支援拠点、全国二十六か所ある、この拠点とは、東ブロックと西ブロックに分けてオンラインで意見交換する場をその前に踏まえておりまして実現したものであります。

 私が感じたのは、今回は、医療ネットワーク支援センターのNPO法人に御協力をいただいて、十一名の方が集まっていただきました。それぞれの方、全員が、こういう交流の場を持つということが長期避難者にとって非常にありがたいということをおっしゃっておられました。人と人とのつながりで、この交流会に出ることによって、長期避難ではありますけれども、地元の言葉で気兼ねなく話せることがありがたいとか、あるいは、東京で暮らしていて心の支えにもなるし生きる指針にもなる等の感謝の言葉がありました。

 実際、NPO法人の方と参加された十一名の方の話、司会進行をしていただいた方ですけれども、話のやり取りを聞いていて、相当の信頼感が長期避難者とあるなということを私はその場にいて実感いたしました。終わった後に、司会を務めたNPO法人の方に、これだけの人間関係をつくるのにどのくらいかかったんですかと言ったら、ちょうど十年以上のつき合いでというような話がありましたので、こういうNPO法人の方々の取組にも感銘しながら、その場に参加をしたところであります。

 御要望の声としては、例えば高速道路の件とか、あるいは医療、介護の件とかのお話も出ておりました。しっかり長期避難者に応えていかなければいけないなという思いで、その会を終わりました。

 全国には、金子委員御指摘のように、三・八万人の避難者の中で福島からの避難者が三・三万人と聞いております。私の地元の方にも沖縄じゃんがら会という組織があって、そこでの対話集会も予定したのでありますが、事情によって参加できずに、政策統括官に参加をしてもらいましたが、まだまだ長期避難者の方にもしっかり支援していくことをしなければいけないなということを強く感じた対話集会でありました。

金子(恵)委員 県内外含めまして三万三千。実際に、福島県から県外への避難状況というところで、復興庁のデータを見ますと、今年の二月二十五日現在で二万六千六百九十二名です。

 数字は大切なのかどうかという話もお伺いさせていただきたいと思うんです。

 実際に、昨年の三月、復興庁と福島県が避難者数の正確な把握のために県外に避難した約一万二千世帯に適切な届出を呼びかける文書を郵送したところ、四十一都道府県の三千八百七十七世帯分が宛先不明で返ってきたというふうなことも報じられています。実態に合わせるために、復興庁は二〇二一年度末までに三千八百七十七世帯の所在を確認してもらうよう自治体にお願いしたというふうに承知しています。多くの自治体から回答がないという状況でありますけれども。

 避難した方々への情報提供のためにも正確に所在や人数を把握することが求められているわけですけれども、今後の復興庁の具体的な対応についてお伺いしたいと思います。私たちはずっとこの人数、数を言っているんですが、でも本当は違っている可能性があるわけなんですね。いかがですか。

西銘国務大臣 東日本大震災の避難者数は、避難者からの届出等に基づき避難先である全国の市区町村が把握した人数の報告に基づいて、復興庁が毎月集計し公表しているところであります。

 しかし、避難者は、避難元へ帰還した場合や避難先への定住を決めた場合等に適切な届出がなければ把握が困難であるという課題があります。実態に即した避難者数を把握する一環として、令和三年三月二十六日に福島県から県外避難者約一万二千世帯に対し、住所の変更や帰還意思がなくなった場合の届出を呼びかけるリーフレットを発送したところ、金子委員御指摘のように、三二%、約三千九百通が不達で返送されてきております。

 これを受けまして、復興庁では、令和三年九月、該当する自治体へ、今月末までの所在確認を四十一都道府県に依頼したところであります。

 自治体からの毎月の避難者数の報告に当たっては、平素より、把握した最新の状況を御報告いただくよう依頼しております。結果は、順次、毎月の公表人数に反映されております。

 実態の正確な把握のためには適切な届出が必要であり、復興庁のホームページやSNSを活用するなどして、引き続き避難者に対して適切な届出を呼びかけてまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 大臣、実は、人数ということの話だけじゃないんですね、数だけじゃないんですよ。実際に避難されて、今に至るまでどのような生活をされてこられたか。だから、ニーズの話も申し上げました。御苦労されているんじゃないですか。もしかすると、やっと避難先で職を得たのにもかかわらず、コロナ禍に遭って職もなくしてしまった、厳しい状況になってしまった、経済的に苦しい生活になってしまったという方もいるかもしれない。そういう方々が、よりどころがなくなっている可能性もあるんですね。

 実際には、恐らくここにいる議員の方々のところには個別にいろいろな相談があるんだと思うんです、いろいろな数字に含まれていない、そういう実態があるんです。それを知っていただきたいという思いで、改めてこの質問をさせていただいています。最後の一人まで支援をしていただきたい、最後の一人までお願いしたいと思うんです。

 そこで、先ほど申し上げました全国各地にあります二十六か所の生活再建支援拠点でありますけれども、これは被災者支援総合交付金で設置されているということであるんですけれども、そもそも、被災者支援の復興庁の予算は、令和三年度、令和四年度、二〇二一年度、二〇二二年度を比較しますと、三百六十二億円から二百七十八億円に減額になっているんです。

 いろいろと伺いますと、自治体の方から要請がないから、要望がないからという言い方をするんですけれども、本当にそれでいいのか。今言ったように、実際にいろいろな数字も明確に示されていない。本当にこれで、最後の一人まで被災者の支援ができるんでしょうか。私はこれはすごく冷たい対応だというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。

西銘国務大臣 生活再建支援拠点では、福島県外に避難されている方々が円滑に帰還や生活再建ができるよう、情報提供を行ったり、様々な相談に応じているところであります。

 具体的には、避難が長期化し、避難されている方々が抱える課題が多様化、複雑化する中、避難者交流会等において、避難されている方々に寄り添った、きめ細やかな相談対応等を行っております。

 また、毎年定期的に開催している拠点間のブロック会議、先ほど申し上げましたが、東ブロックと西ブロックに分けて、オンラインではありましたが、私も会議に参加することができました。避難者対応の好事例等を共有し、各拠点における取組の更なる向上を図るとともに、相談対応等を通じて避難者の実情、課題等を復興庁にフィードバックし、今後の避難者支援の在り方を検討する上での参考とさせていただいております。

