衆議院

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第3号 令和4年11月15日(火曜日)

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令和四年十一月十五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 長島 昭久君

   理事 菅家 一郎君 理事 坂井  学君

   理事 高階恵美子君 理事 谷川 とむ君

   理事 小熊 慎司君 理事 岡本あき子君

   理事 早坂  敦君 理事 庄子 賢一君

      青山 周平君    伊藤信太郎君

      岩田 和親君    上杉謙太郎君

      小田原 潔君    小泉進次郎君

      小寺 裕雄君    塩崎 彰久君

      武部  新君    津島  淳君

      冨樫 博之君    中曽根康隆君

      中野 英幸君    西野 太亮君

      長谷川淳二君    平沢 勝栄君

      藤原  崇君    穂坂  泰君

      細野 豪志君    武藤 容治君

      宗清 皇一君    八木 哲也君

      若林 健太君    荒井  優君

      奥野総一郎君    金子 恵美君

      鎌田さゆり君    神谷  裕君

      玄葉光一郎君    近藤 和也君

      馬場 雄基君    赤木 正幸君

      掘井 健智君    前川 清成君

      赤羽 一嘉君    河西 宏一君

      鈴木  敦君    高橋千鶴子君

      福島 伸享君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       秋葉 賢也君

   内閣府副大臣       星野 剛士君

   復興副大臣        小島 敏文君

   経済産業副大臣      太田 房江君

   復興大臣政務官      中野 英幸君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   文部科学大臣政務官    山本 左近君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 五味 裕一君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     角田  隆君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     由良 英雄君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     森田  稔君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     岡本 裕豪君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 竹谷  厚君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           林  孝浩君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           梶原 輝昭君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       安岡 澄人君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    山口潤一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   片岡宏一郎君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     池光  崇君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     吉田はるみ君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十五日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     塩崎 彰久君

  西野 太亮君     長谷川淳二君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     穂坂  泰君

  長谷川淳二君     西野 太亮君

同日

 辞任         補欠選任

  穂坂  泰君     青山 周平君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

長島委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官五味裕一君、復興庁統括官角田隆君、復興庁統括官由良英雄君、復興庁審議官森田稔君、復興庁審議官岡本裕豪君、総務省大臣官房審議官三橋一彦君、総務省自治行政局選挙部長森源二君、外務省大臣官房審議官竹谷厚君、文部科学省大臣官房審議官林孝浩君、厚生労働省大臣官房審議官梶原輝昭君、農林水産省大臣官房生産振興審議官安岡澄人君、水産庁漁政部長山口潤一郎君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長片岡宏一郎君、中小企業庁事業環境部長小林浩史君及び観光庁審議官池光崇君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

長島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。坂井学君。

坂井委員 おはようございます。自由民主党の坂井学でございます。

 先日の大臣所信の中におきまして、復興も着実に進んでいる中ではあるけれども、まだ残された課題があるということで御指摘がありました。私自身は、特に、この中におけるコミュニティー形成といった部分、これはコミュニティー再生という部分も含めて大変重要な課題だと思っておりまして、また、難しい課題だと私自身も感じておりますが、この点に関連しての質疑をさせていただきたいと思います。

 先々月でありますが、私は、岩手県の大槌町のところの氏神様のお祭りに合わせて訪問をいたしました。ここの大槌町というのは、ボランティアグループを私もお願いして、仲間をつくってずっと関わってきた町であります。ここに氏神様のお祭りに合わせて行きまして、大変に盛り上がっているところを見せていただいたんですけれども、こんなにも若い人がいるのかというほど、そのお祭りに若い人が集まっていて。

 特に、ここの地区は、鹿踊りというもの、そして虎舞というもの、シシというのは、シカの踊りと書いて鹿踊りというんですが、こういった伝統芸能をお祭りの場で披露しながら、また、我々の地区だと通常、お祭りのとき、おはやしと一緒に獅子舞が出ますけれども、同じような形でこういった伝統芸能が展開をされていて、聞くところによると、その若い方々も、今は大槌町には住んでいない、例えば盛岡だとか北上だとか釜石、遠野といったところに住んでいるけれども、お祭りの場面というか、お祭りに合わせて戻ってきて、そして、お祭りに合わせてこういった伝統芸能の保存会に入って、こういったものを引き継いでいるというようなお話がありました。

 私自身は、コミュニティーを維持していく、また、ここのコミュニティーが自分の出身だという認識を強く持つのに、お祭りであるとか伝統芸能は、そして伝統工芸もそうかと思いますが、大変重要だと考えておりますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 伝統芸能や伝統工芸などが復興に果たす役割について重要だというお話、本当にそのとおりだと思います。

 災害からの復興においては、地域において伝承され親しまれてきた伝統芸能や伝統工芸が果たす役割は非常に大きいと認識しております。

 東日本大震災におきましても、地域の祭礼行事や伝統芸能等が復旧復興を牽引し、被災した住民の皆さんを元気づけてきた例が多数あるというふうに承知いたしております。それらは、伝統工芸、伝統芸能がいかに地域住民の心のよりどころになっているかを示すものと考えておりまして、引き続きそういった行事の支援をしてまいりたいと考えております。

坂井委員 大槌でお祭りを体験した後、次の日でございましたが、私、石巻市の旧雄勝町、雄勝地区というところにお邪魔をさせていただきまして、いろいろお話を伺ってまいりました。この地区は、平成の大合併で石巻市に合併をされて、そしてその後、震災に遭うということで、かなり大きな津波の被害を受けたところであります。

 そして、平成二十三年の大震災の直前の人口が大体四千三百人ほどと聞いております。現在、千人をちょっと超える程度、四分の一以下に減っているわけであります。岩手県の大槌町も実際に減少はしているわけでありますが、しかし、旧雄勝町、四分の一以下という人口の減少はちょっとひどいというか、減少の幅が大き過ぎるな、こう感じてきたところであります。どうしてこうなったかという分析に関して復興庁にお伺いしたいと思います。

角田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、雄勝地区につきましては、人口が四分の一以下まで足下で減少しておるところでございます。

 その大きな要因でございますけれども、当該地区におけます住民の生活再建に当たりまして、いわゆる高台移転という防災集団移転促進事業が採用されたわけでございますけれども、この地域には、漁業者のように、なりわいとの関係で雄勝地区で暮らす、再建を目指す方がいらっしゃる一方で、例えば商業関係者ですとか高齢者などはより利便性の高い地域の災害公営住宅などへの入居を御希望になりまして、結果的に多くの方が雄勝地区以外の地区に移住されることになったということが大きな要因だと承知しております。

 加えまして、この地区は、構造的にといいますか、高齢化が進んでおりまして、人口が非常に減少しやすい状況が続いておりますので、事業によるインパクトに加えて高齢化の事情が加わりまして、今日、足下で一千人強というところまで減少してきた、このように認識をいたしております。

坂井委員 今、利便性の高い地域を選んで移られたという御指摘がありましたが、私は地元で聞いてきている話なので、違ったら違いますと訂正していただきたいんですが、要は、災害公営住宅にしても、防集の自宅を建てる土地にしても、雄勝地区の造成が遅れて、ほかのところが先にできて、早いからそちらに移ったという声を私はたくさん聞いてきたんですけれども、そういった要素というのはどう考えていますか。

角田政府参考人 済みません、私、説明不足で。そういった要素も十分考えられると思います。ちょっと、私ども、御通告いただいてからいろいろ調べさせていただいたので、そこまではよく調べが行き届きませんでしたけれども、他地域も見ましても、例えば高台の整備に時間がかかっている間に生活の基盤が外の地域にできてしまった結果、戻ろうというインセンティブがなかなか湧かないという現象が多々見られますので、この地域においてもそれは例外ではないんだろうというふうに考えております。

坂井委員 今のような状況を踏まえて大臣にもお考えをお聞きしたい、こう思っています。

 結局、今は千人程度ということでありますから、旧雄勝町の存在感というのは、石巻市全部が十三万人を超えている中で、百三十分の一の人口しかないということになります。実際に、直近の市議会議員選挙におきましても、当選の最低ラインの方が取った票数が千二百票を超えておりますので、そういった状況からいくと、旧雄勝町の地域の住民の声をなかなか、声を上げたりとか、石巻市という市政に反映させるのが難しい状況にあるのではないかと、私はお話を聞いていて感じていたところであります。

 もう一つ、私が考えるに、四千三百人が千人になったという大きな理由は、要は、減った三千人ほどの方、まあ三千人減ったかどうかというか、実際に三千人減っているんですが、減った方々の多くは実は石巻市のほかの地区にお住まいだということを聞いています。詳しいデータがありませんけれども、感覚からすると大体半分以上の方は石巻市のほかの地区に住んでいる。さっきも申し上げたように、ほかの地区の公営住宅が早くできたので、早く自分たちの生活を安定させるために、同じ石巻市内だからと行政にも言われ、そしてほかの石巻市内のところに移っていると。

 地元の方々から、合併そのものに関しての功罪はあろうと思うけれども、合併をされたから要は旧雄勝町地区にそこまで力が注がれなかったと。つまり、同じ石巻市の中で調整がつくということで旧雄勝町地区に力が注がれないがためにどんどん人口が流出をして千人になってしまったのではないか、合併をしなきゃよかったという声をたくさん聞いてまいりました。

 実際に、支所の対応、旧町村ですから支所ができているわけですけれども、支所も町のときは百三十三人いた職員が今は二十四人ということで、人口以上に職員の数も減らされているということであります。実際に行きましたが、ここが旧町の真ん中か、支所の前かというような本当に閑散とした状況で、なかなか難しいものを実際に感じてまいりました。

 ここは、先ほど申し上げたように、お祭りが途絶えました。千人しかいなくなったことによって、大槌ではあれだけ盛大にやっていたお祭りが途絶えております。

 ましてや、雄勝石というすずり石が大変有名なところでありますが、この伝統工芸、自分の地元を自慢、誇りにする雄勝石のすずりに関しても、今、波板地区会、我々のところでいうと町内会のようなものですが、ここは僅か十軒、そして住んでいる方は二十一人、その方々が雄勝石の石の権利を持って、何とかこれを今伝えております。

 二十一人のうち、私がお話をした七十歳ぐらいの方が、年齢は聞きませんでしたけれども、七十歳ぐらいの方が下から二番目に若い、こう言っている地域で、今、私より若い御夫婦の方がお手伝いで、二人来ていただいてはおりますけれども、本当に風前のともしびというような状況の中で彼らが必死に、七十、八十の方が東京に出ていろいろな催事で実際に売っている、そこから出ていって売っているようなこともやっているということでございます。

 こういった状況を大臣はどうお考えなのか。復興に関してきめ細やかにというお話もありましたから、お考えをお伺いしたいと思います。

秋葉国務大臣 坂井委員におかれましては、雄勝町にお訪ねいただいたこと、本当に感謝を申し上げたいと思います。

 市町村合併が進む中で埋没してきている自治体ということの抱える問題点、ただいま御指摘いただいたとおりだというふうに思っております。やはり、伝統工芸や伝統芸能の継承というものは、被災地におきましても重要な課題であるということも御指摘のとおりでございます。

 御紹介いただきました雄勝石については、石材の生産工場が東日本大震災により壊滅的な打撃を受けましたけれども、全国から多数のボランティアの支援を受けて徐々に復活されたというふうに聞いております。

 私ども、この雄勝石を盛り上げるために、例えば地元の仙台放送が開催しております復興マラソン、これの完走メダルで使用していただいたり、また、私も、大臣に就任いたしまして、十一月三日に開催しました復興大臣杯、e復興サッカー選手権におきましても、優勝チーム、準優勝チームを含む上位入賞チームに贈られるものとして、雄勝石を用いて特別メダルを製作したところでございます。

 本当に、雄勝石というのは、東京駅の屋根瓦にも使用されていることでも有名でありまして、御指摘のとおり、日本を代表するすずり石の石材としても有名でありまして、こういったものが途絶えることがないようにしっかりとフォローしていかなければならないと思っております。

 加えて、伝統工芸、伝統芸能の継承に限らず、東日本大震災に伴いまして加速いたしました人口減少が一因となって困難な状況に置かれている地域につきましては、被災地の創造的復興を目指す立場として、課題解決に向けた寄り添った支援をこれからも続けてまいりたいと考えております。

 雄勝町では、これまでに、震災後に進められた高台移転の移転元地となる低平地エリアにおいて、慰霊と交流、憩いの場となる雄勝ローズファクトリーガーデンを造成し、交流人口の拡大や収益事業の安定化を目指す取組が行われ、復興庁といたしましても伴走型の支援を行ってきたところでございます。また、外部人材の交流、連携の場となることを目指すモリウミアスが平成二十七年七月にオープンいたしまして、豊かな自然を生かした子供向けの地域滞在型体験学習や企業の社員研修などが行われていると承知しております。

 引き続き、被災地に寄り添い、NPO、ボランティア、企業等の多様な主体とも連携しながら、各地域に残る様々な課題に取り組んでまいりたいと思います。

坂井委員 ありがとうございました。雄勝石の活用をお考えいただいているということで、ありがたいと思いますが、地元では中国産の石が雄勝で加工されて雄勝石だといって出回っているというようなうわさも聞いたところでございますので、そこは是非、雄勝の波板地区で取れた石だという確認をしていただいた上で是非お使いいただければありがたいなとお願いしておきます。

 総務省さんに来ていただいておりますが、今の石巻の雄勝地区の話は、合併の功罪を問う中での、功も当然あろうかと思いますが、なかなか難しい面の一つの例だと思っています。よく復興格差という話等もあっても、基礎的自治体の間での復興格差という議論がございますが、同じ市の、基礎的自治体の中の地区における復興格差というのは余り議論がなかったのではないかとも思っております。

 同じような話は、実は次の日にお話を聞いた南相馬市の小高区でも聞きまして、ここは六分の一の人口がありますから、百三十分の一と比べれば大分大きいわけでありますが、それでも、やはり合併しなきゃよかった、我々の声が通らないという声はかなり聞いてきたところでございます。

 総務省さんはこういった状況をどう考えているか、対策はどう今後考えていただいているのか、また、こういった復興格差の実態把握、調査していただいているのか、お答えをいただきたいと思います。

三橋政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる平成の合併につきましては、人口減少や少子高齢化の進展を背景に、地方分権を推進する上で基礎自治体の規模、能力の充実などが必要であるとの考え方の下、自主的な市町村合併を積極的に推進してまいりました。

 平成の合併後、総務省では、今後の基礎自治体の在り方を検討する際には合併市町村の状況や課題の把握を行ってまいりました。

 まず、平成の合併の推進の開始から十年が経過した平成二十二年に、平成の合併の評価を総務省として取りまとめ、公表しております。

 その後も、累次の地方制度調査会におきまして、これからの基礎自治体の在り方などの調査審議に際し、合併の効果や、委員御指摘のような旧市町村の活力が失われているなどの課題が取り上げられ、答申でもそれぞれ、市町村の状況や課題について言及がされてまいりました。

 直近の第三十二次地方制度調査会におきましても、令和元年十月に市町村合併についての今後の対応方策に関する答申が取りまとめられ、その調査審議の中で、市町村合併の成果や課題、課題解決に向けた取組について、合併市町村の状況を評価、確認されているところでございます。

 平成十一年以来の全国的な市町村合併の進捗を経まして、合併は相当程度進捗し、これによって多くの市町村におきまして行財政基盤が強化されたものと認識をいたしております。

 先ほど申し上げました令和元年十月の第三十二次地方制度調査会の答申をまとめていた過程におきましても、合併市町村に関するデータ等をお示ししながら、市町村合併の効果として、職員配置の適正化などの行財政の効率化、専門職員の配置、充実などを確認したところでございます。

 一方、委員御指摘の周辺部の活力が失われているなどの課題につきましては、その解決に向け、支所の設置や地域自治区の活用など、様々な取組が行われていることも確認をさせていただいたところでございます。特に、合併市町村の支所などは、平成の合併により面積が拡大するなど、その姿が大きく変化した中で重要な役割を果たしていただいております。

 総務省におきましても、こうした変化を踏まえ、普通交付税の算定について、支所に要する経費の加算、旧市町村単位の消防署や出張所に要する経費の加算などを順次措置してきたところでございます。

 平成の合併の効果等の評価、検証につきましては、将来の基礎自治体の在り方の検討に際しても重要なことと考えておりますので、引き続き平成の合併後の市町村の状況や課題の把握に努めてまいります。

坂井委員 ありがとうございました。

 最後に、ボランティアグループで大槌町の基幹産業であります水産を応援しようということで、そこの乾物などを今横浜などで販売させていただいているんですが、この地元の会社から、海藻の類い、要は原料が不足をしていると。なぜかと聞いたら、おばちゃんたちが、防潮堤ができて海が遠くなって、取りに行くのを嫌がって取ってくれないんだ、こんな話もあったところでございます。いろいろと課題がある中ではありますが、是非とも復興に向けて進めていただきたい。お願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

長島委員長 次に、菅家一郎君。

菅家委員 おはようございます。自民党の菅家一郎でございます。今日はどうぞよろしくお願いしたいと存じます。

 本年の通常国会で福島復興再生特別措置法が改正され、令和五年四月に福島国際研究教育機構が設置されることになったわけであり、九月には、地元福島県の意向を踏まえまして、機構の立地場所も福島県浪江町川添地区に決まったわけであります。今後、この機構が、福島を始め東北の復興を実現するための夢や希望となるとともに、我が国の科学技術力、産業競争力の強化を牽引し、経済成長や国民生活の向上に貢献する、世界に冠たる創造的復興の中核拠点となることが大いに期待されております。

 八月に策定された新産業創出等研究開発基本計画を踏まえた、今後の機構の施設整備についてのスケジュール、整備される施設の機能、規模感についてお示しをいただきたいと存じます。

秋葉国務大臣 F―REIの本施設につきましては、九月十六日の復興推進会議におきまして、委員御指摘のとおり、浪江町川添地区に決定し、これまで浪江町議会全員協議会での説明や地元の行政区長等への説明を行ってきたところでございます。

 今後、福島国際研究教育機構基本構想を踏まえ、その規模や構造等に影響を与える研究機器の仕様や各室面積を年内に定め、それらの設計条件を盛り込んだ施設基本計画を取りまとめていく予定でございます。

 また、令和五年四月には、浪江町権現堂地区に仮事務所を設置して、F―REIも立ち上がる予定でありまして、本施設については、福島県、浪江町とよく連携をし、都市計画手続などを経て用地を確保し、必要な調査や設計を行い、敷地の造成工事、建物の建設工事を進めていくこととなります。

