衆議院

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第4号 令和5年12月11日(月曜日)

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令和五年十二月十一日(月曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 高階恵美子君

   理事 小寺 裕雄君 理事 小林 鷹之君

   理事 坂井  学君 理事 長島 昭久君

   理事 小熊 慎司君 理事 岡本あき子君

   理事 早坂  敦君 理事 庄子 賢一君

      五十嵐 清君    上杉謙太郎君

      小田原 潔君    金子 容三君

      菅家 一郎君    小島 敏文君

      小林 茂樹君    冨樫 博之君

      平沢 勝栄君    平沼正二郎君

      藤原  崇君    細野 豪志君

      三谷 英弘君    山口  晋君

      山本 左近君    吉田 真次君

      鷲尾英一郎君    荒井  優君

      金子 恵美君    鎌田さゆり君

      玄葉光一郎君    馬場 雄基君

      赤木 正幸君    沢田  良君

      美延 映夫君    赤羽 一嘉君

      福重 隆浩君    浅野  哲君

      高橋千鶴子君    福島 伸享君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       土屋 品子君

   復興副大臣        高木 宏壽君

   復興副大臣        平木 大作君

   国土交通副大臣      堂故  茂君

   環境副大臣        滝沢  求君

   復興大臣政務官      平沼正二郎君

   財務大臣政務官      瀬戸 隆一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田辺 康彦君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     宇野 善昌君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     桜町 道雄君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     森田  稔君

   政府参考人

   (復興庁審議官)     瀧澤  謙君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 濱本 幸也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大河内昭博君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   北川 克郎君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    山口潤一郎君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  坂  康之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  湯本 啓市君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   片岡宏一郎君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    須藤  治君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局下水道部長)    松原  誠君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     野崎 政栄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月一日

 辞任         補欠選任

  鈴木  敦君     古川 元久君

同月七日

 辞任         補欠選任

  古川 元久君     浅野  哲君

同日

 辞任         補欠選任

  浅野  哲君     古川 元久君

同月十一日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     金子 容三君

  西野 太亮君     山口  晋君

  市村浩一郎君     赤木 正幸君

  古川 元久君     浅野  哲君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 容三君     中曽根康隆君

  山口  晋君     西野 太亮君

  赤木 正幸君     市村浩一郎君

  浅野  哲君     古川 元久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

高階委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官田辺康彦君、復興庁統括官宇野善昌君、復興庁統括官桜町道雄君、復興庁審議官森田稔君、復興庁審議官瀧澤謙君、外務省大臣官房参事官濱本幸也君、外務省大臣官房参事官大河内昭博君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長北川克郎君、水産庁漁政部長山口潤一郎君、水産庁増殖推進部長坂康之君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官湯本啓市君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長片岡宏一郎君、中小企業庁長官須藤治君及び国土交通省水管理・国土保全局下水道部長松原誠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高階委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高階委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤原崇君。

藤原委員 自民党の藤原崇でございます。

 本日は、一般質疑ということでお時間をいただきました。委員長、理事、そして委員の先生方に大変感謝を申し上げまして、質問をさせていただきたいと思います。

 十五分と限られておりますので、簡潔に質問をさせていただきたいと思います。前回質問をしたことを踏まえて、更に重ねての質問もございます。

 まず一点目、財務省にお聞きをいたします。

 いわゆる復興については、復興財源フレームが組まれております。このフレームによりますと、令和七年度までに三十二・九兆円の事業規模を見込んでおり、それの見合いの財源が確保されております。

 しかしながら、令和四年度までで既に三十一・九兆を執行しており、五、六、七年、残りの三か年行いますと、この三十二・九のフレームを超える可能性があると思います。これについて、フレームを超えた場合でも財源をしっかり確保できるのかということ、前回は復興庁に事業規模の面から聞きましたけれども、今回は財源論ということで復興庁にではなく財務省に、このフレームを超えた場合、財源をしっかりと確保できるのかという点の見解を伺います。

瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。

 復旧復興に要する事業規模につきましては、令和四年度までしか実績が現在確定しておりません。そこで、令和七年度までに復興財源フレームで見込んでいる三十二・九兆円を上回るかどうかについて、現時点では判断できないと考えております。その上で、復旧復興に要する財源は責任を持って確保する必要があると考えております。

 令和三年に閣議決定された復興の基本方針におきまして、復興に要する事業規模と財源については、原子力災害被災地域における新たな課題等への対応のため、必要に応じて見直しを行うものとするとされていることも踏まえまして、引き続き復興庁など関係省庁としっかりと議論し、必要に応じ適切な対応を図ってまいります。

藤原委員 ありがとうございます。

 この三十二・九兆に拡大をしたときも想定をしていない事業というのが入っておりますので、是非、まだ少し先ですけれども、この点は財務省さんにおいてもこの財源をどうするんだという問題意識をしっかり持っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 続きまして、復興庁にお伺いをしたいと思います。

 ALPS処理水の放出等行われていますが、そういう中で、風評払拭に向けて復興庁においては、他省庁と連携の上で、ALPS処理水の問題であるとか、復興の現状について広く情報発信をしていただいています。これは、風評払拭というものに対して非常に大きな、ポジティブな効果もあるんだろうと思っております。

 しかし、同時に、我々国会議員は何度か行ったことがある先生も多いんですが、福島の第一原発、これも大分廃炉作業等進んできております。しかし、やはり国民の方では、原発がどうなっているかというのはなかなかまだまだ知られていないところもあったりするところがございます。

 福島第一原発の廃炉作業の進捗度、今まで以上に広く国内で広報をしていくこと、これも必要だと思いますが、いかがでしょうか。

桜町政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力福島第一原子力発電所の廃炉は、世界に前例のない困難な取組でございまして、また、長期間にわたるため、多くの方々の理解を得ながら作業を進めていくことが極めて重要と考えてございます。

 これまでも、復興庁におきましては、ALPS処理水の安全性、復興の現状等に加えまして、廃炉の状況につきましても、動画の配信、それから、出前授業を通じた情報発信を実施しているところでございます。

 今後とも、関係省庁と連携をいたしまして、廃炉作業の進捗状況に関するSNSを通じたタイムリーな情報発信、復興庁のホームページの内容の充実、発信も含めまして、様々な取組を展開してまいりたいと考えてございます。

藤原委員 ありがとうございます。

 私も初めて福島第一原発に入ったのはもう十年ぐらい前、もっと前だったかもしれませんが、まさしく全身に防護服を着て入ったのを覚えておるんですが、その後何度も行っていますけれども、今は、限られたところですけれども、基本的にはこのままで行けるということで、やはり着実に変わってきているということもしっかり国民の皆さんに広報していくということは非常に重要なことですので、なかなかまだまだ知られていないところが多いなというのを私も地元で回っていて感じますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 この処理水への対応に関して、もう一問、質問をさせていただきたいと思います。

 今回の処理水の海洋放出に伴って、賠償の関係、万が一発生をしてしまった場合にはしっかり万全を期すということで、かなり国の方でリーダーシップを取っていただいて、東電にその準備を整えていただいたというか整えさせたというところを感じています。

 しかし、その一方で、私が非常に感じるのは、そのほかにも賠償の問題というのはたくさんあるわけであります。

 典型例で申し上げますと、財物賠償、福島県の土地というのは財物賠償の対象になりますが、福島県から一メートル進んだ、例えば宮城県とか他県は基本的にならないという画一的な基準があったり、あるいは、私の地元で申し上げますと、原木シイタケの賠償は、なかなかスキームがしっかり固まっていない関係で、請求を出してから一年以上、当初の頃はかかっておりました。大分、ここ三、四年、努力をしていただいて改善をしております。それも、よく考えてみると、書類がうまくそろわないということだったんですけれども、やはりそういうのもどんどんどんどんうまくやればスピーディーに賠償はできるというふうに思います。

 その意味で、もちろん、東電さんに対して国の方からしっかり指導はしますというお言葉はいただいているんですけれども、やはり、人も含めて手厚く、ALPS処理水以外の分野の賠償についてもスピード感を持って取り組めるように手厚く支援をするべきと考えますが、いかがでしょうか。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ALPS処理水の海洋放出に伴う賠償につきましては、令和三年四月の関係閣僚会議におきまして、期間、地域、業種を画一的に限定することなく、被害の実態に見合った必要十分な賠償を行う、また、統計データの活用などにより風評被害の推認を行いまして被害者の立証負担を軽減する、こうしたことをするよう東京電力を指導することを政府の基本方針としてございます。

 これを踏まえまして、東京電力に対しましては、ALPS処理水の海洋放出に伴う損害賠償が政府の方針に基づき適切に行われるよう指導しているところでございます。

 経済産業省といたしましては、ALPS処理水の海洋放出に伴う損害賠償のみならず、議員御指摘の財物賠償を始めとしまして、全ての損害賠償につきまして、被害者の方々の個別具体的な御事情を丁寧に伺いながら、被害の実態に見合った適切な賠償を行うよう東京電力をしっかり指導してまいりたい、このように考えてございます。

藤原委員 ありがとうございます。是非前に進めていただきたいと思います。

 この賠償の問題、時効を外してしまっておりますので、理論上は二十年でも三十年でもくすぶってしまうということがありますので、どういう形で落着するかというのは確かにいろいろ個別具体的にあると思うんですが、放っておいて何となくうやむやにしていくではなく、やはりそこはしっかり国の方でも後押しをしていただきたいというふうに思っております。

 次に、内閣府防災にちょっとお伺いをしたいと思います。

 三・一一のみならず、そのほかの災害でも、災害援護資金というものを貸付けをしております。生活再建で資力が必ずしも十分でない方、そういう方に対して、当座の資金というか生活再建のお金として、人によって違いますけれども、三百万円程度貸付けを行ったりするという制度、特に保証人をつけずにそれは貸付けができるという制度がございます。

 この制度でかなり助かった方が多いんですが、これは貸付けでございますので、償還をしなければいけないということになっております。償還が今始まっておりますが、必ずしも資力が十分でない方に貸付けを行って、その後も思ったような生活再建ができないという御苦労をしている方もいらっしゃいます。

 その中で、やはり予定どおりに返済できない方が、三割、四割という方、地域によってはいらっしゃいます。もちろん、それは、払えない方は無理やり取るわけにはいかないんですが、その一方、払えてもなかなか払っていただけないという方もいらっしゃいます。そういう方々の債権管理というのは基礎自治体がやることになっております。当然、これはお金がかかる話であります。

 例えば、阪神・淡路のときに神戸市がやった場合ですと、これは記憶で恐縮ですが、大体ずっとやって、十何億お金をかけて債権管理をやっていたということであります。

 本来、この災害援護資金というのは、災害弔慰金法で三%の利息を取るはずでありました。これが、事務費として使ってくださいねという見合いで入っていたんですが、今回の三・一一のときは国の法改正によって、保証人がついている場合はゼロ、保証人がついていない場合は一・五だったと思うんですが、国の判断で利息が減っています。つまり、事務費に充てるべき費用が減っているわけであります。

 これは、やはり国の判断で変えた以上は事務費見合いの財政的支援を行うべきではないでしょうかというお話を前回の復興特で行いましたけれども、貸付金の原資として無利子で国が三分の二を負担していることからこれ以上の財政負担は困難ではないかというお話がございました。

 しかし、災害援護資金は、元々スキーム上、利息が三%のときであっても三分の二を国が負担をする話でありました。しかも、一応、負担国費は制度上返還が予定をされているものであります。国費で三分の二を負担していたから財政的支援ができないということは、これは理由にならないと思うんですが、いかがでしょうか。

田辺政府参考人 東日本大震災については、被害の甚大さに鑑み、災害援護資金に係る金利引下げ等の特例措置を講じ、被災者の負担軽減を図っているところです。

 これに伴い、議員御指摘のとおり、市町村が事務費に充当できる利子収入は減少しますが、国が、他の災害同様、貸付金の原資の三分の二を無利子で負担しているところです。

 また、東日本大震災については、災害復旧等に従事する職員の人件費を震災復興特別交付税で措置することとしており、本措置を活用し、債権管理業務の担当職員を採用した市町村もあると承知しています。