 委員御指摘の被災者支援総合交付金につきましては、被災自治体から直接お伺いをしながら、復興の進捗状況や今後の事業実施の見込みを踏まえ、柔軟かつ機動的に取り組めるように必要額を計上してきております。引き続き、必要な予算の確保にはしっかりと努めてまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 双葉地方など、まだまだ課題のある被災自治体では、人手不足もあったり、厳しい状況でもあります。できることとできないことって、まだまだあると思うんです。だからこそ復興庁が存在していると思っておりますので、是非、丁寧な、きめ細やかな対応をお願いしたいと思います。

 時間がないので最後になってしまうんですが、先ほど来お話がありましたALPS処理水の問題です。チラシの問題が鎌田委員からもありました。

 私も、鎌田委員に同席していただきまして、立憲民主党といたしまして、学校へのALPS処理水に関するチラシ配付に対する申入れというものをさせていただきまして、私も立憲民主党の震災復興部会長をさせていただいていますので、復興庁の方にも申入れをさせていただきました。あとは経産省、文科省、それぞれに申入れをしております。今日はいらっしゃっていないですけれども、新妻副大臣に御対応をいただきました。

 このチラシの問題、手続上問題であるということは、重々御理解いただいていることだというふうに思うんですね。福島県も、教育委員会の教育長が各省庁に申入れをしたというふうに言っています。こんな乱暴なやり方はやめてほしいということ、政治的な意思というのを教育の現場という大切な場に持ち込まないでいただきたいと。

 先ほどから、玄葉光一郎委員からもありましたけれども、トリチウムの分離技術の話がありました。トリチウムの分離技術、先ほどからやり取りを聞いていますと、これは実用可能かもしれない、今取組をしている状況であるということなんですね。

 でも、復興庁のこのチラシ、先ほど見ていただきましたけれども、この中には、三というところに、つまりは汚染水だと思うんですが、それを百倍以上大幅に薄めますという話まで出ているわけです。

 もしトリチウムの分離技術がきちんと、これが本当に開発されて実用化できたという場合は、こういう数字というのは独り歩きしちゃいけないんじゃないかと思うんですね。だから、この段階でこれを教育の現場に送りつけるというのはどういうことかということを問題提起させていただきたいんですが、大臣、いかがですか。

西銘国務大臣 まず、三月の十日に、立憲民主党文科部会、経産部会、震災復興部会の三部会からの申入れがありました。本来、私自身がお受けするのが筋だとは思ったのでありますが、国会の関係で受け取ることができずに、新妻副大臣がこれを受け取っております。

 復興庁としましては、何としても風評影響をなくしたいという思いで、副読本に、このチラシを中に入れたという経緯があります。

 ちょっと古いんですけれども、二月の二十二日には、福島県の教育長からも当庁幹部に対して、配付について事前に知らせておいていただきたかった、丁寧な対応を求めるといった申入れがあったことを承知しております。

 復興庁として丁寧な説明をしていきますという旨はお答えをしておりますが、今回のチラシ配付の件については、現場に寄り添って、とにかく現場主義に徹して被災自治体に寄り添ってやっていくという意味では、チラシの配付の趣旨について少し事前に説明がなかったのかなというふうには感じておりますが、こういうことがないようにしっかりやっていかないといけないなとは思っております。

金子(恵)委員 よろしくお願いいたします。

 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございます。

伊藤委員長 一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会の一谷勇一郎です。

 私は、阪神・淡路大震災を受けた神戸、第一区から国政へ送っていただきました。東日本の大震災は他人事ではない、自分のことのように思って質疑をしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 大臣の所信の中で、被災地に共通の残された課題として、心のケアについてということがありました。先ほど、どんな課題がありますかということについては大臣から御答弁をいただきました。

 今、心のケアも、当初とは変わり、複合的な問題に変わってきていると思います。当初は、急性ストレス反応、そして、うつ病や心身症ときましたが、今問題があるのは、アルコールの依存症やフラッシュバック、引きこもりだと聞いております。これらの大変複雑化した心のケアについてチームをつくって対応していくというふうにお聞きしておりますが、どんなチームをつくって具体的に取り組んでいかれるのか、御答弁を求めます。

林政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、東日本大震災発災後十一年を経過いたしまして、被災者の方それぞれに取り巻く環境等も多様になってきております。

 このために、復興庁におきましては、従来から被災三県に心のケアセンターというものを設置しておりまして、保健師の方あるいは精神保健福祉士の方など、専門職の方によって被災者への相談ですとか訪問支援などを行ってきております。

 こうした中で、徐々に、相談を御利用いただく人数あるいは件数は、若干減少傾向にありますけれども、依然として高い水準にございます。

 また、内容面について、心のケアセンターの声をお聞きしますと、先ほど委員御指摘のありました、生活面や経済面での課題あるいはアルコール依存の問題といったようなことも相談の中には含まれております。こうした課題に対しましては、心のケアセンター、ここで働いていただいております専門職の方々と、市町村の関係部署あるいは地域の医療機関といった関係部署が連携してチームを組成いたしまして、一人一人の被災者の抱えている問題についてきめ細かく対応してまいりたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、引き続き、厚生労働省さんとも連携をしながら必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 先ほど、新しいチームをつくって、心のケアセンターという話がありますが、私は、日本中に今配置をされております地域包括ケアシステムの中のセンター、それを活用するのがいいのではないかと思います。やはり、分散してしまうと、人口の減少の中、資格者も足らない中、なかなかニーズを酌み取ってケアをしていくのが難しいんじゃないかと思いますが、地域包括ケアシステムの中に心のケアシステムを、一緒に、一体としてやっていくという考えをどう思われるか、御回答いただけたらと思います。

林政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の地域包括ケアにつきましては、市町村に設置されております地域包括支援センターが、高齢者の総合相談支援業務、あるいは包括的、継続的なケアマネジメント、こういったことを行っておられて、地域包括ケアの実現に向けまして中核的な役割を担われているものと認識しております。

 一方、被災者の皆さんにつきましては、やはり、十一年という時間が経過をしておりますので、元々高齢化の進んでいた地域ではありますけれども、被災者の高齢化というのも一層進んでおりますので、こうした複合的な課題を抱えていらっしゃる方の心のケアについても、現場に当たっております心のケアセンターが地域包括支援センターと連携して支援を行うことが、先ほど御指摘いただいたような人的資源の有効活用の観点からも、有効な手段の一つであると考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 どうしても、地域包括ケアシステムと聞くと、シニアの方の対応だけかというふうに思われると思うんですが、基本的には、障害を持っておられる方から子供まで、全ての世代の方を地域で支えていくということです。ただ、現実的に日本でこれが進んでいるとは言えませんので、是非、今、取組を全国のモデルとして進めていただけたらと思います。