 これらの各工程を着実に進めることによりまして、復興庁設置期間内での施設の順次供用開始を目指し、可能な限り前倒しして進めてまいりたいと考えております。

菅家委員 前倒しをして取り組むということで、是非、期待していますので、よろしくお願いしたいと存じます。

 平成二十九年に福島復興再生特別措置法が改正されて、福島イノベーション・コースト構想の推進が名実共に国家プロジェクトとして位置づけられたわけであります。浜通りに、福島ロボットテストフィールド、福島水素エネルギー研究フィールド、楢葉遠隔技術開発センターなど、多くの研究施設が新設されてきたわけであります。

 しかし、研究施設を設立すること自体が目的ではないんです。これらの施設を、福島の復興再生、廃炉も含めてですね、活用し、そしてまた浜通りに活気を取り戻す、こういった目的があるわけですから、これまで設立された研究施設を大いに活用して、これを機能させていくためには、福島国際研究教育機構の役割である司令塔機能、これの実効性を確保する必要があり、各研究施設の活動に横串を刺して連携を強化していくことが極めて重要だと考えますので、機構の司令塔機能をどのように確保するのか、見解をお示しいただきたいと思います。

秋葉国務大臣 ただいまは、菅家委員から大変重要な御指摘をいただいたというふうに思っております。私自身もそのように認識をしております。

 これまでの福島イノベーション・コースト構想の取組によりまして、研究開発拠点や実証フィールド拠点が整備されてきましたけれども、F―REIは、これらの司令塔となる中核的な拠点として、研究開発、産業化、人材育成の動きを加速化させていくことにしているわけでございます。

 このような認識の下、F―REIが司令塔としての機能を最大限に発揮するために、福島県や大学その他の研究機関などから構成される協議会を組織し、各機関などの研究開発などにおける役割分担の明確化や重複の排除等により、福島全体が研究開発や実証などの最適な地となっていくことを目指してまいります。

 また、既存施設の統合や予算の集約を通じて、各分野の研究開発などの加速化や総合調整を図ってまいります。

 F―REIが中核となり、福島を始め東北における課題の解決、ひいては世界共通の課題の解決に資するような研究開発などを実現できるように、政府一丸となって司令塔機能を発揮してまいりたいと思っております。

菅家委員 ここも大いに期待しているところなので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、本年六月から八月にかけて、葛尾村、大熊町、双葉町ですか、特定復興再生拠点区域の避難指示が解除された。帰還困難区域において初めて住民の帰還、居住が可能となった。来年春頃には、富岡町、浪江町、飯舘村においても特定復興再生拠点区域の避難指示解除が予定されている。これも大いに期待したいところですね。

 一方で、特定復興再生拠点区域外について、政府は昨年八月に、住民の方々の強い思いを受けて、二〇二〇年代をかけて帰還意向のある住民が一人残らず帰還できるよう取組を進めていくため、避難指示解除に関する基本的方針を決定しましたね。現在、住民一人一人に寄り添い、個別かつ丁寧な意向把握を行い、令和六年度以降に除染を開始できるよう取組を進めているものと承知しています。

 九月六日に我が党と公明党は、岸田総理に、東日本大震災復興加速化のための第十一次提言を手交し、大熊町、双葉町において、除染から避難指示解除に至るまでのプロセスのモデル事例になるよう、令和五年度から一部地域で除染に着手できるよう取り組むことを提言をしたわけであります。

 改めて、政府の、特定復興再生拠点区域外における避難指示解除に向けての具体的な方針についてお示しをいただきたいと存じます。

秋葉国務大臣 拠点区域外につきましては、ただいま菅家委員から御指摘をいただきましたとおり、まずは、二〇二〇年代をかけて、帰還意向のある住民の方々が全員帰還できるように、帰還に必要な箇所を除染し、避難指示解除を行う方針を昨年八月に決定したところであります。

 また、本年九月からは、与党から、大熊町、双葉町において、モデル事例となる除染に着手できるよう取り組むことなどについての提言をいただいたところであります。

 政府といたしましては、この与党提言をしっかり受け止めるとともに、本年八月から内閣府が大熊町、双葉町、それぞれの町と共同で行っている拠点区域外の帰還、居住に向けた帰還意向調査も踏まえまして、拠点区域外における対応の具体化に向け、前向きに検討を進めているところでございます。

 将来的には、帰還困難区域の全てを避難指示解除し、復興再生に責任を持って取り組むとの決意の下、引き続き、各自治体の個別の課題や要望を丁寧にお伺いしながら、避難指示解除に向けた取組をしっかりと前に進めてまいりたいと考えております。

菅家委員 是非、前向きにということでありますから、これをひとつよろしくお願いしたいと存じます。

 次は、昨年四月、政府は、ALPS処理水の処分方法について、原発敷地内から海洋放出する方針を正式に決定したわけであります。東京電力は、地元自治体等の了解を得て放出施設の本格工事を開始し、来年春頃にも海洋への放出開始を目指していますが、風評被害を懸念する漁業関係者等はこれに強く反発しているわけであります。

 政府は、令和三年度補正予算において、ALPS処理水放出による風評被害対策として、需要が落ち込んだ水産物を一時的に買い取り、販路拡大を支援する三百億円の基金の設置とか、令和四年度第二次補正予算では、別枠で五百億円の基金を設置して、全国の漁業者を対象に漁船の燃料費支援などの支援策を打ち出しているわけであります。

 このような基金による漁業者支援も重要でございますが、その理解を得るためには、ALPS処理水の海洋放出に関わる安全性を国際的な第三者機関であるIAEAに評価していただき、国内外に積極的にアピールしていくことが重要であると私は考えます。

 ALPS処理水の安全性評価に当たっての、放出前、放出後の具体的なモニタリングの対応についてお示しをいただきたいと存じます。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ALPS処理水の海洋放出に当たりましては、公衆や周辺環境の安全を確保すべく、安全性に関する規制基準を厳格に遵守することに加え、適切なモニタリング結果の公表などにより、風評影響を最大限抑制することが必要と考えております。

 具体的には、海洋放出前のALPS処理水につきまして、東京電力に加えまして、日本原子力研究開発機構などの放射性物質の分析に専門性を有する第三者機関がALPS処理水のトリチウム濃度を確認するとともに、トリチウム以外の放射性物質が安全に関する規制基準を確実に下回るまで浄化されていることについて確認し、その結果を公表することとしております。

 また、放出後の環境モニタリング、環境中のモニタリングにつきましては、本年三月に改定しました総合モニタリング計画に基づきまして、関係省庁や東京電力などにおいて海水や水産物のトリチウムの濃度などを把握することとされております。本モニタリングにつきましては、放出開始前の状況を把握するために既に今年度から開始をしておりまして、放出後において海域や水産物のトリチウム等の測定値に大きな変動が発生していないか確認していくこととしております。

 これらのモニタリングにつきましては、IAEAなどの国際機関や地元自治体など、第三者の目による監視を入れること、結果公表に際しましては、関係機関の実施結果の一元的な公表や測定値の意味の分かりやすい説明など、情報発信の工夫を行うことなどを通じまして、客観性、透明性、信頼性を最大限高めていくこととしております。

 経済産業省といたしましては、東京電力がALPS処理水の放出における安全性を確保するよう指導するとともに、モニタリング結果の公表を含めて、風評影響を抑制すべく関係省庁一体となって取り組んでまいりたい、このように考えてございます。

菅家委員 どうか、この辺がやはり安全、風評被害払拭にもつながりますから、しっかりとモニタリング、公表したり、対応していただきたいと思います。

 次は、令和四年七月時点で十二か国・地域が、我が国の、福島県産の農林水産物に対する輸入規制措置が継続されているわけであります。ただ、本年六月には英国、七月にはインドネシアが輸入規制措置を撤廃するなど、我が国の食料品の安全性を御理解していただいた国々があるわけでありますので、この点については、関係各位の御努力に敬意を、感謝を申し上げたいと思いますが。

 福島に限らず、日本での食品の安全性は、いわゆる、世界と比べても十分の一の百ベクレル・パー・キログラムという、世界でも最も厳しいレベルに設定され、検査を通過した安全な食品が市場に流通しているわけであります。ですから、いまだに輸入規制を続ける、私は、特に隣国の中国とか韓国ですね、これらに対してやはり一日も早く理解をいただいて輸入規制を撤廃するということが望ましいと思いますが、政府はそのために具体的にどのように今後対応されるのか、お示しをいただきたいと思います。

秋本大臣政務官 お尋ねがありました中韓に対してでございますけれども、中国に対しましては、これまでもあらゆる機会を通じて働きかけを行っております。

 例えば、本年五月には、林大臣から王毅部長に対しまして、テレビ会談ですけれども、日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃を強く求めたところであります。また、韓国でありますが、同様に様々な機会を捉えて、早期の規制撤廃について働きかけをしております。

 いずれにいたしましても、外務省といたしましては、中国及び韓国による輸入規制措置の早期撤廃に向けて、政府一丸となって力強く働きかけてまいりたいというふうに思っております。

菅家委員 是非、今後も力強く対応していただきたいとお願いしたいと存じます。

 次は、復興庁では、福島復興の現状を知ってもらう、福島県産品を食べてもらう、福島県に来てもらう、この三つの観点から、テレビ、ラジオ、インターネット、SNS、漫画等、多くの媒体を活用したメディアミックスによる情報発信を積極的に行っているものと承知はしてございます。風評払拭のためには、このような視覚的、感覚的に分かりやすい形での情報発信が大変重要でございます。

 政府は、これまで、原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォース、これを設置して風評対策に取り組んできました。しかし、いまだに国内外において理解が十分に進んでおらず、風評被害は継続をしていると受け止めております。

 そのために、先月、秋葉復興大臣は、新たに、持続可能な復興広報を考える検討会議を立ち上げたと承知しております。この会議では来年一月に取りまとめを行うとのことでございますが、更なる効果的なメディアミックスによる情報発信の在り方についても検討すべきではないでしょうか。

 持続可能な復興広報を考える検討会議におけるメディアミックスによる情報発信の検討状況、メディアミックスの効果的な活用についての復興大臣の御所見を伺いたいと存じます。

秋葉国務大臣 風評の影響払拭のためには、科学的根拠に基づいた安全性などの正しい情報を分かりやすく届けることが極めて重要でありまして、復興庁といたしましても、ラジオ、インターネットなどの多くの媒体を活用したメディアミックスにより情報発信を行ってきたところでございます。

 例えば、今年の八月には、親子で参加する釣りイベントを開催するとともに、テレビ、ラジオ、SNS、雑誌などの多様なメディアを活用して、福島県産水産物の魅力と安全性を発信してきたところでございます。

 委員御指摘のとおり、こうしたメディアミックスの情報発信を更に効果的なものにしていくことが重要でありまして、有識者の方々から知見や具体のアイデアとノウハウについて提案をいただくことを通じて、風評の影響の払拭と、震災の記憶と教訓の風化という二つの風に対処するため、新たに本年十月から、持続可能な復興広報を考える検討会議を立ち上げたところでございます。

 本会議において、速やかに活用できる知見があれば、取りまとめを待たずに随時実施することとしておりまして、例えば、地域発の広報が重要であるとの御指摘を踏まえ、メディアを通じて、地元漁業者の方々自らが三陸、常磐の海産物の魅力を発信するなどの取組を始めているところでございます。

 引き続き、効果的なメディアミックスによる情報発信に努めてまいりたいと思います。

菅家委員 時間になりましたけれども、福島県の廃炉の問題、処理水の問題、それから再生土壌の扱いの問題、風評被害の問題、まだまだ課題がたくさんありますから、まさに福島の復興、震災の復興をこれからも加速していただけるように心から御期待申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

長島委員長 次に、庄子賢一君。

庄子委員 公明党の庄子でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 秋葉大臣とは一時期、宮城県議会で御一緒に仕事をさせていただいておりましたが、被災地出身の復興大臣として是非リーダーシップを発揮し、復興を前に進めていただきたいということをまず冒頭お願い申し上げた上で、さすがに震災から十一年以上が経過してまいりましたので、どうしてもこの間、風評、風化が進むということを避けられない部分がございます。そういった中にあって、復興を確かなものにしていくためには、大臣の復興にかける思い、熱量、こうしたものが非常に大事になってくるというふうに考えておりまして、改めて秋葉大臣の復興にかける思いについて伺いたいと思います。

秋葉国務大臣 今回、復興大臣を拝命するに当たりまして、岸田総理からは、被災地に寄り添いながら、各省庁の縦割りを排し、現地現場主義に徹したきめ細かな対応により、福島の本格的な復興再生、東北復興の総仕上げに全力で取り組むよう御指示があったところでございます。

 私自身も、庄子委員同様、被災地選出の大臣として、就任以降、各地を訪問し、地元の皆様から復興の状況や課題を様々お聞きしてきたところであります。こうした中、震災から十一年以上が経過し、復興が着実に進む中で浮かび上がってきた課題があることも事実だということを感じております。

 復興大臣として、風評の払拭と風化の防止という二つの風としっかりと闘いつつ、現地現場主義を徹底し、復興の司令塔としての役割を十分に果たしながら、被災地の復興に全力を尽くす決意であります。

庄子委員 是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 具体に何点か伺ってまいりますが、まず原発の処理水の海洋放出についてであります。

 ALPS処理水の処分について、昨年四月、閣僚会議で、二年後を目途に海洋放出をするという基本的な方針が決定しました。である以上、国が前面に立って、全責任を持って万全の体制を講じていくことは当然だというふうに思います。

 そして、国の方針決定後、実に七百回以上にわたって説明会、意見交換会などが開かれておりまして、非常に積極的に取り組んでいただいているというふうに評価を申し上げますが、しかし、残念ながら、各種世論調査を見ますと、海洋放出については反対が賛成を大きく上回っているというのが現状にございます。この風評被害に不安を感じる方々は八割から九割、調査によっては上っております。

 科学的根拠に基づく客観的リスク評価と主観的リスク認識、これにまだ大きな乖離があるということでありまして、これまで行ってきた説明会などをより質、量共にしっかりバージョンアップして、誠意を持って、かつ確信を持って行っていくことが必要だというふうに思っておりますが、どう向き合っていかれるか、伺いたいと思います。

太田副大臣 お答え申し上げます。

 ALPS処理水の海洋放出につきましては、地元において風評影響を懸念する声があることもしっかり認識しておりまして、委員御指摘のとおり、安全性の確保や風評対策の内容についての各種説明会について、質、量共に充実を図っていくことが必要と考えております。

 こうした中、二〇二一年四月の基本方針決定以降、地元の方々を始め、先生御指摘のように、これまで七百回以上、御説明、意見交換させていただく機会を設けてまいったところでありますけれども、引き続いて機会をいただいて、地元の多くの方々に対して説明を続けていきたいと考えております。

 また、説明会の実施方法につきましても、地元イベントへのブース出展を通じた直接かつ双方向のコミュニケーションの実施や、車座等による地元の皆様との対話、地元の高校等での出前授業の実施など、様々な方法での工夫を行っているところであります。

 まさに昨日十四日ですけれども、IAEA派遣団が訪日をされまして、ALPS処理水の安全性に関する二回目のレビューが実施をされているところでありまして、こうしたIAEAによるレビュー内容を含む、科学的根拠に基づく分かりやすい説明をあらゆる場で繰り返し行ってまいりたいと考えております。

庄子委員 ありがとうございます。

 IAEAの外部からの評価、これは非常に大事ではありますけれども、あくまでも、この海洋放出については、日本の政治に対する信頼度、ここは本当に肝要だと思っておりますので、今御答弁のように、誠意を持って是非説明を尽くしていただきたいというふうに思います。

 一方で、地元市民の不安感というのはまだ根強くございまして、昨年、福島県の地元メディア、テレビや新聞等が県民を対象に調査を行いましたけれども、処理水の海洋放出による懸念として、新たな風評の発生というのが第一位であることはもちろんなんですが、二番目に声が多かったのは、県民への偏見、差別という結果が出ておりました。

 こうしたことになれば、これは風評というよりもむしろ実害に近いものがありますし、あの十一年前の原発事故の直後、福島県民の皆様が全国各地に避難をされたときのああいったいわれなき偏見や、また、学校に行ったときの子供たちに対するいじめとか差別といったものが二度と起こってはならないというふうに思いますので、こうしたところにしっかり対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

太田副大臣 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、ALPS処理水の海洋放出により地元の皆様に対する偏見、差別が生じるようなことがあってはなりません。そのためにも、地元の方々に限らず、全国大での理解醸成を図っていく必要があるということが重要だと思っております。

 これまでも、パンフレットや動画における分かりやすいコンテンツの作成、発信のほか、SNSやホームページ、新聞広告、ラジオ等を活用した情報発信を行ってまいっております。

 例えば、インフルエンサーに東京電力福島第一原発を訪れていただきまして、ALPS処理水の安全性を含む情報発信をいただく等を含めまして、全国の皆様に分かりやすい情報をお伝えする取組も実施してきたところでございます。加えて、今後、全国大での理解醸成を加速させるべく、テレビのCMやウェブ広告等による広報を実施するほか、情報発信の一層の強化を図ってまいりたいと思います。

 ALPS処理水の海洋放出により地元の皆様に対する偏見、差別が生じることがないように、全国大での理解醸成を図っていくことに万全を期してまいります。

庄子委員 今副大臣がおっしゃっていただいたような積極的な広報活動、これはもちろん、国内だけではなくて、国際社会に向けても行っていく必要がございます。各国政府に説明をするということのみならず、できるだけ多言語で、世界市民に拡散されていくような情報提供、この在り方を工夫していくべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ALPS処理水の取扱いにつきましては、これまでも、国際社会に対しまして、科学的根拠に基づき、透明性を持って丁寧に説明してまいっております。

 例えば、在京の外交団あるいは在京外国メディアへのブリーフィング、海外ニュース番組での説明、海外紙への広告記事の掲載などによりまして、処理水処分の安全性、必要性の解説や情報発信などを行ってきております。

 また、国際会議や外国政府による報道発表などにおきまして、事実と異なる情報が発信された場合には、政府全体で連携し、迅速に訂正を求めるなどの対応も行っております。

 加えまして、政府の基本方針やALPS処理水の安全性に関する資料は、経済産業省や東京電力のホームページにおきまして、日本語、英語だけではなくて、中国語、韓国語などでも情報発信をしており、今後も充実を図ってまいる予定でございます。

 さらに、IAEAにおきましては、ALPS処理水に関するサイトを新たに立ち上げまして、英語や中国語を含む七か国語で情報発信をしていただいております。

 今後とも、IAEAを始めとします関係機関の協力を得つつ、外務省などの関係省庁とも連携しまして、あらゆる機会を通じて国際社会に説明し、安全性の理解醸成に取り組んでまいりたいと考えてございます。

