衆議院

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第6号 令和4年5月10日(火曜日)

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令和四年五月十日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊藤 忠彦君

   理事 亀岡 偉民君 理事 菅家 一郎君

   理事 坂井  学君 理事 野中  厚君

   理事 金子 恵美君 理事 神谷  裕君

   理事 早坂  敦君 理事 國重  徹君

      青山 周平君    秋本 真利君

      井出 庸生君    伊藤信太郎君

      金子 俊平君    国定 勇人君

      国光あやの君    小林 茂樹君

      塩崎 彰久君    鈴木 隼人君

      高階恵美子君    高木  啓君

      谷川 とむ君    土田  慎君

      西田 昭二君    平沢 勝栄君

      平沼正二郎君    細野 豪志君

      三谷 英弘君    三ッ林裕巳君

      宗清 皇一君    八木 哲也君

      柳本  顕君    山本 左近君

      若林 健太君    荒井  優君

      井坂 信彦君    小熊 慎司君

      鎌田さゆり君    玄葉光一郎君

      階   猛君    田嶋  要君

      馬場 雄基君    山岸 一生君

      吉田はるみ君    池畑浩太朗君

      一谷勇一郎君    小野 泰輔君

      空本 誠喜君    浮島 智子君

      庄子 賢一君    長友 慎治君

      高橋千鶴子君    福島 伸享君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       西銘恒三郎君

   復興副大臣        冨樫 博之君

   文部科学副大臣      田中 英之君

   経済産業副大臣      細田 健一君

   復興大臣政務官      宗清 皇一君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   文部科学大臣政務官    高橋はるみ君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  水野  敦君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     林  俊行君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     由良 英雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森田 正信君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           坂本 修一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           林  孝浩君

   政府参考人

   (農林水産省農産局農産政策部長)         松本  平君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君

   参考人

   (国立研究開発法人日本原子力研究開発機構理事)  舟木健太郎君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     吉田はるみ君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     柳本  顕君

  井出 庸生君     国定 勇人君

  大西 英男君     三ッ林裕巳君

  西野 太亮君     塩崎 彰久君

  荒井  優君     吉田はるみ君

  岡本あき子君     井坂 信彦君

  池畑浩太朗君     空本 誠喜君

  岸本 周平君     長友 慎治君

同日

 辞任         補欠選任

  国定 勇人君     井出 庸生君

  塩崎 彰久君     平沼正二郎君

  三ッ林裕巳君     大西 英男君

  柳本  顕君     秋本 真利君

  井坂 信彦君     田嶋  要君

  吉田はるみ君     荒井  優君

  空本 誠喜君     池畑浩太朗君

  長友 慎治君     岸本 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  平沼正二郎君     土田  慎君

  田嶋  要君     山岸 一生君

同日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     西野 太亮君

  山岸 一生君     岡本あき子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りをいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として国立研究開発法人日本原子力研究開発機構理事舟木健太郎君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府沖縄振興局長水野敦君、復興庁統括官林俊行君、復興庁統括官由良英雄君、文部科学省大臣官房審議官森田正信君、文部科学省大臣官房審議官坂本修一君、文部科学省大臣官房審議官林孝浩君、農林水産省農産局農産政策部長松本平君及び経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 質疑の申出がございますので、順次これを許します。金子恵美君。

金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 福島復興再生特措法、この改正案の質疑に入る前に申し上げますが、東日本大震災原発事故の被害を受けた福島では、山積した課題を、難題を本当に多く抱えています。そしてまた、避難を余儀なくされている方々も多くいらっしゃいます。この難題の解決にしっかりと取り組んでいくこと、そしてまた避難をされている方々に対しての支援を継続していくこと、これが前提となって今回の法案の審議となっていく、そういう認識をこの委員会でしっかりと共有をしたいというふうに思っています。よろしくお願いいたします。

 今回の改正によって福島国際研究教育機構が設置されるわけですけれども、この機構は、福島を始め東北の復興を実現するための夢や希望となるものとするというふうに言われています。

 夢と希望、いいと思います。ただ、今も申し上げましたように、原発事故によって夢と希望を失ってしまった方々は、取り戻すことができない、夢と希望を取り戻すことができずに生きているという状況でもあります。

 そこで、まず、東京電力福島第一原発事故に伴う国の賠償基準となる中間指針について、質問をさせていただきたいと思います。

 文科省の原子力損害賠償紛争審査会は二十七日に、最高裁決定で指針を上回る東電の賠償責任が確定したことを踏まえ、指針を見直すべきかどうかを判断する議論を始めたとのことでございます。今年の夏頃までには中間報告をまとめることを決めたということでありますが、少し遡って四月の十九日、福島県の自治体などでつくる福島県原子力損害対策協議会は、文科省、経産省を訪ね、指針の見直しを要望いたしました。今日おいでいただきました高橋文科大臣政務官も要望書を受けてくださいまして、そのときに、審査会を二十七日に開いて見直しの要否を含め議論を始めるというふうに応じてくださったと。そして、そのときの約束を守っていただいて、二十七日に審査会が開かれたという状況であります。

 これは、ある意味、審査会が開催されたということは、新たな一歩を踏み出したというふうに評価をされるというふうにも思っています。

 でも、一方では、やはり、この紛争審査会の内田会長は、指針を見直すか現時点ではブランク、空白と語った。委員からは、指針を見直さない場合、被害者が訴訟に向かい、迅速な解決が阻害されるという意見もあったということでありまして、その判断が先送りされれば被害救済が停滞するおそれはあるのではないかということです。

 見直しをするのかどうかということのその判断、もう間違いなく、各地から、各団体からも要望がありますから、見直しをすべきなんです。ですけれども、その議論というのがやはり停滞していくというおそれがあるので、できるだけ早く方向性を示すべきではないかと思いますが、そのスケジュールを明確にしていただきたいと思いますが、高橋政務官、いかがでしょうか。

高橋大臣政務官 御答弁を申し上げます。

 東電の福島原発事故に伴う七件の集団訴訟に関し、最高裁判所が東電の上訴を認めず、これにより、東電の損害賠償額に係る部分の判決が確定したと承知をいたしております。これらの確定した判決においては、賠償すべき損害の範囲、項目又は金額等について、それぞれの考え方で異なっているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、ただいま議員も御指摘ございましたとおり、四月二十七日に第五十六回の原子力損害賠償紛争審査会を開催をいたしまして、判決確定を踏まえた今後の対応について議論が行われたところであり、中間指針の見直し等も含めた対応の要否の検討に当たり、今後、専門委員を任命をし、一定程度の時間をかけて、各判決の詳細な調査、分析を行うこととされたところでございます。

 中間指針の見直し等を含めた対応の要否につきましては、こうした専門委員による各判決等の詳細な調査、分析の結果を踏まえ、引き続き当審査会において御議論をいただくものと考えているところでございます。

 以上でございます。

金子(恵)委員 夏までには中間報告、でも、その後のやはり動きというのをあらあら決定しておかないといけないんじゃないかというふうに思うんです。どのように議論を運んでいくかということですね。そのことについてはどうですか、政務官。

高橋大臣政務官 お答えを申し上げます。

 そもそも、中間指針等というものでございますが、東電福島原発事故による被害の規模や範囲が未曽有なものであることを踏まえまして、可能な限り早期の被害者救済を図る観点から、類型化が可能で一律に賠償すべき損害の範囲や損害項目の目安を示したものでございます。

 中間指針等に明記されていない損害につきましても、個別具体的な事情に応じて賠償の対象となり得ることが明示されているところでございまして、現にそのような前例も存在をしているところでございます。そうした中で、指針の目安を上回る判決が示されることは、指針策定当初から想定されていたものと考えるところであります。

 今般確定をいたしました七つの判決におきましては、賠償すべき損害の範囲、項目又は金額等についてそれぞれ異なっている、先ほど御答弁申し上げたとおりでございますので、四月二十七日に開催されました審査会において、一定の期間をかけて、任命をいたします専門委員の方々に詳細な調査、分析を行っていただくということであります。

 そして、今議員が御指摘の判断の時期も含めて、当審査会において御議論をいただくものと考えているところであります。

 以上でございます。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 私は、福島県民です。高橋政務官にも、苦しんでいる人たちがいるという、そのことについての同じ認識を持っていただきたかったというふうに思いますし、そうであると願っておりますけれども、ただ、なかなか、今後のスケジュールについては御答弁をいただけなかったわけです。

 今後、ALPS処理水の海洋放出の問題もありますし、新しい類型化ということが必要になってくる可能性もあるというふうに私は思っていますし、見直しは間違いなく必要だと。今の段階では見直しをするかどうかも明らかにされていないわけですから、私は、こういう状況が続いているというのは、福島県民、本当に苦しんでいる方々にとっては不安感を助長することになるのではないかというふうに思っています。是非、誠実な対応を今後もお願いしたいというふうに思います。

 高橋政務官にはここまでとさせていただきますので、御退席いただいても構いません。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 それでは、次の質問に入らせていただきたいというふうに思います。

 西銘復興大臣に私は三月にも伺いました。この委員会の中で、避難者数、正確な把握をしなくてはいけないのではないかということを申し上げさせていただきまして、現段階では、恐らく調査中、まだ調査中なんだというふうに思いますが、そのときの委員会での質疑は、令和三年三月、復興庁と福島県が避難者数の正確な把握のために県外に避難した約一万二千世帯に適切な届出を呼びかける文書を郵送したところ、四十一都道府県の三千八百七十七世帯分が宛先不明で返ってきたと報じられたと。西銘大臣からはこのときに、復興庁では、令和三年九月、該当する自治体へ、令和四年三月までの所在確認を四十一都道府県に依頼したところでありますという御答弁をいただいたんです。

 もう三月末は過ぎていますので、その後どういう結果となったかということをお伺いしたいということと、これがきちんと本当に出ているのかどうか。

 ちょっとレクを受けましたけれども、なかなか、現段階でもまだ調査中なのかもしれませんけれども、鋭意努力をされていることだと思いますが、やはりこちらからその実態の正確な把握のために具体的な取組というのをしていかなくてはいけないのではないかというふうに思っておりまして、三月のときの西銘復興大臣の答弁では、復興庁のホームページやSNSを活用するなどして、引き続き避難者に対して適切な届出を呼びかけてまいりたいと考えておりますというふうにも言っていました。でも、私は、これはやはり不十分だというふうに思いますし、より踏み込んだ対応と取組が必要ではないかというふうに思っています。

 また、さらには、しっかりとした把握をしていくことによって県外避難者の方々に対する支援を継続することができるわけで、子ども・被災者支援法に基づいての支援も更に必要でしょうし、ここのところ基本方針が改定されていないわけですけれども、これについてもしっかりと進めなくてはいけないのではないかと思います。

 復興大臣の所見を伺いたいと思います。

西銘国務大臣 金子委員御指摘のように、令和三年三月の福島県からの照会に対しては、御指摘のとおり、約三千九百通ぐらい、三二%が不達で戻ってきております。

 これを受けまして、復興庁では、令和四年の四月上旬、照会した四十一都道府県全てからの報告を受けまして、現在、集計作業中であります。

 自治体からの避難者数の報告に当たっては、平素より、把握した最新の状況を御報告いただくよう依頼をしております。所在確認の結果は、順次、公表人数に反映をされております。

 実態の正確な把握のためには適切な届出が必要であり、この三月には、平素の呼びかけに加え、委員御指摘の政府広報によるバナー広告を実施しております。

 一方で、避難者の生活実態につきましては、生活再建支援拠点、全国に二十六か所ありますが、そこを通じて避難者の生活の状況を把握しているほか、私自身も、東京都の近郊あるいは沖縄県に避難されている方の意見をじかにお聞きをいたしました。その状況を把握しております。

 復興庁としては、東日本大震災から十一年が経過し、避難生活の長期化に伴って被災者の状況が多様化していることから、それぞれの状況に応じた支援を行うことは重要であると認識をしております。これを踏まえまして、被災者支援総合交付金を通じて、生活再建支援拠点による支援、さらに、被災者の生きがいをつくるための心の復興事業等の支援を行っているところであります。

 引き続き、被災者に寄り添った、きめ細かい支援に努めてまいりたいと考えております。

伊藤委員長 高橋文部科学大臣政務官、どうぞ御退席をいただいて結構です。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 全て、今回の法案審議においてやはり前提となるのは、避難者の方々への支援の継続、そして、先ほども申し上げました、山積する課題にしっかり取り組んでいく、こういうことですので、私は人を中心とした復興をしっかりとやっていきたいという思いがありますので、質問させていただきました。更によろしくお願いしたいと思います。

 そこで、大変お疲れになっていらっしゃる西銘復興大臣には、五月一日から六日までドイツとフランスを訪問されたということでありまして、その出張について、海外視察について質問をさせていただきたいと思います。

 昨日、私、復興庁の方から報告も受けました。目的は、被災地産品の輸入規制解除に向けた働きかけを行うため、そして福島国際研究教育機構の設立準備に当たり必要な知見を得るためというふうなことで説明を受けましたけれども、今回のドイツ、フランス訪問の目的とその成果を、どのような成果があったと大臣御自身が考えられるかということを、改めて大臣から御報告をいただきたいと思います。お願いいたします。

西銘国務大臣 五月の一日から六日にかけまして、福島国際研究教育機構の設立及び被災地産品の輸入規制解除を呼びかけるために、ドイツ及びフランスに出張してまいりました。

 応用研究に関して世界有数の研究機関であるドイツのフラウンホーファー研究所では、新たなまちづくりプロジェクトやロボット・デジタル化技術、バイオ技術などに関する官民共同での研究状況の紹介等をいただきました。また、ハイデルベルク大学の医学部、そして欧州委員会カールスルーエ共同研究センターでは、放射線科学、創薬医療分野の最先端の研究内容の状況や研究体制、国際的な協力関係、将来展望等について意見交換を行うことができました。

 そのほか、フランスの原子力・代替エネルギー庁、CEAといいますけれども、及び国立の農業・食料・環境研究所、またOECDの原子力機関、NEA等を訪問し、今後の新たに設立される機構との連携可能性等について意見交換を行いました。

 また、輸入規制解除の関係では、欧州連合の保健衛生・食品安全担当の欧州委員、大臣に相当するというイメージでよろしいと思いますが、及び農業担当の欧州委員と会談をし、日本産食品に対する放射性物質に係る輸入規制について、撤廃の働きかけを行いました。

 また、欧州議会議員やOECD・NEA、フランス農業・食料・環境研究所の訪問に際しても、日本産の輸入規制撤廃への協力を依頼したところであります。あわせて、ALPS処理水の海洋放出についても、安全性等についてしっかり説明をいたしました。

 以上を通じまして、福島国際研究教育機構の整備に向けて必要な知見や情報を収集し、被災地産品に対する輸入規制解除のための効果的な働きかけを行うことができたと考えております。

 一日が移動日で、二日から五日の午前中まで目いっぱい面会をしまして、機構に関する件、あるいは輸入規制解除の件の話合いをしましたけれども、私自身にとっても非常に充実した視察であったなと思っております。

 特に印象に残りますのは、ハイデルベルク大学の医学部の訪問の先で、放射線のアルファ線を使った説明等の中で、かなり転移している患者さんのレントゲンの写真等、説明を受けながら、それが消えていったといいますか、そういう実例等の説明等を受けたりしまして、当初、アルファ線治療といってもなかなかイメージができなかったのでありますけれども、お話を聞く中で、これからつくっていく機構についても連携が取れたらというようなイメージが自分なりにできた感じはいたします。

 以上です。

金子(恵)委員 大臣、肌で感じていただいているんだと思うんですが、ただ、フラウンホーファー、行っていただいて、このフラウンホーファー研究機構は、三万人のスタッフを抱えていて、ドイツ全土に七十五か所の研究所を持つという本当に巨大な研究機構ですね。ここから何を学んできたのかなと。

 私は、実は期待をしていたのが、基本構想のポンチ絵にあります世界初のガントリー式超大型エックス線CT装置、これをこのドイツ・フラウンホーファーは開発をしてきて、研究もしてきているので、このことについても学ばれてきたのか、何か見てこられたのかと思いましたら、そうではなかったというようなことで。中身については広くだとは思いますが。

 実は、フラウンホーファーは日本代表部も日本国内にありますので、そこで学ばれることもあるんだと思うんです。行って、改めて、よかったと思われているということを明確に私たちも知りたいわけです。そこを一点お聞かせいただければというふうに思います。

西銘国務大臣 フラウンホーファーについては、委員御指摘の、東京にある、私の記憶に間違いなければ三木さんという方の紹介で今般の日程もアレンジしてもらったと聞いておりますが、フラウンホーファーは、御案内のように、産業や社会の利益となる応用研究をする機関で、ドイツ全体で七十五か所ぐらい連携している、あるいは御案内のように三万人ぐらいの研究員がいる、もうすごいところだなという思いで話を聞いてまいりました。

 今回の視察では、ロボットやバイオ技術に関する研究の現場を実際に確認をし、また、研究所長さんとは、大学との連携の在り方がどうなっているのか、あるいはフラウンホーファーの理念や役割等について直接に意見交換をしたりしました。今後、継続的な情報交換や新しく設立される機構との連携の検討についても、積極的に窓口となるとの意向をいただいたことは大変ありがたかったと思っております。

 このように、フラウンホーファー研究機構とは研究所全体の在り方のモデルの一つとして理解を深めたところであり、今後の新機構の具体化や運営等に当たって、今回の視察の成果を生かしてまいりたいと思っております。

 金子委員御指摘の大型エックスCTの件につきましては、今回の視察ではシュツットガルトに行きまして、その施設は何かちょっとミュンヘンの方にあって今回訪ねることはできませんでした。機構の研究、運営等の在り方について分かりやすく、また全体の視察行程とのバランスが取れた視察先として、シュツットガルトにある三つの研究所をまとめて訪問することとしたところであります。