 次に、当初はケアを必要とされている方がシニアの方が多かったと聞いておるんですが、最近は、減少ぎみであると今おっしゃられましたが、若い方の心のケアが必要になってくると聞いておりますが、なぜ若い方のケアが必要になっているか、もし分析をされておりましたらお聞かせください。

林政府参考人 お答えをいたします。

 確かに、委員御指摘のとおり、二十歳未満の若い方の心のケアセンター相談件数というのは増加をしております。

 その背景でございますけれども、この世代の方たちは、東日本大震災発災当時、就学間もなかったり就学前であったりといった、幼少期にあられた方が多くて、その後、元々、不登校の傾向があったりとか、引きこもりといったような傾向があった方が、東日本大震災の発災に伴いまして、まずは避難所暮らし、それから仮設住宅、それから災害公営といったついの住みかに住まいを移されていく、こういったことに伴いまして転居や転校ということが発生をいたしますので友人関係の形成が難しく、こういったことが一つの要因になっているのではないかということと同時に、心のケアセンターの存在については、学校等の教育機関でも普及啓発をしていただいたり、相談窓口の開設等を増やしたりといった結果、若者の方たちにもセンターの存在が認知をされるといったような要因もあるのではないかと考えております。

 また、この年代層につきましては、今後もということでございますけれども、進学ですとか就労といったライフステージの変化がございまして、児童福祉制度の対象外となるといったような、自立に向かう時期を迎えるといった事情もあると聞いております。

一谷委員 確かに、就職や、そして進学、頼る方がいない、相談する方がいないとなって、不安になっておられる方も多いと思うんですね。また、児童養護施設に入られている方もいらっしゃると思うんですが、どうしてもここの施設は十八歳までが対象というところで、今後切れ目のない支援をしていくためにはどのようにお考えになっておるかというところをお聞かせいただけたらと思います。

林政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、被災者の心のケアにつきましては、年齢層に関わりなく切れ目のない支援をしていくということが重要であると考えております。

 また、被災県によりましては、若年層を対象にした子供の心のケアセンターを設置いたしまして、十八歳以下を対象とした支援を行っているといったような事例もありますけれども、このような場合にありましても、対象年齢以上となったケースの場合でも、子供の心のケアセンターが通常の心のケアセンターや医療機関等に引継ぎを行うことで切れ目がないように配慮されているというふうに承知しておりまして、引き続き、支援を必要とする方に支援が届くように取り組んでまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 地域の方々の心の復興のために、コミュニティーを形成していろいろなイベントをやってこられたというふうにお聞きしているんですが、このコロナ禍の中で対人での活動が減っていろいろな問題が出てきていると思うんですが、そういったところへの対応を教えていただけたらと思います。

林政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、被災者の方々にとっては、生きがいづくり、あるいは人と人とのつながりをつくるということが大事でございまして、これを、復興庁におきましては、被災者支援総合交付金を活用いたしまして、心の復興事業ということで実施をさせてきていただいております。

 同事業では、つながりづくりということで交流会等の開催を行わせていただいておりますが、コロナ禍におきましてはなかなか対面での実施が難しいということもございまして、マスクの着用でありますとか消毒の徹底といった感染症対策の徹底を図るとともに、一部の交流会につきましてはオンラインで実施をさせていただいておりまして、オンラインに要する費用なども予算の中で見させていただくようにしております。

 なお、こうした感染防止対策に伴いまして、事業の時期ですとか中身の変更、こういったことがどうしても起こってまいりますので、こうしたことにも柔軟に対応することで事業の実施を後押ししてまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。非常に知恵を絞って対応していただいているというところが分かりました。

 ただ、こういったところも、いずれはやはり地域に返していかなければならないと思います。どの時期にというところは考えなければならないですし、いきなりぱんと手を離してしまうと、見捨てられたような気持ちに地域の方がなっても困りますので、非常に考えながらやらなければならないと思うんですが。

 まず、心のケアセンターや心の復興事業について、評価はどうされているのか、国のチェック機関はどういうものなのか。これから地域に、自治体に任せていったときに、その自治体はまた地域の事業所にケアを任されると思うんですが、そういったところのチェック機能がしっかり働いているかというところをお聞かせいただけたらと思います。

林政府参考人 お答えをいたします。

 まず、こうした心のケア等の取組につきましては、委員御指摘のとおり、その成果を計測していくという取組も非常に重要だと考えておりまして、事業を採択するに当たりまして、交流会等の実施によって、そういった活動に参加していただく方がどの程度増えているのかといった目標も示していただいて評価をさせていただいておりまして、結果的に期待された効果が出ていないといったような場合には、翌年度の事業採択に当たりまして、少し個別にアドバイスもさせていただいて、取組をしていただいているというところでございます。

 また、地域で自走すべきといったような御意見もあろうかと思います。

 心のケアにつきましては、復興庁が設立をされまして、第二期復興・創生期間に移るに当たりましても、これは各被災地共通で継続的にケアをしていかなければいけない、取り組んでいかなければいけない事業として位置づけをさせていただいておりますが、一方で、例えば心の復興事業におきましては、参加者の方が主体的に参画をしていただくということが非常に重要な要素になっておりますので、NPO等の事業の採択に当たりましても、御参画いただく被災者自身が主体的、継続的に参加をする、こういったことが期待できる取組であるかどうか、また、こうしたNPO等の活動もいずれ終了する可能性というのはございますので、採択に当たりましては、こうした核になる事業がなくなっても、目指す活動というのが普及し展開をする可能性があるのかどうか、こういった取組であることも留意をして採択に努めているところでございます。

一谷委員 ありがとうございます。

 心のケアの問題は、阪神・淡路の大震災の後に注目を浴びたと思うんですね。我々は、こういったところのノウハウや、どういうふうな取組をしたらいいかということを分かっておりますので、是非、いろいろ聞いていただいて、連携を取って、実のある心のケアに進んでいきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 では、次に、質問を変えさせていただきまして、防潮堤についてお伺いをさせていただきます。

 全長約四百三十二キロ、四百五十二か所で、令和三年九月時点で四百十六か所が完成をしているという、とてつもなく長い防潮堤ですが、今後の維持管理について、コストの面であるとか、人口減少の中でそもそも工事をしてくれる人の確保、こういったところを、どのような計画になっているのか、お考えをお聞かせください。