庄子委員 どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 次に、原子力損害賠償紛争審査会におけます中間指針の見直しについてお尋ねをいたします。

 中間指針は、やはり時間の経過とともに策定当初は想定し得なかった様々な被害が明るみに出てきておりまして、見直しが必要だというふうにずっと指摘をされておりました。

 最高裁では、三月二日、七日、三十日にわたりまして、福島原発事故賠償に関する東京電力の上告受理申立てを退けまして、群馬訴訟や千葉訴訟あるいは中通り訴訟といった七つの訴訟に関して東京電力の責任を確定させました。こうした判決は、内容はそれぞれが異なってはいるものの、いずれも原子力損害賠償紛争審査会が定めました中間指針の水準を上回る損害賠償を認めるという判断になっています。

 こうしたことを踏まえて、先週開かれました第五十九回の賠償紛争審査会では最終報告が取りまとめられました。過酷避難状況による精神的損害、あるいは故郷喪失、変容による精神的損害、これは生活基盤変容慰謝料というふうに言われておりますけれども、これらを含む、中間指針にこれまで示されていなかった損害についても類型化し、第五次追補という形でこの中間指針を見直すことが決まった、こう理解をしておりますが、事実関係についてお尋ねいたします。

山本大臣政務官 お答え申し上げます。

 東電福島原発事故の損害賠償については、本年三月に集団訴訟の高裁判決が確定したことを踏まえ、中間指針の見直しの要否について検討等を行うため、原子力損害賠償紛争審査会の専門委員による各高裁判決の詳細な調査、分析を行ってきたところです。

 先週十一月十日に開催された第五十九回審査会では、それら調査、分析に関する最終報告が行われ、当該報告を踏まえ、中間指針を見直し、第五次追補を策定するという方針について、審査会としての共通認識が得られたものと承知しております。具体的には、委員御指摘のとおり、これまで中間指針には示されていなかった、過酷避難状況による精神的損害や、ふるさとの変容による精神的損害を新たに類型化するなどの方向で検討を行うこととされたものと承知しております。

 中間指針の見直しに係る具体的な議論については、今後、審査会において公正中立な立場から迅速に行っていただくものと考えております。

庄子委員 ありがとうございます。

 指針の見直しということになれば、第四次追補が平成二十五年十二月でございましたので、実に九年ぶりの指針の見直しということになって、大きな前進になることは事実です。一方で、今御答弁のように、迅速にとおっしゃっていただきました、被害者の中には大分御高齢の方々もおられますので、スピード感を持って厳正に行っていただきたいというふうに思っております。

 この見直しについて、第五次追補を行ってもなお、この指針の中には含まれない被害の類型が当然にあり得ます。でも、それが被害である以上、賠償の対象になるということについて、文科省さんとしてこれは、東京電力、事業者に対してしっかりと理解を求めていっていただきたい、要請をしっかり行っていただきたい、そう思いますが、いかがでしょうか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 今ほど議員から御指摘の点につきましては、中間指針に明記されていない損害についても個別具体的な事情に応じて賠償の対象となり得ることが指針中に明記をされております。

 また、先週、第五十九回の紛争審査会において行われた専門委員による最終報告においても、指針で類型化されたものだけが賠償すべき損害ではないことは言うまでもなく、東京電力においては、被害者からの賠償請求を真摯に受け止め、合理的かつ柔軟な対応と同時に被害者の心情に配慮した誠実な対応を求めたいといった点、また、関係行政機関が一体となり東京電力への指導監督等の取組を進めること、こういった点が最終報告において指摘をされております。

 これまで、文部科学省は、文部科学大臣の指示の下、担当局長から東京電力に対して、中間指針の示す考え方を正しく理解し対応するよう、累次要請を行ってきております。

 さらに、東京電力が原子力損害賠償・廃炉等支援機構と共同で作成した第四次総合特別事業計画においても、指針等に明記されていない個別の損害が発生している場合は、それを一律の上限とすることなく、個別の御事情をきめ細かく丁寧に伺い対応すると記載しております。

 文部科学省としては、東京電力がこうした方針をしっかりと実行しているか、対応状況を注視するとともに、適宜更なる要請を行ってまいりたいと思っております。

 以上です。

庄子委員 ありがとうございます。

 文科省さんはやはり要請と注視ということの領域をなかなか出にくいと思いますので、経済産業省がここはしっかり、もし事業者が、消極的な賠償の姿勢あるいは不誠実な対処、これらがあれば厳しく指導すべきだ、こう思いますが、御答弁をいただきたいと思います。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力は、原発事故からの復興への責任を果たすために存続を許された会社としまして、第二次総合特別事業計画における賠償に関する基本的な考え方としまして、最後の一人まで賠償貫徹、迅速かつきめ細やかな賠償の貫徹、和解仲介案の尊重の三つの誓いを掲げてございます。

 経済産業省といたしましては、東京電力が自ら掲げた三つの誓いに基づいて誠実に対応することは当然の責務であると考えておりまして、被害者の方々に寄り添った公平かつ適切な賠償を行うことが必要と考えてございます。

 中間指針の見直しに際しましても、指針の内容を踏まえることは当然のこととしまして、被害者の方々の個別具体的な御事情を丁寧に伺いながら公平かつ適切な賠償を行うよう、東京電力を指導してまいります。

庄子委員 しっかりとした指導を是非お願い申し上げたいと思います。

 次に、原発の廃炉の現状についてでございます。

 与党が行いました第十一次提言、この中でも、復興と廃炉の両立を大原則としまして、廃炉の安全かつ着実な前進、さらに、事故を起こしたプラントからの燃料デブリ取り出しという前例のない困難な作業であることを踏まえまして、研究開発に一層取り組むことを求めてまいりました。その上で、燃料デブリの性状、ロボット遠隔技術あるいは放射性物質の取扱いなど、広範囲かつ高い専門性が求められる、そうした領域でございます。

 こうした廃炉を支える高度な技術を持った人材の確保、育成、これについてはどのように取り組んでいくか、課題も含めてお尋ねをいたします。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 福島第一原発の廃炉についてでございますけれども、世界的に前例のない取組でございまして、高度な技術が必要とされる中で、委員御指摘のとおり、これらの技術の開発、運用を行うことができる人材の確保、育成が大変重要だと考えてございます。

 国といたしましては、福島第一原発の廃炉における難易度の高い研究開発に予算措置を講じておりまして、それを通じて研究開発人材の育成も図ってございます。例えば、燃料デブリの取り出しや放射性物質の処理処分の研究開発におきまして、これらに参画する研究者が非常に専門的な知見を身につけながら研究開発を進めてございます。

 東京電力におきましても、廃炉を支える企業の裾野を広げるべく、地元企業が廃炉産業に参入できるよう、技術力向上のサポートを行っております。

 さらに、先日には、これまで東京や海外に発注していました廃炉の中核技術、製品につきまして、将来的には福島の浜通りで開発、製造ができるようにするため、東双みらい製造といった新会社を立ち上げまして、地域の雇用、人材育成を進めてまいっております。

 また、今後、大量に発生します放射性物質の管理に向けましては分析人材の確保が重要でありまして、東京電力における人材確保と並行しまして、来年四月に設立が予定されております福島国際研究教育機構におきましても、放射性物質の分析等を担う人材の育成を図っていくこととしてございます。

 さらに、次世代を担う人材の確保、育成も重要であると考えておりまして、原子力損害賠償・廃炉等支援機構におきましては、理工系を志望する高校生が海外の原子力の専門家や福島第一原発で廃炉作業に従事する技術者の方々から助言や相談の機会を得るワークショップも開催してございます。

 人材の育成、確保、これは中長期的に取り組むべき課題でございまして、関係者で連携することで、着実な廃炉に向けて国も前面に立って対応してまいりたい、このように考えてございます。

庄子委員 よろしくお願いいたします。

 東日本大震災からの教訓を今後の防災対策にという観点でも伺いたいというふうに思っておりますが、一つ、済みません、時間の関係で質問を飛ばさせていただきますけれども、災害関連死についてお尋ねをしておきたいと思います。

 数多く全国各地で震災が起こっておりますけれども、多くの貴い人命が直接死という形で失われております。一方で、震災の後にいわゆる関連死として認定された方々が、平成に入ってからの災害で実に約五千人おられます。元々持病を持っておられた方など様々な要因があろうかとは思いますけれども、この人数は非常に看過できない人数です。

 東日本大震災では関連死の割合が一九・二%、平成二十七年の関東・東北豪雨では六〇%、平成二十八年熊本地震では実に八〇・一%が関連死。この熊本の地震では直接死の約四倍が関連死だったということでございまして、我々もよく防災・減災と言って、災害から国民の皆様の命、暮らしを守るというところを強調しておりますが、その陰でというか、一方で関連死の方々が実にこれほどたくさんいるということについては、もう少しこれはしっかり向き合っていく必要があるんじゃないかなというふうに思っておりまして、この取組への決意、具体策についてお尋ねをさせていただきます。

星野副大臣 お答えいたします。

 災害関連死につきましては、令和三年の四月に、東日本大震災、熊本地震、令和元年の東日本台風等による災害関連死について調査を行い、災害関連死事例集として公表をしております。

 これによれば、高齢者や基礎疾患を抱える方を中心に、避難生活の肉体的、精神的負担や、電気、ガス、水道等のライフラインが停止したことによる影響、医療機関や社会福祉施設が被災したことによる医療サービス、福祉サービスの低下など様々な要因で亡くなっておられまして、災害関連死を減らすためにはこうした課題に対応していくことが必要であると考えております。

 避難所の環境改善も重要な課題でございます。政府としては、これまで、避難所への避難だけでなく、安全な親戚宅、友人宅への避難や、ホテル、旅館の活用、避難所における段ボールやパーティションの活用といった、良好な生活環境の確保等について自治体に適切な対応を求めております。

 引き続き、関係省庁や自治体等と連携をしながら、一日も早い復旧復興に努めるとともに、避難所の環境改善など、災害関連死の防止に向けた取組を進めてまいります。

庄子委員 秋葉大臣、済みません、御通告申し上げておりませんが、やはり関連死の問題というのは各省庁にいろいろまたがっている話かと思います。是非、大臣、ここは少し意識をしていただいて、関連死を起こさないための具体的な取組ということについては是非手腕を発揮していただきたいと思います。一言、所感をいただきたいと思います。

秋葉国務大臣 ただいま、庄子委員からは大変重要な御指摘をいただいたと思っております。

 私も、東日本大震災における関連死の問題、深く認識しておりまして、御案内のとおり、例えば宮城県では約一万人の方が亡くなり、震災関連死は大体千人前後だったというふうに記憶しておりますが、一方で、福島県は、千六百人が津波被害等で貴い命を失われたわけでありますが、震災関連死は二千三百三十三人ということで、津波被害等で亡くなった方よりも多いというデータがございます。私も、この数字、いつも念頭に入れて仕事をさせていただいておりまして、震災関連死については引き続き深掘りをした取組が必要だと思っております。

 今回、重要な御指摘をいただきましてありがとうございました。

庄子委員 時間が参りましたので、終わります。少し質問を残してしまいまして、申し訳ありません。

 是非、関連死を防ぐためにも、先ほども御答弁がありました避難所の生活の改善といったことについて、また改めて別なところで御質問申し上げますが、鋭意取組をお願い申し上げたいと思います。

 ありがとうございました。

長島委員長 次に、荒井優君。

荒井委員 立憲民主党の荒井優でございます。

 十一年前、東日本大震災がありましたときに、そのときに大臣とは面と向かい合う機会がございました。当時、僕はソフトバンクの社長室におりまして、東日本復興支援の財団を立ち上げて、大臣とも地元の支援室の国会議員として向き合うことがございました。

 そのとき御紹介いただいた方からは、秋葉大臣は松下政経塾の最後の松下幸之助の直接の薫陶を受けたホープなんだというふうに御紹介を受けた気がします。松下政経塾の採用においては、運と愛きょうで人を採用しているということをよく聞かれます。大臣は、まさにあのとき大臣が四十九歳だったと思いますけれども、そのとき三期生で、お会いしたときにもまさに勢いを感じていたわけですが、今こうしてまさに復興を担当する大臣になられて、まさにその運と愛きょう、松下幸之助さんの炯眼なのかなというふうに思いますが、大臣は御自身ではこのことについてどう今思われていますか。

秋葉国務大臣 荒井委員には、当時、嶋さんと一緒にお会いさせていただいて、その後、本当に志高く国政に進出をされ、本当にまたこういった場で切磋琢磨できますことをうれしく思います。

 確かに、幸之助さんに直接御指導いただいた本当に代え難い思いがございますけれども、その運と愛きょうの話は、たしか三期生の面接のときに、どういった基準で塾生を選んでいるんですかということについて、幸之助さんが何となく運と愛きょうがありそうな人を選んでいるということで、私ども当時の塾生にとりましては大変有名な逸話として引き継がれてきているところでございます。そういった運と愛きょうもさることながら、やはりひたむきな努力ということがまず大前提での運と愛きょうではないかなというふうに自分なりに解釈して取り組んできたところでございます。

荒井委員 ありがとうございます。まさにひたむきな努力が今の大臣をつくられたんだというふうに僕も思いたいというふうに思っております。

 今回、国会議員になってみて、僕はどうしてもこの震災特に入りたくて、最初からお願いして、去年の一期生のときから入らせていただいております。今回、僕にとっては初めて、まさに地元、被災地出身の方が大臣になられた。自民党が政権を取ってから二人目になると思いますが、まさにこういう地元のことがよく分かられる方が大臣に、しかも十一年目にして大臣になるというのは非常に意味があるんじゃないかというふうに思っておりました。

 大臣のいろいろな今までの会見等を見させていただきましたが、たしか大臣は、十一年前の震災の三月十一日のときには東京にいらっしゃった、その二日後に地元に行って現場を見て歩いた、そういうことをコメントされているかと思います。ですので、大臣そのものは被災はされていないというふうに思うんですが、大臣の御家族や御親族では被災された方はいらっしゃったんでしょうか。

秋葉国務大臣 今委員御指摘のとおり、震災時は東京にいたんですけれども、地元に戻りましたのは二日後ではなくて、翌日すぐに、早朝に東京を自家用車で立ちまして、午後二時過ぎには地元に入りまして、宮城県の災害対策本部の会合に出席をさせていただき、その後、夕方にかけて現地現場を訪れて、本当に、一言で言えばまるで戦場のような光景を今でも忘れることができませんし、そうした現状をしっかりと復興を遂げていかなきゃいけないなという思いで取り組んできたところでございます。

 幸い私の親戚等々にはいわゆる死者はおりませんでしたけれども、しかし、住宅が全壊したり、あるいは大規模半壊したりという親戚は多数ございました。

 いずれにしても、本当に大勢の皆さんが大変な思いをしたわけでありまして、あのときの思いというものを原点にしながら、しっかり取り組んでいくことが、寄り添った対応をしていくことが大事だというふうに認識しております。

荒井委員 ありがとうございます。御親族、御家族を含めて被災された方がたくさんいらっしゃる、本当にそういう思いを受けて大臣になられたんだというふうに思っております。

 大臣を支援する方々も当然たくさん同じように被災をされたと思いますけれども、いかがですか。

秋葉国務大臣 委員御指摘のとおり、私の選挙区は宮城第二選挙区といいまして、宮城野区、若林区、泉区の三つが選挙区でございます。特に、宮城野区、若林区は沿岸部でございますから、本当に津波による死者が多数出ましたし、何といいましても、三・一一の日に、NHKでの第一報が、仙台市若林区で遺体三百というのが第一報でございました。地元におきましては、どちらかといえばリアス式海岸のところでの甚大な被害ということはよく認識されておりましたが、私の地元のように一直線の海岸線のところであのクラスの津波というのは余り想定されていなかったのではないかと思います。

 そういう中で、本当に、親戚のみならず、私がこれまで御支援をいただいた方々も大分お亡くなりになりましたし、特に若林の荒浜という地区は私のポスターであふれていた地域でもございますので、そこが全て流されたというような状況で、これは内陸部の方も含めて本当に甚大な被害であったというふうに思っておりまして、仙台もまだまだ課題がございますので、これをしっかり克服して課題解決をしていかなければならない、このように認識しております。

荒井委員 大臣、まさに震災から、僕もソフトバンクの社長室として、当時の社長の孫正義さんが震災の復興に百億を寄附するお金を一旦お預かりして、まさに六十億を各県に、そして四十億を復興支援のために公益財団を立ち上げて、様々な活動をしてまいりました。そのときに実は孫社長から、いいか、お金は稼ぐよりも使う方が難しいんだぞというふうに言われて、この言葉をまさに、この四十億、それ以外にもその後この財団には多くの方から寄附が毎年集まってきて、その寄附を使っていろいろと復興支援の活動に使いますが、常に、使い方とは大変難しいものなんだというふうに思いながら仕事をしてきました。

 今回、調べてみると、でも、この言葉のオリジナルはどうも孫さんではなくて、松下幸之助さんが同じように話されているというふうに伺いました。大臣は松下幸之助さんの著書も出されていますが、大臣は、これが松下幸之助さんがおっしゃっていたということを御存じでしたか。

秋葉国務大臣 今いろいろ思い返しているんですけれども、そういった著作があったかどうか、ちょっと思い出せないでおります。

荒井委員 ありがとうございます。江口克彦さんの本の中で御紹介されているフレーズです。お金は稼ぐよりも使う方が難しいんだと。

 今回、予算委員会の中で、義理のお兄さんが運営していたという政治経済研究所に、まさに大臣の第二総支部から寄附を六百万されているということが予算委員会でもずっと議論になってきたわけですが、まさにこれもお金の使い方についての話なのではないかと思っております。

 大臣は何度かこの予算委員会の中で、この寄附に関しては、第二総支部の、これはまさに税金を使っているものではないので問題がないというふうにおっしゃっていますけれども、それは間違いありませんか。

秋葉国務大臣 今委員お尋ねの政治経済研究所は、基本的には、私が設立した政治団体ではございませんで、他の代表者が設立した団体であり、既に解散したと聞いております。私の活動を支えたいということで、政治経済について研究をしようということになりました。そこで、その活動を支えるために政党支部から寄附したところでございます。

 御指摘の寄附金の額でございますけれども、団体が設立された際に、次の選挙までに約四年間あることを見据えて、見合いの金額というものを寄附させていただいたものでございます。結果的に、政治経済研究所の収支報告書に記載されておりますとおり、解散までの間に政治活動費を含めた実活動費として二百八十八万円の支出が行われていたものと承知しております。