 今回の視察をしっかり生かして、機構設立に向かって取り組んでいかなければならないと強く感じたところです。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 ハイデルベルク大学病院核医学科では、アルファ線による新しいがんの診療、治療法に関する研究を行っているということですので、その視察をされたということですが、これは福島県立医科大学でも先端臨床研究センターでこれまでも研究がされているので、そことの連携というものがされることだというふうに期待もしています。

 ただ一方で、この基本構想のポンチ絵では、アルファ線放出核種により前立腺がんが消滅というところが出ているんですけれども、実際には、RI内用療法、アルファ線を使ったもの、バセドー病、分化型甲状腺がんに適用されると言われているわけで、あえてこの甲状腺がん、福島の子供たちが苦しんでいるという状況ですけれども、これを言わなかった理由というのが何かあるのかなというふうに、私は何かそういう見方もしています。いずれにしても、がん治療をするということは、この研究というのはいいことではあるので、是非進めていただきたいと思います。

 最後になりますが、まちづくりの件でお伺いしたいと思います。

 これまでも、この機構をつくるんだったらしっかりとまちづくりをしなくちゃいけない、周辺環境整備をしなくてはいけないということで、本会議でも私はスケジュールを聞きました。でも、具体的なことは出てこなかったということが一点。

 具体的なスケジュールとか支援策をしっかりと考えていかなきゃいけないということと、やはりいろいろな研究者が来るわけですから、安心して研究ができるような環境をつくるために、コンベンション施設とか、5G等の情報通信基盤とか、基幹となる広域的な交通インフラ等のほか、海外の研究者の方々が安心して生活できる住宅とか、御家族のためのインターナショナルスクール等の整備が必要なわけです。

 これをするのにまさか福島再生加速化交付金だけということではないとは思うんですが、そのことも含めて、スケジュール、支援策、そしてまた財源確保をどう考えているか、最後にお聞かせいただきたいと思います。

西銘国務大臣 御指摘の点は極めて重要な点だと認識をしております。国内外から様々な優秀な人材を集めるときに、住まいや教育、子育て、医療を始めとする生活環境の充実が重要であります。まちづくりと緊密に連携する必要があることを認識をしております。

 福島県においても、研究者が安心して研究や教育活動に打ち込めるように、そして、福島イノベーション・コースト構想の効果が最大化できるように、広域的な視点に立って候補地を選定する考えであると聞いております。

 周辺の自治体の取組が主体とはなりますけれども、国としては、地元の意向を最大限に尊重し、その取組と緊密に連携を図りつつ、機構の施設整備を進めてまいりたいと思っております。しっかりと周辺のまちづくりについても地元市町村と連携をしながら、国ができることをしっかり支援して、この機構設立に向かった周辺環境の整備も整えていかなければならないと認識をしております。

 以上です。

金子(恵)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、地元の自治体と連携ではなくて、国が前面に出てしっかりとこのまちづくりもしていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 一谷勇一郎君。

一谷委員 皆さん、おはようございます。日本維新の会の一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 私の地元は、神戸のど真ん中、本当に、震災を受けて復興をしてきました。我々、震災後に、神戸を復興させるということで、医療産業都市にしようというところでやってまいりました。現在、ポートアイランド、医療が集積しているところには、三百七十の企業、団体が集積をし、何と一万二千人の方々が働いてくださっております。私も近くに事務所がありますのでよく行くんですが、非常に活気があふれておりますし、iPS細胞、目の基礎研究もようやく終えて、目の再生というふうなところで、大変夢があるなというふうな思いで、東日本の大震災の復興にこの福島国際研究機構が生きていくということを込めて質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、復興庁政府参考人の方にお伺いさせていただきたいと思います。

 福島国際研究教育機構の前身である福島イノベーション・コースト構想ですが、実機導入、技術、そして開発製品、特に特許申請を含めて、どういった成果が出ているのか、これをちょっと具体的にお伺いできたらと思います。よろしくお願いします。

由良政府参考人 お答え申し上げます。

 福島イノベーション・コースト構想の取組として、福島ロボットテストフィールドや福島水素エネルギー研究フィールドといった拠点施設を活用するなど、福島浜通り地域等における新たなチャレンジへの支援を行っております。

 具体的な成果の例を幾つか挙げますと、福島ロボットテストフィールドにおいて、昨年十月に国際的なロボット競技大会の、ワールドロボットサミットと呼んでおりましたけれども、一部競技が開催され、地元南相馬市の企業が集まったチームが災害対応の種目で準優勝を獲得しましたり、福島ロボットテストフィールドに入居して災害対応の無人航空機を開発していた企業がステップアップして、隣接する工業団地に新工場をオープンしたり、あるいは、福島水素エネルギー研究フィールドにおいて製造された水素が東京オリンピック・パラリンピックにおいて聖火や燃料電池自動車の燃料として活用されるなど、産業集積の芽となる様々な成果が上がっているというふうに認識をいたしております。

一谷委員 今いろいろな成果をお伺いさせていただいたんですけれども、この経済効果というものは上がっているんでしょうか。実際、製品になって世界に出ていくというか、世界のすごい輝きを持った商品になって業績が上がっていっているのかというところ、もしあればお伺いできたらと思いますけれども、ありますか。お願いします。

由良政府参考人 失礼いたします。

 福島イノベーション・コースト構想に基づく取組の中で、例えば、企業立地補助金などの支援も行っております。そうしたものの成果として、実証実験の件数が七百八十五件実施できておりましたり、浜通り地域における累積の企業立地件数が三百九十七件といった実績が出ております。

 こういった取組を通じて、地域の経済への効果を発揮していきたいというふうに考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 やはり、一企業では世界に製品を売っていくというのはなかなか難しいと思いますので、この機構になって、国の力もおかりして、民間企業の方の世界進出というところを後押ししていっていただけたらこの機構が生きてくるのではないかなというふうに考えますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 続きまして、トリチウムの除去の研究についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 実は、私も今、近大の通信学生なんですが、近大の工学部の井原教授と先日少しお話をさせていただきますと、近大の研究で、トリチウムの除去が少しできるようになっていると。ただ、しかし、まだまだ少量のトリチウム水の除去しかできないということと、これには物すごいコストがやはりかかってしまうということをお聞きいたしました。

 ただ、海洋放水をしていく中で、トリチウムを少しでも減らして、もちろん、今安全なところまで薄められて海洋放水されると思うんですが、できる限りトリチウムの量を減らしてから海洋放水をするというようなことも考えとしては重要ではないかなと思うんですが、経済産業省の参考人の方にお伺いできたらと思います。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 昨年四月に決定をいたしましたALPS処理水の処分に係る基本方針では、処理水に含まれるトリチウムについて、今御指摘がございましたけれども、海洋放出が認められる規制基準値の四十分の一以下まで希釈することとしております。この対応は、周辺の安全確保を徹底した上で、さらに、現在海洋に放出しているサブドレーンや地下水ドレーンなどの水と同程度のトリチウム濃度まで希釈をして従来と変わらない状況とすることで、風評を抑制する趣旨で行っています。

 また、トリチウム分離技術でございますけれども、経済産業省におきまして、過去に三十億円の予算をつけまして複数の技術の実証実験を行いました。いずれも、データの精度や再現性あるいは分離能力等に課題がありまして、直ちに実用可能なものではないと評価をされております。こうした評価については、国際機関のIAEAも同様の見解を示しています。

 その上ででございますけれども、仮に技術が実用化されれば風評の更なる抑制につながる可能性があると認識をしておりまして、最新の技術動向を注視してきたところでございます。

 現在、東京電力におきまして、トリチウム分離技術に関して公募が行われているところでございまして、昨年三月に、将来的に実用化に向けた要件を満たす可能性のある十一の技術が選定されております。これらの技術につきましても、残念ながら、いずれも直ちに実用化できる段階にはないというのが現状でございますが、今後、これらの技術の提案者を対象に、技術や実証データの精度あるいは信頼性を高めるとともに、実用化に向けた課題やその解決方法を特定するための検討を行うことを目的としたフィージビリティースタディーを実施する予定としております。

 政府としては、引き続き、最新の技術動向を注視しつつ、実際に実用可能な技術が得られた場合には、積極的に活用することも検討していきたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 今、十一件とお聞きしたんですが、私もそのようにお聞きしていて、やはり技術は日進月歩で進んでいくと思いますので、海洋放水もしなければならないですけれども、その途中途中でも新技術を入れていっていただくということができれば、大変これは世界にも有効なことではないかなというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 それでは次は、福島国際研究教育機構について、その組織体制についてお伺いをしたいと思っております。

 これは復興庁政府参考人の方にお伺いしたいんですが、機構ですが、福島イノベーション・コースト構想の統廃合で終わらせないために、どういった人員も含めた組織体制を考えておられるかということをお聞きしたいんです。

 実は、我々神戸の医療の集積地も大変すばらしい成果を上げ、企業も集まり、人も集まってくださっているんですが、神戸の住民の方々というのは、実は、医療産業都市が神戸だということを知らない方が本当に多いんですよ。私も日々日々、町を歩いていて、えっ、神戸って医療産業都市だったんですかというふうに言われるんですね。

 ですから、例えば、私は自らの政治課題として、次の、コロナの終わった後のインバウンドに医療ツーリズムを是非神戸で特区でやれたらなというふうに考えているんですが、なかなかそういったことが、神戸の住民の方に理解を得ていただけないようなことになっています。

 ですから、そういった機構の次のことも考えて、人員配置と、あと組織体制、こういったことについてお伺いをさせていただきます。

林(俊)政府参考人 お答えをいたします。

 本法案で提案をさせていただいております福島国際研究教育機構につきましては、国内外から優秀な研究者に参画をしていただく、そういった研究環境の下で、新たに技術、手法を融合させ、ロボットや放射線科学、創薬医療等の分野において新たな研究開発等に取り組むことを目指すこととしております。

 加えて、研究職等につきましては、先例にとらわれず、若手や女性の積極的な登用を図り、将来性のある若手、女性研究者が活躍しやすい、魅力ある研究環境の整備を図っていくこととしております。

 また、機構につきましては、分野横断的に、融合的に研究開発を行うことに加えまして、研究開発以外にも、産業化や人材育成といった幅広い業務を行うことにしておりますので、こうしたことを的確に推進するためにも、外部有識者によるアドバイザー体制を設ける、こういったことも基本構想の中で示させていただいておるところでございます。

 委員御指摘のとおり、実は、地元福島県からも、これまで既存の施設で行ってきた研究の延長であるとか寄せ集めにとどまることなく、新拠点で初めて取り組む目玉となるような研究内容を打ち出してほしいということの御意見もいただいておりまして、このような取組を通じまして、地元にも喜んでいただけるような組織となるように努めてまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 外部の方の意見もということをお聞きしましたので、本当に神戸は、川崎重工さんとシスメックスさんという異業種が合体してヒノトリを作っておられたり、「富岳」もありますので、是非、災害を受けながら復興していくというところで連携もしていただけたらと思います。

 先ほど、人材の確保というところなんですが、この委員会のお話を聞いていると、なかなか、やはりトップのスター的な研究者の方にこの機構に来ていただくというのは、人材の面からも、また待遇の面からも少し難しいように私は感じております。

 ですので、ここは思い切って、それはもちろん、そういうスター選手が来てくださることによって、機構の名前が世界に広がって、それを目指して有望な研究者の方々も来られると思うんですが、機構自体を若手の方々が活躍できるような研究所にしてしまう。

 例えば、これは語弊があってはいけないんですけれども、後進国の方の中にも大変優秀な方もいらっしゃいまして、今は少し難しいですが、私は民間のときに、実は、ミャンマーから大変優秀な方が日本に来られて、研究をしたいというふうなお伺いもして、来たこともあります。

 ですから、そういった方々が働ける、研究できるような場所にしていくことも重要ではないかなというふうに考えますし、先ほど、女性というお話もあったんですが、私、ある一定、障害をお持ちの方も、違う視点でいろいろな商品開発であったりとか能力を発揮していただけると思いますので、そういった視点での人材の確保ということについて、御意見を少しお伺いできたらと思います。

林(俊)政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、機構の研究者等につきましては、やはり将来性のある有望な研究者を国内外から広く募っていくことが大事だというふうに考えております。

 このために、研究職の処遇につきましても、特に国際レベルの研究者については、それに応じた処遇ができるように、法律上の処遇の基準の中にもそうした規定を盛り込まさせていただいております。

 また、海外から有望な研究者を招聘をするという観点につきましても、現在御議論をいただいております法案の中におきまして、機構の業務の一つとして、海外から新産業創出等研究開発に関します研究者を招聘することそのものも規定をさせていただいております。

 その上で、こうした有望な研究者の方にお集まりいただくという上では、やはり住まいですとか教育、子育て、医療といった御家族の方を始めとする生活環境の充実というのも重要でありまして、地元の福島県や市町村で取り組まれるまちづくりと緊密に連携をさせていただいて、今後、機構の施設整備に取り組んでまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 ですので、私のお話ししたいことは、トップのすごい有望な方を無理やりというふうなところは少し変えて、世代も変わってきまして、給与よりもやはり待遇、働きやすい、また、日本の国に憧れて来てくださるような研究者の方も集めていただけたらなと思いますし、研究者の方だけではなくて、研究者の方はやはり研究をしたいというふうに思われると思うので、商品化するとか組織のマネジメントというところにいくと、やはりその人たちを統括するようなゼネラリストの方も必要だと思いますし、私はそういった経営を担っていく方の方が重要じゃないかなというふうに思いますので、そこのバランスを、私も今まで大学でいろいろ研究しましたが、バランスが悪いとなかなか商品化、産業化できないということを経験していますので、少しお考えいただけたらなと思います。

 続きまして、知的財産について御質問をさせていただきます。これも復興庁の政府参考人の方にお願いをいたします。

 機構が今後持つであろう知的財産をどのように保護されていくかということについて、お伺いをさせていただきます。

由良政府参考人 お答え申し上げます。

 研究開発の成果を積極的に実用化や新産業創出につなげていくことは、福島を始め東北の復興に結びつけるために重要でございます。

 公的資金を用いて行う研究開発の成果は、特許出願やノウハウ管理を通じて適切に管理を行うこと、新産業創出につなげていくためにしっかりした管理を行うことが重要と考えております。また、実用化に取り組む事業者には、例えば実施権契約を結ぶなど、その円滑な実施を可能とすることも重要でございます。

 こうした知財管理の観点から、機構に専門人材の確保をするとともに、仕組みの構築等を図り、戦略的に知的財産の取得、保護を行うこととしてまいりたいと考えております。

一谷委員 今、特許というお話が出ましたので、復興大臣に御質問をさせていただけたらと思います。

 機構が関わった研究開発、これも、福島イノベーション・コースト構想の民間企業も含めて、経済安保の視点、この国会でも経済安全保障推進法案がまだ議論されていますが、やはり、機微な研究に対しては、その情報をどのように流出防止していくかということもあります。そういった観点から、大臣の特許についてのお考えをお聞かせいただけたらと思います。お願いいたします。

西銘国務大臣 知財について、また御懸念の経済安全保障について、今国会で審議中ではありますが、この法案の中で関連の規定が置かれているほか、外為法においても適切な措置を講じていく必要があるものと承知をしております。機構がそうした分野の研究を行う際には、経済安全保障を踏まえ、法令による適切な管理の下で行ってまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、この新しく設立される機構の研究開発によって取得された知的財産、知財については、更なる開発促進や産業化に寄与するように、知財の事業化や流通についても促進してまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 経済安保の視点からいきますと、特許を取ったのになかなか製品ができないというようなところで、民間企業でしたら大変困ることもあると思いますので、ここは機構の方でしっかりコントロールをしていただけたらと思います。

 また、機構はベンチャーに支援をされるというふうにお伺いしておるんですけれども、そういったベンチャー企業は、海外の会社に買収されたりとかMアンドAされたりしてしまった場合に、やはりこれも情報の流出ということになると思いますが、そういったところを、最後、どのようにしてこの流出を止めていくのかというところを、復興庁の政府参考人の方にお伺いをさせていただきます。

林(俊)政府参考人 お答えをいたします。

 機構において行います研究開発の成果につきましては、実用化や新たな産業の創出につなげていくことが重要でありまして、その際に、民間の能力や資金を活用することも重要だと考えております。

 このため、本法案におきましては、機構について、新たな産業の創出等に資する研究開発の成果の活用を促進する事業の実施者に対しまして、出資等を行うことができる規定を設けております。

 一方で、委員御指摘のとおり、無制限に出資が行われ、研究開発成果が海外に流出するということも懸念をされるところでありますので、この出資については、機構が出資を行う際に主務大臣の認可を受けるということにさせていただいております。

 このような仕組みに基づきまして、機構の研究開発成果の海外流出などについても適切に管理監督してまいりたいと考えております。

一谷委員 ありがとうございます。

 やはり、この研究開発というのは日本の中で最先端を走っていかれると思いますので、十分国の国益を守っていただきたいと思います。

 また、神戸は二十年間、二十年先行しておりますので、我々神戸出身の議員もしっかり頑張っていきますので、復興にこの機構が役立つように頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日の質問、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

須藤政府参考人 大変失礼しました。

 私、先ほど、東京電力の分離技術の公募で十一件選定されたということでお話ししたときに、昨年の三月と申し上げてしまいました。正しくは、今年の三月でございます。

 おわびして、訂正を申し上げます。申し訳ありませんでした。

一谷委員 ありがとうございました。

伊藤委員長 空本誠喜君。

空本委員 おはようございます。日本維新の会の空本誠喜でございます。

 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 お手元に資料を一枚配付させていただいております。こちらには大学院構想ということを書いておりまして、表裏になっておりますので、後ほど御確認をお願いいたします。