遠藤政府参考人 海岸関係省庁である農林水産省、国土交通省を代表いたしまして、国土交通省港湾局からお答えを申し上げます。

 東日本大震災により被災をした防潮堤などの海岸保全施設の復旧につきましては、令和三年九月末時点で九二%の海岸で完成をしている状況でございます。

 これらの完成した海岸保全施設につきましては、海岸管理者が、個別施設ごとの点検・修繕方法、実施時期等を長寿命化計画として定め、これに基づき維持管理を実施することとしてございます。

 また、農林水産省及び国土交通省では、海岸保全施設維持管理マニュアルを策定し、この中でドローン等の新技術を活用した点検事例などを紹介してございます。

 引き続き、予算や人員が限られる中であっても、新技術等の活用によるコスト縮減等を図ることによりまして、復旧した海岸保全施設の効率的な維持管理を促進してまいります。

一谷委員 先ほど話に出ましたドローン、日本中で高速道路や橋やいろいろな建築物の修繕が遅れていますので、そういった最先端技術を使って維持管理をしていっていただけたらと思います。

 このドローン、福島イノベーション・コースト構想、こういったところで開発をされていっていると思うんですが、時間の都合上、この質問をちょっと飛ばさせていただいて、その中の中核、この福島イノベーション・コースト構想でいろいろな分野で成果が上がってきた、これをつなぎ止めるために横串を刺すような形で福島国際研究教育機構をつくるということになっておるんですが、イノベーション・コースト構想で成果を上げているのに、なぜまた新しいこういう教育の機構をつくるのかということについて、大臣にお伺いさせていただきます。

西銘国務大臣 これまでの福島イノベーション・コースト構想の取組によりまして、廃炉のための研究開発拠点等が整備されるとともに、人材育成などの取組も進んできております。

 一方で、これらの取組につきましては、全体として更に連携を進めるための仕組み等が必要などの指摘もあります。福島イノベーション・コースト構想を更に発展させ、既存施設等の取組に横串を刺す司令塔として福島国際研究教育機構を設立することで、福島全体の最適な研究開発体制を構築し、研究開発や産業化、人材育成の動きを加速させてまいりたいと考えております。

一谷委員 大臣、ありがとうございます。

 先ほどおっしゃられました人材、ここが肝になってくると思うんです。幅広い人材を集めていかなければならないと思うんですが、特にやはり、若い方、女性、そして障害のお持ちの方も少し入っていただいて、考えを変えていただきたい。

 先ほどドローンというお話がありましたが、実は、ドローンのことについて考えていく方は、元々eスポーツでスポーツ選手としてやってこられた方が多いそうです。eスポーツは、何と十代が選手としての生命で、二十歳代になったら引退するという、それぐらいの環境のスポーツらしいんですけれども。なかなか、eスポーツをやってドローンの操縦士やドローンの学校の先生になっている二十歳そこそこの方がトントンと門戸を開いてこの教育機構に入ってくるということは難しいと思いますので、ここは門戸を広げて多様な方を入れていただきたいというふうに思っております。

 そこで、この教育機構なんですが、中間目標、七年で成果を出していくというふうに決まっておりますが、まず、この機構が始まるときに、どういった成果を出していく指標をつくるか、これを一緒に考えていっていただきたいなと思うんですね。まず、この機構がスタートしてある程度たってから評価をするということになると、機構の中の成果を測るのはなかなか難しいと思いますので、これを一緒にやっていただきたい。そして、七年目の成果、現時点では、どれぐらい産業化に結びつかせていくか、そういったところの目標値がもしあるのであれば教えていただきたいと思います。

林政府参考人 お答えをいたします。

 今、閣議決定をいたしまして提出させていただいております福島特措法の改正案におきましては、まず、研究開発の中身については、総理大臣が関係行政機関の長と協議しながらその内容を定めることにしております。

 また、復興庁も主体的に参画をいたしますけれども、主務大臣は更に七年間の中期計画のベースとなる中期目標をあらかじめ定めて機構にお示しし、機構がこれを踏まえて計画を作るという体系になっております。

 さらには、毎年機構の行います取組、これは研究開発のみならず産業化の推進でありますとか研究者等の人材育成を含みますけれども、これも毎年度主務大臣が評価をするということにしておりまして、こうしたサイクルを通じて新しくつくります福島国際研究教育機構の運営の適正化を担保してまいりたい、こう考えております。

一谷委員 ありがとうございます。やはり、せっかくつくる機構ですし、形骸化しないように、形だけにならないように、進めるときに同時に評価を、こういう評価をしますと決めて、そして、中間目標、必ずそれに到達するという強い気持ちでやっていただけたらと思います。

 先ほど大臣も、この福島国際研究教育機構については地元の方が大変歓迎しているというお声をいただいたとお話しいただきました。我々も知恵を集めて後押ししていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、時間になりましたので、私の質問を終わらせていただきます。どうも、皆さん、誠にありがとうございました。

伊藤委員長 池畑浩太朗君。

池畑委員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。

 本日は、東日本大震災特別委員会における大臣所信表明を受けて質問させていただきたいと思います。

 今まで委員からもるるありましたが、三月十一日に十一年目となりました。当時は、私も県会議員になりまして、発災当初は福島に入らせていただきました。後は、選挙区であります兵庫県のカウンターパートナーであります宮城に入らせていただきました。

 地域によって濃淡はありますが、少しずつ復興に向かわれているということもありましたが、大臣所信にもありましたが、まだまだこれからであります。困難に直面されている方々が現実におられます。寄り添いながらもしっかりと的確に現場を意識して支援するべきだと思いつつ、一日も早い東日本大震災の復興を祈念しつつ、質問に移らせていただきます。

 朝より多くの委員の方から質問がありましたが、かぶった部分に関しては少しなくしながら、簡潔に質問させていただきたいと思います。

 今回は、特に、国内に対しての風評被害、海外に対しての風評被害対策について質問させていただきます。

 まず、ALPS処理水に含まれるトリチウムについて、朝から多くの委員の方が質問されております。初歩的な質問にはなりますが、トリチウムの人体への影響について、トリチウムは、水素と全く同じ科学的性質であるというふうに学術的には書かれておりますが、いろいろと今委員のお話を聞きつつ、一般的には、ろ過ができず、除去ができないというふうに聞いております。科学的に安全であると担保できるのか、本当に人体に影響がないと考えるのか、経済産業省の方にお聞きしたいと思います。