 また、私がこの団体と共にした活動を思い起こしてみれば、議員会館などにおいて勉強会を複数回した記憶がございます。

 いずれにしても、疑念を抱かれないように、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

荒井委員 例えば、打越さんとのやり取りの中でも、ただ、この六百万に関しては税金ではないので構わないんだという言い方をされているかと思いますが、その点はいかがですか。

秋葉国務大臣 答弁でお答え申し上げましたのは、寺田大臣が政党交付金だったという指摘で厳しく追及をされていたものですから、それとの比較もありまして、私の場合には政党交付金ではなかったという意味で申し上げたところでございまして、いずれにしても、疑念のないようにしていくことが大事だというふうに思っております。

荒井委員 税金が原資でなければ、それでは何が原資だったんですか、この六百万円の。

秋葉国務大臣 私の政治活動を支えていただくために様々な方から御寄附やカンパをいただいておりますので、そういった皆様からの浄財が原資だということでございます。

荒井委員 そうなんですよね、政党支部というのは、まさに税金か、若しくは寄附や献金、そういったものを集めたもので政党支部は成り立っているわけですね。まさに秋葉大臣の活動に頑張ってほしいという地元の思いを込めた方々が、ひょっとしたらそこには多くの被災者の方や被災企業もあったかもしれません、そういった皆さんが、二〇一七年だと思いますが、寄附をたくさんした、ちょうど選挙のあった年ですので寄附や献金をたくさんした、その年に大臣は六百万円をお兄さんが立ち上げた政治経済研究所に寄附するわけですね。

 お金は稼ぐよりも使う方が難しいんです。例えば、僕がやっていた財団も、五百万、六百万のお金をNPOに寄附するときに、助成金を出すときには、一体どんな活動をするのか、その活動に瑕疵はないのか、そもそも活動が担保できる団体なのか、構成員なのかということを物すごく調べます。なぜなら、このお金の原資は寄附をする方がいたからです。大臣の政党支部でいえば、一万円や十万円という形でこつこつと献金をされてきた方々にしっかり説明責任がつく必要があるから、活動に対して本当にやるかどうか。

 先ほど大臣がお答えになった石巻の雄勝のモリウミアス、さっき僕は聞いていてうれしかったですよ、モリウミアスは、僕もその財団で数千万のお金をまさに寄附してきました。そして、十一年たっても、こうして大臣の答弁で、しっかりと雄勝に居着いた活動として言われるぐらいにしっかりとやっている。だからこそ、寄附者の思いを我々は、中間支援の寄附をする側はそこから更に、団体に寄附する側はしっかりと調べる必要があると思うんです。

 でも、大臣が寄附を六百万した団体は四年間の予定が二年間で終わってしまい、そして、さらに、そのお金に関しても全くたなざらしの状態で残っているんじゃないですか。このお金は今どうなっていますか。

秋葉国務大臣 今委員のお話がございましたとおり、やはり私の政治活動を支えていただいているまさに浄財でありますから、そうした皆様お一人お一人の思いというものをやはり常にしっかりと受け止めて、効果的にありがたく使わせていただくということがまずは基本でなければならないというふうに思っております。

 既に予算委員会等でもお答えをさせていただいているところでございますが、十月に残金を返還いただいたところでございます。

荒井委員 この義理のお兄さんの団体は、義理のお父さんのおうちを、まさにそこに賃料を払っているわけですが、この賃料に関して義理のお父さんは確定申告をしていらっしゃいますか。

秋葉国務大臣 政治経済研究所の政治資金の使途につきましては、公開されている当該団体の収支報告書に記載をされているとおりでございます。予算委員会でも同じ御質問がございましたけれども、家賃収入に係る税務申告につきましては、解散した他団体の家賃の支払い先についてのことでありまして、私の方でお答えする立場にはございません。

 なお、政治経済研究所の寄附については、委員から御指摘いただいておりますとおり、交付金ではないということも改めて申し添えておきたいと存じます。

荒井委員 震災から十一年たっていますが、今でも大臣の地元で震災の復興のために様々な活動をしているNPO、ボランティアの組織があるのは御承知のとおりだと思います。今、復興庁もそういった活動にたくさんの助成金を、細ってきましたけれども出しています。でも、そういった活動をしている団体に、まさに、親族にお金を出して、そのお金は、別の、親族だけれども全く関係ない他団体だからその使い道を報告しなくてもいいんだ、若しくは解散したことを報告を受けなくてもいいんだというのは、説明がつかないと思うんですね。

 少なくとも、大臣の政党支部に献金した人たち、寄附した人たちは税控除を受けていますよね。つまり、一部の税金を控除してでもこういった活動に資するという活動を、この政党支部には役割として与えているんだというふうに思うんです。そして、その政党支部が、大臣が何らかの根拠を持って六百万を寄附しようというふうに思いを託したところがなくなったのであれば、そのお金をすぐにそもそも戻すべきだし、寄附した人たちに対して、献金した人たちに対してしっかりと説明をする義務だって大臣には本来あるんじゃないですか、いかがですか。

秋葉国務大臣 これも予算委員会で同じ御質問をいただき、お答えをしているところでございますが、元代表に確認したところ、この政治団体を解散して残金が出たけれども、自分のものではないし、どう処理すればいいのかずっと考えていたということでございました。日常に忙殺され、対応が延び延びになっていたところ、政党支部に戻すべきだと考えて、すぐに手続をさせていただいたということのようでございます。

荒井委員 もう一度申し上げます。大臣に寄附や献金をされてきた方々、この二〇一七年は例年よりも幾ばくか多いかと思いますけれども、こういった皆さんには、六百万を払った団体が活動がなくなったことに対して御説明はされたんですか。もっと言うと、今回こうやって、予算委員会を通じて大臣になった後にこうやって議論になっていることについて、説明や若しくはおわび、そういったことをされていらっしゃるんですか。

秋葉国務大臣 当該団体が、私を支援することを一つの目的として設置していただき、十分そういった活動をしていただいたということで、間接的に私の活動を支えていただいたんじゃないかというふうに思っておりまして、大変こういったありがたいことにしっかりと疑念のないように取り組んでまいりたいと考えております。

荒井委員 大臣、まさに地元選出の議員が大臣になることに多くの人が期待を寄せたと思うんですね。そのことに対して大臣は裏切ってきたんじゃないかというふうに僕は思えてならないんですけれども、大臣はこのことに対して、選挙区の方々、特に寄附をされた方、献金をされた方に何と言っておわびするんですか。

秋葉国務大臣 皆様からいただいた本当に貴重でありがたい浄財というものを、間接的ではありますけれども別団体の方が担っていただいて、十分御支援いただいたということによって御理解をいただければというふうに思っておるところでございます。

荒井委員 時間がなくなってきましたので、資料を今日お渡ししています。「震災復興が語る農山村再生」という本の中、これは、中越地震の被災者、被災地のリーダーの方、稲垣文彦さんという方が書かれたものです。

 二ページ目にその方の文章が書いてあります。ちょうど真ん中の辺り。「うまくいかないこともあったし、悩んだこともあった。そんなときは、いつもこの原理に立ち返っていた。うまくいかないのは、小さな単位のアプローチを疎かにしていたときか、知らず知らずのうちに閉じる方向に進んでいたときと、相場が決まっていた。繰り返しになるが、「開くこと」が大切なのだ。閉じていては、エネルギー交換は生まれない。」と。

 これはまさに、中越地震の被災地の復興、そこから十年かけて取り組んできた方々の一つの英知だと思うんですね。閉じていては駄目だ、常に開いていくことが大切だというふうにおっしゃっています。

 今、秋葉大臣がされていることは、非常に閉じたプロセスをされていませんか。御家族で事務所を運営したり、義理のお兄さんのところにお金を払ったり、そしてそれをしっかりと説明していかない。これは開かれているプロセスというふうに言えるんですか、いかがですか。

秋葉国務大臣 いずれにしても、私どもの活動というのは、誤解を受けることがないように、本当に、思いを持って託していただいた皆さんの、お一人お一人の気持ちというものに裏切ることがないように取り組んでいくことが大事だと、改めて再認識をさせていただいているところでございます。

荒井委員 まさに復興の十一年目です。僕以上に、大臣やここにいらっしゃる地元選出の議員の方々は、多くの国民の目線が少しずつ届きにくくなっていることに対して、やはり寂しい気持ちを地元の方が思っているのをしょいながら、この国会で活動されていると思うんです。十一年目にして地元選出の大臣が誕生したということは本当に大切なことなのに、その大臣としての職をこういうことで果たせていない、それをしっかりと開いていかないというのは、僕は非常に、大変残念ですけれども疑問が残ります。

 そういった中で、僕自身被災地の復興に関わってきた一つ大きなことが、福島のふたば未来学園という高校をつくったことになります。資料でお渡ししているちょうど四ページ目のところ。このふたば未来学園の、当時は高校二年生、今はもう大学二年生になりましたが、この遠藤君という子が、まさに廃炉に向けて頑張るんだということを言いながら、書いたときは高校の三年生ですけれども、今は新潟大学を経て勉強をしています。こういう存在が地元から選出してきているんです、まさに福島の双葉郡から。

 F―REI、まさに福島でこれからつくられる研究拠点がまさにこういった人たちの希望となるようなものになる必要があるというふうに思いますが、先ほどのスケジュール感を伺っていますと、一体施設がいつできるのか明言がなされない。どのようにつくるのか。人は決まりました、でも、どのようにつくるのかというのが余りにも遅いんじゃないかと思います。もっともっと急いで、先ほど前倒しするというふうにおっしゃっていましたが、もっと前倒しにされる、いつまでにつくるのか教えていただけませんか。

秋葉国務大臣 本当に、荒井委員のお気持ち、私も基本的には同感であります。

 先ほどもお答えいたしましたが、このF―REIの設立に向けては、これまで、本年三月の基本構想の策定でありますとか、五月の特別措置法の改正、七月の理事長予定者の指名、八月の新産業創出等研究開発基本計画の決定、そして九月の立地決定と、着実に進めてきたところではございます。

 現在、令和五年度までの施設基本計画取りまとめに向けた施設の規模などに影響を与える諸元の検討や、F―REIに対する七年間の中期目標の策定作業、令和五年度予算に係る調整など、来年四月の設立に向けて必要な準備を進めているところでございます。

 来年四月には浪江町に仮事務所もオープンをいたします。F―REIの施設が整備されるまでの間におきましても、山崎理事長予定者のリーダーシップの下で、大学などの外部機関への委託や既存施設の活用などにより研究開発の取組を進めるとともに、出前授業などの人材育成にも取り組むことで、このF―REIの地域への波及効果が発揮できるように十分意を用いてまいりたいと思います。

 また、先ほど、遠藤瞭君の高校生の資料の方の御教示もございました。こうしたふたば学園なども含めまして、F―REIにおける既存の研究機関や教育機関の施設を活用してF―REIの研究者などが教育や研究を行う、こういうこともあり得ると考えておりますので、我々も様々な工夫によって、実施方法について、関係機関とも連携しながら、このふたば学園の生徒さんたちがF―REIとも連携できるような道筋を模索してまいりたいと考えております。

荒井委員 是非よろしくお願いします。

 大臣は、就任直後の会見のときに震災孤児の話をされていらっしゃいました。このことに取り組んでいきたいんだと。今回、新海誠さんという映画監督がつい先週出された映画、「すずめの戸締まり」という映画がありますけれども、この映画が震災孤児の映画だということを御存じですか。

秋葉国務大臣 「すずめの戸締まり」、本編を拝見しておりませんが、予告編の、プロモーションビデオみたいなのを拝見したことはございます。

荒井委員 済みません、もう終わります。

 「すずめの戸締まり」、まさに震災孤児の映画ですので、是非大臣は御覧いただきたい。というよりも、もう既に御覧になっているんだと思っていました。やはりまさに復興大臣のイニシアチブというのはこういうことなんじゃないかと思うんですが、是非御覧いただきたい。そして、この映画の中でダイジンという登場人物が出てきますが、この去就、大変この映画の中で大事なことになっております。是非御覧いただき、同じこの世の大臣としてどのようにお感じなのか、お聞かせいただきたいと思います。

 以上、終わります。ありがとうございました。

長島委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。

 震災から十一年八か月が過ぎました。この間、様々な災害や、またコロナ禍ということで、震災から十一年八か月過ぎたけれども、これまでも質疑がありましたけれども、原発事故災害は現在継続中の災害です。

 先ほど庄子さんがデブリのいい質問もしましたけれども、デブリをどう取り出すかも将来見通しがまだ不透明感がある。さらには、本当はデブリを取り出した後の話は何もされていないわけです。将来にわたってこういういろいろな不安を抱えながら我々は生きていかなきゃいけない、ある意味原発事故の収束というのは今ここにいる我々の人生を超えて対応していかなきゃいけないという、非常に深刻な問題であります。それでも、復旧復興に向かって様々、それぞれの地域の方々が努力をしているところでありますけれども。

 観光振興について聞きます。

 今、コロナはパンデミックですから、全世界が大変苦労しているところであります。また、ウィズコロナの中で苦労しながらも何とか活性化していこうというところで、今、国においても旅行支援事業を展開していますが、第八波も懸念される中でまた先行き不透明感が出てきました。こうなってくるとみんな大変なわけです、コロナでは。

 だけれども、被災地からすれば復興の中で苦労しながら更にコロナですから、二重三重の苦労をしているわけですね。コロナは全体が苦労しています。そういう意味では旅行支援は大事なんですけれども、この日本全体をしっかりやっていくといいながらも、更に被災地においてはアクセルを踏んでもらわなきゃいけないというふうに私は思うんです。それは大臣も同じだと思います。

 そういう意味で、お聞きしますけれども、今、観光立国推進基本計画をまた新たにバージョンアップしようというふうになっていますが、そこでの被災地に対する観光の位置づけというものは、更に加速化するように、全体が大事です、日本全体が大事だけれども、やはりここにきちっと焦点を当てて手当てをしてもらいたいなと思いますが、その方向性についてまずお聞きいたします。

池光政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、観光の振興を通じまして被災地の復興を更に加速化していくということは大変重要だと考えてございます。

 平成二十九年に決定をいたしました現在の観光立国推進基本計画におきましても、東北六県の外国人の延べ宿泊者数を百五十万人泊とすること、さらに観光資源の磨き上げ支援やプロモーションを実施する、こういったことなどを東北の観光振興に係る施策として盛り込んでおるところでございます。

 今後、新たな観光立国推進基本計画につきまして、二〇二五年をターゲットとし、今年度末までに策定をすべく、今月より交通政策審議会観光分科会での議論を再開いたしました。

 これに先立ちまして、先月の観光立国推進閣僚会議におきましては、岸田総理から、持続可能で高付加価値な観光産業の実現を目指して宿泊施設のリノベーション支援等の取組を加速させること、インバウンド消費五兆円超の達成を目指し集中的な取組を進めることなどの御指示がございまして、こうした内容も含め、今後、基本計画の策定に向けて検討を深めてまいる所存でございます。

 国土交通省といたしましては、新たな基本計画におきまして、東北の観光復興に関する内容が風評対策にも留意しつつ充実したものとなるよう、復興庁とも連携してしっかり検討を進めてまいります。

小熊委員 ありがとうございます。

 でも、東北じゃないんですよね。今、福島さんもいるけれども、東日本大震災だから。被災地という言葉を僕は使って、東北とは限定していないんです。今回処理水を放水することによって受ける風評被害、それは東北だけじゃないんです。だから、その認識がちゃんと現場を見ていないということなんです。見直しをかけて被災地をおもんぱかると言っていても、その認識が甘い。処理水放水の影響の度合いを認識していないということですよ。

 これは東北大震災じゃないですよ、東日本大震災。風評被害だって東北だけじゃない。これを見直しをかけるといっても、今ちょっと心配ですよ。この認識を改めてもらわなきゃいけない。

 被災地に寄り添うって、よく答弁で大臣も含めやるけれども、言葉はいいけれども実行が伴っていない。その象徴が今の答弁ですよ。そうでしょう。練り直すときにもう一回ちゃんと見直して被災地のことをおもんぱかると言ったけれども、東北だけじゃないんだ。そういう認識だったら、この風評被害対策だって、処理水の放水におけるいろいろな影響だって、ちゃんと認識していないという今のは証左ですよ。

 大臣、こんなのでいいの、これ。観光庁がやることだけれども。ワンストップで国が前面に立つ、復興庁が前面に立つというけれども、結局、所管の省庁に任せっ切りで、復興庁の役割を果たしていないんじゃないですか。復興庁が前面に立つんでしょう。国が前面に立っていないよ。今の認識、ちょっと大臣として改めなきゃいけないんじゃないですか。国交大臣の所管じゃないですよ。復興大臣が厳しくやらなきゃいけないんじゃないですか。大臣、ちょっとお願いします。

秋葉国務大臣 今観光庁の次長からお答えしたとおりでございますが、小熊委員がおっしゃるとおり、私も、官邸での会議に参加させていただいたときに、来春の見直しに当たっては章立てを設けるぐらいのつもりでやるようにということで申し上げたところでございまして、やはり東北の東日本大震災ということに着目をした上での新たな基本計画作りでなければならないというふうに認識しているところでございます。

小熊委員 東北だけじゃないでしょうという話なのに、また東北って使った、大臣が。大臣自身が間違っている、それは。処理水の放水によって生じる影響というのを、認識が間違っているんですよ。この切り口から間違ったら、ちゃんとした風評被害対策なんてできないという証左ですよ。大臣に問いただしたのは、大臣が答える答弁じゃなかったんですよ、問いただしたけれども、東北ということに限定するからちゃんと現状認識していないでしょう、今の指摘でどうですかと聞いたのに、大臣自身が東北って言っているんだもの。駄目だ、これ。

 現状認識ができていない。大臣として失格ですよ。いろいろな不祥事もあるけれども、それはおいておいたとしても、本来の大臣の業務としてやるべきことができない人ですよ、あなたは。質問する価値もない。切り口から全然駄目になっちゃって。

 次の質問に移りますけれども、今いろいろなところで営農を再開しています。セシウム吸収の抑制をするために塩カリをまいています。もちろん、福島県以外でも福島県内でも、もう大丈夫だということで、カリ卒とよく言うんですけれども、塩カリをまくことをもう卒業している地域もたくさんあります。でも、今でもまいている地域がある。

 だけれども、まくに当たって、農協を通じたりいろいろなことで配っているんですけれども、塩カリは県でも国でも、より安全を考えてまいてくださいと推進しているんですが、実は賠償請求の中でこの手間賃が払われていません。

 レクをやったときに、農水省は知っていたんだけれども、賠償の担当の経産省が認識していなかった。だから、結局、今言ったとおり、復興庁がありながら何もワンストップで終わっていないんですよ。省庁の連携ができていない。