 内閣府としましては、こうした支援措置を周知するとともに、債権管理に関するノウハウや他の自治体の取組事例を共有するなど、自治体の債権管理が円滑に進むよう支援してまいります。

藤原委員 ありがとうございます。

 復興特別交付税でそういう事例があるというのは国会で初めて答弁していただいたと思うんですが、他県でも、特に債権がたくさんある自治体にはそういうスキームも是非御提案をしていただきたいなと思います。

 その一方で、ずっと続くものであります、これは。阪神・淡路はようやく全部リリースしたというふうに仄聞をしていますけれども、三十年以上にわたって債権管理をしていく話でもあります。そうなると、そこまで復興特別交付税が続くのかという問題もございますし、あるいは、国の判断で事務費の見合いを減らしたということは、どこかでやはり自治体の負担もリリースをしなければいけないということが出てくると思います。

 これは、なかなか内閣府だけの判断ではできない問題でございますので、答弁は当然求めませんが、是非、財務省さんにはそういう問題があるということも御認識をいただきたいというふうに思っております。

 それでは、最後の質問に行きます。

 F―REIについて大臣にお伺いします。

 F―REIは、創造的復興の中核拠点を目指して令和五年の四月に設立されました。本施設はこれから復興庁で整備することになりますが、土屋大臣は御就任後、早々に山崎理事長とも面会して、F―REIも訪問されたと伺っております。

 このF―REIをしっかり支援していくことが必要でございますけれども、これに対する大臣の意気込みをお伺いできればと思っております。

土屋国務大臣 ちょっと風邪を引きまして、ひどい声ですけれどもお許しいただきたいと思います。

 山崎理事長とは九月二十二日に面会しまして、十月十二日には高木、平木両副大臣とともにF―REIの本施設予定地と本部事務所を訪問いたしました。そこで山崎理事長が大変張り切っている様子を感じたところでございます。

 それと、規模としては東京ドーム三・五個分という広大な土地でありまして、これから施設整備をしっかりしていかなきゃならないんですけれども、今年度内に施設基本計画を取りまとめて、来年度には設計に着手し、設置期間内での施設の順次供用開始を目指し、さらに、可能な限りの前倒しに努めてまいりたいと思っております。

 私自身としても、ちょうど私が大臣になったときにこれがスタートするということでは、期待もありますし、責任の重さを感じていますが、皆様とともに世界に冠たる研究機関、すばらしいものをつくっていきたいという思いでございます。

藤原委員 ありがとうございます。是非、よろしくお願いしたいと思います。

 これで私の質問を終わりたいと思います。

高階委員長 次に、庄子賢一君。

庄子委員 公明党の庄子でございます。どうぞよろしくお願いします。

 土屋大臣が就任されて初めてこうして質問をさせていただきますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 初めに大臣にお尋ねをさせていただきたいんですけれども、被災者支援の基本的な考え方についてでございます。

 震災から来年の三月で十三年という時間が経過をいたします。発災直後は、いわゆる心のケアであったり、見守り支援であったり、コミュニティーの形成であったり、生きがいづくりであったりといったことが被災者支援の主な方向性でございましたが、時間の経過とともに、被災者の方々が地域や社会に溶け込んでおられますので、これが被災者固有の課題なのか、社会全体の問題になっているのか、非常に見えにくくなってきていて、一体あのときのあの被災者の方々はどこにいらっしゃるんだろう、これが見えにくくなってきているという認識が重要だと思っております。

 ただ、支援のニーズがなくなったわけではなくて、単に見えづらいということだというふうに捉まえれば、いわゆる国が様々やっていただいております、例えば復興庁の住宅の生活再建支援、あるいはコミュニティーの形成支援、厚労省さんの被災者の見守り、相談支援、心のケアの支援、あるいは、こども家庭庁の子供の健康支援、文科省の子供の学習支援など、実に幅広い支援を被災者支援総合交付金によって行っていただいているわけであります。

 そこで、間もなく十三年を前に改めて大臣にお尋ねをいたしますが、地震、津波被災地域におきまして、第二期復興・創生期間の後であっても最後のお一人まで被災者の方々を支援していくという、この最後の一人までという強いメッセージ、ここを是非、大臣にはその見解をお示しいただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

土屋国務大臣 庄子委員が今この問題についてお話ししたように、本当にこれが全国の問題と同じなのか、それとも被災地独特なのか、これがなかなか見えにくくなっている、まさに私もそう感じているところでございます。

 しかし、被災者の状況も本当に多様化して、個別化している。それぞれの状況に応じた被災者支援をきめ細かく、やはり更に行っていく必要があるんじゃないかと思います。

 それを感じるのは、被災者で外に出ていらっしゃる方とお話をする機会がありました。そのときに、被災者交流を続けてほしいというのは、被災地にいても、違うところに住んでいても、やはり不安と孤独は皆さん持っている方が多いなというのを感じました。そういう意味では、特に高齢者に対する日常的な見守り、相談とか、被災者の心のケアを支えるための個別相談、災害公営住宅等への移転後のコミュニティー形成の支援等、自治体が基本的になさっていますけれども、その支援をしっかりとやっていく必要があろうと考えています。

 今おっしゃった第二期復興・創生期間以降における基本方針に基づいて、地震、津波被災地において心のケア等の被災地支援は、現在、事業の進捗に応じた支援を継続して実施しています。これも、ちょうど中間点でございますので、これからいろいろ自治体等のお話を聞きながら続けていけるようにしていきたいという気持ちは持っております。

 個別の事情を丁寧に把握して、第二期復興・創生期間内に終了しないものについては、事業の進捗に応じた支援の在り方を検討し、適切に対応していきたいと思っております。

 引き続き、よろしくお願いいたします。

庄子委員 今の大臣の適切に対応とおっしゃるのが、最後の一人までやるんだという決意というふうに私は受け止めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 次に、被災地域の人口減少の問題について少し光を当てたいと思っておりまして、朝日新聞の資料によりますと、二〇一〇年の子供の人口、これはちょっと子供にフォーカスをするんですが、福島県が二十七万六千人余り、宮城県が三十万八千人余り、岩手県が十六万八千人余りでございました。それが、十年経過をし、合計で七十五万三千人余りだったものが、二割もこの十年で子供の人数が減少しているのが岩手、宮城、福島の現状です。

 したがって、十年後、二十年後、このままの状況で人口が推移していったならば、被災地は空洞化するということが今の段階で既に分かっている。だから、今、手を打たないと被災地の復興というのはままならないということの問題意識からお尋ねをさせていただきたいと思っております。

 ただでさえ、日本の人口減少、少子化というのは今、加速度を増しているわけですが、被災地は、震災と原発事故が重なって、よりこれが深刻になってきているわけであります。

 そこで、新産業の集積、あるいは教育研究拠点の開発、新たな観光資源の形成、こうした地元の地域だけではできないそうした力、努力を、国としての支援を通じて、定住人口、交流人口、関係人口、こうした様々な人口をどうやって増やしていく、ここの諸施策について国の考えを伺いたいと思います。

平木副大臣 被災地における人口減少への対応に当たりましては、まずは、安心して暮らし、働ける環境づくりが不可欠であるというふうに認識をしております。

 例えば、生活環境整備の面におきましては、従来から、医療、介護、買物、教育等の整備に向けた支援を行ってきているほか、原子力災害被災地である十二の市町村につきましては、新たな活力を呼び込むための移住促進事業への支援を行っているところでございます。

 また、働く環境づくりということに関しましては、被災地における企業誘致や雇用創出を通じて地域経済の活性化を図る取組や、ブルーツーリズム等の観光振興を通じて交流人口拡大を図る取組を行っているところでございます。

 こうした個々の施策、庄子委員よく御存じのところ、今も御紹介いただいたとおりでございますが、やはり、こうした取組を進めるに当たりまして、特に注意をしなければならないと考えておりますのは、人口減少対策において、こうした住環境整備や、あるいは雇用の創出というものは、必要不可欠であるものの、必要十分ではないという点には十分に配慮をしなければいけないと考えております。

 やはり多くの方に、行ってみたい、住んでみたい、こう思っていただける地域をつくっていかなければいけないということでありますので、当然、そのためには、被災地の皆様に寄り添って、その地域の特色をしっかりと活用した、そういった地域づくりを進めていくことが重要だろうというふうに思っております。これはもう復興庁のみではできませんので、例えば地方創生のような省庁横断の取組をしっかりとやって、被災地にこれからも寄り添ってまいりたいと思っております。

庄子委員 ありがとうございます。今、手を打たないと間に合わないという、是非、共通の問題意識でお取り組みをいただければ幸いであります。

 次に、ちょっと具体的な被災地の経済負担の問題について取り上げたいと思っておりますが、東日本大震災の最大被災地の一つでもあります石巻からの要望の声でございます。

 あの震災で地盤が沈下し、市街地のほぼ全て、全域で雨水の強制排水が必要な状況となりました。そこで、復旧復興のために、震災後、災害復旧費、復興交付金の国庫を活用させていただき、新たに排水ポンプを十一基、総工費にして一千四百三十六億円で増設をし、冠水対策を行いました。冠水対策を行わなければ復旧復興ができなかったから、やむを得ず行ったわけであります。

 整備後の維持管理経費については、全額、市の一般財源という扱いでございます。令和五年度から令和十四年度までの今後の十年間、毎年約六億五千万円かかります。震災前の四・二倍にもなる見込みでございます。

 元々、石巻は、北上川の河口の低平地という不利な条件の下、加えて、大震災での広範囲な地盤沈下で雨水排水の機能強化が復興のためには必要だった。こうした点を踏まえ、私は、特別な財政支援、この維持管理について検討が必要ではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。

松原政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省では、雨水を排除するための下水道施設の設置、改築に財政支援をしております。

 一方、整備が完了いたしました下水道施設の維持管理費について、国土交通省では、現行制度上、財政支援できないことになっております。

庄子委員 木で鼻をくくるような極めて冷たい答弁、ありがとうございます。

 要するに、復興大臣、震災が起きたときは特措法を作って特別な措置で財政支援をする、けれども、維持管理は、今の御答弁のように、下水道法でやるしかないという、これでは被災自治体はたまったもんじゃないんです。

 あのとき復旧復興するためにはやむを得なかったこの雨水対策について、維持管理は下水道法で扱うというのでは、これは、今後も大きな自然災害があり得ますので、極めて大きな課題になり得るテーマだと思っておりまして、御答弁は求めませんけれども、是非、今後復興庁としても、また他省庁とも連携しながら、こうした自然災害が発生した際のランニングについてどうするかということについては検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 もう一問、先般、十一月の二十二、二十三と二日間、公明党の訪中団の一員として北京に行ってまいりまして、蔡奇常務委員、あるいは王毅外相、劉建超中連部長との会談に同席をさせていただきました。その際、様々なことを感じてまいりましたが、大きなテーマも宿題としていただいたような気がしておりまして、そのことについてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 王毅外相と会談をした際に、こういう提案がありました。東京電力福島第一原発の処理水について、中国による独自の海洋モニタリング調査をしたいという提案であります。

 帰国して、岸田総理にもこの点については報告をしてございますけれども、まず、この中国側の考えに対する政府の受け止め、今後の対応についてお尋ねをさせていただきます。

北川政府参考人 お答えいたします。

 ALPS処理水につきましては、そもそも日本は、原子力分野におきまして、国際的な安全基準の策定及び適用を行う権限を有しておりますIAEAの関与を得た重層的なモニタリング体制に基づきまして、ALPS処理水の海洋放出を安全に実施するための適切な対応を確保しております。