須藤政府参考人 トリチウムについてのお尋ねでございます。

 トリチウムの一般的性質につきましては、ALPS小委員会におきまして専門家の方々に御議論いただいたところでございます。

 トリチウムは、今御指摘がございましたけれども、三重水素とも呼ばれておりまして、水素の仲間でございます。ごく弱い放射線を出すという物質でございまして、皮膚などで遮られる、こういうようなものでございます。水の形で、雨水あるいは河川、海水、水道水、私ども人の体内にも広く存在をしてございます。

 また、トリチウムは、生物に濃縮しないという性質を持つために、生物の体内に取り込まれた場合であっても、代謝により水と一緒に体外に排出をされる、入ったものが時間とともに減っていくと承知をしてございます。

 また、世界中の原子力施設においても、各国の規制基準に沿ってトリチウムを含む液体廃棄物が放出されておりますけれども、その周辺においてトリチウムが原因と考えられる人体や環境への影響は見られていないという状況でございまして、規制基準を守って対応する限りでは人体や環境への影響は考えられないという状況でございます。

池畑委員 ただいま、最後に、考えられないというふうに言い切られました。

 今、トリチウムの状況で質問させていただいておりますので、発災当時は、放出、浄化、貯蔵、埋設の四つの選択肢で検討してこられたというふうに聞き及んでおります。トリチウムは、今御説明をいただきましたように、人体や魚介類の体内に取り込んでも、半分は約十日で排出をされるとも聞いております。ほとんど体内に蓄積されることはない、学術的にそういうふうにされておりますけれども、重ねてお聞きさせていただきます。完全に一〇〇%安全とは言えないままで、水銀や重金属のように食物連鎖との関係で安全性を示したエビデンスはあるのか、お聞きしたいというふうに思います。

須藤政府参考人 影響につきましては、昨年十一月に、東京電力は、ALPS処理水を海洋放出した場合における放射線影響評価というのを公表してございます。そこでは、放出開始後、周辺に生息する海産物を摂取する個人を想定した評価と、取り込んだ場合の評価を実施しております。トリチウム以外も含めまして、放出される全ての放射線影響を想定しても、個人が自然界から受ける影響の数万分の一と試算をされております。

池畑委員 取り込んだ場合の調査もされているということでありますから、その上で、今ずっと質問も続いておりますけれども、海洋放出の安全性の担保について、続けて質問させていただきたいと思います。

 令和五年の春頃から海洋放出を開始するというふうな基本方針を決定したとありました。先ほど来同じように質問をされている委員の方が多くある中で、少し短くさせていただきますけれども、一つの省庁とか同じような機関がチェックされている点には問題が生じるのではないかというふうに思います。庄子委員からもありましたけれども、第三者の目でチェックをどのようにされているか、もう一度お聞きしたいと思います。

須藤政府参考人 ALPS処理水の科学的安全性を担保するに当たっては、東京電力の取組に対しまして、まず原子力規制委員会が厳正な審査を行う、加えまして、客観的な立場で、高い専門性を有する国際機関でありますIAEA等による評価も行っておりまして、これらを通じまして国内外に透明性高く発信することが重要でございます。

 先ほど東京電力の影響評価を御紹介しましたけれども、これも東京電力が行ったものでございますので、これをIAEAにダブルチェックしていただく、こういうようなことが重要かと思っております。

 実際に、IAEAについては、先月、専門家が来日をいたしまして、IAEAが定める国際的な安全基準に基づいてALPS処理水の安全性の確認が行われたほか、東京電力によるALPS処理水の分析を確認するため、IAEA自らが分析するためのサンプルの接取を行うなど、必要な作業が進められたと聞いております。今後も、繰り返し厳正なレビューを受ける予定としております。

 また、安全性の確保に加えまして、モニタリングの各段階におきまして、地元の自治体ですとか漁業関係者というような関係者の立会いの場も確保いたしまして、取組の透明性の確保に努めることも考えております。

池畑委員 今説明をいただきました、地元の自治体を含めて、地元周辺の方も一緒に立ち会ってやるということ、そしてまた、ありましたけれども、IAEAの職員と八名の国際専門家、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国、韓国、ベトナム、アルゼンチン、海外の方も一緒に立ち会って検査をする。

 そこまでやっているんですけれども、ちょっと気になることがありまして、科学的に、海外への風評被害のことについて質問させていただきたいというふうに思っております。

 その中で、科学的根拠に基づかないというふうに表現をあえてさせていただきますが、中国や韓国の報道官からかなり批判的な話が、よく耳にすることがありますし、当然、報道官ですから、国際的にもそういう発表をされているわけです。これは、国内での風評がありますし、当然、同時に海外への対策にもつながってくる大きな問題だというふうに思いますので、特に中国や韓国、八名の方も来られているにもかかわらずなんですが、国際的な理解を促進する取組を更に強化するべきじゃないか。外務省や経済産業省とも連帯をされているというふうに思いますが、復興大臣からの答弁を求めます。

西銘国務大臣 中国や韓国を含む世界の原子力施設において、ALPS処理水の放出計画を上回る量のトリチウムを放出している施設があることを認識しております。

 復興庁としましては、このような事実も含め、ウェブサイトや海外の新聞紙、ファイナンシャル・タイムズへの記事の掲載、さらには海外メディアの取材対応等を通じて広く発信しているところであります。

 また、先般、中国、韓国出身の専門家も含めたIAEAの調査団が来日し、ALPS処理水の安全性についての評価を進めておるところであります。こうした取組を通じて透明性を確保しているところであります。

 今後とも、復興庁が中心となり、風評対策タスクフォースにおいて取りまとめた情報発信等の施策パッケージに基づいて、政府一丸となって科学的根拠に基づく正確な情報の発信を行うことにより、国際社会においても我が国の方針に対して理解が得られるように働きかけてまいりたいと考えております。

池畑委員 大臣、ありがとうございます。

 こちらが量が少ないのに、あちらが多いのにという議論ではなくて、やはり明確に、せっかくこれだけ八名の方が来られて、地元の方々まで参加され調査しているにもかかわらず一方的に批判をされるということに対して冷静に反対し、そしてまた、鎌田委員からもありましたけれども、小学校や中学校、高校に対しても結論が出た段階できちっと説明をしていく、学校を含めた形でこういった状況をつくり上げていくというのは、復興大臣、まとめておられますので、是非進めていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 その中で、風評被害の対応は、民民ということもありますが、関係者がなかなか納得するわけではないというふうに思います。今までも委員からの質問もたくさんありました。漁協や漁港に対しての説明もされているというふうに聞いております。