 まず、国でも県でも、まいていろいろな安全を取りましょうと行政が推進している賠償の問題です。百人百様の賠償があるんですけれども、これは行政が推進している事業ですから。この現状認識、遅れているという現状認識と、これにどう対応するかをお聞きいたします。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、放射性物質の吸収抑制対策、これに係ります塩化カリ等の使用に要する費用でございますけれども、農業団体からの請求を受けまして東京電力が賠償しているというふうに承知してございます。

 昨日レクでお教えいただきまして、十分に把握できていなかったことにつきましてはおわび申し上げます。個別に把握できていませんでした。

 賠償の支払いにつきましては、一般論といたしまして、証憑の確認等に一定の期間を要するものはあるかと承知してございます。本日委員の御指摘につきまして、必要な対応を実施するよう東京電力に指導してまいりたいというふうに考えてございます。

 また、これまでも東京電力に対しましては賠償の迅速な支払いを求めてきた、指導してきたところでございますけれども、今回の御指摘に限らず、大幅な支払いの遅延などの不適切な対応が確認できた場合には東京電力に対しまして必要な対応を求めてまいりたい、このように考えてございます。

小熊委員 一年も二年も遅れるという話じゃなくて、数年遅れているので、実際、農業に就いている人はもう亡くなってしまったり農業をやめたり、こういう変化が起きているんですよ。速やかに国の徹底した指導で処理されるようにお願い申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございます。

長島委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 東日本大震災、原発事故からの復興は道半ばでございます。

 先ほど来お話がありますけれども、原発の廃炉に向けての取組、特に、処理水の問題もありますし、また、中間貯蔵施設にある除去土壌や廃棄物等の最終処分場の立地をどうするか、そういう課題もあります。そして、いまだに多くの方々が避難を余儀なくされているという状況であります。原発事故がなければという、そういう悔しい思いをしている方々がたくさんいて、いまだに闘っている、こういう状況です。

 原発事故をめぐる集団訴訟で、損害賠償の中間指針を上回る賠償額を認める判決が確定したことを受けて、やっと指針の見直しの要否の検討が行われ、そして見直しの議論が始まることになったということでございます。十日の原賠審において、内田会長は、会合の後で、中間指針を見直すことに異論はなかった、判決確定から八か月ほどたっており、できるだけ早い時期に方針をまとめたいと話しました。全部後手なんですね。残念です。

 実際に、今も本当に原発事故により人生を大きく変えられた方々がそこにいる、そして、先ほども申し上げましたように、闘い続けている、それを忘れてはいけないというふうに思います。

 通告はありませんが、大臣、何か一言ありますか。

秋葉国務大臣 ただいま委員がお話しされましたとおり、十一年が経過しましたけれども、まだまだ闘い続けなければならないという認識でおりますし、特に風評と風化の払拭というものは、本当に常に念頭に置きながら取り組んでまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 是非、被災地出身の大臣でありますので、本当に苦しんでいる人たちに寄り添っていただく、そういう復興政策を、人を中心とした復興を成し遂げていただきたいというふうに思っているところでもありますが、しかし、残念ながら、大臣に対しての信頼を確認できない、そういうときもございまして、その一つが、持続可能な復興広報を考える検討会議でございます。

 十月三日に、第一回持続可能な復興広報を考える検討会議が開催されました。このときは公開という形でしたけれども、二回目の会議は非公開とされました。その後、やはりマスコミからも、情報発信のやり方を考える検討会議なのに、情報発信に消極的というか、この会自体を公開しないというのは本末転倒ではないかという指摘を受けたわけですけれども、その指摘があったからか、三回目は、今度は公開という形で会議が行われたということです。この経緯を見ていても、本当にこの会議自体が信頼性のあるものなのかどうかと疑問にどうしても思ってしまいます。

 そもそも、国民の信頼を得られるよう透明性のある議論や、情報の受け手である国民の共感を得られる情報発信が重要であるわけですから、今後の政府による会議内容の発信の在り方、復興庁の発信の在り方というのはしっかりと注視していかなくてはいけないというふうに思っているところでもあります。

 この会議、目的は何ですか。

秋葉国務大臣 これまでも復興庁といたしましては、関係省庁に横串を刺してワンストップでこうした風評対策を強化していくという観点から、タスクフォースを設置して取り組んできたところでございます。そのタスクフォースを設置して、様々各省が広報活動に取り組んでいる中で、従来の取組というものをより効果的に伝えていくためにはどんな知恵が必要なのか、ノウハウが必要なのか、具体的なお知恵をいただくために、こうした有識者会議を設置して意見を伺ってきたところでございます。

 そして、当初、一回目の会議のときには、委員の皆さんが、誰からも公表することについての異論がなかったものですから公開をさせていただいたんですけれども、今回御就任をいただいた委員の中には、特定の企業が名指しされることに対する懸念などが示されたことによって、公開したくないという委員の方がいらっしゃった回については公開しなかったということでございました。

 ただし、委員からもいろいろ御指摘いただきましたとおり、非常に関心が高いこと、あるいは議論の詳細をリアルタイムで入手したい、様々なお声を報道関係の皆様からも頂戴したことを踏まえまして、有識者の皆様に御相談をさせていただき、具体的な企業の活動に関する内容等に御配慮いただくなどの工夫をしながら、御講演内容に御配慮いただく等々の配慮の中で、第三回目より、原則、記者の方々にも傍聴していただけるような形で公開をさせていただきました。

 これから四回、五回目の会合を予定しておりますが、フルオープンで実施をさせていただきたいと考えております。

金子(恵)委員 大臣には期待をしておりますので、もっとリーダーシップを発揮していただきたかったなというふうに思うんです。

 大臣、処理水の海洋放出というものを控えていて、大臣就任時に、政府の発信する情報が国民まで十分に届いていないというふうに述べられていた。だから、有識者会議の設置構想をそのときにも表明していたんです。

 もしそれがこの検討会議だということであれば、もしかすると、情報公開もなかなかできにくいというような内容の議論をしていくという、その内容についての問題点や、あるいはメンバーの選任についても問題があったのかもしれませんし、どうもこの有識者会議に関する記者説明会で、会議の運営を担当する復興庁の幹部の方からは、これは大臣主催の勉強会だというふうに説明がなされたというふうに聞いています。そこにいた地元の新聞社の記者さんも、明確にそれを聞いたというふうに言っています。これは、大臣主催の勉強会、単なる勉強会なんですか。

秋葉国務大臣 先ほどもお答えしましたとおり、広報に関するより具体的な知見やアイデア、どうすれば同じことの材料でも効果的に伝わるのか、そういった具体的なノウハウを、知見を得たいという私の思いで設立させていただいた有識者会議でございます。

金子(恵)委員 では、今のお言葉を聞く限りは、大臣主催の勉強会、大臣のために開催されているということですね。報告書は強制力はない、風評対策、広報の見直しは各省庁に判断を、結局、成果を上げることができないということで終わるのではないかと思うんです。

 先ほど来、風評被害対策あるいは処理水の問題ということで特に質問がありました。そのときの受け答え等、これは、本当であれば、私は全て復興大臣に答弁をしていただきたいことだというふうに思っているんですよ。処理水の問題でも、先ほど経産副大臣が答えられていましたけれども、復興庁は全ての省庁に横串を刺していって、司令塔となっているべきなんです。

 処理水の問題は、このことをきちんと解決できなければ真の復興再生は成し遂げられないということは、みんな分かっている話なんですね。それを復興庁がほかの省庁に任せるということになっていくと、もう本当に大きな問題だと思いますよ。

 本当に復興を進めることができるんでしょうか。大臣、所見はありますか。

秋葉国務大臣 先ほど、大臣の勉強会ですねというような御発言がありましたが、これは復興庁の正式な会議体でございまして、復興庁はもちろんですけれども、関係省庁全体で風評、風化対策を図るために、効果的に活用できるように一定の取りまとめをしたいと思っておりますし、委員からの御指摘の中で、地域発の情報が大事だ、地域の人にも同じことでも発信してもらうのが大事だという御指摘があった等々のことについては、既に実行に移しているところでございます。

 また、ただいま処理水の放出について、やはり当事者意識を持って復興庁がもう少し強いリーダーシップを発揮していくべきだというお話がございました。これも私も全く同感でございます。

 所管が経済産業省であったり環境省であったりすることが往々にしてございますけれども、そういうことにしっかり横串を刺して、司令塔としての機能を発揮していくべきが復興庁の役割だと考えておりますので、処理水の放出に向けて、リーダーシップが発揮できるように努めてまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 また大臣にいろいろとお伺いする機会があればと思いますが、今日は、福島国際研究教育機構についても伺いたいと思います。ここでも、復興庁がしっかりと司令塔として機能しているのかどうかということも含めてお伺いしたいというふうに思うんです。

 先ほどから、ほかの委員の方から来年度の法人設立に向けたその準備について質問がありました。今後のこと、なかなかまだまだ決まっていないということですが、私からも、しっかりとこれは前倒しをしていかなくてはいけないですし、来年度どのような活動を実施するかということや、地元の機運の醸成につなげていけるような活動をしっかりと進めていくということも重要になっていきますので、そのこともお伺いしたいというふうに思うんです。

 これは、本施設開設まで恐らく四、五年はかかるだろう、それ以上かもしれない。でも、仮事務所があって先行研究というものも行われているわけですから、その先行研究をどういうふうにお考えになっていくかということだと思うんですね。

 福島国際研究教育機構にF―REIという略称ができましたので、そのF―REIと例えば地元の大学等との連携というものをこれからどうしていくのかという大きな課題はあるんですが、今回もう既に始まっている、今年度始まっている先行研究、これは復興庁としてはきちんと把握ができているのかどうかということを私はお伺いしたいと思うんですが、大臣、一言だけ、把握できていますか、答えてください。

秋葉国務大臣 御指摘いただきました先行研究については、現在、F―REI設立当初からの円滑な研究実施に資することができるように、新産業創出等研究開発基本計画に記載の事業のうち、早期着手可能で、かつ優先度が高い研究につきましては、今年度から、大学等への委託も含めまして、先行的に計画的な研究に着手を既にさせていただいているところでございます。

 復興庁としても、関係省庁及び地元大学を含む関係機関と適切に連携しつつ、令和四年度先行研究の成果を踏まえて、令和五年度以降、F―REIの下で実施される研究にしっかりとつなげてまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 大きな枠組みのお話はお答えいただいたんだと思います。

 私が申し上げたいのは、先行研究が、予算を五億二百十五万円ということで、これは復興庁の予算から各省庁に移替えがされた状況で、例えば経産省であれば、ロボット、エネルギー、放射線の産業利用、原子力災害に関するデータや知見の集積、発信などということで先行研究が行われている、その委託費として使われているというようなことであるわけなんですね。

 ですけれども、その移し替えた後ですよね。ただお金をぼんと渡しただけじゃなくて、どういう先行研究が今まさに行われているかということをきちんと把握しているのかどうかということを私は聞きたかったわけなんですね。

 例えば、実は、これは問合せを復興庁にしたわけなんですけれども、福島国際研究教育機構準備室に問合せをしましたらば、もう九月に各省に予算を移替えをしたので、その後のことは分からない、成果等があるわけではないので、進捗を把握できていないというんですね。

 それでは駄目なんですよ。先ほど申し上げたように、復興庁は司令塔、だから、横串を刺してきちんと全部を把握していなくちゃいけない。しかも、大切な復興予算が使われているので、どのように使われているのか、そしてどのような研究がなされているか知らなければ、今後の国際研究教育機構、F―REIがどのような研究をこれから進めていくのか、そしてどのように大学等との連携を進めていくのかということの見通しが全く立たないじゃないですか。それでこの質問をさせていただいているんです。

 時間が来ましたので、これが最後の質問になってしまいますので簡潔にお願いしたいんですが、しっかりと情報把握をこれからしていただいて、そしてリーダーシップを取っていただけますか。

長島委員長 時間が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

秋葉国務大臣 御指摘の件は、本当にごもっともだと思っております。

 今、五分野、ロボットで五事業、農林水産業で一事業、エネルギー分野では二事業、そして放射線科学や創薬医療、放射線の産業利用では三事業、原子力災害に関するデータや知見の集積、発信で四事業、取り組ませていただいているところでございまして、最後まで復興庁はしっかりグリップしてまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 この先行事業については復興庁のホームページでも明確に分かるようにしていただきたいということをお願いを申し上げまして、私からの質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

長島委員長 次に、早坂敦君。

早坂委員 日本維新の会、早坂敦でございます。

 時間が少ないので、早速始めさせていただきますが、震災から十一年八か月、間もなく十二年目を迎えます。前任の西銘前大臣は沖縄北方と兼務でしたが、秋葉大臣は専任の、そして被災地選出の復興大臣であります。これまでの大臣とどう違うのか、何を一番に考えているのか、これまでの反省、これからの課題は何なのか、大臣の意気込み、お考えを伺います。

 また、秋葉大臣は、十一年目で十四人目の大臣です。一年に一度、カレンダーをかけ替えるよりも早く大臣が交代してしまっております。やっと被災地の皆さんが心を通じ合い始めたところに交代してしまっている現状に、岸田総理がおっしゃる、被災地に寄り添い、各省庁の縦割りを排し、現場主義に徹したきめ細かな対応は可能でしょうか。大臣はどう考えていますか。併せて伺います。

秋葉国務大臣 早坂委員も、地元宮城県の御出身でいらっしゃいます。本当に宮城県選出の議員としてこれまでも震災からの復興に向けて様々な形で取り組んでまいりましたが、今回、担当大臣として関わることになりまして、本当に身の引き締まる思いでございます。

 同じ被災地御出身の委員にはよく御存じのことと思いますけれども、これまでの被災地の方々や関係者の絶え間ない御努力により復興は着実に進んでいる一方で、いまだに三万二千人を超える皆さんが避難生活を余儀なくされるなど、地域によって状況は様々でございます。

 地震、津波被災地域では、住まいの再建やインフラ整備などがおおむね完了している一方で、心のケアなどの残された課題について、被災者にしっかり寄り添いながら、きめ細かく対応していくことが必要だと考えております。

 また、原子力災害地域では、本格的な復興再生に向けて、地域の実情や特殊性も踏まえながら、今後とも中長期的に対応していくことが重要だと考えております。

 震災から十一年以上が経過しましたけれども、時の経過とともに、復興が着実に進む中で、新たに浮かび上がってくる課題があるなということも認識をさせていただいておるところでございます。

 西銘大臣を始め、これまでの大臣が取り組まれてきたこと、意気込みというものをしっかりと引き継ぎ、風評の払拭と風化の防止という二つの風と闘いつつ、現地現場主義を徹底し、被災者に寄り添いながら、震災からの復興に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

早坂委員 ありがとうございます。大臣、しっかりお願いいたします。

 そこで、東日本大震災の復興には、与党や野党は関係ありません。オール日本でやらなければならないと思います。大臣には、現場の先頭で大いに汗をかいていただき、復興のため、粉骨砕身、頑張っていただきたいと思います。

 次に、来年、統一地方選挙が行われます。統一地方選挙の選挙期日の特例について伺います。

 被災自治体で、選挙期間が統一地方選挙と異なっている自治体は幾つあるでしょうか。そしてまた、それらの被災自治体から、選挙期日を、例えば宮城なら秋に統一してほしいですとか、元の四月に戻してもらえなど、要望はあるんでしょうか。併せて伺います。

森政府参考人 お答えさせていただきます。

 平成二十三年三月の東日本大震災の影響により選挙が延期された団体、選挙の数でございます。

 平成二十三年四月の、元々統一地方選挙の対象となっていたものは、五十二団体、六十選挙。それから、その後に、統一地方選挙の対象期間後に任期満了を迎えたものも合わせた全部の合計ですと、五十七団体、六十八選挙、こういうことでございます。

 それから、要望の関係でございます。

 東日本大震災の被災団体の一部から、平成二十七年の統一地方選挙の前に、選挙期日等の統一等に関する要望が提出されたものの、被災団体全体の合意が十分に得られる状況になかったことから、再統一に関する成案を得るには至らなかったというふうに承知をしているところでございます。

 平成二十七年以降も、被災団体から同様の御要望がまとまったとは承知はしていないところでございます。

 以上でございます。

早坂委員 ありがとうございます。

 今、総務省から指摘もありましたが、大臣も御存じのように、宮城県議会選挙は十月、仙台市議会議員選挙は八月と、統一されていません。選挙を別々に行うと、通常より約一億円の税金がかかり、被災自治体から統一した要望も出てこない。大臣は、この現状をどう感じていらっしゃいますかね。

 そしてまた、大臣の地元ですよ。ボールは政治側にあります。政治が動かなければ何も動きませんから、大臣がイニシアチブを発揮し、党派を超えて各党各会派に働きかけてはいただけませんか。大臣、いかがでしょうか。

秋葉国務大臣 選挙期日の統一ということに関しては、私の所管ではございませんので、なかなか明確にお答えしづらいこともございますが、ただ、問題意識としては早坂委員と同じでございます。

 やはり、今までずっと統一選の四月で県議選も市議選も行ってまいりました。投票率の向上や御指摘の費用の効率化という観点からも、検討に値するテーマだと私自身は考えております。

早坂委員 もうちょっと力強いお言葉をいただきたかったなという思いですけれども、やはり税金を無駄遣いしているということと、来年になるとまた十二年目ということですから、次に、大臣、しっかりと声をかけていただきたいという思いでございますが。

 次に、大臣の所感にありましたけれども、就任から被災した各地を訪問し続けて、地元の皆様から復興の現状や課題を様々お聞きしているということでしたが、東日本大震災に限らず、自然災害、特に小規模事業者への支援制度はどういったものでしょうか。

 これは、三・一六がございましたが、その爪痕がまたまた大変なんですが、津波もなかった、死亡者も少なかったということで実は問題視されていないようですけれども、私も被災地を視察させていただきましたが、天井は、大型ショッピング、コンサート会場も、夜中に地震が起きたから死亡率も少なかったのかなということと、また、東日本大震災より揺れが大きかったと地元の方が言っておりました。

 私は、NPO団体で、南相馬にボンド・アンド・ジャスティスという十二年間ずっと被災地を回っている方々がいるんですが、南相馬市も、そして相馬、新地も視察させていただきましたが、旅館とかも本当に屋根が落ちたり壁が崩れ落ちたり大変なんですけれども、改めて、自然災害の被災地の、特に小規模事業者の支援制度はどういったものがあるんでしょうか。伺います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 福島県や宮城県等の中小・小規模事業者の皆様の中には、先生おっしゃられましたように、東日本大震災や新型コロナに加えて、令和三年にも福島県沖地震がございました、それから令和四年三月にも福島県沖地震が再度ございまして、こうしたことで被災された方というのは、連続する災害によって大変厳しい経営環境にあるものと承知してございます。