 その上で、先般の日中首脳会談及び日中外相会談におきましては、中国との間で、ALPS処理水については建設的な態度をもって協議と対話を通じて問題を解決する方法を見出していくということで一致しておりまして、その上で、専門家のレベルで科学に立脚した議論が今後調整を経た上で行われることとなると考えております。

 なお、IAEA主導の下で、これまで第三国の分析機関も参加したモニタリング、これは既に行われております。今年十月には中国側の分析機関も参加するなど、中国の本件への参画は少しずつ見られるようになってきております。

 いずれにつきましても、モニタリングの在り方につきましては、国家の主権及びIAEAの権威や独立性といった原則が前提となるというふうに考えております。

庄子委員 今おっしゃるとおりだと思います。IAEAのいわゆる権威の下で、関与した形で、各国の研究者がそこに参画をするというスタイルが望ましいというふうに私も思うんですね。

 そこで、今御答弁にあったように、十月にIAEAが海洋のモニタリング調査を、一回目を行ったわけでございまして、中国の研究者もここに参加をしていて、こうした枠組みがあるわけですが、この検査の頻度については、半年かあるいは一年に一度という程度のものだというふうに伺っておりますし、分析結果が出るまでちょっと時間を要しています。

 ここはむしろ、日本がやっているように、そこまで精密ではないけれども簡易に迅速に結果が出せるという環境を整えていくと、中国の側にとっても、もしかしたら全面禁輸という拳を下ろす一つの背景と大義になり得るのかなというふうに私自身は思っているんですが、そうしたことについて、政府からIAEAに対して具体的な提案をしてはどうか、こう思いますが、いかがでしょうか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の点につきましては、実際の取組に際しましては、第三国分析機関への試料の輸送ですとか精密な分析等に一定の時間を要すると承知しておりますけれども、いずれにしましても、この取組は、独立した国際機関であるIAEAが必要と認める頻度と態様で行われてきているものと承知しております。

 引き続き、緊密にIAEAと連携しつつ、適切に取り組んでまいりたいと承知しております。

庄子委員 是非、IAEAとしっかり協議していただいて、前に進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 以上、終わります。

高階委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、東日本大震災、原発事故から十二年九か月となります。犠牲となられた皆様方の月命日でございます。そしてまた、原発事故もございましたので、関連死で多くの方々が亡くなられました。全ての犠牲となられた皆様方に心から哀悼の意を表します。

 そして、先ほど来質問はあるのですけれども、何となくこの永田町の中で、私は、この東日本大震災、原発事故の件について風化していると感じることがよくあります。大変残念だというふうに思います。

 土屋復興大臣には、被災地にお運びいただきまして、そして、恐らく復興の進捗状況を見ていただいているんだと思うんです。時には、セレモニーで御挨拶をされたり、そしてまた、明るいイベントに参加されたりということだと思います。そこでこれだけ復興が進んでいるんだというイメージをお持ちになっていると思います。もちろん、これまでも多くの方々の御尽力によって、頑張ってここまで前進してきたんだと思います。

 しかし、一方で、例えば、福島県では今もなお二万人以上の方々が県外避難をされているという状況を御存じだというふうにも思います。実際に避難数は減ってはいますけれども、これは八月一日時点でありますけれども、福島県外の避難者は二万七百四名、県内の避難者は六千九十九名、そして避難先不明者は五名という数字が出ています。

 これだけ多くの方々が今もまだ避難をしているというその状況について、土屋復興大臣は、十月十日に、福島から避難されている県外避難者の方々五名と面談されたということも伺っています。そして、土屋復興大臣の御地元埼玉には、福島県から避難をされている多くの方々がいらっしゃるということで、恐らくいろいろなやり取りを復興大臣になられる前からもされていたというふうには思いますけれども、このような状況をどのように今お考えになられているかということをお伺いしたいというふうに思います。

 そして、その上で、相談、見守り、交流機会の提供、心のケア、子供の健康支援など、様々な施策に取り組む被災者支援総合交付金、これは絶対になくてはならないもの。特に、福島県から避難をされている方々については、全国各地に二十六拠点がありまして、そこで支援を展開しているということでもあります。

 大臣、この交付金はこれからも継続、そして、しっかりと予算を確保していく、それでよろしいでしょうか。

土屋国務大臣 金子委員が今おっしゃったように、私自身も、大臣に就任してから地元に大分入らせていただいておりますが、そういう中で、いろいろな思いを感じているところでございます。

 特に、まだまだ私は多くの人にお会いしていろいろなお話をお聞きしたいなという思いでいますが、県外へ避難している、東京の近くに避難している方、五名の方とお話をさせていただく、先ほど言っていただいた機会がありました。そのとき感じたのは、もう帰らないつもりだと言いながら、自分が亡くなったときは福島のお墓へ入りたいとおっしゃったり、それから、すごく迷っていて、今の段階では帰れるとは思っていないけれども、また気持ちも変わるかもという方も多いので、そういうお話を聞くと、やはり交流会というのが非常に大事だなというのを感じた次第でございます。

 それから、二十六か所設置した生活再建支援拠点の皆様とこの間お話をする機会がありまして、リーダーの方たちとですね、そのときに、私が知らないことを随分教えていただいたなと思います。それぞれが、差がありますけれども、いろいろな活動に対しても問題を抱えていらっしゃるなということを感じました。

 いずれにしても、この被災者支援総合交付金に関しましては必要であるということを皆さんがおっしゃっていましたので、我々としても、情報提供とか相談会とか交流会の実施とか、避難元自治体の広報誌、避難者向けの情報誌等の送付等を行う、自治体が中心ですけれども、取組をこれからも支援していきたいと思っております。

 予算に関しましては、必要な予算をしっかり今計上しておりますので、自治体の要望を柔軟に取り組んでいきたいと思っております。

金子(恵)委員 この十二年九か月間、いろいろな努力があったと思います。ふるさととのつながり、そして、ふるさとにいる大切な方々とのつながりを本当にしっかりと持ち続けようと御努力をされてきた避難をされている方々がいるということを是非御理解をいただき、その上で、ふるさととの行ったり来たりができ得る仕組みとして、高速道路の無料措置というものが今もあります。

 そして、これは、今の段階では二〇二四年三月の三十一日まで実施とされていますので、これをしっかりと延長措置すべきだ、そういう声が上がっているわけなんですけれども、これは旧警戒区域等からの避難者及び原発事故による母子避難者等を対象としたものということで、両方の仕組みを、高速道路の無料措置をしっかりやるということでよろしいんでしょうか。お伺いします。

土屋国務大臣 今委員がおっしゃったように、一年間の延長は決めたところでございます。

 その中で、被災者支援の観点から、令和六年度以降の取扱いといたしましては、国土交通省と施策の方向性を共有しながら適切に検討してまいりたいと思っております。

 これからも、やはり地域の自治体等の意見をしっかりと聞きながら進めてまいりたいと思います。

金子(恵)委員 レクを受けたときに、これは二つ仕組みがあるということで、旧警戒区域等からの避難者の部分につきましては堂故国交副大臣から御答弁もいただけるということであったんですけれども、どうでしょうか。

堂故副大臣 お答えいたします。

 旧警戒区域等からの避難者を対象とした高速道路の無料通行措置については、避難者の方々の生活再建に向けた一時帰宅等のための移動手段として、高速道路会社において実施しているものであります。

 令和六年度以降の取扱いについては、被災地の復興状況や本無料措置の利用状況等を踏まえ、高速道路会社と連携して検討してまいります。

金子(恵)委員 本当であれば、土屋復興大臣から御答弁いただければそれでいいと思っていました。でも、どうしても仕組みが違うから、堂故副大臣にもお越しいただいたということではあるんですけれども。

 ここで、やはり復興庁の在り方をもう一回確認をさせてください。復興庁は全ての省庁のやはり司令塔なわけですから、復興大臣、実は、復興庁のトップは総理大臣です、そういう仕組みなわけですから、そこで御答弁いただけたら全て済むという形が、堂故副大臣においでになっていただいて大変恐縮ではありますけれども、本来、私はそういうことだというふうに理解をさせていただいて、同じ被災者の話なんですよ。こういうことから、縦割りはしないでいただきたいということを是非お願いをしたいというふうに思います。

 ただ、堂故副大臣は、復興の方の副大臣も兼務されているというお立場だと思いますので、だからいらっしゃっているということだとは思うのですけれども。でも、縦割りはやめてください。同じ被災者の方々の高速道路の無料措置の問題なんです。同じように、目的というのはふるさととつながっていくということです。是非そこは御理解いただきたいというふうに思います。

 一言何かありますでしょうか。土屋大臣、ありますか。

土屋国務大臣 ちょっと言葉が足りなかったかと思いますけれども、私どもも、関係省庁との連携をしっかり今まで以上に持って、復興庁が司令塔であるということで、機能できるように頑張っていきたいと思います。

金子(恵)委員 ありがとうございます。土屋大臣に期待していますので、単なる連携じゃない、司令塔ですから、よろしくお願いしたいと思います。

 そして、その上で、十二月の一日に、東電の第一原発の避難指示が出た富岡町、葛尾村の住民意向調査の結果というのが発表されました。将来的な希望も含めて戻りたいと考えていると答えた割合は、富岡町は九・四%、前回調査比〇・一%増と横ばい、そして、葛尾村は五・八%、前回調査比八・二%減と落ち込んでいるという状況であります。復興庁は、原発事故からこれだけ月日がたっているから、避難先に生活基盤ができた住民の方々も多いのではないかというようなコメントを報道でされているということであります。

 ここで、やはりこの調査は郵送で行われているので、まず、回収率は、富岡町は四〇・七%、そして、葛尾村は四七・五%ということで、私は決して高いとは言えないというふうに思います。避難されている方々の最後の一人まで本当にお支えするという気持ちがある、考えがあるのであれば、私は、調査に回答していない方々の意向もできるだけお伺いできるような、そういう仕組みづくりをしていくべきだというふうに思っています。

 調査に回答していない方々がどのような考えを持って、そして、ふるさとを離れて生活をしているかについても配慮をしながら、人を中心とした復興を進めていくべきだと思いますけれども、この調査結果とそして調査の在り方について、土屋大臣、いかがでしょうか。御所見を伺います。

土屋国務大臣 御指摘の調査結果のうち、戻らないと回答された方は、まず、避難した地域で既に生活が、十三年にもなりますから、できていて、避難先の方が非常に生活便利性が高いこと等、それぞれの御事情があると思うんですね。

 私のすぐ隣の隣に東電の宿舎があったんですけれども、そこに福島県の方、私もそのときは浪人中でしたけれども、東電とお話をして入っていただいて、その方なんかも、私と町内会が一緒なのでお会いすると、春日部は住みやすいねと言われまして、でも、そう言いながら、福島への思いはしっかりと持っていらっしゃるというのは感じているんです。

 そういう意味では、あるとき、やはり帰ろうかなと思う方も出てくると思いますので、引き続き、帰還を希望されている方や判断のつかないという方も、より多くの住民の方が答えを出せるような調査の仕方とか、それから、調査が行っていない方がいるのでしたら、それは徹底的にチェックしていく必要があるのではないかと思っています。

 生活環境整備を支援していくことこそが、戻ろうかなという思いにも至る人もいるんじゃないかと思いますけれども、全ての被災者を対象に支援を実施しているわけですから、県外に住んでいらっしゃる人は被災者ではないみたいな感覚は持っておりませんので、やはり福島で被災した方が外に出ていろいろな思いを持っていらっしゃる、そこら辺はしっかりと拾っていきたいなと思っております。

 ですから、先ほどもお話があったように、相談会とか交流会の実施とか、そういうようなものはしっかりしていくということと、情報誌を送ってあげるということも非常に大事なことだと思います。