 本日は、改正法案について、福島国際研究教育機構の在り方について、先ほど来質問されておりますけれども、より深く質問させていただきたいと思います。

 また、先ほど同僚の一谷議員の方から、イノベーション・コースト、こういったものの中間的な総括やまた具体的成果とか、そして、これから機構を立ち上げるに当たって組織、施設、人材、こういったものが寄せ集めになるのではないかということについて危惧を表明し、それについて御質問させていただいております。

 やはり一番必要なのは人材でありまして、どういう若い研究者を集めるか、こういったことが一番重要となるかと思います。

 その中で、今回の広告塔たるものとは何なんでしょうか。全く見えないんですよ。寄せ集め的なものを集めて、今つくる。福島につくるのは大切であります。福島の復興という観点からも大事なんですが、広告塔たるものが見えない。残念です、今。

 今日はその広告塔たるものを是非とも提案させていただき、西銘大臣始め政府、岸田政権の中で、野党でありますが、与党、野党関係なく一致して立ち上げていただきたい。その広告塔となるものを今日は提案をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 その中で、四年制、三年制の理工系の大学の学生さんがここに来て研究したいとか、また、先ほど海外から研究者を招聘するというようなお話をいただきましたが、本当にそこで招聘するなら、やはり大学院構想的なものが必要なのかなと思っておるんです。後ほどそれについてはお話しするんですが。

 復興庁の方からいただいた資料、先ほども委員の方からこういう基本構想について質問がありましたけれども、その中で、我が国の科学技術、産業競争力の強化を牽引と大きく銘打っておりますが、実際にどのような科学技術を牽引するのか、また、どのような産業を強く牽引していくのか、大臣の方から明確な御説明をまずお願いいたします。

西銘国務大臣 この機構では、世界最先端の研究開発を実現するため、福島の優位性が発揮できる五つの分野を基本として研究を推進することとしております。

 具体的に申しますと、例えばロボットの分野では、廃炉作業の着実な推進を支え、災害現場等で過酷な環境の下、人手不足の産業現場等でも対応が可能な遠隔操作ロボットやドローンの開発、私も現場で相当アームの長い、廃炉の中に入ってサンプルを取り出すロボットも見させていただきましたが、そういうものや、あるいは放射線科学、創薬の医療分野では、先ほどもお話しいたしましたが、放射性同位元素、いわゆるRIの先端的な医療利用や創薬の技術開発等につながるアルファ線放出核種等を用いたがんの治療、新たな医薬品の開発などを進めてまいる予定であります。

 このように、こうした研究開発等を通じて我が国の科学技術力の強化を牽引し、また、イノベーションの創出によって産業構造を変革させることを通じて、我が国全体の産業競争力を世界の最高水準に引き上げてまいりたいと考えております。

空本委員 大臣、ありがとうございます。

 今いただいた内容は、資料として復興庁の皆さんから、事務方からいただいた資料を基に御発言されたと思うんですが、この内容はやはりまだ足りないんですよ。これでは、理工系の学生が、わざわざ福島、そして南相馬か浪江か、またいわきか、こういった地域で活動しようと思っても、もう少しモチベーションをいただきたい。やはりそういうふうなモチベーションのある研究機構、教育もあり、研究もするというものじゃなくてはいけないと思っております。

 まだ、この中の内容を聞きますと、大学の先生が、こういう研究をしたらどうだ、そういう外部有識者の方々の御意見もありがたいんですが、全体を俯瞰しながら作ったような感じはしないんですね。今あるものをそのまま持ってきて、それを組み合わせてやったらこうなるんじゃないかなという感が否めないというところでございます。

 そういった意味で、ここにやはり、海外からも含めて、より精力的に活発に活動していただく、研究していただく方々を絶対集めなきゃいけない。そういう機関を、機構を絶対つくっていただきたいです。

 私も技術者出身で、原子力をやってきました。学生時代、実は、お手元の今日配付した資料の裏側に、私、大学院時代にやった研究内容を書かせていただいています。ちょうど一九九〇年前後に博士課程、修士から博士、その中で、東大の中で、原子力開発の中で、放射線、そしてその時代、ちょうど光ファイバーとかレーザーとかみんな興味を持って、光通信が始まった直後ぐらいで、これからどんどん光通信も高度化するだろう、そういう中で、放射線と光センシング、光ファイバー、光レーザー、こういったものを組み合わせながら何か新しい技術開発はできないかなということで、私の指導教官の東大の中沢先生という方と相談しながら、空本君、ちょっと変わっているから、こういうのをやったらどうだということをいろいろ御指導いただきながらやったんです。

 ここが面白かったのは、多分御存じだと。光というのは、やはりこれからの技術、量子工学、量子力学、これはまだまだこれから、半導体も量子半導体になっていきます。そういった意味で、放射線、原子力とそういったものを組み合わせるような技術というのはまだまだこれから続く。

 私の大学時代、もう古い研究ではありますが、ちょうど今回の福島原発事故において、ありがたいか悲しいかでございますが、福島県の汚染水のタンク、このリークモニター、どこが漏れているかとか、また、福島県内に池とか湖沼がたくさんあります。そういったところでセシウムが吸着し、そして底部にたまっている。そういったところで、どういうところが、湖沼で、池の中で汚染がひどいかな、どこにこういうセシウムの付着した泥とか土とかこういったものがついているかな、そういったものを、ちょうどJAEAさんが、私と一緒に研究開発していただいた方なので、是非これもやりたいということで実機で使っていただいたり、また、現場で、福島県の池、沼、こういったところで測って、こういうふうに今環境はありますよというのをやっていただきました。

 少しそういうふうに、先ほど一谷議員の方からも、本当に使ってもらえるものじゃなきゃいけないというのと、プラス、学生さんがみんな、これは面白いな、わくわくするなというようなものを持ってきてもらわなきゃいけないというものをやはりつくっていただきたいと思っています。

 そこで、私の方から、今、この研究機構なんですが、例えば沖縄に、恩納村に、科学技術大学院大学、ここは基礎研究をされていらっしゃいます。これも自民党さんがしっかりとつくられたということは存じておりますが、この大学院大学、とても国際的ですばらしいと評価も国際的に高いです。今回つくるところにこういう大学院をつくってやるべきだと思うんですが、今回つくる機構とこういう沖縄の科学技術の大学院大学、何を研究して、何を違う研究をするのか。基礎研究ですので、福島のは応用研究でもいいんですよね。また、実機適用、現場で使ってもらえるようなものじゃないといけないかもしれません。

 そういった意味で、この機構でテーマとする研究課題と、また沖縄で基礎研究をやっているOIST、ここでやっているものとの違いというのはどういうふうに見られていらっしゃいますか。大臣からお願いいたします。

林(俊)政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のOIST、沖縄科学技術大学院大学につきましては、沖縄の振興と自立的発展、そして世界の科学技術の発展に寄与することを目的としているというふうに承知をしております。

 このOISTの今後の展開について、一方で、沖縄振興への貢献について、沖縄の立地を最大限に生かした研究を行うことも重要であるとの指摘や、沖縄、ひいては我が国、世界が抱える課題を科学技術によって解決する結節点となっていくための取組が求められるといった指摘がなされていると承知をしております。

 こうしたことを踏まえまして、今回法案で提出をさせていただいております福島国際研究教育機構につきましては、研究開発自体も主たる業務の一つとして位置づけをさせていただいておりますけれども、あわせて、その研究成果の社会実装、産業化や人材育成についても業務として行うことによって、福島復興再生特別措置法の目的でもあります原子力災害からの福島の復興及び再生に貢献するということといたしております。

 また、機構については、国内外に誇れる研究開発を推進することとしておりまして、重なりますけれども、放射線科学や創薬医療の分野におきましては、RIに関する基礎基盤研究を軸として、医療、工業、農業等の多様な分野への応用を見据えた研究を想定をしておるところでございます。

 特に、この機構につきましては、研究が研究だけで終わることのないように、産学連携体制の構築等を通じまして、広く企業や関係機関を巻き込みながら、実用化や新産業創出に着実につなげることを目指していきたいと考えております。

空本委員 今のお答え、やはり官僚的なお答えだけで、少し何か味がないといいますか、申し訳ないんですが、もう少し味がある中身にしてお答えいただきたかったんですけれども。

 その前に一つ、このいただいた資料の中に、世界に冠たる創造的復興の中核拠点と記載されています。復興も大変大事なんですけれども、私、もう福島は次のステージに上がるべきじゃないかなと思っています。復興という言葉ではなくて、新産業、新技術を創造するような、それを目指す研究開発の中核拠点というふうに、復興という文字を、まあ復興庁さんがやられていらっしゃるので復興という文字は入っているんだと思いますが、そろそろ、復興じゃなくて、この福島につくる研究機構を、新しいステージの、新しい技術開発の研究拠点に変えるというような考え方に大きく転換すべきじゃないかなと思います。

 復興だったら、やはり私らも西日本豪雨災害を受けて、いろいろな災害を受けています。まだまだ復興中であります。東日本大震災も、これはもう史上まれに見るような災害でありましたので、この復興はまだまだかもしれませんが、やはり教育、研究、こういった観点から考えるなら、復興という文字を外して、世界に冠たる研究開発、教育機関、こういったものに切り替えていく。ちょっとここを、名前を復興庁さんの方も変えていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

西銘国務大臣 少しOISTに関する話を。

 OIST、ベスト・イン・ザ・ワールドという言葉がもう強力に、つくる段階からありまして、本当に、亡くなられた尾身先生の強力なリーダーシップでできた基礎研究の分野で、十年ぐらい経過してみますと、周辺のスタートアップ企業がまだ、五社ぐらいはできていると聞いておりますが、基礎研究の部分で、論文の発表はもう世界トップクラスに来ているんですが、スタートアップの分野はこれからかなと。OISTが我が国全体に貢献できる部分は、私自身のイメージは、周辺のスタートアップ企業ができてきて、我が国経済成長を引っ張っていくというふうになればいいなというふうに見ております。

 福島の、今先生の御指摘の点でございますけれども、私が最初に就任して福島の知事さんに挨拶に行ったときに、それぞれの地域でそれぞれの課題がある、それぞれ全て現在進行形であるという話、とにかく現場に寄り添いなさいということでありましたが、被災地域における復興再生は本当に中長期的な対応が必要だなということを痛感しております。

 こうしたことから、今般のこの機構は、原子力災害からの福島の復興及び再生に貢献するため、福島における新たな産業の創出及び産業の国際競争力の強化に資する研究開発等を行うこととしております。

 しかし、そうでありながらも、原子力災害からの復興再生を起点としながらも、同時に、世界共通の課題を解決する観点とか、あるいは世界に冠たる組織にしないといけないという点も備えておりますので、その辺は、地元に本当に喜ばれて、また我が国の科学技術力や人材育成や産業競争力にも貢献する、世界に冠たるものという点で少しOISTとダブるところはありますけれども、OISTはあくまでも大学院大学、こちらは人材育成やあるいは地域の課題を解決する世界に冠たる創造的復興の中核拠点を目指していかなければならないという下で、今般の法案の御審議をいただいているところでございます。

 お話を聞きながら、先生の知見も、すばらしい点はこの機構の中に生かしていけたらいいなという思いでお話を伺っておりました。

空本委員 大臣から前向きな御回答をいただき、ありがたいと思います。

 私が復興を取るべきじゃないかと言ったのは、次のステージに上がっていただく、福島がもうそういう輝く地域になるだろうということを見越してでありまして、やはりそういう点から復興という文字をそろそろ外すべきかなというふうに思っておりますので、その点も是非とも御理解いただきたいと思います。

 その中で、お手元にお配りしている資料、こちらでございます。

 先ほど、大臣の方から人材育成というお言葉をいただきました。人材育成するなら、高校生、小学生、中学生、こういった基礎教育の子供さんたち、また学生さんたちを教育するのも大事でありますが、やはり世界に冠たる研究機関を、教育機関をつくるというのなら、人材育成とするならば、やはり、大学を卒業して、これから大学院で博士号を取ろうじゃないかというような有望な方々に集まっていただく必要があると考えます。

 その際には、OISTのような大学院大学、これは科学技術系でもいいし、産業技術系でもいい。福島産業技術大学院大学、私がいろいろ仮称案を五つ書いております、科学技術大学院大学とか研究教育大学院大学とか国際研究とか未来創造とか、いろいろな名前がつけられるんですが、こういう大学院大学というものをここにつくって、福島大学、東北大学とか茨城大学、近県の大学のみならず全国の理工系の学生さん、私立又は国公立問わず全国からここに、大学院でドクターを取ろう、修士よりもドクターまで取ろうという意思のある方にここに集まっていただいて、そこで研究開発する。

 そういう広告塔的なものをというか魅力あるものを是非ここにつくっていただきたいんですが、これはちょっと簡単に、大臣、いかがですか、こういう発想に対して。

西銘国務大臣 ドイツのフラウンホーファー研究所の所長さんの説明を聞く中で、所長さん御自身が専門分野の大学の教授を兼ねているという話も聞きました。なるほど、大学の教授の職務を兼ねながらフラウンホーファーのあの所長さんもしているんだなということを実感することができたんですが。

 今、先生のお話は、福島国際研究教育機構の中で、例えば、ある大学で博士課程の勉強をしている学生さんがこちらに来た場合、どこかの大学の教授を兼ねていてもいいですけれども、そこでも、研究機構の中でも指導の立場にあって、そこで学んだことが資格、単位みたいな形で取れていって、博士課程を出すのは所属する大学かもしれませんけれども、単位としては、研究教育機構の中で学んだ分野も単位として認められていくという、ただ、機構そのものが大学院大学ではないものですからPhDとかは出せないんですけれども、学んだことは単位として認められて、クロスアポイントメントというんですか、そういう連携システムの中で先生御指摘のようなところもカバーできているのかなという、イメージしながら、お話を聞いておりました。

 機構は、それぞれ連携する大学、研究機関等との連携もありますので、現在の大学院で学んでいる博士課程、修士課程の人たちが来ても対応できるようなものになっていくのかなというイメージを持っております。

 機構そのものがPhDとか学位を与えるものではないんですけれども、連携をしていくという形で考えております。

空本委員 すごく分かるんですが、そこで学んで、そこで研究して単位を取っていく、そうなると、文部科学省さんの方の教育課程というような、そういったものがないとやはりまずいと思うんですよね。

 今日、文科省の方から政務官さん、来ていただいておりますので。

 実際、こういうところに沖縄のような科学技術大学をつくる、今大臣の方からはまだそこまでの段階に至っていないというふうなお話なんですけれども、やはり大学院大学をつくった方が私はいいんじゃないかと思うんですよ。そこに行って、教育課程もあり、そして研究もできて、一緒に学位を取っていけるような仕組み、そういったものを福島で実現することの方が、国際的にわくわくするんじゃないかな、学生さんが魅力的にやってくるんじゃないかなと。

 何もない、例えば福島大学の工学部で勉強した方が、ここに行って研究して、単位を取っている福島大学で卒業し、また大学院を出られる、これもいいんですが、やはりそういう、もう一個、ワンステージ上がったところで研究したよというものをあかしとして社会に出ていくというのもすごく魅力的なのかなというふうに思うんですね。

 そういった意味で、OISTのような大学院大学、これをつくるに当たって、なかなか簡単ではないと思うんですが、文部科学省として、こういったものはつくれないんでしょうか。いかがでしょうか。

鰐淵大臣政務官 お答えいたします。

 先ほどの大臣の御答弁と重なる点もございますけれども、福島国際研究教育機構では、世界最先端の研究開発の実現を目指すとともに、連携大学院制度を活用し、同機構の先端的な研究環境を生かした人材育成に積極的に取り組むことになっております。

 文部科学省としましては、こうした機構の取組に積極的に協力することを通じまして、福島における国際的な教育研究開発拠点の実現に貢献をしてまいりたいと考えております。

空本委員 文部科学省さんが協力いただけるということは分かるんですが、やはりそこで、課程でしっかり、教育の場である大学院大学というのが必要なんじゃないかな。

 今日のお配りしている資料ですね、今、復興庁さんからいただいた資料内容とか、そういったものを含めて、これを寄せ集めにならないように、機械系、電気系、農学系、生物系、化学系、物理系、そして電気電子、エレクトロニクス系、あと数学系、こういったいろいろなものを勉強できる、勉強もできますし、研究もできる、そして自分の能力はより高めることができるよというような、そういう、まあ大学なら学部・学科、大学院なら専攻とか研究科になると思うんですよ。

 今、こういうところでこういうものができますよ、ロボットがあります、農水関係もある、エネルギーもある、ラジエーション関係もある、またデータベースもありますよとおっしゃるんですが、そこに、目立つ研究科の名前、学科みたいな名前ですよね。例えば、ここに書いていますロボット・メカトロニクス研究科、ここだったら機械系と電気系の方がいらっしゃればいい。

 また、アグリ・バイオ科学研究科、こういったものをつくるとすると、農学系の方も来ていただける、生物系の方、化学系の方も来ていただけるじゃないですか。

 そして、エネルギー創成、私、原子力屋なものですからエネルギー中心ですが、物理、化学、材料、機械、電気、こういった系統の方々も来ていただける。

 さらに、ラジエーション、これは放射線でありますが、物理系もあり、化学系もあり、先ほど医薬、RIの医薬、こういったものの研究開発、こういったものをやっていただく。

 あと、もう一つ足りないのが、やはり光関係、半導体関係といった電子系ですね。エレクトロニクス系の方々がやはりここにはないかなというふうに考えます。

 水素、燃料電池とか、そういったものはあったり、蓄電池のターミナルといいますか、そういった研究拠点はあったりするんですが、まだまだ足りない。

 あと、復興庁さんからいただいた資料の中で、原子力災害に関するデータや知見の集積、発信等、こういったものをデータベース化し、ここで研究開発したものといいますか、データ分析したものをいろいろまた研究展開していくというふうにお聞きしたんですが、そこには、情報データ、こういったものの計算科学的なものが入ってきますので、数学系の方もやってこれるんですね。