 官僚任せになっている部分だけじゃないと思いますが、前の復興副大臣も、地元に行かれて漁業やいろいろな面でお話をされているというふうにお聞きしました。その中で、大臣政務官や副大臣、たくさんおられます。官僚の方々が何度も足を運ばれて、説明もなかなか難しい。午前中に福島委員からかなりきついお話もありましたけれども、政務が出向き、政治家こそが何度も何度も足を運んで説明するべきではないかというふうに改めて思います。

 もし大臣から何かコメントがありましたら、一言いただきたいというふうに思います。

西銘国務大臣 風評の問題は、私のところに福島の町村議会の関係者が見えたときにも、実は、目の前で福島のものは買わないと一般の消費者から言われたというお話等を聞いておりましても、心の問題を含めて簡単ではないなという思いではおります。

 私を始め復興庁の政務としましても、現場主義を徹底し、頻繁に被災地に通っているところであります。様々な機会を活用して、広く関係者との対話を重ねてまいりたいと考えております。

 いずれにしましても、ALPS処理水については、基本方針及び行動計画を踏まえ、政府一丸となって、決して風評被害を生じさせないという強い決意の下、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

池畑委員 大臣、ありがとうございました。やはり、作った作物を買わないよというふうに表現されるというのは、何とも悲しいお話だというふうに思います。

 大臣も、水産物の件にも、今、農作物の点についても触れていただきました。東電の担当者、これは新聞報道でありますけれども、何度も丁寧に説明を続けて理解してもらうしかないんだ、これからも説明をしていきますというお話がありました。

 その中で、農林水産省にお聞きをしたいんですが、水産物の現状についてなんですけれども、野中委員からもありましたけれども、消費者庁が調査をしますと、福島県の購入をためらうと答えた人が、一四年には一九・六%であった割合が六・五%へと改善しているという現状はありますけれども、水産物も同じだというふうに言えるんでしょうか。

 また、前段で、ちょっとまとめますが、水産物について、食物連鎖との関係性で安全性を示したエビデンスはありますかという質問をさせていただきました。風評からの被害を防ぐために、新たにトリチウムを対象とし、四億円をかけて含有量のモニタリングを行うということでしたが、どのように周知をしておられるのか、お聞きしたいというふうに思います。

黒萩政府参考人 お答えいたします。

 水産物の安全性と消費者の信頼確保のため、震災直後から放射性セシウムのモニタリング検査を実施してきたところでございます。この検査結果や安全性について、情報を分かりやすく発信してきたところでございます。これらについては、引き続き実施していきたいというふうに考えております。

 さらに、今委員から御指摘がありました、新たに実施する水産物のトリチウムモニタリングについてでございます。

 放出後と比較するためには、放出前の今年の春からやり始めるというふうな予定でおります。具体的には、技術的になかなか難しい部分があるんですが、現場と分析機関がちゃんと調整しまして実施していくということにしております。具体的には、北海道から千葉県にかけての太平洋側において、地元関係者の御意見も踏まえながら実施することとしております。その結果についても分かりやすく発信していきたいというふうに考えております。

池畑委員 説明をありがとうございました。

 トリチウム、一般的には耳慣れするものではありません。改めて、トリチウムの含有量をモニタリングするということを決定した経緯がもし分かりましたら。

黒萩政府参考人 トリチウム自体は、先ほどからるるございますとおり、しっかりした処理を行えば問題はないわけでございますけれども、やはり、一般の消費者等につきましては、なかなかそこを御理解していただけない部分があるということでございます。

 水産庁としましては、引き続き関係省庁と連携しながらモニタリングの強化や拡充を進めるとともに、その結果を一般消費者を含む国内外に向けまして透明性高く発信することで風評対策に取り組んでいく、こういった経緯において実施することとしたものでございます。

池畑委員 慎重には慎重を期して努力をされるという表明だというふうに思っております。しっかり、一般の国民が聞いたときによく分からないものに対して、そのように丁寧にやっているということを海外、国内にどんどんアピールしていく必要があるということを申し述べながら、今の説明をお聞きさせていただいておりました。

 その中で、トータル的に委員の中でもお話が、最終的に出てくるのが、情報発信力が弱いというふうに感じてしまう部分がありました。

 海外に対して今取り組まれているのは、国内に対しても非常に大事なことでありますし、せっかくこれだけ取り組んでおられるということも、現代ですから、パッケージ案にありますように、海外のインフルエンサーとか、今大臣からも話しましたけれども、海外の報道関係者の方々にきちっとうまく広がるように説明をするというのがパッケージの中にもございました。

 しっかりその辺も含めていただきまして、国内では、方向性がきちんと決まり次第、小学校、中学校、高校に、今、鎌田委員からもありましたけれども、しっかりと学ぶ時間も必要だと私は思っておりますので、しっかりと皆様のこれからの、努力されていることはよく分かりますので、国内、海外にしっかりと発信していけるよう、私も頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 質問を終わらせていただきます。本日はありがとうございました。

伊藤委員長 高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 西銘大臣に初めて質問いたしますので、よろしくお願いします。

 ロシアによるウクライナ侵略についてです。

 UNHCR、国連難民高等弁務官事務所によると、三百万人を超えるウクライナの方々が既に国外に避難されて、そのうち百万人以上の子供さんが避難をされていると聞いております。まだ国内で、避難にも行けない、大変な思いをされている方がたくさんいらっしゃいます。妊婦らがいた小児病院を攻撃するなど、怒りを表現する言葉も浮かびません。

 キエフの市民らがシェルターとして身を寄せる地下鉄で生まれた赤ちゃんがいたという報道を見たときに、私は、原爆詩人、栗原貞子さんの「生ましめんかな」を思い出しました。また、沖縄の地上戦でのガマの犠牲も浮かびました。子供は希望であり、その希望を奪うプーチン大統領の残虐非道な行いを絶対に許してはなりません。

 今日は、五日付の琉球新報も配付をさせていただいておりますが、「ロシアの原発攻撃 人類を危険にさらす暴挙」と社説を書いていること、本当にそのとおりだと思います。ロシアの蛮行が、文字どおり、ウクライナのみならず人類の危機をもたらしているんだと思います。また、十四日、国連のグテーレス事務総長は、今や核戦争の可能性もあり得る、こういうことを言っているわけです。