 いずれにしても、御帰還意向にかかわらず、被災者に寄り添って頑張っていきたいと思います。

金子(恵)委員 やはりどうしても、今の答弁ですと、何か送る、郵送で何か対応をする、そういうイメージだけですよね。そうではなくて、しっかりと、それぞれの皆さん、避難されている方々が今どこにお住まいかということは行政として把握をしているべきであって、そこにどのようにアプローチしていくか、しっかりと対応をしていただきたいということをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 そこで、富岡町では、十一月の三十日、帰還困難区域となっていました小良ケ浜、深谷両地区の集会所や共同墓地、道路の点的そして線的な復興拠点の避難指示が解除されました。早く除染を進めるべきだというふうに、富岡の山本町長も地元紙のインタビューで答えております。

 少しでも除染を進めるということは、復興の、先ほど来お話がありますけれども、環境整備の本当にスタートラインに立つ部分だというふうにも思っていますけれども、まだまだ点と線だけの解除。避難指示が解除されている地区と同等となるよう、少しでも早く除染を進め、そして、除染は復興の始まり、国の制度の中でできる限り対応をしていくべきだというふうにも思うんですけれども、この件について、今後、様々な課題が残ってくるというふうに思います。

 先ほどの答弁と重なる部分があるかもしれませんけれども、もう一度、土屋大臣、お願いします。

土屋国務大臣 富岡町の小良ケ浜、深谷地区内の特定復興再生拠点区域、線拠点でございます、点と線ですね、十一月三十日に避難指示解除がなされて、これをもって特定復興再生拠点の全てが解除したところでございますけれども、今おっしゃるように、残る避難指定区域についてはどうなのかということだと思います。

 二〇二〇年代をかけて帰還意向のある住民の皆様が全員帰還できるよう、帰還に必要な箇所を除染して避難指示解除を行うため、本年六月の福島特措法の改正により特定帰還居住区域制度を創設したところでございますので、まずは、帰還意向のある住民の方々が一日でも早くお戻りいただけるよう、今後、富岡町において設定される特定帰還居住区域について、除染やインフラ整備等の避難指示解除に向けた取組をしっかりと進めてまいりたいと思います。

 これについては、環境省の方にも指示を出して、しっかりやっていきたいと思います。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 今大臣の答弁で、特定帰還居住区域の設定についても触れていただきました。

 今年の通常国会で福島復興再生特措法が改正されまして、今おっしゃっていただいた特定帰還居住区域が設置できるようになったわけですけれども、これが進んでいけば、やはりこれから除染をして、そしてインフラ整備もしていくわけですね。そうすると、今、現段階でも除去土壌というのは本当に大変な量になっているんですが、もっと増えていく可能性はありますね。とにかくしっかりと新たな区域の復興についても進めていただきたいとは思いますけれども、今度は、そこで出てきた除去土壌等にどういうふうに対応していくかということが大きな課題になっております。

 ここからは、中間貯蔵施設について質問をさせていただきたいというふうに思うんです。

 実際に、現段階では、これは今年の十月末時点ですけれども、約一千三百六十八万立方メートルの除去土壌等が中間貯蔵施設に搬入されているという状況であります。そして、これは面的に言うと、面積は約一千六百ヘクタールですので、東京都の渋谷区とほぼ同じだということであります。

 この搬入された除去土壌については、中間貯蔵施設がスタートしてから三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずるというふうに法律上書かれていますので、二〇四五年三月までにしっかりと福島県外での最終処分をするということになっているわけです。

 ここで、内堀知事が、十月十一日付の新聞で報道されているんですけれども、これは福島民報ですけれども、十月の講演において、この除去土壌等の最終処分について、法律で定められた二〇四五年までたった二十二年しかない、強い危機感を示す発言をされたというふうに報じられたということです。

 実際に今の進捗状況はどうなっているかということをこちらから申し上げさせていただくと、二〇二四年度までに、とにかくその後のことを決めていく、それしか多分決まっていない。実際には、最終処分場の選定の具体的な方針と工程というのはまだまだ示されていないという状況であります。しかし、内堀知事は、危機感を感じていますと。実際は二十二年を切っているわけですね。

 このような状況の中で、本当に今政府はどのような取組をしているのか、お聞かせいただきたいと思います。

滝沢副大臣 お答え申し上げます。

 福島県内で生じた除去土壌等の三十年以内に県外最終処分という方針は、国としての約束であり、法律にも規定された国の責務でございます。

 県外最終処分に向けては、二〇一六年に定めた方針に沿って、除去土壌等の減容等に関する技術開発、除去土壌の再生利用の推進、最終処分の方向性の検討、国民的な理解の醸成等を行っているところでございます。

 環境省といたしましては、県外最終処分の実現に向けて、更に理解醸成の取組を進めていくとともに、減容に関する技術開発や再生利用の技術的な検討などの成果を踏まえた上で、二〇二四年度までに、最終処分場の構造、必要面積等について、実現可能な幾つかの選択肢を提示することとしているところであります。

 現在、これらについて公開有識者検討会において議論をしているところであり、最終処分の実現に向け、引き続き、環境省として着実に取り組んでいきたいと考えております。

金子(恵)委員 今年の五月に、先ほど申し上げました福島復興再生特措法の改正がありまして、そのときに付されました附帯決議があります。ここには、「県外最終処分に向け、全国民的な理解醸成を確実に推進するとともに、県外最終処分に向けた具体的な方針・工程を早期に明示し、県民・国民の目に見える形で取組を加速させること。」ということを政府に求めたものになっております。

 土屋大臣、この附帯決議の言葉は重いと思いますけれども、いかがでしょうか。本当に加速化が進んできていますか。

土屋国務大臣 ちょっと前に環境省の方とお話をする機会がありまして、私どもが現場に行ったときの様子とか、そういうものを踏まえてお話をしたことがあるんですが、確実に進めるために、やはり再生利用の技術開発、そういうものが大体めどがついてきているので、これを加速して頑張りたいという話は伺っております。いずれにしても、いろいろな情報を私の方も取りながら、確実に進められるように頑張っていきたいと思います。

 三十年以内の県外最終処分という方針は、法律にも規定された国の責務でありますから、しっかりと進めていきたいと思います。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 比較はできないかもしれないんですけれども、管理型産業廃棄物最終処分場が栃木県の那須郡那珂川町で九月の十五日に完成して稼働されているという状況なんですけれども、これは不法投棄が発覚してから完成まで三十三年かかっている。それと、鳥取県では、まだ二十年以上設置できないでいますけれども、管理型産業廃棄物最終処分場を計画中。米子市の淀江町なんですが、二十年以上設置できないでいる。時間がかかるんですよね。

 そういう中で、少しでも前倒しができるところはしなくてはいけないですし、本当に三十年以内に最終処分場を県外に設置するというお約束があるのであれば、どのような対応をするか、少し本気で頑張って取組をしていただきたいなというふうに思うんです。

 その上で、もちろん、難しい判断をいろいろなところでしなくてはいけないというのは分かります。例えば、環境影響評価、これもどうしていくかということも議論をしていかなくてはいけないんだというふうにも思いますし、現在の中間貯蔵施設の面積は一千六百ヘクタール、でも、環境影響法の廃棄物最終処分場の基準というのは三十ヘクタールということで、それを大幅に超過しているという現状もあるわけです。

 それを考えたときに、このような環境影響評価、もしも法律の対象にこの最終処分場がなったとしたらば、またそこから様々な手続があって、時間をかける必要があるのではないですか。いかがでしょうか。

滝沢副大臣 お答え申し上げます。

 除去土壌等の最終処分については、環境影響評価法の対象にはなっておりません。

 除去土壌等の最終処分の方向性については有識者検討会において検討しているところであり、最終処分場の環境影響の評価の在り方についても、今後、これらを踏まえて議論してまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 済みません、時間が参りましたのでここまでにしておきますけれども、今おっしゃったように、環境影響評価法、今、現段階では十三項目が対象になっていますけれども、そこの中には入っていません。しかし、可能性としてはゼロじゃないはずなんです。現段階と今後の議論そして検討、その中で様々な検討をした上で、恐らくここは更に時間がかかる可能性があるということも含めて、しっかりと考えていただきたいということをここでまた申し上げたいというふうに思います。

 時間が参りましたのでここで終わりたいと思いますけれども、これだけ様々な課題が福島にはあるということを御理解いただきまして、そして、土屋大臣には是非司令塔としてリーダーシップを取って全力で頑張っていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

高階委員長 次に、沢田良君。

沢田委員 日本維新の会、埼玉の沢田良と申します。

 この東日本大震災復興特別委員会では初めての質疑とさせていただきます。委員長を始め理事、委員の皆様、復興庁の皆様、委員部の皆様、本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

 改めましてなんですけれども、埼玉の沢田良と名のっておりますが、土屋大臣のお父様の頃からやはり我が埼玉県はいろいろな力添えをいただいて、今、私は大好きな埼玉でどういうふうに子供を育てて生きていこうかと思うところで、大臣とこうやって直接やり取りをさせていただけることをまず光栄に思います。

 そして、その中で、私自身、国会議員になる前まで飲食店を経営する傍ら野菜を作って、それをお店に卸したりとか自分のお店で使ったりということをやっていた経緯がありまして、私が政治を志すきっかけは、まさにこの東日本大震災なんですね。

 この中で、私の畑から放射性物質が出ているという風評被害に遭ってしまった。そういった中で、私自身、政治の状況が全く分からなかった。知識がなかった。そのときに、政治を知ろうと思って政治の現場に入り、やはり多くの議員さんが、もちろん、いろいろな混乱もあったのは分かっているんですけれども、本当に大変な御尽力をいただいて、そして、今、一〇〇%とは言えませんけれども、復興の流れも本当に徐々に徐々に進んでいって、民間からも、多くのNPOを含めて、福島また宮城に多くの方が入っていただいているこの状況というのは、私は、今現時点で考えたときに、しっかりと皆さんがやっていただいて、そして、それに対して多くの国民の皆様の御協力があって、今、復興というものが前に進んでいるのではないかなというふうに感じております。

 ただ、政治の現場に入って、やはりもう一つ東日本大震災のことで、私自身、はっきり言葉で言うと、国会議員は格好悪いなと思ってしまった。

 私は、今、日本維新の会という党に所属をしているんですけれども、まさに東日本大震災が起こった後、皆さんは歳費を五十万ずつ半年にわたって受け取らない、これは、私は大変すばらしい行いだと思うんですね。あれだけ未曽有の危機が起こって、どういったことが起こるか分からない、そのときに、やはり我々国会議員は、まず国民の皆様の規範となっていく、そしてリーダーシップを取っていく。そういう中で、私も、今自分がもらっている歳費の中で五十万と言われれば、大変大きいお金だというふうに思います、それを当時の国会議員の皆さんがやったということは、私は本当にすばらしいなというふうに思った記憶があります。

 ただ、その後、今度は二〇%削減していこうというところで、平成二十四年の五月から平成二十六年の四月まで歳費を削減しようという話があって、もちろん、復興の状況が分からないということであったり、時限的な、二年間限定ということでつくったのは分かるんですけれども、じゃ、その二年後、復興が本当に今ほど順調にいっていたのか。又は、復興に際して、福島に住まわれる方皆さんを含めて、その状況を安堵する状況だったのか。

 そして、もちろん、復興特別税という税金を国民の皆様には、今の元号に合わせれば、令和十九年までお願いをするに至っているわけですね。当然、我々国会議員の立場でいえば、税金をつくってやはりいろいろなところにお願いするということでもあると同時に、国民の皆様には、令和十九年まで一緒になって復興をやっていこう、そのリーダーは我々国会議員であるということを示した一つの法律だと思うんですね。

 私が一国民であったときに、リーダーが、みんな、令和十九年まで何とか頑張って福島のためにやっていこうよ、東日本の復興を乗り越えていこうよ、だから、みんなに協力してほしいといったときに、そのときのリーダーがぽつんと二年でやめてしまっていたら、私は、やはり納得がいかないというよりも、ただただ格好が悪い、そういうふうに思ってしまうところがあるんですね。