 というような、総合大学的な、科学技術の総合大学院大学ができちゃうんですよね。

 この下の方に、科学技術系の大学院大学、若しくは産業技術系の専門職大学院、現況、私が知る限りのところでございますが、まとめさせていただきます。

 総合研究大学院大学、北陸、奈良、そしてOIST。民間でありますが、光産業創成大学院大学、光学系の検出器とかこういったもの、また情報セキュリティーの大学院大学、こういったものがございます。

 また、私の出身でありますが、東大の原子力では、原子力の専門職課程もつくっています。これは、民間の方、電力会社の方とかがもう一度ここで学び直して、原子炉主任とか、燃取といって核燃料取扱主任者を取られていく、そういったコースであります。

 また、情報システム系であれば、東京都の大学院大学もあったり、私立的な情報の大学、京都や神戸にあります。

 こういうものがあるんだからこそ、福島にあってもおかしくないじゃないですか。ならば、つくりませんかというのが私の今日のお願いなんですけれども。

 そこの中で、実際、じゃ、どういうものを研究する、先ほど、分野横断的なという話もいただきました。それも大事です。そうなったときに、複合プロジェクト的なものを考えればよくて、ここに書かせていただいていますが、二酸化炭素の回収技術における吸収液、これは今、石炭火力が問題になっていますけれども、石炭ガス火力というものを経済産業省が進めていらっしゃいます。なぜかというと、石炭をガス化することによって、高効率で、また、そこから水素が出てくるんですね。燃料電池にその水素を持っていけば、燃料電池発電ができる。

 一方、CO2を分離、回収しやすくて、CO2を回収し、これは、分離、回収してそれをためていくとか、また、カーボンリサイクルを行うとかというような技術開発も経産省さんがやられていらっしゃいます。

 こういったものをやるものに対して、CO2を一回吸収するような液体があるんですね。物理的に吸収させたりするものなんですが、そういったものがまだまだ、ライセンスとしてはアメリカのもの。日本のものがない。だったら、こういうところで開発してもいいじゃないですか。これは、カーボンリサイクル、カーボンニュートラルに向けて、すごくハッピーな研究である、楽しい研究である。

 また、次世代半導体。先ほど申し上げましたが、量子力学的な、新しい、萩生田大臣に予算委員会の分科会で御説明させていただき、質問させていただいたんですが、半導体というのは、今、熊本工場ができます。熊本に台湾の会社が来ていただいて、そこにあるのは既存の半導体。最先端の半導体も作られると萩生田大臣はおっしゃってはおりましたけれども、次のステップ、今度は線幅が二ナノメートル以下というすごく微小、そうなると、物理現象的に、それ以上に微細にすると、トンネル効果で完全に電流が流れてしまって、半導体として成さないというようなもの。だったら、光と光の通信、光と光をまたいで半導体を作るというのがこれから、量子半導体の世界があります。こういったものを福島に造ったっていい。まあ、熊本にできればいいですよ。できないんだったら、福島に持ってきてもらえばいい。

 夢があることは、まだまだたくさんある。そういうためのアイデアをどんどん出せばいいんですよ。ここで出すように努力していただければいい。

 次いで、蓄電池技術。蓄電池技術については、大変、ちょっと今の物理的な化学的な限界があって、相対性理論や量子力学、量子工学、こういったもののような大発明がない限り大きくブレークすることはないかもしれませんが、リチウムイオン電池、またそういったものを大容量化する、そういった研究開発はまだまだ今、これはいわきの方でやられていらっしゃいますが、その先を見越した何か次なる開発、そういったものも考えてもいい。

 RI医薬品は、先ほどお話がありましたのでちょっと飛ばさせていただきますが、生物実験とかそういうようなものもできると思いますし、やったらいいんじゃないかな。

 あと、農業分野。アグリ分野とバイオを組み合わせて、後ほど申し上げますが、種子バンクとかですね、種のバンクなんかをつくったりしてもいいんじゃないかな。

 やればやるほど、やれることはたくさんあるんですよね。そういうものの広告塔となるような研究を掲げることをまず、本当は、法律を今審議しているので法律をまず通すことが第一、その後にやるべきことかもしれませんが、復興庁さんの方からそういうアイデアをどんどん出していただく。やはり有識者の方々がいらっしゃるんだったら、そういう方々から出してもらうというのが一番大事だったんじゃないかなと思うんですね。そういうアイデア、まだまだあるかと思うんですが、そういったものを含めて、しっかり考えていただきたい。

 もう一点お願いしたいことは、海外からの研究者、また研究者の卵をどんどん入れていただきたい。

 先ほど、ミャンマーの方から研究者、有能な人もいらっしゃるから招聘する、そういう話もありましたが、実は昨日、私、駐日インド大使、サンジェイ・クマール・ヴァルマさんと直接、在日インド大使館に行かせていただき、これはプライベートでちょっと行かせていただいたんですが、三十分間二人で直接、スタッフも同行したんですが、膝詰めで話をさせていただきました。

 このヴァルマ大使、元々物理系、原子力、核融合系、こういったことを研究された大使でいらっしゃって、今、情報セキュリティーも強い、その分野でも大家であるというふうにお聞きしたんですが、ヴァルマ・インド大使と昨日お話しする中で、もしこういう大学院大学をつくるんだったらば、是非ともインドの研究者を入れてほしい、大学院で博士号を取らせてほしい、そういう話もいただきました。

 ポイントは一点、やはりOISTのように語学の問題がありますと。語学が、やはり英語を主流で話すような環境じゃないと、なかなか日本語を学んでから来るということは厳しいと。日本に来て日本語をしっかり学んでいただくことも大事だと思いますが、その前に、日本に来ていただいて、英語文化での大学をつくっていく、国際的な、インターナショナルな文化。福島国際と書いてあるんですから、本当に国際的なものをやるんだったら、インドというのはやはり数学的にすごく優れた方がたくさんいらっしゃいますので、物理、理工系、こういった分野の方々で今アメリカに行っていらっしゃる方が、じゃなくて、日本に来てもらって、日本で新しい産業をつくってもらう。新しい発想だってできると思うんですよね。語学面だけ何とかすれば、OISTのようなインターナショナルなものができる。

 フクシマ・エージェンシー・フォー・インターナショナル・リサーチ・アンド・エデュケーションというような、どういう英語名になるかまだ聞いておりませんけれども、私自身は、だったら、フクシマ・エージェンシー・フォー・インターナショナル・リサーチ・アンド・エデュケーションというふうな文面になるのかなと思うんですが、こういった大学をつくってもらいたいなと思っているんですが。

 大臣、海外からいろいろな方を呼んでくるといいますか、研究者の卵、ならば大学院で博士を取りたいというような方を海外に招聘する、そうすると、やはりそこに大学院大学がないとまずいと思うんですよね。いかがでしょうか。御見解をお願いいたします。

西銘国務大臣 委員のイメージになかなかついていけているのかどうか知りませんが、お話を聞きながら、人材育成につきましては、今般の新しい機構も、新しく設立する機構の重要な役割になると考えております。

 委員のお話を聞いていて、インドは、DXも相当、世界最先端と聞いておりますし、元々ゼロの概念を発見したのがインドという、何かかすかに覚えているんですが、そういう意味では、まず今般の法律で機構設立に今全力を傾注しているのでありますが、例えば農業のお話を聞いておりましたら、フランスの国立農業・食料・環境研究所などとも何か連携できないのかなという感じを現場で話を聞いていて感じましたし、農業の種子の分野、あるいは遺伝子まで含めての分野があろうかと思いますが、機構が設立されて、関連するところの最先端のところとうまく連携ができていけば、ある意味、機構が持っている重要な役割の人材育成という視点でもつながってくるのかな。

 あるいは、海外からの優秀な研究者、あるいは学生を含めて、来るにしても、周辺の生活環境が整っていなければ、OISTみたいに英語で授業を全てやるというところまではまだ来ておりませんし、連携をしていって、先生が今お話しされたイメージのところが連携でどうつながっていくのかなという感じでお話を伺っておりました。

 まずは、法律を成立させて、新しいこの機構をスタートさせるという大きな山が目の前にあるものですから、政府一丸となって全力で取り組んでいかなければいけないなという思いで先生のお話を伺っておりました。

空本委員 ありがとうございます。

 まず、法律を通すといいますか、しっかりと法律を審議して、法律を正しい方向に持っていって、そして、その段階で、次のステップでしっかり中身の話。本当は中身も一番大事なので、この段階で議論させていただくのは本当にありがたいことなので。

 本当なら私も、いろいろなまだまだアイデアがあって、科学技術的なもの、発想といいますか、実は研究者としてはやりたいことはたくさんありまして、実はこんな、恥ずかしい話ですが、昔からの夢は、放射能除去装置、「宇宙戦艦ヤマト」、ありましたよね、あの漫画、あの放射能除去装置を私は造りたいとずうっと思っているんですが、これは物理的になかなか難しい。核消滅とか核分離、こういったいろいろな技術はあるんですが、加速器を使ったり。あと、ちょっとお聞きしたいと思うんですが、そういったいろいろな技術があって、そういったものをいろいろ提案していきたいところなんですが、本当はそこで教育者として学生を集めて研究を一緒にやってみたいなという気もあるんですが、まずは政治でしっかりやりたいなと思いますので。

 その中で、経済産業省さんの方にちょっとお聞きしたいと思うんですが、今、いわきの方で水素エネルギー関係の、いわきバッテリーバレー推進機構などでバッテリー関係をやっていらっしゃいます。また、水素エネルギーネットワーク、こういったものについても、今、研究開発を進めていらっしゃいます。

 こういった中で、この水素エネルギー開発フィールドの新規性といいますか、どういうところにその新規性があるのかなと。また、いわきのバッテリーバレー、こういったものについては、こういう機構に盛り込んでいくのかどうか、そういった点を実はお聞きしたい。

 もう一点。今度は、物づくりDXで、自動車丸ごと計測のシステム、装置を入れるというふうにおっしゃっていらっしゃいましたので、そこに対してどういう新規性があるのか、経済産業省の方からお答えください。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 まず、水素エネルギーネットワークの関係でございます。

 これは基本構想にも記載がございますけれども、福島水素エネルギー研究フィールドの水素も活用しながら、再エネや水素を一地点で使用するのではなく、工場、モビリティー、家庭といった異なる需要形態にまたがる形で、電気と熱の利用を最適制御する統合型のエネルギーマネジメントシステムを実証するということを考えております。

 このような需要特性が異なる中で、水素を電気と熱で最適に活用するシステムは現状では確立されておりませんで、再エネ、水素の製造、貯蔵、輸送、使用の各プロセスの状況と、電気と熱の需要と供給を予測、監視しながら最適な制御を行う必要がございます。この統合システムは、技術的難易度や新規性が高い、ここが技術開発の肝だと考えております。

 あわせて、この実証で利用される水電解装置や燃料電池では、効率よく低コストで水素を製造、利用するための高活性の触媒あるいは電極材料、耐久性の高い膜材料を、また水素の貯蔵を構成する金属材料については、水素の弱点とも言える脆化、もろくなるということに耐える材料を世界最先端のデータサイエンスを活用しながら開発をし、実フィールドでその性能や耐性を検証する計画です。

 この実証では蓄電池の活用も予定をしておりまして、そのために、今御指摘がございましたけれども、いわきバッテリーバレー推進機構が中心に取り組まれている研究開発についても、水素エネルギーネットワーク構築、実証の進展に応じて、これらの成果や取組との連携なども検討していきたいと考えております。

 また、物づくりDXの関係でございますけれども、ガントリー式、円形の大きな輪を採用した大型の産業用エックス線CT装置の開発となります。産業用のエックス線CT装置は、非破壊で、製品の内部、外部を含めて三次元のデジタル計測が可能な装置となります。

 今回、大型の産業用エックス線CT装置に世界初のガントリー式を採用いたしまして、その中をエックス線源が移動する構造にすることで、自動車などの大型製品を、姿勢を変えず、もちろん分解をせずに撮像、映像を撮ることができるようになります。同時に、エックス線源の多方向照射や撮像したデータのゆがみの補整技術の研究開発、この辺が研究開発の肝でございます。あるいは、データフォーマットの標準化、これも研究開発としてしっかり取り組んでいきたいと思っております。

 こうした取組でございますけれども、本装置を利用する企業が福島に来てくれます。企業を福島の浜通りに呼び込んで、副次的な効果として、地元企業との取引拡大など産業化の部分にもつなげていきたいと考えております。

空本委員 いろいろ新しいものを、私も、丸ごと計測するようなガントリー式のもの、すごく興味がありますので、是非、本当にすごいものを造ってほしい、それを産業界にしっかりと生かしていただきたいと思います。

 次に、アグリ分野、農業分野についてちょっとお聞きしたいと思うんです。これは復興庁さんの方にお聞きしたいと思うんですけれども。

 やはり福島県というのは果樹栽培とか、私も、福島、学生時代からずっと行っていまして、いわきとか、また中通りもずっと行かせていただいていたんですけれども、果樹栽培がいい。そういった中で、食料安全保障の観点から考えると、やはりいろいろな研究開発が見込めるんだろうなと。

 その中で、例えば種子バンク、これから種の問題というのは、今、ウクライナの情勢からすると、小麦の高騰とかいろいろなものが出てくると思いますので、種子バンクとか、こういったものをつくっておく必要があるのかな。農協さんに任せておけばいいのかという話ではなくて、今回、復興でアグリ関係もやるのであるならば、種子バンク、こういったものを福島にしっかりまたつくって、一年物じゃなくて多年的にできるものとか、いろいろな種子の開発、これは長期間かかりますので、やはり野菜とか、米も、果樹もおいしい福島でつくっていったらどうなのかなと思うんですが、いかがでしょうか。

西銘国務大臣 私、今般の欧州訪問の際、要人と会ったときに、終わった後に、福島の桃のジュースを、缶のジュースをプレゼントしまして、これはオリンピックでも安全、安心で飲まれていますと言ってPRをして、規制撤廃の話をしたりしたのでありますが。

 今、空本委員御指摘の点は、例えば、農林水産業の分野について、福島の特性を生かしながら、食料の安定供給といった我が国や世界に共通する課題の解決に向けた研究開発にも取り組むこととしております。最先端のICT技術を使って、あるいはロボット技術を使って、食用の農作物を始め農林水産資源の超省力生産、活用を核とした地域循環型の経済モデルの実現を目指した研究なども想定をしております。

 具体的には、例えば、関係の研究機関と連携しながら、種子、種苗の高速培養や品種開発の基盤となる遺伝子の特性分析などに取り組むことも想定をしております。

 いずれにいたしましても、今後、具体的な研究開発に係る施策については、これから新産業創出等研究開発基本計画において記載することとしております。引き続き、各省庁連携しながら検討してまいりたいと考えております。

空本委員 ありがとうございます。

 大臣からすごく今日は積極的な御発言をいただきまして、また、前向きな御発言をいただきました。しっかりと、本当に、福島だけじゃなくて、日本のためになるような、産業界になるような、農業分野も含めてですね、是非。

 また、文部科学省も是非、大学院大学をつくってください。お願いします。

 それでは、終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 長友慎治君。

長友委員 国民民主党の長友慎治です。

 本日は、岸本周平委員が韓国の新大統領の就任式に参加していますため、私が代わりに質疑に立たせていただくことになりました。

 西銘大臣とは沖縄北方問題に関する特別委員会で何度も質疑をさせていただいておりますが、今日は、東日本大震災の復興について私の持っている課題認識を、主に政府参考人の皆様とともに質疑させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まずは、東日本大震災の風化についてでございます。

 福島県の内堀雅雄知事は、震災から十二年目の最重要課題は風化との考えを示されていらっしゃいます。風化の抑制なくして、長い戦いを勝ち抜き、復興を成し遂げることはできないと強調し、震災の教訓を後世に伝え、防災に関する学びを本県から発信していくと、関連予算を計上されています。

 国としても、風化について対策し、被災地で伝承活動を行う団体への支援を行うべきと考えますが、政府の見解を伺います。

林(俊)政府参考人 お答えをいたします。

 東日本大震災の記憶を風化をさせず、その教訓を広く国民に共有をし、自然災害に対する危機意識や防災意識を醸成していくことにつきましては、極めて重要であると考えております。

 このため、復興庁におきましては、被災者支援総合交付金によりまして伝承活動への支援を行っております。そのほかにも、関係省庁と連携をいたしまして、国営追悼・祈念施設の整備の取組でありますとか、教訓・ノウハウ集の公表、あるいは学校教育における防災教育の推進等にも取り組まさせていただいているところでございます。

 また、今、委員御指摘をいただきました福島県の取組、この取組につきましても、福島再生加速化交付金によりまして、本年度、令和四年度から、福島県が行っておられます語り部団体を通じた語り部の育成あるいは派遣といったような取組、それから語り部団体間のネットワーク化やノウハウの共有、こういった取組を支援させていただくことにしております。

 いずれにしましても、引き続き、あらゆる機会を通じまして、東日本大震災の記憶と教訓の継承がなされるように、自治体や関係省庁とも連携をいたしまして、取り組んでまいりたいと考えております。