 これを受けまして、四月八日に政府として取りまとめた支援策としては、連続する災害により度重なる困難に直面している状況を勘案して、いわゆるグループ補助金というのを特例として措置させていただいてございます。令和四年度予備費として百十九億円を措置させていただきまして、これまでに、四百四十八者、補助総額では百十三・二億円、うち国費七十五・四億円の交付決定を行わせていただいております。

 また、先般、総合経済対策の中で、補正予算案として更に計約百四十五億円を計上させていただき、今後申請をされる事業者に対しても万全を期しているところでございます。

 引き続き、被災された事業者の方々の一日も早い事業再開に向けて、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

早坂委員 以前、三・一六後に、私は、隣で今やっておりますけれども、行われている災害特別委員会でも、補助金は簡素化をしてほしいということなんですね。やはり私は前回も、ずっとサラリーマンもやってきましたので、コロナ禍のときもそういう補助金等々をちょっと調べさせていただきましたが、六か月もかかるんです。そしてまた、コンサルタントに頼むと、二〇%の、要は報酬を払わなくちゃいけない、コンサル料を払わなくちゃいけないという本当に大変なことでして、おじいちゃん、おばあちゃんたちは絶対これはできないなというぐらい大変なものですから、是非簡素化を進めてほしいというのが一番の思いでございます。

 次に、最後になりますが、大臣は就任会見で震災孤児、遺児についてお話をされておりました。大臣のお気持ちが大変伝わってまいりましたが、就任会見では、孤児、遺児の皆さんのフォローアップが大事だとおっしゃっておりましたが、具体的にどのような内容のものがあるのでしょうか。

 また、基本的に各市町村にお願いしているけれども、それをまず都道府県で束ねて、最終的に復興庁でとおっしゃっておりましたが、最終的に復興庁でどう支援されていくのでしょうか。

 震災孤児、遺児はどのくらいになるのか、支援の内容を併せて御説明をお願いします。

秋葉国務大臣 東日本大震災では、被災された全ての人が大変な思いをされたわけでございますが、中でも震災の遺児、孤児の方は肉親を失っており、本当に大変な思いをされたものと考えております。

 被災三県の震災遺児、孤児の人数につきましては、厚生労働省の調査によりますと、令和三年三月一日時点で、震災の遺児が千五百六十四人、震災の孤児は二百四十三人となっております。いずれもその約半数が宮城県でございます。

 また、これまで、関係省庁や自治体と連携し、親を亡くした子供に対する児童精神科医、臨床心理士等によるケア、児童生徒へのケアのためのスクールカウンセラーの派遣や教職員定数の加配、親の抱えるストレスが子供の心に影響を与えるため、心のケアセンターによる大人に対する相談支援などの支援に取り組んできたところでございます。

 震災孤児については、私も歴代の復興大臣にも申入れを行ってまいりまして、平成三十年度に調査が行われましたけれども、DMでの調査でございましたが、結果を踏まえながら、今回、できるだけ面談調査を前提にしたフォローアップをしてまいりたいと考えております。

 今回のフォローアップについても、厚生労働省とよく連携しながら、孤児本人に対する調査を具体的に行って、御本人の状況等をしっかりと把握したいと考えております。現在、各県にも御相談をしながら、具体的にどのような方法で調査が可能であるか調整しているところでございまして、各県、市町村の御負担にも配慮しながら、できる限り早く実施したいと考えておるところでございます。

早坂委員 ありがとうございます。では、是非お願いいたしますので、しっかりとお願いします。

 本当に、東日本大震災から十二年を、八か月がたちます。私も、宮城、東北で、日本維新の会ではただ一人の議員でございます。来年の統一地方選挙もしっかりと仲間を増やして、地域の皆さんの声を一つでも多く聞こえるように頑張ってまいりますが、粉骨砕身、私も覚悟を決めて頑張ってまいりますので、これからもよろしくお願いします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

長島委員長 次に、赤木正幸君。

赤木委員 皆さん、おはようございます。日本維新の会の赤木正幸です。

 本日は、貴重な質疑の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は、東日本大震災後の土地区画整理事業、あと、防災集団移転促進事業について質疑させていただきます。

 私ごとですけれども、私は、以前、町づくりに力を入れた不動産会社、いわゆるディベロッパーに勤めていたこともあって、こういった不動産ビジネスとか土地活用ビジネスに深く関わっておりました。本日のテーマの、まさに大震災後の土地区画整理事業に実際に関わっていた知人も多くいますし、相当に大規模な事業を通常ではあり得ないスピードで行われていたと認識しております。

 本日の質疑においては、住まいと町の復興という復興政策のすごく大きな柱に関連していますので、これまでの実績の確認と、未来につながる御提言をいただきたい、前向きな質疑にしたいと考えております。ですので、できるだけポジティブな、未来が明るくなるような御回答をいただければと考えていますので、よろしくお願いいたします。

 では、早速、最初の質問として、土地区画整理事業と防災集団移転促進事業に関する事業の進捗状況と、あと、この事業に対する評価について、秋葉復興大臣より御報告と御見解をいただけますでしょうか。

秋葉国務大臣 未曽有の大災害からの住まいの再建を図るために、防災集団移転促進事業及び土地区画整理事業によりまして、約一万八千戸に及ぶ宅地の造成が進められ、令和二年末に全ての造成が完了したところでありまして、委員御指摘のとおり、スピードは極めて速かったんじゃないかというふうに認識しております。

 事業実施に当たっては、一刻も早い被災者の生活再建に向けて、土地収用手続の期間短縮など用地取得からの、設計、施工の契約の一括化など工事施工に及ぶ、多岐にわたる加速化措置を講じるとともに、言うまでもなく、関係する皆様の甚大なる御尽力によりまして、同時期に実施された全国の土地区画整理事業と比べ、施工期間が約四分の一に短縮されるなど、早期の住まいの再建につなげることができたと考えておるところでございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに、私も権利調整とかにビジネスで関わったことがありますけれども、通常ではあり得ないぐらいのスピードを持って事業を完了させたということを改めて確認させていただきました。

 ただ、区画整理事業というのは、まさに、当然なんですけれども、区画を整理して終わりではなくて、整理した区画が活用されて初めて、もっと言うと、震災以前のにぎわいを取り戻して初めて復興事業として完成を見るものと考えております。

 一方、一部の報道等では、ちょっと時間軸を軽視した空き区画のネガティブな報道とか指摘があることも認識はしていますが、私自身、不動産ビジネスに身を置いていた人間としては、空き区画というのを単純なネガティブ要素として実は見るのではなく、活用可能区画としてポジティブな側面から見る癖がついていますので、今後、質疑においては、あえて空き区画とは言わずに活用可能区画として言わせていただきますが、まさに区画整理事業においてどれだけのポテンシャルが発生しているか、整備されたかについて、次の質問とさせていただきます。

 質問になりますが、土地区画整理事業と防災集団移転促進事業に関する事業完了後の区画の活用状況について、復興庁より御回答いただけますでしょうか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 防災集団移転事業それから土地区画整理事業の土地の利用率というお尋ねでございます。

 被災三県の全ての宅地造成が完了した令和二年末以降の造成地の活用率につきましては、防災集団移転促進事業につきましては令和二年末で約九六%、令和三年度末で約九七%となってございます。また、土地区画整理事業につきましては令和二年末で約六七%、令和三年末で約七一%という状況になってございます。

 今後の見通しにつきましては、これはなかなか、経済情勢など様々な要因が絡みますので、具体的に申し上げることは難しいですが、引き続き、復興庁の職員が現場に出向きましてきめ細かく対話、サポートを行いますハンズオン支援などを通じまして、被災自治体における造成宅地の活用が更に推進されるよう、しっかりサポートしてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに、相当速いスピードで区画整理事業を完了されたからこそではないですけれども、まだ活用できる区画が、特に土地区画整理事業においては残されているということを再認識させていただきました。これも、改めてですけれども、決してネガティブなだけの状況ではなく、まだ時代に即した活用ができる区画が更に存在しているという、ある一面、ポジティブな情報かとは考えております。

 ただ、不動産ビジネスをやっていた人間として、不動産情報というのはなかなかオープンにしづらいですし、もっと言うと、現状を把握することすらかなり難しいものと認識しております。なおかつ、それを周知させるのは更に難しいものですので。

 ここでちょっと質問になりますが、事業完了後の活用可能区画情報に関して、公開されている手法とか、あとは公開状況等について、小島復興副大臣より御回答いただけますでしょうか。

小島副大臣 お答え申し上げます。

 被災三県におきまして土地区画整理事業を実施した市町村が二十一のうち、十二の市町村におきまして土地所有者と利用者とをマッチングする土地バンクの取組が行われております。土地バンクにおきましては、一般的に、土地の規模、位置、価格等の基礎的な情報が公開されておりまして、進捗状況や所有者の意向等を踏まえまして、自治体の判断により、土地活用を推進するための必要な情報発信がなされております。

 また、地域宅建業者との連携によりまして、様々な媒体を通じまして情報発信と、土地所有者へのチラシの配布による土地バンクへの登録を促しながら、意向の変化に応じた情報更新を随時行うなど、効果的な取組を進めている自治体もあります。

 引き続きまして、このような取組を参考といたしまして、効果的な土地バンクの創設、改善が進められることが重要であると考えております。

赤木委員 まさに、基本的には各自治体若しくはそれぞれの現場がこういった情報管理若しくは情報公開を実施されているということで、そこに復興庁さんの方でハンズオンで支援されているということをお聞きして、より一層進めていただきたいなと考えております。

 特に、土地バンクに関しては、まだまだ、不動産業者さんを含めて、民間の個人の方もそこまで知らない方もいらっしゃると思いますので、こういったものがあるよ、こういったところにすごくポテンシャルのある情報があるということを是非もっと広めていただければなと考えております。

 個人的な希望なんですけれども、よく空き家バンクとかという言葉がありますけれども、これも、絶対に空き区画バンクみたいな感じにはしてほしくないというのが個人的な思いです。これは、活用可能土地バンクとかという、すごくポジティブなメッセージをしていただければなと考えております。

 実際に土地区画情報とかを不動産業者さんとかが取得した後は、何に活用しようかなということを当然考えるわけですが、そのときに、逆に、何で今まで、今だったら三割ぐらいの活用可能区画が残っているかということを十分に検証しながら、ビジネスなり生活に活用されると考えております。

 ここで質問になるんですけれども、事業完了後の活用可能区画、つまり空き区画の発生に関して、発生要因に対して復興庁の見解、そして具体的な解決策をどのように考えられているかを小島復興副大臣より御回答いただけますでしょうか。

小島副大臣 お答え申し上げます。

 土地区画整理につきましては、被災自治体において数次にわたりまして意向調査を行うなど、被災者の意向を踏まえながら事業を進めているところでございます。土地所有者の意向の変化等によりまして、造成した空き地が生じているというふうに認識しております。その活用は被災地の復興を推進する上で重要な課題であると考えているところでございます。

 空き区画の活用につきましては随時進めているところでありますけれども、活用が進まない区画は、土地所有者に売却や貸付けの意向があっても、専門的な知識がなくて誰に相談すればいいかということが分からないということもあろうと思います。利用を希望する潜在的な購入層への情報発信が不足していることなどが要因と考えているところでございます。

 このことから、土地所有者と利用者のマッチングを促す土地バンクを効果的に運用することが有効であると考えます。

 引き続き、被災者、被災自治体における土地バンクの取組が推進されますよう、しっかりとサポートしてまいります。

赤木委員 まさにこの大災害というものが、社会トレンド、人口減少とか過疎化というものを、本来なら長期的に起こることを一瞬で発生させてしまっているという現実もあって、なかなかそこのマッチングという部分の需要と供給というか、ニーズが一致しづらいという想定外のことが起きていることもあるということは認識させていただきました。

 一方で、この想定外という部分でいくと、コロナはいろいろな意味でマイナスの想定外のこともあったんですが、テレワークとかワーケーションといった形で、本来ならば近いほど価値が高いとされているような土地の価値観が変わってきていますので、それで距離とか立地の影響を受けづらい土地活用の方法も様々と民間企業さんの方では工夫されていますので、地元の自治体さんだけではなくて、是非民間企業も巻き込んだ土地の有効活用を進めていただければと考えております。

 ちょっと時間も迫ってまいりましたので、最後の質問となりますが、総括として、東日本大震災後の土地区画整理事業そして防災集団移転促進事業の、事業完了後の活用可能区画の活用方針について、改めてなんですけれども、大局的な観点から、復興庁としての御見解を秋葉復興大臣よりお願いできますでしょうか。

秋葉国務大臣 今日は、赤木委員から大事な御指摘をいただいたというふうに思っております。

 空き区画の活用を促進するためには、土地所有者と利用を希望する者をいかにマッチングしていくかが肝要でありまして、そのためにも、土地バンクの取組を拡大していくことが重要だと考えております。

 土地バンクを運用するに当たりましては、多様な媒体を通じて幅広い情報発信を行うとともに、土地所有者と利用者との交渉、契約時に仲介を行う地域の宅建業者との協働や、移住、定住施策との連携した取組などを進めることが極めて効果的だと考えております。

 宅地造成の活用は、復興庁としても第二期復興・創生期間の重要な課題として認識しているところでありまして、ハンズオン支援等を通じ、被災自治体の土地活用に向けた取組が自立的、持続的に進められるよう、これからもしっかり後押ししてまいりたいと考えております。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに区画整理事業は第一フェーズは終わられて、どうやってその整理した区画を活用していくかという第二フェーズに入られているということを改めて私も認識いたしましたので、復興というレベルを超えた持続可能な町づくり、震災前のにぎわいを取り戻すだけではなくて、新たな拠点として被災地が日本の中心になっていけるようなことについて、私も、不動産ビジネスをやっていた人間としても、微力ながら協力させていただきたいと考えておりますので、是非今後ともどんどんどんどん進めていただければと思います。

 時間が来ましたので、本日はありがとうございました。

長島委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 国民民主党の鈴木敦でございます。

 質問の前に申し上げておきたいんですが、我が国の政府が、あらゆるだとか、あるいは多くのと言った場合に、考え得る選択肢を全て実行した上でこれしかないという段階までいったことは私はないと認識しています。今までの政策、これは今の政権だけじゃありません、我が国の政府全体が、あらゆると言ったときに、やり尽くした、もうこれしかないんだというところまで私はやったとは思っていません。

 これを申し上げた上で、今るる説明を伺った中で、風評の払拭に向けてということで、大臣も所信の中で表明をいただいております。その中の一文、多くの媒体を活用して効果的に国内外へ情報発信を行うということが書いてありますが、この一文を読むと、二つの課題が出てくると思います。まず一つは、多くの媒体というのは何を指しているのか。そしてもう一つは、効果的であるかどうか。この二点ですね。

 まず、一つ目からいきますけれども、国内のことについてはホームページ等々でもそうやって出されていると思いますが、主に国外に対してどのような媒体をお使いになっているのか、御説明をお願いします。

秋葉国務大臣 風評の影響払拭に向けましては国内外の方々の理解が極めて重要でありまして、政府として継続的に丁寧に説明を尽くしていく必要があると考えております。

 復興庁におきましては、今委員からも御指摘いただきましたとおり、より多くの国々の方の理解を醸成するために、海外向けのポータルサイト、福島アップデーツにおきまして、英語、中国語及び韓国語でのQアンドAの掲載や動画の配信を行うとともに、インターネット広告によって積極的に届けて、理解してもらうよう、情報発信に取り組んでいるところでございます。

 また、このポータルサイトには、英語、中国語、韓国語のほかに、アラビア語、スペイン語、フランス語、ロシア語で、復興の進捗や廃炉などについて説明する簡単な資料も掲載しているところでございます。

 委員から御指摘いただきましたとおり、今後も更に多くの国々の方々に効果的な情報発信を行っていくことが極めて重要でありまして、引き続き、情報発信のコンテンツの多言語化にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(敦)委員 このポータルサイトというのは、そもそも、処理水の問題が何なのか知りたいという人たちがここにアクセスをして情報を持っていくものです。なので、日本語、英語、中国語及び台湾語で書いてあるのは理解ができます。

 ただ、主にこの問題に対して我が国に対して意見を持っているというのは中国、韓国ですよね、一番大きな声で主張していると思いますが。彼らに対して幾ら説得をしたところで、彼らが、それで、分かりましたと今更拳を下げられるとは私は思いません。

 なので、ここについては、大臣が今おっしゃったように、多くの国々の御理解をいただくということが何より大切なんですね。特に、アジアの国々については、知っておいていただかなければいけないと思いますし、同時に、この後申し上げますけれども、我が国に協力をしてくれる国々もありますので、そういう言語は是非入れていただかなきゃいけないと思います。主にASEANは外せないと思いますね。

 これについては多言語化を是非進めていただきたいと思いますが、もう一つ、効果的であるかどうかというところなんですよ。

 先ほど申し上げたように、興味がある人しか見ません。見ていない方々にとっては、国際社会でどんな話があっても、日本と中国がALPS処理水という問題で何かを言っているけれども、中身は分かりませんという国々では困るわけです。だから、効果的でなければなりませんが、このホームページがありますから見てくださいねと言ったところで、見ると思いますか。見ないですよ。我々が、自分たち一人一人、我々はホームページを持っていると思いますけれども、ホームページを見てくださいねだけで有権者に訴えられるかといったら、そんなことはないんです。我々からの発信が絶対必要になる。これこそが効果的な情報発信だと私は思います。

 では、何が必要か。ユーチューブ広告をやられていますよね。こういうのは非常にいいと思います、ユーチューブはみんな見ますから。ただ、もっと世界中どこにでも簡単に発信できるツールを我が国は持っているんですよ。短波放送ですよ。世界中に発信できるんです、同時に。

 この短波放送は、あれほど情報規制が激しい北朝鮮まで届いているわけです、「しおかぜ」で実践済みなので。どこにでもできて、多言語で発信ができる。これほど効果的なツールはないと思いますね。

 私が最初、冒頭に申し上げたとおり、全ての選択肢を使い切れていないというのはそういうことなんです。既に世界中に対して同時に発信できるツールを日本は持っておきながら、所管が総務省だからやっていないんだろうと私は思います。せっかく復興庁なんですから、横串を刺してということをおっしゃっておられますし、所信の中でも、政府一体となって取り組んでまいると言っていらっしゃるので、所管は関係ないと思います。