 そこで、伺います。大臣、原発は、たとえ運転を停止していても、攻撃されれば重大な被害を及ぼす、この認識はどうでしょうか。

西銘国務大臣 所管外の問題で、大臣としての答弁は、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、その上で、一般論として申し上げますが、私も、毎日の報道を見ながら、沖縄の地上戦を思い起こしたり、私自身は戦後の昭和二十九年の生まれですから戦争体験はないんですけれども、思い起こしたりすることはあります。今この瞬間でもウクライナにおいては罪のない市民や将来のある子供たちが命を落としていることを、しっかり受け止めなければいけないと感じております。また、ロシアによる原発への攻撃について、東京電力福島第一原子力発電所事故を経験した日本として、このような蛮行は断じて認められず、最も強い言葉で非難をしたいと思っております。

高橋(千)委員 大臣、所管外と言っちゃ駄目なんですよ。私の質問は、たとえ運転を停止していてもと言いました。私たちは福島の事故を経験して、国会議員やかなりの方たちと一緒にチェルノブイリの原発も見てきたんですね。そして、ずっと、あのときだって、四半世紀たっているけれどもまだ続いているよということを私たちは実感しました。そして、目の前にある、原発事故から廃炉の作業をしている、そこだって攻撃されたら大変なことになるんだよねということを私たちは今突きつけられたんじゃないでしょうか。所管外というのはおかしいです。訂正していただきたい。

 昨年三月に沖縄タイムスが、「何度も浮上してきた沖縄での原発計画」として連載を報じました。実は、沖縄電力は国内で唯一原発を持たない電力会社ですが、一九五六年、アメリカ・プライス下院議員らのプライス勧告の中に、実質的に戦争状態にある沖縄のような地域で核の平和利用が実現すれば劇的なインパクトがあると、原発導入を進めていたと報じています。この認識には本当に驚くんですけれども。ただ、沖縄電力も一応まだ諦めていないと聞いています。

 今、原発再稼働や核共有などという議論が国内で起こっています。ウクライナの現実を前に、唯一の被爆国であり、かつ、原発事故を経験した、つい十一年前のことです、日本が決してしてはならない議論だと思いますが、大臣の認識を伺います。

西銘国務大臣 高橋委員の望まない答弁かもしれませんが、所管外であり、大臣としてのお答えは差し控えたいと思います。

 その上で、原発の再稼働につきましては、エネルギー基本計画において、いかなる事情よりも安全性を最優先し、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進めると記載されております。これが政府の基本的な立場と承知をしております。

 以上です。

高橋(千)委員 本当にちょっと、残念過ぎて、何と言っていいか。いかなる事情より安全性を重視するという立場に立つのであれば、再稼働はできないんですね。その立場に立っていただきたいと思います。

 大臣の沖縄に次ぐ米軍基地があるのは、私の地元の三沢基地でございまして、まさに核兵器の問題は常に私たちと隣り合わせにあったわけであって、核共有という言葉が出てくると、まさにそこに巻き込まれるのは私たちだと、本当に。だからこそ、被爆国である日本が、原発事故を経験した私たちが声を上げていかなきゃいけないということを重ねて指摘させていただきます。心の中ではどう思っていらっしゃるかはね、立場上はそういうふうにお答えをいただいたと思います。

 では、次の質問に移ります。

 東京都が、東日本大震災と東電福島第一原発事故の当時、二千人を超える避難者を災害救助法に基づき受け入れました。昨年十一月の数字では、現在七十一世帯が残っていると承知しています。そのうち、いわゆる自主避難者として、福島県からの要請も切れているけれども今残っている方たちが、九段、東雲、都営住宅、合計三十一世帯が残っています。県からはもう提供しなくてよいと言われ、国からは早急に返還せよと迫られ、間に入った東京都が大変苦慮しているんです。

 まず、財務省に伺いますが、国は、提供期限の過ぎた宿舎の居住者に対して、東京都に対しどのような対応を求めてきたんでしょうか。

嶋田政府参考人 お答え申し上げます。

 みなし応急仮設住宅として提供されてきた国家公務員宿舎について、国は都に対してどのような対応を求めてきたのか、そういった御質問であったと思います。

 応急仮設住宅につきましては、災害救助法にのっとり、被災県がその必要性を判断し、提供あるいはその終了を行うものでございます。被災県外で設置されているものにつきましては、被災県からの要請を受けて各都道府県が提供することとなっております。

 東日本大震災では、国は、福島県など被災県からの要請を受けた東京都などからの求めに応じまして、都などに対して国家公務員宿舎の使用許可を行い、応急仮設住宅として活用していただいてまいりました。その後、平成二十九年三月末に自主避難者に対する応急仮設住宅の供与終了という福島県、被災県の方針が示され、同年四月以降、国家公務員宿舎の使用許可についても終了したところでございます。

 国といたしましては、使用許可が終了した国家公務員宿舎につきましては、東京都を含む自治体に対してその返還などを求めているということでございます。

高橋(千)委員 返還を求めているということをはっきりおっしゃったと思います。

 ここに財務省と東京都の確認書の写しがあります。これを配るわけにはいきませんので、どこの住宅とは言いませんが、国有財産使用許可書、平成二十八年三月二十五日。一旦切れて、それから使用を許可する期間は二十八年四月一日から平成二十九年三月三十一日まで、これが今おっしゃった期限。これまでは、一年一年期限が来て、そして東京都がまた期間延長を申し出ていたという形になっておりました。私は、本当に、東京都がまさに被災者に寄り添って頑張ってくれたと思っているんです。ただ、今はその期限が切れてしまって、損害金を求めている形、あるいは退去をしろという形になっているんですね。

 実は、この確認書の中には、一つ一つの世帯に対して損害金の計算が書いてあります。何号室はいつからいつまで要するに期間をはみ出ているのか、だから金額は幾らなのかと。端数が一円単位になっているのは、必ずしも一か月単位ではなくて、十六日だったり、厳格に日割りしているからなんですね。正直、驚きました。

 もう一度財務省に伺います。東京都に対しても、退去に応じないならば裁判を行えと求めているんですか。

嶋田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、私どもの使用許可の相手方というのは東京都でございますので、東京都との関係において様々な使用許可等々の手続が発生しておるということでございます。