長友委員 ありがとうございます。

 宮城県の石巻市に公益社団法人三・一一みらいサポートさんがいらっしゃいまして、二〇二一年八月にアンケートを取られて発表されています。三県、岩手、宮城、福島で伝承活動をする五十一団体のうち七割が活動継続に不安を感じていると回答しています。新型コロナウイルスの感染拡大による講演や来館者の減少、また、語り部の高齢化などが理由に挙がっていますが、既に風化が進んでいるという声も聞こえてきております。

 これはまた、NHKさんが二〇二二年の二月、今年の二月に岩手、宮城、福島の東日本大震災の復興地に住む方々に行ったアンケートがあります。こちらでは、風化が進んでいると答えた方が六三%に上りました。そして、避難訓練に参加している人は二割程度、約二一%。そして、発生から十一年がたつ中で、記憶と教訓をどう語り継いでいくかが課題となっているというふうに指摘が上がっています。また、去年と今を比べて震災を話題にすることに変化があったか尋ねた質問では、増えたと答えた方が七%、変わらないが三八%、減ったと答えた方が四五%などとなりまして、この一年で減ったと答えた人が最も多くなったという結果が明らかになっています。

 このアンケートにつきまして、社会心理学が専門の兵庫県立大学の木村教授が、震災を知らない世代に記憶と教訓をどうつなぐのかが被災地の課題として現れてきているというふうに分析をされています。そして、先ほど避難訓練に参加している人が二割しかいないということが明らかになりましたけれども、避難の大切さを伝えるために、被災地だから訓練をしようということではなくて、日常生活の様々な行事の中に防災の要素を取り入れて参加を促すような新しい取組が必要となっているというふうに述べられています。

 そこで、もし分かれば参考人の方、お答えいただきたいと思っています。今から御質問するのはちょっと通告にしておりませんが、大事なことなのでお聞きしたいんですけれども、被災地での避難訓練について、もしお答えいただけるようでしたらお教えいただきたいです。被災地の避難訓練は今どのくらいの頻度で、どのような形で開催されているのか、把握されていらっしゃいますでしょうか。

林(俊)政府参考人 お答えをいたします。

 申し訳ありません。統計的なデータとして、どこでということを数字を持ち合わせておるわけではございませんが、一般論として、東日本大震災の発災がありました三・一一、あるいは全国で防災訓練を実施をしております防災の日、こういったところを中心に、各自治体あるいは都道府県が中心になって防災訓練が行われているものと承知をしております。

 また、災害の態様に応じましても、やはり、東日本大震災の被災地におきましては地震と津波、さらには原子力発電所の事故という複合災害でもありましたので、こういったことを踏まえた、原発の事故に対応した訓練も各地で行われていると承知をしておりまして、今後も、こういった平時の訓練というのは非常に重要でございますので、東日本大震災からの教訓の共有、継承ということを通じて、更に各地でこうした取組が行われるように支援をしてまいりたいと考えております。

長友委員 御答弁ありがとうございます。

 私も、このアンケート結果を見て、避難訓練に参加される方がもう二割になっているんだということは、正直、個人の見解としては驚いた数字でございました。まさに、喉元過ぎれば熱さを忘れるという状況に危機感を覚えているところです。

 他の地域が経験していない状況をどう生かすのか、被災地の次世代を含む住民が主役になって、専門家からの協力を得ながら、避難訓練もそうですし、風化という難しい課題に取り組んでいかなければならないと思いますので、その部分、国としてしっかりサポートをお願いしたいと思います。

 次に、福島県の和牛繁殖農家さんからの現場の声について、皆さんにちょっとお届けしたいと思っております。

 福島県の飯舘村の和牛の繁殖農家さんから、次のような声が上がっています。来年度から水田活用の直接支払交付金が見直しとなり、多年生牧草の収穫のみを行う年は交付金が大幅な減額となる、復興途中の被災地として、畜産を中心に農地を活用していく方向性が取れなくなってしまうのは大きな課題だという危機感、認識をお持ちでいらっしゃいます。

 この福島の地で農業ができる、畜産ができるという希望を持ってもらうためにも、被災地には特別な配慮が要ると私は考えますが、政府の見解を伺います。

松本政府参考人 お答えいたします。

 水田活用の直接支払交付金、こちらにつきましては、これまでも、生産者自らの経営判断によります需要に応じた生産、販売を推進するために、毎年の作付転換の実施状況などを踏まえまして、毎年度見直しを行ってきたところでございます。

 こうした中で、品目ごとの支援水準を再検討いたしました。牧草につきましては、収穫のみを行う年は、いわゆる種まきの播種、管理、収穫を行う年に比べて生産に要しますコストが低い、このようなことから、令和四年度から、国が定めます戦略作物助成の単価を、収獲のみを行う年は十アール当たり現在の三万五千円から一万円とすることとしたところでございます。

 なお、都道府県や地域の判断で助成対象作物の助成単価を設定可能な仕組みとして、産地交付金がございます。こちらを活用いたしまして、各産地におきまして、牧草を含め、地域の特色を生かした産地形成に向け、この産地交付金を効果的に活用していただきたいと考えております。

長友委員 ありがとうございます。

 今御答弁いただきましたけれども、多年生の牧草については、種まきから収穫まで行う年は、現行どおり十アール当たり三万五千円です。しかし、収穫のみを行う年は同一万円ということですね。三万五千円から一万円に減額されるわけですね。

 これに対して、農協も県も、寝耳に水だという声が実は聞こえてきているんですね。飼料が高騰し、輸入牧草が入ってこない中、牧草の補助金単価を引き下げるのは正直むちゃくちゃだ、そういうことを福島県の農民連の方々もおっしゃっております。

 私が先ほど御紹介した飯舘村では、震災前は村内に二百軒の和牛繁殖農家があったそうです。今は十軒ほどになったといいますが、少しずつ戻ってきているという中で、私が御紹介した方は、繁殖牛七十頭、子牛五十頭、肥育牛二十頭ほどを飼育しながら、遊休農地を活用して、八ヘクタールで放牧を行うほか、草地二十五ヘクタールを管理している。放牧は、草や土も検査しているので、安全性のアピールなどにもつながっているということをおっしゃっています。

 先ほど産地交付金の話がありましたが、産地交付金は県の枠、地域の枠とあって、実際のところ、ほとんど既得権益化されており、新規で交付金の枠を獲得するのは容易ではないという現場の声もあります。

 被災地で畜産を復活させようと奮闘する生産者に寄り添う施策を是非政府の方には考えていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次の質問をしたいと思います。

 福島県には福島大学がございます。二〇一九年四月には農学部に当たる食農学類が設立されまして、二〇一九年四月に入学した学生が現在、四年生になっています。

 この福島大学食農学類は福島の課題に向けてどのような取組を行っているのか、伺います。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 福島大学では、農学を総合的、実践的に学び、放射能汚染対策を含めた、食料、農林業及び地域社会が直面する諸課題の解決に貢献できる人材の育成を目的として、二〇一九年に農学群食農学類を設置いたしております。

 本学類では、福島県内の農林業や食品産業等の現場をフィールドにした実習科目等を通して、課題解決を行う実践力、地域への貢献意識等を高める取組を行っているところでございます。

 文部科学省としては、これまでも運営費交付金による支援を行っております。福島大学が復興を含めた地域の課題解決にその役割を果たしていけるように、引き続き支援を継続していきたいと考えております。

長友委員 ありがとうございます。

 福島大学が農学部に当たる食農学類を設立することになったきっかけは、東日本大震災だというふうに聞いております。福島第一原子力発電所の爆発事故で二十万人が住まいを追われた。混乱が広がって、農家の不安はたちまち極限に達し、農作物は育つのか、また、祖先から受け継いだ土地を再び耕すことができるのか、大変な不安が広がった。そして、放射性物質の検査や風評被害の解消について研究して、確かなエビデンスを提供することが必要だ。そして、食べるところまで一貫して研究するという決意を込めて、農学部ではなく食農学類と名づけた。そのように立ち上げに尽力されました小山良太教授が話されていらっしゃいます。

 そこで、更問いになりますけれども、今後、福島大学と国が連携していく予定等ありましたら、教えていただきたいと思います。

 設立から四年がたったわけでございます。今、設立から入学した子が四年生になって、さらに、その子たちの進路も含めてどのようなビジョンがあるか、お聞きしたいと思います。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から御指摘いただきましたように、福島大学の食農学類では、フードシステムに即した総合農学という立場で、食品科学、農業生産学、農業経営学、生産環境学、こういう生産から食まで一貫した、そういう人材育成に取り組んでいるところでございまして、文部科学省としては、先ほど申し上げましたように、運営費交付金での支援を行っております。

 それから、御指摘のとおり、今年四年生に最初の入学生が達しますので、これから進路の問題が出てまいります。大学院に進みたいという学生も出てくると思います。大学院の設置の申請も今お受けしているところでありますので、就職、進学、いずれにしても、学生の皆さんが福島県の課題解決にしっかり取り組んでいけるように、運営費交付金での支援、継続して行っていきたいと考えているところでございます。

長友委員 ありがとうございます。

 せっかく地元に、震災をきっかけにした農学部になる食農学類ができたわけでございます。地元の農家さんにとってみれば、担い手を育成していただくことにもなるでしょうし、そこから研究職に入って福島の風評被害等にしっかりとしたエビデンスを提供できる存在になるかと思いますので、いろいろな研究、新しいものをつくるのもいいとは思いますけれども、福島大学のこの食農学類、私、大変注目して見ておりますので、しっかりと活用をしていただきたいなと思います。

 次の質問をさせていただきます。

 帰還困難区域内に家を残す多くの人たちは、いまだ将来を見通せないままでいらっしゃいます。政府は、昨年、避難指示解除が見通せなかった区域について、帰還を希望する人の自宅周辺に限り除染する新方針を示しましたが、全域除染から後退した姿勢にどうしても見えます。それに対して、住民の皆様からは、帰るというふうに決めないと除染をしてくれないのかという怒りを隠せない方もいらっしゃいます。

 全域解除から方針が後退した理由について伺います。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 帰還困難区域につきましては、特定復興再生拠点区域と特定復興再生拠点区域外の二つに大別されます。

 まず、特定復興再生拠点区域につきましては、大熊町、双葉町、葛尾村については今年の春以降、富岡町、浪江町、飯舘村については来年春以降の避難指示解除、具体的に、帰還困難区域でも人が住めるという形での避難指示解除を目指しています。

 特定復興再生拠点区域外につきましては、自宅に帰りたいという切実な御要望、これは私どもも何度も聞いております。その思いに応えるために、まずは、二〇二〇年代をかけて帰還意向のある住民の方々が全員帰還することができるように、帰還に必要な箇所を除染し、避難指示の解除を行う方針、これを昨年夏に決定したところでございます。

 こうした取組を進める中で、残された土地、家屋等の扱いもございます。これにつきましては、地元自治体と協議を重ねつつ、検討を進めます。

 将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除し、復興再生に責任を持って取り組むとの政府の方針に揺らぎはありません。引き続き、各自治体の個別の課題や要望を伺いながら、避難指示解除に向けた取組を前に進めてまいりたいと考えております。

長友委員 帰還を希望された方の必要な範囲をまず先にやるという、理解はできます。ただ、元々の住民の方からすると、先に汚したのはそちらなんだから、先に全部除染してからが筋じゃないかということも私も理解できます。一日も早く除染してほしいという住民の声に寄り添うということが、これからの復興、振興には私は大事だというふうに思っているわけですけれども。

 先に帰るということを決めることも、人生の大きな決断になります。それよりも、除染の希望が上がったところは必ず先に除染する、そして帰ってきていただく、そのようなやり方をやる方が私は誠意があるというふうに思うんですけれども、いかがでございますか。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 昨年夏の政府方針では、拠点区域外については住民の方々の御意向を個別に丁寧に把握をするということが決められておりまして、帰還に必要な箇所を除染し、避難指示解除を行うということを考えております。

 帰還の意向の確認でございますが、今御指摘がございましたけれども、すぐに帰還について判断ができないという住民の方々もいらっしゃるかと思います。こうした方々に配慮をして、複数回にわたって実施をしていきます。

 また、除染の範囲や手法についても、住民の方々の安全、安心に万全を期すために、十分に地元自治体と協議をしながら具体化を進めてまいります。

 このような進め方については、各自治体の町政懇談会や行政区長会等の場において説明を重ねながら、住民の方々から帰還後の生活環境等の御意見を伺っているところです。様々な御意見がございます。こういったところを丁寧にお聞きをしているところでございます。

 引き続き、地元自治体や住民の方々の御意見を丁寧に伺いながら、避難指示解除に向けた取組を前に進めてまいりたいと考えております。

長友委員 ありがとうございます。

 震災から十一年たちまして、これまでの復興というのが、ハード面に関しては復興ができているのかなというふうには思います。これからの振興に当たっては、まさに住民の立場に立った、住民の声に寄り添う振興ということに取り組まなければ、なかなか地元の皆様に理解をいただくことは難しいのかなと思います。ハード面の復興については、政府が集中的に予算をつけて、住民の意向よりもハード面の復旧の先行というのはあったかと思いますが、これからの震災の復興に対する、そして振興に対する姿勢は、まさに住民の皆様に本当に心から寄り添った施策ということを打っていただきたいということをお願いしたいと思います。

 次に、ALPS処理水の海洋放出についてお尋ねします。

 海洋放出による海産物の風評被害については、これまでもこの委員会で何度も質疑されていることだと思います。その中で、議事録を過去のものを見ておりましたところ、二〇二〇年のときに当時の副大臣の方が、風評被害との闘いが本件に関してはこれから最大の課題になるというふうに御発言をされていらっしゃいます。

 東日本大震災の後に故郷を再生しようと前を向く方たちの、風評被害を払拭しようとして生まれたものを私は知っております。皆様も御存じかと思いますが、東北食べる通信というものがございます。これは、地元の生産者、最初は漁師さんのものでした。そのうちに農家さんの食材をつけて、その生産者の皆様の背景、ストーリー、こだわり、そして風評被害を払拭するためのエビデンス的データをいわゆる小冊子にまとめて読み物と一緒に届ける、安心してもらったら、ファンになって、リピーターになってもらってということに、直接風評被害を受けている生産者さんに対する支援をされた方が、高橋博之さんという方が、当時県議だった方がいらっしゃいます。

 その取組を私、見ておりまして、今回、ALPS処理水の海洋放出につきましては、漁連の皆様も萩生田経済産業相と面会をされまして、理解はするけれども了解はしていないというふうなことも発言されていまして、改めて反対の姿勢をされていらっしゃると思います。そのような、いわゆる漁連の生産者さんたちに寄り添うためにも、しっかりとした理解をされるまでの支援をしていかないと、ALPS処理水の問題は私は解決しないんじゃないかと思います。

 そのためにも、これまでのようなやり方の風評被害ではなくて、もっと踏み込んで、直接生産者の皆様に御納得いただけるような施策を打っていくべきだと思うんですが、今、ALPS処理水の海洋放出による風評被害を払拭しようということで取り組む予定になっているものというのはどんなものがあるのか、見解を伺います。

由良政府参考人 復興庁におきましては、関係省庁から成る風評対策タスクフォースにおいて、ALPS処理水の処分に関する正確な情報の国内外への発信や福島の地域の方々と一体となった魅力発信などを盛り込んだ情報発信等の施策パッケージを取りまとめ、政府一丸となって取り組んでいるところでございます。

 御指摘のとおり、風評の影響払拭に向けては、安全性等に関する情報や地元産品の魅力の発信を実際の購買につなげるということが重要と考えております。

 復興庁及び関係省庁において、これまでから、水産物など地元の産品を実際に食べて魅力を伝える映像とともに、ネット通販サイトへのリンクを掲載して発信すること、あるいは自治体と連携した地元産品の販売等を通じて食や観光などの福島の魅力を発信するイベントを開催すること、あるいは新商品の展開支援や地元の水産事業者と大消費地の小売流通事業者とのマッチングによる取引開拓などに取り組み始めているところでございます。

 引き続き、政府一丸となって風評対策に全力で取り組んでまいりたいと思います。

長友委員 今御答弁がありました、情報発信のパッケージを用意して、動画であったりSNSであったり情報を発信していくというような予定だという話ですけれども、よくある話というか、今までどおり、特に真新しいことはないわけですよね。恐らく、その情報発信も広告代理店に発注して、広告代理店さんがやられることだと思います。私は、それでは風評被害はなくならないと思いますし、むしろ、例えば福島県漁連の野崎会長だったり全漁連の岸宏会長が納得されないと思うんですね。

 どうすべきかと私は思うんですけれども、代理店さんにお仕事を振るのも必要な部分はあるかもしれませんが、やはり地元の皆様が、自分たちがしっかりと風評被害を防ぐ情報発信をしていただく、そこに予算をつけた方が、地元にも経済が回りますし、地元の皆様のお仕事もしっかりと生まれる。そして何よりも、自分たちの風評被害は自分たちでしっかり払拭していくんだと、自分事としてプライドが立ち上がると私は思うんですね。そのような施策ということを是非、大手の代理店に丸投げしないで、地元の皆様も一緒のチームに入れていただいてお金も回していただきたい、そして地元に落としていただきたいというふうに思います。

 実は私、三十代の前半は、広告会社、広告代理店で働いておりました。この手の話というのは、広告代理店、いわゆる一般企業のPR、プロモーションをやります。KPIと設定させてもらうのが動画の再生回数とかインプレッションとか、そのようなことで広告換算するわけです。企業の商品を売るということをPRすることではそこまででもいいかもしれませんが、今回のALPS処理水による風評被害を払拭するというのはレベルが私は違うと思います。