 やはりいろいろな国会議員の皆さんがいらっしゃる中で、もちろん、いろいろな事情があるのは当然分かっています。私が今から質問する内容も、大臣の立場ではお答えできないのも分かっているんです。ただ、私は格好悪いと。そして、私たち自身が、今まさに政治と金の問題もいろいろなところで出ていますけれども、やはり体で示していかなきゃいけないというときに、私は格好よさというものは大事だと思うんですね。

 そういう意味で、大臣、二年間で終わってしまった、もちろん、その後、もう一度やってもいいと思うんですね。復興を考えたときに、私たちはもう一度国民の皆様に対して姿勢を、覚悟を示していくというのも大事だと思うんですけれども、現時点でこれは終わってしまって、コロナ禍も含めて、復興に対しての私たちの覚悟というものは示されていない状況になっています。

 この状態に対して、大臣、私は格好悪いと思うんですけれども、どうでしょうか、一言。

土屋国務大臣 埼玉県の沢田さん、よく覚えております。ただ、こうして直接、目の前でお話をするのは初めてかもしれませんけれども、よろしくお願いします。

 それで、答えにくい内容でございますので、私としては、国会議員の歳費削減については議員立法で定められたものと承知しておりまして、今後も、国会議員の歳費については、議会政治や議員活動の在り方にも関わる課題であるので、国会において御議論いただくべきものであろうと考えておりまして、それ以上はお答えは控えさせていただきます。

沢田委員 ありがとうございます。

 是非、今日参加の皆さんも、私は、国会議員になってまだ三年目です。自分のお給料も、日本維新の会として身を切る改革を言っている一丁目一番地としても、やはり被災地の皆様又は国民の皆様が令和十九年まで一緒になって復興していこうよといったあの言葉を絶対に私は忘れたくないという思いで、党でお金を集めて寄附を続けるということを全国会議員で続けています。

 なので、これにおいては、私は、私たち維新の会が偉いとかそういうことではなくて、今日聞いていただいている皆さんの中でも、当然、まだまだ地盤ができていないとか選挙が厳しいとかいう方も、私も含めていると思うんですけれども、やはり先ほどの金子委員の中でもありました、復興に対してちょっと風化をしていないかということをもう一度我々全員で考えて、個々でも構いませんので、是非御協力いただいて、令和十九年まで、延長するような状況もありますけれども、しっかりと、私たちが国民の皆様から格好いいと思ってもらえるような、そういうリーダーであれるような姿を示していただくことに動いていただければと思います。

 少し話を変えさせていただきます。

 復興特別所得税の、所得税に対しての二・一%という税率なんですけれども、当初予定していた期間というものがどのような考え方に基づいて決められたのかなどが、やはりもう大分時間もたっているところで、私もこの復興特別委に立つときにいろいろな議事録を見させていただいたんですが、改めて、ちょっと今日は動画を見ていただいている方もいらっしゃいますので、御説明いただきたいなと思いましたので、よろしくお願いします。

瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。

 平成二十三年に定められました東日本大震災からの復旧復興に関する財源フレームにおきまして、平成二十三年度から平成二十七年度の集中復興期間にかかる事業費を、少なくとも十九兆円程度と見込んでおりました。その財源としましては、歳出削減や国有財産の売却などの税外収入により八・五兆円程度、税制措置により十・五兆円程度を確保することとしておりました。

 税制措置のうち復興特別所得税は、二〇一三年、平成二十五年から二〇三七年、令和十九年までの二十五年間、所得税額に対しまして二・一%の税額を上乗せするものとされました。

 この税率と期間につきましては、当時の民主党、自民党、公明党の三党による協議におきまして、各年度の国民負担をできる限りなだらかにした方がよいという意見もあった中で合意されたものであると承知しております。

沢田委員 御説明、どうもありがとうございます。

 続いて、これは復興予算を管轄しております復興庁の方にもお伺いしたいんですけれども、復興に関する予算は、復興財源フレームというこの枠組みで、多年度にわたって収支を完結される仕組みとなっておりますが、復興予算は、経済の状況や新たなニーズが発生してくることによって、当然、上下することはあると考えられます。どのように適時の見直しを今まで行ってきたのか、また、今までの変化もちょっと分かりやすく教えていただければと思います。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 復興事業につきましては、これまで、平成二十三年度から平成二十七年度までの最初の五年間を集中復興期間、続く令和二年度までの五年間を第一期復興・創生期間、さらに、令和七年度までの五年間を第二期復興・創生期間と位置づけ、その節目節目に、復興施策の進捗状況等に応じ、復興事業の規模と財源、すなわち復興財源フレームもお示しし、必要に応じて見直しを行ってきております。

 具体的には、まず最初の五年間である集中復興期間についてですが、平成二十三年七月時点で少なくとも十九兆円程度とされ、これが、平成二十五年一月に二十五兆円程度、平成二十七年一月には二十六・三兆円程度に見直されました。

 続いて、第一期復興・創生期間を含む令和二年度までの十年間については、平成二十七年六月に三十二兆円程度との復興財源フレームが示されております。

 そして、足下ですが、第二期復興・創生期間を含む令和七年度までの十五年間について、令和二年七月に三十二・九兆円程度との財源フレームが示され、現在に至ります。

 このように、復興財源フレームにつきましては、復興施策の進捗状況や復興のステージが進むにつれて生じる新たな課題や多様なニーズも踏まえ、必要に応じてその都度見直しを行ってきているところでございます。

沢田委員 どうもありがとうございます。

 ただ、私は財務金融委員の方もやっているんですけれども、大変今のこの経済状況は、足下はよくはなっていると思います、実質賃金は追いついていないんですけれども、やはりインフレの状況が徐々に広がっている状況と人手不足によって、大きくいろいろなものに対するコストが上がってしまっている。これを考えると、現状、今までやっていた三十二・九兆円というフレームに関しても、私は大変厳しいのかなと。

 先ほど藤原委員の方からも御指摘があったんですけれども、三十二・九兆円というフレームのうち、三十一・九兆円が令和四年度までに使われているというような話もありますね。

 考えると、今までの、その時期その時期に精査をするというやり方だけではちょっと足りないのではないかなと。というのも、少し先に考えて、今のインフレ率であったりとか人手不足の状況も含めて、予算を、ちょっと今までのやり方を変えて精査していくべきというふうに考えるんですけれども、復興庁としてはどのように考えますか。

森田政府参考人 お答えいたします。

 近年の物価上昇や賃金状況等を反映した予算編成が必要であるという御指摘は、御指摘のとおりかと存じます。

 毎年度の予算編成につきましては、物価や賃金の動向も踏まえて、事業実施に必要な金額を確保するように努めているところでございます。

 また、中長期的な見込みにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、これまでの復興財源フレームの策定過程におきましても、事業執行当事者や被災者の、被災地のニーズを酌み上げつつ、時々の足下の状況を踏まえ、必要な事業規模を積み上げてきておりますが、今後の復興財源フレームの見直し等に当たりましては、御指摘の点も勘案しながら、必要な事業の執行に支障がないように事業規模を検討してまいりたいと考えます。

沢田委員 ありがとうございます。

 やはりいろいろな事業が、今すごく値段が上がってきてしまうことによって、多くの国民の皆様がすごく過敏になっている時期でもございます。そういった中で、やはり我々が先手先手に、リスクというよりも、そういった見える景色を広げていくというのはすごく大事なことでありますし、この復興は、まさに国民の皆様からの御協力、支援があってこそ前に進める事業だと私は思っていますので、是非いろいろな考え方を、先々にちょっと動いていただいて、後々、こんなにかかっちゃっているじゃないかみたいなことではなく、事前にやはり分かる範囲でいろいろ考えていくことを取り入れていただければと思います。

 続きまして、防衛財源確保のために、二・一%を今いただいていた復興特別所得税の税率を一%引き下げる代わりに課税期間が延長されるという、報道も含めて、多く出ております。元々が、二・一%になると、大体税収で毎年四千億円ぐらいのものになるんですね。これに対して半分となると二千億、大変大きなお金になるというふうに思うんですけれども、一般論からすると、当然、フレームの中でお金を使っているというのはあるんですけれども、復興を進める上でもやはり悪い影響があるんじゃないのかなんというのは、地域を歩いているとかなり言われるところもあるんですね。これについてもやはり説明が欲しいなというところでもあるんですけれども。

 まずは、復興特別所得税を一%引き下げる部分、これに関して、課税期間が延長されてしまうということに関しての延長期間の明示というものがまだされてはいないんですね。

 これは財務省さんにちょっとお伺いしたいんですけれども、今後の精緻な議論は当然必要だと思うんですけれども、何年程度の課税期間の延長を見込んでいるのかというのをちょっと政務官の方から教えていただければと思います。

瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。

 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置につきましては、令和五年度税制改正大綱におきまして、所得税に税率一%の新たな付加税を課すことと併せ、復興特別所得税につきましては、税率を一%引き下げるとともに、課税期間を延長する、課税期間は、復興事業の着実な実施に影響を与えないよう、復興財源の総額を確実に確保するために必要な長さとするといった方針が示されているところであります。こういった方針等を踏まえまして、与党税制調査会において議論が行われることとなるものと承知しております。

 御指摘の復興特別所得税の課税期間につきましては、現時点で具体的に言及することができないことを御理解いただければと思います。

沢田委員 どうもありがとうございます。

 ただ、ちょっとやはり一つ疑心があって、今回、防衛の分で一%持っていく、防衛の予算にお金を使っていくというのは私は賛成の立場の人間なんですけれども、全体的な国民の皆様のいわゆる負担率を維持させるための措置というのは当然分かるんですけれども、先ほども言いました、やはり今復興に対しての費用、財源フレームもまだまだ膨れ上がってしまう可能性も当然あり、インフレであったり人手不足も含めて、いろいろなところが巻き込まれて、ある種、だから、経済が伸びていけば、当然その状況は起こり得る。

 となると、今までだったら、一応令和十九年、こういうふうに区切っていたものが、例えば来年からとなれば、本来、令和六年で計算すると十三年ぐらいが、延長を更にされるみたいなイメージであってもいいのかなと思うんですけれども、実は、終わらないんじゃないのか。

 私は、自分が国会議員になって、やはり財務省さんの税のロジックというのは、言葉で言うと、とても上手だなと。何とか国民負担を余り上げずに、見えないところで税金を増やしていくというふうなところがやはり見受けられているものですから、是非復興に関しては元に戻って、国民の皆様と一緒に復興していくという点では、名前を変えていくとか、期間の延長もちょっと見えないという状況ではなく、一日でも早く、何年までに終わらせていくという筋道を誠実に御説明いただければというふうに思います。

 ちょっと大臣にもお願いしたいんですけれども、この後、森林税なんというものが、千円であったものが森林税というものに変わったというものもあるんですけれども、そういうふうにならないように、大臣がいる間はそういうことはしないというようなことをもし言えたら、一言いただければと思うんですけれども、是非その期間で終わらせるというか、財源の中で終わらせるという覚悟というか、大臣から一言いただきたいです。

土屋国務大臣 財源の話は財務省の方のことでございますけれども、復興庁としては、復興事業に影響を及ぼさないことが最も重要でありまして、そのためには、復興財源の総額の確保は大前提であります。

 令和五年度税制改正大綱において、延長期間は、復興財源の総額を確実に確保するために必要な長さとされておりまして、復興事業に影響を及ぼすことはないものと認識しております。

 いずれにしても、必要な復興事業の実施に支障を来さぬよう、万全を期してまいりたいと思います。

沢田委員 ありがとうございます。

 ちょっとさっき説明が足りなかったんですけれども、私は、二三年度まで十年間限定で個人住民税に年千円上乗せする措置というものが、二四年度から森林環境税というふうに新税として恒久化されてしまったということの説明だったんです。大体年六百億円ほどの税収を地方自治体の間伐や植林などの森林整備の事業に充てるという感じで、いわゆる防災であったり復興というものをそういった新しい事業に充てるというふうに使ったものなんですけれども、これはやはり問題も結構残っているんですね。