 多くの国々、我が国に対して反対の意見を表明している国々以外の世論形成のためにも、短波放送を御利用になったらいかがでしょうか。

秋葉国務大臣 国際社会における風評の影響を払拭するためには、御質問の、中国の国民の皆様についても理解を醸成する取組が極めて重要だと思っております。

 復興庁では、中国の皆様に福島の魅力などの情報が届くように、インターネット広告も活用しながら、中国語の動画の配信を行っているところでございます。

 また、今年の八月には、草の根での理解の醸成を図るために、日本在住の中国人留学生を原子力災害の被災地に招き、視察や地元の方々を交えた座談会を実施するとともに、その模様を中国系の国際メディアを通じて発信する取組も行ってきたところでございます。

 御提言のありましたラジオの短波放送の活用につきましても、様々な方法で効果的に情報発信をする観点から検討してまいりたいと考えております。

鈴木(敦)委員 短波放送は、十六言語で発信できますからね。十六ですよ。これには、インドネシア、タイ、ベトナム、フランス、スペイン、そういった国々の言葉も使っていますから、これをやったら相当効果があると思います。

 と同時に、中国の方々への過度な対応はいかがかと思います。中国に限らず、ほかの国々だって大きな影響はあるし、理解を得てほしいというんだったら、これは台湾に関しては、撤廃してくれたんですから、そういう部分についても、実はこういうふうにちゃんとやってきたんですと広報することも大切ですし、我が国と志を一緒にしてくれている国々に対してもっと配慮するべきだと私は思います。

 次の質問に移ります。

 いろいろと今日も御説明がありましたけれども、これから帰還がどんどん進んでいく中で、昔やっていた仕事に戻ろうというときに、農家をやっている方々も多くいらっしゃると思いますが、これだけ長いこと現地を離れていて、また再び農家に戻ろうというときに、復興の拠点区域の周辺だけで、商店が整備されたからとか、家が住めるようになったからという理由だけで帰ってくれるかといったら、そんなことはあり得なくて、帰った後で被災された皆さんが昔のままの生活に戻れるように、営農再開に向けた取組はパッケージ化しておいていただかないといけないと思います。

 今、既に除染作業で表層を剥いでいますから先祖代々使ってきた土ではないので、そこには栄養ももうないでしょうし、今までのずっと、土は育てるものなので、私のおやじも農家ですから、土は育てていくものなので、それを新しい土に入れ替えてしまったのに、すぐに帰ってくださいと言ってもすぐにはできないというところだろうと思いますので、このプログラム、何か今検討されているものがあれば、御紹介いただきたいと思います。

秋葉国務大臣 被災十二市町村の営農再開割合は約四割でございます。令和三年度時点で四三%ということでございますが、避難指示解除の時期等により各市町村の状況は異なっており、営農再開を進めるに当たりましては、それぞれの状況を踏まえた施策を講じていくことが重要だと考えております。

 このため、除染後農地の営農再開に向けた取組といたしましては、一つに、農地の保全管理や作付の実証、二つ目に、営農再開に必要な農業用機械や施設の導入、三つ目に、農地の大区画化などの農業インフラの整備などを各地域の実情に応じて切れ目なく支援を行ってきたところでございます。

 また、遮蔽土が存置されている箇所も含めまして、仮置場については環境省及び市町村におきまして順次原状回復を行い、可能な限り早期に地権者に返還できるよう努めているところでございます。

 引き続き、現地現場主義を徹底し、地域ごとに異なっております課題やニーズをしっかりと踏まえて、農林水産省や福島県とも密接に連携しながら、営農再開の加速化に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 これは、一戸一戸、意向確認をしてとかというのをずっとやってこられたと思いますので、大変な労力と時間がかかっていると思いますが、まだまだこれから残っている部分がありますので、営農再開は四三%という言葉ですから、まだ半分にいっていませんので、これから先やっていただきたいと思います。

 最後にお言葉のあった加速という部分ですね、これは次の質問になりますけれども、加速させていかなければいけないんですが、特定復興再生拠点区域というのが定められております。

 私のおやじは秋田で、おふくろが会津なものですから、東北の集落がどんなものだか分かりますし、おとといも福島に行っていましたので分かるんですけれども、都市圏というか、多くの商業施設でまとまっているところはいいんですけれども、私のおやじの実家みたいに、山奥で五、六軒の集落しかないようなところに戻りたいといったときに、再生拠点区域外で、隣接していない地域の山奥に帰りたいという場合に、仮にこの復興再生拠点区域、エリアがちょっとずつ広がっていくということだと非常に困ってしまうわけで、そうすると、いつまでたっても順番が来ないので山奥に帰れないということになりかねませんので、帰りたいという意向を前提に言うのであれば、そこに特化して戻すような仕組みが必要になると思います。

 これこそがまさに帰還の加速化になると思いますけれども、大臣はどのようにお考えですか。

秋葉国務大臣 将来的に帰還困難区域の全ての避難指示を解除して、復興再生に責任を持って取り組んでいくとの決意に揺るぎはございませんが、御指摘の特定復興再生拠点区域外につきましては、まずは、二〇二〇年代をかけて、帰還意向のある住民の方々が全員帰還できるように、帰還に必要な箇所を除染し、避難指示解除を行う方針を昨年八月に決定したところでございます。

 この方針に基づいて、早く帰還したいという方のお気持ちにお応えすべく、帰還意向の確認を丁寧に行い、各自治体の個別の課題や要望をしっかり伺いながら、避難指示解除に向けた取組をスピード感を持って進めてまいりたいと考えております。

鈴木(敦)委員 一つ一つのものがまだ未解決のまま残っているという印象を私も受けました。おととい見てきたときは、もう既に、除染した土ではありませんけれども、それを囲むために置いておいた遮蔽土がまだ置きっ放しだったりとか、そういうのはたくさんありましたし、一つ一つそういうものは見ていかなくちゃいけないところなので、二〇二〇年代をかけてという言葉だったので、あと八年くらいしかありません、もう年の瀬ですから七年ですね、それぐらいかけてになりますので。

 また、意向調査が難しいと思います。ただ、報道にもありましたけれども、帰還意思について、はいといいえと分かりませんだけではなかなかすぐに対応できる方が多いとも思えませんので、より効果的な方法を検討していただきたいとは思いますけれども。

 これらの取組も、この十一年間、手探りでやってきたわけです。世界的にも例のないこういった災害に対して正面から向き合ってきたことについては、一つ一つ知見が蓄積をされていると思います。

 昨年取りまとめられました東日本復興の教訓とノウハウ、あれは非常によくできた資料だと私も思っておりますが、今、復興大臣がおっしゃったとおり、取りまとめをするとおっしゃっておられました。我が国だけではなくて、天災というのは、最近、異常気象もすごく多くて、国際的にも課題の多いものですし、使える教訓も多いと思いますので、我が国がこれを取りまとめる意義は非常に多いと思います。首都直下地震の話も、ずっと前からいつ起こるか、いつ起こるかと言われていますから、早めに実現した方がいいと思いますね、この取りまとめについては。

 どれぐらいのスパンでこれは考えられているのか、お願いします。

秋葉国務大臣 復興庁におきましては、東日本大震災からの復興政策十年間の振り返りとして、第一期復興・創生期間終了までの復興政策について、政府の制度や組織の変遷、評価、課題などを取りまとめ、南海トラフ地震など今後の大規模災害からの復興に当たって東日本大震災の教訓を活用できるようにすることを目指しているものでございます。

 このため、令和三年度から、関係省庁と連携し、資料の収集や外部の専門家などへの意見聴取を順次行い、その整理を進めてきたところでございます。

 今年度からは、有識者による会議を開催し、整理した資料などを基に、当時の重要な経緯や課題、将来の大規模災害からの復興に向けた教訓などについて、有識者の方々の御意見をいただいているところであります。

 有識者会議につきましては、十月の二十四日に第一回を開催したところでありまして、年度内にあと三回実施をして、一定の取りまとめを行うこととしております。その上で、来年度、関係省庁への協議などを経て、最終的な文書を取りまとめて、ホームページ掲載などにより対外的に公表していく予定であります。

 また、復興庁としては、別途、現場における復興の取組に係る教訓やノウハウについても、令和二年度に取りまとめているところでございます。

 こうした復興に係る知見については、議員の御指摘のとおり、諸外国における災害などからの復興においても十分役立つことがあり得ると考えられます。大変よい御指摘をいただいたと思っておりますので、英訳等の充実を検討してまいりたいと考えております。

鈴木(敦)委員 時間がなくなりましたので、一つ飛ばさせていただきます。

 なぜこれを申し上げたかというと、私は個人的にウクライナの大使館のコルスンスキー大使と懇意にさせていただいておりまして、度々会談するんですが、その際に言われたのは、敦、あんたは復興の委員会に入っているのかということで、日本がこの十年間やってきたことというのは、ウクライナにとってはもう喉から手が出るほど欲しい技術なんだと。考えればよく分かる話で、インフラも何もかも、天災ではありませんけれども、武力紛争で破壊されたわけです。鉄道も水道も電気もガスもという状況になって、日本よりもはるかに厳しい環境の中で、彼らは我々の復興技術が欲しいと言っているわけです。

 これは復興庁だけでできることではありませんから、政府として取りまとめた内容については、是非、これは外務大臣若しくは総理大臣のレベルまで上げていただく必要があるかと思いますが、ウクライナ政府に対して我が国からこの知見は提供していただいた方がいいと思います。

 これはウクライナだけではありませんよ。ほかの地域だって、紛争で国土に壊滅的なダメージを与えられた国にとっては、我が国がこの十一年間手探りでやってきた教訓がどれだけ役に立つことか。それで我々よりも早く国土の復興が実現できるようになれば、更にどんどんブラッシュアップしていけるわけです。それはまた持ち帰って、日本の今後の復興にも使える技術になりますから、これをウクライナには是非提供をしていただきたいと思いますが、大臣の個人的なお考えで結構です、いかがですか。

秋葉国務大臣 ウクライナの復興に当たりましては、日本政府として、現地のニーズを的確に把握しながら、これまでの知見や経験を生かし、ウクライナの人々に寄り添った支援をしていくことが、御指摘のとおり、重要だと思っております。

 例えば、ロシアによる侵略で生じた瓦れきの処理のため、日本の東日本大震災の際に経験した瓦れきの分別や再利用の技術などもウクライナ政府と共有を既にさせていただいていると承知しております。

 東日本大震災の復興の過程で蓄積した知見やノウハウについてウクライナ政府等から提供の依頼があれば、関係省庁と連携しながら、復興庁としてもしっかりと協力をしてまいりたい、このように考えております。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。是非とも進めていただきたいと思います。

 もう時間がないので最後に申し上げますが、一番最初に申し上げた短波放送もそうですし、ホームページの多言語化もそうなんですけれども、こういうところにウクライナ語を使っていただくのが一番いいと思いますね。我が国に対して好意的な意見を持ってくださっている国に対しての発信というのはどんどん進めるべきですし、いい意味での国際世論の形成というのはそうやってつくっていくものだと思いますので、是非御検討ください。

 質問を終わります。

長島委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日も質疑がありましたが、秋葉大臣の親族と政治資金に関する問題はいまだに曖昧になっております。親族が後援会から家賃収入を受けていたのに税務未申告だったこと、地元事務所の不動産登記が未了だったこと、親族が代表を務める政治団体が支部から寄附を受け、団体解散後も残金をそのままにしていたことや、義理のお父様が団体から家賃収入を受けていたこと、一連の出来事について、親族を通じて政治資金を還流しているのではないかとの疑いは残ります。単に処理は終わったと言うだけではなくて、自ら資料を公開し説明するべきと思います。

 本日はめったにない復興特の機会ですので、今日は指摘にとどめますが、大臣におかれては自らをきちんと処すべきであるということを申し上げて、質問に入ります。

 原発労働者の放射線被曝について伺います。

 原発に従事し、白血病で労災認定された方の一番低い線量が五・二ミリシーベルトだったという答弁を得たのは、二〇一一年五月三十一日の本委員会でありました。昭和五十一年から始まっていますが、それを起点にして、当時の認定は十件、最大値は百二十九・八ミリシーベルトでありました。あれから十一年以上たって、それぞれがどうなっているのか。当時、私は、白血病だけじゃないか、それだけではないんじゃないかという指摘もいたしました。

 厚労省に伺います。二枚目に資料をつけてありますが、このポイントをお答えください。

梶原政府参考人 お答えをいたします。

 原子力発電所で業務に従事した労働者の放射線被曝によるがんの労災認定事案は、昭和五十一年度以降で現在二十二件です。

 疾病の別としては、白血病九件、多発性骨髄腫二件、悪性リンパ腫六件、咽頭がん二件、甲状腺がん二件及び肺がんの一件です。

 そのうち、一番低い被曝線量は五・二ミリシーベルトであり、疾病は白血病です。一番高い被曝線量は三百五十六・五ミリシーベルトであり、疾病は咽頭がんです。

高橋(千)委員 当時、最大値が百二十九・八ミリシーベルトということだったことから見ると、今、咽頭がんが認められて、三百五十六・五ミリシーベルト、かなりの高線量を被曝しているということが分かりました。

 そこで、二十二人の認定は分かりました、では却下はどのくらいあったでしょうか。

梶原政府参考人 原発労働者の放射線被曝によるがんの発症について、不支給決定件数を把握している平成二十年度以降で数えますと、令和四年十月末までに支給決定となった事案が十六件、これに対し不支給決定となった事案は三十件でございます。

高橋(千)委員 倍近くあったということですね。

 それで、当時の質問では、白血病については相当量の被曝、それが五ミリシーベルト掛ける従事した年数、二年だったら十になり、それを超える線量という一定の基準があったと思うんですね。そのために、当時までの労災認定は白血病だけでした。

 では、今回紹介いただいたように、ほかのがんについて加えた経緯を教えていただきたい。それから、あくまで今の認定基準は目安であって、新しい知見によって基準は更新されていく、このような理解でよろしいでしょうか。

梶原政府参考人 白血病以外のがんについては、医学専門家から成る電離放射線障害の業務上外に関する検討会において、最新の医学的知見を踏まえ、がんごとの労災補償の考え方を取りまとめてきております。

 具体的には、平成二十四年度以降、同検討会において、白血病以外の十三種類のがんについて、がんごとの労災補償の考え方を取りまとめており、これに基づいて個別事案の労災認定を行っております。

高橋(千)委員 十三種類ということをお話しになったので、まだここには出てこない、しかし議論になっているがんがまだあるということだと思います。

 さっき二つ質問を言ったんですが、あくまで今の基準は目安であって、新しい知見によって、それは結局労働者が労災を申請するという意味にもなるんですけれども、基準は更新されていく、あるいは増えていく、その理解はよろしいでしょうか。

梶原政府参考人 個別の申請で新たながんの申請が上がってまいりますと、先ほど申し上げた検討会で改めて、最新の知見に基づいてがんごとの補償の考え方をまとめていく、そのような御理解で結構でございます。

高橋(千)委員 確認をしました。

 次に、除染労働者も電離則が適用され、除染ガイドラインによって放射線手帳を持ち、管理されると思います。これまで、除染労働者の放射線被曝を訴えた労災申請が何件あって、何件認定されたでしょうか。

梶原政府参考人 令和四年十月末時点において、これまで除染業務によりがんを発病したとして労災請求があったのは八件であり、これらは全て業務外と認定して不支給決定を行っております。

高橋(千)委員 除染労働がイメージとしては原発労働者よりも線量は低いだろうとみんなが思うかもしれないけれども、がんになったという申請が八件あって、それが全て不支給であるということ、このことが本当にそれでよいのか、今後問題になってくるのではないか、このように思うんです。

 青森県内の除染労働者で七十代の男性が先頃、白血病で亡くなりました。二〇一二年九月に放射線管理手帳を取得し、最後の記録は二〇一七年です。三年前に県内に戻って毎年検診を受けていましたが、今年、白血病を発症し、九月に人を通して相談を受けたものですから、手帳を確認してほしいなど、お話ししているうちにもう亡くなってしまいました。

 従事していたのは、環境省が直接所管する除染特別地域なんですね。最後の年の外部線量は半年で九十二・九マイクロシーベルトでした。もちろん、一ミリにもなっていないので大したことはないと言うかもしれません。しかし、これが本当に全部がはっきり分かっているのかということはよく見なければならないし、労災申請されれば、今分かっている線量だけで足らないよということで却下するということはあり得ないと思いますが、確認をしたいと思います。

梶原政府参考人 除染作業によりがん等が発症したとして労災請求をする場合においては、放射線管理手帳に限らず、除染作業と疾病の発症を示す資料をお持ちの場合は、その提出を申請者にお願いしているところです。

 その上で、認定に当たっては、請求書に添付された資料から確認できる情報のみで判断するのではなく、必要に応じて労働基準監督署において調査を行っているところです。御指摘のように、本人の被曝線量が不明である場合においても、労働基準監督署において調査を行い、その作業態様などから可能な限り被曝線量を特定した上で事実認定を行うこととしております。

 今後とも、個々の事案ごとに必要な調査を行い、適正な労災認定を行ってまいります。

高橋(千)委員 ありがとうございます。確認できる資料のみで判断するのではないという答弁だったと思います。とても大事なものではなかったかなと思います。

 それで、ちょっと飛ばして四の資料を見ていただきたいんですけれども、これは、二〇一七年から二一年までに除染に従事した労働者が何人、そしてどれだけの線量の下で働いていたかを示しています。

 一ミリシーベルト以下、これは横にたどっていくと四万七千二百四十人で八〇・一%。ですから、八割の人が本来守らなきゃいけない一ミリシーベルトの中だった、未満だったということになるわけです。しかし、二十ミリシーベルトを超えて二十五以下が一人いらっしゃる。五ミリシーベルト以上が千百三人、一・八%いらっしゃいます。

 なぜこういう指摘をあえてするのかといいますと、ちょっと今日は資料をつけておりませんけれども、二〇一七年からの前の五年間の同じ資料を見ますと、従事者の数は十四万人を超えておりますし、事故の直後なわけですから、もっと高いのかなと思うと、最大の線量が十三・八ミリシーベルトだったわけです。第六回放射線審議会眼の水晶体の放射線防護検討部会の資料の中で、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の古渡意彦氏がプレゼンをしているんですけれども、除染等業務に関わって二十ミリまでは超えていない、全ての人がと言っているし、一定数は五ミリシーベルトを超えているんだけれども、二〇一六年は二十四名で減少傾向と発表しているんですね。

 そうしてみると、やはり今、帰還困難区域の一部解除などが行われてきたこともあって、むしろ線量が高いところに従事しているというリスクが高まっていると見ることができるんじゃないか、除染労働者の中にも労災認定が出てきてもおかしくない、そういう状況なんだと言えないでしょうか。