 福島の皆様の暮らしと命と、生産者の皆様の生活が懸かっているわけです。そのことをしっかりと、もし広告会社に振るのであれば、オリエンするときにきちんと説明をしてください。オリエンが大事なんです。そして、プレゼンを受けるときは、これは是非お願いしたいんですけれども、福島県の漁連の野崎会長であったり全漁連の岸宏会長にも見ていただいて、それで納得いただくプレゼンをしたところにお仕事をお願いして、福島の風評被害の払拭をする施策を決めていただきたいと思います。そのようなことをしなければ私はまた税金の無駄遣いになると思いますので、その点、強くお願いしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 原子力損害賠償紛争審査会が四月二十七日に会合を開き、避難者訴訟の最高裁決定を受け、中間指針との整合性について分析を開始したというところであります。確定判決がいずれも中間指針を上回ったことによると思われますが、見直し議論を始めた趣旨と結論を得る時期などについて伺います。

田中副大臣 お答えいたします。

 東電福島原発事故に伴う七件の集団訴訟に関し、最高裁判所は東京電力の上訴を認めず、これによって、東京電力の損害賠償額に関わる部分の判決が確定したと承知をいたしております。これらの確定した判決においては、賠償すべき損害の範囲、項目、また金額等が七件集団訴訟それぞれの考え方で異なっているところであります。

 こうした状況を踏まえ、四月二十七日に第五十六回原子力損害賠償紛争審査会を開催し、判決確定を踏まえた今後の対応について議論が行われ、中間指針の見直し等も含めた対応の要否の検討に当たり、今後、専門委員を任命し、一定程度の時間をかけて、各判決の詳細な調査、分析を行うこととされました。

 このため、中間指針の見直し等も含めた対応の要否については、今後任命される専門委員による各判決等の詳細な調査、分析の結果を踏まえ、引き続き審査会において御議論いただくものと考えております。

高橋(千)委員 報道では、判決の中でどこが地元の人の思いを酌み取った部分なのかを調べる必要がある、それが地元に沿った指針見直しにつながるなどの意見があったとされています。

 審査会に出された裁判の判決の概要は、ふるさと喪失や日常の生活が奪われたこと、あるいは避難生活の苦労など、それぞれに寄り添った判決の部分を、委員の皆さんたちがそれを確認をされたと思うんですね。そして、弁護団や福島県の対策協議会などの要望、早期に見直しをしてくれという要望もありました。私たちも、これまでも繰り返し求めてまいりました。見直しは待ったなしだと思います。

 少なくとも、要否を含めということですけれども、見直しが全然ないということはあり得ないと思うんですね。判決で示されたように、賠償額と実態が合わないものを検証し、やはり適切な見直しにつなげていただきたい。もう一言いただきます。

田中副大臣 中間指針等は、東電福島原発事故による被害の規模や範囲が未曽有のものであることを踏まえ、可能な限り早期に被害者救済を図る観点から、類型化が可能で一律に賠償すべき損害の範囲や損害の項目の目安を示したものであります。

 中間指針等に明記されていない損害についても、個別具体的な事情に応じて賠償の対象となり得ることが指針の中で示されております。現にそのような前例も存在していることから、指針の目安を上回る判決が示されることは、指針策定当初から想定されていたものと考えております。

 ここからは繰り返しになりますけれども、今般確定した判決において、賠償すべき損害の範囲、項目、また金額がそれぞれの考え方で異なっており、四月二十七日に開催された審査において、中間指針の見直し等も含めた対応の要否の検討に当たり、今後、専門委員を任命し、一定程度の時間をかけて、各判決の詳細な調査、分析を行うこととしております。

 このため、中間指針の見直し等も含めた対応の要否については、その判断の時期も含め、引き続き審査会において御議論いただくものと考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 当初から想定されていたものという答弁がありました。とても大事なことだと思うんですね。やはり長期化するということは当然予想されながらも、一定の目安として急いでいたと。当然、その中で、相当程度因果関係があればという一言があったわけですよ。その一言のために、東電が、むしろ、相当程度因果関係がなければ賠償できませんと、そういう東電の言い訳に使われてしまったということがあって、本当に悔しい思いをたくさん重ねてきたんです。

 だけれども、重ねてきたことが、本当に、三十もの訴訟が今行われていますけれども、それが積み重なって、少なくとも東電の責任は確定したということでありますので、そこをしっかりと受け止めた対応をお願いしたい。ここは要望にとどめます。副大臣、ありがとうございました。

 次にですが、最高裁は夏にも、国の責任の有無について初の司法判断を下すと聞いております。群馬訴訟の原告団長丹治杉江さんの意見陳述が最高裁で四月二十二日に行われました。丹治さんはいわき市から避難された方ですが、なぜ避難せざるを得なかったのか、また、法廷には来られない他の原告の方の深刻な実態も語られておりますので、本当は全部紹介したいところですが、国の責任について、今日はこの部分だけを紹介します。

 我が国の原発政策は、最初から国策民営です。国が原子炉立地審査指針を作り、一つ、周辺に大都市がないこと、二つ、人口密度が低い地域であること、三つ、産業水準は低い地域であることなどの条件を決めて建設を許可したのです。一九八六年のチェルノブイリ原発事故発生後、国会内外でも度々、日本の原発の安全性が議論されました。地震大国日本における原発事故の危険性も追及されましたが、五重の壁に守られている、絶対に事故は起きないと答弁を繰り返していたのも国です。

 独り東電だけの問題ではないと思うんですね。東電の責任が確定した以上、国策として推進し、安全審査を与えてきた国の責任は免れないと思うが、どうでしょうか、経産。

細田副大臣 ありがとうございます。

 今お話がございました福島第一原発事故における国の法的責任の有無については、現在係争中であることから、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、当省といたしましては、引き続き、被害者の方々に寄り添った公平かつ適切な賠償を行うよう東京電力をしっかりと指導していくとともに、福島の復興と福島第一原発の廃炉について、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 賠償を行うために指導するのは当然なんです。だけれども、あくまでもそれは、国は自分の責任はないよと言っているように聞こえますので、そうではないということをやはり改めて指摘をさせていただきたいと思うんですね。

 資料の一枚目を見てください。

 これは、ちょっと字が潰れて読めないけれども、こういうものだというので紹介をさせていただきました。注釈がちょっと上に書いてあります。昭和四十三年、一九六八年元旦号の福島民報です。当時の東電の木川田一隆社長と当時の木村守江知事の対談です。

 読めないところを私が読みます。「日本一の“原子力基地”へ」という大きな見出し、これは見られると思います。実は三段落のところに書いているんですが、木村知事いわく、双葉地区はいわき市と相馬市の中間で原野や田んぼが多く浜通りのチベット地帯と言われた。産業開発はおぼつかない地域だったが、幸いなことに木川田社長に目をつけてもらい、日本では最初で最大の原子力発電所が建設されることになったと感謝をしています。赤丸をつけたところです、左。司会が、科学は日進月歩でもう原子力の安全性は確実でしょうと向けると、社長は、絶対安全ですと答えて、技術的に最も高水準のアメリカ方式で二重三重の設備がある云々の後、危険物は全部水で消してしまう、向こうでは、多分外国のことを言っているんだと思いますが、町の真ん中でやってますよと答えます。司会者は更に、右下の赤丸の方、木川田社長には県民も感謝しています、知事さん、名誉県民の十字架でも上げたらどうですか。それはいい考え、名誉県民に値する偉大な人ですよと。

 これは多分、司会者は本当は勲章とでも言うべきところを間違ってというか十字架と言っちゃったんでしょうが、皮肉にも、今にして思えば当たっているのかという記事なんですね。丹治さんが指摘したことは大げさでも何でもないと、当事者が語っているということが分かると思います。

 大臣、今聞いてもらったと思いますけれども、今度の国際研究教育機構は、基本構想において、「福島をはじめ東北の復興を実現するための夢や希望となるものとする」とあります。かつて、原子力は福島にとっては夢であり希望だったんです。それが大きく裏切られ、傷つけられました。本当に、今度こそ、そういう夢や希望なんだと自信を持って言えますか。

西銘国務大臣 高橋委員御指摘のとおり、福島国際研究教育機構は、福島を始め東北の復興を実現するための夢や希望となるものとすることとしております。このため、機構は、福島を始め東北の被災地における中長期の課題の解決、ひいては世界共通の課題の解決に資する、国の内外に誇れる研究開発を推進することとしております。

 こうしたことを通じて、福島浜通り地域等が原子力災害を乗り越える一助となること、そして、同地域に国の内外から優秀な人材が結集し、我が国全体の科学技術力の強化に貢献することを目指し、私自身が司令塔となり、政府一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 予定した原稿を読んだと思いますけれども、やはりそういう思いを福島の方たちがして、今また皆さんは夢や希望と言っているわけです。そこに本当に責任を持ってほしいということを重ねて指摘をさせていただきたいと思います。

 十五回にもわたって熱心に議論された福島浜通り地域の国際教育研究拠点に関する有識者会議では、令和二年の六月八日に報告書が出ていますが、その名のとおり、教育が前に来ていますので、教育機能について、まずは研究所方式で機能を発揮していく、二つ目は、国内外からの大学院生に対する教育や人材育成、三つ目は、地元人材に対する教育、人材育成を行うと明記をしています。

 ただ、その後の復興推進会議決定、令和二年の十二月十八日、さらに「国際教育研究拠点の法人形態等について」令和三年十一月二十六日、こう二回、三回と決定がある中で、教育機能という叙述はなくなりまして、人材育成機能に一本化され、そして三月末の基本構想では、名前が国際研究教育機構と逆転してしまう。なぜなんでしょう。

西銘国務大臣 委員御指摘の点は、私も最初に就任して、最初の、研究と教育が逆ということをずっと頭にたたき込んでおりましたら、変わったなということを内部でも話をしたことがあります。

 有識者会議の報告書においては、拠点の教育機能について、国の内外から大学院生等及び高校生、企業人材等の地元人材に対する教育、人材育成を行うこととしていたところ、基本構想においても、機構の人材育成機能として、先端的な研究開発の実施に不可欠な研究人材の育成、確保を図る観点から、連携大学院制度を活用した大学院生への研究指導、人材育成を進め、また、地域の未来を担う若者世代や企業の専門人材等を主な対象とした人材育成の取組を進めることとしております。

 法人の名称としましては、研究開発、研究開発成果の産業化、そしてこれらを担う人材の育成の、それぞれ各機能を有する法人として設立するものであることから、福島復興再生特別措置法の改正案において福島国際研究教育機構と規定したところであります。

 私自身が当初拠点と言っていたときには、研究と教育が逆だったのを強く頭にたたき込んでいたものですから。今回、こういう経緯で、福島国際研究教育機構という新しい名称に規定をしたところであります。

高橋(千)委員 頭にたたき込んでいらっしゃったという答弁がありましたけれども、それは、ですから、福島の皆さんにとっては、やはり教育機能が大事なんだという希望だったと思うんですね。最初は、だから、イノベーション・コースト構想の課題から議論が始まって、やはりそれを担っていく、まさに福島の、福島に定着して担っていく人材を育成するために教育機能が必要なんだという議論から始まっているわけですよね。

 大臣、最終的に、頭にたたき込んだけれども今は研究なのでと説明するということは、それで納得したということなんですかね。

西銘国務大臣 私は、この機構につきましては、とにかく地元に喜ばれるものじゃないといけないよということを強く意識をしておりまして、また、福島の内堀知事さんと面会したときにも、対応する中で、私が、地元が喜んで、地元の夢や希望となるという発言をしたら、知事さんがすぐ、そこですよ、大臣、夢や希望になるところですよと。

 それと同時に、地元の人材育成、あるいは産業の人材育成、あるいはこの組織の中に県知事さんが加わっていくという点が、人材育成、教育という部分に、名前はちょっと逆転しましたけれども、趣旨は十二分に生かされているんじゃないかなというふうに考えておりますし、人材育成の機能は重要だと強く認識をしておるところでございます。

高橋(千)委員 正直言って、具体的にこれからのことが余り決まっていないというのもあって、期待に応えるだろうという推測的な答弁になっちゃうと思うんですよ。やはりそれをこの審議の中で明らかにしていかないと、本当の意味で応えることにはならないというふうに言わなきゃいけないと思いますね。資料の二枚目につけておきましたけれども、「物足りない基本構想」、それが福島の評価ではないかなと思いますので。後でこれは取り上げますけれども。

 それで、続けます。同じように、有識者会議では、原子力災害に見舞われた福島浜通り地域の復興再生が真っ先に来ているわけです。「マイナスをプラスにする社会的発火点とすべきであり、「創造的復興の中核拠点」として原子力災害に見舞われた福島の特殊性を背景として、政府の強いイニシアチブにより推進していく必要がある。」と明記をしています。

 イメージとしては、米国ハンフォード・サイトをお手本に、イノベーション・コースト構想が取り組んできた廃炉を前面に、原発事故対応、環境回復などに取り組むものと思っておりましたが、基本構想では、この部分はデータや知見の集積、発信にとどまっているのはなぜでしょうか。

由良政府参考人 廃炉を着実に進めるためには、人に代わって精密かつタフな作業ができるロボットの開発といった技術、それから総合的な放射線科学の研究、こういったこれからの分野に通じる人材育成等が必要不可欠であるというふうに認識をしております。

 そこで、具体的には、例えば次世代高速通信やバーチャルリアリティーといった技術、そういった高い専門性、信頼性を必要とする作業を遠隔で実現するロボットの開発などを通じて、福島の復興の着実な推進に資する研究開発を進めていくということとしておるところでございます。

高橋(千)委員 ちょっと質問と答えが違うような気がしますけれども。

 原子力災害に見舞われた福島の特殊性を背景として、廃炉、原発事故対応、原状回復などをきちっと取り組んでいく。データの蓄積は大事です、だけれども、それだけじゃないよねということを確認したかったんです。

由良政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、福島、新しい機構では、五つの技術分野、研究分野を指摘をしておりますけれども、いずれも福島の地域の特性に応じた、福島の復興に資する研究だというふうに考えております。

 廃炉を着実に進めていくということのために必要な技術も、そういった福島の復興に必要な取組ということで研究内容に含んでいるというふうに考えておるところでございます。

高橋(千)委員 最初に紹介したように、有識者会議の最初の段階では、政府の強いイニシアチブにより推進していくと書いているわけなんです。だから、五十のテーマがあって、グループがあって、幾つかある中に入ればいいねという話じゃないんですよ。政府として責任を持って取り組んでいただきたい、そう言っているんです。

 最大の悩みは廃炉なわけですよね。デブリの取り出しも、まだこれでいけると決まってはいないわけです。ALPS処理水、トリチウムの分離、圧縮など、最大の課題に取り組む研究教育機構であることが期待されるんじゃないでしょうか。そういう考えはないのか。

 また、廃炉の最終形が示されないままに、同じこの双葉地域に、国内外の研究者を、さあ来てくださいというのには無理があるんじゃないか。大臣と経産に伺います。

西銘国務大臣 御指摘のトリチウムの分離技術につきましては、現時点で実用化できる段階にある技術が確認されなかったとの評価がされているものと承知をしておりますが、引き続き、経済産業省とも協議をしつつ、最新の技術の動向等を踏まえて精査してまいりたいと考えております。

 そういう新しい技術が確認されたのであれば、それはしっかりとトリチウムの除去に取り組んでいかなければならないと基本的には考えております。

細田副大臣 ありがとうございます。

 今先生から御指摘ございました、いわゆる廃炉の最終形でございますけれども、福島第一原発の廃止措置を終了した状態については、事故を起こした原子炉の内部の状況や廃棄物の性状など、まだ明らかになっていない要素が多いため、現段階では具体的な絵姿をお示しできる状況にはないと考えております。

 他方で、政府が定めた中長期ロードマップにおいては、廃炉の工程上の重要な方針として、燃料デブリの取り出しを行うこと、あるいは廃棄物を安全に保管することなどの具体的な個別の対応方策をお示ししているところでございます。

 当省としては、このような中長期ロードマップの方針を踏まえて廃炉に必要となる研究開発を進めているところでございまして、福島国際研究教育機構においても、中長期ロードマップを参考に、廃炉の課題に挑戦する前向きな研究者の皆様を集めることができるように、廃炉技術へのニーズを共有してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 だからこそ、やはり切り離しちゃいけないと思うんですね。公募しているけれども今の時点では見つからなかったよとか、そういう話ではなくて、やはり廃炉を避けては通れない。本当に、福島の未来、描けないわけですから、そのこと自体に、もうトップレベルの研究をやるんだというところに向かっていく必要があるし、そういう議論をしていたはずなんですよね。そこが非常に疑問に思っています。実際に、言うほどの世界トップレベルの人材は本当に集まるのか、それだけの体制をどうつくるのかというのは、ずっと明らかになっていないと思います。

 資料の三ですけれども、ちょっと見ていただきたいと思いますが、大西康夫さん、これは三月二十日の福島民報ですが、先ほど話題になったハンフォード・サイト周辺地域の復興に関わった経験を持つ方であります。

 ずっと有識者会議の中でも議論されていたハンフォード・サイトの問題、四段目に書いてありますけれども、まさにプルトニウムを生産するための、マンハッタン計画で一九四三年、ワシントン州東部に設立された原子炉発祥の地である、もう何度も、三回も経済破綻、ゴーストタウンになりかけた、それを救ったのは何かということを指摘をしているわけですよね。

 そこには、下から二番目に書いてある、エネルギー省のパシフィック・ノースウエスト国立研究所、職員五千三百人、年間研究費は千四百億円、さらに、職員七万五千人を有するエネルギー省の十七の総合国立研究所中、民間に最も多く技術移転をして、その研究結果、技術を土台に持つ会社は百五十社を超える、こういうことをるる述べられて、やはり福島にそういう拠点を設けるべきだということを指摘をしているわけなんですよね、期待もしている。

 でも、一桁違うなと。目指す話をしてきたんだけれども、日本でやろうとしているのは全然桁が違うんじゃないかと思うんです。有識者はこういう熱心な議論をしてきたけれども、その中身が法案からも答弁からもうかがえない。