 例えば、一九度から二〇年度に市町村に配られたのは大体五百億円あるんですけれども、半分以上の二百七十二億円が使われずに基金として貯金されてしまっている。総務省調査によると、まず、全国市町村の四割に森林・林業の担当職員がいない。配分上位が、首位は横浜、大阪、名古屋など。配分イメージとしてお伺いしたのは、人口三割、森林面積五割、就業二割というような形で、運用自体の、お金をどういう優先順位で配っていくのかというのもちょっと問題が出ているんじゃないのかなというところもあります。

 是非、こういうことで税金の形を変えてしまったからこそ、同じようなことが起こらないように御協力いただければというふうに思います。

 最後になりますけれども、私は、復興のこの状況を必ず風化させちゃいけない、そして、やはり国民の皆様とともに復興を乗り越えていきたい。

 当然、税金を払いながら、NPO法人、ボランティアの活動でいまだ福島、宮城に入っていただいている方は多くいらっしゃいます。特に、若い方がこういう活動に参加していただいていることを、私は四十四歳として本当に心強いと思いながらも、やはりそういった方々の状況に甘えずに、我々国会議員は本当にもう一度リーダーシップと格好よさと、特に、お金と政治の問題を払拭するためにも、私は、もう一度、復興のためという名前で、我々国会議員が自分らのお給料を切るようなことをやるべきじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣、また同じ質問にはなっちゃうんですけれども、最後に一言いただければと思います。

高階委員長 土屋復興大臣、簡潔におまとめください。

土屋国務大臣 先ほどと同じになりますが、議会政治や議員活動の在り方に係る課題でありまして、国会において御議論いただく問題であると考えております。

沢田委員 時間になりましたので、以上となります。

 どうもありがとうございました。

高階委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、ALPS処理水の海洋放出に関連して、風評被害の現状であったり、その対応策について伺っていきたいと思います。

 まず、今日このテーマを取り上げるというときに、先ほど、この委員会でもこの後質疑される予定の福島議員の方から、漁連の皆さんの声をよく聞いた方がいいというアドバイスをいただいて、私も本当にそのとおりだと思います。

 私も、なかなかこれまで、復興特で質疑したことは実は今日が初めてで、これまで経済産業委員会ですとかそういった委員会に所属をしながら、主に製造業ですとか中小企業関連の政策に注力をしたものですから、今回、少し水産業者の皆様の声を聞いてまいりました。

 十分とは言えないものの、今の状況がぼんやりと見えてはきておりまして、海洋放出が始まってから、即座に何らかの風評被害、中国の禁輸という問題は起こりましたけれども、水産業者の方々の出荷額に直ちに大きな変化が起きたというような状況はその時点では確認ができませんでしたが、そこから、一か月ほど前の話になりますので、少し直近の状況についてまずは政府に確認させていただきたいと思います。

 現在、経産省であったり水産庁の方で状況把握に努められていると思うんですが、今日は復興特ですので、復興庁の方から、その辺りをまとめて現在の状況を教えていただきたいと思います。

桜町政府参考人 お答え申し上げます。

 経産省と水産庁からの報告によりますと、ALPS処理水の海洋放出以降、ALPS処理水の放出による魚価の大幅低下など、国内において大きな風評影響が生じているという話は承知していないものの、中国等が輸入規制を強化している状況の中で、これらの影響が水産関係の事業者に生じている、こういう状況でございます。

 具体的には、産地において、特に中国等へ輸出をしていたホタテやナマコにつきまして、前年同時期と比べて価格が下落している地域があったということでございます。

 こうした一部の国、地域の輸入規制強化による状況を踏まえまして、政府といたしましては、一部の国、地域の科学的根拠に基づかない措置の即時撤廃の働きかけ、国内外に向けた科学的根拠に基づく透明性の高い情報発信、販売促進、消費拡大に向けた働きかけやイベント実施等に取り組んでいるところでございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 ホタテやナマコに関して価格の減少が見られるということ、私も最近少し耳にしているところではあるんですが、まずは、価格が低下している原因というのは、幾つか理由はあると思うんですけれども、中国に出せない分、国内に卸す、その際に非常に物量が増えるので価格が下がってしまうというような現象もあると思いますし、あと、先ほどおっしゃっていた、中国自身がもう買わなくなっている状況ですので、ここの禁輸措置の解決に向けて動くというのが、その解決策としては合理的というのは誰が考えてもそうだと思うんですね。

 次の質問は、中国の輸入禁止措置に係る交渉状況について、少し詳しく伺っていきたいと思います。

 先ほど、庄子委員の質疑のやり取りの中でも、先日行われた日中外相会談の際に、王毅外相が、中国独自のモニタリング調査を行いたいというような意向を示したと。それに対して、日本側はIAEAや第三国関与の下での調査を実施していて、今後も、政府としてもIAEAとの緊密な連携の下で適切に対応したいと先ほど答弁がありました。

 これはこれでいいんですけれども、今の時点で日本はそもそも中国に対してどんな主張をしていて、中国側がモニタリング調査をしたいと言っているその大本の考え方、どのような問題意識、どのような主張を中国側はしているのか、この内容について少し具体的に教えていただきたいと思います。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 中国との関係につきましては、これまでも様々な機会にあらゆるレベルで我が方の立場を明確に伝達するとともに、科学的根拠に基づく冷静な対応及び日本産食品輸入規制の即時撤廃を強く求めてきているところでございます。

 中国側とのやり取りの詳細についてお答えすることは差し控えたいと思いますが、本件につきましては、先般の日中首脳会談及び外相会談において、互いの立場に隔たりがあると認識しながら、建設的な態度をもって協議と対話を通じて問題を解決する方法を見出していくことで一致しておりまして、今後、専門家レベルで科学に立脚した議論を行っていくことになります。

 同時に、我が国としましては、ALPS処理水の海洋放出の取組やモニタリングの結果につきまして、今後とも、科学的根拠に基づき高い透明性を持って、中国を含む国際社会に対し日本の取組を丁寧に説明し、理解が深まるよう努めてまいります。

 このような取組を通じまして、中国側に対しては、日本産水産物を含む日本産食品に対する輸入規制の即時撤廃を引き続き強く求めてまいりたいと思います。

 以上です。

浅野委員 ちょっと、今のところをもう一度確認させていただきたいんですが、国家間の交渉ですので、その内容をつまびらかに出すのはできないというのは承知をしているんですけれども、問題意識として、現に先日の外相会談でもモニタリング調査を中国側は求めてきているというところからすると、やはり、日本近海で捕れる水産物にいわゆるトリチウムを含む放射性物質が含まれていることに対する懸念を持っているというのが向こう側の大本の問題意識なのか、それともまた別の問題意識を持っているのか、その辺りを日本政府がどのように認識をしているのか、ここについて改めて聞かせていただけますでしょうか。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしまして、他国の主張について説明することは差し控えさせていただきたいと思いますが、日中間におきましては、互いの立場に隔たりがあるということを認識しながら、建設的な態度をもって協議と対話を通じて問題を解決する方法を見出すことで一致しております。今後、専門家レベルで科学に立脚した議論を行っていくこととなると思います。

 その上で、モニタリングについて申し上げますれば、具体的な枠組みについては今後日中間で調整していくということでございます。

浅野委員 余り、ちょっと今の答弁に前進が見られないんですけれども、やり取りの中身を知りたいというわけではなくて、お互いの意見に隔たりがあるということで、具体的にどういうところに隔たりがあるのかというのをもう少し教えていただきたいということなんです。

 今答弁の中で言った要素としては、国家間交渉だから内容は差し控えたい、ただ、考えには隔たりがあるので、科学的知見に基づいて検証をしていくということですよね。この三つの要素が今の答弁に含まれていましたけれども、その隔たりがどんな隔たりなのかというのが分からないと、ちょっとこの質疑を前に進めることが難しいんですが、是非もう少し丁寧に答弁をいただきたいと思います。

濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 交渉の中身の詳細につきましてはお答えすることは差し控えたいと思いますが、その上で、中国側が対外的にどういう説明をしているかということを申し上げますと、八月二十四日、ALPS処理水の海洋放出につきまして、ここから先は中国側の言い方でございますが、食品安全の放射性汚染のリスクを全面的に防止し、中国の消費者の健康を保護し、輸入食品の安全を確保するため、日本を原産地とする水産物の輸入を全面的に一時停止することを決定した等と発表した、そのような説明をしていると承知しております。

浅野委員 やはり、放射性物質に対する懸念というものを持っているということだと思うんです。

 次の質問は、だからこそ、これまでも当委員会でも議論されているとおり、我が国の水産物が国際社会から確固たる信頼を獲得し得るものであることを証明するためにも、先ほども言われていました科学的、技術的な検査技術の重要性というのが非常に大事だと私も思います。

 さらに、科学的、技術的に正確な検査を効率的、迅速に行うということも大変重要だと思っておりまして、例えば、現在、迅速に行えるトリチウム計測技術というのが開発されているんですけれども、茨城県の茨城大学において、早い検査、計測技術というのが開発されております。実際に検査も行われているそうなんですが、ただ、流通業者等からの問合せが大変多くなっている状態で、一大学ですから人的なリソースに限界があって、なかなか検査の数を増やせないという現状にあるそうであります。

 今、中国側もそういった科学的な検証というものの議論に乗っかってきているというところからすると、やはり、こうした正確かつ迅速な検査技術についてもっと国としてその環境整備を進めるべきだと思うんですが、どのように今後こうした検査の能力を確保していくのか、体制整備について現時点の考えを伺いたいと思います。

坂政府参考人 お答え申し上げます。

 水産庁が行っております水産物中のトリチウムのモニタリングにつきましては、トリチウムの分析に関する国際規格であるISO17025の認証を受けました国内の分析機関に委託して、二種類の方法で実施しております。

 一つは、令和四年六月より実施しております精密分析と呼ばれる方法でございまして、北海道から千葉県までの太平洋岸で採取されました魚類等五十一種類、二百九十五検体について分析を実施しております。もう一つが、本年八月より実施しております迅速分析と呼ばれます方法で、処理水放出口から数キロメートル離れました二地点で採取されました魚類七種、百三十二検体について分析を実施してまいりました。

 これらの分析によりまして、本年十二月十日、昨日時点までに分析結果が判明いたしました四百二十七検体の全てにおきまして、検出限界値未満という結果が出ております。これらの分析結果につきましては、水産庁のウェブサイトにおきまして日本語、英語、中国語などで国内外に発信しているところでございます。

 今後とも、水産物のモニタリングをしっかり実施してまいりたいと考えております。

浅野委員 迅速な検査技術で実際八月からやっているということは分かりました。

 もう少し教えていただきたいのは、私が聞きたいのは、そういう技術があるということも、私、これまで教えていただいて、勉強させていただいたんですが、今の検査能力で十分なのかどうか。私の感覚からするとまだ不十分じゃないかと思っておりまして、それをこれからどうしていこうと政府が考えているのか、今後の見通しについて最後に伺いたいと思います。

坂政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、国の方では、令和四年六月から精密分析でやる方法で二百九十五検体、もう一つは、本年八月から迅速分析という方法で百三十二検体というふうなやり方で実施してまいりました。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、国際規格の認定を受けました分析機関に委託するという方法で実施しておるところでございます。

 なかなか国内にも、分析ができる機器、能力を有している機関というのは限られておりますが、その中で、可能な限り私どもとしては分析を実施してまいりたいと考えております。