梶原政府参考人 業務による電離放射線被曝とがんの発病との関係については、先ほど申し上げましたように、最新の医学的知見を踏まえて整理されたがんごとの労災補償の考え方に基づき、労災認定を適正に行っております。今後とも引き続き、最新の医学的知見を収集し、適正な労災認定に資するよう努めてまいりたいと考えております。

 現時点で、現在の労災認定の考え方、個別の労災認定の考え方を改めるだけの新しい医学的知見があるとは承知しておりませんが、今後、がんごとの労災補償の考え方を見直すことも当然あり得るというふうに考えております。

高橋(千)委員 あり得るというのがお答えだったと思うんですね。

 結局そこに集中して、除染の仕事をやっている、そうなったら、もちろん認定をするときはいろいろな、例えば既往歴だとか、たばこだとか、いろいろなことを調べるわけですよね。だけれども、集中してなっていて、がんにまでなっているということの重さをやはり受け止める必要があるのではないか、このように思います。

 最初に除染を先にやりたかったものですから、全部質問の順番を変えていて大変申し訳なかったんですが、資料の三に戻りたいと思います。

 これは、二〇一八年九月二十五日付の東京新聞です。「白血病以外の救済 進むか」となっていて、この記事は、書き出しは、二十八年以上原発関連で働いて、二〇一一年以降は福島第一原発で働いた方が肺がんで死亡して労災認定されたという記事なんです。

 問題は、その下、三段目から赤線を引いてあるところなんですが。

 札幌市の男性作業員六十歳、一一年七月から十月まで、第一原発の建屋近くで瓦れきを撤去して作業していた。高線量なので遠隔操作なんですけれども、難しいときは重機に直接乗っている、そういう中で、高線量のところに行くときは線量計を持たないときもあった。この方が、膀胱と胃と大腸と三つもがんができたと。

 それでも労災が認められていないというのに驚いたわけなんですね。五十六・四一ミリシーベルトなんだけれども、百ミリに達していないということと、発病が早過ぎるという理由なんですね。潜伏期間が胃がんは十年、膀胱がんは五年というように潜伏期間が目安として決められていて、なので早過ぎると、発病が。本当に納得がいかない。まさに高線量の建屋近くで作業してきたのにどうして認められないんだろうか、もっとそういう柔軟な見方をするべきなんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

梶原政府参考人 御指摘の個別の事案については言及を差し控えさせていただきますが、個別の事案について労災請求のあった場合には、先ほど申し上げた医学専門家による検討会において改めて、最新の知見を踏まえて整理されたがんごとの労災補償の考え方に基づき、業務による被曝線量、潜伏期間、電離放射線以外のリスク要因などを総合的に勘案し、業務上外の判断をしているところでございます。

 今後の医学的知見の進展を踏まえ、がんごとの労災補償の考え方を見直すことは当然あり得ることでございますが、現時点においてこれを直ちに見直す状況にあるものとは承知しておりません。

高橋(千)委員 そこで、大臣にも御見解をいただきたいと思うんですが、資料の最後に二〇一八年九月二十五日付の東京新聞をつけておきました。今私が話したようなことを記事にされています。

 認定基準なく目安だけなんだ、因果関係、立証に高い壁ということで、阪南中央病院副院長の村田三郎先生の言葉を紹介しているんですね。赤線を引いたところを読みます。

 目安を下回る被曝でも放射線の影響は否定できないと語ると。それなのに、労災の申請を退けられると裁判に訴えるしかない、そこでは作業員側が被曝が原因だと立証しないと勝てないと。専門家でもない作業員側がこれを立証しなきゃいけない、これも非常におかしいと思うんですね。

 一番最後のところを読みますが、目安の条件を満たす作業員はどんどん増えてくるということで、その人たちはほかの要因がなければある程度自動的に労災が認められるべきだ、それ以外の目安を下回った人も放射線の影響が否定できないならば補償すべきだということを指摘されております。

 こうした立場に立って、大臣も、もちろん厚労省と連携を取りながらという意味でありますが、もっと柔軟な認定にかじを切っていくということをするべきだと思いますが、御認識を伺いたい。

秋葉国務大臣 これも、本当に高橋委員から重要な御指摘をいただいたと思っております。

 基本的に、廃炉作業に係る労災認定については厚生労働省が適正に行っていると承知しておりますけれども、やはり、最新の医学的知見をしっかりと収集しながら、より適正な労災認定が行われるように、復興庁としても厚生労働省に申入れをしながら、充実したものにしていかなければならないと認識しております。

 令和三年に閣議決定されました復興の基本方針にもあるとおり、廃炉は安全確保を最優先する観点から慎重に進めるべき、このようにうたっておるところでございまして、着実にこれらが実現できるようにする観点からも、しっかりと連携をして、実態に即していけるように努力してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 厚労省にも同じ問いを用意していたんですけれども、要望にとどめたいと思います。

 廃炉の作業というのは、今大臣が指摘をしていただいたように、ずっと長く続くんですよ。リスクは逆に高まることがある。そういうときに、やはりこの見方を考え直さなきゃいけないんじゃないか、このように思います。

 先ほど紹介した三つのがんが、なったけれども結局認定されなかった男性の口頭弁論が二〇一七年の四月十四日付の朝日新聞に北海道版で載っているんですが、一Fの廃炉作業はこれから数十年もかかる、命を懸けて働いても使い捨てにされるなら誰も一Fには行かないだろうと。重い言葉だと思います。そのことにちゃんと向き合わずに廃炉作業を頼むよというふうにはいかないんだということを指摘したいと思います。

 時間が来ましたので、一枚目の中間指針については、前回の委員会で指摘をした見直しがようやっと始まりました。これにもやはり十年くらいたっているわけですから、しっかりと頑張っていただきたいと要望して、終わります。

長島委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 最後のバッターでございますので、よろしくお願い申し上げます。

 先ほど小熊委員からもありましたけれども、復興の問題というのは東北だけではありません。特に、ALPS処理水の問題については、私たち茨城県の漁協の皆様方、漁業関係者の皆様方も大変憂慮しておりまして、よもや地元の同意もないまま、漁業者の意向を無視したままの処理水の排水は行われないものと信じてはおりますけれども。

 これは資料で、常磐ものというんですよね。福島県沖で捕れるものだけじゃなくて、茨城県。「常磐もの」の下にちっちゃく陸と城が書いています。常磐の常は常陸です、茨城県です。磐は磐城で、福島なので。

 特に、漁港を見たって、平潟漁港というのが茨城県にあります、隣に勿来漁港というのがあって、岩一つで隣り合わせているんですよ。つまり、同じようなところから漁船は出ていって、向かう海域は、茨城県沖で捕るときもあれば、福島県沖で捕ることがあるという意味では一体のものでありますので、先ほど来、大臣の答弁は福島福島と言っておりますけれども、そうじゃないんだということを、まず冒頭、茨城県選出の議員として申し上げておきたいと思います。

 その上で、前回の、前の西銘大臣のときの一般質疑で、例えば、被災地次世代漁業人材確保支援事業の対象に茨城が入っていないということを指摘したところ、当時の武部副大臣は官僚答弁を読み上げただけだったんですけれども、令和五年度予算では対象にしていただきました。本当に感謝を申し上げます。

 しかし、これだけじゃないんですね。言われたことをやればいいだけじゃないんです。例えば、漁業経営体質強化機器設備導入支援事業というのがありますけれども、九千九百万円、それは福島しか対象ではありません。水産業共同利用施設復興促進整備事業、これも福島県しか対象じゃなくて、私の地元の漁連の方からでも、これをつけてくれ、福島県でついているんだからつけてくれと言っても、既存の予算で対応できるからそっちで出してほしいと言われるんですけれども、いざ出してみたら、査定されて額が減らされたりということなんですね。

 先ほど申し上げましたように、この海域は一体のものであります。これは言われたからやるというんじゃなくて、初めから、あらゆる処理水の対策のための予算は茨城県や宮城県も含めて対象に、言われなくてもやっていただきたいんですけれども、農水省、いかがでしょうか。

山口政府参考人 お答えいたします。

 福島県では、平成二十四年から令和三年三月まで試験操業を行っておりました。また、令和三年四月以降も本格操業への移行中であるということに鑑みまして、水産関連の復興事業の一部におきましては福島県のみを対象地域としているところでございます。

 御指摘のございました漁業経営の体質強化を図る漁業用機器等の導入や共同利用施設の整備、こちらは全国的な支援も実施してございます。

 そういった中で、福島県は本格操業への移行中であるということから、事業の利用要件となっている広域浜プランの策定が困難な状況であるということ、あるいは、福島県では近年まで通常操業が行われておらず、漁業用機器等の導入や共同利用施設の復興整備が遅れていたといったような事情に鑑みまして、福島県のみを対象とした支援を別途措置してございます。

 引き続き、風評被害の状況等も踏まえまして、原発被災地の復興が確実に進むように、各地と対話を続けながら、漁業者が安心して操業を続けられるように努めてまいりたいと考えてございます。

福島委員 そういう役人答弁が駄目なんですよ。政府は、処理水を排水したいわけでしょう。福島県だけの予算、それをやったら茨城県の漁業者は怒るに決まっているじゃないですか。引き続きとか言っているけれども、引き続きやってほしくないから言っているんですよ。

 秋葉大臣、リーダーシップを発揮して、それを改めてもらえませんか。

秋葉国務大臣 令和五年度の予算要求におきましては、福島県だけを対象にしていた担い手対象の支援策、茨城県も含めまして六県に拡大することを決めさせていただきました。

 その他の課題についても、引き続き状況に適した判断をしてまいりたいと考えております。

福島委員 是非政治的なリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 経産省の方でも、令和三年度の補正予算でALPS処理水の海洋放出に伴う需要対策三百億円、令和四年度補正予算でALPS処理水の海洋放出に伴う影響を乗り越えるための漁業者支援事業五百億円、基金を積んでいただいて、膨大な額の予算を積んでやっていただいております。

 ただ、地元の声を聞くと、何かシーフードショーみたいなのに出てくれ、出てくれというだけで、出るのは結構大変なんですよ。それから商売になかなかつながるまでは、かなりハードルがあると。

 せっかく経産省でやっているんだから、経産省の所管にはデパートとか様々な産業があるわけだから、もっと息の長い産業政策としてのものをやってほしくて、何かイベントに出て、やっています、やっていますというのでは、本当の風評被害対策につながらないんじゃないかという声もあります。

 あと、コマーシャルも、最近、私はフェイスブックをやっていると、常磐ものといって、福島県のやつは出てくるんですけれども、茨城県は出てきません。もっと大規模にテレビコマーシャルを打ったりとかネット広告を打ったりとか、これだけの額があるんですからできるんですが、それはあくまで地元の要望に応えていただきたいんです、福島だけじゃなくて、茨城、宮城などの近隣も含めた。この点について、経産省、いかがでしょうか。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ALPS処理水の放出に当たりましては、風評影響を最大限抑制するとともに、漁業者の皆様が安心して事業を継続できるよう、魅力ある水産物そして水産加工品の販路や消費を拡大していくことが大変重要だと考えております。

 そのため、経済産業省といたしましては、漁業者の皆様との意見交換を踏まえまして、西村大臣から御指示を受けまして、茨城県を含みます三陸、常磐地域の水産物などの魅力を発信し、消費拡大を図るための枠組みの構築に着手しているところでございます。

 具体的に申し上げますと、まさにおっしゃったように、経済産業省のネットワーク、これを活用しまして、各産業界における業界団体などを介しまして企業などの参加を広く募り、三陸、常磐ものの売手と買手をつなげる、そういうような仕組みの構築につきまして、年内をめどに具体化を図ってまいりたいと考えてございます。

 引き続き、御指摘いただきました需要対策の基金の執行を含めまして、漁業者の皆様の御意見を丁寧に伺いつつ適切に対応してまいりたい、このように考えてございます。

福島委員 片岡さん、一緒にずっと働いておりましたので、本当にオール・ジャパンで、経済界を挙げて、国民を巻き込んだ水産業の振興策、本来は水産業の振興は経産省じゃないかもしれないけれども、逆に、経産省がやるからこそできることをやっていただきたいと思います。

 私は前回の委員会でも申し上げたんですけれども、これは来年の春には放出予定なんですよ。それをやるに当たって、私は、全く今は平行線で、漁業者は、はいとうなずくような状況じゃないと思うんですね。

 前回、三月十六日の委員会でこう申し上げました。漁業者の心に寄り添えるのは官僚じゃありません、なりわいをやっている人に寄り添えるのは政治家しかいない、政治家が逃げちゃ駄目なんだということを私は申し上げました。是非政務の人が膝を突き合わせて話せと言ったんですけれども、半年たって、茨城県にこれまで大臣、副大臣、政務官が漁業者と話した形跡は全くありません。茨城県なんてどうでもいいと思っているのかもしれませんけれども、そんなことを言ったら私も暴れますよ。漁業者だって暴れますよ、経産省の前に行って。

 十月二十九日に西村経産大臣は、これも先輩ですけれども、日立製作所に、日立に来て次世代型新型炉技術の視察とか、大洗町のJAEAで高温ガス炉など、格好いいことはやるんですよ。でも、大臣が来るのも全く漁業者は聞いていないし、こんな格好いいこととか次世代原子力とかをやる前に、やることがあるじゃないですか。ここまで地元を逆なでするというのは、私は普通の政治的な感覚ではあり得ないと思うんですよ。

 今日は太田副大臣にもいらしていただいておりますけれども、もうあと半年でしょう。政治が前面に立って、真心で、被災地の人、風評被害を心配している人となぜ向き合わないのか、是非お答えください。

太田副大臣 お答え申し上げます。

 ALPS処理水の処分に関しまして、福島県のみならず近隣県の住民や漁業者の皆様にも丁寧に説明をしていく必要があるということは、おっしゃるとおりでございます。

 これまで茨城県においても、漁業者はもちろんのこと、事業者団体や自治体の方々に御参加をいただいて、今おっしゃいましたけれども、事務方の方からいろいろと御説明をさせていただく機会はいただいてまいりました。

 私自身、八月に原子力災害現地対策本部長に就任をいたしまして、今、福島県の皆様と意見交換等を進めさせていただいているところでございますけれども、先生の御指摘を踏まえ、今後は、茨城県を含む近隣県にも訪問をさせていただいて、漁業者の皆様に対して、政治家として、ALPS処理水の処分に係る安全確保、そして風評対策、こういったことについて説明をさせていただくと同時に、先生がおっしゃいました経産省らしい取組、経産省にできること、消費拡大を図る枠組みでございますね、これが実効性を上げるように、意見交換を私自身やってまいりたいと思います。

福島委員 力強い御答弁をありがとうございます。是非、太田副大臣の卓越したコミュニケーション能力で、膝を交えて話をしていただければと思います。

 次の質問に行きたいと思います。

 資料の二番目なんですけれども、七月二十二日付で、福島国際研究教育機構の初代理事長に山崎さんという方が指名されたということで、ここに経歴等があります。

 確かに、金沢大学で改革を成し遂げられた立派な方なのだと思いますけれども、これも五月十日の委員会で西銘大臣と議論しましたけれども、OISTという沖縄科学技術研究大学院大学、これと比較したときに、やはり大事なのはトップなんですね。研究者というのはトップに引かれてやってくるんです。OISTは、ピーター・グルースさんという理事長、この方はドイツのマックス・プランク学術振興協会の会長で、ここは三十七人のノーベル賞を出した機関の国際的な有名な人を、三千万円の報酬を出したから、今OISTの成功があるんですよ。

 残念ながら、この山崎さんは立派な方だと思いますけれども、経歴に余り、国際的に評価されて、これから海外からこの人の下に行きたいといって研究者が集まるようなものには見えないし、もう一つ、福島のF―REIの目的には産業振興もあるわけですけれども、残念ながら、やはり大学の学長さんでは本当に務まるのかというのもあるんですね。

 例えば、立命館アジア太平洋大学というところは、出口さんというライフネット生命の創業者を学長に招いたりして、やはり新しいことをやるにはそれにふさわしい新しい人選というのをやらなければ、私は成功しないと思うんです。

 どうもこの議論を聞いていると、既存の独立行政法人のトップを決めるような、ここもお役所仕事のにおいがぷんぷんとするんですけれども、これはどういう人を選ぼうとしたんですか。誰がまず選考したのか、自薦なのか他薦なのか、何人ぐらい候補がいたのか、どういうキャリアの人物を求めようとしたのか、その選考の理由、過程を是非御答弁ください。

秋葉国務大臣 新機構の理事長予定者につきましては、法律の規定に加えて、本年三月の基本構想におきまして、高度な研究開発等の知見とマネジメント能力を有する理事長の下で研究開発等の業務を進める体制を構築することといたしております。

 山崎氏については、委員からも御紹介いただきましたとおり、金沢大学学長としての八年間の在任期間を通じまして、異分野融合による研究や徹底した国際化などの大学改革を主導され、世界トップレベル研究拠点プログラムやスーパーグローバル大学創成支援事業に採択されるなど、高度なマネジメント能力を有しておられると評価しているところでございます。また、機械工学、特に材料力学や設計工学を専門としており、三十年以上にわたり研究活動に従事され、研究現場の実情や最新の研究動向などに精通されておられます。

 こうしたことを踏まえまして、任命権者、内閣総理大臣において、理事長となるべき者としてふさわしいと判断したものと承知しております。

福島委員 普通の大学の学長の人事ならそれでいいと思うんですよ。でも、これはどういうものを目指すかといったら、究極の地方創生モデルですよ。究極のモデルといって、福島を始め東北の復興を実現するための夢や希望となるものとするとともに、我が国の科学技術力、産業競争力の強化を牽引し、経済成長や国民生活の向上に貢献する、世界に冠たる創造的復興の中核拠点というからには、まあ、立派な方だと思うんですよ、でも、やはりノーベル賞を取った方のような、なるほどと思う人が就かないと、そういうイメージというのは湧かないと思うんですよ。

 この間の法案審議のときも申し上げましたけれども、とかく独立行政法人の枠にはめた従来の延長でのものをつくろうとしていますけれども、ただでさえ独立行政法人というのはうまくいかないんですよ、ましてや、福島という今大変な被災に遭った地に新しいものをつくるのは、よっぽど突き抜けたものをやらないと、私は成功しないと思います。

 この点につきましては、もっともっと政治的なリーダーシップを持って、地元の皆さん方が、なるほど、これは違うなと思えるような機関にしていただくことを求めまして、質問とさせていただきます。

 以上です。ありがとうございました。

長島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十一分散会


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