 そもそも、機構は単なる事務所なんでしょうか。それとも、大学のような施設を建設するんでしょうか。まず伺います。

林(俊)政府参考人 お答えをいたします。

 福島国際研究教育機構につきましては、国の内外から優秀な研究者を確保することが必要でございまして、そのためにも、研究環境や処遇・人事制度、生活環境などについて、総合的に整備していくことが重要であると考えております。

 このため、同機構につきましては、単なる事務所にとどまることなく、世界水準の研究を実施するために必要な固有の施設設備等の整備に加え、それらの設備の管理をサポートいたします機能等を十分に確保すること、また、国際的に卓越した能力を有する人材を確保する必要性を考慮いたしまして、成果や能力に応じた柔軟な給与設定を可能にする、そういった処遇の基準を設けること、また、研究者やその家族に向けた生活環境の整備のために、福島県や地元市町村が取り組むまちづくりと緊密に連携をしながら、機構の施設整備などに取り組むこととしております。

 世界最先端の研究開発の実現を目指すためには、やはり優秀な研究者の方々の参画が必要不可欠であると考えておりまして、研究者にとって魅力的な研究環境の実現に向けて、復興庁が中心となって、政府一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 この委員会でも何度も出されたわけですが、沖縄科学技術大学院大学、いわゆるOISTの場合は、学長が沖縄に常勤していると聞いております。今回の機構については、それは条文にもないし、どうなるか分からない。どれだけの研究者、職員を常駐できると考えているんでしょうか。

 地方公共団体には、生活インフラ、居住環境などを求めています。でも、そもそもそこが曖昧なら、動きようがないわけです。実際にどれだけの居住人口を考えているのか、先行するイノベーション・コースト構想の実績も踏まえてお答えください。

由良政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの福島イノベーション・コースト構想に基づく取組を通じて、例えば、企業立地補助金などの新事業支援により、企業立地件数約四百件、それから、御質問の移住人口ということではございませんけれども、雇用創出数として約四千五百人といった実績により、産業集積の芽が出始めているところでございます。

 この新しい機構は、福島の復興に貢献することを目的として、世界水準の研究を実施するための施設の整備等の環境整備などにより、多くの方々に浜通り地域で活動し、居住、滞在いただけるように取り組んでいく所存でございます。

 具体的には、まず、数百名の国内外の優秀な研究者等が研究開発等に、活動に参画することを想定しております。また、それにとどまらず、その家族も含めた立地地域周辺への居住や滞在に加え、関係する研究、教育あるいは産業化の人材も含めて、当該地域への集積を期待しているところでございます。そうしたことを念頭に置いて取組を進めていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 そこが曖昧だから、市町村に居住環境を整えてねといったって困るよねという話をしたのに対して、数百名しか答えがない。一回目の有識者会議のときは、一千名の規模で議論をしているわけですよね。そこから見ても、まるっきりめどが分からなくなってきたということを言わなきゃいけないと思います。

 もう残念ながら時間になりましたので、有識者会議の最初のときに、やはり普通の暮らし、福島の沿岸部、八町村の方々がその地域で普通に生活できること、その地域をきちんと新たな町として再生し、ある程度の人口を戻して、新たな産業を持ってくること、最終的にそこに生活を取り戻せるかどうかというのが本来の目的という発言があって、私はそれが一番大事なことだと思うんですね。本当は大臣に聞くつもりだったんですが、時間がなくなりましたので。

 やはり、トップレベルだとか優秀なとか言っている前に、まず、そこが、福島の皆さんの思いが全然抜け落ちてしまわないように指摘をさせていただいて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 この法案審議、最後のバッターとして立たせていただきますので、大臣そして政府の皆さん、よろしくお願いを申し上げます。

 私自身、かつて通産省で原子力の立地をやっておりまして、浜通りもしょっちゅう出張で行っておりました。最初の原子力災害というのは、一九九九年のジェー・シー・オーの東海村の災害でありまして、私も地元出身ということで、科学技術庁に出向して、その様々な後処理に奔走いたしました。

 原子力災害対策特別措置法というのを、今国土交通大臣をやっております斉藤政務次官などとともに作り、また、その後、実はあの後も、東海村では、復興のためにエネルギー大学院大学をつくろうという構想を当時の東海村の村上村長がぶち上げまして、私もそのお手伝いなどをさせていただきました。

 その後、二〇一一年に三・一一が起きて、私の地元もかなり大きな被災を受けて、しかも、原子力災害対策特別措置法を作ったにもかかわらず、この原子力災害に対して、当時与党の議員でしたけれども、当時の政権は十分な対応ができなかったというじくじたる思いを持っておりますので、何としても、この福島国際研究教育、研究機構、教育機構、研究と教育、どっちが先なのかちょっと分からなくなっちゃいましたけれども、成功させたいという強い思いを持って、本日は質問させていただきたいというふうに思っております。

 この審議でも何度も出ておりますが、やはりOISTとの比較をしなければならないと思っております。二〇〇一年に尾身幸次先生がOIST構想を提唱したときに、私は通産省のバイオ課というところにおりまして、課長のペットアイテムとしてその下請の仕事をしておりました。当時は、政府の中はみんな冷ややかで、私自身もかなり懐疑的でした。尾身先生が書かれたこの「科学技術で日本を創る」という本があるんですけれども、その中でも、政府部内に強い異論もあったという中、尾身先生の強い思いでこれが実現したということであります。

 資料一がございますけれども、論文数と論文一%の割合というグラフがありまして、大体、日本の大学は、東大とか京大であっても、一番下の紫で、論文の数は多いけれども革新的な論文は少ないというのが日本の大学の平均です。ところが、OISTは、この緑色の左側のところに黄色い線が、マーカーが引いてありますけれども、論文数は確かに少なくてもトップ一%の論文の割合が高いということで、これは東大なんかも上回り、世界九位の、世界でトップの水準であるという成果を見て、これは本当に尾身先生の先見の明はすばらしかったんだなというのを改めて感じました。

 そこで、内閣府にお伺いするんですけれども、こうした沖縄科学技術大学院大学、なぜこれだけ成功したのか、その要因について端的にお答えいただければと思います。

水野政府参考人 お答えいたします。

 沖縄科学技術大学院大学、OISTですが、OISTは若い大学ではありますが、特に研究面において高い成果を上げているということで、委員御指摘の、ネイチャーインデックス二〇一九における世界の研究機関ランキングで、質の高い論文の輩出率に関して世界九位、日本一位にランクインするなどして、国際的な評価を得ていると認識してございます。

 この要因ということですけれども、やはり世界中から優秀な研究者が集まっているということや国が高水準の財政支援を行ってきたこと、さらに、やはり、今委員御指摘の尾身幸次OISTの、理事も務められていましたが、有馬元東大総長の熱意ということもあって、OISTが、短期間ではありますが、ここまでの成果を上げているというふうに認識してございます。

福島委員 まだ地元に十分に根づいていないとか産業化が不十分だとか、いろいろな評価もあるんだと思います。しかし、それは、まだ設立して短期間でこれだけ世界に名を残す大学院大学が沖縄にあるという、そのブランドが私はこれから必ず沖縄にとって大きな効果を生むと思うんですね。ましてや、大臣に言うのも釈迦に説法ですけれども、沖縄というのはアジアのハブの地域で、今一番の成長の世界の拠点はアジアでありますから、そうしたところにこうした研究機関があるということは沖縄にとって大きな資産になるんだと私は思っております。

 そこで、沖縄が地元の大臣にちょっと一点だけ、冒頭お伺いするんですけれども、本当に新しい大学が成功するというのは難しいと思うんですよ。私はかなりの成果をこのOISTは上げていると思うんですけれども、大臣自身、なぜ成功したと地元の政治家として認識していて、また、今後どういうふうになっていくことを期待していくかということを、ちょっとお話しいただければ。

西銘国務大臣 OISTの設立経緯、私が落選中も含めてですけれども、本当に尾身先生の強い突破力といいますか、私自身の捉え方は、ベスト・イン・ザ・ワールドのOISTを、場所が沖縄だという認識でずっと見ておりました。地元からは、例えば当時の知事さんは、沖縄県の子供がここの大学院大学に入れるように枠を設けたらどうかという質問に対して、そんなのは要らない、本当に必要な、実力のある人が入っていけばいいんだというような答弁も当時の知事さんはされておりました。

 ですから、私は、沖縄という場所にOISTはあるんですけれども、ノーベル賞クラスのトップを持ってきたり、人を集めるという意味でも大変御苦労があったであろう、また、英語でそのまま授業もやりますし、日本のいわゆる大学の体系とは別の体系で、国費もそれぞれ出ておりますし、そういう意味では、これから、基礎研究の分野から我が国全体に資するものがOISTから出てくるであろうと。私自身は、必ずしも沖縄振興にという視点ではなくても、とにかく我が国全体の、例えば日本経済成長全体を牽引するようなスタートアップが出てくるとか、そういう視点で見ております。

 ですけれども、予算の分野から見ると、沖縄振興予算の枠組みでかなり投下している部分もありますが、でも、それでも、私は必要な部分は投下してもいいんじゃないかというぐらいの気持ちで、このOISTというものは、沖縄に限らず、我が国全体で世界に冠たるものの一つではないかなと思っております。

福島委員 熱のこもった答弁、ありがとうございます。まさに、沖縄にあるけれども、これは日本全体の資産でもあり、世界の資産であるという、熱のこもった答弁を地元の大臣からいただきました。

 私は、福島にもそれが必要だと思うんですね。どうも熱を感じない、これまでの審議を通じても。

 令和二年六月八日に出された有識者会議の最終取りまとめで、究極の地方創生モデルという言葉を言っているんですけれども、読んでいても、何が究極かさっぱり分かりません。国主導の国際教育研究機関拠点がハブになって、産学官が連携し、国内外の民間資金、企業を呼び込みながら、新産業や雇用の創出を目指すなんてことが書いてありますけれども、私が通産省に入った四半世紀前から同じことを言っているんですよ。大体、これは失敗の文言ですよ。やる気がないときにお題目として掲げるような言葉にしかすぎなくて、熱がないんですよ。

 国際研究教育機構、この福島のやつがどういう組織を目指すのかという理念とか哲学というのが、私は非常に大事だと思うんですね。

 尾身先生は沖縄のこのときに、この本で書いてありますけれども、彼はライフサイエンスに重点を置いていましたから、ライフサイエンス研究からバイオテクノロジー産業を集積させ、沖縄を変え、日本を変え、世界を変えるんだという大きな構想を描いているんですね。

 当時の沖縄の科学技術研究基盤機構整備法の中にも、沖縄を拠点とする国際的に卓越した科学技術に関する研究及び開発等を推進することにより、沖縄の自立的な発展及び世界の科学技術の発展に寄与することを目的とするという理念とかが明確にあるんですが、この福島の機構には残念ながらないんですね。法律の中にも全然ないんですよ。私は、それが大事だと思うんです。

 もう一つ大事なのは、やはりトップですよ、理事長です。この委員会でも何度も問題になっておりました。

 このOIST法の中では、学園の理事は、人格が高潔で、学識に優れ、かつ、学園の業務を適切かつ効果的に運営できる能力ということで、人格の高潔と学識が優れていることが第一の条件なんですよ。

 でも、この法案の百二条第一項第一号に掲げる理事長及び理事の要件は、機構が行う事務及び事業に関して高度な知識、経験を有する者。知識と学識は全然違いますよ。事務及び事業に対して高度な知識及び経験を有する者というのは、官僚ですよ。これから見たら、理事長は天下りなんじゃないかとも思えるんですけれども、法律の条文が違うんですよ、沖縄と明確に。

 違うということは、違うようなタイプの理事長を想定しているとしか思えないんですけれども、具体的にどういう方を想定しているんでしょうか。

林(俊)政府参考人 お答えをいたします。

 委員が御指摘をされましたように、この法案におきます機構の理事長及び理事の要件につきましては、法案の百二条第一項第一号で「機構が行う事務及び事業に関して高度な知識及び経験を有する者」、こう規定をしておりまして、機構の設立の趣旨を深く理解をしていただいた上で、高いマネジメント能力と高度な科学技術に関する知見、こういった方を想定をしておるものでございます。

 具体的には、例えば、一定規模以上の組織を運営をした経験をお持ちであることや、世界的にも高く評価される研究実績などが考慮すべき点であると考えております。

福島委員 そう答弁しても、そう見えないと思うんですね。しかも、やはり最初が運営なんですよ、マネジャーが最初であって。

 やはり、研究者はスター選手に集まるんですよ。立派な学長の、世界的なノーベル賞級の人が来たら研究者は集まるけれども、世界的に有名な学校の運営者が来たって、人は集まりませんよ。だから、沖縄の場合は人格高潔、学識が優れ、誰もが、研究者が尊敬するというのを言っているのに、この条文を作ったのは何でといったら、独立行政法人のほかとの並びだと言っているわけですよ。それからして熱がない。

 しかも、これはおまけのように今度は二号というのがあって、「前号に掲げる者のほか、機構が行う事務及び事業を適正かつ効率的に運営することができる者」も理事長ができるんですよ。これは一号と何が違うかといったら、高度な知識や経験がないんですよ。高度な知識や経験がない人を理事に入れるというこの条文は、何のために入れたんですか。

林(俊)政府参考人 お答えをいたします。

 この御指摘の第二号につきましては、必ずしも高度な科学技術の知識は持っていなくても、この機構の設立の趣旨を理解をしていただいた上で、マネジメント能力の高い方が理事に就くことも想定をしておりまして、具体的には、先ほどとちょっと同様になりますけれども、一定規模以上の組織を運営した経験などをお持ちの方が考慮すべき点として想定をして、この規定を設けたものでございます。

福島委員 だから、何としても役人を入れたいというのがありありなんですよ。学識がなくてもマネジメント能力があるって、役人じゃないですか。

 しかも、理事は、五人なんですよ。そのうちの二人は監事なので、運営に関わりません。運営に関わる理事は僅か三人しかいないんですよ、その三人しかいない。

 沖縄はどのぐらいいるかといったら、資料二がありますけれども、常勤二名、非常勤十六名で、これだけの方が理事にいるんですよ。研究分野といっても、いろいろな研究分野がありますから、それぞれの方もいらっしゃれば、沖縄にちゃんとルーツがある人もいるわけですね。

 だから、OIST法の第七条二項では、「学園の理事には、次に掲げる者が含まれるようにしなければならない。」といって、科学技術の発展に関し特に功績顕著な科学者が一号、二号に沖縄の振興に関して優れた識見を有する者、三号で最後に、大学の経営に関し高度な知識及び経験を有する者。

 さっきから答弁を聞いていると、経営、経営と、そこばかりなんですよ。科学技術の発展と福島の振興という二つの言葉は、理事の経営の要件には何も出てこないんですよ。

 大臣、法律をちゃんと読んだ方がいいんですよ。役人の思いは法律に込められているんですよ。このままいったら、福島国際研究教育機構、これは単なる天下りの巣窟になっちゃう可能性だってあるんですよ。理事選び、しっかりすることを約束していただけませんでしょうか。

西銘国務大臣 よもや天下りというイメージは全く持っておりませんで、本当に、地元が喜ばれる、世界に冠たる立派なものにしないといけないという強い思いで取り組んでおります。

 このトップは内閣総理大臣でありますし、地元の知事さんも協議会に入ってまいりますし、しっかり福島国際研究教育機構の理念にのっとったすばらしいものをつくらないといけないという強い思いで取り組んでいきたいと思っております。

福島委員 でも、条文にはそう書いてないんですよ。なぜ理事はたった三人なんですか。ほかの大学だったら、私立大学法では理事五人以上なんですよ。私立大学だと五人以上なのに、何でこれは理事三人と限定しているんですか。もっと増やしてもいいんですけれども、なぜ理事は三人以内なんでしょうか。

林(俊)政府参考人 お答えをいたします。

 今ほど委員の御指摘をいただいたとおりでございまして、この機構につきましては、法律に基づいて設立をいたします特殊法人として御提案をさせていただいておりますが、一方で、研究開発を中心として担う機関でございますので、既存の国立研究開発法人の規定をある程度参考にさせていただいて、規定ぶりは整理をさせていただきました。

 その際に、やはり大学法人といわゆる普通の国立研究開発法人と異なりますのは、今ほど委員御指摘いただきましたように、大学法人については理事の数は最低限を決めておりまして、それ以上ということを求めております。元々、多人数の理事によって運営が行われることが前提になっているんだと思います。

 一方で、研究開発法人については、理事の数は通常はアッパーを、上限を決めることになっておりまして、そうした規定の違いを踏まえまして、他の事例も参考にさせていただきながら、規模を勘案して現在の規定にさせていただいたところでございます。

福島委員 究極の地方創生モデルがこの姿ですよ。結局、前例に当てはめているだけじゃないですか。前例があるものをつくらないから、福島の再生につながるんじゃないんですか。そして、それをチェックするのが私は大臣の役割だと思いますよ。ですから、相当強いリーダーシップを発揮しないと、大臣はどんどん替わっていきますから、どんどんこの機構は堕落する可能性があると思うんですね。

 しかも、沖縄のOISTの特徴は、評議員というのもあるんですよ。その評議員の方と理事の人との相互の科学者同士のピアレビューによって進められているというのが、この沖縄の成功の一つの事例なんですね。答弁を求めようと思ったら時間がないのでやめましたけれども、それがないんですよ。

 この機構の具体的な経営は何が決めるか、中期目標が決める。中期目標というのがあって、それを決めるんですよ。法百十二条で、中期目標を主務大臣が定め、機構に指示をするんですよ。これも独法の例に倣ってやったと答弁するから、役所には答弁要らないんですけれども、この中期目標、誰が作るんですか。役人が作るんですか。