 その上で、いまだ退去されていない避難者の方々に対しては、現在、東京都において退去に向けた調整が行われているものと承知しておりますが、東京都と避難者の方々との関係につきましては私ども国として申し上げる立場にはございませんで、御指摘の裁判についても、当事者である東京都と避難者との関係において行われているものと承知しております。

高橋(千)委員 もう一回聞きますが、私、やはり、追い出すなと、それは言いたいですよ。だけれども、避難者の方は何で東京都にやらせるんだと言っているんです、そうじゃないですか。財務省の持ち物なんでしょう。自分たちの持ち物を返せと言うんだったら、自分たちが表に出たらいいんじゃないですか。東京都の責任じゃないでしょう。善意でここまで、間に立って事務をやってくれたんですよ。そう思いませんか。

嶋田政府参考人 お答え申し上げます。

 冒頭申し上げましたとおり、応急仮設住宅は、災害救助法にのっとり、被災県がその必要性を判断し、提供あるいはその終了を行うものでございます。被災県外で設置されるものについては、被災県からの要請を受けた各都道府県が提供するということになっております。これは法令上のたてつけにのっとった手続でございます。

 その上で、東京都の方から、国家公務員住宅について応急仮設住宅として活用できないかということで使用許可の申請をいただいて、それに対して我々はお応えしているという立場ですので、使用許可の相手方というのはあくまでも東京都であるということでございます。

高橋(千)委員 だとしたら、福島県が東京都がお世話していた国家公務員住宅の方たちに退去せよと裁判を打ったのはおかしくないですか。福島県に何の権利があるんですか。

嶋田政府参考人 福島県が応急仮設住宅の提供あるいはその終了の判断を行われている、その上で、私どもは、被災県外で設置されているものについて、被災県からの要請を受けた、各都道府県が提供されることになっている応急仮設住宅の一つとして国家公務員宿舎の使用許可をさせていただいている、使用許可の相手方は東京都であるということでございます。

高橋(千)委員 ですから、今聞いていておかしいと思ったと思うんですがね、相手方は東京都なんですよ、貸しているのは国のものなんですよ、それなのに福島県に肩代わりさせて裁判をやらせている、そういう態度が問題だと言っているんです。被災者はそこに怒っているんですよ。だったら自分たちがきちんと説明しろよということを言っています。

 どんな事情があって残っているのか。今回、地元の都議さんを通して事情を聞いてもらいました。

 娘が一人で家にいるときに訪問された。娘はすごい恐怖だったようだ。都が家に来たということで、一週間くらい、どうしようどうしようと言っていた。三歳だった子供が突然倒れたりするようになった。強迫性障害とのことで、ドアも開けられないし、水道の蛇口も開けられない。かゆくてもかくことができない。そんなときにピンポンを鳴らされても何もできない。食事も取れずに痩せてきた。また、住宅の供与を打ち切られて自死した方もいる。生活が壊れていく。十代の子も二人自死したことを知っているという訴えもありました。帰る家もない、お金もない、学費で精いっぱい、インターホンで話すと周りに全部聞こえてしまうなどなど。

 何か、原発反対だから居座っているだけだみたいに見られていると思うんですね。だけれども、やはり、ちゃんと話を聞いてもらうと、そういう事情があるんです。そして、何を望みますかということを聞いたときに、どうしても事情があるんだったら、そこをきちんと聞いていただいて、代わりの住宅の、東京ではなかなか家賃も高いし、セーフティーネット住宅という形でちゃんと位置づけて何とかしてくださる、そういうことが必要だと思うんですね。

 まず、復興庁に伺います。家族と別れて母子避難も多いです。この方たちがどんな状況に追い込まれているのか、今紹介したのはほんの一部です、承知していますか。知るべきではないでしょうか。

林政府参考人 お答えをいたします。

 国家公務員宿舎から未退去の状態になっております避難者の方々の状況につきましては、復興庁においては、まず、福島県等からこの間の状況等をお伺いしておるところでございます。また、復興庁職員も機会を捉えてお話を伺っているところでございます。

 また、先ほど来話題になっております、全国に設けております二十六か所の生活再建支援拠点、これが様々な相談対応にも当たっておりますので、こうしたところとも情報共有を図っているところでございます。

高橋(千)委員 先ほど少しお話をしましたけれども、やはり、居座ることを望んでいるわけではなくて、本当に、どうしていいか分からないと正直言っているんです。車もない、引っ越し費用もない。帰る家がないんです、福島にはもうおうちがないと。そういうことまで言っていらっしゃる方にどう対応していくのかということを言っています。

 復興庁は、被災者に心のケアが大事だとずっと言ってきました。予算を減らしていますけれども。それでも、一応そう言ってきたんだから、やはり、相談体制を確保することや、二十六か所の拠点は大事です、だけれども、どこにいらっしゃるのか分かっているんですから、そこに特別な手だてを取って、相談をしていただいて、住宅のあっせんや家賃の減免などを考えていただきたい。もう一言、お願いします。

林政府参考人 お答えをいたします。

 住宅の確保につきましては、私どもが福島県から聴取をしておりますところでは、国家公務員宿舎については、無償供与を終了した後も二年間特例的な貸付けを行う期間を設けて、この間に、住まいの確保に向けた相談体制、これを福島県が設けてあっせん等に取り組まれてきたというふうに承知しております。

 また、重ねてになりますけれども、被災者支援総合交付金を通じて、福島県が全国に二十六か所、生活再建支援拠点を設置しておりますけれども、相談対応のところにつきましては、避難者が指示に基づく避難者かあるいは自主避難者であるかということを問わず様々な相談体制、相談対応を行っておりまして、住宅に困窮するような方々に、住宅に関する相談等も行ってきているところでございます。

高橋(千)委員 国家公務員宿舎の空いている、さっきの階議員の発言じゃありませんが、空いているところもあり、一般の方にも家賃を取っていない、そういう状況のところもあるわけです。そこもよく考えて、支援にうまくつなげていってくださったらいいんじゃないでしょうか。

 さっき紹介した去年の沖縄タイムスに載っていましたけれども、沖縄県は、今年三月末まで自主避難者に対しても無償提供されていますよね。その上で、期限が切れても一時金を支援するという形でやっていらっしゃる。大臣のお地元でそういうことをやっていらっしゃるんですから、是非、支援を続けていただきたい、やっていただきたいということを要望して、終わります。

伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会をいたします。

    午後零時五十分散会


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