浅野委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

高階委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今年十月に宮城県で、介護が必要な八十六歳の母親を公園に放置し、死亡させたとして、五十七歳の息子が逮捕されたというショッキングなニュースがありました。二年前に父親を亡くし、一人で介護をしていたこと、災害公営住宅であり、男性がたった一人で家事も介護も全てをしょい込み、相談する人もいなかったんだろうかと考えさせられました。

 実は、この市の六月市議会では、我が党の議員が、市内に四つある市営住宅は高齢化が進み、最近でも亡くなってから発見された方が二人いた、こうした中で、被災者の戸別訪問をする生活支援相談員の配置事業が二〇二一年度から廃止され、自治会中心になっているとして、もっと行政が関わるべきではないかと指摘をしていました。その議員さんは今期で勇退をされましたので、最後の質問でありました。今回の事件を、後ろからがつんと殴られた気がした、おせっかいおばさんが周りにいっぱいいるのにと悔しがっておられました。

 この件は警察事案になっておりますので、このこと自体に触れる必要はございません。しかし、被災者が復興公営住宅などで独り暮らしで気づかれないまま亡くなる孤独死や、老老介護などの末に手遅れ、あるいは自死、これが後を絶たないんです。

 大臣、孤独死が後を絶たないといった被災者の置かれた状態をどう受け止めていらっしゃいますか。

土屋国務大臣 仮設住宅や災害公営住宅での孤独死というのは、本当に心が痛む死であります。やはり家族が亡くなって、本当に一人になってしまって、何とか自力で暮らしている方が大変多いと思います。そういう方にどう寄り添ったらいいかというのは、これは重要な課題だと思います。

 例えば、普通に暮らしていても、じゃ、あしたねといって、ベッドで亡くなったりしている方もいると思うんですけれども、でも、その前日どうだったの、その直前どうだったの、声をかけてくれる人がいた、前日にも何かお話しできる人がいたとなれば、大分環境が違うのかなと思っております。

 これらの施策は重要だと思いますので、やはりできる限りの防止のためには、自治体としっかりと意見交換しながら、今の現状等もしっかり聞きながら、またしっかり支援していきたいと思っております。

高橋(千)委員 あの阪神・淡路のときも、本当にマンションのような公営住宅に入ってから、その一人一人に声かけができる関係をつくるまでに十年以上かかった、そういう話を聞いたことがありました。防ぐことができる、そうした立場で何としても頑張っていただきたいと思うんですね。

 当該の市長さんは、自治会運営が安定し、住民同士がお互いに気にかけ合うなど、ふだんからの近所づき合いを基盤として徐々に住民独自の見守り活動が行われるようになってきたことから、当時の被災者支援事業は一般施策事業へソフトランディングしていますと答えているんですね。一般へソフトランディング、要するに、打ち切ったということなんです。だけれども、その自治会からも、自分たちだけでは限界だと悲鳴が上がっているんです。打切りになったのは二〇二一年度。これは、十年間の復興・創生期間の終了時なんですね。

 被災者支援総合交付金は、二〇二〇年度は三十九自治体、百九億三千五百七十四万余の交付実績がありますが、今年度は三十三自治体、七十三億三千八百三十九万余と、額も自治体数も減少しています。

 社会福祉協議会等による生活支援相談員の配置数は、ピーク時は二〇一七年三月で七百九十人から、今年三月で二百九十六人まで減っているんです。

 大臣、公営住宅の自治会の自主的取組に委ねるだけではなくて、もちろんそれも大事ですが、生活支援相談員の継続、拡充など、行政の関与が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

土屋国務大臣 各自治体で、以前ほど必要なくなったというところもあれば、いやいや、まだまだというところもあって、まだらなような気がします。

 見守り、相談支援を引き続き継続したい自治体もありますので、それは継続していきますけれども、今おっしゃったように、打ち切るところに関しましては、何かしらやはり復興庁としても現状を少し調べる必要があるのかなと今のお話を伺って感じました。

 いずれにしましても、引き続き被災者や被災自治体の状況を丁寧に伺いながら、被災者に寄り添った取組をしっかりしてまいりたいなという思いでございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。大事な答弁をいただいたと思います。ただ自治体が決めたというだけではなくて、やはり現状を調べて、また相談相手にもなっていただきたいと思うんですね。

 やはり自治体にしてみてもすごく大変なことで、これは相談件数が減ったということは、相談の窓口が減ったということと比例しているだけなんですよね。だから、担い手がいないですとか、非常に大変な事情があってのことでありますから、そこを本当によく聞いていただいて支援を続けていただきたい、こうした事件が続かないようにお願いしたいと思います。

 次に、被災中小企業の支援について伺います。

 東日本大震災で創設されたグループ補助金は、民間事業者に対して、これまで、私有財産の形成に当たり、税金での直接補助はできないというルールがある中で、事業者への直接支援を通して、地域経済、社会の復旧、ひいては復興の促進につながるという意義の下で乗り越えてきた画期的な制度であり、現場からも歓迎されていると思います。この認識は共有できるでしょうか。

 グループ補助金の意義、成果について、東日本大震災での活用件数なども含めて紹介されたいと思います。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 グループ補助金は、大規模な災害により被災した事業者がグループを形成して被災施設等の復旧を行う際に、その費用を補助するものでございまして、その目的は甚大な災害からの復旧復興であると認識しております。

 東日本大震災に係るグループ補助金の実績ですが、これまでに一万一千八百七十八件、国費で三千五百六十一億円、県費と合わせますと五千三百四十二億円の交付決定を行っており、被災地において幅広い事業者の方々に御活用いただいております。

 例えば、グループ補助金を活用して、被災した飲食店や小売店が入居する共同店舗をオープンして、地元商業復活のための先導施設として活躍をされているということで、この制度は被災地域の経済、雇用等の回復に寄与していると考えております。

 以上でございます。

高橋(千)委員 経済、雇用等に寄与しているということをおっしゃっていただきました。

 河北新報の十月十三日付に、グループ補助返還命令六億四千万という見出しの記事が載りました。宮城県内のグループ補助金を使った事業所の倒産件数が今年三月末で八十五に上り、うち四十二の事業者に計六億四千万の返還命令が下ったというものです。補助金適正化法によるものだとは分かるものの、返還金がネックとなって廃業も事業承継もできずにいるとの事業者の窮状を伝えています。鉄筋コンクリートの建物は五十年の耐用年数があるため、残存期間掛ける七五%の補助率、これで返還を求められるという仕組みになっているんですが、長いなと正直思うんですね。

 宮城県のQアンドAによれば、財産処分をしようとするときは知事の承認が必要です。沿岸部は、先ほど来もお話があるように、水産加工が多いです。市場が変化する中で、魚種の変更や、それに対応する新たな機械の導入など、本当に努力をされてきたことが目的外使用ということにされてしまうんでしょうか。

 せっかく多くの被災事業所の再建を支えた事業です。事業の継続のために、事業所の継続のために緩和ができないか、沿岸部の商工会議所などからも要望が出ていると思いますが、どうでしょうか。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 財産処分に関しましては、被災自治体あるいは商工関係団体から、柔軟な運用を求める旨の御要望をいただいているのは事実でございます。

 グループ補助金に関しましても、ほかの補助金と同様に、関係法令にのっとった運用を行うという点については御理解をいただければというように思います。

 原則といたしましては、残存簿価相当額に補助率を乗じて得た額、目的外使用の場合にはこういうことになっているわけでございますけれども、国庫納付については、一定の要件の下で、残存簿価相当額ではなく譲渡額に補助率を乗じて得た額とするなど、国庫納付の負担を軽減する措置も併せて工夫をしております。

 被災地の状況、被災事業者の状況は様々であるかというように思いますので、個別の状況に応じたきめ細かい対応を心がけてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 柔軟な対応を求める声があるということを承知しているとおっしゃいました。やはり無理なことを言っているわけではないんですよね。つまり、五十年をチャラにしてくれ、そういうふうな表現ではないんです。

 やはり、さっきのALPS処理水の話もありましたけれども、どうしたって現状に対応してやっていかなきゃいけないわけですよね。そのときに、結局、その機械が処分できないから野ざらしになっている、これはどう考えてもおかしいじゃないかという指摘なわけですから、ここを本当によく話し合って、できる対応をもう一歩踏み込んでいただきたい。ここは要望にしたいと思います。

 二〇一六年の熊本地震では、東北のグループ補助金に学びながら、原状復旧だけではなく、復興事業計画の実施に不可欠な範囲で施設及び設備を新たに整備することを認めました。熊本県工業会が二〇一九年にまとめた報告の中で、東北地方と比しても速いペースでの復興が進みつつあることは明らかだ、グループ補助金には被災した中小企業の事業継続を後押しするアナウンスメント効果があり、新たな債務発生による二重ローン問題を解消し、震災倒産を防いできたとの評価があります。こうして進化しているわけですから、新たな緩和策へ知恵を絞っていくべきだと思います。

 さて、被災事業者は、その後もコロナ、物価高騰、地震などに見舞われてきました。そうした中で、コロナ対応のゼロゼロ融資の返済、インボイス制度など、更に追い打ちをかけられております。

 そこで、ゼロゼロ融資に対する政府の借換え保証も活用されておりますが、問題は、返済期間が十年間、最大五年据置きだけれども、据え置いても返済期間が変わらないわけです。二年、三年という据置期間の分だけその返済期間を延ばせないかという要望がありますが、いかがでしょうか。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 民間ゼロゼロ融資の返済本格化を迎え、既に一割ほどの事業者が完済、五割以上の事業者が現在返済中でございますけれども、必要な事業者向けには、御指摘ございましたように、本年一月からコロナ借換え保証制度を開始しております。これによりまして、返済期間を実質的に長期化することで、返済負担の軽減を図っているところでございます。

 この借換え保証制度は、保証料を〇・八五から〇・二%まで引き下げるなどの補助を措置しております。また、各自治体による低利融資を活用することで事業者の借換えに伴う負担を軽減しておりますので、こうしたものも引き続き御活用いただきながら取り組んでいただければというふうに思っております。

高橋(千)委員 今、借換え保証がそういう趣旨であるんだよということの紹介がありまして、それはありがたいと思うんです。ただ、同時に、岩手県などが独自の融資、最大八千万円、あと伴走支援が一億円とか、そういうのをつけていたり、自治体独自で、じゃ、利子の分を何とか支援しようか、そういう取組もありますので、ここに本当に寄り添って対応していただきたい、このように思います。

 同時に、少しでも息をつきながら、かつ、その間に経営を盛り返したい、そのために、金融機関による伴走支援も今回の借換え保証には義務づけられているわけです。

 時間が来たので、もうこれは要望にします。商工会の役割も大きいと思うんですね。金融機関の大丈夫か大丈夫かというチェックではなくて、商工会は、インボイスへの対応や補助金の申請の仕方など、相談事業で本当に小規模な事業者を支えています。その点では、商工会の役割を本当に認めて、職員の、今、そうはいっても行革がこの分野でも始まっておりますので、維持、増員へ支援していただきたい、これは質問したかったんですが時間になりましたので、要望して、終わります。

 ありがとうございます。

高階委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 十四分もの時間をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、処理水放出に対する中国の輸入禁止措置について、前回、十一月十七日の復興特で質問させていただきました。ちょうど同時間に、サンフランシスコのAPECで日中首脳会談が行われていまして、そのとき、私は、言うだけ番長、そういうあだ名の方がいらっしゃいましたけれども、それではない具体的な行動をということで、WTOとかRCEP、CPTPP、日中漁業協定、様々な国際的な枠組みを使った交渉をすべきじゃないかということを指摘いたしました。

 十一月二十五日に釜山で開かれた日中外相会談後の会見では、上川大臣は、私から食品輸入規制の即時撤廃を強く求めました、これはみんな言っていることなんですね。その後、ちょっと具体的になっているかなと思ったのは、専門家レベルの議論につきましては、本日、王毅部長との間で、建設的な態度をもって協議と対話を通じて問題を解決する方法を見出していくということについて改めて一致をしたということで、具体的な動きが進んでいるんじゃないかなと一定の評価はしたいと思っております。