 結局、法律には、総合科学技術会議の意見を聞くとかなんとかと書いてありますけれども、でも、あくまでも原案を作るのが役所だとするのであれば、私は、これは研究者や科学者が魅力的なものは作られないと思うんですけれども、その点、大臣、この中期目標、作るのは極めて大事だと思うんですけれども、そのプロセスについての御見解をお聞かせください。

西銘国務大臣 研究が研究だけで終わることなく、真に社会実装を視野に入れた立派なものをつくっていかなければならないと考えております。私自身は、OISTに負けないぐらいの立派なものをつくるべきじゃないかという意識を持ちながら、今般、法改正をお願いしながら、とにかく地元に喜ばれる、世界に冠たる福島国際研究教育機構をつくらなければならないと思っております。

 中期目標等については、もう福島委員が全て御案内のとおりだと思いますが、しっかりしたものを作るという視点で、全力で取り組んでいかなければいけないと思っています。

福島委員 西銘大臣のその思いは信じたいと思いますけれども、大臣は替わりますから、中期目標は。ですから、是非、次の大臣にも引き継いでいただきたいし、その読まされた答弁の最初の、研究が研究に終わるとかと言っている時点で、研究者に任せたら駄目だから役所が関与するぞという役所の下心が見えるんですね。ですから、そこはそうならないように注意していただけたらと思います。

 一番大事なのは、やはり、地元とか産業化ということも言いました、それで、大事なのは、この法案にある新産業創出等研究開発協議会であると思うんですね。これを見ると、法案第百九条第五項において「尊重しなければならない。」ということが書いてある程度で、この役割というのは明確じゃないんですよ。例えば先ほどの中期目標の策定とか、中期計画、年度計画の作成、事業年度の評価、中期目標期間の終了時の検討とか、そうしたものが法定されているんですけれども、こうした運営に関することに新産業創出等研究開発協議会は関われないんですよ。結果を尊重するぐらいの役割なんですよ。なぜ、これほどの軽い役割なんですか。

 というのは、先ほど何度も出ているハンフォード・サイトではトライデックという、先ほどの高橋委員の紹介していただいた大西先生の記事にもありますけれども、そういう組織があって、地元企業と教育研究機関、地方自治体とも調整する機能があるということなんですね。恐らくこれが一番のコアなんですよ、成功の。

 でも、この法律では何ら権限が与えられておりませんけれども、どんな役割を果たすんですか、ここの機関は。

西銘国務大臣 協議会は、機構の運営そのものを管理するものではなく、大学やその他の研究機関、関係行政機関等と研究開発等の実施について必要な協議を行い、機構が既存の研究施設等々の取組に横串を刺す司令塔機能を最大限発揮することができるような組織にするものであります。

 こうした機能を果たすために、協議会は、関係行政機関等に対し、資料の提出など協力を求めることができることとし、関係行政機関等はこれに応ずる努力義務があるとし、協議会の構成員には、協議が調った事項について尊重義務があることとしております。

 これらの取組を活用して、協議会が適切に機能するようにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

福島委員 答弁を読み上げましたけれども、全く意味がないんです。前例踏襲、失敗の法則の一歩を歩んでいると思いますよ。

 しかも、産業化、産業化と言いながら、新産業創出等何とか研究会なのに、この構成要員は、一、機構、二、福島県知事、大学その他の研究機関、四、関係行政機関、福島の関係市町村長その他の機構が必要と認める者で、産業関係の人は誰も出てこないんです。何でこれは産業の人は入っていないんですか。

林(俊)政府参考人 委員御指摘の協議会の構成メンバーについては、確かに、明示的に企業等については規定をいたしておりませんが、機構がこの協議会を組織をする上で必要と認められた企業については御参加をいただくことが必要であるというふうには考えております。

福島委員 おまけにしかならないということですか。その他の機構が必要と認める者の、その他で産業が入るのに、名前は新産業創出等研究開発協議会。本当にやる気を感じないですね。

 もう一点は、先ほど高橋委員からもありましたけれども、やはりここは廃炉の研究が一番の売りと言ったらあれですけれども、福島でやることの意義というのはそこにあると思うんですね。今現在、三・一一以降、私の地元にあるJAEAでずっとこの研究や新しい技術の開発を行っております。それとのデマケーションなんかも、恐らくこの協議会で話さなければならないと思うんですね。

 まず、現状、福島の廃炉に関してJAEAさんの方でどのようなことを行ってきているのか、これができた後、どうした協力をしようとしているのか、その点についてお聞かせください。

舟木参考人 お答え申し上げます。

 私ども日本原子力研究開発機構では、東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップを始めとする国の方針に基づき、原子炉内の状況把握、燃料デブリの特定把握等の研究開発に取り組んでおります。

 その際には、福島県内の拠点に加え、茨城県内の放射性物質を取り扱うことが可能な施設、また人材、これを活用しつつ、組織を挙げて取り組んでおります。これらの研究成果は、東京電力に共有しながら、現場への展開を図ることが重要です。

 例えば、建屋の内外の放射線量や線源の分布を測定、可視化する技術、あるいは、構内の排水路の状況をリアルタイムで監視する装置を開発し、これらを民間企業に技術移転し、現場で実運用されている例もございます。さらに、地元企業の技術力向上への貢献やロボット操作実習プログラムなど、地元教育機関と連携した人材育成にも取り組んでおります。

 今後も、国の方針に沿って、新たに設立される福島国際研究教育機構とも密接に連携協力し、福島復興に向けて取り組んでまいります。

福島委員 ありがとうございます。

 先ほどの有識者会議の最終取りまとめを見ると、廃炉に関して、当該研究、技術開発のうち、東京電力福島第一原発の近傍に所在していることが望まれているものを国際教育研究拠点又はその近傍で推進していくということが書いてあるんですね。

 これは、今度の福島の新しい機構ができたら、JAEAの既存でやっているものの幾つかはこの機構に移管されると考えてよろしいんでしょうか。

林(俊)政府参考人 お答え申し上げます。

 既に福島に立地をしておられます他の国立の研究開発法人との関係につきましては、機能的に統合できるものについては統合する、それ以外のものについては予算を含めて連携を進めていくということにいたしております。

 特にJAEAさんにつきましては、一部の機能を福島で果たしていただいておりますので、この部分については順次、統合を含めて、現在調整を進めさせていただいているところでございます。

福島委員 今、統合を含めてとおっしゃいましたけれども、私はそこはかなりいろいろ議論があると思うんですよね。

 何でこの話をするかというと、ヘッドクオーター、原子力関係の研究機関の集積というのは茨城県の県北、県央地区にあるんですよ。今でも、資料三にあるように、JAEAさんはいっぱいのセンターを福島県に置いておりますが、それは本部のあくまでも原子力に関する基礎的な知見と、そして応用技術の往復の中で新しい技術開発がされるわけですから、切り分けるというのは難しいと思うんですよ。

 今のJAEAの持っている知見、技術、様々な学識を最大限活用してやることが必要であって、これこそまさに先ほどの協議機関の役割だと思うんですね。その中で議論しないと、何か組織を切り分けるようにJAEAの機関を一部切り分けて、確かに、そうすれば何人というのができるから、雇用が福島に何人か生まれるかもしれないけれども、研究というのはそういうものじゃないんですね。

 大臣の答弁を聞いていてちょっと気になるのは、東北三県、東北三県とよくおっしゃるんですけれども、例えば今度、処理水の排水を行って風評被害を受けるのは茨城県でもありますし、原子力自体、浜通り自体、常磐線と常磐道でつながっていて、我々の地元にも多く浜通りから人が来ておりますし、今、福島県に行っているJAEAの人はみんなうちの近所から行っている人で、非常に経済的にも文化的にもいろいろな意味でのつながりがあるんですね。

 そういう意味では、ここの例えば法案第百九条第二項の協議会の構成員のうち、「大学その他の研究機関」とありますけれども、ここにしっかりとJAEAを入れるとか、あるいは、つくばにも、まあ、国光先生がいらっしゃいますけれども、高エネ研とか産総研、農研機構、あるいは東海村、J―PARCという加速度の施設とか様々なものがあって、私は、この常磐線の沿線を一体として連携していけば、この福島国際研究教育機構というのは更に大きな力を発揮すると思うんですけれども。

 大臣、その点、地元で、大変私、こういうのを言うのは好きじゃないんです、誰かに言わされてやっているんじゃないんです。言わされてやっているんじゃなくて、私自身、茨城県の日立市というところで生まれて、父親自身が原子力の制御関係の仕事をしていて、同級生にも多くの原子力関係の人がいて、今も様々な人たちと一緒に関わっている中で、やはりこの福島と茨城との連携というのは欠かすことができないと思うんですよ。

 その点、この協議会の人選とか、あるいは様々な経営に関わることについて、密接に連携を取るということについて、大臣のお考え、いかがでしょうか。

西銘国務大臣 協議会は、福島における新たな産業の創出及び産業の国際競争力の強化に資する研究開発等の実施に関し、必要な協議を行うために組織することとしております。

 この協議会は本法案が成立した後に機構が組織することとなりますが、具体的な構成員については、福島委員御指摘の点も踏まえ、協議会が果たすべき役割が十分発揮できるように、機構において適切に判断されるものと考えております。

 常磐ものという言葉で風評払拭を私自身も取り組んでおりますし、福島委員のお話を聞いていても、国全体を思う情熱を受け止めながら聞いておりますので、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

福島委員 大臣、ありがとうございます。

 本当にこうやってお話をさせていただいて、大臣の熱意も伺うことができましたし、何としても成功させたいと思っているんですが、ただ、法律の条文とか政府が書いている答弁を見ると、どうも、この機構を、独法のように役所の中の一外郭機関として管理しよう、管理しよう、そういう発想が見え隠れするんですよ。役人の知恵でやっている限りは、新しい大学なんて絶対成功しません。絶対成功しないですよ。アカデミズムの世界は役所なんて関係ないんです。それを超えたものじゃなきゃならないわけですね。

 ですから、そうならないように、しっかりとこれからリーダーシップを発揮していただきますことを心から期待をいたしまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、福島復興再生特別措置法の一部改正案に反対の討論を行います。

 三月末に決定された福島国際研究教育機構基本構想では、「福島をはじめ東北の復興を実現するための夢や希望となるものとする」とあります。政府・与党の、たとえ長い年月を要するとしても、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除するとの方針には私も賛同しています。

 しかしながら、原発に最も近い四つの町では、五割から六割がまだ戻らないと答えています。既に避難先に基盤を設けている方も多いのですが、帰還できない理由の第一は、医療・介護施設の再開です。命綱である医療、介護の減免制度も段階的に縮小、廃止されてしまいます。福島国際研究教育機構が目指す世界に冠たる創造的復興の中核拠点は、そうした被災者にどんな意味があるでしょうか。

 法案は、新産業創出や国際競争力の強化のための研究開発等を行ういわば特区であって、福島の復興再生につながるかは不確定どころか、負の遺産にもなりかねません。

 政府は、基本計画、中期目標、各事業年度の実績等評価、中期目標終了時の検討などの過程において、総合科学技術・イノベーション会議からの意見聴取を必須としています。福島県知事や復興推進会議からの意見聴取も行うとはいえ、総合科学技術・イノベーション会議の指揮の下、地元が置き去りにされかねません。

 そもそも、国際教育研究機構として検討が開始され、地元の定着につながる大学などの教育機能が期待されていたにもかかわらず、名称すらも変更されました。世界トップレベルの研究などとうたえばうたうほど、地元企業との連携や人材育成からも遠ざかることになります。広大な未利用地と書かれたように、土地の提供を始めとした設立時の出資や生活環境としての負担だけが地元自治体に押しつけられることになりかねません。

 最大の問題は、決まっていないことが多過ぎることです。

 復興庁の設置期限は二〇三〇年度末であり、それ以降の運営や財源については全く未定であることです。復興大臣は主務大臣でさえありません。

 理事長に世界トップレベルの研究者を招聘するためには一億円規模の報酬が必要ではないかといった議論がある一方、沖縄科学技術大学院大学のように常勤なのかさえも未定です。クロスアポイントメント制度や連携大学院制度等の活用といいますが、一体どれだけの研究者が福島に居住するのかも不明です。

 研究テーマについて、まず福島イノベーション・コースト構想との関係が曖昧です。十兆円規模の大学ファンドを構築する国際卓越研究大学との差別化という点でも、危惧があります。

 終わりに、基本構想には「原子力政策を推進してきた国の責任」という記述があります。まさに、この責任の上に、長期にわたる廃炉の作業、トリチウムの分離技術の確立など、負の遺産を将来の希望につなげる研究にこそ、集中的に取り組むべきだと考えます。

 以上述べて、反対討論とします。

伊藤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案について採決をいたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊藤委員長 起立多数。よって、本案は原案どおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、坂井学君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。神谷裕君。

神谷委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

 一 福島国際研究教育機構が先端技術を中核とした実用化重視の研究を行い、大胆な規制緩和や地域の研究施設、実証フィールドの活用を図りながら、機構発のベンチャー等を創出し、当該ベンチャー等と地域企業との連携を促進する仕組みを構築するとともに、インキュベーション施設の設置などによりベンチャー等を呼び込み、地域の雇用創出や取引拡大、定住人口の増大等の地域発展に寄与する拠点となるよう整備すること。

 二 福島国際研究教育機構が分野横断的な研究及び産学官連携による新産業の創出、持続性のある人材育成等を推進する重要な拠点となり、福島イノベーション・コースト構想における創造的復興の中核拠点となるよう、復興庁の設置期限後も、政府は責任を持って、長期的かつ十分な予算、体制を確保すること。

 三 我が国の科学技術力・産業競争力の強化を図るためには、福島国際研究教育機構の魅力ある取組を世界に発信し、世界レベルの研究者を呼び込むよう努めること。研究者等が最先端の研究を行いつつ安心して教育にも取り組めるような多言語対応にも配慮した住環境づくりの推進を図るため、研究者やその家族の受け入れに必要な生活環境・インフラ整備について、自治体と連携して取り組むための財源を確保すること。

 四 福島国際研究教育機構を中核とした国際研究都市の形成のために必要不可欠なコンベンション施設など産学の活動を支援する施設、5Gなどの情報通信基盤、基幹となる広域的な交通インフラその他の周辺環境の整備については、政府が前面に立ち、自治体と連携して取り組むとともに、自治体や事業者等が行う周辺環境の整備等については、政府が全面的に支援すること。

 五 原子力災害に見舞われた福島県の復興のためには、東京電力福島第一原子力発電所の着実かつ安全な廃炉が必要不可欠であり、政府は廃炉につながる福島国際研究教育機構の研究開発を支援すること。

 六 ふくしま医療機器開発支援センター等地域の研究施設と連携した研究開発や地域課題の解決につながる研究開発を支援するなど、福島イノベーション・コースト構想の推進を加速すること。

 七 福島国際研究教育機構の研究者等が安心して研究開発に取り組むことができるよう、研究者等本人の意向を踏まえ、可能な限り有期労働契約から無期労働契約へ移行させるよう努めること。また、我が国における科学技術の水準の長期的な向上を図るため、若手・女性研究者等に活躍の機会を与える環境を整備するよう努めること。

 八 福島浜通り地域等が持続的な発展を遂げるには、復興をリードする地域の人材育成が重要であることから、地域の教育機関等との連携の下、地域の高専生や高校生を始め、小中学生も含めたシームレスな形での福島国際研究教育機構による地域人材に対する育成の仕組みを構築するなど、機構の教育機能を充実させること。

 九 新産業創出等研究開発基本計画その他の本法で規定する目標、計画の策定等に当たっては、地域住民、企業、各種団体等の理解が得られるように、幅広い意見を聴取する機会を設け、その反映に努めること。

 十 福島国際研究教育機構が各省庁の縦割りを超えた研究開発等を一元的に実施していくために、機構の理事長のリーダーシップ等により一体性を確保するとともに、理事長と緊密に連携しながら、復興庁が司令塔となり、共管省庁と連携していくこと。また、機構の見直しに当たっては、復興庁の設置期限の到来を見据え、縦割り行政の弊害に留意した検討を行うこと。

 十一 福島国際研究教育機構の理事等役員には、大学・研究機関・企業の運営に高度な知識及び経験を有する者、科学技術の発達に関し特に功績顕著な科学者、福島の復興に関して優れた識見を有する者など卓越した人材を任命すること。

 十二 新産業創出等研究開発協議会は、福島国際研究教育機構で行う研究開発や人材育成に関連する幅広い大学その他の研究機関を構成員とし、関係行政機関や地元地方公共団体等も含めて活発な協議を行い、機構の業務に積極的に関与すること。

 十三 福島の復興・再生に向けて、福島国際研究教育機構の取組等を含め、県内外の避難者が真に安定した生活を取り戻すことができるまで、政府は支援を継続すること。

 十四 福島国際研究教育機構は、研究開発や人材育成に関し、被災三県をはじめとする東北及び隣接する茨城県等の廃炉等の原子力関連研究施設やエネルギーに関係する大学・研究機関等とも密接な連携を取るよう努めること。

 十五 福島国際研究教育機構と同様、福島県以外の被災地における雇用創出、定住人口の増大、新産業の創出、持続性のある人材育成、世界レベルの研究者の移住を推進するという見地から、国際リニアコライダー研究所の誘致を含め、世界最先端の国際研究都市の創造に向け、積極的な検討を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

伊藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決をいたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊藤委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。復興大臣西銘恒三郎君。

西銘国務大臣 ただいまの決議につきましては、その趣旨を十分に踏まえつつ、福島の復興及び再生を一層加速してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会をいたします。

    午後零時十八分散会


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