 どのような枠組みでやるかが大事でありまして、これまでのWTOのSPS協定の討議要請とか、RCEP五・十一条の2の協議の要請というのは、協議開始まで期限がないんですね。なので、私は、RCEP五・十四条2の技術的討議の要請というのは、要請の受領から三十日以内に行うという義務がありますから、こちらを通じてやった方がいいんじゃないかという提言をさせていただきました。

 今回、上川大臣と王毅外相の間で交わされたこの一定の合意というのは、どのような枠組みでやるものなのか。やはり被災地の人にとって、いつまでも言っているだけ、討議要請をしているだけではいけませんから、具体的にどのような枠組みでやることを想定しているのか、その点についての答弁をお願いいたします。

大河内政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、上川大臣から王毅外交部長に対しまして、日本産食品輸入規制の即時撤廃を強く求めたところでございます。WTOその他の関連協定の枠組みの下で何が最も効果的かという観点から、中国等の対応を見つつ、引き続き、様々な選択肢を不断に検討していく考えでございますが、例えば、WTOにおきましては、一例といたしまして、十一月十五日のSP委員会におきまして、日本から本件措置の即時撤廃、これを強く求めた次第でございます。

 また、RCEP協定におきまして、まさに御指摘のとおり、五・十一条、緊急措置に基づく討議の要請を行っているところでございますが、引き続き、中国が協定の義務に従って要請に応じるよう、しっかりと求めていきたい、このように考えております。

福島委員 五・十一条の2を使うつもりはありませんか。可能性としてあるかどうかでいいので、その点について答弁をお願いいたします。

大河内政府参考人 お答え申し上げます。

 五・十四条、技術的協議に基づく技術的協議に関しましては、実は、昨年十二月に、日本産食品に対する輸入規制措置、これについて同協議を要請したところでございます。他方で、非常に残念なことながら、中国側は現在まで何ら応じていない、こういう現実、現状があるところでございます。

 こういうことも踏まえまして、こうした中国の対応ぶりも踏まえつつ、様々な方法を我が国として検討していきたい、このように考えているところでございます。

福島委員 ただ、やはり期限のある要請に対して応じないというのは、これは明らかな国際約束の違反でありますから、こちらとしては強く言えると思うんですね。ちょうど昨日も、尖閣諸島の沖で日本の漁船が中国の海警から、ここは自分たちの領土だから出ていけと警告されたというニュースがありましたけれども、これも日中漁業協定が停止しているからこういうことが起きるのであって、なめられてはいけない。具体的な法律の条文を使って、一刻も早く中国との協議を行うことを求めたいと思います。この問題はこのぐらいにいたします、十四分しかないので。

 次に、F―REIについて。

 これまで西銘大臣、秋葉大臣、渡辺大臣、土屋大臣と、今日、四人目の大臣への質問で、一々それごとに言っていかなければならないんですけれども、私は、沖縄でやったOIST、あれは非常にうまくいっていると思うんです。それとの比較をしながら、このF―REIは、独立行政法人がやるお役所のやっつけ仕事になってはいけないというのをずっと言ってまいりました。

 その観点から、四月一日にいよいよ設立されて、令和五年度は百二十六億円の予算で研究開発を実施するのでありますけれども、これは公募の研究なんですね。公募で研究すると、外部の人がお金をもらってやるだけだから、福島のためになるのかどうか分からないし、これまでも委員会で申し上げてきたんですけれども、大体こういう委託研究というのは、二線級、三線級の、ほかの科研費とかに漏れた研究が回ってくるというのが実態でありまして、なかなか先進的なものが行われないという部分もあります。私は、委託研究でお金をまいて終わってはいけないので、OISTのように、一流の研究者が福島の地にやってきて、そこに住みながら研究を行うという環境をつくる必要があると思っております。

 まず最初に、OISTについて、今、どういう人たちが現地にいるのか、これからどういう人たちがOISTにやってきてくれるのか、そして、どのぐらいの人が来るのか、その点について御答弁いただけますでしょうか。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 OISTと言われましたけれども、F―REIのことだという理解でよろしいですね。(福島委員「済みません、訂正します」と呼ぶ)

 F―REIは、本年四月に福島県浪江町の本部事務所において活動を開始し、現在は、山崎理事長を始め理事などの役員と運営管理部門の職員を合わせ、総勢約六十名余りが常駐、勤務しているところでございます。

 先ほど先生からもお話がありましたように、外部委託を中心に今研究開発をしておりますけれども、今後、既存施設等を活用しながら、段階的に直接雇用、クロスアポイントメントによる直営の研究体制に移行することとしております。

 これから整備する本施設が供用を開始し、その活動が本格的に軌道に乗った時点においては、数百名の国内外の優秀な研究者等が参画することを想定しているところでございます。

福島委員 やはり数百名の優秀な国内外の研究者が来るというのは非常に大事なので、それを是非実現していただきたいと思うんですね。

 資料一というのがありますけれども、これは今の現状でありまして、多分、右下の運営管理部門の方々が今常駐して、何十人という数で、それからだんだんこの左側の研究開発部門に研究者が集まってきて、四、五百人、数百人の人たちが集まるというイメージなんだと思うんですね。

 そうすると、資料二が後ろにありますけれども、最初は外部委託等による研究実施というのが大宗を占めるんですけれども、令和十一年までに直接雇用、クロスアポイントメントによる研究開発を進めていきたいというのが今の宇野さんの答弁でございましたけれども、具体的にどうやっていくかが大事だと思うんです。

 じゃ、簡単にいくかといったら、なかなかそうじゃなくて、後でも私は申し上げますけれども、私の地元のつくばというところがありまして、私が生まれた頃に計画が作られ、私が小学校に入るぐらいから始まったんですが、やはりなかなか人が来てくれなかったんです。陸の孤島と言われて研究者が来てくれない中、五十年たって、今、立派な研究都市になっておりますけれども、どうやって福島まで、相当遠いところですよ、いろいろな研究機関からも離れているところに優秀な人たちを連れてくるのか。

 私は、その方法の一つが、沖縄でやったように、学長にノーベル賞級のスターを持ってくるんですよ、五千万円を出して。OISTはそれをやった。でも、どうも福島の方のF―REIはそうした仕掛けがない中で、どうやって外部の人を内部に取り込んで、クロスアポイントをしてやっていこうとされているのか、その点についてのお考えをお聞きしたいと思います。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今、外部委託をやっている研究を直接雇用、クロスアポイントメントに移行するという中で優秀な先生を確保しまして、そこからどんどん人脈を通じて広げていく。それから、研究内容が高度であればあるほど、それに魅力を感じて優秀な先生が集まってくるというふうに考えているところでございます。

福島委員 その優秀な先生がF―REIに来るのは、何がインセンティブになるんですか。お金なのか環境なのか。しかも、それは世界中から集めなきゃ意味がないわけで、OISTは、多くが外国の方なんです。何が魅力になるか、魅力がないと。お金か、施設か、研究環境か、一緒に研究する人の質なのか、何が売りなんでしょうか。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生がおっしゃった全てが要因だと思います。

 一つは、まず、研究内容だと思います。これにつきましては、世界に冠たる研究機関を目指すということで、世界のトップレベルの研究をやっていくということが必要ですし、そこに集まってきた先生方の優秀さというか、レベルの高さがまたほかの先生を呼び込むことになると思いますし、生活環境もそのために整えていかなきゃいけない。

 こういったものを総合的に勘案して優秀な先生を確保していく、こういうことになると思います。

福島委員 甘いと言わざるを得ないと思います。正直言って、学長の方も、研究者の中ではそこまでの、立派な方だと思うんですよ、でも、この人のためにここに行こうとまで思わせるようなものが足りないと思うんです。

 一つの方法として、今、五月に第一回協議会が開かれて、F―REI協議会というのがあるんですけれども、入っているのが福島県の大学、自治体がほとんどでありまして、すごく福島の中だけでやっているようなイメージがあるんですね。

 これも最初から言ってきたんですけれども、沿線、常磐線でつながっているんですよ。北には東北大学、常磐線沿いをずっと行くと、東海とか、浅野さんの日立の研究機関があったり、つくばに研究機関が集積したり、茨大もあります。ちょうどG7の安全大臣会合が水戸であったので、茨大の学長にこれを質問するよと言ったら、是非、茨大も工学部にいろいろな優秀な研究者がいますから連携したいと言っているんですよ。筑波大も、原子力の東海の機械を持つ東北大も、まさに世界に冠たる研究機関ですよ。もっとそういうところと連携をしないと、福島県内だけでやっていたら、福島県の人の期待に応えられる組織にもならないんですよ。

 ですから、そうしたもうちょっと広域的な、世界の一流の研究者との連携の仕組みをつくって、常磐線沿線に既に資源がありますから、もうちょっとそれを活用した方がいいと思うんですけれども、これは大臣にやっていただきたいんです。ころころ替わることなく、何か今見ると、もうすぐこの内閣は終わるような、そんな話もありますけれども、卒業論文にするんじゃなくて、是非もっと幅広い研究機関を入れていただきたいと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

土屋国務大臣 福島先生、いろいろ御示唆に富んだ御意見をいただきまして、どうもありがとうございます。今、がつんと頭をたたかれたような気がいたしますけれども。

 まさにおっしゃるとおりで、今、土地の確保をやっとできた。これから設計に入るわけですけれども、箱ばかりよくても中身がなくちゃ駄目なわけですから、今のところは福島近郊の大学と少し何かテーマを決めてやり始めたと聞いておりますけれども、もちろん、全国の、日本のいい大学のそういうシーズを、これなら世界に行けるというようなものを発掘して持ってくるぐらいの勢いは必要だと思っています。

 今でも、新産業創出等研究開発協議会においては、県内の大学等だけではなくて、茨城県内に本拠を有する日本原子力研究開発機構とか産業技術総合研究所などを構成員としているほか、東北大学にもオブザーバーとして参画いただいていますけれども、もっともっと広げていけるように、私は山崎理事長にお願いしたいと思います。

福島委員 是非大臣のリーダーシップを期待したいと思います。

 というのは、これは独法で、余りにもお役所お役所したことが多いんですね、F―REIは。ですから、大臣の政治家のリーダーシップが必要だというのは、なぜこれを言うかというと、先ほどちらりと言いましたけれども、先日、筑波大学開基五十周年というのが開かれたんですよ。世界中からいろいろな大使も来て、それはすばらしい式典で、五十年たってこうした立派なところができ、つくば市は人口二十五万人を超えて、かつて陸の孤島と言われていたのが、昭和五十五年にはつくば万博が開かれ、十七年にはつくばエクスプレスができて、今、誰もが認める世界的な研究都市になっているんですね、研究機関一つが来ればそこに多くの雇用が生まれて。

 浪江町は、今、残念ながら、私は浪江によく子供の頃サケを見に行っていたんですけれども、その面影がない町になっています。でも、逆に言えば、さらから、国際的な人がいろいろ集まって、今までの日本の町づくりではできなかったような町づくりもできる可能性があるのがF―REIだと思っているんですね。

 是非このF―REIを中心に、浜通りの町のなりわいをもう一度復活させるんだという大きな絵が必要だと思うからこのことを申し上げておるので、大臣、その決意を最後に一点お聞かせいただければと思います。

高階委員長 土屋大臣、簡潔におまとめください。

土屋国務大臣 私も、復興庁に来てF―REIの話を聞いて、まさに福島だけじゃない、福島から世界に発信するんだという思いで今仕事をさせていただいておりますけれども、それは、もちろん、足下の地域が非常に発展するということがあってこそでございますので、頑張りたいと思います。

福島委員 ありがとうございます。

 この問題は、まだ追い続けたいと思います。ありがとうございました。

高階委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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